1. 会議録本文
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000・会議録情報
明治三十年三月十五日(月曜日)午後一時二十七分開議
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議事日程 第二十五號 明治三十年三月十五日
午後一時開議
第一 國有林野法案(政府提出) 第一讀會
第二 右議案の審査を付託すへき特別委員の選舉
第三 砂防法案(政府提出) 第一讀會
第四 右議案の審査を付託すへき特別委員の選舉
第五 明治二十九年度海軍省所管歳出臨時部臨時軍事費中支出未濟豫算額の繰越使用に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第六 右議案の審査を付託すへき特別委員の選舉
第七 土地區劃改良に係る法律案(政府提出) 第一讀會
第八 右議案の審査を付託すへき特別委員の選舉
第九 國庫より補助する公共團體の事業に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第十 右議案の審査を付託すへき特別委員の選舉
第十一 公共道路法案(政府提出) 第一讀會
第十二 右議案の審査を付託すへき特別委員の選舉
第十三 種牡馬檢査法案(政府提出貴族院送付) 第一讀會
第十四 右議案の審査を付託すへき特別委員の選舉
第十五 私設鐵道條例中改正法律案(沼田宇源太君外八名提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十六 明治二十八年法律第四號中改正法律案(重岡薫五郎君外五名提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十七 私設鐵道條例中改正法律案(南野道親君提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十八 登録税法中刪除法律案(阿部興人君外三名提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十九 酒造税法中改正法律案(花木甚右衞門君外九名提出) 第一讀會の續
第二十 自家用酒税法中改正法律案(佐藤忠望君外七名提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十一 消防組法案(喜多川孝經君外二名提出) 第一讀會
第二十二 特許意匠及商標登録取消の審判期間に關する法律案(元田肇君外四名提出) 第一讀會
第二十三 東京市制案(肥塚龍君外三名提出) 第一讀會
第二十四 千代田縣設置法律案(肥塚龍君外三名提出) 第一讀會
第二十五 東京市及千代田縣連帶支辨の費用に關する法律案(肥塚龍君外三名提出) 第一讀會
第二十六 警察費に對する國庫下渡金の規定を東京市及千代田縣の警察費用に適用する法律案(肥塚龍君外三名提出) 第一讀會
第二十七 市町村立小學校教員年功加俸國庫補助法中追加法律案(柏田盛文君外三名提出) 第一讀會
第二十八 醫士法案(中島又五郎君外三名提出) 第一讀會
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=0
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001・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 是ヨリ報〓ヲナシマス
〔田中書記官朗讀〕
政府ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
遠洋漁業奬勵法案
生絲直輸出奬勵法案
政府委員左ノ通仰付ケラレタル旨松方內閣總理大臣ヨリ通牒アリ
內務省所管事務政府委員內務省衞生局長後新平君
遞信省所管事務政府委員遞信省管船局長佐藤秀顯君
議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
明治二十二年法律第十號中改正法律案
提出者片岡健吉君松三省
前川槇造小眞柏小田盛文君君君君
金岡又左衞門君君君下珂十郞
中村彌六室重弘
特別委員長及理事左ノ通當選セラレタリ
古社寺保存法案委員長小室重弘
同理事杯羽根線
裁判所構成法中改正法律案委員長
同理事守屋此
大阪府兵庫縣境界變更法律案委員長東尾平太郞
同理事倉次
特別委員左ノ通指名セリ
山林行政ノ機關ヲ地方廳ニ置クノ建議案委員
中村彌六君齋藤良輔君倉次君
藤金作君恆松隆慶君目竹名黑內虎松君
湯本義憲君小林乾一郞君貞治君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=1
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002・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 是ヨリ會議ヲ開キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=2
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003・田中正造
○田中正造君(三十五番) 先月二十二日ニ質問書ヲ出シマシテ、質問ノ要領
ヲ說明シテゴザイマスガ、今日二十日カニナリマスケレドモ、マダ答辯ガゴザ
イマセヌソレハ定メシ、質問書ヲ見テカラ、狼狽シテ方々調査スルトカ、
何トカ云フ譯デゴザイマセウ平日遊ンデ居ル官吏ハイヅレソンナモノデ
アル、到底滿足ヲ得ル所ノ答辯ハ出來ル譯ハナイノデアル、ドウセ滿足ヲ得
ル答辯ガ出來ナイナラバ早クシテ貫ハナケシバナラナイ、再度ノ質問-
再三是カラ質問ヲシナケレバナラナイノデアルドウセ是マデ仕事ヲシナイ
テ、遊シデ居ル官吏ニ何ガ出來ルモノデアル、何日掛ッテモ出來ナイ、不完全デ
モ不出來ナガラモドンナ粗末ナ調査デモ、早ク質問ニ相當ナル時日ノ中
ニシナイノデゴザイマス、此事ハワレ〓〓多數ノ人ヲ以テ提出ニナッテ居ル
コトデゴザイマスカラ、イツマデ等閑ッテ置ク譯ニハ參リマセヌカラ、一應
議場ニ此事ヲ御訴ヘ申シテ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=3
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004・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 是ヨリ本日ノ日程ニ入リマス、日程第一、國有林野法
案
第國有林野法案(政府提出)第一讀會
(左ノ議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭載ス〕
國有林野法
第一章總則
第一條此ノ法律ニ於テ國有林野ト稱スルハ國ノ所有ニ屬スル森林原野ヲ
謂フ
第二條國有林野ニシテ國土保安上又ハ國家經濟上保存ノ必要アルモノハ
賣拂、讓與又ハ交換スルコトヲ得ス
第三條國有林野及其ノ產物ノ賣拂、讓與竝ニ交換ハ其ノ物件ノ引渡ヲ終
了スルニアラサレハ所有權ヲ移轉セス
第二章賣拂
第四條國有林ニシテ左ノ各項ニ該當スルモノハ賣拂フコトヲ得ス
一保安林
二樟、欅ヲ主木トスル五十町步以上ノ森林
三百町步以上ノ森林
第五條國有林野ノ賣拂ハ左ノ場合ニ限リ隨意契約ヲ以テスルコトヲ得
一公用又ハ公益事業ノ爲メ必要アルトキ
二市町村ノ基本財產ニ充ツルトキ
三社寺上地ノ森林其ノ他特別ノ緣故アル國有林野ヲ其ノ社寺又ハ其ノ
緣故アル者ニ賣拂フトキ
四開墾牧畜又ハ植樹ノ爲メ貸付シタル國有林野ヲ其ノ事業ヲ成功シタ
ル者ニ賣拂フトキ
第六條國有林野ノ產物ノ賣拂ハ左ノ場合ニ限リ隨意契約ヲ以テスルコト
ヲ得
公用又ハ公益事業ノ爲ニ賣拂フトキ
交通不便ナル地方ニ於ケル鑛業ノ爲ニ賣拂フトキ
三地元市町村住民ノ自家用ノ爲ニ賣拂フトキ
四非常ノ災害ニ罹リタル地方人民ノ自家用ノ爲ニ賣拂フトキ
五造船ノ爲メ特種ノ用材ヲ賣拂フトキ
國有林內ノ林業附帶ノ用ニ供スル爲ニ賣拂フトキ
八七六從來ノ慣行ニ依リ賣拂フトキ
建築修繕等ノ爲メ社寺上地林ノ產物ヲ其ノ社寺ニ賣拂フトキ
九國有原野ノ貸付ヲ受ケタル者ニ其ノ土地ノ產物ヲ賣拂フトキ
十見積代價二百圓ヲ超エサル產物ヲ賣拂フトキ
第七條國有原野ハ開墾ノ爲メ豫メ其ノ價格及成功期間ヲ定メ隨意契約ヲ
以テ賣拂ノ豫約ヲ爲スコトヲ得
第八條賣拂ノ豫約ヲ爲シタル原野ハ成功期間中無料ニテ貸付スルモノト
ス
第九條賣拂ノ豫約ヲ爲シタル原野ニシテ成功期間中公用又ハ公益事業ノ
爲メ必要ヲ生シタルトキハ豫約ヲ取消シ之ヲ返還セシムルコトヲ得但シ
直接ノ損害ハ政府之ヲ辨償ス
第十條賣拂ノ豫約ヲ爲シタル原野ニシテ豫定ノ期間內ニ事業成功セサル
トキハ其ノ豫約ヲ取消スコトアルヘシ
前項ノ場合ニ於テハ其ノ貸付中ノ相當貸付料ヲ徵收スヘシ契約違反ノ爲
メ豫約ヲ取消シタルトキ亦同シ
第十一條國有林野竝ニ其ノ產物ハ賣拂代金ヲ完納スルニアラサレハ物件
ヲ引渡スコトヲ得ス
第三章貸渡
第十二條國有林野ノ貸付ハ左ノ場合ニ限リ隨意契約ヲ以テスルコトヲ得
一公用又ハ公益事業ノ爲メ必要アルトキ
二開墾牧畜又ハ植樹ノ爲ニ貸付スルトキ
三一箇年貸付料二百圓ヲ超エサルトキ
第十三條國有林野ヲ貸付スルトキハ相當ノ貸付料ヲ徵收スヘシ但シ公用
又ハ公益事業ノ爲ニ貸付スルトキハ貸付料ヲ免スルコトヲ得
第十四條國有林野ノ貸付料ハ前納スルモノトス但シ貸付期間一箇年ヲ超
ユルトキハ每年一囘以上ノ納期ヲ定メテ前納ト爲スコトヲ得
府縣郡市町村其ノ他公共團體ニ貸付スルトキハ前項ニ依ラサルコトヲ得
第十五條國有林野ノ貸付ハ左ノ期間ヲ超過スルコトヲ得ス
一植樹ノ爲ニハ五十箇年
二家屋、倉庫其ノ他ノ建設物ノ爲ニハ二十箇年
三其ノ他ノ場合ハ十箇年
國有原野ノ賣拂ヲ豫約シタル場合ニ於テ天災其ノ他避クヘカラサル事故
ニ依リ貸付期間內ニ開墾ヲ成功スルコト能ハサルトキハ貸付期間ノ二分
ノ一ヲ超エサル期間内延期スルコトヲ得
第十六條國有林野ノ借受人ハ其ノ森林原野ヲ轉貸スルコトヲ得ス
第十七條國有林野ノ貸付ハ其ノ期間內ト雖公用又ハ公益事業ノ爲メ必要
ヲ生シタルトキハ之ヲ取消スコトヲ得
第四章交換
第十八條國有林野ハ國有林ノ經營上又ハ國土保安上必要ナル他ノ同價格
以上ノ土地森林原野ニ限リ交換スルコトヲ得
第十九條國有林野ハ左ニ揭クル場合ニ於テ交換ヲ爲スコトヲ得ス
一交換スヘキ國有林野ニ比シ交換ニ依リ取得スヘキ土地森林原野ノ段
別少ナキトキ
二交換ニ依リ取得スヘキ土地森林原野ノ近傍ニ國有林在ラサルトキ但
シ段別百町步以上ノ喬林ハ此ノ限ニアラス
三交換ニ依リ取得スヘキ土地森林原野ノ上ニ第三者カ權利ヲ有スルト
キ
第二十條交換スヘキ國有林野ハ交換ニ依リ取得スヘキ土地森林原野ノ引
渡ヲ受ケタル後ニアラサレハ引渡スコトヲ得ス
第五章讓與
第二十一條國有林野ハ左ノ場合ニアラサレハ讓與スルコトヲ得ス
公立ノ學校、病院ノ用地トシテ五段步以下ノ森林原野ヲ下付スルト
キ
二公共ノ道路、堤塘、溝渠又ハ溜池等ノ用ニ供スル爲メ森林原野ヲ府
縣郡市町村其ノ他公共團體ニ下付スルトキ
第二十二條國有林野ニ於テ入會ノ慣行アル箇所ニ於テハ其ノ森林原野ヲ
保護スルノ報酬トシテ其ノ入會者ニ副產物無料採取ヲ許ス但シ既往ノ契
約上他ニ採收ヲ許可セシ者ハ此ノ限ニアラス
其ノ入會者ニ於テ保護ノ義務ヲ怠ルトキハ副產物ノ採收ヲ差止ルコトア
ルヘシ
副產物ノ採收ハ主產物ノ蕃殖ヲ害スルコトヲ得ス
第二十三條用途ヲ指定シテ讓與シタル國有林野ヲ指定ノ期間內ニ其ノ用
途ニ使用セサルトキハ其ノ所有者ヨリ之ヲ返還セシム
指定ノ用途ニ使用スルモ使用ヲ始メタル後五箇年以內ニ其ノ用途ヲ廢シ
タルトキ亦同シ
前二項ノ場合ニ於テハ其ノ森林原野ノ上ニ設定シタル第三者ノ權利ハ無
效トス
第六章部分林
第二十四條契約ニ依リ仕付人ニ於テ國有林野ニ造林シ國ト其ノ收益ヲ分
取スル森林ヲ部分林ト爲ス
部分林ノ保護ハ仕付人ノ義務トス
第二十五條國有林ニ於テハ舊來ノ部分林跡地ニ限リ部分林ヲ仕付ケシム
ルコトヲ得
第二十六條部分林分收ノ步合ハ三官七民乃至七官三民トス
第二十七條部分林仕付人ハ官廳ノ許可ヲ得ルニアラサレハ其ノ分收權ヲ
賣買、讓與、交換シ又ハ負債ノ抵償ト爲スコトヲ得ス
第二十八條部分林ニ於テハ根株ハ特別ノ契約アルモノヽ外國ノ所有トス
第二十九條部分林ノ仕付地ヲ其ノ附帶事業ノ爲ニ使用スルトキハ使用料
ヲ徵收セス
第三十條部分林仕付人ハ小柴ヲ除クノ外無代價ニテ其ノ副產物ヲ採收
スルコトヲ得
第三十一條部分林ニ於テ手入ノ爲メ伐採シタル小柴及十年生以下ノ部分
木ハ仕付人無代價ニテ取得スルコトヲ得
第三十二條部分林仕付人指定ノ期間內ニ部分林ノ仕付ヲ終ラサルトキハ
契約ヲ解除シ仕付ヲ爲スヘキ森林原野ニ對スル其ノ期間相當ノ貸付料ニ
當ル金額ヲ徵收ス但シ天災其ノ他避クヘカラサル事故ノ爲メ部分林ノ仕
付ヲ終ラサルトキハ此ノ限ニアラス
第三十三條部分林仕付人部分林ノ保護ヲ怠リ林相成立ノ見込ナキトキハ
政府ハ契約ヲ解除スルコトヲ得
前項ニ依リ契約ヲ解除シタルトキハ其ノ仕付ケタル樹木ハ國ノ所有ニ歸
ス仕付人ハ其ノ損害ノ賠償ヲ要求スルコトヲ得ス
第三十四條部分林ノ伐採跡地ニハ當該官廳ノ許可ヲ得ルニアラサレハ引
續キ栽植スルコトヲ得ス
第三十五條部分林ノ分收方法ハ當該官廳之ヲ定ム
第三十六條國有林野中從來法令又ハ慣行ニ依リ私人若ハ町村其ノ他公共
團體ニ於テ分收ノ權ヲ有スル森林ニ付テハ分收ノ步合ヲ除クノ外此ノ法
律ヲ適用ス
第三十七條公用又ハ公益事業ノ爲メ必要ヲ生シタルトキハ部分林仕付人
ニ其ノ仕付ケタル樹木ノ時價ヲ分收ノ步合ニ應シテ辨償シ契約ヲ解除ス
ルコトヲ得
第七章社寺委託林
第三十八條社寺上地ノ國有林ハ之ヲ上地シタル社寺ニ其ノ全部又ハ一部
ノ保護ヲ委託スルコトヲ得
第三十九條社寺委託林ハ段別百町步ヲ超ユルコトヲ得ス但シ地形上又ハ
森林ノ經營上此ノ制限ヲ超過スルコトヲ要スル場合ハ此ノ限ニアラス
第四十條社寺委託林ハ其ノ社寺ニ於テ自費ヲ以テ境界ヲ標示シ看守ヲ
設置シ保護ノ責ニ任ス
第四十一條社寺委託林ノ副產物ハ造林其ノ他森林保護ニ害ナキ限リ無代
價ヲ以テ其ノ社寺ニ採收セシムルコトヲ得
第四十二條社寺委託林ノ竹ハ指定ノ伐採員數ニ對シ其ノ三分ノ一以下ヲ
無代價ニテ社寺ニ下付スルコトヲ得
第四十三條社寺ノ建築、修繕ノ用ニ供スル爲メ其ノ委託林ニ於テ風致其
ノ他國土保安ニ關係ナキ樹木ニ限リ其ノ伐採ヲ許可スルコトヲ得
前項ニ依リ委託林內ノ樹木ヲ伐採シタルトキハ其ノ木材代價ノ半額ニ相
當スル木材ハ無代價ニテ其ノ社寺ニ下付スヘシ
第四十四條用途ヲ指定シテ下付又ハ賣拂ヲ受ケタル木材ニ付テハ官廳ノ
許可ヲ得スシテ其ノ目的以外ノ用途ニ充ツルコトヲ得ス
第四十五條社寺ハ官廳ノ許可ヲ得ルトキハ自費ヲ以テ其ノ委託林內ニ樹
苗ヲ栽植スルコトヲ得
前項ニ依リ栽植シタル樹木ハ官廳ノ許可ヲ得テ伐採シ無代價ニテ取得ス
ルコトヲ得
第四十六條社寺上地ノ國有林ノ上ニ有スル第三者ノ權利ハ本章ノ規程ニ
依レル委託ノ爲ニ其ノ效力ヲ妨ケラルヽコトナシ
第四十七條左ノ場合ニ於テハ社寺委託林ノ全部又ハ一部ニ對シ其ノ委託
ヲ解除スルコトアルヘシ
一社寺ノ管理者此ノ法律ノ規程ニ違背シ又ハ義務ヲ怠リ又ハ委託林ニ
對シ森林ニ關スル罪ヲ犯シタルトキ
二公用又ハ公益事業ノ爲メ必要ヲ生シタルトキ
第八章雜則
第四十八條國有林野ヲ管理シ若ハ其ノ管理ニ關係アル事務ヲ取扱フ官吏
ハ國有林野ノ讓渡ヲ受ケ又ハ借受ヲ爲スコト得ス
第四十九條此ノ法律施行前ニ國有林野ノ賣拂又ハ貸付ノ契約ヲ爲シタル
モノハ總テ舊契約ニ依ル
第五十條主務大臣ハ十箇年每ニ其ノ年三月三十一日ニ現在スル國有林
野現在表ヲ其ノ年開會ノ帝國議會ニ報〓スヘシ
第五十一條主務大臣ハ每會計年度間ニ於ケル國有林野ノ增減異動ヲ翌年
度開會ノ帝國議會ニ報告スヘシ
第五十二條第五十條ノ國有林野現在表第一囘ノ報告ハ明治三十四年三月
三十一日ノ現在ニ據ル
第五十三條此法律ハ明治三十一年四月一日ヨリ施行ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=4
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005・大竹貫一
○大竹貫一君(七十四番) 羅災救助基金法案ノ委員會ヲ開キマスカラ暫ク退
席致シタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=5
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006・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 大竹君カラ退席シテ委員會ヲ開キタイト云フ求ガアリ
マス許シテ差支アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=6
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007・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 許スコトニ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=7
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008・高橋小十郎
○高橋小十郞君(二百六十四番) 肥料取締法案ノ委員會ヲ開キタクアリマス
ルカラ暫時缺席ノコトヲ御諮リヲ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=8
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009・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 高橋小十郞君ヨリ退席シテ委員會ヲ開キタイト云フ求
ガアリマスガ、許シテ宜ウゴザリマスカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=9
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010・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 許スコトニ致シマス-政府委員金子堅太郞君
〔政府委員農商務次官金子堅太郞君演壇ニ登ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=10
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011・金子堅太郎
○政府委員(金子堅太郞君) 今日ノ議事日程第一ニ揭ゲテゴザリマスル國有
林野法案ハ曩ニ本院ニ提出ニナリマシタ所ノ森林法ト官有林野ノ下戾法案
ト相竢ッテ森林ノ整理統一ヲ致シマスル法案デゴザイマスル御承知ノ通、
森林法ヲ以テ國有林、御料林、其他民林全體ヲ監理致シマスル官有林野ノ
下戾法案ヲ以テ人民ノ所有權ヲ誤ッテ國有ニ編入シタモノヲ、此際年限ヲ限ツ
テ元トノ所有主ニ下ゲルト云フ臨時ノ法案デゴザリマス此二事ヲ終ッタト
キハ永ク國家ノ森林トシテ經營スベキ所ノ方法、及監督スベギ所ノ規程ガ、
卽チ此森林-官有ノ林野法ニゴザイマスカラ是ハ是マデモ多少其規程ハ
ゴザリマシタケレドモ、時ノ必要ニ應ジ箇々別々ニ編入ニナッテ居リマシテ
統一ヲ缺ク憂ガゴザイマス、故ニ、此際一齊ニ此法案ニ總括致シマシテ、國有
ノ森林ノ管理、及經營ノ方針ヲ是デ一定致シタモノデゴザリマスカラ、何卒
他ノ法案ト相竢ッテ速ニ諸君ノ御協賛アランコトヲ偏ニ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=11
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012・田中正造
○田中正造君(三十五番) 今日ハ農商務ノ役人モ出テ居リマスカラ、唯今ノ
私ノ催促ニ就イテ答辯ヲシマスヤウニ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=12
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013・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) ツレハ此案ニハ關係ガナイ樣ニ考ヘマスル発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=13
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014・芦塚省三
○芦塚省三君(百八十二番) チヨット政府委員ニ質問ヲ致シタイ本案ノ第
五章ノ第二十一條ノ一項ノ所デアリマスガ「公立ノ學校、病院ノ用地トシテ
五段步以下ノ森林原野ヲ下附スルトキ」ト斯ウゴザイマスガ私立尋常中學
或ハ私立ノ農業學校、其他私立ノ相當ノ資格ヲ備ヘテ居ル所ノ學校、又ハ私
立ノ病院ニシテモ公立病院ト同樣ノ規模ヲ大キクシ又計畫ヲ大キクシテ
居ル所ノ私立ノ病院モアルヤウニ考ヘマス、現ニ當府下ノ如キニ於キマシテ
モ彼ノ北里病院ノ養生園抔ニ於テモ、隨分公立ナリ、或ハ官立ナリノ病院ニ
劣ラナイ位ノ規模經營ヲ備ヘテ居ル所ノ病院ナゾデゴザリマスガ、是等ノ私
立學校、私立病院ナドニ對シテ五段步以下ノ森林原野ヲ必要トスル場合ニ
ハ此讓與ヲ出願致シマシタ際ニハ是ハドウモ私立學校デアル是ハ私立
病院デアルカラ讓與ハ出來ナイト云フノ御趣意デゴザリマスカ、其邊ヲチヨツ
ト伺ヒタイ
〔政府委員農商務省山林局長高橋琢也君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=14
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015・高橋琢也
○政府委員(高橋琢也君) 御答ヲ致シマスルガ私立ノ學校、病院、其他私
立上ノモノニハ讓與ヲ致シマセヌト云フ精神デゴザリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=15
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016・芦塚省三
○芦塚省三君(百八十二番) 私立ノ學校、病院ニハ讓與シナイト云フノハ
何カソレニハ與ヘルト多數ノ私立學校、多數ノ私立病院デアルカラシテ
限アル原野ヲ以テ、限ナキ學校等ノ求ニ應ズルコトガ出來ナイト云フ御認
メデモ就イテ居ルノデゴザリマスカ、又別ニ何カ不都合ナ所デモアルノデゴ
ザリマスカソレヲ一應確メテ置キタイ
〔政府委員農商務省山林局長高橋琢也君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=16
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017・高橋琢也
○政府委員(高橋琢也君) 旣ニ公用、若クハ公益事業ト云フコトデゴザイ
マス方ニハ讓與其他幾分ノ寬典ガ與ヘテゴザイマスコトデアリマスガ、此
私立ト云フト成程學校ノ如キハ或ハ公益ヲ致スモノデモゴザリマセウト思
ヒマスケレドモ旣ニ私立ト云フモノデゴザイマスレバ、所謂純然私家ノ事
業ニナッテ居リマス是等ニ無代デ國有財產ヲ下附スルト云フコトニナルト
際限モナイソレデアリマスカラ、ソレハ下付シナイ、詰リ讓與シナイト云フ
精神デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=17
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018・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 御質問ガナケレバ次ノ日程ニ移ラウト思ヒマス、次ノ
日程ニ移リマス
第二右議案ノ審査ヲ付託スヘキ特別委員ノ選舉発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=18
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019・吉本榮吉
○吉田榮吉君(二百五十六番) 此選舉ハ議長ノ指名ニ致シタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=19
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020・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 特別委員選舉ハ議長ノ指名ニスルト云フ動議ガアリ
マス贊成ガアリマスカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=20
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021・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 御異議ガナケレバ、其通決シマス、日程第三、砂防法
案
第三砂防法案(政府提出)第一讀會
〔左ノ議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ茲ニ揭載ス〕
砂防法
第一章總
第二章土地ノ制限及砂防設備
第三章砂防ニ關スル費用ノ負擔、土地所有者ノ權利義務竝收入等
第四章警察、監督及强制手續
第五章訴願及訴訟
第六章附則
砂防法
第一章總則
第一條此ノ法律ニ於テ砂防設備ト稱スルハ主務大臣ノ指定シタル土地ニ
於テ治水上砂防ノ爲施設スルモノヲ謂ヒ砂防工事ト稱スルハ砂防設備ノ
爲ニ施行スル作業ヲ謂フ
第二條砂防設備ヲ要スル土地又ハ此ノ法律ニ依リ治水上砂防ノ爲一定ノ
行爲ヲ禁止若クハ制限スヘキ土地ハ主務大臣之ヲ指定ス
第三條此ノ法律ニ規定シタル事項ハ命令ノ定ムル所ニ從ヒ主務大臣ノ指
定シタル土地ノ範圍外ニ於テ治水上砂防ノ爲施設スルモノニ準用スルコ
トヲ得
無添加土地ノ制限及砂防設備
第四條第二條ニ依リ主務大臣ノ指定シタル土地ニ於テハ地方行政廳ハ治
水上砂防ノ爲一定ノ行爲ヲ禁止若ハ制限スルコトヲ得
前項ノ禁止若ハ制限ニシテ他府縣ノ利益ヲ保全スル爲必要ナルカ又ハ其
ノ利害關係一府縣ニ止マラサルトキハ主務大臣ハ前項ノ職權ヲ施行スル
コトヲ得
第五條地方行政廳ハ其ノ管內ニ於テ第二條ニ依リ主務大臣ノ指定シタル
土地ヲ監視シ及其ノ管內ニ於ケル砂防設備ヲ管理シ其ノ工事ヲ施行シ其
維持ヲナスノ義務アルモノトス
