1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
麥酒税法中改正法律案（衆第二號）
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大正九年七月二十四日（土曜日）午前十一時四十二分開會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=0
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001・徳川慶久
○主査(公爵德川慶久君) ソレデハ是ヨリ開會イタシマ
ス、昨日ニ引續キマシテ若シ御質問ガゴザイマスレバ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=1
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002・八條隆正
○子爵八條隆正君 私ハ山林所得ノコトニ付テ御尋ネイ
タシタイト思ヒマスガ、過日來若槻君其他ノ御質問デ山林
所得ノコトニ付テハ略ニ了解イタシマシタガ、尙ホ私共ノ同
僚ノ者カラ一二ノ點ニ付テ、政府ノ御考ヲ確メテ置イテ貫
ヒタイト云フヤウナ希望ガアリマシタカラ、更ニ御尋ネイタ
シマス、御尋ネイタシタイ點ハ二點アルノデアリマスガ、先ヅ
點ヅツ別々ニ御答辯ヲ願ヒタイト存ジマス、第一ニハ幼
木林ノ伐採ノ所得デアルデスカ、大體山林所得ハ申ス迄
モナク短年月ノ間ニ於テ伐採スルモノデナク、三十年、或ハ
ラレ以上四十年五十年七八十年ニ至ッテ初メテ、伐採シテ
居リマス、ンコデ初メテ眞ニ山林所得ヲ生ズルト云フ譯ノモ
ノデアリマスガ、中ニハ其伐採期ニ至ラズシテ、其途中デ未
ダ成木シナイ中ニ幼木ノ間ニ他ニ立木ノ儘デ賣ルト云フコ
トガ往々アル、而モ是ガ山林所有者カラ見レバ事實家計ノ
困難ニ陷ッタ時、又ハ已ムヲ得ザル理由ニ依ッテ賣買スル場
合ガ多イノデアリマス、併シ今度ノ改正案ニ依ルト云フト、
單純ナル山林所得ト云フコトデアッテ、伐採ノ目的ヲ以テ賣
ルモノデハナイ、買取ッタ人間モ矢張リ依然トシテ成木スル
マデ立木ノ儘存シテ置クト云フ場合ニ於テモ、尙ホ山林所
得トシテ賣主ニ向ッテ、課稅セラレルト云フ風ニモ見エルガ、
併シ事實ハ幼木林ヲ賣拂ッタ場合ニハ未ダ所得ノ能力ト
云フヤウナコトハナイ時代デアルカラシテ、斯樣ナ場合ニ於
テハ所得稅ヲ課スベカラザルモノノヤウニ思フガ、斯ル場合ニ於
テモ、矢張リ他ニ賣却シタル場合ハ、第一デ山林所得トシ
テ課稅サレルモノデアラウカト云フノガ第一デアリマスガ、先
ヅ此點ヲ一ツ御答辯ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=2
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003・松本重威
○政府委員(松本重威君) 唯〓ノ御尋ネノ點デゴザイマス
ガ、改正法律案ヲ嚴正ニ解釋シマスト、苟モ其ノ地上ニアル所ノ
樹木ガ價値ヲ有ッテ居リマス以上ニハ、矢張幼木ト雖モ山
林所得トシテ之ヲ計算スベキコトト存ジマス、併ナガラ元と
山林所得ト云フモノハ、其ノ伐採ニ依ッテ眞ノ所得ヲ得ルト
云フコトハ我〓モ同感デアル、併ナガラ法律上山林伐採ノ
所得トシテ置キマスト云フト、完全ナル徵稅ノ目的ヲ達ス
ルコトガ出來ナイト云フ考ヲ以チマシテ、今囘ノ改正法律
案ノ如ク規定シテ居ルノデアリマスカラ、執行上ニ於テハ相
當考慮ヲ要スルモノト我ニハ考ヘデ居ルノデアリマス、此點
ニ付キマシテハ、此法案ヲ起草スル際ニ自分共斯ウ云フ考ヲ有
テ居ッタノデアリマス、ト申シマスノハ、其樹木ガ例ヘバ材木ニ
仕立テルト云フモノハ木ノ性質デ分ル、ソレカラ又薪炭、燃
料等ニ仕立テル木デアレバ先ヅ雜木デアル、例ヘバ楢、椚ナ
ドト言ッタヤウナモノナラバ、是ハ何時ニ至ッテ幼木ガ伐採期
ニ到着シマストカ、其樹木ノ種類、竝ニ用途ニ應ジマシテ、
殆ド伐採期ニ近ヅイテ居ルト云フヤウナモノニアッテハ、賣買ニ
依ツテ課稅スル、之ニ反シテ其樹木ノ種類、竝ニ用途カラ考
ヘテ見マシテ、其目的ニ副フベキ相當ナル成長ニ達シテ居ラ
ヌモノハ、事實ニ於テハ課稅シナイト云フコトニ取扱フ積リ
デアリマス、然ラバ斯ノ如クシタナラバ或ハ斯ウ云フ御質問
ガアラウト思ヒマス、ソレガ各稅務署長ノ見込ニ依ッテ或地
方デハ課稅サレ、或地方デハ課稅サレヌト云フコトガ起リハ
シナイカト云フ御尋ネガアラウト思ヒマス、從來トテモ大藏
省ニ於キマシテハ、此點ニ付テ相當注意ヲ拂ッテ居ル積リデ
アリマスケレドモ、今後此所得稅改正法律案ヲ執行スルニ
付テハ、各地ノ狀況ヲ能ク調査イタシ、尙ホ稅務監督局長
會議等ヲ開イテ、能ク其實況ヲ調査シテ、其山林ノ種類、
若クハ其樹木ノ用途、性質等ニ鑑ミマシテ、全國一様ナル
取扱ヒヲイタスヤウニ大藏大臣ノ訓令デモ發シテ貰フヤウ
ニスル積リデアリマスガ、訓令ノ如キハ弱イモノデハナイカト
云フ御議論ガアルカモ知レマセヌガ、是ハ御承知ノ通リ、此
稅法ヲ執行スルニ付テハ隨分法律ナリ勅令ノ範圍內デ執
行上ノ訓令ノ方法トシテアリマシタコトハ澤山アルノデアリ
マスガ、到底法律勅令ト云フヤウナ四角張ッタモノデハ執行
ガ出來ナイノデアリマス、此山林所得ノ如キハ此訓令ノ範
圍內ニ於テ全國一樣ニ不公平ノナイヤウニ取扱ヒヲイタシ
マシテ、サウシテ幼木ヲ賣買シタル時ハ直グニ課稅ヲスル、斯
樣ニイタシタイト考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=3
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004・八條隆正
○子爵八條隆正君 唯〓ノ御答辯ハ誠ニ能ク了解イタシ
マシタガ、第二ノ伺ヒタイ點ハ部分林ノコトデアル、部分林
實例ハ我國ニハ餘リ澤山ナイサウデアリマシテ、承ハレバ
宮崎縣、秋田縣ナドニ僅カニ見ル位ノモノダサウデアリマス、
其部分林ハ旣ニ御水如ノ通リ一個人或ハ數人多キ二至ツ
テハ數十人ノ寄合ヒヲ致シテ、官有ノ中ニハ五十年トカ八
十年トカ伐採期ヲ定メテ、部分林法ニ依シテ二官八民以上
段々三官七民トカ五官五民トカ四官六民トカノ割合ヲ定
メテ、官ト民トノ間ニ利益ノ分收步合ヲ定メテ一種ノ植林契
約ヲスル、其山林道路トカ幼木上ノ手入ノ費用ハ總テ寄
合人民ガ負擔ヲスル、随ッテ其費用ハ随分多額ニ上ル、サウ
シテソレヲ伐採スル時ガ來マスト官ノ方デ之ヲ伐採スル、特
賣又ハ公賣ニ付シテ官ノ方デ賣却シテ、得タ處ノ代金ノ中
カラシテ官デ收ムベキ分ヲ引去ッタ殘餘ノ金額ヲ、人民卽チ
寄合、仕立主ノ方へ交付サレル、ソレデ寄合シタ者共ガ分收
權ニ依シテ所得ヲ得ルノダサウデアリマスガ、其伐採期ニ達
スル迄ニ七八十年ヲ要スルモノガアリ、其間ニ寄合仕立主
ノ方デ家計上等ニ件ッテ、已ムナク寄合權等ヲ他人ニ賣買
シテ仕舞フト云フヤウナコトガ實例トシテ往々有ルサウデア
リマス、斯ウ云フ場合ニ於テハ詰リ先程御尋致シマシタ幻
木林賣買ト同ジヤウナ呼デ、未ダ所得ノ能カガ發生スル以
前ニ於テ、其分收權ヲ買買シテ仕舞フ一種ノ債權ノ賣買ト
云フコトニナッテ居ル譯デアリマスガ、斯ウ云フ場合ノ時ハ、
矢張リ其寄合權賣買ニ依ッテ得タ處ノモノ、又ハ山林所
得トシテ課稅サルルモノデアリマセウカ、斯カル場合ハ先程
ノ例ト同ジク山林所得トシテ課稅シナイト云フヤウナ考デ
アリマセンカ、此點ヲ一ツ伺ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=4
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005・藤井眞信
○政府委員(藤井直信君) 唯〓御尋ノ部分林ノ分收權ノ
賣買ニ付テ、大體山林仕立ノ時ニ地上權ヲ設定致シマシ
テ、其條件デ山林ヲ仕立マシテ又伐採權ヲ得ナイ時ニ、地
上權ト共ニ立木ヲ賣ッタト云フ場合ト、略〓同一事態ト
考ヘマス、尤モ今御話ノ通リ官有地ニ民間ノ人ガ木ヲ植ヘ
ル植林ヲスルト云フコトデ、普通ノ私有地ニ地上權ヲ設定
シテ植林スル場合ト、性質ガ多少差ガアリマスケレドモ、大
體地上權ノ賣却ノ場合ト同ジヤウニ解釋シテ居リマス、隨ツ
テ唯〓玆ニ出テ居ル改正所得稅法ノ正面カラ申シマスレ
バ、部分林ノ分收權ヲ賣却シタ場合ニモ其立木上カラ生ズ
ル分收權ノ利益、其分收權ヲ賣却シテ得タ代金カラ必要
ヲ控除シタ殘額ハ、矢張リ山林所得トシテ課稅サルベキ理
論上ニ達スルノデアリマス、併シナガラ實際上ノ取扱ニ於キ
マシテハ、先程モ主稅局長ノ御答通リ、幼木ノ部分林ノ分
收權ヲ賣却シテ、ソレカラ多少ニテモ收入ノアリマシタ場合
ニモ、他ノ幼木ヲ賣シタ場合ト同ジヤウ樣ニ、相當斟酌ヲ加
ヘルト云フコトデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=5
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006・八條隆正
○子爵八條隆正君 略〓了解解タタウウデアリマスガ、サウ致
シマスト、其立木ノ成立ノ狀況如何ト云フコトノ結果ニ
ナラウト思ヒマス、詰リ成木ノ程度カ未ダ極ク低イ程度ノモ
ノデアル、幼木ト云フヤウナ場合ニ課稅シナイ、モウ伐採期
ニ近ヅイテ居ルト云フヤウナ場合ニ課稅セラレルト云フヤウ
ナコトニナリマセヌカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=6
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007・藤井眞信
○政府委員(藤井直信君) サウデゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=7
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008・鎌田勝太郎
○鎌田勝太郞君 細カナコトデアリマスガ、施行上ニ納稅
者ニ思違ヒガ行キマスト不可マセヌカラ、當局者ノ御意見
