1. 会議録本文
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000・会議録情報
大正十年三月二十四日（木曜日）午前十時四十二分開會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=0
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001・寺島誠一郎
○委員長(伯爵寺島誠一郞君) 是ヨリ委員會ヲ開會
イタシマス今日ハ成ベクナラバ大體ノ根本義ニ關
シマスル御質問ノコトハモウ打切リマシテ逐條
審議ト云フコトニ入リタイノデアリマスガ、併シ餘
リ長クナラヌ極ク短イコトデアッテ、根本義ニ關スル
コトデ御質疑ガアルト云フコトナラバ愼重審議ヲ
致スト云フ上カラ、今期ハ切迫イタシテ居リマスケ
レドモ、二三御質問ニナッテモ宜カラウト思ヒマス、
借地法ヲ唯〓議題ト致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=1
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002・江木翼
○江木翼君 此前伺ヒマシタ所ガ、或ハ繰返ス形ニ
ナルカモ知レマセヌガ、解釋的ノ議論ヲ避ケマシテ、
此際立法論トシテモウ少シ立入ッテ質問ヲ致シテ見
タイト思ヒマス、政府委員ノ御答ニ依リマスト、賃貸
借ノ現行ノ規定ニ依レバ更新スルコトガ出來ルカ
ラ、假ニ二十年ヲ超ユル事ヲ得ナイト云フ規定ガアッ
テモ當事者ノ意思ハ二十年ノ期間ガ經過シタ場合
ニ於テハ更ニ更新ヲスル更ニ更新ヲスル更ニ二
十年ガ經過シタ場合ニハ、又更ニ更新ヲスルト云フ
意味ニ當事者ノ意志ガ解釋ガ出來ルガ故ニ建物等ニ
於テ、建物ガ廢朽ニ至ルマデ存續セシムル賃貸借デ
アルト認定シテモ差支ナイト、斯ウ云フ樣ナ御趣意
ニ承ッタノデアルソレデアルト致シマスルナラバ
此借地權卽チ賃借權ト地上權トヲ總括シタ所ノ借
地權ニ付テモ、第二條ニ於テ原則トシテ六十年、三十
年ト云フモノヲ決メテ居ル而シテ第四條ニ於テ更
ニ更新ガ出來ル、而シテ其期間ハ多少ノ違ヒハアリ
マスルガ矢張リ其更新ガ出來ルノデアル而シテ借
地ノ目的ハ何ニ在ルカト云フ場合ヲ、個々ノ場合ヲ
想像シテ見マスルト例ヘバ石造デ以テ直ニ永久的
ノ建物、五百年、三百年、無論保存セラレルベキ所ノ
建物ヲ造ルト云フ目的ヲ以テ、借地ヲシタ、ソレガ僅
ニ六十年デアル六十年目ニハ明渡シヲ請求スルコ
トガ出來ルノデアル、六十年ト云ヒマストヽ長イ期間
デアリマスルケレドモ、本法ノ施行前ニ設定シタル
所ノ物ニ付テハ設定ノ時ヨリ通算ヲシテ三十年、三
菱ノ原ノ如キハ、多クハ二十年ダト云フコトデアリ
マスガ、左樣イタシマスト或ハ十年カ、十二三年デ、
直グニ期間ガ來ルアノ石造、煉瓦造等ノ堅固ノ建物
ト云フモノガ十二三年前デ明渡シヲシナケレバナラ
ヌト云フコトハドウシテモ想像ガ出來ヌノデアル
當事者ノ意思ガ其期間ニナッタナラバ明渡シヲ請求
シ得ルモノデアル、又請求スルカモ知レヌト、斯ウ云
フ意志デ契約ヲシタト云フコトハドウシテモ推定
ガ出來ヌト思フ、又私ノ推定ガ出來ヌバカリデナイ、
少ナクモ立法ノ意思トシテ左樣ナ推定ハ出來ヌモ
ノデナイト致シマスナラバ、三十年トカ六十年ト云
フ規定ヲ置クト云フコトハ穩當ノコトデナイ借地
ニ六十年、三十年ト云フモノヲ決メルト云フコトハ
何等ノ根據ノナイモノデアル、假ニ六十年、三十年ト
云フコトヲ決メルト云フコトニシタナラバ其立退
キヲ請求セラレル場合ニ於テ或ハ立退カンデモ宜
イ或ハ新借地人ナリ、若クハ地主ナリ、何レカラカ
土地家屋ヲ買收スルコトガ出來ルト云フコトノ窮極
ノコトヲ法律ノ上ニ定メテ置カナケレバ、社會ノ實
際ノ狀態ニ合ハナイ、サウ云フコトニナリハシナイ
カト思フノデス、又裁判所ノ方ニ於テ此三百年五百
年デモ、永續スベキ所ノ建物ニ對シテ六十年、或ハ本
法施行前ノモノニナルト僅ニ十年トカ、十二三年ノ
モノガ出來ルカモ知レヌ、其場合ニ立退キヲシテ呉
レト云フ請求ガアッタ時ハ、裁判所モ是ハ立退キヲ請
求スベキモノデナイ矢張リ建物ノ廢朽ニ至ルマデ
存續スベキコトガ當事者ノ意思デアルト云フコトデ
アッタナラバ、折角此法ヲ拵ヘタ所ガ從來ト少シモ
異ラナイ、斯ウ云フ結果ニナリハセヌカト思フ是ガ
借地法ニ關スル根本ノ問題デアリマシテ、此根本ノ
問題ヲ定ムルコトガ法律デ出來ズンバ、私ハ借地法
ヲ玆ニ設ケルノ理由ト云フモノガ、或ハ根本的ニ非
常ニ薄クナリハシナイカ、斯樣ニ思フノデアリマス
ガ、此點ヲ更ニ確カメテ見タイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=2
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003・山内確三郎
○政府委員(山内確三郞君) 大審院ノ判決例ノ解釋
ニ付テ、私ハ大審院ノ判決例ノ趣旨ヲ明確ニ知ラヌ
ガ爲ニ、大體推量ヲシテ斯ウ云フコトニモ見エルト
云フコトヲ申上ゲタノデアリマス、更ニ大審院ノ判
決ノ文字ダケヲ見タノデアリマス其事案ハドウ云
フ事案デアルカト云フコトモハッキリ分リマセヌガ、
大體推測スル所ニ依リマスレバ其事案ハ短期間ヲ
以テ定メタル賃貸借關係ニ付テ、其期間ノ滿了ヲ理
由トシテ、建物ノ取拂ヒ、地所ノ明渡シノ請求ヲスル
事件デアッタモノデアルマイカト想像シテ居ルノデ
アリマス、其ノ事案ニ付テ事實審ニ於テハ當事者ノ
意志ハ建物ノ存續スル限リハ貸ス積リデアル短キ
期間ハ每々申シマス通リニ、地代更定ノ期間ニ過ギ
ナイモノト認メタモノデアルト想像スルノデアリマ
ス、ソレニ對スル上〓ノ理由ハ賃貸借關係ト云フモ
ノハ法律ノ規定ニ於テ二十年ヲ超エルコトヲ得ナイ
モノデアル然ルニ原審ニ於テ建物ノ朽廢ニ至ル
迄建物ノ存續スル限リハ地所ヲ貸スト云フ當事者
ノ意志デアッタト認メタノハ卽チ民法ノ規定ニ反ス
ル違法ノ裁判デハナイカト云フコトガ、上〓ノ理由
ニナッタモノト考ヘラレルノデアリマス、ソコデ大審
院ガ裁判シタノハ勿論賃貸借ハ二十年ヲ經過スレバ
之ニ依リ打切ラレルト云フケレドモ併ナガラ其コ
トト當事者ノ意志ヲ推測シテ、短期間ノ期間ヲ認メ
ズシテ、其物ノ存續スル限リ當事者ガ、地所ヲ貸ス
借リルト云フ約束ヲスルコトハ相妨ゲザルモノデ
アル、此意味デ此事實ノ審定ヲシタノガ、民法ノ賃貸
借ニ關スル期間制限ノ規定ト牴觸スルモノデハナイ
ト云フ意味ノ判決ノ趣旨ト認メルノデアリマス併
ナガラ判決ノ趣旨ハ二十年ヲ超エテモ建物ノ存續
スル限リハ賃貸借ノ繼續スルモノデアルト云フ斷
定ヲ下シタ所ノ判決デハナイノデアリマス、此存續
ノ期間ガ二十年ヲ超エルヤ否ヤト云フコトガ、事案
ノ爭點ニナッテ居ッタモノトハ、私ハ考ヘナイノデア
リマス、此大審院ノ判例ハ、建物ノ存續スル限リハ縱
令二十年ヲ超エテモ、超エル期間ヲ以テシテモ、地上
權ヲ設定スルコトヲ得ルト云フ法律上ノ見解ヲ下シ
タモノトハ考ヘナイノデアリマス、ソレカラ大審院
ノ判決ヲ大體想像シテ私ノ申上ゲマシタノハ其點デ
アリマス、唯今申上ゲマスル趣旨ニ訂正ヲ致シテ置
キタイト思フノデアリマス、ソレカラ今御問ヒノ趣
旨デハ結局昨日ノ問題ト同ジコトト考ヘマスルガ
問題ノ焦點ハ期間ヲ六十年三十年ニ定メルト云フコ
トニシテモ、或ハスレバ却ッテ紛爭ヲ增スコトハナ
イカト云フコトニ、矢張リ歸著スルモノト考ヘルノ
デアリマス、併ナガラ從前ノ三年ナリ五年ナリノ短
キ期間ノ滿了スルコトニ茲ニ爭ガ起ルノハ此短キ
期間ヲ長クスルト云フ結果ハ紛爭ガ自ラ假リニア
ルト致シマシテモ、六十年ノ終リニ於テ初メテ起ル、
從前三年五年ノ終リ每ニ起ルベキ紛爭ガ、六十年間
ハ差當リ起ラナイト云フコトニナルノデアリマス
加之此三年五年ノ期間ニ付テ爭ヒノ起ルノハ是ハ
眞ノ期間ガナイノデアリマス、賃貸借、賃借權或ハ地
上權、要スルニ借地權ノ存續期間ヲ定メタモノデハ
ナイ、或ハ一方ニ於テハサウデナイ、矢張リ存續期間
ダ是ハ何時モ爭ヒニナッテ居ルノデアリマシテ、短
キ期間ナルガ故ニ是ガ爭ヒヲ起スノデアリマス其
目的ハ前ニ申シマス通リ地代ヲ地主ノ意志ニ從ッテ
