第23回帝国議会　衆議院　本会議　第13号　明治40年3月9日

1. 会議録本文

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• 000・会議録情報

  　明治四十年三月九日（土曜日）午後一時十三分開議
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  　　議事日程　第十二號　明治四十年三月九日
  　　　　午後一時開議
  　　第一　明治四十年度歳入歳出總豫算案（貴族院囘付）
  　　第二　學校及圖書館特別會計法案（政府提出貴族院囘付）
  　　第三　種牡牛檢査法案（政府提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第四　市制改正法律案（政府提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第五　町村制改正法律案（政府提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第六　東京市制案（磯部四郎外十五名提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第七　移民保護法中改正法律案（政府提出）　第一讀會
  　　第八　右議案の審査を付託すへき委員の選舉
  　　第九　明治三十九年度一般會計所屬の經費を各帝國大學特別會計に繰越す場合に於ける剩餘金繰入に關する法律案（政府提出）　第一讀會
  　　第十　右議案の審査を付託すへき委員の選舉
  　　第十一　臺灣に於ける特別の輸入税に關する法律案（政府提出）　第一讀會
  　　第十二　右議案の審査を付託すへき委員の選舉
  　　第十三　關税定率法輸入税表中改正法律案（森本駿外四名提出）　第一讀會
  　　第十四　衆議院議員選舉法中改正法律案（森本駿外二名提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第十五　衆議院議員選舉法中改正法律案（島田三郎外二名提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第十六　衆議院議員選舉法中改正法律案（高橋勝七外十五名提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第十七　衆議院議員選舉法中改正法律案（奥野市次郎外六名提出）　第一讀會の續（委員長報告）
  　　第十八　衆議院議員選舉法中改正法律案（横田虎彦外二名提出）　第一讀會の續（委員長報告）
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• 001・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　是ヨリ諸般ノ報告ヲ致シマス
  〔書記朗讀〕
  一政府ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
  臺灣ニ於ケル特別ノ輸入稅ニ關スル法律案
  一貴族院ヨリ囘付セラレタル議案左ノ如シ
  明治四十年度歲入歳出總豫算案
  學校及圖書館特別會計法案
  一貴族院ハ本院送付ニ係ル政府提出鐵道敷設法中改正法律案、東京府北多摩
  郡埼玉縣北足立郡境界變更法律案、煙草專賣法中改正法律案、帝國大
  學特別會計法案、明治四十年度各特別會計歲入歳出豫算案、豫算外國庫ノ
  負擔トナルヘキ契約ヲ爲スヲ要スル件及本院提出裁判所管轄區域變更ニ關スル
  法律案ヲ可決シタル旨同院ヨリ通牒アリタリ
  一議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
  明治三十三年勅令第百三十二號廢止建議案
  提出者川島瀧藏君
  渡良瀨川改修工事ニ關スル建議案
  提出者木村半兵衞君武藤金吉君宮本嘉樂君
  日本水產銀行法案
  提出者川島瀧藏君森茂生君島津良知君
  內山五十吉森本芳藏君
  松浦第47-號-4-5-4濱大荻野獸 好印即日
  淺羽書籍書籍書 官方法鈴鐺雞腿久大東京田國松君
  武滿義
  漁業法中改正法律案
  提出者川島瀧藏君森茂生君野津良知君
  內山本駿君荻島芳藏君
  格 一、大众健康再大市次郞君二〇四、
  淺羽鈴木久次郞君濱大田野 昭和國松君
  武滿義雄君
  製茶販路擴張補助ニ關スル建議案
  提出者松浦五兵衞君井上與一郞君福島宜三君
  吉植庄一郞君森懋君君島津良知君
  神崎東藏君粕谷義三佐々木正藏君
  靑地雄太郞君
  關稅定率法輸入稅表中改正法律案
  提出者森本駿君山本繁造君鹿島秀麿君
  松本恆之助君大淵龍太郞君
  鑛業法中改正法律案
  提出者丸山嵯峨一郞君山口達太郞君
  府縣制中改正法律案
  提出者植場平君松浦五兵衞君上埜彌一郞君
  長谷川豐吉君
  一奧野市次郞君、齋藤珪次君、山口熊野君、小河源一君、磯部四郞君ヨリ東京
  大相撲常設館國庫補助ニ關スル質問主意書ヲ提出セラレタリ
  〔左ノ報〓ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノ爲玆ニ揭載ス〕
  一指定セラレタル委員左ノ如シ
  樺太ニ於ケル租稅ニ關スル法律案
  齋藤珪次君瀨下秀夫君柚木商業興奮
  中西孫太郞君山田平太郞君伊夫伎
  北畠具雄君森秀次君花井卓藏君
  大船渡鐵道鐵業ノ利益補給ニ關スル建議案
  大岡育藏君長谷川豐吉君〓吉君
  安太郞君森本駿君
  山上本埜幸彥君毛里保太郞君此助君
  鐵人私合正油 添加油要素此業 公司 法 第 4 5君君君君
  平島松尾君齋藤宇一郞君
  小河源一君阿部勇治君
  近江谷榮次君大繩久雄君鉄五郞君
  一委員長及理事左ノ通當選セラレタリ
  樺太ニ於ケル租稅ニ關スル法律案
  委員長齋藤珪次君理事森秀次君
  大船渡鐵道鐵業ノ利益補給ニ關スル建議案
  委員長大岡育造君理事一守屋此助君
  (大淵龍太郞君
  〔左ノ質問書ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノ爲玆ニ揭載ス〕
  東京大相撲常設館國庫補助ニ關スル質問書
  右成規ニ據リ提出候也
  明治四十年三月九日
  提出者奧野市次郞齋藤珪次山口熊野
  小河源一磯部四郞
  贊成者森久保作藏
  外三十三名
  東京大相撲常設館國庫補助ニ關スル質問書
  前期議會ニ於テ院議ヲ以テ建議シタル東京大相撲常設館國庫補助ノ件ハ四十年
  度ノ總豫算若クハ追加豫算トシテ提出セラルヘキヲ信シタルニ政府ハ未タ其手續ヲ爲
  サス政府ノ該件ニ對スル所信如何
  右及質問候也

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• 002・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　是ヨリ會議ヲ開キマス、御諮リ申スコトガアリマス、澤田佐助
  君病氣ノタメ、本月四日ヨリ十日間請暇ノ申出ガアリマス、許可シテ御異議アリマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 003・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ナケレバ許可スルコトニ致シマス、飯島省三郞君病氣
  ノタメ本月四日ヨリ十五日間請暇ノ申出ガアリマス、許可シテ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 004・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ガナケレバ許可スルコトニ致シマス、鹽專賣法廢止法
  律案外一件、委員中西光三郞君病氣ノタメ辭任ノ申出ガゴザイマス、許可シテ御異議
  アリマセヌカ
  〔「異議ナシ異識ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 005・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ガナケレバ許可スルコトニ致シマス、同委員ハ議長ノ指
  名トナッテ居リマスカラ、三輪傳七君ヲ補缺トシテ指名致シマス、明治三十八年度豫
  備金支出ノ件、委員荒谷桂吉君病氣ノタメ辭任ノ申出ガアリマス、許可シテ御異議
  アリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 006・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ナケレバ許可スルコトニ致シマス、同委員ハ議長ノ指名
  デアリマスカラ、齋藤良輔君ヲ補缺トシテ指名致シマス、決算委員北畠具雄君病氣ノタ
  メ辭任ノ申出ガアリマス、許可シテ御異議アリマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 007・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ガナケレバ許可スルコトニ致シマス、同君ハ第九部所屬
  ニ付キ、同部ノ諸君ハ補缺ノ互選アランコトヲ希望致シマス、決算委員中西光三郞君
  病氣ノタメ辭任ノ申出ガアリマス、許可シテモ御異議アリマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 008・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ガナケレバ許可スルコトニ致シマス、同君ハ第二部所屬
  ニ付キ、同部ノ諸君ハ補缺ノ選舉アランコトヲ希望致シマス、尙井手武右衞門君ヨリ
  母病氣看護ノタメ、本日ヨリ來ル二十七日マデ請暇ノ申出ガアリマス、許可シテ御異
  議アリマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 009・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ガナケレバ許可スルコトニ致シマス、望月小太郞君

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• 010・大竹貫一

  ○大竹貫一君　チヨット議長ニ御尋致シタイ、私共同志ヨリ提出致シタトコロノ郡役
  所廢止建議案ハ、去ル三日本院ニ於テ御披露ニナリ、各員ニ印刷シテ御配付ニナッテ
  居ルノデ、當然本日ハ議事日程ニ上ルコトヽ思ッテ居リマシタガ、是ナカリシ理由ハドウ
  云フコトデアリマスカ、或ハ貴族院ニ於ケル郡制廢止案ノ未決定ノタメ、御延期ニナッタ
  ノデスカ、今日此日程ニ御載セニナラヌ理由ヲ承リタイト思ヒマス

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• 011・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　唯今質疑ノ郡役所廢止ノ建議案ハ、他ニモ建議案ガ澤山ア
  リマスノデ、此次ノ日程ニ載セル積リデス

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• 012・大竹貫一

  ○大竹貫一君　今日御載セ下サル順ニナッテ居ルト思ヒマス、私モ議案ハ調ベテ居リマ
  ス

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• 013・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　澤山建議案モアリマスルデ、此次ノ日程ニ載セルコトニ致シマス
  〔望月小太郞君登壇〕

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• 014・望月小太郎

  ○望月小太郞君　諸君昨年十月桑港ニ於キマシテ學童事件ノ起リマシテカラ此カタ、
  御同樣國民ガ如何ニ其胸中言フベカラザルノ苦痛ヲ忍ビマシテ、而モ條約上ニ要求ス
  ベキ其正當ノ權利モ、成ルタケ穩當ナル交涉ニ一任致シマシテ、玆ニ數箇月ノ間其經
  過ヲ注意シマシテ、吾〓ハ所謂隱忍自制以テ今日ニ至リマシタト云フ次第ハ、、啻ニ日米
  兩國五十年ノ關係ガ之ヲシテ然ラシメタト云フノミナラズ、實ハ大統領「ルーズベルト」氏
  ガ吾〓國民ニ對スル無限ノ同情ト尊敬トハ、從ッテ武士道德的ナル我等國民ヲシテ、
  本問題ノ解決ニ向ッテハ、必ズ大統領ガ直接間接日本ノ面目ヲ完ウシ、其權利ヲ尊重
  スルニ於テ、最後ニ愉快ナル斷案ガ來ルデアラウト、實ハ斯樣ニ多大ノ希望ヲ大統領竝
  ニ米國ノ公論ニ繫イデ居ッタ次第デゴザイマス、現ニ本員ガ本件ニ對スル質問ニ對シ、
  外務大臣ハ頃日左ノ如ク、、明言セラレテ居ルノデアル卽チ「亞米利加政府ガ此事ニ
  就イテ、誠意誠心ノ妥當ノ解決ヲ求メテ居ルコトハ明カニ分ッテ居リマス」云々、之三
  依ッテ見マスルモ、彼我當局者間ニ於キマシテ、此桑港事件ノ起リシ以來、何事モ打
  明ケ、所謂肝膽相照シテ隔意ナキトコロノ交渉ヲシテ居ッタト云フコトノ內情ヲ、吾ミ
  ハ確メルコトガ出來ルノデアル、然ルニ諸君、吾等ノ待設ケタルトコロノ其希望ハ、今日
  如何ナル有樣デアリマススカ、成程桑港事件其者ハ、或ル程度ニ於テ日本ノ面目ヲ完
  フスルヤウニ解決セラレテ居リマスルモノヽ本員ハ此解決ガ果シテ根本的ノモノデアルヤ否
  ヤト云フコトニ至ッテハ、尙ホ一箇ノ疑團ヲ懷クモノデアル、先ヅ此疑ヨリシテ質問ヲ致
  シマセウニ、本來學童事件ナルモノハ元〓人種的憎惡心ヨリ胚胎シタモノデアル、卽チ
  白皙人種ト云ヒ、有色人種ト云フ、此先天的歷史上ノ迷信ハ、此自由ノ天地タル
  米國ノ大陸ニ於キマシテモ、今ハ昔十數年前カラ「カリホルニヤ」州ノ其州法ノ精神トナ
  リ、御承知ノ如ク、支那人及蒙古人ノ子弟ハ云々ト云フ、州法ニ明白ナル東西人種ノ區
  別ヲ劃定シタトコロノ條件ガ、此桑港事件ノ根本タル桑港市ヲシテ終ニ〓育令ヲ發セシ
  メ此〓育令ニ依ッテ日本學童ハ蒙古人ノ子弟デアル故ニ、白皙人種ト隔離シタトコロ
  ノ學校ニ入學サセナケレバナラヌト言ッテ、退去ヲ命ジタノガ、抑〓本件ノ發端デアル、加
  フルニ米國憲法ニ於テハ、中央政府ガ他國ト條約ヲシタル、其條約權ハ各州獨立ノ
  州權ヨリ以上ノモノデアルト云フ、憲法上ノ明文ハゴザリマシテモ、此明交ヲ事實ニ
  立證シタトコロノ判決例ノ無キ結果ハ、米國中央政府ハ此事件ヲ幸ニ、終ニ桑港市ニ
  對シテ訴訟ヲ起シ、其訴訟ノ結果が幸ニ解決致シマセウガ、諸君單リ桑港問題ノミニ
  アラズ、將來日米兩國民ガ其大平洋ノ沿岸到ルトコロニ於テ起ルベキトコロノ紛擾ハ、
  今度ノ訴訟問題ノ解決ト共ニ、一切將來ノ誤解ヲ解キ得ラレマシタラウニ、遺憾ナル
  點ハ、此訴訟ハ終ニ中止ノ有樣ニ至ッタノデアル、中止ノ有樣ニナッテ、從ッテ條約權
  重キカ、地方立法ノ州權重キカト云フ議論ハ、依然トシテ定マラナイノデアル、固ヨリ
  我國ハ他國ノ內政ニ喙ヲ容ルベキ權利ノナキコトハ本員モ萬々是ハ承知致シテ居リマ
  スサリナガラ元ミ此事件ハ、我政府ト亞米利加政府ト、所謂打明ケテ交涉シタト致シ
  タ事情ヲ、御同樣ガ明ニスレバスルホド、此邊訴訟ノ中止ト共ニ、將來日米兩國民間
  ニ起ル誤解ヲ一掃スルト云フ方法ニ對シテハ確カニ彼我兩當局者ノ間ニ十分ノ「アン
  ダースタンヂング」ガナケレバナラヌ筈ト信ズルノデアル、果シテ然ラバ本員ハ一步ヲ進メテ
  此當局ノ明白ナル答辯ヲ要求セナケレバナラヌコトガアル、何トナレバ〓育令ノ撤囘、之
  ニ依ッテ訴訟ノ係爭〓タル原因ガ無クナッタト云フコトノタメニ、訴訟ガ中止セラレタル其
  〓育令ノ撤囘ハ、縱シ兩國ガ暗示ノ結果トハ云ヘ、前申シタル憲法上ノ疑義ノ定マラザ
  ル間ハ、此各州立法ノ獨立權ナルモノハ、姿ヲ變ヘ事情ニ應ジ、幾度デモ同一ナル迫
  害ヲ我等國民ニ加ヘルコトハ容易ナコトデアル、現ニ〓育令ハ撤囘シタ、サリナガラ加州
  ノ州法、其者ニ蒙古人云々ト云フ明文ガアル、而シテ此蒙古人中ニハ日本人ヲ含マヌ
  ト云フコトガ、今度ノ〓育令撤囘ニ於テ、之ヲ反證的ノ一材料トハナスコトガ出來マセ
  ウガ、併ナガラ之ヲ以テ、直ニ州法其者ニ於ケルトコロノ蒙古人云々ノ中ニハ日本人
  ヲ含マヌト云フ、積極的立證ニハナラヌト本員ハ信ズルノデアル、例ヘバ憲法ハ根デアル、
  州法ハ幹デアル、〓育令ハ枝葉デアル、其根ガ幹ヲ營養セズ、幹ナルモノガ直ニ枝葉ヲ
  發育サセルト云フコトニナッタナラバ、其一枝ヲ切リ一葉ヲ折ルトコロノ〓育令ハ幾干
  撤囘致シマシテモ、州法其者ヲ根源トシタトコロノ將來ノ行政命令ハ、必ズ出來ルト
  云フコトハ、本員ハ想像シ得ラレルノデアル、否ナ、現ニ此事件ノ起リマシタ以來、數
  日前ニ至ッテハ「カリホルニヤ」州ハ、日本人ニ向ッテトハ書イテナイガ、五年以土ノ土地所
  有權ヲ禁制スルノ法律ヲ通過シタノデアル、此法律ハ今ヤ加州ノ上院ニ〓ッテ居リマス
  ルガ、此州法其者ハ取リモ直サズ〓育令ノ一枝ハ切ッタガ、第二ノ行政命令トシテ、ヤ
  ハリ吾〓國民ニ向シテ條約上ノ權利ヲ平等ニ與ヘナイトコロノ行政命令デアルトシタナラ
  バ、此邊ニ付イテ、我當局者ハ初メカラ如何ナル交渉ヲ米國政府ニ爲シツヽアッタカ、又
  米國政府ノ之ニ對スル說明ハ如何ナルモノデアッタカト云フコトガ、本員質問ノ序論デ
  アル、併シ諸君、是レ尙可ナリデアル、若シ夫レ桑港問題解決ノ交換的條件ト致シテ、從
  來布哇又ハ南米カラ、米國ノ本土ニ轉航致シマシタル我勞働者ニ對シ、今囘米國上
  下兩院ヲ通ジテ、此勞働者拒絕條例トモ謂ッテモ差支ノナキ新法律ヲ通過シタト云フ
  ニ至ッテハ、本員ハ益〓出デヽ其疑ヲ深ウスルモノデアル、惟フニ日米兩國ノ親密ナル今
  日ノ關係ニ於キマシテ、米國政府ガ日本國民ノ耻辱トナルベキ此轉航拒絕條例ノ新
  法律ヲ發布スルニ至ッテハ、必ズ我當局者ニ向ッテ內々交渉ヲシナケレバナラヌ筈デアルノ
  デアル、サテ此交涉ノ來ッタトキニ我當局者ハ歡シデ之ニ應ジタノデアルカ、抑〓又已ヲ得
  ズシテ之ヲ默認シタト云フノデアルカ、此所ガ卽チ本員ノ質問ノ論據デアル、何トナレ
  バ我勞働者ノ米國轉航ハ過去數年間米國政府ノ默許シタルトコロノ習慣的自由デア
  ル、諸君、國際法ノ通義ニ於テ習慣ハ一ノ條約ト等シキ效力ヲ有スト云フコトノ原則ガ
  果シテ信ナラシメンカ、我國民ガ既往數年間布哇南米ヨリ米國本土ニ轉航シタトコロ
  ノ此習慣的自由ハ歐洲ノ他國民ト均シク之ヲ以テ既得權トハ、或ハ言ヒ得ナイカモ知
  レマセヌケレドモ、決シテ法律違反デナイ、ト云フコトハ明白デアル、然ルニ桑港事件ト
  云フモノハ、本來我條約上ノ確定權ヲ蹂躙セラレタ故ニ、此桑港市ノ不法行爲ニ對シ
  テ日本ガ抗議ヲ致シタノデアル、今ヤ其抗議ハ表面我國ノ體面ヲ完ウ致シタトハ云ヒナ
  ガラ、顧ミテ旣得權同樣ナル此習慣ノ自由ヲ得タトコロノ轉航禁止ノ新法律ニ對シテ
  歡ンデ應ジタカ、默シテ之ニ應ジタカハ免モ角モ、何レニシテモ交換的妥協ヲ見ルト云フ
  ニ至ッテハ、所謂一ヲ得ルタメニ十ヲ失フト云ハンヨリハ初メカラ失ウタ一ハ、實ハ我權
  利ニシテ此一ノ所有權ヲ確ムルタメニ、十ノ犠牲ヲ提出スルト云フニ至ッテハ、何トナク
  士族ノ商法、算盤ガ合ハヌト云フコトニナル、惟フニ賢明ニテ多年外交上ニ實驗アルト
  コロノ林外務大臣、竝ニ靑木大使ガ是ハ苦心經營遺算ナキノ交涉デアラウトハ本員
  厚ク之ヲ信ズルガ、果シテ遺算ナキヤ否ヤ、本員ハ現行日米通商條約ニ遡ッテ其要〓
  ヲ列擧シ之ニ要領アル答辯ヲ切望スルノデアル第一抑〓明治二十八年ノ三月ニ締
  結シ、三十二年ノ七月カラ向フ十二箇年ニ亙ッテ實施後十一箇年經過ノ後、卽チ明
  治四十三年七月ニ至ラズンバ、之ヲ改廢スルコトノ出來ナイト云フノ條項ヲ設ケテ締結
  シタル現行日米通商及航海條約ハ如何ナル精神ノ下ニ締結セラレタト云ハヾ、無論
  最惠國條款ノ大主義ニ依リ、日本國民ハ米國ニ於テ米國人ノ有スル或ル權利ハ勿論
  ノコト、歐洲人中歸化權ヲ除クノ外ノ其他ノ權利ニ付イテハ總テ國際的平等ノ地位
  ニ立ツト云フコトノ權利ヲ明記シタモノデアル、然ルニ諸君此條約ノ第一一條ノ末項ニ於
  キマシテ、一ノ規定ヲ設ケ最惠國條款ト云フ根本的主義ニ向ッテ古今未曾有ノ除外
  例ヲ設ケタノデアル、卽チ「但シ本條及前條ノ規定ハ兩締盟國ノ各邦ニ於テ商業、勞
  働者ノ移住、警察及公安ニ關シ現ニ行ハレ又將來制定セラルベキ法律、勅令、及規則
  ニハ何等ノ影響ヲ及ボスコトナシ」言換ヘレバ最惠國條款、歐洲國民ト同等ノ國際的
  地位ヲ認ムルモ、若シ夫レ勞働者ノ移住ニ至ッテハ之ヲ制限スルト云フ條約、卽チ最惠
  國條款ト云フ錦囊中ニ勞働者移住ト云フ馬糞ノ一塊ヲ包シダトコロノ屈辱的ノ條約
  デアル、諸君、此條約ハ日本ガ各國ニ向ッテノ通商條約中ニ曾テ之ナキノミナラズ、米
  國ガ其他ノ各國ト結ンダ通商條約ノ中ニ於テモ斷ジテ斯ル耻辱ノ文字ヲ存シテ居ラヌ
  ト云フコトハ、本員之ヲ明言シ得ラルヽノデアル、又外務省ノ諸君ガ言ハルヽ「ロシアン
  クロース」ト云フ日露通商條約中ニアルトコロノ但書トモ全ク別物デ、本員ノ所謂日
  米今日ノ通商條約ニ於テ見レバ、我國民ノ米國ニ於ケル國際的地位ハ、他ノ歐洲國
  民ト同一ノ待遇ヲ得ルコト能ハザルノ明交アルト一云フノハ、實ニ此忌ムベキ耻ヅベキ屈辱
  的ノ文字デアル結局再言スレバ他ノ歐洲各國民ハ最惠國條款「ブラス」移住民自由
  ト云フノニ、我等ハ最惠國條款「マイナス」移住民制限ト云フコトデアル、卽チ我國ノ勞
  働者ハ其他ノ我國民以外ノ劣等民族ニシテ、米國ノ自由ノ天地ニ於テモ我等ノ國民
  ノ受クベキ同等ノ國際的待遇ヲモ受クルコトノ出來ナイモノデアルト云フ、同胞ノタメ
  ニ一種ノ階級的制度ヲ條約ノ中ニ貽シタノハ實ニ十二年前ノ當局者デアル、諸君今
  日我國ノ國運隆々タル現狀ニ鑑ミテ、此愧ツベキ條約ヲ結ンダ事情ニ遡レバ言ハズモ
  ガナ、我等ハ此以上ノ大々的屈辱タル彼ノ治外法權ト云フ問題ガアッテ此治外法權ヲ
  撤去スルガタメニ、已ムナクモ其當時我茅屋中ニ在ル國民ノ一部タル、此忠實ナル勞
  働者ノ權利ノ一部ヲ犠牲ニ供シテマデモ、此治外法權ト云フ大屈辱ヲ掃蕩シタト云フ
  成行カラ、今尙此二條ノ末項ハ名譽アル日本國民ノ汚〓トナッテ居ル、故ニ當局者ハ
  言ハン、此條約ノ期限ノ存在スル間ハ米國ノ權利ニシテ、日本ノ移民制限ニ對シテハ日
  本ガ之ニ反抗スベキ理由ガ無イノデアル、否ナ全然日本ノ勞働者移住ハ絕對ニ禁制ス
  ルノ法律ヲ可決セラレテモ仕方ガナイ、殊ニ米國憲法第四章ニ依レバ、米國議會ハ其
  各州タルモノニ與フル憲法上ノ保障モ其領土タル布哇、比律賓「アラスカ、ポートリコ」
  等ニ向ッテハ全ク之ヲ與ヘヌデモ宜イト云フ權能ヲ有ッテ居ル、卽チ人權問題ノ如キモ陪
  審裁判制度ニ對シテ比律賓ニ於テ之ヲ執行シテ居ラヌト云フヤウナ實例ヨリシテモ、若
  シ一度米國議會ノ怒ヲ買ハンカ鎧袖觸ルヽトコロ轉航拒絕ハサテ措イテ、布哇其物ニ
  向ッテ絕對ニ我移住民ヲ林示ゼラルノ法律規則ヲ制定セラレテモ已ムヲ得ナイ、故ニ日本
  ハ此交換的條件ニ對シテ不愉快ナガラモ米國ノ交涉ニ應ジタ譯デ、別ニ施スベキ方法
  ナシト言ハレマセウ、一應尤モニ聞エルガ、サリナガラ此所ガ本員質問ノ眼目デアル、成
  程尾生ヲシテ外務大臣タラシメバ、條約ノ死文其物ヲ固守スル以外ニ於テ活動ノ手段
  ナシトモ言ハレマセウ、併シナガラ本員ヲ以テ之ヲ見マスレバ、凡ソ條約上ノ解釋ナルモ
  ノハ法律其物ノ死文ヨリハ寧ロ此死文ヲ活用スベキ生キタ國交際親疎ノ關係
  ガ最後ノ判官デアルト本員ハ信ズルノデアル、何トナレバ苟モ文明ノ度ヲ異ニシ、其國交
  際ノ親密デナイ國ニ於テハ、縱ンバ一旦訂結シタル對等條約モ直チニ之ヲ改廢セラレタ
  トコロノ實例ハ目前ノ支那ガ亞米利亞ニ於ケル移民問題デアル諸君、明治二年ニ彼
  ノ「バーリンガム」條約ト云フ米〓間ニ結ンダトコロノ移民條約ノ第五條ニハ何トアル實
  ニ天地ノ公道ニ基キタル大文字ヲ以テ、米〓兩國ノ關係ヲ公平ニ規定シテ居ル、卽チ
  「人類移住ノ先天的自由ヲ互ニ認メ、米〓國臣民人民間自由移住ヲ相互ニ默許ス」
  トノ公明正大ナル條約デアル然ルニ十一年後卽チ千八百八十年ノ移民條約ニハ如
  何ニナッタカト言ヘバ是ガ制限セラレテ卽チ「〓國臣民多數ノ移住ハ米國ノ公安ヲ害
  スト認ムルヲ以テ、米國政府ハ其移住ヲ制限スルコトヲ得」但シ全然禁止スベカラザルコ
  トヽ制限シ、更ニ十四年後卽チ千八百九十四年ニ至ッテハ、全ク移民禁止條約ヲ締
  結シタノデアル、其條文ニ依レバ第一條ニ本條約批准交換後十年間ハ、〓國勞働
  者ノ米國ニ移住スルコトヲ全然禁止セラルベシト次第ニ排斥シ、今ヤ全ク兩國ノ間ハ
  無條約ノ關係トナッタト一云フ閲歴ヲ見マシテモ、國貧弱ニシテ交偏ニ輕シ、本員ハ〓國
  ノタメニ同情一滴ノ淚ニ堪ヘヌ一人デアル、之ニ反シ兩國國交際ノ關係ガ親密ナラン
  カ、血ハ水ヨリモ濃カナリト云フ實際ハ法律ノ死文以上ニ行ハレテ居ルノデアル、其又
  移民問題デアル卽チ米國ガ伊太利及南歐羅巴ノ下等勞働者ノ移住ヲ制限スル目的
  ヲ以テ、明治三十六年ニ通過シタトコロノ移民條令ニ依リマスルト、其上陸ヲ禁止スベ
  キ條項中ニ曰ク、貧困者ニシテ公共ノ負擔トナルベキ虞アル者、又ハ他人ノ救助ニ依リ
  渡來スル者、斯ウ云フ明文ガアルガ年ニ紐育ニ上陸スル伊太利ノ百万若クハ其以上ノ
  者ニ對シ、此死文ニ付イテ今囘ノ如キ法支勵行ノ新規定ヲ設ケタト云フ實例ハ、斷ジ
  テナイノデアル、若シ又一歩ヲ退イテ死交其モノガ、日米國交際ヲ顧ミナイト云フナラバ、
  亞米利加政府ハ何故ニ三十二年來我移民ノ轉航ヲ默許シタノデアルカ、論ヨリ證據
  今囘可決シタル移民法ノ本條其モノニ依ッテ見マスレバ、米國上院ハ初メ原案ノ入國
  稅二弗ト云フモノヲ五弗ト致シ、別ニ〓育試驗法ナルモノヲ設ケテ下等移民ヲ制限
  シヤウトシタ、サリナガラ人道ト平民主義ナル衆議院ハ兩院協議ノ結果、此入國稅ヲ
  三弗ト致シ、〓育試驗ト云フ項目ヲ削リ、以テ勤勉ニシテ忠實ノ世界ノ勞働者ヲ米
  國ニ移住サセルニ於テ。容易ナル便宜ヲ啓イタト云フコトニ對シテモ、如何ニ米國ノ輿
  論ガ一視同仁ノ大義ニ於テ決シテ吝ナラザルト云フコトノ、實勢ヲ徵スルニ足ラウト思
  フ、然ルニ何事デアル、我ガ勞働者ノ轉航ノミハ俄然トシテ鐵條網ヲ設ケテ之ヲ拒絕ス
  ルニ至ッタノハ、其實人種的感情カラ來ッタ、第二條ノ末文ガ今尙餘命ヲ全ウシタ結果デ
  アル、然ルニ其第二條ノ本文ハ本來最惠國條款ノ圓滿充實ナル原則ニ衝突スベキ除
  外例トシ當時日米兩國國交際ノ關係ハ日本ヲ知ラザル米國ニ對シ、又東洋ニ孤立シタ
  ル我國ハ事情已ムヲ得ズシテ此末文ヲ挿入シタト云フ其ノ歷史ニ遡ッテ見タナラバ、今
  囘轉航拒絕法律發布ノ交涉ニ應ズルハサテ措キ尙進ンデ米國ノ輿論ヲ利用シ、其同
  情ト正義ニ訴ヘタナラバ假令期限中ハ、此屈辱的末文ヲ抹殺スルトコロノ新條約ヲ締
  結スルコトガ出來ナイマデモ、數年間死シテ枯骨ノ如キ骸骨ノ如キ一片ヨリ生氣凛然タル
  今囘ノ如キ轉航拒絕條例トモ言フベキ屈辱ヲ見ズシテ止マナカッタカト云フコトガ、本員ノ
  疑ヒデアル、有體ニ申セバ、我當局者ハ米國ト極メテ親密ナル間柄デアル以上ハ何ガ
  故ニ外交手段ニ依り少クトモ此新法ノ提出ヲ見合ハセシムル交渉ノ方法ハナカッタノデ
  アルカ、現ニ外務省ハ昨年以來布哇行移住民ニ對シテハ、布哇限リノ旅行劵ヲ
  下付シ、又米國直航ノ我ガ勞働者ニ對シテモ有スル制限ヲ設テ、米國政府ヨリ
  苦情ヲ提出セラレザル前ニ、我カラ進シデ該末文ノ眞意ヲ實際ニ應用シテ居ッタト云フ
  誠意ハ、必ズ米國政府ノ諒トスルトコロデアラウト信ズル、而カモ尙ホ米國政府ニシテ其
  意滿タズンバ、寧ロ斷ジテ此國辱タルベキ新法律、所謂世界ニ向ッテ日本ノ忠勇武烈
  ナル五千万ノ民族中ニハ一種勞働者ト云フ憫ムベキ劣等階級ノ民族ガアッテ、此民族
  ハ他ノ天地ニ於テ同一ナル待遇ヲ受クルコトガ出來ナイト云フ耻辱ノ廣告ヲナスヨリ寧
  ロ我レ自ラ進ンデ嚴重ナル移民取締法ナルモノヲ設ケ、旅行券下付ノ當時ヨリ保證人ニ
  對スル責任等ニ至ルマデ厲行致シタナラバ、故〓忘レ難キ此哀々タル可憐ノ勞働者ガ
  異日歸朝ノ曉移民取締法ニ牴觸シテマデ、親類故〓ニ煩累ヲ及ボサウトハ本員ハ信ゼ
  ヌノデアル、然ラバ卽チ此最惠國條款ヲ打破スベキ國民的屈辱ノ文字ヲ更ニ再生セシ
  メタ、今囘轉航拒絕ノ新法律ニ對シテ、我當局者ハ理ニ於テ情ニ於テ、十分米國政
  府ニ向ッテ爭フノ手段方法ハ絕無デナイト云フコトヲ本員ハ確信スルモノデアル、況ヤ此
  新法律ハ其實桑港事件以來、彼我當局者間ニ於テ極メテ誠實ニ幹旋シテ呉レタ所ノ
  米國國務卿「ルート」氏ノ提出案デアル、政府提出案ニシテ世ニ所謂「ルート」案デアッタ
  以上ハ、我當局ハ單ニ之ヲ已ムヲ得ザル結果デ條約上自然ノ成行デ如何トモ致方
  ナク、不愉快ナガ此ノ交涉ヲ承諾シタト云フ外別ニ良手段方法ヲ發見シナカッタト云フ
  ナラバ、本員ハ林外務大臣當時ノ一句卽チ其爭ヤ君子ナリト云フ言葉ヲ藉リ、我當
  局者ノ雅量ハ如何ニモ君子人ナル哉ト稱讃スルニ躊躇シナイノデアル、第二、諸君、忌
  憚ナク本員ヲシテ言ハシムレバ啻ニ此新法律ヲ提出セシメザルヤウ、已ムヲ得ズンバ我レ自
  ラ是ガ取締ヲ設ケルノミナラズ、本來ハハ桑港事件ノ發生ノ時ニ當ッテ、我國ハ何故ニ進
  ンデ此第二條末項ノ改正ヲ提起スルノ交涉ヲ開カッナカッタノデアル、抑〓條約ナルモノハ兩
  締盟國ノ合意ノ結果デアル我〓希望アリ、彼ニ意思アレバ、此改廢ハ自由デアル、而
  シテ此日本ノ當局者ハ其感ヲ同ジウシテ居ル、然ラバ米國政府ガ是ニ對シテ如何ナル
  意思ヲ持ッテ居タカト言ヘバ、本員ハ信ズル、米國政府ハ世界ニ向ッテ日本ノ希望タル
  此末項ノ改正ニ向ッテハ全然同意ヲシテ居ルノデアル、其證據ハ卽チ昨年十二月三日
  米國大統領ガ大統領ノ資格ヲ以テ其議會ニ下シタル〓書其物デアル、此〓書アレバコ
  ソ我〓國民ハ多大ノ感激ト希望トヲ繫イダ次第デアル、大統領ハ何ト言ッテ居ッタ、一
  二玆ニ例證致シタイト思フ、卽チ「一政府カ國際上ノ行動上單ニ利己ヲ基礎トスルモ
  ノハ愚昧ナル偏屈主義ノ精神ヲ暴露スルモノナリ」更ニ進ンデ「我國ニ渡來スル移住者
  ハ正義ト善意トヲ以テ之ヲ取扱ハサルヘカラス其間宗〓人種ノ異同ヲ問ハス英獨露伊ヨ
  リ來ルモノト日本ヨリ來ルモノトハ何等ノ問フヘキ所ニ非ス」進ンデ桑港事件ヲ目シテ
  「此事一國民トシテ吾人ノ名ヲ傷クルコト甚シ」ト明言シ、遂ニ日本ガ一時代ニシテ歐洲
  强國ト伍列シタル事實ト之ニ伴フ尊敬ヲ拂ハナケレバナラヌト云フコトヲ以テ、恰モ上帝
  ノ命令ノ如ク彼ハ斯ウ云ッテ居ルノデアル「余ハ英人佛人獨人露人伊人ニ對スルト同樣
  日本人ニ對シテ公正ナル取扱ヲ爲サンコトヲ請フ余ノ之ヲ請フハ人道ト文明トニ基ケル
  モノナリ云々」「日本人問題ニ就テハ余ハ余ノ爲シ得ヘキ總テヲ爲スヘク且ツ余ノ正當ニ
  使用シ得ヘキ陸海軍ノ總テノ權力ヲ行使スヘシ」諸君、神ノ外、天地萬有何ノ怖ルヽ所
  ナキ正義ト、大道ノ化權者クル「ルースベルト」大統領ガ斯ノ如ク明言シテアル以上ハ、此
  二條ノ末項改正ノ提議ニ關シテハ、必ズヤ彼我當局者間ニ十分ナル交渉內談ガナケレ
  バナラヌ苦苦アアル、若シ是ナシトセバ、ソハ又何故デアル、是アリト爲シタナラバ其結果ハ
  如何デアル、況ヤ桑港事件以來、何事モ打明ケタトコロノ圓滿ニシテ波立タザル兩國ノ
  關係上、突然トシテ大山現ハレタル如キ、此新法律ノ可決ヲ見ルト云フニ至ッテハ本員
  愈出テヽ愈〓驚カザルヲ得ナイノデアル、第三、或ハ曰ン、一旦年限ヲ規定シタ條約
  ハ、其年限中是ガ改廢ヲ爲スハ國際上ノ不德義デアルト、本員ハ斷ジテ斯ル駁論ヲ許
  サヌノデアル現ニ亞米利加ト伊太利トノ罪人引渡條約ニ付イテ、之ヲ適證スルコトガ
  出來ル卽チ一千八百六十八年米國ト伊太利ノ間ニ締結シタ罪人引渡條約ノ期限
  ハ、五年ノ繼續デ期限前六箇月ニ通告シタ、後改廢スル條件デアッタガ、事實ハ該條約
  締結ノ翌年新條約ヲ締結シタ新實例ガアル、又第二ニハ條約中ノ一項ガ兩國ノ利
  害ト衝突シタ場合ニ、之ヲ年限中ニ改廢シタ實例ガアル、卽チ是モ亞米利加ト伊太利
  トノ領事館制度ノ條約改正デアル、否ナ、當外務大臣ハ現ニ舊日英條約ハ明治三十
  五年ヨリ本年マデガ繼續期限デアル、其一箇年前ニ是ガ改廢ヲ爲スベキ契約中ノモノ
  モ、而モ三十八年九月現存セル攻守同盟ノ日英同盟ヲ締結シタノミナラズ、日本ト米
  國ニ於ケル罪人引渡條例モ、期限中ニ之ヲ改正シタト云フ幾多ノ新例ヲ見ルニ付ケ、
  本員ハ我當局ガ桑港事件ノ發生ニ際シマシテ、先ンズレバ人ヲ制ス、何ゾ百尺竿頭一
  步ヲ進メテ、此第二條ノ末項ノ改正ヲ提議シナイカト云フコトデアル、然ルニ改正提議
  ノ交渉ハ開イタ筈デアラウト確信スルガ、今囘法律可決ノ結果ヨリ見マスレバ、斯ル交涉
  ハ〓テ之ヲ開カザルノミナラズ、大統領ノ〓書ニ對シテモ、天ノ與フル所取ラズンバ禍
  却デ其身ニ及プ、今コソ新條約通過ノ將來ハ日本國民ノ身ノ仇トナッタト云フ本員ノ
  所信、若シ誤リアランカ、希クハ博學ニシテ有識ナルトコロノ當局者ハ、此〓ニ向ッテモ
  又〓ヲ垂ルヽニ吝ナラザルコトヲ切望スルノデアル、終リニ臨ンデ更ニ轉航勞働者拒絕ノ
  此新法律ニ對シ、所謂勞働者ノ範圍ニ付イテ、當局者ノ說明ヲ要求シナケレバナラヌ、
  御承知ノ如ク勞働者ニハ人夫勞働、所謂「クーリーレーポーラー」ト熟練勞働者、所謂
  「スキルトレーボーラー」ノ區別ガアル、殊ニ吾〓國民中ニハ亞米利加ニ於テ數千「エーク
  ル」ノ土地ヲ有シ、數百万圓ノ商業ヲ營ンデ居ル、是等ノ人〓ガ其親戚故舊ノ關係上ヨ
  リシテ、布哇ニ於ケル熟練勞働者ト知リ合ッテ、此勞働者ガ米國ニ來ッテ、日本國民ト
  共ニ其土地、又ハ其商業ニ從事シヤウト云フ場合ニ於テモ、米國政府ハ今囘ノ轉航
  拒絕條例ニ於テ、之ニ上陸ヲ許サヌト云フ趣意デアルカ、是ガ一箇條、又一步進ンデ
  轉航サヘモ既ニ拒絕シタル以上ハ米國本土ニ直航スル移住民ノコトニ對シテハ大統
  領ノ明言セラレテ居ルガ如ク、他ノ歐洲國民ト同一ノ取扱ヲ與ヘルト云フ、其手加減
  ニ關スル交渉ノ內情ハ如何デアルカ、要スルニ日露戰爭以後、我國運ノ勃興ハ殆ド宇
  內ノ强大國ノ中ニ伍伴致シ、其公使館ヲ上ボシテ大使館ト爲シ、古キ人形ニ新シキ衣
  裳ヲ著ケサセテマデ、國際的地位ヲ維持スルコトニ汲々タル今日、諸君、忽ニシテ此前
  世紀ノ殘物タル人種的感情ノ文字カラシテ、轉航拒絕條例ヲ見ルニ至ッテハ、本員ハ
  我國際的地位ハ幽谷ヨリ出テヽ喬木ニ移ッタト思フ間モナク、喬木ヨリ蹴落サレテ幽
  谷ニ氣絕シタト云フ痛慣ヲ懷クモノデアル、現ニ桑港事件ノ起ッタトキニ外務大臣ハ、
  段々其後ノ報告ニ依ッテ見レバ、本件ハ亞米利加政府ノ或ル都市ヲ除クノ外、米國
  ノ全體ノ人民ガ日本ニ向ッテ同情デアルト云フコトハ、益≧分ッテ來タノデゴザイマスト
  言ハレタノハ、想フニ賢明ナル靑木大使ノ報〓デゴザイマセウ、記ス曾テ遼東半島還附
  ノトキニ、時ノ靑木獨逸公使ハ、獨逸ハ決シテ之ニ干渉セズト云フ報告ヲナサレタ、諸
  君、一旦弓ニ傷ケラレタル鳥ハ再ビ弦聲ヲ聞ケバ卽起ツト云フガ如ク、此多經驗ナル靑
  木子爵ニ加フルニ、博學達識ナルトコロノ當外務大臣ガ、此新法律ノ締結ニ對シテ、寢
  耳ニ水トハ言ハレヌケレバサレバトテ妥協ノ結果、玆ニ至ッタトモ吾〓ハ思ハヌ、思慮精
  蜜、機略縱橫ナル人ミガ此結果ヲ見ルニ至ッタノハ想フニ分明說破スベカラザルトコロノ
  外交的作戰計畫ノ伏在スルモノガアッテ、所謂苦心慘憺、經營拮据ノ始末ガ玆ニ至ッ
  タコトデアラウト思フ、サリナガラ國民トシテハ條約改正以來ノ一大問題タル、否ナ、一
  大國權上ニ於ケル恥辱問題タル、此問題ニ對シテ、願クハ外務大臣ハ前囘同樣、腹
  藏ナク此席上ニ立ッテ、吾〓國民ニ明白ナル答辯ヲ與ヘラレンコトヲ切望スルト云フ、木
  員質問ノ趣旨何ゾ必シモ政府攻擊ノミナランヤ、實ハ自由ト正義ノ空氣ヲ以テ圍繞ス
  ル米國ノ本土ニ對シ、本員ノ此聲、希クハ忠實ニシテ親愛ナル日本國民、一部ノ輿論ト
  シテ、大平洋ヲ渡リ米國ニ於ケル公明正大ナル大統領ノ良心、竝ニ其健全ナル輿論ニ
  向ッテ反響センコトヲ希望スルタメデアル、敢テ諸君ノ〓願ヲ汚シマシタ
  〔外務大臣子爵林董君壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=14

