1. 会議録本文
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000・会議録情報
明治二十八年一月九日（水曜日）午後一時十八分開議
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議事日程 第三號 明治二十八年一月九日
午後一時開議
第一 郡制改正法律案（田艇吉君外四名提出） 第一讀會
第二 府縣制改正法律案（田艇吉君外四名提出） 第一讀會
第三 市制中東京市、京都市、大阪市に設けたる特例廢止法律案（中島又五郎君提出） 第一讀會
第四 市制中追加法律案（中島又五郎君提出） 第一讀會
第五 市制中改正法律案（中島又五郎君外二名提出） 第一讀會
第六 町村制中改正法律案（田艇吉君外二名提出） 第一讀會
━━━━━━━━━━━━━発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/0
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001・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 諸君、是ヨリ諸般ノ報告ヲ致シマスル
〔林田書記官朗讀〕
議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
史料蒐輯ニ關スル建議案
提出者末廣重恭君鈴木重遠君
柏田盛文君
明治二十三年法律第七十二號銀行條例改正法律案
提出者小坂善之助君角田眞平君
佐々木政又君湯本義憲君
加賀美嘉兵衞君鎌田勝太郞君
江原素六君
明治二十三年法律第七十三號貯蓄銀行條例改正法律案
提出者小坂善之助君角田眞平君
佐々木政又君湯本義憲君
加賀美嘉兵衞君鎌田勝太郞君
江原素六君
郡制改正法律案
提出者工藤行幹君
府縣制改正法律案
提出者工藤行幹君
鐵道工事費豫算ニ關スル建議案
提出者望月右內君
商船學校擴張建議案
提出者小室重弘君西山志澄君
北海道水產稅則廢止法律案
提出者百万梅治君平田箴君
地方稅規則ヲ北海道ニ施行スルノ法律案
提出者百万梅治君平田箴君
營業稅雜種稅規則ヲ北海道ニ施行スルノ法律案
提出者百万梅治君平田箴君
北海道議會法案
提出者百万梅治君平田箴君
府縣農事試驗場國庫補助法案
提出者安田益太郞君多田作兵衞君
恒松隆慶君平島松尾君
特別委員左ノ通リ指名セリ
質屋取締法案審査特別委員
西村眞太郞角田眞平
前川槇造佐々本正藏君君君君
性は不高雄市長選挙伊藤春太郞
櫻井勉後藤敏康
井上利右衞門
航路擴張建議案審査特別委員
北田方正井上彥左衞門
栗河和勘山志君君君君
原君君君君君岡河西島輔醇澄
柏田盛亮三文一七崎邦
松尾寛
無效投票ニ關スル法律案審査特別委員
橋本久太郞君名倉
賴俊藏直君君十四番.東京市小石川區西江
谷澤龍山田泰
沼田宇源太君磯部十藏君
毛利莫君
豫算委員田艇吉君辭任ニ附キ其補闕トシテ江原素六君當選セラレタリ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/1
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002・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 是ヨリ會議ヲ開キマス、而シテ議事日程ノ第一ニ掛リ
マス······朗讀ハ省略致シマス
第一郡制改正法律案(田艇吉君外四名提出)第一讀會
〔左ノ議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭載ス)
郡制
第一章總則
第一款郡及其區域
第一條郡ハ其區域內ニ在ル町村及島嶼ヲ總括シ法律上一個人ト等シク權
利ヲ有シ義務ヲ負擔シ郡ノ公共事務ハ官ノ監督ヲ受ケテ自ラ之ヲ處理ス
ルモノトス
第二條郡ノ廢置分合及郡界ノ變更ハ法律ヲ以テ之ヲ定ム
郡界ニ當ル市町村ノ境界ヲ變更スルトキハ郡界モ亦自ラ變スルモノトス
第三條郡内ノ町村ヲ變シテ市ト爲シ若クハ市ヲ變シテ郡內ノ町村ト爲ス
ハ其市會町村會ノ申請ニ依リ內務大臣之ヲ定ム
第四條第二條第三條ノ處分ニ付其財產處分ヲ要スルトキハ府縣參事會之
ヲ議決スヘシ但特ニ法律ノ規定アルモノハ此限ニアラス
第二款郡條例及規則
第五條郡ノ公共事務ニシテ此法律中ニ明文ナク又ハ特例ヲ設クルコトヲ
許セル事項ハ其郡ニ於テ特ニ條例ヲ設ケテ之ヲ規定スルコトヲ得
郡ハ其設置ニ係ル營造物ニ關シ規則ヲ設クルコトヲ得
郡條例及規則ハ法律命令ニ牴觸スルコトヲ得ス
郡條例及規則ハ各郡慣行ノ公〓式ニ依リ之ヲ公告スヘシ
第二章郡會
第一款組織及選舉
第六條郡會ハ郡內町村ニ於テ選舉シタル議員ヲ以テ之ヲ組織ス
第七條郡會議員ノ數ハ二十名以上三十名以下トス
郡會議員ノ配當法ハ人口ヲ標準トシ郡條例ヲ以テ之ヲ定ム但各町村ヲシ
テ少クトモ一人ノ議員ヲ選舉セシムルヲ要ス町村制第百十六條第二項ニ
該當スル町村ハ一組合ヲ以テ一町村ト看做スヘシ
郡内町村數三十以上ナルトキハ郡條例ヲ以テ特ニ本條議員ノ定員ヲ增加
スルコトヲ得
議員ノ配當法ヲ改正スルトキハ議員全數ヲ改選スヘシ
第八條町村會議員ノ選舉權ヲ有スル者ハ其町村內ニ於テ郡會議員ノ選舉
權ヲ有ス
町村會議員ノ被選舉權ヲ有スル者ハ郡內ニ於テ郡會議員ノ被選擧權ヲ有
ス
住居ヲ移シタル爲メ町村ノ公民權ヲ失ヒタル者其住居同郡內ニ在リ其他
ノ要件ヲ失ハサルトキハ仍郡會議員ノ被選舉權ヲ有ス
左ニ揭クルモノハ郡會議員タルコトヲ得ス
一所屬府東京府ハ警縣官吏竝ニ其郡ノ吏員
視廳トモ
二神官僧侶又ハ諸宗ノ〓師
三學校〓員
第九條郡會議員ハ名譽職トス其任期ハ四年トシ每二年其半數ヲ改選ス若
シ其員數二分シ難キトキハ初囘ニ於テ多數ノ一半ヲ解任セシム初囘ニ於
テ解任スヘキ者ハ抽籤ヲ以テ之ヲ定ム
退任ノ議員ハ再選セラルヽコトヲ得
第十條議員中缺員アルトキハ遲クモ二箇月以內ニ補缺選舉ヲ行フヘシ補
缺議員ハ其前任者ノ殘任期間在職スルモノトス
第十一條郡會議員ノ選舉ハ郡長ノ告示ニ依リ町村長之ヲ行フヘシ其告示
ハ通常選舉ハ七十日前臨時選舉ハ十日前之ヲ發スヘシ
第十二條町村長ハ通常選舉ヲ行フ每ニ其選舉前五十日ヲ限リ各選舉人ノ
資格ヲ記載シタル選舉人名簿ヲ製スヘシ
選舉人名簿ハ其調製ノ翌日ヨリ七日間町村役場ニ於テ關係者ノ縱覽ニ供
スヘシ若シ關係者ニ於テ訴願セントスルコトアルトキハ同期限內ニ之ヲ
郡參事會ニ申立ツヘシ郡參事會ノ裁決ニヨリ名簿ヲ修正スヘキトキハ町
村長選舉前十日ヲ限リ之ニ修正ヲ加ヘテ確定名簿トナシ之ニ登錄セラレ
サル者ハ何人タリトモ選舉ニ關スルコトヲ得ス
本條ニ依リ確定シタル名簿ハ次期ノ通常選舉マテ之ヲ据置キ臨時ノ選舉
ニモ亦之ヲ使用スルモノトス
確定名簿ト雖府縣參事會ノ裁決又ハ裁判申渡ニヨリ訂正スヘキモノハ町
村長ニ於テ其通知ヲ受ケタル時ヨリ二十四時間以內ニ之ヲ訂正シ其旨町
村內ニ告示シ且當人ニ通知スヘシ
町村長ニ於テ名簿ニ記入シタル人名中選舉權ヲ失ヒ若クハ選擧權ヲ有セ
サルモノアルコトヲ發見シタル時モ亦同シ
第十三條町村長ハ選舉前七日ヲ限リ選舉ノ場所日時及選舉スヘキ議員ノ
數ヲ公告スヘシ
第十四條選舉掛ハ名譽職トシ町村長ニ於テ臨時ニ選舉人中ヨリ二名若ク
ハ四名ヲ選任シ町村長若クハ其代理者ハ其掛長トナリ選舉會ヲ開閉シ其
會場ノ取締ニ任ス
第十五條選舉開會中ハ選舉人ノ外何人タリトモ選舉會場ニ入ルコトヲ得
ス選舉人ハ選擧會場ニ於テ協議又ハ勸誘ヲ爲スコトヲ得ス
第十六條選舉ハ投票ヲ以テ之ヲ行フ投票ニハ被選舉人ノ氏名ヲ記シ封緘
ノ上選舉人自ラ掛長ニ差出スヘシ但選舉人ノ氏名ハ投票ニ記入スルコト
ヲ得ス
選舉人投票ヲ差出ストキハ自己ノ氏名及住所ヲ掛長ニ申立テ掛長ハ選舉
人名簿ニ照シテ之ヲ受ケ封緘ノ儘投票函ニ投入スヘシ但投票函ハ投票ヲ
終ル迄開クコトヲ得ス
第十七條投票ニ記載ノ人員其選舉スヘキ定數ニ過キ又ハ不足アルモ其投
票ヲ無效トセス其定數ニ過クルモノハ末尾ニ記載シタル人名ヲ順次ニ棄
却スヘシ
左ノ投票ハ之ヲ無效トス
一人名ヲ記載セス又ハ記載セル人名ノ讀難キモノ
二被選舉人ノ何人タルヲ確認シ難キモノ
三被選擧權ナキ人名ヲ記載スルモノ
以上三種ノ投票中他ニ列記ノ被選舉人ニ付テハ仍其效アリトス
四被選舉人氏名ノ外他事ヲ記入スルモノ但爵位職業身分住所又ハ敬稱
ヲ記スモノハ無效ト爲スノ限ニアラス
投票ノ受理竝ニ效力ニ關スル事項ハ選擧掛假ニ之ヲ議決ス可否同數ナル
トキハ掛長之ヲ決ス
第十八條選舉ハ選舉人自ラ之ヲ行フヘシ他人ニ託シテ投票ヲ差出スコト
ヲ許サス
第十九條議員ノ選舉ハ有效投票ノ多數ヲ得ル者ヲ以テ當選トス投票ノ數
相同キモノハ年長者ヲ取リ同年ナルトキハ掛長自ラ抽籤シテ其當選ヲ定
ム
第二十條選擧掛ハ選舉錄ヲ製シテ選舉ノ〓末ヲ記錄シ選舉ヲ終リタル後
之ヲ朗讀シ選舉人名簿其他關係書類ヲ合綴シテ之ニ署名スヘシ
投票ハ之ヲ選舉錄ニ附屬シ選舉ヲ結了スルニ至ル迄之ヲ保存スヘシ
第二十一條選舉ヲ終リ當選人定マリタルトキハ選舉掛長直ニ當選人ニ通
知シ同時ニ郡長ニ報告スヘシ
當選人當選ノ報告ヲ受ケタルトキハ五日以內ニ其當選ヲ承諾スルヤ否ヤ
ヲ郡長ニ屆出ヘシ
一人ニシテ數箇所ノ選舉ニ當リタルトキハ同期限內ニ何レノ選舉ニ應ス
ヘキコトヲ郡長ニ屆出ヘシ
前二項ノ屆出ヲ其期限內ニ爲サヽルトキハ當選ヲ辭シタル者ト視做スヘ
第二十二條議員ノ當選ヲ辭シ又ハ承諾ノ屆出ヲ爲サヽル者アルトキハ郡
長ハ七日以內ニ町村長ニ命シテ更ニ選舉ヲ行ハシムヘシ
二人以上投票同數ニシテ年長者若クハ抽籤ニ依テ當選ヲ得タル者其當選
ヲ辭シ又ハ承諾ノ屆出ヲ爲サヽルトキハ第一ニ抽籤ノ爲メ當選ヲ失ヒタ
ル者ヲ當選人トシ次ニ年少ノ爲メ當選ヲ失ヒタル者ヲ當選人トシ郡長ハ
直ニ本人ニ通知スヘシ
第二十三條當選人確定シタルトキハ郡長ハ直ニ當選證書ヲ附與シ及管內
ニ告示スヘシ
第二十四條選舉人選舉ノ效力ニ關シテ訴願セントスルトキハ選舉ノ日ヨ
リ十四日以內ニ郡參事會ニ申立ルコトヲ得
第二十五條當選人其當選ノ際資格ノ要件ヲ有セサルコト發覺スルトキハ
其當選ヲ無效トス
當選人當選後資格ノ要件ヲ失フトキハ議員ノ職ヲ失フモノトス
第二十六條郡會ニ於テ其議員中議員タルノ資格ヲ有セサル者有ルコトヲ
發見スルトキハ其議決ヲ以テ之ヲ郡長ニ通知スヘシ
第二十七條郡會議員選舉權被選舉權ノ有無選舉ノ效力及選舉人名簿ノ正
否ハ郡參事曾之ヲ裁決ス
郡參事會ノ裁決ニ不服アル者ハ府縣參事會ニ訴願シ府縣參事會ノ裁決ニ
不服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得但訴願又ハ出訴ノ爲メ執行
ヲ停止スルコトヲ得ス
第二十八條郡會議員選舉ニ關スル罰則ハ明治二十三年(五月)法律第三十
九號市町村會議員選舉罰則ヲ適用ス
第二款職務權限及處務規程
第二十九條郡會ノ議決スヘキ事件左ノ如シ
一郡條例及規則ヲ設クル事
二郡ノ歲入出豫算ヲ定ムル事
三決算報告ヲ認定スル事
四郡有不動產ノ賣買交換讓渡讓受竝ニ質入書入ノ事
五歲入出豫算ヲ以テ定ムルモノヲ除ク外新タニ義務ノ負擔ヲ爲シ及權
利ヲ棄却スル事
六郡有財產ノ管理及營造物ノ維持方法ヲ定ムル事
第三十條郡會ハ郡ノ事務ニ關スル書類及計算書ヲ檢閱シ郡長ノ報告ヲ
請求シテ事務ノ管理議決ノ施行竝ニ收入支出ノ正否ヲ監査スルノ職權ヲ
有ス
第三十一條郡會ハ其權限ニ屬スル事件ヲ郡參事會ニ委任スルコトヲ得
第三十二條郡會ハ郡ノ利害ニ關スル事件ニ付意見書ヲ監督官廳ニ出スコ
トヲ得
第三十三條郡會ハ官廳ノ諮問アルトキハ意見ヲ陳述スヘシ
第三十四條郡會議員ハ選舉人ノ指示若クハ委囑ヲ受クヘカラサルモノト
ス
第三十五條郡會議員ハ自己及其父母兄弟若クハ妻子ノ一身上ニ關スル事
件ニ付テハ會議ノ承諾ヲ經ルニアラサレハ郡會ノ議事ニ參與シ及其議決
ニ加ハルコトヲ得ス
第三十六條郡會ハ議長副議長各一名ヲ互選スヘシ其任期ハ二年トス
議長副議長共ニ故障アルトキハ臨時議長ヲ互選スヘシ
議長副議長辭職又ハ其他ノ事故ニ係リ缺位トナリタルトキハ後任者ヲ互
選スヘシ其後任者ハ前任者ノ殘任期間在職スルモノトス
第三十七條郡長若クハ郡參事會員ハ郡會ノ議事ニ參與スルコトヲ得但議
決ノ數ニ加ハルコトヲ得ス
第三十八條郡會ハ每年一囘通常會ヲ開クヘシ其他必要アルトキハ其事件
ニ限リ臨時會ヲ開クコトヲ得
郡會ハ郡長之ヲ招集ス若シ議員三分ノ一以上ニ於テ臨時ノ招集ヲ請求ス
ルトキハ之ヲ招集スヘシ其招集竝ニ會議ノ事件ハ開會日ヨリ十日以前ニ
告示スヘシ但急施ヲ要スル場合ハ此限ニアラス
郡會ハ郡長之ヲ開閉ス
第三十九條郡會ハ議員半數以上出席スルニアラサレハ會議ヲ開キ議決ヲ
爲スコトヲ得ス但同一ノ議事ニ付招集二囘ニ至ルモ議員猶半數ニ滿タサ
ルトキハ此限ニアラス
第四十條郡會ノ議決ハ過半數ニ依ル可否同數ナルトキハ議長ノ決スル
トコロニ依ル
