1. 会議録本文
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000・会議録情報
明治三十五年三月九日（日曜日）午前十時十五分開議
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議事日程 第二十八號 明治三十五年三月九日
午前十時開議
第一 農工銀行法中改正法律案（本院提出貴族院囘付）
第二 日本勸業銀行法中改正法律案（本院提出貴族院囘付）
第三 輸入原料砂糖戻税法案（本院提出貴族院囘付）
第四 第二期鐵道豫定線路中比較線路調査に關する建議案（武石敬治提出） （委員長報告）
第五 普通教育教科書中憲政の要旨編入の建議案（根本正外二名提出） （委員長報告）
第六 家祿處分に關する建議案（恒松隆慶提出）
第七 （特別報告第四十號）下總國小金佐倉十牧開墾地に關する請願 （委員長報告）
第八 （特別報告第四十一號）神戸小樽間定期航復舊の請願外三件 （委員長報告）
第九 （特別報告第四十二號）清國河湖航運業擴張の請願 （委員長報告）
第十 （特別報告第四十三號）下の關開港區域擴張の請願 （委員長報告）
第十一 （特別報告第四十四號）廢絶家相續人財産取得に關し民法及民法施行法修正の請願 （委員長報告）
第十二 （特別報告第四十五號）區裁判所出張所設置の請願 （委員長報告）
第十三 （特別報告第四十六號）岐阜縣可兒郡兼山町電信支局設置の請願 （委員長報告）
第十四 （特別報告第四十七號）郵便局設置の請願 （委員長報告）
第十五 （特別報告第四十八號）波積郵便局開設の請願 （委員長報告）
第十六 （特別報告第四十九號）開港外の貿易港設置の請願 （委員長報告）
第十七 （特別報告第五十號）肺結核及癩病豫防法制定の請願 （委員長報告）
第十八 （特別報告第五十一號）電信開設の請願 （委員長報告）
第十九 （特別報告第五十二號）鐵道線路延長の請願 （委員長報告）
第二十 （特別報告第五十三號）監獄支署新設の請願 （委員長報告）
第二十一 （特別報告第五十四號）電信局設置の請願 （委員長報告）
第二十二 （特別報告第五十五號）墨俣電信局設置の請願 （委員長報告）
第二十三 （特別報告第五十六號）島根縣飯石郡來島村三日市に郵便局開設の請願 （委員長報告）
第二十四 （特別報告第五十七號）電信局設置の請願 （委員長報告）
第二十五 （特別報告第五十八號）區裁判所設置の請願 （委員長報告）
第二十六 （特別報告第五十九號）大日本高砂合資會社の製紙より生する毒水被害救護の請願 （委員長報告）
第二十七 （特別報告第六十號）太陽暦を全國に實行するの請願 （委員長報告）
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001・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 諸般ノ報告ヲ致シマス、其報告中ニ政府ヨリ答辯書ガ
澤山參ッテ居リマスガ、是ヲ讀上ゲマスルト時間ガ掛リマスカラ、例ニ依リマ
シテ速記錄ニ載セマス
〔書記朗讀〕
齒科醫養成ニ關スル質問ニ對シ菊池文部大臣ヨリ、〓國米穀輸出解禁ニ關
スル質問ニ對シ曾禰大藏小村外務兩大臣ヨリ、東京市政ニ關スル質問ニ對
シ內海內務大臣ヨリ、別子銅山煙害事件ニ關スル質問ニ對シ平田農商務大
臣ヨリ、小金原開墾ニ關スル質問ニ對シ內海內務曾禰大藏兩大臣ヨリ
國ニ於ケル米作ニ關スル質問ニ對シ平田農商務大臣ヨリ足尾銅山鑛毒
ニ關スル質問ニ對シ內海內務平田農商務曾禰大藏三大臣ヨリ左ノ答辯アリ
貴族院ヨリ左ノ本院提出案ヲ囘付セラレタリ
農工銀行法中改正法律案
日本勸業銀行法中改正法律案
議員ヨリ左ノ議案ヲ提出セラレタリ
家祿處分ニ關スル建議案
提出者恆松隆慶君
菅野善右衞門君ヨリ箒川列車〓援殺傷ノ事件ニ關シ及日本鐵道株式會社鐵
道ノ火付人殺シ事件ニ關シ再質問主意書ヲ提出セラレタリ
委員長理事左ノ通當選セラレタリ
權限裁判法案
委員長石黒涵一郞君理事木村格之輔君
第二期鐵道豫定線路中比較線路調査ニ關スル建議案
委員長西谷金藏君理事伊藤直純君
電報直配達區域擴張ニ關スル建議案
委員長井上信八君理事星野甚右衞門君
〔左ノ答辯書及質問書ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ茲ニ揭載ス〕
衆議院議員鈴木萬次郞君外一名提出齒科醫養成ニ關スル質問ニ對シ別紙文
部大臣答辯書及御囘付候也
明治三十五年三月八日內閣總理大臣伯爵桂太郞
衆議院議長片岡健吉殿
(別紙)
衆議院議員鈴木萬次郞君外一名提出齒科醫養成ニ關スル質問ニ對ス
ル答辯書
一政府ハ齒科醫ノ養成ヲ不必要ナリト認メス
二齒科ニ關スル專修ノ學校ヲ設置スヘキヤ否ヤハ目下調査中ニ屬ス
三前項ノ次第ナルヲ以テ其時期ハ明言シ難シ
右及答辯候也
明治三十五年三月七日文部大臣理學博士男爵菊池大麓
衆議院議員大岡育造君提出〓國米穀輸出解禁ニ關スル質問ニ對シ別紙大藏
外務兩大臣答辯書及御囘付候也
明治三十五年三月八日内閣總理大臣伯爵桂太郞
衆議院議長片岡健吉殿
(別紙)
衆議院議員大岡育造君提出ノ〓國米穀輸出解禁ニ關スル質問書ニ對
スル答辯書
質問ノ事項ニ關シテハ目下政府ニ於テ審議中ナルヲ以テ未タ答辯ヲ爲スノ
場合ニ至ラス
右及答辯候也
明治三十五年三月四日外務大臣男爵小村壽太郞
大藏大臣男爵曾禰荒助
衆議院議員星松三郞君提出東京市政ニ關スル質問ニ對シ別紙内務大臣答辯
書及御囘付候也
明治三十五年三月八日内閣總理大臣伯爵桂太郞
衆議屍議長片岡健吉殿
(別紙)
衆議院議員星松三郞君提出東京市政ニ關スル質問ニ對スル答辯書
一內務大臣ハ法令ノ範圍內ニ於テ常ニ相當ノ監督ヲ怠ラス
二內務大臣ハ東京市政ノ現況ニ徵シ其紊亂ト目スヘキ程ノ事實ヲ認メス
右及答辯候也
明治三十五年三月七日內務大臣男爵內海忠勝
衆議院議員鈴木重遠君外六名提出別子銅山煙害事件ニ關スル質問ニ對シ別
紙農商務大臣答辯書及御囘付候也
明治三十五年三月八日內閣總理大臣伯爵桂太郞
衆議院議長片岡健吉殿
(別紙)
衆議院議員鈴木重遠君外六名提出別子銅山煙害事件ニ關スル質問ニ
對スル答辯書
第一項愛媛縣新居郡別子鑛山所有主住友吉左衞門カ其ノ附屬製煉所ヲ愛
媛縣越智郡宮窪村大字友浦字三之島字家之島(四坂島中ノ二島)ニ建設ス
ルノ計畫ヲ定メ大阪鑛山監督署長ニ願出テタルハ明治二十八年十二月二
日ニシテ其願書寫左ノ如シ
銅鑛製煉場建設ノ儀ニ付願
大阪市南區續谷東之町三十六番屋敷住友吉左衞門
部理代理人伊豫國宇摩郡別子山村
伊庭貞剛
愛媛縣下伊豫國越智郡宮窪村大字友浦字三ノ島字家ノ島
一製鑛場坪數十万七千一一百六十四坪
右私借區開坑罷在候別子鑛山所屬製煉所ノ儀ハ曩ニ明治十七年五月御
聽許ヲ得縣下新居郡新居濱村字惣右衞門新田ニ建設營業罷在候得共爾
來事業上年ヲ逐フテ擴張シ施業用地漸ク狭隘ニ至リ不便不尠仍テ前記
私所有地ニシテ海中ニ存在スル總種四阪島之內圖面朱書二字之島岐ヲ
開發シ更ニ製煉場ヲ建設仕度何卒速ヤカニ蒙御裁可度則別紙圖面相添
ヘ此段奉願候也
右住友吉左衞門部理代理人
明治二十八年十二月二日伊庭貞剛
村長矢野延能代理
明治二十八年十二月二日越智郡宮窪村助役矢野正夫
農商務大臣子爵榎本武揚殿
(圖面略)
右ニ對シ大阪鑛山監督署長ハ地方廳ト交涉ノ末翌明治二十九年十二月二
十五日其建設ヲ認可シ直チニ四阪島製煉所開設ノ工事ニ著手シタリ
前段製煉所建設認可ノ前後ニ於テ附近村民ヨリ數度煙害ニ關スル陳情ア
リタルヲ以テ屢〓鑛山監督署及農事試驗場ノ吏員ヲシテ實地ヲ調査セシ
メタルニ村民ノ主張スルカ如キ影響ナキモ其被害ノ幾分ハ鑛煙ニ原因ス
ルモノト認メタルヲ以テ三十一年五月十八日大阪監督長ハ鑛業人ニ對シ
亞硫酸瓦斯ヲ噴出スヘキ煙突ノ改造ヲ命シタリ而シテ鑛業人カ既ニ認可
ヲ得テ其ノ建設中ニカヽル四阪島製煉所ノ竣功スルニ至テハ煙害ニ關ス
ル苦情ハ自ラ消滅スヘキ筋合ナレハ右命令書中「四阪島ヘ製煉所移轉ノ
儀ハ可成的迅速ニ實行スル樣務ムヘシ」トノ一項ヲ加ヘタルモ命令書ノ
本體トモ謂フヘキハ第一一項以下第八項ニ於テ或ハ生鑛ノ焙燒ヲ禁シ或ハ
煙突ノ高サヲ增サシメ或ハ燒鍛窯ヲ改築セシムル等ニ在リテ此等ノ命
令ハ其ノ後速ニ竣功シタリ
然ルニ翌三十二年八月ニ至リ別子鑛山ニ於テ未曾有ノ災害ヲ生シ鑛山就
業者殆ント七百名ヲ失フノ慘害ヲ生シタリ而シテ其原因ハ天災ニアリト
スルモ又タ海拔三千餘尺ノ險峻ナル谿谷間ニ多數ノ住宅ヲ建設シタルハ
此不幸ヲ見ルニ至リタルノ遠因ト認メタルヲ以テ善後處分ノ第一著トシ
テ出來得ル限リ鑛山ノ住民ヲ減シ採鑛業ニ直接關係アリテ鑛山ニ住居ス
ルノ已ムヲ得サル者ニ限リ安全ナル位置ヲ定メテ居住セシムルノ方針ヲ
採リタリ而シテ四阪島製煉所建設ノ事業ノ竣工スルニ至レハ之ニ隨伴シ
テ鑛山ノ多數居住民ヲ移轉セシムルコトヽナルヲ以テ右竣功期限ヲ本年
十二月三十一日マテニ指定シタリ
越エテ三十三年ノ秋ニ至リ鑛業人ハ世界ノ最新式トモ云フヘキ生鑛吹製
煉法ナル製煉法ノ試驗ヲ始メ其ノ成績大ニ見ルヘキモノアルヲ認メタル
ノミナラス更ニ技師ヲ濠洲ニ派遣スル等鄭重ナル試驗ヲ重ネツヽアリテ
其ノ成功ヲ確メタル上ハ目下建設中ニカヽル製煉場ノ構造ヲ變改セサル
ヲ得サルヲ以テ明治三十四年六月十九日竣功期限ノ延期ヲ願出テタリ右
ハ鑛業ノ發達上裨益スル所尠カラサルモノト認メタルヲ以テ尙ホ二年ノ
延期ヲ與ヘタルモノナリ
第二項及第三項ノ質問ニカヽル鑛山局長ノ被害民總代ニ對スル陳辯ハ要ス
ルニ前項ノ趣旨ヲ陳述シタルニ過キサルモノナリ
右及答辯候也
明治三十五年三月八日農商務大臣男爵平田東助
衆議院議員高津雅雄君外四名提出小金原開墾ニ關スル質問ニ對シ別紙內務
大藏兩大臣答辯書及御囘付候也
明治三十五年三月八日內閣總理大臣伯爵桂太郞
衆議院議長片岡健吉殿
(別紙)
衆議院議員高津雅雄君外四名提出ニ係ル小金原開墾ニ關スル質問ニ
對スル答辯書
(一)開墾授產事業終局ノ處分ヲ爲シタルハ明治五年五月ニシテ東京府ニ於
テ開墾局出張所ニ通シ開墾會社及東京窮民ヨリ請書ヲ徵シ以テ其處分
ヲ了シタリ此處分ハ開墾授產ノ事業ヲ中途ニシテ廢絕セサルヘカラサ
ルニ至リシニ依ルモノナルヲ以テ開墾規則ニ依ルヘカラサルナリ
(二)東京窮民ハ開墾會社解散ノ當時マテ割渡サレタル一戶五段五畝步ノ土
地ヲ悉ク開墾シ得タルハ稀ニシテ規定ノ土地ヲ開墾シタルモノニハ褒
美地トシテ增地ヲ與ヘタルモ其他以外ニ開墾シタルモノアリシト認メ
難シ又自費開墾民ナルモノハ其存在ノ明確ナルモノヲ認ムルニ由ナシ
(三)開墾地ハ開墾會社創設ノ當時會社ニ預任シ明治五年五月會社解散ノ際
東京窮民ニ割渡シタル以外ノ土地ヲ會社ニ付與セリ之レ開墾授產事業
ヲ廢止シタル特別處分ニ出テタルモノニシテ開墾規則ニ依リタルニア
ラス
(四)東京窮民ニ付與シタル以外ノ土地カ會社員ノ所有ニ歸シタルハ前述ノ
如シ東京府及千葉縣廳カ其下付ノ年月ヲ明治二年ニ在リト思料シタル
ハ預任地トシテ下渡シタルモノヲ認メテ下付セシモノナリト信シタル
モノヽ如シ後千葉縣廳カ其解釋ヲ改メタリトノ故ヲ以テ處分未濟ナリ
ト云フヲ得ス
(五)舊印旛縣ニ於テハ明治六年開墾地人民ヨリ地券明細帳ヲ提出シタルヲ
以テ之ヲ調査シ地券狀ヲ調製シタルニ同年六月十五日印旛縣ヲ廢シ千
葉縣ヲ置カレタリ依テ千葉縣ハ舊印旛縣ヨリ其引繼ヲ受ケ印旛縣調製
ニ係ル小金牧ニ屬スル地劵狀ヲ明治九年ニ至リ各所有者ニ下付セリ又
佐倉牧ニ屬スル地券狀ハ小金牧ト同シク明細帳ヲ徵シ之カ調査ヲ遂ケ
明治十三年ニ至リ調製授與シタルモノニシテ孰レモ開墾地人民ヨリ提
出シタル明細帳ニ基ツキ地劵狀調製授與ノ手續ヲ爲シタルモノナリ
(六)地劵狀ノ段別ハ別ニ實地ノ丈量ヲ爲サス持主ノ提出ニ係ル地券明細帳
ニ記載シタル段別ニ依ルコト當時ノ取扱例ナリシヲ以テ本質問ノ土地
ニ關シテモ此取扱例ニ依リタリ政府ハ此措置ヲ相當ト認ム
(七)質問書記載ノ土地ハ既ニ所有者ノ存在スルアリ政府ハ新ニ之ヲ整理ス
ルノ必要ヲ認メス
(八)開墾鍬下年期明ノトキハ地價修正ヲ爲スコトヲ要シ地價修正ニ當リテ
ハ地盤ノ丈量ヲ必要トス是レ共ニ地租條例ノ規定スルトコロナリ而シ
テ地盤ヲ丈量スルニハ其基〓ナカルヘカラス依テ政府ハ地價修正ヲ爲
スニ當リ占有者ノ現ニ占有スルトコロニ依リテ基〓ヲ定メ地盤丈量ヲ
執行シタルモノニシテ適法ノ處分ナリト認ム
(九)本項ノ如キ事實アルヲ認メス
(十)政府ハ未タ本項ノ如キ事實アルヲ認メス假令是アリトスルモ右ハ私人
所有權ノ關係ニ屬スルヲ以テ答辯スルニ由ナシ
(十一)事實ニ就クニアラサレハ答辯スルヲ得ス
(十二)地價修正地盤丈量ヲ爲スニ當リ本項ノ如キ所屬未定地アリタルヲ認
メス
右及答辯候也
明治三十五年三月七日內務大臣男爵内海忠勝
大藏大臣男爵曾禰荒助
衆議院議員福田久松君提出米國ニ於ケル米作ニ關スル質問ニ對シ別紙農商
務大臣答辯書及御囘付候也
明治三十五年三月八日內閣總理大臣伯爵桂太郞
衆議院議長片岡健吉殿
(別紙)
衆議院議員福田久松君提出米國ニ於ケル稻作ニ關スル質問ニ對スル答
辯書
北米合衆國ニ於ケル稻作成績ニ關スル詳細ノ事實ハ目下調査中ニ屬ス
右及答辯候也
明治三十五年三月八日農商務大臣男爵平田東助
衆議院議員箕浦勝人君外四名提出足尾銅山鑛毒ニ關スル質問ニ對シ別紙內
務農商務大藏三大臣答辯書及御囘付候也
明治三十五年三月八日內閣總理大臣伯爵桂太郞
衆議院議長片岡健吉殿
(別紙)
衆議院議員箕浦勝人君外四名ヨリ提出ノ足尾銅山鑛毒ニ關スル質問
ニ對スル答辯書
第一明治三十年五月ノ命令ニ基ケル足尾銅山除害設備ノ完全ナルヤ否ヤ
近々委員會ヲ設ケテ調査セシムル筈ナリ尤モ鑛業人ハ右命令以後懈怠
ナク之ヲ運用シツヽアルモノト認ム其ノ詳細ナル事項ハ左記各號ニ依
リ知悉スルヲ得ヘシ
各沈澱池濾過池ニ依リテ除害處分ヲ要スル坑水撰鑛水及脫硫塔廢
水ノ平水量及最高水量ハ左ノ如シ
(甲)一時間ノ平水量(三十年五月豫防命令以後ノ總平均數量)
)
イ本山方面
坑水二千立方尺
撰鑛用〓水六千五百立方尺
脫硫塔廢水三千五百立方尺
合計一万二千立方尺
(ロ)小瀧方面
坑水一千六百立方尺
撰鑛用〓水七千二百立方尺
合計八千八百立方尺
(ハ)通洞方面
坑水九千立方尺
撰鑛用〓水六千立方尺
合計一万五千立方尺
(2)一時間ノ最高水量(豫防命令以後)
(イ本山方面
坑水(撰鑛ニ供スル分共)一万二千二百〇四立方尺
脫硫塔廢水四千八百立方尺
合計一万七千〇〇四立方尺
(ロ)小瀧方面
坑水一千九百九十八立方尺
撰鑛用〓水六千八百〇二立方尺
合計八千八百立方尺
ハ)通洞方面
(
坑水一万二千五百六十立方尺
撰鑛用〓水七千立方尺
合計一万九千五百六十立方尺
二(甲)現今設備ノ掛樋ノ大サ及其ノ容量次ノ如シ
(イ本山方面ノ掛樋ハ斷面積二、七七平方尺(幅一尺九寸一分、深
一尺四寸五分)ヲ有ス而シテ樋中流水ノ平均速度ハ一分間二
百六十四尺ナレハ樋ニ容ルヘキ最大水量ハ一分間七百三十一
立方尺トナル割合ニシテ平水量ニ對シテハ約三、六倍ノ容量
ヲ有シ最高水量時ニ在テモ尙ホ一一、六倍ノ呑吐容積ヲ有スル
ヲ以テ敢テ溢流ノ虞アルコトナシ
(ロ)小瀧方面ノ掛樋ハ斷面積四、五二平方尺(幅二尺二寸、深一尺
六寸)ノ部分ト斷面積一、九五平方尺(幅一尺五寸、深一尺三
寸)ノ部分トヨリ成ル而シテ樋中流水ノ平均速度ハ大樋中ニ
在リテ一分間約百二十尺ナレハ其ノ容水量ハ約五百四十二立
方尺トナリ小樋中ニ在リテハ其ノ速度一分間約二百八十尺ナ
レハ其ノ容水量ハ約五百四十六立方尺トナリ共ニ平水量時及
ヒ最高水量時ノ約四倍ノ呑吐容積ヲ有シ決シテ危險ノ虞アル
ヲ認メス
(ハ)通洞方面ノ掛樋ハ斷面積五、三平方尺(幅三尺五寸、深一尺八