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• 015・林董

  ○外務大臣(子爵林董君)　諸君、今日ハ豫算ノ大問題ガアルノデ、斯ク最モ辯舌ノ
  巧ミナル望月君ノ長イ質問ガアラウトハ思ハナカッタノデアリマスカラ、用意モ致シマセヌ
  ガ、且望月君ノ博聞强記ナル亞米利加ノ憲法ト云ヒ、法律ト云ヒ、各國ノ條約ト云フモ
  ノヲ引用ナサレテノ演說デゴザイマスカラ、私モ殆ドドノ點カラ御答シア宜イカト云フコトガ、
  記憶ニ止ッテ居リマセヌ、御質問ノ肝要ナル〓ト思フコトヲ玆ニ拜聽ノ間ニ控ヘテ置キ
  マシタ點ヲ、一々順ヲ逐ッテ御答イ申スデゴザイマス、第一ニ米國ノ大統領始メ幾千万
  ノ文明ナル人種ガ、日本ニ對シテ同情ヲ持ッテ居ル、亞米利加ト日本ノ交情ハ五十年
  以來、最モ親密ナルモノデアルト云フ望月君ノ御說ハ、私モ固ヨリ承知シテ居ルノデゴザ
  イマスカラ、今度ノ桑港ノ問題ノ如キハ、殆ド一局部ニ止ッテ居ルモノト思ッテ居リマス、
  ソレカラ此事ニ付イテハ何カ始メヨリ仕舞マデ詳細ナルコトニ付イテ、日本政府ト亞米
  利加政府ト打合セラシテ居ルヤウナ御話デゴザイマシタケレドモ、亞米利加ノ大統領又政
  府ハ無論日本ニ同情ヲ表シテ居ルモノヽ、彼モ亦一國ノ國民ヲ代表シ、一國ヲ代表シ
  テ居ル政府デアリマスカラシテ、自分ノ國民ノ意思ニ背イテ他國ノ政府ト一カラ十迄悉
  ク相談ヲスルト云フヤウナ譯ハナイノデゴザイマス、ソレカラモウ一ツハ桑港ノ法律ニ蒙古
  人トアル中ニ日本人ハ、這入ッテ居ルカ否ヤト云フコトガ確カデナイト云フコトノ御說デゴ
  ザイマシタガ、蒙古人ノ中ニ日本人ガ這入ッテ居ヤウガ這入ッテ居マイガ、ソレハ向フガ勝
  手ニ定メルコトデゴザイマスカラ、日本政府カラ交渉ヲ致ス上ニ付イテハ其事ハ眼中ニ置
  ナイノデゴザイマス、其次ハ布哇カラ轉航スル日本人ハ從來默許シテアルノダト云フ御說
  デゴザイマシタガ、是ハ大ニ御記憶ガ違ッテ居ルカト思フノデゴザイマスガ、亞米利加政
  府ハ始終勞働者ノ移住ニハ反對シテ居ッタノデゴザイマス、此事ハ追テ申上ゲルデゴザイ
  マセウ、又大統領ノ〓書ニ云々アルカラシテ、大統領ハ無論日本ト同意デアル、ソレハ從
  前カラ私モサウ思ッテ居ッタノデアリマスル、ケレドモ扨テ大統領ガ同意デアルカラト云ツ
  テ、亞米利加ノ條約改正ガ直ニ出來ナイト云フコトハ望月君モ御承知デアラウト思フノ
  デアリマス、一體此事ハ一月ノ末ニ御質問ニナリマシタトキニ、私ガ玆デ答ヘタニハ亞米利
  加政府大統領ハ最モ日本ニ同情ヲ表シテ居ル、又大部分ノ亞米利加人モ日本ニ同情
  ヲ表シテー店ルカラシテ妥協穩當ナル解釋ガ出來ルコトデアルト信ジテ居ルト申シタノデアリ
  マスガ、其時ハ-亞米利加政府ハ之ヲ裁判ニ訴ヘテ決スル積リデアッタト見エマスル、然ル
  ニ如何ナル理由ガアリマシタカ、其裁判ノ事ヲ外ニシテ他ノ手段ヲ以テ之ヲ解決スルコト
  ニナッタノデゴザイマスガ、其解決法ハ前以テ日本政府ト相談ヲシタノデハアリマセヌ、ソレ
  ハ何デアルカトニフフ、、今望月君ノ引用セラレタ日米條約ノ第二條ノ末項ニ依ッテ條約
  上ノ權利ヲ以テ、之ヲ解釋シタト云フコトニナルノデアリマス、無論日本人トシテハン心ニ
  快カラザルトコロハアリマスケレドモ、彼ノ說明ニ依リマスルト、學校問題或ハ料理屋ヲ「ポ
  イコット」スルト云フ問題、日本人ヲ途中デ攻擊スル事件ナドハ皆枝葉デ、實ハ移民勞
  働者ノ移住ガ多イカラシテ、斯ノ如クニナッテ來タノデゴザイマス、故ニ此勞働者ノ移住ス
  ルコトヲ止ムレバ、此枝葉ノコトモ根ガ枯レヽバ、自然無クナル理窟デアルカラ、已ムヲ得ズ
  布哇ヨリ轉航者ヲ制限シタノデアルト云フコトハアトカラ出タ說明デゴザイマスケレドモ、
  前以テ相談シタノデハアリマセヌ、ソレカラ靑木大使ノ通信ガ間違フテ居ルカラ云々ト云
  フヤウナ御說デゴザイマシタケレドモ、決シテ外務省ヘ靑木大使ガ間違ヲタ通信ヲ寄越シ
  タト云フコトモ承知致サヌノデゴザイマスルシ、又外務省ハ啻ニ靑木大使ノ通信バカリニ
  依ッデ事ヲ處置スルノデハアリマセヌカラ、是モ何カノ【誤聞デアラウト思ヒマス、扨テ亞米
  利加ガ此條約權ヲ以テ移民ヲ制限スルト云フ元ヲ御話致シマスルト、唯今ノ日米條約
  ハ明治二十八年ノ八月ノ調印デアリマスルガ、其前ニ英吉利ヲ始メトシテ各國ノ條約
  改正ハナリ掛ッテ居ッタノデゴザイマス、其條約改正ト申スモノハ我國ノ人民ガ明治初年
  ヨリ熱心ニ望ンデ居リマシタ、彼ノ治外法權ヲ廢止スルト云フトコロノ條約大事業デアッ
  タノデゴザイマス、各國トモ之ヲ讓ッタノデゴザイマスケレドモ、亞米利加ニ至ッテハ其當時
  日本ノ勞働者ガ追〓ニアスコニ入込ムコトガ多クナッテ、之ヲ制限シタイト思ッテ居ル途
  中デアリマシタ故ニ、此第一一條ノ末項ニ勞働者入國ノ制限ニ關シテノ權力ヲ得マセヌデ
  ハ此條約ハ迚モ元老院ヲ經過スルコトガ出來ナイ、從ッテ批准ハムヅカシイ、條約ハ出
  來ナイコトニナル、果シテ然ラバ切角希望シテ稍〓成立ッテ居ルトコロノ條約改正モ或
  功ヲ一簣ニ屬クト云フ憾ガアリマスカラ、當時ノ當局者ハ已ムヲ得ズ之ヲ入レルコトニ承
  諸致シタノデアリマス、爾來外務ノ大臣ノ職ニ就カレマシタモノハ政界ノ泰斗ト仰ガルヽ大
  政治家ガ此職ニ就カレテ以來、不肖本官ニ至リマスル迄、數人ノ外務大臣ハ交迭シテ
  居ッタノデゴザイマスガ、ドノ大臣モ已ムヲ得ズ初メ仕來ッタトコロノ方針ニ依ッテ此事ヲ
  處置シ來ッタノデアリマス、此仕來ッタ方法ハ如何ト云フニ、若シ亞米利加ガ條約上ノ
  權利ヲ施行シテ、法律ヲ以テ日本ノ移住民ヲ制限スルヤウニナッテハ、條約上已ムヲ得
  ナイコトデハアルケレドモ、併シ體面上ニ於テハ甚ダ面白クナイ、日本人ノ感情ヲ害スル
  コトモ蓋シ少ナカラヌ譯デアルカラシテ、何トカシテ之ヲ處辨シナケレバナラヌト云フ考ヲ
  持ッタノデアリマス、是ハ唯今望月君ノ辯ゼラレマス通デ、其趣意ニ依ッテ方針ヲ立テラ
  レタノハ、亞米利加ヘ行クハ勞働者ノ中デ許サルベキモノヽ種類ヲ限ッテ、之ニハ亞米利
  加ヘ往ク直航スルノ免狀ヲ與ヘ來ッタノデアリマス、ソレハ明治二十九年ニ制定ニナリマ
  シタトコロノ移民保護法ニ依ッテ外務大臣ニ委任セラレタ權力ニ依ッテ、、其規則ヲ設ケ
  タノデゴザイマスガ、勞働者ガ直ニ亞米利加ニ行クコトハ許サナカッタノデゴザイマス然ル
  ニ三十一年布哇合併ノ後ハ布哇モ亞米利加ノ一部分トナッタニ依ッテ、アスコニ這入ッ
  タ者ハ亞米利加ノ內地カラ内地ヘ旅行スルノハ自由デアルト云フ亞米利加ノ法律ニ
  從ッテヤルコトデアルカラ、自由デアルト云フコトデ、轉航者ガ多クナッテ參リマシタガ、是モ
  亞米利加政府ノ注意ト種々ノ間接ノ手段ヲ以テ、餘リ多クハ亞米利加ヘハ這入ラナ
  カッタノデアリマスカラ、多少ノ異論ハアリマシタケレドモ、ソレハ其儘ニ行ハレテ居ッテ、決
  シテ亞米利加デハ之ヲ默許シタト云フ譯合デハナカッタノデアリマスルガ、昨年桑港ニ於
  テ慘憺タル天災ノアリマシタ以來、彼ノ地ノ勞働ノ需要ハ頓ニ殖エタノデアリマス之
  ニ依ッテ布哇カラシテ布哇在住ノ日本人ハ追〓轉航スルヤウニナッタノデアリマスガ、其事
  ヲ聞イテ日本ノ本國カラモ亞米利加ニ直ニ往ク免狀ハ得ラレナイガ、布哇ニ行ク免狀ヲ
  取ッテ往キサヘスレバ亞米利加ニ往タニハ勝手ダト言ッテ、布哇ニ往クノ免狀ヲ持ッテ、アノ
  島ヲ蹈臺トシテ亞米利加ヘ往ク者ガ、益〓多クナッタンデアリマスカラ、昨年ノ三四月頃
  ニナッテハ餘リ多ク轉航人ガ往クカラ、旅行免狀下附ヲ一度止メタコトモアッタンデアリマ
  スガ、遂ニ防グコトガ出來ナクテ、昨年一万有餘-一万何千人ノ轉航者ガ亞米利
  加ヘ往クコトニナッタ、ソレニ基イテ勞働ノ競爭カラシテ、アスコノ下等ノ勞働社會ハ大
  災害ニ依クテ「デモラライズ」シテ秩序ノ亂レテ居ルトキニ乗ジテ、大ニ排日運動ヲ盛ンニ
  始メタノデ、學校問題トシテ現ハレ、或ハ料理屋「ポイコツト」シテ樣ミニナッテ現ハレ、此
  度ハ已ムヲ得ズ亞米利加政府ヲシテ此條約權ヲ使用シテ轉航者ヲ止メルヤウナコトニナツ
  タノデスカラ、元ハ日本人ノ布哇ヨリ亞米利加ヘ轉航スルコトハ、我政府ハ國ノタメニ
  望マナカッタコトデアリマスケレドモ、之ヲ實際止メ得ルコトガ出來ナクテ、遺憾ナガラ彼ヲ
  シテ法律ヲ立テヽ我轉航人ヲ止メルヤウナ有樣ニナッタノデアリマスガ、此事ニ於テハ當
  局者ノ等閑デアルカ、過チデアルカ、抑〓亦外ニ此責ニ任ズル者ガアルカナイカ、公平ナル
  諸君ノ判定ニ御任セシタイト思フノデス、次ニ不都合ナル條約ハ期限內ニ廢棄スルコト
  ノ例ハ幾ラモアルト云フ御說デアリマスガ、是モ例ハアリマスガ、片ミノ都合ニ依シテ廢棄
  スルト云フ例ハ殆ドナイト思フノデアリマス(笑聲起ル)固ヨリ合意ノ上デナケレバ廢棄ス
  ルコトハナラヌ、ソレデ唯今勞働者ノ轉航ヲ止メルコトヲ以テ必要トシテ居ル亞米利加ニ
  向ッテ、此談判ヲ始メタカラト申シテモ、其合意ヲ得ラレルカ、得ラレナイカト云フコトハ
  大〓推測シテ私ハ出來ナイコトヽ信ズル、謂ハヾ借財返濟ノ期限ニ到ツテ取立ニ熱中シ
  テ居ル債主ニ向ッテ其借財ノ期限ヲ談判スルノト均シキコトデハナイカト思フノデアリマス
  カラ、將來ニ向シテノ交渉ハ暫ク今マデノトコロデハ、ナカ〓〓條約ノ改正ナドハ申出ヅ
  ルコトモ出來ナカッタテゴザイマス、又其外ニ是ハ望月君ノ御說デハアリマセヌガ、仄ニ聞
  クトコロニ據リマスルト、我日米條約ノ第二條ノ末項ハ亞米利加ニ這入ルトキノ制限デ
  アッテ一度這入ッタ以上ハ一時間デモ二時間デモ或ハ一週間デモ、アスコニ這入ッタ以
  上ハ、最早亞米利加ノ內地デアリマスカラ、一部ヨリ他部ヘ轉航スルコトハ勝手デアル
  ト云フ說モアルヤウニ聞キマスケレドモ是ハ一ツノ法律問題トシテ、一箇ノ論題トシテハ
  宜イカモ知レマセヌケレドモ、實際ニ於テハ是ヨリ多クヲ留メル權利ノアル亞米利加政府
  ニ向ヲテ、其權利以下ノコトニ付イテ論ジテモ、格別ノ效能ハナイカト思フノデ、譬ヘテ
  言ヘバ是マデ布哇カラ亞米利加ヘ轉航ヲヤカマシク言フナラバ、條約ノ權利ヲ持ッテ居
  ルコトデアルカラ、布哇ニ往クコトグルミ禁ジヤウカト一云フ說モナイトハ言ヘナイ、若シ其時
  ニ到ッタラバ、如何ナル影響ヲ日本ニ及ポシマセウカ、私ハ甚ダ寒心ニ思フ、寧ロ默ッテ居ツ
  タ方ガ宜イカト思フ、偖テ四五日前カラ噂ノアリマス布哇渡航人ヲ制限シマス上ニモ、
  尙排日熱ハ盛ンデアッテ、樣ミニ日本人ヲ害迫スル如キ擧動ガ、桑港人民中ニ現ハレテ
  居ルコトヲ聞キマシタガ、是ハ公報ノアッタ譯デモナク、唯新聞紙上デ見ル話デアリマスカ
  ラ、若シ是ガ本當デアッタラ兩國ノ感情ハ益〓惡シクナッテ、其結果タルヤ、百損アッテ、
  一得モナイコトニナルカモ知レヌト云フ虞ハアリマスケレドモ、亞米利加大統領ノ英邁ナ
  ルコト公明正大ナルコト、亞米利加多數人民ノ文明ナル思想ヲ持ッテ居ルコトトニ依ツ
  テ、サマデノ禍ヲ兩國ノ間ニ惹起スヤウナコトハナイダラウト云フコトハ、私ハ信ジテ居リマ
  ス、且願フコトデアリマスガ、日本ニ於テモ此騒ヲ大キクシテ、殆ド火ヲ附ケルヨリハ兩國
  ノ間柄トシテ、成ルベク靜ニ纏メルコトヲ願ウノデアリマス
  (「ヒヤ〓〓」「謹聽」ト呼フ者アリ〕

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• 016・日向輝武

  ○日向輝武君　チヨット外務大臣ニ質問スル、唯今アナタノ御說明ハ大變詳シク長々
  シウゴザイマシタケレドモ、要領ヲ得テ居ラヌ、質問者モ答辯者モ大分時間ヲ費シテ居リ
  マスガ、要〓ハ五分カ六分デ足リル問題デアラウト思フ、卽チ米國政府ハ日本人ナルガ
  故ニ入國ヲサセナイ、唯法交ハ巧ニ飾ッテ居リマスケレドモ、精神ハ確ニ日本人ヲ排斥ス
  ルモノデアル、故ニ歐羅巴ノ各國人ハ何故ニ日本人ガ之ニ向シテ默ッテ居ルダラウカト云
  ウテフハ思議ニ思ッテ居ル電報ハ、外務大臣モ御承知ダラウト信ジマス、ソコデ此問題ノ
  骨子ハ此日本人排斥ハ帝國政府トヽ華盛頓政府トノ間ニ十分打合ヲシテ、而シテ斯
  ウ云フ成案ヲ拵ヘタモノデハナイカ、若シサウ云フ打合ヲシタモノデナイナラバ、何故ニ帝國
  政府ハ布哇限リト云フ旅劵ヲ書イテ居ル、今度ノ合衆國ノ法律ノ改正ハ米國領土內
  ノ島限リ比律賓、布哇、或ハ「ポートリコ」或ハ「パナマ」海峽地帶限リト云フ旅行免狀
  ヲ携ヘテ來タ者ハ勿論、外ノ國ニ宛テタモノハ無論デアリマスガ、米國ニ渡航シマスルニ
  米國領土內ノ一部分「アラスカ」トカ、或ハ桑港トカ、或ハ紐育トカ、若クハ布哇限リト
  カ云フヤウナ旅券ヲ出ス、政府ハ世界ニ國ハ澤山アリマスケレドモ、日本政府ヨリ獨リシ
  カナイ故ニ、日本人民ガ携ヘル旅劵ノ裏書ガ、單ニ合衆國ニ旅行スルト云フ文字デアリ
  マスレバ、今度米國デ改正シタトコロノ移民法ハ全ク無效ニナルノデアリマスカラ、此前
  ハ日本政府ハ旅券ノ裏書ヲ斯ウスル、若クハ是カラ先キモ布哇限リト云フコトヲ書クナ
  ラ、アナタノ方デハ布哇限リト云フ旅券ヲ持ッテ來タ者ハ、アナタノ方デハ米國大統領ニ
  委スルト云フコトニナサッテハ如何デアルカト云フヤウナ具合ニ、外交上ノ御交涉ハアッタ
  ノデアルカ、ナカッタノデアルカ、ソレヲ第一ニ明言シテ戴キタイ、ソレカラ大變ニ日本人民
  ガ亞米利加ヘ這入ルト云フコトデゴザイマスガ、紐育ノ方カラ這入ルノハ百万人モ這入ッ
  テ居ル、百万人以上モ這入ッテ居ル、日本カラ參リマスノハ昨年ハ一万二千人、ソレデ
  一万二千人ニ對スルト云フモノヲ非常ニヤカマシク制限ヲシテ、其十倍ニモ達スル歐羅
  巴ノ方カラ這入ッテ來ル勞働者ニ對シテハ何等ノ制限モナイト云フノハ、是ハ日本人ヲ
  確カニ劣等ノ國民トシテ取扱ッテ排斥スルト云フコトデハナイカ、之ニ對スル外交上ドウ
  云フ手段ヲ執ルノデアルカ、若シ日本人ニ對シテ絕對ニイカヌト云フナラバ何故全然
  拒絕シナイノカ、此點ハドウ云フ考デ、ドウ云フ方針デアルカ、誠ニ曖昧デアッテ、一向分ッテ
  居ラヌ又出スナラバドン〓〓出スガ宜イ、、布哇ニ限ル旅券ヲ持ッテ行クカラ、斯ウ云フ曖昧
  ナコトガ起ヲテ來ルト私共ハ考ヘルノデアリマス、要領ハ此〓ダケデアルガ、序ナガラ伺ッテ
  置キマスルガ、先達アナタガ演壇ニ御立チニナッテ、大變講釋ヲナスッタ其時ノ御話ニ學
  童問題ハ直ニ解決スルト仰ッシヤイマシタガ、餘リ米國大統領「ルーズベルド」ノミヲ賴リニ
  シン、ソレノミ御賴リニナルト云フト、屢〓斯ウ云フ失態ヲ來シハシナイカト云フ、現ニ學童
  問題モ一向解決ヲシテ居ラヌ、私ノ疑問ハ御打合セガシテアリマセヌカラ、多少御迷惑
  カモ知レマセヌガ、此〓ヲ明瞭ニ御答辯ヲ願ヒマス
  〔拍手スル者アリ〕

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• 017・林董

  ○外務大臣(子爵林董君)　私ノ答辯ハ要領ヲ得ナイト云フ御說デゴザイマシタケレド
  モ、私ノ答辯ハ望月君ノ質問ニ對スル答辯デ、アナタノ質問ト少シ筋ガ違ッテ居ルカラ、
  御分リ難ウゴザイマシタラウ、私ハ露骨ニ御話ヲ申シマセウ、長イノハト云フ何デゴザイマ
  スカラ、露骨ニ極ク短ク申シマセウガ、何故亞米利加ニ行クタメニハ旅行券ヲ出サズ、布
  哇バカリニ限ッタト仰ッヤルガ、先刻望月君ノ質問ニ答ヘタ通リ、初メカラ亞米利加ニ行
  クコトヲ許ス旅行免狀ヲ出セバ直チニ條約ノ權利ヲ以テ制限ヲセラレル不面目ガアル
  カラ、亞米利加ヘ行クコトハ勞働ノ種類ヲ擇ンデ許スノデアルト云フコトヲ望月君ニ御
  答シタツレカラ東カラ這入ッテ來ル移民ノ數ハ百万人アルト仰ッシヤイマスノハ是ハ皆歐
  羅巴ヲ一括シテ向フハ向フデ制限ヲ立ッテ居ルノデアリマス、此方デハ此方デ立ッタノデ、
  アラウト思ヒマスガ、是ハ條約ニ許シテアル權利デアリマスレバ、是ハ其條約ヲ結ンダトキニ
  定マッタルコトデ、今更致方ハナイノデアリマスルガ、望月君ノ言ハレタ通リ、條約ヲ改正
  シナケレバイケヌコトデアル今ノトコロデハ仕方ガナイ、ソレカラモウ一ツハ何デゴザイマシタ

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• 018・日向輝武

  ○日向輝武君　今言ッタコトデ...