第六條砂防設備ニシテ他府縣ノ利益ヲ保全スル爲必要ナルカ又ハ其ノ利
害關係一府縣ニ止マラサル場合ニ於テハ主務大臣ハ之ヲ管理シ又ハ其ノ
工事ヲ施行シ又ハ其ノ維持ヲナスコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ主務大臣ハ其ノ砂防設備ニ因リ特ニ利益ヲ受クル公
共團體ノ行政廳ニ命シテ其ノ工事ヲ施行セシメ又ハ其ノ維持ヲナサシム
ルコトヲ得
本條ノ場合ニ於テハ主務大臣ハ此ノ法律ニ依リ地方行政廳ノ有スル職權
ヲ直接施行スルコトヲ得
第七條地方行政廳ハ其ノ管內ノ下級行政廳ヲシテ砂防工事ヲ施行セシメ
又ハ砂防設備ノ維持ヲナサシムルコトヲ得
第八條他ノ工事作業其ノ他ノ行爲ニ因リ砂防工事ヲ施行スルノ必要ヲ
生スルトキハ地方行政廳ハ其ノ行爲ヲナシタル者ヲシテ其ノ工事ヲ施行
シ又ハ其ノ砂防設備ノ維持ヲナサシムルコトヲ得
第九條行政廳ハ砂防工事ノ請負ヲナスコトヲ得ス
第十條砂防工事ノ請負ノ制限ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十一條第二條ニ依リ主務大臣ノ指定シタル土地ニ對シテハ勅令ノ定ム
ル所ニ從ヒ地租其ノ他ノ公課ヲ減免スルコトヲ得
第三章砂防ニ關スル費用ノ負擔、土地所有者ノ權利義務竝收入等
第十二條第二條ニ依リ主務大臣ノ指定シタル土地ノ監視及砂防設備ノ管
理、維持竝砂防工事ニ要スル費用ハ府縣ノ負擔トス
第十三條砂防工事ニ要スル費用ハ其ノ一部ヲ國庫ヨリ府縣ニ補助スルコ
トヲ得
前項國庫ノ補助額ハ工費豫算ノ三分ノ二ヲ超過スルコトヲ得ス
本條ノ補助金ハ精算ノ上其ノ費用ノ三分ノ二ヲ超過スルコトアルモ其ノ
超過額ヲ還付セシメサルコトヲ得
災害ニ因リ必要ヲ生シタル砂防工事ニ要スル費用ハ本條ニ依ルノ限ニ在
ラス
第十四條第六條ニ依リ主務大臣ニ於テ砂防設備ノ管理及維持ヲナシ又ハ
砂防工事ヲ施行スル場合ニ於テハ其ノ費用ハ國庫ノ負擔トス
前項ノ場合ニ於テハ主務大臣ハ府縣ヲシテ前項費用ノ三分ノ一以內ヲ負
擔セシムルコトヲ得
前項ニ依リ府縣ノ負擔スヘキ金額竝其ノ年度割及納付期限等ハ主務大臣
之ヲ定ム
第十五條地方行政廳ハ其ノ管內ノ下級公共團體ヲシテ砂防ニ關スル費用
ノ一部ヲ負擔セシムルコトヲ得
第十六條砂防工事ニシテ他ノ工事、作業其ノ他ノ行爲ニ因リ必要ヲ生ス
ルモノナルトキハ其ノ費用ハ工事ノ必要ヲ生スル程度ニ於テ其ノ原因タ
ル工事、作業其ノ他ノ行爲ニ關シ費用ヲ負擔スル者ヲシテ之ヲ負擔セシ
ムルコトヲ得但シ河川法第三十二條第二項ノ場合ハ此ノ限ニ在ラス
第十七條砂防工事ニシテ他ノ府縣若ハ他府縣內ノ公共團體ニ於テ著シク
利益ヲ受クルモノナルトキハ其ノ府縣若ハ其ノ府縣內ノ公共團體ヲシテ
其ノ費用ノ一部ヲ負擔セシムルコトヲ得
第十八條此ノ法律若ハ此ノ法律ニ基キテ發スル命令ニ依リ行政廳ノ命シ
タル事項ヲ遵守スル爲ニ要スル費用ハ特別ノ規程ヲ設ケタル場合ヲ除ク
ノ外其ノ命ヲ受ケタル者ノ負擔トス
主務大臣若ハ地方行政廳ニ於テ義務者ノ履行スヘキ義務ヲ自ラ執行シ又
ハ第三者ヲシテ執行セシメタルカ爲ニ要シタル費用ハ其ノ義務者ヨリ之
ヲ追徵スルコトヲ得
第十九條公共團體ハ砂防工事若ハ砂防ニ關スル費用ノ爲寄付ヲナスコト
ヲ得
第二十條公共團體ハ砂防ニ關スル費用ニ付キ私人若ハ其ノ區域內ノ下級
公共團體ニ補助ヲナスコトヲ得
第二十一條公共團體ハ砂防ニ關スル費用ニ付キ利害關係ノ厚薄ヲ標準ト
シテ其ノ區域內ニ於テ不均一ノ賦課ヲナスコトヲ得
第二十二條砂防工事ノ爲必要ナルトキハ地方行政廳ハ管內ノ土地若ハ森
林ノ所有者ニ命シ補償金トシテ時價相當ノ金額ヲ下付シテ其ノ所有ニ係
ル土石、砂礫、芝草、竹木及運搬具ヲ供給セシムルコトヲ得但シ時價ニ
關シテ協議整ハサルトキ又ハ所有者不明ナルトキ若ハ其ノ所在不明ナル
トキハ地方行政廳ハ相當ト認ムル金額ヲ供託シテ本條ノ供給ヲナサシム
ルコトヲ得
第二十三條砂防ノ爲必要ナルトキハ行政廳ハ第二條ニ依リ主務大臣ノ指
定シタル土地又ハ之ニ隣接スル土地ニ立入リ又ハ其ノ土地ヲ材料置場等
ニ供シ又ハ已ムヲ得サルトキハ其ノ土地ニ現在スル障害物ヲ除却スルコ
トヲ得
前項ノ適用ニ依リ損害ヲ受ケタル者ハ使用若ハ除却ノ後三箇月以內ニ補
償金ヲ請求スルコトヲ得
第二十四條第二條ニ依リ主務大臣ノ指定シタル土地ノ所有者若ハ關係人
ハ行政廳若ハ其ノ命ヲ受ケタル私人ニ於テ其ノ土地ニ砂防工事ヲ施行シ
又ハ砂防設備ノ維持ヲナスコトヲ拒ムコトヲ得ス
第二十五條法律、命令若ハ許可認可ノ條件ニ違背シタル工事、設備若ハ
工作物ノ管理ニ因リ損害ヲ受ケシメタル者ハ其ノ損害ヲ賠償スヘシ
第二十六條此ノ法律ニ依リ行政廳ニ於テ下付スヘキ補償金若ハ賠償金ハ
其ノ行政廳ノ直接ニ管轄スル公共團體ノ負擔トス
第二十七條砂防設備ヨリ生スル收入ハ府縣ニ歸ス但シ地方行政廳ハ其ノ
收入ヲ第二條ニ依リ主務大臣ノ指定シタル土地若ハ其ノ土地ニ在ル森林
ノ所有者又ハ其ノ砂防設備ノ施設者ニ下付スルコトヲ得
第二十八條砂防設備ニシテ其ノ公用ヲ廢シタルトキハ地方行政廳ハ之ヲ
其ノ砂防設備ノ現在スル土地若ハ森林ノ所有者ニ下付スルコトヲ得
第四章警察、監督及强制手續
第二十九條第四條ニ依リ主務大臣若ハ地方行政廳ニ於テ一定ノ事項ニ對
シ許可ヲ受ケシメタル場合ニ於テ必要ト認ムルトキハ主務大臣若ハ地方
行政廳ハ其ノ許可ヲ取消シ若ハ其ノ效力ヲ停止シ若ハ其ノ條件ヲ變更シ
又ハ設備ノ變更若ハ原形ノ囘復ヲ命シ又ハ許可セラレタル事項ニ因リ生
スル害ヲ豫防スル爲ニ必要ナル設備ヲ命スルコトヲ得
第三十條法律、命令若ハ許可ノ條件ニ違背シタル者ハ行政廳ノ命スル
所ニ從ヒ其ノ違背ニ因リテ生スル事實ヲ更正シ且其ノ違背ニ因リテ生ス
ヘキ損害ヲ豫防スル爲ニ必要ナル設備ヲナスヘシ
第三十一條地方行政廳ハ第二條ニ依リ主務大臣ノ指定シタル土地監視ノ
爲竝砂防設備管理ノ爲吏員ヲ置クヘシ其ノ定員、給料、手當、職務權限
竝其ノ費用ノ負擔者等ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十二條主務大臣ハ砂防ニ關スル行政ヲ監督ス
地方行政廳ヲシテ第一次ニ於テ監督セシムヘキ事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定
ム
此ノ法律ニ規定シタル事項ニシテ主務大臣若ハ地方行政廳ノ認可ヲ要ス
ルモノハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十九條及第二十條ニ規定シタル事項竝此ノ法律ニ依リ行政廳ニ付與シ
タル職權ニ關シテハ命令ヲ以テ制限ヲ設クルコトヲ得
第三十三條他ノ府縣若ハ他府縣內ノ公共團若體ハ私人ヲシテ費用ヲ負擔
セシムル爲ニ必要ナル手續ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十四條主務大臣ハ地方行政廳ニ命シテ砂防工事ヲ施行セシメ其ノ他
此ノ法律ニ規定シタル地方行政廳ノ職權ヲ施行セシムルコトヲ得
第三十五條義務者ニ於テ此ノ法律若ハ此ノ法律ニ基キテ發スル命令ニ依
ル義務ヲ履行セス若ハ之ヲ履行スルモ必要ノ期限內ニ終了スルノ見込ナ
キトキ又ハ其ノ履行ノ方法宜ヲ得サルトキハ主務大臣若ハ地方行政廳ハ
自ラ之ヲ執行シ又ハ第三者ヲシテ之ヲ執行セシムルコトヲ得
第三十六條私人ニ於テ此ノ法律若ハ此ノ法律ニ基キテ發スル命令ニ依ル
義務ヲ怠ルトキハ主務大臣若ハ地方行政廳ハ一定ノ期限ヲ示シ若シ期限
內ニ履行セサルトキ若ハ之ヲ履行スルモ不充分ナルトキハ五百圓以內ニ
於テ指定シタル過料ニ處スルコトヲ豫〓シテ其ノ履行ヲ命スルコトヲ得
第三十七條此ノ法律若ハ此ノ法律ニ基キテ發スル命令ニ規定シタル事項
ニ關シ保證金ヲ納付セシメタル場合ニ於テハ行政廳ニ於テ直ニ之ヲ其ノ
納付ノ目的又ハ過料ニ充用スルコトヲ得
前項保證金ハ他ノ債權ノ爲ニ差押フルコトヲ得ス
第三十八條此ノ法律若ハ此ノ法律ニ基キテ發スル命令ニ依リ私人ニ於テ
負擔スヘキ費用及過料ハ此ノ法律ニ於テ特ニ民事訴訟ヲ許シタル場合ヲ
除クノ外行政廳ニ於テ國稅ノ滯納處分ニ關スル規程ニ依リ之ヲ徵收スル
コトヲ得
前項ノ費用及過料ニ付キ行政廳ハ國稅ニ次キ先取特權ヲ有スルモノト
ス
此ノ法律若ハ此ノ法律ニ基キテ發スル命令ニ依リ公共團體ニ於テ負擔ス
ヘキ費用ニ關シテハ此ノ法律ニ於テ特ニ民事訴訟ヲ許シタル場合ヲ除ク
ノ外主務大臣若ハ地方行政廳ハ必要ナル場合ニ於テハ金額ヲ定メテ之ヲ
其ノ豫算表ニ揭ケ其ノ他必要ナル處分ヲ指揮シ直ニ其ノ金額ヲ支出セシ
ムルコトヲ得
第三十九條此ノ法律若ハ此ノ法律ニ基キテ發スル命令ニ依リ行政廳ニ付
與シタル職權ハ行政處分ニ依リ之ヲ强制スルコトヲ得
行政廳ノ許可若ハ認可ニ附シタル條件ニ關シテモ亦本條及前條ヲ準用ス
第四十條此ノ法律若ハ此ノ法律ニ基キテ發スル命令ニ規定シタル事項
ニ關シテハ砂防視察ノ職務ヲ有スル官吏ヲシテ命令ノ定ムル所ニ從ヒ警
察官ノ職權ノ全部若ハ一部ヲ執行セシムルコトヲ得
第四十一條此ノ法律ニ規定シタル私人ノ義務ニ關シテハ命令ヲ以テ二百
圓以内ノ罰金若ハ一年以下ノ禁錮ノ罰則ヲ設クルコトヲ得
第五章訴願及訴訟
第四十二條此ノ法律若ハ此ノ法律ニ基キテ發スル命令ニ依リ主務大臣若
ハ地方行政廳ノナシタル處分ニ對シテ不服アル私人若ハ公共團體ハ主務
大臣ニ訴願スルコトヲ得
此ノ法律若ハ此ノ法律ニ基キテ發スル命令若ハ地方行政廳ノ委任ニ依リ
下級行政廳ノナシタル處分ニ對シテ不服アル私人若ハ公共團體ハ地方行
政廳ニ訴願シ地方行政廳ノ裁決ニ不服アル者ハ主務大臣ニ訴願スルコト
ヲ得
此ノ法律ニ依リ行政訴訟ノ提起ヲ許シタル場合ニ於テハ主務大臣ニ訴願
スルコトヲ得ス
第四十三條此ノ法律若ハ此ノ法律ニ基キテ發スル命令ニ規定シタル事項
ニ關シ行政廳ノ違法處分ニ依リ權利ヲ毀損セラレタリトスル私人若ハ公
共團體ハ前條ニ依リ訴願ノ裁決ヲ經タル後行政訴訟後提起スルコトヲ得
但シ主務大臣若ハ地方行政廳ノ處分ニ對シテハ直ニ之ヲ提起スルコトヲ
得
第四十四條第二十五條ニ依リ損害賠償ヲ請求スル私人若ハ公共團體ハ損
害ヲ受ケタル日ヨリ三箇月以內ニ民事訴訟ヲ提起スルコトヲ得
法律命令若ハ許可認可ノ條件ニ違背シタルヤ否ヤニ付キ爭アルトキハ前
數條ノ手續又ハ監督官廳ノ決定ニ依リ其ノ違背シタリトノ事實確定シタ
ル後ニアラサレハ民事訴訟ヲ提起スルコトヲ得ス但シ此ノ場合ニ於テハ
前項ノ期間ハ確定ノ日ヨリ起算スルモノトス
第四十五條第二十二條若ハ第二十三條ニ依リ下付スヘキ補償金額ニ對シ
不服アルトキハ行政廳ニ於テ金額ノ通知ヲナシタル日ヨリ六箇月以內ニ
民事訴訟ヲ提起スルコトヲ得但シ第二十三條ノ場合ニ於テ補償金請求ノ
後六箇月以內ニ其ノ金額ノ通知ナキトキハ其ノ期限經過後六箇月以內ニ
民事訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第四十六條此ノ法律若ハ此ノ法律ニ基キテ發スル命令ニ規定シタル事項
ニ關シテハ本章ノ規程ニ依リ特ニ許シタル場合ヲ除クノ外訴願若ハ行政
訴訟ヲ提起シ又ハ行政廳ニ對シ民事訴訟ヲ提起スルコトヲ得ス
第六章附則
第四十七條此ノ法律ハ明治三十年四月一日ヨリ施行ス
此ノ法律ヲ施行スル爲ニ必要ナル規程ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第四十八條第二條ニ依リ主務大臣ノ指定シタル土地ニ在ル從來ノ砂防ニ
關シテハ勅令ヲ以テ特別ノ規程ヲ設クル場合ヲ除クノ外此ノ法律ノ規程
二段ノ,
(政府委員内務次官中村元雄君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=21
-
022・中村元雄
○政府委員(中村元雄君) 本日日程ニ上リマシタ所ノ砂防法案、此提出ノ理
由ニ就キマシテ簡單ニ一言申上ゲマス砂防事業ヲ施行スルコトノ今日必
要ナルコトハ最早茲ニ喋々ヲ待チマセヌコトデアリマスガ簡單ニ一言茲
ニ申上ゲ置キマスハ卽チ我邦ニ於テ人口ノ蕃殖ト、文化ノ進歩、是ニ伴ヒ
マシテ薪炭用材ノ需要追〓增加シマスルノミナラズ、荒蕪地ノ開墾ノ如キ
又各種ノ土工事業ノ如キ、年ヲ逐フテ其歩ヲ進メ來リマシタ事デアリマス
デ山地ニ於テ營ム所ノ事業モ漸次大イニ增加致シマシタ其結果ハ山地ノ
狀態ガ誠ニ荒廢ノ有樣ニ陷リマシテ、從ッテ土砂ノ流出ヲ促シマシテ河
床ガ大イニ高クナリマシタ、從ッテ追〓河川ノ狀態ガ誠ニ宜シカラザル有樣ニ
ナリマスコトデ、近年洪水震災ノ頻ニ臻リマスガ、畢竟是等モ其原因ノ一デア
ラウト思ヒマス之ヲ甚シク申シマスレバ其原因ノ大イナルモノカトモ考ヘ
ラレマスデ今日ニ於キマシテ速ニ此荒廢ノ防遏ヲ圖リマシテ一方ニ於キ
マシテハ又是迄ノ良イ所ノ形ヲ失ハザルヤウニ取締ヲ施シマシテ將來ノ荒
廢ヲ豫防致シマシテ、又一方ニハ既ニ荒廢ニ歸シタル山地ヲ能ク其設備ヲ施
シマシテカラ、此先キ山地ノ狀態ヲ改良スルハ實ニ目下緊急ノ事業ト存ジ
マス、此砂防事業ニ關シマスル制度ハ今日ドウモ完全シタルモノガアリマ
セヌデ事業ノ施行上、御承知ノ通甚ダ遺憾ノ事ガ多ウゴザイマスデ政府
ニ於キマシテモ今囘新ニ砂防法案ヲ編成シマシテ本期ノ議會ニ提出致シマ
ス運ビニ漸ク至リマシテゴザイマス前ニ申シマシタ如ク今日砂防事業ヲ
施行致シマスルハ實ニ必要ノコトデアリマシテ、別ニ此處ニ喋々申上グズ
トモ明ナル事實デアリマスカラ、ドウカ諸君、本法案ノ必要ヲ御認メニナリマ
シテ速ニ我國ニ砂防事業ノ進步ノ基礎ヲ定メルコトニ御協賛アッテ、ドウ
カ御可決アランコトヲ切ニ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=22
-
023・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 別ニ御質問ガナケレバ次ノ日程ニ移リマス、日程第四
第四右議案ノ審査ヲ付託スヘキ特別委員ノ選擧発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=23
-
024・吉本榮吉
○吉本榮吉君(二百五十六番) 此砂防法案ハ餘程關係ノ多クシテ、又各〓
講究シタキ廉モ必ズアラウト思フ、故ニ特別ニ委員ノ數ヲ十八名トシテ議
長ノ指名ニ致シタイ森林法案ト關係ガアルカラ、同一ノ委員ニ付託スルト
云フヤウナ議論ガアルカモ知ラヌケレドモ、森林法案ノ委員ニハ數多ノ案ヲ
委任シテアリマシテ餘程御手數ノモノデアルト思ヒマスカラ是ハ特ニ十
八名ヲ選出シタイ併シ議長ノ見込ヲ以テ同ジモノヲ選ムコトハ議長ノ見
込デアリマスカラ致方ガナイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=24
-
025・湯本義憲
○湯本義憲君(十九番) 此委員ニ於キマシテハ十八名ト云フ吉本君ノ仰
セデゴザイマスガ矢張是ハ九名ニシテ調査ヲ致シマシタ方ガ宜カラウト思
ヒマス、九名ノ委員ヲ議長ノ指名ニ於キマシテドウカ選定アラレンコトヲ
望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=25
-
026・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 議長指名ト云フコトニ就イテハ御異議ガナイヤウデ
アリマスカラ、數丈ニ就イテ採決シマス、十八名ニ同意ノ諸君ノ起立ヲ求メ
マス
起立者少數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=26
-
027・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 少數ト認メマス、委員ハ規則ノ通九名ト致シマス日
程第五、明治二十九年度海軍省所管歲出臨時部臨時軍事費中支出未濟豫算額
ノ繰越使用ニ關スル法律案、第一讀會
明治二十九年度海軍省所管歲出臨時部臨時軍
第五事費中支出未濟豫算額ノ繰越使用ニ關スル法第一讀會
律案(政府提出)
〔左ノ議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭載ス〕
明治二十九年度海軍省所管歲出臨時部臨時軍事費中支出未濟豫算額
ノ繰越使用ニ關スル法律案
明治二十九年度海軍省所管歲出臨時部臨時軍事費中一時賜金及其ノ取扱ニ
關スル諸費ニシテ明治二十九年度ニ於テ經費ノ支出ヲ終ラサルモノハ其ノ
支出未濟ノ豫算額ヲ翌年度ニ繰越シ使用スルコトヲ得発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=27
-
028・湯本義憲
○湯本義憲君(十九番) 私ハ豫算會議ニ於キマシテ必要ノコトモアリマスカ
ラ是ヨリ退場ヲ仕リマスルヤウニ致シタイドウカ許可ヲ願ヒマス
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=28
-
029・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 諸君ニ於テ御異議ナケレバ許スコトニ致シマス
(政府委員海軍省經理局長海軍主計總監男爵川口武定君演壇ニ登ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=29
-
030・川口武定
○政府委員(男爵川口武定君) 唯今日程ニ上リマシタ海軍省所管ノ臨時軍事
費ノ繰越ニ係ル法律案デゴザイマス其之ヲ要シマスル理由ハ理由書ニモ
ゴザイマスル通リ海軍ノ臨時軍事費ト申スモノハ此二十九年度中ニスッ
カリシマヒマスル考デゴザイマシタ然ルニ此臺灣地方ノ戰後ニ係リマシタ
モノヽ一時賜金ニ係ル取調書ヲ常備艦隊司令長官ノ方デ調ベマシテ、ソレ
ヲ臺灣總督府ヘ囘シマス節二、臺灣ニ於キマシテ臺北ノ停車場カラ總督府ヘ
來ルマデニ賊ニ其書類ヲ入レタ行李ヲ盜マレマシタノデ、ソレデ其夜カラ
直ゲニ十分ノ搜索ヲ遂ゲマシタ所ガ、翌日淡水川ノ邊リニ於テ見出シマシタ
ガ、其柳行李ノ半分丈ガ流出シタモノト見エテ、見エマセヌノデ、片割レノ
柳行李ニ半分ノ書類ガ殘ッテ居ッタト云フヤウナコトデゴザイマスソレデ
再ビ之ヲ調べ替ヘナケレバナラヌト云フ困難ガ生ジマシタノデ、之ヲ調査等
シマスルニハナカ〓〓時日ガ掛リマスカラ、迚モ此二十九年度中ニハ殘ラ
ズ仕上ゲテ其筋ヘ申達スル譯ニハ參リマセヌ餘儀ナク此一時賜金ニ係ル分
ト、是ニ屬スル所ノ費用トモ併セテ三十年度ヘ繰越シテ使用スルコトノ法
律案ヲ要スル譯デゴザイマスカラ、ドウゾ速ニ御協賛アランコトヲ希望致シ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=30
-
031・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 御質問ガナケレバ次ノ日程ニ移リマス、日程第六
第六右議案ノ審査ヲ付託スヘキ特別委員ノ選舉発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=31
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032・吉本榮吉
○吉本榮吉君(二百五十六番) 此委員モ議長ノ指名ニ致シタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=32
-
033・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 此特別委員選舉ヲ議長ニ委任スルト云フ動議ガアリマ
スガ、御異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=33
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034・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 然ラバ其通ニ決シマス、日程第七、土地區劃改良ニ係
ル法律案、第一讀會
第七土地區劃改良ニ係ル法律案(政府提出)第一讀會
〔左ノ議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭載ス〕
土地區劃改良ニ係ル法律案
政府ノ許可ヲ受ケ土地改良ノ爲メ市町村內ノ土地所有者ノ全部又ハ一部共
同シテ其ノ區劃形狀ヲ變更スルトキハ其ノ變更ニ係ル土地ノ地價ハ現地價
ノ合計額ヲ每筆相當ニ配賦シ之ヲ定ム発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=34
-
035・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 別ニ御質問ガナケレバ次ノ日程ニ移リマス、日程第八
第八右議案ノ審査ヲ付託スヘキ特別委員ノ選舉発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=35
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036・吉本榮吉
○吉本榮吉君(二百五十六番) 此法案ハ先キノ登錄稅法中改正法律案ノ委員
ニ付託スルト云フコトニ致シタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=36
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037・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) ソレナラバ此關係ノアリマスル登錄稅法中改正法律案
ノ委員ニ付託スルト云フ動議ガアリマスガ、異議ハアリマセヌカ
(「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=37
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038・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 然ラバ其通ニ決シマス、日程第九、國庫ヨリ補助スル
公共團體ノ事業ニ關スル法律案
第九國庫ヨリ補助スル公共團體ノ事業ニ關スル法第一讀會
律案(政府提出)
〔左ノ議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭載ス〕
國庫ヨリ補助スル公共團體ノ事業ニ關スル法律案
第一條府縣郡市町村其ノ他公共團體ノ事業ニシテ國庫ヨリ其ノ費用ヲ補
助スルモノニ關シ必要アリト認ムルトキハ主務大臣ハ其ノ事業ノ設計施
行管理竝經費收支ノ方法等ニ付期間ヲ指定シテ之カ變更ヲ命シ若シ命ニ
從ハサルトキハ直ニ之ヲ變更スルコトヲ得
主務大臣ハ必要アリト認ムルトキハ前項ノ事業ノ全部若クハ一部ヲ直接
施行スルコトヲ得
第二條前條ノ事業ニ關シ經費ノ負擔ヲ爲シ又ハ經費ノ變更ヲ爲スヘキ場
合ニ於テ主務大臣ノ指定シタル期間內ニ之ヲ爲ササルトキハ主務大臣ハ
直ニ豫算ヲ定メ又ハ豫算ヲ追加シ若クハ更正シ必要ナル費用ヲ支辨セシ
ムルコトヲ得
第三條此ノ法律ニ規定シタル主務大臣ノ職權ハ其ノ委任ヲ受ケタル地方
長官ヲシテ之ヲ執行セシムルコトヲ得
第四條府縣郡市町村其ノ他公共〓體ノ事業ニシテ國ノ事業ト關聯スル場
合ニ於テハ此ノ法律ノ規程ヲ準用スルコトヲ得
第五條此ノ法律ヲ施行スル爲ニ必要ナル規程ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
〔政府委員内務次官中村元雄君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=38
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039・中村元雄
○政府委員(中村元雄君) 本法案ハ極テ簡單ノモノデアリマシテ、別ニ說明
ヲ爲ス事項モ少イ譯デアリマスケレドモ、チヨット一言申上ゲマス近年御
承知ノ如ク、府縣以下各公共團體ニ於キマシテ水道、築港、其他大事業ヲ經
營致シマスルコトガ大分殖エマシタ、デ其中ニハ國庫ヨリ其費用ノ一部ヲ補
助セラルヽモノガアリマスルシ、又國庫ヨリ補助ヲ受ケザルモ其事業ガ國
ノ事業ト密接ノ關係ヲ有スルモノガアリマスカラ、是等ノ事業ハ其關係スル
所ノ重大ナルモノデアリマスカラ、事業ノ成效ト完全ヲ期シマスルタメニハ
外ノ事業ノ如ク、全ク之ヲ其公共ノ團體ノミニ放任シテ置キマスルノハ不
利益且ツチト懸念ノ點モ鮮ナカラヌコトデゴザイマスカラ將來ハ前ニ述べ
マシタ如ク事業ノ漸次增加スルニ從ヒマシテ、尙ホ其邊ノコトヲ能ク注意致
スヤウナル玆ニ法律ヲ拵ヘテ置キマセヌデハ、不便ヲ益ヾ感ジヤウト考ヘマ
ス、所ガ、是迄是ニ關シマスル工費ノ確ト定ッタモノガアリマセヌ、ドウカ速ニ
本案ヲ制定シマシテ、前ニ述ベマシタ如キノ不便ヲ豫メ是デ去リマスヤウニ
致シタイ、實ニ國家重大ノ事柄ヲ經營致シマスルニ就キマシテハ、成丈算ノ違
算ナイヤウニ致スハ固ヨリノコトデアリマスカラ眞ニ緊要ノコトデアリ
マスルデドウカ右申述ベマシタル如キノ理由デゴザイマスカラ、本院ニ於
キマシテモ、速ニ例ノ通ニ、ドウカ御協賛アランコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=39
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040・岡田良一郎
○岡田良一郞君(百六十番) 政府委員ニ少シ質問ガゴザイマスガ、此法案ハ
至極結構デゴザイマセウガ、少シ此第一條ニ「主務大臣ハ必要アリト認ムル
トキハ前項ノ事業ノ全部若クハ一部ヲ直接施行スルコトヲ得」トアリマスガ、
例ヘバ是ハ大阪築港ノ如キ大事業デアル、之ヲ市ニサセズシテ、政府デ直接
ニヤルコトガアル斯ウ云フコトデゴザイマセウガ其大事業ノ政府ニ於テ
直接監督致シテヤリマス場合ニ當ッテ、萬一工事中ニ違算ガゴザイマスルカ、
破壞シマスルト云フヤウナコトガゴザイマシタトキニハ其責任ハ市ガ持チ
マスルカ、或ハ政府ガ其責任ヲバ持ッテ、費用ノ不足ヲ支辨スルト云フコト
ニナリマスルカ此責任ハイヅレニ歸シマスルカ其處ヲ承ッテ置キタイ
(政府委員內務省土木局長工學博士古市公威君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=40
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041・古市公威
○政府委員(古市公威君) 御尋ノ主務大臣ノ直接施行スル場合ニ於キマシ
テ、間違ガ生ジマスレバ、其責任ハ國ニ在ルノデゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=41
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042・松田秀雄
○松田秀雄君(四十六番) 私モ政府委員ニ伺ヒタイ、此公共團體ノ事業ト言
ヒマスルハ水道若クハ築港ノ如キトゴザイマスガ、其他大部分トシテハ、
