1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
會議
大正十年三月二十四日午前十時五十分開議
出席委員左の如し
戸水寛人君 宮古啓三郎君 高橋辰二君
澤來太郎君 塚原嘉藤君 鳩山一郎君
北井波治目君 岩崎幸治郎君 原夫次郎君
水野吉太郎君 麓純義君 鈴木富士彌君
横山金太郎君 野田文一郎君 津原武君
藤井啓一君 高柳覺太郎君 上畠益三郎君
同月二十三日委員南鼎三君辭任に付其の補闕として上畠益三郎君を又今二十四日委員本田恒之君辭任に付其の補闕として鈴木富士彌君を議長に於て選定せり
出席國務大臣左の如し
司法大臣 伯爵 大木遠吉君
出席政府委員左の如し
司法次官 鈴木喜三郎君
司法省刑事局長 豐島直通君
司法書記官 皆川治廣君
司法事務官 山岡萬之助君
本日の會議に上りたる議案左の如し
裁判所構成法中改正法律案
定年に因る退職判事檢事の恩給に關する法律案発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=0
-
001・戸水寛人
○委員長(戶水寛人君) 會議ヲ開キマス質問ノ通
告者ガアリマスノデ、其順ニ依ッテヤル積リデアリマ
スガ第一ハ南君デアリマスガ南君ハ辭任セラレ
テ、上畠君ガ之ニ代ラレマシテ、上畠君カラ質問ノ通
告ヲ承リマセヌカラ、三番目ニナッテ居ル所ノ野田君
ニ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=1
-
002・野田文一郎
○野田文一郞君 私ハ司法權ノ基礎ガ鞏固ニナリ、
其運用ガ完全ニナルコトヲ切ニ望ンデ、常ニ司法部
ニ對シテ特別ノ同情ヲ持ッテ居ル一人デゴザイマス
カラ、本案ニ就キマシテモ若シ私共ノ考ト一致ヲ
致シマシテ、其目的ヲ達スルニ於テ正當ナル一ツノ
手段デアルト云フ事ニナリマスレバ、無論喜ンデ贊
成致ス次第デゴザイマス、只今ノ程度ニ於テハ、色〓
ノ疑問ガゴザイマスカラ、其意味ニ於テ私ハ質問致
シマス.結局司法部ノ改善ト云フコトニ就テハ其目
的ハ司法當局者ト全然一致スルト云フコトヲ先ヅ一
言申上ゲテ置キマス、第一ニ承リタイノハ現行ノ構
成法七十四條ガ若シ滑カニ運用ガ出來ルモノデアレ
バ、之ニ依ッテ無能者ヲ淘汰シテ改善ヲ行フト云フコ
トハ無論出來ル譯デゴザイマスガ畢竟本案ノ如キ
改正案ヲ御提出ニナッタノハ、昨日モ應答ガゴザイマ
シタ通リ、七十四條ヲ適用スルコトガ困難デアルト
云フコトガ、先ヅ根本ノ理由ト考ヘタノデゴザイマ
スソコデ此場合念ノ爲メニ更ニ伺ッテ置キタイノ
ハ、七十四條ノ適用ガ困難デアルト云フコトハ身體
若クハ精神ノ衰弱ニ因テ職務ヲ執ルコト能ハザルニ
至リタルヤ否ヤト云フコトノ、、事實ヲ認メルコトガ
困難デアルト云フ意味デアルノカ或ハ總會ニ於テ
同僚ノ能力ヲ彼此レ論議スルト云フコトガ甚ダ忍ビ
ナイカラ困難デアルカ是ハ兩方デアルヤウナ御答
辯モゴザイマシタガ、此點ヲモウ一ツ明確ニ伺ッテ置
キタイ、若シ事實ヲ認メルコトガ六ケシイト云フコ
トデアレバ、是ハ私共意見ガ違フノデアリマス、判事
ノ精神ノ衰弱ニ因ッテ職務ヲ執ルニ堪ヘザル者ヲ不
適任ト見ルカ見ナイカト云フコトハ洵ニ見易キ事
デアル、併シ是ハ其地位ニ依ッテ違フコトデアッテ、大
審院長トシテハ既ニ能力ガ缺ケテ居ルニシテモ區
裁判所ヘ持ッテ行ケバ立派ナ判事デアルカモ知レナ
イサウ云フ風ニ階級ニ依リ、擔任ヲシテ居ル職務ニ
依つ色〓相違ガゴザイマセウケレドモ、併ナガラ
適否ノ判斷ヲスルコトハソレ程困難デハナカラウ
ト思ヒマス、又後ノ方ノ同僚ノ能力ヲ論議スルノハ
甚ダ人情忍ビナイ、昨日鈴木司法次官ノ御話ニ依ル
ト却テ左樣ニ同僚ノ能力ナドニ就テ言ハナイト云
フ事ガ一ツノ美風デアルト云フ風ナ御說明ガアリ
マシタガ、是モ公私ハ自ラ別デアリマスカラ、アノ人
ハ判事タルノ能力ニ於テ缺陷ガアルト云フコトヲ申
スノハ、甚ダ不道德ノヤウデハゴザイマスケレドモ、
併ナガラ法律ニ既ニ現行七十四條ノ如キ規定ヲ置イ
テ居ル以上ハ之ヲ論議スルコトハ、公ノ立場カラ見
レバ却テ道德ニ適ヒ、又ソレヲ主張セザルコトガ不
道德デアルト云フ風ニ考ヘラレルソレ故ニ此點ニ
就テ七十四條ヲ適用スルコトガ困難デアルト云フ事
情ヲ、モウ一囘伺ッテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=2
-
003・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 御答致シマス、此點ニ就テハ昨日
橫山君カラノ御質問ニ對シテ、大略申上ゲテ置キマ
シタ次第デゴザイマスガ、此身體ノ衰弱ニ因ッテ職務
ヲ執ルコトガ出來ナイト云フコトハ、外形上ノ事實
デアリマシテ、洵ニ事實ノ認定ト云フモノハ容易イ
ノデゴザイマス卽ヲ身體ノ障礙ノ爲メニ職務ヲ執
行スルニ不適當ナルヤ否ヤト云フコトノ事實ト云フ
モノハ是ハ洵ニ容易ク見分ケガ出來ヤウト思ヒマ
ス、精神上ノ缺陷-精神上ノ衰弱ニ因ッテ職務ヲ執
ルニ堪ユルヤ否ヤト云フコトノ認定ト云フ事柄ニ就
キマシテ是ハ洵ニ微細ノ點ニマデ考究ヲ盡サナケ
レバナラヌ、サウシテ今野田君ノ仰セノ通リ職務ニ
堪ユルヤ否ヤト云フ標準能力ト云フモノハ職務上
ノ位置ニ依ッテモ亦違フデアリマセウ、ソレ等ノ詰リ
實際細カイ事務ヲ執ルノデゴザイマスカラ、唯ダ判
決ヲ書クコトガ出來ナイカ出來ルカト云フヤウナコ
トハ是ハ程度ノ問題ニ屬シマセウ、裁判事實ノ認
定、審理判決ト云フコトニ就テ、頭腦ヲ用ユルニ堪ユ
ルヤ否ヤト云フヤウナ精神上ノ缺陷ト云フコトハ
事實認定ガ非常ニ困難ナモノデアル、其困難ニ向ッテ
-俗ニ言フ所ノ言葉ハ相當デナイカ知リマセヌガ
刑事上ノ處分ニ就テ屢〓訟廷等ニ於テ現ハレル言葉
ノ「疑シキハ罰セス」斯ウ云フ事ガ刑事上アルノデア
リマス卽チドウモヤッタ樣デモアリ、又ヤラヌヤウ
デモアルサウ云フヤウナ疑ノアル場合ニ於テハ罰
セヌ、是ガ古來ノ慣例ニナッテ居リマスガ之ト同ジ
ク、ドウモアノ男ハ近頃精神ガ衰弱シテ居ッテ、職務
ヲ執ルノニ相應シクナイ狀態デアル、ケレドモ又一
面カラ見レバサウデモナイヤウデアル、斯ウ云フヤ
ウナ時ニハ、同僚ノ間ニ於テ、彼ハ精神上ノ缺陷アリ
ト極印ヲ打ッテ退職決議ヲスル、斯ウ云フヤウナ事ニ
就テハ洵ニ七十四條ノ要求スル精神ニ適フヤウニ
ト云フコトハ、事實困難デアラウト思ヒマス、斯ウ云
フ意味デ、七十四條ハ今日迄實驗ニ依ッテ考ヘラレテ
居ル次第デゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=3
-
004・野田文一郎
○野田文一郞君 ソレナラバ更ニ伺ヒマスガ、從來
構成法ヲ實施以來旣ニ三十年ニナリマスガ此間ニ
於テ七十四條ヲ正面ヨリ適用シテ淘汰セラレタ例ハ
極メテ少イノデアル、大部分ハ七十四條ノ寶刀ヲ拔
カズシテ、圓滿ノ間ニ淘汰ガ行ハレテ居ルト云フコ
トニ私ハ承知ヲシテ居リマス旣ニ三十年來此七十
四條ノ寶刀ヲ拔イテ斬ルト云フコトヲセズシテヤリ
來タッノヲ見マスルト多クノ場合ニ於テハ其人ニ
相當ノ禮ヲ盡シテ交渉ヲ致シマスレバ自ラ進ンデ
退クト云フコトハ、實際ノ例デアラウト思ヒマス今
後ニ於テモ斯ノ如キ立法ヲセズシテ、矢張從來ト同
樣ノ手段ニ依リマシテ改革ヲ爲サルト云フコトハ出
來ナイモノデゴザイマセウカ司法省當局ニ相當ノ
權威ガアレバ、從來ノ如ク矢張七十四條ノ正面ヨリ
適用ヲセズシテモ、私ハ改革ガ行レ得ルモノデハナ
カラウカト考ヘルノデアリマスガ、此點ハ如何デゴ
ザイマセウカ、殊ニ本案ノ如キ立法ハ憲法ニ牴觸セ
ザルヤ否ヤ疑問デゴザイマスガ一面カラ見レバ司
法官ノ獨立ト云フ領域ニ向ッテ、幾分侵害ヲスル嫌ガ
尠カラズアルト思フ、是ハ違憲ニ非ズトスルモ、司法
官ノ獨立ノ保障ニ向ッテ、幾分カ領域ニ侵入スルト云
フコトハ免レヌト信ジマスカラ成ベクナラバ斯樣
ナル立法ヲセズシテ、從來ノ如ク司法當局ノ所謂御
手腕ト申シマセウカ左樣ナ取扱ニ依ッテ、改革ヲ一
面ニ行ヒ得ラレルモノデハナイノデアリマセウカ
三十年來ノ從來ノ實驗ニ徵シテ、私ハ爲シ得ラレヌ
コトハナイカノ如ク考ヘラレマス、此點ニ就テ更ニ
御意見ヲ伺ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=4
-
005・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 ソレハ繰返シテ申上ゲマスル通
リ、中〓圓滿ニ解決ヲ〓ゲルト云フコトハ困難デア
ルノデス、ソレハ中ニハ事情ヲ諭シマススレバ、快ク
肯ク人モアリマスケレドモガ、或ハ中ニハ强情ヲ張ツ
テ、中〓以テソレニ應ジナイト云フヤウナ人モアル
ノデ、敢テ試ミタ次第デハアリマセヌケレドモ、サウ
云フヤウナ人格ヲ有シテ居ル人モアルノデアリマ
スカラ、人各〓性格ノ異ル所ガアリマスルノデ改革
ヲシヤウト思ッテモ、徹底的改革ヲスルコトガ出來ヌ
ノデス、中ニハ旨ヲ諭セバ任意ニ罷メル人モアリマ
セウケレドモ、却テサウ云フ事ニナルト一旦任意ニ
罷メタ後ニ於テ、惡聲ヲ放ツト云フコトニナリマシ
テ、矢張リ一般ノ改革ノ上ニ妨ヲ來スト云フ事例モ
アルノデゴザイマス現ニ大正二年ノ時ニ於キマシ
テ、法律ヲ以テ二百三十名バカリヲ限リトシテ休職
ヲ命ズルコトガ出來ルト云フコトニ致シマシタ時
ニ敢テ勸〓ト云フヤウナ態度ハ執リマセヌケレド
モガ彼ノ時ニハ二分ノ一ノ俸給ヲ給スルト云フコ
トガゴザイマシタカラ、欣ンデ三百何十名ト云フ者
ガ皆休職願ヲ出シテ來タノデス、所ガ其等ノ人ガ休
職後ニ惡聲ヲ放ッテ、或ハ無理ニ罷メサセラレタトカ
何トカ言ッタノデス、サウ云フ事ヲ致シマスト、現在
勤續シテ居ル者ニ對シテモ不安ノ念ヲ起サシムル
ト云フコトニナルノデアリマス勿論此ノ身體上ノ
缺陷ニ就キマシテハ自分ガ俗ニ所謂手足ガ利カヌ
ト云フ狀態ニナッテ居ル者デアリマスカラ、是ハ人情
トシテ自分ガ其位置ヲ塞イデ居ッテ、後進ノ賢路ヲ妨
ゲルコトハ宜クハナイト云フコトヲ自覺シテ罷メ
ル、ソレモ司法當局トシテ、半年ナリ一年ナリノ靜養
時期ヲ與フレバ癒ルト認メタ者ニ對シテハ、出來ル
ダケ靜養ヲサセテ居ルノデス、ソコデドウシテモ職
務ノアル地位ニ居ッテハ精神ガ息マラナイ、尙ホ靜養
シテ居ッテモ氣ガ安マラナイ、病氣ガ癒ラヌト云フ人
デアルト半年ナリ一年ナリ經ッテ、自ラ退職願ヲ出
ス人モアリマスガ、ドウモ何人ト雖モ、俗ニ平タク申
セバ自惚根性ガアルノデスカラ、我ハ精神衰弱シタ
リ、職務ヲ執ルニモ不相應デアルト云フコトヲ自覺
シテ罷メルヤウナ人ハ、先ヅ稀有ノ事デアリマス、固
ヨリ司法官トシテハ、氣風精神ト云フモノガ高尙デ
ナケレバナラヌ所謂衆ノ模範トナッテ、他ノ役人ヨ
リハ其點ニ就テ注意スルト云フ心掛ヲ持タナケレバ
ナラヌト云フコトハ、屢〓話モシテ居ル次第デゴザ
イマスケレドモ、元〓其以上ニ之ヲ强要スルト云フ
コトハ出來ナイ、矢張人ノ普通性ト云フモノハ免レ
ヌノデアリマス、ソレデアリマスカラ自ラ司法部改
良ノ犠牲トナッテ、進ンデ自分ノ頭ハモウ疲レタカラ
罷メテ行カウト云フ、洵ニ氣品ノ高イ人ハ、絕無トハ
申シマセヌガ稀有デアリマスサウ致シマスルト改
革ヲスルニ就テハ、ドウモ妨ガ起ルノデス、ソレ故ニ
今囘七十四條ノアル外ニ、斯樣ナ法律ノ認定ニ依ッ
テ-法律ノ擬制ニ依ッテ、人ノ能力ヲ推定シテ改革
ヲスルヨリ外ナイト、斯ウ考ヘタ次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=5
-
006・野田文一郎
○野田文一郞君 更ニ伺ヒマスガ只今ノ御答辯ニ
依ルト、罷メテ貰ヒタイト云フ人ニ對シテ未ダ交涉
ヲ試ミタコトハナイ、罷メテ貫ヒタイケレドモ、彼ノ
人ノ人格ナラバソレヲ言出シテモ恐クハ駄目デア
ラウト云フコトデ、御止リニナッテ居ルヤウニ考ヘマ
スガ、併シ此表ヲ見マシテモ、大抵年齡ノ多イ人デ、
新ニ出來ル法律ガ議會ヲ通過スレバ適用ヲ受ケル
人ガ定ッテ居ルサウスルト其等ノ人ニ對シテハ一囘
モ交涉ヲ試ミナイデ、多分言フテモ駄目デアラウト
云フコトデ、御ヤリニナル譯デアリマスカ、ソレダト
スルト、立法ヲ要セズシテヤリ得ル事ヲ一囘モ交涉
ヲ試ミズシテ、大問題ヲ惹起スル重要法案ヲ御出シ
ニナルト云フコトハ如何ナモノデアラウカ、其邊ニ
就テ疑ハザルヲ得ナイ、其點ハ如何デス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=6
-
007・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 私ハ司法官ニ向ッテ行政官カラ左
樣ナ試ミヲ爲スベキコトハ本意デナイト思ヒマス
サウ云フ事ハスベキモノデナイト思ヒマスカラシ
テ、七十四條ニ該當スル者ト云フ確信ヲ得タナラバ
儼然トシテ七十四條ノ適用ヲ爲スベキモノデアラウ
ト思フ、畢竟スルニ、病氣デアルトカ、何トカ云フコ
トニスルニバ是ハ何モ司法大臣ガ職務ノ行使トシ
テ勸誘スベキモノデハナイ、示談的ニ或ル監督官カ
ラ言フヤウナコトハアリマセウガ司法大臣カラ監
督官ニ命ジテ、其人ヲ罷メサセルト云フヤウナ交涉
ヲシタコトハ今マデ無イノデス、ソレデアリマス
カラ定年法ノ適用ヲ受ケテ退職トナルヤウナ人ニ
向け、一應勸告ヲスルノガ前提デハナカラウカ、監
督ヲシ得ルニモ拘ラズ之ヲシナイ、斯ウ云フ法律ヲ
作ルト云フコトハ一足飛ノ事デハナイカト云フヤ
ウナ御疑ノヤウニ考ヘラレマスケレドモ、私ハ正論
トシテハサウ云フ勸〓ヲスベキモノデナイト斯ウ
考ヘテ居リマスソレデアリマスルカラシテ、假令今
此年齡ニ達シテ居ル者デアッタ所ガ、悉ク七十四條
ニ該當スル人トハ思ハヌ、故ニ六十三歲以上ニナッテ
居ッタ所ガ精神衰弱ハシテ居ラヌ、尙ホ年限ヲ延長
スル必要ヲ認メタト云ヘバ延長ノ出來ル規定ニモ
ナッテ居リマスルカラ、今此ノ年齡ニ達シテ居ル若干
ノ人〓ガ、悉ク無能力デアル、勸告スベキ人ナリト全
部申ス次第デハアリマセヌ、元來行政官ガ司法官ニ
向け 、御前モソロソロ罷メタラ宜カラウト云フコ
トハ、冗談的ニ言フノハ格別、職務行動トシテ勸告ス
ルコトハソレコソ行政官ガ司法官ノ獨立ヲ害スル
コトニナル話ト思フノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=7
