1. 会議録本文
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000・会議録情報
明治二十八年一月二十四日(木曜日)午後一時十九分開議
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議事日程 第十六號 明治二十八年一月二十四日(木曜日)
午後一時開議
第一 質屋取締法案 第一讀會の續(特別委員長報告)
第二 公證人規則改正法律案 第一讀會の續(特別委員長報告)
第三 日本銀行課税法案(石田貫之助君外四名提出) 第一讀會
第四 日本銀行條例中改正法律案(石田貫之助君外四名提出) 第一讀會
第五 府縣會議員選舉に衆議院議員選舉法を適用する法律案(木暮武太夫君外一名提出) 第一讀會
第六 酒造税則中改正法律案(加賀美嘉兵衞君外八名提出) 第一讀會
第七 郵便條例中改正法律案(廣瀬貞文君外二名提出) 第一讀會
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=0
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001・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 諸君、諸般ノ報告ヲ爲シマスル
〔林田書記官朗讀〕
恒松隆慶君外二名提出ニ係ル山林法ノ制定及官有森林共有民林將來經營管
理ノ方針竝其執行ノ方法ニ關スル質問ニ對シ榎本農商務大臣ヨリ答辯アリ
タリ
衆議院議員恒松隆慶君外二名提出山林法ノ制定及官有森林共有民林將來
經營管理ノ方針竝其執行ノ方法ニ關スル質問ニ對シ別紙答辯書差進候也
明治二十八年一月二十二日
農商務大臣子爵榎本武揚
衆議院議長楠本正隆殿
衆議院議員恒松隆慶君外二名提出山林法ノ制定及官有森林共有民林
將來經營管理ノ方針竝其執行ノ方法ニ關スル件ニ付質問書ニ對スル
答辯書
一政府ハ疾クニ森林法案ノ編制ニ著手シテ其材料ヲ蒐集シ內ニハ舊時各藩
ノ古來官民林ニ對セシ制度法令歴史慣行等ヲ調査シ外ニハ歐米諸國ノ林
制林業ヲ取調ヘ遠カラス其法案ヲ議會ニ提出セントス而シテ其制定標準
ノ如キハ舊藩ノ制度慣行中今日ノ時態ニ適スヘキモノト外國ノ林制中我
ニ應用スヘキモノトヲ撰取シテ以テ營林ノ原則森林ノ監督林地ノ處分森
林ノ警察等ヲ規定スルニ在リ
二森林法制定ノ有無ニ拘ラス官林ノ改良ヲ爲スヲ以テ急務トスルコト當局
者モ亦之ヲ認ム故ニ官林ニ於テ林地ハ境界及實況ノ調査ヲ爲シテ森林ヲ
整理シ施業ハ材量ヲ測算シ年々ノ伐木ハ收額豫算簿ヲ調製シテ之ニ據ル
等著々其改良ヲ謀レリ而シテ將來益〓之ヲ進捗シテ完成ヲ期セントス去
レハ官林ノ經營ハ施業全ク保續ノ方針ヲ採リ且ツ之ヲ執行スル方法順序
ニ至テハ林地林相ニ應シテ其保續ヲ破ラサル迄ノ伐木面積及斫伐材量ヲ
取調ヘ之ニ依テ每年ノ事業豫算ヲ編製シ而シテ伐木ハ之ニ基準シ又其伐
木跡地ニハ豫メ設計セル所ノ造林案ニ依テ之ニ栽殖ヲ施スヲ以テ通規ト
爲ス
三共有民林ニ對シテハ當局者一方ニ於テ野火入ヲ制止シテ森林ノ燒損ヲ防
キ他ノ一方ニ於テ地方廳ハ森林組合準則ヲ設ケテ林業ノ改良ヲ圖ル等法
律未定ノ今日ト雖モ之カ改良保存ヲ謀ラサルニアラス然レトモ民林ニ强
制ヲ加フルハ到底法律ニアラサレハ制裁ノ途ナキヲ以テ政府ハ遠カラス
森林法案中ニ於テ充分民林ニ對シ國家カ特別監督ヲ執行シ得ヘキ條項ヲ
設爲シ由テ以テ民林ノ囘修保存ノ實ヲ舉クルノ途ヲ求メントス
右及答辯候也
明治二十八年一月二十一一日
農商務大臣子爵榎本武揚
政府ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
內務省所管諸官衙及議院建築費竝筑後川修築費繰越ニ關スル法律案
明治二十六年度豫備金支出ノ件
貴族院ニ於テ本院提出ニ係ル明治十五年第七十號布告廢止法律案ヲ可決
シタル旨及保安條例廢止法律案ニ對シテハ第二讀會ヲ開カサルコトヲ議
決シタル旨同院ヨリ通牒アリタリ
小室重弘君百万梅治君ヨリ曹洞宗ニ關スル件ニ付政府ヘ質問書ヲ提出セ
ラレタリ
議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
郡長任用法ニ關スル建議案
提出者喜多川孝經君稻葉市郎右衞門君君
堀越寬介君武市彰一
特別委員長及理事左ノ通リ當選セラレタリ
商業會議所條例中改正法律案審査特別委員長中野武營君
同理事豐田文三郞君
官吏思給法及官吏遺族扶助法補則法律案審査特別委員長
佐々木松坪君
同理事板東勘五郞君
(左ノ質問書ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭載ス〕
曹洞宗ニ關スル質問
右議院法第四十八條ニ據リ提出候也
明治二十八年一月二十四日
提出者小万室梅重治弘
百
贊成者鳩山和夫
外三十八名
曹洞宗事件ニ關スル質問
一政府ノ宗〓ニ對スルヤ憲法第二十八條ノ大旨ニ依リ勉メテ信〓ノ自由ヲ
保護ス可ク其法規以外ニ出脫シテ敢テ干涉ヲ爲スカ如キコトアル可カ任
スト信ス然ルニ政府ハ明治十七年太政官第十九號布達第四條ニ於テ宗制
制定ノ權ヲ管長ニ委ネタルニ拘ハラス曹洞宗管長缺員中內務大臣ノ選ラ
シタル曹洞宗事務取扱カ宗制追加ヲ申請シタルニ內務大臣ハ之ニ認可ヲ
與ヘタルハ何等ノ法規ニ準據シタルモノナルヤ
二前條別ニ法規ニ準據シタルニアラス一ニ內務大臣カ其監督上必要ト認メ
之ヲ認可シタルモノナリトセハ其監督權ハ何レノ程度マテ及ホサルヽモ
ノナルヤ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=1
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002・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 是ヨリ會議ヲ開キマスル発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=2
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003・湯本義憲
○湯本義憲君(百五十三番) 議長-湯本発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=3
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004・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 少シー小室重弘君、質問ノ演說アルヤウニ
[小室重弘君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=4
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005・小室重弘
○小室重弘君(九十八番) 諸君、私共ヨリ政府ニ對シテ質問ヲ出シマシテゴ
ザイマスルガ是ハ此世ノ中ニ知ラレテ居ル所ノ曹洞宗ノ件ニ關シテヾゴザ
イマス、全體此質問ノ趣意ハ政府ガ宗〓ニ干渉スルト云フコトニ就イテ、吾と
ハ疑ガアルソレニ依ッテハ政府ハドレ位迄政府ノ權力ガ及ブモノデアル
カ、又是迄ノ政府ノ遣リ方ニ就イテ怪訝ニ堪ヘヌコトガゴザイマスカラ、之ヲ
一應當局者ニ聞カウト思フノデアリマス、此問題ニ就イテハ或ハ其分離トカ、
非分離論トカ云フノガアルサウデゴザイマス、併シ私共サウ云フコトハ關係
ハナイ話デアラウト思フ、何トナレバ其宗〓家ガ-或ハ俗ニ言ッタラ僧侶ガ
ドウ云フ喧嘩ヲ致シマシテ、ドウ云フ爭ヲ致シマシテモ、ソレハ私共ガ敢テ問
フコトデハナイノデ、何トナレバ國家ハ此宗〓ト云フモノヽ上ニ對シテハ憲
法ノ正條ニ依ッテ、二十八條ニ依ッテ定メラレタ所ニ依ッテ信〓ノ自由ヲ許
シテアルノデアル、或ハ其モノガ爭ヲ爲シ、世ノ中ノ安寧ヲ害スルトカ、秩
序ヲ紊ストカ云フ場合ニハ如何ナル處置デモ之ニ向ッテ施スコトガ出來
ル巡査モアレバ憲兵モアリ尙ホ極言スレバ大砲モアルト云フコトデ、ソ
レ等ニ關シテハ吾ミハ何等ノ論ズルコトモナイト思ヒマスガ曹洞宗ノコト
ニ就イテ吾〓ガ取調ベタ所ニ依ッテ見ルト政府ガ此上ニ干渉ヲシテアルト
云フコトヲ聊カ疑フ〓ガアルノデ此曹洞宗ナルモノハ諸君ガ知ラレル如ク
全國ニ於テ大ナル宗〓デアル例ヘバ眞宗ト合セテ殆ド全國ノ半バヲ占メ
テ居ルト云フ程デ、五百万人モアル檀信徒ヲ有シテ二万有餘ノ僧侶モアル
サウデゴザイマスガ明治二十五年ノ年ニ彼ノ能山ノ管長ガ-管長タル能
山ノ畔上楳仙ト云フ和尙ガ宗制ヲ改革スルコトニ就イテ此寺ヲ二ツニ分ツ
ト云フコトニ就イテ一ツノ宗制改革ノ議論ヲ爲シタ、其事ノタメニ管長ヲ
罷メラレタト云フコトデ、其件ニ就イテハ小說的ノ歷史ガアッタノデスソ
レ等ノ事柄ハ此前ノ議會、去年ノ議會ニモ質問案ガ出テ居リマシタ則チ百
六十何名ト云フ人ノ連署ヲ以テ出タ樣ニ私共承知シテ居ル、ソレガ此內務省
ガ此事ヲ處置スルニ就キマシテドウシテモ仕方ガナイ管長ト云フ者ガ罷メ
ラレテ仕舞ッタカラ、別ニ事務取扱ト云フ者ヲ置イタノダサウデス、其事務
取扱ト云フ者ガドウ云フコトヲ爲シタカト云ヒマスナラバ殆ド管長ノ全權
ヲ內務省ガ此者ニ委ネタト云フコトニナッテ居リマスルカラ、此事務取扱ト云
フ者ガナシタコトニ就イテ、種々ナ紛亂ガ生ジテ來テ、所謂曹洞宗ハ大騷動ヲ
ヤルモノト世ノ中ニ唱ヘラレルマデニ至ッタコトヽ考ヘマスガ、其事務取扱
ト云フ者ヲ內務省ガ命ジタト云フノハ何ノ條規ニ依ルノデアルカ、如何ナル
法律ニ依ッテ、如何ナル規則ニ依ッテヤルノデアルカト云フコトヲ內務省ノ
或人ニ聞イタニ、私共傳聞スル所ニ依レバ町村制ノ六十一條ニ依ッタト云フ
ヤウナ殆ド戲談染ミタ答デゴザリマス成程村長ガ辭職シテ事務ヲ扱フコト
ガ出來ヌケレバ郡書記ヲヤルト云フ筆法デ、斯ノ如キコトヲヤッタト云フ
サウデス、ケレドモソレハ吾〓ニハ分ラナイ、ソレデ此事務取扱ト云フ者ガ
ドウ云フコトヲ以テ紛擾ヲ起シタト云フニ私共實際自分達ノ〓國ニ於テ實
驗シテ見タ所ニ依リマスルト種々ナ紛擾ガ實際生ジテ居ッタニ相違ナイ
何トナレバ此事務取扱ト云フ者ガ其權力ヲ以テ和尙ヲ黜陟ヲスル、此者ヲ罰
スルトカ、宗內ヲ擯斥スルトカ或ハ住職ヲ罷メサセテ仕舞フト云フヤウナ
事柄ヲ以テ命ジマシタ、其命ジタ書面ノ肩書ニハ何ト云フコトガ書イテアル
カト云フノニ何時デモドレニモ內務大臣ノ訓令ヲ奉ジト云フコトガ書イテ
アルデス、則チ內務大臣ノ訓令ヲ以テ斯ウ云フコトヲ爲サシメタト云ヒマシ
タナラバ內務大臣ノ訓令ト云フモノガ直ニ宗〓內ニ於テ種々ナ騷ヲ爲シタ
ト言ハナケレバナリマセヌガ私ハ此事ニ就イテハ甚ダ不道理デアルト考ヘ
ルノデゴザリマス、何トナレバ諸君、或ル寺ニ於テハ誠ニ此寺ノ住職ニ檀信
徒ハ能ク歸服シテ居ル、然ル所ガ其歸服シテ居ル者ヲ今ノ事務取扱ト云フ者
ガ內務大臣ノ訓令ヲ奉ジタト云フ言葉ヲ以テ、放逐ヲ致シマシタ放逐ヲ致
シマシタカラ、アトニ出テ來タ所ノ和尙ガ又ヤッテ來テ、己ガ其寺ニ是非這
入ラナケレバナラヌ、貴樣ハ入レヌト云フヤウナコトデ雙方カラ壯士ナドヲ
連レテ來テ亂暴ナ爭ヲシタト云フガ私共ハ疑フ何トナレバ其宗〓ノ信
仰ト云フモノハ其信ズル所ノモノニ任セテ置イテ差支ナイモノデアルノ
ニ、信ズル所ノ者ノ住職ヲ放逐シテ或ハ擯斥ヲシテサウシテ他ノ者ヲ以テ
無理ニ押付ケヤウト云フコトハ信仰ノ自由ト云フコトノ上カラ吾ミハ違ヒ
ハセヌカト思フノデゴザリマスルガ昨年ノ暮、諸君、昨年十二月ノ末ニ御
上京ニナリマシタコトデゴザリマセウ內務大臣ノ官邸ノ前デハドウデゴザ
リマシタカ、私共通ッテ見タ時ニハ太イすてっきヲ持ッタ先生ガりきんデ居
ラナケレバナラナイ、ドウ云フ譯デアルカト云ヘバ內務大臣ノ官邸ニ坊主
ヤ信徒ガ官邸ニ詰掛ケテ來テ仕方ガナイト云フコトデアル實ニ不體面ノ甚
シキコトデゴザリマセウソレガ今日ニ至ッテ如何ナル結局ニナッタカト云
フト其結果ノヤリ方ニ就イテハ私共奇怪ニ堪ヘナイコトガ幾ラモアル是
ダケノ紛亂、則チ內務大臣ガ種々ナルモノヲ以テ、此上ニ干渉ヲ爲シタデア
ラウト私共ノ疑フ所ノコトガ之ヲ彌縫シナケレバナラヌ何トカ處置ヲ著ケ
ナケレバナラヌト云フノガ、昨年ノ十二月以來ノ出來タコトデゴザイマスガ、
所謂千創百孔隨テ補ヘバ從テ破ルト云フコトデ、ドウシテモ是ガ十分ニ彌縫
シ盡スコトガ出來マセヌデシタガ、其結果トシテ昨年十一一月三十一日ニ斯ウ
云フモノヲ拵ッテ、此事件ヲ治メヤウトシタノデス、則チ非常法規ト云フモノ
ヲ拵ッタノデアル、非常法規ト云ヘハ非常ナ時ニ大方用ヒルト云フ法律デゴ
ザリマセウ、ソレヲ內務大臣ガ認可ヲシタガ、是ハ誰ガ持出シテ内務大臣ガ
認可ヲシタカト云ヘハ事務取扱ト云フ者ガ-內務大臣ノ命ヲ受ケタ所ノ
事務取扱ト云フ者ガ持出シテ、内務大臣ガ認可シテ居リマス、私ガ法規ヲ讀ム