ドウ云フモノヲ指シマスルカ、又其部分ニ對シテ、政府ハ補助スルニ就イテ
ハ、其人ト政府トノ意見ガ僅違フト云フコトヲ以テ、直チニ政府ハ全部又ハ
一部ヲ變更スルカ、若クハ直接施行スルト云フコトモアリマスモノデアリマ
スカ、一應伺ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=42
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043・古市公威
○政府委員(古市公威君) 第一ノ御尋ハ、道路モアリマス、ソレカラ先達テ
ノ水害工事トカ、又ハ河川法ヲ執行致シマスルト、河身改修國庫補助ノコト
モアリマス種々アルコトデアリマス、第二ノ御尋ニ就イテハ、僅ニ意見ガ
違ッタ位ノコトデ、全部又ハ一部ヲ變更スルトカ、ドウトカ云フコトハ、少
シモナイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=43
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044・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 他ニ御質問ガナケレバ、日程第十ニ移リマス
第十右議案ノ審査ヲ付託スヘキ特別委員ノ選舉発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=44
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045・吉本榮吉
○吉本榮吉君(二百五十六番) 此委員ハ議長ノ指名ニ致シタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=45
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046・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 此特別委員ノ選舉ハ、議長ニ委任スルト云フ動議ガア
リマスガ、御異議ガアリマセヌカ
(「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=46
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047・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 其通決シマス、日程第十一、公共道路法案
第十一公共道路法案(政府提出)第一讀會
〔左ノ議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭載ス〕
公共道路法
第一章總則
第二章道路ノ種類
第三章道路ノ管理
第四章道路費ノ負擔、沿道土地建設物所有者ノ義務竝ニ補償賠償
第五章道路ノ使用料、占用料其ノ他ノ收入
第六章監督、警察及强制手續
第七章訴願及訴訟
第八章附則
公共道路法
第一章總則
第一條此ノ法律ハ總テノ公共道路ニ適用ス
第二條公共道路トハ行政廳ニ於テ公衆交通ノ用ニ供スルモノト認定シタ
ル道路ヲ謂フ
此ノ法律ニ於テ單ニ道路ト稱スルハ公共道路ヲ謂フモノトス
第三條道路ノ所屬種類ノ要件ノ有無竝ニ其ノ一部及區域等ハ行政廳ノ認
定スル所ニ依ル
第四條道路竝ニ其ノ敷地ハ私權ノ目的トナルコトヲ得ス
第五條左ニ揭クルモノハ道路ノ一部トシ道路及其ノ敷地ニ關スル規程ニ
從フ
一道路ヲ接續スル橋梁、渡船場(渡船ヲ包含ス)
二道路ニ密接スル道路修理用材料ノ常置場
三道路ニ附屬スル溝、竝木、支壁、柵里程標
四特ニ命令ヲ以テ定メタルモノ
第二章道路ノ種類
第六條道路ヲ分ツテ左ノ六種トス
一國道
二府縣道
三郡道
四市道
五町村道
六私設公道
第七條左ノ道路ハ國道トス
一東京ヨリ神宮、各府縣廳所在地、各師團司令部所在地、各鎭守府
所在地若クハ緊要ナル港ニ達スル重要道路
二各師團司令部所在地ヲ連結スル重要道路
三各師團司令部所在地ヨリ最近ノ鎭守府所在地ニ達スル重要道路
四各師團司令部所在地ヨリ其ノ師管內ノ旅團司令部所在地若クハ要
塞司令部所在地ニ達シ又ハ各旅團司令部所在地ヨリ其ノ旅管內ノ
衞戌地若クハ要塞司令部所在地ニ達スル重要道路
國道ヨリ岐レ數府縣ヲ連結スル重要道路ニシテ緊要ナル港若クハ他ノ國
道ニ達スルモノハ國道トナスコトヲ得
第一項各號ニ記載セル發著〓ノ間ニ於テ重要ナル道路數線アルトキハ其
ノ中ニ就キ選定シテ國道トナスコトヲ得
第八條前條ニ記載セルモノヽ外軍事ノ目的ヲ有スル道路ハ國道トス
第九條左ノ道路ハ府縣道トス
一隣接府縣廳所在地ヲ連結スル道路
二府縣廳所在地ヨリ其ノ管轄郡役所所在地若クハ市ニ達スル道路
三府縣廳所在地ヨリ緊要ナル港津若クハ緊要ナル鐵道停車場又ハ府
縣內樞要ノ地ニ達スル道路
四府縣內樞要ノ地ヨリ緊要ナル港津、緊要ナル鐵道停車場若クハ國
道府縣遣又ハ府縣內他ノ樞要ノ地ニ達スル道路
五府縣內緊要ナル港津ヨリ緊要ナル鐵道停車場若クハ國道、府縣道
ニ達スル道路
六府縣內緊要ナル鐵道停車場ヨリ國道、府縣道ニ達スル道路
七第七條第三項ノ場合ニ於テ國道ニ選定セラレサル道路
府縣道ニ關シテモ亦第七條第三項ヲ準用ス但前項第七號ノ場合ハ此ノ限
ニアラス
第一項ニ記載セル道路ニアラスト雖其ノ府縣ノ爲メ重要ト認メタルモノ
ハ之ヲ府縣道〓ナスコトヲ得
第十條左ノ道路ハ郡道トス
一隣接郡役所所在地ヲ連結スル道路
二郡役所所在地ヨリ其ノ管轄町村役場所在地若クハ隣接市ニ達スル
道路
三郡役所所在地ヨリ緊要ナル港津若タハ緊要ナル鐵道停車場又ハ郡
內樞要ノ地ニ達スル道路
四郡内樞要ノ地ヨリ緊要ナル港津、緊要ナル鐵道停車場若クハ國道、
府縣道、郡道又ハ郡内他ノ樞要ノ地ニ達スル道路
五郡内緊要ナル港津ヨリ緊要ナル鐵道停車場若クハ國道、府縣道、郡
道ニ達スル道路
六郡内緊要ナル鐵道停車場ヨリ國道、府縣道、郡道ニ達スル道路
郡役所所在地ヨリ山間ニ在ル辭陬ノ町村役場所在地ニ達スル道路及山間
ニ在ル解陬ノ町村ヲ經テ隣接郡役所所在地ニ達スル道路ハ郡道トナササ
ルコトヲ得
郡道ニ關シテモ亦第七條第三項及第九條第三項ヲ準用ス
第十一條市內ノ道路ハ總テ市道トス但第六條第一號第二號及第六號ニ該
當スルモノハ此ノ限ニアラス
市ノ區域外ニ涉ル道路ニシテ其ノ市ノ利益ノ爲ニ設ケタルモノハ市道ト
ナスコトヲ得
第十二條左ノ道路ハ町村道トス
一隣接町村ノ樞要ノ地ヲ連結スル道路
二町村内樞要ノ地ヨリ市、港津若クハ鐵道停車場ニ達スル道路
三町村內樞要ノ地及國道、府縣道、郡道ヲ互ニ連結スル道路
四町村内ノ要部若クハ部落ヲ連結スル道路
五用惡水、堤防、牧場、森林、田畑、沼池、社寺等ノ爲メ町村若ク
ハ町村組合ノ公費ヲ以テ維持シ若クハ新築スル道路
町村道ニ關シテモ亦第七條第三項及第九條第三項ヲ準用ス
第十三條私設道路ニシテ公衆交通ノ用ニ供スルモノト認定シタル道路ハ
私設公道トス
私設公道ニシテ使用料ヲ徵收スルモノヲ第一種トシ其ノ之ヲ徵收セサル
モノヲ第二種トス
第十四條道路ニシテ同時ニ第六條第一號乃至第五號ニ揭載セル數種ノ道
路ニ該當スルトキハ第六條掲載ノ順序ニ依リ上級ノ道路トシテ認定スヘ
シ但第七條第三項、第九條第二項、第十條第二項第三項及第十一條第二
項ノ場合ハ此ノ限ニアラス
第十五條道路ニシテ所屬種類ノ要件ヲ失ヒ又ハ他ノ種類ニ屬スヘキ要件
ヲ得タルトキハ第七條乃至第十四條ノ規程ニ依リ其ノ種類ヲ變更スヘシ」
道路管理者ノ種類ヲ變更シタルトキハ其ノ道路ノ種類ヲ變更スヘシ
第三章道路ノ管理
第十六條國道、府縣道ニ付キテハ地方行政廳ヲ以テ郡道、市道、町村道ニ
付キテハ郡市町村若クハ町村組合ノ行政廳ヲ以テ私設公道ニ付キテハ私
人ヲ以テ管理者トス
第十七條行政廳ハ其ノ管理ニ屬スル道路ヲ其ノ管內ノ下級行政廳ノ管理
ニ移シ又ハ其ノ管內ノ下級行政廳若クハ私人ノ管理ニ屬スル道路ヲ自己
ノ管理ニ移スコトヲ得
第十八條第一種私設公道ハ使用料徵收期限經過後之ヲ行政廳ノ管理ニ移
スヘシ
第十九條私設公道ノ管理者ハ行政廳ニ申請シ道路管理者ノ權利ヲ抛棄シ
テ其ノ義務ヲ免カルヽコトヲ得但申請前ニ於テ第八十六條若クハ第八十
七條ニ依リ巳ニ生シタル費用負擔ノ義務ハ此ノ限ニアラス
本條ノ申請アリタルトキハ其ノ道路ヲ行政廳ノ管理ニ移シ又ハ之ヲ廢止
スヘシ
第二十條道路管理者ハ其ノ道路ノ維持修繕ヲナスノ義務アルモノトス
此ノ法律ニ於テ維持ト稱スルハ掃除、撒水、除雪等ヲ包含スルモノトス
地方行政廳ハ命令ヲ以テ道路ノ維持ノ一部ヲ其ノ管內ノ下級行政廳若ク
ハ道路附近ノ住民ニ命スルコトヲ得
地方行政廳ハ些少ナル修繕ニ限リ命令ヲ以テ之ヲ其ノ管內ノ下級行政廳
ニ命スルコトヲ得
第二十一條道路ノ新築、改築及廢止ハ其ノ管理者ニ於テ之ヲ施行ス
此ノ法律ニ於テ改築ト稱スルハ路線ヲ更正スル場合ヲ包含スルモノトス」
國道ノ廢止ハ主務大臣ニ於テ之ヲ施行スルモノトス
第二十二條行政廳ハ此ノ法律ニ於テ特別ノ規程ヲ設ケタル場合ヲ除クノ
外其ノ管內ノ道路ニアラザレハ之ヲ管理シ又ハ其ノ新築、改築若クハ廢
止ヲ施行スルコトヲ得ス
第二十三條行政廳ハ左ノ條件ヲ具備スル場合ニ限リ其ノ管外ニ渉リ道路
ノ新築若クハ改築ヲ施行スルコトヲ得
一其ノ工事ニ依リ主トシテ其ノ行政廳ノ直接ニ管轄スル公共團體ニ
於テ利益ヲ受クルトキ
二其ノ行政廳管理ノ道路ト同種類ナルトキ
第二十四條二個以上ノ管理者ニ於テ施行スヘキ道路ノ工事又ハ道路工事
ニ依リ必要ヲ生シタル他ノ工事若クハ他ノ工事ニ依リ必要ヲ生シタル道
路工事ニシテ其ノ施行上便宜ナルトキハ一ノ行政廳ハ其ノ管理以外ニ屬
スルモノト雖其ノ管內ニ係ル部分ニ限リ併セテ施行スルコトヲ得
第二十五條第二十三條、第二十六條若クハ第二十七條ニ依リ工事ヲ施行
スル場合ニ於テハ管外ニ係ル部分ニ關シテモ前條ヲ準用スルコトヲ得
第二十六條町村道ハ其ノ町村ノ區域外ニ渉ルモノト雖之ニ依リテ利益ヲ
受クル町村ノ行政廳ニ於テ之ヲ管理シ及其工事ヲ施行スルコトヲ得
第二十七條行政廳管理ノ橋梁若クハ渡船場ニシテ行政區劃ノ境界ニ係ル
モノハ關係行政廳ノ一ニ於テ之ヲ管理シ及其ノ工事ヲ施行スヘシ
行政廳管理ノ道路ニシテ行政區劃ノ境界ニ係ルモノニ付キテハ其ノ境界
ニ係ル部分ニ限リ前項ヲ準用スルコトヲ得
第二十八條行政廳ハ道路ニ關スル工事ノ請負ヲナスコトヲ得ス
第二十九條道路工事ノ請負ニ關スル制限ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十條道路ノ構造竝ニ維持方法及工事ノ施行方法等ニ關スル規程ハ
命令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十一條道路管理者ハ其ノ管理ニ屬スル道路ノ臺帳ヲ調製スヘ
臺帳ノ調製、保管、記載事項、調製期限等ニ關スル規程ハ命令ヲ以テ之
コルビ
第三十二條監督官廳ノ認可ヲ經タル臺帳ニ記載セル事項ニ關シテハ反對
ノ立證ヲ許サス但臺帳調製後其ノ事實ノ變更シタルコトヲ證スルヲ妨ケ
ス
第四章道路費ノ負擔、沿道土地建設物所有者ノ義務竝ニ補償賠償
第三十三條第三章ノ規程ニ依リテ生スル道路ノ費用ハ第十六條、第二十
六條及第二十七條ニ依リテ定メラレタル管理者ノ直接ニ管轄スル公共團
體若クハ管理者タル私人ノ負擔トス但第二十七條ニ依リテ生スル費用ハ
關係行政廳ノ直接ニ管轄スル公共團體ヲシテ之ヲ分擔セシムルコトヲ得」
第二十條第三項第四項ニ依リテ生スル費用ハ地方行政廳ノ命令ヲ以テ其
ノ管內ノ下級公共團體若クハ道路附近ノ住民ヲシテ之ヲ負擔セシムルコ
トヲ得
第三十四條單ニ軍事ノ目的ヲ有スル國道ノ新築、改築若クハ修繕ニ要ス
ル費用ハ國庫ノ負擔トス
第三十五條行政廳管理ノ道路ノ新築、改築若クハ修繕ニ依リ他ノ公共團
體ニ於テ著シク利益ヲ受クルトキハ其ノ公共團體ヲシテ之カ爲ニ要スル
費用ノ一部ヲ負擔セシムルコトヲ得
第三十六條道路ノ一部ニシテ特ニ私人ノ利益ノ爲ニ設ケタルモノハ其ノ
特ニ利益ヲ受クル者ヲシテ其ノ新築、改築若クハ維持修繕ニ要スル費用
ノ全部若クハ一部ヲ負擔セシムルコトヲ得
第三十七條營業ニ依リ著シク道路ヲ破壞スルモノアルトキハ其ノ營業者
ヲシテ其ノ道路ノ維持修繕ニ要スル費用ノ一部ヲ負擔セシムルコトヲ得
第三十八條第二十三條ニ依リ行政廳ニ於テ工事ヲ施行スルトキハ工事施
行者ノ直接ニ管轄スル公共〓體ニ於テ其ノ工費ノ全部ヲ負擔スヘシ
第三十九條道路ノ改築若クハ修繕ニシテ他ノ道路工事若クハ其ノ他ノ工
事ノ施行ニ因リテ必要ヲ生シタルモノナルトキハ其ノ費用ハ改築若クハ
修繕ノ必要ヲ生シタル程度ニ於テ其ノ原因タル工事ノ費用負擔者ヲシテ
之ヲ負擔セシムルコトヲ但但河川法第三十二條第二項ノ場合ハ此ノ限ニ
アラス
第四十條地方行政廳ハ第三十五條、第三十七條若クハ第三十九條ノ分
擔義務ニ關シ其ノ管內ノ下級公共團體若クハ私人ニ係ル場合ニ限リ命令
ヲ以テ規程ヲ設クルコトヲ得
第四十一條國道ノ新築、改築若クハ維持修繕ニ要スル費用ハ其ノ一部ヲ
國庫ヨリ補助スルコトヲ得
國庫ノ補助額ハ前項費用豫算ノ半額ヲ超過スルコトヲ得ス
本條ノ補助金ハ精算ノ上其ノ費用ノ半額ヲ超過スルコトアルモ其ノ超過
額ヲ還付セシメサルコトヲ得
災害ニ因リ必要ヲ生シタル道路工事ニ要スル費用ハ本條ニ依ルノ限ニア
ラス
第四十二條公共團體ハ其ノ區域內ノ道路ノ爲ニ要スル費用ニ付キ私人若
クハ其ノ區域內ノ下級公共團體ニ補助ヲナスコトヲ得
第四十三條公共團體ハ道路ニ關スル工事若クハ費用ノ爲メ寄付ヲナスコ
トヲ得
第四十四條公共團體ハ其ノ所管行政廳管理ノ道路ノ爲ニ要スル費用ニ付
キ其ノ區域內ニ於テ利益ノ厚薄ヲ標準トシテ不均一ノ賦課ヲナスコトヲ
得
第四十五條私設道路ヲ私設道路トシテ認定シタルトキハ該道路敷地及其
ノ附屬物ノ所有者ハ認定ヲ受ケタル日ヨリ二箇月以內ニ補償金ヲ請求ス
ルコトヲ得但該所有者ノ申請ニ依リ認定ヲナシタルトキハ補償金ヲ請求
スルコトヲ得ス
前項補償ノ金額ハ敷地及其ノ附屬物ノ時價ヲ超ユルコトヲ得ス
第四十六條私設公道ノ廢止ヲ命シ又ハ之ヲ行政廳ノ管理ニ移シタルトキ
ハ第一種私設公道ニシテ使用料徵收期限內ニ係ル場合ニ限リ補償金ヲ下
付スルモノトス但第十九條ノ場合ハ此ノ限ニアラス
前項補償金ハ廢止ヲ命シ又ハ行政廳ノ管理ニ移シタル日ヨリ二箇月以內
ニアラサレハ之ヲ請求スルコトヲ得ス
本條補償金ハ既往許可期間ノ純益ヲ標準トシテ許可殘期間ノ純益ヲ算出
シ之ヲ下付スルモノトス
第四十七條行政廳ハ其ノ管理ニ屬スル道路ノ工事ノ爲ニ必要ナルトキハ
管內ノ土地若クハ森林ノ所有者ニ命シ補償金トシテ時價相當ノ金額ヲ下
付シテ其ノ所有ニ係ル土石、砂礫、芝草、竹木及運搬具ヲ供給セシムル
コトヲ得但時價ニ關シテ協議整ハサルトキ又ハ所有者不明ナルトキ若ク
ハ其ノ所在不明ナルトキハ行政廳ハ相當ト認ムル金額ヲ供託シテ本條ノ
供給ヲナサシムルコトヲ得
第四十八條行政廳ハ沿道土地ノ地先ニ施行スヘキ道路工事ノ爲ニ必要ナ
ルトキハ其ノ土地ニ立チ入リ又ハ其ノ土地ヲ材料置場等ニ供シ又ハ巳ム
ヲ得サルトキハ其ノ土地ニ現在スル建設物其ノ他ノ障害物ヲ除却スルコ
トヲ得
前項ノ適用ニ依リ損害ヲ受ケタル所有者ハ使用若クハ除却ノ後三箇月以
內ニ補償金ヲ請求スルコトヲ得
第四十九條此ノ法律若クハ此ノ法律ニ基キテ發スル命令ニ依リ行政廳ノ
命シタル事項ヲ遵守スル爲ニ要スル費用ハ特別ノ規程ヲ設ケタル場合ヲ
除クノ外其ノ命ヲ受ケタル者ノ負擔トス
第五十條法律、命令若クハ許可認可ノ條件ニ違背シタル工事、設備、占
用若クハ管理ニ因リ損害ヲ受ケシメタル者ハ其ノ損害ヲ賠償スヘシ
第五十一條此ノ法律ニ依リ行政廳ニ於テ下付スヘキ補償金若クハ賠償金
ハ其ノ行政廳ノ直接ニ管轄スル公共團體ノ負擔トス但第三十四條ノ道路
ニ關スル補償金ハ國庫ノ負擔トス
第四十五條若クハ第四十六條ニ依リ下付スヘキ補償金ハ其ノ認定ヲナシ
又ハ廢止ヲ命シ若クハ新ニ管理者トナリタル行政廳ノ直接ニ管轄スル公
共團體ノ負擔トス
本條ノ補償金ニシテ第二十七條ニ記載セル道路、橋梁若クハ渡船場ニ係
ルトキハ第三十三條第一項但書ヲ準用ス
第五十二條天災ニ際シ急施ヲ要スルトキハ行政廳ハ其ノ管內ニ於ケル道
路近傍ノ住民、土地家屋ノ所有者若クハ營業者ニ對シ夫役現品ヲ賦課ス
ルコトヲ得
第五十三條沿道高地ノ所有者ハ命令ノ規程ニ依リ行政廳ノ命スル所ニ從
ヒ其ノ土地ノ土砂崩落ヲ豫防スル爲ニ必要ナル設備ノ全部若クハ一部ヲ
ナスノ義務ヲ有ス
第五十四條沿道低地ニシテ其ノ形狀ニ依リ道路ヲ缺壞スルノ虞アルトキ
ハ其ノ土地所有者ハ命令ノ規程ニ依リ行政廳ノ命スル所ニ從ヒ其ノ缺壞
ヲ豫防スル爲ニ必要ナル設備ノ全部若クハ一部ヲナスノ義務ヲ有ス
道路ノ缺壞ヲ豫防スル爲ニ必要ナル設備ニシテ沿道低地ノ利益トナルモ
ノハ其ノ土地所有者ニ於テ命令ノ規程ニ依リ行政廳ノ命スル所ニ從ヒ其
ノ設備ノ一部ヲナスノ義務ヲ有ス
第五十五條道路ノ一部タル溝ヲ塡塞セシメサル爲ニ必要ナル設備ニシテ
沿道土地ニ設クヘキモノハ其ノ土地所有者ニ於テ命令ノ規程ニ依リ行政
廳ノ命スル所ニ從ヒ其ノ設備ノ全部若クハ一部ヲナスノ義務ヲ有ス
第五十六條沿道土地ニハ自然ニ其ノ土地ニ注入スル水ヲ道路ニ湛止セシ
ムル設備又ハ其ノ土地ノ水ヲ路面ニ流溢セシムル設備ヲナスコトヲ得ス
第五十七條道路ト沿道土地トヲ連接スル爲ニ必要ナル溝板其ノ他之ニ類
スルモノノ費用ハ其ノ土地所有者ノ負擔トス
第五十八條沿道ノ運河、溝渠、溜池其ノ他之ニ類スルモノノ所有者若ク
ハ管理者ハ其ノ水ノ道路ニ流溢スルコトヲ豫防スル爲ニ必要ナル設備ヲ
ナシ竝ニ之ヲ維持スヘシ但其ノ費用ハ所有者若クハ管理者ノ負擔トス
第五十九條沿道土地ニ施行スヘキ建設若クハ堀鑿工事ニ關スル制限ハ命
令ヲ以テ之ヲ定ム
第六十條沿道土地ニ於ケル竹木ノ培養及伐採等ニ關スル制限若クハ其
ノ費用ノ負擔ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第六十一條沿道土地ノ家屋其ノ他ノ建設物ノ所有者ハ道路ニ關スル警察
ノ爲メ必要ナルトキハ行政廳ノ命スル所ニ從ヒ其ノ修繕、改築若クハ除
却ヲナスノ義務ヲ有ス
第六十二條道路附近ノ土地若クハ其ノ所有者ニハ命令ノ定ムル所ニ從ヒ
沿道土地若クハ其ノ所有者ノ義務ノ全部若クハ一部ヲ負擔セシムルコ
トヲ得
家屋其ノ他ノ工作物ニ關シテモ前項ヲ準用ス
第六十三條沿道若クハ道路附近ノ土地所有者ハ其ノ所有權ヲ抛棄シ之ニ
附帶スル義務ヲ免ルルコトヲ得
第五章道路ノ使用料、占用料其ノ他ノ收入
第六十四條行政廳ハ路錢、橋錢若クハ渡錢ヲ徵收スルコトヲ得ス
第六十五條私人ニ於テ道路、橋梁若クハ渡船場ヲ新築シ路錢、橋錢若クハ
渡錢ヲ徵收セントスルトキハ行政廳ハ其ノ金額及徵收期限ヲ定メ之ヲ許
可スルコトヲ得
第六十六條國道ニ於テハ路錢、橋錢若クハ渡錢ノ徵收ヲ許可スルコトヲ
得ス但出水其ノ他ノ理由ニ依リ交通特ニ困難ナル場合ニ於テ一時渡錢ノ
徵收ヲ許可スルハ此ノ限ニアラス
府縣道ニ於テハ路錢若クハ橋錢ノ徵收ヲ許可スルコトヲ得ス
郡道若クハ町村道ニ於テハ路錢ノ徵收ヲ許可スルコトヲ得ス
市道若クハ市內ノ私設公道ニ於テハ路錢若クハ橋錢ノ徵收ヲ許可スルコ
トヲ得ス
第六十七條橋錢若クハ渡錢ノ徵收ヲ許可シタル橋梁若クハ渡船場ハ總テ
其ノ接續スル道路ニ關スル規程ニ從フモノトス但使用料徵收ノ許可ヲ得
タル者ニ於テ之ヲ管理シ維持修繕及其ノ他ノ工事ヲ施行シ臺帳ヲ調製シ
及其ノ費用ヲ負擔スヘシ
路錢ノ徵收ヲ許可シタル道路ニシテ同一ノ郡道若クハ町村道ヲ接續スル
ニ止マルトキモ亦前項ヲ準用スルコトヲ得
本條ノ橋梁、渡船場若クハ道路ニ關シテハ第十八條、第四十六條及第五十
一條第二項第三項ヲ準用ス
第六十八條使用料ノ金額及其ノ徵收期限ハ原資及其ノ利子ノ償還ヲ標準
トシテ之ヲ定ム但其ノ期限ハ三十箇年ヲ超過スルコトヲ得ス
第六十九條及第七十條ノ結果ニ依リ其ノ收入ノ減少シタルトキ又ハ管理
者ニ於テ更ニ其ノ道路、橋梁若クハ渡船場ヲ改築シタルトキハ期限延期
ノ許可ヲ與フルコトヲ得但如何ナル場合ト雖同一ノ道路、橋梁若クハ渡
船場ニ付キ當初許可シタル時ヨリ三十箇年ヲ超過スルコトヲ得ス
前項ノ場合ニ於テハ當初許可シタル使用料金額ノ增減ヲ命スルコトヲ得
第六十九條使用料徵收期限內ト雖公益ノ爲メ必要ト認ムルトキハ行政廳
ニ於テ一時其ノ徵收ヲ停止スルコトヲ得
第七十條使用料ヲ徵收スヘカラサル場合竝ニ使用料ノ制限ハ命令ヲ以
テ之ヲ定ムルコトヲ得
第七十一條道路ヲ廢止シタルトキハ其ノ敷地ハ管理者ノ直接ニ管轄スル
公共〓體若クハ管理者タル私人ニ下付スヘシ
一ノ道路ヲ新築若クハ改築シタルカ爲メ他ノ行政廳管理ノ道路ヲ廢止シ
タルトキハ其ノ敷地ハ新築若クハ改築ヲ爲シタル者ニ下付スルコトヲ得
但第六十七條ニ記載セル道路、橋梁及渡船場ニ關シテハ本項ヲ適用スル
ノ限ニアラス
廢道敷地ニシテ他ノ公用ニ供スルモノハ本條ニ依ラサルコトヲ得
第七十二條第九十條ニ依リ道路ノ占用ヲ許可シタルトキハ占用料ヲ徵收
スルコトヲ得
第七十三條使用料、占用料其ノ他道路ヨリ生スル收入及第六十三條ニ依
リ抛棄シタル土地ハ總テ其ノ道路ノ管理者ノ直接ニ管轄スル公共團體若
クハ管理者タル私人ニ歸ス
第六章監督、警察及强制手續
第七十四條行政廳管理ノ道路ノ行政ニ關スル監督ハ此ノ法律若クハ此ノ
法律ニ基キテ發スル命令ニ於テ特別ノ規程ヲ設ケタル場合ヲ除クノ外一
般ノ監督規程ニ依ル
第七十五條私設公道ニ關シテハ市道若クハ町村道ニ關スル行政ヲ監督ス
ル官廳ニ於テ之ヲ監督ス
私設公道ニシテ數郡ニ跨リ若クハ市ト町村トニ跨ルトキハ地方長官直接
ニ之ヲ監督シ數府縣ニ跨ルトキハ地方長官ニ於テ各其ノ管內ニアル部分
ニ限リ之ヲ監督ス
第七十六條行政區劃ノ境界ニ係ル道路、橋梁若クハ渡船場ヲ監督スヘキ
官廳ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第七十七條監督官廳ハ道路ニ關スル報〓ヲ徵シ且其ノ吏員ヲシテ道路ノ
現況ヲ巡視セシムヘシ
派遣ノ吏員巡視ノ際ニ於テ交通上危險ナル箇所ヲ發見スルトキハ卽時ニ
必要ナル處分ヲ其ノ義務者ニ命スルコトヲ得
第七十八條左ニ掲クル事項ハ監督官廳ノ認可ヲ受クヘシ
一道路ノ新築若クハ改築及其ノ工事ノ計畫竝ニ工費ノ豫算
二道路ヲ廢止シ若クハ其ノ管理者ヲ變更スルコト
三道路ノ臺帳及其ノ更正
四私設道路ヲ私設公道ト認定スルコト
五第十條第二項ニ依リ郡道ヲ設ケサルコト
使用料ノ徵收ヲ許可シ又ハ其ノ徵收年限ノ延期ヲ許可スルコト
七六第二十條第三項第四項、第三十三條第二項若クハ第四十條ニ依ル
命令
八第二十三條、第二十六條若クハ第二十七條ニ依リ管外ニ渉テ工事
ヲ施行シ若クハ管理ヲナスコト
九第二十四條若クハ第二十五條ニ依リ一ノ行政廳ニ於テ工事ヲ併セ
施行スルコト
十第三十三條第一項但書、第三十五條乃至第三十七條、第三十九條、
第五十一條第三項若クハ第六十七條第三項ニ依リ費用ヲ分擔セシ
ムルコト
十一第四十四條ニ依リ不均一ノ賦課ヲナスコト
十二特ニ命令ヲ以テ規定シタル事項
本條ノ認可ハ監督官廳ニ於テ修正ヲ加ヘテ之ヲ與フルコトヲ得
第七十九條許可若クハ認可ヲ與ヘタル後ニ生シ若クハ發見シタル事實ニ
因リ又ハ許可若クハ認可シタル事項ヲ施行シタル結果ニ因リ公益上必要
ヲ生スルトキハ監督官廳ハ其ノ許可若クハ認可ヲ取消シ若クハ其ノ條件
ヲ變更スルコトヲ得
第八十條法律、命令若クハ許可認可ノ條件ニ違背シタル工事若クハ設
備ハ監督官廳ニ於テ之ヲ除却若クハ更正セシメ又ハ場合ニ依リ之ヲ追認
スルコトヲ得
第八十一條第四十二條、第四十三條、第四十七條及第四十八條第一項ニ
規定シタル事項ニ關シテハ命令ヲ以テ其ノ制限ヲ設クルコトヲ得
第八十二條監督官廳ハ下級行政廳ニ對シ道路ノ認定又ハ其ノ新築若クハ
改築又ハ其ノ區域若クハ管理者ノ變更ヲ命スルコトヲ得
監督官廳ハ道路ノ廢止若クハ臺帳ノ更正ヲ命スルコトヲ得
第八十三條監督官廳ハ第二十三條乃至第二十七條、第三十三條第一項但
書、第三十五條、第三十九條及第五十一條第三項ニ規定シタル事項ヲ命
シ又ハ第六十七條第三項ノ場合ニ於テ第五十一條第三項ノ準用ヲ命スル
コトヲ得
第八十四條監督官廳ハ交通上必要ト認メタル維持修繕ヲ其ノ道路ノ管理
者ニ命スヘシ
第八十五條道路ヲ管理スル行政廳若クハ監督官廳ニ於テ道路ノ管理若ク
ハ監督ノ爲メ特ニ吏員ヲ置クコトヲ要スルトキハ其ノ定員、給料、手當、
職務權限竝ニ其ノ費用ノ負擔者等ハ命令ヲ以テ之ヲ定ムルコトヲ得
第八十六條義務者ニ於テ監督官廳ノ命ヲ執行セサルトキ又ハ之ヲ執行ス
ルモ監督官廳ニ於テ指定シタル期限內ニ終了スルノ見込ナキトキ又ハ其
ノ執行ノ方法當ヲ得サルトキ又ハ義務者不明ナルトキ若クハ其ノ所在不
明ナルトキハ監督官廳ハ自ラ之ヲ執行シ又ハ第三者ニ命シテ之ヲ執行セ
シメ其ノ費用ヲ義務者ヨリ追徴スルコトヲ得
第八十七條監督官廳ハ道路ニシテ交通上危險ナリト認ムルトキ其ノ他
急施ヲ要スル場合ニ於テハ命ヲ發セスシテ直ニ必要ナル處分ヲナシ又ハ
必要ナル工事ヲ執行シ其ノ費用ヲ義務者ヨリ追徵スルコトヲ得
第八十八條私設公道又ハ第六十七條ニ規定シタル橋梁、渡船場若クハ道
路ノ管理者ニ於テ其ノ義務ヲ怠ルトキハ監督官廳ハ一定ノ期限ヲ示シ若
シ期限內ニ履行セサルトキ又ハ履行スルモ不充分ナルトキハ五百圓以內
ニ於テ指定シタル過料ニ處スルコトヲ豫〓シテ其ノ履行ヲ命スルコトヲ
得
第八十九條私設公道又ハ第六十七條ニ規定シタル橋梁、渡船場若クハ道
路ノ管理者不明ナルトキハ監督官廳ハ第四十六條若クハ第六十七條ノ補
償金ヲ下付セスシテ之ヲ行政廳ノ管理ニ移シ若クハ之ヲ廢止シ又ハ之ニ
依リテ特ニ利益ヲ受クル者アルトキハ其ノ者ヲシテ一時之ヲ管理セシム
ルコトヲ得
第九十條行政廳ハ交通ニ妨ナキ限ニ於テ命令ノ定ムル所ニ從ヒ道路ノ
占用ヲ許可シ又ハ之ヲ他ノ公用ニ供スルコトヲ得
第九十一條警察官ハ交通ノ安全及靜謐ヲ維持スル爲ニ必要ナル處分ヲナ
シ已ムヲ得サルトキハ交通ヲ停止スルコトヲ得
道路ニ關スル警察ノ爲メ必要ナル道路使用ノ制限竝ニ沿道土地及建設物
ノ制限ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第九十二條此ノ法律ニ依リ私人ニ於テ負擔スヘキ費用及過料ハ此ノ法律
ニ於テ民事訴訟ヲ許シタル場合ヲ除クノ外行政廳ニ於テ國稅ノ滯納處分
ニ關スル規程ニ依リ之ヲ徵收スルコトヲ得
第九十三條此ノ法律ニ依リ行政廳ニ付與シタル職權ハ行政處分ニ依リ强
制スルコトヲ得若シ必要ト認ムルトキハ第七十九條第八十條及第八十六
條ヲ準用スルコトヲ得
行政廳ハ此ノ法律ニ依リ付與セラレタル職權ヲ執行スル爲ニ必要ナルト
キハ左ニ揭クル處分ヲナスコトヲ得
一急施ヲ要スル場合ニ於テ命ヲ發セスシテ直ニ必要ナル處分ヲナシ又
ハ必要ナル工事ヲ施行シ其ノ費用ヲ義務者ヨリ追徵スルコト
二義務者ニ於テ義務ノ履行ヲ怠ル場合ニ於テ一定ノ期限ヲ示シ若シ期
限內ニ履行セサルトキ又ハ履行スルモ不充分ナルトキハ五百圓以内
ニ於テ指定シタル過料ニ處スルコトヲ豫〓シテ其ノ履行ヲ命スルコ
ト
行政廳ノ許可若クハ認可ニ附シタル條件ニ關シテモ亦本條及前條ヲ準用
ス
第九十四條此ノ法律ニ基キテ發スル命令ニハ第八十六條乃至第八十八條
第九十二條及第九十三條第一項第二項ニ揭ケタル事項ヲ規定スルコトヲ