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• 019・林董

  ○外務大臣(子爵林董君)　御聞ヲナサラヌノニ答辯スルモ諸ラヌト云フ話デスナ····

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• 020・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君　日程ニ移ラレンコトヲ望ミマス

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• 021・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　日程第一、明治四十年度歲入歲出總豫算案、貴族院囘付
  ヲ議題トシマス
  第明治四十年度歲入歲出總豫算案(貴族院囘付)
  明治四十年度歲入歳出總豫算案(小字及-ハ貴族院修正)
  貴族院囘付ノ箇所左ノ如シ
  五一頁
  豫算
  歲入總額ヲ六億六百九拾參萬七千七百五拾五圓歲出總額ヲ六億
  第一條明治四十年度歳入歲出總額ヲ各六億七百參拾九萬參千百拾八
  六百九拾貳萬參千四百五拾九圓
  圓ト定ム其款項ノ金額ハ別册甲號歲入豫算歲出豫算ニ據ルヘシ
  甲號
  歲入經常部
  五四頁
  壹億貳千六百四拾七萬百拾九圖
  第三款官業及官有財產收入金壹億貳千六百九拾貳萬五千四百八拾貳圓
  七百五拾五萬九千九百參拾九圓
  第二項森林收入金八百壹萬五千參百貳圓
  五七頁
  四億貳千參百九拾九萬千八百五拾八圓
  歳入經常部合計金四億貳千四百四拾四萬七千貳百貳拾壹圓
  六〇頁
  六億六百九拾參萬七千七百五拾五圓
  歲入總計金六億七百參拾九萬參千百拾八圓
  歲出臨時部
  內務省所管
  一一八頁
  貳百貳拾四萬七百六拾圓
  第七款北海道拓殖費金貳百五拾四萬八千七百六拾圓
  一一九頁
  第八項釧路及留萠築港費金參拾萬八千圓
  拾九萬千百八拾參圓
  第八款北海道森林費金參拾五萬貳千八百四拾貳圓
  參萬四千八百九圓
  第一項俸給及諸給金五萬六千四百八十壹圓
  壹萬七拾六圓
  第二項廳費金壹萬七千七百拾五圓
  四萬參千四百貳拾圓
  第五項旅費金五萬八千四百六拾圓
  四萬七千八百五拾六圓
  第六項雜給及雜費金五萬參千貳百參拾七圓
  一二〇頁
  五萬千參拾貳圓
  第七項事業費金拾貳萬九千六百參拾九圓
  第九項營繕費金參萬參千參百貳拾圓
  一二一頁
  千貮百拾六萬四千九百參拾六圓
  內務省所管合計金千貳百六拾參萬四千五百九拾五圓
  一四二頁
  壹億九千八百七拾六萬九千貳百九十六圓
  歲田陸時部合計金辱億九千九百、拾拾參高八千九百五拾五圓
  六億六百九拾貳萬參千四百五十九圓
  歲出總計金六億七百參拾九萬參千百拾八圓
  乙號
  一五五頁
  第五全部削除
  第六ヲ第五トシ第七以下順次繰上ク
  〔大藏大臣法學博士阪谷芳郞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=21

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• 022・阪谷芳郎

  ○大藏大臣(法學博士阪谷芳郞君)　此場合四十年度ノ豫算ニ付キマシテ、貴族院
  ノ修正ニ對スル政府ノ意見ヲ開陳致シテ置キタイト考ヘマス、此修正ハ御承知ノ通ニ、
  北海道ニ對スル財政計畫ノ一部ニ付キマシテ、山林經營竝ニ釧路留萠築港經營ニ於
  テ、貴族院ガ政府ノ案ヲ削除致シタノデゴザイマス、此事ニ付キマシテハ十分ニ政府ハ
  貴族院ニ於キマシテ、原案ノ趣意ヲ論議致シタノデゴザイマスルガ、不幸ニ致シマシテ貴
  族院ノ同意ヲ得ルコトガ出來ズシテ、此方ヘ囘附ニナリマシタノデゴザイマス、此場合政
  府ハ豫算ノ成立ヲ以テ大切ト考ヘマスル故ニ、大局ニ鑑ミマシテ貴族院ノ修正ニ同意
  致シタイト云フ意見デゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=22

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• 023・加瀬禧逸

  ○加瀨禧逸君　質問ガアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=23

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• 024・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　質問デスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=24

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• 025・加瀬禧逸

  ○加瀨禧逸君　質問デス唯今大藏大臣ノ說明ニ依リマシテ、此貴族院カラ囘附致
  サレマシタトコロノ修正案ニ對シテ、同意ヲ表スベキヤ否ヤノ議事ヲ開カルヽ場合デゴザイ
  マスカラシテ、私ハ大藏大臣ノ唯今ノ如キ短イ言葉ヲ以テ滿足スルコトガ出來得マセヌ
  ガ故ニ、此際政府ノ所信、殊ニ原內務大臣ノ所信ヲ尋ネタイ、此貴族院ノ修正ニ依リ
  マスレバ、唯今大藏大臣ヨリ述ベラレマシタ北海道ノ經營ヲ削除セラレテ居ル、殊ニ最モ
  豫算委員會等ニ於キマシテ全力ヲ注イデ維持セラレタルトコロノ釧路及留萠ノ築港ヲ
  全然削除セラルヽト云フ憐ムベキ狀態ニ立至ッタノデアル、此場合ニ於テ大藏大臣ハ
  已ムナク同意ヲスルト仰セラルヽノデアリマスルガ、此同意ト云フモノハ已ムヲ得ヌカラ
  泣ク〓〓同意ヲスルト云フ意味デアルカ或ハ貴族院ニ於テ修正シタモノニ同意シテ、更
  ニ、衆議院ニ向ッテ先キノ主張ヲ撤囘シテ、今同意スルト明言セラルヽノハ、此衆議院ヲ與
  シ易シト侮ラルヽノデアルカ、私ハ此問題ハ政府ノ威信ニ關係致シマスルノミナラズ、延イテ
  原君ノ面目ニ大關係ヲ有チマスル問題デゴザイマスカラ、極メテ重要ノ案件ト信ジテ此
  質問ヲ致スノデアリマス、政府ハ先ニ衆議院ニ臨ンダルトコロノ態度ヲ一變致シマシテ、
  今日貴族院ノ修正ニ盲從スルトコロノ言葉ヲ述ベラルヽトコロノ心機一轉ノ何カ詳シイ
  事情ガアルナラバ、堂々ト此處ニ辯明セラレンヲ望ミマス
  (「質問々々」ト呼フ者アリ「拍手スル者アリ」望月長夫君「答辯ノ言葉ガナイ」
  ト呼ヒ、加瀨禧逸君「窮シタリト謂フベシ」ト呼フ〕

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• 026・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　小河源一君
  〔小河源一君登壇〕

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• 027・小河源一

  ○小河源一君　諸君、私ハ貴族院ニ於ケル豫算ノ修正ニ對シマシテハ、國運ノ發展ノ
  阻害ヲ避ケマスルガタメニ、之ニ同意ヲ表スル者デゴザイマス、卽チ今日ノ本議ニ於テ貴
  族院ノ修正通ニ議決セラレンコトヲ希望致ス者デゴザイマス、全體吾ミハ戰後經營ト
  致シマシテ、積極方針ヲ執リ、國家將來ノ發展ヲ希望スルト云フコトハ滿場ノ希望デアッ
  タノデゴザイマス、ソレ故ニ六億一千万圓ト云フ多額ノ豫算ニ對シマシテ寸毫ノ削除ヲ
  致サズシテ、全部之ヲ可決致シマシタコトハ若シ財力ノ伴フアリマスルナラバ、尙此六億
  一千万圓ハ吾〓ノ滿足スルトコロデナカッタノデアル、如何セン國家財政ノ都合ニ於キマ
  シン、是以上ノ事ヲ爲シ得ラレザルコトヲ政府ニ於テモ認メ、吾ミモ之ヲ認メタルガ故ニ
  此六億一千万圓ト云フモノヲ可決致シマシタノデアル、尙留萠釧路ノ築港及北海道ノ
  森林經營等ニ於キマシテモ、種々ナル調査ヲ致シテ、是ハ可決スルヲ相當ナリト信ジテ、
  可決致シタノデアリマスルガ故ニ、吾〓ニ於キマシテモ、今日此意思、此主義ノ變更アル
  ベキ筈ハナイノデゴザイマス、然ルニ貴族院ニ於テ之ニ修正ヲ加ヘマシタルコトハ、甚ダ吾ミ
  ハ貴族院ノタメニ遺憾トスルトコロデアル、又國家ノタメニ遺憾トスルトコロデゴザイマ
  ス元來戰後經營ト致シマシテ、始メテ事ヲ爲スノ年ハ是レ以後ニアルノ
  デゴザイマス、此時ニ當リマシテ戰後經營ノ事業ト致シテ、國家ノ發展ヲ望ム上ニ於キマ
  シテハ、相成ルベキ限リハ、舉國一致ヲ以テ事ニ當ルベキハ、唯今ノ狀勢ニ照シテ明ナル
  トコロデゴザイマス、故ニ世ノ中ニハ一厘一毛ノ削除ヲモナサズト、非難ヲナスモノガア
  リマスルガ、勿論六億一千万ノ總豫算ヨリ、强テ削ラント欲スルナラバ一厘一毛ノ極
  端ノ金錢ヲ削リ得ナイコトハナイノデアル、併ナガラ斯樣ナルコトヲ致シマスルノハ、是ガ果
  シテ國家ノ利益トナルカ、決シテ吾〓ハ國家ノ利益トナラヌト云フコトヲ信ジマシテ此
  相當ナリト認メマスルトコロノ豫算ヲ可決ヲ致シタノデアル、既ニ衆議院ニ於テ此赤誠ヲ
  以テ可決致シタルトコロノ豫算デアリマスルガ故ニ、擧國一致ト云フコトヲ、相成ルベク
  尊ブベキモノデアルト、貴族院ニ於テ信ジマスルナラバ、貴族院モ宜シク此先議權ヲ持ッテ
  居ルトコロノ衆議院ノ議事ヲ重ンズルト云フ〓ニ於テ、又貴族院ニ於テモ先ニ留萠鐵
  道ノトキニモ、此港灣ト伴ハナイ鐵道ノミヲ議スルコトハ出來ナイト述ベラレテ、又留萠
  鐵道ノ如キモ、相當ノ事業トシテ起サナケレバナラヌト云フコトヲ認メテ居ルノデゴザイマ
  スカラシテ、今日ニ於テ同意ヲ與ヘ、卽チ衆議院ノ議決ニ同意ヲ與フベキコトハ、貴族
  院ノ態度トシテ相當ナルベキコトヽ吾〓ハ信ジテ居ッタノデアル、然ルニ若シ此六項ノ削除
  ヲ併セマスルトモ四十万圓餘ニ過ギナイ、卽チ六億一千万圓ト云フ大數ノ上カラ見マス
  レバ、所謂九牛ノ一毛デアル、是ダケノモノヲ削除致シテ、此削除ノ結果ヲ之ヲ將來ニ
  顧ミマシタナラバ如何ナル危險ガゴザイマセウ、固ヨリ此削除ハ必ズ僅ナコトデアルカラ
  シテ、總豫算ノ不成立ト云フコトハ、衆議院ニ於テナスノ勇氣ハアルマイ、不成立ト云フ
  コトハナサヌデアラウカラ、宜シイト云フコトヲ賴ミマスルナラバ卒ザ知ラズ、若シ事罷違ツ
  テ、此協商ガ調ハヌト云フトキニハ、六億一千万圓ト云フ豫算ハ總潰レトナッテ、國家
  將來ノ發展ハ何事モナスコトガ出來ナイト云フ危險ニ迫ルノデアル、此危險ヲモ顧ミラレ
  ズ、此ノ如キ貴族院ガ態度ニ出ラレマシタコトハ貴族院ノタメニ甚ダ惜ムノデアル、何
  故ニ斯ル事柄ニ及ンダカト云フコトヲ想到レバ、吾ミハ甚ダ之ニ疑問ガアルノデアル、承
  ハルトコロニ依リマスレバ、郡制廢止案ニ付イテ、忌憚ナク操縱ヲナシタトコロノ原內務
  大臣ニ一矢ヲ加フルノ意思ヲ以テ、此ノ如キコトニ及ンダト云フコトハ、多數ノ意向デア
  ルト云フコトヲ仄ニ承ッテ居リマス、果シテサウデアルト致シマスレバ、原內務大臣ヲ攻擊ス
  ルコトノ圓轉巧妙ナルコトニハ感服ヲ致シマスルガ、併ナガラ國家ノ大事ヲ賭シテマデ、此
  ノ如キ態度ニ出ルト云フコトハ愼ムベキコトデハアルマイカト私ハ信ズルノデアリマス、ソレ
  故ニ-斯樣ナ次第デアリマスルガ故ニ、吾〓ノ意見ヲ恣ニセシムルナラバ、又衆議院ノ議
  事ヲ重ンズルト云フコトヲ專ラニ致サセマスルナラバ、無論此貴族院ノ議事ニ對シマシテハ、
  吾〓ハ直ニ反對ヲ致サナケレバナラヌノデアル、併ナガラ此國家ノ發展ニ阻礙ヲ來ス大事
  ヲ控ヘテ居リマスル以上ハ、區々タル感情政略其他ノコトハ總テ犠牲ニ供シテモ、此六
  億一千万圓ト云フ豫算ハ成立サセナケレバナラヌト云フ、國家ニ對スルトコロノ赤誠ノア
  ルモノハ決シテ貴族院ト是ヨリ更ニ爭ヒ、或ハ協議會ヲ開イテ、若シ協議會破ルヽノ
  トキハ此豫算ノ不成立トナルト云フガ如キ、大事ヲ賭シテマデ爭フベキコトデナイト思ヒマ
  ス、故ニ吾ミハ貴族院ノ議事ニハ滿足ハ致シマセヌケレドモ、大事ニ鑑ミマシテ此際之ヲ
  贊成シテ、更ニ協議會ヲ開クト云フヤウナ危險ヲ取避ケルコトヲ希望致シマスルガ故ニ、
  唯今本議ニ於テ之ヲ可決スルガ相當デアラウト考ヘマス、國家ノタメニ此豫算ノ成立ス
  ルコトハ、我將來ノ實力、卽チ軍事、財政、總テノ上ニ如何ニ發展ヲ阻礙スルカト云フ
  コトヲ熟知セラレルトコロノ諸君、卽チ國家ヲ憂フルコトニ熱心ナルトコロノ諸君ハ必ズ
  之ニ異議ヲ挾ムベキコトハナイデアラウト考ヘマスガ故ニ、私ハ本案ハ直ニ本議ニ於テ通
  過セラレンコトヲ希望致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=27

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• 028・橋本久太郎

  ○橋本久太郞君　反對ノ演說ヲ致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=28

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• 029・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　通告ガアリマス-反對デスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=29

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• 030・橋本久太郎

  ○橋本久太郞君　反對デス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=30

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• 031・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　橋本久太郞君
  〔橋本久太郞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=31

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• 032・橋本久太郎

  ○橋本久太郞君　私ハ貴族院ノ修正ニ反對ヲシテ、之ヲ否決セント思ヒマスル一人デ
  ゴザイマス、貴族院ノ修正ニ付イテ、私ハ貴族院ノ議事ノ傍聽ヲシマシテ、又速記錄ヲ
  見マシタガ、如何ニモ之ヲ修正シタトコロノ理由ノ薄弱ナルニ驚キマシタ、又中ニハ少々誤
  解ヲセラレテ居ル〓モナイカ知ラヌト考ヘル位ノコトデゴザイマス、ソレ故ニ私ハ唯今此所
  ニ於テ、貴族院ノ修正ニ對シテ之ヲ否決シテ、而シテ不同意デゴザイマス、否決ヲシマシ
  テ更ニ兩院ノ協議會ニ移シテ、貴族院ノ反省ヲ求メタラ相當デアラウト私ハ考ヘマス、唯
  今小河君ハ貴族院ノ修正ニ同意セズンバ、直ニ豫算不成立ニナルヤウニ稱ヘマスルガ、
  是ガ抑く私ガ大ニ不同意ヲ稱ヘル點デアリマス、此豫算ヲ不成立ニシマシタナラバ、實ニ
  國家ノタメニ非常ナル不利益ニナルコトハ、私モ小河君ト同感デアリマスケレドモ、想フニ
  貴族院ニ於テモ、國家ノ大勢ニ鑑ミラレテ、豫算ヲ成立サスルト云フ考ノアルコトハ、衆議
  院ニ讓ルマイト私ハ考ヘル、唯此所ニ於テ貴族院ノ修正ニ盲從セズンバ、直ニ豫算ガ
  不成立ニナルト考ヘラレルハ、抑&貴族院ヲ侮蔑シタルトコロヨリ起ッタンデアルマイカ知ラ
  ヌト思ヒマス(ヒヤノ)貴族院モ衆議院ニ於テ豫算ヲ不成立ニスルコトハ、國家ノ不
  利デアルト信ズルナラバ、貴族院モ固ヨリ豫算ヲ不成立ニスルトコロノ責任ヲ負フト信ジ
  テ居ル譯デゴザイマス、ソレ故ニ當所ニ於テ之ニ不同意ヲ唱ヘ、之ヲ否決シテ、兩院ノ協
  議會ニ移シテ、貴族院ノ反省ヲ求メタナラバ、想フニ貴族院ニ於テモ、能ク唯今申上ゲ
  タ通リノ薄弱ナル理由ニ反省ヲセラレ、誤解ノ點ガアレバ、能ク兩院協議會ニ於テ、協
  議委員ヨリ能ク之ヲ辯論セラレタナラバ、或ハ徹底スル餘地ガアルデハナイカ知ラヌト信
  ズルノデゴザイマス(ヒヤ〓〓)又私ハ唯今ノ如ク薄弱ナル理由、或ハ誤解セラレテ居リハ
  セヌカト思フヤウナ其修正ニ對シテ、唯言ヲ美ニシテ大局ニ考ヘルノ候ノト(笑聲起ル)
  唯鳴呼ガマシク氣取ッテ、而シテ貴族院ニ其實ハ盲從スルヤウナ惡例ヲ此處ニ生ジタレ
  バ、是コソ向來國家ノタメニ甚ダ憂フベキ厭フベキ惡例ヲ生ズルノデナイカト私ハ信ズルノ
  デアル、故ニ私ニ於テハ此處ニ於テ斷ジテ不同意ヲ唱ヘ、可決シテ兩院協議會ニ移サン
  コトヲ切ニ望ムノデアリマス、想フニ大勢ハ旣ニ貴族院ニ盲從スルニ定マッテ居ルノデゴザイ
  マセウ、併ナガラ假令本員一人ナリトモ斯ノ如キ明カナル道理ノアル、斯ノ如キ謂ハレナキ
  盲從ニハ決シテ從フコトガ出來ヌノデアリマス、故ニ此一言ヲ以テ之ヲ否決スルコトヲ望
  き 大
  〔長谷場純孝君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=32

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• 033・長谷場純孝

  ○長谷場純孝君　吾〓ハ院議ノ重ンズベキヲ信ズル者デアル、又吾〓ハ豫算案ニ於テ
  ハ衆議院ノ議決シタ豫算ニ對シテ德義上ニ於テ成ルベク貴族院ハ之ニ多大ノ影響ノ及
  バナイヤウニ同意ヲ表セラレンコトヲ豫テ希望シテ居ルトコロノモノデアル、又唯今橋本君ノ
  述ベラレタ說ニ於テモ絕對ノ反對ヲ唱フルトコロノモノデナイ、サリナガラ今日ノ場合ニ於テ
  ハ、卽チ戰後ノ經營ヲ將ニ爲サントシツヽアルノ第一著デアル、此六億一千万圓內外ノ
  豫算ガ万一不成立ニ終ルヤウニナッテハ、啻ニ日本ノ農工商ノコトハ勿論、軍備ノ整理ト
  云フ〓ニ於テ大ナル不都合ヲ感ジ、其結果トシテ非常ナル不利益ヲ被ムルノミナラズ國
  家ノ威信ニ關スルコトニ立至ルデアラウト云フコトヲ切ニ憂フルトコロノモノデゴザイマス、
  此〓ニ至ッテハ蓋シ何人ト雖モ御同感デアラウト私ハ確信致シマス(橋本久太郞君
  「吾〓モ御同感デアルカラ否決スル」ト呼フ)其通リ、因テ吾ミハ理窟一〓テ申シマスレ
  バ、橋本君ノ議論ノ通リ、此場合ニ於テハ貴族院ノ修正ヲ否決シ、而シテ吾ミハ衆議
  院ノ院議ヲ重ンジ、協議會ニ於テ互ニ協議ヲ遂ゲ、面シテ其成行ニ依ッテ決スルガ相當
  デゴザイマセウ、併ナガラ事万一其場合ニ於テ貴族院ガ頑トシテ此時局ヲ顧ミズ、若シ
  之ガ破レタトキニ至ッテハ如何デゴザイマセウカ(橋本久太郞君「其時分ニ議スルモ遲カラ
  ヌ」ト呼フ)責貴族院ニアリトシテモ唯人ニ責ヲ負ハスルノミニシテ、其結果ヲ奈何セン
  (「ヒヤ〓〓」)吾々ハ斯ウ云フ大局ニ顧ミテ已ムコトヲ得ズ此貴族院ノ修正ニ同意ヲ表
  セントスルトコロノモノデアル、而シテ此修正ニ同意ヲ表スル以上ニ於テハ、區々タル議論
  ヲ排除シテ、男ラシク直ニ此場合ニ於テ同意ヲ表シテ採決センコトヲ望ム者デアリマス、
  必ズヤ區々ノ俗論ハ吾々ニ向ッテ聊カ起ルカモ知レマセヌガ天下多數ノ人民ハ必ズ吾々ニ
  向ッテ同情同感ヲ表スルニ違ヒナイト思ヒマス、故ニ贊成ノ意見ヲ一言述ベテ置キマス

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• 035・合田福太郎

  ○合田福太郞君　本問題ハ別ニ登壇シテ述ベル程ノコトハナイト思ヒマス、討論終
  結ノ動議ヲ提出致シマス
  〔「贊成々々」ノ聲起ル)

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• 036・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　討論終結ニ成規ノ贊成ガアルト認メマス、討論終結ニ御異
  議アリマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕

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• 037・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ガナイト認メマス、討論ハ終結シマシタ、採決ヲイタシマ
  ス貴族院ノ回付案全部ニ就イテ採決ヲ致シマス、貴族院ノ囘付案ニ御同意ノ諸君ノ
  起立ヲ願ヒマス
  起立者多數

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• 038・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　大多數デゴザイマス貴族院ノ囘付案通リ可決サレマシタ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=38

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• 039・栗原亮一

  ○栗原亮一君　此際ニ追加豫算ノ報告ヲ致シタウゴザイマス

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• 040・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　栗原君
  〔栗原亮一君登壇〕

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• 041・栗原亮一

  ○栗原亮一君　明治三十九年度第三號追加豫算審査ノ結果ヲ報告致シマス、此
  費目ハ韓國鐵道ノ京義線ニ入用デアルトコロノ木材ヲ伐出ス、其森林費ガ二十一万圓
  餘リデアリマス、モウ一ツハ此牛疫ガ流行ルタメ、此牛疫豫防費ニ二万圓餘リ、ソレカラ
  遞信省ガ此議會中ニ火災ニ罹リマシテ、假廳舍ノ新營ヲスルト云フ經費、是ガ八万五
  千圓餘リ、合セテ三十一万圓餘デアリマス、遞信省ハ隨分立派ナ建物デアリマシタガ、
  火災ニ罹ッテサウシテ假廳舍ノ新營費ガ八万五千圓ト云フノハ如何ニモ廉イヤウデアリマ
  ス、是ハ段々質問ヲ致シマシタトコロガ、今度ハ高架鐵道ノ穴ガアリマスカラ、アレガ十
  四箇處程アル、ソレデ火ノ用心ノタメニ暫ク穴住居ヲスルト云フノデアリマスカラ、是程
  廉ク行クノデアリマス、追テ新築ノ要求ハ出ルノデアリマス、此歲入財源ハ木材ノ拂下
  代ト云フモノガ二十一一万圓、詰リ是ハ農商務省ノ方デ木材ヲ伐ッテ韓國ノ鐵道ニ供給
  致シテ、其出入雙方同數二十一万圓トナッテ居ルノデアリマス、此歲入ハ前年度ノ
  繰入金十万五千圓餘リ、斯ウ云フ歲出入ニナッテ居ルノデアリマシテ、今日ハ總會ニ於
  テ能ク能ク質問ヲ致シマシタガ、全會一致ヲ以テ原案通リ可決スベシトナリマシタカラシ
  テ、此場合日程變更ノ動議ヲ提出致シマスカラ、ドウカ直ニ決議アランコトヲ希望致シ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=41

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• 042・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　日程ヲ變更シテ本件ヲ議スルコトニ御異議ハアリマヒヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕

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• 043・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ガナイト認メマス、本件ハ問題ニナリマシタ
  (第三號)明治三十九年度歲入歲出總豫算追加案

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=43

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• 044・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　全部ヲ議題ト致シマス、委員長報告通リ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=44

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• 045・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御議論ガナイヤウデアリマスカラ、採決ヲ致シマス、全部委員
  長報告通リ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=45

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• 046・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ガナイト認メマス、委員長報告通リ卽チ歷案ガ可決セ
  ラレマシタ-日程第二、學校及圖書館特別會計法案、貴族院囘付ヲ議題ト致シ
  マス
  第二學校及圖書館特別會計法案(政府提出貴族院囘付)
  學校及圖書館特別會計法案(小字及-ハ貴族院修正)
  學校及圖書館特別會計法
  第一條文部省直轄諸學校及帝國圖書館ハ之ヲ適シテ一ノ特別會計ヲ立テ
  シメ資金ヲ所有シ政府ノ支出金、資金ヨリ生スル收入、授業料、寄附金其ノ
  他ノ收入ヲ以テ其ノ歲出ニ充テシム
  第二條前條ノ政府支出金ハ每年度豫算ノ定ムル所ニ依リ一般會計ヨリ之
  ヲ繰入ルヘ
  第三條學校及圖書館資金ハ政府ヨリ交付シ又ハ他ヨリ寄附シタル動產及
  不動產竝歲入殘餘ヨリ成ル但シ第八條施行豫算ノ歳入殘餘ニシテ資金ニ編入セラレタ
  ルモノハ學校及國書館每ニ區分シ之ヲ整理スヘシ
  第四條資金ハ之ヲ支消スルコトヲ得ス但シ用途ヲ指定シタル資金ハ用途
  指定者ノ同意ヲ得テ元金ヲ使用スルコトヲ得
  第五條學校及圖書館ニ屬スル收入ヲ以テ其ノ歲出ヲ支辨シ別ニ政府支出金ヲ要セサルニ至リ
  タルトキハ當該學校及圖書館ノ爲ニ特別會計ヲ設クルモノトス
  六
  第五條〓員事務員ノ俸給、諸給、旅費、器具機械圖書標本費、授業費、試驗費、
  生徒ニ關スル諸費、事務所費、修繕費、雜支出其ノ他寄附者ノ指定シタル費
  途ヲ以テ學校及圖書館特別會計ノ歲出トス
  七
  博多駅政府ハ每年學校及圖書館特別會計ノ歲入歲出豫算ヲ調製シ歲入歲
  出ノ總豫算ト共ニ之ヲ帝國議會ニ提出スヘシ
  第八條文部大臣ハ歲入歲出豫算決定ノ後學校及圖書館每ニ歲入歳出ノ施行豫算ヲ謂製シ學校長
  及圖書館長ヲシテ之ヲ施行セシムヘシ
  九
  傳記事學校及圖書館ニ於テ外國ヨリ直接ニ圖書、機械、標本及實驗用材料
  ノ買入ヲ爲ス場合ニハ前金拂ヲ爲スコトヲ得
  十
  傳統寄附金ニシテ特ニ用途ヲ指定シタルモノハ其ノ條件ニ從ヒ之ヲ使
  1月31日
  十
  第九條奬學ヲ目的トスル寄附金ハ之ヲ其ノ學校ニ交付シ學校長ニ經理ヲ
  委任スルコトヲ得
  十二
  每條.委任經理ニ係ル會計ノ檢査ハ會計檢査院法第十六條ニ依ル
  十三
  第十一條學校及圖書館特別會計ノ收入支出ニ關スル規程ハ勅令ヲ以テ之
  コルコール
  附則
  本法ハ明治四十年度ヨリ之ヲ施行ス
  官立學校及圖書館會計法ハ之ヲ廢止ス
  本法施行ノ際各學校及圖書館ニ於テ從來資金トシテ所有スル動產不動產ハ
  總テ學校及圖書館資金ニ之ヲ編入スヘシ但シ收入ノ目的ヲ以テ所有シタル資金ハ第
  三條但書ニ依ル

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=46

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• 047・江原素六

  ○江原素六君　此案ハヤハリ貴族院ノ修正ニ同意ヲ表シタク存ジマス
  (「贊成」又「採決々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=47

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• 048・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　全部ニ就イテ採決ヲシマス、貴族院囘付ノ通御異議ハアリマ
  セヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=48

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• 049・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ガナケレバ貴族院ノ囘付通可決確定致シマシタ-
  日程第三、種牡牛檢査法案、第一讀會ノ續委員長丹後直平君
  第三種牡牛檢査法案(政府提出)第一讀會ノ續事業(あんあつ
  報告
  〔丹後直平君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=49

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• 050・丹後直平

  ○丹後直平君　種牡牛檢査法案ノ委員會ノ結果ヲ御報告致シマス、此案ハ至ッテ單
  純ナ案デゴザイマシテ、從來種牛ノ檢査取締ハ曾テ農商務省ヨリ達ヲ以テ地方廳二
  任シテアリマシタガ、何分地方區々ニ亙リマシテ、統一的ノ監督ガ出來マセヌ、故ニ此度
  斯ノ如キ法律ヲ制定シテ、全國統一的ノ卽チ一定ノ檢査標準ヲ立テマシテ、全國統一
  的ニ取締リタイト云フ法律ノ精神デアリマスル、委員會ニ於キマシテハ此法案ノ全體ニ
  對シマシテハ別ニ異議アリマセヌ、併シ其施行上ノ取扱ニ付キマシテハ又懸念スルトコロモ
  ナイデモアリマセヌデアリスルカラ、委員會ハ二囘開キマシテ政府委員ニ就キマシテ其取扱上ノ
  懸念スルヤウナ〓ハ反覆質問モ致シ、又意見ヲ交換致シマシテ、法案全體ニハ異議アリ
  マセヌデ、唯僅ニ施行期ニ付キマシテ修正ヲ加ヘマシタ卽チ本案ノ附則第九條ニ「本法
  ハ明治四十年四月一日ヨリ之ヲ施行ス」トアリマスノヲ、此法案ヲ兩院ガ通過致シ
  マシテ、尙施行規則ヲ拵ヘマシタリ、其他イロ〓〓準備ヲ爲スニハ餘リ時日ガ切迫シテ
  居ルカラ、七月ヨリ施行スル方ガ宜カラウト云フコトデ、卽チ「四十年四月一日ヨリ施
  行スル」ト云フノヲ「四月」ヲ「七月」ニ直シテ「四」ヲ「七」ト改メタノデゴザイマス、政府
  モ此修正ニハ異議ナク同意ヲ表シマシテ、卽チ委員會一致ノ修正デ之ヲ決議致シマシ
  テゴザイマス、尙一言附加ヘマシテ玆ニ申上ゲタイコトハ、委員會ニ於キマシテ此法案ヲ
  可決スルトキニ當リマシテ、委員會ニハ斯ウ云フ希望ガアリマシタ、政府ニ於テハ此日本
  ノ產牛ノ改良發達ヲ圖ル上ニ於テ、ドウ云フ方針計畫アルカ知ラヌガ、只此檢査法
  案位デ以テ甘ンジテ居ラレルヤウデハ、將來日本ノ產牛ノ改良發逹ヲ圖ルニハ大ナル急
  速ナル發達ヲ見ルコトハ到底出來ナイコトデアラウ、此檢査法ト相侯ッテ大ニ種畜場ヲ
  設置シナケレバナラヌ、此種畜場ヲ要求ヲスルコトハ國家トシテモ民間トシテモ非常ナル
  モノデアル、卽チ國家非常ノ急ナル場合ニ際シマシテ、食料トシテモ軍需品トシテモ其供
  給ニ不足ヲ告ゲマスコトガ日露戰役ノトキニ徵シマシテモ明カナルコトデアル、又今日民
  間ニ於キマシテモ良キ種牛ノ頒付ヲ得タイト云フコトハ、非常ニ渴望シテ居ル是ハ、三千
  万農家ノ均シク唱フルトコロノ聲デアル、今全國ニ種牛牧場ハ僅ニ一箇所サアリマセヌ、
  故ニ尙此上ニ增設シテ種牛ヲ全國ニ汎ク行涉ルヤウニシタイモノデアルカラ、政府ハ決シ
  テ此種牛檢査法ニ甘ンゼズ、大ニ牧場ノ計畫ヲ立テラレテ、卽チ其豫算ヲ次年度ニ必
  ズ要求計上セラルヽコトヲナサレンコトヲ望ムト云フコトガ、委員會全會一致ノ希望デア
  リマシテ、此事モ本會ニ表白スルヤウニト云フコトデアリマシタ、前段ノ報告ト共ニ此事ヲ
  申上ゲマシテ、宜シク諸君ノ御贊同ヲ仰ギマスル次第デゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=50

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• 051・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　別段御異論モナイヤウデアリマスカラ採決致シマス、本案ノ二
  讀會ヲ開クコトニ御異議ハアリマセヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=51

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• 052・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=52

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• 053・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君　直チニ開カレンコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=53

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• 054・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　恆松君發議ノ通直チニ二讀會ヲ開クニ御異議ハアリマセヌカ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=54

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• 055・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=55

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• 056・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君　讀會ヲ省略シテ委員長報告通確定セラレンコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=56

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• 057・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　恆松君ヨリ併セテ讀會ヲ省略シテ確定ヲスルト云フ動議ガ出
  テ居リマスガ、是ニ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=57

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• 058・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、直チニ二讀會ヲ開キマス、委員長
  報告通御異議アリマセヌカ
  種牡牛檢査法案(政府提出)第二讀會(確定議)
  (「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=58

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• 059・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、委員長報告通確定ヲシマシタ-日
  程第四、第五、第六ハ同一委員ニ付託シテアリマスデ、併セテ委員長ヨリ報告ヲサセ
  マス-委員長肥塚龍君
  〔肥塚龍君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=59

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• 060・肥塚龍

  ○肥塚龍君　ソレデハ此日程第四、第五、第六三案ヲ併セテ委員會ノ結果ヲバ御報
  告ヲ致シマス、此委員ハ隨分ヤカマシキ委員會デアッタニ拘ラズ、議論ハソレ程ニゴザイ
  マセヌ、第一ニ日程第四ノ市制改正法律案、此市制改正法律案ニ付キマシテ贊成ト
  反對各〓意見ガゴザイマシタ、贊成ノ方ハ斯ウ云フ理由、現在ノ市制ニ於テハ重罪輕罪
  ノ公判ニ附セラレルトキハ其附セラレタトキカラ公權停止ト云フモノガアルケレドモ.改正
  案ノ第十一條、此十一條ハ宣告ノ日カラシテ停止ト云フコトニナルカラシテ、是モ餘程
  進步ノ一ツデアル、又現在ノ法ハ市參事會ハ執行機關ニナッテ居ルケレドモ、此改
  正案デ見ルト云フト諮問機關ニシテアル是モ進步ノ一ツデアル、其他進步シテ居ル所
  ガ五十餘箇條モアルヤウニ思ハレルガ故ニ、原案ヲ贊成スルト云フノガ是ガ贊成側ノ大
  體ノ意見、又反對ノ意見ハ然ラバドウデアルカト申シマスルト、反對ノ意見ノ要領ハ斯
  樣ナノダ、現在ノ市制ハ明治二十一年發布以來、今日マデ施行セラレテ格別ノ不都
  合モナイモノデアル、又此改正ハ次ノ議會マデ熟考調査ヲシテ、サウシテ完全ナルモノナ
  ヲ拵ヘテモ遲カラザルガ故ニ、延期的ノ廢棄ト云フコトガ、是ガ反對ノ大要デアル、ソコデ
  決ヲ採リマシタトコロガ、贊成ガ多數デゴザイマシテ、市制改正法律案ハ委員會ヲ通過
  致シ、扨テ大體通過致シマシタトコロデ、其中ニタッタ一箇所ノ修正ガアル其修正ハ
  改正案ノ第三十條-三十條ノ第二項ノ所ヘ斯樣ナコトヲ入レタイ「二囘選舉ニ於
  テ仍當選者選舉スヘキ議員數ニ達セサル時ハ前項ノ但書ヲ適應セス」ト云フ修正案ガ
  出マシテ、是モ多數デ決シマシタ、卽チ此五分ノ一-選舉人ノ五分ノ一ノ投票ヲ得ナ
  カッタ候補者ガアッタ日ニハ、ソレハ當選無效ト云フコトニナリマスノデアルガ故ニ、度々三
  度モ四度モ選舉サレテハ其煩ニ堪ヘタカラシテ、二囘選舉ヲ行ウタナラバ是ガ最終ノ
  選舉デアル、其時ハ幾ラ投票ガアッテモ大多數ノ人ガ當選者ニナルト云フ、斯ウ云フ修
  正ガ出マシテ、其修正モ多數ヲ以テ可決致シマシタ、是ガ市制案ノ通過ノ大體、ソレ
  カラ其次ハ町村制ノ改正法律案、是モヤハリ反對ト贊成ガゴザイマシテ、贊成ハ稍〓
  市制改正法律案ニ對スルノ意見ト略〓同一又反對モ市制ニ對スル反對ト略〓同一デ
  ゴザイマシテ、細カナコトヲバ御報告スル必要ハゴザイマセヌガ、贊成反對ノ兩方ゴザイマ
  シタガ、採決ノ結果ヤハリ是ハ贊成ガ多數デ、町村制改正法律案ハ委員會テ可決致
  シマシタ、ツレカラ最後ニ此東京市制案、是ハモウ議論モ質問モアリマセズ、委員全會
  一致デ可決致シマシテゴザイマス、市制改正、町村制改正ニハ種々議論モアリマシタ
  ガ、東京市制案ハ一人ノ質問モナク、一人ノ異議モナク、全會一致デ可決致シタノデ
  ゴザイマスカラ、ドウゾ左樣御承知ヲ願ヒマス

