昭和二十一年六月二十九日(土曜日)   午後一時三十分開議    ━━━━━━━━━━━━━ 議事日程 第八號  昭和二十一年六月二十九日   午後一時開議 第一 (第一號)昭和二十一年度歳入歳出總豫算追加案 第二 (特第一號)昭和二十一年度特別會計歳入歳出豫算追加案 第三 (第二號)昭和二十一年度歳入歳出總豫算追加案 第四 郵便法の一部を改正する法律案(政府提出)   第一讀會 第五 臨時通貨法の一部を改正する法律案(政府提出) 第一讀會 第六 軍人及び軍屬以外の者に交付された賜金國庫債券を無效とすることに關する法律案(政府提出)        第一讀會 第七 昭和二十年法律第三十四號(衆議院議員選擧法の一部を改正する法律)中まだ施行してゐない部分の廢止に關する法律案(政府提出)     第一讀會 第八 外地在留同胞引揚の促進竝外地引揚者、復員者救濟に關する決議案(稻田直道君外十一名提出)    ━━━━━━━━━━━━━  〔朗讀を省略した報告〕一、議員から提出された議案は次の通りである 外地在留同胞引揚の促進竝外地引揚者、復員者救濟に關する決議案  提出者   稻田直道君  松原一彦君   森幸太郎君  五坪茂雄君   松本瀧藏君  長井源君   志賀義雄君  船田享二君   成島勇君  正木清君   田原春次君  伊藤實雄君     (以上六月二十八日提出)一、昨二十八日衆議院規則第十五條但書に依り議長に於て議席を次の通り變更した        九  廣島縣選出議員       六五  稻本早苗君      一二一  中山たま君      一二二  降旗徳弥君      一二三  小川半次君      一二四  山下春江君      一八一  井上知治君一、昨二十八日常任委員補闕選擧の結果次の通り當選した 第三部選出  豫算委員 松本六太郎君(北勝太郎君補闕) 第三部選出  豫算委員 船田享二君(木下榮君補闕) 第八部選出  豫算委員 森由己雄君(三木武夫君補闕) 第六部選出  請願委員 大原博夫君(林平馬君補闕) 第三部選出  懲罰委員 稻田健治君(大原博夫君補闕) 第八部選出  懲罰委員 香川兼吉君(森由己雄君補闕)一、昨二十八日議長に於て次の委員を選出した 帝國憲法改正案(政府提出)委員   芦田均君  江藤夏雄君   小野孝君 大久保留次郎君   加藤宗平君  上林山榮吉君   神田博君  木島義夫君   木村公平君  木村義夫君   北れい吉君  北浦圭太郎君   小島徹三君  高橋泰雄君   高橋英吉君  武田キヨ君   武田信之助君 塚田十一郎君   廿日出厖君  本田英作君   三浦寅之助君 山本正一君   青木泰助君  犬養健君   荊木一久君  椎熊三郎君   鈴木周次郎君  關谷勝利君   長井源君  林連君   原健三郎君  原夫次郎君   保利茂君  星一君   森山ヨネ君  山崎岩男君   吉田安君  井伊誠一君   石川金次郎君  及川規君   加藤シヅエ君  菊地養之輔君   黒田壽男君  杉本勝次君   鈴木義男君  田原春次君   棚橋小虎君  西尾末廣君   原彪之助君  松澤兼人君   森三樹二君  森戸辰男君   井上徳命君  宇田國榮君   大橋喜美君  越原はる君   酒井俊雄君  橋本二郎君   林平馬君  大石ヨシエ君   大谷瑩潤君  田中久雄君   竹谷源太郎君  穗積七郎君   井上赳君  池上隆祐君   大島多藏君  早川崇君   藤田榮君  赤澤正道君   秋田大助君  野坂參三君    ━━━━━━━━━━━━━○議長(樋貝詮三君) 是より會議を開きます、日程第一乃至第三は豫算案でありますから、一括議題となすに御異議ありませぬか  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕○議長(樋貝詮三君) 御異議なしと認めます──日程第一、(第一號)昭和二十一年度歳入歳出總豫算追加案、日程第二、(特第一號)昭和二十一年度特別會計歳入歳出豫算追加案、日程第三、(第二號)昭和二十一年度歳入歳出總豫算追加案、右三案を一括して議題と致します、豫算委員長の報告を求めます──矢野庄太郎君     ――――◇――――― 第一 (第一號)昭和二十一年度歳入歳出總豫算追加案 第二 (特第一號)昭和二十一年度特別會計歳入歳出豫算追加案 第三 (第二號)昭和二十一年度歳入歳出總豫算追加案    ━━━━━━━━━━━━━    報告書 一(第一號)昭和二十一年度歳入歳出總豫算追加案 右は本院において可決すべきものと議決した因つてここに報告する  昭和二十一年六月二十八日     豫算委員長 矢野庄太郎   衆議院議長 樋貝詮三殿    ━━━━━━━━━━━━━    報告書 一(特第一號)昭和二十一年度特別會計歳入歳出豫算追加案 右は本院において可決すべきものと議決した因つてここに報告する  昭和二十一年六月二十八日     豫算委員長 矢野庄太郎   衆議院議長 樋貝詮三殿    ━━━━━━━━━━━━━    報告書 一(第二號)昭和二十一年度歳入歳出總豫算追加案 右は本院において可決すべきものと議決した因つてここに報告する  昭和二十一年六月二十八日     豫算委員長 矢野庄太郎   衆議院議長 樋貝詮三殿    ━━━━━━━━━━━━━  〔矢野庄太郎君登壇〕○矢野庄太郎君 只今議題に供されました(第一號)昭和二十一年度歳入歳出總豫算追加案、(特第一號)昭和二十一年度特別會計歳入歳出豫算追加案、(第二號)昭和二十一年度歳入歳出總豫算追加案、右三案に付きまして豫算委員會の經過竝に結果を簡單に御報告致したいと存じます 右三案に付きまして豫算委員會の經過を報告致しまする前に、極めて簡單に豫算案の内容に付て一言觸れて置きたいと存じます、御承知の通り本年度の豫算は未だ成立致して居りませぬ、それで政府は四月、五月、六月とどうして歳出を致して居つたかと申しますると、昭和二十年度の豫算の施行と、其の施行の出來難き部分に付きましては二十年度の豫備金と、さうして憲法に依る緊急財政處分の勅令と、此の三本建で六月までやつて參つたのであります、所で只今議題になつて居りまする各案は、此の七月一箇月分でございまするが、七月分の中でも此の追加各案に含まれて居ない金額があるのでございます、それは前年度施行豫算内支辯が十二億七千五百餘萬圓と、豫備金支辯が二億圓、合計十四億七千五百餘萬圓、是は此の追加豫算以外になつて居るのであります、さう致しまして、第一號、第二號とも同じやうなものでございまするが、第二號は遞信院が此の度遞信省になる爲に追加豫算を出して來たのでございます、今第一號とそれから第二號、即ち一般會計の分の追加豫算の金額を申述べますると、三十七億八百餘萬圓となるのであります、豫算書には第一號が出まして、それから後から第二號が出て來たので、豫算書を御覽になりますると三十七億七百餘萬圓となつて居りまするけれども、只今申す通りに、第一號と第二號とを通算致しますると、三十七億八百餘萬圓となるのでございます、正確なる數字は三十七億八百六十八萬七百三十二圓でございます、詰り七月の歳出豫算は、以上申上げまする通りに、合計して五十一億八千三百萬圓程に相成るのでございます、歳入の方はそれではどうかと申しますると、歳入の方は租税と官業及び官有財産收入と雜收入で凡そ二十億八千九百萬圓程に相成ります、さう致しまして、其の不足部分の三十億九千三百餘萬圓は大藏證券又は借入金で一時賄つて置いて、年度内の歳入で返還すると云ふ計畫になつて居ります、而して大藏證券又は借入金の權能は豫算第二條で三十一億圓借入れ、或は證券を發行することが出來るやうに規定を致してあります、それは豫算書を御覽になりますと御分りになるのでございます、それから特第一號の方は、金額は一千二百餘萬圓でございまするが、是は一般會計、即ち第一號の文部省所管を御覽になりますると御分りになりまする通り、一般會計と重複勘定になつて居るのでございます、一體日本の豫算は非常に複雜でございまして、特別會計の數が非常に多いのであります、終戰後は其の數が大分減つたのでありまするが、それでも現在凡そ二十四の特別會計を持つて居ります、斯樣に多い會計が別々に獨立致して居ります爲に、日本の歳出は一體幾らであるかと云ふことを檢討する場合には、此の各豫算に當りまして、其の重複勘定の差引をせねばならぬのでございまするが、私をして言はしむるならば、特別會計の多い此の制度と云ふものは代議士を瞞著する手段──瞞著する手段と云ふのは少し言ひ過ぎでございますが、少くとも戰爭中に黄色や、黒い色で諸所を塗りましたあの迷彩程の作用は致すのであらうと思ふのであります、今日は既に戰爭が濟んで平和になつたのでありますから、此の迷彩作用をする特別會計の制度は、成べく之を少くするやうに大藏當局に序でながら御願ひ致して置きたいと思ふのであります、以上豫算案の内容に付て申述べました、數字に於て誤りがございましたならば、速記を訂正することの御許しを御願ひ致して置きます 