第18回帝国議会　衆議院　本会議　第8号　明治36年5月30日

1. 会議録本文

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• 000・会議録情報

  　明治三十六年五月三十日（土曜日）午後一時九分開議
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  　　議事日程　第八號　明治三十六年五月三十日
  　　　　午後一時開議
  　　第一　明治三十六年度歳入歳出總豫算追加案
  　　第二　（第二號）明治三十六年度歳入歳出總豫算追加案
  　　第三　（第三號）明治三十六年度歳入歳出總豫算追加案
  　　第四　明治三十六年度各特別會計歳入歳出豫算追加案
  　　第五　（特第二號）明治三十六年度特別會計歳入歳出豫算追加案
  　　第六　豫算外國庫の負擔となるへき契約を爲すを要する件
  　　第七　（第二號）豫算外國庫の負擔となるへき契約を爲すを要する件
  　　第八　日本勸業銀行法中改正法律案（櫻井靜外一名提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第九　耕地整理法中改正法律案（鈴木久次郎外二名提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第十　農工銀行法中改正法律案（小出八郎右衞門外三名提出）　第一讀會
  　　第十一　鐵道に關する建議案（松田正久外一名提出）　（委員長報告）
  　　第十二　無線電信の利用に關する建議案（佐藤虎次郎外一名提出）　（委員長報告）
  　　第十三　電信取扱時間復舊及郵便集配囘數増加に關する建議案（藤金作外二名提出）　（委員長報告）
  　　第十四　徴兵參事員の制を廢止するの建議案（田口卯吉外二名提出）
  　　第十五　會計に關する決議案（鈴置倉次郎提出）
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• 001・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　議長不快ニ付キマシテ、引續イテ代理ヲ勤メマス、是ヨリ諸
  般ノ報告ヲ致シマス
  〔書記朗讀〕
  委員長及理事左ノ通り當選セラレタリ
  水利組合條例中改正法律案
  委員長守屋此助君理事橫井甚四郞君
  決議案
  委員長濱野昇君理事神崎東藏君
  國定關稅ニ關スル建議案
  委員長根本正君理事戶矢治平君
  福井縣郡部選出議員伊藤淳君死去ニ付例ニ依リ遺族ヘ宛弔詞ヲ贈レリ
  丸山名政君提出帝國海軍組織ノ過大ナル件ニ關スル質問ニ對シ山本海軍大臣ヨ
  リ左ノ答辯アリ
  衆議院議員丸山名政君提出帝國海軍組織ノ過大ナル件ニ關スル質問ニ對シ別紙
  海軍大臣答辯書及御囘付候也
  明治三十六年五月三十日內閣總理大臣伯爵桂太郎
  衆議院議長片岡健吉殿
  帝國海軍組織ノ過大ナル件ニ關スル質問ニ對スル答辯書
  一軍港ニ將官ヲ要スルノ多少ハ所管軍政區分ノ大小輕重ニ從テ定マルモノナルカ
  故ニ差異アルハ自カラ免レ難キ所ナリ現ニ我帝國軍港ニ於ケル將官及相當官ノ數
  英米兩國ノモノニ比シ多ク獨佛兩國ノモノト相伯仲スルカ如キハ皆其組織如何ニ
  依リテ然ルモノナリ而シテ我帝國現行ノ官制ハ毫モ複雜ナルモノト認メス
  二我帝國海軍ノ中佐ハ英米ノ「コムマンダー」ニ海軍少佐ハ英ノ八年以上勤務ノ「レ
  フテナント」及米ノ「リユーテナントコムマンダー」ニ相當スルモノトセリ而シテ英米諸
  國ニ於ケル大艦乗組ノ我海軍少佐相當以上ノ數ハ我帝國同一軍艦ノモノト大
  差ナシ
  帝國軍艦ノミ特ニ多數ノ上長官ヲ有セス
  三海軍少佐ヲ分隊長トナシタルハ前條ノ理由ニ依ルモノニシテ我帝國ノミ特ニ之レア
  ルモノニアラサルナリ
  右及答辯候也
  明治三十六年五月二十九日海軍大臣男爵山本權兵衞
  丸山名政君ヨリ海軍組織ノ過大ナル件ニ關スル再質問主意書ヲ提出セラレタリ
  議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
  道路法制定ニ關スル建議案
  提出者平井由太郞君
  市町村特別基本財產蓄積法案
  提出者水登勇太郞君兼松凞君大道寺忠七君
  川越進君町田猛郞君成田直衞君
  〔左ノ質問書ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭載ス〕
  海軍組織ノ過大ナル件ニ關スル再質問書
  右成規ニ據リ提出候也
  明治三十六年五月三十日
  提出者丸山名政贊成者森本確也
  外二十九名
  海軍組織ノ過大ナル件ニ關スル再質問主意書
  政府ハ本員カ提出シタル質問書ニ對スル答辯書ヲ提出セラレタレトモ尙了解ニ苦ム
  ヲ以テ左ノ〓ヲ質問ニ及ビ候
  一政府ハ軍港ニ將官ヲ要スルノ多少ハ所管軍政區分ノ大小輕重ニ從ッテ定マル
  モノナルカ故ニ差異アルハ免レ難キ所ナリト辯明セラレタレトモ何故ニ英米兩國ノ
  制度ニ做ハスシテ獨佛ノ制度ニ據ラレタルモノナリヤ英米ヲ棄テテ獨佛ヲ取リタル
  理由如何
  一政府ノ答辯ニヨレハ海軍少佐ヲ分隊長トナシタルハ前條ノ理由ニ依ルモノニシテ我
  帝國ノミ特ニ之レアルモノニ非ラサルナリトアレトモ如斯ノ事例ハ我カ模範トスヘ
  キ海軍國ニ於テ絕ヘテ無キ所ナリ政府ハ如何ニ少佐ヲシテ是ニ當ラシムル必要ヲ
  認ムルヤ何故ニ大尉ヲシテ分隊長タラシメテ支障アルヤ其理由ヲ問フ
  右提出候也

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• 002・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　是ヨリ會議ヲ開キマス-丸山名政君
  〔丸山名政君登壇〕

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• 003・丸山名政

  ○丸山名政君(百三番)　諸君、本員ハ海軍ノ組織ガ、過大ニ失シテ居ルト云フ〓ニ
  付キマシテ、先キニ政府ニ質問書ヲ提出ヲ致シマシタ、然ルニ唯今御報告ニナリマシタ如
  〃政府ハ答辯書ヲ提出サレタノデアリマスガ、本員ガ此答辯書ヲ拜見ヲシマシテ、未ダ
  了解シ能ハザル點ガ澤山アリマスノデ、更ニ再質問書ヲ提出致シマシタ、就テハ其再質
  問書ノ趣意ヲ、簡單ニ此處デ述ベテ政府ノ答辯ヲ促シタイノデアリマス、本員ノ質問ノ
  第一ト云フノハ、帝國軍港ニ佐官及佐官相當官以上ノ職員ガ、多キニ過ギルト云フコ
  トヲ、本員ハ感ジテ居ルノデアル、デ其職員ノ多イト云フノハ畢竟官制カラ來ルモノデ
  アヲタ、官制ガ複雜デアルガ故ニ、御役人卽チ職員ガ多キニ失スルト云フ結果ヲ招クノ
  ハ、當然ノコトデアッテ、而シテ其官制ハ大權ノ發動ニ依テ設ケラレルモノデアリマスカラ
  シテ、如何ニ過大ニ失シテモ、直チニ議會ニ於テ之ヲ制限スルコトハ、固ヨリ出來ヌノデ
  アル、併ナガラ其官制ノ過大ニ失スルコト、從ッテ職員ノ多キニ失スルノコトニ付イテハ、
  何故ニ斯ノ如キ過大ナル組織ヲ要スルカ、從ッテ何故ニ斯ノ如キ多人數ノ將官及相當官
  ヲ有スルニアラザレバ、帝國海軍ノ仕事ト云フモノヲ、完全ニ爲シ遂ゲルコトガ出來ヌノ
  デアルカト云フコトヲ、問フト云フノガ、必要ナコトデアッテ、今日此豫算ヲ議定スル上
  二第三期ノ海軍擴張ノ豫算ヲ議定スル上ニ於テ、最モ必要デアラウト信ズルノデア
  ル、第一期ノ海軍擴張、第二期ノ海軍擴張ト云フノハ、既ニ議場ノ大多數ノ贊成ヲ
  得テ、既ニ是ハ成就セントシテ居ルノデアル第三期ノ擴張モ、旣ニ今日ノ豫算ヲ以テ、
  ドウナルカ分リマセヌケレドモ、議場ノ大勢ニ依ッテ見レバ蓋シ滿場異議ナク通過スルデア
  ラウト、思料スルノデアル、デ隨分今囘ノ議會ノ如キハ、政府ト議會トノ衝突スベキ問題
  ガ、澤山アルノデアル、妥協ト云フヤウナ、一部分ノ議員諸君ト政府トノ御話合ハ、アッ
  タニ相違ナイ、併ナガラ妥協ト云フコトノアルニモ拘ラズ、其傍ラハ隨分政府ノ信任ニ關
  スル決議ガ、大多數ヲ以テ通過スルト云フ有樣デアッテ、詰リ政府ト議會トガ、衝突スベ
  キ多クノ問題ヲ有シテ居ルノデ、此衝突スベキ多クノ問題ヲ有シテ居ル議會ニ於テデス、第
  三期ノ海軍擴張案ガ、誠ニ先ブ今日ノ大勢デ、滿場異議ナク通過セントスルト云フコトハ、
  實ニ違數ノ話デアッテ、國民ガ海軍ニ對シテ信任ヲ措イテ、此擴張ノ必要ヲ認メテ居ルカラ
  デアル、卽チ海軍ガ國民ニ負フ處ノモノハ、實ニ尠カラザルモノデアルト信ズルノデアル、然ルニ斯
  ノ如ク舉國一致ノ贊成ヲ以テ、第三期ノ擴張ヲ可決セントスル場合、或ハ將來第四期ノ
  海軍擴張ト云フコトガ、問題ニナッテ來ルカモ知レナイ、其塲合ニ於テモ、或ハ異議ナク可
  決サレルト云フ、狀勢ヲ呈スルカモ知レヌノデアル、斯ノ如ク國民ノ贊成ヲ得テ居ル、海軍ノ
  仕事ト云フモノヽ中ニ、若シ餘計ナ官省ヲ設ケ、不用ナル役人ヲ置イテ置クト云フ結果、
  非常ナ不經濟ナコトガアッテ、詰リ費用ノ膨脹ヲ來スト云フ事實ガアリマシタ以上ハ、吾〓
  之ヲ默々ニ付スルコトハ出來ヌノデアル、本員ノ取調ブル處ニ依リマスルト云フト、軍港ノ組織ト
  云フモノハ、非常ニ複雜デアル、從ッテ軍港ニ佐官以上ノ人員ヲ要スルコトガ、非常ニ澤山デ
  アル、橫須賀軍港ダケデ見マシテモ、八人ノ將官相當官ガ居ルノデアル、政府ノ調ベマシタ書
  類ニ依ルルト云フト、橫須賀軍港二七人、呉軍港ニ七人宛ノ、將官及相當官ト云フモノガ、
  置イテアルノデアリマスガ、之ヲ本員ノ調ベル處ニ依リマスルト、港務部長ト云フモノハ、豫備艦
  部長ト云フモノヲ兼ネテ居ルト云フタメニ、政府ノ調ベハ七人ニナッテ居ッテ、本員ノ調ベハ
  八人ニナッテ居ルノデハナイカ、之ヲ兼務サセズニ、他ノ將官ヲ以テ豫備艦部長ニスルコトガ出
  來ルノデアル、人ノ都合ニ依ッテ大佐ヲ、出世セシメナケレバナラヌト云フ事情ガアッテ、豫備
  艦部長ト云フモノヽ兼任ヲ解イテ、專任ノ豫備艦部長ヲ置クコトモ出來ルノデアル、サウスル
  ト云フト、今日デハ七人デアル、サウデアルガ、詰リ八人ノ將官ト云フモノガ、一軍港ニ置イ
  テアル、呉モ同樣デアル、佐世保、舞鶴ハ少數デアリマス、デ本員ノ聞ク所ニ依リマストームフ
  ト、廣イ外國ノコトハ知ラヌケレドモ英國ノ如キ、米國ノ如キ、軍港ニ於テ決シテ七人
  モ八人モ、將官ヲ一軍港ニ置イテ居ルト云フヤウナコトハ、聞カヌノデアル、多クノ軍港ニ
  於テ、斯ノ如キ事例ヲ見ナイノデアル、然ルニ僅カ二十四五万噸ノ海軍ヲ有スル此帝
  國ニ於テ、其帝國ノ一軍港一軍港タル橫須賀ノ軍港及吳ノ軍港ニ於テ、斯ノ
  如キ多數ノ將官ヲ置カナケレバ、我二十五万噸ノ海軍ヲ運轉セシムルコトガ出來ヌ、
  活動セシムルコトガ出來ヌト云フノ理由ハ、ドウ云フ譯デアルカ、承リタイノデアリマス、政
  府ノ答辯書ニ依ルト云フト、ソレハ英米兩國ノモノニ比スレバ、多イト云フコトハ認メテ
  居ル、但シ獨佛兩國ノ分トハ伯仲シテ居ル、皆組織ノ然ラシムル所デアッテ、是ハ我日
  本帝國ニ於テハ、必要ナル組織ト認メルノデアル斯ウ云フ答辯デアル、他ノコトハ獨佛
  ニ傚ハルヽト云フコトハ、或ハ當然デアルカモ知ラヌ、併ナガラ海軍ノコトニ於テデス、今日
  ノ時勢、英ト米トヲ捨テヽ、獨佛ノ例ニ傚ハルヽト云フコトハ、、本員ニ於テハ其必要ヲ認ム
  ルコトガ出來ヌノデアリマス、デ幕府ノ時分ニハ、海軍ノ組織ハ多ク佛蘭西ノ組織ニ據ク
  タト云フコトデアル、然ルニ其後段々海軍ノコトヲ〓究セラレタ結果、重ニ此英、米、殊ニ
  英國ノ組織ニ準據セラレテ、改良セラレテ居ル、然ルニ鎮守府ノ制度ダケヲ-軍港ノ
  制度ダケヲ獨佛ニ據ル、今日サウ云フ必要ガ、何處ニ在ルノデアルカ、知ルコトガ出來ナ
  イ殊ニ海軍ニ就イテハ、今日英國ト云フモノガ東洋ニ於テ最モ其勢力ヲ占メテ居ルノデ
  アルガ、此英國ノ組織ト云フモノニ據ラズシテ、獨佛ノ組織ニ據ルノ必要ト云フモノガ、何
  處ニ在ルカト云フコトヲ、知ルコトガ出來ヌノデアル、ソレカラ又英國ノ軍港ニ於テ、少數
  ノ將官デ數万噸ノ-十數万噸ノ軍艦ヲ活動セシメテ、差支ガナイノデアル、然ルニ日
  本ノ軍港ニ於テ、ソレヨリ多クノ將官ヲ置カナケレバ、此ヨリ少ナキ噸數ノ軍艦ヲ、活動
  セシムルコトガ出來ナイト云ム理由ガ、何處ニ在ルカ、之ヲ承リタイノデアル、ソレカラ第
  二ノ質問ニ就イテハ、各軍艦ニ乘込ンデ居ル所ノ、少佐、中佐、大佐及ヒ是ニ相當ス
  ル官職ノモノガ多イ、本員ノ調デハ、確ニ多イト云フコトヲ認メルノデアル、併ナガラ是ニ
  就イテハ、諸君ニ一言御注意ヲ申上ゲテ置キタイノハ、軍艦ノ乘込定員表ト云フモノ
  ハ祕密ニシテアッテ、世ノ中ニ發表セラレテ居ラヌノデアル、本員ハ海軍ノ當局者ニ就
  イテ、各軍艦ノ少佐以上ノ乘込人員ト云フモノヽ數ヲ取調ベマシタ所ガ、本員ノ第一
  ノ質問ノ數ヨリハ少ナイヤウニ見受ケル、第一ノ質問ノ第二ニ依リマスルト云フト、本
  員ノ調ベデハ一等戰鬪艦抔ニ依ルト云フト、少佐以上ガ十人以上乘込ンデ居ルト云
  フ、事實ヲ認メテ居ルノデアル併ナガラ政府ノ調デハ、ソレヨリ少ナイガ、大〓本員ノ調
  ト大シテ差ハナイ、是ハ第三ノ質問ト關聯ヲシマスカラ、第三ノ質問ノ趣意ヲ尙述ベマス
  ガ、第三ノ趣意ハ、帝國ノ軍艦ニ於テハ、分隊長ト云フモノヲ少佐ヲシテ、其事務ヲ執
  ラシテ居ル、ソレハ何ノ必要ニ依ルノデアルカ、之ヲ承リタイノデアル、デ日〓戰爭以前マ
  デハ、無論申スマデモナク大尉ト云フモノガ、分隊長ノ職務ヲ執ッテ居ッタノデアル、又外
  國ノ事例ニ照シテ見テモ、少佐ガ分長ノ職務ヲ執ッテ居ルト云フ例ヲ、小生不幸ニシテ
  聞カヌノデアル、海軍ノ職務ト云フモノハ、大將ト云ヒ、中將ト云ヒ、少將ト云ヒ、又
  佐官ト云ヒ、尉官ト云ヒ、皆此一國特有ノモノデハナイ、是ハ殆ド世界通有ノモノデ
  アッチ、大將ハ大將ダケノ相當ノ職務ガアッテ、是ハ世界萬國ニ通用スルノデアル、佐
  官ハ佐官デ佐官相當ノ仕事ガアル、又外國ヘ向ッテモ佐官相當ノ交際待遇ト云フモノ
  ヲ受ケルノデアル、其故ニ少佐ヲシテ分隊長タラシムルト云フ必要ガ、何處ニ在ルカ、大
  尉デハ何故ニ分隊長ノ仕事ガ出來ヌカト云フコトヲ、聞キタイノデアル、日〓戰爭以前
  ニハ、大尉デ分隊長ノ仕事ヲサシテ置イテ、サウシテアヽ云フ破船デ敵ガ弱イトハ云フモノ
  ノ、〓國ト戰ッテ大勝ヲ獲テ居ルノデアル、此大尉デハ尙不足デアル、外國ニ例ノナイ少
  佐ヲ以テ、之ニ任ジナケレバ帝國ノ軍艦ト云フモノガ、活動セヌト云フ理由ガ何處ニ在
  ルカ、聞ク所ニ依リマスト云フト、現ニ昨年英國ノ戴冠式ニ赴イタ所ノ、帝國ノ軍艦ノ如キ
  ハ餘リニ人員ガ多ク、卽チ佐官以上ノ乘込人員ガ多クテ、外國ノ軍艦ニ於テ驚イタト
  云フコトモ、小生聞イテ居ル、又外國ノ軍艦ガ橫須賀ニ參ッタ時分ニ、隨分此交際上
  デス、餘リニ帝國ノ軍艦ニ佐官以上ノ乘込人ガ多イタメニ、或ハ一時乘込人員ヲ下シ
  テ、サウシテ外國ノ軍艦ト交際ヲシタト云フヤウナ例モ、聞イテ居ルガ、果シテソレ等ノコ
  トハ、事實デアルカナイカハ知ラヌケレドモ、免ニ角外國軍艦ノ乗込ノ上長官ト云フモノ
  ト日本ノ軍艦ノ乗込上長官ト云フモノト對照スルト云フト、日本ノ軍艦ニハ上長官
  カ多ク、外國ノ軍艦ニハ上長官ガ少ナイト云フコトハ、小生ハ之ヲ斷言スルサウ認メテ
  居ルノデアル、何故同ジ一等戰鬪艦デ、例ヘバ一万五千噸ト云フ、噸數ノアル戰鬪艦
  デ、外國ノ英米ノ軍艦ニ於テハ少數ノ上長官デ之ヲ立派ニ活動シテ居ルノニ、日本ノ
  軍艦ガ同等ノ軍艦デアリナガラ、同一ノ人デハ活動セシムルコトガ、出來ナイ、ヨリ多ク
  ノ上長官ヲ有スルニアラザレバ、活動セヌト云フ理窟ハ、何處ニ在ルカ、若シサウ云フ事
  實ガアリトスレバ、例ヘバ外國ノ軍艦ハ六人ノ上長官デ以テ、一等戰鬪艦ヲ運轉セシムル
  ノニ、日本ノ軍艦ハ九人ノ上長官ヲ要スルト云フコトデアルト云フト、九ニ對スル六、卽チ
  五割ト云フモノダケハ、日本ノ上長官ヲ要スルコトガ多イノデアルカラ、詰リ經費ノ上ニ於テ
  も、五割ダケ餘計掛ル總テノ力ノ上ニ於テ、外國ノ同ジ噸數ノ軍艦ヨリモ、日本ノ軍艦
  ノ方ガ、同ジ噸數デアリナガラ、日本ノ軍艦ノ方ハ五割ダケ力ガ弱イト云フコトヲ、認メナ
  ケレバナラヌ、折角海軍ヲ擴張シテ、吾ミガ熱心ニ此經費ニ協贊ヲ與ヘテ十年計畫ヲ
  ト云フコトヲ目論ダ、所ガ船ヲ澤山拵ヘタノハ宜イガ、船ヲ餘計拵ヘタカラ、金「モール」ノ
  著イタ大將ヤ、少將ヤ、大佐、中佐、少佐、若クハ是ト相當官ガ澤山ナケレバ、此船ヲ動
  スコトハ出來ナイ、外國デハ半額デ動カスケレドモ、日本デハ倍以上ヲ要スルト云フコトデ
  アッタナラバ、折角ノ海軍擴張ハ、其名ノミデアッテ、其實ヲ擧ゲルト云フコトハ、餘程ムヅ
  カシイコトデアラウト本員ハ信ズルノデアリマス、政府ノ答辯ニ依リマスルト、大佐ガナイト
  云フコトデアルガ、本員ハ大佐ノアルコトヲ認メテ居ル、確カニ大佐ガナイト云フナラバ、唯
  大佐ガナイト云フ、漠然タル答ニ止マラズシテ、詳シイ御說明ヲ承リタイ、ソレカラ唯今ノ
  終リニ述ベマシタ、少佐ヲシテ大佐ノ職務ヲ執ラシテ居ル、是ハ何故ニ其少佐ガ大佐ノ
  職務ヲ執ラナケレバ、活動ガ出來ヌノデアルカト云フコトヲ承リタイ、政府ノ答辯ニ依
  リマスルト、ソレハ少佐ヲ以テ分隊長ト爲シテ居ル、ソレハ我帝國ノミ然ルモノニアラザル
  ナリト云フケレドモ、ソレハ何處カノ國、卽チ伊太利ヤ何カノ國ニハ其例ガアルカモ知レ
  ナイ、併シ伊太利ノ如キハ、據テ以テ是カラ膨脹セントスル、大海軍國ノ模範トスルコト
  ハ出來ナイタメニ、模範トシ得ベキ國ニ於テ、果シテ海軍少佐ヲ以テ、分隊長トシタト
  云フヤウナ例ガ、他ニアルカナイカ、何故ニサウ云フ必要ガアルカト云フコトヲ承ハリタイ
  是ハ齊東野人ノ語デアルケレドモ、政府ガ斯ウ云フ風ニ、餘計ノ上長官ヲ置キ、大佐ヲ
  シテ少佐ノコトヲ爲サシメル、斯ウ云フコトガアル以上ハ、此先キ吾〓ガ未ダ調査ノ屆カ
  ヌ先キニ、少佐デ濟ムベキコトヲ、大佐ヲ使ッテシテ居ルコトガアルカモ知レナイ、少將デ濟
  ムベキコトヲ、中將ヲ使ッテシテ居ルカモ知レナイ、結局ドウモ月給ハ餘計ニヤルコトハ出
  來ヌ、段々經費節減ノ今日出來ヌカラ仕方ガナイカラ、餘計官等ヲ拵ヘテ、サウシテ下
  役人デ出來ル仕事ヲ、餘計ノ月給ヲ與ヘテ、上ノ役人ヲシテ爲サシムルト云フ方便ヲ、政
  府ガ取ッタノデアルト云フコトヲ、齊東野人ヲシテ云ハシメテモ、政府ハ十分辯解ガ出來
  ヌト思フ、吾〓ハ〓國一致ノ贊成ヲ得テ擴張セントスル所ノ、海軍ノ事業ト云フモノヲ
  シテ、内外ヲシテ非難ナカラシムルコトヲ希望スル、完全ノ海軍タラシムルコトヲ希望ス
  ル、實ニ勇健ナル海軍タラシムルコトヲ希望スル、然ルニサウデハナクシテ、軍艦ハ擴張ス
  ル噸數ノ上ニ於テハ外國ト、其統計表ノ上デハ日本ハ七番目デアルトカ、六番目デア
  ルトカ云フコトヲ、示サレテ居ルニ拘ハラズ、內部ニ付イテ云ヘバ誠ニ贅澤ナル海軍デア
  ル贅澤ト云フコトハ、一步進ンデ云ヘバ、內部ノ仕事殆ド老憊シテ居ル海軍デアルト
  云フコトヲ、世間ノ人ヲシテ云ハシメテモ、一點辯解ノ辭ハナイト云フ、吾〓本日ニ於テ、
  海軍擴張ノ經費ヲ贊成スルニ當ッテ、大ニ是等ノ〓ニ就イテ、十分詳細ナル政府ノ御
  答辯ヲ煩シタク考ヘマスルノデ、此質問ノ趣旨ヲ辯ジマシタ次第デゴザイマス

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• 004・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　角田眞平君
  〔角田眞平君登壇〕

