1. 会議録本文
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000・会議録情報
明治四十二年三月二十二日（月曜日）
午前十時四分開議
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議事日程 第十九號 明治四十二年三月二十二日
午前十時開議
第一 明治四十二年度歳入歳出總豫算追加案（第二號）審査期限を定むるの件
第二 明治四十二年度特別會計歳入歳出豫算追加案（特第二號）審査期限を定むるの件
第三 豫算外國庫の負擔となるへき契約を爲すを要する件（追第一號）審査期限を定むるの件
第四 登録税法中改正法律案（政府提出衆議院送付） 第一讀會
第五 明治三十七八年戰役の爲損害を被りたる者の救恤に關する法律案（政府提出衆議院送付） 第一讀會
第六 砂糖消費税法中改正法律案兩院協議會成案 會議（兩院協議委員議長報告）
第七 關税定率法輸入税表中改正法律案（衆議院提出） 第一讀會
第八 宅地地價修正法案（衆議院提出） 第一讀會
第九 地租條例中改正法律案（衆議院提出） 第一讀會
第十 遠洋漁業奬勵法中改正法律案（衆議院提出） 第一讀會
第十一 地方税制限に關する法律中改正法律案（衆議院
提出） 第一讀會
第十二 家祿賞典祿處分に關する法律案（衆議院提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第十三 利根川水害豫防工事速成に關する請願 會議
第十四 國有林野に關する請願 會議
第十五 區裁判所管轄區域變更の請願 會議
第十六 小坂鑛山煙害救濟に關する請願 會議
第十七 陸羽横斷鐵道線路調査の請願 會議
第十八 點字公認に關する請願 會議
第十九 山陰縱横貫鐵道連絡速成に關する請願 會議
第二十 郵便局設置の請願 會議
第二十一 養豚奬勵法實行に關する請願 會議
第二十二 登記所設置に關する請願 會議
第二十三 汽船「トロール」漁業禁止の請願 會議
第二十四 水産教育普及に關する請願 會議
第二十五 在外國賣淫婦取締法制定に關する請願 會議
第二十六 常設美術展覽會會場及美術館設立の請願 會議
第二十七 越羽沿海鐵道及陸羽横斷鐵道速成の請願 會議
━━━━━━━━━━━━━発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=0
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001・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ヨリ諸般ノ報〓ヲ致シマス
〔東久世書記官朗讀〕
一昨二十日本院ニ於テ議決シタル政府提出貴族院令中改正案ハ卽日裁可ヲ
奏請セリ
同日本院ニ於テ修正議決シタル政府提出立木ニ關スル法律案ハ卽日之ヲ衆
議院ニ送付セリ
同日本院ニ於テ修正議決シタル政府提出種痘法案ハ卽日之ヲ衆議院ニ囘付
セリ
同日本院ニ於テ修正議決シタル左ノ衆議院提出案ハ卽日之ヲ衆議院ニ囘付
セリ
醫師法中改正法律案
齒科醫師法中改正法律案
同日各特別委員會ニ於テ常選シタル正副委員長ノ氏名左ノ如シ
耕地整理法中改正法律案特別委員會
委員長子爵鍋島直彬君副委員長村田保君
特許法改正法律案、意匠法改正法律案、商標法改正法律案、實用新案法
改正法律案特別委員會
委員長伯爵廣澤金次郞君副委員長子爵加納久宜君
獸畜市場法案特別委員會
委員長伯爵廣澤金次郞君副委員長男爵尾崎三良君
獸疫豫防法中改正法律案特別委員會
委員長男爵北垣國道君副委員長子爵靑山幸宜君
同日委員長ヨリ請願委員會特別報告第八號ヲ提出セリ
同日衆議院ヨリ同院提出砂糖消費稅法中改正法律案兩院協議會成案ヲ受領
セリ
同日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ヲ受領セリ
明治四十二年度歲入歲出總豫算追加案(第二號)
明治四十二年度特別會計歲入歲出豫算追加案(特第二號)
豫算外國庫ノ負擔トナルヘキ契約ヲ爲スヲ要スル件(追第一號)
登錄稅法中改正法律案
明治三十七八年戰役ノ爲損害ヲ被リタル者ノ救恤ニ關スル法律案
同日衆議院ヨリ左ノ同院提出案ヲ受領セリ
競馬法案
民事訴訟法中改正法律案
商業會議所法中改正法律案
行政裁判再審ニ關スル法律案
同日衆議院ヨリ政府提出外國領海水產組合法中改正法律案ハ本院ノ議決ニ
同意シ奏上シタル旨ノ通牒ヲ受領セリ
同日衆議院ヨリ本院ノ囘付ニ係ル衆議院提出建物保護ニ關スル法律案ハ本
院ノ修正ニ同意シ奏上シタル旨ノ通牒ヲ受領セリ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=1
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002・徳川家達
○議長(公爵德川家逹君) 是ヨリ本日ノ會議ヲ開キマス、第一、明治四十二
年度歲入歲出總豫算追加案、第二號、審査期限ヲ定ムルノ件、第二、明治四
十二年度特別會計歲入歲出豫算追加案、特第二號、審査期限ヲ定ムルノ件、
第三、豫算外國庫ノ負擔トナルヘキ契約ヲ爲スヲ要スル件、追第一號、審査
期限ヲ定ムルノ件
〔左ノ通牒文ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ載錄ス〕
(第二號)明治四十二年度歲入歲出總豫算追加案
右本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
明治四十二年三月二十日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
(特第二號)明治四十二年度特別會計歲入歲出豫算追加案
右本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
明治四十二年三月二十日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
(追第一號)豫算外國庫ノ負擔トナルヘキ契約ヲ爲スヲ要スル件
右本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
明治四十二年三月二十日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=2
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003・曾我祐準
○子爵曾我祐準君 唯今問題ニナリマシタ議事日程ノ第一、第二、第三、此
三案ハ明二十三日中ニ審査イタシタウゴザイマス、最早餘日モゴザイマセヌ
ケレドモ色〓差支ガアッテ今日中ニハ到底出來ヌヤウニ考ヘマスカラ、明日
中ニ致シタウゴザイマス、ドウカ御贊成ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=3
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004・松平正直
○男爵松平正直君 曾我子爵ノ發議ニ贊成イタシマス
〔其他「贊成」ト呼フ者多シ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=4
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005・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 曾我子爵ノ動議ニ對シテ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=5
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006・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=6
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007・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第四、登錄稅法中改正法律案、政府提出、
衆議院送付、第一讀會、本日ノ議案ノ朗讀ハ省略イタシテ御異存ゴザイマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=7
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008・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス
〔左ノ通牒文及議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ載錄ス以下之
ニ傚フ〕
登錄稅法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
明治四十二年三月二十日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
登錄稅法中改正法律案
登錄稅法中左ノ通改正ス
第三條ノ二中「鐵道抵當原簿」ノ下ニ「又ハ軌道抵當原簿」ヲ加フ
第六條第三項ヲ左ノ如ク改ム
財團法人又ハ營利ヲ目的トセサル社團法人ニシテ登記ヲ受クルトキハ左
ノ區別ニ從ヒ登錄稅ヲ納ムヘシ
法人ノ設立、法人設立後ノ事務所設置、事務
所ノ移轉每一件金一圓
二登記事項ノ變更消滅又ハ廢止、登記ノ更正又ハ
抹消、解散、〓算人ノ選任解任又ハ變更、〓
算ノ結了每一件金五十錢
同條ニ左ノ一項ヲ加フ
產業組合、產業組合聯合會又ハ產業組合中央會ニシテ登記ヲ受クル場合
ニハ前二項ノ規定ニ依ル但シ組合原簿ノ記載ニ付テハ登錄稅ヲ課セス
第十一條特許ニ關シ登錄ヲ受クルトキハ左ノ區別ニ從ヒ登錄稅ヲ納ムヘ
シ
-特許權ノ移轉
相續每一件金一圓
相續以外ノ原因ニ因ル移轉每一件金十圓
二使用權又ハ實施權ノ設定又ハ保存每一件金五圓
三前二號ノ權利ヲ目的トスル質權ノ設定債權金額千分ノ六
四前二號ノ權利ノ移轉
相續每一件金五十錢
相續以外ノ原因ニ因ル移轉每一件金二圓
五滯納處分以外ノ原因ニ因ル第一號乃至第三號
ノ權利ノ處分ノ制限債權金額千分ノ四
六登錄ノ更正、變更又ハ抹消每一件金五十錢
債權金額ニ因リ課稅額ヲ定ムル場合ニ於テ一定ノ債權金額ナキトキハ債
權ノ目的タルモノノ價格ヲ以テ債權金額ト看做ス
第十二條意匠ニ關シ登錄ヲ受クルトキハ左ノ區別ニ從ヒ登錄稅ヲ納ムヘ
シ
-意匠權ノ移轉
相續每一件金一圓
相續以外ノ原因ニ因ル移轉每一件金二圓
二實施權ノ設定又ハ保存每一件金一圓
三前二號ノ權利ヲ目的トスル質權ノ設定債權金額千分ノ六
四前二號ノ權利ノ移轉
相續每一件金五十錢
相續以外ノ原因ニ因ル移轉每一件金一圓
五滯納處分以外ノ原因ニ因ル第一號乃至第三號
ノ權利ノ處分ノ制限債權金額千分ノ四
六登錄ノ更正、變更又ハ抹消每一件金二十錢
債權金額ニ因リ課稅額ヲ定ムル場合ニ於テ一定ノ債權金額ナキトキハ債
權ノ目的タルモノノ價格ヲ以テ債權金額ト看做ス
第十二條ノ二實用新案ニ關シ登錄ヲ受クルトキハ左ノ區別ニ從ヒ登錄稅
ヲ納ムヘシ
-實用新案權ノ移轉
相續每一件金一圓
相續以外ノ原因ニ因ル移轉每一件金五圓
二使用權又ハ實施權ノ設定又ハ保存每一件金二圓
三前二號ノ權利ヲ目的トスル質權ノ設定債權金額千分ノ六
四前二號ノ權利ノ移轉
相續每一件金五十錢
相續以外ノ原因ニ因ル移轉每一件金一圓
五滯納處分以外ノ原因ニ因ル第一號乃至第三號
ノ權利ノ處分ノ制限債權金額千分ノ四
六登錄ノ更正、變更又ハ抹消每一件金二十錢
債權金額ニ因リ課稅額ヲ定ムル場合ニ於テ一定ノ債權金額ナキトキハ債
權ノ目的タルモノノ價格ヲ以テ債權金額ト看做ス
第十三條商標ニ關シ登錄ヲ受クルトキハ左ノ區別ニ從ヒ登錄稅ヲ納ムヘ
シ但シ聯合商標ニ在リテハ各其ノ半額トス
-商標權ノ移轉
相續每一件金一圓
相續以外ノ原因ニ因ル移轉每一件金十圓
二登錄ノ更正、變更又ハ抹消每一件金五十錢
第十六條左ノ場合ニ於テ不動產又ハ船舶ニ關スル登記ヲ受クルトキハ左
ノ區別ニ從ヒ登錄稅ヲ納ムヘシ
-府縣郡市町村ノ廢置分合又ハ境界變更ニ因ル府縣郡市町村ノ權利ノ
取得
不動產又ハ船舶ノ價格千分ノ一
二市町村ノ一部ニ屬スル財產ヲ無償名義ニ因リ其ノ市町村ニ移ス場合
ニ於ケル市町村ノ權利ノ取得
不動產又ハ船舶ノ價格千分ノ一
三法人ノ合併又ハ組織變更ニ因ル法人ノ權利ノ取得
不動產又ハ船舶ノ價格千分ノ五
前項各號ノ場合ニ於テ稅金額十錢未滿ナルトキハ十錢トス
附則
本法施行ノ期日ハ各條ニ付勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔政府委員若槻禮次郞君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=8
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009・若槻禮次郎
○政府委員(若槻禮次郞君) 此登錄稅法中改正案ハ幾多ノ事項ヲ含ンデ居ル
ノデアリマスガ、其一ツハ是マデ此既ニ帝國議會ヲ通過イタシマシタ法律竝
ニ今本院ニ於テ御審議中ニ係ッテ居リマス法律ニ關聯シテ居ル箇條デアリマ
シテ、例ヘバ軌道ノ抵當ニ關スル法律トカ、或ハ特許法、商標法、意匠法、
實用新案法ト云フモノヽ改正ニ伴ヒマシテ登錄稅ヲ變ヘル必要ガアルノデア
リマシテ、ソレガ改正ノ一廉ニナッテ居リマス、其次ニハ此公益法人竝ニ產
業組合ニ對シテハ登錄稅ヲ唯今ノ稅率ヨリモ輕減スル方ガ相當デアル、日々
公益法人ナリ或ハ產業組合ノ設立ヲ成ルベク奬勵シタイト云フガ爲ニ、登錄
稅ヲ輕減シタ方ガ宜シイト云フ趣意ニ依ッテ、其輕減ノ案ガ一廉ニナッテ居
ルノデアリマス、尙ホ其他二點ハ此公共團體府縣郡市町村等ガ法律ノ結果ニ
依リマシテ、其境界ノ變更ガアリマシタリ、或ハ廢置分合ノアリマシタル場
合ニ、一ノ公共〓體ノ方カラ他ノ公共〓體ノ方ニ財產ヲ分ケル場合ガアリマ
ス、此場合ニ普通ノ移轉ノ登錄稅ヲ取リマスト一云フコトハ、餘リ稅ガ重キニ
過ギマスガ故ニ之ヲ輕クシタイト云フノガ一點デアリマス、又公共團體ノ中
ノ一部落、卽チ大字ト云フモノガ財產ヲ持ッテ居ルノデアリマスガ、此財產
ハ追〓市町村有財產ノ方ヘ移サシテ、一市町村ノ人ヲシテ一自治體デアルト
云フ觀念ヲ持タセタイト云フノデアリマスガ、然ルニ此場合ニ於ケル登錄稅
ガ今日デハ普通ノ登錄稅ヲ取リマス爲ニ、割合ニ高イ、之ヲ廉クシテ成ルベ
ク部落財產ヲシテ一市町村財產ニ直スヤウニアラシメタイ、斯ウ云フノガ一
點デアリマス、尙ホ之ニ似寄ッタモノデアリマシテ、公共〓體デハアリマセ
ヌケレドモ、普通ノ會社ニ於テモ合併ノ場合或ハ組織變更ノ場合ハ、當リ前
ノ移轉ノ稅ヲ取ルノハ高キニ過グルト云フ考デアリマシテ、此場合モ幾ラカ
稅率ヲ輕減シタイ、是等ノ點ヲ併セテ登錄稅法デ直シタイ爲ニ本案ヲ提出シ
タ次第デアリマス、ドウゾ御同意ヲ請ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=9
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010・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第五、明治三十七八年戰役ノ爲損害ヲ被
リタル者ノ救恤ニ關スル法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會
明治三十七八年戰役ノ爲損害ヲ被リタル者ノ救恤ニ關スル法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
明治四十二年三月二十日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
明治三十七八年戰役ノ爲損害ヲ被リタル者ノ救恤ニ關スル法律案
第一條露西亞領亞細亞、〓國滿洲及韓國義州方面ニ在留シタル帝國臣民
ニシテ明治三十七八年戰役開始ノ際引揚ケタル爲損害ヲ被リタル者ニ對
シテハ本法ニ依リ救恤金ヲ下付ス
第二條前條救恤金ノ總額ハ百萬圓以內トス
第三條救恤金ハ額面金額ニ依リ五分利付國債證劵ヲ以テ之ヲ給付ス但シ
五十圓未滿ノ金額ハ現金ヲ以テ之ヲ給付ス
第四條政府ハ前條ノ規定ニ依ル給付ニ必要ナル國債證劵ヲ發行スルコト
ヲ得
第五條本法ニ依リ救恤金ヲ受ケムトスル者ハ明治四十二年七月三十一日
迄ニ申請スヘシ
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=10
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011・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第六、砂糖消費稅法中改正法律案、兩院
協議會成案、會議、兩院協議委員議長報〓
〔左ノ報告書ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ載錄ス以下之ニ傚フ〕
砂糖消費稅法中改正法律案
右別册ノ通兩院協議會成案成立セリ依テ及報告候也
明治四十二年三月十八日
砂糖消費稅法中改正法律案兩院協議委員議長
伯爵寺島誠一郞
貴族院議長公爵德川家達殿
〔別册〕
砂糖消費稅法中改正法律案兩院協議會成案
貴族院議決案ノ通ト議決ス