委員會は昨日と一昨日の兩日に亙りまして開かれました、民主議會初の誇りとでも申しませうか、各員とも極めて熱心に、殊に此の三案に對しましては理解ある態度を以て審議を盡されましたことは、政府當局に於ても委員各位に對し感謝して然るべきであらうと私は存じて居るのであります、今質疑應答の數點を擧げまして、極めて簡單に御報告を致しますると、海外同胞引揚に對する政府の保護は洵に心細い感がするが、政府の所見はどうかとの質問に對しまして、大藏大臣から、引揚同胞のことは私共も日夜苦心をして居りまして、洵に同情に堪へませぬ、現在の所非常に努力はして居りまするが、十分のことの出來ないのを甚だ殘念に思つて居ります、併し是から全般の處置として、それぞれ關係方面へも尚ほ強力に交渉致したいと存じて居りまするし、又政府豫算が出來まして、色々な事業を起すやうになりますれば、其の方でも引揚民諸君の御役に立たうかと考へて居りますとの答辯がございました、又之に對しまして、厚生大臣からは、引揚民に對しますることは、是は人道上から見ましても、又我我の同胞であることを考へましても、出來るだけの力を盡すべきは當然でございます、我々も新内閣となりましてから、此の施設を檢討して居りますが、どうしても強化しなければならぬと云ふことには全く同感でありまして、出來るだけ此の面に盡して居りまするし、今後も亦出來るだけ盡す積りであります、殊に豫算以外の、人間の親切で出來ることは出來るだけやつて行く積りでありまして、又豫算の實行も出來るだけ巧くやつて行く積りであります、引揚民の受入のことは、形だけはどうやら大體整ひましたが、其の定著の方の關係に於きましては甚だ不足の部分があります、現に引揚民に對する庶民金庫からの融資一人三千圓は、中々貸手である庶民金庫が算盤を彈く爲に金が出ませぬが、何とか貸手が安心して金を出せるやうにしたいと苦心して居る、新たに提案する生活保護法に依る三十億圓の豫算が成立すれば、生業安定、生業扶助費の形で出せるかと考へます、との答辯がございました 次に政府職員給與の特別措置に要する經費、國民學校職員給與の特別措置に要する經費に付きましては、今日の物價騰貴、「インフレ」昴進の實情から、薄給ではやつて行けない爲に職を去る者すらある、是は國民教育上、又國家再建上由々しき問題であるが、政府は追加豫算に計上せる給與の標準を次の改定豫算に於て増加する意思があるかどうか、又此の問題に關聯して五百圓生活の悲痛な國民の叫びを委員會席上に紹介致しまして、五百圓の枠を外す意思があるか否か、枠を外さぬでも、工場や會社で給料の外に現物を給與し、其の現物が交易市場に流れ、それが高い値段で賣買されたら、結局「インフレ」防止は出來ないのではないかとの熱烈な、大臣の骨を刺し通すやうな論調で質問する委員があれば、又其の傍らで、奇想天外とも言ふべき巧い譬喩で、枠を外せとの質問がありました、又併せて新圓「インフレ」防止策に付き政府の考へ方を質しましたが、之に對しまして大藏大臣は、給與の問題は次の豫算で考慮する、又新圓、舊圓と云ふ不自然な區別は廢めたいが、自然の姿に戻すには或る程度の時間を藉して呉れ、尚又新圓は退藏されて居る、漁村方面には相當退藏があるが、預金として還つて來るやうに強力な方策を執るとのことでございました 尚ほ下級警察官に對する給與はどうなつて居るかとの質問に對しまして、此の追加豫算は一般的の標準に依るものを掲げてあるので、特に下級警察官に對して格別な措置は講じては居らぬが、二十一年度改定豫算に於ては十二、三萬人に上る下級警察官、消防官吏に對し、一千五百萬圓の特別増給を認めて居るとの内務大臣の答辯でございました、尚又運輸通信に從事する勞働者の給與を上げろ、此の豫算には出て居ないとの鋭い質問に對し、運輸大臣は、從業員の諒解可能な程度に引上げる、爭議は本日、即ち二十八日解決の見透しであると答辯せられました 給與の特別措置に關連して、待遇改善は洵に好ましいことであるが、主食の一部を自由競爭で手に入れなければならない今日に於ては、而も物は不足して居るのに、給料だけ上げて購買力を増大する結果は益益物價高を惹起し、給料と物價との鼬ごつことなり、却て給料生活者の生活難を招來する危險がある、斯かる惡循環に對する政府の見解如何と申しましたのに對して、大藏大臣は惡循環を斷ち切る「ポイント」を掴まへることは困難である、例へば石炭増産は其の一例であると答へられました それから七月、八月の缺配地區への食糧供給に對する見透し、其の具體的の方針如何、「アメリカ」からの救援米などは勤勞大衆に優先的に配給せよとの質問がございましたが、之に對し農林大臣の答辯を其の儘移しますると、輸入食糧の開放方を懇請して居る、新たに供出割當をした麥、馬鈴薯等の數量は後日御示しをする、國民的立場に立つて問題を解決する、斯う云ふことでございました、又食糧問題に付き、馬鈴薯の買入價格は十貫二十四圓、奬勵金が二十四圓であるが、闇は五百圓内外で、十分の一にも足らぬ、是では農民は中々馬鈴薯を手離すまいとの質問に對し、農林當局から、農村に必要なる物資を出來るだけ正常の「ルート」で供給し、他面、民主的に協力を得て、食糧がないから高い、高いから闇と云ふ惡循環を斷ち切りたいと努力中であるとの答辯がございました 石炭の價格調整補給金竝に配炭機構に付き、補給金の制度は之を繼續するか、又配給機構は變更するか、石炭採掘用資材は不足して居るがどうするか、唯補給金だけ出しても駄目ではないかと云ふ質問に對しましては、商工大臣から、補給金は餘り良い制度ではないが、物價面を考へて、一箇所に纒めて石炭の所で補給金を出して、物價を安くしよう、生産増強を圖らう、是が爲に一般大衆其の他に對し、非常な考慮を致して居る譯であります、併し今後は考へ直す、日炭機構は變るとの答辯がございました 農民に賦課する所得税に付き、農村の反當りに割付けた所得税の賦課標準に、闇賣を豫想しての農産物の所得を計上して居るが、不都合ではないかとの質問がございました、之に對し大藏大臣は、農事實行組合と相談をして適正を期して居る、間違つて居れば訂正させる、斯う云ふことでございました 政府は早期供出を奬勵して、麥、馬鈴薯の供出奬勵金を出すやうに言つて居るが、豫算には出て居ないのではないかとの質問がございましたが、農林當局から、馬鈴薯の供出奬勵金は消費者負擔でやつて、麥の方は食糧管理特別會計の負擔でやつて行くと答辯がございました 衰退せる海運を復興せねばならぬことを力説して、船舶建造の方針、船舶運營會の廢止等に付き質問されましたのに對し、海運界の復興には同感である、運營會は成るべく早く解體したい、新造船を造ることもやるが、寧ろ船を輸入する方に力を入れて居る、目下輸入に付き交渉中であるとの運輸大臣の答辯がございました 豫算全體として考へて見て、資本家、地主の利益の爲に勞働者、農民其の他一般市民の犧牲の下に此の豫算は組立てられて居る資本家に不利益なもの、例へば財産税の如きは掛聲ばかりである、現に煙草の値上を見ても、「コロナ」「ピース」の如き金持が吸ふものは、他のものに比べて値上率が非常に低い、斯樣な質問に對しまして大藏大臣は、資本家、地主保護は絶對に考へて居らない、「コロナ」「ピース」は金持が吸ふと言つたのは間違ひである、斯樣に申されました、豫算編成上の信念又は理論的方針に對する質問に對し、健全財政を第一の「モツトー」とするが、それは收支の「バランス」を得れば足れりと云ふ意味ではない、産業の復興、「フル・エンプロイメント」に達する目途を以て豫算を編成したいと考へて居るとの大藏大臣の答辯でございました 終戰處理費に付ては、政府のやり方如何に依つては相當節減が出來ると思ふが如何、之に對して大藏大臣より、御説の通り出來るだけ嚴格にやるが、是は一種の失業對策の意味もあるとの答辯でございました 「ソ」聯占領地域内に在る日本人引揚問題に付て、新聞紙の傳ふる所に依ると、日本人は正式には一人も歸つて居らないが、政府は一體何をして居るのかとの質問に對し、總理大臣から答辯がございましたが、要約すると、骨は折つて居るが埒は明かぬと云ふ答辯であります、以上申述べました外に、分析的な高尚な經濟論や凡百の實際問題に付て質疑應答が交はされましたが、詳細は總て之を速記録に讓りたいと思ひます 斯くして昨二十八日午後質疑を終り、討論採決に入りました、討論に於て自由黨佐藤乕次郎君、進歩黨荒木武行君より無條件原案贊成の意見がございました、社會黨米窪委員から次の條件を附して三案に贊成せられました、今其の條件を朗讀致します、條件一、今囘の七月分追加豫算は緊急案なので一應贊成するが、之に依り社會黨が二十一年度一般豫算に臨む態度は何等拘束されない、條件二、政府は速かに物價を中心とする「インフレ」對策と、當面の急迫せる食糧危機突破の具體案を明示せよ、以上であります、次いで協同民主黨竹山委員、無所屬倶樂部伊藤實雄君、新光倶樂部石田委員、日本民主黨準備會岡田勢一君からそれぞれ意見希望の陳述がありましたが、結局原案贊成でございました、共産黨徳田委員は原案反對の意見を述べられました、而して採決の結果多數を以て三案とも原案を可決致しました、右御報告を申上げます(拍手)○議長(樋貝詮三君) 討論の通告があります、之を許します──徳田球一君  〔徳田球一君登壇〕○徳田球一君 私は本案に對して絶對反對するものであります、其の理由と致しまして、本案は我々が論議する前に之を出して居るのでありまして、我我は之を十分熱讀し、之を十分論議する所の餘地を與へられて居らぬのであつて、尚且つ此の案は單に追加豫算のみを掲げて、是の背景になつて居りまする所の昨年度豫算との關係、是の將來の豫算との關係、其の他特別會計の豫算との關係は何等政府は提出して居らぬのである、斯くの如きは人民を欺くものであるのみならず(笑聲)我等議員の審議權を全く剥奪したものと等しいのである、斯くの如き手續を以てする所の此の議案の審議と云ふものは何等意義なきものであり、之に贊成することは出來ぬのであります、尚ほ此の問題に付きまして最も重大なることは、之を支辯する所の歳入は、總て煙草の値上其の他赤字に依つてやられて居るのでありまして、結局する所、人民の九五%を占めます勞働者、農民、勤務者、其の他一般市民諸君の負ふべきものであつて、資本家、地主の戰爭に依つて利益を取つた所の人々から戰時利得税、財産税、其の他累進所得税を取ると云ふことはちつとも之には現はれて居らぬ(「ノーノー」)更にもう一つ此の支出方面から見ますれば、此の支出方面に於きましては勞働者、農民に對し、殊に賃金問題に關し、此の豫算が極めて薄弱であり、又食糧問題を解決する豫算も殆ど之には現はれて居らぬ、我々の今最も重大なのは國鐵及び遞信でありますが、是等の業務に於きましては、今や半分瓦解し、彼等は今一日働いて食へない、一日は働き、他の一日はどうしても内職をしなければ食つて行けない状態にあるのである、然るに飢餓突破資金としては六月分までは濟ましたが、七月分は考慮してないと云ふ状態である、七月分を此の豫算に是非掲げなければならないのに、此の重大なることをやつて居らぬのである、斯くの如き豫算は結局する所、資本家、地主を利益するものであつて、勞働者、農民其の他を犧牲にするのと信ずるのでありますから(「ノーノー」)斯かる豫算に對しては我々は人民の名に於て、勞働者の名に於て、農民の名に於て之を反對するものであります、私は共産黨の代表として之を反對するものであります○議長(樋貝詮三君) 