第44回帝国議会　衆議院　本会議　第26号　大正10年3月12日

1. 会議録本文

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• 000・会議録情報

  大正十年三月十二日（土曜日）午後一時十七分開議
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  　議事日程　第二十五號　大正十年三月十二日
  　　　午後一時開議
  　第一　六大都市行政監督に關する法律案（政府提出）　　　　　　　　　　　第一讀會
  　第二　右議案の審査を付託すへき委員の選擧
  　第三　都市計畫地方委員會職員の恩給及遺族扶助料に關する法律案（政府提出）　第一讀會
  　第四　市町村立小學校教員退隱料及遺族扶助料法中改正法律案（政府提出）　第一讀會
  　第五　府縣立師範學校長俸給竝公立學校職員退隱料及遺族扶助料法中改正法律案（政府提出）　第一讀會
  　第六　明治二十九年法律第十三號中改正法律案（政府提出）　　　　　　　　第一讀會
  　第七　明治四十五年法律第十一號中改正法律案（政府提出）　　　　　　　　第一讀會
  　第八　明治三十三年法律第七十七號中改正法律案（政府提出）　　　　　　　第一讀會
  　第九　右各案の審査を付託すへき委員の選擧
  　第十　黄燐燐寸製造禁止法案（政府提出）　　　　　　　　　　　　　　　　第一讀會
  　第十一　右議案の審査を付託すへき委員の選擧
  　第十二　畜牛結核病豫防法中改正法律案（政府提出）　　　　　　　　　　　第一讀會
  　第十三　右議案の審査を付託すへき委員の選擧
  　第十四　南部支那に於ける領事官の裁判に關する法律案（政府提出、貴族院送付）　第一讀會の續（委員長報告）
  　第十五　栃木縣の治水事業に關する建議案（高田耘平君外一名提出）　　　　（委員長報告）
  　第十六　徴兵令事務施行細則改正に關する建議案（植原悦二郎君提出）
  　第十七　産業組合法及重要物産同業組合法改正竝同組合振興に關する建議案（土井權大君提出）
  　第十八　成年調査に關する建議案（奧村安太郎君外一名提出）
  　第十九　石油政策に對する燃料調査會設立に關する建議案（高野毅君提出）
  　第二十　特別市制促進に關する建議案（作間耕逸君外五名提出）
  　第二十一　多摩川改修費及水源涵養費國庫支辨に關する建議案（秋本喜七君外二名提出）
  　第二十二　多摩川改修費及水源涵養費國庫支辨に關する建議案（高木正年君外六名提出）
  　第二十三　免囚差別待遇撤廢に關する建議案（鮎川盛貞君提出）
  　第二十四　救世軍補助に關する建議案（横山勝太郎君提出）
  　第二十五　科學知識普及に關する建議案（鈴木錠藏君提出）
  　第二十六　遠美鐵道速成に關する建議案（松浦五兵衞君外五名提出）
  　第二十七　大垣、大野、金澤間鐵道速成に關する建議案（西村正則君外八名提出）
  　第二十八　熱海線完成に關する建議案（森恪君提出）
  　第二十九　米穀專賣法制定に關する建議案（小菅劍之助君外三名提出）
  　第三十　商務省及工務省設置に關する建議案（奧村安太郎君外一名提出）
  　第三十一　癲狂院増設に關する建議案（中馬興丸君外三名提出）
  　第三十二　傳染病豫防法改正に關する建議案（松下禎二君外三名提出）
  　第三十三　中央線淺川驛鹽山驛間電力速成に關する建議案（三枝彦太郎君提出）
  　第三十四　賣藥營業税廢止に關する建議案（高見之通君外二名提出）
  　第三十五　大阪和歌山間鐵道敷設に關する建議案（山口義一君外四名提出）
  　第三十六　國分岩川間鐵道敷設に關する建議案（日野辰次君外一名提出）
  　第三十七　櫻井松坂間鐵道速成に關する建議案（津野田是重君外九名提出）
  　第三十八　勢江鐵道速成に關する建議案（天春文衞君外七名提出）
  　第三十九　西條松山間鐵道豫定線一部變更に關する建議案（成田榮信君外五名提出）
  　第四十　温泉政策に關する建議案（成田榮信君外一名提出）
  　第四十一　港灣行政に關する建議案（三善清之君外四名提出）
  　第四十二　鹿兒島縣各離島航海補助増額に關する建議案（祷苗代君外七名提出）
  　第四十三　三原呉間鐵道敷設速成に關する建議案（井上角五郎君外三名提出）
  　第四十四　酒造税法中改正に關する建議案（中村清造君外四名提出）
  　第四十五　農産物收穫調査及農家經濟調査確立に關する建議案（土井權大君提出）
  　第四十六　軍人恩給法中改正に關する建議案（近藤達兒君提出）
  　第四十七　清酒の滓引及貯藏減量控除額増加に關する建議案（山邑太三郎君外二名提出）
  　第四十八　相可町大口港間鐵道敷設に關する建議案（伊坂秀五郎君外四名提出）
  　第四十九　野岩羽鐵道速成に關する建議案（八田宗吉君外三名提出）
  　第五十　柳津小出間及只見古町間鐵道速成に關する建議案（八田宗吉君外三名提出）
  　第五十一　濃飛鐵道速成に關する建議案（匹田鋭吉君外三名提出）
  　第五十二　僧侶其の他諸宗教師に被選擧權附與に關する建議案（安藤正純君提出）
  　第五十三　東京外國語學校修業年限延長に關する建議案（菅原傳君外三名提出）
  　第五十四　北海道本州連絡完成に關する建議案（伊藤廣幾君外四名提出）
  　第五十五　木次三次間鐵道建設に關する建議案（原夫次郎君外五名提出）
  　第五十六　落合木次間鐵道起工年度繰上に關する建議案（佐野正雄君外五名提出）
  　第五十七　日向沿岸國庫補助港設定に關する建議案（長峰與一君外二名提出）
  　第五十八　恩給法規の根本改正に關する建議案（高木正年君外二名提出）
  　第五十九　福山三次間鐵道速成に關する建議案（永屋茂君外三名提出）
  　第六十　吉野縱貫鐵道建設に關する建議案（岩本平藏君外三名提出）
  　第六十一　癲豫防關係法規改正に關する建議案（中馬興丸君外二名提出）
  　第六十二　山田川に河川法適用に關する建議案（原田藤次郎君外五名提出）
  　第六十三　鴨緑江岸道路修築に關する建議案（高見之通君外五名提出）
  　第六十四　京都監獄移轉に關する建議案（竹上藤次郎君外三名提出）
  　第六十五　六大都市特別市制速施に關する建議案（奧村安太郎君外三名提出）
  　第六十六　國幣大社大山祗神社昇格に關する建議案（深見寅之助君外五名提出）
  　第六十七　國幣大社大山祗神社國寶殿建築に關する建議案（深見寅之助君外五名提出）
  　第六十八　山田豐岡間鐵道速成に關する建議案（長田桃藏君外二名提出）
  　第六十九　富山伏木間鐵道建設に關する建議案（高見之通君外三名提出）
  　第七十　松江隱岐間海底電線増設速成に關する建議案（若林徳懋君外五名提出）
  　第七十一　金融機關整備に關する建議案（河上哲太君外十一名提出）
  　第七十二　思想問題審議機關設置に關する建議案（星島二郎君提出）
  　第七十三　樞密院官制改正に關する建議案（副島義一君提出）
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• 001・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　諸般ノ報告ヲ致シマス
  〔原田書記官朗讀〕
  一政府ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
  六大都市行政監督ニ開スル法律案
  都市計畫地方委員會職員ノ恩給及遺族扶助料ニ關
  スル法律案
  市町村立小學校〓員退隱料及遺族扶助法中改正
  法律案
  府縣立師籠學校長俸給竝公立學校職員退隱料及
  遺族扶助料法中改正法律案
  明治二十九年法律第十三號中改正法律案
  明治四十五年法律第十一號中改正法律案
  明治三十三年法律第七十七號中改正法律案
  黄燐燐寸製造禁止法案
  畜牛結核病豫防法中改正法律案
  (以上三月十日提出)
  小田原電氣鐵道株式會社所屬軌道經營廢止ニ對ス
  ル補償ノ爲公債發行ニ關スル法律案
  (以上三月十二日提出)
  議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
  勞働組合法案
  提出者箕浦勝人君下岡忠治君
  早速整爾君關和知君
  古屋慶隆君鈴木富士彌君
  疾病保險法案
  提出者箕浦勝人君下岡忠治君
  早速整爾君關和知君
  古屋慶隆君鈴木富士彌君
  疾病保險特別會計法案
  提出者箕浦勝人君下岡忠治君
  早速整爾君關和知君
  古屋慶隆君鈴木富士彌君
  工場法中改正法律案
  提出者箕浦勝人君下岡忠治君
  早速整爾君關和知君
  古屋隆慶君鈴木富士彌君
  鑛業法中改正法律案
  提出者箕浦勝人君下岡忠治君
  早速整爾君關和知君
  古屋慶隆君鈴木富士彌君
  橿原神宮第二期宮域擴張及建物修築ニ關スル建議
  案
  提出者小橋藻三衞君早川龍介君
  山邑太三郞君押川方義君
  有益鳥獸及有用植物保護法制定ニ關スル建議案
  提出者吉良元夫君
  滿洲大學設立ニ關スル建議案
  提出者佐藤寅太郞君
  御殿場大宮間及吉田大月間鐵道速成ニ關スル建議
  案
  提出者岩崎動君〓崟太郞君
  三枝彥太郞君
  癩傳染病絕對防止ニ關スル建議案
  提出者鵜澤總明君岩崎動君
  八木逸郞君
  官幣大社三島神社ノ修繕竝ニ境内擴張整理ニ關ス
  ル建議案
  提出者岩崎勳君小泉策太郞君
  水戶鹿島間高濱延方間及玉造鉾田間鐵道速成ニ
  關スル建議案
  提出者宮古啓三郞君谷津新八郞君
  市村貞造君
  阿武隈川阿賀川改修工事費國庫補助增額ニ關スル
  建議案
  提出者中野寅吉君河野廣中君
  鈴木周一郞君金澤安之助君
  柳津小出間及只見古町間鐵道速成ニ關スル建議案
  提出者中野寅吉君河野廣中君
  鈴木周一郞君金澤安之助君
  牧口義矩君大竹貫一君
  坂口仁一郞君齋藤巳三郞君
  野岩羽鐵道速成ニ關スル建議案
  提出者中野寅吉君河野廣中君
  鈴木周一郎君·金澤安之助君
  黑金泰義君佐藤啓君
  阿由葉勝作君高田耘平君
  (以上三月十日提出)
  四國重要港灣整備ニ關スル建議案
  提出者原田佐之治君田中定吉君
  河上哲太君深見寅之助君
  水野吉太郞君三善〓之君
  海原〓平君國澤新兵衞君
  四國鐵道各線速成ニ關スル建議案
  提出者原田佐之治君河上哲太君
  渡邊修君成田榮信君
  矢野丑乙君竹內明太郞君
  國澤新兵衞君水野吉太郞君
  大石大君坂本素魯哉君
  淺石惠八君海原〓平君
  岡順次君蓮井藤吉君
  田中定吉君大林森次郞君
  宮河内谷川改修費國庫補助ニ關スル建議案
  提出者岡順次君原田佐之治君
  淺石惠八君海原〓平君
  德島監獄廳舎移轉ニ關スル建議案
  提出者海原〓平君原田佐之治君
  淺石惠八君岡順次君
  社會政策ニ必要ナル資金ニ關スル建議案
  提出者三善〓之君坪田十郞君
  鳩山一郞君山口義一君
  水野吉太郞君高見之通君
  山田永俊君毛里保太郞君
  竹上藤次郞君石川淳君
  植竹龍三郞君
  (以上三月十一日提出)
  寺泊築港ニ關スル建議案
  提出者高橋金治郞君木村〓三郞君
  丸山嵯峨一郞君
  (以上三月十二日提出)
  一議員ヨリ提出セラレタル質問主意書左ノ如シ
  獨逸賠償船選擇ニ關スル質問主意書
  提出者田中萬逸君
  (以上三月十日提出)
  司法權ノ威信ニ關スル第三質問主意書
  提出者横山勝太郞君八並武治君
  火葬船葬禮株式會社ノ營業ニ關スル質問主意書
  提出者横山勝太郎君高木正年君
  太田信治郞君
  昇格問題ニ付原内閣總理大臣及中橋文部大臣ノ貴
  族院ニ於ケル釋明ニ關スル質問主意書
  提出者下岡忠治君早速整爾君
  關和知君
  (以上三月十一日提出)
  一昨十日貴族院ニ於テ本院ノ送付ニ係ル左ノ議案ヲ可
  決シタル旨同院ヨリ通牒ヲ受領セリ
  一年現役小學校〓員俸給費國庫負擔法案(政府提
  出
  一去十日內閣總理大臣ヨリ議長宛ノ通發令アリタル
  旨ノ通牒ヲ受領セリ
  農商務書記官戶田保忠
  農商務省所管事務政府委員被仰付
  〔左ノ報告ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭載
  ス〕
  一去十日議長ニ於テ選定シタル委員左ノ如シ
  產業組合法中改正法律案外一件
  福井三郞君長谷場敦君西川嘉門君
  鐸木三郞兵衞君梅田潔君塚原嘉藤君
  西村伊亮君矢野丑乙君金光庸夫君
  若林德懋君木村作次郞君樋渡次右衞門君
  高田耘平君淺賀長兵衞君橫山勝太郞君
  佐竹庄七君土井權大君奥村千太郎君
  未成年者飮酒禁止法案
  野村勘左衞門君根本正君山田永俊君
  山崎猛君飯島信明君中馬興丸君
  八並武治君富永孝太郞君奥村安太郞君
  辯護士法改正法律案
  中西六三郞君鵜澤總明君石井三郞君
  黑住成章君高見之通君大通寺慶男君
  磯田粂三郞君原夫次郞君永屋茂君
  大石大君有馬秀雄君久木田叶君
  横山勝太郞君武內作平君鈴木富士彌君
  野田文一郞君〓瀨一郞君森下龜太郎君
  所得稅法中改正法律案外四件
  遠藤良吉君岩本平藏君熊谷直太君
  齋藤鷲太郞君波多野喜右衞門君荒川五郞君
  阿由葉勝作君淺賀長兵衞君大口喜六君
  地方學事通則中改正法律案
  宮崎三之助君竹澤太一君樋口伊之助君
  池田泰親君坪田十郞君益谷秀次君
  野尻彌重郞君岡本幹輔君山邑太三郞君
  民法中改正法律案
  毛里保太郞君根本正君益谷秀次君
  中村喜平君永屋茂君蓮井藤吉君
  森山儀文治君藤井啓一君松下禎二君
  埼玉縣下郡界變更ニ關スル法律案
  竹上藤次郞君鳩山一郞君中島守利君
  樋口伊之助君長谷川宗治君山崎猛君
  綾部惣兵衞君神谷彌平君矢島專平君
  一去十日航空事業ノ擴張及其ノ行政機關ノ統一ニ關
  スル建議案委員吉原祐太郞君辭任ニ付其ノ補閱ト
  シテ八田宗吉君ヲ議長ニ於テ選定セリ
  一昨十一日所得稅法中改正法律案外四件委員淺賀
  長兵衞君辭任ニ付其ノ補關トシテ下田勘次君ヲ、地
  方鐵道法中改正法律案外一件委員靑柳郁次郞君
  辭任ニ付其ノ補闕トシテ有馬秀雄君ヲ孰レモ議長ニ
  於テ選定セリ
  一今十二日發明獎勵ニ關スル建議案外一件委員宇野
  勇作君辭任ニ付其ノ補闕トシテ石川善盛君ヲ議長ニ
  於テ選定セリ
  一昨十一日常任委員補關選擧ノ結果左ノ如シ
  第五部
  決算委員松下禎二君(鎌田三郞兵衞君補關)
  一去十日理事補開選擧ノ結果左ノ如シ
  供託法中改正法律案委員
  理事作間耕逸君(理事橫山勝太郞君補關)
  一昨十一日委員長及理事互選ノ結果左ノ如シ
  產業組合法中改正法律案外一件委員
  一木村作次郞君
  委員長福井三郞君理事土井權大君
  (奧村千太郞君
  未成年者飮酒禁止法案委員
  委員長野村勘左衞門君理事奧村安太郞君
  辯護士法改正法律案委員
  (大道寺慶男君
  委員長中西六三郞君理事鈴木富士彌君
  一清瀨一郞君
  所得稅法中改正法律案外四件委員
  委員長遠藤良吉君理事岩本平藏君
  地方學事通則中改正法律案委員
  委員長宮崎三之助君理事野尻彌重郞君
  民法中改正法律案委員
  委員長松下禎二君理事永屋茂君
  埼玉縣下郡界變更ニ關スル法律案委員
  委員長竹上藤次郞君理事矢島專平君
  一昨十一日常任委員理事補闕選舉ノ結果左ノ如シ
  決算委員
  理事松下禎二君(理事鎌田三郞兵衞君補闕)
  一昨十一日衆議院規則第十五條但書ニ依リ議長ニ於
  テ議席ヲ左ノ如ク變更セリ
  七田川大吉郞君二〇高橋義信君
  七四有森新吉君七五吉村鉄之助君
  四一三蓮井藤吉君

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• 002・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　會議ヲ開キマス、諮問事項ガアリマ
  ス、議員谷津新八郞君病氣ニ付、三月十一日ヨリ九日間請
  暇ノ申出ガアリマシタ、之ヲ許可スルニ御異議アリマセヌカ
  〔「異議ナシ」「異議ナシ」ノ聲起ル〕

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• 003・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　御異議ナイト認メマス、仍テ許可ス
  ルニ決シマス-日程第一、六大都市行政監督ニ關スル法
  律案ノ第一讀會ヲ開キマス、床次內務大臣
  第六大都市行政監督ニ關スル法律案
  (政府提出)第一讀會
  六大都市行政監督ニ關スル法律案
  市ノ公共事務及法律ノ定ムル所ニ依リ市又ハ市長ニ屬
  スル國ノ事務ニ關シ府縣知事ノ許可又ハ認可ヲ要スル
  事件ニ付テハ東京市、京都市、大阪市、横濱市、神戶市
  及名古屋市ニ限リ勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ許可又ハ
  認可ヲ受ケシメサルコトヲ得
  附則
  本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
  〔國務大臣床次竹二郎君登壇、拍手起ル〕

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• 004・床次竹二郎

  ○國務大臣(床次竹二郞君)　輓近都市發展ノ趨勢ニ從
  ヒマシテ、東京、京都、大阪、横濱、神戶、名古屋ノ所謂六大
  都市ハ、其戶口經濟力、事務處理ノ能力等、遙ニ他ノ都市
  ヲ凌駕致シマシテ、其實力ニ於テハ府縣ト肩ヲ竝ベテ居ル
  次第デアリマス、然ルニ從來其行政ノ監督ニ就テハ、他ノ小
  都市ト何等區別ガゴザイマセヌ、總テ劃一的ニ取扱ハレテ
  居ル譯デゴザイマス、斯ノ如キハ實際ニ於テ適當ナフザルコ
  トヽ考ヘルノデアリマス、仍テ此六大都市ノ監督ニ就キマシ
  テ特例ヲ設ケマスルコトハ、最モ事宜ニ適スルモノト思ヒマス
  ソレ故ニ先ヅ市ノ公共事務ニ就テハ、市制ノ規定ニ依リ、
  市ガ府縣知事ノ許可ヲ受クルヲ要スル事項ニ就テハ、勅令ノ
  定ムル所ニ依ッテ其許可ヲ省略スルコトニ致ス考デ、調査ヲ
  進メテ居ル所デゴザイマス、市制以外各種ノ法律ニ規定セ
  ラレマシタ國ノ委任事務等ニ就キマシテモ、同一ナル取扱ニ
  出デマセヌケレバ、前申ス如ク終始一貫致サヌ譯デゴザイマ
  ス、是等ノ法律中、市行政ニ關シ府縣知事ノ許可又ハ認可
  ヲ要スト定メタル事項ハ、六大都市ニ限リマシテ、勅令ノ定
  ムル所ニ依ッテ、其手續ヲ省略シ得ル途ヲ開キタイト思ヒマ
  シテ、爰ニ單行法律案ト致シマシテ提出シテ、御協賛ヲ求ム
  ル次第デゴザイマス、何卒然ルベク御審議ヲ願ヒマス(拍手
  起ル)

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• 005・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　本案ニ就キマシテ質疑ノ申込ガア
  リマス、順序ニ依リマシテ之ヲ許シマス-紫安新九郞君
  〔紫安新九郞君登壇、拍手起ル〕