デ見マスト其內ニ隨分前ニ定メラレテアル所ノ宗制定規ト云フ則チ宗〓ニ
關スル憲法トモ云フベキモノト大ニ趣ヲ異ニシテ居ル者ガ幾ラモゴザリマ
ス例ヘバ此管主ヲ特選ヲスル所ノ權力ガアルトカ、或ハ議員ヲ繼續セシム
ルノ權力ガアルトカ若クハ事務取扱ト云フ者ヲ拵ヘルコトガ出來ルトカ云
フヤウナ事柄ガ三條程書イテゴザリマスノデス、ソレデ之ヲ考ヘテ見マスノ
ニ全體其事務取扱ト云フ者ハ一時其間ノ臨時ヲ補フガタメニ出來テ居ルモ
ノデ宗制ヲ作ルトカ、則チ憲法制定トモ言フベキコトハ誰ガヤルカト云フ
ニ管長ガヤラナケレバナラヌト云フコトニナッテ居ル、管長ガヤルコトニナッ
テ居ルノニ管長デナイ斯ノ如キ所ノ人ガ此モノヲ拵ヘマシタ時分ニ、內
務省ガ認可ヲ與ヘテ居ルト云フノハドウデスカ、其比較ニハナラヌ話デスガ
事務取扱ハ一ツノ攝政ト云フヤウナ者ニシテ見マシタナラバ攝政ハ憲法制
定ノ權ガナイト云フ事柄ハ皇室典範ナドニモ見エルヤウデアリマス、サウ云
フヤウナ道理ニ考ヘル所ガ其者ガ宗制追加ヲ拵ッテ來ルノヲ內務省ガ直ニ
認可スルコトニ爲ルト、ドノ宗〓デモ何處カラデモ斯ウ云フコトニヤッテ來
タナラバ內務大臣ノ命令デサウ云フモノヲ拵ッテ往カナケレバナラナイ
宗〓內ニ立入ッテ干涉スルノ端緒ガ開ケテ來ヤウト思フ、併シ諸君、事ノ斯
ノ如クニ爲ッタノニハ幾ラモ事情ノアルコトデ吾ミヲシテ若シモ德義上ノ
範圍ヲ失脫シテ、其昨年ノ十二月三十一日以後ノ事柄ヲ諸君ニ御話シタナラ
バソレハ諸君ノ驚カルヽコトモアリマセウガ、私ハ暫ク其處マデハ論及シ
マセヌガ、三十一日ノ內務省ノ魂膽ハドウデゴザリマシタラウカ、此間ニハ僅
ニ咄嗟、半日バカリノ間ニ殆ド芝居的ニ拵ッタ事柄ガアルト私共思ッテ居ル
何トナラバ此非常法規ト云フヤウナモノガいつ出シタンデアルカ、其日附ハ
或ハ其前ノ日附ニナッテ居ルカモ知レマセヌガ、要スルニ是等ノモノデ拵ツ
タノハ三十日ノ中ニ出來タノデ、三十一日ノ日ニハ內務省デ能山及越山ノ管
主ヲ呼ンデ此者ニ向ッテ斯ノ如キモノヲ拵ッテ、斯ウ云フ譯ニヤルト云フ相談
ヲシタサウデゴザリマシタガ此間ニハ或ハ辯護士ノ江木衷氏ノ如キ、小野
田警保局長ノ如キ、又此處ニ居ル都筑參事官ノ如キ、サウ云フ諸君ガ屢會
合ヲサレタト云フヤウナコトモ殆ド公ノ祕密ニ爲ッテ居ルコトデアラウ、其
間ニ聞クベキコトガアラウト思ッテ居リマスガ、併ナガラ私共諸君ハ尙ホ記
憶セラルヽト思フ、官紀振肅ノ建議ハ諸君ガ出シタコトヲ覺エテ居ル官紀
振肅-役人ガ私ノ間ニ立入ッテ種々ナコトヲ爲スニ就イテ、國論ヲ以テ攻
擊セラレタコトハ御承知デアルト存ジマスガ、然ルニ此三十一日頃、或ハ一
月三日頃、若クハ十二月二十八日一一十三日ナドノコトニ於テハ官紀振肅ト云
フ筆法カラ之ヲ論ジマシタナラバ、私共殆ド政府ニ向ッテ質問スルニ忍ピザ
ルコトガアルト思フ、若シモ斯ウ云フコトガ局長課長ノサウ云フモノヽ政治
ヲ以テ事柄ヲ拵ヘテサウシテ此紊亂ヲ治メヤウトスルモノデゴザイマシタナ
ラバ如何ニシテ宗〓ノ紊亂ヲ治メルコトカ出來マスカ吾〓憾ムラクハ內
務省ガ反省スル所ガアッテ根本的ニ治メルコトヲシタラ宜カラウト思フ、却
テ是等ノ事柄ニ小刀細工ヲ爲サルト云フニ就イテハ私共解シ得ナイ、ソレ故
ニ私ハ政府ハ何等ノ法規ニ依ッテ斯ウ云フ所置ヲシタノデアルカ、又內務大
臣ガ宗〓ノ上ニ監督權ヲ及ボスト云フノハ幾許ノ〓ニ迄及ボスモノデアルカ
ト云フコトヲ先ツ以テ質問スル、其質問ノ答辭ニ依ッテハ私共大ニ考ヘル所
ガアル、而シテ之ニ關シテハ別ニ法律案ノ如キモノガ出來ヤウカト云フコト
ヲ承知シテ居ルガ先ヅ私ハ此事ヲ政府ニ向ッテ第一著ニ問ハントスル所デゴ
ザイマス聊カ質問ノ趣意ヲ一言シテ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=5
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006・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 議題ハ議事日程第一質屋取締法案ニ掛リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=6
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007・湯本義憲
○湯本義憲君(百五十三番) 緊急動議ガアリマスカラ、議事日程ノ變更ヲ求
メマスソレハ治水ニ關スル建議案ヲ議事日程ヲ變更シテ此場合ニ於テ議了
致シタイト云フ緊急動議デアリマス
(「贊成々々」「の-〓〓」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=7
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008・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 湯本義憲君ノ議事日程變更ノ請求、贊成アルニ依ッテ
討論ヲ須ヒズ決ヲ採リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=8
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009・折田兼至
○折田兼至君(二百七十九番) 本員ハ反對デアル、此討論ヲ····発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=9
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010・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 討論ヲ須ヒズシテ決シタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=10
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011・折田兼至
○折田兼至君(二百七十九番) 果シテ緊急問題デアルカト云フコトハ討論シ
ナケレバ分ラヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=11
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012・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 規則ノ八十二條ヲ御〓讀ヲ請ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=12
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013・東尾平太郎
○東尾平太郞君(百十四番) 少シモ緊急デハナイ、斯ノ如キ無責任ノ案ヲ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=13
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014・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 議長ハ規則ヲ守リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=14
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015・折田兼至
○折田兼至君(二百七十九番) 之ヲ許スト將來恐ルベキ弊ガ生ズルト思フ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=15
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016・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 是ハ致方ガナイ議長ハ規則八十二條ニ依ッテ決ヲ採
リマス治水法案ヲ議スルガタメニ日程ノ變更ヲ請求スルト云フ湯本君ノ動
議ニ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=16
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017・東尾平太郎
○東尾平太郞君(百十四番) どちらデス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=17
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018・湯本義憲
○湯本義憲君(百五十三番) 湯本外三十五名ヨリ提出シタ分デス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=18
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019・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 議事日程ノ變更ニ同意ノ諸君ハ起立
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=19
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020・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 多數-湯本君
治水ニ關スル建議案(湯本義憲君外三十五名提出)緊急事件
〔湯本義憲君演壇ニ登ル〕
〔「湯本君萬歲」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=20
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021・湯本義憲
○湯本義憲君(百五十三番) 諸君、治水法案ニ就キマシテハ說明書ニ記載ガ
ゴザイマスカラ、玆ニ於キマシテハ縷々述ベル程ノ必要ハゴザリマセヌニ依ッ
テ、御質問ガアリマスレバ御答致シマスガ、先ヅ是デ說明ハ止メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=21
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022・河島醇
○河島醇君(十番) 私モ同樣ノ案ヲ提出シテ居ルガ故ニ、發言ヲ許サレタ
イ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=22
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023・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 河島君ハドウ云フノデス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=23
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024・河島醇
○河島醇君(十番) 治水ノ案ヲ提出シテ居リマスカラ······発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=24
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025・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 湯本君ニ反對ナラバ宜シイガ、同一ナラバ暫ク御猶豫
ヲ願ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=25
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026・河島醇
○河島醇君(十番) 意味ガ違フカモ知レマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=26
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027・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 反對ナラバ宜イガ、同一ナラバ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=27