ヲ簡明ニ承ッテ置キタイ、其事柄ハ第三條、第二種、銀行定
期貯金、又ハ定期預金ノ性質ヲ有スル銀行ノ利子、定期
預金ノ性質ヲ有スル銀行ノ利子ト云フコトハドウ云フモノ
ヲ指シタルモノデアリマスカ、文字ノ上カラ解釋致シマスレバ
無論分シテ居リマス、ンレヲ事實ノ上カラ具體的ニ言ヒマス
ト銀行ノ預金ナルモノハ定期預金、其他當座預金特別當座、
或ハ小口當座、斯ウ云フヤウナ風ニ銀行ノ預金種類ガアリ
マスガ、此處ニ於テ定期ノ性質ヲ有スル預金ト云フモノハ、
ドレドレヲ御指シニナッタモノデアリマスカ、ハッキリト承ッア置
カヌト納稅者ノ思違ガ行クダラウト思ヒマスカラハッキリト
承リタイ、モウ一ツハ其增稅ヲ取ル時分ハ銀行ノ利子ヲ拂ッ
タ時分ニ天引スノデアリマス、彼ノ社債ノ利子ヲ拂ッタ時分
ニ天引シテ居リマス、サウ云フ風ニ元デ取ルノデアリマスカ、
又納稅者ガ之ニ別段ノ方法ヲ以テ納メルノデアリマスカ、
此二點ニ付テノ御說明ヲ煩ハシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=8
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009・松本重威
○政府委員(松本重威君) 唯〓御尋ニナリマシタ各種
ノ貯金中、第二條ノ第三種ニ規定シテアリマス處ノ定期預
金ト申シマスノハ現ニ定期預金ト云フ名前ヲ持ッテ居ルモ
ノダケガ定期預金デアリマシテ、當座預金若クハ小口、或
ハ特別當座預金ハ定期預金トハ認メナイ積リデアリマス、
而シテ定期預金ノ外ニ定期預金ノ性質ヲ有スル銀行預金
トハ何カト云フ御尋デゴザイマスガ、實ハ差向キノ處デ銀
行界等ニ用ヒラレテ居ル預金ノ特定名詞トシテ氣附イテ
居リマセヌ、唯据置貯金ト云フモノガアルヤウニ聞イテ居リ
マス、例ヘバ一箇年間ダケ必ズ据置キンレカラ先キハ通知
次第取ルト云フヤウナモノデ据置貯金ト云フモノガアルヤウ
ニ聞イテ居リマス、此ノ如キモノガアッタト聞クナラバ是ハ定
期預金ノ性質ヲ有スルモノトシテ取扱フ積リデアリマス、ソ
レカラ定期預金ニ對シテハ、第二種ノ所得稅ヲバ課セラレ
ルゾト云フコトニナリマスト云フト、名前モ色〓變ヘルヂヤナ
イカト云フコトモアッタノデアリマス、假リニ定期預金ト云フ
代リニ別段預金トカ何トカ云フ、而シテ六箇月限ト云フコ
トニナッテ居ル、同ジモノデモ是ハ手前ノ店デハ別段預金ト
云ッテ居リマスト云フコトデアレバ、定期預全トハ名前ニ違
ヒマスケレドモ同ジ性質ノモノデアレバ、是モ定期預金トシ
テ取扱フノデアリマス、尤モ現ニ別段預金ト云フモノガアル
サウデアリマスガ、是ガ果シテ定期預金ノ性質ヲ帶ビテ居ル
カ居ラヌカト云フコトハ能ク〓究シテ見ナケレバナラヌト思
ヒマス、而シテ別段預金ト云フ言葉ナリ、名ガ銀行ニ依ッテ
其內容ハ違フサウデアリマス、ソレデアリマスカラ、定期預金
デアルカドウカト云フコトハ分リマセヌガ、安口質ニ立入ッテ見
レバ決マルコトト存ジマス、次ノ點ハ御尋ノ前後ト同ジコト
デアリマシテ、現ニ銀行業者ハ定期預金ヲ支拂フ時ニ其支
拂フ利子ノ中カラ百分ノ一ヲ控除シテ置キマシテ、サウシテ
銀行業者ハ翌月十日マデニ之ヲ所屬官衙ニ納メルコトニ
ナッテ居リマス、法律モ規定シテ置イタ筈デアリマス、第六十七
條第二項ニ書カッテアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=9
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010・若槻禮次郎
○若視禮次郞君 法文ノ意味ヲ私モチヨット一ツ伺ヒタイ
第二十一條ノ第二項デアリマス、「又ハ基金及ヒ之ニ代ル
ヘキ積立金ノ合計金額」、是ハドウ云フ事柄デアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=10
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011・松本重威
○政府委員(松本重威君) 唯今ノ御問ニ御答イタシマ
スガ、相互保險會社ニアリマシテハ最初基金ヲ以テ營業
ヲ開始スル、併ナガラ其相互保險會社ガ利益ガアリマスト
云フト、漸次其基金ヲ償却シテ行ク、併ナガラ基金ヲ償却
シテシマヘバ、償却シ放シデ宜シイカト云フノニ、保險業法ノ
規定スル所ニ依リマスト云フト基金ヲ償却シタ時ハ必ズ基
金ニ相當スベキ分ダケハ積立テヲ置カナケレバナラヌト云フ
規定ガアルノデアリマス、是ハ一種ノ特別ナル積立金ト認メ
テ居リマス、ソレニ書イテ置キマシタノハ、基金カ或ハ基金ヲ
償却シタ場合ニ於テ法律ノ規定ニ依クテソレニ代ッテ積立テ
ル所ノ其積立金、斯ウ云フ意味デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=11
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012・若槻禮次郎
○若槻禮次郞君 ソレデアリマスト相互保險會社ニ限ル
コトデアリマスカ、外ノ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=12
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013・松本重威
○政府委員(松本重威君) 是ハ相互保險會社ニ限ルコ
トト承知シテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=13
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014・若槻禮次郎
○若槻禮次郞君 私ハ今八條子爵ノ御質問ニ關連シテ
御尋シタイト思ヒマスガ、此事ハ先達モチヨット御尋シマシタ
ガ、山林ノ所得ニ付テハ事實ハ本當ニ調ベルコトハ出來ナ
イト思ヒマス、山ノ樹ヲ伐ッテ之ヲ賣シタ、之ガ爲ニ要シタ經
費五十年間ノ仕立ノ費用ヲ總テヲ勘定シテ收人ノ中カラ
引クト云フコトハ、法律上サウナッテ居マシテモ、實際上ハサウ
ハ出來ヌデ、事實收入金ノ何割位ノモノガ、ソレニ當ルトシ
テ所得稅ヲ課セラレル外ナイト思ヒマス、實際聽イテ見マス
ト云フト山林業者ナドハ實地ノ取扱ハサウデアルト云ンテ居
ルノデアリマス、法規ハドウ拵ヘテモ實地サウナッテ居ルノデ
アリマス、若シサウデアルナラバ伐採ノ時ダケ取レバ間ハ取
ラヌデモ宜イヤウニ思フ、此事ヲ先達モ御尋シテ置キマシタ
ガ、八條子爵ノ御質問ニ對シテ、用木材ガ樹ガ若イ時ニハ
取ラヌガ、稍〓大キクナッタ時ニハ取ルト云フコトデアルケレド
モ、現行法ノヤウニ伐採シタ時ダケ取ル方ガ却ッテ宜カラウ
ト思フノデアリマス、サウシテ實際ノ經費ハドウセ分ルモノデ
ハナイノデアリマシテ、伐採シタ時ノ收入ノ何割トカ何分ト
カ云フモノヲ取ルト云フ簡便ナ取扱ガ、現在ノ當業者モ喜
シデ居ルシ、稅務署ノ方モンレガ簡便デ宜イト云ッテ居ル、然
ルニ之ヲ改メルト云フノデアレバ、是ハサウセヌデモ宜イト考
ヘルノデアリマスガ、今一遍シレヲ伺ヒタイノデスガ、先達ノ
御說明ノ時ニ法人ノ賣ッタ時ニ限〓テ價格ヲ計算スルト云
フ例ヲ示シテノ御話デアリマシタガ、法人ノ場合ヲ別ニシタ
ノハ宜イト思フ、其年ノ法人ノ收入ヲ支出ト云フ收益勘定
デ半年間据置イテモ、由林所得ト云フモノヲ別ニスルノハ
第三種バカリデアルカラ、法人ノ場合ト云フモノハ之ヲ除イ
テ考ヘテ宜イト思ヒマスガ、之ヲ除クナラバ現行法ノ如ク伐
採ノ時ニダケ取ルコトニシテ、事實ノ經費ト云フモノハ分ラ
ヌノデアルカラ、是ニハ多年ノ經驗ニ依シテ何割トカ何分ト
カ取ルト云フノガ宜シイト思ヒマス、ソレナラバ納稅者モ手
數ガ省ケテ宜イト思ヒマス、之ヲ要スルニ、山林所得ヲ別ニ
シタ、ンコマデノ改正ハ至極宜シイガ、改正ハソコマデニ止メ
テ置イテ、矢張リ伐採ノ時ダケ取ルト云フコトデ、卽チ山林
所得ハ恰カモ現行法ノ如ク置イタ方ガ官民共便利デアラ
ト思ヒマスガ、ドウシテモ現行法ノ如クスルコトガ出來ナイト
云フニハ、ンコニ非席ニ强イ理由ガアルノデアリマスカ、理論
ニ關シタコトデスカ、ソレヲ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=14
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015・松本重威
○政府委員(松本重威君) 前囘ノ說明ガ不十分デアンタ
カ知レマセヌガ、或ハンコダケ尙ホ繰返シテ申上ゲタイト思
ヒマス、現行法ニ於キマシテハ山林伐採ノ所得トナッテ居リ
マス、併ナガラ其時ノ當局者ノ考デハ伐採ヲシタ時ニ限ッテ
所得稅ヲ掛ケルト云フ考デ斯ノ如キ法律ヲ定メタノデハ無
カッノタデ其趣旨ハ賣買シタ場合ニ於テモ所得ガアレバ課稅
スルト云フ考デアッタノガ、偶〓法律ノ言葉ガ惡カッタ爲ニ茲
ニ問題ガ起ッタト云フコトデ、實ハ其當時ノ當局者ハ衆議
院ニ於テ言葉ノ使ヒ方ヲ訂正シテ說明シタト云フコトモ聽
イテ居リマスガ、兎ニ角施行勅令ニ於テハ伐採ト云フ字ハ
惡カッタ、卽チ賣ッタ場合ニモ稅ヲ課スルコトニシテ、現ニ今
訂正シテ居ルノデアリマス、併シ是ガ法律ニ伐採ト書カッテ
居ル以上ハ假令勅令デ書イタト云ッテモ其勅令ハ或ハ無效
デアル、斯ウ云フ行政裁判所ノ判例ガアリマスノデ、今度法
カラ以テ直シタイ斯ウ云フ次第デ出シタ次第デアリマス、ソレ
ハ兎モ角山林ノ所得ニ付テハ單ニ伐採シタトキニモ課稅律
テハドウシテモ脫稅カ起ル、ドウシテモ山林ノ所得ニ要シタ
所ノ經費ハ免除シナイ、一切控除シナイト云フコトニシナケ
レバ脫稅ノ目的ノ防クコトハ出來ナイ、買入代金ハ控除
シナイト云フコトニシマスレバ、個人ガ山林ヲ伐採シテ賣リ
マシタ時ニ其所得ニ稅ヲ掛ケレバ立木ノ儘賣買シタ場合
所得稅ハ掛ケルコトニナレバ所謂所期ノ目的ヲ達スルコト
ガ出來ルカ知ラヌガ、併シ法入ノ方ニナルト買入代金ヲ控
除シナイト云フコトハ事實ハ出來ナイ、事實ニ於テハ法人ノ
所得ニ山林ノ所得ヲ含ンデ居ルコトハ事實デアル、然ルニ
法人ノ名前ニ於テ山林ヲ伐採スレバ其買入代金ヲ控除セ
ラレル、個人ノ名前ニ於テ其買受ケ代金ヲ控除セラレルト