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• 006・紫安新九郎

  ○紫安新九郞君　諸君、私ハ只今上程ニナリマシタル、法
  律案ニ就テ、政府當局ニ質問セントスル者デアリマス、曩ニ
  豫算總會ニ於キマシテ、私ガ政府ハ今期議會ニ六大都市ニ
  關スル特別市制案ヲ、御出シニナルノデアルカドウデアルカト
  云フコトヲ質問致シタニ對シテ、床次內相ハ、特別市制案ヲ
  今期議會ニ出ス考ハ無イガ、併シ何等カ解決ノ方法ヲ執リ
  タイト思フカラシテ、目下其手續中デアル、是ハ成ベク提出
  スルコトニナルノデアラウト云フ御答辯デアリマシタカラシテ
  私ハ政府ガ何等カ此六大都市ニ對スル特別市制案ニ代ル
  ベキモノヲ出サレルノデアラウト、實ハ頸ヲ長クシテ待ッテ居ッ
  タノデアリマスガ、所ガロハ今上程セラレタル法律案ガ其對應
  策ト見ルベキモノデアリマス、此法律案ヲ見マスルト、本員等
  ガ多年希望シテ居ッタル所ト相距ルコト極メテ遠キモノデア
  ルト共ニ、政府ガ此法案ヲ出スニ至レル動機其ノモノニ就テ
  モ、實ハ甚ダ香バシカラザルモノガアルノデアリマス、併ナガ
  ラ私ハ敢テ其香パシカラザル動機ヲ、爰ニ摘發スルコトハ好
  マナイノデアリマス、本案ニ依ッテ政府ガ六大都市ニ對シテ、
  特別ナル働キヲ爲サシメントスル所ノ根據ハ、何所ニアルカ
  ト云フコトヲ想像致シマスルト、恐ラクハ市制第百六十九
  條ニ依ルノデアラウト思フノデアル、所デ此市制第百六十九
  條ニ、勅令ヲ以テ府縣知事ニ監督ヲ委任セル事柄ガ尠カラ
  ヌノデアリマスガ、其中ニ於テ稍〓、働キノアルモノト云ヘバ、小
  學校ノ建築費、傳染病豫防費、災害復舊費等ノ爲メニ、三
  年以内ニ償還スル市債ニ就テ、府縣知事ノ許可ヲ要スル事
  柄ヲ、勅令ヲ以テ更ニ之ヲ要シナイコトニスルト云フ此一事
  ヲ除キマスルト、他ノ事柄ハ殆ト是ハ毒ニモナラヌケレバ、藥
  ニモナラナイト云フ程ノ事柄ニ過ギナイト思フノデアリマス、
  自治制ノ初期アルナラバイザ知ラズ、今日ノ時代ニ於テハ
  斯樣ナル除外例ハ、之ヲ我國ノ大都市タル六大都市ノミニ
  除外例ヲ設クルニモ當ラナイ、斯樣チル除外例ハ、是ハ一般
  ノ各都市ニ許シテ何等差支ナシト本員ハ認メルノデアリマ
  ス、然ルニ政府ハ何故ニ之ヲ單ニ六大都市ノミニ限シテ、他
  ノ一般ノ都市ニ適用セントスルコトニ出テナカッタノデアリマ
  スルカ、之ヲ私ハ第一ニ政府ニ問ハザルヲ得ナイノデアリマス、
  年來大都市ガ政府ニ對シテ要求シテ居リマシタル特別市
  制ナルモノハ、本案ノ如キ些末ナル問題デハナイノデアル、卽
  チ府縣ト對立スル所ノ獨立自治體ヲ構成セントスルニ在ツ
  タノデアリマス、卽チ全ク府縣知事ノ監督ヨリ脫セントスル
  ニ在ッタノデアリマス、東京、京都、大阪、横濱、名古屋、神戶
  市ノ如キ、此六大都市ニ於キマシテハ、其經済力ノ點カラ言
  フモ、其人口ノ點カラ言フモ、其實力ノ點カラ言フモ遙ニ府
  縣ノ上ニ在ルノデアリマス、然ルニ政府ガ依然トシテ之ニ對
  シテ二重監督ヲ加ヘテ居ルト云フコトハ、啻ニ是等都市ノ
  事務ヲ澁滯セシムルノミナラズ、市ノ健全ナル發達ヲ阻碍ス
  ルモノデアルト本員ハ謂ハザルヲ得ヌノデアリマス、我國文化
  ノ中心タル六大都市ガ、自ラ進ンデ其希望ト信念ニ依ッテ
  大ナル運命ヲ開拓シテ、國家ニ貢獻スルト共ニ、市民ノ利福
  ヲ增進セントシテ、二重監督ヨリ脫センコトヲ多年希望シテ
  居ルニモ拘ラズ、政府ハ何故ニ之ヲ阻ムノデアリマセウカ是
  レ本員等ノ甚ダ解スルニ苦シム所デアリマス、現政府ハ自己
  ノ立場ニ都合ノ好イ場合ニハ、往々ニシテ歐米ノ事ヲ例ニ
  引クノデアリマス、卽チ曩ニ鐵道ノ運賃貨物引上ニ際シマ
  シテモ、歐米諸國ノ鐵道運賃率ハ斯樣デアル、仍テ我國ノ
  鐵道ノ運賃率モ斯ク引上ゲルノガ當然デアルト言ッテ、鐵
  道ノ運賃引上ニ對シテモ、歐米諸國ノ例ヲ引合ニ出セシガ
  如キハ、殆ド兒戯ニモ等シイ事デアルト私ハ思フノデアル、政
  府ハ今日ニ於テ五大强國ノ一ニ在ル所ノ、我國大都市ノ
  市制ニ對シテ改正ヲ加へントスルナラバ、何故ニ倫敦ヤ紐
  育ニ於ケル市制ヲ參照シナイノデアラウカ、私共ハ政府ガ今
  日ニ於テ倫敦ヤ紐育ノ市制ヲ參酌シテモ、決シテ無用デナ
  イコトヲ認メルノデアリマス、床次內務大臣ガ志ヲ地方制度
  ノ改良ニ懷ケルコトハ、本員之ヲ諒トスルノデアリマス、唯ダ
  惜ムラクハ床次君ハ政治家的ノ勇斷ニ乏シイ其結果トシ
  テ、曩ニ提案セラレタル市制及町村制ニ於テモ、又今上程セ
  ラレタル本案ニ就テモ、國家的經綸ニ觸レナイト云フコトハ
  私ハ床次君ノ爲ニ大ニ憾トセザルヲ得ナイノデアリマス、之
  ヲ要シマスルノニ、特別市制ニ關スル大都市ノ要求ヲ餘リ二
  甘ク見テ居ル、六大都市ガ年來要求シテ居ッタ事柄ハ、譬ヘ
  テ申サバ棒程ノ大サデアッタノデアル、所ガ此對應策トシテ政
  府ガ提出セル本案ハ、針程ノ價値モ私ハ無イノデアッタラウ
  ト思フノデアリマス、政府ハ何故ニ單ニ勅令ヲ改正スルノミ
  ニ止メテ、一指ダモ市制其モノヽ改良ニ觸レナカッダノデアル
  カ、此點ニ就テ私ハ床次君ノ率直ナル答辯ヲ求メタイノデア
  リマスガ、床次君ハ貴族院ニ出席シナケレバナラヌカラト言ッ
  テ退場セラレタト云フコトデアリマスカラ、私ハ更ニ内務次
  官ノ僞ラザル、率直ナル御答辯ヲ要求スルノデアリマス(拍手
  起ル)

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• 007・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　小橋內務次官
  〔政府委員小橋一太君登壇、拍手起ル〕

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• 008・小橋一太

  ○政府委員(小橋一太君)　紫安君ノ御尋ニ御答致シマ
  ス、先ヅ以テ能ク條文ヲ御覽願ヒタイト思フ、紫安君ノ御尋
  ハ、洵ニ權限委任トシテハ不徹底デアル、市制第百六十九
  條ノ勅令ニ依シテ委任セラレタル程度ノモノデアルナラバ、普
  通ノ市ニ持ッテ行ッテモ、同ジデハナイカト云フ御尋ノヤウニ
  思ヒマス第一ハ

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• 009・紫安新九郎

  ○紫安新九郞君　違ヒマス、左樣ナコトハ普通ノ市ニモ御
  許シニナッテモ宜イ、何故ニンレヲ普通ノ市ニ御許ニナラヌカ
  ト云フノデス

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• 010・小橋一太

  ○政府委員(小橋一太君)(續)　ソレデ百六十九條ニ依ツ
  テ、アノ勅令ニ依ッテヤッテ居ルモノハ普通ノ市ニ許シテ居リ
  マス、普通ノ市デアノ關係トハ此法律案ハマルデ違フノデアッ
  テ、此法律ニ依シテ市ノ公共事務ノ重大ナル事モ、又廣ク法
  律ニ依シテ府縣知事ノ權限ニナッテ居ル事ヲ、其市長直接ノ
  權限ニ移ス規定デアリマシテ、決シテ百六十九條ノ狹イ意
  味ノ委任デハアリマセヌ、ンレデ此單行法律ニ依ッテ六十八
  都市ノ市長ノ權限ハ十分ニ擴張セラルヽ積リデアリマス、ソ
  レカラ特別市制ノ御話デアリマシタガ、特別市制ニ就テハ六
  大都市ノ建議等ハ昨年來アリマシタ、アレニ就テモ十分〓
  究ヲ盡シタノデアリマスガ、此特別市制ノ事タルヤ、單ニ倫
  敦トカ紐育トカ云フヤウナ例ヲ以テ御言ヒニナルカナレド
  モ、此行政組織ノ根據ニ於テ大分違ッテ居ル、日本トシテハ
  特別市制ノ徹底的ノ〓究ヲ遂ゲナケレバ、到底其十分ナル
  事ハ致シ兼ネルノデアリマス、其特別市制ノ關係ハ、愼重ナ
  ル調査ノ結果ニ待タナケレバ、是ハ容易ニ決定セラルベキモ
  ノデナイト思フノデアリマスガ、第一ノ御尋ハ、六大都市ノ市
  長ニ對シテ、重大ナル權限ヲ此單行法律ニ依っテ與ヘルコト
  ニナルノデアリマスカラ、十分ナル御滿足ガアラウト私ハ思,
  テ居ルノデアリマス(拍手起ル)

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• 011・紫安新九郎

  ○紫安新九郞君　私ハ第一ノ質問ハ、六大都市行政監
  督ニ關スル法律案ト云フ只今上程ノ如キ事柄ハ、單ニ六大
  都市ニ限ル程ノ事柄デハナイ、斯樣ト事柄ハ自治制ノ初期
  ナラバイザ知ラズ、今日ノ時代ニ於テハ、是ハ全國ノ各市ニ
  許シテ何等差支ナイモノデアル、然ルニ政府ハ何故ニ之ヲ六
  大都市ノミニ限定シテ、他ノ都市ニハ許サナカッタカト云フ
  ノガ、私ノ第一ノ質問デアリマス、第二ノ質問ニ至リマシテ
  ハ、政府ノ見ル所ト本員等ノ見ル所ト、其見解ヲ異ニシテ居
  リマスカラ、此點ニ就テハ更ニ質問スルコトハ打切リマス

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• 012・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　小橋內務次官
  〔政府委員小橋一太君登壇、拍手起ル〕

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• 013・小橋一太

  ○政府委員(小橋一太君)　第一ノ點ノ御尋モ意見ノ相
  違ト認メマズ、六大都市ニ與フルニ是ダケ十分ニ廣イ權限
  ハ適當デアルガ、他ノ諸市ニ對シテハ、斯ノ如キ權限ハ與フ
  ルベキモノニ非ズト信ジテ居リマスルシ、市制第百六十九條
  ノ勅令委任ノ程度デ、今日ニ於テハ十分ナリト認メテ居リ
  マス

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• 014・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　春日君、議事ノ進行ニ就テ發言ノ
  通告ガアリマシタガ、之ヲ許シマス(拍手)
  〔春日俊文君登壇〕

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• 015・春日俊文

  ○春日俊文君　去ル九日ノ本會ニ三木武吉君カラ提出シ
  マシタ、朝鮮統治ニ關スル決議案ノ討議中、木下謙次郞君
  ガ其中途ニ於テ「狂態」ニ云々ト云フコトヲ言ハレ、之ニ對ス
  ル議長ノ注意ニ依ッテ一旦取消サレタノデアリマス、然ルニ
  其後ニ至リマシテ再ビ斯樣ナコトヲ言ウテ居ル、是ハ此當時
  議場ガ騒擾シテ居リマシタガ故ニ、或ハ正確デアルカドウカ
  ト云フコトニ就テ疑ヲ持ッテ居リマシタカラ、今日此速記錄
  ノ出來ルマデ殘シタノデアリマスガ、「或ハ彈効ト云ヒ、或ハ
  決議ト云ヒ、或ハ質問ニ名ヲ藉リ、或ハ建議ニ名ヲ藉リ、斯
  ウシテ議會開會中ノ年中行事ト做シ、斯クシテ徒ラニ時局
  ヲ攪亂シ、國務ノ進行ヲ妨害セントスル狂態ヲ演ズルノデア
  リマス」ト再ビ、斯樣ニ言ッテ居ル、既ニ議長ノ注意ニ依テ一
  タビ取消シテ居リナガラ、更ニ同一演說中復タ斯ノ如キコ
  トヲ言フト云フコトハ、(「當リ前ダ」ト呼フ者アリ)木下君自
  身ガ狂態デアル、當前デハナイノデアリマス、之ニ對シテ議長
  ハ御聽取ニナッテ、此御注意ヲ怠ッタノデアルカ、若クハ騒擾
  中デアッタカラシテ、御聽取リガ出來ナカッタノデアルカ、之ヲ
  伺ウノデアリス

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• 016・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　春日君ニ御答シマスガ、遺憾ナガ
  ラ其際ニ於テハ、當議長ハ離席シテ居リマシタカラ、直チニ
  御答ハ出來マセヌケレドモ、木下君ハ其前ニ於テ副議長ノ
  注意ニ依ノテ取消サレタノデ、ソレト同一ノ事柄ナラバ復
  夕取消サレルダラウ思ヒマスガ、是亦遺憾ナガラ議場ニハ其
  席ニ著イテ居リマセヌ、其要領ヲ得ザル譯ニ行キマセヌ、能
  ク要領ヲ得タ後ニ答ヘマス、奥村安太郞君

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• 017・奧村安太郎

  ○奧村安太郞君　只今私ノ質疑セントスル事ハ紫安君カ
  ラ

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• 018・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　取消シマスカ

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• 019・奧村安太郎

  ○奧村安太郞君　イヤ取消サヌ···
  〔「登壇々々」ト呼フ者アリ〕
  〔奥村安太郞君登壇、「簡單」ト呼フ者アリ〕

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• 020・奧村安太郎

  ○奧村安太郞君　至極簡單ニヤリマス、私ノ問ハント欲ス
  ル所ハ、紫安君ガ大抵言ッテ吳レマシタ、(「簡單」ト呼フ者ア
  リ)至極簡單ニヤラウト思ヒマス、私ハ本案ノミニテモ、自治
  開發ノ一進歩デアラウト考ヘマス、ソレナラモウ質問スル事
  ガ無イ譯デアリマスガ、併ナガラ昨年六大都市ヨリンレ〓〓
  建議案ヲ提出シマシテ、ドウデモ特別市制ノ貫徹ヲ圖ラナ
  ケレバナラヌト云フコトデアッタノデゴザイマス、政府ハ又之
  ニ對シテ明答ハ與ヘラレナンダガ、動モスレバ之ヲ實施スル
  カノヤウナ口吻デアッタノデゴザイマス、所ガ圖ラズモ今日本
  案ガ出マシタコトハ、六大都市ノ市民ノ大ナル失望デアラウ
  ト考ヘルノデアリマス、六大都市ハ抑〓政府ノ何時モ重キヲ置
  カレル所ノ營業稅ニ於テ、日本ノ稅金ノ半分ヲ負擔シテ居
  ルノデアリマス、又所得稅ニ於テ、是ガ三分ノ一ヲ負擔シテ
  居ルノデゴザイマス、六大都市ガ國家ノ向上發展ニ對シテ
  ハ、最モ大ナル活力ヲ有スルモノデアリマス(「左樣ク」ト呼フ
  者アリ)ニモ拘ハラズ、今日思モ寄ラヌ斯ル小サナ法律案ヲ
  出サレルコトハ、私モ共ニ大ナル失望ヲ抱ク者デゴザイマス、
  所ガ六大都市ノ希望シテ居リマスノハ、特別市制ノ外ニ二
  重監督ノ撤廢ヲ希望シテ居ッタノデアリマス、所ガ共ニ是ハ
  駄目ニナッテシマヒマシタ、今日ノ場合ハ殆ド政府ハ、特別市
  制ナドヽ云フモノハ頭ニ無イヤウナ考カノヤウニ見エルノデ
  アリマス、(「君ノ頭モ怪シイ」ト呼フ者アリ)八釜マシク言フ
  タ所デ、政府ハ絕體ニ特別市制ヲ實施スル御考ハ無イノデ
  アリマスカ、之ニ就テハ政府ハ今日マデ色ミノ質問ニ對シテ
  御答ハアリマスガ、ハッキリトシタ所謂痒イ所ニ手ノ屆クヤウ
  ナ御答ガ無イノデアリマス、今日ハ所謂徹底的ノ痒イ所ニ
  手ノ屆クヤウナ御明答ヲ一ツ願ヒタイノデアリマス、若シ之
  ガ無イトスレバ、所謂二重監督ノ撤廢ハ御造リニナル御考
  ヘデアリマスカ、又絕對ニ御遣リニナラス御考ヘデアリマスカ
  ソレモイカナケレバドウシテモイケナイト云フコトヲ一ツ言ッテ
  戴キタイ、忌憚ナク言ヘバ、政府ノ責任アル御答ヲ願ヒタイ
  ト云フノデアリマス
  〔政府委員小橋一太君登壇、拍手〕
  〔「答辯ノ要ナシ」「默レ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=20

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• 021・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　靜ニ··

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=21

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• 022・小橋一太

  ○政府委員(小橋一太君)　六大都市ノ國家ノ發展ノ爲
  メニ重且ツ大ナルコトハ、政府ニ於テモ奧村君以上ニ重要
  ニ認メテ居リマス、而シテ六大都市ニ對スル所ノ從來ノ取
  扱モ、種々ナル點ニ於テ非常ナル考慮ヲ加ヘテ居ルノデアリ
  マスガ、隨テ此特別市制ノ事ニ就テモ、曩ニモ紫安君二御答致
  シマシタ通リ、其決定ニ就テ國家ノ發展上、地方自治ノ發
  展上ニ至重至大ノ關係ヲ有シマスルガ故ニ、之ニ就テハ愼
  重ナル調査ヲ盡シタ上デナケレバ、容易ニ決定スペキモノデ
  ハナイ、サリナガラ政府ニ於テモ目下十分ナル調査ヲ進メテ
  居リマスガ故ニ、適當ナル所ノ特別市制案ヲ得タナラバ、其
  機會ニ於テハ必ズヤ提出スルコトダラウト思ヒマス、而シテ
  此法律案ハ、餘程市長ニ權限ヲ委ネタノデアリマシテ、二
  重監督ノ撤廢ト、其效果ニ於テハ決シテ異ナラナイヤウニナ
  ルコトデアラウト考ヘテ居ルヤウナ次第デアリマス、單ニ二重
  監督撤廢ト云フノミデハ、却テ意味ヲ爲サヌコトデアリマス
  カラ、此法律案ノ適用コン、六大都市く市長ノ權限ニ大ナ
  ルモノヲ與ヘルコトニナルダラウト思ヒマス(拍手)
  〔森下龜太郎君登壇、拍手〕