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028・志波三九郎
○志波三九郞君(百三十六番) 私ガ反對発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=28
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029・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 反對ナラバ登壇ヲ促シマス
〔志波三九郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=29
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030・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 朗讀ヲ省キマス
〔左ノ議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭載ス〕
治水ニ關スル建議
衆議院ハ第四囘及第六囘帝國議會ニ於テ治水ニ關スル建議ヲ爲シタリ今ヤ
軍國多事ナリト雖該事業ノ如キハ國家事業中緊急一日モ忽諸ニ付スヘキモ
ノニアラス依テ政府ハ該建議ノ主旨ニ基キ財源ノ許ス限リ豫算案ヲ提出セ
ラレンコトヲ望ム発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=30
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031・志波三九郎
○志波三九郞君(百三十六番) 諸君、私ハ本案ニ反對ヲ致シマスモノデゴザ
イマス、此案ハ既ニ百八十名ノ大多數ノ同意ニ依タテ議題ト爲ッテ居リマス
カラ、私ガ之ニ對シテ反對ノ意見ヲ述ベタ所ガ、或ハ成立ヌカモ知レマセ
ヌ、併ナガラ議員ノ本分トシテ自ラ不可ナリトスル所ノ事ニ向ッテ默シテ止
ムト云フコトハ私ガ良心ニ於テ許サザル所デアリマスカラ一言致シマス諸
君、今日ハ如何ナル時デゴザイマスカ、外ニ向ッテハ大軍ヲ出シテ則チ彼ノ
暴慢ナル所ノ支那ヲ征伐シツヽアル今日デコザイマセウ又朝鮮ノ獨立ヲ全
カラシメ日本ノ名譽ヲ全ウセントシテ我同胞ノ人〓達ハ屍ヲ〓國ノ野ニ曝シ
ツヽアル今日デゴザイマス、此時ニ當ッテハ吾ミ國民タル者ハ是ガ費用ニ充
テル所ノ其金ハ如何ナルコトヲモ差措イテ辨ジナケレバナリマスマイ吾〓
ガアラン限ノ膏ヲモ血ヲモ絞ッテ是ニ充テナケレバナラヌ、尙ホ足ラザル所ハ
骨ヲモ削ッテ充テナケレバナラヌノデゴザイマセウ、斯ル時ニ際會致シマシ
テ斯ル問題ヲ持出シテ、政府ニ出セ出セト云フコトハ決シテ財源ノ許ス所
デアリマセヌ又內ニ顧ミテ見マスレバドウデゴザイマセウ支出豫算ノ總
額前年度ニ比シテ一千圓ニ近イ(笑聲起ル)金額ヲ增シテ居ルデゴザイマセ
ウ加之島根ナリ秋田、山形ナリノ彼ノ災害ノ慘況ハ如何デゴザイマスカ、
既ニ當院ハ先般是等ノ救濟ノ策ヲ取レト云フコトヲ政府ニ向ッテ建議シツヽ
アル今日デゴザイマセウ、斯ル場合ニ當ッテ尙ホ斯ル經費ヲモ出シテ斯樣ナ
コトヲ爲セト云フコトハ今日言フベキノ時デゴザイマセウカ、私ハ決シテ
斯ルコトハ政府ニ望ムノ時デハアルマイト思ヒマス、斯ク論ジマシタナラバ
提出者諸君ハ或ハ財源ノ許ス限ト云フコトヲ入レテアルカラ許サナケレバ
ソレデ宜シイ出サヌデモ宜シイト言ハレルカモ知レマセヌガ併シ議員タ
ル者ガ日本ノ財政上ニ就イテハ自ラ判斷スル所ノ決心ガナケレバナラヌ然
ラバ今日斯ル時ニ際會致シマシテ之ヲ出ス財源ノナイト云フコトヲ自ラ信
ジテ居リナガラ、政府ノ意見ニ依ッテハアルカモ知レナイト云フヤウナ微弱
ナル考ヲ以テ、政府ニ要求スルハ決シテ許スベカラザルコトデアル故ニ本
員ハ此建議案ニ大不同意ヲ爲ス者デゴザイマス、併ナガラ此事業ニ就イテハ
私ハ絕對的ニ反對スルト云フ譯デハゴザイマセヌ若シ平時ニ至リマシタナ
ラバ本員モ雙手ヲ擧ゲテ此事業ヲ起スコトニ贊成スル者デゴザイマス、併ナ
ガラ今日ノ場合ガ斯ル事柄ヲ政府ニ望ムノ時デナイト云フコトデゴザイマス
カラ、此財源ハ決シテナイモノデアルト云フコトヲ本員ニ於テ斷定致シマ
ス、故ニ此案ニ向ッテハ私ハ反對スルノデアリマス
(「討論終結」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=31
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032・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 河島醇君
〔河島醇君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=32
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033・河島醇
○河島醇君(十番) 諸君、本員ハ此治水ノ建議案ニ對シテ最モ贊成ヲ表スル
者デゴザイマス、其贊成ヲ表スル理由ハ何デアルカト申シマスレバ、御承知
ノ如ク治水ノ問題ト云フモノハ吾邦ニ於ケル所ノ重大ノ問題デゴザイマス
決シテ新ラシイ問題デハナイ、偖テ維新以來萬事〓ニ就イテ居リマスルガ、
此治水ノ事ニ於キマシテハ豈ニ唯維新以後ノミナラズ、其以前ヨリ致シテ實
ニ各府縣各藩ニ於テモ大ニ是ニハ力ヲ盡シタノデアル、卽チ財力ヲ盡シタモ
ノデゴザイマス然ルニ維新以後ニ至ッテモ尙ホ巨額ノ費用ヲ入レ、之ニ十
分力ヲ盡シマシタケレドモ其成效ヲ一向見ルコトガ出來ナイ河川ノ修築
防水ノ工事費等ニ對シテ此國費モ多額ヲ費シマシタガ豈ニ啻ニ國費ノミナ
ラズ、地方費モ是ニ巨額ヲ費シタト云フモノハ實ニ夥シイコトデアルト思フ
ノデアリマス、斯ノ如キ河川ニ向ッテ大ナル所ノ費額ヲ費シマシタケレドモ
今日ニ至ッテハ尙ホ其完全ヲ見ルコトガ出來ナイ、豈ニ唯完全ノミナラズ目下
ノ急務ニシテ速ニ改築シナケレバナラヌコトノアルノハ果シテドウデゴザイ
マセウカ、固ヨリ當局者ハ議會ノ建議ヲ俟タズシテ之ニ著手シ、十分ニ設計
ヲシタコトデアリマセウケレドモ要スルニ費途ノ巨額ニシテ之ニ著手ス
ルコトノ出來ヌノハ其理由ノ一デアラウト思フ實際著手シ能ハヌデアラウ
ト云フコトヲ考ヘテ居ルノデアル、ソレハ唯設計ノ立タヌニハアラズシテ費
途ノ之ニ供スルモノガナイト云フコトハ明ナコトデアラウト思フ、段々各
府縣ノ有樣ヲ見マスルニ彼ノ縣會議場ニ於テ土木事業ニ就イテハ往々紛爭ヲ
釀シタコトモアルヤウデゴザイマスルガ故ニ、新聞紙上抔ニ於キマシテモ甲
縣ニ於ケル所ノ所謂河川黨ト山嶽黨トガ二派ニ分レテ大ニ紛爭ヲ起シテ居ル
ト云フコトハ往々現レテ居ルコトデゴザイマス是レ畢竟何等ノタメニ其黨
派ヲ分ツカト云フト、土木工事費用ノタメニ黨派ヲ分ツノデアル-紛爭ヲ
生ズルノデゴザイマス、然ルニ彼ノ震災費ノ如キ一時何カ天變地異ノタメニ
姑息ナガラモ復舊工事ヲ爲サナケレバナラヌト云フガ如キモノハ彌縫策ト
致シテモ一時ノ復舊工事ヲ爲スト云フノハ亦免ルベカラザルコトデゴザイマ
ス併ナガラ河川ノ如キ數百年來近クハ數十年來計畫シテ居ル所ノ問題ニ對
シテハ成ルベク根本的ニ設計十分ナル所ノ改修ト、防水ノ工事ヲ施スト
云フノガ國家經濟上ニ就イテ必要ナコトデアルト思ヒマス併ナガラ此河川
ノ修築防水ノ工事ノ如キハ申シテ見レバ經濟的是ハ積極的ノモノデナクシ
テ、所謂消極的ノモノデゴザイマス彼ノ鐵道ノ如キハ直ニ鐵道ノ工事ガ出來
ルト同時ニソレニ向クテ利益ヲ舉ゲルコトガ出來ル、ソレ故ニ鐵道公債ノ如キ
ハ之ヲ外國ニ募集シテモ直ニ是ニ應ズルコトガ出來マスケレドモ河川ノ改
修防水ノ工事ノタメニ外債ヲ起シテモ決シテ之ニ應ズル者ハ一人モアリマセ
ヌ、併ナガラ國家ノ上ニ就イテ此改修ノ工事防水ノ工事ノ必要ト云フコトハ
縱令直接ニ利益ヲ舉ゲナクテモ、縱令消極的ノ仕事ニ於テモ、國家トシテ爲
サナケレバナラヌコトデゴザイマスソレ故ニ私ハ屢〓衆議院ガ政府ニ建議
シタルニ拘ラズ、政府ガ議會ニ向ッテ此費途ヲ求ムルコトノ能ハザルハ3년간
テ費途ノ多額ニシテ豫算ヲ提出スルコトガ能ハザルノミナラズ、未ダ十分ナ
ル設計ガ立タナイノガ亦一因デアウト思フ若シ費途モ惜マズ設計モ十分ナ
ラバ、政府ハ喜ンデ議會ニ協賛ヲ求メタニ違ヒナイ、卽チ費途ノ足ラザルト費
途ニ對スル所ノ設計ノ十分ナラザルノガ、其議會ニ豫算ヲ提出シテ協贊ヲ求
メルコトノ出來ナイ原因デアルト云フコトヲ確信スル者デアル故ニ私ハ湯
本君ト同樣治水ノコトニハ極ク熱心デゴザイマスガ故ニ、曩ニ本院ニ向ッテ建
議案ヲ提出致シテ居ルノデアル卽チ湯本君ト感ヲ同ウシ贊成ヲ表スル者デ
ゴザイマスガ斯ノ如キ問題ハ此中ヨリ湯本君其他ヨリ攻擊モゴザイマシタ
ケレドモ、其趣旨ニ基イテ政府ガ設計ヲ立テ能ハザルト云フコトハ、曩ニ申シ
タ如クデゴザイマス、故ニ私ハ此設計ノ方法ニ就イテ大ニ此河川經濟ノ道
ハ一ハ全國ニ於テ全國ノ經濟ニ最モ關係ヲ及ボス所ノ大ナル河川、例ヘバ
淀川ノ如キ木曾川ノ如キ類ノ者ハ實ニ全國ニ樞要ナル所ノ關係ガアッテ、之ヲ
十分ニ改修ヲスレバ大ニ舟楫ノ便ヲ開キ全國ノ經濟ヲ助ケルノミナラズ、他
ニ於テ蒙ル所ノ災害ヲ防遏スルコトガ出來ルト云フコトヲ考ヘテ居リマスガ
故ニ、斯ノ如キ河川ニ向ッテハ彼ノ歐洲抔ニモ設ケテゴザイマスガ如ク其河
川ニ向ッテ特別ノ保護法ト特別ノ權利ヲ與ヘタイト云フ趣旨デゴサイマス、ソ
レハ何デアルカト云フト、斯ノ如ク樞要ナル全國一般ニ及ブヤウナ經濟上必
要ナル河川ニ向ッテハ、法人ノ資格ト自治ノ經濟ヲ保タシムルト云フ權利ヲ附
シタイ、其河川ニハ政府ノ特許ヲ得テ相當ナ國債ヲ起シテ、其國債ニ依ッテ
之ヲ改修シ、而シテ其國債ハ國庫ヨリ補助スル金額ト、地方カラ支辨スル金
額ト、又河川工事〓修ノ了ッタ後ニ其河川ニ依ッテ生ズル所ノ利益ヲ以テ是
ハ萬事償却シヤウト云フ方法デアル、ソレカラ又第二ノ方法ハ全國ノ河川ニ
於テ全國一般ニ經濟上利益ヲ及ボサヾルモノ或ハ一府縣ニ於テ其改修防水
ノ工事ヲ負擔シ能ハザル所ノモノガゴザイマスソレハ靜岡縣抔ニゴザイマ
ス所ノ大井川ノ如キ富士川ノ如キモノハ一ノ國道ヲ橫切ッテ居リマシテ、
此河川ト云フモノハ餘程降雨ノタメニ水量ガ膨脹致シテ實ニ每歲巨額ノ損害
ヲ受ケ、巨額ノ費用ヲ要スル所ノ河川デゴザイマス、是ミノ河川ハ到底一府
縣ノ經濟ヲ以テ支ヘ能ハザルモノデゴザイマスガ故ニ、是〓ノ河川ニ向ッテ
ハ政府ハ數年間費額ノ損害ト數年間其府縣ノ自治體ニ於テ支辨シテ居ル所ノ
費用トヲ能ク計算シ、而シテ特ニ政府ハ是ニ監査委員ヲ附シテ其經濟ノ多寡
所謂支出ノ當否ヲ審査致シテ、其結果ニ依ッテ政府ハ相當ノ補助費ヲ每年與
ヘ、其河川ニ向ッテ備荒貯蓄ノ法ヲ設ケタイ、卽チ水災貯蓄ト名ケテ治水ノタ
メニ設ケル所ノ貯蓄法ヲ設ケタイト云フノガ其冀望デゴザイマス、卽チ政府
ヨリ每年之ヲ補助スル金額ト、地方ヨリ負擔額トヲ加算シテ之ヲ防水ノ貯蓄
費ニ供シテ而シテ之ガ改修及防水ノ工事ヲ營ムト云フノガ私ガ則チ提出シ
タ建議案ノ要旨デゴザリマス、而シテ此二ツニ區別ヲ致シテ全國ノ河川ニ向ッ
テ改修及防水ノ工事ヲ爲サシムルトキハ恐クハ數年ヲ出デズシテ十分ナル
所ノ成效ヲ生ズルコトガ出來ヤウト思ヒマス、併ナガラ是レ亦議會ノ協賛ヲ
經テ政府ガ此特權ヲ與ヘ、其特權ニ向ッテハ十分ニ政府ガ之ニ監督ヲ致シテヽ
サウシテ此工事ノ速ニ成ルコトニ勤メナケレバナラヌ、故ニ私ハ治水ノ目的
タル河川〓修ト防水工事ノ必要ヲ感ズルハ湯本君ト同樣デアルガ幸ニ湯
本君ノ緊急動議ガ提出シテアルカラ、之ヲ贊成スルト同時ニ、私ガ提出シタ
所ノ案ノ意見ヲ諸君ニ述べ併セテ諸君ノ御贊成ヲ得テ願クハ之ヲ特別委
員ニ付託シテ十分ニ審査ノ時間ヲ與ヘラレムコトヲ希望スルモノデゴザリマ
ス而シテ其特別委員ハ議長ノ指名ニ依シテ九名ノ特別委員ヲ指定セラレテ、
十分ノ審査ヲ遂ゲ、十分質問ヲ要シテ、サウシテ更ニ會議ニ付セラレムコト
ヲ希望スルモノデゴザリマス
〔「贊成々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=33
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034・湯本義憲
○湯本義憲君(百五十三番)。 討論終結発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=34
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035・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 特別委員九名ニ付託シタイト云フ河島君ノ說ニ贊成ガ