-
008・野田文一郎
○野田文一郞君 行政官ガ司法官ノ進退ニ就テ勸〓
ヲ試ムルコトノ宜クナイト云フコトハ御正論トシ
テ謹聽致シマスガサウスルト從來三十年ノ間、勿
論只今ノ司法次官ハ御在職ノ時代ニハ無イカ知リマ
セヌガ、司法省カラ諭旨トカ何トカデ罷メサシタコ
トハ、從來シテ居ラヌト云フノデスガ、控訴院長以下
多數ノ人〓ガ從來幾度ノ改革デ罷メテ居リマスケ
レドモ、是等ハ本省カラ內命ガアッテ罷メタ者ナリト
信ジマスガ從來モ必ズサウ云フ事ハ無カッタト仰
シヤルノデアリマセウカソレトモ從來ハアッタカ知
ラヌガ、サウ云フヤリ方ハ宜クナイ、行政官ガ司法官
ノ進退ニ立入ル嫌ガアルカラ、將來サウ云フ事ハヤ
ラヌト云フ考デ斯ノ如キ立法ヲ必要トスルノデア
ルト云フコトニナリマセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=8
-
009・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 行政官ガ司法官ニ對シテ、職權行
動トシテ諭シタコトハゴザイマセヌ、先程申シマス
ル通リ、其人ト監督官トノ間ニ於テ、オ前ハ身體ガ疲
レタヤウダ暫ク靜養シテ、恢復ノ後ニ復職スルノハ
何デモナイカラト云ッテ勸メタコトハ聽イテ居リマ
ス、唯ダ司法大臣ガ職務行動トシテ、命令的ニ罷メサ
セタ事ハ一ツモアリマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=9
-
010・野田文一郎
○野田文一郞君 更ニ私ハ此法律ヲ作ッテ、果シテ將
來利益ガアルカ無イカト云フコトニ就テ疑問ガアリ
マスカラ、其點ヲ伺ヒマス、申スマデモナク人ハ總テ
希望ニ活クル者デアッテ、吾〓ガ死ヌル時期ガ定マツ
テ居ナイ爲メニ、何時マデモ活キテ居ルモノトシテ、
勉强シ活動スル譯デアリマスカラ、矢張司法官モ同
ジク、若シ定年制ガ出來ルト云フコトデアルト、先ヅ
六十歲前後ニナルト、自分ノ前途モ既ニ分ッテ居ル
サウナレバドウカ斯ウカ職ヲ勤メテ居レバ宜イト
云フコトニナル勢ヒ其間〓究心モ無クナリ、職務ニ
不勉强ニナル結果ニナルノデ、寧ロ斯樣ナ制度ガナ
ケレバ七十ニナッテモ、八十ニナッテモ身體ガ健全
デアレバ、何處マデモ裁判官トシテ奮鬪シヤウト云
フ勇氣モ養ハレル譯デ、實際ニ於テハ其方ガ利益デ
アル此定年法ノ爲メニ希望ヲ失ハシメテ、少シ年ヲ
取ッタ人ハ七十四條ヲ適用サレルト云フ心配モナ
ク、將來希望ガアレバ自然學問モ實務モ勉强スルヤ
ウナ傾向ニナルト思フ、此點ニ就テ甚ダ損害ヲ來ス
コトニナリハシナイカ、御考ヲ伺ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=10
-
011・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 多イ人ノ中ニ、サウ云フ心掛ノ人
間ガ無イトモ申シマセヌガ、司法大臣トシテハ左樣
ナ現象ヲ現ハス事ガアッタラ、十分正シテ、サウ云フ
事ヲ無カラシムルヤウニ努メタイト思ヒマス現 2
陸軍ノ方ニモ停年令ガ設ケテアリマスガ其爲メニ
停年ニ達セントスル者ガ仕事ヲ怠ルトカ、或ハ〓究
心ガ乏シクナルト云フヤウナ事蹟ハ無イト聞キ及ン
デ居リマスカラ、況ヤ司法官トシテ左樣ナ心掛ヲ起
ス者ニハ、矯正ノ途ハ他ニアラウト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=11
-
012・野田文一郎
○野田文一郞君 陸軍ノ例ヲ御述ベニナリマシタ
ガ、私ハ豫メ此事ヲ申上ゲタカッタノデアリマス、陸
軍ノ任務ト司法ノ任務トハ全ク性質ヲ異ニ致シマ
シテ陸軍ノ如キハ大部分體力ノ働ガ主要ナルモノ
デアッテ、司法部ノ如キハ全ク机ノ上デ精神ノ働キ
ニ依ッテヤル仕事デアリマス、苟モ司法官ニハ左樣ナ
不心得ノ者ハ無イト云フ事ハ表面ノ理窟トシテハ
一應立派デアリマスガ、司法官モ矢張人デアル希望
ガ無ケレバソレダケ忠實ノ念ノ薄クナルノハ、人情
トシテ免レヌ、悉ク司法官ニナル人ハ立派ノ人ノミ
トハ言ヘナイト思フ、形式上ノ御議論トシテハ承リ
マスルガ、併シ是レ以上申スト議論ニナリマスカラ
止メマシテ更ニ伺ヒマス是ハ非常ニ問題トナッタ
ノデアリマスガ、行政裁判所ノ評定官トカ、會計檢査
院ノ檢査官ノ如キ、是等モ均シク終身官デアルガ是
等ノ官吏トノ權衡ヲ失スル嫌アリマセヌカ、又若シ
定年ノ程度ノ年齡ニ達スレバ能力ガ無イ、老朽ニ到
達シタト申シマスガサウ云フコトヲスルト云フノ
ガ理想ニ適フモノナラバ、總テノ官吏ニ對シテ定年
法ヲ設ケルノガ適當デハナイカ、司法當局ハ他ノ事
ハ御考ハ無イカ知リマセヌガ、政府トシテハ司法官
ニ左樣ナ制度ヲ設ケル以上、他ノ一般官吏ニ對シテ
モ何カ設ケルコトニ致サナケレバ、他ノ官吏ハ相當
ノ年齡ニ達シテモ宜イガ、司法官ノミハ退カシムル
ト云フコトニナッテ、聊カ疑フ點ガアルト考ヘマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=12
-
013・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 私ガ陸軍ノ例ガアルト引キマシタ
ノハ野田君ノ仰セニ、定年法ヲ設ケタナラバ、〓究
心ヲ止メルヤウニナリハシナイカト云フヤウナ御話
デアリマスカラ、現ニ停年令ヲ布イテ居ル陸軍ニ左
樣ナ例ハナイ、例ヘバ尉官デアレバ四十五歲ヲ停年
トスルガ、四十三、四十四ニナッタカラト云ッテ、任務
ヲ怠ケルトカ云フヤウナ事ハ無イト云フコトヲ申ス
ノデアリマス、陸軍ノ停年令ト云フモノハ、成程身體
上ノ動作ヲ主ト致シマスカラ、主ニ停年制ヲ設ケタ
主意ハ、其處カラ出テ居ルノデゴザイマセウガ、必シ
モ身體バカリトハ言ヘナイ、精神上ノ缺陷モ見テノ
制度デアリ、成程軍務上ノ立場カラ言ヒマスレバ、司
法官ト陸海軍軍人トハ若干其間ニ差異ハゴザイマセ
ウガ、私ノ今申シマシタノハソレヲ申シタ譯デハア
リマセヌ、停年ニ達スル一二年前ニ於テ怠業ヲシヤ
セヌカ〓究心ヲ失ヒヤセヌカト云フ御話デアリマ
シタカラ、サウ云フ事ハアルベキ事デナイ、又サスベ
キ事デナイ、現ニ陸海軍ニ於テモサウ云フ事ハ無イ
ト云フ事ヲ申シタノデアリマスソレ故ニ定年制ヲ
設ケタ所ガ何等差支ハナイト考ヘテ居ルノデアリマ
ス、ソレカラ第二トシテ、斯ク司法官ニ定年制ヲ設ケ
ルナラバ、他ノ一般行政官亦然リ、況ンヤ終身官トシ
テ位置ヲ同ジウスル所ノ會計檢査院若クハ行政裁判
所評定官ト云フモノニモ、定年制ヲ敷クベキデハナ
イカト云フ御質問デアリマシタガ、ソレハサウデア
リマセウ、サウデアリマセウガ、嘗テ貴族院ニ於キマ
シテ、總理大臣モ答辯サレマシタ如ク、此兩官ニ向ツ
テハ、目下定年制ヲ以テ改革ヲナス必要ナシ、故ニ今
日同時ニ提案ヲシナイノデアル、若シ其必要ヲ認ム
ルニ至ッタナラバ、ソレハ提案スルコトモアルデアラ
ウ、斯ウ事フコトデアリマシテ、政府ニ於テハ他ノ諸
官吏ニ向ッテハ定年制ヲ絕對ニ設ケナイト云フ主意
デハナイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=13
-
014・野田文一郎
○野田文一郞君 陸軍ノ問題デアリマシタガ、是ハ
實際ニ於キマシテハ陸軍ノ軍人ナドハ、停年近クニ
ナレバ怠ケルコトハ事實多イ、多イガ其勤務ノ性質
ガ司法官トハ全然違ッテ、或ハ兵隊ヲ指揮スルト云フ
ヤウナ身體上ノ動作ガ多イノデソレハ外形ニ現ハ
レル仕事デアルカラ、精神的ニハ怠ケマシテモ、外部
ニハサマデ現ハレナイ、所ガ司法官ノ如キハソレト
ハ全ク異ニシテ、怠ケルト云フコトガ一寸分リマセ
ヌ、同僚ト同ジニ勤メテ居ッテモ、上手ニ怠ケル人ハ
判斷スルコトガ出來ナイ、況ンヤ外部カラ見テハ之
ヲ見分ケルコトガ困難デアル、而モ實際ニ於テハ其
人ノ精神ガ其處ニ無イト云フコトニナルト、人民ノ
貴重ナル權利ヲ擁護スル事務ヲ取扱フ上ニ於テ僅
カノ外觀ニ見エナイ所デ怠ケテ居リマスト其害ヲ
受ケル者ハ重大ナル影響ヲ受ケルノデアル此ノ點
ニ於テ陸軍軍人トハ餘程關係ガ違ッテ居ルソレヲ同
一ニ律スル事ハ甚ダ宜シクナイト思ヒマスガソレ
以上ハ議論ニナルカラ申上ゲマセヌ、最後ニ今一ッ
伺ッテ置キタイノハ、貴族院ニ於テ政府ノ御方ノ御陳
述デハナイ、議員ノ辯論ノ中ニアッタノデアリマス
ガ裁判官ハ行政裁判所評定官ナドトハ違ッテ、人數
ガ多イカラ、恰モ民法ニ成年ニ關スル所謂能力ノ規
定ヲ置イタト同ジヤウナ意味ニ於テ一定ノ年齡ニ
達シタ者ハ能力無キ者トシテ職ヲ奪フコトニスル
ト云フヤウナ議論デアッタヤウデアリマスガ、政府ハ
左樣ナ理由ヲ御認メニナッテ居ラレルノデゴザイマ
スカ御認メニハナラナイノデゴザイマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=14
-
015・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 成程左樣ナ議論ヲ聽イタカノ如ク
思ッテ居リマスガ、政府ハサウ云フコトハ認メテ居リ
マセヌ、サウ云フ意味ヲ以テ本法ヲ制定シタノデハ
アリマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=15
-
016・藤井啓一
○藤井啓一君 貴族院ナリ本委員會ナリデ種々御質
問ガアリマシタガ私モ大體觀念ニ就テ御尋ヲシテ
見タイト思ヒマス、本案ガ憲法違反デアル、少クトモ
憲法違反ニ屬スル問題ト考ヘルト云フコトニ就テ、
貴族院ニ於キマシテ湯淺君ノ質問ニ對シマシテ司
法大臣ハ要スルニ疑問デアル雙方ノ水掛論デアル
ト云フ仰セモアッタ、又政府委員ニ於テハ違憲ニア
ラズト斷言セラレマシタケレドモ、此問題ニ就キマ
シテハ、少クトモ疑問ガアルト思フ、斯樣ナ違憲ニア
ラズヤト云フ疑問ノ屬スル案ニ對シテ、本案ヲ制定
セラレルト云フコトハ實ニ憲法ノ權威ニ關スルコ
トニナリハセヌカト考ヘル斯樣ニ違憲視セラレル
法案ヲ制定セラレマシタノハ將來如何ナル問題ヲ
惹起スルカモ知レヌト思フ、政府ガ今日是非此法案
ヲ制定シナケレバナラヌト云フ必要ハ何處ニ在ルカ
ト云フコトヲ御尋シタイ、數十年前カラ今日マデ裁
判官ノ陶汰モ相當ニ行ハレテ居ル、然ルニ尙ホ益〓
陶汰ヲシテ、健全ナル者ノミニスルト云フ御精神デ
ハアリマセウガ特ニ今囘之ヲ制定シナケレバナラ
ヌト云フ痛切ナル必要ガアルノデアルカ數十年來
行ヒ來ッテ大ナル弊害ノアリマセヌ所ノ、此判事檢事
ノ陶汰ヲシナケレバナラヌト云フ理由ハ何レニ在ル
ノデアリマスカソレヲ伺ヒタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=16
-
017・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 御答致シマス、御議論ハ成程御議
論トシテ疑モゴザイマセウ、世間ニ於キマシテ憲法
違反ナリト云フ學者モアリ或ハ違反ニアラズト云
フ學者モアリマス、學說ノ論議ハ自由デゴザイマス
カラ、各〓其人ノ解釋ニ依ルノデゴザイマスガ、政府
ニ於テハ斷々乎トシテ憲法違反ニアラズト確信シテ
居リマス、少シデモ憲法違反ナリト考ヘマスナラバ、
斯樣ナ提案ハ致シマセヌ、又此法案モ樞密院ノ議ニ
上リマシタ時ニ於キマシテモ其點ハ一言半句モ疑
ノアルト云フヤウナコトスラモ審議サレマセヌ司
法官ノ地位ノ保障ガアルガ爲メニ年老イテ事務ヲ
執ルニ不適當デアル人デモ、尙ホ其位置ニ安ンズル
者ガアル、斯クテハ良成績ヲ擧ゲルコトハ出來ナイ、
後輩ノ進路ヲ塞グコトニナル、隨テ部內ノ氣風ト云
フモノハ沈衰スル、斯ウ云フヤウナ冗官ガアルカラ、
ドウシテモ此定年制ト云フモノヲ設ケル必要ガアル
デアラウト云フノデ、サウ云フ理由デ樞密院ハ通過
シ來ッタ此案デアルノデアリマス、藤井サンモ御承知
ノ通リ、内外ニ於テ今日司法部內ノ刷新改善ヲナス
ベキノ急務デアルト云フコトハ直チニ想到シ得ル
次第デアリマス當局ニ於テモ之ヲ認メマシテ、其司
法事務ノ刷新改善ト云フ事柄ニ就キマシテハ其方
法等ハ執ルベキコトガ多々ゴザイマセウ、或ハ法制
ノ改革ヲ爲スコトモゴザイマセウ、或ハ執務上ノ運
用ニ就テモ改良スベキ點モ多々アルコトハ認メマス
ル、順次其改良ヲ圖リツツアル次第デアリマスガ其
主ナルモノハ法律ヲ掌ル其人ニアルノデアリマス
人ヲ改良シナケレバ、如何ニ法律ヲ立派ニ拵ヘマシ
タ所ガ、運用ガ滑カニ往クモノデナイ、成績ヲ擧ゲル
ト云フコトハ出來ナイコトハ論ヲ俟タヌコトデアリ
マース、此ニ於テカドウシテモ人ヲ更ヘテ、サウシテ氣
風ヲ刷新シ、各人ノ位置ヲ向上シ、サウシテ以テ此活
潑裡ニ事務ヲ執ラセント云フコトハ最モ今日ノ急
務デアラウト考ヘル次第デアリマス、處ガ屢〓述べ
マス通リ、七十四條ダケデハ到底此入替ヲナスト云
フコトハ出來ナイト云フコトデゴザイマスルカラ、
法律ノ認定ニ依リマシテ、此制度ヲ設ケテ以テ進退
ヲ滑カニシテ有爲後進ノ者ヲシテ氣ヲ新タニシテ
司法事務ノ刷新改善ヲ圖ルト云フ、其急務ニ應ズル
ノ必要ガアルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=17
-
018・藤井啓一
○藤井啓一君 是ハ野田君ヨリ旣ニ質問サレマシタ
ガ私ハ此立法ノ目的ノ效果ニ就テ疑ヲ懷クノデア
リマス、此定年法ヲ實施セラレマシタナラバ野田君
ノ質疑セラレマス如ク或ル定年ニ達スルマデハ自
分ノ位地ハ安全デアルト云プコトカラシマシテ自
然〓究心ヲ怠ルト云フ事ハ人情ノ弱點デアラウト
私ハ堅ク信ズル而已ナラズ此制定ニ就テノ理由ト
致シマシテ、構成法ノ七十四條ノ精神上ノ衰弱ニ就
テハ、其認定ガ非常ニ困難デアル至難デアルト云フ
御趣意デアル至難デアル困難デアルト云フコトハ
要スルニ言葉ノ上デハ至難困難ト云フ御說明デアリ
マスケレドモ、實際ノ上ニ就キマシテハ、此精神上ノ
狀態ニ就テ、七十四條ノ運用ハ絕對ニ不可能デアル
ト云フ御趣意ト私ハ了承スルノデアリマスサウ云
フ趣意デアルト致シマシタナラバ、七十四條ト云フ
モノハ要スルニ何等働ヲナサヌモノデアル、何等働