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• 023・森下亀太郎

  ○森下龜太郎君　當衆議院ハ昨年ノ特別議會ニ於キマ
  シテ、特別市制ヲ施行スルコトノ希望ノ建議ヲ致シマシテ、
  滿場一致ヲ以テ可決致シタノデアリマス、是ニ於テ政府ハ
  當院ノ希望ヲ尊重サレマシテ、其希望ヲ充タスベク本案ヲ
  御提出ニナッタモノデアルカ、或ハ世ノ口善惡ナキ所ノ者ガ
  申シマスルヤウニ、折角衆議院カラ建議ノアッタモノデアルカ
  ラ、一時ノ胡麻化シトシテ、衆議院ノ其心慰メノ爲メニ本案
  ヲ提出シタト解釋スルノガ相當デアルカ、私ハ此點ニ就テ忌
  憚ナク意見ヲ申述ベテ、政府ノ責任アル御答辯ヲ請ヒタイ
  ト思フノデアリマス、諸君、御承知ノ通リ今日市又ハ市長ニ
  屬スル國ノ行政事務トシテ、之ヲ三樣ニ區別スルコトガ出
  來ルノデアリマス、卽チ其第一ハ內務大臣、及知事ノ許可
  ヲ要スル事項ヘ、ソレカラ單ニ內務大臣ノ許可ヲ要スル事項、
  第三ニハ獨リ知事ノ許可、若クハ認可ヲ要スル事項、市若
  クハ市長ニ屬スル所ノ市ノ行政事務トシテハ、右三種ノ部
  類ニ屬スルノデアリマスガ、此三ツノ種類ノ中ニ於キマシテ、
  今囘ノ提案ニ就テハ何レノ部分ヲ市長ノ專權ニ屬スルト云
  フコトニナサルノデアリマセウ、乃テ此提案ヲ見マスルト「市
  又ハ市長ニ屬スル國ノ事務ニ關シ府縣知事ノ許可又ハ認
  可ヲ要スル事件ニ付テハ」トアリマシテ、內務大臣若クハ府
  縣知事及內務大臣兩箇ノ許可ヲ要スル事件ニ付テハト云
  フ事ハ無イノデアリマシテ、唯ダ單純ニ府縣知事ノ許可又
  ハ認可ヲ要スル事件ニ付テハトアルノデアルカラ、ソレダケノ
  權限、卽チ今私ガ擧ゲマシタ所ノ第一、第二、第三ノ權能ノ
  範圍ニ屬スル、一番最終ニ於ケル唯ダ知事ノ許可ヲ要スル、
  極メテ瑣細ナル事項ニ就テノ權限ノミヲ、市長ニ一任スル
  コトニナッテ居ルノデアリマス、所デ諸君、果シテ先程內務次官
  ノ御說明ニナッタヤウニ、市ノ權限ガ從來ヨリヨリ以上ニ擴
  大セラレタト云フ風ニ解釋サレルノデアリマセウカ、私ハ其出
  來得ラレザル所ノ一大障碍ノ伏在シテ居ル所ノ法文ガ、尙
  ホ〓然トシテ存在シテ居ルコトヲ悲ムノデアリマス、其法文
  ト申シマスルノハ、市制ノ第百五十七條ノ規定デアリマス、
  市制ノ第百五十七條ノ規定ニ於テハ市ハ第一次ニ於テ府
  縣知事ガ之ヲ監督シ、第二次ニ於テ内務大臣ガ之ヲ監督
  スルト云フ規定ガ存在シテ居ル、ンコデ假令府縣知事ノ監
  督ト云フモノヲ、或ル一部分ダケ之ヲ解イタト致シマシテモ、
  內務大臣ノ監督ヲ受ケル手續上ト致シマシテハ、是ハ如何
  ナル法文、如何ナル慣羽白カラ出タモノデアリマスカ、御承知
  ノ如ク內務大臣ノ許可、若クハ認可ヲ受クベキ事項ニ就テ
  ハ、市長ハ必ズヤ府縣知事ノ手ヲ經由シテ、其書類ノ申達
  ヲ求メナケレバナラヌノデアリマス、府縣知事ノ手ヲ經由シ
  テ、許可若クハ認可ヲ求ムルト致シマスル以上ニ於キマシテ
  ハ、此市制ノ第百五十七條ノ存在ニ依リマシテ、府縣知事
  ハ市町村ヲ監督シナケレバナラヌ、監督ノ責任上ト致シマシ
  テハ、己レガ之ヲ取扱ヒ、己レガ之ヲ內務大臣ニ申達スル所
  ノ傳達ノ手續ヲ執リマシテハ、監督ノ貴任ノ歸スル所ハ、必
  ズヤ監督コリ生ズル一ノ責任ガ伴フノデアリマス、責任ガ伴
  フ結果、自己ノ監督上ヨリ其內務大臣ニ傳達スル間ニ於
  テ、玆ニ府縣知事ガ一ノ意見ヲ附スルト云フ必要ガアル、果
  シテ必要ガ有ルカ無イカ分リマセヌケレドモ、從來實際ノ取
  扱ノ手續ノ上ニ於デハ、第一次ニ於テ之ヲ監督スル關係上、
  其監督權ノ行使ノ上カラ一ノ責任ガ伴フ、其責任ノ伴フ關
  係上、府縣知事ハ市長ヨリ一ノ申達ノ事項ガアルナラバ、ソレ
  ニ對シテ意見ヲ付スル、意見ヲ付スルニハ、滅多矢鱈ノ意見
  ヲ付スルコトガ出來ナイト云フ口實ノ下ニ、ソレニ對シテ相
  當ノ審査調查ヲ要スルト云フ結果ヲ來スノデアリマス、然ラ
  バ其申達事項ニ就テ、監督官廳タル府縣知事ガソレニ對シ
  テ調査ヲ致ス、其調査ガ果シテ可能性ノモノデアルカ、不可
  能性ノモノデアルカドウカ、又可能性ノモノモアルデアリマセ
  ウ、併ナガラ私共常ニ大阪市ニ在住致シテ居ル者デアリマ
  スルガ、斯ノ如キ大都市ニナリマスルナラバ、大都市ノ獨特
  ノ關係トシテ、此水道若クハ港灣、若クハ其他有ユル社會
  事業、是等ノモノニ對シテノ總テノ事項ノ調査ト云フモノハ、
  斯ノ如キ事項ニ堪能ナル專門ノ學者、或ハ專門ノ智識經驗
  アル人ヲ聘シテ、市ハソレニ對シテ十二分ノ力ヲ盡シテ居ル
  ノデアリマス、此十二分ノ力ヲ盡シテ居ル人ニ對シテ、之ヲ
  監督スベキ監督官廳タル府縣ハ、如何ナル人ヲ以テ之ヲ監
  督シツヽアルカ、其監督ノ實ヲ擧ゲルコトノ出來得ル適當ノ
  才能、經驗、技術、是等ヲ有スル人ガ其局ニ當ッテ居ルカト
  申シマスルト、今日ノ各府縣ノ現狀ハ、到底東京ヤ、大阪ヤ、
  其他六大都市ノ如キ豐富ナル資源ヲ持シテ居ル所ノ市ニ對
  抗シ得ベクモナイノデアリマス、迚モ比較ニナラヌ地位、技倆、
  經驗ヲ有スル人ガ、自己ヨリ比較ニナラザル豊富ナル資源
  ト、豐富ナル才能ト、豐富ナル學殖ト經驗トヲ有スル人ノ仕
  事ヲ監督スルト云フコトハ、是ハ到底不可能ノ事デアル、ケレ
  ドモ監督官廳ト云フ顏ヲスルガ爲メニ、出來テモ出來ヌデモ
  其事柄ヲ調査スベク、或ル日時ト云フモノヲ無駄ニ費スコ
  トニナリマスカラ、結局其調査ハ無效ニ了リマスケレドモ、調
  査ヲスルコトノ形式ヲ執ルガ爲メニ、其間ニ於テ非常ナ日時
  ヲ要スル、現ニ大阪ノ如キハ此木津川埋立工事ヲ爲スベク
  大正七年ノ十二月ニ內務大臣ニ其手續ノ申達ヲ致シマシ
  タケレドモ、其理立工事ニ對シテ、知識ヲ有セナケレバナラヌ
  所ノ立場ニ在ル監督官廳ト云フモノガ、實際ニ於テ知識ガ
  有リマセヌガ爲メニ、今日尙ホ調査ニ名ヲ藉リテ、何等ノ仕
  事モシテ居ラヌト云フ實際ノ有樣デアリマス、故ニ此市制ノ
  第百五十七條ガ存在シテ、市ハ第一次ニ於テ府縣知事ガ
  之ヲ監督スルト云フ、此法規ノ存在シテ居ル以上ニハ、其監
  督權ノ作用ト致シマシテ、ドウシテモ此市ニ對シテ、出來テ
  モ出來ヌデモ監督權ヲ作用シ得ベキ行動ヲ執ラナケレバナ
  ラヌ、ソレガ爲メニ其時日ノ遷延ト云フモノハ、其弊害實ニ
  測ルベカラザルモノガアルノデアリマス、私共ノ理想カラ言へ
  バ市ガ府縣ト對立スルト云フコトハ、恐ラク滿場ノ諸君ト同
  様ニ理想トスル所デアリマス、併ナガラソレハ容易ニ實現ス
  ルコトガ出來ヌト致シマシテモ、切メテ私ノ先程擧ゲマシタ
  所ノ第一、第二ノ事項ニ就テ、内務大臣ノ認可、若クハ許
  可ヲ要スル事項ニ就キマシテモ、此府縣知事ノ手ヲ經ズシ
  テ-府縣知事ノ監督ノ下ニ在ルト云フコトナラバ、府縣知
  事ノ手ヲ經由シテ其書類ヲ申達シナケレバナラヌカラ、ソレ
  ダケ書類ノ介在スル爲メノ手數ダケヲ省ク方法ヲ執ラナケ
  レバ、折角此法案ヲ御提出ニナッテモ、其實效ヲ擧ゲルコトガ
  極メテ稀少ナルモノデアルト考ヘルノデアリマス、ソレデ私ガ
  政府ニ御尋シタイト思フノハ、本案ハ或ル審查ノ必要上ニ
  於キマシテハ、範圍ヲ擴張スルダケノ雅量ヲ、政府ニ於テ御
  持ニナッテ居ルカドウカ、只今私ガ擧ゲマシタ第一、第二、第
  三ノ中、第三ノ部分ニ局限スルト云フコトヲ頑執スルト云フ
  御考デアルカドウカ伺ヒタイ、第二ハ本案ハ全然特別市制
  ニ對シテ、特別市制ニ代ルベキ法案トシテ御出シニナッタモ
  ノデアルカト云フト、サウデハナイ、來年ニデモ調査ガ出來タ
  ナラバ、特別市制ヲ出ス考ヲ持ッテ居ルト云フ御說デアルガヽ
  是モ奧村君ノ御考通リニ、責任アル所ノ御各辯ヲ承リタイ
  ト思ヒマス(拍手起ル)

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• 024・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　小橋內務次官
  〔政府委員小橋一太君登壇、拍手起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=24

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• 025・小橋一太

  ○政府委員(小橋一太君)　只今ノ卸尋ハ先刻奧村君ニ
  御答シタ所デ、旣ニ御諒解ニナッタラウト思ヒマス、(「ヒヤヒ
  ヤ」)政府ハ特別市制ハ要ラナイト云フコトハ何モ申シマセ
  ヌ、又此法律案ニ依ッテ特別市制ニ代ルモノトシテ、間ニ合
  セテ置クト云フヤウナ意味ハ少シモ無イ、此法律ト特別市制
  トハ別物デアリマス、特別市制ニ就テハ、是ハ先刻來度々中
  上ゲルヤウニ、重大ナル關係アルガ故ニ、愼重ニ調査ヲ致シ
  テ、成案ヲ見タナラバ近キ中ニ提案ヲスル、斯ウ云フコトヲ申
  シタ、ソレカラ此二重監督ノ事ヲ言ハレマシタガ、昨年六大
  都市ヨリ建議サレタノハ、主トシテ二重監督ノ撤廢デアリマ
  シタガ、ソレハ所謂特別市制トシテハ、其點ノミデハマダ十分
  デナイ、尙ホ〓究ヲシテ、十分ナル所ノ特別市制ヲ制定シタ
  イト云フ考ヲ持ッテ居ルノデ、二重監督撤廢ト今度ノ問題
  トハ、又是モ別問題デアリマス、ドウゾ宜シク··

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=25

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• 026・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　森田茂君
  〔森田茂君登壇、拍手起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=26

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• 027・森田茂

  ○森田茂君　私ノ御尋致サントスル所ノモノモ、大同小異
  デアリマス、第一ニ御尋致シタイト考ヘマスルノハ、此法律ニ
  依リマシテ市ノ公共事務、及法律ノ定ムル所ニ依リ市又ハ
  市長ニ屬スル國ノ事務ニ關シ-此國ノ事務ニ關シマシテ
  府縣知事ノ許可又ハ認可ヲ要スル事件ヲ、東京市外五大
  都市ニ向ッテ、其勅令ヲ以チマシテ許可又ハ認可ヲ受ケシメ
  ザルコトヲ得ル、斯クナッテ居ルノデアリマスカラ致シマシテ、
  如何ナルモノガ許可ヲ要セズ、又認可ヲ要セザルモノデアル
  カト云フコトハ、是ハ無論勅令ニ依シテ其內容ハ定マルト云
  フコトハ、當然ナ事ト思ヒマス、併ナガラ此案ナルモノガ、穿ッ
  テ申シマスレバ、吾こ六大都市ニ住居ヲ致シテ居リマスル者
  ニ於テ、六大都市ニ對シテ、特別市制ヲ要求スルコトノ洵ニ
  熾烈ナルモノガアリマス、故ニ之ニ對シマスル一ツノ姑息ナ
  ル解決方法トシテ、是ダケノモノヲ提出サレタ如クニ考ヘマ
  ス、故ニ吾ヒハ此只今申シマシタ所ノ許可、若クハ認可ヲ受
  ケザルコトヲ得ルト云フコトノ內容ガ、如何ナルモノデアルカ
  ト云フコトヲ聽キタイノデアリマス、此事ニ就テハ只今森下
  君カラモ又紫安君カラモ指摘サレマシタ所ノ、大正元年八
  月三十日ノ勅令第十八號ニ依リマシテ、府縣知事ノ權限
  ニ屬シテ居リマス許可事項、之ヲ市長ノ權限ニ移スト云フ
  コトガ、主ナル所ノモノデナイカト云フコトヲ考ヘマスガ、併シ
  先刻內務大臣ノ御說明ニ依リマスト、市政以外ニ於テモ多
  クノ事項ガアル、成程市制以外ニ於テ、市デ國ノ事項ヲ扱
  フコトガ、ソレハ澤山アリマスガ、是ハ大〓今日マデ總テノ事
  務ガ法律ニ依ッテ定ッテ居ル、所ガ此法律ヲ拵ヘマス爲メニ、
  市政以外ノ事務ガ、如何ナル變化ヲ以テ此法律ノ中ニ入ツ
  テ來ルモノデアルカ否ヤ、此點ヲ明カニ致シマセヌト云フト、紫
  安君モ述ベラレマシタ如ク、又森下君モ述べラレマシタ如ク
  此法律ガ價値ガ甚ダ少ナイコトニナル、只ダ一時ノ特別市
  制ノ促進ヲ促ス所ノ要求ニ對シマスル、姑息ナル解決案ト
  思ハレテモ仕方ガナイ、斯ウ云フコトニナリマス、ソレ故ニ私
  ハ率直ニ伺ヒマスルガ、此內容ハ如何ナルモノデアルカ、市政
  ニ於テハ如何ナルモノヲ此內容ト致シ、又市政以外ノ事務
  ニ於テ大臣ノ申サレマシタル所ノモノハ、如何ナルモノヲ指
  摘スルモノデアルカ、之ヲ悉クトハ申シマセヌガ、合理的ニ法
  律ニ適應スル如クニ、此席ニ於テ政府當局ノ御辯明ヲ得タ
  イト思フノデアリマス、ソレカラ第二ノ點ニ就テハ、吾〓ノ要
  求ヲ致シテ居ル所ノ特別市制ナルモノト此案トハ、是ハ政
  府自身モ御理解ノアリマスル如ク、其距離ト云フモノハ甚シ
  キモノデアリマス、卽チ吾こノ請求致シマスル所ノモノハ、所
  謂二重監督-市制ノ第百五十七條ニアリマスル所ノ二
  重監督ナルモノヲ脫シテ、政府直接ノ監督ニ移シタイト云フ
  コトガ終局ノ目的デアリマス、其結果トシテ或ハ東京市ノ如
  キ、若クハ大阪市ノ如キ、大都市ニ至リマシテハ、今日カラデ
  モ此市ナルモノヲ府縣ノ外ニ獨立サセテ、府縣ト對等ノ位
  置ニ置クト云フコトヲ以チマシテ、最小限度ノ條件ト致シテ
  居ルガ如クニ、私共ハ承知致シテ居イノデアリマス、所ガ之ヲ
  實際施行スルト云フ-實際斯ウ云フ法律ヲ拵ヘルト云
  フニ於キマシテハ、是ハ或ハ政府ニ於キマシテモ、調査ヲ要シマ
  セウ、又幾多ノ考慮ヲ要シマセウト考ヘマスルガ、併ナガラ此
  事ニ就テ政府與黨ニ屬シマスル所ノ二三ノ議員ノ方ミハ、
  吾〓ハ六大都市ニ向ッテ-少ナクトモ三大都市ニ向ッテハ
  必ズ特別市制ハ施イテ貰ハナケレバナラヌ、斯ウ云フ事柄ヲ
  以テ政府ニ肉薄致スノデアル、政府ニシテ若シ肯カズンバ、
  吾とハ與黨ヲ脫シテマデモ之ヲヤルト云フ意氣込ヲ以テ、之
  ヲ公然言ウテ居ル人ガアリマス、所ガ是等ノ人ハ政府ニ於
  キマシテモ、特別市制ヲ施クト云フコトハ出來ナイケレドモ、
  所謂吾〓ノ顏ヲ立テヽ、爰ニ現ハレマシタル所ノ六大都市
  行政監督ニ關スル法律案ヲ拵ヘテ、サウシテ之ヲ以テ解決
  ノ方法ト致シタモノデアルト言ッテ、恰モ自分ガ此目的ノ違
  フモノヲ得テ、頗ル得々タルガ如キ狀態ノアルト云フコトハ、
  吾〓ノ甚ダ是ハ怪訝ト致ス所デアリマス、併ナガラ此事ハマ
  ダ其人ノ考デアリマスルガ、唯ダ政府ニ於キマシテ與黨ノ人
  ノ言フ所ヲ迎ヘテ、何等カ爰ニ顏ノ立ツベキ仕事ヲシナケレ
  バナラヌト云フ條件ノ上カラシテ、結局斯ウ云フ姑息ナル事
  務ノ一方法ニ過ギナイ所ノ、頗ル低級、有ッテモ無ウテモ宜
  イ位ノ詰リ仕事ニ於テ、府縣知事ノ權限カラ之ヲ市長ノ權
  限ニ移シテ、之ヲ以テ解決方法トスルト云フニ至リマシテハ
  是ハ實ニ私ハ不都合極ヲタ話デアルト思フ、併ナガラ此問題
  ヲ以チマシテ、政府ニ向ッテ表面ニ於テ斯ノ如キ意味ニ於テ
  政府ハ之ヲ御拵ニナッタルモノカト云フコトヲ御尋致シマス
  ルト、ソレヲ肯定セラレナイコトハ[當然ナ事柄デアル、併ナガ
  ラ實際ノ事實ガ斯ノ如キモノデアルト致シマスレバ、吾と特
  別市制ヲ要求致シマスル者ノ考ト、相距ルコト頗ル甚シキモ
  ノデアッテ、又問題其モノヽ上カラ申シマスレバ、是ハ程度ノ
  問題デナクシテ、寧口質ニ關スル所ノ相違デアル、斯ウ考ヘ
  ナケレバナラヌノデアリマス、サウシテ最近ニ政府ガ提出致サ
  レマシタ所ノ、此市制中改正法律案ヲ拜見致シマシテモ、總
  テ問題ノ特別市制卽チ百五十七條ノ彼ノ二重監督ニ屬ス
  ル事ニ對シマシテハ、何等手ヲ觸レテ居ナイ、サウ致シマスル
  ト云フト、朝令暮改ト云フコトハ洵ニ法律上好マザル所、殊
  ニ現政府ト致シマシテハ、朝令暮改ト云フコトハ好マズシテ
  總テノ上ニ於テ漸進主義ヲ執ラレル、政府トシテハ吾ミノ希
  望致シマスル所ノ特別市制ナルモノガ、果シテ何時之ヲ御
  提案ニナルカト云フコトニ就キマシテ、政府ノ調査及其調査
  ノ結果ニ就テ、ドノ位ノ御考ガアルカト云フコトヲ伺フト云
  フコトガ、出來ナイカノ如クニモ考ヘマスケレドモ、只今ノ申
  シマスルガ如キ趣旨ニ依リ、之ヲ以テ一ノ姑息ナル解決方法
  ト看做サズシテ、政府ハ玆ニ特別市制ヲ速ニ行フト云フ考
  ガ有ルカ、無イカ、此事ハ今御答辯ニナリマシタケレドモ、私
  ノ申シマスル趣旨ニ基ヅイテ、政府ハ更ニ答辯アランコトヲ
  希望致シマス(拍手起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=27

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• 028・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　小橋内務次官
  〔政府委員小橋一太君登壇、拍手起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=28

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• 029・小橋一太

  ○政府委員(小橋一太君)　只今御尋ハ、先刻答辯シタ所
  デ十分盡キテ居ルト思ヒマスルガ、政府ハ特別市制ヲヤラナ
  イト云フコトハ一ツモ申シマセヌ、(森田茂君「前段カラ御述
  ヲ願ヒマス」ト呼フ)ソレカラ此案ニ依ッテ特別市制ニ代ル、
  或ハ特別市制ノ氣運ヲ避クル爲メニヤルト云フヤウナコト
  ヲ言ハルヽノデアリマスルガ、此法律案ト特別市制トハ全ク
  別々デアリマス、ソレハ特別市制ニ就テハ、先刻御答シタ通リ
  デ御承知ヲ願ヒタイト思ヒマス、ソレカラ許可認可ヲ受ケル
  內容ニ就テ御尋デアリマスルガ、是ハ市制ノ外ニ府縣知事
  ノ許可、若クハ認可ヲ受クベキ事項ハ非常ニ多數アリマス、
  其內容ニ就テハ一々此處デ申上ゲタナラバ、到底十分ニ盡
  スコトガ出來マセヌカラ、是ハ委員會等デ詳細ニ申上ゲタ方
  ガ宜カラウト思ヒマス(拍手起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=29

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• 030・小山松壽

  ○小山松壽君　既ニ此案ニ就テハ、紫安森下兩君ノ大阪
  ノ關係、又奧村森田兩君ノ京都市ノ關係ニ於テ、ソレ〓〓
  御質問ガアリマシタガ、私ハ主トシテ内務大臣ニ御尋致シ
  テ見タイト考ヘテ居リマスガ、內務大臣ハ御缺席ノヤウデア
  リマスカラ、委員會等ノ他ノ機會ニ讓リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=30

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• 031・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　日程第二右議案ノ審査ヲ付託ス
  ベキ委員ノ選擧ヲ議題ト致シマス
  第二右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ
  選舉

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=31

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• 032・岩崎勲

  ○岩崎勳君　委員ノ數ハ特ニ十八名トシ議長ニ於テ指
  名アランコトヲ望ミマス
  〔「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=32

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• 033・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　岩崎君ノ動議ニ御異議アリマセヌ
  カ
  〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=33