ゴザリマス
(「反對-趣意ガ違フ」ト呼フ者アリ「贊成々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=35
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036・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 河島君ノ意見ハ此議案モ併セテ一緒ニ委員ニ託スルト
云フノデ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=36
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037・河島醇
○河島醇君(十番) 一〓ニ付託スルノデアル発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=37
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038・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 先決問題トシテ諸君ノ御希望ノ通リ贊成ガゴザリマ
ス特別委員九名ニ付託シタイト申ス河島醇君ノ動議ニ同意ノ諸君ハ起立
起立者少數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=38
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039・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 少數
(「討論終結」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=39
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040・福江角太郎
○福江角太郞君(二百八十九番) 私ハ湯本君ノ建議案ニ贊成デゴザリマス
ガ、此案ハ直チニ卽決セラレムコトヲ希望シマス
〔「贊成々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=40
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041・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 決議ヲ採リマス、治水ニ關スル建議案、該案ニ同意ノ
諸君起立
起立者少數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=41
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042・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 少數
第質屋取締法案第一讀會ノ續(時別委員(長報告0発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=42
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043・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 次ハ日程質屋取締法案、東尾平太郞君
〔東尾平太郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=43
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044・東尾平太郎
○東尾平太郞君(百十四番) 質屋取締法案特別委員會ノ經過及其結果ヲ御報
告ニ及ビマス、一月ノ八日ニ委員ニ付託セラレマシテ一月十日ニ委員長理事
ヲ選擧セラレマシタガ、是ハ議長ノ報告通デゴザリマス一月十四日、十六
日二十日數囘審議ノ上稍ク決定致シマシテ、其報告書ハ諸君ノ御手許ニ迴
シテアル通デゴザリマス審査ノ順序ヲ御報告シマスレバ田口君外九名提出
ノ質屋取締法案、拙者外四名提出ノ質屋條例取締法案ノ二案ゴザリマシタ
ガ、其二案ニ附イテ審査ヲ遂ゲタ次第デゴザリマス、併シ大體ニ於キマシテ
田口君外九名提出ノ質屋取締法案ニハ政府委員ハ多少不同意ノ〓ガアルガ、
拙者外四名ノ提出ニ係ル質屋取締條例法律案ニハ大體同意ヲ表スルト云フコ
トデゴザリマスガ審査會ニ於テハ便宜上自分提出ノ法案ヲ土臺トシテ審査
ヲ遂ゲタ、固ヨリ田口君ノ法案モ斟酌ハ致シマシタ、御承知ノ通リ此質屋取
締法案ハ第五議會ヨリ此度デ三囘ノ提出ニ係ッテ居リマスカラ詳細ノ說明
ハセヌデモ分ッテ居ル故ニ修正ノ廉〓其他必要ノ廉〓ニ附イテ御報告致シ
ママ、第一條ハ田口君ノ案ト拙者ノ案ト折衷シテ「支店ヲ設クルトキ亦同
シ」ト云フコトヲ拙者ノ案ニ加ヘマシタ第二項ノ廢業シタルトキハ免許ヲ
受ケタル行政廳ニ屆出ヅベシト云フハ「免許ヲ受ケタル」ト云フ文字ヲ取除
キマシタ或ハ廢業ヲスル場合ニハ或場合ニ於テハ警察署ニ於テスルカラ
必ズ免許ヲ受ケタル行政廳ニ屆出デナクテモ宜イト云フ精神デ削リマシタ、
第二條ハ拙者提出ノ案通リ、第三條ハ聊カ字句ノ修正ノミデゴザリマス、第四
條モ拙者提出ノ原案通リ、第五條ハ委員會ニ於テ多少議論モアリマシタガ、
結局拙者提出ノ原案通リニ決シマシタガ、聊カ說明シテ置キマス、第五條
「質屋ハ質契約及質物處分ニ關スル事項ヲ帳簿ニ記載スヘシ」トアルガ是一
ハ調印ガ要スルカト云フ疑ガアリマシタガ、此第五條ノ精神ハ必ズシモ調印
ヲ要セヌ唯臺帳ニ質契約及質物處分ニ關スル事項ヲ記載シテ置ケバ宜イ、
是ダケノ第五條ノ精神ヲ報告シテ置キマス、ソレカラ第二項ノ「質屋ハ質契
約ノ證トシテ質札又ハ通帳ヲ質置主ニ交付スヘシ」必ズ質屋ハ通帳ト質札ト
ヲ交付スベシト云フコトガ規定シテゴザリマスガ或ル場合ニ於テハ通帳モ
イラヌ、質札モイラヌ、質屋ガ交付シテ質置主ガ强ヒテ請取ラヌモノガアル
ガ、是等ノ場合ニ於テハ必ズ質屋ニ此責ヲ負ハスト云フコトハゴザリマセ
ヌソレカラ第六條ハ田口君外九名提出案ノ第五條ハ其儘是ニ挿入シテ分ッテ
居ルガ、是モ格別修正ハシマセヌカラ說明ニハ及ブマイト考ヘマス、第七條
ニハ唯文字ノ修正「傳染病」ト云フ原案ガ「傳染病毒」ト「毒」ノ字ヲ加ヘ
タダケ、第八條-第八條ノ一項ハ拙者提出ノ原案通リ、第二項ハ新タニ挿
入シタル次第、此二項ヲ挿入シマシタノハ政府委員ニ於テハ轉質ハ必ズ禁止
シタイト云フ政府委員ノ請求デゴザリマス併ナガラ日本ノ質屋ノ習慣上轉
質ハ古來ヨリ許シテアル今月轉質ヲ禁ズルト云ヘバ多少質屋營業者中ソレ
ガタメニ廢業セネバナラヌモノガアッテ、困難スル併シ行政取締上制限ヲ
附サナイト云フト行政取締上ニ差支ヲ生ジマスルカラ、委員會ニ於テ審議
ノ末必要ノ場合ニ限リ命令ヲ以テ制限シ、又ハ禁ズルコトヲ得ルト云フコト
ヲ委員會ノ多數ノ決議ニ依リマシテ第二項ヲ新規ニ挿入シタ次第デゴザイ
マス(草刈親明君「惡ルイ惡ルイ」ト呼フ)惡ルイ-ソレカラ利子ノ制限ハ
十圓以上五十圓以下ノ金額ニ對シテハ制限スルノ必要ヲ認メナイカラ之
ヲ削リマシテゴザイマスソレカラ一圓以下ハ百分ノ四ノ利子ト斯ウアリマ
ス、二十五錢以下ノ少額デアリマスト例ヘバ十錢ノ質ヲ入レテ四厘シカ利
子ガナイト手數料ニモ足ラナイヤウナ次第デゴザイマスカラ、二十五錢以下
ノ金額ハ一錢以內取ルコトヲ得ルト云フコトニシマシタ、併シ二十五錢以下
デ必ズ一箇月ニ一錢取レト云フノデハナイ一錢以内デヤレト云フノデゴザ
イマス十條、十一條、十二條、十三條、是ハ拙者提出案ノ通リ別ニ修正モ
何モゴザイマセヌ、ソレカラ第十四條贓物品觸ニ係リマスルモノハ一箇年ト
アリマスルノヲ、六箇月ト期日ヲ縮メマシタノハ隨分品觸ハ紛雜ナモノデ
ゴザイマスカラ、一年モタツト調査ガむづかしうゴザイマスカラ六箇月ト
致シマシタ、ソレカラ十五條モ警察官ガ必要ノ場合ニ於テ物品ヲ差押ヘマス
ルノニ、日限ヲ極メテ置キマセヌト、從來警察官ガ質物件ヲ差押ヘテいつ
マデモ無期限デ抛ツテ質屋ノ營業ニ非常ノ妨害ヲ與ヘマスカラ先ヅ十日ア
レバ警察官ニ於テ相當ノ處分ヲ爲シ得ラレルデアラウト云フノデ十日以內
ニ限ルト云フ文字ヲ挿入シタ次第デゴザイマス、十五條ノ一項、二項、三
項ハ警察官ニ於テ質物及帳簿ノ檢査ヲ爲スハ日出後日沒前ニスルト云フコト
デゴザイマスガ、是ハ「店舗ニ於テ」ト云フコトヲ加ヘタダケデゴザイマス、
警察官ガ日出前日沒後ニ質屋ノ物品ノ搜索ガ出來ナイトシマスルト、縱令汽
車中デアッテ旅行中抔ニヤル時ニハ行政警察上困ルカラ、質屋ノ店舗ト云フ
コトヲ挿入シテ、日出後日沒前ト限リマシタ、若シ汽車中抔其場合ニ於テハ
夜デモ出來ルト云フノデ、店舗ヲ加ヘテ場所ヲ制限シタノデゴザイマスワ
レカラ第十六條デゴザイマスガ、是ハ委員會ニ於テモ一番議論ノアッタ箇條
デゴザイマス、「遺失物若クハ贓物ニ係ル時ハ警察官之ヲ徵收シ被害者ニ還付
スルコトヲ得若シ被害者知レサルトキハ徵收シタ日ヨリ一箇年ノ後官沒スル
コトヲ得」質屋ガ遺失物、不正ノ贓物品タルコトヲ知ッテシマスルカ知ラズ
ニシテモ之レヲ警察官ガ直チニ徵收シテ被害者ニ還附スルト云フコトハ餘
程質屋ニ對シテ迷惑ノ話デゴザイマスサリナガラ第三條ニ規定シテアリマ
スル通リ不正ノ品ナレバ質屋ガ質ニ取ルコトヲ得ナイ義務ガ必ズゴザイマ
スルカラ、行政取締上是ハ已ムヲ得ナイ譯ト考ヘマスル尤モ議論ノアリマ
シタノハ是等ノ品物ヲ行政警察權デ裁判ノ宣告ヲ經ズシテ直チニ警察官ガ
其品物ヲ徵收シテ被害者ニ還スト云フコトハ餘リ行政警察ニ過大ノ權ヲ與ヘ
ルト云フコトガ、委員會ニ於テ大ニ議論ガゴザイマシタ素ヨリ刑法五十六
條ニ是等ノ裁制モアル、此事ニ就イテ種々雜多ノ中ニハ角田君ハ法理論ノむ
づかーい議論ヲ致サレマシタガ私抔ノ素人ニハ分リマセヌカラ報〓ハ出來
ナイガ(笑聲起ル)詰ル處政府委員ト協議ノ上第二項以下ヲ削ッテ第一項ダケ
ヲ存シタ次第デゴザイマス、尤モ此事ニ就イテ法律上ノ委イ說明ノ御質問ナ
レバ角田君ガ答辯スルコトニナッテ居リマスカラドウカ御承知ヲ願ッテ置
キタイ第十七條、十八條、十九條、二十條、二十一條、二十二條ハ拙者
提出ノ原案ト別ニ變リマセヌカラ、說明ハ略シテ置キマス、第二十三條ハ第
一條ノ廢業シタルトキニモ屆出ヌ者ニ罰ヲ加ヘルタメニ、第一條第二項ト云
フモノヲ加ヘマシタ、第二十四條、二十五條、二十六條是ハ變リマセヌ、二十七
條ノ施行期限ハ七月一日トアルノデ九月一日トシタノハ是ハ實際ニ施行スル
ニ就イテ警部長抔ノ會議モ開カヌナラヌ、迚モ七月一日トシテハ實行ハ出來
ナイト云フコトデゴザイマスカラ、九月一日トシマシタ、終リニ臨ンデ一言
シテ置キマスルガ、此修正案ニハ政府委員ガ大體同意ヲ表セラレタ次第デゴ
ザイマスルカラ成ルベク速ニ決議アラムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=44
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045・草刈親明
○草刈親明君(百二十六番) 質問致シマス私ハ此質屋取締法ニ對シマシテ
ハ他ニ意見モゴザイマスケレドモ先ヅ質問カラ始メマス、第四條、第七條
ノ二項、第十四條、第十六條ニ就イテ疑義ガゴザイマスルカラ說明ヲ請ヒマ
ス、先ヅ第四條ヨリ御質問ニ及ビマスガ四條ノ第二項ニ「又ハ警察官ノ認
可ヲ受ケタルトキハ本條ヲ適用セス」トゴザイマス、則チ住所氏名ノ詳ナラ
ザルモノヨリハ品物ヲ質ニ取ルコトヲ禁ジテ置クケレドモ然レドモ警察
官ノ認可ヲ受ケタルトキハ本條ヲ適用セズトゴザイマスル以上ハ、警察官ニ
於キマシテ住所氏名ノ知レザル者ニ對シテ證明ヲ與フルノ則チ認可ヲスル權
利ヲ得テ居ルト云フ御考デゴザイマスカ、又ハ今一ツハ警察官ガ認可ヲ與ヘ
マシタコトデ、サウシテ此場合ニ被害ヲ生ジマスルコトガゴザイマス被害
ガ生ズルコトヲ其被害ヲ防グタメニ元來證人ト云フモノヲ置クノデゴザイマ
ズカラ、警察官ガ認可ヲ與フルノモ被害ヲ防グタメニ認可ヲ與フルノデゴザ
イマス、サウスレバ被害ガアッタ場合ニハ國家ガ此損害ヲ負擔致シマスルカ、
警察官個人ガ負擔スルコトニ相成リマスカ、此二箇條ニ就イテ先ヅ御答ヲ願
七マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=45
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046・東尾平太郎
○東尾平太郞君(百十四番) 是ハ事實ニ於テ屢〓アルコトデゴザイマスル
ガ先ヅ旅行人ガ金ヲ使ウテ仕舞ッテソレカラ物件ヲ質屋ニ持ッテ參ツテ
