1. 会議録本文
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000・会議録情報
委員氏名
委員長 伯爵 寺島誠一郎君 副委員長 子爵 前田利定君
委員
子爵 牧野忠篤君 子爵 榎本武憲君 男爵 久保田譲君
江木千之君 男爵 目賀田種太郎君 男爵 郷誠之助君
仁尾惟茂君 石渡敏一君 勝田主計君
水野錬太郎君 田中源太郎君 土居通博君
安田善三郎君
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大正四年六月三日（木曜日）午前九時七分開會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003601381X00119150603&spkNum=0
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001・寺島誠一郎
○委員長(伯爵寺島誠一郞君) 是ヨリ委員會ヲ開會イタシマス、此委員會ハ皆樣
方御承知ノ通り治水費資金特別會計法廢止法律案其他三件ヲ委托サレテ居ル譯デ
アリマスガ、順序カラ申シマスト治水費資金特別會計法廢止法律案カラ順次說明ヲ
聞キ、質問ヲイタシ、討議ヲスルコトニナリマスガ、便宜上國債整理基金特別會計法
中改正法律案カラ大臣ノ御說明ヲ願ヒタイト思ヒマス、ドウゾ其御積リデ御出下サイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003601381X00119150603&spkNum=1
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002・若槻禮次郎
○國務大臣(若槻禮次郞君) 國債整理基金法ノ改正案ノ趣意ハ本議場ニ於テモ
詳シク申述ベマシタ積リデアリマスガ、現行ノ國債整理基金法ノ第二條ニ依リマスト、日
露事件ノ爲ニ募集シタ公債ノ元利償還ニ充ツル爲ニ、年々少クトモ一億一千万圓ヅヽ
繰入金ヲセナケレバナラヌト云フコトニナッテ居リマス、此規定ハ日露戰爭ノ時ニ募ッタ公
債ヲ成ルベク速ニ償還ヲシタイト云フコトヽ、同時ニ又其償還ニ付テハ斯樣ニシテ置ケバ
必ズ或ル年間ニハ償還ガ出來ルト云フコトニ決シテ出來タ規定デアリマス、當時ハ如何
ニモ機宜ニ適シタ條文ダッタト思フノデアリマスガ、其當時ハ日露事件ノ公債ト內國債ノ
或ルモノトガ非常ニ多額ニナリマシタノデ、一方ニハ此規定ニ依テ償還スル金ハ、大體
ニ內外何レデモ適當ニ分ケテ償還スルコトモ出來マスシ、又當時ハ巨額ノ公債ガ殘ッテ
居リマシタカラ、其利息ノ高ガ多クテ、元金ノ償還ニ充テルノハ左ホド大キクアリマセナ
カッタノデ、此規定ノ金ハ其以外ニ入レル金トヲ合セテ、公債ヲ償還スル高ガ始メテ出來
マシタ時ニハ三千五六百万圓クラ井ノ高デアッタト思ヒマス、ソレカラ明治四十二年度
カラ元金ノ償還高ヲ五千万圓ト致シマス爲ニ、一般會計カラ繰入金ヲ增シタノデアリマ
スガ、其當時ニハマダ一億一千万圓ト云フ數デハ五千万圓ノ時ノ元金銷却ノ高ニハ上
ラナカッタノデアリマシテ、外カラ入レル金ト合セテ五千万圓ヲ償還スルト云フコトニナッテ
居ッタノデアリマス、ソレガ段々此日露事件ノ公債ヲ銷却シテ來マシタ結果トシテ、今日
テハ此一億一千万圓ト云フダケノ數デ元金ノ償還ニ充テラルベキ金額ヲ、大正四年度
ナドハ法律通リニ致シマスレバ五千百六十万圓ヲ元金ノ償還ニ充テナケレバナラヌコトニ
ナリマス、之ガ大正五年度ニナレバ五千四百幾ラ、大正六年度ニナレバ五千六百万圓、
大正七年度ニナレバ五千九百万圓、大正八年度ニナレバ六千一一百万圓ト云フヤウニ
此四五年ノ後ニナリマスト一億一千万圓ヲ入レルト云フ此規定ダケノ元金償還ダケデ
モ六千万圓以上ニ上ボルト云フ情況ニ今日ハナッテ參ッタノデアリマス、是ハ豫期セラレタ
コトヽハ申シマスケレドモ、併ナガラ凡ツ政費ノ分配ノ上カラ云ヒマスレバ外ノ政費ガ要リ
マセヌナラバデアリマスガ、割合ニ公債ノ償還高ガ多クナルヤウナ傾向ニナリマスノミナラズ、
五千百万或ハ五千四百万、五千六百万圓ト云フヤウナノヲ四五年續ケテ居リマスレバ、
內地ニ存シテ居リマス臨時事件公債ト云フモノハ殆ト償還シ終リマスカラ、ソレカラ後ニ
ナリマスト悉ク外國ヘ之ヲ還ヘサヌケレバナラヌコトニナルノデ、年々六千万圓以上ノ金額
ヲ正貨ヲ以テ外國ヘ支拂フト云フコトハ今日ノ日本ノ正貨ノ高デハ到底堪ヘ得ラレヌ
ト思ヒマス、今日ノ正貨ト申シマスルノハ今日ノ正貨ヲ土臺トシテ、今後外國貿易ノ情
況ガ餘ホド改善シマシタ所ガ到底斯樣ナコトハ實行ガ出來ヌト思ヒマスノデ、ソレ故ニ此
規定ハ早晩改正ヲシテ相當ノ金額ヲ償還スルコトニ致シマシテモ、其何レノ公債ヲ償還
スルカト云フコトハ時ノ事情ニ應ジテ適當ナルヤウニ出來ル、卽チ或ルモノニ限ルト云フコ
トニシナイ方ガ相當デアラウト思ヒマスノデ、現行ノ國債整理基金法ハ早晚適當ニ改
正セラルヽ必要ニ迫ッテ居ルト私共ハ認メテ居ルノデアリマス、其際ニ今日マデノ所ニ依リ
マスルト一方ニハ公債ノ償還ヲ年々五千万圓續ケテ居リマスケレドモ、一方ニハ鐵道ノ
爲ニ要スル資金ヲ充タスガ爲ニ年々又公債ヲ募集シテ居ルノデアリマス、其募集スル高ハ
時ニ依ッテ違ヒマスケレドモ、大抵二千万圓前後ハ每年募集シテ居ルヤウナコトデ
アリマシテ、五千万圓ヲ償還シテ居ルケレドモ、ソレナラバ公債ハ五千万圓減ルカト
云フトサウナッテハ居ラヌ、五千万圓償還シテ居ルケレドモ、實際公債ノ減少スル高
ハ三千万圓或ハ三千万圓以下ニ止マッテ居ルト云フノガ是マテノ實際デアルノデア