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• 061・杉田定一

  ○議長(杉田一定君)　日程第四市制改正法律案ヲ議題ト致シマス-七里〓介
  君
  第四市制改正法律案第一讀會ノ續(委員長し
  報〓
  〔七里〓介君登壇〕

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• 062・七里清介

  ○七里〓介君　甚ダ不慣デゴザイマシテ定メテ御聽取難イダラウト思ヒマスガ、暫クドウ
  カ御〓聽ヲ願ヒタイ、唯今委員長ヨリ報告セラレマシタトコロノ市制改正法律案ニハ私
  ハ反對デアル、併シ絕對ニ反對ト云フ譯デハゴザイマセヌ、之ニ對シマシテハ十分審
  査攻究ヲ致シテ、完全無缺ナル市制案ヲ制定シテ、サウシテ自治ノ鞏固ヲ計リタイト云
  フ希望デアルノデアリマス、唯今委員長ガ御報告ニナリマシタ通、現行市制ナルモノハ
  明治二十一二年頃ニ施カレマシテ、爾來二十年間バカリ實地ノ經驗ヲ積ミマシテ、最
  モ此市制案ニハ事務ハ習熟シテ居ルノデアル、且何等大シタル不都合ナク、自治事務
  ト云フモノハ發達シテ居ルノデアル、又圓滿ニ行政ヲ-市行政ヲ整理シテ居ルノデア
  リマス、然ルニ此度發布セラレマシタトコロノ改正市制法律案ナルモノハ、從來行ウテ居
  リマストコロノ市制案ニ比シマシテ、最モ自治體ト云フモノニ對シテ干渉ヲスルノデアル監
  督ヲ擴張スルト云フ名ノ下ニ於テ、大ニ于渉シヤウトー云フノデアル、一例ヲ舉ゲテ見マスル
  ナレバ、市ニ於テヾス、市吏員ニ賞與ヲ與フルトキトカ、若クハ特別賞與ヲ與フル場合ニ於
  テハ、府縣知事ノ許可ヲ經ナケレバナラヌ、卽チ市ニ於テ市ノ經濟上ノ何差支ナク、其市
  ニ於テ功勞アリトスルモノニ對シマシテ、相當ノ賞與ヲ與フルト云フコトニ付キマシテ、何デ
  監督官廳ノ許可ヲ經ル必要ガアルノデアラウカ、又市村長、助役、ソレカラ吏員等ノ給料
  額トカ、又ハ旅費規則トカ、御マケニデス、其支給規則マデモヤハリ之ヲ定メル時分ニ府縣
  知事ノ許可ヲ經ナケレバナラヌト云フ窮窟千萬ナル改正案デアル、又モウ一ツ加ヘテヒド
  イノハ、市役所ノ庶務規程ヲ拵ヘルトカ、又市會ニ於テ議事規則ヲ拵ヘルトカ、傍聽人
  規則ヲ拵ヘルト云フヤウナ場合ニ於キマシテモ、ヤハリ許可ヲ經ナケレバナラヌ、マルデ自
  治ト云フ名ハアッテモ有名無實ノモノデアル、サウシテ此監督ト云フコトガ從來大ニ行屆
  イテ居ルカドウカト云フト、成程法律ニハ幾ラモ書イテアル、書イテハアルケレドモ、其通
  行ハレテ居ラヌコトハ澤山アル、又此監督ト云フヨリハ寧ロ干涉ノ行居クタメニ、市行
  政ノ澁滯スルコトヽ云フモノハ實ニ夥シイモノデアル(「分リマセヌ」ト呼フ者アリ)分リマセ
  ヌカ(「分ッテ居ル」ト呼フ者アリ)分ッテ居ルカ-故ニ監督ト云フモノヲ擴張スルト云フ
  コトハ少シモ自治體ノ進步スル世ノ中ニ於テ必要ガナイノデアル、大ニ之ヲ減少シマシテ
  自治事務ニ任セナケレバナラヌト思フ、然ルニ前申ス通段々監督權ト云フモノヲ擴張
  シテ干涉サレルト云フコトハ、實ニ自治ノタメニ憂フベキ事柄デアル從ッテ之ガタメニ政
  費モ增スノデアル、多年本院ニ於テ宿題トナッテ居リマストコロノ政費節減ノ如キモノハ
  到底行ハレナイ、斯ノ如キ力ナキ事務ヲ增シテ政費ヲ增スト云フヤウナコトハ甚ダ宜シク
  ナイコトデアラウト思フ、故ニ斯ノ如キコトハ成ルベク之ヲ減少致シマシテ、成ルベク自治
  ニ任セテ政府ノ事務ヲ減ジ、サウシテ經費モ減ズルト云フコトニスルト云フノハ、一舉兩得
  デアラウト私ハ信ズル、尙此改正案中ニハ是ハ隨分委員會ニ於テモ多少議論モゴザイマ
  シタガ、此單記無記名ノ法デアル、選舉法ト云フコトガ單純無記名ニ變ズルノデアル、
  是ハ我先輩國タル英國トカ、或ハ佛蘭西トカ獨逸トカ云フ國ハデスヤハリ連記ニナッテ
  居ル卽チ我國ノ現行法モ連記ニナッテ居ル、其連記ノタメニ圓滿ニ公平ニ都合好ク
  往ッテ居ル、若モ之ヲ單記無記名ニスレバ將來選舉ノ際、紛擾ヲ來タシ費用モ餘計
  掛ル、又競爭モ激シクナルト云フコトガアルト思フ、故ニ單記無記名ハ十分ニ〓究ヲ要
  スル問題デアラウト思フ、又モウ一ツハ從來市參事會ハ行政機關ニナッテ居ッタ、然ルニ
  今度ハ議事機關ニナッテ、從來市民ニ與ヘタル市參與權ヲ、此改正デ奪フコトナルノデ、
  サウ云フコトハ自治事務ニ付イテハ重大ノ關係ニアルニ拘ラズ、此改正案ヲ出サレルコ
  トニ付イテハ甚ダ感服シナイノデアル、デ唯感服シナイタケデハイカヌカラ、是ニ對シテハ十
  分ノ審査攻究ヲ致シテ、他年ヲ待チマシテ更ニ改正ヲ要スル〓ハ改正スルコトニシタイ、
  現ニ市制實施以來不便ノ事不都合ノ廉ハ數次ニ改正サレ、補足サレテ居ルカラ現在
  ノ市制ニ於テ此儘ニシテ置イテモ差支ナイト思フカラ、先ヅ以テ此案ニ對シテハ延期ト
  云フ理由ヲ以テ不決デハナイ否決シタイト思ヒマス、ドウカ御贊成ヲ··
  〔「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

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• 063・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　多田作兵衞君
  〔多田作兵衞君登壇〕

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• 064・多田作兵衞

  ○多田作兵衞君　私ハ本案贊成ノモノデゴザイマス、調査委員會ニ於キマシテモ七里
  君尾形君ガ、最モ本案ニ反對セラレマシタ、其反對ノ理由ハ市制ハ十數年行ッテ居ルニ
  何ノ不都合モナイノデアルカラ、サウ急ニ改正スル必要ハナイト云フ趣意デゴザイマス、其
  他ニ大體ヲ否トセラルヽ意見モ伺ヒマシテ、唯今又七里君ノ本案ヲ否トスル理由ヲ伺ヒ
  マシタ、所ガ是ハ大體ヲ否トスル論ニハナラヌノデゴザイマス、今言ハレタ事柄ハ二讀會
  ニ於テ修正ヲ加ヘラルレバ、悉ク御目的ノ通ニナルノデゴザイマス、ソレデ大體反對ヲナサ
  ル人々ノ論ニ對シテ-本案ノ改正ハ必要ガナイト云フ論ニ對シテ、私ハ改正ヲスルト
  コロノ必要ガアルト云フコトヲ簡單ニ述ベマスデゴザイマス、現行ノ市制ガ十數年前ニ制
  定セラレタモノデゴザイマシテ、其缺〓ハ隨分多イ、執行機關ト議事機關ト衝突ヲシマシ
  タリ、或ハ一私人ト官廳ノ間ニ意見ヲ異ニシタガタメニ、行政裁判所ニ訴ヘテ混雜ヲ來
  タスト云フ例ハ多々アルノデアリマス、ソレ故ニドウシテモ此法律ハ一日モ早ク改正ヲシタ
  イノデゴザイマス、其一例ヲ舉ゲテ申シマスルト現行法デゴザイマスト重罪、輕罪ノ公判ニ
  附セラレタモノハ、直チニ公民權ヲ停止セラルヽノデゴザイマス、此等ノコトハ最モ黨派ナ
  ドノ盛ニゴザイマストコロニ行ハルヽモノデアッテ、是ハドウシテモ改正ヲシナケレバナラヌ事
  柄デゴザイマス、ソレカラ市會議員ノ選舉デ、一級選舉ト云フコトニシマシテモ僅ノ人數、
  極端ヲ申セバ唯一人デ三分ノ一ノ議員ヲ選舉スルト云フヤウナ、不公平ガ出來ルノデゴザ
  イマス、ソレカラ市會議員ノ選舉ノ分擧場デアリマス、西京アタリデハ分舉場ノナイタメ
  ニ非常ノ混雜ヲ來タスノデアリマス、ソレカラ市會議員ノ選舉ハ連記ニナッテ居リマスガ、
  此連記ノ弊害ハ黨派ノタメニ一部ノ代表者ヲ出スコトガ出來ヌト云フ不公平ノコトガ
  行ハレル、ソレカラ選擧規則ガ不完全故ニ取締ガ出來ヌ、ソレカラ市ノ行政ハ集議制ニ
  ナッテ居ルタメニ、僅ノ事モ市參事會ヲ招集シテ事ヲ決定シナケレバナラヌタメニ、行政
  ノ敏捷ヲ大ニ〓クノデゴザイマス、ソレカラ議員ノ實費旅費日當ヲ渡スト云フコトハ勿
  論ノコトデゴザイマスノニ、行政裁判所ト內務省トノ意見ガ異ニ致シマシテ、日當ハ現
  行法デハ渡スコトガ出來ヌト云フコトニナッテ居リマス、ソレカラ市ガ公益事業ニ寄附若ハ
  補助ヲ致サウトシテモ、法律ノ不完全ノタメ行政裁判所ハ、ソレニ反對ヲ致ス決議ヲ致シ
  タノデゴザイマス、ワレデ右ノヤウニ改正ヲシナケレバナラヌト云フ箇條ヲ一々舉ゲマスト、
  數限リモナイノデゴザイマスカラ、ソレラノコトハ略シテ置キマシテ今度ノ議案ヲ見テ見マ
  スト、現內閣ガ出シマシタニハ相違ナイノデゴザイマスガ、ソレハ表面ノコトデ內部ヲ考ヘテ
  見マスト、昨年此議會ニ於キマシテ審査ニ審査ヲ加ヘ、殆ド滿場一致ヲ以テ可決致シマ
  シタトコロノモノヲ、其儘ニ出シテゴザイマスカラ、御互三百有餘ノ議員ノ提出ノ議案ト
  云ウテモ可ナルコトデゴザイマス、右ノ譯デゴザイマス故ニ、今囘ニ於キマシテモ大多數ヲ
  以テ本案ノ通過致スコトヲ熱心ニ希望致シマス

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• 065・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　尾形兵太郞君
  〔尾形兵太郞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=65

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• 066・尾形兵太郎

  ○尾形兵太郞君　私ハ此案ニ反對ヲスルモノデゴザイマス、此市制改正案ハ私ノ見ル
  トコロデハ、第一根本的改正ノ目的ヲ誤シテ居ルト思フ、次ハ改正ノ內容ガ甚ダ惡ルイ、
  何ンデ根本的改正ノ目的ヲ誤ッテ居ルカト云ヘバ、百万ノ市デモ二百万ノ市デモ又ハ五
  万七万ノ市デモ、、同一ノ法律デ支配シテ自治ノ發達ヲ期サウト云フハ無理ノ話デアル、
  大人モ小人モ二十貫匁ノ物ヲ同ジク擔ゲト云フノト同譯デ、小サイモノハ迷惑スルシ、大
  キイモノハ又荷ガ輕ウテ甚ダ困ル、是ハ丁度帶ニハ短カシ襷ニハ長シト云フ法律デ、殊
  此大阪ノ如キ、東京ノ如キ、■殆ド築港シタトコロガ、其他交通機關ニシタトコロガ、國家
  ガスベキ仕事ヲシテ居ル、ソレニ呉トカ尾之道トカ云フヤウナ市ト同一ノ法律ニ依ッテ運用
  シテ行フト云フコトハ、實ニ無理ナ話デアル、其事ニ付キマシテハ實ハ委員會ニ於キマシテ、
  當局大臣ニ親シク御考ヲ承ラウト思ウテ、再三御出席ヲ求メマシタガ、御差支ノタメニ到
  頭御出席ガ無イノミナラズ、仕舞ヒニハ多數ノ壓制ヲ以テソンナ質問ハ要ラヌト云フコ
  トデ壓迫サレテシマッタ、ソレデ吉原次官ハ之ニ對シテ答ヘタノハ、縣廳ガ一ツデアルカラ、
  縣知事モ一人デアルカラ、市ハ市デ宜イデハナイカ、成程縣廳ハ二ツハナイ、ドノ縣廳モ
  縣廳デアル、市モソレデ宜イデハナイカ、併ナガラ大小ニ依ッテ仕事ノ內容ガ違フ、ソレニ斯
  ウ云フヤウナ、十束一カラゲノ議論デハ自分ノ問ニ對シテ答ガ滿足シナイカラ、當局大
  臣ノ出席ヲ求メテモ出ラレナイ、若シ斯樣ナ事ヲシテ、東京ナリ大阪ナリノ國家的ノ仕
  事ヲ衰頽セシメルコトニナルト、市其物デハナイ、所謂國家ノ衰頽ニ關係ヲスルノデアル
  カラ是ハ重大ナル事デアラウト思フソレニモ拘ラズ、當局大臣ハ一度モ出席セラレズ、
  從ッテ說明モセラレマセズ、委員會ハ多數ノ壓制ヲ以テカラニ宜イト云フコトデ、無茶苦
  茶ニヤッタ、サウ云フ譯デゴザイマスガ、ソレカラ內容ガ惡イト云フコトハ、改正ノ目的ガ何
  所ニ在ルト云レコトヲバ、次官ニ尋ネタトコロデ、或ハ町村制トカ、或ハ府縣制トカニ聯
  絡ガ取レナイカラ、法律ト繫合ヲスル、ソレダケノ形式ノタメニヤルノカト云フト、サウヂヤナ
  イ、自治ヲ發逹サセルタメノ目的デヤルノダ、斯ウ云フ話デ、自治ノ發達ナラバ自治ニ自由
  ヲ與ヘタラドウデアル、名ヲ付ケルニ內務大臣之ヲ定ム、自治體ガ自分ノ名サヘ定メラレ
  ズ、他ヘ持ッテ往ッテ名ヲ付ケテ貰ハナケレバナラヌ、傍聽規則モ內務大臣ノ許可ヲ得ナ
  ケレバナラヌ、マルキリ市ト云フ自治體ヲ小兒アシラヒニスルノデアル、何デモ彼デモ言ッテ
  來イ、少ナクトモ內務大臣ニ言ッテ來ナケレバ、縣知事マデ言ッテ來イ、少シモ自由ニ步
  ルカスルコトモサセヌト云フ取越苦勞、ソレガ何程宜イカ、斯ウ云フ事ハ改正トカ改良ト
  カ云フケレドモ、是ハ改惡ト云フモノデアラウト思フ、內容ノ惡ルイノハ此一言デ以テ足ル
  ト思フ(「ソレヂヤ分リマセヌ」ト呼ス者アリ)分ラニヤナンボデモ言ヒマスガ、長ウ言ウタラ御
  迷惑デハナイカト思ヒマス、ソレデ詰リ今申ス通リ、大體改正ノ目的ヲ誤ッテ居ルノデア
  ル又內容ニ於テモ今ノ通リデアッテ、無茶苦茶ニ干渉スル、監督ノ度ガ過ギルト干渉
  スル、干涉シタナラバ自治ノ發達ヲ阻礙スル、阻礙スルカラ此改良法ハ改悪法デアルト
  信ズルノデアリマス、ソレダカラ私ノ主張ハ一〓ニ現在ノ市制ヲ以テ未來永刧完全ナモ
  ノダト云フノデハナイガ、大キナ市ハ大キイ法律ヲ拵ヘテ貫ヒ、小サイ市ハ小サイ市デ法
  律ヲ拵ヘテ、大キイ市モ迷惑ゼズ、小サイ市モ迷惑セズ、互ニ自治ノ發達ノ出來ルヤウ、
  今一箇年待ヲテ御互能ク〓究シテ今度ノ議會ニ大小適當ノ法律ヲ拵ヘヤウヂヤナイカ、
  サスレバ今日之ヲヤラレル必要ガナイカラ、延期ノ理由ヲ以テ止メヤウチヤナイカト云フノ
  ガ、私ノ說デアル、所ガ是ガ破レタノデアル
  〔「採決」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=66

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• 067・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　別段御議論カ無イヤウデアリマスカラ、採決致シマス、本案ノ
  第二讀會ヲ開クベシト云フ諸君ノ起立ヲ願ヒマス
  起立者多數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=67

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• 068・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　多數ト認メマス、本案ハ二讀會ヲ開クコトニ決シマシタ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=68

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• 069・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君　直チニ開カレンコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=69

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• 070・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　直チニ二讀會ヲ開クニ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=70

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• 071・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ガ無イト認メマス、直チニ二讀會ヲ開キマス、全部ヲ議
  題トシマス
  市制改正法律案第二讀會

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• 072・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君　委員長報告通リ、第三讀會ヲ略シテ決セラレンコトヲ望ミマス、大體
  極ッタモノデアリマス
  〔「反對」「贊成」「採決」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=72

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• 073・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　委員長報告通リ、御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=73

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• 074・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハ無イト認メマス、委員長報告通決シマシタ
  〔拍手スル者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=74

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• 075・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君　二讀會ハ濟ミマシタカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=75

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• 076・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　直チニ二讀會ヲ開クト云フアナタノ發議デ、三讀會ヲ省略ス
  ルト云フ御發議ハ無カッタト思ヒマス
  〔「アリマシタ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=76

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• 077・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　直チニ三讀會ヲ聞クニ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕

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• 078・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハ無イト認メマス、二讀會ニ於テ決議ノ通リ御異議ハ
  アリマセヌカ
  市制改正法律案第三讀會
  〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕

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• 079・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、是ニテ本案ハ確定致シマシタ
  〔拍手スル者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=79

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• 080・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　日程第五、町村制改正法律案第一讀會ノ續、望月長夫君
  第五町村制改正法律案(政府提出)第一讀會ノ續(報告(委員長)
  〔望月長夫君登壇〕

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• 081・望月長夫

  ○望月長夫君　諸君、唯今議題ニナリマシタ町村制改正法律案、本案ノ議事ヲ延
  期シタイト云フ動議ヲ出シマス、本案ハ一面ニ於テ郡ノ自治體ヲ廢止スルコトヲ豫期
  シテ立案サレテ居ル一面ニ於テ郡役所ナル行政機關ヲ存スル趣意ニ於テ起案セラレ
  テ居ル、所ガ郡制廢止法律案ナルモノハ過日當院ニ於キマシテハ辛ウジテ通過ハ致シ
  マシタケレドモ、今ヤ尙繫ッテ貴族院ノ議事中ニ屬スル、而モ其運命ヤ未ダ豫期スベカ
  ラザルモノガアル、貴族院ノ議決如何ニ依ッテハ本案ノ大部分ニ修正ヲ施ス必要ガアル
  ト思フ、又他ノ一面ニ於テ一部ノ議員諸君ヨリ郡役所廢止建議案ガ出テ居ル、而モ先
  刻議長ノ御答ニ依リマスレバ、次ノ議事ニ上ルト云フコトデアル、此郡役所廢止ノ趣意
  ニ付キマシテハ過日郡制廢止案ノ議事ノ際ニ、其贊成論者タル花井君、尾崎君ガ郡
  役所ヲ廢止スルト云フコトヲ前提ニシテ、且其趣意ニ於テ贊成ノ趣意ヲ述ベラレタ際ニ、
  最モ多ク拍手ノ起ッタノハ政友會ノ諸君デアル政友會ノ議席ヨリシテ最モ多ク拍手ノ
  起ッタ點ヲ見レバ本院ニ於テハ多數ヲ占メラルヽ政友會ノ諸君ハ、無論之ニ御贊成デ
  アラウ、之ニ御贊成デアッテ、之ガ近ク通過スルト致シマスレバ旬日ヲ出デズシテ所謂郡
  長ナルモノハ無クナルノカモ分ラナイ、サウスレバ又本案ニ於テ非常ニ多クノ修正ヲ加ヘナ
  ケレバナラヌト思フ、サウシテソレガ決シテ一箇條ヤ、二箇條ヤ三箇條ノ修正ニハ止マラヌノ
  デアルカラ、其際ニナレバ再ビ本案ヲ委員ニ戾シテ、修正ヲ加ヘル必要ガアラウト思フノミ
  ナラズ、急イデ、之ヲ貴族院ニ送ッテ、貴族院ニ送ッタ結果ガ、若モ昨年ノ如ク郡制案ノ
  運命ノ卷添ニナッテ、何ニモ委員會ノ問題ニモセラレズニ、流產スルト云フガ如キコトハ、
  誠ニドウモ遺憾千萬ナ話、私ハ本案ニハ決シテ惡イ感情ハ有ッテ居マセヌ、本案ニ對シ
  テハ決シテ反對ノ意味ノ有ッテ居マセヌ唯本案ハ最モ完全ニ修正セラレテ、且無難ニ通
  過スルコトヲ望ミマスルガ故ニデス、玆ニ私ノ動議ノ範圍ヲ極メテ置ク、卽チ貴族院ニ於
  テ郡制廢止法律案ノ決定セラルヽマデ本案ノ議事ヲ延期致シタイ、斯樣ナ動議ヲ提出
  致シマス
  (「反對」「贊成」ノ聲起ル拍手スル者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=81

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• 082・花井卓藏

  ○花井卓藏君　議長

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=82

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• 083・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　花井卓藏君、何デスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=83

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• 084・花井卓藏

  ○花井卓藏君　私ハ郡制廢止ニ贊成郡制廢止デハアリマセヌ、郡役所廢止ノ前
  提トシテ之ニ贊成スル、尾崎君モ同樣デアル
  〔笑聲起ル〕
  〔「採決」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=84

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• 085・多田作兵衞

  ○多田作兵衞君　此席ヨリ一言御許ヲ受ケテ述ベタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=85

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• 086・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　延期說ニ反對デスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=86

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• 087・多田作兵衞

  ○多田作兵衞君　左樣デス
  〔「討論スル必要ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=87

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• 088・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　多田君延期說ニ御反對ナラ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=88

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• 089・多田作兵衞

  ○多田作兵衞君　延期ハ大反對デゴザイマス、本院ノ多數ヲ以テ決議致シマシタ郡
  制廢止案、卽チ院議トナッタ改正案ガ、貴族院ニ參ッテ居リマス故ニ、一日モ早ク之
  ヲ決シタイト思フ)望月君ノ平常ノ議論ニ似合ハヌトコロノ······何故カト申シマスト、貴
  族院デ否決セウヤウニアル故ニ、之ヲ止メテ置クト云フコトハ、院議ヲ輕ンズルトコロノ言
  語同斷ナル說デゴザイマス、直ニ決議セラレンコトヲ希望致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=89

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• 090・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　望月長夫君、アナタノ延期說ハ、郡制廢止案ガ貴族院ニ於テ
  決定スルマデ之ヲ延期スルト、斯ウ云フ條件付ノ延期說デスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=90

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• 091・望月長夫

  ○望月長夫君　サウデス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=91

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• 092・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　此延期說ニ贊成ガアリマスカ
  〔「贊成々々」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=92

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• 093・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　贊成ガアルト認メマス、就イテハ採決ヲ致シマス、卽チ望月長
  夫君ノ貴族院ニ於テ郡制ガ決定セラルヽマデ、本案ヲ延期スルト云フコトニ御同意ノ
  諸君ハ起立ヲ願ヒマス
  起立者
  〔「多數」「少數」ノ聲交〓起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=93

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• 094・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　少數ト認メマス
  (「異議アリ異議アリ」ト呼フ者アリ)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=94

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• 095・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　定規ノ贊成ガアリマスカ
  (「異議アリ異議アリ」ト呼フ者アリ、此時發言ヲ求ムル者多シ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=95

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• 096・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　諸君、靜カニー異議アル諸君ノ起立ヲ請ヒマス
  〔書記官起立者ノ數ヲ計算ス〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=96

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• 097・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　異議ノ申立ニハ定規ノ贊成ガアルト認メマス、此場合ニ於テ
  異議アル以上ハ規則ニ依レバ、氏名〓呼ヲ以テスルノガ普通デアリマスケレドモ、從來ノ
  慣例、却テ記名投票ノ方ガ時間ガ省ケルト思ヒマスデ、記名投票ヲ以テ採決ヲ致シマ
  〓閉鎖

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=97

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• 098・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君　原案贊成ハ白デスカ、靑デスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=98

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• 099・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　望月君ノ延期說ニ贊成ノ御方ハ白イ札ヲ御持參ナサイ、反
  對ノ御方ハ靑キ札ヲ御持參ヲ願ヒマス-〓呼
  〔書記氏名ヲ〓呼ス〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=99

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• 100・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　投票漏ハアリマセヌカ-開鎖-開匣
  〔書記官投票ノ數ヲ計算ス〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=100

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• 101・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　出席總員及投票ノ結果ヲ報告致シマス
  〔林田書記官長朗讀〕
  出席總員三百十三
  可トスル者百二十一
  否トスル者百九十二
  〔拍手起ル〕
  〔參照〕
  本案ノ延期說ヲ可トスル者
  武富時敏君關直彥君箕浦勝人君濱田國松君
  南條吉左衞門君藤井牧太君大烟純次君森秀次君
  大淵龍太郞君淺羽靖君山田省三郞君重雄君
  橫田虎彥君谷澤龍藏君片山正中君里〓介君
  巴村順之助君鈴木摠兵衞君荒川五郞君藤嘉吉君
  戶復三郞君野尻邦基君安謙藏君木個人格
  奧村善右衞門君小林河達君四朗君
  雄君臼井哲夫君駒利廣源八運一君高須入福建築師獨七號 三號七號 號號:號 號:野順平君
  浦太郞君松原九郞君內藤君
  藤良輔君山田平太郞君石田仁太郞君千載道 250江武一郞君緊緊選考古典
  庫喜君〓水隆德君朝倉鐵藏君
  久大大阪 立陶院長君君君君 君君君君東尾平太郞君淺見竹太郞君金治君
  長吉夫郎君君君榎本次郞右衞門君堀田導大安島重三郞君
  井島輪元月木藤剛二〇〇〇松本大青龍酒時善君
  猶作君退藏君專賣廣塲長太郞君
  南京台商業大學附近第三卷四百倍號夫婦作人宜三勇治君山持根田次佐
  君君德正若君君君江石孝吉君
  藤之丞雄倉茂次郞君松家二藤田新作君
  精神精神牛中東藏君大石熊吉君
  正己君一郞君坂口仁一郞君阳大香水これままでは
  津淳一郞君野上嘉平君久保田與四郞君塚龍君
  山和君村松龜一郞君金岡又左衞門君西村丹治郞君
  養信毅夫君澤田耕治郞君佐々木正藏君守屋此助君
  藤寺陸敬君藤澤幾之輔君川島瀧藏君長平君
  三君惟昌君鹿島秀麿君藤伊君
  澤重雄君平小田島田村文行君荒谷桂吉君福天關佐松井野 藤本春茂助
  勘七君松尾君乾奈R&H董平君君
  合田福太郞君竹村良貞君鞍谷〓愼君三
  山口達太郞君進藤喜平太君井上要君電話 分量 請參書 請
  安念次左衞門君降旗元太郞君伊夫岐資弼君明書 非正美 精
  星野仙藏君市田兵七君尾形兵太郞君河井重藏君
  梅野初實君
  本案ノ延期說ヲ否トスル者
  廣瀨久政君松田吉三郞君原敬君後藤文一郞君
  栗原亮一君古井由之君竹越與三郞君林小
  野田卯太郞君池松豐記君齋藤和平太君林友信參
  永見寬二君山森隆君元田肇君遠中山君君君君君
  四郎君竹田千代足君奥野市次郞君前島元正助和
  望 磯月部
  右內君丹後直平君西山彰君神前修三
  福島勝太郞君海野謙次郞君景山甚右衞門君松田正久君
  荻野芳藏君三輪傳七君福島美之助君征矢野半彌君
  美禰龍彥君神藤才一君大岡育造君萩野左門君
  小林仲次君麥田宰三郞君松井源內君阿部德三郞君
  早速整爾君遊田〓吉君長谷部倉藏君奥田義人君
  福岡精一君松本孫右衞門君愛藏君安藤新太郞君
  關信之介君由布惟義君橫村井松時雄君遠藤
  良吉君
  中村〓一郞君長谷場純孝君籾木卿太郞君尾見濱五郞君
  山本幸彥君山村豐次郞君坂元英俊君江藤哲藏君
  原三浦盛德君村野常右衞門君伊藤傳右衞門君
  橋勝遠藤庸治君島田三郞君漆昌農君
  田小際に自己的高梨哲四郞君恆松隆慶君
  小脇榮太-第一古矢島中君望月小太郞君
  中野口耕川〓君賀庸藏君栗塚省吾君
  定西池森石本貞駿山田信毛里
  中大岡小山中植田改山澤高管場君君君君主君君若君君君君田惟君君西小志澄藏君君君松堡
  神戶
  雄村專太郞君柚瀨木山慶二江原
  重坂彌君加お金の河野廣素信
  本川下村平崎口本熊金野君
  花井卓藝各尾崎行
  金大.瀨藤山朋關口安太郞君中西新
  竹貫柳田藤吉君丹尾通商品
  西崎向下輝秀弘純武夫之君君君君
  集 生鳥山敬二郞君佐竹作太郞君
  上埜頭部良內山吉太君保彥太郞君
  佐藤虎次郞君坂君武內美代吉君本大樓 KAX郞君
  內藤魯一君山壽介君河原林義雄君茂輔君
  岩濱多大林湯向山日小-郞君結晶 木藤三郞招募股份有限公司澤紋三郞君
  繁三郞君野久次君金作君君
  警
  暮武太夫君田作兵衞君東一左右君珪次君
  中国社會大事情報現地理工委員会雲平君名信平君粕谷義三君長谷各座川口豐吉君
  龜代司君元信兵衞君橫井甚四郎君浦五兵衞君
  義雄君瀧口吉良君森肇君山和一君
  郞君中西孫太郞君是永歲太郞君宮橫築松山一
  平君
  啓即會丸山嵯峨一郞君宮崎榮治君本家族群
  米蘭雪白酒 冬瓜茶 白色橋安爾君江原節君宮部襄君板東勘五郞君
  田武八郞君橋本久太郞君武市庫太君鳥海哲四郞君
  千葉禎太郎君植木元太郞君鈴木友治郞君大井卜新君
  左吉君關根柳介君楠目玄君牧野元君
  山工北本藤村善助君中倉万次郞君天野藤三君森久保作藏君
  悌二郞君辻寛君小田貫根本正君
  本繁造君上野彌一郞君河上平英一君君君蘆田鹿之助君
  長山
  晴登君森茂生君松本君吉植庄一郞君
  寺井純司君岩本晴之君島津良知君川眞田德三郞君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=101

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• 102・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　延期說ハ否決ニナリマシタ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=102

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• 103・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君　直チニ二讀會ヲ開カレンコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=103

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• 104・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　多田作兵衞君-贊成演說ヲ御遣リニナリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=104

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• 105・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君　直チニ二讀會ヲ開カレマシタカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=105

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• 106・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　マダ二讀會ヲ開キマセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=106

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• 107・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君　直チニ二讀會ヲ開カレタイト云フ緊急動議デゴザイマス
  (「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=107

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• 108・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　二讀會ヲ開クヤ否ヤト云フニ付イテ採決ヲ致シマス、本案ノ二
  讀會ヲ開クベシト云フ諸君ノ起立ヲ願ヒマス
  起立者多數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=108

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• 109・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　多數デアリマス、二讀會ヲ開クコトニ決シマシタ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=109

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• 110・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君　直チニ開カレンコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=110

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• 111・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　恆松君發議ノ通リ、直チ二一讀會ヲ開クニ御異議ハアリマセヌカ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=111

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• 112・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、直チニ二讀會ヲ開キ、全部ヲ議題ト
  致シマス
  町村制改正法律案第二讀會

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=112

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• 113・多田作兵衞

  ○多田作兵衞君　修正ガ出テ居リマス

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• 114・岡本金太郎

  ○岡本金太郞君　議長

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=114

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• 115・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　岡本金太郞君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=115

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• 116・岡本金太郎

  ○岡本金太郞君　是ハ頗ル簡單ナ問題デゴザイマスカラ···

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=116

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• 117・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　登壇ヲシテ
  〔岡本金太郞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=117

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• 118・岡本金太郎

  ○岡本金太郞君　私ハ町村制ノ第二十七條ニ對シテ修正動議ヲ提出シテ置キマシテ
  ゴザイマス、ソレハ丁度市制ノ第三十條ニ修正ヲ加ヘマシタト、同一文字デゴザイマス、
  又本文モ同一ノ文字デアルノデゴザイマス、町村制ノ第一一十七條ノ第二項ニ持ッテ來マシ
  テ「二囘選舉ニ於テ仍當選者選舉スヘキ議員數ニ達セサルトキハ前項但書ヲ適用セス」
  ト云フ文字デゴザイマス、尙同條ノ第二項中ニ前項トゴザイマスノガ、第一項第二項トナ
  リマスノデ「前二項」ト云フコトニ修正ヲ致シマス、此問題ハ既ニ市制ニ於テ御決定ニナ
  リマシタ箇條デゴザイマスカラ、町村制ニ於テモ此項ガゴザイマセヌト、兩案ノ間ニ權衡
  ヲ失スルヤウニナリマスカラ、無論諸君ハ御贊成デアラウト信ジマスノデゴザイマス(「贊成
  贊成」ト呼フ者アリ)故ニ私ハ多ク申シマセヌノデ、市制ニ御贊成ヲ下サッタ方々ハ悉ク御
  同意下サレ、尙市制ガ旣ニ決定サレタ以上ハ、反對ノ諸君モ御同意下サレンコトヲ希
  望致シマスノデアリマス
  〔「採決」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=118

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• 119・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　別段御議論モナイヤウデゴザイマスルデ採決致シマス、先ヅ此本
  案第二十七條ニ付イテ採決致シマス、本案二十七條ニハ唯今岡本金太郞君ノ申
  サレタ通リガ、修正ニナッテ居リマス、卽チ岡本金太郞君ノ修正ノ通リ御異議ハアリマセ
  ヌカ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=119

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• 120・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、修正ノ通リ決シマシタ、其他ノ箇條
  ニ付イテハ修正ハナイノデアリマスル、悉皆原案ニ御異議ハアリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=120

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• 121・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、是ニテ二讀會ハ決定致シマシタ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=121

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• 122・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君　直チニ三讀會ヲ開イテ確定セラレンコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=122

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• 123・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　恆松君發議ノ通リ直チニ三讀會ヲ開キ、確定スルニ御異議ハ
  アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=123

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• 124・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、第二讀會ニ於テ決定シタ通リ御異
  議ハアリマセヌカ
  町村制改正法律案第三讀會
  〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=124

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• 125・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、是ニテ本案ハ確定致シマシタ
  〔拍手起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=125

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• 126・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　此際煙草專賣法中改正法律案外一件ノ委員會ヲ開キタイ
  ト云フ請求ガアリマス、御異議ハアリマセヌカ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=126

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• 127・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ガナイト認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=127

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• 128・藤金作

  ○藤金作君　煙草專賣法中改正法律案外一件ノ委員ハ、ドウゾ懲罰委員室ニ御
  出ヲ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=128