寸)ニシテ樋中流水ノ平均速度ハ一分間約百八十尺ナルヲ以
テ其ノ容水量ハ約九百五十四立方尺ノ割合ニシテ平水量ノ約
四倍最高水量ノ約二倍ノ呑吐容積ヲ有シ決シテ溢流ノ虞アル
ヲ認メス
(乙)沈澱池及濾過池ハ別紙甲號表ニ示スカ如ク其容積ハ最高水量ニ
在テモ本山及通洞ニ於テハ共ニ約十五時間小瀧ニ於テハ約三十
時間分ノ水量ヲ容ルヽニ足レリ而シテ是等ノ廢水カ沈澱池ニ入
リテ濾過池ヨリ放流セラルヽニ要スル時間ハ六時間乃至八時間
ナルヲ以テ各沈澱池及濾過池ハ最高水量時ニ於テモ決シテ溢流
等ノ虞ナキコトヲ證スルニ足ル尤モ沈澱池ニ在リテハ各號交代
ニ每月一囘凡二日間濾過池ニ在リテハ七日乃至十日每ニ一囘凡
三日間浚渫ノ爲メ休止スルコトアルモ之カ爲ニ容積ヲ減スルコ
ト極メテ少量ニシテ上述ノ貯水ニ耐フヘキ時間ヲ變更スルニ至
ラス
三沈澱池及濾過池ハ嚴冬ニ際シテ結氷スルコトアルモ水ノ出入口ニ
於テハ水勢ノ爲ニ攪拌セラルヽヲ以テ曾テ氷結シタルコトナシ從
テ廢水氷上ヲ溢流シ引イテ氾濫ヲ來スカ如キ憂更ニ之レナシ思フ
ニ普通人ノ注目ヲ惹キタルコトアリトスレハ右ハ浚渫ノ爲ニ廢水
ノ引入ヲ停止セル沈澱池若クハ濾過池ニシテ是等エ著シキ結氷ア
ルハ瀦水ノ狀態ニアルカ故ニシテ除害作用ニ何等ノ關係ナキモノ
トス
四豫防命令書第十項ニハ沈澱池及濾過池ハ交替使用ヲ爲スヘキコト
ヲ記載セリ而シテ各方面ニ於ケル沈澱池及濾過池ハ別紙甲號表ニ
列記スルカ如ク數多ニシテ是等ノ交替ノ使用及各部ノ必要ニ應シ
一定時ニ浚渫ヲ爲スノ操業ハ豫防工事以後現時ニ至ル迄實施スル
處ニシテ嘗テ怠ルコトナシ加之鑛業人ハ豫防命令ノ趣旨ニ遵ヒ沈
澱池濾過池ノ外更ニ砂集器及乾泥池ヲ設ケテ沈澱池濾過池ノ效率
ヲ高ムルニ勉メツヽアリ除害作用ニ妨クル處ナキハ明白ナル事實
ナリ
五豫防命令第五項ニ依リ本山及小瀧ニ於ケル上層ノ沈澱池ニ限リ降
雨ヲ防クカ爲メ屋根ヲ設ケシムル設計ナリシモ沈澱池ニ降下スヘ
キ雨量ハ廢水量ニ比シテ甚タ微量ナリ現ニ足尾ニ於ケル三十四年
中ノ平均二十四時間ノ降雨量ハ四、六粍ニシテ足尾測候所設置以來
ノ最大雨量(三十三年八月十九日)ニ在リテモ一〇六、一粍ニ過キ
ス例セハ最大雨量ノ時ニ於テ間藤第一號沈澱池ニ降下スル二十四
〓問ノ總雨量ハ二千五百二十立方尺ニシテ之ヲ同時間內ニ注入ス
キ最高廢水量四十万八千九十六立方尺ニ比スレハ僅ニ千分ノ六
餘ニ過キス此等ノ事實明白ナルヲ以テ命令以後ノ新設又ハ改築ニ
係ル上層沈澱池ニハ屋根ヲ設ケシメス又同上ノ理由ニ基キ最初ヨ
リ下層沈澱池ニ於テモ屋根ヲ設クルノ必要ヲ認メサリシモノナリ
六鑛水流通ノ木樋屢、く破壞スルカ如キ事實ハ之アルヲ認メス若シ夫
レ用材ノ繼目又ハ木質ヲ通シテ滲出スル微量ナル漏水ニ至リテハ
發見每ニ卽時修繕スルヲ怠ラス
七小瀧沈澱池附屬ノ木樋ハ嘗テ流失シタル沈澱池ト同一ノ場所ニ設
置セラレタルニアラスシテ舊沈澱池跡ヲ距ル三十尺以上ノ高位置
ニ架設セルモノナリ且ツ三十年ノ大洪水ニ際シテハ附近石垣ノ破壞
ヨリ延テ沈澱池ノ流失ヲ招キシモノナルヲ以テ改築工事後ハ前例
ニ鑑ミ充分堅固ニ築造セシメタルヲ以テ向後安全ナルモノト信ス
八降雨ニ際シ沈澱池濾過池砂集器及乾泥池ニ直接ニ雨水ノ降下スル
ハ事實ナリト雖モ此等ノ雨滴ヲ除キテハ沈澱池濾過池等ニ雨水ノ
流入スル事實アルヲ認メス而シテ雨滴ノ爲メニ生スル水量ノ增加
ハ鑛水ノ量ニ比スレハ誠ニ微量ナルコト第五號ニ述ヘタルカ如シ
九通詞ノ坑水ニハ石灰ノ器械的ニ注入攪拌ヲ實行シ居レリ又通洞撰
鑛所ニ於テハ撰鑛ニ〓水ノミヲ用ヒ居ルヲ以テ撰鑛廢水ノ含有ス
ル銅分ハ坑水及〓水ヲ撰鑛ニ併用スル本山及小瀧撰鑛所ノ廢水ヨ
リモ其ノ量遙ニ少キニモ拘ラス撰鑛所側ナル二箇沈澱池ヲ通過セ
シメ更ニ中才上段沈澱池ヲ通過セシメタル後其ノ廢水ハ前段ノ器
械的注入攪拌ニ依リテ過剩ノ石灰ヲ含有スル坑水ト合シテ更ニ下
段沈澱池ニ注入スルモノナリ而シテ以上ノ如ク坑水ト合シタル後
撰鑛廢水ハ樋內ニ於テ自然的攪拌ヲ受ケ沈澱池ヨリ濾過池ニ至テ
放流セラル之ヲ要スルニ本山及小瀧ニ於テハ撰鑛水及坑水ハ合流
ノ後石灰注入攪拌ヲ受ケ通洞ニ於テハ坑水ニノミ石灰ノ注入攪拌
ヲナシ撰鑛水ヲシテ之ニ合セシムルノ差アルノミニシテ濾過池放
水分析成績ニヨレハ此等ノ方法ハ等シク有效ナルモノトス
十石灰ノ注入攪拌ハ同一種ノ鑛水ニ對シテハ其ノ水量ニ應シ投入石
灰量ニ增減アルヘキハ勿論ナルヘキモ各方面廢水ノ種類既ニ異ナ
ル以上ハ各其ノ性質ニ適應スヘキ程度ニ於テ石灰ノ投入量ヲ增減
スヘク徒ラニ水量ニノミ拘泥ヘキニアラス而シテ投入石灰ノ量ハ
濾過池ノ放水ニ對スル一時間一囘宛ノ試驗ノ結果ニ依リ增減セ
シムルモノニシテ歸スル處ハ除害ノ效ヲ收ムルニ於テ遺憾ナシ
トス
十一豫防工事完成後各濾過池放水及渡良瀨河水中全ク銅分其ノ他有
害分子ナキニアラス然レトモ每日一囘宛ノ分析試驗ニ依リ得タル
結果ヲ見ルニ其ノ量タルヤ別紙乙號表ニ示ス如ク極メテ微量ナリ
十二舊廢坑、錢捨石、鑛滓等ヲ委棄シテ苟モ有害物ヲ排出スヘキ
虞アル場所ニ於テハ豫防命令ニ依リテ夫々處理ヲ了シタルヲ以テ
現在ニ於テ質問ノ如キ事實アルヲ認メス
十三豫防命令書ニ記載セル脫硫塔工事タルヤ舊來ノ各煙突ヲ煙道ヲ
以テ連絡シ背後ノ山上ニ至ルノ間ニ於テ完全ナル脫硫裝置ヲ爲サ
シメ尙之ヲ項上ノ指定地ニ導キ八十尺以上ノ煙突ヲ建設セシムル
ニアリタリ然ルニ時ノ農商務大臣ハ脫硫法ヲ實施セシムルニ加フ
ルニ遠距離ノ山巓ニ煤煙ヲ放散セシムルコトハ豫防法ノ重複ニ歸
スルノ憾アリ且ツ旣ニ落成シタル煙突ノ高サハ從前ノ煙突ニ比ス
レハ塔ノ高サヲ加ヘテ高キコト殆ント二百尺ニシテ脫硫法完全ナ
ラハ亞硫酸亞砒酸ノ如キ毒分ヲ發散スルノ虞ナシトシ工事中止ノ
件ヲ認可シタリ故ニ現今ノ脫硫塔ニ附屬スル煙突ノ高サハ命令ニ
指定セルモノニアラス而シテ之カ爲メニ特種ノ障害アルヲ認メス
十四脫硫塔ノ脫硫作用ハ三十二年四月以前ニ在リテハ隨時其效率ヲ
檢定シタルモ三十二年五月以來ハ每日十囘宛ノ分析試驗ヲ施シ居
レリ依テ得タル結果ハ別紙丙號表ニ詳記スルカ如シ
十五脫硫塔設置以來銅山各方面ニ散逸セル煙ハ悉ク之ヲ一箇所ニ集
ムルヲ以テ脫硫塔附近ノ外凡テノ煙害區域ヲ減少セリ而シテ脫硫
ニ依有害瓦斯ノ從前ヨリ稀薄トナリタルコトハ亦事實ナルヲ以テ
其結果附近山野ニ於テ新ニ蔬菜矮草竹類等ノ茂生スルヲ見ルニ至
レリ
十六各堆積場ハ平時ニ於テ安全ナルハ勿論明治三十一年九月ノ大洪
水ニ於ケル最高水〓ヨリ左ニ示セルノ高位置ニ在ルヲ以テ決シテ
流失ノ虞アルコトナシ
尺尺
砂形五、三京子內六二、四
高原木八二、八宇都野三一、四
新梨子五三、二廣道地一二、四
交象六四、四
前揭砂形堆積場ハ他ノ堆積場ニ比シテ低位置ニアルカ故ニ豫防命
令實施ニ際シテハ殊ニ注意ヲ用ヒ平水面以下十六尺ヲ掘下ケテ根
石ヲ据附ケ石垣ヲ築キ水面以上十二尺ノ高サニ至ラシメタルノミ
ナラス該地ノ地形ハ水流ニ竝行スルヲ以テ旁、≧決潰等ノ虞アルコ
トナシ
十七宇都野堆積場ハ道路及鐵道線路ノ東方山麓ニ在リ而シテ道路及
線路ヲ隔テヽ其西方ニ在ル銀山川ノ最高水〓ヨリ三十一尺四寸ノ
高位置ヲ占ムルカ故ニ此堆積場ハ決シテ不適當ノ場所ニアラス
十八(甲)平均一箇月錢捨石泥渣及先砂ノ數量左ノ如シ
イ鍛ハ現今本山方面ニ於テノミ生スルモノニシテ約八万四千八百五
十一立方尺ナリトス
〓捨拾ハ各方面ヲ通シテ約四十一万七千〇三十九立方尺五六六ニ
(
シテ之ヲ細別スレハ左ノ如シ
立方尺
本山方面四四、三八四、五〇〇
小瀧方面一五四、五五九、一五八
通洞方面一一八、〇九五、九〇八
計四一七、〇三九、五六六
(ハ)泥渣ハ各方面ヲ通シテ約十二万七千七百四十二立方尺ニシテ之
ヲ細別スレハ左ノ如シ
立方尺
本山方面五一、七九六、〇〇〇
小瀧方面一五、一三三、〇〇〇
通洞方面六〇、八一三、〇〇〇
計一二七、七四二、〇
(ニ)先砂ハ本山及小瀧ノ兩方面ヨリ生シ約二万四千四百四十五立方
尺八三二ニシテ之ヲ細別スレハ左ノ如シ
立方尺
本山方面一四、一八〇、六六六
小瀧方面〇、二六五、一六六
計二四、四四五、八三二
)
右(イ)(ロ)(ハ(ニ)總計六十五万四千〇七ナル立方尺三九八
(乙)豫防工事以後昨三十四年九月迄ニ堆積シタル數量ハ左ノ如シ
所別緩石廢石泥渣及先砂
立方尺立方尺
京子內一、〇五一、七一二、〇〇〇二、三九一一二〇、〇〇〇
高原木一、一二一、四八八、〇〇〇二、〇九九、七五〇、〇〇〇
砂形三、九一三、二六〇、〇〇〇
文象四、〇八五、三一一、〇〇〇
立方尺
新梨子二、〇七五、九五九、〇〇〇
宇都野一、一一六、六一八、〇〇〇
合計二、一七三、二〇〇、〇〇〇一二、四八九、四四一、〇〇〇三、二三六、五七七、〇〇〇
(丙)前表各堆積場中京子內ハ既ニ埋塡シ終リテ將來之ヲ使用スヘキ
餘地ナシ其他ノ堆積場ニアリテハ將來堆積シ得ヘキ容量左ノ如シ
位置所名堆積場容積現堆積量將來堆積シ得ル容積
立方尺立方尺立方尺
本山方面高原木一三、一二八、四八〇、:三二三、二三八、〇〇〇九、九〇七、二四二、〇〇〇
通洞方面砂形五、三九大、九七六、〇〇〇三、九一三、二六〇、〇〇〇一、四八三、七一六、〇〇〇
同上新梨子一三、九九三、九九二、〇〇〇二、〇七五、九五九、〇〇〇一一、九一八、〇三三、〇〇〇
同上向通洞二、二六七、一三六、〇〇〇二、二六七、一三六、〇〇〇
小瀧方面文象一九、〇三九、三二〇、〇〇〇四、〇八五、三一〇、〇〇〇一四、九五四、〇〇九、〇〇〇
同上宇都野四、九二八、二五六、〇〇〇一、一六〇、六一八、〇〇〇三、七六七、六三八、〇〇〇
計五八、七五四、一六〇、〇〇〇一四、四五六、三八六、〇〇〇四四、二九七、七七四、〇〇〇
右將來堆積シ得ヘキ容積ヲ各方面ノ銭、捨石、泥渣及先砂ノ數量ニ對
比スレハ其堆積年月ハ左ノ如クナルへ
錢捨石泥渣先砂言堆積場空積使用年月
立方尺立方尺立方尺
本山方面八四、八五一、〇〇〇一四四、三八四、〇〇〇一四、一八〇、大夫六二四三、四一六、一六六九、九〇七、二四二、〇〇〇三年四箇月餘
小瀧方面一五四、五五九、一五八一五、一三三、〇〇〇一〇、二六五、一六六一七九、九五七、Imme一八、七二一、六四七、〇〇〇八年八箇月餘
通洞方面一一八、〇九五、九〇八一一二、六〇九、〇〇〇二三〇、七〇四、乃々八一五、六六八、八八五、〇〇〇五年七箇月餘
計八四、八五一、〇〇〇四一七、〇三九、五六六一二七、七四二、〇〇〇a、、四四五、八三二六五四、〇七八、三九八四四、二九七、七七四、〇〇〇
(丁)將來ニ於ケル堆積場トシテ本山方面ニ於テハ高原木、通洞方面
ニ於テハ有越、小瀧方面ニ於テハ銀山平等充分ニ堆積ニ耐フヘキ
候補地アリテ此等ハ必要ニ應シ夫々設計ヲ具シテ認可ヲ受ケシム
ルノ豫定ナリ
十九本質問ハ其ノ目的物明瞭ナラスト雖モ高原木堆積場ニハ除害ノ
目的ヲ以テ溝渠ヲ設ケシメタルコトナシ
二十及二十一豫防命令ニ依リテナシタル砂防工事ノ種類ハ護岸、
腰石垣、堰堤、水叩、石積枠、石張、枠、袖石垣、水制、龜腹、枠
堰堤、床固及植苗等ノ方法ニシテ其後時ニ或ハ破損等ノ事アリシ
ト雖モ直チニ修築ヲ命シテ今日其ノ用ヲ爲サヽルカ如キ事實アル
ヲ認メス而シテ命令以外ニ足尾銅山ニ於テナシタル土砂扞止事項
ハ左ノ如クニシテ益〓護岸砂防工事ノ完全ヲ期シ其ノ成績頗ル見
ルヘキモノアリ
明治三十一年度分
一網狀扞止三万四千七百五十四坪
一苗木植付十三万七千三百五十三本
一草根植付二千四百貫目
草種蒔付二十四石二斗八升四合
一竹株植付九百三十八株
明治三十二年度分
一網狀杆止二万八千五百九十六坪
苗木植付十八万七千二百本
草根植付六千貫目
一芝草植付一万二千八百八十九坪
草種蒔付十石八斗六升
切芝植付三百十四坪
一竹株植付八千百六十八株
一肥料六千六百七十荷
明治三十三年度分
一網狀扞止二万七千五百三十八坪
苗木植付六万三千四百本
一芝草植付一万四千三百〇六坪
一草種蒔付九石四斗一升
切芝植付五百十三坪
一竹株植付一万一千七百〇二株
一肥料一万七千三百三十七荷
明治三十四年度分前半期
網狀扞止九千五百二十八坪
苗木植付六万五千九百九十本
草種時付五石四斗五升
切芝植付一千八百四十七坪
竹株植付四千百四十七株
一肥料八千六百七十五荷
明治三十四年度分後半期
卷柴八千五百五十八坪
卷藁三千百三十六坪
麥種時付八斗九升
芝草植付四千七百十六坪
虎狀蒔付十一石九斗四升
萱草植付二千九百四十一坪
一叺積六十四坪五合
一肥料一万四百三十八荷
二十二豫防命令後足尾銅山ニ於テ豫防設備ノ保全及其ノ應用ノ監督
ハ政府當局者ノ常ニ怠ラサル處ニシテ二十四號答辯ニモ明カナルカ
如ク政府ハ定時及臨時ニ吏員ヲ派シ以テ除害工事ノ監視ヲ爲シツヽ
アリ其ノ間或ハ多少ノ過失ヲ發見シテ嚴重ニ將來ヲ戒飭シタルコト
ナキニアラスト雖モ要スルニ豫防命令ニ違背スト謂フカ如キ不都合
ノ所爲アルヲ認メス
二十三沈澱池濾過池及之ニ附屬セル諸般ノ事業ニ關シテハ坑部課撰
鑛掛之ヲ擔任シ脫硫塔ニ關シテハ製煉課之ヲ擔任シ土砂杆上ニ關シ
テハ工作課土木掛及調度課山林掛之ヲ擔任シ分析ニ關シテハ內局分
析掛之ヲ擔任シ來リタリト雖モ一層豫防設備ノ運用全カラシムル爲
メ政府ハ昨年四月特別ナル一課ヲ設ケテ各作業ヲ統轄セシムルノ命
令ヲ發シタリ依テ足尾銅山ハ同年六月ヨリ水煙掛ナルモノヲ設ケテ
之ヲ內局ニ附屬セシメ又水煙規定ヲ制定シテ政府ノ認可ヲ受ケ著々
除害方法ノ實行ニ從事シ居レリ
二十四豫防工事竣功後其ノ作業ヲ監督シ之ヲ勵行セシムル目的ヲ以
テ政府ハ左ノ方法ヲ執レリ
一鑛毒豫防作業ノ成績申報
鑛業人ヲシテ各種ノ測定及分析ヲナサシメ翌月五日迄ニ其ノ平均ノ
成績ヲ屆出シム卽チ左ノ事項ニ關スルモノナリ
向間藤中方及小瀧放水分折每日一囘分析
功幹河水分析每日一囘分析
外氣抗水沈澱池水及瀘過地放水温度每日三囘檢定
脫硫塔瓦斯分析每日十囘分析
脫硫塔竝ニ各沈澱池ニ於ケル石灰投入量每日檢定
坑水量竝ニ放水量每日二囘檢定
以上ノ事項ハ濾過池沈澱池脫硫塔等ノ監視ニ關スル必要事項ニシテ
除害效果ノ完否ヲ〓檢スルモノタリ
就業規程ノ制定及係員等ノ屆出
豫防事業ニ從事スル者ノ誠實及熟練ハ極メテ肝要ノ事ニ屬スルヲ以
テ左ノ事項ヲ命令執行セシム
脫硫塔ノ石灰混和本山通洞小瀧ノ石灰混和及沈澱池濾過池ノ掃
除ニ關スル就業規則ヲ定メ之ニ從事スル係員ノ人名及工夫人員ハ
絕ヘス之ヲ申報セシム
-、脫硫塔瓦斯ノ分析ニ關スル器械及方法ハ常ニ之ヲ〓究シテ改良
整備ヲ勉メシム
一、脫硫塔大掃除ノ期日ハ豫メ之ヲ屆出テシメ內部ノ披檢ニ便ス
右ハ直接豫防事業ヲ執ル者ノ責任ヲ明カニシテ規範ヲ嚴ニシテ以テ
就業ノ誠實ヲ期シ一面ニハ鑛業人ヲシテ數々執務者ヲ更ヘ職務ノ熟
練ヲ缺ク等ノ弊ナカラシメン事ヲ期シタルモノニシテ頗ル必要ノ事
ニ屬ス又脫硫塔大掃除等一時事業休止ノ際ニ於テハ必ス臨時ニ鑛山
監督官ヲ派シテ監視ヲ爲サシムル事ト爲セリ
三鑛山監督官ノ臨檢
鑛山監督署長ハ每月凡ソ一囘必要ノ吏員ヲ現場ニ派遣シ各濾過池、
沈澱池、脫硫塔、樋管、堆積場、煙道其ノ他採鑛及製煉ノ一般作業
ヲ監視シ常ニ其ノ改良整頓ヲ促シ必要ナル修理改築等ノ工事ヲ命シ
其成績ヲ考査シ以テ精細ノ報告ヲナサシムルノミナラス早天冱寒雨
期暴風等ノ作業ニ異變ヲ生スヘキ虞アル際ニハ臨時監督官ヲ派遣シ
テ視察監督ヲナシ單ニ鑛山附近ニ於ケル狀況ヲ監視スルノミナラス
渡良瀨川下流ニ於ケル河水ノ異狀等如何ニ就キ精査ヲナサシム而シ
テ公然ノ臨檢ニ加フルニ鑛山ニ知ラシメサル方法ヲ以テ竊ニ吏員ヲ
派遣シ作業ノ狀況ヲ探査セシメ又別ニ屢〓農商務技師ヲ派遣シテ調
査監督ヲナサシムル等聊カモ作業ノ監督ニ對スル注意ヲ怠リタルコ
トナシ
四水及煙ノ分析
前項吏員派遣ノ際ニハ隨時自ラ脫硫塔ニ於ケル煙ノ分析ヲ爲サシメ
又廢水、放水及切幹河水ハ勿論渡良瀨川下流ノ河水ヲモ採取セシメ