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• 005・角田眞平

  ○角田眞平君(三百一番)　自分ハ明治三十五年中ニ、政府ガ五千万圓ノ公債ヲ
  賣出シタコトニ就キマシテ、其質問ノ要〓ヲ演說シヤウト云フ、此問題ニ關係シマシテハ、
  或時期ニ逢著スル每ニ、當局者ハ區々ノ說明ヲシテ居ル、ソレ故ニ私ハ簡單ナガラ、質
  問書ヲ出シ、及口頭ヲ以テ、此事實ヲ諸君ノ前ニ披露ヲシテ、大ニ當局者ノ答辯ノ明
  確ナルコトヲ、希望スル所以デゴザイマス、昨年ノ十二月十五日ノ、午後ノ豫算委員
  會及十六日ノ午前ノ豫算委員會竝ニツイ此間ノ五月十六日ノ本會議、及今度ノ
  興業銀行法ノ改正ニ就イテノ委員會中デ、述ベラレタコトニ依リマスルト、私ガドウ致シ
  マシテモ質問ヲ致サナケレバナラナイト云フコトガ、分明ニナルト思フ、ソレ故ニ唯今ノ政
  府ハ、殊ニ財政ノ上ニ於テ、詳ニ諸君ニ訴ヘテ、內外ニ信用アルコトヲ知ラシムルト云フ
  コトニ、努メラレナケレバナラヌ、蓋シ努メラレテ居ルノデアル、且五千万圓ノ公債ヲ募リ得タ
  ト云フコトニ付イテハ、當時專ラ當局者ノ敏腕ナルコトヲ、新聞ニ依ッテ披露セラレテ居リ
  ママ、故ニ此事ニ就イテハ綿密ニ取調ベテ置ク必要ガアルト思フ、デ私ハ重ナル點ヲ諸君
  ニ御披露致シマス十二月十五日午後ノ委員會ニ於キマシテノ、政府委員阪谷君ノ
  答辯ハ斯樣ニナッテ居ル「五千万圓ノ公債ハ、興業銀行ヘ政府ハ賣リマシタ、興業銀
  行ガソレヲ上海香港銀行ト契約シテ、上海香港銀行ノ本店ニ於キマシテ、卽チ倫敦ニ
  於キマシテ賣リ』出シタ、卽チ政府ガ此公債ヲ一旦興業銀行ヘ賣テ、ソレカラ先キハ興
  業銀行ガ倫敦ニ賣ッタ」阪谷君ノ答辯ハ斯樣ニナッテ居ル、ソレカラ同日ノ中同ジ場合
  デ松尾臣善君ノ答辯ハ、斯ウナッテ居ル「今度九十八磅デ興業銀行ニ賣ル、興業銀行
  ハソレヲ其儘香港上海「バンク」ニ賣ッタノデ、ソレヲ倫敦市場ニ賣ルコトハ、買フタ人ノ
  隨意ナンデ、併ナガラ、融通ヲ潰サレテハ困ルカラ、夫デ先ヅ百三磅ノ見當デ市場デ出
  サンケレバナラヌト云フ注文ヲ致シマシタガ、ソレハ買ウタ人ノ適宜ナンデ、手數料デモ何
  デモナイ、」卽此意味ハ、興業銀行ノ方ヘ政府ハ賣ッテ、興業銀行ガ香港上海銀行ニ
  賣ッタ、香港上海「バンク」ガ勝手ニ是ヲ賣買スル、政府ノ方デハ、手數料モ何モ關係
  ガナイト云フコトヲ云ウテ居ル、然ルニ同ジ時間デ、同ジ場所デ、松尾君ガ斯ウ云フコト
  ヲ云ッテ居ル、「興業銀行ヘ此手數料ヲヤッタト云フコトハ、實ハ此マグ公債ノ賣方ト云
  フコトハ、畢竟信託事業、ソレデ興業銀行ニ命ジテ云々サセマシタ」ト、斯ウ云フテ居ル、
  前ノト是トヲ御比較ニナリマスルト、順序ガ分ル、又同ジ所デ、同君ハ「稍"話モ進行
  シテ、可ナリト云フコトヲ認メマシタカラシテ、信託トシテ興業銀行ハ五千万圓ノ公債
  ヲ、賣方ヲ進行スルヤウニト一云フコトヲ命ジテ、內命シタノデアリマス」ト、斯ウ云ウテ居
  ル、又同ジ處デ「ソレデ政府カラハ、卽チ興業銀行ヘハ、手數料トシテ一千分ノ五ヲ交
  付シマシタノデアリマス」一云々ト云フテ居ル一千分ノ五ハ五千万圓デ、一一十五万兩、卽
  チ此金ヲ交付シタハ、信託事業デヤラシタノデアルカラ、交付シタノデアルト、斯ウ云フテ
  居リマス、ソレカラ又同日ノ處ヘ興業銀行ガ印稅ヲ仕拂フガタメニ、政府ハ興業銀行
  ニ手數料ヲヤッタト云フ譯デハナイノデス、ソレハ興業銀行ニハ、政府ハ取扱ニ付イテハ、
  相當ノ手數料ヲヤランケレバナラヌカラシテヤッタ、興業銀行ハ自カラ負擔シナケレバナラ
  ヌト思ウタノデアリマセウ、自ラ負擔シテ其印稅ヲ仕拂ッタ、之ハ物ガ全ク違フト御承知下
  サイ」ト、斯ウ云ウテ居ル、ソレ故ニ向フガ印稅ヲ拂ッタノハ、勝手ナノデ關係ハナイ、興
  業銀行ハ信託事業トシテ賴ンダノデアルカラ、二十五万兩ノ手數料ヲヤッタノデ、相關
  聯ハ致シテ居ラヌト、ハッキト言ハレテ居ル、十六日ノ委員會ノ速記ニハ斯ウアル「唯今
  伊藤君ノ御尋ニ御答致シマス、本年ノ九月ニ興業銀行ニ賣リマシタ、五千万圓ノ公
  債證書ト云フモノハ、實際ハ信託デゴザイマス」實際ハ信託デゴザイマス、斯ウ云ウテ居
  ル、此間諸君ガ此席デ御承知下サリマシタラウ、五月十六日ノ議場デハ斯ウ云ウテ居
  ル「此條例ニゴザイマスル信託ト申スコトハ、卽チ銀行ノ營業トシテスルノデゴザイマス、
  ソレカラ政府ガ命令シテサシタノハ其條例ニ依ッタノデハゴザイマセヌ、卽チ營業デハナイノ
  デゴザイマス、卽チ信託ト云フ字ガ偶〓同ジ字ニナッテ居マスケレドモ其銀行ニ託シテ賣
  方ヲサセタノデゴザイマス」斯ウ書イテゴザイマス、最終ニ唯今ハ興業銀行法中改正法律
  案ハ、政府ガ撤囘ヲ致シマシタ、ドウ云フ譯カ撤囘ヲシマシタ、サリナガラ其委員會デハ
  斯ウ云ウテ居ル「前ニモ申上ゲマシタ通リニ、興業銀行ハ此公債ヲ引受ケタリ買入レタ
  リシ得ルト云フ機能ヲ有ッテ居リマスル、其機能ナルモノヲ機關トシテサセタノデアリマス
  カラ、此公債證書ノ取扱ノ出來ナイ、賣買ノ出來ナイト、云フモノニ命ジタノデハナクシ
  テ、此法律ノ許ス範圍內ニ於テ、賣買ノ出來ル機能ヲ有ッテ居ルノデアリマス、其機能ヲ
  有ッテ居ルモノ二、政府ハ命ジテ賣リ方ヲサシタト云フニ過ギナイノデゴザイマス」斯ウ云フ
  テ居リマス、卽チ當議場ニ於テハ、法律デスル商賣デヤラシタノデハナイ、其條例デハナ
  ィ、其外ニ內命ヲシテ、ヤラシタノデアル、ソレガ委員會ヘ參リマシタレバ、法律ニ書イテ
  アルカラヤラシタノデアル、決シテ法律ノ範圍內デアルカラ、法律範圍外デナイ、御安心ヲ
  下サイト云フ意味ニ、辯明ヲシテ居リマス、明治三十五年ノ三月十二日ニ、法律第七
  十號ニ依ッテ布告セラレマシタル、日本興業銀行法ノ第九條第四ニハ、卽チ「日本興業
  銀行ハ左ノ業務ヲ營ムモノトス」ト、サレバ其第四ニハ「地方債證券社債券及株劵ニ關
  スル信託ノ業務」トゴザイマス、第十條ニハ「日本興業銀行ハ營業上餘裕金アルトキ
  ハ國債證券地方債證券及社債券ノ買入ヲナスコトヲ得」日本興業銀行ト云フモノハ、
  餘裕金ノアル時ニ限ッテ、是等ノモノヲ所有スルコトヲ得ト、法律ハ書イテアル、十一條
  ニハ「日本興業銀行ハ本法ニ記載セサル業務ヲ營ムコトヲ得ス」ト、斯ウゴザイマス、ソレ
  故ニ私ハ疑ハザルヲ得ヌ、冀クハ政府ハ極ク眞面目ニ公債ヲ賣却ヲシテ、整理ヲスル必
  要ガアルカラ、銀行條例ノ上カラモ宜クナイコトデアル、サリナガラ斯ウ云フ手續ニシタノデ
  アル、所謂必要ハ總テノコトヲ成就スルト云フ上カラ、諸君ノ許諾ヲ經タイト云フノデアレ
  バ能ク分ル、唯今ノ政府トー云フモノハ、殊ニヤカマシク財政ノ上ニ言ハレテ、ツヒ本年ニ
  入ッテモ、各地ニ人ヲ派シテ銀行ノ臨時檢査ヲシテ居ラルヽノデアル、誠ニサモアルベキコト
  デアル、然ルニ疑ノ起リマシタノハ、右ヤウナ譯デアッタ、ソレ故ニ第一ニ元來五千万圓ノ
  公債ト云フモノハ、日本興業銀行ニ賣タノデアルカ、ゝ將タ政府自ラ他ヘ賣出シタノデアル
  カヲ聞キタイ、日本興業銀行ヘ賣ッタトスレバ、直グニ二十五万兩ノ手數料ヲ拂ッタト云
  フコトガ、解釋ガ出來マセヌ、二十五万圓ノ手數、頗ル僅カデゴザイマセウ、國庫カラ見ル
  ト-サリナガラ、法律ヲ取締リ、經濟社會ヲ取締ル上カラ云ヘバ、政府漫リニ己レガ法
  律ニ背キ、己レガ監督ノ上ニ頽廢ガアッテ、斯ウ云フコトヲシタトナッテハ、諸君ト共ニ吾〓
  ガ之ヲ見遁ガシ、聞遁ガスト云フコトハ、國民ニ對シテ頗ル不親切デアラウト思フ(「ヒ
  ヤ〓〓」ト呼フ者アリ)賣買ヲシタ時ニ廉ク買ヘバ儲ケテ、高ク買ヘバ損ヲスルニ極ッテ居
  ル、賣買ヲシテ其上ニ此買主ニ手數料ヲ拂フト云フコトハ何デゴザイマセウ、第一囘ノ
  答辯ニ於カレテ、松尾君及阪谷君ガ、賣買デアルト言ハレタノハ、疑ハザルヲ得ズ、旣
  ニ此事非デアル、然ルニ此事ニ付イテハ、何トカ道レントシテ、ソレハ賣買デハナイ、ツレハ
  信託ノ事業デアルト言ハレル、然ラバ興業銀行條例ノ何ノ箇條ニ當嵌ッテ居リマス、信
  託事業ヲハッキリ九條ノ第四ニ示シテアッテ、地方債ノコトハ取扱フガ、國債ノコトハ取
  扱フコトガ出來ナイ。而カモ其十一條ニ、營業ハ此法律範圍ニ止メラレテ、殆ト範圍
  外ニハ出ルコトガナラヌト、法律ガ極メテアル是亦諸君如何デゴザイマセウ、法律ガ禁
  ジテアルト信託事業デアルト云フノナラバ、政府ガ自ラ法律ヲ破ッタノデ、其意ヲ得ヌト
  思フ、之アルガタメニ政府ハ迷ッタ、信託事業デ法律ニアルト云ッタ方ガ、法律ニハ違ハナイ
  デアラウ、サリナガラ法律ニ合フト云フト法律ノ中ノ文字ニ〓ラナイ、ソコデ今度ハ內命ヲ
  シタト云ハウカ、內命ヲシタト云フト、ハッキリ內命ト云フモノハ、取扱フコトガ出來ナク、
  法律ガ出來テ居ルト云フノデ、此議場デ答辯ヲシタ時ニハ曖昧ニ終リ、委員會ニ至ッテ
  ハ全ク變ジタ、時間ト場處ト人トハ同ジウシテ、斯ノ如クニ區々ニナッテハ、吾ミ又疑ハ
  ザルヲ得ヌ(拍手スル者アリ)ソコデ最終ニハ到頭唯內命ヲシテヤラシタト云フニ至ッテハ、
  其內命ナルモノハ、全體何處ニ書イテゴザイマスル法律ノ何ノ箇條デ內命ヲシ得ル、又
  ソレヲ受ケテ來テ、五千万兩ト云フ大金ヲ、兔ニ角勝手ナ取扱ガ、法律デナイコトガ出
  來マスルカ、政府ノ答辯ハ、甚ダ私ハ此〓ニ於テ何ト出テ來ルカ、疑ハシイ、加之ナラズ
  若シ是等ヲ總テ止メテ、或ハ曲リナリニモ阪谷君ノ言ハレタ通、賣買シ得ルト云フノデア
  ルカラ、之ヲ賣ッタト云フ方ガ宜シイト云フノデ、手數料ハ別ニ問題ヲ殘シテ、其〓ニ付イ
  テハ損害ノ上カラ、內談ガアッテ渡シタト云フ御答辯ニデモナリマセウ、是亦頗ル吾〓ノ〓
  惧ニ耐ヘナイ所ノモノデアリマスト云フノハ、此銀行ハ一千万兩ノ銀行デアル、四分ノ
  一卽チ二百五十万兩ヲ、辛ウジテ拂込マシテ、ソレヘ五千万兩ノモノヲ賣ッタノデ、政府
  ハ銀行ヲ檢査シテ、貯蓄銀行ハ斯クナラネバナラヌ、普通銀行ハ斯クナラネバナラヌ、國家
  ガ兌換劵ヲ發行スルトキニハ、別ニ斯程ノ備金ガナクバナラヌト、嚴格ニヤカマシク言ッテ
  居ラレル、ソコデ己レ法律ヲ施行シテ、己レノ監督ノ下ニアル銀行ニ、己レガ仕事ヲサセル
  ニ、二百五十万兩シカ拂込マセナイ銀行ヘ、五千万兩ノ公債ヲ賣ッタト云フコトニ至ッテ
  ハ、政府ハ人ヲ攻メ得ルノ政府デゴザイマセウカ、監督者自ラ此舉動ヲナスニ至ッテハ、
  法律ノ精神ハナクナリ、監督ノ實ハ全クナクナルト私ハ斯樣ニ思ヒマス、獨リ加之ナラズ
  法律ハ是アルガタメニ、ハッキリ書イテアル、興業銀行ナルモノハ、其銀行ニ餘裕ノ金ノアッ
  タトキニ於テ、初メテ是〓ノモノヲ買得ル、所持シ得ルト云フコトガ書イテゴザイマス、五
  千万圓ノ公債ヲ買フ、二百五十万圓ヲ拂込デアル、四千七百五十万圓ノ不足デアル
  ニ、其所ニ餘裕金トハ、ドコヲ敲ケバ其音ガ出ルデアリマセウ、吾ミノ眼カラ見、吾〓ノ頭
  ニ於テハ、判斷シ能ハヌ所ノモノデアル、想フニ此事ハ事頗ル些細ノ如クデゴザイマスガ、
  上ガ斯ノ如クニ致シマシタナラバ多クノ銀行者、多クノ實業者ハ曰ク私ニ此事ハ御任セ
  下サイ、ソレハイカヌ、御前ニ信用ガナイカラーサウハ仰シヤラレマスマイ、二百五十万兩ノ銀
  行ニ五千万兩ノ約束ヲシテ、法律違反ヲヤッテ居ルカラ、御贔負ニ預リサヘスレバ何デモ
  出來ナイ筈ハナイト云フ者ガ、蓋シ澤山出テ來ルデアラウト思フ斯樣ニ附込マルヽ穴ヲ拵
  ヘテ置クノハ、、國家ノ財政ノ上ニ於テ、堅固ナ仕方デゴザイマセウカ、否ヤヲ疑フ、質問ノ上
  カラ往クト、多クハ質問ノ名ヲ籍リテ、或ハ政府ヲ攻擊スルト云フ、、齊東野人ノ非難ヲ受
  ケルカモ知レマセヌガ、私ハ政府ノ答辯ニ依ッテ、愈〓疑ヲ生ジタ、同ジ人ガ同ジ場所ノ口カ
  ラ同ジ政府委員ガ、同ジ問題ニ付イテノ返答ガ、區々ノ上ニ、殆ド要領ヲ得ズニ濟
  ンダシマッタノデ、是有ルガタメニ、諸君ノ〓聽ヲ瀆シマシタノデ、速ニ政府ハ明確ナル答辯
  アランコトヲ、切望ノ至リニ耐ヘマセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=5

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• 006・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君(八十二番)　本日ハ日程ニ豫算問題ナドガゴザイマスノデ、質問ノ申込
  モアルヤウデゴザイマスガ、今日ハ質問ダケハ次ノ會ニ週スト致シマシテ、日程ニ移ラレンコ
  トヲ希望致シマス
  (「贊成々々」ノ聲起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=6

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• 007・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　恆松君ノ動議ニ、御異議ハゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=7

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• 008・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　恆松君ノ動議ニ決シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=8

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• 009・望月右内

  ○望月右內君(百五十九番)　緊急動議ガアリマス、此鐵道敷設法外一件ノ報告ニ
  付キマシテ、緊急御諮リ致シタイコトガアリマス、議事日程ノ變更ヲ希望致シマス
  (「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=9

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• 010・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　御異議ハゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=10

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• 011・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　ソレデハ議事日程ヲ變更スルコトニナリマシタ-
  鐵道敷設法中改正法律案(政府提出)第一讀會ノ續
  明治二十七年法律第十號中改正法律案(政府提第一讀會ノ續
  〓〓
  〔望月右內君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=11

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• 012・望月右内

  ○望月右內君(百五十九番)　曩キニ託サレマシタ鐵道敷設法中改正法律案外一
  件ノ、委員會ノ經過ヲ御報道致シマス、本案ニ付キマシテハ數囘委員會ヲ開キマシテ、
  遂ニ本日ニ至ッテ、兩案トモ原案ヲ可認スルコトニナリマシテゴザイマス、其可認致シマシ
  タ趣意ヲ、聊申述ベマス、鐵道敷設法ノ第八條ハ、諸君モ御承知ノ如ク、明年卽チ三
  十七年ヲ以テ年期ガ盡キルノデアリマス、而シテ其工事中デアリマス、各線路ノ工事ノ
  實況ヲ申シマスレバ或ハ一兩年ニシテ終局セントスルモノモアリ、又今將ニ終局セントス
  ルモノモアリマスガ、多クハ相平均シマシテハ、今日ハ工事半バデゴザイマス、其工事モ半
  バデアリマスルシ、法律ニ規定サレテアリマス、其工事ヲ竣工セントスレバ、五千有餘圓ノ
  大イ金ヲ支出シナケレバナラヌノデ、到底今日ノ國家經濟ニシテ、今一年ノ年限ヲ以テ、
  到底此大ナル事業ヲ成シ遂ゲルコトハ出來ナイ、ソコデ八箇年ヲ延バシテ、、此八條中十二
  箇年トアルヲ、二十箇年ト改メタイト云フコトガ、今日ノ國情、今日ノ國家經濟カラ見
  テ、相當デアルト、委員會ハ是認致シマシタ次第デアリマス、ソレカラアトニ戾ッテ、此第二
  條第七條中ノ改正ハ、是ハ山陰山陽聯絡線ヲ變ジテ、山陰縱貫線ヲ利用シテ、當分
  聯絡線ニ代ヘヤウト云フ法案デアッテ、且ツ工事ノ難易カラ言ヒマシテモ、至極原案ノ如
  クシマスルハ穩當デアル、斯ウ云フ上カラ、可認致シマシタ、次第デアリマス、然ラバ此明
  治二十七年法律第十號中改正法律案ハ、此敷設法ヲ可認致シマスル結果トシテ、是
  モ全體ヲ可認致シマシタ次第デアリマス、左樣御承知ヲ請ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=12

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• 013・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君(八十二番)　年期間ハ二十箇年トナリマスガ、此年期ヲ延長致シマス
  ノハ一期線ヲ延長シマスル年期間ニ、竣工スルト云フノデハナクシテ、ソレハ年期間ニ
  成ルベク速成ヲ致シテ、其他補足線、所謂二期線中ノモノヲ之ニ加ヘテ、此二十箇年
  ノ中ニ、鐵道ノ計畫ヲ立テルト云フ趣意デアリマスカ、承リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=13

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• 014・望月右内

  ○望月右內君(百五十九番)　委員會ニ於キマシテモ、今ノ一期線ガ終リマスレバ、漸
  次ソレニ付テ補足工事ヲ致スト云フコトハ、無論ノコトデアルト云フヤウナ意見デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=14

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• 015・石黒涵一郎

  ○石黑涵一郞君(二百三十四番)　唯今ノ委員長ノ御報告ニ依リマシテ、姫路鳥取
  間ノ線路ヲ、和田山ニ變更スルト云フコトニ付キマシテハ、鳥取和田山間ハ、從來第二
  期線ニ屬スル山陰縱貫線ノ一部デアルデ、陰陽聯絡線ナルモノハ、山陰山陽ヲ橫斷シタ
  ル所ノ、線路デアルト考ヘルノデアル、然ルニ橫斷線ト背馳シテ、第二期線ニ屬シテ居ル
  所ノ縱貫線ヲ、代用スルト云フコトニナリマスレバ將來ニ於テ山陰山陽ノ聯絡線、卽チ
  橫斷線ナルモノハドウ云フ事柄ニナルノデアリマスカ、ツレ等ノ方針ニ付テ、御取調ベニ
  ナッタナラバ、之ヲ承ッテ置キタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=15

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• 016・望月右内

  ○望月右內君(百五十九番)　政府委員ノ答ヘマスルコトヽ混同シテハ何デスガ、委員
  會ノ模樣ヲ御話致シマスレバ、委員會デハ此山陰縱貫線ヲ利用シテ、差掛リ此二
  線ノ中一線ヲ敷イテ、サウシテ聯絡線ヲ今揭ゲテ置クガ、是ハ完全ナル聯絡線デハナ
  イ、ソレデ後年又岡山若クハ倉敷、廣島、此邊ヨリ米子若クハ今市ニ聯絡スルニ付イテ
  ノ方法ヲ講ジナクチヤナラヌデアラウ、是ハ自然ニ起ル結果トシテ、聯絡線ガナクナッタノデ
  アリマスカラ、無論サウ云フコトデアルデアラウト云フ、委員ノ多數ハ意志ヲ以テ、可決
  致シタ譯デアリマス、左樣御諒知下サイ

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• 017・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君(八十二番)　ドウカ、直チニ二讀會ヲ開カレンコトヲ、願ヒマス
  〔「贊成」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=17

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• 018・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　決ヲ採リマスガ、本案ノ二讀會ヲ開クベシト云フコトニ就イ
  テ(「直チニ」ト呼フ者アリ)御異議ガゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=18

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• 019・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　直チニ二讀會ヲ開クコトニ致シマス
  鐵道敷設法中改正法律案第二讀會
  明治二十七年法律第十號中改正法律案第二讀會

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=19

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• 020・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君(八十二番)　委員長ノ報告通、三讀會ヲ略シテ確定ニナランコトヲ望
  ミマス
  〔「贊成」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=20

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• 021・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　讀會省略ニ御異議ガゴザイマセヌカ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=21

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• 022・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　御異議ガナケレバ讀會ヲ省略致シマス委員長ノ報告通リ
  御異議アリマセヌカ
  鐵道敷設法中改正法律案確定議
  明治二十七年法律第十號中改正法律案確定議
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=22

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• 023・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　委員長ノ報告通、確定セラレマシタ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=23

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• 024・栗原亮一

  ○栗原亮一君(百九番)　豫算委員會ノ報告ヲ致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=24

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• 025・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　議事日程ノ第一ニ移リマス、此處デチヨット御諮リヲ致シマ
  スガ、日程第一ヨリ第七マデハ豫算ノコトデ、關聯ヲ致シテ居リマスルデ、一ヨリ七マデ一
  括シテ、議題ニ供サウト思ヒマスガ、御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=25

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• 026・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　御異議ガナケレバ、一括シテ議題ニ供シマス-栗原亮一
  君
  第明治三十六年度歲入歳出總豫算追加案
  第二(第二號)明治三十六年度歲入歳出總豫算追加案
  第三(第三號)明治三十六年度歲入歲出總豫算追加案
  第四明治三十六年度各特別會計歲入歲出豫算追加案
  第五(特第二號)明治三十六年度特別會計歲入歳出豫算追加案
  第六豫算外國庫ノ負擔トナルヘキ契約ヲ爲スヲ要スル件
  第七(第二號)豫算外國庫ノ負擔トナルヘキ契約ヲ爲スヲ要スル件
  〔栗原亮一君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=26

