1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
明治四十一年二月二十七日(木曜日)午後一時五分開議
━━━━━━━━━━━━━
議事日程 第十號 明治四十一年二月二十七日
午後一時開議
第一 明治三十九年度豫備金支出の件
第一 明治三十九年度豫備金外に於て豫算超過及豫算外支出の件(承諾を求むる件)
第一 明治三十九年度特別會計豫備金支出の件(承諾を求むる件)
第一 明治三十九年度特別會計豫備金外に於て豫算超過及豫算外支出の件(承諾を求むる件)
第一 明治三十九年度清國事件第二豫備金支出の件(承諾を求むる件)
第一 明治三十九年度臨時事件豫備費支出の件(承諾を求むる件)
第一 臨時軍事費特別會計豫算超過支出の件(承諾を求むる件)
第二 右議案の審査を付託すへき委員の選舉
第三 監獄法案(政府提出貴族院送付) 第一讀會
第四 右議案の審査を付託すへき委員の選舉
第五 刑法施行法案(政府提出貴族院送付) 第一讀會
第六 右議案の審査を付託すへき委員の選舉
第七 印紙犯罪處罰法案(政府提出貴族院送付) 第一讀會
第八 右議案の審査を付託すへき委員の選舉
第九 裁判所構成法中改正法律案(政第五六號)(政府提出貴族院送付) 第一讀會
第十 右議案の審査を付託すへき委員の選舉
第十一 裁判所構成法中改正法律案(政第六三號)(政府提出貴族院送付) 第一讀會
第十二 右議案の審査を付託すへき委員の選舉
第十三 裁判所構成法施行條例中改正法律案(政府提出貴族院送付) 第一讀會
第十四 右議案の審査を付託すへき委員の選舉
第十五 神社財産に關する法律案(政府提出貴族院送付) 第一讀會
第十六 右議案の審査を付託すへき委員の選舉
第十七 間接國税犯則者處分法中改正法律案(政府提出貴族院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十八 沖繩縣及東京府小笠原島伊豆七島に於ける酒造税に關する法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十九 沖繩縣酒類出港税則中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十 酒母醪及麹取締法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十一 煉乳原料砂糖戻税法案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十二 地方税制限に關する法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十三 市制中改正法律案(湯山壽介提出) 第一讀會
第二十四 町村制中改正法律案(湯山壽介提出) 第一讀會
第二十五 漁業法中改正法律案(川島瀧藏外十一名提出) 第一讀會
第二十六 裁判所管轄區域變更に關する法律案(築山和一提出) 第一讀會
第二十七 神職養成部國庫補助に關する建議案(小田貫一外九名提出)
第二十八 敦賀港浚渫に關する建議案(荻野芳藏外九名提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=0
-
001・杉田定一
○議長(杉田定一君) 諸般ノ報告ヲ致シマス
〔書記朗讀〕
一政府ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
明治四十年法律第三十一號中改正法律案
一貴族院ヨリ送付セラレタル政府提出案左ノ如シ
監獄法案
刑法施行法案
印紙犯罪處罰法案
裁判所構成法中改正法律案
裁判所構成法施行條例中改正法律案
神社財產ニ關スル法律案
一貴族院ハ本院送付ニ係ル政府提出(第二號)明治四十年度歲入歲出總豫算追
加案(特第一號)明治四十年度各特別會計歲入歲出豫算追加案(追第一號)
豫算外國庫ノ負擔トナルヘキ契約ヲ爲スヲ要スル件、日本大博覽會出品外國貨
物免稅ニ關スル法律案ヲ可決シタル旨同院ヨリ通牒アリタリ
一議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
市制中改正法律案
提出者湯山壽介君
町村制中改正法律案
提出者湯山壽介君
漁業法中改正法律案
提出者川島瀧藏君島津良知君森茂生君
武滿義雄君內山吉太君淺羽靖君
濱田酸菜、大野龜三郞君鈴木久次郞君
萩野け方き奧野市次郞君松浦五兵衞君
教賀港浚渫ニ關スル建議案
提出者荻野芳藏君牧野逸馬君丹尾賴馬君
上埜安太郞君奧野市次郞君吉植庄一郞君
橫井甚四郞君三輪傳七君內山吉太君
西山彰君
裁判所管轄區域變更ニ關スル法律案
提出者築山和君
質屋取締法中改正法律案
提出者磯部四鳩山和夫君栗塚省吾君
角田眞平長所豐高橋安爾君
大石熊藏巖吉平郞吉君君君君君作藏吉君君立川雲平君
張家
漆昌江原素六君藤澤幾之輔君
花井卓
商科大學設立ニ關スル建議案
提出者根本正君江原素六君粕谷義三君
鳥山敬二郞君加瀨禧逸君上野彌一郞君
山根正次君
鐵道買收ニ關スル法律案
提出者請願委員長竹越與三郞君
一山根正次君ヨリ脚氣及傳染病豫防方法ニ關スル質問趣意書ヲ提出セラレタリ
〔左ノ質問書ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノ爲茲ニ揭載ス〕
脚氣及傳染病豫防方法ニ關スル質問趣意書
右成規ニ據り提出候也
明治四十一年二月二十七日
提出者山根正次贊成者井上角五郞
外七十五人
脚氣及傳染病豫防方法ニ關スル質問趣意書
一政府ハ先年本院ヨリ建議セル脚氣病調査ニ關シ如何ナル方法ヲ以テ如何ナル
程度マテ其調査ヲ了リタルヤ竝ニ調査ノ成績如何
軍隊ニ於ケル脚氣及ヒ一般脚氣病ハ如何ナル豫防方法ヲ施シツヽアルヤ
一「ベスト」流行以來其豫防撲滅ノ方法ニ關シ中央政府及地方廳ノ施設充分ナ
ラスト認ム當局ノ之ニ對スル措置如何
一天然痘ノ豫防ハ種痘ヲ以テ之ヲ根絕セシムルコトヲ得ルヤ言ヲ俟タス然ルニ本
年該病ノ流行强烈ナルニ際シ痘苗不足ノ爲メ豫防ノ方法完全ニ執行セラレサ
ルハ事實ナリ政府ハ何故ニ平生ニ於テ之カ設備ニ遺算ナカラシメサルヤ
一癲豫防ハ既ニ法律ノ命スル所ナリ然ルニ政府ハ之レニ要スル經費支出ノ途ヲ講
セス爲メニ忌ムヘキ病毒ヲ其傳播ニ放任セルハ如何
一「トラホーム」ノ流行激烈ニシテ就中學生ニ在リテハ此ヲ患ヘサルモノ稀ナルヲ見
ル凡ソ斯病ノ如キ最モ迅速ニシテ且ツ廣汎ニ蔓延セル傳染病ニ對シ政府ハ今
日マテ曾テ之レカ豫防方法ヲ講セサルノ理由如何
一政府カ結核病ノ豫防取締ニ著手セラレシ以來如何ナル程度ノ成績ヲ得タルヤ
右及質問候也
〔左ノ報告ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノ爲玆ニ揭載ス〕
一去ル二十日議長ニ於テ選定シタル委員左ノ如シ
水利組合法案
竹越與三郞君植場平君古井由之君
長晴登君尾見濱五郞君小澤愛次郞君
神前修三君橫井甚四郞君武內美代吉君
竹村良貞君安念次左衞門君伊夫伎資弼君
飯島省三郞君田村順之助君荒川五郞君
城重雄君萩野左門君松井源內君
關稅定率法輸入稅表中改正法律案
野田卯太郞君中西光三郞君鈴木藤三郞君
日向輝武君山本幸彥君河上英君
靑柳信五郞君荻野芳藏君神崎東藏君
佐藤伊助君山口達太郞君東尾平太郞君
安田勳君駒林廣運君持田若佐君
野尻邦基君大竹貫一君橋本久太郎君
日本大博覽會ノ出品ニ對スル發明、意匠、實用新案及商標保護ニ關スル法律
案
關根柳介君遊田〓吉君林小郞君
工藤善助君麥田宰三郞君大津淳一郞君
角田眞平君森秀次君川眞田德三郞君
感化法中改正法律案
森懋君野久次君長谷部倉藏君
籾木卿太郞君片松大原九郞君天野董平君
横堀三子君山正中君花井卓藏君
東京都制案外三件
江原素六君後谷義三君禮吧 明星之助君
遠藤庸治君澤丹粕限定 ご口吉良君
久保彥太郞君田·氏のハ鳥山敬二郞君
UNIFIENCE肥三浦盛德君石川〓君
大漲原作昌巖君塚龍君尾形兵太郞君
熊吉君靑地雄太郞君關直彥君
村松龜一郞君原柴四朗君奧村善右衞門君
岡田治衞武君田赳城君尾崎行雄君
三輪信次郞君富島暢夫君乾奈良吉君
裁判所管轄區域變更ニ關スル法律案
築山和一一〇立川雲平君西村 專太郞君
田中定吉君山口小君久保田與四郞君
石田仁太郎君矢島浦太郞君藤崎朋之君
明治三十四年法律第三十九號中改正法律案
江原節君阿部德三郞君山村豐次郎君
坂元英俊君望月長夫君藤澤幾之輔若
七里〓介君石田孝吉君小川平吉君
日本水產銀行法案
是永歲太郞君景山甚右衞門君森茂生君
內山吉太君川島瀧藏君鈴木久次郞君
淺羽靖君寶?田國校舎小林仲次君
保險官營ニ關スル建議案
板倉中君安藤新太郞君藤吉君
松本君平君楠目玄君藤田哲藏
小山田信藏君河原林義雄君島元助君君
平島松尾君高橋金治君關淺河前江柳井重藏君
澤田耕治郎君三井忠藏本野順平君
大戶復三郞君淺野限定印口安太郞君
一委員長及理事左ノ通リ當選セラレタリ
水利組合法案委員會
植場平君
委員長竹越與三郞君理事神前修三君
荒川五郞君
關稅定率法輸入稅表中改正法律案委員會
東尾平太郎君
委員長野田卯太郞君理事駒林廣運君
荻野芳藏君
日本大博覽會ノ出品ニ對スル發明、意匠、實用新案及商標保護ニ關スル法律
案委員會
委員長角田眞平君理事麥田宰三郞君
東京都制案外三件委員會
靑地雄太郞君
委員長江原素六君理事原田赳城君
粕谷義三君
裁判所管轄區域變更ニ關スル法律案委員會
委員長山口小一君理事築山和一君
明治三十四年法律第三十九號中改正法律案委員會
委員長藤澤幾之輔君理事小川平吉君
日本水產銀行法案委員會
委員長川島瀧藏君理事森茂生君
保險官營ニ關スル建議案委員會
委員長板倉中君理事淺野陽吉君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=1
-
002・杉田定一
○議長(杉田定一君) 是ヨリ會議ヲ開キマス、御諮リ致スコトガアリマス、東京都制案
外三件委員富島暢夫君病氣ノタメ辭任ノ申出ガアリマシタ、然ルニ休會中ニ付キ先
例ニ依ッテ議長ニ於テ之ヲ許可シマシタ、其補缺トシテ奧田義人君ヲ指名致シマシタ、
此段諸君ノ御承諾ヲ希望致シマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=2
-
003・杉田定一
○議長(杉田定一君) 御異議ハナイト認メマス、請暇願ガ澤出出テ居リマスルデ、一
一御諮リ申シテハ煩雜カト存ジマスルデ、一度ニ讀ムコトニ致シマス、井上要君病氣ノタ
メ去ル二十三日ヨリ二週間請暇ノ願出ガ出テ居リマス、岩元信兵衞君病氣ノタメ去ル
二十五日ヨリ八日間請暇ノ願出ガ出テ居リマス、濱田國松君病氣ノタメ去ル二十五
日ヨリ十日間請暇ノ願出ガ出テ居リマス、金岡又左衞門君病氣ノタメ去ル二十五日
ヨリ二週間請暇ノ願出ガ出テ居リマス、高梨哲四郞君病氣ノタメ昨二十六日ヨリ十
日間請暇ノ願出ガ出テ居リマス、山田又七君、福島宜三君、渡邊敬昌君、大畑純次
君病氣ノタメ今二十七日ヨリ二週間請暇ノ願出ガ出テ居リマス、米田武八郞君、山
下重威君病氣ノタメ今二十七日ヨリ三週間請暇ノ願出ガ出テ居リマス、何レモ許可シ
テ御異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=3
-
004・杉田定一
○議長(杉田定一君) 御異議ハナイト認メマス、衆議院議員選舉法中改正法律案
外四件、委員大淵龍太郎君病氣ニ付キ辭任ノ申出ガアリマス、御異議ハアリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=4
-
005・杉田定一
○議長(杉田定一君) 御異議ハナイト認メマス、同委員ハ議長ノ指名ニ付キ其補缺
トシテ荒川五郞君ヲ指名致シマス感化法中改正法律案委員森懋君病氣ニ付キ辭
任ノ申出ガアリマス、許可シテ御異議ハアリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=5
-
006・杉田定一
○議長(杉田定一君) 御異議ハナイト認メマス、同委員ハ議長ノ指名ニ付キ、其補缺
トシテ川原茂輔君ヲ指名致シマス、衆議院議員選舉取締ニ關スル法律案委員濱田國
松君病氣ニ付キ辭任ノ申出ガアリマス、許可シテ御異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=6
-
007・杉田定一
○議長(杉田定一君) 御異議ハナイト認メマス、同委員ハ議長ノ指名ニ付キ、其補
缺トシテ小川平吉君ヲ指名致シマス-淺野陽吉君
〔淺野陽吉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=7
-
008・淺野陽吉
○淺野陽吉君 私ハ過日大藏證券ノコトニ付テ政府ニ質問書ヲ出シテ居リマスノデ、
其大要ヲ此處デ述ベマスカラ暫ク御邪魔ヲ致シマス、近年大藏證劵ノ增發ガ甚シキコ
トハ諸君ガ既ニ御承知ノ通リデゴザイマス、其結果ガ民間ノ金融ニ甚シキ影響ヲ及ボシ
ツヽアルコトモ、皆サンノ御承知ノ通リデゴザイマス、長クハ申シマセヌ、極ク簡單ニ其及
プトコロノ結果ニ付テ政府ニ質問致シテ置キタイト思ヒマス、先ヅ第一ニ私ガ調ベマシタ大
藏證劵ノ增發ノ程度ヲ目テ見マスルト、各年ノ豫算ニ於テ政府ガ要求シマシテ、又議
會ガ之ヲ容レタ大藏證券ノ發行最高限度ハ、三十八年度ハ三千五百万圓デアッタノ
デアリマス、戰後ノ三十九年度ニ至ッテ千五百万圓ヲ增シテ五千万圓トナッテ居リマス、
四十年度ニナリマシテハ一一千五百万圓ヲ更ニ增シテ七千五百万圓ト云フ最高限度
ヲ議會ハ許シタノデアリマス、四十一年度ノ豫算ニ於テ政府ガ要求シテ居リマストコロノ
限度ハ、更ニ千五百万圓ヲ增シテ、八千五百万圓ト云フ限度ニナッテ居ルノデアリマス、
斯ノ如ク議會二要求ノ限度ハ年々著シク增加シ來ッテ、而シテ政府ハ漸次其利率ヲ增
加シテ居ルノデアリマス、之ヲ過去ノ實際發行ノ經過ニ付テ見マスルト戰爭以前ノ三十
六年度ニ於テハ四月二十一日ニ一年度中唯一度發行シタギリデ、其金額ガ一千万圓
デアル、三十七年度ノ戰爭期ニ入リマシテハ八月九月十月ニ各〓一千万圓ヲ出シテ、十
二月ニ二千万圓ヲ發行シタノデアルカラ、全年度ヲ通ジテハ僅ニ五千万圓ノ發行ニナッ
テ居リマス、所ガ三十八年度ニ至リマシテハ一年間ノ發行額ヲ累計致シマスルト實ニ二
億三千四百万圓ト云フ巨額ニ達シテ居ルノデアル、是ハ私ガ言フノハ暦年度デゴザイマ
ス、三十八年度ニ至ッテハ更ニ增加シテ四億四千九百五十万圓ト云フ一年間ノ累計
ニ達シタ、四十年度ニ至ッテハ二億五千三百四十万圓ト云フ累計ヲ示シテ居ルノデア
リマス、ソレガ小サク始終出サルヽナラバ免モ角モ、一箇月ノ發行額ヲ見テ見マスルト三
十八年度ガ年ニ十二囘ヲ重ネテ居ル、ソウシテ一箇月ノ一番少ナイ發行額ハ一千万
圓デアッテ、一番多イトキニハ六千万圓ニ至ル程多額ニ上ッテ居リマス、三十九年度ガ
二十一囘重ネテ居ッテ、一箇月ノ最高最低ノ發行額ヲ見テ見マスルト、二千五百万圓
カラ六千五百万圓ノ範圍ニ上ッテ居ル、四十年度ニ至ッテハ一箇月ノ最少ガ七百五十
万圓デアッテ、一番多イトキガ三千七百九十万圓ト云フコトニナッテ居リマス、今現在ノ
發行額ハ幾ラアルカト云フコトヲ見テ見マスルト四千五百六十万圓ノ巨額ヲ示シテ居
ルト私ノ勘定デハ出テ居リマス、何故ニ斯ノ如ク大藏證券ノ發行ヲ政府ハ頻リニ增加
シテ、頻繁ニ之ヲ出スノデアルカト云フコトガ其理由ヲ聽キタイノガ私ノ第一ノ疑問デゴ
ザイマス、ソレカラ此大藏證券ノ發行ガ多イトキニハ六千万圓以上ニ上ルト云フ結果ハ、
民間ノ經濟ニ如何ナル是ハ影響ヲ及ボスカト云フコトハ既ニ申スマデモナク民間ノ
預金ヲ是ハ奪去ルノデゴザイマス、其結果ハ民間ニ資金ノ缺乏ヲ生ゼシメル、、現ニ此本
年一月末ノ大阪ノ各銀行ノ預金ヲ十二月末ニ比較シマスルト、各種預金ノ總計ニ於テ
一割ヲ減少シテ居ルノデアリマス、是ハ主トシテ大藏證劵ニ預金ガ引直ッタト云フ結果
デアラウト私ハ思フ此一事ガ既ニ民間ノ資金ヲ大藏證劵ガ如何ニ奪去ッテ、眞面目
ナル事業家ハ困難ヲシテ居ルカト云フコトハ分ルデアラウト私ハ思ッテ居リマス、チヨット喩
ヘテ申シマスルト、民間ニ少シヅヽ資金ノ餘裕ガ出來ルト、政府ハ立トコロニ大藏證劵ヲ
發行シテ之ヲ奪去ルノデアル、殆ド渴ヲ癒サンガタメニ蒸溜水ヲ溜メツヽアルヲ、他カラシテ
直チニ此海綿ヲ以テ奪去ルガ如キ有樣デアルカラ、民間ノ經濟界ニ於テハ大藏證券ノ
濫發ハ甚グ氣遣ッテ、事業家ハ常ニ心配ヲシテ居ルノデアリマス、而モソレガ甚ダ不定期ニ
來ルノデアルカラ、寧ロ一年拂ノ公債ヲ發行サレタ方ガ豫想ガ付テ宜イト云フ位ニ苦ン
デ居ルノデアリマス、是ニ於テ大藏證券ノ濫發ガ如何ニ此經濟界ニ惡影響ヲ及ボシタカト
云フコトヲ政府ニ一ツ聽キタイ、ソレカラ今後ニ於ケル大藏證券ノ運用ハ民間ノ經濟ニ
如何ナル影響ヲ及ボスノデアルカト云フコトヲ政府ニ向ヒ、私ハ御尋ヲシタイノデアル、
是ガ第二ノ點デゴザイマス、其次ニ此大藏證券ノ金利ハ遙ニ日本ノ公債金利ヨリ高イ
ノデアリマス、高イ金利ノ公債性質ノモノガ出レバ、廉イ金利ノ公債ハソレニ振替ヘルト
云フコトハ原則ニシテ、且事實デアラウト思フ、ソレガ僅ニ百万圓カ一千万圓足ラズノ金
額デアルナラバ免ニ角モ、常二一億近ク大藏證券ノ發行ヲ政府ハ維持シテ居ッテ、連續
シテ居ルノデゴザイマスカラ、殆ド大藏證劵ノ數千万圓ノ發行ハ永久的ニナッテ居ルノデ
アル、此數千万圓ノ永久的大藏證券ガ、而モ日本ノ五分利公債ヨリ遙ニ金利ガ高イ
ノデアルカラ、政府自ラ之ヲ濫發シテ無闇ニ使フノハ、現今ノ財政上最モ憂フベキモノハ
公債ノ時價ヲ下落セシムル權ヲ政府ガ蒔キツヽアルト私ハ斯樣ニ思ッテ居ル事實ニ於テ
公債ノ時價ガ頭ガ上ラヌト云フコトハ、金利ノ高イ數千万圓ノ公債ヲ連續的ニ政府ガ
發行シテ、永久的ノ性質ヲ民間ニ示シテ居ル結果デハナイカ、ソレガ一ツノ疑問デアリマ
ス、ソレ故ニ大藏證劵ノ巨額ナル連續的發行ハ、公債ノ時價ヲ下ゲタノデハナイカ、是
ニ於テ-又將來ニ於テ、政府ハ如何ニシテ之ヲ見込ンテ居ルカト云フコトヲ聽イテ置
キタイト思ヒマス、其次ハ大藏證券ノ發行ハ御承知ノ通リ政府ハ常ニ日本銀行ヲシテ
市場ニ賣出サシテ居ルノデアリマス、市場ニ十分餘ッタ金ガアレバ政府ノ見込通リ民間ガ
之ヲ買受ルノデアルカラ、兌換劵ニハ何ノ響モ及バヌノデアルカラ、若シ市場ノ具合ガ惡
クシテ賣レナカッタト云フ場合ニハ、日本銀行ハソレヲ引受ケナケレバナラヌ、其結果ハ常
ニ兌換券ヲ增發シテ政府ノ御用ニ充テルト云フコトガ、事實ニ於テ認メタヤウニ私ハ思
ヒマス現ニ大阪ニ於テ大藏證券ノ賣レナイ不人氣ト云フコトガ、過去ニ於テ屢〓起ッタ
コトハ事實デアリマス、其結果ハ必ズ日本銀行ガ兌換券ヲ增發シテ政府ノ使用ニ應ズル
其結果、今日兌換劵增加ノ一ツノ原因トナッテ居ルト私ハ思ヒマス、是ハ政府ハ如何ニ
見テ居ルカ又過去ノミナラズ今後ニ於ケル政府ノ見込ハ、ドウ此兌換券ニ對スル影響ヲ見
テ居ルノデアルカト云フコトヲ聞キタイノデアリマス、最後ニ私ガ尋ネマスノハ特別ノ規程
ニ依ル大藏證券ハ格別デアルガ、普通ノ證券ハ成規ニ從ハナケレバナラヌ、其月ノ國
庫ノ收入不足ヲ一時流用シテ融通ヲ付ケルトコロノ極ク少額ノ金ニ止ラナケレバナラ
ヌモノト思フ、此事ニ付テハ豫算委員會ニ於テ、島田君ノ質問ニ大藏次官ノ答辯ガ確
カアッタト思ヒマスガ、事實ハ其答辯ト違ッテ居ルト思ッテ居リマス、政府ガ旣ニ一年間ノ
收入豫算ト支出豫算ヲ立テルダケノ成算ガアル以上ハ-豫算案ヲ組ム以上
ハ、月々ノ收入不足ト云フコトモ豫算ニ既ニナケレバナラヌト云フ、ソレ故ニ大藏證劵ヲ
以テ流用スル月々ノ四十一年度間ニ於ケル月々ノ月割額ノ豫定ハ政府ニ於テナクテハ
ナラヌト思フテ居リマス、[此事ヲ民間ニ於テ承知シテ居ルト云フノハ一ツノ當金融
上ノ當リガ付テ安心ノ出來ル話デアルカラ、政府ニ於テナクテハナラヌ、月割ノ豫定額ヲ
示シテ戴キタイ、是ガ私ノ大藏證劵ニ對スル質問ノ要領デゴザイマス、極ク眞面目ニ質
問ヲ致スノデアリマスカラ、政府モ亦極ク眞面目ニ實著ニ答辯ヲ與ヘテ貰ヒタイト思ッテ
居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=8
-
009・杉田定一
○議長(杉田定一君) 御諮リ申スコトガアリマス、本日午後二時ヨリ都制案ノ委員
會ヲ開キタイト云フコトヲ委員長江原君ヨリ請求ニナッテ居リマス、許可シテ御異議アリ
マセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=9