分析ニ付シテ以テ脫硫塔、濾過池、沈澱池等ノ效果成績ノ如何ヲ査
定ス而シテ之ヲ鑛業人提出ノ各分析ト對比シテ其ノ正確ナルコトヲ
知ルノ資料ニ供ス
(五固形物ノ分析
錢、捨石、泥渣、石灰等ノ固形物ト雖モ亦隨時之ヲ採取セシメ分析ニ
付シ坑水河水等ノ分析成績ニ對比シテ豫防事業ノ效果ノ如何ヲ〓究
監査セシム
(六除害作業ノ改良
豫防命令以後上來陳述スル處ノ監督及調査ニ依リ工事若クハ作業ノ
改良擴張ヲナサシメタル事項ノ重ナルモノ左ノ如シ
一、明治三十年九月暴風雨ノタメ小瀧ノ上部沈澱池破損ニ付修理ヲ
命ス
同三十年十二月文象澤ニ廢石堆積場ヲ設置セシム
同三十一年四月水山ニ小瀧撰鑛所ノ廢石堆積場ヲ設置セシム
同三十一年九月小瀧沈澱池ヲ改築セシメ同年十一月工事落成ス
、同三十二年三月文象澤ニ小瀧撰鑛所ノ廢石堆積場ヲ設置セシム
一、同年八月向間藤ニ砂集器、沈澱池、濾過池ヲ增設セシメ同十二
月工事落成ス
同三十三年九月高原木ニ堆積場ヲ設置セシム
同三十四年一月鑛山ニ於テ特ニ水煙掛ナルモノヲ獨立ニ設置シ
從來各課ニ分掌セル除害作業ヲ統一動行ヒシム
同三十四年四月小瀧舊沈澱池ノ一部ヲ濾過池ニ變更セシム
同三十四年五月向通洞ニ通洞ノ撰鑛所廢石堆積場ヲ新設セシム
同三十四年八月新梨子ニ通洞ノ廢石堆積場ヲ新設セシム
右新設改築等ノ際ハ鑛山監督官ヲ特派シ設計ノ適否ヲ調査セシメ工
事中及竣成ノ際ニモ監督官ヲ派シテ監督ヲ爲サシムルモノナリ
二十五明治二十九年大洪水以前三百年間ニ生シタル沈渣先砂錢捨石
等ハ漸次ニ流失シタリト雖モ其ノ殘存セルモノニシテ有害ト認メタ
ルモノハ豫防命令ニ依リ盡ク之ヲ指定ノ堆積場ニ搬移セシメタリ而
シテ本件洪水以前ニ在リテハ粉鑛採集器ヲ設ケシメ又ハ不完全ナル
沈澱池ヲ置カシメタルニ止マリ池ニ鑛毒流下ノ防備ト認ムヘキモノ
アラス
二十六渡良瀨川ノ河床ニ鑛物ノ沈澱スルモノアリ又其ノ沈澱ノ箇所
ハ河床傾斜ノ緩ナル大間ニ下流ニ多カルヘシトハ推測セラルノミニ
シテ未タ確實ナル調査ヲ爲シタルコトナシ從テ其ノ量積性質等ハ固
ヨリ知ルヲ得ス
第二明治三十年ニ於テ免租處分ヲ爲シタルコトナシ右ハミナ一年ノ處分
ヲ指稱セラレタルモノト思考ス明治三十一年ニ於テ免租處分ヲ爲シタ
ル地積總額ハ二万四千四百五十町二段步餘ニシテ之ヲ年期別ニ區分ス
レハ左表ノ如シ
年期年期滿了ノ年段別
明治二十九年ヨリ明治四十三年三十六町九段步餘
十五ケ年
同同三十八年千三百三十四町六段步餘
十箇年
同同三十六年二千三百九町五段步餘
八箇年
同同三十四年三千六百九十八町八段步餘
六箇年
同同三十二年一万二十一町七段步餘
四箇年
同同三十年七千四十八町七段步餘
二箇年
右表ニ揭記スル如ク二十九年分ノ地租ヨリ免租ヲ爲シタルヲ以テ處分
ヲ爲シタル當年ニ於テ既ニ年期明ニ屬スルモノアリ之レカ處分ニ關シ
調査中同年ノ洪水ニ依リ再ヒ被害ヲ受ケタルヲ以テ調査ノ末明治三十
二年ニ至リ再荒地處分ニ依リ更ニ免租年期ヲ附與セシモノ及新規ノ荒
地處分ニ屬スルモノ等ヲ合セ其總額二万三千二百八十七町步餘ノ免租
處分ヲ爲シタリ之レカ年期別內譯ハ左ノ如シ
年期年期滿了ノ年段別
明治三十一年ヨリ明治四十五年貳百五拾町七段步餘
十五箇年
同同四十年千六百貳拾五町六段步餘
十箇年
同同三十八年貳千四百貳拾六町八段步餘
八箇年
同同三十六年參千六百參拾町八段步餘
六箇年
同同三十四年九千四百八拾七町八段步餘
四箇年
同同三十二年五千八百六拾五町貳段步餘
二箇年
右ノ外貳千貳百貳拾壹町四段步餘ハ明治三十一年ノ洪水ニ依ル被害ナ
キヲ以テ從前附與シタル年期カ儘据置キタルモノナリ而シテ此內ニハ
明治三年年一月二十五日發行町北町五町松下町三十助町一丁目十一番町田一丁目
ノモノ貳百八町三段步餘ヲ包含セリ又明治三十二年免租處分ヲ爲シタ
ルモノノ内二箇年ノ年期ヲ與ヘタルモノハ同三十二年ニ於テ四箇年ノ
年期ヲ附與シタルモノハ同三十四年ニ於テ悉皆年期滿限ニ達シタリ之
ヲ要スルニ鑛毒被害ニ依リ免租處分ヲ爲シタル總地積ハ貳万五千五
百八町四段步餘ニシテ其內既ニ年期滿限ニ達シタル地積ハ一万七千五
百二十四町步餘ナリ元來荒地一對シ必期年期ヲ與フルハ被害ニ依リ減
殺セラレタル生產力ノ原狀ニ囘復スル時限ヲ計リ其ノ期間地租ヲ免ス
ルノ趣旨ニシテ殊ニ鑛毒ノ害ハ震水災ニ依ル被害ノ如ク大ニ地形ヲ變
スルコトナキヲ以テ一見其被害ノ程度深淺ヲ識別スルコトヲ得サル故
ニ主トシテ其ノ收穫高減殺ノ有無多寡ニ依リテ被害ノ厚薄深淺ヲ鑑別
シ年期ノ長短ヲ定メサルヘカラス曩ニ免租處分ヲ爲シタルモ畢竟此ノ
理由ニ依リ收穫減殺ノ事實アルコトヲ認メタルニ依ル抑モ地價ハ其ノ
地收穫高ヲ基礎トシ計算設定シタルモノナルカ故ニ免租年期ヲ附與ス
ルニ當リテモ亦其地價ニ相當スル收穫高ニ囘復スヘキ時期ヲ豫想シ處
分シタルモノナルヲ以テ隨テ之レカ年期明ニ至リ復舊處分ヲ爲スヤ否
モ亦收穫滅殺ノ事實繼續シツヽアルヤ否ニ依テ定ムヘキハ當然ナリ而
シテ前顯年期明トナリタル土地ニ對シテハ當該官吏ハ常ニ其收穫ノ如
何ニ注目シ耕作物生育ノ良否ヲ踏査シ殊ニ秋收時期ニ在テハ關係人民
又ハ總代等ヲ立合ハシメ或ハ之レカ立會ナクシテ其實況調査ヲ遂ケタ
ル結果孰レモ法定地價計算ノ基準タル收穫高ニ復シ繼年期附與ノ必要
ヲ認メス依テ三十三年以前ノ年期明ニ屬スルモノハ總テ原地價ニ復舊
ノ處分ヲ了シ本年ニ於テ年期明ニ係ルモノハ目下之レカ復舊處分中ニ
シテ遠カラス完結スヘキ見込ナリ現今尙年期中ニ在ル土地ニ對シテモ
亦常ニ其收穫ヲ調査セシメツヽアリ調査ノ結果ニ依レハ被害激甚ノ土
地ヲ除クノ外漸次其生產カ囘復ニ近キツヽアルモノト思考ス
第三政府ハ明治三十一年ニ於テ渡良瀬川改修ノ計畫案ヲ立テタルコトア
リ該案ノ要旨ハ改良區域ヲ足利町以下トシ同町ヨリ思川合流口附近迄
ノ間ハ全部ヲ改修シ本川ノ流末利根川合流口ハ其位置ノ宜シカラサル
カ爲メ排出ニ妨クルニヨリ付替工事ヲ實施セサレハ縱令上流ニ於テ完
全テス十事ヲ施スハ其然ヲ炎セサルノミナラス却ノ下液一於テー層
害ヲ大ナラシムルノ感アルヲ以テ約五里二十七町ノ新川ヲ開鑿シ合流
〓ヲ利根川ニ沿ヒ凡ソ四里二十七町下流ニ付替ヘントス而シテ其工費
ハ總額一千二百餘万圓ヲ要スト云フニアリ然ルニ該案ニ付テハ尙ホ〓
究ヲ要スル〓多々アルヲ以テ目下再考中ニアリ
然レトモ右計畫案ハ直チニ之ヲ實行セントスルモノニアラスシテ其立
案ヲナシタル所以ノモノハ鑛毒ニ關スル諸般ノ問題ノ解決ニ伴フテ渡
良瀨川ノ改修工事ノ施行ヲ必要トスルコトアル場合ニ備ヘンカ爲メニ
セシニ過キス故ニ現今再考ニ係ル案ニシテ決定スルコトアルモ直チニ
之ヲ實行スルト否トハ自ラ別問題ニ屬ス
第四被害地原狀復舊救治ノ方法手段ニ關シテハ明治三十年六月二十六日
官報第四千百九十四號ニ農事試驗場ヨリ提出セシメタル改善考案ヲ揭
載セリ
第五政府ハ此ノ點ニ對シテハ屢々調査シタルコトアリ然レトモ尙ホ鑛毒
調査會ニ於テ充分調査セシムル見込ナリ
第六政府カ足尾國有林ニ對シ爲シタル新植防火線設置砂防工事及保安林
編入施設及效果ノ〓要左ノ如シ
前植事業足尾國有林中ノ無立木地ニ於テ人工植樹ニ必要ナル面
積ハ二千三百九十九町六段一畝二十三步ニシテ之レヲ三ヶ年度ニ
分ッテ新植ヲ結了セリ卽チ明治三十年度ニ於テ五百三十五町九畝二
十三步明治三十一年度ニ於テ千百五十六町八段七畝步明治三十二年
度ニ於テ七百七町六段五畝步ノ植付ヲ爲シ以後本年度ニ至ル迄每年
補植及手入ヲ施行シ今後數年ヲ出スシテ補植及手入共完成ノ見込
ナリ新植シタル樹種ハスギヒノキ、サワラカラマツアカマ
ツナラ及ヒ、ハンノキ、ノ七種ニシテ實地ノ狀況ニ因リ適當ニ分配
植栽セリ其成績ハ强風ノ衝ニ當ル一小部分ヲ除クノ外ハ〓シテ良好
ナリトス而シテ此成績不良ノ部分ト雖モ今後保護ノ宜キヲ得ハ成林
ノ見込ナキニ非ラサルナリ明治三十年度以降三十四年度ニ至ルノ五
年度間ニ於ケル新植補植及手入ノ經費總額ハ十一万七千二百八十四
圓十九錢六厘ナリ而シテ新植事業ニ要スル苗木養成ノ爲ニ同國有林
內ニ面積九町九段八畝二十五步ノ苗圃ヲ設置セリ
土砂輕鬆ニシテ崩落シ易キ部分ハ砂防工事ヲ施行シ以テ土砂ノ杆止
ヲ爲シ極メテ良好ナル成績ヲ得タリ其種類ハ明治三十一三十四ノ
兩年度ニ於テ石垣工延長千八百八十二坪一合五勺枠止工延長五千五
百四十四尺粗朶工施行面積一町七段四畝二十四步及柵工延長六百四
1二尺ニシテ兩年度間ニ於ケル經費ノ總額ハ一一万千九百六十二圓九
十二七厘トス
二防森林火災ヲ豫防シ野生ノ程樹ヲ養護シテ林相ヲ囘復スル
爲メ火害侵襲ノ恐レアル箇所ニ接續スル部分及交通頻繁ナル道路ニ
ニ接近スル部分ニ於テ溝渠ヲ穿チ盛土ヲ爲スヲ固定防火線トシ又線
狀ニ一定ノ幅員ヲ以テ煖燒シ易キ雜草小柴等ヲ刈除スルモノヲ臨時
防火線トス而シテ其實行セル年度別ノ延長ハ明治三十年度ニ於テ固
定防火線參万壹千九百拾九間五分七厘臨時防火線四万七千八百貳拾
六間壹分貳厘明治三十三年度ニ於テ固定防火線五千七百十六間五分
ニシテ明治三十一年度以降三十三年度ニ至ルノ三年間之レカ手入ヲ
爲セリ而シテ其效果ハ大ニ野火ノ延燒ヲ減少シ土地ノ生產力ヲ增加
シタルモノト信ス之レニ要シタル經費ノ總額ハ壹万八千八百八拾六
圓六拾五錢五厘ナリ
三保安林編入明治三十年度以降渡良瀬川及相生川流域ニシテ保安
林ニ編入シタル森林原野ハ栃木縣下面積千六百七拾壹町五段九畝二
十六歩此年數千貳百貮拾五群馬縣下面積五千六百八町八段四畝一步
筆年數四百二十八、ナリ今後ト雖モ國土保安ニ關係アルモノハ相當
ノ手續ヲ經テ之カ編入ヲ怠ラサルヘシ
第七鑛毒被害地免租處分ニ附テハ廣ク全般ニ涉リ之レカ取調ヲ爲シタリ
而シテ其結果田畑以外卽チ山林原野等ニ在ツテモ同シク被害アルコト
ヲ認メタルヲ以テ田畑ト均シク其害ノ輕重ニ從ヒ各相當ノ免租年期ヲ
附與セリ又人民ヨリ鑛毒被害アリトシ免租方申出タルモ調査ノ結果許
可ヲ與ヘサリシモノアリ右ハ收獲減少ノ事實ナキモノト認メタルニ依
ル
第八政府ハ鑛毒地被害民ノ狀況如何ニ付テハ常ニ其査覈ヲ懈ラス然レト
モ其ノ公費ノ救助ヲ受クル者ノ中ニ於テ鑛毒ニ因由スルヤ否ヤ判定シ
難キモノアリ其ノ國及地方費ヲ以テ救濟シ得ヘキモノハ旣ニ夫〓其ノ
途ヲ盡シ尙目下調査中ニ屬セリ
右及答辯候也
明治三十五年三月一日內務大臣男爵内海患勝
大藏大臣男爵貫禰荒助
農商務大臣男爵平田東助
甲號表
足尾銅山各所沈澱池及ヒ濾過池坪數調書(三十四年十一月六日)
稱上深尺平均深尺幅尺長尺數平面積岸容積立方尺備考
名下量
一、五七〇、〇二六三、二〇八命令ハ千二百坪ナリ新設ノ
向間藤九爲メ三百七十坪ヲ增加セリ
一號沈澱池五へ*へ六〇、〇一二〇、〇-二〇〇、〇四三、二〇〇
七〇
二號同日.四、〇四八、〇六〇、〇一八〇、〇一一、五二〇
四〇
三號同四、一〇.〇四八、〇六〇、〇ー八〇、〇ニ、五二〇
一〇
四、〇四、〇六〇、〇一八〇、〇一三〇〇、〇四三、二〇〇
四號同四.
五號同貝·八〇六〇、〇一八〇、〇一三〇〇、〇四三、二〇〇
買
四、四、五六〇、〇一五六、〇一二六〇、〇四三、六八〇
六號同四〇
甲號濾過池五、二五、四二七、〇一八〇、〇-一三五、〇二六、二四四
五、六
乙號同五、二五、四二七、〇一八、〇、〇-一三五、〇二六、二四四
五、六
五〇平均
丙號同五、五、〇八、六〇、〇-八〇、〇一四、四〇〇
通洞九一、八七九、五三一〇、五八八命令ハ千八百坪ナリ改築ノ
爲メ七十九坪五合增加
一號沈澱池R.C日.六三、〇一八〇、〇-三一五、〇四五、三六〇
四、
二號同四日 六三、〇一八〇、〇一三一五、〇四五、三六〇
門、
四、八平均
三號同四、八四、八六〇、五九四、五一一五八、八一二七、四四三
四號同四、八四、八六〇、五九四、五一一五八、八一二七、四四三
四、八
五號同四、八四、八六〇、五九四、五一一五八、八一二七、四四二
四、八
六號同四、八九四、五-一五八、八二二七、四四六
四、八四、八六〇、五
甲號濾過池玉〇五、二七二、〇一〇五、〇一二一〇、〇三九、三一二
五、四
乙號同五、〇五、二七二、〇一〇五、〇一二一〇、〇三九、三一二
五、四
四、五平均
丙號同四五四五六三、〇一一一、〇一一九四、二五三一、四六九
小瀧七一、一〇一、八六二六六、二二三命令ハ千坪ナリ改築ノ爲メ
百一坪八合六勺增加
八〇八、五四四、七一三八、〇一一七一、三五五、四三三
一號沈發池ねこ
八、八、五四四、七一三八、〇一一七一、三五五二、四三三
二號同
ちの
八へ賀町む一三八、〇一一七一、三五五二、四三三
三號沈澱池八、五
たの
五、五、一一一四八、八七二七、三三三
甲號濾過池四二、四一二六、四
五、二
五、平均
乙號同五、四六、八一二六、四一一六四、三二三一、一六九
五、二
丙號同正へ五、一〇五、四一一二四、一四二二、七九二
五、二四二、四
五〇五一、四一〇五、四一一五〇、四八二七、六三一
丁號同五、二五、一
總數二五四、五五一、三六八四〇、〇一九
乙號表
濾過池放水及渡良瀬河水分析表(一千分中)
年月名稱浮游物銅鐵試驗紙反應
酸性三〇
三十一年四月向間藤濾過池放水〇、〇一九九〇、〇一五八〇一二七一箇月中中性
アルカリ0
同八
小瀧同上〇、〇〇六三〓〇〇一〇一〇、〇〇〇四同問1五
同
中才同上〇、〇一一八五〇、〇〇〇七三〇、〇〇〇七五同同同同一
切幹河水○〇、〇〇一二八〇、〇〇〇四同三
同同同同同同
五月向間藤濾過池放水〇、〇一四八〇、〇〇〇八〇、〇〇〇七同一一
一〇一九一一九四九四一〇〇〇八五七七
小瀧同上〇、〇〇五四〇、〇〇〇八〇、〇〇〇八同同同問ニ
中才同上〇、〇一一四〇、〇〇〇七〇、〇〇一〇同同同同ニ
切幹河水0〇、〇〇〇三〇、〇〇〇四同三
ニ二
六月向間藤濾過池放水〇、〇二三三〇、〇〇四五〇、〇〇二三同二六
同同0
小瀧同土〇、〇三二九0〇〇二一〇、〇〇三六同三
00.0
中才同上〇、〇〇九四0、〇〇三一O〇〇二九同同同同三
三
七月向間藤濾過池放水〇、〇一八七〇、〇〇二九0、〇〇二三同同同同
小瀧同土〇、〇三〇二0〇〇〇五〇、〇〇〇六同ニ
ニ三00-00-0九二六一四
中オ同上〇、〇〇五二〇、〇〇一二〇、〇〇一二同
切幹河水00〇〇〇四八〇、〇〇〇四同三
同同同同同同 同同同同 同同同同同同ニ
八月向間藤濾過池放水〇、〇三九七〇、〇〇四四九〇、〇一三二同
小瀧同上〇、〇五三一0〇〇〇六五〇、〇〇二四同一一
〇一〇〇三八五三三大二
中才同土〇、〇〇五五〇、〇〇四三〇、〇〇六五同
切幹河水〇、〇〇〇五四〇、〇〇〇五同同同同三
ニ
九月向間藤濾過池放水〇、〇一七七〇、〇〇一六六〇、〇〇六九同同同同一
七
小瀧〇、〇四一八〇、〇〇〇七七〇、〇一九六同同同同〇一九
ニ
ニニ
中才同上微量〇、〇〇一五六〇、〇一一五同同同同二四
切幹河水○〇、〇〇一六六〇、〇八三七同同同同三000
十月向間藤濾過池放水〇、〇一九五〇、〇〇七二〇、〇〇二四同同同同
八三〇一八三
小瀧同上〇、〇四九〇〇、〇〇〇四〇、〇〇三七同同同同
中才同上〇、〇〇二〇〇、〇〇〇七〇、〇〇二一同
切幹河水○〇、〇〇〇五〇、〇〇〇七同同同同同同同同同同三
十一月向間藤濾過池放水〇、〇二九二〇、〇〇一六〇、〇〇一七同一一
小瀧同上〇、〇二三二〇、〇〇〇六〇、〇〇二〇同
同同同同同同
中才同上微量〇、〇〇〇四〇、〇〇一二同五三三〇九二八六七〇〇〇三七〇三七〇一三三〇一〇九〇二
切幹河水八六〇、〇〇〇六〇、〇〇〇九〇同三
十二月向間藤濾過池放水〇、〇二七九三〇、〇〇〇五〇、〇〇〇九〇同-
同同同同同同同同同同同同
小瀧同上〇、〇二三二〇〇、〇〇一四六〇、〇〇〇七〇同
中才同上微量〇、〇〇〇四三〇、〇〇〇七一同ーー
切幹河水〇、〇二六二六〇、〇〇〇八三〇、〇〇〇八〇同同同同三0-0
酸性-
三十二年一月向間藤濾過池放水〇、〇一〇一三〇、〇〇〇四〇〇、〇〇一〇六同中性九二〇.