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• 027・栗原亮一

  ○栗原亮一君(百九番)　三十六年度追加豫算審査ノ結果ヲ、報告致シマスル、是ハ
  詳シキ數字ハ諸君ノ手許ニ迴ッテ居リマスカラシテ、極ク大體ニ止メテ、一ト通リ說明
  ヲ致スデアリマス、此追加豫算ヲ査定スル前ニ於キマシテ、例ニ依ッテ査定方針ナルモノ
  ヲ、二箇條定メマシテ、ソレニ依ッテ進行ヲ致シタノデアリマス、卽チ査定方針ノ第一ハ、
  三十六年度ハ不成立ニ終リタルガ故ニ、今囘提出サレタル追加豫算ハ、前年度ニ據ル
  ト云フノ精神ニナッテ居リマスカラシテ、ドコマデモ此憲法七十一條ノ前年度ニ據ルト云
  フノ方針ヲ立テ、審査ヲ致シテ、次ノ年度マデドウシテモ待ツコトノ出來ナイ、緊急必要
  ナモノハ、已ムヲ得ヌデアリマスカラシテ、是ハ採用スルト云フコトニシタノデアリマス、又其
  事業ハ固ヨリ必要デアリマスケレドモ、次ノ年度マデ待ツコトノ出來ルモノハ、此際ニ於
  テハ協賛ヲ與ヘナイト云フノ、方針ニ致シタノデアリマス、今囘提出ノ追加豫算ニ於キ
  マシテハ年度割ノ區分ト云フモノガ、廢シテアルノデアリマス、此年度割區分ヲ廢スル
  ヤ否ヤ、是ニ就イテハ別ニ利害得失論ハアリマスケレドモ、是ハ暫ク措キ免ニ角三十五
  年度、前年度ニ據ルトスルナラバ、此年度ニ於キマシテハ、年度割ノ額ガ定メテアッタカ
  ラシテ、矢張此年度割額ヲ定メテ置クト云フノガ、當然デアルト云フノ方針ニ依ッテ、
  此二箇條ノ方針ニ依ッテ、査定ヲ致シタノデアリマス、決シテ此委員會ニ於テ、擅ニ査
  定方針ヲ作ッタト云フ譯デアリマセヌ、、卽チ此憲法ト會計法トノ精神ニ基イテ、是ハ殆
  ト全會一致ニ依ッテ、此方針ヲ定メタノデアリマス、全體ノ上ニ於テ、重ニ修正ノ箇所
  ダケヲ、玆ニ簡略ニ述ベルデアリマスル、此豫算ノ第三條ノ所ニ、大藏省證券最高額四
  千三百万圓トアルノヲ、三千五百万圓ト改メマシタカラシテ、此三條ガ前年度ガ三千
  五百万圓デアリマスカラシテ、第三條ハ玆ニ置ク必要ガナイノデアリマスカラシテ、ソレデ
  此第三條ハ削除サレマシテ、卽チ前年度ノ三千五百万圓ニ據ルト云フコトニ致シタノデ
  アリマス、是ハ當局者ニ於テハ多少差支ガアルト云フコトデアリマスケレドモ段々質問
  審査致シタル所、是デハドウモ遣リ切レヌト云フ程ノ、問ヘハ認メヌデアリマスカラシテ、卽
  チ前年度ニ據ルト云フノ方針ヲ以チマシテ、斯ノ如ク削除ヲ致シタノデアリマスソレカラ
  甲號ノ歲入臨時部第六款森林資金繰入金ガ十五万圓餘アリマスル、是モ歲出ガ削
  除ニナリマシタ結果、歲入ニ於テ削除トナルノデアリマシテ、第九款ノ公債募集金ノ二
  百三十六万圓、是モ公債募集金ガ削減ヲサレマシタカラシテ、其結果ト致シマシテ、是
  ダケ減ルノデアリマスカラ、是ハ削除ニナッテ居リマス是迄ハチヨット歲入ノ上ニ付イテ、申
  シタンデアリマス、歲出經常部ノ文部省所管ノ第一款文部本省ニ於テ、二万二千圓
  有餘ノ要求デアリマス、是ハ全部削除ニナッタノデアリマス、此經費ノ目的ハ、昨日モ段
  段ヤカマシイ議論モアリマシタガ、卽チ國定ノ〓科書ヲ作ルト云フノコトナンデアリマス、
  此國定非國定ト云フノ議論ハ、ナカ〓〓ヤカマシイ議論デアリマシテ、隨分此豫算分科
  會等ニ於キマシテモ、種々ナル議論ガ出タノデアリマス、此根本ニ遡シテ、國定ニスルヤ
  否ヤト云フコトヲ、今日定メルノ必要ハナイ譯デアルカラシテ、此問題ヲ今此追加豫算ヲ
  以テ定メルト云フヤウナコトハ、不都合デアリ、且又豫算査定方針ニ於テ、是ガドウシテ
  モ、次ノ年度マデ持チ得ルコトガ出來ヌト云フ程デナイト云フコトヲ、認メタンデアリマ
  入、又當局者ニ於キマシテハ、既ニ勅令省令モアルカラシテ、是ガアル以上ハ、今書物ヲ
  作ラナケレバ、ドウシテモ書物ノ供給ニ、差支ヲ起スト云フコトデアリマスケレドモ是ハ政
  府部內ノコトニゴザイマスカラ當局者ガ宜シク其責ニ任ジテ、處置スルナラバ、敢テ左
  樣ナ差支モナイ譯デアル、大體斯ウ云フ旨意ヲ以テ、全部削除致シタンデアリマス、中
  ニハ自由選擇論モアリマシタガ、其議論ト云フモノモ、種々アリマシテ、議論ガ一定シテ、
  斯ウ云フ主義デアッタト云フノデハナイ、此追加豫算ノ場合ニ當ッテ、國定非國定ヲ定
  ムル必要ハナイ、唯斯ウ云フダケノ簡單ナ理由デ、削除ヲ致シタンデアリマス、ソレハ此問
  題ニ付キマシテ、各自種々ノ意見ヲ唱ヘラレタ人モアリマスカラ、是ハ討論ニナリマシタナラ
  バ、又各自ノ懷カレル意見ヲ述ベラレルコトヽ思ヒマスカラシテ、茲ニ略シテ置キマス、次ハ
  歲出臨時部ノ内務省所管ニ於キマシテ、第三款ノ營繕費二十八万圓餘、是ハ大阪
  ノ爆發物ノ倉庫ト云フモノヽ位地ガ、甚ダ危險ニアルカラ、速カニ建築ヲ致シタイト云
  フノデアリマスケレドモ、是亦別ニ保存ノ方法モナイト云フ譯デハナイカラシテ、敢テ此追
  加豫算ニ於テ、急ニ求ムルノ必要ハナイト云フコトヲ認メテ、削減ヲ致シタノデアリマス、
  其他神田警察ノ建築費デゴザイマス、是モ次ノ豫算マデ待ツコトガ出來ヌト云フ次第
  デハナイト云フ旨意ヲ以テ、削除ヲ致シタンデアリマス、第五項ノ警視廳舍建築費十六
  万五千圓餘デアリマス、是ハ削除ニナリマシタ、高架鐵道カ段々ト進行ヲ致シテ、中央停
  車場ノタメニ警視廳ヲ取除ケヲセンナラヌト云フノデアリマスカラ、此經費ハ無論必要
  デハアリマスケレドモ、マダ此工事ノ進行ト云フモノモ、サウハ捗取ヶテ居ラヌカラシテ、
  此次ノ豫算ニ於テ要求ヲ致シテモ、遲シトシナイト云フ、斯ウ云フ理由ニ依テ削除ニナリ
  マシタ、第十四款ノ臺灣經費補充金二百三十六万圓、是ハ臺灣ノ公債募集金ガ減リ
  マシタカラ、此結果トシテ削除ニナリマシタ、大藏省所管ニ於キマシテ、第一款ノ補助
  金三万七千圓餘、是ハ農工銀行ノ補助金デアリマシテ、旣ニ拂込モアリ事情氣ノ毒
  ノヤウデアリマスガ、併シ是ハ豫算ニ於テ、每年其額ヲ定メテ行クノデアルカラシテ、先ツ
  此追加豫算ノ場合ニ於テ、協賛ヲ與ヘルト云フコトハ適當デアルマイト云フ趣意カラ
  シン、是ヲ削ッタノデアリマス、大藏省所管ニ於キマシテ、第十款ノ第一項公債證書製造
  及ビ發行費七千七百八十七圓ト云フモノガゴザイマスガ、是モ公債ガナクナルニ付イテ、
  從ッテ削除ニナッタンデアリマス、ソレカラ陸軍省所管ニ於キマシテ、第二款ノ營繕費、之
  ガ三万三千三百三圓餘デアリマスガ、其中七千五百圓ヲ減ジテ、二万五千八百三圓
  五十錢ニ相成ッタデアリマス、此經費ハ北海道屯田兵ノ飮水ヲ供給スル所ノ、緊急ナル
  工事デアリマシテ、其必要ハ認メタンデアリマスケレドモ、金額ニ於テハ是程節減ヲ加ヘテ
  モ、大シタ所ノ不都合ハナイト認メテ、是ノ削減ヲ加ヘタノデアリマス、ソレカラ海軍省所
  管ニ於テハ第十二款ノ第一項吳ノ造船廠ガ火災ニ罹リマシテ、之ヲ復舊ヲ致シテ建
  築ヲスルト云フノ經費デアリマス、是ガ三万千百七十八圓、之ヲ減ジテ二万七千二十
  圓、卽チ一割五分減ジタノデアリマス、此一割五分減ト云フモノハ、啻ニ海軍省ノミ
  ナラズ、又今囘ノ要求ニ於テ、建築物ニ對シテハ一般ニ、是程ノ節減ヲ加ヘテモ出來ヤ
  ウト云フ見込ヲ以テ、外ニ於キマシテモ、此通ニ一割五分ノ削減ヲ加ヘタノデアリマス、
  司法省所管ノ第一款ノ營繕費第八項ニ於テ、新營費デアリマス、是ガ八万六千餘
  圓デアリマシテ、卽チ水戶、大津、麻生等ノ裁判所ガ、火災ニ罹リマシテ、其裁判所
  ヲ建築ヲスルト云フ經費デアリマシテ、之モ削減ヲ加ヘテ、贊成ヲ致スコトニシマシタゝソ
  レカラ農商務所管ノ第八款ノ國有林野ノ經營費十五万二千圓餘デアリマスガ、是ハ
  歲出ノ方デ是程減ズルコトニ致シタンデアリマス、卽チ前年度ニ依ルト云フノ精神ニ依
  テ、三十五年度ガ二百十四万五千圓餘デアリマスカラシテ、今玆ニ十五万圓餘ノ追
  加要求ヲシナクトモ、前年度ノ金額ト云フモノガ、二百十四万圓餘アリマスカラ、是一
  依テ十分事業ノ經營ガ出來ルト云フ見込ヲ以テ、削減ヲ致シタンデアリマス、第十款ノ
  調査事業費ノ第四項釀造調査費-酒ノ釀造ヲヤル所ノ調査費デアリマスガ、二千
  三百圓餘ノ增要求ヲ致シテ居ル、是ハ人ガ足ラヌカラ二人增員スルト云フノデアリマスケ
  レドモ、次ノ總豫算ニ於テボルノガ當然デアラウト思ヒマシテ、是ガ削減ヲ加ヘタンデアリ
  マス、ソレカラ第十七款ノ聖路易萬國博覽會費、是ハ修正モ削減モナイノデアリマスケレ
  ドモ、併シ此事ヲ贊成スルニ付テハ餘程當局者ニ注意ヲ與ヘンケレバナラヌト云フコトデ
  アリマシテ、則チ此三十六年度ニ於テハ五十万圓デハアリマスガ、總額ガ八十万圓デ、
  三十六年ヨリ三十八年マデ三箇年度ニ跨ッテ居ル經費デアリマス隨分是迄博覽會經
  費ト云フモノハ、金高ガ十分與ヘテアリマシテモ、ドウモ實效ト云フモノガ舉ラナイトカ、、或
  ハ又金ガ足ラズシテ、追加豫算ヲ出スト云フコトガ、是迄免レヌノデアリマシタガ、今囘此
  要求ニ對シテハ、海外ニ持出ストコロノ事業デアルカラ、少シモ削除ヲ加ヘナイガ、十分ニ
  注意ヲ致シテ、其實效ノ舉ルヤウニ、又追加豫算ヲ提出シナイデモ、此金額デ打切ッテ是
  非ヤルヤウニト、是ダケノ注意條件ヲ付ケテ、贊成ヲ致シタンデアリマス、遞信省所管ノ第
  十款電話交換第二次擴張、是ハ電話交換ノ第一期ガ終リマシテ、第二期ガ玆ニ始
  マラウト云フコトデアリマシテ、卽チ此九十五万圓ノ要求ヲ致シテ居ルノデアリマス、此電
  話事業ハ必要デアリマスケレドモ、今此追加豫算ノ場合ニ於テ、第二期ヲ始メルト云フ
  ダケノ必要ハアルマイ、宜シク次ノ年度ニ於テ是ヲ求ムベシト云フ精神ヲ以テ、今囘追
  加豫算ニ於テ削除ヲ致シタノデアリマス、決シテ此事業ヲ不必要ナリト云フノデハアリマ
  セヌ、今申シマシタノハ、本年度ダケノ金額デアリマスガ、卽チ乙號ニ於テ警視廳ノ建築費
  ガ、此場合削除ニナリマスト、總額ニ於テハ四十五万七千圓餘デアリマス、ソレカラ乙號
  ノ繼續費第二軍艦製造及ビ建築費デアリマスガ、是ハ大問題デアリマシテ、旣ニ宿題
  トナッテ、此議論ハ社會ニ盡キテ居ルノデアリマスカラ、先ヅ此場合ハ全部ヲ贊成シタノ
  デアリマス、卽チ是ガ三十六年度ヨリ四十六年度ニ至ル、十一箇年ノ繼續費デアリマ
  ス、或ハ之ヲ一ノ削減ヲモ加ヘズ致シテ、全部協贊ヲシタノハ、如何カト云フ議論モアリ
  マシタガ、是ハ繼續費デアリマシテ既ニ年度割モ出シテアリマスカラ、其年々ニ於テ能ク
  審査ヲ致シテ、削減ヲスルモノガアレバ、其時ニ削減ヲシテ敢テ支ナイ譯デアリマスカラ、
  先ヅ取敢ヘズ全部ヲ贊成シタノデアリマス、第三第四ノ聖路易博覽會電話交換ハ、今
  申シタ通リデアリマシテ、卽チ第二期ノ電話擴張費ハ總計千四百八十五万圓デアリマ
  シテ、此追加豫算ニハ、其一部分ノ九十五万圓ト云フモノヲ、協賛ヲ求メ來ッタノデアリ
  マス、是ハ次ノ總豫算ニ讓ルコトニシテ、削除スルコトニ決シタノデアリマス、以上ノ削減
  額ヲ合計シマスレバ、三百八十三万八千六百六十二圓餘ト相成ルノデアリマス、ソレカ
  ラ第二號ノ三十六年度總豫算ノ追加、甲號ノ歲入臨時部第十一一款ニ於テ、軍艦
  水雷艇補充基金繰入ヲ一時借入金ト改メ金額ハ二百六十八万七千六百八十三
  圓、是ハ卽チ海軍擴張費ノ三十六年度ノ金額デアリマス、彼ノ軍艦水雷艇補充基
  金借入ニ關スル法律案ト云フモノガ、撤囘ニナリマシテ、サウシテ更ニ一時借入金ト云
  フノ名目ヲ以テ、後ニ申ス所ノ豫算外國庫ノ負擔トナッテ出テ居リマシテ、是ハ唯ダ名
  前ガ一時借入金ト變ッタノミニシテ、金額ニ於テハ毫モ異動ガナイノデアリマス、ソレカラ
  歲出經常部ノ內務省所管デアリマス、北海道本廳、ソレカラ府縣ニ於キマシテ、度量
  衡ノ經費ガ要求セラレテ居ルノデアリマス、北海道本廳ノ分ガ、二百七十四圓、府縣ノ
  ガ一万二千八百二十一圓デアリマシテ、此度量衡ノ經費ノ必要デアルコトハ、無論認
  メテアリマス、卽チ本院ニ於キマシテモ、此度量衡ノ法案ガ既ニ通過ヲ致シテ、今貴族院
  ニ迴ッテ居ルノデアリマス、併シマダ此法律ガ成立ヲシナイ前ニ、豫算ニ於テ協贊ノ與フ
  ルト云フコトハ、不穩當デアルカラシテ、此經費ヲ決シテ不必要トハ認メナイ、無論此場
  合法律案ガ通過シテ居リマシタナラバ直ニ贊成ヲスルノデアルケレデモ、如何センマダ法
  律案ガ成立ヲシテ居ラヌデアリマスカラ、是ト連帶シタル經費デアルガタメニ、已ムヲ得ズ
  此場合ニ於テハ、削除ヲ致シタノデアリマス、併ナガラ是ハ法律ガ成立ヲ致シマスルナ
  ラバ此金額ハ他日豫備費ヲ以テ支出ニナッテモ支ナイト認メマシテ、先ヅ玆ニ一度削
  除ヲシタノデアリマス、農商務省所管、本省ノ三万千九百三十七圓、是モ同ジク度量衡
  ノ經費デゴザイマシテ、ソレカラ次ニ歲出臨時部ノ農商務省所管、第三款製鐵所創立
  費百八十二万圓餘ノ要求ガ、出テ居リマシテ、是ガ六十五万九千圓餘トナッタノデアリ
  さく、是事ハ宿題トナリマシテ、隨分世ノ中ノ問題トナッテ居ルモノデス、依ッテ此問題ニ
  於キマシテハゝ社會ニ於テモ亦本會ニ於キマシテモ種々討論ガアリマシテ、其末此ノ如
  ク決定ヲ致シタノデアリマスガ、先ヅ其大要ヲ申シマスルト、此創立費ノ百八十二万
  圓ト云フモノハ、此外ニ經費ノ必要ハマダアリマスケレドモ、最モ其急ノ急ナルモノヲ選
  ンデ、當局者ガ要求シタノデアリマス、サウシテ此内ニ於テ第二項第三項、第四項ト別レ
  テ居リマスガ、第二項ノ事務費三万二千四百圓餘ガ、九千二百七十三圓餘ト削減
  ニナッテ居リマス、第三項ノ工場費百六十五万三千圓餘ト云フモノガ、六十三万五
  千圓餘ト修正ニナッテ居ルノデアリマス、ソレカラ第四項ノ製鐵原料鑛山費ノ十四万
  一千圓餘ガ、一万四千四百圓餘トナッテ居リマス、此ノ如クニ修正ニナリマシタ處ノ理
  由ノ大體ヲ、玆ニ申シテ置キマス、此創立費ノ總額ハ全體四百八十五万圓餘デアリ
  マスル所ヲ、此場合ニ於テ最モ急ノ急ナルモノヲ選ンデ、百八十二万圓餘ノ要求ニナツ
  タノデアリマシテ、サウシテ右申ス所ノ三項ニ於テ、經費ガ分レテ居リマス、第二項ノ事務
  費ヲ減ジマシタノハ、工場費ヲ減ジマシタカラ、其結果トシテ是ガ減ッタノデアリマス、ソレカラ
  第三項ノ工場費デアリマス、是ハ原案ヨリ削減ガ加ヘラレテ居ルノデアリマスルガ、當局
  者ノ提出ヲ致シタル百八十二万圓餘ト云フモノハ、最モ急ナルモノニハ相違ナイ、〓シ
  其內ニ於テモ尙ホ緩急ヲ圖リ、急ノ急ナルモノヲ選ンデ、玆ニ六十三万圓餘ヲ贊成スルニ
  致シマシタノデアリマス、今囘要求ノ費目ト云フモノハ、何レモ急要デハアリマスケレドモ、其
  最モ急ノ急ナルモノハ、「コークス」ノ製造場ト云フモノガ、一番必要デアッテ、彼ノ製鐵所
  ガ第一著ニ失敗ヲシタト云フモノハ、此「コークス」工場ガ甚ダ不完全ニ致シテ、爐中ニ抛
  ケ込ム、「コークス」ガ或ハ煉瓦ガ混ジルトカ、實粗製濫造デアッタ、ドウシテモ食ハセル
  食物ノ如キモノデアルカラシテ、之ヲ善クシナケレバ、到底事業ヲ始メル譯ニイカヌカラ
  きいっ急中ノ最モ急ナルモノハ、此「コークス」ノ工場デアラウト云フコトカラ、之ヲ土臺ニ
  シ之ト相俟ッテ、必要缺クベカラヌ所ノモノヲ選ミ產出シタ金額デ、先刻申シタ六十五
  万圓餘トナッタノデアリマス、此經費ハ總額ニ於キマシテハ、四百万圓餘デアリマスガ、今
  囘茲デ追加豫算ニ就テ贊成ヲ致スノハ、三十年度ニ限ヲテ、先ヅ是ダケ金額ヲ認メテ置
  イテ繼續費總體ニ於テハ今日ハ協賛ヲ與ヘル場合デナクシテ、尙ホ此後本豫算ノ提出
  ノ場合ニ於テ、緩急ヲ計ッテ、更ニ著手ヲスルガ然ルベシト云フコトカラ、斯樣ナル處ノ査定
  ニナッタンデアリマスル是ハ隨分今日ノ場合ニ於テハ、之ヲ處置スルニ就イテ、大切ナル場
  合デアッテ、何ウシテモ此事業ト云フモノヲ殺ス譯ニハ往カナイ、是非共生カシテ往カナケ
  レバナラヌ、之ヲ生カシテ本當ニ働カセルナラバ、少ナクトモ百八十二万圓餘ノモノハ、必要
  デアリマスルケレドモ、併シ此次ノ議會モ、近クニアルカラシテ、之ヲ全部贊成スルト云フ事
  ハ、如何ニモ此査定方針ニ依テモ致シ難イ譯デアル、仍テ此急ノ急ナルモノヲ選ンダ譯デ
  アリマスル、一見スル所ニ依リマシテハ、、是ハ急デアル、是ハ緩デアルトカ、彼レヨリハ是ガ急
  デアルトカ、イロ〓〓フレハ見込ミモアリマセウケレドモ、種々審議ノ末、先ヅ是ダケノモノハ
  何ウシテモ急ナルモノト認メテヤッタノデアリマスル、是經費ハ目ニナッテ居リマスルカラシテ、
  是ダケノ金額ニ於テ、當局者デ又融通ヲ附ケ、急ノ急ナルモノニ就イテヤル、ユトリノ付ク
  譯デアリマスカラシテ、大體ハ其事業カラシテ割出シタノデアリマスルケレドモ、若シ其間ニ
  於キマシテ、緩急ノ違ヒノアルモノガアルナラバ、又其內ニ於テ是ハ使用ノ出來ルモノデア
  リマスルニ、仍テ此六十三万圓ト云フモノヲ、使ヘルコトニ決定ヲ致シタノデアリマスル、實
  ハ此百八十万圓餘ノ要求ガ出テ、是ハ最モ急ノ急ナルモノデアッテ、而シテ此内カラシ
  テ、選リニ選ッテ見テモ、六十三万圓ダケノ金額デハ、何ウモ十分ナコトハ往カナイ其權
  衡ヲ得ヌコトモアル、依ッテ九十五万圓バカリヲ出シタナラバ、先ヅ相當ナコトニ往カウ
  カト云フコトハ、是ハ堀田君ガ專門家デアリマシテ、此案ヲ出サレタノデアリマスルケレド
  モ、併シ先ヅ此追加豫算ノ場合ニ於テハ、成ベク金額モ少ナク致シ、又其急ノ急ナルモ
  ノニ就イテヤルト云フノ精神ヲ以テ、尙此他ニ最モ急ナモノガアリマスレバ追テ此後
  總豫算ノ提出モアリマスカラシテ、今囘ハ是ニ止メテ、然ルベシト云フ理由ニ依リマシテ、
  大體斯ノ如キ修正金額ニ致シタノデアリマスルサウ致シマスルト、此第二號ニ於テノ削
  減ノ總額ガ、百二十一万三千二百圓餘ニ相成ルノデアリマスル、ソレカラ第三號ノ歲
  出臨時部第一款ノ、營繕費一万三千七百圓餘デアリマス、是ガ一万千六百六十三
  圓餘ト減額ニナッタンデアリマス、卽チ是モ同ク一割五分ノ削減ヲ加ヘタル結果デアリ
  マス、仍テ第三號ニ於ケル處ノ削減額ハ、二千五十八圓餘デアリマス、以上申ス處ノ此
  金額ハ三口ヲ合セマスルト云フト、五百五万三千九百八十四圓餘ト、相成ノデア
  リマスル、ソレカラ特別會計ニ就イテ報告致シマス、此號ノ打ッテナイ處ノ、三十六年
  度各特別會計ノ豫算追加デアリマス、此部分ニ於キマシテ修正ニナッタル點ハ、臺灣總
  督府ノ分デアリマス、第一款ノ特別事業費ノ四百万圓ノ要求ガ九十万圓ト削減ニナツ
  タンデアリマス、其理由ハ第一項ニ於テ臺灣鐵道建設及改良費デ、二百五十万圓ト
  云フモノガ、追加要求ニナッテ居ルノデアリマスル是ハ前年度ニ據ルト云フノ方針ニ依
  テ、前年度ハ二百五十万圓ノ金デアリマスカラシテ、此處ニ二百五十万圓ヲ繰上ゲテ、
  追加ヲ致シタイト云フノ要求デアリマスケレドモ、是ハ査定方針ニ依テ、認メヌコトニ致シ
  マシタノデアリマスル是ハ經濟上、便利上等カラ論ジマシタナラバ、是マデモ末年度ノ方
  ヲ、經上ゲテヤッテ來タコトモアリマスルカラシテ、此臺灣鐵道ノ速成ヲスルト云フ上カラ云
  ハ繰上ゲタ方ガ便利デアリマスルケレドモ、併シ斯ノ如クニ種々ナ事情バカリヲ參酌ス
  ルト、此査定方針ヲ實行スルコトガ出來ナイ、又ソレモ是非此二百五十万圓ヲ繰上ゲ
  ナケレバ、仕事ガ遲滯ヲシテ、大ニ妨ゲヲスルト云フコトデモアレバ、別デアルガ、先ヅ是
  ニ止メテ置イテモヒドイ不便不利ナルモノハ見ナイト云フコトニ依ッテ、是ハヤハリ前年度
  通、先ヅ二百五十万圓ニ止メテ、今囘追加要求ノ二百五十万圓ハ、削除スルト云フコ
  トニ査定ヲ致シタノデアリマスル、ソレカラ第二項ノ基隆築港費デス、是ハ餘程豫算會
  ニ於テモ、ヤカマシキ議論ガアリマシテ、ナカ〓〓長イコト討論審議ヲ盡シタデアリマス、此
  基隆港築費トシテ要求ニナッテ居リマスル金額ハ、六千万圓デアリマスル、併ナガラ總額
  ニ於キマシテハ、千四百万圓デアリマシテ、今玆ニ此十万圓ヲ贊成致ストスルナラバ明
  年度ヨリハ引續イテ、千四百万圓ヲ贊成致スト云フ、覺悟ヲシナケレバナラヌノデアリマ
  ス、先ヅ第一金額ノ上ニ於キマシテモ、斯ノ如キ大金デアルモノヲ、此追加豫算ノ場合ニ
  於テ其小口ダケハ六十万圓ノ少額デアリマスルケレドモ、之ヲ贊成スルト云フノハ、餘程
  考ヘンケレバナラヌ、ソレデ此築港費ニ就キマシテハ、確カ十六議會ノ時分デアリマシタ、種
  種ノ議論ガアリマシテ、其事業ノ必要ヲ認メルナレドモ、サウ一時ニ此莫大ノ金額ヲ持チ
  出シテヤルト云フヨリハ漸次ニ此仕事ヲ進メタラ、如何デアラウト云フコトヲ、當局者
  トモ種々協議ヲ蓋シマシテ、ソコデ三十二年度カラシテ、三十五年度ニ涉ル所ノ經費二
  百四十四万圓ト云フモノハ、是ハ先ヅ其港ノ內ヲ浚ヘル所ノ經費、竝ニ此假リニ設ク
  ルノ所ノ機橋、斯ウ云フモノハ最モ急ナルモノデアルカラシテ、先ヅ此處ニ一度ヒ打切テ、
  此仕事ヲヤッテ、サウシテ此事業ノ進行スルニ從ッテ、更ニ此築港費ナルモノヲ要求致シ
  テ、協贊ヲ求メルト云フコトガ、當然デアラウ、依ッテ此場合、先ヅ主トシテ築港ノ端〓
  トナル所ノ、此港內ヲ浚ヘルト云フ、浚渫費ト云フモノダケニ止メテ置カウ、斯ウ云フコ
  トニナッテ居タンデアリマスル、固ヨリ此臺灣ノ狀況ヲ聞テ見マシテモ、鐵道ガ段々成功ス
  ルニ從フテ、港ノ必要ハ無論デアリマシテ、此事業ヲ吾〓ニ於テ、決シテ不必要ナリト認
  メルノデハ、ナイノデアリマス、固ヨリソレハ必要デアルケレドモ、斯ノ如ク將來莫大ナル金
  額ヲ費スヘキモノデアルカラシテ、此邊ハ十分ニ財政行政ノ整理トモ、相俟タンケレバ
  ナラヌ譯デアルカラシテ、先ヅ此場合ニ於テハ、六十万圓ト云フモノヲ削除スルト、斯ウ
  言フコトニ致シタノデアリマス、ソレデ段々當局者ニモ內情ヲ質問致シテ、聽取リマスルト
  云フト、此港ヲ浚ヘルト云フコトヽ共ニ、船モ買込ミイロ〓〓ト此浚渫船抔モ買込デ居
  ル港ヲ浚ヘルト云フコトハ、一ツノ事業築港モ一ツノ事業、此豫算ノ體面ニ於テハ二ツデ
  アリマスルケレドモ、其事業ト云フモノハ相俟ッテ離ルベカラザルモノデアッテカラニ、卽チ
  二ツニシテ一ツナノデアル、サウシテ此浚渫事業ヲ段々進行スルニ從ッテ、築港事業ト云フ
  モノモ、餘程器械ヲ買ヒ、準備等ヲシテ居ルノデアル、依テ今カラ六十万圓ト云フモノヲ
  削ルト、途中ニ半歲バカリ仕事ガ中止ニナルカラシテ、ソレデ大變經濟上ニ於テハ損害
  ガアル、當局者ノ言フ所デハ、若シ今ノ建物船等ヲ、事業ヲ一旦中止致シテ、之ヲ賣
  却代價ニ見積ッタナラバ、百三十六万圓餘ノ損害ガ立ツ、斯ウ云フコトデアリマスルデス
  ソレハ幾分カハ、其事業モ中休ミヲスルト云フコトデアルナラバ多少損害ハ立チマセウケレ
  ドモ、併シ此事業ヲ決シテヤラサナイトカ、サウニ云フ精神デハナイノデアリマス、若シ此事業
  ガ中絕スルトカ、廢止スベシト云フコトデアルナラバ、今日建物ヲ賣リマストカ、船ヲ賣リ
  マストカ云フコトモ、セネバナラヌデアリマスケレドモ、此浚渫ナリ築港ナリヲ、追〓遣ル所ノ
  見込ヲ以テ、既ニ建テタル物トカ、又ハ船トカヲ、今何モ賣ル必要ハナイ、、總豫算ヲ以テ、
  十分ナル設計ヲ立ッテ協賛ヲ求メルナラバ、決シテ之ヲ躊躇スル譯ハナイカラシテ、サウドウ
  モ今贊成シテ吳レナケレバ、建物、船ヲ賣ラヌナラヌカラ、百三十六万圓餘ノ損ガ立ツ譯
  ハナイ、此査定ノ精神ハ事業ヲ中絕スルトカ、廢止スベシトカ言フノデナイカラ、僅カ此四
  箇月ノ中休ミト云フモノガ出來テ、其間ニ於テ或ハ多少ノ損害ト云フモノガ、アルカモ
  知レマセヌケレドモ、是ハドウモ議院政治ト致シマシテ、又斯ノ如キ解散等ノアッタ時分
  ニハ、解散ハ勝手ニヤリ、サウシテ又追加豫算ハ、勝手ニドン〓〓出ス、斯ウ云フコト
  テハ、實ニ取締ガ付カヌ話デアリマスルカラシテ、政府ノスル所ノ仕事ニ於キマシテハ、是
  亦己ムヲ得ヌ所デアリマス、併シ其損害ト云フモノモ、實ニ百三十万圓餘ノ大損害ガア
  ルト云フコトデアリマスレバ、サウ杓子定規ニモ往カヌカラ、其邊ノ事情ヲ酎酌致シテ、多
  少贊成モスルノデアリマスケレドモ、、段々聞イテ見ル所デハ隨分此中休ミヲスルト」ムフ
  コトハ困難ノ事情アルト云フコトモ認メテハ居リマスガ、併シ斯ノ如キ莫大ナ損害が、立
  ツヤウナ次第デモナイカラシテ、先ヅ此場合ドウモ辛抱ナサルヨリ、仕方アルマイ、斯ウ云
  フコトニナリマシテ、六十万圓ハ削除致シテ、先ヅ次ノ總豫算ニ於キマシテ、十分ニ設
  計ヲ立テラレテ、然ル後吾〓ガ審議ヲ盡シテ、贊成スベキモノハ贊成スル、斯ノ如キ趣意
  ヲ以テ之ヲ削除シタノデアリマス、)第三項ノ臨時臺灣土地調査費、是ハ原案ノ通可決
  致シマシタ、之ハ諸君ノ御手許ニ迴ッテ居ル中ニハ書イテアリマセヌケレドモ、此三項
  ト云フモノハ連帶ニ要求サレテ居リマスカラ、大體ヲ辯ジテ置キマス、之ハ九十万圓デ
  アリマシテ、贊成ヲシタノデアリマス、併シ前年度ニ於テ六十万圓アルノデアリマスカラシ
  テ、此六十万圓ニ更ニ九十万圓ヲ追加シテ、百五十万圓ニ致シタイ、斯ウ云フノデアリ
  マスル、此事業タルヤ、隨分早ク致シマシタナラバ、收入增加ノアルト云フコトヲ、確ニ聞
  得タノデアルノデアリマス、前年度ノ金モアリマスガ、之ハ三十六年、三十七年、此一二
  箇年中ニ於テ、速ニ調査ヲ結了致シタイ、左スレバ先ヅ二百万圓許リノ增收入ト云フモ
  ノモ出來ル譯デアル、斯ノ如キ利益アル所ノ事ヲ、唯杓子定規ノミデ削除スルト云フノ
  ハ、不利益デアリマスルカラシテ、是ハ情狀ヲ酌量致シマシテ、贊成ヲスルコトニ致シタ
  ノデアリマス、此外森林資金ノ十五万一一千圓餘デアリマスガ、是ハ先刻申シタ所ノ結
  果ニ依テ削除ニナッタノデアリマス、此臺灣特別會計ニ於テ削減額ハ、總計三百二十
  五万二千六百圓餘ニナリマス、此外ニ削減ニナリマシタノガ、事業公債、鐵道公債ノ二
  百三十六万圓、是ハ臺灣ノ事業ヲ繰上ゲテスルモノヲ、シナイト云フノデアリマスカラシテ、
  公債募集金ヲ必要トシナイト云フタメニ、、削除ニナッタノデアリマス、サウ致スト、特別會計
  ニ於テ總テヲ合セマスレバ、減額總額ト云フモノガ、五百六十一万二千圓餘ニナルノデア
  リマス、前述ベマシタル所ヲ一括シテ申シマスルナラバ一般會計ノ歳出要求ハ、千六百
  四十八万圓餘デアリマシテ、之ニ對スル削減ガ五百五万三千圓餘デアリマスルカラシテ、
  卽チ三分ノ一强ノ削減額ト相成ノデアリマス、特第二號ノ三十六年度特別會計追
  加豫算、製鐵所ノ二百万圓、是ハ前ニ運轉資本ニ缺乏ヲ告ゲマシテ、二百万圓ノ借
  入金ヲナスコトヲ、前議會ニ於テ已ムコトヲ得ズ、協贊致シマシタ次第デアリマスルカラシ
  テ、其借リタ金ヲ返サウト云フ要求デアリマスカラ、ドウモ借リタ物ヲ返サナイト云フ譯ニ往
  カヌカラ、之ハ無論贊成致シタノデアリマス、ソレカラ豫算外國庫負擔契約ノ分デアリマ
  スガ、是ハ審査致シマシタ所ガ皆當然ノモノデアリマシテ、格別修正ヲ加フベキ〓ヲ見
  出タサヌデアリマシタカラシテ、原案ノ通可決スベキモノト、決定致シタノデアリマス、特
  第三號軍艦水雷艇補充基金ト云フモノガ、出テ居リマシタケレドモ、是ハ關聯スル所ノ
  法律案ガ撤囘ニナリマシタカラ、隨テ此豫算案モ撤回ニナリマシテ、玆ニ之ヲ報告スル必
  要ガアリマセヌ、其代リト致シマシテ、第二號豫算外國庫負擔、是ハ新ラシク此間出タ
  ノデアリマス、是ハ先刻申シマシタ、三十六年度軍艦製造費ノ財源デアリマシテ、其二
  百六十八万八千圓ト云フモノヲ、補充基金ニ繰入レルト云フコトデアリマシタケレドモ、
  法律案ガ無クナリマシテ、此臨時軍艦製造費ノ財源ニ充ツルタメニ、一時借入金ヲ致
  スト云フコトデアリマス、是ハ海軍擴張ニ贊成スル以上ハ、無論ノコトデアリマスルカラシ
  テ、一錢ヲ減ゼズ原案通リ贊成致シタノデアリマス、今申ス通此追加豫算査定ノ結果デ
  アリマスルガ、或ハ隨分今度ノ査定ト云フモノハ、ナカ〓〓酷イヂヤナイカ、荒イデハナイ
  カト云フヤウナル、御疑念モアリマセウケレドモ、併ナガラ隨分其間ニ於キマシテハ、鐵道
  ノ如キ其他國家ノ經營利害上ニ就キマシテハ、隨分酌量ヲ致シマシテ、此國務ノ進行
  ヲ決シテ妨ゲルコトナシト云フコトノ見込ヲ付ケテ、遣ッタノデアリマスルカラシテ、サウドウ
  モ無暗ニ金ヲ減ジタカラ、步ルキモネッチモナラヌト云フヤウナ、ソンナ無暗ナ査定案デハ
  決シテナイノデアリマス、併シ其要求ノ事業タルヤ、素ヨリ國家必要ノ事業デハアリマ
  スルケレドモ、來年度總豫算ヲ待ツコトガ出來ル、當局者ハ遣リタイカラ、待ツコトガ出
  來ヌト申シマスケレドモ、吾〓豫算委員ニ於テハ、次ノ年度ヲ待ッテモ、然ルベキモノデア
  ルト云フモノハ、委員ノ協議ヲ盡シテ、其意見ヲ以テ削除ヲ致シタノデアリマス、或ハ此
  〓ニ於テ、當局者ノ見ル所ハ、緊急避クベカラズトシ、吾ミハ急要デハアルケレドモ、次
  ノ總豫算マデ待テル、此〓ニ於テハ多少意見ヲ異ニスルカモ知レヌガ、先ヅ吾〓委員ニ
  於キマシテハ、十分ニ審議討論ヲ盡シタル末ニ於テ、斯ノ如ク查定ヲ致シタノデアリマス
  カラシテ、此段御報告ヲ致シマス