リマス、ソレモ償還スルモノト募集スルモノガ、同シ利週り位ノ割合ニ行キマスト、マダ宜
ウゴザイマスケレドモ、償還スルモノハ御承知ノ通リ額面デ償還ヲシテ、募集スルモノ
ハ額面以下餘ホド割引ヲシタ價格デナイト發行ガ出來ヌト云フヤウナコトニナッテ居リマ
スカラ、唯ノ損得ダケノ關係カラ云ヒマスト、今日デハ國庫ハ大變損ヲ見テ居ルヤウナ勘
定ニナッテ居ルノデアリマス、加之此公債ヲ募集シテ鐵道資金ヲ調ベルト云フコトハ近年
多ク外國デ公債ヲ募集スルト云フコトニナッテ居リマス、外國デ公債ヲ募集シマスルト募集ノ
アル度每ニ、急ニ內地ノ通貨ニ變動ヲ生ズルモノデアリマスカラ、其度每ニ日本ノ經濟
情況ニ一ノ攪亂ヲ與ヘル、攪亂ト云ウテハ餘リ語弊ガアルカモ知レセヌガ詰リ急激ノ變
動ヲ與ヘルト云フコトニナッテ、其結果一時公債募集ノ當時ニハ內地ハ一時非常ニ景
氣ガ付クヤウニナリ、從ッテ不急ノ事業ナドヲ企テマシテ、間モナク其事業ノ爲ニ資金ハ
固定スルシ、色ミノ材料等ヲ輸入スル、同時ニ又世間モチヨット空景氣ガ付クヤウニナリ
マシテ、稍〓贅澤ニ流レテ、輸八品ヲ多クスルヤウナコトニナッテ、シヨッチウ外國貿易ノ情
勢ヲ惡クシテ居ル原因ト目ルテ居ルノデアリマス、外債ノ利息ノ爲ニ、年々政府ハ公債ダケデ
モ六十万圓以上ノ利息ヲ拂ヒ、社債ノ利息、或ハ公共團體ノ借入金等ノ利息ヲ合セ
マシテ、九千万圓以上一億圓ニ近イ金ヲ年々外國ニ拂ハナケレバナラヌノデアリマス、ソ
レダケ正貨ガ出テ行クノニ對シテ、貿易上輸入ヨリモ輸出ノ方ガ多クナルヤウナ情況ニアラ
シメテ、其外國カラ得ル所ノ金貨ヲ以テ差引シテ拂フヤウニナラナケレバナラナイ道理テ
アリマスノニ、今日ハ却ッテ一億圓ニ近イ利息ヲ年々拂ハナケレバナラヌノニ拘ハラズ、外
國貿易ハ常ニ逆調ニナッテ居ルト云フコトハ、此日本ノ貨幣制度ヲ維持スル上ニ於テ誠
ニ心配ニ堪ヘザル點デアリマス、一ト度此貨幣制度ノ根本ニ於テ薄弱ヲ感ズルヤウナコ
トガアリマシタナラバ、是コソ一般經濟界ト云フモノハマルデ其準ヲ失フヤウナコトニナル
ノデアリマスカラ、左樣ナコトヲアラシメテハ大變ダト思ヒマスガ、今日ノヤウナ債務國デアリ
ナガラ、外國貿易ノ今日ノヤウナ狀況デアリマシタノデハ、ドウモ貨幣制度ノ根據ヲ維持
スルニ於テ心配ニ堪ヘナイ次第デアリマシテ、政府ハ是非外國貿易ノ狀況ヲ轉換シテ、
之ヲ逆潮ヲ變ジテ順潮ニ至ラシメナケレバナラヌ、ソレニハ之ヲ妨ゲルヤウナモノハ直シテ
掛カラナケレバナラヌガ、第一番ハ外債ヲ始終續ケテレ集スルニトハ大イニ貿易ノ改善ヲ
妨ゲテ居ルト思ヒマスカラ、之ヲ直サナケレバナラヌト一云フコトハ私共ノ第一ニ力ヲ入レタ點デ
アリマスノデ、ツコデ政府ハ鐵道ノ資金ガ假リニドウシテモ要ルトシタ所ガ、外國テ公債ヲ募
集スルト云フコトハ止メナケレバ到底日本ノ貿易ノ改善ト云フコトハ出來ヌト思フカラ、
之ヲ止メルト云フ政策ヲ採ラナケレバナラヌ、然ラバ內地デ出來ルカト云フト、內地ノ方
ハ元來日本ハ餘リ資本ガ潤澤デナイ所デアリマシテ、而カモ唯今申上ル通リ外國貿易
ヲ改善シヤウト云フナラバ內地ノ生產業ヲ發達サセナケレバナラヌノデアルノニ、其生產事
業ノ爲ニ要スル資金ヲ調フベキ市場デ、政府ノ側ニ資金ヲ吸集スルト云フコトヲスレバ、
矢張リ生產業ノ發達ヲ幾分壓迫ヲ加ヘルコトニナル、ノミナラズ元來ニ於テ公債ヲ餘リ
好條件デナクシテ募集スルト云フコトニナルト、旣存ノ公債ノ價格ガ、今日日本ノ金融
市場デ社債ナドヲ募集シテ居ルノヲ見ルト、ドウシテモ七分以上ノ利廻リニナッテ居ルノデ
アリマスカラ、政府ノ信用ヲ以テシテモ、國債募集ハ六分前後ノ利迴リニナリマセヌト到
底出來サウモナイノデアリマス、左樣ナ條件デ玆デ公債ノ募集ヲ致セバ旣存ノ公債ニ
大變ニ影響ヲ與ヘルコトデアルカラ、是ハ矢張リ當分ノ間、避ケナケレバナラヌ、斯ウ云
フ意味デ矢張リ內國デ公債ヲ募集スルコトモシナイコトニシナケレバナラヌト云フ政策ヲ
採リマシタ、然ルニ一方鐵道ノ方ハソレガ借入金ナシニ行ケルカ、斯ウ申シマスルト、鐵
道ノ方ハ御承知ノ通り今日五千哩以上ノ國有鐵道ヲ持ッテ居ル、尙又日本ノ地方ニ
依ッテハ兔ニ角一應連絡トシテ、カケナケレバナラヌ鐵道ニ對シテ、マダ建設セラレテナ
イ所ガアリマスカラ、悉ク各地方ニ行渡ッテ鐵道ヲ掛ケルト云フ譯ニハ急ニハ參リ兼ネマ
セウガ、少クトモ其中ノ最モ交通ノ連絡ヲ取ラナケレバナラヌ部分ダケハ漸次建設ヲシテ
行カナケレバナラヌノデ、建設モ全然止メル譯ニ行カズ、改良ハ勿論是ハ實行シテ行カナ
ケレバナラヌト云フコトニナリマスト、ドウシテモ相當ノ資金ガ無ケレバナリマセヌノデ、鐵道
院ナドデハ、ドウシテモ一年ニ五千万圓位ヲ使ッテ之ヲ建設改良ノ兩方ノ費用ニ充テナ
ケレバナラヌト云フ意見デアリマスガ、今俄カニ五千万圓ノ資金ヲ調達スルコトハムブカシ
イノデアリマスカラ、先ヅ今日ノ益金ヲ基ニシテ、年々他カラ二千万圓ヅヽ借入ヲシテ行ク
ト云フコトニナレバ、アトハ鐵道ノ益金ノ增加スルノヲ常ニ建設改良費ニ加ヘテ行ケバ、
是マデノ實驗ニ依レバ凡ツ二百万圓位ノ益金ガ增加シツヽアルノデアリマスカラ、段々年
ヲ經ルニ從ッテ遂ニ五千万圓ニナルニ相違ナイ、サウ云フヤウニシテ計畫ヲ立テヽ今日
ノ建設改良ノ必要ナルコトダケハ實行シナケレバナラヌト云フコトデアリマシタ、成ルベク他
カラ借入レル金ヲ少クシテ貰ヒタイ積リデ、鐵道院ト餘ホド意見ノ交換ヲシテ見マシタ
ガ、一年二千万圓位ノ金ハドウシテモ無クテハナラヌト云フコトデアルト、今日ノ鐵道ノ
大體ノ計畫ガ立テマシタモノデアリマスカラ、是レダケノコトハ年々何トカシテ資金ノ調達ヲ
シナケレバナラヌ、然ルニ唯今申上ゲル通リ是ハ內外ノ市場カラ募集スルコトハドウシテ