ア.モリア
四
小瀧同上二七三〇、〇〇〇四三〇、〇〇一〇三同円
ニ五
三
中才同上九二六〇、〇〇〇六六〇、〇〇〇七六同三
二五
切幹河水四四五四〇、〇〇〇六〇〇、〇〇〇九三同同同同同同同同同同同同同同同同三〇-〇
五九
ニ月向〓藤濾過池放水〇、〇四四五四〇、〇〇〇五三〇、〇〇一九〇同
小瀧同上〇、〇七四四四〇〇、〇〇〇四八〇、〇〇一〇七同ニ
中才同上〇、〇一五一〇、〇〇〇六六〇、〇〇一六六同同同同
切幹河水〇、〇一四一一〇、〇〇〇五九0、〇〇〇七六同二
問同同同同同
三月向間藤濾過池放水〇、〇一二九〇、〇〇七七〇、〇〇一三同
四七九〇一〇 一五五〇一〇 一二八〇八〇三五〇三五〇四
小瀧同上〇、〇四七四〇、〇〇〇四〇、〇〇八七同三
-
中才同上0〇〇〇五〇、〇〇一八0〇〇一二同
同門同同同同同局同同同同ー
切幹河水〇、〇三七九〇、〇〇〇五〇、〇〇〇八同三
四月向間藤濾過池放水〇、〇四一〇五〇、〇〇二九六〇、〇〇一〇七同
同
小瀧同上〇、四〇〇六〇、〇〇〇三九〇、〇〇一〇三同七三〇
中才同上〇、〇〇二四七〇、〇〇〇六五〇、〇〇〇八七同同同同ニ
〇〇〇七三
切幹河水〇、〇一九〇三〇、〇〇〇六七〇、〇〇〇一八同同同同三
-
五月向間藤濾過池放水〇、〇二八六三〇、〇〇〇九九〇、〇〇一八三同同同同
小瀧同上〇、〇〇一三五〇、〇〇〇三八〇、〇〇〇八三同同同同ニ三〇八九一一六七八
中才同上〇、〇〇三八一〇、〇〇一三〇〇、〇〇一三〇同同同同
二
切幹河水〇、〇〇六九三〇、〇〇〇六三〇、〇〇〇六〇同同同同三
六月向間藤濾過池放水〇、〇〇四七七〇、〇〇〇六一〇、〇〇〇八同一二九九四九七〇一〇
同同同同同同
小瀧同上〇、〇〇〇二〇、〇〇一八一〇、〇〇〇九同
一
ニ三
中才同上〇、〇〇〇三〇、〇〇一八〇〇、〇〇六七同同同同七〇
切幹河水〇、〇一二〇〇、〇〇〇六二〇、〇〇〇四同同同同三000
七月向間藤濾過池放水〇、〇五三四〇、〇〇〇五四〇、〇〇〇六同同同同
ニ
ニ
小瀧同上〇、〇〇一〇〇、〇〇三〇二〇、〇〇一五同同同同
中才同上〇、〇〇四一〇、〇〇四〇四〇、〇〇一一同
同同同同同同
切幹河水〇、〇三三九〇、〇〇〇六二〇、〇〇〇九同三
〇〇〇〇〇一一七三六四一 〇一〇〇三八〇四七五三三
八月向間藤濾過池放水〇、〇二六七七〇、〇〇〇九三〇、〇〇一一〇同同同同
小瀧微量〇、〇〇〇七〇〇、〇〇〇五六同同同同
一二
中才〇、〇〇〇五三〇、〇〇一九三〇、〇〇〇八六同
同同同同同同ニ
切幹河水〇、〇三五〇九〇、〇〇〇六八〇、〇〇〇五三同三
九月向間藤濾過池放水〇、〇一五四〇、〇〇一一五〇、〇〇一二同同同同--
小瀧〇、〇〇二八六〇、〇〇一三二〇、〇〇〇六同同同同
一二
中才〇、〇一四八〇、〇〇二四四〇、〇〇〇七同同同同
一
切幹河水〇、一四一二〇、〇〇〇七三〇、〇〇〇五同同同同三三四四七三一四九八〇〇〇六〇四六〇四六四〇
十月向間藤濾過池放水〇、〇二九一〇、〇〇〇八四〇、〇〇〇九三同同同同一
小瀧微量〇、〇〇〇五〇〇、〇〇〇七三同同同同
ニ
中オ同上〇、〇二八六〇、〇〇〇八〇〇、〇〇〇六六同同同同一一
切幹河水〇、〇六二七〇、〇〇〇五九〇、〇〇〇七三同三二000
同同同 同同間一
十一月向間藤濾過池放水〇、〇五一八五〇、〇〇〇七九〇、〇〇〇九同三五
一
小瀧同上微量〇、〇〇〇四五〇、〇〇〇六同同同同=0.
中才同上〇、〇二四二八〇、〇〇〇四一0〇〇二三六同同間同
切幹河水〇、〇一二六七〇、〇〇〇六一〇.〇〇〇九〇同同同同三
一
十二月向間藤濾過池放水〇、〇四四三〇〇、〇〇〇七三〇、〇〇四一〇同
小瀧同上微量0、〇〇〇三四〇、〇〇四六〇同一
同同同同同月同同同 同同同一
中才同上〇、〇〇〇六一〇、〇〇〇二七〇、〇〇四九〇同三
〇一〇九二〇五六〇七三一 〇一〇六五〇五五一七一三〇〇〇五五〇
切幹河水○0、〇〇〇四〇〇、〇〇〇八〇同三
-
三十三年一月向間藤濾過池放水〇、〇二七七〇〇、〇〇〇五三〇、〇〇三二六同
同同同同同同一
小瀧同上微量〇、〇〇〇二九〇、〇〇一八〇同
中才同上〇、〇〇〇五三〇、〇〇二〇〇同同同同一一
同
切幹河水〇、〇二〇三〇0、〇〇〇四五〇、〇〇〇八〇同同同同三
二月向間藤濾過池放水〇、〇三六七〇、〇〇〇五五〇、〇〇三七同同同同
小瀧同上徵量〇、〇〇〇三三〇、〇〇二一同同同同二
〇八〇〇六二一七〇七六五
中才同上同〇、〇〇〇七〇〇、〇〇三〇同同同同一一
切幹河水○〇〇〇〇四七〇、〇〇二〇同同同同二
三月向間藤濾過池放水〇、〇〇二六同同同同一七
〇、〇八九二〇、〇〇〇五二三
ニ
小瀧同上微量0、〇〇〇三一〇、〇〇二一同同同同三
中オ上○〇、〇〇一一二〇、〇〇三一同同同同一一〇-C〇九七-〇〇
切幹河水〇、〇四三六〇、〇〇〇五四〇、〇〇二八同同同同三
四月向間藤濾過池放水〇、〇五三六〇、〇〇〇五一〇、〇〇二三同同同同
一八九三大七七
小瀧同上〇、〇一一九〇、〇〇〇八三〇、〇〇一三同同同同一
三○
中才同上〇、〇〇四九〇、〇〇三九一〇、〇〇三二一同同同同
切幹河水〇、〇二三六〇、〇〇〇四五〇、〇〇一五同同同同三○
一
五月向間藤濾過池放水〇、〇六六八〇、〇〇〇三八〇、〇〇一六同
同同同同同同一
小瀧同上微量〇、〇〇〇三一〇、〇〇一三同ニ〇〇六五九〇二五二四
ニ
中才同上〇、〇〇七七〇、〇〇三二二〇、〇〇一二同
同同同同同同
切幹河水〇、〇四四八〇、〇〇〇二七〇、〇〇一三同三一
六月向間藤濾過放水0〇三三三〇、〇〇〇三七〇、〇〇一六同同同同〇〇八七五〇
同
小瀧同上微量0〇〇〇一九〇、〇〇一六同同同一二
中才同上同〇、、〇〇〇二一〇、〇〇一四同同同同ニ四六〇
0
切幹河水同〇、〇〇〇二五〇、〇一九二同同同同三。
0
七月向間藤濾過池放水〇、〇二八〇〇、〇〇〇七〇〇、〇〇二六同一一
同同同同同同一〇三三五
小瀧同上微量〇、〇〇〇二四〇、〇〇一二同三
中才同上同〇、〇〇〇六九〇、〇〇一三同二一00-00
切幹河水〇、〇七一〇〇、〇〇〇四一〇、〇〇一〇同三一
ニ
八月向間藤濾過池放水〇、〇〇二六〇、〇〇二五七〇、〇〇〇五同
同同同同同同同同同同同同同同同同同同
小瀧同上〇、〇〇〇四〇〇〇〇二五〇、〇〇〇二同三
二〇一〇〇〇二〇一〇四一六〇
中オ同上〇、〇〇三六0、〇〇〇九七〇、〇〇〇四同二
切幹河水〇、〇〇五〇微量〇、〇〇〇七同三
一
九月向間藤濾過池放水〇、〇一九〇〇、〇〇〇九〇、〇〇一五同二六
一
小瀧同上徵量〇、〇〇〇二〇、〇〇三四同三
中才同上〇一二五0、〇〇〇九〇、〇〇一三同三〇〇〇一九〇〇〇
切幹河水〇〇三三〇、〇〇〇四微量同三
同同同同同同同同同局同同同同同同問同同同同同同
十月向間藤濾過池放水〇、〇二九五〇、〇〇〇五〇、〇〇〇八同一一一
小瀧同上微量〇、〇〇〇七〇、〇〇〇三同
中才同上〇、〇〇一六〇、〇〇一〇0、〇〇〇八同
切幹河水微量〇、〇〇〇三〇、〇〇一〇同三
一
十一月向間藤濾過水放水〇、〇三三五〇、〇〇〇六八〇、〇〇一九同
〇〇〇一〇四一六〇〇〇〇四六〇九一八九三〇一〇〇一〇〇七四六五〇〇
小瀧同上微量〇、〇〇〇三二〇、〇〇一三同二
中才同上〇、〇〇三一〇、〇〇〇五六〇、〇〇一五同二
同同同同両同同同同 同同同同同同問同同
切幹河水微量〇、〇〇〇四七〇、〇〇一一同三
二
十二月向間藤濾過池放水3〇三四五〇、〇〇一一四〇、〇〇二七八同
小瀧同上微量〇、〇〇〇四五〇、〇〇二一〇同三
中才同上〇、〇〇八三〇、〇〇〇六九〇、〇〇〇九二同三
切幹河水微量〇、〇〇〇六三〇、〇〇一四〇同三
一
三十四年一月向間藤濾過池放水〇、〇四一一〇、〇〇〇五六〇、〇〇一六〇同同同同同同同同同同同同同同同同
一
小瀧同上微量〇、〇〇〇二八〇、〇〇一五七同三
三三二〇一〇〇〇一〇〇一〇五六〇一O-
中才同上〇、〇〇四四〇、〇〇〇四一〇、〇〇一四〇同三
同
切幹河水○〇、〇〇〇四四〇、〇〇一四七同三
二
二月向間藤濾過地放水〇、〇二七一〇、〇〇一一八〇、〇〇三七三同同同
小瀧同上〓量〇、〇〇〇四七〇、〇〇二六三同同同同ニ
〇七一〇八〇
中才同上〇、〇〇六九〇、〇〇〇六七〇、〇〇三七〇同風岡同ニ
切幹河水〇、〇一九八〇、〇〇五四〇、〇〇一〇七同同同同ニ八八〇
同二四
三月向間藤濾過池放水〇、〇三八一三〇、〇〇一五〇〇、〇〇〇二七同同一六
同
駁性。
小瀧濾過池放水微量〇、〇〇〇三八〇、〇〇〇二〇一ケ月中性三-
アルカリ
中方同上〇、〇〇二〇〇〇、〇〇〇四三〇、〇〇〇一七同同同同三一
0
切幹河水〇、〇〇二二五〇、〇〇〇五四〇、〇〇〇一三同三一〇
同同同同同開
四月向間藤濾過池放水一〇、〇三二〇三〇、〇〇〇八四〇、〇〇〇一三同
小瀧同上微量〇、〇〇〇四〇〇、〇〇〇一六同同同同二
中オ同上〇、〇〇一二一〇、〇〇〇三九〇、〇〇〇二二同二
切幹河水〇、〇〇七三三〇、〇〇〇五二〇、〇〇〇一三同三
-
五月向間藤濾過池放水〇、〇〇八九八〇、〇〇〇六三〇、〇〇〇三八同
同同同同同同同同同同同同同同同同一二八〇三九八〇一〇〇〇一〇一〇七四〇〇〇〇〇九一〇九一一五四〇
小瀧同上微量〇、〇〇〇三二〇、〇〇〇二一同三
中才同上〇、〇〇二九二〇、〇〇二一七〇、〇〇〇四七同三
切幹河水〇、〇〇一六〇〇、〇〇〇三八〇、〇〇〇二七同ヨ
六月向間藤濾過池放水〇、〇二〇四二〇、〇〇〇七二〇、〇〇〇七三同同同同
小瀧同上徵量〇、〇〇〇三八〇、〇〇〇六三同同同同ニ
中才同上〇、〇〇〇八七〇、〇〇〇大八〇、〇〇二六三同三一九〇
両同同開同0
切幹河水〇、〇〇〇九一〇、〇〇〇四〇〇、〇〇二六〇同三0
0、〇〇〇五二一
七月向聞藤濾過池放水〇、〇〇二九八〇、〇〇〇五六同同同同
一
小瀧同上微量〇、〇〇六四〇、〇〇〇六二同三〇〇一〇一〇五六〇〇
中才同上〇、〇〇四二二〇、〇〇一二四〇、〇〇一六四同三
切幹河水〇、〇〇二〇〇〇、〇〇〇五五〇、〇〇一一七同三
八月向間藤濾過池放水〇、〇〇三八〇〇、〇〇〇九九〇、〇〇〇九一同同調同同同同 同同同同同同同同同同同同同
ニ
小瀧同上〇、〇〇一〇六0.〇〇〇四七〇、〇〇〇七八同二
八七五〇一〇三六二四六〇〇五六C一〇
中才同上〇、〇〇〇五八〇、〇〇一一四〇、〇〇〇八五同ニ
切幹河水〇、〇二〇三六〇、〇〇〇四〇、〇〇〇八四同三
九月向間藤濾過池放水〇、〇〇八七四〇、〇〇〇四二〇、〇〇〇六六同同同同
小瀧同上〇、〇〇二四七〇、〇〇一三二〇、〇〇〇八四同同同同八八百
〇
中才同上〇、〇〇〇二〇〇、〇〇〇九二〇、〇〇〇六〇同同同同三○
酸性○
切幹河水微量〇、〇〇〇四一〇、〇〇〇五四一ヶ月中性三○
アルカリ○
同〇一
十月向間藤濾過池放水〇、〇〇〇六五〇、〇〇〇三四〇、〇〇〇九一同同同
三0
小瀧同上〇、〇〇一八八〇、〇〇〇三五〇、〇〇一〇四同同同同
-
中才同上〇、〇〇〇六三〇、〇〇〇四三〇、〇〇一二〇同
〇〇〇一〇二九〇一〇〇
切幹河水〇、〇〇三二五〇、〇〇〇五七〇、〇〇一〇七同
同同同同同同同同同同同同
十一月向間藤濾過池放水〇、〇〇七五六〇、〇〇〇四四〇、〇〇一六〇同
三○
小瀧同上〇、〇〇七一九〇、〇〇〇三九〇、〇〇一〇六同〇〇〇
三
中方同上〇、〇〇九五六〇、〇〇〇四九〇、〇〇一二〇同同同同
切幹河水。〇、〇〇〇五八〇、〇〇一〇三同同同同三
十二月向間藤濾過池放水〇、〇〇二二〇〇、〇〇〇五三〇、〇〇一二五同同同同
ニ一〇九二〇五四二八一二〇〇〇七三〇
小瀧同上〇、〇〇五八二〇、〇〇〇五五〇、〇〇一四一同同同同
ニ
中方同上〇、〇〇〇四六〇、〇〇〇四九〇、〇〇一三六同
同同同同同同ニ
切幹河水〇、〇一四九二〇、〇〇〇六四〇、〇〇一一七同三
丙號表
脫硫塔效率成蹟表
亞硫酸含有量容積百分率一時間石灰使用量一時間注入水量
年月日效率
脫硫前脫硫後貫
日〇、六一〇、四八福島
明治三十一年二月十八二一、三一、
二月二十五日〇、七二〇、四三四〇三一
二月二十六日〇、七八〇、六四八三三、
二月二十七日〇、八四〇、六〇二八、一〇〇、
二月二十八日一一五〇、七六三三、一〇〇、上上上上上上
同同同同同同同同不
三月二日〇、七九〇、五四三一、一〇〇、
三月二十日〇、七二〇、四二四三、二〇〇、
一日〇六八〇、四三三七、二〇〇、上
四三三月月月十十十三日〇、七五〇、五五二七、不詳上
二日〇、八二0三六〇、四八、二七〇〇
四月二十三日〇、七三〇、四二四二、四六、二七〇〇、
四月二十六日〇、八六〇、四九四三、六一、三〇〇〇、
至自五四月ニ十七日〇、七七〇、五四二九、一〇〇、
月-日不詳
五日〇、八一〇、四一五〇、一二·〇、同
月月月十十十日上
五五五九九七大日
二日〇、六三〇、三二四九、八、、三六〇〇、
日〇、六四〇、二七五八、九三、三六〇〇、
日〇、四四〇、二七三八五一、三六〇〇、
月 月 月 月 月 月十九八七二+日〇、五五
昭和4年月--〇、三〇四五、七五、三六〇〇、
日〇、四二〇、一 / 三七〇、四九、三六〇〇、
日〇、五三〇、三二三九、七七、三六〇〇、
月二十日〇、四五〇、三一三一、四一、三〇〇〇、
十四 〇、六四〇、五六三、三九、二七〇〇、
六月月二十七日〇、五二〇、三八ニt、四七、
三十日二七〇〇、
八月二十九日〇、六二三〇、四六一二六、五一、三〇〇〇、
八月三十日〇、六二三〇、四六一ニ·六、五一、三〇〇〇、
九月二日〇、七一五〇、五二八二五、六四四、二一〇〇、
明治三十二年二月〇、七四一〇、五一一三一、八九四八、二四〇〇、
自四月日〇、七四二七〇、四七四三八、三七一不詳不詳
至四月二十四日
月〇、六七〇、四〇四〇、六四、四八〇〇、
〇、六二〇、三九三七、四八、三六〇〇、
〇、五四〇、三五三四、四八、二四〇〇、
十十九八七六五〇、六〇〇、四〇二三、四八、二四〇〇、
〇、五七〇、三五三九、四八、二四〇〇、
〇、五五〇、四二inm.四八、二四〇〇、
〇、六八〇、五一一二、六四、三〇六〇、
二一二四〇〇、
〇、六九〇、五四二一四八、
明治三十三年〇、七八〇、六七一五、四八、二四〇〇、
〇、七九〇、六七一五、四八、二四〇〇、
〇、九四〇、七三二二、六四、二四〇〇、
〇、八四〇、六五二、六四、二四〇〇、
〇、七六〇、六二八、六四、二四〇〇、
〇、七三〇、六〇二〇、六四、二四〇〇、
十十九九七七五五四一九八〇、
月月月月月月月月月 月 月 月 月 月〇、七五〇、五九二、六四、
C七四〇、四二四四、六四、二四〇〇、
〇、七八〇、四九三七、大日、二四〇〇、
〇、七六〇、五五二九、六四、二四〇〇、
〇、七〇〇、五二二七、六四、二四〇〇、
二一
〇、九〇〇、六九i二1、六四、二四〇〇、
明治三十三〇、八七〇、七三一七、六四、二四〇〇、
〇、九一〇、七三io.六四、二四〇〇、
〇、八九〇、六九三、五〇、二八二〇、
〇、八九〇、六八二IN、五〇、三六〇〇、
〇、九二〇、七二二二、五〇、三六〇〇、
〇、九三〇、六七二八、大西、三六〇〇、
十十十九八七六五四三二0、九〇〇、六〇三三、六四、三六〇〇、
〇、九七〇、七一二七、五、三六〇〇、
月〇、九一〇、七二三、一一一、二五四六二〇、
月一、〇四〇、七四元三九、四八〇〇、
一月一、〇三四〇、七七九二五、三九、四二〇〇、
二月一、〇九五〇、八二九〓.四〇、三二四〇、
箒川列車〓覆殺傷事件ニ關スル再質問書
右成規ニ據リ提出候也
明治三十五年三月九日
提出者菅野善右衞門贊成者伊藤直純
外三十名
箒川列車〓覆殺傷事件ニ關スル再質問主意書
箒川列車〓覆殺傷事件ニ關スル質問ニ對スル國務大臣ノ答辯ハ毫モ要領ヲ
得ス依テ再質問書ヲ提出シ速答ヲ要求スルノ止ムヘカラサル所以ナリ
明治三十四年十二月十九日提出セル質問主意書ハ大要左ノ如シ
箒川列車〓覆殺傷事件ニ關スル質問主意書
箒川列車〓覆事件ニ關シ十四議會ニ於ケル衆議院ノ質問ニ對シ答辯セラル
ル所アリシモ彼ノ西大助野村龍太郞等カ調査報告ハ不實僞報僞告ナルヲ以
テ更ニ質問スル所アラン
明治三十二年十月七日午前十時四十分福島停車場ヲ發シ同日午後三時四
十二分片岡停車場ニテ同日午前十一時上野停車場ヲ發シ同日午後四時四
十六分箒川橋上ヨリ〓覆セシメラレタル下リ列車ト行違フヘキ上リ列車
ハ暴風ノ爲メ定刻ヨリ一時間餘遲延シテ同日午後四時黑磯停車場ニ著キ
タリシモ風勢益强暴ニシテ前途危險ナリシヨリ列車ノ進行ヲ止メ乘客悉
ク下車セシメタルコトハ確然タリ而シテ黑磯停車場ニテ正ニ上リ列車ノ
進行ヲ停止スルヤ黑磯驛長ハ直ニ電信ヲ以テ東那須ノ西那須ノ野崎矢板
片岡等ノ關係各驛長ニ向ヒ風力益强暴ニシテ前途危險ナレハ午後四時黑
磯停車場ニテ上リ列車ノ進行ヲ止メ乘客悉ク下車セシメタルコトヲ報シ
之レカ報告ニ接シタル片岡矢板野崎等ノ各驛長ハ直ク確認ノ返電ヲ發シ
タルヤ勿論ナラン此通信往復ナケレハ單線鐵道線路ノ閉塞開通明ナラサ
レハ隨テ下リ列車ヲシテ片岡以北ノ線路ヲ運轉スルヲ得ス若シ線路閉塞
開通明確ナラサルニ列車ノ運轉ヲ爲サンカ必ス衝突ノ慘害免カルヘカラ
ス故ニ此等ノ通信ヲ爲スハ殊ニ單線鐵道列車運轉ニ關スル通則ナリ當時
栃木縣知事ヨリ內務大臣ニ報告セラレシ所ニ依ルモ將タ東京地方裁判所
及宇都宮裁判所箒川事件ニ關シ民事上ノ證人トシテ又ハ刑事上ノ證人ト
シテ代議士鈴木萬次郎君及栃木縣鹽那兩郡ヨリ喚問セラレタル四十餘人
ノ證言ニ依ルモ彼ノ下リ列車矢板停車場ヲ發スル以前ヨリ大ナル樹木ヲ
倒シ家屋ヲ破ラントスル暴風ナリシハ明了ナル事實ナリ况ンヤ中央氣象
臺ノ證明スル所ニヨルモ突然一局部ニ起リタル颶風ニアラサリシナリ既
ニ暴風ノタメ危險ナリトシテ上リ列車ノ進行ヲ停止セシ方向ニ向ヒ暴風
中下リ列車ヲ進行セシメントスルニ際シ殊ニ警戒區域內ヲ通過セシメン
トスルニ臨ミ日鐵會社職員等ハ疎虞懈怠規則慣習ヲ遵守セス同日午後四
時四十分矢板ヲ發シタル下リ列車ニ對シテハ鐵道列車保安法トシテ鐵道
列車風炎豫防方法ノ三則タル停車除行車數減少ノ一ヲモ施行セサルノミ
ナラス矢板野崎間規定ノ列車運轉ノ速度ヨリ尙ホ一層急激ナラシメ非常
冒險的運轉ヲ試ミ明治三十二年十月七日午後四時四十六分客車八臺箒川
橋上ヨリ〓覆セシメ無慘ニモ數十人ヲ殺傷セシメタルモノト確認セサル
ヲ得ス尙ホ斯ノ如クニシテ日鐵會社ニ過失ナシトスルコトヲ得ルトセハ
其理由如何
明治三十五年三月七日國務大臣ノ答辯書ハ左ノ如シ
箒川列車〓覆殺傷事件ニ關スル質問ニ對スル答辯書
一箒川列車〓覆事件ニ關シテハ第十四議會ニ於テ菅野善右衞門君提出鐵
道ニ關スル質問ニ對シ答辯シタルカ如シ
顧フニ夫レ斯ノ如ク更ニ要領ヲ得サル答辯書ヲ提出セラレタル所以ノモノ
ハ國務大臣ハ第十四議會ニ於テ日鐵會社ニ過失ナシトノ答辯ヲ爲シタルコ
トナレハ日鐵會社ノ過失懈怠ニ關スル今ヤ事實明白ナル諸般ノ證據發見ス
ルモ日鐵會社ノ過失懈怠ニ基因スルモノナリトノ答辯ヲ爲ス情ニ於テ忍ヒ
サルヨリ出テタルニハアラサルカ或ハ飽迄虛僞ノ答辯ヲ爲シテ以テ日鐵會
社ノ責任ヲ免カレシメントスルヨリ出テタルニハアラサルカ若シ然カラス
トセハ明治三十四年十一一月十九日提出ノ質問ニ對シ更ニ詳細ナル答辯アラ
ンコトヲ望ム國務大臣ニシテ確實詳細ナル明答ナキトキハ過失ニヨリ多ク
ノ人ヲ殺傷シタル日鐵會社ト暗裡ノ關係上ヨリ然ルモノト認定ス事實如何
箒川列車〓覆殺傷事件ニ關スル再質問理由書
明治三十四年十二月十九日ニ於テ提出セル質問書ノ主意書理由書參考書ニ
示シタル所ニヨリ再ヒ理由ヲ付スル要ナキモ尙三箇ノ參考書ヲ添付シテ箒
川事件ハ過失ニヨリ作爲セシコトヲ明ニセントス
參考ノ
線路保安方及非常警戒心得〓要ノ件
明治三十-年九月十三日(部長達)
鐵工第一九五八號
線路保安方ノ儀ニ付別紙之通リ長官ヨリ訓令有之候間下モ線路工夫ニ至ル
迄能ク之レヲ訓示シ其趣旨貫徹セシメ候樣御取計可有之尙非常警戒ニ就テ
ハ御心得可有之候得共更ニ別紙事項ニ據リ嚴重施行苟モ長官訓諭ノ精神ヲ
愆マラサル樣御注意可有之此段及御通達候也
別紙
非常警戒心得〓要
-天候險惡トナリ又ハ現ニ暴風雨ニ際會シ又ハ其他ノ天災ニ由リ線路ノ
安全ヲ保ツノ必要ヲ認メタルトキハ晝夜ノ別ナク巡囘工夫ヲ增員シ線路
巡囘ヲ嚴密ニシ非常ノ報知ヲ敏捷ニスヘシ
二隧道橋梁、コルベルト切取其他豫テ注意ヲ要スヘキ線路ニハ特ニ工夫
ヲ配置シテ之レカ警戒ヲナサシムヘシ
三線路危險ニ陷リ又ハ現ニ故障ヲ生シ列車ノ安全ヲ保チ難シト認メタル
トキハ現場警戒ノ工夫ハ成ヘク最近ノ驛長若クハ其前後ノ驛長ニ報知ノ
手續ヲナスヘシ
但シ其報知ノ爲受持ノ場所ヲ離ルヘカラス
驛長ニ報告ヲ爲スト同時ニ受持保線手ニモ報知スヘキモノトス
四前項ノ場合ニ於テ其場所ヘ近寄リ來ル列車アルトキハ現ニ危害合圖ヲ
現示シ該列車ノ運轉ヲ停止セシムヘシ
五非常警戒ニ從事セシムヘキ工夫ハ豫テ合圖取扱ノ方法ヲ習熟セシメ置
クヘシ合圖器取扱ヲ知ラサルモノヲシテ線路ノ警戒ニ從事セシムヘカラ
ス
參考ノ二
氣象ニ關スル警報取扱手續左之通相定ム
明治三十三年六月六(部長達)
日鐵作工達第三四號
中央氣象臺ヨリ重要ナル警報ヲ受ケタルトキハ其報知ノ區域ニ從ヒ關
係保線事務所長ニ報知スルモノトス
二前項警戒ノ程度特ニ重要ナルトキハ保線手保線助手ニモ亦通知スルコ
トアルヘシ
三保線事務所長ハ最寄地方測候所長ニ依賴シテ常ニ氣象ニ關スル重要ノ
警報ヲ受クルノ手續ヲ爲スヘシ
四保線事務長ニ於テハ地方測候所ヨリ警報ヲ受ケタルトキハ工務部長ニ
報告スヘシ
五孰レノ場合ニ於テモ保線事務所長ハ關係保線區ニ警報ヲ周知セシムル
3錢後、
參考ノ三臺灣鐵道部
暴風雨ノ際ニ於ケル列車運轉上ノ心得明治三十三年九月
達第百五號
第一條暴風雨ノ徵候アルトキハ驛長及機關庫主任(共ニ代務者ヲ包含ス