第四十一條郡會ニ於テ議長副議長及郡長助役名譽職參事會員ノ選舉ヲ行
フトキハ匿名投票ヲ爲シ有效投票ノ過半數ヲ得タルモノヲ以テ當選トス
若シ過半數ヲ得タル者ナキトキハ最多數ヲ得タル者定員ノ倍數ヲ取リ之
ニ就テ決選投票セシム其倍數ヲ取ルニ當リ同數者アルトキハ年長ヲ取リ
同年ナレハ議長若クハ假議長自ラ抽籤シテ之ヲ定ム此決選投票ニ於テハ
最多數ヲ得タル者ヲ以テ當選トシ若シ同數ナレハ年長ヲ取リ同年ナレハ
抽籤ヲ以テ當選ヲ定ム其他第十六條第十七條第十八條ヲ適用ス議長選舉
ノ場合ニハ議員中ノ年長者ヲ以テ假議長トス
第四十二條郡會ノ會議ハ公開ス但議長ノ意見又ハ郡長ノ要求若クハ議員
三名以上ノ發議ニ依リ可決シタルトキハ傍聽ヲ禁スルコトヲ得此場合ニ
於テハ討論ヲ用ヒスシテ其可否ヲ決スヘシ
第四十三條議長ハ議事ノ順序ヲ定メ會議及選舉ノ事ヲ總理シ其日ノ會議
ヲ開閉シ議場ノ秩序ヲ保持ス
第四十四條會議中此法律若クハ議事規則ニ違ヒ其他議場ノ秩序ヲ紊ル議
員アルトキハ議長之ヲ警戒シ又ハ制止シ又ハ發言ヲ取消サシム命ニ從ハ
サルトキハ議長ハ發言ヲ禁止シ又ハ議場ノ外ニ退去セシムヘシ若シ强抗
ニ涉ル者アルトキハ警察官ノ處分ヲ求ムルコトヲ得
議場騒擾ニシテ整理シ難キトキハ議長ハ當日ノ會議ヲ中止シ又ハ之ヲ閉
ツルコトヲ得
第四十五條傍聽人公然可否ヲ表シ又ハ喧騒ニ涉リ其他議事ノ妨害ヲ爲ス
者アルトキハ議長ハ之ヲ制止シ若シ命ニ從ハサルトキハ之ヲ退場セシメ
必要ナル場合ニ於テハ警察官ノ處分ヲ求ムルコトヲ得
傍聽席騒擾ナルトキハ議長ハ總テ傍聽人ヲ退場セシムルコトヲ得
第四十六條郡會ニ書記ヲ置キ議長ニ隸屬シテ庶務ヲ掌理セシム
書記ハ議長之ヲ選任ス但郡吏員ヲシテ之ヲ兼シムルコトヲ得
第四十七條郡會ハ書記ヲシテ議事錄ヲ製シ議決及選舉ノ〓末竝ニ出席議
員ノ氏名ヲ記錄セシムヘシ議事錄ハ議長及議員一一名以上之ニ署名スルヲ
要ス其議員ハ會議ノ初ニ於テ之ヲ定メ議事錄中ニ其氏名ヲ記載シ置クヘ
第四十八條郡會ハ議事規則及傍聽人取締規則ヲ設クヘシ
第三章郡行政
第一款郡參事會郡吏員及委員ノ組織選任
第四十九條郡ニ郡參事會ヲ置キ左ノ職員ヲ以テ之ヲ組織ス
一郡長名
二助役名
三名譽職參事會員五名
名譽職參事會員ハ郡條例ヲ以テ其定員ヲ增減スルコトヲ得
第五十條郡參事會ハ郡長ヲ以テ議長トス議長故障アルトキハ出席會員
中ヨリ臨時議長ヲ互選ス
第五十一條郡長及助役ハ有給吏員トス郡會之ヲ選舉シ其任期ハ四年トス
但任期滿限ノ後ト雖後任者就職ノ日迄在職スルモノトス
郡長及助役ハ年齡三十歲以上ノ者タルヘ
第五十二條郡長ノ選任ハ內務大臣ヨリ上奏シテ裁可ヲ請ヒ助役ノ選任ハ
府縣知事ノ認可ヲ受クヘシ
第五十三條名譽職參事會員ハ其郡內ニ於テ郡會議員ノ被選舉權ヲ有スル
モノヽ中ヨリ郡會之ヲ選舉ス其任期ハ四年トシ每二年其半數ヲ改選ス若
シ二分シ難キトキハ初囘ニ於テ多數ノ一半ヲ解任セシム初囘ノ解任者ハ
抽籤ヲ以テ之ヲ定ム但任期滿限ノ後ト雖後任者就職ノ日迄在職スルモノ
トス
退職者ハ再選セラルヽコトヲ得
郡會ハ每通常會ニ於テ名譽職參事會員ノ補充員トシテ正員ト同數ヲ選舉
シ闕員アルトキハ郡長ニ於テ補充員中投票多數ノ順次ニ依リ之ヲ補充シ
仍闕員ヲ生シタル場合ニ於テハ三十日以内ニ臨時補闕選舉ヲ行フヘシ但
其補充シタル者ハ前任者ノ殘任期間在職スルモノトス
第五十四條郡長助役及名譽職參事會員ハ第八條第三項ニ揭載スル職ヲ兼
ルコトヲ得ス
郡長及助役ハ他ノ有給ノ職ヲ兼任シ又ハ株式會社ノ社長若クハ重役トナ
ルコトヲ得ス其他ノ營業ハ府縣知事ノ認可ヲ得ルニアラサレハ之ヲ爲ス
コトヲ得ス
父子兄弟タルノ緣故アルモノハ同時ニ郡參事會員タルコトヲ得ス若シ其
緣故アルモノ郡長又ハ助役ノ任ヲ受クルトキハ其緣故アル郡參事會員ハ
其職ヲ退クヘシ其他ハ市制第十五條第五項ヲ適用ス
第五十五條郡長及助役ハ三箇月前ニ申立ルトキハ随時退職ヲ求ムルコト
ヲ得此場合ニ於テハ退隱料ヲ受クルノ權ヲ失フモノトス
第五十六條名譽職參事會員ノ選舉ニ就テハ郡參事會自ラ其效力ノ有無ヲ
議決ス
當選者中其資格ノ要件ヲ有セサル者アルコト發覺シ又ハ就職後其要件ヲ
失フ者アルトキハ其人ノ當選ハ效力ヲ失フモノトス其要件ノ有無ハ郡參
事會之ヲ議決ス
議決ニ不服アル者ハ第二十七條第二項ノ例ニ依リ訴願及出訴ヲ爲スコト
ヲ得
第五十七條郡ニ書記其他必要ノ附屬員ヲ置キ其員數ハ郡會ノ議決ヲ以テ
之ヲ定メ郡長之ヲ任免ス
第五十八條郡長ハ郡會ノ議決ヲ經テ臨時或ハ常設ノ委員ヲ置キ郡ノ事務
ヲ調査セシメ又ハ郡有財產及營造物ノ一部ヲ管理セシムルコトヲ得
委員ハ名譽職トシ其選舉ノ方法及任期ハ郡會ノ議決スル所ニ依ル
第二款郡參事會竝ニ郡吏員ノ職務權限及處務規定
第五十九條郡參事會ノ職務權限左ノ如シ
一郡會ノ權限ニ屬スル事件ニシテ其委任ヲ受ケタルモノヲ議決スル事
二郡會ノ權限ニ屬スル事件ニシテ臨時急施ヲ要シ郡長ニ於テ郡會ヲ招
集スルノ暇ナシト認ムルトキ郡會ニ代テ議決ヲナス事
三郡會ノ議決シタル範圍內ニ於テ郡有財產ノ管理營造物ノ維持及工事
ノ執行方法ニ關シ必要ナル事件ニ付議決ヲナス事
四郡ノ收入支出命令會計及出納金庫ヲ監視スル事
五郡ノ權利ヲ保護シ郡ノ證書及公文書類ノ保管ヲ監視スル事
六外部ニ對シ郡ヲ代表シ郡ノ名義ヲ以テ訴訟及和解ヲナシ郡ノ權利義
務ニ關シ地廳又ハ人民ト商議スル事
七郡會ノ議案ニ付郡長ニ對シ意見ヲ述ヘ及會議ニ報告スル事
八官廳ノ諮問ニ對シテ意見ヲ述フル事
第六十條郡參事會ハ郡長之ヲ招集ス
會員半數以上ノ請求アルトキハ郡長ハ郡參事會ヲ招集スヘシ
第六十一條郡參事會ノ會議ハ郡會議員ノ外傍聽ヲ許サス但郡參事會ノ決
議ニ依リ郡會議員ノ傍聽ヲ禁スルコトヲ得
第六十二條郡參事會ハ會員半數以上出席スルニアラサレハ會議ヲ開キ議
決ヲ爲スコトヲ得ス但同一ノ議事ニ付招集再囘ニ至ルモ會員猶半數ニ滿
タサルトキハ此限ニアラス
郡參事會ノ議決ハ過半數ニ依ル可否同數ナルトキハ議長ノ決スル處ニ依
ル
議決ノ事件ハ之ヲ議事錄ニ記載シ議長及名譽職參事會員二名以上之ニ署
名スヘシ
第六十三條第三十五條ノ規定ハ郡參事會ニモ亦之ヲ適用ス但同條ノ規定
ニ依リ會員減少シテ正當ノ郡參事會ヲ開クコトヲ得サルトキハ郡長ハ補
充員ヲ以テ臨時之ニ充テ仍其數ヲ得サルトキハ郡會議員ニシテ其事件ニ
關係ナキ者ヲ臨時ニ指名シ其不足ヲ補充シテ第四十九條ノ定數ニ滿タシ
ムヘシ
第六十四條町村制ノ規定ニ依リ郡參事會ノ權限ニ屬スル事件ニシテ二郡
以上ノ町村ニ交涉スルモノアルトキハ其郡長ノ具狀ニ依リ府縣知事ニ於
テ其事件ヲ管理スヘキ郡參事會ヲ指定スヘシ二府縣以上ノ町村ニ交涉ス
ルモノアルトキハ其府縣知事ノ具狀ニ依リ內務大臣ニ於テ之ヲ指定スヘ
第六十五條郡長ハ郡政一切ノ事務ヲ指揮監督ス
郡長ハ郡會及郡參事會ノ議事ヲ準備シ其議決ヲ執行ス
第六十六條助役ハ郡長ヲ輔ヶ庶務ヲ掌理ス郡長事故アルトキハ總テ郡長
ノ事務ヲ代理ス
第六十七條郡會ニ於テ名譽職參事會員ヲ選舉セス又ハ郡參事會成立セス
又ハ郡參事會招集ニ應セス若タハ其議決スヘキ議案ヲ議決セサルトキハ
郡長ハ府縣知事ニ具狀シ其指揮ヲ得テ郡參事會ノ權限ニ屬スル事件ヲ處
分スルコトヲ得
急施ヲ要スル場合ニ於テ郡參事會ヲ招集スルノ暇ナキトキハ郡長ハ郡參
事會ノ職務ヲ專決處分スルコトヲ得本條ノ處分ハ次囘ノ郡參事會ニ報告
スヘシ
第六十八條書記ハ郡長ニ屬シ庶務ヲ分掌ス
第六十九條郡長ハ郡吏員ヲ監督シ書記以下ニ對シ懲戒處分ヲ行フコトヲ
得懲戒處分ハ譴責解職及拾圓以下ノ過怠金トス但解職ノ懲戒處分ハ郡參
事會ノ議決ヲ經ヘシ
第七十條郡長ハ法律命令ニ從ヒ左ノ事務ヲ管掌ス
-司法警察補助官タルノ職務及法律命令ニ依テ其管理ニ屬スル地方警
察ノ事務但別ニ官署ヲ設ケテ地方警察ノ事務ヲ管掌セシムルトキハ
此限ニアラス
二國ノ行政竝府縣ノ行政ニシテ郡ニ屬スル事務但別ニ吏員アルトキハ
此限ニアラス
本條ニ揭載スル事務ヲ執行スルカ爲メニ要スル費用ハ郡ノ負擔トス
第三款給料及給與
第七十一條郡長助役其他有給吏員及使丁ノ給料竝旅費日當額ハ郡會ノ決
議ヲ以テ之ヲ定ム
郡會ノ議決ヲ以テ郡長ノ給料額ヲ定メタルトキハ內務大臣ノ認可ヲ受ク
ルコトヲ要ス若シ之ヲ認可スヘカラスト認ムルトキハ內務大臣之ヲ指定
スルコトヲ得
郡會ノ議決ヲ以テ助役ノ給料額ヲ定メタルトキハ府縣知事ノ認可ヲ受ク
ルコトヲ要ス若シ之ヲ認可スヘカラスト認ムルトキハ府縣知事ハ府縣參
事會ノ議決ヲ以テ之ヲ指定スルコトヲ得
第七十二條郡會議員名譽職參事會員及委員ニハ旅費日當ヲ給スルコトヲ得
但其支給額及支給方法ハ郡條例ヲ以テ之ヲ規定スルコトヲ得
第七十三條名譽職員ニハ此法律中別ニ規定アルヲ除クノ外職務取扱ノ爲
メニ要スル實費辨償ノ外勤務ニ相當スル報酬ヲ給スルコトヲ得
實費辨償額及報酬額ハ郡會之ヲ議決ス
第七十四條郡條例ノ規定ヲ以テ郡長及助役其他有給吏員ノ退隱料ヲ設ク
ルコトヲ得
退隱料ヲ受クル者官職又ハ府縣郡市町村及公共組合ノ職務ニ就キ給料ヲ
受クルトキハ其間之ヲ停止シ又更ニ退隱料ヲ受クルノ權ヲ得ルトキ其額
舊退隱料ト同額以上ナルトキハ舊退隱料ハ之ヲ廢止ス
第七十五條有給吏員ノ給料退隱料其他第七十三條ニ定ムル給與ニ關シテ
異議アルトキハ關係者ノ申立ニ依リ府縣參事會之ヲ裁決ス其府縣參事會
ノ裁決ニ不服アルモノハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第四章郡ノ會計
第七十六條郡ノ權利義務ニ屬スル諸費及法律命令若クハ慣例ニ依リ郡ノ
負擔トナル事務ニ關スル費用ハ其郡ニ於テ之ヲ支辨スヘシ
第七十七條郡ノ支出ニ充ツル費用ハ郡有財產ヨリ生スル收入其他雜收入
ヲ以テ充ツルモノヽ外ハ郡内各町村ニ分賦ス其分賦ハ府縣稅ノ課目ヲ標
準トシテ郡會之ヲ決ス但本條ノ分賦法ニ據リ難キ事情アルトキハ郡會ニ
於テ特別法ヲ設ケ內務大藏兩大臣ノ認可ヲ得テ施行スルコトヲ得
各町村分賦ノ額ハ各町村ニ於テ之ヲ町村ノ豫算ニ編入シ町村稅トシテ徵
收シ其總額ヲ郡金庫ニ納ムヘシ
第七十八條郡内ノ或ル部分ニ對シ特ニ利益アル土木事業ヲ起ストキハ郡
會ノ議決ニ依リ該部分ノ町村ニ對シ通常分賦額ノ外其利益ノ厚薄ニ應シ
特ニ夫役現品ヲ增課スルコトヲ得
第七十九條郡ハ天災事變ノ爲メ巳ムヲ得サル支出又ハ其郡ノ永久ノ利益
トナルヘキ支出ヲ要スルニ當リ通常ノ歲入ヲ增加スルトキ郡內町村ノ負
擔ニ堪ヘサルノ場合ニ限リ郡會ノ議決ヲ以テ郡債ヲ起スコトヲ得
郡債ヲ起スノ議決ヲ爲ストキハ併セテ起債ノ方法利息ノ定率及償還ノ方
法ヲ定ムヘシ
郡債償還ノ初期ハ三年以內ト爲シ年々ノ償還步合ヲ定メ起債ノ時ヨリ三
十年以內ニ還了スヘシ
歲入出豫算內ノ支出ヲナスカ爲メ必要ナル一時ノ借入金ニシテ其年度內
ノ收入ヲ以テ償還スヘキモノハ本條ノ限リニアラス但郡參事會ノ議決ヲ
經ルコトヲ要ス
第八十條郡長ハ每年其翌年度ニ關スル歳入出豫算ヲ調製スヘシ但郡ノ
會計年度ハ政府ノ會計年度ニ同シ
豫算ハ郡會ノ議決ニ付スルノ前郡參事會ノ審査ニ付スヘシ若シ郡長ト郡
參事會ト意見ヲ異ニスルトキハ郡參事會ノ意見ヲ豫算ニ添ヘ郡會ニ提出
スヘシ追加又ハ臨時ノ豫算ニ就テモ亦同シ
內務大臣ハ省令ヲ以テ豫算調製ノ式ヲ定メ竝ニ費目流用ニ關スル規定ヲ
設クルコトヲ得
第八十一條豫算ハ每年郡會ノ議決ヲ取リ之ヲ府縣知事ニ報告シ竝ニ郡慣
行ノ公〓式ニ依リ其要領ヲ告示スヘシ追加又ハ臨時ノ豫算ヲ議定シタル
場合ニ於テモ亦同シ
郡ノ費用ヲ以テ支辨スル事業ニシテ數年ヲ期シテ施行スヘキモノ又ハ數
年ヲ期シテ其費用ヲ支出スヘキモノハ郡會ノ議決ヲ以テ其年期間各年度
ノ支出額ヲ定メ繼續費トナスコトヲ得
豫算ヲ郡會ニ提出スルトキハ郡長ハ併セテ其郡ノ事務報告書及財產明細
表ヲ提出スヘ
第八十二條歳入出豫算中ニ豫備費ヲ設クヘシ豫備費ハ郡長ニ於テ郡參事
會ノ議決ヲ經テ巳ムヲ得サル豫算外ノ支出又ハ豫算超過ノ支出ニ充ツル
コトヲ得但郡會ノ否決シタル費途ニ充ツルコトヲ得ス
第八十三條郡ノ收支命令ハ郡長之ヲ發スヘシ
第八十四條郡ノ會計ヲ管理スル郡吏員ハ前條ノ命令アルニアラサレハ支
拂ヲナスコトヲ得ス又其命令アルモ支出ノ豫算ナキカ又ハ豫備費支出及
費目流用ノ規定ニ依ラサルトキハ支拂ヲナスコトヲ得ス
第八十五條郡ノ出納及金庫ハ每月例日ヲ定メテ檢査シ及每年少クモ一囘
臨時檢査ヲナスヘシ檢査ハ郡長之ヲ爲ス臨時檢査ニハ郡參事會員一名以
上ノ立會ヲ要ス
第八十六條決算ハ郡長會計吏ニ命シテ會計年度後三箇月以內ニ調製シ郡
參事會ノ審査ヲ經テ之ヲ次囘ノ通常郡會ノ認定ニ付スヘシ
決算報告書竝ニ之ニ關スル郡會ノ議決ハ郡長ヨリ之ヲ府縣知事ニ報告シ
竝ニ決算ハ郡慣行ノ公告式ニ依リ其要領ヲ告示スヘシ
第五章郡組合
第八十七條地形ノ便利又ハ其郡ノ事情ニ依リ數郡ニ一郡役所ヲ置キ其事
務ヲ共同處分スル爲メ其郡ノ協議ニ依リ內務大臣ノ認可ヲ得テ數郡ノ組
合ヲ設クルコトヲ得
法律上ノ義務ヲ負擔スルニ耐ユヘキ資力ヲ有セスト認ムル郡ニシテ數郡
組合ノ協議整ハサルトキハ府縣參事會ノ議決ヲ以テ內務大臣ノ認可ヲ得