モ日本ノ今日ノ經濟上ノ立場カラ宜シクナイ、斯ウ見テ居リマスカラ、內外ノ市場テ公
債ヲ募集セズシテ五千万圓ノ資金ヲ調達シヤウト思ヘハ、是ハ已ムヲ得ズ當リ前ノ公債
ヲ募集シテ充テテ行クコトデアリマスカラ、ソレガ今日ノ事情許サズト云フナラバ還ヘシ
ツツアル金ヲ是レダケ減ジテ、之ヲ新タニ募ルベキ金ノ方ニ振向ケルト云フ政策ヲ採ルノ
ガ當然デアラウ、斯ウ考ヘマシテ今囘ハ年々ノ償還額ヲ今マデ五千万圓ニシテ居ッタノヲ
三千万圓ニ致シ、其二千万圓ヲ以テ鐵道ノ資金ニ振向ケル計畫ヲ立テタノデアリマス、
此計畫ヲ實行セントスレバ、ドウシテモ國債整理基金法ヲ改正セネバナラヌノデアリマス
カラ、之ヲ改正スルニ付キマシテ、唯此中カラ二千万圓減ズルト云フ計畫ノ仕方ガ宜イ
カ、或ハ一定ノ步合ヲ償還スルト云フヤウナ償還額ヲ設ケタ方ガ宜イカト云フコトヲ考
慮イタシマシタガ、償還ノ計畫ノ立ッテ居ル所デハ、獨逸ナドデモ矢張リ一定ノ步合ヲ以
テヤッテ居ルノデアル、一定ノ步合ヲ以テ償還額ヲ出シテ置ケバ、他日公債ヲ募集スルヤ
ウナ時代ガ來テ公債ガ更ニ又增サレルヤウナコトガアルトスレバ、增サレルニ從ッテ一方必
ズ元金ノ償還高モ多クセナケレバナラヌ、卽チ自動的ニ公債ノ償還ト云フコトガ立ッテ
行クコトニナルノデアリマスカラ、矢張リ一定ノ金額ニセヌデ割合ノ金額ニシテ償還高ヲ
定メル方ガ宜カラウト云フノデ、玆ニ改正案ニアリマス通リ、前年度首ニ於ケル國債總
額ノ万分ノ百十六ヅツ、必ズ償還シナケレバナラヌト云フヤウナ規定ニ改メタイ積リデア
リマス、万分ノ百十六ト云フノハ是ハ全ク今日ノ國債ノ總高カラ約三千万圓ト云フ
モノヲ比例ヲ取リマスト、万分ノ百十六ニナリマスカラ、ソレカラ割出シタ數字デアリマス
ガ、併シ三千万ヅヽ償還シツヽアルト、外ニ募集サヘシナケレバ元金カ減リマスカラ、ソレ
ヲ万分ノ百十六トシテ置クト或ハ三千万以下ニナルコトガ生ジテ參リマスガ、併シ國債ハ
大體ニ於テハ必要サヘ無ケレバ、成ルベク其償還ニ努メタイノデアリマスカラ、三千万ハ
必ズ償還シナケレバナラヌト云フコトニスル爲ニ、万分ノ百十六ガ三千万以下ニ當ル
時ニハ三千万ダケハ必ズ償還シナケレバナラヌト云フ規定ニ致シマス爲ニ、今囘ノ改正案
ヲ提出シタ次第デアリマス、要スルニ改正ノ趣旨ハ一方ニ於テハ現行法ヲ實行シテ行ク
ト云フコトハ、今後數年ノ後ニ至ルトドウモ餘ホド困難ヲ見ル狀態ニナルモノト思ヒマス
カラ、之ヲ今カラ改正シテ置ク必要ガアルト云フ意味ト、今囘財政計畫ニ基イテ當分ノ
間內外ノ市場ニ向ッテ新ニ公債ヲ募集セヌト云フコトニ致スト云フ、其結果カラ鐵道ノ
資金ヲ公債ノ償還資金ノ中カラ振向ケタイト云フ理由ト、此兩者ニ依ッテ斯樣ニ改正
イタシタイト云フ次第デアリマス、尙ホ御質問ガアリマスレバ、ソレニ應ジテ御答申シタイ
ト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003601381X00119150603&spkNum=2
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003・寺島誠一郎
○委員長(伯爵寺島誠一郞君) 唯今大臣カラ此二案ニ付イテ御說明ヲ承リマシテ、
引續イテ御說明ヲ承ハラナケレバナラヌモノガアリマスガ、併シ此案ニ對シテ、唯今ノ御
說明ニ對シテ尙ホ一層ノ說明ヲ請ハルヽ爲メノ御質問デモアレバ、此際ガ宜シカラウト
思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003601381X00119150603&spkNum=3
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004・目賀田種太郎
○男爵目賀田種太郞君 先刻鐵道會計法ノ御說明ガアッタノデアリマスカ、マダナラ
バ引續イテ伺ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003601381X00119150603&spkNum=4
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005・若槻禮次郎
○國務大臣(若槻禮次郞君) 鐵道特別會計法ハ是ハ一般會計カラ金ヲ借リルコト
ノ出來ルヤウニスルト云フコトガ書イテアルノデアリマス、是ハ唯今申上ゲタ通リ、公債償
還金ヲ減ジテ一般會計ノ方カラ鐵道ニ融通ヲシテ、ツレデ當分公債ヲ募集セヌヤウニシ
タイト云フ計畫デアリマスカラ、ソレ故ニ今日ノ帝國鐵道會計法ニハ、一般會計カラ金
ヲ借リルコトノ出來ル道ガ開イテ居リマセヌ故ニ、之ヲ開イテ置キマセヌト、唯今申上ゲタ
財政計畫ノ實行ガ出來マセヌカラ、ソレデ斯樣ニ致シタノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003601381X00119150603&spkNum=5
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006・江木千之
○江木千之君 チヨット大藏大臣ニ御尋シタイノハ、鐵道ノ會計ニ於テ既往數年間ノ
有樣ハドウナッテ居リマセウカ、矢張リ年々二千万圓內外ハ既往數年間ニ於テハ引續イ
テ借入ヲシテ居ッタノデアリマスルカ、如何デアリマスカト云フコトヲ承リタイ、ソレカラ今度
年々此二千万圓ヲ鐵道ノ會計ニ借入レテ參ルニ付テハ、其償還ノ方法ハドンナ工合ニ
ナルノデアリマスカ、此處ノ今受取ッタ參考書ニアレバソレヲ拜見シマスガ、チヨット其點ヲ