上ゲタイト云フノガ、訴訟ノ因ニナルノデアリマス、
結局家ヲ壞シテ明渡セイヤ明渡サヌト云フ、良い
家ヲ壞スト云フ爭ヒハ實際ノ事情トシテ餘リ見ナイ
ノデアリマス、サウ云フ次第デアリマスカラ是ハ
殊ニ民法ノ規定ニ依リ最長限度ヲ二十年トシテア
ル所ノ規定ヲ超エテ、サウシテ三十年以上二十年以
上トシ或ハ契約ニ定メガナケレバ六十年三十年ト
云フ事ニスレバ勿論爭ヒト云フモモノハ減少スルト
云フ事ハ私ハ當然ノ理論デアル而モ期間滿了ノ時
ニ明渡スカ否ヤト云フヤウナ事ハ眞ニ明渡サセル
ト云フヤウナ事ハ實際起ラナイト云フ想像デアリマ
ス、實際其短キ期間ヲ以テ地所ヲ借リテ家ヲ建テゝ
居ルニ拘ラズ、是ガ民法ノ二十年ノ期間ヲ超エテ、ザ
ウシテ長イ間家ヲ壞シテ明渡シタト云フヤウナコト
ハ少イ、海上「ビルヂング」ト云フヤウナモノガ、假リ
ニ六十年ト期間ヲ定メテ居ッテモ、六十年ガ來レバ直
チニ壞シテ仕舞フト云フヤウナコトハ到底私ハ想像
シナイノデアリマスソコノ爭ヒヲ焦點トシテハ起
ラナイモノト想像スルノデアリマスカラ、今日起ッテ
居ル三年五年ノ短期間ノ爭ヒト云フコトヲ避ケルノ
ガ最モ急デアル而シテ借地權ニ就テハ前ニ申シマ
シタ通リ期間ハナケレバナラヌ、無期間ト云フコト
ハドウモ面白クナイ、理由ガナイノデアル、理由ハナ
イノデアリマスガ、今日ニ於テ是ハ地上權ニ付テノ
問題デアリマスガ、地上權ノ期間ハ定メガナイ二十
年以上五十年以下、規定ハ初メニ二十年以上五十年
以下ト云フヤウナコトガ定メテアルノデアリマス
斯ウ云フ規定ハアリマスガ此規定ハ又頗ル可笑シ
ナ規定デ、無期間ノ定メヲ以テシテサウシテ地上權
ヲ設定シテ見マスト云フト設定ノ時ヨリ五十年、最
長····而シテ是ガ百年モ續ケテ持ッテ居ルト別問題
ニ走ルヤウデアリマスケレドモ法律ヲ正面ニ解釋
スルト五十年前ニ消滅シテ居ルト云フコトニ民法ノ
規定ニナッテ居ル設定ノ時ヨリ最長五十年ト云フヤ
ウナコトニナッテ居リマス、是ハ甚ダ面白クナイノミ
ナラズ、極メテ不論理デアルト云フノデ、更新ノ關係
ヲ明カニ致シ、又前カラ建ッテ居ル建物ニ付テモ、五
十年經チ百年經ッテ居ルモノデモ、尙ホ打切リ計算ヲ
シテ尙ホ繼續ヲスルト云フコトニ致シテ居リマス、
是ガ御尋ネノヤウニ場合ニ依リマスト非常ニ短イ期
間ガ殘ルト云フ結果ヲ生ズルカモ知レヌ、知レマセ
ヌガ相當長期ノ期間ヲ設定ノ時ヨリ或ハ更新ノ時
ヨリ相當長キ期間デ定メタ以上ハ是ハ今日新タニ
設定スルモノモ從前カラ設定シタモノモ先ヅ三十年
二十年ト云フ設定トシ或ハ更新トシマス之ヲ定メ
テ置キマスルノハ此全體ノ案ノ趣旨ニ於テ長期ノ借
地權ヲ認メ、短期ノ借地權ヲ認メザルト云フコトハ
言フ考ヘデアル、而シテ此期間ガ今日ニ於テ短クナッ
テ居ルト云フ場合ガ生ジマシテモ、從前カラ貸借シ
テ居ル家デアリマスレバ、矢張リ是ハ自ラ穩ヤカニ
續ケテ居ル關係ニナル、他ニ更新スル、地代ヲ高低ス
ル問題ガ起ルカモ知レマセヌガ、、併ナガラ矢張リ依
然トシテ家ヲ借リテ行クモノト考ヘテ居ル、序ニモ
ウ一ツ申上ゲテ置キタイノハ、殊ニ日本橋ノ邊ノ期
間ノ定メナイ借地權ト云フノハ此民法施行前ヨリ
ノ建物ヲ有シテ居ルモノガ多カラウト思フ其分ハ
法律ニナッテ居ナイノデアリマシテ、建物ノ朽廢ニ至
ルマデハ存續スト云フ規定ガアル、民法施行前ヨリ
家屋ヲ所有シテ居ルモノニ付キマシテハ、左程疑問
ハ起ラザルモノト私ハ考ヘテ居ル発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=3
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004・江木翼
○江木翼君 其點ヲ詮ジテ見マスレバ、結局意見ノ
相違ト云フコトデアリマスカラ、皆サシノ御質問ヲ
妨ゲルコトハイカヌト思ヒマスカラ是デ打切リマ
スガ玆ニモウ一ツ承ッテ置キタイノハ附則ノ第十
六條施行前ヨリノ地上權賃借權ニ付テ、特ニ期間ヲ
短クシテアル、是ハドウ云フ理由デアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=4
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005・山内確三郎
○政府委員(山内確三郞君) 本條ハ決シテ期間ヲ短
クハシテ居ラナイノデアリマシテ、寧ロ長クシタ積
リデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=5
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006・江木翼
○江木翼君 原則トシ借地權ノ存續期間ト云フモノ
ヲ六十年三十年ト云フコトニ短クスル主義ヲ取ラ
レマスル以上ハ施行前ニ設定シタル所ノ地上權賃
借權、之ヲ總括スレバ建物ノ所有ヲ目的トスル場合
ニ於テハ、所謂賃借權ト云フモノニナルガ、其場合ニ
於テハ矢張リ正シイ見方ニ篏メテ行クト云フ趣意デ
アリマスカラ、現在ノ建物ニ付テハ六十年旣ニ經
過シタル期間ヲ算入シテ、六十年ト云フ建物ニ付テ
ハ旣ニ經過シタル期間ヲ算入シテ、三十年斯ウ云フ
コトニスルガ矢張リ本法ヲ設ケタル第一ノ趣意ニ
適合スルモノデハナイカト思フノデアリマス、ソレ
ハ如何デアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=6
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007・山内確三郎
○政府委員(山内確三郞君) 本條ハ此第一條ニ合セ
ズシテ、寧ロ第四條ニ合シタ方ガ宜イ、始メテ建物
ヲ建テル場合ハ是等ハ何等ノ定メガナケレバ、六十
年三十年ト云フ主義ヲ取ッテ居リマスガ、其間ガ經過
シタ時、或ハ其第二條ノ結果、三十年乃至二十年以上
ノ契約ヲシテ居ル時ニ、更ニ之ヲ更新スル時ハ同
ジク三十年以上ト云フコトニナルガ、此十六條ハ、從
前カラ長ク地所ヲ借リテ、サウシテ家屋ヲ所有シテ
居ル場合ガ多キモノト想像イタシマシタガ故ニ、寧
ロ更新期間ノ、卽チ契約ヲ以テスルコトノ出來ル標
準期間、之ヲ標準トシテ茲ニ揭ゲタ次第デアリマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=7
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008・江木翼
○江木翼君 第四條ノ更新スル場合ニ相當スルヤウ
ナ場合モ多カラウト思ヒマス、併ナガラ同時ニ又第
二條ノヤウニ設定スルト云フ場合モ多々アルコトデ
アルト思ヒマス丸ノ内邊ニ新シク出來テ居ル石造
煉瓦造ノ建物ノ多クハ新シク設定シタモノデアル
ト思ヒマス、殆ド僅ナ部分ヲ除クノ外ノ全部ト云フ
モノハ、新シク設定シタモノニ違ヒナイ、而シテ是ハ
二十年ノ期間デ設定シタト云フコトヲ承リマスル
ガ、斯樣ナ場合ニ於キマシテハ多クハ本法施行後間
モナク期限ニ到達スル斯ウ云フコトニナリハシナ
イカト思フノデアリマス甚ダ實際ノ狀態ニ適合シ
ナイ結果ニナリハシナイカト思フ、寧ロ此法律施
行ノ時ヲ以テ、從前ノモノモ原則デアル所ノ新ニ設
定シタト同樣ニ見ルト云フコトガ、實際ノ狀態ニハ
適フデハナイカト思ヒマスガ第四條ニ適合スルヤ
ウニ御考ニナルト云フコトハ實際ノ狀態ニ非常ニ
違ッテ居ル場合ガ多イ、斯ウ云フコトハ無論御認メニ
ナルコトデアラウト思フ、サウスルト第十六條ハ如
何ニモ實際ノ狀態ニ適合シナイト考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=8
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009・山内確三郎
○政府委員(山内確三郞君) 十六條ノ期間ノコトニ
付キマシテ無論新タニ家ヲ建テル者モアリマセウ
シ更新ノ場合モ多イト考ヘテ居ル次第デアリマス
ガ、是ニ付テハ第二條ニ依ルヲ正シイトスルカ、或ハ
第四條ニ依ルヲ正シイトスルカ、或ハ其折衷ノ期間、
例ヘバ五十年三十年ト云フヤウナ折衷ノ期間ヲ正シ
イトスルカ、或ハ施行ノ日ヨリ起算スルヲ正シイト