ヲナサヌモノト致シマシタナラバ、益〓定年ニ達ス
ルマデハ、自分ノ位地ハ安全デアル構成法七十四條
ニ依ッテ何等自分ノ位地ニ變化ヲ來サヌ、斯ウ云フコ
トト考ヲ懷クコトハ普通ノ人情トシテ然ルベキコ
トト思フ、斯ク申シマスレバ、左樣ナ者ハ數多ク居ル
內ニハアルカモ知レヌガ、併シサウ云フ者ハアルベ
キモノデハナイト云フ御答ガアラウト存ジマスガ、
既ニ當局ニ於テモ、七十四條ノ運用ハ、人情ノ弱點ト
シテモ、同僚間ノ能力ノ如何ヲ論議スルコトハ、人情
上容易ニ出來ナイコトデアルト云フ御趣旨デアル、
其趣意ヲ移シテ以テ、此七十四條ハ精神上ノ問題ニ
對シテハ運用ハ不可能デアルト云フコトニ歸著シヤ
ウト考ヘルサウ致シマスルト、此七十四條ハ精神上
ノ狀態ニ就テ、運用ガ至難デアルト云フコトハ運用
ハ絕對的ニ出來ヌト云フコトヲ御當局ハ言明セラレ
タモノ、明ニ公言セラレタト云フコトニナル、サウ致
シマスルト旣ニ精神上ノ狀態ニ就テハ、此七十四條
ハ運用ノ出來ナイト云フコトノ極印裏書ヲセラレタ
コトニナルサウシマスルト益〓定年ニ達スル者ハ
自分ノ位地ガ安全デアルト云フコトニナリマシテ
人情上ドウシテモ〓究心ヲ怠ルト云フコトハ是一
何人ガ如何ニ申シマシテモ、免カレヌコトデアル斯
樣ナ點ニ就テ考慮致シマシタナラバ此本案ノ制定
ノ目的ガ果シテ冗官ノ淘汰ト云フコトニ關聯シテ
目的ヲ達スルコトハドウカト云フコトヲ疑フノデア
リマス、却テ淘汰ノ實ガ擧ラヌコトニナリハシマイ
カト憂フルノデアリマス、此點ニ就キマシテ宜シク
了解シ得ルダケノ御說明ヲ一層煩シタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=18
-
019・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 法律ノ適用ノ困難デアルト云フコ
!·法律ノ適用ガ絕對ニ不可能デアルト云フコト
ハ私ガ言フ迄モナク御了解ノコトト思フノデアリ
マス、私ガ屢〓繰返シテ申シマシタル七十四條ノ適
用ハ、事實認定ニ於テ甚ダ困難デアルト云フコトハ
申シマシタケレドモ、七十四條ハ絕對ニ適用スルコ
トハ不可能デアル言換レバ死文デアル削除シテ
モ宜イモノデアルト云フヤウナ意見ハ、私ハ毫モ今
日迄表白シタコトハナイノデアリマス、故ニ身體精
神ノ缺陷ガ著シク認定サレマスル場合ニ於テハ素
ヨリ七十四條ハ適用スルノデアリマス、今日以後ト
雖モ斯樣ニ誰ガ見テモ認定ガ出來ル者ニ對シテハ
適用致シマス、決シテ此條文ノ適用上、絕對ニ出來ナ
イモノデアルトハ私ハ申サヌノデアリマス、斯樣ニ
アリマスルカラ、只今ノ藤井サンノ御質問トシテ、七
十四條ノ適用ハ無イノデアルカラシテ、飽迄定年迄
ハ嚙リ付イテ居ルト云フヤウナコトニナリハセヌ
カ隨テ〓究心モ怠ルヤウニナリマセヌカト云フ御
結論ニナッタヤウデアリマスガ前提ニ於テ私ガ申シ
マシタ通リ、七十四條ヲ適用スベキ事實顯著ナル場
合ニ於テハ適用スルノデアリマスカラ、サウ云フヤ
ウナコトハ各人ト雖モ安心シテ七十四條ノ適用ガ
ナイカラ怠ケテ居ル〓究心ヲ怠ルト云フコトハ起ツ
テ來マイト思ヒマス、ソコデ若シ〓究モセズ、怠ケテ
居ッテ、職務上所謂精神上ノ缺陷アリト認メラル場
合デアルナラバ勿論其七十四條ヲ適用致シマスカ
ラ決シテ此人ガ怠ケルトカ、或ハ〓究心ヲ怠ルトカ
云フ事柄ハ、是レアルガ爲メニ起ッテ來ル結論デハナ
イト私ハ考ヘルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=19
-
020・藤井啓一
○藤井啓一君 確カ貴族院ノ委員會デゴザイマセウ
カ御說明ニ依リマスト、此構成法ノ七十四條ハ五
六年若クハ十何年ト云フ御言葉モアッタヤウデアリ
マス五六年若ハ十何年間モ何等適用シタコトハナ
イト云フ御說明ニナッテ居ルサウ致シマスト、其間
何等七十四條ヲ適用セラルベキ必要ガ生ジナカッタ
ト承知シテ宜シウゴザイマスカ、尙ホ又說明ノ際ノ
理由ニ、此七十四條ヲ存シテ置ク必要ハ、所謂老朽者
ニ對シテハ必要ガナイカモ知レナイガ、必要ガアリ
トシテモ頗ル至難デアル、至難デアルト云フ言葉ハ
不可能トハ素ヨリ相違致シマスルケレドモ、至難ト
云フ言葉ノ眞意カラ推察致シマスルト五六年若ハ
十何年間モ適用シテ居ラヌト云フ一面ノ御說明ト、
兩々相對シテ見マスルト、要スルニ此七十四條ハ精
神上ノ狀態ニ就テハ何等適用ヲ試ミテ居ナイト云フ
コトニ私ハ承知スルノデアリマスサウ致シマシタ
ナラバ之ヲ存スル理由ハドウカト云フ質問ニ對シ
テハ所謂若朽者ニ對シテ必要デアルト云フヤウナ
說明ニナッテ居ル、只今ノ御答辯ニ依レバ適用シテ
居ルト云フ樣ナ御說明デアリマシタ、現在ニ於テハ
今申シタヤウニ五六年或ハ十何年間モ適用シテ居ラ
ヌト云フコトハ其間ニ何等適用スベキ現實ノ問題
ガ生ジナカッタガ故ニ、適用-運用ガナカッタト了
承シテ宜シウゴザイマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=20
-
021・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 年限ハ的確ニ申シ兼マスガ、兎ニ
角少クトモ五七年間ハ七十四條ヲ適用シテ退職決議
ヲシタコトハアリマセヌ、ソレハ認ムベキ者ガナカッ
タカラ、此決議ヲシナカッタ次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=21
-
022・岩崎幸治郎
○岩崎幸治郞君 私ハ此七十一條中ノ改正ニ就テ御
尋シタイト思ヒマス、卽チ七十一條ノ二ト云フ項目
ニ「前三條ノ規定ノ適用ニ付テハ判事又ハ檢事タル
資格ヲ有スル司法省各局長司法省參事官ノ在職ハ之
ヲ判事ノ在職ト看做ス」トアリマス、本來裁判所構成
法ノ規定ニ依レバ控訴院ノ判事トナルニハ五年間
判事ヲシテ居ナケレバナラヌトカ大審院ノ判事ト
ナルニハ十年間判事ノ職ニ居タ者デナケレバナラヌ
ト云フ樣ナ規定ガアリマス卽控訴院ノ判事若クハ
大審院ノ判事トナルニハ一定年限間裁判官ノ職ニ
在ル事ヲ必要トシテ居ル一面カラ見マスト、又大學
〓授ヲシテ居ル者ニ付テモ矢張同一年限間法科大
學〓授ヲシテ居ル者ニ付テハ控訴院判事若クハ大
審院判事ニ任命サレル途ニ開カレテアリマスカラ、
裁判事務バカリヲ頭ニ置タ規定デハナカラウト思ヒ
マスケレドモ此七十一條ノ二トシテ改正サレルヤ
ウナ法文ガ前ニ無カッタト云フコトハ裁判ノ獨立ト
云フコトヲ飽迄モ保護スルト云フ精神カラ、是ガ無
カッタモノト思フ、私カラ申シマスト司法省ノ參事
官トカ、局長ト云フヤウナ人ハ、練達ノ人ガ多イノデ
アルカラ、ソレ等ノ人ガ裁判所ヘ入リ來ルト他ノ判
事連中ハ之ヲ天降リト言フテ居ル位デ、多クハ其人
ノ言議ニ追隨スルト云フ模樣ガ事實上アルサウ云
フ弊害ヲ防グ爲メニ、生レント欲スル此規定ガ今迄
迄生レナカッタモノト思フノデアル、所ガ今囘ノ改正
法ニ依レバ、斯樣ナ規定ガ生レテ來タノデアルガ司
法當局ハ此規定ノ爲メニ、今私ガ申上ゲタヤウナ憂
ヲ惹起スルコトハナイト云フ御考デアリマセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=22
-
023・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 現行法ニ於テ、今囘改正ヲ求メン
トスル七十一條ノ二ノ如キ規定ノ無カッタノハ裁判
ノ獨立ヲ害スルコトヲ慮ッテ、熟慮ノ結果、、斯樣ナ條
文ヲ置カナカッタノデアラウト云フコトハ御同意申
スコトハ出來ナイノデアリマズ、私ヲ以テ言フナラ
バ是ガ寧ロ無カッタノガ不思議デアル其當時ニ於
テ何ノ故ニ之ヲ脫漏セシカヲ疑ハザルヲ得ヌ次第デ
アリマス旣ニ法科大學〓授ノ在職年限ヲ判檢事ノ
年數ニ通算サレルコトニナッテ居ル、司法省ノ參事官
若クハ局長ト云フモノハ矢張司法省ニ於テ執ル仕
事ハ、裁判事務トシテ判決コソ書キマセヌガ、審理コ
ソ致シマセヌガ詰リ其法律事務ニ從事シテ居ルノ
デアリマス、而モ法律事務ト云フモノハ、大學〓授ヨ
リ以上實務的ノ法律事務ニ從事シテ居ルノデアリマ
ス、サウ云フ次第デアリマスカラ、之ヲ入レマシタ所
ガ、敢テ不思議ハナカラウト思フ、而シテ之ヲ入レル
爲メニ、裁判ノ獨立ヲ害スルト云フヤウナ事柄ガ起
ラウトハ思ヒマセヌ、現ニ今日迄ニ於テモ、司法省ニ
於テ檢事ヲ兼任シテ居ル參事官モアリマス、サウ云
フヤウナ人ニハ矢張通算サレテ今日迄ヤリ來ッテ、
何等弊害ヲ生ジテ居ラヌ、司法省ニ居タ者ガ裁判所
ニ來タカラト云フテ、其人ノ意見ニ盲從スル、サウ云
フ人ハ事實ニ於テ生ジマイト思ヒマス、又生ズベキ
道理ガナイノデアリマス、然ラバ何故ニ之ヲ置タカ
ト云フト、過般說明申上ゲタ通リ、若イ司法官ヲ本省
ヘ入レテ、サウシテ參事官ノ事務ヲ執ラシメルサ
ウスルト裁判所ニ居リシ以前ノ同僚ハ、旣ニ五年十
年ヲ經過シテ、控訴院ノ判事ナリ、大審院ノ判事ニモ
ナリ得ルニ拘ラズ、司法省ヘ入ッタ爲メニ、五年十年
ノ年數ヲ經ルコトノ出來ナイ爲メニ、司法省カラ出
テ又裁判所ヘ戾ル時ニハ地方裁判所カ區裁判ノ判
事ニナラナケレバナラヌト云フコトニナリマスカ
ラ、新進氣銳ノ者ヲ司法省ヘ入レテ、參事官ノ事務ヲ
執ラセルコトニ困難ヲ生ジマスカラ、斯樣ニ致シマ
スレバ、若イ判事若イ檢事ヲ參事官ニ致シマスニモ、
安ンジテ司法省ニ入ルコトニナル爲メニ、斯樣ナ條
文ヲ置タ次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=23
-
024・高柳覺太郎
○高柳覺太郞君 私ハ先ヅ改正ノ法文ニ就テ二三點
伺ヒタイ、此判事檢事ノ定年ヲ六十三年ト定メマシ
タ其根據ハ何所ニ在リマスカ醫學上若クハ生理上
ノ專門的ノ知識ニ依ッテ、六十三年ト云フコトニ定メ
タノデアルカ或ハ外國ノ例ニ倣ッタノデアルカ六
十三年ト定メマシタ根據ハ何所ニ在リマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=24
-
025・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 私一箇ノ意見ヲ申上ゲマスレバ、
六十年デ宜イト思ヒマス、日本人ノ生理狀態ニ於キ
マシテハ六十年ヲ頽齡トシテ居ル、民法デモ六十
年ヲ隱居年齡トシテ居ル、日本ノ諸般ノ法制ガサウ
云フ風ニ出來テ居ルノデアリマスガ段々議ヲ經マ
シテ六十三ト致シマシタノハ算ヘ年六十五或ハ六十
四ト云フ所カラ致シタノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=25
-
026・高柳覺太郎
○高柳覺太郞君 一般ノ判檢事ハ六十三トシテアル
ガ大審院長ト檢事總長ハ一一年ヲ延長シテ六十五年
ト定メマシタ理由ハ何處ニ在リマスカ是一上長官
ト云フ位置ニ敬意ヲ拂ウテ、特ニ差ヲ設ケテ六十五
年トシタノデアリマスカ、併シ上長官ト判檢事トノ
間ニ於テハ、待遇ニ於テ差ガアル總テノ待遇ニ差別
ガアルガ、此定年ニ付テ特ニ二年延長スルト云フ理
由ヲ見出スコトガ六ケシイノデアリマス、私ノ想像
スル如ク長官ノ地位ニ敬意ヲ拂フト云フ意味デアリ
マスレバ何ダカ官僚式ノ如キ嫌ガアルト思ヒマス
是等ノ位置ニ對シテハ相當ニ待遇ノ途ガアルノデ
アリマスカラ、定年ニ付テ特ニ差別ヲ立テルト云フ
理由ハ無カリサウニ思フガ、合理的ノ理由ガアリマ
スナラバ承リタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=26
-
027・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 上長官ノ位置ニ對シテ敬意ヲ拂フ
爲ニ、二年ノ差ヲ設ケタノデハアリマセヌ、ソレハ職
務ノ性質上、大審院長、檢事總長ハ一般ヲ指揮監督ス
ルト云フ大重任ヲ持ッテ居リマスケレドモ、其執ル所
ノ職務ハ大體ノ指揮ヲスルノデアリマシテ、自ラ刀
筆ノ吏トナッテスルト云フ樣ナ細カナ事ヲ要シナイ
ノデアリマスカラ二年ヲ延長シテモ其職務ヲ執ルニ
堪ユルト認定シテ二年ノ差ヲ設ケタノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=27
-
028・高柳覺太郎
○高柳覺太郞君 大審院長、檢事總長ノミナラズ、控
訴院長、地方裁判所長等モ殆ド裁判事務ヲ執ラヌ、所
謂刀筆ノ吏デハナイ、然ルニ大審院長、檢事總長ノミ
二年ヲ延長スル理由ハ唯今ノ御說明デハ分ラヌ、尙
ホ他ノ理由ガアリマスレバ承リタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=28
-
029・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 ソレダケノ理由デアリマス控訴
院長、檢事長モ監督官デアル故ニ差ヲ設ケルト云フ
コトハ、御議論デアルト思フ本案ヲ制定致シマシタ
理由ハ、以上申ス通リデアリマス、部長以下ノ者ハ親
シク裁判事務ヲ執リ、細カイ所マデ頭腦ヲ用ウル者
デ大體ノ指揮ヲスル者トハ違ヘテモ宜カラウト思
フノデアリマス、控訴院長、檢事長等ニ對シマシテ
モ、今日自ラ裁判事務ヲ執ラヌ人ガアルカ知レマセ
ヌガソレハ司法行政事務ノ爲メニ忙殺サレル爲メ
デ、之ニ對シテ司法省トシテハ成ベク事務ヲ執ッテ
範ヲ示スヤウニシナケレバナラヌト云フコトヲ再
三再四訓示ヲ致シマシタ結果、昨今ハ大分サウ云フ
傾向ニナッテ居リマス、現ニ大審院長モ、今デハ事務
ヲ執ッテ居ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=29
-
030・高柳覺太郎
○高柳覺太郞君 尙ホ伊藤公ノ義解ノ中ニ在ル老退
ニ關スルコト、此老退ニ關スル規定ハ、卽チ憲法制定
當時ニ制定サレタ現行法構成法七十四條ニ規定シ終
レルモノト解シテ宜シイノデアルカドウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=30
-
031・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 構成法七十四條ハ仰ノ通リ老退ニ