其組合ヲ設ケシムルコトヲ得
第八十八條數郡組合ノ協議ヲ爲ストキハ組合會議ノ組織事務ノ管理法竝
ニ其費用ノ支辨方法ヲ併セテ規定スヘシ
前條第二項ノ場合ニ於テハ其數郡ノ協議ヲ以テ組合費用ノ分擔法其他必
要ナル事項ヲ規定スヘシ若シ其協議整ハサルトキハ府縣參事會ニ於テ之
ヲ定ムヘシ
第八十九條第八十七條ノ組合ヲ廢止シ又ハ變更セントスルトキハ內務大
臣ノ認可ヲ受ク可シ
第六章監督
第九十條郡ノ行政ハ第一次ニ於テ府縣知事之ヲ監督シ第二次ニ於テ內
務大臣之ヲ監督ス
第九十一條此法律中別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外郡ノ行政ニ關スル府
縣知事又ハ府縣參事會ノ處分若クハ裁決ニ不服アル者ハ內務大臣ニ訴願
スルコトヲ得
前項ノ訴願ハ其事件ノ處分若クハ裁決ヲ受ケタル日ヨリ二十一日以內ニ
其理由ヲ具シテ提出スヘシ
此法律ニ指定スル場合ニ於テ郡參事會ノ裁決ニ不服アリテ府縣參事會ニ
訴願セントスル者ハ裁決ヲ受ケタル日ヨリ十四日以内ニ訴願スヘシ又府
縣知事ノ處分又ハ府縣參事會ノ裁決ニ不服アリテ行政裁判所ニ出訴セン
トスルモノハ裁決ヲ受ケタル日ヨリ二十一日以內ニ出訴スヘシ但特ニ訴
願又ハ出訴日限ヲ規定スルモノハ其規定ニ依ルヘシ
行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得ヘキ場合ニ於テハ内務大臣ニ訴願スルコ
トヲ得ス
第九十二條監督官廳ハ郡行政ノ法律命令ニ背戾セサルヤ其事務錯亂澁滯
セサルヤ否ヲ監視スヘシ監督官廳ハ之カ爲メ行政事務ニ關シテ報告ヲ爲
サシメ豫算及決算等ノ書類帳簿ヲ徵シ竝ニ實地ニ就テ事務ノ現況ヲ視察
シ出納ヲ檢閱スルノ權ヲ有ス
第九十三條郡會招集ニ應セス又ハ成立セサルトキハ郡長ハ府縣知事ノ指
揮ヲ請ヒ處分スルコトヲ得郡會其議決スヘキ議案ヲ議決セサル場合ニ於
テ其事緊急ヲ要スルトキ又ハ法律命令若クハ慣行ニ依テ郡ノ負擔ニ屬ス
ル行政又ハ公益上必要ノ費用ヲ否決シ若クハ議決スト雖必要ノ給需ヲ缺
クトキハ郡長ハ郡參事會ノ議決ヲ以テ府縣知事ニ具狀シ其指揮ヲ請フヘ
シ
府縣知事ハ府縣參事會ノ議決ニヨリ原案ノ金額以內ニ於テ適當ノ金額ヲ
定メ指揮スルコトヲ得
本條ノ處分ハ次囘ノ郡會ニ報告スヘシ
第九十四條郡會又ハ郡參事會ノ議決其權限ヲ超ヘ法律命令ニ背キ又ハ公
衆ノ利益ヲ害スト認ムルトキハ郡長ハ自己ノ意見ニ依リ又ハ監督官廳ノ
指揮ニ依リ理由ヲ示シテ議決ノ執行ヲ停止シ之ヲ再議セシメ猶其議決ヲ
改メサルトキハ府縣參事會ノ裁決ヲ請フヘシ
前項ノ場合ニ於テ府縣參事會ノ裁決ニ不服アルモノハ行政裁判所ニ出訴
スルコトヲ得
第九十五條郡會ハ內務大臣之ヲ解散セシムルコトヲ得此場合ニ於テハ三
箇月以內ニ議員ヲ選舉スヘシ
前項解散ノ場合ニ於テハ名譽職參事會員モ亦解職スルモノトス
郡委員ハ郡會ノ解散ニ依リ解職スルノ限リニアラス但郡會ノ議決ヲ以テ
之ヲ改選スルコトヲ得
郡會解散ノ後選舉結了ニ至ル迄ノ間急施ヲ要スル事件アルトキハ郡長之
ヲ專決處分スルコトヲ得
前項ノ處分ハ次囘ノ郡會ニ於テ認定ヲ受クヘシ
第九十六條左ノ事件ニ關スル郡會ノ議決ハ內務大臣及大藏大臣ノ認可ヲ
受クルコトヲ要ス
-新ニ郡債ヲ起シ又ハ其額ヲ增加シ若クハ償還ノ方法ヲ變更スル事
第九十七條左ノ事件ニ關スル郡會ノ議決ハ內務大臣ノ認可ヲ受クルコト
ヲ要ス
一郡條例ヲ設ケ竝ニ改正スル事
第九十八條左ノ事件ニ關スル郡會ノ議決ハ府縣知事ノ認可ヲ受クルコト
ヨルク
一郡有不動產ノ賣却交換讓渡竝ニ質入書入ノ事
二第七十八條ニ依リ郡內ノ或部分ニ對シ特ニ夫役現品ヲ增課スル事
三第八十一條第二項ニヨリ繼續費ヲ定メ及其年期內ニ議決ヲ變更スル
事
第九十九條府縣知事ハ郡長助役ニ對シ懲戒處分ヲ行フコトヲ得但懲戒處
分ハ譴責及過怠金貳拾五圓以下トス追テ郡吏員ノ懲戒法ヲ設クル迄ハ左
ノ區別ニ從ヒ官吏懲戒例ヲ適用スヘ
一郡長ノ懲戒處分(第六十九條)ニ不服アルモノハ府縣知事ニ訴願シ府
縣知事ノ裁決ニ不服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
二府縣知事ノ懲戒處分ニ不服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
三本條第一項ニ揭載スル郡吏員ノ職務ニ違フコト再三ニ及ヒ又ハ其情
狀重キ者又ハ行狀ヲ亂リ廉耻ヲ失フ者又ハ職務舉ラサル者ハ懲戒裁
判ヲ以テ其職ヲ解クコトヲ得但懲戒裁判ニ依リ解職セラレタル者ハ
退隱料ヲ受クルノ權利ヲ失フモノトス
四懲戒裁判ハ府縣知事其審問ヲ爲シ府縣參事會之ヲ裁決ス其裁決ニ不
服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得郡長ノ解職ニ係ル裁決ハ
上奏シテ之ヲ執行ス
監督官廳ハ懲戒裁判ノ判決前吏員ノ停職ヲ命シ竝ニ給料ヲ停止スル
コトヲ得
第百條郡吏員及使丁其職務ヲ盡サス又ハ權限ヲ超ヘタル事アルカ爲
メ郡ニ對シ賠償スヘキコトアルトキハ府縣參事會之ヲ裁決ス其裁決ニ不
服アル者ハ裁決ヲ交付シ又ハ之ヲ告知シタル日ヨリ十四日以內ニ行政裁
判所ニ出訴スルコトヲ得但出訴ヲナストキハ府縣參事會ハ假ニ其財產ヲ
差押フルコトヲ得
第七章附則
第百一條郡内總町村ノ共有ニ屬スル財產及營造物ハ郡內總町村ノ聯合又
ハ組合ヲ以テ設立セル小學校ヲ除クノ外此法律施行ノ日ヨリ郡ノ所有ニ
歸シ其權利義務共同時ニ郡ニ移ルモノトス
第百二條府縣制ヲ施行スル迄ノ間府縣參事會ニ屬スル職務ハ府縣知事之
ヲ行フ
第百三條島司ヲ置ケル島嶼ニ於テハ別ニ勅令ヲ以テ其制ヲ定ム
第百四條此法律ニ依リ始メテ議員ヲ選舉スルニ付郡會及郡參事會ノ職務
ハ郡長ニ於テ之ヲ行フヘシ
第百五條町村制施行ノ爲メ定ムル直接稅ノ種類ハ此法律ノ施行ニ付テモ
亦適用ス
第百六條此法律施行ノ後ハ町村制第百二十六條第三ニ定ムル附加稅徵收
ノ許可ハ地租ハ七分ノ二其他ノ直接國稅ハ百分ノ七十ヲ超過スルトキ之
ヲ要スルモノトス
第百七條此法律ハ町村制ヲ施行シタル各府縣ニ於テ明治二十九年四月一
日ヨリ施行スルモノトス但內務大臣ハ地方ノ情況ニ依リ期限前ト雖之ヲ
實施スルコトヲ得
第百八條明治十一年七月第十七號布告郡區町村編制法明治二十三年法律
第三十六號郡制其他此法律ニ抵觸スル成規ハ此法律施行ノ日ヨリ總テ之
ヲ廢止ス
第百九條內務大臣ハ此法律施行ノ責ニ任シ之カ爲メ必要ナル命令ヲ發布
スヘシ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/2
-
003・多田作兵衞
○多田作兵衞君(二百六十七番) 提出者デゴザイマス故ニ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/3
-
004・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 御登壇ヲ
〔多田作兵衞君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/4
-
005・多田作兵衞
○多田作兵衞君(二百六十七番) 私ハ本案提出者ノ一人デアッテ、本員ガ提
出致シマシタ趣旨ヲ聊カ陳述致シタウゴザイマス、此郡制改正法律案ハ此二
議會ノ時ヨリ度〓本院ニ提出ニナッテ居リマスルケレドモ、いつも調査委員ノ
手デ調査中ニ解散或ハ閉會ノタメニ遂ニ本議ニ掛リマシタコトノナイ不幸ナ
ル議案デゴザイマス、然ルニ現行-行ハレテ居リマスル所ノ郡制ト云フモ
ノハ日本全國ノ中デ僅ダケ施行ニナッテ居ルノデ其餘ハ中止ノ姿ニナッテ居
リマス、所ガ現行ノ郡制法律案ハ實地ニ施行ヲ致シテアル所ガ不完全ナ廉〓
ガナカ〓〓多ウゴザイマス、中ニ就キマシテ第一ニ選舉法デゴザイマス御
承知ノ通リ郡會議員ノ選舉ハ町村會議員ガ選舉ヲ致シマス縣會議員ハ郡會
ヨリ選舉スルト申スコトニナッテ復選トナッテ居リマス、所ガ此復選ト云フ
コトハちよっと考ヘマスト氣易ウゴザイマス-簡易ニゴザイマス所ガ此
氣易ク簡易ナル所ガ弊害ガアルノデゴザイマス、立憲政體トナリマシテ政黨
ガ必要デアル政黨ノ必要ノアル以上ハ議員選舉ノ競爭ト云フコトノアルト
云フコトハ當リ前ノコトデゴザイマスガ、ドウモ此競爭ト云フコトニ就イテ
ハナカ〓〓弊害ノ出易イモノデゴザイマシテ、其弊害ノ起ルコトヲ舉ゲレバ
脅迫ト云ヒ或ハ賄賂ト云ヒ此脅迫賄賂ト云フコトハ多數ノ人ニ行レ易イモ
ノデゴザイマスガ、小數ノ方ガ行レ易イカト云ヘバドウシテモ小數ノ方ガ
行レ易イノデゴザイマス實ニ此選舉法ニ就イテハ不完全ナコトガ多クゴザ
イマスルガ、其不完全ヲ陳ベテ見マスルト郡會議員ハ町村會議員ガ舉ゲルノ
デアリマシテ、郡會議員ノ人數ハ御承知ノ通リ二十名ト限ッテゴザイマシ
テ、二十名以上ニ增スコトハ出來ナイノデゴザイマス、所ガ實際ノ郡ニナリ
マシテ村ミノ數ハ二十一箇村アル所ハ多々ゴザイマスル、サウ云フ所ハ人口
ノ比例ニ依リマシテ甲乙丙ノ村ヲ組合セ其組合セタ村ヨリ一名若クハ二名ヲ
出スト云フヤウニ致サナクチヤアナラヌノデゴザイマス、所ガ其選舉權ノコ
トニ附イテ大變不公平ノ出來テ居リマスノハドウ云フ所デアルカト申シマ
スト、町村會議員ノ人數ハ御承知ノ通リ千五百戶迄ガ八人デゴザイマス五
千戶未滿ガ十二人トナッテ居リマスト云フヤウニ段々人數ガ多クナッテ居リ
マスルガ、此人數ニハ町村條例ニ依ッテ增減スルコトガ出來ルデゴザイマ
ス、町村條例ニ依リマスルト小村ノ村ノ八人ノ議員ヲ十二人出スコトガ出來
マス、此十二名ノ議員ヲ十八名出スコトガ出來ルト云フ譯デゴザイマス、所デ
町村條例ニ依ッテ適宜ニ村ミデ議員ノ人數ガ增減ガアッテ居ルノデゴザイマ
ス、所ガ此郡會議員ノ-郡會ノ議員ヲ出スノハ町村ヲ合併致シマシテ選ブ
ト云フコトニナルト其議員ハ人口ニ依ッテ割附ケタモノデゴザイマスルケレ
ドモ、實際小村ノ方ガ選舉スル所ノ議員ガ多イト云フヤウナ所ガゴザイマス
ル、實ニサウ云フ所ハ大變不公平ガ出來タタメニ此選舉ガ都合好ク參ラヌノ
ガゴザイマシテ、一町村ハ自治體デアッテ、一家族同樣ノ關係ガゴザイマ
スカラ、人情トシテ自分ノ村ヨリ郡會議員ヲ出シタイト云フノ情ガゴザイマ
ス、ソレカラシテ甲乙ノ村ノ間ニ郡會議員選舉ノ爭ガゴザイマスル、其結局
ハ實際人口ガ多クシテモ人口ノ少ナイ樣ナ所ニ負ケルト云フ傾ガアルタメ
ニ、大變混雜ヲ生ズルノデゴザイマスソレカラ現行法律ハ町村自治ヲ破ル
所ノ弊害ガゴザイマス、ナゼカト申シマスト郡會議員ハ町村會ヨリ得ル、
縣會議員ハ郡會カラ得ルト云フコトデゴザイマスカラ、自ラ黨派ノ爭ガ町
村ト云フ所ニ集ッテ來ルノデゴザイマス、一體町村ハ一家族ノ關係同樣ノモ
ノデ、此町村ニハ及ブコトナレバ政黨ノ爭ト云フモノヲ持込マヌ樣ニセニ
ヤナラヌノデゴザイマス、ケレドモ一縣ノ爭、一郡ノ爭ヨリシテ此自ラ此町
村ニ爭ガ這入リ込ンデ來マシテ、郡會議員縣會議員選舉ノ時ナドハ甚シイ
競爭ガアッテ、町村ノ自治ヲ破ルコトガ多ウゴザイマスソレガ選舉法ノ不
完全ナル所デゴザイマシテ一日モ速ニ改正シタイト云フ所デ、今度ノ改正
案ニハ普通ノ選舉ト致シタ譯デゴザイマス、ソレカラ大地主制ノコトデゴザ
イマス、此大地主ニ郡會議員選舉被選ノ特權ヲ與ヘテアル法律ノ精神ハ則チ
少數ノ地主ヲ多數ノ小民ガ團結シテ制スルト云フ樣ナコトノナイタメニ設
ケタモノデアラウト思ヒマスガ、外國ノ方デ聞ク所ニ依リマスレバ、隨分貧
富ノ度ガ甚シウゴザイマシテ、小民ガ團結シテ地主ニ害ヲ與ヘルト云フ樣ナ
コトモアルカニ聞キマスガ、我國デハ市ト云フ所ハ別段ニ致シマシテ、此郡
ト云フ所ニ至リマスト迚モ小民ガ團結ヲ致シマシテ、少數ノ地主ニ害ヲ與ヘ
ルト云フ樣ナコトハ、實際出來ヌノデゴザイマス、ソレハドウ云フ譯カト申
シマスルト、一體ニ我國ガ人口ガ每ニ殖ヱテ參リマシテ、其割合ニ郡村モ
矢張人口ガ殖ヱテ戶數ガ多クナッテ參リマスノデゴザイマス、所ガ郡村ノ
多數ノ人ハ何ヲ以テ生活ヲ爲シテ居ルカト云ヘバ、田畑ヲ耕作等ヲ致シマ
シテ、微ニ暮シヲ立テヽ居ルノデゴザイマス一方ニハ次第ニ人口ガ殖ヱマ
ス故ニ、田畑ト云フモノハ非常ニ作ル所ノ人ガ多クナッテ參リマスカラシ
テ、地主ノ權力ト云フモノハ大變今日デハ增シテ居ルノデゴザイマス現
ニ申シマスト衆議院議員選舉ノ際ナドハ隨分地主ト地主ノ爭ガゴザイマ
シテ、甲ノ地主ハ乙ノ黨派デアル、乙ノ地主ハいづれノ黨派デアルト云フ樣
ナ時ニ至リマスト、甲ノ地主ヨリモ小作人ハ選舉ノコトデ迫ラレ、乙ノ地
主ヨリモ迫ラレテ、進退谷ッテ權利ヲ棄ツルト云フ樣ナ人モゴザイマス、間
ニハ地主ノ意見ヲ用ヒズシテ選舉シタタメニ、小作ヲ引上ゲラレテ、ソレ
ガタメニ大變難澁シタ例モゴザイマス、ソレ故ニ我國デハ迚モ小民ハ團結
シテ大地主ニ害ヲ與ヘル樣ナコトハナイト私ハ信ジマス、以上ハ此大地主
ノ制ヲ廢シテ普通ノ選舉ト致シテ宜カラウト思フノデゴザイマス、ソレカラ
モウ一ツ申上ゲタウゴザイマスノハ郡長ノ選任ノコトデゴザイマス、本