得
此ノ法律ニ規定シタル私人ノ義務ニ關シテハ命令ヲ以テ二百圓以內ノ罰
金若クハ一年以下ノ禁錮ノ罰則ヲ設クルコトヲ得
第九十五條此ノ法律ニ依リ行政廳若クハ監督官廳ニ付與シタル職權ハ命
令ヲ以テ之ヲ制限スルコトヲ得
第七章訴願及訴訟
第九十六條此ノ法律若クハ此ノ法律ニ基キテ發スル命令ニ依リ行政廳ノ
爲シタル處分ニ對シテ不服アル私人若クハ公共團體ハ直接監督官廳ニ訴
願スルコトヲ得
主務大臣ノ處分ニ對シテ不服アル者ハ主務大臣ニ訴願スルコトヲ得
監督官廳ノ裁決ニ對シテ不服アル者ハ直接上級監督官廳ニ訴願スルコト
ヲ得
此ノ法律ニ依リ行政訴訟ノ提起ヲ許シタル場合ニ於テハ主務大臣ニ訴願
スルコトヲ得ス
第九十七條此ノ法律若クハ此ノ法律ニ基キテ發スル命令ニ規定シタル事
項ニ關シ行政廳ノ違法處分ニ依リ權利ヲ毀損セラレタリトスル私人若ク
ハ公共團體ハ前條ニ依リ訴願ノ裁決ヲ經タル後行政訴訟ヲ提起スルコト
ヲ得但主務大臣若クハ地方行政廳ノ處分ニ對シテハ直ニ之ヲ提起スルコ
トヲ得
第九十八條第五十條ニ依リ損害賠償ヲ請求スル私人若クハ公共團體ハ損
害ヲ受ケタル日ヨリ三箇月以內ニ民事訴訟ヲ提起スルコトヲ得
法律、命令若クハ許可認可ノ條件ニ違背シタルヤ否ヤニ付キ爭アルトキ
ハ前數條ノ手續又ハ監督官廳ノ決定ニ依リ其ノ違背シタリトノ事實確定
シタル後ニアラサレハ民事訴訟ヲ提起スルコトヲ得ス但此ノ場合ニ於テ
ハ前項ノ期間ハ確定ノ日ヨリ起算スルモノトス
第九十九條第八十九條ニ依リ一時管理ヲナス者工事ヲ施行シ若クハ費用
ヲ負擔シタルトキハ其ノ義務者ニ對シ民事訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第百條第四十五條乃至第四十八條若クハ第六十七條ニ依リ下付スヘ
キ補償金額ニ對シテ不服アルトキハ行政廳ニ於テ補償金額ノ通知ヲナシ
タル日ヨリ六箇月以內ニ民事訴訟ヲ提起スルコトヲ得但補償金請求ノ後
三箇月以內ニ其ノ金額ノ通知ナキトキハ其ノ期限經過後六箇月以內ニ民
事訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第百一條此ノ法律若クハ此ノ法律ニ基キテ發スル命令ニ規定シタル事項
ニ關シテハ本章ノ規程ニ依リ特ニ許シタル場合ヲ除クノ外訴願若クハ行
政訴訟ヲ提起シ又ハ行政廳ニ對シテ民事訴訟ヲ提起スルコトヲ得ス
第八章附則
第百二條此ノ法律施行ノ時ニ現存スル道路ニシテ此ノ法律ノ規程ニ適合
セサルモノハ此ノ法律施行後二箇年以內ニ於テ其ノ規程ニ從ヒ之ヲ改
ムヘシ
郡制ヲ施行セサル郡ニ於テハ其ノ施行ニ至ルマテ郡道ニ關スル費用ハ舊
慣ニ依リ之ヲ負擔セシムルコトヲ得但舊慣ニシテ不便ナルトキ又ハ舊慣
ナキトキハ命令ヲ以テ其ノ負擔者ヲ定ムルコトヲ得
第百三條此ノ法律施行前ニ許可シタル使用料ノ徵收ハ從前ノ規程ニ依ル
ヘシ但徵收期限ナキモノ又ハ其ノ期限ノ此ノ法律施行後三十箇年以上ニ渉
ルモノハ此ノ法律施行後三十箇年以內ノ期限ヲ定メテ更ニ之ヲ許可スヘシ
第百四條此ノ法律施行ノ時ニ現存スル道路、橋梁若クハ渡船場ニ於テ使
用料ヲ徵收スル行政廳ハ此ノ法律施行ノ日ヨリ之ヲ徵收スルコトヲ得ス
第百五條道路ニシテ堤防ニ直接ノ關係ヲ有スルモノニ關シテハ其ノ關係
ヨリ生スル必要ノ事項ニ付キ勅令ヲ以テ特別ノ規程ヲ設クルコトヲ得
第百六條軌道條例ニ依リ新設シタル道路ニシテ單ニ軌道敷ニ供スルニ止
マルモノハ此ノ法律ニ依ルノ限ニアラス
第百七條皇城附近ノ道路、外國人居留地ノ道路及北海道、沖繩縣其ノ他
市制町村制ヲ施行セサル土地ノ道路ニ關シテハ將來勅令ヲ以テ規程ヲ設
クルマテ從來ノ規程若クハ習慣ニ依ル
第百八條此ノ法律ヲ施行スル爲ニ必要ナル規程ハ命令ヲ以テ之ヲ定ハ
第百九條此ノ法律ハ明治三十一年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
此ノ法律ハ東京市區改正ニ關スル規程ノ效力ヲ妨ケス
(政府委員内務次官中村元雄君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=47
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048・中村元雄
○政府委員(中村元雄君) 茲ニ提出致シマシタル所ノ公共道路法案道路
ノ運輸上、殖產上ニ一般行政上ノ機關ニ屬シマスルコトハ玆ニ私ガ述べ
マセズトモ、能ク御分リノコトデゴザイマス、我國維新前ニアリマシテハ
御承知ノ如ク各藩ガ各、其領土ニ據リマシテカラ、險惡ノ地ニ要害ヲ構ヘ
マシテ、成リタケ人ノ便利ナラヌヤウニヤッテ居リマシタ、固ヨリサウ云フ時
代ニ於キマシテハ、道路ノ整備ヲ望ミマスルコトハ決シテ出來マセヌコトデ
アル維新以後ハ社會ノ實際ノ必要ハ、漸次ニ道路ノ改正ヲ促シマシテ參リ
マシテ、官民共ニ銳意ニ其整備ニ從事致シタル結果ガ、其成績モマア實ニ大
イニ見ルベキヤウニナリマシタ、併ナガラ全國ニ亙リマシテハ、マダナカ〓〓
ソンナコトデハ往カナイ、決シテ其目的ヲ達シタト云フコトハ出來マセヌ、
就キマシテハ今日道路ノ整備ヲ圖ル上ニ於テ、色ミドウモ不都合ナコトヲ感
ジマスルコトガ往々ゴザイマスルデ畢竟是モ公共ノ不完全ナル所以デアリ
マスカラ、政府ニ於キマシテモ此事ニハ大イニ苦心致シマシテ道路法ノ
制定ヲ先ヅ第一能ク致サネバナラヌト云フコトデ、反覆審査致シマシテ、漸
ク本案ヲ此ニ提出致ス運ビニ致シマシテゴザイマス此提出致シマスル前ニ
ハ固ヨリ土木會等ニ付シマシテ、其意見ヲモ十分ニ叩キマスルシ、其末茲
ニ提出ノ運ゼニナリマシタニ就イテハ今日ハ實ニ此社會實際ノ行政日々進
ンデ、此道路ノ整備ヲ促シマスル曉ニアリマスレバ諸君ニモドウカ御協賛
アッテ、速ニ本案ノ確定ヲ一日モ早ク願ヒタイト心得マスル、切ニ此段ヲ希
望致シマスル発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=48
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049・河野岩吉
○河野岩吉君(百六十四番) 政府委員ニ質問致シマス、此道路法案ニ就キマ
シテ、總テノコトノ認定ト云フモノハ行政廳ニセシムルト云フ規定デゴザ
イマスルガ、追〓地方ノ自治體ト云フモノガ完成シテ來ルコトハモウ是
ハ分リ切ッタコトデアルニモ拘ラズ、今此處デ道路法ヲ新ニ制定スルニ當ッテ
地方議會ニ此決議ヲセシムルト云フコトガ、一體此法案ニ見エマセヌ、矢張
地方議會ニハ此事ハ議決ヲセシメダケニ、行政官ノ專斷ヲ以テ之ヲセシムル
ト云フノ法案ノ趣意デアルノデゴザイマスカ、其趣旨ノ御說明ヲ願ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=49
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050・吉本榮吉
○吉本榮吉君(二百五十六番) 私モ併テ質問致シマス、大體ニ於テ質問ヲ致
シテ置カネバナラヌノハ今日ニナッテ政府ノ提出セラレル案ノ數アルコト
ハ實ニ山ノ如シ、ドノ案ニシマシテモ、政府ノ說明ヲ聽キマスルト、目下
必要ヲ要スルトカ、緊急缺クベカラザルモノデアルトカ言ッテ、速ニ結了ヲ
求メラレルガ、モウ議會モ十日、此間ニ特別委員ノ選舉ヤ、特別委員會ノ審
議ヤ、ナニカシナケレバナラヌ、ナカ〓〓通過スル譯ニハ往カヌガ、ドウ云
フ〓究ヲシテ、速ニ協贊ヲ求メラレル案ヲ、何故ニ是マデ出サナカッタカ、
其理由、又一般議員ニ皆盲從セヨト云フ積デアルカ此二ツヲ伺ヒタイ
〔政府委員内務省土木局長工學博士古市公威君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=50
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051・古市公威
○政府委員(古市公威君) 先刻ノ御尋ノ此認定デゴザイマスルガ、認定ノ重
ナルモノハ道路ノ種類デアリマス、其種類ハ大體此法文デ、モウ其確答シテ
略〓極ッテ居ルモノデアリマスガ、併シ其外ノコトデ地方議會ヲ經ベキモノ
ハ費用ノコトデ抔ハ、勿論地方議會ヲ經ナケレバナリマセヌガ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=51
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052・河野岩吉
○河野岩吉君(百六十四番) 極ッテ居ルモノハ澤山ニゴザイマスガ、此行政
廳ノ議定ニ任ズルト云フモノハ數線路アルモノヽ一ヲ撰ビ、或ハ重要ナル
モノ、或ハ緊要ナルト云フモノニ向ッテハ、其人ノ見ル所ニ依ッテ違フモノデ
アル其見定メヲ付ケルト云フコトハ卽チ行政官一己ノ考デヤラレル譯デ
アルカ、或ハ完全ナル地方議會ト云フモノガ備ッテ居ルカラ、ソレニ決議ヲ
サセテ定メルト云フ譯デアルカト云フノデス、定ッテ居ルモノハ澤山ゴザイ
マスルガ、隨分議論ノアルモノハ、今定ッテナイト云フヤウナモノガ、卽チ
大イニ地方デ議論ノアルモノデアリマス、ソレ等ノ〓ニ就イテ御考ヲ承リタ
イ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=52
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053・古市公威
○政府委員(古市公威君) 道路法ノ第三條ニ「道路ノ所屬種類ノ要件ノ有無
竝ニ其ノ一部及區域等ハ行政廳ノ認定スル所ニ依ル」トアリマスカラ、行政
廳デ認定ヲスル積デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=53
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054・吉本榮吉
○吉本榮吉君(二百五十六番) 私ノ質問ニモ御答ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=54
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055・古市公威
○政府委員(古市公威君) 吉本君ノ御尋ニ對シテ、私ガ迚モ御答辯ノ出來ル
次第デハアリマセヌガ、段々此政府カラ提出スル法律モ澤山アリマスル所カ
ラ、自カラ順序ガアッテ、公共道路法抔ハ、今日マデツイ後レテ來タノデア
リマスル、ソレデ精々御勉强ニナツテ御調査ヲ請フニ過ギナイノデゴザイマ
ス、決シテ今ノ盲從ナント云フ考デハナイノデアリマスカラ、十分ニ御調査
ヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=55
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056・河野岩吉
○河野岩吉君(百六十四番) 尙ホ御尋致シマス、此四十一條ニ國庫ノ補助金
ノコトガアリマス「半額ヲ超過スルコトヲ得ス」ト云フヤウナ譯デ、唯制限
丈ガ立ッテアルガ、補助スル步合ト云フモノハ定メテナイ、是ハ凡ソノ步合
ヲ、幾步位ト云フコトヲ定メテアルノガ當然デアラウト思ハレルノデスガ、
然ルニ是ニ唯制限ダケニ止メテ、其儘ニシテ置クト云フコトハ、ドウ云フ必
要カラ起ッタノデアリマスカ
(政府委員内務省土木局長工學博士古市公威君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=56
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057・古市公威
○政府委員(古市公威君) 是ハ財政上ノ都合モアリマスルカラシテ、カッキリ
極メヌ方ガ宜カラウト云フ考デア〓、此河川法抔モ三分ノ二以內デ先刻提
出致シマシタ、砂防法案モ三分ノ二以內ト云フ工合ニナッテ居リマスガ、併
シ三分ノ二以內ト云フ割合ガ確定シテハ居リマセヌ、今日國道ニ對シテ國道
修築費、維持費ハ今日ハ補助致シマセヌガ、是ニハ維持費モ這入ッテ居リマ
スル、今日其國道ニ對シテ補助致シマスルノハ、是モ先ヅ三分ノ一ト云フノデ
スガ、極ッタコトデハナイノデス、ソレデ何時デモ先ヅ三分ノ一ニシテ提出
スル例ニナッテ居ルノデスガ、確定シテ居ルノデハナイノデス、要スルニ其
財政上ノ都合ニ依ッテ、或ハ此以內デシマフコトモアリ得ルコトノ出來ルヤ
ウニ、半額ヲ制限ト致シタノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=57
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058・河野岩吉
○河野岩吉君(百六十四番) サウ致シマスルト此法案ノ趣意ハ、此財政ノ許
ス度合ニ從ッテ、此步合ヲ定メルト云フヤウナ譯ニナルノデスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=58
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059・古市公威
○政府委員(古市公威君) サウデゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=59
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060・河野岩吉
○河野岩吉君(百六十四番) 尙ホ御尋シテ置キマスルガ、此中ニ監督官廳ト
云フ文字ガゴザイマスガ、其監督官廳ト云フモノハ、町村制ニ定メテアル所
ノ監督官廳ト云フト同一ノ階級ノ意デ往クノデスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=60
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061・古市公威
○政府委員(古市公威君) サウデゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=61
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062・久保九兵衛
○久保九兵衞君(九十一ハ番) 此九條ノ二項デゴザイマスルガ「若クハ市ニ達
スル道路」ト市ニ達スル道路ト云フコトニナッテ居リマスルト、何レモ市
ニ達シナイ道路ト云フモノハゴザイマセヌ、市ニ達スル道路ハ悉ク縣道ト
看做スト云フ政府ハ見込デゴザイマスカ一應御尋シテ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=62
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063・古市公威
○政府委員(古市公威君) 此府縣廳所在地カラ市ニ達スル道路ハ縣道トス
ル発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=63
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064・久保九兵衛
○久保九兵衞君(九十六番) ソレデハ「若クハ」ト云フノハ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=64
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065・古市公威
○政府委員(古市公威君) ツレハ郡役所所在地ニ達スルカ、若クハ市ニ達スル発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=65
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066・久保九兵衛
○久保九兵衞君(九十六番) サウ致シマスト、郡役所所在地ノ外ニ、市ニ達ス
ル道路ハ是等ハ悉ク府縣道ト看做スノデスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=66
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067・古市公威
○政府委員(古市公威君) 其積リデゴザイマス、其管內ノ市ニ達スルトカ、
例ヘバ郡役所所在地デナクトモ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=67
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068・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 他ニ質問ガナケレバ次ニ移リマス、日程第十二
第十二右議案ノ審査ヲ付託スヘキ特別委員ノ選舉発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=68
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069・吉本榮吉
○吉本榮吉君(二百五十六番) 此特別委員モ議長ノ指名ニ致シタイ
〔「贊成々々數ハ十八名」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=69
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070・平田箴
○平田箴君(二百十番) 其委員ハ十八名ニ致シタイト思フ、ドウモ關係ガ餘
程廣クッテ、サウシテ皆普ク大切ナモノヽヤウニ思ヒマスカラ、是ハ十八名
ト云フコトニシタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=70
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071・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 議長指名ニハ御異議ナイヤウデアリマスカラ、數ニ就
イテ採決致シマス、十八名ト云フコトニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ願ヒマス
起立者少數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=71
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072・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 少數ト認メマス、卽チ規則ノ通リ九名ニ致シマス、次
ハ日程第十三、種牡馬檢査法案、第一讀會
第十三種牡馬檢査法案(政府提出貴族院送付)第一讀會
(左ノ議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭載ス〕
種牡馬檢査法
第一條牡馬ハ此ノ法律ニ依リ檢査ヲ受ケ合格シタルモノニアラサレハ種
付ニ使用スルコトヲ得ス
第二條檢査ニ合格シタル種牡馬ニハ軀肢ノ一部ニ烙印シ其ノ所有者ニ證
明書ヲ下付スヘシ
第三條證明書ノ效力ハ滿一箇年トス
前項期限內ト雖疾病其ノ他ノ事故ニ因リ種牡馬ニ不適當ナリト認メタル
トキハ證明ノ效力ヲ停止シ若ハ之ヲ取消スコトアルヘシ
第四條檢査ニ關スル費用ハ國庫ノ負擔トス
第五條此ノ法律ハ官廳所有ノ種牡馬ニ適用セス
第六條學術〓究ノ爲牡馬ヲ種付ケニ使用セムトスル者アルトキハ地方長
官ハ農商務大臣ノ認可ヲ經特ニ其ノ種付ケヲ許可スルコトアルヘシ
第七條檢査ニ合格セサル牡馬又ハ證明ノ效力ヲ失ヒ若ハ停止セラレル
種牡馬ヲ種付ケニ使用シタル者ハ二圓以上二十圓以下ノ罰金ニ處ス
第八條種牡馬檢査ノ標準及方法、檢査委員ノ組織其ノ他此ノ法律施行ノ
爲メ必要ノ規程ハ農商務大臣之ヲ定ム
附則
第九條此ノ法律施行以前ニ與ヘタル種牡馬ノ免許ハ其ノ免許期限間效力
ヲ有スルモノトス
第十條此ノ法律ハ明治三十一年四月一日ヨリ施行ス
〔政府委員農商務省農務局長藤田四郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=72
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073・藤田四郎
○政府委員(藤田四郞君) 此種牡馬檢査法ノ提出致シマシタル理由ヲ簡單ニ
申上ゲマスル、我邦ノ馬匹ヲ之ヲ他ノ諸國ニ比較致シマシテ劣等ナルコト
ハ私ガ申サズトモ皆御承知デアラレマセウガ、此馬匹ノ良クナルト惡ルク
ナルトハ、實ニ此種牡馬ノ良イト惡ルイトニ基ヒ致シマスルコトデゴザンシ
テ、卽チ此馬匹ヲ改良致シマズルニ就キマシテハ宜シク不良ノ種牡馬ヲ淘
汰シテ、良イ所ノ種牡馬ヲ以テ、種牡馬ニ供給スルコトノ途ヲ開カナケレバ
ナリマセヌ、曩ニ帝國議會ノ協賛ヲ經マシテ、政府ハ種馬牧場及種馬場ヲ設
立致シマシテ、一方ニ於キマシテ多少ノ改良ヲ圖リ居ルノデゴザイマス、尙ホ
是ニ相伴ヒマシテ、此民間ノ種馬ト云フモノヲ能ク改良スルト云フコトノ途
ヲ圖ラナケレバナリマセヌ、故ニ玆ニ卽チ此檢査法ト云フモノヲ布クノ必要
ヲ認メマシタル譯デゴザイマシテ、既ニ明治十八年以來、一定ノ標準ヲ立テ
マシテ、地方ニ依リマシテ便宜取締リハスルヤウニナッテ居リマスルケレド
五月、何分ニモ今日ノ法ハ不十分ナコトモゴザイマス、且ツ其基礎ト云フモ
ノガ確立致シテ居リマセヌカラ、玆ニ法律ヲ制定致シマシテ、檢査ヲ一體ニ
布クノ方法ヲスルト云フコトニ致シマシタ譯デアリマス、ドウゾ宜シク御協
贊ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=73
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074・芦塚省三
○芦塚省三君(百八十二番) チヨット政府委員ニ質問シタイ、成ル程馬匹ノ
改良ヲ圖ルト云フハ至極結構ナコトデアル、最モ今日ノ急務デアラウト信ズ
ルノデゴザイマスガ、此檢査ノ仕組ハ、如何シテナサル御仕組デゴザリマス
カ各府縣ニ檢査所デモ、設ケ又檢査委員デモ置キマシテ、アチラコチラニ
出張ヲセサテ而シテ以テ檢査ヲ爲サシムルト云フ御仕組デゴザリマスカ、
其邊ノ御仕組ニ就イテ伺ヒタイ、ソレカラモウ一ツハ、種馬ノ檢査ノ標準ト
云フモノハ如何樣ニ御見込ガ立ッテ居ルノデゴザリマスルカ標準ノ立方
次第デハ農業上却テ發達ヲ一時妨ゲルト云フコトガアリハセヌカト憂慮致
シマスデゴザリマス、又序ニ此檢査ニ要スル所ノ國庫ノ負擔ト爲ル費用ノ額
ハ幾ラデゴザリマスルカ、此三〓ヲ併テ御質問致シタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=74
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075・藤田四郎
○政府委員(藤田四郞君) 御答ヲシマス此檢査ノ方法デゴザリマスガ、是
ハ各府縣ニ於キマシテ、適當ナ季節ニ於キマシテ、所謂巡迴檢查ヲ致ス方針
ニナルノデ、固ヨリ各戶ニ就イテ檢査ヲスルト云フ場合ニハナラヌカ知リマ
セヌガ、大體ハ地方ヲ巡迴シテ、檢査ヲスル方法ニナリマス、卽チ村ミニ寄
セ集メテ檢査ヲスルコトニナルノデ、而シテ其檢査ニ從事スル人ミハ、卽チ
縣ノ官吏ト、獸醫及產馬業者、又ハ產馬業ニ關係アル人ミヲ用ヒマシテ、檢
査ヲ致サセマス、次ニ此檢査ノ標凖デゴザリマスガ是ハ詰リ惡癖ノアル馬
トカ遺傳性ノアル馬トカ云フモノヲ以テ種馬ヲ供スルコトハ大變ニ害ヲ
及ボシマスカラ、是等ノモノヲ避ケルノガ卽チ第一ノ目的ニナリマス、產馬
地方ト、產馬地方以外ト、自ラ此情況ガ違ッテ居リマシテ、固ヨリ之ヲ一定
ノ寸尺ニ由ッテ往クト云フコトハ必ズ出來マスマイト思ヒマスガ、成ルベク改
良ノ方途ニ由ル方法ヲ執ラナケレバナラヌガ、小サイ馬ノ名所ナドデゴザ
リマスガ、ソレ等ニ向ッテハ、必シモ其規律ニ由ルト云フコトハ出來マイト
思セマス、又次ノ御尋デゴザリマシタガ、國費幾許ト云フコトデゴザリマス
ガ、卽チ三十一年度中ニ施行致シマス所ニ依リマスレバ、三十一年度ニ於テ
使フ所ノ費用ノ見込ハ、大凡六千圓ト云フ經費デゴザリマス全國ニ對シマ
シテハ六千圓、卽チ是ハ產馬馬匹ノ檢査ニ從事スル所ノ人ノ官吏以外ノ手當
及旅費、其他幾分ノ廳費等ヲ見込ミマシタ所デゴザリマス、又前ノ第二ノ御
問ノ中ニゴザリマシタト思ヒマスガ、農業上云々デゴサリマスガ、ソレ等ニ
對シテハ、何等ノ差支ヲ生セヌト云フ見込デゴザリマス、馬ノ產出ノ狀況カ
ラ見マスルト云フト、別ニソレ等ノタメニ影響ヲ及スコトハナイト云フコト
ヲ信ジテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=75
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076・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 他ニ御質問ガナケレバ、次ノ日程ニ移リマス
第十四右議案ノ審査ヲ付託スヘキ特別委員ノ選擧発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=76
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077・吉本榮吉
○吉本榮吉君(二百五十六番) 此委員モ議長指名ニ致シタイ
(「贊成々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=77
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078・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 委員選舉ハ、議長ニ委託スルト云フ動議デゴザリマス
ガ、御異議ガゴザイマセヌケレバ··
〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=78
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079・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 然ラバ其通決シマス、次ハ日程第十五、十六、十七、通
ジテ議題ト爲シマス
第十五私設鐵道條例中改正法律案(沼田宇第一讀會ノ續(委員長)
源太君外八名提出)(報告
第十六明治二十八年法律第四號中改正法律第一讀會ノ續(麥黃瓜
案(重岡薫五郞君外五名提出)報報
第十七私設鐵道條例中改正法律案(南第一讀會ノ續((Business)
野道親君提出)Him.