以下做之)ハ特ニ天候ニ注意シ必要ト認ムルトキハ協議ノ上臨機左ノ處
置ヲ爲シ直ニ各本屬課長ニ報告スヘシ但シ機關庫ナキ驛ニ於テハ驛長之
カ取計ヲ爲スヘシ
-風力强暴ニシテ運轉危險ト認ムルトキハ列車ノ出發ヲ見合セ危險ナ
キニ至ルヲ待チテ出發セシムルコト
二列車ノ車數ハ可成減少シ決シテ空客貨車及輕量積載ノ車輛ヲ連結セ
サルコト但シ旅客列車若ハ混合列車ノ客車ヲ減シタルトキハ重ナル關
係驛ニ電報スヘシ
三二車跨以上ノ貨物若クハ巨大ノ物品ヲ積載セル車輛ハ連結セサルコ
ト
但シ至急ヲ要スルモノアルトキハ運輸課長ノ指揮ヲ受クヘシ
第二條機關手又ハ車長前條ノ必要ヲ認メタルトキハ驛長又ハ機關庫主任
ニ其意見ヲ述ヘ指揮ヲ受クヘシ
第三條暴風雨ノ際運轉スル列車ノ機關手及車長ハ特ニ線路ノ狀況及列車
ノ速度ニ注意シ必要ト認ムルトキハ其運轉シ來リタル區間ノ模樣ヲ各驛
長ニ詳細通報スヘシ
第四條運轉中風力强暴ニシテ運轉危險ト認メタルトキハ機關手及車長ハ
列車ヲ適當ノ場所ニ止メテ途中事故アルトキノ處置ヲ爲シ且迅速ニ列車
ヲ安全ノ位置ニ移ス手配ヲ爲スヘシ
第五條運輸課長又ハ汽車課長ニシテ特ニ警戒ヲ必要ト認メタルトキハ關
係ノ向ヘ電報ヲ發スルコトアルヘシ
此場合ニ於テハ本達ニ依リ取扱ヲ爲スヘシ
日本鐵道株式會社鐵道ノ火付人殺シ事件ニ關スル再質問書
右成規ニ據リ提出候也
明治三十五年三月九日
提出者菅野善右衞門贊成者伊藤直純
外三十名
日本鐵道株式會社鐵道ノ火付人殺事件ニ關スル再質問主意書
明治三十四年十二月十一一日ニ於テ日本鐵道株式會社鐵道ノ火付人殺シ事件
ニ關スル質問書ヲ提出シ其主意書中左ノ各項ニ付詳細ナル政府ノ答辯ヲ要
求シタリキ
-失火ノ原因調査ニ關スル〓末及之レカ改善ヲ命シタル〓末ハ如何
二脫線ノ原因ニ關スル〓末及之レカ改善ヲ命シタル〓未ハ如何
三轢死ノ原因調査ニ關スル〓末及之カ改善ヲ命シタル〓末ハ如何
四負傷ノ原因調査ニ關スル〓末及之カ改善ヲ命シタル〓末ハ如何
五〓覆衝突等ノ原因調査ニ關スル〓末及之カ改善ヲ命シタル〓末ハ如
何
右ニ對シ明治三十五年三月六日政府ノ提出セラレタル答辯書左ノ如シ
私設鐵道ニ於ケル事故ハ各會社ヲシテ事故ノ屆出ヲナサシメ其具陳ス
ル所ニ依リ審覈シ必要ト認ムルトキハ特ニ監査員ヲ派遣シ審査ヲ行ハ
シム而シテ事故ノ屆出ニ就テハ從前ノ法令ニ其規定備ハラサリシヲ以
テ私設鐵道法ニ於テ之カ規定ヲ加ヘ該法施行以來鐵道事故屆出ニ關ス
ル規定ニ依リ之ヲ屆出テシム日本鐵道株式會社線路ニ於ケル事故ノ審
査ハ卽チ上陳ノ手續ニ依リ之ヲ行ヘリ
日本鐵道株式會社線路ニ於ケル事故(自明治三十二年一月至三十三年
一月)ノ主ナル原因ハ車輛失火ニ就テハ機關車ノ散火脫線ニ就テハ職
員ノ過失轢死及負傷ニ就テハ自己ノ過失ト衝突接觸ニ就テハ職員ノ不
注意ニシテ〓覆(三件中一件ハ土工假線ニ於ケル土運車ニ係ル)ニ就テ
ハ天災及職員ノ不注意ニ因ルモノ各一件ナリ
一職員ノ過失及ヒ不注意ニ就テハ夫々會社ニ於テ成規ノ處分ヲ了セリ又
機關車ノ散火ニ就テハ日本鐵道株式會社ニ對シ特ニ火粉止ノ取扱ヲ嚴
重ニスヘキコトヲ命シ又吏員ヲ派遣シ機關車ヲ調査セシメ火粉止裝置
ノ不完全ト認メタルモノニ對シ改修ヲ命セリ
政府ノ答辯其要領ヲ得サル夫レ斯ノ如シ茲ニ再質問ヲナスノ止ムヲ得サル
故ナキニアラサルナリ
一脫線、轢死、負傷、〓覆、衝突等ノ原因調査ニ關スル〓末及改善ヲ命シタ
ル〓末ヲ詳細明示セラレサルハ抑何等ノ理由アルニ由ルカ其原因ヲ査
覈シ之レガ改善ヲ命スルノ必要ナシトセシニハアラサルヘシ若シ必要
ナシトセハ其理由如何
二〓覆ヲシテ天災ニ歸サシメ會社若クハ其職員ノ責任ヲ免カレシムルノ
惡弊大ニ行ハレツヽアリ若シ天災ナリトセハ之ヲ豫知シ又ハ防禦シ能
ハサリシ〓末詳細明示セラレタシ事實詳細ナル明答ナキトキハ政府ハ
曲說ヲ付シテ答辯ヲナシタルモノト認ム事實如何
三政府ハ滊車火粉止裝置ヲナスヘキコトヲ會社ニ命シタリトノ答辯ナレ
トモ其命シタル年月日及火粉止裝置ノ方法如何
四今尙ホ滊車ノ爲メニ火災ニ罹リツヽアルモノ多シ火粉止裝置ハ火粉ヲ
止ムルコト能ハサル裝置ニハアラサルナキカ事實如何
五日鐵會社ハ火粉止裝置ノ命令ニ從ハサルニハアラサルカ今尙ホ出火ヲ
防止セシムルニ至ラサル事實如何
六鐵道職員等ハ火粉止取扱ノ命令ニ從ハサル爲メニ出火セシメツヽアル
ニハアラサルカ事實如何
七日鐵線路ニ沿フ所ノ町村ハ今尙ホ汽車出火ノ災厄ヲ蒙リ困難ニ陷リ
ツヽアリ現ニ明治三十五年二月二十日福島縣伊達郡蒔田村大字石母田
齊藤勘六外百十二名ヨリ福島縣知事ニ換線請願書ヲ提出セルヲ以テ見
ルモ明白ナル事實ナリ然ルニ政府ハ之ヲ不問ニ附シ去リツヽアル理由
如何
八明治二十二年二月十一日憲法發布ノ勅語ヲ按スルニ朕ハ我カ臣民ノ權
利及財產ヲ貴重シ及ヒ之ヲ保護シ此憲法及法律ノ範圍內ニ於テ其ノ享
有ノ完全ナランコトヲ宣言スト宣ハレタリ然ルニ人ヲ殺傷シ財產ヲ損
滅シツヽアルモ政府ハ此災害ヲ豫防セシメサルハ勅語ニ違背スルモノ
ニハアラサルカ尙ホ勅語ニ違反スルモ事ヲ等閑ニ附シ去ル理由如何
日本鐵道株式會社鐵道ノ火付人殺シ事件ニ關スル再質問理由書
理由ハ本文ニ盡セルヲ以テ詳シク記スルハ略スルモ出火ニ就キテ困難ノ
證明ノタメ一ノ參考書ヲ添付ス
參考書ノ一
請願書
齋藤勘六
外百十二名
再拜書ヲ以テ有田明府閣下ニ上ル顧ミレハ
明治二十年日本鐵道會社ノ東北鐵道ヲ引長スルヤ線ヲ桑折ヨリ右折シ藤田
ニ至リ全ク國見山ノ如キ高地ニ布設セリ故ニ其傾斜四十分ノ一ニシテ滊車
線路面ヲ摩擦スルニ於テ非常ノ滊力ヲ要スルカ故此阪路ニ沿ヒタル村落ニ
シテ煤煙四方ニ瀰蔓スルノ結果火ヲ之ニ發シタメニ全燒半燒ノ厄ニ逢遭セ
ルモノ既ニ十數囘罹災民ノ之レカ爲メニ產ヲ敗リ業ヲ廢シ甚タシキトキハ
祖先ノ塋域ヲ去リ他ニ移轉セシモノモ亦尠シトセス春季乾燥ノ候ニ際シテ
ハ〓村爲メニ戰々兢々タリ各家ハ爲メニ夜警ニ遑々トシテ晝間ノ勞役ヲ廢
セサルヘカラサルニ至ル而シテ鐵道會社ハ之ニ對スル實ニ冷淡ニシテ出火
ハ己ノ過失ニ出テタルヲ知リテ猶ホ且ツ之レヲ免レントシ若シ罹災者ニシ
テ之レカ損害ヲ請求セントスルノ虞アルトキハ百方畫策之レヲ中途ニ遮障
シ甚タシキハ傲然トシテ斯民ヲ恐赫シテ曰ク事ヲ公表シテ會社ニ當ルコト
アラハ會社ハ巨萬ノ資ヲ投シテ之ヲ抑壓スヘシト爰ニ於テ罹災者憤テ訴フ
ル所ヲ知ラス所謂泣キ寢入トナリ千兩笠一箇底ノ見舞金ニ其意志ヲ屈服セ
シモノ比々皆然リ豈ニ驚カサラント欲スルモ得ヘケンヤ事態己ニ斯ノ如シ
何レニ向テ意ノアル所ヲ被陳セン爰ニ於テカ前述ノ事實ヲ具シテ之ヲ明府
閣下ニ致シ之レカ善後ノ良計ヲ請フ所アラントス閣下希クハ下民等ノ衷情
ヲ憫察シ聖世ノ慶福ヲ與ヘラレンコトヲ謹テ白ス
明治三十五年二月二十日
伊達郡藤田村大字石母田字樋口二十番地
齋藤勘六印
外百十二名連印
福島縣知事有田義資殿
參考書ノ二
鐵道遭難死傷人員
職員乘客其他合計
年度目標
死傷死傷死傷死傷
明治二十七年度四二一五金二二四三二一二三六三六五三四五
同二十八年度六一一四二六六一 月 八三八三一五五四五、日式
同二十九年度五一六〇六六三四〇七一九四四六百四一七
同三十年度九四三二三八三二六〇三二〇〇七〇五六四五
同同三十一年度九七18.三ニ·此お買い二八八八九四八四八
三十二年度九八四七八三三三二九九〇四二八八一、〇三五一、〇九五
備考明治三十二年度ノ統計ニ依レハ一箇年二千一百三十名ヲ殺傷シツ
アル鐵道業ナルニ之ヲ等閑ニ附ルハ野蠻極マル制度ナリ刑法ヲ改正シテ
罪アル者ノ人命スラ救ハントスル現今良民ヲ殺傷シツヽアルモノニ對
シ法律ヲ以テ之レカ救濟セサルモノハ何ソヤ鐵道業ノ亂暴ヲ示ス如斯発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=1
-
002・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 刑法改正案及鑛業法案ハ、會期切迫ノタメニ審査結了
ニ至ラザル旨ヲ、委員長ヨリ報告ニナッテ居リマス、是ヨリ會議ヲ開キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=2
-
003・望月長夫
○望月長夫君(二百四十二番) 昨年十二月二十何日カニ〓國事變ニ關スル一
時賜金ニ附イテ政府ニ質問書ヲ差出シテ、其趣意ヲ辯明致シテ置キマシタ、
然ルニ今日ニ至ッテ-卽チ會期ガ今日限リデ盡キル唯今ニ至ッテ尙ホ政府
ノ答辯書ヲ得ナイノデアリマス、此事柄ハ本員ニ於テハ、未來百年我國ノ軍紀
ニ關スル、最モ重要ナル質問デアラウト思ッテ實ハ其質問書ヲ提出シタ次第
デアリマス、然ルニ政府ハ之ニ對シテ、一切挨援ヲシナイ、卽チ其理由ヲ說明
セズ、又之ニ對シテ答辯ヲ爲サナイト云フ理由ヲモ、明示致サナイノデア
ル若シ政府ガ質問ニ對スル答辯ヲスルト云フコトデアレバ、今日ハ縱シヤ
役所ニ於ケル事務ヲ執ラナイ休ミ日タルニ拘ハラズ、是非其答辯ヲ請ヒタ
イノデアリマスガ萬一答辯ヲ致サナイト云フコトデアレバ是ハ政府ニ於
テ本員ノ質問ノ趣意ニ明答スルコトガ出來ナイ言葉ヲ換ヘテ言ヘバ己
ニ疚シキ所アルコトヲ、表明スルト、同一デアルト私ハ考ヘルノデアル故
ニ本員ハ一面ニ於テ、此質問ニ對スル答辯ヲ促スト同時ニ、一面ニ於テハ此
答辯ヲナスコトガ出來ナイノデアル以上ハ、卽チ本員質問ノ要旨ヲ認メザル
ヲ得ナイ以上ハ斯ノ如キ事柄ニ附イテハ政府ハ速ニ從來ノ處置ヲ改メラ
レンコトヲ望マネバナラヌノデゴザイマス、故ニ催促ト同時ニ、一言木員ノ
希望ヲ表明致シテ置キタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=3
-
004・石黒涵一郎
○石黒酒一郞君(五十一番) 是ヨリ權限裁判法案ノ委員會ヲ開キタウゴザイ
マスカラ許可ヲ得タイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=4
-
005・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 石黑涵一郎君カラ權限裁判法案ノ委員會ヲ開キタイト
云フコトデゴザイマス許可シテ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=5
-
006・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 御異議ガナケレバ許可スルコトニ致シマス-是ヨリ
議事日程ノ第一ノ議事ニ移リマス、農工銀行法中改正法律案、貴族院ノ囘付
第一農工銀行法中改正法律案(本院提出、貴族院囘付)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=6
-
007・門脇重雄
○門脇重雄君(百二十九番) 此貴族院修正ハ本院ノ決議ニ對シ「及其ノ擔保
タル抵當權ヲ擔保」ト云フ十三字ヲ修正致シ本院決議ノ「ヲ質」ト云フ二字
ヲ削除スルコトニナッテ居リマスガ、此貴族院ノ修正ハ、本案ノ改正ニ對シテ、
最モ明ナル趣意ニナリマシタコトデゴザイマスカラ願ハクハ本院ハ、此貴
族院ノ修正ニ同意アランコトヲ、希望スルノデゴザイマス
(「贊成々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=7
-
008・望月長夫
○望月長夫君(二百四十二番) 唯今門脇君カラ御發言ガアリマシタガ、本員
ハ貴族院ノ此修正ヲ以テ、完全無缺ナルモノトハ信ジマセヌノデアリマス
サリナガラ本院ノ提出案ニ附イテハ本員モ實ハ提出者ノ一人トシテ、署名
ヲ致シテ置キマシタガ、此文言ノ上ニ於テハ實ハ修正ヲ要スル〓ガアルト
思ッテ、本會ノ節ニ其修正意見ヲ述ベタイ考デアリマシタガ刑法改正案ノ
委員會ニ障ヘラレテ、遂ニ其意見ヲ發表スル時機ガナカッタノデアリマス、此
貴族院ノ修正ノ中ニモ特ニ一債權及其ノ擔保タル抵當權ヲ擔保トシテ」トア
ル斯ノ如キクダ〓〓シイ言葉ヲ用ヒタルガタメニ債權竝ニ抵當權ハ擔保
ニナルガ法律上ノ意味カラ云フト、例ヘバ耕地整理法デ連帶義務ヲ負ハシ
タト云フ連帶ナル對人擔保ヲ、態く取除ケタノデナイカト云フ疑ガ起ル斯
ノ如キ言葉ヲ用ヒズシテ、寧口年賦償還貸付金ヲ擔保トシト云フ、廣キ言葉
ヲ用井ルコトガ相當ト考ヘル點モアル、加之下ノ所ニ持ッテ往ッテ、農工銀行法
ナリ勸業銀行法ハ貸付ヲナスコトヲ得-借入ト爲スコトヲ得ト云フ文言ヨ
リ書イテナイノニ、之ニ限シテ貸付金ヲ爲スコトヲ得、借入金ヲ爲スコトヲ得
ト云フガ如ク、無用ナ文字ガ書イテアッタリスル所ハ實ハ修正ヲシテ居ラ
レナカッタリシテ、極完全ナル修正デハナイ、卽チ不完全ナル修正デアリマ
スガ、更ニ一面ヲ顧ミテ見マスルト、勸業銀行法ノ委員會ニ於テ附加ヘタル
「前項ノ場合ニ於テハ抵當權ノ登記ニ附記スルコトヲ要ス」ト云フガ如キ無益
ナ箇條、無益ト云フヨリハ寧ロ有害ナル箇條、是ハ委員會ニ於テハ政府委
員ノ御内意ニ依ッテ、附加ヘタルガ如キニ至ッテハ實ハ政府委員ノ法律上ノ
能力ノ缺乏ヲ、憫マナケレバナラナイ修正デアリマスガ、斯ノ如キ〓ヲ削除
セラレタト云フコトハ全タ貴族院ノ御趣意ニ同意ヲ表セネバナラヌ次第デ
アリマス故ニ若シ會期ノ餘裕ガアルトナラバ今一應本案ヲ否決シテサ
ウシテ貴族院ト協議會ヲ開イテ、完全無缺ノ文章ニ致シタイト云フ希望ガア
リマスケレドモ今日唯今ト爲リマシテハ寧ロ法文ノ不完全ヲ忍ンデモ
本案ノ趣旨ヲ成立タセルト云フ必要ヲ認メマスルガ故ニ、餘儀ナク門脇君ノ
說ニ同意ヲ致シマス
〔「賛成々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=8
-
009・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 採決ヲ致シマス、貴族院ノ修正ニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=9
-
010・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 御異議ガナケレバ同意スルコトニ致シマス、議事日程
ノ第二日本勸業銀行法中改正法律案、貴族院囘付
第二日本勸業銀行法中改正法律案(本院提出、貴族院囘付)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=10
-
011・門脇重雄
○門脇重雄君(百二十九番) 是亦第一日程ノ修正ニ關聯シタ事柄ノ修正デゴ
ザイマシテ、其趣旨ハ前ニ述ベタ通ノ次第デゴザイマス、而シテ此勸業銀行
法中ノ改正ニハ本院ニハ決議致シマシタル「前項ノ場合ニ於テハ抵當權ノ
登記ニ附記スルコトヲ要ス」是ガ貴族院デ削除ニナリマシタノデゴザイマス、
是レ亦削除ガ適當ト考ヘマスカラ、本院ニ於テモ本案ニ對シテ、同意ヲ表サ
レンコトヲ希望致シマス
〔「贊成々々」ト呼フ者アリ)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=11
-
012・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 採決致シマス、貴族院ノ修正ニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=12
-
013・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 御異議ガナケレバ同意スルコトニ致シマス、議事日程
ノ第三輸入原料戾稅法案、貴族院囘付
第三輸入原料砂糖戾稅法案(本院提出、貴族院囘付)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=13
-
014・栗原亮一
○栗原亮一君(三十三番) 本案ニ對シマシテハ貴族院ハ本院ノ決議ニ對シ
テ、修正ヲ加ヘラレタノデアリマス、卽チ施行期限ノ三十五年四月ト云フノ
ガ、本院ノ決議デアリマシタガ、之ヲ「十月」ト修正シ竝ニ附則ノ第四條ニ
於キマシテ「本法ハ明治四十年三月三十一日マデ其效力ヲ有ス」卽チ五箇年ノ
制限ガ附イタノデアリマス、是ハ提出者ノ一人トシテハ遺憾ニハ存ジマスケ
レドモ此場合總テ貴族院ノ修正ニ同意スルコトニ致シマシテ、速ニ議決ニ
ナランコトヲ希望致シマス
〔「贊成々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=14
-
015・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 採決ヲ致シマス、本案モ貴族院ノ修正ニ御異議アリマ
セヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=15
-
016・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 御異議ガナケレバ同意スルコトニ致シマス、議事日程
ノ第四第二期鐵道豫定線路中比較線路調査ニ關スル建議案、委員長ノ報告西
谷金藏君
第四第二期鐵道豫定線路中比較線路調査ニ關(委員長報告)
スル建議案(武石敬治君提出)
〔西谷金藏君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=16
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017・西谷金藏
○西谷金藏君(二百八十一番) 諸君、第二期鐵道豫定線路中比較線調査ニ關
スル建議案、此案ノ委員會ノ結果ヲ御報告致シマス本案ハ明治二十五年法
律第四號第二條中ニアル奧羽豫定線ノ中、巖手縣下黑澤尻若ハ花卷ヨリ秋
田縣下橫手ニ至ル鐵道、此線路ハ奧羽線ノ南北兩線ノ聯絡線ニ當ルモノニシ
テ、法律上ノ第二期線デゴザイマス此線路ヲ定メラレマシタ當時ハ此地
方ニ於ケル縣道ノ開通ハ、此線路ヨリ他ニ車馬ノ通ズベキ所ガナカッタサウ
デアリマス然ルニ其後ニ至ッテ、是ガ比較線トシテ、本案ニ明記セラレテ
居ル、巖手縣下水澤ヨリ秋田縣下稻葉駒形增田ヲ經テ十文字ニ至ル線路、同縣
下花卷ヨリ秋田縣下六〓ニ至ル線路、同縣盛岡ヨリ大曲ニ至ル線路、此等ノ
線路ハ目下縣道トシテ開鑿セラレ追〓交通モ頻繁ニナリツヽナッテ居ル此
時ニ方ッテ第二期ノ豫定線トシテ決定セラレルニ當ッテハ當初定メラレタル
モノニ限ラズシテ、更ニ此三線ヲ比較線トシテ調査セラレルハ相當ナリト
認メルト云フコトデゴザイマス是ハ提出者ヨリ意見等モ篤ト陳述セラレマ
シタガ、決シテ此地方的觀念抔ヲ以テ起ルモノニアラズ、本年ノ議會ニ於テ
成立シマシタ、彼ノ調査費ヲ以テ是ヨリ漸次調査ニ著手セラレマスル以上
ハ此線路ノ決定ヲ誤マラシメヌガタメニ此注意ヲ當局者ニ與ヘルノガ、
頗ル相當ナル處置ナリト信ジマス、此故ニ本案ハ提出者ノ提案通ニ可決致
シマシタ、滿場一致ヲ以テ御贊成アランコトヲ希望致シマス
(「贊成々々」ノ聲起ル)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=17
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018・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 採決致シマス、本案ハ委員長報告通、原案ニ御異議ハ
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=18
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019・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 御異議ナケレバ原案通決シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=19
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020・安藤亀太郎
○安藤龜太郞君(二十一一番) 既ニ此農工銀行法ノ改正案ガ可決ニハナリマシ
タガ、聊カ貴族院ノ修正ニ同意スルト云フ〓ニ於キマシテハ文字ニ於テ甚ダ
其宜シキヲ得ナイト思フ〓ガアリマスカラ私ハ是非之ヲ修正致シタイト思
フト云フモノハ第二十四條ノ第三項ノ次ニ、貴族院ノ修正ニ於テハ此
「質」ト云フコトヲ取ッテアル然ルニ第二十六條ニハ矢張此「質」ト云フ文
字ガアル又第二十七條ニハ「質」ト云フ字ガアリマスカラシテ、是ハ矢張二
十四條ノ第三項ニアリマス如ク總テ「質」ト云フ字ヲ「擔保」ト云フ文ニ直サヌ
ケレバ、甚ダ此法律ノ上ニ於テ宜シクナイト思ヒマスカラシテ、既ニ決定ハ
シテ居リマスヤウナモノヽ、文字ノ上ニ於テ貴族院ニ同意シマスルニハ宣
シク是ガ訂正ヲシナケレバナラヌト云フ考デアリマスカラ、其意見ヲ私ハ提
出致シテ、修正ヲ致シタイト云フ考デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=20
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021・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) ソレハモウ既ニ修正ハ成立チマセヌガ、尙ホ是ハ貴族