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• 034・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　御異議ナイト認メマス、仍テ動議
  ノ如ク決シマシタ-日程第三乃至第八ハ同種ノ議案ナル
  ニ依リ、一括シテ議題ニ致シマス、日程第三、都市計畫地方委
  員會職員ノ恩級及遺族扶助料ニ關スル法律案、日程第
  四、市町村立小學校〓員退隱料及遺族扶助料法中改正
  法律案、日程第五、府縣立師範學校長俸給竝公立學校
  職員退隱料及遺族扶助料法中改正法律案、日程第六、
  明治二十九年法律第十三號中改正法律案、日程第七、
  明治四十五年法律第十一號中改正法律案、日程第八、
  明治三十三年法律第七十七號中改正法律案、以上一括
  シテ議題ニ供シ、其第一讀會ヲ開キマス
  第三都市計畫地方委員會職員ノ恩給及
  遺族扶助料ニ關スル法律案(政府
  提出)第一讀會
  都市計畫地方委員會職員ノ恩給及遺族扶助料ニ
  關スル法律案
  官吏恩給法、官吏遺族扶助法及軍人恩給法ノ適用ニ
  付テハ都市計畫地方委員會職員ニシテ文官判任以上
  ノモノノ受クル俸給ハ之ヲ政府ヨリ受クルモノト看做ス
  附則
  本法ハ大正九年一月一日ヨリ之ヲ適用ス
  第四市町村立小學校〓員退隱料及遺族
  扶助料法中改正法律案(政府提出)
  第一讀會
  市町村立小學校〓員退隱料及遺族扶助料法中
  改正法律案
  市町村立小學校〓員退隱料及遺族扶助料法中左ノ
  通改正ス
  第四條第三項ヲ削ル
  第五條中「公務」ヲ「退隱料ノ支給ニ付在官在職年數ヲ
  通算スルコトヲ得ル官職」ニ改ム
  別表市町村立小學校〓員退隱料表中百三十圓以上
  ノ欄ヲ左ノ如ク改ム
  二百四十二百圓以上百八十圓以百六十圓以上百四十五圓以百三十圓以上
  圓以上二百四十圓上上百四十五屆未
  未滿二百圓未滿百八十圓未滿百六十圓未滿滿
  七二〇六〇〇五四四八〇RINA三九〇
  七五三六百四五七〇五〇六四六八四一〇
  즈·8六六八六〇〇五三二四八一四三〇
  八四六+001六三〇玉川八五四国EIIO
  六人九七三六六六〇五六三五KAO
  れ10t·10六〇〇六一〇五五〇四九〇
  九七五八七七七二三六三九五七六五一三
  一、〇二〇八四四七五六六六八六〇二正三大正
  一、〇六五六七八九六九七六二八五五九
  一、一一〇九一八八二二七二六大阪府五八二
  一、一五五九五五八五五七五五六八〇+∞の
  一、二〇三九九五八九七八七と〇〇六三二
  一、二五-一、〇三五九二七八一九七三八大正在
  一、二九九一、〇七五九九三八五二七六七六八三
  一、三四七一、一一五九九九八六三七九六七〇九
  一、三九五一、一五五一、〇三五九一五尺人民七三五
  一、四四六一、一九八一、〇七四九五〇入れた七六四
  一、四九七一、二四一一、一一三九九五八八九七九三
  一、五四八一、二八四一、一五二一、〇二〇たハー八
  一、五九九一、三二七一、一九一一、〇五五九五三六五、
  一、六五〇一、三七〇一、二三〇一、〇九〇九八五入八
  一、七〇四一、四一六一、二七二一、一二八一、〇二〇九三
  一、七五八一、四五二一、三一四一、一六六一、〇五五九四四
  一、八一二一、五〇八一、三五六一、二〇四一、〇九〇九七六
  一、八六六一、五五四一、三九八一、二四二一、一二五一、〇〇八
  一、九二〇一、六〇〇一、四四〇一、二八〇一、一六〇一、〇四C
  附則
  本法ハ大正十年四月一日ヨリ之ヲ施行ス但シ改正別
  表ハ大正九年八月一日以後大正十年三月三十一日
  迄ニ退隱料又ハ扶助料ヲ受クヘキ事由ノ生シタル者ニ
  付亦之ヲ適用ス
  本法施行ノ際現ニ市町村立小學校〓員退隱料及遺
  族扶助料法第五條第一號ノ規定ニ依リ退隠料ノ支給
  ヲ停止セラルヽ者ニシテ退隱料ノ支給ニ付在官在職年
  數ヲ通算スルコーヲ得ル官職以外ノ公務ニ在ルモノニ關
  シテハ其ノ在職中ニ限リ大正十一年三月三十一日迄
  仍從前ノ例ニ依ル
  大正九年七月三十一日現在ニ於テ市町村立小學校
  〓員退隱料及遺族扶助料法ニ依ル退隱料又ハ扶助料
  ヲ受ケ又ハ受クヘキ者ノ退隱料又ハ扶助料ノ年額ノ基
  礎タル俸給額カ大正九年勅令第二百七十八號ニ依リ
  算出シ百三十圓以上ナルトキハ其ノ年額ハ大正九年七
  月一日以後ノ分ヨリ本法ニ依ル
  第五府縣立師範學校長俸給竝公立學校
  職員退隱料及遺族扶助料法中改正
  法律案(政府提出)第一讀曾
  府縣立師範學校長俸給竝公立學校職員退隱料
  及遺族扶助料法中改正法律案
  府縣立師範學校長俸給並公立學校職員退隱料及遺
  族扶助料法中左ノ通改正ス
  第七條中「公務」ヲ「退隱料ノ支給ニ付在官在職年數ヲ
  通算スルコトヲ得ル官職」ニ改ム
  第十一條第一項ヲ左ノ如ク改ム
  退隠料ノ支給ハ本屬長官ノ證明ニ依リ內閣恩給局
  ノ審査ヲ經テ内閣總理大臣之ヲ栽定ス
  第十五條中「府縣知事」ヲ「本屬長官」ニ、「文部大臣」ヲ
  「内閣總理大臣」ニ改ム
  第十七條中「文部大臣」ヲ「内閣總理大臣」ニ改ム
  附則
  本法ハ大正十年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
  本法施行ノ際現ニ府縣立師範學校長俸給竝公立學
  校職員退隱料及遺族扶助料法第七條第二項第一號
  ノ規定ニ依リ退隱料ノ支給ヲ停止セラルル者ニシテ退隱
  料ノ支給ニ付在官在職年數ヲ通算スルコトヲ得ル官職
  以外ノ公務ニ在ルモノニ關シテハ其ノ在職中ニ限リ大正
  十一年三月三十一日迄仍從前ノ例ニ依ル
  第六明治二十九年法律第十三號中改正
  法律案(政府提出)第一讀會
  明治二十九年法律第十三號中改正法律案
  明治二十九年法律第十三號中左ノ通改正ス
  第四條ノ二第一項ノ次ニ左ノ二項ヲ加フ
  學校長圖書館長正〓員司書保姆幹事學生監舍監
  助手又ハ書記ニシテ文官ト爲リタル者〓官其ノ他〓
  育事務ニ從事スル文官以外ノ文官トシテ在官中死亡
  シ又ハ退官シタルトキハ〓官其ノ他〓育事務ニ從事
  スル文官トシテノ在職最終ノ俸給額ニ基キ明治二十
  三年法律第九十號同年法律第九十一號及此ノ法
  律ニ依リ退隱料扶助料扶助金ヲ給ス但シ官吏恩給
  法第十三條第一項ニ規定スル事由ニ因リ退官シタル
  トキハ此ノ限ニ在ラス
  前項ノ規定ハ學校長圖書館長正〓員司書保姆幹事
  學生監舍監助手又ハ書記ニシテ他ノ待遇文官ト爲
  リタル者ニ付之ヲ準用ス
  第四條ノ三中「國庫ヨリ」ヲ「同一ノ事由ノ爲メニ」ニ改ム
  附則
  本法ハ大正十年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
  第七明治四十五年法律第十一號中改正
  法律案(政府提出)第一讀會
  明治四十五年法律第十一號中改正法律案
  明治四十五年法律第十一號中左ノ通改正ス
  第二條中「文部大臣ノ職務ハ朝鮮總督、府縣知事ノ職
  務ハ道長官」ヲ「内閣總理大臣ノ職務ハ朝鮮總督、本屬
  長官ノ職務ハ道知事」ニ改ム
  附則
  本法ハ大正十年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
  第八明治三十三年法律第七十七號中改
  正法律案(政府提出)第一讀會
  明治三十三年法律第七十七號中改正法律案
  明治三十三年法律第七十七號中左ノ通改正ス
  第一條臺灣ニ在勤スル學校職員ニシテ國庫ヨリ俸給
  ヲ受ケサル文官判任以上ノ者及其ノ遺族ハ本法ニ依
  リ退隱料及遺族扶助料ヲ受クルノ權利ヲ有ス
  第二條但書ヲ左ノ如ク改ム
  但シ同法中內閣總理大臣ノ職務ハ臺灣總督、本屬
  長官ノ職務ハ州知事又ハ廳長之ヲ行ヒ同法第十條
  及第十六條中府縣郡市町村ノ負擔ト爲ルヘキ經費
  ハ當該學校職員ノ俸給ヲ支辨スル團體ノ負擔トス
  第四條ニ左ノ一項ヲ加フ
  文官判任以上ノ〓官又ハ〓育事務ニ從事スル文官
  ノ在官年月數ヲ第一條ノ學校職員ノ在職年月數ニ
  通算スル場合ニ於テハ其ノ臺灣ニ在勤シタル年月數
  ハ之ヲ第一條ノ學校職員ノ臺灣ニ在勤シタル年月數
  ト看做ス
  第五條中「地方稅支辨ノ俸給ヲ受クル」ヲ「國庫ヨリ俸
  給ヲ受ケサル」ニ改ム
  附則
  本法ハ大正十年四月一日ヨリ之ヲ施行ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=34

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• 035・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　日程第三ニ就テ小橋內務次官
  〔政府委員小橋一太君登壇、拍手起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=35

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• 036・小橋一太

  ○政府委員(小橋一太君)　簡單ニ說明申上ゲマス、都市
  計畫地方委員會ニ要シマスル費用ハ、目下府縣ノ負擔ニナッ
  テ居リマス、隨ッテ其職員タル所ノ技師書記等ハ政府ヨリ
  俸給ヲ受ケテ居リマセヌ、隨テ其技師書記等ハ、官吏恩給
  法ニ依リテ俸給ヲ受ケテ居ラザル結果、國ノ恩給ニ浴スルコ
  トガ出來ナイノデアリマス、又官吏遺族扶助料法ニ依シテ國
  庫ニ納付スル途ハアリマセヌカラ、遺族扶助料法ノ支配ヲ
  受ケルコトガ出來ナイノデアリマス、然ルニ是等ノ官吏ハ、其
  職務ノ性質等ガ他ノ一般官吏ト何等異ル所ハ無イノデア
  リスカラシテ、國ノ一般官吏ト同一ノ恩典ニ浴セシメマシテ、
  安ンジテ其職責ヲ盡サシムルノ必要ガアリマスノデ、此簡單
  ナル法案ヲ提出シテ御協賛ヲ願フ次第デゴザイマス、宜シク
  御協賛ヲ願ヒマス(拍手起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=36

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• 037・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　日程第四、第五ニ就テ中橋文部
  大臣
  〔國務大臣中橋德五郞君登壇、拍手起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=37

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• 038・中橋徳五郎

  ○國務大臣(中橋德五郞君)　此市町村立小學校〓員
  退隱料及遺族扶助料法中改正法律案、是ハ昨年市町村
  立小學校〓員ノ俸給ノ規定ヲ改正シテ、增額ヲ致シマシタ
  カラシテ隨ヒマシテ此退隠料ニ關シマスル法律案ノ改正
  ヲ要スルノデアリマス、同時ニ此法律案中ニ於キマスル不備
  ノ點ニ就キマシテ改正ヲ致シタイ、斯ウ云フ見込デアリマス、
  其次ニハ府縣立師範學校長俸給竝公立學校職員退隱
  料及遺族扶助料法中改正法律案、是モ從來遺族扶助料
  法ノ栽定ハ、文部省ニ於テ致シテ居ッタノデアリマスガ、今囘
  之ヲ他ノモノト同樣ニ恩給局ノ所管ニ致シマシテ、恩給局
  デ栽定ヲスルコトニ致シタイト思フ次第デアリマス、隨ヒマシ
  テ他ニ多少不備ナ點モアリマスカラ、此點ノ改正ヲ致シタイ、
  今一ツ明治二十九年法律第十三號中改正法律案、是ハ
  市町村立ノ小學校ノ〓員竝ニ公立學校ノ職員ノ退隱科
  ヲ受クベキ者ガ、他ノ公職ニ就キマシタ場合ニ於キマシテ、從
  來支給ノ方法ニ就テ不備ナ點ガアリマシタカラシテ、之ヲ完
  備スルガ爲メニ此改正案ヲ提出致シタ次第デアリマス、ドウ
  ゾ宜シク御審議ヲ願ヒマス(拍手起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=38

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• 039・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　日程第七及八ニ就テ馬場政府委
  員
  〔政府委員馬場鍈一君登壇、拍手起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=39

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• 040・馬場えい一

  ○政府委員(馬場鍈一君)　日程第七ノ明治四十五年法
  律第十一號ノ法律ハ、朝鮮ニ於ケル學校職員ノ退隱料ニ
  關スル件デアリマス、此法律中ニ日程第五ニ揭ゲテアリマス
  ル法律ヲ準用シテ居ルノデアリマス、只今文部大臣ノ說明ノ
  如クニ、日程第五ニ揭ゲタ法律ヲ改正致シマスル結果トシ
  テ、此法律中ニモ改正ヲ加ヘル必要ガアルノデアリマス、ソレ
  カラ日程第八ノ明治三十三年法律第七十七號ト申シマス
  ノハ、臺灣ニ於ケル學校職員ノ退隱料ニ關スル件デアリマス
  此法律ニ於キマシテモ日程第七ニ於ケルト同樣ナ關係デ、
  字句ノ修正ヲ致ス必要ガアリマスノト、臺灣ニ於ケル地方
  制度ノ改正ノ結果、地方稅規則ナルモノガ廢セラレマシタ、
  隨テ之ニ伴フ所ノ改正ヲ要スルノデアリマス、尙ホ又臺灣ニ
  在勤スル學校職員ノ退隱料ト通算シ得ル所ノ、〓官竝ニ
  〓育文官ノ在職年數ニ就テ、之ヲ學校職員ノ在職年數ト
  通算スル場合ニ於テ、在勤年加算ノ規定ヲ適用シテ行キタ
  イ關係デアリマス、是ハ朝鮮ニ於ケルノト同樣デアリマス、右
  二案トモ御密議ノ上協賛ヲ與ヘラレンコトヲ望ミマス(拍手
  起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=40

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• 041・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　此中日程第四、五ニ就テ質疑ガア
  リマス、荒川五郞君
  〔荒川五郞君登壇、拍手起ル〕

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• 042・荒川五郎

  ○荒川五郞君　日程ノ第四市町村立小學校〓員退隱料
  及遺族扶助料法中ノ改正案ト、日程第五ノ府縣立師範
  學校長ノ俸給其他職員退隱料遺族扶助料法中改正案、
  此二案ニ就テ簡單ニ質問致シマス、日程第四ノ案ハ理由
  書ニ書イテアリマス通リニ、退隠料ヲ受クル者、卽チ小學校
  〓員等ノ待遇ヲ改善スルガ爲ニ改正ヲ要スルトナッテ居リマ
  ス、又日程ノ第五モ同樣ニ、待遇改善ヲ要スルト管轄換ト
  ノ大體同ジヤウナ理由デ出テ居リマスガ、諸君、近年小學校
  〓育ノ問題ガ漸次議會ニモ重要視セラレテ是ガ〓員待遇
  改善ニ關スル議ガ常ニ議會ニモ現ハレルヤウニナリマシタコ
  トハ、國民〓育ノ振興發展ノ爲メニ實ニ慶ブベキ事デアリマ
  シテ、此精神ヲ以テ玆ニ此二案ヲ出サレマシタル政府ノ意
  思ニ就テハ、私共ハ寔ニ歡ンデ贊意ヲ表スル者デアリマス、
  併シ待遇ノ改善ナルモノハ、單ナル部分的ノ法制ノ改廢ノ
  ミデハ出來ルモノデハアリマスマイ、今日ノ市町村ハ、殆ド多
  ク財政難ニ襲ハレテ居ルノデアリマス、ソレガ爲メニ〓員ノ俸
  給等ヲ改正增額セラレマシタケレドモ、ソレガ滿足ニ實行セ
  ラルヽヤ否ヤ、將來ニ向ッテ一ノ心配ヲ持ツノデアリマス、隨
  テ小學義務〓育費國庫負擔額ヲ增加シテ貰ヒタイト云フ
  コトハ、私共曩ニ之ガ建議ヲ致シマシテ、旣ニ本院ノ問題ニ
  ナッテ、只今委員會ニ繼續中デアリマス、然ルニ政府ハ總理
  大臣モ、文部大臣モ、本會竝ニ委員會等ニ於テ〓育費ノ整
  理節減ヲ聲明致シテ居ラレマス、其整理節減ノ要ヲ承ルノ
  ニ或ハ小學校長ニ二校兼務サストカ、或ハ准〓員、代用〓
  員ヲ增加シ、又二部〓授或ハ受持生徒數制限增加ト云フ
  ヤウナコトヲ問題トシテ、目的トシテ居ラルヽト承ッテ居リマ
  スガ、斯ノ如キハ啻ニ〓育ヲ振興發展スル所以ニ非ザル
  ノミナラズ、却テ退步ヲ意味スルノミナラズ、一方ニハ〓員
  優待ノ趣旨ニ相反スルコトヽ思フノデアリマス、政府ハ此根
  本ノ優待方針ニ就テハ、如何ナル意見ヲ持ッテ居ラレマスカ
  今日是等ノ改正案ヲ提出セラレテ、〓員ノ優待ヲシタイト
  言ウテ堂々其理由ヲ述ベラルヽ以上ハ、其實ガ行ハレナクテ
  ハナラヌ、然ルニ吾ヽ却テ優待ドコロデナク、虐待ノ事實ヲ見
  ント致スノデアリマス、政府ハ此點ニ於テ本案ノ如キ改正ヲ
  企テラレヤウト云フ根本ニ遡ッテ、全般ノ〓育費ニ關スル政
  府ノ意思ヲ明カニセラレル必要アリト思フ、果シテ何レノ時
  ニ國庫增費ヲ實行セラルヽカ、是ガ第一點ノ質問デアリマス
  第二ニ政府ハ市町村〓育費ノ調査機關ヲ設ケラレル云フ
  ノデアリマスガ、唯ダ是ハ設ケルト云フノデ、何時設ケルヤラ
  判ラヌノデアリマス、速ニ設ケラルヽノデアルカ、何時設ケラル
  ルノデアルカ、ソレヲ二點ニ御尋致シマス、ソレカラ第三ニ陸
  軍ノ軍人、竝普通文官等ト此〓員トハ、此勤續年限ノ通算
  法ガ非常ニ違ヒマスノデ、同ジ趣意ノ恩給デアリ、退隱料デ
  アリナガラ、殊ニ厚薄ガアル、市町村ノ〓員恩給ニ向ッテ種々
  ナル制限ヲ設ケテ、サウシテ動トモスレバ恩給ヲ與ヘマイ、或ハ
  其額ヲ減ジヤウトシタヤウナ規定ニナッテ居ルノデアリマス、既
  ニ本案ニ出テ居リマスル法律第九十號第五條ニ於テモ斯樣
  デアリマス、他ノ軍人ヤ文官ノ如キハ、相當ニ恩給ガ貰ヘル
  コトニナッテ居ルノデアリマスガ、〓員ガ他職ニ就ケバ其俸給
  ト退隱料トヲ合算シテサウシテ以前ノ俸額ニ比シテ其差額
  ハ停止スルト云フガ如キハ、〓員優待ノ意味ニ非ズシテ、却
  テ虐待ノ實アリト思フノデアリマス、一體今日ノ官吏ノ制度
  ニ於テハ-譬ヘテ申セバ警部ガ-大學ヲ卒業シテ警部
  ニナック者ガ縣屬ニナリ、學務課長ニナリ、警察部長ニナッテ
  進ムニ當リ、是ハ營部ト縣屬ト〓育課長ト皆ナ仕事ガ違
  フ全ク仕事ノ性質ガ違フノデアリマス、然ルニ其警部ヨリ縣
  屬ノ屬官トナリ、又學務課長トナルニ於テ、是等性質ノ異
  ナルニモ拘ハラズ、官吏ハ皆ナ之ヲ其勤續年數ヲ通算スル
  ノデアリマス、然ルニ〓員ガ公務ニ從事スルニ當田ヲテハ、或ハ
  停止シ又ハ制限ヲ致シテ、免角此退隱料ヲ減額シヤウト云
  フヤウナ趣意ノヤウニ思ハレルト云フコトハ、彼ニ厚クシテ此
  ニ薄イト謂ハナクテハナラナイ、固ヨリ〓員ノ給料ハ他ノ官
  吏ナドニ較ベテ見レバ、洵ニ些ニタタル微々タルモノデアリマス、
  然ルニ斯樣ニ制度ノ上ニ差異ヲ設ケルト云フコトハ如何ナ
  ル譯デアリマスカ、殊ニ軍人ノ如キハ、他ノ官職ニ從事シテ
  モ此恩給ヲ與ヘラレルト云フコトニナッテ居ルノデアリマズ、
  是等ノ根本ニ改善ヲ加ヘズシテ、本案唯ダ之ヲ一少部分ニ
  限ラレルト云フコトハ、此理由書ニ於テ、堂々〓員ノ待遇改
  善ト言ハレタル其無意味、全ク零トナリーハシナイカト思フノ
  デアリマス、ンコデ私共ハ本案ニ於テ改正セラレル以上ハ、彼
  ノ法律第九十號卽チ本問題ニナッテ居リマスル箇條ノ中デ
  モ、、第九十號ノ八條ニアリマスル制限、竝ニ第四條ノ第二、
  ソレカラ又第五條ノ第一號等ハ、悉皆手ヲ入レナケレバ相
  成ラヌベキモノデアラウト思フノデアリマスガ、小學〓員ニ限
  リマシテ斯ル退隱料ヲ給與スル上ニ嚴酷ナル制限ヲ置カル
  ルト云フコトハ公平ヲ缺キ、待遇上甚ダ厚薄アリト考フルノ
  デアリマス、文部大臣ハ〓員ヲ優遇スルト云フ說明ヲセラル
  ル下ニ、果シテ其事實ト辯明トガ矛盾セザルヤ否ヤ、是ガ第
  三點ノ質問デアリマス、第四點ニ准〓員ニ此法律ハ除イテ
  居リマス、我ガ澤山ノ法律制度ノ上ニ於キマシテ、是ハ極メ
  テ不統一デアリマシテ、義務〓育費國庫負擔法ニハ、准〓
  員ヲモ併セテ目安ニ入レテ國庫負擔金ヲ分配セラレルノデ
  アリマス、然ルニ退隱料及遣族扶助料中ニ准〓員ヲ除外
  シテアリマスガ、准〓員ヲ置カナイ方針ナラバ宜シイガ、今ヤ
  全國一万六千ト云フ多數ノ准〓員ガアッテ、漸ク今日ノ〓
  育ガ行ハレテ居ルノデアリマス、現ニ此准〓員ナルモノハ、國
  民〓育ノ重大ナル一部分ヲ成シテ居ルモノデアリマス、然ル
  ニ此法律ニハ准〓員ヲ除カレテ居ル、是等ヲ以テ考ヘテモ、
  軍人トカ、官吏トカ、上ノ者ニ厚クシテ〓員ニ薄イ、又同ジ〓
  員デモ尙ホ下級ノ此准〓員ヲ度外ニ薄待スルト云フヤウニ、
  漸次下ノ者ニ薄クセラレ、虐待セラレルト云フコトハ、最モ然
  ルベカラザル事ト思フノデアリマス、准〓員モ旣ニ〓員デア
  ル以上ハ、矢張此恩典ニ浴スルヤウ修正セラルヽコソ至當
  ト心得マス、況ヤ政府ハ〓育機關ヲ····(「能ク解リマシタ」
  ト呼フ者アリ)マダ言ハヌ事ガ解リマスカ、モウ少シ述ベナケ
  レバナラヌ··