關スル規定ト承知シテ居リマス、併ナガラ憲法義解
ノ所謂老退ニ關スル所說ハ七十四條ヲ以テ盡セリト
ハ思ヒマセヌカラ、本案ヲ提出シタ次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=31
-
032・高柳覺太郎
○高柳覺太郞君 私ハ其當時ノ七十四條ノ精神ヲ左
樣ニ致シマスレバ現行法ノ七十四條ハ今日ノ如ク
定年法ヲ設ケズトモ七十四條ヲ以テ老退ニ關スル
規定ハ足レリトシテ規定サレタモノデアルト解シテ
宜シイト思フノデアリマスガ、政府モ左樣ニ御認メ
ニナリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=32
-
033・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 法ハ必要ニ依ッテ生レルトノ原則
ニ從ッテ、其當時ニ於キマシテハ、或ハ七十四條ヲ以
テ足レリトシタノデアルカ知レマセヌガ、今日ノ時
勢ニ於テ必要ヲ感ジマシタカラ、本案ヲ提出致シマ
シタ次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=33
-
034・高柳覺太郎
○高柳覺太郞君 尙ホソレニ關聯シテ伺ヒマスガ
年齡ハ判檢事ノ資格ノ一デアルト私ハ考ヘマスガ、
政府モ左樣ニ考ヘマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=34
-
035・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 今囘提案シタ定年制ニ付テハ年
齡ハ判事ノ資格トハ見テ居リマセヌ、判事ノ資格ト
云フコトモ、議論トシテハ一說ニナルカ知レマセヌ
ガ、サウスルト退職ト云フコトガ出テ來ナイ、六十三
カ六十五迄キリ判事ハ勤マラヌ、ソレ迄ガ判事デア
ルト云フ資格論ヲスレバ六十三ニナレバ判事タル
資格ガ無クナルノデアリマスカラ、退職デハナイ判
事タル資格ヲ奪フコトニナリマス、ソレ故ニ資格ト
ハ見テ居ラヌノデアリマス、併ナガラ斯ウ云フコト
ハ起ッテ來マス、此定年法ニ於キマシテ普通ノ判事
ハ六十三、大審院長、檢事總長ハ六十五ト斯ウ云フコ
トニナリマスカラ、六十四ノ者ハ今後任用出來ナイ
ト云フ結果ガ起リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=35
-
036・高柳覺太郎
○高柳覺太郞君 私ノ考デハ、判事ノ資格ハ、年齡モ
判事ノ資格ノ一ツデアルト信ズルノデアリマスガ
ソレハ何ニ依ッテ言フカト云フト、構成法殊ニ判事檢
事登用試驗ニ於テ、其資格ノ中ニ年齡ガ定メテアル
二十年ガ資格デアルガ老年ニ對スル制限ハ無イノ
デアリマスガ、併ナガラサウ云フ定ガアリマスレバ
初カラ、判檢事タル者ハ成年以上何歳ヲ以テ充ツル
ト云フ事ヲ規定スレバ宜イコトデハナイカト思ヒマ
スガ如何デス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=36
-
037・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 其通リデアリマス、下ノ方ニ於キ
マシテハ採用資格ニ年齡ヲ定メテアリマスカラソレ
デ宜イガ、上ノ方ヲサウ云フ規定ヲシマスト、二十歲
以上六十五歲マデヲ資格トシテ法律デ定メレバ六
十五歲ニナルト退職、休職或ハ其他デ職ヲ退ナケレ
バナラヌ、故ニ判事タルノ地位ヲ失フト、斯ウ云フコ
トトナリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=37
-
038・高柳覺太郎
○高柳覺太郞君 モウ一ツ伺ヒマス、年齡モ判檢事
試驗ノ資格ニ於テ定ッテアッテ、憲法ノ五十八條ニ依ツ
テ保障サレテアル、此五十八條ノ第一項ニ於テ、判檢
事タル者ヲ保障サレタ、其憲法ノ規定ニ基イテ定年
法モ出來テ居ル、此精神ニ基イテ居ル年齡モ、矢張一
ツノ資格デアル此見地カラシテ此定年法モ亦憲法
違反ニアラズ、此說明デ十分デアッテ、必シモ伊藤公
ノ義解ノ疏註ヲ言ハレルマテモナク、又五十八條ノ
第二項ニ「職」ト書イテアルノハ「官」ト云フノト同ジ
ダラウト云フヤウナ法律ヲ牽强附會ノ御說明ヲシナ
イデモ足レリト思ヒマスガ、之ニ就キマシテノ御意
見ハドウデゴザイマスカ、私ノ質疑ハ或ハ認メル點
ガアラウト思ヒマスガ、政府ノ御所見ハ矢張是マデ
御說明通リニ過ギナイノデアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=38
-
039・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 先程私ハ下ノ方ノ年齡ニ就テ制限
ガアルヤウニ申シマスガソレハ誤リデアリマスカ
ラ正シテ置キマス、高柳君ノ御議論ハ御議論トシテ
承リマスガ、本法ハ之ヲ資格ト見ナカッタト云フ事ニ
御諒承ヲ願ヒタイ、ソレデアルカラ六十三、六十五ニ
ナリマシテモ、判事檢事ト云フ者ノ期間ヲ保ッテ居ル
ノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=39
-
040・戸水寛人
○委員長(戶水寛人君) ソレデハ午前ハ是デ質問打
切リトシタイト思ヒマス、一時過ギニ又開會シタイ
ト思ヒマス
〔「一時半カラ願ヒマス」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=40
-
041・戸水寛人
○委員長(戶水寬人君) ソレデハ一時半カラキッチ
リ開キマスドウゾ御出ヲ願ヒマス
午後零時六分休憩
午後一時五十五分開議発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=41
-
042・戸水寛人
○委員長(戶水寛人君) 開會致シマス、高柳君、午前
ノ質問ノ續ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=42
-
043・高柳覺太郎
○高柳覺太郞君 午前ノ私ノ質問ニ對スル御答ノ中
ニ判檢事ノ資格ト本員ガ認ムベキ所ノ其年齡ノ最
低限ハ無イト云フ御意見ノヤウデアリマスガ成年
以上ノ男子ト云フ事ヲ矢張判檢事受驗資格ノ第一ト
シテアリマス是ハ矢張判檢事ノ資格ノ一ツデアル
ト思ハレル年齡ノ最低限ガ判檢事ノ受驗資格トシ
テ規定サレテアリマスル以上ハ其最高限度ヲ定メ
ルト云フ事モ、同ジ意味ニ於テ差支ナイト思フノデ
アリマス、併シ私ノ先刻問ウタ意味ハ、定年ノ規定ヲ
判檢事ノ資格中ニ入レロト云フ注文ヲシタデハナ
イ、又サウシタラ宜カラウト云フ意見デモナイ、定年
法ヲ定メルコトニナレバ、無論構成法ノ改正法案ノ
如クスルノガ順序デアル、特ニ判檢事ノ任用資格ノ
中ニ加フル必要ハ無イノデアリマセウケレドモ兎
ニ角ソレガ判檢事ノ資格ノ一ツデアルトスレバ、此
理由ヲ以テ憲法ハ明ニ定年ヲ認メテ居ル、憲法五十
八條ノ一項ニ於テ、旣ニ定年ト云フ事ハ認メテ居ル
カラ違憲デハナイト、斯ウ云フ說明ヲスルノガ適當
デハナイカト思ウテ伺ッタノデアリマス、ソレデ尙ホ
續イテ伺ヒタイノハ、此延年ノ規定デアリマスルガ、
今囘ノ此定年法ノ規定デハ御說明ノ如ク法律ノ擬
制デアル法律ノ擬制デアル以上ハ、其所ニハ實際ト
照合シテ非常ナ無理ガアル、總テノ場合デハナイガ、
或ル場合ニ於テ非常ナ無理ガアル、實際衰弱者デナ
イ判檢事ニ對シテ老衰者トシテ法律ガ擬定シテ之
ヲ退職者トスルト云フコトハ全ク無理ナ場合ガ往
々アルコトヲ認メナケレバナラヌ、サウスレバ若シ
夫ガ老衰者デナイ場合ニ於テハ所謂延年ノ規定ガ
適用サレル譯デアルガ、然ル場合ニ此延年ノ期間ヲ
原案ニ僅カニ五年ト制限シタル理由ハ何所ニ在ル
カ、若シ壯者ヲ凌グ所ノ钁鑠タル老人デアレバ、死ヌ
迄司法官ノ職ニ在ラシムルコトハ適當デアラウト思
フソレヲ左樣ニ認ムベキ場合ニ於テ、延年規定ヲ僅
ニ五年ト制限シタル理由ハ何所ニ在ルカト云フコト
ヲ伺ヒタイ、序ナガラ、之ヲ貴族院ニ於テハ三年ニ尙
ホ短縮シタノデアリマスガ、此三年ニ短縮シタル所
ノ修正ニ對シマシテ、政府ノ御意見ハ如何デアリマ
スカ、ソレモ序ナガラ伺ッテ置キタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=43
-
044・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 先程私ハ司法官ノ登庸ニ就テハ年
齡資格ニ就キマシテ、二十五歲ト申シタカト思ヒマ
シタカラ、其二十五歲ト云フノハ間違ト云フコトヲ
訂正致シタノデアリマス今日登庸致シマスル年齡
トシテハ二十歲以上、斯ウ云フコトニナッテ居ルコト
ハ今高柳君ノ仰シヤル通リデアリマス、此延年ノ規
定ニ就テ五年ニシタト云フ理由ハ何所ニ在ルカ斯
ウ云フ御疑デゴザイマス、是ハ五年ヲ加ヘマスルト
云フト數ヘ年ニ致シマシテ約七十-例デ申シマ
スレバ大審院長檢事總長ニスレバ七十二、七十三ト
云フコトニナレバ是ハモウ其程度ニナレバ如何ニ钁
鑠トシテ居ルト云フテモ、精神上ニ判檢事タルノ能
力ヲ缺ク、是ハ不適當デアルト云フコトデ、五年ト
シタ譯デアリマス、物ニハ程度ガアルモノデ、如何ニ
壯者ヲ凌グ钁鑠タル者デアルト申シタ所デ、是ハ程
度問題デ、苟モ裁判事務ヲ執ルニ就テ、七十ト云フコ
トニナッタナラバモウソレデ足レリトシナケレバナ
ルマイ、斯ウ云フ意味ニ於テ五年ト云フコトニシタ
ノデアリマス、而シテ貴族院ニ於キマシテハ三年ト
云フコトニ致シマシタノハ、甚ダ政府トシテハ飽迄
モ原案ヲ是ナリトシテ居ルモノデアリマスガ兎ニ
角貴族院ニ於キマシテハ斯樣ニ修正ニナッタト云フ
コトハ洵ニ遺憾ダト思ッテ居ル次第デアルノデアリ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=44
-
045・津原武
○津原武君 私ガ御尋ヲ致シテ見タイト考ヘテ居リ
マシタ事ハ他ノ委員諸君ヨリ十分ニ質問ガアリマ
シタヤウデゴザイマスカラ、唯ダ殘ッテ居リマス二三
點ニ就テ簡單ニ御伺ヲ致シテ置キタイト思ヒマス
問題ハ政府ハ第七十四條ノ二及八條ノ二ニ對スル貴
族院ノ修正ニ同意セラルヽヤ否ヤト云フ御問ヲ致シ
タカッタノデアリマス、唯〓高柳君ノ御尋ニ對シテ、
略ボ政府ノ意志ノ在ル所ハ了解ヲ致シマシタガソ
レハ唯ダ年限ノ-延年ノ年齡ニ就テノ御意見ハ伺
ヒマシタガ「司法大臣ハ」ト云フ字ガ削ラレテ居ルノ
デアリマス、此七十四條ノ二ニ就キマシテハ、此點ニ
對スル政府ノ御意見ヲ伺ッテ置キタイノデアリマス、
而シテ若シ政府ガ此「司法大臣ハ」ト云フ文字ヲ削リ
タル趣旨ニ御同意デアルト致シマスルナラバ此控
訴院又ハ大審院ノ總會ヲ開催スベキ-召集スルト
云フ言葉ハ違ヒマセウガ、何人ガ此總會ヲ召集若ク
ハ開催スベキモノデアルカト云フコトニ就テノ政府
ノ御所見ヲ伺ッテ置キタイト思フノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=45
-
046・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 只今高柳君ノ御尋ニ對シテ御答ヲ
申上ゲタノハ全體ニ就テ私ハ申上ゲタ積リデゴザ
イマシタガ啻ニ年限ノ修正許リデナク、此貴族院ニ
於ケル修正全部ニ於テハ遺憾千萬ト思ッテ居ル次第
デゴザイマス而シテ斯ク修正ニナリマシタル以上
ハ控訴院若クハ大審院自ラガ總會ヲ開イテ、此延年
ノ決議ヲスルモノト解釋セザルヲ得ヌト思ヒマス、
但シ司法大臣ニ於キマシテ、此材料ハ無論供給シナ
ケレバナルマイト思フ、例ヘバ甲某ガ今年六十一二ニ
ナルトカ、乙ガ六十四ニナルト云フヤウナコトハ司
法大臣ガ是ハ材料ヲ供給スベキモノト思ッテ居リマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=46
-
047・津原武
○津原武君 次ノ御尋ニ移リマス、先程他ノ委員ノ
御尋ニ對シテ、政府委員ハ大審院長及檢事總長ト他
ノ判事トノ間ニ於テ年齡ニ階級ヲ付ケタト云フコト
ハ、要スルハ職務ノ性質ニ原因シタモノデアル、斯樣
ナ御答辯ニ伺ッテ居リマス、果シテ斯ノ如キ趣旨ニ原
因シタモノト致シマスルナラバ其趣旨ヲ徹底セシ
ムベク其職務ニ依テ更ニ年齡ニ階段ヲ付ケルト云
フコトガ至當デハナイカ、政府ハ此點ニ就テ如何ナ
ル御意見ヲ御持チニナッテ居ルデアラウカ、陸軍ニ致
セ海軍ニ致シマシテモ、定年制ノアリマスル場合ニ
ハソレ〓〓其職務ニ依ッテ年齡ニ階段ガ付イテ居ル
ヤウデアリマス、然ルニ本案ニ限ッテ、單ニ大審院長
ト檢事總長トノミ特種ノ待遇ニ致シテアルト云フコ
トハ幾分カ其趣旨ニ於テ徹底ヲ缺イテ居ルヤウニ
モ考ヘルノデアリマス、之ニ對スル政府ノ御所見ヲ
伺ッテ置キタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=47
-
048・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 津原君ノ御意見ニ依レバ、其職務
ニ就テ年齡ヲ異ニシタナラバ宜イデハナイカト云フ
御考カラノ御質問ト承ハルノデアリマスガソレハ
一說トシテ存スル議論デアルト思ヒマス、併シ政府
ノ見ル所ニ依レバ、實際裁判事務ニ從事スル所ノ者
ハ、大審院ノ部長ヲ初メトシテ、控訴院長、檢事長モ、
先程申ス通リ自ラ訟廷ニ立ッテ裁判事務ヲ執ラシム
ルト云フ方針ヲ取ッテ居リマスカラ、矢張總テ區裁判
所ノ末ニ至ルマデ同一年齡ニシテ可ナリト云フ考
デ、斯樣ニ段階ヲ二段トシタノデアリマス、而シテ大
審院院長、檢事總長、此兩者ニ對シテ年齡ヲ二箇年增
加シテ居リマスル次第ハ先刻申上ゲマシタ通リ、大
體ノ指揮ヲスル·モノデアッテ、左程、ニ裁判事務ヲ實際
執ル所ノ職務ト云フモノハ少ナイスルカラシテ二
年位延長シテモ可ナリト云フ考カラ是ダケニ階段ヲ
付ケタ次第デアルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=48