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• 028・望月圭介

  ○望月圭介君(百二番)　議長ニ對シテ緊急ノ要求ガアリマス

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• 029・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　何デス

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• 030・望月圭介

  ○望月圭介君(百二番)　今申セバ分リマス、昨日本院ニ於テ滿場一致ヲ以テ、不
  信任ノ彈劾決議ヲ受ケタル所ノ大臣ハ、良心ニ訴ヘ、責任ノ重キニ鑑ミ、將タ立憲國ノ
  議會ニ於ケル決議ヲ重ズル上ニ於テ、必ズヤ罪ヲ關下ニ謝辭表ヲ呈出セラレタルコトヽ信
  ジマス、假リニ熟考中トスルモ、マサカニ本日ノ此議會ヘ御出席ニナッテ居ラウトハ本員考
  ヘマセヌ、併シ此處カラハドウモ內閣大臣ノ顏觸ガ分リマセヌカラ、議長カラ本日ノ出席
  ノ大臣ノ御姓名ヲ、聲高ラカニ御讀上ゲニナランコトヲ、望ミマス

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• 031・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　今マデ大臣ノ誰〓ガ出席致シマシタト云フコトハ、別段議長
  カラ報告ヲ致シタ、慣例ハアリマセヌ、其邊ノ所ハアナタノ御席カラ、御覽ニナッタラ、分ル
  デアラウト思ヒマス

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• 032・望月圭介

  ○望月圭介君(百二番)　議長·
  〔「無用々々」ト呼フ者アリ〕

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• 033・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　議事日程ノ第一ニ移リマス、別段總體ニ付イテ······

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• 034・望月圭介

  ○望月圭介君(百二番)　然ラバ私ハ外ノコトニ就イテ、議長ニ要求シマス

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• 035・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　今宣告致シマシタ

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• 036・望月圭介

  ○望月圭介君(百二番)　緊急ノ要求デアリマスカラ·····

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• 037・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　宣〓シマシタ

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• 038・望月圭介

  ○望月圭介君(百二番)　宣告セラレタ後デモ、私ハ緊急ノ要求ガアリマスカラ、是非
  共發言ヲ得ナクテハナラヌ
  (「緊急ナラバ仕方ガナイ」又「無用々々」ト呼フ者アリ〕

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• 039・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　如何デアリマスカ議事日程第一ニ移リマシタ、望月君ハ此
  際緊急デアルト云フコトヲ言ヒマスガ、發議ヲ許シマスカ
  〔「無用々々」ノ聲起ル)

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• 040・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　無用ト云フ聲ガ大多數デアリマスカラ、許シマセヌ-別段
  總體ニ就イテ、御質問モゴザイマセヌデ、是ヨリ議事日程ノ第一ニ移リマス卽チ甲號歲
  出部ヨリ各款項ヲ逐ウテ議ニ掛ケマスコトニ致シマスーーチヨット外務省、内務省、大藏
  省、陸軍省、海軍省、司法省、是等ノ各省ニ付イテハ、豫算委員會ニ於テ別段修正ハ
  ゴザイマセヌガ、原案ニ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 041・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　原案ニ御異議ガアリマセヌカラ、原案ニ可決致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=41

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• 042・大竹貫一

  ○大竹貫一君(二百六番)　海軍省マデ一括セラレマシタカ

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• 043・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　今度ハ文部省ノ所管ニ移リマスガ、文部省第一款ハ削除
  セラレテ居リマスデ、第一款ダケヲ議ニ付シマスル
  〔文部大臣男爵菊池大麓君登壇〕

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• 044・望月圭介

  ○望月圭介君(百二番)　文部大臣ノ演說前ニ於テ、私ハ緊急ノ要求アリマス

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• 045・菊池大麓

  ○文部大臣(男爵菊池大麓君)　諸君、本大臣ハ此際第一款ニ付イテ、一言申ス必
  要ガアルト考ヘマス(「文部大臣ノ說明ハ聽カナイヨ」ト呼フ者アリ)今日ノ場合、國定〓
  科書ノ必要ナルコトハ、今更申スコトノ必要ガナイト考ヘマスルガ、此編纂費ノコトニ付
  キマシテ、誤解ガアルト考ヘマスカラ、一言申述ベテ置キマスル、此國定ト申シマスルノハ、
  交部省ニ於テ版權ヲ有ッテ居ル物デナケレバ、小學校ノ〓科書ニハナラヌト云フ譯デアリ
  マシテ、必シモ文部省デ編纂シタモノバカリデアルト云フコトデハナイノデアリマス(森田卓
  爾君「私ハ昨日ノ決議ニ對シテ文部大臣ノ演說ハ聽キマセヌカラ責任ヲ有ッテ退席ヲ致
  シマス」ト呼ビ退席ス)其編纂ノ方法ニ付キマシテハ、或ハ文部省ニ於テ編纂ヲスルコトモア
  リマセウ、又民間ニ於テ良イ書物ガ出來マシタナラバ、其版權ヲ買上ゲルコトモアリマセウ
  ト考ヘマスル或ハ又文部省ヨリ民間ノ然ルベキ學者ニ賴ンデ、編纂ヲ依賴スルコトモア
  ラウト考ヘマスルノデアリマスル、或ハ又懸賞ノ方法ニ依ルコトモアリマセウト、考ヘルノデア
  リマスル、此編纂ノ方法ニ就イテ、誤解ガアルヤウデアリマスカラ、一言申述ベテ置キマス
  ル、今日若シ此費用ガ否決ニナリマシタ曉ニハ、如何ナルコトガ起リマスルカト、申シマスル
  ト、來年ノ四月ニ至リマシテ、〓科書ガ全ク無クナルト云フ結果ヲ起スノデアリマスル、若
  シ又今日ノ勅令ヲ、改廢スルト云フヤウナコトガアリマシタナラバ、ソレハ到底出來ヌコトデ
  アリマスル、若シ之ヲ改正致シマシテ、今日此穢レタル〓科書、〓科書其物ガ不都合
  ノナイモノデアリマシテモ、此穢レタル〓科書ヲ兒童ニ持タセルト云フコトハ、出來ナイノデ
  アリマス(「誰ガ穢レサセマシタカ」ト呼フ者アリ)ソレ故ニ今日ニ於テ、此費用ガ削レマシタ
  ナラバ、〓科書ノナイト云フコトニナリマスルノデアリマスル、ソレ故ニ此費用ハ是ハ是非
  共ナケレバ來年ヨリ此國民〓育ヲシテ往クコトノ、出來ナイト云フ費用デアリマスカラ、
  是非是ハ復活アランコトヲ希望致シマス、一言明言シテ置キマス

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• 046・櫻井駿

  ○櫻井駿君(百五十一番)　議長

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• 047・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　百五十一番、何デスカ

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• 048・櫻井駿

  ○櫻井駿君(百五十一番)　此今ノ文部大臣ノ演說ニ就イテ、豫算委員會ノ之ヲ削
  除シタ精神ヲ、述ベタイト思ヒマス
  〔「無用々々」ノ聲起ル〕

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• 049・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　島田君····

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• 050・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君(八十二番)　贊成演說ナラバ、櫻井君カラ先キヘヤラセナケレバナラヌ

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• 051・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　島田君ノ方カラ通告ガアリマスカラ-島田君
  〔島田三郞君登壇〕

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• 052・島田三郎

  ○島田三郞君(三百七十六番)　諸君、此唯今議題ニナッテ居リマスルモノヲ、冷靜
  ニ判決致スニハ、甚グ不便ナル議場ト本員ハ考ヘマスル併ナガラ總テノ國民ヲシテ、何
  レノ聲ヲ聽カシムルカト云フコトガ、眞ノ勝負ノ決ト、本員ハ信ジテ广居リマス、少數ニモ
  拘ハラズ、本員ハ斷然トシテ所信ヲ、諸君ノ〓聽ニ訴ヘル積リデゴザイマス、文部大臣
  ガ責ヲ引ク引カヌト云フコトハ、改治的一般ノ問題デアッテ、若シ本員ヲシテ眞ニ言ハ
  シムレバ、文部大臣ノミノ責メヲ問フト云フコトハ抑〓半上落下ノ甚ダ不十分ナル昨
  日ノ決議案ト思フノデアル、此不十分ナル決議案ヲ、ドチラトモ付カズ決議シテ置イテ、
  サウシテ國民ノ多數ノ利害休戚ニ關係シテ、確カニ不利デアルト云フコトヲ、此處デ議
  決スルト云フコトハ議會ガ國民ニ對シテ責ヲ盡サヌ、不利益ナル地位デアルト、本員ハ
  思フノデアリマス、多數ノ御方ハ、此削除案ヲ可決セラレタナラバ國民ニ對シテ不信任
  ヲ御買ヒニナルノデアラウト斷言致シマス、甚ダ失禮ナル申シヤウデアリマスケレドモ、本
  員ハ斯ク確信シテ居リマスカラ、其理由ヲ諸君ノ前ニ、明白ニ申述ベヤウト思フノデアリ
  マス、本院多數ノ御方ガ、委員會ニ於テ之ヲ削除セラレタト云フコトデゴザイマスカラ、定
  メテ本員ヲ滿足セシムルダケノ理由ガ、アルデアラウト思ッテ、謹デ豫算委員長ノ御說明
  ヲ承ハッテ居リマシタガ、殆ド採ルニ足ラヌ所ノ理由デアッタト、本員ハ斷言致シマス、文
  部大臣ハ不信任デアルカラ、是ヲヤラヌト云フノデモナケレバ、是ハ大問題デアルガ故ニ、
  短期ノ議會ニ於テ國定〓科書ノ是非ヲ、決スベキ場合デナイ、ヽ詰リ一言デ言ヘバ、分ラ
  ヌカラ暫ク止メテ置クト云フノデアリマス、斯ノ如キ理由ヲ以テ、之ヲ決スルト云フノハ
  餘リニ豫算委員會ノ多數ノ御方ハ、非理不法ナ決議ヲナサレタモノデアルト、本員ハ思
  ヒマス、若シ此事ガ國民多數ノ者ニ、利害ヲ及ボサヌト云フ問題デアルナラバ、私ハ多數
  ノ御方ノ面目ニ對シテ、沈默ヲ守リマスガ、何分左樣ニ信ズルコトハ、出來ヌノデアル、此
  〓科書問題ハ今日ニ始マッタコトデナクシテ、〓育家ノ中ニハ、久シキ問題デゴザイマシ
  テ、本員又私立有志ノ集會ニ於テ、此議ニ多年與ッダ一人デアリマス、定メテ此議會ノ中
  二、此種ノ集會ニ與ッタ、〓育專門ノ御方ガアルデアラウト思ヒマスガ、本員ハ從來國
  定〓科書論者デハナイ、國定〓科書ノ大ナル缺〓ノアルコトヲ、信ジテ居ルモノデアリマ
  ス、併ナガラ唯今委員會ニ於テ之ヲ削除セラレタ理由モ、採ルニ足ラズ、又今日ノ境遇
  上、國民ニ親切ナル心ヨリシテ穢レタル〓科書ノ歷史ヲ一洗スルニハ、今日ニ於テ餘
  儀ナク國定〓科書ノ制度ニ據ラザルヲ得ヌト、信ズルノデアリマス(「ヒヤ〓〓」又「ノウ
  」ト呼フ者アリ)唯今喧囂ノ中ニ葬ラレタル所ノ、文部大臣ノ演說ノ中ニ、之ヲ此
  儘ニ削除スルト云フト、來年カラ〓科書ハ無クナルト云フコトデアリマス、此理由ヲ詳シ
  ク聞クコトハ出來ナカッタガ、本員ハ文部大臣カラ聞カズトモ、文書ガ之ヲ知ラシムルノデ
  アリマス、明治三十四年一月十二日、唯今政友會ノ要部ヲ占メテ居ラルヽ所ノ、當時
  ノ文部大臣松田正久君、省令ヲ發シテ居ルノデアル、其省令ノ第六十三條ノ三ニ依リ
  マスルト云フト賄賂ダノ其他不正行爲ノ目的物トナッタ〓科書ハ、之ヲ使フコトガ出來
  ナイトナッテ居ルノデアル、圖書ノ審査採定ヲ、無效ニ爲スト云フノデアリマスカラ、一旦用
  井タモノハ、期限ガ來レバイカヌノデ、是カラ用井ヤウトスルモノハ、斯樣ナ不都合ナ手續
  ヲ以テ、決シタモノハ無效トシテ來タノデアル、此今日迄用井ラレタル〓科書ヲ無效トス
  ルナラバ、此無效ノモノヲ國民ノ〓育上、如何ニスルカト云フコトガ問題デアッテ、今俄ニ
  之ヲ編纂シテ、此空虛ヲ充サナケレバナラヌノデアル、斯ク致サナケレバ多數ノ兒童ハ如
  何ニシテ、學校ノ〓科書ヲ得マセウカ、唯徒ニ半上落下ノ決議デハ、效力ガ少ナイノデ
  アル、何故ニ諸君、勇氣ガアルナラバ、昨日ノ決議ヲ、彈効ノ上奏ニシナカッタノデアルカ
  ヲ疑フ、上奏ヲシテ文部大臣ヲシテ決セシメズ、決セザルガ如キ姿ニ於テ、其方ノ責任デ
  アルカラ、〓科書ノ無クナルノハ關ハヌト云フノハ責任アル議會ニ於テ、自ラ責任ヲ知
  ラザル不都合ナル提案ト、本員ハ信ズルノデアリマス(「ノウ/」ト呼フ者アリ)斯樣ニ
  申スコトニ付イテ、若シ「ノウ」ト言ハルヽナラバ演壇ニ立ッテ本員ノ唯今詰問シタル言
  葉ニ對スル答辯ヲ承リタイ、責任アル松田正久君カラ、本員ハ伺ヒタイト思フ(「ノウ
  」ト呼フ者アリ)議會ハ多數ニ依ッテ決セラルヽト雖モ、此非理不法ナル決定ハ、本
  員ハ一〓ノ價値モナイト思フ、非理不法ナル決議ニハ、本員ハ服スルコトハ出來ナイ、本
  員ハ決シテ多數ヲ恐ルヽモノデハナイ、サテ此國定ト云フコトノ利害ニ付イテ、一應論ジ
  ヤウト思ヒマス、凡ソ政治ノ妙ハ、時ノ弊害ニ向ッテ、藥石ヲ投ズルモノデアリマスカラ、
  國定〓科書ハ永久ニ存スベキ、健全ナル方法デアルトハ信ジマセヌ、其短所ハ如何ナル
  モノデアルカト云ヘバ政府ノ限リ有ル有司ノ狹キ所ノ單純ナル思想が、一般ニ行ハレ
  テ、多クノ違ッタル、種々樣々ナ五色燦然トシテ、始メテ美ヲ濟ス所ノ種々ノ思想ヲ容レ
  ル、餘地ノナイト云フコトハ、國定〓科書ニ向ッテノ、、是ハ强キ反對デ、本員モ亦是ニ耳ヲ
  傾ケナケレバナラヌノデアリマスガ、本員ハ諸君ノ如キ、無責任ナル反對論トハ違フノデアリ
  マス、併ナガラ今日ニ於テハ、如何ナル場合デゴザイマスカ、隨分表ノ所ヲ引拔キマシテ、
  裏面ヲ窺ッテ見マスレバ、今日ト雖モ國定〓科書ノ如キ體裁デアルノデアル、ソレハ何ン
  デアルカト云ムバ總テノ民間ニ於テ編纂シタルモノヲ、文部省ニ於テ檢定ヲサレマシテ、
  限り有ル有司ガ、狹キ思想ヲ以テ檢定シテ、是ハイカヌアレハイカヌト云ッテ、註文シテ直
  サセルノデアリマスルカラ、自由出版ヲ囂々ト唱ヘル人達ハ、此檢定其者ヲ廢サナケレバ、
  眞ノ目的ヲ達スルコトガ出來ナイト云フ事實ヲ、顧ラレンコトヲ本員ハ望ムノデアル、然ラ
  バ此檢定ノ方法ニ依ッテ、文部省ノ限リ有ル有司ノ狭キ所ノ單純ナル思想ノ註文ニ
  依ッテ作ラレタル〓科書ハ、如何ナル害ヲ民間ニ及ボシテ居ルカト申シマスルト、是ハ昨日
  縷々ト彈劾決議ノ說明ヲセラレマシタ御方ガ、本員ノ拙劣ナル辯舌ヨリモ巧ミナル說明
  ヲサレマシタカラ、再ビ此處ニ繰返ス必要ハアリマセヌガ、尙其上ニモウ一ツ、是ガ人民ニ向ツ
  テ非常ナル害ヲ與ヘテ居ルト云フコトヲ、私ハ補ハナケレバナラヌ、私ハ〓科書ノ屢々變
  ルト云フコトヽ、〓科書ノ非常ニ直段ノ高イコトハ、賄賂ノ價ト云フモノガ、此中ニ幾層
  倍含マレテ居ッテ、如何ニ國民ニ不正當ナル租稅ヲ、課シテ居ルカト云フコトヲ、顧ラレ
  ンコトヲ望ム、元來〓科書ノ編纂沿革ヲ繹ヌルニ、明治六年ニ學制ヲ頒布セラレタトキ
  ニマダ民間ニ著作者ガナイガタメニ、政府ガ翻譯的編纂ヲセラレタノデ、元ハ國定デアッ
  タノデアル、此場合ニ於テハ版權ヲ政府ハ持ッテ居ッテ、民間ニ之ヲ翻刻セシメタノデア
  リマス、故ニ其編纂ハ未熟デハアリマシタガ、廉ク〓科書ヲ賣ルト云フノデ、間接ニ人民ニ
  利益ヲ與ヘ、兒童ヲ〓育ニ就ケル費用ト云フモノハ少ナカッタノデアル、然ルニ其後段々弊
  害ガ增シテ、終ニ治々トシテ息マザル所ノ昨日巧ミナル演說ノ說明ノ如ク、終ニ〓育ノ基
  本マデ危クスルト云フ弊害ガ、今日起ッタノデアルガ、此儘ニシテ此歷史ヲ續ケテ置イテ、
  之ヲ削除シタナラバ、此歷史的弊害ガ止ムヤ否ヤト云フコトヲ、私ハ反問シヤウト思フ、
  本員ハ決シテ止マヌト思フ既ニ諸君ハ上奏案ヲ出シテ以テ、文部大臣ヲ斥ケル能ハズ、
  ナマハンカノ決議ヲ以テ、文部大臣ヲ如何トモスル能ハズシテ、此席ニ於テ文部大臣ノ
  出席ヲ暗々ノ裡ニ、諸君ノ多數ハ手ヲ拍ッテ御迎ヘニナッテ、暗々ノ中ニ發言ヲ許サレタ
  ナラバ、文部大臣ノ責任ト國民ノ眞ノ利害休戚ト云フモノハ全ク別ニ存シテ居ルト云
  フコトヲ、理解セラレンコトヲ望ムノデアル併ナガラ文部大臣自ラガ編纂スルノ勞モナイ、
  イヅレ專門ノ學者ニ編纂ヲ賴ムトカ、或ハ懸賞ヲシテ廣ク編纂ヲ求ムルトカ、又ハ民間ニ
  良キ書物ノ編纂ガアルナラバ、政府ガ版權ヲ買上ゲテ、之ヲ翻刻ヲサセルト云フノデアリ
  マスカラ唯今種々ナル卑シキ競爭、是ニ附帶スル種々ナル弊害、斯ノ如キモノヲ一掃ス
  ルニハ、本員ヲシテ局ニ當ラシムルナラバ、從來國定〓科書ハ主義ニ於テ、健全ナル永久
  ノ制度ニアラズト信ズル、本員ト雖モ斯ノ如キ場合ニハ、臨機卽チ時ニ應ジテ、國民ニ親
  切ナル變革ヲ爲シテ、此來年四月ヨリ空虛ニナル所ノモノヲ補ッテ、セメテハ四年ナリ、八
  年ナリ、丁度其期ノ盡キマス位マデニ、之ヲ致シマシタナラバ、是マデ上下ニ浸潤シテ居ル
  惡風ヲ一洗スルコトガ出來テ、歷史ヲ茲ニ一變革スルコトガ出來ルデアラウ、恰カモ明
  治六年ニ學制ノ出來タトキニ、文部省ガ國定ノ〓科書ヲ作ッテ居ッタガ、其後ニ民間
  ノ著述ガ出ルニ當ッテ、之ヲ民間ノ著述ニ任セタト云フ、過去ノ好キ歷史ヲ、茲ニ再ビ
  新紀元ヲ開クト云フコトハ國民ノタメニ直接ノ利害ヲ感ズルコトデアリマスカラ、斯ノ如
  キ行掛リヲ以テ、此削除ヲ行フト云フコトニ就イテハ、反對ヲセンケレバナラヌノデアリマ
  ス、〓科書ヲ廉ク供給スルコト、現在ノ弊害ヲ革ムルコト、現在ノ思想ヲ入レルコトニ就
  イテハ十分考フベキコトデアル、ソレデ檢定權ヲ文部大臣ニ與ヘテ居レバ、結果ハ同ジ
  コトデアル尙臨時議會ニ於テ之ヲ議スルノ餘地ガナイト云フノハ、實ニ驚入ッタルコト
  デアル、金ヲ以テスレバ二万二千圓、而モ是ハ數年間〓育家ガ討論シタル所デアル、然
  ルニ、海軍ノコト、軍艦ヲ造ルト云ヘバ一億一千万圓、是ハ宜シイト云フテ卽決スル位
  ノ勇氣ガアルナラバ本員ガ玆ニ說明シ得ルダケノ材料ヲ持ッテ居ルナラバ、是ヨリ詳シキ
  諸君ハ尙更國定ニシナケレバナラナイト云フ、材料ヲ持ッテ居ラレルト思ヒマス、本員ハ
  終リニ臨ンデ、明年ノ四月ヨリ如何ニシテ、此〓科書ノ空虛ヲ充タスカ、兒童ニ對スル
  缺乏ヲ〓ゲシメザルカ、如何ニシテ是マデノ弊害ヲ、諸君ハ一掃シ得ルカ、昨日演說ナ
  サレタ御方ハ、必ズ此案ニ向ッテ否決ノ起立ヲナサレヌデアラウト、本員ハ思ヒマス

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• 053・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　鳩山和夫君
  〔鳩山和夫君登壇〕