承ッテ置キタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003601381X00119150603&spkNum=6
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007・若槻禮次郎
○國務大臣(若槻禮次郞君) 帝國鐵道會計法第二條及ヒ第三條ニ依ッテ發行シ
マシタモノガ明治四十四年ニ三千万圓、明治四十五年度ニ七千九百万圓、大正二
年度ニ一億五千万圓、大正三年度ハ二千九百万圓、唯其中デ一部借替ニナッタノデ
アリマシテ、大正元年度ニハ三千万圓ダケ償還シテ居リマス、大正二年度ニハ六千四
百万圓ヲ償還シテ居リマス、大正三年度ニハ三千九百万圓ヲ償還シテ居ルト云フヤウ
ニナッテ居リマスガ、募集シテ行ッタモノハ唯今モ申上ゲルヤウニ總額ヲ言ヒマスト、最近ノ
所デハ或年ハ餘ホド大キイ數ガ出マシタ、或年ハ二千九百万圓位ノ數デアル時モアリマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003601381X00119150603&spkNum=7
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008・目賀田種太郎
○男爵目賀田種太郎君 質問シテ宜シウゴザイマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003601381X00119150603&spkNum=8
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009・寺島誠一郎
○委員長(伯爵寺島誠一郞君) 唯今ノ御說明ニ付テ······発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003601381X00119150603&spkNum=9
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010・若槻禮次郎
○國務大臣(若槻禮次郞君) モウ一ツハ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003601381X00119150603&spkNum=10
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011・江木千之
○江木千之君 償還方法ハ、今度ノ·発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003601381X00119150603&spkNum=11
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012・若槻禮次郎
○國務大臣(若槻禮次郞君) 万分ノ百十六ニスルト何年間デ償還ガ出來ルト云
1:発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003601381X00119150603&spkNum=12
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013・江木千之
○江木千之君 此鐵道會計ニ於テ償還スル一般會計カラ借リルノヲ······発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003601381X00119150603&spkNum=13
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014・若槻禮次郎
○國務大臣(若槻禮次郞君) 一般會計カラ貸シマスノハ、今ノ所デハ五年期限デ五
分五厘デ貸ス積リデアリマスケレドモ、是ハ到底五年デハ還ルマイト思ヒマス、矢張リ茲
ニ新タニ五十年期限デ公債ヲ發行シタト同ジヤウナ位ノコトニシテ、鐵道ノ方ハ償還セ
シメマセヌト······到底五年度デハ行キマスマイト思ヒマスガ今度貸シマスニ付イテハ一應
ハ期限ヲ附ケナケレバナラヌノデアリマスカラ、先ヅ五年ト致シマシテ、ソレハ其時ニ至ッテ延
期スルノ外ハナイト思ヒマス、デ鐵道ノ方デハ今度二千万圓貸シマシタモノヲ、以前ノモ
ノト合計シタ所デ是ダケノ負債ガアル年々是ダケ償還ヲシテ行カナケレバナラヌ、益金是
ダケニ對シテ此償還ヲ續ケテ行ケバ、結局此償却ハ何年度ニ出來ルト云フ計算デ鐵道
ノ側カラハ申シテ居リマス、ソレニ今度ノ年限ハ一定セシメテ居リマセヌガ、五年トシテ一
時ヤリマシテ、五年ノ期限ガ來タナラバ之ヲ延バシマシテ、結局鐵道カラ拂ヒ得ラレル年
ガ來マシテ、段々一般會計ニ戾ッテ來ルト云フコトニシタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003601381X00119150603&spkNum=14
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015・目賀田種太郎
○男爵目賀田種太郞君 大藏大臣ニ伺ヒタイト思ヒマス、鐵道ノ資金ノ限度トデモ
申シマスカ、其將來ニ亙ルモノガドウ云フ風ニナリマスカ、チヨット此度發案ノ整理基金
ノ改正ニ依ッテ、是ニ供スル二千万圓ナルモノハ、卽チ語ヲ換ヘテ言ヘバ現在ノ鐵道ノ限
度ニ對シテ資本トセラルヽノデアルカ、又或ハ將來ノ鐵道ノ計畫ヲモ包含スル、斯ウ云フ