-
010・杉田定一
○議長(杉田定一君) 御異議ガナイト認メマス、山根正次君
〔山根正次君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=10
-
011・山根正次
○山根正次君 諸君、本員ハ脚氣及傳染病豫防方法ニ關スル質問ノコトニ付キマシ
テ大要ヲ述ベント欲シマスカラ、暫クノ間ドウカ御〓聽ヲ願ヒタイノデアリマスル、殊ニ話
ハ簡單デアリマスルガ中ニ多少數字ヲ讀ムコトガアリマスルカラ、ドウカ其數字ニ付テ能ク
御聽取ヲ願ヒタイノデアリマスル本日ハ內務大臣ガ御出席ニナッテ居リマセヌカラ、誠ニ
本員ハ遺憾ト致シマスケレドモ、玆デ一ツ質問スルコトニ對シテ述ベテ置カウト思ヒマス、
第一ノ質問ハ政府ハ先年本院ヨリ建議セル脚氣病調査ニ關シテ如何ナル方法ヲ以テ、
如何ナル程度マデ、此調査ヲ終リタルヤ、竝ニ調査ノ成績ハ如何テアルカ、又軍隊ニ於
ケル脚氣及一般脚氣病ハ如何ナル豫防方法ヲ施シツヽアルヤト云フノガ第一問デアリマ
ス、脚氣ガ此日本帝國內ニ蔓延シテ居ルト云フコトハ、今日喋々ヲ待タヌノデ、旣ニ建
議ノトキニモ申シマシタノデアリマス、殊ニ東京府下ノ如キニ至リマシテハ、學生ガ多數
此病ニ侵サレマシテ、或ハ試驗前此病氣ニ罹ヲテ試驗ヲ受ケルコトガ出來ナイトカ、或ハ
其病氣ガ進ンデ之ガ爲ニ殪ルヽト云フ者ガ實ニ多數アルノデアリマス、殊ニ軍隊ニナリマ
シテハ戰役ノ際ナドハ非常ニ脚氣ガ多カッタト云フコトガ分ルノデアリマス、、平生ニ於キマ
シテモ、陸軍ノ軍人ノ中ニハ實ニ多數アリマシテ、三十六年ノ頃ハ千八百四十八人ノ
此患者ガ出來タガ、三十九年ニハ四千二百四十人ノ此患者ヲ出スニ至ッタノデアリマス
ル、殊ニ戰役ノ際ニ當ッテハ日〓戰爭ノトキハ四万有餘人ノ此患者ガ出テ居ルノデアリ
マスル三十七八年ノ戰後ニ於テハ、ドレダケノ傷病兵ガアッタカト云フト、實ニ六十三
出征部隊ノ傷病總數ト云フモノガ、五十五万四
万二千六百八十八人デアリマスル、
千八百八十五人デアリマスル、內傷病者ガ二十二万八百十二人デアリマスル、ケレドモ
又四万七千三百八十七人戰死ノ者カアッタノデアリマスル、此戰死者負傷者ヲ除イテ、
如何ナル病氣ガ我軍隊ニ一番多カッタノデアリマスルカ、海軍ノ方デハ戰死者二千零十
人デ、負傷者千六百八十三人、脚氣ハ八十五人デアル、本員ハ兩度戰場ニ戰況ヲ視
察ニ參リマシタ際ニ、殆ドアラユルトコロノ野戰病院等ヲ見テ參リマシタガ、其中
ニ一番苦ンテ居ルモノハ何デアルカト云フト、此脚氣病ニ罹ッテ居ル者ガ多イノデアリマ
ス、旅順ノ如キハ如何ニ澤山此患者ガアッタカト云フコトハ陸軍ノ統計ニハ今囘ハ
載ッテ居リマセヌ-居リマセヌケレドモ、聞ク所ニ據レバ十一万モ此患者ガアッタト云
フコトデアリマスル、戰時ニ於テ斯ク澤山ノ此病氣ノ流行ヲシタタメニ非常ニ戰鬪力ヲ
減ジ、或ハ患者ノ輸送ニ非常ニ船舶ノ困難ヲ致シタト云フコトハ事實デアルノデアリマ
スル斯ノ如ク戰時ニ於テ、又平時ニ於テ、多數ノ人ヲ惱マストコロノ脚氣病ノタメニ
本院ハ既ニ三十七年末ノ議會ニ於テ建議ガ出テ居ルノデアリマスル、然ルニ本員が見ル
トコロニ依レバ今日迄政府ガ是等ノ調査會ヲ設ケタト云フコトモ一ツモ聞カヌノデアリマ
スル-アリマスルガ、縦令此調査ヲシテ居ラヌトスレバ、何時頃マテニ此調査會ヲ設
ケテ、國民ノ憂トスルトコロノ此病ヲ除去スルニ如何ナル調査會ヲ設ケラルヽカ是ガ調
査ヲナスニハ如何ナル方法ヲ以テヤラレルカト云フコトノ質問デアリマス、第二ノ質問ハ
「ベスト」ノ流行ニ付テノ豫防方法デアリマスル「ペスト」流行以來其豫防撲滅ノ方法ニ
關シ中央政府及地方廳ノ施設十分ナラズト認メ、當局ノ之ニ對スル處置ハ如何デアル
カト云フコトノ質問デアリマスル、諸君、明治三十一年以來此「ベスト」ガ這入リマシテ
貿易ノ主腦タル神戶及大阪市ヲ襲ウタコトハ皆御存ジノコトデゴザイマスルガ、是ガ
豫防ノ方法ニ關シテハ中央政府及地方廳ニ於テ十分ナル設備ガナイト云フ次第デゴザ
イマスル、現ニ私ハ昨年ノ冬)大阪市ニ參リマシテ、市及附近ノ視察ヲ致シマシタ、實
殘酷ナル有樣デアリマスル、大阪市ノ如キハ昨年ハ五百四十八人ト云フ病氣ガ九月ノ
交ヨリアッテ、殆ド此五百四十八人ハ死ンデ居ルノデアリマスル、ソレニ癒ッタ者ハ僅ニ三
十三人位デアッテ、尙現在ガ十人アルト云フコトデアッタノデアリマス、又有菌ノ鼠ハ數十
万頭ノ中ニ數千ヲ以テ數ヘル程ノ此鼠ガ居ッタノデアル、此病毒ノ大阪府市内ニ蔓延ヲ
シテ居ルト云フコトハ能ク御分リニナルデアラウト思ヒマス、此數ノ多クナレバナル程大阪
市ト云フモノハ沈衰ヲ極メテ、其流行ノ際ノ如キハ大工場ガ三ツモ休ンデ居ルノデアリマ
ス、其工場ニ居ルトコロノ職工ノ數ガ四千ト見テ「ペスト」ハ十日間休ムノデアリマスルカ
ラ三十日休ムトスルト十二万人ノ人ガ休ム道理ニナッテ居ルノデアリマスル、工業ヲ妨
ゲルコト此傳染病ヨリ至大ナルモノハナイノデアリマス、又〓育ノ上ニ於テハドウデアル
カ、小學校ノ如キハ十日ヅヽ此閉鎖ヲシタ數ガ、實ニ百二十三囘デアリマスル、兒童ノ
數ハドレダケデアルカト云フト、四万九千七百九十人デアッタノデアリマスル、其延人員
ガ延日數ニシマシテ休ンダ數ガ五百六十三日デ、其人員ハ三十七万九千九十九人デ
アリマスル、斯ノ如キ有樣デアッテ、大ニ〓育ヲ害シテ居ルニ拘ラズ、文部大臣モ何モ之
ニ注意ヲ拂ッテ居ラヌト云フヤウナ有樣デアリマスル、難波ノ學校ノ如キハ一ツノ學校
ニシテ十三囘モ休ンダモノガアリマスル、十三囘休ムト云フト百三十日ノ休デアリマ
スル、兒童ノ學業ヲ後ラカスコトハ實ニ多大ナルモノデアリマスル、又其外ニ陸軍ノ有樣
ハドウデアッタカ、大阪市ハ「ペスト」ノ流行地デアッタタメニ大元帥陛下ノ御統帥
遊バストコロノ軍隊ガ閉門ヲ食ッテ出ラレナカッタノデアリマスル、諸君、軍隊ノ如キハ平
素活潑ニ働イテ居ル、是等ノ人ガ、休日ニ於テモ散步ヲ許サレヌト云フコトハ實ニ氣ノ
毒ナル次第デアリマスル、殊ニ大阪市ニ若シモ此病氣ガ絕エマセヌトキニ於テハ、卽チ來
ルベキ十一月ノ大演習ニハ四師團ノ如キ、十六師團ノ如キ、或ハ參加スルコトガ出來
ナイト云フコトデアリマスル、諸君、而シテ本年ノ有樣ハドウデアルカト申シマスルト、旣
新患者ガ二月十八日マデニ二十六人出來テ居ル鼠ノ數ハ有菌鼠ハ千七百七十九
頭デアリマスルガ、旣ニ二月十八日マテニ此多數カ出テ居ルノデアリマスル、今日ノ人ハ大
阪ニ「ペスト」ガアルカナイカ能ク知ラヌヤウナ狀態デアリマスルガ、實ニ危險ナル病氣ガ大
阪市內ニ蔓延ヲシテ居ル結果ハ、神戶ハ既ニ有病地トナッテ貿易ニ來ルトコロノ船ガ減ッ
テ居ルト云フコトデアリマスル、此「ペスト」ノ如キガ流行ヲ致シマスルト、工業ノ
上ニ、貿易ノ上ニ、軍事ノ上ニ、〓育ノ上ニ、至大ナル關係ヲ及ボシテ居リマスルガ、
ワレニ拘ハラズ日本ノ財源地タル一箇年ニ一億三千万圓ト云フ工業品ヲ出ストコロノ
卽チ大阪市ニ向ッテ、賢明ナル內務大臣ハ根本的ニ之ヲ防グトコロノ方法ヲ立テラレテ
居ルカドウカ、中央衞生會ヨリ建議ヲ致シマシタトコロノ計畫豫防法ノ改正デアルトカ、
或ハ十九條ヲ悉ク執行スルトカ、或ハ又市區ノ改正ヲ行ハシムルトカ、或ハ建築條例
ヲ後來ニ施クトカ云フコトニ對シテノ希望ガアルデアリマセウカ、免ニモ角ニモ今日ノ狀態ニ
措イテ、抛棄スルトキニハ非常ナル困難ニ陷ルダラウト思ヒマスルカラ、此事ニ付テハ政府
ガ如何ナル所信ガアルカ、今日ノ最大急務タル此豫防ニ付テハ一日モ早クヤラネバナラヌ
ノデアルカラ、此質問ヲ呈スルノデアリマスル、ソレカラ第三ノ質問ハ天然痘ノ豫防ハ種
痘ヲ以テ之ヲ根絕スルコトヲ得ルヤ言ヲ俟タズ、然ルニ昨年ヨリ本年ニ掛ケテ該病流
行ノ强烈ナルニ際シ、痘苗不足ノタメ豫防ノ方法ヲ完全ニ執行セザルハ事實デアルノ
デアリマス、政府ハ何故ニ平日ニ於テ此設備ニ還算ナカラシメザルヤト云フ問デアリマス、
諸君、我帝國ノ痘苗製造所ハ世界ニ冠タルノデアリマス、其完備ノ點ニ至ッテハ實ニ立
派ナルモノデアリマシテ、又此痘苗ヲ製造スル方法ト云フモノガ、又世界デ一番デアルト
信ジマスル、然ルニ常ニ十分ニ卒ザト云フトキニ於テ、痘苗ヲ製出スルコトガ出來ナイ結
果ハ、遽ニ痘瘡ガ出タ、臨時ニ種痘ヲセラント欲スルモ、ソレガ出來ナカッタデハアリマセヌ
カ、其結果トシテ今日ハ既ニ全國ニハ七八千人ノ病人ガ出タ、東京ノ如キ實ニ七百七
十七人ト云フ病人ガ出タノデアリマスル、獨逸ノ如キハ全國ヲ舉ゲテ二十四箇所モ痘苗
製造所ヲ持ッテ居ル、サウ云フ結果ガ卒ザト云ヘバ臨時ニ種痘ヲスルト云フト、忽チニ痘
苗ヲ製造スルコトガ出來ルノデアリマスル、日本ニアリテハ僅ニ痘苗製造所ガ東京ニ一箇
所、熊本ニ出張所ガ一箇所、又蜷川ト云フ人ト、角倉ト云フ人ノ私立ノモノガ二ツ東
京ニアル、ソレノミデアリマスルガ故ニ、卒ザト云フトキノ豫防ノ間ニ合ハヌノデアリマス、デ
アリマスルガ故ニ政府ハ後來ニ於テハ、臨時ノ種痘ニ對スルダケノ費用ヲ十分ニ取ッテ
置イテ、或ハ牧場ヲ設ケテ犢牛ヲ養ッテ置クトカ云フヤウナ計畫ガ今日ニアルヤ否ヤ、實
ニ國民ノ中ニ痘痕ノ多イ人ノ多イ程其非文明ヲ表明スルモノデアリマスル、後來ニ於テ
ハ皆病氣ノ流行ヲシナイヤウニシナケレバナラナイ、臨時ノ種痘サヘ出來レバ十分之ヲ
防グコトガ出來ルノデアリマス、然ルニ今日ハ衞生ノ幼稚ナル結果ハ、迷信ヲ起コシテ昨日
ノ報知新聞ノ如キヲ見マスルト「大山大將御陣營」チドヽ書イテスマシ込ンデ居ル輩ガ居
ルノデアリマス、斯ウ云フ輩ニ向ッテドシノ臨時ノ種痘ヲヤルニハ、其痘苗製造所ナルモ
ノガ完全ニシテ又多數ノ金ヲ有ッテ居ラネバナリマセヌ、此痘苗ヲ拵ヘルニハ政府ガ決シテ
損ヲシナイ、卽チ印紙ヲ賣ッテサウシテ之ヲ與ヘルノデアリマスカラ政府ハ儲カル其上ニ
衞生ノ狀態ト云フモノガ之ニ依ッテ立派ニナルノデアリマスカラ、早ク之ヲ十分ニスルニハ
製造所ノ完備ヲ圖ラネバナラヌト思ヒマスカラ、此質問ヲ呈シタノデアリマス、モウ三ツ問
ヒマスル、今度ハ何デアリマスルカト云フト、癩豫防デアリマス、癩豫防ハ旣ニ法律ノ命ズ
ルトコロデアリマシテ、然ルニ政府ハ是ニ要スル經費ノ支出ノ途ヲ講ゼズ、、爲ニ忌ムベキ病
毒ヲ其傳播ニ放任スルハ如何ト云フコトデアリマスル、癩病ノ恐ルベキコトハ皆サン今日
本員ガ中スマデモナイデアリマスルガ、實ニ澤山ノ癩患者ヲ日本ハ持ッテ居ルノデアリマス
ル本員此頃三十八年ノ徵兵檢査ニ於テ卽チ選兵ニ付テ癩ノ爲メニ不合格ニナッタル
トコロノ話フ少シバカリ此處ニ加ヘ置キマスル、第一師團管區ニドレダケ三十八年度ニ
アッタカト云フト六十一人、第二師團ニ二十五人、第三師國ニ五十七人、第四師團
ニ二十七A、第五師團ニ十八人、第六師〓ニ百二十人第八師團ニ三十七人、第
九師團ニ一三十二人、第師團ニ二十九人第十一師團ニ五十二人、第十二師團ニ五
十八人デアリマスル以上五百二十四人ト云フ多數ノ患者ガ徵兵ノ際アッタノデアリマ
スル、是ハ單リ徵兵バカリテハナイ、同ジ年齡ノ婦人ニモアルトセネバナラヌ、サウスルト千
人ノ患者ガアルト見ンケレバナリマセヌ、多イ年ニハ六百三人モ出タ年ガアルノデアリマ
ス、此恐ロシイトコロノ傳染病ガ法律ニ既ニ傳染病デアルト云フコトヲニササレルモノガ、往來
ニ放置サレ、神社佛閣ノ所ニ居ッテ、此寒イトコロノ寒ヲ防イデ居ルト云フヤウナ狀態ハ、
實ニ氣ノ毒ナモノデアリマスル、內務大臣ハ何故淚ガナイノデアリマセウ、ナゼ既ニ既定ノ
法律ニアルトコロノ三千萬圓ニ足ラヌ金ヲナゼ取出シ得ナイノデゴザイマセウ、議院ハ之
ヲ既ニ法律トシテアル以上、是バカリノ金ヲ吝ンデ出サヌト云フヤウナケチナ根性ハアリマス
マイト思ヒマス、人道上カラ論ジテモ、ドウシテモ此病氣ハ早ク防ギマセヌト、世界第一
ノ癩病國タル名ヲ取除クコトガ出來ナイノデアリマスルデアリマスルガ故ニ何時頃ヨリ之
ヲ實地ニ金ヲ出サシメテ、之ヲ隔離スルコトガ出來ルカト云フコトニ付テ質問ヲ呈スルノ
デアリマスルソレカラ第五ノ質問ハ本員ガ曾テ十八議會ニ於テ質問ノ後ニ、政府ハ內
務省令ヲ以テ結核豫防ノ取締ニ著手セラレマシタ、爾來如何ナル程度成績ヲ現ハシテ
居ルヤ、本員ノ見タトコロデハ結核ノ豫防ニ付テハ、宿屋ノ蒲團ノ取締トカ或ハ學校
ノ取締ガ出ダノデアリマス、然ル三此位ノコトバカリヲ以テ此病氣ヲ防グコトハ出來ナイ
獨逸ノ如キハ多數ノ隔離所ヲ設ケテ之ニ收容シテアルノデアリマスル、日本ハ今日ハ貧
民モ病院ニ入ルコトモ出來ナイ、家庭ノ傳播ハ甚シクナリマシテ、東京市ノ死數ノ中明
治二十三年ニハ十五「ブロモント」强デアッタ、然ルニ三十三年ニハ二十五「プロセン
ト」强ノ死數ノ中カラ結核患者ヲ出シタノデアリマス、今日ハ既ニ百人ノ死體ノ中ニハ
三十以上ノ結核患者ガアルノデゴザイマスル、此ノ如ク此病毒ガ蔓延スルニモ拘ラズ之
ニ對シテ十分ナルトコロノ豫防方法ヲ講ゼラレヌノハ如何ノ次第デアルカト云フトコロノ
質問デアリマス、モウ二ツアリマスガ、是ハ極ク簡單デアリマス、第六ノ質問ハ最モ迅速
ニシテ且廣汎ニ蔓延シツヽアルトコロノ「トラホーム」デアリマス、是ハ傳染病デアリマシテ、
三十二年ノ頃ノ壯丁ノ檢査カラ比例ヲ立テマスルト、日本ニハ九十八万カラノ「トラホ
ーム」患者ガアルノデアリマス昨年ハ陸軍大臣ガ地方長官ニ向ッテ、ドウ云フコトヲ云ッ
テ居ラレルカ、徵兵ノ際ニ「トラホーム」ニ罹ッテ落第シタモノガ一万有餘人アルト云ハレタ
ノデアリマス、私ハ其當時ノ軍醫總監ニ諮リマシテ、其外ノ病人ニ對シテノ「トラホーム」
ハドウデアルカト云ヒマスレバマダ澤山ニアッタノデアリマス外ノ病氣デ及第スルコトノ
出來ナイトコロノモノニモ「トラホーム」ヲ合併シテ居ッタモノガ實ニ多數アリマシテゴザイマ
ス諸君、政友會ノ江原君ガ嘗テ岩手縣ノ一ノ關ニ往カレテ其時ニ人ノ身體ノ檢査ガ
アッテ、殊ニ此目ハドウデアルカト云フト、其人民ノ六十六「プロセント」ガ「トラホーム」ニ
罹ッテ居ッタノデアリマス、岩手縣ソレカラ福島縣ノ如キ、山形縣ノ如キ、其他ノ地方ニ
於キマシテ、所ニ依リマスト七十五「プロセント」位ノ學校ノ兒童ガ「トラホーム」ニ罹ッテ
居ルノデアリマス、此病氣ハ實ニ目ヲ盲スルモノデアリマスカラ、非常ニ危險ナル病氣デア
リマス、此病モ世界デ一番デアルノデアリマス、獨逸ノ如キハ〓究ヲスルニモ此〓究ノ材
料ガナイ近頃ニ於キマシテ「ハーベルステッテル」氏及「フロクエッ」氏ト云フ兩黴菌學者ガ
獨逸カラ態〓瓜哇ニ來ッテ此〓究ヲナシタト云フコトデアル、然ルニ日本ハ何レモ〓究所
デ何等デモ〓究スルトコロノ材料ガアル、實ニ軍人ニシテ此目ガ惡イナラバ、照準ヲ定メ
ルコトガ出來ナイ、學問ヲシテモ工業ヲヤッテモ此目ヲ惱ムト云フコトハ實ニ困難ナルモノ
デアル、此病氣ガ非常ニ流行ヲ致シテ居ルニモ拘ハラズ、政府ハ是等ニ對シテ何等ノ處
置ヲ執ッテ居ラヌヤウニ考ヘマス、後來ニ於テハ如何ナル方法ヲ以テ之ヲ撲滅センスルカト
云フ問デアリマス、諸君總テ政府ハ衞生上ニ付テ唯形式的、申譯的ノ處置ヲ以テ滿足
セルガ、元來衞生ノコトヽ申スモノハ一程度マデ確實ニ厲行セラレヌトキニ於キマシテハ
全體ノ事項ヲシテ無效ナラシムルモノデアリマス、然ルニ政府ハ動モスレバ言葉ヲ經費ノ
不足ニ藉リ、之ヲ緩漫ニ附セラルヽハ如何ナル次第デアリマスカ、一時ノ經費ヲ虞レ
吝ンデ施設ヲ苟且ニ附スルト云フ結果ハ遂ニ今囘ノ大阪ノ如キ莫大ノ經費ヲ要スルニ
至ラシムルモノデアリマス、且國家ヲシテ至大ノ損害ヲ受ケシムルニ至ラシムルモノデアル
政府ハ此ノ如ク國民ノ體力ヲ害シ、生產力ヲ損シ、〓育ヲ妨ゲ軍事ニ妨害ヲ來タシ、
經濟ヲ紊ル原因タル一般傳染病ノ豫防ニ關シテハ、今日ノ如キ姑息ノ狀態ニ放任シツ
ツ戰後經營ノ大任ヲ擔ヘル日本帝國ノ發達ヲ遂行シ得ペシト信ゼラルヽヤ否ヤ、今日
ノ如キ有樣デハ到底駄目デアラウト思ヒマス、本員ハ政府當局大臣ノ責任アル答辯之
ニ向ッテ求メタ次第デアリマス、滿塲ノ御靜聽ヲ謝シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=11
-
012・杉田定一
○議長(杉田定一君) 是ヨリ日程ニ移リマス、日程第一明治三十九年豫備金支
出ノ件外六件ヲ議題トシマス、議案ハ浩瀚ニ付キ、朗讀ヲ省略シマス
明治三十九年度豫備金支出ノ件
明治三十九年度豫備金外ニ於テ豫算超過
及豫算外支出ノ件
明治三十九年度特別會計豫備金支出ノ件
〓明治三十九年度特別會計豫備金外ニ於テ
第承諾ヲ求ムル件
豫算超過及豫算外支出ノ件
明治三十九年度〓國事件第二豫備金支出
ノ件
明治三十九年度臨時事件豫備費支出ノ件
臨時軍事費特別會計豫算超過支出ノ件発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=12
-
013・杉田定一
○議長(杉田定一君) 別段質問モナイヤウデアリマスカラ、日程第二、右議案ノ審
査ヲ付託スベキ委員ノ選舉ニ移リマス
第二右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選舉発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=13
-
014・恒松隆慶
○恆松隆慶君 本案ハ十八名ノ委員、議長指名ニ託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=14
-
015・杉田定一
○議長(杉田定一君) 恆松君發議ノ如ク十八名ノ委員議長指名ニ御異議ハアリマ
セヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=15
-
016・杉田定一
○議長(杉田定一君) 御異議ハナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=16
-
017・恒松隆慶
○恆松隆慶君 第三ヨリ十四マデハ一括シテ議題トセラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=17
-
018・杉田定一
○議長(杉田定一君) 恆松君發議ノ如ク日程第三ヨリ第十四マデヲ一括トシテ議
題ニ供スルト云フニ御異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=18
-
019・杉田定一
○議長(杉田定一君) 御異議ハナイト認メマス、議案ノ朗讀ハ省略致シマス
第三監獄法案(政府提出貴族院送付)第一讀會
監獄法案
監獄法
第一章總則
第一條監獄ハ之ヲ左ノ四種トス
一懲役監懲役ニ處セラレタル者ヲ拘禁スル所トス
禁錮監禁錮ニ處セラレタル者ヲ拘禁スル所トス
三拘留場拘留ニ處セラレタル者ヲ拘禁スル所トス
四拘置監刑事被告人及ヒ死刑ノ言渡ヲ受ケタル者ヲ拘禁スル所トス
拘置監ニハ懲役、禁錮又ハ拘留ニ處セラレタル者ヲ一時拘禁スルコトヲ得」
警察官署ニ附屬スル留置場ハ之ヲ監獄ニ代用スルコトヲ得但懲役又ハ禁
錮ニ處セラレタル者ヲ一月以上繼續シテ拘禁スルコトヲ得ス
第二條二月以上ノ懲役ニ處ヒラレタル十八歲未滿ノ者ハ特ニ設ケタル監
獄又ハ監獄內ニ於テ特ニ分界ヲ設ケタル場所ニ之ヲ拘禁ス
前項ノ規定ニ依ル者ハ滿二十歲ニ至ルマテ又滿二十歲ニ至リタル後三月
內ニ刑期終了ス可キ者ハ其殘刑期間仍ホ繼續シテ之ヲ拘禁スルコトヲ得」
心身發育ノ狀況ニ因リ必要ト認ムル者ハ前二項ノ適用ニ付キ年齡ニ拘ハ
ラサルコトヲ得
第三條監獄ニ男監及ヒ女監ヲ設ケ之ヲ分隔ス
懲役監、禁錮監、拘留場及ヒ拘置監ノ同一區劃內ニ在ルモノハ之ヲ分界ス
第四條主務大臣ハ少クトモ二年每ニ一囘官吏ヲシテ監獄ヲ巡閱セシム可
シ
判事及ヒ檢事ハ監獄ヲ巡視スルコトヲ得
第五條監獄ノ參觀ヲ請フ者アルトキハ學術ノ〓究其他正當ノ理由アリト
認ムル場合ニ限リ命令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ許スコトヲ得
第六條本法ニ依リ沒入シ又ハ國庫ニ歸屬シタル物ハ之ヲ監獄慈惠ノ用ニ
充ツ
第七條在監者監獄ノ處置ニ對シ不服アルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ主
八幡縣長敬弘およびノンと言わ『情願ヲ爲スコトヲ得
第條勞役場ハ之ヲ監獄ニ附設ス
前五條ノ規定ハ之ヲ勞役場ニ準用ス
第九條本法中別段ノ規定アルモノヲ除ク外刑事被〓人ニ適用ス可キ規定
ハ死刑ノ言渡ヲ受ケタル者ニ之ヲ準用シ懲役囚ニ適用ス可キ規定ハ勞役
場留置ノ言渡ヲ受ケタル者ニ之ヲ準用ス
第十條本法ハ陸海軍ニ屬スル監獄ニ之ヲ適用セス
第二章收監
第十一條新ニ入監スル者アルトキハ合狀又ハ判決書及ヒ執行猶通譽其他
適法ノ文書ヲ査開シタル後入監セシム可シ