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• 129・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　日程第六、東京市制案第一讀會ノ續
  第六東京市制案(磯部四郞君外十五名第一讀會ノ續へ委員長
  提出)/報告
  (左ノ議案ハ參考ノ爲茲ニ揭載ス
  東京市制案
  東京市制目次
  第一章總則
  第一款市
  第二款區域
  第三款住民
  第二章市會
  第一款組織及選擧
  第二款職務權限
  第三章市參事會
  第一款組織及選舉
  宮 殿職務權限
  第四章市行政
  第一款市吏員ノ組織及選任
  第二款市吏員ノ職務權限
  第五章給料及給與
  第六章財務
  第一款財產營造物及收入支出
  第二款歲入出豫算及決算
  第七章監督
  第八章區
  第一款總則
  第二款區會及區行政
  第三款區ノ財務
  第九章附則
  東京市制
  第一章總則
  第一款市
  第一條市ハ法人トシ法律命令ノ範圍內ニ於テ其ノ公共事務竝從來法律命
  令又ハ慣例ニ依リ及將來法律勅令ニ依リ市ニ屬スル事務ヲ處理ス
  第二條市ハ本法ニ規定スルモノノ外市住民ノ權利義務ニ關シ市條例ヲ設
  ケ及市ノ事務竝營造物ニ關シ市規則ヲ設クルコトヲ得
  市條例及市規則ハ一定ノ公〓式ニ依リ之ヲ告示スヘシ
  第二款區域
  第三條市ハ從來ノ區域ニ依ル
  市ノ區域ノ變更ヲ要スルトキハ法律ヲ以テ之ヲ定ム
  第四條市ハ從來ノ區ヲ存ス
  第五條市ノ境界ニ關スル爭論ハ行政裁判所之ヲ判決ス
  第三款住民
  第六條市內ニ住所ヲ有スル者ハ市住民トス
  市住民ハ本法ニ從ヒ市ノ財產竝營造物ヲ共用スル權利ヲ有シ及市ノ負擔
  ヲ分任スル義務ヲ負フ
  第七條市住民ニシテ左ノ要件ヲ備フル者ハ市公民タルノ權ヲ有ス
  一帝國臣民ニシテ公權ヲ有スルコト
  二男子ニシテ滿二十五年以上タルコト
  三二年以來市ノ負擔ヲ分任スルコト
  四二年以來市內ニ於テ直接國稅ヲ納ムルコト
  前項第三號及第四號ニ定ムル二年ノ制限ハ市會ノ議決ヲ經テ特免スルコ
  トヲ得
  家督相續ニ因リ財產ヲ取得シタル者ハ其ノ財產ニ付被相續人ノ爲シタル
  納稅ヲ以テ其ノ者ノ納稅シタルモノト看做ス
  市公民ノ要件中其ノ年限ニ關スルモノハ市ノ區域變更ノ爲中斷セラルル
  コトナシ
  第八條市公民ニシテ公權停止中又ハ租稅滯納處分中ノ者竝禁治產者及準
  禁治產者ハ其ノ權ヲ停止ス家資分散若ハ破產ノ宣告ヲ受ケ其ノ確定シタ
  ルトキヨリ復權ノ決定スル迄及禁錮以上ノ刑ノ宣告ヲ受ケタルトキヨリ
  其ノ裁判確定ニ至ル迄亦同シ
  第九條市公民ハ本法ニ從ヒ市ノ公務ニ參與スルノ權ヲ有ス但シ公民權停
  止中ノ者又ハ陸海軍ノ現役ニ服スル者及現役以外ノ兵役ニ在ル者ニシテ
  戰時若ハ事變ニ際シ召集中ノモノハ此ノ限ニ在ラス
  第二章市會
  第一款組織及選舉
  第十條市會ハ各選舉區ニ於テ市公民ノ選舉シタル議員ヲ以テ之ヲ組織ス」
  議員ノ定員ハ七十五人トシ各選舉區ヨリ選舉スヘキ員數ハ市條例ヲ以テ
  之ヲ定ム但シ一選舉區三人ヲ下ルコトヲ得ス
  第十一條議員ノ選舉區ハ區ノ區域ニ依ル
  選舉人ハ其ノ住所ニ依リテ所屬ノ選舉區ヲ定ム但シ選舉人名簿調製期日
  後ニ異動ヲ生シタルトキハ前住所地ヲ以テ所屬ノ選舉區トス
  第十二條選舉人ハ各選舉區ニ於テ之ヲ三級ニ分ツ
  選舉人中直接市稅ノ納額最多キ者ヲ合セテ選舉人全員ノ納ムル總額ノ三
  分ノ一ニ當ルヘキ者ヲ一級トシ爾餘ノ選舉人中直接市稅ノ納額最多キ者
  ヲ合セテ一級選舉人ヲ除キタル選舉人ノ納ムル總額ノ二分ノ一ニ當ルヘ
  キ者ヲ二級トシ其ノ他ノ選舉人ヲ三級トス
  前項ノ場合ニ於テ一級選舉人ノ數二十名ニ滿タサルトキハ直接市稅ノ納
  額最多キ者二十名ヲ以テ一級トス
  各級ノ間納稅額兩級ニ跨ル者アルトキハ上級ニ入ルヘシ若兩級ノ間ニ同
  額ノ納稅者二名以上アルトキハ市內ニ住所ヲ有シタル年數ノ多キ者ヲ上
  級ニ入ル住所ヲ有シタル年數ニ依リ難キトキハ年長者ヲ以テシ年齡相同
  シキトキハ區長抽籤シテ之ヲ定ム
  選舉人每級各別ニ各選舉區ヲ通シテ議員定員ノ三分ノ一ヲ選舉ス其ノ各
  選舉區ニ於ケル每級ノ議員數ハ第十條ノ市條例中ニ之ヲ規定スヘシ
  被選舉人ハ同級又ハ同選舉區內ノ者ニ限ラサルモノトス
  本條直接市稅ノ納額ハ選舉人名簿調製期日ノ屬スル會計年度ノ前年度ニ
  於ケル賦課額ニ依ル
  第十三條選舉權ヲ有スル者ハ被選舉權ヲ有ス
  左ニ揭クル者ハ被選舉權ヲ有セス其ノ之ヲ罷メタル後三十日ヲ經過セサ
  ル者亦同シ
  一有給ノ市吏員
  二府ノ官吏及有給ノ府吏員
  三檢事警察官吏及收稅官吏
  四神官神職僧侶其ノ他諸宗〓師
  五小學校〓員
  前項ニ揭ケサル官吏ニシテ當選シ之ニ應セムトスルトキハ所屬長官ノ許
  可ヲ受クヘシ
  市ノ爲工事ノ請負若ハ物件勞力供給ノ契約ヲ爲ス者又ハ市ノ爲同一ノ行
  爲ヲ爲ス法人ノ役員ハ被選舉權ヲ有セス
  第十四條議員ハ名譽職トシ其ノ任期ハ總選舉期日ヨリ四年トス
  第十五條議員中闕員ヲ生シ其ノ闕員定員ノ三分ノ一以上ニ至リタルトキ
  又ハ市會若ハ市長ニ於テ必要ト認ムルトキハ補闕選舉ヲ行フヘシ
  補闕議員ハ前任者ノ殘任期間在任ス
  第十六條選舉人名簿ハ選舉期日前六十日ヲ期シ其ノ日ノ現在ニ依リ市長
  ノ指揮ニ從ヒ區長之ヲ調製スヘシ
  名簿ハ其ノ選舉期日前四十日ヲ期シ其ノ日ヨリ七日間區役所ニ於テ關係
  者ノ縱覽ニ供スヘシ若關係者ニ於テ異議アルトキハ縱覽期間內ニ之ヲ區
  長ニ申立ツルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ區長ハ其ノ申立ヲ受ケタル日ヨ
  リ三日以內ニ之ヲ決定スヘシ
  前項區長ノ決定ニ不服アル者ハ市參事會ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルト
  キハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
  前項ノ裁決ニ關シテハ市長又ハ區長ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
  名簿ハ選舉期日前三日ヲ以テ確定シ爾後一年以內ニ於テ行フ選舉ニ之ヲ
  適用ス但シ名簿若ハ選舉ノ無效トナリタルニ因リ又ハ補闕選舉ノ爲ニ調
  製シタル名簿ハ本項ノ期間內ニ行ハルル總選舉竝其ノ後ノ補闕選舉ニ適
  用ノ限ニ在ラス
  異議ノ決定訴願ノ裁決又ハ訴訟ノ判決ニ依リ名簿ノ修正ヲ要スルトキハ
  區長ハ直ニ之ヲ修正スヘシ但シ名簿確定後ナルトキハ選舉ヲ終リタル後
  ニ於テ次ノ選舉期日前三日迄ニ修正スヘシ
  名簿ヲ修正シタルトキハ區長ハ直ニ其ノ要領ヲ告示スヘシ
  名簿ニ登錄セラレサル者ハ選舉ニ參與スルコトヲ得ス但シ名簿ニ登錄セ
  ラルヘキ確定裁決書若ハ判決書ヲ所持シ選舉會場ニ到ル者ハ此ノ限ニ在
  ラス
  前項但書ノ選舉人ハ名簿ニ登錄セラレタル選舉人中其ノ直接市稅ノ納額
  自己ノ納額ニ最近キ者ノ屬スル等級ニ於テ選舉ヲ行フヘシ此ノ場合ニ於
  テ最近キ者兩級ニ在ルトキハ下級ニ於テ選舉ヲ行フヘシ
  名簿ニ登錄セラレタル者選擧權ヲ有セサルトキハ選舉ニ參與スルコトヲ
  得ス但シ名簿ハ之ヲ修正スルノ限ニ在ラス
  異議ノ決定訴願ノ裁決又ハ訴訟ノ判決ニ依リ名簿無效ト爲リタルトキハ
  更ニ選擧期日ヲ定メ本條ノ規定ニ依リ名簿ヲ調製スヘシ
  名簿ノ樣式ハ市長之ヲ定ム
  第十七條選舉ノ執行ハ改選ノ場合ニ於テハ議員ノ任期滿了ノ翌日トシ其
  ノ他ノ場合ニ於テハ市長ノ定ムル期日ニ依ル
  前項ノ期日選舉ノ場所投票ノ時限及各選舉區各級ニ於テ選舉スヘキ議員
  ノ數ハ選舉ノ日ヨリ少クトモ七日前ニ市長之ヲ告示スヘシ
  選舉ヲ行フ順序ハ先ツ三級ノ選舉ヲ行ヒ次ニ二級ノ選舉ヲ行ヒ次ニ一級
  ノ選舉ヲ行フヘシ
  投票時間內ニ選舉會場ニ入リタル選舉人ハ其ノ時間ヲ過クルモ投票ヲ爲
  スコトヲ得
  第十八條選舉曾ハ區長選舉長ト爲リ之ヲ開閉シ其ノ取締ニ任ス
  選舉會ニハ二名乃至四名ノ選舉立會人ヲ置キ臨時ニ選舉人中ヨリ區長之
  ヲ選任ス
  選舉立會人ハ名譽職トス
  第十九條選舉會場ニハ選舉人ノ外入ルコトヲ得ス但シ選舉會場ノ事務ニ
  從事スル者又ハ選舉會場ヲ監視スル職權ヲ有スル者ハ此ノ限ニ在ラス
  選舉會場ニ於テ演說討論ヲ爲シ又ハ投票ニ關シ協議若ハ勸誘ヲ爲シ其ノ
  他選舉會場ノ秩序ヲ紊ル者アルトキハ選舉長之ヲ制止シ命ニ從ハサルト
  キハ選擧會場外ニ退出セシメ必要アルトキハ警察官吏ノ處分ヲ求ムルコ
  トヲ得
  第二十條選舉ハ投票ニ依リ之ヲ行フ其ノ投票ハ一人一票ニ限ル
  選舉人ハ選舉ノ當日自ラ選舉會場ニ到リ選舉人名簿ノ對照ヲ得投票用紙
  ニ被選舉人一名ノ氏名ヲ記載シテ投函スヘシ
  投票用紙ニハ選擧人ノ氏名ヲ記載スルコトヲ得ス
  自ラ被選舉人ノ氏名ヲ書スルコト能ハサル者ハ投票ヲ爲スコトヲ得ス
  投票用紙ハ市長ノ定ムル所ニ依ル
  第二十一條左ノ投票ハ之ヲ無效トス
  一成規ノ用紙ヲ用ヒサルモノ
  二二人以上ノ被選舉人ヲ記載シタルモノ
  三同一ノ氏名ヲ連記シタルモノ
  四被選舉人ノ何人タルヲ確認シ難キモノ
  五被選舉人ノ氏名ノ外他事ヲ記入シタルモノ但シ爵位職業身分住所又
  ハ敬稱ノ類ヲ記入シタルモノハ此ノ限ニ在ラス
  六被選擧權ナキ者ノ氏名ヲ記載シタルモノ
  第二十二條投票ノ受否竝效力ニ關スル事項ハ選舉立會人之ヲ議決ス可否
  同數ナルトキハ選舉長之ヲ決ス
  第二十三條議員ノ選舉ハ有效投票ノ多數ヲ得タル者ヲ以テ當選トス但シ
  其ノ選擧區其ノ等級ニ於ケル議員定數ヲ以テ選舉人名簿ニ記載セラレタ
  ル當該級ノ選舉人總數ヲ除シテ得タル數ノ五分ノ一以上ノ得票アルコト
  つあり、
  前項投票ノ數相同シキトキハ年長者ヲ取リ年齡相同シキトキハ選擧長抽
  籤シテ其ノ當選ヲ定ム
  第二十四條選舉長ハ選舉錄ヲ製シテ選舉ノ〓末ヲ記載シ選舉立會人二名
  以上ト共ニ之ニ署名スヘシ
  選舉ヲ終リタルトキハ選擧長ハ選舉錄ノ謄本ヲ添ヘ當選者ノ住所氏名ヲ
  市長ニ報告スヘシ
  選舉錄ハ投票選舉人名簿其ノ他關係書類ト共ニ選舉及當選ノ效力確定ス
  ルニ至ル迄之ヲ保存スヘシ
  第二十五條當選者定マリクルトキハ區長ハ直ニ當選者ニ當選ノ旨ヲ告知
  スヘシ
  當選者ニシテ當選ヲ辭セムトスルトキハ當選ノ〓知ヲ發シタル日ヨリ五
  日以內ニ之ヲ市長ニ申立ツヘシ
  第十三條第三項ノ官吏ニシテ當選シタル者ハ當選ノ告知ヲ發シタル日ヨ
  リ二十日以內ニ其ノ當選ニ應スルヤ否ヲ市長ニ申立ツヘシ
  一人ニシテ數選舉區ノ選舉ニ當リタルトキハ當選ノ告知ヲ最終ニ發シタ
  ル日ヨリ五日以內ニ何レノ選舉ニ應スヘキカヲ市長ニ申立ツヘシ但シ第
  十三條第三項ノ官吏ノ當選シタル者ニ關シテハ其ノ期間ヲ二十日トス
  前二項ノ期間內ニ當選ノ應否ヲ申立テサル者ハ總テ其ノ當選ヲ辭シタル
  モノト看做ス
  當選ニ應シタル者ノ氏名及其ノ住所ハ市長之ヲ告示スヘシ
  本條ニ依リ當選ヲ辭シタル者アルトキハ更ニ選舉ヲ行フヘシ
  第二十六條選舉人又ハ區長ニ於テ選舉若ハ當選ノ效力ニ關シ異議アルト
  キハ選舉ニ關シテハ選舉ノ日ヨリ當選ニ關シテハ前條告示ノ日ヨリ七日
  以內ニ市參事會ニ訴願スルコトヲ得
  前項訴願ノ裁決ニ不服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
  市長ニ於テ選擧又ハ當選ノ效力ニ關シ異議アルトキハ第一項訴願ノ有無
  ニ拘ラス第二十四條ノ報告ヲ受ケタル日ヨリ七日以內ニ市參事會ノ決定
  ニ付スヘシ
  前項ノ決定ニ不服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
  本條市參事會ノ裁決若ハ決定ニ關シテハ市長又ハ區長ヨリモ訴訟ヲ提起
  スルコトヲ得
  第二十七條選舉ノ規定ニ違背スルコトアルトキハ其ノ選舉ヲ無效トス但
  シ選舉ノ結果ニ異動ヲ生スル虞ナキ部分ハ此ノ限ニ在ラス
  當選者ニシテ被選舉權ヲ有セサルトキハ其ノ當選ヲ無效トス
  第二十八條選擧若ハ當選ニシテ無效ト確定シタルトキハ更ニ選舉ヲ行フ
  ヘシ但シ得票數ノ査定ニ錯誤アリタル爲當選無效ト確定シタルトキハ第
  二十三條ノ規定ニ依リ當選者ヲ定ム
  第二十九條議員ニシテ被選舉權ヲ有セサル者ハ其ノ職ヲ失フ
  前項被選舉權ノ有無ハ市會之ヲ決定ス其ノ決定ニ不服アル者ハ行政裁判
  所ニ出訴スルコトヲ得
  前項市會ノ決定ニ關シテハ市長ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
  議員ハ其ノ被選舉權ヲ有セストスル決定確定シ又ハ訴訟ノ判決アル迄ハ
  會議ニ列席シ議事ニ參與スルノ權ヲ失ハス
  第三十條本款ニ規定スル異議ノ決定及訴願ノ裁決ハ直ニ之ヲ告示スヘ
  第三十一條議員ノ選舉ニ付テハ衆議院議員選舉ニ關スル罰則ヲ準用ス
  第二款職務權限
  第三十二條市會ハ市ノ公共事務ニ關スル事件竝法律勅令ニ依リ市會ノ權
  限ニ屬スル事件ヲ議決ス
  第三十三條市會ノ議決スヘキ事件ノ〓目左ノ如シ
  一市條例及市規則ヲ設定スル事
  二市費ヲ以テ支辨スヘキ事件但シ法律勅令中別段ノ規定アルモノハ此
  ノ限ニ在ラス
  三歲入出豫算ヲ定ムル事
  五四決算報告ヲ認定スル事
  法律勅令ニ定ムルモノノ外使用料手數料及市稅ノ賦課徵收ニ關スル
  事
  六不動產ノ管理處分竝買受讓受ニ關スル事
  七基本財產及積立金等ノ設置管理竝處分ニ關スル事
  八財產及營造物ノ管理方法ヲ定ムル事
  九歲入出豫算ヲ以テ定ムルモノノ外新ニ義務ノ負擔ヲ爲シ又ハ權利ノ
  抛棄ヲ爲ス事
  十市吏員ノ身元保證ニ關スル事
  十一市ニ係ル訴訟及和解ニ關スル事
  十二區ノ名稱又ハ市役所區役所ノ位置ニ關スル事
  第三十四條市會ハ其ノ權限ニ屬スル事件ノ一部ヲ市參事會ニ委任スルコ
  トヲ得
  第三十五條市會ハ法律勅令ノ定ムル所ニ依リ選舉ヲ行フヘシ
  第三十六條市會ハ市事務ノ處理議決ノ執行ニ付市長ノ報告ヲ請求シテ其
  ノ當否ヲ檢査スルコトヲ得
  市會ハ市ノ公益ニ關スル事件ニ付官廳ニ建議ヲ爲スコトヲ得
  市會ハ官廳ノ諮問アルトキハ意見ヲ答申スヘシ
  第三十七條市會ハ議員中ヨリ議長副議長各一名ヲ選舉スヘシ
  議長及副議長ハ議員ノ任期間之ヲ改選セス
  第三十八條議長故障アルトキハ副議長之ニ代リ議長副議長共ニ故障アル
  トキハ年長ノ議員又ハ臨時ニ選舉シタル議員ヲ以テ假議長トス
  第三十九條市長及其ノ委任ヲ受ケタル市吏員ハ會議ニ列席シテ議事ヲ辯
  明スルコトヲ得
  前項ノ列席者ニ於テ發言ヲ求ムルトキハ議長ハ直ニ之ヲ許スヘシ但シ之
  カ爲議員ノ演說ヲ中止セシムルコトヲ得ス
  第四十條市會ハ議長之ヲ招集ス若議員定員四分ノ一以上又ハ市長ノ請
  求アルトキハ直ニ之ヲ招集スヘシ但シ議長副議長共ニ無キトキハ市長ニ
  於テ之ヲ招集ス
  招集竝會議ノ事件ハ急施ヲ要スル場合ノ外少クトモ三日前ニ之ヲ告知ス
  ヘシ
  第四十一條市會ハ議員定員ノ半數以上出席スルニ非サレハ會議ヲ開クコ
  トヲ得ス但シ同一ノ事件ニ付招集再囘ニ至ルモ出席議員尙半數ニ滿タサ
  ルトキハ此ノ限ニ在ラス
  第四十二條市會ノ議事ハ過半數ヲ以テ決ス可否同數ナルトキハ議長之ヲ
  決ス
  第四十三條議長及議員ハ一身上ニ關スル事件ニ付テハ其ノ議事ニ參與ス
  ルコトヲ得ス但シ市會ノ同意ヲ得タルトキハ會議ニ出席シ發言スルコト
  ヲ得
  第四十四條市會ニ於テ選舉ヲ行フトキハ一名每ニ投票ヲ爲シ有效投票ノ
  過半數ヲ得タル者ヲ以テ當選トス若過半數ヲ得タル者ナキトキハ最多數
  ヲ得タル者二名ヲ取リ之ニ就テ更ニ投票セシム此ノ場合ニ於テ同數者ア
  ル爲二名ヲ取リ難キトキハ其ノ同數者ニ就キ議長抽籤シテ之ヲ定メ更ニ
  投票セシム
  前項ノ再投票ニ於テハ最多數ヲ得タル者ヲ以テ當選トス若同數ナルトキ
  ハ議長抽籤シテ其ノ當選ヲ定ム
  第二十條第一項第三項及第二十一條ノ規定ハ第一項ノ場合ニ之ヲ準用シ
  投票ノ效力ニ關シ異議アルトキハ市會之ヲ決定ス
  本條ノ選舉ニハ市會ノ議決ヲ以テ特別ノ方法ヲ用フルコトヲ得
  第四十五條市會ノ會議ハ公開ス但シ議長若ハ議員ノ發議ニ依リ傍聽禁止
  ヲ可決シタルトキ又ハ市長ヨリ傍聽禁止ノ要求アリタルトキハ此ノ限ニ
  在ラス
  前項ノ發議ハ討論ヲ須井ス其ノ可否ヲ決スヘシ
  第四十六條議長ハ會議ノ事ヲ總理シ議場ノ秩序ヲ保持ス
  議員又ハ傍聽人中會議ノ妨害ヲ爲ス者アルトキハ議長之ヲ制止シ命ニ從
  ハサルトキハ場外ニ退出セシメ必要アルトキハ警察官吏ノ處分ヲ求ムル
  コトヲ得
  第四十七條議長ハ會議事件ノ結果ヲ市長ニ報告スヘシ
  第四十八條市會ニ書記其ノ他ノ有給吏員ヲ置キ議長之ヲ任免ス
  前項ノ吏員ハ議長ノ指揮ヲ承ケ會議ニ關スル庶務ニ從事ス
  第四十九條議長ハ書記ヲシテ會議錄ヲ製シ會議ノ〓末竝出席議員ノ氏名
  ヲ記載セシムヘシ
  會議錄ハ議長及議員二名以上之ニ署名スヘシ其ノ議員ハ市會ニ於テ之ヲ
  定ム
  第五十條議員正當ノ事由ナクシテ其ノ職務ヲ實際ニ執行セサルトキハ
  市會ノ議決ヲ經テ其ノ職ヲ解クコトヲ得
  前項市會ノ議決ハ出席議員三分ノ二以上ノ多數ヲ以テ之ヲ決スヘシ
  第一項ノ處分ニ不服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
  本條ノ處分ハ確定ニ至ル迄其ノ執行ヲ停止ス
  第五十一條市會ハ會議規則及傍聽人取締規則ヲ設クヘシ
  會議規則ニハ本法竝會議規則ニ違背シタル議員ニ對シ市會ノ議決ニ依リ
  公開シタル議場ニ於テ譴責シ又ハ會議日三日以內出席ヲ停止スルノ規定
  ヲ設クルコトヲ得
  第三章市參事會
  第一款組織及選擧
  第五十二條市參事會ハ市長副市長及市參事員十二名ヲ以テ之ヲ組織ス
  第五十三條市參事員ハ名譽職トシ市會議員ニ非サル市公民中ヨリ定員ノ
  半數以內ヲ選舉シ其ノ他ヲ市會議員中ヨリ選舉ス
  前項市參事員ノ選舉ハ總選舉後ノ市會ニ於テ直ニ之ヲ爲スヘ
  市參事員ノ任期ハ市會議員ノ任期終了日ヲ以テ滿了ス
  市參事員中闕員アルトキハ直ニ補闕選舉ヲ行フヘシ
  本條ノ選舉ニ關シテハ第十三條第二項乃至第四項ノ規定ヲ適用ス
  第五十四條市參事員ノ當選ハ市長之ヲ當選者ニ告知シ其ノ他第二十五條
  第二項第三項及第五項乃至第七項ノ規定ヲ準用ス
  第五十五條市參事員若ハ市會議員ニ於テ市參事員ノ選舉又ハ當選ノ效力
  ニ關シ異議アルトキハ選擧ノ日ヨリ七日以內ニ市參事會ノ決定ヲ求ムル
  コトヲ得其ノ決定ニ不服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
  第二十七條及第二十八條ノ規定ハ市參事員ノ選舉ニ之ヲ適用ス但シ第
  二十八條但書ノ規定ハ此ノ限ニ在ラス
  第五十六條市會議員ヨリ出テタル市參事員議員ノ職ヲ失ヒタルトキハ其
  ノ職ヲ失フ市會議員ニ非スレテ市參事員タル者議員ニ當選シ其ノ當選ヲ
  辭セサルトキ亦同シ
  第五十七條市參事員ニ關シテハ第二十九條ノ規定ヲ準用ス但シ被選舉權
  ノ有無ハ市參事會之ヲ決定ス
  第五十八條市參事會ハ市長ヲ以テ議長トス市長故障アルトキハ副市長之
  ニ代リ市長副市長共ニ故障アルトキハ市參事員中ヨリ臨時假議長ヲ選舉
  スヘシ
  第二款職務權誤
  第五十九條市參事會ノ議決スヘキ事件左ノ如シ
  一市會ノ權限ニ屬スル事件ニシテ其ノ委任ヲ受ケメル事項
  二市長ヨリ市會ニ提出スル議案ニ付市長ニ對シ意見ヲ述フル事
  三財產及營造物ノ管理ニ關シ重要ナル事項
  四豫備費支出ニ關シ重要ナル事項
  五市長ノ諮問シタル事項ニ對シ意見ヲ述フル事
  六其ノ他法律命令ニ依リ市參事會ノ權限ニ屬スル事項
  第六十條市參事會ハ市長之ヲ招集ス若市參事員定員半數以上ノ請求ア
  ルトキハ直ニ之ヲ招集スヘ
  第六十一條市參事會ノ會議ハ傍聽ヲ許サス
  第六十二條市參事會ニ書記ヲ置キ市吏員中ヨリ市長之ヲ命ス
  第六十三條市參事員正當ノ事由ナクシテ其ノ職務ヲ實際ニ執行セサルト
  キハ第五十條ノ規定ヲ適用ス
  第六十四條第三十五條第三十六條第二項第三項第三十九條第四十一條乃
  至第四十四條第四十六條第四十八條第二項及第四十九條ノ規定ハ市參事
  會ニ之ヲ準用ス
  第四章市行政
  第一款市吏員ノ組織及選任
  第六十五條市ニ市長副市長各一名ヲ置ク
  第六十六條市長及副市長ハ有給吏員トシ其ノ任期ハ四年トス
  市長ハ內務大臣ノ奏上シタル三名ノ候補者中ヨリ勅任ス
  前項ノ候補者ハ內務大臣市會ヲシテ之ヲ選舉セシムヘシ
  副市長ハ內務大臣市會ヲシテ候補者ヲ選舉セシメ奏上裁可ヲ請フヘシ
  市長及副市長ハ內務大臣ノ認可ヲ受クルニ非サレハ任期中退職スルコト
  ヲ得ス
  第六十七條市長及副市長ハ市公民ニ限ラス但シ其任ヲ受クルトキハ在職
  中市公民タルノ權ヲ得
  第六十八條市長及副市長ハ第十三條第二項第二號乃至第五號ニ揭クル職
  ト相兼ヌルコトヲ得ス又同條第四項ニ揭クル行爲ヲ爲シ若ハ同一ノ行爲
  ヲ爲ス法人ノ役員タルコトヲ得ス
  第六十九條市長及副市長ハ內務大臣ノ認可ヲ得ルニ非サレハ營業又ハ他
  ノ報償アル業務ニ從事スルコトヲ得ス
  第七十條市ニ出納司一名ヲ置ク
  出納司ハ市長之ヲ選定シ市會ノ承認ヲ經テ內務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
  市長又ハ副市長トノ間ニ父子兄弟ノ緣故アル者ハ之ト同時ニ出納司タル
  コトヲ得ス若其ノ緣故アル者市長又ハ副市長ニ就任シタルトキハ出納司
  ハ其ノ職ヲ失フ
  出納司ニ關シテハ第六十六條第一項第六十七條及第六十八條ノ規定ヲ凖
  用ス
  第七十一條市ニ出納監理二名ヲ置ク
  出納監理ハ名譽職トシ市會ニ於テ議員中ヨリ之ヲ選舉シ一會計年度間在
  任ス
  出納監理ニ關シテハ前條第三項ノ規定ヲ準用ス其ノ出納司トノ間ニ緣故
  アル場合亦同シ
  第七十二條市ハ市條例ヲ以テ委員ヲ置クコトヲ得
  委員ハ名譽職トシ市公民中ヨリ選任スヘシ
  委員ノ組織及任期等ニ關スル事項ハ市條例中ニ之ヲ規定スヘシ
  第七十三條市公民ニ限リ任スヘキ職務ニ在ル吏員ニシテ公民權ヲ喪失シ
  又ハ第九條但書ノ規定ニ該ルトキハ其ノ職ヲ失フ職ニ就キタルカ爲市公
  民タルノ權ヲ得ヘキ職務ニ在ル者ニシテ第九條但書ノ規定ニ該ルトキ亦
  同シ
  前項ノ職務ニ在ル者ニシテ禁錮以上ノ刑ニ當ルヘキ罪ノ爲豫審又ハ公判
  ニ付セラレタルトキハ內務大臣ハ其ノ職務ノ執行ヲ停止シ併セテ其ノ報
  酬又ハ給料ヲ支給セシメサルコトヲ得
  第七十四條市ニ主事技師其ノ他必要ノ有給吏員ヲ置キ市長之ヲ任免ス
  前項吏員ノ定數ハ市會ノ議決ヲ經テ之ヲ定ム
  第二款市吏員ノ職務權限
  第七十五條市長ハ市ヲ統轄シ市ヲ代表ス
  市長ノ擔任スル事務ノ〓目左ノ如シ
  -市會及市參事會ノ議決ヲ經ヘキ事件ニ付議案ヲ發シ竝其ノ議決ヲ執
  行スル事
  二財產及營造物ヲ管理スルコト但シ特ニ之カ管理者アルトキハ其ノ事
  務ヲ監督スル事
  三收入支出ヲ命令シ及會計ヲ監督スル事
  四證書及公文書類ヲ保管スル事
  五使用料手數料及市稅ヲ賦課徵收スル事
  六其ノ他法律命令ニ依リ市長ノ職權ニ屬スル事項
  第七十六條市長ハ市會ニ提出スル議案ニ付市參事會ト意見ヲ異ニスルト
  キハ市參事會ノ意見ヲ議案ニ添ヘ市會ニ提出ス)ハ
  第七十七條市長ハ出納監理ヲ除クノ外市吏員ヲ指揮監督シ其ノ任命ニ係
  ル市吏員ニ對シ市規則ノ定ムル所ニ依リ懲戒ヲ行フコトヲ得其ノ懲戒ハ
  譴責二十五圓以下ノ過怠金及解職トス
  第七十八條市長ハ市會又ハ市參事會ノ議決若ハ選擧其ノ權限ヲ越へ又ハ
  法律命令ニ背クト認ムルトキハ自己ノ意見又ハ內務大臣ノ指揮ニ依リ理
  由ヲ示シテ再議ニ付シ若ハ再選舉ヲ行ハシメ尙之ヲ改メサルトキハ內務
  大臣ノ指揮ヲ請フヘシ市會又ハ市參事會ノ議決公益ニ害アリト認ムルト
  キ亦同シ
  第七十九條市長ハ市會成立セス又ハ會議ヲ開クコト能ハサルトキ若ハ招
  集ノ暇ナシト認ムルトキハ市會ノ權限ニ屬スル事件ヲ市參事會ノ議決ニ
  付スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ市長及副市長ハ其ノ議決ニ加ハルコト
  ヲ得ス
  前項市參事會ノ議決ニ關シテハ各本條ノ規定ニ準シ訴訟ヲ提起スルコト
  ヲ得
  第一項ノ場合ニ於テ市參事會ノ議決ニ付スルコト能ハサルトキ及市會ニ
  於テ其ノ議決スヘキ事件ヲ議決セス又ハ選舉ヲ行ハサルトキハ市長ハ內
  務大臣ノ指揮ヲ請フヘシ
  本條ノ處分ハ之ヲ次囘ノ市曾ニ報告スヘシ
  第八十條市長ハ市參事會成立セス又ハ會議ヲ開クコト能ハサルトキ若
  ハ招集ノ暇ナシト認ムルトキハ市參事會ノ權限ニ屬スル事件ヲ專決處分
  スルコトヲ得市參事會ニ於テ其ノ議決スヘキ事件ヲ議決セサルトキ亦同
  前項市長ノ處分ニ關シテハ各本條ノ規定ニ準シ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
  第一項ノ處分ハ之ヲ次囘ノ市參事會ニ報告スヘシ
  第八十一條市長其ノ他市吏員ハ法律命令ノ定ムル所ニ依リ國ノ行政事務
  ヲ掌ル
  第八十二條市長ハ其ノ事務ノ一部ヲ區長ニ分掌セシムルコトヲ得但シ市
  行政事務ニ付テハ市會ノ同意ヲ經國ノ行政事務ニ付テハ內務大臣ノ許可
  ヲ受クヘシ
  市長ハ市吏員ヲシテ其ノ事務ノ一部ヲ臨時代理セシムルコトヲ得
  第八十三條副市長ハ市長ノ職務ヲ補助シ市長故障アルトキハ之ヲ代理ス
  第八十四條出納司ハ市ノ出納竝第八十一條ニ關スル國ノ出納其ノ他會計
  事務ヲ掌ル但シ法律命令中別段ノ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラス
  前項ノ事務ハ第八十二條第一項ノ例ニ依リ市長ニ於テ其ノ一部ヲ區出納
  司ニ分掌セシムルコトヲ得
  出納司故障アルトキハ市長ノ選定シタル市吏員之ヲ代理ス但シ其ノ選定
  ハ豫メ市會ノ承認ヲ受クヘ
  第八十五條出納監理ハ市ノ出納及財產ニ關スル計算竝正否ヲ監査ス
  第八十六條委員ハ財產若ハ營造物ヲ管理シ又ハ一時ノ委託ニ依リ市行政
  事務ノ一部ヲ調査ス
  委員正當ノ事由ナクシテ其ノ職務ヲ實際ニ執行セサルトキハ第五十條ノ
  規定ヲ適用ス
  第八十七條第七十四條ノ市吏員ハ市長ノ命ヲ承ケ庶務ニ從事ス
  第八十八條市ノ事務ニ關スル處務規程ハ市長之ヲ定ム
  第五章給料及給與
  第八十九條名譽職員ニハ職務ノ爲要スル實費ヲ給スルコトヲ得
  出納監理及委員ニハ勤務ニ相當スル報酬ヲ給スルコトヲ得
  第九十條名譽職員ノ實費報酬竝有給吏員ノ給料旅費等ノ支給額及其ノ
  支給方法ハ市規則ヲ以テ之ヲ定ム
  第九十一條有給吏員ノ退隱料退職給與金死亡給與金遺族扶助料及其ノ支
  給方法ハ市條例ヲ以テ之ヲ定ム
  第九十二條本章ノ給料及給與ニ關シ異議アルトキハ之ヲ市長ニ申立ツル
  コトヲ得
  前項ノ異議ハ市參事會之ヲ決定ス其ノ決定ニ不服アル者ハ行政裁判所ニ
  出訴スルコトヲ得
  前項市參事會ノ決定ニ關シテハ市長ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
  第六章財務
  第一款財產營造物及收入支出
  第九十三條市ハ不動產積立金等ヲ基本財產ト爲シ之ヲ維持スルノ義務ア
  リ
  臨時ニ取得シタル財產ハ基本財產ニ加入スヘシ但シ寄附ニ係ル物件ニシ
  テ寄附者其ノ使用ノ目的ヲ定メタルモノハ此ノ限ニ在ラス
  特定ノ目的ノ爲特別ノ基本財產ヲ設クルコトヲ得
  第九十四條市住民ニ於テ財產又ハ營造物ヲ特ニ使用スル舊來ノ慣行ハ市
  會ノ議決ヲ經ルニ非サレハ之ヲ改ムルコトヲ得ス
  第九十五條財產ヲ賣却貸與シ又ハ物件勞力ノ供給若ハ工事ノ請負ヲ爲サ
  シムルトキハ競爭入札ニ付スヘシ但シ臨時急施ヲ要スルトキ若ハ入札ス
  ヘキ價額其ノ費用ニ比シ得失相償ハスト認ムルトキ又ハ市會ノ同意ヲ得
  タルトキハ此ノ限ニ在ラス
  第九十六條市ハ其ノ公益上必要アル場合ニ於テハ寄附若ハ補助ヲ爲スコ
  トヲ得
  第九十七條市ハ其ノ必要ナル費用及從來法律命令ニ依リ又ハ將來法律勅
  令ニ依リ市ノ義務ニ屬スル費用ヲ負擔ス第八十一條ノ事務ヲ執行スル爲
  必要ナル費用及第八十九條乃至第九十一條ノ規定ニ依ル支出亦同シ但シ
  法律命令中別段ノ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラス
  第九十八條市ハ營造物若ハ公共ノ使用ニ供スル財產ノ使用ニ付使用料ヲ
  徵收シ及特ニ一個人ノ爲ニスル事務ニ付手數料ヲ徵收スルコトヲ得
  第九十九條第九十四條及前條ニ規定スル財產ノ使用方法ニ關シテハ市規
  則ヲ設クルコトヲ得
  第百條市稅トシテ賦課スルコトヲ得ヘキモノ左ノ如シ
  一國稅府稅ノ附加稅
  二特別稅
  附加稅ハ直接ノ國稅又ハ府稅ニ附加シ均一ノ稅率ヲ以テ市ノ全部ヨリ徵
  收スルヲ常例トシ特別稅ハ別ニ稅目ヲ設ケ課稅スルノ必要アルトキ之ヲ
  賦課徵收ス
  國稅ノ附加稅タル府稅ニ對シテハ附加稅ヲ附加スルコトヲ得ス
  第百一條九十日以上市內ニ滯在スル者ハ其ノ滯在ノ初ニ遡リ市稅ヲ納ム
  ル義務ヲ負フ
  第百二條市內ニ住所ヲ有セス又ハ九十日以上滯在スルコトナシト雖市內
  ニ於テ物件ヲ所有シ使用シ若ハ占有シ又ハ營業所ヲ定メテ營業ヲ爲シ若
  ハ市內ニ於テ特定ノ行爲ヲ爲ス者ハ其ノ物件營業及行爲ニ對シ又ハ其ノ
  收入ニ對シテ賦課スル市稅ヲ納ムル義務ヲ負フ其ノ法人タルトキ亦同シ
  但シ國ノ事業若ハ行爲ニ對シテハ此ノ限ニ在ラス
  第百三條市住民及九十日以上市內ニ滯在スル者ノ市外ニ於テ所有シ使用
  シ若ハ占有スル物件若ハ其ノ收入又ハ市外ニ營業所ヲ定メタル營業若ハ
  其ノ收入ニ對シテハ市稅ヲ賦課スルコトヲ得ス
  收入ニ對シ市稅ヲ賦課スルトキ其ノ納稅義務者ニシテ同一收入ニ付他市
  町村ニ納稅義務ヲ有スルトキハ其ノ收入ヲ他市町村ト平分シ其ノ一部ニ
  賦課スヘシ但シ物件又ハ營業所ヲ定メタル營業ヨリ生スル收入ハ此ノ限
  ニ在ラス
  他市町村ニ涉リ營業所ヲ定メテ營業ヲ爲シ且其ノ營業若ハ其ノ收入ニ對
  スル本稅ヲ分別シテ納メサル者ニ對シ附加稅ヲ賦課スルトキハ其ノ方法
  ヲ定メ內務大臣ノ許可ヲ受クヘシ
  第百四條左ニ揭クルモノニハ市稅ヲ賦課スルコトヲ得ス伹シ第二號乃至
  第五號ノ場合ニ於テ供用者以外ニ納稅義務者アルトキ其ノ納稅義務者ニ
  對シテハ此ノ限ニ在ラス
  一所得稅法第五條ニ揭クル所得
  二國府縣郡市町村其ノ他公共團體ニ於テ直接ノ公用ニ供スル物件竝營
  造物
  三公共ノ施設ニ係ル學藝美術又ハ慈善ノ用ニ供スル物件竝營造物
  四神社遙拜所寺院祠宇佛堂ノ用ニ供スル建物ニシテ其ノ境內地ニ存在
  スルモノ及其ノ境內地
  五〓會所說〓所ノ用ニ供スル建物ニシテ住宅ナラサルモノ及其ノ構內
  地
  前項ノ外市稅ヲ賦課スルコトヲ得サルモノハ別ニ法律勅令ノ定ムル所ニ
  依ル
  皇族ニ係ル市稅ノ賦課ハ追テ法律勅令ヲ以テ定ムル迄現今ノ例ニ依ル
  第百五條市稅ノ賦課徵收方法ニ關シテハ法律中別段ノ規定アルモノノ外
  勅令ノ定ムル所ニ依ル
  第百六條納稅義務者中特別ノ事情アル者ニ對シ市長ハ納稅延期ヲ許スコ
  トヲ得但シ其ノ會計年度出納閉鎖期ヲ越ユル場合ハ市參事曾ノ議決ヲ經
  シヘ
  第百七條使用料手數料及特別稅ニ關スル事項ニ付テハ市條例ヲ以テ之
  ヲ規定スヘシ其ノ條例ニハ二圓以下ノ過料ニ處スルノ規定ヲ設クルコト
  ヲ得財產若ハ營造物ノ使用方法ニ關スル市規則ニ付テモ亦同シ
  過料ニ處シ及之ヲ徵收スルハ市長之ヲ掌ル其ノ處分ニ不服アル者ハ市參
  事會ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
  前項市參事會ノ裁決ニ關シテハ市長ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
  第百八條市稅ノ賦課額ハ之ヲ告示スヘシ
  市稅ノ賦課ヲ受ケタル者其ノ賦課ニ付違法若ハ錯誤アリト認ムルトキハ
  徵稅令書ノ交付後九十日以內ニ市長ニ對シ異議ヲ申立ツルコトヲ得
  財產若ハ營造物ヲ使用スル權利ニ關シ異議アル者ハ之ヲ市長ニ申立ツル
  コトヲ得
  前二項ノ異議ハ之ヲ市參事會ノ決定ニ付スヘシ其ノ決定ニ不服アル者ハ
  行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
  前項市參事會ノ決定ニ關シテハ市長ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
  本條ノ規定ハ使用料及手數料ノ徵收ニ關シ之ヲ準用ス
  第百九條使用料手數料市稅其ノ他市ノ收入ヲ定期內ニ納メサル者アルト
  キハ市長ハ期限ヲ指定シ之ヲ督促スヘシ此ノ場合ニ於テハ市條例ノ規定
  ニ依リ手數料ヲ徵收スルコトヲ得
  滯納者前項ノ督促ヲ受ケ其ノ指定ノ期限內ニ尙完納セサルトキハ國稅滯
  納處分ノ例ニ依リ之ヲ處分スヘシ
  前項ノ處分ニ不服アル者ハ市參事會ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ
  行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
  前項市參事會ノ裁決ニ關シテハ市長ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
  第二項ノ處分中差押物件ノ公賣ハ其ノ處分確定ニ至ル迄執行ヲ停止ス
  第百十條使用料市稅其ノ他官廳ノ命令ニ依ル市ノ收入ノ賦課徵收ニ關
  シ必要アルトキハ市長ハ市吏員ヲシテ日出ヨリ日沒迄ノ間關係者ノ家宅
  ニ臨檢シ又ハ帳簿物件ノ檢査ヲ爲サシムルコトヲ得
  前項ノ臨檢及檢査ハ營業者ニ關シテハ仍其ノ營業時間內之ヲ爲スコトヲ
  得
  第百十一條第百九條ノ徵收金ハ府縣ノ徵收金ニ次テ先取特權ヲ有シ其ノ
  追徵還付及時效ニ付テハ國稅ノ例ニ依ル
  第百十二條市ハ其ノ負債ヲ償還スル爲又ハ天災時變等已ムヲ得サル支出
  若ハ永久ノ利益ト爲ルヘキ支出ヲ要スル場合ニ限リ市會ノ議決ヲ經テ市
  債ヲ起スコトヲ得
  市債ヲ起スニ付市會ノ議決ヲ經ルトキハ併セテ起債ノ方法ノ利息定率及
  償還ノ方法ニ關シ議決ヲ經ヘシ
  豫算內ノ支出ヲ爲スニ付必要アルトキハ本條ノ例ニ依ラス一時ノ借入金
  ヲ爲スコトヲ得
  前項ノ借入金ハ其ノ會計年度ノ收入ヲ以テ償還スヘシ
  第二款歲入出豫算及決算
  第百十三條市長ハ每會計年度歳入出豫算ヲ調製シ年度開始前十日迄ニ市
  會ノ議決ヲ經ヘシ其ノ市會ニ提出スヘキ期限ハ仍五十日前トス
  市ノ會計年度ハ政府ノ會計年度ニ同シ
  豫算ヲ市會ニ提出スルトキハ併セテ事務報告書及財產明細書ヲ提出スヘ
  シ
  第百十四條市長ハ市曾ノ議決ヲ經テ既定豫算ノ追加若ハ更正ヲ爲スコト
  ヲ得
  第百十五條數年ヲ期シ支出ヲ要スル費用ハ市會ノ議決ヲ經テ其ノ年期間
  各年度ノ支出額ヲ定メ繼續費ト爲スコトヲ得
  第百十六條豫算外ノ支出若ハ豫算超過ノ支出ニ充ツル爲豫備費ヲ設クヘ
  シ伹シ市會ノ否決シタル費途ニ充ツルコトヲ得ス
  第百十七條豫算ハ市曾ノ議決ヲ經タル後直ニ之ヲ內務大臣ニ報告シ竝其
  ノ要領ヲ告示スヘシ
  第百十八條市ハ市會ノ議決ヲ經テ特別會計ヲ設クルコトヲ得
  第百十九條豫算成立シルトキタハ市長ハ其ノ謄本ヲ出納司ニ交付スヘシ
  出納司ハ市長又ハ內務大臣ノ命令アルニ非サレハ支拂ヲ爲スコトヲ得ス
  市長ノ命令ヲ受クルモ其ノ豫算ナキトキ又ハ財務ニ關スル規定ニ依ラサ
  ルトキ亦同シ
  第百二十條出納閉鎖ハ會計年度經過後三箇月ヲ以テ期限トス
  決算ハ出納閉鎖後二箇月以內ニ證書類ヲ添ヘ出納司ヨリ市長ニ提出スヘ
  シ市長ハ之ニ豫算ニ對スル增減ノ說明ヲ附シ出納監理ノ審査ヲ經テ次ノ
  通常豫算ヲ議スル會議迄ニ市會ノ認定ニ付スヘシ
  市長ハ前項出納監理ノ審査ニ關シ意見ヲ異ニスルトキハ出納監理ノ意見
  ヲ決算ニ添ヘ市曾ニ提出スヘシ
  決算及其ノ認定ニ關スル市曾ノ議決ハ之ヲ內務大臣ニ報告シ決算ハ其ノ
  要領ヲ告示スヘシ
  第百二十一條市ノ支拂ニ關スル時效ニ付テハ政府ノ支拂金ノ例ニ依ル
  第百二十二條現金ノ出納及保管ノ爲市金庫ヲ置キ銀行ヲシテ其ノ事務ヲ
  取扱ハシム
  前項ノ外市金庫ニ關シ必要ナル事項ハ市規則ヲ以テ之ヲ定ム
  第百二十三條豫算調製ノ式竝費目流用其ノ他財務ニ關シ必要ナル事項ハ
  市規則ヲ以テ之ヲ定ム
  第七章監督
  第百二十四條市行政ハ內務大臣之ヲ監督ス
  第百二十五條內務大臣ハ第七十八條ノ場合ニ於テ市會又ハ市參事會ノ議
  決若ハ選舉ヲ取消スコトヲ得
  前項ノ取消處分ニ不服アル市會又ハ市參事會ハ行政裁判所ニ出訴スルコ
  トヲ得
  第百二十六條本法中別段ノ規定アル場合ノ外市ノ行政ニ關スル市長ノ處
  分ニ不服アル者ハ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得但シ行政裁判所ニ出訴ス
  ルコトヲ得ヘキ場合ハ此ノ限ニ在ラス
  第百二十七條本法ニ依リ市參事會ニ訴願ヲ爲シ又ハ決定ヲ求ムル場合ニ
  於テハ之ヲ市長ニ申立ツヘシ
  第百二十八條本法ニ規定スル異議若ハ訴願訴訟ハ處分ヲ爲シ又ハ決定書
  若ハ裁決書ノ交付ヲ受ケタル日ヨリ其ノ交付ヲ受ケサル者ハ告示ノ日ヨ
  リ各十四日以內ニ之ヲ提起スヘシ但シ本法中別ニ期限ヲ定メタルモノハ
  此ノ限ニ在ラス
  本法ニ規定スル異議ノ決定ハ文書ヲ以テ之ヲ爲シ其ノ理由ヲ附シ申立人
  ニ交付スヘシ
  本法中別段ノ規定アル場合ノ外異議ノ申立又ハ訴願訴訟ノ提起ニ因リテ
  處分ノ執行ヲ停止スルコトナシ但シ行政廳ハ其ノ職權ニ依リ又ハ關係者
  ノ請求ニ依リ必要ト認ムルトキハ之ヲ停止スルコトヲ得
  第百二十九條內務大臣ハ市行政ノ法律命令ニ背戾セサルヤ又ハ公益ヲ害
  セサルヤ否ヲ監視スル爲行政事務ニ關スル報告ヲ爲サシメ書類帳簿ヲ徵
  シ竝實地ニ就キ事務ヲ視察シ出納ヲ檢閱スルコトヲ得
  內務大臣ハ市行政ノ監督上必要ナル命令ヲ發シ處分ヲ爲スコトヲ得
  第百三十條法律命令ニ依リ負擔スル費用ヲ豫算ニ載セサルトキハ內務
  大臣ハ理由ヲ示シテ其ノ費用ヲ豫算ニ加フルコトヲ得
  市又ハ市長其ノ他ノ吏員ニ於テ執行スヘキ事件ヲ執行セサルトキハ內務
  大臣又ハ其ノ委任ヲ承ケタル官吏吏員ニ於テ之ヲ執行スルコトヲ得但シ
  其ノ費用ハ市ノ負擔トス
  本條ノ處分ニ不服アル市又ハ市長其ノ他ノ吏員ハ行政裁判所ニ出訴スル
  コトヲ得
  第百三十一條內務大臣ハ勅裁ヲ經テ市會ノ解散ヲ命スルコトヲ得
  市會解散ノ場合ニ於テハ九十日以內ニ議員ヲ選舉スヘシ
  第百三十二條內務大臣ハ市長副市長共ニ故障アルトキ市參事員中ヨリ臨
  時市長代理者ヲ選任スヘシ若市參事員ナキトキハ府知事又ハ其ノ代理者
  ヲシテ市長ノ職務ヲ管掌セシム但シ其ノ費用ハ市ノ負擔トス
  前項臨時市長代理者ノ報酬及旅費額等ハ內務大臣之ヲ定ム
  第百三十三條左ニ揭クル事件ハ內務大臣ノ許可ヲ受クルコトヲ要ス
  一市條例ヲ設定スル事
  二第七十七條第九十條第百一一十二條及第百二十三條ニ依ル市規則竝營
  造物ニ關スル市規則ヲ設定スル事
  三基本財產ノ處分ニ關スル事
  四寄附若ハ補助ヲ爲ス事
  五區ノ名稱ニ關スル事
  第百三十四條左ニ掲クル事件ハ內務大臣及大藏大臣ノ許可ヲ受クルコト
  ヲ要ス
  一市債ヲ起シ竝起債ノ方法利息ノ定率及償還ノ方法ヲ定ムル事但シ第
  百十二條第三項ノ借入金ハ此ノ限ニ在ラス
  二特別稅使用料手數料ヲ新設シ若ハ變更スル事
  三直接國稅二分ノ一ヲ超過スル附加稅ヲ賦課スル事但シ法律勅令中別
  段ノ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラス
  四間接國稅ノ附加稅ヲ賦課スル事
  五均一ノ稅率ニ依ラスシテ國稅又ハ府稅ノ附加稅ヲ賦課スル事
  第百三十五條內務大臣及大藏大臣ハ市ノ行政ニ關シ其ノ許可ヲ與フヘキ
  事件ニ付更正シテ許可スルコトヲ得
  第百三十六條内務大臣ハ市長副市長出納司出納監理及委員ニ對シ懲戒ヲ
  行フコトヲ得其ノ懲戒ハ譴責二十五圓以下ノ過怠金及解職トス
  市長及副市長ノ解職ハ勅裁ヲ經ルコトヲ要ス
  內務大臣ハ第一項ノ吏員ニ對シ解職ヲ行ハムトスル前停職ヲ命シ且場合
  ニ依リ報酬又ハ給料ヲ支給セシメサルコトヲ得
  第百三十七條市吏員ノ服務紀律賠償責任ニ關スル規定ハ內務大臣之ヲ定
  第八章區
  第一款總則
  第百三十八條區ハ其ノ財產及營造物ニ關スル事務其ノ他從來法律命令ニ
  依リ及將來法律勅令ニ依リ區ニ屬スル事務ヲ處理ス
  第百三十九條區ハ從來ノ區域ニ依ル
  區ノ廢置分合又ハ區域ノ變更ヲ要スルトキハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
  第百四十條區ノ境界ニ關スル事項ハ市參事會之ヲ決定ス其ノ決定ニ不
  服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
  前項市參事會ノ決定ニ關シテハ市長ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
  第百四十一條區內ニ住所ヲ有スル者ハ本法ニ從ヒ區有財產竝區ノ營造物
  ヲ共用スル權利ヲ有シ及區ノ負擔ヲ分任スル義務ヲ負フ
  前項ノ外區內ニ住所ヲ有スル者ニ關シテハ市ノ住民ニ關スル規定ヲ準用
  ス
  第百四十二條區ハ第一ニ於テ市長之ヲ監督シ第二ニ於テ內務大臣之ヲ監
  督ス
  區ノ監督ニ關シテハ市ノ監督ニ關スル規定ヲ準用ス但シ第百二十五條第
  百二十九條及第百三十條第一項ノ規定ニ依ル內務大臣ノ職權ハ市長モ亦
  之ヲ行フコトヲ得
  第二款區會及區行政
  第百四十三條區會ハ區有財產竝區ノ營造物ニ關スル事項及法律勅令ニ依
  リ區會ノ權限ニ屬スル事件ヲ議決ス
  區會ハ區ノ出納ニ關シ計算書ヲ檢閱シ及其ノ當否ヲ監査スルコトヲ得
  第百四十四條區會議員ハ市ノ名譽職トシ其ノ定員ハ市條例ヲ以テ之ヲ定
  第百四十五條區會議員一級選舉ノ投票ニ關シテハ市條例ノ規定ニ依リ連
  名投票ヲ用フルコトヲ得
  連名投票ヲ用フル爲投票ノ效力ニ關シ必要ナル事項ハ前項ノ市條例中ニ
  規定スヘシ
  第百四十六條區會議員ノ選舉又ハ當選ノ效力ニ關スル異議及被選舉權ノ
  有無ニ付テハ市會議員ニ關スル規定ヲ適用シ其ノ他區會ニ關シテハ前三
  條ニ規定スルモノノ外市會ニ關スル規定ヲ準用ス
  區會ト區長トノ關係ニ付テハ市會ト市長トノ關係ニ關スル規定ヲ準用ス
  第百四十七條區會ノ解散ハ內務大臣之ヲ命ス此ノ場合ニ於テハ九十日以
  內ニ議員ヲ選舉スヘシ
  第百四十八條區ニ區長區書記其ノ他必要ノ有給市吏員ヲ置キ市長之ヲ任
  免ス
  區長ノ任免ハ內務大臣ノ認可ヲ受タヘシ
  區長ハ之ヲ一名トシ區書記其ノ他ノ吏員ノ定數ハ市會ノ議決ヲ經テ之ヲ
  定ム
  區ニ區出納司一名ヲ置キ市長副市長出納司出納監理及區長トノ間ニ父子
  兄弟ノ緣故アラサル區書記中ヨリ市長之ヲ命ス
  第百四十九條區長ハ市長ノ命ヲ承ケ又ハ法律命令ノ定ムル所ニ依リ區內
  ニ關スル市ノ事務竝區ノ事務ヲ掌ル
  區長其ノ他ノ吏員ハ府知事若ハ市長ノ命ヲ承ケ又ハ法律命令ノ定ムル所
  ニ依り國及府ノ行政事務ヲ掌ル
  區長ハ區書記ヲシテ前二項ノ事務ノ一部ヲ臨時代理セシムルコトヲ得
  第百五十條區長ニ於テ區ノ事務ヲ處理スルニ付テハ本款ニ規定スルモ
  ノノ外市行政ニ關スル規定ヲ準用ス但シ第七十八條及第七十九條第三項
  ニ於テ內務大臣トアルハ之ヲ市長トス
  第百五十一條區長故障アルトキハ上席區書記之ヲ代理ス但シ區出納司タ
  ル區書記ハ代理スルコトヲ得ス
  第百五十二條區出納司ハ市長又ハ出納司ノ命ヲ承ケ市及區ノ出納竝第百
  四十九條第二項ニ關スル國及府ノ出納其ノ他會計事務ヲ掌ル但シ法律命
  令中別段ノ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラス
  區出納司故障アルトキハ市長ノ指名シタル區書記之ヲ代理ス
  第百五十三條區書記其ノ他ノ吏員ハ區長ノ指揮監督ヲ承ケ庶務ニ從事ス
  第百五十四條區ノ事務ニ關スル處務規程ハ市長之ヲ定ム
  第三款區ノ財務
  第百五十五條第百三十八條ノ事務ニ要スル支出及區ニ屬スル市ノ名譽職
  員ニ給スル實費竝報酬ハ區ノ負擔トシ其ノ他ノ事務ニ要スル支出ハ市ノ
  負擔トス
  第百五十六條區ハ其ノ負擔ニ屬スル支出ニ充ツル爲市稅トシテ區費ノ賦
  課徵收ヲ爲スコトヲ得但シ其ノ財產及營造物ヨリ生スル收入アルトキハ
  先ツ其ノ收入ヲ以テ之ニ充ツヘシ
  第百五十七條區ノ財務ニ關シテハ前二條ニ規定スルモノ及市條例竝市規
  則ノ設定ヲ除クノ外市ノ財務ニ關スル規定ヲ準用ス但シ第百十七條及第
  百二十條ニ於テ內務大臣トアルハ之ヲ市長トシ第百十九條ニ於テ內務大
  臣トアルハ之ヲ監督廳トス
  區ノ現金ノ出納及保管ハ市金庫ヲシテ之ヲ取扱ハシム
  第九章附則
  第百五十八條本法ハ明治四十年十月一日ヨリ施行ス但シ第十條ノ市會議
  員定員ハ次ノ總選舉迄之ヲ六十人トス
  第百五十九條本法施行ノ際現ニ助役收入役名譽職參事會員市會議員及區
  會議員ノ職ニ在ル者ハ太法施行後ト雖左ノ區分ニ依リ在職ス但シ市會議
  長區會議長竝其ノ代理者ハ本法施行ト共ニ其ノ職ヲ失フ
  一助役ハ之ヲ副市長トス但シ助役二名以上アルトキハ市曾ニ於テ其ノ
  中ヨリ選定シタル者ヲ副市長トシ其ノ他ハ職ヲ失フ
  二收入役ハ之ヲ出納司トス
  三名譽職參事會員ハ之ヲ市參事員トシ本法施行後明治二十一年法律第
  一號市制ニ依ル半數改選期迄在任ス但シ市會議員ノ任期其ノ前ニ終
  了スルトキハ市參事員モ共ニ其ノ職ヲ失フ
  四市會議員及區會議員ハ本法施行後明治二十一年法律第一號市制ニ依
  ル半數改選期迄在任ス
  前項第三號ニ依リ就職シタル市參事員ニシテ第五十三條第一項ノ制限ニ
  適セサルトキハ補闕選舉ノ際順次其ノ制限ニ依ラシムヘシ
  第百六十條本法施行ノ際現ニ市長ノ職ニ在ル者及前條ニ依リ就職シタ
  ル副市長竝出納司ハ本法施行後明治二十一年法律第一號市制ニ依ル殘任
  期間在任ス但シ殘任期間四年ヲ超ユルトキハ之ヲ四年トス
  第百六十一條本法ニ定メタル直接稅間接稅ノ類別ハ內務大臣及大藏大臣
  之ヲ告示ス
  第百六十二條本法ヲ施行スル爲必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=129