採決致します、三案の委員長の報告は何れも可決であります、三案を一括して委員長報告の通り決するに贊成の諸君の起立を求めます  〔贊成者起立〕○議長(樋貝詮三君) 起立多數、仍て三案とも委員長報告の通り可決確定致しました(拍手)    ━━━━━━━━━━━━━○山口喜久一郎君 議事日程變更の緊急動議を提出致します、即ち此の際日程第八を繰上げ上程し、其の審議を進められんことを望みます○議長(樋貝詮三君) 山口君の動議に御異議ありませぬか  〔「意義なし」と呼ぶ者あり〕○議長(樋貝詮三君) 御異議なしと認めます、政府は此の議事日程變更に同意せられました、仍て日程の順序は變更せられました──日程第八、外地在留同胞引揚の促進竝外地引揚者、復員者救濟に關する決議案を議題と致します、提出者の趣旨辯明を許します──提出者稻田直道君     ――――◇――――― 第八、外地在留同胞引揚の促進竝外地引揚者、復員者救濟に關する決議案(稻田直道君外十一名提出)  外地在留同胞引揚の促進竝に外地引揚者、復員者救濟に關する決議 終戰直後に於ける外地在留同胞は、軍人軍屬及ひ爾餘の邦人全部を合して、その數約六百五十餘萬人に及ひしか、その後聯合國の大なる援助により今日まてにその過半三百四、五十萬人の内地引揚を完了せるも、なほ現在三百萬人の多數か遠く異境に在り困苦敗殘の生活に呻吟しつつあることは、我等同胞として誠に忍ふへからさるところなり。 更に又漸く故國の土を踏める引揚者、復員者竝に戰災者の大部分はこの前古未曾有の食糧危機と惡性インフレに直面して衣食住の方途を失ひ、今や餓死線上を彷徨しつつあり、この儘にして推移せんか思想は愈愈尖鋭惡化し、世相の混亂は益増増大して、祖國再建への阻害これより大なるは無きに到るへし。 仍て政府は直ちに聯合軍司令部の諒解と援助を得て在外同胞の引揚促進に全力を傾注すると共に、これ等引揚者、戰災者の生活安定のため速かに適切妥當なる救濟對策を講じ、以て社會不安を一掃せられんことを切望す。 右決議す。    ━━━━━━━━━━━━━  〔稻田直道君登壇〕○稻田直道君 只今上程になりました各派共同提案に係りまする外地在留同胞引揚の促進竝に外地引揚者、復員者救濟に關する決議案の提出理由を──説明致したいと思ひます…  〔「共同提案だ」「失言取消せ」と呼び其の他發言する者あり〕○議長(樋貝詮三君) 靜肅に○稻田直道君(續) 提出理由を説明致したいと思ひます…  〔「誰の立場か」と呼ぶものあり〕○議長(樋貝詮三君) 稻田君…○稻田直道君(續) ──と云ふことを取消しまして、其の提出理由を説明致したいと思ひます──先づ其の案文を朗讀致します  外地在留同胞平揚の促進竝外地引揚者復員者救濟に關する決議 終戰直後に於ける外地在留同胞は、軍人軍屬及び爾餘の邦人全部を合して、その數約六百五十餘萬人に及ひしか、その後聯合國の大なる援助により今日まてにその過半約三百四、五十萬人の内地引揚を完了せるも、なほ現在三百萬人の多數か遠く異境に在り困苦敗殘の生活に呻吟しつつあることは、我等同胞として誠に忍ふへからさるところなり。 更に又漸く故國の土を踏める引揚者、復員者竝に戰災者の大部分はこの前古未曾有の食糧危機と惡性インフレに直面して衣食住の方途を失ひ、今や餓死線上を彷徨しつつあり、この儘にして推移せんか思想は愈愈尖鋭惡化し、世相の混亂は益益増大して、祖國再建への阻害これより大なるは無きに到るへし 仍て政府は直ちに聯合軍司令部の諒解と援助を得て在外同胞の引揚促進に全力を傾注すると共に、これ等引揚者、戰災者の生活安定のため速かに適切妥當なる救濟對策を講し、以て社會不安を一掃せられんことを切望す。 右決議す。以上が決議案の本文でございます、是より暫く其の提出理由を申述べたいと思ひます 凡そ敗戰に因る耐へ難き慘害と苦難は、之を受けない國民とては殆どありますまいが、思ふに其の中に於きましても一番悲慘で、さうして氣の毒なものは、恐らく海外在留同胞及び外地引揚者、復員者、一般戰爭被害者の人々であらうと思ひます、即ち終戰後約十箇月にもなりまするが、今尚ほ萬里荒廢せる大陸の地に、或は南洋の孤島に、遙かに憧れの日本の空を眺めましてやる瀬なき其の日其の日を、一日千秋の思ひを以て日本に歸るの日を待つて居りまする我々同胞の其の惱みを思ひまする時に、或は又異境萬里の大陸の地を自己の墳墓の地と思ひ定めまして、多年奮鬪努力し、大いに其の根柢を固めて居りながら、一朝にして米の闇値一俵にすら値ひせぬ金一千圓なりと、外に僅かの手廻り品を持つて、着のみ着の儘で、而も中には最愛の妻子にさへ別れまして、九死に一生を得て漸く歸還致しましたる外地引揚者の人達の、其の悲憤と哀愁と、或は又歸還勿々冷眼視され、且つ失業して居りまする所の、彼の昔の勇士たりし多くの復員兵士達の其の心境、心底、偖ては又家を燒かれ、衣服食糧を失ひ、其の職より離れ、又は企業整備や強制疎開等に依つて業を失ひ、廣き世界に身の置き所なしと云ふ悲しむべく、又哀れなる是等各種の一般戰爭被害者達の現状を思ふ時に於きまして、我等は如何に此の戰爭なるものが慘憺たるものであり、且又如何に人類文化の一大破壞者であるかと云ふことに付て驚歎せざるを得ないと同時に、又斯くの如き我等同胞達の生きた地獄の、其の耐へ難き忍苦と悲慘とに靜かに思ひを及ぼします時に、我等は眞に悲しみと同情との込上げる敗戰の熱き涙なくしては、之を見、之を聞き、之を語ることが出來ないのであります(拍手) 諸君、終戰直後に於きまして我が國の在外同胞の數は、全部で六百四、五十萬人程ありましたが、それが今日までに既に三百四、五十萬人歸還致しまして、殘留者は最初の半數三百萬人弱となつて居りまして、其の成績は大體に於て順調に進捗して居ると言うて宜しいのであります、唯我等は其の引揚の後廻しとなつて居りまする所の殘り三百萬人弱の同胞が、何率一日も早く其の引揚の完了致しますることを願朝して已まないものであります、而して此の三百萬人と云ふ在留同胞達の引揚に對しまして、政府は果して如何なる配慮をなされつつあるのでありませうか、思ひまするに、是は冀くは此の秋までに出來得るだけのことを運ばなければ、今の儘では北滿、北鮮地區等に於きましては、此の越冬が洵に至難なることではあるまいかと思ふのであります(拍手)申上ぐるまでもなく此の滿州、朝鮮の地は、過去四十餘年間に亙つて我が國が色々御世話を致しまして開發は致しましたが、今度之を元々に返すことに相成りましたに付きましては、其の物心兩面に於ける損失と云ふものは大なるものがありますけれども、併しながら我々は、此の際物質的は第にと致しましても、せめて現在生きて居る人達の生命だけは助けてやりたいと思ふのであります(拍手)今日滿洲には軍人、軍屬以外の一般人が尚ほ相當數殘留して居りまするが、其の中でも特に氣の毒なのは、彼の全國から行つて居りまする開拓移民の一團であります、彼等は政府の奬勵に依りまして懸外萬里の土地開拓に連出された者でありまするが、是が全國では相當數に及んで居りましたけれども、中でも特に之を最も正直に受入れた所の彼の岐阜縣の如きに於きましては、戸數と致しまして約二千五百戸、人口に致しまして約一萬人餘も送出して居たと云ふことで、同縣に於きましては今上下を通じての重大問題となりまして、大騷ぎをして居ると云ふことであります(拍手)兎に角政府は正直な人を闇で苦しめたり、正直な縣民を犧牲にしたりせないやうにしないと、一國の政治は決して善政にはならないと云ふことに深く思ひを致さないといけないのであります(拍手)而して此の滿鮮等の引揚民の事柄に對しましては、去る六月二十六日に開かれました對日理事會の席上に於きまして、「ソ」聯代表の方より、北鮮に於ては引揚用の配船をすると云ふことは宜いことであると云ふ、親切なる言明もあつたかのやうに新聞でも報道されて居りまするからして、此の際須く政府も國民も人類愛に愬へまして、熱誠以て聯合國に懇請致しまするならば、必ずやより良き打開の途のありませうことを深く信ずるものでございます(拍手)仍て冀くは政府に於かれましては此の趣旨に則られまして、今後何卒最善の方途を講ぜられんことを切望する次第でございます 