云フコトニナルト、此間ニ不公平ガ生ズル、ソレニ依ッテ伐採
ト云フコトニモ尙ホ買入代金ハ控除セヌト云フコトニスル
ト、ドウモ目的ヲ達スルコトガ出來ナイト考ヘテ、此案ノ通リ
ニ致シタ次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=15
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016・若槻禮次郎
○若槻禮次郞君 是ハ或ハ意見ノ相違ニナリマセウガ、政
府委員モ第三種ノ所得ニ付テ買受ケタ人ノ所得ノ中カラ
賣渡代金ヲ引カズシテ、植林ノ初カラノ經費ヲ皆引クナラ
バ、脫稅ガナイカラ差支ヘナイト云フコトハ御認メニナッタ、
元來法人ノ場合ハ成立ノ場合カラ違ッテ居ルノデ初カラ權衡
ガ取レヌヤウニ出來テ居ルカラ、法人ト個人ヲ特ニ比較スル必
要ハナイガ、併シ其方ハ私ハ愈々法文決定ノ時ニ意見トシ
テ述ベマスカラ、强ヒテ質問ハ致シマセヌケレドモ、先程カラ
八條子爵ノ御尋ニモ、先達テ私モ御尋シタ事柄デアリマス
カラ極ク意味ヲ明カニシテ置イタ次第デアリマス、ソコデモウ
一ツ御尋シタイノハ十四條ト六十四條トノ關係デアリマスガ
收入豫算ノ四分ノ一減損シタ時ニハ云々トアル、是ハドウ
ナリマスカ、所得ノ總高ニ付テ四分ノ一以上ノ減損ガアッタ
時ニ之ヲ認メルト云フ意味デアリマスカ、十四條ノ中デ收
入豫算年額ト書イタノハ合計ノ四分ノ一ト云フコトデ、サ
ウ云フ文字ヲ書イテナイノハコヽカラ省イテ見ルト云フコト
デアリマスカ、其關係ヲ一ツ御說明ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=16
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017・勝正憲
○政府委員(勝正憲君) 唯〓御尋ニナリマシ夕收入豫
算年額四分ノ一以上ノ減損ト書イテアリマス結果、此十
四條ノ收入豫算年額ト書イテアル金額ノ總計ヲシタモノノ
四分ノ一ノ減損アルヤ否ヤヲ分ケル、斯ウ云フノデアリマス、
尙ホチヨット前回ノ御質問ニ關聯シテ一言說明ヲ加ヘテ置
キマスガ、唯今山林ノ所得ノ計算方ニ付キマシテ、法人ト個
人トノ間ニハ權衡ヲ失スル云々ト云フケレドモ、是ハ法人個
人ノ間ノ權衡デアルカラト云フヤウナ御言葉ガゴザイマシタ
ガ、實ハ其所ノ例ヲ舉ゲテ見マスレバ我こノ考へテ居ルコトガ
能ク御了解下サルト思ヒマス、唯〓主稅局長ノ申シマシタ
ノハ斯ウ云フ意味デアラウト思ヒマス、主モニ個人ガ山ヲ仕
立テタガ、其山ガ旣ニ伐採期ニ達シテ居リマシテ、其山ヲ其
人ガ伐採シテ賣リマスレバ、其代金カラ仕立テルニ要シタ經
費ヲ去ッテ差額ダケガ全部其人ノ所得トシテ計算サレルコ
トニナル、然ルニ其ノ個人ガ自分デ伐ッテ自分デ賣ラナイ、立
木ノ儘法人ニ賣ッテ仕舞マスレバ、其山林ヲ仕立テヽ賣ッタ
人自身ハ伐採シテ居ラヌカラ課稅スルコトハ出來ヌ、所ガ
製材會社ノ計算ニ見マスレバ、其儘ヲ買ヒマシテ、材木ヲ伐
リ出シテ板ニスル、木材ニスルナリシテ賣ル、ソレデサウ云フヤ
ウニ伐採ヲスル際ニ法人ヲ利用シテ伐採スレバ、常ニ所得
ハ隱レテ仕舞フト云フ結果ニナル、ンレデ法律ノ立テ方ヲ唯
今御話ニナリマシタヤウニ變ヘマスレバ、サウ云フ風ニ伐ラセ
ル時ニハ法人ノ名前デ伐ラス、明カニ脫稅ガ起ルト云フ譯
デ其點ハ困ル斯ウ申上ゲタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=17
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018・若槻禮次郎
○若槻禮次郞君 今ノ場合ハ法人ガ買ッタ場合ヲ御示シ
ニナッタガ、個人ガ買ッテ、伐木期ニ達シテ自分ガ伐ラズニ色ミ
外ノ者ガ伐ル、山林所得ハ今政府委員ノ御說明ニ依ルト、
賣ッタ人ハ山林所得ガアル、買ンテ伐シタ人モ山林所得デアル、
サウデナイデスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=18
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019・勝正憲
○政府委員(勝正憲君) ソレハドチラノ山林所得ニシテ
モ、例ヲ上ゲルト甲ガ山ヲ仕立テ、一万圓デ乙ニ伐ラナイデ
賣リマス、サウスレバ育成ニ要シタ費用ガ五割掛ッタトシテ
五千圓、差引シテ殘リ五千圓ヲ甲ニ對シテ山林ノ所得トシ
テ計算スル、乙ハ之ヲ一万二千圓デ右カラ左ニ直チニ賣ッタ
ト假定シマスレバ、其一万二千圓ノ甲ノ總収入金ノ中カ
ラ、イヤ、乙ノ總收入ノ中カラ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=19
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020・若槻禮次郎
○若槻禮次郞君 一體サウ云フ場合ニハ其次ノ方ノ此
山林所得ト云フ別ニスル必要ハナイデハアリマセヌカ、之ヲ
別ニスルナラバ、ソレヲ一〓ニ掛ケニ行クコトハ無理ニナル
カラ山林所得ハ別ニナル、伐採期マデニ買ッテ賣ル人ハ次ノ
人ハ元來ソレハ山林ノ所得ヲ得タト言ハレヌ、伐採期ニ達
シタ時ニ賣ル人ガソレガ山林伐採ノ利益ヲ得ルト見テ差支
ヘナイ、私ノ經驗ヨリ云ヘバサウラシイデス、若シサウデナケレ
バ今日林業者ト云フモノハ山林ノ所得ノ稅ハ皆納メン筈
デアル、自分デ伐リマセヌ人ハ人ニ伐ラセルノデアリマスガ、
ソレニモ出サシテ居ルノヲ見レバ現行法ハ旣ニ之ヲ山林伐
採ノ所得ト見テ居ルラシイ、サウ云フヤウニ法律ヲ活用シテ
居ラレタラバ、强ヒテ此山林所得稅ト云フコトヲ改メル必
要ハナイデハナイカト思ヒマスガドウ云フ譯デスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=20
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021・勝正憲
○政府委員(勝正憲君) 山林ノ所得計算ニ付キマシテ
ハ、林業者ハ現ニ斯クヤッテ居ルノジヤナイカト云フヤウナ御
尋デゴザイマスガ、此現行法ヲ作リマシタ際ニ明カニ現行法
ニハ山林ノ伐採ノ所得ト斯ウ書イテゴザイマスガ、其伐採ト
云フ意味ハ過般私ガ委員會ニ於テ申上ゲマシタ通リ、山林
ノ伐採ト云フノハ、落葉、下草等ヲ····所謂山ヲ伐ル際ニ
取ル以外ニ於テ山林ノ所得ヲ生ズル時ニ伐採ト云フ文字
ヲ用ヒタノデアル、從ッテ山林採伐トシテ書イテアル、ケレドモ
現實ハソレヲ伐ラナクテモ賣買シタ場合ニ山林ノ伐採ノ所
得云ミト云フコトハ當局ハ解釋シテサウ云フ說明ヲ議會ニ
モシテ居リマス、從シテ其當時ニ施行ノ勅令ニ於キマシテハ
山林ヲ讓渡シタ場合ニ於テハ、其立竹木ノ所得ハ之ヲ山
林伐採ノ所得トス、斯ウ言フコトヲ勅令ニ明記シテ、是ガ實
行サレツツアルノデアリマスガ、然ルニ是ガ偶〓法律ニ背反
スルト云フヤウナ行政栽判所ノ判決ガ出來マシテ、過日申
上ダマシタヤウナ判例ガ出來マシタ結果トシテ、ドウモ山
林伐採ト云フ文字ヲ殘シテ置ケバ、是ガイカヌト云フノデ此
際修正ヲシタイ、斯ウ云フコトニナッテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=21
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022・若槻禮次郎
○若槻禮次郞君 ソレハ何デアリマセウカ、賣ッテ直グ伐ルノ
デナク例ヘバ、山ヲ買ッテカラ二十年モ經ッタ、是ガ山ト共ニ
木ヲ立木ノ儘デ賣ッタ、ソレカラ三年モ經ッテ愈〓他ノ人ガ
伐ッタト云フ場合、二十年經ッタ所デ出來ルノニ、稅務署ガ
山林伐採ノ所得ダト云フテ課稅シヤウトシタ、是ガ行政栽
判所デイカヌト云フタノジヤナイノデハアリマセヌカ、伐ッテ宜
イ時ニ達シタ時ニ賣ッタナラバ、ソレモ伐採ノ所得ダト云フナ
ラバ、ンコマデ行政裁判所ハ小サナ理窟ヲ云フノジヤナイ、
何デモ稅務署ガ細クヤッタカラサウ云フコトニナッタノジヤナ
イカト思ヒマスガ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=22
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023・勝正憲
○政府委員(勝正憲君) 我ニモ常識カラ考ヘテ正ニサウナ
ルベキコトト思ヒマスルケレドモ、行政栽判所ノ判決ノ趣旨ハ
サウデアリマセヌ、其山林ガ現實伐採期ニ達シテ居ルヤ否ヤ
ト云フコトハ考ヘナイ、山林ヲ伐ルコト或ハ伐ラシムルコトニ
依ヶテノ讓渡ト、斯ウ云フヤウナ文句ヲ使ッテ居リマス、判決
ニ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=23
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024・郷誠之助
○男爵〓誠之助君 私ハ少シ計算ノコトナドニ付テ一二
伺ヒタイコトガアリマス、ソレハ、第一回ノ委員會ノ時ニ私ハ
御尋シマシタガ、政府ガ徴收シ得ルモノト計算ヲナスッテ居ルモ
ノノ中ニ、脫稅ト云フコトヲ見込ンデアルカト伺ッタ所ガ、ソ
レハ徴收シタ所ノ實績ニ依ッテ計算ヲシテ居ル、斯ウ云フ御
答ヲ得タヤウニ記憶シテ居リマスルガ、此第三種ノ所得ノ
中ニ處分ヨリ得タル處ノ配當ノ如キ、若クハ賞與ノ如キ何
カト云フモノハ是ハ新シイ試ミデアル、サウスルト是迄徴收
シ得夕所ノ實績ニ依ルト云フ譯ニイカナイ筈デアルカラ、是
ハ御計算ニナリマスル所ノモノガ全部徴收シ得ルト云フ計
算ニナッテ居ルノデアリマスカ、若クハ何分カヲ控除サレルカ
ト云フコトヲ伺ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=24
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025・松本重威
○政府委員(松本重威君) 前回ニモ御答致シタヤウニ記
憶イタシテ居リマスルガ、脫稅ハ豫想シテ計算シテ居リマセ