コトニナルノデアルカ、尙ホ精シク申上ゲマスレバ鐵道ノ現在ノ繼續費ハ卽チ大正元年
度ニ定メタ四億五千万圓ト云フコトニナッテ居ル、是ニ此度臨時議會ニ提出サレタ分ノ
尙ホ改正追加額ハ一億一千万圓デ、卽チ五億五千万圓ト云フコトニナッテ居ル、然ル
所旣ニ去ル議會ニ於テ不成立ニナリマシタ豫算ノ既定ノ繼續費ニ尙ホ三億五千万圓
ヲ加ヘテ合計八億九百万圓ニ至ルト云フコトニナッテ居ルデ私ノ調ベマシタ所ニ據レバ
卽チ鐵道當局ニ就テ調ベタ所ニ據リマスレパ、矢張リ此度ハ一億一千万圓デアル、何
時デアリマスカ、將來ニ於テ矢張リ一度不成立ノ豫算ノ元ニ返ッテ八億九百万圓ニ至ル
ト云フ、矢張リ此度提出サレタノハ一部ノ急ヲ要スルモノノヤウニ承リマス、加之元來
明治三十九年ヲ以テ戰時財政ヨリ常時ノ財政ニ入ルノ時ニ於テ、引續イテ明治四十
二年度ニ於テ公債基金法ノ基礎ヲ固クセラレ、又同時ニ鐵道會計ノ基礎ヲ固クセラレ
テ、其時ニ於テ引續イテノ政策トシテ、東京、下關間ヲ廣軌式ニスルト云フコトニナッテ
居リマス、是ハ一度貴衆兩院其他ノ調査委員ヲ以テ組織セラレタル調査會ニ於テ可
認セラレテ、仄カニ承ルニ近頃鐵道廣軌ト云フ事件ハ一應ハ中止セラレテ居ルト云フノデ
アリマスルガ、尙ホ承ルニ是ハ調査中デアル、唯今承ル所デハ矢張リ將來之ヲ提出セ
ラルヽモノヽ如クアリマス、又事態ヲ顧ミマスレバ遠キ將來ニアラズ、近キ數年ノ中ニ必
ズ提出セラレンケレバナラヌモノト私ハ思ヒマス、サウ致シマスルト云フト、既ニ八億九百
万圓ノ將來ノ計畫ニ對シテ、尙ホ廣軌式ニスレバ其上ニ二億二千万圓加ハル譯デ、殆
ド十億ニ至ル鐵道ノ將來ノ事業ニ對シテ、ソレニ對シテ募債ト云フコトヲナサズ、一般歲
入カラ貸付ヲシテ行ク、其貸付額二千万圓ト云フノヲ以テ足レリトスルカ、尤モ一方ニ
ハ鐵道ノ擴張ト共ニ利益金モ增シテ居ル、併ナガラ縱令一方ニ利益金ガ增シタ所ガ、同
時ニ一方ニ鐵道ノ資金ノ募債ニ依ッテ來ル所ノ途ハ閉ヂテ、唯獨リ此二千万圓ト云フ
モノヲ以テ之ニ供スルト云フコトデ足ルコトデアリマスカ、卽チ語ヲ換ヘテ言ヘバ、將來ハ
右ノ如ク擴張セラルベキ鐵道ノ事業ノ限度ヲモ含ンテ起案サレテ居リマスカ、或ハ當分ノ
コトデアリマスカソレヲ承リタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003601381X00119150603&spkNum=15
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016・若槻禮次郎
○國務大臣(若槻禮次郞君) 是ハ唯今申上ゲタ第三十五議會ニ提出シマシタ鐵道
ノ計畫ヲ本ニシテ、此資金ノ調査費ノコトガ拵ヘテアリマスガ、併シ三十五議會ニ提出
ニナリマシタアノ鐵道ノ計畫ト雖モ、アレダケデ濟ムカト云フト、到底サウハイケナイト思ヒ
マス、ソコニ至レバ必ズ又繼ギ足シテ行ク外ナイト思ヒマスガ、其繼キ足シテ行ッタ結果、ド
レダケ鐵道ニ付テ建設ニ改良費ヲ使ハネバナラヌカト云フト、今申上ゲマシタ通リ、ドウモ
年々五千万圓ノ金ヲ鐵道建設改良費ニ使ハネバナラヌ、斯ウヤウニ鐵道ノ當局者ハ言
フテ居リマシタ、ドウモソウデアラウト思ヒマス、今日ホドノ鐵道ヲ持ッテ、其改良ヲ怠ラ
ズ、建設モ亦適度ニ之ヲ實行シテ行クナラバ、五千万圓グライ實ハ使ハネバナラヌト思ヒ
マスガ、三十五議會ニ提出イタシマシタ計畫デモ、或年期間ノ、アトハ金高ノ支出ガ無
イヤウニ見エテ居リマスガ、鐵道當局者ハサウデナイノデ、事實無クテ濟ムノヲ更ニ繼ギ
足シテ、矢張年額五千万圓位ハ使ハネバナラヌト云フ頭デアルヤウデアリマス、ソレ故ニ
唯今ドウ云フ計畫ヲ以テ資金ノ調達法ヲ考ヘテ居ルカト云フコトヲ御問ヒニナレバ、三
十五議會ニ鐵道計畫ヲ提出シマシタ、アレヲ大體本ニシテ立テヽ居リマスガ、ソレナラパ
アレ切リデ濟ムカト云フト、私共ノ頭ニ於キマシテハ、矢張五千万圓ト云フモノハ年々使フ
ト云フコトハ、續イテ行ハレルモノトシテ考ヘテ居ラナケレバナラヌ、而シテソレガ行ハレテモ
今日ノ益金ガ漸次二百万圓位ニ增加シテ參ッテ、先ヅ年々二千万圓位ノ資金高テ融
通ガ出來ルトスレバ、却テ融通スル方ガ先ニ至ッテ宜ィ狀況ニナラウト、斯ウ一通リ見テ
居リマス、併シ鐵道ニ付テ、ソレナラバ全然公債募集ト云フコトヲシナイ積リデヤッテ居ル
カト云フ御尋デアリマスト、鐵道ニ付テハ公債ヲ募集シテモ、其公債ヲ募集スルコトガ前
ニ申上ゲマシタ內地ノ生產ヲ害セズ、外國貿易ノ逆潮ニナルヤウナ日本ノ經濟狀況ヲ
惡クセヌ、而シテ市場ノ經濟狀態ニ甚シイ損害ヲ與ヘナイヤウナ條件デ、公債ヲ募集ス
ルト云フ時期ガ來マシタナラバ、其時ニ鐵道ノ爲ニ公債ヲ募集シテモ私共ハ一向差支ナ
イト思ヒマス、ソレハサウ云云時期ガ兩三年ニ到來スル見込ヲ有ッテ居ルカト云フト、私共
ハ迚モ此兩三年ナドニハ左樣ナ時機ガ到來シナイト、斯ウ見テ居リマスガ、理論トシテサ
ウ云フ場合ガ到來スレバ、公債ヲ募集シテモ一向差支ナイ、但シサウ云フ場合ハ當分
到來シサウモナイヤウデアリマスカラ、鐵道ノ建設改良ヲ廢シナイヤウニ努メルニハ、ドウカ
ト云フト、今囘ノ計畫ノヤウニスル外仕方ガナイ、ソレカラ廣軌鐵道ニ付テハ鐵道院ノ
當局者ハドウモ今日ノ所ハ廣軌鐵道ト云フ考ハ少シモ、五千万圓ト云フ金額ノ中ニハ
加ヘテ居ラレナイト思ヒマス、私モ亦廣軌鐵道ト云フモノハ一向問題ニナッテ居ナイトシテ、
資金調達ノ方ノ側カラ考ヘテ居リマス、廣軌鐵道ト云フコトヲヤラウト云フナラバ、ソレニ
要スル資金調達ノ見込ガ付イテ來テ、ツレガ日本ノ經濟狀態ガ斯ウ云フヤウニナッテ一
向害ヲ與ヘナイト云フ見込ガ立チマセヌト、唯今ノ所デハチヨット廣軌鐵道ヲドウスルト