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=42

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• 043・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　互ニ私語ハ止メナサイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=43

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• 044・荒川五郎

  ○荒川五郞君(續)　政府ハ、〓育機關ヲ整理シ〓育費ヲ
  節約致シテ、代用〓員ヤ准〓員ヲ多ク使ウテ、始末ヲシヤ
  ウト云フ考アリト承テテリマス、吾ミハソレニ賛成ハシマセ
  ヌケレドモ、其意味ナラバ一層准〓員ヲ相當ノ待遇ニ置カ
  ルヽト云フコトハ必要ダラウト思ヒマスガ、文部大臣果シテ
  之ヲ如何トセラレマスルカ、第三ニ本員ハ···

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=44

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• 045・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　第五デセウ

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• 046・荒川五郎

  ○荒川五郞君(續)　左樣第五デスー議長ノ御訂正ノ通
  リ此質問第五、曩ニ小學校〓員ノ退隱料ガ改正セラレマシ
  タケレドモ、大正七年七月以後ヲ增加スルコトニナッテ、七月
  以前ハ其恩典ガ無イノデアリマス、僅ニ此年月ニ限ヲ置イ
  テ、同ジク待遇セラルベキ者ガ、其根本ノ給料ニ違ガナイノ
  ニ、退隱料ニ非常ナル厚薄アルト云フコトハ、文部大臣以テ
  之ヲ不公平トセラレナイノデアリマスカ、旣ニ軍人恩給法ノ
  如キハ、前ニ遡フテ是ガ增額ヲ認メラレタノデアリマス、今ヤ
  此法律ヲ修正セラルヽニ當ッテハ、斯ノ如キ制限モ撤廢セラ
  ルベキガ至當ト心得ルノデアリマスガ果シテ如何、是ガ第五、
  次ニ本案ハ〓員待遇ヲ改善スルト云フ目的デアリマスケレ
  ドモ、此文面ハ公務ト云フコトヲ、退隠料ノ年限ヲ通算スル
  官職ト云フコトニ改メラレタノデアリマシテ、唯ダ一部ノ
  人ノ利益ニ止マリ、全般ニハ何等待遇改善デハナイノデア
  リマス、又俸給百三十圓以上ノ退隱料ノ欄ヲ改メラレタノ
  デアリマスガ、是ハ從來小學校ニハ百三十圓以上ノ俸給ノ者
  ハ無カッタノデアリマスカラ、其規定ガ區別シテナカッタノデア
  リマス、ソレヲ今日此俸給令ノ增額ニ伴ウテ、百三十圓以
  上ノ區別ヲ設ケラレタト云フコトハ、何等待遇改善ノ意味
  ヲ成サナイト思フノデアリマス、實際ニ於テハ甚ダ其效力乏
  シイト思フノデアリマスガ、其點ハ如何デアリマスカ之ヲ御尋
  シタイ、次ニモウ一箇條·····此師範學校長俸給竝ニ公立學
  校職員退隱料及遺族扶助料ノ改正ハ、理由書ニハ待遇
  改善トアリマスガ、本文ニハ更ニ待遇改善ヲ認メナイノデア
  リマス、其箇條ハ第七條ノ此退隱料ヲ停止スル場合ハ公務
  ニ從事スル者ト云フコトヲ、退隱料ヲ通算スル官職ト云フ
  コトニ改メラレタノミデアリマス、而モ其改メラレタル制限ニ
  就テハ、小學校〓員ノ如キハ、大正十一年三月三十一日マ
  デハ現在ノ例ニ依ルト云フノデアリマス、是等ハ改正ノ意味
  ヲ一貫セヌト思フノデアリマス、ンレカラ又此箇條文ノ句ヲ改
  メラレタノハ、文部大臣ノ退隱料ノ『支給裁定ヲシテ居ッタモ
  ノヲ、總理大臣ガ裁定スルト云フコトニ改メマシタマケデアリマ
  ス、此頃ハサウ申シテハ濟ミマセヌガ、免角文部大臣ノ說明
  ニ總理大臣ガ出テ當夕ラレテ、居リマスガ、本案ハ寧ロ總理
  大臣ガ說明セラルベキモノデアラウト思フ、マア時ミニハ御交
  代ナサルモ宜イト思ヒマスガ、文部大臣ガ裁定スルト云フコ
  トヲ、總理大臣ガ栽定スルト云フコトニ改メタノハ、是ガ何
  等ノ優待ノ意味ニナリマスカ、文部大臣ト總理大臣ト其位
  置ガ違フト云フノデ、ソレガ待遇ノ改善ニナルノデアリマセウ
  カ、是等ハ些々タル事デアリマスケレドモ、此本案ガ斯ク待遇
  改善ヲ標榜シテ打立テラレタル案トシテハ、甚ダ内容貧弱
  デアッテ、(拍手起ル)羊頭狗肉ノ感ガアルノデアリマス、是等
  ニ就テハ明カニ御說明ヲ願ヒマス(拍手起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=46

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• 047・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　中橋文部大臣
  〔國務大臣中橋德五郎君登壇、拍手起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=47

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• 048・中橋徳五郎

  ○國務大臣(中橋德五郞君)　只今ノ御質問ニ答ヘマス、
  一二ノ方ハ私カラ答ヘマスカラ、跡ハ政府委員ヨリシテ申上
  ゲマス、此〓員ノ優遇ト云フ事ニ就テ、只今頻リニ御尋デア
  リマシタガ、政府ガ今囘地方〓育費ノ節約ノ爲メニ調査會
  ヲ設ケ、其調査ノ目的ハ、〓員ヲ減ズルノデナイカト云フヤ
  ウナ御疑ガアリマスルガ、是ハ調査ヲ致シタ上デアリマセヌト
  云フト判リマセヌ、或ハサウ云フコトニ調査ノ結果ナルカモ
  知レマセヌケレドモ、〓員ノ待遇ヲ惡クシヤウト云フ考ハ、當
  局トシテハ持ッテ居リマセヌ、是ハイヅレ調査ノ上デアリマセ
  ヌト、調査會ノ委員連中ガドウ云フ意見ヲ持タレマスルカ、
  其結果ヲ待チマセヌト云フト、今日當局ニ於テハドウシヤウ
  ト云フコトヲ今申上ゲル譯ニハ行キマセヌ、ソレカラ此調査
  會ハエライ遲レマシタガ、近日追加豫算デ經費ヲ要求致ス
  次第デアリマス、故ニ遠カラズ皆サンノ御審議ヲ仰グコトヽ
  思ヒマス、ソレカラ此改正ハ、從來退隱料ノ一部ガ文部大
  臣ノ裁定デアッタモノヲ、[此度總理大臣ノ裁定トスルト云フ
  コトデ、エライ御疑惑ガアルヤウニアリマスルガ、是ハ別段大
  シタ事デモ何デモナイノデアリマス、恩給ハ從來總テ恩給局
  デ栽定ヲシ、統一ヲスルコトニナッテ居リマスカラ、其一部ガ
  從來文部省ニ殘ッテ居ッタ、是モ矢張事務上統一シタ方ガ
  便利ダラウト云フコトデ、ソレダケノ事デアリマスカラ、左樣
  御承知ヲ願ヒタクアリマス、(「ソレガ優待カ」「明瞭ナリ」ト呼
  フ者アリ)ソレカラ後ノ改善デアルトカ何トカ云フ御話ガア
  リマシタガ、、是ハ今政府委員ヨリ御答ヲ申上ゲルコトニ致
  シマス、是ハ恩給ノ事デアリマスカラ、俸給ヲ增ストカ何トカ
  ト云フノト大變ニ違ヒマスカラ、サウ大シテ非常ナル優遇卜
  カ何トカ云フコトデハナイノデアリマスケレドモ、從前ヨリハ
  餘程善クナッテ來タ積リデアリマス、尙ホ完備シナイ點ガアリ
  マスルナラバ、委員會ニ於テ御審査ノ上、惡イ點ハ之ヲ修正
  ヲシ、改善ヲスルト云フコトニ致シタイト思フ次第デアリマ
  ス、跡ハ今政府委員ヨリシテ御答致シマス(拍手起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=48

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• 049・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　赤司政府委員

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=49

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• 050・荒川五郎

  ○荒川五郞君　文部大臣ノ答辯ニ就テ質疑ガアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=50

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• 051・奧繁三郎

  ○議長(奥繁三郞君)　今亦司政府委員ニ發言ヲ許シマ
  シタ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=51

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• 052・荒川五郎

  ○荒川五郞君　其後デ御許ニナリマスカ
  〔政府委員赤司鷹一郞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=52

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• 053・赤司鷹一郎

  ○政府委員(赤司鷹一郞君)　箇條ガ隨分多ウゴザイマシ
  夕御尋デゴザイマスルガ、其ノ中ノ第三ト第六ノ御尋ハ是ハ
  互ニ牽聯シテ居リマスルヤウニ心得マスルカラシテ、之ト併セ
  マシテ第六ノ御尋ヲ一括シテ、御答申上ゲタイト思フノデゴ
  ザイマス、御尋ニ依リマスルト云フト、從來ノ退隱料ヲ受ケ
  テ居ッタ者ガ他ノ公職ニ就キマスルト云フト、其差額ヲ停止
  サレル、是ハ甚ダ虐待デアル、斯ウ云フ御尋ガ第三ノ要點デ
  アッタカト思ヒマスルノデアリマスルガ、從來ハサウ云フ關係
  ニナッテ居ッタノデゴザイマスカラシテ、今囘ノ改正案ニ於キマ
  シテハ、是等ノ點ヲ除キタイト云フ所カラ改正ヲ致シタノデ
  アリマス、卽チ第六ニ御尋ニナリマシタ「公務」ト云フ字ヲ「〓
  育事務退隱料ノ支給ニ付在官在職年數ヲ通算スルコトヲ
  得ル官職」斯樣ニ改メマスルト云フト、之ニ[依リマシテ從來
  ヤッテ居リマシタ差額停止ノ範圍ヲ、非常ニ減少ス』ルコトガ
  出來ルヤウニナルノデアリマス、卽チ此意味ニ於キマシテ、矢
  張御質問ノゴザイマシタ通リ、〓員ノ優遇ト云フコトニハ最
  モ副フコトニナルダラウト考ヘテ居ル次第デアリマス、ソレカ
  ラ次ノ御尋ハ何故ニ准〓員ヲ除外シテ居ルカト云フ御尋
  デゴザイマスルガ、御承知ノ通リ准〓員ハ、待遇官吏ニナッテ
  居リマセヌノデアリマス、大體恩給ノ方ノ原則ト致シマシテ、
  官吏若クハ官吏ノ待遇ヲ受ケル者ニ、恩給若クハ退隱料ヲ
  付ケルト云フノガ大體ノ原則ニナッテ居ルノデアリマス、准〓
  員ハ是等ノ待遇ヲ受ケテ居リマセヌ所カラシテ、從來ト雖モ
  之ヲ除外シテ居ルノデアリマス、是ハ詰リ此退隱料ニ於キマ
  シテ執ッテ居リマスル所ノ根本方針カラ、已ムヲ得ナイ事デ
  アラウト考ヘテ居ルノデアリマス、ソレカラ次ノ御尋ハ、大正
  七年七月以後ニ退職シ夕者ニ就テハ相當ノ恩典ヲ受ケタ
  ガ、其以前ニ退職シタ者ニ就テハ、是ハ醋ニ失シテ居リシハ
  ナケイカト云フ御〓デゴザイマシタガ、是ハ本案ニハマルデ關
  係ガ無イノデアリマス、一昨日當議場ニ於テ御決議ニナリマ
  シタル大正九年法律第十號ト云フモノハ、『其不備ヲ補ヒマ
  シタ法律案デアリマス、此法律ガ通過致シマスルト云フー、
  只今御尋ノ點ハ-此大正七年七月以前ニ退職致シマシ
  夕者ニ對シマシテ、相當ナル此救濟方法ガ付ク譯ニナッテ居
  リマス次第デアリマス、ドウカ』左樣御承知ヲ願タウゴザイマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=53

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• 054・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　荒川五郞君
  〔荒川五郞君登壇、拍手起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=54

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• 055・荒川五郎

  ○荒川五郞君　文部大臣ノ御答辯ハ、〓育費ノ調査整理
  ハシテ見ネバ判ラヌト云フノデアリマス、何等目的ナシノ調
  査會標準ナシノ調査會デアルト云フヤウナ說明ニ承ッタノデ
  アリマス、併シ茲ニ不審ガアリマスノハ、世間ニ傳ヘテ居ル所
  又文部大臣自身ガ委員會等ニ於テ說明セラレタ所ニモ、或
  ハ運動場ヤ玄關ヲ狭メルトカ、又地方ニ依ッテ調ベテ見タラ
  バ、寺院ヲ學校ニ使ハレルノモアルカモ知レヌナド、節約方法
  ヲ說イテ居ラレマスガ、大正ノ今日ニ於テ唯タ兒童ヲ學校
  ニ送リサヘスレバ、〓育ト云フモノハ出來ルト云フタガヤウナ
  御考ニ思ハレル、明治ノ初年ナラバイザ知ラズ、大正ノ今日
  ニ斯ノ如キ事ガ文部當局ノ口ヨリ、殊ニ責任アル文部大臣
  ヨリ出ルト云フコトハ、私共實ニ驚入ッタ次第ト心得テ居ル
  ノデアリマス、(拍手)又東京市、大阪市等市街地ノ如キハ、
  或ハ中ニハ校長ヲ、隣リノ學校ノ校長ニ併セ兼ネサスコトガ
  出來ルカモ知レマセヌ、ケレドモ地方多クノ小學校ノ如キハ
  校長ト訓導ト殆ド皆ナ兼ネテ居ルノデアリマス、隨テ其等ガ
  他校長ノ名ヲ兼ネテモ何等實際ニ役ニ立タヌノデアリマス、
  私共ノ縣ノ田舍ニハ一箇村デ十一箇ノ學校ガアルモアリマ
  ス、一箇村ニ十一校アルノガアリマス、廣島縣山縣郡戶河
  內村ト云フ所ナド其レデアリマス、又同縣安藝郡ノ倉橋島
  ト云フ所ニハ高等小學校ガ四ツ、尋常小學校ガ十一、分菊
  室ガ二ツモアルト云フ有樣デアリマス、中〓是等ハ合セラレ
  ナイ遠隔ナノデ、兼務シテ行キ居ッタナラバ、一日モ掛ルノデ
  アリマス、又二部〓授ト云フコトデアリマスガ、二部〓授ガ
  地方デ行ハレマセウカ、午前午後ニ行キ居ッタナラバ、全ク
  途中デ日ガ暮レルノデアリマス、サウ云フ山間不便ノ所ガ多
  イノデ、今日〓育費ニ困ッデ居ルノデアリマス、澤山ノ學校ヲ
  校長ガ兼ネラレルヤウナ所ナラパ、ソレハ少々ノ費用ハドウデ
  モナルデセウガ、全國多クハ決シテ左樣デナイ、左樣デナイ所
  ガ、實ハ〓育費ニ困リ、財政難ニ苦シミ、サウシテ〓員ノ優
  遇ガ出來ナイデ、困難致シテ居ルノデアリマスカラ、斯ノ如キ
  所ニンンナ色ミナ節約方法ガ行ハレルモノデナイ、又〓員ノ
  受持數ヲ小學校令デハ七十人ト致シテ、一八十人迄ハ殖ス
  コトガ出來ルト云フコトスヲ、殆ド是レ實際ニ不可能デアル
  ノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=55

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• 056・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郎君)　荒川君ニ注意シマスガ、是ハ退隱
  料遺族扶助料ノ法律案デスカラ、成ベクソレニ對スル御質
  問ヲ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=56

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• 057・荒川五郎

  ○荒川五郞君(續)　承知致シマシタ
  〔「大ニヤリ給へ」「議長干涉シテハイカヌ」ト呼フ者ア
  リ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=57

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• 058・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　干涉デハアリマセヌ···

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=58

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• 059・荒川五郎

  ○荒川五郞君(續)　議長ハ寬大デアリマシテ、議長ハ制止
  ハシテ居リマセヌ、成べクト云フノデアリマス、私ハ成ベクド
  コロデハナイ成ベク以上ニ省イデ、直接接觸スル所ヲ是ヨリ
  申シマス(笑聲起ル、「ドウカサウ願ヒマス」ト呼フ者アリ)斯
  ウ云フ譯デアリマスカラ、小學校ノ〓育費ヲ整理節約スル
  ト云フコトハ、天下ノ人之ヲ兒戯トシ、滑稽ト評シテ居ルノ
  デアリマス、斯ノ如キ事ニ政府ハ追加豫算ヲ出シテ、サウシ
  テ議會ニ掛ケラレルト云フノハ、驚入ッタ事ト思フノデアリマ
  ス、併シ此所ハ能ク申シテ置カネバナラヌ、曩ニ吾とガ〓育振
  興ニ關スル建議案ヲ出シタ時ニ、政友會ヨリ總理大臣ノ出
  席ヲ特ニ煩サレ、總理大臣ニ之ニ對スル意見ヲ聽カレタ所
  ガ、總理大臣ハ目下考慮中ト言ハレタ、然ルニ政友會ハ考
  慮中ト云フカラ考慮シテヤルダラウ、然ラバ此案ハ進行スル
  必要ハナイト云フノデ、否決セラレタデハアリマセヌカ、今ヤ
  政府ハヤルドコロデハナイ、今モウ手遲レニナッテ居ル、近イ内追
  加豫算ヲ出スト云フコトデアレバ、政友會ノ速ニト云フ建議
  ヨリハヨリ以上デアル、委員會-何時開クカ判ラヌヤウナ
  委員會ニ掛ケテ御座ル必要ハナイト思フノデアリマス、隨テ
  此建議ハ疾ニ撤回セラルベキモノト。思フノデアリマスガ、文
  部大臣ハ政友會ニ籍ヲ置カレタ御方デアルノニ、何故其儘
  ニシテ置カレルカ、政治ヲ愚弄シ、〓育ヲ愚弄スルモノデハナ
  イ、況ヤ此國民ノ大切ナル〓育ヲ、斯ル問題殆ド兒戯ニ類
  スル事ニ、今日迄モ其儘ニ差措キ、國民殊ニ〓育等ハ如何
  ニナルコトカト心配シテ、擧ヲテ茲ニ首ヲ伸シテ待ッテ居ル、全
  國ノ小學校〓員等ハ固ヨリ、此事ニ就キマシテハ町村長ノ
  如キハ、此多忙ノ中ニモ拘ラズ、全國五百有餘ノ者都下ニ
  集ッテ運動モ致シテ居ルノデアリマス、若シ政府ガ此事ニ就
  テ出サレルモノナラバ、是ハ一日モ早ク其案ヲ提出セラルベ
  キモノデアリ、且又只ダ調ベナケレバ判ラヌト承フヤウナコト
  デ、天下ノ人心ヲ迷ハシ不安ニ在ラシムルト云フコトハ、文部
  大臣ノ重大ナル責任ニ關スル事ト思フノデアリマス、(拍手)
  斯樣ナ事デドウシテ國ノ文政ガ出來マスカ、全國ノ〓員ノ如キ
  ハ普通〓育ノ上ニ是ガドウナルデアラウカト思ッテ、皆ナ此調
  査問題ガ現ハレルヤピク〓〓シテ居ルノデアリマス(「駄問々々」
  ト呼フ者アリ)、然ルニソレヲ調ベテ見ネバ判ラヌト云フヤ
  ウナ、ソンナ無鐵砲十無識見ナ事デ大事ナ國政ガ出來マス
  カ、是ハ只今文部大臣ノ答辯ヲ伺ッテ、〓育ヲ掌ル大臣ノ貴
  任問題デアルト思フノデアリマス、(拍手)敢テ此點ニ向ッテ
  明確ナル答辯ヲ希望致シマス、ンレカラ其他ノ箇條-政
  府委員ノ說明ハ要ヲ得ヌ所ガアリマスケレドモ、是ハ諸君ガ
  御急ギデアルカラ(「モウ判ッタ」ト呼フ者アリ)特ニ時間ヲ惜
  ミマシテ委員會ニ譲リマス(拍手起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=59