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• 130・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　別段御議論モナイヤウデアリマスルデ、採決ヲ致シマス、本案
  ハ二讀會ヲ開クベシト云フニ御異議ハアリマセセヌカ
  〔「異議ナシト」呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=130

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• 131・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=131

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• 132・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君　直ニ二讀會ヲ開キ、讀會ノ順序ヲ略シテ確定セラレンコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=132

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• 133・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　恆松君發議ノ通リ直三一讀會ヲ開キ、讀會ヲ省略シテ確定
  スルコトニ御異議ハアリマセヌカ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=133

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• 134・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、直ニ二議會ヲ開キマス、委員長報
  告通御異議アリマセヌカ
  東京市制案確定議
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=134

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• 135・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、是ニテ本案ハ確定ヲ致シマシタ、日
  程第七、移民保護法中改正法律案第一讀會、議案朗讀
  第七移民保護法中改正法律案(政府提出)第一讀會
  〔書記期讀〕
  移民保護法中改正法律案
  移民保護法中左ノ通改正ス
  第五條ニ左ノ一項ヲ加フ
  移民取扱人ハ行政廳ノ許可ヲ得テ移民ト直接ノ關係ヲ有スル運送業、農
  業、漁業又ハ鑛業ヲ營ムコトヲ得
  「第十五條」ヲ「第十五條ノ一」ニ改ム
  第十五條ノ二行政廳ハ必要ト認ムルトキハ移民取扱人ニ同業組合ノ設立
  ヲ命スルコトヲ得
  同業組合ハ法人トス
  同業組合ニ關スル規程ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
  「第二十條」ヲ「第二十條ノ一」ニ改ム
  第四章移民運送船
  第二十條ノ二本法ニ於テ移民運送船ト稱スルハ命令ヲ以テ定ムル地方ニ
  渡航スル五十人以上ノ移民ヲ搭載スル船舶ヲ謂フ
  第二十條ノ三移民運送船ニ依ル移民ノ運送ハ行政廳ノ許可ヲ受クルニ非
  サレハ之ヲ爲スコトヲ得ス
  前項ノ許可ヲ受ケタル者ハ行政廳ノ定ムル所ニ依リ保證金ヲ納付スヘシ
  第二十條ノ四行政廳ハ前條ノ許可ヲ受ケタル者ノ行爲ニシテ法令若ハ許
  可ノ條件ニ違反シタルトキ又ハ移民ノ利益ヲ害スルモノト認ムルトキハ
  其ノ許可ヲ取消スコトヲ得
  第二十條ノ五移民運送船ニ依リ移民ノ運送ヲ爲サムトスル者ニ其ノ運送
  賃ニ關シ豫メ行政廳ノ認可ヲ受クヘ
  第二十條ノ六行政廳ハ移民運送船ノ發著港ヲ指定スルコトヲ得
  第二十條ノ七行政廳ハ移民運送船ノ船長ヲシテ運送移民ニ關スル諸般ノ
  報告ヲ爲サムルコトヲ得
  第五章雜則
  第二十條ノ八金錢貸付ヲ業トスル者ニシテ移民ニ對シ渡航費其ノ他渡航
  ノ準備ニ必要ナル金錢ヲ貸與スルトキハ其ノ條件ニ付豫メ行政廳ノ認可
  ヲ受クヘシ
  第二十條ノ九移民出發港ニ於テ移民宿泊業ヲ營マムトスル者ハ行政廳ノ
  許可ヲ受クヘシ
  前項ノ許可ヲ受ケタル者ハ移民宿泊所ノ設備、移民ノ給養竝宿泊料其
  ノ他移民ノ負擔ト爲ルヘキ事項ニ付豫メ行政廳ノ認可ヲ受クヘシ
  第二十條ノ十移民取扱人ニ非スシテ移民乘船ニ關スル周旋ヲ爲サムトス
  ル者ハ行政廳ノ許可ヲ受クヘシ
  前項ノ許可ヲ受ケタル者ハ移民乘船ニ關スル周旋ノ方法及移民ノ負擔ト
  爲ルヘキ事項ニ付豫メ行政廳ノ認可ヲ受クヘシ
  第二十條ノ十一行政廳ハ前二條ノ許可ヲ受ケタル者ノ行爲ニシテ法令ニ
  違反シタルトキ又ハ移民ノ利益ヲ害スルモノト認ムルトキハ其ノ營業ヲ
  停止シ又ハ營業ノ許可ヲ取消スコトヲ得
  「第四章」ヲ「第六章」ニ改ム
  第二十三條ニ左ノ一項ヲ加フ
  行政廳ノ許可ヲ受ケスシテ第五條第二項ノ營業ヲ爲シタル移民取扱人亦
  前項ニ同シ
  「第二十六條」ヲ「第二十六條ノ一」ニ改ム
  第二十六條ノ二第二十條ノ三ニ違反シタル者ハ五百圓以上一萬圓以下ノ
  罰金ニ處ス
  第二十六條ノ三第二十條ノ五ニ違反シタル者ハ二百圓以上三千圓以下ノ
  罰金ニ處ス行政廳カ移民運送船ノ發著港ヲ指定シタル場合ニ於テ其ノ指
  定ニ違反シタル者亦同シ
  前項ノ罰金ハ保證金ヲ以テ之ニ充ツルコトヲ得
  第二十六條ノ四第二十條ノ七ニ依リ行政廳ノ命シタル報告ヲ爲ササル者
  ハ五十圓以上三百圓以下ノ罰金ニ處ス
  第二十六條ノ五第二十條ノ八、第二十條ノ九及第二十條ノ十ニ違反シタル
  者ハ百圓以上千圓以下ノ罰金ニ處ス
  「第五章」ヲ「第七章」ニ改ム
  附則
  本法ハ明治四十年七月一日ヨリ之ヲ施行ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=135

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• 136・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　外務大臣
  〔外務大臣子爵林董君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=136

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• 137・林董

  ○外務大臣(子爵林董君)　諸君、現行移民保護法ハ去ヌル明治二十九年ニ定メ
  ラレタモノデアリマシテ、爾來移民ノ業ハ大ニ各邦ニ向ッテ發展致シマシタニ付イテハ、其
  保護監督上ニ付キ改正ヲ要スル廉々ヲ此度提出致シマシタ、、御協賛ヲ偏ニ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=137

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• 138・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　別段御質問ガアリマセヌカラ、日程第八、右議案ノ審査ヲ附
  託スベキ委員ノ選舉
  第八右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選舉

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=138

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• 139・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君　本案ハ十八名ノ委員、、議長指名アランコトヲ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=139

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• 140・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　恆松君發議ノ通リ、十八名ノ委員、議長指名ニ御異議ハアリ
  マセヌカ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=140

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• 141・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ガナイト認メマス、日程第九、明治三十九年度一般
  會計所屬ノ經費ヲ各帝國大學特別會計ニ繰越ス場合ニ於ケル剩餘金繰入ニ關スル
  法律案、第一讀會ヲ開キマス、議案朗讀
  明治三十九年度一般會計所屬ノ經費ヲ各帝國
  第九大學特別會計ニ繰越ス場合ニ於ケル剩餘金繰入第一讀會
  ニ關スル法律案(政府提出)
  〔書記朗讀〕
  明治三十九年度一般會計所屬ノ經費ヲ各帝國大學特別會計ニ繰越
  ス場合ニ於ケル剩餘金繰入ニ關スル法律案
  東京帝國大學及京都帝國大學ニ關スル明治三十九年度一般會計所屬ノ營繕
  費設備費創立費ノ豫算殘額ヲ明治四十年度各帝國大學特別會計ニ繰越ス場
  合ニ於テハ之ニ相當スル剩餘金モ亦之ヲ繰越スコトヲ得
  〔政府委員松村茂助君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=141

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• 142・松村茂助

  ○政府委員(松村茂助君)　本案ハ先ニ本院及貴族院ヲ通過致シマシタトコロノ帝
  國大學特別會計法ガ愈く法律ニナリマスルニ付イテハ經過ノ方法トシテ斯ノ如キ規
  定ヲ要スルト云フ譯デ、提出ニナッタモノデアリマス、ソレハ今日ノ法律ニ於キマシテハ帝
  國大學ノ臨時費ハ、總テ一般會計ヨリ支出シテ居リマス、然ルトコロ特別會計法制定
  ノ結果ト致シマシテ、經常費モ臨時費モ、共ニ特別會計ノ所屬トナリマシタ、然ルトコ
  ロ三十九年度ニ屬スル豫算中、同年度內ニ仕拂フコトガ出來マセヌデ、會計法ニ依クテ
  之ヲ翌年度ニ繰越ス必要ガアルノデアリマスガ、特別會計法ノ定ムルトコロノ定額ニ於
  テハ旣ニソレ〓〓費途ガ定ッテ居リマシテ、此繰越シタ豫算ヲ支辨スル金ガアリマセヌカ
  ラ、特ニ一般會計ヨリ其繰越シタ費額ニ相當スルトコロノ財源ト云フモノヲ特別會計ノ
  方ニ繰入レル、斯ウ云フ必要ガアリマシテ、提出シタノデアリマスカラ、速ニ御協贊アランコ
  トヲ希望致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=142

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• 143・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　別段質問モアリマセヌカラ、日程第十、右議案ノ審査ヲ付託ス
  ベキ委員ノ選舉
  第十右議案ノ實査ヲ付託スヘキ委員ノ選舉

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=143

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• 144・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君　是ハ九名ノ委員、議長指名アランコトヲ希望致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=144

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• 145・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　恆松君發議ノ通リ九名ノ委員、議長指名ニ御異議ハアリマセ
  ヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=145

