1. 会議録本文
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000・会議録情報
明治四十四年三月十六日(木曜日)
午前十時六分開議
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議事日程 第十八號 明治四十四年三月十六日
午前十時開議
第一 明治四十四年度歳入歳出總豫算追加案(第二號)審査期限を定むるの件
第二 明治四十四年度特別會計歳入歳出豫算追加案(特第一號)審査期限を定むるの件
第三 明治四十四年度歳入歳出總豫算追加案(第三號)審査期限を定むるの件
第四 明治四十四年度各特別會計歳入歳出豫算追加案(特第二號)審査期限を定むるの件
第五 豫算外國庫の負擔となるへき契約を爲すを要する件(追第一號)審査期限を定むるの件
第六 韓國鐵道會計所屬資金の繰入に關する法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第七 租税外諸收入金整理に關する法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第八 電氣事業法案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第九 司法事務共助法案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第十 大藏省預金部の利益金を一般會計に繰入るる件に關する法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第十一 市制改正法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第十二 町村制改正法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會
第十三 帝國學士院學術奬勵金特別會計法案(政府提出衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十四 朝鮮總督府鐵道及通信官署に於て取扱ふ現金の出納に關する法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十五 明治四十年法律第四十八號中改正法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十六 明治四十年法律第四十九號中改正法律案(政府提出衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第十七 東京市及大阪市に關する法律案(衆議院提出) 第一讀會
第十八 地租條例中改正法律案(衆議院提出) 第一讀會
第十九 登録税法中改正法律案(衆議院提出) 第一讀會
第二十 國税徴收法中改正法律案(衆議院提出) 第一讀會
第二十一 砂糖消費税法中改正法律案(衆議院提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十二 水道條例中改正法律案(衆議院提出) 第一讀會の續(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=0
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001・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ヨリ諸般ノ報告ヲ致シマス
〔河井書記官朗讀〕
昨十五日本院ニ於テ可決シタル左ノ政府提出案ハ卽日裁可ヲ奏請シ又可決
ノ旨ヲ衆議院ニ通知セリ
蠶絲業法案
日本勸業銀行法中改正法律案
農工銀行法中改正法律案
日本興業銀行法中改正法律案
北海道拓殖銀行法中改正法律案
同日本院ニ於テ可決シタル左ノ政府提出案ハ卽日之ヲ衆議院ニ送付セリ
鐵道又ハ船舶カ外國ノ鐵道又ハ船舶ト貨物ノ聯絡運輸ヲ爲ス場合ニ關ス
ル法律案
同日本院ニ於テ可決シタル左ノ衆議院提出案ハ卽日裁可ヲ奏請シ又可決ノ
旨ヲ衆議院ニ通知セリ
輕便鐵道法中改正法律案
明治四十一年法律第三十七號中改正法律案
同日本院ニ於テ否決シタル左ノ衆議院提出案ハ第二讀會ヲ開カサルコトヲ
議決シタル旨ヲ衆議院ニ通知セリ
鐵道敷設法中改正法律案
鐵道敷設法中改正法律案
普通選擧ニ關スル法律案
同日本院ニ於テ可決シタル史蹟及天然記念物保存ニ關スル建議ハ文書ヲ以
テ卽日之ヲ政府ニ呈出セリ
同日特別委員會ニ於テ當選シタル正副委員長ノ氏名左ノ如シ
帝國學士院學術奬勵金特別會計法案特別委員會
委員長伯爵〓棲家〓君副委員長男爵辻新次君
樺太ニ於ケル漁業免許ノ取消及漁業料ノ徵收ニ關スル法律案特別委員會
委員長村田保君副委員長伊澤修二君
間島ニ於ケル領事官ノ裁判ニ關スル法律案特別委員會
委員長伯爵寺島誠一郞君副委員長淺田德則君
水道條例中改正法律案特別委員會
委員長伯爵大木遠吉君副委員長男爵小野尊光君
同日委員長ヨリ左ノ報〓書ヲ提出セリ
帝國學士院學術獎勵金特別會計法案可決報〓書
朝鮮總督府鐵道及通信官署ニ於テ取扱フ現金ノ出納ニ關スル法律案可決
報告書
明治四十年法律第四十八號中改正法律案可決報告書
明治四十年法律第四十九號中改正法律案可決報〓書
間島ニ於ケル領事官ノ裁判ニ關スル法律案可決報告書
砂糖消費稅法中改正法律案修正報告書
水道條例中改正法律案可決報〓書
請願文書表第八囘報告書
明治四十二年度豫備金支出ノ件(承諾ヲ求ムル件)、明治四十二年度豫備
金外ニ於テ豫算超過及豫算外支出ノ件(承諾ヲ求ムル件)、明治四十二年
度特別會計豫備金支出ノ件(承諾ヲ求ムル件)、明治四十二年度特別會計
豫備金外ニ於テ豫算超過及豫算外支出ノ件(承諾ヲ求ムル件)、明治四十
二年度韓國派遣部隊豫備費支出ノ件(承諾ヲ求ムル件)可決報〓書
同日議員侯爵黑田長成君外十二名ヨリ百八十四名ノ贊成ヲ以テ國民道德〓
育ノ振興ニ關スル建議案ヲ發議セリ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=1
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002・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 近ゴロ本院議員ニシテ長逝セラルヽ御方ガ多クゴ
ザイマスコトハ、議長トシテ誠ニ痛歎ニ堪ヘナイ次第デアリマス、本日亦悲
ムベキ報道ヲ致サネバナラヌコトニ相成リマシテ如何ニモ痛歎ノ至リニ存ジ
やさ、昨十五日、本院議員宮島誠一郞君卒去セラレマシタ、故ニ本院ヨリ弔
辭ヲ贈ルコトニ付イテ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=2
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003・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=3
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004・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ヨリ本日ノ會議ヲ開キマス、馬屋原君
〔左ノ質問主意書ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ茲ニ載錄ス〕
繪畫奬勵ノ方針ニ關スル質問主意書
我美術界ニ於ケル繪畫ノ有樣タルヤ日本畫ハ漸ク誠實ヲ離レテ浮佻亂脈ニ
傾キ又往々日本畫ト油繪ト混同ノ作畫ヲ企ツル者アルニ至リ隨テ油繪ノ如
キモ未タ著シク進步セサルハ一般ノ現狀ナリ今ヤ奬勵上一層ノ注意ヲ加ヘ
宜シク繪畫ノ正路ニ依ラシメ之カ善良ナル進步發達ヲ企圖スヘキ秋タルヲ
信ス
一政府ハ如何ナル手段ヲ以テ之ヲ善良ナル方路ニ誘致スルノ見込ナルヤ
一政府ハ一般繪畫ニ對スル奬勵方針ハ美術審査會ニ於ケル繪畫鑑查ノ標準
上及〓育機關ニ於ケル繪畫ノ〓育上ニモ之ヲ一貫セシムルノ見込ナルヤ
右議院法第四十八條ニ依リ及質問候也
明治四十四年三月十三日
提出者馬屋原彰賛成者伯爵寺島誠一郞
外五十名
〔馬屋原彰君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=4
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005・馬屋原彰
○馬屋原彰君 本員ハ今囘政府ニ對シマシテ質問ヲ致サムト欲スル所ノ繪畫
奬勵ノ方針ニ付キマシテ御參考ノ爲ニ玆ニ大體ノ要旨ヲ述べ置キタイト存ジ
やべ、我邦ニ於ケル繪畫ノ淵源ハ上古ヨリ支那ト一致シ、之ガ本義トスル所
ハ筆墨ノ妙技ヲ以テ精神ノ妙趣ヲ現ハスニアリ、卽チ胸中ノ山岳、胸中ノ成
竹ヲ寫スニアルノデアリマス、本朝ノ繪畫ハ中古以降ハ御承知ノ如ク時世ノ
推移ニ伴ヒ、段々流派ガ分レタノデハアリマスガ、正シキ方路ニ基キ起ッタ
ル所ノ前代ノ作家ハ、何レモ皆本義ニ依リ各〓其識量ニ應ズルダケノ作畫ニ努
メ、目的ヲ達シタルモノデアリマス、本朝繪畫ノ特色トスル所、生命トスル
所ハ、畢竟スルニ誠實ニ基イタル筆力、精神ノ妙趣ノ點ニ存スルノデアッテ、
夙ニ世界ニ日本畫ノ賞音ヲ博シタル所以モ、亦實ニ此妙技妙趣ノ點ニ歸スル
ノデアリマス、然ルニ近來ノ繪畫ノ有樣ハ、年ヲ逐ウテ寫生的俗樣ニ流レ、
從ッテ其弊タルヤ漸ク誠實ト云フコトヲ離レテ、謂ハユル浮佻亂脈ニ傾キ、
轉、繪畫ノ本義ニ遠ザカリツヽアル現狀デアリマス、固ヨリ繪畫ノ優劣ハ作
者ノ人格、襟度、學識、此三ツノ高下ニ依ルモノデアリマスルガ、繪畫ノコ
トタルヤ俗目ヲ怡バセルノガ目的デハナイノデアリマスルカラシテ、巧拙ニ
拘ラズ正格ナルモノヲ宜シトスルノデアルト思ヒマス、然ルニ今ノ繪畫ハ作
者茲ニ努メズ自カラ修メズシテ時好ヲ逐ヒ、唯外觀ノ浮美ニノミ重キヲ置ク
ト云フ傾キガアルノデアリマス、如何ニ繪畫ニ著色ヲ必要トスルモ、如何ニ
外觀ノ艶麗ヲ競フヲ必要ナリトスルモ、肝腎ナル筆力、精神ノ妙趣ヲ闕クモ
ノハ、世ノ識者ハ之ヲ賤シムノミナラズ、畫法ニ於テモ之ヲ忌ムノデアリマ
ス、近ゴロ往々見ル所ニ依リマスレバ、奇ヲ法度ノ外ニ求メ、或ハ自然ノ定
理ヲ逸シ、若クハ相容レザル所ノ水ト油ヲ一〓ニシテ、日本畫ト油繪ト混同
ノ作畫ヲ企ツル者アリ、是等ハ謂ハユル浮佻亂脈ノ著シキ現象デアルト言ハ
ネバナラヌノデアリマス、成ルホド昔ハ偶〓襟度アリ識量アル天才、超凡ノ
大創作者ガ出テ、筆ヲ以テ麾ケバ天下皆之ニ風靡スルト云フコトモアッタカ
モ知リマセヌガ、明治ノ現代ニ於テ、シカモ其膽ナク識ナキ人ニシテ斯カル
變態ノ作畫ヲ企ツル如キハ、世ノ識者ハ大ニ取ラザル所デアリマス、繪畫ノ
正格ナルモノハ看ル者ノ心ヲ感化スル所ノ力ハ極メテ大ナルモノデアリマ
ス、之ト同時ニ繪畫ノ浮佻亂脈ナルモノハ如何デアルカ、社會人心ノ腐敗ヲ
誘致シ、延イテハ國運ノ消長ニ至大ノ關係ヲ及ボスト云フコトハ、內外歷史
ノ證明スル所デアリマス、古人ガ旣ニ繪畫ニ正ト邪トノ二途アルヲ論ジ、規
矩アルヲ示シタル所以ハ、單リ繪畫ノ正格ヲ保ツ爲パカリデハナイ、社會ノ
爲ニモ廣ク慮ル所ガアッタモノト本員ハ察スルノデアリマス、今ヤ當局者ノ
奬勵上ニ於テハ一層ノ注意ヲ加ヘラレ、又一般ノ繪畫作者ニ於キマシテモ我
邦ニ於ケル千有餘年ノ名譽アル歷史ヲ有スル美術ト云フ點ニ對シテ、深ク自
ラ省ミル所ガアッテ、將來ニ向ッテハ益〓其固有ノ美術ノ眞美ヲ發揮スル方
ニ努メネバナラヌト信ジマス、現在文部ノ直轄ノ下ニ設ケラレテアル所ノ美
術審査委員會ナルモノハ、御承知ノ如ク美術奬勵ノ唯一機關デアリマスル
ガ、其機關ニ於テ是マデ繪畫ノ優劣等差ヲ査定シタルモノヲ視ルニ、往々ニ
シテ其標準トスル所ノモノガ、繪畫ノ正シキ規矩ニモ據ラズ、又自然ノ定理
ニモ據ラザルモノガアルヤウニ見受ケラレマス、要スルニ此機關ニ於テ繪畫
ノ優劣等差ヲ定メル標準ト云フモノハ何レニアルカ、本員ドモハ了解ニ苦シ
ムノデアリマス、本員ハ此機關ノ甚ダ不完全ナルヲ感ズルト同時ニ、當局者
ノ是マデノ奬勵ノ周到ナラザルヲ遺憾トスル所デアリマス、玆ニ於テ本員ガ
政府ニ對シテ質問ヲ致シマスル所ノ要點ハ、政府ハ如何ナル手段ヲ以テ此現
狀ニ對シ之ヲ善良ナル方針ニ導クノ見込デアルヤ、又政府ニ於テ一般繪畫ニ
對スル方針ハ、其審査機關ニ於ケル繪畫ノ優劣等差ヲ定メル標準ノ上、及〓
育機關ニ於ケル繪畫ノ〓育ノ上ニモ之ヲ一貫スルノ見込デアルヤト云フ、此
二點ノ確乎タル見込ヲ聞カムト欲スルノデアリマス、デ此問件ニ對シマシテ
ハ政府ハ成ルベク詳細ナル答辯ヲ與ヘラレムコトヲ切ニ希望スル次第デアリ
pゞ、以上御參考ノ爲ニ申述ベテ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=5
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006・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ヨリ本日ノ議事日程ニ移リマス、議事日程第
一、明治四十四年度歲入歳出總豫算追加案(第二號)審査期限ヲ定ムルノ件、
第二、明治四十四年度特別會計歲入歲出豫算追加案(特第一號)審査期限ヲ定
ムルノ件、第三、明治四十四年度歲入歳出總豫算追加案(第三號)審査期限ヲ
定ムルノ件、第四、明治四十四年度各特別會計歲入歲出豫算追加案(特第二號)
審査期限ヲ定ムルノ件、第五、豫算外國庫ノ負擔トナルヘキ契約ヲ爲スヲ要
スル件(追第一號)審査期限ヲ定ムルノ件
〔左ノ送付文ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ載錄ス〕
(第二號)明治四十四年度歲入歲出總豫算追加案
右本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
明治四十四年三月十四日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
(特第一號)明治四十四年度特別會計歲入歲出豫算追加案
右本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
明治四十四年三月十四日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
(第三號)明治四十四年度歲入歲出總豫算追加案
右本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
明治四十四年三月十四日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
(特第二號)明治四十四年度各特別會計歲入歲出豫算追加案
右本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
明治四十四年三月十四日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
(追第一號)豫算外國庫ノ負擔トナルヘキ契約ヲ爲スヲ要スル件
右本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
明治四十四年三月十四日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=6
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007・曾我祐準
○子爵曾我祐準君 唯今御朗讀ニナリマシタル第一ヨリ第五マデノ豫算ニ關
スル案ノ審査期限ハ、來ル十八日マデト致シタウゴザイマス、卽チ今日ヨ
リ今日ヲ籠メテ三日、十八日マデニ本議場ニ報告スルコトニ致シタウゴザ
イマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=7
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008・堤功長
○子爵堤功長君 贊成
〔其他「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=8
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009・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 曾我子爵ノ動議ニ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=9
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010・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=10
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011・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第六、韓國鐵道會計所屬資金ノ繰入ニ關
スル法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會
〔東久世書記官朗讀〕
韓國鐵道會計所屬資金ノ繰入ニ關スル法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
明治四十四年三月十四日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
〔左ノ議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ載錄ス以下之ニ傚フ〕
韓國鐵道會計所屬資金ノ繰入ニ關スル法律案
韓國鐵道會計ノ資本勘定ニ屬スル明治四十三年度末現在ノ資金ハ之ヲ朝鮮
總督府特別會計ノ歲入ニ繰入ルヘシ
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔政府委員大屋權平君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=11
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012・大屋權平
○政府委員(大屋權平君) 唯今ノ議題トナリマシタル法律案ハ極ク簡單デゴ
ザイマス、從來韓國鐵道ノ建設ニ要スル資金ハ一般會計ヨリ韓國鐵道特別會
計ニ移シテ居ッタノデゴザイマス、トコロガ此韓國鐵道ノ特別會計ハ本年限
リ之ヲ廢シマシテ、明年度ヨリハ朝鮮總督府特別會計ノ中ニ入ルコトニナリ
マシタノデゴザイマス、而シテ朝鮮總督府特別會計ニ於キマシテハ、明年度
以降ノ豫算ニ對スル財源ハ準備イタシテ居リマスルケレドモ、尙ホ四十三年
度ヨリ繰入レマスモノニ對シマシテハ其財源ガゴザイマセヌ、ソレ故ニ既ニ
一般會計ヨリ元ノ韓國鐵道ノ特別會計ヘ移シマシタ資金ヲ其儘、朝鮮總督府
ノ特別會計ニ移シマス譯デゴザイマス、ドウカ御審議ヲ盡サレマシテ御協賛
ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=12
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013・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第七、租稅外諸收入金整理ニ關スル法律
案、政府提出、衆議院送付、第一讀會
〔東久世書記官朗讀〕
租稅外諸收入金整理ニ關スル法律案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付
候也
明治四十四年三月十四日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿○議長(公爵德川家達君)議事日程第八、電氣事業法案、政府提出、衆議院
小字ハ衆議院ノ修正、-ハ送付、第一讀會、議案ノ朗讀ハ省略シテ御異存ゴザイマセヌカ
同削除ノ符號、以下之ニ傚フ
租稅外諸收入金整理ニ關スル法律案〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
第一條政府ノ貸付金ヲ除クノ外租稅外諸收入金ニシテ納人無資力ノ爲一○議長(公爵德川家達君)御異議ナイト認メマス
時ニ收納スルコト困難ナル場合ニ於テハ之ヲ分賦辨濟ノ方法ニ依ル定期〔左ノ送付文及議案ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ載錄ス以下之
〇ノ時期限ニ傚フ〕
貸ト爲シ又ハ資力囘復〓ヲ辨濟ノ條件トスル据置貸ト爲スコトヲ得電氣事業法案
第二條前條ノ定期貨ニ付テハ最後ノ辨濟期ヨリ据置貸ニ付テハ貸付ノ日右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付
ヨリ二十年ヲ經過シタル場合ニ於テ債務者無資力ニシテ資力囘復ノ見込候也
ナシト認ムルトキハ其ノ債務ヲ免除スルコトヲ得明治四十四年三月十四日
附則衆議院議長長谷場純孝
第二貴族院議長公爵德川家達殿
前條ノ規定ハ本法施行ノ際現存スル雜種貸及据置貸ニ之ヲ準用ス電氣事業法
〔政府委員若槻禮次郞君演壇ニ登ル〕第一條本法ニ於テ電氣事業ト稱スルハ左ニ揭クルモノヲ謂フ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=13
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014・政府委員(若槻禮次郞君)
○政府委員(若槻禮次郞君) 是マデ政府ニ對シテ債務ヲ負ウテ居リマス者-一般ノ需用ニ應シ電氣ヲ供給スル事業
ガ、其原因ガ租稅カラ來ッタモノデアリマセヌモノハ、其資力ガアリマセヌ二一般運送ノ用ニ供スル鐵道又ハ軌道ノ動力ニ電氣ヲ使用スル事業
デ、直チニ納付スルコトノ出來ナイ場合ニハ、或ハ分納ヲ許シ、或ハ資力ガ第二條本法ニ於テ電氣工作物ト稱スルハ電氣ノ供給又ハ使用ノ爲施設ス
囘復シタナラバ、辨濟スルト云フ條件デ、暫ク据置クト云フヤウナ取扱ヲシル水路、貯水池、器具機械、電線路及其ノ他ノ工作物ニシテ電氣事業ノ
テ居ッタノデアリマスガ、是ハズット從前カラノ取扱デアリマシテ、法律勅用ニ供スルモノヲ謂フ
令等ニ基ク所ハ無カッタノデアリマス、然ルニ斯樣ナ取扱ヲシテ居ルモノハ、前項ニ於テ電線路ト稱スルハ電氣ノ傳送ニ用ヰル電氣導體及之ヲ支持シ
法律勅令ノ根據ガアリマセヌ爲ニ、何年經チマシテモ、イツマデ經ッテモ、又ハ保藏スル工作物ヲ謂フ
無資力ノ狀態ガ繼續シテ居レバ其儘デ始終債務ガ殘ッテ居ルト云フヤウナ狀第三條電氣事業ヲ營マムトスル者ハ勅令ニ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ
態デ、財產狀態ガイツマデモ確定セヌト云フノガ今日ノ狀態デアリマス、ソ外主務大臣ノ許可ヲ受クヘシ
レデ民法等ニ於テモ各〓債務ニ付イテハ時效ヲ設ケテ、或ハ期間ヲ經過スレ第四條電氣事業者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ行政官廳ノ認可ヲ受ケタル後
バ、其財產關係ハ確定スルト云フコトニナッテ居リマスガ、唯今申シマスルニ非サレハ工事ニ著手シ又ハ電氣工作物ノ使用ヲ爲スコトヲ得ス
政府ニ對スル債務ハ今ノ樣ナ狀態デアリマスルノデ、之ヲ此度法律ヲ設ケマ第五條電氣事業者ハ主務大臣ノ指定スル期間內ニ其ノ事業ヲ開始スヘシ
シテ、定期貸ナリ、据置貸ナリ、各〓基ク所ノ法律ノ根據ヲ與ヘテ之ト同時主務大臣ハ正當ノ事由アリト認ムル場合ニ限リ前項期間ノ伸長ヲ許可ス
ニ一定ノ年限ヲ經過シテ、尙ホ資力ガ無クシテ到底辨濟ノ出來マセヌモノハルコトヲ得
其債務ヲ免除シテ財產關係ヲ確定シタイト云フノガ此法律ノ趣意デアリマ電氣事業者指定ノ期間內ニ事業ヲ開始セサルトキハ電氣事業ノ許可ハ其
ス、ドウゾ御審議ノ上、御協賛アラムコトヲ希望イタシマスノ效力ヲ失フ
主務大臣ハ公益上必要ナリト認メタルトキハ電氣事業者ニ對シ料金ノ制限其ノ他電氣
第六條第一條第一號ノ電氣事業者ハ料金其ノ他電氣供給ノ條件ヲ定メ主
供給ノ條件ニ關シ必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
務大臣ノ認可ヲ受クヘシ之ヲ變更セムトスルトキ亦同シ
第七條電氣事業者ハ電氣工作物ノ施設ニ關スル測量又ハ工事ノ爲必要ア
ルトキハ他人ノ土地ニ立入ルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ豫メ行政官廳ノ
許可ヲ受ケ且少クトモ五日前ニ市町村長ニ通知シ市町村長ハ之ヲ告示シ
又ハ其ノ旨土地ノ占有者ニ通知スヘシ
電氣事業者ハ電氣工作物ノ修理又ハ巡視ノ爲必要アルトキハ命令ノ定ム
ル所ニ依リ其ノ工作物ヲ施設セル他人ノ土地又ハ建造物ニ立入ルコトヲ
得但シ日沒ヨリ日出迄ノ間ニ於テハ危險急迫ノ場合ニ非サレハ占有者ノ
意ニ反シテ邸宅其ノ他建造物ニ立入ルコトヲ得ス
第八條電氣事業者ハ電線路ノ施設及保守ニ障害ヲ及スヘキ竹木其ノ他ノ
植物ヲ伐除又ハ移植スルノ必要アル場合ニ於テ其ノ所有者ト協議調ハス
又ハ協議ヲ爲スコト能ハサルトキハ行政官廳ノ許可ヲ受ケ之ヲ伐除シ又
ハ移植スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ電氣事業者ハ豫メ其ノ旨所有者ニ
通知スヘシ
危險急迫ノ場合ニ於テハ電氣事業者ハ前項ノ規定ニ拘ラス直ニ竹木其ノ
他ノ植物ヲ伐除又ハ移植スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ遲滯ナク其ノ旨
行政官廳ニ屆出テ且其ノ所有者ニ之ヲ通知スヘシ
第九條電氣事業者ハ河川、橋梁、溝渠、道路、堤防其ノ他公共ノ用ニ供セ
ラレタル土地ノ地上又ハ地中ニ電線路ヲ施設スル必要アルトキハ其ノ效
用ヲ妨ケサル限度ニ於テ管理者ノ許可ヲ受ケテ之ヲ使用スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ電氣事業者ハ管理者ノ定ムル所ニ依リ使用料ヲ納ム
ヘシ
管理者タル地方行政廳ニ於テ正當ノ事由ナクシテ第一項ノ許可ヲ拒ミタ
ルトキ又ハ管理者ノ定メタル使用料ノ額ヲ不相當ナリトスルトキハ主務
大臣ハ電氣事業者ノ申請ニ依リ使用ヲ許可シ又ハ使用料ノ額ヲ定ムルコ
トヲ得
第十條電氣事業者ハ必要アルトキハ現在ノ使用方法ヲ妨ケサル限度ニ於
テ他人ノ地上ノ空間若ハ地中ニ電線路ヲ施設シ又ハ建造物ノ存在セサル
他人ノ土地ニ電線ノ支持物ヲ建設スルコトヲ得
電氣事業者前項ノ規定ニ依リ他人ノ土地ヲ使用セムトスル場合ニ於テ其
ノ所有者及古有者ト協議調ハス又ハ協議ヲ爲スコト能ハサルトキハ其ノ
使用ノ範圍ヲ定メ豫メ地方長官ノ許可ヲ受ケテ其ノ工事ニ著手スルコト
ヲ得此場合ニ於テハ少クトモ五日前ニ其ノ旨土地ノ所有者及占有者ニ通
知スヘシ
第十一條電線路ヲ施設シタル土地ノ近接地又ハ前條ニ依リ電線路ヲ施設
シタル土地ノ所有者又ハ占有者ハ土地ノ使用方法ヲ變更スル爲必要アル
トキハ命令ノ定ムル所ニ依リ電氣事業者ニ對シ障害ノ豫防又ハ除却ニ必
要ナル方法ヲ施スコトヲ請求スルコトヲ得
前項ノ工事ニ要スル費用ハ電氣事業者ノ負擔トス但シ其ノ工事ヲ爲シタ
ル後正當ノ事由ナクシテ豫定ノ變更ヲ爲ササルトキハ請求者ノ負擔トス
第十二條第七條、第八條及第十條ノ場合ニ於テ現ニ生シタル損失ハ電氣
事業者之ヲ補償スヘシ
前項ノ補償金額ハ許可ヲ爲シタル行政官廳ニ於テ之ヲ裁定ス裁定ニ不服
アル者ハ其ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ三月內ニ通常裁判所ニ出訴スルコト
ヲ得
行政官廳ハ必要ト認ムルトキハ電氣事業者ヲシテ損失ノ補償ニ充ツヘキ
金額ヲ供託セシムルコトヲ得
第十三條電氣事業者ハ地中電氣工作物ヲ施設スル場合ニ於テ他人ニ屬ス
ル地中電氣工作物ノ位置ヲ變更スル必要アルトキハ當該工作物ノ效用ヲ
妨ケサル限度ニ於テ其ノ位置ヲ變更シ又ハ其ノ工作物ノ所有者ヲシテ其
ノ變更ヲ爲サシムルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ主務大臣ノ許可ヲ受クヘシ
第十四條主務大臣ハ工事上已ムヲ得スト認メタル箇所ニ限リ電氣事業者
ニ對シ電線路ノ共用ヲ命スルコトヲ得
第十五條電氣工作物相互間及電氣工作物ト其ノ他ノ工作物トノ間ニ於ケ
ル障害ヲ妨止スル爲必要ナル施設ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十六條前三條ニ依ル工事ニ關スル費用ノ負擔其ノ他ノ條件ハ命令ヲ以
テ定ムルモノノ外當事者間ノ協議ニ依ル協議調ハサルトキハ主務大臣之
ヲ裁定ス
第十七條第一條ニ揭クルモノノ外電氣ヲ供給又ハ使用スル事業ニ關シテ
ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ本法ノ規定ヲ準用スルコトヲ得
第十八條電氣工作物ヲ損壞シ之ニ物品ヲ接觸シ又ハ其ノ他ノ方法ヲ以テ
電氣ノ供給又ハ使用ヲ妨害シタル者ハ五年以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰
金ニ處ス
前項ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス
第十九條電氣事業者ノ承諾ヲ得スシテ濫ニ電氣工作物ノ施設ヲ變更シタ
ル者ハ二百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
第二十條本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ依リ許可又ハ認可ヲ受ケテ
○又ハ第六條ニ依ル命令
爲スヘキ行爲ヲ許可又ハ認可ヲ受ケスシテ爲シタル者○ハ千圓以下ノ罰
ニ違反シタル者
金ニ處ス
第二十一條電氣事業者ハ其ノ代理人、戶主、家族、雇人其ノ他ノ從業者
ニシテ其ノ業務ニ關シ本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ違反シタルト
キハ自己ノ指揮ニ出テサルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ス
第二十二條明治三十三年法律第五十二號ハ本法又ハ本法ニ基キテ發スル
命令ニ依ル犯罪ニ之ヲ準用ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際現ニ電氣事業ヲ營ム者又ハ本法施行前ニ於テ電氣事業經營ノ
許可ヲ受ケタル者ハ第三條ニ依リ許可ヲ受ケタル者ト看做ス
〔國務大臣男爵後藤新平君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=14
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015・後藤新平
○國務大臣(男爵後藤新平君) 唯今提出ニナリマシタ電氣事業法案ノ梗〓ヲ
申シテ置キマス、本法案ハ電氣事業ノ我國ニ於テ追〓發達イタシマスニ付キ
マシテ一定ノ法制ノ必要ヲ感ズルニ至リマシタ、其電氣事業ノ發達ノ程度ハ
五十九万一千餘ノ「キロワット」ニ上ボリマス勢ヒデアリマシテ、尙ホ將來
ハ益此電氣事業ノ發達ヲ見ルニ至ルベキ勢ヒデアリマス、然ルニ之ニ對ス