云フ計畫マテニハ計畫ヲ付ケルト云フコトハ出來ヌト考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003601381X00119150603&spkNum=16
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017・目賀田種太郎
○男爵目賀田種太郞君 尙引續イテ伺ヒマス、唯今ノ御說明ノ如ク旣ニ考フルニ將
來、ココ數年間ハ公債募集ト云フコトハムヅカシイ、斯ウ言ハレマスガ、ソレハ卽チ內外ニ
亙ッテノ公債募集ヲスル譯デアル、旣ニソレガ故ニ別案ノ貸付トカ云フコトモ提出セラ
レマシタ、ソレニ依レバ、五年ヲ限度トスルカ、尙延期スルカ知レヌト一云フコトデアリマス
ガ、鐵道ノ爲ニ公債ヲ募集スルト云フコトハ、餘ホドマダ遠イ話デアル、併ナガラ將來現在
ノ外國債、卽チ此法案ニ關係ヲ有ツ外國債ノ償還ヲ計ルニハ、矢張リ鐵道ノ如キ事業
ヲ確實ニシテ、斯ウ云フモノヲ一ツノ目當テニシテ公債ヲ募ラナケレバ行ハレマイ、成ホト
日本ノ鐵道ハ放資シテモ宜イト云フヤウナ狀況ガ生ジテ來ンケレバ、尙更借換ヘルコトガ
ムヅカシイ、ソレノミナラズ唯今御示シノ通リ借換ヘルコトガムヅカシイト、斯ウナッテ見ル
ト、將來大正十五年マテニ返還ヲ要スル外國債ハ六億七千万圓以上デアル、其中殊
ニ本員ニ於テ何分安心イタシマセヌノハ、大正十四年ノ二月ニ償還スベキ第一囘ノ英
貨公債ハ二億七千五百万圓、又七月ニ償還スベキ第二囘ノ同ジ英貨公債二億七千
五百万圓、此二ツデアリマス、其中ノ第二回ノ分ニ付キマシテハ明治三十八年ノ勅令
百九十四號ガ尙存在シテ居ル、其一條ニハ英國倫敦、北米紐育、獨逸ニ於テ、計畫
トシテ三千万磅ヲ募集スルト、斯ウアリマス、卽チ獨逸ノ斡旋ニ依ッテ是ガ出來テ、サウ
シテ其六條ニハ此公債ノ元利金ノ償還ハ帝國政府ノ專賣收納ヲ以テ優先ニ擔保セラ
レルモノトアル、尙ソレハ兩公債ノ爲ニ發行サレタ勅令ノ六條ニ各〓明記シテアル、ソコデ
到底此借換ハムヅカシイトナルト、借換ヘト云ッタ所ガ、新ニ募債ヲスルト云フコトデアル、
數年間ニ外國ニ於テ募債ヲスルコトハムヅカシイト云フ實況ニ對シテ、今日一定ノ順序
ニ從ッテ既定ノ償還額ヲ繼續シテ、卽チ濟シ崩シデ、段々先ノ負擔ヲ減ジテ行ケバ免ニ
角、之ヲ此度ノ如ク減額シタル以上ハ其濟シ崩ス額モ減ッテ參リマス一方ニハ益〓借換
ヘヲ要スル場合ニナルノニ、ソレガ出來ナイトナルト、此兩勅令ヲ廢スルノ方法ハドウシテ
御計畫ニナルヤ、其〓ニ付イテ未ダ充分ナル御說明ヲ得マセヌ、本員ノ伺ヒマスノハ、其
時分ニ於テ更ニソレヲ連續シテ、外ノモノニ換ヘルト云フコトデハナイ、其前ニ解除セヌケ
レバナラヌト思ヒマス、旣ニ日露大戰ノ際ニ於テ英國ノ六分公債ニハ關稅ガ擔保ニナッ
テ居リマス、是ハ日本國民ノ上下ノ希望トシテ、成ルベク早ク解除スルト云フノデ、早ク
モ他ノ無擔保ノ公債ニ換ヘタイ、單リ遺憾ナノハ此兩公債ガ殘ッテ居ル唯今ノ順序ノ
如クデアレバ數理的ニ推シテモ餘ホド是ハムヅカシクナリマスガ、其時ニ至ッテ其勅令ノ趣
旨ヲ履行シナケレバナラヌノハ申スマデモナイ次第デアル、之ニ對シテハ國家ノ重大ナル問
題ト私ハ思ヒマス、大藏大臣ガ胸襟ヲ開イテ御答ヘアラムコトヲ希望致シマス、場合ニ
依リマシテハ、祕密會ニセラレテモ差支ナイト思ヒマスカラ、明白ニ之ニ對スル順序ヲ
御示シアラムコトヲ希望致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003601381X00119150603&spkNum=17
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018・若槻禮次郎
○國務大臣(若槻禮次郞君) 公債ノ償還ニ付イテハ明年ノ春三千万ノ短期債券ノ
償還期ガ來ルノデアリマス、又大正十二年デアッタト思ヒマスガ佛貨公債ノ七千七百万
圓バカリノモノノ償還期限ガ參リマス、大正十四年ニ至レバ五億五千万圓ノ英貨公債
ノ償還期ガ來マス、是ハモウ事實デアリマスカラ其通リデ、此期限ノ來ルモノノ何トカ始
末ヲセヌケレバナラヌトームフコトハ是ハ國民全體ト共ニ大ニ考慮シナケレバナラヌコトデ
アリマスガ、殊ニ財政當局トシテハ始終之ヲ頭ニ持ッテ豫算ノコトヲ考ヘナケレパナラヌ次
第デアリマシテ、唯今目賀田男爵ガイロ〓〓御述ベニナリマシタ通リ、此中ニハ煙草專賣
收入ノ擔保ニナッテ居ルモノモアルシ、成ルベク斯樣ナモノハ、成ルベク擔保ナシノ公債ニ
換ヘタイノデアリマス、擔保ノ付イテ居ル公債ナドハ片付ケルコトニ致シタイト云フコトハ
無論私ナドモ左樣ニ考ヘマスガ、偖テ此償還期限ノ來ルモノニ對シテドウ考ヲ採ッテ宜イ
カト斯ウ申シマスト、私ハ大體ニ於テ借換ヘルト云フ考デ進ム外ハナイト思ッテ居ルノデア
リマス、是マデ五千万償還ノ計畫ヲ致シテ見マシタ所デ、五千万ノ中デ是マデ千万圓
宛外國ニ還スコトニシテ居リマスガ、其千万圓ヲ償還スルト云フコトナラバ、三千
万圓ニ致シマシテモ其中デ出來ヌコトハアリマセヌガ、千万圓位還シテ居リマシタ所
ガ、大正十四五年マデニハ、迚モ此金額ノ一小部分ヲ還スノ外ニ過ギヌノデアリマ
スカラ、ドウシテモ借換ヲセネバナラヌ、ソレデアリマスカラ此大體ノ期限ノ來ルモノニ付
イテドウ云フ頭ヲ以テ進ムカト云フナラバ、是ハ借換ルト云フコトデ進マナケレバナラヌ
ト、斯ウ思ッテ居リマス、偖テ借換ルト云フコトデ進マウトシテ千万圓ナリ、二千万圓ナリ
償還シツヽ此金高ヲ減ジテ置イテ、サウシテ一方ニハ又二千万圓ナリ幾ラカナリヲ募ッテ、