ヌ、併ナガラ此豫算ノ基礎ニ致シマシタル數字ハ度〓御說明
中上ゲマシタ通リ、大正六年度ノ實績ニ大正七年度ニ至
ルマデ、增加步合タル一一割ヲ乘シテ而シテ拵ヘタモノデアリ
マイ、其結果カラ申シマスルト、法人ノ計算ニ付キマシテハ
大正七年度ノ實績ヲ押ヘタモノデ出來上ッテ居リマス、然ル
ニ大正九年若クハ大正十年ニ至リマシテ、經濟界ノ景氣ガ
ドウナルカト云フコトハ何人ト雖モ正確ニ豫想スルコトハ出
來マセヌノデアリマス、ケレドモ大正八年ト云フ如キ最モ經
濟界ノ活躍シタ所ノ頂上ヨリ、九年一年トナレバ餘程落チ
ルト云フコトハ想像スルノガ適當ダラウト思ヒマス、併ナガラ
七年度ト八年度トハ餘程又違ッテ居リマシテ、八年度カラ
七年度ヲ見マスト餘程低クナッテ居リマス、ンレデアリマスカ
ラ此七年度ノ實績ニ相當スル位ノモノヲ押ヘテシマシタナラ
バー斯ウ思ヒマス、ソレデアリマスカラ脫稅ト云フコトハ見込
マズトモ、豫算ヲ維持スル上ニ何モ出來ナイヤウナコトハナ
イト考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=25
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026・郷誠之助
○男爵〓誠之助君 サウイタシマスト、〓ノ大正六年度ヲ
基礎トシテンレニ二割ヲ增シテ計算シタト一云フコトハ、屢〓、
伺ッテ承知シテ居リマス、其御計算ニナッタ所ノモノハ個人々々
ニ付テ御計算ニナッテ居ルノデナクシテ、ソレハ一錢一厘
取殘サズニンレダケ取得ル計算ニナッテ居ルノデアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=26
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027・松本重威
○政府委員(松本重威君) 改正法律案ニ於キマシテハ、
一個人ノ所得ハ六百圓以上カラ課稅スルト云フコトニ計
算シテ居リマスルカラシテ、株式ノ配當ノ如キ、其他ノ所得
ヲ綜合シマジテ、其個人ノ所得ガ六百圓以上ニ滿チマスト
云フトソレニ向ッテ第三種ノ所得ヲ課スル、ソレニ反シテ六
百圓ニ滿タザル人デ詰リ株主デ兎ニ角百株モ持ッテ居ル人
ハ一切此計算ニ入レナイト斯ウ云フ風ニシテ計算シタノデア
リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=27
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028・郷誠之助
○男爵〓誠之助君 私ハハッキリシタ御答デナイヤウニ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=28
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029・松本重威
○政府委員(松本重威君) ンレデハ重ネテ申上ゲマスガ、
斯ノ如ク計算イタシマシテ六百圓以上ニ達スル者ハ、盡ク
徵收シ得ルモノトシテ計算イタシマシタノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=29
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030・郷誠之助
○男爵〓誠之助君 此參考書ノ中ニ、大體大正八年ノ
實績ニ依リ計上シタリトアリマスガ、今ノ御說明ニ依ルト其
實績ハ大正六年度ニ一一割ヲ乘ジタモノデアル、斯ウ云フコ
トニ了解シテ宜シイノデスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=30
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031・松本重威
○政府委員(松本重威君) 唯〓御讀ミニナッタ所ノモノハ、
是ハ大方第三種ノ所得ノ方デアラウト思ヒマス、第三種ニ
付キマシテハ大正六年度ノ實績ニ十割ヲ增シタモノト計算
シテ居リマス、ソレニ依ッテ大正八年ノ實績ヲ押ヘタノデアリ
マス、此際念ノ爲メニ申上ゲテ置キタイト思ヒマスルガ、今
朝豫算委員會ニ於テ中述ベマシタカラ、其際御聞キノ方と
ニハ重複ニナリマスガ、チヨット申シマス、大體每年所得稅ノ
豫算ヲ見積ル時ニドウシテ居ルカト申シマスト、所得稅ノ如
キモノハ經濟界ノ進步ト伴ウテ年々增加シテ行ク傾キヲ持ッ
テ居ル、未ダ曾テ減ッタコトハ無イト云フ實績ヲ〓シマス、ソ
レデ所得稅ノ豫算ヲ立テマス時ニハ何時デモ出來ルダケ財
源ノ實績ヲ押ヘテ、其翌年度ノ豫算ヲ取ルコトニシテ居リ
マス、ソレデ此大正九年度ノ豫算ヲ見積リマスニ付テ所得
稅ノ最近實績ヲ申セバ、第三種卽チ個人ノ所得ニ付テ大
正八年度ノ實績ハ分ルノデ、何トナレバ其年ノ八月三十一
日マデノ調査委員會カ終リマスト云フト、ンレガ卽チ稍確
定シタ所得額ニナリマシテ所得稅額ガ分ルノデアリマス、ソ
レデスカラ翌年ノ今申シマシタ此大正九年ノ第三種所得
稅ハ大體大正九年度ノ實績ヲ押ヘル、併シ是モ其時ノ經
濟ノ模樣ニ依ッテ餘リ好景氣ニ過ギタト思ヒマス時ハソレカ
ラ百分ノ五ヲ落ストカ百分ノ十ヲ落ストカ致シマス、大體ハ
最近ノ實績ヲ押ヘル、ンレカラ第一種、第三種トモ右ノ如ク
最モ近イ數字ヲ押ヘタイト思ヒマスケレドモ、何樣第一種ト
第二種ハ其年度ヲ全部經過セネバ實績ガ分リマセヌカラ、
大正八年ノ八九月項ニ豫算スルト云ノテモンレハ最近ノ實
績大正七年ノ會計年度ガ大正七年ノ四月カラ大正八年
ノ三月マデノ實績シカ定リヤウガ無イ、何時デモ所得稅豫
算ヲ見積ル時ハ第一種第二種ノ所得稅ハ前年度ノ實績、
個人所得稅ハ今年度ノ實績、是ニ多少斟酌ヲ加ヘル、斯
ウ云フゴトデアリマス、〓年ナドハ所得稅ノ改正案ガ無カツ
タナラバ、矢張リ個人ノ部ニ付テハ大正八年度ノ實績ニ若
干ノ斟酌ヲ加へ、法人ノ部ハ大正七年度ノ實績ヲ取ッテ豫
算スベキモノデアリマス、然ルニ此際所得稅ノ改正ガアリマシ
テ其內容ハ現行法カラ見ルト大變變リマス、變ッテ來マスケ
レドモ如何ナル數字ノ基礎トシテ此改正所得稅ノ種類稅
額ヲ算定スルカト云ヘバ、從來採リ來ッタ如ク矢張リ第三
種所得稅ニ付テ大正八年度ノ實績ヲ引直ス、一種二種ハ
大正七年ノ實績ニ相當シタモノニ引直ス、此所得改正
ナカリシモノニ比シテ所得稅改正アリシ時ノ實收額如何、
是ハ一方國防費ノ財源トシテ見ナクチヤナラヌ增差額デア
リマスカラ、其增差額ヲ見ルニ方ッテモ豫算ノ年度ハ所得稅
改正ナカッタ場合ト同ジモノヲ取ッテ置ク必要ガゴザイマス、
ンレデ今度改正ノ所得稅ノ根據ニ付テモ、第三種ハ大正
八年ノ實績ニ依リ第一種第二種ハ大正七年度ノ實績ニ
相當スルモノヲ押ヘマス、然ラバ如何ニシテ押ヘタカト云フ
ト、此改正スベキ條項ニ依ッテ調理シマスモノハ大正六年
シカアリマセヌ、大正七年度若クハ大正八年度ノ增加歩合
ヲ見テ、其增加步合ニ大正二年度ノ實績ヲ掛ケマシテ大
正七年度大正八年度ノ實績ヲ取シテ、此豫算ノ基礎ニシマ
シタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=31
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032・郷誠之助
○男爵〓誠之助君 私ハ細カイコトヲ申シマスノハ實ハ
斯ウ云フ意味フ以テテロヒマスノデス、大體大正八年ノ實績
ヲ押ヘテ、卽チ大正六年度ニ對シテ十割ヲ掛ケタト云フコ
トヲ屢、言ヒマスガ、第三種所得稅中他ノモノハ成程大正
八年度ニ十割ヲ掛ケラレタデセウ、其内、新タニ法人ノ得
テ居ル所得、玆ニ賞與金其他ハ十割ヲ見ラレタノデハ無イ、
矢張リ六年度ニ二割ヲ掛ケラレタ、斯ウ云フ基礎デアッタラ
ウト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=32
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033・松本重威
○政府委員(松本重威君) 唯〓私ガ申シマシタノハ、第
三種ノ所得ノ算定ノ〓要ヲ述ベマシタ、細カイコトデ申落
シマシテ御疑念ノ出ルノハ當然デアル、併シ其實ハ今〓男
爵ノ御尋ノ通リ、普通ノ所得ニ付キマシテハ大正六年ノ實
績ニ十割ヲ掛ケマス、會社配當所得竝ニ賞與ニ付テハ大
正六年ニ二割ヲ掛ケタモノヲ以テ、第三種ノ所得ノ內容ト
致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=33
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034・西川甚五郎
○西川甚五郞君 鎌田君ノ御質問第三條第二種ノ預
金中銀行預金デアリマス、預金ノ種類中ニ通知預金ト云
フモノガアリマス、是ハ大抵二三日或ハ二日トカ三日內ニ
通知シテ預金ヲ受取ルコトニナッテ居リマスガ、若シ之ヲ一
箇年以前ニ通知シテ返金ヲセラルヤウナ通知預金ヲシマシ
タ時ニ、其利息ニ對シテ此所得稅ハ賦課サレルモノデゴザ
イマセウカセラレヌモノデゴザイマセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=34
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035・松本重威
○政府委員(松本重威君) 通知預金ハ通知ヲ二日目ト
カ云フコトニナッテ居リマスガ、唯〓御尋ニナリマシタ通知預
金ト云フモノハ、一箇年以後ニ通知シテ居ル··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=35
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036・西川甚五郎
○西川甚五郞君 一箇年後ニ之ヲ貰ヒタイ、其金ヲ返金
シテ貫ヒタイト前以テ通知シテ居リマスヤウナ預金ニ對シ
テ、課稅サレルカドウカ、卽チ通知預金ナルモノハ大抵二日