次に政府は今日までの外地同胞の引揚は、豫定に準じて形の上に於ては大體順調に進んで居ると思うて居らるるやうでありまするけれども、併しながら眞の外地同胞の引揚及び復員の完了と云ふことは、彼等歸還者に對しまして之を其の正業に就かしめ、之に生活の安定を與へてこそ初めて完了するものでありまして、然らざる限り之を完了したとは言はれないのであります、然るに飜つて考へまするに、彼等引揚者、復員者を中心とする一般戰爭被害者達は、果して今日正業に就いて生活の安定を得て居るでありませうか、所がどうして、それは全然反對でありまして、今や彼等の多くは住むに家なく、着るに衣なく、食ふに食なく、働くに業なく、加ふるに未曾有の食糧不足と、激化の一途を辿りつつある物價の昴騰に追詰められ、其の生活は愈愈窮迫し、低下致しまして、それが爲に彼等の多くは所謂惡「ブローカー」や闇商人等となりまして、社會を混亂し、或は又其の然らざる者は辛うじて小資本を以て仕入れました「パン」や煙草や菓子などを路傍で立賣をしたり、又は靴磨きなどをしたり、或は又自己の愛用して居る衣類や道具などを賣つたりして生活して居る者も多々あるのであります、是等は勿論儲けんが爲の商賣にはあらずして、是は全く深刻なる生活難からの商賣でありますることは、今更申上げるまでもありませぬ、而して今や彼等は手持品も賣盡しまして、愈愈どん底に陷つて、遂に命よりも大切なる節操も賣つて生活するに至る者すら夥しく現はれつつあると云ふことは、最近の新聞にも縷縷報道されつつある所のものであります(拍手) 此處に或る戰爭被害者の遺家族がありまして、其の方が月額百圓の給與を受けて居るらしいのでありまするが、此の親子五人暮しの未亡人とも云ふべき人が書送りました次の如き餓死直前の生活の惱みの手紙の一節があるのであります、即ち曰く、私達のやうに主人が生きて居るか死んで居るか分らず、其の親子五人で何から何まで急激に暴騰しつつある今日の世の中で、一日三圓餘の給與を以てしては迚も一山十圓、十五圓の品物を食べては生きて行かれませぬ、どうせ此の儘では最早餓死を待つばかりであります、と言うて居りますることは、是は恐らく唯單に此の種の階級の人のみのことにはあらずして、是は正しく引揚者や復員者其の他全戰爭被害者達の大部分の人達の叫び聲ではあるまいかと思ふものであります(拍手)諸君、今や日本の此の引揚者、復員者其の他全戰爭被害者の多くは斯くの如き世相にまで突進みまして、彼等の思想は愈愈尖鋭惡化し、而して其の極は遂に各種非合法的手段に訴ふる者が、日に日に増加しつつある有樣となつて來たのであります、即ち終戰以來から昨今までの間に至る各種犯罪の内容に於きまして、其の中に是等引揚者、復員者其の他の戰爭被害者達の犯しましたる窃盜、強盜、傷害、詐欺、脅喝及び諸種の經濟事犯竝に集團的強窃盜犯等が著しく激増して居りまして、而も其の中で財産に關する罪が特に目立つて多いと云ふことは、是は正しく生活樣相が非常に窮迫して來たと云ふことを如實に物語つて居るものであると思ふのであります、例へば或る復員兵士は、深夜「電報、電報」と言うて戸を叩いて侵入し、木製の「ピストル」を突付けて米五升を強奪した、又或る元少佐は、恩給停止に依る生活不安に精神が錯亂致しまして、夜中手斧を以て自己の次女十一歳と孫の五歳とを慘殺し、又元豫科練生で十八歳になります少年は、軍需物資一萬四千圓餘を強奪したと云ふやうな事例が、近時各所に頻々として起つて居りますることは、洵に痛心に堪へない次第であります、斯の如きは、是れ全く詮方なき敗戰日本の悲しむべき姿なりとは言ひながら、併し之を此の儘にして推移せんか、思想は愈愈尖鋭惡化し、世相の混亂は益益増大して、祖國再建への阻碍は蓋し是より大なるはないと思ふのでありまして、兎にも角にも、今の内に何とか良き對策を講じなければならないと思ひますのみならず、而も又より良き救濟と解決との責任は、必ずや我等國政に參與致して居ります者の其の雙肩に懸つて居りますことを痛感し、旁旁鋭意是が對策を講じなければならないと思ひますので、仍て今囘我々は茲二本決議案を提出した次第であります 要は聯合軍司令部より許さるる範圍に於て政府を鞭撻し、以て政府をして是等引揚者、復員者、其の他戰爭被害者等をして適切に救濟し得る何等かの最善なる方策を立てて貰ひたいと云ふことが、本決議の要目でありまして、即ち申上ぐるまでもなく、今日の所では軍人、軍屬及び其の遺族竝に外地引揚者に對しましては、之を一般國民より以上に特別の援護或は救助を與へますことは、「マ」司令部の通達に依りまして禁止せられて居りまするけれども、併し茲に特に「マ」司令部に對しまして陳情、懇請致したいと思ひますることは、今や日本國民は其の總意を以て過去の軍國主義の非より目覺めまして、眞に平和愛好の民主政治に徹底し、進んで永世戰爭をも抛棄するの心構へをさへ憲法に依つて決定せんとして居る今日でもありまするし、且つは又其の罪を憎んで其の人を憎まずと云ふ諺は、凡そ古今東西を通じての博愛の精神でもあるのでありまするからして、政府は上述の如き日本今日の急迫せる社會情勢を具さに「マ」司令部に能く愬へられまして、以て諒解を乞ひ、幸ひに諒解が得られましたならば、其の許されたる線に沿ひて、此の決議案の趣旨に則りまして、最善の處置を講ぜられんことを望む次第であります(拍手) 是が本決議案の要旨であります、仍て冀くば滿場の各位に於かせられましても、如上の趣旨を御諒承の下に、滿場一致御贊成あらんことを希望致しまする次第であります(拍手)○議長(樋貝詮三君) 是より討論に入ります、順次發言を許します──大久保傳藏君  〔大久保傳藏君登壇〕○大久保傳藏君 只今議題となりました、各派の共同提案であります外地在留同胞引揚の促進竝に外地引揚者、復員者救濟に關する決議案に對し、私は日本進歩黨を代表致しまして贊成の意見を申述べたいと存ずるのであります(拍手) 御承知の如く慘めな敗戰の結果、今や着のみ着の儘で母國に歸りつつある悲慘なる同胞は、毎日二萬乃至三萬を算へて居りまして、既に聯合國の絶大なる援助に依りまして、今日まで其の過半、三百四、五十萬人の同胞が内地に引揚げて參りましたることは、洵に御同慶に堪へない次第でございます、併し歸心矢の如き同胞が、三百萬人の多數尚ほ今日異域に於て恐怖に戰いて居るのでございます、而も我等の最も深憂に堪へざるものは滿州、北鮮、樺太の在留同胞でありまして(拍手)此の心情を思へば、唯々涙なきを得ないのでございます(拍手)胡盧島より博多引揚援護局に達した情報に依りますると、在滿同胞は今日其の引揚が、國共の紛爭に依る鐵道の破壞等に依り、此の秋までには全滿の引揚完了は困難なる模樣であると言うて居るのであります、而も一日に三千名程度の輸送で、此の調子であるならば、南滿地區四十五萬名だけでも四箇月有餘を必要とするから、十一月になりますならば胡盧島は薄氷の爲め運航困難となり、奧地在留者百二十萬は越冬を餘儀なくさるのでございませう、なぜかなれば胡盧島一箇所よりの引揚の如きは、針の穴から駱駝を通すに等しいのであります、今こそ此の悲慘な同胞を救ふに急なる時はなく、全く分秒を爭ふ重大問題なりと言はざるを得ないのであります(拍手)若し越冬の如き最惡なる所の事態に至るでありませうならば、同胞は遂に死滅する以外に其の途はないのでございます、御承知の如く「ポツダム」宣言第九條に「日本國軍隊は、完全に武裝を解除せられたる後各自の家庭に復歸し、平和的且つ生産的の生活を營むの機會を得しめらるべし」と儼として明言されて居るにも拘らず(拍手)私の最も諒解に苦しむものは、軍人軍屬の中武裝解除と共に、開拓移民或は青少年義勇隊員を含めて、相當多數、或る時は三十萬、或は四十萬と言はれて居りますが、斯うした大量なる所の方々が何處かへ連れて行かれたと云ふ風説なのでございます(拍手)之に關しまして朝日新聞三月五日附の紙上に、奉天の日本軍俘虜「シベリア」へ送致、「ソ」聯軍司令官の言明」、と言ふ見出しで、次のやうな記事が記載されてあるのでございます、在滿日本人の状況に付ては、内地でも情報不足の爲め憂慮されて居たが、二月二十八日、奉天地區赤軍司令官「スタンケ・ウイッテ」少將は英米記者團との會見の席上、同地區の日本戰時俘虜は全部「シベリア」の收容所へ送致された旨、次の如く言明致したのであります、即ち奉天地區の日本戰時俘虜は日本に送還される代りに、「シベリア」の收容所へ送られた、何處に如何なる目的で送られたかに付ては、正確なることは判明しないと報じられて居るのでございます、是等の報道は奉天地區以外の、日本軍人以外の俘虜に付て何等言及して居りませぬが、奉天以外の地區の軍人がどう云ふ取扱ひを受けて居るかと云ふことは、只今の所全く不明であります、何れ此の問題に付ては政府は關係諸國に懇請し、解決せられることを確信致しまするけれども、我々國民は此の安否を氣遣ひ、其の歸宅を待侘びて居る家族の胸中を思ふ時に、何とも言へない心地がするのでありまして、政府は急速且つ積極的に關係諸當局の諒解と援助とを懇請して、人道の悲劇に終らざらんやう一日も速かならんことを國民の名に於て熱望し已まないのであります(拍手)要するに引揚同胞の救援の根本は海外抑留者の生命保障と歸還促進が第一義的であります、是は主として聯合國の援助を政府が懇請すると共に、熱烈なる同胞愛に依る國民總意の一大運動の展開こそ、又固より當然であると言はねばなりませぬ 次に極めて重視しなければならない國内問題は、先程提案の趣旨説明にもありましたけれども、受入體制の整備擴充であります、政府の施策は遺憾ながら消極的で、上陸地に於ける綜合援護對策の如き、定著地に於ける緊急輔導對策の如きは貧困其のものなのであります、本土上陸第一歩の印象として屡屡引揚者より漏らされる通り、異國の風よりも祖國の風更に冷たしと歎いて居るではありませぬか(拍手)是は其の援護策が形式的に墮し、所謂官僚事務家を拔切れないからであります、併しながら今こそ我々は政府の責任呼ばはりをすることばかりに汲汲とすることなく、翻然同胞愛に目覺め、政府國民一致協力致しまして、七百萬引揚同胞者に温き手を心から差伸べなければなりませぬ(拍手)若し之を等閑視するが如きことがありまするならば、新生平和日本の建設の如きは斷じて不可能なりと言はざるを得ないのであります(拍手)我が黨は曩に之に關し其の具體策をば發表致したのでありまするが、今日の如き變動期に於ける援護策は、國民的民族的性格の下に要請されなければなりませぬ、即ち當面の援護政策のあり方は一方的なる社會事業的、慈善事業的ではなく、生産社會政策の一環として自主更生的に推進されなければならぬと思ひます(拍手それ故に引揚同胞は新たなる生産の陣營に加はり、更生日本の一員とすることの緊要なることは言ふまでもありませぬ、政府は此の際率先形式に流れず、勇猛果敢に援護諸施設の全面的、而も綜合的なる對策の確立、其の經濟的基盤の組織化、援護政策の強化徹底をば速かに期せられんことを要望して已まざるものなのであります(拍手)○議長(樋貝詮三君) 