〔伯爵寺島誠一郞君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=11
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012・寺島誠一郎
○伯爵寺島誠一郞君 唯今議事日程ニ上ボリマシタ砂糖消費稅法中改正法律
案兩院協議委員會ノ經過ト結果ヲ御報道イタシマス、此委員ハ議長ヨリ指名
ニナリマシテ、其後十八日ニ兩院ノ側カラ出マシタル委員ガ會合ヲ致シマシ
テ成立ヲ致シタノデアリマス、議長ノ抽籖ニ次ギマシテ衆議院側ヨリ質問ガ
ゴザイマシタ、本院ノ協議委員カラ之ニ對スル答辯ヲ一應申シタノデアリマ
シタ、衆議院協議委員ノ動議ニ依リマシテ特別協議委員ノ小委員三名ヅヽ選
出スルト云フコトノ動議ガ成立イタシマシテ、本院ヨリハ加納子爵ト武井男
爵ト竝ニ室田君ノ此三名ヲ委員ニ議長ヨリ指名イタシマシタ、コチラノ三名
ト彼レノ三名、合セテ六名ノ小委員ハ別室ニ退イテ協議ヲ開クコトニナリマ
シタルニ依リマシテ、協議會ハ暫時休憩ヲ致シマシタ、遂ニ玆ニ今日報〓ニ
ナッテ居リマス通リノ結果ニ立至ッタノデアリマス、玆ニチヨット其經過ノ
要點ヲ申添ヘテ置キマス、小委員協議會ニ於キマシテハ、本院側ニ於テ到底
此案ヲ改訂變更スルコトノ餘地ノ無イコトガ明カニナリマシタルニ付キマシ
テハ、親シク兩委員間ニ於テ懇話ノ末ニ、衆議院ノ小委員ハ暫時退場イタシ
マシテ、彼レノ委員全部ノ人〓ト會合ヲシテ熟議イタシタノデアリマス、此
場合此案ハ到底成立スルカ不成立ニ終ルカト云フコトデアルカラシテ、快ク
之ニ同意ヲスルコトニシヤウト云フコトニ相談ガ調ッタヤウデアリマシタ、
續イテ彼レノ小委員ハ我レノ小委員ト會合イタシマシテ、遂ニ唯今モ申上ゲ
マシタ通リ、玆ニ出來テ居リマス成案通リノ決定ヲ見ルコトニナッタノデア
リマス、誠ニ斯ノ如ク圓滿ニ協議ガ調ッテ玆ニ此成案ヲ兩院協議委員間ニ於
テ決定ヲ致シ、此成案ヲ本員ヨリ御報告スルコトハ誠ニ喜バシキコトヽ存ズ
ルノデアリマス、斯ノ如キ次第デゴザリマスルカラシテ、協議委員會ニ於テ
全會一致ヲ以テ可決ニナリマシタコトデモアリマス故ニ、本院ニ於キマシテ
モ全員滿場一致ヲ以テ直チニ可決ニナラムコトヲ希望イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=12
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013・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 兩院協議會ノ成案ニ付イテ同意ノ諸君ノ起立ヲ請
ヒマス
總員起立発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=13
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014・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 全會一致ト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=14
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015・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第八、宅地地價修正法案········誤リマシタ、
議事日程第七、關稅定率法輸入稅表中改正法律案、衆議院提出、第一讀會
關稅定率法輸入稅表中改正法律案
右本院提出案及送付候也
明治四十二年三月十八日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
關稅定率法輸入稅表中左ノ通改正ス
-米及籾
一白米每百斤一五〇
二玄米其ノ他同、〇〇
〓大麥同〇、八〇
二小麥同〇、八五
三二穀粉及澱粉類
-小麥粉每百斤二、二五
二オートミール同四、四二
三コーンミール同三、八七
四タピオカ及マニオカ同一、八〇
五其ノ他從價三割
附則
本法ハ明治四十二年十月一日ヨリ之ヲ施行ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=15
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016・中島永元
○中島永元君 本員ハ此案ニ付イテ大藏大臣ニ御質問シタウゴザイマスガ、
今見エラレマセヌカラ政府委員カラデモ宜シウゴザイマス、此案ハ國家經濟
上頗ル重大ナル問題デアリマスルガ、政府ハ之ニ對シテ御同意デアリマスル
カ、反對デアリマスルカ、若シ御同意ナラバ其御同意ノ理由ヲ詳ニ承リタウ
ゴザイマス
〔政府委員若槻禮次郞君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=16
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017・若槻禮次郎
○政府委員(若槻禮次郞君) 此米ノ輸入稅其他穀物ニ關スル輸入稅ヲ增加シ
ヤウト云フ案ニ付イテ政府ハ同意シテ居ルカ、ドウカト云フ御尋ネデアリマ
シタガ、此衆議院ノ提出案ニハ遺憾ナガラ政府ハ同意ヲスルコトガ出來ヌノ
デアリマス、ソレデ同意シテ居ルナラバ委シイ理由ヲ述べヨト云フコトデア
リマシタガ、同意シテ居リマセヌノデアリマスカラ、詳細ニハ申上ゲマセヌ
ケレドモ、米ノ輸入稅ヲ上ゲルト云フコトハ、之ニ依ッテ農民ノ所得ヲ增加
シテ農民ノ購買力ヲ增サセタイ、然カスレバ自然世間ノ景氣モ一般ニ宜クナ
ルト云フ理由カラ起ッテ居ルヤウデアリマスガ、其趣意ニ於テハ如何ニモ反
對スベキ譯ハ無イノデアリマスケレドモ、併ナガラ米ノ輸入稅ヲ上ゲルト云
フコトハ、米ガ澤山出來マシテ、ソレガ爲ニ內地ノ供給ガ十分アリマストキ
ニハ輸入稅ヲ上ゲマシタ所ガ、左ホド米價ヲ高メル效力ガ少ナイ、之ニ反
シテ米ノ不作デアリマストキニ大ニ外國カラ米ヲ入レテ行カヌケレバ食料ガ
足ラナイト云フヤウナトキニハ、關稅ガ高クナレバ非常ニ其關稅ノ高イト云
フ效力ヲ有ツ次第デアリマスカラ、ソレガ爲ニ起リマスル種々ナ現象ト云フ
モノハ餘ホド考慮ヲ加ヘナケレバナラヌ、ソレ故ニ本案ニ對シテ唯今デハ政
府デハ同意スルコトガ出來ナイ、斯ウ云フコトニナッテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=17
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018・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第八、宅地地價修正法案、衆議院提出、
第一讀會
宅地地價修正法案
右本院提出案及送付候也
明治四十二年三月十八日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
宅地地價修正法
第一條本法ニ於テ宅地ト稱スルハ郡村宅地及市街宅地ヲ謂フ
第二條宅地ノ現在地價ハ本法ニ依リ之ヲ修正ス
第三條宅地ノ修正地價ハ本法ニ依リ定メタル賃貸價格ノ十倍トス
本法ニ於テ賃貸價格ト稱スルハ貸主カ公課、修繕費其ノ他土地ノ維持ニ
必要ナル經費ヲ負擔スル條件ヲ以テ之ヲ賃貸スル場合ニ於テ貸主ノ收得
スヘキ金額ヲ謂フ
第四條宅地ノ賃貸價格ハ宅地賃貸價格調査委員會ノ調査ニ依リ政府之ヲ
決定ス
政府ハ調査委員會ノ決議ヲ不當ト認ムルトキハ之ヲ再調査ニ付ス
左ノ場合ニ於テハ政府ニ於テ宅地ノ賃貸價格ヲ決定ス
調査委員會成立セサルトキ
二調査委員會ノ調査ニ付シタル日ヨリ六十日以內ニ調査結了セサルト
キ
三調査委員會ノ再議ニ付スルモ其ノ決定仍不當ト認ムルトキ
四調査委員會ノ再議ニ付シタル日ヨリ二十日以內ニ調査結了セサルト
キ
第五條稅務署長ハ所轄內各市町村ニ於ケル宅地ノ賃貸借格ヲ調査シ宅地
賃貸價格調査委員會ニ提出スヘシ
第六條各稅務署所轄内ニ宅地賃貸價格調査委員會ヲ置ク但シ稅務署所轄
內ニ市制ヲ施行スル地方ヲ包含スルトキハ市制ヲ施行スル地方ト其ノ他
ノ地方トニ區別シテ之ヲ置ク
調査委員ノ定數ハ十人トス但シ地方ノ狀況ニ依リ命令ヲ以テ之ヲ增減ス
ルコトヲ得
第七條調査委員ハ調査委員選擧人之ヲ選擧ス調査委員ニ選ハレタル者ハ
正當ノ事故ナクシテ之ヲ辭スルコトヲ得ス
調査委員ハ其ノ職務ノ終了ニ因リテ解任ス
第八條調査委員選擧人ノ定數ハ其ノ選擧區域内ニ於テ宅地ノ地租ヲ納ム
ル義務アル者五十人ニ付一人トス但シ義務者千人以上ナルトキハ二十人
ニ止メ義務者五十人未滿ナルトキハ一人トス
第九條調査委員ノ選擧區域ハ調査委員會ヲ置クヘキ區域ニ依リ調査委員
選擧人ノ選擧區域ハ市町村ノ區域ニ依ル
第十條選擧執行ノ日ニ於テ現ニ地租名寄帳ニ宅地地租納稅者トシテ登錄
セラレタル者ハ當該選擧區域内ニ於テ調査委員選擧人ヲ選擧シ又ハ調査
委員若ハ調査委員選擧人ニ選擧セラルルコトラ得但シ左ニ記載スル者ハ
此ノ限ニ在ラス
無能力者
二家資分散又ハ破產ノ宣告ヲ受ケ其ノ確定シタルトキヨリ復權ノ決定
確定スルニ至ル迄ノ者
三國稅滯納處分ヲ受ケタル後一年ヲ經サル者
四六年ノ懲役若ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者及舊刑法ノ重罪ノ刑
ニ處セラレ復權ヲ得サル者
五六年未滿ノ懲役若ハ禁錮ニ處セラレタル者及舊刑法ノ禁錮ニ處セラ
レタル者ニシテ其ノ刑ノ執行ヲ終ル迄ノ者又ハ其ノ執行ヲ受クルコ
トナキニ至ル迄ノ者
第十一條調査委員選擧人及調査委員ノ選擧竝調査委員會ノ會議ニ關スル
規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十二條稅務署長ハ其ノ決定シタル賃貸價格ニ依リ修正地價ヲ定メ之ヲ
市町村長ニ通知スヘシ
市町村長前項ノ通知ヲ受ケタルトキハ市役所又ハ町村役場ニ於テ二十日
間其ノ市町村内ニ於テ宅地ノ地租ヲ納ムル義務アル者又ハ其ノ納稅管理
人ノ縱覽ニ供スヘシ
第十三條宅地ノ地租ヲ納ムル義務アル者又ハ其ノ納稅管理人修正地價ニ
不服アルトキハ縱覽期間滿了ノ日ヨリ三十日以內ニ稅務監督局長ニ異議
ノ申立ヲ爲スコトヲ得
第十四條前條ノ申立アリタルトキハ稅務監督局長ハ大藏大臣ノ認可ヲ得
修正地價ヲ決定シ之ヲ異議申立者ニ通知スヘシ
第十五條本法ニ依ル地價ノ修正ニ付テハ訴願又ハ行政訴訟ヲ爲スコトヲ
得ス
第十六條本法中市トアルハ東京市、京都市、大阪市、北海道及沖繩縣ニ
在リテハ區、町村トアルハ町村制ヲ施行セサル地方ニ在リテハ戶長ノ職
務ヲ行フ區域トス
附則
第十七條本法ニ依リ地價ヲ修正シタル宅地ニ付テハ明治四十三年分ヨリ
修正地價ニ依リ地租ヲ徵收ス
第十八條荒地免租年期又ハ低價年期ヲ有スル宅地ニ付テハ本法ニ依リ地
價ノ修正ヲ爲サス年期明ニ至リ類地比準ニ依リ其ノ地價ヲ修正ス
荒地免租年期ヲ有スル宅地ニシテ低價年期ヲ許可セラレタルトキハ其ノ
年期明ニ至リ前項ノ規定ヲ適用ス
第十九條本法施行前耕地整理法又ハ明治三十年法律第三十九號ニ依リ耕
地ノ整理又ハ土地ノ改良ニ著手シ未タ事業成功ニ至ラサル地區內ニ在ル
宅地ニ付テハ本法ニ依リ地價ノ修正ヲ爲サス事業成功ニ至リタルトキ其
ノ地區外ノ類地ノ比準ニ依リ其ノ地價ヲ修正ス
第二十條開墾著手後九年ヲ經過セサル宅地又ハ鍬下年期地價据置年期ヲ
有スル宅地ニ付テハ本法ニ依リ地價ノ修正ヲ爲サス
第二十一條前三條ノ場合ニ於テ地租ヲ徵收スル宅地ニ付テハ其ノ修正地
價ニ依リ地租ヲ徵收スルニ至ル迄左ノ稅率ニ依リ地租ヲ徴收ス
北海道ノ宅地地價百分ノ四箇
二府縣ノ宅地地價百分ノ五箇半発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=18
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019・谷新助
○谷新助君 政府委員ニ少シク御尋ネシタイコトガアリマスガ、此宅地地價
修正ハ重大ナ問題デアリマスガ、是ハ政府ハ御同意ニナッテ居リマスカ、如
何デアリマセウカ、尙又此第十六條ニ「東京市、京都市、大阪市」ト此三市ヲ
出シテアリマスガ、如何ニモ此三市ダケヲ十六條ニ現ハシタト云フノハ、ド
ウ云フ理由デアリマスカ、一應政府委員ニ明カニ御趣意ヲ伺ヒタイ
〔政府委員若槻禮次郞君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=19
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020・若槻禮次郎
○政府委員(若槻禮次郞君) 此土地ノ法定價格ト云フモノガ實際ノ價ト一致
シテ居リマセヌ、ト云フモノハ是ハ單リ宅地ノミデアリマセヌデ、一般ノ土
地ガ然リデアリマスガ、殊ニ宅地ニ付キマシテハ此法定地價ト實際ノ價ト云
フモノガ大變ニ今日デハ變ッテ居ルノデアリマス、ソレ故ニ唯今ノ法定地
價デ地租ヲ取リマストキハ實際ノ物ノ價カラ申シマスト、負擔ハ餘ホド公平
ニ遠ザカッテ居ルト云フコトヲ申上ゲナケレバナラヌト思フノデアリマス、
ソレ故ニ宅地ノ地價ヲ修正シテ成ルベク負擔ヲ公平ナラシムルト云フ趣意ニ
ハ、政府ハ無論賛成デアルノデアリマシテ、宅地地價修正案ト云フモノハ前
囘ニモ既ニ提出シタ位デアリマス、併ナガラ此地價ノ修正ト云フノハ唯今申
上ゲル如ク負擔ヲ公平ニスルト云フノガ趣意デアリマスカラ、是ハ卽チ一ノ
稅法ノ整理デアルノデ、政府ノ考デハ稅法ヲ整理シマストキニ一遍ニ斯ウ云
フ問題モ解決スルノガ宜イト、斯ウ考ヘテ居リマシタ爲ニ今囘ハ提出セナン
ダヤウナ次第デアリマス、唯〓衆議院カラ提出ニナッテ居リマスル法案モ大
體ニ於テハ政府ノ見テ居リマスル所ト、サウ違ヒハアリマセヌケレドモ、衆
議院ノ案ニ據リマスルト、公平ニスルト云フコトガ專ラニナッテ居リマス爲
ニ、一時ニ比租稅ノ負擔ガ急ニ增スト云フヤウナ結果ヲ呈スルノデアリマシ
テ、斯樣ニナルコトハ公平ト云フ上カラハ或ハ尤モデアルカモ知ラヌガ、併
ナガラ租稅ノ負擔ト云フモノハ公平公平ト言ウテ急速ニ此負擔ノ增加スルト
云フコトハ又大ニ考慮スベキコトデアルカラ、此點ニ付イテハ政府デハ衆議
院ノ發案ニ對シテハ少シク同意ヲ仕兼ネル點デアルト、斯ウ考ヘテ居ルノデ
アリマス、ソレカラ十六條ノ「東京市、大阪市、京都市」トアリマスノハ、是
等ノ市ニハ區ト云フモノガゴザイマスカラ、區ヲ一ツノ區域ニシテ此委員會
ヲ設ケタ方ガ相當デアルト云フノデ、此三市ニ限ッテハ區ト云フモノヲ以テ
委員會等ヲ設ケル區域ニスル、斯樣ニ致スノガ十六條ノ趣意ニナッテ居ルノ
デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=20
-
021・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第九、地租條例中改正法律案、衆議院提
出、第一讀會、議事日程第十、遠洋漁業奬勵法中改正法律案、衆議院提出、
第一讀會、議事日程第十一、地方稅制限ニ關スル法律中改正法律案、衆議院
提出、第一讀會
地租條例中改正法律案
右本院提出案及送付候也
明治四十二年三月十八日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
地租條例中左ノ通改正ス
第一條地租ハ左ノ稅率ニ依リ每年之ヲ賦課ス
宅地地價百分ノ二箇三
宅地以外ノ土地地價百分ノ五箇半
北海道ニ於ケル宅地以外ノ土地ノ地租稅率ハ當分地價百分ノ四箇トス
本條例ニ於テ地價ト稱スルハ土地臺帳ニ揭ケタル價額ヲ謂フ
第三條中「郡村宅地、市街宅地」ヲ「宅地」ニ改メ第二項ノ次ニ左ノ一項ヲ加
フ
第一類地ヲ第二類地ニ變換スルモノヲ地類變換ト謂フ
第五條中「市街宅地」ヲ「宅地」ニ改ム
第七條中「開墾又ハ第一類地ヲ第二類地ニ變換」ヲ「地類變換又ハ開墾」ニ改
ム
第十條地目ヲ變換シ又ハ地類ヲ變換シタルトキハ政府ニ屆出ツヘシ
地目ヲ變換シ又ハ地類ヲ變換シタルトキハ直ニ其地價ヲ修正ス但第十六
條第六項ノ場合ハ此限ニ在ラス
第十條ノ一及第十條ノ二削除
第十一條及第十六條中「地方廳」ヲ「政府」ニ改ム
第十二條地租ハ左ノ期限ニ依リ之ヲ徵收ス
-宅地
第一期其年七月一日ヨリ地租額二分ノ
同七月三十一日限
第二期翌年一月一日ヨリ地租額二分ノ
同一月三十一日限
二田
第一期其年十二月十六日ヨリ地租額四分ノ一
翌年一月十五日限
第二期翌年二月一日ヨリ地租額四分ノ一
同二月末日限
第三期翌年三月一日ヨリ地租額四分ノ一
同三月三十一日限
第四期翌年五月一日ヨリ地租額四分ノ一
同五月三十一日限
三其他ノ土地
第一期其年九月一日ヨリ地租額二分ノ一
同九月三十日限
第二期其年十一月一日ヨリ地租額二分ノ一
同十一月三十日限
特殊ノ事情アル地方ニシテ前項ノ納期ニ依リ難キモノニ付テハ命令ヲ以
テ特別ノ納期ヲ設クルコトヲ得
第十四條地價ヲ修正シタル土地ニ付テハ其年ヨリ修正地價ニ依リ地租ヲ
徵收ス但其年ニ係ル地租ノ全部又ハ一部納付後地價ヲ修正シタルトキハ
翌年ヨリ修正地價ニ依リ地租ヲ徴收ス
第十六條第二項ニ左ノ但書ヲ加フ
但地類變換ヲ爲シタル後五年以內ニ開墾シタルモノニ在リテハ其成功ノ
部分ニ對シ直ニ其地價ヲ修正ス
第十七條中「第十條ノ二ノ規定ヲ準用ス」ヲ「其年ヨリ開墾又ハ變換シタル
地目ニ依リ其地租ヲ徵收ス但其年ニ係ル地租ノ全部又ハ一部納付後屆出ア
リタルトキハ翌年ヨリ開墾又ハ變換シタル地目ニ依リ其地租ヲ徵收ス」
ニ改メ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ場合ニ於テ開墾又ハ變換地目ノ稅率カ舊地目ノ稅率ト同一ナラサ