院ノ方ニ交渉ヲシマシテ若シ是ハ文字ノ印刷ニ附スルトキニ誤謬デモアリ
マシテ、貴族院ガ訂正ヲスルナラバ御異議ハアリマスマイ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=21
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022・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 御異議ガナケレバ尙ホ交涉ヲ致シテ見マス、議事日程
ノ第五普通〓育〓科書中憲政ノ要旨編入ノ建議案、委員長報告、根本正君
第五普通〓育〓科書中憲政ノ要旨編入ノ建議案(根本正君外
二名提出)
〔根本正君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=22
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023・根本正
○根本正君(二百八十四番) 普通〓育〓科書中憲政ノ要旨編入ノ建議案、是本
案ニ附キマシテ兩度委員會ヲ開キマシテ政府委員モ是ニ招キマシテ、
ニ附イテ意見ヲ承リマシタガ、全然同意スルト云フコトデアリマスル此建
議案ハ卽チ憲政ノ完備ヲ期スルニ最モ必要ナル案デ、全會一致ヲ以テ可決
シマシタカラドウゾ御贊成アランコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=23
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024・安藤亀太郎
○安藤龜太郞君(二十一一番) チヨット根本君ニ質問致シマスガ、是ハ根本君ト
同樣ニ私抔モ矢張提出者ノ一人デアリマシテ、憲政ノ要旨ヲ此普通〓育ノ
〓科書ニ入レルト云フコトハ固ヨリ同意デアリマスガ併シ此憲政ノ要旨
ヲ〓科書ニ入レルト云フニ附イテハ政府ガ同意シタリト云フコトハドウ
云フヤウナ風ニシテ、憲政ノ要旨ヲ編入スレバ宜シイカト云フコトデ、同意
シマシタガ、隨分此〓ニ附イテハ前年ノ議會ニ於テモ、或ル議員ガ建議案
ヲ出サレタコトモアリマシタガ此要旨ヲ〓科書ニ凡ソ全國ノ普通〓科
書ニ悉ク入レルト云フコトニ附イテハ政府ガ同意セラレルコトハ如何ナ
ル方法ヲ以テ入レルカ、其方法ガナケレバ困ルト思ヒマスガドウ云フ點デ
同意セラレマシタカ、一應承知シタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=24
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025・根本正
○根本正君(二百八十四番) 御答致シマス、今日旣ニ師範學校及中學校ノ〓
科書中ニハ重ニ此事ガ載ッテ居リマス、併ナガラ高等小學校或ハ尋常小學
校ノ如キニ至リマシテハ之ヲ全般ニ入レテアルト云フコトハ申サレマセ
〓故ニ未ダ這入ッテ居ラヌ所ノ〓科書中ニ入レル、既ニ今日文部省デ高等
科〓科書中ノ讀本ノ檢定濟ニナッテ居ルモノガ、四十一部アリマス其重ナル
モノハ多少這入ッテハ居リマスケレドモ、卽チ一枚ノモノガ這入ッテ居リ或ハ
五行ノモノガ這入ッテ居ル二枚ノモノガ這入ッテ居ルト云フヤウナ譯デアリ
マヌカラ卽チ此本旨ヲ貫クタメニハ政府ガ凡ツ意見ヲ定メテ、サウシテ
ドノ本ニモ後來出來ル本ニハ宜シク憲政ノ完備ヲ期セシムルニ足レルダケ
ノモノヲ入レルコトヲ決議致シマシタドウゾ御贊成ヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=25
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026・安藤亀太郎
○安藤龜太郞君(二十一一番) 尙ホ質問致シマスサウスルト實行ハ如何ナル
トキカラヤルト云フコトデアリマスカ卽チ本年デアルカ、來年デアルカ、
其所マデハ委員會デハ、審査ハナカッタノデアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=26
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027・根本正
○根本正君(二百八十四番) 御答致シマス、卽チ此建議案ニ「速ニ之ガ實行
ヲ期セラレンコトヲ望ム」ト云フコトデアリマス、故ニ是ヨリ檢定スル本ハ
明日出レバ明日ヨリ、此事ヲ主張致スコトニナリマスル、卽チ是マデノ讀本中
二七帝國憲法ノコトニ附イテ、或ハ帝國議會ノコトニ附イテ、政府ノ成立
ノコトニ附イテ、衆議院議員選擧ノコトニ附イテ、憲法大意ニ附イテ政府
ト議會トノコト法律憲法等ノコトニ附イテ出テ居リマス郎チ是等ノコトヲ
皆一般ニ宜シク此四千有餘万ノ人民ニ、殘ラズ此大要ヲ知ラシメルコトニ
ナッテ居リマス御贊成アランコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=27
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028・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 本案ニ附イテ採決致シマス、委員長報告通、原案ニ御
異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=28
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029・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 御異議ガナケレバ原案ニ決シマス、議事日程ノ第六家
祿處分ニ關スル建議案、恆松隆慶君-唯今提出者ガ見エマセヌカラ御異議
ガナケレバ是ハ後ニ延スコトニ致シマス議事日程ノ第七、菅原傳君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=29
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030・望月長夫
○望月長夫君(二百四十二番) 一括シテ報告セラレタラ、便利デアラウト思
ヒマス、私ガ恆松君ノ代理ヲ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=30
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031・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 請願委員長ノ出席ガナイヤウデアリマスガ、ドナタカ
報告ニナリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=31
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032・高須賀穰
○高須賀穰君(十三番) 委員長ガ居ラレマセヌカラ、私ハ理事ノ一人デアリ
マスカラ報〓ヲ致シマセウカ
(「報告書ガアルカラ分ッテ居ル」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=32
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033・山口熊野
○山口熊野君(百一番) 是ハ意見書デ、大體皆能ク明瞭ニナッテ居リマスカ
ラ今望月君ノ御發議ノ通、一括シテ採擇スルコトニ私共ハ願ヒタイ
(「贊成々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=33
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034・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 望月長夫君ノ動議ノ如ク、一括シテ議題ニ供スルコト
ニ御異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=34
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035・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 御異議ガナケレバ、一括シテ議題ニ供シマス
第七(特別報告第四十號)下總國小金佐倉十牧(委員長報告)
開墾地ニ關スル請願
第八(特別報告第四十一號)神戶小樽間定期航(委員長報告)
復舊ノ請願外三件
第九(特別報告第四十二號)〓國河湖航運業擴(委員長報告)
張ノ請願
第十(特別報告第四十三號)下ノ關開港區域擴(委員長報告)
張ノ請願
(特別報告第四十四號)廢絕家相續人財
第十一產取得ニ關シ民法及民法施行法修正ノ(委員長報告)
請願
第十二(特別報告第四十五號)區裁判所出張所(委員長報告)
設置ノ請願
第十三(特別報告第四十六號)岐阜縣可兒郡兼(委員長報告)
山町電信支局設置ノ請願
第十四(特別報告第四十七號)郵優局設置ノ請(委員長報告)
願
第十五(特別報告第四十八號)波積郵便局開設(委員長報告)
ノ請願
第六、(特別報告第四十九號)開港外ノ貿易港(委員長報告)
設置ノ請願
第十七(特別報告第五十號)肺結核及癩病豫防(委員長報告)
法制定ノ請願
第十八(特別報告第五十一號)電信開設ノ請願(委員長報告)
第十九(特別報告第五十二號)鐵道線路延長ノ(委員長報告)
請願
第二十(特別報告第五十三號)監獄支署新設ノ(委員長報告)
請願
第二十一(特別報告第五十四號)電信局設置ノ(委員長報告)
請願
第二十二(特別報告第五十五號)墨俣電信局設(委員長報告)
置ノ請願
第二十三(特別報告第五十六號)島根縣飯石郡(委員長報告)
來島村三日市ニ郵便局開設ノ請願
第二十四(特別報告第五十七號)電信局設置ノ(委員長報告)
請願
第二十五(特別報告第五十八號)區裁判所設置(委員長報告)
ノ請願
(特別報告第五十九號)大日本高砂合
第二十六資會社ノ製紙ヨリ生スル毒水被害救(委員長報告)
護ノ請願
第一十七(特別報告第六十號)太陽暦ヲ全國ニ(委員長報告)
實行スルノ請願
異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=35
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036・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 委員長ノ報告通御異議ガナケレバ、其通ニ決シマス、
是デ暫ク休憩ヲ致シマフ
午前十時四十一分休憩
午後零時二十五分開議発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=36
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037・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 是ヨリ會議ヲ開キマス、チヨット議事日程ノ御報告ヲ致
シテ置キマス
書記朗讀
議事日程第二十八號追加
第明治三十三年法律第七十三號衆議院議員選舉法中改正法律案
(政府提出、貴族院囘付)
第特第四號)明治三十五年度各特別會計歲入歲出豫算追加案
(貴族院囘付)
第三權限裁判法案(政府提出、貴族院送付)第一讀
會ノ續(委員長報告)
第四電信直配達區域擴張ニ關スル建議案(星野甚
右衞門外四名提出)(委員長報告)
第五家祿處分ニ關スル建議案(恆松隆慶提出)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=37
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038・安藤亀太郎
○藤藤龜太郞君(二十二番) 議長発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=38
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039・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 安藤龜太郞君、質問デスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=39
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040・安藤亀太郎
○安藤龜太郞君(二十一一番) 質問デス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=40
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041・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 簡單ナレバ其席カラ····発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=41
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042・安藤亀太郎
○安藤龜太郞君(二十二番) 簡短デスガチヨット
(安藤龜太郞君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=42
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043・安藤亀太郎
○安藤龜太郞君(二十一一番) 私ハ事ハ頗ル重要ナル問題デアリマスルガ、會
期切迫、而モ今日一日ノコトデアリマスルカラシテ極テ簡短ニ質問ヲシテ
置カウト思ヒマス。先刻議長ヨリ刑法改正案ノ委員會ニ付イテノ御報告ガア
リマシタ其際私モ委員長ニ御尋ヲ致ス積デアリマシタガ偶御席ニ御出
ガアリマセヌ故ニ私ハ控ヘテ居リマシタカラシテ、此際幸ヒ委員長モ御居
デアリマスカラ質問ヲ致シテ置カウト思フ此刑法改正案ノコトハ隨分
朝野共ニ此問題ニ附イテハ注目ヲ致シテ居ル所ノ問題デアルソレハ私
ハ申スマデモナク卽チ國民ノ生命竝ニ財產上ニ關係スル重要ナル〓デアル
カラシテ、朝野ノ者ガ舉ッテ是ニ注目スルト云フコトハ相當ナル問題ト考
ハル然ルニ貴族院ニ於テハ修正可決シテ、本院ニ囘付サレテ後、僅ニ會期
ハ數十日デアッタ此間委員會ニ付託サレタ後ハ花井君其他委員ハ卽チ此
死刑廢止、或ハ監視廢止、其他官吏侮辱罪等ニ於テハ種々ナ御意見モアリ
マシタラウシ又質問モアッタト云フコトハ吾ミハ認メテ居ル所デアル而
シテ又此新刑法ニ於テ、最モ問題ト爲ッタノハ刑期ノ刑ノ範圍ガ甚ダ
廣況デアル卽チ一月以上十五年以下ト云フヤウナコトニナッテ、此ノ如キ廣
汎ナル範圍ヲ以テ之ヲ裁判官ニ許ストームフコトハ如何デアラウト云フコ
トハ隨分問題ニナッタコトデアルデ是等ニ就イテハ定メテ諸君ハ御〓究
ニモナリマシタデアリマセウシ、又吾ミモ多少意見ノアッタ所デゴザイマス
故ニ委員會ニ於テハ是等ニ附イテハ必ズ御〓究ニナッタコトヽ考ヘマス而
シテ私等ガ先般主張シマシタ所ノ監視廢止竝ニ死刑廢止其他姦通罪ノコト等
ニ於テハ果シテ委員會ニ於テドウ云フ〓究ニナッテ居ルノデアルカ、此〓
ハ明ニ委員長カラ當議會ニ向ッテ御報告ガアルノハ又本院ノ意志ノアル所
ヲ國民ニ知ラシメルト云フ必要ガアラウト云フ考デアリマスカラ委員
長カラ明確ニ御說明アランコトヲ希望致シマス
〔「無用々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=43
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044・尾崎行雄
○尾崎行雄君(五十二番) 唯今安藤君ヨリノ質問ニ御答ヲ致シマス刑法審
査委員ノ中ニ便宜ニ依ッテ七名ノ調査委員ヲ設ケテ暫ク調査ヲ、七名ノ
諸君ニ委託シタノデアリマスルガ、其七名ノ諸君カラシテ唯今安藤君ノ述
ベラレタ如ク刑ノ主刑ノ數ヲ減ラス以下四項ノ修正ヲ加ヘタカラソレヲ
加ヘルニ附イテハ各條ニ非常ナ影響ヲ及シテ、到底此會期中ニ審査ヲ終ル
コトハ出來ナイト云フ報〓ヲ本員マデサレタノデアリマス是ニ於テ本員
等ハ委員ノ總會ヲ開キマシテ、少數ナル調査委員ノ報告通ヲ是認シテ改正
審査委員ノ意見ト爲スヤ否ヤト云フコトヲ評議ヲ致シマシタ結果、ソレヲ
バ採用シテ本會ノ意見トハシナイ唯參考トシテ受取ッテ置ク本會ハ唯
會期切迫シテ到底審査ヲ終ルコトガ出來ナイト云フダケヲ、本會ノ意見ト
シテ議長ニ報告スルト云フコトニ決定ヲシタノデアリマスル故ニ少數
ノ七名ノ諸君カラハ唯今安藤君ノ述ベラレタ四箇條ノ意見ガ、出テ居リマ
スルケレドモ刑法改正審査委員全體ハ、ソレヲバ採用セヌデ、唯參考ノタ
メ受取ッテ置イタニ過ギナイノデアリマス、故ニ此段報告致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=44
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045・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 議事日程ノ第一ニ移リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=45
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046・寺田彦太郎
○寺田彥太郞君(二百四十八番) 議長発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=46
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047・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 寺田彥太郞君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=47
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048・寺田彦太郎
○寺田彥太郞君(二百四十八番) 私モ唯今ノ問題ノ委員ノ一人ニナッテ居リ
マス彼ノ姦夫姦婦ノコトニハ、何分ノ協議ハアリマセヌガ、私ノ意見ヲ述
ベテ置キタク存ジマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=48
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049・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 議事日程ノ第一ニ移リマス、明治三十三年法律第七十
三號衆議院議員選舉法中改正法律案、貴族院囘付-尾崎行雄君
第明治三十三年法律第七十三號衆議院議員選舉法中改正法
律案(政府提出、貴族院囘付)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=49
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050・尾崎行雄
○尾崎行雄君(五十二番) ソレハ少シク衆議院ノ意見トハ違フ所ガアリマス
グレドモ其大要ニ於テハ貴族院ノ修正通ニシタ所ガ、大體ニ於テ强テ差
支ガナイコトヽ信ジマスガ故ニ、枉ゲテ是ニ同意シテ、此案ヲ成立セシメル
コトヲ希望致スタメニ此動議ヲ提出致シマス
〔「贊成々々」ノ聲起ル)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=50
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051・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 貴族院ノ修正ニ同意スルコトニ、御異議ハアリマセヌ
カ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=51
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052・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 御異議ガナケレバ同意スルコトニ致シマス、日程ノ
第二特第四號明治三十五年度各特別會計歲入歲出總豫算追加案、貴族院囘