米山久君  〔米山久君登壇〕○米山久君 私は社會黨を代表し、全國の海外引揚同胞の本當に夫を思ふ妻の心、子を思ふ母の心を代表致しまして一言申上げたいと存じます(拍手) 終戰茲に一箇年も最早間近にならうとして居ります、一日千秋の思ひとは單なる美辭麗句ではございませぬ、一家の支柱を待つ家、本當に生活苦の中とは洵に言葉の外に、今日は餓死線上を彷ひつつある所の、本當にお父さんさへ歸つたならどうにかやつて行けるだらう、兄貴さへ歸つたならどうにかやつて行けるだらうと思つて待つて居る此の姿を思ひます時に、全く言語に絶するものがあると思ふのでございます、支那及び南方諸地域にあります所の復員の同胞が、今後四箇年も掛ると聞いて居りましたに拘りませず、案外に豫定よりは早く進捗致しまして、今年中には引揚が完了すると聞いて居ります、此の全く豫定以上の進展を見ましたのは、偏に「マッカーサー」司令部の御配慮の賜として本當に感謝に堪へない所でございます(拍手) それに付けましても更に思ひを深く致しますのは、北滿、「シベリヤ」、千島、樺太、北鮮に今尚ほ百有餘萬の我我同胞が在ると聞いて居るのでございます、どうなつて居るのでありませうか、早く歸して下さい、此の一言に盡きて居るのであります(拍手)武裝を解除せる今日、歸されると深く信じて居りました爲に、敗戰後の辛い生活にも堪へて待つて居るのであります、併しながら沓として消息は知れないのでございます、早く歸して貰ふか、せめては往復の船にことづけて其の消息の葉書も送つてやりたいのであります(拍手)萬里異境の空に飢えて居る姿を思ひます時に、此の缺配に惱んで居る我我の食糧の中からでも一握りでも送つてやりたいと思ひます(拍手)暑いと云ふのも束の間であります、軈て酷寒零下の冬が來た時一體どうなるだらうと思ひます時に、一枚しかない着物でも送つてやりたいと思ふのであります(拍手)此の切々たる母の思ひ、切々たる妻の思ひは全世界の女性にも理解さるることと思ひます(「ひやひや」拍手)母てふなる、妻てふなる者の思ひは一つだと思ふのであります、滿州からの復員船は胡蘆島一本と聞いて居るのであります、一日に五千と致しますれば、一箇月には僅か十五萬人に過ぎないのでございます、どうか此の外に大連港及び北鮮の羅津、清津を特に復員用に開港して貰へないものでございませうか、切に希望に堪へないものでございます 次に引揚者の情勢に付て一、二申上げたいと思ひます、引揚者は既に三百四、五十萬餘あります、我が黨でも毎日百人からの人々が來られて、どうして起ち上らうかとの御相談に應じて微力を盡して居るやうな次第でございますが曾ては祖國を後にして、青雲の雄志を抱いて、異境の地に骨を埋めようとして築き上げられた仕事も、粒々辛苦の一切を抛棄されて歸られたのであります、着のみ着の儘で歸られた者は、故郷に歸つて人の情の袖に縋らうとは考へて居らないのであります、どうでもして起ち上れないものかと云ふ思ひで一杯で居られる氣持を思ひます時に、全く御同情に堪へない次第でございます、是等の方々に對してこそ曾ての雄志を甦らして、平和日本建設の一翼として斷然起ち上つて貰はなければならないと思ひます(拍手)政府も國民も共に協力して斷じて見殺しにしてはならないと思ひます(拍手)集團歸農、土木請負、漁業方面等にも積極的に援助して戴きたいと思ひます、更生資金に對しましても、其の仕事に對する特權を與へて戴きたい、兎に角何とかして起ち上らして戴きたいと思ふのであります、是は單に慈善的の救援事業に終ることなく、國家の公的な義務として萬全を盡して戴きたいと思ふのであります(拍手)又復員船の看護婦竝に船長に對して、或は船員に對して特に感謝の意を表する所は、疲れ果てて歸る同胞の長い海路に對しての心やり、其の御勞苦に對しましては、政府に於かれましても最善の謝意を表せられると共に、是等の待遇に對しても特に御配慮を願ひたいと思ふのであります(拍手)此の海外同胞引揚に對します對策こそは、刻下焦眉の重大なる問題と切に考へるのでありまして、政府に此の上ながらの御盡力を願ふものでございます、之を以ちまして此の決議案に對し社會黨代表として贊意を表する次第でございます(拍手)○議長(樋貝詮三君) 船田亨二君  〔船田亨二君登壇〕○船田享二君 私は協同民主黨を代表致しまして、本決議案に對し心からなる贊意を表しますると共に、本決議案の提出者の末席を汚す一人と致しまして、何卒皆樣方の御協力、御協贊を仰ぎたいのでございまするが、それと共に、私特に本日皆樣方の前に立ちましたのは、私自身引揚者の一人なのでありまして、私は大正十五年以來朝鮮京城に約二十年在住致しまして、昨年の末、御承知の通り擔げるだけの荷物と現金一千圓の携帶を許されて、命からがら引揚げて參つた者であります、隨て今日夜引揚げて參りまする人達の如何に苦勞して居るかと云ふことに付て、身に沁みて其の困苦を察して居るのでありまして、歸りまして以來約半年、及ばずながら其の方面のことに付て出來るだけの努力をして來たものであります、幸ひにして私が引揚げた頃に比べますと、此の頃引揚者、復員其の他の方々が日本の本土に著きましてから、其の目的地に歸り著くまでの間の救援の事業は、可成り組織立ち、餘程樂になつたやうでありまして、尚ほ一層此の點に付き政府及び皆樣方の御援助を仰ぎたいと思つて居るのでありますが、而も是等の引揚者、復員者、其の他の人々が其の目的地に歸りましてから後のことに付きましては、まだ救援決して十分と言ひ得ないのでありまして、殊に永らく臺灣、朝鮮或は樺太其の他に三十年、四十年、五十年と在住致しました人達は、假令其の本籍地に歸つたと致しましても、殆ど其の本籍地に親類などと云ふものはなく、或は更に朝鮮、滿州其の他で生れた人達は、其の本籍地の西も東も分らないと云ふ状態なのでありまして、是等の人々の困窮──幸ひにして私自身はこちらの故郷に戰災を免れたあばら屋がありましたお蔭で、やつと雨露を凌ぐことは出來て居るのでありますが、一緒に引揚げた人達、一緒に仕事をした人で或は先に引揚げた人達の困窮は、之を身に沁みて感じて居るのでありまして、斯う云ふやうな方面に關し尚ほ一層の救援の必要を痛感致して居る次第でございます、何卒此の點に付きまして、皆樣方の一層の御配慮を煩はしたいと思ふのであります、兎に角引揚げて參りましたものの、内地に知人も少く、又日本本土に關する知識も少く、さうして今のやうな救援の状態の儘でございますると、兎もすれば、何と申しまするか僻んだやうな氣持になる、是は私自身もついさう云ふことを考へるのでありますが是は已むを得ないのではないかと思はれる、洵に同情すべき状態にあるのでありまして、私自身と致しましては出來るだけの力を注いで、是等の人達がさうした僻んだやうな氣持にならずに、先程から前辯士諸君が仰しやつて居るやうに、日本復興の爲に、日本本土に在來在住して居られた日本人と一緒になつて努力さるるやうにと云ふことを念願して已まないのでありますが、幸ひにして此の度斯う云ふやうな決議案が上程されるやうになりましたことに付きまして、私先程申上げましたやうに、協同民主黨を代表致しまして滿腔の贊意を表すると共に、何とかして皆樣方の御同情を仰ぎたいと思ひつつ、更に僭越ではありますが、引揚民、復員者、さう云ふ者の一員として皆樣方の御配慮に對して厚く御禮を申上げたいと思ふのであります(拍手)それに付きましても、何と言つても氣掛りなのは、私幸ひに三十八度以南の朝鮮に居りましたお蔭で、命を全うしてこちらに歸り、此處に立つことも出來るやうな状態にあるのでありますが、昨年八月十五日の終戰が、實を申しますれば、あと三、四日遲れましたならば、私自身も或る所用の爲に三十八度以北に行つて居たかも知れないのでありまして、其の時のことを考へますと、今でも實は慄然とするやうな次第でございます、私自身あちらに參つて居りました、色々と附合つて居た人達、斯う云ふやうな人達がまだ大部分歸つて參つて居りませぬので、それ等の人達の顏を目前に浮べて、夜なども眠られないやうなことが度度あるのでありまするが、何とかして此の人達を救ひたいと考へて居る次第であります、殊に御承知とは思ひまするが、内地在住の方々には御想像にも及ばないやうな所、と申しまするのは、朝鮮の北の方或は滿州に於ける食糧或は衣料の不足と云ふことは到底此の東京付近の衣料不足とか食糧不足とかとは比較にならない程度であります、のみならず、只今斯う云ふやうに我々汗を掻いて此處で色々なことを致して居りまするが、あと一月も經ちますれば、北鮮、滿州などには直ぐ涼風と申しまするか、寒風が吹き荒んで參るのでありまして、既に疲れ切つた同胞が此の寒風に見舞はれますればどう云ふ結果になるか、それを考へますと、私自身なども居ても立つても居られないやうな氣になるのであります(拍手)此の點に付きまして、先程からの前辯士諸君の仰しやつたやうに、何とかして一刻も早く、どんなことでも宜しいから手を打つて戴きたいと云ふ風に考へる次第であります 