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• 054・鳩山和夫

  ○鳩山和夫君(二百五十八番)　委員會ノ報告ニ、ヨモヤ反對ハアルマイト思ッテ、諸
  君モ分リ切ッタコトデアルカラシテ、決議ヲ急ガルヽ時デアルノデアル、然ルニ圖ラザリキ、委
  員會ノ意見ニ反對ノ意見ヲ述ベラレタ、其云フ所ハ其儘ニシテ置ケマセヌノデス、ソレ
  故ニ島田君ノ御說ハ、誰デモ駁セルコトデスガ、チヨット駁シテ置キマス、其中ノ一番若
  シ事實デアルナラバ心配ニナルノハ、來年ノ四月カラ書物ノ無クナル〓科書ガ無クナ
  ル斯ウ云フコトヲ、此處ニ斷言セラレタノデアリマス、ソレハ餘リ御調ガナイヤウニ思ハレ
  マス、從來〓科書トシテ用井ラレタル總テノ〓科書ガ、賄賂ニ依ッテ出來タノデアル、總テ
  ノ〓科書ト云フモノヽ檢定若クハ審定ニ就イテハ必ズ之ニ賄賂ガ伴ウテ居ルト云フコ
  トハナイノデアル、昨日ノ決議案ニ付イテ說明セラレタ人モ、左樣ナコトハ言ハレナイノ
  デアル、私モ亦左樣ナコトハ信ジナイノデアル、來年ノ四月カラ書物ガ無クナルト云フコト
  ヲ、玆ニ斷言セラレタル島田君ハ、從來用井ラレタル總テノ〓科書ニ、賄賂ノ匂ガ付イ
  テ居ルカト云フコトヲ御調ヲ願ヒタイ、(島田三郞君「唯今御答ヲシマス」ト呼フ)私ハ
  左樣ナコトハナイ、僅ニ一百何十人ノ〓員ガ捕マッタタメニ、日本ノ〓員ガ皆キタナイ
  モノ賄賂ノ收受者ト云フコトハ出來ナイト思フ、島田君ノ論法ヲ以テスレバ、日本ノ
  〓育家ガ悉ク腐敗セリト言ハレルカ知レマセヌガ、私ハソレ程ノ悲觀ハ持ッテ居ラナイ、
  〓育者ノ中ニハ立派ナ人モアルデアラウ、併シ〓育者ノ中ニハ、又キタナイ者モアッテ、
  今尙縲繩ノ身ニナッテ居ル人モアル一部ノ者ヲ以テ全體ヲ推定スルコトハ、論理ノ許
  サザル所デアル、假リニ島田君ニ一步ヲ譲ッテ-一歩ヲ島田君ニ讓リマシテ、來年ノ
  四月カラ書物ガ無クナル、一步讓ッテ來年ノ四月マデ、〓科書ガ無クナルトシマセウ、ソ
  レデ出來マス、來年ノ四月マデニハ、マダ大分時ガアルノデアル、是ガ豪イ大著述デモ
  スルナレバ免モ角、小學校ニ於テ用井ラルベキ〓科書ノ如キハ出來マス、來年カラ賣レ
  ルト云フコトガ極ッテ居リ、來年カラ空虛ガ生ズルト一云フコトガ分ッテ居ルナラバ、之ヲ充
  スダケノ力ハ、日本ノ〓育社會ニアルノデス、ソレ位ノ力ハ滿々トシテアルノデス(「有リ
  過ギテ困ル」ト呼フ者アリ)來月トデモ言フナラバ、少シ夜ナベデモシナケレバナリマスマイ
  ガ、來年デアリマスカラ、當リ前ノ時間デ出來ルノデアル、一向御心配ハナイ、又島田君
  ハ言ハヌデモ宜イコトヲ言ハレタノハ、ナゼ昨日ノ當局大臣ノ責任ヲ上奏ヲシナイデ、決議
  シタノデアルカ、少シ是ハ問題外デアルガ、島田君ノ如キ憲法政治ノ歷史ニ御詳シイ所
  ノ御方ガ、上奏デナケレバ、內閣大臣ノ信任ヲ問フコトガ、出來ナイト言ハレルカ、上奏ト
  云フ一方ニアラザレバ、彼等ノ處決ヲ望ムコトガ出來ナイト云フ御考ガ、何處カラ出テ
  來タカ分ラナイ、又島田君ノ學識ヲ以テ、啻ニ日本ノ歷史ノミナラズ、憲法國ノ諸國ノ
  歷史ニ通曉セラレテ居ル島田君ガ、何故ニ上奏セナイト云フ如キコトヲ言ハレルノカ、私
  ハ他ノ人ノ口カラナラバ、聽流ニシテ宜シイガ、言フ人ガ島田君デアリマスカラ、是モ一言
  云ウテ置カナケレバナラヌト思フノデアル、委員長ノ詳シイ報告ガ無カッタト云ハレルガ、委
  員長ハ多クノ事ヲ、短イ時間ニ報告シナケレバナラヌ、單ニ要領ノミ摘ンデ諸君ノ旣ニ
  了解シテ居ラレル所ハ、略セラレタノデアル、ソレヲ委員長ノ言葉ノ足ラヌ所ヲ捕ヘテ、ワレ
  ガ委員長ノ口ガ漏レタ、漏レタ所ノミガ總テノ理由デアルカノ如ク思ハレテ、攻擊セラルヽノ
  ハ、誤リデアル、又松田君ノ署名セラレテ居ル省令ガ邪魔ニナルナラ、何時デモ取換ヘテ
  宜シイ、松田君ノ名前ヲ捕マヘテ來テ、惡ルイコトデモアルカノ如クニ申サレルガ、松田
  君ノ名前ハ惡ルイコトモ何モナイ、先ヅ普通ノ理由カラ言ヘバ、賄賂ノ匂ガ付イタモノハ
  用井ヌガ宜イト云フハ、ソレハ普通ノ場合デ、若シ來年ノ四月カラ〓科書ガナクナルト
  云フナラバ、賄賂ノ匂ガ付イテ居ッテモ、良イ〓科書ナラ用井テ宜シイト云フ省令ヲ、更
  ニ出シサヘスレバ宜イ、唯松田君ノ名前ヲ引合ニ出シテ、松田君ガヤリ損ヒデモ遣ッタヤウ
  ニ見セルト云フノハマア餘リ學者振ッタ所ノ御議論デハナイト思フノデアル、斯ウ云フ理
  窟デアリマシテ、島田君ガ此處ニ立ッテ、竝ベタ所ノ言葉ト云フモノハ、一ツモ肯綮ニ當ッ
  テ居ルモノハナイノデアリマスカラ、全然諸君ハ委員長ノ報告ニ贊成アランコトヲ、希望
  スルノデアリマス
  〔「討論終結」ト呼フ者アリ〕

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• 055・島田三郎

  ○島田三郞君(三百七十六番)　多言ヲ費シマセヌガ、チヨット一言
  〔「討論終結討論終結」ノ聲起ル〕

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• 056・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　何デスカ

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• 057・島田三郎

  ○島田三郞君(三百七十六番)　一言辯明ヲシタイ
  〔「ノウノ」「討論終結」「許スヘシ」ト呼フ者アリ〕
  〔「採決々々」ノ聲起ル〕

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• 058・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　島田君ガ辯明ヲシタイト云フノデスカラ
  〔「無用々々」ノ聲起ル〕

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• 059・島田三郎

  ○島田三郞君(三百七十六番)　今ノ〓科書屋ハ澤山ナイノデ、多クハ〓科書屋ガ
  組合デヤッテ居ルカ、サウデナケレバ數軒ノ〓科書屋ガ、總テノ〓科書ヲ出シテ居ルノデア
  ルカラ、其數軒ノモノガ今囘ノ大疑獄ニ關係ノ無イモノハ、殆ド無イ、其故ニ之ニ關係
  ノモノニ制裁ヲ加フルト、〓科書ガ無クナルト云フコトヲ、信ズルノデアル
  〔「採決々々」ノ聲起ル〕
  〔櫻井駿君登壇〕

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• 060・櫻井駿

  ○櫻井駿君(百五十一番)　諸君、此國定〓科書ノ箇條ヲ削ッタコトニ就イテ、意外
  千萬ニモ非常ナル議論ニナッタト云フコトハ、驚入ルノデアリマス、固ヨリ豫算委員長ノ報
  告ハ、滿場一致ヲ以テ、通過スル位ニ考ヘテ居ツタ所デアリマス、然ルニ當局者タル文部
  大臣ノ、原案維持說ノ出ルト云フコトハ豫期シテ居ッタ所デアルケレドモ、有名ナル島田
  君ガ、原案維持說ニ立タレタト云フコトハ、驚入ッタト云フ私ハ感想ヲ起シマシタ、文部
  大臣ノ御演說ヲ見ルト云フト、二ツニ歸著スル、編纂ノコトニ就イテハ、誤解ガアリハセ
  ヌカト云フコトヲ惡レル、第二ハ若シ是ガ否決セラレルト云フト、來年ノ四月カラシテ、〓
  科書ガ無クナルト云フニ、過ギナイコトヽ思フノデアリマス、編纂ノコトニ就イテ、誤解ガア
  ルカト云フコトニ關シテハ、決シテ豫算委員會ニ於テハ、誤解ヲ持シテ居ナイノデアリマス、
  現ニ分科會ニ於テ、私ハ直接ニ文部大臣ニ對シテ以テ、如何ナル方法ヲ以テ編纂セラルヽ
  カト云フコトハ、質問ヲ致シテ、今日此席上ニ於テ、支部大臣ノ御答ノアッタ通リノ答辯ヲ
  得テ、ソレヲ承知シタ上、此一款ヲ削ルト云フコトニ、贊同シタノデアッテ、決シテ誤解ノ
  結果、之ヲ削除シタノデナイト云フコトヲ、玆ニ明言シテ置キマス、第二ハ來年ノ四月ヨ
  リ〓科書ガ無クナルト云フ、文部大臣ノ言デアリマスケレドモ、此事モ分科會及總會ニ
  於テハ、大ニ議論ノアッタコトデアッテ、互ニ政府委員若クハ豫算委員ノ間ニ、其事ヲ十
  分ニ闘ハシタ結果、決シテ其憂ハ無イト云フコトヲ認識シテ、之ヲ削減シタノデアル、何
  故ニ其憂ガ無イカト云ヘバ詰リ今日ノ制度ノ上ニ於テハ、來年ノ四月カラシテ、〓科
  書ガ無クナラザルヲ得ナイト云フコトニ、歸著スルト云フ議論ニ過ギナイノデアッテ、其制度
  ハ如何ナル事カラシテ、斯ノ如クナルヤト云ヘバ、勅令及省令ノ結果、旣ニ刑ヲ受ケタモノ
  ノ發行シタ圖書、若クハ審査會ノ正式ノコトガ出來ズシテ、不正手段ニ依ッタ圖書ハ、〓
  科書ニ用井ルコトガ出來ヌト云フコトニナルカラ、無クナルト云フニ過ギナイ、其根本ハ勅令
  ト省令トニ依ッテ以テ、發シタモノデアルカラシテ、若シ果シテ來年ノ四月カラシテ、〓科書
  ノ無クナルヤウナル憂ガアルナラバ、行政官ノ權能トシテ、此勅令省令ヲ廢スルト云フコトニ
  於テ、何カアラント私ハ考ヘルノデアル、或ハ此省令ヲ以テシ、或ハ勅令ヲ以テスルコトニ
  就イテ、到底廢スベカラザルカノ如クニ論ズルノデアルケレドモ、決シテサウデハナイ、今日
  ノ形式ニ於テ之ヲ廢シ得ルト云フコトハ、明カナル事實デアル、之ニ對シテ以テ島田君ノ
  贊成演說ト云フモノヲ見ルト云フト實ニ驚入ッタコトハ、島田君ホドナル人ガ、支離滅
  裂ナル自殺ノ論議ヲセラレテ居ルト云フコトヲ發見シタノデアル、島田君ハ國定若クハ非
  國定ト云フコトハ、既ニ決定シタル問題デアル、而シテ國定ノ方ガ宜イノデアルカノ如クニ
  論ゼラレテ居ッテ、サウシテ尙言フ所ハ、如何ナルコトニ論結セラレタト云フト、明治六年
  ニ於テハ國定デアッタケレドモ、其國定ガ止ンデカラシテ、自由トシテ初メテ宜イモノガ出來
  タノデアル、故ニ此際ニ於テハ、本員ヲシテ當局者タラシムルモ、斯ノ如クスルヨリカ外ニ
  無シト云フ、一ノ便法ヲ設ケラレテ、サウシテ島田君自ラガ、交部大臣ノ局ニ當ヲタ考ヲ
  以テ、論斷セラレタ所ニ依レバ、此際一旦國定ニシタナラバ、他日明治六年以後ニ於ケ
  ルガ如クニ、又良イ〓科書ガ出ル時期ガ來ルデアラウト云フコトヲ、明言セラレタト云フコト
  ハ、詰リ島田君ハ國定論者ニアラズシテ、以テヤハリ自由ノ〓科書ヲ希望セラルヽノ人ト
  言ハナケレバナラヌト、私ハ考ヘルノデアル、又今日ノ自由論ノ方ヲ駁擊シテ、國定ニスルノ
  必要ヲ說キナガラ、一方ニ於テ如何ナルコトヲ言ハルヽカト云ヘバ、文部省ニ於テ檢定ヲ
  スルト云フコトハ、取リモ直サズ國定デアルト云フコトデアル、國定ヲ是認シテ居ルト同一
  デアリナガラ、國定ヲ非トスルト云フコトハ、甚ダ其論理宜ヲ得ヌト云フ議論デアルケレド
  モ、吾〓ハ決シテ文部省ノ檢定ヲシテ居ルト云フコト、ソレ自身ニ議論ヲ向ケタモノハ、
  一人モ無イコトデアッテ、敵ナキニ矢ヲ放タレタル言ト、言ハナケレバナラヌト信ズルノデア
  ル、又此事ハ豫算問題デアルカラシテ、國定非國定ト云フ議論ヲ、彼是鬪ハスノ
  必要ハ無イノデアッテ、今日ニ於テハ其道アリトスルナラバ、別ニ怪ムニハ足ラナイ、之ヲ斷
  然削除シテ、豫算委員長ノ報告通ニ、決定セラレンコトヲ、切ニ希望致シマシテ、餘リ
  長クナルコトヲ恐レマスカラ、簡單ニ此所デ演說ヲ止メマス、何卒豫算委員長ノ決定通
  ニ、贊助セラレンコトヲ希望シマス
  (「討論終結」「採決々々」ノ聲起ル〕

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• 061・田口卯吉

  ○田口卯吉君(八十四番)　一言述ベタウゴザイマス

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• 062・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　演壇デ·
  〔田口卯吉君登壇〕

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• 063・田口卯吉

  ○田口卯吉君(八十四番)　諸君、唯今議場ノ趨勢ハ、餘程感情ニ動カサレテ、全國
  少年子弟ノ〓育ニ、大關係ノアル問題ヲ、輕々ニ議決シ去ラントスル勢ガアルヤウニ考
  ヘマス、本員ハ此〓科書問題ニ就キマシテハ、十分ナル意見ヲ持ッテ居ルモノデゴザイマ
  セヌ、併ナガラ唯今櫻井君ノ述ベラレタ所ニ依リマシテモ、來年ノ四月ヨリ〓科書ノ無ク
  ナルト云フコトハ、確ニ本員ハ認メテ居ル、其譯ハ文部省ガ省令ヲ改メネバ無クナルノデ
  アル、此省令ヲ改メルガ宜イカドウカト云フコトヲ、諸君ハ此場合ニ於テ、御決定爲サラ
  ナケレバナラヌ、若シ文部省ガ此省令ヲ改メテ、從來ノ省令ヲ惡ルイトシテ改メテ、今マ
  デ贈賄等ヲ行ック書肆ノ發賣スル〓科書ヲモ〓科書トシテ採用シテ宜シイト云フヤウ
  ニ、省令ヲ改メタナラバ、來年四月ヨリ〓科書ハアルノデアル(拍手スル者アリ)併ナガ
  ラ諸君、ドウデス、斯ノ如キ趣意ヲ以テ省令ヲ改メラレタナラバ實ニ堪ラヌデハゴザイマセ
  ヌカ、松田文部大臣-前文部大臣ノ發セラレタ省令ハ、實ニ結構ナルモノデアル(拍
  手スル者アリ)私共ハ實ニ贊成スル、ソレヲ改メズニ今日ヨリ以後モ、維持シテ置クト云
  フ時ニハ、確カニ〓科書ガナクナルノデアル、諸君、諸君ノ子弟ニ對シテスラ、〓科書ノ
  ナクナルト云フコトガ、決議ガ出來マセウカ、況ヤ四千五百万ノ人民ヲ代表シテ御居デ
  ノ諸君ガ、是等ノ子弟ノ〓科書ヲ無クナスト云フ決議ハ、如何ニモ輕忽ナ(島田三郞
  君「然ラザレバ賄賂公許」ト呼フ)實ニ驚入ッタル御決議ト考ヘマス、斯ノ如キ問題ハ一
  時ノ感情ニ訴ヘテ、輕々ニ御議論アルベキコトデハアルマイト存ジマスカラ、私ハ島田君
  ノ原案贊成ノ意見ニ、十分ナル贊成ヲ表シテ、ドウゾ原案ニ復活スルコトヲ希望致シマ
  ス
  (恆松隆慶君「討論終結ニ願ヒマス」ト呼フ〕

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• 064・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　討論終結ニ定規ノ贊成ガゴザイマスカ
  〔「贊成ケ々」ノ聲起ル)

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• 065・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　定規ノ贊成ガアルト認メマス、討論終結ニ御異議ハアリマセ
  ヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 066・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　討論終結ト認メマス、採決ヲ致シマスルガ、チヨット採決ノ
  コトニ付イテ、御話申シマスルガ、豫算委員會ニ於テハ、文部省ノ第一款ハ削除ヲセラレ
  テ居ルノデゴザイマス、原案ノ削除セラレタル場合ニ於テハ、是迄ノ慣例上、政府ノ原
  案ニ付イテ決ヲ採リ、政府ノ原案ガ否決セラレタル場合ニ於キマシテハ、卽チ此豫算委
  員會ノ査定案ガ、可決ニナッタ結果ニナルノデゴザイマスル、卽チ此第一款政府ノ原案
  ニ御同意ノ御方ハ、起立ヲ願ヒマス
  起立者少數

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• 067・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　少數デアリマス、原案ハ否決セラレタノデアリマス、文部省
  ノ他ノ部分ハ、委員長ノ報告通、御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 068・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　御異議ガナケレバ委員長ノ報告通決シマス、農商務省、遞
  信省、歲出經常部合計、委員長ノ報告通、御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 069・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　御異議ガナケレバ委員長ノ報告通決シマス、歲出臨時部
  ニ移リマス、外務省ノ所管ハ別ニ修正ガゴザイマセヌ、原案ノ通御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=69

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• 070・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　御異議ガナケレバ原案ニ決シマス、內務省所管全體ハ委員
  長ノ報告通、御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=70

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• 071・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　御異議ガナケレバ委員長ノ報告通ニ決シマス、大藏省ノ所
  管ニ移リマス-政府委員阪谷芳郞君
  〔政府委員阪谷芳郞君登壇〕

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• 072・阪谷芳郎

  ○政府委員(阪谷芳郞君)　此大藏省所管ノ第一款補助費、農工銀行補助三万
  七千五百圓ト云フモノガ、削除ニナッテ居リマスガ、是ハ餘程法律ニ予盾致シマシタ、御
  無理ナ御査定ト考ヘマスルカラ、一應申上ゲマスルガ、是ハ德島ノ農工銀行ニ拂渡シマ
  スル補助金デアリマシテ、御承知ノ通ニ、農工銀行ノ補助金ハ、法律ニ依リマシテ、ソ
  レ〓〓府縣ニ配當スルコトガ極ッテアリマス、而シテ德島ノ農工銀行ハ、人民ノ拂込ガ
  今日迄幾分カ後レテ居リマシタガ故ニ、政府ハマダ渡シテ居リマセナカッタガ、旣ニ去ヌル
  四月ニ人民ノ持株ハ拂込ガ濟ミマシテ、政府ノガ殘ヲテ居リマス、之ヲ今日削除ニナリ
  マスルト云フト、詰リ政府ガ其義務ヲ果タスコトガ出來ヌト云フコトニナリマシテ、甚ダ法
  律ノ趣旨ト、予盾致シマスヤウニ考ヘラレマスルデ、是ハ何卒原案復活ニ御同意アランコ
  トヲ希望致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=72

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• 073・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　久保伊一郞君
  〔久保伊一郞君登壇〕

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• 074・久保伊一郎

  ○久保伊一郞君(二百八十三番)　諸君、私ハ此大藏省ノ臨時部第一款第一項ノ
  農工銀行ノ補助金三万七千五百圓ヲ、委員會ガ削除ヲ致シマシタノデゴザイマス、之ヲ
  私ハ原案ニ復活致シタイ、斯ウ云フ意見ヲ持ッテ居リマスルガ故ニ、簡單ニ其理由ヲ一
  言辯ジマスデゴザイマス、抑〓豫算委員會ニ於キマシテ、本行ノ補助金ヲ削除致シマシタ
  所ノ理由ヲ聞キマスルノニ、農工銀行ノ補助法ニ依レバ、豫算ニ定ムル所ニ依ルト云フ
  コトニナッテ居ルヂヤカラ豫算デサウ云フ理由デアルカラ、今期議會ニ出サナクトモ、十九
  議會ニ讓ルコトノ出來得ルモノデアルト云フコトノ、委員長ノ御報告デアッタノデゴザイマ
  ス、成程農工銀行ノ補助法ヲ覩テ見マスルト、豫算ニ定ムル所ニ依リ云々トアルノデ、豫
  算ニ定メズシテ、濫リニ補助ヲ許サヌト云フ意味ト私ハ解スル、故ニ政府ハ今朝議會ニ於
  テ、豫算ニ定メラレテ提出ヲサレタノデアリ、ソレカラ尙モウ一ツ、其削除ノ理由ヲ聞キマス
  ルノニ、會計法人第五條第第項使徒云云々と云フェモゴサイマ、デ抑く
  諸君ハ會計法第五條第二項ノ精神ハ、私ナル此不辯ヲ以テ、此處デ申上ゲマセイ
  デモ、其精神ハ旣ニ多數諸君ニ於テ、御認定ノコトヽ存ジテ居リマス、卽チ必要避クベ
  カラザルモノト、法律上支出シナケレバナラヌモノトハ、追加豫算ニ於テ提出シタル場合
  ニ、協賛ヲ與ヘテモ決シテ不都合ハナイト、私ハ解釋ヲ持ッテ居ル、諸君モ既ニサウデアラ
  ウト思フ、海軍擴張ノ案ニハ、既ニ會計法云々ト云フ御議論ガ、非常ニ石黑君ノ說ト
  シテ、ヤカマシウゴザイマシタケレドモ、是ハ各ノ見ル所ニ依ッテ、ドウヤラ多數ニ會計法第
  五條ノ二項ニ、抵觸ヲシナイト云フ、御判斷ヲナサレタヤウニ、私ガ伺ッテ居ルノデゴザイマ
  ス、サウ致シマスルト、此會計法第五條ノ二項ニモ差支ナイ、所謂法律上ドウシテモ補當
  助シナケレバナラヌモノデアルト、云フ所ニナッテ居ルノデ、豫算ニ定ムル云々ト云フコトモ、適
  當ノ順ニ參ッテ居ルリマスルトスルナラバ、僅カ三万七千五百圓デ、既ニ農工銀行ノ補助
  法ニ依ッテ、今日迄國庫ガ補助ヲ致シマシタ金ハ、八百十七万餘圓ノ中デ、八百十四
  万何ボト云フモノハ、元拂ッテ居ルノデ、デ僅カ德島縣ノ分ハ先刻來政府委員ノ辯明サレ
  タ如ク、拂込ガ後レテ居ッタタメニ、今日マデ延ビテ居ルノデゴザイマス、殊ニ豫算委員
  會ニ於テハ、橋本久太郞君ガ德島選出ノ代議士トシテ、非常ニ原案維持ニ努メラレテ、
  其努メラレタ理由ニ曰ク、ドウカ大雅量ヲ以テ、原案ニ復活スルヤウニト云フコトデアリ
  マシテ、私モ贊成ヲ致シタ一人デアル、ドウカ諸君ニ於カレマシテモ、大雅量ヲ以テ會計
  法ニモ差支ズ、豫算ニ定ムト云フ所ノ法律ニモ抵觸セズ、斯ノ如キ分リ切ッタ事柄デゴ
  ザイマスカラ、ドウカ大雅量ヲ以テ諸君モ原案維持ニ御贊成アランコトヲ、希望致シマス、
  一言贊成ノ〓ヲ述ベマス
  〔「採決々々」ト呼フ者アリ〕

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• 075・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　採決致シマス、此第一款ダケヲ別ニ採決致シマス、第一款
  原案ニ贊成ノ御方ハ、起立ヲ願ヒマス
  起立者少數

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• 076・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　少數デアリマス、原案ハ否決サレマシタ、第十款ハ是ハ天員
  長ノ報告通、御異議ハゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 077・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　御異議ガナケレバ委員長ノ査定通決シマス-大藏省ノ
  合計モ、委員會ノ報告通ニ、御異議ゴザイマセヌカ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 078・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　御異議ガナケレバ委員長ノ報告通ニ決シマス-陸軍省
  所管ニ移リマス、豫算委員長ノ報告通、陸軍省全部御異議ハゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 079・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　御異議ガナケレバ委員長ノ報告通ニ決シマス-海軍省
  所管ニ移リマス大竹貫一君
  〔大竹貫一君登壇〕