スルカト云フヤウナ事ハ、ドレガ正シイカト云フ事
ニ付テハ確然タル根據ヲ論理的ニ申上ゲルコトハ
出來ナイノデアリマス、大體多クノモノハ更新ノ場
合ガ多イダラウト云フノデ、詰リ第十六條ノ二項ト
相俟ッテ更新ノ期間ヲ置イテ居ルノデアリマス、御意
見ニ依ッテハ五十年トスルノガ正シイカト思ハレル
カ知レマセヌ、或ハ六十年ニスル方ガ正シイカ知レ
マセヌ、其點ハ意見ト思ヒマスガ案ノ趣旨ハ更新
期間從前カラ續イテ居ル家ノ方ガ、長ク家屋ヲ
持ッテ賃借ヲシテ居ルモノノ方ヨリ、東京市ニモ全體
ヲ通ジタラ大多數デアルカト思ヒマス案ノ趣旨ハ
ソコニアルト云フコトヲ申上ゲルヨリ外ハ致シ方ガ
ナイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=9
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010・寺島誠一郎
○委員長(伯爵寺島誠一郞君) 之ヨリ逐條審議ニ移
リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=10
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011・内田嘉吉
○內田嘉吉君 私ハ此借地法ガ前議會或ハ前々議會
ニ提出ニナッタ時ニ不在デゴザイマシテ或ハ旣ニ御
〓究ノアッタコトカモ知レマセヌガ、逐條ニシテ一〓
伺ヒタイノデアリマス、先ヅ第一ニ此地上權賃借權
ヲ合セテ借地權ト云フ名前ヲ附セラレタノデアリマ
スガ、地上權ハ物權デアッテ借地權ハ債權デアリマス
ガ今囘此第一條ニ依リマシテ借地權ト云フモノガ
新ニ出タ譯デアリマスガ、然ルニ是ハマア物權トシ
テ詰リ御取扱ヒニナル斯ウ云フ趣旨デアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=11
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012・山内確三郎
○政府委員(山内確三郞君) 是ハ唯借地權ト云フ名
前ヲ玆ニ定メタニ過ギマセヌノデアリマシテ第二條
三條四條以下各條ニ、此建物ノ所有ヲ目的トスル地
上權賃借權ノコトガ規定シテアルノデアリマスソ
レデ借地權ト云フ文字ヲ茲ニ作リマシタノハ、新ナ
リ權利ヲ作ルニハアリマセズシテ、此法律ニ於テ借
地權ト稱シテ居ルモノハ卽チ民法上地上權賃借權
ニハ家屋ノ所有ヲ目的トスルモノヲ指スノデアリマ
ス、言フ意味ニ過ギマセヌノデ、地上權ハ依然トシテ
地上權、賃借權ハ依然トシテ賃借權デアリマス、民法
上ノ規定ニ於ケル內容效力等ニ付テ、異ナル一ノ借
地權ヲスルト云フ意味デナイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=12
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013・内田嘉吉
○內田嘉吉君 引續キマシテチヨット序ニ御伺ヒ致
シマスガ、此全體論ニ亙ルカモ知レマセヌガ、第二條
若クハ第四條等ニハ期限ガ付セラレテ居リマスガ、
處分ノ能力ナイ者ガ締結シタ場合ニ付テハ、ドウ云
フヤウナ解釋ニナリマスカ、處分ノ能力ノナイ者ハ
民法ハ確カ五ヶ年ノ賃貸借ヲスルコトガ出來ヌト云
フコトニナッテ居リマスガ、今囘ノ法律上ノ適用トシ
テハドウナルノデゴザイマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=13
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014・寺島誠一郎
○委員長(伯爵寺島誠一郞君) 第一條ハモウ宜シウ
ゴザイマスカ、第一條ハ濟ンダモノトシテ第二條ニ
移ッテ、內田君ノ質問ニ對シマシテ政府委員ノ答辯
ヲ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=14
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015・山内確三郎
○政府委員(山内確三郞君) 此賃借權ナリ地上權ニ
シテ建物ノ所有ヲ目的トスルモノハ其期間ヲ制限
シマシテ其二條二項ニ定メルモノ以上デナケレバ
ナラヌソレ以下ノ賃借權ヲ許サヌ、地上權ヲ許サ
ヌト云フコトニナル以上ハ建物ノ所有ヲ目的トス
ルモノニ付テサウナルト云フト一般賃借權地上權
ハ別トシテ、借地權トナルモノハ是ハ其サウ云フ短
イ借地權ヲ認メナイト云フコトニナリマス結果、處
分ノ能力ナキ者等ニ付テハ借地權ノ設定スルト云
フモノハ出來ヌコトヽ解釋シナケレバナラヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=15
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016・江木翼
○江木翼君 第二條ニ付キマシテ第二項ノ契約ヲ以
テト云フ文字ガゴザイマスガ契約以外ノ設定行爲
デ定メラレルト云フ場合ハーアリマスマイカ、賃借權
ノ方ハ固ヨリ契約ヲ以テ設定サレルニ違ヒナイノデ
ゴザイマスガ地上權ニ付キマシテハ契約以外ノ設
定行爲デ規定セラレルト云フ場合ガアリ得ルノデゴ
ザイマスガ民法上ニ從ヒマシテ地上權ハ所謂民法
上ノ地上權ト云フ形ノモノデアル場合ニ三十年以
上、二十年以上ノ其期間ヲ定メルト云フコトガ契約
以外ノ設定行爲デ定メラレルト云フコトガアリ得ル
カノヤウニ思ヒマスガ是デ見ルト其場合ハ含マヌ
ト云フコトニナルノハ、私ノ解スルコトノ出來ヌ點
デゴザイマスガ、其點ヲ···発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=16
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017・山内確三郎
○政府委員(山内確三郞君) 是ハズット前カラ法律
取調委員會ノ時ニ於テモ議論ガ起ッタノデゴザイマ
ス、此契約以外ノ問題ヲ持ッテ來ル以上ハ結局遺言ノ
場合ヲ想像シナケレバナラヌ遺言ヲ以テ地上權ヲ
設定スルト云フヤウナ場合ニ付テ、其遺言ノ效力ハ
直チニ死亡ニ依テ效力ヲ生ズルノデアルカ、又ハ其
遺言ノ執行ニ依テ、卽チ遺言ヲ執行スルニ依テ、卽チ
遺言執行者ニ依ル所ノ地上權設定行爲ニ依テ、初メ
テ地上權ガ出來ルノデアルカト云フコトニ付テハ
餘程議論ガアル卽チ遺言ノ物件的效力ヲ生ズルモ
ノトスル說ガ正シイカ遺言ハ債權的效力ヲ生ズル
ニ止ッテ、更ニ物件契約ヲシナケレバナラヌノデアル
カト云フ兩說ガアッタノデアリマス、若シ遺言ハ債權
的ノ效力ヲ生ズルノデ、結局執行行爲ガナケレバ、所
謂物件契約ガナケレバナラヌト云フコトニナリマス
レバ、此契約ヲ以テ中ニ這入ルノデアリマス、サウデ
ナイト云フコトニスレバ此契約ヲ以テ中ニ這入ラ
ナイノデアリマス、此點ハ法律取調會ニ於テ、餘程民
法學者等ガ論議ヲシマシタ結果、結局歸著スルコト
ハナカッタノデアリマス、併ナガラ結局ハ遺言ヲ以テ
借地權ヲ設定スルト云フヤウナ事ハ稀有ノ例デアラ
ウ、デ此立法ヲ致シマス場合ニ著眼シテ居ル爭ヒノ
殆ド總テノ問題ハ契約ノ問題デアルト思ヒマス稀
有ノ例ヲ想像シテ、サウ云フ茲ニ議論ヲ生ジテ居ル
モノヲ解釋スルト云フコトモ非常ニ困難デアルト思
ヒマス、ソコデ結局稀有ノ例ハ想像セヌト云フコト
ニシテ後、遺言ノ問題ガドウナルカト云フコトハ學
理的ニ之ヲ爭ヒ且ツ主張スルコトハ學者ノ見解ニ
任シテ居ル玆ノ立法ヲ致シマシタモノ、稀有ノ遺言
ノコトハ想像セズ、普通ノ一般ノ契約爭ヒノ問題ニ
付テ規定シテ置カウ、サウシテ後ハ學者ノ解釋ニ任
スト云フコトニ極ッタノデアリマス、其趣旨デ此契約
ヲ以テト云フ意味ヲ此處デ申上ゲテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=17
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018・寺島誠一郎