ナリ三日前ニ返金ノ通知ヲシテ貰フコトニナッテ居リマスヽ
若シ一箇年以後何年何月何日ニ之ヲ貰ヒタイト云フコト
ヲ先キニ通知シテ置キマスト、其通知預金ニ對シテ所得稅
ヲ賦課サレルモノカ、無イモノデゴザイマセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=36
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037・松本重威
○政府委員(松本重威君) 甚ダ執拗イヤウデアリマスガ
今一遍御問致シマス、例ヘバ大正九年ノ七月二十四日ニ
或預金ヲスル、此ノ預金ハ大正十年ノ七月二十四日ニ取
リニ行ッタラ、其時ニ返シテ吳レト斯ウ云フノデスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=37
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038・西川甚五郎
○西川甚五郞君 サウデス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=38
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039・松本重威
○政府委員(松本重威君) ソレナラバ立派ナ定期預金ダ
ラウト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=39
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040・西川甚五郎
○西川甚五郞君 尙モウ一ツ承リタイ、サウ致シマスト三
日四日以前ノ通知預金ニ對シテモ課稅ヲナサルデスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=40
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041・松本重威
○政府委員(松本重威君) 普通定期ト申シマスルノハ三
箇月以上ト心得テ居リマス、三箇月以内位ノモノヲ預ケル
ノハ、所謂定期預金トハ看做サヌノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=41
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042・藤村義朗
○男爵藤村義朗君 第一種法人所得ノ戊、本法施行地
ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有セザル法人ノ本法施行地ニ
於ケル資產又ハ營業ヨリ生ズル所得、是ニ百分ノ七半ト
ナッテ居リマス、處ガ日本ノ法人ニハ超過所得、留保所得、
或ハ配當所得等色〓アリマスノデ、外國法人ヂアッテ日本
ニ支店ヲ持ッテ居ルモノノ所得ニ課セラルル平均ヨリハ、日
本人ノ法人ニ掛ケル課稅ノ方ガ非常ニ多イヤウニ考ヘラレ
マスガ、サウシマスルト日本ノ法人ハ外國法人ト競爭上非
常ナ不利ノ位置ニ就クコトニナルト云フ懸念ガゴザイマス、
如何ナモノデゴザイマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=42
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043・松本重威
○政府委員(松本重威君) 第一種ノ所得ノ戊ト言ヒマ
スノハ、本法施行地外ノ法人ガ、本法施行地内ニ於ケル資產
又ハ營業カラ生ズル所得ハ百分ノ七·五デアリマスルカラ、
見ヤウニ依ッテハ御說ノ通リ非常ニ輕イヤウニ思ヒマスガ、併
ナガラ是ハ現行稅法ノ其儘ヲ茲ニ用ヒテ居ルノデアリマス、是
ハ必ズ百分ノ七·五ト云フ稅ハ內地ノ法人デアリマスト云
フト、其外ニ留保所得、超過所得等ガアリマスケレドモ、此
留保所得ニ付テ申シマスレバ、留保所得ガアッタ場合ニ掛ケ
ルト云フコトデアッテ、留保所得ガナイナラバ此點カラ申スト
却ッテ外國法人ノ方ガ稅率ガ重イト云フコトニナリマス、ソ
レカラ超過所得ノ問題ニナリマスト云フト、此外國人ノ法
人ノ内地ニ於ケル支店ト雖モ、若シ内地ニ下シテ居ッタ所ノ
資本ニ對シマシテ此内地ニ於ケル所得ガ矢張リ超過所得
ニナッテ參リマスト云フト、矢張リ超過所得稅ヲ掛ケル精神
デアリマス、ソレデアリマスカラシテ、超過所得ニ付テハ輕ク
割當テルト云フコトハナイ積リデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=43
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044・藤村義朗
○男爵藤村義朗君 御說明ニ依リマスルト、多少日本ノ
法人ニ掛ケル方ガ重イカモ知レナイト云フヤウナ御懸念モ
アルヤウデスシ、且ツ此方ニ居リマスル外國ノ法人ト競爭ス
ラヤウナ日本人ノ會社ハ積立金ナドモ澤山アッテ、確實ナ會
社ト看做サナケレバナラヌ、從ッテソレニ課稅セラレテ稅金モ
重イト云フヤウナ結果ニナリマスノミナラズ、ソレ等ノ日本
法人ノ外國ニ支店ヲ有ッテ居リマスルモノハ其國ニ於テ
其國ノ人ト同樣、矢張リ課稅サレテ居ルノデ、申サバ日本デ
モ課セラレテ、又歐米デモ課モラレルト云フヤウナ結果ニナ
ルノデス、随分此重稅ヲ課セラレルヤウナコトニナル、何トカ
今少シ簡單ニ御考ハ出來マスマイカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=44
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045・松本重威
○政府委員(松本重威君) 外國法人ノ內地支店ノ所得
稅ノ負擔ガ、果シテ内地法人ヨリ重イカ輕イカト云フコト
ハ、其場合ニ依リ、其所得ニ依ッテ種々ニナリマスノデ、一〓
ニ言ヒ兼ネマス、併ナガラ大體カラ申セバ藤村男爵ノ御話
ノ通リ、日本ノ法人ニシテ外國ニ支店ヲ有ッテ居ルモノハ、
隨分重イ稅ヲ負擔シテ居ルノデアルカラ、外國法人ノ內地ニ
支店ヲ有ッテ居ルモノニモ、日本ノ法人ト同ジヤウニ····少
クトモ同ジ位ノ負擔ヲスルヤウニシタラ宜イヂヤナイカト云
フ御議論、ハ正シク一理アル御議論ト思ヒマスケレドモ、此點
ニ付キマシテハ我〓此法案ヲ草シマスル場合ニ於テモ相當
ニ考慮イタシタ積リデアリマス、併ナガラ留保所得ト云フ
ヤウナモノヲ取ッテ考ヘテモ、決シテ積立金ト云フヤウナモノ
ハ、支店ニ於テ積立テルト云フコトハ先ヅ大體ナイノデ、本
居ノ配當所得ノ場合ニ課稅スルト云フ問題ヲ考ヘマシテ
モ、是ハ迚モ外國人ニ向ッテ、外國マデ行ヲテ所得稅ヲ取ル譯
ニハイカヌト云フヤウナ譯デ、之ヲ立法ノ上カラ考ヘマシテ
モ、之ニ適當スベキ規定ノ方法ガナイノヲ一ツハ遺憾ト思ヒ
マス、ソレデ容易ニ此法人ノ所得タルト、個人ノ配當タルト、
或ハ會社ノ積立トヲ問ハズ悉ク百分ノ七·五ト云フコトニス
ルト大シテ仲ビ縮ミガナイ、大體ニ於テ內地法人ト同ジ負
擔ニナリハシナイカ、斯ウ云フ考ヲ有ッテ居ルノデアリマス、内
地法人デアルト積立ニスレバ百分ノ七·五ノ課稅ヲサレル
ガ、配當シマスト云フコトニナルト、政府ノ原案ニ於テハ何
等課稅ヲ受ケナイ、衆議院ノ修正ニ於キマシテ、配當カラ二
割引クト云フコトニナリマスル、二割引クト云フコトハ配當
所得ノ課稅金ヲ少クスルト云フコトニナリマスルカラ、配當其
モノニ付テハ矢張リ課稅シナイト云フコトニナッテ居リマスルカ
ラ、此點カラ言フト外國法人ハ內地法人ヨリ總テノ所得ニ
對シテ課稅セラルルト一玄フ點ハ重イノデアリマス、要スルニ
何方ガ重イ輕イト云フコトハドウモ決定スルコトガ出來ナイ
カト思ヒマス、唯是ハ全ク同ジヤウニ規定シテ置キマスト云
フト一番明確ニ而カモ都合ガ宜イガ、事實左様ニ規定スル
コトガ出來ナイ爲ニ、斯樣ニナッテ居ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=45
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046・藤村義朗
○男爵藤村義朗君 此銀行定期預金、若クハ定期預金
ノ性質ヲ有ッテ居ル預金ノ利子ハ百分ノ三掛ケル、ソレカラ
當座及ビ通知預金ノ利息、所得、是ハ又外ノ稅率ニ從シテ課
稅スル、ソレカラ貯蓄預金ハ無稅デアルト云フ風ニ色〓ニ區
別ニナッテ居リマスルガ、蓋シ是ハ課稅ノ公平ヲ期スル爲メデ
アリマセウガ、定期預金デモ之ヲ當座及ビ通知預金ノ方ニ
振替ヘテ或ハ脫稅ヲスルト云フヤウナ虞モアリマスルシ、又ハ
當座預金及ビ通知預金ノ如キヲ貯蓄預金ニ換ヘテ仕舞ツ
テ、無稅ニスルト云フヤウナコトガ續々起リハシナイカト思ヒ
マスガ、其邊ノ御懸念ハナイモノデアリマセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=46
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047・松本重威
○政府姿員(松本重威君) 此點ニ關シマシテハ金融界ノ
狀況ヲ能ク調べナケレバナラヌ、役人ナドト云フモノハサウ
云フコトニハ暗イモノデスカラ、或ハ誤ッタ觀察ヲ有ッテ居ルカモ
知レマセヌガ、定期預金ト云フモノハ少クトモ三箇月以上、
或ハ晋通六箇月乃至一箇年位決シテ急ニ出サヌ、斯ウ云
フ風ニ約束ヲシマシテ銀行ニ安心ヲ與ヘテ、サウシテ銀行ヲ
シテ利殖セシムル、從ッテ銀行ノ其利子ハ當座預金ヨリモ高
イト云フコトニナッテ居ル、稅法ノ規定ニ依ッテ天引ヲ····通
知預金ナラバ是ハモウ普通ノ第三所得トシテ課稅セラレル
ガ、果シテ稅ガ課セラレルカ課セラレナイカ分ラナイカラ、當座
預金、通知預金ニ引直スト云フヤウナ傾キヲ有っテ居ルト云フ
ヤウナ、御意見的ノ御質問デアリマスガ、サウシマスト云フ
ト、事實ハ定期預金デアルケレドモ、之レヲ當座ニ引直ンテ
仕舞フ、斯ウ云フコトニナルト預金者ノ立場カラ言フト、イ
げ金ガ要ルト云フコトニナルト當座領金デアルカラ小切手