ルトキハ修正地價ニ依リ地租ヲ徴收スルニ至ル迄舊地目ノ稅率ニ依リ地
租ヲ徵收ス
附則
本法ハ明治四十三年一月一日ヨリ之ヲ施行ス但明治四十二年分地租ノ徵收
ニ關シテハ仍舊法ヲ適用ス
非常特別稅法中地租ニ關スル規定ハ明治四十二年分地租限之ヲ廢止ス
本法施行前地目ヲ變換シ又ハ地類ヲ變換シタル土地ニシテ地價ヲ修正セサ
ルモノハ本法施行ノ際其地價ヲ修正シ明治四十三年分地租ヨリ修正地價ニ
依リ地租ヲ徵收ス
本法施行前地目ヲ變換シ地價ヲ修正シタル土地ニシテ修正地價ニ依リ地租
ヲ徴收スルニ至ラサルモノニ付テハ明治四十三年分地租ヨリ修正地價ニ依
リ地租ヲ徵收ス
明治二十四年法律第二號明治三十年法律第五號宅地組換法及明治三十九年
法律第三十三號ハ之ヲ廢止ス
遠洋漁業奬勵法中改正法律案
右本院提出案及送付候也
明治四十二年三月十八日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
遠洋漁業奬勵法中左ノ通改正ス
第一條中「豫算ノ定ムル所ニ依リ每年度十五萬圓以内」ヲ「每年豫算ヲ以テ
定ムル所ノ金額」二之一,
第四條中「第三號」ヲ削ル
第四條、第六條第一項及第七條第二項中「漁獵員」ヲ「漁獵職員」ニ改ム
第五條主務大臣ハ遠洋漁船檢査規程ニ定ムル構造ニ適合シタル日本船舶
ヲ新造シ若ハ新造セシメ又ハ日本船舶ニ新造ノ機關、冷藏機械ヲ据附ケ
若ハ据附ケシメタル船舶所有者ニ對シ其ノ噸數、馬力、冷却力ニ從ヒ率ヲ
定メ漁船奬勵金ヲ下付スルコトヲ得但シ左ノ制限ヲ超ユルコトヲ得ス
鐵鋼製四十圓
一船體總噸數每一噸木鐵交造又ハ木鋼交造三十五圓
木製三十圓
一蒸汽機關實馬力每一馬力十五圓
一發動機關純馬力每一馬力二十圓
一冷藏機械冷却力製氷量每一噸千圓
主務大臣ハ漁船ノ改良ニ關シ特ニ其ノ指定シタル方法及設計ニ依リ總噸
數五十噸末滿ノ日本船舶ヲ新造シ若ハ新造セシメタル船舶所有者ニ對シ
其ノ船舶新造費ノ三分ノ一以内ノ漁船奬勵金ヲ下付スルコトヲ得
前項ニ依リ漁船奬勵金ヲ下付シタルトキハ第一項ノ漁船奬勵金ヲ下付ス
ルコトヲ得ス
第十一條ニ左ノ一項ヲ加フ
主務大臣ハ必要ト認メタル場合ニ於テ漁船船員ノ養成及掖濟ノ業務ヲ執
行スル營利ヲ目的トセサル法人ニ對シ第一條ノ金額ヨリ其ノ十分ノ一以
內ヲ下付スルコトヲ得
第二十一條中「明治三十八年四月一日ヨリ八箇年間」ヲ「明治四十二年七月
一日ヨリ十五箇年間」三郎 ノ
地方稅制限ニ關スル法律中改正法律案
右本院提出案及送付候也
明治四十二年三月十八日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
地方稅制限ニ關スル法律中左ノ通改正ス
第一條第一號中「地租百分ノ六十」ヲ「宅地地租千分ノ百三十四
其ノ他ノ土地地租千分ノ二百七十三」
ニ改メ「地租額」ノ下「百分ノ六十」ヲ「宅地ニ在リテハ千分ノ一日三十四其ノ
他ノ土地ニ在リテハ千分ノ二百七十三」三尺人
同條第二號中「地租百分ノ四十」ヲ「宅地地租千分ノ八十九ニ改
其ノ他ノ土地地租千分ノ百八十二」
メ「地租額」ノ下「百分ノ四十」ヲ「宅地ニ在リテハ千分ノ八十九其ノ他ノ土
地ニ在リテハ千分ノ百八十二」ニバル
附則
本法ハ明治四十三年度ヨリ之ヲ施行ス
明治四十三年一月一日ヨリ三月三十一日迄ニ宅地地租ニ賦課スル地租附加
稅ハ明治四十二年十二月三十一日現在ノ地租額ヲ以テ課稅標準トス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=21
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022・江木千之
○江木千之君 チヨット政府委員ニ御尋ネシタイノデアリマス、此案ニ付イ
テハ政府ハ御不同意デアラウトハ考ヘマスガ、チヨット念ノ爲ニ伺ッテ置キ
マス
〔政府委員若槻禮次郞君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=22
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023・若槻禮次郎
○政府委員(若槻禮次郞君) 唯今ノ法律案ハ宅地地價修正案ト關係ヲ有ッテ
居ル案デアリマシテ、宅地ノ地價ヲ修正シマシテ此地租ガ變リマスト云フ
ト、唯〓問題ニナッテ居リマスル制限案ト云フモノハドウシテモ斯ウ云フ
ヤウニ變ラナケレバナリマセヌノデ、宅地地價修正案ガ成立チマセヌケレバ
無論斯ウナッテハイカヌノデアリマス、併ナガラ宅地地價修正案ガ成立イタ
シマスレバ唯今議題ニナッテ居リマスルヤウナ制限案ガ制定ニナルノガ至當
デアラウ、斯ウ關聯シテ考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=23
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024・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 諸君ニ御諮リヲ致シマス、議事日程第八、第九、
第十一、此三案ハ同一委員ニ付託シテ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=24
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025・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=25
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026・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第十二、家祿賞典祿處分ニ關スル法律案、
衆議院提出、第一讀會ノ續、委員長報告、吉井伯爵
家祿賞典祿處分ニ關スル法律案
右別册ノ通修正セリ依テ及報告候也
明治四十二年三月十九日
右特別委員長
伯爵吉井幸藏
貴族院議長公爵德川家達殿
〔別册小字及-
〔委員會修正
第一條明治三十年法律第五十號家祿賞典祿處分法ニ據リ給與ノ願出ニ對
シ處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコ
トヲ得
六箇月
第二條前條ノ規定ニ依リ出訴セムトスル者ハ本法施行ノ日ヨリ二箇年以
內ニ之ヲ爲スコトヲ要ス
附則
本法ハ明治四十二年七月一日ヨリ之ヲ施行ス
〔伯爵吉井幸藏君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=26
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027・吉井幸藏
○伯爵吉井幸藏君 御報告申上ゲマス、家祿賞典祿ノ處分ハ明治九年太政官
布告第八號ニ據リマシテ、公債證書ヲ一時ニ下渡シニナリマシテ一段ノ處分
ガ付イタノデアリマス、然ルニ其中、全部ノ給與ヲ受ケナイモノ、或ハ相當
ノ額ニ不足ノアルモノ、或ハ祿高ニ錯誤ノアルモノガアリマシテ、是等ノモ
ノガ續々再調査ヲ出願ヲシタノデアリマスガ、多年御許シニナラズシテ漸ク
二十年ノ後、明治三十年ニ於キマシテ初メテ衆議院及本院ニ於キマシテ之ヲ
認メラレテ、卽チ法律第五十號ニナッテ更ニ取調ベラレルコトニナッタノデ
アリマス、ソレデ政府ハ明治三十二年ニ之ガ調査ノ標準ヲ定メ、調査ニ著手
シタノデアリマス、其調査ガ明治三十八年ニ終リマシテ、此處分ヲ爲シタノ
デアリマス、三十二年ニ此施行法ヲ發布サレテ、標準ヲ定メラレタトキニハ、
凡ソ之ニ要スル公債證書ヲ一千万圓造ラウト云フ位ノ大シタ高デアリマシタ
所ガ、三十八年ニ於キマシテ、實際其處分ニナリマシタノハ、僅ニ三十七万
圓デ他ハ皆却下ニナッタノデアリマス、旣ニ其時ニ却下スベキモノハ却下シ、
採用スベキモノハ採用シテ、一時處分ニナッタノデアリマスルガ、尙ホ人民
ハ之ニ不服デアルモノガアル、澤山アルノデアリマシテ、更ニ調査ヲ願ヒマ
シタケレドモ、政府ニ於キマシテハ、モウ既ニ十分愼重ニ丁寧ニ調査ガ濟ン
ダノデアルト云フノデ、ソレヲ許サレナイ所デアリマシタガ、此度此家祿賞
典祿處分ニ對スル法律案ガ出マシテ、是等ノ不服ノ者ニ對シテ行政訴訟ノ途
ヲ啓ク、行政訴訟ヲ許スト云フコトニスルト云フ案デアリマシテ、誠ニ簡單
ナ案デアリマス、ソレデ委員會ハ之ニ對シマシテ愼重ナ取調ヲ致シマシタ、
贊否ノ御說モアリマシタガ、反對ノ方ハ政府委員モ共ニ旣ニ二十年モ經ッテ
カラ更ニ取調ベルト云フヤウナ法律ガ出來タノハ斯ウ云フコトニ付イテハ非
常ナ恩典、デアル、誠ニ例外ナ恩典デアル、而カモ其後數年政府ガ鄭重ニ取調
ベテ、モウ決シテ過チ無イト信ズルノデアルカラシテ更ニ玆ニ行政訴訟ヲ許
スト云フコトハ必要デ無イ、是ガ反對ノ大體ノ意見デアリマス、贊成者ニ於
キマシテハ、是マデ政府ハ士族卒ニ對スル祿ノ處分ニ付イテハ誠ニ愼重ニ鄭
重ニ調ベラレタノデアルガ、然ルニ遺憾ナガラ玆ニ最後ノ處分ニ付イテモ尙
ホ不服ノアル者ガ澤山アルニ依ッテ、是ハ他ノ之ニ類似スル卽チ官吏恩給
法、及森林原野下戾法等ニモ、旣ニ斯樣ナ場合ニハ人民ニ行政訴訟ヲ許スト
云フ途ガ啓イテアルニ依ッテ、矢張リ此法律ニ於テモ、此事ニ付イテ許サレ
タ方ガ宜カラウト云フ意見デ、本案ハ殆ド全會一致、タヾ一人ノ異議者ガア
リマシタノミデ、可決イタシタヤウナ次第デアリマス、本院ニ於テモドウゾ
全會一致ヲ以テ速ニ御可決アラムコトヲ希望イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=27
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028・曾我祐準
○子爵曾我祐準君 政府ノ說明ヲ求メマス、政府ハ此案ニ反對ノ意見ヲ有ッ
テ居ラルヽト云フコトハ、唯今委員長ノ報〓デ分リマシタガ、ソレカラ委員
會ニ於テハ、タッタ一人ノ反對ノミヲ以テ可決シタト云フニ至ッテモ、此際
御反對ナラバ其意見ノ御陳述ヲ願ヒマス
〔政府委員若槻禮次郞君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=28
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029・若槻禮次郎
○政府委員(若槻禮次郞君) 唯〓秩祿ニ關スル處分ニ付イテ行政訴訟ヲ許サ
ウト云フ法律案ガ議題ニナッテ居ルノデアリマスガ、之ニ對シテ政府ハ不幸
ニシテ衆議院ニ於テモ意見ヲ一ニスルコトガ出來ズ、又遺憾ナガラ委員會ノ
御報告ニ向ッテモ御同意ヲ申上ゲルコトガ出來ヌノデアリマス、ト申上ゲマ
スノハ、第一番ニ祿制ノコトハ是ハ實ニ重大ナコトデゴザイマス、重大ナコ
トデアル故ニ十分ニ愼重ニ取調べヲシテ、處分セヌケレバナラヌモノデアル
ト云フコトハ、申上ゲルマデモ無イコトデアリマスルガ、ソレト同時ニ斯ウ
云フヤウナ事柄ハ一旦結了シタナラバ、ソレヲ以テ段落トセナケレバナラヌ、
斯ウ云フヤウナ事柄ニ付イテ一トタビ決マッテ又ソレヲ問題ニシテ處分ヲ求
メ、又決マッタモノヲ又問題ニシテ處分ヲスルト云フヤウニナリマスト云フ
ト、ソレデハ始終世間ニ一ツノ疑惑ヲ與ヘルヤウナコトニナリマスカラ、斯
ウ云フ重大ナ問題ノ處分ヲ爲シマスニ付イテハ極ク愼重ニ處分ヲセナケレバ
ナラヌノデアリマスガ、併シ愼重ニ處分ヲシタラバ、ソレヲ以テ段落トシテ決
マッタモノニナスト云フコトガ相當デアラウ、祿ノ處分ニ付イテハ明治九年
ヲ以テ段落ガ付イテ居ッタノデアリマスケレドモ、併ナガラ帝國議會ノ始マ
リマシタニ付イテ更ニ又此立法事項トシテモウ一遍調ベ直シテ間違ノモノ
ハ正スト云フコトニナッタノデアリマスガ、其處分ハ御承知ノ通リ數年ヲ要
シテ處分ヲシテ今日結了シテ居ル、ソレガ卽チ最後ノ處分ニナッテ是デ段落
ガ付イテ居リマスカラ、願ハクハ玆デ再ビ斯ウ云フコトガ又問題ニナッテ舊
ニ戾ルヤウナコトノ無イヤウニシタイ、斯ウ云フノガ大體政府ノ趣意デアリ
やっ、其次ニ御參考ニ申上ゲナケレバナリマセヌガ、權利ヲ有ッテ居ルト云
フコトヲ信ジテ居ル人ガ、其權利ヲ訴訟デ爭ウテ、伸バスト云フコトデアリ
マスカラ、是等ハ至極結構ノヤウニ見エマス、併ナガラソレハ處分ノ上ニ於
テ間違ガ餘ホドアリサウデアル、訴訟ヲ起セバ可ナリニ處分ヲ覆ヘスモノガ
アリサウデアルト云フヤウナ場合ニ於テハ、官民トモ勞費ヲ使ヒマシテ、訴
訟ノ途ヲ啓クト云フコトモ或ハ宜イカモ知レマセヌガ、秩祿ノ處分ニ付イテ
ハ大藏省デ處分シタトハ言ヒマスケレドモ、コレニハ各省カラ委員ヲ出シテ
十分ニ調ベテ、又大藏省ノ處分ニ付イテ内閣デ一々閣議ヲ開イテ決定シタト
云フヤウナ愼重ナル手續ガ經テアリマスノデ、此以上直サウト云ッテモ、直
ル部分ト云フモノハ殆ド無カラウト思フ位ニナッテ居ルノデアリマス、ソレ
故ニ之ニ付イテ行政訴訟ノ途ヲ啓カレタ所ガ、官民トモ經費ノ掛カルノミデ、
處分ヲ直スベキモノハ極メテ少ナイト思ヒマスルノデ、其點ニ於テ唯權利ヲ
伸張スルノデアルカラト云フ譯ヲ以テ、一方ニ非常ニ經費ガ掛カッテ實效ノ
少ナイニ拘ラズ、ソレニ御同意ヲスルト云フコトハ政府トシテ、極メテ不親
切ナ事柄デハ無イカト思ヒマスカラ、政府ノ信ジマス所ヲ申上ゲルト、却ツ
テ斯ウ云フヤウニセラレヌ方ガ宜イデハナイカ、尙ホ一ツ御參考ニ申上ゲタ
イノハ、唯〓處分後ニ於テ大藏省ニ請願ガ出テ居リマスガ、ソレ等ヲ見マス
ルト云フト法律五十號ニ依ッテ處分ヲ直シテ貰ハウト云フノデナクシテ、元
ノ藩ノトキニ藩制ヲ變ヘタ其事ノ自體ガ惡ルイカラソレヲ直シテ貰ハウト云
フ請願ガアルノデアリマス、然ルニ其事ハ立法事項ニ屬スルコトデアリマシ
テ.裁判所ヘ訴ヘテモ直ルモノデハアリマセヌカラ、其點ヲ以テモ此訴訟ノ
途ヲ啓キマシタ所ガ請願者等ガ希望スルヤウナ希望ヲ達スルコトハ少ナカラ
ウト思ヒマシテ、而シテ一方ニ於テハ非常ニ訴訟費用ヲ要スル、斯ウ云フ問
題デアリマスカラ權利ヲ伸張スルト云フコトハ、是ハ如何ニモ尤モナコトデ
ハアリマスルガ、併ナガラ此途ヲ啓キマシタ所ガ其場合ガ少ナクシテ、サウ
シテ官ニ於テモ人民ニ於テモ經費ヲ大變ニ掛ケナケレバナラヌコトデアル以
上ハ、政府トシテハ寧ロ之ニ同意ヲ中サヌ方ガ親切デアルト、斯ウ考ヘテ居
ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=29
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030・吉井幸藏
○伯爵吉井幸藏君 少シ報告ヲ漏ラシタコトガアリマスカラ一應申シマス
ガ、此法案ノ第二條ニ出訴期限ガ「二箇年以內」ト云フコトニナッテ居リマシ
タノヲ、委員會デハソレヲ「六箇月以內」ト修正ヲ致シマシタノデゴザイマ
ス、是ハ出訴スル期限ヲ定メルノデアリマシテ、六箇月モ猶豫ガアレバ十分
デアラウト云フ意見ヲ以テ修正ヲ致シマシタノデ、其外ニ別ニ意味ハ無イノ
デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=30
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031・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ヨリ通告順ニ依ッテ御登壇ヲ促シマス、渡君
〔渡正元君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=31
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032・渡正元
○渡正元君 諸君、本員ハ此本案ノ特別委員ノ一人デアリマス、而シテ此家
祿賞典祿處分ノコトニ關シテハ前年來屢ミ議場ノ問題トナリマシテ、九年間
ノ懸案宿題トナッテ居リマス
〔副議長候爵黑田長成君議長席ニ著ク〕
其經過シタル所ノ事蹟ヲ見マスルト、年々衆議院ニ於テハ此行政訴訟ノ途ヲ
啓カムコトヲ起草シテ貴族院ニ囘ッテ來ル、其度ニ政府ハ之ニ反對シテ遂ニ
其結果ヲ得ナイト云フコトニナッテ今日ニ至ッテ居リマス、抑此家祿賞典
祿ノ事件ハ其事柄甚ダ廣クシテ其事件モ亦明瞭ナル事柄デアリマスル、依ツ
テ滿場ノ諸君ハ旣ニ御熟知ニナッテ居ルコトヽ考ヘマスルガ、本員今、壇ニ
登ッテ一言陳述イタシタイト考ヘマスルノハ、一ノ主張セザルヲ得ザルノ要
點ガアリマス、其要點ヲ一言陳述イタシタイト考ヘマス、過日特別委員會ニ
於テ政府委員ニ對シテ質問ヲ致シマスルノニ、此家祿賞典祿ノコトハ九年間
ノ問題デアッテ、今日ニナッテ末ダ其局ヲ結バヌコトニナッテ居ルガ、此家
祿賞典祿ノ處分ニ付イテ政府ハ年々歲々飽クマデ之ヲ防ギ切ッテ防禦セラル
ルノハ如何ナル趣意デアルカ、又凡ソ諸法律中ニ於テ官廳ノ處分ニ付イテ人
民ガ其權利ヲ損害シ、若クハ其錯誤ニ依ッテ損害ヲ受ケタトキニハ、或ハ請
願ヲスルコトモ許シ、或ハ行政訴訟ヲ提起スルコトヲ許スノハ殆ド一般ノ例
規ニナッテ居リマス、然ルニ此家祿賞典祿ノコトニ對シテハ他クマデ之ヲ防
ギ行政訴訟ノ途ヲ杜絕スルト云フコトハ、其理由ハ抑〓如何ナル點ニアルカ、
其說明ヲ求メタイト云フコトヲ政府委員ニ對シテ要求イタシマシタ、然ル所
ガ政府委員ノ答辯セラルヽ所ハ、先刻モ政府委員大藏次官ヨリ述ベラレマシ
タガ、尙ホ委員會ニ於テ政府委員ノ答辯セラルヽ所ハ頗ル精細ニ亙ッテ、且
ツ長大ナル答辯デアリマシタ、其答辯ノ要領ヲ簡略ニ其要點ヲ取ッテ見マス
ルト三ツノ要點ガアリマス、政府ガ之ニ對シテ不同意ヲ表シ、答ヘラレル所
ノ要點ガ三ツノ要點ガアリマス、其要點ノ第一ハ、此家祿賞典祿ニ對シテハ
明治五年以來錯雜シタル紛糾ガアッテ、九年ニ至ッテ太政官布告第百二十三