ル所ノ法制ノ備ハラザル爲ニ、其進步ニ伴フベキ保護監督ノ全キヲ致ス能ハ
ザルヲ遺憾トスル次第デアリマス、何レノ國ニ於キマシテモ、此近年電氣事
業ノ發達ニ對シテノ保護監督ヲ完ウスルコトヲ努メテ居ル次第デゴザイマス
ガ、其國ノ情況ニ依ッテ固ヨリ同カラヌノデアリマス、我國ニ於キマシテモ、
內外ノ事蹟ニ鑑ミマシテ此度之ヲ提出スルニ至ッタノデアリマス、勿論此問
題ハ昨年ニ於テモ、貴族院ニ於テ審議ヲ盡サレマシテ、兩院協議會ニモ相成
リマシタ次第デアリマス、遺憾ナガラ當時成立ヲ見ルニ至ラザリシ次第デア
リマスガ、爾來益〓是ノ必要ヲ見ルニ至リマシタ次第デゴザイマス、故ニ此
度更ニ之ヲ提出イタシマシテ、衆議院デ第六條ニ修正ヲ提出サレマシテ、政
府モ之ニハ此度同意イタシマシタ次第デアリマス、其結果ト致シマシテ第二
十條ニ又修正ヲシナケレバナラヌコトニナリマシタガ、此修正ニモ同意ヲ致
シマシタ次第デアリマス、御審議ノ上、協賛ヲ與ヘラレムコトヲ希望イタシマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=15
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016・大木遠吉
○伯爵大木遠吉君 私ハ此際、遞信大臣ニチヨット御尋ネシタイノデアリマ
スルガ、唯今ノ御說明ニ依リマスルト、電氣事業ニ付イテ監督其他ノコトヲ
注意ヲ要スル必要ガ有ッタニ依ッテ本案ヲ提出セラレタト云フ御說ニ承リマ
シタ、玆ニ東京電燈會社ト云フ電氣事業經營ニ關スル會社ガアリマスガ、此
會社ハ甚ダ料金ニ於テ不當ナル料金ヲ取ッテ居ルト云フヤウナ說モ本員ハ再
々耳ニ致シテ居リマス、本員ハ竊ニ考ヘル、斯ノ如キ文明ノ餘澤ハ一般何人
ト雖モ出來得ル限リハ均霑セシムルガ精神デアラウト思ヒマス、斯ウ思フニ
拘ラズ、不當ナル高値ヲ以テ供給スルガ故ニ、文明ノ餘澤ニ霑フコトガ出來ヌ
ト云フ者モ一面ニアルヤウニ思フ、斯ノ如キ情況ニ於テ之ガ監督ヲナサル遞
信大臣ハ如何樣ナ御解釋ヲ御持チニナリマスカ、本案ガ通過シタ曉ニハ之ニ
依ッテ十分ナル御監督ヲナサッテ下サルコトデアラウト思ヒマスガ、如何樣
ノ御考ヘデアリマスカ、果シテ此東京電燈會社ナルモノガ世間ノ傳フル如ク
不當ノ料金ヲ取ッテ居ルヤ否ヤ、其邊ノ御調査モ御アリニナリマスナラバ豫
メ承リタイト思ヒマス、此段チヨット御說明ヲ願ヒマス
〔國務大臣男爵後藤新平君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=16
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017・後藤新平
○國務大臣(男爵後藤新平君) 大木伯爵ノ御質問ニ御答ヘ致シマス、本邦ノ
電氣事業ハ御承知ノ通リ、其歷史ヲ同ウセズ、成立ノ上ニ付キマシテ資本關
係其他ガ種々ナル情況ニナッテ居リマス、又學術ノ進步ニ依ッテ其差ヲ免カ
レ難イ次第モゴザイマス、是等ノモノニ對シマシテ相當ノ保護監督ヲ完ウシ
テ過不及ナカラシムルヤウニ致スコトハ當局ノ最モ努メムトスル所デアリマ
ス、之ガ爲ニハ法制ノ完備ヲ主ト致シマス、ソレ故ニ本案ヲ提出イタシマシ
タ次第デアリマス、東京ニ於テ某電燈、又其他ノ地方ニ於テ某電燈ト云フコト
ヲ擧ゲテ玆ニ申述ブルノ場合デ無カラウト考ヘマスガ、斯樣ナルモノヲ總テ
適當ニ處理イタシマシテ、需要者ト供給者トノ間ニ中庸ヲ得セシムルコトヲ
努ムルニ此法案ノ必要ヲ認メテ居ル次第デアリマス、本案成立ノ上ニハ益ミ
此點ニ向ッテ努メテ遺憾ナキコトヲ期スル譯デアリマス
〔伯爵大木遠吉君「分リマシタ」ト述フ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=17
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018・柳澤保惠
○伯爵柳澤保惠君 遞信大臣ニモウ一ツ伺ヒタウゴザイマスガ、此今度ノ改
正ハ原案デ見マスト、餘程意味ガ輕イヤウニ考ヘテ居リマス、之ニ御同意ニ
ナッタノハ前ノ原案ノ規定ニ付イテ多少不十分デアルト云フコトニ付イテノ
御考ヘデ修正ニ同意サレタノデアリマスカ、元來ノ御精神ガ矢張リ此修正ノ
ヤウナ御考ヘデアッタノデアリマスカ、是ハ餘程此案ヲ決議スルニ於キマシ
テ必要ナル修正デゴザイマスニ付イテ、モウ少シ詳細ニ御說明ヲ煩ハシタイ
ト考ヘマス
〔國務大臣男爵後藤新平君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=18
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019・後藤新平
○國務大臣(男爵後藤新平君) 柳澤伯爵ノ御質問ニ御答ヘ致シマスガ、御質
問ノ要領ハ第六條ノ修正ハ原案ト趣旨ヲ異ニシテ居ルヤウデアルガ、其修正
ニ於テ政府ノ精神ハ達セラレルカト云フ御質問ノヤウニ考ヘマスガ、政府ハ
原案ノ通リガ最モ良イト考ヘテ提出イタシマシタノデアリマス、併シ此修正
ノ成文ニ依リマシテモ政府ノ精神ヲ達スルニハ差支ナイト認メマシタカラ、
同意イタシマシタ次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=19
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020・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第九、司法事務共助法案、政府提出、衆
議院送付、第一讀會
司法事務共助法案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付
候也
明治四十四年三月十四日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
司法事務共助法
第一條內地及樺太、朝鮮、臺灣、關東州又ハ帝國ノ領事裁判權ヲ行フ地
域ニ於テ司法事務ヲ取扱フ官廳間ノ司法事務ノ共助ハ本法ニ依ル
第二條司法事務ヲ取扱フ官廳ハ民事及刑事ニ關シ相互ニ左ノ事項ヲ囑託
スルコトヲ得
訴訟書類ノ送達
二證據調
三令狀ノ發付及執行
四犯罪ノ捜査
第三條民事ノ判決ハ其ノ執行力アル正本ニ基キ司法事務ヲ取扱ヲ他ノ官
廳ノ管轄區域內ニ於テ其ノ强制執行ヲ爲スコトヲ得但シ執行地ノ法令ニ
依リ許スヘカラサル請求ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
前項ノ規定ハ假差押又ハ假處分ノ命令ノ執行ニ之ヲ準用ス
第四條刑事ノ判決ハ謄本ヲ送付シテ其ノ執行ヲ囑託スルコトヲ得但シ死
刑又ハ笞刑ヲ言渡シタル判決ニ付テハ此限ニ在ラス
前項ノ囑託ニ依ル執行ニ付テハ刑名同シキモノハ之ヲ同一ノ刑ト看做シ
舊韓國法規ノ流刑又ハ禁獄ハ之ヲ禁錮ト看做ス
第五條前條ノ規定ニ依リテ囑託ヲ受ケタル官廳ハ其ノ管轄區域內ノ監獄
ニ於テ刑ノ執行ヲ繼續スルコト能ハサル事由ヲ生シタルトキハ囑託ヲ爲
シタル官廳ニ其ノ管轄區域內ノ監獄ニ於テ繼續シテ之ヲ爲スヘキコトヲ
請求スルコトヲ得
第六條司法事務ノ共助ニ關スル費用竝受刑者及刑事被告人ノ護送ニ關ス
ル規程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔國務大臣子爵岡部長職君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=20
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021・岡部長職
○國務大臣(子爵岡部長職君) 內地及樺太、朝鮮、臺灣、關東州等ニ於キマ
シテ司法事務ヲ取扱ヒマスル官廳間ノ司法事務ノ共助ニ關シマシテハ明治三
十三年法律第八十三號、明治四十年法律第五十二號及明治四十二年法律第三
十六號ニ各別ニ之ヲ規定シテアリマスル、而シテ帝國ノ領事裁判權ヲ行フ所
ノ地域ニ於キマシテハ司法事務ヲ取扱フ官廳ト、內地及樺太、朝鮮、臺灣、
關東州等ニ於テ司法事務ヲ取扱フ官廳トノ共助ニ關シマシテハ從來其規定ヲ
闕イテ居リマス、因リマシテハ司法事務運用上ニ付キマシテ不便ナル所ガ少
カラヌ次第デアリマス、又統監府裁判所ハ朝鮮總督府裁判所ト相成リマシタ
ニ依リマシテ、是等司法事務ヲ取扱ヒマスル總テノ官廳間ニ於ケル事務ノ共
助ニ關スル規定ヲ統一整理イタシマシテ、且ツ共助ヲ爲シ得ベキ事項ニ關シ
マシテモ令狀ノ發付及犯罪ノ搜査ノ事項ヲモ加ヘマシテ、從來ノ不備ヲ補足
イタシマスノ必要ヲ認メマシタ次第デアリマス、是レ本案ヲ提出イタシマシ
タル所以デアリマス、本案ニ對シマシテ衆議院ニ於キマシテハ些カ修正ヲ加
ヘマシタル所モアリマス、是ハ政府ニ於キマシテモ同意ヲ表シマシタル次第
デアリマスドウカ速ニ御協賛アラムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=21
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022・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第十、大藏省預金部ノ利益金ヲ一般會計
ニ繰入ルル件ニ關スル法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會
大藏省預金部ノ利益金ヲ一般會計ニ繰入ルル件ニ關スル法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
明治四十四年三月十四日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
大藏省預金部ノ利益金ヲ一般會計ニ繰入ルル件ニ關スル法律案
政府ハ大藏省預金部ノ利益金ヨリ每年度百萬圓ヲ限リ之ヲ一般會計ヘ繰入
ルルコトヲ得
〔政府委員若槻禮次郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=22
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023・若槻禮次郎
○政府委員(若槻禮次郞君) 此法案ハ本日ノ第一ノ日程ニ上ボッテ居リマ
ス、四十四年度第二號ノ追加豫算デアリマスル所ノ小學〓育費國庫補助ノ豫
算ニ對スル財源トシテ預金部ノ利益金ヨリ百万圓ヲ一般會計ニ繰入レヤウト
云フ案デアリマス、元來、預金部ノ今日ノ總高ハ約二億五千万ニ上ボッテ居
リマシテ、之ニ對シテハ相當ノ準備積立金ヲ持ッテ居ルノガ相當デアリマス
ノデ、利益基金ヲ積立テヽ以テ之ガ準備ニスルノガ極ク至當ナ方法デ、是マ
デ左樣ニ行ッテ居ルノデアリマス、加之、預金部ノ資金ナルモノハ其運用ニ
依リマシテ地方ノ低利資金ノ供給、鐵道或ハ治水事業ノ資金ノ融通等、國家
ガ極ク必要ト致シマス所ノ働キヲシテ居ルノデアリマスカラ、此金ハ成ルベ
ク預金部ニ於テ運用セシメテ之ヲ一般會計ニ繰入レテ政費ノ補充ニスルヤウ
ナコトハ成ルベク避ケナケレバナラヌコトヽ考ヘテ居リマス、然ルニ此度小
學〓員ニ支給ヲ厚クスル必要ヨリシテ小學〓育費ノ國庫ノ補助額ヲ增加シナ
ケレバナラヌコトニナリマシタ、此事柄ハ又一方國民〓育ノ根本タル小學〓
育ノ施設上、極ク必要ナモノデゴザイマシテ、其必要ナルコトハ先キホド申
上ゲマシタ預金部ニ在ッテ資金運用ニ依ッテ働キマスル必要ト相讓ル所ノ無
イクラヰ必要ナモノデアリマス故ニ、ソレ故ニ元來預金部ノ資金ハ成ルベク
之ヲ一般會計ニ繰入レナイ方ガ相當デアリマスケレドモ、此事ノミノ爲ニハ
其財源トシテ一般會計ニ繰入レテ差支ナカラウ、斯ウ云フ意味ヲ以テ本案ヲ
提出シタ次第デアリマス、ドウゾ御審議ノ上ニ御協贊アラムコトヨ希望イタ
シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=23
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024・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第十一、市制改正法律案、政府提出、衆
議院送付、第一讀會、第十二、町村制改正法律案、政府提出、衆議院送付、
第一讀會
市制改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付
候也
明治四十四年三月十四日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
市制改正法律案
市制
第一章總則
第一款市及其ノ區域
第二款市住民及其ノ權利義務
第三款市條例及市規則
第二章市會
第一款組織及選擧
第二款職務權限
第三章市參事會
第一款組織及選擧
第二款職務權限
第四章市吏員
第一款組織選擧及任免
第二款職務權限
第五章給料及給與
第六章市ノ財務
第一款財產營造物及市稅
第二款歲入出豫算及決算
第七章市ノ一部ノ事務
第八章市町村組合
第九章市ノ監督
第十章雜則
市制
第一章總則
第一款市及其ノ區域
第一條市ハ從來ノ區域ニ依ル
第二條市ハ法人トス官ノ監督ヲ承ケ法令ノ範圍內ニ於テ其ノ公共事務竝
從來法令又ハ慣例ニ依リ及將來法律勅令ニ依リ市ニ屬スル事務ヲ處理ス
第三條市ノ廢置分合ヲ爲サムトスルトキハ關係アル市町村會及府縣參事
會ノ意見ヲ徵シテ內務大臣之ヲ定ム
前項ノ場合ニ於テ財產アルトキハ其ノ處分ハ關係アル市町村會ノ意見ヲ
徵シ府縣參事會ノ議決ヲ經內務大臣ノ許可ヲ得テ府縣知事之ヲ定ム
第四條市ノ境界變更ヲ爲サムトスルトキハ府縣知事ハ關係アル市町村會
ノ意見ヲ徴シ府縣參事會ノ議決ヲ經內務大臣ノ許可ヲ得テ之ヲ定ム所屬
未定地ヲ市ノ區域ニ編人セムトスルトキ亦同シ
前項ノ場合ニ於テ財產アルトキ其ノ處分ニ關シテハ前項ノ例ニ依ル
第五條市ノ境界ニ關スル爭論ハ府縣參事會之ヲ裁定ス其ノ裁定ニ不服ア
ル市町村ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
市ノ境界判明ナラサル場合ニ於テ前項ノ爭論ナキトキハ府縣知事ハ府縣
參事會ノ決定ニ付スヘシ其ノ決定ニ不服アル市町村ハ行政裁判所ニ出訴
スルコトヲ得
第一項ノ裁定及前項ノ決定ハ文書ヲ以テ之ヲ爲シ其ノ理由ヲ附シ之ヲ關
係市町村ニ交付スヘシ
第一項ノ裁定及第二項ノ決定ニ付テハ府縣知事ヨリモ訴訟ヲ提起スルコ
トヲ得
第六條勅令ヲ以テ指定スル市ノ區ハ之ヲ法人トス其ノ財產及營造物ニ關
スル事務其ノ他法令ニ依リ區ニ屬スル事務ヲ處理ス
區ノ廢置分合又ハ境界變更其ノ他區ノ境界ニ關シテハ前二條ノ規定ヲ準
用ス但シ第四條ノ規定ヲ準用スル場合ニ於テハ關係アル市會ノ意見ヲモ
徵スヘシ
第七條市ハ其ノ名稱ヲ變更セムトスルトキハ內務大臣ノ許可ヲ受クヘ
シ
市役所ノ位置ヲ定メ又ハ之ヲ變更セムトスルトキハ市ハ府縣知事ノ許可
ヲ受クヘシ
前條ノ市カ其ノ區ノ名稱ヲ變更シ又ハ區役所ノ位置ヲ定メ若ハ之ヲ變更
セムトスルトキハ前項ノ例ニ依ル
第二款市住民及其ノ權利義務
第八條市內ニ住所ヲ有スル者ハ其ノ市住民トス
〇四
市住民ハ本法ニ從ヒ○財產及營造物ヲ共用スル權利ヲ有シ市ノ負擔ヲ分
任スル義務ヲ負フ
第九條帝國臣民ニシテ獨立ノ生計ヲ營ム年齡二十五年以上ノ男子二年以
○地租ヲ納メ若ハ○年
來市ノ住民ト爲リ其ノ市ノ負擔ヲ分任シ且其ノ市內ニ於テ。直接國稅○ヲ
額二圓以上
納ムルトキハ其ノ市公民トス但シ貧困ノ爲公費ノ救助ヲ受ケタル後二年
ヲ經サル者、禁治產者、準禁治產者及六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處
セラレタル者ハ此ノ限ニ在ラス
市ハ前項二年ノ制限ヲ特免スルコトヲ得
家督相續ニ依リ財產ヲ取得シタル者ニ付テハ其ノ財產ニ付被相續人ノ爲
シタル納稅ヲ以テ其ノ者ノ納稅シタルモノト看做ス
市公民ノ要件中其ノ年限ニ關スルモノハ市町村ノ廢置分合又ハ境界變更
ノ爲中斷セラルルコトナシ
市稅ヲ賦課セサル市ニ於テハ市公民ノ要件中市ノ負擔分任ニ關スル規定
ヲ適用セス
第十條市公民ハ市ノ選擧ニ參與シ市ノ名譽職ニ選擧セラルル權利ヲ有シ
市ノ名譽職ヲ擔任スル義務ヲ負フ
左ノ各號ノ一ニ該當セサル者ニシテ名譽職ノ當選ヲ辭シ又ハ其ノ職ヲ辭
シ若ハ其ノ職務ヲ實際ニ執行セサルトキハ市ハ一年以上四年以下其ノ市
公民權ヲ停止シ場合ニ依リ其ノ停止期間以内其ノ者ノ負擔スヘキ市稅ノ
十分ノ一以上四分ノ一以下ヲ增課スルコトヲ得
-疾病ニ罹リ公務ニ堪ヘサル者
二業務ノ爲常ニ市內ニ居ルコトヲ得サル者
三年齡六十年以上ノ者
四官公職ノ爲市ノ公務ヲ執ルコトヲ得サル者
五四年以上名譽職市吏員、名譽職參事會員、市會議員又ハ區會議員ノ
職ニ任シ爾後同一ノ期間ヲ經過セサル者
六其ノ他市會ノ議決ニ依リ正當ノ理由アリト認ムル者
前項ノ處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服アルトキハ府縣參事會ニ訴願シ
其ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第二項ノ處分ハ其ノ確定ニ至ル迄執行ヲ停止ス
第三項ノ裁決ニ付テハ府縣知事又ハ市長ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第十一條市公民第九條第一項ニ揭ケタル要件ノ一ヲ闕キ又ハ同項但書ニ
當ルニ至リタルトキハ其ノ公民權ヲ失フ
市公民租稅滯納處分中ハ其ノ公民權ヲ停止ス家資分散若ハ破產ノ宣告ヲ
受ケ其ノ確定シタルトキヨリ復權ノ決定確定スルニ至ル迄又ハ禁錮以上
ノ刑ノ宣告ヲ受ケタルトキヨリ其ノ執行ヲ終リ若ハ其ノ執行ヲ受クルコ
トナキニ至ル迄亦同シ
陸海軍ノ現役ニ服スル者ハ市ノ公務ニ參與スルコトヲ得ス其ノ他ノ兵役
ニ在ル者ニシテ戰時又ハ事變ニ際シ召集セラレタルトキ亦同シ
第三款市條例及市規則
第十二條市ハ市住民ノ權利義務又ハ市ノ事務ニ關シ市條例ヲ設クルコト
ヲ得
市ハ市ノ營造物ニ關シ市條例ヲ以テ規定スルモノノ外市規則ヲ設クルコ
トヲ得
市條例及市規則ハ一定ノ公〓式ニ依リ之ヲ告示スヘシ
第二章市會
第一款組織及選擧
第十三條市會議員ハ其ノ被選擧權アル者ニ就キ選擧人之ヲ選擧ス
議員ノ定數左ノ如シ
-人口五萬未滿ノ市ニ於テハ三十人
二人口五萬以上十五萬未滿ノ市ニ於テハ三十六人
三人口十五萬以上二十萬未滿ノ市ニ於テハ三十九人
四人口二十萬以上三十萬未滿ノ市ニ於テハ四十二人
五人口三十萬以上ノ市ニ於テハ四十五人
人口三十萬ヲ超ユル市ニ於テハ人口十萬、人口五十萬ヲ超ユル市ニ於テ
ハ人口二十萬ヲ加フル每ニ議員三人ヲ增加ス
議員ノ定數ハ市條例ヲ以テ特ニ之ヲ增減スルコトヲ得
議員ノ定數ハ總選擧ヲ行フ場合ニ非サレハ之ヲ增減セス但シ著シク人口
ノ增減アリタル場合ニ於テ内務大臣ノ許可ヲ得タルトキハ此ノ限ニ在ラ
ス
第十四條市公民ハ總テ選擧權ヲ有ス但シ公民權停止中ノ者又ハ第十一條
第三項ノ場合ニ當ル者ハ此ノ限ニ在ラス
帝國臣民ニシテ直接市稅ヲ納ムル者其ノ額市公民ノ最多ク納稅スル者三
人中ノ一人ヨリモ多キトキハ第九條第一項ノ要件ニ當ラスト雖選擧權ヲ
有ス但シ六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者及第十一條第二
項ノ公民權停止ノ條件又ハ同條第三項ノ場合ニ當ル者ハ此ノ限ニ在ラ
ス
法人ニ關シテモ亦前項ノ例ニ依ル
直接市稅ヲ賦課セサル市ニ於テハ其ノ市内ニ於テ納ムル直接國稅額ニ依
リ前二項ノ規定ヲ適用ス
前三項ノ直接市稅及直接國稅ノ納額ハ選舉人名簿調製期日ノ屬スル會計
年度ノ前年度ノ賦課額ニ依ルヘシ
第十五條選擧人ハ分チテ三級トス
選擧人中直接市稅ノ納額最多キ者ヲ合セテ選擧人全員ノ納ムル總額ノ三
分ノ一ニ當ルヘキ者ヲ一級トス但シ一級選擧人ノ數議員定數ノ三分ノ一
ヨリ少キトキハ納額最多キ者議員定數ノ三分ノ一ト同數ヲ以テ一級ト
ス
一級選擧人ヲ除クノ外直接市稅ノ納額最多キ者ヲ合セテ選擧人全員ノ納
ムル直接市稅ノ總額中一級選擧人ノ納ムル額ヲ除キ其ノ殘額ノ半ニ當ル
ヘキ者ヲ二級トシ其ノ他ノ選擧人ヲ三級トス但シ二級選擧人ノ場合ニハ
前項但書ノ規定ヲ準用ス
各級ノ間納稅額兩級ニ跨ル者アルトキハ上級ニ入ルヘシ兩級ノ間ニ同額
ノ納稅者二人以上アルトキハ其ノ市內ニ住所ヲ有スル年數ノ多キ者ヲ以
テ上級ニ入ル住所ヲ有スル年數同シキトキハ年長者ヲ以テシ年齡ニ依リ
難キトキハ市長抽籤シテ之ヲ定ムヘシ
選擧人ハ每級各別ニ議員定數ノ三分ノ一ヲ選擧ス但シ選擧區アル場合ニ
於テ議員ノ數三分シ難キトキハ其ノ配當方法ハ第十六條ノ市條例中ニ之
ヲ規定スヘシ
被選擧人ハ同級內ノ者ニ限ラス各級ニ通シテ選擧セラルルコトヲ得
直接市稅ヲ賦課セサル市ニ於テハ第二項乃至第四項ノ納稅額ハ選擧人ノ
市內ニ於テ納ムル直接國稅額ニ依ルヘシ
第二項乃至第四項及前項ノ直接市稅及直接國稅ノ納額ニ關シテハ前條第
五項ノ規定ヲ適用ス
第十六條市ハ市條例ヲ以テ選擧區ヲ設クルコトヲ得二級又ハ三級選擧ノ
爲ノミニ付亦同シ
選擧區ノ數及其ノ區域竝各選擧區ヨリ選出スル議員數ハ前項ノ市條例中
ニ之ヲ規定スヘシ
第六條ノ市ニ於テハ區ヲ以テ選擧區トス其ノ各選擧區ヨリ選出スル議員
數ハ市條例ヲ以テ之ヲ定ムヘシ
選擧人ハ住所ニ依リ所屬ノ選擧區ヲ定ム市內ニ住所ナキ者ハ直接市稅若
ハ直接國稅ノ賦課ヲ受ケタル物件又ハ營業所ノ所在ニ依リ物件又ハ營業
所ニシテ數選擧區ニ在ル場合ニハ之ニ對スル課稅ノ最多キ所ニ依リ其ノ
○其ノ
之ニ依リ難キ場合ニハ本人ノ申出ニ依リ其ノ申出ナキトキハ市長○ニ於
テ選擧區ヲ定ムヘシ
選擧區ニ於テハ前條ノ規定ニ準シ選擧人ノ等級ヲ分ツヘシ但シ一級選擧
人ノ數其ノ選出スヘキ議員配當數ヨリ少キトキハ納額最多キ者議員配當
數ト同數ヲ以テ一級トス二級選舉人ニ付亦同シ
被選擧人ハ同選擧區内ノ者ニ限ラス各選擧區ニ通シテ選擧セラルルコト
ヲ得
第十七條特別ノ事情アルトキハ市ハ府縣知事ノ許可ヲ得區劃ヲ定メテ選
擧分會ヲ設クルコトヲ得二級又ハ三級選擧ノ爲ノミニ付亦同シ
第十八條選擧權ヲ有スル市公民ハ被選擧權ヲ有ス
左ニ揭クル者ハ被選擧權ヲ有セス其ノ之ヲ罷メタル後一月ヲ經過セサル
者亦同シ
-所屬府縣ノ官吏及有給吏員
二其ノ市ノ有給吏員
三檢事警察官吏及收稅官吏
四神官社職僧侶其ノ他諸宗〓師
五小學校〓員
請負ヲ爲ス者及其ノ支配人又ハ主トシテ同一ノ行爲ヲ爲ス法人ノ無限責任社員、重
市ニ對シ常ニ工事ノ請負物件勞力其ノ他ノ供給契約ヲ爲シ若ハ市ノ爲
役及支配人
金錢出納ノ取扱ヲ爲ス者又ハ同一ノ行爲ヲ爲ス法人ノ役員ハ其ノ市ニ於
テ被選擧權ヲ有セス
父子兄弟タル緣故アル者ハ同時ニ市會議員ノ職ニ在ルコトヲ得ス其ノ同
時ニ選擧セラレタルトキハ同級ニ在リテハ得票ノ數ニ依リ其ノ多キ者一
人ヲ當選者トシ同數ナルトキ又ハ等級若ハ選擧區ヲ異ニシテ選擧セラレ
タルトキハ年長者ヲ當選者トス其ノ時ヲ異ニシテ選擧セラレタルトキハ
後ニ選擧セラレタル者議員タルコトヲ得ス
議員ト爲リタル後前項ノ緣故ヲ生シタル場合ニ於テハ年少者其ノ職ヲ失
フ
市長市參與又ハ助役ト父子兄弟タル緣故アル者ハ市會議員ノ職ニ在ルコ
トヲ得ス
第十九條市會議員ハ名譽職トス
議員ノ任期ハ四年トシ總選擧ノ第一日ヨリ之ヲ起算ス
議員ノ定數ニ異動ヲ生シタル爲解任ヲ要スル者アルトキハ每級各別ニ市
長抽籖シテ之ヲ定ム選擧區アル場合ニ於テハ第十六條ノ市條例中ニ其ノ
解任ヲ要スル者ノ選擧區及等級ヲ規定シ市長抽籤シテ之ヲ定ムヘシ但シ
解任ヲ要スル選擧區及等級ニ關員アルトキハ其ノ闕員ヲ以テ之ニ充ツヘ
シ
議員ノ定數ニ異動ヲ生シタル爲新ニ選擧セラレタル議員ハ總選擧ニ依リ
選擧セラレタル議員ノ任期滿了ノ日迄在任ス
選擧區又ハ其ノ配當議員數ノ變更アリタル場合ニ於テ之ニ關シ必要ナル
事項ハ第十六條ノ市條例中ニ之ヲ規定スヘシ
第二十條市會議員中闕員ヲ生シ其ノ闕員議員定數ノ三分ノ一以上ニ至リ
タルトキ又ハ府縣知事市長若ハ市會ニ於テ必要ト認ムルトキハ補闕選擧
ヲ行フヘシ
補闕議員ハ其ノ前任者ノ殘任期間在任ス
補闘議員ハ前任者ノ選擧セラレタル等級及選擧區ニ於テ之ヲ選擧スヘシ
第二十一條市長ハ選擧期日前六十日ヲ期トシ其ノ日ノ現在ニ依リ選擧人
ノ資格ヲ記載セル選擧人名簿ヲ調製スヘシ但シ選擧區アルトキハ選擧區
每ニ名簿ヲ調製スヘシ
第六條ノ市ニ於テハ市長ハ區長ヲシテ前項ノ名簿ヲ調製セシムヘシ
四
市長ハ選擧期日前五十日ヲ期トシ其ノ日ヨリ七日間每日午前八時ヨリ午
後四時迄市役所第六條ノ市ニ又ハ告示シタル場所ニ於テ選擧人名簿ヲ關
於テハ區役所
係者ノ縱覽ニ供スヘシ關係者ニ於テ異議アルトキハ縱覽期間內ニ之ヲ市
長第六條ノ市ニ於ニ申立ツルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ市長ハ縱覽期間
テハ區長ヲ經テ
滿了後三日以內ニ市會ノ決定ニ付スヘシ市會ハ其ノ送付ヲ受ケタル日ヨ
リ七日以內ニ之ヲ決定スヘシ
前項ノ決定ニ不服アル者ハ府縣參事會ニ訴願シ其ノ裁決又ハ第五項ノ裁
決ニ不服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第三項ノ決定及前項ノ裁決ニ付テハ市長ヨリモ訴願又ハ訴訟ヲ提起スル
コトヲ得
前二項ノ裁決ニ付テハ府縣知事ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
前四項ノ場合ニ於テ決定若ハ裁決確定シ又ハ判決アリタルニ依リ名簿ノ
修正ヲ要スルトキハ市長ハ其ノ確定期日前ニ修正ヲ加ヘ第六條ノ市ニ於
テハ區長ヲシテ修正セシムヘシ
選擧人名簿ハ選擧期日前三日ヲ以テ確定ス
確定名簿ハ第三條又ハ第四條ノ處分アリタル場合ニ於テ府縣知事ノ指定
スルモノヲ除クノ外其ノ確定シタル日ヨリ一年以內ニ於テ行フ選擧ニ之
ヲ用ウ選擧區アル場合ニ於テハ各選擧區ニ涉リ同時ニ調製シタルモノハ
確定シタル日ヨリ一年以內ニ於テ行フ選擧ニ之ヲ用ヰ一部ノ選擧區限リ
調製シタルモノハ確定シタル日ヨリ一年以內ニ該選擧區ニ於テノミ行フ
選擧ニ之ヲ用ウ但シ名簿確定後裁決確定シ又ハ判決アリタルニ依リ名簿
ノ修正ヲ要スルトキハ選擧ヲ終リタル後ニ於テ次ノ選擧期日前四日迄ニ
之ヲ修正スヘシ
選擧人名簿ヲ修正シタルトキハ市長ハ直ニ其ノ要領ヲ告示シ第六條ノ市
ニ於テハ區長ヲシテ之ヲ告示セシムヘシ
選擧分會ヲ設クルトキハ市長ハ確定名簿ニ依リ分會ノ區劃每ニ名簿ノ抄
本ヲ調製スヘシ第六條ノ市ニ於テハ區長ヲシテ之ヲ調製セシムヘシ
確定名簿ニ登錄セラレサル者ハ選擧ニ參與スルコトヲ得ス但シ選擧人名
簿ニ登錄セラルヘキ確定裁決書又ハ判決書ヲ所持シ選擧ノ當日選擧會場
ニ到ル者ハ此ノ限ニ在ラス
前項但書ノ選擧人ハ等級ノ標準タル直接市稅又ハ直接國稅ニ依リ其ノ者
ノ納額ニシテ名簿ニ登錄セラレタル一級選擧人中ノ最少額ヨリ多キトキ
ハ一級ニ於テ二級選擧人中ノ最少額ヨリ多キトキハ二級ニ於テ其ノ他ハ
三級ニ於テ選擧ヲ行フヘシ
確定名簿ニ登錄セラレタル者選擧權ヲ有セサルトキハ選擧ニ參與スルコ
トヲ得ス但シ名簿ハ之ヲ修正スル限ニ在ラス
第三項乃至第六項ノ場合ニ於テ決定若ハ裁決確定シ又ハ判決アリタルニ
依リ名簿無效ト爲リタルトキハ更ニ名簿ヲ調製スヘシ其ノ名簿ノ調製、
縱覽、修正、確定及異議ノ決定ニ關スル期日、期限及期間ハ府縣知事ノ
定ムル所ニ依ル名簿ノ喪失シタルトキ亦同シ
選擧人名簿調製後ニ於テ選擧期日ヲ變更スルコトアルモ其ノ名簿ヲ用ヰ
縱覽、修正、確定及異議ノ決定ニ關スル期日、期限及期間ハ前選擧期日
ニ依リ之ヲ算定ス
前間
第二十二條市長ハ選擧期日ヨリ少クトモ七日前ニ選擧會場、投票ノ日時
及各級ヨリ選擧スヘキ議員數ヲ〓示スヘシ選擧區アル場合ニ於テハ各級
ヨリ選擧スヘキ議員數ヲ選擧區每ニ分別シ選擧分會ヲ設クル場合ニ於テ
ハ併セテ其ノ等級及區劃ヲ〓示スヘシ
各選擧區ノ選擧ハ同日時ニ之ヲ行ヒ選擧分會ノ選擧ハ本會ト同日時ニ之
ヲ行フヘシ天災事變等ニ依リ同日時ニ選擧ヲ行フコト能ハサルトキハ市
長ハ其ノ選擧ヲ終ラサル選擧曾又ハ選擧分會ノミニ關シ更ニ選擧會場及
投票ノ日時ヲ告示シ選擧ヲ行フヘシ
選擧ヲ行フ順序ハ先ツ三級ノ選擧ヲ行ヒ次ニ二級ノ選擧ヲ行ヒ次ニ一級
ノ選擧ヲ行フヘシ天災事變等ニ依リ選擧ヲ行フコト能ハサルニ至リタル
トキハ市長ハ其ノ選擧ヲ終ラサル等級ノミニ關シ更ニ選擧會場及投票ノ
日時ヲ告示シ選擧ヲ行フヘシ
第二十三條市長ハ選擧長ト爲リ選擧會ヲ開閉シ其ノ取締ニ任ス
各選擧區ノ選擧會ハ市長又ハ其ノ指名シタル吏員第六條ノ市ニ選擧長ト
於テハ區長
爲リ之ヲ開閉シ其ノ取締ニ任ス
選擧分會ハ市長ノ指名シタル吏員選擧分會長ト爲リ之ヲ開閉シ其ノ取締
二世六
市長第六條ノ市ニハ選擧人中ヨリ二人乃至四人ノ選擧立會人ヲ選任スヘ
於テハ區長
シ但シ選擧區アルトキ又ハ選擧分會ヲ設ケタルトキハ各別ニ選擧立會人
ヲ設クヘシ
選擧立會人ハ名譽職トス
第二十四條選擧人ニ非サル者ハ選擧會場ニ入ルコトヲ得ス但シ選擧會場
ノ事務ニ從事スル者、選擧曾場ヲ監視スル職權ヲ有スル者又ハ警察官吏
ハ此ノ限ニ在ラス
選擧會場ニ於テ演說討論ヲ爲シ若ハ喧擾ニ涉リ又ハ投票ニ關シ協議若ハ
勸誘ヲ爲シ其ノ他選擧會場ノ秩序ヲ紊ス者アルトキハ選擧長又ハ分會長
ハ之ヲ制止シ命ニ從ハサルトキハ之ヲ選擧會場外ニ退出セシムヘシ
前項ノ規定ニ依リ退出セシメラレタル者ハ最後ニ至リ投票ヲ爲スコトヲ
得但シ選擧長又ハ分會長會場ノ秩序ヲ紊スノ虞ナシト認ムル場合ニ於テ
投票ヲ爲サシムルヲ妨ケス
第二十五條選擧ハ無記名投票ヲ以テ之ヲ行フ
投票ハ一人一票ニ限ル
選擧人ハ選擧ノ當日投票時間内ニ自ラ選擧會場ニ到リ選擧人名簿又ハ其
ノ抄本ノ對照ヲ經テ投票ヲ爲スヘシ
投票時間内ニ選擧會場ニ入リタル選擧人ハ其ノ時間ヲ過クルモ投票ヲ爲
スコトヲ得
選擧人ハ選擧會場ニ於テ投票用紙ニ自ラ被選擧人一人ノ氏名ヲ記載シテ
投函スヘシ但シ確定名簿ニ登錄セラレタル每級選擧人ノ數其ノ選擧スヘ
キ議員數ノ三倍ヨリ少キ場合ニ於テハ連名投票ノ法ヲ用ウヘシ
自ラ被選擧人ノ氏名ヲ書スルコト能ハサル者ハ投票ヲ爲スコトヲ得ス
投票用紙ハ市長ノ定ムル所ニ依リ一定ノ式ヲ用ウヘシ
選擧區アル場合ニ於テ選擧人名簿ノ調製後選擧人ノ所屬ニ異動ヲ生スル
コトアルモ其ノ選擧人ハ前所屬ノ選擧區ニ於テ投票ヲ爲スヘシ
選擧分會ニ於テ爲シタル投票ハ分會長少クトモ一人ノ選擧立會人ト共ニ
投票函ノ儘之ヲ本會ニ送致スヘシ
第二十六條增員選擧及補闕選擧ヲ同時ニ行フ場合ニ於テハ一ノ選擧ヲ以
テ合併シテ之ヲ行フ
第二十七條第十四條第二項又ハ第三項ノ規定ニ依リ選擧權ヲ有スル者ハ
代人ヲ出シテ選擧ヲ行フコトヲ得但シ年齡二十五年以上ノ男子ニ非サル
者、禁治產者及準禁治產者ハ必ス代人ヲ以テスヘシ
代人ハ帝國臣民ニシテ年齡二十五年以上ノ男子ニ限ル
第九條第一項但書ニ當ル者、第十條第二項ノ規定ニ依ル公民權停止中ノ
者及第十一條第二項ノ公民權停止ノ條件又ハ同條第三項ノ場合ニ當ル者
ハ代人タルコトヲ得ス又一人ニシテ數人ノ代理ヲ爲スコトヲ得ス
代人ハ委任狀其ノ他代理ヲ證スル書面ヲ選擧長又ハ分會長ニ示スヘシ
第二十八條左ノ投票ハ之ヲ無效トス
一成規ノ用紙ヲ用ヰサルモノ
二現ニ市會議員ノ職ニ在ル者ノ氏名ヲ記載シタルモノ
三一投票中二人以上ノ被選擧人ノ氏名ヲ記載シタルモノ
四被選擧人ノ何人タルカヲ確認シ難キモノ
五被選擧權ナキ者ノ氏名ヲ記載シタルモノ
六被選擧人ノ氏名ノ外他事ヲ記入シタルモノ但シ爵位職業身分住所又
ハ敬稱ノ類ヲ記入シタルモノハ此ノ限ニ在ラス
連名投票ノ法ヲ用ヰタル場合ニ於テハ前項第一號及第六號ニ該當スルモ
ノ竝其ノ記載ノ人員選擧スヘキ定數ニ過キタルモノハ之ヲ無效トシ前項
第二號第四號及第五號ニ該當スルモノハ其ノ部分ノミヲ無效トス
第二十九條投票ノ拒否及效力ハ選擧立會人之ヲ決定ス可否同數ナルトキ
ハ選擧長之ヲ決スヘシ
選擧分會ニ於ケル投票ノ拒否ハ其ノ選擧立會人之ヲ決定ス可否同數ナル
トキハ分會長之ヲ決スヘシ