案デハ市長同樣ニ郡會カラ之ヲ選舉スルト云フコトニ致シテ居リマスルガ、
一體此郡長ト云フ職任ハ知事ニ次キマシテ重イ職任ニハ相違ゴザイマセヌ
ガ、實際仕事ヲシテ往ク所ノコトハ何デアルカト申シマスト、國ノ行政ト云
フ方カラ致シマス仕事ハ收稅ノ事、徵稅ノ事ハ別段ニ役所ガゴザイマス、警
察ノコトモ別段受持ガゴザイマス、山林ノコトモ別段受持ガゴザイマスカラ、
此郡役所デ致シマス所ノ仕事ハ徵兵ノ調トカ、統計ノ書上トカ云フ樣ナ唯事
務上氣易イ所ノ仕事ガ多ウゴザイマス、併シナガラ郡長ノ任ノ重イノハドウ
云フ所デアルカト申シタナラバ、第一町村長ノ身ノ上ヲ監督シテ往カナケ
レバナラヌ所ノモノデゴザイマス、又郡會カラ決議致シマシテサウシテ生ジ
マスル所ノ事柄ヲ實地ニ施行シテ往カナケレバナラヌ所ノモノデゴザイマ
シテ、其事柄タルヤ學校ノ事ナリ或ハ土木ノ事ナリ、或ハ衞生ノ事ナリ、
勸業ノ事ナリ、此實地ノ施行ノ善惡ニ依ッテ大變ニ一郡ノ利害ニ關係ガ及ブ
ノデゴザイマス、所ガ此官選ト云フコトニナリマスト、ドウ云フ所ニ弊ガア
ルカト申セバ、官選ノ役人タル人ハ自分ヲ選任シタル所ノ人ノ意思ヲ始終
窺フト云フノガ人情デゴザイマス、人民ノ意思ヲ用ヒルト云フヨリモ、所謂自
分ヲ選任シタル所ノ長官ノ意ヲ迎ヘルト云フノガ是ハ仕方モナイコトデゴザ
イマス、ソコデゴザイマスカラシテ、始終郡長ノ爲ス所ノ仕事ト人民ノ意思
トガ喰違ヒガ出來マシテ、大ニ混雜ヲ生ズル縣々郡々ガ隨分多イノデゴザイ
マス、一ノ證據ヲ舉ゲテ申シマスト一昨々年選舉干涉ノ時ナドハ非常ノ混
雜ヲ致シマシテ、民政ヲ紊シタ知事ノ手足トナッテ實地ノ働ヲ爲シタ人〓ハ
此郡長デゴザイマス、其後トニナッテ其郡長等ハ隨分悔悟慚悔ヲ致シテ居リ
マスガ嗚呼悲イコトニハ自分達ハコレ〓〓ノ譯合デ惡イ事トハ知リナガ
ラ、長官ノタメニヤッタト云フコトヲ申シテ居ルノガ、所謂官選ノ弊ヲ舉グ
レバ右等ノコトデゴザイマス、ソレカラ是ガ民選ト一云フコトニ相成リマス
ト、年期ヲ附スルノデゴザイマス、民選ノ役人ニハ年限ヲ附ケマス、此年期
ノ間ト云フモノハ政府カラ解職スルコトモ出來マセヌ、無論人民ガ動カスコ
トモ出來ヌノデゴザイマス、年限ノ間ト云フモノハ安心シテ其役目ヲ勤メテ
參ラレルノデゴザイマスカラ、土木ノ事ニ致シマシテモ學校ヲ盛ニシヤウ
ト申シマシテモ、勸業ヲ行屆カシヤウト申シテモ、此郡長ノ仕事ノ積極ノ仕
事ト云フモノハ、半年ヤ一年デ實效ヲ舉グルコトハ出來ヌノデゴザイマス
ガ四年ノ年期ト云フモノヲ附シテ往ケバ、安心シテ此役前ガ勤マッテ積極ノ
事業ガ舉ガルコトデアルト私ハ信ジマス、又費用ト申ス方カラ申シマシテモ
今日ノ郡長ハ奏任官デゴザイマシテ、六百圓八百圓ノ年俸デゴザイマスガ、
之ヲ公選ト云フコトニ致シマスレバ必ズ郡會ガ選任シタル時分ニハ其人ノ
平常ノ行ナリ°C其人ノ一體ノコトヲ知切ッ」テ選舉致シマスルモノデゴザイマ
スル故ニ、大抵其縣下土地ノ人ガ舉ガルノデゴザイマス、其土地ノ人ガ舉ガ
ルノハ實ニ榮譽ノ職デゴザイマス、榮譽ノ者トシテ一郡ノ郡長ヲ務ムルト云
フコトニナルト云フト、年俸三百圓若クハ四百圓デ隨分務メラルヽコトヽ存
ジマス、又郡書記ノコトニ致シマシテモ、今ノ樣ニ官選デ郡長同樣ナコトヲ
シテ居レバ、奧州ノ人ガ九州ニ來ッテ郡長ニナッテ居ル人ガアレバ、九州カ
ラ奧州ニ出タト云フ樣ナ人モアル、ソレデアルカラシテ郡書記ト云フ者ニハ
其土地ニ好イ所ノ人ガゴザリマセウトモ、矢張他縣カラシテ連込ムト云フヤ
ウナ弊ガゴザイマス故ニ其郡ノ其土地デ信任セラレタル所ノ人ガ、其郡ノ
職務ヲ奉ズルヤウニナレバ隨分郡下デ役ニ立ツ所ノ人ヲ採用スルコトガ出來
ルニ相違ナイ、サウ云フコトニナレバ町村役場ノ比例カラ持ッテ往キマシテ
〓、僅ノ少イ給料デモ隨分勤メル人ガアルダラウト思ヒマス、サウ致シマス
ト政費ト云フモノモ大變減ズルノデゴザイマスカラ、旁〓前途ノタメニ此郡
長ハ本案ノ如ク公選ト云フコトニ致シタイト云フ精神デゴザリマスル、ドウ
カ一ツ本案ノ大體ヲ御贊成下サレマシテ、本會ニ於テハ結了スルヤウニ、首
尾好ク此議案ノ貴族院マデ迥ッテ、實地ノ法律ニ施行セラレルヤウニ致シタ
イト、熱心諸君ニ望ムデ置クノデゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/5
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006・西村眞太郎
○西村眞太郞君(二百一番) 本員カラモ郡制改正案ヲ提出シテ居リマスカ
ラ、是モ趣旨相似テ居ルヤウデゴザイマスカラ、併セテ特別委員ニ付セラレ
タイ委員ハ議長ヨリ指名セラレテ、特別委員ニ願ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/6
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007・山本三太郎
○山本三太郞君(九十一一番) 今ノ建議ハ無用ト考ヘマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/7
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008・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 是ハ西村眞太郞君、或ハ工藤行幹君等ヨリ類似ノ議案
ガ多數ゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/8
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009・前川槇造
○前川槇造君(百六十四番) 同一ノ議案ガゴザイマスナレバ、ソレハ纒メマ
シテサウシテ特別委員九名ヲ選ムデ之ニ審査ヲ託スルト云フコトニ致シタイ
ト思ヒマス
(「贊成々々」ノ聲起ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/9
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010・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 百六十四番ノ動議ニ贊成ノ··
(「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕
(「決ヲ採ルニ及バズ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/10
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011・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 議長ノ指名トシテ九名ノ特別委員ヲ選定スルト云フニ
異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/11
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012・小崎義明
○小崎義明君(九十七番) 九十七番ハ異議ガアリマス、不用ト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/12
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013・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 次ハ第二ニ移リマス
第二府縣制改正法律案(田艇吉君外四名提出)第一讀會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/13
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014・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 朗讀ヲ省略致シマス
〔左ノ議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭載ス〕
府縣制
第一章總則
第一款府縣及其區域
第一條府縣ノ廢置分合及府縣境界ノ變更ハ法律ヲ以テ之ヲ定ム
府縣境界ニ當ル郡市町村ノ境界ヲ變更スルトキハ府縣境界モ亦自ラ變更
スルモノトス
本條ノ處分ニ付財產處分ヲ要スルトキハ內務大臣之ヲ定ム但特ニ法律ノ
規定アルモノハ此限ニアラス
第二款府縣條例及規則
第二條府縣ノ公共事務ニシテ此法律中ニ明文ナク又ハ特例ヲ設クルコト
ヲ許セル事項ハ各府縣ニ於テ特ニ條例ヲ設ケテ之ヲ規定スルコトヲ得
府縣ハ其設置ニ係ル營造物ニ關シ規則ヲ設クルコトヲ得
府縣條例及規則ハ法律命令ニ抵觸スルコトヲ得ス
府縣條例及規則ハ各府縣慣行ノ公〓式ニ依リ之ヲ公〓ス可シ
第二章府縣會
第一款組織及選舉
第三條府縣會ハ府縣內郡市ニ於テ選舉シタル議員ヲ以テ之ヲ組織ス
府縣會議員ハ人口五十萬以下ノ府縣ニ於テハ三十人ヲ定員トシ五十萬以
上百萬迄ハ三萬ヲ加フル每ニ一人ヲ增シ百萬以上ハ五萬ヲ加フル每ニ一
人ヲ增ス
郡市配當上ノ便宜ニ依リ府縣條例ヲ以テ前項議員ノ定員ヲ增減スルコト
ヲ得但其增減數ハ定員十分ノ一ニ超ユルヲ得ス
第四條前條ニ定ムル所ノ議員配當法ハ人口ヲ標準トシ府縣會ニ於テ之ヲ
定ム但各郡市ヲシテ少クトモ一人ノ議員ヲ選舉セシムヘシ
東京市京都市大阪市ニ於テハ市ヨリ選出スヘキ議員ノ定數ヲ市内各區ニ
配當スルコトヲ得此場合ニ於テ選舉ニ關スル市長ノ職務ハ區長之ヲ行フ
ヘシ
人口增減ノ爲メ議員ノ定數ニ異同ヲ生シタルトキハ其改選期ヲ待テ之ヲ
增減スヘシ
第五條府縣會議員ノ選舉ハ市町村會議員ノ選舉權ヲ有シ滿一年以上其府
縣內ニ於テ直接國稅年額五圓以上ヲ納メ猶引續納ムル者其郡市內ニ於テ
之ヲ行フ
住居ヲ轉シタル爲メ市町村ノ公民權ヲ失ヒタル者其居住同郡內ニ在リ其
他ノ要件ヲ失ハサルトキハ猶府縣會議員ノ選舉權ヲ有ス
家督ニ依リ財產ヲ相續シタル者ハ前財產主ノ納額ヲ以テ相續者ノ納額ニ
算入スヘシ
第六條市町村會議員ノ被選舉權ヲ有スル者ハ其府縣內ニ於テ府縣會議員
ノ被選舉權ヲ有ス
住居ヲ轉シタル爲メ市町村ノ公民權ヲ失ヒタル者其住居同府縣内ニアリ
其他ノ要件ヲ失ハサルトキハ猶府縣會議員ノ被選舉權ヲ有ス
所屬府視廳トモ〓東原京府ハ醫縣官吏並郡市有給吏員及神官僧侶又ハ諸宗ノ〓師學校
〓員ハ府縣會議員タルコトヲ得ス
府縣會議員ハ貴族院及衆議院ノ議員ヲ相兼ヌルコトヲ得ス
第七條府縣會議員ハ名譽職トス其任期ハ四年トシ每二年其半數ヲ改選ス
若シ其員數二分シ難キトキハ初囘ニ於テ多數ノ一半ヲ解任セシム初回ニ
於テ解任スヘキ者ハ抽籤ヲ以テ之ヲ定ム
退任ノ議員ハ再選セラルヽコトヲ得
第八條議員中缺員アルトキハ遲クトモ三箇月以內ニ補缺選舉ヲ行フヘシ
補缺議員ハ其前任者ノ殘任期間在職スルモノトス
第九條府縣會議員ノ選舉ハ府縣知事ノ告示ニ依リ郡市長之ヲ行フヘシ
第十條通常選舉ハ三月中府縣內同日ニ之ヲ行フヘシ
前項ノ時期ハ府縣ノ情況ニ依リ府縣知事ハ議會ノ決議ヲ經テ之ヲ變更ス
ルコトヲ得
第十一條町村長ハ每年九月十五日ヲ期トシ其町村內ノ選舉人名簿ヲ調製
シ其副本ヲ十月一日迄ニ郡長ニ出スヘシ
郡長ハ町村長ヨリ出セシ處ノ名簿ニ依リ每年十月十五日ヲ期トシ其郡内
ノ選舉人名簿ヲ調製スヘシ
第十二條市長ハ每年九月十五日ヲ期トシ其市內ノ選舉人名簿ヲ調製スヘ
第十三條選舉人名簿ニハ選舉人ノ氏名住所生年月納ムル處ノ直接國稅額
並ニ其納稅地ヲ記載スヘシ
第十四條選舉人其住居スル市町村外ニ於テ直接國稅ヲ納ムルトキハ其納
稅地ノ市町村長ノ證明書ヲ添ヘ選舉人名簿調製ノ期日迄ニ其住居地ノ市
町村長若クハ區長ニ屆出ヘシ
前項ノ屆出ヲ爲サヽル者ハ其納稅額ハ選舉資格ニ算入セス
第十五條郡市長ハ十月二十日ヨリ十五日間其郡市役所ニ於テ郡市内選舉
人名簿ノ寫ヲ關係者ノ縱覽ニ供スヘシ
第十六條選舉資格アル者選舉人名簿ニ脫漏又ハ誤載アルコトヲ發見シタ
ルトキハ其理由書及證憑ヲ具シテ縱覽期限內ニ之ヲ郡市長ニ申立ツヘシ
郡市長ハ其申立ヲ受ケタル日ヨリ十日以内ニ審査判定シ人名簿ヲ訂正ス
ヘキトキハ直ニ之ヲ訂正シ其旨ヲ郡市內ニ告示シ且當人及當人住居地ノ
町村長又ハ區長ニ通知スヘシ
第十七條申立人又ハ被告人ニ於テ郡市長ノ判定ニ不服アルトキハ判定ノ
日ヨリ七日以內ニ府縣參事會ニ訴願スルコトヲ得府縣參事會ノ裁決ニ不
服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得但訴願又ハ訴訟ノ爲メ其施
行ヲ停止スルコトヲ得ス