○委員長(伯爵寺島誠一郞君) 第二條ハ宜シウゴザ
イマスカ····ソレデハ第三條ニ移リマス御質問ガ
ナケレバ次ニ第四條ニ····五條六條ニゴザイマセヌ
カ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=18
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019・江木翼
○江木翼君 第五條ニ付テチヨット伺ヒマス、是ハマ
ア其普通民法商法共ニ澤山アル文字デゴザイマス
ガ、判例モ大體ニ於テ一致シテ居ルカト思ヒマスガ
此遲滯ナクト云フ文字デアリマス、是ハモウ少シ何
カ明カニスルヤウナ言葉デ現ハス方法ハナイノデゴ
サイマセウカ民法商法共ニ澤山ニ用ヒラレテ居ル
言葉デアリマスカラ一般ニ通用シナイデモ、法律家
ノ仲間ノ間ニハ通行スル言葉デアルト思ヒマスケレ
ドモ何トナク一般ニハ甚ダ通ジノ惡イ言葉ノヤウ
ニ思ヒマスガ、何カ起案ノ際ニ、他ノ言葉ヲ以テ現ハ
スヤウナ御案ハナカッタノデゴザイマスカ、其點ヲ
ッ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=19
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020・山内確三郎
○政府委員(山内確三郞君) 民法ノ中ニモ斯ウ云フ
規定ガアルノデアリマス併ナガラ民法ハ遲滯ナク
ト云フコトニ、土地所有者ガ之ヲ强ヒテ異議ヲ述べ
ザリシ時ハ斯ウ云フコトニナッテ居リマス、然ルニ
其强ヒテ其異議ヲ述ベザル時ト云フ文字ハ異議ヲ述
ベサヘスレバイツデモ宜イト云フヤウナ風ニ聞エル
ノデアリマス、ソレデ之ヲ特ニ改メマシテ遲滯ナク
ト云フコトニ致シタノデアリマス、併ナガラ遲滯ナ
クト云フ文字ハ是ハモウ普通通用スル言葉デ要ス
ルニ之ヲ知ッテ、サウシテ適當ナル時期ニ異議ヲ言ハ
ナカッタナラバト云フコトニナルコトノ解釋ハ、私ハ
今日疑ナイコトデアラウト思フ、ソレデ民法ノ文字
ヲ改メマシタガ、併ナガラ遲滯ナクト云フコトデ適
當デアラウト云フコトデ、此以外ニ他ノ文字ヲ考ヘ
タコトハナイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=20
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021・寺島誠一郎
○委員長(伯爵寺島誠一郞君) 第六條:発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=21
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022・内田嘉吉
○內田嘉吉君 小サナコトデゴザイマスガ、第五條
ニ滅失ト云フ文字ガ使ッテアルソレカラ第五條ニ朽
廢ト云フ文字ガ使ッテアリマスガ、是ハ程度ノヤウニ
思ヒマスガドウ云フ解釋デアルカ御說明ヲ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=22
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023・山内確三郎
○政府委員(山内確三郞君) 今日マデ民法デ用ヒテ
居マスル朽廢ト云フ文字ハ建物ガ自然ニ使用サレ
テ年所ヲ經テ結局家ガ朽果テル場合ヲ朽廢ト云フ文
字ニ使ッテ居ル滅失ト云フノハ、或ハ天災ニ依リ或
ハ自ラ之ヲ壞ツト云フ場合ヲ民法ニ於テ滅失ト云フ
文字ヲ使ハレテ、詰リ朽廢シテ、ソレカラ滅失スルト
云フ意味ニ使ッテ來テ居ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=23
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024・寺島誠一郎
○委員長(伯爵寺島誠一郞君) 第七條····八條
第九條·発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=24
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025・江木翼
○江木翼君 此九條ガ本法案ノ內デモ可ナリ重要ナ
ル意義ヲ持ッテ居ル規定デアルト思フノデアリマス
ガ私ハ此條項ニ必ズシモ反對ト云フ譯デハナイ、
ガ特ニ此場合ダケ賃貸人ニ對シテ時價ヲ以テ建物
ヲ買取ルベキコトノ請求權ガアルト云フコトニシナ
イデモ宜イデハナイカ結局議論ノ分ルル所ニナル
ト思ヒマスガ苟モ立退キトカ何トカ云フヤウナ場
合ニマダ建物ガ立派デアッテ立退キヲ請求サレル
サウ云フ場合デモ何レカニ、或ハ買取ル或ハ地
主ガ買取ル或ハ家屋所有者ガ買取ルト云フヤウナ
義務ヲ認メルト云フコトハ九條ニ斯樣ナ義務ヲ認
メル以上ハ、外ノ場合ニ之ヲ遂行スルト云フコトガ
爲
或ハ適當デハナイカト思フノデアリマスガ、是ハ
屢〓繰返シタコトデアリマスガ、尙ホ御考ガアリマ
スレバ、特ニ九條ノ場合ダケニ限ッテ斯カル義務ヲ認
メタト云フコトニ付テ御說明ヲ···発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=25
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026・山内確三郎
○政府委員(山内確三郞君) 此九條ノ場合ト、唯今
江木博士ヨリ言ハレマシタ借地權ノ期間滿了後立退
クト云フ場合トハ餘程趣ガ違フノデアリマス、此分
ハ借地權ノ存續期間內ノ事柄ダケニナルサウシテ
此建物ヲ抵當ニ入レルトカ云フヤウナ場合ニ-シテノ
例ヘバ契約ヲスルト云フヤウナコトヲ想像スルト、
其地主ガ契約人ニ地所ヲ貸スカ、或ハ轉貸ヲ承諾シ
テ吳レナイト契約人ハ使ヘナイコトニナル家、
買ッタケレドモ、其義務ノ存續期間ト雖モ貸シテ吳レ
ナイ或ハ轉貸ヲ承知シテ吳レナイト云フコトニナ
ル抵當ニ契約ノ結果轉貸ト云フコトハ取消ニナッテ
シマフ其爲ニ借地權ノ上ニ出來テ居ル建物ヲ抵當
ニ入レルト云フ事ハ東京市等ニ於テモ殆ド出來ナ
イ事ニナッテ居ル地所ノ抵當ハ取ルケレドモ建物
ノ抵當ハ全ク取ラナイト云フヤウナ弊害ガ生ジテ居
ル現ニ···ノミナラズ、此建物ヲ他人ニ賣ルト云
フ時ニ賃貸ヲ承諾セズシテ、結局地代モ値上ゲスル
或ハ家ヲ安ク買取ルト云フヤウナ交涉ノ結果、建物
ヲ買取ル者ガアル場合ニ於テハ餘程買取人ニ不利
益ニナル適當ニ地代ガ定マッテ居ルニモ拘ラズ、此
賣買ノ場合ニナリマシテ、非常ニ借地人ガ不利益ヲ
不當ニ蒙ルヤウナ例ガ多イ、其實例ガアルノデスカ
ラ、是ダケハ已ムヲ得ヌコトデアルトシテ、家屋ノ融
通ノコトモ入レテ、必要ノコトトシテ規定イタシタ
借地權ノ期間滿了ノ場合ノ買取リハ度〓申シマシ
タ通リ、是ハ少シ地主ニ取ッテ酷デアラウト思フ、酷
ノ結果ガ非常ニ地代ガ初メカラ高クナケレバナラヌ
ト云フヤウナコトモ生ジヤシナイカ、地代ニモ影響
ヲ生ズル關係デスカラ、實際爭ナキコトト認メテ居
リマスルノデ、期間滿了後ニ買取ルコトハ、旁〓地主
ノ迷惑等ノコトモアリ、借地關係ニ混雜ヲ生ズルコ
トデスカラ、ソレハ先ヅ認メル必要ハナカラウト云
フコトデ認メナカッタノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=26
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027・江木翼
○江木翼君 實際此東京ニ於ケル借地ノ上ニ存在シ
テ居ル建物ノ權利ノ讓渡ノ有樣ヲ見マスト、殆ド借
地權ト云フモノハ或ル期間ノ間ハ殆ド半永久ニ存續
シテ居ルモノトシテ、其建物ノ讓渡ト云フモノガ現
ニ行ハレテ、例ヘバ西片町デアルトカ或ハ彌生町
デアルトカ、其他ノ所デ盛ニ行ハレテ、而モ其地上權
ノ價ト云フモノマデ這入ッテ、殆ド賃貸人ノ承諾ナド
ト云フモノハ條件ニナッテ居ルカ居ラヌカ分ラヌ位、
私ハ圓滿ニ讓渡ナルモノガ行ハレテ居ルト思ヒマ
ス、其場合ニ於テハ實ハ承諾シナカッタカラ賃貸人ガ
此義務ヲ負フ承諾シタカラ負ハヌト云フヤウナ場