第三十條市會議員ノ選擧ハ有效投票ノ最多數ヲ得タル者ヲ以テ當選者ト
ス但シ各級ニ於テ選擧スヘキ議員數ヲ以テ選擧人名簿ニ登錄セラレタル
七
各級ノ人員數ヲ除シテ得タル數ノ五分ノ一以上ノ得票アルコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ當選者ヲ定ムルニ當リ得票ノ數同シキトキハ年長者ヲ
取リ年齡同シトキハ選擧長抽籤シテ之ヲ定ムヘシ
第三十一條選擧長又ハ分會長ハ選擧錄ヲ調製シテ選擧又ハ投票ノ〓末ヲ
記載シ選擧又ハ投票ヲ終リタル後之ヲ朗讀シ選擧立會人二人以上ト共ニ
之ニ署名スヘシ
各選擧區ノ選擧長ハ選擧錄第六明條ノ點ニ於ヲ添へ當選者ノ住所氏名ヲ市
テハ其ノ謄本
長ニ報告スヘシ
選擧分會長ハ投票函ト同時ニ選擧錄ヲ本會ニ送致スヘシ
選擧錄ハ投票、選擧人名簿其ノ他ノ關係書類ト共ニ選擧及當選ノ效力確
定スルニ至ル迄之ヲ保存スヘシ
第三十二條當選者定マリタルトキハ市長ハ直ニ當選者ニ當選ノ旨ヲ〓知
シ第六條ノ市ニ於テハ區長ヲシテ之ヲ告知セシムヘシ
當選者當選ヲ辭セムトスルトキハ當選ノ告知ヲ受ケタル日ヨリ五日以內
ニ之ヲ市長ニ申立ツヘシ
一人ニシテ數級又ハ數選擧區ニ於テ當選シタルトキハ最終ニ當選ノ告知
ヲ受ケタル日ヨリ五日以內ニ何レノ當選ニ應スヘキカヲ市長ニ申立ツヘ
シ其ノ期間內ニ之ヲ申立テサルトキハ市長抽籤シテ之ヲ定ム
第十八條第二項ニ揭ケサル官吏ニシテ當選シタル者ハ所屬長官ノ許可ヲ
受クルニ非サレハ之ニ應スルコトヲ得ス
前項ノ官吏ハ當選ノ告知ヲ受ケタル日ヨリ二十日以內ニ之ニ應スヘキ旨
ヲ市長ニ申立テサルトキハ其ノ當選ヲ辭シタルモノト看做ス第三項ノ場
合ニ於テ何レノ當選ニ應スヘキカヲ申立テサルトキハ總テ之ヲ辭シタル
モノト看做ス
第三十三條市會議員ノ當選ヲ辭シタル者アルトキハ市長ハ直ニ之ヲ補フ
ヘキ當選者ヲ定ムヘシ此ノ場合ニ於テハ第三十條ノ規定ヲ準用ス
第三十四條選擧ヲ終リタルトキハ市長ハ直ニ選擧錄ノ謄本ヲ添へ之ヲ府
縣知事ニ報告スヘシ
第三十二條第二項ノ期間ヲ經過シタルトキ、同條第三項若ハ第五項ノ申
立アリタルトキ又ハ同條第三項ノ規定ニ依リ抽籤ヲ爲シタルトキハ市長
ハ直ニ當選者ノ住所氏名ヲ告示シ併セテ之ヲ府縣知事ニ報告スヘシ
第三十五條選擧ノ規定ニ違反スルコトアルトキハ選擧ノ結果ニ異動ヲ生
スルノ虞アル場合ニ限リ其ノ選擧ノ全部又ハ一部ヲ無效トス
第三十六條選擧人選擧又ハ當選ノ效力ニ關シ異議アルトキハ選擧ニ關シ
テハ選擧ノ日ヨリ當選ニ關シテハ第三十四條第二項ノ告示ノ日ヨリ七日
以內ニ之ヲ市長ニ申立ツルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ市長ハ七日以內ニ
市會ノ決定ニ付スヘシ市會ハ其ノ送付ヲ受ケタル日ヨリ十四日以內ニ之
ヲ決定スヘシ
前項ノ決定ニ不服アル者ハ府縣參事會ニ訴願スルコトヲ得
府縣知事ハ選擧又ハ當選ノ效力ニ關シ異議アルトキハ選擧ニ關シテハ第
三十四條第一項ノ報告ヲ受ケタル日ヨリ當選ニ關シテハ同條第二項ノ報
告ヲ受ケタル日ヨリ二十日以內ニ之ヲ府縣參事會ノ決定ニ付スルコトヲ
得
前項ノ決定アリタルトキハ同一事件ニ付爲シタル異議ノ申立及市會ノ決
定ハ無效トス
第二項若ハ第六項ノ裁決又ハ第三項ノ決定ニ不服アル者ハ行政裁判所ニ
出訴スルコトヲ得
第一項ノ決定ニ付テハ市長ヨリモ訴願ヲ提起スルコトヲ得
第二項若ハ前項ノ裁決又ハ第三項ノ決定ニ付テハ府縣知事又ハ市長ヨリ
モ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
市會議員ハ選擧又ハ當選ニ關スル決定若ハ裁決確定シ又ハ判決アル迄ハ
會議ニ列席シ議事ニ參與スルノ權ヲ失ハス
第三十七條當選無效ト確定シタルトキハ市長ハ直ニ第三十條ノ例ニ依リ
更ニ當選者ヲ定ムヘシ
選擧無效ト確定シタルトキハ更ニ選擧ヲ行フヘシ議員ノ定數ニ足ル當選
者ヲ得ルコト能ハサルトキハ其ノ不足ノ員數ニ付亦同シ
議員ノ定數ニ足ル當選者ヲ得ルコト能ハサルトキハ其ノ不足ノ員數ニ付更ニ選擧ヲ行フヘシ此
ノ場合ニ於テハ第三十條第一項但書ノ規定ヲ適用セス
○禁錮以
第三十八條市會議員ニシテ被選擧權ヲ有セサル者ハ其ノ職ヲ失フ○其ノ
上ノ刑ニ處セラレタル者ヲ除クノ外
被選擧權ノ有無ハ市會之ヲ決定ス但シ禁治產者、準禁治產者、六年ノ懲
役若ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者、市公民權ヲ停止セラレタル者又
ハ第十一條第三項ノ場合ニ當ル者ニ付テハ市長之ヲ決定スヘシ
市長ハ市會議員中被選擧權ヲ有セサル者アリト認ムルトキハ之ヲ市會ノ
決定ニ付スヘシ
第一項ノ決定ヲ受ケタル者其ノ決定ニ不服アルトキハ府縣參事會ニ訴願
シ其ノ裁決又ハ第四項ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコ
トヲ得
第一項ノ決定及前項ノ裁決ニ付テハ市長ヨリモ訴願又ハ訴訟ヲ提起スル
コトヲ得
前二項ノ裁決ニ付テハ府縣知事ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第三十六條第八項ノ規定ハ第一項及前三項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第一項ノ決定ハ文書ヲ以テ之ヲ爲シ其ノ理由ヲ附シ之ヲ本人ニ交付スヘ
シ
第三十九條第二十一條及第三十六條ノ場合ニ於テ府縣參事會ノ決定及裁
決ハ府縣知事、市會ノ決定ハ市長直ニ之ヲ〓示スヘシ
第四十條本法又ハ本法ニ基キテ發スル勅令ニ依リ設置スル議會ノ議員
ノ選擧ニ付テハ衆議院議員選擧ニ關スル罰則ヲ準用ス
前項ノ罰則中選擧人ニ關スル規定ハ第二十七條ノ代人ニ之ヲ準用ス
第二款職務權限
第四十一條市會ハ市ニ關スル事件及法律勅令ニ依リ其ノ權限ニ屬スル事
件ヲ議決ス
第四十二條市會ノ議決スヘキ事件ノ〓目左ノ如シ
-市條例及市規則ヲ設ケ又ハ改廢スル事
二市費ヲ以テ支辨スヘキ事業ニ關スル事但シ第九十三條ノ事務及法律
勅令ニ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラス
三歲入出豫算ヲ定ムル事
四決算報告ヲ認定スル事
五法令ニ定ムルモノヲ除クノ外使用料、手數料、加入金、市稅又ハ夫
役現品ノ賦課徵收ニ關スル事
六不動產ノ管理處分及取得ニ關スル事
七基本財產及積立金穀等ノ設置管理及處分ニ關スル事
八歲入出豫算ヲ以テ定ムルモノヲ除クノ外新ニ義務ノ負擔ヲ爲シ及權
利ノ抛棄ヲ爲ス事
九財產及營造物ノ管理方法ヲ定ムル事但シ法律勅令ニ規定アルモノハ
此ノ限ニ在ラス
十市吏員ノ身元保證ニ關スル事
十一市ニ係ル訴願訴訟及和解ニ關スル事
第四十三條市會ハ其ノ權限ニ屬スル事項ノ一部ヲ市參事會ニ委任スルコ
トヲ得
第四十四條市曾ハ法律勅令ニ依リ其ノ權限ニ屬スル選擧ヲ行フヘシ
第四十五條市曾ハ市ノ事務ニ關スル書類及計算書ヲ檢閱シ市長ノ報〓ヲ
請求シテ事務ノ管理、議決ノ執行及出納ヲ檢査スルコトヲ得
市會ハ議員中ヨリ委員ヲ選擧シ市長又ハ其ノ指名シタル吏員立會ノ上實
地ニ就キ前項市會ノ權限ニ屬スル事件ヲ行ハシムルコトヲ得
第四十六條市會ハ市ノ公益ニ關スル事件ニ付意見書ヲ市長又ハ監督官廳
ニ提出スルコトヲ得
第四十七條市會ハ行政廳ノ諮問アルトキハ意見ヲ答申スヘシ
市會ノ意見ヲ徵シテ處分ヲ爲スヘキ場合ニ於テ市會成立セス、招集ニ應
セス若ハ意見ヲ提出セス又ハ市會ヲ招集スルコト能ハサルトキハ當該行
政廳ハ其ノ意見ヲ俟タスシテ直ニ處分ヲ爲スコトヲ得
第四十八條市會ハ議員中ヨリ議長及副議長一人ヲ選擧スヘシ
議長及副議長ノ任期ハ議員ノ任期ニ依ル
第四十九條議長故障アルトキハ副議長之ニ代ハリ議長及副議長共ニ故障
アルトキハ年長ノ議員議長ノ職務ヲ代理ス年齡同シキトキハ抽籤ヲ以テ
之ヲ定ム
第五十條市長及其ノ委任又ハ囑託ヲ受ケタル者ハ會議ニ列席シテ議事
ニ參與スルコトヲ得但シ議決ニ加ハルコトヲ得ス
前項ノ列席者發言ヲ求ムルトキハ議長ハ直ニ之ヲ許スヘシ但シ之カ爲議
員ノ演說ヲ中止セシムルコトヲ得ス
第五十一條市會ハ市長之ヲ招集ス議員定數三分ノ一以上ノ請求アルトキ
ハ市長ハ之ヲ招集スヘシ
市長ハ必要アル場合ニ於テハ會期ヲ定メテ市會ヲ招集スルコトヲ得
招集及會議ノ事件ハ開會ノ日ヨリ少クトモ三日前ニ之ヲ告知スヘシ但シ
急施ヲ要スル場合ハ此ノ限ニ在ラス
市會開會中急施ヲ要スル事件アルトキハ市長ハ直ニ之ヲ其ノ會議ニ付ス
ルコトヲ得三日前迄ニ〓知ヲ爲シタル事件ニ付亦同シ
市會ハ市長之ヲ開閉ス
第五十二條市會ハ議員定數ノ半數以上出席スルニ非サレハ會議ヲ開クコ
トヲ得ス但シ第五十四條ノ除斥ノ爲半數ニ滿タサルトキ、同一ノ事件ニ
付招集再囘ニ至ルモ仍半數ニ滿タサルトキ又ハ招集ニ應スルモ出席議員
定數ヲ闕キ議長ニ於テ出席ヲ催告シ仍半數ニ滿タサルトキハ此ノ限ニ在
ラス
第五十三條市會ノ議事ハ過半數ヲ以テ決ス可否同數ナルトキハ議長ノ決
スル所ニ依ル
第五十四條議長及議員ハ自己又ハ父母、祖父母、妻、子孫、兄弟姊妹ノ
一身上ニ關スル事件ニ付テハ其ノ議事ニ參與スルコトヲ得ス但シ市會ノ
同意ヲ得タルトキハ會議ニ出席シ發言スルコトヲ得
第五十五條法律勅令ニ依リ市會ニ於テ選擧ヲ行フトキハ本法中別段ノ規
定アル場合ヲ除クノ外一人每ニ無記名投票ヲ爲シ有效投票ノ過半數ヲ得
タル者ヲ以テ當選者トス過半數ヲ得タル者ナキトキハ最多數ヲ得タル者
二人ヲ取リ之ニ就キ決選投票ヲ爲サシム其ノ二人ヲ取ルニ當リ同數者ア
ルトキハ年長者ヲ取リ年齡同シキトキハ議長抽籤シテ之ヲ定ム此ノ決選
投票ニ於テハ多數ヲ得タル者ヲ以テ當選者トス同數ナルトキハ年長者ヲ
取リ年齡同シキトキハ議長抽籤シテ之ヲ定ム
前項ノ場合ニ於テハ第二十五條及第二十八條ノ規定ヲ準用シ投票ノ效力
ニ關シ異議アルトキハ市會之ヲ決定ス
第一項ノ選擧ニ付テハ市會ハ其ノ議決ヲ以テ指名推選又ハ連名投票ノ法
ヲ用ウルコトヲ得其ノ連名投票ノ法ヲ用ウル場合ニ於テハ前二項ノ例ニ
依ル
第五十六條市會ノ會議ハ公開ス但シ左ノ場合ハ此ノ限ニ在ラス
一市長ヨリ傍聽禁止ノ要求ヲ受ケタルトキ
二議長又ハ議員三人以上ノ發議ニ依リ傍聽禁止ヲ可決シタルトキ
前項議長又ハ議員ノ發議ハ討論ヲ須キス其ノ可否ヲ決スヘシ
第五十七條議長ハ會議ヲ總理シ會議ノ順序ヲ定メ其ノ日ノ會議ヲ開閉シ
議場ノ秩序ヲ保持ス
第五十八條議員ハ選擧人ノ指示又ハ委囑ヲ受クヘカラス
議員ハ會議中無禮ノ語ヲ用ヰ又ハ他人ノ身上ニ涉リ言論スルコトヲ得ス
第五十九條會議中本法又ハ會議規則ニ違ヒ其ノ他議場ノ秩序ヲ紊ス議員
アルトキハ議長ハ之ヲ制止シ又ハ發言ヲ取消サシメ命ニ從ハサルトキハ
當日ノ會議ヲ終ル迄發言ヲ禁止シ又ハ議場外ニ退去セシメ必要アル場合
ニ於テハ警察官吏ノ處分ヲ求ムルコトヲ得
議場騷擾ニシテ整理シ難キトキハ議長ハ當日ノ會議ヲ中止シ又ハ之ヲ閉
ツルコトヲ得
第六十條傍聽人公然可否ヲ表シ又ハ喧騷ニ涉リ其ノ他會議ノ妨害ヲ爲
ストキハ議長ハ之ヲ制止シ命ニ從ハサルトキハ之ヲ退場セシメ必要アル
場合ニ於テハ警察官吏ノ處分ヲ求ムルコトヲ得
傍聽席騒擾ナルトキハ議長ハ總テノ傍聽人ヲ退場セシメ必要アル場合ニ
於テハ警察官吏ノ處分ヲ求ムルコトヲ得
第六十一條市會ニ書記ヲ置キ議長ニ隷屬シテ庶務ヲ處理セシム
書記ハ議長之ヲ任免ス
第六十二條議長ハ書記ヲシテ會議錄ヲ調製シ會議ノ〓末及出席議員ノ氏
名ヲ記載セシムヘシ
會議錄ハ議長及議員二人以上之ニ署名スルコトヲ要ス其ノ議員ハ市會ニ
於テ之ヲ定ムヘシ
議長ハ會議錄ヲ添へ會議ノ結果ヲ市長ニ報告スヘシ
第六十三條市曾ハ會議規則及傍聽人取締規則ヲ設クヘシ
會議規則ニハ本法及會議規則ニ違反シタル議員ニ對シ市會ノ議決ニ依リ
三日以内出席ヲ停止シ又ハ二圓以下ノ過怠金ヲ科スル規定ヲ設クルコト
ヲ得
第三章市參事會
第一款組織及選擧
第六十四條市ニ市參事會ヲ置キ左ノ職員ヲ以テ之ヲ組織ス
一市長
二助役
三名譽職參事會員
前項ノ外市參與ヲ置ク市ニ於テハ市參與ハ參事會員トシテ其ノ擔任事業
ニ關スル場合ニ限リ會議ニ列席シ議事ニ參與ス
○六人トス但シ市條例ヲ以テ十
第六十五條名譽職參事會員ノ定數ハ〓第六條ノ市ニ在リテハ八人其ノ他
二人迄之ヲ增加スルコトヲ得
ノ市ニ任リテハ六人トス
名譽職參事會員ハ市會ニ於テ其ノ議員中ヨリ之ヲ選擧スヘシ其ノ選擧ニ
關シテハ第二十五條第二十八條及第三十條ノ規定ヲ準用シ投票ノ效力ニ
關シ異議アルトキハ市會之ヲ決定ス
名譽職參事會員中闕員アルトキハ直ニ補闕選擧ヲ行フヘシ
名譽職參事會員ノ任期ハ市會議員ノ任期ニ依ル但シ市會議員ノ任期滿了
ノ場合ニ於テハ後任名譽職參事會員選擧ノ日迄在任ス
第六十六條市參事會ハ市長ヲ以テ議長トス市長故障アルトキハ市長代理
者之ヲ代理ス
第二款職務權限
第六十七條市參事會ノ職務權限左ノ如シ
-市會ノ權限ニ屬スル事件ニシテ其ノ委任ヲ受ケタルモノヲ議決スル
事
二市長ヨリ市會ニ提出スル議案ニ付市長ニ對シ意見ヲ述フル事
三其ノ他法令ニ依リ市參事會ノ權限ニ屬スル事件
第六十八條市參事會ハ市長之ヲ招集ス名譽職參事會員定數ノ半數以上ノ
請求アルトキハ市長ハ之ヲ招集スヘシ
第六十九條市參事會ノ會議ハ傍聽ヲ許サス
第七十條市參事會ハ議長又ハ其ノ代理者及名譽職參事會員定數ノ半數
以上出席スルニ非サレハ會議ヲ開クコトヲ得ス但シ第二項ノ除斥ノ爲名
譽職參事會員其ノ半數ニ滿タサルトキ、同一ノ事件ニ付招集再囘ニ至ル
モ仍名譽職參事會員其ノ半數ニ滿タサルトキ又ハ招集ニ應スルモ出席名
譽職參事會員定數ヲ闕キ議長ニ於テ出席ヲ催告シ仍半數ニ滿タサルトキ
ハ此ノ限ニ在ラス
議長及參事會員ハ自己又ハ父母、祖父母、妻、子孫、兄弟姊妹ノ一身上
ニ關スル事件ニ付テハ其ノ議事ニ參與スルコトヲ得ス但シ市參事會ノ同
意ヲ得タルトキハ會議ニ出席シ發言スルコトヲ得
議長及其ノ代理者共ニ前項ノ場合ニ當ルトキハ年長ノ名譽職參事會員議
長ノ職務ヲ代理ス
第七十一條第四十六條第四十七條第五十條第五十一條第二項及第五項第
五十三條第五十五條第五十七條乃至第五十九條第六十一條竝第六十二條
第一項及第二項ノ規定ハ市參事會ニ之ヲ準用ス
第四章市吏員
第一款組織選擧及任免
第七十二條市ニ市長及助役一人ヲ置ク但シ第六條ノ市ノ助役ノ定數ハ內
務大臣之ヲ定ム
助役ノ定數ハ市條例ヲ以テ之ヲ增加スルコトヲ得
特別ノ必要アル市ニ於テハ市條例ヲ以テ市參與ヲ置クコトヲ得其ノ定數
ハ其ノ市條例中ニ之ヲ規定スヘシ
第七十三條市長ハ有給吏員トシ其ノ任期ハ四年トス
內務大臣ハ市會ヲシテ市長候補者三人ヲ選擧推薦セシメ上奏裁可ヲ請フ
ヘシ
市長ハ內務大臣ノ認可ヲ受クルニ非サレハ任期中退職スルコトヲ得ス
第七十四條市參與ハ名譽職トス但シ定數ノ全部又ハ一部ヲ有給吏員ト爲
スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ第七十二條第三項ノ市條例中ニ之ヲ規定ス
ヘシ
市參與ハ市會ニ於テ之ヲ選擧シ內務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
名譽職市參與ハ市公民中選擧權ヲ有スル者ニ限ル
第七十五條助役ハ有給吏員トシ其ノ任期ハ四年トス
○市長職ニ在ラサルトキハ市會ニ於テ之ヲ選擧シ
助役ハ市長ノ推薦ニ依リ市會之ヲ定メ○府縣知事ノ認可ヲ受クヘシ
前項ノ場合ニ於テ府縣知事ノ不認可ニ對シ市長又ハ市會ニ於テ不服アル
トキハ內務大臣ニ具狀シテ認可ヲ請フコトヲ得
助役ハ府縣知事ノ認可ヲ受クルニ非サレハ任期中退職スルコトヲ得ス
第七十六條市長有給市參與及助役ハ第九條第一項ノ規定ニ拘ラス在職ノ
間其ノ市ノ公民トス
第七十七條市長市參與及助役ハ第十八條第二項ニ揭ケタル職ト兼ヌルコ
請負ヲ爲スコトヲ得ス
トヲ得ス又其ノ市ニ對シ常ニ工事ノ請負、物件勞力其ノ他ノ供給契約ヲ
爲シ又ハ其ノ市ノ爲金錢出納ノ取扱ヲ爲スコトヲ得ス
市長ト父子兄弟タル緣故アル者ハ市參與又ハ助役ノ職ニ在ルコトヲ得
ス
市參與ト父子兄弟タル緣故アル者ハ助役ノ職ニ在ルコトヲ得ス
父子兄弟タル緣故アル者ハ同時ニ市參與又ハ助役ノ職ニ在ルコトヲ得ス
第十八條第五項ノ規定ハ此ノ場合ニ之ヲ準用ス
第七十八條市長有給市參與及助役ハ府縣知事ノ許可ヲ受クルニ非サレハ
他ノ報償アル業務ニ從事スルコトヲ得ス
○重役又ハ支配人其ノ他ノ
市長有給市參與及助役ハ會社ノ。役員又ハ事務員タルコトヲ得ス
第七十九條市ニ收入役一人ヲ置ク但シ市條例ヲ以テ副收入役ヲ置クコト
ヲ得
第七十五條第一項乃至第三項第七十七條第一項及第四項竝前條ノ規定ハ
收入役及副收入役ニ第七十六條ノ規定ハ收入役ニ之ヲ準用ス
市長市參與又ハ助役ト父子兄弟タル緣故アル者ハ收入役又ハ副收入役ノ
職ニ在ルコトヲ得ス收入役ト父子兄弟タル緣故アル者ハ副收入役ノ職ニ
在ルコトヲ得ス
第八十條第六條ノ市ノ區ニ區長一人ヲ置キ市有給吏員トシ市長之ヲ任
免ス
第七十七條第一項及第七十八條ノ規定ハ區長ニ之ヲ準用ス
第八十一條第六條ノ市ノ區ニ區收入役一人又ハ區收入役及區副收入役各
一人ヲ置ク
區收入役及區副收入役ハ第八十六條第一項ノ吏員中市長、助役、市收入
役、市副收入役又ハ區長トノ間及其ノ相互ノ間ニ父子兄弟タル緣故アラ
サル者ニ就キ市長之ヲ命ス
區收入役又ハ區副收入役ト爲リタル後市長、助役、市收入役、市副收入
役又ハ區長トノ間ニ父子兄弟タル緣故生シタルトキハ區收入役又ハ區副
收入役ハ其ノ職ヲ失フ
前項ノ規定ハ區收入役及區副收入役相互ノ間ニ於テ區副收入役ニ之ヲ準
用ス
第八十二條第六條ノ市ヲ除キ其ノ他ノ市ハ處務便宜ノ爲區ヲ劃シ區長及
其ノ代理者一人ヲ置クコトヲ得
前項ノ區長及其ノ代理者ハ名譽職トス市會ニ於テ市公民中選擧權ヲ有ス
ル者ヨリ之ヲ選擧ス
內務大臣ハ前項ノ規定ニ拘ラス區長ヲ有給吏員ト爲スヘキ市ヲ指定スル
コトヲ得
前項ノ區ニ付テハ第八十條第八十一條第九十四條第二項第九十七條第四
項第九十八條及第九十九條ノ規定ヲ準用スルノ外必要ナル事項ハ勅令ヲ
以テ之ヲ定ム
第八十三條市ハ臨時又ハ常設ノ委員ヲ置クコトヲ得
委員ハ名譽職トス市會ニ於テ市會議員、名譽職市參事會員又ハ市公民中
選擧權ヲ有スル者ヨリ之ヲ選擧ス但シ委員長ハ市長又ハ其ノ委任ヲ受ケ
タル市參與若ハ助役ヲ以テ之ニ充ツ
常設委員ノ組織ニ關シテハ市條例ヲ以テ別段ノ規定ヲ設クルコトヲ得
第八十四條市公民ニ限リテ擔任スヘキ職務ニ在ル吏員ニシテ市公民權ヲ
喪失シ若ハ停止セラレタルトキ又ハ第十一條第三項ノ場合ニ當ルトキハ
其ノ職ヲ失フ職ニ就キタルカ爲市公民タル者ニシテ禁治產若ハ準禁治產
ノ宣告ヲ受ケタルトキ又ハ第十一條第二項若ハ第三項ノ場合ニ當ルトキ
亦同シ
前項ノ職務ニ在ル者ニシテ禁錮以上ノ刑ニ當ルヘキ罪ノ爲豫審又ハ公判
ニ付セラレタルトキハ監督官廳ハ其ノ職務ノ執行ヲ停止スルコトヲ得此
ノ場合ニ於テハ其ノ停止期間報酬又ハ給料ヲ支給スルコトヲ得ス
第八十五條前數條ニ定ムル者ノ外市ニ必要ノ有給吏員ヲ置キ市長之ヲ任
免ス
前項吏員ノ定數ハ市會ノ議決ヲ經テ之ヲ定ム
第八十六條前數條ニ定ムル者ノ外第六條及第八十二條第三項ノ市ノ區ニ
必要ノ市有給吏員ヲ置キ區長ノ申請ニ依リ市長之ヲ任免ス
前項吏員ノ定數ハ市會ノ議決ヲ經テ之ヲ定ム
第二款職務權限
第八十七條市長ハ市ヲ統轄シ市ヲ代表ス
市長ノ擔任スル事務ノ〓目左ノ如シ
-市會及市參事會ノ議決ヲ經ヘキ事件ニ付其ノ議案ヲ發シ及其ノ議決
ヲ執行スル事
二財產及營造物ヲ管理スル事但シ特ニ之カ管理者ヲ置キタルトキハ其
ノ事務ヲ監督スル事
三收入支出ヲ命令シ及會計ヲ監督スル事
四證書及公文書類ヲ保管スル事
五法令又ハ市會ノ議決ニ依リ使用料、手數料、加入金、市稅又ハ夫役
現品ヲ賦課徵收スル事
六其ノ他法令ニ依リ市長ノ職權ニ屬スル事項
第八十八條市長ハ議案ヲ市會ニ提出スル前之ヲ市參事會ノ審査ニ付シ其
ノ意見ヲ議案ニ添へ市會ニ提出スヘシ
第八十九條市長ハ市吏員ヲ指揮監督シ之ニ對シ懲戒ヲ行フコトヲ得其ノ
懲戒處分ハ譴責及十圓以下ノ過怠金トス
第九十條市會又ハ市參事會ノ議決又ハ選擧其ノ權限ヲ越エ又ハ法令若
ハ會議規則ニ背クト認ムルトキハ市長ハ其ノ意見ニ依リ又ハ監督官廳ノ
指揮ニ依リ理由ヲ示シテ之ヲ再議ニ付シ又ハ再選擧ヲ行ハシムヘシ其ノ
執行ヲ要スルモノニ在リテハ之ヲ停止スヘシ
前項ノ場合ニ於テ市會又ハ市參事會其ノ議決ヲ改メサルトキハ市長ハ府
縣參事會ノ裁決ヲ請フヘシ但シ特別ノ事由アルトキハ再議ニ付セスシテ
直ニ裁決ヲ請フコトヲ得
監督官廳ハ第一項ノ議決又ハ選擧ヲ取消スコトヲ得但シ裁決ノ申請アリ
タルトキハ此ノ限ニ在ラス
第二項ノ裁決又ハ前項ノ處分ニ不服アル市長市會又ハ市參事會ハ行政裁
判所ニ出訴スルコトヲ得
市會又ハ市參事會ノ議決公益ヲ害シ又ハ市ノ收支ニ關シ不適當ナリト認
ムルトキハ市長ハ其ノ意見ニ依リ又ハ監督官廳ノ指揮ニ依リ理由ヲ示シ
テ之ヲ再議ニ付スヘシ其ノ執行ヲ要スルモノニ在リテハ之ヲ停止スヘシ
前項ノ場合ニ於テ市會又ハ市參事會其ノ議決ヲ改メサルトキハ市長ハ府
縣參事會ノ裁決ヲ請フヘシ
前項ノ裁決ニ不服アル市長市會又ハ市參事會ハ內務大臣ニ訴願スルコト
ヲ得
第六項ノ裁決ニ付テハ府縣知事ヨリモ訴願ヲ提起スルコトヲ得
第二項ノ裁決ニ付テハ府縣知事ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第九十一條市會成立セサルトキ、第五十二條但書ノ場合ニ於テ仍會議ヲ
開クコト能ハサルトキ又ハ市長ニ於テ市會ヲ招集スルノ暇ナシト認ムル
トキハ市長ハ市會ノ權限ニ屬スル事件ヲ市參事會ノ議決ニ付スルコトヲ
得
前項ノ規定ニ依リ市參事會ニ於テ議決ヲ爲ストキハ市長市參與及助役ハ
其ノ議決ニ加ハルコトヲ得ス
市參事會成立セサルトキ又ハ第七十條第一項但書ノ場合ニ於テ仍會議ヲ
開クコト能ハサルトキハ市長ハ其ノ議決スヘキ事件ニ付府縣參事會ノ議
決ヲ請フコトヲ得
市會又ハ市參事會ニ於テ其ノ議決スヘキ事件ヲ議決セサルトキハ前項ノ
例ニ依ル
市會又ハ市參事會ノ決定スヘキ事件ニ關シテハ前四項ノ例ニ依ル此ノ場
合ニ於ケル市參事會又ハ府縣參事會ノ決定ニ關シテハ各本條ノ規定ニ準
シ訴願又ハ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第一項及前三項ノ規定ニ依ル處置ニ付テハ次囘ノ會議ニ於テ之ヲ市會又
ハ市參事會ニ報告スヘシ
第九十二條市參事會ニ於テ議決又ハ決定スヘキ事件ニ關シ臨時急施ヲ要
スル場合ニ於テ市參事會成立セサルトキ又ハ市長ニ於テ之ヲ招集スルノ
暇ナシト認ムルトキハ市長ハ之ヲ專決シ次囘ノ會議ニ於テ之ヲ市參事會
ニ報〓スヘシ
前項ノ規定ニ依リ市長ノ爲シタル處分ニ關シテハ各本條ノ規定ニ準シ訴
願又ハ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第九十三條市長其ノ他市吏員ハ法令ノ定ムル所ニ依リ國府縣其ノ他公共
團體ノ事務ヲ掌ル
前項ノ事務ヲ執行スル爲要スル費用ハ市ノ負擔トス但シ法令中別段ノ規
定アルモノハ此ノ限ニ在ラス
第九十四條市長ハ府縣知事ノ許可ヲ得テ其ノ事務ノ一部ヲ助役ニ分掌セ
シムルコトヲ得但シ市ノ事務ニ付テハ豫メ市會ノ同意ヲ得ルコトヲ要
ス
第六條ノ市ノ市長ハ前項ノ例ニ依リ其ノ事務ノ一部ヲ區長ニ分掌セシム
ルコトヲ得
市長ハ市吏員ヲシテ其ノ事務ノ一部ヲ臨時代理セシムルコトヲ得
第九十五條市參與ハ市長ノ指揮監督ヲ承ケ市ノ經營ニ屬スル特別ノ事業
ヲ擔任ス
第九十六條助役ハ市長ノ事務ヲ補助ス
助役ハ市長故障アルトキ之ヲ代理ス助役數人アルトキハ豫メ市長ノ定メ
タル順序ニ依リ之ヲ代理ス
第九十七條收入役ハ市ノ出納其ノ他ノ會計事務及第九十三條ノ事務ニ關
スル國府縣其ノ他公共團體ノ出納其ノ他ノ會計事務ヲ掌ル但シ法令中別
段ノ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラス
副收入役ハ收入役ノ事務ヲ補助シ收入役故障アルトキ之ヲ代理ス副收入
役數人アルトキハ豫メ市長ノ定メタル順序ニ依リ之ヲ代理ス
市長ハ府縣知事ノ許可ヲ得テ收入役ノ事務ノ一部ヲ副收入役ニ分掌セシ
ムルコトヲ得但シ市ノ出納其ノ他ノ會計事務ニ付テハ豫メ市會ノ同意ヲ
得ルコトヲ要ス
第六條ノ市ノ市長ハ前項ノ例ニ依リ收入役ノ事務ノ一部ヲ區收入役ニ分
掌セシムルコトヲ得
副收入役ヲ置カサル場合ニ於テハ市ハ收入役故障アルトキ之ヲ代理スヘ
キ吏員ヲ定メ府縣知事ノ認可ヲ受クヘシ
第九十八條第六條ノ市ノ區長ハ市長ノ命ヲ承ケ又ハ法令ノ定ムル所ニ依
リ區內ニ關スル市ノ事務及區ノ事務ヲ掌ル
區長其ノ他區所屬ノ吏員ハ市長ノ命ヲ承ケ又ハ法令ノ定ムル所ニ依リ國
府縣其ノ他公共團體ノ事務ヲ掌ル
區長故障アルトキハ區收入役及區副收入役ニ非サル區所屬ノ吏員中上席
者ヨリ順次之ヲ代理ス
第一項及第二項ノ事務ヲ執行スル爲要スル費用ハ市ノ負擔トス但シ法令
中別段ノ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラス
第九十九條第六條ノ市ノ區收入役ハ市收入役ノ命ヲ承ケ又ハ法令ノ定ム
ル所ニ依リ市及區ノ出納其ノ他ノ會計事務竝國府縣其ノ他公共〓體ノ出
納其ノ他ノ會計事務ヲ掌ル
區長ハ市長ノ許可ヲ得テ區收入役ノ事務ノ一部ヲ區副收入役ニ分掌セシ
ムルコトヲ得但シ區ノ出納其ノ他ノ會計事務ニ付テハ豫メ區會ノ同意ヲ
得ルコトヲ要ス
市長ハ市ノ出納其ノ他ノ會計事務ニ付前項ノ許可ヲ爲ス場合ニ於テハ豫
メ市會ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス
區副收入役ヲ置カサル場合ニ於テハ市長ハ區收入役故障アルトキ之ヲ代
理スヘキ吏員ヲ定ムヘシ
區收入役及區副收入役ノ職務權限ニ關シテハ前四項ニ規定スルモノノ外
市收入役及市副收入役ニ關スル規定ヲ準用ス
第百條名譽職區長ハ市長ノ命ヲ承ケ市長ノ事務ニシテ區內ニ關スルモ
ノヲ補助ス
名譽職區長代理者ハ區長ノ事務ヲ補助シ區長故障アルトキ之ヲ代理ス
第百一條委員ハ市長ノ指揮監督ヲ承ケ財產又ハ營造物ヲ管理シ其ノ他委
託ヲ受ケタル市ノ事務ヲ調査シ又ハ之ヲ處辨ス
第百二條第八十五條ノ吏員ハ市長ノ命ヲ承ケ事務ニ從事ス
第百三條第八十六條ノ吏員ハ區長ノ命ヲ承ケ事務ニ從事ス
區長ハ前項ノ吏員ヲシテ其ノ事務ノ一部ヲ臨時代理セシムルコトヲ得
第五章給料及給與
第百四條名譽職市參與、市會議員、名譽職參事會員其ノ他ノ名譽職員ハ
職務ノ爲要スル費用ノ辨償ヲ受クルコトヲ得
名譽職市參與、名譽職區長、名譽職區長代理者及委員ニハ費用辨償ノ外
勤務ニ相當スル報酬ヲ給スルコトヲ得
費用辨償額、報酬額及其ノ支給方法ハ市會ノ議決ヲ經テ之ヲ定ム
第百五條市長、有給市參與、助役其ノ他ノ有給吏員ノ給料額、旅費額及
其ノ支給方法ハ市會ノ議決ヲ經テ之ヲ定ム
第百六條有給吏員ニハ市條例ノ定ムル所ニ依リ退隱料、退職給與金、死
亡給與金又ハ遺族扶助料ヲ給スルコトヲ得
第百七條費用辨償、報酬、給料、旅費、退隱料、退職給與金、死亡給與
金又ハ遺族扶助料ノ給與ニ付關係者ニ於テ異議アルトキハ之ヲ市長ニ申
立ツルコトヲ得
前項ノ異議ハ之ヲ市參事會ノ決定ニ付スヘシ關係者其ノ決定ニ不服アル
トキハ府縣參事會ニ訴願シ其ノ裁決又ハ第三項ノ裁決ニ不服アルトキハ
行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
前項ノ決定及裁決ニ付テハ市長ヨリモ訴願又ハ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
前二項ノ裁決ニ付テハ府縣知事ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第百八條費用辨償、報酬、給料、旅費、退隱料、退職給與金、死亡給與
金、遺族扶助料其ノ他ノ給與ハ市ノ負擔トス
第六章市ノ財務
第一款財產營造物及市稅
第百九條收益ノ爲ニスル市ノ財產ハ基本財產トシ之ヲ維持スヘシ
市ハ特定ノ目的ノ爲特別ノ基本財產ヲ設ケ又ハ金穀等ヲ積立ツルコトヲ
得
第百十條舊來ノ慣行ニ依リ市住民中特ニ財產又ハ營造物ヲ使用スル權利
ヲ有スル者アルトキハ其ノ舊慣ニ依ル舊慣ヲ變更又ハ廢止セムトスルト
キハ市會ノ議決ヲ經ヘシ
前項ノ財產又ハ營造物ヲ新ニ使用セムトスル者アルトキハ市ハ之ヲ許可
スルコトヲ得
第百十一條市ハ前條ニ規定スル財產ノ使用方法ニ關シ市規則ヲ設クルコ
トヲ得
第百十二條市ハ第百十條第一項ノ使用者ヨリ使用料ヲ徵收シ同條第二項
ノ使用ニ關シテハ使用料若ハ一時ノ加入金ヲ徵收シ又ハ使用料及加入金
ヲ共ニ徵收スルコトヲ得
第百十三條市ハ營造物ノ使用ニ付使用料ヲ徵收スルコトヲ得
市ハ特ニ一個人ノ爲ニスル事務ニ付手數料ヲ徵收スルコトヲ得
第百十四條財產ノ賣却貸與、工事ノ請負及物件勞力其ノ他ノ供給ハ競爭
入札ニ付スヘシ但シ臨時急施ヲ要スルトキ、入札ノ價額其ノ費用ニ比シ
テ得失相償ハサルトキ又ハ市會ノ同意ヲ得タルトキハ此ノ限ニ在ラス
第百十五條市ハ其ノ公益上必要アル場合ニ於テハ寄附又ハ補助ヲ爲スコ
トヲ得
第百十六條市ハ其ノ必要ナル費用及從來法令ニ依リ又ハ將來法律勅令ニ
依リ市ノ負擔ニ屬スル費用ヲ支辨スル義務ヲ負フ
市ハ其ノ財產ヨリ生スル收入、使用料、手數料、過料、過怠金其ノ他法
令ニ依リ市ニ屬スル收入ヲ以テ前項ノ支出ニ充テ仍不足アルトキハ市稅
及夫役現品ヲ賦課徵收スルコトヲ得
第百十七條市稅トシテ賦課スルコトヲ得ヘキモノ左ノ如シ
一國稅府縣稅ノ附加稅
二特別稅
直接國稅又ハ直接府縣稅ノ附加稅ハ均一ノ稅率ヲ以テ之ヲ徵收スヘシ但
シ第百六十七條ノ規定ニ依リ許可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラス
國稅ノ附加稅タル府縣稅ニ對シテハ附加稅ヲ賦課スルコトヲ得ス
特別稅ハ別ニ稅目ヲ起シテ課稅スルノ必要アルトキ賦課徵收スルモノト
ス
第百十八條三月以上市內ニ滯在スル者ハ其ノ滯在ノ初ニ遡リ市稅ヲ納ム
ル義務ヲ負フ
第百十九條市內ニ住所ヲ有セス又ハ三月以上滯在スルコトナシト雖市內
ニ於テ土地家屋物件ヲ所有シ使用シ若ハ占有シ、市內ニ營業所ヲ設ケテ
營業ヲ爲シ又ハ市内ニ於テ特定ノ行爲ヲ爲ス者ハ其ノ土地家屋物件營業
若ハ其ノ收入ニ對シ又ハ其ノ行爲ニ對シテ賦課スル市稅ヲ納ムル義務ヲ
負フ
第百二十條納稅者ノ市外ニ於テ所有シ使用シ占有スル土地家屋物件若ハ
其ノ收入又ハ市外ニ於テ營業所ヲ設ケタル營業若ハ其ノ收入ニ對シテハ
市稅ヲ賦課スルコトヲ得ス
市ノ內外ニ於テ營業所ヲ設ケ營業ヲ爲ス者ニシテ其ノ營業又ハ收入ニ對
スル本稅ヲ分別シテ納メサルモノニ對シ附加稅ヲ賦課スル場合及住所滯
在市ノ內外ニ渉ル者ノ收入ニシテ土地家屋物件又ハ營業所ヲ設ケタル營
業ヨリ生スル收入ニ非サルモノニ對シ市稅ヲ賦課スル場合ニ付テハ勅令
ヲ以テ之ヲ定ム
第百二十一條所得稅法第五條ニ揭クル所得ニ對シテハ市稅ヲ賦課スルコ
トヲ得ス
神社寺院祠宇佛堂ノ用ニ供スル建物及其ノ境內地竝〓會所說〓所ノ用ニ
供スル建物及其ノ構内地ニ對シテハ市稅ヲ賦課スルコトヲ得ス但シ有料
ニテ之ヲ使用セシムル者及住宅ヲ以テ〓會所說〓所ノ用ニ充ツル者ニ對
シテハ此ノ限ニ在ラス
國府縣市町村其ノ他公共團體ニ於テ公用ニ供スル家屋物件及營造物ニ對
シテハ市稅ヲ賦課スルコトヲ得ス但シ有料ニテ之ヲ使用セシムル者及使
用收益者ニ對シテハ此ノ限ニ在ラス
國ノ事業又ハ行爲及國有ノ土地家屋物件ニ對シテハ國ニ市稅ヲ賦課スル
コトヲ得ス
前四項ノ外市稅ヲ賦課スルコトヲ得サルモノハ別ニ法律勅令ノ定ムル所
ニ依ル
第百二十二條數人ヲ利スル營造物ノ設置維持其ノ他ノ必要ナル費用ハ其
ノ關係者ニ負擔セシムルコトヲ得
市ノ一部ヲ利スル營造物ノ設置維持其ノ他ノ必要ナル費用ハ其ノ部內ニ
於テ市稅ヲ納ムル義務アル者ニ負擔セシムルコトヲ得
前二項ノ場合ニ於テ營造物ヨリ生スル收入アルトキハ先ツ其ノ收入ヲ以
テ其ノ費用ニ充ツヘシ前項ノ場合ニ於テ其ノ一部ノ收入アルトキ亦同シ
數人又ハ市ノ一部ヲ利スル財產ニ付テハ前三項ノ例ニ依ル
第百二十三條市稅及其ノ賦課徵收ニ關シテハ本法其ノ他ノ法律ニ規定ア
ルモノノ外勅令ヲ以テ之ヲ定ムルコトヲ得
第百二十四條數人又ハ市ノ一部ニ對シ特ニ利益アル事件ニ關シテハ市ハ