第十二條新ニ入監スル婦女其子ヲ携帶センコトヲ請フトキハ必要ト認ム
ル場合ニ限リ滿一歲ニ至ルマテ之ヲ許スコトヲ得
監獄ニ於テ分娩シタル子ニ付テモ亦前項ノ例ニ依ル
第十三條新ニ入監スル者傳染病豫防法ニ依リ豫防方法ノ施行ヲ必要トス
ル傳染病ニ罹リタルモノナルトキハ之ヲ入監セシメサルコトヲ得
第十四條新ニ入監スル者アルトキハ其身體及ヒ衣類ノ檢査ヲ爲ス可シ在
監中ノ者ニ付キ必要ト認ムルトキ亦同シ
第三章拘禁
第十五條在監者ハ心身ノ狀況ニ因リ不適當ト認ムルモノヲ除ク外之ヲ獨
居拘禁ニ付スルコトヲ得
第十六條雜居拘禁ニ在テハ在監者ノ罪質、性格、犯數、年齡等ヲ斟酌シテ
其監房ヲ別異ス
第一條第二項及ヒ第三項ノ場合ニ於テハ在監者ノ種類ニ依リ其監房ヲ別
異ス
十八歲未滿ノ者ハ第二條第二項ノ場合ヲ除ク外十八歲以上ノ者ト其監房
ヲ別異ス但心身發育ノ狀況ニ因リ其必要ナシト認ムルトキハ此限ニ在ラ
ス
前三項ノ規定ハ工場ニ於ケル就業ノ場合ニ之ヲ準用ス
第十七條刑事被〓人ニシテ被〓事件ノ相關連スルモノハ互ニ其監房ヲ別
異シ監房外ニ於テモ其交通ヲ遮斷ス
第十八條懲役監、禁錮監、拘留場、拘置監及ヒ勞役場ノ同一區劃内ニ在ル
場合ニ於テハ同性者ニ付キ同一ノ病監又ハ〓誨堂ヲ使用スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ在監者ノ種類ニ因リ監房若クハ座席又ハ診察若クハ
〓誨ノ時間ヲ異ニス
病監ニ在テハ第二條及ヒ第十六條ヲ適用セサルコトヲ得
第四章戒護
第十九條在監者逃走、暴行若クハ自殺ノ虞アルトキ又ハ監外ニ在ルトキ
ハ戒具ヲ使用スルコトヲ得
戒具ノ種類ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十條法令ニ依リ監獄官吏ノ携帶スル劒又ハ銃ハ左ノ各號ノ一ニ該ル
場合ニ限リ在監者ニ對シ之ヲ使用スルコトヲ得
一人ノ身體ニ對シテ危險ナル暴行ヲ爲シ又ハ爲ス可キ脅迫ヲ加フル
トキ
二危險ナル暴行ノ用ニ供シ得可キ物ヲ所持シ其放棄ヲ肯セサルトキ
三逃走ノ目的ヲ以テ多衆騒擾スルトキ
四逃走ヲ企テタル者暴行ヲ爲シテ捕拿ヲ免カレントシ又ハ制止ニ從
ハスシテ逃走セントスルトキ
第二十一條天災事變ニ際シ必要ト認ムルトキハ在監者ヲシテ應急ノ用務
ニ就カシムルコトヲ得
前項ノ用務ニ就キタル者ニハ第二十八條ノ規定ヲ準用ス
第二十二條天災事變ニ際シ監獄內ニ於テ避難ノ手段ナシト認ムルトキハ
在監者ヲ他所ニ護送ス可シ若シ護送スルノ遑ナキトキハ一時之ヲ解放ス
ルコトヲ得
解放セラレタル者ハ監獄又ハ警察官署ニ出頭ス可シ解放後二十四時間內
ニ出頭セサルトキハ刑法第九十七條ニ依リ處斷ス
第二十三條在監者逃走シタルトキハ監獄官吏ハ逃走後四十八時間內ニ限
リ之ヲ逮捕スルコトヲ得
前項ノ規定ハ刑事訴訟法第六十條ノ適用ヲ妨ケス
第五章作業
第二十四條作業ハ衞生、經濟及ヒ在監者ノ刑期、健康、技能、職業、將來ノ
生計等ヲ斟酌シテ之ヲ課ス
十八歲未滿ノ者ニ課ス可キ作業ニ付テハ前項ノ外特ニ〓養ニ關スル事項
ヲ斟酌ス
第二十五條大祭祝日、一月一日二日及ヒ十二月三十一日ニハ就業ヲ免ス」
父母ノ訃ニ接シタル者ハ三日間其就業ヲ免ス
主務大臣ハ必要ト認ムルトキハ臨時就業ヲ免スルコトヲ得
炊事、酒掃、看護其他監獄ノ經理ニ關シ必要ナル作業ニ就ク者ニ付テハ就
業ヲ免セサルコトヲ得
第二十六條刑事被〓人、拘留囚又ハ禁錮囚作業ニ就カンコトヲ請フトキ
ハ其選擇スルモノニ就キ之ヲ許スコトヲ得
第二十七條作業ノ收入ハ總テ國庫ノ所得トス
在監者ニシテ作業ニ就クモノニハ命令ノ定ムル所ニ依リ作業賞與金ヲ給
スルコトヲ得
作業賞與金ハ行狀、作業ノ成績等ヲ斟酌シテ其額ヲ定ム
第二十八條在監者就業ニ因リ創傷ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ之カ爲メニ死亡
シ又ハ業務ヲ營ミ難キニ至リタルトキハ情狀ニ因リ手當金ヲ給スルコト
ヲ得
前項ノ手當金ハ釋放ノ際本人ニ之ヲ給シ死亡ノ場合ニ於テハ死亡者ノ
父、母、配偶者又ハ子ニ之ヲ給ス
第六章〓誨及ヒ〓育
第二十九條受刑者ニハ〓誨ヲ施ス可シ其他ノ在監者〓誨ヲ請フトキハ之
ヲ許スコトヲ得
第三十條十八歲未滿ノ受刑者ニハ〓育ヲ施ス可シ其他ノ受刑者ニシテ
特ニ必要アリト認ムルモノニハ年齡ニ拘ハラス〓育ヲ施スコトヲ得
第三十一條在監者文書、圖畫ノ閱讀ヲ請フトキハ之ヲ許ス
文書、圖畫ノ閱讀ニ關スル制限ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第七章給養
第三十二條受刑者ニハ一定ノ衣類臥具ヲ著用セシム但拘留囚ニハ自衣ノ
著用ヲ許シ其他ノ者ニハ観衣ノ自辨ヲ許スコトヲ得
第三十三條刑事被告人及ヒ勞役場留置ノ言渡ヲ受ケタル者ノ衣類臥具ハ
自辨トシ其自辨スルコト能ハサル者ニハ之ヲ貸與ス
自辨ノ衣類臥具ニ關スル制限ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十四條在監者ニハ其體質、健康、年齡、作業等ヲ斟酌シテ必要ナル糧
〓及ヒ飮料ヲ給ス
第三十五條刑事被告人ニハ糧食ノ自辨ヲ許スコトヲ得
第八章衞生及ヒ醫療
第三十六條在監者ノ頭髪鬚髯ハ之ヲ翦剃セシムルコトヲ得但刑事被告人
ノ頭髪鬚髯ハ衞生上特ニ必要アリト認ムル場合ヲ除ク外其意思ニ反シテ
之ヲ翦剃セシムルコトヲ得ス
第三十七條在監者ハ其拘禁セラルル監房ノ〓潔ヲ保ツニ必要ナル用務ニ
服ス可シ
第三十八條在監者ニハ其健康ヲ保ツニ必要ナル運動ヲ爲サシム
第三十九條在監者ニハ種痘其他傳染病豫防ニ必要ト認ムル醫術ヲ行フコ
トヲ得
第四十條在監者疾病ニ罹リタルトキハ醫師ヲシテ治療セシメ必要アル
トキハ之ヲ病監ニ收容ス
第四十一條傳染病者ハ嚴ニ之ヲ離隔シ健康者及ヒ他ノ病者ニ接近セシム
ルコトヲ得ス伹懲役囚ヲシテ看護セシムルハ此限ニ在ラス
第四十二條病者醫師ヲ指定シ自費ヲ以テ治療ヲ補助セシメンコトヲ請フ
トキハ情狀ニ因リ之ヲ許スコトヲ得
第四十三條精神病、傅染病其他ノ疾病ニ罹リ監獄ニ在テ適當ノ治療ヲ施
スコト能ハスト暇クル義者ハ悄狀ニ因リ仮ニ之ヲ病院ニ接送スル〓
得
前項ニ依リ病院ニ移送シタル者ハ之ヲ在監者ト看做ス
第四十四條姙婦、產婦、老衰者及ヒ不具者ハ之ヲ病者ニ準スルコトヲ得
第九章接見及ヒ信書
第四十五條在監者ニ接見センコトヲ請フ者アルトキハ之ヲ許ス
受刑者ニハ其親族ニ非サル者ト接見ヲ爲サシムルコトヲ得ス但特ニ必要
アリト認ムル場合ハ此限ニ在ラス
第四十六條在監者ニハ信書ヲ發シ又ハ之ヲ受クルコトヲ許ス
受刑者ニハ其親族ニ非サル者ト信書ノ發受ヲ爲サシムルコトヲ得ス但特
ニ必要アリト認ムル場合ハ此限ニ在ラス
第四十七條受刑者ニ係ル信書ニシテ不適當ト認ムルモノハ其發受ヲ許サ
ス
前項ニ依リ發受ヲ許ササル信書ハ二年ヲ經過シタル後之ヲ廢棄スルコト
ヲ得
第四十八條裁判所其他ノ公務所ヨリ在監者ニ宛テタル文書ハ披閱シテ之
ヲ本人ニ交付ス
第四十九條在監者ニ交付シタル信書及ヒ前條ノ文書ハ本人閱讀ノ後之ヲ
領置ス
第五十條接見ノ立會、信書ノ檢閱其他接見及ヒ信書ニ關スル制限ハ命
令ヲ以テ之ヲ定ム
第十章領置
第五十一條在監者ノ携有スル物ハ點檢シテ之ヲ領置ス
保存ノ價値ナク又ハ保存ニ不適當ト認ムル物ハ其領置ヲ爲サス又ハ之ヲ
解クコトヲ得
領置ヲ爲サス又ハ之ヲ解キタル物ニ付キ在監者相當ノ處分ヲ爲ササルト
キハ之ヲ廢棄スルコトヲ得
第五十二條在監者領置物ヲ以テ其父、母、配偶者又ハ子ノ扶助其他正當ノ
用途ニ充テンコトヲ請フトキハ情狀ニ因リ之ヲ許スコトヲ得
第五十三條在監者ニ差入ヲ爲サンコトヲ請フ者アルトキハ命令ノ定ムル
所ニ依リ之ヲ許スコトヲ得
在監者ニ宛テ送致シ來リタル物ニシテ其差出人ノ氏名若クハ居所不明ナ
ルトキ其差入ヲ許ス可カラスト認ムルトキ又ハ在監者ニ於テ其受領ヲ
拒ミタルトキハ之ヲ沒入又ハ廢棄スルコトヲ得
第五十四條在監者ノ私ニ所持スル物ハ之ヲ沒入又ハ廢棄スルコトヲ得
第五十五條領置物ハ釋放ノ際之ヲ交付ス
第五十六條死亡者ノ遺留物ハ請求ニ因リ相續人、家族又ハ親族ニ之ヲ交
付ス
第五十七條死亡者ノ遺留物ハ死亡ノ日ヨリ一年內ニ前條ニ揭ケタル者ノ
請求ナキトキハ國庫ニ歸屬ス
逃走者ノ遺留物ニシテ逃走ノ日ヨリ一年內ニ居所分明セサルトキ亦同シ
第十一章賞罰
第五十八條受刑者改悛ノ狀アルトキハ賞遇ヲ爲スコトヲ得
賞遇ノ種類及ヒ方法ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第五十九條在監者紀律ニ違ヒタルトキハ懲罰ニ處ス
第六十條懲罰ハ左ノ如シ
一叱責
二賞遇ノ三月以內ノ停止
賞遇ノ廢止
五四三文書、、圖畫閱讀ノ三月以內ノ禁止
請願作業ノ十日以內ノ停止
自辨ニ係ル衣類臥具著用ノ十五日以內ノ停止
八七六糧食自辨ノ十五日以內ノ停止
運動ノ五日以內ノ停止
九作業賞與金計算高ノ一部又ハ全部減削
十七日以內ノ減食
十一二月以內ノ輕屏禁
十二七日以內ノ重〓禁
屏禁ハ受罰者ヲ罰室內ニ晝夜屏居セシメ情狀ニ因リ就業セシメサルコト
ヲ得重屏禁ニ在テハ仍ホ罰室ヲ暗クシ臥具ヲ禁ス
第一項各號ノ懲罰ハ之ヲ併科スルコトヲ得
第六十一條前條第一項第十號ノ懲割ハ刑事被〓人及ヒ十八歲未滿ノ在監
者ニ之ヲ科セス
第六十二條懲罰ニ處セラレタル者疾病其他特別ノ事由アルトキハ其懲罰
ノ執行ヲ停止スルコトヲ得
懲罰ニ處セラレタル者改悛ノ狀著シキトキハ其懲罰ヲ免除スルコトヲ得
第十二章釋放
第六十三條在監者ノ釋放ハ恩赦、職權アル者ノ合令又ハ刑期ノ終了ニ因
リ關係文書ヲ査閱シテ其手續ヲ爲ス可シ
第六十四條恩赦ヲ受ケ又ハ假出獄若クハ假出場ヲ許サレタル者ハ其裁可
狀又ハ許可書ノ監獄ニ達シタル後二十四時間內ニ之ヲ釋放ス
第六十五條前條ノ場合ヲ除ク外命令ニ因リ釋放ヲ爲ス可キ者ハ命令書ノ
監獄ニ達シタル後十時間內ニ之ヲ釋放ス
第六十六條假出獄又ハ假出場ヲ許サレタル者ヲ釋放スルトキハ之ニ證票
ヲ交付ス
第六十七條假出獄ヲ許サレタル者ハ其期間左ノ規定ヲ遵守ス可シ
一正業ニ就キ善行ヲ保ツコト
二警察官署ノ監督ヲ受クルコト但警察官署ハ監獄ノ意見ヲ聽キ他ニ
其監督ヲ委任スルコトヲ得
三住居ヲ轉移シ又ハ十日以上旅行ヲ爲サントスルトキハ監督者ノ許
可ヲ請フコト
主務大臣ハ假出獄ヲ許サレタル者ノ帝國外ニ旅行ヲ爲スヲ許スコトヲ得
第六十八條滿期ノ者ハ其刑期終了ノ翌日午後六時マテニ之ヲ釋放ス
第六十九條釋放セラル可キ者重キ疾病ニ罹リ監獄ニ於テ醫療中ナルトキ
ハ其請求ニ因リ仍ホ在監セシムルコトヲ得
第七十條釋放セラル可キ者歸住旅費若クハ相當ノ衣類ヲ有セサルトキ
又ハ監獄行政ノ便宜ニ因リ移監セシメタルカ爲メ歸住旅費ノ增加ヲ要ス
ルニ至リタルトキハ衣類又ハ旅費ヲ給與スルコトヲ得
第十三章死亡
第七十一條死刑ノ執行ハ監獄內ノ刑場ニ於テ之ヲ爲ス
大祭祝日、一月一日二日及ヒ十二月三十一日ニハ死刑ヲ執行セス
第七十二條死刑ヲ執行スルトキハ絞首ノ後死相ヲ檢シ仍ホ五分時ヲ經ル
ニ非サレハ絞繩ヲ解クコトヲ得ス
第七十三條在監者死亡シタルトキハ之ヲ假葬ス
死體ハ必要ト認ムルトキハ之ヲ火葬スルコトヲ得
死體又ハ遺骨ハ假葬後二年ヲ經テ之ヲ合葬スルコトヲ得
第七十四條死亡者ノ親族故舊ニシテ死體又ハ遺骨ヲ請フ者アルトキハ何
時ニテモ之ヲ交付スルコトヲ得但合葬後ハ此限ニ在ラス
第七十五條受刑者ノ死體ハ命令ノ定ムル所ニ依リ解剖ノ爲メ病院、學校
又ハ其他ノ公務所ニ之ヲ送付スルコトヲ得
附則
本法ハ刑法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
監獄則ハ之ヲ廢止ス但懲治人ニ關スル規定ハ當分ノ內仍ホ其效力ヲ有ス
第五刑法施行法案(政府提出貴族院送附)第一讀會
刑法施行法案小字及-ハ
貴族院修正
刑法施行法
第一條本法ニ於テ舊刑法ト稱スルハ明治十三年第三十六號布告刑法ヲ謂
ヒ他ノ法律ト稱スルハ刑法施行前ニ公布シタル法律及ヒ勅令、布告ニシ
テ法律ト同一ノ效力ヲ有スルモノヲ謂フ
第二條刑法施行前ニ舊刑法ノ罪又ハ他ノ法律ノ罪ヲ犯シタル者ニ付テハ
左ノ例ニ從ヒ刑法ノ主刑ト舊刑法又ハ他ノ法律ノ主刑トヲ對照シ刑法第
十條ノ規定ニ依リ其輕重ヲ定ム
刑法ノ刑舊刑法又ハ他ノ法律ノ刑
死刑死刑
無期懲役無期徒刑
無期禁錮無期流刑
有期懲役有期徒刑、重懲役、輕懲役、重禁錮
有期禁錮有期流刑、重禁獄、輕禁獄、輕禁錮
罰金罰金
拘留拘留
科料科料
第三條法律ニ依リ刑ヲ加重減輕ス可キトキ又ハ酌量減輕ヲ爲ス可キトキ
ハ加重又ハ減輕ヲ爲シタル後刑ノ對照ヲ爲ス可シ
數罪ヲ犯シタル者ニ付テハ併合罪又ハ數罪倶發ニ關スル規定ヲ適用シタ
ル後刑ノ對照ヲ爲ス可シ
一罪ニ付キ二個以上ノ主刑ヲ併科ス可キトキ又ハ二個以上ノ主刑中其一
個ヲ科ス可キトキハ其中ニテ重キ刑ノミニ付キ對照ヲ爲ス可シ併合罪又
ハ數罪倶發ニ關スル規定ニ依リ數罪ノ主刑ヲ併科ス可キトキ亦同シ
にま
第四條刑法施行前舊刑法又ハ他ノ法律ノ規定ニ依リ告訴ヲ待テ論ス可キ
罪ヲ犯シタル者ハ刑法ノ規定ニ依リ告訴ヲ要セサルモノト雖モ告訴アル
ニ非サレハ其罪ヲ論セス
第五條刑法第六條ニ依リ舊刑法又ハ他ノ法律ヲ適用スル場合ニ於テハ剝
奪公權、、停止公權、監視又ハ罰金ヲ附加ス可キトキト雖モ之ヲ附加セス
第六條刑法施行前ニ犯シタル罪ニ付キ刑法施行ノ前又ハ後ニ確定裁判ア
リタル後刑法施行前ニ犯シタル餘罪ニ付キ裁判ヲ爲ストキハ左ノ例ニ依
ル
一確定裁判アリタル罪ニ舊瓶法又ハ他ノ法律ヲ適用シタルトキト雖
刑法ノ刑名ニ依リ刑ヲ定メタル法令
モ刑法又ハ未法ニ依リ刑名ヲ勢更セラレタル他ノ法律二於テハ其界
ト餘罪トニ付キ併合罪ニ關スル規定ヲ準用ス
刑法ノ別名ニ依リ刑ヲ定メタル法令
二確定裁判アリタル罪ニ刑法又ハ大去ニ依リ刑名ヲ變更セラレタル
他ノ法律ヲ適用シタルトキト雖モ舊飛法又ハ他ノ法律ニ於テハ其罪
ト餘罪トニ付キ數罪倶發ニ關スル規定ニ依ル
第七條左ニ記載シタル者刑法施行前更ニ刑法ノ有期懲役ニ相當スル刑ニ
刑法ノ刑名
該ハ罪ヲ犯シ刑法施行後述室二付モ裁判ヲ爲ストXハ期法文ス未法
ニ依リ刑ヲ定メタル法令
リ刑名ラ營更セラレタル他ノ法律ニ於テハ見犯一願スル規定ヲ迷用
-舊刑法又ハ他ノ法律ニ依リ刑法ノ懲役ニ相當スル刑ニ處セラレタル者
二舊刑法又ハ他ノ法律ニ依リ刑法ノ懲役ニ相當スル刑ニ該ル罪ト同
質ノ罪ニ因リ死列ニ處セラレ其執行ノ免除ヲ得又ハ減刑ニ因リ懲役
ニ相當スル刑ニ減輕セラレタル者
刑法第五十六條第三項ノ規定ハ數罪倶發ニ關スル規定ニ依リ處斷セラレ
タル者ニ之ヲ準用ス
第八條刑法施行前ニ犯シタル一罪ト刑法施行後ニ犯シタル一罪又ハ數罪
トニ付キ同時ニ裁判ヲ爲ス場合ニ於テハ刑法施行前ノ罪ニ舊刑法又ハ他
ノ法律ヲ適用ス可キトキト雖モ其罪ト刑法施行後ノ一罪又ハ數罪トニ付
キ併合罪ニ關スル規定ヲ準用ス
第九條刑法施行前ニ犯シタル數罪ト刑法施行後ニ犯シタル一罪又ハ數罪
トニ付キ同時ニ裁判ヲ爲ス場合ニ於テ刑法施行前ノ罪ニ舊刑法又ハ他ノ
法律ヲ適用ス可キトキハ數罪倶發ニ關スル規定ニ依リテ定マリタル一ノ
重キ罪ト刑法施行後ノ一罪又ハ數罪トニ付キ併合罪ニ關スル規定ヲ準用
ス
刑法ノ刑名ニ依リ刑ヲ定メタル法令
前項ノ場合ニ於テ刑法施行前ノ罪ニ刑法又ハ本法ニ依リ刑名ヲ變更セラレ
タル他ノ法律ヲ適用ス可キトキハ其數罪ト刑法施行後ノ一罪又ハ數罪ト
ニ付キ併合罪ニ關スル規定ヲ適用ス
第十條刑法施行後ニ犯シタル罪ニ付キ確定裁判アリタル後刑法施行前ニ
犯シタル餘罪ニ付キ裁判ヲ爲ス場合ニ於テハ其罪ニ舊刑法又ハ他ノ法律
ヲ適用シタルトキト雖モ確定裁判アリタル罪ト其罪トニ付キ併合罪ニ關
スル規定ヲ準用ス
第十一條刑法施行前ニ犯シタル罪ニ付キ刑法施行後確定裁判アリタル後
刑法施行後ニ犯シタル餘罪ニ付キ裁判ヲ爲ス場合ニ於テハ確定裁判アリ
タル罪ニ舊刑法又ハ他ノ法律ヲ適用シタルトキト雖モ其罪ト餘罪トニ付
キ併合罪ニ關スル規定ヲ準用ス
第十二條第七條第一項各號ニ記載シタル者刑法施行後有期懲役ニ該ル罪
ヲ犯シタルトキハ累犯ニ關スル規定ヲ準用ス
第七條第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第十三條4刑法施行後ハ舊刑法卜他ノ法律又ハ舊刑法施行前ノ法令ノ刑ニ
處セラレタル者ト雖モ刑ノ執行假出獄及ヒ時效ニ付テハ刑法ノ規定ヲ
準用ス但罰金又ハ科料ヲ完納スルコト能ハサル者ヲ勞役場ニ留置スル場
合ニ於テハ檢事ノ請求ニ依リ裁判所決定ヲ以テ其言渡ヲ爲ス可シ
前項ノ場合ニ於テハ第一一條及ヒ明治十四年第八十一號布告第一條ノ例ニ
依リ主刑ノ對照ヲ爲ス可シ
舊刑法又ハ他ノ法律ノ刑ニ處セラレタル者ノ刑法施行前ニ於ケル時效期
間ノ起算及ヒ時效ノ中斷ニ付テハ期滿免除ニ關スル規定ニ從フ
第十四條刑法施行後ハ舊刑法又ハ他ノ法律ノ刑ニ處ス可キ者ト雖モ刑ノ
執行猶豫ニ付テハ刑法ノ規定ヲ準用ス
前項ノ場合ニ於テハ第二條ノ例ニ依リ主刑ノ對照ヲ爲ス可シ
第十五條刑法施行前假出獄ヲ許サレタル者及ヒ幽閉ヲ免セラレタル者ニ
付テハ刑法施行ノ日ヨリ刑法ノ假出獄ニ關スル規定ヲ準用ス
刑法施行前罰金又ハ科料ヲ納完セサル爲メ輕禁錮又ハ拘留ニ換ヘラレタ
ル者ニ付テハ刑法施行ノ日ヨリ刑法第十八條及ヒ第三十條ノ規定ヲ準用
ス但留置ノ日數ハ其執行ノ日ヨリ起算シ刑法第十八條ノ期間ヲ超ユルコ
トヲ得ス
第十六條懲治場留置ノ執行ハ刑法施行後ト雖モ從前ノ側ニ從フ但司法大
臣ハ何時ニテモ其留置ヲ解キ又ハ感化院ニ入院セシムルコトヲ得
第十七條關席判決ヲ以テ言渡シタル刑ノ時效期間ハ其言渡ノ日ヨリ之ヲ
起算ス
第十八條剝奪公權、停止公權、監視及附加ノ罰金ノ言渡ハ刑法施行ノ日ヨ
リ其效力ヲ失フ但旣ニ徵收シタル附加ノ罰金ハ之ヲ還付セス
附加ノ罰金ヲ納完セサル爲メ換ヘラレタル禁錮ニ付キ亦前項ニ同シ
第十九條他ノ法律ニ定メタル主刑ハ第二條ノ例ニ準シ刑法ノ刑ニ對照シ
テ之ヲ刑法ノ刑名ニ變更ス但單ニ禁錮トアルハ之ヲ有期ノ懲役又ハ禁錮
ニ變更ス
他ノ法律ノ規定中剝奪公權、停止公權、監視及ヒ附加ノ罰金ニ處ス可キ旨
ヲ定メタルモノハ之ヲ廢止ス
第二十條他ノ法律ニ定メタル刑ニ付テハ其期間又ハ金額ヲ變更セス但他
ノ法律中特ニ期間又ハ金額ヲ定メサル刑ニ付テハ仍ホ舊刑法總則中期間
又ハ金額ニ關スル規定ニ從フ
第二十一條他ノ法律ニ定メタル刑ヲ加重又ハ減輕ス可キ場合ニ於テハ第
二十三條ノ場合ヲ除ク外舊刑法ノ加減例ニ關スル規定ニ依ル
第二十二條他ノ法律中舊刑法ノ規定ヲ揭ケ又ハ舊刑法ノ規定ニ依リ若ク
ハ之ニ依ラサルコトヲ定メタル場合ニ付キ刑法中其規定ニ相當スル規定
アルモノハ刑法ノ規定ニ變更ス
爆發物取締罰則第十條ハ之ヲ廢止ス
第二十三條前條ノ規定ニ依リ刑法ノ刑ヲ適用ス可キ場合ニ於テハ他ノ法
律中刑ノ加重ニ關スル特別ノ規定ハ之ヲ適用セス刑ノ減輕ノ方法ニ付テ
ハ刑法ノ加減例ニ關スル規定ニ從フ
第二十四條明治二十二年法律第二十八號及ヒ明治二十三年法律第九十九
號ハ之ヲ廢止ス
第二十五條左ニ記載シタル舊刑法ノ規定ハ當分ノ內刑法施行前ト同一ノ
效力ヲ有ス
-第二編第三章第五節
二第百九十八條乃至第二百條
三第二編第四章第七節及ヒ第九節
四第二編第五章第三節
五第三編第二章第四節
刑法第八條ノ規定及ヒ本法中他ノ法律ニ關スル規定ハ之ヲ前項ノ規定ニ
準用ス
第二十六條左ニ記載シタル罪ハ刑法第二條ノ例ニ從フ
-軍機保護法ニ揭ケタル罪
二徵兵令ニ揭ケタル罪
明治三十八年法律第六十六號ニ掲ケタル罪
通貨及證劵模造取締法ニ揭ケタル罪
船舶法ニ揭ケタル罪
九八七六五四三船員法ニ揭ケタル罪
船舶職員法ニ揭ケタル罪
船舶檢査法ニ掲ケタル罪
戶籍法ニ揭ケタル罪
十郵便法ニ揭ケタル罪
十一舊刑法中印紙ノ僞造、變造及ヒ其知情使用ニ關スル罪
第二十七條左ニ記載シタル罪ハ刑法第三條ノ例ニ從フ
一特許法ニ揭ケタル罪
二商標法ニ掲ケタル罪
三意匠法ニ揭ケタル罪
四著作權法ニ揭ケタル罪
五重要物產同業組合法ニ揭ケタル罪
六移民保護法ニ掲ケクル罪
第二十八條人ノ資格其他ノ事項ニ關シ舊刑法又ハ他ノ法律ノ刑名又ハ罪
別ヲ揭ケタル他ノ法律ノ規定ハ刑法施行ノ爲メ變更セラルルコトナシ
第二十九條死刑、無期又ハ短期一年以上ノ懲役若クハ禁錮ニ該ル罪ハ他
ノ法律ノ適用ニ付テハ舊刑法ノ重罪ト看做ス
第三十條前條ニ該當セサル懲役若クハ禁錮又ハ罰金ニ該ル罪ハ他ノ法
律ノ適用ニ付テハ舊刑法ノ輕罪ト看做ス
前條ニ該當セサル懲役又ハ禁錮ニ該ル罪ハ他ノ法律ノ適用ニ付テハ舊刑
法ノ禁錮ニ該ル罪ト看做ス
前條ニ該當セサル懲役ニ該ル罪ハ他ノ法律ノ適用ニ付テハ舊刑法ノ重禁
鋼ニ該ル罪ト看做ス
前條ニ該當セサル禁錮ニ該ル罪ハ他ノ法律ノ適用ニ付テハ舊刑法ノ輕禁
錮ニ該ル罪ト看做ス
第三十一條拘留又ハ科料ニ該ル罪ハ他ノ法律ノ適用ニ付テハ舊刑法ノ違