合ニ區別ヲ立テルベキ譯ノモノデナクシテ、矢張リ
一般的ニ此權利ノ關係ト云フモノヲ的確ニスル上ニ
於テハ矢張リ建物明渡シノ存續期間ガ來タ時ニ明
渡シヲ請求スル場合ト同樣ニ見テ宜イノデナイカト
思フ、殊ニ東京ニ於テサウダト思ヒマスガ、是ハ議論
ニ亙ルコトデアリマスカラ、此九條ノ場合ニ斯樣ナ
規定ヲ設ケラレルト云フ趣意ダケハ分リマシタ、唯
細イコトデアリマスガ承ッテ置キタイノハ「承諾セ
サル時」ト云フ意味ハ、承諾ヲ要求シテ、積極的ニ之
ニ對シテ承諾ヲ與ヘナカッタト云フ意味合デアリマ
セウカ何等承諾ト云フコトヲ表示スベキ場合ガナ
カッタ場合ハ承諾ナカリシモノト見テ此義務ヲ負フ、
斯ウ云フコトニナルノデアリマセウカ其點ヲ:発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=27
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028・山内確三郎
○政府委員(山内確三郞君) 結局建物ヲ買取ッテ地
所ノ轉貸、或ハ轉借權ノ讓渡ノ承諾ヲ求メルト云フ
場合ニソレニ應ジナカッタ、ソレヲ反對ノ場合ヲ想
像シテノ規定デス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=28
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029・内田嘉吉
○内田嘉吉君 旣ニ御質問ガアッタカモ知レマセヌ
ガ、此九條ニ付テ私ガチヨット御伺ヒヲ致シタイト思
フノハ、此九條ノ場合ニ於テ賃借人ガ請求スルコト
ノ出來ルノハ建物ヲ買取ルベキコトダケデアルヤウ
デアリマス、然ルニ唯〓モ江木君ガ御質問中ニ御述
ベニナッタヤウニ、借地ノ上ニ建テル建物ニ付テハ地
上權等ニ付テ大分高イ價格ヲ拂フノデサウシテ初
メテ家ノ讓渡ヲ受ケル譯ニナルノガ普通ノヤウデア
リマスガ、場所ニ依ッテハ家屋其モノヨリモ高イ金ヲ
拂ハナケレバナラヌト云フヤウナコトハ方々デアル
ノデ、若シ地主ガ惡イ考デアルト云フト、斯樣ナル場
合ニ承諾ヲシナイデ、サウシテ時價デ以テ家屋ヲ買
取ルサウシテ直チニ賣出スト云フヤウナ場合ガ起
ルカーモ知レヌ、是ガ借地人ノ保護ヲ目的トスルト云
フニ付テハ聊カ物足ラヌヤウニ考ヘルノデアリマス
ガ其點ハ如何デス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=29
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030・山内確三郎
○政府委員(山内確三郞君) 結局權利金ノ問題ニ關
係スルノデナイカト考ヘル、建物ヲ買取ッテ而シテ
其權利金ト云フモノガ當然建物ノ價格トナルト云
フヤウナコトデアレバ勿論權利金モ打算スルノデア
リマスガ、此權利金ト云フノハ結局其地上權、賃借權
ヲ持ツニ付テノ利益金ダラウト思フ、サウ云フ次第
デアリマスカラ、茲デハ地主ニ買取ラシメルノハ建
物ノ、有形ノ建物ノ實價ダケノ考デゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=30
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031・内田嘉吉
○內田嘉吉君 實際建物ノ實質的ノ價格以上ニ普通
ノ賣買ニ於テ金ヲ拂フト云フコトハ司法省ニ於テハ
御認メニナッテ居ルノデゴザイマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=31
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032・山内確三郎
○政府委員(山内確三郞君) ソレハ借地權ヲ獲得ス
ル場合ニ於テ初メテ拂フノデナイカ知ラヌト思フ、
詰リ家ヲ買ッテ、サウシテ地主ニ向ッテ引續イテ家ヲ
貸シテ吳レト云フヤウナ此地ヲ使用スル所ノ權利ヲ
完全ニ獲得シタ場合ニ初メテ此家屋ノ値段以外ニ高
イ權利金ヲ拂ッテ居ル事實ハ認メルノデアリマスガ、
此場合ノヤウニ使用スルコトガ出來ナイト云フヤウ
ナ場合ニ先ヅ權利金ヲ賣主ニ拂フト云フヤウナコト
ハナイノデナイカト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=32
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033・内田嘉吉
○內田嘉吉君 チヨット私ノ御尋ネガ惡イカ知レマ
セヌガ、私ハ賣ル方ノ人ニ付テ何ノ何某ニ賣リタイ
ト思フサウシテ家屋ノ實際ノ價格ヨリ高イ値段デ
賣ラウト思ッテ居ルノニソレガ地主ガ承知シナイ爲
ニ賣レナイ、其場合ニ請求スルトスレバ自分ハ賣ラ
ナイデ置クカ若クハ安ク卽チ得ベキ利益ヨリモ少
ナイ價格デ以テ請求シテ賣ラナケレバナラヌ卽チ
借地人ガ尠ナカラズ不便ヲ受ケルノデハナイカ斯
ウ云フ質問デアリマス、其買フ人ガマダ借地權ヲ得
ナイカラシテ云云ト云フ意味デハナイノデス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=33
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034・山内確三郎
○政府委員(山内確三郞君) 此案デハ結局買取ノ請
求ヲスルモノハ要スルニ第三者デアルノデアリマ
ス、此案ニ於テハ家屋ヲ賣ッテ、所ガ賣ッタケレドモ結
局買主ニ於テ借地權ヲ取得スルコトガ出來ナカッタ
ト云フ場合ニ家ヲ安ク賣ラヌケレバナラヌ、其爲ニ
損害ガ生ジタト云フモノニ付テ地主ニ其權利金ノ賠
償ヲシロト云フ趣旨ハ玆ニハ籠ッテ居ナイ、地主ノ方
カラ持ッテ來テモ地主ハ自分モ人ニ貸シタクナイ、
外ノ人間ニ貸シタクナイト云フ場合ニ、此家屋ヲ取
得スルニ付テ此權利金タルモノハ抑モ地主ニ與ヘタ
賃借權ノアル利益ノ負擔デアラウ、之ヲ地主ニ更ニ
買取レト云フコトニナルノハ少シ又地主ニ酷デハ
ナイカ、ト云フノデ此ノ點ニ付キマシテハ賣主ニ損
害賠償ノ請求權ハ認メテ居ナイコトニナルノデアリ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=34
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035・内田嘉吉
○內田嘉吉君 唯今ノ質問ハソレデ切ッテ置キマス
ガ更ニ本案ニ付キマシテ御尋ネヲ致シタイノハ借
地ノ場合ニ往々ニシテ此地代ノ延滯ヲスルト云フヤ
ウナ場合ガアリマスガ、斯樣ニ讓渡轉貸ノ場合ニ賃
貸人ガ承諾ヲセヌ時ニハ建物ハ買取ラスカゝ延滯シ
タ地代ニ付テノ請求スル方法ガ決メテゴザイマセヌ
ガソレハ別途ノ訴訟ヲ以テヤラネバナラヌヤウデ
アリマスガソレニ對シテハドウ云フ今度ハ利益ニ
付テノ規定ガゴザイマセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=35
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036・山内確三郎
○政府委員(山内確三郞君) 家屋ヲ引キ渡シマシテ
モ引渡以前、卽チ借地權ヲ有ッテ居ル當時ニ延滯シ
タ所ノ地代、是ハ勿論地主カラ元ノ借地人ニ對シテ
請求スルコトノ出來ルノハ當然デアリマシテ、別途
ノ訴訟ト言ハレマスケレドモ矢張當リ前ノ訴訟デ、
若シ一方カラ時價ヲ以テ買取ル請求ヲシテ居リマシ
タナラバ直チニ訴ヘテ請求ガ出來ルダラウ、ノミナ
ラズ此法律案デハ其家屋ニ付テ先取得權ヲ其場合ニ
於テハ認メテ居ルコトニナル家屋ガ第三者ニ讓渡
サレルコトヲ承諾シタ場合ニ於キマシテモ其先取得
權ハ何處マデモ家屋ニ付イテ行クノデアリマス、此
案デハ先取得權ハ特ニ認メテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=36
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037・内田嘉吉