(望月右內君演壇ニ登ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=79
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080・望月右内
○望月右內君(二百八十七番) 委員會ノ結果ヲ御報道致シマス、此十五日程
ニアリマス私設鐵道條例中改正案、原案ヲ可認致シマシタ譯ハ是ハ商法ト
私設鐵道條例トノ衝突ヲ正サウト云フ改正案デアリマシテ政府ニ向ッテモ
段々現今ノ取扱上ニ就イテ、委員會デ質問ヲ致シマシタ所ガ、私設條例ハ
先キニ出タモノデアッテ、商法ハ後トデ出タモノデアルカラ、此衝突ニ就イ
テハ、後トデ出タ方ノ商法ニ從ッテ、現今取扱ッテ居ルト云フコトデゴザリ
やく、サウスルト政府ガ取扱ッテ居マスル所カラ見マシテモ實際ニ又法律
ノ衝突ハ、此提出案ノ如ク改メザルヲ得ヌ當然ノ改正案ト認メマシテ委
員會ハ是認致シマシタ譯デアリマスソレカラ次ノ日程ニアリマス、重岡薫
五郞君提出案、明治二十八年法律第四號中改正法律案、是ハ先キニ本會ノ提
出案デアッテ、商法ノ取除ケヲ設ケマシタ、其取除ノモウ一ツ取除ニナリマ
スル此第二條デアラウト信ジマスルガ、是ハ提出者ガ理由トシテ玆ニ書現ハ
シテアリマス外ニ、委員會デ能ク審査ヲシマシタ末、モウ五圓、十分ノ一拂
込ヲナシテ登記ヲ許シ、ソレカラ工事ニ著手スルコトニナル以上ハ、賣買讓
與モ公然ノ賣買ヲ許ス方ガ、却テ會社ノ安全確實ヲ保ツノデアラウ、現在會
社ノ登記ヲ受ケナガラニシテ、公然賣買ヲ許サヌヤウナコトニシテ置ケバ、
長ク投機者流間ニ此受取書ノヤウナモノヲ以テ彷徨シテ居ルト云フコトハ、
會社ニ對シテ甚ダ安全ヲ缺ク譯デアルカラ、此原案ノ如ク、第二條ヲ削除ス
ルト云フコトハ當然ナ法案デアル、斯ウ云フ決議デ、サウ云フ意見ヲ以テ、
此原案ヲ是認シマシタ、ソレカラ此南野道親君ノ提出案デアリマス、私設鐵
道條例中改正法律案、之ヲ斯ノ如ク修正シマシタノハ第二十條ハ原文ノ儘
存スルガ宜カラウト云フ所デ、此提出案ヲ斯ノ如ク修正シマシタ、詰リ是ハ第
二十九條ハ、原文ノ儘ヲ存スル積デアリマスサウシテ其次ニ此細字デ書イ
テアリマス條項ヲ挿入シマスルノハ、此停車場ト停車場トノ間ニ短距離ノ
モノガアッテ、本條ノ如キ儘デアリマスルト、或ハ切符代モ取レナイト云フ
ヤウナ、事實上不都合ナ場所ガアリマス、ソレデモ停車場ダカラ、公共ノタ
メニ-公共ノ利益ヲ害シマスルカラシテ、巳ムヲ得ズ停車場ヲ置クト云フ
ヤウナ話デ、停車場ハ置キマシテモ現在モ會社ガ費用ヲ徵收スルコトガ出
來ナイト云フヤウナ不都合ナ箇條デアリマスカラ、此條項ヲ加ヘルコトハ
當然デアラウト、斯ウ云フヤウナ趣意デ、此修正案ヲ拵ヘマシタノデアリマ
ス左樣御承知下サイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=80
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081・吉本榮吉
○吉本榮吉君(二百五十六番) 此案ハ簡單ナ案デゴザイマスルガ故ニ、各〓讀
會ヲ省略ヲ願ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=81
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082・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 三案共ニ讀會省略ト云フ動議ガアリマスルガ、贊成ガ
アリマスカ
(「贊成々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=82
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083・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 讀會省略ニ就イテ採決シマス、讀會省略ニ贊成ノ諸君
ノ起立ヲ求メマス是ハ三分ノ二ヲ要シマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=83
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084・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 三分ノ二以上アルト認メマス-日程第十五ニ就イテ
採決シマス、本案ニ御異議ハゴザイマセヌカ
私設職道條例中改正法律案(沼田宇源太君外八
名提出)確定議
明治二十八年法律第四號中改正法律案(重岡薫確定議
五郞君外五名提出)
私設鐵道條例中改正法律案(南野道親君提出)確定議
(「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=84
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085・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 然ラバ本案ハ是デ確定シタモノト認メマス-次ニ日
程第十六ニ就イテ採決シマス
〔政府委員遞信次官男爵鈴木大亮君演壇ニ登ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=85
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086・鈴木大亮
○政府委員(男爵鈴木大亮君) 唯今問題ニ供セラレテ居リマスル明治二十八
年法律第四號私設鐵道株式會社ニ關スル法律中ノ第二條ヲ削除スルト云フ事
柄デゴザイマス、偖此第二條ニハ、四分ノ一ノ拂込ヲ終リマセヌ中ハ、讓渡等
ノ效能ヲ爲サナイ、卽チ無效ニスルト云フ趣意ノ事柄ヲ規定シテ居リマスル
然ルニ此鐵道會社ニ限リマシテ、十分ノ一、株金ヲ拂ヒマシタ場合ハ登記ヲ
經テ會社ノ設立ヲ〓ゲルト云フノガ、第一條デ規定ニナツテ居リマスル會
社ガ營業ヲ始メマシタニモ拘ラズ、株劵ノ讓渡ハ四分ノ一ニ充テンケレバナ
ラヌト云フガ、卽チ第二條ニ規定シテゴザイマスル次第デゴザイマス、最前
此特別法ノ二十八年ニ本院ヲ通過致シマスル際ニ、政府ハ矢張此株劵ノ賣買
ハ四分ノ一ニ充タヌマデハ、許サヌト云フ方ガ宜シイト云フ解釋ヲ執ッテ居
リマシタノデゴザイマスル、矢張此改正案ニ對シマシテモ、一般ニ賣買致ス
ト云フコトハ、株金ノ四分ノ一マデ拂込ンダ後ニスルト云フコトヲ、今日
モ矢張左樣ニ政府ハ認メテ居リマス、ナゼサウアルカト申シマスルト云フト、
商法ニ規定致シテ居リマスル所デハ(此時「モウ少シ高聲ニ願ヒマス」ト呼フ
者アリ)總テ此四分ノ一ヲ拂込マヌケレバ、登記ヲ許サズ、會社ノ設立ヲ告
グルコトガ出來ナイノデゴザイマスカラ、卽チ此會社ノ鞏固ナルコトヲ望ム
上カラ、株劵ノ賣買ハ矢張四分ノ一拂込ンダ後ニ、始メテ許ス方ガ宜シイト
云フコトニ見テ居リマスル、然ルニ此改正ノ理由書ニ見エテ居リマスル、株
金拂込ノ出來マセヌ株主ノ生ジタ場合ニハ、其處理上ニ餘程困難ナ事柄モ見
エマスヤウデゴザイマスカラ、更ニ此削除スルト云フコトデゴザイマセズ
ニ、第二條ニ拂込ノ出來ナイ株主ノ起ッタトキニハ其株ニ對シテ丈公賣ス
ル、卽チ公賣ノ效力ヲ有スルト云フ意味ヲ、此二條ヘ但書デモ加ヘマシタナ
ラバ、拂込ヲ爲シ得マスルコトガ出來ナイ株主ノ生ジタトキニ、其煩ヒヲ避
ケルコトガ出來ルデアラウト思ヒマス、又是等ノ事ヲ會社ノ定款中ニ記載致
シテ置キマシタナラバ宜シカラウト思ヒマスカラ、就イテハ此二條ニ今ノ樣
ナ趣意ノ但書ヲ加ヘテ株金拂込ノナシ得ヌ株主ノ起ッタ時ダケニ公賣ヲ許
スト云フ趣意ニナリマシタ方ガ宜カラウト存ジマスル總テ十分ノ一拂込ノ
儘デ賣買ヲサスルト云フコトハ、政府デハ好マヌノデゴザイマスカラ一應
其理由ヲ申述ベテ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=86
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087・石原半右衞門
○石原半右衞門君(百七十四番) 唯今ノ政府委員ノ御說明ヲ一通リ承ッテ、
考ヘテ見マスルノニ、現ニ商法デハ株金ノ拂込ヲシナカッタ分ハ、會社ヘ之
ヲ取上ゲル-會社ヘ取上ゲテモ、ワレヲ必ズ公ニ賣拂ハナラヌト云フ規定
ガアルヤウニ思フ、サウスレバドノ道會社デ持ツコトモ出來ズ、賣拂フコト
モ出來ズ、其處分ノ仕方ガナイノデゴザイマスルガ、今政府委員ノ說明ニ依
リマスト云フト、第二條ヘ但書ヲ加ヘテ其拂込ヲナサヌ分ダケ特ニ處分スル
途ヲ設ケサヘスレバ宜シイト云フ御話ノヤウデゴザイマスルガ其途ハ政府
案トシテ、改正案ヲ御提出ニナルト云フ御運ビニナッテ居リマスデスカ、一
應承リタイ
(政府委員遞信次官男爵鈴木大亮君演壇ニ登ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=87
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088・鈴木大亮
○政府委員(男爵鈴木大亮君) 唯今ノ御質問ニ御答ヲ致シマスデスガ、全ク
割除スルデナシニ、第二條ニ最前申述ベタ趣意ノ但書ヲ加ヘタナラバ、完全
ニナルデアラウト云フコトヲ申述ベタノデゴザイマス、別ニ政府ガ案ヲ提出
スルト云フ譯デハゴザイマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=88
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089・石原半右衞門
○石原半右衞門君(百七十四番) サウシマスルト、政府ハ其案ハ但書ヲ加ヘ
ルト云フ必要ヲ御認メニナッテ、サウシテ其但書ト云フモノハ-但書ヲ加
ヘルト云フ案ハ御提出ニハナラナイト云フ譯デアリマスノデスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=89
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090・鈴木大亮
○政府委員(男爵鈴木大亮君) 此場合提出スルト云フコトハ、別ニ決定シテ
居リマセヌノデス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=90
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091・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 採決シマス、本案ニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=91
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092・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 多數ト認メマス、本案ハ是デ確定シマシタ-日程第
十七ニ就イテ採決シマス、是ハ委員會ノ修正意見ガアリマス、先ヅ第一項ニ
就イテ採決シヤウト考ヘマス、卽チ原案ノ「八哩以上ノ鐵道ハ」ト云フ文字ト
「八哩以下ノ鐵道ハ一哩ニ付キ二錢特種ノ鐵道ハ一哩ニ付キ金三錢」ト云フ是
ダケノ文字ハ削除シテアッテ、ソレカラ「運賃額ヲ增加スル場合ニ於テハ少
クトモ二週日前ニ」ト云フ下ニ「之ヲ」ノ二字ヲ加ヘルト云フノガ委員會ノ意
見デゴザイマス、委員ノ修正意見ニ御異議ハアリセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=92
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093・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 卽チ委員會ノ修正案通決シタモノト認メマス、ソレカ
ラ次ニ第二項トシテ左ノ一項ヲ加ヘル「前項ノ族客運賃額ヲ算定スルニ當リ
一人ニ對スル最低額ヲ金三錢マテニ定ムルコトヲ得」此委員會ノ修正說ニ御
異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=93
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094・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 其通可決シタモノト認メマス、第三項ハ別ニ修正ガア
リマセヌ、原案ニ御異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=94
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095・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 原案ノ通可決致シマス、本案ハ是デ確定致シマス、日
程第十八登錄稅法中刪除法律案-小西甚之助君
第十八登錄稅法中删除法律案(阿部興第一讀會ノ續(〓〓〓)〓〓〓
人君外三名提出)
〔小西甚之助君演擅ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=95
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096・小西甚之助
○小西甚之助君(二百九十三番) 式ニ依リマシテ委員會ノ經過ト結果トヲ報
道致シマス本案登錄稅法中删除法律案ニ對スル委員會ハ去ル九日ヲ以テ
委員長及理事ノ選舉ヲ致シマシタ、其選舉ノ結果ハ夙ニ議長ガ報告致シマシ
タ通デゴザイマス第二囘ハ十三日ニ開キマシテ、政府委員ノ出席ヲ求メ質
問應答ヲ致シ、討論審議ノ末過半數デゴザイマシタガ、委員長ノ決定ニ依リ
テ本案ハ本院ニ於テ可決スベキモノナリト結果ヲ告ゲマシタコトデゴザイマ
ス、而シテ委員會ガ可決ヲ致シマシタ理由ハ之ヲ要約致シマスレバ、全ク
單純ナモノデアッテ、凡ツ結婚、出生其他戶籍ニ關スル登錄ハ元ト國家至當
ノ職務デアリマスルガ故ニ、之ニ對シテ課稅ヲ爲スト云フコトハ、決シテ性
質ニ於テ宜シキヲ得タルモノデナイト云フニ外ナラヌコトデゴザイマス、蓋
シ國アレバ人アリ人アレバ結婚アリ結婚アレバ出生アリ、死亡アリト云
フコトハ自然ノ結果デアル、然ルニ國家第一ノ職務ハ、全ク此人事ヲ統理スル
ニアルコトデアル、此人事統理ノ基礎ヲ作ルト云フコトハ誠ニ國家ノ一大
要務ト言ハナケレバナラナイコトデアリマス、今戶籍ヲ設ケテ之ヲ順序登
錄スルト云フコトハ、是レ卽チ人事統理ノ基礎ヲ作ルモノデアル、斯ノ如
タ戶籍ノ登錄ハ人事統理ノ基礎ヲ作リマスルモノデゴザイマスル以上ハ
此基礎タル常ニ最モ正確ナランコトヲ期セナケレバナラナイノデアル、若シ
是ガ正確ヲ缺クヤウナコトアランカ、國家ハ決シテ正確ナル統理ヲ爲スコト
ハ出來ナイノデアル、然ルニ免角金ヲ惜ムト云フコトハ誠ニ是非モナイ人
情ノ弱〓デアッテ、本法ノ實施ニ依リマシテ、例ヘバ結婚ヲ屆出ヅレバ忽チ
ニシテ一圓ト云フ登錄稅ヲ取ラレ、出生ヲ屆出ヅレバ忽チニシテ二十錢ト云
フ登錄稅ヲ取ラレ、其他相續スレバドレ程、養子ヲスレバドレ程、轉籍スレ
バドレ程、分家スレバドレ程ト云フ如ク各〓若干ノ印紙ヲ貼用シテ納稅シ
ナケレバナラナイコトデゴザイマスルガ故ニ、相當ノ資力ヲ持ッテ居ルモノ
デゴザイマシテモ、所謂人情ノ弱點トシテ免角是等人事ノ隱蔽ヲシテ、此
屆出ヲ怠ルト云フ傾向ヲ生ジ來ッテ居ルノデアル旣ニ相當ノ資力アル者ト
雖モ、尙ホ斯ノ如キ有樣デゴザイマスルガ故ニ、況シテヤ資力ノ薄イ者ニ於
テハ、益〓之ガ事實ヲ隱蔽ヲシテ之ガ屆出ヲ怠ルコトニナッテ居ルノデア
ル、併ナガラ本法ニハ第十九條ノ規定ガゴザイマシテ、無資力デアルトカ、
又ハ窮困者デ公ノ救助ヲ受ケテ居ルト云フヤウナモノハ登錄稅ヲ免除スル
ト云フコトニナッテ居ルノデゴザイマス、併ナガラ是亦人情ノ弱〓カラシテ、
彼ノ公ノ〓助ヲ受ケテ居ルト云フモノハ、ソレハ格別デハゴザイマスルガ、ソ
コマデニ至ラナイ所ノ無資力ナモノデアル、尤モ是ハ笑フベキコトデアル、
ナレドモ誠ニ仕方ノナイノハ其無資力者デアルニモ拘ラズ、貧民ノ取扱ヲ
受クルト云フコトヲイヤガル〓カラシテ、免角戶籍ニ關スル屆出ヲ怠ルコト
ガアル、是ハ何レノ地方モ殆ド其趨勢ヲ同クシテ居ル有樣デゴザイマス果
シテ左樣デゴザイマスレバ、人事統理ノ基礎タル戶籍ガ、如何ニ紊亂シ、如
何ニ不正確ヲ極メルニ至ルカト云フコトハ誠ニ想像ニ堪エザルモノガアル
ノデアル、故ニ今ニシテ是ガ救濟ノ途ヲ執ラナイデ置イテハ其紊亂ハ歲月
ノ流ルヽト共ニ益〓紊亂シ不正確ヲ增進スル結果ハ、人事上如何ナル奸弊
ヲ生ズルカモ計ラレナイト信ズルデゴザイマス、諸君モ御承知ノ如ク、我國
ノ戶籍ノ整理ハ漸ク近年ニ至ッテ、初テ其全キヲ得ヤウトシテ居ルノデアル、
然ルニ今又此課稅ニ依リテ、此紊亂ニ陷ラントスルニ於テハ、誠ニ憂フベキ
限デハゴザイマセヌカ、本案課稅刪除ノコトハ實ニ巳ムヲ得ナイ次第デアル
ト私ハ思フノデアル、終リニ臨ンデ一言申シテ置キタイモノハ外ノコトデ
ゴザイマセヌガ、本案刪除ノ結果タル歲入ノ減少ハ如何ニスルヤト云フ、卽
チ是レデアル、本委員會ニ於キマシテハ此事ハ敢テ深ク憂慮スルニ足ラナ
イト信ズルモノデゴザイマス、彼ノ三十年度ノ總豫算中ニ、殊ニ歲入中ニア
ル所ノ印紙稅額ハ七百餘万圓ト見積ッテアルノデゴザイマス所ガ近年諸
印紙稅ノ增加ハ頗ル長足ノ勢ヲ以テ進ミ來ッテ居ル狀況デゴザイマスルガ
故ニ、年度末ニ至ッテ諸印紙稅ノ總額ハ差引キサノミ不足ヲ見ルヤウナコト
ハナカラウト思フノデアル、又縱シヤ萬一若干ノ不足ガアルト致シマシテモ、
是ハ財政當局者ニ於テ、相當ノ補充法ヲ定メテ、其始末ヲ求ムレバ出來ルコ
トデゴザイマスルガ故ニ、時ニ及ンデ議會ハ相當ノ議決ヲ爲シテ宜シイモノ
ト思ヒマス、要ハ唯國家至當ノ職務ヲ行ハンガタメニハ、豫定ノ歲入ニ不足ヲ
生ズルモ又餘儀ナイ次第デアル、申換ヘマスレバ不正當ノ課稅ヲ廢スルタメ
ニ正當ナル課稅ヲ他ニ求ムルハ誠ニ餘儀ナイ譯デアルト云フノデゴザイ
マス、況ヤ實際果シテ不足ヲ生ズルカドウカト云フコトハ將來未定ノ問題
ナルニ於テヲヤ、是ガ卽チ委員會ニ於ケル本案可決ノ理由ノ梗〓デアルサ
ウシテ本案反對說ノ理由ニ於キマシテハ別ニ少數者カラ詳細演說ヲ致シマ
スル筈デゴザイマスルガ故ニ、是ニ讓ルコトニ致シマシテ、玆ニ報告スルコ
トヲ省略致シマス、宜ク御了承ヲ希望致シマス
〔木暮武太夫君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=96
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097・木暮武太夫
○木暮武太夫君(百四十八番) 諸君、明治二十九年法律第二十七號登錄法ニ
對シ第十五條及第九條ヲ刪除スルト云フ法律ノ委員會ノ結果ハ、唯今委員
長カラ御報告デゴザイマスルガ、本員ハ是ニ反對ヲ表スル者デアル、唯今委
員長ガ御述ベニナリマスル通、此戶籍ニ關スル登錄稅ヲ徵收スルト云フコト
ハ國家至當ノ仕事デアッテ、之ニ課スルハ往カヌト云フノガ委員會ノ議論
デアリマス、又此收入ニ課スルノハ當然デアル、然ルニ收入ノナイモノニ稅
ヲ課スルノモ亦不當デアル、又貧富總テ一般ニ同等ニ稅ヲ課スルコトハ不都
合デアル、又此戶籍登錄ガアルタメニ戶籍ガ大イニ紊レル登錄稅ヲ免レン
トスル者ガアルガタメニ戶籍ノ屆洩レガ多イト云フ此四箇條ノ理由ヲ以テ
之ヲ打破ッタノデアル、併ナガラ國家正當ナ仕事デアリマシテモ、稅ヲ取ツ
テハ惡ルイト云フコトハナイ、又收入ノナイモノデモ、稅ヲ徵收スルコトハ
一向差支ナイ、卽チ今日デモ戶籍ノミデナイ、地所ニ對スルノ登記、家屋ニ
對スルノ登記ノ如キモ國家ハ是ハ正當ニ爲スベキモノデアル併ナガラ是
カラ總テ徵收ヲシテ居ル又是ニ就イテハ收入ガナイニモ拘ラズ、是カラ
取ッテ居ルノデアル、更ニ差支ナイノデアリマス、又此貧富ニ就イテ同等ニ
取ルト申シマスルガ、此法律ノ第十九條ニ於テ、極貧ノ者カラハ免除スルノ
規定ガアルノデアル、極ク困ッテ仕方ガナイモノカラハ取ラナイト云フコト
ハ、現ニ行レテ居ルノデアリマス、然ラバ之ヲ殊ニ刪除スルト云フ理由ハナイ
ノデ、又此戶籍ノ屆出ガ此稅ヲ徵收サレルガタメニ怠ルト云フコトガアル
ガ是ハ事實ニ於テ全ク反對ノ結果ヲ生ジテ居ル、是マデ戶籍ガ餘程粗漏デ
アッタモノガ、此登錄ガ行レテ以來、更ニ戶籍ガ正確ニナッテ居ル、一般ノ地
方ヲ見マシテモ戶籍ハ却テ此法律ノタメニ正確ニナッテ居ルト云フコトハ
掩フベカラザル事實デアッテ、政府委員ナドノ認メテ居ル所モ然リト申スノデ
アル、然ルニ之ヲ削除セントスル論ハ其外ニナイノデ、而シテ此削除ノ結果
ハ如何デアル、每年百万圓以上-百三十万圓以上ノ收入ヲ減ズルノデア
ル此登錄稅ナルモノハ、第九ノ議會ニ於テ戰後ノ經營ニ伴フ所ノ經常ノ歲
入ニナッテ居ル、然ルニ其結果タルヤ誠ニ好イ結果ヲ得テ居ル、之ヲ實施シテ
以來、割合ニ苦情モナクシテ、其稅額ハ甚ダ多ク收タテ居ルノデアル、而シテ
之ヲ廢スルト云フニ當ッテ、如何ナルモノニ依ッテ此百万圓以上ノ稅ヲ止メ
ルト云フコトニ就イテハ、何ニ依ッテ之ヲ補塡スルカ、所謂抱負ガナイノデ
アラウト思フノデアル、或ハ申シマスルモノハ印紙稅ガ年々增シテ來ル、其
增シタ金ニ依ッテ之ハ補塡セラルヽデアラウト申シマスルガ、是ハ誠ニ豫想ニ
シカ過ギナイ、決シテソレヲ以テ此百三十餘万圓ノ金ガ補塡セラルヽト云フ
コトハナイノデアル、殊ニ第九ノ議會ニ於テ定メラレタ法律デアッテ、其法
律ニ一般ノ人民ガ服シテ、今日稅ヲ恙ナク納メツヽアルノニ、又第十ノ議會
ニ於テソレヲ削ルト云フ如キハ、所謂朝令暮改タルヲ免レナイ、甚ダ不都合
ノコトデアラウト思フ、併ナガラ或ル一派ノ諸君ハ昨年來戰後ノ經營ヲ妨
ゲンガタメニ、總テ此稅法ノ法案ニ對シテ、或ルモノニ妨ヲシタ人モアル
地方ニ於テ演說新聞等ニ於テ之ヲ爲スモノハ宜シイガ、愈〓此議會ニ於テ之
ヲ決行スルニハドレダケノ金ガ取レル、例ヘバ登錄稅ニ對シテ戶籍ニ關スル
ダケノ條項ヲ刪除スレバ、其代リハ何ニ依ッテ補塡スルト云フコトノ見込ガ
ナケレバ誠ニ無責任デアル、年々歲々歳出ハ殖エル、本年ノ如キモ國家ノ經
費ト云フモノハ年々歳々殖エルニモ拘ラズ、或ル一部ノ人氣取リノタメニ此
戶籍ノ登錄ヲ除イテ、國家ノ歲入ヲ百三四十万圓減ズルト云フ如キハ極テ
無責任ノコトヽ本員ハ承知スル、ソレ故ニ本員ハ此委員會ノ決議ニハ反對シ、
委員長ノ報告ニ反對スル者デアル、又委員會ニ於テ政府ノ意見ヲ聽キマシタ
所ガ、政府モ是ニハ全然反對ヲスルト云フノデアル、政府ニシテ之ニ反對ヲ
シマシタ以上ハ、政府ヲ信ズルノ諸君モ、勢此委員長ノ報告ニ贊成ハ出來マ
イト思フ、ドウゾ此事ハ國家ノ收入ニ關シ、第九議會以來、戰後ノ經營トシ
テ爲シタ問題デゴザイマスカラ、今更ニ昨年以來ノ行掛リニ拘泥シテ戶籍
登錄ヲ刪除スルト云フコトハ、本會議ニ於テ否決セラレンコトヲ希望致シマ
ス
(內藤久寛君演壇ニ登ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=97
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098・内藤久寛
○內藤久寛君(二百七十一番) 唯今木暮君カラシテ此案ニ反對ノ演說ガアッ
タコトデアリマスルガ、要スルニ此登錄稅實施以來、却テ戶籍ガ整理シテ參ッ
タト云フコトデアル、又或ハ此登錄稅ノ收入ハ如何ニスルカ、是等ニ就キマ
シテハ何ニ依ッテ此登錄稅實施以來、殊ニ戶籍ガ整理シタト云フ實蹟ガアリ
マスルカ實ニ疑ハシイコトデアル、稅ヲ取ルタメニ屆出ヅル者ガ多クナタ
テ來ルト云フコトハ、道理ニ於テアルベキコトデナイ、又此收入ノコトニ就キ
マシテハ實際追〓此印紙稅ノ如キハ殖エテ參リマスカラシテ、年度末ニ至
リマシテハ左シタル缺損ヲ生ズルト云フコトハナイ考ヘデアル、縱シ缺損
ヲ生ジテ見マシタ所ガ、政府ハ其當時ニ及ンデ前年度ノ剩餘金ノ中カラシテ
之ヲ補充スルノ案ヲ發シマセウガ、其他相當ノ案ヲ具ヘテ政府カラ求メテ來
マセウガ、吾ミハ之ヲ廢シタル責任ヲ持ッテ居ルカラ、其時ニ當ッテ協賛ヲ
致シテ決シテ差支ナイコトデアル、又戰後ノ經營ト云フコトニ至リマシテハ、
殆ド二億四千万ノ高デアルカラ、之ヲ整理スルニ百万圓位ノタメニ國庫ガ如
何ニ之ヲ整理スルカト云フ程ノ困難ハシハシマイト考ヘマス、殊ニ委員長カ
ヲ申述ベラレマシタ通リ、此登錄稅實施以來戶籍ノ屆出ガ粗漏ニナリマシ
テ、現在統計ノ上ニ於テ屆ノ減ッテ居ルコトハ明カデアリマス、戶籍ノ紊亂
スルト云フコトハ實ニ重大ノコトデアッテ將來甚シク亂レルコトニデモ
ナレバ、徵兵ノ年齡檢丁期等ニ於テモ、非常ナ相違ガ生ジテ來マシテ、國家
ノ整理ノ上ニハ容易カラヌ由々敷大事ガ起ルト思フ、斯ノ如ク今日實際ニ
戶籍ノ紊亂スルコトヲ認メタナラバ、縱令昨年之ヲ議決シタルニモセヨ此
整理ヲ一日後ルレバ一日ダケ國家ノ戶籍ガ亂レルコトニナルノダカラ、故
私ハ却テ木暮君トハ反對デ行掛リハアッテモ、戶籍ノ紊亂ヲ各地方ニ目擊ス
ル以上ハ、諸君ハ之ヲ廢スルコトニ御同意下サルコトヽ吾〓共ハ深ク信ズ
ルノデアル、又政府ノ課稅ト當否ト云フモノハ直接ニハ人民ノ休戚ニモ關
スルコトデアリ、間接ニハ行政上ニモ種々ノ關係ヲ生ズルノデアルカラ、餘
程愼重ニ定メナケレバナラヌモノデアル、吾〓ハ實ニ諸君ト共ニ此〓ニ於テ
ハ、孜々トシテ納稅ノ當否ヲ〓究スル者デアリマスカラシテ、斯ノ如キ不都
合ナル課稅ニ就イテハ諸君ハ必ズ之ヲ廢スルコトニ同意ヲセラレルコトヽ
深ク信ジマス、宜シク御贊助ヲ請ヒマス
〔「採決」ト呼フ者アリ〕
(政府委員大藏省主稅局長目賀田種太郞君演壇ニ登ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=98
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099・目賀田種太郎
○政府委員(目賀田種太郞君) 登錄稅法中ニ於テ、獨リ戶籍ノ登錄ノミヲ廢
スルト云フコトハ全體ノ上ニ於テ權衡ヲ得ヌコトヽ思ヒマス、政府ハ反對
ヲシマス
(「採決々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=99
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100・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 本案ノ二讀會ヲ開クベシトセラルヽ諸君ノ起立ヲ求メ
マス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=100
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101・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 多數ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=101
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102・東尾平太郎
○東尾平太郞君(八十八番) 直チニ二讀會ヲ開カレンコトヲ望ミマス
(「贊成々々」ノ聲起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=102
-
103・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 直チニ二讀會ヲ開クニ異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=103
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104・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 直チニ二讀會ヲ開キマス、朗讀ヲ省キ全部ヲ議題ト致