每年々々公債ヲ募ッテ發行條件ヲ惡クシテ、公債ノ價格ヲ下落セシメツヽヤッテ居ッテ、サ
ウシテ少シバカシ金高ヲ減ジテ置イテ借換ヘル方ガ、借換ガ樂ニ出來ルカ、或ハ公債ヲ
募集シテ募集ノ公債ニ對スル信用ヲ妨ゲルト云フコトヲシナイヤウニシテ置イテ、サウシテ
十分公債ノ直段ヲ保ッテ置イテ、此借換ヲスル方ガ、此借換ガ容易デアルカ、此二ツ三
ツヲ考ヘテ見マスト、私ノ考ニハ玆ニ新タニ公債ヲ市場ニ始終募ッテ置クト云フコトヲヤッ
テ居ッタナラバ、此借換ナルモノハ非常ニ困難ニナッテ來ルト思ヒマス、元來日本公債ガ
歐羅巴デ、殊ニ倫敦デ多額ニ募ラレマシタ時ニハ、初ニハマダ日本ノ公債ハ餘リ多クナ
カッタノデアリマスガ、段々ニ日本公債ガ多クナリ、ノミナラズ日本物ト云ッテモ、必ズ政
府ノモノバカリデハナイ、滿鐵ノモノデモ鐵道院ノモノトカ、日本物ガ多イ、斯ウ日本物ガ
多クテハト云フ感ジガ大分向フニ出來タモノデアリマスカラ、チヨット俗語デ申シマスト、日
本ノ公債ニハ〓飽キテ居ルト云フヤウナ狀況デアル、此所ニ持ッテ來テ今囘ハ斯ノ如キ
大動亂デ、歐羅巴ノ方デハ自分ノ方ノ資金ガ少クナッテ居リマスカラ、倫敦デハ借換ル
ト云フコトハ承諾ヲ得サイスレバ許スト云フコトニナッテ居リマスガ、新シイ外國ノ募集ハ
一切唯今ハ禁ジテ居ルト一云フヤウナ狀況デアリマス、左樣ナ次第デアリマスカラ、之ハ禁
ヲ解イタトシテモ向フノ金融ノ狀況が違ッテ居リ、一方ニハ日本ノ公債ハ食飽ヲセラレテ
居ル狀況ガアリ、一方ニハ市場ガ公債ノ募集ニ困難ナ狀況ニナッテ居ルノニ、アトカラ公
債ヲ募集シテ行ケバ、必ズ日本ノ公債ノ信用ヲ害スト、斯ウ云フヤウナ狀況デ、大正十
四年ニ至ッテ借換ヲスルト非常ニ借換ノ爲ニ害ヲ爲スコトニナルト思ヒマス、今カラ當分
出サヌト云フコトニナッテ居ル、當分出サヌト云ッテモ來年期限ノ來ル三千万圓ハ借換ヲ
ヤラヌケレバナラヌノデアリマス、長イ期限デ借リレバ結構デアルガ、都合ガ惡ルイケレバ又
一年又一年ト云ッテ出サヌケレバナラヌ、是ハ誠ニ困フタ問題デアリマス、困ッタ問題デア
リマスケレドモ、短期ノ公債ヲ出シテモ始末ヲシナケレバナラヌ、ソレ以上ハ非常ニ困ル、
如何ニ困ッテモ始末ヲ付ケヌケレバナラヌ、此始末ニモ困ッテ居ルガ、今後カラ直グニ公債
ヲ募集スルト云フヤウナコトヲシテ市場ヲ惡ク致シマシタナラバ、御心配ニナル所ノ大正
十二年、十四年ニ至ッテ大借換ヲスル時ニ非常ナ妨ゲニナルト思ヒマス、私ノ見ル所デ
ハ先ニ大借換ガアルカラ、今カラ外國ノ市場ヲ惡クセヌヤウニシナケレバナラヌ、外國ノ市
場ヲ惡クセヌヤウニスルニハ何カト云フト新シイ公債ヲ發行スルコトヲ廢メヌケレバナラヌ、
新タニ公債ヲ發行スルノハイケナイヤウニ思ヒマスガ、鐵道ノ方デドウシテモ金ガ要ルト云
フナラバヤラヌケレバナラヌ、斯ウ云ッタヤウナ皆牽連シタ考デ計畫ヲ立ッテヤッテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003601381X00119150603&spkNum=18
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019・目賀田種太郎
○男爵目賀田種太郞君 尙ホ一ツ伺ヒマスガ、今ノ御話ハ分リマシタ、併ナガラ矢張
リ其借換ヘノ難イト云フコトヲ意味スルコトニナリマス、結局ニ於テ大正十四年ニ近付
イテ巨額ノ······五億ノ借換ヲ一時ニ行フト云フコトガ容易ク出來ルヤ否ヤ、同ジ問題
ニナルノデアリマスガ、若シ出來ナカッタラドウスル、是ハ對手人トノ關係デイクラ借換ヘ
ルト云ッ所ガ、コチラダケノ主張ダケデハ出來ヌトキニハ仕方ガナイ、故ニ今日ハ之ニ對ス
ル資金ヲ存シテ、是ガ準備ヲ爲スノガ卽チ當時ノ此基金法ノ方針デハナイカト思ヒマス、
唯今ノコトヲ一應御伺シテ置キマス、且又最初英國ノ六分公債ト云フヤウナモノヲ段々
借換ヘテ行ッタ所ガ、丁度日露戰捷ノ餘光デ歐羅巴モ平和デアッテ頗ル便宜ナ時デアル、
今日以後ハソレハ丸デ反對シタ場合デスカラ餘程ムヅカシイコトデアラウト思フ、ソコデ最
初現内閣ノ所謂四圍ノ情況ガ變ッタカラ、此法案ヲ出サレタト云フコトハ今日ニ於テハ
又ソレニ對シテハ大ニ四圍ノ情況ガ變ッテ來タ、成程前ニ於テハ人カラ借換スベキコトヲ
賴マレテモ然ルベキコトヲ、今日ハ又大ニ事情ガ變シテ來タ、故ニ借換ハ期シ難イコトヽ
思ヒマスガ出來ヌトキハドウナリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003601381X00119150603&spkNum=19
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020・若槻禮次郎
○國務大臣(若槻禮次郞君) 此金ヲ今新タニ募集シヤウト云フコトデアリマスト、斯
ウ云フコトガアルカモ知ラヌカラ考ヘ物タト云フコトニナリマスガ、旣ニ是ダケノモノガ日本
ノ債務ニナッテシマッテ居ルノデアリマスカラ、是ハドウモ如何ナル工夫ヲシテテモ借換ヲ實
行シナケレバナラヌト私ハ思ヒマス、ソコデソレナラ五千万ノ償還ヲ繼續シテ居ルナラバ
之ヲ償還シテシマッテ、借換セヌデモ宜イカドウカト云フト、サウハ參リマセヌ、先程申シマシ
タ通リ其五千万圓ノ金ヲ皆外國ニ年イ償還スルト云フコトハ出來ルガ、ソレニ就テハ日本
ノ有ッテ居ル正貨デハ出來ヌノデアリマス、此日本ノ正貨デ以テ出來ヌノヲ無理ニヤッテ日
本ノ貨幣制度ノ若シ根本ガ變ッテ來タナラバ外國貿易ト云フモノハ、丸デヒドイコトニ
ナッテシマハウト思ヒマス、ソレデヤリタクテモサウハ出來ナイト云フノガ今日ノ現狀デアリマ