不均一ノ賦課ヲ爲シ又ハ數人若ハ市ノ一部ニ對シ賦課ヲ爲スコトヲ得
第百二十五條夫役又ハ現品ハ直接市稅ヲ準率ト爲シ直接市稅ヲ賦課セサ
ル市ニ於テハ直接國稅ヲ準率ト爲シ且之ヲ金額ニ算出シテ賦課スヘシ但
シ第百六十七條ノ規定ニ依リ許可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラス
學藝美術及手工ニ關スル勞務ニ付テハ夫役ヲ賦課スルコトヲ得ス
夫役ヲ賦課セラレタル者ハ其ノ便宜ニ從ヒ本人自ラ之ニ當リ又ハ適當ノ
代人ヲ出スコトヲ得
夫役又ハ現品ハ金錢ヲ以テ之ニ代フルコトヲ得
第一項及前項ノ規定ハ急迫ノ場合ニ賦課スル夫役ニ付テハ之ヲ適用セス
第百二十六條非常災害ノ爲必要アルトキハ市ハ他人ノ土地ヲ一時使用シ
又ハ其ノ土石竹木其ノ他ノ物品ヲ使用シ若ハ收用スルコトヲ得但シ其ノ
損失ヲ補償スヘシ
前項ノ場合ニ於テ危險防止ノ爲必要アルトキハ市長、警察官吏又ハ監督
官廳ハ市內ノ居住者ヲシテ防禦ニ從事セシムルコトヲ得
第一項但書ノ規定ニ依リ補償スヘキ金額ハ協議ニ依リ之ヲ定ム協議調ハ
サルトキハ鑑定人ノ意見ヲ徵シ府縣知事之ヲ決定ス決定ヲ受ケタル者其
ノ決定ニ不服アルトキハ内務大臣ニ訴願スルコトヲ得
前項ノ決定ハ文書ヲ以テ之ヲ爲シ其ノ理由ヲ附シ之ヲ本人ニ交付スヘシ
第一項ノ規定ニ依リ土地ノ一時使用ノ處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服
アルトキハ府縣知事ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ內務大臣ニ訴願
スルコトヲ得
第百二十七條市稅ノ賦課ニ關シ必要アル場合ニ於テハ當該吏員ハ日出ヨ
リ日沒迄ノ間營業者ニ關シテハ仍其ノ營業時間內家宅若ハ營業所ニ臨檢
シ又ハ帳簿物件ノ檢査ヲ爲スコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ當該吏員ハ其ノ身分ヲ證明スヘキ證票ヲ携帶スヘシ
第百二十八條市長ハ納稅者中特別ノ事情アル者ニ對シ納稅延期ヲ許スコ
トヲ得其ノ年度ヲ越ユル場合ハ市參事會ノ議決ヲ經ヘシ
市ハ特別ノ事情アル者ニ限リ市稅ヲ減免スルコトヲ得
第百二十九條使用料手數料及特別稅ニ關スル事項ニ付テハ市條例ヲ以テ
之ヲ規定スヘシ其ノ條例中ニハ五圓以下ノ過料ヲ科スル規定ヲ設クルコ
トヲ得
財產又ハ營造物ノ使用ニ關シテハ市條例ヲ以テ五圓以下ノ過料ヲ科スル
規定ヲ設クルコトヲ得
過料ノ處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服アルトキハ府縣參事會ニ訴願シ
其ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
前項ノ裁決ニ付テハ府縣知事又ハ市長ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第百三十條市稅ノ賦課ヲ受ケタル者其ノ賦課ニ付違法又ハ錯誤アリト
認ムルトキハ徵稅令書ノ交付ヲ受ケタル日ヨリ三月以內ニ市長ニ異議ノ
申立ヲ爲スコトヲ得
財產又ハ營造物ヲ使用スル權利ニ關シ異議アル者ハ之ヲ市長ニ申立ツル
コトヲ得
前二項ノ異議ハ之ヲ市參事會ノ決定ニ付スヘシ決定ヲ受ケタル者其ノ決
定ニ不服アルトキハ府縣參事會ニ訴願シ其ノ裁決又ハ第五項ノ裁決ニ不
服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
前一項及前項ノ規定ハ使用料手數料及加入金ノ徵收竝夫役現品ノ賦課ニ
關シ之ヲ準用ス
第二項ノ規定ニ依ル決定及裁決ニ付テハ市長ヨリモ訴願又ハ訴訟ヲ提起
スルコトヲ得
前三項ノ規定ニ依ル裁決ニ付テハ府縣知事ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ
得
第百三十一條市稅、使用料、手數料、加入金、過料、過怠金其ノ他ノ市
ノ收入ヲ定期內ニ納メサル者アルトキハ市長ハ期限ヲ指定シテ之ヲ督促
スヘシ
夫役現品ノ賦課ヲ受ケタル者定期內ニ其ノ履行ヲ爲サス又ハ夫役現品ニ
代フル金錢ヲ納メサルトキハ市長ハ期限ヲ指定シテ之ヲ督促スヘシ急迫
ノ場合ニ賦課シタル夫役ニ付テハ更ニ之ヲ金額ニ算出シ期限ヲ指定シテ
其ノ納付ヲ命スヘシ
前二項ノ場合ニ於テハ市條例ノ定ムル所ニ依リ手數料ヲ徵收スルコトヲ
得
滯納者第一項又ハ第二項ノ督促又ハ命令ヲ受ケ其ノ指定ノ期限內ニ之ヲ
完納セサルトキハ國稅滯納處分ノ例ニ依リ之ヲ處分スヘシ
第一項乃至第三項ノ徵收金ハ府縣ノ徵收金ニ次テ先取特權ヲ有シ其ノ追
徵還付及時效ニ付テハ國稅ノ例ニ依ル
前三項ノ處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服アルトキバ府縣參事會ニ訴願
シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
前項ノ裁決ニ付テハ府縣知事又ハ市長ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第四項ノ處分中差押物件ノ公賣ハ處分ノ確定ニ至ル迄執行ヲ停止ス
第百三十二條市ハ其ノ負債ヲ償還スル爲、市ノ永久ノ利益ト爲ルヘキ支
出ヲ爲ス爲又ハ天災事變等ノ爲必要アル場合ニ限リ市債ヲ起スコトヲ得
市債ヲ起スニ付市會ノ議決ヲ經ルトキハ併セテ起債ノ方法、利息ノ定率
及償還ノ方法ニ付議決ヲ經ヘシ
市長ハ豫算內ノ支出ヲ爲ス爲市參事會ノ議決ヲ經テ一時ノ借入金ヲ爲ス
コトヲ得
前項ノ借入金ハ其ノ會計年度內ノ收入ヲ以テ償還スヘシ
第二款歲入出豫算及決算
第百三十三條市長ハ每會計年度歲人出豫算ヲ調製シ遲クトモ年度開始ノ
一月前ニ市會ノ議決ヲ經ヘシ
市ノ會計年度ハ政府ノ會計年度ニ依ル
豫算ヲ市會ニ提出スルトキハ市長ハ併セテ事務報告書及財產表ヲ提出ス
ヘシ
第百三十四條市長ハ市會ノ議決ヲ經テ既定豫算ノ追加又ハ更正ヲ爲スコ
トヲ得
第百三十五條市費ヲ以テ支辨スル事件ニシテ數年ヲ期シテ其ノ費用ヲ支
出スヘキモノハ市會ノ議決ヲ經テ其ノ年期間各年度ノ支出額ヲ定メ繼續
費ト爲スコトヲ得
第百三十六條市ハ豫算外ノ支出又ハ豫算超過ノ支出ニ充ツル爲豫備費ヲ
設クヘシ
豫備費ハ市會ノ否決シタル費途ニ充ツルコトヲ得ス
第百三十七條豫算ハ議決ヲ經タル後直ニ之ヲ府縣知事ニ報〓シ且其ノ要
領ヲ告示スヘシ
第百三十八條市ハ特別會計ヲ設クルコトヲ得
第百三十九條市會ニ於テ豫算ヲ議決シタルトキハ市長ヨリ其ノ謄本ヲ收
入役ニ交付スヘシ
收入役ハ市長又ハ監督官廳ノ命令アルニ非サレハ支拂ヲ爲スコトヲ得ス
命令ヲ受クルモ支出ノ豫算ナク且豫備費支出、費目流用其ノ他財務ニ關
スル規定ニ依リ支出ヲ爲スコトヲ得サルトキ亦同シ
第百四十條市ノ支拂金ニ關スル時效ニ付テハ政府ノ支拂金ノ例ニ依ル
第百四十一條市ノ出納ハ每月例日ヲ定メテ之ヲ檢査シ且每會計年度少ク
トモ二囘臨時檢査ヲ爲スヘシ
檢査ハ市長之ヲ爲シ臨時檢查ニハ名譽職參事會員ニ於テ互選シタル參事
會員二人以上ノ立會ヲ要ス
第百四十二條市ノ出納ハ翌年度六月三十日ヲ以テ閉鎖ス
決算ハ出納閉鎖後一月以内ニ證書類ヲ併セテ收入役ヨリ之ヲ市長ニ提出
スヘシ市長ハ之ヲ審査シ意見ヲ付シテ次ノ通常豫算ヲ議スル會議迄ニ之
ヲ市會ノ認定ニ付スヘシ
決算ハ其ノ認定ニ關スル市會ノ議決ト共ニ之ヲ府縣知事ニ報告シ且其ノ
要領ヲ告示スヘシ
決算ヲ市參事會ノ會議ニ付スル場合ニ於テハ市長市參與及助役ハ其ノ議
決ニ加ハルコトヲ得ス
第百四十三條豫算調製ノ式、費目流用其ノ他財務ニ關シ必要ナル規定ハ
內務大臣之ヲ定ム
第七章市ノ一部ノ事務
第百四十四條市ノ一部ニシテ財產ヲ有シ又ハ營造物ヲ設ケタルモノアル
トキハ其ノ財產又ハ營造物ノ管理及處分ニ付テハ本法中市ノ財產又ハ營
造物ニ關スル規定ニ依ル但シ法律勅令中別段ノ規定アル場合ハ此ノ限ニ
在ラス
前項ノ財產又ハ營造物ニ關シ特ニ要スル費用ハ其ノ財產又ハ營造物ノ屬
スル市ノ一部ノ負擔トス
前二項ノ場合ニ於テハ市ノ一部ハ其ノ會計ヲ分別スヘシ
第百四十五條前條ノ財產又ハ營造物ニ關シ必要アリト認ムルトキハ府縣
知事ハ市會ノ意見ヲ徵シ府縣參事會ノ議決ヲ經テ市條例ヲ設定シ區會ヲ
設ケテ市會ノ議決スヘキ事項ヲ議決セシムルコトヲ得
第百四十六條區會議員ハ市ノ名譽職トス其ノ定數、任期、選擧權及被選
擧權ニ關スル事項ハ前條ノ市條例中ニ之ヲ規定スヘシ
區會議員ノ選擧ニ付テハ市會議員ニ關スル規定ヲ準用ス但シ選擧人名簿
又ハ選擧若ハ當選ノ效力ニ關スル異議ノ決定及被選擧權ノ有無ノ決定ハ
市長ノ爲スヘキ場合ヲ除クノ外市會ニ於テ之ヲ爲スヘシ
區會議員ノ選擧ニ付テハ前條ノ市條例ヲ以テ選擧人ノ等級ヲ設ケサルコ
トヲ得
區會ニ關シテハ市會ニ關スル規定ヲ準用ス
第百四十七條第百四十四條ノ場合ニ於テ市ノ一部府縣知事ノ處分ニ不服
アルトキハ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得
第百四十八條第百四十四條ノ市ノ一部ノ事務ニ關シテハ本法ニ規定スル
モノノ外勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第八章市町村組合
第百四十九條市町村ハ其ノ事務ノ一部ヲ共同處理スル爲其ノ協議ニ依リ
府縣知事ノ許可ヲ得テ市町村組合ヲ設クルコトヲ得
公益上必要アル場合ニ於テハ府縣知事ハ關係アル市町村會ノ意見ヲ徵シ
府縣參事會ノ議決ヲ經內務大臣ノ許可ヲ得テ前項ノ市町村組合ヲ設クル
コトヲ得
市町村組合ハ法人トス
第百五十條市町村組合ニシテ其ノ組合市町村ノ數ヲ增減シ又ハ共同事
務ノ變更ヲ爲サムトスルトキハ關係市町村ノ協議ニ依リ府縣知事ノ許可
ヲ受クヘシ
公益上必要アル場合ニ於テハ府縣知事ハ關係アル市町村會ノ意見ヲ徵シ
府縣參事會ノ議決ヲ經內務大臣ノ許可ヲ得テ組合市町村ノ數ヲ增減シ又
ハ共同事務ノ變更ヲ爲スコトヲ得
第百五十一條市町村組合ヲ設クルトキハ關係市町村ノ協議ニ依リ組合規
約ヲ定メ府縣知事ノ許可ヲ受クヘシ組合規約ヲ變更セムトスルトキ亦同
シ
公益上必要アル場合ニ於テハ府縣知事ハ關係アル市町村會ノ意見ヲ徵シ
府縣參事會ノ議決ヲ經內務大臣ノ許可ヲ得テ組合規約ヲ定メ又ハ變更ス
ルコトヲ得
第百五十二條組合規約ニハ組合ノ名稱、組合ヲ組織スル市町村、組合ノ
共同事務、組合役場ノ位置、組合會ノ組織及組合會議員ノ選擧、組合吏
員ノ組織及選任竝組合費用ノ支辨方法ニ付規定ヲ設クヘシ
第百五十三條市町村組合ヲ解カムトスルトキハ關係市町村ノ協議ニ依リ
府縣知事ノ許可ヲ受クヘシ
公益上必要アル場合ニ於テハ府縣知事ハ關係アル市町村會ノ意見ヲ徵シ
府縣參事會ノ議決ヲ經內務大臣ノ許可ヲ得テ市町村組合ヲ解クコトヲ得
第百五十四條第百五十條第一項及前條第一項ノ場合ニ於テ財產ノ處分ニ
關スル事項ハ關係市町村ノ協議ニ依リ府縣知事ノ許可ヲ受クヘシ
第百五十條第二項及前條第二項ノ場合ニ於テ財產ノ處分ニ關スル事項ハ
關係アル市町村會ノ意見ヲ徴シ府縣參事會ノ議決ヲ經內務大臣ノ許可ヲ
得テ府縣知事之ヲ定ム
第百五十五條第百四十九條第一項第百五十條第一項第百五十一條第一項
第百五十三條第一項及前條第一項ノ規定ニ依ル府縣知事ノ處分ニ不服ア
ル市町村又ハ市町村組合ハ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得
組合費ノ分賦ニ關シ違法又ハ錯誤アリト認ムル市町村ハ其ノ〓知アリタ
ル日ヨリ三月以內ニ組合ノ管理者ニ異議ノ申立ヲ爲スコトヲ得
前項ノ異議ハ之ヲ組合會ノ決定ニ付スヘシ其ノ決定ニ不服アル市町村ハ
府縣參事會ニ訴願シ其ノ裁決又ハ第四項ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁
判所ニ出訴スルコトヲ得
前項ノ決定及裁決ニ付テハ組合ノ管理者ヨリモ訴願又ハ訴訟ヲ提起スル
コトヲ得
前二項ノ裁決ニ付テハ府縣知事ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第百五十六條市町村組合ニ關シテハ法律勅令中別段ノ規定アル場合ヲ除
クノ外市ニ關スル規定ヲ準用ス
第九章市ノ監督
第百五十七條市ハ第一次ニ於テ府縣知事之ヲ監督シ第二次ニ於テ内務大
臣之ヲ監督ス
第百五十八條本法中別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外市ノ監督ニ關スル府
縣知事ノ處分ニ不服アル市ハ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得
第百五十九條本法中行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得ヘキ場合ニ於テハ內
務大臣ニ訴願スルコトヲ得ス
第百六十條異議ノ申立又ハ訴願ノ提起ハ處分決定又ハ裁決アリタル日
ヨリ二十一日以內ニ之ヲ爲スヘシ但シ本法中別ニ期間ヲ定メタルモノハ
此ノ限ニ在ラス
行政訴訟ノ提起ハ處分決定裁定又ハ裁決アリタル日ヨリ三十日以內ニ之
ヲ爲スヘシ
異議ノ申立ニ關スル期間ノ計算ニ付テハ訴願法ノ規定ニ依ル
異議ノ申立ハ期限經過後ニ於テモ宥恕スヘキ事由アリト認ムルトキハ仍之ヲ受理スルコトヲ得
異議ノ決定ハ文書ヲ以テ之ヲ爲シ其ノ理由ヲ附シ之ヲ申立人ニ交付スヘ
シ
異議ノ申立アルモ處分ノ執行ハ之ヲ停止セス但シ行政廳ハ其ノ職權ニ依
リ又ハ關係者ノ請求ニ依リ必要ト認ムルトキハ之ヲ停止スルコトヲ得
第百六十一條監督官廳ハ市ノ監督上必要アル場合ニ於テハ事務ノ報〓ヲ
爲サシメ、書類帳簿ヲ徵シ及實地ニ就キ事務ヲ視察シ又ハ出納ヲ檢閱ス
ルコトヲ得
監督官廳ハ市ノ監督上必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
上級監督官廳ハ下級監督官廳ノ市ノ監督ニ關シテ爲シタル命令又ハ處分
ヲ停止シ又ハ取消スコトヲ得
第百六十二條内務大臣ハ市會ノ解散ヲ命スルコトヲ得
市會解散ノ場合ニ於テハ三月以內ニ議員ヲ選擧スヘシ
第百六十三條市ニ於テ法令ニ依リ負擔シ又ハ當該官廳ノ職權ニ依リ命ス
ル費用ヲ豫算ニ載セサルトキハ府縣知事ハ理由ヲ示シテ其ノ費用ヲ豫算
ニ加フルコトヲ得
市長其ノ他ノ吏員其ノ執行スヘキ事件ヲ執行セサルトキハ府縣知事又ハ
其ノ委任ヲ受ケタル官吏吏員之ヲ執行スルコトヲ得但シ其ノ費用ハ市ノ
負擔トス
前二項ノ處分ニ不服アル市又ハ市長其ノ他ノ吏員ハ行政裁判所ニ出訴ス
ルコトヲ得
第百六十四條市長、助役、收入役又ハ副收入役ニ故障アルトキハ監督官
廳ハ臨時代理者ヲ選任シ又ハ官吏ヲ派遣シ其ノ職務ヲ管掌セシムルコト
ヲ得但シ官吏ヲ派遣シタル場合ニ於テハ其ノ旅費ハ市費ヲ以テ辨償セシ
ムヘシ
臨時代理者ハ有給ノ市吏員トシ其ノ給料額旅費額等ハ監督官廳之ヲ定ム
第百六十五條左ニ揭クル事件ハ內務大臣ノ許可ヲ受クヘシ
-市條例ヲ設ケ又ハ改廢スル事
二學藝美術又ハ歴史上貴重ナル物件ヲ處分シ又ハ之ニ大ナル變更ヲ加
フル事
第百六十六條左ニ揭クル事件ハ内務大臣及大藏大臣ノ許可ヲ受クヘシ
一市債ヲ起シ竝起債ノ方法、利息ノ定率及償還ノ方法ヲ定メ又ハ之ヲ
變更スル事但シ第百三十二條第三項ノ借入金ハ此ノ限ニ在ラス
二特別稅ヲ新設シ增額シ又ハ變更スル事
三間接國稅ノ附加稅ヲ賦課スル事
四使用料手數料及加入金ヲ新設シ增額シ又ハ變更スル事
第百六十七條左ニ揭クル事件ハ府縣知事ノ許可ヲ受クヘシ
-基本財產ノ管理及處分ニ關スル事
二特別基本財產及積立金穀等ノ管理及處分ニ關スル事
三第百十條ノ規定ニ依リ舊慣ヲ變更又ハ廢止スル事
四寄附又ハ補助ヲ爲ス事
五不動產ノ管理及處分ニ關スル事
六均一ノ稅率ニ依ラスシテ國稅又ハ府縣稅ノ附加稅ヲ賦課スル事
七第百二十二條第一項第二項及第四項ノ規定ニ依リ數人又ハ市ノ一部
ニ費用ヲ負擔セシムル事
八第百二十四條ノ規定ニ依リ不均一ノ賦課ヲ爲シ又ハ數人若ハ市ノ
部ニ對シ賦課ヲ爲ス事
九第百二十五條ノ準率ニ依ラスシテ夫役現品ヲ賦課スル事但シ急迫ノ
場合ニ賦課スル夫役ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
十繼續費ヲ定メ又ハ變更スル事
第百六十八條監督官廳ノ許可ヲ要スル事件ニ付テハ監督官廳ハ許可申請
ノ趣旨ニ反セスト認ムル範圍內ニ於テ更正シテ許可ヲ與フルコトヲ得
第百六十九條監督官廳ノ許可ヲ要スル事件ニ付テハ勅令ノ定ムル所ニ依
リ其ノ許可ノ職權ヲ下級監督官廳ニ委任シ又ハ輕易ナル事件ニ限リ許可
ヲ受ケシメサルコトヲ得
第百七十條府縣知事ハ市長、市參與、助役、收入役、副收入役、區長、
區長代理者、委員其ノ他ノ市吏員ニ對シ懲戒ヲ行フコトヲ得其ノ懲役處
分ハ譴責、二十五圓以下ノ過怠金及解職トス但シ市長、市參與、助役、收
入役、副收入役及第六條又ハ第八十二條第三項ノ市ノ區長ニ對スル解職
ハ懲戒審査會ノ議決ヲ經市長ニ付テハ勅裁ヲ經ルコトヲ要ス
懲戒審査會ハ內務大臣ノ命シタル府縣高等官三人及府縣名譽職參事會員
ニ於テ互選シタル者三人ヲ以テ其ノ會員トシ府縣知事ヲ以テ會長トス知
事故障アルトキハ其ノ代理者會長ノ職務ヲ行フ
府縣名譽職參事會員ノ互選スヘキ會員ノ選擧補闕及任期竝懲戒審査會ノ
招集及會議ニ付テハ府縣制中名譽職參事會員及府縣參事會ニ關スル規定
ヲ準用ス但シ補充員ハ之ヲ設クルノ限ニ在ラス
解職ノ處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服アルトキハ內務大臣ニ訴願スル
コトヲ得但シ市長ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
府縣知事ハ市長、市參與、助役、收入役、副收入役及第六條又ハ第八十二條
第三項ノ市ノ區長ノ解職ヲ行ハムトスル前其ノ停職ヲ命スルコトヲ得此
ノ場合ニ於テハ其ノ停職期間報酬又ハ給料ヲ支給スルコトヲ得ス
懲戒ニ依リ解職セラレタル者ハ二年間市町村ノ公職ニ選擧セラレ又ハ任
命セラルルコトヲ得ス
第百七十一條市吏員ノ服務紀律、賠償責任、身元保證及事務引繼ニ關ス
ル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
前項ノ命令ニハ事務引繼ヲ拒ミタル者ニ對シ二十五圓以下ノ過料ヲ科ス
ル規定ヲ設クルコトヲ得
第十章雜則
第百七十二條府縣知事又ハ府縣參事會ノ職權ニ屬スル事件ニシテ數府縣
ニ渉ルモノアルトキハ內務大臣ハ關係府縣知事ノ具狀ニ依リ其ノ事件ヲ
管理スヘキ府縣知事又ハ府縣參事會ヲ指定スヘシ
第百七十三條本法ニ規定スルモノノ外第六條ノ市ノ有給吏員ノ組織任用
分限及其ノ區ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第百七十四條第十三條ノ人口ハ內務大臣ノ定ムル所ニ依ル
第百七十五條本法ニ於ケル直接稅及間接稅ノ種類ハ內務大臣及大藏大臣
之ヲ定ム
第百七十六條市又ハ市町村組合ノ廢置分合又ハ境界變更アリタル場合ニ
於テ市ノ事務ニ付必要ナル事項ハ本法ニ規定スルモノノ外勅令ヲ以テ之
可愛い
第百七十七條本法ハ町村制第百五十七條ノ地域ニ之ヲ施行セス
附則
第百七十八條本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第百七十九條本法施行ノ際現ニ市會議員又ハ區會議員ノ職ニ在ル者ハ從
前ノ規定ニ依ル最近ノ定期改選期ニ於テ總テ其ノ職ヲ失フ
本法施行ノ際現ニ市長助役又ハ收入役ノ職ニ在ル者ハ從前ノ規定ニ依ル
任期滿了ノ日ニ於テ總テ其ノ職ヲ失フ
第百八十條舊刑法ノ重罪ノ刑ニ處セラレタル者ハ本法ノ適用ニ付テハ
六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者ト看做ス但シ復權ヲ得タ
ル者ハ此ノ限ニ在ラス
舊刑法ノ禁錮以上ノ刑ハ本法ノ適用ニ付テハ禁錮以上ノ刑ト看做ス
第百八十一條本法施行ノ際必要ナル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
町村制改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ修正議決セリ因テ議院法第五十四條ニ依リ及送付
候也
明治四十四年三月十四日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
町村制改正法律案
町村制
第一章總則
第一款町村及其ノ區域
第二款町村住民及其ノ權利義務
第三款町村條例及町村規則
第二章町村會
第一款組織及選擧
第二款職務權限
第三章町村吏員
第一款組織選擧及任免
第二款職務權限
第四章給料及給與
第五章町村ノ財務
第一款財產營造物及町村稅
第二款歲入出豫算及決算
第六章町村ノ一部ノ事務
第七章町村組合
第八章町村ノ監督
第九章雜則
町村制
第一章總則
第一款町村及其ノ區域
第一條町村ハ從來ノ區域ニ依ル
第二條町村ハ法人トス官ノ監督ヲ承ケ法令ノ範圍內ニ於テ其ノ公共事務
竝從來法令又ハ慣例ニ依リ及將來法律勅令ニ依リ町村ニ屬スル事務ヲ處
理ス
第三條町村ノ廢置分合又ハ境界變更ヲ爲サムトスルトキハ府縣知事ハ關
係アル市町村會ノ意見ヲ徵シ府縣參事會ノ議決ヲ經內務大臣ノ許可ヲ得
テ之ヲ定ム所屬未定地ヲ町村ノ區域ニ編入セムトスルトキ亦同シ
前項ノ場合ニ於テ財產アルトキハ其ノ處分ニ關シテハ前項ノ例ニ依ル
第一項ノ場合ニ於テ市ノ廢置分合ヲ伴フトキハ市制第三條ノ規定ニ依ル
第四條町村ノ境界ニ關スル爭論ハ府縣參事會之ヲ裁定ス其ノ裁定ニ不服
アル町村ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
町村ノ境界判明ナラサル場合ニ於テ前項ノ爭論ナキトキハ府縣知事ハ府
縣參事會ノ決定ニ付スヘシ其ノ決定ニ不服アル町村ハ行政裁判所ニ出訴
スルコトヲ得
第一項ノ裁定及前項ノ決定ハ文書ヲ以テ之ヲ爲シ其ノ理由ヲ附シ之ヲ關
係町村ニ交付スヘシ
第一項ノ裁定及第二項ノ決定ニ付テハ府縣知事ヨリモ訴訟ヲ提起スルコ
トヲ得
第五條町村ノ名稱ヲ變更シ又ハ村ヲ町ト爲シ若ハ町ヲ村ト爲サムトスル
トキハ町村ハ內務大臣ノ許可ヲ受クヘシ
町村役場ノ位置ヲ定メ又ハ之ヲ變更セムトスルトキハ町村ハ府縣知事ノ
許可ヲ受クヘシ
第二款町村住民及其ノ權利義務
第六條町村内ニ住所ヲ有スル者ハ其ノ町村住民トス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=24
-
025・町村ノ
○町村ノ 町村住民ハ本法ニ從ヒ○財產及營造物ヲ共用スル權利ヲ有シ町村ノ負擔
ヲ分任スル義務ヲ負フ
第七條帝國臣民ニシテ獨立ノ生計ヲ營ム年齡二十五年以上ノ男子二年以
○地租ヲ納メ若ハ
來町村ノ住民ト爲リ其ノ町村ノ負擔ヲ分任シ且其ノ町村內ニ於テ。直接國
○年額二圓以上
稅○ヲ納ムルトキハ其ノ町村公民トス但シ貧困ノ爲公費ノ救助ヲ受ケタ
ル後二年ヲ經サル者、禁治產者、準禁治產者及六年ノ懲役又ハ禁錮以上
ノ刑ニ處セラレタル者ハ此ノ限ニ在ラス
町村ハ前項二年ノ制限ヲ特免スルコトヲ得
家督相續ニ依リ財產ヲ取得シタル者ニ付テハ其ノ財產ニ付被相續人ノ爲
シタル納稅ヲ以テ其ノ者ノ納稅シタルモノト看做ス
町村公民ノ要件中其ノ年限ニ關スルモノハ市町村ノ廢置分合又ハ境界變
更ノ爲中斷セラルルコトナシ
町村稅ヲ賦課セサル町村ニ於テハ町村公民ノ要件中町村ノ負擔分任ニ關
スル規定ヲ適用セス
町村公民ノ數町村會議員定數ノ三倍ヨリ少キ場合ニ於テハ町村ハ町村公
民ノ要件ニ關シ町村條例ヲ以テ別段ノ規定ヲ設クルコトヲ得
第八條町村公民ハ町村ノ選舉ニ參與シ町村ノ名譽職ニ選擧セラルル權利
ヲ有シ町村ノ名譽職ヲ擔任スル義務ヲ負フ
左ノ各號ノ一ニ該當セサル者ニシテ名譽職ノ當選ヲ辭シ又ハ其ノ職ヲ辭
シ若ハ其ノ職務ヲ實際ニ執行セサルトキハ町村ハ一年以上四年以下其ノ
町村公民權ヲ停止シ場合ニ依リ其ノ停止期間以內其ノ者ノ負擔スヘキ町
村稅ノ十分ノ一以上四分ノ一以下ヲ增課スルコトヲ得
疾病ニ罹リ公務ニ堪ヘサル者
二業務ノ爲常ニ町村內ニ居ルコトヲ得サル者
三年齡六十年以上ノ者
四官公職ノ爲町村ノ公務ヲ執ルコトヲ得サル者
五四年以上名譽職町村吏員、町村會議員又ハ區會議員ノ職ニ任シ爾後
同一ノ期間ヲ經過セサル者
六其ノ他町村會ノ議決ニ依リ正當ノ理由アリト認ムル者
前項ノ處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服アルトキハ府縣參事會ニ訴願シ
其ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第二項ノ處分ハ其ノ確定ニ至ル迄執行ヲ停止ス
第三項ノ裁決ニ付テハ府縣知事又ハ町村長ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ
得
第九條町村公民第七條第一項ニ揭ケタル要件ノ一ヲ闕キ又ハ同項但書ニ
當ルニ至リタルトキハ其ノ公民權ヲ失フ
町村公民租稅滯納處分中ハ其ノ公民權ヲ停止ス家資分散若ハ破產ノ宣告
ヲ受ケ其ノ確定シタルトキヨリ復權ノ決定確定スルニ至ル迄又ハ禁錮以
上ノ刑ノ宣告ヲ受ケタルトキヨリ其ノ執行ヲ終リ若ハ其ノ執行ヲ受クル
コトナキニ至ル迄亦同シ
陸海軍ノ現役ニ服スル者ハ町村ノ公務ニ參與スルコトヲ得ス其ノ他ノ兵
役ニ在ル者ニシテ戰時又ハ事變ニ際シ召集セラレタルトキ亦同シ
第三款町村條例及町村規則
第十條町村ハ町村住民ノ權利義務又ハ町村ノ事務ニ關シ町村條例ヲ設ク
ルコトヲ得
町村ハ町村ノ營造物ニ關シ町村條例ヲ以テ規定スルモノノ外町村規則ヲ
設クルコトヲ得
町村條例及町村規則ハ一定ノ公〓式ニ依リ之ヲ告示スヘシ
第二章町村會
第一款組織及選擧
第十一條町村會議員ハ其ノ被選擧權アル者ニ就キ選擧人之ヲ選擧ス
議員ノ定數左ノ如シ
一人口千五百未滿ノ町村ニ於テハ八人
二人口千五百以上五千未滿ノ町村ニ於テハ十二人
三人口五千以上一萬未滿ノ町村ニ於テハ十八人
四人口一萬以上二萬未滿ノ町村ニ於テハ二十四人
五人口二萬以上ノ町村に於テハ三十人
議員ノ定數ハ町村條例ヲ以テ特ニ之ヲ增減スルコトヲ得
議員ノ定數ハ總選擧ヲ行フ場合ニ非サレハ之ヲ增減セス但シ著シク人口
ノ增減アリタル場合ニ於テ内務大臣ノ許可ヲ得タルトキハ此ノ限ニ在ラ
ス
第十二條町村公民ハ總テ選擧權ヲ有ス但シ公民權停止中ノ者又ハ第九條
第三項ノ場合ニ當ル者ハ此ノ限ニ在ラス
帝國臣民ニシテ直接町村稅ヲ納ムル者其ノ額町村公民ノ最多ク納稅スル
者三人中ノ一人ヨリモ多キトキハ第七條第一項ノ要件ニ當ラスト雖選擧
權ヲ有ス但シ六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者及第九條第
二項ノ公民權停止ノ條件又ハ同條第三項ノ場合ニ當ル者ハ此ノ限ニ在ラ
ス
法人ニ關シテモ亦前項ノ例ニ依ル
直接町村稅ヲ賦課セサル町村ニ於テハ其ノ町村内ニ於テ納ムル直接國稅
額ニ依リ前二項ノ規定ヲ適用ス
前三項ノ直接町村稅及直接國稅ノ納額ハ選擧人名簿調製期日ノ屬スル會
計年度ノ前年度ノ賦課額ニ依ルヘシ
第十三條選擧人ハ分チテ二級トス
選擧人中直接町村稅ノ納額最多キ者ヲ合セテ選擧人全員ノ納ムル總額ノ
半ニ當ルヘキ者ヲ一級トシ其ノ他ノ選擧人ヲ二級トス但シ一級選擧人ノ
數議員定數ノ二分ノ一ヨリ少キトキハ納額最多キ者議員定數ノ二分ノ一
ト同數ヲ以テ一級トス
一級二級ノ間納稅額兩級ニ跨ル者アルトキハ一級ニ入ルヘシ兩級ノ間ニ
同額ノ納稅者二人以上アルトキハ其ノ町村內ニ住所ヲ有スル年數ノ多キ
者ヲ以テ一級ニ入ル住所ヲ有スル年數同シキトキハ年長者ヲ以テシ年齡
ニ依リ難キトキハ町村長抽籖シテ之ヲ定ムヘシ
選擧人ハ每級各別ニ議員定數ノ半數ヲ選擧ス
被選擧人ハ同級內ノ者ニ限ラス各級ニ通シテ選擧セラルルコトヲ得
直接町村稅ヲ賦課セサル町村ニ於テハ第二項及第三項ノ納稅額ハ選擧人
ノ町村內ニ於テ納ムル直接國稅額ニ依ルヘシ
第二項第三項及前項ノ直接町村稅及直接國稅ノ納額ニ關シテハ前條第五
項ノ規定ヲ適用ス
特別ノ事情アリテ前七項ノ例ニ依リ難キ町村ニ於テハ町村條例ヲ以テ特
例ヲ設クルコトヲ得
第十四條特別ノ事情アルトキハ町村ハ郡長ノ許可ヲ得區劃ヲ定メテ選擧
分會ヲ設クルコトヲ得二級選擧ノ爲ノミニ付亦同シ
第十五條選擧權ヲ有スル町村公民ハ被選擧權ヲ有ス
左ニ掲クル者ハ被選擧權ヲ有セス其ノ之ヲ罷メタル後一月ヲ經過セサル
者亦同シ
一所屬府縣郡ノ官吏及有給吏員
二其ノ町村ノ有給吏員
三檢事警察官吏及收稅官吏
四神官神職僧侶其ノ他諸宗〓師
五小學校〓員
請負ヲ爲ス者及其ノ支配人又ハ主トシテ
町村ニ對シ常ニ工事ノ請負、物件勞力其ノ他ノ供給契約ヲ爲シ若ハ町村
○無限責任社員、重役
ノ爲金錢出納ノ取扱ヲ爲ス者又ハ同一ノ行爲ヲ爲ス法人ノ○役員ハ其ノ町
及支配人
村ニ於テ被選擧權ヲ有セス
父子兄弟タル緣故アル者ハ同時ニ町村會議員ノ職ニ在ルコトヲ得ス其ノ
同時ニ選擧セラレタルトキハ同級ニ在リテハ得票ノ數ニ依リ其ノ多キ者
一人ヲ當選者トシ同數ナルトキ又ハ等級ヲ異ニシテ選擧セラレタルトキ
ハ年長者ヲ當選者トス其ノ時ヲ異ニシテ選擧セラレタルトキハ後ニ選擧
セラレタル者議員タルコトヲ得ス
議員ト爲リタル後前項ノ緣故ヲ生シタル場合ニ於テハ年少者其ノ職ヲ失
フ
町村長又ハ助役ト父子兄弟タル緣故アル者ハ町村會議員ノ職ニ在ルコト
名店、
第十六條町村會議員ハ名譽職トス
議員ノ任期ハ四年トシ總選擧ノ第一日ヨリ之ヲ起算ス
議員ノ定數ニ異動ヲ生シタル爲解任ヲ要スル者アルトキハ每級各別ニ町
村長抽籖シテ之ヲ定ム但シ解任ヲ要スル等級ニ關員アルトキハ其ノ關員
ヲ以テ之ニ充ツヘシ
議員ノ定數ニ異動ヲ生シタル爲新ニ選擧セラレタル議員ハ總選擧ニ依リ
選擧セラレタル議員ノ任期滿了ノ日迄在任ス
第十七條町村會議員中闕員ヲ生シ其ノ闕員議員定數ノ三分ノ一以上ニ至
リタルトキ又ハ郡長町村長若ハ町村會ニ於テ必要ト認ムルトキハ補闕選
擧ヲ行フヘシ
補闘議員ハ其ノ前任者ノ殘任期間在任ス
補闘議員ハ前任者ノ選擧セラレタル等級ニ於テ之ヲ選擧スヘシ
第十八條町村長ハ選擧期日前六十日ヲ期トシ其ノ日ノ現在ニ依リ選擧人
ノ資格ヲ記載セル選擧人名簿ヲ調製スヘシ
四
町村長ハ選擧期日前五十日ヲ期トシ其ノ日ヨリ七日間每日午前八時ヨリ
午後四時迄町村役場又ハ告示シタル場所ニ於テ選擧人名簿ヲ關係者ノ縱
覽ニ供スヘシ關係者ニ於テ異議アルトキハ縱覽期間內ニ之ヲ町村長ニ申
立ツルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ町村長ハ縱覽期間滿了後三日以內ニ町
村會ノ決定ニ付スヘシ町村會ハ其ノ送付ヲ受ケタル日ヨリ七日以內ニ之
ヲ決定スヘシ
前項ノ決定ニ不服アル者ハ府縣參事會ニ訴願シ其ノ裁決又ハ第四項ノ裁
決ニ不服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第二項ノ決定及前項ノ裁決ニ付テハ町村長ヨリモ訴願又ハ訴訟ヲ提起ス
ルコトヲ得
前二項ノ裁決ニ付テハ府縣知事ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
前四項ノ場合ニ於テ決定若ハ裁決確定シ又ハ判決アリタルニ依リ名簿ノ
修正ヲ要スルトキハ町村長ハ其ノ確定期日前ニ修正ヲ加フヘシ
選擧人名簿ハ選擧期日前三日ヲ以テ確定ス
確定名簿ハ第三條ノ處分アリタル場合ニ於テ府縣知事ノ指定スルモノヲ
除クノ外其ノ確定シタル日ヨリ一年以內ニ於テ行フ選擧ニ之ヲ用ウ但シ
名簿確定後裁決確定シ又ハ判決アリタルニ依リ名簿ノ修正ヲ要スルトキ
ハ選擧ヲ終リタル後ニ於テ次ノ選擧期日前四日迄ニ之ヲ修正スヘシ
選擧人名簿ヲ修正シタルトキハ町村長ハ直ニ其ノ要領ヲ告示スヘシ
選擧分會ヲ設クルトキハ町村長ハ確定名簿ニ依リ分會ノ區劃每ニ名簿ノ
抄本ヲ調製スヘシ
確定名簿ニ登錄セラレサル者ハ選擧ニ參與スルコトヲ得ス但シ選擧人名
簿ニ登錄セラルヘキ確定裁決書又ハ判決書ヲ所持シ選擧ノ當日選擧會場
ニ到ル者ハ此ノ限ニ在ラス
前項但書ノ選擧人ハ等級ノ標準タル直接町村稅又ハ直接國稅ニ依リ其ノ