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• 060・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　中橋國務大臣
  〔國務大臣中橋德五郞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=60

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• 061・中橋徳五郎

  ○國務大臣(中橋德五郞君)　只今荒川君ヨリ大變ナ御
  質問ガアリマシタ、何カ學校ノ校長ヲ兼務サセルトカ云フヤ
  ウナ御話ガ出テ居リマシタガ、ソレモ或ハ一ノ方法カモ知レ
  マセヌガ、サウ云フ事ニ就テハ別段私ハソレ程ノ考ハアリマ
  セヌ、先日委員會デサウ云フヤウナ御質問ヲ爲サッタ御方ガ
  アリマシテ、ソレモ一ツノ方法デアリマセウト云フヤウナコト
  ハ御返事ヲシタコトガアリマス、ソレカラ寺院デ〓育ヲシタ
  ラ宜カラウト云フ御話モ、今日マデノ所デハ隨分金ノ掛ッテ
  居ル所モアル、校舍ノ建築等ニ就テハ、ソレ〓〓節約ノ餘地
  全ク無シトハ考ヘナイト云フコトヲ申上ゲタ次第デアリマス
  ソレカラ何カ抱負ガ無クテハ〓育ハ云々ト云フ御話ガアリマ
  シタガ、今回ノ此政府ニ於テ設ケマス委員會ハ、主トシテ經
  費ノ方ノ調査ヲ致スノデアリマス、故ニ是ハ文部當局ダケガ
  ヤル見込デアリマセヌ、大藏、内務、支部、此職員ヲ主ト致シ
  マシテ、尙ホ民間ヨリモ委員ヲ選ブト云フコトニ致シタイト
  云フコトハ、先日モ申上ゲタコトヽ思ッテ居リマス、此委員會
  ニ於テ〓育ノ經費總體ニ就テ調査ヲ致スト云フコトハ、何
  等妨ナイコトヽ思ヒマスシ、若シモ是デ以テ多少ノ效果ヲ擧
  ゲ得マシタナラバ、大變ナ結構ナ事デアラウト當局ハ考ヘテ
  居ル次第デアリマス、別段文部當局ノ腹案施設ト云フモノ
  ニ、左程御懸念ヲ下サルノ必要ハ無カラウト私ハ考ヘル次
  第デアリマス(「ヒヤ〓〓」)イヅレ調査會デ相當ナ事ガ出來マ
  セウト思ヒマス(拍手起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=61

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• 062・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　右六案ノ審査ヲ付託スベキ委員ノ
  選擧ヲ議題ト致シマス
  第九右各案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ
  選舉

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=62

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• 063・岩崎勲

  ○岩崎勳君　六案ヲ一括シテ、委員ノ數ヲ九名トシ議長
  ニ於テ指名セラレンコトヲ望ミマス
  〔「賛成々々」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=63

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• 064・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　岩崎君ノ動議ニ御異議ナイト認メ
  マス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第十、黃燐燐寸製
  造禁止法案ノ第一讀會ヲ開キマス
  第十黃燐燐寸製造禁止法案(政府提出)
  第一讀會
  黄燐燐寸製造禁止法案
  黃燐燐寸製造禁止法
  第一條燐寸製造業者ハ燐寸ノ製造ニ黃燐ヲ使用ス
  ルコトヲ得ス
  第二條黃燐ヲ使用シテ製造シタル燐寸ヲ販賣シ、輸入
  若ハ移入シ又ハ販賣ノ目的ヲ以テ所持スルコトヲ得ス
  第三條當該官吏ハ取締上必要アリト認ムルトキハ工
  場、倉庫、店舗其ノ他ノ場所ニ臨檢シ又ハ檢査ノ爲必
  要ナル分量ニ限リ無償ニテ燐寸若ハ其ノ製造原料ヲ
  收去スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ證票ヲ携帶
  スヘシ
  第四條第一條又ハ第二條ノ規定ニ違反シタル者ハ一
  年以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
  前項ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス
  第五條正當ノ理由ナクシテ當該官吏ノ臨檢若ハ收去
  ヲ拒ミ、妨ケ若ハ忌避シ又ハ其ノ尋問ニ對シ答辯ヲ爲
  サス若ハ虛僞ノ陳述ヲ爲シタル者ハ五百圓以下ノ罰
  金ニ處ス
  第六條燐寸製造業者ハ其ノ代理人、戶主、家族、同
  居者、雇人其ノ他ノ從業者カ燐寸ノ製造ニ黃燐ヲ使
  用シタルトキハ自己ノ指揮ニ出テサルノ故ヲ以テ其ノ
  處罰ヲ免ルルコトヲ得ス
  第七條本法ノ罰則ハ法人ニ在リテハ其ノ行爲ヲ爲シ
  タル理事、取締役其ノ他ノ代表者ニ、未成年者又ハ禁
  治產者ニ在リテハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ
  營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ
  付テハ此ノ限ニ在ラス
  附則
  本法ハ大正十一年七月一日ヨリ之ヲ施行ス
  第二條ノ規定ハ本法施行前ニ製造シ又ハ輸入若ハ移
  入シタル燐寸ニ付テハ本法施行後一年間之ヲ適用セス
  〔國務大臣男爵山本達雄君登壇、拍手起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=64

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• 065・山本達雄

  ○國務大臣(男爵山本達雄君)　只今議題ト相成リマシタ
  ル黃燐燐寸製造禁止案ニ就キマシテ說明ヲ致シマス、黃燐
  ノ人體ヲ害シマスルコトノ烈シイコトハ、世上普ク知ッテ居ル所
  デアリマスガ、歐洲諸國ニ於テハ此黃燐ヲ原料トシテ燐寸ヲ
  製造シ、輸入シ、又ハ販賣スルコトニ就キマシテ、禁止ヲ爲ス
  コトノ必要ヲ認メテ、千九百六年ニ於テ「ベルン」條約ヲ締
  結致シマシタ、爾來世界ノ工業國ト稱スル國ハ、大〓此趣
  旨ニ依ッテ禁止ヲ圖ッテ居ル次第デアリマス、又一昨年華盛
  頓ニ於ケル第一勞働會議ニ於キマシテモ、其「ベルン」條約
  ニ基ヅキマシテ、之ニ加盟シナイ國ニニ於テモ、禁止スルコト
  ノ勸告ヲ發シタコトデアリマス、我國ニ於キマシテハ此勸告
  ヲ容レマシテ、サウシテ爾後ニ於テハ、黃燐ヲ以テ燐寸ヲ製
  造、輸入、若クハ販賣スルコトヲ禁ジテ、サウシテ從業者ノ健
  康ヲ圖ッテ、國民ノ健康上ニ遺憾ナキヲ期シタイ次第デアリ
  マス、何卒御賛成アランコトヲ希望致シマス(拍手起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=65

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• 066・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　日程第十一、右議案ノ審査ヲ付
  託スベキ委員ノ選擧ヲ議題ト致シマス
  第十一右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員
  ノ選舉

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=66

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• 067・岩崎勲

  ○岩崎勳君　委員ノ數ヲ九名トシ、議長ニ於テ指名セラ
  レンコトヲ望ミマス
  〔「賛成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=67

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• 068・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　岩崎君ノ動議ニ御異議ナイモノト
  認メマス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第十二、畜牛
  結核病豫防法中改正法律案ノ第一讀會ヲ開キマス、山本
  農商務大臣
  第十二畜牛結核病豫防法中改正法律案
  (政府提出)第一讀會
  畜牛結核病豫防法中改正法律案
  畜牛結核病豫防法中左ノ通改正ス
  第十三條第六條又ハ第十一條ニ依リ畜牛ヲ撲殺シ
  又ハ物品ヲ燒棄シ若ハ埋却シタル場合ニ於テハ地方
  長官ハ其ノ所有者ニ對シ畜牛又ハ物品ノ評價額ノ二
  分ノ一ニ相當スル手當金ヲ下付ス但シ勅令ノ定ムル
  最高金額ヲ超ユルコトヲ得ス
  前項ノ畜牛又ハ物品ノ評價ハ地方長官ノ選定スル三
  人以上ノ評價人ヲシテ之ヲ爲サシム地方長官其ノ評
  價ヲ不當ト認ムルトキハ更ニ他ノ三人以上ノ評價人
  ヲ選定シテ之ヲ爲サシムルコトヲ得
  附則
  本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
  本法施行前第六條又ハ第十一條ノ規定ニ依リ畜牛ヲ
  撲殺シ又ハ物品ヲ燒棄シ若ハ埋却シタルニ因リ下付ス
  ル手當金ニ付テハ仍從前ノ例ニ依ル
  〔國務大臣男爵山本達雄君登壇、拍手起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=68

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• 069・山本達雄

  ○國務大臣(男爵山本達雄君)　畜牛結核病豫防法ニ依
  リマシテハ下付スル手當金、此最高額ハ明治三十四年ニ法
  律ヲ制定致シマシタル當時ノ時價ヲ以チマシテ、ソレ〓〓交
  付スルコトニナッテ居リマス、然ルニ現在ノ此全體ノ時價ガ
  高クナリマシタルコトニ依リマシテ、之ヲ增額スルコトノ必要
  ヲ認メタノデアリマス、然ルニ今日ノ法律ニ依ッテ下付金ノ
  最高額ヲ定メテ居ルノデアリマス、之ヲ改正致シマシテ、勅
  令ニ依シテ相當ナル手當金ヲ貫ヒタイト云フ爲メニ出シタ案
  デゴザイマス、極ク簡單ナ案デゴザイマスカラ、ドウカ御賛成
  ヲ願ヒマス(拍手起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=69

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• 070・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　日程第十三、右議案ヲ付託スベキ
  委員ノ選擧ヲ議題ト致シマス
  第十三右議案ヲ付託スヘキ委員ノ選舉

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=70

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• 071・岩崎勲

  ○岩崎勳君　委員ノ數ヲ九名トシ、議長ニ於テ指名アラ
  ンコトヲ望ミマス
  〔「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=71

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• 072・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　岩崎君ノ動議ニ御異議ナキモノト
  認メマス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第十四、南部
  支那ニ於ケル領事官ノ裁判ニ關スル法律案ノ第一讀會ヲ
  開キマス、委員長花岡次郞君
  第十四南部支那ニ於ケル領事官ノ裁判
  ニ關スル法律案(政府提出、貴族
  院送付)第一讀會ノ續發生
  報〓一
  報告書
  一南部支那ニ於ケル領事官ノ裁判ニ關スル法律案(政
  府提出、貴族院送付)
  右ハ本院ニ於テ可決スへキモノト議決致候此段及報告
  候也
  大正十年三月十日
  南部支那ニ於ケル領事官ノ栽判
  ニ關スル法律案委員長
  花岡次郞
  衆議院議長奧繁三郎殿
  〔花岡次郞君登壇、拍手起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=72

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• 073・花岡次郎

  ○花岡次郎君　委員會ノ經過結果ヲ一言報告致シマス、
  此案ハ至ッテ簡明ナルモノデアリマシテ、其主タル目的ハ、單
  ニ南部支那四省ニ於ケル領事裁判ニ關スル公判、控訴、抗
  告ヲ、從來ハ長崎裁判所ヨリ臺灣ノ裁判所ニ管轄換ヲス
  ルト云フコトニ過ギナイノデアリマス、委員會ニ於キマシテハ
  本案ニ關聯シマシテ幾多ノ質疑應答ハゴザイマシタケレド
  モ、其多クハ領事官ノ栽判其他ノ事務ヲ刷新改善ヲ促ス意
  味ニ出ヅルノデアリマシテ、本案直接ノ修正ヲ意味スルモノ
  デゴザイマセヌカラ、其内容ノ紹介ハ省略致シマシテ、速記
  ニ就テ御承知ヲ請フコトニ致シマス、討議ニ移リマシテ臺灣
  ノ現狀マデ進ミマシタ〓日ニ於テハ、此管轄ノ變更ハ當然
  デアッテ、交通其他便宜ノ多イコトヲ認メマシテ、此案ハ本院
  ニ於テ可決スベキモノデアルト云フ決定ヲ致シマシタ、以上
  御報告ヲ致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=73

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• 074・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　本案ノ第二讀會ヲ開クヤ否ヤヲ御
  諮リ致シマス
  〔「第二讀會ヲ開クニ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=74

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• 075・奧繁三郎

  ○議長(奥繁三郞君)　第二讀會ヲ開クニ異議ナシト認メ
  マス、仍テ第二讀會ヲ開クニ決シマシタ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=75

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• 076・岩崎勲

  ○岩崎動君　直チニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、第三讀會ヲ
  省略シテ、委員長報告通リ可決確定セラレンコトヲ望ミマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=76

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• 077・奧繁三郎

  ○議長(奥繁三郞君)　岩崎君ノ動議ニ御異議アリマセヌ
  カ
  〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=77

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• 078・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　御異議ナイト認メマス、仍テ直チニ
  本案ノ第二讀會ヲ開キマス
  南部支那ニ於ケル領事官ノ裁判ニ關スル
  法律案第二讀會(確定議)
  〔「異議ナシ」「異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=78

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• 079・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　御異議ナシト認メマス、仍テ本案
  ハ委員長報告通リ可決致シマシタ、一寸諸君ニ御注意致
  シマスガ、是カラ建議案ガ多ク議題トナッテ居リマス、尙ホ本
  日ノ日程ニ載ッテ居ラヌ建議案モ澤山アルノデアリマス、合
  計百四十五件アリマス、斯ノ如ク建議案ガアリマスカラ、建
  議案ニ對スル趣旨辯明ハ成ベク要領ノミニ止メテ貰ヒマシ
  テ、詳細ノ事ハ委員會ニ於テ盡サレルコトヲ希望致シマス
  〔「賛成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=79

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• 080・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　日程第十五栃木縣ノ治水事業ニ
  關スル建議案ヲ議題ニ致ツマス、委員長報告、石川玄三君
  第十五栃木縣ノ治水事業ニ關スル建議
  案(高田耘平君外一名提出)
  (委員長報告)
  報告書
  一栃木縣ノ治水事業ニ關スル建議案(高田耘平君外一
  名提出)
  右ハ本院ニ於テ可決スへキモノト議決致候此段及報告
  候也
  大正十年三月十日
  栃木縣ノ治水事業ニ關スル建議案委員長
  石川玄三
  衆議院議長奧繁三郎殿
  〔石川玄三君登壇、拍手起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=80

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• 081・石川玄三

  ○石川玄三君　此案ハ委員會ニ於キマシテ全會一致デ可
  決ニナリマシタ、今其最モ主ナル點ダケヲ極〓掻摘マンデ報
  告致シマス、今ヤ政府ハ治水調査會ヲ設ケテ各方面カラ其
  道ニ造詣深イ者ヲ網羅シテ、治水ノ根本策ヲ樹テルコトニ
  努力中デアル、一方ニハ去明治四十三年桂內閣ノ當時ニ
  計畫ヲ立テタ第一期ノ改修工事ハ、將ニ終了ノ期ニ近ヅイ
  テ、今回新タニ第二期ノ改修ニ著手セントシテ、其河川ヲ選
  擇、事業、年額、及財源等ヲ治水調査會ニ於テ調査中デア
  ル、然ラバ卽チ災害ノ激甚ナルコト天下罕ニ觀ル鬼怒川ノ
  如キハ、イノ一番ニ今囘コソハ編入セラルノコト疑ナイ、何ヲ
  苦ンデ建議者ハ斯ノ如キ案ヲ提案シタカト云フ議論ガアリ
  マシタ、併ナガラ此建議案ハ、單ニ鬼怒川ノ改修ニノミ關係
  シテ居ルノデハアリマセヌ、今ヤ此改修ノ終ラントスル渡良
  瀨川ノ水源地、足尾銅山一帶ノ荒廢地ヲ整理スルト云フ
  コト、モウ一ツハ那珂川ノ水源地タル百村官林ノ將來ニ向ツ
  テ伐採ヲ禁ジマシテ、水源ノ涵養ヲシタイト云フコトヲ包含シ
  テ居リマスノデ、一體治水ノ根本義ハ、水源地ノ整理ニ在ル
  コトハ、〓更申スマデモナイ事デアル、是マデ歷代政府ノ當
  局者ガ執ッテ居ラレタヤウナ方針デ、申サバ天地開闢ノ當時
  ヨリ自然ニ生立ッタ水源地ノ鬱蒼タル森林ヲ濫伐ニ委セテ
  其跡ヲ荒廢ニ委シテ、土石ノ崩壞ヲ誘致シマシタナラバ如
  何ニ改修工事ヲシマシテモ、其水源地ニアル無量ノ土石ハ
  大雨ノ度每ニ急轉直下ノ勢ヲ以テ下流ニ押寄セテ參リマ
  ス、諺ニ言フ針デ掘ッテ棒デ理メルト云フ滑稽事ヲ演ズルニ
  過ギナイ、最モ手短カナ判リ易イ例ハ、都下ヲ距ル遠カラザ
  ル渡良瀨川ノ改修ノ工事、多分是ハ本年アタリデ完了スル
  コトヽ思ッテ居リマス、此水源地ノ足尾銅山ノ崩壊ノ有
  樣ヲ彼ノ儘ニシテ棄置キマシタナラバ、此改修工事ハ元/杢
  阿彌ニ歸スルコト餘リ遠キ將來デハナイト云フコトハ、彼ノ
  地方ノ實狀ヲ能ク知ッテ居リマス者ノ、齊シク憂フル所デア
  リマス、然ラバ則チ此建議案ガ水源地ノ整理ヲ望ムト云フ
  コトハ、決シテ無理デハナイ、併ナガラ栃木縣ハ由來水害ノ
  激甚地ニシテ、一朝洪水ノアル度每ニ、住ムベキ家モ、林モ田
  モ、畑モ、甚シキハ生命マデ併セ失ッタ例ハ決シテ少クナイ、頻々
  トシテ此例ハアリマスノデ、今ヤ同地方ハ此治水費ニ追ハレテ、
  他ノ方面ニハ全ク手モ足モ出ナイ、謂ハミ〓死ノ狀態ニ在
  ルト云フコトハ、前ニ此建議案ガ爰ニ附議サレマシタ時ニ、提
  案者タル高田君ガ述ベラレタ以上デアル、斯ノ如キ水害ノ
  激甚地ダケニ、彼地方ニ住ム住民ハ、頗ル此水害ト云フコ
  トハ深刻ニ頭ニ印象シテ居リマスノデ、老若男女ヲ問ハズ、
  水害ト云フコトハ、夢寢ノ間モ決シテ忘レル遑ガナイ、隨テ
  同地方ニハ全ク政黨政派ヲ超越シタ、官民一致ノ治水會
  ナルモノガ設ケラレテアリマス、是ハ最モ眞面目ニ、最モ眞劍
  ニ、多年此方針ニ向ッテ研究ヲ續ケテ居リマスノデ、現ニ此
  一月中モ其中ヨリ委員ガ選バレテ、遙ニ上京致シマシテ、內
  務省及農商務省ノ當局ニ會見シテ其實情ヲ述べ、大ニ諒
  解ヲ得タノデアル、就中山林局長ノ如キハ、此春ノ雪解ヲ
  俟クテ吏員ヲ彼地ニ派遣シテ、山岳崩壞ノ有樣ヲ仔細ニ調
  査セシメテ、適當ノ設備ヲ爲ス覺悟デアルト云フコトヲ、熱
  誠ヲ以テ言明サレタト云フコトデアル、當時建議者タル高田
  君ハ其委員ノ一人トシテ、其間ノ消息ヲ詳シク知ッテ居ラレ
  ルト云フコトデアル、然ルニ同僚ノ委員ニモ一言ノ話モナク、
  突如トシテ茲ニ斯ウ云フ建議案ヲ提出セラレルト云フ其目
  的ハ、那邊ニ在ルカ、其心中ヲ甚ダ諒解ニ苦シムト云フヤウ
  ナ論難モアリマシタ、併ナガラ委員會ノ大勢ハ、此問題ニ「栃
  木縣」ト云フ文字ヲ冠シテアル爲メニ、洵ニ小サク見エルケ
  レドモ、是ハ其事實水源地ガ栃木縣ニアルト云フコトニ過
  ギナイ、其慘害及ブ所ハ、河川ノ流域タル遠ク廣ク地域ニ跨
  リマシテ、日本一ノ河川タル利根川ノ改修工事ニモ、治水
  ニモ大關係ヲ持チマスノデ、斯ノ如キ問題ハ提案者ノ心事
  ヲ忖度シテ、彼是レ言フヨリハ、此所ニ於テ可決シマシテ、國
  民ノ眞意ノ在ル所ヲ政府者ニ建議スルト云フコトハ、決シ
  テ徒事デナイト云フ意味デ、滿場一致ヲ以テ可決サレマシ
  タ次第デアリマスカラ、何卒御賛成ノ程ヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=81

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• 082・岩崎勲

  ○岩崎勳君　本案ハ委員長報告ノ通リ可決セラレンコト
  ヲ望ミマス
  〔「賛成」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=82

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• 083・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　岩崎君ノ動議ニ御異議ナイト認
  メマス、仍テ本案ハ委員長報告通リ可決致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=83

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• 084・岩崎勲

  ○岩崎勳君　議事日程變更ニ關スル緊急動議ヲ提出致
  シマス、卽チ爰ニ政府提出小田原電氣鐵道株式會社所屬
  軌道經營廢止ニ對スル補償ノ爲公債發行ニ關スル法律案ノ
  第一讀會ヲ開キ、政府ノ說明ヲ求メテ之ヲ審議シ、引續キ是
  ガ審査ヲ付託スベキ委員ノ選擧ヲ行ハレンコトヲ望ミマス
  〔「賛成」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=84