シマス
登錄稅法中刪除法律案第二讀會
(「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕
〔「採決々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=104
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105・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 異議ハナイカラ可決ト認メマスガ、三讀會ハ如何致シ
マスカ
〔「直チニ開カレタイ」又「贊成々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=105
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106・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 三讀會ヲ開クニ異議ハアリマセヌカ
(「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=106
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107・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 直チニ三讀會ヲ開キマス
登錄稅法中刪除法律案第三讀會
〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=107
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108・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 然ラバ本案ハ是デ確定致シマシタモノト認メマス-
次ハ日程第十九、酒造稅法中改正法律案
第十九酒造稅法中改正法律案(花木甚右衞門第一讀會ノ續
君外九名提出)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=108
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109・山田忠兵衞
○山田忠兵衞君(二十五番) 私ハ此案ノ委員ノ一人デゴザイマスガ、過日委
員長ヨリ委員會ノ報告ヲセラレタ中ニ、事實ト違ッテ居ルコトガアリマスカ
ラ一應辯ジテ置キマス、ソレハ此案ノ委員長ハ第五條ニモ十條ニモ又三十
五條モ、殆ド全會一致ニテ決シマシタヤウニ報告サレタガ、十條ヲ挿入スルコ
ト及三十五條ニ於テモ委員會ハ全半數デ、委員長ガ一人加ッテ多數ニナッタ
ノデアリマスカラ、此報告ノ違ッテ居ルト云フコトヲチヨット申上グテ置キ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=109
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110・松田秀雄
○松田秀雄君(四十六番) チヨット委員長ニ伺ヒタイコトガアル、此五條ト
云ヒ、又三十五條ニ於テ特例アルモノヲ除クト云フコトニ就ーテノ御報告ガ
アリマシタガ、此文字ハ頗ル東京市ニハ關係ヲ持チマスコトデアリマシテ、
市區改正ノ資本ニモナッテ居ルコトデアッテ、之ヲ除クト云フ理由ニ就イテ
ハ若モ此文字ヲ存シテ置キマスルト、ドレダケノ差支ガ現在出來テ居リマ
スカ若シ出來テ居リマセヌナラバ、獨リ東京市ノ特別稅ダケヲ除カウト云
フ御精神デ、是ダケノ文字ヲ除クト云フニ御決定デゴザイマスカ、是ヲ伺ヒ
タイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=110
-
111・久保九兵衛
○久保九兵衞君(九十六番) 唯今松田君ヨリノ御尋デゴザイマシタガ、是ハ
松田君ノ御尋ノ通リ東京市區改正入府稅ニ係ル特令ト云フモノハ、特別ニ
酒造稅ニハ課サナイト云フコトニナリマシタノデス其他過日肥塚君カラ酒
造家カ幾名ト云フ御問ガアッタガ、酒造家ト云フコトハ一向私ハ調べナイ
肥塚君カラ調ベテ貰ヒタイト云フコトデアレバ、宿ニ歸ッテ調ベマシテ、肥
塚君ノ御宅マデ御囘シ申シテモ宜シイ、勿論是ハ私交上ノコトデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=111
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112・松田秀雄
○松田秀雄君(四十六番) 特令アルモノヲ除クト云フニ就イテ、意見ヲ述べ
テモ宜シウゴザイマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=112
-
113・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) マダ通告ガアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=113
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114・肥塚龍
○肥塚龍君(六十三番) チヨット議長ニ御尋シマスガ、本員ハ修正案ノ三十
五條ニ就イテ、少シ意見ヲ述ベタイノデアリマスガ、二讀會ノ時ノ場合ニ於
テ述ブベキコトヽ思ヒマスカラ、若シモ讀會ヲ省略ニデモナルナレバ、爰ニ
述べタイト思ヒマスカラ、此段ヲ豫メ申シテ置キマス
(草刈親明君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=114
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115・草刈親明
○草刈親明君(百四十四番) 酒造稅法中改正法律案ニ就キマシテ、私ハ反對
ノ意見ヲ申述べヤウト思ヒマス此案ハ如何ニモ酒造稅ニ關スルコトデゴザ
イマスカラ、諸君ハ最早酒ノタメニ大分醉ッテ居ラルヽコトヽ存ジマス、卽
チ諸君ハ諸君ノ中ノ或ル部分ノ方ハ、既ニ酒毒ニ中ッテ、サウシテ殆ド本案
ノ是非曲直ヲ判斷スルノ能力ヲ失ッテ居ル方モナキニシモアラヌト思フノデ
アル、同ジ酒屋ノコトデゴザイマスガ、此案ノ名ハ酒造稅法中改正法律案ト
ナヲテ居ルガ、其實ヲ言ッテ見マスレバ濁酒製造人ヲ鏖ニスルト云フ法
律案、卽チ田舍ノ百姓ヲ征伐スルト云フコトニ歸著スル法案デアリマス、殆
ド本案ノ如キ改正法律案ガ議院ヲ通過シマシテ、法律ト爲リマシタナラバ、
實ニ〓酒ヲ釀造スル諸君ノタメニハ御利益デゴザリマセウ、何トナレバ濁
酒製造人ガ其跡ヲ絕ツカラ、濁酒製造ヲ以テ需用供給ノ途ニ立テヽ居ッタモ
ノガ卽チ轉ジテ〓酒製造家ニ其利益ヲ與ヘルコトニナル、御承知ノ通リ、
酒ハ女房ヲ質ニ置イテモ飮マナケレバナラヌト云フ位ノモノデアルカラ、濁
酒製造家ガ其跡ヲ絕ッタモノトシテモ、〓酒製造家ガ存シテ居ル以上ハ、到
底其酒ノ好キナ方ガ止メル譯ニイカヌカラ、歸スル所ハ酒造家ノ利益ニナ
ル、故ニ〓酒製造家ノ御利益ハ今日ヨリ豫想スルニ足リマスワレハ兔ニ
角、此改正法律案ノ要旨ヲ見マスルニ、濁酒ト云フモノハ五十石以上、ワレ
カラ白酒、味淋、燒酎、酒精ト云フモノガ、十石以上製造スルモノニアラザ
レバ、免許ヲ與ヘルコトガ出來ナイト云フコトニナッテ居ルデ法律案ヲ委
員會ガ修正シテ、濁酒ヲ三十石ト致シタ、三十石ト改正シタ、而シテ此法案
提出ノ理由ヲ唯今色〓御話ニナル、久保田君カラ提出サレタ議案ニ就イテ見
マスレバ先ヅ第一ニ、酒造ノ上ニ制限ヲ置キマセヌケレバ、濫造濫賣ノ弊ガ
アル、第二ニハ、制限ヲ置カナケレバ、稅源ヲ保護スルコトガ出來ナイ、第
三ハ、濁酒ト云フモノハ極メテ簡單ナモノデ、其成熟ト不成熟トヲ知リ難
タ取締上頗ル困難デアル、或ハ檢稅官吏ヲ多ク要スル、又昨年酒造稅法改
正以來、〓酒ノ上ニ於テモ制限ヲ廢シタモノデアルカラ、ソコデ數人ガ組合
ヲナシテ、サウシテ濁酒ヲ製造スル弊ガ起ッテ來タ、斯ウ云フコトガ此改正
案ノ提出ノ理由ト相成ッテ居ルノデゴザイマス、此理由ガ果シテ其理由ヲナ
スナラバ免ニ角私ハ斯ノ如キコトハ一モ法律ヲ改正スル上ニ於テ、理由ヲ
ナサヌコトヽ確信シテ疑ヒマセヌ、先ヅ第一ニ酒類ノ製造ニ制限ヲ設ケル
ハ濫造濫賣ノ弊ヲ防グト云フハドウ云フコトカラ斯樣ノコトヲ御書キニ
ナッタカ、アベコベノ話、言葉ヲ轉倒シテ用井タノデアル、少シ造ルコトハ
出來ナイ、多ク造ラナケレバナラヌト云フ法律ヲ拵ヘタナラバ濫造濫賣ノ
弊ガ出來ル場合ニ何程少ナクデモ造ルコトガ出來ルト云ヘバ、何故ニ濫造
濫賣ノ弊ガ出來ル、需要供給ノ度ヲ過シテ多ク拵ヘレバ濫造濫賣ノ弊ガ生
ズル幾ラ少シデモ卽チ一石デモ五斗デモ造ルコトガ出來レバ、何故ニ
濫造濫賣ガ出來マス賣買ト云フ上ニ於テ、自家用料ト云フコトニ考ヘテ、
賣買ト云フコトニ御注意アランコトヲ希望シマス、酒類製造ニ制限ヲ設ケナ
イハ濫造濫賣ノ弊ガアルト云フガ如キハ、少シろじッくヲナサナイ實
痴人ノ夢ヲ說クヤウナモノデアル、次ニ稅源ヲ保護スル制限ヲ設ケナケレバ、
稅源ノ保護ガ出來ナイト云フ何故ニ制限ナケレバ、稅源ノ保護ガ出來ナイ、
十石造ルモノガ百人アル、三十石造ルモノガ三人アルト云フ場合ニ、十石造
ルモノガ百人アル方ガ、稅金ハ多額ヲ占ムル、三十石造ルモノカ三人アルト
云フコトニナラナケレバ稅源ノ保護ノ出來ナイコトハナイ、故ニ三十石以
上トシナケレバ稅源ノ保護ガ出來ナイト云フハ是又同ク痴人ガ夢ヲ說ク
ヤウナモノデアルデスカラ其次ノコトデゴザイマス、其次ノコトハ是等制
限ヲ置ク所ノ法律ヲ拵ヘナケレバ取締上ニ弊ガ生ズル、卽チ三十石以上ト
制限ヲ附ケナイト、何石デモ造ルコトガ出來ルトシテ置キマスト、取締上甚
ダ弊害ガゴザイマス、是ハ多少理窟ガアルコトデゴザイマセウケレドモ、斯樣
ノ場合ニ當リマシテハ一方ノミヲ見マセヌデ、他方モ顧ミナケレバナラヌ、
想フニ此議案ヲ提出サレマシタ諸君ハ、濁酒ト云フモノハドウ云フモノデ
アルカ、御承知ガナイ方デアラウト思フ、濁酒ノ名ハ知ッテ居ルガ、其實ヲ
知ラヌト云フ諸君デアル濁酒ハドウシテ製造スルカ、ドウシテ飮ムカ、御
承知ノナイ方デアラウト思フ、諸君、法案ニ據レバ、濁酒ハ三十石以上デナ
ケレバ釀造スルコトガ出來ナイ、然ルニ凡ソ濁酒ノ需要供給ガ盛ニ行ハレル、
其場所ハドウ云フ處デゴザイマス、世ニ所謂酒屋ニ三里豆腐屋ニ五里ト云フ、
誠ニ寥々寂々タル田舎デアル隣ニ一里三軒目ニ四里ト、斯樣ナル田畝田野
ノ間ニ散在シテ、轉輾シテ居ル間ニ、或ル農家ニ行レル斯樣ナ場所デ、三
十石ノ酒造デナケレバ出來ヌト云ッタナラバ酒屋ガ一軒モナクナル、何ト
ナレバ、濁酒ノ供給ヲ受ケルト云フヤウナ場所ハ一箇年ニ三十石賣買スル
コトガ出來ナイ一箇年ニ三十石賣ル位ナル盛ナル都デゴザイマスナラバ
濁酒ノ製造ノ必要ハナイ、若シ夫レ濁酒ノ必要ヲ感ズル農家ニアッテ、田舍ニ
アッテ、三十石以上造ラナケレバナラヌトシテ造ッタナラバ濁酒ハ土用ニ
入ッテ蛆ガ生ジテ、腐敗シテ何ニモ用ヲナサヌ、是ハ田舎ノ實況デアル濁
酒ト云フ實ヲ知ッタ方ハ最早御承知ノコトデアラウト私ハ信ジマス、サリ
ナガラ到底行レ難キ所ノ法案ヲ制定シヤウトスルノハ何ノタメデアルカト
云フト要スルニ濁酒屋征伐、〓酒屋ノ懷拵ヘ、名ハ法律改正デアルケレド
モ、其實利己ノ謀ヲ爲サントスルモノト斷言スルヲ憚ラナイノデアル、又此
法案ヲ能ク見レバ、如何ニモ私ガ唯今マデ言フ通ニ、〓酒釀造家ガ自己ノ利
益ノタメニノミ提出シタモノデアルト云フコレガ現レテ居ル、此法案ノ中ニ
自白シテ居ル、吾ミハ〓酒釀造家デアルカラ、濁酒ヲ征伐シナケレバナラヌ
ト云フコトガ此表面ノ上ニ現ハレテ居ル、卽チ理由書ノ末文ニ「從來自家用
酒ヲ製造セシ者ノ數名協同シテ濁酒業者トナリシモノ云々」ト云フコトデア
ル、是ハ何ノ必要アッテ此法案改正ノ理由ト致サレタノデアリマス、此法案ノ
精神ニシテ果シテ酒ノ製造ノ取締ヲ爲サネバナラヌト云フコトヽ、稅源ノ保
護ト云フコトデゴザイマスナラバ、斯ノ如キコトハ無用ノ話デアル、何人協同
シテ酒ヲ造リマセウガ、何人申合セテ濁酒營業者トナラウガ、其營業スル所、
釀造スル所ノ事柄ガ、一モ法律ニ背カズ、其一人獨立シテ營業スルモノト同
ジ稅金ヲ負擔シテヤルナラバ、何ノ咎ムルコトガアリマス從來一人デ一圓
二圓納メテ一石造ッタモノガ、ソレガ二十人協同シテ百石造リ、其釀造ノ方
法ハ悉ク法律ニ從ヒ、又其稅金ハ一人獨立シテスルト同ク納稅シテアルナラ
バ何ノ不都合アッテ此法案提出ノ理由トシテ喋々スルコトガゴザイマス、
然ルニ是等ノコトヲ喋々シマスルノハ酒造稅法中ニ是等ノ事柄ヲ豫防シテ
置カヌガタメニ、燒餅、チン〓〓ヲ起シテ斯ウ云フ法律案ヲ出シタノデアル、
テ私ハ此法案ト云フモノニ就イテハ大イニ考フル所モゴザイマス、卽チ議場
ノ大勢ハ最早初メ申シマス通ニ、酒ニ醉ッテ居ラレマスカラ-知覺精神ヲ
失ッタ方ガゴザイマスカラ、此法案ハ多數ニ依ッテ可決セラルヽノデアラウ
ト思ヒマスケレドモ理窟ハドコマデモ理窟デアル、況ヤ昨年初テ制定シ
メ法律ヲ、未ダ經驗ヲ積マザル今日ニ於テ、斯ノ如キ理由ヲ以テ改正セント
スルト云フニ至ッテハ實ニ議權ヲ安用スル甚シキモノデアル、デ此法案ヲ
提出サレタ諸君ヲ見レバ、皆關西或ハ中國ノ人デ、濁酒ト云フコトニハ關係
ガ多ク有タヌ方ミデゴザイマス、其中デ不思議ナノハ谷川老人、佐藤老人デ
ゴザイマス、是等ハ私ガ先キニ言ッタ所ノ全ク酒ニ醉ドレテシマッタノデア
ル、議案ト云フモノヲ見ナイデ自分ノ名ヲ書イタノデアル、然ラズンバ決シ
テ此法案ニ署名スルコトガ出來ナイ筋合デアル、唯〓迄申シマシタコトハ
詰リ濁酒一方ノコトニ就イテ言フノデアルガ、其他關西ナリ、中國ナリノ諸
君ガ多少關係ヲ有ッテ居ル、第三項ノ白酒、味淋、燒酎、酒精ト云フコトニ
就イテモ御注意アランコトヲ請ヒマス東京、大阪ノヤウナ大繁華ノ土地デ
アッタナラバ白酒ヲ十石造ルノハ何デモナイサリナガラ鹿兒島ノ端デ、
仙臺ノ田舍デハ白酒ヲ十石造ルコトガ出來ナイト云フナラバ、白酒屋ハナ
クナリマス、白酒ヲ用ヒル時節ハ何時デアル、僅ニ舊暦ノ三月デ、舊暦ノ三
月ニ賣ルニ十石デナケレバナラヌ-迚モ賣レルモノデハナイ、買フモノガ
ナイ其他味淋モ同ク、或ハ鹿兒島ノ芋焼酎モ同ジコトデアル、是モ十石以
上デナケレバナラナイ、鹿兒島ノ人ガ芋燒酎ヲ嗜ムコトハ東北ノ人ガドブ
ロクヲ嗜ムヨリモ多ウゴザイマスカラ十石位ハ何デモナイガ、東北ノ方ニ
關係ヲ有ッテ居ル濁酒ハ三十石、鹿兒島ノ方ハ十石デアルカラ、鹿兒島ハ比
較的ニ利益デアルト云フコトデ、鹿兒島ノ諸君ガ御同意ニナッタカモ知レナ
イサリナガラ諸君ハ獨リ鹿兒島ノ芋酒ト云フコトニノミ目ヲ著ケズ、東京
其他ニ於テ行ルヽ燒酎ニ目ヲ著ケラレタナラバ、是レ亦十石以上デナケレバ
釀造スルコトガ出來ヌト云フコトハナシ難イ營業ヲ人ニ强ユルモノト思ヒ
V、、滿場ノ諸君宜シク此〓ヲ御考ノ上、本案ノ如キハ否決セラレンコトヲ
希望ノ至ニ堪ヘマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=115
-
116・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 昨日ノ速記錄ニ見ヘマス通、吉本榮吉君カラ讀會省略
ノ動議ガ出マシテ、定足數ヲ缺イタヽメニ採決セズニアリマスガ、是ハ昨日
ノ續デアリマスカラ讀會省略ノコトヲ採決シナケレバナラヌト思ヒマス、
此際讀會省略ニ御異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシト」呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=116
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117・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 讀會省略セラレマシタ、全部ヲ議題ト爲シマス
酒造稅法中改正法律案(花木甚右衞門君外九名確定議
提出)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=117
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118・肥塚龍
○肥塚龍君(六十三番) 是ハ反對ノ通告ハマダアルノデスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=118
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119・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) モウアリマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=119
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120・肥塚龍
○肥塚龍君(六十三番) 贊成ハ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=120
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121・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) ドチラモアリマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=121
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122・中島又五郎
○中島又五郞君(二十四番) 自分ハ贊成ノ通〓ヲ致シテ置キマシタガ···発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=122
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123・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 御取消ニハナリマセヌカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=123
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124・中島又五郎
○中島又五郞君(二十四番) 取消ハ致シマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=124
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125・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) サウスレハ一人アリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=125
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126・肥塚龍
○肥塚龍君(六十三番) ソレデハ贊成ノ演說ヲ承ッテ······発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=126
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127・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 中島君··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=127
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128・中島又五郎
○中島又五郞君(二十四番) 反對者ガ先キニナサッテモ宜シウゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=128
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129・肥塚龍
○肥塚龍君(六十三番) ソレナラバ本員ハ此席ヨリ〓略反對說ヲ述べマス、
反對說ハ先刻草刈君ヨリニガ〓〓シキ反對說ガアッタ、其後トデ反對ヲシマ
スルノハ、餘リ反對好キノヤウデゴザイマスルガ、本員ノ反對ハ草刈君ホド
ノ反對デハナイ、草刈君ホドノ反對デナクシテ『第三十五條中「特令アルモ
ノヲ除キ」ノ九字ヲ削除ス』此事ニ就イテ第三十五條ヲイヂクルコト丈ハ斷
ジテ反對ヲシナケレバナラヌト云フ趣意デゴザイマス、長ウ申ス必要モゴザ
マセヌガ、此「特令アルモノヲ除キ」ト云フコトヲ入レマシタノハ諸君ノ御
承知ノ通、ツイ此間ト云フテモ宜イ、第九議會ニ於テ此「特令アルモノヲ除キ」
ト云フ九文字ヲ入レタコトハ諸君モ御承知デアル、卽チ特令アルモノト
云ヘバ何デアルカト云フト東京市區改正ニ要スル費用トシテ東京市內ニ
酒ガ地方カラ這入ッテ來マス、其酒一石ニ附イテ五十錢ト云フモノヲバ
出サシテ、其金デ市區改正ノ費用ニ充テルト云フコトガ、明治二十一年カラ
引續イテ行レテ居ルノデゴザイマス、ソレガアルタメニ第九議會ニ於テモ特
令アルモノヲ除キト云フコトハ、誠ニ大多數ヲ以テ此九字ヲ入レルコトニ、
此議場ハ同意ヲセラレタト云フコトハ外デハナイ、此市區改正ニ充テル所ノ
費用ト云フモノハ、削減スルコトハ出來ナイト云フ感情ヲ此議場デ有ッテ居
ラレタガタメデアル今市區改正ガ幾ラ費用ヲ使ッテ居ルカト申シマスト、
大抵一年ニ五十万圓位ノ金ヲバ此市區改正ニ使フ、其中ヘ此入府稅ト云フモ
ノガ、卽チ特別稅、特別稅ガ這入ッテ、其金高ガ唯今ハ受負ニナッテ七万圓
ニナッテ居ルノデアリマスガ、若シ之ヲ削ルト云フコトニナルト、市區改正
ノ七万圓ノ金ト云フモノハ、ソレダケ減ッテシマフノデアリマスガ、此東京
市ニ於キマシテ是ダケノ金ヲ削ッタカラシテ、ソレデドウモ市區改正ガ出來ナ
イト云フ程デナイカハ知レマセヌガ、免モ角モ五十万圓ノ內ノ金ノ內デ七万
圓-此九文字ヲ削ラレタナラバ此上ニ大影響ヲ及スニ相違ハアリマセ
ヌ、諸君ニ吳レ······モ願ッテ置キマスガ、東京ノ町ト云フモノハ關東ノ町
デモナケレバ、武藏ノ町デモナイ、今日ハ全國ノ帝都ト爲リ、一步進メバ世
間ノ大都府ニナル所ノ今日ノ東京デゴザリマス、卽チ三百議員ノ平生ヲ見
マスレバ三百議員ノ諸君、恐ラク其半東京ヲ以テ第二ノ故〓トスル位ナ
今日ノ有樣デゴザリマス、諸君ガ車ニ乘ッテ步ク所ノ其車ハ一迴リ迴ル、其
迴ル所ノ市區改正ノ事業ニ大關係ヲ持ッテ居ル所ノ此道路、此道路ニ充テル
所ノ費用ヲバ、チヨット九文字ヲ削ルト云フト實ニ容易ナルヤウデゴザリ
マスガ、其九文字ト云フモノハ、殆ド一字ガ一万圓ニ就イテ居ル所ノ修正ト
見ナケレバナラヌ、隨分ドウモ上手ナ-提出者トシテハ上手カ知レマセヌ
ガ、甚ダ感服ノ出來ナイ所ノ出シ方デアル、諸君ハ御承知ヲ願ヒタイ、各會
社ニ補助ヲ與ヘマセウ、鐵道會社ナリ、郵船會社ナリ補助ヲ與ヘテ居ル、奥、
ルト約束ヲシマスト、是ハ國家ノ義務ニ屬スルモノデ、一方ハ會社、會社ノ
如キモノデアルケレドモ、堂々タル此國家ガ一旦約束ヲシタ以上ハ、變更スル
コトハ出來ナイト云フコトハ何ノタメデゴザリマセウ、一旦約束シタモノ
ヲ、國家ノ權力ニ依ッテ勝手氣儘ニ變更スルト云フ樣ナコトガ出來タレバ、
何ノ事業モ行レナクナルノデアル、市區改正ニ對スル七万圓ハ諸君、對手
ハ誰デアル、株式會社デハアリマセヌ、株主ガ一年ニ一割、二割ノ配當ヲ著
服スルモノトハ違ヒマスル、實ニ株式組織ノ會社ガ、株式カラ生ズル利益ヲ
取ル其會社ニ向ッテスラ、以テ一年ニ年八朱デアルトカ、五朱デアルトカ云
フ補助ヲ與ヘテ、其補助ハナカ〓〓會社ガ承諾シナケレバ變ズルコトガ出來
ヌト云フ位ニ、國家ハ信義ヲ保タンナラヌモノデアルノミ、今日對手ハ誰ジ
ヤト云フト、決シテ誰一支自分ノ懷ヘ年ニ一割モ五朱モト配當ノ利益ヲ著服
スル者ハナイ、全國四千万ノ同胞ガ、悉ク其利益ヲ分收スル所ノ此大事業ノ
市區改正費カラ、チヨット九文字ダケ削ルト云フテ、七万圓ヲバ既ニ約束ノ
如クニ-約束ドコロデナイ、法律デ極ッテ居ルモノヲバ、九文字ヲツウツ
ト削ッテシマッテ此事業ニ妨害ヲ與ヘルト云フ事ハ提出者諸君ニ於テモ宜
ク御考ヲ願ヒタイノデス、此提出者ヲ見マスルト、私ハ前囘ニ於テ委員長ニ
少シク妙ナ御尋デアルケレドモ御尋ヲ申シマシタノハ提出者ノ中ニ酒屋サ
ンガ大分アルヤウニ見エルガ、幾人デゴザリマスルト云フコトヲ御尋ヲ致シ
テ置キマシタガ、甚ダ私ハ此御尋ガ穩デナイヤウニハ思フガ、此案ニ反對ス
ルタメニハ必要ナル是ハ質問デアルノデアル、此提出者ヲ見マスト、殆ド提
出者ノ半バハ酒屋サント、ドウモ私ハ見受ケルノデアル、如何デゴザリマセ
ウカ、若シ酒屋ガ酒ノ稅ヲ減ラスト云フコトヲバ擔ギ出シ、醤油屋ハ醬油屋
ノ稅ヲ減ラスト云フコトヲ擔ギ出シ、各〓其業ノ稅ヲバ衆議院ヘ出シテハ減
ジテハ國ニ土產ニ持ッテ歸リ持ッテ歸リスルコトニナリ、一方帝國ハ如何
デアルト云フト戰後ノ大計費用ハドンノ〓增シテ往クニ、一方衆議院議員
殿ハ此處ニ來テドンノヽト己ハ酒屋デアルカラ酒ノ稅ヲ減ラサナケレバ
ナラヌ、己ハ醬油屋デアルカラ醤油屋ノ稅ヲ減ラサナケレバナラヌト、分捕
主義ガ此議會ニ行レタ日ニハ、我帝國ヲ諸君如何ニスル積デゴザイマスカ、私
ハ提出者、名譽アル所ノ提出者ヲ、甚ダ斯樣ナ攻擊ヲスルノハ御氣ノ毒デア
ルガ、提出者諸君ハ又是ハ帝國ノ立法院デアル各實業團體ノ競爭場デハ
ナイノデアル、帝國ノ立法院デアルト云フコトハ、御承知デアルノデハゴザ
イマセウケレドモ餘リ酒屋ガ酒ノ稅ヲ減ラス案ヲハ持出スト云フコトニナ
ル、我帝國立法院ノ品位ヲ害スルト私ハ恐レルノデゴザリマスルカラ、此
三十五條ノ「特令アルモノヲ除キ」ト云フ九字ヲ削除スルト云フ此案ニ就イテ
ハ絕對的ノ反對ヲ致シマス
〔中島又五郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=129
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130・中島又五郎
○中島又五郞君(二十四番) 本員ハ改正案ノ第三十五條中「特令アルモノヲ
除キ」ト云フ九文字ヲ削除スルト云フ事ニハ同意ヲ表シマスルモノデゴザ
リマス、唯今此第三十五條ノ事ニ就キマシテ、肥塚龍君ヨリ縷々御演說ガア
リマシタガ、大イニ事情ヲ誤ッタ所ノ〓ガアリマスル、成ル程此議案ハ昨年
出マシテ、而カモ此改正案ノ〓ニ就キマシテハ、委員會デハ決シテナカック、
突然高田君デゴザリマシタカ誰カノ御發言デ、是ダケノ文字ヲ入レルト云フ
コトガ突然出マシタ、ヨモヤ左樣ナ文字ヲ入レル事ハ通過ハスマイト思ヒマ
シタ所ガ、突然多數デ通過致シマシタ、併ナガラ此事情ヲ諸君ニ申上ゲマシタ
ナラバ蓋シ諸君ハ斯樣ナ不道理ナル稅ヲ取ルト云フコトヲ諸君ハ能ク御考
ニナルダラウ、又斯樣ナ不道理ナ稅ナレバ、宜ク廢スベシト云フ御決定ニナル
ダラウト本員ハ信ズルデゴザリマス、又肥塚君ハ政府ト約束シタモノヽ
如ク、法律デ定マッテ居ルモノデアルト言ハレマスケレドモ勅令ヲ以テ
出サレタモノデアリマシテ、別段ニ法律ト云フモノデハアリマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=130
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131・肥塚龍
○肥塚龍君(六十三番) 私ハ決シテ法律トハ申シマセヌ勅令ト云フコトハ
誰デモ知ッテ居ル話デアル法律ハ第九議會カラ法律ト爲ッタモノデアリマ
スカラ、其邊ノ所ハドウカ御間違ナク辯駁ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=131
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132・中島又五郎