者ノ納額ニシテ名簿ニ登錄セラレタル一級選擧人中ノ最少額ヨリ多キト
キハ一級ニ於テ其ノ他ハ二級ニ於テ選擧ヲ行フヘシ但シ直接町村稅又ハ
直接國稅ヲ以テ等級ノ標準ト爲ササル町村ニ於テハ選擧長ノ定ムル所ニ
依ル
確定名簿ニ登錄セラレタル者選擧權ヲ有セサルトキハ選擧ニ參與スルコ
トヲ得ス但シ名簿ハ之ヲ修正スル限ニ在ラス
第二項乃至第五項ノ場合ニ於テ決定若ハ裁決確定シ又ハ判決アリタルニ
依リ名簿無效ト爲リタルトキハ更ニ名簿ヲ調製スヘシ其ノ名簿ノ調製、
縦覽、修正、確定及異議ノ決定ニ關スル期日、期限及期間ハ郡長ノ定ム
ル所ニ依ル名簿ノ喪失シタルトキ亦同シ
選擧人名簿調製後ニ於テ選擧期日ヲ變更スルコトアルモ其ノ名簿ヲ用ヰ
縱覽、修正、確定及異議ノ決定ニ關スル期日、期限及期間ハ前選擧期日
ニ依リ之ヲ算定ス
前間
第十九條町村長ハ選擧期日ヨリ少クトモ七日前ニ選擧會場、投票ノ日時
及各級ヨリ選擧スヘキ議員數ヲ告示スヘシ選擧分曾ヲ設クル場合ニ於テ
ハ併セテ其ノ等級及區劃ヲ告示スヘシ
選擧分會ノ選擧ハ本會ト同日時ニ之ヲ行フヘシ天災事變等ニ依リ同日時
ニ選擧ヲ行フコト能ハサルトキハ町村長ハ其ノ選擧ヲ終ラサル選擧會又
ハ選擧分會ノミニ關シ更ニ選擧會場及投票ノ日時ヲ〓示シ選舉ヲ行フヘ
選擧ヲ行フ順序ハ先ツ二級ノ選擧ヲ行ヒ次ニ一級ノ選擧ヲ行フヘシ天災
事變等ニ依リ選擧ヲ行フコト能ハサルニ至リタルトキハ町村長ハ其ノ選
擧ヲ終ラサル等級ノミニ關シ更ニ選擧會場及投票ノ日時ヲ〓示シ選擧ヲ
行フヘシ
第二十條町村長ハ選擧長ト爲リ選擧會ヲ開閉シ其取締ニ任ス
選擧分會ハ町村長ノ指名シタル吏員選擧分會長ト爲リ之ヲ開閉シ其ノ取
締ニ任ス
町村長ハ選擧人中ヨリ二人乃至四人ノ選擧立會人ヲ選任スヘシ但シ選擧
分會ヲ設ケタルトキハ各別ニ選擧立會人ヲ設クヘシ
選擧立會人ハ名譽職トス
第二十一條選擧人ニ非サル者ハ選擧會場ニ入ルコトヲ得ス但シ選擧會場
ノ事務ニ從事スル者、選擧曾場ヲ監視スル職權ヲ有スル者又ハ警察官吏
ハ此ノ限ニ在ラス
選擧會場ニ於テ演說討論ヲ爲シ若ハ喧擾ニ涉リ又ハ投票ニ關シ協議若ハ
勸誘ヲ爲シ其ノ他選擧會場ノ秩序ヲ紊ス者アルトキハ選擧長又ハ分會長
ハ之ヲ制止シ命ニ從ハサルトキハ之ヲ選擧會場外ニ退出セシムヘシ
前項ノ規定ニ依リ退出セシメラレタル者ハ最後ニ至リ投票ヲ爲スコトヲ
得但シ選擧長又ハ分會長會場ノ秩序ヲ紊スノ虞ナシト認ムル場合ニ於テ
投票ヲ爲サシムルヲ妨ケス
第二十二條選擧ハ無記名投票ヲ以テ之ヲ行フ
投票ハ一人一票ニ限ル
選擧人ハ選擧ノ當日投票時間內ニ自ラ選擧會場ニ到リ選擧人名簿又ハ其
ノ抄本ノ對照ヲ經テ投票ヲ爲スヘシ
投票時間內ニ選擧會場ニ入リタル選擧人ハ其ノ時間ヲ過クルモ投票ヲ爲
スコトヲ得
選擧人ハ選擧會場ニ於テ投票用紙ニ自ラ被選擧人一人ノ氏名ヲ記載シテ
投國スヘシ但シ確定名簿ニ登錄セラレタル每級選擧人ノ數其ノ選擧スヘ
キ議員數ノ三倍ヨリ少キ場合ニ於テハ連名投票ノ法ヲ用ウヘシ
自ラ被選擧人ノ氏名ヲ書スルコト能ハサル者ハ投票ヲ爲スコトヲ得ス
投票用紙ハ町村長ノ定ムル所ニ依リ一定ノ式ヲ用ウヘシ
選擧分會ニ於テ爲シタル投票ハ分會長少クトモ一人ノ選擧立會人ト共ニ
投票函ノ儘之ヲ本會ニ送致スヘシ
第二十三條增員選擧及補闕選擧ヲ同時ニ行フ場合ニ於テハ一ノ選擧ヲ以
テ合併シテ之ヲ行フ
第二十四條第十二條第二項又ハ第三項ノ規定ニ依リ選擧權ヲ有スル者ハ
代人ヲ出シテ選擧ヲ行フコトヲ得但シ年齡二十五年以上ノ男子ニ非サル
者、禁治產者及準禁治產者ハ必ス代人ヲ以テスヘシ
代人ハ帝國臣民ニシテ年齡二十五年以上ノ男子ニ限ル
第七條第一項但書ニ當ル者、第八條第二項ノ規定ニ依ル公民權停止中ノ
者及第九條第二項ノ公民權停止ノ條件又ハ同條第三項ノ場合ニ當ル者ハ
代人タルコトヲ得ス又一人ニシテ數人ノ代理ヲ爲スコトヲ得ス
代人ハ委任狀其ノ他代理ヲ證スル書面ヲ選擧長又ハ分會長ニ示スヘシ
第二十五條左ノ投票ハ之ヲ無效トス
-成規ノ用紙ヲ用ヰサルモノ
二現ニ町村會議員ノ職ニ在ル者ノ氏名ヲ記載シタルモノ
三一投票中二人以上ノ被選擧人ノ氏名ヲ記載シタルモノ
四被選擧人ノ何人タルカヲ確認シ難キモノ
五被選擧權ナキ者ノ氏名ヲ記載シタルモノ
六被選擧人ノ氏名ノ外他事ヲ記入シタルモノ但シ爵位職業身分住所又
ハ敬稱ノ類ヲ記入シタルモノハ此ノ限ニ在ラス
連名投票ノ法ヲ用ヰタル場合ニ於テハ前項第一號及第六號ニ該當スルモ
ノ竝其ノ記載ノ人員選擧スヘキ定數ニ過キタルモノハ之ヲ無效トシ前項
第二號第四號及第五號ニ該當スルモノハ其ノ部分ノミヲ無效トス
第二十六條投票ノ拒否及效力ハ選擧立會人之ヲ決定ス可否同數ナルトキ
ハ選擧長之ヲ決スヘシ
選擧分會ニ於ケル投票ノ拒否ハ其ノ選擧立會人之ヲ決定ス可否同數ナル
トキハ分會長之ヲ決スヘシ
第二十七條町村會議員ノ選擧ハ有效投票ノ最多數ヲ得タル者ヲ以テ當選
者トス但シ各級ニ於テ選擧スヘキ議員數ヲ以テ選擧人名簿ニ登錄セラレ
七
タル各級ノ人員數ヲ除シテ得タル數ノ五分ノ一以上ノ得票アルコトヲ要
ス
前項ノ規定ニ依リ當選者ヲ定ムルニ當リ得票ノ數同シキトキハ年長者ヲ
取リ年齡同シキトキハ選擧長抽籖シテ之ヲ定ムヘシ
第二十八條選擧長又ハ分會長ハ選擧錄ヲ調製シテ選擧又ハ投票ノ〓末ヲ
記載シ選擧又ハ投票ヲ終リタル後之ヲ朗讀シ選擧立會人二人以上ト共ニ
之ニ署名スヘシ
選擧分會長ハ投票函ト同時ニ選擧錄ヲ本會ニ送致スヘシ
選擧錄ハ投票、選擧人名簿其ノ他ノ關係書類ト共ニ選擧及當選ノ效力確
定スルニ至ル迄之ヲ保存スヘシ
第二十九條當選者定マリタルトキハ町村長ハ直ニ當選者ニ當選ノ旨ヲ〓
知スヘシ
當選者當選ヲ辭セムトスルトキハ當選ノ告知ヲ受ケタル日ヨリ五日以內
ニ之ヲ町村長ニ申立ツヘシ
一人ニシテ兩級ニ於テ當選シタルトキハ最終ニ當選ノ告知ヲ受ケタル日
ヨリ五日以內ニ何レノ當選ニ應スヘキカヲ町村長ニ申立ツヘシ其ノ期間
內ニ之ヲ申立テサルトキハ町村長抽籖シテ之ヲ定ム
第十五條第二項ニ揭ケサル官吏ニシテ當選シタル者ハ所屬長官ノ許可ヲ
受クルニ非サレハ之ニ應スルコトヲ得ス
前項ノ官吏ハ當選ノ告知ヲ受ケタル日ヨリ二十日以内ニ之ニ應スヘキ旨
ヲ町村長ニ申立テサルトキハ其ノ當選ヲ辭シタルモノト看做ス第三項ノ
場合ニ於テ何レノ當選ニ應スヘキカヲ申立テサルトキハ總テ之ヲ辭シタ
ルモノト看做ス
第三十條町村會議員ノ當選ヲ辭シタル者アルトキハ町村長ハ直ニ之ヲ
補フヘキ當選者ヲ定ムヘシ此ノ場合ニ於テハ第二十七條ノ規定ヲ準用ス
第三十一條選擧ヲ終リタルトキハ町村長ハ直ニ選擧錄ノ謄本ヲ添ヘ之ヲ
郡長ニ報〓スヘシ
第二十九條第二項ノ期間ヲ經過シタルトキ、同條第三項若ハ第五項ノ申
立アリタルトキ又ハ同條第三項ノ規定ニ依リ抽籤ヲ爲シタルトキハ町村
長ハ直ニ當選者ノ住所氏名ヲ告知シ併セテ之ヲ郡長ニ報告スヘシ
第三十二條選擧ノ規定ニ違反スルコトアルトキハ選擧ノ結果ニ異動ヲ生
スルノ虞アル場合ニ限リ其ノ選擧ノ全部又ハ一部ヲ無效トス
第三十三條選擧人選擧又ハ當選ノ效力ニ關シ異議アルトキハ選擧ニ關シ
テハ選擧ノ日ヨリ當選ニ關シテハ第三十一條第二項ノ告示ノ日ヨリ七日
以內ニ之ヲ町村長ニ申立ツルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ町村長ハ七日以
內ニ町村會ノ決定ニ付スヘシ町村會ハ其ノ送付ヲ受ケタル日ヨリ十四日
以內ニ之ヲ決定スヘシ
前項ノ決定ニ不服アル者ハ府縣參事會ニ訴願スルコトヲ得
郡長ハ選擧又ハ當選ノ效力ニ關シ異議アルトキハ府縣知事ノ指揮ヲ受ケ
選擧ニ關シテハ第三十一條第一項ノ報〓ヲ受ケタル日ヨリ當選ニ關シテ
ハ同條第二項ノ報告ヲ受ケタル日ヨリ二十日以內ニ之ヲ處分スルコトヲ
得
前項ノ處分アリタルトキハ同一事件ニ付爲シタル異議ノ申立及町村會ノ
決定ハ無效トス
第三項ノ處分ニ不服アル者ハ府縣參事會ニ訴願シ其ノ裁決又ハ第二項若
ハ第六項ノ裁決ニ不服アル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第一項ノ決定及第二項又ハ前項ノ裁決ニ付テハ町村長ヨリモ訴願又ハ訴
訟ヲ提起スルコトヲ得
第二項第五項又ハ前項ノ裁決ニ付テハ府縣知事ヨリモ訴訟ヲ提起スルコ
トヲ得
町村會議員ハ選擧又ハ當選ニ關スル處分、決定若ハ裁決確定シ又ハ判決
アル迄ハ會議ニ列席シ議事ニ參與スルノ權ヲ失ハス
第三十四條當選無效ト確定シタルトキハ町村長ハ直ニ第二十七條ノ例ニ
依リ更ニ當選者ヲ定ムヘシ
選擧無效ト確定シタルトキハ更ニ選擧ヲ行フヘシ議員ノ定數ニ足ル當選
者ヲ得ルコト能ハサルトキハ其ノ不足ノ員數ニ付亦同シ
議員ノ定數ニ足ル當選者ヲ得ルコト能ハサルトキハ其ノ不足ノ員數ニ付更ニ選擧ヲ行フヘシ此
ノ場合ニ於テハ第二十七條第一項但書ノ規定ヲ適用セス
○禁錮以上ノ刑ニ
第三十五條町村會議員ニシテ被選黑權ヲ有セサル者ハ其ノ職ヲ火フ〓其
處セラレタル者ヲ除クノ外
ノ被選擧權ノ有無ハ町村會之ヲ決定ス但シ禁治產者、準禁治產者、六年
ノ懲役若ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者、町村公民權ヲ停止セラレタ
ル者又ハ第九條第三項ノ場合ニ當ル者ニ付テハ町村長之ヲ決定スヘシ
町村長ハ町村會議員中被選擧權ヲ有セサル者アリト認ムルトキハ之ヲ町
村會ノ決定ニ付スヘシ
第一項ノ決定ヲ受ケタル者其ノ決定ニ不服アルトキハ府縣參事會ニ訴願
シ其ノ裁決又ハ第四項ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコ
トヲ得
第一項ノ決定及前項ノ裁決ニ付テハ町村長ヨリモ訴願又ハ訴訟ヲ提起ス
ルコトヲ得
前二項ノ裁決ニ付テハ府縣知事ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第三十三條第八項ノ規定ハ第一項及前三項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第一項ノ決定ハ文書ヲ以テ之ヲ爲シ其ノ理由ヲ附シ之ヲ本人ニ交付スヘ
シ
第三十六條第十八條及第三十三條ノ場合ニ於テ府縣參事會ノ決定及裁決
ハ府縣知事、郡長ノ處分ハ郡長、町村會ノ決定ハ町村長直ニ之ヲ告示ス
ヘシ
第三十七條本法又ハ本法ニ基キテ發スル勅令ニ依リ設置スル議會ノ議員
ノ選擧ニ付テハ衆議院議員選擧ニ關スル罰則ヲ準用ス
前項ノ罰則中選擧人ニ關スル規定ハ第二十四條ノ代人ニ之ヲ準用ス
第三十八條特別ノ事情アル町村ニ於テハ郡長ハ府縣知事ノ許可ヲ得テ其
ノ町村ヲシテ町村會ヲ設ケス選擧權ヲ有スル町村公民ノ總會ヲ以テ之ニ
充テシムルコトヲ得
町村總會ニ關シテハ町村會ニ關スル規定ヲ準用ス
第二款職務權限
第三十九條町村會ハ町村ニ關スル事件及法律勅令ニ依リ其ノ權限ニ屬ス
ル事件ヲ議決ス
第四十條町村會ノ議決スヘキ事件ノ〓目左ノ如シ
-町村條例及町村規則ヲ設ケ又ハ改廢スル事
二町村費ヲ以テ支辨スヘキ事業ニ關スル事但シ第七十七條ノ事務及法
律勅令ニ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラス
三歲入出豫算ヲ定ムル事
四決算報〓ヲ認定スル事
五法令ニ定ムルモノヲ除クノ外使用料、手數料、加入金、町村稅又ハ
夫役現品ノ賦課徵收ニ關スル事
不動產ノ管理處分及取得ニ關スル事
七六
基本財產及積立金穀等ノ設置管理及處分ニ關スル事
八歲入出豫算ヲ以テ定ムルモノヲ除クノ外新ニ義務ノ負擔ヲ爲シ及權
利ノ抛棄ヲ爲ス事
九財產及營造物ノ管理方法ヲ定ムル事但シ法律勅令ニ規定アルモノハ
此ノ限ニ在ラス
十町村吏員ノ身元保證ニ關スル事
十一町村ニ係ル訴願訴訟及和解ニ關スル事
第四十一條町村會ハ法律勅令ニ依リ其ノ權限ニ屬スル選擧ヲ行フヘシ
第四十二條町村會ハ町村ノ事務ニ關スル書類及計算書ヲ檢閲シ町村長ノ
報告ヲ請求シテ事務ノ管理、議決ノ執行及出納ヲ檢査スルコトヲ得
町村會ハ議員中ヨリ委員ヲ選擧シ町村長又ハ其ノ指名シタル吏員立會ノ
上實地ニ就キ前項町村會ノ權限ニ屬スル事件ヲ行ハシムルコトヲ得
第四十三條町村會ハ町村ノ公益ニ關スル事件ニ付意見書ヲ町村長又ハ監
督官廳ニ提出スルコトヲ得
第四十四條町村會ハ行政廳ノ諮問アルトキハ意見ヲ答申スヘシ
町村會ノ意見ヲ徵シテ處分ヲ爲スヘキ場合ニ於テ町村會成立セス、招集
ニ應セス若ハ意見ヲ提出セス又ハ町村曾ヲ招集スルコト能ハサルトキハ
當該行政廳ハ其ノ意見ヲ俟タスシテ直ニ處分ヲ爲スコトヲ得
第四十五條町村會ハ町村長ヲ以テ議長トス町村長故障アルトキハ其ノ代
理者議長ノ職務ヲ代理ス町村長及其ノ代理者共ニ故障アルトキハ年長ノ
議員議長ノ職務ヲ代理ス年齡同シキトキハ抽籤ヲ以テ之ヲ定ム
第四十六條町村長及其ノ委任又ハ囑託ヲ受ケタル者ハ會議ニ列席シテ議
事ニ參與スルコトヲ得但シ議決ニ加ハルコトヲ得ス
前項ノ列席者發言ヲ求ムルトキハ議長ハ直ニ之ヲ許スヘシ但シ之カ爲議
員ノ演說ヲ中止セシムルコトヲ得ス
第四十七條町村會ハ町村長之ヲ招集ス議員定數三分ノ一以上ノ請求アル
トキハ町村長ハ之ヲ招集スヘシ
町村長ハ必要アル場合ニ於テハ會期ヲ定メテ町村會ヲ招集スルコトヲ
得
招集及會議ノ事件ハ開會ノ日ヨリ少クトモ三日前ニ之ヲ告知スヘシ但シ
急施ヲ要スル場合ハ此ノ限ニ在ラス
町村會開會中急施ヲ要スル事件アルトキハ町村長ハ直ニ之ヲ其ノ會議ニ
付スルコトヲ得三日前迄ニ告知ヲ爲シタル事件ニ付亦同シ
町村會ハ町村長之ヲ開閉ス
第四十八條町村會ハ議員定數ノ半數以上出席スルニ非サレハ會議ヲ開ク
コトヲ得ス但シ第五十條ノ除斥ノ爲半數ニ滿タサルトキ、同一ノ事件ニ
付招集再囘ニ至ルモ仍半數ニ滿タサルトキ又ハ招集ニ應スルモ出席議員
定數ヲ闕キ議長ニ於テ出席ヲ催告シ仍半數ニ滿タサルトキハ此ノ限ニ在
ラス
第四十九條町村會ノ議事ハ過半數ヲ以テ決ス可否同數ナルトキハ議長ノ
決スル所ニ依ル
第五十條議長及議員ハ自己又ハ父母、祖父母、妻、子孫、兄弟姊妹ノ
一身上ニ關スル事件ニ付テハ其ノ議事ニ參與スルコトヲ得ス但シ町村會
ノ同意ヲ得タルトキハ會議ニ出席シ發言スルコトヲ得
第五十一條法律勅令ニ依リ町村會ニ於テ選擧ヲ行フトキハ一人每ニ無記
名投票ヲ爲シ有效投票ノ過半數ヲ得タル者ヲ以テ當選者トス過半數ヲ得
タル者ナキトキハ最多數ヲ得タル者二人ヲ取リ之ニ就キ決選投票ヲ爲サ
シム其ノ二人ヲ取ルニ當リ同數者アルトキハ年長者ヲ取リ年齡同シキト
キハ議長抽籖シテ之ヲ定ム此ノ決選投票ニ於テハ多數ヲ得タル者ヲ以テ
當選者トス同數ナルトキハ年長者ヲ取リ年齡同シキトキハ議長抽籤シテ
之ヲ定ム
前項ノ場合ニ於テハ第二十二條及第二十五條ノ規定ヲ準用シ投票ノ效力
ニ關シ異議アルトキハ町村會之ヲ決定ス
第一項ノ選擧ニ付テハ町村會ハ其ノ議決ヲ以テ指名推選又ハ連名投票ノ
法ヲ用ウルコトヲ得其ノ連名投票ノ法ヲ用ウル場合ニ於テハ前二項ノ例
· 氏ノ
第五十二條町村會ノ會議ハ公開ス但シ左ノ場合ハ此ノ限ニ在ラス
一議長ノ意見ヲ以テ傍聽ヲ禁止シタルトキ
二議員二人以上ノ發議ニ依リ傍聽禁止ヲ可決シタルトキ
前項議員ノ發議ハ討論ヲ須キス其ノ可否ヲ決スヘシ
第五十三條議長ハ會議ヲ總理シ會議ノ順序ヲ定メ其ノ日ノ會議ヲ開閉シ
議場ノ秩序ヲ保持ス
第五十四條議員ハ選擧人ノ指示又ハ委囑ヲ受クヘカラス
議員ハ會議中無禮ノ語ヲ用ヰ又ハ他人ノ身上ニ渉リ言論スルコトヲ得
ス
第五十五條會議中本法又ハ會議規則ニ違ヒ其ノ他議場ノ秩序ヲ紊ス議員
アルトキハ議長ハ之ヲ制止シ又ハ發言ヲ取消サシメ命ニ從ハサルトキハ
當日ノ會議ヲ終ル迄發言ヲ禁止シ又ハ議場外ニ退去セシメ必要アル場合
ニ於テハ警察官吏ノ處分ヲ求ムルコトヲ得
議場騷擾ニシテ整理シ難キトキハ議長ハ當日ノ會議ヲ中止シ又ハ之ヲ閉
ツルコトヲ得
第五十六條傍聽人公然可否ヲ表シ又ハ喧騒ニ渉リ其ノ他會議ノ妨害ヲ爲
ストキハ議長ハ之ヲ制止シ命ニ從ハサルトキハ之ヲ退場セシメ必要アル
場合ニ於テハ警察官吏ノ處分ヲ求ムルコトヲ得
傍聽席騒擾ナルトキハ議長ハ總テノ傍聽人ヲ退場セシメ必要アル場合ニ
於テハ警察官吏ノ處分ヲ求ムルコトヲ得
第五十七條町村會ニ書記ヲ置キ議長ニ隷屬シテ庶務ヲ處理セシム
書記ハ議長之ヲ任免ス
第五十八條議長ハ書記ヲシテ會議錄ヲ調製シ會議ノ〓末及出席議員ノ氏
名ヲ記載セシムヘシ
會議錄ハ議長及議員二人以上之ニ署名スルコトヲ要ス其ノ議員ハ町村曾
ニ於テ之ヲ定ムヘシ
第五十九條町村會ハ會議規則及傍聽人取締規則ヲ設クヘシ
會議規則ニハ本法及會議規則ニ違反シタル議員ニ對シ町村會ノ議決ニ依
リ三日以內出席ヲ停止シ又ハ二圓以下ノ過怠金ヲ科スル規定ヲ設クルコ
トヲ得
第三章町村吏員
第一款組織選擧及任免
第六十條町村ニ町村長及助役一人ヲ置ク但シ町村條例ヲ以テ助役ノ定
數ヲ增加スルコトヲ得
第六十一條町村長及助役ハ名譽職トス
町村ハ町村條例ヲ以テ町村長又ハ助役ヲ有給ト爲スコトヲ得
第六十二條町村長及助役ノ任期ハ四年トス
第六十三條町村長ハ町村會ニ於テ之ヲ選擧ス
助役ハ町村長ノ推薦ニ依リ町村會之ヲ定ム町村長職ニ在ラサルトキハ前項ノ例ニ
依ル
名譽職町村長及名譽職助役ハ其ノ町村公民中選擧權ヲ有スル者ニ限ル
有給町村長及有給助役ハ第七條第一項ノ規定ニ拘ラス在職ノ間其ノ町村
ノ公民トス
○若ハ選擧シ
第六十四條町村長ヲ選擧シ又ハ助役ヲ定メ○タルトキハ府縣知事ノ認可
ヲ受クヘシ
前項ノ場合ニ於テ府縣知事ノ不認可ニ對シ町村長又ハ町村會ニ於テ不服
アルトキハ內務大臣ニ具狀シテ認可ヲ請フコトヲ得
有給町村長及有給助役ハ三月前ニ申立ツルトキハ任意退職スルコトヲ得
町村長及助役ハ府縣知事ノ認可ヲ受クルニ非サレハ任期中退職スルコト
司證大
前項ノ認可ヲ受ケタル者ニ付テハ第八條第二項ノ規定ヲ適用セス
第六十五條町村長及助役ハ第十五條第二項ニ揭ケタル職ト兼ヌルコトヲ
請負ヲ爲シ及同一ノ行爲ヲ爲ス者ノ支配人又ハ主トシテ
得ス又其ノ町村ニ對シ常ニ工事ノ請負、物件勞力其ノ他ノ供給契約ヲ爲
シ若ハ其ノ町村ノ爲金錢出納ノ取扱ヲ爲シ又ハ同一ノ行爲ヲ爲ス法人ノ
○無限責任社員、重役及支配人
○役員タルコトヲ得ス
町村長ト父子兄弟タル緣故アル者ハ助役ノ職ニ在ルコトヲ得ス
父子兄弟タル緣故アル者ハ同時ニ助役ノ職ニ在ルコトヲ得ス第十五條第
五項ノ規定ハ此ノ場合ニ之ヲ準用ス
第六十六條有給町村長及有給助役ハ郡長ノ許可ヲ受クルニ非サレハ他ノ
報償アル業務ニ從事スルコトヲ得ス
○重役又ハ支配人其ノ他ノ
有給町村長及有給助役ハ會社ノ0役員又ハ事務員タルコトヲ得ス
第六十七條町村ニ收入役一人ヲ置ク但シ特別ノ事情アル町村ニ於テハ町
村條例ヲ以テ副收入役一人ヲ置クコトヲ得
收入役及副收入役ハ有給吏員トシ其ノ任期ハ四年トス
收入役及副收入役ハ町村長ノ推薦ニ依リ町村會之ヲ定メ郡長ノ認可ヲ受
クヘシ
前項ノ場合ニ於テ郡長ノ不認可ニ對シ町村長又ハ町村會ニ於テ不服アル
トキハ府縣知事ニ具狀シテ認可ヲ請フコトヲ得
第六十三條第四項ノ規定ハ收入役ニ第六十五條第一項及前條ノ規定ハ收
入役及副收入役ニ之ヲ準用ス
町村長又ハ助役ト父子兄弟タル緣故アル者ハ收入役又ハ副收入役ノ職ニ
在ルコトヲ得ス收入役ト父子兄弟タル緣故アル者ハ副收入役ノ職ニ在ル
コトヲ得ス
特別ノ事情アル町村ニ於テハ郡長ノ許可ヲ得テ町村長又ハ助役ヲシテ收
入役ノ事務ヲ兼掌セシムルコトヲ得
第六十八條町村ハ處務便宜ノ爲區ヲ劃シ區長及其ノ代理者一人ヲ置クコ
トヲ得
區長及其ノ代理者ハ名譽職トス町村會ニ於テ町村公民中選擧權ヲ有スル
者ヨリ之ヲ選擧ス
第六十九條町村ハ臨時又ハ常設ノ委員ヲ置クコトヲ得
委員ハ名譽職トス町村會ニ於テ町村會議員又ハ町村公民中選擧權ヲ有ス
ル者ヨリ之ヲ選擧ス但シ委員長ハ町村長又ハ其ノ委任ヲ受ケタル助役ヲ
以テ之ニ充ツ
常設委員ノ組織ニ關シテハ町村條例ヲ以テ別段ノ規定ヲ設クルコトヲ
得
第七十條名譽職町村長及名譽職助役其ノ他町村公民ニ限リテ擔任スヘ
キ職務ニ在ル吏員ニシテ町村公民權ヲ喪失シ若ハ停止セラレタルトキ又
ハ第九條第三項ノ場合ニ當ルトキハ其ノ職ヲ失フ職ニ就キタルカ爲町村
公民タル者ニシテ禁治產若ハ準禁治產ノ宣告ヲ受ケタルトキ又ハ第九條
第二項若ハ第三項ノ場合ニ當ルトキ亦同シ
前項ノ職務ニ在ル者ニシテ禁錮以上ノ刑ニ當ルヘキ罪ノ爲豫審又ハ公判
ニ付セラレタルトキハ監督官廳ハ其ノ職務ノ執行ヲ停止スルコトヲ得此
ノ場合ニ於テハ其ノ停止期間報酬又ハ給料ヲ支給スルコトヲ得ス
第七十一條前數條ニ定ムル者ノ外町村ニ必要ノ有給吏員ヲ置キ町村長之
ヲ任免ス
前項吏員ノ定數ハ町村會ノ議決ヲ經テ之ヲ定ム
第二款職務權限
第七十二條町村長ハ町村ヲ統轄シ町村ヲ代表ス
町村長ノ擔任スル事務ノ〓目左ノ如シ
町村會ノ議決ヲ經ヘキ事件ニ付其ノ議案ヲ發シ及其ノ議決ヲ執行ス
ル事
二財產及營造物ヲ管理スル事但シ特ニ之カ管理者ヲ置キタルトキハ其
ノ事務ヲ監督スル事
三收入支出ヲ命令シ及會計ヲ監督スル事
四證書及公文書類ヲ保管スル事
五法令又ハ町村會ノ議決ニ依リ使用料、手數料、加入金、町村稅又ハ
夫役現品ヲ賦課徵收スル事
六其ノ他法令ニ依リ町村長ノ職權ニ屬スル事項
第七十三條町村長ハ町村吏員ヲ指揮監督シ之ニ對シ懲戒ヲ行フコトヲ得
其ノ懲戒處分ハ譴責及五圓以下ノ過怠金トス
第七十四條町村會ノ議決又ハ選擧其ノ權限ヲ越エ又ハ法令若ハ會議規則
ニ背クト認ムルトキハ町村長ハ其ノ意見ニ依リ又ハ監督官廳ノ指揮ニ依
リ理由ヲ示シテ之ヲ再議ニ付シ又ハ再選擧ヲ行ハシムヘシ其ノ執行ヲ要
スルモノニ在リテハ之ヲ停止スヘシ
前項ノ場合ニ於テ町村會其ノ議決ヲ改メサルトキハ町村長ハ府縣參事會
ノ裁決ヲ請フヘシ但シ特別ノ事由アルトキハ再議ニ付セスシテ直ニ裁決
ヲ請フコトヲ得
監督官廳ハ第一項ノ議決又ハ選擧ヲ取消スコトヲ得但シ裁決ノ申請アリ
タルトキハ此ノ限ニ在ラス
前項ノ規定ニ依ル郡長ノ處分ニ不服アル町村長又ハ町村會ハ府縣參事會
ニ訴願スルコトヲ得其ノ裁決、第二項ノ裁決又ハ前項ノ規定ニ依ル府縣
知事ノ處分ニ不服アル町村長又ハ町村會ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ
得
町村會ノ議決公益ヲ害シ又ハ町村ノ收支ニ關シ不適當ナリト認ムルトキ
ハ町村長ハ其ノ意見ニ依リ又ハ監督官廳ノ指揮ニ依リ理由ヲ示シテ之ヲ
再議ニ付スヘシ其ノ執行ヲ要スルモノニ在リテハ之ヲ停止スヘシ
前項ノ場合ニ於テ町村會其ノ議決ヲ改メサルトキハ町村長ハ郡長ノ處分
ヲ請フヘシ
前項ノ處分ニ不服アル町村長又ハ町村會ハ府縣參事會ニ訴願シ其ノ裁決
ニ不服アルトキハ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得
前項府縣參事會ノ裁決ニ付テハ府縣知事ヨリモ訴願ヲ提起スルコトヲ
得
第二項及第四項ノ裁決ニ付テハ府縣知事ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第七十五條町村會成立セサルトキ又ハ第四十八條但書ノ場合ニ於テ仍會
議ヲ開クコト能ハサルトキハ町村長ハ郡長ニ具狀シテ指揮ヲ請ヒ町村會
ノ議決スヘキ事件ヲ處置スルコトヲ得
町村會ニ於テ其ノ議決スヘキ事件ヲ議決セサルトキハ前項ノ例ニ依ル
町村會ノ決定スヘキ事件ニ關シテハ前二項ノ例ニ依ル此ノ場合ニ於ケル
町村長ノ處置ニ關シテハ各本條ノ規定ニ準シ訴願又ハ訴訟ヲ提起スルコ
トヲ得
前三項ノ規定ニ依ル處置ニ付テハ次囘ノ會議ニ於テ之ヲ町村會ニ報告ス
ヘシ
第七十六條町村會ニ於テ議決又ハ決定スヘキ事件ニ關シ臨時急施ヲ要ス
ル場合ニ於テ町村會成立セサルトキ又ハ町村長ニ於テ之ヲ招集スルノ暇
ナシト認ムルトキハ町村長ハ之ヲ専決シ次囘ノ會議ニ於テ之ヲ町村會ニ
報告スヘシ
前項ノ規定ニ依リ町村長ノ爲シタル處分ニ關シテハ各本條ノ規定ニ準シ
訴願又ハ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第七十七條町村長其ノ他町村吏員ハ法令ノ定ムル所ニ依リ國府縣其ノ他
公共團體ノ事務ヲ掌ル
前項ノ事務ヲ執行スル爲要スル費用ハ町村ノ負擔トス但シ法令中別段ノ
規定アルモノハ此ノ限ニ在ラス
第七十八條町村長ハ郡長ノ許可ヲ得テ其ノ事務ノ一部ヲ助役又ハ區長ニ
分掌セシムルコトヲ得但シ町村ノ事務ニ付テハ豫メ町村會ノ同意ヲ得ル
コトヲ要ス
町村長ハ町村吏員ヲシテ其ノ事務ノ一部ヲ臨時代理セシムルコトヲ得
第七十九條助役ハ町村長ノ事務ヲ補助ス
助役ハ町村長故障アルトキ之ヲ代理ス助役數人アルトキハ豫メ町村長ノ
定メタル順序ニ依リ之ヲ代理ス
第八十條收入役ハ町村ノ出納其ノ他ノ會計事務及第七十七條ノ事務ニ
關スル國府縣其ノ他公共團體ノ出納其ノ他ノ會計事務ヲ掌ル但シ法令中
別段ノ規定アルモノハ此ノ限ニ在ラス
町村ハ收入役故障アルトキ之ヲ代理スヘキ吏員ヲ定メ郡長ノ認可ヲ受ク
ヘシ但シ副收入役ヲ置キタル町村ハ此ノ限ニ在ラス
副收入役ハ收入役ノ事務ヲ補助シ收入役故障アルトキ之ヲ代理ス
町村長ハ郡長ノ許可ヲ得テ收入役ノ事務ノ一部ヲ副收入役ニ分掌セシム
ルコトヲ得但シ町村ノ出納其ノ他ノ會計事務ニ付テハ豫メ町村會ノ同意
ヲ得ルコトヲ要ス
第八十一條區長ハ町村長ノ命ヲ承タ町村長ノ事務ニシテ區內ニ關スルモ
ノヲ補助ス
區長代理者ハ區長ノ事務ヲ補助シ區長故障アルトキ之ヲ代理ス
第八十二條委員ハ町村長ノ指揮監督ヲ承ケ財產又ハ營造物ヲ管理シ其ノ
他委託ヲ受ケタル町村ノ事務ヲ調査シ又ハ之ヲ處辨ス
第八十三條第七十一條ノ吏員ハ町村長ノ命ヲ承ケ事務ニ從事ス
第四章給料及給與
第八十四條名譽職町村長、名譽職助役、町村會議員其ノ他ノ名譽職員ハ
職務ノ爲要スル費用ノ辨償ヲ受クルコトヲ得
名譽職町村長、名譽職助役、區長、區長代理者及委員ニハ費用辨償ノ外
勤務ニ相當スル報酬ヲ給スルコトヲ得
費用辨償額、報酬額及其ノ支給方法ハ町村會ノ議決ヲ經テ之ヲ定ム
第八十五條有給町村長、有給助役其ノ他ノ有給吏員ノ給料額、旅費額及
其ノ支給方法ハ町村會ノ議決ヲ經テ之ヲ定ム
第八十六條有給吏員ニハ町村條例ノ定ムル所ニ依リ退隱料、退職給與金、
死亡給與金又ハ遺族扶助料ヲ給スルコトヲ得
第八十七條費用辨償、報酬、給料、旅費、退隱料、退職給與金、死亡給
與金又ハ遺族扶助料ノ給與ニ付關係者ニ於テ異議アルトキハ之ヲ町村長
ニ申立ツルコトヲ得
前項ノ異議ハ之ヲ町村會ノ決定ニ付スヘシ關係者其ノ決定ニ不服アルト
キハ府縣參事會ニ訴願シ其ノ裁決又ハ第三項ノ裁決ニ不服アルトキハ行
政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
前項ノ決定及裁決ニ付テハ町村長ヨリモ訴願又ハ訴訟ヲ提起スルコトヲ
得
前二項ノ裁決ニ付テハ府縣知事ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第八十八條費用辨償、報酬、給料、旅費、退隱料、退職給與金、死亡給
與金、遺族扶助料其ノ他ノ給與ハ町村ノ負擔トス
第五章町村ノ財務
第一款財產營造物及町村稅
第八十九條收益ノ爲ニスル町村ノ財產ハ基本財產トシ之ヲ維持スヘシ
町村ハ特定ノ目的ノ爲特別ノ基本財產ヲ設ケ又ハ金穀等ヲ積立ツルコト
ヲ得
第九十條舊來ノ慣行ニ依リ町村住民中特ニ財產又ハ營造物ヲ使用スル
權利ヲ有スル者アルトキハ其ノ舊慣ニ依ル舊慣ヲ變更又ハ廢止セムトス
ルトキハ町村會ノ議決ヲ經ヘシ
前項ノ財產又ハ營造物ヲ新ニ使用セムトスル者アルトキハ町村ハ之ヲ許
可スルコトヲ得
第九十一條町村ハ前條ニ規定スル財產ノ使用方法ニ關シ町村規則ヲ設ク
ルコトヲ得
第九十二條町村ハ第九十條第一項ノ使用者ヨリ使用料ヲ徵收シ同條第二
項ノ使用ニ關シテハ使用料若ハ一時ノ加入金ヲ徵收シ又ハ使用料及加入
金ヲ共ニ徵收スルコトヲ得
第九十三條町村ハ營造物ノ使用ニ付使用料ヲ徵收スルコトヲ得
町村ハ特ニ一個人ノ爲ニスル事務ニ付手數料ヲ徵收スルコトヲ得
第九十四條財產ノ賣却貸與、工事ノ請負及物件勞力其ノ他ノ供給ハ競爭
入札ニ付スヘシ但シ臨時急施ヲ要スルトキ、入札ノ價額其ノ費用ニ比シ
テ得失相償ハサルトキ又ハ町村會ノ同意ヲ得タルトキハ此ノ限ニ在ラス
第九十五條町村ハ其ノ公益上必要アル場合ニ於テハ寄附又ハ補助ヲ爲ス
コトヲ得
第九十六條町村ハ其ノ必要ナル費用及從來法令ニ依リ又ハ將來法律勅令
ニ依リ町村ノ負擔ニ屬スル費用ヲ支辨スル義務ヲ負フ
町村ハ其ノ財產ヨリ生スル收入、使用料、手數料、過料、過怠金其ノ他
法令ニ依リ町村ニ屬スル收入ヲ以テ前項ノ支出ニ充テ仍不足アルトキハ
町村稅及夫役現品ヲ賦課徵收スルコトヲ得
第九十七條町村稅トシテ賦課スルコトヲ得ヘキモノ左ノ如シ
-國稅府縣稅ノ附加稅
二特別稅
直接國稅又ハ直接府縣稅ノ附加稅ハ均一ノ稅率ヲ以テ之ヲ徵收スヘシ但
シ第百四十七條ノ規定ニ依リ許可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラス
國稅ノ附加稅タル府縣稅ニ對シテハ附加稅ヲ賦課スルコトヲ得ス
特別稅ハ別ニ稅目ヲ起シテ課稅スルノ必要アルトキ賦課徵收スルモノト
ス
第九十八條三月以上町村内ニ滯在スル者ハ其ノ滯在ノ初ニ遡リ町村稅ヲ
納ムル義務ヲ負フ
第九十九條町村内ニ住所ヲ有セス又ハ三月以上滯在スルコトナシト雖町
村内ニ於テ土地家屋物件ヲ所有シ使用シ若ハ占有シ、町村內ニ營業所ヲ
設ケテ營業ヲ爲シ又ハ町村内ニ於テ特定ノ行爲ヲ爲ス者ハ其ノ土地家屋
物件營業若ハ其ノ收入ニ對シ又ハ其ノ行爲ニ對シテ賦課スル町村稅ヲ納
ムル義務ヲ負フ
第百條納稅者ノ町村外ニ於テ所有シ使用シ占有スル土地家屋物件若ハ
其ノ收入又ハ町村外ニ於テ營業所ヲ設ケタル營業若ハ其ノ收入ニ對シテ
ハ町村稅ヲ賦課スルコトヲ得ス
町村ノ內外ニ於テ營業所ヲ設ケ營業ヲ爲ス者ニシテ其ノ營業又ハ收入ニ
對スル本稅ヲ分別シテ納メサルモノニ對シ附加稅ヲ賦課スル場合及住所
滯在町村ノ内外ニ涉ル者ノ收入ニシテ土地家屋物件又ハ營業所ヲ設ケタ
ル營業ヨリ生スル收入ニ非サルモノニ對シ町村稅ヲ賦課スル場合ニ付テ
ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第百一條所得稅法第五條ニ揭クル所得ニ對シテハ町村稅ヲ賦課スルコト
ヲ得ス
神社寺院祠宇佛堂ノ用ニ供スル建物及其ノ境內地竝〓會所說〓所ノ用ニ
供スル建物及其ノ構內地ニ對シテハ町村稅ヲ賦課スルコトヲ得ス但シ有
料ニテ之ヲ使用セシムル者及住宅ヲ以テ〓會所說〓所ノ用ニ充ツル者ニ
對シテハ此ノ限ニ在ラス
國府縣市町村其ノ他公共團體ニ於テ公用ニ供スル家屋物件及營造物ニ對
シテハ町村稅ヲ賦課スルコトヲ得ス但シ有料ニテ之ヲ使用セシムル者及
使用收益者ニ對シテハ此ノ限ニ在ラス
國ノ事業又ハ行爲及國有ノ土地家屋物件ニ對シテハ國ニ町村稅ヲ賦課ス
ルコトヲ得ス
前四項ノ外町村稅ヲ賦課スルコトヲ得サルモノハ別ニ法律勅令ノ定ムル
所ニ依ル
第百二條數人ヲ利スル營造物ノ設置維持其ノ他ノ必要ナル費用ハ其ノ關
係者ニ負擔セシムルコトヲ得
町村ノ一部ヲ利スル營造物ノ設置維持其ノ他ノ必要ナル費用ハ其ノ部內
ニ於テ町村稅ヲ納ムル義務アル者ニ負擔セシムルコトヲ得
前二項ノ場合ニ於テ營造物ヨリ生スル收入アルトキハ先ツ其ノ收入ヲ以
テ其ノ費用ニ充ツヘシ
前項ノ場合ニ於テ其ノ一部ノ收入アルトキ亦同シ
數人又ハ町村ノ一部ヲ利スル財產ニ付テハ前三項ノ例ニ依ル
第百三條町村稅及其ノ賦課徵收ニ關シテハ本法其ノ他ノ法律ニ規定アル
モノノ外勅令ヲ以テ之ヲ定ムルコトヲ得
第百四條數人又ハ町村ノ一部ニ對シ特ニ利益アル事件ニ關シテハ町村ハ
不均一ノ賦課ヲ爲シ又ハ數人若ハ町村ノ一部ニ對シ賦課ヲ爲スコトヲ得
第百五條夫役又ハ現品ハ直接町村稅ヲ準率ト爲シ直接町村稅ヲ賦課セサ
ル町村ニ於テハ直接國稅ヲ準率ト爲シ且之ヲ金額ニ算出シテ賦課スヘシ
但シ第百四十七條ノ規定ニ依リ許可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラス
學藝美術及手工ニ關スル勞務ニ付テハ夫役ヲ賦課スルコトヲ得ス
夫役ヲ賦課セラレタル者ハ其ノ便宜ニ從ヒ本人自ラ之ニ當リ又ハ適當ノ
代人ヲ出スコトヲ得
夫役又ハ現品ハ金錢ヲ以テ之ニ代フルコトヲ得
第一項及前項ノ規定ハ急迫ノ場合ニ賦課スル夫役ニ付テハ之ヲ適用セス
第百六條非常災害ノ爲必要アルトキハ町村ハ他人ノ土地ヲ一時使用シ又