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• 085・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　岩崎君ノ日程變更ノ動議ニハ御
  異議ナイト認メマス、仍テ日程ハ變更サレマシタ、卽チ小田
  原電氣鐵道株式會社所屬軌道經營廢止ニ對スル補償ノ
  爲公債發行ニ關スル法律案ノ第一讀會ヲ開キマス、元田
  鐵道大臣
  小田原電氣鐵道株式會社所屬軌道經營廢
  止ニ對スル補償ノ爲公債發行ニ關スル法
  律案(政府提出)第一讀會
  小田原電氣鐵道株式會社所屬軌道經營廢止ニ
  對スル補償ノ爲公債發行ニ關スル法律案
  小田原電氣鐵道株式會社所屬國府津小田原間ノ軌
  道経營ノ廢止ニ對スル補償ノ爲政府ハ該補償ニ必要ナ
  ル額ヲ限度トシ五十五年內ニ償還スヘキ五分利附公債
  ヲ發行スルコトヲ得
  附則
  本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
  〔國務大臣元田肇君登病、拍手起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=85

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• 086・元田肇

  ○國務大臣(元田肇君)　昨年十月二十一日ニ省線國府
  津小田原間ガ開通ニナリマシテ、其結果ト致シマシテ、是ト
  全然併行致シテ居リマシ夕所ノ小田原電氣鐵道株式會社
  國府津小田原間ノ軌道ハ、營業ヲ繼續スルコトガ出來ナイ
  狀態ニ陷リマシタノデアリマス、會社ノ申請ニ依リマシテ、十
  一月二十日此區間ニ於ケル營業ノ廢止ヲ許可致シマシタ、
  會社ハ十二月ノ六日ヲ以テ其營業ヲ全然廢止シマシタ、
  是ニ於テ軌道條例第五條ニ依リマシテ、右營業ノ廢止ニ依
  ル損失ヲ補償スルノ必要アリト認メマシテ、本案ヲ提出致
  シタ次第デアリマス、之ニ就テハ計算其他ノ事モ御尋ガゴザ
  イマセウガ、委員會ニ於テ逐一申上ゲラレルダケハ申上ゲル
  コトニ致シマス、會期モ何分末ニナリマシタコトデアリマスカ
  ラシテ、何卒速ニ委員會ニ付セラレマシテ、御審議ヲ盡サレ
  ンコトヲ偏ニ希上ゲマス(拍手起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=86

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• 087・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　右議案ノ審査ヲ付託スベキ委員ノ
  選擧ヲ議題ニ致シマス
  右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ選舉

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=87

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• 088・岩崎勲

  ○岩崎勳君　本案ハ前ノ軌道法案外三件ノ委員ニ、併セ
  テ付託セラレンコトヲ望ミマス
  〔「賛成」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=88

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• 089・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　岩崎君ノ動議ニ御異議ハ無イト
  認メマス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=89

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• 090・岩崎勲

  ○岩崎勳君　再ビ日程變更ニ關スル緊急動議ヲ提出致
  シマス、卽チ玆ニ政府提出日本勸業銀行及農工銀行ノ合
  併ニ關スル法律案、政府提出日本勸業銀行法中改正法
  律案、政府提出農工銀行法中改正法律案、及政府提出
  農工銀行補助法中改正法律案ヲ一括議題ト爲シ、其第
  一讀會ノ續ヲ開キ、委員長ノ報告ヲ求メ、且ツ其審議ヲ進
  メラレンコトヲ望ミマス
  〔「賛成」「賛成」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=90

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• 091・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　岩崎君ノ動議ニハ御異議ナイト認
  メマス、仍テ動議ノ如ク日程ハ變更サレマシタ、卽チ日本勸
  業銀行及農工銀行ノ合併ニ關スル法律案外三件ヲ議題
  ニ供シマス、委員長缺席ニ付キ理事高見之通君ノ報告ヲ
  求メマス
  日本勸業銀行及農工銀行ノ合併ニ關スル
  法律案(政府提出)第一讀會ノ續(受取付
  報〓
  報告書
  一日本勸業銀行及農工銀行ノ合併ニ關スル法律案
  (政府提出)
  右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致候此段及報告
  候也
  大正十年三月十二日
  日本勸業銀行及農工銀行ノ
  合併ニ關スル法律案委員長
  波多野承五郞
  衆議院議長奧繁三郎殿
  日本勸業銀行法中改正法律案(政府提出)
  第一讀會ノ續報告(長)
  報告書
  一日本勸業銀行法中改正法律案(政府提出)
  右ハ本院ニ於テ別紙ノ通修正スヘキモノト議決致候此
  段及報告候也
  大正十年三月十二日
  日本勸業銀行法中改正法律案委員長
  波多野承五郞
  衆議院議長奧繁三郞殿
  (小字及-ハ委員會修正)
  日本勸業銀行法中改正法律案中左ノ通修正ス
  第十五條ニ左ノ一項ヲ加フ
  農工銀行ノ存在セサル府縣內ニ於テハ十人以上ノ農
  ◦、　　　　　◦又ハ漁業者　
  業者◦又ハ工業者◦申合セ連帶責任ヲ以テ借用ヲ申
  出タルトキハ其ノ信用ノ確實ナルモノニ限リ五箇年以
  內ニ於テ定期償還ノ方法ニ依リ無抵當貸付ヲ爲スコ
  トヲ得
  　　　　────◇─────
  農工銀行法中改正法律案(政府提出)
  　　　　　　　　　　第一讀會ノ續（委員長報告）
  報告書
  一農工銀行法中改正法律案(政府提出)
  右ハ本院ニ於テ別紙ノ通修正スヘキモノト議決致候此
  段及報告候也
  　　大正十年三月十二日
  　　　　　農工銀行法中改正法律案委員長
  　　　　　　　　　　　　　　　波多野承五郞
  　　　　衆議院議長奧繁三郞殿
  　　　　　　　　　　　　　(小字ハ委員會修正)
  農工銀行法中左ノ通改正ス
  第六條第五號中「又ハ工業者」ヲ「、工業者又ハ漁業者」ニ改ム
  第七條ノ四農工銀行ハ日本勸業銀行カ割增金附勸
  　業債劵ノ發行ニ依リテ得タル資金ヲ以テ引受ケタル
  　農工債劵ニ依ル資金ヲ田、畑鹽田、山林、牧場、養
  　魚池又ハ漁業權ヲ抵當トスル貸付竝第六條第三號
  　乃至第五號、第七條ノ二及第七條ノ三ノ貸付ノ外使
  　用スルコトヲ得ス但シ大藏大臣ノ認可ヲ得タルトキハ
  　此ノ限ニ在ラス
  第四十六條中「及第七條」ヲ「第七條又ハ第七條ノ四」
  　　　　────◇─────
  農工銀行補助法中改正法律案(政府提出)
  　　　　　　　　　第一讀會ノ續（委員長報告）
  報告書
  一農工銀行補助法中改正法律案(政府提出)
  右ハ本院ニ於テ可決スへキモノト議決致候此段及報告
  候也
  大正十年三月十二日
  農工銀行補助法中改正法律案委員長
  波多野承五郞
  衆議院議長奥繁三郞殿
  〔高見之通君登壇、拍手起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=91

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• 092・高見之通

  ○高見之通君　諸君、本案ハ此勸業銀行ト農工銀行ヲ
  合併スルノ案デアリマス、附帶シテ一二ノ案ガアリマスケレ
  ドモ、要スルニ骨子ハ此案ノ外ニ何モ無イノデアリマス、而シ
  テ此案ノ政府ノ說明スル所ニ依リマスレバ、單ニ銀行ノ併
  合ヲ以テ資金ノ圓滑潤澤ヲ圖ルト云フノミデハナイノデア
  リマシテ、現代ノ此澤山アル農工銀行ノ中ニ於テハ、特ニ併
  合セザルベカラザル狀況ニ立ッテ居ルモノモアル、併ナガラ銀
  行ニ依リマシテハ、併合スルコトヲ欲セザルモノガアリマス、ソ
  レ故ニ此勸業銀行ノ改正ハ併合スルコトヲ得トシテ、欲ス
  ルモノト欲セザルモノ自由ニシテアルノデアリマス、而シテ此
  案ガ一度成立ッテ併合サレタトシタナラバ、其結果ハドレ程
  ノ利益ガアルカト申シマスルト云フト、免ニ角今マデ行詰ンテ
  居ル資金ノ潤澤ヲ、之ニ依ッテ圖ルコトガ出來ルト云フコトガ
  第一點、ソレカラ又從來ノ各地方ノ農工銀行ノ金利ハ比較
  的高カッタケレドモ、之ニ依シテ幾許カ相営ニ金利ガ低クナッ
  テ、其爲メニ農業經濟ノ發達ノ上ニ多大ノ貢獻ヲ爲スデア
  ラウト云フ、此二大眼目ヲ有スルノデアリマス、是ニ於テ併
  合ヲ欲セザル農工銀行ノ當事者ハ曰ク、隣縣ニ併合サレタ
  其爲メニ金利ガ非常ニ廉クナル、又色ミノ力ノアル行動ヲ
  以テヤラレルト云フト、併合ヲ欲セザル農工銀行ハ、爲ニ壓
  迫ヲ受クルノ憂ナキヤト云フコトガ重大ナル一ツノ議論デ
  アッタノデアリマス、ソレニ就キマシテ政府ハ誠意アル答辯ヲ
  爲シテ、必ズシモ欲セザル農工銀行ノ存在ヲ危クスルヤウナ
  コトハ斷ジテヤラナイ、例ヘバ農工銀行ニハ多額ノ株ヲ持ッテ
  居ル所ノ各府縣知事ト云フモノガアルガ、是等ニ對シテモ決
  シテ無理ヲ强ユルヤウナ行動ニハ出テナイ、ヌ銀行ノ利鞘ガ
  多少違フ爲メニ、隣縣ヲ壓迫スルト云フヤウナ事ガアリマス
  ガ、一方ニ於テ從來勸業銀行農工銀行トノ間ニ、貸付ニ關
  スル一定ノ制限ガアル、是等ノ制限ニ就テモ、十分此經濟
  ノ狀態ニ鑑ミテ、出來ルダケ他ノ壓迫ニ對スル所ノ墻壁ヲ
  築クニ就テハ、何所迄モ誠實ヲ以テ之ニ當ルト云フ、此辯明
  ヲ信ズル限リニ於キマシテハ、根本ノ此法律ヲ制限スル精神
  ハ、經濟ノ資金ノ潤澤ニアリ、而シテ低利ニ農業家ニ貸付
  ケテ、農業經濟ノ振興ヲ圖ルト云フ根本ノ理由ガ此ニ在ッテ
  而モ之ニ對シテ、一方ノ壓迫ニチルト云フ墻壁ヲ築カレル
  以上ニ於テハ、此案ヲ賛成スルニ吝ナラザルモノデアリマス、
  而シテ此案ニ對シマシテ、政友會ヨリ修正案ヲ提出致シマ
  シタンレハ勸業銀行ノ今囘ノ改正案ノ第十五條ノ四項ノ
  中ニ、農工銀行ノ今後存在セザル府縣内ニ於テハ、十人以
  上ノ農業者又ハ工業者ガ申合セ、連帶ヲ爲シテ信用貸ヲ
  請求スルトキニ於テハ、之ヲ五箇年ノ期限內ニ於テ金ヲ貸
  スト云フ文ニ、更ニ「漁業者」ト云フ文字ヲ加ヘテ同ジク均
  霑ヲ受クルコトニシタノデアリマス、此十五條ノ第四項ガ斯
  様ニ改正サレルノハ、元來農工銀行ニ之ト同ジ法律ガ
  アリマスルカラ、勸業銀行ト農工銀行トヲ併合スル以上、隨
  テ必要ナル是ハ法ノ改正デアリマス、方爲メニ農工銀行
  ニ對シテモ、同ジク漁業者ニ對スル相當ノ便利ヲ間イタ
  ノデアリマス、吾ニハ今日ノ漁業者ト云フモノヽ大體ノ狀況
  ヲ見マシテ、而シテ日本ノ現在ノ產業ノ上ニ此漁業權ト云
  フモノヲ相當ニ尊重シテ、而シテ益〓漁業ノ發達ヲ圖ナラケ
  レバナラナイト考ヘマシタ故ニ、此修正案ヲ提出致シマシテ、
  同ジク委員會ニ於テ可決サレタノデアリマス、以上ノ次第デ
  ゴザイマスルカラ、本案ノ精神ハ斯ノ如ク大切ナル、今後日
  日疲弊セントスル所ノ農業經済ニ對スル、大福音ナリト信
  ジマシテ之ニ贊成シマシタ以上、又一方ニ於テ只今申上ゲ
  マシタ所ノ疑惧ノ點ヲ十分政府ガ除ク爲メニ、誠意ヲ以テ
  之ニ當ルト云フ言明ヲ與ヘマシタ以上、吾ミハ之ニ滿腔ノ
  好意ヲ以テ贊成スル者デアリマス、冀クハ諸君モ滿場一致
  御賛成アランコトヲ望ミマス(拍手起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=92

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• 093・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郎君)　本案ノ第二讀會ヲ開クヤ否ヤヲ御
  諮リ致シマス
  〔「異議ナシ」「異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=93

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• 094・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　第二讀會ヲ開クニ御異議ナイト認
  メマス、仍テ第二讀會ヲ開クニ決シマシタ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=94

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• 095・岩崎勲

  ○岩崎動君　四案ヲ一括シテ直チニ第二讀會ヲ開キ、第
  三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通リ、卽チ第二案及第
  三案ハ委員會ニ於テ修正ノ通リ可決確定アランコトヲ望
  ミマス
  〔「賛成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=95

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• 096・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　岩崎君ノ動議ニ御異議アリマセヌ
  カ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=96

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• 097・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　御異議ガ無イト認メマス、直チニ第
  二讀會ヲ開キマス
  日本勸業銀行及農工銀行ノ合併ニ關スル
  法律案第二讀會(確定議)
  日本勸業銀行法中改正法律案
  第二讀會(確定議)
  農工銀行法中改正法律案
  第二讀會(確定議)
  農工銀行補助法中改正法律案
  第二讀會(確定議)
  〔「異議ナシ」「異議ナシ」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=97

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• 098・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　御異議ガ無イト認メマス仍テ第
  一案第四案ハ政府案通リ、第二案第三案ハ委員長報告
  修正ノ通リ可決確定致シマシタ、(拍手起ル)日程第十六、
  徵兵令事務施行細則改正ニ關スル建議案ヲ議題ニ致シ
  マス提出者植原悅二郞君
  第十六徵兵令事務施行細則改正ニ關ス
  ル建議案(植原悅二郞君提出)
  徵兵令事務施行細則改正ニ關スル建議案
  徴兵令事務施行細則改正ニ關スル建議
  我カ國ノ人口ハ年々數十万增加ス而シテ其ノ領土ニハ
  限アリサレハ將來大ニ我カ國民及國力ノ發展ヲ圖ラム
  ト欲セハ其ノ過剰ナル人口ヲ勗メテ海外ニ移住セシメサ
  ルヘカラス然ルニ現行徴兵令事務施行細則中微兵猶
  豫者ニ關スル規定ハ我カ國民ノ海外發展ニ著シキ支障
  ヲ生スルモノナリ故ニ政府ハ速ニ該規定ヲ改正セラレム
  コトヲ望ム
  右建議ス
  〔植原悅二郞君登壇、拍手起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=98

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• 099・植原悦二郎

  ○植原悅二郞君　只今議題トナッテ居リマスル此徵兵令
  事務施行細則改正ニ關スル建議案ノ趣意ヲ簡單ニ說明
  致シマス、此建議案ノ趣意ニ含マレテ居ル事ハ、主トシテ微
  兵令ニ關スル問題デアリマスケレドモ、之ニ依ッテ關係ヲ及
  ボスモノハ海外ニ住居スル者ニ係ル事デアリマス、此徴兵令
  ノ爲メニ、海外ニ在ル者ガ非常ニ、迷感ヲ被ッテ居ルノミナラ
  ズ、日本ノ海外發展ヲ著シク阻止シテ居リマスケレドモ、事
  海外ニ居住スル者ニ關スルガ故ニ、內地ノ者ハ之ニ對シテ
  深ク考慮ヲ費サレテ居リマセヌ、故ニ此徴兵事務條例ニ依ツ
  テ如何ナル影響ヲ受ケテ居ルカト云フコトヲ簡單ニ說明シ
  テ、皆樣方ノ御考慮ヲ煩ハシタイト思ヒマス、私ガ申スマデ
  モナク、徴兵令ハ第四十一議會ニ改正サレマシテ、其當時
  徴兵猶豫ノ年限ハ三十一一歳デアリマシタガ、ソレガ三十七
  歲マデ延長サレテ、是デサヘモ海外ニ在住スル者ニ對シテハ
  非常ニ打擊ヲ受ケルモノト思ヒマスケレドモ、徴兵ト云フコト
  其事ガ、日本ノ國家ノ爲メニ重要ナル義務デアルカラ、已ム
  ヲ得ナイト思ッテ居リマス、【故ニ此案ニハ賛成致シマシタガ、
  事務施行條例ニ依シテ只今存在シテ居ルガ如キ制限ガ附
  サレルモノトハ、私共考ヘテ居ラナカッタノデアリマス、此案ニ
  依リマスルト斯ウ云フコトデアリマス、徴兵猶豫ナルモノガ、
  海外ニ在住致シマシテ滿三十七歲マデハ、徴兵猶豫者トシ
  テ認メラレル、而シテ此者ガ徴兵事務施行條例第百九十
  六條ノ規定ニ依リマシテ、一タビ日本ニ歸ッテ參リマスレバ、
  日本ノ港灣ニ到著シタ日ヨリ港灣ヲ去ルトキマデ、一箇月
  以上滯在致シマスレバ、徵兵拾豫時效消滅ト認メラレテ直
  チニ徵兵ニ服セシメラレルノデアリマス、御承知ノ如ク日本
  ハ四面環海、港灣ニ富ンデ居リマスシ、人口ハ極メテ稠密、
  國內ニハ山嶽重疊トシテ自然ノ物資ニ缺乏致シテ居リマ
  ス、今日國際聯盟ノ成立シテ居ル場合、殊ニ世界各國ノ思
  想ノ傾向カラ判斷致シテ、今日日本ハ如何ニ國內ニ於テ物
  資ガ缺乏致シマシテモ、如何ニ人〓稠密デアッテモ、過去ニ於
  ケルガ如ク海外ニ於テ領土ヲ求メテ、其處ニ日本國民ヲ移
  植セシムルト云フガ如キ事ハ不可能デアルトシナケレバナラ
  ナイ、又政府ニ於テモ、此衆議院ニ於テモ、將來ニ於テハ日
  本ヲシテ產業立國ノ國是ヲ執ラシメナケレバナラヌト云フコ
  トニ就テハ、何人モ異議ハアリマセヌ、此場合ニ於キマシテ、
  日本ノ國民ヲ海外ニ移植セシムル場合ニ於テハ、海外ニ出
  ル者ハ、是ハ血氣壯ンナ者ガ最モ多イノデアリマス、滿二十
  年カラ以上ノ者ガ海外ニ出マシテ、奮闘シ他年自分ノ地位
  ヲ得タ場合ニハ、故國ト事業上ノ關係ノ爲メニ、若クハ妻ヲ
  迎ヘントスル場合ニ、故國ニ歸ッテ參リマシテ、横濱ナラ横濱
  神戶ナラ神戶ニ到著シタ後、一箇月以上滯在致シマスレバ
  直チニ徴兵猶豫時效消滅トシテ現役ニ服セシメラレルノデ
  アリマス、是デハ到底海外ニ於テ、安ンジテ日本ノ有爲ノ靑
  年ガ事業ヲ營ムコトハ斷ジテ出來マセヌノミナラズ此規定
  ニ依リマスレバ、海外ニ於ケル徴兵猶豫者ハ、一年ニ一囘以
  上二囘歸レバ、其滯在期間ノ何日間ニ拘ラズ、徵兵猶豫時
  效消滅ト認メラレマシテ、直チニ徵兵ニ取ラレルノデアリマ
  ス、諸君御承知デゴザイマセウケレドモ、日米問題ハ大平洋
  沿岸ニ於ケル所ノ日本ノ移民ニ依シテ、隨分紛糾致シテ居
  リマスケレドモ、何時デモ日本ニ禍ヲ齎ラスモノハ、此徵兵令
  ノ規定デアリマス、日本人ハ亞米利加ニ來ッテ、亞米利加人
  ト同等ノ待遇ヲシテ貰ヒタイ、市民權ヲモ與ヘテ貰ヒタイ、
  同時ニ所有權モ同等ニ區別シナイデ與ヘテ貰ヒタイト言ッテ
  ツ
  居リナラガ、其者ガ日本ニ一年歸レバ-日本ニ一タビ歸
  テ一箇月以上滯在スレバ、直グ現役ノ義務ニ服セシムヂヤ
  ナイカ、亞米利加ニ於テ日本ノ兵隊ヲ亞米利加人ト同等
  ニ、又兵隊デナクモ、他日直チニ軍人トナル者ヲ之ヲ米國人
  ト同等ニ取扱フト云フガ如キ事ハ、不可能デアルト言ヒマス
  ケレドモ、之ニ對シテ何等ノ辯明ヲ致スコトガ出來ナイノデ
  アリマス、之ヲ以テ日本ガ軍國主義デアルト言ハレテモ、之
  ニ對シテ辯解ノ辭ハ無イト思ヒマス、モウ一ツ諸君ノ御參考
  ノ爲メニ申上ゲテ置カナケレバナラナイ事ハ、亞米利加布哇
  ニ於テ生レタ日本人ガ隨分アリマス、現在ノ國籍法ニ依リ
  マスルト、滿十七歳未滿ノ者ハ國籍ヲ離脫スルコトガ出來
  マス、其親ハ日本人デアルガ故ニ、其子供ノ國籍離脫ヲ欲
  シマセヌ、併ナガラ亞米利加ニ生レ、布哇ニ生レ加奈陀ニ生
  レマシテ、滿十七歲以上ニナリマシテ向フノ〓育ヲ受ケタ者
  ハ、向フニ居クテ事業ヲスルコトガ、日本ノ國家ノ爲メニモ、本
  人ノ爲メニモ、日米ノ將來ノ通商貿易ノ爲メニモ、有利デア
  ルコトハ言フヲ俟チマセヌ、併ナガラ亞米利加ニ生レテ亞米
  利加ニ育ッテ、亞米利加ノ市民デアッテ、亞米利加人ト同等
  ニ取扱ハレテ居ル者ガ、滿二十一歳後ニナリマシテ日本ニ
  歸ッテ參リマシテ、一箇月以上滯在致シマスレバ、直チニ之
  ヲ兵役ノ義務ニ服セシメラレル所ノ規定ヲ有シテ居ルノデ
  アリマス、茲ニ珍ラシイ實例デアリマスケレドモ、布哇ニ住シ
  テ居リマシタ者ガ、其親ハ中〓有力ナル者デアリマスガ、ソレガ此
  二三年前ニ日本ニ歸ッテ來テ、其子供ガ十七歲以上ニナッテ
  日本語ガ解ラナイノデ、築地ノ西洋人ノ學校ニ入レテ置イタノ
  デアリマス、サウシテ自分ガ英語ハ解ルシ、亞米利加ニ籍ガ
  アルシ、亞米利加人ト同等ニ活動スルコトガ出來ルカラシテ、
  亞米利加ニ行ッテ仕事ヲシタイカラト云フト、此二重國籍ト
  徴兵令ノ事務條例施行細則ノ爲メニ、旅劵ヲ下附サルレコト
  ガ出來ナイノデアリマス、亞米利加ノ市民デアル、亞米利加ニ
  於テハ、亞米利加デ當然亞米利加ノ市民ト同樣ナ權利ヲ
  持チ、亞米利加ノ〓育ヲ受ケテ、日本語ヲ話スコトノ出來
  ナイ者ヲモ、尙ホ此事務條例ニ依シテ拘束シテ、之ヲ兵役ノ
  義務ニ服セシメントスルヤウナ規定ニナッテ居リマス、固ヨリ
  兵役ノ義務ハ、日本ノ國家ニ取ッテ重大ナル義務デアリマス
  之ニ對シテハ私共十分ニ考慮ヲ費サナケレバナリマセヌケレ
  ドモ、此人口ノ多イ此海國ニ於キマシテ、產業立國ヲ以テ國
  是ト致ス場合ニ於キマシテハ、海外ニ於テ活動スル所ノ靑年
  ニ對シテハ、特別ナ徵兵ヲ猶豫シ、或ハ之ヲ免除スル位ナ規
  定ガナケレバ、年々五六十万人ヅヽ增加スル所ノ人口ノ將
  來ヲ如何ニセント云フ問題ガ起ルノデアリマス、之ニ就キマ
  シテハ外務當局ニ於キマシテモ、此徴兵事務條例ハ甚ダ日本
  ノ海外發展ヲ妨ゲルノミナラズ、外國ニ於テ屢、軍國主義ト
  云フ所ノ疑惑ヲ招ク原因トナッテ、之ヲ改メナケレバナラナ
  イト云フコトハ、豫算委員會ニ於テモ外務大臣ハ之ニ對シ
  テ、其改正ノ必要ヲ認メラレテ居ルノデアリマス、又昨年政
  友會ノ諸君カラ之ヲ請願爲サレマシテ、其請願ニ於キマシ
  テモ、是ハ緊急改正ヲ要スル事項デアルトシテ採擇サレテ居
  リマス、唯夕單リ陸軍省ニ於キマシテハ色ニノ言ヲ左右致シマ
  シテ、此改正ニ反對ノ意ヲ表示サレテ居リマスケレドモ、段々
  御話シ致シマスレバ、陸軍大臣ハ之ヲ緩和シナケレバナラナイ
  ト云フコトヲ認メルト、私個人ニ取ッテハ言明サレテ居リマス
  斯ノ如キ次第ノ案デアリマスカラシテ、何卒諸君ニ於キマシ
  テモ、慎重審議御賛成アランコトヲ希望致シマス(拍手起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=99