私こちらに歸りまして、又此の議場の末席を汚す一人となりましたお陰で、方々から、引揚者其の他の方々から色々な希望、注文其の他が舞ひ込んで參ります、私自身身につまされて、色々それ等の人達の希望なり氣持なりを了解することが出來るのでありまするが、其の一々に付て諄々と申上げることは總て省きます、何卒宜しく此の點を御考へ下さいまして、政府に於ても凡ゆる手段を講じて、北朝鮮、滿州及び恐らく樺太、千島の方も寒さ其の他に付きましては、滿州、朝鮮と同じやうなことではないかと思ふのでありまするが、其の方面に居りまする同胞を救ひ出すことに努力をして貰ひたいと云ふ風に考へる次第であります、協同民主黨を代表致しまして一言述べさして戴いた次第であります(拍手)○議長(樋貝詮三君) 近藤鶴代君  〔近藤鶴代君登壇〕○近藤鶴代君 無所屬倶樂部を代表致しまして、簡單に申上げます 靜かに引揚同胞、復員軍人の方々のお氣の毒な姿と、現地に御殘りになつていらつしやいます方々の上を案じ暮して居られます皆樣の、痛ましい御姿を思ひ浮べつつ、私は皆樣と共に此の決議に對しまして心から贊成を致します、海外發展は日本に取つて大切な施策の一つとして奬勵されたものでございました、今日海外から引揚げられました人、又歸らうとして居られます人達は、何れも日本の先覺者として雄飛された人達でございます、それにも拘りませず、今日尚ほ多くの同胞は現地に殘つて想像も及ばないやうな苦しみを嘗めながら、生死の程も分からないと云つたやうな状態であり、又偶々家族を引連れて歸ることの出來た人々も、住む家もなく、疎開した衣類もなく、耕す土地もなく、僅かばかりのお金を命の綱と頼んでの此の事實は、或る意味では此の度の戰爭の最も大きな犧牲者ではないかと存ずるのでございます(拍手)又復員軍人の方々は、曾て最も優秀な心身の持主として第一線に活躍し下さつた方々でございます、其の復員軍人の方々に對しまして、今日日本の状態はどうでございませうか、唯日常の禮儀作法或は物腰動作さへも之を輕蔑するやうな風さへあると聞及んで居ります、洵に痛ましい方々、相濟まない方々であると云ふ國民の氣持は、日常の言動からは窺ひ知ることが出來ないとさへ感ぜられて居るのでございます(拍手)どうか當局に於かれましては、一般國民の斯うした事柄に對しましても、正しく之を直して行くと云ふやうな方面にまでも、細かく御指導が願ひたいと存じます、戰爭の大きな此の犧牲者に對しまして、どうか引揚完了が一日も早く出來るやうに凡ゆる方途を講じて戴きたいと存じます、さうして又引揚者、復員軍人に對しましては、適當なる生業が與へられまして、生活の脅威から救はれますやうに、各方面に亙つて十分御考慮戴きたく、私達も全力を擧げて之に贊同致す所でございます、簡單でございますが、之を以つて私の贊成の言葉と致します(拍手)○議長(樋貝詮三君) 安藤はつ君  〔安藤はつ君登壇〕○安藤はつ君 私は新光倶樂部の議員と致しましても、私個人と致しましても、本案に心から贊成致すものであります 海外にありました方々は、南海の孤島に、或は滿蒙の地に在りまして、祖國建設の爲に身を粉にしまして凡ゆる努力を盡して參りました、其の御勞苦にも拘らず敗戰となり、總ての財産を置去りにしまして、着のみ着の儘で祖國の土を踏まなければならなくなりました、此の御苦勞は並大抵ではなく涙なくしては御聽き出來ないことばかりであります、此の方々は自分を育んで下さいました此の母の地を安住の地であると、それのみを願つて歸つて參りましたが、港に著く勿々總ての期待は裏切られ、金一千圓也の手形を渡されたのであります、此の物價高に於きまして、是で生活がどうして出來ませうか、財産も貯金も自由にならず、信用もなく、融通して戴けないのであります、此の方々に温い手を差伸べまして、明日への希望を與へますことこそ、私達國政に參與する者の義務であると存じます(拍手)まだまだ數多くの引揚げられない方々もございます、此の方々は今祖國の空を見、何を思ひ、何を考へ、何を待つて居るのでございませうか、此の方々の心中を思ひます時、文字通り斷腸の思ひが致します(拍手)此の方々が一日も早く歸りますやう、我が子を思ひ、我が夫を思ふ心を、夜を忍び音に泣く母の心を心と致しまして、一刻も早く歸りますやう御願ひ致したいのでございます(拍手)此の引揚げられた方々に對しましても、其の方々に私共は温かい手を伸ばし、さうして援護致して參らなければ、戰ひは終りましたと申しましても、完全に戰爭は終つたとは私共は考へられませぬ、私達の望む平和は絶對に戻つて參りませぬ、どうぞ宜しく皆樣御支援下さいまして、御力添へ下さいますことを御願ひ致します(拍手)○議長(樋貝詮三君) 田中たつ君  〔田中たつ君登壇〕○田中たつ君 私は日本民主黨準備會を代表致しまして、本決議案に對する贊成意見を簡單に申上げます 戰爭が終つて、──もうまる一年にならうとして居ります、困難な復員問題に付き政府でも隨分御骨折になつて居りますが、現在結果から見まして、私共は滿足することが出來ないのでございます、北は樺太、千島、南は赤道以南、東洋の殆ど全地域に亙つて多數の方々が派遣されて居りますが、其の中に特に滿州、樺太、千島方面の引揚が遲れて居ると伺つて居ります、生死不明の爲め御困りの御家族が澤山ございます、又出征軍人ばかりでなく、各地在外者の引揚も十分に捗つて居るとは申せませぬ、こんなお氣の毒な方々の身の上を思ひますと、私共は本當にじつとして居られない氣持が致します、又既に歸還或は引揚になつた方々を温く御迎へして新しい生活を始めて戴く上にも、政府のおやりになつて居ることは十分とは存じられぬ、此の悲しい戰爭の爲に犧牲になられた方々に對して、本當に全國民の責任として御救ひしなければならないと存じます、此の際全部の代議士が力を協せて此の決議を上程なさつたことは本當に有意義であつたと存じます、此の決議を單なる決議に終らせないで、今日只今直ちに實行に移して戴きたいと思ひます(拍手)滿腔の誠意を披瀝致しまして切に切に熱望致して已まない次第でございます(拍手)○議長(樋貝詮三君) 柄澤と志子君  〔柄澤と志子君登壇〕○柄澤と志子君 私は日本共産黨を代表致しまして、外地在留同胞引揚の促進竝外地引揚者、復員者救濟に關する決議案に對して贊成の意見を(「反對ぢゃないのか」「謹聽々々」と呼ぶ者あり、笑聲)簡單に申上げたいと存じます 滿州事變以來十數年に亙りまして、我が日本は帝國主義戰爭、侵略戰爭、此の戰爭に依つて多くの我々の同胞を戰線に送り、數百萬の我々の肉親を戰線で殺したのでございます、尚ほ戰線には、此の決議案に依りますと六百五十萬の中三百四、五十萬、又引揚者團體中央聯合會の趣意書、之によりますと──民間の引揚者の團體の調査に依りますと一千萬、其の多くの同胞が海外で帝國主義戰爭の最も大きな犧牲者として凡ゆる慘苦を受けたのでございます、私共共産黨は本決議案に對して全面的に贊成しますと同時に、尚ほ政府に對して、今度の豫算に計上されて居ります所の一億二千二百十六萬三千圓、此の豫算が如何に具體的に引揚者を救濟致します上に於いては無力なものであるかと云ふこと、斯う云ふ點に付て尚ほ詳細に御檢討戴き、之の増額を御願ひする次第でございます、今度の決議案に依りますと六百五十萬、又民間の調査に依りますと一千萬、此の犧牲者達が此の一億一千二百十六萬の(「贊成か反對か」と呼ぶ者あり)豫算に依りまして、一人當りが十八圓の救濟金を貰ひまして、どのやうに具體的に出來るかと云ふことでございます、之を是非御考慮に入れて戴きます(拍手)政府は…(發言する者あり)決議案を決議するのみでなく、又全議員も此の點を能く(「分つて居る」と呼ぶ者あり)此の點を能く御檢討下さいまして(發言する者多し)此の點を政府に對して要求されることを國民の代表として(發言する者多し)代表の一人として私は御願ひする次第でございます(拍手)  〔「共産黨反對しないのか」と呼び其の他發言する者多し〕○議長(樋貝詮三君) 靜肅に願ひます○柄澤と志子君(續) それから尚ほ現實の引揚者の悲慘な状態は、もう各黨代表の方々からも縷々述べられたのでございますが、之を如何に具體的にやつて行きますか、救濟して行きますかと云ふことに付きまして、私は國民から選ばれた代表の一人として是非條件を附けたいと思ふのでございます、私は官僚のやつて居りました所の救援、救濟に依つて、資本家、地主の帝國主義戰爭に依つて犧牲者になつた所の我我の同胞がどのやうにして救濟されて來たか、是非具體的に聽いて戴きたいと思ふのでございます、戰爭に依つて慘禍を受け、家を燒かれ、生命を奪はれ、凡ゆる財産を奪はれたことは…(發言する者多し)私共の同胞、東京都の戰災者が北海道に渡りました、拓北農民團となつて昨年渡つて來たのでございます、其の同胞が、其の戰災者が、どのやうに政府の手に依つて救濟されて居たか、之を是非皆さんに能く知つて戴きたいのでございます、さうして此の非を繰返すことなく、今後の引揚は徹底的に、是非決議だけでなく、十分に實行される案を以てやつて戴きたいと思ふのでございます(拍手)此の拓北農民團の戰災者達は、あの寒い冬の吹雪の北海道で、住むに家なく、唯單なる日傭になり下りまして、農民の持て餘した所の土地を與へられ、玄人の農民でも開拓出來ない所の土地を、北海道廳が、素人のあの畑も見たことのないやうな東京都の戰災者に之を與へて開墾させようとしたのでございます、さうして其の農民達は拓北農民になり切らうとして、北海道の土地で更生しようとした戰災者達は、更生するどころか日傭になつて、北海道の農民の家から農民の家へと渡り歩いて、實に悲慘な状況に陷つたのでございます、私共は官僚のやります此のやうな救濟、斯う云ふことを決して今後繰返すことのないやうに望みたいと思ふのでございます、共産黨は此の度の吉田内閣のやります所の救濟、或は私共が此の議場で決議しました此の案、之に依つてのみ、私共の帝國主義戰爭の犧牲になつた同胞が、引揚者が救濟されるとは考へて居らないのでございます、全政治の機構が民主化されなければ、私共人民の手に斯う云ふ機構が握られなければ、是は徹底的に解決するものとは考へられないのでございます  