ヲ振出ス、斯ウ云フ場合ニ於テ銀行業者ト雖モソレヲ拒ム
コトハ出來ナイ、サウスレバ忽チ問題ガ起ルダラウト思ヒマ
ス、併ナガラサウ云フ問著ヲ起サナイヤウニ、事實ハ當座預
金トシテ預ケテ居ル、是ハ稅ヲ脫レル爲ニ當座預金トスル
ノデアッテ、一年トカ、半年トカ經タナケレバ請求ガアッテモ渡
サヌゾト云フヤウナ契約ガアル、定期預金ヲ當座預金トシテ
居ルト云フヤウナノハ是ハ脫稅行爲デアルト思ヒマス、是、
法律ヲ以テ臨ンデ之ニ相當ノ制裁ヲ加ヘテ行ク、斯ウ云フ
考ヲ有ッテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=47
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048・藤村義朗
○男爵藤村義朗君 モウ一ツ伺ヒタイノデアリマスガ、此
所得稅法ノ改正ニ付キマシテハ世間デハ此改正ハ富豪ノ
脫稅ニ都合ガ好イヤウニ出來テ居ル、富豪ガ脫稅シ易イト
云フヤウニ皆言ッテ居ルヤウデアリマス、其爲ニ幾分ノ留保
所得ニ依ッテ之ヲ强制スル、富豪ト云フ者ハ脫稅スルモノト
シテ、斯ウ云フ說ガ出テ居ルヤウニ思ハレル、實際富豪ノ
脫稅ノ防止ト云フ途ハ十分附イテ居リマセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=48
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049・松本重威
○政府委員(松本重威君) 唯〓御質問ノヤウナコトハ度
ミ私共耳ニスル所デアリマスガ、サウ富豪ト雖モ悉ク脫稅ヲ
圖ル考デ居ルモノデハナイト我、ハ好意ヲ以テ臨ンデ居ル次
第デアリマス、併ナガラ兎角世間ノ人ハサウ申シマスシ、又
當局者カラ見マシテモ其人ハ斯クマデニ惡意ガアル譯デハ
ナイカ知ラヌガ、ドウモ徴稅眼ヲ以テ見マスレバ法人組織ニ
シテヤル、是ハ脫稅ノ爲デハナイカト云フ疑ヲ起ザザルヲ得
ナイヤウナコトガアルノデアリマス、脫稅ト云フコトハ道義問
題トシテ謹マナケレバナラヌノデアリマスガ、此點ニ付テハ我
々ガ苦心ヲシテ居ル所デアッテ、法ノ權威ノ爲ニモ斯ノ如キ
傾ヲ取ルト云フコトハ良クナイト思ヒマシテ、此案ヲ衆議院
ニ出シマシタ時ニハ非難攻擊ガアリマシタノデアリマス、此
衆議院ノ修正ノ時ニ稍、改マッテ居ル點モアリマス、ソレデ自
然是等ノ脫稅ト云フヤウナ憂ガナクナルト云フノデ之ヲ三
段ニ區分シマシテ七·五、百分ノ三十マデ取ルト云フコトニ
シテ、富豪ガ形式的ノ法入ト云フヤウナモノヲ造ッテ、サウシ
テ公法的ニ脫稅ヲシヤウト云フコトノ防止ヲノル方法ガナ
イト思ヒマシテ、我〓當局ハ二三ノ案ヲ拵ヘテ見タノデアリマ
ス、ドノ案ニシマシテモ缺點ガ多イ、是ハ留保シヤウト云フコ
トニ對シテ區分シテ會社ノ基礎ヲ薄弱ナラシムルヤウナ手
續ヲ除ク爲ニ、拂込金額ニ對シテ何トカ按排ヲシテ、サウシ
テ刺リマシタダケノ積立金ニ對シテ所謂脫稅ト云フヤウナ
コトガアッタ場合ラハ、ンレニ向ッテ高イ稅率ヲ附スル、是ハ衆
議院ノ修正ニ名案ナリトシテ同意シテ居ル次第デアリマス、
大體此方デ脫稅ハ防止スルコトガ出來ルコトト考ヘテ居ル
次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=49
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050・中村圓一郎
○中村圓一郞君 私ハ遲ク參リマシタカラ、或ハ既ニ御質
問後カモ知レマセヌガ伺ッテ置キタイト思ヒマス、ソレハ田畑
ノ所得デアリマス、之ヲ計算シマスニ、必要ナル經費ヲ控除
スルヤウナコトハ、是ハ地方ノ所得稅會議デハ何時モ此點
ニ付テ爭フヤウニナッテ居リマス、此必要ナル經費ト云フコト
ハ公租其他以外ノドウ云フコトヲ御擧ゲニナッテ居リマス
カ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=50
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051・勝正憲
○政府委員(勝正憲君) 御答申上ゲマスルガ、田畑ノ所
得ヲ計算致シマスノハ自作ノ計算ト小作ノ計算トハ違フノ
デアリマス、自作ニ付キマシテハ所得米ニ米價ヲ乘ジマシテ、
總テ三年平均デアリマスガ、サウシテ乘ジテ得タモノカラ耕作
費租稅公課其他各種土地ニ關スル費用ヲ一切引イテ殘ッ
タモノヲ其所得トスル、又小作ノ所得ニ付キマシテハ、小作ニ
米價ヲ乘ジマシテ、ソレカラ租稅、公課及ビ水利費用、土地
ノ維持ニ必要ナル費用等ヲ引去ッタモノガ小作ノ所得ニナ
ル是ガ卽チ先ツ表面上ノ、實際ノ表面上ノ計算デゴザイマ
ス、ソレカラ先ヅ理窟カラ申セバ其通リデゴザイマスケレドモ
何萬、或ハ何十萬ト云フ田畑ノ所有者ノ所得ノ計算ヲ致
シマスノニ、一々其各人々々ノ所得米ヲ調査シテ之ニ米價
ヲ乘ジ、ソレニ關スル費用ヲ明細ニ調ベテ控除スルト云フコ
トハ、到底是ハ實行ノ出來ルコトデハナイノデゴザイマスカ
ラ、各地ノ實況ニ應ジマシテ或ハ町村別、大字別ト云フヤウ
ナ風ニ地區ヲ分チ或ハ更ニ進ンデ上中下ノ等級ニ分ッテ所
得ノ標準ト云フモノヲ造リマス、何郡ノ何村デハ普通ドノ
位ノ米ガ獲レル、而シテ時相場ハドノ位ノモノデアル、之カラ
控除スベキ費用ハ斯ミデアルト云フ計算ヲヤッテ見マスト云
フト、其生產シタ結果ガ段別一段步當リノ所得ガ十八圓
ニナリマストカ、二十五圓ニナリマストカ云フ計算ヲ得マシ
テ、ソレヲ所得ノ標準ト斯ウ云フコトニ致シマシテ、ソレヲ書
出シマシテ各人ノ所得ヲ計算スル、是ガ普通ノ狀態ノ所得
者ニ對シテ此標準率ヲ適用シテ計算致シマスガ、尙ホ適用
ノ出來ナイヤウナ事情ノアル者ニ付キマシテハ普通ノ標準
デ推サレマセヌカラ、ソレ等ノ人ニハ其人ニ應ジタ計算方ヲ
執ルト云フコトニナッテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=51
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052・中村圓一郎
○中村圓一郞君 尙ホモウ一ツ伺ヒマスガ、唯今自作ノ
所得ノ計算ノ場合ニモ政府委員ノ御答辯ノヤウナ趣意デ
地方デヤッテ居リマスガ、是ガ丁度其免稅點トノ境目デス、
六百圓デスカ、其場合ニ行キマスト何時モ田地ヲ甲、乙、丙
ト三種ニ分ケテ置キマシテ甲ノ所得ニスルノヲ例トシテ居リ
マスガ、ソレヲ何時モ引上ゲテ率ニ嵌メルヤウニナッテ居リマ
スガ、ソレガ所得稅調査會ニ於テ疑問ガ起ルノデ、僅ノコト
デアリマスガ頭數ハ大變多イノデ、ソレト今一ツハ大地主ニ
ナリマスト支配人等ヲ他町村ニ持ッテ居ルト其町村ノ支配
人ニ多少ノ心付ヲシテ置イテ、サウ云フモノガ當然田畑ニ
必要ナル經費トシテ事務費ヲ掛ケテ居ル、所ガ稅務署デハ
ソレハ考ヘテ居リマセヌ、居リマセヌ爲ニ此點ニ付テ何時
デモ相違ヲ來タシテ居リマス、或ル場所ニ於キマシテハ凡ン地
價何万圓以上ノモノニハ此位ナ小作米取立法ノ世話料ガ
掛カル、或ハ他町村ノ持ッテ居リマス此位ノ費用ガ掛カルカ
ラト云フノデ、其率ヲ以テ算定シテ居ル所モアルヤウニ聞イ
テ居リマス、サウ云フ所ガアリマスカナイデスカ、ソレヲ伺ヒタ
イノデアリマス、同時ニ作米ヲ取立テル者或ハ支配人ト云
フヤウナ者ノ費用ハ、差引キマシテ差支アリマセヌカ、ドウデ
スカ、ハッキリ分ッテ居リマセヌト何時モ此點ガ爭點ニナリマ
ス、ソレカラモウ一ツハ漁業ノ所得、一向是ハ算定ガツキマ
セヌデ、極〓算ニシカヤッテ居リマセヌ、ソレカラ其町村ニ聽
キマスト大凡ノ高モ分リマスガ、ソレガ町村ノ答ト稅務署員
ノ調ベトノ間ニ大分相違ガアリマシテ、調査委員ガ申シマス
ルコトハ殆ド其被告ヲ辯護スルヤウニ考ヘラレテ、先ヅ調査
委員ノ言フタコトハ否認サシルト云フ傾デ、往々此事ニ付
キマシテハ爭議ヲ起シテ居リマスガ、斯ルコトハドウ云フヤウ
ニ致シテ宜シイノデアリマスカ、御取扱ヒニ付テ成ルベク例
ガアリマスレバ伺ッテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=52
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053・松本重威
○政府委員(松本重威君) 唯今中村サンノ御尋ネデ丁
度課稅ノ最低點、言葉ヲ換ヘテ言ヘバ免除點ニ掛ッテ居ル
人ダト云フト、其率ヲ動カシテ到頭稅務署ハ、掬ヒ上ゲテシ
マッテ稅ヲ掛ケルヤウニスルト云フ御說デアリマスガ、果シテ
稅務署ガサウ云フコトヲヤッテ、サウシテ納稅者ヲ澤山アサリ
集メテ稅金ヲ多ク取ルト云フコトヲシテ居リマスナラバ、ソレ
ハ實ニ親ノ心ヲ知ラナイ子供デアリマシテ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=53
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054・中村圓一郎
○中村圓一郞君 事實問題デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=54
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055・松本重威
○政府委員(松本重威君) 稅務署ガ惡イノデス、ソンナニ
トヲ致シテハ惡イノデス、併ナガラ同時ニ斯ウ云フコトモ御
考置キヲ願ヒタイノデスガ、丁度免稅點ニ引掛ル位ノ人ハ
少シ課稅金ノ所得ガアル、併ナガラ之ヲ申告スルト稅ヲ取
ラレルカラ是ダケ匿シテ置カウト云フヤウナコトデ、側ノ方ニ
仕舞シテ置クト云フコトガアッテ困ルト云フコトシ、今度ハ稅務
官署ノ方カラ我ミハ話ヲ聽イテ居ルノデ、斯ウ云フコトニナリ
マスト、納稅官署ノ云フ所ト納稅者ノ云フ所ト之ヲ兩方相
對シテ見ルト五分々々ノヤウナコトニナル次第デアリマス、
併シサウ云フ稅務署ガ取扱ヲスルモノトシマスレバ、稅務署
ガ惡イト云フコトノ方ニ判定ヲ致シマス、他町村他管內ニア
ル土地ヲ持シテ居フテ管理ノ費用ガ要ル、ソレハ差引カナケレ
バナラヌ、然ルニモ拘ラズ稅務署ハ之ヲ計算シナイ向モスル