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• 080・大竹貫一

  ○大竹貫一君(二百六番)　諸君、私ハ玆ニ大膽ニモ、此海軍第三期擴張費ニ反對
  スルモノデアリマス、今日ノ大勢到底挽囘スベカラザルモノデアリマセウカナレドモ、一應私
  ノ鄙見ヲ御耳ニ達シタイト思ヒマスカラ、暫ク御〓聽ヲ煩ハサンコトヲ希望致シマス、サテ
  此海軍省所管ノ卽チ第十一款第三期擴張費ト云フモノハ、此公ケナル所ノ議會ニ於
  テ、未ダ鬪フタ覺エガナイノデアリマス、昨年ノ議會ハ御承知ノ通、短日間ニ於テ解散ニナ
  リマシタカラ、未ダ殆ド此議會二ハ議案トナッタノデハアリマセヌ、唯各政黨大ナル所ノ
  政友會等ノ黨議或ハ會議デハ、決シテアッタコトガアルカナレドモ、此國會議事堂ニ於テ、
  未ダ嘗テ海軍問題ト云フモノハ、吾〓ハ耳ニシタコトガナイノデアリマス、唯僅カニ豫算會ニ
  於テ聽キマシタノミデアリマスカラシテ、或ハ我輩ト感ヲ同ジウセラルヽ人ガアルカモ知ラヌト
  思ヒマスルカラ、玆ニ一言部見ヲ陳述致シテ置キタイノデアリマス、サテ私共今日此東洋
  ノ安危ニ際シマシテ、國防ノ充實ト云フコトヲ、決シテ欲セヌ譯デハアリマセヌ、若シ出來
  得ベキコトデアリマシタナラバ、軍艦ヲ澤山造リマシテ、東洋ノ覇權ヲ握ッテ、世界ニ雄飛ス
  ルコトハ、吾〓ノ最モ好ム所デアリマス、諸君モ亦好マルヽ所デアリマセウ、併ナガラ今日
  我國ノ財政及經濟ノ狀況ニ照シマシタナラバ、到底是等ノコトヽ云フモノハ、殆ド痴人ノ
  夢ヲ語ルニ同ジコトデアリマスカラ、到底出來ヌ話デアル、ソレノミナラズ、私ノ考ニハ今政府
  ガ發案サレル所ノ、國防充實ノ經費スラダニ、私ハナカ〓〓今日支辨シ得ラレヌト信ズル
  ノアリマス、況ヤ今日政府ガ按ズル所ノ案ヲ、段々調査シテ見マスレバ、何等ノ財源ノ
  基礎ノ上ニ、此海軍擴張ヲ建設サレマスルカ、私ニハ分ラヌノデアリマス、諸君モ度々言
  ハレル如ク、昨年ノ發案及今年ノ發案ニ於テハ、地租增徵ヲ經續致シテ、此基礎ノ上
  ニ、第三期海軍擴張ヲスルト云フコトデアリマス、併ナガラ其地租案ハ撤囘サレマシタ、ツ
  レナラバ海軍ノタメニ、公債ヲ募集スルカト申シマスレバ、海軍ノタメニ未グ嘗テ公債募集
  ノ案ハ出ヌノデアリマス、又近日政友會ヲ代表サレタル所ノ、元田君ノ演說ヲ拜聽致シ
  マスルト、此鐵道ト云フモノモ、政府ハ彼ノ鐵道ノ特別會計ノ建議案ガ成立ッタ曉ニハ、
  政府ガ、同意スル、政府ガ既ニ同意スルトナレバ、此鐵道ノ公債ト云フモノモ、自然ナ
  クナル道理デアルト云フコトヲ、元田君ガ演說サレマシタ、然ラバ此海軍擴張ト云フモノ
  ハ、何ノ上ニ建設サレルノデアリマスカ、私ノ目カラ見マスレバ、財源ガナイヤウニ信ズル
  ノデアリマス、地租案ガ撤囘サレテ居リマスルシ、又一面ニハ繰迴シニナル所ノ、鐵道ノ
  改良費及鐵道ノ建設費ニ充テル所ノ、公債募集ト云フモノモ、消ユル如クニ演說サレ
  タノデアリマス、然ラバ此海軍第三期擴張ト云フモノハ、何ノ上ニ建設サレルコトデアリ
  マスカ、ドウシテモ今日ノ歲入出ニ於キマシテハ、第三期海軍擴張ノ財源ガナイノデアリ
  マス、全體今日我國ノ財政ト云フモノヲ、困難ニ陷ラシメタト云フモノハ、畢竟スルニ第
  九議會、卽チ明治二十九年ニ於ケル所謂十年計畫ガ、誤ッタノデアリマス、此十年計
  畫ニ依リマスレバ、支那カラ取ッテ來ル償金、及新タニ募ル公債ヲ以チマシテ、陸軍ノ擴
  張及海軍ノ擴張ヲスルト云フノデアリマス、此陸海軍ノ擴張ハ一時的ノモノデアルカナレ
  ドモ、之ヲ永年ニ維持スルガタメニ、營業稅及登錄稅酒造稅ヲ增加シ、及葉煙草專賣ト
  云フヤウナ稅法ヲ設ケマシテ、サウシテ十年ノ擴張ノ案ヲ立ッタノガ、抑モ誤リデアル、ナ
  ゼカト云フト、其當時明治一一十八年度マデハ、我國ノ歲計豫算ハ八九千万圓內外ノモ
  ノデゴザイマシタ、然ルニ二十九年ニ至ッテ、俄然二億何千万圓程ニシタノデアル、八九千
  万圓ノ歲計ノモノヲ、一時ニ二億何千万圓以上ニスレバ、物價ノ騰貴ヲスルト云フコトハ、
  當然ノ理デアル、自然ノ結果デアル、此自然ノ理、自然ノ結果アルニ拘ハラズ、少シモ
  將來ニ於キマシテ、物價ノ騰貴ヲ見込マナンダノガ、抑〓我國ノ財政ヲ紊亂サセタ所以
  デアル、是等ノ原因ハ明カデアリマスガ、明治十年ノ鹿兒島ノ役、卽チ西南ノ役ナドハ
  ドウデアリマセウカ、此等ノ跡始末整理ノタメニ、政府ハ二千七百万圓ノ紙幣ヲ增發シ
  タ、其當時ノ歲計ハ何程デアルカト云フト、六千万圓前後デアッタ、六千万圓前後ノモ
  ノニ對シテ、二千七百万圓ノ紙幣ヲ增加シタタメニ、十一年、十二年ノ十一月ニ掛ケ
  テハ、天下ノ物價ハ非常ニ騰貴シタノデアリマス、其結果トシテ地方ニ於ケル地價四十
  圓五十圓ノモノガ、百五十圓乃至二百五十圓位マデ騰貴シマシタ、此場合ニ公債ト
  云フモノハ、政府發行百圓額ノモノガ、僅カニ五十八圓マデ暴落シタノデアル、斯ノ如ク
  此經濟界ニ於キマシテハ、甚ダ此意激ナル所ノモノハ避ケナケレバナラヌ、六七千万圓ノ
  歲計ニ對シテ、二千七百万圓ノ紙幣ヲ增發シタタメニ、天下ノ財政ハ非常ニ紊亂シタ
  ノデ、ツレガタメニ所謂ル東京ニアル所ノ紳商トカ云フモノガ、非常ニ運動致シマシテ、時
  ノ大藏卿ニ泣付イテ、急ニ紙幣ノ銷却ノ方法ヲ立ッテ貰ツタノデアル、其紙幣ノ銷却
  ヲ急ニ致シマシタタメニ、或ハ公債ハ額面ヲ上ッタカ知リマセヌケレドモ、地方ニ於ケル地
  價等ハ非常ニ暴落シタノデアル、ソレガタメニ今日人〓ノ十万圓ノ財產ノアルモノガ、一
  夜ニシテ八万圓ニナリ、七万圓ニナリ、尙六万圓、五万圓、三万圓ノ僅カナモノニナリ、到
  底己レガ祖カラ貫ッタ所ノ、土地財產マデ舉ゲテ、他ノ人ノ手ニ移ルト云フ騒ギガ出來タ
  ノデアル、ソレガタメニ大藏卿ニ對シテ、紳商カラ有名ナル頌德表ヲ、奉フタト云フコトヲ聞
  イテ居リマスガ、併ナガラ政府ノ財政ノヤリ方ノタメニ、天下ノ人民ガ難義ヲサレル如キ、
  財政ノ變動ニ陷リマシテ、產ヲ破ルト云フコトハ、日々ヒドイコトデアッタノデアリマス、丁度
  今日ノ有樣ト云フモノガ、日〓戰爭後、卽チ明治二十七八年役ノ後ノ始末ト云フモノ
  ハ、恰モ明治十年ニ於ケル鹿兒島戰爭ノ役ノ始末ト同ジコトデアル、併ナガラ此鹿兒島
  戰爭ト云フモノヽ始末ハ、今申シマスル通、明治十三四年ニ物價ハ騰貴致シマシタケレ
  ドモ、續々ト紙幣ヲ銷却シタメニ、十五年ニハヤハリ.物價ハズン〓〓暴落シタノデアリマス、
  ソレガタメニ人ノ財產モナクナッタノデアリマス、明治十七八年後ト云フモノハ、先キニ申
  上ゲタ所ノ、一段百五十圓モ二百圓モスル所ノ田地ガ、僅カ二十圓カラ二十四五圓マ
  デヾ、賣買サレルコトニナッタノデアリマス、ソレガタメニ產ヲ破リ身ヲ投ズルト云フ程ノモ
  ノガ、澤山出來マシタガナレドモ、永イ中ニハ段々片付キマシテ、遂ニ明治十八九年ノ末
  カラ、僅ニ息ヲ吹返シテ、明治二十年頃カラ、天下ガ本當ニ眞面目ニナッテ、人〓ノ財
  產ノ點ガ、ソコデ整理ガ付キ掛ッタノデアリマス、故ニ明治二十一年前後カラシテ、此
  外國貿易ニ於テモ、日本ハ輸出ノ方ガ、輸入ニ超過スル傾向ニナッタノデアル、ソレト同
  時ニ卽チ國民ノ元氣ト云フモノハ、經濟界ニ伴フモノデアリマスカラシテ、明治十三四
  年ニハ彼ノ有名ナル國會ノ願望ト云フ-國會ノ請願ト云フヤウニ、非常ニ人氣ガ立ッ
  タモノデアリマスケレドモ、十八九年ニ又民間ノ財政ガ萎ムト同時ニ、國民ノ元氣ハ非
  常ニナクナッタノデアル、併シナガラ前段申上ゲマシタ如ク、二十一二年ノ頃、卽チ社會ノ
  財政ガ整理ガ付イテ以來、又國民ノ元氣ヲ非常ニ囘復シタノデアル、今日ハ丁度明
  治十七八年頃ト同ジコトデアッテ、民間ノ財政卽チ天下ノ財源モ、共ニ惡ルクナッテ居ル
  際デアリマスカラシテ、少シモ今日ハ國民ノ元氣ガナイノデアル、恰モ今日此議會ニ、惰
  氣滿々トスル天下ノ有樣デアルノデアル、故ニ此場合ニ於キマシテ僅ニ民間ノ財政ガ
  整理ノ〓ニ就カヌトスル際ニ於キマシテ、尙又此處デ將來一億千五百万圓ト云フ、大ナ
  ル海軍ノ擴張ニ諸君ガ贊成ヲ致シマシテ、此處デ二百六十八万圓ニ判ヲ突張ッタナラバ、
  將來之ガタタニ新稅或ハ增稅ト云フ問題ガ、起ラナケレバナラヌデアル、ナゼカト申シマ
  スレバ、政府ノ財政ハ始終粗慢デアルノデアル先キニ申シマシタ如ク、二十九年ニ十年
  計畫ヲ立ッテヤリマシタ結果ハ、三十年ヲ一年越ヘテ、三十一年ニハヤリ切レヌノデア
  ルナゼナラバ物價騰貴ノタメニ、到頭ヤリ切レナイデ、遂ニ前年來ノ大問題タル三十
  一年ニ於テ、地租ノ增率ヲ八厘ニ致シ、其上郵便電信有ラユル增稅ヲシタ、折角三十
  一年ニ此十年計畫ヲ遂行スルタメニヤッタモノガ、又足ラナイデ、三十二年、三十三年
  ヲ越ヘテ、三十四年ニ二千百万圓ノ增稅ニナッタ、是デモ尙且ツ足ラナイデ、松方內閣ハ
  四千八百万圓ノ外債ヲ募リ、山縣内閣ハ一億万圓ノ外債ヲ募リ桂內閣ハ五千万圓
  ノ外債ヲ起シ、ソレデモ尙且ツ足ラナイデ、未ダ曾テ收入セヌ所ノ支那ノ、三十九箇
  年掛ッテ取得ラレル償金ヲ、强テ預金部ニ賣付ケテ、僅ニ三十五年度ノ歲計豫算ノ尻
  拭ヲシタト云フ話デアル、何時モ政府ノ近來ノ歲計豫算ヲ見マスルト云フト、、無理ニ出
  入勘定ヲ極メルコトデアル、又現ニ此間モ屢〓政府委員ガ言ハレル如クニ、今日ノ遣リ
  方デハ到底出來マセヌモノデアリマスカラ、大藏證券デ僅ニ日本ノ歲出入ノ繫ギヲ附ケ
  テ居ル、三千五百万圓デハ遣リ切レヌデ、今日ハ四千三百万圓デナケレバ、始末
  ガ付カヌト云フコトデアル、是等ノ點カラ考ヘマシタナラバ、日本ノ財政我國ノ歲計ハ
  如何ニ困難デアルト云フコトハ、分リ切ッタ話デアル、然ルニ今申上ゲマシタ如クニ、地租
  案ガ撤囘サレ、又海軍ノ公債ト云フモノモ强チ極ッタ譯デナシ、アチラコチラノ收入ヲ
  以テ、此海軍ヲ擴張スルノデアリマスガ、殆ド我輩ハ五里霧中ニ政府ニ欺カレテ、判ヲス
  ルヤウナ今日傾キデナイカ知ラヌト思フ、況ヤ搗テヽ加ヘテ、近來ノ政府ノ遣リ口ヲ見マ
  スルト云フト、歲計豫算ヲ編成シマスル際ニハ、歲入ヲ多クシテ、無イ所ノ收入ヲ多ク積
  リマシテ、歲出ト云フモノヲ何時デモ少ナク作ルノデアル、近イ例ヲ引イテ見マシテモ、三
  十四年度ノ現計ヲ先キニ議會ニ迴サレマシタガ、此三十四年度ノ精算ヲ見マスルト、
  政府ノ前年發シマシタ三十四年度ノ豫算ト對シマスルト、八百万圓モ歲計ノ收入ニ於
  テ、粗漏ガアッタノデアル、然ルニ中ニ就イテ調ベテ見マスルト、海關稅ニ於テ三百六十
  万圓減額シテ居ル、印紙ノ收入ニ於テ百四十万圓減額シテ居ル、官業及官有財產ニ
  於テ三百五十万圓減額シテ居ル、郵便電信ニ於テ三百七十万圓減額シテ居ル、是等
  ノモノヲ合セマスルト、政府ノ最モ大切ト仰グ所ノ歲計豫算ハ、千二百万圓違ッタノデアリ
  マス、幸ニ他ノ方ニ於テ增收ガ四百二十万圓アリマシタカラ、其當時ハ八百万圓ダケテ濟
  ンダノデアリマス、併ナガラ丁度私ガ今日ノ有樣デ申シマスルト云フト、八百万圓ノ歲計
  ヲ誤ッタナラバ、大變ナ失政デアルノデアル、然ルニ其明クル年、三十五年度ノ豫算ヲ見マ
  スルト、元誤ッタモノヨリ尙且一千六百万圓歲入ヲ、多クシテ居ルノデアル、三十六年
  度ノヲ見ルト、其一千六百万圓增シタモノニ、尙且六百五十万圓增シタノデアル、始
  終仕事ヲ仕掛ケテヤリマスモノデ、何時モ金ガ足ラナイ、足ラナイカラ足リナクナルト、イロ
  イロナ理窟ヲ附ケマシテ、强テ歲計ヲ多クシテ、歲出ヲ少ナクスル、一旦政府ガ繼續ノ
  問題ニ影響ヲ及ボシテ來ルト、後トハ追加々々トナルノハ、當然ナ話デアル、其極ハ新稅
  或ハ增稅案ト來ルコトモ、是亦明カナ話デアル、實ニ今日ノ此一億千五百万圓ノ海軍
  擴張ト云フモノハ、必ズヤ是迄ノ例ニ傚ヒマスレバ、一億千五百万圓ガ、一億五千万
  圓カ、或ハ二億万圓ニナルカモ知レヌト思フ、然ルニ一面カラ顧ミマスルト、前ニ申上ゲ
  ル如ク、歲計豫算ガ非常ニ吾ミヲ欺クガ如クニ、出來テ居リマスカラシテ、何程不足ガ
  生ズルカモ知レヌ、況ヤ海軍擴張ノ外ノ、是迄ノ軍艦ニ對シマシテ、補充ヲスルト云フコ
  トハ、明年度ヨリ六百五十万圓宛、大ナル金ガ要ルノデアリマス、イロ〓〓ナ方面カラ
  論ジマシテモ、何ノ上ニ此海軍ノ金ヲ支辨スルカト、當局者ニ聞イテ見マスルト、確認の
  リ答ヘヌノデアル、屢く此間カラ守屋君ガ問ハレマシテモ、挨拶ガ出來ヌノデアル、又政
  友會諸君ノ意見ニ依リマスルト、鐵道公債ハナクナッテシマト云フコトデアル、吾ミガド
  チラノ方面カラ見テモ、此海軍擴張ノ財源ハ何カラ出ルト云フコトハ、今日迄失禮ダガ
  政府委員ニ向ヒマシテモ、政友會ノ諸君ニ向ヒマシテモ、一言ダニ私ノ安心スル答辯ヲ
  得ルコトガ出來ナイ、此安心スル所ノ答辯ヲ得ナイモノニ向ヒマシテ、獨リ支出ヲスルト
  云フコトハ、餘程如何ハシイ話ト、私ハ信ズルノデアル、旁〓以テ私ハ餘程此問題ニ就
  キマシテハ、諸君ガ宜シク攻究ヲセネバナラヌコトデアル、强テ此處ニ數字ト數字ノミヲ合
  セマシテ、出入勘定ヲシタ所ガ、私ハ先キニ申シマシタ如ク、日本ノ今日ノ狀況カラ照シ
  マスルト、到底公債等ハ募集シ得ヌノデアル、尙强テ且ツ募集シマセウモノナラバ、折角
  破產ヲシタモノハ破產ヲスルヤウニ、相當ナ始末ヲ付ケテ、是ヨリ本當ノ業ニ掛ラウトス
  ルモノモ、丁度草木ガ芽ヲ吹出シタモノヲ、鳥ニ啄マレルヤウナコトニ、至ッテシマフノデア
  リマスカラ、實ニ此度ノコトハ、愼重ノ態度ヲ取ッテ、此海軍ニアナタ方ガ御贊成ニナル
  ノモ宜シイガ、此贊成ナサル方モ、ソンナラ財源ハ何處ニアルカト反問致シマスレバ、
  人トシテ答フルモノガナイノデアリマス、故ニ眞正ニ此海軍ノ第三期ノ擴張ニ御贊成ニ
  ナルナラバ當議會ニ於テハ否決サレマシテ、能ク日本ノ財政ノ始末ヲ御覽ニナッタ後
  ニアナタ方ハ御贊成ニナッテモ、遲カラヌコトデアル、私ノ界見カラ觀察致シマスレバ、
  今日ハ是迄爲シ始メタ仕事ト云フモノヲ、奇麗ニ片付ケル時代、卽チ整理スベキ時代
  デアッテ、新シイモノニ手ヲ著ケベキ時代デハナイト、信ズルノデアリマス、皆總テ此日本
  ノ政府ノ遣リ口ハ、アレニモ手ヲ出シ、是ニモ手ヲ出シ、己レノ懷ノ始末勘定ヲ財布ニ
  問ハス、兔ニ角是モ欲シイ、アレモ欲シイト、飾立テヲスルノデアル、今日ノ如キ民間ノ
  經濟デアリマスレバ、惰氣滿々トシテ、少シモ國民ノ色ガナイノデアル、此時ニ如何ニ海
  軍ヲ擴張シテ軍艦幾百艘ヲ造リマシテモ、少シモ用ニ立タヌノデアル、ソレヨリ寧ロ軍艦
  ガ大ナリトモ、國民ガ赤イ顏、赤イ血ヲ吐キ出ス程ニナラヌケレバ到底此國防ノ充實
  ト云フコトハ無駄デアル、故ニ今日ノ場合ニ於キマシテハ、マダ申上ゲタイコトモゴザイマ
  スカナレドモ、簡單ニ私ノ要領ヲ申述ベマシテ財源ノナイモノヲ、此海軍第三期ノ擴張ニ
  ハ、徹頭徹尾私ハ同意スルコトハ出來ヌ、是ニ眞正ニ同意ナサルト云フ方デアッタナラ
  バ他日財源ノアル所ヲ明カニシテ、判ヲツクガ宜カラウト信ジマス、私ハ反對ノ理由ヲ、
  簡單ニ述ベテ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=80

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• 081・守屋此助

  ○守屋此助君(二百六十一番)　唯一言デスガ、チヨット斯ウ云フコトヲ、大藏大臣ニ
  極ク責任ノアルコトデスカラ、說明ヲシテ貫ヒタイ、海軍ヲ一億千五百万圓ヲ以テ十一箇
  年ニ計畫スルタメニ、地租案ガ出テ居ッタガ、是ヲ撤囘ニナッタチラバ、其財源ハ今度ノ
  軍艦ノハドウシテ求メラレルノカ、軍艦ノ財源ハドウシテ求メル、大竹君ハ財源ガナイト云
  フ、議員タル者ハ是ハ愼シデ考ヘナケレバナラヌコトデアル、何ミカラ是〓出ルト云フコトヲ、
  大藏大臣ニ言ウテ貫ヒタイ
  〔政府委員阪谷芳郞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=81

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• 082・阪谷芳郎

  ○政府委員(阪谷芳郞君)　是ハ地租ヲ以テ充テルト云フ計畫ヲ、變換致シマスニ付
  イテハ、先年〓國事件ノタメニ、二千一百万圓ノ增稅ヲ、御贊成ニナリマシタ、此中ニ
  鐵道ニ充ツル金ガゴザイマシタノヲ、此度海軍ノ方ニ充ツルコトニ繰換ヘマシタ、而シテ鐵
  道ニ充テマスル金ノ不足致シマスル分ヲ、公債ニ依ル、斯ウ云フコトニ計畫ヲ致シマシタ

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• 083・守屋此助

  ○守屋此助君(二百六十一番)　其公債ニ依ル金高ハ··

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• 084・阪谷芳郎

  ○政府委員(阪谷芳郞君)　五千五百万圓····

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• 085・守屋此助

  ○守屋此助君(二百六十一番)　十箇年ニデスカ

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• 086・阪谷芳郎

  ○政府委員(阪谷芳郞君)　左樣
  〔「採決々々」ト呼フ者アリ〕

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• 087・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　採決致シマス、此第十一款軍艦製造及建築費ニハ唯今
  大竹君ノ反對ガアリマスルデ、特ニ十一款ニ付イテ決ヲ採リマス、此十一款ハ原案ニ贊
  成ノ方ハ起立ヲ願ヒマス
  起立者多數

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• 088・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　多數デアリマス、原案ニ可決シマシタ、其後他所ハ豫算委
  員長ノ報告通、御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 089・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　御異議ガナケレバ豫算委員長ノ報告通決シマス、司法省ニ
  移リマス、司法省ノ第一款、是ハ豫算委員長ノ報告通、御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 090・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　御異議ガナケレバ、豫算委員長ノ報告通決シマス、文部省
  ハ原案通御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 091・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　御異議ガナケレバ原案通、可決セラレマシタ農商務省ニ移
  リマス、農商務省ハ豫算委員長ノ報告通、御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 092・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　御異議ガナケレバ豫算委員長ノ報告通決シマス、遞信省ニ
  移リマズ、遞信省ハ豫算委員長ノ報告通、御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 093・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　御異議ガナケレバ、豫算委員長ノ報告通可決致シマス

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• 094・芳川顯正

  ○遞信大臣(子爵芳川顯正君)　議長

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• 095・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　モウ可決シマシタ、-臨時部ノ合計總計ハ、豫算委員長
  ノ報告通、御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 096・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　御異議ガナケレバ委員長ノ報告通決シマス、是テ歲出ハ決
  定致シマシタ、デ是ヨリ元ニ戾ッテ、歲入ノ部ニ移リマス、歲入ノ經常部ハ原案通、御
  異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 097・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　御異議ガナケレバ原案通決シマス、歲入臨時部ハ豫算委
  員長ノ報告通、御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 098・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　御異議ガナケレバ委員長ノ報告通決シマス、甲號全部ハ、
  是デ決定致シマシタ、乙號ニ移リマス、乙號ハ豫算委員長ノ報告通、御異議ハアリマ
  セヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 099・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　御異議ガナケレバ委員長ノ報告通決シマス、元ニ遡ッテ、豫
  算ノ第一條、第二條、第三條ニ移リマス
  (政府委員阪谷芳郞君登壇〕

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• 100・阪谷芳郎

  ○政府委員(阪谷芳郎君)　此豫算ノ第三條ノ大藏省證券發行額ヲ、八百万圓增
  加スルト云フ案ガ出テアリマスル、ソレヲ豫算委員會ニ於キマシテ、否決ニナリマシタ、是ハ
  各地方ノ金融ニモ影響ヲ致シ、實業上ニモ關係ヲ致スコトデアリマスカラ、特ニ一言致
  シテ復活ヲ要求致シマスガ、御承知ノ通ニ此國庫ノ運用金ガ、段々償金ヤ其他ノ特別
  資金ノ減リマスルト共ニ、近頃ハナクナリマシタカラ、既ニ前年度ニ於キマシテモ、日本
  銀行ノ借入金ハ五千万圓ニモ達シテ居ルコトハ、皆サン御承知ノ通デアリマス、既ニ五
  千万圓以上ノ運用金ガ要ルト云フコトハ、事實ニ於テ前年度ニ於テモアッタノデ、ソレガ
  ドウシテ支ヘテ來タカト云フト、詰リ一時借入金ト云フコトニ、協贊ヲ別ニ仰ギマシテ、
  其一時借入金ノ千七百何万圓ニスルノト、ソレカラ此三千五百万圓ト云フ、大藏省
  證券ナドヲ以テ、之ヲ支辨シ來ッタノデアリマス、然ルニ段々此一時借入金等モ整理シテ
  參リマシテ、事ガ常態ニ復シテ來タ、常態ニ復シテ來テ、段々算盤ヲ取ッテ見マスルト、歲
  出ト云フモノガ、二十七八年戰役以後大ニ膨脹致シマシタカラ、到底從來ノ三千
  百万圓デハ足リマセヌ、若シ之ヲ否決ニナリマスルト、ドウ云フ結果ニナルカト云フト、已
  ムヲ得ズ地租ノ納期トカ、或ハ酒造稅ノ納期トカ、稅ノ納期ヲ繰上ゲルヨリ仕方ガナ
  イ、然ラザレバ歲出ヲ一時ノ仕拂ヲ止メルカ-ーソリヤアサウ云フコトハ出來マセヌ若シ
  止ムヲ得ヌ場合ニハ、地方ノ金庫ト云フモノニ集ック金ヲ、非常ニ急激ニ取寄セナケレバ
  ナラヌト云フコトニナル、是ハ何レモ大變ニ實業家ガ迷惑スルコトデアリマス、サウシテ此
  大藏省證券ヲ八百万圓ニ增スト云フコトガ、何ノ關係ガアルカト云フト、少シモ此歲入
  歲出ノ上ニ影響ガナイコトデ、詰リ日本銀行ガ今日管理致シテ居リマスル金庫ノ出納
  上ノ、自然ノ結果カラ起ルコトデ-金庫ノ出納ノ上ニ於テ、自然ノ結果カラ起ルコト
  デアリマス、此大藏省證劵ノ高ヲ減ジマシタタメニハ、種々日本銀行アタリトモ、相談ヲ
  シテ工夫ヲシテ居ル、例ヘバ此大藏省ノ國債利子ヲ拂ヒマシタノガ、是マデハ二期ニ拂ッ
  テ居リマシタノヲ、唯今デハ一年ヲ四ツニ別ケテ拂ッテ居リマス、ソレハ卽チ國庫ノ出納ノ
  上ニ、成ルベク此過不足ノナイヤウニ、注意ヲ取ルタメカラ來タノデアリマス、所ガ此豫算
  委員會ハ、何等ノ理由モナク、唯前年度ノ豫算ヲ施行スルノデアルカラ、減ズト云フコ
  トニナッテ見ルト、殆ド是ハ無意味ノ査定ト言ハナケレバナラヌ、ソレデドウカ斯ウ云フ何
  等ノ利害關係モナク、唯單ニ日本銀行ノ扱ッテ居ル、金庫ノ出納ノ自然ノ結果カラ來
  リマスル方ノ、算盤ノ結果デアリマスカラ、ドウゾ是ハ皆樣ノ御同意ヲ得テ、原案ニ復活
  アランコトヲ、希望シテ置キマス
  (「採決々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=100

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• 101・櫻井駿

  ○櫻井駿君(百五十一番)　今ノ政府委員ノ說明ニ對シテ、豫算委員會ノ精神ヲ一
  應申述ベタイ(「宜シイ宜シイ」ト呼フ者アリ)宜シケレバ必ズ辯ジナイデモ宜シイケレドモ、
  大切ナ事件デアリマスカラ

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• 102・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　演壇ニ御登リナサイ
  〔櫻井駿君登壇〕

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• 103・櫻井駿

  ○櫻井駿君(百五十一番)　諸君、唯今大藏省證券發行最高額ノ査定ニ付イテ、政
  府委員カラシテ原案維持說ガアリマシタ、最早諸君ノ御考モ、大抵一定シテ居ルコトヽ
  考ヘマスカラ、玆ニ於テ長ク演說ヲスルノ必要ノナイ、寧ロ演說ヲシナクトモ宜シイト云フ
  考ヲ、持ッテ居リマシタケレドモ、今政府委員ノ原案維持說ノ最終ニ於テ、豫算委員會
  ハ何等ノ理由ナク、無意味ニ之ヲ査定セラレタカラシテ、復活ヲ望ムト云フコトヲ言ハレ
  タニ付イテハ、必シモ無意味或ハ理由ナクシテ、之ヲ削除シタノデナイト云フコトヲ、一言
  諸君ニ答ヘテ置カナケレバナラヌト信ズルノデアル、成程大藏省證券ノ發行額ガ三千五
  百万圓デアッタモノガ、四千三百万圓ニシナクテハナラヌト云フ必要ガ、何處ニアルカト云
  フコトヲ聞イテ見レバ、政府委員ノ答辯ニ依ルト、四千三百万圓ニ至ルダケノ月ガ、アル
  カノ如ク見ユル場所モアルノデアリマス、併ナガラ從來此國庫ノ出納勘定ヲ見マスルト、
  是マデ三千五百万圓ノ大藏省證劵發行額ヲ以テ、事ガ足リテ居ッタノニ、此三十六年
  度ニ至ッテ、始メテ四千三百万圓マデ、增額ヲシヤウト云フ案ニナッタノデアル、然ルニ不
  幸ニシテ解散ノタメニ、三十六年度ノ豫算ハ不成立トナッタニ拘ラス、尙此追加豫算ニ
  於テ、政府ハ四千三百万圓ニ改メル案ヲ提出サレタノデアル、甚ダ奇ナルコトニハ、三
  十六年度ノ不成立豫算ニ對シテ、大藏省所管ノ經常部ニ於テ、國債ノ中ニ利子及
  割引差額ト云フ目ニ於テ、利子ガ前年度ニ比較シテ以テ、百三十二万圓餘ノ增要
  求ガシテアッタニ拘ラズ、今度ノ追加豫算デハ、不成立ノ豫算ト、同額ノ發行最高額ヲ
  定メナガラ、國債ノ利子ハ別ニ要求ガシテナイト云フコトデアルノデアル、此〓ニ於テモ大ニ
  取調ベテ見タノデアリマス、所ガ政府委員ノ說明セラルヽ所ニ依ッテ見ルト、今日ハ利
  子ガ餘程下ガッテ來タカラシテ、最早ソレ程多クノ利子ハ要セナイト信ズルカラ、利子ナ
  シデ大抵往ケルデアラウト云フ、斯ウ云フ說明ニ過ギナイノデアル、而シテ一面ニハ此演
  壇ニ於テ、先程モ申サレマシタ如ク、或ハ之ヲ減額スルト、其結果ノ非常ナル國庫ノ出
  納上ニ、不利益ヲ來スデアラウトー云フコトヲ、主張スルガタメニ、ドウ云フ例ヲ引カルヽカ
  ト云フト、豫算委員會ニ於テハ官吏ノ俸給、議員ノ歲費モ拂ヘナクナルデアラウト云ッテ
  (笑聲起ル)歲費ヲ停止セナケレバナラヌト云フ所マデ、論究セラレタノデアル、成程遂ニ
  國庫ノ出納勘定ガ合ハヌト云フトキニハ、歲費モ拂ヘヌト云フコトニナラヌトモ限ラス、吾
  吾ガ信ズル所デハ、三千五百万圓ニ改メルトシテ、果シテサウ云フ窮極ニ達スルト云フコ
  トハ、信ズルコトハ出來ヌ、其出納勘定ハ政府ノ見ル所モ其認ムル所デアル吾〓ノ見ル
  所モ共ニ認ムル所ニ過ギヌノデアッテ、大藏省ニ於テ立テラレタ所ノ此表ヲ見マシテモ、
  十月ニ至ッテ僅ニ三千五百万圓ト云フ數ヨリカ、少シ超ヘルト云フ豫想ガ就イテ居ル
  ノデアルケレドモ、餘ハ皆三千五百万圓內デ以テ、收支ノ累計ガ付キ、來年ノ二月ニ
  至ッテ、四千二百万圓ニ上ルト云フ見込ガアル、是ガ四千三百万圓ニシテ置カナケレ
  バナラヌト云フノデアッテ、此前年度豫算ノ施行ノ場合ニ於テ、殊更四千三百万圓マ
  テ、追加豫算ヲ以テ增加スルマデモナク、萬一此豫想ノ通デアルナラバ、次ノ年度ニ於
  テ、是ダケノ增額ニスルト云フコトモ、敢テ差間ナシト云フコトヲ信ジテ、唯豫想ダケヲ以
  テ、之ダケニセンナラント云フ理由ヲ、信ズルコトハ出來ヌ、特ニ前年度ニ於テハ、運用
  資金ガ、餘程餘計アッタヤウニ云ハレルノデアルケレドモ、一方ニ於テハ、歲出モ亦前年
  度トハ餘程多クナッテ、彼ノ〓國債券賣却代ヲ以テヤッタ結果トシテ、大ニ〓國事件費
  消却ノ三千三百万圓ト云フモノガ、前年度ニハアルノデアルカラ、二億八千万圓以上ノ
  歲出デアッタノガ、尙三千五百万圓ノ大藏省證劵デ以テ運用シ得タノデアルカラシテ、
  今日ノ場合ニ於テハ三千五百万圓ノ金ヲ以テ、國庫ノ運用ヲ爲シ得ルニ相當ナリト
  信ジテ、前年度施行ニ殊ニ重キヲ置テ、之ヲ三千五百万圓ト云フ前年度通リニ決定
  シタ所以デアリマスカラシテ、願クバ豫算委員會ノ査定通リニ、決セラレムコトヲ希望致
  シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=103