○內田嘉吉君 サウ致シマスト家屋ノ代金ヲ拂ッテ
仕舞ッタ後デ、先取特權ノ行使ガ出來ルト云フコトニ
ナルノデスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=37
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038・山内確三郎
○政府委員(山内確三郞君) 先取得權ハ家屋ガ誰ノ
手ニ移ラウトモ是ハ附隨シ行クコトニナリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=38
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039・江木翼
○江木翼君 唯〓ノ點ハ私ノ御尋ネシヤウト思ッタ
丁度借家法ノ雜作ノ問題等モ關聯シテ居ッタノデア
リマスガツイ失念シテ居リマシタガ、是ハ私ハチ
ヨット民法ノ規定ト照ラシ合スコトヲ致シテ居リマ
セヌデ、甚ダ迂遠デアリマスルガ物ヲ買取ルベキコ
トヲ請求スル、建物以外ノ定著物ニ付テハ、全然民法
ノ規定ニ依ッテ斯ウ云フコトニナル譯デアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=39
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040・山内確三郎
○政府委員(山内確三郎君) 是ハ建物ノ方ガ目的ト
ナッテ居リマスカラ、建物ノコトヲ規定イタシテ居ル
ノデアリマス、併シナガラ此造作トカ云フ如キ、建
物ト一體ヲナスモノ、是ハ無論此場合ニ於テハ建物
ノ所有者ノモノデアリマス、尙ホ其外ニ建物ノ賃貸
借ニ關スレバドウ云フ錯雜ナ關係ヲ生ズルカ知レ
マセヌガ、兎ニ角建物ト一體ヲナスモノ、或ハ從物ハ
建物ニ從ッテ買取ラナケレバナラヌコトニナルダラ
ウト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=40
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041・江木翼
○江木翼君 ソレハ買取ラナケレバナラヌヤウニナ
ルダラウト云フノデハ請求スルコトガ出來ルト云
フコトニハナラヌノデスナ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=41
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042・山内確三郎
○政府委員(山内確三郞君) ソレハ民法ノ從物ハ主
物ノ處分ニ從フト云フ精神カラ當然ノコトト思ヒマ
ス、從物ナラザル造作ノ如キモノハ建物ト一體ヲナ
スモノデアルカラ、無論建物ノ中ニ包含シテ居ルモ
ノト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=42
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043・江木翼
○江木翼君 私ノ御尋ネセムトスルノハ建物ノ方
ハ買取ラナケレバナラヌ、賃貸人ガ買取ル義務ガア
ル、併ナガラ庭樹デアルトカ、庭石デアルトカ云フモ
ノデ、非常ニ高價ナモノモアルダラウト思ヒマスガ
建物ハ買収ッテ貰ッタガ他ハ自分ガ移轉シナケレバ
ナラヌト云フコトニナリマスト隨分此第三者ナル
モノハ折角ノ權利ハ受ケタケレドモ、又一方ニ於テ
ハ大ナル負擔ヲ負ハナケレバナラヌ、斯ウ云フコト
ニナルダラウト思ヒマスガ、如何デスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=43
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044・山内確三郎
○政府委員(山内確三郞君) 餘程困難ナル、ムヅカ
シイ問題デアリマスガ庭樹等ニ於テモ、此賃借ヲ
シテ居ル時ニ於キマシテ其物ノ從物ト認ムベキモノ
ガアルダラウト思ヒマスサウ云フモノニ付キマシ
テモ、矢張リ此中ニ這入リマス、併ナガラ從物タラザ
ルモノハ無論入ラヌト云フコトニナリマセウ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=44
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045・江木翼
○江木翼君 庭樹庭石ト云フヤウナモノヲ建物ノ
從物ト見ルト云フコトハドウモ法律上ノ觀念ニ全
然ナイコトダト思ヒマス、サウスルト此法律案ハ建
物ノ所有ヲ目的トスル所ノ地上權、賃借權ト云フモ
ノヲ包括シテ借地權トシテノ規定ヲ設ケルノデアル
ガ故ニ、建物以外ニ對スル所ノ點ハ規定シナイ、ソ
レ等ノ點ニ付テノ爭ヒアル場合ニハ總テ民法ノ規
定ニ依ル斯ウ云フコトニ解シテ宜シイデスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=45
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046・山内確三郎
○政府委員(山内確三郞君) 左樣デゴザイマスサ
ウシテ庭石ト云フヤウナモノニ於キマシテモ單上
庭ノ飾リダケノ問題ナラバ別デアリマスガ或ハ踏
石、座敷カラ下リル踏石等ハ、又從物ニナルモノモア
ルダラウト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=46
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047・寺島誠一郎
○委員長(伯爵寺島誠一郞君) 第十條ニ入リマス··
··第十一條発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=47
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048・二條正麿
○男爵二條正麿君 此十一條ノ地代問題ハ、借家法
ノ七條デアリマシタカ、此問題ト關聯シテ居ル問題
デアラウト思ヒマス、此場合ニ一言當局ノ御意嚮
ヲ伺ッテ見タイト思ヒマス、此度御提案ニナッテ居
リマスル借地法ト借家法トハ、何レモ弱者ノ保護ノ
爲ニ種々ノ規定ヲ設ケラレテ居リマス御趣旨ハ承ツ
テ居ル次第デゴザイマスガ借家ナリ此借地法ノ如
ク紛爭ノ中心問題ト申スベキ實際地代或ハ家賃ノ
問題ニ付キマシテ、七條ナリ十一條ノ規定ノ御趣旨
ハ果シテ弱者保護ノ御意志ガ徹底スルカト云フコ
トヲ私ハ疑フノデアリマス、此問題ニ付キマシテハ
借家法ノ七條ト借地法ノ十一條ノ趣旨ハ同樣デアリ
マスガ、其規定ノ趣旨ヲ分析シテ見マスト云フト契
約當時ニ於テハ家賃ナリ地代ト云フモノハ結局當
事者ノ自由意志ニ任シテ勝手ニ定メレバ宜イ、法律
ハ其事ニ付テ何等干渉ハシナイ、併シ契約ヲ締結シ
タ曉ニ於テハ或事情ノ變化シタ場合、法案ニハ三ツ
ノ場合ヲ擧ゲテアリマスガサウ云フ場合ヲ生ジタ
ナラバ雙方共ニ增減ノ請求權ヲ認メルト云フコト
ヲ規定セラレテ居リマス、而シテ其增減ニ付テノ爭
ガアッタ場合ニ於テ、最終ノ審定ト云フモノハ裁判
所デヤル、斯ウ云フコトニ規定サレテ居リマスガ、此
最後ノ場合ニ裁判所ガ活動スルト云フコトデアリマ
シタナラバ何故ニ今一步進ンデ契約締結ノ際ニ付
テモ幾何カノ御干渉ヲ認メラレナカッタカ、蓋シ立案
ノ御考ハ、契約締結ノ際ニ於テハ當事者ノ利害ト事
情ヲ考ヘテ定ムルニ制限ハナイノデアル法ハ少シ
モ干涉スルノ必要ナシトノ御趣旨デアラウト云フコ
トハ大體想像シ得ルノデアリマスケレドモ兎山
角此度ノヤウナ借地法ノ如キ地主又ハ家主ニ非常ナ
負擔モサセマスシ、其結果地代或ハ家賃ト云フモノ
ニ付テ大ニ暴利ヲ貪ッテ、弱者ヲ壓迫スルヤウナ態度
ニ出テ來ハセヌカト云フコトヲ恐レルノデアリマ
ス、殊ニ借家法ニ付テ申シマスルナラバ解約權、家
主ノ家賃値上ノ唯一ノ武器トモ云フベキ解約權ガ非
常ニ制限ヲ受ケテ居リマシテ、益〓其弊ガ甚ダシク
ナリハセヌカト云フコトモ恐レルノデアリマスガ、