-
049・津原武
○津原武君 私ノ御尋ハ是レ切リデアリマスカラ
モウ一ツ伺ッテ置キタイ、本案ガ憲法ニ牴觸シテ居ル
ヤ否ヤト云フコトニ就キマシテノ論議ハ、貴族院ノ
委員會ニ於テ、又本委員會ニ於キマシテモ殆ド盡サ
レテ居リマスカラ、是以上御尋スル必要ハナイノデ
アリマスガ兎ニモ角ニモ此立法ガ憲法ニ牴觸スル
ト云フガ如キ多少ニテモ疑ガゴザイマスルナラバ
寧ロ此七十四條ノ二ニ於ケル「退職」ト云フコトヲ
「休職」トカ何トカ云フ言葉、卽チ大正二年ノ休職法
トデモ申シマセウカアヽ云フ法律ニ準ジタル特別
ノ文字ヲ御使ヒニナッテ、憲法トノ衝突ノ疑ガアルト
云フ點ヲ除却スル所ノ御考ハゴザイマセヌカ、此點
ニ就テ御考ダケ伺ッテ置キタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=49
-
050・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 休職ト云ヒ退職ト云ヒ、其職務關
係カラ離レシムルト云フ關係ハ同ジト見テ居リマス
カラシテ退職ノ文字ニ代ヘルニ休職ノ文字ニ致シ
マシタ所ガ、憲法違反ナリト論ゼラルヽ人ノ疑ハソ
レニ依ッテ解決ハシナイト思ヒマス、繰返ヘシ申ス通
リ政府ハ徹頭徹尾憲法ノ條項何レニモ牴觸シテハ
居ラヌモノト確信シテ居ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=50
-
051・津原武
○津原武君 只今ノ御答辯ニ付テ更ニ疑ガ起ッタノ
デアリマス、疑ノ起ッタト云フヨリハ寧ロ此質問ヲ
シマシタ趣意ニ付テ申述ベテ置キタイト思フノデア
リマス詰リ此案ハ、現在ノ司法官ニ取リマシテハ
豫期ニ反スル立法デアルト同時ニ、其意ニ反シテ退
職スルノ已ムヲ得ザルニ立至ルベキ法律デアリマ
ス、デ恩給ト云フコトニ付キマシテハ、十分ニ考慮シ
テ見ナケレバナラヌト思フノデアリマス然ルニ此
委員會ニ付託セラレタル恩給ニ關スル特別立法ナド
ヲ見ルト、今少シ優遇ノ途ヲ開イテモ宜クハナイカ、
唯ダ百分ノ五十ダケヲ增加スルノミデハ二年ノ休
職ニ關スル規定ナドト頗ル權衡ヲ得ザル如キ感ジ
ヲ致スノデアリマス、斯ウ云フ考カラ退職ヲ休職ト
スルナラバ休職大審院長デアルトカ、休職大審院部
長ト云フ上ニ於テ、幾分優遇ノ途ガ開カレ、卽チ恩給
制度ノ關係カラ都合ガ宜クハナイカト云フ考カラ、
此質問ヲ提起シタ次第デアリマス、要スルニ斯ノ如
キ意味カラ出發シタ質問デゴザイマスルガ故ニ、此
恩給ト云フコトニ付テハ今少シ增加スル御考ヲ政
府ハ御持チニナッテ居ラヌノデアルカト云フコトヲ
御伺ヒシテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=51
-
052・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 御尤ノ御質問デゴザイマシテ、司
法當局ノミノ考ヲ以テセバ、外國ニモ例ノアルコト
デゴザイマスルカラ、或ハ何十年勤續ト云フ條件デ、
俸給ト同一ナル額ヲ給シタイ位ニ思ヒ、又少クトモ
三分ノ二位ニシタイト思フノデアリマスガ是等
ノ事柄ハ他ノ諸官吏ニモ關係スルコトデゴザイマ
スルカラ、先ヅ謙抑ノ態度ニ依ッテ、百分ノ五十ト
云フコトニ立案シタ次第デアリマス尤モ之ニハ斯
ウ云フ事ガ多少加味サレテ居ルノデアリマス近キ
將來ニ於キマシテ、恩給法ノ改正ヲ見ルコトニナル
ヤト云フコトモ一ツ頭ニ這入ッテ居リマスノデ恩
給法ガ改正ニナリ、五割ヲ增スコトニナルト或者ハ
俸給全額ヲ貰ヘル計算ニナリマスカラ、其點ニモ考
慮ヲ見マシテ、今囘ノ提案ト致シマシテハ、百分ノ五
十ト云フコトノ增額ニシタノデアリマス若シモ恩
給法ガ近キ將來ニ改正ヲ加フルコトナカリセバ再
ビ此恩給增加ノ案ニ向ッテハ、更ニ改正法律案ヲ提案
致シテ、皆樣ニ御協賛ヲ仰グヤウナコトニナルカモ
知レマセヌ、左樣ナル次第ニ於キマシテ、今囘ハ先ヅ
百分ノ五十、斯ウ云フコトニ致シタ次第デアリマス、
モウ少シ優遇シタイト云フコトハ山々ノ考デゴザイ
マスケレドモ、今囘ハ先ヅ之ニ差控イタト御諒承ヲ
願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=52
-
053・宮古啓三郎
○宮古啓三郞君 私モ少シ質問ヲ致シタイト思ヒマ
ス、大部分ハ他ノ委員諸君カラ質問ガアリマシタノ
デ、私ハ別ニ聞ク所ハナイガ一ツ質問ヲ致シテ、政
府ノ御意見ヲ伺ヒタイト存ジマス、ソレハ申スマデ
モナク裁判官ハ老練デアルコトヲ要スルノデアリマ
シテ、餘リニ若イ裁判官ガ裁判ヲシマスルト云フト、
突飛ナル裁判ヲスルト云フコトハ度〓實例ノアル
コトデアリマスガ、其老練ナルコトヲ要スルニハ相
當ナル年齡ニ達シナケレバナラナイト云フコトモ
勿論ノ事デアラウト思フノデアリマス、御承知ノ通
リ英國アタリニ於テハ大分高齡ノ者ガ裁判官ヲヤッ
テ居ッテ、而シテ極メテ老練デアッテ、其評判ハ洵ニ宜
シイノデアリマスガ、此法案ニ依ルト、六十三ニ達シ
タ場合ニハ退職ニナル、貴族院ノ修正ニ依ルト、其以
後ハ三年間ダケ更ニ期間ノ延長ヲ爲スコトガ出來
ル、之ヲ合セマシテ六十六年ニナル譯デアリマス六
十三年デアレバ、尙ホマダ割合ニ年齡ガ若ク、六十六
歲デアレバ、最早ソレ以後ニ於テハ裁判官タルコト
ハ出來ナイコトニナル唯ダ單ニ大審院長ダケガ除
カレルノデアリマス、所デサウ云フコトニシマスレ
バ極メテ老練ナル裁判官ヲ失フヤウナコトハアル
マイカ、最モ熟練シタル評判ノ宜シイ裁判官ガ此法
律ニ依ッテ終ニ裁判官タル資格ガ無クナルト云フヤ
ウナコトニナッテ、困ルヤウナ場合ガ生ジハ致スマイ
カ、此法律案ノ爲メニ、司法界ニ或ハ面白カラザルヤ
ウナ現象ヲ來スト云フコトガアリハスマイカ、其點
ニ付テ政府ノ意見ガ如何デアリマセウカ、伺ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=53
-
054・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 元ヨリ總テノ事柄ニ從事スル者
ガ、練達熟練ノ士ヲ要スルコトハ云フ迄モナイコト
デゴザイマスルガ、殊ニ司法官トシテ其條件ヲ必要
トスルコトハ、只今宮古君ノ仰セノ通リデアリマス
其練達熟練ヲスルト云フコトニ付キマシテハ若干
ノ年所ヲ經ルト云フコトモ、是亦疑ナイコトデゴサ
イマスルガ、年ヲ取ッテ居レバ成ル程練達ノ功ヲ積
ムニハ相違アリマセヌ、併ナガラ此法律ノ見ル所ヲ
以テセバ練達ノ度ヲ越シテ、所謂精神衰弱、其事務
ニ不適當ノ年齡ニ達スルヲ考慮シテ、定年制ト云フ
モノヲ起案サレタ次第デゴザイマスカラ、ソレアル
ガ爲メニ、練達者ヲ失ッテシマッテ、若輩ノ者バカリガ
殘ルト云フヤウナコトハ、事實ニ於テ無イ譯デアル
ソレハ今朝程デアリマシタガ、旣ニ御手許ニ御廻シ
致シマシタ表ニ依テモ御覽ノ通リ本年六十三ノ者
ガ-卽チ明年ニ至レバ定年ニ達スルト云フヤウナ
者ハ僅ニ八人シカナイ其翌年ハ六人、其翌年ニ十
八、千六百名モ有シテ居ル判檢事中、此定年ノ爲
メニ退ク所ノ者ハ年々十人內外ニ過ギナイノデアリ
マス、ソレデアリマスカラ之ガ爲メニ練達ノ士ヲ失ッ
テ無經驗者ガ殘ル練達ノ士ヲ失ッテ、事務ノ上ニ影
響ヲスルト云フ樣ナ事ハ無イ積リデアリマス一面
ニ於テハ少壯者ヲ早ク熟練ナラシメ、事務ニ親ム慣
レルト云フ事ノ方法ハ十分ニ盡サナケケレバナラ
ナイト思ヒマス、ソレデアリマスカラ、今日ノ司法官
ノ修習ハ一年半ニナッテ居リマスガ、是ハ一年半經テ
バ二囘試驗ヲ受ケルト云フ規定デアリマスガ必ズ
シモ一年半經ッテシナケレバナラヌトハ限ラナイ假
ニ一年半經テバ二囘試驗ヲスルトシテモ其修習期
間中ノ修習方法ニ就テ改善ヲ加ヘテ、二囘試驗ヲ受
ケル時ニ於テハ獨立シテ裁判事務ヲ執ルコトガ出
來ル位ニ養成シタイト考ヘテ居リマス、此ヲ以テ昨
年カラ試補修習ニ就テノ方法ヲ改正致シマシテ、最
後ノ九箇月ハ東京ニ悉ク集メテ、所謂指導官ヲ設ケ
學校式ニ〓授シテ居ル次第デアリマス、尙ホ之ヲ以
テ足レリトセズシテ、著々此方面ニ向ッテ改善ヲ企
テ一日モ早ク實務ニ練熟スルヤウニシタイト考ヘ
テ居ル次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=54
-
055・宮古啓三郎
○宮古啓三郞君 原案ニ對シ貴族院デ修正ヲ加ヘテ
アリマスガ此修正ハ却テ原案ヨリモ劣リハシナイ
カト云フ疑モアル此修正ニ對シテ、原案ガ良イト思
フト云フヤウナ政府委員ノ御說明モアリマシタガ
貴族院ノ修正ニ對シテハ御同意ニナル譯デアリマス
カドウデアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=55
-
056・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 先刻津原君ノ御問ニ對シテ御答シ
タ通リデ、甚ダ遺憾デアルト云フコトヲ言明スルヨ
リ外ナイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=56
-
057・宮古啓三郎
○宮古啓三郞君 ソレデハ遺憾デアルカラ同意ハ出
來ナイト云フヤウニ認メテ宜シイノデアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=57
-
058・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 同意不同意ト申シマスルヨリモ、
私ハ此修正案ニ向ッテ優劣論モ申シマセヌ、政府トシ
テハ原案ヲ良イト思ッテ原案ヲ出シタノデアリマス
カラ、其良イトシタル原案ニ向ッテ修正サレタノデ、
甚ダ遺憾デアル此以上申スコトハ出來ナイノデア
リマス(「明瞭」ト呼フ者アリ)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=58
-
059・宮古啓三郎
○宮古啓三郞君 貴族院ノ修正デ、司法大臣ト云フ
文字ヲ拔イテ、控訴院又ハ大審院ノ總會ニ於テトナ
リマシタガ實際ノ取扱トシテハドウ云フ風ニスル
ノデアリマスカ、控訴院デ極メルノト、大審院デ決メ
ルノトハ、ドウ云フ區別ヲ立テルノデアリマスカ、政
府委員ノ御意見ノ在ル所ヲ伺ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=59
-
060・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 ソレハ現行ノ判事懲戒法ノ規定ヲ
準用スルコトニナルト思ヒマス、卽チ控訴院長、以上
ハ、大審院總會ノ決議ニ依ルトナッテ居リマス、言葉
ヲ換ヘテ言ヘバ大審院長、大審院部長、大審院判事、
控訴院長、控訴院部長ハ大審院ノ總會ノ決議ニ依ル、
其以下ノ判事ハ各〓所管控訴院ノ總會ノ決議ニ依ル
コトニナッテ居リマスカラ、此總會モ亦サウ云フヤウ
ニナラウト解釋シテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=60
-
061・宮古啓三郎
○宮古啓三郞君 本法施行ノ期日ハ勅命ヲ以テ之ヲ
定ムトアリマスガ、何時頃カラ實施サレル御積リデ
アリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=61
-
062・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 未ダ正確ナル省議ハ決定シテ居リ
マセヌガ出來ル限リ準備ヲ付ケマシテ、出來ル限リ
早ク實行シタイト思ッテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=62
-
063・宮古啓三郎
○宮古啓三郞君 七十一條ノ二項ニ關聯シテ伺ヒマ
スガ檢事ガ司法省ノ役人ヲ兼ネルコトニ付テ、從來
カラ異論ガアリマスガ、此兩者ハ相兼ネナイヤウニ
シタイト云フ希望ヲ決議シタコトモアルヤウニ承知
シテ居リマス、只今ノ所、此兼務ノ人ハ何人アリマス
カ又之ヲ兼ネナイヤウナ譯ニ往カナイモノデアリ
マセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=63
-
064・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 只今宮古君ノ御說ノヤウナコト
ガ豫算會議ニ於テモ希望ノ附帶ガアッタ時モアルヤ
ウニ記憶シテ居リマスガ、實際ノ事ヲ申シマスルト、
參事官ノ定員ハ僅少デアリマシテ、到底今日ノ事務
ヲ處理スルニ付イテ人ガ不足デアリマス若シ參事
官ノ數ヲ增スコトガ出來マスナラバ檢事ノ兼任ヲ
止メルコトハ一向差支ナイノデアリマス又昨今聯
合仲裁々判所ナドガ出來マシテ、之ニ司法省カラ派
遣シテ居ル參事官モアリマス、參事官ガ本官ニナッテ
居リマスルト、後任ヲ入レルコトガ出來マセヌカラ、
外國ニ往ッテ居ル參事官ニハ、檢事ヲ本官ニシテ居ル
ヤウニナッテ居ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=64
-
065・宮古啓三郎
○宮古啓三郞君 衆議院ニ於テ檢事ガ司法省ノ役人
ヲ兼ネルコトハイカヌト云フコトヲ決議致シマシタ
理由ハ檢事ガ判事ノ上ニ超ユル樣ナ大ナル權限ヲ
持ツ虞ガアッテ、判事ヲ檢事ガ壓迫スルトカ、或ハ何
等カノ勢力ヲ判事ニ加へルト云フ弊害ガアルコトヲ
考ヘテ決議シタヤウニ承知シテ居リマスガ其弊害
ノアルコトハ、政府ニ於テハ御認メニナッテ居リマス
マイカ、ソレカラ檢事ノ兼任シテ居ル者ハ何人アリ
マスカ、ソレヲ伺ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=65
-
066・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 檢事兼司法省參事官トナルト云フ
ト判事ヲ壓迫スルヤウナコトハ是レハ全然無イ事
デアリマシテ、司法省ノ參事官トナッテ檢事ヲ指圖