ハ其ノ土石竹木其ノ他ノ物品ヲ使用シ若ハ收用スルコトヲ得但シ其ノ損
失ヲ補償スヘシ
前項ノ場合ニ於テ危險防止ノ爲必要アルトキハ町村長、警察官吏又ハ監
督官廳ハ町村内ノ居住者ヲシテ防禦ニ從事セシムルコトヲ得
第一項但書ノ規定ニ依リ補償スヘキ金額ハ協議ニ依リ之ヲ定ム協議調ハ
サルトキハ鑑定人ノ意見ヲ徵シ府縣知事之ヲ決定ス決定ヲ受ケタル者其
ノ決定ニ不服アルトキハ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得
前項ノ決定ハ文書ヲ以テ之ヲ爲シ其ノ理由ヲ附シ之ヲ本人ニ交付スヘシ
第一項ノ規定ニ依リ土地ノ一時使用ノ處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服
アルトキハ郡長ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ府縣知事ニ訴願シ其
ノ裁決ニ不服アルトキハ内務大臣ニ訴願スルコトヲ得
第百七條町村稅ノ賦課ニ關シ必要アル場合ニ於テハ當該吏員ハ日出ヨリ
日沒迄ノ間營業者ニ關シテハ仍其ノ營業時間内家宅若ハ營業所ニ臨檢シ
又ハ帳簿物件ノ檢査ヲ爲スコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ當該吏員ハ其ノ身分ヲ證明スヘキ證票ヲ携帶スヘシ
第百八條町村長ハ納稅者中特別ノ事情アル者ニ對シ納稅延期ヲ許スコト
ヲ得其ノ年度ヲ越ユル場合ハ町村會ノ議決ヲ經ヘシ
町村ハ特別ノ事情アル者ニ限リ町村稅ヲ減免スルコトヲ得
第百九條使用料手數料及特別稅ニ關スル事項ニ付テハ町村條例ヲ以テ之
ヲ規定スヘシ其ノ條例中ニハ五圓以下ノ過料ヲ科スル規定ヲ設クルコト
ヲ得
財產又ハ營造物ノ使用ニ關シテハ町村條例ヲ以テ五圓以下ノ過料ヲ科ス
ル規定ヲ設クルコトヲ得
過料ノ處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服アルトキハ府縣參事會ニ訴願シ
其ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
前項ノ裁決ニ付テハ府縣知事又ハ町村長ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第百十條町村稅ノ賦課ヲ受ケタル者其ノ賦課ニ付違法又ハ錯誤アリト認
ムルトキハ徵稅令書ノ交付ヲ受ケタル日ヨリ三月以內ニ町村長ニ異議ノ
申立ヲ爲スコトヲ得
財產又ハ營造物ヲ使用スル權利ニ關シ異議アル者ハ之ヲ町村長ニ申立ツ
ルコトヲ得
前二項ノ異議ハ之ヲ町村會ノ決定ニ付スヘシ決定ヲ受ケタル者其ノ決定
ニ不服アルトキハ府縣參事會ニ訴願シ其ノ裁決又ハ第五項ノ裁決ニ不服
アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第一項及前項ノ規定ハ使用料手數料及加入金ノ徵收竝夫役現品ノ賦課ニ
關シ之ヲ準用ス
前二項ノ規定ニ依ル決定及裁決ニ付テハ町村長ヨリモ訴願又ハ訴訟ヲ提
起スルコトヲ得
前三項ノ規定ニ依ル裁決ニ付テハ府縣知事ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ
得
第百十一條町村稅、使用料、手數料、加入金、過料、過怠金其ノ他ノ町
村ノ收入ヲ定期內ニ納メサル者アルトキハ町村長ハ期限ヲ指定シテ之ヲ
督促スヘシ
夫役現品ノ賦課ヲ受ケタル者定期內ニ其ノ履行ヲ爲サス又ハ夫役現品ニ
代フル金錢ヲ納メサルトキハ町村長ハ期限ヲ指定シテ之ヲ督促スヘシ急
迫ノ場合ニ賦課シタル夫役ニ付テハ更ニ之ヲ金額ニ算出シ期限ヲ指定シ
テ其ノ納付ヲ命スヘシ
前二項ノ場合ニ於テハ町村條例ノ定ムル所ニ依リ手數料ヲ徵收スルコト
ヲ得
滯納者第一項又ハ第二項ノ督促又ハ命令ヲ受ケ其ノ指定ノ期限內ニ之ヲ
完納セサルトキハ國稅滯納處分ノ例ニ依リ之ヲ處分スヘシ
第一項乃至第三項ノ徵收金ハ府縣ノ徵收金ニ次テ先取特權ヲ有シ其ノ追
徵還付及時效ニ付テハ國稅ノ例ニ依ル
前三項ノ處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服アルトキハ府縣參事會ニ訴願
シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
前項ノ裁決ニ付テハ府縣知事又ハ町村長ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第四項ノ處分中差押物件ノ公賣ハ處分ノ確定ニ至ル迄執行ヲ停止ス
第百十二條町村ハ其ノ負債ヲ償還スル爲、町村ノ永久ノ利益ト爲ルヘキ
支出ヲ爲ス爲又ハ天災事變等ノ爲必要アル場合ニ限リ町村債ヲ起スコト
ヲ得
町村債ヲ起スニ付町村會ノ議決ヲ經ルトキハ併セテ起債ノ方法、利息ノ
定率及償還ノ方法ニ付議決ヲ經ヘシ
町村ハ豫算内ノ支出ヲ爲ス爲一時ノ借入金ヲ爲スコトヲ得
前項ノ借入金ハ其ノ會計年度內ノ收入ヲ以テ償還スヘシ
第二款歲入出豫算及決算
第百十三條町村長ハ每會計年度歲入出豫算ヲ調製シ遲クトモ年度開始ノ
一月前ニ町村會ノ議決ヲ經ヘシ
町村ノ會計年度ハ政府ノ會計年度ニ依ル
豫算ヲ町村會ニ提出スルトキハ町村長ハ併セテ事務報告書及財產表ヲ提
出スヘシ
第百十四條町村長ハ町村會ノ議決ヲ經テ既定豫算ノ追加又ハ更正ヲ爲ス
コトヲ得
第百十五條町村費ヲ以テ支辨スル事件ニシテ數年ヲ期シテ其ノ費用ヲ支
出スヘキモノハ町村會ノ議決ヲ經テ其ノ年期間各年度ノ支出額ヲ定メ繼
續費ト爲スコトヲ得
第百十六條町村ハ豫算外ノ支出又ハ豫算超過ノ支出ニ充ツル爲豫備費ヲ
設クヘシ
豫備費ハ町村會ノ否決シタル費途ニ充ツルコトヲ得ス
第百十七條豫算ハ議決ヲ經タル後直ニ之ヲ郡長ニ報告シ且其ノ要領ヲ〓
示スヘシ
第百十八條町村ハ特別會計ヲ設クルコトヲ得
第百十九條町村會ニ於テ豫算ヲ議決シタルトキハ町村長ヨリ其ノ謄本ヲ
收入役ニ交付スヘシ
收入役ハ町村長又ハ監督官廳ノ命令アルニ非サレハ支拂ヲ爲スコトヲ得
ス命令ヲ受クルモ支出ノ豫算ナク且豫備費支出、費目流用其ノ他財務ニ
關スル規定ニ依リ支出ヲ爲スコトヲ得サルトキ亦同シ
前二項ノ規定ハ收入役ノ事務ヲ兼掌シタル町村長又ハ助役ニ之ヲ準用ス
第百二十條町村ノ支拂金ニ關スル時效ニ付テハ政府ノ支拂金ノ例ニ依ル
第百二十一條町村ノ出納ハ每月例日ヲ定メテ之ヲ檢査シ且每會計年度少
クトモ二囘臨時檢査ヲ爲スヘシ
檢査ハ町村長之ヲ爲シ臨時檢査ニハ町村會ニ於テ選擧シタル議員二人以
上ノ立會ヲ要ス
第百二十二條町村ノ出納ハ翌年度六月三十日ヲ以テ閉鎖ス
決算ハ出納閉鎖後一月以內ニ證書類ヲ併セテ收入役ヨリ之ヲ町村長ニ提
出スヘシ町村長ハ之ヲ審査シ意見ヲ付シテ次ノ通常豫算ヲ議スル會議迄
ニ之ヲ町村會ノ認定ニ付スヘシ
第六十七條第八項ノ場合ニ於テハ前項ノ例ニ依ル但シ町村長ニ於テ兼掌
シタルトキハ直ニ町村會ノ認定ニ付スヘシ
決算ハ其ノ認定ニ關スル町村會ノ議決ト共ニ之ヲ郡長ニ報告シ且其ノ要
領ヲ告示スヘシ
決算ノ認定ニ關スル會議ニ於テハ町村長及助役共ニ議長ノ職務ヲ行フコ
トヲ得ス
第百二十三條豫算調製ノ式、費日流用其ノ他財務ニ關シ必要ナル規定ハ
內務大臣之ヲ定ム
第六章町村ノ一部ノ事務
第百二十四條町村ノ一部ニシテ財產ヲ有シ又ハ營造物ヲ設ケタルモノア
ルトキハ其ノ財產又ハ營造物ノ管理及處分ニ付テハ本法中町村ノ財產又
ハ營造物ニ關スル規定ニ依ル但シ法律勅令中別段ノ規定アル場合ハ此ノ
限ニ在ラス
前項ノ財產又ハ營造物ニ關シ特ニ要スル費用ハ其ノ財產又ハ營造物ノ屬
スル町村ノ一部ノ負擔トス
前二項ノ場合ニ於テハ町村ノ一部ハ其ノ會計ヲ分別スヘシ
第百二十五條前條ノ財產又ハ營造物ニ關シ必要アリト認ムルトキハ郡長
ハ町村會ノ意見ヲ徵シテ町村條例ヲ設定シ區會又ハ區總會ヲ設ケテ町村
會ノ議決スヘキ事項ヲ議決セシムルコトヲ得
第百二十六條區會議員ハ町村ノ名譽職トス其ノ定數、任期、選擧權及被
選擧權ニ關スル事項ハ前條ノ町村條例中ニ之ヲ規定スヘシ區總會ノ組織
ニ關スル事項ニ付亦同シ
區會議員ノ選擧ニ付テハ町村會議員ニ關スル規定ヲ準用ス但シ選擧人名
簿又ハ選擧若ハ當選ノ效力ニ關スル異議ノ決定及被選擧權ノ有無ノ決定
ハ町村長ノ爲スヘキ場合ヲ除クノ外町村會ニ於テ之ヲ爲スヘシ
區會又ハ區總會ニ關シテハ町村會ニ關スル規定ヲ準用ス
第百二十七條第百二十四條ノ場合ニ於テ町村ノ一部郡長ノ處分ニ不服ア
ルトキハ府縣知事ニ訴願スルコトヲ得
第百二十八條第百二十四條ノ町村ノ一部ノ事務ニ關シテハ本法ニ規定ス
ルモノノ外勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第七章町村組合
第百二十九條町村ハ其ノ事務ノ一部ヲ共同處理スル爲其ノ協議ニ依リ府
縣知事ノ許可ヲ得テ町村組合ヲ設クルコトヲ得此ノ場合ニ於テ組合內各
町村ノ町村會又ハ町村吏員ノ職務ニ屬スル事項ナキニ至リタルトキハ其
ノ町村會又ハ町村吏員ハ組合成立ト同時ニ消滅ス
町村ハ特別ノ必要アル場合ニ於テハ其ノ協議ニ依リ府縣知事ノ許可ヲ得
テ其ノ事務ノ全部ヲ共同處理スル爲町村組合ヲ設クルコトヲ得此ノ場合
ニ於テハ組合内各町村ノ町村會及町村吏員ハ組合成立ト同時ニ消滅ス
公益上必要アル場合ニ於テハ府縣知事ハ關係アル町村會ノ意見ヲ徵シ府
縣參事會ノ議決ヲ經內務大臣ノ許可ヲ得テ前二項ノ町村組合ヲ設クルコ
トヲ得
町村組合ハ法人トス
第百三十條前條第一項ノ町村組合ニシテ其ノ組合町村ノ數ヲ增減シ又
ハ共同事務ノ變更ヲ爲サムトスルトキハ關係町村ノ協議ニ依リ府縣知事
ノ許可ヲ受クヘシ
前條第二項ノ町村組合ニシテ其ノ組合町村ノ數ヲ減少セムトスルトキハ
組合會ノ議決ニ依リ其ノ組合町村ノ數ヲ增加セムトスルトキハ其ノ町村
組合ト新ニ加ハラムトスル町村トノ協議ニ依リ府縣知事ノ許可ヲ受クヘ
シ
公益上必要アル場合ニ於テハ府縣知事ハ關係アル町村會又ハ組合會ノ意
見ヲ徵シ府縣參事會ノ議決ヲ經內務大臣ノ許可ヲ得テ組合町村ノ數ヲ增
減シ又ハ一部事務ノ爲設クル組合ノ共同事務ノ變更ヲ爲スコトヲ得
第百三十一條町村組合ヲ設クルトキハ關係町村ノ協議ニ依リ組合規約ヲ
定メ府縣知事ノ許可ヲ受クヘシ
組合規約ヲ變更セムトスルトキハ一部事務ノ爲ニ設クル組合ニ在リテハ
關係町村ノ協議ニ依リ全部事務ノ爲ニ設クル組合ニ在リテハ組合會ノ議
決ヲ經府縣知事ノ許可ヲ受クヘシ
公益上必要アル場合ニ於テハ府縣知事ハ關係アル町村會又ハ組合會ノ意
見ヲ徵シ府縣參事會ノ議決ヲ經內務大臣ノ許可ヲ得テ組合規約ヲ定メ又
ハ變更スルコトヲ得
第百三十二條組合規約ニハ組合ノ名稱、組合ヲ組織スル町村、組合ノ共
同事務及組合役場ノ位置ヲ定ムヘシ
一部事務ノ爲ニ設クル組合ノ組合規約ニハ前項ノ外組合會ノ組織及組合
會議員ノ選擧、組合吏員ノ組織及選任竝組合費用ノ支辨方法ニ付規定ヲ
設クヘシ
第百三十三條町村組合ヲ解カムトスルトキハ一部事務ノ爲ニ設クル組合
ニ於テハ關係町村ノ協議ニ依リ全部事務ノ爲ニ設クル組合ニ於テハ組合
會ノ議決ニ依リ府縣知事ノ許可ヲ受クヘシ
公益上必要アル場合ニ於テハ府縣知事ハ關係アル町村會又ハ組合會ノ意
見ヲ徵シ府縣參事會ノ議決ヲ經內務大臣ノ許可ヲ得テ町村組合ヲ解クコ
トヲ得
第百三十四條第百三十條第一項第二項及前條第一項ノ場合ニ於テ財產ノ
處分ニ關スル事項ハ關係町村ノ協議、關係町村ト組合トノ協議又ハ組合
會ノ議決ニ依リ府縣知事ノ許可ヲ受クヘシ
第百三十條第三項及前條第二項ノ場合ニ於テ財產ノ處分ニ關スル事項ハ
關係アル町村會又ハ組合會ノ意見ヲ徵シ府縣參事會ノ議決ヲ經內務大臣
ノ許可ヲ得テ府縣知事之ヲ定ム
第百三十五條第百二十九條第一項及第二項第百三十條第一項及第二項第
百三十一條第一項及第二項第百三十三條第一項竝前條第一項ノ規定ニ依
ル府縣知事ノ處分ニ不服アル町村又ハ町村組合ハ內務大臣ニ訴願スルコ
トヲ得
組合費ノ分賦ニ關シ違法又ハ錯誤アリト認ムル町村ハ其ノ〓知アリタル
日ヨリ三月以内ニ組合ノ管理者ニ異議ノ申立ヲ爲スコトヲ得
前項ノ異議ハ之ヲ組合會ノ決定ニ付スヘシ其ノ決定ニ不服アル町村ハ府
縣參事會ニ訴願シ其ノ裁決又ハ第四項ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判
所ニ出訴スルコトヲ得
前項ノ決定及裁決ニ付テハ組合ノ管理者ヨリモ訴願又ハ訴訟ヲ提起スル
コトヲ得
前二項ノ裁決ニ付テハ府縣知事ヨリモ訴訟ヲ提起スルコトヲ得
第百三十六條町村組合ニ關シテハ法律勅令中別段ノ規定アル場合ヲ除ク
ノ外町村ニ關スル規定ヲ準用ス
第八章町村ノ監督
第百三十七條町村ハ第一次ニ於テ郡長之ヲ監督シ第二次ニ於テ府縣知事
之ヲ監督シ第三次ニ於テ內務大臣之ヲ監督ス
第百三十八條本法中別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外町村ノ監督ニ關スル
郡長ノ處分ニ不服アル町村ハ府縣知事ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキ
ハ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得
第百三十九條本法中行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得ヘキ場合ニ於テハ內
務大臣ニ訴願スルコトヲ得ス
第百四十條異議ノ申立又ハ訴願ノ提起ハ處分決定又ハ裁決アリタル日
ヨリ二十一日以內ニ之ヲ爲スヘシ但シ本法中別ニ期間ヲ定メタルモノハ
此ノ限ニ在ラス
行政訴訟ノ提起ハ處分決定裁定又ハ裁決アリタル日ヨリ三十日以內ニ之
ヲ爲スヘシ
異議ノ申立ニ關スル期間ノ計算ニ付テハ訴願法ノ規定ニ依ル
異議ノ申立ハ期限經過後ニ於テモ宥恕スヘキ事由アリト認ムルトキハ仍之ヲ受理スルコトヲ得
異議ノ決定ハ文書ヲ以テ之ヲ爲シ其ノ理由ヲ附シ之ヲ申立人ニ交付スヘ
シ
異議ノ申立アルモ處分ノ執行ハ之ヲ停止セス但シ行政廳ハ其ノ職權ニ依
リ又ハ關係者ノ請求ニ依リ必要ト認ムルトキハ之ヲ停止スルコトヲ得
第百四十一條監督官廳ハ町村ノ監督上必要アル場合ニ於テハ事務ノ報〓
ヲ爲サシメ、書類帳簿ヲ徵シ及實地ニ就キ事務ヲ視察シ又ハ出納ヲ檢閲
スルコトヲ得
監督官廳ハ町村ノ監督上必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
上級監督官廳ハ下級監督官廳ノ町村ノ監督ニ關シテ爲シタル命令又ハ處
分ヲ停止シ又ハ取消スコトヲ得
第百四十二條内務大臣ハ町村會ノ解散ヲ命スルコトヲ得
町村會解散ノ場合ニ於テハ三月以內ニ議員ヲ選擧スヘシ
第百四十三條町村ニ於テ法令ニ依リ負擔シ又ハ當該官廳ノ職權ニ依リ命
スル費用ヲ豫算ニ載セサルトキハ郡長ハ理由ヲ示シテ其ノ費用ヲ豫算ニ
加フルコトヲ得
町村長其ノ他ノ吏員其ノ執行スヘキ事件ヲ執行セサルトキハ郡長又ハ其
ノ委任ヲ受ケタル官吏吏員之ヲ執行スルコトヲ得但シ其ノ費用ハ町村ノ
負擔トス
前二項ノ處分ニ不服アル町村又ハ町村長其ノ他ノ吏員ハ府縣知事ニ訴願
シ其ノ裁決ニ不服アルトキハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第百四十四條町村長、助役、收入役又ハ副收入役ニ故障ア」トトハハ監督
官廳ハ臨時代理者ヲ選任シ又ハ官吏ヲ派遣シ其ノ職務ヲ管掌セシムルコ
トヲ得但シ官吏ヲ派遣シタル場合ニ於テハ其ノ旅費ハ町村費ヲ以テ辨償
セシムヘシ
臨時代理者ハ有給ノ町村吏員トシ其ノ給料額旅費額等ハ監督官廳之ヲ定
ム
第百四十五條左ニ揭クル事件ハ内務大臣ノ許可ヲ受クヘシ
一町村條例ヲ設ケ又ハ改廢スル事
二學藝美術又ハ歷史上貴重ナル物件ヲ處分シ又ハ之ニ大ナル變更ヲ加
フル事
第百四十六條左ニ揭クル事件ハ内務大臣及大藏大臣ノ許可ヲ受クヘシ
-町村債ヲ起シ竝起債ノ方法、利息ノ定率及償還ノ方法ヲ定メ又ハ之
ヲ變更スル事但シ第百十二條第三項ノ借入金ハ此ノ限ニ在ラス
二特別稅ヲ新設シ增額シ又ハ變更スル事
三間接國稅ノ附加稅ヲ賦課スル事
四使用料手數料及加入金ヲ新設シ增額シ又ハ變更スル事
第百四十七條左ニ揭クル事件ハ郡長ノ許可ヲ受クヘシ
-基本財產ノ管理及處分ニ關スル事
二特別基本財產及積立金穀等ノ管理及處分ニ關スル事
三第九十條ノ規定ニ依リ舊慣ヲ變更又ハ廢止スル事
四寄附又ハ補助ヲ爲ス事
五不動產ノ管理及處分ニ關スル事
六均一ノ稅率ニ依ラスシテ國稅又ハ府縣稅ノ附加稅ヲ賦課スル事
七第百二條第一項第二項及第四項ノ規定ニ依リ數人又ハ町村ノ一部ニ
費用ヲ負擔セシムル事
八第百四條ノ規定ニ依リ不均一ノ賊課ヲ爲シ又ハ數人若ハ町村ノ一部
ニ對シ賦課ヲ爲ス事
九第百五條ノ準率ニ依ラスシテ夫役現品ヲ賦課スル事但シ急迫ノ場合
ニ賦課スル夫役ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
十繼續費ヲ定メ又ハ變更スル事
第百四十八條監督官廳ノ許可ヲ要スル事件ニ付テハ監督官廳ハ許可申請
ノ趣旨ニ反セスト認ムル範圍內ニ於テ更正シテ許可ヲ與フルコトヲ得
第百四十九條監督官廳ノ許可ヲ要スル事件ニ付テハ勅令ノ定ムル所ニ依
リ其ノ許可ノ職權ヲ下級監督官廳ニ委任シ又ハ輕易ナル事件ニ限リ許可
ヲ受ケシメサルコトヲ得
第百五十條府縣知事又ハ郡長ハ町村長、助役、收入役、副收入役、區
長、區長代理者、委員其ノ他ノ町村吏員ニ對シ懲戒ヲ行フコトヲ得其ノ
戒懲處分ハ譴責、二十五圓以下ノ過怠金及解職トス但シ町村長、助役、
收入役及副收入役ニ對スル解職ハ懲戒審査會ノ議決ヲ經テ府縣知事之ヲ
行フ
懲戒審査會ハ內務大臣ノ命シタル府縣高等官三人及府縣名譽職參事會員
ニ於テ互選シタル者三人ヲ以テ其ノ會員トシ府縣知事ヲ以テ會長トス知
事故障アルトキハ其ノ代理者會長ノ職務ヲ行フ
府縣名譽職參事會員ノ互選スヘキ會員ノ選擧補闕及任期竝懲戒審査會ノ
招集及會議ニ付テハ府縣制中名譽職參事會員及府縣參事會ニ關スル規定
ヲ準用ス但シ補充員ハ之ヲ設クルノ限ニ在ラス
解職ノ處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服アルトキハ郡長ノ處分ニ付テハ
府縣知事ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アルトキ又ハ府縣知事ノ處分ニ付テハ
内務大臣ニ訴願スルコトヲ得
府縣知事ハ町村長、助役、收入役及副收入役ノ解職ヲ行ハムトスル前其
ノ停職ヲ命スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ停職期間報酬又ハ給料ヲ
支給スルコトヲ得ス
懲戒ニ依リ解職セラレタル者ハ二年間市町村ノ公職ニ選擧セラレ又ハ任
命セラルルコトヲ得ス
第百五十一條町村吏員ノ服務紀律、賠償責任、身元保證及事務引繼ニ關
スル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
前項ノ命令ニハ事務引繼ヲ拒ミタル者ニ對シ二十五圓以下ノ過料ヲ科ス
ル規定ヲ設クルコトヲ得
第九章雜則
第百五十二條郡長ノ職權ニ屬スル事件ニシテ數郡ニ涉ルモノアルトキハ
府縣知事ハ關係郡長ノ具狀ニ依リ其ノ事件ヲ管理スヘキ郡長ヲ指定スヘ
シ其ノ數府縣ニ渉ルモノアルトキハ內務大臣ハ關係府縣知事ノ具狀ニ依
リ其ノ事件ヲ管理スヘキ郡長ヲ指定スヘシ
第百五十三條府縣知事又ハ府縣參事會ノ職權ニ屬スル事件ニシテ數府縣
ニ涉ルモノアルトキハ內務大臣ハ關係府縣知事ノ具狀ニ依リ其ノ事件ヲ
管理スヘキ府縣知事又ハ府縣參事會ヲ指定スヘシ
第百五十四條第十一條ノ人口ハ內務大臣ノ定ムル所ニ依ル
第百五十五條本法ニ於ケル直接稅及間接稅ノ種類ハ內務大臣及大藏大臣
之ヲ定ム
第百五十六條町村又ハ町村組合ノ廢置分合又ハ境界變更アリタル場合ニ
於テ町村ノ事務ニ付必要ナル事項ハ本法ニ規定スルモノノ外勅令ヲ以テ
之ヲ定ム
第百五十七條本法ハ北海道沖繩縣其ノ他勅令ヲ以テ指定スル島嶼ニ之ヲ
施行セス
前項ノ地域ニ付テハ勅令ヲ以テ別ニ本法ニ代ハルヘキ制ヲ定ムルコトヲ
得
附則
第百五十八條本法施行ノ期日ハ勅合ヲ以テ之ヲ定ム
第百五十九條本法施行ノ際現ニ町村會議員、區會議員又ハ全部事務ノ爲
ニ設クル町村組合會議員ノ職ニ在ル者ハ從前ノ規定ニ依ル最近ノ定期改
選期ニ於テ總テ其ノ職ヲ失フ
第百六十條舊刑法ノ重罪ノ刑ニ處セラレタル者ハ本法ノ適用ニ付テハ
六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者ト看做ス但シ復權ヲ得タ
ル者ハ此ノ限ニ在ラス
舊刑法ノ禁錮以上ノ刑ハ本法ノ適用ニ付テハ禁錮以上ノ刑ト看做ス
第百六十一條本法施行ノ際必要ナル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
〔國務大臣男爵平田東助君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=25
-
026・平田東助
○國務大臣(男爵平田東助君) 本案提出ノ理由ニ付イテ一言申上ゲマス、市
制及町村制ハ御承知モゴザリマスル如ク、今日マデ施行以來既ニ二十有餘年
ヲ經過イタシマシタ、其間段々實驗イタシマシタ所ノ上ニ徵シマシテ現實行
ヒマスル所ノ行政機關及議決機關ニ於キマシテ多少ノ改正ヲ加ヘ以テ機能ノ
敏活ヲ期スベキモノガゴザイマスルノト、又地方ニ於ケル所ノ上級機關ト下
級機關トノ間ニ於テ往々聯絡ノ未ダ全カラザル所ガゴザイマスルノデ、是
亦相互ノ間ノ聯絡統一ヲ全ウセムコトヲ期シマスル爲ニ改正ヲ致シマシタノ
ト、其他ハ現行法中ニ於キマシテ市制及町村制ヲ通ジ、或ハ法文ノ未ダ全カラ
ザルモノアリ、或ハ法文ノ明カナラザルガ爲ニ、往々疑義ヲ生ジ、或ハ惑ヒ
ヲ起シ、爲ニ行政ノ活動ヲ闕クガ如キ憾アルガ爲ニ、是等ニ向ッテ改正ヲ加
ヘムト欲スルノデゴザイマスル、地方自治ノ本體タルベキ市町村制ト致シ、又
一面ニ於テハ國家行政ノ基礎タルベキ機關デアリマスノデ、從來永キ間ノ經
驗ニ依リマシテ愼重ニ審査イタシマシタ所ノ結果ト致シ、今囘改正ヲ加ヘ提
出ヲ致シマシタ次第デゴザイマス、最早會期餘日モ無キ今日ニ於テ本案ヲ提
出イタシマスノハ甚ダ遲レマシテ深ク遺憾ト致ス所デゴザイマスガ、審査上
己ムナキ次第デ遲レマシタノデゴザイマス、御審議ノ上幸ニ御協賛ヲ與ヘラ
レムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=26
-
027・廣澤金次郎
○伯爵廣澤金次郞君 チヨット政府ニ伺ヒマスガ、市制改正及町村制改正ハ
大體ニ於テ至極時宜ニ適シタ案ト考ヘマスルガ、付キマシテ伺ヒマスルノハ、
都制法案ナルモノガ、年々我ガ貴族院ニ於テ大多數ノ同意ヲ得テ提出ニナリ、
可決ノ上、衆議院ニ送付シタ案デアリマスルガ、殊ニ今日政府ニ居ラルヽ御
方ハ數年前ヨリ議員トシテ此都制法案ニ最モ熱心ナル御方デアルト考ヘルノ
デアリマス、ソコデ今日ノ場合、此市制及町村制ノ改正案ヲ提出セラルヽナラ
バ、是等モ無論同時ニ提出セラルダラウト我〓ハ考ヘテ居ッタデアリマス、
殊ニ今日ノ政府ハ多年貴衆兩院間ノ融和ヲ得マセナカッタ都制法案、或ハ之
ニ等シキ案ヲ提出スルニハ最モ好時機ニ居ラルヽ政府ダト考ヘマスルガ、又
政府ノ當局者モ政府ニ居ラルヽト政府ニ居ラレヌトニ拘ラズ、ソレ等ハ多年
ノ主張デアル以上ハ、無論政府ニ居ラルヽ以上、成ルベク速ニ是等ハ提出サ
レルト云フ御考ヘノアルト云フコトハ勿論ト考ヘマスルガ、市町村制ノ改正
ト共ニ東京市制ノ改正ハ卽チ都制案ト冥合スル案ト申シテ宜シウゴザイマス
ルガ、都制法案ノ如キモ御提出ニナル所ノ御調査ガアッタノデアルカ、或人
最早會期切迫デアッテ本年ハ間ニ合ハヌガ、來年ニナッタラ都制法案ニ類ス
ル案ヲ出シテ東京市ノ市政ノ改善ヲ圖ルト云フ目的ハ政府ニアリマスルカト
云フコトヲ伺ヒタイト考ヘマス
〔政府委員一木喜德郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=27
-
028・一木喜徳郎
○政府委員(一木喜德郞君) 唯今、都制法案ヲ政府ニ於テ提出シナイノハ何
故デアルカ、又今後提出スルノ意思ガアルノデアルカト云フノ御質問デゴザ
イマシタ、東京市ノ如キ大都會ニ對シマシテ特別ナル制度ヲ設ケルト云フコ
トニ付イテハ、相當ノ理由アルモノト考ヘルノデアリマス、サリナガラ此大
都市ニ特ニ適用スベキ法律ガ出來マシテ、何レノ方面ニモ同等滿足ヲ得ベキ
所ノ成案ハマダ今日持チマセヌノデ唯今御心配モゴザイマスル如ク、此貴族
院ニ於テ數年間、都制案ヲ提出シテ常ニ衆議院ノ同意ヲ得ナカッタト云フヤ
ウナ情況デゴザイマスカラ、今日未ダ此東京市ニ對スル特別ナ制度ニシテ兩
院ノ同意ヲ得、總テノ方面ニ滿足ヲ得ベキ成案ヲ得ルト云フコトハ困難デゴ
ザイマス、然ルニ之ヲ實際ニ徵シテ見マスレバ、市ノ制度ノ改善ハ一日モ緩
ウスベカラザルモノガアルノデゴザイマス、政府ハ此際ニ於キマシテ全國ノ
市ニ通ズル適當ナル改正案ヲ提出イタシマシテ、幸ニ兩院ノ御協賛ヲ得マス
ル以上ハ之ニ依ッテ全國ノ市政ノ改善ヲ圖ル、卽チ其中ニハ東京市ヲモ包含シ
テ居リマスノデアリマスカラ、之ニ依ッテ先ヅ出來ルダケ速ク實行シ得ベキ
途ヲ採ルガ宜カラウト云フ考ヘヲ持ッテ居ルノデアリマス、ソレデ今日ニ於
キマシテ、マダ東京市ニ特ニ適用スベキ、又何レノ方面ニモ滿足ヲ得ベキ成
案ヲ得マセヌ以上ハ、別ニ東京市ニ對シテ案ヲ提出スルト云フ考ヘハゴザイ
マセヌ、併シ將來ニ於キマシテ其時機到達イタシマスレバ、ソレハ別段ノコ
トデアリマス、今日ハ左樣ナ考ヘヲ持ッテ居リマス、殊ニ市制改正案ニ付キ
マシテハ市參事會ヲ議決機關ニ致スノ制ハ全ク都制ト趣旨ヲ同クシテ居リマ
ス、此點ニ付イテ市政ノ改善ヲ圖ツテ行キタイト云フ考ヘヲ持ッテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=28
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029・廣澤金次郎
○伯爵廣澤金次郞君 モウ一應伺ヒマス、唯今ノ御說明ニ依リマスト兎一
角、東京市ノミナラズ、全國各市ヲ通ジテ市制中ニ改正スベキ點ガ多々アル、
特ニ今日全國ノ市ニ亙リマシテ之ガ制度ヲ改善スル必要アルガ故ニ全國ニ亙
リマシテ市制改正案ヲ御提出ニナッタト云フコトデアリマス、而シテ東京市
モ無論市デアリマスカラ、全國ニ通ジマス、市制改正ノ結果ハ無論、東京市
ニ及ボスト云フコトハ本員モ承知シテ居リマス、政府ハ東京市モ全國ノ市ト
同樣、市制改正ニ依ッテ市ノ改善ヲ出來ルダケ十分ニ是デ試ル、而シテ又是等
ニ付イテ特別市制ガ必要ナリト云フ時機ニ至ッタラ都制法案ノ如キモノヲ提
出スルト云フ意味ノ御說明ノヤウニ伺ヒマスガ、果シテ私ノ解釋イタシマス
通リデ宜シイカドウカト云フコトヲ伺ヒタイト存ジマス
〔政府委員一木喜德郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=29
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030・一木喜徳郎
○政府委員(一木喜德郞君) 御答ヘヲ申シマス、先刻申上ゲマシタ趣旨ハ
先ヅ今日ノ所デ實行シ得ベキ改正方法ハ成ルベク速ク行ヒマシテ、東京市モ
又市ノ一デアリマスカラ、此一般ノ制度ノ改善ニ依ッテ其發達ヲ促シテ行キ
タイト考ヘテ居ルノデアリマス、ソレデ他日都制ヲ提出スルヤ否ヤト云フコ
トハ今日ニ於テ明言イタシカネマスノデ、卽チ今デハ此市制ノ改正ヲ以テ其
改善ヲ圖ヲテ效果ヲ擧ゲタイト考ヘテ居リマス、又左樣ナ希望ヲ持ッテ居リ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=30
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031・谷新助
○谷新助君 改正法第六十四條ノコトニ付キマシテ、政府委員ニ御伺ヒ致シ
タイノデゴザイマス、此六十四條ニ「市長」「助役」「名譽職參事會員」トアリ
マス其外ニ又「市參與」トアリマスガ、此「市參與」ト云フモノハ矢張リ名
譽職デアリマスカ、但シ又市長助役同樣ナモノデアリマスカ、チヨットソレ
ヲ御伺ヒ致シタウゴザイマス
〔政府委員一木喜德郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=31
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032・一木喜徳郎
○政府委員(一木喜德郞君) 御答ヘヲ申上ゲマス、唯今ノ御尋ネハ市參與ナ
ルモノハ名譽職デアルカ否ヤト云フ御尋ネデゴザイマシタガ、市參與ハ名譽
職ヲ本體ト致シマス、サリナガラ實際ノ必要ニ應ジマシテ之ヲ有給職トスル
コトモ條例ノ規定ニ據ッテ出來マス、左樣ナコトニナッテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=32
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033・波多野敬直
○男爵波多野敬直君 此兩案ハ重要ナ案デゴザイマスカラ、特別委員ヲ十五
名ニ致シタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=33
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034・關義臣
○男爵關義臣君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=34
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035・眞田幸世
○男爵眞田幸世君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=35
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036・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 波多野男爵ノ特別委員ノ數ヲ十五名トスル說ニ御
異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=36
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037・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=37
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038・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第十三、帝國學士院學術奬勵金特別會計
法案、政府提出、衆議院送付、第一讀會ノ續、委員長報告、特別委員長〓棲
伯爵
〔左ノ報〓書ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ載錄ス以下之ニ傚フ〕
帝國學士院學術奬勵金特別會計法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
明治四十四年三月十五日
右特別委員長
伯爵〓棲家〓
貴族院議長公爵德川家達殿
〔伯爵〓棲家〓君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=38
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039・清棲家教
○伯爵〓棲家〓君 唯今問題ニナリマシタ所ノ帝國學士院學術奬勵金特別會
計法案ノ委員會ノ模樣ヲ申上ゲマス、委員會ハ昨日開キマシテ政府委員ノ辯