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• 146・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ガナイト認メマス、日程第十一、臺灣ニ於ケル特別ノ
  輸入稅ニ關スル法律案第一讀會、議案朗讀
  第十一臺灣ニ於ケル特別ノ輸入稅ニ關スル法律案(政第一讀會
  府提出)
  〔書記朗讀〕
  臺灣ニ於ケル特別ノ輸入稅ニ關スル法律案
  外國ヨリ臺灣ニ輸入スル物品ニシテ別表ニ揭クルモノニハ別表ノ稅率ニ依
  リ輸入稅ヲ課ス
  附則
  本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
  (別表)
  輸入稅表
  品名單位稅率
  魚介類ノ內
  種魚從價一割
  蔬菜(砂糖、糖蜜、糖水又ハ蜂蜜ヲ以テ貯藏シタルモ
  ノヲ除ク)ノ內
  鑵詰、罎詰又ハ壷話ニ非サルモノ價
  マカロニー、バーミセリー其ノ他各種ノ麵類
  人參
  生綿及繰綿同同同同同同從三一一一二四三割割割割割割割
  屑綿及故綿
  故ゴンニー囊
  唐紙
  瓦類ノ內
  瓦(効藥ヲ施シタルモノヲ除ク)從價二割
  陶磁器破片及碎瓦無稅
  〔政府委員若槻禮次郞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=146

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• 147・若槻禮次郎

  ○政府委員(若槻禮次郞君)　前議會ニ於テ御協賛ヲ得マシタ、改正關稅定率法ハ
  臺灣ニモ施行致シテ居リマスガ、臺灣ニハ特別ノ事情ガアリマスタメニ、玆ニ揭ゲマシタヤ
  ウナ品物ニ付イテハ、特別ノ稅率ヲ定メンケレバ不都合デアルト、斯樣ニ認メテ本案ヲ提
  出致シマシタ、何卒御贊成アランコトヲ希望致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=147

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• 148・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　次ノ日程ニ移リマス、日程第十二、右議案ノ審査ヲ付託スベ
  キ委員ノ選舉
  第十二右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選舉

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=148

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• 149・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君　九名ノ委員、議長指名アランコトヲ希望致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=149

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• 150・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　恆松君發議ノ通リ議長指名九名ノ委員、御異議ハアリマセ
  ヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=150

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• 151・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ナイト認メマス、日程第十三、關稅定率法輸入稅表
  中改正法律案、第一讀會、議案朗讀
  第十三關稅定率法輸入稅表中改正法律案(森本駿第一讀會
  君外四名提出)
  〔書記朗讀〕
  關稅定率法輸入稅表中改正法律案
  關稅定率法輸入稅表中左ノ通改正ス
  一白米每百斤一、〇〇
  一〇ノ二玄米及籾同〇、六四
  附則
  本法ハ明治四十年十月一日ヨリ之ヲ施行ス
  〔森本駿君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=151

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• 152・森本駿

  ○森本駿君　諸君、私ハ關稅定率法輸入稅表中改正法律案ヲ提出致シマシタ、極
  ク簡單ナ法律案デアリマス、是ハ米及籾ノ關稅ニ關スル部分ヲ一部改正ヲシテ二ツニ分ク
  タト云フ案デアリマス、籾及米ハ非常特別稅法ニ於テ從價一割五分ト云フ稅率ニナッ
  テ居リマシタ時代ニハ、其苦情ハナカッタノノアアリマスガ、改正關稅定率法ニ依リマシテ從
  量稅ニ變化セラレテ、米及籾ノ稅率ハ每百斤六十四錢ト云フコトニナリマシタ、其結果
  トシテ從來多ク外米ハ玄米ノ儘輸入シ來ックモノハ玄米白米モ同率デアルガタメニ、輸
  入ノ外米ハ多ク白米トナッテ輸入セラルヽト云フコトニナッタガタメニ、我邦ニ於テハ之ヲ精
  白スルガ、工賃及其結果トシテ出ヅルトコロノ副產物ノ費用ヲ空シク外國ニ拂ッテ、我邦
  ノ方ニ入ルヽコトガ出來ナイト云フヤウナ結果ヲ見ルコトニナリマシタノデアリマス、外國ノ
  稅率ヲ見マシテモ、玄米ト白米トハ各〓率率ヲ異ニシテ、白米ノ方ガ高クナッテ居リマスノ
  デアリマスカラシテ、之ヲ二ツニ分ッテ白米ノ率ハ現行ノ稅率ヨリカハ高キ率ヲ以テ、每百
  斤一「コンマ」零零トナシ、玄米及籾ト云フモノハ現行ノ稅率ノ通リニ每百斤「コンマ」六
  四ト云フコトニ改ヲ正シタイト云フ希望デアリマス、此事ハ實際上ニ於テ大ナル必要ヲ感ズ
  ルトコロデアリマス、又我邦ノタメニ大ニ利益ヲスルトコロデアリマスカラシテ、願ハクバ審査
  ノ上諸君十分ノ贊成アランコトヲ希望致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=152

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• 153・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君　本案ハ前ノ十二ノ日程ノ委員ニ付託セラレンコトヲ望ミマス
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=153

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• 154・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　恆松君發議ノ通リ、本案ヲ前ノ十二ノ日程ノ委員ニ付託ス
  ルト云フニ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=154

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• 155・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマスー-日程第十四ヨリ十八マデハ同一
  委員ニ付託シテアリマスカラ〓セテ委員長ノ報告ヲ望ミマス-委員長栗塚省吾君
  〔栗塚省吾君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=155

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• 156・栗塚省吾

  ○栗塚省吾君　衆議院議員選舉法中改正法律案ト云フモノハ、丁度御承知ノ如ク
  五ツデゴザイマス、其五ツノ日程-十四カラシテ十八マデ五ツ出テゴザイマスルガ、其
  中衆議院ノ議員ノ選舉權ニ關シマスルモノガ二ツ、衆議院ノ議員ノ數ヲ今マデヨリ殖
  ヤシタイト云フ案ガ一ツツソレカラ人ヲ增スノデモナシ、又選擧權ヲ擴張スルノデモナイ、
  單ニ忘レラレテ居ルトコロノモノヲ加ヘテ欲シイ、卽チ選擧法中ノ沖繩縣二人トアルガ、
  二人ハ一向差支ナイ、併シ此中ニドウシテモ這入ラニヤナラヌ郡ガ一一郡アルノニ、其二郡
  ガ忘レラレテ居ルカラ、此忘レラレテ居ルモノヲドウカ表中ニ加ヘテ欲シイモノデアルト云
  フ案ガ一ツ、卽チソレガ先ヅ最初ノ日程第十四ノ森本君外一一名-江藤君大津君
  カラ出テ居リマス案デ、是ハ政府委員ニ問ヒマシタトコロガ同意ハドウカト云ッタトコ
  ロガ、隨分反對シタヤウデゴザイマス、强テハ反對セヌガ、免ニ角茲ニ此衆議院ノ選舉
  法中ノ末項ニ、本表ハ選舉區ノ人口ニ增減ヲ生ズルモ、少ナクトモ十箇年間ハ之ヲ更
  正セズト云フ末項ガアル以上ハ、縱令成程人ヲ增スノデナクトモ同意ハ出來ヌ、强テ反
  對ハシナイガ、ト云フコトデアリマシタガ、委員會ニ於テハ之ヲ提出案ノ此案通リニ可決
  致シマシテゴザイマス、ソレカラ日程ノ本來云ヘバ十五、十六ニ移リマスノガ都合ガ宜
  シウゴザイマスガ-順デハゴザイマセウガ、委員會ニ於キマシテハ日程ノ第十六ニ移リマ
  シタノデゴザリマス、今ノ次ニハ卽チソレハ北海道其他北海道バカリデハゴザリマセ
  ヌ、神奈川縣橫濱市ノ次ニ橫須賀ヲ置クトカ、佐世保、長岡市、宇治、山田市、豐橋
  市、呉市ヲ加ヘルノト、及北海道ノ札幌縣ト云フモノヽ管內ノ議員一人ヲ四人ニシタ
  イ又函館(此時「區ダ」ト呼フ者アリ)管內ノ一人ヲ二人ニ改メヤウト云フ案デゴザイマ
  ス、ソレカラマア末項ヲ削ルト云フコト、此案ニ付キマシテ委員會ハ其次ニ會議ヲ開キマ
  シタ、所ガ丁度今日ノ日程ノ第十八ニナッテ居リマスル案ト同一デ-同樣ノコトデ、
  ヤハリ北海道ニ於ケル數ヲ殖ヤスト云フコトデゴザイマシテ、丁度殆ド之ヲ議シマシテゴザ
  イマスルガ、提出者カラ此案ニ付イテハ札幌縣ノ(笑聲起ル)一人ヲ四人トスルト云フコ
  ト、函館縣ノ(笑聲起ル)一人ヲ二人ニ改メルト云フコトハ函館ノ方ダケハ一人ヲ二人ニ
  改メルトコハ止メテ四人ト云フコトデ-此札幌縣ヲ四人ニスルト云フコトダケヲ存シテ
  置イテ吳レヽバ宜シイト云フコトデゴザイマシテ、イロ〓〓討議ノ末、トウ〓〓札幌縣ノ
  一人ヲ四人ニスルト云フダケデ濟ミマシテゴザリマス、其事ニ極リマシタ以上ハ、此日程
  第十八ノ橫田君、淺羽君、大野君カラ出テ居リマスルモノハ、自ラ否決ニナリマシテ、北
  海道ノ議員ノ數ガ唯今ヨリモ三人殖エマシタコトニナリマスンデゴザリマスカラ、否決ニナ
  リマシテモ同ジコトデアルト云フノデ片付ケマシテゴザリマス、ソレカラ日程ノ第十五ニ移
  リマス、是ハ島田君、大竹君、加瀨君カラ出テ居リマスル、實ニ大事ナ、大切ナ法案
  デゴザイマシテ、皆餘程愼重ニ審議ヲスルコトデコザリマシタ卽チ選舉權ノ權限ニ關シタ
  コトデゴザリマス、唯今マデ今日ノトコロ十圓ノ地租ヲ拂ウタ者ヲ三圓ニシヤウ、三圓
  以土ノ人ニ選擧權ヲ與ヘヤウ、又〓育ノアル人ニ選舉權ヲ與ヘヤウ、又兵事ニ力ヲ盡シ、
  所謂、國稅ヲ拂ウタ人ニ(「血稅ダラウ」ト呼フ者アリ)ヤ血稅ヲ拂ウタ人ニ選舉權ヲ與ヘ
  ヤウト云フ大事ナ案デゴザイマシテ、是ガ議題ニナリマシタ、之ニ付イテハ委員會ニ於テ修
  正ガ出マシテ、此三圓ト云フコトヲ五圓ト云フコトニシタラドウデアラウカ、サウシテ此〓育
  ノ〓ハ中學校ノ卒業證書ヲ持ッテ居ル者、又ハ唯今申シマシタ血稅、卽チ兵役ニ服シタル
  人、徵兵令ニ從ッテ現役ヲ終リタル人ニ權利ヲ與ヘルト云フ此二項ハ削ッテ、租稅ノ三
  圓以上ト云フコトヲ五圓以上ト云フコトニ改メテハドウカト云フコトデ、其修正ガ出マシ
  テ、ソレニ多數ノ贊成ガゴザイマシテ、其事ニ極マリマシテゴザイマス、從ッテ此日程第十七
  ノ奧野君外六名カラ出テ居リマスル案ハ否決ニナリマシタ、併ナガラ事柄ハ丁度否決デ
  ハナイ、ソレガ成立チマシタヤウナ次第デゴザイマス、サウ云フ結果デゴザイマス、御報告ニ
  及ビマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=156

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• 157・島田三郎

  ○島田三郞君　質問ガアリマス、委員長ニ質問致シマスガ、委員長ハ此改正案ハ餘程
  大切ナモノデアル、大切ナモノデアルト云ウテ、箇條ヲ舉ケテ、サウシテ其二項三項ガ削ラ
  レテ、前ノ三圓ガ五圓ニナッタ理由ヲ承リタイ、大切ナモノト爲シタナラバ、大切ナモノダケ
  ノ御討論ガアッタデアラウト思フ、其報告ガナケレバ、委員長ノ報告ハ無意味ニナリマスカ
  ラ、伺ヒタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=157

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• 158・栗塚省吾

  ○栗塚省吾君　大〓ハアレデ御承知デアラウト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=158

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• 159・島田三郎

  ○鳥田三郞君　少シモ分リマセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=159

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• 160・栗塚省吾

  ○栗塚省吾君　速記錄ガアリマスカラ、繰返ス必要ガアレバ、速記錄ヲ早速讀ンデ御
  覽ニ入レマスガ、ソレハ速記錄デ御承知ノコトヽ思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=160

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• 161・島田三郎

  ○島田三郞君　委員長トシテ報告ニナッタノデスカラ、本員ハ委員長カラ承ハラナケ
  レバ正確ナ報告ヲ受ケナイモノト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=161

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• 162・栗塚省吾

  ○栗塚省吾君　申上ゲテモ宜シウゴザイマスケレドモ、是ハ格別·
  (「無用々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=162

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• 163・島田三郎

  ○島田三郞君　無用デナイ、報〓ガ出來ナケレバ出來ナイト云フコトヲ承ハレバ宜シイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=163

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• 164・栗塚省吾

  ○栗塚省吾君　經過ダケハ申上ゲルコトガ出來マス、大切ナ問題デアルニ拘ラス、斯ウ
  云フ結果デアッタト云フコトヲ申上ゲマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=164

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• 165・島田三郎

  ○島田三郞君　結果ヲ承ハル必要モアリマスガ、其結果ニ至ッタ手續ヲ承ハラナケレバ、
  何ノタメニ委員が討論セラレタカ、無意味ニナリマセウ、曠職ノ責ハ免レマスマイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=165

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• 166・栗塚省吾

  ○栗塚省吾君　兩方ノ說ヲ申上ゲマセウ
  (「速記錄デ分ッテ居ル」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=166

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• 167・島田三郎

  ○島田三郞君　速記錄デ分ッテ居ルトスレバ、委員長ノ報告ハ以來略スルト云フ惡慣
  例ヲ遺シマス、左樣ナコトハイケマセヌ、大切ナコトヲ議スルタメニ議會ガアルノデアル、大
  切ナコトヲ議サナイト云フ議會ガアルト云フナラバ議會ヲ無視シタルトコロノ甚ダ議會ヲ
  辱シムルトコロノコトデアル、理由ガアルノデスカ、無イノデスカ又ハ言ヘナイノデスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=167

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• 168・栗塚省吾

  ○栗塚省吾君　善イカ惡ルイカ知レマセヌガ、申上ゲマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=168

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• 169・島田三郎

  ○島田三郞君　ソレナラバ委員長ノ口カラ承リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=169

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• 170・栗塚省吾

  ○栗塚省吾君　徒ラニ時ヲ費ス··

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=170

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• 171・島田三郎

  ○島田三郞君　徒ラニトハ何事デアル、徒ラニト云コトハナイ
  (立川雲平君「ソンナ言葉ヲ谷メルヤウナ質問ナラバヨシ給ヘ」ト呼フ)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=171

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• 172・島田三郎

  ○島田三郞君　徒ラニトハ何事デアル

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=172

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• 173・栗塚省吾

  ○栗塚省吾君　過言デゴザイマシタ、是ハ島田君ニ御詫ヲ致シマス、併シ是カラ申上
  ゲマスルトコロノモノハ、速記錄ニアルノニ過ギヌノデアッテ······
  〔「速記錄ヲ讀ムナラ止メ給ヘ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=173

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• 174・栗塚省吾

  ○栗塚省吾君　ソレヲ私ニ繰返セト仰セラレルナラバ、繰返シマスルガ、其意味デ最モ
  徒ラニト申-上ゲタ次第デゴザイマス、其段ハ御諒承ヲ··
  (「モウ宜シイ、外ノ人ハ皆分ッテ居リマス、島田君一人ノミ分ラヌノダ」ト呼フ者
  アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=174

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• 175・栗塚省吾

  ○栗塚省吾君　私ノ職責ヲ盡サヌヤウナコトニナリマシテハ、相濟マヌデゴザイマスカ
  ラ.
  (「必要ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=175

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• 176・栗塚省吾

  ○栗塚省吾君　ソレデハ私ハ降壇致シマス
  〔笑聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=176

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• 177・島田三郎

  ○島田三郞君　ドウ云フ譯デス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=177

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• 178・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　日程第十四ニ移リマス、衆議院議員選舉法中改正法律案、
  第一讀會ノ續
  第十四衆議院議員選舉法中改正法律案第一讀會ノ續委員長
  (森本駿君外二名提出)報告

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=178

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• 179・島田三郎

  ○島田三郞君　確ニ斯樣デアルト思ヒマシタ、委員長ハ委員會ノ經過ノ報告ガ脫ケテ
  居リマスカラ、ソレヲ承リタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=179

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• 180・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　日程第十四ニ移リマシタ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=180

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• 181・立川雲平

  ○立川雲平君　委員長報告通異議ナシ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=181

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• 182・島田三郎

  ○島田三郞君　本員ハ反對ノ意見ヲ有ッテ居ル、議長ハ本員ノ權利ヲ破ラレタ、本員
  ハ反對ノ說ヲ有ッテ居ルソレマデニ議事規則ノ解決ヲ承リタイ
  〔此時發言スル者多シ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=182

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• 183・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　日程第十四ニ移リマシタ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=183

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• 184・島田三郎

  ○島田三郞君　本員ハ原案ヲ維持スル、本員ハ議事規則ヲ破ル議長ニ權利ハナイト
  思ヒマス、委員長ハ委員會ノ經過結果ヲ報告スル責任ガアル、經過ヲ承ルノニ拒ム權
  利ハナイ、議長ハ議事規則ヲ破ル權力ガアルカナイカ承リタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=184

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• 185・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　議長ニ於テハ決シテ規則ヲ破リマセヌ、併ナガラ委員長ニ於テ
  シナイノハ致方ガナイ、之ヲ强ユル譯ニハ參リマセヌ
  〔「命ズベシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=185

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• 186・島田三郎

  ○島田三郞君　是ハ恠シカラヌ、本員ハ議長ガ斯樣ナル暴言ヲ用ユルト云フコトハ恠
  シカラヌ、本員ハ斷然議長ハ議事規則ヲ破ッタト明言致シマス(ノウ〓〓)ト呼フ者アリ、
  (發言スルモノ多シ)御默リ爲サイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=186

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• 187・立川雲平

  ○立川雲平君　島田君ノ御議論デゴザイマスルガ、委員長ハ委員長トシテ經過及結果
  ヲ報告スルニハ能ク饒舌ル人モゴザイマスルシ、簡單ニ言フ人モゴザイマス、ソレ故ニ各ミ
  其自己ノ職權ヲ以チマシテ其經過ト結果トヲ報告致シマシタ以上ハ、之ニ其詳細ヲ缺
  イテ居ルトカ詳細ヲ〓イテ居ラヌトカ云フヲ以テ甚シク規則ヲ破ツタト云フ如キハ平生
  ノ島田先生ニモ御似合ナサラヌト思ヒマス、正々堂々ト反對ノ議論ガアルナラバ、本案
  ニ依ッテ御討議アランコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=187

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• 188・島田三郎

  ○島田三郞君　何故ニ經過ヲ略サレマシタ、本員ハ承ッテ居リマシタ、確ニ斯樣ナル意
  味デ報告セラレナイノデアラウト思フ、徒ラニ時ヲ費スト委員長ハ申サレマシタガ、經過ヲ
  述ベルニ何故ニ徒ラト云フコトヲ申サレマス、斯ノ如ク議會ヲ輕ンズル精神ガアルカラ、本
  員ノ求メタ經過ヲ述ベラレナイト思フ、經過ヲ承ハラナケレバ報告ノ段落ガ付キマセヌ、況
  ヤソレヲ今議長ガ次ヘ迴スニ於テオヤ、本員ハ力ヲ以テ退席セシメラレルマデ此議ヲ續ケ
  テ居リマス、此議ヲ續ケテ居ル次第ハ何レガ正デアルカ何レガ不正デアルカ、世間、國
  家、社會ノ判斷ヲ求メル積リデゴザイマス、多數ヲ賴ンデ規則ヲ無視スルト云フコトヲ議
  長ガ爲サルノハ何事デアル

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=188

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• 189・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　暫クノ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=189

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• 190・島田三郎

  ○島田三郞君　委員長ハ述ベ得ル能力ノアルコトヲ自白セラレテ居ル、徒ラニ時間フ
  費スト云フ言葉ハ、適當ニ說明スル能力ノアルコトヲニホシタモノデアル、議長ハ宜シク本
  員ヲ退席セシメテ見ルガ宜カラウト思フ
  〔「何ノ事デアルカ、一向分ラヌ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=190

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• 191・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　唯今島田君ガ議長ハ規則ヲ破ッタト云フコトデアリマスルケレ
  ドモ決シテ規則ヲ破リマセヌ、私モアナタノ言フコトヲ聽キマスガ、又私ノ言フコトヲ御聽
  キ爲サイ(島田三郞君發言ヲ繼續ス)聽カズニ仰シヤルト分リマセヌ、私ハ決シテ規則ヲ
  破リマセヌ、併ナガラ此委員長ニ於テ經過及結果ヲ報告ヲスルト云ウテ、アナタノ質問
  ニ對シテ委員長カラ答ヘナイヲ、議長ノ方カラソレヲ强テ云フ譯ニモ往カナイノデアリマ
  ス、經過結果ノ報告か、アナタハ御不滿足カモ知レマセヌケレドモ、他ニ於テ滿足ヲシテ
  居ル人モ隨分アルノデアリマス、滿足シテ居ル人モ多數アルヤウニ見受ケタノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=191

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• 192・島田三郎

  ○島田三郞君　ソンナラバ、念く報告ガ出來ナイト云フコトデアルナラバ··

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=192

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• 193・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　是ヲ强ユルト云フ譯ニハ行キマセヌ-之ヲ强制執行ヲシテ
  滿足ノトコロマデヤレト一ムフテ、議長ガドウモ强制執行ヲヤルト云フコトハ、議長ニ於テハ
  出來マセヌ、併ナガラ島田君ノ發議テ、分ラナイ、不滿足デアル、是ハ强制執行ヲシテ
  モドウシテモ彼ニ滿足ナル報告ヲ得ルマデハ、サセルト云フトコロノアナタノ御發議ナレ
  バ其御發議ヲ議場ニ諮フコトニ致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=193

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• 194・島田三郎

  ○島田三郞君　唯今承ルト、議長ガ次ノ議案ニ移ッタト云フ宣告ヲナスッタヤウニ思ヒ
  マスガ、ソレハナイノデアリマスカ、兔ニ角マダ此事ガ盡キヌ中ニ外ヘ移ルト云フコトハ、本
  員ノ發議權ヲ御止メニナルコトデアル、免ニ角此問答ヲ何故ニ盡スコトヲ議長ガ拒ンダ
  (「委員長ガ報告ヲスルト云ッテ居ッタ、サセタラバ宜カラウ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=194

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• 195・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　十四ノ方ヘ移ラントスル際ニ於テアナタガ御發議ヲナサッタンデ
  アリマス、ソコデ規則違反デアルト云フコトノ問題ガ起ッタカラ、其事ノ說明ニナッテ來タ
  ノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=195

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• 196・島田三郎

  ○島田三郞君　ソレナラ後トヘ戾ッテ委員長ガ報告スルカ、理事ガ報告スルカ、委員長
  ノ報告セラレタ結果ニ付イテ反對ノ意見ヲ述ベルノデアルカラ、結果ト云フモノヲ報告シ
  テ經過ヲ報告セラレナカツタ、ソレ故ニ委員長ハ不能力ニシテ、ソレガ出來ナイカ、或ハツ
  レヲシヤウト思ッテモ餘リ理由ノナイコトデ、爲シニクイト云フコトヲ自白セラルヽカ、併ナ
  ガラナシ得ルナラバサセルガ適當デアラウト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=196

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• 197・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　議長ニ於テハ規則違反ハナイト信ジマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=197

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• 198・花井卓藏

  ○花井卓藏君　私ハ何デモナイコトデアルノデスカラ、栗塚君ガ報告ヲナスッタラバ宜カ
  ラウト思フ島田君ガ言ハルヽ程栗塚君ヲ信用シナイデモナイ、ソンナ苦シイコトデハナイ
  ト思フ(「況ヤ理事ハ立川君」ト呼フ者アリ)若シ栗塚君ガ出來ヌナラバ、理事タル立川
  君ニ報告ヲ求ムル權利ガ吾ミニアル、委員長竝ニ理事ハ報〓ヲ爲スベキ責務ガアル、其
  職責ヲ盡サレンコトヲ望ムノデアリマス、何ンデモナイコトデアル

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=198

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• 199・立川雲平

  ○立川雲平君　花井君ノ御議論モゴザイマシテ、仲裁的ニ再ビ委員長ニ報告ヲ勸メルヤ
  ウデゴザイマスゲレドモ、是マデノ當院ノ慣例ト致シマシテ、委員長ノ報告ハ至ッテ簡略ナモノ
  モゴザイマス、又精密ナモノモゴザイマス、ソレヲ一々一二ノ議員ガ不十分デアルト云フガ
  タメニ、屢一、說明報告ヲ煩スト云フコトハ、甚ダ宜シクナイコトデゴザイマス、ソレ故ニ若
  シ委員長ガ其任ニナイトカ、委員長ノ報告ガ違法デアルト云フナラバ、或ハ決議案ヲ提
  出スルナリトモ、若クハ慣例ヲ作ルナリトモ、若クハ懲罰委員ニ附スルトモ、各、爲シ得ル
  途ヲ以テ爲スコト當然デアリマス、今此場合ニ於テ一二ノ人ガ十分デナイカラト云ッテ、
  再ビ三度ビ說明ヲ請フト云フコトハ、私ハ此院ニ惡シキ慣例ヲ遺スト思ヒマスカラ、已ヲ
  得ズ反對致シマス、速ニ此日程ニ移クテ、正々堂々ト御議論ヲ爲スコトヲ希望致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=199

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• 200・島田三郎

  ○島田三郞君　唯今ノ立川君ノ發議ノ甚ダ不穩當デアルト云フコトヲ本員ハ述ベナケ
  レバナラヌ必要ガアルト思フ何故議事ヲ鄭重ニスルト云フコトガ議會ニ於テノ惡ルイ例デ
  アルカ、今マデ簡略ニシテ聰明ナル御方ガ、其理由ヲ推測シテ過ギルトキハ別デアル、併
  ナガラ本員ハ提出者ノ一人トシテ、殊ニ委員長ガ大切ナル改正案トシテ、ソレヲ直シタ
  理由ヲ述ベズシテ、之ヲ後デ議事ニ掛ケルト云フコトハ、議會其モノニ向ッテ甚ダ不
  親切ナル惡行爲ト本員ハ思ヒマス、ソレ故ニ此ノ如キ慣例ハ假令アッテモ、改メ作ルガ當
  然デアルト思フ、況ヤ議事規則ハ經過及結果ヲ報告セシムルトアルガ、經過ハ一モ報〓
  シテナケレバ斷然委員長ガ不能力デアルカ、然ラザレバ理由ナキヲ多數ヲ賴ンデ修正シ
  タ故ニ報告スル能ハズト云フ境遇デアルカ、相當ナル理由ガナケレバ、本員ハ此大切ナル
  報告ヲ議スルトコロノ議會ヲ破ル惡行爲デアルト田心ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=200

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• 201・鳩山和夫

  ○鳩山和夫君　私ハ今這入ッテ參リマシタガ、要ハ委員長ノ報告ガ簡單デアッテ、或ル
  議員ニ其徹底シナイ意義ガアッタト思フ(「サウヂヤナイ」ト呼フ者アリ)斯樣ナ場合ニハ
  隨ッテ委員長ニ質問ヲシテ、委員長ガ之ヲ說明シタト云フ慣例ガ今マデ種々アリマスルカ
  ラシテ、委員長ノ報告ニ於テ足リナイト云フコトヲ感ズルトコロノ議員ハ、委員長ニ向ッテ
  質問ヲ爲ス權利ガアリマスカラシテ、此質問ヲ爲シテ答辯ヲ得テ、然ル後ニ議事ニ御這
  入リニナッタナラバ宜カラウト考ヘマス、餘リヤカマシク議論ヲ立テ過ギルト、妙ナトコロニ
  行キマスカラシテ、委員長ニ對シテ質問ヲ御許ニナリ、委員長若クハ理事ハ此際御答ニ
  ナッタナラバ宜カラウト思ヒマス
  (「贊成ケ々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=201

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• 202・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　鳩山君ノ御說ノ通リ議長ニ於テ質問ハ固ヨリ許サヌト云フノ
  デハアリマセヌダケレドモ委員長ニ於テ經過結果ハドウモ是ヨリドウモ仕樣ガナイト云フ
  ノヲ强ユルコトハ出來ナイノデアリマス、ソレデ若シモ御不滿デアッテ、是非共其報告ヲ强
  制執行デヤラネバナラヌト云フコトニナルナラバ、ドウモ議長ハサウ云云トコロマデハ請求
  スル譯ニハ參リマセヌカラ、是ニ於テ島田君如何デアリマスカ、唯今鳩山君ノ言ハルヽ通
  ニ御疑問ノ〓ガアッタナラバ、御質問ヲナサル、サウシテ委員長ノ答辯ニ於テマダ滿足ヲ
  得ラレヌト云フ場合ニ於テハ、又理事ト云フモノモアリマスルデ、其理事ニ委員長ノ足ラ
  ザルトコロヲ補足ヲサセテ、オヤラセニナッテハ如何デアリマセウカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=202

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• 203・島田三郎

  ○島田三郞君　唯今御述ベニナッタ通デアレバ、敢テ時間ヲ徒ラニ費スコトヲ本員ハ好
  マヌ、ソレ故ニ本員ガ委員長ニ質問アリト云フコトハ速記錄ニ在ルニ相違ナイ、其質問ニ
  答ヘズシテ去ラウトシマシタカラ、本員ハ止メタノデ、無論質問ニ答ヘルナラバ、委員長ナ
  リ或ハ委員長不能力ナレバ理事ナリ答ヘレバ、本員ハ滿足致シマスー唯今質問致シ
  マス、如何ナル理由ニ依クテ三圓ヲ五圓ニ變ヘラレタカ、如何ナル理由ニ依シテ二項三
  項ヲ變ヘラレタカト云フコトヲ伺ヒタイ、卽チ質問デアリマス
  (「御答ナサイ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=203

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• 204・立川雲平

  ○立川雲平君　私ハ理事デゴザイマスカラ、私カラ答ヘタ方ガ便利デアラウト思ヒマ
  ス宜シウゴザイマスカ-島田君ノ御尋ニ御答ヲ致シマスル、三圓ヲ五圓ニ致シマ
  シタノハ程度ノ問題デゴザイマス、別ニ理由ハゴザイマセヌ、程度ノ問題デゴザイマス、程
  度デゴザイマス、ソレカラ第一一項ノ中學校卒業生ニ選擧權ヲ與ヘルト云フノハ、中學校
  卒業證書ヲ有ッテ居ル者ニ選舉權ヲ與ヘルト云フノハ學問アル者豈啻中學校ノミナラン
  ヤ、官立學校ノミナランヤ、學問ヲ尊ビ、知識アル人ヲ尊ビスルタメニ、此ノ如キ項目ハ
  宜シクナイタメニ削除シマシタ、第三、徵兵令ノ項、是ハ人氣ニ投合スル問題デアルヤウ
  デアリマスガ、兵士ニ參リマス人ニモ或ハ身體不合格ノタメニ、若バ抽籤ノ結果デ、折
  角兵隊ニ往クコトノ出來ナイ人モアリマス、此樣ナ人ニ選舉權ヲ與へ、又兵役ニ往ッテ
  來タ人ニ與ヘルト云フコトハ、其志ハ美ニシテ其結果タル甚ダ當ヲ得ナイノデアリマス、
  故ニ折角人氣ニ投ズル案デアリマスガ、遺憾ナガラ第三項ハ委員會デ削ラレマシタ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=204

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• 205・島田三郎

  ○島田三郞君　此議事ノ順序トソレカラ討論ノ順序ハ議長ニ御任セ致シマスガ、唯
  一言附加ヘテ置キマスノハ、少數微弱ト侮ッテ、多數ノ八〓ガ、議會ヲ蹂躙スル弊ガゴ
  ザイマスガ、(「ノウ〓〓」)諸君ヲ言フカ、誰ヲ云フカ、本員ハ議會全體ニ伺ッテ此發言
  ヲスルノデアリマスカラ、諸君心ニ疚シカラズンバ默ッテ御居デナサイ、議長ハ十分ナル信
  用ヲ以テ出來ルダケノ職權ヲ十分ニ御使用アランコトヲ望ミマス、本員ハ適當ノ時期ニ
  於テ唯今ノ修正ニ反對ノ說ヲ述ベマスカラ、改正ヲ望ムガタメニ議長マデ述ベテ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=205

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• 206・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　日程第十四、衆議院議員選舉法中改正法律案第一讀會
  ノ續、本案ノ二讀會ヲ開クベシト云フコトニ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=206

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• 207・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ナイト認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=207

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• 208・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君　直チニ二讀會ヲ開カレ、讀會省略確定セラレンコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=208

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• 209・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　恆松君ノ御發議ノ通リ直チニ二讀會ヲ開キ、讀會ヲ省略シテ
  確定スルコトニ御異議アリマセヌカ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=209

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• 210・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ナイト認メマス、直チニ二讀會ヲ開キマス
  衆議院議員選舉法中改正法律案(森本駿君外四名提出)確定議
  (「委員長報告通り贊成」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=210

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• 211・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　委員長報告通リ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=211

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• 212・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ナイト認メマス、是ニテ本案ハ確定ヲ致シマシタ-日
  程第十五、衆議院議員選舉法中改正法律案、第一讀會ノ續
  第十五衆議院議員選舉法中改正法律案(島田第一讀會ノ續
  三郎君外二名提出)
  〔「一讀會異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=212

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• 213・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　採決致シマス、本案ノ二讀會ヲ開クベシト云フコトニ御異議ア
  リマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=213

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• 214・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ナイト認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=214

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• 215・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君　直チニ二讀會ヲ開カレンコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=215

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• 216・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　直チニ二讀會ヲ開クコトニ御異議アリマセヌカ
  (「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=216

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• 217・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ナイト認メマス、直チニ二讀會ヲ開クコトニ決シマシタ、
  是ハ討論ノ順序ヲ申シマスルガ、第八條ノ本條ト第一項トヲ先ツ議ニ附スルコトニ致シ
  マス-別段御議論モ無イヤウデアリマスカラ採決致シマス
  衆議院議員選舉法中改正法律案(島田三郞君外二名第二讀會
  提出)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=217

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• 218・島田三郎

  ○島田三郞君　第二項第三項ニ修正ガ出テ居リマスガ····

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=218

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• 219・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　第八條ノ本條ト第一項デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=219

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• 220・島田三郎

  ○島田三郞君　改正案第一項デアリマスガ、ソレナラバ本員ハ三圓ヲ五圓ニ改メル說ニ
  付イテ唯今强テ發議ヲ致シマセヌ、併ナガラ其改正案ノ二項三項ニナリマスレバ、本員ハ
  發議ヲ求メマス、此現行法ト是ト違ッテ居リマスカラ、其順序ニ機會ヲ失フトイケマセヌ
  カラ一言シテ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=220

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• 221・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　島田君、二項三項ハ後囘シニ致スノデアリマス、唯今ノトコロ
  ハ本案ト第一項ニ付イテ採決致シマス、卽チ十圓以下ヲ五圓以上ニ改ムル委員長ノ報
  告デアリマス、之ニ御異議ガアリマセヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=221