スルトカ命合スルトカ云フコトハ、事實アリ得ベカ
ラザル事柄デアリマス、又本省ノ役人ガ地方ノ司法
官ニ向ッテ司法省風ヲ吹カセルト云フヤウナ事柄ハ
無論アラウ筈ハナイノデゴザイマスカラ、兼任ニ致
シマシタ所ガ、毫モ弊害ノ見ルベキモノハ無イノデ
ゴザイマス、現在檢事兼參事官、參事官兼檢事ト云フ
ヤウナモノニナッテ居リマシテ、是ハ三名ト記憶シテ
居リマス、ソレカラ大審院ノ檢事ヲ兼任シ、又ハ大審
院ノ檢事ヲ奉職シテ居ル者ハ現ニ一月ノ中ニ二度
ヤ三度位裁判事務ヲ執ッテ居ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=66
-
067・宮古啓三郎
○宮古啓三郞君 此檢事ノ兼任ト云フコトハ弊害
ガアルカドウカト云フコトハ一ツノ問題デアッテ、
衆議院ニ於ケル決議ハ畢竟其弊害アリト認メタ爲デ
アル、是ハ豫審判事ト檢事ノ關係ヲ見ルト幾分此事
實ガ了解シ得ヤセヌカト思ヒマスガ豫審判事ガ檢
事正ニ對シマスル態度ハ、多クノ裁判所ニ於テ甚ダ
振ハナイ、振ハナイト云フヨリハ、寧ロ檢事正ニ左右
サレテ居ル傾ガ今日アル殆ド豫審判事ガ檢事正ニ
使ハレテ居ルガ如キ狀態ノアル所モ往〓ニシテ承知
致シテ居ル夫ハ一體ドウ云フ譯カラ左樣ニナルカ
ト云フコトヲ段々聽イテ見マスト、豫審判事トナル
ノニハ檢事正ノ同意ヲ要スルト云フ內規デアルカ
左樣ナ事ガアルト云フコトデ、檢事正ノ御機嫌ヲ損
ズルト豫審判事ニハナレナイト云フコトガアッテ、其
爲メ豫審判事ハ檢事正ニ頭ガ上ガラヌ、其結果トシ
テ檢事正ニ自由自在ニサレテ居ル虞ガアル左樣ニ
聽イテ居リマスルガ、是等ハ表面上カラ敢テ弊害ガ
アルベキ筈ハナイヤウニ見エマスケレドモ、實際ト
シテ矢張弊害ガアルソレデアルカラ檢事ガ司法省
ノ役人ヲ兼ネル司法省ノ役人ハ各裁判所ニ-行
政事務デハアルケレドモ、色〓ナ指圖ヲスル、又其任
免ニ干與スルト云フ事ガアリマスルカラ、從ッテ判事
ガ檢事ノ鼻息ヲ窺フト云フヤウナ事ガ出テ來ル譯デ
アッテ、其爲メニ弊害ガアルヤウニ承知致シテ居ルノ
デアリマスガ、政府ニ於キマシテハ、此兼任ト云フコ
トヲ罷メサセル、又一時ニ罷メサセナイデモ、段々罷
メサセルト云フ御意思ハナイノデアリマセウカド
ウデアリマセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=67
-
068・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 先程申上ゲマシタ通リ、參事官ノ
數ヲ增スコトニナレバ、人ガ殖エマスカラ、檢事兼任
ト云フ事ニシナイデモ宜シイノデアリマス其方ガ
目的ヲ達スルヤウニナレバ自然檢事兼任ト云フ必
要ハナクナッテ來ル、必ズシモ本省トシマシテ檢事兼
任ヲ行ハナケレバナラヌ考ハ持ッテ居リマセヌソレ
カラ尙ホ前段ニ於テ御話ノ、豫審判事ヲ奉職スルノ
ニハ、宮古君カラ檢事正ノ同意ヲ得ルコトヲ要スト
云フ所カラ、豫審判事ガ檢事正ノ鼻息ヲ窺フ風評ガ
アルト云フコトヲ聽キマシタガ、成程サウ云フ事ハ
私モ二三度衆議院議場ニ於テ承リマシタ次第デアリ
マスガ、事實ニ於テハ檢事正ノ承諾ヲ受ケテ豫審判
事ヲ奉職スルガ故ニ、豫審判事ガ檢事正ノ鼻息ヲ窺
フトカ、檢事側ニ附クトカ云フコトハ万々無イ筈デ
アリマスガ、左樣ノ疑ガアッテハナリマセヌカラ二
年前ニ於キマシテ、只今宮古君ノ言ハレル所ノ、檢事
正檢事長ノ同意ヲ受ケテ豫審判事ニ奉職スルト云
フ訓令ハ撤廢シマシテ、今日ニ於テハ控訴院長ノ考
ヲ以テ決定スルコトニナッテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=68
-
069・上畠益三郎
○上畠益三郞君 私モ一寸簡單ニ御尋シタイ、此定
年法ノ制定ハ。今日實際ノ狀況ニ於テ、私モ甚ダ必要
デアラウト思ッテ居ルノデス、唯ダ玆ニ一ツ疑ヲ持ツ
テ居リマスノハ、此定年法制定ノ根據ガ、先刻來鈴木
次官カラ御辯明ニナリマシタ如ク、人ガ一定ノ年齡
ニ達スレバソレカラ後ハ漸次身體精神共ニ下リ坂ニ
ナッテ行ク、六十三歲ト云フ年ガ卽チ下リ坂ニナッテ、
其程度ガ司法官トシテノ任務ヲ完ウスルコトノ出來
ナイ程度ニ恰モ下ル時デアルカラ、此年ヲ以テ退職
者トスル、斯ウ云フ御辯明デアッテ、洵ニ是ハ義理明
断デ、私モ御尤ニ思フノデス、ソコデ此御辯明ノ趣旨
ト先刻來カラ津原君ナリ或ハ高柳君ナリノ御質問ニ
ナッテ居ル大審院長、檢事總長ニ限ッテ二年ダヶ年齡
ヲ延バシテ居ルコトハ甚タ牴觸シテ居ルヤウニ私
ハ考ヘル、漸次下リ坂ニナッテ行クノデアリマスカ
ラ、六十三歲ニハ最早司法官ノ職ニハ堪ヘナイ、六十
四歲ニナレバ一層職ニ堪ヘナイ、六十五歲ニナレバ
尙ホ一層其職ニ堪ヘナイ、是カラ順次下リ坂ニナッテ
行クノハ自然ノ事デアル而シテ大審院長ナリ檢事
總長ト云フ者ガ一ハ判事ノ首班ニ居リ、一ハ檢事ノ
首班ニ居ル其職責ガ最モ重大デアッテ、隨テ其身體
モ其精神モ最セ完全ナラザルベカラサルコトハ言
ヲ俟タズシテ明デアル、然ラバ旣ニ六十三歲デ下リ
坂ニナッテ、通常ノ判事檢事ノ事務ニ不適當デアルト
云フ其人ガ、六十三歲カラ尙二歲ヲ經テ一層精神ノ
衰弱スルコトハ生理上ノ顯著ナル現象デアルニ拘
ラス、尙ホ是ガ大審院長、檢事總長ノ重大ナル職デア
ルカラ、就職セシメテ差支ナイ、此事ハ私ハ少シク事
理ニ合ハナイダラウト思フ、特ニ其間ニタッタ二箇年
ト云フコトニ於テ、斯ウ云フ差別ヲ特別ニ設ケル必
要ハ、吾〓了解出來ナイ、或ハ是ガ五年トカ十年トカ
云フナラ格別デスガ、タッタ二箇年ダケ申譯ダケニ大
審院長、檢事總長ダケニ差別ヲ置カナケレバナラヌ
必要ガ、何處ニ在ルノデアリマセウ、次官ノ先刻ノ御
辯明ニ依レバ大審院長ハ刀筆ノ事務ニ當ラナイト
云フ事デアリマスケレドモ是ガ若シ實際ノ狀態ニ
基イテ其判斷ヲスルノデアリマシタナラバ吾〓モ
事實永ラクノ間司法事務ニ在野ノ法曹トシテ關係ヲ
シテ、實際ヲ吾〓承知シテ居ルガ、控訴院長ダッテ
囘モ訟廷ニ出ル事ハアリマセヌ、大阪控訴院長ハ三
十年來一囘モ訟廷ニ顔ヲ見タ事ガナイ.歷代ノ控訴
院長皆然リ、大審院長ト少シモ違ハナイ、ソレデアル
カラ特ニ大審院ガ長刀筆ノ事務ニ當ラナイカラト
言ッテ、之ヲ理由ニスルコトハ是ハ單ニ表面ノ形式
ダケノ御議論デアラウト思フ、吾〓ハ此表面ノ形式
ダケノ御議論ヲ棄テテ、實際是ダケノ二歲ダケノ差
違ヲ設ケタ理由ガドウ云フ點ニ在ルノカ、他ニアレ
バ其實際ノ事ヲ聽カシテ戴キタイト思フ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=69
-
070・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 此點ハ先程津原君ノ御質問ニ御答
ヲシタト思フノデゴザイマスルガ理論的撤壁論ヲ
用ユルナラバ各所各局別々ニ規定スルト云フコト
モ一ツノ議論デアルカモ知ラヌケレドモ、ソレハ餘
リニ小刻ミニナル事デアツテ、此規定シテアル所ノ
六十三歲ノ範圍ニ入ル所ノ者ハ皆殆ド大ナリ小ナ
リ同ジヤウナ職務ヲ執ルノデアルカラ、斯樣ナ規定
ニシタノデアル、唯タ院長總長ノ二者ニ限ッテ二歲延
バシタト云フノハ決シテ其位置ノ對シテ敬意ヲ拂
フトカ何トカ云フヤウナ意味デハナクシテ、大體ノ
指揮監督ヲ爲スノデアルカラシテ、若干年ヲ加ヘタ
所ガ、其職務ヲ執ルニ堪ヘナイト云フコトニハナル
マイト云フ一ツノ考カラ致シマシテ爰ニ二歲ノ隔
リヲ設ケタト云フノデアリトス、現ニ陸軍等ニ就テ
ノ服務年限ヲ見マシテモ、大將ハ六十五歲、中將ハ六
十三歳デスカト云フヤウナ工合ニ、上ノ方ノ官コソ
年ガ高マルマデ其職ニ居ル、斯ウ云フ事ニナッタ精神
モ亦之ニ外ナラヌダラウト思フ、其意味ト同一ニ、矢
張院長總長ノ兩者ヲ二箇年ダケ增加シタ、何ガ故ニ
二箇年ト云フコトニシタカト云フコトハ是ハ唯ダ
一ツノ程度ニ過ギナイコトデアリマシテ、三年ヲ是
ナリトスルカ四年ヲ是ナリトスルカ、將タ五年ヲ是
ナリトスルカト云フコトハ各人ノ意見ニ屬スルコ
トト思ヒマスガ政府當局トシテハモウ二年長クシ
テ置ケバ宜カラウト、斯ウ云フ意味ニ外ナラヌノデ
アリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=70
-
071・上畠益三郎
○上畠益三郞君 斯ウ云フコトヲ言ウテモ功ノ無イ
事デアリマスガ、本當ニ此二箇年ノ間隔ヲ設ケラレ
タル理由ハ、私ニハ了解出來ナイノデス、要スルニ大
シタ事デハナイノデスカラ、ソレ切リニ止メテ置キ
マス、ソレカラ其次ニハ恩給ノ法案ニ關スル事デス、
是ハ私ハ津原君ト同ジヤウニドウモ僅カ十分ノ五
ヲ增スト云フコトダケデハ實ハ少ナイト思ッテ居
ルノデス、併シ次官ノ御話モアッテ、其間ノ已ムヲ得
ザル事情ハ能ク了致シマシタガ此法案ニ依リマ
スルト本法施行ノ際現ニ判事又ハ檢事ノ本官ニ在
職スル者ニ限リ本法施行ノ際ニ判事又ハ檢事ノ本
官ニ在職セザル者ニハ百分ノ五十ニ相當スル金額
ヲ加ヘタ增加恩給ノ支給ヲシナイト云フコトハ是
亦確タル理由ナクシテ徒ニ差別ヲ設ケルノデアラウ
ト思フ、是ハ此間ニ何カ是ダケノ差別ヲ設ケルダケ
ノ特別ノ事情ガアッタノデセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=71
-
072・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 是ハ斯ウ云フ趣意デアルノデス、
本法施行ノ際ニ在職スル判檢事ト云フモノハ定年
制アルコトヲ知ラズシテ判檢事トナッタ者デアル其
者ニ向ッテ今中途ニ於テ此定年制ト云フモノヲ設ク
ルトセバ、豫期ニ反シタ事ニナルカラ、夫故ニ本法施
行ノ際ニ任勤シテ居ル所ノ判檢事ニハ是ダケノ優
遇ヲ與ヘ定年法發布後ニ判檢事トナル者ハ定年制
アルコトヲ覺悟シテ仕官スルノデアルカラ、ソレダ
ケノ優遇ヲ與ヘル必要ハナカラウ、斯ウ云フ意味デ
本法ガ出來上ッテ居ル次第デアルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=72
-
073・上畠益三郎
○上畠益三郞君 其次ニモウ一ツ御尋ネシタイ、此
六十三歲ト云フ定年ニ達セズシテ、自己ノ責任心ノ
强イ人ハ自己ノ能力ノ最早十分ニ職責ヲ盡ス事ガ
出來ナイト云フ場合ニ進ンデ辭職ヲ願ヒ出ルコト
ガ始終アルダラウト思フサウ云フ人ガ其責任心ガ
强クシテ、其職務ヲ重ンズルガ爲メニ、進ンデ退職ニ
ナレバ六十歲ニ退職ニナッテモ、六十一歲ニ退職ニ
ナッテモ、此增加恩給ノ特權ヲ受クルコトガ出來ナ
イ、サウシテ六十三歲ト云フ定年齡ガ來タナラバ是
ガ無用ダト云フテ法律ニ依ッテ退職トナリマシテ、自
己ノ責任心ノ生ジナイ所ノ人ガ增加恩給ノ特典ヲ受
ケルト、斯ウ云フコトニ實際ノ結果ガ成ルノデス是
ハ私ハ甚ダ實際ニ於テ不公正デアラウト思フサウ
云フ結果ニ就テハ政府ノ當局者モ餘程遺憾ヲ感ゼ
ラレルダラウト思フ、其邊ノ不公正ヲ救濟スルト云
フヤウナ成案ガ當局者ニアルノデアリマセウカ、如
何デセマカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=73
-
074・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 御尤モナル御質問デアリマス、之
ヲ平タク俗語ヲ以テ申シマスレバ六十三歲迄ニ退
カセル斯ウ云フ事ノ結果ヲ見ルデアラウト云フ御
懸念ト思フノデゴザイマスガ、或ハ然ラント思フノ
デゴザイマス、ソレデゴザイマスカラ、或ハ恩給法ニ
サウ云フヤウナ場合ヲ豫想シテ規定スルノモ一案デ
ゴザイマセウ、一案デゴザイマセウガ、兎ニ角年ニ依
ッテ其意ニ反シテ退職ヲ命ビラレル者ニ優遇ヲスル
斯ウ云フ趣意カラ恩給法ノ方ハ拵ヘマシタ次第デア
リマス、責任觀念ノ强キ者ハ、自ラ進ンデ我頭腦ハ最
早司法官タルノ職責ヲ盡シ得ザル者ト云フ事カラ、
潔ク自ラ進ンデ六十カ六十一デ罷メタ者ニ優遇ヲ與
ヘラレナイノハ、不都合デハナイカト云フコトモ、御
議論トシテハ洵ニ傾聽スベキ問題ダト思ウテ居リマ
スガ、本案立案ノ趣旨ハ其意ニ反シテ退職ヲサセル
者デアルカラ優遇シテヤルト斯ウ云フ見地カラ斯
樣ニ規定致シマシタ次第デアルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=74
-
075・北井波治目
○北井波治目君 別ニ質問モアリマセヌ、他ノ方ノ
質問デ能ク了解致シマシタガ、唯ダ一ツ、原ノ案ハ五
年デアッタノヲ、貴族院デ三年ニシテ居ルノデス是
ハ政府ノ方ニ伺フノハ妙デスガ御紹介ヲ願ウテ置
ク方ガ宜カラウト思ヒマスガドウ云フ譯デ原ノ五
年ヲ三年ニ短縮シタノカ、私共ハ原ノ五年ノ方ガ大
變宜カラウト思ヒマス、政府モ其邊ノ御考デアルト
思ヒマスガ、貴族院デ特ニ三年ニシタノハ、何カ理由
ガアッタノデアルカ有ルナラバ其理由ヲ衆議院ニ一
ツ御紹介ヲ願ッタ方ガ宜カラウト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=75
-
076・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 此修正案ノ成立ニ就キマシテハ色
色各派ノ交涉ガアッタヤウニ承知致シマスルガ詳細
ハ自分等ノ干與スル事デゴザイマセヌカラ承知致
シマセヌ、唯ダ僅カニ承ル所ニ依レバ、但書ヲ全部削
除シ樣ト云フ議論モアッタサウデス、卽チ六十三歲ナ
ラ六十三歲、六十五歲ナラ六十五歲デ、公然退職者ト
シテシマウガ奇麗サッパリシテ宜イ事デアルト云フ
議論モアリソレデハ餘リ融通ノ利カナイ話デアッ
テ、隨分年ハ六十三歲ニ達シテモマダ壯年ヲ凌グ钁
鑠タル者ガアルデアラウカラ、矢張延長スルコトガ
必要デハアルマイカ、原案ノ如ク延長スルコトモ宜
イデハアルマイカ、延長スルトシテモ、五年ハ長過ギ
ルソレデアルカラ先ヅ三年ニシタガ宜イデハナイ
カ、斯ウ云フ議論モアッタト承ッテ居ルソレカラ司法
大臣ト云フコトヲ削リマシタ點ニ就キマシテハ政
府ト致シマシテハ、現行構成法ニハ七十四條ニ於テ
司法大臣ガ發議ヲ以テ總會ノ決議ヲ求ムルコトニナ
ッテ居リマシテ、矢張司法大臣ガ發言權ヲ持ッテ總會