モ、質屋ガ顏ヲ知ラナイカラ取ラナイ、サウ云フ時ニ警察署ヘ往ッテ吾ミハ
何處ノ者デアル、之レヲ質ニ置カウト思フテモ質屋ガ取ラナイカラ自分ノ
身元ヲ調ベテ證明ヲシテ吳レト云フコトハ屢〓アル、私共ガ廣島ニ往ッテ居ッ
タ時ニ大阪ノ人デ金ヲ無クシテ時計ヲ質ニ置カウトシテ身分ノ身元ヲ十分
調ベテ貰フタソコデ警察署ガ照會ヲシタ上、是ハ取ッテ宜イト云フコトヲ
證明シテヤッタコトガゴザイマス、サウ云フ例ヲ示シタノデゴザイマス、質
屋ハナカ〓〓其人ノ身元ヲ調ベルゴトガ出來ナイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=46
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047・草刈親明
○草刈親明君(二百二十六番) 警察官吏ガ其者ノ·発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=47
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048・東尾平太郎
○東尾平太郞君(百十四番) 固ヨリ住所氏名ノ分ラヌモノハ取リマセヌ、警
察署デ調ベタラ分ル分ラナカツタライケナイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=48
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049・草刈親明
○草刈親明君(二百二十六者) 御待チナサイ、質問ノ分ラヌ中答ヘテハ分ラ
ヌあなたノ仰セノ通リニシマスレバ、旅行人抔ガ質ヲ置カウトシテモ質屋
ハ知ラナイカラ、知ラナイカラ、其者ガ警察署ニ往ッテ私ハ何處其處ノ何ノ
誰デアル、斯ウ申シタ其人間ガ眞ニ其人間ノ言フ通リデアルカナイカト云フ
コトヲ、警察官ガ調ベテ、其言フ通リデアルトシマシタナラバ、住所姓名ハ
詳ニナッタモノデハゴザイマセヌカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=49
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050・東尾平太郎
○東尾平太郞君(百十四番) ナッタモノデス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=50
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051・草刈親明
○草刈親明君(二百二十六番) ナッタモノナラバ、ナッタモノニ對シテ殊更
ニ警察官ノ認可ヲ受ケルトハ何ノコトデゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=51
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052・東尾平太郎
○東尾平太郞君(百十四番) 實際上今ヤッテ居ル-議論ハ別ニ願ヒタイ、
昨今ハサウナッテ居ル発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=52
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053・草刈親明
○草刈親明君(二百二十六番) ソレカラ今ノ後トノ方ノ場合ハ何人ガ其損害
ノ責ニ任スルカ泥棒ノモノヲ質ニ置イテ警察官ガ泥棒ノモノデナイトシテ
質ニ置カセ、後トデ泥棒ノモノガアッタト云フコトガアレバ、其責ハ誰ニ歸
シマスカ質屋ニ對シテ國家デスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=53
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054・東尾平太郎
○東尾平太郞君(百十四番) ソレハ警察官デス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=54
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055・角田眞平
○角田眞平君(二百十四番) 御差支ナクバ-草刈君ノ御問ハ私ニ能ク分ッ
テ居ルカラ、御差支ナクバ私カラ答ヘマセウ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=55
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056・草刈親明
○草刈親明君(二百二十六番) 私ハ反對ノ意見ヲ述ベルカラ、其時願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=56
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057・東尾平太郎
○東尾平太郞君(百十四番) 角田君ニ說明ヲ希望致シマセウ
〔「法律ヲ知ラナイ者ヲいぢめるノハ無理ダ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=57
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058・角田眞平
○角田眞平君(二百十四番) 私ハ提出者デモゴザイマスカラ、私ノ權利トシ
テ最初御尋ニナッタ所カラ私ガ述ベタウゴザイマス、第四條デ警察官ノ認可
ヲ受ケタト云フ時分ニハ住所姓名ガ詳デナクトモ宜イノデゴザイマス、本人
ハ唯今病氣デアッテ問合セタ先キノ電報ノ返信ガナイ、郵便ノ返信ガナイ併
ナガラ旅費ガナイカラ著物ヲ賣ラナケレバナラヌカラシテ、質ニ置クコトガ
出來ヌ時分ニ警察官ガ宜シイト言ヘバずん〓〓質ニ取ルコトガ出來ル、而シ
テソレカラ先キハ當リ前ノ法律論デ往クノデ是ガ訴ヘテ刑法附則ノ五十四
條カラ五十七條マデノ間ニアル手ヲ經テ取ッタ時分ニハ、其法律ニ從フコト
ニナリ又特別質屋條例第十六條ニ依ッテ、ソレガ贓物デアルト云フコトガ
警察官ノ手デ知レタ時ニハソレヲ取上ゲテ仕舞フソレ故ニ國家ガ責ヲ負
フノ一個人ガ責ヲ負フノト云フ問題ハ起ッテ參リマセヌ、則チ第四條ノ是
ガ答辯デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=58
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059・草刈親明
○草刈親明君(二百二十六番) 第八條ニ就イテ御問シマス、、事實ノ問題デゴ
ザイマスカラ理窟ハ御止メニナッテ···発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=59
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060・角田眞平
○角田眞平君(二百十四番) あなたガ理窟ヲ言ハナケレバ私モ申シマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=60
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061・草刈親明
○草刈親明君(二百二十六番) 第二項ニ轉質ト云フコトガゴザイマス、轉質
ダト質屋ガ甲ヨリ質物ヲ取ッテ乙ノ質屋ニ質ヲ置クコトハ出來ル、斯ウ云フ
ノデゴザイマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=61
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062・角田眞平
○角田眞平君(二百十四番) サウデゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=62
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063・草刈親明
○草刈親明君(二百二十六番) サウスレバ甲ノ質屋ガ百圓デ質ニ取ッテ、ソ
レヲ二百圓デ轉質スルコトガ出來マスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=63
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064・角田眞平
○角田眞平君(二百十四番) ソレガ則チ命令ニ依ッテ是ヲ制限スル中ニ這入
ル其他ノ物品ニ限リ禁止スル中ニ這入ラヌト云フ事項ヲ限ルノガ必要デア
ルノデアル発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=64
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065・草刈親明
○草刈親明君(二百二十六番) 第十四條ニ贓物ノ品觸アルトキハ到達シタ
ル年月日ノ其品觸寫書ニ附記スベシ、品觸到達以後六箇月內ニ品觸ニ相當ス
ル物品ヲ質ニ取リ云々トゴザイマス、此文字デ見レバ質屋ハ贓物デアルト云
フコトヲ知リマシテモ、其物品ヲ質ニ取ルコトハ出來ルヤウニ成ッテ居ル、此
意味ハ第十三條ノ贓物ニシテ特ニ識別シ得ベキ物品ニ限リ警察官ニ於テ必
要アリト認ムルモノハ品觸ヲ發スルト云フコトデゴザイマスガ故ニ、特ニ識
別シ得ベキモノデナカッタナラバ品觸ヲ六箇月ノ間ニ警察署ガナサヌト云フ
コトデゴザイマスカ、サウスレバ質屋ガ物品ヲ品觸中ニ相當シテ居ル贓物デ
アルト知ッテ、サウシテ質ニ取ルコトハ出來マスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=65
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066・角田眞平
○角田眞平君(二百十四番) 十四條ニハ左樣ナコトガ書イテゴザイマセヌ、
十四條ニハ明記シテアル如ク贓物ノ品觸アルトキハ其到達シテカラ後ノコ
トヲ云フノデ、六箇月內ハ義務ガアル質屋ノ今マデアッタ中ニアリマスレバ
今マデアッタ中デ品觸相當ノ贓物ヲ以テ屆ケルケレドモ是カラ六箇月ノ間
ハ質ヲ取ッタリ又如何ナ物ト思フトキハソレヲ取ラズニ取ッタ後トデ知レ
タラ屆出ヅル、斯ウ云フノデゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=66
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067・草刈親明
○草刈親明君(二百二十六番) ソレハサウハ往カナイ「若クハ質物トシテ占
有セルコトヲ覺知スルトキハ」トアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=67
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068・角田眞平
○角田眞平君(二百十四番) サウデス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=68
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069・草刈親明
○草刈親明君(二百二十六番) ソレデハ上ノハナンデス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=69
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070・角田眞平
○角田眞平君(二百十四番) 上ノハ私ノ云フ六箇月ノ間義務ヲ以テ居ル、若
クハ以下ハ若シ品觸ヲ以テ往ッテ、ソレニ相當ナ贓物ガアレバ屆ケル発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=70
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071・草刈親明
○草刈親明君(二百二十六番) ソレガ占有デスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=71
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072・角田眞平
○角田眞平君(二百十四番) 占有デス其··
〔「反對論ヲシ給ヘ」ト呼フ者アリ「最ウ宜イ加減ニシロ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=72