警罪ト看做ス
第三十二條他ノ法律ニ定メタル罪ニシテ死刑、無期又ハ短期六年以上ノ
懲役若クハ禁錮ニ該ルモノノ未遂罪ハ之ヲ罰ス
第三十三條死刑、無期又ハ六年以上ノ徵〓若クハ禁錮ニ處セラレタル者
ハ他ノ法律ノ適用ニ付テハ舊刑法ノ重罪ノ刑ニ處セラレタルモノト看做
ス
第三十四條前條ニ記載シタル者及ヒ舊刑法又ハ他ノ法律ノ重罪ノ刑ニ處
セラレタル者ハ他ノ法律ノ適用ニ付テハ公權ヲ剝奪セラレタルモノト看
做ス
前項ノ規定ハ復權ヲ得タル者ニハ之ヲ適用セス
第三十五條六年未滿ノ懲役若クハ禁錮又ハ罰金ニ處セラレタル者ハ他ノ
法律ノ適用ニ付テハ舊刑法ノ輕罪ノ刑ニ處セラレタルモノト看做ス
六年未滿ノ懲役ニ處セラレタル者ハ他ノ法律ノ適用ニ付テハ舊刑法ノ重
禁錮ニ處セラレタルモノト看做ス
六年未滿ノ禁錮ニ處セラレタル者ハ他ノ法律ノ適用ニ付テハ舊刑法ノ輕
禁錮ニ處セラレタルモノト看做ス
第三十六條六年未滿ノ懲役又ハ禁錮ニ處セラレタル者及ヒ舊刑法又ハ他
ノ法律ノ禁錮ノ刑ニ處セラレタル者ハ他ノ法律ノ適用ニ付テハ刑ノ執行
ヲ終リ又ハ其執行ヲ受クルコトナキニ至ルマテ公權ヲ停止セラレタルモ
ノト看做ス
第三十七條他ノ法律中舊刑法第三十一條又ハ第三十三條ノ規定アル爲メ
人ノ資格ニ關シ別段ノ規定ヲ設ケサリシ場合ニ付テハ舊刑法第三十一條
及ヒ第三十三條ノ規定ハ人ノ資格ニ關シ刑法施行前ト同一ノ效力ヲ有ス
第三十八條刑事訴訟法第八條ヲ左ノ如ク改ム
第八條公訴ノ時效ハ左ノ期間ヲ經過スルニ因テ完成ス
一死刑ニ該ル罪ニ付テハ十五年
二無期又ハ長期十年以上ノ懲役若クハ禁錮ニ該ル罪ニ付テハ十年
三長期十年未滿ノ懲役又ハ禁錮ニ該ル罪ニ付テハ七年
四長期五年未滿ノ懲役若クハ禁錮又ハ罰金ニ該ル罪ニ付テハ三年
五刑法第百八十五條ノ罪ニ付テハ一年
六拘留又ハ科料ニ該ル罪ニ付テハ六月
第三十九條刑事訴訟法第六十二條第三號ヲ左ノ如ク改ム
第三區裁判所ノ管轄ニ屬スル罪ト思料シタル事件ニ付テハ證據書類
ニ意見書ヲ添ヘ之ヲ區裁判所檢事ニ送致ス可シ
第四十條刑事訴訟法第百二十五條第二號ヲ左ノ如ク改ム
第二醫師藥劑師藥種商、產婆、辯護士辯護人公證人又ハ此等ノ職
ニ在リシ者及ヒ宗〓若クハ禮祀ノ職ニ在ル者又ハ此等ノ職ニ在リシ
者其業務上取扱ヒタルコトニ付キ知得タル事實ニシテ默祕ス可キモ
ノニ關スルトキ
第四十一條刑事訴訟法第百二十六條第一項中「刑法第百八十條ニ從ヒ罰
金」ヲ「四十圓以下ノ罰金又ハ科料」ニ改メ同條第一一項中「罰金」ヲ「罰金又
ハ科料」ニ改ム
同法第百三十八條中「刑法第百七十九條ニ從ヒ罰金」ヲ「四十圓以下ノ罰
金又ハ科料」ニ改ム
同法第百四十四條第一項中「罰金」ヲ「罰金又ハ科料」ニ改ム
第四十二條刑事訴訟法第百六十七條第一項ヲ左ノ如ク改メ第三項ヲ削ル
被〓事件其裁判所ノ管轄ニ屬スルモノト思料シタルトキハ公判ニ付
スル言渡ヲ爲ス可シ
第四十三條刑事訴訟法第百七十二條ヲ左ノ如ク改ム
第百七十二條檢事ハ免訴又ハ管轄違ノ決定ニ對シ抗告ヲ爲スコトヲ得
第四十四條刑事訴訟法第二百三十六條中「輕罪、重罪ノ」ヲ削ル
第四十五條刑事訴訟法第二百四十一條ヲ左ノ如ク改ム
第二百四十一條裁判所ニ於テ輕罪トシテ受理シタル事件ヲ重罪ナリト
スルトキハ其事件ヲ豫審判事ニ送付スル決定ヲ爲ス可シ檢事ノ請求ア
ルトキ亦同シ
被告事件豫審ヲ經タルトキハ公判ヲ止メ受命判事ヲシテ其事件ノ取調
ヲ爲シ報告ヲ爲サシムヘシ
受命判事ハ豫審判事ニ屬スル處分ヲ爲スコトヲ得
第四十六條刑事訴訟法第二百六十四條中「更ニ重罪事件トシテ裁判ス可
キ旨ノ決定ヲ爲シ」ヲ削ル
第四十七條刑事訴訟法第三百十七條ニ左ノ一項ヲ加フ
監獄ニ於テ執行ス可キ一一個以上ノ主刑ノ執行ハ其重キモノヲ先ニス但特
別ノ事由アルトキハ檢事ハ重キ刑ノ執行ヲ停止シ他ノ刑ノ執行ヲ爲サシ
ムルコトヲ得
第四十八條刑事訴訟法第三百十八條ノ次ニ左ノ二條ヲ加フ
第三百十八條ノ二死刑ノ執行ハ檢事及ヒ裁判所書記ノ立會ニテ之ヲ爲
スロン
死刑ノ執行ニ關スル者ノ外刑場ニ入ルコトヲ得ス但檢事又ハ監獄ノ長
ノ許可ヲ得タル者ハ此限ニ在ラス
第三百十八條ノ三死刑ノ言渡ヲ受ケタル者心神喪失シタルトキハ司法
大臣ノ命令ニ因リ其痊癒ニ至ルマテ執行ヲ停止ス
死刑ノ言渡ヲ受ケタル婦女懷胎ナルトキハ分娩後司法大臣ノ命令アル
ニ非サレハ執行ヲ爲スコトヲ得ス
第四十九條刑事訴訟法第三百十九條第一項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
懲役、禁錮又ハ拘留ノ言渡ヲ受ケタル者左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ
其事故ノ止ムマテ刑ノ執行ヲ停止スルコトヲ得
一心神喪失ノ狀態ニ在ルトキ
二刑ノ執行ニ因リ生命ヲ保ツコト能ハサル虞アルトキ
三受胎後七月以上ナルトキ
四分娩後一月ヲ經過セサルトキ
第五十條刑事訴訟法第三百二十條中「之ヲ爲ス可シ」ノ下ニ「刑ノ執行
ノ停止ニ付キ亦同シ」ヲ加ヘ第二項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ徵收ニ付テハ非訟事件手續法第二百八條ノ規定ヲ準用ス
第五十一條刑事訴訟法第二十四條、第六十三條、第百六十八條、第百七十
三條及ヒ第百七十四條但書ハ之ヲ削ル
第五十二條刑事訴訟法中復權及ヒ特赦ニ關スル規定ハ之ヲ削ル
第五十三條刑法第五十二條又ハ第五十八條ノ規定ニ依リ刑ヲ定ム可キ場
合ニ於テハ其犯罪事實ニ付キ最終ノ判決ヲ爲シタル裁判所ノ檢事其裁判
所ニ請求ヲ爲ス可シ
前項ノ請求アリタルトキハ裁判所ハ被告人又ハ其代理人ノ意見ヲ聽キ決
定ヲ爲ス可シ此決定ニ對シテハ抗〓ヲ爲スコトヲ得
第五十四條刑ノ執行猶豫ハ裁判所ニ於テ檢事ノ請求ニ因リ又ハ職權ヲ以
テ刑ノ言渡ト同時ニ判決ヲ以テ之ヲ言渡ス可シ
第五十五條刑ノ執行猶豫ノ言渡ハ上訴ニ因リ其效力ヲ失フコトナシ但原
判決ヲ取消シ又ハ破毀シタル場合ハ此限ニ在ラス
上訴裁判所ハ新ニ執行猶豫ノ言渡ヲ爲スコトヲ得
第五十六條刑ノ執行猶豫ノ言渡ヲ取消ス可キ場合ニ於テハ刑ノ言渡ヲ受
ケタル者ノ所在地又ハ最後ノ住所地ヲ管轄スル地方裁判所ノ檢事其裁判
所ニ請求ヲ爲ス可シ
前項ノ請求アリタルトキハ裁判所ハ被告人又ハ其代理人ノ意見ヲ聽キ決
定ヲ爲ス可シ此決定ニ對シテハ抗告ヲ爲スコトヲ得
第五十七條第五十三條及ヒ前條ノ裁判及ヒ抗告ニ付テハ刑事訴訟法ノ規
定ヲ準用ス
第五十八條明治三十八年法律第七十號ニ依リ刑ノ執行猶豫ノ言渡ヲ受ケ
仍ホ猶豫ノ期間ヲ經過セサル者ハ刑法ニ依リ刑ノ執行猶豫ノ言渡ヲ受ケ
タルモノト看做ス
第五十九條明治三十九年法律第五十四號ハ之ヲ廢止ス
第六十條私訴ハ公訴ニ附帶スルトキハ民事訴訟ノ方式ニ依ラス書面又
ハ口頭ヲ以テ之ヲ爲スコトヲ得
第六十一條贓物犯人ノ手ニ在ルトキハ被害者ノ請求ナシト雖モ之ヲ還付
スル言渡ヲ爲ス可シ
第六十二條左ニ記載シタルモノヲ以テ公訴ニ關スル訴訟費用トス
一豫審、公判ニ付キ呼出シタル證人、鑑定人及ヒ通事ニ給與ス可キ
日當、族費及ヒ止宿料
二第六十六條ニ記載シタル費用
第六十三條證人、鑑定人及ヒ通事ノ日當ハ左ノ範圍內ニ於テ豫審判事、受
託判事又ハ裁判所之ヲ定ム
一證人ノ日當ハ出頭一度ニ付金二十錢乃至金五十錢但止宿料ヲ給與
スル場合ニ於テハ日當ヲ給與セス
二鑑定人及ヒ通事ノ日當ハ出頭一度ニ付キ金三十錢乃至金五圓
第六十四條證人、鑑定人及ヒ通事ノ旅費ハ海陸路一里ニ付キ金五錢乃至
金二十錢ノ範圍內ニ於テ豫審判事、受託判事又ハ裁判所之ヲ定ム但通路
兩線以上アルトキハ最近ノ通路ヲ以テ族費ヲ算定ス
前項ニ揭ケタル者ノ止宿料ハ一日ニ付キ金二十錢乃至金一圓ノ範圍內ニ
於テ豫審判事、受託判事又ハ裁判所之ヲ定ム但八里以上ノ地ヨリ來リ滯
在スルトキニ非サレハ之ヲ給與セス
第六十五條證人、鑑定人及ヒ通事ノ日當、旅費及ヒ止宿料ハ豫審ニ於テハ
其終結前、公判ニ於テハ其判決前ニ本人ヨリ請求スルニ非サレハ之ヲ給
與セス
第六十六條鑑定、通譯ニ付キ數多ノ時間又ハ特別ノ技能若クハ費用ヲ要
スルトキハ日當ノ外別ニ相當ノ金額ヲ給與スルコトヲ得
第六十七條共犯ノ訴訟費用ハ共犯人ノ連帶負擔トス
附則
本法ハ刑法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
刑法附則其他舊刑法施行ノ爲メ公布シタル法令ハ之ヲ廢止ス
第七印紙犯罪處罰法案(政府提出貴族院送付)第一讀會
印紙犯罪處罰法案
印紙犯罪處罰法
第一條行使ノ目的ヲ以テ帝國政府ノ發行スル印紙又ハ印紙金額ヲ表彰ス
ヘキ印章ヲ僞造又ハ變造シタル者ハ五年以下ノ懲役ニ處ス行使ノ目的ヲ
以テ印紙ノ消印ヲ除去シタル者亦同シ
第二條僞造、變造ノ印紙、印紙金額ヲ表彰スヘキ印章若ハ消印ヲ除去シタ
ル印紙ヲ使用シ又ハ行使ノ目的ヲ以テ之ヲ人ニ交付シ、輸入シ若ハ移入
シタル者ハ五年以下ノ懲役ニ處ス印紙金額ヲ表彰スヘキ印章ヲ不正ニ使
用シタル者亦同シ
前項ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス
第三條帝國政府ノ發行スル印紙其ノ他印紙金額ヲ表彰スヘキ證票ヲ再ヒ
使用シタル者ハ五十圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
第四條本法ハ何人ヲ問ハス帝國外ニ於テ第一條又ハ第二條ノ罪ヲ犯シタ
ル者ニ之ヲ適用ス
第五條僞造、變造ノ印紙、印紙金額ヲ表彰スヘキ印章又ハ消印ヲ除去シタ
ル印紙ハ裁判ニ依リ沒收スル場合ノ外何人ノ所有ヲ間ハス行政ノ處分ヲ
以テ之ヲ官沒ス
官沒ニ關スル手續ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第九裁判所構成法中改正法律案(政第五六號)(政第一讀會
府提出貴族院送付)
裁判所構成法中改正法律案
裁判所構成法中左ノ通改正ス
第五十八條中「三年間」ヲ「一年六月以上」ニ改ム
附則
本法ハ明治四十一年三月十九日ヨリ之ヲ施行ス
第十一裁判所構成法中改正法律案(政第六三號)第一讀會
(政府提出貴族院送付)
裁判所構成法中改正法律案
裁判所構成法中左ノ通改正ス
第十六條ノ一區裁判所ハ刑事ニ於テ左ノ事項ニ付裁判權ヲ有ス但シ第二
以下ニ記載シタル罪ハ豫審ヲ經サルモノニ限ル
第拘留又ハ科料ニ該ル罪
第二竊盜ノ罪
第三竊盜及刑法第二百五十四條ノ罪ノ贓物ニ關スル罪
第四刑法第百三十條、第百七十五條、第百八十五條乃至第百八十七條
及第二百九條ノ罪竝ニ第百三十條ノ未遂罪
第五一年以下ノ懲役若ハ禁錮又ハ三百圓ヲ超過セサル罰金ニ該ル罪
二個以上ノ主刑中其ノ一個ヲ科スヘキ罪ニシテ其ノ刑前項第一又ハ第五
ノ規定ニ適セサルモノアルトキハ區裁判所ハ其ノ裁判權ヲ有セス
第十六條ノ一ノ次ニ左ノ一條ヲ加ヘ「第十六條ノ一一」ヲ「第十六條ノ三」ニ改
ム
第十六條ノ二前條第一項第五ニ記載シタル罪ニ付テハ累犯又ハ併合罪ト
シテ處分スヘキ場合ト雖モ區裁判所其ノ裁判權ヲ有ス
第五十條第二號ヲ左ノ如ク改ム
第二第一審ニシテ終審トシテ
刑法第七十三條、第七十五條及第七十七條乃至第七十九條ノ罪竝ニ
皇族ノ犯シタル罪ニシテ禁錮以上ノ刑ニ處スヘキモノノ豫審及裁判
附則
本法ハ刑法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本法施行前ニ提起シタル訴訟ハ本法ニ依リ他ノ裁判所ノ權限ニ屬スヘキモ
ノト雖モ受訴裁判所之ヲ裁判スヘシ
本法施行後重禁錮又ハ輕禁錮ニ處スヘキ罪ノ裁判權ニ付テハ重禁錮ヲ懲役
ト看做シ輕禁錮ヲ禁錮ト看做ス
第十三裁判所構成法施行條例中改正法律案(政府第一讀會
提出貴族院送付)
裁判所構成法施行條例中改正法律案
裁判所構成法施行條例中左ノ通改正ス
第十四條削除
附則
本法ハ刑法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
第十四右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選舉発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=19
-
020・恒松隆慶
○恆松隆慶君 此際說明ハ略シテ、是ハ數ガ多ウゴザイマスカラ、四十五名ノ委員、
議長指名アランコトヲ望ミマス
(花井卓藏君「說明ヲシナイト云フソンナ輕微ナ問題デハナイ」ト呼フ〕
〔司法大臣松田正久君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=20
-
021・松田正久
○司法大臣(松田正久君) 說明ノ必要ガナケレバ致シマセヌケレドモ、若シ御要求ニ
ナリマスレバ大體ノ說明ヲ致シタク思ヒマス、日程第三ヨリ第十四ニ至ルマデ、一部、
シテ第一讀會ニ付セラレマシタガ、此各法案ノ說明ヲ致スニハ日程ノ順序ニ依リマセズ、
便宜ヲ以テ順ヲ逐ウテ說明ヲ致スコトニ致シマスル、先ヅ刑法施行法案ヨリ初メマスル
ガ、御承知ノ如ク昨年法律第四十五號ヲ以テ改正刑法ノ發布ニナリマシタ、此新刑法
ヲ實施スルコトニ付テハ天下一般速ニ之ヲ決行センコトヲ希望致ス譯デゴザイマスカラ、
一日モ此新刑法ノ實行ヲ忽ニスルコトハナラヌト考ヘルノデアリマス、從ッテ昨年政府ニ
於キマシテハ此新刑法ノ實施ニ付テ準備ヲ致スタメニ、法律取調委員會ヲ設置致シタ
ノデアリマス、本案ハ卽チ右ノ法律取調未資會會於於稿起シ、愼重ナル審議ヲ遂ゲテ
制定致シタルモノデゴザリマスル、其趣旨ハ新舊二法ノ經過時代ニ於キマシテ、事務取扱
上多少ノ衝突扞格ヲ致スコトハ免レザルトコロヨリシテ、特ニ經過法規ヲ設ケマシテ、新舊
二法ノ調和ヲ圖リ、而シテ不當ナル結果ノ生出ヲ豫防セント欲スルノデアリマスル、本案
ハ卽チ此必要ニ應ズルモノデアリマスルガ、併シ本案ハ其規定スルトコロ多々ゴザイマシテ、
最モ複雜錯結ヲ極メテ居ルノデアリマスル、一見致セバ秩序モナク系統モ分ラヌヤウニアリ
マスルガ、併シ全編ヲ一貫スルトコロノ根本クル主義ニ至ッテハ、卽チ新刑法ヲ實施スル
ニ必要缺クベカラザルトコロノ法規ヲ網羅スルニ外ナラヌノデゴザイマスル、本案各條ノ內容ニ
於キマシテハ、特別委員會ニ於テ政府委員ヨリモ詳シク說明致スデゴザイマセウガ、院議
ニ於テモ十分ノ審議ヲ遂ゲラレテ、御協賛アリタイコトヲ希望致シマスル、其次ニハ裁判
所構成法中改正法律案ノ說明ニ移リマスルガ、此改正ハ卽チ刑法施行法ニ伴フモノデ
ゴザイマシテ、最モ必要缺グベカラザルモノデアル、新刑法ハ各種ノ犯罪ニ付テ其刑期及
金額ノ範圍ヲ大ニ擴張致シタノデゴザイマスルガ、〓構成法ノ改正ヲ致シテ、區裁判
所ノ權限ヲ定メナケレバ(b)2區裁判所ノ權限ハ是ガタメニ縮小セラレテ、多クハ地方
裁判所ニ移ッテシマフノデアル、シテ見マスレバ事務分配ノ平均ヲ失ヒマスルシ、トテモ地
方裁判所ニ於テ是ノ運じニ應ズル譯ニ往カヌノデアリマス、ソレ故ニ此改正期ヲ以テ區
裁判所ノ權限ニ、刑期一年以下價格三百圓以下ニ當ルトコロノ犯罪ヲ管轄セシメマ
スルシ、又各種ノ犯罪ニ付キマシテハ刑期金額ノ如何ニ拘ハラズ、特別ニ列記ヲ致シテ區
裁判所ノ管轄ニ屬セシメント欲スルノ外ナリマセヌ、斯ク致シタトコロデ現在ノ區裁判所
管轄ノ事件ハ一向移動致スコトナクシテ止ムコトニナル譯デアリマスル、是ガ卽チ裁判所
構成法ノ改正ヲ要シテ、本法律案ヲ提出スル所以デアリマスル、又裁判所構成法
施行條例中改正法律案ヲ提出致シマシタガ、是ハ誠ニ簡單ナルモノデアッテ、裁判所
構成法施行條例中ノ第十四條ヲ割除スルノデアリマス、是ハ何故カト申シマスト此第
十四條ハ司獄官ノ裁判制度ヲ定メテアリマスガ、新刑法ノ施行ニ付キマシテハ、此司
獄官ノ裁判制度ヲ廢セントスルノデアリマス、從デ此施行條例中改正施行法律案ヲ
提出致シテアリマスルガ、此現行監獄則ハ明治二十二年ノ制定ニ掛ッタモノデアリマシテ、
爾後明治三十二年及明治三十三年ノ兩度ニ於キマシテ一部分ノ改正ヲ加ヘテアリマ
スル併ナガラ其改正ノ事項ハ多ク官制ノ改革ヨリ來リ、若クバ監獄費ノ地方稅支辨
ノモノヲ國庫支辨ニ移シタ、是ニ由來シタルモノ等ニシテ、本來行刑遇囚ノ實質ニ就テ
改正ヲ加ヘタモノデアリマセヌ、其故ニ前後ノ兩度ノ改正ヲ加ヘマシタガ、
其後幾ド二十
年ノ星霜ヲ經ルニ至ッテ、實驗上大ニ缺〓ノアルトコロヲ發見致シテ居ルノデアリマスル、殊
ニ又新刑法ヲ實施スルト云フコトニナリマスレバ、監獄ノ制度ハ卽チ刑法運用ノ一機關
デアリマスルカラ、愈以テ監獄ノ制度ヲ改正スルノ必要ヲ感ズルノデアリマスル、其故ニ此
監獄法ハ卽チ現行ノ監獄則ニ變ヘマシテ、行刑遇囚ノ上ニ改正ヲ施シ、又時運ノ進步
ニ伴ッテ監獄ノ基礎ヲ鞏固ナラシメント期スルノデアリマスル、而シテ本案モ亦法律取調
委員會ニ於テ審議ヲ盡シマシタルモノデゴザイマスカラ、尙當院ニ於キマシテモ詳シク御調
査ノ上、御協賛アランコトヲ希望致ス次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=21
-
022・花井卓藏
○花井卓藏君 質問ヲ致シマスガ、刑法施行法ガ議決ニ成リマスレバ、陸海軍刑法ハ
此現在ノ儘デ新刑法御施行ニナルト云フ御趣意デアリマスカ、如何デアリマセウカ、ソレヲ
第一ニ御尋シタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=22
-
023・松田正久
○司法大臣(松田正久君) アトデ御答辯ヲ致スコトニ致シマセウ、マダ說明スルコトガ
アリマス此日程第九ニナッテ居リマスル裁判所構成法中改正法律案、是ハ司法官ノ
試補ノ實地修習期間ニ關スルモノデアリマスルガ、御承知ノ如ク司法官試補ノ實地修
習期間ニ至ッテハ、屢く帝國議會ノ協賛ヲ經マシテ三箇年間ヲ一年六簡月ニ短縮シテ
居リマスル然ルトコロ斯ノ如クシテ實際ニ試ミルコトガ殆ド二十年間ニナッテ居リマスル
ガ、今日實驗上ヨリシテ一年六箇月ヲ經過致セバ、卽チ實地修習トシテ經過セシムレ
バ判事若クハ檢事タルノ資格ニ於テ差支ガナイコトヲ確メルニ足ルノデアリマスル、且又
今日ニ於テハ判檢事ヲ要スルコトガ多數デゴザリマスル御承知ノ如ク滿韓ノ地方ニモ
判檢事ヲ派遣致スコトニナリマスレバ、愈以テ司法官試補ノ多數ヲ要スルコトニナリマ
スルカラ、此度ハ構成法ノ規程ヲ根本的ニ改正ヲ致シテ三箇年ヲ一年六箇月以上ニ
改メルト云フコトニ致シタノデアリマスル而シテ來ル三月十八日ニ於テ最後ニ議會ノ協
贊ヲ經タル期間短縮ノ單行法ハ其效力ヲ失フコトニナッテ居リマスカラ、本案ハ最モ急ヲ
要スルノデアリマスルカラ速ニ御協賛アランコトヲ希望致シマスル発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=23
-
024・江原素六
○江原素六君 都制法案ノ委員會ヲ開キマスカラ委員諸君ハ御退場ヲ請ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=24
-
025・花井卓藏
○花井卓藏君 マダアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=25
-
026・松田正久
○司法大臣(松田正久君) モウ一ツアリマスルガ、是ハ政府委員ヨリ說明ヲ致サセマ
ス先ニ花井君ノ質問ガアリマシタガ、本官ノ考ニ於テハ陸海軍刑法ニ拘ハラズ新刑法
ノ實施ニハ差支ナイト考へテ居リマスル併ナガラ是ハ結局政府ニ於テ決定ヲ致サヌケレ
バナラヌト考ヘマスカラ、今日御確答ハ出來ナイ次第デゴザイマス、左樣ニ御承知置ヲ顧
ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=26
-
027・花井卓藏
○花井卓藏君 此施行法案ハ、陸海軍刑法ノ改正ト云フ事柄ヲ眼中ニ置イテ出來
タモノデアリマスカ、サウデハナイノデアリマスカ、ソレヲ伺ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=27
-
028・松田正久
○司法大臣(松田正久君) 此法ハ豫メ見タルトコロデハアリマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=28
-
029・花井卓藏
○花井卓藏君 此場合ニ於テ競馬ニ關スル馬劵ノ質問ヲ致シタイト思フ、是ハ刑法
施行法ト關係ヲ離レタ譯デハナイノデアリマス、刑法施行法ノ第三十八條第五號ニ規
定サレテアルノデアリマス、現行ノ刑法ニ於テハ賭博ト云フモノハ現行犯トシテ餘リ追窮
ヲシナイト云フ方針ガ採ラレテ居ッタ、新刑法ニ於キマシテハ現行ノ文字ヲ削ッテー