ノ決議ヲ求メルコトガ穩當デアルト云フ主張ニ對シ
テ、ドウモ司法大臣ガ入ルコトニナルト、形ニ於テ行
政官ガ司法官ノ位置ニ容喙スルト云フヤウニナリハ
セヌカト云フ嫌ガアルカラ、ソコデ司法大臣ヲ削ル
ト云フ議論デアルト私ハ仄カニ承ッテ居ルノデアリ
マシテ、果シテ是ガ私ノ承ッタ事柄ガ事實デアルヤ、否
ヤト云フコトハ保證ノ限リデナイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=76
-
077・宮古啓三郎
○宮古啓三郞君 今ノニ關聯シテ居リマスカラ、
寸伺ッテモ宜シウゴザイマセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=77
-
078・鳩山一郎
○委員長代理(鳩山一郞君) 質問通〓ノ順序ガアリ
マスカラ、橫山君サヘ同意シテ下サレバ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=78
-
079・横山金太郎
○橫山金太郞君 關聯ノ處ダケドウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=79
-
080・宮古啓三郎
○宮古啓三郞君 貴族院デ三年ト修正サレタコトニ
就テ修正意見ガ出マシテ、ソレニ對シテ決議ニナッタ
事デアッタラウト思ヒマスガ其際ニ御出席ニナッテ
屋ノシー修正ノ理由ノ說明ガアッタラウト思ヒマヌガ、
御聽キニナッテ居ラヌノデスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=80
-
081・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 修正ノ理由ハ明示ゴザイマセヌノ
デシタ、政府モ亦反問モ致シマセヌデシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=81
-
082・横山金太郎
○橫山金太郞君 私ハ昨日大體ハ御答ヲ得タノデゴ
ザイマスガ一二御尋致シタイ、此定年法ガ成立致シ
マシテモ構成法七十四條ハ存置シナケレバナラヌ
ト云フ理由ト致シテハ貴族院ニ於テ政府ノ御說明
ニナッテ居リマス所ニ依ルト身體ノ衰弱シタカ如何
ト云フ事ハ、外形上之ヲ知ルダケデ、殊ニ地位ノ低イ
人ニ對シテ、精神的ノ衰弱ノ場合ト雖モ、認メテ之ヲ
爲シ得ル-適用シ得ル餘地ガアルカラ、之ヲ存シ
テ置クト云フ御言葉ガアリマシタガ、是ハソレニ相
違アリマセヌカ、一言確メテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=82
-
083・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 精神上ノ缺陷ニ就テノ事實認定ハ
困難デアッテ、外形上著シク身體上ニ現レテ居ル事實
認定ハ容易イト云フコトデ而シテ若朽者ト云フ言
葉ガアルカ知リマセヌガ、其若朽者ト云フノハ、三一十
四十、五十ヲ云フノデナイ、本案ニ對スル六十三以下
ノ者ヲ云フノデアリマス、ソレダケ御答辯シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=83
-
084・横山金太郎
○橫山金太郞君 先刻來ノ御說明ヲ承ッテ見マスト、
日本人ノ體力トシテ常識上生理的ニ觀察ヲシテ六
十五歲若クハ六十三歳ニナレバ、當然身體竝ニ精神
ノ上ニ衰弱ガ來ルモノデ、是ハ法律規定ヲ設ケテモ
妨ナイ道理ガアル、斯ウ云フ御說明デアリマスガザ)
ウ云フコトニナリマスレバ新ニ定年法ヲ御拵ヘニ
ナラヌデモ、勿論七十四條ニ於テ、此動スベカラザル
道理ヲ以テ、身體若クハ精神ノ衰弱ヲ致シタモノト
シテ、一刀兩斷ノ處置ガ出來ル譯デゴザイマセヌカ、
此點ヲ伺ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=84
-
085・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 私ハ橫山君ニ反對致シマスガ、左
樣ナ法律上ノ規定ガナクシテ、六十三、六十五ニナッ
タラ、精神衰弱シタルモノト認定ガ出來ルモノデゴ
ザイマセウカ、私ハソレハ無理ナ事ダラウト思フノ
デアリマス左樣ノ事デハ屢〓橫山君ノ言ハレル通
リ司法官ノ獨立ト云フ最モ貴キ覺悟ヲシナケレバ
ナラヌト云フ言葉ノ下ニ於テ、立法規定ヲ致サズシ
テ六十三歲ニナレバ精神衰弱ニシテ無用ト云フ判
定ノ理由ニハナラヌカト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=85
-
086・横山金太郎
○橫山金太郞君 ソコデ私ハ御尋ヲスル、凡ソ曆ノ
上ノ年齡ニ依ッテ人ノ執務上ノ能力ヲ判斷スルコト
ハ重大ナ事柄デアル司法省ハ學者ノ御揃デアリマ
スケレドモ法律的ニ於テサウデアッテ、生理若クハ
醫學ト云フ方面ハ恐ラク門外者デハナイカ、專門家
ノ意見ヲ御尋ニナッタノデアリマスカ、ナッテアレバ
其意見ヲ徵セラレタ經過ガ御聽キシタイ、若シサウ
デナカッタトスレバ餘リ大膽ト謂ハナケレバナラ
ヌ、立法ノ仕方デナイカト云フコトヲ御尋スル、其意
味ニ於テ、立法行爲ヲ以テ法律ノ規定ヲ作リ、而シテ
其理由ハ常識上カラ判斷ガ出來ルト云ウテ、人ノ職
ヲ立法行爲ノ自由ニ依ッテ奪フコトガ出來レバ、適用
行爲ニ依ッテモ更ニ幾多ノ證據ヲ集メテ之ガ適用ガ
出來マスマイカ、斯樣ナ感ジガアリマスカラ、此御尋
ヲ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=86
-
087・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 御質問デナイカラ、御答スルニ及
バヌト思ヒマスガ、六十三ト云フコトニ定メタノハ
何モ醫師ノ鑑定ヲ待ッテシタコトデナイコトハ前囘
申シマシタ通リ、常識上、我國ノ歷史デ六十歲ヲ隱居
年齡トシテ、法制ノ上ニ於テ之ヲ極メテアルモノヲ
恩給ヲ取ルニ就テモ、六十歲ニナッタ者ハ病氣ニ罹ッ
タ時、證明ヲ要シナイデ當然國家ニ向ッテ思給ヲ受ケ
ル權利ヲ生ジテ居ルノデアリマス、ソレ等ノ事ニ考
ヘテモ六十デ宜イト思フガ、六十三ニシタコトハ私
ハ繰返シテ申シタノデ何ノ據ル所ナクシテ六十三
ヲ指定シタノデナイノデゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=87
-
088・横山金太郎
○橫山金太郞君 此點ハ意見ノ相違ニナリマスカ
ラ、此以上申シマセヌ、次ニ構成法ノ七十四條ヲ殘ス
ニ就テ、身體ト云フモノノ衰弱ハ、外形カラ見出シ得
ラレルノデアルカラト云フコトデアリマシタガ司
法省ノ此定年法ヲ御提出ニナリマシタ直接ノ動機
ハ、何處ニ在ルカト申シマスレバ、勿論七十四條ガ完
全ニ適用出來レバ此上ナイノデアル併ナガラ立派
ナ法制デアルケレドモ、此法制ヲ運用スルニ人ヲ要
スルト云フ、人ガ思ハシク動イテ吳レナイ爲ニ運用
ガ出來ナイ結果、餘儀ナク此法案ヲ提出シタト云フ
御說明ガアッタノデゴザイマス、果シテソレデゴザイ
マスナラバ、此運用ヲ爲ス人ハ、先ヅ司法大臣竝ニ控
訴院若クハ大審院ノ判事團體ナリト謂ハナケレバナ
ラヌノデアリマス、司法大臣ハ別トシテ、判事團體ハ
如何ニモ氣兼ヲシテ、遠慮ヲシテ、此適用ヲシナイト
云フコトニナレバソレハ獨リ精神的ノ衰弱者ノミ
デナイ、身體衰弱者ト雖モ、幾久シク床ニ著イテ執務
ノ出來ヌ者ハ別デアリマセウケレドモ例ヘバ一年
二年若クハ五年、人ニ依ッテハ、地位ノ高イ人ハ
餘程長ク彼ノ人ハ休ンデ居ルケレドモ地位ノ高イ
爲メニモウ少シ遠慮シナケレバナラヌト云フ考ヲ持
テバ身體衰弱者ニ就テモ適用出來ナイ、運用スル
人ガ役ニ立タヌト云フコトハ、大變ナ事デ、勿論七十
四條ヲ殘ス理由ノ中ニ、身體竝ニ精神ト云フコトヲ
區別ニナルコトハ私ニハ一寸分リ兼ルノデゴザイ
〒一、此點ニ就テ大體御見解ヲ伺ヒタウゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=88
-
089・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 文字ノ示スガ如ク、身體ノ衰弱ハ
卽チ外形上ノ障害、精神ノ衰弱ハ無形ノ事柄デアル
其區別ノ外ナイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=89
-
090・横山金太郎
○橫山金太郞君 斯ウナリマスト議論ニナリマスカ
ラ、其點ハ打切リマス、其次ニ此年齡ニ依ッタ區別ハ
常識判斷ト云フコトヲ申サレマシタガ貴族院デモ
此質問ハ出タヤウデアリマスガ今日首相ヲシテ居
ラルヽ原敬氏ノ如キ、隨分齡ハ取ッテ居ラレマスガ
非常ナ御手腕デ在ラセラレル而シテ司法事務ト云
フモノニナルト特殊ノ事務ト云フコトハ豐島政府
委員ガ丁寧親切ニ說明ニナッテ居リマスケレドモ、今
御配布ニナリマシタ表ヲ見マスト、區裁判所ガ十二
人、地方裁判所ガ三人、控訴院ガ五人、大審院ガ五人
ト相成ッテ居リマス人其者ニ就テハ申シマセヌガ
略〓推察致シマスト.控訴院デモ一番高イ地位ニ居
ラルヽ人デ司法界ノ實際ニ於テ察知致シマスレバ
所謂浩瀚ナル記錄ヲ一カラ十マデ繙イテ御覽ニナル
方〓デハナイヤウニ思フ、司法事務ト普通ノ政務ト
ハ違ッテ居ルガ、高キ地位ニ居テ見下シテ御監督ナサ
ル單純ナル司法事務ヲ、特殊ノ事務ト云フコトデ律
スル譯ニハイカヌト思ヒマス實際ノ適用ハ控訴院
竝ニ大審院、更ニ進ンデ地方裁判所ヲ併セテ十三人
位ニ止マルト思ヒマス、是ダケノ人ノ爲ニ定年法ヲ
御拵ヘニナッタト云フコトニナル、而シテ此人モ普通
ノ司法事務ヲ執ル人〓トハ見ラレヌ關係ガアルソ
レナラバ區裁判所ノ十二人ハドウカト云フト是一
卽チ若朽デアリマス、控訴院ニ於テ總會ヲ開イテ御
決議ニナレバ、ソレデ出來ナイ事柄デハナイ判事ノ
總會ニ列スル人ト雖モ、氣兼ヲシタリ、遠慮シナケレ
バナラヌ地位ニ在ル人トハ思ハレヌノデアルサウ
ナルト矢張諄ク申スヤウデスガ七十四條ノ適用ニ
甘シゼラレテ妨ゲナイデハナイカ、是ガ一點、第二點
トシテハ、是ハ本會デモ御尋シマシタガ、此點ニ就テ
ハ御答ヲ得テ居リマセヌ矢張判事團體ノ所謂總會
ニ依ッテ退職ヲ決議ナサル場合ニ於テモ、色〓人〓ノ
事情ガアルノデアリマセウ普通ノ民刑事ヲ扱フ場
合ニモ囘避ノ規定ガアル若シ囘避ノ結果人ガ不足
スレバ補充スルト云フ規定モアル又普通如何ナル人
デモ反對者ノ無イ者ハナイ、孔子ニ盜跖、釋迦ニ提婆
ハ附キ者デアリマス、サウナレバ囘避又ハ忌避ニ依ツ
テ人ガ不足ニナッタ時分ニ、他ノ裁判所ノ判事ヲ以テ
補充スルト云フ規定ヲ置ケバ定年法ヲ設ケズトモ
他ノ立法行爲ヲ以テ其缺陷ヲ補フコトガ出來ルノデ
ハナイカト云フ疑フ持ツ、是ガ第二點、第三點ハ是
モ先日本會デ御尋シタラ、鈴木司法次官ハソレハ出
來ナイト云フノハ、休職法ハ一時限リノモノデアル、
此定年法ハ一時限リノモノデナイ、ソレハ分ッテ居リ
マスガ休職法ニモ矢張司法ノ自治ノ規定ガ認メテ
アリマス、休職トスルカシナイカト云フ決議ノ方法
ガ認メテアリマスガ、今囘ノ定年ニ達シタ其人ガ、定
年ニ達シタ瞬間ニ絕對ノ效力アル規定トセズシテ
其總會ヲ開ク義務ヲ生ズルヤウニ自治ノ作用ニ委
スルト云フ事ニナッタラドウデアルカト御尋シタ所
ガ、一時限リノモノデアルカラ出來ナイト云フ事デ
アリマシタガ私ノ質問ハサウデハナカツタト云フ
コトヲ更メテ申上ゲテ置キマスモウ一ツハ昨日ノ
御答ノ中ニ、七十四條ハ判事ヲ殺スノデアルト云フ
私ノ言葉ヲ御用ヰニナッテ、七十四條ハ殺スノデアル
ガ、併シ定年法ノ延年規定ハ活カス方デアルソレニ
就テハ其衝ニ當ル人ノ考ト態度ハ自カラ違フノデア
ル是ハ御尤デアリマス、唯ダ其間ニ私ノ疑ヲ抱クノ
ハ延年法ノ規定デモ、延年セズト決議スル場合ニハ
矢張殺ス方ニナリハシマセヌカ、七十四條ノ規定デ
モ、退職スベキモノニ非ズト決定致セバ卽チ活カス
方ノ結果ヲ齎ラシハシナイカ裏カラ見ルト表カラ
見ル譯デアッテ、延年規定ヲ適用セザルコトニナレ
バ矢張構成法ノ七十四條ノ適用ガ出來ナケレバナ
ラヌ、斯ウ云フ感ガ起リマス、ソレヲ更メテ御尋致シ
マス、次ニ行政裁判法ニハ裁判所構成法ノ七十四條
ト同一ノ規定ガアルヤウデアリマスガ、行政裁判所
ニ於テハ斯樣ナ身體若クハ精神ノ衰弱シタモノニ
對シテ、其法條ヲ適用シテ退職處分ヲセラレタ事ガ
アルト承ッテ居リマス、政府當局カラデハアリマセヌ
ガ現ニ貴族院デ某氏ノ演說中ニモ明言シテアリマ
ス、其樣ナ事ガアルトスレバ矢張司法裁判所ノ方ニ
モ其實例ハ應用スルコトガ出來ハセヌカト考ヘマ
ス、最後ニモウ一ツ御尋シタイノハ昨日假設ノ問題
ヲ以テ御尋シタノハ此處ニ一事件ガアッテ、政府當
局ハ其事件ノ結果ヲ左右スル爲メニ定年法ヲ定メタ
結果トシテ、其判事ハ退カナケレバナラヌヤウニナツ
タ場合ヲ御尋シタラソレハ其間ニ議會ト云フモノ
ガアルト云フ御話デ、ソレハ一應御尤デアリマスガ
併シ若シ假リニ貴族院ト云フモノガ政黨化シテシマ
イ、衆議院ト云フモノガ或ル政黨ガ多數デ、政府ヲ謳
歌スル政黨デアリ、其政黨ガ極メテ惡政黨デアル場
合ニハ政府ノ案ヲ鵜呑ミニスルカモ知レヌ、事實ノ
上ニ於テ、矢張立法行爲ヲ以テ裁判官ノ地位ヲ脅威
シ來ル可能性ハ持テ居ラヌカ、此疑ヲ有スル、ノデア
リマス、ソレカラモウ一ツ御尋スルノハ、此休職法ノ
出來タ時分、小山溫氏ハ時ノ政府委員トシテ、此休職
法ノ質問ニ對スル答トシテ-是ハ私ハ本會議ニ於
テノ質問事項トシテ備ヘテ置キマシタガ此人ノ意
見ト致シマシテ、此處ニ私ハ寫シテ持ッテ居リマス
ガ、要スルニ此雙方ノー官ノミデアルサウデハナ
イト云フ主張トドチラモ極端デアル極端デアル
ガ自治ニ委ネテ以テ所謂判事團體ノ自治作用ニ委
ネテ以テ、退職セシムルトカ、休職セシムルト云フ事
ニナリマシテハ少クトモ五十八條ノ二項ノ意味ヲ
完ウスル事ガ出來ヌケレドモ、大審院ノ總會ニ掛ケ
テ休職ヲセシメタノデアル、此說明ニ就テハ丁寧深
切ヲ加ヘラレテ居リマス恐ラク是ハ其當時ノ司法
省ノ御意見デアッタト思ヒマス、其意見ハ今尙ホ把持