○中島又五郞君(二十四番) ソレカラ、此既ニ七万圓ノ金ヲ市區改正ニ入レ
ルモノデアルガ、若シ七万圓ガ取レヌトキニハ市區改正ノ事業ヲ妨ゲラル
ル會社ニハ種々保護金ナドモアルケレドモ之ヲ取ラヌト云フコトニナッタ
ナラバ實ニ不都合デアルト言ハレマスケレドモ政府カラハ立派ニ其義務
ガ定ッテ居ル、年々十五万圓ト云フ補助金ガ定ッテ居リマスノデ、政府ト市
區改正トノ間ノ義務ト云フモノハ-政府ノ義務ト云フモノハ確ニ定マッテ
居リマスカラ獨リ勅令ヲ以テ不當ナル稅ヲ課スルト云フコトハ本員ハ甚
ダ好マザル所デアリマス、故ニ是ヨリ其不當ナル理由ヲ追〓申上ゲマスル
ガ極ク簡單ニ述べマス、諸君、此改正案ノ中ノ始ノ五條、十條ニ就キマシ
テハ本員ハ別ニ意見ハゴザイマセヌ三十五條ニ就キマシテ、此改正ノ存
廢ニ就キマシテ、最モ直接ニ利害ヲ感ジマスルモノハ東京市及東京ニ輸入
スル所ノ酒造家トノ間デゴザイマス而シテ是ガタメニ東京市ハ幾何ノ利益
ヲ得テ居ルカト申シマスルト僅カ七万圓ノ利益ヲ得テ居ル形ニ相成ッテ居
リマスル、本員ハ東京市民ノ一人デゴザイマスルガ東京市民デゴザイマス
ルカラト申シマシテモ、不道理ナル稅ヲ取ルト云フコトハ出來マセヌ、又如
何ニ不道理ナル稅トテモ、自分ノ都合サヘ宣ケレバ宜イ、他人ノ迷惑ハ構ハヌ
ト云フ樣ナコトハ本員ノ欲セザルノミナラズ、決シテ東京市民一般ニ欲セ
ザル所デアラウト信ズルノデアリマス、デ此關係ノナイ所ノ諸君、卽チ利害
ノ關係ノナイ諸君ハ多數御出デニナルト考ヘマスルカラ、第三十五條ニ就
キマシテハ、公平ニ諸君ノ御判斷ヲ仰ギタイト考ヘマス、偖テ〓酒稅ニ就キ
マシテ、特別ニ勅令ヲ以テ附加稅ヲ課セラレテ居ルノハ獨リ東京市バカリ
デ日本全國何レノ縣ニモナカラウト考ヘマス、其附加稅ハ何デアルカト申
シマスルト、入市稅ト唱ヘマシテ、勅令第六十二號卽チ二十一年ノ勅令ニ於
テ「清酒ヲ市內ニ輸入シ又ハ市內ニ於テ釀造販賣スルモノハ一石ニ付金五
拾錢以內····」ト云フ稅ヲ課セラルヽト云フコトニ相成ッテ居リマス其稅
ヲ何ニ使フカト申シマスレバ、卽チ市區改正ノ費用ニ充ツルト云フノデアリ
マス、是ニ於テカ本員ハ此附加稅ノ甚ダ不道理デアルト云フコトヲ認ムルノ
デアリマス、其不道理ノ〓三點ゴザイマス、先ヅ第一ノ〓カラ申シマスレバ、
市區改正ノタメニ利益ヲ得ルト云フモノハ何デゴザイマセウ、其品物ハ先ヅ
第一ニ地面、卽チ宅地ト言ハナケレバナラヌ、東京市區改正ノタメニ利益ヲ
一番受クルモノハ卽チ東京市內ノ宅地デアル土地ガ便利ニナリ、土地ガ
開ケテ參リマスレバ、自然ト地グライモ上ッテ來マシテ、最モ利益ヲ得ルモ
ノデゴザイマス、第二ハ家屋デアル、卽チ往來ガ便利ニナリ、往々他國ノ者
ガ入込ンデ來マシタナラバ、今日千圓ノ價アルモノハ千五百圓モスルト云フ
ヤウニ、追ミニ家屋ノ直段モ進ンデ參リマス故ニ家屋ガ第二ニ利益ヲ得ルモ
ノデアル第三ニハ卽チ營業者デゴザイマス、全ク土地ガ便利ニナリマシテ、
追〓利益ノ多クナルト云フコトニナリマスレバ、則チ營業ハ益〓盛ンニナル
ニ相違ナイ、或ハ料理屋ニ致シマシテモ、或ハ宿屋ニ致シマシテモ、斯樣ナ
モノヽ利益ヲ得ルト云フコトハ爭ハレヌ事實デゴザイマスガ、偖諸君、
酒ハ如何ニ市區改正ト關係ヲ持ッテ居リマセウカ、市區改正ノタメニ、酒ト
云フモノハドウ云フ關係ヲ持ッテ居ルカ、市區改正ヲスルガタメニ、酒ノ直段
ヲ高クシナケレバナラヌトカ云フ道理ハナイト考ヘル、緣故ノナイ酒ニー
市區改正ノ費用ヲ取ラヌガタメニ、綠故ノナイ酒ヨリ稅ヲ取ラントスルノハ、
本員ガ最モ不道理ナリトスル是ガ第一〓デゴザイマス、次ニハ市區改正ノタ
メニ課稅シ得ベキモノハ、右ノ勅令ノ第三條ニ揭ゲテ、四ツゴザイマス地
價割、家屋稅、營業稅竝ニ雜種稅、〓酒ト、四ツゴザイマスガ、此四ツニ就
イテ、今日マデドウ云フ稅ノ取方ヲシテ來タカト見マスルト、其制限ハ地
租割ハ地租ト同額ニ取ルコトガ出來マス、營業稅竝ニ雜種稅ハ、地方稅ノ十
分ノ四マデ取ルコトガ出來マス、家屋稅モ亦地方稅ノ十分ノ四マデ取ルコト
ガ出來マス、酒ハ一石ニ附イテ五十錢以內取ルコトガ出來マスル是タケ
ノモノヲ以テ、市區改正ニ充ルコトノ出來ル勅令ガ出テ居リマスルガ、偖
ドウ云フコトニシテ、是マデ賦課ヲシテ來タカト申シマスルト、地租ノ如キ
ニ至ッテハ地租ト同額ニ、一圓ノ地租ニ一圓ノ稅ヲ課シ得ラレベキモノヲ、
今日マデ課シテ居ルモノハドウカト申シマスレバ僅ニ四十二錢、若ク
ハ四十三錢ト云フ稅ヲ掛ケテ居ル、一圓掛ケ得ベキモノニ四十二錢、若クハ
四十三錢テゴザイマスルカラ、步合ニ致シマスルト、四分二厘若クハ四分三厘
ト云フ稅シカ掛カラヌ一番ノ利益ヲ得ル所ノ土地ガ、全額ノ稅ガ掛ケテゴ
ザイマセヌ、半バ以內デアルソレカラ家屋稅ハドウカト云フト是ハ地方
稅ノ十分ノ四マデ掛ケ得ラルベキモノガ、今日マデノ掛方ハ、步合ヲ見マス
ルト十分ノ零四位ニナッテ居ル、若クハ十分ノ零七三ト云フヤウナコトニ相
成ッテ居リマスル、又營業稅雜種稅ト云フモノヽ卽チ利益ヲ得ルモノハド
ウナッテ居ルカト云フト、是ハマルッキリ稅ヲ掛ケナイ、營業稅モ掛ケテナ
シ、雜種稅モ掛ケテナイ、之ニ反シテ酒ノ稅ハドウカト申スト、一番最高稅
ノ五十錢ヲ掛ケテ居ル、利益ノ最モ多イ所ノ地所ニモ半額以下、家屋ニモ歩
合ニ致シマスルト十、零四ト云フ位、營業稅雜種稅ニハ何等ノ稅モナイ、之二
反シテ酒ニハ五十錢ト云フ最高ノ稅ヲ掛ケテ居リマス、斯樣ナ稅ノ掛方ヲシ
テ、七万圓ノ金ガ這入ラナケレバ、市區改正ノ事業ヲ妨ゲルト云フ道理ガ出
テ來ル筈ガナイ、是ハドウ云フ譯デアルカト云フト唯酒屋ガ少數デアルカ
ラ少數ノ酒屋ヲ壓倒スルト云フ稅ノ掛方デゴザイマス平均ニ立派ニ地面
モ最高額ヲ掛ケ、家屋モ最高額ヲ掛ケ、營業稅雜種稅モ最高額マデ掛ケ、是
デ尙ホ足ラヌタメニ酒造稅モ最高額ヲ掛ケルト云フナラバ、宜シイカ知レ
マセヌケレドモ獨リ酒ニノミ最高額ヲ掛ケルト云フノハ少數者ヲィヂメ
ルト云フ稅ノ掛方デゴザイマスカラ、是ガ最モ不道理ナリト認ムル第二點デ
ゴザイマス、ソレカラ第三〓ハ、此入市稅ノ取方ハドウデアルカト云ヒマスル
ト實ニ手數ノ非常ニ掛ルモノデアル、ソレ故ニ最高額ガ五十錢ト極ッテ
居リマスガ、明治二十四年ヨリ二十八年ニ至ル五箇年平均ヲ取ツテ見マスル
ト、五十三錢二厘、乃至五十三錢八厘ト云ヲ稅ニナッテ居リマス、一石ニ附イ
テ五十錢ヨリ取ルコトガナラナイモノガ、五十錢以上ニ進ンデ居ル、實ニ不思
議ナ稅ノ取方デハゴザイマセヌカ、何ガ斯樣ナ不思議ナ稅ノ取リ方ニ相成リ
マスルト申シマスルト、之ヲ請負稅ニ致シタ、是モ已ムヲ得ヌ所ヨリ請負稅ニ
相成タテ居リマス、元ト稅ヲ取ルニハドウスルカト申セバ、品川ヘ船デ著
キマスルト、先ヅ檢査官ガソレニ、臨ンデ一樽每ニ檢印ヲ致シテ始テ運送ヲ
許スコトニシテ居ッタ、ソレ故ニ酒ガ不足シタ、今酒ガ足ラナイト云フト
キニ、漸ク品川ニ船ガ著イテ居ルニ拘ラズ、檢査官ガ來ルマデニ幾時間モソコ
デ待ッテ居ラナケレバナラヌ、實ニ不便極ッタモノデ、大變手數ガ掛ルモノ
デ、アルカラ巳ヲ得ズ數年間ノ年均ヲ取ッテ、七万圓デ入市稅ヲ請負フコ
トニナシマシタ是ニ就イテハ一昨年デゴザイマシタガ、何分五十錢ト云フ
モノガ五十錢以上ニ增シテ居ルカラ不都合デアル、寧ソ矢張檢査官ガ手數
デモ、檢査ヲ受ケルガ宜カラウト云フコトニ相成ッテ、受ケルコトニ致シマシ
タ、然ルニヤッテ見マスルトナカ〓〓手數ガ多クテ、容易ニ酒ヲ送リ出スコ
トガ出來ナイト云フ困難ナ有樣ニナッテ來タ、ソコデ仕方ガナイ、ドウモ五
十錢以上ノ稅ヲ掛ケラレテモ己ムヲ得ナイ、非常ニ是ガタメニ商機ヲ誤ッテ
損害ヲ來ス、此損害ヲ差引ケバ己ムヲ得ナイコトデアルト云フテ、泣クミミ
五十錢以上ノ稅ヲ出シテ、矢張請負稅ニ致シテ居ルト云フ有樣デアリマス
實ニ酒屋ハ少數ノ人デアルカラシテ構ハナイト云フヤウナ稅ノ取リ方ニナッ
テ、五十錢ト極ッタモノヲ、五十錢以上ノ稅ヲ取ルト云フコトハ、最モ不道
理ナコトデアル、是ガ私ノ不道理ト認メル第三〓デゴザイマス、斯ノ如キ三點
ノ不道理ノコトガアルノミナラズ、一方ニ酒造家ノ狀況ヲ顧ミテ見マスレ
バ昨年四圓ノ稅ガ遽ニ七圓ノ稅ト進ンデ來テ居リマス其七圓ノタメニハ
酒屋連中ハ隨分困難ヲ感ジテ居ルノデアル、併ナガラ是ハ國家戰後ノ大經營
ノタメニ、己ムヲ得ズ出シテ居ルト云フコトデゴザイマスカラ、四圓ノモノ
ヲ七圓ニ進メラレタ代リニハ又國家ハ多少營業者ヲ保護スル考ヲ持タナケ
レバナラヌト考ヘマス、元來東京市ガ市區改正ト云フ此大事業ヲ企テタト云
フモノハ、少々ノ金デハゴザイマセヌ、數百万圓ヲ要シ、而モ數十年掛テッヤ
ルト云フ大事業デアル、大事業デスルノニ、僅カ七万圓ノ金ガナケレバ、市
區改正ノ事業ヲ妨ゲルナドト云フノハ、實ニケチナ考デアラウト思フ、左樣
ナ東京市民ハケチナ考ハ持ッテ居ルマイ、又隨分東京市民ハ義侠心ニ富ン
デ居ルト云フコトハ、是ハモウ所謂江戶ッ子肌ト云フコトハ實ニ隱レナキ
モノデアル、其者ガ我サヘ宜ケレバ宜シイ、人ハ如何ニ苦ンデモ、構ハナイ、
酒屋ハ如何ニ苦ンデモ、七万圓ノ金ヲ取レバ宜シイト云フ、マダケチナ根性
ハ持ッテ居ラヌト考ヘマス、或ハ反對者ハ言フデアラウ、是ハ酒屋ヲイヂメ
ルノデハナイ、飮ム人ガ出ス、卽チ間接稅デアルカラ、所謂酒屋ヲイヂメル
ハデハナイト云ヒマセウ併ナガラ間接稅ニシテモ、煙草屋、菓子屋、或ハ
賣藥屋ト云フモノハドウデゴザリマセウ、煙草稅ニシテモ、菓子稅ニシテモ
賣藥稅ニシテモ成程之ヲ喰フ、又之ヲ飮ム又之ヲ吸フモノガ出スニハ相
違ナイ、併ナガラ稅ガ段々增シテ來マスルト、既ニ菓子屋抔モ、菓子稅廢
止ノ歎願ヲ出シテ請願ヲ致シ、遂ニ昨年ハ菓子稅廢止ニナッテ菓子屋ハ喜ン
ダト云フモノハ是ハ直接ニ稅ヲ納メルモノガ、直接ニ關係ヲ持チマスルコ
トデアル、若シモ東京市民ノ酒ヲ飮ムモノヨリ稅ヲ取ルト致シマスルト、日
本全國ノモノハ一般〓酒ヲ飮ムモノハ皆七圓ノ稅ヲ出シテ酒ヲ飮ンデ居
ルニ東京市民丈ハ獨リ七圓五十錢ノ稅ヲ出サネバ、酒ヲ飮メナイト云フ樣
ナソンナ道理ハ何處ニモナイ實ニ東京市民ハ悉ク七圓五十錢ノ稅ヲ出サナ
ケレバナラヌノハナンノタメデアル、此稅ヲ出サナケレバ酒ヲ飮メナイト云
フコトガ、果シテ道理デゴザイマセウカ、市區改正ト云フコトヽ酒ト云
フモノト何等ノ緣故モナイノニ、東京市民ハ日傭人最下等ノ人民マデガ飮ム
酒ニ七圓五十錢ノ稅ヲ出サナケレバ飮ムコトハ出來ナイト云フ不道理千萬
ナコトハ吾ミハアルベカラザルコトヽ信ズルノデアル、右ノ次第デゴザ
イマスカラ諸君ハ宜シク公平ナ御判斷ヲナシテ、此七万圓ヲ取ラナケレバ
市區改正事業ヲ妨ゲルト云フヤウナケチナ市區改正デハゴザイマセヌ故ニ、
不道理トスレバ東京市民ハ之ヲ廢スルニ躊躇セヌデアラウト思フ、若シ是
ガ果シテ正當ナ稅デアルナラバ率ザ知ラズ、右ノ東京市民ノ頭ニ掛ルベキ稅
ヲ取ラズ、他カラ取レバ宜シイト云フテ、酒屋イヂメニ過分ノ稅ヲ取ル、卽
チ五十錢取ルベキモノヲ五十錢以上取ルト云フノハ不道理千萬ト考ヘマス
カラ、此特制ヲ廢スルコトニ本員ハ贊成スル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=132
-
133・松田秀雄
○松田秀雄君(四十六番) 議長
〔「討論終結」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=133
-
134・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 松田君ハナンデスカ、發言ヲ求ムルノデスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=134
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135・松田秀雄
○松田秀雄君(四十六番) 唯今ノ中島君ノ說ニ就キマシテ一言述置キタイト
思ヒマス實ニ簡單デゴザイマス
〔「討論終結」ト呼フ者アリ〕
(肥塚龍君「質問シタイ質問ハ御許ニナラヌノデスカ」ト呼フ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=135
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136・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 討論終結前デアッタヤウデゴザイマスカラ、松田君ニ
發言ヲ許シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=136
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137・松田秀雄
○松田秀雄君(四十六番) 私ハ中島君ハ熱心ニ御述ベデゴザイマシタ、唯中
島君ガ京橋區トシテ述ベラレタヤウニ思ヒマス私ハ全體ノ家屋稅ガ餘程超
過シヤウト思ヒマス一般ニ家屋稅ガ超過シマスルコトヲバ憂ヘマスカラシ
テ、此疑ヲ一應申シテ置カウト思フ、中島君ハ不道理ナ稅デアルト云フコト
ヲ述ベラレマシタガ、定メテ中島君ハ御〓究ニナッタカハ知リマセヌガ、自分
ガ曾テ府廳ニゴザイマシタル所ノ書類ヲ見マスルト云フト、此稅ト云フモノ
ハ唯今ニ始ッタ稅デハゴザイマセヌ隨分昔カラ、卽チ舊政府ノ頃、文化年
中位カラ引續イテ居ル、時ニ名前ハ違ッテ居ル、或ハ冥加金ト稱ヘ、或ハ酒
稅ト稱ヘ、各〓名前ハ違ッテ居リマスルケレドモ稅ハ矢張出シテ居ル此
稅ヲ出シテ居リマスル所カラ、不道理ト云フコトハ唯今突然來ナカラウト思
フ斯樣ナ事柄ヲバ今出シヌケニ玆ニ持出スト云フ事柄ハ甚ダ中島君ノタ
メニ取ラナイ而シテ酒造家ガ少ナイヤウニ申サレマシタガ、是ハ中島君ハ
特別稅丈ノコトヲ聞イテ來テ、地租ガ特別稅デ少ナク取リマスルト云フト
或ハ地方稅ヲ餘計取リ、地租ヲ餘計取リマシテ、地租ノ方ヲ重ク矢張取ルト云
フコトニシテ居ル同ク一ツノ懷カラ取リマスルノデアリマスルカラシテ、
幾ツモ餘計取ル其中ニ、少イノト多イノトアリマスルケレドモ、同ク餘計取ル
ト云フコトハ同ジコトデアル、地租ノ方ハ安イデハナイカト申サレマスルケ
レドモ、地方稅ヤ市稅ハ如何デゴザイマスカ、是ハ蓋シ御取調ガナカツタデ
アラウト思フ、家屋稅モ其通、段々市民ガ家屋稅ノ負擔ニ重イト云フコトモ
能ク承知シテ居ル其家屋稅ノコトハ更ニ申サレナイ是等ノ如キハ十分ニ
御調ガナイト私ハ思フ、又營業稅ヲ取ルト言ヒマスルガ、此營業稅ハ御承知
ノ如ク地方稅ノ十分ノ四ホカ取レマセヌ、至ッテ僅少ナモノデゴザイマスカ
ラシテ、其稅金ト手數ト釣合ハナイ、ソレ故ニ多ク此稅ハ取レナイノデア
ル、若シ取ルヤウナコトデゴザイマスナラバ、實ニ煩雜ニ堪ヘヌカラ取ッテ
居ナイ、是ハ實際ノコトヲ御承知ナイト見エル、又此事ニ就キマシテハ頗ル
自分ナドモ述ベタイコトガゴザイマスガ併シ諸君モ能ク御分リデアラウト
思ヒマス、段々酒屋ノ稅モ輕クシタイト云フコトハ最モ望ムノデアル、併シ
マダ一方ニ家屋稅ガ俄ニ負擔ガ重クナルコトヲ厭ヒマスルカラシテ、是非諸
君ニ於テモ此除外例ト云フ文字ハ、全ク其儘ニ存シ置クト云フコトニ御贊成
アランコトヲ希望致シマス
〔「討論終結」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=137
-
138・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 討論終結ニ異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=138
-
139・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 然ラバ討論終結シタモノト認メマス、第五條本文、竝ニ
第一號ニ就イテ採決致シマス、原案ニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ願ヒマス
起立者少數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=139
-
140・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 少數ト認メマス、第二號発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=140
-
141・中島又五郎
○中島又五郞君(二十四番) 一號ハ元カラ極ッテ居リマス是ハ法律デ極ッテ
居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=141
-
142・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) ドウ云フ譯デ改正シテ出シタノデス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=142
-
143・中島又五郎
○中島又五郞君(二十四番) 此百石ト云フノハ元カラ法律デ是ハ定ッテ居
ル発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=143
-
144・久保九兵衛
○久保九兵衞君(九十六番) 是ハ過日委員會ノ結果ヲ報告致シマシタ時ニ申
シマシタ通、此百石ト云フハ現在制限ガ立ッテ居ルノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=144
-
145・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) サウスルト此一號ハ委員會ノ報告デハゴザイマセヌ
カ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=145
-
146・久保九兵衛
○久保九兵衞君(九十六番) サウデゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=146
-
147・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) ソレデハ本號ハ採決ノ要ガアリマセヌガ、本文及一號
ハ現行法ノ條文ト書キ方ガ違ッテ居マスシ且ツ此改正案ガ成立シマシテ
も、否決シタ以上ハ本文ト一號ハ此改正案ノ一部トナラヌコトニナリマシ
タ、次ニ濁酒ノ五十石トアルノヲ三十石ニスルト云フ委員會ノ修正、是ニ同
意ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
起立者少數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=147
-
148・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 少數ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=148
-
149・久保九兵衛
○久保九兵衞君(九十六番) ソレハ違フ、改正案ガ五十石ニスルト云フノデ
アリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=149
-
150・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 原案ノ五十石ニ就イテ採決シマス、五十石ニスルト云
フニ同意ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
起立者少數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=150
-
151・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 少數ト認メマス、ソレカラ白酒、味淋、燒酎、酒精ヲ
十石ニスルト云フ、是ニ同意ノ諸君ノ起立ヲ求メマヌ
起立者少數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=151
-
152・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 少數ト認メマス、ソレカラ玆ニ委員會ノ報告、卽チ第
十條中『「酒類ヲ製造スル者ノ製造ニ係ル醪」ノ下「ニシテ腐敗シ酢元ノ用ニ供
スルモノヽ外」ノ十八字ヲ挿入ス』是ニ同意ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
起立者少數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=152
-
153・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 少數ト認メマス『第三十五條中「特令アルモノヲ除キ」
ノ九字ヲ削除ス』是ニ同意ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
起立者少數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=153
-
154・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 少數ト認メマス、然ラバ既ニ此附則ハ否決セラレタモ
ノト見テ宜シウゴザイマスカ
(「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=154
-
155・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 本案ハ是デ全部否決セラレマシタ、次ハ日程第二十ニ
移リマス、自家用酒稅法中改正法律案
第二十自家用酒稅法中改正法律案第一讀會ノ續委員長)
(佐藤忠望君外七名提出)報告
(福江角太郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=155
-
156・福江角太郎
○福江角太郞君(百八十六番) 自家用料酒ノ特別委員會ノ結果ヲ御報道申上
ゲマス、本案ハ三月九日選舉會ヲ開キマシテ、委員長ニ私ガ當選ニ相成リマ
シタ、理事ニ內藤正義君ガ當選ニナリシタ、三月十二日ニ會議ヲ開キマシ
テ、委員ノ會議ハ結了ヲシタ譯デアリマス此改正法律案ノ趣意デゴザイマ
スレバ全ク現行法ヲ改メマシテ、一人一石、稅金ハ二圓ニ限ルト云フ所ノ
修正ノ法案テゴザイマス、然ルニ委員會ニ於キマシテハ之ヲ修正致シマシ
テ、此原案ノ第二條ハ全ク削除致シマシテ、第三條ノ二號中ニ「五圓以上十圓
未滿ノ者」トアルノヲ「五圓以上納ムル者」ト修正シタ譯デゴザイマスソレ
ト第五條第一項中ノ第一號ヲ削除スルコトデゴザイマス、要シマスルニ此改
正法律案ニ依リマスルト、一人一石トシ二圓ト改正致シマシテハ、餘程稅金ニ
關係ヲ致シマスルカラシテ、委員會ニ於キマシテハ斯ノ如ク修正ヲ致マシテ、
全ク此要ハ十圓以上ノ者ハ是迄造ルコトガ出來ヌト云フノガ、現行法律デゴ
ザイマシタノヲ「五圓以上納ムル者」ト云フ字ヲ置キマシテ、五圓以上五圓
以下ト斯ウ二ツニ分ケマシテ、矢張國稅何カハ現行ノ法律通リト云フ譯ニ致
シマシタ譯デ、サウ致シマシタナラバ、格別此稅金ノ上ニモ差響キナイデゴ
ザリマセウ、旁〓以チマシテ唯今申上ゲル通修正ヲ致シマシタ譯デゴザリマ
ス、此段御報道申シテ置キマス
(「反對」ト呼フ者アリ又「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=156
-
157・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 政府委員田尻稻次郞君
(政府委員大藏次官法學博士男爵田尻稻次郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=157
-
158・漆間民夫
○漆間民夫君(七十一番) 少數者ノ意見ヲ報道致シタウゴザリマスガ···発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=158
-
159・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 政府委員ニ發言ヲ許シマシタカラ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=159
-
160・田尻稻次郎
○政府委員(男爵田尻稻次郞君) 唯今提出ニナリマシタ自家用酒ノ改正案デ
アリマスガ、是ハ御修正ニナリマスト、其結果ト云フモノハ十圓以上納メ
ル富裕ナ人デモ矢張自家用酒ヲ造ルト云フコトニナルノデアリマシテ、ド
ウモサウ云フ必要ハナイト認メマシテ、既ニ昨年本院竝ニ貴族院ニ於キマシ
テ協贊ヲ經マシテ、旣ニ此五條ノ第五號十圓以上納メル者ニハ造ラセヌト云
フコトニナッテ居ルノデゴザリマス、是ハ必要ナキノミナラズ、昨年ノ議會
デ以テ結了シマシタノヲ、今年直グ飜スト云フコトハ如何ナモノデゴザリマ
セウカドウモ自家用料抔ト云フモノハ、御承知ノ通非常ナ變體ノトキニ用
井ルモノデゴザリマシテ、全體カラ云フト餘程變ナモノデアルノデス、ソレ
ヲバ斯クマデ範圍ヲ擴ゲテ、如何ナル富裕ナ者デモ十分酒ヲ買フテ飮メル
者デモ造ラセルト云フノハ、ドウモ今日ノ時勢ニ當テ篏マラヌト思ヒマスカ
ラ、是ハドウゾ昨年ノ原案ニ据エ置カレテ、卽チ現行法ニ据置カレテ、改正
ニナラヌコトヲ政府ハ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=160
-
161・久保九兵衛
○久保九兵衞君(九十六番) チヨット質問ヲシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=161
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162・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 少數者ノ意見ガアリマスカラ、少數ノ意見ヲ一ツ報告
シタラ宜カラウト思ヒマス-漆間民夫君
〔漆間民夫君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=162
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163・漆間民夫
○漆間民夫君(七十一番) 諸君、私ハ自家用酒稅法中改正ノ案ニ對シマシ
テ、委員會ノ少數者ノ意見ヲ代表シテ御話申サウト思ヒマス、卽チ現行法ノ
儘デ宜シイト云フコトニ過ギヌノデゴザイマス、偖テ委員會ノ少數者ノ意見
ハ大要左ノ如キデゴザリマス、凡ソ諸ノ法律ヲ制定スルニ、就中稅法ヲ改
正スル所ノ法律ヲ制定スルトキニハ其國民ノ程度如何、或ハ其稅法ニ對ス
ル納額ガ如何ト云フ所ニ就キマシテ、最モ親切ニ最モ鄭重ニ調ヲ要スルコト
デアリマシテ、就中之ヲ改正スルト云フトキニ於キマシテハ一層丁寧愼重
ニ其法律ノ政正ヲ講究スルベキコトデアルト思フ、然ルニ若シ然ラズシテ之
ヲ輕々ニ改正スルト云フヤウナコトニ至リマシテハ所謂朝令暮改ノ誹リヲ
免レヌト云フコトニナル、抑〓此自家用酒ノ法案ハ第九議會ニ於キマシテ
酒造稅法案等ト併テ十八名ノ委員ニ付託ニナリマシテ、而シテ此委員會ニ於
キマシテハ、殆ド二箇月間ノ長キヲ要シタノデアリマス、而シテ其委員會ニ於
キマシテ種々ナ說ガ出マシテ、遂ニ特別委員中ニ於キマシテモ、尙ホ整理委員
ト名ケルモノヲ舉ゲデ、而シテ調査ヲ致シマシタ、其整理委員ノ調査ノ結果
ヲバ再ビ特別委員會ニ報告ヲ致シテ、辛ウジテ政府案ヲ修正シテ可決シタノ
デゴザリマス、ソレヲバ本會ニ提出致シマシタ當時ニ於テ、本會ニ於テモ種
種ナ自家用酒法案ニ就イテ修正說モ出マシタガ、併ナガラ結句遂ニ委員會
ノ報告ヲ滿場諸君ガ是ナリト御認メニナリマシテ、遂ニ可決ニナッタコトデ
ゴザリマス(「簡單々々」ト呼フ者アリ)簡單デハゴザリマセヌ、然ルニ今第九
議會ニ於キ斯ノ如ク前後二箇月間モ掛リマシテ確定ヲ致シマシタモノヲ、早
クモ當議會ニ於テ其事ヲ改正スルト云フコトハ此立法部ノ一ハ威信ト云フ
コトモナケレバナラヌ、諸君ハ責任ヲ持ッテ第九議會ニ於テ可決ナサレタ、
然ルニ第十議會ニ於テ之ヲ〓正スルト云フコトハドウ云フ譯デゴザリマセ