現ト云ヘル文ヲ削ッテ、而シテ〓博ノ犯罪モ一般犯罪ト同ジヤウニ處分ヲスルト云フコト
ニ相成ッテ居ルノデアリマス而シテ時效ノ如キニ至リマシテモ、現行刑法ノ賭博ノ時效ハ
私ノ解釋デハ一日若クハ一時ノ間デアル、賭博ノ現行繼續中是ガ卽チ時效ノ間デアル
賭博ノ現行完成ノ時期デアルト信ジテ居リマスガ施行法ニ依ッテ見マスルト云フト
年ト云フコトニナッテ居ル、卽チ如何ニ賭博ハ犯ト云フモノヲ從來ヨリ重ク法律ガ罰スルト
云フ趣意ヲ採ッテ居ルカト云フ事柄ガ知リ得ラルヽノデアリマス近時流行セル競馬ニ關
スル馬劵ノ賣買ト云フモノハ新刑法竝ニ刑法施行法ハ刑法第百八十五條ノ罪ナリト
認メラレテ居ナイノデアリマセウカヤハリ罪ト認メラレテ居ルノデアリマセウカ、若シ罪ト認
メラレテ居ルト致シマスレバ、今日現在行ハレテ居ルモノハ何等ノ檢擧ノ手續ガゴザイマ
セヌガ、斯ノ如キノ場合ニ、斯ノ如キノ程度デハ未ダ法律ガ罰スル程ノ賭博ニハナラヌト
云フノ御趣意デアリマセウカ、是ヲ一ツ伺ッテ置キタイ書面デ質問シテモ宣シイガ、手數
デスカラ口頭デ御尋シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=29
-
030・松田正久
○司法大臣(松田正久君) 花井君ノ御質問ハ新刑法ノコトニ付テノコトデアリマス
カ、現行刑法ノコトニ付テノコトデアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=30
-
031・花井卓藏
○花井卓藏君 先ヅ本案ニ於キマシテ刑法施行法第三十八條中ノ時效トシテ質問
シタモノト御了承ヲ願ヒマス、ソレカラ御答辯ヲ得ル便宜ノタメニ申セバ現行刑法ノ意
義トシテモ、新刑法ノ意義トシテモ、馬券ノ賣買ハ賭博ニアラザルヤ否ヤト云フ兩方ニ
通ジテ御答ヲ煩ハシテモ宜シイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=31
-
032・松田正久
○司法大臣(松田正久君) 新刑法ニ付テノコトデアレバ、新刑法實施ノ後デナケレバ
御答ヲ致サヌ積リデアリマス、併シ現行刑法ニ付テノ質問トスレバ、一言茲ニ御答ヲ致
シテ置キマスルガ、今此競馬ノコトニ付テハ世間ニ於テモ種々ノ說ガアルノデアリマス政
府ニ於テモ此事ヲ承知致サヌノデハアリマセヌ、然ルニ政府ニ於テハ此事ニ付テハ深ク〓
究ヲ致サヌケレバナラヌ、如何トナレバ此競馬ノコトタル、一方ニ於テハ馬匹ノ改良ヲ圖
ルト云フコトガアル、我邦ノ如キ馬匹ノ劣等ナルコトハ世界ノ人ガ皆認メルトコロデアル
我國民モ其通リデゴザイマセウ、如何ニモ馬匹ハ世界最モ劣等ナルモノト致サンケレバナ
ラヌ、軍事上其他ノ點ニ付テ考ヘテモ此馬匹ノ改良ト云フコトハ是ハ決シテ小事デナ
イ最モ大事ト思ハレルノデアリマス、然ルニ競馬ハ曩ニ申ス如クニ最モ馬匹ノ改良ニ必
要ナモノデアルト云フ說ガ出テ居ルノデアリマス、然レドモ亦競馬ヲスルニ付テハ一面ニ弊
害ヲ起シハセヌカ是モ亦考ヘナケレバナラヌ、唯馬バカリ良クナッテモ、社會ノ人間ガ馬
ヨリ以上ニナッテ來マスト一云フコトデハ隨分之モ困ッタコトデアル(笑聲起ル)ソレ故ニ政府
ハ目下ソレ等ノ點ニ付テ弊害ガ大ナルカ又馬匹ノ改良ニ最モ重キヲ置イテ、多少ノ弊
害ハアッテモ、馬匹ノ改良ニ最モ有益ナリト云フコトガアリマスレバ寬大ニ見ラルヽダケノ
コトハ見ルモ差閊ナイカモ知ラヌ、、故ニ其〓ニ付テハ目下深ク講究シツヽアルノデアリマス
ル尙實地ニ就テ能ク取調ヲ致シタルトコロデ馬匹ノ改良ドコロデハナイ、風俗ヲ壞敗
シテ遂ニ人間ヲ馬以上ノモノニナスト云フコトニナッテハトテモソレハ國家有益ノ事業ト
ハ認メラレヌニ依ッテ、其場合ニ至ッテハ躊躇ナク處分ヲ致ス積リデアリマス之ヲ以テ御
答辯ト致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=32
-
033・花井卓藏
○花井卓藏君 御答辯ノ趣意ニ依レバ、賭博デアルカノ如ク解シテ居ラルヽガ如クニ
見ユル併ナガラ馬以上デ有ルカ無イカト云フコトヲ審査シテ方針ヲ立テルト云フ御答
辯デアリマスガ、ドウゾ今日ノ事情ガ、果シテ馬以上デ有ルカ無イカト云フ事柄ハ十分ニ
御攻究ヲ煩ハシタイト思ヒマス尙序ニ茲ニ政府委員ニ御尋ヲシタイノハ刑法施行法
中ニ貴族院ニ於テ修正セラレタ條項ガ數多アル此修正ハ至極宜イト思フガ政府ガ
御同意ニナッタナラバ、其御同意ニナッタ理由ヲ審ニ承リタイ、私ハ此修正ハ宜イト思フ
カラ問ウノデス、問フテ本會ニ於テ明カニシテ置ク必要ガアルノデス
〔政府委員小山溫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=33
-
034・小山温
○政府委員(小山溫君) 唯今ノ御質問ニ御答〓シマスガ、此貴族院デ修正ニナリマ
シタノハ箇條ハ澤山ニナリマスルガ詰リ「刑」ノ字ガ竝ベテアリマスルトコロノ「舊刑法又ハ
他ノ法律」ト云フノヲ「他ノ法律」ヲ取ッタノトソレカラ「變更セラレタル他ノ法律」ト云
フノヲ「刑法ノ刑名ニ依リ刑ヲ定メタル法令」ト改タマッタ此二箇條デアリマス、此二箇條
ノ修正ニ付テ政府ハ異議ハ申シマセヌ、其理由ハ第二條ガ本ニナッテ居リマスガ、第二條
ノ本文ノ所ニ「又ハ他ノ法倖」ソレカラ對照シテ竝ベテアルトコロノ「舊刑法又ハ他ノ法
律」之ヲ斯ウ云フ風ニ「舊刑法又ハ他ノ法律」ト書イテゴザイマスルト舊刑法ノ刑
舊刑法時代ニ主刑ガ定メテアル刑トカ、ソレカラ又舊刑法以外ノ罰則ガアリマス、其刑、ソ
レヲ兩方共ニ籠メテ他ノ法律ノ中ヘ諸罰則ガ這入ッテ居ル譯ニナリマスガ、若シ之ヲ除キ
マスルト、他ノ罰則ノ刑ト云フモノハ取モ直サズ舊刑法ニ定メテアル刑デゴザイマスカラ、
解釋上ヤハリ這入ルコトニナリマス、唯這入リマセヌノハ-「又ハ他ノ法律」ヲ除イテシ
マフト這入リマセヌノハ、殊ニ刑名ヲ定メテアル陸軍刑法、海軍刑法ト云フモノガ這入ラ
ナクナリマス、ソレデ陸軍刑法、海軍刑法ト云フモノト、新刑法トノ間ニ步ミヲ附ケル必
要ハ新刑法施行ノ際ニゴザイマスガ、ソレハ現ニ陸軍刑法、海軍刑法ノ改正案ト云フモ
ノハ旣ニ御承知ノ通り提出ニナッテ居リマスカラ、其方ノ施行法ヲ定メナケレバナラヌノデ
アリマス、其方ニ定メサヘシマスレバ步ミガ附クデアラウ、斯ウ云フ考デ「又ハ他ノ法律」
ト云フ貴族院ノ修正ニ異議ヲ述ベマセヌノデアリマス、ソレカラモウ一ツノ方ノ「變更セラ
レタル他ノ法律」ト申シマスルモノヲ「刑法ノ刑名ニ依リ刑ヲ定メタル法令」トナリマシタノ
ハ是モ意味ハ變リマセヌデ、却テ明瞭ニ立案ノ意思ヲ現ハスモノトシテ同意シタノデアリ
マスト申シマスルモノハ此「刑法又ハ本法ニ依リ變更セラレタル他ノ法律」斯ウ云フコト
ニナッテ居リマスルト、其刑法ノ中ニ刑法施行後ニ制定ニナリマスル罰則ノ刑モ籠ッテ居ル
意味デアッタノデアリマス、併ナガラ「本法ニ依リ變更セラレタル他ノ法律」ト云フコトガ殊
ニ加ハリマスルト疑ヲ生ジテ、刑法トソレカラ刑法施行法ニ依ッテ變更セラレタル法律ト
ノ步ミガ附イテ其後ノ新刑法ニ依ッテ刑ヲ定メタル法律ニハ歩ミガ附カヌト云フ疑ガア
リマスカラ、共疑ガ却テ「刑法ノ刑名ニ依リ刑ヲ定メタル法令」トシマスルト、其疑ヲ避ケ
ルコトガ出來ルト思ヒマス、ソレデ是ニ同意致シタ所以デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=34
-
035・花井卓藏
○花井卓藏君 能ク了解致シマシタ序ニ內務省ノ政府委員ガ見エテ居ルヤウデアリ
マスカラ御尋シマスガ、刑法施行法ニ「懲治場留置ノ執行ハ刑法施行後ト雖モ從前ノ
例ニ從フ但司法大臣ハ何時ニテモ其留置ヲ解キ又ハ感化院ニ入院セシム、ルコトヲ得」
斯ウ云フ規程ガアリマス、先般當院ニ提出ニ相成リマシタ感化法ノ改正案デハ、此刑
法施行法ノ第十六條ノ但書ノヤウナ事柄ハ到底ナシ得ラレザルコトヽ私ハ信ジテ居
リマスガ、內務省ニ於テハ若シ司法大臣が全部留置ヲ解イテ感化院ニ入レルト云フコ
トニナッタナラバ異論ナク御受取ニナル御趣意デアリマセウカ、又ハ其設備ガ附イテ居
ルノデアラウカヲ御尋致シマス、是ハヤハリ第十六條ノ運用、言葉ヲ換ヘテ言ヘバ新刑
法ノ運用ニ關スル大切ナル問題デアリマス
(政府委員吉原三郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=35
-
036・吉原三郎
○政府委員(吉原三郞君) 御答致シマスルガ、唯今直グニ此留置ノ制ヲ解クト云フ
コトニナッテ居リマスト、今日ノトコロデハ之ヲ受取ル設備ト云フモノハ十分ニ附イテ居ラ
ヌノデアリマス、卽チ今日迄ノ法律ニ於テハ、各地方ニ於テ任意ニ感化院ヲ設置スルト
云フコトニナッテ居リマシテ、現在ノ二府三縣ニ出來テ居ルダケデアリマスカラ、直チニ一
方ヲ解放シテ差支ナイト云フコトニハ今日ナッテ居リマセヌ、ソレ故ニ本院ニ向ッテ感化院
法ノ改正案ヲ提出致シマシタ次第デゴザイマスルガ、イヅレ之ヲ解クト云フコトニナリマス
レバ之ヲ受取ルコトノ設備ノ有無ニ拘ハラズ司法大臣ニ於テ之ラ解クト云フヤウナコ
トハ無イト云フコトヲ信ジテ居リマスルノデ、サウニフ差支ガ生ジテモ構ハナイ、之ヲ解クト
云フヤウナ事實ハ生ジマイト考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=36
-
037・花井卓藏
○花井卓藏君 サウスルト斯ウ云フ話デスナ、今解カレルト甚ダ困ル、設備ガ無イ、併
ナガラ司法大臣ガ解カナイト云フヤウナ約束ガ出來タ、斯ウ云フ御答デゴザイマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=37
-
038・吉原三郎
○政府委員(吉原三郞君) 約束ガ出來テ居ルトマデハ申上ゲマセヌガ、政府ニ於
テ同ジ政府ニ於テサウ云フ跛ニナルヤウナ處分ハ必ズ出來ナイコトデアリマセウトームフ
コトヲ申上ゲタノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=38
-
039・恒松隆慶
○恆松隆慶君 木案ハ先ニ申上ゲマシタ通リ、四十五名ノ委員ニ付託セラレンコトヲ
望ミマス、花井君モ委員會ニ於テ十分質問セラレタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=39
-
040・杉田定一
○議長(杉田定一君) 恆松君發議ノ通リ、日程第三ヨリ第十四ニ至ルマデノ議案
ハ議長指名四十五名ノ委員ニ付託スルト云フ說ニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=40
-
041・杉田定一
○議長(杉田定一君) 御異議ハナイト認メマス、其通リ決シマシタ-日程第十
五、神社財產ニ關スル法律案第一讀會議案ノ朗讀
第十五神社財產ニ關スル法律案(政府提出貴族院送第一讀會
附)
〔書記朗讀〕
神社財產ニ關スル法律案
第一條本法ニ於テ神社ト稱スルハ官國幣社、府縣社以下ノ神社ヲ謂ヒ財
產ト稱スルハ神社ノ不動產及實物ニシテ登錄ヲ受ケタルモノヲ謂フ
第二條地方長官ノ許可ヲ受ケスシテ神社財產ヲ擔保ニ供シ又ハ處分シタ
ルトキハ之ヲ無效トス神社ノ負債ニ付亦同シ
第三條神社財產ヲ處分スル場合ニ於テ其ノ神社ノ神職、氏子總代及崇敬
者總代ハ之ヲ取得スルコトヲ得ス
第四條神社財產タル境內地、社殿其ノ他境內地ニ在ル工作物及寶物ハ之
ヲ差押フルコトヲ得ス
第五條神社ノ不動產及寶物ハ地方廳ニ於テ保管スル臺帳ニ登錄ヲ受クヘ
シ
登錄ニ關スル事項及登錄ト不動產登記トノ關係ニ付テハ勅令ヲ以テ之ヲ
定ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法ハ別格官幣社靖國神社ニ之ヲ適用セス
(政府委員吉原三郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=41
-
042・吉原三郎
○政府委員(吉原三郞君) 本案提出ノ理由ヲ一言致シマスルガ、是マデ此官國幣
社以下ノ各神社ニ對スル財產負債等ニ關シマスル規程ハ、種々ノ形式ヲ以チマシテ切
レ〓〓ニ出テ居リマスルノデ、法制ノ統一モ缺キマスルシ、又實行上ニ差支ヲ生ズル
場合モゴザイマスルノデ、此法律ニ依リマシテ此法制モ統一スルシ、又神社ノ財產ノ鞏
固ヲ圖リタイト云フノデ本案ヲ提出致シマシタ次第デアリマス、御協賛アランコトヲ希望
致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=42
-
043・杉田定一
○議長(杉田定一君) 別段御質問モナイヤウデアリマスデ、次ノ日程ニ移リマス、日
程第十六、右議案ノ寄査ヲ付託スヘキ委員ノ選舉
第十六右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選舉発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=43
-
044・恒松隆慶
○恆松隆慶君 本案ハ九名ノ委員、議長指名ニナランコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=44
-
045・杉田定一
○議長(杉田定一君) 恆松君發議ノ通リ九名ノ委員、議長指名ニ御異議ハアリマ
セヌカ
(「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=45
-
046・杉田定一
○議長(杉田定一君) 御異議ハナイト認メマス-此際御諮リ申スコトガアリマス、
原田赴城君病氣ニ付キ、都制法案外三件ノ委員ヲ辭任ノ申出ガアリマス、許可シテ
御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=46
-
047・杉田定一
○議長(杉田定一君) 御異議ハナイト認メマス、同委員ハ議長ノ指名ニ付キ、補缺
トシテ安達謙藏君ヲ指名致シマス、尙御諮り申スコトガアリマス、撫順炭坑開發ニ關ス
ル建議案ノ委員大淵龍太郞君病氣ニ付キ、辭任ノ申出ガアリマス、許可シテ御異議
ハアリマセヌカ
(「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=47
-
048・杉田定一
○議長(杉田定一君) 御異議ハナイト認メマス、同委員ハ議長ノ指名ニ付キ補缺ト
シテ荒川五郞君ヲ指名シマス、日程第十七、間接國稅犯則者處分法中改正法律
案〓、第一讀會ノ委員長海野謙次郎君
第十七間接國稅犯則者處分法中改正法第一讀會ノ續(記錄)
律案(政府提出貴族院送付)報告
〔海野謙次郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=48
-
049・海野謙次郎
○海野謙次郞君 間接國稅犯則者處分法中改正案委員會ノ結果ヲ御報告致シマ
ス、本案ハ極ク簡單ナモノデハゴザイマスガ、一應其改正ニナリマシタ理由ヲ申述ベマス
ノデゴザイマスガ、此現行法デゴザイマスガ改正ニナリマシタ第八條ノ現行法デゴザ
イマスガ、日出後日沒マデ臨檢搜索ヲシテ居リマストコロガ、旣ニ日沒前ニ著手致シマシ
タモノガ、日沒ニナッテ中止スルト云フヤナ場合ニハ證據ノ湮滅スルト云フヤウナ恐ガゴ
ザイマスノデ、今度日沒後ニソレヲ繼續スルコトヲ得ト云フコトニナリマシタ、又一ツハ現
行法ニ依リマスト沒收品ニ該當スル物品ハ直チニ稅務署ニ送達スルト云フコトニナッテ居
リマス、サウ云フコトニナリマスト、官民相互ノ間ニ不便ガゴザイマスノデ、時トシテハ其沒
收品ニ該當スルモノヲ稅務署ニ通〓シテ置ケバソレデ宜イト云フヤウナ改正案ニナツテ居
リマス、是ハ何レモ至當ノモノト委員會ハ認メマシテ全會一致ヲ以テ決議致シマシテゴザ
イマス、ドウカ本會ニ於テモ速ニ御決議アランコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=49
-
050・杉田定一
○議長(杉田定一君) 別段御議論ガナイヤウデアリマスデ、採決致シマス、本案ノ二讀
會ヲ開クベシト云フニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=50
-
051・杉田定一
○議長(杉田定一君) 御異議ハナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=51
-
052・恒松隆慶
○恆松隆慶君 直チニ二讀會ヲ開キ、讀會ヲ略シテ確定セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=52
-
053・杉田定一
○議長(杉田定一君) 恆松君發議ノ如ク直チニ二讀會ヲ開キ、讀會ヲ省略シテ確
定スルニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=53
-
054・杉田定一
○議長(杉田定一君) 御異議ハナイト認メマス、直チニ二讀會ヲ開キマス
間接國稅犯則者處分法中改正法律案確定議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=54
-
055・恒松隆慶
○恆松隆慶君 委員長報告通リ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=55
-
056・杉田定一
○議長(杉田定一君) 委員長報告通り御異議ハゴザリマセヌカ
(「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=56
-
057・杉田定一
○議長(杉田定一君) 御異議ハナイト認メマス、是ニテ本案ハ確定シマシタ、日程第
十八ヨリ二十二ハ同一委員ノ付託デアリマスデ、併セテ同委員長ヨリ報告サセマスー
栗原亮一君
沖繩縣及東京府小笠原島伊豆七委員長
第十八島ニ於ケル酒造稅ニ關スル法律案第一讀會ノ續(報〓
(政府提出)
第十九沖繩縣酒類出港稅則中改正法律第一讀會ノ續(報〓(委員長)
案(政府提出)
第二十酒母醪及麴取締法中改正法律案第一讀會ノ續一を受けて、
(政府提出)報告
第二十一煉乳原料砂糖戾稅法案(政府第一讀會ノ續就會人
提出)報告
第二十二地方稅制限ニ關スル法律案(政第一讀會ノ續(報告調節を受け、
府提出)
〔栗原亮一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=57
-
058・栗原亮一
○栗原亮一君 日程第十八ヨリ二十一一ニ至ルマデ一括シテ報告ヲ致シマス、沖繩縣
及東京府小笠原島伊豆七島ニ於ケル酒造稅ニ關スル法律案、沖繩縣酒類出港稅
則中改正法律案、酒母醪及麴取締法中改正法律案、煉乳原料砂糖戾稅法案地
方稅制限ニ關スル法律案、此五案デアリマス、此五案ハ酒造稅ノ改正案ト同時ニ委
員ニ付託セラレタノデアリマシタガ、此審査ガ後ニナリマシタカラ、今日御報告申スノデア
リマス、是ハ酒造稅增加、砂糖稅增加、是等ト密接ナル關係ヲ有スルモノデアリマス、
此等ノ案ハ極ク簡單ナモノデアリマスガ、沖繩縣、東京府、小笠原島、伊豆七島ニ於
ケル酒造稅ノ改正法律案、是ハ酒造稅ガ增加ニナリマシテ旣ニ通過ヲ致シテ、此法律
案ニ於キマシテハ、是マデ沖繩縣、伊豆七島ハ酒造稅ヲ施行セズトシタノデアリマスケレ
ドモ彼ノ改正案ニ於キマシテハ施行スルトナッタノデアリマス、サウスルト今迄稅ノ掛ッテ
居ナイモノガ突飛ニ二十圓ニナル、斯ウ云フ譯デアリマスカラ、ドウシテモ此法律案ガナ
ケレバ餘リ急激ナコトニナルト云フノデアリマス、此案ハ造石稅ハ當分三分ノ一ダケ取ル
ト云フ案デゴザイマス、沖繩縣ノ酒類出港稅ハ稅ノ方ハ三分ノ一デアリマスカラシテ、是
マデ沖繩縣ヨリシテ酒ヲ他ニ出ス時分ニ全部酒造稅ガ掛ッタノデアリマスケレドモ、今囘
ハ三分ノ一ノ稅ヲ課スルカラ、之ヲ出港ノ際卽チ他ヘ出ストキニハ三分ノ一ダケヲ輕減
ヲスルト云フ案デアリマス、ソレカラ酒母醪及麴取締法中改正法律案、是ハ唯取締ヲ
嚴重ニスル法案デアリマス、煉乳原料砂糖戾稅法案ハ「ミルク」ノ製造ガ近來內地ニ開
ケタケレドモ尙此事業ガ幼稚ニシテ甚ダ發達ガムツカシイ、ソレデ「ミルク」製造ニ使ッタ
砂糖ニハ、砂糖ノ消費稅ヲ「ミルク」製造者ニ戾シテヤルト云フ法案デアリマス、此法案
ハ砂糖稅ノ增徵ガナクテモ必要デアッタガ、特ニ今囘砂糖稅ノ增シタタメ、一層戾稅ノ必
要ヲ減ジタノデ、之ヲヤラナケレバ此事業ノ發達ドコロデハナイ、事業ノ衰微ヲスル形勢