第十八條選舉人名簿ハ十一月十五日ヲ以テ確定期限トス
此期限ヲ經過シタル名簿ハ次年ノ改正期日マテ之ヲ据置臨時ノ選舉ニモ
亦之ヲ使用スルモノトス
確定名簿ト雖府縣參事會ノ裁決ニ依リ又ハ裁判申渡ニ依リ訂正スヘキモ
ノハ郡市長ニ於テ其通知ヲ受ケタル時ヨリ二十四時以內ニ之ヲ訂正シ其
旨ヲ郡市內ニ告示シ且當人及當人住居地ノ町村長又ハ區長ニ通知スヘシ」
名簿ニ記入シアル人名中死亡若クハ選舉權ヲ失ヒタル者アルトキハ市町
村長ハ其旨ヲ記載シ町村長ハ選舉期日前ニ之ヲ郡長ニ屆出郡市長ハ之ヲ
郡市內ニ告示スヘシ
第十九條議員ヲ選舉スヘキ時ハ少クトモ一箇月前ニ投票並選舉會ノ月日
投票時限及選舉ヲ行フヘキ郡市ノ名選舉スヘキ議員ノ數ヲ記シ府縣知事
ハ之ヲ管內ニ告示スヘシ
第二十條投票所並投票及選舉會當選等ノ規定ハ明治二十二年二月法律第
三號衆議院議員選舉法第三十一條ヨリ第六十五條マテヲ適用ス但投票ハ
午前八時ニ始メ午後五時ニ終ヘ投票〓檢ハ投票函送達ノ日直ニ之ヲ行フ
コトヲ得
投票所取締ノ規定ハ衆議院議員選舉法第六十九條ヨリ第七十七條マテヲ
適用ス本條ニ適用スル衆議院議員選舉法中選舉長トアルヲ郡市長トス
第二十一條府縣會議員選舉ニ關スル罰則ハ明治二十三年五月法律第三十
九號市町村會議員選舉罰則ヲ適用ス
第二十二條投票及選舉ノ効力ニ關シ異議アル者ハ其理由ヲ具シテ府縣參
事會ニ訴願スルコトヲ得府縣參事會ノ裁決ニ不服アル者ハ行政裁判所ニ
出訴スルコトヲ得但訴願又ハ訴訟ノ爲メニ其執行ヲ停止スルコトナシ
第二十三條當選人其當選ノ際資格ノ要件ヲ有セサルコト發覺スルトキハ
其當選ヲ無効トス
當選人當選後資格ノ要件ヲ失フトキハ議員ノ職ヲ失フモノトス
第二款職務權限及處務規程
第二十四條府縣會ノ議決スヘキ事件左ノ如シ
一府縣條例及規則ヲ設クル事
二府縣ノ歲入出豫算ヲ定ムル事
三決算報告ヲ認定スル事
四府縣稅ノ賦課及徵收方法ヲ定ムル事
五府縣有不動產ノ賣買交換讓渡讓受並ニ質入書入ノ事
六歲入出豫算ヲ以テ定ムルモノヲ除ク外新ニ義務ノ負擔ヲ爲シ及權利
ノ棄却ヲ爲ス事
七府縣有財產ノ管理及營造物ノ維持方法ヲ定ムル事
第二十五條府縣會議員ハ其權限ニ屬スル事項ニ付議案ヲ提出スルコトヲ
得
第二十六條府縣會ハ其權限ニ屬スル事件ヲ府縣參事會ニ委任スルコトヲ
得
第二十七條府縣會ハ官廳ノ諮問アルトキハ意見ヲ陳述スヘシ
府縣會ハ其府縣ノ全部又ハ一部ノ利害ニ關スル事件ニ付府縣知事又ハ內
務大臣ニ建議スルコトヲ得
第二十八條府縣會ハ其議員資格ノ有無及選舉ノ効力ニ關シ府縣知事ノ請
求ニ依リ又ハ議員三名以上ノ發議ニ依リ自ラ之ヲ議決スルコトヲ得但先
キニ府縣參事會ノ裁決若クハ裁判言渡アリタル同一ノ事件ニ付議決スル
コトヲ得ス
議員資格審査ノ動議アルモ其資格ナキコトヲ證明セラルヽニ至ル迄ハ議
會ニ於テ位列及發言ノ權ヲ失ハス但自身ノ資格審査ニ關ル會議ニ對シテ
ハ辯明スルコトヲ得ルモ其表決ニ與ルコトヲ得ス
本條ノ議決ニ不服アルモノハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得此場合ニ於
テハ裁判確定スルニ非サレハ更ニ選舉ヲ爲スコトヲ得ス
第二十九條府縣會ハ議長副議長各一名ヲ互選スヘシ其任期ハ二年トス
議長副議長辭職又ハ其他ノ事故ニ依リ缺位トナリタルトキハ後任者ヲ互
選スヘシ其後任者ハ前任者ノ殘任期間在職スルモノトス
議長副議長共ニ故障アルトキハ臨時議長ヲ互選スヘシ
第三十條府縣會ニ於テ議長副議長及名譽職參事會員ノ選舉ヲ行フトキハ
匿名投票ヲ爲シ有効投票ノ過半數ヲ得タル者ヲ以テ當選トス若シ過半數
ヲ得タル者ナキトキハ最多數ヲ得タル者定員ノ倍數ヲ取リ之ニ就テ決選
投票セシム其倍數ヲ取ルニ當リ同數者アルトキハ年長ヲ取リ同年ナレハ
議長若クハ假議長自ラ抽籤シテ之ヲ定ム此決選投票ニ於テハ最多數ヲ得
タル者ヲ以テ當選トシ若シ同數ナレハ年長ヲ取リ同年ナレハ抽籤ヲ以テ
當選ヲ定ム其他ハ郡制第十六條第十七條第十八條ヲ適用ス
議長選舉ノ場合ニハ議員中ノ年長者ヲ以テ假議長トス
第三十一條府縣知事若クハ特ニ委任ヲ受ケタル府縣官吏ハ府縣會ノ議事
ニ參與スルコトヲ得但議決ノ數ニ加ハルコトヲ得ス
第三十二條府縣會ハ每年一囘十一月ニ於テ通常會ヲ開ク通常會期ハ三十
日以內トス其他必要アルトキハ其事件ニ限リ七日以內ヲ會期トシ臨時會
ヲ開クコトヲ得
郡市ヲ分別シタル府縣會ハ其議決ヲ以テ十日以內通常會期ヲ延長スルコ
トヲ得
府縣會ハ府縣知事之ヲ招集ス其招集ハ開會ノ日ヨリ十四日前迄ニ〓示ス
ヘシ但臨時急施ヲ要スル場合ハ此限ニアラス
府縣會ハ府縣知事之ヲ開閉ス
第三十三條府縣會ハ議員半數以上出席スルニ非サレハ會議ヲ開キ議決ヲ
爲スコトヲ得ス
第三十四條府縣會ノ議決ハ過半數ニ依ル可否同數ナルトキハ議長ノ決ス
ル所ニ依ル
第三十五條府縣會議員ハ選舉人ノ指示若クハ委囑ヲ受クヘカラサルモノ
トス
第三十六條府縣會議員ハ自己及其父母兄弟若クハ妻子ノ一身上ニ關スル
事件ニ付テハ議會ノ承諾ヲ經ルニ非サレハ府縣會ノ議事ニ參與シ又ハ議
決ニ加ハルコトヲ得ス
第三十七條府縣會ノ會議ハ公開ス但議長ノ意見又ハ府縣知事ノ要求若ク
ハ議員五名以上ノ發議ニ依リ可決シタルトキハ傍聽ヲ禁止スルコトヲ得
此場合ニ於テハ討論ヲ用ヒスシテ其可否ヲ決スヘシ
第三十八條府縣會ノ職權ニ屬スル事件ニシテ專ラ市ニ關スルモノト郡ニ
關スルモノト分別スルコトヲ要スルモノアルトキハ府縣會ノ議決ニ依リ
之ヲ分別スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ郡部議員市部議員ニ於テ各臨時議長ヲ互選スヘシ
第三十九條議長ハ議事ノ順序ヲ定メ會議及選舉ノ事ヲ總理シ其日ノ會議
ヲ開閉シ議場ノ秩序ヲ保持ス
第四十條府縣會議員ハ議場ニ於テ發言シタル意見及表決ニ付議場外ニ
於テ責ヲ負フコトナシ
第四十一條會議中此法律若クハ議事規則ニ違ヒ其他議場ノ秩序ヲ紊ル議
員アルトキハ議長ハ之ヲ警戒シ又ハ制止シ又ハ發言ヲ取消サシム命ニ從
ハサルトキハ議長ハ當日ノ會議ヲ終ル迄發言ヲ禁止シ又ハ議場外ニ退去
セシム若シ强抗ニ涉ル者アルトキハ警察官ヲシテ之ヲ退去セシムルコト
ヲ得
議場騒擾ニシテ整理シ難キトキハ議長ハ當日ノ會議ヲ中止シ又ハ之ヲ閉
ツルコトヲ得
第四十二條議員議場ノ秩序ヲ紊ルコト二囘以上ニ及フ者アルトキハ議長
又ハ議員ノ發議ニ依リ議會ノ議決ヲ以テ七日以內其出席ヲ停止スルコト
ヲ得
第四十三條傍聽人公然可否ヲ表シ又ハ喧騒ニ涉リ其他議事ノ妨害ヲ爲ス
モノアルトキハ議長ハ之ヲ制止シ若シ命ニ從ハサルトキハ警察官ヲシテ
之ヲ退場セシムルコトヲ得
傍聽席騒擾ナルトキハ議長ハ總テノ傍聽人ヲ退場セシムルコトヲ得
第四十四條第四十一條第四十三條ニ依リ議長ノ命ニ應セシムル爲メ府縣
知事東京府ハ警視總監ハ每會期警察官ニ議場掛專務ヲ命スヘシ
第四十五條府縣會ニ書記ヲ置キ議長ニ隸屬シテ庶務ヲ處理セシム
書記ハ議長之ヲ選任ス
第四十六條府縣會ハ書記ヲシテ議事錄ヲ製シ議決及選舉ノ〓末並ニ出席
議員ノ氏名ヲ記錄セシムヘシ議事錄ハ議長及議員二名以上之ニ署名スル
ヲ要ス其議員ハ會議ノ初ニ於テ之ヲ定メ議事錄中ニ其氏名ヲ記載シ置ク
->
第四十七條府縣會ハ議事規則及傍聽人取締規則ヲ設クヘシ
第三章
第一款府縣參事會及府縣吏員委員ノ組織選任
第四十八條府縣ニ府縣參事會ヲ置キ府縣知事及府縣高等官一名名譽職參
事會員ヲ以テ之ヲ組織ス
郡市ヲ分別シタル府縣ノ名譽職參事會員ハ六名以上十名以下トシ其員數
及郡市ノ配當法ハ府縣會ノ議決ニ依ル
郡市ヲ分別セサル府縣ノ名譽職參事會員ハ四名以上六名以下トシ其員數
ハ府縣會ノ議決ニ依ル
第四十九條高等官ヲ以テスル府縣參事會員ハ內務大臣之ヲ命ス
第五十條府縣會ハ名譽職參事會員ヲ其議員中ヨリ互選スヘシ郡市ヲ分
別シタル府縣ノ名譽職參事會員ハ郡市各別ニ之ヲ選舉スルモノトス
府縣會ハ每通常會ニ於テ名譽職參事會員ノ補充員トシテ正員ト同數ヲ互
選シ缺員アルトキハ府縣知事ニ於テ補充員中投票多數ノ順次ニ依リ之ヲ
補充シ仍缺員ヲ生スルトキハ二箇月以内ニ臨時補闕選舉ヲ行フヘシ但其
補充シタル者ハ前任者ノ殘任期中在職スルモノトス
第五十一條府縣參事會ハ府縣知事ヲ以テ議長トス議長故障アルトキハ出
席會員中ヨリ臨時議長ヲ互選スヘシ
第五十二條名譽職參事會員ノ任期ハ二箇年トシ議員改選每ニ之ヲ改選ス
但任期滿限ノ後ト雖後任者就職ノ日マテ在職スルモノトス
第五十三條府縣知事ハ府縣會ノ議決ニ依リ府縣ノ費用ヲ以テ府縣有財
產若クハ營造物ノ管理又ハ土木工事ニ必要ナル有給ノ府縣吏員ヲ置クコ
トヲ得但府縣吏員ハ府縣知事ニ於テ之ヲ任免監督ス
前項府縣吏員ノ給料手當及退隱料等ハ府縣會ノ議決スル所ニ依ル其身元
保證金ヲ要スルトキ其金額ヲ定ムルモ亦同シ
第五十四條府縣知事ハ府縣會ノ議決ヲ經テ臨時又ハ常設ノ委員ヲ置キ府
縣事務ノ一部ヲ調査セシメ又ハ府縣有財產及營造物ノ一部ヲ管理セシム
ルコトヲ得其選舉又ハ選任ノ方法及任期ハ府縣會ノ議決スル所ニ依ル
常設委員ノ組織及職務權限ニ關シテハ府縣條例ヲ以テ規定ヲ設クルコト
ヲ得委員ハ名譽職トス
第二款府縣參事會並ニ府縣吏員ノ職務權限及處務規定
第五十五條府縣參事會ノ職務權限左ノ如シ
府縣會ノ議決及府縣條例ノ執行ニ關スル府縣令ヲ議決スル事
二府縣會ノ權限ニ屬スル事件ニシテ其委任ヲ受ケタルモノヲ議決スル
事
三府縣會ノ權限ニ屬スル事件ニシテ臨時急施ヲ要シ府縣知事ニ於テ府
縣會ヲ招集スルノ暇ナシト認ムルトキハ府縣會ニ代テ議決ヲ爲ス事
四府縣會ノ定メタル方法ノ範圍內ニ於テ府縣有財產ノ管理又ハ營造物
ノ維持ニ關シ必要ナル事件ニ付議決ヲ爲ス事
五府縣ノ費用ヲ以テ支辨スル工事ノ方法順序其他必要ナル事件ニ付議
決ヲ爲ス事
六府縣會ノ議案ニ付キ府縣知事ニ對シ意見ヲ述ヘ及會議ニ報告スル事
七官廳ノ諮問ニ對シ意見ヲ述フル事
八臨時必要アルトキ府縣ノ出納ヲ檢査スル事
第五十六條府縣參事會ハ府縣知事之ヲ招集ス會員半數以上ノ請求アルト
キハ府縣知事ハ府縣參事會ヲ招集スヘシ
第五十七條府縣參事會ノ會議ハ府縣會議員ノ外傍聽ヲ許サス但府縣參事
會ノ議決ニ依リ議員ノ傍聽ヲ禁スルコトヲ得
第五十八條府縣參事會ハ名譽職參事會員半數以上出席スルニ非サレハ會
議ヲ開キ議決ヲ爲スコトヲ得ス但第五十四條第三ノ議決ヲ爲ストキハ高
等官會員ハ其議決ニ加ハラサルモノトス
府縣參事會ノ議決ハ過半數ニ依ル可否同數ナルトキハ議長ノ決スル所ニ
依ル
議決ノ事件ハ之ヲ議事錄ニ記載シ議長及參事會員二名以上之ニ署名スヘ
第五十九條府縣參事會員ハ自己及其父母兄弟若クハ妻子ノ一身上ニ關ス
ル事件ニ付府縣參事會ノ議事ニ參與シ及議決ニ加ハルコトヲ得ス
前項規定ノ爲メ出席ノ參事會員減少シテ正當ノ府縣參事會ヲ開クコトヲ
得サルトキハ府縣知事ハ補充員ヲ以テ臨時ニ之ニ充テ仍其數ヲ得サルト
キハ府縣會議員ニシテ該事件ニ關係ナキ者ヨリ臨時ニ指名シ參事會員ノ
不足ヲ補充シテ第四十八條ノ定數ニ滿タシムヘシ
第六十條市制町村制ノ規定ニ依リ府縣參事會ノ權限ニ屬スル事件ニシ
テ二府縣以上ノ郡市町村ニ交涉スルモノアルトキハ其府縣知事ノ具狀ニ
依リ內務大臣ニ於テ其事件ヲ管理スヘキ府縣參事會ヲ指定スヘシ
第六十一條郡市分別シタル府縣參事會ノ職權ニ屬スル事件ニシテ專ラ市
ニ關スルモノハ其郡部參事會員ニ於テ其事件ノ議事ニ參與シ及議決ニ加
ハルコトヲ得ス其郡ニ關スルモノハ市部參事會員ニ於テ其議事ニ參與シ
及議決ニ加ハルコトヲ得ス
第六十二條府縣知事ハ府縣會及府縣參事會ノ議決ヲ施行シ府縣有財產及
營造物ヲ管理シ並ニ府縣ノ費用ヲ以テ支辨スル工事ヲ執行ス
第六十三條府縣會ニ於テ名譽職參事會員ヲ選舉セス又ハ府縣參事會成立
セス又ハ招集ニ應セサルトキハ參事會成立シ又ハ招集ニ應スル迄府縣知
事ハ府縣參事會ノ權限ニ屬スル事件ヲ專決處分スルコトヲ得
非常事變ニ際シ府縣參事會ヲ招集スルノ暇ナク又ハ名譽職參事會員ノ出
席半數以上ニ至ラサルトキハ府縣知事ハ府縣參事會ノ權限ニ屬スル事件
ヲ專決處分スルコトヲ得
本條ノ處分ハ次囘ノ府縣會ニ於テ認定ヲ受クヘシ
第四章府縣ノ會計
第六十四條府縣稅及備荒儲蓄金ノ經濟ニ屬スル財產及營造物並ニ備荒儲
蓄金ハ此法律施行ノ日ヨリ府縣ノ所有トス
第六十五條府縣有財產ノ賣買貸借又ハ建築工事及物品調達ノ請負ハ總テ
公ノ競爭ニ付スヘシ但特ニ府縣會ノ承認ヲ得ルモノハ此限ニアラス
府縣會ハ府縣條例ヲ以テ前項ニ關スル規定ヲ設クルコトヲ得
第六十六條府縣ノ權利義務ニ屬スル諸費及法律命令若クハ慣例ニ依リ府
縣ノ負擔トナルヘキ事務ニ關スル費用ハ府縣ニ於テ之ヲ支辨スヘシ
第六十七條名譽職參事會員及委員ニハ族費滯在手當及出務日當ヲ給スル
コトヲ得府縣會議員ニハ旅費及滯在手當ニ限リ之ヲ給スルコトヲ得
府縣會ハ前項ニ關スル支給額及方法ヲ規定スルコトヲ得
第六十八條府縣ノ支出ハ府縣稅其他府縣ノ收入ヲ以テ之ニ充ツ
第六十九條府縣稅目及其賦課徵收方法ニ關スル規定ハ此法律ニ依リ變更