ウカ(「登錄稅ハ如何」ト呼フ者アリ又「ソレハ議論ダ」ト呼フ者アリ)意思ノ
在ル所ヲ少數意見ヲ併セテ、私ノ意見ヲ加ヘテ申シテ置キマス(「議論ダ」ト
呼フ者アリ)私ノ意見ヲ併テ加ヘテ御報告申ス、少數ノ意見ハ議論ヲセナケレ
バ分ラヌ(「尤ダ」ト呼フ者アリ又「分ツタ」ト呼フ者アリ)斯ノ如キコトデ諸君
ガ責任ヲ持ッテ否決シタ、イヤ、可決シタ、然ルニ△〓其事ヲ改正シヤウト云フニ
就キマシテハ、成程最初ノ提案ヨリハ今御報告ニナリマシタモノハ、現行法ノ
簡單ナル修正ヲ御加ヘニナッタニ過ギナイノデ、併ナガラ此簡單ナル修正、卽
チ是マデ自家用酒ヲ造ルモノヲ、地租直接國稅十圓未滿ノ者ニ限ッテ造ラセル
ト云フコトヲバ、此制限ヲ無制限ニスルト、所謂舊法ニ立歸ルト云フコトニナ
ルノデアル、而シテ斯ノ如キコトニナリマスト、其結果タルドウ云フコトニナ
ルカト申シマスレバ、大イニ納稅ノ高ニ影響ガ來ルノデアル、委員會ニ於キマ
シテモ、種々政府委員ニ質問ヲ致シマシタ所ガ、斯ノ如キ政府委員ノ御答ガ
アル、自家用酒ノ方ニ就キマシテハ一月中マデ屆出デノ者ハ二十九万三千
八百餘人、當一月ヨリシテ二三月ニ至レバ是ニ七八万モ增加スル、最初ノ
見込通位ノ屆出ガアルダラウト云フコトデ、ソレカラ又一方ノ酒屋、卽チ〓
酒若クハ白酒ト云フモノヽ一月マデノ見積石高ハ、四百五万五千石ト云フコ
トデアル、是モ尙ホ皆造ニ至リマスルト云フト四百十万石以上ニモナルト
云フコトデアル、而シテデス、此現在ノ屆高ガ當初政府ニ於テノ見込高トハ
果シテ增シテ居ルカ、減ッテ居ルカト云フコトヲバ調べマスルト云フト當
初政府ノ見込高ハ、卽チ三十年度ニ對シテハ凡ソ三百六十万石ト云フ見込
デアッタノデ-三百六十万石ト云フ見込デアッタノガ、一月後ノ屆高ト云
フモノハ、既ニ四百五万石以上ニ上ボッテ居リマスノデ、斯ノ如ク當初ノ豫算
ヨリハ、遙ニ此〓酒ト云フモノハ澤山出來テ居ルト云フモノハ何ガ故ニ斯
ノ如ク意想外ニ澤山出來タカト申シマスルト云フト、卽チ一方ニ於テ、自家
用酒ニ此制限ヲ立テタ結果トシテ此ニ至ッタノデアル、是ハ何人デモ直チニ
能ク分ル一方ニ制限ヲシテ、是〓以上ノモノハ造ラセナイト云フコトニナ
ルト云フト一方ノ方ニソレヲ補フダケノモノト云フモノガ、何處カデ出テ
來ナケレバナラヌ、卽チ素人屋ニ制限ヲ立テタノハクロウト屋デ以テ、ソレ
ダケノ補ガ出テ來ルト云フ、然ルニ今之ヲバ無制限ニスルト云フコトニナリ
マスト云フト、果シテ如何デゴザイマセウ、私ハ恐ル少ナクトモ國庫收入ノ
上ニ於キマシテハ、二百万圓乃至二百四五十万圓ノ不足ガ出テ來ルデアラウ
ト思フ、ナゼ斯ク申シマスルト云フト、今之ヲ自家用酒ト云フモノヲ無制
限ニ致シマスルト云フト、今日ノ三十万人、凡ソ三十万人以上ト云フモノ
ハ、少クトモ七八十万人位ニアルデゴザイマセウ、サウ致シマスルト云フ
ト、ソレダケノモノハ、一方ノ酒造家デ以テ造リマスモノガ、片方ノ自家ノ方
デ出來ルカラシテ減ッテ居ル、凡ソ其高ト云フモノヲ、彼是參酌致シマスルト
云フト、少クトモ五十万石カラ六十万石ト云フモノハ、差引キ出入リガアルデ
アラウト思フ、サウ致シマスルト云フト、今假ニ自家ノ稅ガ三圓ト見ル、是
ハ現行法ノ二圓-三圓ト云フコトニナッテ居リマスルガ、假ニ三圓ト見マ
シテ、而シテ營業稅ハ七圓デゴザイマスルカラ其差四圓アル、此四圓ヲバ
五十万石乃至六十万石ノ相違スルモノト-今假ニ六十万石ト見マスレバ、
四六、二百四十万万圓ト云フモノハ、卽チ國庫ノ收入ト云フモノガ、ソレダ
ケ減ッテ來ルノデアル、是ダケノコトハ、何人デモ能ク見易キ所デアル、今此
改正法案ニシテ、之ヲ是認スルコトニナリマスレバ、獨リ第九議會ニ於テ可決
シタモノヲバ、忽チ十議會ニ於テ其實施ノ結果如何ヲ見ズシテ、改正スルト云
フ所ノ誹ヲ免カレザルノミナラズデス、二百凡ソ四五十万圓ノ稅源ヲバ、諸君
ハ何ノ處ニ於テ之ヲ求メントスル、我邦ニ於テ二百万圓以上、二百四五十万圓
ノ稅源ト云フモノハ、ナカ〓〓ドウモ見付ケ出スコトニ苦ムノデアル、ソレハ
申スマデモナク、諸君ハ御承知ノコトヽ思フ、斯ノ如キ結果ガ出ルニモ拘
ラズ、之ヲバ改正シテ、是マデノ制限ヲ立テヽアルモノヲバ無制限ニシテ、サ
ウシテ一方デハ國庫ノ收入ヲ減ズルト云フコトハ、何タル御考デゴザイマセ
ウカ、要スルニ本案ノ提出諸君ヲ見マスルト云フト、東北ニアラザレハ西
南地方ノ諸君デアル是ハ先刻ノ草刈親明君ノ口氣ヲ御藉リ申シテ申シマス
ルト云フト、實ニ東北ニアラザレバ、西南ト云フヤウナ、抑〓此自家用酒ノ
熱度ノ-現行法デハイケナイト云フ熱度ノ高イノハ何レニアルカト申シ
マスルト云フト、右ノ箇所デアル、成ル程如何ニモ現行法ノ如キコトニナッ
テ居リマスルト云フト、東北若クハ西南ノ地方ニ於テハ、御不自由デモアリ
マセウ又從來造リ得タ所ノ農民ガ、制限ヲ立テラレテカラニ、造ラレナイ
ト云フコトニナリマスルト云フト、如何ニモ不平モアルデアラウ、併ナガラ
法律ハ申スマデモナク、其地方ノ狀況ヲ異ニスルガタメニ、一々特殊ノ法律ヲ
拵ヘルト云フ譯ニハイカナイ戰後ノ經營トシテ、巳ムヲ得ズ此ニ至リマシ
タモノデアリマスレバ、私共ハ今此提案ヲナサレク諸君ノ意思ハ如何ニモ御
察シ申ス、併ナガラ是ヲ改正スルト云フ所ノ其結果ト云フモノハ如何ニナ
ルカト申シマスルト云フト、前來陳べ來リマシタヤウナ譯デ、大イニ得失相副
ハナイト云フコトニナル、之ヲ無制限ニスレバ、此提案者ノ言フニハ自家用
酒ハ增スト、然リ自家用酒ハ增スニハ相違ハゴザリマスマイ自家用酒ノ
增スニハ相違ナイケレドモ、併ナガラドウ致シマシテヾモ、百万人以上ニ上
ルコトハナイ、以前鑑札料トシテ八十錢取リ得ラレタ、ソレデスラモ百万人
內外ニ過ギナイ、況ヤ今此稅額ニ致シマスレバ、如何ニ增シマシテモ百万人
以上ニハナラナイサウ致シマスルト云フト、一方ノ方デ假リニ此三十万人
カ、八九十万人乃至ハ百万人-大見積ニ見積ッテ、百万人ト見マシタ所
デ、ソレ丈造ルモノト云フモノハ、一方ノ方デ減ッテ往クト云フコトハ、先キニ
申シマシタ通リデアル(「長イ〓〓モウ分リマシタ」ト呼フ者アリ)御分リニ
ナッタナラバ直チニ此案ニ御贊成デアラウト思ハレル(「贊成々々」ト呼フ
者アリ)斯樣ナ譯デアリマスルカラシテ、滿場ノ諸君ニ於キマシテハ、決シ
テ御反對ガナイ筈トハ思ヒマスルケレドモ、サリナガラ地方ニ依ッテ狀況ヲ
異ニスルモノデアリマスルカラシテ、其地方論トシテ御提出ニナッタ方ハ
是ハ巳ム得ヌコトデアラウト思フテ、私モ決シテ彼是ト申ス譯デハナイデア
リマス、何卒諸君ニ於キマシテ、是丈ノ自家用酒ノ納稅額、ソレカラ一方ノ酒
屋ノ納稅額、サウシテ其得失或ハ損益結果如何ト云フコトヲバ能ク御考ニ
ナッテ、然ル後ニ虛心坦懷ニ、此案ニ就イテ御贊否ヲ表セラレンコトヲ希望
スルノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=163
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164・目黒貞治
○目黑貞治君(百九十八番) 唯今少數意見ヲ御陳述ニナリマシタガ、其御意
見ノ主スル所ノモノハ此事ハ東北九州等ノ人ニハ必要デモアラウ、ソレデ
此事ヲ主張スルノハ、必要カラ主張スルノデアリマスルガ、此〓ニ至ッテ必
要飲クベカラザルコトヽ云フコトハ、漆間君モ認メテ居ルケレドモ、如何セ
ン稅ヲ取ルニハ必要デモ、巳ムヲ得ヌカラ現今ノ法律ノ儘ノ通リニシテ往ク、
ソレハ稅ヲ取ルタメデアル、斯ウ云フ風ニ聞エマスガ、稅ヲ取ルタメニ必要
ナモノモ許サヌト云フ、斯ウ云フ風ナ御意見デ、少數者ノ御意見ヲ提出ニ
ナッタノデアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=164
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165・漆間民夫
○漆間民夫君(七十一番) 必要トハ決シテ申シマセヌ、後トデ速記錄ヲ調ベ
テ下サレバ分リマス、如何ニモ東北西南地方ニ在リマシテハ、農民ガ困ルハ
困ルデアラウト申シタノデアル発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=165
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166・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 佐藤忠望君
(佐藤忠望君演壇ニ登ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=166
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167・佐藤忠望
○佐藤忠望君(七十二番) 私ハ委員長ノ報告ノ通リヲ贊成ヲスルモノデゴザ
イマス、卽チ唯今漆間君ノ述べラレマシタ少數ノ意見ニハ反對致スモノデゴ
ザイマス、テ、私ハ甚ダ吶辯デゴザイマスルカラ、極ク簡單ニ申述ベマスル
ガ、先ヅ漆間君ノ述べラレマシタ說ニ就キマシテ、大イニ其事實ニ違フテ居ル
所ガゴザイマスルカラ、是カラ一ツ辯ジヤウト思ヒマス、漆間君ノ述べラレ
マシタ御說ハ、隨分御長クゴザイマシタケレドモ、要スル所此第九議會ニ於
テ改正致シテヨリマダ日モ淺イ今日ニ於テ、之ヲ改正スルト云フコトハ如
何ニモ朝令暮改ト云フ誹ガアルト云フ一點、ソレカラ此改正ニシテ行ハレタ
ナラバソレガタメニ歲入ニ於テ二百万圓トカ、二百五十万圓トカ減額ニナ
ラウト云フ、此二點ニ過ギナイヤウニ承知致シマシテゴザイマス、成ル程昨年
ノ議會ニ於テ一旦定メマシタルモノヲ、之ヲ今日ニ改正スルト云フヤウナコ
トハ、如何ニモ御說ノ所ハ御尤モノヤウニモ聽受ケマス、併ナガラ昨年定メタ
法律デゴザイマシテモ、本年其法律ニ不可ナルコトヲ發見致シマシタコトナ
ラバ是ヲ改正スルニ何モ差支ナイコトデアラウト私ハ思フ、如何ナレバ昨
年ノ法律ガ不可ナルコトヲ發見致シタカト申スルト、元來此自家用料酒ニ對
シテ制限ヲ設ケルト云フコトハ固ヨリ私ハ不同意ノ一人デゴザイマスル
ガ、是ハ大體論ニ涉リマスルカラ、後トニ週シマシテ此昨年ト今日トデ事
情ノ異ナル事丈ヲ此處デ簡單ニ御話ヲ致シテ、漆間君ノ說ニ反對ノ意見ヲ陳
ベヤウト思フソコデ湊間君ハ昨年ヨリ本年一月マデノ〓酒製造高ガ增加致
シテアルハ畢竟自家用料酒ニ制限ヲ置イタタメニ增加シタノデアル、ソレ
デ若シ之ヲ無制限トシタナラバ必ズ斯ノ如キ增加ヲ見ルコトハナイデアラ
ウト云フ御說モゴザイマシタケレドモ是ハ唯漆間君ノ空漠タル想像ニ過ギ
ナイノデ、ナゼナラバト申スト、此自家用料酒法案ヲ施行致シマシタノハ、
何時デゴザイマシタ卽チ昨年十月一日ヨリ施行致シタモノデアル、而シテ
其〓酒ノ如キモノニ至リマシテハ果シテ其施行ノ結果トシテ〓酒ガ多ク
賣レルトカ、賣レヌトカ云フコトマデモ未ダ餘日ハナカラウ、唯其影響ヲ
受ケテアルノハ濁酒デアル、是ハ卽チ製造ヲシマスルノニ日數モ至ッテ掛
ラナイモノデアルカラシテ、是ハ忽チ影響ヲ受ケテアル、然レバ此濁酒屋ナ
ルモノガ、此自家用料酒ニ制限ヲ置イタタメニハ非常ニ增加ヲ來シテアル
カト云フト、漆間君モ御承知ノ如ク、委員會ニ於テ政府委員ノ御說明ニ依リマ
スレバ、案外ニモ此濁酒ト云フモノハ賣レ口ガ惡ルクテ、又案外ニモ其濁酒
屋ノ增加ハ見ヌト云フコトデアル、增加シタニハ相違ナイケレドモ、思ヒノ
外デアル是等ハ何ニ依ッテ來タノデゴザイマセウ、デ、其原因スル所ヲ能
ク尋ネテ見マスルト云フト、彼ノ東北地方トカ、西南地方トカ、頻リニ言ハ
レマシタコトデゴザイマスルガ、今此自家用料酒ノ最モ盛ナ地方デゴザイマ
シテハ之ヲ飮マヌト云フコトニハイカナイ、造ラヌト云フコトニハイカナ
イ何ゼナラバト言ヘバ先刻モドナタカノ御意見ニモゴザイマシタ通、都
會ノ地ハイザ知ラズ、酒屋ヘ三里豆腐屋ヘ五里ト云フヤウナ地方ニナッテ見
マスルト、一升ノ酒ヲ買フト致シマシテモ一日ノ手間ヲ潰サネバ酒ヲ買フ
コトガ出來ヌト云フ有樣、ソレガ十分餘裕ノアル人デアッテ、灘ノ薦冠リデ
モ蓄ヘテ置カレル人デゴザイマスルナラバ格別デゴザイマスケレドモ、地
租十圓以上ト云フテ見タ所ガ、其多數ハ十圓以上二十圓未滿ト云フアタリガ
一番多數デアル、ソレ等ノ人ハ農業ノミヲ以テ、果シテ十分餘裕アル生活ヲ
ナシ得ルヤ否ヤ、是ハ私ガ言フマデモナク、諸君ハ十圓以上ノ人ト雖モ今
日生活ニ困ッテ居ル人ガ多數デアルト云フコトハ諸君ハ御承知デアラウト
思フ斯ノ如キ人ガ一升ノ酒ヲ買フノニ一日ノ暇ヲ潰シテ之ヲ買ヒマシタ
ナラバ、其價ハ二十五錢ト言ヒマシテモ、或ハ五十錢、六十錢ニ當ルコトデ
アラウト思ヒマス斯ノ如キコトハ到底出來得ナイカラシテ、サレバト言フ
テ、此法律ニ於テ禁ゼラレテアルモノデゴザイマスルカラ、巳ムヲ得ズ此法
律ノ穴ヲ潜ッテ密造者ト云フモノガ續々出來テ來ル、其密造スル仕方ハ如何
デアルカト言フト、是等ハ濁酒屋デ出來マシタ〓ヲ買入ルトカ、醪ヲ買入レ
テ來ルトカ云フコトヲシテ、サウシテ密造者ナルモノガ澤山出來テアル然
レドモ此法律ノ上カラ申シマスルト一般ニ營業ヲ許シテゴザイマスルモノ
ナラバ其收稅官吏ハ其營業者ノ家ヘ往ッテ檢査スルコトモ出來マス、併シ
此所ニ地租十圓以上トスル所ノ制限ガゴザリマスカラシテ、其制限以外、卽
チ此法律ヲ以テ禁ゼラレテ居ル所ノ營業者外ノ者ニ向ッテ、檢査ヲスルト云
フヤウナコトハ到底出來得ナイノデアルソレデアルカラシテ、此取締ト
云フモノモ十分出來ナイ、其出來ナイ所カラシテ、密造者卽チ脫稅者ガ多ク
出來テ居ルデ脫稅者ガ多ク出來テ居リマシテ、卽チ唯此法律ノ上ニ於テハ減
ジテゴザリマスケレドモ、其實ニ於テハ却テ益〓今度ハモウ唯造ラレルト云
フヤウナ工合デ、密〓者ノミ增加ト云フヤウナ傾ガアルノデアルソレデゴ
ザイマスカラ、卽チ彼ノ濁酒製造者ナドト云フ者モ、案外ニ賣レ口ノ惡ルイ
ト云フノハ畢竟其所カラ出デタデアル、ソレカラ此自家用料酒ノ願出
タ者ノ高デゴザイマスガ、是モ先刻漆間君ガ二十九万三千八百何人ト云
フ一月中マデニ定ッタモノデアル想フニ今後マダ年度モアルコトデゴザ
イマスカラ政府ノ豫算、卽チ三十八万四千人ニハナルデアラウト云フ、
政府委員ノコトヲ信ジテ述ベラレマシタケレドモ想フニ私ハ是モ果シ
テナルヤ、ナラヌヤ分リマセヌ、一體政府委員ノ見込アルト云フコト
ハ違ッテ居ル、三十八万四千人ト云フ第九議會ニ於テ豫算シマシタモ
ノハ卽チ政府ハ地租五圓以上ノ者ニハ造ラセナイト云フ方ニ依ッテ
調ベタノガ三十八万四千人デアル、然ラバ此第九議會ニ於テ五圓以上
尙ホ十圓未滿ノ者マデモ許スコトニナリマスレバ、五圓ト十圓トノ間ニ、殆
ド五十万人程ノ人ガアル譯デゴザイマスカラ、其五十万人中ニハ必ズ自家
用料酒ヲ造ル者ガ數〓アラウト思フ、サウシマスレバ、三十八万四千人ニ止ラ
ス、是ガ五十万トカ、六十万トカニ上ラナケレバナラナイ數デアル、然ルニ
今日マデノ有樣ニ依ッテ見マスレバ、其願出タ者ガ僅々九万何千人ト云フ、然
ラバ其皆後トハ〓酒ヲ買フテ飮ンデ居ルカ、或ハ又酒ノ稅ガ多ク掛ルガタメ
ニ止メテ居ルカト云フト、決シテサウデハナイ、其田舍ノ有樣ヲ見マスル
ト云フト却テ此稅法ノ改正以前ヨリモ、尙ホ酒ヲ飮ム者ガ多イト云フ有樣
ニナッテ居ル、畢竟卽チ是ガ密造者、卽チ脫稅者ノ多イガタメニ、却テ此願
出ル者モ少ク、又濁酒製造ナドモ思ノ外ニ賣レナイト云フ結果ヲ見テ居ルノ
デゴザイマス、斯ノ如キ有樣デゴザイマスカラシテ、卽チ此處ニ改正ヲ致シ
テ、サウシテ其一般ニ之ヲ許スト云フコトニナリマシタコトナラバ、十分是
ガ取締モ附クデゴザイマセウ、何故ナラバト云フト、卽チ營業者ニ對シテ
ハ收稅官吏ハ此家ニ就イテ檢査ヲナスコトヲ得ルト云フコトガゴザイマス
カラ、此法律ノ範圍外ニ置イタモノヲ、之ヲ範圍內ニ入レマシタコトナラ
バ十分ニ取締モ附イテ、所謂脫稅者、密造者ガナクナルデアラウト云フノ
ガ、卽チ此本案ヲ提出致シマシタ所ノ理由ノ一ツニナッテ居リマス、卽チ是
ガ漆間君ノ反對セラヽ所ノ第一ニ對シテノ御答デアル、辯駁デアル、ソレカ
ラ此收入ノ上ニ於テ、二百万トカ二百五十万トカ云フモノハ減ズルデアラウ
ト云フ御說ガゴザイマシタ、其二百万トカ二百五十万トカ云フ金ハ、ドウ云フ
處カラ御算出ニナリマシタノデゴザイマスルカ是ハ一向御示シガゴザイマ
セヌカラ分リマセヌガ、左樣ナ歲入ノ減額ニナラウト云フコトハ存ジモ寄
ラヌコトデアル、私ハ却テ此歲入ノ上ニ於テ、大イニ增額スルデアラウト思
フ、何故ナレバト云フト、唯今申述ベマシタルガ通、酒造稅ナルモノニ於キ
マシテハ〓酒屋ヘノ影響ハ甚ダ少イノミナラズ、所謂脫稅者ト云フモノ、
卽チ彼ノ密造者ナル者モ續々出テ、裏面ニ隱レテヤルノヲ、表面ニ現ハスト
云フ丈ノコトデゴザイマスカラシテ、寧ロ其自家用料稅ノ方ニ於テ增加シタ
丈ノモノハ全ク其增加スルモノデアラウト思フ、併シソラ少々ノ違ヒハゴ
ザイマスカ知レマセヌガ、多分ノコトハナカラウト思フ、凡ソ自家用ノ上ニ
於テ此改正ニナリマスレバソレダケ增加ヲ見ルカト云フト、是ハマア餘リ
細カニ述ベルモ諄ウゴザイマスカラ、ザット申シマスルガ、三十年度ノ豫算
高ニハ百十七万六千零九十六圓ト云フコトニナッテ居リマスケレドモ、私ノ
算出スル所デハ、凡ソ二百六万四千圓ト云フ金ニ上ルデアラウト思フ、サウ致
シマスルト、其比較ノ差ガ八十八万七千九百零四圓ト云フ、此自家用料酒稅ノ
上ニ於テ增加致スノデアル、デ縱令其〓酒ノ方ニ僅ニ影響スル所ガアリマシ
タ所デ、此八十八万七千九百圓餘ノ金ト、雙方差引致シマシタコトナラバ
決シテソレガタメニ收入ノ上ニ於テ減ズルナドト云フ樣ナコトハ萬々私ハ
ナイコトヽ信ズルノデアル(「討論終決」ト呼フ者アリ)斯ク私ノ考ハ今申述
ベマシタ通デアリマスケレドモ、尙ホ一ツ申上ゲテ置カナケレバナラヌコト
ハ此自家用抔ト云フモノハ、寧ロ止メテシマッタ方ガ宜シイトカ、或ハ政
府委員ノ田尻君ノ御話ニモ今日ノ時勢ニ於テ、斯ノ如キモノハ到底容レル
コトハ出來ヌトカ云フ、ヤウナ御話ガゴザリマシタ、其今日ノ時勢ニ於テ、
自家用料ト云フモノヲ、一般ニ許スコトノ出來ナイト云フコトハドウ云フ
御意見カラ出タノデアルカ、私ハ一向分リマセヌケレドモ、一體衣服トカ、
飮食トカ云フモノハソラモウ人間ノ必要缺クベカラザルモノデアッテ、是
ニ向ッテ制限ヲ加ヘルト云フヤウナコトハ維新前封建ノ世ニハ隨分アッタカ
モ知レマセヌガ、私ハ今日ノ時勢ニ於テ、却テ此衣服飮食等ニ向ッテ制限ヲ
置クト云フコトガ、卽チ却テ今日ノ時勢ニ適シナイコトデアラウト思フ、殊
ニ先刻來段々東北トカ、西南トカ云フ此攻擊ガゴザイマシタケレドモ、如何ニ
モ東北西南抔モ極寒ノ地、若クハ暑熱ノ地方ニ於キマシテ、僅ニ一椀ノ濁
酒、一杯ノ燒酎トカ云フモノニ依ッテ今日勞働者ガソレヲ樂ミニ、日夜營
營致シテ居リマシテ、又ソレナケレバ、到底其極寒ノ候ニ、其寒サヲ凌グコ
トガ出來ズ、燬クガ如キ炎熱ヲ凌グコトモ出來ナイノデアル、殊ニ先刻申述
ベマシタ通リ、山間僻地ノ人民ニ於キマシテハナカ〓〓〓酒ヲ買ッテ飮ムト
云フヤウナコトモ出來ナイサウ云フ地方ノ者ニ於テ、之ヲ禁制シマシテ、
折角終日ノ勞ヲ慰メントシテ居ル者ヲ、一椀ノ濁酒ヲ取上ゲテシマフト云フ
ヤウナコトハ詰リ地方ノ勞働者ヲシテ、勞働ニ堪エナイヤウニシテシマフ
ノデアル〔「簡單々々」ノ聲起ル)殘忍苛酷ノ議論ト言ハナケレバナラヌ(「モ
ウヨシ給ヘ」ト呼フ者アリ)私ハ極ク訥辯ダカラ長イコトハ申シマセヌ、委
員ノ修正ニ御贊成アランコトヲ希望シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=167
-
168・堀越寛介
○堀越寛介君(百一番) 反對ノ意見ヲ述ベタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=168
-
169・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 堀越寛介君
(「討論終結」「贊成々々」ノ聲超ル又「遣リ給ヘ遣リ給ヘ」ト呼フ者ア
リ
(堀越寛介君演壇ニ登ル)
(「討論終結ニ贊成ガアル」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=169
-
170・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 堀越君ニ許シテカラ、討論終結ガ出タノデス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=170
-
171・堀越寛介
○堀越寛介君(百一番) 大抵是ハ分ッテ居ルコトヽ思フ(「ソレナラ言ハナク
テモ宜イ」ト呼フ者アリ)無論自家用ニ制限ヲ附スベキモノデアル又一方
ニハ國家ガ酒造家ヲ保護シナケレバナラヌト云フコトハ諸君ハ御考デア
ん、ソレ故ニ私ハ喋々致シマセヌ(「討論終結」ノ聲起ル)私ガ出ル時ハ免角討
論終結トカ、何トカ云フコトガ出マスカラ、長クハ言ハヌ、ドウゾヘンテコ
ナル所ノ東北トカ、九州トカ云フ觀念デナク實際衆議院議員トシテ租稅ヲ
-法案ヲ議スル所ノ人ミノ位地ト云フ、公平ナル御考ヲ以テ、少數者ノ意
見ニ御贊成アランコトヲ願ヒ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=171
-
172・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 採決シマス、本案ノ二讀會ヲ開クベシトスル諸君ノ起
立ヲ求メマス
起立者発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=172
-
173・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 少數ト認メマス
(「多數々々」「異議アリ異議アリ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=173
-
174・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) モウ一遍坐ッテ戴イテ、反對ノ方ヲ採リマセウ
(守屋此助君「一遍議長ノ口カラ宣告シテカラハ一一度ハイケマセヌ」ト
呼フ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=174
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175・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 反對者ノ方ノ起立ヲ求メルノデス、二讀會ヲ開クベカ
ラズト云フ說ニ贊成ノ諸君ハ起立
起立者発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=175
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176・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 多數ト認メマス
(「異議ヲ申立テマス」「贊成々々」ノ聲起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=176
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177・草刈親明
○草刈親明君(百四十四番) 私ハ唯今ノ議長ノ宣告ニ對シテハ異議ヲ申立テ
マス多數ノ方ニモ、一方ノ少數ノ方ニモ兩方ニ異議ヲ申立テマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=177
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178・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 閉鎖投票ハ如何致シマスカ
(「早ク濟ム方法ガ宜イ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=178
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179・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) ソレデハ記名投票ニ致シマス-新ニ御注意シマス、
二讀會ヲ開クト云フ方ガ白、卽チ二讀會ヲ開クノガ贊成、二讀會ヲ開カヌト云
フノガ反對デ靑デス-氏名ヲ點呼シマス
〔町田書記官氏名ヲ點呼ス〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=179
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180・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 開鎖-投票ヲ〓檢シマス
〔書記官投票ノ數ヲ計算ス〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=180
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181・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 記名投票ノ結果ヲ報道致シマス
出席總數百零八
可トスル者五十四
否トスル者五十四
議長ハ正半數デアルカラ、憲法ニ依リマシテ可否ヲ決シマス、議長ハ二讀會
ヲ開クベカラザルモノト決シマス-今日ハ是デ散會シテハ如何デス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=181
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182・鳩山和夫
○議長(鳩山和夫君) 然ラバサウ致シマス、明日ノ日程ハ、書面ヲ以テ御通
知致シマス
午後四時五十六分〓會
〔參照〕
午後一時開議
第明治二十八年度豫備金支出ノ件(政府提出承諾ヲ委員長
求ムル件)(税込)
第二明治二十八年度ニ於テ國庫剩餘金ヲ以テ豫算超過及委員長
豫算外支出ノ件(政府提出承諾ヲ求ムル件)報〓
第三明治二十八年度特別會計豫備金支出ノ件(政府提出(電話番組)
承諾ヲ求ムル件)報〓
第四明治二十八年度特別會計歲入及資金ヲ以テ豫算超過(委員長
及豫算外支出ノ件(政府提出承諾ヲ求ムル件)報告
第五森林法案(政府提出)第一讀會ノ續委員長
報告
第六戎器火藥類取締法案(政府提出)第一讀會ノ續委員長
報告
第七關稅定率法案(政府提出)第一讀會ノ續(委員長
報〓
第八遠洋漁業奬勵法案(政府提出)第一讀會
第九右議案ノ審査ヲ付託スヘキ特別委員ノ選舉
第十生絲直輸出奬勵法案(政府提出)第一讀會
第十一右議案ノ審査ヲ付託スヘキ特別委員ノ選擧
第十二消防組法案(喜多川孝經君外二名提出)第一讀會
第十三特許意匠及商標登錄取消ノ審判期間ニ關スル第一讀會
法律案(元田肇君外四名提出)
第十四市制中東京市京都市大阪市ニ設ケタル特例廢第一讀會
止法律案(鳩山和夫君外四名提出)
第十五市制中追加法律案(鳩山和夫君外四名提出)第一讀會
第十六東京市制案(肥塚龍君外三名提出)第一讀會
第十七千代田縣設置法律案(肥塚龍君外三名提出)第一讀會
第十八東京市及千代田縣違帶支辨ノ費用ニ關スル法第一讀會
律案(肥塚龍君外三名提出)
警察費ニ對スル國庫下渡金ノ規定ヲ東京市及
第十九千代田縣ノ警察費用ニ適用スル法律案(肥塚第一讀會
龍君外三名提出)
市町村立小學校〓員年功加俸國庫補助法中追第一讀會
第二十加法律案(柏田盛文君外三名提出)
第二十一醫士法案(中島又五郞君外三名提出)第一讀會
商事會社合併竝組織變更法案(前川槇造君第一讀會
第二十二外二名提出)
衆議院議事速記錄第二十四號正誤
頁段行誤正頁段行誤正
三九八下一九豫テ兼テ三九九上一五或國我國発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001013242X02518970315&spkNum=182
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