〔發言する者多し〕○議長(樋貝詮三君) 靜肅に願ひます──柄澤君に御注意を致します、本論以外に亙らないやうにして下さい○柄澤と志子君(續) 分りました─私共は眞に引揚者の立場に立つて、引揚者の要求を皆さんに申上げて見たいと思ひます、引揚者は官僚にのみ頼つて居ないのでございます、全國の引揚者團體中央聯合會趣意書に依りますと、軍閥こそ表面から姿を消したが、それと協力して戰爭で儲けた財閥や、官僚政府に何が頼れるかと云ふことを申して居ります、さうして此の中央聯合會に參加して居りまする引揚者の團體は六十餘に上つて居ります、全日本の引揚者の團體が之に參加して、斯う云ふことを決議して居ります、さうして尚ほ其の要求としましては、先程も出ましたやうに、住宅の…  〔發言する者多し〕○議長(樋貝詮三君) 靜肅に○柄澤と志子君(續) 住宅の徹底的な解決…(發言する者多し)住宅問題の徹底的な解決の爲には、私共は現在遊んで居ります所のあの…  〔「やめろやめろ」と呼び其の他發言する者多し〕○議長(樋貝詮三君) 靜肅に○柄澤と志子君(續) 贊成致しますに付きまして…(「贊成の趣旨だけを述べろ」と呼び其の他發言する者多し)贊成致しますに付きまして…  〔發言する者多し〕○議長(樋貝詮三君) 靜肅に○柄澤と志子君(續) 私共は條件を附けたいのでございます(「條件があるか」と呼び其の他發言する者多し)贊成するに付きまして、具體的に實行出來る條件を付けたいのでございます  〔「贊成か反對か」「條件があるか」と呼び其の他發言する者多し〕○議長(樋貝詮三君) 靜肅に願ひます○柄澤と志子君(續) 議會が民主的なものであれば、引揚者の要求と云ふものは…(發言する者多し)引揚者の心からの要求は、私共は取上げなければならないと思ひます  〔「降壇々々」「賣名的なことをやつては駄目だ」と呼び其の他發言する者多く議場騷然〕○議長(樋貝詮三君) 靜肅に○柄澤と志子君(續) 唯單に決議のみでなく、決議だけでなしに引揚者の要求を是非參酌して、此の犠牲者の、引揚者の心からの要求を取上げなければ此の案は…(發言する者多く議場騷然)それでは…  〔發言する者多く議場騷然〕○議長(樋貝詮三君) 靜肅に──靜肅に  〔「議場を何と心得て居るのだ」と呼び其の他發言する者多く議場騷然〕○議長(樋貝詮三君) 靜肅に願ひます  〔「議長、靜かにして下さい」「何をして居るのですか議長は」「贊成か反對か言へ」「構はずやんなさい」「議長、時間が超過しましたよ」「約束の時間はどうした」と呼び其の他發言する者多く議場騷然〕○柄澤と志子君(續) 私は共産黨の此の決議案に對して贊成であることを申上げると同時に…  〔「贊成なら贊成の理由だけ言へば宜いのだ」「約束の時間はどうした」            「條件付は駄目なんだよ」と呼び其の他發言する者多く議場騷然〕○議長(樋貝詮三君) 靜肅に○柄澤と志子君(續) 眞に引揚者の要求、又之を決議だけでなしに、具體的に救濟する爲に、私共の引揚者の要求を取上げて、それの…  〔發言する者多し〕○議長(樋貝詮三君) 靜肅に──柄澤君に申上げます──柄澤君に申します、簡單に要旨を述べて降壇を願ひます(拍手)○柄澤と志子君(續) 引揚者の受入竝に此の問題に付きましては、定著の問題があるのでございますが、其の定著の具體的な實行に際しまして、私は意見を申述べた譯でございます、さうして尚ほ現實に之を具體的にやつて行く場合には、此の豫算を實行して行きます場合には、どう云ふ方面から重點的にやつて行くかと云ふことに付て、希望を申述べた譯でございます、それでは此の決議案に贊成致しますに付きまして、簡單に私の御挨拶を終る次第でございます(拍手)○議長(樋貝詮三君) 是にて討論は終局致しました、採決致します、本案に贊成の諸君の起立を求めます  〔總員起立〕○議長(樋貝詮三君) 起立總員、仍て本案は全會一致可決致しました(拍手)此の際内閣總理大臣及び幣原國務大臣より發言を求められて居ります──吉田内閣總理大臣  〔國務大臣吉田茂君登壇〕○國務大臣(吉田茂君) 本決議案の御趣意に付ては洵に御尤もであります、政府は深く贊成の意を表します(拍手) 只今此處で御述べになつた御意見の如くに、在外同胞引揚のことは、聯合國の好意に依つて意外に迅速に進捗して參りました、米英管下の引揚は殆ど九割以上、中國方面に於ても六割以上完了致しました(拍手)中國地域及び南方地域の引揚は、八月中には全部完了する豫定であります(拍手)唯茲に遺憾なることは、北滿、滿洲、北朝鮮、其の他「ソ」聯の管下にある地域に於ける引揚に至つては、毫も進捗致しませぬ、是は洵に遺憾なことであります、又其の地に在留して居つた同胞の消息さへも十分承知することが出來ないことは、政府が日夜憂慮する所であります(拍手)又聯合國最高司令部等に於て、同情と理解とを以て此の問題を取上げて、「そ」聯政府の注意を喚起して居ることは、一昨日の對日理事會に關する新聞の報道に依つても御承知の通りであります(拍手)政府に於ても是まで凡ゆる手段を執つて、在外、殊に「そ」聯地方に於ける、「そ」聯の管下に於ける同胞の引揚に付ては努力致して來つたのでありますが、其の交渉の委細に付ては、今日此處で御報告することを差控へますが、併しながら今後に於ても此の努力は益益續ける考へで居ります(「しつかりやつて呉れ」と呼ぶ者あり)又引揚を了し、歸還した在外同胞の歸還者に對しての救援、保護等に付ては、政府に於ても益益努力する覺悟で居ります(拍手)  〔國務大臣幣原喜重郎君登壇〕○國務大臣(幣原喜重郎君) 只今成立致しました決議に付きましては、私は現に復員廳の責任者でありまする關係上、一言申上げたいことがあるのであります、此の戰爭の結果として、今日問題となりましたる不幸な運命に惱む人達、此の人達に對して、此の思ひやりの深い決議を拜聽致しましたに付きましては、私共は洵に胸を打たれざるを得ませぬ(拍手)就中復員者の現状は洵に慘憺たるものがあります、復員者の多くは純眞なる、忠誠なる、偏へに國を思ふの至情より、身を挺して國難に赴き、戰爭の凡ゆる辛酸を嘗て來られたのであります(拍手)其の奮鬪が偶偶我が國を破綻に導くに至りませうとは、是等の人々が夢にも想像し得られなかつた所であらうと考へます(拍手)今や復員將校は、單に一旦軍職を帶びて居たと云ふだけの理由に依つて、教育其の他官公職の諸方面に於ける活動の機會を奪はれ、又將校のみならず、一般復員者竝に其の家族、遺族も、恩給や、扶助料や、賜金と云ふやうな給與を受けようと致しても、最早其の途なく、又は極めて不利なる制限に服して居るのであります、尚ほ近頃は民間の諸事業からも就職口を拒絶せらるると云ふ傾向が見えるのである、斯かる無殘なる境遇は、動ともすれば復員者をして自暴自棄に陷らしめ、或は世間を呪つて矯激なる思想に走り、或は衣食に窮して、道徳上又は刑律上罪を犯す者が生ずるに至りましたことは、先刻稻田君が御演説になつた通りでありまして、目下新國家建設の途上に横たはる一大難關であります、政府と致しましては、此の憂ふべき事態を何とかして緩和せんが爲に、極力苦心致して居るのでありまするが、何分にも我が國現在の異常なる立場よりして、兎角事志と違ひ、復員者に對する物質上の援護は、其の方法は今尚ほ極めて不滿足なる状況にありますることは洵に遺憾千萬であります、唯私共の苦衷の存する所は、どうか諸君の御諒承を仰ぐの外ありませぬ、此の際當議場に上程せられましたる此の決議が、諸君より滿場の御同情を得て成立致しましたることは、此の一事のみを以ても、幾百萬の復員者が如何ばかり精神上の慰安となり、激勵となるかと云ふことを思はれるのであります(拍手)此の段私は復員廳の責任者として、此の壇上より深く御禮を申上げます(拍手)政府は今後も諸君の御期待に副はんが爲め、及ぶ限り復員者の救援に努力致しますることは申すまでもありませぬ(拍手)    ━━━━━━━━━━━━━○議長(樋貝詮三君) 日程第四、郵便法の一部を改正する法律案の第一讀会を開きます──鈴木政府委員     ――――◇――――― 第四 郵便法の一部を改正する法律案(政府提出)第一讀会郵便法の一部を改正する法律案郵便法の一部を次のやうに改正する。第十八條第一項を次のやうに改める。通常郵便物の種類及料金は左の如し但し命令の定むる所に依り其の料金を低減することを得 第一種  書 状         重量二十グラム又は其の端數毎に     三十錢 第二種  郵便葉書       {通常葉書       十五錢 往復葉書       三十錢 封緘葉書       三十錢 第三種  毎月一囘以上刊行する定期刊行物     重量百グラム又は其の端數毎に     十五錢 第四種  書籍、印刷物、業務用、書類、寫眞、書、畫、圖、商品の見本及雛形、博物學上の標本   重量百グラム又は其の端數毎に 三十錢 第五種  農産物種子       重量百グラム又は其の端數毎に     五錢  附 制 この法律施行の期日は、勅令でこれを定める。  