シタルモノヲ除クノ外從前地方稅ニ關スル規定ニ依ル
第七十條府縣知事ハ府縣會ノ決議ニ依リ內務大臣及大藏大臣ノ許可ヲ
受ケ其府縣ノ全部若クハ市制施行ノ地ニ家屋稅ヲ賦課スルコトヲ得但家
屋稅賦課ノ地ニ於テハ戶數割ヲ賦課スルコトヲ得ス
第七十一條府縣內ニ土地家屋ヲ所有シ又ハ店舗ヲ定メテ營業ヲ爲ス者ハ
其土地家屋營業ニ對シテ賦課スル府縣稅ヲ納ムルモノトス其法人タルト
キモ亦同シ但郵便電信及官設鐵道ノ業ハ此限ニアラス
府縣稅ノ賦課ニ付テハ納稅者カ其府縣外ニ於テ店舗ヲ定メタル營業ノ收
入ヲ其標準ニ算入スルコトヲ得ス
第七十二條府縣會ハ各市町村內ニ於テ徵收スル府縣稅賦課ノ細目ニ係ル
事項ヲ關係市町村會ノ議決ニ付スルコトヲ得
前項市町村會ノ議決ハ法律命令又ハ府縣會ノ議決ニ抵觸スルコトヲ得ス」
市町村會ニ於テ府縣會ノ指定シタル期限內ニ其議決ヲ爲サヽルトキハ府
縣參事會之ヲ議決スヘシ
第七十三條府縣稅ノ免除ハ市町村稅免除ノ規定ニ依ル
第七十四條府縣會ハ府縣内郡市町村ノ土木工事又ハ府縣內ノ〓育衞生勸
業及慈善ノ事業若クハ營造物ニ對シ補助金ヲ與フルノ議決ヲ爲スコトヲ
得
第七十五條府議會ハ家屋稅又ハ戶數割ノ全部又ハ一部ノ代納トシテ府縣
費用ヲ以テ支辨スル事業ニ對シ夫役又ハ現品ヲ出スヲ許スコトヲ得
第七十六條府縣稅ハ法律命令ヲ以テ別段ノ規定ヲ設クルモノヲ除クノ外
市町村長ニ於テ市町村稅徵收ノ手續ニ依リ之ヲ徵收ス
第七十七條府縣稅ノ賦課ニ對シ錯誤アルコトヲ發見シタル者ハ徵稅傳令
書ノ交付後三箇月以內ニ其傳令書ヲ發シタル廳ニ申立ツルコトヲ得但申
立ノ爲メ其納稅ヲ拒ムコトヲ得ス
第七十八條前條ノ申立ヲ爲シタル後二十一日以內ニ其更正ヲ得サルトキ
又ハ其更正ヲ得ルモ之ニ不足アルトキハ十四日以內ニ郡參事會ニ訴願シ
郡參事會ノ裁決ニ不服アルトキハ府縣參事會ニ訴願シ府縣參事會ノ裁決
ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得但市ニ在テハ府縣參事
會ニ訴願シ府縣參事會ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコ
トヲ得
第七十九條府縣稅ノ免稅若クハ延期ハ特別ノ事情アルモノニ限リ府縣知
事ニ於テ府縣參事會ノ議決ヲ經テ之ヲ許スコトヲ得
府縣稅ノ滯納處分ハ國稅滯納處分法ニ依ル
第八十條郡市分別シタル府縣ニ在テハ府縣ノ支出ニ充ツヘキ府縣稅ヲ
市部及郡部ニ分賦ス其割合ハ府縣會ニ於テ之ヲ議決シ內務大臣ノ認可ヲ
受ケテ施行スヘシ但市部ノ分賊額ハ市ニ於テ之ヲ市ノ豫算ニ編入シ市稅
トシテ徵收シ其總額ヲ府縣金庫ニ納ムルコトヲ得
第八十一條府縣內ノ或部分ニ對シ特ニ利益アル土木事業ヲ起ストキハ府
縣會ノ議決ニ依リ該部分ニ對シ通常府縣稅賦課ノ外其利益ノ厚薄ニ應シ
特ニ夫役現品ヲ增課スルコトヲ得
第八十二條府縣ハ其舊債元額ヲ償還スル爲メ又ハ天災事變ノ爲メ巳ヲ得
サル支出又ハ府縣ノ永久ノ利益ト爲ル可キ支出ヲ要スルニ方リ府縣ノ負
擔ニ堪ヘサルノ場合ニ限リ府縣會ノ議決ヲ以テ府縣債ヲ起スコトヲ得
府縣債ヲ起スノ議決ヲ爲ストキハ併セテ起債ノ方法利足ノ定率及償還ノ
方法ヲ定ムヘシ
府縣債償還ノ初期ハ三年以內ト爲シ年々償還步合ヲ定メ起債ノ時ヨリ三
十年以內ニ還了スヘシ
歲入出豫算ノ支出ヲ爲スカ爲メ必要ナル一時ノ借入金ニシテ其年度內ノ
收入ヲ以テ償還スヘキモノハ本條ノ例ニ依ルノ限ニアラス但府縣參事會
ノ議決ヲ經ルコトヲ要ス
第八十三條府縣知事ハ每年其翌年度ニ係ル歳入出豫算ヲ調製スヘシ但府
縣ノ會計年度ハ政府ノ會計年度ニ同シ
豫算ハ府縣會ノ議決ニ付スル前府縣參事會ノ審査ニ付スヘシ若シ府縣知
事ト府縣參事會ト意見ヲ異ニスルトキハ知事ハ參事會ノ意見ヲ豫算ニ添
ヘ府縣會ニ提出スヘシ追加又ハ臨時ノ豫算ニ付テモ亦同シ
內務大臣ハ省令ヲ以テ豫算調製ノ式ヲ定メ並ニ費目流用ニ關スル規定ヲ
設クルコトヲ得
第八十四條豫算ハ每年府縣會ノ議決ヲ取リ之ヲ內務大臣ニ報告シ並ニ府
縣ノ公告式ニ依リ其要領ヲ告示スヘシ追加又ハ臨時ノ豫算ヲ議決シタル
場合ニ於テモ亦同シ
府縣ノ費用ヲ以テ支辨スル事業ニシテ數年ヲ期シ施行スヘキモノ又ハ數
年ヲ期シテ費用ヲ支出スヘキモノハ府縣會ノ議決ヲ以テ其年期間各年度
ノ支出額ヲ定メ繼續費ト爲スコトヲ得
豫算ヲ府縣會ニ提出スルトキハ府縣知事ハ併セテ其府縣有財產表ヲ提出
スヘシ
第八十五條歲入出豫算中ニ豫備費ヲ設クヘシ豫備費ハ府縣知事ニ於テ府
縣參事會ノ議決ヲ經テ已ムヲ得サル豫算外ノ支出又ハ豫算超過ノ支出ニ
充ツルコトヲ得但府縣會ノ否決シタル費途ニ充ツルコトヲ得ス
第八十六條府縣ノ收支命令ハ府縣知事之ヲ發スヘシ
第八十七條會計事務ヲ管理スル官吏ハ前條ノ命令アルニ非サレハ支拂ヲ
爲スコトヲ得ス又其命令アルモ支出ノ豫算ナキカ若クハ豫備費支出及費
目流用ノ規定ニ依ラサルトキハ支拂ヲ爲スコトヲ得ス
第八十八條決算ハ會計事務ヲ管理スル官吏ニ於テ會計年度後三箇月以內
ニ之ヲ府縣知事ニ提出シ府縣知事ハ府縣參事會ヲシテ之ヲ檢查セシメ次
囘ノ通常府縣會ノ認定ニ付スヘシ
決算報告書並ニ之ニ關スル府縣會ノ議決ハ府縣知事ヨリ之ヲ內務大臣ニ
報告シ並ニ決算ハ府縣ノ公告式ニ依リ其要領ヲ告示スヘシ
第五章監督
第八十九條府縣行政ハ內務大臣之ヲ監督ス
第九十條府縣ノ行政ニ關スル訴願ハ其事件ノ處分若クハ裁決ヲ受ケタ
ル日ヨリ二十一日以內ニ其理由ヲ具シテ内務大臣ニ提出スヘシ
此法律ニ指定スル場合ニ於テ府縣知事ノ處分又ハ府縣參事會ノ裁決ニ不
服アリテ行政裁判所ニ出訴セントスル者ハ裁決ヲ受ケタル日ヨリ二十一
日以內ニ出訴スヘシ但特ニ訴願又ハ出訴日限ヲ規定スルモノハ其規定ニ
依ルヘシ
行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得ヘキ場合ニ於テハ內務大臣ニ訴願スルコ
トヲ得ス
第九十一條內務大臣ハ府縣行政ノ法律命令ニ背戾セサルヤ其事務錯亂澁
滯セサルヤ否ヲ監視スヘシ內務大臣ハ之カ爲メ行政事務ニ關シテ報告ヲ
爲サシメ豫算及決算等ノ書類帳簿ヲ徵シ並ニ實地ニ就テ事務ノ現況ヲ視
察シ出納ヲ檢閱スルノ權ヲ有ス
第九十二條府縣會又ハ府縣參事會ノ議決公益ヲ害スト認ムルトキハ府縣
知事ハ其理由ヲ示シテ之ヲ再議セシムルコトヲ得猶其議決ヲ改メサルト
キハ直ニ內務大臣ニ具狀シテ指揮ヲ請フヘシ
府縣會又ハ府縣參事會ノ議決其權限ヲ超エ又ハ法律命令ニ背クト認ムル
トキハ府縣知事ハ其議決ヲ取消スヘシ此場合ニ於テ府縣知事ノ處分ニ不
服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第九十三條府縣會又ハ府縣參事會ニ於テ法律命令又ハ慣行ニ依テ府縣ノ
負擔ニ屬スル行政上又ハ公益上ニ關スルノ費用ヲ否決シ又ハ議決スト雖
必要ノ給需ヲ缺クトキハ府縣知事ハ內務大臣ニ具狀シ其指揮ヲ請フヘシ
內務大臣ハ原案ノ金額以內ニ於テ適當ノ金額ヲ定メ指揮スルコトヲ得
第九十四條府縣會招集ニ應セス又ハ成立セサルトキハ府縣知事ハ內務大
臣ノ指揮ヲ請ヒ處分スルコトヲ得
前項ノ處分ハ次囘ノ府縣會ニ報告スヘシ
第九十五條府縣會又ハ府縣參事會ニ於テ其議決スヘキ議案ヲ議決セス又
ハ第三十二條第一項ニ定メタル期限ニ議了セサル場合ニ於テ其事緊急ヲ
要スルトキハ府縣知事ハ內務大臣ニ具狀シ其指揮ヲ請フヘシ內務大臣ハ
原案金額以內ニ於テ適當ノ金額ヲ定メ指揮スルコトヲ得
第九十六條內務大臣ハ府縣條例又ハ府縣會ノ規定公益ヲ害シ法律命令ニ
背キ又ハ權限ヲ犯スモノアリト認ムルトキハ之ヲ取消シ又ハ中止セシム
ルコトヲ得
第九十七條府縣會ノ解散ハ勅令ヲ以テス此場合ニ於テハ三箇月以內ニ議
員ヲ選舉スヘシ
前項解散ノ場合ニ於テハ名譽職參事會員モ亦解職スルモノトス
府縣會解散後選舉結了ニ至ル迄ノ間急施ヲ要スル事件アルトキハ府縣知
事ハ專決處分スルコトヲ得
前項ノ處分ハ次囘ノ府縣會ニ於テ認定ヲ受クヘシ
第九十八條左ノ事件ニ關スル府縣會ノ議決ハ內務大臣及大藏大臣ノ許可
ヲ受クルコトヲ要ス
一新ニ府縣債ヲ起シ又ハ其額ヲ增加シ若クハ償還ノ方法ヲ變更スル事
地租四分ノ一ヲ超過スル府縣稅ヲ土地ニ賦課スル事
三法律勅令ノ規定ニ依リ官廳ヨリ下渡ス步合金ニ對シ支出金額ヲ定ム
ル事
第九十九條左ノ事件ニ關スル府縣會ノ議決ハ內務大臣ノ認可ヲ受クルコ
トヲ要ス
一府縣條例ヲ設ケ並ニ改正スル事
二府縣有不動產ノ賣却讓渡並ニ質入書入ノ事
三第八十一條ニ依リ府縣內ノ或部分ニ對シ特ニ夫役現品ヲ增課スル事
四第八十四條第二項ニ依リ繼續費ヲ定メ及其年期內ニ議決ヲ變更スル
事
第六章附則
第百條市制町村制實施ノ爲メ定ムル直接稅ノ種類ハ此法律ノ施行ニ付
テモ亦之ヲ適用ス市制町村制郡制及此法律施行ノ爲メ將來ノ諸稅ニ付直
接稅トナスヘキモノハ內務大臣大藏大臣之ヲ告示スヘシ
第百一條此法律ハ郡制ヲ施行シタル各府縣ニ施行スルモノトス其施行ハ
明治二十九年七月一日ヨリ施行スルモノトス但內務大臣ハ地方ノ情況ニ
依リ期限前ト雖之ヲ實施スルコトヲ得
第百二條此法律施行ノ後ハ市制第百二十二條第三ニ定ムル附加稅徵收ノ
許可ハ郡市分別シタル市ニ在リテ地租二分ノ一其他市ニ在テハ四分ノ一
其他ノ直接國稅ニ於テハ其稅額ヲ超過スルトキ之ヲ要スルモノトス
第百三條府縣内ニ在ル島嶼ノ其本地ニ對スル關係ニ付テハ勅令ヲ以テ特
例ヲ設ク
第百四條明治十三年四月第十五號布告府縣會規則明治十四年二月第八號
布告區郡部會規則明治二十二年二月法律第六號府縣會議員選舉規則其他
此法律ニ牴觸スル成規ハ此法律施行ノ府縣ニ於テ其施行時期ヨリ總テ之
ヲ廢止ス
第百五條內務大臣ハ此法律施行ノ責ニ任シ之カ爲メ必要ナル命令ヲ發布
スヘシ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/14
-
015・多田作兵衞
○多田作兵衞君(二百六十七番) 簡單デゴザイマスガ、是カラ述ベテ宜シウ
ゴザイマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/15
-
016・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 宜シイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/16
-
017・多田作兵衞
○多田作兵衞君(二百六十七番) 發案ノ趣旨ハ郡制發案ノ趣旨ト格別相違ノ
コトハナイノデアリマス、今期ノ國會ハ非常ノ時デゴザリマシテ、甚ダむつ
かしい問題モ多々ゴザイマスケレドモ日〓事件ノ終局ニナリマスレバ取
調ベマスコトモ多々ゴザイマスガ、今日デハソレ故ニ政府トノ議論モ大變少
カラウト思フ、又黨派間ノ議論モ少ィコトヽ信ズル以上ハ、府縣制或ハ郡制
ノ如キ數十箇條アル所ノ議案ハ發案者ニ於テハ無論完全ナルモノト思フテ出
シテ居リマスケレドモ調査委員ノ所デ十分調査ノ上ニ調査ヲ致シテ、完全
無缺ニ致シタイト云フノデゴザイマス、幸ニ本會デハ是迄固マッテ居リマ
ス所ノ色〓ノ議案ヲバ念ヲ入レテ粗漏デナイヤウニ致シテ、悉ク結了シ
タイト云フ精神デゴザイマスカラ、此改正案ヲ議スルコトモ特別委員ニ附セ
ラレルコトヲ冀望致シマス、其委員ハ議長ノ指名テ九名ト致シテ、此郡制改
正法律案ノ委員ニ託シタイノデゴザイマスガ、自ラ府縣制ト郡制トハ連絡シ
テ居ル所ノ箇條ガ多ウゴザリマスガ故ニ、此際併セテ此事モ述ベテ置キマ
ス
〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/17
-
018・村上芳太郎
○村上芳太郞君(百番) 府縣制改正案ハ本員カラモ提出シテアリマスガ、矢
張併セテ調査ニナラレルヤウニ致シタイト思ヒマス
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/18
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019・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 二百六十七番ノ意見ニハ異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/19
-
020・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 然ラバ可定セラレタルモノト認メマス-次ハ第三ニ
移リマス
第三市制中東京市京都市大阪市ニ設ケタル第一讀會
特例廢止法律案(中島又五郞君提出)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/20
-
021・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 朗讀
〔町田書記官朗讀〕