斯カル場合ニ於テハ國家ハ或ル程度ニ於テ家主ガ
暴利ヲ貪ルコトヲ抑制スル手段ヲ採ラレルト云フコ
トハ弱者保護ノ御趣旨ヲ徹底スル上ニ於テ極メテ
必要ナコトデハナイカト考ヘルノデアリマスガ當
局ニ於カレマシテハ家賃トカ地代等ノ標準ヲ調査
スル所ノ機關ト申シマスカ、或ハ審査委員會ト云フ
ヤウナ特別ノ調査機關ト云フモノヲ御設ケニナッテ、
家賃ナリ或ハ地代ニ付キマシテ其家主ナリ地主ノ
暴利ヲ貪ルノヲ抑制スルト云フ手段ヲ御講ジニナル
ト云フ御意志ハナイデアリマセウカ其點ニ付テ御
意嚮ヲ伺ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=48
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049・山内確三郎
○政府委員(山内確三郞君) 借家法ト牽聯シテノ御
尋ネデアリマスガ、此家賃或ハ地代等ヲ定メルニ付
キマシテハ我〓ハ當初ヨリ民法ノ契約ノ自由ノ原
則ハ前ニ申シマシタ通リ最少限度ニ於テ之ヲ制限
シタイト云フ考デ居ルノデアリマス、併ナガラ殊ニ
借家關係ニ付テ、家賃ガ非常ニ高過ギル、暴利ヲ貪ル
ト云フヤウナ傾向ガアルト云フ問題ニ付キマシテ
ハ是ハ豫ネテ御議論ノアリマシタ通リ、家屋拂底ノ
結果デハナカラウカ知ラヌト思ッテ居ルノデアリマ
ス、今日ノ此變態ノ事情ニ於テ非常ニ家賃ヲ增シテ
行ク、或ハ敷金ヲ高ク取ルト云フヤウナコトハ矢張
リ經濟狀態卽チ借家拂底狀態ニ伴ウテ、自然出テ來
ルコトデハナイカ知ラヌト思フノデアリマス5.0.
家賃ノ公定相場ヲ作ルコトガ法案ノ趣旨デハナイカ
ト云フヤウナコトハ嘗テ衆議院等ニ於テモ論議サ
レタノデアリマスガ、公定相場ヲ設ケルト云フコト
ハ、非常ニ困難デアリマス、サウシテ當事者ガ自由ニ
幾ラデ貸ス、借リルト云フ相談ヲシテ居ルノヲ、是ヲ
俄ニ裁判機關ヲ以テ主張シ、下ゲルト云フコトハ果
シテ司法上ノ關係ヲ律スルニ付テ、適當ナルコトデ
アルヤ否ヤト云フコトモ考慮ヲ費シテ見マスルニ隨
分困難ナコトデアル併ナガラ此暴利···暴利ヲ貪
ルト云フコトニナルト是ハ豫テ私ガ申上ゲタ權利ノ
濫用カラ生ズルノデアリマス借家拂底ノ狀態ニ於
テ家屋ヲ借リルコトガ非常ニ困難、殆ド出來ザル狀
態ニ於テ、其借家人ノ格、通俗ノ言葉ヲ以テシマスル
ト足元ヲ見テ非常ニ高イ金ヲ貪ル恰モ高利貸ガ窮
狀ニアルモノノ····人ガ窮狀ニアルノニ乘ジテ高イ
利子ヲ以テ金ヲ貸スト云フノト同ジコトガアルカモ
知レマセヌ、多數ハソンナコトハアリマスマイケレ
ドモ中ニハサウ云フコトモ生ズルカモ知レマセヌ
ガ、是ハ此權利ヲ濫用シテ人ノ窮狀ニ乘ジテ暴利ヲ
貪ルト云フコトハ借家關係ノミナラズ、借地關係ノ
ミナラズ其他ノ關係ニ於テ屢〓アルコトデ法律··
··殊ニ法律ヲ楯ニ取リ、サウシテ權利ヲ濫用シテ不
當ノ利ヲ貪ルト云フヤウナコトハ是ハ禁ジナケレ
バナラヌコトト私ハ考ヘテ居ル「シユワイズ」ノ民法
ニモ權利ノ濫用ハ保護セザルノ規定モアルノデ、是
ハ別ニ法制審議會ニ於テ適當ノ救濟方法ヲ作ラナケ
レバナラヌ、餘リ權利ノ關係ガ個人主義ニ走ッテ權
利本位ニナッテ、法律ニ定メテアル權利ヲ濫用シテ人
ニ迷惑ノ掛カルノモ顧ミナイ、社會ニ弊ヲ爲シテ居
ルト云フ事ハ當局モ是ヲ認メテ居ル權利ノ不正行
使ニ付テハ相當攻究ヲシテ、別ニ或ル方法ヲ講ジナ
ケレバナラヌト云フコトヲ考ヘテ居ルノデ、餘程問
題ハ複雜シタ困難ナ問題デアリマスマダ其點ニ付
テハ成案ヲ得テ居ナイ、是ハ法制審議會ニ於テ攻究
中デゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=49
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050・寺島誠一郎
○委員長(伯爵寺島誠一郞君) 第十二條ニ移リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=50
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051・内田嘉吉
○內田嘉吉君 十二條ノ最後ノ二年ト云フコトノ規
定ガゴザイマスガ、是ハ前ノ案ニモアッタカ私ハ承知
シマセヌガドウ云フ點カラ二年ト云フコトヲ定メ
タノデアリマスカ是ヲ一應伺ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=51
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052・山内確三郎
○政府委員(山内確三郞君) 是ハ其抵當權等ニ於テ
最後ノ二年分ニ付テ抵當權ガ及ブト云フ規定デアリ
マシテ、是ハ總テ他ノ權利ヲ害スル規定ニナリマシ
テ先取得權ニ付テ最後ノ期間ヲ定メタノデアリマ
ス其優先權ヲ認メテ居ルノデアリマス抵當權ニ
付テモ民法ノ三百七十四條ノ規定ガアリ、尙ホ他ニ
モ先取得權ノ期間ヲ定メル爲六ケ月分ト云フヤウナ
前例ハイロ〓〓アリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=52
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053・内田嘉吉
○內田嘉吉君 二年ト御決メニナッタ意味ハ何處カ
ラ來マシタカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=53
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054・山内確三郎
○政府委員(山内確三郞君) 是ハ別ニ深キ何モゴザ
イマセヌ先ヅ抵當權ニ於テ最後ノ二年分ト云フヤ
ウナコトヲ先ヅ標準ニ取ッテ、先ヅ其二年間ダケハ是
ヲ保障スル尙ホ小作ニ付テモ最後ノ二年分ノ小作
料、特ニ權利ノ消滅、請求ガ出來ルト云フイロノノ
例ガアリマスカラ二年デナケレバナラヌト云フ强
イ意味ヲ有ッテ居ルノヂヤナイ、先ツ今年分昨年分ダ
ケヲ先取得權ヲ持タシテ置イタナラパ地主ニ於テ
モ適當ニ其權利ヲ行使スルコトガ出來ルト思フ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=54
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055・内田嘉吉
○内田嘉吉君 然ルニ右先取得權ノ項ニ第十三條ニ
依リマシテ不動產保存不動產工事ノ先取得權、地上
權等ニ付テハ後レル、跡ニナルト云フ譯ニナッテ居リ
マス、地主側カラ見ルト折角第十二條デ先取得權ヲ
與ヘラレテ居ルケレドモ十三條デ再ビ剝奪サレテ
居ルガ如ク見エマスガ、ソレ等ニ對シテ果シテ是ダ
ケデ相當地主ノ權利ハ保護サレタモノト御認メニナ
ルノデゴザイマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=55
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056・山内確三郎
○政府委員(山内確三郞君) 今日此先取得權ガナイ
ト一般ノ債權者カラ差押ヘラレルヤウナ時ニ、地代
ノ方ハ通常債權ト同ジニナルノハ甚ダ困ルト云フノ
ガ第一ノ目的デアリマス、此中ニ揭ゲマシタ共益費
用生產費用ト云フモノハ總テノ場合ドレニモアル權
利ダ、不動產保存工事費用ト云フモノハ是ハ保存工
事アッテ不動產ガアルノデアリマス、不動產アッテモ
利鞘先取得權デアルカラ、不動產工事ノ方ヲ先ヅ先
キニスベキデアル、ソレカラ地上權又ハ借地權ニ於
テハ登記セザル以前抵當權ノ登記ガアル此分ハ先
取得權ニナルカナラヌカ分ラナイト云フ場合ニ登記
ヲシテ抵當權ヲ取ッテ居ルモノモアル、此以外ニモ非
常ニ後レタ所ノ先取得權ガイロ〓〓アリマスガ此
先取得權ヲ取ラセルト云フ點デゴザイマス、此一般
債權者ヲ排斥シ其他ノ權利者ヲモ排斥スルガ此最
モ强イ權利者ダケハ是ヲ先キニシナケレバ其權利者
ニ對シテ酷デアルト云フノデ斯ウ云フ順序ニ定メ
タ此順序ヲ定メルコトガ、最モ困難デアル爲ニ昨