付尾崎行雄君
第二(特第四號)明治三十五年度各特別會計歲入歲出豫算追加
案(貴族院囘付)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=52
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053・尾崎行雄
○尾崎行雄君(五十二番) 是モ樟腦ニ關スル法律ガ成立セザル以上ハ已ム
ヲ得ズ貴族院ノ決議通ニシナケレバナラヌ自然ノ結果ト思ヒマス故ニ本院
ハ是ニ同意スベシト云フ動議ヲ出シマス
(「贊成々々」ノ聲起ル)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=53
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054・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 是モ貴族院ノ決議通ニ同意スルコトニ、御異議ハアリ
セヌカ
(「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=54
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055・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 御異議ガナケレバ同意スルコトニ決シマス、議事日程
ノ第三權限裁判法案、第一讀會ノ續、委員長ノ報告-石黒涵一郞君
第三權限裁判法案(政府提出、貴族院送第一讀會ノ續委員長)
付報告
(石黑涵一郞君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=55
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056・石黒涵一郎
○石黑涵一郞君(五十一番) 權限裁判法案ハ會期切迫ノ際、多少ノ修正ヲ加
ハナシ貴族院ヨリ囘付ニナリマシタ案デゴザイマス既ニ昨日ニ於キマシ
テ委員長理事ノ選舉ヲ行ヒ引續イテ議事ニ取掛リマシテ尙ホ本日モ午
前ヨリ委員會ヲ開キマシタ非常ナ大勉强ヲ以チマシテ、此案ヲ審査致シマ
シタ貴族院ノ修正ハ諸君ノ御承知ノ如ク第三條及第四條第三十條等
ニ多少ノ修正ガゴザイマスケレドモ大體ニ於テハ政府案ノ通決定サレテ
居ルノデアル委員會ニ於キマシテモ、貴族院ノ修正ニハ十分ナル滿足ヲ表
スルコトハ出來マセヌガサリトテ此瑣末ノ〓ヲ改善トスルガタメニ此案
ノ不成立ヲ見ルノハ却テ好マシカラヌコトデアルト云フノ考ヲ以チマシ
テ全會一致、原案ヲ贊成スルコトニ表決致シマシタカラ、此段御報道致シ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=56
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057・花井卓藏
○花井卓藏君(二百八十三番) 議長発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=57
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058・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 花井卓藏君、質問デスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=58
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059・花井卓藏
○花井卓藏君(二百八十三番) 意見ガアル発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=59
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060・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 意見ナラバ少數意見ヲ報告シタイト云フ通〓ガアリマ
ス
〔「全會一致デ少數ノ意見ガアリマスカ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=60
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061・石黒涵一郎
○石黑涵一郞君(五十一番) 少數ノ意見ハゴザイマセヌ、最後ニハ一致ヲ以
テ決議致シマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=61
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062・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 花井卓藏君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=62
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063・花井卓藏
○花井卓藏君(二百八十三番) 私ハ此問題ニ對シマシテ、一ツノ動議ヲ出シ
タイト思フノデアル動議ノ主意ハ延期ト云フコトニ歸著ヲ致スノデゴザイ
マス併ナガラ其理由ハ一言致シテ置キタイト思フノデゴザイマス、總テノ
法案ガ雨ノ如クニ出テ居リマスケレドモ、本期議會ニ於テ始テノ立法ニ係
リ且ツ其性質ノ最モ大ナルモノハ、凡ソ此權限裁判法ノ如キモノハナイデア
ラウト考ヘルノデアル權限爭議ノ裁判所ト云フモノハ憲法ノ五十七條ニ
掲ゲテゴザイマスル、所謂普通裁判所ニ屬スベキモノニアラズ、亦六十一條
ニゴザイマス行政裁判所ニ屬スベキ性質ノモノニアラズシテ、而シテ第六
十條ニゴザイマスル所謂特別裁判所ニ屬スベキモノデアラウト考ヘルノデ
ゴザイマスケレドモ其性質ト云フモノガ何レニ屬スベキモノデアルカト云
フコトモ憲法ノ上ニ於テ、十二分ノ審査ヲ遂ゲナケレバ分ラヌ性質ノモ
ノデアラウト考ヘル、昨日以來本會ニ於キマシテノ報告ヲ承リマスト云フト
或ハ鑛業法案ノ如キ、若クハ刑法案ノ如キ、旣ニ存在ヲ致シテ居ル法律ニ對
シテ時勢ニ鑑ミ、事實ニ徵シテ、而シテ改正ノ必要ヲ認メタル案サヘモ
尙ホ且ツ審査未了ノ故ヲ以テ、延期ヲスルト云フ事柄ニ、決定セラレテアル
ノデアル然ルニ權限裁判法ノ如キ、始テノ制定ニ係リマシテ、行政司法ノ
間ニ於テ樣ミノ爭ノ起ル而モ權限上ノ爭ノ起ル問題ヲ、決定スベキコトヲ
今日議事日程ト云フモノニ上ラズシテ、多數ノ議員諸君ガ案ヲ携ヘラレズ
シテ本員ノ如キモ卽チ案ヲ携ヘズシテ參ッテ居ルヤウナ次第デゴザイマ
ス是ハ昨日ノ議會ニ於キマシテ、恆松君ノ注意アリシ故ヲ以テ、本員ハ忍
デ質問ヲシナカッタノデアル、恆松君ノ懇請ニ依ッテ、質問ヲ私ハ避ケタ位デ
アル然ルニ何事ゾ、大勉强ヲ爲サレタト申サレテモ昨日カラ今日マデニ
掛ケテノ大勉强デハ權限裁判法ト云フモノヲ、安ジテ決シテ請取ルコトハ
出來ヌノデアル恐ラク石黑君モ決シテ安ジテ、請取ラレタ譯デハアルマイ
ト信ズル、是ハ大問題テアル、大法律デアル初テノ法律デアル決シテ
質問討議ガ盡キテ居ラヌノデアルガ故ニ、之ヲ政府ノ方ニ於キマシテモ議
員ヲ人間ト見テ居ル以上ハ-鵜ト見ザル以上ハ鵜呑ミニシテ貰ヒタイト
云フ希望ハ萬々ナカラウト考ヘマスカラ、私ハ此案ヲ延期スベシト云フ動
議ヲ提出致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=63
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064・尾崎行雄
○尾崎行雄君(五十二番) 議長発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=64
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065・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 尾崎行雄君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=65
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066・尾崎行雄
○尾崎行雄君(五十二番) 本員ハ此案ハ委員長ノ報告通、通過致スベシト云
フ動議ヲ提出致シマス(「贊成々々」ト呼フ者アリ)彼ノ刑法若クハ鑛業條例ノ
如ク、現在法律ノ在ルモノハ必シモ改メズトモ、其舊法ニ據ヲテコトヲ運
ンデ往クコトガ出來マスケレドモ、此權限爭議ノ裁判法ノナイガタメニ、從來
久シク苦ンデ居ッタ次第デアルガ故ニ、花井君ノ言フ延スベシト云フ理由ヲ
以テ、速ニ可決致スベシト云フ動議ヲ提出致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=66
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067・門馬尚經
○門馬尙經君(二十九番) 議長、質問ガアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=67
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068・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 門馬尙經君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=68
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069・門馬尚經
○門馬尙經君(二十九番) 私ハ委員長ニ御尋ヲ致シタイ、其事柄ハ私ノ聞キ
マスル所ニ據レバ此山林拂下事件ノ如キハ緣故拂下事件ノ如キハ普通裁
判所ニ出訴シテ餘程農商務大臣ニ勝ックコトガアルト云フ話デアリマスル
然ルニ本案ガ若シ通過シマシタコトナラバ是マデノ如ク今ノ問題ノ如ハ
普通裁判所ニ出訴スルコトデアリマセウカ、或ハ行政裁判所ニ出訴スルコト
デアリマセウカ委員長ニ御尋致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=69
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070・石黒涵一郎
○石黑涵一郞君(五十一番) 是ハ政府案デゴザイマスカラ、說明スルニハ及
ビマセヌガ唯今ノ質問ハ、此案ニ關係ガナイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=70
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071・西原清東
○西原〓東君(二百八番) 私ハ延期說ニ贊成ノ理由ヲ述ベタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=71
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072・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) モウ大抵分ッテ居ルト思ヒマスカラ、採決シテハ如何デ
ス
(「理由ヲ述ブベシ」又「採決々々」ト呼フ者アリ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=72
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073・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 西原〓東君
〔西原〓東君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=73
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074・西原清東
○西原〓東君(二百八番) 諸君、本案ハ行政廳ノ通常裁判所ニアル事件、若ク
ハ行政裁判所ニ繫屬シタル事件ヲ、其權限ニアラズトシテ、行政廳ガ之ヲ引
揚ゲル所ノ案、ソレガ卽チ十二條ニ在ル是ガ實ハ本案ノ骨子デアル此案
ハ行政裁判所ノ權限ヲ擴張セラレタル卽チ行政裁判法ノ改正ガ貴衆兩院
ノ多年ノ望ム通ノ彼ノ權限ノ擴張ト云フヤウナコトガアッタトキニハ幾
分カ又ソレガ行政權ニ侵蝕スルト云フヤウナ場合ニ必要ナノデアリマス
今ハ多年ノ實驗ニ徵シマシテ、私權ノ區域私權ノ保護セラルベキ區域ハ
極テ狹隘ナノデアルガ、ソレハ行政權ヲ侵蝕スル場合ガ實ニ事例ガ少ナイ
ノデアリマスデ斯ノ如キ法律ノ規定ヲ必要トスルヤウナ實際ノ事實ガド
レ程アッタカト云フト、僅ニ北海道ニ一箇所、石川縣ニ一箇所、僅ニ二箇所シ
カナカッタト云フ一木政府委員ノ答辯デアッタノデアルソレモ果シテ左樣
ナ事實ガアッテ、此權限ノ裁決ヲスベキ必要ガアリマスルナラバ現行法ニ於
テ樞密院ニ於テ、此裁判ガ任サレテアル其裁判ヲ爲ス手續ガ是ハ勅令ヲ
以テ規定シ得ベキモノデアルニ其手續ヲモ規定セズシテ實際其裁判ヲ開
イタ事例ハ一ツモナイノデアル所デ此會期切迫ノ際ニ、一方ノ行政裁判
ノ權限ヲ擴張スルト云フ事業ハ一向成立タズシテ、唯行政廳ノ權限ヲ擴張
シテ通常裁判所ヤ行政裁判所ニアル事件ヲ引揚ゲルト云フ此案ダケ通過
セシムル日ニハ行政官廳ニ所謂鬼ニ棒ヲ與ヘルト云フコトニナルノデアル
是ハ頗ル立法政策ニ反シタルコトデアラウト、大體ニ於テ考ヘルノデアル
而シテ又斯ノ如キ案ヲ提出スベキ緊急ノ事例ガアルカト云フコトヲ政府
委員ニ問ウタ卽チ會期切迫ノ際ニ吾等ハ十分ニ愼重ニ調査スル時間ノナ
イノニ是ヲモ是非通過セシメナケレバナラヌト云フ緊急ナル事實ガアルカ
ト云フコトヲ問ウタ、然ルニ左樣ナル事實ハナイト答ヘタノデアル斯樣ナル
場合ニ審議スルノ遑アラザルニ之ヲ協贊スルト云フ事柄ハ將來行政府ガ
立法部ヲ輕侮スル否ナ行政府バカリデナイ天下ノ者ガ皆立法部ヲ輕侮ス
ルト云フノ端ヲ啓クニ至ラウト、私ハ信ズルノデアル(「ヒヤ〓〓」ト呼フ者
アリ)ソレデ尾崎君ハ此案ニ贊成サレマシタ敬愛スル所ノ先輩ノ贊成ノ聲
デアリマスケレドモ、吾ミハ此案ニ就キマシテハ、反對ナル意志ヲ表明シタイ
ト思フ斯ノ如ク此熟慮セズシテ議案ヲ通スコトハ大體惡イ其上ニ立
法政策卽チ行政裁判ノ權限ヲモ擴張シナケレバナラヌコトガ眼前ニ橫ッテ
居ル、サウ云フ事業ヲ無視シテ置イテ、唯行政裁判所ヤ司法裁判所ニ於ケル所
ノ私權ノ保護ト云フ其事業ヲ取上グル卽チ行政權ニ涉ルト云フコトヲ以
テ、行政官廳ノ權能ヲ以テ、此權限爭議ヲ提起セシムルコトヲ得ルト云フダケ
ノ規定ヲ設クルハ實ニ立法政策ノ宜シキヲ得タルモノデナイト考ヘマスカ
ラ私ハ此案ハ花井君ノ御發議ノ通延期ヲスル卽チ延期ノ精神ヲ以テ、第
二讀會ヲ開クベカラズト云フコトニ、決定セラレンコトヲ希望致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=74
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075・一木喜徳郎
○政府委員(一木喜德郞君) 議長発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=75
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076・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 一木政府委員
〔政府委員東京帝國大學法科大學〓授法學博士一木喜德郞君演壇ニ登
ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=76
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077・一木喜徳郎
○政府委員(一木喜德郞君) 唯今西原君ヨリシテ、延期說ガ出マシテ、其理由
ヲ御述ニナリマシタガ其中政府委員ノ答辯ヲ、少シク誤解サレタコトガア
ルヤウデアリマスカラ、一言辯ジテ置キマス、政府委員ニ於キマシテ、是マ
デ爭ノ起ッタ事件ハ斯ウ云フコトガアッタト云フコトヲ申上ゲマシタノハ
爭ノ起リマシテソレガタメニ特別ニ困難ヲシタ事件ヲ、例トシテ舉ゲマシ
タノデ其以外ニ爭ノナカッタト云フコトヲ申上ゲタノデハナイノデアリ
マスソレカラ又此權限爭議ノ裁判法ヲ、早ク制定スル必要ガナイト云フコ
トヲ、政府委員ガ述ベタト云フ御話ガアリマシタガ、是ハサウ云フ次第デハ
ナイノデアリマス(西原〓東君「緊急ノ事實ハナイ」ト呼フ)此權限爭議ノ如
キハ何時事件ガ起ルカ分ラヌモノデアリマスカラシテ、明日ニモ斯ウ云フ
裁判法ノ必要ガアルモ知レナイ-裁判法ヲ適用スルノ必要ガアルカモ知
レナイト云フコトヲ述ベタノデアリマス現行法ニ於キマシテハ先刻西原
君ノ御述ニナッタ如ク勅令ヲ以テ權限爭議ノ手續ヲ、定メ得ルコトニナッ
テ居ルノデゴザイマスガ政府ノ希望ハ成ルベク勅令ヲ以テセズシテ、現
行法ノ本則ノ如クニ、法律ヲ以テ權限裁判法ヲ定メタイト云フ趣旨デアリマ
ス此法案ハ行政裁判ノ權限ノ擴張ノコトヽハ關係ノナイ法案デアッテ現
行法ニ依リマシテモ既ニ權限裁判法ハ設ケラレネバナラヌコトニナッテ居
ルノデアリマス此權限裁判ハ司法裁判所ニ在リ、若クハ行政裁判所ニ在ル
事柄ヲ取上ゲル趣旨デアルト云フ說デアリマシタガ是ハ全ク本案ノ趣旨
ニ反シテ居ルノデアリマス詰リ各種ノ裁判所各〓其權限ヲ守ラシメテ權
限內ノ相當ノ裁判ヲサセルノガ本案ノ趣旨デアリマス又訴訟當事者ガ各
裁判所ニ權限ナシトシテ、事件ヲ拒マレマシタトキニ、其訴訟當事者ニ對シ
テ救濟ノ途ヲ開キタイト云フノガ本案ノ趣旨デアリマシテ、西原君ノ御
述ニナッタ如キ、行政權擴張ト云フヤウナ趣旨デハアリマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=77
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078・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 花井君ノ延期說ガ、先決問題デアリマスカラ、花井君
ノ延期說ニ附イテ採決ヲ致シマス花井君ノ延期說ニ同意ノ諸君ハ、起立ヲ
請ヒマス
起立者多數発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=78
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079・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 多數ト認メマス、議事日程ノ第四電報直配達區域擴張
ニ關スル建議案、委員長ノ報告、井上信八君-星野甚右衞門君
第四電報直配達區域擴張ニ關スル建議案(星(委員長報告)
野甚右衞門君外四名提出)
〔星野甚右衞門君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=79
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080・星野甚右衞門
○星野甚右衞門君(百三十四番) 電報直配達區域擴張ニ關スル建議案ノ、委
員會ノ經過及結果ヲ、委員長ニ代リマシテ報告致シマス、委員會ハ昨日本日兩
囘ノ審査會ヲ開キマシテサウシテ之ヲ修正シタノデアリマス電報規則第
八十一條「一里以內」トアルヲ「二里以內」ト改正スルト云フノヲ電報規則
第八十一條中ノ但書ヲ修正致シマシタノデゴザイマス卽チ八十一條ノ但
書ニ「特ニ指定シテ其區域ヲ制限スルコトアルヘシ」トアルノヲ、「遞信大臣
ニ於テ必要ト認ムルトキハ其區域ヲ制限シ又ハ其區域外ノ地ヲ區域內ニ編入
スルコトアルヘシ」斯ウ云フコトニ修正ヲシタノデアリマス、假ニ調査ヲ致
シテ見マシタガ今直配達ノ區域ヲ一里トアルヲ二里ニ擴張スルコトニ附
イテハ各國ノ例等ヲ取調べテ見マシタノニ各國デ英吉利ノ如キハ最モ
配達區域ノ廣イ所デゴザイマシテ、ソレ等ガ詰リ一里八丁餘ノ配達區域ニナッ
テ居ルノデゴザイマス又其他ノ獨逸、伊太利、佛蘭西其他ノ土地ニ於キマ
シテハ極區域ノ狹イ所デハ電信局ノ所在地附近十八町十五町ト云フヤウ
ナ狹イ所モアリマス其中英吉利ガ最モ區域ガ廣イ所デアルノデゴザイマ
スサウシテ今一里以內デアルノヲ二里ニ致シマスルト區域ノ廣イタメ