號ヲ以テ最終ノ處分トシテ精密ニ之ヲ調査シタモノデアル、故ニ太政官布告
第百二十三號ト云フモノニハ、此處分ガ最終ノ處分デアルニ依ッテ此事ニ關
シテ不服アリ、如何ナル理由ヲ以テ訴フルトモ、最早採用スベカラザルコト
デアルト云フコトノ一段落トシテ之ヲ打切ッテアル、然ルニ爾來或ハ謬誤ヲ
訂正スルト稱シ或ハ情願ト稱シテ續々其處分ニ對シテ情願シ來ッテ居ル、而
シテ二十年ヲ經過シテ明治三十年ニ至ッテ法律第五十號ヲ以テ更ニ之ヲ處分
スルト云フコトニナッタ、此法律第五十號ノ處分ハ最終ノ處分トシテ愼重ニ
審議ヲ盡シテ、政府ハアラユル機關ヲ設ケテ之ヲ十分ニ調査シテ處分シタコ
トデアルニ依ッテ、此三十年ノ布告ニ對シテ不服ヲ唱ヘ、或ハ尙ホ遡ッテ其
以前ノ處分ニ不服ヲ唱ヘルノヲ取上ゲテハ際限ナクシテ其止マル所ヲ知ラナ
イヤウニ至ルニ依ッテ、之ニ對シテハ政府ハ行政訴訟ノ途ヲ啓クベキ筋ノモ
ノニアラズトシテ之ヲ拒絕スルト云フノガ第一ノ要點デアリマス、ソレカラ
第二ノ要點トスル所ハ、此明治三十年法律五十號ハ右ノ如ク最終ノ調査トシ
テ、政府ニ於テハ力ヲ盡シテ愼重審議シタルモノデアルニ依ッテ、此處分ニ
對シテ人民ガ不服ヲ唱へ、或ハ追願、請願ト稱スルト雖モ明治三十年ノコト
ニ對シテハ今明治四十二年ニ至ッテ之ヲ採用シテ之ガ爲ニ行政訴訟ヲ許スト
云フコトハ斷ジテ出來ナイコトデアルト云フコトガ第二ノ要點デアリマス、
サテ又第三ノ要點トスル所ハ明治三十年五十號ノ法律ハ謂ハユル恩惠的ノ例
外タル法律デアッテ、卽チ特典デアリ恩典デアル法律デアル、此特典恩典ノ性
質ヲ帶ビテ居ル法律ニ對シテ、行政訴訟ヲ開クト云フコトハ、政府ノ斷ジテ同
意セザル所ノモノデアル、恩典ノ法律ニ對シテ行政訴訟ハ開クベキ筋ノモノ
デナー、故ニ政府ハ飽クマデ之ヲ防禦シテ拒絕スルト云フコトガ、卽チ政府
ノ防禦拒絕セラルヽ三ツノ要點デアリマス、之ニ對シテ本員ガ主張スル所ノ
一言ヲ述ベタイト考ヘマス、政府ノ行政處分ニ對シテハ、行政訴訟ハ飽クマ
デモ許サヌト云フ所ノ防禦ノ要點ハ右ノ通リデアリマスルガ、其第一ノ要點、
卽チ政府ハ明治九年ノ布〓百二十三號ニ依ッテ十分處分ヲシテ居ルノニ、其
後續々ト追願シ來ッテ居ル事情モアル、且ツ二十年ヲ經過シタ後ノ明治三十
年ニ於テ法律五十號ヲ發シテ、尙ホ再調査、最終ノ調査トシテ之ヲ處分シタ
ト云フコトハ、政府ハ自ラ明治九年ノ布〓百二十三號ハ最終ノモノナリト
シ、之ニ對シテ如何ナル事情アリト雖モ、再ビ採用スベカラザルモノデアル
ト云フコトヲ法律ノ明文ニ揭ゲテアリナガラ、其以來續々請願スル所ノモノ
ニ依ッテ見ルト、政府ハ其調査ニ於テ謬誤アリ過誤失錯アリシコトヲ認メタ
ニ依ッテ、明治三十年ノ法律ヲ發布シテ更ニ之ヲ立戾ッテ訂正シタノデアリ
やき、是ハ家祿賞典祿ノ事件ハ重大ナ事件デアリ、且ツ數十万ノ士族ニ對ス
ル事件ヲ、政府ニ於テ僅カノ人員ヲ以テ調査ヲスルノデアリマスルニ依ッテ、
假令其調査スル所ノ役人ハ賢明敏㨗ナル人デアルト雖モ、僅カナル人數ヲ以
テ調査シタ所ノモノデアルニ依ッテ、調査處分ニ過誤失錯アリ謬誤アルト云
フコトハ是ハ勢ヒノ免カレザル所デアル、故ニ政府モ自ラ其處分ニ過誤失
錯アリシコトハ自覺シテ居ル、政府モ自ラ是ガ不十分ナルコトヲ自認シテ居
ルニ依ッテ更ニ明治三十年ニ至ッテ五十號ノ法律ヲ發布シタノデアリマス、
然ラバ明治三十年ノ五十號ノ法律ニ於テモ尙又過誤失錯アリシコトハ免カレ
ヌコトヽ言ハザルヲ得ヌ、政府ニ於テハ既ニ是ハ終結ノ處分トシテ十分ニ調
査シ愼重審議シテ處分シタルモノデアルニ依ッテ、一ノ失錯モ無イト信ジラ
レルカモ知レナイガ、之ヲ受クル所ノ數万ノ士族ニ於テハ己レ自ラノ權利ニ
關係シ、己レ自ラノ利害ニ關係スルヲ以テ、直チニ其過誤失錯アリシ廉ヲ發
見スルノデ、依ッテ之ヲ續々請願シテ來ルト云フコトハ又巳ムヲ得ナイコト
デアル、然ルヲ政府ハ之ニ對シテ之ヲ一々採用シテ調査スルトキニハ、殆ド
際限ナキモノデアッテ、徒ニ紛擾ヲ釀スノミデアッテ、更ニ終局スルトコロ
ヲ知ラヌニ依ッテ、是ハ飽クマデモ喰止メナケレバナラヌ、依ッテ之ガ爲ニ
行政訴訟ノ途ヲ開クコトハ政府ノ甚ダ不同意トスル所デアッテ、是ハ飽クマ
デモ拒絕スル所デアルト云フコトガ、政府ノ趣意デアリマスルガ、諸君、昔時
專制政治ノ治下ニ於テハイザ知ラズ今日明治ノ聖代ニ於テ公明正大ナル政府
ノ下ニ於テ、斯ノ如キ情願ノ續々起ッテ來テ居ルニモ拘ラズ、政府ハ是ハ最
終ノ處分ナリトシテ、之ヲ遮斷シテ行政裁判ノ途ヲ啓クコトヲモ杜絕スルト
云フコトハ、是レ公明正大ナル現政府ノ處分トシテハ本員甚ダ遺憾トスル所
デアリマス、第二ニ政府ノ防禦セラルヽ第二ノ要點ハ前ニ申ス如ク此明治三
十年五十號ノ法律ハ旣ニ最終ノ處分トシテ愼重審議結了シテ居ルモノデア
ルニ依ッテ、明治三十年ノ處分ニ對シテ明治四十二年ニ至ッテ、之ガ爲ニ行
政訴訟ノ途ヲ啓クト云フコトハ爲シ得ベカラザル所デアル、從來ノ慣例ニ依
ッテ見テモ法律ニ依ッテ人民ノ權利ヲ侵害シ、官廳ノ過誤失錯ニ對シテ訴訟
ノ途ヲ啓クト云フコトハ其何月間若クハ何年間トシテ其近キ年月ニ限ッテア
ル、然ルニ此明治三十年ノ法律ニ對スル事件ヲ、明治四十二年ニ至ッテ行政
訴訟ノ途ヲ啓クト云フコトハ、政府ノ斷ジテ同意セザル所デアルト云フコト
ガ第二ノ理由デアリマスルガ、是ハ前ニモ申ス如ク人民ハ士族ハ明治三十年
ノ五十號法律ニ依ッテ各自其權利ノアル所ヲ主張スルガ爲ニ、此處分ニ對シ
テ不服ヲ懷ク者ガ續々其後起ッテ來テ居ル、大藏省ニ對シテモ、或ハ再願ト
稱シ、或ハ再審ヲ請フト稱シ、續々申出テ願出テ居ル者ガアル、然ルニ大藏
省ニ於テハ是レ既ニ最終ノ處分ヲナシタルモノデアルニ依ッテ、再ビ之ヲ採
用シテ審議スベキ筋ノモノデナイトシテ其儘ニシテ顧ミズ、之ヲ放任シ來ッ
テ居ル故ニ、明治三十年ノ法律ニ對シテ明治四十二年ニ至ッテ之ガ爲ニ行政
訴訟ヲ開クト云フガ如キ、年月ノ十年間以上モ經過シテ居ルコトニ對シテ、
行政訴訟ヲ開クベカラザルコトデアルト云フコトノ政府ノ主張ハ、是ハ政府
自ラ、卽チ當局官吏自ラ其調査ヲ遷延シ怠ッテ、ソレガ爲ニ其十年間ノ年月
ヲ經過シタノデアリマスルニ依ッテ、其年月ノ經過シタル怠慢ノ罪ハ政府ニ
在ル、情願スル所ノ士族ニ在ルノデハ無イ、然ルニ此年月ノ經過シタルヲ口
實トシテ、此行政訴訟ヲ防ガムトスルハ、是ハ政府ガ防グ理由トスルニハ足
ラヌト本員ハ考ヘル、是ハ現政府ノ爲ニ本員ノ甚ダ惜ム所デアリマス、次ニ
第三ノ要點、政府ハ此明治三十年五十號ノ布告ハ恩惠的ノ法律ニシテ、卽
チ特典デアリ、恩典デアルニ依ッテ、此特與恩典ニ對シテハ、行政訴訟ヲ開
クベキ性質ノモノデナイ、因ッテ行政訴訟ハ斷ジテ同意シナイト云フコトガ、
政府ノ終始一點張リ是ハ防禦デアリマス、諸君、凡ソ帝國ノ法律中ニ於テ、恩
惠的ノ法律ニシテ、一番恩典デアリ一番特典デアルト云フ法律ハ、官吏恩給
法ノ右ニ出ヅルモノハアリマセヌ、官吏恩給法ハ諸君モ御承知ノ如ク、官吏
ガ或ル一定年間ヲ勤務シテ、而シテ退官スル際ハ政府ハ之ニ對シテ其當時ノ
俸給ノ四分ノ一ヲ以テ退官恩給トシテ、之ヲ終身下付スル、其本人死亡ノ後
ハ其寡婦ニ對シテ、寡婦ニ扶助料トシテ終身之ヲ支給スル、寡婦死亡ノ後ハ
其孤兒ニ對シ、其孤兒各〓二十歲ノ丁年ニ至ルマデノ間政府ハ其扶助料ヲ下
付スルト云フコトニナル、故ニ此恩給法ハ他ニ比類ナキ恩典特典ノ法律デア
ル、卽チ天下無比ノ恩典デアル、然ルニ此恩給法ニ對シテハ政府ノ官廳ノ處
分ニ對シテ其權利ヲ障害シ若クハ裁決ニ對シテ不服ノ者ハ行政裁判ニ出訴ス
ルコトヲ得ルト云フコトニ明記シテアル、其實例ニ依ッテ見レバ、數年間續
々恩給法ノ處分ニ對シテ不服ヲ懷イテ、行政訴訟ヲ提起シ屢、勝訴トナッテ、
恩給局ノ處分ヲ訂正セシメタルコトノアルノハ諸君モ御承知ノコトデアリマ
ス、然ルニ政府ハ此恩給法ニ對シテハ、行政訴訟ノ途ヲ啓キナカラ、此家祿
賞典祿ノ處分ニ對シテハ行政訴訟ノ途ヲ啓カナイト云フコトハ、政府自ラ自
家撞著シテ居ルコトデハナイカ、言ヒ換ヘレバ政府ノ政策ハ二途背馳シテ居
ルモノト言ハザルヲ得ナイ、若シ此儘ニシテ數年ヲ經過スレバ、士族ハ續々
請願ヲ政府ニ迫リ、政府ハ騎虎ノ勢ヒ、愈〓防禦線ヲ張ッテ胸壁ヲ構ヘ關門
ヲ設ケテ之ヲ杜絕セムトスル、此胸壁關門ニ對シテ多數ノ士族ハ、此關門ノ
下ニ輻湊シテ其途ヲ開カムコトヲ努ムルト云フコトハ、是ハ勢ヒノ然ラシム
ル所デアッテ、啻ニ現今生存シテ居ル所ノ士族等ガ之ガ爲ニ奔走盡力ノ餘リ
怨ミヲ呑ンデ倒レ·········死歿スルトモ其子ハ又相繼イデ起リ、子々孫々限リ無
キ爭論ヲ釀スト云フコトニナル、是ハ將來ニ於テ官民ノ軋轢、官民ノ間ニ衝
突ヲ殘スト云フコトノ甚ダ憂フベキ一點デアリマス
〔議長公爵德川家達君議長席ニ復ス〕
故ニ本員ハ之ガ爲ニ將來、此官民ノ衝突ヲ調和セシメムコトヲ希望スル所ノ
者デアリマスルニ依ッテ、其調和セムトスル所ノモノハ、一ニ貴族院ノ院議
ノ權能ニ依ッテ得ル外、途ハアリマセヌ、衆議院ニ於テハ年々之ヲ起草シテ
提出スル、貴族院ニ於テ是レガ否決トナルト云フコトニナレバ、此請願ハ年
々歲々將來遂ニ終局ヲ見ルコト能ハザル所ノ一ノ葛藤デアリマスルニ依ッテ、
公明正大ナル貴族院ノ院議ニ訴ヘテ、此途ヲ啓クノ外ニ方法ハ無イト本員ハ
考ヘル、卽チ貴族院ニ於テ此事情ヲ酌量シ、此事情ヲ審議シテ、公明正大ナ
ル判斷決定ヲ與フルノ日ニハ、此行政訴訟ノ途ハ是ニ依ッテ啓ケルコトニナ
ルデアラウト考ヘマス、一トタビ行政訴訟ノ途ヲ啓クコトニナレバ、政府ハ
此從來執來ッテ居ル所ノ方針ヲ翻然トシテ一變シ、從來執來ッテ居ル所ノ此
胸壁關門ハ豁然トシテ之ヲ撤囘シテ、眞ニ公明正大ナル所ノ政府ノ體面ヲ維
持スルコトヽナリ、又次ニ一面多數ノ士族ノ情態ニ付イテ見レバ、積年哀願
愁訴スル所ノ此道路ニ鬱積シ來ッテ居ル所ノ雲霧ヲ一朝ニシテ排イテ、白日
靑天ノ道路ニ行ッテ、其目的トスル所ノ極所ニ到ル所ノ本懷ニ至ルデアラウ
ト考ヘル、故ニ此貴族院ノ院議ノ權能ハ、卽チ謂ハユル一擧兩全ナル政策デ
アッテ、將來ニ此官民ノ衝突ノ跡ヲ絕ツノ一美談トナルデアラウト考ヘルニ
依ッテ、本員ハ此本案ノ速ニ可決セラレムコトヲ熱心希望スル所ノ者デアリ
w 〓、滿場諸君、滿場諸君ニ於テモ、此本案ニ對シテハ、大多數ヲ以テ御協
贊アラムコトヲ希望シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=32
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033・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 千坂高雅君
〔平山成信君「チヨット質問イタシタウゴザイマス」ト述フ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=33
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034・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 千坂高雅君ニ許シマシタカラ、アトカラ願ヒマス
〔千坂高雅君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=34
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035・千阪高雅
○千坂高雅君 諸君、私モ此特別委員ノ一人デゴザイマス、然ルニ私一人ダ
ケ此行政訴訟ノコトニハ反對イタシタモノデゴザイマス、其理由ヲ明カニ滿
場諸君ニ御訴ヘヲ致シマスドダイ此速記錄ヲ御覽クダサレバ委員會ノ經過
ガ分リマスルガ、家祿賞典祿ノ處分ト云フモノハ渡君ノ御演說ノ官吏恩給ト
カ何トカ云フ方ノ側デナク、違ッタモノデゴザイマス、昨年モ既ニ衆議院デ
ハ同案ヲ出シテ參リマシタガ、諸君モ既ニ御承知ノ通リ、是ハ大多數ヲ以テ
院議デ否決セラレタコトハ御記憶ニナッテ居ルト思ヒマス、是ハ決シテ理由
ノ無イコトデ否決シタモノデハゴザイマセヌ、如何ニモ行政裁判所ヘ出シテ、
終結ヲ鄭重ニ盡スト云フコトハ理窟ハチヨット尤モニアリマス、サリナガラ
此家祿賞典祿ニ至リマシテハ明治一二年アタリノコトデゴザイマス、ソレヲ
藩々ニ依ッテ旣ニ本員ナドハ是ニハ大經驗モ有ッテ居リマス、處分ニナリマ
シテ而シテ明治九年ニ此調査ガ········、各藩ノ調査ガ終リマシテ、ソレデ一ツ
結了シテ前後左右動クコトガ出來スト云フコトニナッタレバコソ、奧羽列藩
ノ仙臺トカ或ハ米澤トカ或ハ會津トカ或ハ舊斗南藩トカ云フ方ノ側ニハ、今
カラ推シテ見マスルト無理ナルコトヲ皆押付ケテ仕舞ッタモノデアリマス、
篤ト其邊ハ諸君ガ御記憶クダサイ、然ルニ之ヲ行政裁判所へ一度出スト云フ
途ガ啓ケタナラバ、是ハ天下ノ騒ギデゴザイマス、篤トドウゾ御考ヘヲ願ヒ
タイノミナラズ、政府委員ノ答辯ハ委員會ノ速記ヲ御覽クダサレバ明カニ分
ッテ居リマスガ、隨分鄭重ニ鄭重ヲ重ネ、サウシテ此五十號ノ布〓以來、事下
デモ緩メテ而シテ處分ヲ再度シタノデアリマス、ソレデアルカラ一千万圓ノ
金ヲ置イテ、サウシテ衆議院ノ方デ、アヽ決定シタノハ實際ヤッテ見タ所ガ
三十何万圓シラヤルコトガ出來ナイ、是モ其率ヲ緩メテ、而シテ後ヤッタト
云フコトハ速記錄ヲ御覽クダサレバ分ルノデアリマス、最モ多數ノ希望ヲ政
府ハ容レテ再度ノ處分ヲシタノデゴザイマス、然ルニ斯ウ云フコトヲ理窟一
片デ行政裁判所ヘ出ス、行政裁判所へ出スト云フト唯是レ惡ルク言ハヾ辯
護士ノ食ヒ物デゴザイマス、辯護士ノ食ヒ物ト云フコトハ斷言シテ憚ラヌ、
而シテ後之ヲ起スナラバ九州地方ハ王政復古ニモ御盡力ニナッタカラ左ホド
ノコトハナカラウガ、奧羽ノ方ニナリマシテハ實ニ恐ルベキコトガ起ルト云
フコトハ想像シテ疑ヒマセヌノデゴザイマス、ソレデ本員ハ昨年ノ院議ヲ重
ンジ、衆議院ノ斯ウ云フ杜撰ナル········絕對ニ是カラ以後ハ出來ヌコトヲ希望
スル、而シテ若シ已ムヲ得ザル、果シテ政府ガ大變ナ過ッタコトアリトスル
コトガアッタナラバ、其時ノ事ハ第二ノ處置方モ政府ニアルダラウト思ヒマ
ス、依ッテ此統計ヲ見マスト、初メ請願シタリ、或ハ願出テ來タモノガ殆ド
口數ニシテ三十万ニ近イ人數デゴザイマス今日アノ五十號以來ニ調査シテ
得タ結果トシテハ僅カナ人數デアル、一万ニ足リナイ、ノミナラズ年々歲々
斯ウ減ッテ來ルノハ分ッタカラ減ッテ來ル、分ラナイモノハ多ク舊藩ノ祿ノ
處分ガ宜クナイ、祿ノ處分ヲ直シテ貰ヒタイ、是ハ出來ル話デハナイ、サンチン
大藏省ノ次官ノ辯明モアッタ通リデゴザイマス、ソレハ法律以外、舊藩ノ事
ヲ直スト云フコトハ出來ナイ、ト云フモノデアリマスルカラ、ドウゾ是ハ今
一年グラヰハ出來マセウガ、モウアトハ私ハ出來ヌト云フコトヲ斷言イタシ
やっ、依ッテ昨年ノ貴族院ノ院議ヲ重ンジ、ナンボ運動者ガ餘計アッテモ是
ハ亦再ビ滿場一致デ否決セラレムコトヲ熱心ニ希望イタシマス、本員ノ如キ
ハ每々政府案ニハ自然ノ結果、反對バカリシテ居リマス所ガ此案ニ至ッテハ
滿腔ノ精神デ、政府ニ私ガ贊成イタスノデアリマス、ドウゾ宜シク御勘考ク
ダサルコトヲ希望イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=35
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036・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 平山君ハ渡君ニ對シテ御尋ネデアリマスカ、政府
委員ヘ御尋ネデアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=36
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037・平山成信
○平山成信君 此際、渡君ニ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=37
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038・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 此際願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=38
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039・平山成信
○平山成信君 渡君ニ伺ヒタイノハ根本問題デ、ソレハ自分デ疑ッテ居ルノ
デアリマス、ト云フノハ渡君ノ御說ヲ何フト頻ニ權利ト云フ文字ヲ屢、御繰
返シニナッタ、殊ニ二十三年ノ第百六號ノ法律「行政廳ノ違法處分ニ由リ權
利ヲ毀損セラレタリトスル者」云々ト云フコトヲ大ニ自分ハ疑ッテ居ル、祿
ト云フモノハ果シテ權利ト認ムベキモノデアルヤ否ヤト云フコトガ疑ヒデア
ル其舊ト藩ノ祿ト云フモノハ藩主ガ與ヘタモノデ、ソレデ不都合ガアレバ
奪フ、與奪ハ藩主ニアル、恩惠的ノモノデ是ハ權利ト云フモノデナイト云フ
是ガ私ノ疑ヒナノデアリマス、果シテ權利ト云フモノデアレバ、其點ガ明カ
デアレバ無論行政訴訟ハ許シテ宜イモノデアル、若シ是ガ權利ト云フ性質ニ
疑ヒアルモノトスレバ行政訴訟ヲ許スト云フコトハ、ドウモ考ヘモノデアラ
ウト思フノデアリマス、ドウモ此問題ハ寧ロ德義的ノモノデ兎ニ角哀訴歎願
シテ再調査デモ三調査デモ求メルノハ宜カラウ、政府ガ又之ヲ調ベテ不都合
ノコトガアレバ救濟ノ途ヲ與ヘルモ宜カラウ、政府ガ之ヲ許ス許サヌト云フ
コトニ付イテ法律ノ拘束ヲ受ケベキ性質ノモノデナイト思フノガ私ノ根本ノ
疑ヒデアル、此根本ノ點ガ明カニナラヌケレバ先刻渡君ガ縷々數百言御費ヤ