デアルカラ、之ニ對シ戾稅ヲシテ此製造業ヲ奬勵スルト云フ趣意カラ出タノデアリマス、
原案ニハ施行期限ガ四十二年四月一日ヨリトアリマスケレドモ、砂糖モ非常ニ高價ニ
ナッタ今日一年間モ其儘ニ置イタナラ益〓衰微ヲスル譯デアルカラ、之ヲ保護奬勵スルナ
ラバ四十二年ヲ俟タズ、四十一年四月一日ヨリ施行スルガ宜カラウト云フコトデ、是ハ政府
モ同意ニナリマシタ、ソレカラ此法律ノ有效期限ガ四十四年七月十六日限リトシテアリ
マスガ、是ハ國定稅率ナラバ其稅率ヲ改正スレバ宜イノデアルケレドモ、協定稅率デアル
カラ、協定稅率ノ廢止セラルヽ期限ガ四十四年七月十六日ニナッテ居ルノデ其以後
ハ國定稅率ヲ高メレバ別ニ法律ノ必要ガナイ、故ニソレ迄效力ヲ持タス期限ガ付ケテア
ルノデアリマス、ソレデ之ニ使フトコロノ砂糖ハ甚ダ少ナイカラ戾稅ノ金額ハ一万圓足ラ
ズデアリマス尤モ此事業ガ發達スレバ、戾稅ガ增加スルケレドモ、其代リ內地ノ生產事
業モ發逹スル譯デ、金額モ至ッテ少ナイモノデアルカラ、是ハ當然ナル譯ト云フノデ、委員
會ニ於テモ右修正ヲ以テ贊成致シタノデアリマス、ソレカラ地方稅制限ニ關スル法律案、
是ハ前議會ニ木院ニ提出ニナリ、大多數ヲ以テ通過シタ議案デアリマスガ、貴族院ニ
於テ可決ニ至ラズシテ終ッタノデ、再ビ此ニ提出ニナッタノデス、此案ノ內容ハ昨年提出
ノ案ト大同小異デアリマス、彼ノ戰時稅ヲ課シタ際ニハ段々地方ノ財源ヲ枯ラス、從ッテ
中央ノ財政ニモ影響スル譯デアルカラ、地方ノ課稅ニ約一千万圓ダケヲ輕減スル目的
デ府縣ノ地租ハ十分ノ五、其他ノ公共團體ハ十分ノ三、營業稅所得稅ハ百分ノ三十
ヲ超ヘル附加稅ヲ課スルコトハ許サヌト、斯ウ云フコトニナッテ居ッタ、又地租營業稅、所
得稅及礦區稅ハ戰時稅ヲ增徵サレタガ、ソレニ對シテハ絕對ニ附加稅ヲ課スルコトハ出
來ナイ、此ノ如キ制限ガ附シテアッタガ、今日ノ場合ニ於テハ此制限ノ儘デハ地方必要
ノ事業ガ如何ニモ實行出來ナイ、甚ダ窮屈ヲ感ズル、且又戰時稅ト普通稅ガ區別シテ
アッテ、戰時稅ニハ附加稅ヲ課スルコトハ出來ヌ、ソレ故徵稅ノ際ニモ、是ハ戰時稅、是
ハ普通稅ト分ケテ、手數モ經費モ多ク掛リ不便デアルカラ、改正スル必要ガアルトシテ、
昨年モ提出ヲサレタノデアリマスガ、此法律ガ成立シタトキハ地方ノ負擔ガ重クナル、
或ハ是ハ一種ノ增稅ノヤウナ譯デアル、斯樣ナ說モアリマシタケレドモ、議案ノ內容ヲ審
査スルニ、稅額デハ殖エテ居ルガ、改正案デハ此率ノ方デ前ヨリズット減ゼラレテ居ル、其
例ハ府縣北海道ノ地租、附加稅ハ現行法デ百分ノ五十トナッテ居ルケレドモ、是ガ今
度ハ百分ノ二十五トナッテ、卽チ稅額デハ殖エテ居ルガ、稅率デ半額ニナッテ居ルソレ
カラ營業稅附加稅ハ現行法ガ百分ノ三十デアルガ、改正案ハ百分ノ十トナッテ、三分
ノ一ニ減ジテ居ル所得稅附加ガ百分ノ三十ト云フ現行デアルノガ、百分ノ五ト改正サレテ
居ルカラ、六分ノ一迄ニ減ジテ居ル、市町村稅デハ地租附加稅ガ現行百分ノ三十デアル
ノガ、百分ノ十五トナリ、半減ニナッテ居ル營業稅ガ百分ノ三十ガ、百分ノ十五トナリ、
是モ半減ニナッテ居リマス、所得稅ガ百分ノ三十ト云フノガ百分ノ十五トナリ、半減ニ
ナッテ居ル、斯ノ如クニ稅額ハ殖エテモ稅率ガ半減以下ニモナッテ居ルノデアルカラ、サウ
非常ニ稅ガ膨脹スル次第デハナイ、ソレデ此制限ヲヤハリ嚴重ニ置クガ宜イト云フ議論
モアリマシタガ、之ヲ少シ緩メナケレバ地方デ仕事ヲスルニ戶數割ヲ取ッタリ、公債ヲ起
シ、又ハ協議費ニ依ルト云フコトニナッテ、却テ弊害ガアルカラ制限ヲ立テヽ徴稅スベキモ
ノハ徵稅シテ斯樣ナモノニ依ルコトハ避ケルガ地方財政整理上宜シイト云フコトデアリマ
シタ、第五條ニ於テ特別ノ必要アル場合ニハ內務、大藏兩大臣ノ許可ヲ受ケテヤル一定
ノ制限ヲ立テヽアリマスガ、今タケデハトテモ必要ノ場合ニ不足スルノデアルカラ、改正案
ニ於テハ一定ノ制限ヲ超ヘテ百分ノ四以內ニ於テ課稅スルコトヲ得ルト云フコトヲ許サ
レテ居ル、地方ニ於テハ特ニ小學校ノ義務〓育年限ノ如キ、延長サレタ譯デ、段々學校
モ擴張スル必要ガアル、又衞生ノ如キ今日ノ儘デハ必要ノ事業ヲヤリ惡イ譯デアルカラ、
必要ノ場合ニハ十分ノ四マデハ課稅ヲ許ス、十分ノ四以內ヲ限ッテモモノニ依ッテハ事ノ
辨ジナイコトガアルカラ、左ニ揭ゲル場合ニハ、特ニ內務、大藏兩大臣ノ許可ヲ得テ前
項ノ制限、卽チ十分ノ四以內ノ制限ヲ超過シテ課稅スルコトノ出來ル場合ガ規定サレ
タノデアリマス、ソレハ第一ハ「負債ノ元利ノ償還ノ爲費用ヲ要スルトキ」是ハ內務大
藏兩大臣ノ許可ヲ受ケテ負債ヲ起シタノデアリマスカラ既ニ負債ヲシタ以上ハ元利償
還ノタメ費用ヲ要スルノデ、十分ノ四以外ハナラヌトー云フ譯ニ往カヌカラ、斯樣ナ場合ニ
ハ十分ノ四以內ニ拘泥セズシテ制限ヲ超ヱルコトガ出來ル、第二ハ「非常ノ災害ニ因リ
復舊工事ノ爲費用ヲ要スルトキ」是ハ新事業ヲ起スニアラズシテ、復舊ダケノコトデア
リマスカラ河川堤防等ヲ修理シテ半分デ置クトカ、或ハ七分通リデ置クト云フ譯ニ往カ
ヌカラ、是等ハ制限外ヲ許スノデアリマスソレカラ第三ハ「水利ノ爲費用ヲ要スルトキ」
現ニ是ハ水利組合法案モ本院ニ提出ニナッテ居リマシテ、是ハ組合ニ於テ仕事ヲスルナ
ラバ地方ニ於テ有利ナル事業デアルカラ、水利組合ノ費用ノタメニハ之ヲ許スコトニ規
定サレテアリマス原案ニ於キマシテハ唯今申シタトコロノ一二三デアリマシタケレドモ5년간
ダケデハ甚ダ事ヲ辨ズルニ差支ガアル殊ニ傳染病デアリマス、是等ハ隨分場合ニ依ッテ
ハ莫大ナル費用ヲ要シテ、サウシテ此三ツニ限ラレテ居ル時分ニハ、傳染病ノタメニドウ
スルカト云フト、其制限外ニ於テ公債ヲ起スヨリ仕方ガナイ斯ウ云フコトニナリマスカ
ラ、斯ウ云フコトノタメニ公債ヲ起スノモ、甚ダ面白クナイ、傳染病ハ時々アルコトデアル
カラ、因テ此以外ニ於キマシテ第四ヲ加ヘテ「傳染病豫防ノ爲費用ヲ要スルトキ」斯ウ
云フ一項修正ガ追加サレタノデアリマス、ソレデアトハ唯文字ノ改正デアリマスガ、第
一條ノ第二項ニ「間切島」トアリマス、沖繩縣ニハ今ハ町村制ガ施行サレマシタカラシ
テ、之ヲ「町村」ト修正ヲスル、先ヅ此本案ヲ贊成シタルトコロノ趣意ハ斯ノ如キモノデア
リマンテ、一二反對ノ論者モアリマシタ、其反對論ハ是ハ制限ヲ緩メルノデアルカラ、一
種ノ增稅デアルト云フ議論モ出マシタ、ソレカラモウ一ツハ此改正案ニ於テ步合ガ定メテ
アルケンドモ若シ此地租、營業稅、所得稅、是等本稅ニ於テ或ハ大ニ增ストカ減ル
トカ異ジノアッタトキニハ、此率ガ從ッテ動ク譯デアルカラ、又此地租、所得稅、營業稅、
是等ガ整理案トシテ此禾員會ニ付託中デアリマシテ、若シ是等ニ付テ大ナル異動ガアツ
タ時分ニハ稅率モ從ッテ變ル譯テアル、此案ハ他ノ整理案ノ稅率ト關係ヲ持ツ譯デアル
カラ、其時ニ於テ同時ニ議定スルガ當然デアル斯ノ如キ議論モアリマシタケレドモ、地
方稅制限ハ是ハ昨年モ本稅ニ於テ大多數ヲ以テ通過致シタ問題デアリマシテ、又地方
ニ於テハ〓育勸業衞生等ノ經費制限ハ、トテモ今ノ儘デ堪ヘラレヌ譯デアルカラト云
フノデ、甚ダ急ヲ要スル問題デアリマシタカラ、此關聯スルトコロノ四ツノ案ト、地方稅
制限ニ關スル法律案、先ヅ是ダケヲ決議ヲ致シタノデアリマシテ、此地方稅制限ニ付
キマシテハ一二ア反對モゴザイマシタガ、前申ストコロノ酒ニ關スル三案煉乳原料砂糖戾
〓法案此團業者會セタクニノ農議クシチ差コ會ノ決定致シタシテリ此段
報〓致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=58
-
059・福井三郎
○福井三郞君 質問ガアリマス、今委員長カラ報告セラレタ中ノ四ツノ中ノ一番始マ
リ第十八八神經及後東軍府中金原始伊以七高三效ヶ酒造被ニ關スル法
之ニ付テ少シク質問シタイ、委員長カラデモ政府委員カラデモ宜シウゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=59
-
060・栗原亮一
○栗原亮一君 ゾレデハ政府委員ノ方カラ·発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=60
-
061・福井三郎
○福井三郞君 小笠原島及伊豆七島ハ御承知ノ如ク我本土ヲ距ルコト七百海里
乃至百七八十海里ノ南洋ニ〓在シテ居ル、其生活ノ狀態ハ熱帶地方ト同ジコトデア
ル、故ニ極メテを度ノ强イ火酒ヲ島民ハ嗜シデ居ル若シ一日モ此火酒ガナカッタナラバ勞
働ニ從事スルコトガ出來ナイ、是ガ卽チ小笠原島及伊豆七島ノ生活狀態デアル、所デ
往年、酒造稅法ヲ彼地ニ施行シタ時分ニ、島民ノ醇朴ナル其法律ノ準用ニ慣レナイガタ
メニ、從來每戶ニ造ッテ居ッタを燒酎ナルモノヲ造ルノヲ止メテ、內地カラ「アルコホル」ヲ
輸入シタ、サウシメテ「アルコホル」ヲ澤山飮ンダ結果トシテ「アルコホル」ニ中毒シタモノガ
無數アッテ、殆ド島民ヲシテ遺類ナカラシメントスルニ至土タタデデル、是ニ於テ當時ノ當
局者ハ酒造稅法ヲ彼地ニ施行スルコトヲ中止シタ、、所ガ其後明治三十二年ニ於ケル酒
造稅法ノ改正ニ依ッテ、一般ニ自家用釀造ヲ禁ゼラレタル場合ノ如キモ、此理由ニ基イ
テ當院ノ修正ニ依ヲテ、同ジク彼地ニハ酒造稅法ヲ施行セヌ、今日マデ彼地ニハ酒造稅
法ヲ施行セヌト云フコトニナッテ居ル、斯ノ如ク彼地ハ酒造稅法ノ施行ノ取除地トナッテ
居ルト云フ理由ハ、熱帶ノ土地で强度ノ火酒ヲ飮マヌト一日モ立タヌト云フノデ、ソレ
ヲ自家用ヲ禁ズルト云フコトニナルト、島民ノ生活狀態ニ偉大ナル激變ヲ來シテ、遂
病ニ罹ッテ遺類ナキニ至エノ恐ガアルカラ、今日之ヲ取除ケテアル、サウシタラバ今度之ヲ
彼地ニ施行スルト云フコトニ付テハ、其生活狀態ハ今ハ彼地ニ施行スルモ最早憂フルニ
足ラザルマデニ變化シタノ。アアルカ吝ヤ、之ヲ委員會ニ於テ調査セラレタナラバ委員
長ヨリ御答ヲ願ヒタイ、若シ其邊マデ調査ガ屆イテ居ナイナラバ政府委員カラ御答ヲ
願ヒタイ、是ガ年齡トカ乃至〓育トカ云フ問題デアルナラバ、三十二年カラ殆ド十年經
テ居ルカラ、其時十歲ノ者ハ二十歲ニナッテ居ルカラ心配ナイト云フコトモアル、又其時
無學ナ者ハ今ハ學者ニナッタト云フコトモアルガ、氣候ノ關係テ取除ケテアルモノハ、十
年經テモ二十年經テモ同ジコトダ、今俄ニ熱帶地ガ溫帶地ニ變ジタト云フ次第デモ
アルマイ、サウミラ見ルト今日彼地ニ此法律ヲ施行シヤウト云フニ付テハ、
最早既往
ノ如キ心配ハナイト云フコトヲ認メタ上デナケレバナラナイ、ソレハ如何デアルカ、委員長
デモ政府委員デモ何デモ宜シイ御答ヲ得タイ
〔政府委員水町袈裟六君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=61
-
062・水町袈裟六
○政府委員(水町袈裟六君) 御答致シマス、一旦以前ノ施行ニ係リマシテ又中止
シマシタコト、是ハ御質問ノ通リデゴザイマス、併シ其際ニ中止致シマシタノハ唯强度ノ「ア
ルコホル」ヲ用井テ衞生ヲ甚シク害スルト云フ其單純ノ理由デハナイノデゴザイマシテ、新
附ノ民デゴザイマシテ、マダ內地ノ本國ノ法制ニモ憤レヌデゴザイマスカラ、餘程マグ寬大
ノ手加減ヲ要シマスルトキデゴザイマシタカラ、一日施施致シタモノノ先ヅ見合セル方ガ
得策デアラウト云フガ主タル理由デ中止ヲ致シタ譯デゴザイマシタ、併シ今日ニナリマシテ
ハ最早王化モ向フニ及ンデ居ルコトデゴザイマスシ地租條例モ施行致スコトデアリ、內地
ノ法制ト略〓同一ノ程度ニ進ンデ參ッテ居リマスシ、又生活狀態ニ致シテモ、從前ニ比ベ
マスルト餘程進步致シテ居ルヤウナ工合デゴザイマシテ、モウ此位ノ御手ニアリマスヤ
ウナ程度ノ穩ナル稅ヲ課シマスルト一フフコトモ、左迄害ハアルマイト考ヘマシテ、ソレデ提
出ヲ致シマシタ譯デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=62
-
063・福井三郎
○福井三郞君 尙モウ一遍質問致シタウゴザイマス、ソレデ小笠原島竝ニ伊豆七島カ
ラ三分ノ一ノ課稅ヲシテ上ル處ノ金額ハ、ドノ位上ル御見込デアリマスカ
〔政府委員水町袈裟六君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=63
-
064・水町袈裟六
○政府委員(水町袈裟六君) 御答申シマスガ、小笠原島ノ方ハ單純ノ取締ノ目的デ
施行スルヤウニナッテ居リマスカラ、計算ハ殆ドマダ出來テ居リマセヌデゴザイマス、沖繩
縣ノ方ハ從來ノ實際ニ鑑ミマシテ、約十四五万圓ノ上リ。高テアラウト云フ豫定デゴザ
イマス併シ是ハ極ク單純ノ豫定デゴザイマシテ、確乎タル數字デハゴザイマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=64
-
065・福井三郎
○福井三郞君 沖繩縣ノ方デスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=65
-
066・水町袈裟六
○政府委員(水町袈裟六君) 沖繩ノ方十四五万······発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=66
-
067・福井三郎
○福井三郎君 小笠原ト伊豆七島ハ分リマセヌカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=67
-
068・水町袈裟六
○政府委員(水町袈裟六君) コッチノ方ハ今申シマス通リ、唯取締ト云フコトヲ主眼
ニシテ居マスカラ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=68
-
069・福井三郎
○福井三郞君 吾〓ハ百圓モ上ルマイト思ツテ居マスガ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=69
-
070・水町袈裟六
○政府委員(水町袈裟六君) 或ハサウカモ知レマセヌ、マダ計算ハ出來テ居リマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=70
-
071・福井三郎
○福井三郞君 百圓ト云フハ極ク端カモ知レマセヌガ、千圓モ上ルマイト思ヒマスガ、ソ
レ等ノ御見込ハ立チマセヌカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=71
-
072・水町袈裟六
○政府委員(水町袈裟六君) 見込ハ全ク立チマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=72
-
073・恒松隆慶
○恆松隆慶君 十八ヨリ二十一マデハ一括トシテ議題トセラレンコトヲ望ミマフ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=73
-
074・杉田定一
○議長(杉田定一君) 恆松君發議ノ如ク、日程第十八ヨリ二十一マデヲ一括トシテ
議題ニ供スルニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=74
-
075・杉田定一
○議長(杉田定一君) 御異議ハナイト認メマス、一括トシテ議題ニ供セラレマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=75
-
076・福井三郎
○福井三郞君 本員ハ十八ノ日程ニ上ッテ居リマス案ニハ反對致シマス、極ク簡單デ
ゴザイマスカラシテ、此處デ其理由ヲ述ベテ置キマス其理由ハ前來質問ノ際ニ述ベタル
ガ如ク、極ク簡單ナ理由デ其質問ヲ以テ直テニ反對ノ理由ト致シテ宜カラウト思フ、又
政府ノ御答ニ依ルト單ニ衞生ト云フコトノ一事ヲ憂ヘテ一時施行ヲ中止シタノデハ
ナイト云フケレドモ、當時ノ中止ハ專ラ衞生狀態ノ激變ヲ氣遣フニ在ッタヤウデアルト
本員等ハ記憶シテ居リマス、而シテ今後ドウデアルカト云ッタナラバ、今後彼地ニ酒造稅
法ヲ施行シテ、ソレデサッパリ酒ヲ飮ムコトノ自由ヲ禁シテシマフ自由ハ禁ジナイケレ
ドモ彼等が買ッテ飮ムコトガ出來ナイト云フコトニナッタナラバ、內地カラ豫想スルコトノ出
來ナイ、彼處ニハ生活狀態ノ激變ヲ來スト思フ、其結果ハ實ニ彼ノ島民ヲシテ遺類ナカ
ラシムルト云フヤウチ恐ルベキコトニナラウト思フ、故ニ今日マダ施行スルノハ早カラウ、ソ
レデモ莫大ノ收入ガアッテ經濟ノ足ラヌ今日ニ於テ是非ソレヲ得ナケレバナラヌト云フ程
ノ金額デモ得ラルヽト一云フコトナク、免ニ角トテモソンナコトヲシタトコロガ、徵稅ノ費用ヲ
償フニ足リマスマイ、若シ上ッタモノガアルトスレバ、ソレハ徒ニ徵稅ノ費用ニ費ヘテシマ
フ或ハ徵稅ノ費用ハアノ島デ上ルモノダケデハ足ラズ、又內地カラ幾干カ持出スト云フ
ヤウナ得失相償ハヌヤウナコトヲ生ジハセヌカト思フト云フヤウナ情ナイ有樣デアルニ、殊
更ニ生活狀態ノ激變ヲ來ス憂アルモノヲ無理ニ施行スルト云フ必要ハナカラウト思フ、
故ニ是ハ今斬ロク其儘ニ置カレテ、他日緩ックリ總テノ狀態ヲ調ベラレテサウシテ彼地ニ施
行セラルヽトモ遲クハナイト思ヒマスカラ、特ニ此法律ヲ今ノ彼地ニ施行スルト云フコト一
付キテハ、本員ハ其理由ヲ以テ全然反對ヲ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=76
-
077・森本駿
○森本駿君 私ハ今ノ福井君ノ議論ニ反對ノ意見ヲ言ヒタイ、併シ極ク簡單デスカラ
此處カラ言ヒタイト思ヒマス、(「マダ贊成ガナイ」ト呼フ者アリ)贊成ガアッタラ三ロウテモ宜シ
イケレドモ、賛成ガアリマスカ(此時福井三郞君「皆默ッテ居ルノハ異議ノナイ人デス」ト
呼フ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=77
-
078・杉田定一
○議長(杉田定一君) 反對演說ヲシテ宜シイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=78
-
079・森本駿
○森本駿君 極ク簡單デスカラ、此處カラ申シマス、贊成ハナイヤウデスガ蓋シ其附近
ニ於テ贊成ガアルコトヲ恐レマスカラシテ、一言申シマス、福井君ハ伊豆七島ノコト及小
笠原島ノコトヲ主トシテ仰シヤラレルケレドモ、沖繩縣ノ方ハサウスレバ差支ナイノデアル
カドウカト云フコトヲ福井君ニ問ヒタイト思フガ、問フノ必要ハナイ(福井三郞君「御答シ
マセウ」ト呼フ」)イヤ、宜シイ、伊豆七島及小笠原島ニ於テ·発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=79
-
080・杉田定一
○議長(杉田定一君) 能ク分リマセヌカラ、登壇シテ御ヤリナスッタ方ガ分ッテ宣シウゴ
ザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=80
-
081・森本駿
○森本駿君 簡單ニヤル、若シ此儘デ通ルコトニスレバ、伊豆七島小笠原島ナドハ···発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=81
-
082・杉田定一
○議長(杉田定一君) 登壇シテナスッタ方ガ宜シウゴザイマス
〔森本駿君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=82
-
083・森本駿
○森本駿君 極ク簡單デスカラ、登壇ニ及バヌト思ヒマシタケレドモ、尙諸君ニ酒ノ趣
旨ハ明瞭ナラシメルコトノ必要アリト信ジテ、登壇シテ辯明致シマス、併ナガラ簡單デス
若シ伊豆七島及小笠原島ニ福井君ノ如クシテ原案ヲ通過セシムルト云フコトニナリマス
ト無稅カラシテ直チニ二十圓ノ稅率ヲ課セラルヽト云フ結果ヲ來スノデアルカラシテ、是
ハドウシテモ此法律ヲ通過シテ、サウシテ三分ノ一ノ極ク廉イ率二置カシムルト云フコト
ガ必要デアラウト思フ、三分一ノ率ト申シマスルト一一十圓ノ三分ノ一ハ、七圓ニナラヌノ
デアリマシテ、現行ノ麥酒ノ稅ヨリカ廉タナルト云フ位ノトコロデアリマス、而シテ福井君
ノ議論ニ依リマスト、自家用料ヲ昔許シテ置イタト同樣ナ理窟ヲ以テ今日伊豆七島ヤ
八丈ノ島ニモ許サナケレバナラヌノニ、人間ガ丁年ニ達シタトカ云フノトハ違ッテ氣候ノ
關係カラシテ、此ノ如クシタト云フナラバ氣候ハ變ゼヌト云フコトデアリマスケレドモ
アノ地方ノ狀態ハ福井君ハ直接ニ御出ニナッテ御承知デアルカドウカ知リマセヌケレド
モ吾〓ノ政友ノ中ニハ此小笠原島ニハ直接ニ行ッテ承知シテ居ル者モアルノデアリマ