年ハ此點ハナカッタ、御院モ此先取得權ヲ認メル方ガ
宜カラウト云フ御意見ガアリマシタカラ此規定ヲ置
イタ次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=56
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057・寺島誠一郎
○委員長(伯爵寺島誠一郞君) 十三條発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=57
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058・江木翼
○江木翼君 此建物ノ賃貸借ニ付テ登記ガナクテモ
建物ノ引渡シガアッタナラバ、第三者ト對抗スル效力
ヲ發生スル左樣イタシマスルト玆ニ地上權又ハ賃
貸借ノ登記前ニ登記ヲスル所ノ質權抵當權ガアル、
ソレニハ此先取得權ガ後レルト云フノハドウモ主義
ガ徹底シナイカノヤウニ思フノデアリマスガ既
登記ヲ必要トシナイデ對抗力ヲ或ル部分認メル以
上、必ズシモ此登記ノ前後ニ依ッテ先取得權ノ前後ヲ
決メルベキ理由ハナイヤウニ思ヒマス、此點ハ如何
デゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=58
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059・山内確三郎
○政府委員(山内確三郞君) 建物保護法ニ於テ賃借
權地上權登記ナクシテモ其賃借權ナリ地上權ハ第三
者ニ對抗スル事ガ出來ルトナッテ居リマスノハ登記
ノ困難カラ一ツ救濟スルノデアリマス、併ナガラ此
規定アルガ爲ニ賃借權ナリ地上權ノ登記ヲ禁ズル趣
旨ハ餘リ無イ、希望スル處ハ正確ニ賃借權地上權ノ
アルコトヲ希望スル、ソコデ建物ノ登記ガアッテ地上
權ナリ賃借權ヲ以テ第三者ニ對抗ガ出來マスガ建
物ノ登記アリト雖モ地代ハ幾ラデ其借賃ハ幾ラデア
ルカト云フコトハ登記面上ニ餘リ分ラヌ、先取得權
ヲ保護スル意味ハ此借賃ガ幾ラデアル或ハ地代ガ
幾ラデアルト云フコトガ登記面上ニ現ハレルコトヲ
必要トスルソコデ賃借權ナリ或ハ其地上權ノ登記
ガアレバ地代借賃ノ登記ハ此處デ定メル、サウスル
ト前條ニ依ッテ生ジテ居ル處ノ先取得權ハ凡ソドノ
位カト云フコトハ後ニ抵當權ヲ取ル人ナリ其他ノ人
ニ大體分リマス、然ルニ賃借權登記ガナイト地代ノ
登記ガナイカラ玆ニ抵當登記ヲスル時ニ、跡デ地代
ハ幾ラト云フモノデ抵當權ヲ望マレルト云フコトニ
ナッテハ抵當權者ハ甚ダ迷惑デアリマス、斯ウ云フコ
トハ是ハ間接ノ話デアリマスケレドモ、登記ノ利益
ヲ地主ニ氣附カレタルノモ一ツノ方法デアリマス
之ニ依ッテ此權利ヲ擁護スルガ爲ニ完全ナ登記ヲ行
フダラウト云フ一ツノ附隨的希望ヲ持ッテ居ル発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=59
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060・寺島誠一郎
○委員長(伯爵寺島誠一郞君) 附則ニ移リマス+
四條十五條発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=60
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061・河村譲三郎
○河村讓三郞君 施行ノ期間ハ何時頃ト云フコトニ
ナル積リデアリマスカソレカラ施行、地域ハ何處カ
ト云フ御考デアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=61
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062・山内確三郎
○政府委員(山内確三郞君) 期日ハ結局地區ヲ定メ
ルト云フ意味ニ於テ相當ノ用意ガ欲シイノデアリマ
スガ、成ルベク早ク是ハ出シタイト考ヘテ居ル、地區
ニ付キマシテハ是ハ此際私カラ一括シテ皆全國何處
何處ト云フコトニナルト餘程暇ガ要ルト思ヒマスカ
ラ、之ヲ順次ニ定ムルコトガ出來ルト云フ趣旨デア
リマス、而シテ東京市ニ之ヲ施行シナケレバナラヌ
ト云フ事ハ是ハモウ無論ノ譯デアリマス既ニ此點
ニ付テハ疑ヲ持ッテ居ラナイ、其他ノ地ニ付テハ裁判
所ニ昨年以來迄ニ調査ヲサシテ居リ調査ノ結果モ
參ッテ居リマスガ、尙餘程調査シナイト、俄カニ地區
ヲ定メルト云フコトニナルト却ッテ混亂ヲ來スト云
フ虞ガアリマス是ハ今何處何處ダト云フコトヲ茲
ニ御約束申スマデ決斷ハ私ハ持ッテ居ナイ、大阪等ニ
付テハ一ツノ疑ヲ持ッテ居ル、大阪デハ或ハ結局實施
ヲ延期スルコトニナルカモ知レマセヌガ大阪デハ
借地借家ノ關係ガ甚ダ少イ處デアッタト云フコトヲ
記憶シテ居リマス、地主ト借地ガ合致シテ居ルモノ
ガ多カッタ、私ガ向ウニ居リマシタ頃ハ借地關係ノ訴
訟ト云フモノハ無カッタ、寧ロ家主ト借家人ノ爭ハ餘
程多カッタ、今日デモ新聞ノ報ズル處デハ矢張リ借家
關係ノ爭ヲシテ居ル、名古屋ニ至ッテモ是モ餘程調べ
テ見ナケレバナラヌト考ヘルソレデ今玆ニ凡ソノ
見當ハ附キマシテモ、何處何處ト云フコトヲ言明ス
ルノハチヨット差支ヘマス、要スルニ東京市ト同ジヤ
ウナ爭ノ有ル場所ガ大分有ルヤウデアリマス、尙此
法律案ガ法規ニナリマシタ上ハ更ニ手分ヲシテ實
地ニ就イテ深ク調査ヲシナイト云フト何處何處ト云
フコトヲ斷言スルノニハ躊躇スル次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=62
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063・寺島誠一郎
○委員長(伯爵寺島誠一郞君) 十六條十七條····ソ
レデハ是デモウ此方ハ終リマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=63
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064・内田嘉吉
○内田嘉吉君 借地法ニ付テハ借家法デ採用シタ主
義ノ規定ガナイガ、詰リ建物保護ニ關スル法律ガア
リマスカラソレヲ準用シテ居ラレルソレデアルカ
ラ宜イト云フ御見解デゴザイマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=64
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065・山内確三郎
○政府委員(山内確三郞君) 斯ウ云フコトニナルノ
デアリマス、實ハ建物保護法ニ保護シテ居ル權利、矢
張リ建物ノ所有ヲ目的トスル地上權、及賃借權トナッ
テ居ル簡易ナ法規ヲ以テ第三者ニ對スルコトガ出來
ルトナッテ居リマス、ソレハソレデ滿足シテ唯其法律
ニナッテ居ルノデ體裁ハ如何カ知リマセヌガ、既ニ法
律ニナッテ居ル以上ハ、玆ニ附ケ足サナクテモ宜カラ
ウト云フノデ、アノ規定ガ適用サレルコトニナル発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=65
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066・寺島誠一郎
○委員長(伯爵寺島誠一郞君) ソレデハ午後··
午後零時八分散會
出席者左ノ如シ
委員長伯爵寺島誠一郞君
副委員長松室致君
委員
子爵毛利高範君
子爵永井尙敏君
子爵池田政時君
河村讓三郞君
內田嘉吉君
男爵二條正麿君
江木翼君
伊藤傳七君
中村圓一郞君
國務大臣
司法大臣伯爵大木遠吉君
政府委員
司法省民事局長山內確三郞君
司法省參事官池田寅二郞君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004401426X00519210324&spkNum=66
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