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073・角田眞平
○角田眞平君(二百十四番) 草刈君ハ多分誤解ヲシテ居ラルヽト思フ
〔田中正造君「此處ハ學校ジアナイカラ〓育マデサセナクッテ宜イ」ト
呼フ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=73
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074・橋本省吾
○橋本省吾君(七十八番) 私ハ此案ニ就イテ政府委員ニ質問致シタイコトガ
アル此案ニ就キマシテ政府ノ御方ニ御尋致シマスルガ是迄ノ質屋取締法
ダト云フト例ノ警察官ハ隨分質屋ヲ見テ威張ッタモノデゴザイマスガ此
第五條-第五條ハ先刻委員長ノ御話ガゴザイマシテ、粗〓分ッタデゴザイ
マスガ、尙ホ伺ッテ置カウト云フノハ、質屋ガ質ニ取ッタモノ契約ノ濟ンダ
モノニ通帳ト云フモノヲ渡シマス、然ルニ或ル場合ニ依ッテ質主ニソレヲヤ
ラヌ時分ハソレヲヤラナクテモ宜イ、斯ウ云フノデゴザイマスカサウ云
フ場合ニ於テ、ヤラナクテモ決シテ此法文ニ牴觸スルコトハナイノデゴザイ
マスカト云フノガ一ツ今一ツハ此十六條デス、十六條ニちよっと讀ンデ見
マスルト、贓物遺失物ノ主ガ分ッタトキハ、警察官ガ徴收シテ被害者ニ引渡
スヤウニ見エル、全ク是ハ刑法カ何カニアル通リデ、事實調ベテ見テ撿事ノ手
ニ渡レバ、警察署ハ直ニ渡スコトハ出來ナイ贓物ガえっきりセナイノデゴ
ザイマスカラ-所ガ是マデノ樣子ニ據ルト、其以前濫ニ請求ガアルト引渡
シタコトガアラウト思ヒマスガ此二ツノコトヲ伺ッテ置キタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=74
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075・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 都筑君
〔政府委員内務省土木局長都筑馨六君演壇ニ登ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=75
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076・都筑馨六
○政府委員(都筑馨六君) 第五條ノ方ハ必ズ渡スト云フ精神デアリマス、ワ
レカラ第十六條ノ方ハ無論遺失物ト認メマセヌ以上ハ、十六條ニ據ラヌダラ
ウト思フ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=76
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077・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 正則ニ依リ決議ヲ採リマス、該案ニ對シ二讀會ヲ開ク
ニ同意ノ諸君ハ起立
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=77
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078・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 大多數、二讀會ヲ開クコトニ決シマス、次ハ第一一公證人
規則〓正法律案-小室重弘君
第二公證人規則改正法律案第一讀會ノ総(歸)
〔小室重弘君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=78
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079・小室重弘
○小室重弘君(九十六番) 諸君、公證人規則改正法律案ノ審査委員長ハ少シ
ク御差支ガゴザイマスルデ私ガ代ッテ報告スルコトニナリマシタ、此審査ハ
去ル二十三日ノ午前十時ヨリ開イタコトデゴザイマスガ、過半數ヲ以テ本案
ヲ否決シタコトデゴザイマス、此法案ヲ否決シマシタ理由ヲ簡單ニ述ベヤウ
ト思ヒマス、沼田宇源太君其外出シマシタ所ノ本案ハ此公證人ノ作リタル公
正證書ト云フモノヽ效力ヲ不十分ナラシメヤウト云フ精神デゴザイマシテ、
其事ハ此理由書ニ明ニ書イテアルヤウデゴザイマスガ、私共ガ考ヘル所ニ依
ルト、是ハ甚ダ間違ッテ居リハシマイカ知ラヌト思ヒマスル、此提出ノ諸君ノ
如キハ何レモ法律ノ先生方ガ澤山御アリナサルノニ吾ミガ是ニ對シテ反對
ノ意見ヲ述ブルト云フコトハ甚ダ或ル點ニ於テハ恐ルヽデゴザイマスガ併
シ斯ノ如キ議案ニハ反對セザルヲ得ヌ、ナゼナレバ今此公證人規則ノ第三條
ヲ改正シマシテ其外ヲ除キマシタ所ガどんな效力ガアルデゴザイマセウカ、
若モ之ヲ削ッテ公正證書ノ效力ト云フモノヲナクシヤウト思ヒマシテモ、ワレ
ハ少シク法律ヲ御調ニナッタ方ミハ既ニ御承知デゴザイセウケレドモ、此民事
訴訟法ノ五百五十九條ノ五項ニモ明カニ書イテゴザリマスルノデ「公證人カ
其權限內ニ於テ成規ノ方式ニ依リ作リタル證書但一定ノ金額ノ支拂又ハ他ノ
代替物若クハ有價證券ノ一定ノ數量ノ給付ヲ以テ目的トスル請求ニ付キ作リ
タル證書ニシテ直チニ强制執行ヲ受ク可キ旨ヲ記載シタルモノニ限ル」ト云
フコトガ書イテアル、則チ是ガゴザリマスルノニ、又五百六十二條ニモ同樣ナ
正本ノコトニ就イテ公證人ガ之レヲ付與スルト云フコトガ書イテアル、則チ
之レヲ削リマシタ所ガ、民事訴訟法ノ條項ト云フモノガ改マラナイ以上ハ決
シテ效力ガナイ話デゴザリマス、ソレデ反對ノ論者ハソレハ公證人規則ヲ〓
メテ〕而シテ此民事訴訟法モ改メルト云フヤウナ御論ガアッタ、全體公證人規
則ト云フモノハ何ノタメニ出來タカト云ヘバ、是ハ言ハヌデモ明カナコトデ、
則チ分リ切ッタノデ、斯ノ如キ證書ヲ拵ヘルニハ人ヲ設ケテ其者ニちやんと
法律上ノ制限ヲ與ヘテ、是ニ依ッテ證書ヲ作ラシメル、而シテ裁判ノむやみニ
起ラナイ又裁判費用ヲ減ズルト云フ國民ニむやみニ爭ハセナイト云フコト
ノタメニ作ッタコトハ明カノモノデアリマスル、然ルニ論者ハ此公正證書ト云
フモノニ執行ノ權力ヲ與ヘテ置クト云フコトノタメニ非常ナ弊害ヲ世ノ中
ニ及ボスモノデアルト言ヒマスモ、斯ウ申シマスル或ハ高利貸ヤ何カ
ノ機械ニナルト云フヤウナコトヲ言ハレテ居ル、併ナガラ諸君、ソレハ高利
貸ノ利益ニ果シテ公正證書ガ效力ガアルカドウカ私共ハ此公正證書ノ權力
ヲまるデナクシテ仕舞ヘバ尙以テ高利貸ノ亂暴スルヤウナモノヲ防グコト
ハ出來ヌ、ソレハナゼカト申シマセウナラバ、其外ノ方法ニ於テモ强制執行
モ出來ヤウ假差押モ出來マセウシ、又仕拂命令ヲ以テ責ムルト云フコトモ
出來ル、鈴木充美君ノ御演說デゴザイマシタガ、暮ノ二十八日大晦日ニ至ッ
テ差押ヘルト云フヤウナコトガアッテ、非常ニ迷惑スルト云フヤウナコトデゴ
ザイマシタガ互ノ私證-私上ノ約束ノ證文モゴザイマセウ、又矢張仕拂命
令ナリ假差押ナリ出來ル以上ハ暮ノ大晦日デモ何デモ構ハナイ暮ノ大晦
日ニヤルノガ何故ニ惡ルイカト言ッタナラバ是ハ公證人ノ作ッタ執行力ノ證
書ガアル以上ハ其者ハ初カラ約束シタノデアル其日ニ迄差押ヘラルヽモ
何モ銘々ガ皆甘諾シテ此事ヲ爲シタノデアルカラ此弊害ヲ此法律ニ歸セシ
ムルト云フコトハ出來ナイ、又此理由書ヲ讀ンデ見マシタナラバ此中ニ種
種吾〓ニ分ラヌコトガ書イテアルト云フモノハ公證人ノ作リタル公正證書
ノ執行力ヲ與フル債權者ヲ保護スル途ガ簡易デアルト云フコトガアル實際
ニ徵スルニ不法ノ利益ヲ貪ラントスルモノデアルト書イテアル、然ラバ果シ
テ債權者ヲ保護スルモノデアルカ、吾ミハ債權者ヲ保護シ、又債務者ヲ之ヲ
保護スルモノデアルト云フコトヲ信ジテ居ル何トナレバ諸君、公正證書ヲ
作ル時分ニハ、必ズ此公證人ガ債權者ハドウ云フ身分ノモノデアルカ、債務
者ハドウ云フモノデアルカ、細ニ調ヲ致シマスル、又證書ヲ詐ルコトガ出來
ヌヤウニ、字ハ畫ノ多イむづかゑい字ヲ以テ書クトカ、殊ニ空ノアル罫紙ト
カユハちやんト印シヲ付ケテ、此證書以內ニ一字モ書加ヘルコトガ出來ヌ、
決シテ債權者ノミヲ保護スルト云フコトハゴザイマセヌ、此公正證書ニ斯ウ
云フ執行力ヲ與フルノハ司法權ヲ蹂躙スルト云フヤウナコトガゴザイマスル
ヤウデゴザイマス吾〓ハ決シテ司法權ヲ蹂〓スルト云フヤウナコトヲ思フ
コトハ出來ナイ吾〓ハ此公證人規則ト云フモノハ則チ此公證人ト云フ者ヲ
玆ニ設ケテ置キマシテ、此者ノ資格又職務、サウ云フ者ガ司法ノ下ニ立ッテ
事ヲ行ッテ往クノデゴザイマス、言葉ヲ換ヘテ言ッテ見マスルナラバ、司法權
ノ一部分卽チ民事上ノ契約ニ關スル所ノ此部分ヲ公證人ニ付與シテアルト
言ッテ差支ナイノデ、卽チ相當ノ法律ノ範圍內ニ於テ公證人ノ權利ヲ以テ作タ
タモノデアリマスカラ之レヲ以テ司法權ヲ蹂躙スルト云フヤウナコトニハ
ナラヌ、又サウ云フコトハ出來ナイト私ハ思ヒマスル、又此中ニ裁判所確定
ノ效果デアル、强制執行ト云フモノハ裁判確定ノ效果デアルト言ヒマスルケ
レドモ、ソレハ皆始テ公證人ガ作ッタ公正證書ニ依レル執行ト云フモノハ則
チ作ル始メヨリ必ズ强制執行ヲサレルト云フコトハ銘々ノ約束ニ依ッテ既
ニ成立ッテ居ルモノデゴザイマシテ、裁判ノ如ク證據ヲ取上ゲテ陳述ヲ聽イ
テ而シテ後ニ判決ヲ與ヘルコトヲ執行スルヤウナモノトハ自ラ其性質ガ全ク
違ッテ居ル、他ノ公吏ノ作ック證書ニハ效力ヲ與ヘナイト云フヤウナ意味ニナ
ルヤウデス、ソレハ他ノ公吏ノ作リマシタ所ノモノト公證人ノ作ッタ證書ト
ハ自ラ全ク意味ガ違ッテ居ルノデ、則チ公證人ハみんな自ラ大層範圍ノ廣イ又
囘復ノ出來ヌヤウナモノニ就イテ他ニ又作ルト云フヤウナコトハ出來ヌヤ
ウニナッテ居ルソレデ此本案ノ如キハ無論ドノ點カラ申シマシテモ一〇
此理由書ニ書イテアル所ノ理由ハナイ又斯ノ如キモノヲ改正シマシテモ、
何ニモ利益ガナイ、ソレ故ニ私共ハ一モ採ルコトガ出來ヌト思ヒマス本案
ニ就イテハ政府委員モ此否決ノコトニ同意シテ居ル譯デゴザイマシテ、此委
員會ハ沼田君一人ノ外殘ラズ否決ノ意見ヲ以テ一致シタノデゴザイマス諸
君モ速ニ否決セラレンコトヲ希望スルノデゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=79
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080・草刈親明
○草刈親明君(二百二十六番) 私ハ提出者デゴザイマスカラ、ちよっと申上
ゲタウゴザイマス唯今ノ委員長代理ノ御報告デゴザイマス-私ハ提出者
ノ一人デゴザイマスカラ、大ニ意見ガゴザリマス、併ナガラ黨議ニ置キマシ
テ委員長ノ報告ニ贊成ヲセヨト云フ命ヲ受ケマシタカラ詰リ今日此議案ノ
··唯其日ニハ私ガ此黨議ノ際ニ缺席致シマシタコトヲ恨ムト云フコトヲ申
上ゲテ置キマス終リニ一言入レマス、縱令合意ノ契約デモ安寧ヲ害シ秩序
ヲ破ル時ハ、之ヲ〓メナケレバナラヌト云フコトデアル、是ダケヲ御記憶ヲ
願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=80
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081・高橋小十郎
○高橋小十郞君(二百六十番) 議長発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=81
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082・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 二百六十番ハ質問デスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=82
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083・高橋小十郎
○高橋小十郞君(二百六十番) 提出者ニ反對ノ意見ヲ述ベマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=83
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084・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 他ニ通告ガアリマス通告順ニ從ヒマス、守屋此助君
〔守屋此助君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=84