向モアルト云フ御話デアリマスガ、全ク他管內ニ土地ヲ持ツ
テ居ッテ、ソレニ對シテ管理人ヲ置クト云フコトデ幾分其人
ニ對シテ金ガ掛カリマスルナラバ、ソレハ其點ハ控除シテ然
ルベキモノト思ヒマス、控除シナイノガ惡イ、併シナガラ事實
ガ明確デナイ爲ニ稅務署ガ引カナイト云フコトモアリマセウ、
事實ガ明確ナラバ引クノガ相當デアリマス、漁業ノ所得デア
リマスガ、是ハ稅務署ノ方デモ難儀シテ居ル所得デアリマシ
テ、一體漁業ノ所得ホド算定ノムツカシイモノハナイノデア
リマス、是ハ我ミ時こ聞クコトデ漁業ノ所得ハ實地ニ課稅シ
ヤウヂヤナイカ、又當業者ノ方カラモ漁業ノ所得ハ豫算デ
課稅スルノハ餘程無理ダト云フコトハ、是ハ主モニ北海道
カラ出テ來ル苦情デ鰊ノ漁ナドデアリマシテモ其年々ニ依ツ
テ違フコトデアリマスカラ、之ニ付テハ此際モ餘程考ヘタノ
デスガ、色ミ議論ノ結果例外ニセズニ當リ前ノ豫算課稅ニシ
テ居リマス、サウ云フ譯デアリマスルカラ、稅務署トシテモ漁
業ノ所得トシテハ標準步合ヲ超エルコトハ困難デアリマス、
調査委員ニ於テモ其材料モムヅカシイト思ヒマス、殊ニ其
處デ取ッテモ確タル證據ヲ得ナイト水掛論ニナルト稅務署
ニ於テハ主張スル、調査委員ノ意見ガ行ハレナイト云フコト
ガ實況ダラウト思ヒマス、是ハムヅカシイ問題デアル、併ナガ
ラ成ルベク事實ヲ調査シ調査シタ當時ノ實況ニ依ッテ將來
其調査當時以後ノ所得ヲ適當ニ見積ッテ課稅スル、而シテ
實際ンレダケ所得ガ無カッタナラバ、他日ニ至ッテ減損ノ更訂
處分ヲシテヤルト云フコトニシナケレバナラヌモノト考ヘテ居
リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=55
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056・藤田平太郎
○男爵藤田平太郞君 チヨット御尋ネ致シタウゴザイマス
ガ、此海外投資ニ對シマシテノ所得金額ハ幾ラ位デゴザイマス
カ、且ツ徴收ノ稅ハ幾ラ位ニナッテ居リマスカ、チヨット伺ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=56
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057・松本重威
○政府委員(松本重威君) 唯〓海外ノ投資額竝二之ニ
對スル見積ハドウナッテ居ルカト云フ御尋ネデゴザイマスガ、
私ガ中スマデモナク海外投資額ハ主モナルモノハ法人ガ多
イト思フノデ、個人トシテノ海外投資額ハ比較的少イト思フ
ノデス、從來法人ニ對スル課稅ニ付キマシテハ其投資額ガ
內地デアラウト外國デアラウト、其法人ノ所得ニ對シテ課
稅シテ居ルノデスカラ、此稅法改正ノ當時ニ海外ノ特別ノ
調査ヲスル必要モナカッタノデ調査シテ居リマセヌ、個人ノ
海外投資ニ對スル所得額ハ今度ノ改正ニ依ッテ課稅スルコ
トニナリマシタカラ、是ダケハ理窟カラ云フト投資額所得額
ヲ豫算中ニ見積ラナクテハナラヌト見テ居ルノデス、併ナガ
ラ是ハ唯〓申上ゲマシ夕通リ大體ニ於テ少イモノト思ヒマ
シテ、此投資額モ海外ニ至ッテ徹底的ニ調査スルコトモ困
難デアリマスカラ、粗漏ト云ヘバ粗漏ト云ヘマスガ、投資額
ハ見積ッテハ居リマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=57
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058・藤田平太郎
○男爵藤田平太郞君 法人ニ付キマシテモ大體ノ御見
當ハツキマセヌデゴザイマスカ、個人ハチヨット分リ兼ネマセ
ウガ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=58
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059・松本重威
○政府委員(松本重威君) 唯〓ノ所デハチヨット玆ニ調
ベハ持ッテ居リマセヌ、併シ特ニ御必要トアリマスレバ、何力
ノ手段ヲ以テ相當推定スルコトニ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=59
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060・藤田平太郎
○男爵藤田平太郞君 別ニ御面倒ヲ掛ケル必要モゴザイ
マセヌ、唯參考トシテ承ッテ置カウト思ヒマス、就キマシテハ
幸ヒ大藏大臣モ御出席デゴザイマスルカラ、チヨット御意向ヲ
承ッテ置キタイト考へマス、私共ノ見マスル所ニ據リマスルト、
此二三年此方海外ニ對シテ事業ガ段々緒ニ着イテ參リマシ
タ、此分デ漸次發展スレバ我國トシテモ非常ニ公益ヲ得ラ
レ、且又我ガ日本トシテモ海外ニ發展ヲスル一端トナリマシテ
非常ニ幸福ナコトダト考ヘテ居リマス、然ルニ今囘此稅法ヲ
御布キニナリマスト海外ノ事業ニ對シテハ非常ナ影響ヲ受
ケハシナイカト考ヘマス元來海外ニ對スル事業ト云フモノ
ハ政府ガ餘ホド力ヲ入レラレテ且ツ保護ノ下デナクテハ、發
展ト云フモノハ容易デアルマイト私共ハ豫テ考ヘテ居リマス、
能ク個人的ニ海外ニ投資シテ他國ノ法律其他ニ束縛サレ
テ、何時モ難問題ガ起ル、發展ハ容易デナイ、其時ニ我ガ外務
省其他ノ態度ト云フモノハ、随分不親切ナコトガ多々アル
ヤウニ私共聞イテ居リマス、一方政府ニ於テハ大藏省且ツ
農商務省デハ海外發展ト云フコトヲ非常ニ御奬勵ニナル、又
一方外務省デハ一向ソンナコトハ頓着シナイ、問題ガ起ッタ
時ニハ誠ニ不親切ナコトモ種々アル、其點ハ大分矛盾シテ居
ルヤウニ思ヒマスガ、豫テサウ云フヤウナコトヲ始終聽及ビマ
スヤウナコトデアリマスカラ、今囘政府ガ海外發展ニ對シテ
ハ餘程影響スルダラウ、折角發展シツヽアルノニ誠ニ殘念ナ
次第デアリマスカラ、大藏大臣トシテハ今後斯ウ云フ事業
ニ對シテハ多少ナリ援護ヲ與フル、又場合ニ依ッテハ事業ノ
性質ニ依ッテハ保護ヲスル、奬勵スルト云フ御意嚮デアラセ
ラレルノデアリマスカ、チヨット其邊ヲ參考ノ爲ニ承ッテ置キタ
イ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=60
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061・高橋是清
○國務大臣(男爵高橋是〓君) 海外ノ事業ノ保護ト云
フ仰セハ主トシテ支那方面ノコトヲ仰セニナルカ、或ハ南洋
方面ノコトヲ御述ベニナルカト考ヘマスガ、由來政府トシテ
ハ海外事業ハ奬勵ノ方針ヲ執ッテ居ッタニ相違ナイト思ヒマ
ス、又外務省モ其方針ヲ執ッテ居ッタモノト私ハ考ヘテ居ル
ノデアリマス、現ニ海外放資、卽チ主トシテ支那方面ナドニ
對シテ事業ヲ起スト云フヤウナコトハ、先ヅ以テ外務省ガ
其關門ニナッテ居ルヤウナ譯デアリマス、之ヲ保護スルト云
フコトハ外交上ニ於テ、或ハ德義上ノ範圍ニ於テ十分保
護スルト云フコトハ、從來カラ執リ來ッタ方針デ少シモ變ラ
ヌト思フ、物質的ノ方ニナルト是ハ物ニ依ッテハ國ガ補助ヲ
シテモヤラナケレバナラヌモノモナイトハ限ラヌ、例ヘバ若シ海
外ニ於テ非常ニ日本ノ最モ必要トスル石油ノ如キモノガ出
ル、到底初メカラ算盤ヲ取ッテ個人若クハ會社ノ仕事トシテ
ハ損益上ニ於テ償ハナイ、併シ國家カラ見レバ何トシテモ
必要ナモノデアル、斯樣ナモノニ向ッテ、或ハ物質的ノ援助
ヲスル必要ガ必ズアルコトト考ヘマス、大體ニ於テハ商工業
ヲ海外ニ起スニ於テハ、先ヅ以テ個人ナリ會社ナリガ物質
的援助ヲ政府ニ求メズシテ、ンウシテヤリ得ルモノフ奬勵シ
タイ、斯ウ考ヘテ居リマス、政府ガ海外ノ仕事ニ對シテ物質
的ニ援助ヲスルト云フコトハ其國ニ依リ或ハ其事業ノ性質
ニ依ッテハ却ッテ有害ニナルコトモアル、大體ニ於テ物質的
援助ヲスルト云フモノハ今一例ヲ申シマシタ石油ノ如キモ
ノデアレバ是ハ考ヘナケレバナラヌコトト考ヘテ居リマスガ、
先ヅ商工業ニ資本ヲ投ジテ仕事ヲシヤウト云フモノハ、物
質的ノ援助ヲ政府ニ求メズシテヤリ得ル仕事ノ方面ニ於テ
之ヲ奬勵シタイ、斯ウ思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=61
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062・八條隆正
○子爵八條隆正君 チヨット伺ヒマスガ地方稅ノ制限ト云
フモノハ法文ニ依ル制限外ノ課率ニ付テ、内務、大藏兩大臣
ノ認可ト云フモノハ其認可ノ效力ト云フモノハ、一旦認可
ヲ與ヘタナラバ何時マデモソレガ續クモノデアリマセウカ、或
ハ一年度限リト云フフヤウナモノデアリマセウカ、或ハ認可
ヲ與ヘタル事由ノ消滅スルマデ續クト云フモノデアリマセウ
カ、其邊ハ如何ニナッテ居リマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=62
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063・勝正憲
○政府委員(勝正憲君) 制限外ノ課稅ニ對シマスル内
務、大藏兩大臣ノ認可ハ、認可ノ形式ニ依ッテ違ヒマス、年
度ヲ限ッテ一年限ニシテ居ルモノガ澤山アル、或ハ其費用ノ
性質ニ鑑ミテ、或ハ三年限リ、或ハ五箇年限リ、年限ヲ限ツ
テ居ル認可ハ其年限限リノコトデアリマスガ、モノニ依リマ
シテハ年限ヲ限ラズシテ認可ヲスルモノガアリマス、ソレハ法
令ノ變更サレルマデハ其效力ハ存續スルモノト見ナケレバナ
ラヌト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=63
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064・八條隆正
○子爵八條隆正君 唯〓ノ御說明ノ如クニ認可ノ效力
ガ一年度以上ニ亙ルト云フモノハ卽チアルトシマスレバ、若
シモ本回ノ所得稅ノ改正ニ依ッテ自然地方團體ニ於ケル
所得稅ノ附加稅ト云フモノハ增收ニナル譯デアリマスカラ、