ニ經費ニ關係ヲ及ンデ來ル其經費ニ如何ナル結果ヲ國家經濟ニ及スカト
云ヘバ當局者ノ意見ヲ聞キマスルト九万圓乃至十万圓ノ費用ヲ要スルコ
トニナルサウデゴザイマスサウシテ國家經濟ノ上カラ論ジテ見マシテ交
通機關ノ便利ヲ普ク及スト云フ〓ニ至リマシテハ强チ此九万圓十万ノ費ヲ
投ズルト云フコトヲ吝ムト云フコトハゴザイマセヌケレドモ段々調査ヲ
致シテ見マスルト區域ヲ擴張シタタメニ又不便ヲ生ズルコトガアルノデ
ゴザイマス卽チ里數ヲ增加シタタメニ一里以内ノ配達ヲスルヲ二里以
內ト云フコトニナリマスルト配達夫ノ局ニ歸ジテ參リマスノガ遲クナリマ
スカラ自然ニ接近シタル所ノ配達ヲ遲延スルト云フヤウナ結果ガ起ル、
又二里ニ延ベマシテモ、强チ其二里ノ區域內ガ必要ナル場合ノミトハ限ラレ
ヌ山間モアレバ僻隅モアルノデアリマスカラ其タメニ必要ナル場所ノ配
達ヲ遲延スルコトニナレバ其區域ヲ廣メタタメニ一方ニ大ニ便利ヲ缺ク
ト云フコトガ起ルト云フヤウナ理由デゴザイマシテ但書ヲ改正スルコトニ
ナッタノデアリマス(「簡短々々」ノ聲起ル)卽チ一里以外ト雖モ遞信大臣ニ
於テ此區域ハ必要ナ區域デアル此土地ハ必要ナ場所デアルト認メマシタ
所ハ遞信大臣ノ見込ニ依ッテ、其區域ヲ擴張シテ、區域以內ニ編入スル
斯ウ云フコトニナリマスレバ寧口建議案ノ精神ヲ、十ノ八マデ達シタモノ
ト見ルノデアリマスソレデ但書ヲ修正シタノデアリマスカラ建議者ノ精
神ニ於キマシテハ(「簡短々々」ノ聲起ル)大ニ其希望ヲ達シタモノト考ヘマス
カラドウカ法文ノ通、滿場一致ヲ以テ、御贊成アランコトヲ希望致シマ
ス
〔「贊成々々」ノ聲起ル)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=80
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081・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 採決致シマス、委員長ノ報告通、御異議ハアリマセヌ
カ
(「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=81
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082・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 御異議ガナケレバ修正ノ通決シマス、次ハ議事日程ノ
第五家祿處分ニ關スル建議案、恆松隆慶君
第五家祿處分ニ關スル建議案(恆松隆慶君提出)
〔恆松隆慶君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=82
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083・恒松隆慶
○恆松隆慶君(二百二十四番) 諸君、玆ニ家祿處分ニ關スル建議案ヲ提出致
シマシタ是ガ最終ノ建議案デアリマス(「簡短々々」ノ聲起ル)此場合、諸君
ヲ煩スノハ誠ニ濟マナイ誠ニ恐縮ニ存ジマスガさ是モ已ムヲ得ナイ次第デ
(「簡短々々」ノ聲起ル)諸君ノ贊成ヲ求メマスガ(「簡短々々」ト呼フ者アリ)ソ
レデハ極ク簡短ニ述ベマス政府ハ既ニ請願ノ總數ノ半ハ調査結了シテ居ル
ト云フコトデアリマス、ソレナラバ其結了シタモノハ、直グニ處分ヲ決行シ
調査半途ノモノハ極急ニ調査ヲシテ、全國多數ノ請願者ノ渴望ヲ滿サシムル
ヤウ政府ニ望ムノデアル(「簡短々々」ノ聲起ル)此上調査處分濟ノモノマデ
延期シテ置イタナラバ請願人ノ困難ハ實ニ名狀スベカラザル悲境ニ陷リ
延テハ鑛毒被害民同樣ニゾロ〓〓出掛ケテ來ルヤウニナル故ニ速ニ處分
アランコトヲ、政府ニ建議シテ、彼等ガ安心シテ處分ヲ待タシムルヤウニト
云フノデ、此建議ヲ出シタノデアリマスカラ、諸君ノ御贊成ヲ願ヒマス
〔「贊成々々」ノ聲起ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=83
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084・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 贊否ノ採決ヲ致シマス、本案ニ同意ノ諸君ハ超立ヲ請
ヒマス
起立者多數発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=84
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085・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 多數ト認メマス--諸君、第十六議會モ本日ヲ以テ終
了ヲ致シタノデアリマス、衆議院ニ於キマシテハ、祭日休日其他議案ノ都合等
ニ依ッテ休會ヲ致シマシタル日數ヲ除キ、本會ヲ開イタルノハ二十九日間デ
アリマス、又委員會ヲ開キマシタルノガ、五十三日間デアリマス、其間ニ於キ
マシテ明治三十五年度ノ豫算及追加豫算中國家必要ト認メタル所ノモノニ
協贊ヲ與ヘラレタノデアリマス又法律案ニ附キマシテハ財政ニ關スル所
ノモノ農工商業交通及〓育ニ關スル所ノモノ北海道臺灣ニ關スル所ノモ
ノ等、各種ノ議案ヲ當議會ニ於テ議了致シマシタノデアリマス、是ハ畢竟諸君
ノ御勉强ニ因テ然ラシムル所デアッテ、議長ニ於キマシテモ大ニ滿足ニ存ジ
マスル尙ホ諸君ニ一言致シマスルノハ抑〓本議會ハ帝國議會開ケマシテ
以來、始テ四箇年ノ年期ヲ全ウシ、圓滿ニ其任務ヲ盡シタノデアリマス是
ハ惟フニ時勢ノ必要ヨリシテ常ニ政府ト議會トガ胸襟ヲ披キ、交讓妥協ヲ
爲シタル結果ノ然ラシムル所ト信ズルノデアリマス今其四箇年間ニ於
テ本院ノ爲シタル成績ヲ顧ミマスルト時恰モ戰後ノ經營ニ屬シテ歲計
豫算ハ大ニ膨脹ヲ致シタノデアリマスガ、是モ國家必要ノ經費ニ附イテハ常
ニ協贊致シタノデアリマス又立法ノコトニ附イテハ多年本院ノ改正ヲ希
望シタル彼ノ衆議院議員選舉法ノ改正ヲ結了致シマシテ是ハ次ノ總選舉ヨ
リ實施セラルヽ譯デアリマス或ハ又府縣制郡制ノ改正北海道會ノ制定等自
治ノ改良ヲ爲シ其他戰後經營ニ關スル所ノ必要ノ增稅案、或ハ法典ニ關ス
ル所ノ諸法律案、其他郵便、電信鐵道船舶、關稅漁業、銀行ニ關スル
諸法律案、竝ニ臺灣經營ニ要スル所ノ諸法律案ノ立法ニ協賛ヲ致シ或ハ
議決シタル所ノモノヲ數ヘマスレバ、枚舉ニ遑アラヌノデゴザリマス、議長
ニ於キマシテハ斯ク圓滿ニ其任期ヲ盡シテ、此成績ヲ見タルハ上聖旨
- 野村、下國民ノ委託ニ背カズシテ、國運ノ伸暢ヲ致シタノハ誠ニ國家ノ
タメニ慶賀スル次第デアリマス、尙ホ當議會及第十三囘議會以來ノ結果ニ付
イテ詳シキコトハ書記官長ヲシテ御報告致スヤウニ致シマス
〔拍手起ル〕
〔林田書記官長朗讀〕
第十六囘議會ニ於ケル議案總數及其結果
政府提出案七十九件
内可決シタルモノ六十九件
否決シタルモノ一件
撤囘シタルモノ四件
未決ノモノ五件
貴族院提出案五件
內可決シタルモノ件
否決シタルモノ件
未決ノモノ三件
議員提出法律案九十四件
內可決シタルモノ三十七件
否決シタルモノ三十七件
審査ヲ無期ニ中止シタルモノ件
撤囘シタルモノ三件
未決ノモノ十六件
上奏案一件(可決)
建議案四十件
内可決シタルモノ三十二件
否決シタルモノ件
撤囘シタルモノ二件
未決ノモノ五件
重要動議一件(未決)
以上ヲ合スレハ
本院ニ提出セラレタル議案ノ總數二百二十件
内可決シタルモノ百四十件
否決シタルモノ四十件
審査ヲ無期ニ中止シタルモノ件
撤囘シタルモノ九件
未決ノモノ三十件
此ノ外
決算二件アリ
又
請願書ノ提出セラレタルモノ總數三百四十七通
內採擇スヘキモノト決議シタルモノ六十六通
法律案又ハ豫算案決議ノ結果ニ依リ院議ニ四通
付スルヲ要セスト決議シタルモノ
請願委員會ニ於テ否決又ハ却下シタルモノ百八十二通
會期切迫ノ爲審査未了ノモノ九十三通
撤囘シタルモノ二通
第十三回議會ヨリ第十ハ囘議會ニ至ル議案總數及其結果
政府提出議案
總數三百九十三件
内可決シタルモノ三百六十三件
否決シタルモノ八件
撤囘シタルモノ十三件
未決ノモノ九件
貴族院提出案
總數十件
内可決ンタルモノ二件
否決シタルモノ二件
未決ノモノ六件
議員提出法律案
總數二百八十一件
内可決シルモノ百二十五件
否決シタルモノ七十五件
審査ヲ無期ニ中止シタルモノ件
撤囘シタルモノ十八件
消滅又ハ議決ヲ要セスト決シタルモノ十五件
未決ノモノ四十七件
上奏案
總數六件
内可決シタルモノ四件
否決シタルモノ件
撤囘シタルモノ件
建議案
總數百八十九件
内可決シタルモノ百三十六件
否決シタルモノ十八件
撤囘シタルモノ八件
議決ヲ要セスト決シタルモノ件
未決ノモノ二十六件
重要動議
總數十四件
内可決シタルモノ九件
否決シタルモノ三件
消滅シタルモノ件
未決ノモノ件
以上ヲ合スレハ
本院ニ提出セラレタル議案ノ總數八百九十三件
八百九十三件
内可決シタルモノ六百四十件
否決シタルモノ百七件
審査ヲ無期ニ中止シタルモノ一件
撤囘シタルモノ四十件
消滅又ハ議決ヲ要セスト決シタルモノ十七件
未決ノモノ八十八件
其ノ他
決算八件
請願
總數七千九百六十三通
内採擇スヘシト決シタルモノ百八十一通
採擇スヘカラスト決シタルモノ一通
議決ヲ要セスト決シ撤囘議決延期又ハ
未了ノモノ二百七十四通
參考トシテ政府ニ送付シタルモノ六百六十二通
委員會ニ於テ否決又ハ却下シタルモノ六千八百四十五通発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=85
-
086・寺田彦太郎
○寺田彥太郞君(二百四十八番) 私ハ祝辭ヲ述ベタウゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=86
-
087・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 登壇ヲナサイ
〔寺田彥太郞君演壇ニ登ル〕
〔拍手起ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=87
-
088・寺田彦太郎
○寺田彥太郞君(二百四十八番) 本議會ハ滿期四箇年目出度終了致シマシテ
ゴザイマス議會開設以來ノ歡デアリマス是ハ桂內閣諸公ノ名譽ノミデハ
アリマセヌ、我帝國ノ光榮デアリマスト思ハレル併ナガラ是ハ氣運ノ順序
トシテ運ビマシタモノト私ハ信ジマスソレハ何ダト申シマスルニ他
アラズデアリマス、諸君ト倶ニ憂慮致シマシタ、文明東漸、極東ノ問題デゴ
ザイマス之ヲ大ニ憂慮致シマシタデ、議會開設以來忠勇熱心ノ我國民諸君、
此極東問題ニ就キマシテ、各〓憂慮スル所ガアッテ、之ヲ〓究致シ、古言ニア
リマス通、所謂三公道ヲ論ズル時ト思ヒマス、ソレガ多事複雜デアリマシテ、
其討論ノ結果、解散又解散ト云フ解散ト云フコトヲ免カレマセヌノハ巳ム
ヲ得ザルコトヽ思ヒマス所ガ北〓事件、此事件ガ起リマシテ、我國ノ大和
魂正義忠勇ノ狀態ハ列國ノ認ムル所ト爲リマシタ從ヒマシテ日英ノ同盟
モアリマスル實ニ極東問題、心配致シマシタノガ完全ナル結果ヲ結ビマシ
テゴザイマス、デゴザイマスルデ、此議院モ滿期四箇年目出度終了致シマシ
タト申スモ恐多イコトデゴザイマスガ天皇陛下ノ御德澤ニ、諸君ノ熱心
ナル忠勤カト思ハレマス、因テ祝辭ヲ申上グマス
〔滿場拍手〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=88
-
089・片岡健吉
○議長(片岡健吉君) 是ニテ〓會致シマス
〔拍手起ル「萬歲」ト呼フ者アリ〕
午後一時十二分閉會
〔參照〕
衆議院議員望月長夫君提出〓國事件ニ關スル一時賜金交附方ニ關スル質問
ニ對シ別紙大藏大臣答辯書及御囘付候也
明治三十五年三月九日內閣總理大臣伯爵桂太郞
衆議院議長片岡健吉殿
(別紙)
衆議院議員望月長夫君提出〓國事件ニ關スル一時賜金交附方ニ付質
問ニ對スル答辯書
第一北〓事件ニ關スル一時賜金ハ政府ニ於テ當初ヨリ公債證書ヲ以テ交
付スルノ經晝ヲ立タリ
第二公債證書ヲ以テ交付スルハ財政上ノ都合ニ出タルニ非ス受給者ノ便
宜ノ爲ナリ
第三政府ハ第一項ノ經畫ナルニ依リ受給者ニ損失アルコトナク隨テ政府
ニ於テモ利スル所ナシ
右及答辯候也
明治三十五年三月六日大藏大臣男爵曾禰荒助
衆議院議員鈴木萬次郞君提出足尾鑛毒被害地民ノ請願又ハ陳情ノ爲メ上京
スルヲ妨クル件ニ關スル質問ニ對シ別紙內務大臣答辯書及御囘付候也
明治三十五年三月九日內閣總理大臣伯爵桂太郞
衆議院議長片岡健吉殿
(別紙)
衆議院議員鈴木萬次郎君提出足尾鑛毒被害地民ノ請願又ハ陳情ノ爲
メ上京スルヲ妨クル件ニ關スル質問ニ對スル答辯書
政府ハ質問書ニ揭クル如キコトヲ爲サシメタルコトナシ
右及答辯候也
明治三十五年三月六日內務大臣男爵內海忠勝
衆議院議員恆松隆慶君提出山陰高等農林學校設置ニ關スル質問ニ對シ別紙
文部大臣答辯書及御囘付候也
明治三十五年三月九日内閣總理大臣伯爵桂太郞
衆議院議長片岡健吉殿
(別紙)
衆議院議員恆松隆慶君提出ニ係ル山陰高等農林學校設置ニ關スル質
問ニ對スル答辯書
山陰高等農林學校設置ノ件ハ目下調査中ニ屬スルヲ以テ其ノ著手ノ時期等
ハ明言スル能ハス
右及答辯候也
明治三十五年三月七日文部大臣理學博士男爵菊池大麓
衆議院議員菅野善右衞門君提出國務大臣ノ答辯要領ヲ得サルニ因リ再質問
ニ對シ別紙遞信大臣答辯書及御囘付候也
明治三十五年三月九日內閣總理大臣伯爵桂太郞
衆議院議長片岡健吉殿
(別紙)
衆議院議員管野善右衞門君提出國務大臣ノ答辯要領ヲ得サルニ因リ
再質問ニ對スル答辯書
第技術ニ關スル事項ニ付テハ時々委員ヲ命シ調査セシムルコトアルモ
委員ノ會議ニ特ニ速記ヲ備ヘシムルノ定例ナシ
第二前答辯ニ於テ委員ノ決議具申セル事項ノ實施ニ關スル手續ヲ陳ヘ質
問ニ應シタリ
第三專門技術ニ屬スル事項ナルヲ以テ汎ク一般世人ヲシテ講究セシムヘ
キモノニアラスト認メタリシナリ
第四私設鐵道ハ不注意無監督ニシテ幾多ノ人ヲ殺傷スルモ之レカ豫防ヲ
爲サシムルノ必要ナシトシタル理由如何トノ質問ナルモ斯ル言明ヲ爲シ
タルコトナキヲ以テ答辯セス
第五第十四議會ニ於ケル衆議院議員菅野善右衞門君提出鐵道ニ關スル質
問第四項ハ明治三十二年十月七日日本鐵道會社東北線箒川ニ於ケル汽車
ノ〓覆ニ關スル調査ノ〓末如何トノ問ナリシヲ以テ本大臣ハ質問ノ趣意
ニ應シ監査員ノ調査シタル〓末ヲ別記トナシ答辯シタルモノニシテ政府
ハ毫モ事實ヲ掩蔽シタルコトナシ
右及答辯也
明治三十五年三月七日遞信大臣子爵芳川顯正
衆議院議員菅野善右衞門君提出鐵道職員資格制定調査ニ關スル再質問ニ對
シ別紙遞信大臣答辯書及御囘付候也
明治三十五年三月九日內閣總理大臣伯爵桂太郞
衆議院議長片岡健吉殿
(別紙)
衆議院議員菅野善右衞門君提出鐵道職員資格制定調査ニ關スル再質
問ニ對スル答辯書
一政府ハ內外ノ事例ヲ蒐集參照シ調査中ナリ
右及答辯候也
明治三十五年三月八日遞信大臣子爵芳川顯正
衆議院議員根本正君提出太平洋方面ニ於ケル日本人排斥ニ關スル質問ニ對
シ別紙外務大臣答辯書及御囘付候也
明治三十五年三月九日内閣總理大臣伯爵桂太郞
衆議院議長片岡健吉殿
(別紙)
衆議院議員根本正君提出ノ太平洋方面ニ於ケル日本人排斥ニ關スル
質問書ニ對スル答辯書
一質問第一前段ニ付テハ昨年十二月濠洲聯邦カ制定シタル移民制限法ニ關
シ帝國政府ノ執リツヽアル措置ハ衆議院議員大石正己君ノ質問ニ對スル
答辯書中ニ詳ナリ其後段ニ關シテハ北米合衆國ニ於ケル東洋人排斥ニ付
テハ帝國政府ハ常ニ注意ヲ怠ラス帝國臣民ノ名譽ト利益ヲ保護センカ爲
メ必要ナル措置ヲ執リ且將來ニ於テモ同樣ノ方針ヲ執ラントス
一質問第二ニ付テハ質問書ニ載スル所事實ト相違スル所アリト雖モ明治三
十三年五月十八日桑港市ニ於テ帝國臣民ニ對シ殊別的ノ傳染病豫防法ヲ
施行シタルハ事實ナリ依テ帝國政府ハ合衆國政府ニ交渉シタル結果同年
六月十八日海事病院總長ヨリ桑港ニ於ケル檢疫官ニ訓令ヲ發シ帝國臣民
ニ對シ右ノ豫防法ヲ行フコトヲ禁シ尙其後ニ至リ同國政府ハ合衆國檢疫
官一般ニ向テ相當ノ行政命令ヲ發シタリ
一質問第三ニ付テハ同事件ハ目下裁判中ニ在ルモノナルヲ以テ帝國政府ハ
之ニ對シ外交上何等ノ措置ヲ執ルヘキモノニアラスト認ム
一質問第四ニ付テハ同事件ハ本邦人ノ外國ニ歸化シ其外國臣民タル分限ニ
屬スル問題タルヲ以テ帝國政府ハ之ニ對シ何等ノ措置ヲ執ルヲ得サルモ
ノト認ム
一質問第五ニ付テハ質問者ハ事實ヲ指示セサルヲ以テ答辯ヲ爲スニ由ナシ
ト雖モ帝國政府ハ移民出稼人ヲ保護スル爲メ常ニ外交上相當ノ措置ヲ執
ルヲ怠ラス尤モ今日マテ右等ノ人民保護ノ爲メ軍艦派遣ノ必要ヲ認メタ
ルコトナシ
右及答辯候也
明治三十五年三月八日外務大臣男爵小村壽太郞
衆議院議員早川龍介君提出外櫻田町ノ土地ニ關スル質問ニ對シ別紙內務大
臣答辯書及御囘付候也
明治三十五年三月九日內閣總理大臣伯爵桂太郞
衆議院議長片岡健吉殿
(別紙)
衆議院議員早川龍介君提出外櫻田町ノ土地ニ關スル質問ニ對スル答
辯書
外櫻田町所在一畫ノ地ハ官省建築ノ豫定地ナリ
右及答辯候也
明治三十五年三月八日內務大臣男爵內海忠勝
衆議院議員野間五造君提出ノ外交ニ關スル質問ニ對シ別紙外務大臣答辯書
及御囘付候也
明治三十五年三月九日內閣總理大臣伯爵桂太郞
衆議院議長片岡健吉殿
(別紙)
第一ギルモア事件ニ付キテハ政府ハ事件ノ當時適當ト認ムル處置ヲ執リ
之ヲ英國政府ヘ知照セリ
第二〓國償金中個人ノ損害ニ係ル部分ハ北京公使會議ニ於テ採用セラレ
タル標準ニ從ッテ精密ニ調査シ且公平ニ分配セラルヘキモノナリ右ノ調
査ハ大約濟ミメルモ未タ全ク結了ニ至ラス
右及答辯候也
明治三十五年三月八日外務大臣男爵小村壽太郎
衆議院議員鹽谷五十足君提出再ヒ取引所解散ニ關スル質問ニ對シ別紙農商
務大臣答辯書及御囘付候也
明治三十五年三月九日內閣總理大臣伯爵桂太郞
衆議院議長片岡健吉殿
(別紙)
衆議院議員鹽谷五十足君提出ノ再ヒ取引所解散ニ關スル質問ニ對ス
ル答辯書
昨年七月中取引所ニ解散ヲ命シタルモノアリシハ主トシテ公益ヲ害スルノ
行爲アリト認メタルニ因ル而シテ取引所ノ行爲公益ヲ害スト認メタル場合
ニ於テ取引所法第二十七條ニ依リ之ニ解散ヲ命スルハ主務大臣ノ職權ニ屬
スルモノト認ム
右及答辯候也
明治三十五年三月八日農商務大臣男爵平田東助
衆議院議員田口卯吉君提出對外商業政策ニ關スル質問ニ對シ別紙農商務大
藏外務三大臣答辯書及御囘付候也
明治三十五年三月九日內閣總理大臣伯爵桂太郞
衆議院議長片岡健吉殿
(別紙)
衆議院議員田口卯吉君提出對外商業政策ニ關スル質問ニ對スル答辯
書
質問ノ意義明瞭ヲ缺クカ故ニ政府ハ答辯ヲ爲ス能ハス
右及答辯候也
明治三十五年三月九日
外務大臣男爵小村壽太郞
大藏大臣男爵曾禰荒助
農商務大臣男爵平田東助
衆議院議員安部井磐根君外四名提出會計檢査院ニ關スル質問ニ對シ別紙答
辯書及御送付候也
明治三十五年三月九日內閣總理大臣伯爵桂太郞
衆議院議長片岡健吉殿
(別紙)
衆議院議員安部井磐根君外四名提出會計檢査院ニ關スル質問ニ對ス
ル答辯書
第一會計檢査院カ官紀ヲ紊リ法律ヲ破リ匪行ヲ逞クスト言フハ法律上之
ヲ想像スルコトヲ得ス
第二會計檢査院ノ職務ハ國務ノ一部ト認ムト雖會計檢査院ノ權限內ノ行
動ニ關シテハ國務各大臣ハ其責ニ任セス
右及答辯候也
明治三十五年三月九日內閣總理大臣伯爵桂太郞
衆議院議員鈴木萬次郞君提出地方官ノ任免黜陟ノ方針ニ關スル質問ニ對シ
別紙內務大臣答辯書及御囘付候也
明治三十五年三月九日内閣總理大臣伯爵桂太郞
衆議院議長片岡健吉殿
(別紙)
衆議院議員鈴木萬次郞君提出ニ係ル地方官任免黜陟ノ方針ニ關スル
質問ニ對スル答辯書
第一第二ハ官吏ノ進退ニ關スルモノナルヲ以テ答辯セス
第三ハ未タ縣治上ノ失政ト認ム可キ事實アルヲ認メス尤モ名譽職ノ不法行
爲ニ附イテハ目下調査中ニ屬セリ
右及答辯候也
明治三十五年三月九日內務大臣男爵内海忠勝
衆議院議員菅野善右衞門君提出鐵道事變過失處分ニ關スル再質問ニ對シ別
紙遞信司法兩大臣答辯書及御囘付候也
明治三十五年三月九日内閣總理大臣伯爵桂太郞
衆議院議長片岡健吉殿
(別紙)
衆議院議員菅野善右衞門君提出鐵道事變過失者處分ニ關スル再質問
ニ對スル答辯書
一質問ニ係ル場合ノ如キハ私設鐵道條例第四十條及私設鐵道法第八十條ニ
該當スヘキモノニアラスト認ム
二人ヲ死傷ニ致シタル事實アリト雖モ犯意又ハ過失アル場合ニ非サレハ刑
事上其責ニ任セシムルコトヲ得ス質問ノ場合ニ於テハ犯意又ハ過失ニ因
リ竹田モトヲ死ニ致シタルモノト認ムルコトヲ得サルニ付公訴ヲ提起セ
サリシナリ
三檢事ハ質問ノ事實ヲ取調ヘ小林德五郞カ負傷シタルハ自己ノ過失ニ基因
シタルモノト認メタルヲ以テ會社使用人等ニ對シ公訴ヲ提起セサリシナ
リ
右及答辯候也
明治三十五年三月九日遞信大臣子爵芳川顯正
司法大臣男爵〓浦奎吾発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001613242X02919020309&spkNum=89
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