〔政府委員鈴木恭一君登壇〕○政府委員(鈴木恭一君) 只今議題となりました郵便法の一部を改正する法律案の提案理由を簡單に御説明申上げます 申上げるまでもなく、戰後の復興を促進し、國民生活の安定を圖る爲には、速かに通信施設を整備致しまして、其の正常なる運行を確保することが緊急の要務であると存じます、而して通信事業運營の爲め必要なる人的及び物的施設に要する各般の經費は、最近の物價事情に依りまして、飛躍的に増嵩致して居るのでございます、反面其の事業收入は、戰災其の他の事情に依りまして、當分の間さしたる増收を期待することが困難でありまするので、其の間の事業財政の建直しに付て色々檢討を重ねました結果、先づ能ふ限り事業運營の合理化に依りまして經費の節減を圖ると共に、戰災復舊費等は可能なる限り公債の發行に依り支辨することと致したのでありまするが、是等の手段にも自ら限度がありますので、尚ほ其の不足する部分に付きましては、各種通信料金の値上に依りまして之を補填することも亦已むを得ない所であると存じまして、概ね料金を三倍程度に値上する方針の下に、既に電信電話等に關する料金は去る五月より値上を實施したのでありますが、郵便料金中、葉書、封書等の通常郵便物の料金の値上に付きましては、郵便法を改正する必要がありますので、茲に之に關する改正法律案を提出致しました次第であります、何卒御審議の上、速かに御協贊あらんことを希望致します(拍手)○議長(樋貝詮三君) 本案の審査を付託すべき委員の選擧に付て御諮り致します    ━━━━━━━━━━━━━○山口喜久一郎君 本案は議長指名十八名の委員に付託せられんことを望みます○議長(樋貝詮三君) 山口君の動議に御異議ありませぬか  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕○議長(樋貝詮三君) 御異議なしと認めます、仍て動議の如く決しました──日程第五及び第六は、便宜上一括議題となすに御異議ありませぬか  〔「異議なし」と呼ぶ者あり」〕○議長(樋貝詮三君) 御異議なしと認めます、日程第五、臨時通貨法の一部を改正する法律案、日程第六、軍人及び軍屬以外の者に交付された賜金國庫債券を無效とすることに關する法律案、右兩案を一括して第一讀會を開きます──石橋大藏大臣     ――――◇――――― 第五 臨時通貨法の一部を改正する法律案(政府提出) 第一讀會 第六 軍人及び軍屬以外の者に交付された賜金國庫債券を無效とすることに關する法律案(政府提出)        第一讀會    ━━━━━━━━━━━━━  臨時通貨法の一部を改正する法律案 臨時通貨法の一部を次のやうに改正する。 第一條中「必要あるときは」を「當分の内」に改める。 第二條中「種類は」の下に「五十錢、」を加へ、「三種」を「四種」に改める。 第三條中「十錢」を「五十錢の臨時補助貨幣は十圓迄、十錢」に改める。 第五條中「必要あるときは」を「當分の内」に改める。 附則第二項を削る。   附 則 この法律は、公布の日から、これを施行する。    ━━━━━━━━━━━━━  軍人及び軍屬以外の者に交付された賜金國庫債券を無效とすることに關する法律案  昭和十五年法律第六十九號(今次の戰爭に關する一時賜金として交付するため公債發行に關する件)第一條の規定によつて發行した公債で、軍人及び軍屬に交付されたもの以外のもの(その利札のうちで、利子支拂期日が昭和二十一年四月一日以後のものを含む。)は、これを無效とする。但し、既に政府の買ひ上げたものは有效である。 前項の軍屬の範圍は、昭和二十一年勅令第百十二號(軍人及び軍屬に交付された賜金國庫債券を無效とすることに關する件)第一條第二項の規定による命令の定めるところによる。  附 則 この法律は、公布の日から、これを施行する。    ━━━━━━━━━━━━━  〔國務大臣石橋湛山君登壇〕○國務大臣(石橋湛山君) 只今議題となりました臨時通貨法の一部を改正する法律案外一法律案に付きまして、其の提案の理由を御説明申上げます 現在發行せられて居ります五十錢紙幣及び十錢、五錢の小額日本銀行券は流通に甚だ不便でございますばかりでなく、耐久期間が甚だ短いものでありますから、常に之を製造し補給を必要と致します、隨て資材及び製造能力上相當の負擔となつて居る次第でございますのみならず、其の圖案も今日と致しましては不適當でありますので、政府と致しましては、成べく速かに是等の紙幣及び銀行券を囘收することと致したいのでございます、そこで是等の紙幣に代るものとして、臨時通貨法に依り發行することの出來ます臨時補助貨幣に新たに五十錢を追加致したいのであります、然るに同法に依る是等の臨時補助貨幣及び小額紙幣は、今次戰爭終了後一年を經過した後は發行し得ないことになつて居りますのでありますが、素材需求の現状から見まして、貨幣法に依る補助貨の製造發行は不可能であると考へられますので、今後も當分の間臨時通貨法に依る臨時補助貨幣の發行を繼續し得ることとする必要があるのでございます 次に昭和十五年法律第六十九號の規定に依り發行致しました公債で、軍人及び軍屬に交付されたもの以外のものを無效とすることに關する法律案に付きまして其の理由を御説明申上げます、昭和十五年法律第六十九號の規定に依り發行致しました公債、即ち賜金國庫債券に付きましては、先般聯合國最高司令部の指令に依りまして、軍人軍屬に交付されたものは無效と致した次第であります、そこで之に關聯し政府と致しましては、本件を實施する場合に於ける社會的影響其の他諸般の事情を勘案致しますると、一般文官等、即ち軍人軍屬以外の者に交付されましたる賜金國庫債券を今後有效として存續させますことが適當でないと考へられますのであります、仍て賜金國庫債券は軍人軍屬以外の者に交付されましたものも亦無效と致さうとするのでございます、何卒御審議の上速かに御協贊を與へられんことを御願ひ申上げます(拍手)○議長(樋貝詮三君) 各案の審査を付託すべき委員の選擧に付て御諮り致します    ━━━━━━━━━━━━━○山口喜久一郎君 日程第五及び日程第六の兩案を一括して議長指名十八名の委員に付託せられんことを望みます○議長(樋貝詮三君) 山口君の動議に御異議ありませぬか  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕○議長(樋貝詮三君) 御異議なしと認めます、仍て動議の如く決しました──日程第七、昭和二十年法律第三十四號(衆議院議院選擧法の一部を改正する法律)中まだ施行してゐない部分の廢止に關する法律案の第一讀會を開きます──内務大臣大村清一君     ――――◇――――― 第七 昭和二十年法律第三十四號(衆議院議員選擧法の一部を改正する法律)中まだ施行してゐない部分の廢止に關する法律案(政府提出)             第一讀會    ━━━━━━━━━━━━━  昭和二十年法律第三十四號(衆議院議員選擧法の一部を改正する法律)中まだ施行してない部分の廢止に關する法律案 昭和二十年法律第三十四號(衆議院議員選擧法の一部を改正する法律)中まだ施行してゐない部分は、これを廢止する    附 則  この法律は、公布の日から、これを施行する  衆議院議員選擧法の一部を次のやう、に改正する  第十一條 東京都議會議員、北海道會議員及府縣會議員は衆議院議員と相兼ぬることを得ず  第百十二條第二項を次のやうに改める 選擧事務に關係ある官吏又は吏員當該選擧に關し前項の罪を犯したるときは四年以下の懲役若は禁錮又は三千圓以下の罰金に處す警察官吏其の關係都道府縣内の選擧に關し前項の罪を犯したるとき亦同し 第百十三條第二項を次のやうに改める 選擧事務に關係ある官吏又は吏員當該選擧に關し前項の罪を犯したるときは五年以下の懲役若は禁錮又は四千圓以下の罰金に處す警察官吏其の關係都道府縣内の選擧に關し前項の罪を犯したるとき亦同し    ━━━━━━━━━━━━━  〔國務大臣大村清一君登壇〕○國務大臣(大村清一君) 只今上程せられました日程第七の法律案に付きまして、其の提案の趣旨を御説明致します 曩に所謂外地處遇の一翼と致しまして、樺太、臺灣及び朝鮮に衆議院議員選擧法を施行し、是等の地よりも衆議院に代表者を送らしめることを目的と致しまして、之に關する所要の規定の制定を見たのであります、併し是はまだ施行せられないで終戰と相成りまして今日に至つて居るのであります、固より領土の歸屬は、媾和條約等の締結なき爲め最終的に決定した譯ではありませぬが、請般の情勢を勘案致しまするに、此の改正法律の施行は到底實現不可能と言ふの外はないのであります、然るに、此の衆議院議員選擧法の改正と並行致しまして、全く之と同じ趣旨の下に貴族院令も改正せられまして、貴族院多額納税者議員選擧を樺太に施行致し、又朝鮮及び臺灣から名望家を貴族院議員として勅選することとなりまして、後者に付きましては既に其の施行を見たのでありますが、此の度、此の改正規定の廢止勅令案が貴族院に上程せらるることとなりましたに付きましては、昭和二十年法律第三十四號中まだ施行して居ない部分、即ち樺太、朝鮮及び臺灣に衆議院議員選擧法を施行せんとする部分は之を廢止することとし、本法律案を提案した次第であります、何卒御審議の上、御協贊あらんことを希望致します(拍手)○議長(樋貝詮三君) 本案の審査を付託すべき委員の選擧に付て御諮り致します    ━━━━━━━━━━━━━○山口喜久一郎君 本案は議長指名十八名の委員に付託せられんことを望みます○議長(樋貝詮三君) 山口君の動議に御異議ありませぬか  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕○議長(樋貝詮三君) 御異議なしと認めます、仍て動議の如く決しました、是にて議事日程は議了致しました、次會の議事日程は公報を以て通知致します、本日は是にて散會致します   午後三時四十分散會