之ヲ現存ノ附加稅收入額ノ限度ニ止メヤウト云フ場合ニ
於テハ其認可ヲ取消ストカ、改メルトカ云フヤウナコトガ出
來ルノデアリマセウカ、既ニ爲シタル認可ハ根本タル所得稅
法ノ改正ガアッテモ依然トシテ將來ニ效力ヲ持續セシムベ
キモノデアリマセウカ、其邊ハ如何デアリマセウ、若シモ之ヲ
改メテ差支ナイモノデアルトスレバ其形式ハ、法律以外ニ於
ケル形式ハ、ドウ云フ手續ヲ執レバ宜シイノデアリマセウカ、
其邊ヲ御伺ヒ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=64
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065・勝正憲
○政府委員(勝正憲君) 所得稅ノ附加稅ノ制限外ノ認
可ノ如キハ能ク取調べテ見ナケレバハッキリシタコトハ申上
ゲラレマセヌガ、大抵年限ガ付イテ居ルト思ヒマス、年限ナシ
デ認可ヲシテ居ルモノハ多分ナカラウト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=65
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066・八條隆正
○子爵八條隆正君 其年限ノアルモノニ付テデスガ、三年
トカ、五年トカ云フコトニナッテ居レバ之ヲ明年度ヨリ率ヲ
改メルト云フコトハ出來ナイノデセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=66
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067・勝正憲
○政府委員(勝正憲君) ソレハ各公共團體ノ財政ノ都
合ニモ依ルコトデアリマセウカラ、何トモ申上ゲ兼ネマスルノ
デアリマスルガ、所得稅ノ附加稅ガ例ヘバ今日デハ四錢ガ
制限デアルノヲ八錢マデ認メテ居ルト假定イタシマシテ、其
一圓ニ對シテ八錢ノ附加稅ヲ取ッテ居ルガ、今度ハ所得稅
ノ國稅ノ方ノ所得稅ガ殖エルカラシテ、今度八錢取ラナイ
テモ六錢カ、五錢取レバ十分デアルト云フヤウナ場合ニ於キ
マシテハ、各團體ノ働キトシマシテ必要ノナイ稅ハ先ヅ取ラ
ナイ筈デアリマス、ソレデアリマスルカラ認可ハシテ居リマシ
テモ、若シ必要ガナケレバ向フノ各地方團體ノ方ニ於キマシ
テ、附加稅ノ率ヲ下ゲルコトト考ヘマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=67
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068・八條隆正
○子爵八條隆正君 ソレハ御尤モノ話デアリマスガ、又
面ニ於テハ地方自治團體トシテハ色〓經費ガ要ルトカ、從來
トテモ出テ來タトスレバ今一層制限ヲ擴張シテ欲シカッタノ
デアルガ、認可ヲ得ラレナイカラ已ムヲ得ス或ル程度ニ於テ止
メテアッタト云フテ、澁〓從來辛抱シテ居ルモノガアルダラウト
思フ、左樣ナ團體ニ於テハ今日ノ改正ヲサレテ、實ハ制限
限リハ上ゲズシテ、自カラ生ズル所ノ增收ヲ豫ネテ希望シテ
居ッタ所ノ事業ニ振向ケルト云フヤウナ關係カラ致シテ、此
際率ヲ下ゲルト云フヤウナコトノナイ〓體モ隨分アルダラウ
ト思フノデアリマスガ、其ヤウナ點ニ付テ内務大藏ノ御當局
ニ於テ、ドウスルト云フ御考ハナイモノデゴザイマセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=68
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069・松本重威
○政府委員(松本重威君) 唯〓ノ御質問ハ一旦內務大
藏兩大臣ガ認可ヲ與へテ居ル其制限率ニテ、今度ノ增稅
セラルル所ノ所得稅ニ對シテ附加稅ヲ掛ケルコトが出來タト
スレバ、事實上ニ於テ從來ヨリモヨリ多クノ負擔ヲスルト云
フコトニナルノデアル、就テハ唯〓ノ御質問ハンレハ從來ノ
限度ニ止メルヤウニ何等カノ手段ニテ出來ナイモノデアラウ
カト云フ御尋ト聞イテ居ルノデアリマス、此點ニ付キマシテ
ハ是ハ法律ヲ以テ規定シテ、此際所得稅ガ增稅ヲスルコト
ニナッテモ之ニ伴ウテ附加稅モ同ジ率デ上ゲルコトハ宜シク
ナイ、附加稅ノ額ガ其金額ニ於テハ從來許可シテ居ッタ所
ノ範圍內ニ於テ取ル、從ッテ率ハ幾分カ減ルト云フヤウナ風
ニ法律ヲ規定スルナラバ、是ハモウ明白ナコトト思フ、然ルニ
法律ニ依ラズシテ從來ノ平均率ヲ其儘ニ保存シテ置ケバ、
ソレガ爲ニ附加稅ヲ多ク取ラレル、其場合ハドウスルカト云
フト、此場合ニハ市町村ニ必要ガナカッタラ取ラズニ濟ムガ、
若シ必要ガアッタランレダゲ取ラレル、其時ハ一旦內務、大
藏兩大臣ガ許可ヲ與ヘテ置イタモノデモ單ニ監督權ノ作
用ニ依ッテソレヲ取消シ又ハ變更スルコトガ出來ルカト云フ
ニ、之ヲ取消シ又ハ變更スレバ其結果地方團體ノ財政ガ
苦シクナル、詰リ地方〓體ノ財政ノ內容ヲ、整理シナケレバ
ナラヌコトニナルガ、斯クマデ、內務大藏兩大臣ノ取消權ガ
及ブカ及パヌカト云フコトガ議論ノ要點ニナッテ來ルト思フ、
ソレハドウモ私共先程カラ考ヘテ見ルト〓究ノ餘地ガアル
ヤウニ思心シスノデ、願クハ内務當局者トモ、打合セノ上デ御
答辯ヲ致シダイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=69
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070・八條隆正
○子爵八條隆正君 ドウカ此次ノ稅法ノ委員會マデニ、
御〓究置キヲ願ヒタイト存ジマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=70
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071・徳川慶久
○委員長(公爵德川慶久君) 此際御諮リヲ致シマスガ、
大體質問モ盡キタヤウデゴザイマスルガ、討議ニ移スヤ否ヤ
御相談シタイト思ヒマス、大體此委員會ニ委託サレタ案全
部ヲ、討議ニ移スベシトスル諸君ノ擧手ヲ請ヒマス
〔「ドウゾモウ一度」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=71
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072・徳川慶久
○委員長(公爵德川慶久君) 討議ニ附スト云フ意味ハ
第二讀會ニ移スト云フ意味デアッテ、若シ移スニ及バヌト云
フコトニナレバ否決ニナリマス、或ハ尙ホ御質問ガアリトスレ
バ此儘散會イタシマシテ、次回··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=72
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073・八條隆正
○子爵八條隆正君 私ガ先程當局者ニ向シテ質問イタシ
マシタ點ガ、答辯ニ依リマスルト尙ホ〓究ノ餘地ガアルカラ、
内務當局ト能ク打合セヲシテ調査ヲシテ置クト云フヤウナ
答辯ガアッタノデアリマスカラ、今日ハ先ヅ質問ハ此儘ニシテ
討論ニ移ルト云フコトニセズシテ唯單純ニ御散會ヲ願ヒタ
イト思ヒマス
〔「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=73
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074・徳川慶久
○委員長(公爵德川慶久君) 實ハ之ヲ御相談イタシマシ
タノハ場合ニ依ッテハ修正ノ御意見モ大分アルヤニ聞及ン
デ居リマスカラ、或ハ小委員會デモ造ル必要ガアリハシナイ
カト思ヒマス、サウスルト日ガ非常ニ切迫シテ居リマスカラ、
或ハ此際討議ニ移シタ方ガ御便宜デナカラウカト存ジマシ
テ、此點ヲ御相談シテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=74
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075・青木信光
○子爵靑信光君 小委員會ノコトハ此間阪谷君カラ御
發議ニナッタノデ尙我こノ方カラモ〓究シテ見ヤウト云フコ
トニナッテ居ルノデアリマス、或ハ小委員ナシデ濟ムカト考ヘ
ラレル點モゴザイトスカラ、兎ニ角今八條君ノ尙ホ御質問モ
アリマスシ、本會ハ是デ散會ヲサレテ、二讀會ニ移スヤ否ヤ
ハ次回ニ願ヒタイト存ジマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=75
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076・徳川慶久
○委員長(公爵德川慶久君) 皆サンンレデ御異存ゴザイ
マセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=76
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077・徳川慶久
○委員長(公爵德川慶久君) ソレデハ質問ノ儘今日ハ
是デ散會イタシマス、次囘ハ何レ彙報デ申上ゲマス
午後三時二十六分散會
出席者左ノ如シ
委員長公爵德川慶久君
副委員長子爵靑木信光君
委員
子爵八條隆正君
男爵村上敬次郞君
和田彥次郞君
男爵藤村義朗君
男爵〓誠之助君
男爵藤田平太郞君
若槻禮次郞君
市來乙彥君
早川千吉郞君
鎌田勝太郞君
中村圓一郞君
西川甚五郞君
國務大臣大藏大臣男爵高橋是〓君
政府委員
大藏次官神野勝之助君
大藏省主稅局長松本重威君
大藏書記官勝正憲君
大藏事務官藤井眞信君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004301584X00319200724&spkNum=77
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