明治二十二年法律第十二號ハ明治二十九年三月三十一日限リ廢止ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/21
-
022・中島又五郎
○中島又五郞君(百六十七番) 此議案提出ニ就イテ說明ヲ致シマス
〔中島又五郞君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/22
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023・中島又五郎
○中島又五郞君(百六十七番) 此特別市制廢止案ニ就キマシテハ是迄數回當
議場ハ幾囘カ大多數ヲ以テ通過セラレタ議案デゴザリマス、故ニ別ニ此提出
ノ理由ヲ述ブル必要ハナカラウト思ヒマス尤モ此東京市ノ如キニ於キマ
シテハ頗ル此特別市制ノタメニ痛苦ヲ感ジテ居リマス故ニ是迄數囘モ東京
市カラ百三十万ノ人民ヲ代表シテ當議會ニ向ッテ請願ヲ致シテ居ル次第デゴ
ザイマス、ソレ故ニ數多ノ書類モ是迄諸君ノ御手許ヘ御週シテ置キマシタ、
則チ其弊害ヲ舉グレバ十件モアル位デ、經濟ノ點ニ於キマシテモ格別特別市
制ニシテ置キマスノト大ナル違ハゴザイマセヌ、僅ニ東京市ニ於テ調べタル
所ヲ見マスレバ、五万五千圓殆ド六万圓足ラズノ費用ガ增ス位ノコトデアリ
マシテ、頗ル便利ヲ感ジマス、故一異議ナク此議案ヲドウゾ通過スルヤウニ
翼望シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/23
-
024・前川槇造
○前川槇造君(百六十四番) 此市制ノ-特別市制廢止ノコトニ就キマシテ
ハ自分共モ同ジヤウナ案ヲ提出シテゴザイマスカラ、是モ矢張同一ノコトニ
致シタイト考ヘマスカフ··(東尾平太郞君「委員ナドヲ置カズニ直ニヤ
ルガ宜イ」ト呼フ)直ニヤルト云フコトナフリレデ宜シイカラ、卽決ト云フコ
トニ願ロタイ
(「異議ナシ」ノ聲起ル)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/24
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025・角田眞平
○角田眞平君(二百十四番) 是ハ格別議論モナク卽決デモ差支ゴザイマセヌ
ガ、事實中島君ノ提出シタ案ハ、實際ニドウデアラウカト云フ〓ト、私共ノ案
ハ九月デ廢止ト云フコトニナッテ居リマスガ、中島君ノハ三月トゴザイマ
ス、ソレ故ニいづれデモ實際ニ差支サヘナケレバ宜シウゴザイマスガ、御承
知ノ通リ經濟ヲ分離スル上ニ就イテ計算ヲスレバ、若干ノ月日ヲ與ヘヌト、
分離スル結果ニ於テ困ルデアラウト存ジマス故ニ、其猶豫ヲ與ヘテ置キマシ
タノデゴザイマス、又之ニ關聯スル市制中追加法案ト云フノハ此特別市制
廢止ト同時ニ追加セネバナラヌノデゴザイマス、此〓ニ於テモ中島君ノ案ト
私ノ案トハ少シク違ッテ居ル、ソレ故ニ簡略ノモノデハゴザイマスケレド
モ、委員モ簡略デ濟ムデゴザイマセウガ、矢張委員ニ付託ニナッタガ宜シイ
ト思フ、追加ノ方モ文字ノ修正ト能ク月日ノ違ヲ極メタウ存ジマスカラ、願
クハ委員ニ御付シニナラムコトヲ冀望シマス
〔「贊成々々」ノ聲起ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/25
-
026・中島又五郎
○中島又五郞君(百六十七番) 三月ト致シマシタノハ本年ノ三月デハアリマ
セヌノデ、來年ノニナッテ居ルノデゴザイマスカラ、若モ之ヲ直ニ御議決ニ
ナルヤウナコトデゴザイマスレバ、此〓ニ就イテ說明ヲ致シタイガ委員ヲ御
選ニナルコトナラバ、委員ヲ御選ニナッタ上述べテモ宜シウゴザイマス
〔政府委員内務次官松岡康毅君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/26
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027・松岡康毅
○政府委員(松岡康毅君) 諸君(「簡單ニ願ヒマス」ト呼フ者アリ)極ク短ク
此特別市制廢止案、唯今問題ニナッテ居リマスル所ノ則チ三都ニ於ケル
特別市制ヲ廢シテ、普通ノ市制ニ依ラシムルト云フ趣旨ノ議案ニ對シマシテ
ハ、政府ハ絕對的ニ反對ヲ致スト云フコトヲ明言致シマスル(の-〓〓)抑〓此
三都ノ如キ大都府、斯ウ云フ處ニ普通ノ市郡、則チ小サイ處ノ町村ト稍〓相
似タヤウナ市ニ施行スル所ノ法ヲ施行スルト云フコトハ、甚ダ不適當デアル
ト云フコトヲ今更申スマデモゴザイマセズ(の-〓〓)度々帝國議會ニ向ッテ
政府ハ其意思ヲ申述ベタコトモアリマスル、然ルニ是ヨリ前ノ議會ニ於キマ
シテ當時ノ內務大臣ハ唯今ノ特別市制ガ惡イカラ廢スルト云フ方ニハ反對
デ、片一方ニ向ッテ尙ホソレヨリ唯今ノ所特別市制ヨリモ善キ法律ノ必要ガ
アルト云フコトヲ認メマシテ、大體調査ヲシテ別段ノ法章ヲ議會ヘ提出スル
デアラウト申スコトヲ明言セラレタコトモゴザイマシタ其以來爲ニ準備ニ
取掛リマシテ、大略其準備モ成り終リマシタデアリマス、然ルニ昨日總理大
臣ノ演說モ致サレマシタ通リ、此軍國多事ノ際ニ於キマシテ地方行政ノ組織
ニ大ナル變更ヲ來ス如キ事柄、及其準備ヲシマシタ所ノ法章等モ頗ル大ナル
法律ニナリマシテ、五箇條ヤ十箇條デ收マルモノデモナク、頗ル複雜ナモノニ
ナリマスシ、デ成ルベクハ此議會ニハ政府ヨリモ種々ノ問題等ヲ提出セズ、
成ルベク又議會ノ諸君ニモ御同情ナラバ、速ニ結了ヲ望ムト云フコトヲ詐日
モ總理大臣ガ申サレマシタ通リ、右趣旨ニ基イテ政府カラ別段ニ案ヲ提出ス
ルコトハ見合セマシタ譯デアリマス一體此唯今ノ特別市制ヲ廢シテ普通ノ
法律ニ依ラシムル所ノ趣旨ニ對シテハ、絕對的ノ反對ヲスルコトヲ一言申述
ベテ置キマス(の-〓〓)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/27
-
028・草刈親明
○草刈親明君(二百二十六番) 私ハ本件ニ就キマシテ特別委員ニ付スル必要
ガナイト信ジマス、則チ特別委員ニ付託スルト云フ發議ニ反對ヲシマス、其
理由ヲちよっと申上ゲマスレバ、角田君ハ發案者ノ其年度ヲ間違ッテ二十九
年ト書イテゴザイマスノヲ思フニ二十八年ト讀マレタト信ズル二十九年ト
アルノヲ二十八年ト讀マレマスレバ、隨分ニ角田サンノ御心配モアリマセウ
ガ、角田サンノ言ハルヽ所謂九月ヨリモ殆ド一年遲イ所ノ來年三月カラ施行
スルト云フ法案デアリマシタナラバ、何ニモ角田君ノ御心配ト云フモノハナ
イノデアル、サウシテ發議者モ今日申サレマスル其法案ニ來年三月ト致シマ
シタノハ思フニ市長等ヲ選舉シテ市制ヲ別ニ施行スルト云フ〓ノ準備ニモ
多少ノ時日ヲ費シマスルガ故ニ、長イ年度ヲ與ヘラレタモノト信ズルガ故ニ、
甚ダ其當ヲ得タモノト思ヒマス、殊ニ唯今政府委員ガ此案ニ就イテ絕對的ニ
御反對ニナリマシタガ、政府委員ノ反對致サレマスル其意見ト云フモノハ
一ツモ理窟ニナラナイ要スル所政府委員ハ則チ市制ト云フモノガ大ナル所
ノ都ニ施行スベキモノデナイノデアル、ソレニ東京ノヤウナ所、大阪ノヤウ
ナ所、京都ノヤウナ場所ニ施行スルコトハ甚ダむづかしツト云ハルヽケレド
モ、市制ト云フモノハ大ナル都ニ施行スベキモノデアル小ナル場所ニハ町
村制デ澤山ダ、ソレダカラ特別市制ト云フモノヲ出シテモ政府ガヤリヤウサ
ヘ上手ナラバ、東京デモドコデモ市制ヲ施行スルニ於テ少モ差支ナイ然
ルニ此差支ノナイ所ノ市制ヲ布カナイデ、特別市制ヲ布イテサウシテ餘リ有
難クナイ所ノ官吏ヲ頭ニ戴イテ、他ノ地方ノ人民ハ却ッテ自治制ノ下ニ在ル
ニモ拘ラズ、東京ヤ其他而モ日本帝國ノ最モ大都タル所ノ都、東京市民ナリ
何ナリハ不幸ニモ目出度ナイ古官吏ヲ頭ニ戴クハ、今日ノ時代ニ於テ甚ダ好
マシクナイト思ヒマス則チ今日ハ市權ノ擴張ヲスルノ時ナルガ故ニ、成リ
得ベクンバ斯ウ云フ法律ハ改メマシテ、サウシテ自治制ヲ全ウスルコトガ最
モ適當ト思ヒマス、故ニ私ハ直チニ此會ニ於テ決議セラレンコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/28
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029・角田眞平
○角田眞平君(二百十四番) 先刻ハ委員說ヲ申上ゲマシタガ、ちよっと本案
ノコトヲ辯明シテ置キタウゴザイマス、二十九年度ト云フノハ全ク私ハ二十
八年ト思フタカラサウ云フタノデスガ、若シ二十九年デゴザイマスト少シ長
スギテ困ルノデゴザイマス、去ル五月ノ議會ノ時ニモ九月三十日限リト云フ
ノデ案ヲ出シマシタ、丁度九月カ三月-三月三十日ト云フノガ年度變リ
デ、サウナケレバナラヌノデアリマス、若シ延ベレバ二十九年三月デゴザイマ
スガ、經濟ヲ分付スルノト市長ヲ置クコトニ就イテ今ヨリ本年ノ九月マデ存
シテ置イテ、十月カラ施行スルト云フコトニ就イテ特ニ東京市ハ取調ベテ東
京デ其事ガ出來レバ、京都大阪ハ無論ノコトデゴザイマス、ソレ故ニ來年ノ三
月デハ隨分困リマスカラ、ソレデゴザイマスレバ、希ハクハ本年ノ九月ト云フ
コトニナサレテ、本案ノ御決定ヲ願ヒマスレバ、ソレデモ格別異議ハゴザイマ
セヌ、唯此次ノ議案ニナリマスルト、文字ヲイクラカ改正シナケレバナラヌ
ト思ヒマスガ、若シ委員說ガ倒レヽバ同時ニ議長ハ唯今ノ發議ニ贊成ノアル
ヤ否ヤヲ御試ミ下サイマシテ、決ヲ採ラレンコトヲ希望致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/29
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030・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 免ニ角委員說ニ就イテ決議ヲ採リマス、角田眞平君ノ
動議ノ議長ノ指名ヲ以テ特別委員九名ヲ選ブベシト申スコトニ同意ノ諸君ハ
起立
起立者多數発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/30
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031・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 大多數、委員說ニ決シマス-次ハ第四ニ移リマス
朗讀
第四市制中追加法律案(中島又五郞君提出)第一讀會
〔町田書記官朗讀〕
明治二十一年法律第一號市制第七十二條ニ左ノ一項ヲ追加ス
東京市京都市大阪市ニ於テハ市長ハ區長及其代理者ヲシテ區內ニ關スル
國ノ行政及府ノ行政竝ニ收入役ノ事務ヲ補助執行セシムルコトヲ得
〔中島又五郞君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/31
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032・中島又五郎
○中島又五郞君(百六十七番) 此市制追加ノ特別市制ヲ廢スルニ就キマシテ
ハ自然東京大阪京都ノ如キ市ニ於キマシテ、自ラ特殊ノ手續ヲ要シマス
ソレ故ニ此市制ノ追加案ヲ一條出シテゴザイマス、是モ是マデ數囘當議場ヲ
通過シタコトデアリマスカラ、別ニ御異議モアル筈モナシ、又別段ニ說明ヲ
要シマセヌ、併ナガラ玆ニ其文字ヲ聊カ從前ニ出テ居リマス所ト修正ヲ致シ
タ廉ガゴザイマスルデ、此〓ハ諸君ノ御參考マデ申上ゲテ置キマス、ソレハ
從前出テ居リマシタノニハ「東京市京都市大阪市ニ於テハ區長及ヒ其代理者
ヲシテ市長收入役ノ指揮ヲ受ケ區內ニ關スル國ノ行政及ヒ府ノ行政竝ニ收入
役ノ事務ヲ補助執行セシムルコトヲ得」斯ウアリマシテ是マデハ市長ガ收入
役ノ指揮ヲ受ケテ市長ガ仕事ヲスルド云フコトニナッテ居リマシタ、併ナガラ
今般ハ之ヲ修正シ「市長ハ區長及ヒ代理者ヲシテ區內ニ關スル國ノ行政及ヒ
府ノ行政竝ニ收入役ノ事務ヲ補助執行セシムルコトヲ得」ト直シマシタ、ソ
レハ元來收入役ト申スモノハ市長ノ下ニアルモノデアッテ、區長ガ收入役ノ
市長ガ收入役ノ指揮ヲ受ケテ、事務ヲ執行スルコトニナルト政令ガ二途
ニ出ル則チ收入役ノ指揮ニ從ヒ、又市長ノ指揮ニ從ハナケレバナラヌト云
フコトニナルソレ故區長及代理者ハ單ニ其市長ノ指揮ニ依リ、市長ハ此區
長及代理者ヲシテ區內ノ行政事務ヲ執行セシムルト云フコトガ政令一途ニ出
マシテ穩デアル、市長ハ收入役ヲ監督スルモノデアッテ、總テノ仕拂命令ニ
シテモ市長ノ許可ガナケレバ仕拂スルコトガ出來ヌ、收入ヲスルニシテモ市
長ノ命令ニ依リ取立ヲシテカラデアリマスカラ、區長ガ特ニ收入役ノ指揮ヲ
受ケルト云フ場合ハアリマセヌ、ソレ故ニ此案ニ於キマシテハ單ニ市長ノ指
揮命令ヲ受ケ、收入役ノ指揮命令ニ從フト云フコトヲ省キマシタ、是ダケガ