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• 222・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ガナイト認メマス、一一項三項ヲ議題トシマス
  〔島田三郞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=222

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• 223・島田三郎

  ○島田三郎君　諸君、本員ハ此改正案ヲ同志ト共ニ提出致シマシテ、サウシテ其變
  化ヲ受ケマシタコトニ付イテ頗ル失望致スノデアリマス、併ナガラ尙全然失望ヲ致シマセ
  又、第一議會以來此選舉權ヲ擴張シヤウト云フ精神ハ、政友會ノ前身自由黨ノ最モ
  主張セラレタコトデアッテ、當時本員ハヤハリ制限選舉ノ己ムヲ得ザルコトヲ見テ居リマシ
  テ、屢〓政友會ノ前身自由黨ノ諸君ト折衝往復シタコトガアリマス、當時ハ自由黨ノ此
  法律ニ對スル意見ト云フモノハ普通選舉法ヲ主張セラレタノデアリマシテ、本員ハソレ
  ニ反對デ屢〓ガ制限選舉ノ已ムヲ得ザル理由ヲ述ベタ、本員ハ說ノ異ナルニ拘ラズ相當
  ナル理由ヲ具ヘ、自信アル議論ニ向ッテハ十分ノ尊重ヲ拂フダケノ餘地ヲ有ッテ居ル積リ
  デアリマス、今日モ不當ナル理由ノ下ニ制限選舉ヲ主張セラルヽナレバ、本員ハ又謹ン
  デ耳ヲ傾ケルノデアリマス、然ルニ何ノ理由モナク何モ重大ナル時ノ變化モナイ、實ハ主
  義ニ關係スルコトニ付イテハ正當ナル理由ヲ具ヘテ、其變化ノアランコトヲ望ンデ居リ
  さ、尤モ其時代ハ普通選舉ヲ主張セラレシ一人ノ立川君、政友會ノ一人タル立川
  君ハ、記憶ニ於テ御太人果シテ記憶セラルヽヤ否否ト云フコトヲ序ニ承ッテ置キマス、ソレ
  デ立川君ハ强テ三項ニ付イテ反對シナイノデ、程度問題デアルト云ハレタ、是ハ胸中ニ
  屬スベキコトデ、證據トシテ爭フベキトコロガナイガ、此現在ノ十圓トアリマスノヲ三圓ニ
  引下ゲルノモ、五圓ニ引下ゲルノモ、同ジク引下ゲルノデアリマスカラ、此事ニ付イテハ程度
  問題ト云フコトデ、十分ノ說ヲ立川君ニハ立テヽ居ラヌ、大ニ失望シタノデ委員長· ウジ
  テ質問シタガ、委員長ハ說明シ得ルダケノ自由ヲ有タナカッタガ、或ハ力ヲ有タナカッタカ、
  併シ大政黨ヨリ錚々タル禾亥員長ニ選マルベキ御方ニ能力ナカッタト云フコトハ、甚ダ失禮
  デ、蓋シ是ハ其自由ガナカックモノト本員ハ解釋スルノデアル、何故ニ自由ガナカッタカ、
  理由ナクシテ變化シーノデ、甚ダ公ニ言ヒニクイト本員ハ解釋スル、斯ク解釋シテ十分ニ
  反對ノ御方ニ地步ヲ與ヘテ、本員ハ此變化ハ甚ダ宜シクナイト云フコトヲ述ベタイト思ヒ
  マスガ、立川君ガ之ニ向ッテ述ベラレタ理由ハ最モ笑フベキ理由デアッテ、中學校ト同ジ
  程度ノ卒業證書ヲ持ッタ人ニ權利ヲ與ヘルト云フコトノタメニ削ラレテ居リマスガ、是ヨリ
  他ニモ、モットエライモノガアルナラバ、法律上標準トスルモノヲ求メテ、提出セラレタラ、本
  員ハ喜ンデ之ニ同意シマスガ、法律ハドウシテモ標準ガナケレバ、如何ナルトコロニ取ルト
  云フコトハ出來ヌモノデアル、例ヘバ制限選舉ノコトニ付イテモ、二十五歲以下デ非常
  ニ聰明ナル人アリ、併ナガラ四十歲以上デヤハリ一向取ルニ足ラヌ人モアル、明治二十
  三年ニ聰明デアッタ立川君ガ、今日ニ至ッテ今日甚ダ闇味ニナラレタノハ最モ著シキ例
  デアルト思ヒマス、(立川雲平君「島田先生ハ如何デス」ト呼フ)本員ハ議長ノ差止メヌ
  間ハ、如何ナル言語モ發スル自由ガアリマス-ソレト同ジク二十歲以內ノモノニモ聰
  明ナルモノアリ、二十五歲以下ノモノニ聰明ナルモノガアルカラ、二十五歳以上ノモノ
  ニ權利ヲ與ヘヌト云フ理由ガアッタナラバ誰カ啞然トシテ斯ノ如キ愚ナル發議ヲ笑ハザル
  モノアランヤト本員ハ思フ、且又中學ト限ツタ譯デナイ中學程度ト同等以上トアリマスカ
  ラ、總テ其以上ヲ含ンデ居リマスカラ、斯ノ如ク包括スル案デ、若シ他ヘ之ヲ包括サレル
  御名案ガアルナラバ、本員ハ知識ヲ重ンズル主義ニ於テ、其御名案ニ同意スルコトニ躊
  躇致シマセヌガ、智識ヲ高ブ主義ニ反對ガ出來ズシテ、却テ尙外ニモアルカラト云ッテ之
  ヲ抹殺スルト云フナラバ二十歲以上ノモノニモ愚ナルモノガアル、ソレ故ニ二十才以
  上ニ限ルコトハ出來ヌ、二十五歲以上ノモノニモ愚ナルモノガアリ、二十五歳以下ノ
  モノニモ聰明ナルモノガアルカラ、選舉權ヲ歲ニ依ッテ限ルコトハ出來ヌト云フ、愚ナル
  トコロノ徒ラナル理由ニ向ッテハ、本員ハ之ヲ笑フニ堪ヘタ理由ト嘲ケルノデアル、ソレカ
  ラ第二項ニ至ッテ、抽籤ニ外レタ者ノ、兵役ニ服スル運命ヲ免レタ者ノガアルカラ、抽籤
  ニ當ッタ者兵役ニ當ツク者ニ限ルコトハ出來ヌト云フノモ同ジ論デス、本員ハ斯ノ如キ理由
  カラ、何處マデモ此主義ヲ主張スルモノデアリマスガ、全體知識ヲ尊重スルコトヽ國ニ對
  シテ公ノ義務ニ服シタモノヲ尊重スルト云フコトハ、國家ノ隆盛ヲ計リ、代議政體ノ善美ヲ
  前途ニ擴ムベキ段階デアルト思ヒマス、政權ノ平等附與ト云フコトヽ之ニ伴フニ公ノ精神
  ト竝ニ物ヲ理解スル智識ノ發達ト云フコトヲ尊重シナクシテ、如何ニシテ代議政體ヲ
  完全ノ域ニ達スルコトガ出來マセウカ、ソレ故ニ唯今ノ如キ愚カナル笑フベキ理由ニ依ッ
  テ、之ニ反對スルト云フコトハ理由ニナラヌ、斯ノ如キ理由ニ依ッテ反對セラルヽノハ、口
  ニハ知識ヲ重ンジ、口ニハ公ノ義務ヲ重ンジテ、成ルベク選舉權ヲ小サクシテ、各自候
  補者ノ便利ヲシヤウト云フ、候補者中心ノ選舉法ト見ナケレバナラヌ、決シテ選舉者
  中心ノ改正案デナイト信ジマス、若シ他ノ方面カラ此反對ガ出レバ、戶籍上斯ノ如キモ
  ノハ納稅額ヤ何カデ極メルヤウニ簡略ニ調ベルコトハ出來ヌ、選舉者ノ名簿ヲ造ル困
  難ト云フ位ノ手續上ノ反對ト思ヒマスー能ク精神ヲ讀メバ併ナガラ候補者中
  心トシテ、選舉ヲ樂ニスルナラバ、其意味ヲ達センタメニ選舉法ヲ縮メテ引上ゲルダラ
  ウガ、候補者中心ノ改正案ニアラズシテ、惡キ方ニ改メル變化スルト云フナラバ、斯ノ如
  キモノハ此精神ト適合スルトコロノ改正デナカラウト、本員ハ思ヒマス、併ナガラ戶籍上
  ノ調査ハ手續上ノコトニシテ、主要ノコトニアラズ、尙各自己ガ選舉セント云フ、公ノ義
  務ヲ盡スト云フ人〓ハ、必ズ兵役ニ服シタル中學以上ノ學科ニ服シタルトコロノ證書ヲ
  持ッテ居ルコトヲ申出デサセル又申出ルコトガ自然順序デアリマスカラ、ソレヲ爲サズシ
  テ、失權者トナツタモノマデ、心配スルニ及バヌ、公ノコトニ義務ヲ盡サウト云フコトヲ希望
  スルモノヲ成ルベク網羅スル、ソレヲ網羅スルタメニ、知識ト竝ニ公ニ對スル義務心、竝ニ
  義務心ト云ハンヨリハ、寧口事實義務ニ服シタモノヲ之ニ列舉スルノハ、誠ニ發逹シタル
  改正デアッテ、本員ハ理論上何故ニ之ニ反對スル口實ヲ持ツカラ怪シム、甚ダ本員ノ言
  フガ如キ、他ノ理論トシテ耳ヲ傾ケル反對論ニアラズシテ、誠ニ多數ヲ以テ非理ノ變化
  ヲ加ヘタモノト思ヒマスカラ、本員ハ此理由ヲ以テ、原案ヲ二項、三項、ニ於テ維持
  致シマス
  〔立川雲平君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=223

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• 224・立川雲平

  ○立川雲平君　大分年ヲ經マシタケレドモ、相變ラズ其御容貌ト云ヒ、島田先生ノ
  御演說ノ上手ナコトニハ感服ヲ致シマシタ、又二十三四年頃カラ今日マデ島田先生ハ
  確ニ進步シツヽアルヤウニ考ヘマス、自己ノ說ヲ述ブルニ當ッテ屢〓島田君ノ御議論中ニ
  不能力デアル、說明スルコトガ能ハヌノデアルト云ハレタ、私甚ダ痛ム、島田君ノ御演說
  ハ常ニ言葉ノタメニ御演說ヲナサル、所謂演說ノタメニ演說ヲナサルヤウニ思ハレル、大
  家ハ宜シク大家ラシク、斯ノ如キ能力ガアルトカ、學問ガナイトカ云フヤウナ言葉ハ御使
  ヒニナラヌヤウニ望ム、、是ハ島田先生ノタメニ望ム、サウセヌト政治上ノ「ヒステリー」患者デ
  アルト云フヤウナコトヲ言ハレテモ、知ラズト云フコトハ出來ナイカ知ラヌ(拍手起ル)私ハ
  島田先生ガ此演壇ニ登ッテ演說ヲナサル前ニ、議席ニアッテ御一言ヲ發セラレタコトニ頗
  ル感ジテ居ル多數ヲ賴ンデ道理アル問題ヲ滅却シテ吳レナトカ、埋沒シテ呉レナト云フ
  コトヲ仰ッシヤッタ、一體此衆議院場內ニ於テ、道理アルト云フコトヽ道理ナイト云フコト
  ハ、何ノ標準ニ依ッテ決スルデゴザイマス、若シ島田先生ノ頭一ツデ決スルナラバ此衆
  議院ハ要リマスマイト思フ、島田三郞君ガ云フ通リノ事柄ガ總テ道理デアルト云フナラ
  バ此帝國議會ハ要ラヌノデアル、是ハドウシテモ多歎ト少數ニ依ッテ決スルヨリ外ナイノ
  デアル、吾〓ノ理想ヲ言ハシメタナラバ之ニ大ニ異議ハゴザイマス、併ナガラ今ノ時ニ當ッ
  テ已ムヲ得ズ多數少數ニ依ッテ決スルノハ、議院政治ノ常體デアル、要義デアラウト思ヒ
  マス、故ニ必シモ島田先生-島田三郞君ノ議論ガ此議場ニ於テ行ハルヽヤ否ヤト云
  コトハ私ハ此案ニ付イテ辯明スル必要ハナイ、標準ガチヤント定ッテ居ル、島田君演說シ
  タリ、其案必ズ否決ト云フコトハ定ッテ居ル、併ナガラ先刻ノ演說中ニ立川雲平君トムッ
  テ、特ニ私ヲ指シテ普通選舉論者デアルト御明言デゴサイマシタ、不肖雲平確ニ普通
  選舉ノ理想ヲ持ッテ居リマス未ダ之ヲ實行スルノトキデナイト信ジマス、普通選擧ハ誰
  カ此理想ヲ持タヌモノガゴザイマセウ、苟モ憲政ノ趣味ヲ解シ、苟モ憲政有終ノ美ヲ爲
  ントスルモノハ、誰シモ此理想ハ有シテ居ル、怪シム勿レ島田君、今日之ヲ行フカ否ヤ
  ト云フノガ問題デアル(拍手起ル)島田君ノ議論ニスルト、此第八條ノ三號中ノ五圓以
  上ト改ムト云フ案ガ、旣ニ決シタル今日ニ於テ、二號、三號ノ說ヲ主張スルト云フノハ、
  抑こ無理デアリマス、何トナレバ既ニ島田君ガ三圓ト云フ主張デアルガ、五圓ト云フ主
  張ハ程度ノ問題ナリトシテ委員會ガ決シタ、我是ニ從ハント言ハレタ、然ラバ其他モ亦標
  準問題デアリマス、程度問題デアリマス、若モ知識有ル者ヲ以テ必シモ選舉ヲ爲サシメ
  ネバナラヌト言ロナナラバ、知識万能且此知識ノ有無學問ノ有無ト云フコトヲ以テ是ニ
  依ッテ標準程度ヲ定メタナラバ、其他ハ問フニ及バヌデゴザイマセウ、併ナガラサウデハナイ、
  是レ皆程度ノ問題デアリマス-是レ皆程度ノ問題デアリマス、若モ學問ガ有ル、卽チ
  學校ニ這入ッテ卒業シタ者ハ知識ガ有ル、故ニ此知識有ル者ハ選擧權ヲ與ヘネバナラヌ
  ト言ウテ、中學以上ノ卒業證書ヲ持ッタ者云々ト云フコトヲ選舉權ノ方ニ付ケルノハ、餘
  リ不都合デハナイカ、サウスルト一般我國民ハ〓育ノ上カラノ觀察ヲシタナラバドウデゴザ
  イマセウ、旣ニ普通〓育ノ年限ガ增加セラレ、我帝國ニハ今迄ハ卒ザ知ラズ-是迄ハ
  率ザ知ラズ、此ヨリ後ニ於テ議員選舉ニ過ヲ來スガ如ギ、知識ニ乏シキ者、學問ニ乏シ
  キ者ガ國ヲ擧シテ其類アルコトヲ私ハ知ナライト云フ考ヲ持ッテ居ルノデアル、故ニ必シモ
  此〓育有ル者ハ知識ガアル、知識有ル者ハ選舉ニ〓廉潔白デ、其選ヲ誤ラヌト云フコ
  トハ言ヘナイ他ノ總テノ資格ガ種々ナルモノニ依ッテ定メテアルノハ是レ唯程度ヲ以テ
  定メタモノデアル、故ニ先刻モ申述ベタ如ク學問ト云フモノヲ尊ムガ故ニ、此樣ナ巨細ナ
  コトノ區域ヲ定メテ以テ窮窟ニスルト云フコトハ、不都合デアルト云フノデアル況ヤ中學
  校以上ノ程度ノ學校ノ卒業證書ヲ持ッテ居ル者ト云フノハ、ドウシテ之ヲ調ベルカ年
  齡デアルトカ云フコトナラバ戶籍ニ依ッテ調ベル途ガアル、又納稅ノ資格ナドハ調ベル途
  ニ依ッテ調ベレバ調ベラレルノデアルガ、島田君ノ言フガ如キ中學卒業以上ノ卒業證書ヲ
  持ッテ居ル者ハ知識アルト云フコトハドウシテ之ヲ調ベルノデアルカ、若シ良キ方法ト手
  續トガアルナラバ我從ハント言ハレルガ、奈何セン其方法其標準等ニ付イテハ詳シキ規
  則ヲ拵ヘルコトガ出來ヌノデアル、蓋シ是ハ不能ニ屬スルコトデアル、故ニ此〓ニ向ッテ知
  識有ル者ト云フ第二號ニ對スル委員會ノ反對ニ私ハ同意ヲ表シタノデアリマス、又此歡
  兵兵役ヲ完ウシタ者、此兵役ヲ完ウシタ者ト申シマスルト如何ニモ此戰爭ノ後ニ於
  テ、國事ノタメニ身命ヲ捧ゲタルトコロノ者ニ報ユルニ甚ダ言葉ガ宜ササニ見エル併ナ
  ガラ是又一身ヲ國家ノタメニ捧ゲテ、大戰爭ニ出テ苦勞ヲセラレタ人ニ報ユル途ハ他ニ
  ゴザイマス決シテ選擧權ヲ以テ報ヒナケレバナラヌト云フ道理ハナイノデアル(ヒヤ〓〓ン
  若又是ニ向ッテ選擧權ヲ以テ報ヒナケレバナラヌト言フナラバ島田君ノ所謂知識ハ必
  要ダ、知識無キ者ガ舉擧場裡ニ這入ッテハ、大變ダト言ハルヽトコロニ矛盲スルヲ奈何
  セン(拍手起ル)徵兵ニ應ズル者、兵役ニ從事スル者、必シモ中學校以上ノ學問有
  ル者デアリマセウカ、卒業證書ヲ持ッテ居ル人ニ限ルノデアリマセウカ、是レ卽チ二號三
  號ガ互ニ相矛盾シタル島田君ガ唯人氣ニ投ゼンガタメニ、演說ヲセンガタメニ、斯樣ナ
  案ヲ御出シニナッタト私ハ信ズルノデアリマス。(拍手起ル)今ノ時ニ當ッテハ選擧權ヲ擴
  張シテ、十圓以上ト云フノヲ五圓以上ト致シテ、是デ以テ十分デアル、尙二年經チ、三
  年經チ、五年經チ、十年經チマシタ後ニ、普通選舉ノ行ハルヽヤウニシタイト思フノデア
  ル島田君ハ漸進家デアラレタガ、御年ヲ過サレテ急進家トナラレタヤウデアル(拍手起
  ル)私ガ委員會ノ修正說ニ贊成ヲ致シマシテ、彼ノ知識尊重論者ト兵役優待論者ニ對
  シテ反對スル所以ハ以上述ブル通デゴザイマス
  〔拍手起ル「討論終結」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=224

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• 225・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　加瀨禧逸君
  〔加瀨禧逸君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=225

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• 226・加瀬禧逸

  ○加瀨禧逸君　諸君、唯今立川君カラ致シマシテ縷々非常ナル御演說ガゴザイマシ
  タ立川君ハ島田君ヲ捕ヘテ島田君ハ演說ヲシタイガタメニ、此衆議院議員選擧法中
  改正法律案ヲ出シタト、斯ウ仰セラレテ居リマスケレドモ、寧ロ立川君コソ演說ヲスルガタ
  メニ故ラニ詰ラヌ惡口ヲ此所デ御列ベニナッタト考ヘル(拍手起ル「夫子ハ如何」ト呼フ
  者アリ)夫子ハ固ヨリ立川君ノ如キ毒舌ハ弄サヌノデアル、立川君ノ如キ汚ナキ議論ハ
  用井ナカッタノデアル、故ニ立川君ノ迷ヲ釋クタメニ此所ニ立ッタノデアリマス、而シテ立川
  君ノ御議論ハ其初メニ於キマシテハ、島田君ト御自分トノ關係ヲ御違ベニナッタノデアリ
  マスカラ、私ハ是ニ向ッテ反駁ヲスベキ必要ガナイ、否ナ、反駁ヲ加フベキ地位ニ立ッテ
  ラヌ、局外中立ニ在ル者テアリマスルカラシテ、直チニ立川君ガ法案ソレ自體ニ對シテ反
  對スルト言ハレタコトヽ、卽チ委員會ノ修正ニ同意セラレタ、此二點ニ對シテ立川君ガ
  誤解ニ陷フテ、自ラ其御議論ヲナスッタト云フコトヲ申上ゲヤウト思フ、立川君ガ唯今玆ニ
  御述ベニナリマシタトコロノ、委員會ノ修正ニ贊成セラルヽト云フ御意見ハ、實ハ是ハ立
  川君ガ變造セラレタ御議論ダ、立川君ガ委員會ニ於テ言ハレタトコロノコトヲ此處ニ復
  習ヲセラレタノデアル故ニ私ハ其當時立川君ニ對シテ攻擊ヲ加ヘタコトヲ、玆ニ繰返
  セバ足リルノデアル、立川君ハドウ云フコトヲ言ッテ居ルカト云ヘバ此速記錄ニモゴザイ
  マスルケレドモ、第二號及第三號卽チ此「府縣立師範學校中學校若ハ文部大臣ニ於
  テ中學校ノ學科程度ト同等以上ト認メタル學校若ハ文部大臣ノ認可ヲ經タル學則
  ニ依リ法學政治學理財學ヲ〓授スル私立學校ノ卒業證書ヲ所持スル者」此事ヲ挿
  入スル〓ニ付キマシテハ、滿腔ノ同情ヲ以テ御贊成ニナッタノデアル、知識ヲ尊ブ〓ニ於
  テハ誠ニ提出者ノ言ハルヽ通デアル、〓育有ル者ヲシテ此選舉界ニ入レルト云フコト
  ハ卽チ選舉ノ廓〓ヲ期ス、立川君ノ所謂憲政有終ノ美ヲ濟ストカ云フコトニハ、誠
  ニ適當デアルト云フヤウナコトデ、非常ナル御贊成ヲ表サレタノデアル、併ナガラ贊
  成ヲ表サレテ居リナガラ、强テ反對ヲシヤウト云フノデ故ラニ難題ヲ立テラレタ、何故
  ニ難題ト言フカ、立川君ハ委員會ニ於テ言ハレタトコロ、及唯今此壇上ニ於テ述ベラレ
  タトコロハ斯ウ云フ趣意デアル、學問ハ尊ブ、誠ニ可ナリ、併ナガラ卒業證書ヲ所持
  スル者ト限定シタノハイカヌ、、學校ノ卒業證書ヲ持タヌデモ知識有ル者ハ澤山アル、
  是等ノ者ヲ綜合スル規定ガナケレバナラヌト云フ趣意ニ歸著スル、併ナガラ立川君ハ法
  律家デアル、是位ノ手續殊ニ選舉人名簿ノ調製ノ關係等ニ於テハ疾ニ御呑込ノ
  コトデアラウト思フ之ヲ御呑込ナサラヌト云フナラバ同僚ノ立川君ノタメニハ甚ダ悲ム
  ノデアル、何故ニ之ヲ言フカト云ヘバ、學問ノ有ル者ハ幾ラモアリマセウ、卒業證書ヲ持ッ
  タ者ヨリモ持タヌ者ニ、ヨリ多クノ智能ヲ具ヘタ者ハゴザイマセウケレドモ、此選舉權ニ付
  キマシテハ選舉人名簿ヲ調製ヲシナケレバナラヌ、選舉人名簿ヲ調製ヲスル場合ニ當ッ
  テ、學校ノ卒業證書トカ或ハ是ニ似寄ルベキトコロノ形式上ノ標準ガ無カッタナラバ、何
  依ッテ選舉人名簿ニ之ヲ登錄スルノデアルカ、選舉ノ度每ニ一々試驗ヲ行フト云フコト
  ハ不可能デアリマセウ、故ニ實際上ニ於テ是ヨリ力有ル者ガアッタニシタトコロデ、選舉ノ
  手續選擧ヲ行用スル運用方法ト云フモノヽ規定ガ宜クナカッタナラバ、選舉法ト云フ
  モノハ唯茲ニ議論ヲスルタメニ書クノデハナイ、論ズル人ニ示スタメニスルノデハナイ、事實ニ
  於テ行ヒ選舉權ヲ行用スル者ガ、立派ニ之ヲ實行スルニ適スルトコロノ法制ヲ施カナケレ
  バナラヌコトハ言フマデモナイコトデアラウ、然ルニ立川君ハ是以上ニ學者ガアルデアラウ、
  卒業證書ヲ持ッタモノノミニ學問ノアルモノト云フコトヲ限定セラレテ居ルノデアル是
  ニ止メルノハ不可デアルト云フコトハ、御自分カラ難題ヲ擔出シテ、其難題ノタメニ首ヲ
  縊ッタノデアル、故ニ委員會ニ於テ「私ハ言ハン立川君自殺セラレタリ」ト云ウテ居ル、此
  案ニ對スル立川君ノ議論ハ寧ロ子供ニ復ッタ論デアルト云フノデアル、殊ニ此第三號ノ
  兵役ノ〓ニ付キマシテハ、愈〓進ンデ愈〓誤解ニ陷ッタノデアル、立川君ハ言フ若シ汝ノ
  提案ノ如ク致シタナラバ抽籤ニ洩レタモノトカ體格不具ニシテ合格シナカッタモノニ
  至ッテハ、却テ嘆キヲ發スルノデアル、此法案ハ此〓ニ於テ無理デアルト言ハレタ、是
  委員會ニ於テ反對セラレタル一ノ理由デ、殊ニ玆ニ於テ眞面目ラシク繰返サレタ議論デ
  アル、此〓ハ立川君ガ誤解セラレテ居ルノデアル、此法案ヲ如何ニ解セラレタカ、立川
  君ハ辯護士デアル、法律ヲ解スル能力ハアルト思フ、然ルニ此〓ニ於テハ他ノ法律ハ免
  ニ角、此法律ヲ解釋スル能力ハ「ゼロ」デアルト思フ此法案ニハ「徴兵令ニ從ヒ現役ヲ終リ
  タル者及召集ニ應シテ兵役ニ服シタル者」トアル、此趣意ハ過日私ガ此壇上ニ於テ君ノ
  罵例ヲ顧ミズシテ申上ゲタトコロニ依ッテ、其趣意ハ解セラレテ居ル、一方ハ財產ノ
  義務ヲ負ヒ、他ノ一方ハ身命ヲ捧ゲテ國ニ奉事スルモノデアル、然ルニ金ヲ納メルモ
  ノニ對シテ權利ヲ與ヘテ、身命ヲ捧グルモノニ及バヌト云フコトハナイ、所謂國家ニ奉
  事スル程度ノ上ニ於テ、財產ニノミ重キヲ置クベキモノデナイト云フコトヲ此席ニ於テ申
  述ベクコトデアル、私ノ提案ノ趣意ハ結局財產ヲ以テ國ニ奉事スルモノヨリモ、身命ヲ
  捧ゲテ國ニ奉事スルモノヽ方ガ、其勤勞ト責住ノ點ニ於テ遙ニ重イ、然ラバ國家ガ之ヲ
  待遇スルニ於テ勤勞ト苦痛トヲ比較シ來レバ、財產アルモノヽ下ニ置クベキモノデナイ、
  旣ニ私ノ提案ハ體力ヲ以テ國ニ奉事スルト云フコトヲ土臺ニシテ居ル、然ラハ抽籤デ
  落籤シタモノハ體格ガ惡ルイカラ、體ヲ以テ國ニ盡シテ居ラヌ、勤勞ト責任トヲ分タヌモ
  ノデアル、此モノニマデ與ヘヨトハ云ハヌ、立川君ハ此〓ニ於テモ自殺セラレタ、立川君
  ハ普通選舉ハ我輩ノ理想デアル、今ニ於テモ異議ヲ唱ヘヌガ、唯時期ガ早イト云フ御
  議論ハ一モ委員會デハ出テ居ラヌ、勝手ナ理窟ヲ出シテ··斯ノ如キ御議論ガアル以
  上ハ、立川君ハ多年ノ理想ニ近ツクト云フコトヲ以テ反對說ヲ御取リ消シニナッテ、遠藤
  吾〓ノ提案ニ御同意アランコトヲ希望致シマス、諸君ノ多數ハ無論之ヲ御容レニナルデ
  アラウト思フ、私ハ此案ノ提案ノ初メニ於テ深ク諸君ニ望ヲ屬シマシタ、諸君ノ多クハ
  常ニ此普通選舉ヲ云々セラレテ居ル、然ラバ此選擧權ヲ擴張スルコトニハ御異議ハナカ
  ラウト思ッタ、此案ハ猶興會ノ案デアルガタメニ、決シテ葬リ去ラレルト云フコトハ思ハナ
  カッタ、ナゼナラバ私ノ提案デハ選舉界ニ知識ガ挿入セラレテ、最モ善イ議員ガ得ラレテ、
  議會ノ健全ガ期セラレル議會ノ健全ハ是カラ維持セラレル、今日國民ノ反對スル非
  難ハ是デ漸次薄ライデ今日ヨリ、善キトコロノ帝國議會ヲ見ルコトガ出來ルト云フコト
  ハ私ガ前ニ申上ゲタ次第デアル、、然ラバ此知識ヲ遷擧界ニ入レテ遷舉セシムル曉ニ至ッ
  テハ諸君ヨリ劣ラザル、否ナ諸君ヨリ立派ナル議員が選出セラレテ、帝國議會ノ面目
  ヲ新タニスルノデアル、立川君ノ如キ、或ハ政友會員多數ノ諸君ノ如キ、知識、德操二
  ツナガラ兼ネ備ヘル人ハ度々選舉セラレ、多數テ當選セラレルト云フ好意ノ案デアル、諸
  君ノ如キ誠ニ立派ナル立川君ノ如キ常ニ辯論ヲ以テ巧ミナル島田三郞君ヲ壓スルヲ以
  テ任トセラルヽ立川君ノ如キハ、必ズ當選セラレルト云フ寧ロ諸君ノタメニ好意ノ提案
  デアルカラ、暫ク顧ミテ御贊成アランコトヲ希望致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=226

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• 227・立川雲平

  ○立川雲平君　加瀨君ノ御演說中、甚ダ界猥ナ議論ガゴザイマシタ、私ハソレヲ繰返
  シテ之ヲ口ニスルコトヲ耻ヂマス、液ニ加瀨君ハ御注意アッテ速記錄ヨリ抹殺セラルヽヤ
  ウニ御注意致シマス
  〔「討論終結」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=227

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• 228・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　別段御議論ガナイヤウデアリマスデ、採決致シマス、卽チ此二
  項三項ニ付イテ併セテ採決致シマス、委員會ノ修正ハ削除デアリマス、削除デアリマスカ
  ラ原案ニ付イテ、卽チ島田三郞君ノ原案ニ付イテ採決致シマス、二項三項卽チ原案ニ
  御同意ノ諸君ノ起立ヲ願ヒマス
  起立者少數

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=228

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• 229・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　少數デアリマス、否決トナリマシタ是ニテ二讀會ハ議了シマシタ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=229

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• 230・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君　直チニ三讀會ヲ開イテ確定セラレンコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=230

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• 231・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　恆松君ノ動議ノ通リ直チニ三讀會ヲ開クニ御異議ハゴザイマ
  セヌカ
  (「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=231

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• 232・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、一一讀會決議通御異議ゴザイマセヌ
  カ
  衆議院議員選舉法中改正法律案(島田三郞君外一一名提確定議
  円
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=232

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• 233・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、是デ本案ハ確定致シマシタ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=233

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• 234・加瀬禧逸

  ○加瀨禧逸君　先刻立川君ノ御注意ノゴザリマシタ、私ノ界猥ナル言葉ト云フノ
  ハ······ト云フコトデアラウト思フ是ハ取消シテ置キマス、言激ニ趨ッテ禮ヲ缺キマシタ、其
  〓ヲ謝シテ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=234

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• 235・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　日程第十六、衆議院議員選舉法中改正法律案第一讀會
  ノ續、之ヲ議題ニ供シマス
  第十六衆議院議員選舉法中改正法律案(高橋第一讀會ノ續
  勝七君外十五名提出)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=235

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• 236・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　別段御議論ハナイト認メマス、採決致シマス、本案ノ二讀會
  ヲ開クト云フニ御異議ハアリマセヌカ
  〔異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=236

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• 237・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=237

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• 238・恒松隆慶

  ○恆松隆慶君　直チニ二讀會ヲ開キ讀會ヲ省略シテ委員長報告通り確定セラレンコ
  トヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=238

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• 239・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　恆松君ノ發議ノ通リ直チニ二讀會ヲ開キ讀會ヲ省略シテ確
  定シテ御異議ハゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=239

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• 240・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、委員長報告通リ御異議ハゴザイマ
  セヌカ
  衆議院議員選舉法中改正法律案(高橋勝七君外十五名確定議
  提出)
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=240

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• 241・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス、是ニテ本案ハ確定致シマシタ-日
  程第十七、日程第十八、是ハ前ノ決議ノ結果會議ニ付スル必要ガナイト認メマス、御
  異議ハゴザイマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=241

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• 242・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ハナイト認メマス-御諮リ申スコトガアリマス、武市
  庫太君病氣ノタメ決算委員辭任ノ申出ガアリマシタ、許可シテ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=242

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• 243・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　御異議ガナケレバ許可スルコトニ致シマス、同君ハ九部ノ所屬
  デアリマスカラ、同部ニ於テ補缺選舉アランコトヲ望ミマス、報告ガアリマス
  〔書記朗讀〕
  一政府ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
  樺太ニ施行スヘキ法令ニ關スル法律案
  一議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
  災害地方田畑地租免除ニ關スル法律案
  提出者大津淳一郞君廣中君管原傳君
  柴四朗君安菊河 清水九郞君寺井純司君
  管池武德君·味噌爵市田兵七君
  關春茂君
  北海道ニ市制ヲ施行スル法律案
  提出者內山吉太君中西六三郞君柳田藤吉君
  松井源內君吉植庄一郞君淺羽靖君
  金子元三郞君
  北海道會法中改正法律案
  提出者內山吉太君中西六三郞君柳田藤吉君
  松井源內君吉植庄一郞君淺羽靖君
  金子元三郞君
  北海道地方費法中改正法律案
  提出者內山吉太君中西六三郞君柳田藤吉君
  松井源內君吉植庄一郞君淺羽靖君
  金子元三郞君
  市場法案
  堤出者川島瀧藏君守屋此助君
  一委員ヲ指名スル左ノ如シ
  移民保護法中改正法律案
  日向輝武君橫井時雄君代理論
  麥田宰三郞君關松本君平松江市立哲藏君
  築山和一君信之介君君君長平君
  安田勳君進藤喜平太西村丹治郞君
  安達謙藏君竹丙正志君紫垣雄君
  山口熊野君小川平吉君藻寄鉄五郞君
  明治三十九年度一般會計所屬ノ經費ヲ各帝國大學特別會計ニ繰越ス場合ニ
  於ケル剩餘金繰入ニ關スル法律案
  山口小一君是永歲太郞君神戶松之輔君
  木暮武太夫君合田福太郞君須見千次郞君
  福留〓四郞君片山正中君花井卓藏君
  臺灣ニ於ケル特別ノ輸入稅ニ關スル法律案外一件
  森本駿君永島〓代司君丹尾賴馬君
  林小一郞君宮崎榮治君鹿島秀麿君
  澤來太郞君福島宜三君淺野陽吉君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=243

  ---

• 244・杉田定一

  ○議長(杉田定一君)　次會ノ日程ハ、追テ公報ヲ以テ御通知申シマス、本日ハ是ニ
  テ〓會致シマス
  午後五時二十二分散會

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002313242X01319070309&spkNum=244

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