明ヲ聞キマシテゴザイマスガ、諸君ノ御承知ノ如ク、第一讀會ノ場合ニ於キマ
シテ政府委員ヨリ辯明ヲ致シマシタ通リデゴザイマスカラ、其事柄ニ付イテ
ハ省略イタシマス、卽チ其要旨ト致シマス所ハ昨年ノ七月ニ特別ノ思召ヲ以
チマシテ學術奬勵ノ爲ニ向フ十箇年間御下賜金ガアルノデゴザイマス、本年
モ矢張リ御下賜金ガアル譯デゴザイマス、卽チ日程ノ第一ニ載ッテ居リマス
ル所ノ追加豫算ノ中ニ這入ッテ居リマス、故ニ其御下賜金ト及有志ノ寄附金
トヲ以チマシテ、サウシテ此學術奬勵金ニ使フト云フ所ヨリシマシテ、般
ノ歲入歲出トシマセズ之ヲ特別會計ト致シマシテ、サウシテ學術ノ爲ニ特ニ
功勞アリ或ハ顯著ナル事柄ヲ致シタ者ニ相當ノ賞與ヲ致サウト云フコトニナ
ッテ居ルノデアリマス、付キマシテハ此學士院ニ於キマシテ其賞與ヲスル所
ノ規則ガ出來テ居リマス、其規則ニ據リマシテ相當ナル機關ヲ經マシテ、其
機關ノ相談ニ依リマシテ、サウシテ賞與スルト云フコトニナッテ居リマス、故
ニ極ク必要ナル案ト認メマシテ委員會ニ於キマシテハ全會一致ヲ以テ可決ス
ベキモノト議了イタシタ次第デアリマス、右樣ナ次第デゴザイマシテ、特別
ナル御思召ニ依ル所ノ御下賜金ヲ土臺トシテ卽チ特別會計トスルト云フコト
デアリマシテ、極ク簡單ナ極ク明瞭ナ法案デゴザイマスカラ、願ハクハ讀會
省略ヲ以テ決議アラムコトヲ望ム次第デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=39
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040・田中芳男
○田中芳男君 讀會省略ニ贊成イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=40
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041・伊澤修二
○伊澤修二君 讀會省略ニ贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=41
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042・岩村兼善
○岩村兼善君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=42
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043・金子有卿
○男爵金子有卿君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=43
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044・堤功長
○子爵堤功長君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=44
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045・大原重朝
○伯爵大原重朝君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=45
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046・辻新次
○男爵辻新次君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=46
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047・淺野守夫
○男爵淺野守夫君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=47
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048・岩元信兵衞
○岩元信兵衞君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=48
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049・板倉勝達
○子爵板倉勝達君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=49
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050・土御門晴榮
○子爵土御門晴榮君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=50
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051・大田原一清
○子爵大田原一〓君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=51
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052・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 〓棲伯爵ノ讀會省略ノ動議ハ定規ノ贊成者ガゴザ
イマシタ、讀會省略ヲ可トスル諸君ノ起立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=52
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053・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 三分ノ二以上ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=53
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054・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 本案特別委員長ノ報告通リデ御異存ゴザイマセヌ
カ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=54
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055・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=55
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056・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第十四、朝鮮總督府鐵道及通信官署ニ於
テ取扱フ現金ノ出納ニ關スル法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會ノ續、
委員長報告、第十五、明治四十年法律第四十八號中改正法律案、政府提出、
衆議院送付、第一讀會ノ續、委員長報〓、第十六、明治四十年法律第四十九號
中改正法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會ノ續、委員長報〓、特別委
員長〓閑寺伯爵
朝鮮總督府鐵道及通信官署ニ於テ取扱フ現金ノ出納ニ關スル法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
明治四十四年三月十五日
右特別委員長
伯爵〓閑寺經房
貴族院議長公爵德川家達殿
明治四十年法律第四十八號中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
明治四十四年三月十五日
右特別委員長
伯爵〓閑寺經房
貴族院議長公爵德川家達殿
明治四十年法律第四十九號中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
明治四十四年三月十五日
右特別委員長
伯爵〓閑寺經房
貴族院議長公爵德川家達殿
〔伯爵〓閑寺經房君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=56
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057・清閑寺經房
○伯爵〓閑寺經房君 御報告ニ先ダチマシテ、チヨット御斷リヲ申上ゲテ置
キマスガ、私ハ一兩日前カラ風ヲ引キマシテ、イタク咽喉ヲ傷メテ居リマス
ノデ、十分ニ大キナ聲ヲ出スコトガ出來マセヌカラ、定メテ御聽キヅライコ
トデアラウト存ジマスケレドモ、ドウカ惡シカラズ御承知ヲ願ヒマス、第一、
御報告イタシマスルコトハ、朝鮮總督府鐵道及通信官署ニ於テ取扱フ現金ノ
出納ニ關スル法律案ノ委員會ノ情況竝ニ結果デゴザイマス、此法案ノ趣旨ト
致シマス所ハ、此度朝鮮總督府ノ鐵道局、又ハ郵便局ニ於キマシテ官吏ノ外ニ
事務員、卽チ雇員ヲ使用シマシテ、其雇員ニ現金ヲ取扱ハセルト云フコトニ
ナルノデゴザイマス、旣ニ此雇員ニモ現金ヲ取扱ハセルト云フコトニナリマ
シタ以上ハ、總テノ官金ヲ扱ヒマスル所ノ官吏ニ適用イタシマスル會計法ノ
規定ヲ此雇員ニモ準用イタシマシテ、十分ニ責任ヲ有タセルト云フコトハ至
當ノコト、又是非サウナラナクテハナラヌト云フノデ、此法案ガ今囘提出サ
レタヤウニ承リマシタ、右樣ナ次第デ此法案ハ御承知ノ如ク名稱ハ隨分長キ
法案デゴザイマスケレドモ、趣意ハ至ッテ簡明デゴザイマスノデ、委員會ニ
於キマシテハ二三微細ナ質問ハゴザイマシタナレドモ、別ニ反對ノ意見モ無
ク、全會一致ヲ以テ可決イタシマシタ、此段御報告申上ゲマス、ソレカラ今
度ハ第四十八號中改正法律案デゴザイマス、此案ハ第四十九號中改正法律案
ト同ジ性質ノモノデゴザイマス、唯違ヒマス所ハ第四十八號ノ方ハ純粹ノ官
吏ノ恩給及扶助料ヲ規定シタモノデゴザイマス、第四十九號ノ方ハ純然タル
官吏デナイ謂ハバ········政府委員ノ御話ニ依リマスト、是ハ待遇官吏トデモ云
フベキ性質ノモノデアルト云フ御話デゴザイマシタガ、其巡査、看守、女監取
締等ノ退隱料、竝ニ遺族扶助料ヲ規定シタモノデアルト云フダケノコトデ、
詰リ同ジヤウナモノデゴザイマスルカラ、此兩案、卽チ四十八號ト四十九號
ト此兩案ヲ束ネテ御報告ヲ致シマス、一體此二案ハドウ云フ必要ガゴザイマ
シテ提出ヲサレタカト申シマスト、御承知ノ如ク朝鮮ガ昨年我國ニ合併セラ
レマシタ結果、唯今マデ統監府デアッタモノガ總督府ト云フ名稱ニ變リマシ
タ、從ッテ此官制ノ上ニ餘程面倒ヲ來タシマシタノデ、玆ニ此兩法案ノ改正
ヲ見ルニ至ッタヤウナ次第デゴザイマス、大體私ハ斯樣ニ承リマシタ、ソレ
デ衆議院ニ於キマシテモ此改正ハ至極當然ノコトヽ認メマシテ第四十八號ノ
方ニ對シマシテハ原案ノ通リ可決イタシマシタ、第四十九號ノ方ニ於キマシ
テハ是ハ諸君ノ御手許ニゴザイマスカラ、御覽デゴザイマセウガ、政府ノ案、
卽チ原案ニハ唯「內地人タル巡査」ト斯ウゴザイマシタガ、其「巡査」ト云
フ上ヘ持ッテ行ッテ「警部補」ト云フ者ヲ入レマシタ、ソレカラ附則ノ第二
項ニゴザイマスル警部補ト云フ者ハ御承知ノ如ク官吏デアリマス、其官吏タ
ル警部補ト云フ者ヲ入レマシタガ爲ニ退職ト云フ文字バカリデハイケナイ、
官吏ノ謂ハユル隱退ヲ致シマスル場合ニ用ヰル所ノ言葉、卽チ「退官」ト云フ
コトガ無クテハナラヌト云フノデ、「退職」ノ上ヘ持ッテ行ッテ「退官」ト云
フコトヲ入レマシタノデゴザイマス、勿論是ハ至當ノ修正デゴザイマスデ、
政府ノ方ニ於キマシテモ無論同意ヲサレタト云フコトデゴザイマス、右樣ナ
譯デ、此四十八號モ四十九號モ至ッテ簡單ナモノデゴザイマシテ、此案ニ對
シテモ委員會ニ於テハ何ノ質問モ無ク迅速ニ可決イタシタノデゴザイマスル
デ、ドウカ本議場ニ於キマシテモ委員會ノ決議通リ速ニ御可決アラムコトヲ
希望イタシマス、此段御報告イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=57
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058・谷森眞男
○谷森眞男君 唯今ノ三案ハ何レモ簡單ナモノテゴザイマスカラ、讀會ヲ省
略セラレテ可決サレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=58
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059・關義臣
○男爵關義臣君 讀會省略贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=59
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060・廣澤金次郎
○伯爵廣澤金次郞君 讀會省略贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=60
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061・安場末喜
○男爵安場末喜君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=61
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062・眞田幸世
○男爵眞田幸世君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=62
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063・田中芳男
○田中芳男君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=63
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064・梅小路定行
○子爵梅小路定行君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=64
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065・徳川厚
○男爵德川厚君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=65
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066・南光利
○男爵南光利君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=66
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067・本荘壽巨
○子爵本莊壽巨君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=67
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068・萬里小路通房
○伯爵萬里小路通房君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=68
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069・野田豁通
○男爵野田豁通君 贊成
〔其他「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=69
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070・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 谷森君ノ讀會省略ノ動議ニハ定規ノ贊成者ガアッ
タト認メマス、讀會省略ニ同意ノ諸君ノ起立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=70
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071・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 三分ノ二以上ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=71
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072・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ガゴザイマセヌケレバ三案トモ束ネテ採決
ヲ致シマス、三案トモ特別委員長ノ報告通リデ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=72
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073・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=73
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074・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第十七、東京市及大阪市ニ關スル法律案、
衆議院提出、第一讀會
東京市及大阪市ニ關スル法律案
右本院提出案及送付候也
明治四十四年三月十四日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
第一條東京市及大阪市ノ公共事務ニ付テハ特ニ內務大臣直接ニ之ヲ監督
シ市制中府知事又ハ府參事會ノ職權ニ屬スヘキモノハ總テ內務大臣ニ專
屬ス
第二條前條ノ事務ニ關シ市制中府知事又ハ府參事會ヲ經由シ行政裁判所
ニ出訴スヘキモノハ直ニ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第三條市制中府參事會ニ於テ市會又ハ市參事會ニ代リ處分スヘキ場合ハ
市長內務大臣ノ認可ヲ經テ之ヲ處分シ次ノ市會ニ報告スヘキモノトス
第四條吏員ノ懲戒ニ關スル事項ハ市長ノ行フモノノ外勅令ヲ以テ之ヲ定
ム
第五條本法ニ規定スルモノノ外ハ總テ市制ヲ適用ス
附則
本法ハ明治四十四年十月一日ヨリ之ヲ施行ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=74
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075・廣澤金次郎
○伯爵廣澤金次郞君 此東京市及大阪市ニ關スル法律案、是ハタシカ速記錄
デ承知イタシマスル所ニ依リマスト、政府ハ反對ト承知イタシマスガ、願
御反對ノ理由ヲ承リタイト考ヘマス
〔政府委員一木喜德郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=75
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076・一木喜徳郎
○政府委員(一木喜德郞君) 本案ニ對シマシテハ政府ハ衆議院ニ於テ反對ノ
意見ヲ表明イタシテ置キマシタ、ソレデ東京市ノ如キ大都會ニ於ケル制度ニ
付キマシテハ、先刻廣澤伯爵ノ御尋ネニ對シテ御答ヘヲ致シタ如キ考ヘヲ持ッ
テ居リマス、此案ヲ提出セラレタ所ノ提出者ノ趣旨ヲ、提出ノ理由ニ依ッテ承
知イタシマス所ニ依リマスレバ、東京市ニ付キマシテハ貴族院ヨリ都制案ノ
提出ガアリ、衆議院ニ於テモ東京市制案ヲ提出シテ、屢〓各〓其院ノ議決ヲ經テ
居ル、然ルニ是等ノ兩案ノ多クノ點ニ於テ一致シテ居ル所ガアルニ拘ラズ、何
レモ成立ニ至ッテ居ラナイ、ソレデ此度ハ其兩案ノ中ノ相一致シテ居ル點、
卽チ監督ノ階級ヲ東京市ノ如キニ對シテハ、一階級ニスルト云フダケノ趣旨
ノ改正案ヲ提出シタノデアルト云フノガ、提出ノ當時、提出者ノ說明セラレタ
趣旨デアルト承知シテ居リマス、ソレデ東京市ノ如キ大都會ニ對シマスル制
度ヲ特ニ定ムルト云フコトニ付イテノ意見ハ先刻述ベタ通リデアリマスガ、
此案ハ衆議院ニ於テ十分愼重ニ審査ヲセラレタコトヽ信ジマスケレドモ、不
幸ニシテ政府ノ見ル所デハ、マダ十分ニ支障ノ點ヲ除カレテ居ラナイト存ジ
マス、デ其理由ヲ簡單ニ申上ゲマスレバ、本案ハ自治事務ニ限ッテ、之ヲ內務
大臣ノ直接ノ監督ノ下ニ立タシメルト云フ、斯ウ云フ案デアリマス、然ルニ
第一ニハ今日ノ行政ノ組織ニ於キマシテハ、各地方ハ之ヲ府縣ニ別ッテ、府
縣知事ハ其ノ府縣ノ區域内ニ於ケル一切ノ行政事務ヲ統轄シテ居リマス、就
中自治團體ニ對シマスル所ノ監督事務ハ府縣知事ノ職責ノ中デ最モ重大ナル
モノデアリマス、然ルニ東京市モ東京府ノ管轄區域中ニアリナガラ其自治事
務ニ限ッテ內務大臣ノ直轄タラシメルト云フノハ、行政ノ系統ヲ正シクスル
所以デナイト思ヒマス、又モウ一ツニハ自治事務ト國政事務ト互ニ相關聯ス
ル所ノ多イノハ申上ゲルマデモナイコトデアル、然ルニ自治事務ノミニ限ツ
テ、東京府知事ハ其監督權ヲ剝ガレテ、國政事務ノミニ付イテ依然、監督ノ
責任ヲ有ツト云フコトニナリマスカラ、此二ツノ相關聯シタモノヲ引離シテ、
其ノ一方ノミノ監督ノ職責ヲ有タシメルト云フコトハ、實行上甚ダ困ル所デ
アリマス、ソレカラ市ノ經濟ニモ及ブコトデアリマシテ、市ノ經濟ハ專ラ自
治ニ屬スルモノデアリマスカラ、是等ノ場合ニ於キマシテモ、國政事務ニ對
スル監督ト、自治事務ニ對スル監督ト引離シタ結果、極メテ不便ナルコトガ
アルノハ特ニ申上ゲヌデモ自ラ明カデアラウト思ヒマス、斯樣ナ闕點ガアリ
マスノデ、此案ハ衆議院ニ於テ十分熟慮セラレタデハアリマセウガ、遺憾ナ
ガラ未ダ完全ナル案ト認メルコトハ出來ヌト思ヒマス、要スルニ先刻申シマ
シタ通リ、東京市ノ如キ大都會ニ對シテハ未ダ十分滿足スベキ成案ノ無イ今
日デアリマスカラ、政府ハ本案ニ對シテハ同意ヲ表シカネルノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=76
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077・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第十八、地租條例中改正法律案、衆議院
提出、第一讀會、第十九、登錄稅法中改正法律案、衆議院提出、第一讀會、
第二十、國稅徵收法中改正法律案、衆議院提出、第一讀會
地租條例中改正法律案
右本院提出案及送付候也
明治四十四年三月十四日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
地租條例中左ノ通改正ス
第十二條第一項第二號中第四期ヲ左ノ如ク改ム
第四期翌年六月一日ヨリ
同六月三十日限地租額四分ノ一
登錄稅法中改正法律案
右本院提出案及送付候也
明治四十四年三月十四日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
登錄稅法中左ノ通改正ス
第十九條第二號中「公共團體ニ於テ公用ニ供」ノ下ニ「シ模範造林ニ充テ
又ハ市町村若ハ公立學校ノ基本財產ニ供」ヲ加フ
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
國稅徵收法中改正法律案
右本院提出案及送付候也
明治四十四年三月十四日
衆議院議長長谷場純孝
貴族院議長公爵德川家達殿
國稅徵收法中左ノ通改正ス
第四條ノ二、第四條ノ三、第四條ノ四、第九條、第十條、第十二條、第十
七條、第二十三條ノ一、第二十八條、第二十九條及第三十一條中「督促手
數料」ヲ「督促手數料、延滯金」三郎人
第五條第二項ヲ左ノ如ク改ム
前項徵收ノ費用トシテ地租ニ對シテハ其ノ徵收金額ノ千分ノ七其ノ他ノ
國稅ニ對シテハ其ノ徵收金額ノ百分ノ四ヲ其ノ市町村ニ交付スヘシ
附則
本法ハ明治四十四年度分ヨリ之ヲ適用ス
〔政府委員若槻禮次郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=77
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078・若槻禮次郎
○政府委員(若槻禮次郞君) 此衆議院提出ノ三法案ニ對シテ政府ノ見ル所ヲ
一應申上ゲマス、地租條例中ノ改正案ハ、是ハ今日、田租ノ第四期ノ納期ガ
五月デアリマスモノヲ六月ニ延バシテ改メヤウト云フ案デアリマス、デ納期
ヲ延バシマスコトハ、國庫ノ收支ノ關係カラ甚ダ都合ガ宜クナイト云フコト
ハ是ハ申上ゲルマデモナイコトデアリマス、納人ニ取ッテハ或ハ一箇月延ビ
タラバ幾ラカ便利デアラウトハ思ヒマスガ、五月六月ト云フ間ニ於テ六月ト
云フノハ半年ノ決算期デアリマスカラ、隨分資金ノ要ル時デアリマスノニ、其
六月ニ納期ヲ移スト云フコトハ納人ニ取ッテ必シモ便利デアルトハ言ハレナ
イト思ヒマス、ソレ故ニ地租條例中改正案ニハ政府ハ不同意デアルノデアリ
マサカソレカラ登錄稅法中ノ改正案、是ハ今日公共〓體ガ土地ヲ取得イタシ
マシタ場合ニ、其目的ガ公用ニ供スル目的デアリマスレバ、登錄稅ヲ取ラヌ
ト云フコトニナッテ居リマス、此特典ヲバ公共〓體ガ模範造林ノ用ニ充テル
爲ニ土地ヲ取得シタ場合、及市町村若クハ公立學校ガ基本財產ニスル爲ニ土
地ヲ取得シタ場合ニモ及ボシテ、登錄稅ヲ免除シタイト云フノガ衆議院ノ提
出案ノ趣意デアリマス、其一ツデアル所ノ模範造林ノ爲ニスルモノニ免稅ス
ルト云フコトハ、是ハ今日デモ模範造林ノ爲ニスルモノハ、公用ニ供スルモノ
ナリトシテ、政府ハ登錄稅ヲ徵收シナイノデアリマスカラ、斯樣ナ改正案ハ
其必要ヲ見ヌト云フ意味ニ於テ改正ノ要ガ無イト申サナケレバナリマセヌ、
ソレカラ基本財產ノ事ニ付イテハ大體公用ニ供スルモノハ稅ヲ取ラヌガ、私
用ニ供スルモノハ稅ヲ取ルト云フ、斯ウ云フ主義ヲ今日ハ執ッテ居リマス、
凡ソ租稅ハ成ルベク國民全體カラ除外例ナク徵收スルノデアッテ初メテ公平
デアリマスガ、或ルモノハ稅ヲ取リ或ルモノハ稅ヲ取ラヌト云フノハ是ハ餘
程重大ナ理由ガ無ケラネバ斯ノ如ク取扱ヲ異ニスベキモノデハナイノデアリ
マント。然ルニ市町村ノモノト雖モ又學校ノモノト雖モ、之ヲ公用ニ供セズシ
テ是ヨリ收益スル目的デアリマス以上ハ、之ニ對シテ租稅ヲ免除スルト云フ
理由ハ生ゼヌノデアリマスカラ、此點ニ於テ政府ハ反對デアリマシテ、此改
正案全體ニ對シテ反對スルノデアリマス、ソレカラ國稅徵收法中ノ改正、是
ハ色〓ノ點ガアリマス、改正ノ要點ハ是マデ營業稅ノ如キ、所得稅ノ如キ、
國稅ヲ徵收スル場合ニハ市町村ニ對シテ百分ノ四ノ金額ヲ交付シテ居リマ
ス、然ルニ地租ニ付イテハ何等交付ヲ致サヌデ居タト云フ事柄ヲ改メテ、今囘
地租ニ對シテモ徵收金ノ千分ノ七ダケノ交付金ヲ與ヘヤウ、其他ノ國稅ニ付
イテハ從來ノ通リ交付金ヲ與ヘヤウト云フノガ此改正案ノ重モナル點デアリ
やっ、是マデ地租ニ付イテ交付金ヲ與ヘテ居リマセヌノハ、全ク沿革上カラ
來タコトデアリマシテ、道理ヲ申シマシタナラバ、地租ニ付イテモ其他ノ國
稅ニ付イテモ、徵收手數料ヲ交付スルノガ當リ前デアラウト思ヒマス、ソレ
故ニ衆議院ガ此點ヲ改正シヤウト企テラレタノハ理窟ハ十分アルコトヽ思ヒ
マスガ、若シ斯ウ云フ改正ヲセラレルナラバ、願ハクハ國稅全體ニ於テ、例ヘ
バ百分ノ二トカ云フヤウナ工合ニ平等ニ交付セラレタ方ガ宜カッタデアラウ
ト思ヒマスケレドモ、左樣イタスト云フト今日所得稅ナリ營業稅ナリノ多キ
地方ニ於テハ國庫カラ受ケテ居ル交付金ガ減ジテ、從ッテ其市町村ノ財政ニ
モ幾ラカ關係スルト云フ意味ヲ以テ其所ニ顧慮シテ衆議院ニ於テハ其交付金
ハ從來ノ通リニシテ、而シテ地租ニ付イテモ其手數ヲ償フダケノ交付金ヲ與
ヘヤウト云フ改正案デアリマスノデ、現狀ヲ顧ミテ穩ニ此改正ヲ實行シヤウ
ト云フ意味デアラウト思ヒマスカラ、此衆議院ノ提出案ニ對シテ國稅徵收法
ノ改正案ニ對シテハ政府ハ全然同意ヲシテ居ル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=78
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079・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 此際諸君ニ御諮リヲ致シマス、議事日程ノ第七、
第十八、第十九、第二十ヲ同一委員ニ付託シテ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=79
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080・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 第十一、第十二、第十七、此三案ハ同一委員デ御
異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=80
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081・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=81
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082・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第二十一、砂糖消費稅法中改正法律案、
衆議院提出、第一讀會ノ續、委員長報〓、特別委員長寺島伯爵
砂糖消費稅法中改正法律案
右別冊ノ通リ修正セリ依テ及報〓候也
明治四十四年三月十五日
右特別委員長
伯爵寺島誠一郞
貴族院議長公爵德川家達殿
小字ハ特別委員ノ修正、
1ハ同削除ノ符號
砂糖消費稅法中左ノ通改正ス
第三條中第一種ヲ左ノ如ク改ム
第一種砂糖色相和蘭標本第十一號未滿ノ砂糖
甲樽入黑糖、同白下糖百斤ニ付金二圓
乙樽入白下糖但シ分蜜シタルモノ、白下糖以外ノ砂糖ニ加工
シテ製造シタルモノ及全部又ハ一部ノ新式機械ニ依リ製造
シタルモノヲ除ク百斤ニ付金二圓五十錢
丙
に其ノ他ノモノ百斤ニ付金三圓
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔伯爵寺島誠一郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=82
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083・寺島誠一郎
○伯爵寺島誠一郞君 此砂糖消費稅法中改正法律案ハ衆議院提出ノ案デゴザ
イマシテ、今日我國デ消費シテ居リマスル砂糖總額約五億万斤ノ百分ノ四ニ
當ッテ居リマス年額二千万斤ノ白下糖ガ、今日ノ砂糖消費稅法ニ於キマシテ
ハ第一種ノ乙ノ部類ニ組入レラレテ居リマスルノデ、百斤ニ付イテ三圓ノ課
稅ヲ拂フコトニナッテ居リマスルノハ、甚ダ白下糖ノ爲ニハ高過ギル、之ガ
爲ニ其白下糖ノ生產ハ萎靡イタシマシテ、生產地方ハ甚ダ困難ノ狀態ニ陷ツ