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• 104・田口卯吉

  ○田口卯吉君(八十四番)　櫻井君ニ、チヨット尋ネタイ
  〔此時發言ヲ求ムル者多シ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=104

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• 105・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　許シヲ受ケテ御述ベニナッテ下サイ-田口卯吉君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=105

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• 106・田口卯吉

  ○田口卯吉君(八十四番)　櫻井君ニ質問ヲシタイ、大藏省證劵ノ如キモノヲ削減シ
  テモ、チットモ何ノ役ニモ立タヌ、何ノ利益ガアッテ之ヲ削減シタノデアルカ、ドチラデモ宜シ
  イジヤアリマセヌカ、ドウ云フ利益ガアルカト云フコトヲ、御答ナサイ

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• 107・櫻井駿

  ○櫻井駿君(百五十一番)　ドチラデモ宜シイナラバ、削減シテモ宜シイデハアリマセヌカ
  (笑聲起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=107

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• 108・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　採決ヲ致シマス、第一條、第二條、第三條、第四條、是ハ
  豫算委員長ノ報告ノ通、御異議アリマセヌカ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=108

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• 109・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　御異議ガナケレバ委員長ノ報告通リ決シマス、是ニテ歲入歲
  出總豫算追加案全部決定ニナリマシテゴザリマス、是ヨリ第二ノ日程ニ移リマス例ニ依
  リマシテ甲號歲出經常部全部ヲ議題ニ供シマス、委員長報告通御異議アリマセヌカ
  第二(第二號)明治三十六年度歲入歳出總豫算追加案
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ聲起ル〕

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• 110・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　全部委員長報告通決定セラレマシタ、歲出臨時部ニ移リマ
  シテ、農商務所管ヲ議題ニ供シマス
  (堀田連太郞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=110

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• 111・堀田連太郎

  ○堀田連太郞君(百八番)　多クノ場合ハ、經費節減ト云フコトヲ唱ヘマスル私ガ、豫
  算委員長ノ報〓ノ金高ヨリハ、ヨリ多キ金高ニナリマス修正案ヲ出シマスルノハ、誠ニ奇異
  ノ現象ノヤウデアリマス、定メテ諸君ニ於テモ、御不審デアラウト思ヒマス、是ハ實ニ萬已
  ムヲ得ナイノデアリマスル、大藏大臣ノ言ハレマシタ、已ムヲ得ザル如キ、已ムヲ得ザルニア
  ラズシテ、實ニ已ムヲ得ザル、已ムヲ得ザルモノデアリマス(笑聲起ル)ソレデ是ハ問題ガ隨
  分事實上ニ涉リマシテ、御話ヲ致シマスルト、大變長クナリマス、往々法律等ノ問題デ、
  專門家ノ御方ノ御話ヲ伺フノニ、素人ノ私杯ハ時々(「ノウ〓〓」ト呼フ者アリ)長キニ
  痛苦ヲ感ジマスルト、同一ノ痛苦ヲ、諸君ニ御與ヘ致シマスルノハ、甚ダ不本意デアリマスルカ
  ラ、成ルベク簡單ニ御話ヲ致シマシテ、御贊成ヲ請ヒタイノデアリマス、豫算委員長ノ報
  告ニアリマス金額ハ、六十五万圓云々ト云フモノハ、是ハ餘程豫算委員會ニ於キマシ
  テモ、議論ガアリマシタノデ、元來申シマスルト、全部否決スルト云フノモ、一ツノ問題、全ク
  今全額ヲ認メナイト云フノモ、一ツノ議論デアッタヤウニ思ヒマス、併シソレノ多クハ問題
  トナラズシテ、先ヅハ濟ンダノデアリマシテ、此仕事ハ結局爲サズシテ己ム仕事デナイト云
  フコトヲ、多數ガ認メラレタ結果トシテ、必要已ムヲ得ザルモノヲ取ツテ、協賛ヲ與ヘヤウ、
  ソレデ其種類ニ就イテ、何ミダケヲ取リ、何々ダケヲ除クト云フコトデ、隨分細カニ精査ガ
  アリマシタ、ソレデ私ノ提出致シマシタ修正說ハ、總額ニ於テ九十五万六千四百餘圓ニ
  ナリマスルガ、第二項第三項第四項ト、斯ウ分ッテ-之ヲ分ケマスルト、第二項ガ一万
  圖、第三項ガ九十二万餘圓、第四項ガ二万四千四百圓餘ニナリマス、是ハ其六十五
  万圓ト違フトコロガ、約三十万圓デ、三十万圓ノ因テ來ルモノハ、何カト一云フコトダケハ、
  少ナクトモ說明ヲ致シテ置クノ必要ガ、アルダラウト思ヒマス、ソレヲ簡單ニ申シマセウ、是
  ハ後トデ報〓書トナッテ出テ居リマスル、是ニアリマスルガ、項目ニ就イテ申シマセヌト、少
  シ分リマセヌノデ、六十五万圓ト云フ方デアリマスルト、第三項ニ於テ第二目、二百、四
  目、五目等ハ、全然省イタノデアル、所ガ此第二目卽チ第二熔鋼爐ノ建設費デ、又第
  三目ハ爐材工場、第四目ハ混銑工場トナッテ居リマス、是ハドウモ實際仕方ガナイデス、
  現ニ今第二熔鋼爐ノ建設ト申シマスルト、新規ニ機械デモ此處デ買込ンデ拵ヘルカノ
  如ク、是ダケヲ見マスルト思ヒマスケレドモ、實ハサニアラズシテ、モウ既ニ總テノ材料ト
  云フモノハ、製鐵所ニ到著シタルノミナラズ、其建設スベキ場所ニ運ンデ來テアル、例
  ヘバ鐵骨ノ如ク、又ハ耐火煉瓦ノ如ク、モウ之ニ使用スベキ物品ハ、、悉ク其處ニアルノ
  デ、製鐵所構內ト云ハンヨリハ、正ニ其場所ソレ自身ニアル、ソレガ雨晒シニナッテ居リ
  マスルノデ、此損害ト云フモノハ實ハ非常ナモノデ、前ニ遡ッテ申スヤウデアリマスルケレド
  モ、假リニ國家ノ利害ト云フコトヲ、此問題カラシテマルデ取ッテ見マスルト、ソレハ抛ッテ
  置イテモ宜カラウ、無謀ノ解散ヲ爲シタ如キ此內閣ノ仕事ヲ、少シ位ハ苦シメテモ宜
  カラウト云フ、感ジハアリモ致シマセウシ、本員トシテモ、內閣諸公ノタメニ此提出案ヲ
  出サヌノデ、國家ノ重大事業ナルガ故ニ、此案ヲ出シマスル、誠ニ愍然デス、其場所ヘ
  往ヲテ見マスルト又ソレカラ熔鋼爐ニ附屬致シマス、熱風爐ト云フノガアル、是ハモウ
  旣ニ四本共チヤント立ッテ居ルノデ、所ガ中ノ組立テガシテナイ、、肝腎ノ煉瓦ガ積デナイ、ガ
  ランドウニナッテ居ル、頗ル危險ナノデ、建テタ其年ハ先ヅ地盤モ宜シウゴザイマス、サウシ
  テ又所謂又此鐵ノ〓抔モ左程緩ミモ致シマセヌ、マア〓〓堅固デアリマスルケレドモ、最
  早建ッタマヽ數年ヲ經過シタ今日デアリマスカラ、少シ大風デモ吹イタラ明日ニモアブナイ
  ノデ、或ハ倒レルカモ知レナイ、是ニハ旣ニ數十万圓若クハ其以上ノ金、卽チ金高ヲ確
  ト記憶致シマセヌガ、事ニ依リマスト、百万圓以上ニナッテ居ルカモ知レマセヌ、又其モノダ
  ケデ是ガ倒レマシタラ、其損害バカリデナイ、其グルリニアリマスル他ノ工場等ニ、無論損
  害ヲ及ボス、或ハ人命ニ害ガアルカモ知レヌ、誠ニ恐ルベキ結果ヲ生ジヤウト思フノデ、是
  等ハ實ニ棄置キ難イノデ、本員ノ修正案トシマシテモ、餘程切詰メマシテ、決シテ贅
  澤ナ仕事ハサセナイ〓云ハバ或意味ニ於テハ、保存シテ置カニヤナラヌト云フ位ニ切詰メ
  テアリマス、ソレカラ又此第四目ノ混銑工場ト云ヒマスルノハ、是ハ今鋼ヲ造リ居リマスルガ、
  〓シテ申シマスレバ、二種アル「シイメン」鋼ト云フノト、「ベセメ」鋼、「シイメン」鋼ノ方ヲ
  今造ッテ居リマス、是デ製鐵所ノ命脈ヲカツノ〓ニ維持シテ居ルノデ、相手ニナル方ノ「ベ
  セメ」ト云フモノハ、今日止メテ居リマス、ナゼ止メタ、全ク混銑工場ノナイタメデアリマ
  ス、以前カラノ仕事ノ不順序ヲ責立テマスレバ、大ニアルノデ、又本員等ハ却テ製鐵所
  調査委員デアッタカラ、責メテ責メテ責メ拔イタケレドモ、サテ責メタバカリデ、善後策ヲ講
  ジナケレバ、殆ド無責任ノ言論ヲ盡シタト思フノデ、ドウ致シマシテモ、差向キ是ダケハ
  急場、全ク餘儀ナイト云フモノハ、此議會デ協贊ヲ與ヘテ、遺ラネバナラヌト思ヒマスル考
  カラシテ、算盤立ヲ致シマシタ、其他ニモアリマスルガ、餘リ長クナリマセウト思ヒマスカラ、
  先ヅ必要ナモノヲ拔イテ、拔イテ拔キ上ゲテ見タ所ガ、九十五万何千圓ト云フコトニナリ
  マスノデ、デ旣ニ全部ヲ否決シテシマフト云フ考ハ、先以テ容レラレヌ、國家ニ忠實ナル考デ
  ナイト致シマシテ、幾分必要ナモノハ、是非セネバナラヌ、所謂緊急避クベカラザルモノハセ
  ネバナラヌトコトカラ、算盤ヲ取リマシテ、今ノ額ニ相成リマシタ、金額ハ他ノ修正案、卽
  チ委員長ノ報告ノ六一-五万ト、、三十万ノ相違ハアリマス、三十万圓多イノデアリマス、
  併ナガラ此三十万圓ハ、他日三百万圓若クハ四百万圓ダケノ價値ニ、必ズナルト本員
  ハ信ズルノデ、今之ヲヤリマセヌデ、チク半端ナ仕事ヲ致シテ置イタナラバ、他日必ズ大ナル
  損害ヲ起サウト思ヒマス、之ヲ僅カナ金額ヲ惜ンデ、茲デ否決ヲ致シテシマヒマシタナラ
  ハ萬一ノ事ガゴザイマシクラ、吾ミヲ初メ諸君ガ、製鐵所ヲ今日マデ御攻擊ハナスッタケ
  レドモ、事業トシテハ先ヅ育テヽ遣リタイト云フ、御精神ノアルニ拘ハラズ、却テ非常ナル
  損害ヲ起シタナラバ、其責任ヲ政府當局者ニ脊負ハセズシテ、吾〓ガ脊負ハネバナラヌト云云
  フコトニ立到ラウト、實ニ懸念ニ堪エマセヌ、何卒滿場諸君ノ御贊成ヲ請ヒマス
  〔政府委員中村雄次郞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=111

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• 112・中村雄次郎

  ○政府委員(中村雄次郞君)　唯今問題ニナッテ居リマスル所ノ、製鐵所ノ現狀ニ就キ
  マシテ、一言申上ゲタウ存ジマス、製鐵所ノ現狀ハ、器械家屋等ハソレ〓〓建築
  ニ著手ヲ致シマシテ、今ヤ略〓出來上ラント致シマシタ場合ニ於テ、豫算不足ヨリ致シ
  マシテ、其儘ニナリ居ル次第デゴザイマス、故ニ家屋ノ如キ或ハ半バ建築ヲ了ッ
  テ、其儘ニ相成リ居リ、器械ノ如キモ半バ組立テヽ其儘ニナリ居リマスルヤウナ次第デ
  アリマス、而シテ其他ノ部分ニ就キマシテ、機械其他ノ材料モ、既ニ製鐵所ニ到著シテ
  居リマス、然ルニ豫算ノ不足ヨリ致シマシテ、之ヲ組立テルコトガ出來マセヌ、故ニ其儘
  雨縁ラシニナッテ居リマスルヤウナ、次第デゴザイマス、又海岸ノ石垣ノ如キモ、半バ築キ
  マシテ、海水ガ其處ニ浸入致シテ居リマスルヤウナ次第デゴザイマス、之ヲ其儘置キマス
  トキニハ、實ニ材料機械等ノ損害ハ、測ルベカラザルモノデアルト、考ヘルノデゴザイマス、若
  シ之ヲ一年間延バシマシタ時ハ、其損害ト云フモノハ、非常ナモノデアラウト考ヘマスル、
  ソレデ今囘提出致シマシタ所ノ豫算ハ、ソレ等ヲ完備致シマスルノガ、重大ナルモノデゴザ
  イマス、而シテソレ等ノ機械家屋等ハ、如何ナル方法ヲ以テ致シマシテモ、製鐵所ノ仕
  事ヲ致シマスルニ就イテハ、シナケレバナラヌ事柄デゴザイマス、又一方ニ於キマシテハ、今日
  鋼ノ需用ハ甚ダ多イ今日デゴザイマス、殊ニ軍艦等ヲ製造ニナリマスレバ、愈以テ內地
  ニ於テ鋼ヲ製造致シマスルト云フコトガ、必要ナ事デゴザイマス、然ルニ今日御協賛ヲ經
  マスル所ノ豫算ガ、一年遲レマスレバ、卽チ成效ノ期ヲ、一年遲ク致シマスル次第デゴザ
  イマス、甚ダ不利益ニ考ヘルノデゴザイマス、ソレデ豫算委員會ニ於キマシテモ、細カク其
  邊ノ事情ヲ相述ベタノデゴザイマス、ソレガタメニ段々御贊成モ蒙ッテ、既ニ豫算委員會
  ニ於テ、六十有餘万圓ノ御決議ニナリマシタ次第デゴザイマス、此金額ニ於キマシテ、
  餘程ノ部分、卽チ唯今申シマシタ所ノ損害ト云フモノヲ、免ルヽコトガ出來マスル、併ナ
  ガラ尙大部分ガ唯今ノ申シマシタ所ノ、損害ヲ被ル次第デゴザイマス、何卒此損害ヲ免
  レマスルタメニハ、政府ノ提出致シマシタ所ノ、豫算ヲ、御協賛アランコトヲ希望致シマ
  ス
  〔宮古啓三郞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=112

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• 113・宮古啓三郎

  ○宮古啓三郞君(二百一番)　私ハ堀田君ノ案ニ贊成ナル者デゴザイマスデ、私ハ豫算
  委員會ノ席末ヲ汚シマシテ、丁度農商務省ノ所管ヲ受持ツコトニ相成リマシタ、依テ此
  製鐵所問題ニ就キマシテハ、多少〓究ヲ致シマシタカラシテ、此場合ニ於テ一言申上ゲマ
  シン、諸君ノ御參考ニ供スルト云フコトハ、必要ナコトデハナカラウカト考ヘルノデゴザイマ
  ス、デ此問題ハサウ輕々ニ看過スベキ問題デナイト云フコトハ、私ガ申上ゲルマデモナカラ
  ウト思ヒマス、デ御承知ノ通)、製鐵所ハ今日マデ、二千有餘万圓ノ金ヲ費シテ居ル所ノ
  事業デアル、今日ノ貧乏ナル日本國ノ社會カラ申シマシタナラバ、此二千万圓以上ノ
  金額ト云フモノハ、頗ル重大ナル、莫大ナル、金額ト言ウテ差支ナカラウト思フ、此二千
  万以上ノ金額ヲ費シタ所ノ、此製鐵所ニ關スル問題デアリマスカラ、サウタッタ少シバカリ
  ノ時間ヲ惜ンデ、輕々ニ之ヲ議了シテシマフト云フコトハ、頗ル國家ノ事業ニ不親切ナル
  モノト言ハヌケレバナラヌト私ハ考ヘル、此際大問題於キマシテ、多少ノ討論ヲ致スト云
  フコトハ、決シテ無用ナコトデナカラウト、私ハ考ヘマス、御承知ノ通、此製鐵所ニ就キ
  マシテハ、唯今中シマシタ通ノ金額ヲ費ス所ノ大事業デゴザイマシタ、所ガ大分失敗
  ガ重ナリマシテ、一向ニ成績ガ舉ラヌト云フコトカラシテ、彼ノ製鐵事業ノ調査會ト云フモ
  ノヲ設ケラレテ、サウシテ其會ニ列ナラレマシタ諸君ト云フモノハ何レモ學者モアリ、政
  治家モアリ、殊ニ政友會ノ栗原君モ居ラレ、ソレカラ又進步黨ノ堀田君モ居ラレテ、數
  多ノ人ガ集ッテ、非常ニ綿密ナル、非常ニ周到ナル取調ヲナサレマシテ、サウシテ其結果
  ヲ發表シテ居リマス、其結果ハ此製鐵事業ハ國家ニ最モ必要ナル事業デアル、而
  シテ此事業ト云フモノハ、決シテ見込ノナイ事業ヂヤナイケレドモ、今日マデハ甚ダ遣リ方
  ガ惡ルカッタカラ、ソレガタメニ失敗ニ歸シテ居リマシタケレドモ、併ナガラ是カラ明治三十
  九年マデニ至リマスルト云フト、モウ損ハナクナル、四十年以後ハ利益ガアルコトニ相成
  ルノデアル、而シテ此組織ヲ法人組織ニ改メテ、今年度ニ於テハ百九十餘万圓ノ金ヲ
  費シテ、サウシテ之ヲヤッタナラバ、此事業ト云フモノハ、大ニ發達スルノデアルト云フ、報
  告デゴザイマス、デ吾〓ハ數多ノ專門家諸君ガ集ッテ、非常ニ線密ナル調ベヲシテ、斯ノ
  如キ結果ヲ報告ニナッテ居ルノデアルカラシテ、此報告ニ就キマシテハ、信用ヲ置クノヲ最
  モ當然ノコトデアルト思フノデゴザイマス、是ダケノ報告ニナッテ、サウシテ報告ノ金額ハ、
  此度政府カラシテ此要求ニナッテ居リマス所ノ金額ヨリハ、百九十万圓デゴザイマスカ
  ラっ多クナッテ居ルト云フヤウナ有樣ニナッテ居ルノデアリマス、其製鐵所ノ事業ニ付キマ
  シテハ、吾〓ハ勿論素人デゴザイマスカラ、十分ナルコトハ一向相分ラヌ、相分リマセヌカ
  ラシテ、最モ此分科會ニ於キマシテ賴リトシタノハ、堀田君デアッタ、堀田君ハ御承知ノ
  通、是迄製鐵所ノ事業ニ關係ヲ致サレテ居ッテ、而カモ調査會ノ一人デゴザイマスカラ、
  能ク詳シク此事情ヲ知ッテ居リマスカラ、堀田君ニ對シテ技術上ノ意見ト云フモノハ、總
  テ聽テ居ッタノデアリマス、而シテ此堀田君ガ唯今言ハレタ如キ案ヲ出サレタ、卽チ千九
  十万圓ト云フモノヲ以テ、相當デアルト云フ案ヲ出サレタ、吾〓ハ此際ニ於キマシテハ、先
  刻委員長ノ報告ノ通、卽チ六十五万圓デ宜イト云フコトナラバ、雙手ヲ舉ゲテ無論贊
  成ヲシナケレバナラヌコトデゴザイマス、卽チ今日ノ場合ニ於テ、財政ノ整理、行政ノ整
  理ト云フコトハ、何人モ之ヲ望デ居ルノデゴザイマス、吾ミモ決シテ政府委員が、過日言
  ハレタ如ク、僅カニ百万圓ノ金額ヲ以テ、滿足致シテ居ルノデハ、決シテナイノデアリマス、
  十分ニ此際ニ於テ、行政財政ノ整理ハシテ貫ッテ、非常ノ金額ヲ出スヤウニシテ、貰ヒタ
  イト云フコトハ吾〓ノ最モ希望スル所デアリマス、其故ニ此政友會ノ諸君カラ御出シ
  ニナリマシタ所ノ、六十五万圓ノ案ニ付キマシテハ、勿論十分ニ贊成ヲ致シタイノデゴザ
  イマス、致シタイノハ山〓デゴザイマスケレドモ、如何セン是ニ贊成ヲ致シマスルト云フト、
  其結果ノ來ル所實ニ恐ルベキ所ノモノガ、アルノデゴザイマス、其〓ニ就イテハ、唯今堀
  田君カラ意見ハ述ベラレテアリマスケレドモ、今日僅カ許リノ金額ヲ惜ンダタメニ、將來
  ニ於テ非常ナ損害ヲ生ズルト云フコトニ相成ルノデアリマス、此事業ハ御承知ノ通、今堀
  田君モ言ハレタガ、旣今日材料ガ此處ニ來テ居ルノニ、此材料ヲ集メテ建設ヲスル
  コトガ、出來ナイト云フ有樣デアル、卽チ其費用ニナッテ居ルノデゴザイマス、ソレカラ尙
  堀田君ハ此〓ハ言ハレマセヌデアリマシタガ、御承知ノ例ノ若松ノ築港ニ就イテ、五十
  万圓ノ補助金ヲ出シテアル、而シテ此築港ト云フモノハ、旣ニ成テ船ガ十分ニ著クコト
  ガ出來ルヤウニナッタ、所ガ未ダ此海岸ニ於キマシテノ浚渫ノ工事ガ出來ズ、又荷ヲ揚
  ゲル所ノ機械ガ出來テ居リマセヌカラ、ソレ等ノ裝置ガ出來ナイタメニ、向フ迄船ガ來テ
  居ルケレドモ、其船ノ荷物ヲ此製鐵所ニ揚ゲルコトガ、出來ヌト云フ有樣ニナッテ居ル
  ノデアリマス、折角是ダケノ金ヲ補助シテ、此ノ如キ事業ヲヤッテ居リナガラ、モウ少シノ
  所デ、成效ヲシテ居ラヌト云フ、有樣ニナッテ居ルノデアリマス、之ヲ譬ヘテ見マスト、家ヲ
  建テ棟上ゲマデシテ、屋根モ葺カズ、造作モ出來ズ、其儘建放シト云フ有樣ニナッテ居
  ルノデアリマス、此ノ如キ有樣デゴザイマシタナラバ、之ヲ一年有餘モウッチヤッテ置クト云
  フコトデアルナラバ、此家屋ハ折角棟上ヲシテモ、何ノ役ニモ立タヌト云フコトニナッテシ
  マフノデアラウト思フ又家屋ノ價値ト云フモノハ、全クナイコトニナラウト思ヒス、是ト本
  件ト、ドレダケノ違ヒガアルカト云フト、少シモ違ッテ居ラヌノデアル、既ニ材料ガ集ッテ、之
  ヲ建設スベキ場合ニナッテ居ルノニ、サテ金ガナイカラ、之ヲ建設スルコトガ出來ナイト云フ
  有樣ニナッテ居ルノデアリマシテ、此ノ如キ場合ニ僅カバリノ金額ヲ惜ンデ、而シテ此材料ハ
  雨曝ラシニシテシマウト云フコトハ、果シテ國家ノ利益ナルヤ、此〓ニ就イテハ、諸君ノ御
  再考シドウカ仰ガナケレバナラヌト思ヒマス、決シテ私ハ政府ニ對シテ贊成ヲスルノデハナイ、
  又此原案ニ對シテ贊成ヲ致サヌガ、併ナガラ此堀田君ガ、ギリ〓〓決著、是ヨリ最早仕
  方ガナイト云フ切詰メノ金額ニ對シテハ據處ナイ、據處ナイカラ今日ノ場合ニ於キマシテ
  ハ、是ダケノ金額ハ與ヘテヤラナケレバナラヌト考ヘマス、是ハ政友會ノ諸君ニ於キマシテモ、
  此製鐵所ヲ今廢スト云フヂヤナイ、廢スト云フナラバ別段デゴザイマスガ、廢サズニ置
  イテ、金ハ出スマイト云フノデゴザイマスカラ、幾ンド蛇ノナマ殺シニ相成ッテ居ルノデア
  リマス、金ガナケレバ到底出來ヌト云フコトハ分リ切ッテ居ルト云フ有樣デゴザイマスカ
  ラ、今日ノ場合ニ於テ、此僅カ三十万ノ金額ハ、據處ナイコトデアルト思ヒマス、此場
  合ニ於テハ、ソレデアリマスカラ、黨派的ノ感情ヲ去テ、一切ノ感情ヲ去ッテ、公平ニ御贊
  成ヲ願ヒタイ、勿論此感情ニ付キマシテハ、吾ミモ前議會ニ於テ解散ヲセラレタ一人
  デ、政府ニ對シテ感情ノ宜シクナイト云フコトハ、勿論デアル、感情ハ宜シクゴザイマセヌ
  ケレドモ、ソレガタメニ此利害ハ、非常ニ害ヲ及ボスト云フコトニナッタナラバ、是レ卽チ吾
  吾ノ責任ニ歸スルコトデアリマスカラ、因テ是ダケハ據處ナク協賛ヲ與ヘナケレバナラヌト、
  云フ意見デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=113

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• 114・石黒涵一郎

  ○石黑涵一郞君(二百三一十四番)　簡單デゴザイマスカラ、此處カラ······唯今ノ演說
  ヲ承ッテ居リマスルト、此議會ヲ恰モ普通ノ豫算ヲ議シテ居ルト、同樣ノ考ヲ以テ、議論
  ヲサレルヤウニ考ヘル、是ダケノ金ヲ與ヘナケレバ、國家ガ損害ヲ被ルカラ、是非與ヘヨト云
  フ議論、、諸君、此議會ハ解散後ニ於テ、豫算不成立ニナッテ居ルノデアリマシテ、國家ノ
  生存ニ必要ナル經費ヲ要求スルコトハ、固ヨリ之ヲ辭スルノデナイ、然レドモ之ヲ與ヘレバ
  利益ガアル、之ヲ與ヘナケレバ損失ガアルト云ッテ、損益ノ比較問題カラ、贊否ヲ決スルト
  云フコトニナッタナラバ、憲法ニ規定シテアル所ノ、前年度ノ豫算執行ト云フ精神ハ、皆
  無ニナッテシマフ、況ヤ追加豫算トシテハ、必要避クベカラザル經費ノ他ニハ、協賛ヲ與ヘ
  ルコトガ出來ナイカラ、諸君、若シ此議論ヲ堀田君ノ特種ノ技倆ニ依ル所ノ辯解、唯今
  ノ贊成演說ニ依ッテ、之ニ同意ヲ表サルヽト云フコトデアリマスレバ何故ニ基隆築港費ヲ
  排斥シタカ(「六十五万圓ハ何故ニ殘シマシタカ」ト呼フ者アリ)諸君此基隆築港ト云
  フモノヲ、排斥スルト云フコトニナッタナラバ、此利害ノ關係カラ割出シテ、排斥スルトアル
  ナラバ、恐ラクハ之ヲ要求シタ所ノ政府モ、亦其築港ニ付イテノ利害ヲ懇篤ニ說明シ
  テ、此要求ヲセラレタノデアル、然レドモ此議會ノ精神、此法律ノ結果ニ依ッテ、此ノ如キ
  モノハ協賛スベキモノニアラズトシテ、排斥シタノデアル、唯今要求サレタ所ノモノハ、何故
  ニ次ノ議會マデ是ヲ差控ヘルコトガ、出來ナイノデアルカ、是ヲ差控ヘタカラト云ッテ、決
  シテ製鐵所ノ事業ハ、之ガタメニ消滅スルト云フ譯デナイ、全部失敗ニ歸スルト云フ譯
  デナイ、製鐵所ノ事業ニ對シテハ、屢之ニ類似ノ說明ヲ受ケテ、今日マデ追〓經費ヲ
  支出シタノデアル、之ヲ考ヘナイデ、利害ノ打算上ヨリシテ、今幾許ノ金額ヲ增加スルト
  云フヤウナコトヲ致シマシタナラバ、卽チ此追加豫算ナルモノヽ上ニ於テ、國家全體ノ財
  政ヲ、全體ニ向ッテ詳ニ〓究ヲセズシテ、唯目前ノ事柄ヲ捕マヘテ、利害ノ〓究ノ結果、
  經費ノ支出ヲ承諾スルト云フコトニナリマシタナラバ、恐ラクハ帝國ノ財政ガ、製鐵所ノ
  末路ト同樣ニ陷ランコトノ恐ガアルノデアル、故ニ、斯ル經費ヲ要求スルモノヲ、絕對的ニ
  否認スルノデナイケレドモ、若シ之ヲ必要トセラルヽノデアルナラバ、次期ノ議會ニ於テ總
  豫算ノ中ニ編入セラレテ、サウシテ宜シク一般全體ノ財政ヲ參酌シデ、贊否ヲ決スルノ時
  日ヲ與ヘラレンコトヲ望ミマス、啻ニ法律ヲ楯ニ取リ、又感情ニ依ッテ此ノ如キ議論ヲ
  唱ヘルノデナイ、是ダケノモノヲ分割シテ、必要ニ應ジテ支出スルナドト云フコトハ、甚ダ
  危險ナ譯デアリマスルカラシテ、私ハ委員長ノ報告ニ一步ヲ讓タテ、贊成ヲシテ置クノデ
  アル、是ヨリ擴張ヲスルト云フコトハ、是亦利益ノナイコトデアリマスカラ、委員長報告
  通.可決セラレンコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=114