是マデ出テ居リマシタモノト聊カ相違致シマス廉デゴザイマスカラ、是等モ
說明ヲシテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/32
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033・穐山忠夫
○秋山忠夫君(百九番) 本案ハ前委員ニ付託シテ調査セラレンコトヲ······
(「贊成々々」ノ聲起ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/33
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034・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 百九番ノ動議前委員ニ此案ヲ付託申スト云フコトニ
〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/34
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035・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 御異議ナクバ決定セラレタモノト心得マス、次ハ第五
ニ移リマス朗讀ヲ省キマス
第五市制中改正法律案(中島又五郞君外二名提出)第一讀會
〔左ノ議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ記載ス〕
明治二十一年法律第一號市制中左ノ通リ改正ス
第九條ヲ左ノ如ク〓ム
市公民タル者第七條ニ揭載スル要件ノ一ヲ失フトキ又ハ家資分〓若クハ
破產ノ宣告ヲ受ケタルトキハ其公民タルノ權ヲ失フモノトス
陸海軍ノ現役ニ服スル者ハ市ノ公務ニ參與セサルモノトス
市公民ニ限リテ任スヘキ職務ニ在ル者前二項ノ場合ニ當ルトキハ其職務
ヲ解キタルモノトス
市公民タル者公權剝奪若クハ停止ヲ附加スヘキ重輕罪ノ爲メ拘留保釋責
付中又ハ租稅怠納處分中ハ其公民タルノ權ヲ停止ス此場合ニ於テ前項ノ
職務ニ在ル者ナルトキハ市會ノ議決ヲ以テ其職務ヲ解クコトヲ得
第十二條第一項中「第九條第二項」トアルヲ「第九條第四項」ト改ム
第四十一條中「三分ノ二以上出席」トアルヲ「過半數出席」ト〓メ「三分ノ二
ニ滿タサル」トアルヲ「過半數ニ滿タサル」ト改ム
第六十條第二項中「區會(第百十三條)ヲ設クル」以下「市參事會之ヲ選任ス」
マテノ四十七字ヲ刪除ス
第百二十條ヲ左ノ如ク〓ム
內務大臣ハ市會ヲ解散セシムルコトヲ得同時ニ名譽職參事會員モ亦解職
スルモノトス此場合ニ於テ三箇月以內ニ議員ノ選舉ヲ行フヘシ
市會解散ノ後選舉結了ニ至ル迄ハ市會ノ議決ヲ要スル事件ハ府縣參事會
之ヲ議決シ市參事會ノ事務ハ第六十八條ノ例ニ依ル
〔中島又五郞君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/35
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036・中島又五郎
○中島又五郞君(百六十七番) 此市制追加案デゴザイマスガ、-〓正案デ
ゴザイマスガ、是ハ此第九條ノ改正ニ於キマシテハ是マデ數囘當議場ニ出テ
居リマスル議案デアリマシテ、聊カ文字ノ修正ヲ致シタニ過ギナイ譯デアリ
マスカラ、別段ニ說明ハ要スマイト考ヘマス、ワレカラ第九條ノ方ハ文字ノ修
正ヲ致シマシタ位ノコトデゴザイマスデ、ソレカラ此四十一條ニ於キマシテ
ハ是マデ三分ノ二以上ノ出席ト致シマスルト、隨分無駄ニ市會ヲ開クコトノ
出來マセヌト云フ場合ガゴザイマシテ、一囘ハ必ズ無駄ニナルト云フコトガ
多クテ、獨リ東京市ノ如キハ格別害ヲ被ラヌガ、他ノ市ニ於テハ餘程不都合ヲ
感ジテ居ルサウデアルカラソレ故ニ三分ノ二ヲ訂正致シマシタノデ、ソレカ
ラ六十條ニ於キマシテ此區會ニ於テ區長ヲ選舉スト云フコトガ、區ヲ設ケタ區
ニ於テハ區會ニ於テ區長ヲ選舉ストゴザイマス、ソレカラ區會ノ設ケテナイ
區ハ參事會デ選舉スル、區會ヲ設ケタモノハ區會デスル、東京市ノ如キハ參事
會デ選舉スルト云フコトハ聊カ國ノ行政ノ一部ヲ掌ルト云フ行政ヲ分掌シ
テヤル區長ヲ選ブニ、單ニ一部ノ財產ヲ管理致シマスタメニ設ケタ區會ガ之
ヲ選ブト云フノハ甚ダ穩當デナイト考ヘマスデ、ソレ故ニ此修正ヲ提出致シ
マシタノデ、第九條ノ修正ヲ提出シマシタ、百二十條ハ文字ハ澤山變ツテ居
リマスガ、要スルニ市會ヲ解散サレマシタトキニハ矢張市參事會長則チ
名譽職ノ參事會ヲ解散スルト云フコトガ相當デアルト考ヘマス、是ハ所謂行
政立法ノ圓滑ヲ求メルタメ軋轢ヲ避ケマスタメニ同一ニ解散ヲサルヽガ相當
ト認メマシタ、是モ既ニ是ダケガ今般殖ヱマシタノデ、從前ハ唯九條ガ出テ
居リマシタケレドモ、是ダケ市制ヲいじるナラバ、矢張不都合ノ箇條ヲ二箇
條-三箇條ダケヲ改正シタイト云フ考デ提出ヲ致シマシタ、是モ矢張前委
員ノ市制ノ改正ノ委員ガ出來テ、特別委員ニ付託サレルデアリマスレバ、此
案モ同樣ニ前市制ノ改正ノ特別委員ニ付託セラレンコトヲ希望シマス
(「贊成々々」ノ聲起ル)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/36
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037・江島久米雄
○江島久米雄君(二百四十一番) 本員モ此市制中ノ改正法案ヲ提出シテ置キ
マシタ、ソレデ矢張前ノ委員ニ付託サレマシテ遺憾アリマセヌ、ドウカ一緒
ニ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/37
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038・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 該案モ前ノ委員ニ付託シタイト申ス中島又五郞君ノ
動議、異議アリマセヌカ
(「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/38
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039・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 然ラバ右ノ通リ決シマシテ、次ハ第六ニ移リマス、朗
讀ヲ省キマス
第六町村制中改正法律案(田艇吉君外二名提出)第一讀會
〔左ノ議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭載ス〕
明治二十一年四月法律第一號町村制中左ノ通改正ス
第九條町村公民タル者第七條ニ揭載スル要件ノ一ヲ失フトキ又ハ家資分
散若クハ破產ノ宣告ヲ受ケタルトキハ其公民タルノ權ヲ失フモノトス
陸海軍ノ現役ニ服スル者ハ町村ノ公務ニ參與セサルモノトス
町村公民タル者ニ限リテ任ス可キ職務ニ在ル者前二項ノ場合ニ當ルトキ
ハ其職務ヲ解キタルモノトス
町村公民タル者公權剝奪若クハ停止ヲ附加ス可キ重輕罪ノ爲メ拘留保釋
責付中又ハ租稅滯納處分中ハ其公民タルノ權ヲ停止ス此場合ニ於テ前項
ノ職務ニ在ル者ナルトキハ町村會ノ議決ヲ以テ其職務ヲ解クコトヲ得
但解職スヘキモノ町村長又ハ助役ナルトキハ府縣知事ノ認可ヲ受クヘ
第十二條第一項中〔第九條第二項〕トアルヲ〔第九條第四項〕ニ改ム
第四十三條中「三分ノ二以上出席」トアルヲ「過半數出席」ト改メ「三分ノ二
ニ滿タサル」トアルヲ「過半數ニ滿タサル」ニ改ム発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/39
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040・志波三九郎
○志波三九郞君(百三十六番) 私ハ提出者ノ一人デゴザイマスカラ意見ヲ述
ベマスガ、簡單ナルモノデゴザイマスカラ、自席ニ於テ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/40
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041・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 宜シイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/41
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042・志波三九郎
○志波三九郞君(百三十六番) 此案ハ旣ニ諸君ガ御承知ノ通リ說明ニ於テ盡
シテアリマス故ニ、別段說明ハ致シマセヌガ、說明中ニナイコトガ、此但書
ニ於テ町村長助役ノ解職ヲスルトキハ知事ノ認可ヲ受クルトアリマスガ、是
ハ唯解任ヲ正當ニスルト云フダケデアリマス、ソレデ本案ノ趣意モ前案則チ
市制ノ改正ヲ致シマス趣意モ同一ナルモノデゴザイマスカラ願ハクハ市制
ノ調査委員ト同一ノ委員ニ此案ヲ付託セラレンコトヲ希望シマス
(「贊成々々」ノ聲起ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/42
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043・江島久米雄
○江島久米雄君(二百四十一番) 本員モ矢張町村制ノ改正案ヲ提出シテ居リ
マスガ、是モ矢張前同樣ニ付託スルコトヲ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/43
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044・首藤陸三
○首藤陸三君(二百八十三番) 矢張町村制ノ改正法案ヲ本員等ヨリモ提出ニ
ナッテ居リマス、併テ特別委員ニ付託セラレンコトヲ希望致シマス
〔「贊成々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/44
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045・穐山忠夫
○秋山忠夫君(百九番) 此二案ハ首藤君等ガ出シテ居マス案ト一緒ニ矢張前
委員ニ付託セラレンコトヲ希望致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/45
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046・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 該案ト趣意ヲ同ウシテ居ル議案ハ悉ク委員ニ付シマ
入、志波三九郞君ノ前委員ニ付託シタイト申スコトハ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/46
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047・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 御異議ガナクバ左樣致シマス-然ラバ是ニテ議事日
程ヲ了リ、明日ノ議事日程ヲ報道致シマス
〔水野書記官長朗讀〕
議事日程第四號明治二十八年一月十日(木曜日)
午後一時開議
第一衆議院議員選舉法中改正法律案(山下千代雄君第一讀會
外二名提出)
第二明治二十三年法律第八十四號改正法律案(高橋第一讀會
安爾君外一名提出)
第三保安條例廢止法律案(德增源太郞君提出)第一讀會
第四新聞紙法案(箕浦勝人君外二名提出)第一讀會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/47
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048・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 散會ヲ報ジマス
午後二時十二分〓會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/000813242X00318950109/48
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