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085・守屋此助
○守屋此助君(百一番) 本員ハ公證人規則改正法律案ニ對シマシテ原案ニ反
對デ、詰リ委員會ノ決議通リノコトヲ贊成スル者デゴザリマスソレデマア
一言デ言ロマスレバ此案ハ法律家中ノ知名ノ氏ガ御出シニナッテ居ルノデ
ゴザリマシテ、ソレニ吾〓若輩ガ申スノハゑらい失禮デアリマスガ、一言以
テ之ヲ蔽ヘバ智者千慮ノ一失デゴザイマセウカ詰リソレデゴザイマセウ
ナゼデアルカト言ヘバ方法ト目的トまるデ是デハ合ハヌト云フコトニナ
ル、ナゼ方法ト目的ガ合ハヌト云フト、目的ハ如何ナルモノデアルカト云フ
ト公證人ガ書イタ公正證書ヘ執行交ヲ附ケテ直チニ執行サセルト云フコ
トヲ止メルト云フノガ目的デアルソレヲ止メルガタメニ公證人規則ノ第三
條ヲ削ルト云フノガ方法デアル、所ガ是ハ死ンダ人ヲ殺スト云フコトニ終局
ナルナゼナラバ後ノ法律ハ前ノ法律ヲ消滅セシムルト云フ事柄ハ提出者ノ
法律家諸君ハ皆樣疾ニ御承知ノコトデアル、前ノ法律ガアッテソレニ違ッ
ク後トノ法律ガ規程ガ出テ居レバ、後トノ法律ニ效力ガアッテ、前ノ法律
ガ自然ニ消滅スルト云フコトハ議論ノナイ話デアル、デ此執行文ヲ附スルト
云フコトニ就イテ、如何ナッテ居ルカト言ヘバ始ノ公證人規則デハ參考ノ
タメニ出テ居ルガ如ク公證人ノ作ッタ公正證書ハ完全ノ證據ニシテ、其正
本ニ依リ裁判所ノ命令ヲ得テ執行スル力アルモノトス斯ウナッテ居リマス
此方ノ公正證書ニ於テハ直グ公證人ガ執行文ヲ附ケルコトガ出來ヌ、公證人
ハ公正證書ヲ書クダケデ執行交ヲ附ケルノハ裁判所デアルト斯ウナッテ居
ルソレカラ然ル所ガ公證人ガ公正證書ニ執行文ヲ附ケルコトガ今日現在ア
ルカドウカト云フト、サウデゴザリマス、其處ガ此公正證書ハ裁判所ノ命令ヲ
得テ執行力アルモノトスルト云フ此法ガ消エテ居ル、消エテ居ルノハソレカ
ラ後トニ出タ民事訴訟法ノ第五百五十九條是ノ一番始ニ「强制執行ハ左ノ諸
件ニ就イテ之ヲ爲スコトヲ得」ト書イテアル其第五ニ「公證人ハ其權限內ニ
於テ成規ノ方式ニ依リ作リ得ル證書」ソレカラ云々ト書イテ「直チニ强制執行
ヲ受クヘキ旨ヲ記載シタルモノニ限リ」ト是ガ公正證書デ出來ル、誰ガ公正證
書ニ執行文ヲ附ケルカ、斯ウミミト第五百六十一一條ニ「公證人ノ作リタル證書
ノ執行カアル正本ハ其證書ヲ保存スル公證人之ヲ附與ス」トアル、此五百六十
二條竝ニ五百五十九條ト云フ此法律ニ依ッテ此法理ガ現存シテ居ルカラ公
證人ガ公正證書ニ執行文ヲ附シ得ルト云フコトガアルノデ、何モ唯今アル公
證人規則ノ第三條ニ依ッテ何モ公正證書ニ執行文ヲ尙ホ附スルノデハナイ
ノデアリマスソレ故ニ其方法ト目的トハ齟齬シテ居ルト云フノハ此處デ
ス理由書竝ニ鈴木君ガ御演說ノ通目的ヲ果サウトシテ公證人ノ作ッタ公正
證書ニ執行文ヲ附スルト云フコトヲ止メヤウト云フニハアノ公證人規則ニ
毫末モ手ヲ著ケナイデモ宜シイト云フコトハ其正本ニ依リ裁判所ノ命令ヲ
以テ執行力アルモノトスルト云フ法文ハ則チ彼ノ法律ナル訴訟法デ死ンデ居
ル消エテ居ル死ンダ者ニモウ一ツ刀ヲ加ヘヌデモ宜シイ、モウ宜シイ
命ガ消エテ居ル是非トモ其目的ヲ果サウト云フナラバ訴訟法ヲ改メテ置カ
ナケレバナラヌノデアル、然ルニ鈴木君ノ演說セラレタ所デハ斯樣ニ申サレ
タ公證人規則ヲ先キニ改メテ置カナクシテ訴訟法ヲ改メルト云フコトヲ
云フノハ前後撞著デアルカラ追ッテ訴訟法ヲ改メルコトガアラウト云フコ
トヲ言ハレタノデアルガ是ハをかーい話デアル、執行力ヲ附スト云フハ前
ニ申スガ如ク手續デアリマスカラ、宜シク公證人ガ書イテ公正證書ニ效力ヲ
直チニ持タスト云フコトガいやナラバ、先ヅ訴訟法ヲ改メルト云フ順序ニシ
ナケレバ道行ガ違フト云フコトヲ申サナケレバナラヌ、ソレデアリマスカラ
道行ガ違フモノヲ存シテ置イタ所ガ、目的ハ達セヌノデゴザイマス、ソレカ
ラ目的其者ガ宜イカト云フト、目的其者ガ宜イカト云フコトニ就イテハ私
ハ目的其者モ惡ルイト思フ、何故ナラバ今日公證人ノ地位ガ低イカラ公證
人ノ作ッタ公正證書ニ執行文ヲ附ケルガ惡ルイト云フ一ツノ理窟ガアル、是ハ
をかしい、裁判官ガ惡ルイカラ、惡ルイ裁判官馬鹿ナ裁判官ガシタ裁判ニハ
執行力ヲ持タセヌト云フノハをかしいノデアル、ソレナラバ天下ニ裁判ヲ
サセヌガ宜シイ、裁判所モ設ケヌガ宜シイ、公證人ノ地位ガ低イカラ執行力
ヲ持タセヌト云フ論ガ是ナラバ、公證人規則ト云フモノヲ全廢シテ公證人ヲ
天下ニ置カヌト云ヘバ宜シイソレナラバ幾ラカ論理ガ貫クノデアル併ナ
ガラ公證人ノ必要ハ御感ジニナッテ居ル何故ナラバ公證人ノ作ッタモノハ
完全ナル力ヲ持ツト云フコトヲ鈴木君ガ言ッテ居ル此處ガをかしツ公證
人ノ作ッタモノハ完全ナル證據力ヲ持ツ然ルニ之レヲ以テ裁判所ニ訴ヲ起
サセヤウト云フコトハ法律家ノ言トシテアルペカラザルコトデアル、何故ナ
ラバ裁判所ハ何ヲスルノデアリマス、疑〓ノアルモノ、疑ノアルモノ爭點
ノアルモノデナクシテハ裁判ニハナラヌノデアル、之レニ對シテ證據力ガア
ルモノハ毫末モ他ノ喙ヲ容ルヽコトヲ許サヌノデアル、裁判所ニ持ッテ行ケ
バぐうトモすうトモ言ヘヌモノヲ、裁判所ニ訴ヘルト云フコトハ法律家ノ言
トシテ實ニをかしいノデアル、サウデゴザリマスカラ、鈴木君ノ御出シノ通リ
完全ノ證據力ヲ持タスト云フト同時ニ、公證人ノ公正證書ニ直チニ執行力ヲ
附スト云フ力ヲ持タセルコトニシナケレバ完全ノ證據力ガ無クナル、サウ
デゴザリマシテ、其目的ヲ申シマスルト、今申ス通ニ終局イケヌコトニナ
ルノト、ソレカラ又此法案ト云フモノガ此法文通ニシテ目的ヲ達スルコトガ
此方法デ出來ナイト云フコトガ、大體ノ理窟デアリマス先ヅ大體ニ於テ申
セバ第一第二ノ理由デ、免ニ角此案ハ通過ヲサスベキモノデナイ、詰リ否
決スベキモノデアルト斯樣ナ考デゴザリマス
(「採決々々」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=85
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086・高橋小十郎
○高橋小十郞君(二百六十番) 議長意見ガアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=86
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087・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 討論終結ガ議題ニナッテ居リマス、討論終結ニ同意ノ
諸君ハ起立
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=87
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088・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 多數、次ハ議案ニ就イテ決ヲ採リマス、該案ニ對シテ
二讀會ヲ開クニ同意ノ諸君ハ起立
起立者少數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=88
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089・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 少數、該案ハ否決ニ決シマス-次ハ第三日本銀行課
稅法案
第三日本銀行課稅法案(石田貫之助君外四名提出)第一讀會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=89
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090・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 朗讀ヲ省略致シマスル-石田貫之助君
〔左ノ議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ茲ニ揭載ス〕
日本銀行ハ其純益金ヲ配當スルニ當リ株金拂込高ニ對シ年六分以上ノ割合
ニ當ルトキハ純益金ノ內ヨリ年六分ニ相當スル金額及積立金竝ニ前季繰越
金ヲ控除シ其殘額ノ十分ノ五ヲ政府ヘ納稅スヘシ
但シ納稅期限ハ一箇年ヲ兩度ニ區分シ前半季分ヲ八月三十一日後半季分
ヲ翌年二月二十八日限リ納ムルモノトス
本法ハ明治二十八年七月一日ヨリ施行ス
〔石田貫之助君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=90
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091・石田貫之助
○石田貫之助君(六十八番) 諸君、本案卽チ日本銀行ノ課稅ヲ致スト云フ所
ノ理由ハ此法案ノ紙尾ニ記載シテアリマス、此記載致シテアルコトニ就キマ
シテハ最早爰ニ陳述スルニ及バヌト考ヘマス、尙此記載外ニ於キマシテ提
出者ノ一人トナッテ居リマスル私ノ意見ヲ聊カ陳ジタイト考ヘマス、大體稅
ノ公平ヲ保ット云フコトハ是ハ動カスベカラザル議論デゴザリマシテ孰モ
異論モナイ所デアラウト思ヒマス、而シテ我國ノ課稅ニ於テ最モ不公平ナ
ルモノハ何ナルカト申シマスレバ私ハ第一ニ此日本銀行ニ課稅ノナイト云
フコトデアラウト考ヘルノデアル、此事ハ餘リ喋々申シマセズト雖モ一言ニ
シテ分リマスコトデゴザリマシテ、先年此案ノ出マシタ時ニ伊藤德太郞君ガ
述ベラレマシタガ如ク、星ヲ戴イテ出テ又月ヲ戴イテ歸ルト云フ所ノ貧民ニ
至ルマデ何トシテ稅ノナキモノハナイノデゴザリマセウ、然ルニ此日本銀行
ナルモノハ啻ニ大資本家ノ有力ナル結合ノミナリマセズ此兌換券ノ利益ト云
ヒマスルモノハ實ニ非常ナルモノデゴザイマス是ハ理由書ニアリマス
通私共ノ信ズル所ニ依レバ全體兌換劵ノ利益ハ一私人若クハ一會社ノ利益
トスベキモノデナイト思フ、是ハ正シク國家ノ有トスベキモノト固ク信ジマ
スル、而シテ其利益ハ實ニ容易ニ得ラレル所ノ利益デ、一口ニ言ヒマスレバ
無利息金ガ國庫ヨリ數千万圓貸シテアルモ同樣デゴザイマス其無利息金ノ
高タルヤ、彼ノ硬貨準備ナルモノハ固ヨリ是ハ利益ニハナリマセヌ寧ロ多
少ノ入用ガイルノデゴザイマス然レドモ保證準備ナルモノハ利益ニナリマ
ス、千万圓ノ紙幣ヲ發行致シマスルモノナレバ、則チ五朱ノ利ト積算シテモ直
チニ五十万圓ト云フ利ガ出マス其紙幣ガ五千万若クハ六千万內外ヲ常ニ
往來致シテ居ルノデアリマス、ソレデ素ヨリ此理由書ニアリマス如ク、其中ニ
於テハ政府ノ紙幣消還ノタメニ無利足千二百万圓ヲ貸付ケテ居リマス、又此
兌換券ノ大利益アルタメニ橫濱正金銀行ナルモノニ對シテ千万圓ト云フノヲ
限タテ年二朱ノ再割引ヲ爲シテ居リマス然レドモ之ヲ差引致シマスル所
ガ此御參考トシテ提供致シテ居ル所ノ利益ニナルノデゴザイマス、實ニ斯樣
ナル大利益、斯樣ナル容易ノ利益、性質上カラ言ヒマシテモ一己人一會社ニ歸
スルモノデナイ所ノ利益アルニモ拘ラズ、此事業此會社ニ課稅シテナイト云
フコトハ今日ニ必要ヲ認メタデハナクシテ先年ヨリ私共ハ奇怪ニ存ジテ居
ルノデゴザリマス歐洲各國ノ中央銀行ノ制度モ多少前囘ニ出シマスル時ニ
調ベテアリマス-調ベタコトガゴザイマス、斯樣ナ無稅ナ一私人一會社ニ
大利益ヲ專有サセテアル所ノ中央銀行ハ無キヤウニ信ジテ居ルノデゴザイマ
ス、此稅ノ公平ヲ保ツガ上ニ於テ課稅ノ必要ヲ認メ、而シテ尙ホ一層此際ニ
於キマシテハ此課稅ノ必要ヲ認メル何トナレバ今日ハ常ニ開口一番ニ言ヒ
マスル所ノ軍費多端ノ場合デゴザイマス、勿論此戰局ノ後ハ相當ナル償金モ
得ルニ違ヒアリマセヌ、是ハ私ハ固ク信ジテ疑ヒマセヌ、然レドモ如何ニ直
接間接ノ償金ヲ得マシテモデス、我占領地ハ隨分廣大ナルモノデゴザイマ
ス其勢力實力ガ增加スルト共ニ、我歲費ノ增加スルコトモ國民ガ豫メ覺悟
シナケレバナラヌコトデアルサレバ天下ノ人心ハ御互ニ吾〓ト諸君トハ
戰局ハ何ニ稅源ヲ取ランカ、何ニ此財源ヲ取ランカト云フコトハ各〓腦裏ヲ
惱シテ居ル所デゴザイマス然ラバ此容易ナル誠ニ至當ナル妨ノナイ他人ノ
苦マヌ稅ガ、此所ニ浮イテ居ルノデゴザイマスカラ、何ゾ戰局後ヲ俟タズシ
テ今日ヨリ實施スルノガ必要ト私ハ考ヘルノデゴザイマスソコデ先ヅ必要
ナコトヲ申シマスレバ斯樣ナモノデゴザイマス、是ニハ則チ經濟社會ニ於テ
有名ナル田口卵吉君モ私ト同樣提出者デゴザイマスカラ、御詳論モアラウト
思ヒマスガ、唯私ハ先年出マシタ際ニ又其後ニ於テ我同僚諸君ヨリ承ッタコト
ガアリマスカラ、今ヤ反對論ハ出テ居リマセヌガ、聊カ玆ニ簡單ニ其事實ダ
ケヲー私ガ信ズル所ダケヲ述ベ置キマスデアリマスソレハ又申落シ
マシタ、政府ガ是迄反對致シマシタノハデス、國家經濟ノ機關デアル言フ