シニナッタケレドモ一向分ラナイ、是ハ滿場諸君ト共ニ明カニシタイト思ヒ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=39
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040・渡正元
○渡正元君 平山君ノ御尋子ニ答辯ヲ致シマス、家祿賞典祿ハ藩々ニ於テ主
君ヨリ付與シタルモノデアリマスガ、一トタビ之ヲ受ケタ以上ハ其本人ノ權
利デアル、其權利ヲ受ケタル所ノモノハ既ニ其者ニ附イテ居ル權利デアル、
依ッテ此權利ニ付イテ政府ハ處分ヲシタモノデアル、何所マデモ本員ハソレ
ヲ權利ト見テ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=40
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041・平山成信
○平山成信君 モウ一言伺ヒ落シマシタ、先キホド渡君ハ恩給ノコトヲ引イ
テ御辯明ガアリマシタ、恩給ニ付イテ考ヘテモ稍疑ヒガアル、恩給ニ付イ
テハ二ツアル、前ノ恩給令ノ時代トソレカラ恩給法ノ時代、恩給令ノ時代ニ
ハマダ權利ト云フコトニ付イテ疑ヒガアル、恩給法ト云フモノニ付イテハ明
カニ行政訴訟ヲ許シタト記憶シマスガ、渡君ハ始メヨリ恩給ト云フモノハ權
利ト御認メニナッタモノデアリマセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=41
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042・渡正元
○渡正元君 私ハ更ニ御答ヲ致シマス、恩給法、恩給令ト云フモノガ以前アッ
タトキ、是ハ行政處分ニ對シテ法律デハ無カッタガ同性質ノモノデアルニ依ッ
テ帝國議會開會ノトキニ於テ之ヲ法律ニ定メラレタ、法律デ定メラレタルニ
依ッテ之ヲ受クル所ノ資格アル者ハ其權利ヲ得タコトニナル、是ハ疑ヒナイ
點デアラウト思ヒマス、此段御答ヲ致シマス
〔馬屋原彰君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=42
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043・馬屋原彰
○馬屋原彰君 本員ハ極メテ簡單ニ贊成ノ意見ヲ述ベヤウト存ジマス、此問
題ニ付キマシテハ先刻政府委員ガ不同意ヲ述ベラレマシタル所ノ要點ハ既ニ
行政處分ニ於テ鄭重ナル手數ヲ重ネテ其處分ヲ結了シタルモノナルニ依ッテ
之ニ對シテ出訴ヲ許スベキ必要ハ無イト云フコトデアル、又今一ツハ若シ之
ヲ許シタナラバ官民共ニ勞費ヲ重ネ何ノ益モ詰リナイト云フコトニ歸スルヤ
ウニ察セラレマス、本員ハ遺憾ナガラ是等ノ御說ニハ御同意ガ出來ナイ、此
點ニ向ッテ一言所信ヲ述ベテ諸君ノ御判斷ヲ願ヒタイト思ヒマス、固ヨリ本
員等モ曩ノ行政處分ハ不完全デアリ、不當デアルト云フ譯カラシテ本案ヲ贊
成スルノデハアリマセヌ、サリナガラ今日ノ現狀ニ付イテ又政府ノ政策ノ上
ニ付イテ考ヘマスルニ、此問題ハ是マデ政府モ頗ル寛大ノ方針ヲ執リ來リ、
遂ニ明治三十二年ニ至ッテ此處分ニ對シテハ申スマデモナク特別ニ寛大ナ處
分法ト云フモノガ出來タノデアリマスガ、此處分ノ結果ヲ圓滿ナラシメ、且
ツ不服者ヲシテ其所ヲ得セシムルト云フマデニ至リマスルノニハ、ドウシテ
モ出訴ヲ許スー云フ外ニ途ハ無イ、ソレカラ致シマシテ若シ許シタナラバ天
下ノ騷動ヲ起スデアラウト先刻千坂君ハ言ハレ、又政府ハ非常ナ經費デモ掛
カルガ如ク考ヘラレテ居ルヤウデアリマスガ、本員ナドハサウデナイト思フ、
抑此行政訴訟ト申シマスルモノハ私ガ申スマデモナク頗ル簡易ノ手續デゴ
ザイマス、口頭辯論ナドノ如キモノハ殆ド必要ハナイ、大〓書面デ濟ム、ソ
レデアリマスカラシテ必ズ辯護士ヲ要セズ本人自ラ出廷スルノガ本則ニナッ
テ居リマス、故ニ被〓官廳ニ於キマシテモ答辯ハ總テ文書ニ讓リ尙ホ必要ア
ル場合ノミ官吏ヲ代理者トシテ出廷サセレバソレデ事ガ濟ムノデ何モ手數ノ
掛カッタ話デハナイ、又出訴人ノ如キモ十分ノ反證ガ無イモノデアルナラバ
決シテ容易ニ訴ヲ起スナド云フヤウナコトハ無カラウ、本員ノ考ヘマスルニ
又此起訴者ト云フモノハ極メテ少數ナモノニナルデアラウト思フ、又行政裁
判所ニ之ヲ訴ヘルト致シマシテモ、其結果ハドウカト云フ一點ニ付イテ尙ホ
一言申シテ置キタイノデアリマスル、御承知ノ如ク先刻カラモ段々前論者ノ
御引證ニナッテ居ル所ノ彼ノ國有土地森林原野下戾ノ件ハ、御承知ノ通リ明
治初年ヨリ此家祿賞典祿ノ件ト殆ド經歷ヲ同ジウシ來ッタル問題デアリマ
スカ、ソレニ對シテ業已ニ訴訟ヲ起シテアル、而シテ其訴訟ハドウ云フ結果
デアルカト云フト、爾來著々根本的整理ノ效果ヲ奏シツヽアルノデアリマス、
之ガ事例ニ徵シマスルモ本案ノ如キ祿問題ニ對シテ出訴ヲ許シタルトテ、決
シテ反對論者ノ言ハルヽガ如キ天下ノ騷動ヲ起スダノ、或ハ巨万ノ費用ガ要
ルヂヤノ云フヤウナコトハ、實ニ徒ラニ皮想ノ考デアッテ、此眞相ヲ御調べ
ニナッタ話デナイト思フ、又此本案ニ付キマシテ政府モ絕對ニ反對ヲセラル
ベキ筈ハ無カラウト思ヒマス、本案ハ特別委員會ノ決議ノ如ク速ニ可決セラ
レムコトヲ希望イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=43
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044・曾我祐準
○子爵曾我祐準君 通告者ハゴザイマセスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=44
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045・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) ゴザイマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=45
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046・曾我祐準
○子爵曾我祐準君 私ハ單簡ニ反對ノ理由ヲ此席デ申シテ置キタイ、段々承
リマシタガ、先刻來御議論ガアリマシタガ、ドウシテモ政府委員ガ初メニ言
ハレタコトヲ打消スコトガ出來ヌノデ、此案ニ就キマシテハ絕對的政府ニ贊
成ヲ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=46
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047・黒田長成
○候爵黑田長成君 本員モ唯今曾我子爵ノ述ベラレタ所ト全ク同感デアリマ
ス、先刻ノ政府委員ノ說明デ十分明瞭ト思ヒマスカラ本案ニ反對ヲ表シテ置
キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=47
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048・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 採決ヲ致シマス、本案ノ第二讀會ヲ開クベシトス
ル諸君ノ起立ヲ請ヒマス
起立者発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=48
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049・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 明瞭デゴザイマセヌカラ、一應御著席ヲ請ヒマシ
テ、此度ハ第二讀會ヲ開クベカラズトセラレル諸君ノ御起立ヲ請ヒマス
起立者少數発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=49
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050・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 二讀會ヲ開クベシトスル方ガ多數ト認メマス
〔男爵伊達宗敦君「此場合ニ本員ハ一ノ動議ヲ提出イタシマス、シン
ハ」ト述フ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=50
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051・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) マダ伊達男爵ニ發議ヲ許シテアリマセス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=51
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052・吉井幸藏
○伯爵吉井幸藏君 直チニ第二讀會ヲ開カレムコトヲ請ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=52
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053・寺島誠一郎
○伯爵寺島誠一郞君 贊成
〔其他「贊成」ト呼フ者多シ〕
〔「反對」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=53
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054・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 唯〓ノ第二讀會ヲ開クト云フ說ニ對シテ贊成者ガ
アッタ以上ハ決ヲ採ラナケレバナリマセヌ、直チニ第二讀會ヲ開クベシトス
ル諸君ノ御起立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=54
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055・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 過半數ト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=55
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056・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 直チニ第二讀會ヲ開キマス、全部ヲ問題ニ供シマ
ス
〔奧山政敬君發言ノ許可ヲ求ム〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=56
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057・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 奧山君ハ何デスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=57
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058・奥山政敬
○奧山政敬君 此修正案ニ付イテ意見ヲ述ベタウゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=58
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059・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 其所デドウゾ御述べヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=59
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060・奥山政敬
○奧山政敬君 此案ハ「二箇年以內」ト云フコトニナッテ居リマスガ、所ガ「六
箇月以内」ト云フコトニ修正ニナッテ居リマスルガ、是ハ甚ダ不都合ナコト
デアラウト考ヘマスル、全體本員ハ此案ニ反對シテ居ルノデアリマスルガ、
既ニ二讀會ヲ開クコトニナリマシタニ依ッテ此修正ニ付イテ意見ヲ述ベルノ
デアリマスルガ、是ハ矢張リ衆議院ノ二箇年ト云フコトガ最モ適當デアラウ
ト思ヒマスル、ナゼカトナリマスレバ之ヲ二箇年ニシタカラト言ッテ、延ビ
タカラト云ウテ事件ハ殖エルモノデハアリマセヌ、事件ハ決マッテ居ルノデ
アリマスル、百ノモノハ矢張リ百デアリマス、ソコデ六箇月ト致シマスルト
百ノモノガ百總テ出ナケレバナラヌコトニ立至リマスル、何トナレバ出訴期
限ガ六箇月デアリマスルカラシテ、其中ニ裁判ガ先ヅ出來ナイト見ナケレバ
ナラヌノデアリマス、サウシマスルト己レモ權利、已レモ權利、悉ク貰ヒタ
イ貰ヒタイ、ト云フ精神モアリマスカラ、勝チタイ勝チタイト云フ精神デ掛
カリマスルカラ、サウスルト皆出サヌケレバナリマセマ、此二箇年トシマス
ルト凡ソ一年經テバ判決例ガ出來ルノデアリマス、ソコデ大變時間ガ長イモ
ノデアリマスルカラ一時ニ出スコトハ見合セルノデアリマス、ソコデ判決例
ヲ見テ我〓モ同等ナ者デアッテ見レバ、アノ判決ガアレバ勝利ニナル、是ハ敗
訴ニナルト云フ見分ケガ付キマス、其見分ケヲ付ケテ出スコトニナルカラシ
テ、百ノモノハ五十ニ減ズル、三十ニ減ズルト云フコトハ論ハ無イノデアリ
WVS.之ヲ六箇月ニシテ置キマスルト悉ク出シマスル、出サヌケレバ六箇月
ノ期限ヲ經過スルコトニナリマスル、是非出スノデ、出シマスルニ付イテ非
常ニ費用ガ掛カルト見ナケレバナリマセヌ、反對ノ御方ハ費用ハ要ラヌト言
ヒマスケレドモ、行政裁判所ニ出マスルニハ相當ノ費用ガ出ルト云フコトハ
當然ノ結果、免レヌノデアリマス、ソコデ此士族連ハ已ムヲ得ズ四苦八苦ノ
苦ミヲシテ費用ヲ出シ其揚句敗訴ニナッタト云フコトデハ甚ダ氣ノ毒ナモノ
デアリマスルカラ、願ハクハ斯ウナリマシタ以上ハ、成ルタケ裁判モ面倒ヲ
掛ケズ人民モ迷惑ヲシナイト云フコトニシタイノデアリマス、サウシマスル
ニハ此衆議院案ノ二箇年ニシマスルト、凡ソ一年經チマスレバ大抵判決例モ
出來マスカラ、瀨踏モ出來マスカラ、大抵出訴ノ數モ減ジ費用モ減ズルノデ
アリマス、六箇月デハ今申ス通リ悉ク出サナケレバナラヌ、百ノモノハ悉ク
出サナケレバナラス、サウスルト裁判所モソレ〓〓處分モセヌケレバナリマ
セヌ、非常ナ手數ニナリマスルカラ是ハ寧ロ衆議院ノ二箇年ト云フコトハ相
當ノ期限デアラウト思ヒマス、二箇年ニナッタト云ッテモ殖エル心配ハ無イ
ノデアリマス、今申ス通リニ減ズルコトハアルトモ殖エルト云フコトハナ
イ、六箇月ニスレバ悉ク出ルト云フコトノ虞ガアリマスカラ衆議院案ガ至當
ト考ヘマス、一二三、ドウゾ御贊成ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=60
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061・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 採決ヲ致シマス、委員會ノ修正ヲ可トセラレル諸
君ノ起立ヲ請ヒマス
起立者発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=61
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062・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 如何ニモ不明瞭デアリマスカラ御著席ヲ請ヒマシ
テ、委員會ノ修正ニ反對ノ諸君ノ起立ヲ請ヒマス
起立者少數発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=62
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063・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 委員會ノ修正ヲ可トセラレル方ガ多數ト考ヘマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=63
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064・馬屋原彰
○馬屋原彰君 直チニ三讀會ヲ開カレムコトヲ希望シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=64
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065・本荘壽巨
○子爵本莊壽巨君 贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=65