セラレテ居ルベキ筈デゴザイマスルガ、是ハ司法省
ノ意見デアッタナラバ、今日定年法ニ對シマスル御說
明ハ少シ違ッテ居ルヤウニ思ヒマス、御改論ニナッタ
譯デアリマスカ、是ダケ承ッテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=90
-
091・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 七十四條ノ條文ガアレバ定年法
ヲ設ケル必要ハ無イデハナイカト云フ第一點ノ御質
問ニ歸著スルヤウデゴザイマスガ此點ハ御議論ニ
屬スル事デアリマシテ、再三再四七十四條ト云フモ
ノハ定年ノ外ニ立ッテ尙ホ必要デアルト云フコトハ
縷々申上ゲタコトデゴザイマスルカラ、茲ニ再演致
シマセヌ、但シ七十四條ト云フモノヲ適用シナイト
云フコトハ、呉〓モ御承知アランコトヲ希望スル次
第デアリマス、ソレカラ第二點トシテハ、精神ノ衰弱
シタ者ニ就テハ何カ囘避トカ忌避トカ除斥トカト
云フヤウナ方法ニ依ッテ、其人ヲ裁判事務カラ遠ザケ
タラ宜イヂヤナイカト云フコトノヤウニ承リマシ
タ、(橫山金太郞君「總會ニ加ハルベキ判事デス」ト呼
フ)總會ニ加ハルベキ判事ト云フ者ヲ囘避スルトカ
排斥スル、斯ウ云フ事デアリマスガ、其問題ニナルベ
キ人ハ、勿論其決議ニハ加ハラヌ譯デアリマス、ソレ
カラ又總會ニ列席スベキ人ニ向ッテ、オ前ハドウモ頭
ガ少シ鈍イカラ此總會ニハ入ッテハイカヌ、オ前ハ少
シ弱ッテ居ルカラ總會ニ入ッテイカヌ、サウ云フコト
ハ出來ヤウ筈ハアリマセヌ、(橫山金太郞君「ソレハ
問ノ趣意ニハ違ッテ居リマス」ト呼フ)囘避、忌避ト云
フヤウナ問題ハ起ッテ來マイト思フノデアリマスソ
レカラ次ニハ大正二年ニ發布セラレマシタル休職法
ニ依ルヤウニシタラ宜イヂヤナイカ、卽チ六十三ニ
ナリ、六十五ニ達シタナラバ總會ニ決議ヲ求メテ、
モウ罷メヤウカ罷メサセヤウカ、總會ノ決議ニ依ッ
タラドウカト云フ御說ハ、先程カラ私ガ申上ゲマシ
タ通リ、七十四條ノ適用ガ困難ニナルト云フコトノ
理由ヲ御諒承アッタナラバ、又此事ノ出來ナイト云フ
コトハ必然ノ結果デアラウト思フノデアリマス、ソ
レカラ七十四條ハ殺ス方デアルソレカラ本法ノ年
ヲ延バス方ハ活カス方デアル其間自ラ事實ノ認定
ニ就テモ差違ヲ生ズルコトガアルベキコトト云フノ
ハ尤モデアルト橫山君モ仰セノ通リ、此點ニ就キマ
シテハ私共ノ答辯ヲ御承認ニナッタ次第デアリマス
所デ此年ヲ延バスト云フコトヲ否決スレバ殺スノヂ
ヤナイカ、サウスレバ同ジモノヂヤナイカ、斯ウ云フ
御說デアリマス、是ハ少シ論理ヲ御間違ヒデナカラ
ウカ法律ハ六十三ニシテ死セリ、六十五ニシテ死セ
リト決メテアリマスソレヲ延サヌ延バスト云フコ
トガ總會ノ決議デアッテ、是ハ勿論違フ譯デアリマ
スソレカラ曩ニ行政裁判所ニ於テハ總會ノ決議ニ
依ッテ退職處分ヲシタ事ガアルヂヤナイカ、彼ハ之ヲ
爲セバ、吾亦之ヲ爲スコトガ出來ナイ譯デナイ、斯ウ
云フ事デアリマスガ、成程行政裁判所改革ノ當時ニ
於テ、退職ノ決議ヲシタコトガアルコトハ事實デア
リマス、ソレハ一人ノ人ニ向ッテ退職決議ヲ致シマシ
タ、尙ホ行政裁判所デ退職決議ヲスルナラバ地方裁
判所ニ於テモ判事總會ニ於テ退職決議ヲ出來ナケレ
バナラヌモノデハナイカ出來ルモノデアル、斯ウ云
フヤウナコトモ亦同一論結ヲ得ル次第デハナカラウ
ト思フノデアリマスソレカラ一人ノ判事ノ裁判權
ヲ取決メンガ爲メニ立法ノ力ニ依ッテ之ヲ爲ス弊害
ヲ惹起スル事ニナル、政府ハ-多數黨ヲ擁立シテ
居ル所ノ政府ガ、惡イ法律ヲ拵ヘテサウシテ兎ヤ斯
ウスル、或ハ貴族院モ亦政黨化ヲシテ之ヲスル、斯ウ
云フヤウナ事ヲ仰セデアリマスルガ是ハ私ハ議員
ノ職ニ居ラレル橫山君ノ言トシテハ甚ダ奇怪千萬
〓弘思フノデアリマス、議會ハ神聖デアルベキ筈
デアル、斯樣ナ御議論ト云フモノハ議會ノ有シテ居
リマス所ノ協賛權ヲ蔑視スル議論デハナイカト思フ
ノデアリマス、又政府ト致シマシテモ、昨日御引用ニ
ナルヤウナ理由目的ノ爲メニ左樣ナ惡立法ヲ企テル
ト云フコトハ全然私ハ無イト確信スルノデゴザイ
マ人ソレカラ只今小山前司法次官ガ休職制定ノ當
時ニ於テ議會ニ說明シタル理由ハ如何デアリマシタ
ガ、私ハ記憶ヲ有シテ居リマセヌガ私ノ解釋スル所
ノ此七十四條若クハ五十八條ノ二項ノ憲法上ノ理由
トシテハ屢〓サウ云フコトハ議論ニナリマシタ通
リデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=91
-
092・横山金太郎
○橫山金太郞君 只今此ノ囘避ト云フコトニ就テ、
一寸申上ゲテ置キマス司法次官ハ除斥ト云ハレマ
シタガ私ハ除斥ト云フコトハ申シマセヌ、囘避ト云
フコトハ私ノ申ス迄モナイ裁判ニ與カル裁判官
ガ、自ラハドウモ此ノ裁判ニ與ッテハ情實ノ爲メニ公
平ノ裁判ガ出來ヌカモ知レヌ、裁判官自身ガ其ノ自
覺ヲシタ時ニ自ラガ退クノデアリマス是レハ私ガ
申ス迄モナク、御承知ノ通リデアリマス、ソレデ私ガ
御尋シタノハ構成法ノ規定ニ依ッテ總會ヲ開カルル
時ニ於テ、兎角判事ガ情實ニ驅ラレテト云フト語弊
ガアルガ、人情ノ弱點ニ捉ハレテ本當ナ公平ナ決議
ヲ仕兼ネルカラ、眞ニ構成法ノ七十四條ノ適用ヲ見
ルニ至ラナカッタト云フコトデアリマス、ソレナラ判
事其人ハ囘避スルコトガ出來ルト云フ規定ヲ置イテ
居ルソレヲ許スト云フコトナラバ、サウ云フ人ハ除
カレテシマッテ其ノ中ニハ人ガ多イノデアリマスカ
ラ、如何ナル立派ナ人デモ得ラレル反對者ガナイ、
反對ト言ヘバ語弊ガアリマスガ、=兎ニ角公平ナ裁判
ヲスルコトガ出來ル人ガズン〓〓加ハッテ、サウシテ
會議ノ結果、其團體デ片付ケル、少ナケレバ他ノ裁判
所カラ補充スル、サウスレバ運用ガ自ラ滑カニナル、
其議論ヲ持チマシタカラ御尋ネ致シマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=92
-
093・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 判事總會ノ仕事ヲ爲スニ就テ、自
分ハ偏頗ナ處置ヲシヤウカラ、自ラ囘避シテ其職ヲ
行ハナイ、斯ウ云フ事ハ事實アリ得ベキ事デナイ、ソ
レデアリマスルカラ囘避ノ規定ヲ準用シテドウスル
斯ウシヤウト云フコトハ、隨ッテ問題トナラヌコトデ
アリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=93
-
094・横山金太郎
○橫山金太郞君 モウ私ハ打切リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=94
-
095・水野吉太郎
○水野吉太郞君 一寸一言御尋シテ置キタイ、ソル
ハ改正案ノ七十一條ノ一一デアリマス、是ハ司法省ニ
居ル局長トカ參事官ナドハ、此判事ノ在職ト看做ス
ト云フ規定デ、本省ノ方ニハ之ニ依ッテ實際便宜デ洵
ニ結構ト思ヒマスガ併シ朝鮮、關東州、臺灣等ニ判
事檢事トシテ行ッテ居ル者ハ矢張此構成法ニ依ル判
檢事ト認メラレマセヌノデ、在職年限ニ入ラヌヤウ
ニ思ヒマス、政府トシテ是等地方ニ居ル判事檢事ハ
此規定ニ入ラヌデモ宜イト御認メデアリマセウカ、
何カ特別ノ立法ヲ以テ救濟スル御意見デモアリマセ
ウカ、實ハ朝鮮デモ關東州邊デモ、又臺灣デモ、非常
ニ困ッテ居ル其困ッテ居ルノハ、幾ラ判事ノ職ニ居
テモ、內地ニ轉任シテ控訴院ニモ大審院ニモ行ケズ、
不自由デアルト云フコトガ主ナル原因ト見テ居リマ
ス、其邊ノ御意見ヲ伺ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=95
-
096・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 其問題ハ別問題ト考ヘマスガ、朝
鮮臺灣等ニ在勤シテ居ル判官卽チ司法官ニ於テハ、
内地ノ構成法ノ在職年數ノ通算ニハ入レテ居ラヌノ
デアリマス、ソレハ登用方法ガ違ッテ居リマシテ、內
地カラ行ッタ判檢事デモ判檢事ノ資格ハ持ッテ居リ
マスガ、朝鮮ニ判官ヲシテ居ッタ者臺灣ニ判官ヲシ
テ居ッタ者ガ直ニ内地ノ裁判所ヘ戾ッテ五年十年ノ
期間ヲ通算スルコトハ出來兼ネマス、今後登用法モ
同一ニナリ、司法機關ヲ統一スルコトガ出來ルヤウ
ニナレバ、勿論通算スルコトニナリマセウケレドモ、
左樣ニ取扱ッテハ居リマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=96
-
097・水野吉太郎
○水野吉太郞君 登用法ハ違ッテ居ルカ知リマセヌ
ガ朝鮮ニハ特別ノ任用令ガアリマス臺灣ニモ特別
ノ登用法ガアルヤウデアリマス、兎モ角モ今特別ニ
任用セラレタ者ハ格別トシテ、同樣日本ニ於テ司法
官ニ登用セラルル資格ヲ持ッテサウシテ彼ノ地方デ
判檢事ノ職ヲ奉ジテ居ル者ニ對シテ、之ト同ジヤウ
ナ待遇ヲ受ケサスヤウナ方法ハ政府ハ必要ハ認メ
テ居リマセヌカ、格別ノ御異存ガナケレバ成ベク此
際此法文ヲ修正シテモ宜イカト思ヒマスガ、政府ノ
御意見ヲ伺ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=97
-
098・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 司法機關統一ノ問題ト同時ニ其問
題ハ攻究シタイト思ッテ、今攻究中デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=98
-
099・高柳覺太郎
○高橋覺太郞君·七十四條ノ解釋ヲ簡單ニ伺ヒマ ス、「控訴院又ハ大審院ノ總會」トアリマスガ是ハド
ノ法令ニ規定サレテ居ル總會デアリマスカ、先刻ノ
御答辯ニ、懲戒法ノ規定ト云フヤウニ承知シマシタ
ガ、手許ニ懲戒法ガアリマセヌカラ-懲戒法ニ準
據スルト云フナレバ、何人ガ招集スルカ、總會ヲ開會
スベキ所ノ發議者ハ何人デアリマスカソレカラ尙
ホ懲戒法ノ總會ヲ準用スルナラバ其事ヲ何カ此中
ニ規定シナケレバナラヌ、其點ニ就テ本總會ハ何ニ
依ッテ準用サレルカ、又修正デハ三年以內トナッテ居
リマスガ、延年ノ期間ヲ定メテアリマス、是ハ一年延
期シテ又更ニ一年延期スルト云フヤウナコトガ出來
ル趣旨デアリマスカ、一囘限リト云フ趣旨デアリマ
スカ、何等制限モ無イヤウデアリマスガドウ云フ御
解釋デアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=99
-
100・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 控訴院又ハ大審院ノ總會ト云フ事
柄ハ、現行裁判所構成法七十四條ト同ジ解釋ニナル
ノデアリマス七十四條ニ於テ控訴院又ハ大審院ノ
決議ト書イテアリマシテ先程申上ゲマス通リ、判事
懲戒法ノ規定ヲ參酌シテ同一ニ取扱フ趣意デアリマ
ス、懲戒法ノ十四條及十五條ニアリマス其精神ヲ酌
ミ取ッタノデ、準用シ適用スル意味デハ勿論アリマセ
ヌ、ソレカラ三年ノ期間ノコトデアリマスガ、二度三
度更新ハ許サヌ規定デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=100
-
101・高柳覺太郎
○高柳覺太郞君 許サヌノハドウシテ分リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=101
-
102・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 三年ノ期間ヲ定メルト云フコトデ
讀メル積リデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=102
-
103・高柳覺太郎
○高柳覺太郞君 總會ヲ開クト云フ手續ハ矢張司
法大臣ノ招集ナリ發議ニ依ラナケレバナラヌト思
フ、實際ハ司法大臣デ、矢張原案ト同ジ結果ヲ來スヤ
ウニ思ヒマス其點ニ就テ伺ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=103
-
104・鈴木喜三郎
○鈴木政府委員 ソレハ私ノ言方ガ惡カッタノカモ
知レマセヌガ、七十四條ニ「司法大臣ハ控訴院又ハ大
審院ノ總會ノ決議」ト云フ文字ガアッテ、其控訴院ノ
總會ハ如何ナル判事ニ對シテ退職ノ決議ヲスルノデ
アルカ、大審院ノ總會ハ如何ナル判事ニ向ッテ退職ノ
決議ヲスルノカト云フ事柄ハ規定シテ居ラ無ノデ、
此七十四條ヲ適用スルニ就テハ判事懲戒法ノ趣意
ヲ酌ミ取ッテ、先程私ガ申上ゲマシタ通リ、控訴院ノ
部長以下ノ判事ニ對シテハ夫レ〓〓所屬控訴院ニ於
テ爲ス斯ウ云フ事ニナルデアラウト云フコトヲ申
上ゲタニ外ナリマセヌ七十四條ニハ司法大臣ガ發
言權ヲ持ッテ總會ヲ開クヤ否ヤト云フコトヲ發議ス
ル若シ司法大臣ガ總會ヲ開クト云フコトヲ總會ニ
求メナケレバ總會ハ開ケナイコトニナルノデアリ
マス、所ガ修正案ノ七十四條ノ二ニ於キマシテハ司
法大臣ト云フコトヲ削リマシタカラ、是ハ司法大臣
ガ總會ニ決議ヲ要求致シマセヌデモ控訴院又ハ大
審院ノ總會自ラガ總會ヲ開イテ、此決議ヲ爲シ得ル
ト云フ差異カアルノデゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=104
-
105・鳩山一郎
○委員長代理(鳩山一郞君) 最早ヤ質問ノ通告者ハ
アリマセヌガ、之ヲ以テ質問ハ終了致シタコトニシ
テハ如何デスカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=105
-
106・鳩山一郎
○委員長代理(鳩山一郞君) ソレデハ之ヲ以テ質問
ハ終了致シマシタ明日ハ午前十一時カラ討論ニ入
ルコトニ致シマス、今日ハ是ヲ以テ散會致シマス
午後三時三十三分散會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004411129X00219210324&spkNum=106
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。