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• 115・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君(　八十二番)討論終結ノ動議ヲ提出シマス
  〔「贊成ケ々」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=115

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• 116・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　討論終結ノ動議ガ出テ居リマスデ、討論終結ニ御異議ガ
  ナイト認メマスカラ、採決ヲ致シマス、採決ノ順序ヲ申上ゲマスルガ、第一ニ堀田連太
  郎君外諸君ノ提出セラレタ、修正案ニ付イテ決ヲ採リ、ソレガ潰レタ場合ニ於テ、第二
  ニ豫算委員長ノ査定案ニ付イテ、決ヲ採ルノデアリマス、ソレガ又潰レタ場合ニハ、原案
  ニ付イテ決ヲ採ルノデアリマス、斯ウ云フ風ニ採リマノ、堀田連太郞君ノ修正說ニ贊成
  ノ諸君ニ起立
  起立者多數
  〔「多數多數」又ハ「少數少數」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=116

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• 117・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　多數-堀田連太郞君ノ修正說ニ決シマシテゴザイマス
  (拍手起ル)歲出ノ結果デゴザイマスガ、此修正ノ結果總計算ニ異動ガ起リマシタデ、其
  訂正ノコトハ議長ニ整理ヲ御任セ下サイマスカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=117

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• 118・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　御異議ガナケレバ其通決シマス、歲入臨時部ノ元ニ立戾
  リマシテ、議シマスガ是ニハ御異議ガアリマセヌカラ、原案ニ決シマス-乙號全部ヲ議
  題ト致シマス
  〔工藤行幹君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=118

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• 119・工藤行幹

  ○工藤行幹君(二百五十九番)　本員ハ此乙號ノ第二、第三、是ハ委員長ノ報告テ
  ゴザイマシテハ、原案ノ通ニナッテ居リマスガ、本員ハ之ヲ削除スルト云フ動議ヲ、提出スル
  モノデゴザイマス、併シ御斷リヲシテ置キマスルノハ、本員ハ此事ヲ削除シテモ、決シテ事實
  上ニ何ノ害ガナイト云フコトヲ、認メテ居ルノデゴザイマス、併シ是ヲ存ジテ置クト、事實
  上ニ利害ガナクシテ、唯今ノ迄議シタ所ノ諸君ノ精神ヲ以テ-此追加豫算ヲ議サレ
  タ所ノ精神ガ、消減シテシマウト云フ結果ニ陷ルノデゴザイマス、所謂此一般ニ云ッテ見
  ルト云フト、此項目ヲ存シテ置クト云フト、議會ノ信用ニモ關係スル程ノ、、重大ナルコトデ
  アルト思ヒマスルカラシテ、私ガ此處ニ是ヲ消除スル說ヲ提出スルノデアリマス、ナゼ是ヲ
  存シテ置クト、議會ノ信用ニ關スル程ノ重大ナルコトデアルカト云フハ、今少シ御話ヲシ
  ナケレバナラヌ、吾〓モ豫算委員ノ末席ヲ汚シタモノデゴザイマスルガ、此豫算委員ニ於
  テ、査定ノ方針ト云フモノヲ、ドウ定メタカ、其第一條ニ依レバ「本年度像算ハ不成立ナ
  ルヲ以テ其急施ヲ要シ是ヲ三十七年度ニ讓ルコトヲ得ザルモノヽ外否認スルコト」モウ
  一箇條ゴザイマスルガ、是ハ略シマス、是ハ不成立ノ後ノ豫算デアルカラシテ、三十七
  年度ニ讓ルコトノ、能ハザル程ノ至急ナモノデナケレバ、協贊セヌト言フタノデアル、蓋シ
  此事ハ吾〓ノ甚ダ贊成スル所デアル、何トナレバ是迄政府ノ遣リ方ト云フモノハ、豫算
  不成立ニナリ、議會ガ解散ノタメニ不成立ニナルカ、或ハ其他ノコトニ依ッテ、不成立ニ
  ナルト云フト、國家ノ進運上、容易ナラザル害ヲ起スト云フコトハ、見ヘ切テ居ル話シデア
  ルノデゴザイマス、然ル故ニヨク〓〓己ムヲ得ザルコトデナケレバ、此議會ヲ解散スルトカ、
  或ハ豫算ノ不成立ハナイノデアリマス、然ルニ是迄ノ例ニ依ルト、現ニ昨年ノ如キ、政府
  ハ無謀ノ解散ヲシテ居ル、解散ヲシタナラバ、憲法ノ定ムル所ニ依ッテ、豫算ノ不成立ト
  云フコトハ、當リ前デアルノデアル、豫算不成立ニナレバ、多少國家ノ進運ニ害ヲ及ボス
  ト云フコトハ始メカラ知レ切ッタコトデアル、是ハ始メ攻究シタ上デナケレバ、此議會ノ解
  散ハ出來ナイ、然ルニ從來ノ例ニ依ルト議會ノ解散ヲシテ仕舞ッテ、其後ニ今度ハドン
  ドン追加豫算ト云フモノヲ出シテ行テ、行政官ノ不自由ナ所ヲ補ウ、是ヲ喰止メヤウト
  云フコトハ、從來諸君等ノ苦心スル所デアリマスケレドモ、ナカ〓〓當局者ハイロ〓〓ナコ
  トヲ拵ヘテ、細カイ算盤ヲ持ッテ斯ウ云フ害ガアルトカ、國家ノ進運ニ害ガアルトカ、是一
  損ガアルトカ、イロ〓〓ナ議論ヲ竝ベテ、其事ヲ遣リ通ス、遣リ通スト云フト、卽チ前
  年度ノ豫算ヲ執行スルニ非ズシテ、新タニドシ〓〓出テ來ルノデアリマスカラ、行政官ニ
  ハ決シテ一向不便ヲ感ジナイナノデアリマス、感ジナイタメニ、輕忽ニ此議會ヲ解散シタ
  リ豫算ノ不成立ヲ何トモ思ハヌト云フコトニナッテ居ル、元來此豫算ト云フモノハ、本
  員ノ考ヘル所デハ、會計法ニ定メテアル通、豫算ト云フモノハ、前年度ノ始メノ集會二
  於テ、是ヲ出サナケレバナラヌ、此場合ヨリ外ニ豫算ヲ出スト云フコトハ、規定シテナイ
  ノデアル、然ルニ每々政府ハ總豫算ヲ出シナガラ、追加豫算ヲドシ〓〓出ス、又前年度
  ノ豫算ヲ追加トシテ出ス、或ハ議會ヲ解散シタ後ニハ、今年ノ如キモノヲドン〓〓出ス
  ノハ、如何ニモ不都合ノコデアルカラシテ、是非是ヲ厲行シナケレバナラヌ、厲行シナケレ
  バナラヌト云フタメニ、先刻私ガ朗讀致シマシタ所ノ、豫算不成立ナルヲ以テ、其急施
  ヲ要シタモノデナケレバ、之ヲヤラヌト云フコトノ精神ヲ以テ、此豫算ヲ削減シタイト一ムフ
  コトニナッタ、是レ誠ニ當然ナ事デ、本員等モ大々的贊成ヲ表スルモノデアル、此精神カラ
  割出スト云フト、或ハ本員ノ考デハ、是迄旣ニ諸君等ノ議シタ中ニモ、モウ少シ不贊成ヲ
  唱ヘネバナラヌモノガアルカノヤウニ思ヒマスケレトモ、是ハ多數ノ意見デゴザイマスカラ、先
  ヅ是モ止ムヲ得ナイ、然ルニ此査定ノ方針ガアルガタメニ、査定ノ方針ニ依ッテ定メテ
  來タノニ、此會ノ第二第二一ノ旣成鐵道ノ改良費、鐵道ノ建設費ト云フモノハ、何デ是
  ニ當リマスカ、決シテ之ニ當ッタモノデハナイノデゴザイマス、何故ナレバ諸君モ能ク御覽ノ
  通、是ハ既ニ三十六年度ノ費用ガ、此改良費トテモ、又建築費デモ、チヤント玆ニ備ヘ
  テアルカラシテ、決シテ三十六年度ニ於テハ、毫モ之ヲ議決シナクテモ、差問ハナイノデア
  リマス(「簡單」ト呼フ者アリ)マダ〓〓緩リヤリマス、御耳ガ痛イダラウケレドモ、御聽キ
  ナサイ-三十六年度ニ於テハ、決シテ差支ガナイ、唯少シク差支ヘルト云フモノハ、翌
  年度ノタメニ、或ハ外國ニ物デモ註文スル場合ニ於テハ、多少之ニ關係ヲ持ツカモ知レ
  ナイケレドモ、三十六年度ニ於テハ更ニ差支ガナイノデアル、然ルニ是マデ豫算委員長
  モ云ヒ、又先刻石黑君抔モ言ハレルヂヤナイカ、豫算査定ノ方針ニ依テ、之ヲ次ノ年度
  ニ廻シ得ルモノハ、之ヲ止メルト云フコトデ、旣ニ法律ノ結果トシテアル所ノ、農工銀行ノ
  補助費ノ如キモ、之ヲ止メル、又外國ニ物ヲ註文スルタメニ之ヲ云フナラバ、或ハ臺灣ノ
  築港抔ノコトモ、之ニ關係ガアルデゴザイマセウ、然ルニ是等ノ事ニ忍ンデ、豫算ノ不成立
  ノ結果トシテ、是ハ廢シテシマッテ、獨リ此鐵道ノミニ當年ノ金ニ差支ガナイモノニ限ッテ、
  之ヲ贊成スルト云フコトハ、何等ノ是ハ權衡ヲ得タモノデゴザイマセウ、甚ダ不都合ト言
  ハナケレバナラヌノデゴザイマス、若シ此第二第三ヲ、斯ノ如ク原案ニ存シテ置クト云フナ
  ラバ、或ハ別ニ議シタコトヽ頓ト權衡ヲ得ナイモノニナッテ、所謂査定ノ方針ト云フモ
  ノハ、殆ンド矛盾シタモノニナッテ來ル、甲ノモノニハ嚴シク當ッテ、是ヲ贊成シナイ乙ノ
  モノニハ、贊成スルト云フヤウナ、甚ダ不都合ナコトニナルノデゴザイマス、聞ク所ニ依レ
  バ是ハ初メ政友會ノ諸君ニ於テモ、之ヲ削除スルト云フコトニナッタ、所ガ何カ妥協ト
  カノ結果ニ依テ、遂ニ之ヲ存スルコトニナッタト云フコトデゴザイマス、蓋シ此妥協ト云フ
  モノハ、、何等ノタメニシタモノデゴザイマスカ、本員ハ一向知ッタコトデハゴザリマセヌケレド
  モ、凡ソ斯ノ如キモノヲ以テ、妥協ヲスルト云フモノハ、何ノタメデアルカ、私ハ其意ノ在
  ル所ガ分ラヌ、政府ハ此案ヲ存シテ見タ所ガ、ドレタケノ便利ガアルカト云ッテ見レバ、來
  年カラデナケレバ是ハ用ヲナサヌモノデゴザイマスカラ、是ヲ削除セラレタ所ガ、大變苦痛ヲ
  感ズル譯デモナイノデゴザイマス、又卽チ基隆ノ築港或ハ其他ノモノト比較シテ、此年度
  當年ノ暮ノ議會ニ出セバ、何モ差支ガナイデハナイカト云フノト、同一ナコトデアル、然ル
  ニ彼ハ之ヲ削除シ、是ハ此儘ニ存シテ置クト云フノハ、如何ナル趣意デアルカ、更ニ分ラ
  ヌ、而シテ其妥協ノ如キハドウ云フコトカ分ラヌケレドモ、ドウ云フ意味ガアッテヤッタカ、
  知レナイケレドモ、事實ニ害ガナイモノヲ以テ-妥協トカ何トカ云フコトガ、益ガナイ、
  益ガナクテ又害ガナケレバ宜イケレドモ、害ガアル-現然害ガアル、何ガ害デアルト云フ
  ト、凡ソ國家ノ代議士卽チ議員ト云フモノハ、極メテ萬事ニ就イテ、至公至平ヲ以テ、
  之ヲ調査シナケレバナラヌノデアル、然ルニ彼ハ妥協ノ結果トシテ、舊ニ据置キ、是ハ省ク
  ト云フヤウナ、不公平ナコトガアッタナラバ、此議會ノ信用ハ何ヲ以テ保チマセウ、諸君、此
  議會ノ精神ヲ保ッテ、諸君ガ皆ナ共ニ人民ノ代議士、國家ノ財政ニ就イテハ、極メテ至
  公至平ニヤラナケレバナラヌモノニ對シテ、斯ノ如キ不權衡ナコトヲシタナラバ、何ヲ以テ議
  會ノ信用ヲ保チマセウ、又是ノミナラズ、斯ノ如キモノヲ以テヤッタナラバ、諸君ノ御存ジノ
  通豫算ト云フモノハ一院ノ議決デハ、迚モ通ルモノデハナイ、貴族院ニモ迴ラナケレバナ
  ラヌ、斯ノ如キ不權衡ナモノヲ以テヤッタナラバ、折角吾ミ議シタモノニ對シテ、貴族院
  カラ修正ヲ加ヘラレルカモ知レナイ、ソレモ當然ナ理窟ガアッテ、修正ノ加ヘラレルナラバ、
  一向耻ヅル所モナイケレドモ、自ラ耻ヅルヤウナ行動ヲ爲シテ以テ、人カラ修正ヲ加ヘラ
  レルト云フコトハ、如何ニモ諸君ト共ニ、耻入ル次第ヂヤゴザイマセヌカ、此妥協トカ何ト
  カ云フコトモ、國家ノ事ニ害ノナイ以上ニ就イテヤルノナレバ、一向吾〓ハ之ヲ言フ必要モ
  ナイケレドモ、斯ノ如ク目ト鼻ノ間ニ於テ、一方ハ妥協ノ結果トシテ之ヲ存シ、一方ハ之
  ヲ省クト云フヤウナコトニナッテハ、世ニ所謂耳ヲ蔽フテ鈴ヲ盜ムノ類ヨリモ、一層甚シク
  テ、目ト鼻ノ間ニ於テ、矛盾シタコトガアルト思ヒマス、故ニ此事ハ削除シテモ事ニ害カナ
  イ卽チ此後ノ議會ニ於テ出セバ、何モ差支ガナイ、諸君ノ御手許ニモゴザイマセウカ、年
  度割ニ於テモ、此金額ハ殘ラス、是ハ三十七年度以降ノ、年度割ニナッテ居リマスカラ三
  十六年度ニハ何モ關係ガナイ、唯ダ少シク關係ガアルト云フノハ、今ノ外國ニデモ物ヲ註
  文スルトキニ用ルト云フヤウナ、極ク輕々ナル差障ノミデゴザイマシテ、事柄ニハ害ガナイノ
  デゴザイマス、又終リニ臨ンデ私ガ一言致シタイト云フコトハ、兔角此鐵道問題ニナルト
  云フト、地方ノ利害ニ多ク關係シテ居ルコトデゴザイマスカラ、今デハサウ云フコトハナイケ
  レドモ、或ハ鐵道問題ニナルト云フト、議員ガ軟化シテ困ルト云フヤウナコトガアル、故ニ
  政府デモ斯ウ云フモノヲ餌ニシテ、議員ヲ軟化サセルト云フコトハ、昔ハ隨分無キニシモア
  ラザルコトデ、アッタノデゴザイマス、然ルニ鐵道ニ至ッテハ、理モ非モナク、斯ウ云フコト
  デ、贊成スルト云フヤウナコトデゴザイマスレバ、是ハ大ニ此議會ノ信用ニモ關ル、吾〓ハ
  何ゾ此鐵道ノミデナイ、國家ノ財政ヲ料理スル以上ニ於テハ、極メテ至公至平ナモノ
  ヲ以テヤリタイト、思ヒマスカラ、已ムヲ得ズ此二項ヲ削除スル說ヲ、提出致シマス、次
  第デゴザリマス、諸君、虛心平氣ヲ以テ、御贊成アランコトヲ希望致シマスル
  〔拍手スル者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=119

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• 120・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君(八十二番)　工藤君ハ是ハ削除ト云フ、私ハ是ハ原案ヲ贊成シナケレ
  バナラナイ、工藤君ハ反對說ヲ述ベナガラ、之ハ幾分削除スレバ差問ヲスルカモ知レナイ、
  吾〓ハ大ニ差問ヘルト云フノデモウ事業ハ明年度デゴザイマス、本年度ニ於テ海外ニ註
  文セネバナラナイ、其計畫ヲナシテ置カネバ鐵道事業ニ付テ非常ナ後レヲ取ルノデゴザ
  リマス、ドウカ是ハ工藤君ノ削除說ニハ、多數ナラヌヤウニ、委員長ノ報告通、贊成アラ
  ンコトヲ希望シマス
  〔「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=120

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• 121・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　採決致シマス、乙號全部、委員長ノ報告通、御異議ゴザ
  イマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=121

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• 122・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　異議ガナイト認メマス
  〔「異議アリ異議アリ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=122

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• 123・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　異議ノアル以上ハ、委員長ノ報告ニ贊成ノ諸君ハ、起立ヲ
  願ヒマス
  起立者多數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=123

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• 124・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　多數デアリマズ、委員長ノ報告通、可決セラレマシタ
  〔拍手スル者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=124

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• 125・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君(八十二番)　今日ハ是デ會議ハ御止メアランコトヲ希望致シマス、ナカ
  ナカ豫算ハ大事ナコトデゴザイマス
  〔「ヤルベシヤルベシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=125

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• 126・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　豫算ノ第一條ニ移リマス、豫算第一條、第二條ハ委員長
  報告通、御異議ゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=126

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• 127・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　御異議ガナケレバ委員長報告通決シマス、尙申上ゲテ置キ
  マスルガ、此農商務省ノ方デ修正ノ結果、合計ニ異動ガ』起リマスル、其整理ハ、議長
  ニ御一任下サイマスカ
  〔異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=127

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• 128・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　御異議ガナケレバ其通ニ致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=128

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• 129・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君(八十二番)　ドウゾ次ノ日程ニ移ラレヌコトニ、今日ハ是テ御止ナラム
  コトヲ·
  (「贊成ケ々」ト呼フ者アリ〕
  〔「ヤルベシヤルベシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=129

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• 130・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　追加豫算第二號全部ハ、是デ決定致シマシテゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=130

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• 131・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君(八十二番)　動議ヲ出シマシタガ、ドウカ···

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=131

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• 132・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　議事日程第三ニ移リマス
  第三(第三號)明治三十六年度歲入歲出總豫算追加案

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=132

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• 133・恒松隆慶

  ○恆松慶隆君(八十二番)　ドウカ豫算ハ大問題デゴザイマスデ、今日ハ是デ御止メア
  ランコトヲ希望致シマス
  〔「贊成々々」ト呼フ者アリ〕
  〔「ヤルベシヤルベシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=133

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• 134・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　旣ニ第三ニ移ッテ居リマスカラ、全部ヲ議題ニ供シマス、豫
  算委員ノ報告通、全部御異議ハゴザイマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=134

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• 135・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　豫算委員長ノ報告通ニ決シマシテゴザイマスー-議事日
  程ノ第四ニ移リマス、全部ヲ議題ニ供シマス、豫算委員長ノ報告通、御異議アリマセ
  ヌカ
  第四明治三十六年度各特別會計歲入歲出豫算追加案
  (「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=135

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• 136・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　御異議ガナケレバ豫算委員長ノ報告通、決定致シマス、議
  事日程ノ第五ニ移リマス、豫算委員長ノ報告通、御異議アリマセヌカ
  第五(特第二號)明治三十六年特別會計歲入歲出豫算追加案
  (「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=136

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• 137・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　御異議ガナケレバ委員長ノ報告通、決定致シマス
  (恆松隆慶君「一括シテヤッテ貫ヒマセウ」ト呼フ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=137

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• 138・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　議事日程ノ第六ニ移リマス、委員長ノ報告通リ御異議ア
  リヤセヌカ
  第六豫算外國庫ノ負擔トナルヘキ契約ヲナスヲ要スル件
  〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=138

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• 139・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　御異議ガナケレハ委員長ノ報告通、決定致シマス、議事日
  程ノ第七ニ移リマス、委員長ノ報告通り御異議アリマセヌカ
  第七(第二號)豫算外國庫ノ負擔トナルヘキ契約ヲ爲スヲ要スル件
  (「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=139

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• 140・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　御異議ガナケレバ委員長ノ報告通決定致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=140

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• 141・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君(八十二番)　モウ豫算ガ濟メバ、今度ハドウカ是デ會議ヲ御止メアラン
  コトヲ、希望致シマス
  〔「贊成ケ々」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=141

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• 142・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　唯今恆松君カラ〓會ノ動議ガ出マシタガ、アトノ日程ハ後
  ニ讓ッテ、御異議ハゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=142

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• 143・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　異議ガナケレバ其通リ決シマス-報告ガアリマス
  〔書記朗讀〕
  松浦五兵衞君戶矢治平君ヨリ官紀紊亂ニ關シ、小川平吉君山口熊野君ヨリ在韓
  邦人被害ノ賠償ニ關スル質問主意書ヲ提出セラレタリ
  〔左ノ質問書ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭載ス〕
  官紀ノ紊亂ニ關スル質問趣旨書
  右成規ニ依リ提出候也
  明治三十六年五月三十日
  提出者松浦五兵衞戶矢治平
  贊成者福島勝太郞
  外三十二名
  官紀ノ紊亂ニ關スル質問趣意書
  一靜岡縣警部長有川貞壽同技師小沼東通同警視笹原辰太郞等カ官文書ヲ僞
  造シ公金ヲ詐取シタルノ事實ハ已ニ天下ニ公表セラレ明白ナルニモ係ハラス政府
  ハ之レニ相當處分ヲ加エサル理由如何
  一或ハ曰ハク右ハ已ニ支出ノ途ヲ誤リタルモノトシテ譴責處分ニ附シタリト而カモ之
  レ全ク一時ノ瞞著的窮策ニシテ其事實ノ眞相ハ虛僞ノ事實ヲ搆ヘテ旅費請求書
  ヲ作成シ以テ濫用シ易キ地方費ナル臨時檢疫費ヲ詐取シタルモ其後數月ヲ經テ
  請求書僞造ヲ幇助シタル雇吏某カ良心ノ呵責ニ堪ヘス遂ニ內務部長ニ自首シ爲
  メニ物議騒然タラントスルヲ見テ倉皇請求書ヲ改造シ支出ノ途ヲ誤リタルモノト稱
  シ地方費ヲ返戾シ更ラニ國費ヨリ其全部又一部ヲ支出セシメ同一金額ヲ取得シ
  タルモノナルカ其ノ改造シタル請求書亦全ク虛僞ノ事實ナルハ前後ノ事情ヨリ推
  斷シテ分明ナルニモ拘ハラス尙ホ政府ハ之ヲ不問ニ附スルハ何故ナルカ
  一殊ニ技師小沼東逸ニ至リテハ更ラニ出張ヲ爲サスシテ然カモ出張セシ如ク假裝シ
  旅費ヲ詐取シタルハ同雇吏某ノ自首ニ依リ明白ナルニモ拘ハラス更ラニ之レニ處
  分ヲ加ヘサル理由如何
  一有川等カ告發セラレタルハ明治三十五年三月十一日ニシテ越エテ八日則チ同月
  十八日ニ至リ時ノ會計課長池谷誠太郞ハ突然逮捕拘引セラレ各方面ニ向ヒ
  家宅大搜索ヲ行ハレタリ然ルニ當時犯罪ナリトシテ搜査セラレタル事實ハ一モ
  之ヲ發見スル能ハス遇々會計帳簿上反古紙ヲ賣却シタル代金二十圓ノ使途不
  明ナリトシテ詐僞取財ニ擬セラレタルモ控訴院ニ於テ全然無罪ノ判決ヲ受ケタリ
  當時世問傳ヘ曰ク有川警部長ハ己レ等ガ告發セラレタルハ畢竟池谷會計課長ガ
  證據書類ヲ漏洩シタルモノナラント推シ親友ナル檢事正ノ手ヲ假リ司法權ノ作用
  ニ依リ復讎ヲ試ミタルナリト是レ豈ニ私欲ノ爲メ司法權ヲ濫用セシメタルモノニシテ
  官紀紊亂ノ尤モ甚シキモノニ非ラスヤ
  又前代議士江間俊一カ第十七議會召集ニ先タツ僅カニ數日則チ十一月二十
  三日ニ於テ突然拘引セラルヽヤ道路又傳ヘ曰ク是レ江間カ曩キニ有川警部長等
  ノ非行ヲ列舉シテ大ニ帝國議會ニ質問セント放言セシヨリ招キタル奇禍ナリト而シ
  テ前後ノ事情亦切ニ之ヲ信セシムルニ足ルモノアリ是レ實ニ公私ヲ混同シ職權ヲ
  妄用シ以テ非違ヲ遂ケントスルモノニシテ官紀紊亂ノ極ニアラスヤ政府ハ何故ニ之
  ニ相當ノ處分ヲ加エサルカ
  一政府ハ晩近政黨ノ勢威益ンナルヲ見テ心平ナル能ハス事ニ托シ政黨員ノ犯罪ヲ
  尤モ嚴酷ニ爬羅摘抉シ以テ一面ニハ部分的個人的ニ政黨員ヲ傷ケ他面ニハ上
  下ニ於ケル政黨ノ威信ヲ失墜セシメントノ方策ヲ定メ或ハ一部ノ官吏ニ密旨ヲ含
  マシメ著々之レカ遂行ヲ爲シツヽアリト果シテ事實ナルカ
  在韓邦人被害ノ賠償ニ關スル質問書
  右成規ニ據り提出候也
  明治三十六年五月三十日
  提出者小川平吉山口熊野
  贊成著岡村新三郞
  外三十名
  在韓邦人被害ノ賠償ニ關スル質問
  一韓國ニ於ケル長崎縣人十五名ノ虐殺竝ニ馬木健三特許採掘ニ係ル昌原郡龍
  潭鑛山ノ破壞及其前後ニ於ケル韓人ノ暴行ニヨリテ邦人ノ被リタル損害賠償請
  求ノ件ハ八年ノ久シキ今日ニ至リテ尙其解決ヲ見サルハ何故ナリヤ
  一右損害賠償ニ關シ政府ハ今後如何ナル態度ヲ執ラント欲スル乎
  在韓邦人被害ノ賠償ニ關スル主意書
  明治二十九年韓國江原道竹邊洞ニ於ケル邦人十餘名ノ虐殺竝ニ同道昌原鑛山
  ノ破壞ハ其狀實ニ慘酷ヲ極メ被害者及其遺族ノ困難ハ聞クニ忍ヒサルモノアリ惟フ
  ニ速カニ之レカ損害ノ賠償ヲ韓廷ニ要求シテ被害ヲ救濟シ併セテ海外渡航ノ奬働ヲ
  圖ルハ國家今日ノ急務ナリト信ス然ルニ政府カ八箇年ノ長日月ヲ閱シテ尙未タ此簡
  明ナル問題ノ解決ヲ爲サヽルハ怪訝ニ堪ヘサル所ナリ知ラス政府ハ如何ニシテ被害者
  ノ正當ナル要求ヲ滿足セシメ併セテ海外ニ渡航シ若クハ將サニ渡航セントスル我カ邦
  人ノ生命財產ニ向ッテ安心ノ保障ヲ與ヘント欲スル乎之レ本質問提出ノ主意タリ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=143

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• 144・杉田定一

  ○副議長(杉田定一君)　日程ハ追テ公報ヲ以テ御報道致シマス、本日ハ是ニテ〓
  會致シマス
  午後五時十八分散會
  衆議院議事速記錄第六號正誤
  頁段行正
  七九上二九災害地地租免除ニ關スル法律案第三讀會
  三〇明治三十四年法律第二十七號中改正法律案第三讀會

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=001813242X00819030530&spkNum=144

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