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066・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 直チニ第三讀會ヲ開イテ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=66
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067・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=67
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068・西村亮吉
○西村亮吉君 三讀會ヲ御開キニナッタラ之ニ反對ノ意見ヲ述ベタウゴザイ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=68
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069・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 宜シウゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=69
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070・西村亮吉
○西村亮吉君 簡單ニ申シマスカラ此所デ述ベマス、斯ノ如キコトヲ今日シ
テハ大混雜ヲ來タシマス、賛成諸君モ御後悔ヲスルデアラウト思ヒマス、ド
ウカ否決ニナルヤウニ
〔「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=70
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071・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 第二讀會ノ決議通リデ御同意ノ諸君ノ起立ヲ請ヒ
マス
起立者多數発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=71
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072・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 過半數ト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=72
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073・伊達宗敦
○男爵伊達宗敦君 先キホドチヨット申述ベ掛ケマシテゴザイマスガ、本員
ハ動議ヲ提出イタシマス、ソレハ外デハアリマセヌガ、議事日程ヲ變更シテ、
即チ議事日程十二ト〔「モット大キナ聲デ願ヒマス」ト呼フ者アリ〕十三トノ間
ニ本日衆議院ヨリ送付ニナリマシタル所ノ競馬法案ト云フモノヲ問題ニシタ
イト云フ考デアリマス、ドウカ諸君御贊成ヲ願ヒマス
〔「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=73
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074・黒田長成
○侯爵黑田長成君 唯今伊達男爵ノ申サレマシタ競馬法案ヲ、議事日程ヲ追
加シテ第一讀會ヲ是ヨリ議シタイト云フ其動議ニ贊成ヲ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=74
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075・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 伊達男爵ノ議事日程ヲ追加シテ衆議院ヨリ送付ニ
相成リマシタ競馬法案ノ第一讀會ノ議事ヲ開キタイト云フ、動議ニ御異存ゴ
ザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=75
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076・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス、議事日程ハ追加サレマシ
タ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=76
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077・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ヨリ競馬法案ノ第一讀會ヲ開キマス
競馬法案
右本院提出案及送付候也
明治四十二年三月二十日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
競馬法
第一條本法ニ於テ競馬ト稱スルハ專ラ馬匹ノ改良ヲ目的トシ民法第三十
四條ニ依リ設立シタル社團法人ノ開催スルモノヲ謂フ
第二條競馬ノ開催ヲ目的トスル社團法人ノ設立者ハ其ノ申請書ニ定款ノ
外左ノ事項ヲ記載シタル起業目論見書ヲ添付スルコトヲ要ス但シ第二項
ノ場合ニ於テハ第五號、第六號ノ記載ヲ要セス
-競馬場ノ位置
二競馬ノ種類
三馬場ノ長幅形狀及設備ノ方法
四馬見所厩舍其ノ他競馬開催ニ必要ナル建物ノ種類構造竝建坪
五建設費ノ〓算
六建設資金調達ノ方法
競馬場ハ他人ノ建設シタルモノヲ賃借シテ之ニ充ツルコトヲ得此ノ場合
ニ於ケル賃貸借契約ハ馬政長官ノ認可ヲ受クルコトヲ要ス
第三條本法ニ依リ設立シタル社團法人ハ競馬ノ開催費、勝馬ノ賞金、抽
籖新馬ノ補助金、債務ノ償還金、產馬事業ニ對スル補助又ハ奬勵金及社
團法人ノ經費等ヲ補充スル爲馬票ヲ發行スルコトヲ得
馬票ノ種類金額及其ノ購買數ノ制限ハ馬政長官之ヲ定ム
本條ノ場合ニ於テハ刑法第二編第二十三章中賭事ニ關スル規定ハ之ヲ適
用セス
第四條競馬規則、馬票發行規則及馬票取扱規程ハ社團法人ニ於テ馬政長
官ノ認可ヲ得テ之ヲ定ム
第五條學生及未成年者ハ馬票ヲ購買スルコトヲ得ス
競馬ノ主催者タル社團法人ノ理事、監事、審判委員、馬場取締、發馬係、
調〓師、騎手、馬丁其ノ他競馬開催ノ事務ニ從事スル者ハ馬票ヲ購買ス
ルコトヲ得ス
第六條社團法人ノ會計及業務ノ施行ハ馬政長官之ヲ監督ス
馬政長官ハ社團法人ノ事務ノ執行カ不正又ハ不適當ナリト認メタルトキ
ハ之ヲ取消シ又ハ停止シ若ハ改正セシムルコトヲ得
第七條社團法人ノ理事及監事ノ就職ハ馬政長官ノ認可ヲ受クルコトヲ要
ス
馬政長官ハ社團法人ノ行爲カ法律命令ニ違反シ又ハ公益ニ害アリト認メ
タルトキハ理事又ハ監事ノ解職ヲ命スルコトヲ得
第八條本法ニ依リ設立シタル社團法人ニ非スシテ馬票ヲ發行シタル者又
ハ之ヲ購買シタル者ハ千圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
第九條第五條第一項ニ違反シタル者ハ百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
第三條第二項ニ違反シタル者若ハ第五條第二項ニ違反シタル者ハ五百圓
以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
本條ノ罪ハ現行犯ニ非サレハ之ヲ罰セス
附則
第十條本法施行前設立シタル社團法人ニシテ第一條ニ該當スルモノハ本
法ニ依リ設立シタルモノト看做ス但シ未タ競馬場ヲ建設セサル者ハ第二
條第一項ニ規定セル起業目論見書ヲ作リ又同條第二項ニ依リ競馬場ヲ賃
借セムトスル者ハ其ノ賃貸借契約書ヲ作リ馬政長官ノ認可ヲ受クルコト
可以人
第十一條旣設ノ社團法人ノ理事及監事ハ本法施行ノ日ヨリ二週間以內ニ
第七條第一項ノ認可ヲ申請スルコトヲ要ス
第十二條本法施行ニ關シ必要ナル事項ハ命合ヲ以テ之ヲ定ム発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=77
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078・伊達宗敦
○男爵伊達宗敦君 問題ニナリマシタエ付キマシテ本員ハ一應政府ノ意向ヲ
承リタイト存ジマスルガ、今日ハ總理大臣ハ御病氣デ御出ガアリマセヌカラ、
陸軍大臣ナリ、ドナタナリ適當ナ御方カラ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=78
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079・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 伊達男爵ノ御聲ガ今日ハ如何ニモ小サイノデ議長
ガ甚ダ伺ヒマスニ苦ミマスガ、政府委員ニ御尋ネガアルカラト云フコトデア
リマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=79
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080・伊達宗敦
○男爵伊達宗敦君 サウデゴザイマス、國務大臣ノ中ニ御尋ネ致シタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=80
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081・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 唯今呼ビニヤッテゴザイマスカラ暫ク御待チヲ願
ヒタウゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=81
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082・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 伊達男爵ニ此際御質問ニナッタラドウデアラウカ
ト云フコトヲ議長ハ申上ゲタウゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=82
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083・伊達宗敦
○男爵伊達宗敦君 本日ハ少々本員ガ咽喉ヲ痛メテ居リマスルセイデアリマ
スカ、聲ガ低イト云フコトデアリマスカラ、陸軍大臣ニ御聽取リガ惡ルイコ
トガアリマシタラ尙ホ押返シテ申上ゲルコトニ致シマセウ、唯今此問題ニナッ
テ居リマスル所ノ競馬法案ト云フモノハ、本員ガ見タ所デハ左ホド重要ナ問
題トモ思ヒマセヌガ、併ナガラ之ニ付イテハ昨年以來隨分、世ノ中ノ議論ニ
ナッテ居ルモノデアリマスカラ、ソレデ是ハ申スマデモナイ衆議院提出ノ案
デアリマスガ、之ニ付イテ政府ハ如何ナル意向ヲ有ッテ居ラレルカ、簡單ニ
申セバ反對ヲナサル御考デアリマスルカ、併ナガラヒドク反對モナサラヌト
云フ御考デアルカ、ドウカ其所ノトコロヲ明瞭ニ伺ヒタイト思ヒマス、何レ
委員ニ付託ニナリマスルカラ其際又委シク御尋ネヲ致シマスケレドモ、大體
ニ於テ此競馬法案ト云フモノニハ政府ハ御反對デアルカ否ヤト云フコトヲ一
應此議場ニ於テ確メテ置キタイト存ジマス
〔國務大臣子爵寺內正毅君演壇ニ登ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=83
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084・寺内正毅
○國務大臣(子爵寺内正毅君) 伊達男爵ノ御質疑ニ對シテ御答イタシマス、
唯今議題ニナリマシタ所ノ競馬法案ニ付キマシテハ、政府ハ終始反對ヲ致シ
テ居リマス、左樣発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=84
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085・曾我祐準
○子爵曾我祐準君 此案ハ勿論法律案デアリマスルニ依ッテ委員付託ニナリ
マセウガ、此委員ハ明日ノ十二時マデニ議院ニ報ゼヨト云フ條件ヲ附ケテ付
託ニナルコトヲ希望イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=85
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086・黒田長成
○侯爵黑田長成君 贊成
〔其他「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=86
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087・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 曾我子爵ノ此報〓ヲ明日ノ正午マデニシタイト云
フ動議ニ對シテ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=87
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088・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=88
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089・徳川達孝
○伯爵德川達孝君 此委員ノコトニ付イテ曾我子爵ニ御尋ネシタウゴザイマ
スガ、委員ハ九名デスカ、十五名デスカ、ドチラデスカ、御考ハ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=89
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090・曾我祐準
○子爵曾我祐準君 本員ハ矢張リ九名ヲ希望シマ
〔「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=90
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091・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第十三ヨリ第二十七マデノ請願、格別御
異議ガアラセラレマセヌケレバ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=91
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092・曾我祐準
○子爵曾我祐準君 異議ガゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=92
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093・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 然ラバ少シ御待チヲ願ヒマス、議事日程第十三、
利根川水害豫防工事速成ニ關スル請願、第十四、國有林野ニ關スル請願、會
議此二請願ヲ問題ニ供シマス
〔左ノ意見書案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ載錄ス以下之ニ傚
乙
意見書案
利根川水害豫防工事速成ニ關スル件
茨城縣稻敷郡古渡村平民農永長忠平外八十八名呈出
同縣同郡長竿村平民農菊池正治外六十六名呈出
同縣同郡伊崎村平民農根本余作外百十三名呈出
右ノ請願ハ請願人等ノ地方ハ頻年利根川ノ水災ヲ被リ殊ニ明治三十九年及
四十年ノ如キハ堤防決潰シ濁流氾濫シテ最甚シキ被害ヲ見ルニ至レリ而シ
テ今ニシテ河底ヲ浚渫シ災害ノ源ヲ絕ツニアラスムハ沿岸ノ住民ハ流離〓
沛シ竟ニ救フヘカラサルノ悲境ニ陷ルニ至ルヘキヲ以テ此ノ水害ノ區域ヲ
査竅シ利根川河身改修工事ヲ速成セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意
ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送
付候也
明治四十二年月日
貴族院議長公爵德川家達
内閣總理大臣侯爵桂太郞殿
意見書案
國有林野ニ關スル件
長崎縣南高來郡杉谷村長荒木直義外三名呈出
右ノ請願ハ長崎縣南高來郡三會村所在ノ國有林野ハ〓羊ノ牧畜ニ供スル爲
同郡島原村恆產會社ニ拂下ケラルルノ計畫アリト聞クモ之ヲ實行セラルル
ニ於テハ請願人等四箇村ノ住民ハ爲ニ生活ノ資源タル燃料肥料及牧草ヲ得
ルノ道ヲ失フノミナラス水源ヲ涸渴セラルルノ悲境ニ陷ルヘキヲ以テ請願
人等ノ休戚ニ鑑ミ寧之ヲ其ノ四箇村ニ拂下ケラレタシトノ旨趣ニシテ貴族
院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ
別册及送付候也
明治四十二年月日
貴族院議長公爵德川家逹