テ來ル、而シテ遂ニ其業ヲ廢セムトスル有樣デアルカラ、全般ノ砂糖ニ惡ル
イ影響ヲ及ボサナイ以上ハ、寧ロ減稅ヲシテ此特殊ノ砂糖卽チ白下ヲ少クト
モ現狀維持ノ程度ニ置クヤウニシタ方ガ經濟政策ノ上カラ考ヘテ宜シイノデ
アラウ、是ガ衆議院ノ理由デアルヤウニ我〓ハ了解イタシマシタ、ソコデ左
樣デアルガ故ニ、此白下糖ヲ甲ノ樽入黑糖ノ部類ニ入レテ、一圓ノ減稅ヲ行
ッテ二圓ニシテ欲シイト云フコトガ卽チ此案ノ提出ノ重モナ理由デアルト我
〓ハ了解シタノデアリマス、ソレニ對シマシテ政府ハ第一、ソレデハ歲人ガ
減少スルコトニナル、第二ハ黑糖百斤ニ付イテ二圓ノ課稅ニ比較シテ白下糖
百斤三圓ハ少シ高過ギルヤウデアル、併ナガラ黑ト白トハ品質ガ違フノデ差
額ガ出來テ居ル、ソレデアルガ白下ハ黑糖ヨリ一段上等ナ品デアルトスレバ、
ソレダケ高イ稅ヲ取ッテモ宜イノデアル、併ナガラ其稅ガ二圓ト三圓、一圓
ノ差デアルノハ公平デアルト云フコトハ言ハナイガ、併シ黑糖白下糖ガ同ジ
稅率ノ下ニ在ルコトハ不公平デアルト云フコトヲ政府ハ言ハレマシタ、ソコ
デ委員ニ於キマシテハ每年每年斯ウ云フ案ガ出ルモノデアリマスカラシテ、
十分愼重ニ審議ヲ致シテ見マシタ所ガ、成ルホド斯ノ如キ一部分ノコトハ大
局カラ觀察イタシマスレバ小サナ問題デハアリマスケレドモ、政府デモ何分
カ道理ノアルコトヽ思ハネバナラナイ、若シ改善スル餘地ガアルナラバ改善
シテモ宜イト云フ意向デアルヤウニ考ヘラレ、我〓モ亦サウ云フ改善ヲシテ
ヤル餘地ヲ此案ノ中ニ見出ダスコトガ出來ルナラバ、ドウカサウシテヤリタ
イ、斯ウ思ッタノデアリマシテ、我〓當局ニ向ッテハ種々ソレニ關スル質問
ヲ試ミタ次第デアリマス、卽チ社會政策ノ上カラ是等ノ各種糖ノ產地ニ於ケ
ル狀態、又臺灣糖ト內地糖トノ關係、或ハ内國糖自身相互ノ間ニ於ケル關係等
ヲ十分ニ〓究イタシマシテ、遂ニ斯ノ如キ修正案ヲ提出スルヤウニナッタノ
デアリマス、ソコデ委員會ハ審議ヲ致シマシタ所デ、成ルホド白下糖ヲ黑砂
糖ト一〓ニスルコトハ困ルト云フ政府ノ反對ノ理由モ聞カナケレバナラヌ、
而シテ衆議院ノ言フ所ノ白下糖ヲ乙ニ入レテ三圓ノ稅ヲ課セラルヽコトハ、
キツイコトデアル、斯ウ云フコトモ酌量シナケレバナラヌ情狀デアル、依ッテ
我〓ハ委員會ニ於キマシテ一圓減ズル所ヲ五十錢減ジテ、「甲」「乙」ト第一種
糖ノ砂糖ガ分ッテアリマスノヲ「甲」「乙」「丙」ノ三ツニ分チマシテ、乙ノ部
類ニ白下糖ヲ持ッテ參ッタ次第デアリマス、此但書ヲ付ケマシタ理由ハ白下
糖ハ是マデ三圓稅ヲ取ッテ居リマシタ、之ヲ二圓五十錢ニスル、五十錢減ジ
マスレバ白下糖ニアラザル模造品ガ白下糖デアルト云フ名ノ下ニ、又臺灣ニ
ゴザイマスル含蜜糖ガ白下糖ト云フ假面ヲ被ブッテ二圓五十錢ノ稅ノ恩典ニ
浴スルトカ、又ハ彼ノ地デ出來マシタ新式機械製ノ白下糖ガ五十錢ノ稅ヲ減
ズル爲ニ內地ニ這入ッテ來テ白下糖ニ壓迫ヲ加ヘルトカ或ハ一方カラ見マス
ト、臺灣ニ於テソレダケ白下糖トナッテ外ニ出テ行クナラバ、臺灣ノ稅源ニソ
レダケノ闕陷ヲ來タストカ云フヤウナ虞レガアリマスカラ、茲デ但書ヲ以テ、
非常ニ長イ但書デアリマスルガ十分是等ノモノヲ防グト云フ用意ヲ盡シタ但
書デアルノデゴザイマス、政府モ今日ノ場合、此我〓ガ修正議決イタシマシ
タコトニ對シマシテハ課稅ノ主義ノ上デハ先ヅ牴觸シテ居ラヌモノト認メテ
居ル、又脫稅モ十分防グコトガ付イテ居ルヤウデアルカラ、强ヒテ反對ヲサ
レナイノミナラズ、殆ド委員會ト意見ヲ同ジウセラレテ居ルモノト見テ宜イ
ヤウナ點ガ少クナイノデアリマス、我〓ハ斯ノ如キ考ヘヲ以テ皆樣ノ御手許
ヘ囘ハシテアリマス通リ修正議決ヲ致シタ次第デアリマス、デ本會議ニ於キ
マシテモ、此修正議決ニ對シテ御贊成アラムコトヲ希望シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=83
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084・鎌田勝太郎
○鎌田勝太郞君 本案ハ過日第一讀會ノ節ニ、政府委員ハ松平伯爵ノ質問ニ
對シテ、衆議院案ニハ同意ヲシカネルト云フヤウナル御演說デゴザリマシタ
ガ、本院ノ委員會ニ於テ適當ナル修正ヲ爲シマシテ、滿場一致ヲ以テ委員會
ニ於テ決セラレマシタル此案ハ、最早政府ニ於カレマシテモ同意ヲ表セラレ
ルコトヽハ信ジラレマスガ、念ノタメ政府ノ御意見ヲ承リマス
〔政府委員若槻禮次郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=84
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085・若槻禮次郎
○政府委員(若槻禮次郞君) 唯今委員長ガ御述べニナリマシタ如ク、此委員
會ノ修正ハ稅率ノ範圍內ニ於テ砂糖ノ品質ニ能ク應ズルヤウナ譯デアリマス
ノミナラズ、但書ヲ加ヘラレテ、其結果トシテ政府ノ當初推算シテ居リマシ
タ程マデニ稅額ノ減ズルコトハ無イト云フコトガ確カマリマシタ故ニ、此委
員會ノ修正通リデアリマスナラバ、政府ハ本案ニ同意ヲ申上ゲルノデアリマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=85
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086・田中芳男
○田中芳男君 チヨット政府委員ニ御尋ネ致シタウゴザイマス、此案〓少シ
私ノ質問ハ違フカモ知レマセヌケレドモ、過日來諸方カラ囂々トシテ白下黑
砂糖ノコトニ付イテ種々ノ請願ガ出テ參リマシタ、故ニ序デナガラ伺ッテ置
キマス、其請願ノ趣意ト云フモノハ、此黑砂糖白下ハ臺灣ノ砂糖ト比較シテ
稅ガ高イ、然ルニ臺灣糖ハ非常ナ御保護ガ有ルカラ、イツデモ比較シテカラ
ニ、コチラガ損ニナル、願ハクハ臺灣糖ノ保護ヲ廢メテ下サルカ、又ハ臺灣
糖ノ保護ト同樣ノモノヲ我〓ニモ與ヘテ下サルヤウニシテ欲シイト云フヤウ
ナコトヲ言ッテ來テ居ルモノガ多カッタ、デ此相變ラズ臺灣糖ノ爲ニ特別保
護ト云フモノハ、ドンナコトニナッテ居リマスカ、ソレヲ心得ノ爲ニ一應伺ヒ
マス
〔政府委員若槻禮次郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=86
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087・若槻禮次郎
○政府委員(若槻禮次郞君) 臺灣ニ於ケル砂糖ノ保護ノ重モナルモノハ、御
承知ノ如ク砂糖ヲ製造シマスルト云フト、其原料トシテ使ヒマシタ甘蔗ノ量
千斤ニ付キ一圓ノ奬勵費ヲ與ヘル、ソレカラ又內地ノ砂糖ニ精製サレル原料
ニ臺灣ノ砂糖ヲ供シマスルト云フト、百斤ニ付イテ一圓九十五錢ホド補助ヲ
與ヘルト云フノガ臺灣ノ砂糖奬勵ニ付イテノ重モナル交付金デアリマスル
ガ、其製造砂糖ニ對シテ、原料甘蔗千斤ニ付イテ一圓ヲ給スルト云フコトハ四
十三年度限リデ、モウ四十四年度カラハ之ヲ廢スルコトニ致シマシテ、現.
御協賛ヲ經マシタ豫算ニ於テモ、昨年アッタ金額ハ削ッテ出テ居ルヤウナ次
第デアリマシテ、其制ハ廢メマシタノデアリマス、內地ノ精糖ノ原料ニ供ス
ルモノハ、是ハ百斤ニ付イテ昨年通リデハアリマスケレドモ、或ル金額ノ補
助ヲスルト云フコトハ、四十四年度ニ限ッテハ尙ホ殘ス考ヘデ、現ニ御協賛ヲ
經マシタ豫算ノ中ニ載ッテ居リマスノデアリマスガ、四十四年度ハマダ舊ノ
關稅ガ一部卽チ本年ノ七月十六日マデハ行ハレルノデアリマス、外國糖トノ
關係ニ於テ今一年度ダケ之ヲ繼續スルト云フノデアリマスカラ、此モノハ四
十四年度ダケハ是マデ通リ實行イタシマスケレドモ····金額ハ稍〓違ヒマス
ガ、兎ニ角其方法ハ實行イタシマスケレドモ、是モ亦四十四年度限リデ廢メ
マシテ、四十五年度以後ハ此保護ハ廢メル譯デアリマス、ソレデ要スルニ臺
灣ニ於テ最モ多額ニ砂糖ニ與ヘテ居リマシタ保護金ト云フモノハ、來年度カ
ラ廢メルカ、或ハ再來年カラ廢メルト云フコトニナリマス、殘ル所ハ農業上
ノ施設ニ對スル奬勵ト云フモノガ若干アルカモ知レマセヌガ、製造サレル砂
糖ニ對スルモノハ、關稅ノ適用···新シイ關稅ノ適用ヲ受クルト同時ニ、
年或ハ二年ノ過渡ノ時ヲ除イテハ全然之ヲ廢メルコトニナルノデアリマス、
之ヲ御答ヘシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=87
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088・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 採決ヲ致シマス、本案ノ第二讀會ヲ開クベシトス
ル諸君ノ起立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=88
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089・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 過半數ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=89
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090・寺島誠一郎
○伯爵寺島誠一郞君 直チニ第二讀會ヲ開カレムコトヲ希望シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=90
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091・大木遠吉
○伯爵大木遠吉君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=91
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092・大原重朝
○伯爵大原重朝君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=92
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093・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 直チニ第二讀曾ヲ開クベシトスル說ニ御異存ゴザ
イマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=93
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094・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=94
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095・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 直チニ第二讀會ヲ開キマス、全部ヲ問題ニ供シマ
ス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=95
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096・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 特別委員長ノ報告通リ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=96
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097・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=97
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098・寺島誠一郎
○伯爵寺島誠一郞君 直チニ第三讀會ヲ開カレムコトヲ希望シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=98
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099・大木遠吉
○伯爵大木遠吉君 贊成
〔其他「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=99
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100・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 直チニ第三讀會ヲ開イテ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=100
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101・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=101
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102・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 直チニ第三讀會ヲ開キマス、第二讀會決議ノ通リ
デ御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=102
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103・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=103
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104・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議事日程第二十二、水道條例中改正法律案、衆議
院提出、第一讀會ノ續、委員長報告、特別委員長大木伯爵
水道條例中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
明治四十四年三月十五日
右特別委員長
伯爵大木遠吉
貴族院議長公爵德川家達殿
〔伯爵大木遠吉君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=104
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105・大木遠吉
○伯爵大木遠吉君 水道條例ノ改正案ノ委員會ニ於ケル結果ヲ御報告イタシ
やっ、該案ハ元來水道條例ニ於テ水道ヲ布設スルコトハ市町村ノ公費ヲ以テ
布設スルヨリ外ニ途ハアリマセヌデアリマシタノヲ、町村ノ如キ所ハ自然種
々ノ負擔モアリマシテ、水道ノ布設ニ著手スルト云フ機會ハ殆ド得ラレナイ
狀態ニアリマスル爲ニ、此條例ニ改正ヲ加ヘマシテ、私人ノ經營ト雖モ之ヲ許
ス、サリナガラ此元來ノ原則デアル所ノ公營主義·······公營ノ主義ト云フモノ
ハ決シテ是ハ破壞スルコトハナラヌ、一時ノ便法トシテ私人ノ經營ニ之ヲ許
シテ差支ヘナシト認メタ場合ニ於テハ之ヲ許サウ、卽チ其調査及監督ノ如キ
モノハ、依然トシテ矢張リ內務省ニ於テ之ヲ爲スベキモノデアル、而シテ是ハ
決シテ私人經營ト雖モ營利ノ爲ニ圖ルコトヲ許サナイ、斯ノ如キ見解ヲ以テ、
種々委員會ニ於キマシテモ質問ヲ致シマシタ結果、之ヲ可決スベシト、斯ウ
云フ意向デアリマシテ、政府モ亦之ニ同意ヲ致サレタ次第デアリマス、委員
會ニ於テハ滿場一致ヲ以テ可決シタ次第デアリマス、本案ハ御承知ノ如ク衆
議院提出案デアリマス、サリナガラ矢張リ質實ナル堅實ナル民意ヨリ成立ッ
タモノハ貴族院ハ公平ニ之ヲ審査シテ而シテ其民意ヲ或ル程度マデハ無論理
由ナク拒ムモノデハナイト云フコトヲ事實ニ於テ表示イタスコトノ機會ヲ得
マシタコトハ本員ノ甚ダ光榮ト致ス所デアリマス、昨日ハ普通選擧ノ如キ問
題ガアリマシタガ、是ハ本員モ大反對デアッタガ、決シテ民意ヲ理由ナク拒
ム者デナイ、大日本帝國ノ貴族院ハ理由ナク之ヲ拒ムモノデハナイト云フコ
トヲ表示スルノ機會ヲ得タコトハ本員ノ甚ダ光榮ト致ス所デアリマス、本案
ハ御承知ノ如ク簡單ナル案デアリマスルガ故ニ、願ハクハ讀會省略ヲ以テ直
チニ可決確定アラムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=105
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106・石黒忠悳
○男爵石黑忠悳君 チヨット委員長ニ伺ヒマスガ、此「土地開發」ト申シマ
スコトハ、〓括イタシマスト、ドウ云フコトヲ申シマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=106
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107・大木遠吉
○伯爵大木遠吉君 何デスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=107
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108・石黒忠悳
○男爵石黑忠悳君 土地開發ト申シマスコトハ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=108
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109・大木遠吉
○伯爵大木遠吉君 土地開發·······ソレハ私御答ヘシマセウ、元來此水道ヲ布
設スルコトハ布設其モノヲ以テ布設者ガ利益ヲ圖ルト云フ意味デハナイノデ
アル、又出來ナイノデアル、唯土地ニ水道ヲ布設シマシテ便利ヲ得セシメタ結
果ガ土地ヲ開發セシメテ、其土地ヲシテ價ヲ增ストカ、或ハ工場地トナルト
カ云フガ如キ便利ヲ得セシムルガ主眼デアリマス、故ニ其結果ガ土地ノ開發
ヲ來タスノデアル、斯樣ニ御承知ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=109
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110・石黒忠悳
○男爵石黑忠悳君 了解イタシマシタガ、例ヘバ大工場ヲ或ル廣漠ナ土地ニ
開キマシテ、此大工場ノ爲ニ特ニ設ケマスル水道ト云フヤウナモノハドン
ナモノデゴザイマセウカ、大工場ニハ子弟ヲ澤山使ヒマスルデ、水道ガ最モ
必要デゴザイマスルガ、其大工場ノ爲ニ使用イタシマスル水道ダケデモ矢張
リ此土地開發ノ中ニ籠ッテ居リマスカ、居リマスマイカト云フノデ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=110
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111・大木遠吉
○伯爵大木遠吉君 本員ハ左樣ニ心得テ居リマスガ、尙ホ御不審デアリマス
レバ、ドウカ政府委員ニ御質問ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=111
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112・柳澤保惠
○伯爵柳澤保惠君 委員長ニ伺ヒマスガ、此改正ノ趣旨ハ能ク分リマシタ、
併ナガラ斯ノ如キ改正ヲ要シマスノハ斯ノ如キコトヲセネバナラヌト云フ
事實ガ何レアッタラウト思ヒマスガ、少シク具體的ニ此事實ニ付イテ御話ヲ
伺ヒタウゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=112
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113・大木遠吉
○伯爵大木遠吉君 事實ノコトハ本員モ餘リ能ク承知シテ居リマセヌ、併ナ
ガラ此大都會ノ下、卽チ隆盛ナル土地ノ附近ニ在リマスル所ノ町村ハ殆ド接
シテ居ルニ拘ラズ、水道ノ利益ヲ受ケラレナイト云フ所カラ、是ハ〓括シテ
廣ク御覽ニナルト、種々ノ御疑念モ生ジマセウガ、先ヅ例ヘバ東京附近、卽
チ大森、品川ト云フヤウナ場所ハ矢張リ町村ノ中デアリマス故ニ水道ノ便利
ヲ受ケラレナイデ大ニ困ッテ居ル、サラバト云ッテ其町村ニ於テ自力ヲ以テ經
營スルコトハ未ダ其餘地ガ無イ、殆ド致シ樣ガ無イ、玆ニ於テ斯ノ如キ案ハ
大ニ有效ナル結果ヲ來タスデアラウ、斯ウ云フコトデアリマス、御分リニナ
リマシタカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=113
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114・石黒忠悳
○男爵石黑忠悳君 唯今本員ノ申シマシタ大工場ニ對シテノコトハ政府委員
ニ伺ヒタウゴザイマス
〔政府委員小橋一太君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=114
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115・小橋一太
○政府委員(小橋一太君) 石黑男爵ノ御尋ネニ御答ヘ致シマス、唯今ノ御尋
ネハ全ク新開地ニ大工場ヲ設ケテ其工場ノ爲ニ水道ヲ引用スル場合ニハ今ノ
但書ノ改正ニ當ルヤ否ヤ、斯ウ云フ御尋ネデアッタト存ジマスガ、「土地開發
ノ爲メ」ト申シマスト、其土地ノ一般ノ發達ヲ圖ル爲ニ水道ヲ設ケル場合デゴ
ザイマシテ、大工場ニ於テ其工場主ガ單ニ其職工及其關係者ノ爲ノミニ專用
ニ使用イタシマス場合ニハ、一般公衆ノ用ニ供スルモノデナケレバ是ハ含マ
ナイ考ヘデゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=115
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116・石黒忠悳
○男爵石黑忠悳君 序デニ伺ッテ置キマスガ、例ヘバ或ル一定ノ區畫ニ大工
場ヲ設ケマシテ大工場バカリデナク、大工場ガ在リマスト云フト、其周
圍ニハ自ラ工場外ノ部落ガ出來マスガ、ソレニモ兼ネテ用ヰマスルト云フヤ
ウナ目的ノ水道ハドウナリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=116
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117・小橋一太
○政府委員(小橋一太君) 工場主ニ於キマシテ自己ノ附屬職工以外ニ廣ク公
衆ノ爲ニ其附近ノ部落等ニ供給イタシマスル目的ヲ以テ經營イタシマス場合
ハ此但書ニ包含スル考ヘデアリマス、公衆ノ用ニ供スル場合ハ包含スル考
ヘデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=117
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118・久保市三郎
○久保市三郞君 讀會省略ニ贊成ヲ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=118
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119・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 讀會省略ノ動議ハマダ出テ居ラヌカト考ヘマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=119
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120・大木遠吉
○伯爵大木遠吉君 本員ハ讀會省略ヲ要求イタシベシタ、希望イタシマシタ、
ソレヲ御忘レニナッテハ困リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=120
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121・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) マダ贊成者ガゴザイマセナンダ故ニ、問題トナッ
テ居ラヌト議長ハ考ヘテ居リマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=121
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122・柳原義光
○伯爵柳原義光君 讀會省略ニ贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=122
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123・本荘壽巨
○子爵本莊壽巨君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=123
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124・山内豐政
○男爵山内豐政君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=124
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125・伊澤修二
○伊澤修二君 讀會省略ニ贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=125
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126・岩村兼善
○岩村兼善君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=126
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127・大原重朝
○伯爵大原重朝君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=127
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128・廣澤金次郎
○伯爵廣澤金次郞君 贊成
〔其他「贊成」ト呼フ者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=128
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129・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 讀會省略ノ動議ニハ定規ノ賛成者ガアッタト認メ
やろ、讀會省略ヲ可トスル諸君ノ起立ヲ請ヒマス
起立者多數発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=129
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130・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 三分ノ二以上ト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=130
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131・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 本案、特別委員長ノ報告通リデ御異存ゴザイマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=131
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132・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 御異議ナイト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=132
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133・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 特別委員ノ氏名ヲ書記官ヲシテ朗讀イタサセマ
ス、會期モ切迫イタシマシタカラ、先日モ申述べマシタ通リ成ルベク速ニ正
副委員長ノ互選ヲ行ハレルコトヲ希望イタシマス
〔東久世書記官朗讀〕
韓國鐵道會計所屬資金ノ繰入ニ關スル法律案特別委員
伯爵松平賴壽君子爵牧野貞寧君子爵松平忠禎君
男爵野田豁通君田邊輝實君谷森眞男君
兒玉淳一郞君加藤正惠君淺野長太郞君
租稅外諸收入金整理ニ關スル法律案外三件特別委員
伯爵廣澤金次郞君子爵牧野忠篤君子爵榎本武憲君
男爵北島齊孝君男爵目賀田種太郞君藤田四郞君
仁尾惟茂君山本達雄君鎌田勝太郞君
電氣事業法案特別委員
伯爵柳原義光君子爵靑山幸宜君子爵鳥居忠文君
子爵實吉安純君男爵田健治郞君男爵中島久万吉君
湯地定基君千坂高雅君石黑五十二君
司法事務共助法案特別委員
伯爵〓閑寺經房君男爵北畠治房君子爵鍋島直虎君
男爵岡內重俊君男爵平野長祥君加太邦憲君
馬屋原二郞君古莊嘉門君森廣三郞君
大藏省預金部ノ利益金ヲ一般會計ニ繰入ルル件ニ關スル法律案特別委員
侯爵花山院親家君伯爵大村純雄君子爵藤谷爲寬君
子爵梅小路定行君男爵高橋是〓君男爵德川厚君
男爵伊丹春雄君中島永元君伊澤修二君
市制改正法律案外二件特別委員
伯爵萬里小路通房君伯爵德川達孝君子爵堤功長君
男爵千家尊福君男爵園田安賢君男爵周布公平君
平山成信君男爵高木兼寬君男爵石黑忠悳君
男爵波多野敬直君男爵中川興長君富田鐵之助君
石渡敏一君穗積八束君土居通博君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=133
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134・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 明後十八日ノ議事日程ハアトヨリ御通知ニ及ビマ
ス、本日ハ是デ散會イタシマス
午後零時二分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=002703242X01819110316&spkNum=134
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