ス、又私ハ直接ニ沖繩縣ニ行ッテ、沖繩縣ノ狀態モ承知シテ居リマスガ、今日文化ノ程
度ニ比ベテ見マスルト最早前ニ除外例ニシタ場合ヨリカハ大ニ違ウテ、而シテ彼等ハ日
本ノ義務ニ服従シテ十分ノ國民ノ義務ヲ盡シテ居ルノデアル、今日ニ於テ酒ダケノ除外
ヲ望ムト云フ程ノ未ダ文化ノ程度ガ低イト云フ程ニハナイ、併ナガラ小笠原島ヤ此伊豆
七島ト云フモノニ於テ、財源ニ之ヲ取ルナラバ殆ド計算ニ上ラヌ位デアッテ、當局者モ未
タ十分ニ豫算ラシテ居ラヌト云フ位デアリマスケレドモヽ若シ之ヲ除外ヲシタナラバ此所ニ
大ナル製造ヲ起スト云フヤウナル憂ガアルノデアリマスカラシテ、ソレデ酒稅ヲ苟モ高クシタ
結果トシテ取締ヲスルノニハ外ニ造リ得ルヤウナ餘地ノナイヤウニスルト一云フコトノ必要ガ
アルノデアリマス、ソレカラシテ取締上伊豆七島、八丈島等ニ於テ此位ナル稅ヲ掛ケルト
云フコトハ敢テ酷ナル取扱ヲシタト云フモノデハナイノデアリマシテ、若シ酒稅ノ上ッタ結果
ヲ得ヤウト云フコトヲ期スルナラバ、此稅法ヲ通過スルコトガ必要ト信ジマスカラシテ、福
井君ノ御議論ハ多少杞憂ニ屬スルモノト信ジマシテ、原案ヲ私ハ賛成致シマス
〔「採決」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=83
-
084・福井三郎
○福井三郞君 質問ガアリマス、小サイ問題デアルト云ヒマスケレドモ、實ニ小笠原島、伊
豆七島ノ島民ノ生命ニ係ル大問題デアル故ニ、今少シク御攻究ヲ願ヒタイ、櫻井君
ハ-森本君ハ誰ニデモ酒ヲ飮マセロト云フ主義デアルト云フガ、伊豆七島ヤ小笠原島
ノ人民ニハ酒ヲ飮マセナイト云フ御意見ラシイ一彼處デハ酒ヲ澤山造ッテ賣出スカモ知レ
ナイト云フ御話ナラ、ソレハ酒ヲ造ルコトヲ禁ズル方法ハ別ニ幾ラモアル、元來彼處ヲ以
テ今造ッテ居ル酒ハ一戶ドノ位造ッテ居ルト云フコトヲ御存ジデアルカ、自身ガ行ッテ御調
ニナッタト云フコトデアルカラ、御承知デアラウ、本員ハ行ッタコトハナイガ橫目ニ見テ通ッ
タコトガアルカラシテ、一戶ニ於テドノ位造ッテ居ルカト云フコトハ知ッテ居ル將來酒ヲ造ツ
テ賣ルト云フコトハ別問題デス、無稅ノ酒ヲ造ルコトハナラヌカラ、之ヲ禁ズルト云フコト
ハ譯ノナイ話デアルガ、彼處テ今飮ム酒ガ此法律ノ下ニドノ位アルカト云フコトヲ伺ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=84
-
085・森本駿
○森本駿君 福井君ノ御尋ハ一戶幾ラノ酒ヲ造ルカト云フコトデアリマスガ、私ハ伊豆
七島ニハ參ラヌ、私ノ政友ノ中ニ參ッタ者ガアルカラ詳シイコトガ分ルデアラウト云フコト
ヲ申シタノデアル私ハ沖繩縣ニハ參ッタケレドモ、伊豆七島ニハ參ッタト云フコトハ申サナ
イソレカラシテアナタハ橫目ニ見タケレドモ、チヤント承知シテ居ルト云フコトデアルガ、ワ
レナラ私カラ答辯スルマデモナク、アナタノ知ルトコロヲ以テ御承知ニナッタラ宣カラウト思
ヒマス
(「採決々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=85
-
086・杉田定一
○議長(杉田定一君) 採決致シマス、日程第十八沖繩縣及東京府小笠原島伊豆
七島ニ於ケル酒造稅ニ關スル法律案、此案ノ採決ヲ致シマス、本案ノ二讀會ヲ開クベ
シト云フニ御同意ノ諸君ノ起立ヲ願ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=86
-
087・杉田定一
○議長(杉田定一君) 多數-二讀會ヲ開クニ決シマス
(「異議アリ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=87
-
088・恒松隆慶
○恆松隆慶君 直チニ二讀會ヲ聞カレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=88
-
089・杉田定一
○議長(杉田定一君) 恆松君發議ノ如ク直チニ一一讀會ヲ開クニ御異議ハアリマセヌ
カ
(「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=89
-
090・杉田定一
○議長(杉田定一君) 御異議ガナイト認メマス、直ニ二讀會ヲ開キマス
沖繩縣及東京府小笠原島伊豆七島ニ於ケル酒造稅ニ關ス
ル法律案確定議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=90
-
091・恒松隆慶
○恆松隆慶君 讀會ヲ省略シテ確定ナランコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=91
-
092・杉田定一
○議長(杉田定一君) 委員長報告通御異議ハアリマセヌカ
(「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=92
-
093・杉田定一
○議長(杉田定一君) 御異議ガナイト認メマス、恆松君ノ發議ノ如ク三讀會ヲ省略
シテ確定スルニ御異議ハアリマセヌカ
(「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=93
-
094・杉田定一
○議長(杉田定一君) 御異議ガナイト認メマス、是ニテ本案ヲ確定-第十九、第
二十、第二十一此三案ニ付テ採決致シマス、此三案ノ二讀會ヲ開クベシト云フニ御
異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=94
-
095・杉田定一
○議長(杉田定一君) 御異議ガナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=95
-
096・恒松隆慶
○恆松隆慶君 直チニ二讀會ヲ開キ、三案トモ讀會ヲ省略シテ確定サレンコトヲ望
ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=96
-
097・杉田定一
○議長(杉田定一君) 恆松君發議ノ如ク、直チニ二讀會ヲ開キ、三讀ヲ省略シテ
確定スルニ御異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=97
-
098・杉田定一
○議長(杉田定一君) 御異議ハナイト認メマス
沖繩縣酒類出港稅則中改正法律案確定議
酒母醪及麴取締法中改正法律案確定議
煉乳原料砂糖戾稅法案確定議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=98
-
099・杉田定一
○議長(杉田定一君) 三案トモ委員長報告通リ御異議ハアリマセヌカ
(「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=99
-
100・杉田定一
○議長(杉田定一君) 御異議ハナイト認メマス、三案トモ確定致シマシタ、日程二十
二地方稅制限ニ關スル法律案第一讀會ノ續、早速整爾君
第二十二地方稅制限ニ關スル法律案第一讀會ノ續
〔早速整爾君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=100
-
101・早速整爾
○早速整爾君 私ハ此案ニ對シマスル委員長ノ報告ニ反對ヲスル者デアリマス、此案ハ
非常特別稅法中ノ規程ニ於ケル地方稅ノ課稅ノ制限ヲ擴張セントスルモノデゴザイマ
スガ、先ヅ此案ノ可否ヲ決定セント致シマスレバ、非常特別稅法中ニ係ル課稅制限ノ
規程ヲ設ケタル精神ヲ探究シナケレバナラヌト私ハ思フ、非常特別稅ヲ賦課シテ國民ノ
負擔ヲ重クスル、誠ニ國民ニ苦痛ヲ感ゼシムルコト甚シキガタメニデス、成ルタケ地方人民
ニ對シテ餘裕ヲ與ヘナケレバナラヌト云フ精神カラ、此課稅制限ノ規程ト云フモノハ設
ケラレタノデゴザイマス、今日ハ非常特別稅ハ永久ニ繼續セラレ、而シテ更ニ國民ト云フ
モノハ重キ增稅ノ負擔ヲ被ラナケレバナラヌト云フ場合ニ際會シテ居ル以上ハ嘗テ非
常特別稅法ニ於テ地方人民ノ利益ノタメニ課稅ノ制限ヲ設ケタルトコロノ精神ト云
フモノハ今日モ尙之ヲ持續スベキ必要アリト私ハ信ジテ居ル唯非常特別稅ヲ永久
ニ繼續シタト云フコトノミニ就キマシテモ、我國民ノ負擔ト云フモノハ非常ニ增加シ、國
民ノ苦痛ト云フモノハ誠ニ甚シイ、ソレニ今日ニ於キマシテハ更ニ新タナル增稅、此增稅
ニ依ッテ國民ガ重キ負擔ヲ破ルト云フ場合ニ立至ッタノデゴザイマス以上ハ、爲シ得ベク
ンバ、此地方ノ人民ノタメニ多少ノ餘裕ヲ與ヘテ、其苦痛ヲ輕ウスルト云フコトヲ圖ルノハ、
卽チ今日ノ國民ニ對スルトコロノ政治上ノ要務デアラウト私ハ思フ、委員長ハ最前此委
員會ノ結果ヲ御報告ニナリマスル際ニ唯此稅率ヲ-此制限率ヲ御讀上ニナッテ、
サウシテ地租ノ附加稅ニ於テモ、或ハ營業稅ノ附加稅ニ於テモ若クハ所得稅ノ附加
稅ニ於テモ其制限ノ率ト云フモノヲ半減スルノデアルト云フコトヲ非常ニクダ〓〓シク述
ベラレ、チヨットソレノミヲ聽キマスルト云フト制限率ヲ半減ヲスルト云フコトハ、何ダカ
此負擔ガ輕クナルノデハナイカト云フヤウニ思ハスルヤウニ御說明ニナッタヤウニ私ハ
何9、ソレハ本稅ノ額ト云フモノガ增加シテ、詰リ非常特別稅ノタメニハ二倍以上ノ
國民ガ負擔ヲシテ居ル斯ウ云フコトニ考ヘ至リマスレバ、制限ノ率ト云フモノハ或ハ半
減ヲシタデゴザイマセウケレドモ、此制限ヲ擴張スルガタメニハ非常ニ地方人民ノ負擔ト
云フモノハ增加スルト云フコトヲ記憶シナケレバナラヌ、成程地方ノ事業ハ發展セシムル
必要ガゴザイマス、其地方ノ事業ヲ發展セシムル必要ノタメニハ、多少ノ財源ヲ求メナ
ケレバナラヌト云フ精神ハ私モ之ヲ認メテ居ル、併ナガラ今日ノ地方ノ財政ヲ窮乏ニ
陷レシメテ、地方ノ人民ニ非常ニ苦痛ヲ與ヘ、非常ニ困難ヲ感ゼシムルニ至ッタト云フ
コトハ果シテ誰ノ罪デアル一體政府ノ財政ノ仕方ガ誤ッテ、財政計畫ト云フモノガ
其宜シキヲ得ザルガタメニデス、地方ノ人民ニ困難ヲ與ヘ地方ノ財源ヲ壓迫シテ、地
方ノ財政ノ窮乏ヲ感ゼシムルニ至ッタノデアルカラシテ、是ハ卽チ根本ノ此財政ノ計畫ト
云フモノヲ先ヅ整理ヲシテ、而シテ根本ノ此計畫ト云フモノヲ改メテ、而シテ後地方人
民ニ對シテ適當ニ此事業發展ノ途ヲ與ヘル外ニハ仕方ガナイノデアル、地方ノ事業ノ
タメト稱シテ折角出來テ居ルトコロノ此制限ヲ擴張シテ、自由ニ附加稅ヲ課スルト云
フコトガ出來ルト云フコトノ制度ニ至リマシタナラバデス、是ハ卽チ前年來地方ノ財政
上ニ經驗ヲシ來ッタル所謂地方財政ノ紊亂ヲ招クトコロノ基トナル(「ノウノ」ト呼
フ者アリ)多年地方批政ト云フコトニ付テハ、イロ〓〓ノ事例ガゴザイマスケレドモ、ドウ
シテモ此制限ト云フモノハ寧ロ窮屈ニシテ置ク必要ガアル、之ヲ寬大ニ致スト云フコトニ
ナレバ、自由ハ我儘トナッテ、必ズ制限以內ダケハ其課稅ヲスル、課稅ヲ敢テスルト斯ウ
云フコトニナリ勝デゴザイマスカラシテ、詰リ此制限ヲ擴張スルト云フコトハ地方ニ對シ
マシテハ或意味ニ於テ一種ノ增稅デアル、此法律案ヲ現行法ニ比較致シテ見マシテ、
附加稅ノ金額ガ如何ヤウニ增加スルト云フコトヲ調ベテ見レバ、地租ニ於キマシテ六百
八万二千六百七十一圓、營業稅ノ附加稅ニ於キマシテ百四万四千八百二十六圓
所得稅ノ附加稅ニ於キマシテ百六十八万八千五百六圓、合計八百八十一万六千
三圓ノ附加ノ增加ニナル、四十年度ノ豫算ニ比較ヲ致シテ見マシテモ、地租ニ於キマ
シテ三百十九万千四百五十九圓、營業稅ノ附加稅ニ於キマシテ百二十四万三千四
百六十三圓ノ增加、所得稅ノ附加稅ニ於キマシテ三百八十七万四千六百六十六
圓ノ增加、合セテ七百三十万九千五百八十八圓ノ增加ヲ示スコトニナル、餘リ大ナル
金額トハ申シマセヌケレドモ、一般ノ地方ニ對シテ七百万圓乃至八百万圓ノ附加金ノ
增加ヲ示スト云フコトハ、私ハ決シテ輕イ負擔ト認メルコトハ出來ナイ、隨分重キ負擔
デアルト稱セナケレバナラヌノデアル(「町村會ノコトハ知ラヌナ」ト呼フ者アリ)而シテ此附
加稅ト云フモノハ國民ニ對シテ知ラズ識ラズノ間ニ負擔ヲ增加セシムルモノデアル、本稅ガ
非常ニ重クテ既ニ國稅ノタメニ國民ガ非常ニ困難ヲシテ居ル、而シテ一方地方ノ稅ニ
於テ、此附加稅ヲ課スルト云フコトハ增稅ト致シマシテモ知ラズ識ラズノ間ニ其負擔
ヲ增加セシムルト云フ性質ノモノデゴザイマスカラシテ、私ハ此性質ニ於キマシテモ成ル
ベク附加稅ト云フモノニハ制限ヲ窮屈ニシテ餘リ制限ヲ寛大ニシテ、我儘ヲセシメナイ
ト云フコトニシタ方ガ此國民ニ對シテ誠ニ親切ナル處置デアラウト思ッテ居ル、一方ニ於キ
マシテハ若シ此制限ヲ窮屈ニスレバ、地方債ヲ增加シナケレバナラナイ戶數割ガ非常
ニ增加シテ來ルデハナイカト云フ說ガアル成程戶數割ノ增加ノ如キハ吾ミモ之ヲ喜バ
ヌノデゴザイマスケレドモ、併ナガラダ此附加稅ノ制限ヲデス、寬大ニシテモ戶數割ノ增
加ト云フコトハヤハリ免レヌデアラウト思フ、地方ヘ向ッテ地方ノ制限ヲ寛大ニシテ其自由
ヲ與ヘルト云フコトニナリマスレバデス、ヤハリ一方制限ハ寬大ニナッタガ、ソレト同時ニヤハ
リ戶數割ノ增加ト云フコトモ伴ッテ來ルニ相違ナイ、現ニ今日ニ至ルマデ明治三十六年
度以來戶數割ガ大變ニ增加シテ居ルト申シマスルガ、ソレハ此附加ニ對スル制限ガアルガ
タメニ、戶數割ノ增加シテ居ルニアラズシテ、附加ノ制限ノ有ルト無イトニ拘ハラズ、ヤハ
リ戶數割ノ增加ト云フモノハ事實ニ於テ之ヲ認メナケレバナラナイノデアル(「ノウノ
ト呼フ者アリ)サウ致シマスレバ免ニ角此制限ヲ寬大ニスルト云フコトハ、前申シマ
スル如ク實ニ幾百万圓ト云フ知ラズ識ラズノ間ニ國民ニ負擔ヲセシムルトコロノ一種ノ
增稅デゴザイマスカラシテ、之ニ對シテハ吾〓ハドウシテモ不同意ヲ唱ヘナケレバナラヌ、
委員會ニ於キマシテ內務次官ガモウ此課稅ノ制限ト云フモノガナイ場合ニハ、或
不急ノ土木工事ヲ起ス者モアルデアラウシ或ハ不急ノ事業ヲ起シテ、ソレガタメニ
經費ヲ濫費スルト云フ憂ガ生ズルカモ知レナイト云フコトヲ內務次官ハ言ッタノデアル、
實ニ其通リナノデス、一ツノ制限ト云フコトノ垣ヲ設ケテ居レバコソダ、イロ〓〓ノ經費
ノ濫費ト云フコトヲ愼ムト云フコトガ出來ルノデゴザイマスケレドモ、此制限ト云フコトヲ
寛大ニスルト同時ニ或ハイカナイ者ガ出テ來テ、不急ノ土木工事ヲ起シ、或ハ其他ノ事
業ヲ起シテ、此經費ヲ濫費スルニ陷ルト云フコトハ決シテ是ハ絕無ナリト保證スルコト
ハ出來ナイノデ現在アリマス、現在ノ內務大臣ヤ大藏大臣ノ居ラレル間ハデス、地方ノ財
政地方ノ行政ニ對スル監督ト云フモノハ能ク行屆クデゴザイマセウ、併ナガラダ、後ノ內
務大臣タル者ハ此監督ヲ誤ルト云フ場合ニ至レバ、財政上ドンナ紊亂ノ端ヲ開ク
カモ知ラナイ、モウ多年ノ歴史ニ於テ其實例ガアルノデアル地方ノ財政ヲ膨脹セシメ
テ、地方ノ財政ヲ紊亂セシメテ動モスレバ其事業ヤ其經費ノ濫用ト云フコトガ政黨ノ
餌食トナッテ而シテ更ニ此地方人民ニ對シテ非常ノ不利益ヲ與ヘ、非常ノ不幸ヲ與
ヘタルトコロノ實例ト一云フモノハ、各地方ニ於テ多年ノ歷史上明カニ吾〓ハ認メテ居ル、
故ニテス政府ノ監督ガ若シ其宜シキヲ失シタ曉ニハ如何ナル地方ノ財政上ノ紊亂ヲ釀
スカモ知レナイト云フコトハ吾〓ハ記憶シテ居ラナケレバナラヌ、諸君斯ノ如クシテ此法
律案ハ非常特別稅ノ整理ニ伴フト云フ理由ノ下ニ提出セラレタノデゴザイマス、卽チ地
方稅ノ課稅ノ制限ヲ擴張スル必要ガアリト致シマシテモ、此案ヲ提出セラレタルトコロノ
本當ノ理由ニ立戾ッテ、非常特別稅ノ整理ト云フモノヲ俟ッテ、而シテ後ニ是ハ行フベキ
モノデアラウ、勿論稅法ノ整理ト云フコトハ必要デアル、吾〓モ此稅法整理ノ斷行ヲ希
望シテ止マヌノデアル、今日ノ如ク國民ノ負擔ガ不公平ニシテ、不權衡ニシテ、亂雜ナル
制度ノ下ニ國民ガ苦痛ヲ感ジテ居ル際デアルカラ、此稅法ノ整理ヲ行フト云フコトハ最
モ必要デアル、此稅法ノ整理ガ十分ニ決行セラレマシタナラバ或ハ此法律案ノ如キモ是
ヲ行ウテ少シモ差出ナイカモ知レナイ、何トナレバ稅法整理ノ結果ハ國民ノ苦痛ヲ輕ク
スルコトガ出來マスルト云フ其曉ニ至レバ本案ノ施行ト云フコトニ付テモ吾〓ハ
異論ヲ唱ヘナイカモ知レナイ、政府ガ本案ヲ提出スルニ當ッテ、稅法ノ整理ニ伴ウテ本案
ヲ提出スルト云フ其理由書ヲ附シタノハ、決シテ偶然ニ出デタノデハアリマスマイ、(「政
府ハサウ云フ說明ハシテ居ラヌ」ト呼フ者アリ)理由書ニ立派ニ書イテアルノデアル、斯樣
ナル次第デゴザイマスカラ、稅法整理ノ決行ノ曉ヲ俟ッテ此法律ヲ執行シテモ未ダ必シモ
遲シトシナイ、又ソレガ當然デアル、稅法整理ヲ決行シタ後ニ地方ノ事業ノタメニ此地
方稅附加ノ制限ヲ寬大ニスル、此制限ヲ擴張スルト云フノガ當リ前ノ順序デアル然ル
ニ顧レバ一方ニ於テハ稅法整理ニ付イテハ政府ハ之ヲ行フトコロノ誠意ナク、マルデ姑息
ナル案ヲ提出シテ、少シモ稅法ノ整理ヲ斷行スルト云フコトノ誠意誠心ヲ示サズシテ、唯
此案ノミヲ急イデ、地方ノタメニ必要ナリト稱シテ-地方ノ事業ノタメニ必要ナリト
稱シテ、此案ノ實行ノミヲ取急グト云フノハ果シテ何等ノ理由デアルカ、委員會ナドニ
於テモ稅法整理ノ澤山ナ案ガアルノニ、マルデ之ヲ棚ニ上ゲテ置イテ、唯此案ノミヲ急
イデ、決議シタト云フコトニ付テハ私ハ頗ル其消息ヲ怪ムノデアル、寧ロ稅法整理ガ先
決問題、稅法整理ヲ決行シタ後ニ始メテ之ヲ提出スルコトガ當リ前デアル然ルニ稅法
整理ト云ヘル重大ナル此重大ナル先決問題ヲ棚ニ上ゲテ置イテ、唯地方ノタメト稱シ
テ此制限ヲ擴張スルトコロノ案ノ決議ヲ急イデ、知ラズ識ラズノ間ニ地方ノ人民ノ負擔
ヲ重カラシムルトコロノ此增稅ヲ行ハントスルト一ムフコトハ、順序ト致シマシテドウシテモ、ヽド
ウシテモ吾ミハ贊成ヲ表スルコトハ出來ナイノデアリマス、私ハ少ナクトモ稅法整理ノ曉
ヲ俟ツニアラザレバ本案ハ採用スベキモノデナイ、縱シ必要ト致シマシテモ稅法整理決行
ノ後ニ讓ッテ此案ヲ審議スルノガ相當デアラウト考ヘルカラシテ、是等ノ理由ヲ以テ絕對
ニ此案ニ反對ノ意見ヲ表シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=101
-
102・杉田定一
○議長(杉田定一君) 森本駿君
〔森本駿君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=102
-
103・森本駿
○森本駿君 諸君、本案反對ノ早速君ノ演說ヲ唯今拜聽シマシタガ、私ハ早速君
ハ本案反對ノ理由ヲ、此演壇ニ於テ演說セラレルトコロノ資格ハ、旣ニ委員會ニ於テ
失ハレテ居ルノデハナイカト思フノデアリマス、何故ニ斯ノ如ク申スカト申シマスト此委員
會ニ於テ私モ委員ノ一人デ、早速君モ委員ノ一人デアリマシテ、共ニ出席シテ之ヲ本
議ニ移サウト云フコトニ決定スル場合ニ當リマシテ、如何ナル早速君ハ態度ヲ取ラレタカ
ト云フト、旣ニ本案ノ内容ニ至ッテ修正論ガ提出セラレテ、將ニ決議ニナラントスルトキ
ニ於テ絕對反對ノ議論ヲ提出セラレタノデアル、此際ニ於テ委員長ハ如何ニ云ウタカト云
フト、既ニ議論ガナクナッタンデアルカラ、修正論ニ付テ意見ヲ問ハントシタノデアルガ、此
場合ニ於テ反對ノ意見ガ出ヅルナラバ、ソレモ一ツノ御意見デアルカラシテ、其意見ヲ問
ハウ、併シ贊成者ガアリマスカ、ドウカト云フコトヲ聽イタトコロガ、其時ニハ贊成者ガナカク
タノデアル、ケレドモ委員長ノ注意ニ依テ、以テ一人ノ贊成者ガ遲マブレニ出テ來テ
ソレガ議題トナッテ、サウシテ決定ヲスル場合ニハ少數デ消滅シタト云フコトデアルカラシ
テ、若シ早速君ガ熱心ニ此事ヲ論ゼラルヽナラバ、當初ヨリ其內容ニ於テ議事ヲ開ク前
ニ反對論ガ委員會ニ於テ出ンナラヌ筈デアッタ、所ガ早速君ニモ似合ハズ遲蒔キナガラ
反對論ガ出タト云フヤウナル事情デ以テ見ルト、本會ニ於テ此絕對反對論ヲ唱フル資
格ハ委員會ニ於テ既ニ無クナッタデハナイカト私ハ疑フノデアル、併ナガラ反對ノ通告ヲ
致サレテ、而シテ反對論ヲ述ベラレタノデアルカラシテ、之ニ對シテ私モ絕對ノ反對ヲ表
明セザルヲ得ナイノデアッテ、其時ニ私ハ委員會ニ於テ早速君ノ議論ニハ絕對ノ反對デ
アルト云フ意見ヲ最後ニ表明ヲシテ置イタ者デアリマス故ニ本案ノ委員長報告ニ贊成
ヲ致シマシテ、早速君ノ意見ニ反對ノコトヲ簡單ニ述ベント思イマス、早速君ノ御意見
ヲ聽イテ見ルト第一ハ非常特別稅ノ制限ハ今日持續シテ置クノ必要ガアルト私ハ信ジ
マス併ナガラ何故ニ持續シテ置クトコロノ必要ガアルカト云フコトニ至リマスト、詰リ內
容ニ這入ッテ持續スル必要ノアルノハ、此地方稅制限ニ關スル法律ヲ規定シタ結果
ハ一種ノ增稅ニナル、一種ノ增稅ニナル故ニ、持續シテ置カナケレバナラヌト、斯ウ云