内閣總理大臣侯爵桂太郞殿発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=93
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094・曾我祐準
○子爵曾我祐準君 利根川水害豫防工事速成ニ關スル件ニ付イテ委員長ニ御
尋ネシタイ、是ハ過日追加豫算ニ於キマシテ第三期マデ繰上ゲテ工事ヲスル
ト云フコトニナリマシタカラ此請願ノ趣意ハ既ニ行ハレテ居ルデハナイカト
思ヒマス、追加豫算デ過日此爲ニ二十年ト云フモノガ可決サレテ是ニハ八百
万圓デシタカ、二十何年デ出來上ガルト云フコトニナッテ居リマスカラ、是
ハ最早請願ノ趣意ハ通ヲテ居ルノデハナイカト思ヒマス、一應御尋子致シマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=94
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095・三宅秀
○三宅秀君 本員ハ豫算委員長ニチヨット反問イタシタイコトガゴザイマス、
唯〓ノ御答ヲ兼ネマシテ豫算委員長ニ御尋ネヲ致シタイノデゴザイマス、此
追加豫算ノ決シマシタノハツイ私ハ日ヲ忘レマシテゴザイマスガ、請願委員
會デ此案ヲ議シマシタノハ三月十日ニ採擇ト云フコトニ議定イタシタノデア
リマス、ソレ故ニ三月十日マデニハ、今ノ豫算ガドウデゴザイマシタカ、前
後ヲチヨット忘レマシテゴザイマスガ、是ハ豫算委員長曾我子爵ニチヨット
反問イタシマス、ソレカラ唯〓ノ御問ニ付キマシテハ追加豫算ヲ以テ三期マ
デノ工事ヲ速成スルコトニナッタト云フコトデアリマスガ、如何ニ速成ヲ欲
シマシテモ利根川ノ長イ流域ノ所ヲ悉ク一年ヤ二年ノ工事デ運バウトハ考ヘ
ラレマセヌ、ソレ故ドウデ長ク續キマスル工事デアリマスルナラバ、矢張リ
此請願ハ採擇イタシテ出シテ宜カラウト存ジマス、ソレニ今一ツハ此請願ノ
中ニ「水害ノ區域ヲ查竅シ」ト云フ文字ガゴザイマス、ソレユヱ水害ノ區域ヲ
宜ク査竅イタシマシテ、ドノ部分ハ前キニヤラナケレバナラヌ、ドノ部分ハ
後ニヤラナケレバナラヌト云フコトダケデモ、此請願ヲ採擇スル値打ガアル
ト存ジマスルカラ、ソレユヱ豫算ノ決シマシタ日ヲ伺フト同時ニ本員等ガ之
ヲ採擇イタシマシタ理由ヲチヨット御紹介イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=95
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096・曾我祐準
○子爵曾我祐準君 豫算ノ可決シタノハ十日過ギデゴザイマス、併シソレハ
何モ出シタノガ惡ルイト云フノデハ無イノデ、結構デアリマスガ、豫算ガ通
過シテ居ッタナラバ無效デアルノデ一向豫算ノ通過ノ前後ニ構ハヌ、委
員長ガ御出シニナッタノヲ惡ルイトハ言ハヌガ、決スル譯ニ行クマイト思フ、
ソレカラ事柄ハ政府委員ニ聞ク所ニ依ルト三期デ皆全部デアリマス、도시
デスガ、ソレデ全部デスカラ、チヨット御注意マデニ申シマス、別ニ是ハ喧マ
シク言フコトデモアリマセヌカラ、私ガ希望シマスノハチヨット明日明後
日ト云フ日ガアリマスカラ、此議事ヲ御見合セニナッテ、サウシテ之ヲ一ツ
御調査ニナリマシタ方ガ穩當デハアルマイカト思フ、同ジ事柄デ一方ニハ豫
算デ出シ、一方ニハ請願デ出スト云フノハ少シヲカシイヤウデアリマスド
ウカ左樣ニ私ハ希望イタシマス、否決ヲ敢テ希望スルノデハゴザイマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=96
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097・三宅秀
○三宅秀君 此請願ハ固ヨリ趣旨ハ通ッテ居リマスノデアリマスカラ、唯今
曾我子爵ノ御忠告ノアリマス通リ撤回イタシテモ實ハ意味ハ通ッテ居ルノデ
アリマス、ソレユヱ今ノ曾我子爵ノ御意見デハ請願委員ガ再ピ之ヲ調査シテ
再調查ニ付シテ當議場ニモウ一遍出シタラ宜カラウト云フ御意思デアリマス
ルガ、私一存デハ行キマセヌガ、曾我子爵ノ御話シ通リ請願ノ趣旨ハ貫イテ
居ルノデアリマスカラ撤回イタシテモ差支ハ無イト本員ハ考ヘマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=97
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098・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 曾我子爵ニ伺ヒマスガ、議事日程第十三ノ請願ノ
議事ハ今日ハ延期シヤウト云フ動議ノヤウニ伺ヒマスガ、サウデアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=98
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099・曾我祐準
○子爵曾我祐準君 全ク左樣デゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=99
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100・江木千之
○江木千之君 曾我子爵ニ贊成発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=100
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101・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 曾我子爵ノ延期說ニ對シテ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=101
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102・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス、議事日程第十四ノ請願、請
願委員長ノ御報告通リデ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=102
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103・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=103
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104・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第十五、區裁判所管轄區域變更ノ請願、
第十六、小坂鑛山煙害救濟ニ關スル請願、第十七、陸羽橫斷鐵道線路調査ノ
請願、第十八、點字公認ニ關スル請願、會議
意見書案
區裁判所管轄區域變更ノ件
長崎縣北高來郡古賀村長鍬塚卯三郞呈出
右ノ請願ハ長崎縣北高來郡古賀村ニ於ケル登記事務ハ現ニ大村區裁判所田
結出張所ノ管轄ニ屬スト雖同村ハ該出張所所在地ト交通甚不便ナルヲ以テ
之ヲ長崎區裁判所矢上出張所ノ管轄ニ變更セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族
院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ
別冊及送付候也
明治四十二年月日
貴族院議長公爵德川家逹
內閣總理大臣侯爵桂太郞殿
意見書案
小坂鑛山煙害救濟ニ關スル件
秋田縣秋田市手形新町秋田縣會議長井上廣居外八名呈出
右ノ請願ハ秋田縣鹿角郡小坂鑛山ノ製鍊場ヨリ發出スル毒煙ハ風ニ隨ヒテ
秋田靑森巖手ノ三縣數十里ノ地方ニ瀰漫シ殊ニ秋田縣鹿角北秋田ノ二郡ニ
在リテハ其ノ被害激甚ニシテ果禾稔ラス山林荒廢シテ水早荐ニ臻ルノ慘狀
ヲ呈スルニ依リ政府ニ於テ根本的ニ之カ解決ヲ與ヘラルル迄ハ同製錬場ノ
煙突ヲ短縮セシメ他ノ鑛山ヨリ購入スル鑛物ノ製鍊ヲ禁止シ及法律ヲ制定
シテ損害ノ賠償ヲ爲サシメラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ
採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
明治四十二年月日
貴族院議長公爵德川家達
內閣總理大臣侯爵桂太郞殿
意見書案
陸羽横斷鐵道線路調査ノ件
秋田縣仙北郡大曲町平民農田口岩藏外十三名呈出
右ノ請願ハ秋田縣大曲ヨリ川口ヲ經テ巖手縣猿橋附近ニ至リ更ニ盛岡若ハ
花卷ニ達スル鐵道線路ハ土地平坦ニ哩數少ク工事容易ニシテ最良ノ陸羽橫
斷鐵道タルヘキカ故ニ速ニ之ヲ測量セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願
意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及
送付候也
明治四十二年月日
貴族院議長公爵德川家逹
內閣總理大臣侯爵桂太郞殿
意見書案
點字公認ニ關スル件
東京市小石川區指ヶ谷町士族杉亨二外四名呈出
右ノ請願ハ盲者ハ文字ヲ手記スルコト難キヲ以テ法令ノ規定上自書又ハ署
名ヲ以テ權利行使ノ要件トスル場合ニ在リテハ遂ニ其ノ權利ヲ行使スルコ
ト能ハサルカ故ニ此等ノ場合ニ際シテハ盲者ハ本邦點字ヲ用ウルコトヲ得
ルノ法律ヲ制定セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘ
キモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
明治四十二年月日
貴族院議長公爵德川家達
内閣總理大臣侯爵桂太郞殿発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=104
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105・伊澤修二
○伊澤修二君 本員ハ第十八ノ請願ニ付イテ、チヨット請願委員長ニ質問イ
タシタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=105
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106・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御質問デスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=106
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107・伊澤修二
○伊澤修二君 ハイ、チヨット質問イタシタイ、此請願ハ盲人ガ文字ヲ手記
スルコトガ出來ナイカラ法律ノ規定上、自書又ハ署名ヲ以テ權利行使ノ要件
トスル場合ニ遂ニ其權利ヲ行フコトガ出來ナイ、ソレユヱ此場合ニ於テ本邦
ノ點字ヲ用ヰルコトヲ得ルノ方法ヲ制定セラレタイ、斯ウ云フコトデアリマ
スガ、此法律ノ行爲ニ付イテ一ツノ別ノ文字ヲ用ヰルト云フコトデアリマス
ガ、是ハ餘ホド重大ナコトデアリマスガ、此事ニ付イテハ請願委員會ニ於テ
ハ若シ此法律ガ出タナラバ一般ノ人モ亦點字ヲ覺エナケレバナラヌ、卽チ一
般ノ人ニモ點字ヲ覺エサセルト云フコトニナラウト云フコトマデモ御〓究ニ
ナッタノデアリマスカ、如何デアリマスカ、ソレヲ承リタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=107
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108・三宅秀
○三宅秀君 伊澤君ノ御問ヒニ御答イタシマス、此法律上デ自書署名ヲ要ス
ル場合ト申シマスルノハ重モニ選擧ノ時ヲ意味シテ居リマス、ソレカラ今一
ツハ········遺言狀ナドノ署名ヲシテ置ク場合ヲ指シテ居ルノデ、御問ヒノ所ハ
必ズサウ云フ風ニナリマスノデアリマス、ソレユヱ調べマシタ所デハ格別目
明キノ人ガ點字ヲ覺エルナドヽ云フムツカシイコトデハ無イ、玆ニ書イテア
リマスル本邦點字ト云フノハ歐羅巴デ使ッテ居リマスル點字ヨリ餘ホド宜イ
工夫デ出來テ居ルサウデゴザイマス、ソレユヱ僅カ假名文字四十幾通リヲ覺
エレバ目明キノ人ガ點字ヲ覺エルヨリハ餘ホド易イト云フコトデアリマス、
或ハ郵便ノ上書ヲ此點字デ記シテアリマシテモ僅カ四十七文字ダケヲ解釋シ
テ或ル熟字ノヤウナモノガ出來テ居レバ直グニ其郵便ノ名宛ハ讀メルト云フ
位ノ易イモノダサウデアリマスカラ、格別此法律デ認メラレタカラト云ウテ
モ目明キノ人ガ迷惑スルヤウナコトガ無カラウト云フコトデアリマスカラ左
樣御承知ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=108
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109・伊澤修二
○伊澤修二君 唯今、委員長ノ御說明ニナッタ所ニ依リマスルト、例ヘバ選
擧ノ場合ニ其權利ヲ用ヰルト云フコトニナリマスルト、少ナクモ選擧長ハ點
字ヲ知ッテ居ナケレバナラヌコトニナリマス、又選擧ノ場合ナドハソレガ
果シテ自筆デアルヤ否ヤト云フコトガ大切ナコトデアリマス、然ルニ點字ト
云フモノハ針ノ尖デ刺シタモノデアリマスカラ隨分眞似ノ出來ルモノデアリ
やっ、サウ云フモノヲ法律上デ認メルコトニナリマシテハ非常ナ混雜ヲ來タ
スコトニナラウト思ヒマス、且又サウ云フ點字ノ如キモノヲ一般ノ法律行爲
ニ用ヰサセルト云フコトハ、先進國タル歐米ニ於テ用キテ居ル所ガアルヤ否
ヤ御調ベニナリマシタカ、ソレヲ一應伺ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=109
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110・三宅秀
○三宅秀君 唯〓ノ御問ヒニ御答ヘ致シマスガ、外國デ是ガドウナッテ居ル
ト云フコトハ、ツイ調ベマセヌデゴザイマシタ、併ナガラ此點字ト云フモノ
ハ丁度我〓ガ用ヰテ居リマスル文字ノ如ク各、書風ガゴザイマシテ、サウシ
テ他人ガ似セルコトノ出來ナイヤウナ文字ニナッテ居リマスルカラ、選擧ノ
トキヤ或ハ遺言狀ニ書キマシタ場合ニ於テモ、決シテ似セルコトノ出來ナイ
ヤウニ、爭ヒノ起ラヌヤウニ點字ヲ認メルコトガ出來ル趣デアリマスルカラ、
ソレ故ニ格別將來ニ於テ之ガ爲ニムヅカシイコトハ起ルマイト云フ考ヘデゴ
ザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=110
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111・伊澤修二
○伊澤修二君 本員ハ此點字ト云フモノヲ成ルベク一般ノ人ガ知ルヤウニス
ルト云フコトハ、ソレハ宜イトシテ寧ロ是ハ至極宜シイコトヽ思ヒマスガ、
斯ル事柄ヲ法律ニ認メテ、法律上ノ力ヲ以テ、斯ノ如キモノヲ一般ノ人ニ用
ヰサセルト云フコトハ是ハ絕對的反對デゴザイマス、ソレ故ニ是レハ不採
擇トスベキモノ、卽チ反對ノ意見ヲ提出イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=111
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112・三宅秀
○三宅秀君 チヨット說明シテ置キマス、是ハ法律デ認メル、法律ヲ以テ認
メテ貰ヒタイト云フダケノ請願デアリマシテ、法律ヲ以テ一般ノ目明キノ人
ニ點字ヲ覺エサセルト云フノデハナイノデアリマス、少シ請願ノ趣意ト違ッテ
居リマスカラ、是ダケ申シテ置キマス
〔伊澤修二君「チヨット發言ヲ御許シヲ願ヒタイト思ヒマス、卽チ
選擧ノ場合ニ選擧長タル者ガ·······」ト述フ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=112
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113・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 伊澤君ニ申上ゲマスガ、ドウモ二度ノ發言ハ規則
ガ許スマイト考ヘマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=113
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114・曾我祐準
○子爵曾我祐準君 伊澤君ノ說ニ贊成イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=114
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115・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 伊澤君ノ反對論モゴザイマシタカラ、此採決ハ二
度ニ致シマス、議事日程第十五ヨリ第十七マデ、請願委員長ノ報告通リデ御
異存ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=115