スカラ、其範圍內ニ於テ何レノ道ガ一番借換ヲスルノニ、ソレデモ一番都合ノ好イ道
カト云フコトヲ擇ンデ進ムノ外仕方ガナイ、ソレハ却テ後カラ後ヘト公債ヲ募集セヌ
デ、此際ハ公債ヲ募集スル代リニ償還金ヲ使ッテデモサウスル方ガ宜イ、而シテ外國ヘ
千万圓ナリ、千五百万圓ナリ返ヘスコトヲ續ケルガ宜シイト一ムフコトナラバ、三千万
圓ノ範圍ニ於テデモツレハ出來ヌコトハナイノデアリマス、迚モ五千万圓償還ヲ致ストシテ
モ三千万圓或ハ五千万圓ヲ年々外國ニ基金ヲ償還シテ行クト云フコトハ、到底今日ノ
正貨ヲ維持スルコトハ出來ヌト思ヒマス、ツコニ至ラバ五千万圓ノ計畫ヲ維持シテモ、維持
セヌデモ問題ノ困難ナルコトヲ思フノデアリマスガ、ドチラノ方法ガ一番都合ガ好イカト言
ヘバ、先刻申上ゲマシタヤウナ後カラ公債ヲ募集セヌト云フ方法ヲ執ルトー云フノガ一番
都合ガ好イト思ヒマス、而シテ此方法ヲ執ッテ置イテ、今ハ必ズ借換ニ努力スルト云フ
コトヲ申上ゲル外ハ、是ハ出來マセヌト云フコトヲ言シテ見タ所ガ、既ニ借リテシマッテ借
金ニナッテ居ルノデアリマスカラ、ソレハ仕方ガナイト思ヒマスカラ、私ハドコマデモ市場ヲ
能ク養ッテ置イテ、日本ノ公債ノ信用ヲ妨ゲヌヤウニシテ、十分市場か日本ノ公債ニ對
スル觀念ヲ惡ルクシナイヤウニ努メテ置イテ、其期限ノ到來シタトキニ借換ヲ實行イタス
ノ外ニナイ、何人ガ之ヲ實行セラレムトシテモ、ヤリ方ハナイト自分ニハ考ヘマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003601381X00119150603&spkNum=20
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021・目賀田種太郎
○男爵目賀田種太郞君 今一ツ御尋シマス、唯今ノ御說明ハ本員ハ了解イタシマセ
ヌ、併ナガラ尙ホ或ハ質問ハ致シマスルガ、愚見トシテ述べマスルガ······ドウモ了解シマセ
又、ソレカラシテ今一ツ伺ヒマスルノハ、大正三年ノ六月二十四日ニ於テ、政府ハ其時ノ
政綱トシテ第一ニ政費ヲ節約シ、國民負擔ノ輕減ヲ計ルト云フコトヲ言ハレタ、是ハ最
早打切ラルルノデアルカ、止メラルルカ、或ハイツ行フカ、之ヲ伺ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003601381X00119150603&spkNum=21
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022・若槻禮次郎
○國務大臣(若槻禮次郞君) 當時ノ計畫デハ行政整理デ得マシタ千六百万圓ノ財
源ト、ソレカラ大正四年ニ至ルト、自然增收ガ二千万圓アルト云フ見込ヲ立テヽ居リマ
シタカラ、其二千万圓ト、ソレカラ總テノ財政計畫ノ上ニ、大正三年マデニ必要デアッタ
財源ニシテ、大正四年度ニ至レバ用途ノ無イモノニナリマシタ金額ト、是等ヲ綜合シテ其
範圍內ニ於テ二個師團ノ增加、海軍製艦ノ費用、其他〓育、殖產、衞生、總テノ
必要ナル事柄ヲ辨ジタ其餘裕ガ二千五六百万圓アル見込デアリマシタカラ、是ヲ以テ租稅
ノ輕減ヲ計ラウト云フ計畫デアッタノデアリマス、然ルニ其後時局ノ突發ニ依ッテ、大正
四年ニ於テ二千万圓ノ增收ガ出來ルト云フ見込ハ絕エマシタノミナラズ、却テ大正四
年度ニ於テハ前年度ヨリハ二千万圓歲入ノ減少ヲ生ズル合セテ四千万圓ノ財源ノ減
少ヲ來シタノデアリマスカラ、最早二千五六百万圓減稅ヲシヨウト云フコトノ實行ガ出來
ヌコトニナッテ居リマス、ツレデ今日ハ實行シテ居リマセヌガ、決シテ今日ノ日本國民ノ負
擔ハ輕イトハ申シマセヌ、ソレ故ニ財政ノ餘裕ガ之ヲ許スナラバ負擔ノ輕減ハ致シタイノデ
アリマスガ、私共ノ負擔ノ輕減ヲスルト云フノハ、常ニ財政ノ基礎ヲ失ハナイ範圍ニ於テ
ト云フ意味ニ於テ申シテ居ルノデアリマスカラ、歲ノ情況ガ元ニ戾ルノミナラズ、更二
層良好ニナッテ國庫ノ上ニ、財源ニ餘裕ヲ見ルヤウニナリマシタトキニ於テ、負擔ノ輕減
ヲ致シタイト云フノデアリマスガ、其時機ガイツ到來スルカト云フコトハ、今日ノ時局最
中ニ於テ何トモ返答ガ出來マセヌ、左樣ナ時代ガ生ジタナラバ矢張リ方針トシテハ今日
ノ輕カラザル負擔ヲ幾分ナリトモ輕減シタイ、斯ウ云フ積リデ居リマス
〔速記中止〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003601381X00119150603&spkNum=22
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023・寺島誠一郎
○委員長(伯爵寺島誠一郞君) 本日ハ是デ散會イタシマス、次會ノコトハ何等カノ
方法ヲ以チマシテ御通知スルコトニ致シマス
午前十時十二分散會
出席者左ノ如シ
委員長伯爵寺島誠一郞君副委員長子爵前田利定君
委員
子爵牧野忠篤君子爵榎本武憲君男爵久保田讓君
江木千之君男爵目賀田種太郞君男爵眞鍋斌君
仁尾惟茂君石渡敏一君水野鍊太郞君
田中源太郞君土居通博君安田善三郞君
國務大臣
大藏大臣若槻禮次郞君
政府委員
大藏次官濱口雄幸君大藏省理財局長神野勝之助君
大藏省主計局長市來乙彥君大藏書記官西野元君
大藏書記官小野義一君專賣局長官櫻井鐵太郞君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=003601381X00119150603&spkNum=23
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