フコトニナルデアラウト思フ、一種ノ增稅ト云ハルヽケレドモ、既ニ委員長ノ報告ニアル通
リ今度非常特別稅ガ永久ニナッテ居ルニモ拘ハラズ、此稅率ハ地租百分ノ二十五ト
云フコトニ規定セラレテ居ルノデアル、又營業稅モソレ〓〓規定ガ付テ居ルノデアル、所
得稅モ亦然リデアル、而シテ見ルト其增稅ノ計數ハ何ボノ增稅ニナルカト云フト、委員會
デ政府委員カラ詳シク辯明セラレタガ如クニ、僅ナル金額ニ過ギナイノデアッテ、決シテ事
事シク增稅ト云フ程ノ金額ニハナラナイノデアル、加之今日ノ際ニ於テ若シ此制限ガ
現存シテ居ルト云フコトニナリマスト、動モスレバ必要ニ迫ッテ或ハ早速君ガ云ハルヽガ如
"、戶數割ノ增加ヲ來タスコトモアル、然ラザレバ直チニ賊役ト云フモノヲ命ジテ、其賦
役ノ代償ヲ取ルト云フヤウナルコトモ行ハレテ居ルノデアル是等ハ直接ニ非常ナル地方
ニ困難ヲ感ゼシムルトコロデアル、早速君ノ戶數割ノ件ニ付テハ縱令之ヲ制限ヲ寛カニ
スレバトテ、戶數割ヲ多ク增加スルト云フノデアルナラバ其上戶數割ノ增加ノ出來ナイ
ヤウニ其時ニハ相當ノ制限ヲセラレタラ宜イ、制裁ヲ付ケラレタラ宜カラウ、法律デ出來
ルコトガマダ出來ナイナラバ當局者モ十分ニ之ヲ認メナイヤウニスルト云フコトハ、外ニ
出來ルノデアッテ之ヲヤラナケレバ戶數割ヲ增加スルト云フコトノ決議ヲスルトシテ見テモ
ソレヲ認メナイト云フコトガ出來ナイ、地方ノ實況ニ際會シテ居ルノデアリマスカラシテ、
是ダケノコトガ出來タナラバ、戶數割ノ增加ト云フコトハサウ濫發ヲスルト云フ弊害ハナ
イ、若シ濫發スルコトガアツタナラバ當局者ガ之ヲ制限スルコトガ出來得ルト云フコトヲ
確信シテ疑ハナイノデアリマス、然ルニ早速君ノ仰セラレルトコロニ依ッテ見ルト云フ
ト現任ノ內務大臣及大藏大臣ガ、其職ニアル間ハ斯ノ如キ濫發ノコトハナカラウケレ
ドモ、他日ニ於テハ又大ニ濫發ヲスル憂ガアルカラシテ、豫メ制限ヲ付ケテ置カナケレバナラ
ヌト云フコトノ意味ヲ云バレタノデアル、此〓ニ於テハ大ニ攻究ヲセナケレバナラヌト私ハ信
ジマスガ、先ニハ當議會ニ於テ不信任案マデ提出シテ行カレタトコロノ諸君ノ中ニ於テ、
旣ニ現任ノ内藏兩相ニ於テハ此議席ニ於テ信任ヲ表明セラレタト云フコトハ大ニ此
稅法ノ適當ナルコトヲ自認セラレタモノト云ハナクテハナラヌ、諸君、他日內藏兩相ニ於
テ以テ濫發ヲ濫リニ認メテ弊害ノアルヤウナ內藏兩相ガアッタラバ、議會ハ御互ニ監督シ
テ、サウシテサウ云フヤウナモノハ拒絕スル方針ヲ執レバ差支ハナイノデ、私ハ信ジテ
疑ハナイノデアル、要スルニ非常特別稅ノ整理ヲ俟ッタナラバ又贊成スルコトモアルケレ
ドモ、非常特別稅ノ整理ノ出來ヌ中ハ是ハ贊成スルコトガ出來ヌト云フコトノ理由ト
シテ以テ、此非常特別稅ノ整理ニ伴ヒト云フコトガ、詰リ理由書ニ書イテアル、整理ガ
出來テ居ラナイデハナイカト云フコトノ議論デアル、此議論ニ付テハ、委員會ニ於テ早速
君自ラモ言明セラレ、且贊成ヲセラレタル淺野君カラモ議論ガ出テ、當局者ハ之ニ答ヘ
テ必シモ非常特別稅ガ整理ガ出來上ッタト云フコトデハナイ、今整理シツヽアル、之ニ對
シテ以テ此法モ行ハナケレバナラヌト云フコトノ辯明ヲセラレタコトハ聽イテ居ッテ、ソレニ
對シテ反問ヲセラレタコトヲ聽カナカッタデアリマス、故ニ此〓ニ於テハ其理由ヲ如何ト思
ハレタコトハ既ニ能ク了承セラレテ居ルコトヽ思フニモ拘ハラズ、本議會ニ於テ其事ヲ繰
返サレルコトハ思ヒモ寄ラヌコトヽ私ハ思フ、ケレドモ既ニ理由書ガ斯ウ書イテアレバ當
局者ノ非常特別稅ノ整理ニ伴ヒト云フ意味ハ今整理ヲシツヽアルノデアルカラト云フコ
トノ說明ヲ諒トシナケレバナラヌト云フコトヲ私ハ認メルノデアリマスカラシテ、要スルニ是ダ
ケノコトヲ致サナケレバ或ハ戶數稅ニ增シ、或ハ賦役ニ取リシテ、非常ニ地方人民ガ直
接ニ困難ヲ訴ヘナクテハナリマセズ、之ヲシテモ尙地方事務ガ舉ラナイト云フ不幸ヲ見ナ
ケレバナラヌト云フコトニ顧レバ、此案ヲ通過シテ其困難ヲ除クコトハ今日ノ急要ト信
ジ、且此案ハ大同小異ノ案ガ昨年ノ議會ニ提出セラレテ、衆議院ハ是ヲ通過シタト云
フコトニ付テ考ヘテ見テモ、是ニ衆議院ニ於テ反對ヲ容ルヽ餘地ノアルベキモノデナイト
信ジマスカラシテ、私ハ委員長報告ヲ贊成ヲ致シマシテ、委員長報告ノ通過ヲ切ニ希望
致シマス
(「採決々々」ト呼ヒ又「討論終結」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=103
-
104・杉田定一
○議長(杉田定一君) 別段御議論モナイヤウデアリマスルデ、採決ヲシマス本案ノ二
讀會ヲ開クベシト云フニ御同意ノ諸君ノ起立ヲ願ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=104
-
105・杉田定一
○議長(杉田定一君) 多數-一一讀會ヲ開クベシト云フニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=105
-
106・恒松隆慶
○恆松隆慶君 直チニ二讀會ヲ開キ、至ッテ反對ハ少數デゴザイマスカラ、ドウゾ讀會
ヲ省略シテ確定セラレンコトヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=106
-
107・杉田定一
○議長(杉田定一君) 恆松君發議ノ如ク、直チニ二讀會ヲ開キ、讀會ヲ省略シテ確
定スルニ御異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=107
-
108・杉田定一
○議長(杉田定一君) 御異議ハナイト認メマス、直チニ二議會ヲ開キ、全部ヲ議題ト
致シマス
地方稅制限ニ關スル法律案確定議
(「委員長報告通リ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=108
-
109・杉田定一
○議長(杉田定一君) 委員長報告通リ御異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=109
-
110・杉田定一
○議長(杉田定一君) 御異議ハナイト認メマス本案ハ確定致シマシタ、日程二十
三、二十四ハ關聯セルニ依リ、一括シテ議題ト致シマス、議案ノ朗讀ハ省略致シマス湯
出壽介君
第二十三市制中改正法律案(湯山壽介君提出)第一讀會
市制中改正法律案
市制中左ノ通改正ス
第·九十三條市內ニ住所ヲ有セス又ハ三箇月以上滯在スルコトナシト雖モ
市內ニ於テ土地家屋物件ヲ所有シ使用シ若クハ占用シ又ハ營業ヲ爲シ
(店舗ヲ定メサル行商ヲ除ク)若クハ市內ニ於テ特定ノ行爲ヲ爲ス者ハ其
土地家屋物件營業若クハ其收入ニ對シ又ハ行爲ニ對シテ賦課スル市稅ヲ
納ムル義務ヲ負フ其法人タルトキモ亦同シ但國ノ事業又ハ行爲ニ對シテ
ハ此限ニ在ラス
第九十四條納稅者ノ市外ニ於テ所有シ使用シ若クハ占有スル土地家屋物
件若クハ其收入又ハ市外ニ於ケル營業若クハ其收入ニ對シテ市稅ヲ賦課
スルコトヲ得ス但數市町村ニ渉リ營業ヲ爲シ且其營業又ハ其收入ニ對ス
ル本稅ヲ分別シテ納メサル者ニ對シ關係市町村ニ於テ附加稅ヲ賦課スル
トキハ關係市町村長協議ノ上其步合ヲ定メ府縣知事ノ許可ヲ受ク可シ若
シ協議調ハサルトキハ府縣知事之ヲ定ム其關係市町村一府縣以上ニ渉リ
其關係府縣知事協議調ハサルトキハ內務大臣及大藏大臣之ヲ定ム
第九十五條住所滯在數市町村ニ渉ル者ノ收入ニ對シ市稅ヲ賦課スルトキ
ハ其收入ヲ關係市町村ニ平分シ其一部ニノミ賦課ス可シ但土地家屋物件
又ハ營業ヨリ生スル收入ハ此限ニ在ラス
第二十四町村制中改正法律案(湯山壽介君提出)第一讀會
町村制中改正法律案
町村制中左ノ通改正ス
第九十三條町村內ニ住所ヲ有セス又ハ三箇月以上滞在スルコトナシト雖
モ町村內ニ於テ土地家屋物件ヲ所有シ使用シ若クハ占有シ又ハ營業ヲ爲
シ(店舗ヲ定メサル行商ヲ除ク)若クハ町村內ニ於テ特定ノ行爲ヲ爲ス者
ハ其土地家屋物件營業若クハ其收入ニ對シ又ハ行爲ニ對シテ賦課スル町
村稅ヲ納ムル義務ヲ負フ其法人タルトキモ亦同シ但國ノ事業又ハ行爲ニ
對シテハ此限ニ在ラス
第九十四條納稅者ノ町村外ニ於テ所有シ使用シ若クハ占有スル土地家屋
物件若クハ其收入又ハ町村ニ於ケル營業若クハ其收入ニ對シテ町村稅ヲ
賦課スルコトヲ得ス但數市町村ニ涉リ營業ヲ爲シ且其營業又ハ其收入ニ
對スル本稅ヲ分別シテ納メサル者ニ對シ關係市町村ニ於テ附加稅ヲ賦課
スルトキハ關係市町村長協議ノ上其步合ヲ定メ府縣知事ノ許可ヲ受ク可
シ若シ協議調ハサルトキハ府縣知事之ヲ定ム其關係市町村一府縣以上ニ
涉リ其關係府縣知事協議調ハサルトキハ內務大臣及大藏大臣之ヲ定ム
第九十五條住所滯在數市町村ニ渉ル者ノ收入ニ對シ町村稅ヲ賦課スルト
キハ其收入ヲ關係市町村ニ平分シ其一部ニノミ賦課ス可シ但土地家屋物
件又ハ營業ヨリ生スル收入ハ此限ニ在ラス
〔湯山壽介君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=110
-
111・湯山壽介
○湯山壽介君 本員ノ提出致シマシタトコロノ市制ノ改正案、町村制ノ改正案ハ同
一ノ改正ノ理由デゴザイマスルカラ一括シテ意見ヲ申述ベマス、此市制町村制ノ制定ハ
明治二十一年デアッテ、今ヨリ二十年以前ノコトデゴサイマシテ、爾來社會ノ進運ニ伴
ウテ改正ヲ要スベキ點ガ多々アルノデアリマス、市町村會議員ノ選舉方法ノ如キ、又ハ
町村吏員ノ組織ノ如キ澤山アルノデアリマス、ソレ故ニ政府ニ於キマシテハ一昨年其改
正法案ヲ御立テニナッタノデアリマスルケレドモ、不幸ニシテ是ガ兩院ヲ通過スルコトニ至
ラナカッタノハ、吾ミノ遺憾トスルトコロデゴザイマスサリナガラ此町村會議員ノ選舉ノ如
キ其他ノ事柄ハ今日ノ儘ニ置イテモ先以テ行ヒ得ルノデゴザイマスルカラ、是ハ他日ノ大
成ヲ期スルト致シマシテ、私ノ提出致シマシタトコロノ事柄ハ、今日實際ニ行フ上ニ於テ
非常ニ差支ヲ生ジテ居ル點デゴザイマス、是ハ卽チ市町村稅ノ賦課方法デゴザイマス、
其一例ヲ舉ゲテ申シマスルト段々今日事業ガ發達スルニ伴ヒマシテ例ヘバ東京ヘ本店
ヲ置キ、神奈川縣ヘ支店若クハ工場ヲ置キ、千葉縣ヘモ置キマシテ、而シテ本店デ一箇
所デ以テ一ノ營業本稅若クハ所得稅ヲ納ムルノデアリマス、其一箇所デ三縣ニ亙ッテ居
ルトコロノモノヲ、一箇所デ納ムルノデアリマスルカラ、ソレヲ各府縣デ附加稅ヲスル場合ニ
其各府縣ノ本稅ト云フモノヲ分ケル方法ハ府縣制第百八條ニ據ッテ、其府縣知事ガ
協議ヲシテ、分ケルコトニナッテ居ルノデアリマス、然ルニ其縣ノ中デ東京府デ申シマスルト
市部ニモ一ノ工場及本店ヲ置キ、郡部ニモ一ノ工場及支店ヲ置イテ、サウシテ東京府
ト云フモノガ、一万圓ノ本稅トナリ、而シテソレヲ市部デ掛ケ、郡部デ掛ケル場合ニソレ
ヲ分割スルトコロノ方法ノ規程ガナイ、ソレ故ニ市部ノ方デハ一万圓ト云フモノガ東京
府ノ稅ニナッテ居ルノヲ、市部ノ方デハソレヲ六千圓ニ見積ッテ掛ケル、郡部ノ方デモ六
千圓ニ見積ッテ掛ケル、從ッテ一万圓ノ本稅デアルガ、勢ヒ一万二千圓ノ本稅ヲ掛ケラ
レルト云フ結果ニナルノデアリマス、ソレ故ニ地方稅制限法ニ依ッテ本稅ニ對スル百分ノ
三十ヨリ掛ケルコトハ出來ナイト云フ制限ガアルニモ拘ハラズ、勢ヒ百分ノ三十五若クハ
四十ニモ五十ニモナル結果ヲ見ル斯ウ云フコトニナッテ居ルノデ、勢ヒ納稅者ハ制限以
上ノ納稅ヲスル義務ガナイカラ、此下戾ヲ請求スル訴願ヲ起ス、行政裁判ヲナスト云
フヤウナ事柄デ、徵稅上ニモ不便ニナリ、又納稅者モ迷惑ヲ致シテ、種々ナ紛亂ヲ免レナ
イノデアリマス、ソレ故ニ其場合ニ於テ其關係市町村長ガ協議ヲ致シテ、サウシテ制
限以內ニ纏マルヤウニ致シタイト云フ、步合ノ制限ヲ定メタイト云フ方法デアリマス、希ク
ハ宜シク本員ノ意見ノ通リマスヤウ、御贊成ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=111
-
112・恒松隆慶
○恆松隆慶君 本案ハ九名ノ委員議長指名アランコトヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=112
-
113・杉田定一
○議長(杉田定一君) 二十三、二十四ノ兩案ハ九名ノ委員、議長指名ニ御異議ア
リマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=113
-
114・杉田定一
○議長(杉田定一君) 御異議ハナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=114
-
115・恒松隆慶
○恆松隆慶君 チヨット緊急動議ヲ提出シマス、二十五ヨリ二十八マデハ此場合提出
者ノ演說ハ略シマシテ各く委員ニ付託致シタイト思ヒマス、其委員ハ各案デ申シマス
〔「ヒヤ〓〓」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=115
-
116・杉田定一
○議長(杉田定一君) 二十五ヨリ二十八マデハ提出者ノ說明ヲ略シテ、委員付託ニ
致シタイト云フニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
第二十五漁業法中改正法律案(川島瀧藏外十一名第一讀會
提出)
漁業法中改正法律案
漁業法中左ノ通改正ス
第七條漁業權ハ相續、讓渡、共有、貸付、國稅滯納處分、强制執行及抵當權
ノ目的ト爲スコトヲ得
前項ノ場合ニ依テハ其ノ登録ヲ受クルニ非サレハ第三者ニ對抗スルコト
ヲ得ス
地先水面專用ノ漁業權ヲ處分スルハ行政官廳ノ認可ヲ受クルコトヲ要ス
第九條ノ二漁業權取消ノ登錄アリタルトキハ行政官廳ハ直ニ之ヲ抵當權
者ニ通知スヘシ
抵當權者ハ前項ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ三十日以內ニ漁業權ノ競賣ヲ請
求スルコトヲ得但シ前條第一項ノ規定ニ依ル漁業權取消ノ場合ハ此ノ限
ニ在ラス
漁業權ハ前項ノ期間內又ハ競賣ノ手續完結ノ日迄競賣ノ目的ノ範圍內ニ
於テ仍存續スルモノト看做ス
競賣ニ依ル賣得金ハ競賣ノ費用及抵當權者ニ對スル債務ノ辨濟ニ充テ其
ノ殘金ハ國庫ニ歸屬ス
競買人漁業權取消ノ登錄アリタル時ニ於テ漁業權ヲ讓受ケタルモノト看
傲ス
第九條ノ三前條ノ規定ハ漁業權者廢業シタル場合ニ之ヲ準用ス
第二十六裁判所管轄區域變更ニ關スル法律案(築山第一讀會
和一提出)
裁判所管轄區域變更ニ關スル法律案
明治二十三年法律第六十二號裁判所位置及管轄區域表中名古屋地方裁判所
管內西尾區裁判所管轄、一河國碧海郡安城町大字福釜、赤松、古井、同國同郡
依佐美村大字高棚及同國幡豆郡豐坂村大字逆川、、桐山、上六栗ヲ同地方裁判
所管內岡崎區裁判所ノ管轄ニ、同地方裁判所管內岡崎區裁判所管轄同國碧
海郡櫻井村大字川島、村高ヲ同地方裁判所管內西尾區裁判所ノ管轄ニ變更
ス
附則
本法ハ明治四十一年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
本法施行前西尾區裁判所又ハ岡崎區裁判所ニ於テ受理シタル事件ハ其ノ各
區裁判所之ヲ裁判ス
第二十七神職養成部國庫補助ニ關スル建議案(小田貫一
外九名提出)
神職養成部國庫補助ニ關スル建議案
神社ハ國家ノ宗祀ニシテ之ニ奉仕スル神職其ノ者ノ適否ハ神社ノ尊嚴ニ關
スルコト重且大ナリ今ヤ皇典講究所ニ於テ神職養成部ヲ置キ其ノ適者養成
ニ努メ且現任神職ヲシテ學術禮典ノ講習ヲ爲サシメツツアリト雖經濟上其
ノ目的ヲ達シ得サルモノアリト認ム依リテ政府ハ神職養成部ニ對シ相當ノ
補助金ヲ與ヘ此ノ機關ヲシテ完備セシメラレムコトヲ望ム
右建議ス
第二十八敦賀港浚渫ニ關スル建議案(荻野芳藏外九名提出)
敦賀港浚渫ニ關スル建議案
敦賀港ハ日本海方面ニ於ケル本邦唯一ノ要港ニシテ今ヤ浦港トノ聯絡上國
際的港灣トシテ其ノ設備ノ急施ヲ要スルヲ以テ政府ハ本年度ニ於テ之カ浚
渫ノ案ヲ具シ帝國議會ニ提出セラレムコトヲ望ム
右建議ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=116
-
117・杉田定一
○議長(杉田定一君) 御異議ハナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=117
-
118・恒松隆慶
○恆松隆慶君 ソレガ極リマシタラ、二十五ノ漁業法改正法律案ハ旣ニ水產銀行法
律案ガ出テ居リマス、其委員ニ附託致シタイ、次ノ裁判所管轄區域變更ニ關スル法律
案ハ濱田國松君カラ同種類ノ案ガ出テ委員ガ出來テ居リマスカラ、其委員ニ付託セラ
レンコトヲ望ミマス、二十七、二十八ハ各九名ノ委員、議長指名ノ付託セラレンコトヲ
望ミマス(「贊成」ト呼フ者アリ)是デ散會デゴザイマス(笑聲起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=118
-
119・杉田定一
○議長(杉田定一君) 日程第二十五漁業法改正法律案ノ委員ハ水產銀行ノ委
員ニ付託スルコトニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=119
-
120・杉田定一
○議長(杉田定一君) 御異議ハナイト認メマス-日程第二十六、裁判所管轄區
域變更ニ關スル法律案、本案ノ委員ハ曩ニ濱田國松君提出ノ裁判所管轄區域變更
ニ關スル法律案ノ委員ニ付託スルト云フコトニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=120
-
121・杉田定一
○議長(杉田定一君) 御異議ハナイト認メマス-第二十七、神職養成部國庫補
助ニ關スル建議案ト第二十八敦賀港浚渫ニ關スル建議案此兩建議案ハ各案共議
長指名、九名ノ委員ニ付託スルト云フ恆松君ノ發議デアリマスガ、御異議ハアリマセ
ヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=121
-
122・杉田定一
○議長(杉田定一君) 御異議ハナイト認メマス、其通リ決シマシタ-御諮リ申スコ
トガアリマス、〓水隆德君病氣ノタメ明二十八日ヨリ二週間請暇ノ願出ガ出テ居リマ
ス、許可シテ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=122
-
123・杉田定一
○議長(杉田定一君) 御異議ハナイト認メマス-紫垣一雄君病氣ノタメ△〓二十
七日ヨリ二週間請暇ノ願出ガ出テ居リマス、許可シテ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=123
-
124・杉田定一
○議長(杉田定一君) 御異議ハナイト認メマス-感化法中改正法律案委員橫
堀三子君病氣ニ付キ、辭任ノ申出ガアリマス、許可シテ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=124
-
125・杉田定一
○議長(杉田定一君) 御異議ハナイト認メマス、然レバ同委員ハ議長指名ニ付キ其
補缺トシテ、須藤嘉吉君ヲ指名シマス-報告ガアリマス
〔書記朗讀〕
一議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
北海道國有林中公有林豫定地附與ニ關スル建議案
提出者淺羽靖君橫田虎彥君松井源內君
金子元三郞君加藤政之助君
鐵道特別會計ニ關スル建議案
提出者臼井哲夫君駒林廣運君井上角五郞君
大戶復三郞君長谷場純孝君元田肇君
大石正己君加藤政之助君小川平吉君
川眞田德三郞君
岩鹽調査ニ關スル建議案
提出者立川雲平君鹿島秀麿君
關稅定率法輸入稅表中改正法律案
提出者森本駿君東尾平太郞君橫田虎彥君
鈴置倉次郞君
明治三十年法律第三十九號中改正法律案
提出者山本繁造君森本駿君本出保太郞君
奧野市次郞君安藤新太郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=125
-
126・杉田定一
○議長(杉田定一君) 委員及二十九日ノ日程ハ追テ公報ヲ以テ御通知シマス、是
ニテ散會
午後三時五十八分〓會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002413242X01119080227&spkNum=126
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。