ノヽ一點張ナンデゴザリマス國家經濟ノ一點張ト云フ空漠ナル口實ヲ以テ
此理由アリ至當ナル所ノ稅ヲ抹殺スルコトハ出來マスマイト思フデス國家
經濟ノ機關ナリト云ヒマスレバデス、國立銀行國家經濟ノ機關ナリ私立銀
行亦然リ獨リ經濟ノ機關ノミナリマセヌ、其他ニ於テ國家ノ法律ヲ以テ設ケ
テアルノ所ノモノハ皆其國ノ其人民ノ機關デアリマス、利便ヲ與フル機關デ
アリマス、唯私ハ前年モ委員會デ段々何ガタメニ課セラレヌト云フコトヲ質
問ヲ致シマシタケレドモ、未ダニ其要領ヲ得マセヌ、唯妙ナル計算書ガ出テ來
テ居リマスケレドモ、此處デ今細論致シマスノハ却ッテ面倒ダラウト思ヒマ
スカラ、其計算書ヲ私ハ政府ガ主張サレマスルナラバ駁撃ハ他日ニ讓ラウ
ト考ヘマスノデアリマスソレカラ又是ニ稅ヲ課スレバ僅々タル稅ヲ課シタ
所ガ何ノ益ニモナラヌ、矢張彼ガ稅ヲ上ゲルコトナラバ一般ノ利子ヲ上ゲル
ノデアルカラ、甲ニ取ッテ乙ニ拂フコトニナルト云フコトヲちよい〓〓ト私
ハ承ルノデゴザリマス決シテ世ノ中ノコトハ左樣ナ單純ナモノジヤゴザリ
マセヌ、如何ニモ一理アルヤウデ其實ニ至ッテハ左樣ナ譯ノモノデハナイ、
此利子ノ高低ナドト云フモノハ需用供給カラ起ルモノデゴザリマス唯日本
銀行ガ稅ヲ取ラレタカラ以テ高ク利子ヲ貸シ附キヤウト言ヒマシタ所ガ、日
本銀行ノ條例デ制裁ガ附ケテアルノミナリマセヌ、アノ制裁ハナキトシマス
ルモ決シテ金融ノ如何ニ依ラネバ無理ニ高ク貸セルモノデハゴザリマセヌ、
彼ガ營利的ヲ目的トシマスレバジヤ縱令此稅ハゴザリマセズト云フモ則チ
矢張高イ時ニ高イ、又高ク取ル時ニ高ク取ルノデゴザリマスデ決シテ此稅ヲ
課シタカラト云フテ從前ノ日本銀行ノ運用ガ違ッテ來ル抔云フヤウナコトハ
決シテアリマセヌ或ハ左樣ナコトヲ唯今該銀行トカ或ハ關係ノアル人ガ社
會ニ言觸スト云フコトデアリマスサウナケレドモジヤ、決シテ左樣ナコト
ハセント欲シテ出來ルモノデハナイ又左樣ナ無法ノコトヲ致シマシタナ
ラバ此條例ハ吾〓ガ制定シテ之レヲ改正スル所ノ權ガアルノデゴザリマス
唯彼ガ利ヲ高ウスルデアラウカト云フヤウナコトヲ考ヘテ、此條理アリ眞理
アル他ノ稅ト公平ヲ保ツ所ノ課稅ヲ免カレシムルト云フコトハ出來マスマイ
ト考ヘル、唯從前ノ通リ致シマシテ、彼等ガ一割五分ノ配當ヲスルノヲ一割ノ
配當ニ止メルト、斯樣ナ名譽アル職、名譽アル會社、又非常ノ政府ガ特典ヲ與
ヘテ是デ一割ノ配當デモ尙ホ滿足セヌカラ、左樣ナ稅ハ能ウ出シマセヌ、一
割五分ノ配當ハ是非受ケナケレバナラヌ、一割五分儲ケナケレバナラヌト云
フコトハ、彼言ッテモ國家ハ許サレマスマイト私ハ考ヘルノデアル、先ヅ此他
支店等云々ト云フコトモアリマシタケレド、本日ハ其事ハ出來マセヌデ餘
リ長ラク喋々致シマスノハ諸君ニ御倦キヲ來シマスカラ、其邊ニテ私ハ理由
ヲ止メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=91
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092・南嶋間作
○南島間作君(二百二番) 此提出案ニ依リマスト殘額十分ノ五ヲ納稅スルト
アリマスガ十分ノ五ト云フ目安ハ成程參考書デハ分リマシタデスガ、提出
者ハ十分ノ五デ當時ハ滿足デアルト云フ御見込デアルカ又第二ノ御尋ハ政
府ガ二千二百万圓日本銀行カラ無利足デ借リテアルノデス、是モ其從來ノ通
リ無論無利子デ借入レスルコトニ据置イテ、其殘餘ノモノニ課稅スルト云フ
御見込デアリマスカ、此二〓ヲ承リタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=92
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093・石田貫之助
○石田貫之助君(六十八番) 少シ聽取リ兼ネマシタケレドモ、先ヅ私ガ斯ウ
デアラウカト云フコトヲ答ヘマス、若シ間違ヒマシタナラバ、御再問下サイマ
シ、此半額ト云フコトデアリマスデ別ニ相當スル所ノ十分ノ五ヲ政府ニ納
稅スベシト云フコトハ至當ト思フカ、不當ト思フカト云フ御尋ニ對シマシテ
至當ト考ヘルノデアル扨理由書ニモ書イテアリマス通ニ實ニ從前ニ此會
社ニ於テ稅モ課シテアル又近年各諸稅ニ就イテ全クノ公平ト云フコトカラ
觀察ヲ下シマスルトマダ薄稅ノ位ニ感ズルノデゴザイマス、然レドモ凡ソ
モノヲ爲シ又事業ノ改正等ニ至リマシテハ、餘リ急激ヲ欲セザル所ヨリシテ、
先ヅ當時ニ於キマシテハ此邊ガ相當ナルト云フコトヲ信ジタノデゴザイマ
スソレカラ第二ノ御尋、二千二百万圓ト云フノハ矢張借置イテ其差引ノ益
カラ之レヲ取ルノカト云フヤウナ、御尋ト考ヘル左樣デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=93
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094・南嶋間作
○南島間作君(二百二番) 二千二百万圓ヲ据置イテ課稅スルト云フ御見込デ
ゴザリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=94
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095・石田貫之助
○石田貫之助君(六十八番) 其通リデゴザリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=95
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096・木村誓太郎
○木村誓太郞君(二十八番) 日本銀行ニ於キマシテ元ト國庫金取扱ニ就イテ
手數料ガ澤山アリマス、然ルニ近頃ニ至リマシテハ兌換紙幣ノ發行高ガ增ス
ニ從ッテ段々減ジテ居リマスガ、現今ニ至ッテモ四十五万圓內外渡シテアリマ
ス是ガ七千五百万圓ノ紙幣發行高ニナレバ國庫手數料ハ-國庫金取扱手
數料ハ悉皆渡サヌ契約ニナッテ居リマス此今提出セラレタ精神ト云フモノ
ハ斯ノ如キ課稅ヲシタ以上ハ、是等ノ手數料ハ相當ニ渡スノ精神デアリマセ
ウカソレハ矢張渡サヌト云フノ精神デアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=96
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097・石田貫之助
○石田貫之助君(六十八番) 第二段ノ御尋通、則チ渡シマスルト云フノ精神
デス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=97
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098・兵頭昌隆
○兵頭昌隆君(七十七番) 是ヨリちよっと提出者ニ聞キマスガ、此法案ニ依ク
テ見マスト拂込金高ニ對シト云フコトガアル總テ此拂込金ト云フモノハ
大體此第二ノ株ヲ募集スル時分ニ持込金ト云フコトヲシテ、サウシテ全ク株
金ト云フモノニハ入レズ置クト云フヤウナ性質ニナラウカト思フ併ナガラ
名目ニ依ッテ見ルト拂込金ト云フコトニナッテ居ル、サウスルト本當ハドウ云
フヤウナ方法ニ依ッテ、實際又其稅ヲ課スルト云フコトニ就イテハドウ云
フ御考ニナリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=98
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099・石田貫之助
○石田貫之助君(六十八番) 七十七番ノ質問ニ御答致シマスガ「年六分以上
ノ割合ニ當ルトキハ」ト云フコトハ該會社ノ資本金額ニ對シテデゴザリ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=99
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100・恒松隆慶
○恒松隆慶君(七十番) 委員付託ヲ希望シマス本案ノ如キ課稅法ハ鄭重ヲ
要スルカラ委員ノ審議ヲシタ上ニシタイ、例ニ依ッテ委員ハ九名デ、議長指
名
(「贊成」ト呼フ者アリ「質問ガアル」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=100
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101・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 少々御待チナサイ
〔此時發言ヲ求ムル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=101
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102・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 是ニハまだ通告モゴザイマスガ、偖議長ハ極テ悲シム
ベキ御報道ヲ申サネバナリマセヌ議長ハ唯今陸軍大將大勳位熾仁親王殿下
御薨去ノ報ニ接シマシテゴザイマス
〔此時議員一同起立ス〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=102
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103・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 抑〓親王殿下ガ維新ノ大業ヲ翼贊シ給ヒ、其御遺績ノ
大ナルコトハ國民舉ゲテ仰慕ニ堪ヘザル次第デゴザイマス曩ニ〓國征討ノ
戰ガ起リマスヤ常ニ大纛ノ下ニ駐剳ヲ致サレ、帷幄ニ參與シ給ヒ國光大
ニ舉リツヽアル所、中途ニシテ此凶報ニ接シマスルハ國家ノタメニ極テ痛
嘆ニ堪ヘザル次第デゴザイマス、是ニ依ッテ議長ハ追悼ノ意ヲ表スルコトヽ
且ツ敬禮ヲ表スルガタメニ、差向第二要件ヲ揭ゲテ諸君ニ御諮リヲ申シマス
ル第一ニ弔詞ヲ議決ヲ致シ本日ハ是ニテ閉會ヲ爲シ、議長ヲシテ參殿ノ上、
右ノ弔詞ヲ奉呈セシムル事是レ一ツ第二ハ御葬儀ノ當日ハ議院ハ特ニ休
會ヲ爲シテ哀悼ノ意ヲ表シ、及議長ハ議院ヲ代表シテ靈柩ヲ奉送スル事、此
二要件ヲ以テ諸君ニ御諮リ申シマス
(「異議ナシ異議ナシ」又「同感々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=103
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104・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 然ラバ全會一致ヲ以テ御決定ト認メマス、偖次ハ唯今
御決議ニナリマシタル通リ、弔詞ノ事ヲ一應御諮リ致シマス
〔議員一同起立ス〕
衆議院ハ陸軍大將大勳位熾仁親王殿下ノ薨去ヲ追悼シ奉リ恭シク弔詞ヲ奉
呈ス
明治二十八年一月二十四日
(「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=104
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105・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 是亦全會一致ヲ以テ決定致シマシタ-明日ノ議事日
程ヲ報ジマス
〔水野書記官長朗讀〕
議事日程第十七號明治二十八年一月二十五日(金曜日)
午後一時開議
第日本銀行課稅法案(石田貫之助君外四名提出)第一讀會ノ續
第二日本銀行條例中改正法律案(石田貫之助君外第一讀會
四名提出)
第三府縣會議員選舉ニ衆議院議員選舉法ヲ適用ス第一讀會
ル法律案(木暮武太夫君外一名提出)
第四酒造稅則中改正法律案(加賀美嘉兵衞君外八第一讀會
名提出)
第五郵便條例中改正法律案(廣瀨貞文君外二名提第一讀會
出発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=105
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106・楠本正隆
○議長(楠本正隆君) 是ニテ散會ヲ報ジマス
午後三時十五分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=000813242X01618950124&spkNum=106
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