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116・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス、議事日程第十八ノ請願ヲ
採決スベシトスル諸君ノ起立ヲ請ヒマス
起立者少數発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=116
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117・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 少數ト認メマス、依ッテ是ハ採擇スベカラズト決
シマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=117
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118・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第十九、山陰縱橫貫鐵道連絡速成ニ關ス
ル請願、第二十、郵便局設置ノ請願、第二十一、養豚奬勵法實行ニ關スル請
願第二十二、登記所設置ニ關スル請願
意見書案
山陰縱橫貫鐵道連絡速成ニ關スル件
島根縣那賀郡濱田町長三浦博智外四十四名呈出
右ノ請願ハ石見地方ノ發達ノ遲遲タルハ主トシテ交通機關ノ不備ナルニ因
ルカ故ニ速ニ山陰縱貫鐵道中今市ヨリ山口町附近ニ至ル豫定線路及山陰橫
斷鐵道ヲ敷設シ以テ此等地方ノ利便ヲ開發シ且國力ノ發展ニ資セラレタシ
トノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院
法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
明治四十二年月日
貴族院議長公爵德川家達
內閣總理大臣侯爵桂太郞殿
意見書案
郵便局設置ノ件
島根縣那賀郡蘆谷村長泉川兼太外四名呈出(二通)
右ノ請願ハ島根縣那賀郡ハ縣下屈指ノ大郡ナルモ郵便局ノ數少クシテ通信
ノ利ヲ闕キ殊ニ同郡井野村ハ四隣七箇村ニ接スル大村ニシテ交通頻繁ナル
モ先年井野郵便局ノ廢止セラレタル爲不便愈甚シキニ至リタルヲ以テ同村
ニ郵便局ヲ設置セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘ
キモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
明治四十二年月日
貴族院議長公爵德川家達
内閣總理大臣侯爵桂太郞殿
意見書案
養豚奬勵法實行ニ關スル件
東京府豐多摩郡澁谷町平民岩谷松平呈出
右ノ請願ハ請願人ハ第二十四囘帝國議會ニ際シ養豚奬勵ニ關スル法規ノ制
定ヲ請願シ兩議院ノ採擇スル所トナリタルモ政府ハ未タ之ヲ實行セサルヲ
以テ速ニ農家ヲシテ每戶必ス一頭以上ノ豚ヲ飼養セシメ且之ニ違反シタル
トキハ科罰ヲ課スルノ條項ヲ設ケ之カ法規ヲ制定セラレタシトノ旨趣ニシ
テ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條
ニ依リ別册及送付候也
明治四十二年月日
貴族院議長公爵德川家逹
内閣總理大臣侯爵桂太郞殿
意見書案
登記所設置ニ關スル件
三重縣阿山郡山田村長森口龜治郎外四十八名呈出
右ノ請願ハ三重縣阿出郡山田布引阿波ノ三箇村ハ郡ノ東部ニ位シテ自ラ一
區域ヲ成シ戶口多ク登記事件頻繁ナルニ拘ラス登記所ヲ距ルコト遠クシテ
登記ノ未了ナルモノ多ク公私ノ煩累尠カラサルカ故ニ此ノ闕點ヲ補ハムカ
爲以上ノ三村ヲ管轄スル上野區裁判所出張所ヲ山田村內ニ設置セラレタシ
トノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院
法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
明治四十二年月日
貴族院議長公爵德川家達
内閣總理大臣侯爵桂太郞殿発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=118
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119・曾我祐準
○子爵曾我祐準君 第二十一ノ請願ニ就イテ意見ヲ申述ベマス、是ハ餘ホド
面白イ意味デアリマスガ、此農家一戶每ニ豚一匹ヅヽ飼ハセ、サウシテソレ
ヲ飼ハヌトキニハ罰シヤウト云フ譯デアリマスガ、若シモ此請願ガ通過シテ
法律ニナッテ出タラドウデゴザイマセウ、是ガ法律ニナレバ、百姓ハ豚一匹
ヅヽ飼ハナケレバナリマセヌ、若シ飼ハナケレバ罰セラレルト云フコトニナ
リマスガ、如何デアリマセウ諸君、實際サウ云フコトガ出來マセウカ出來マ
スマイカ、此請願ガ通過シマシタナラバ豚ノ子ガ一匹クラヰハ殖エルカモ知
レマセヌガ、斯ウ云フ案ハ不採擇ニスベキモノデアラウト思ヒマスカラ、
言イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=119
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120・田中芳男
○田中芳男君 本員モ唯〓承リマシタ通リノ意見デアリマス、如何ニモ是ハ
不都合ナ請願ト考ヘマスカラ採擇ニナラヌコトヲ希望イタシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=120
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121・三宅秀
○三宅秀君 チヨット請願ノ趣旨ヲ述ベテ置キマス此請願ハ農家ニ於テハ
一頭以上ノ豚ヲ飼ヘ、ソレニ違犯シタラ罰ヲ科スルト云フ條項ヲ設ケラレタ
イト云フ請願デアリマスカラ、正面カラ見ルト、ヲカシイヤウナ請願デアリ
マスケレドモ、貴族院ハタヾ願意ノ大體ヲ採擇スベキモノト認メルノデアリ
マシテ、農家ニ於テ一頭以上ノ豚ヲ飼養サセルト云フコトヲ以テ養豚ヲ奬勵
スル方法ヲ執ラレルノハ最モ好マシイコトヽ思ヒマスカラ、ソレダケノ意味
デ採擇スルト云フ譯デアリマシテ、必ズ之ニ違犯シタラ罰ヲ當テルト云フコ
トハ我〓請願委員ノ考ヘ及バヌコトデゴザイマスカラ、チヨット一言イタシ
テ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=121
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122・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第十九ヨリ第二十マデノ請願ハ採擇シテ
御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=122
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123・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス、議事日程第二十一ノ請願
ヲ採擇スベシトスル諸君ノ起立ヲ請ヒマス
起立者少數発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=123
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124・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 少數ト認メマス、議事日程第二十二ノ請願ハ採擇
シテ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=124
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125・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=125
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126・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第二十三、汽船「トロール」漁業禁止ノ請
願第二十四、水產〓育普及ニ關スル請願、第二十五、在外國賣淫婦取締法
制定ニ關スル請願、第二十六、常設美術展覽會會場及美術館設立ノ請願、第二
十七、越羽沿海鐵道及陸羽橫斷鐵道速成ノ請願、會議
意見書案
汽船「トロール」漁業禁止ノ件
愛媛縣越智郡宮窪村平民漁業村上紋四郞外四名呈出
右ノ請願ハ近時二三資本家ノ企畫ニ成ル汽船「トロール」漁業ハ蒸汽力ニ依
リテ海底ノ魚族ヲ網羅シ盡スモノナルカ故ニ漁場ヲ荒廢セシメ著シク魚類
ノ蕃殖ヲ害シ一般漁業者ハ爲ニ忽其ノ生業ヲ奪ハルルノ悲境ニ陷ルヘク終
ニ之ニ對シテ如何ナル禍害ヲ加フルニ至ルナキヲ保セサルニ依リ速ニ之ヲ
禁止セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議
決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別冊及送付候也
明治四十二年月日
貴族院議長公爵德川家達
内閣總理大臣侯爵桂太郞殿
意見書案
水產〓育普及ニ關スル件
愛媛縣越智郡宮窪村平民漁業村上紋四郞外四名呈出
右ノ請願ハ水產事業ノ改良發達ヲ期スルニハ水產〓育ノ普及ニ俟タサルヘ
カラス而シテ之カ普及ヲ圖ルニ最適切ナルハ沿海各町村ノ小學校ニ水產ノ
補習科ヲ設置シ簡易ノ〓授ヲ施スニ在リ然レトモ〓員其ノ人ニ乏シクシテ
俄ニ之ヲ實行スルコト能ハサルヲ以テ師範學校ニ必修科目トシテ水產科ヲ
設ケラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決
致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
明治四十二年月日
貴族院議長公爵德川家達
內閣總理大臣侯爵桂太郞殿
意見書案
在外國賣淫婦取締法制定ニ關スル件
東京市麴町區上二番町平民女學校管理人矢島楫外六百六十六名呈出
右ノ請願ハ現行ノ法令ハ海外ニ密行スル賣淫婦ノ取締法宜シキヲ得スシテ
此等醜業婦ノ〓韓南洋北米ノ各地ニ周キニ至リタルハ獨リ多數ノ婦女子ヲ
シテ遠ク異〓ニ在リテ奴隸ニ劣ルノ悲境ニ沈淪セシムルノミナラス又實ニ
我國辱ナルヲ以テ之カ取締ヲ嚴ニスル爲適當ノ法律ヲ制定セラレタシトノ
旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第
六十五條ニ依リ別册及送付候也
明治四十二年月日
貴族院議長公爵德川家達
内閣總理大臣侯爵桂太郞殿
意見書案
常設美術展覽會會場及美術館設立ノ件
東京府豐多摩郡千駄ヶ谷町士族畫工岡精一外三十四名呈出
右ノ請願ハ常設美術展覽會會場及美術館ノ設立ハ美術ノ進步及文化ノ開發
ヲ期スルニ於テ最緊要ナルモ我國ニハ未タ東西美術ノ系統的〓究ニ資スヘ
キ專門的美術館ノ施設ヲ闕キ美術品ヲ收容スヘキ適當ナル展覽會會場ナキ
ヲ以テ之ヲ設立セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘ
キモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
明治四十二年月日
貴族院議長公爵德川家達
內閣總理大臣侯爵桂太郞殿
意見書案
越羽沿海鐵道及陸羽橫斷鐵道速成ノ件
山形縣飽海郡上郷村平民農今田隆治外二十七名呈出
右ノ請願ハ新潟縣新發田ヨリ村上山形縣鶴岡酒田秋田縣本庄ヲ經テ秋田ニ
至ル越羽沿海鐵道及奥羽線ヨリ分岐シテ山形縣新庄ヨリ酒田ニ至ル陸羽橫
斷鐵道ハ既ニ豫定線ニ編人セラレタルモノニシテ之カ敷設ハ啻ニ沿道地方
ニ於ケル商工業ノ利益ヲ開發シ人文ノ進步ニ資スルノミナラス樺太北海道
ト京阪地方トノ㨗路ヲ作リ又太平洋岸ト日本海岸トヲ連絡セシメ國力ノ發
展上最緊要ナルヲ以テ之ヲ速成セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ
大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付
候也
明治四十二年月日
貴族院議長公爵德川家達
内閣總理大臣侯爵桂太郞殿発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=126
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127・田中芳男
○田中芳男君 此二十六ノ請願ニ付キマシテハ隨分世間ニモ欲シイ人ト反對
ノ人ガアルカモ知レマセヌガ、旣ニ大分政府ニ於テモ御著手ニナッテ居ル箇
所ガアリマスカラ、定メテ請願委員會ニ於カレマシテハソレ等ヲ御調ベニ
ナッタコトヽ考ヘマスガ、業己ニソレ〓〓出來テ居ルモノモアレバ實際ムダ
ノヤウニナリマスガ、其邊ハ如何デゴザイマセウ、御調べノ次第ヲ承リタウ
ゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=127
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128・三宅秀
○三宅秀君 チヨット田中君ノ今ノ御尋ネハ第二十六ニ付イテノ御問ヒノヤ
ウニ承ッテ居リマシタガ、常設美術展覽會ト云フヤウナモノハ未ダ唯今デハ
ゴザイマセヌノデゴザイマス、美術館ト云フモノハ既ニ建ッテ居ル所モゴザ
イマセウガ、此請願者ノ申シマスル所ニ依リマスルト何レモ是マデ建ッテ居
リマスルノハ極メテ不十分ナモノデ、他ノ建物ヲ假用シテ居ルト云フヤウナ
譯デアリマスカラ、是デハ今後追く進ムベキ所ノ美術ノ進行上ニ於テ甚ダ不
利デアルカラ、ドウゾ常設美術展覽場ヲ設立シテ貰ヒタイト云フ請願ノ趣旨
デゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=128
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129・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第二十三ヨリ第二十七マデノ請願ハ採擇
シテ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=129
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130・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) .御異議ナイト認メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=130
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131・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御委託ニナリマシタ特別委員ヲ選定イタシマシタ
カラ、其氏名ヲ書記官長ヲシテ朗讀ヲ致サセマス、此際諸君ニ申上ゲマスガ、
會期モ餘ホド切迫イタシマシタカラ、特別委員會ノ正副委員長ハ成ルベク速
ニ互選ヲ行ハレムコトヲ希望イタシマス
〔太田書記官長朗讀〕
登錄稅法中改正法律案特別委員
伯爵松平賴壽君子爵靑木信光君子爵前田利定君
男爵野田豁通君男爵目賀田種太郞君男爵南岩倉具威君
男爵諫早家崇君中島永元君松村脩平君
明治三十七八年戰役ノ爲損害ヲ被リタル者ノ救恤ニ關スル法律案特別委員
侯爵德川賴倫君子爵本多忠敬君子爵堀河護麿君
男爵尾崎三良君男爵赤松則良君男爵前島密君
男爵小澤武雄君淺田德則君室田義文君
關稅定率法輸入稅表中改正法律案特別委員
子爵入江爲守君子爵牧野忠篤君前田正名君
男爵高木兼寬君男爵中川興長君石井省一郞君
鮫島武之助君大谷嘉兵衛君桑田熊藏君
宅地地價修正法案外二件特別委員
伯爵柳原義光君子爵堀田正養君子爵三島彌太郞君
田中芳男君男爵武井守正君富田鐵之助君
藤田四郞君兒玉淳一郞君橋本雄造君
遠洋漁業奬勵法改正法律案特別委員
子爵持明院基哲君子爵樋口誠康君村田保君
田邊輝實君黑岡帶刀君男爵眞田幸世君
男爵島津忠欽君男爵長松篤業君湯地定基君
競馬法案特別委員
伯爵萬里小路通房君伯爵德川達孝君子爵曾我祐準君
子爵松平容大君男爵松平正直君男爵茨木惟昭君
男爵伊達宗敦君男爵久保田讓君下〓傳平君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=131
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132・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 明日ノ議事日程ハ本院彙報ヲ以テ御通知ニ及ビマ
ス、本日ハ是デ散會ヲ致シマス
午後零時十三分散會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002503242X01919090322&spkNum=132
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