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• 100・岩崎勲

  ○岩崎勳君　本案ハ荒川五郞君外六名提出ノ非役壯丁
  稅法案ノ委員ニ併セテ付託セラレンコトヲ望ミマス
  〔「賛成」「賛成」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=100

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• 101・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　岩崎君ノ動議ニ御異議ナイト認
  メマス、仍テ動議ノ如ク決シマス、日程第十七產業組合法
  及重要物產同業組合法改正竝同組合振興ニ關スル建議
  案ヲ議題ニ供シマス-土井權大君
  第十七產業組合法及重要物產同業組合
  法改正竝同組合振興ニ關スル建議
  案(土井權大君提出)
  產業組合法及重要物產同業組合法改正竝同組
  合振興ニ關スル建議案
  產業組合法及重要物產同業組合法改正竝同
  組合振興ニ關スル建議
  產業組合法及重要物產同業組合法制定以來玆二二一
  十有餘年ヲ經過ス其ノ間同法ノ運用ニ依リ我カ國產業
  !改良發達ニ資スルヤ敢テ尠少ニ非サルヘシ特ニ庶民階
  級ノ經濟ニ稗益ヲ與へシコト亦大ナリ然ルニ今ヤ國運ノ
  進展ト共ニ其ノ改正ヲ斷行スルニ非サレハ到底當初ノ
  目的ヲ達スル能ハサルニ至レリ卽チ今ニシテ更始一新ノ
  時代ニ順應スヘク完全ナル改正ヲ爲スニ非サレハ庶民
  經濟ノ向上ヲ妨ケ我カ國一般産業界ヲ萎靡セシムルニ
  至ルヤ必セリ仍テ政府ハ速ニ同法ノ改正ヲ行ヒ進ムテハ
  同組合振興ニ關スル方策ヲ講スヘシ
  右建議ス
  〔土井權大君登壇、拍手起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=101

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• 102・土井權大

  ○土井權大君　極メテ簡單ニ說明致シマス、御承知ノ通
  リ社會政策ノ實行ト產業ノ振興ハ、我ガ帝國ニ於キマシテ
  今日尤モ必要ナル問題デアリマス、政府ニ於カレマシテモ社
  會政策ノ實行上、各種ノ法律案ヲ提出サレツヽアル次第デ
  アリマスルガ、從來ヨリ社會政策實行トシテ最モ我國ニ效
  果ヲ現シタノハ、蓋シ御承知ノ通リ產業組合法デアリマス、
  然ルニ時勢ハ益〓進運致シマシテ、從來ノ法律其儘デハ、今
  日ノ時代ニ適應シナイ所ガアルガ、故ニ之ヲ改正シナケレバ
  ナラヌ、斯ウ云フコトヲ私ハ考ヘタノデアリマス、ソレガ故ニ
  速ニ產業組合法改正ノ方法ヲ爲スベシ、然ルニ先日政府
  ヨリ致サレマシテ、產業組合法中改正法律案ガ出マシタカ
  ラ、此點ハ詳シク申上ゲマセヌ、其次ニ同業組合法、是ハ御
  承知ノ通リ日本ノ產業發達上尤モ效果ノ有フタ法律デア
  リマス、併ナガラ是亦時勢ニ適應セザル所ノ箇條ガ澤山ア
  リマスルガ故ニ、時勢ニ順應スベク速ニ改正スベシ、斯ウ云
  フ建議デアリマス、其詳細ニ至リマシテハ、幸ニ委員會ニ付
  託サレルコトニナリマシタナラバ其委員會ニ於テ述べタイト
  思ヒマス、更ニ產業組合竝重要物產同業組合法ノ改正ノ
  暁ニハ、益、社會政策ノ實行ニ於テモ、產業振興ん爲メニモ、
  二ツノ組合ノ發展ヲ圖ルベシ、振興ヲ圖ルベシ、斯ウ云フ建
  議デアリマス、何卒御賛成アランコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=102

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• 103・岩崎勲

  ○岩崎勳君　本案ハ奥村安太郎君外二名提出、發明奬
  勵ニ關スル建議案外一件ノ委員ニ、併セテ付託アランコト
  ヲ望ミマス
  〔「賛成」「賛成」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=103

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• 104・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　岩崎君ノ動議ニ御異議ナシト認
  メマス、仍テ動議ノ如ク決シマス、日程第十八成年調査ニ
  關スル建議案ヲ議題ニ供シマス-奧村安太郞君
  第十八成年調査ニ關スル建議案(奧村
  安太郎君外一名提出)
  成年調査ニ關スル建議案
  成年調査ニ關スル建議
  我カ邦ニ於テハ通常滿二十歲(刑法ニテハ十四歳親ノ
  同意アル婚姻ノ場合ニハ女子十五歳男子十七歲徵兵
  令及普通民法ニテハ二十歲親ノ同意ヲ要セサル婚姻ノ
  場合ニハ女子二十五歳男子三十歲選舉法ニテハ男子
  ニ限リ選擧權ハ二十五歳被選擧權ハ三十歳)ヲ成年ト
  ナスト雖其ノ根據ハ不確實ニシテ生理學及心理學上調
  査セル結果ニ出テシモノニ非ス學者ノ〓究セル所ニ依レ
  ハ邦人ハ男子十八歲六箇月女子十七歲六箇月ニシテ
  心身共ニ其ノ發育ノ極ニ達スト云フ但シ這ハ限局セル
  地方民ニ就キ調査セル結果ニ過キサルモ成年制定ノ及
  ホス影響ハ頗ル多岐廣汎ニシテ一日モ之ヲ等閑ニ付ス
  ヘキモノニ非ス故ニ政府ハ速ニ全國ニ亙レル調査ヲ完成
  シ確固不拔ノ根據上ニ成年ヲ制定セラレムコトヲ切望
  ス
  右建議ス
  〔奥村安太郎君登壇、拍手起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=104

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• 105・奧村安太郎

  ○奧村安太郞君　成年調査-題目ハ至。テ簡單デアリ
  マス、我國ノ成年ハ滿二十歳ヲ以テスト民法ニ規定サレテ
  アリマス、所ガ徴兵令トカ、又婚姻其他民事法刑事法ニ於
  テ大ナル徑庭ガアリマス、所ガ九州大學ノ榊博士ガ十數年
  間〓究調查ノ結果、玆ニ世界的大發見ヲセラレタノデアリ
  マス、ソレハ文部省ニ於テ屢、發表シ、尙ホ官報ニ於テ屢〓報
  告サレタモノニ就テ見マスレバ、我國ノ二十歲迄ノ靑年ヲ調
  查シマスレバ、滿十八歲半ヲ以テ身體ノ發育ヲ停止シ、又
  精神ノ上ニ於ケル能力ハ、是ヨリ一年早ク停止シテ居ル狀
  態ニ在ルノデアリマス、婦人ハ尙ホ是ヨリ一年總テノ點ニ於
  テ早イノデアリマス、(「遲イノモアルゼ」ト呼フ者アリ)所ガ我
  國ハ二千何百年以來長ク掛ノテ、明治十一二年頃マデハ十
  七八歳ノ者ニ元服ヲセシメ、之ヲ大人トシテ取扱ッテ居ッタ
  ノデアリマス、日本人ハ要スルニ二千何百年以來、日本人
  ノ能力身體ヲ知ッテ居ノタノデアリマス、所ガ「ポアソナード」ガ
  明治十一二年頃ニ來テ、日本人ノ能力ヲ苦茶無茶ニシテ
  シマッテ、今日デハ二十歲カ成年デアルト心得テ居リマス、所
  ガ其佛蘭西ニ於テハ、滿十八歳ヲ以テ今日ハ成年トシテ居
  ルノデアリマス、是ハ委員會ニ於テ詳シク述べルコトニ致シ
  マスガ、日本人ハ西洋人ノ言フ事ノミニ囚ハレテ、殆ド今日
  ハ魔睡ニ罹ッタヤウナ狀態ニ在ルト云フコトハ、甚ダ遺憾ト
  思ヒマス、宜シク諸君ハ日本人ハ能ク日本人ヲ知ッテ、今日
  ハ必ズシモ西洋人ニ依ラネバナラヌト云フコトハナイノデア
  リマスカラ、此點ニ就テ御賛成アランコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=105

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• 106・岩崎勲

  ○岩崎動君　本案ハ奧村安太郎君提出民法中改正法
  律案ノ委員ニ、併セテ付託セラレンコトヲ望ミマス
  〔「賛成」「贊成」ノ聲起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=106

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• 107・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郎君)　岩崎君ノ動議ニ御異議ナイト認
  メマス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第十九、石油政策ニ
  對スル燃料調査會設立ニ關スル建議案ヲ議題ト致シマ
  ス-高野毅君
  第十九石油政策ニ對スル燃料調査會設
  立ニ關スル建議案(高野毅君提出)
  石油政策ニ對スル燃料調査會設立ニ關スル建議
  案
  石油政策ニ對スル燃料調査會設立ニ關スル建議
  政府ハ現代ノ大勢ニ順應シ最適當ナル石油政策ヲ樹立
  スル爲新ニ權威アル調査機關ヲ設ケ關係各省、斯業專
  門ノ學者及實業者ヲ委員トシテ内外ニ於ケル周到ナル
  調査ヲ遂行シ之ニ依テ液體燃料自給ノ政策ヲ確立セラ
  レムコトヲ望ム
  右建議ス
  〔高野毅君登壇、拍手起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=107

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• 108・高野毅

  ○高野毅君　諸君、本案提出ノ理由ヲ簡單ニ申シマス、先
  程議長ヨリ建議案ハ簡單ニ說明セヨト云フ御注意ガアリマ
  シタカラ、之ヲ遵奉シテ述ベル積リデアリマスガ、本案ハ提出
  以來日程ニ上ルコト既ニ十回ニ垂ントシテ居リマシテ、甚ダ
  私トシテモ其延引ニ呆レマシテ、提出ノ理由モ或ハ忘レタカ
  モ知レヌト云フ感アル有樣デアリマス、而シテ此提出ノ理由
  ヲ述ベルニ當リマシテ、最モ諸君ニ深キ注意ヲ御拂ヲ願ヒタ
  イト云フ次第ハ、本案ノ如キハ國家ノ存立上最モ重大ナル
  關係ヲ及ポスモノデゴザイマス、而シテ其重大ナル關係ヲ及
  ポス問題ガ、甚ダ閑却サレテ居ルヤウナ感ガアル次第デス、
  (「ヒヤ〓〓」)凡ン國防上ノ安固ヲ圖リ、產業上ノ增進ヲ企
  圖スル上ニ於テ、其要件ト云フモノガ多々アルト云フコトハ
  勿論デアリマスガ、此最モ平和時代ニ於テ、其國家國力ヲ
  增進スルニ當ッテ、何カ大ナル力ヲ成シテ居ルカト云フト、卽
  チ熱-力デアル、熱ノ變化卽チカト云フモノデアル、其熱
  ヲ得ルコト、最モ輕便ニ其熱ヲ得ルコトガ出來タナラバ、ソレ
  ハ大ナル成功ノモノデアル、國家トシテモ、個人トシテモ、大
  ナル優勝ノ位置ニ立ツ者デアル、其熱ヲ得ルト云フコトニ汲々
  タルコトニ於テ、何ガ條件カト申シマスレバ、第一ニ於テ其
  熱卽チ力ヲ得ルニ於テハ、空中ニ於テモ水中ニ於テモ、陸上
  ハ勿論ノ事デアリマスガ、僅ノ材料ヲ以テ大ナル熱ヲ得ルト
  云フコトガ、先決問題ニナルノデアリマス、(拍手起ル)此先
  決問題ヲ解決スルニ當ッテ、何ガ現代ニ於テ之ニ適應スルカ
  ト申シマスレバ卽チ石油デアル、此石油ト云フ物ガ現代ニ於
  テ是等ノ條件ヲ包容シタ、最モ必要ナル物トナッテ居ルノデ
  アリマス、ソレ故ニ各國ハ此石油ト云フ物ニ向シテ、油田ヲ得
  ルト云フコトニハ有ユル手段ヲ盡シ、露骨ニ其手段ヲ擇バナ
  イデ、既ニ進捗シツヽアルノデアリマス、ソレニ就テ最モ優秀
  ナル位置ハ、世界ニ於テ二ツノ潮流ニ分レテ居ルノデアリマ
  ス、卽チ英吉利ト亞米利加ト此二箇國ニ於テ、世界ノ油田
  ノ有利ナル地位ヲ占メテ、既ニソレ以上ニ世界ノ油田ヲ擴
  張スルト云フコトニ就テハ、非常ナ競争ヲ爲サレテ居ルノデ
  アリマス、之ガ爲メニハ旣ニ各國ニ於テ出來得ル限リノ力ヲ
  盡スト云フコトデアリマシテ、外國ノ報道モ我國ノ新聞紙ヲ
  賑ハシテ居ルト云フコトハ、諸君ノ諒知セラルヽ所ト私ハ信
  ズルノデアリマス、斯ノ如ク露骨ニ油田ノ爭奪戰ヲナシテ居
  ル今日ニ於テ我國ノ狀勢ハ、如何ナル程度マデ進ンデ居ル
  カト云フト實ニ寒心ニ堪ヘナイ次第デアリマス、世界ノ石油
  ノ產額ハ約五億万石アルノデアリマス、然ルニ其五億万石
  產額ノ中ニ於テ我國ハ如何デアルカト云フト、二百万石ニ
  充タナイノデアル、卽チ百七八十万石或ハ二百万石ノ間
  ヲ往來シテ居ルノデアリマス、世界ノ產額ノ一一百分ノ一ニモ
  足ラナイ心細イ狀況ニナッテ居ルノデアリマス、而シテ此產額
  ヲ增スト云フコトハ、內地ニ於キマシテハ到底出來ナイト云
  フ有樣デアリマス、如何トナレバ或ル論者ノ如キハ、日本ハ
  自給白足ヲ爲スベキ餘地ガアルト云フヤウナ言ヲ弄シテ居
  リマスガ、ソレハ極ク淺見者流ノ言論デアリマシテ、今日迄
  ノ内地油田ノ形跡ヲ見マスレバ、決シテ樂觀ハ許サナイノデ
  アリマス、而シテ平時ニハ外國ニ向シテ大ニ油田ヲ獲得スル
  ト云フノガ、今日最モ急務デアルコトヲ信ジテ疑ハヌノデア
  リマス、而シテ外國ニ於テ如何ナル方面ニ行クカト云フト、
  是ハ多々アルト思ヒマスガ、要スルニ外國ニ向ッテ油田ヲ獲
  得スルト云フコトニ就テハ、世界ノ二大勢力タル英米ノ其
  一方ト石油協約ヲ設ケナケレバ、能ク此目的ヲ達スルト云
  フコトハ出來ナイト信ズルノデアリマス、此問題ニ就キマシテ
  ハ、我國ノ需要ハ凡ン後ラ要ルカト云フト、今日デハ約二百
  二十五万石ヲ需要サレテ居ル、其中三分ノ二ハ內地ノ產
  出、三分ノ一ハ外國ノ物ヲ輸入シテ居リマス、而シテ此二百
  二十五万石ト云フモノヽ以外ニ、海軍ノ燃料ト云フモノハ
  別ニナッテ居ルノデアリマス、海軍燃料ハ約六七十万石ヲ輸
  入サルルヤウニ聞イテ居リマス、是ハ今日ハ其程度ヲ以テ足
  リルカ知レマセヌガ、艦隊ヲ年々增加スルニ從ッテ、海軍燃料
  モ年々增加スルノデアリマス、大正十六年ニ八八艦隊ガ完
  成シタ曉ニ於テハ、必ズヤ平時ニ於テモ數倍ノ燃料ヲ要スル
  コトハ疑フ餘地ガナイノデアリマス、而シテ戰時ニ於テハ尙
  ホ幾層倍ノ燃料ヲ要スルト云フコトハ明瞭ナ次第デアリマス、
  海軍ニ於テモ此問題ニ就テハ非常ニ努力サレマシテ、幾多
  ノ方面ニ試掘サレ、又試掘スルト云フコトヲ言明シテ居リマシ
  タ、尙ホ其以前ニ於テ、臺灣ニ於テ試掘サレタ、其臺灣ノ試
  掘ノ結果ト云フモノハ、是ハ不成功ニ了シタノデアリマス、現在ニ
  於テモ某地ニ於テ試掘サレテ、大體ニ於テ成功ヲ認メラレテ居
  ルヤウデ、吾ミモ亦此油田ノ開發ニ最モ重キヲ置キ、又調査
  モシテ居ルノデアリマス、併シ此地方ニ於ケル油田ハ世界ニ餘リ
  例ノ無イ油田デアッテ、斯ノ如ク內地ニ於テ餘リ期待スルコト
  ハ出來ズ、外國ニ向シテモ容易ニ發展スルコトガ出來ナイト
  云フコトニ就テハ、最モ考慮ヲ要スル次第ト思ヒマス、先日
  ノ海軍大臣ノ言明ニ依リマシテモ、我國ハ平時ニ於テハ貯
  藏主義ヲ執ルト言ハレテ居ル、其貯藏主義トハ、卽チ外國
  ヨリ輸入シタ油ヲ貯藏スルト云フ趣意デアルカ、是ハ或ル程
  度マデノ問題デアリマシテ、一朝有時ノ際ニ於テハ、此貯藏
  主義ハ甚ダ心細イ次第デアルト私ハ信ズルノデアリマス、故
  ニ海軍ニ於テハ此石油ニ代ルベキ代用品ヲ研究サレテ居
  リマス、其代用品ト云フノハ第一ニコーライト油、卽チ石炭
  ヲ低溫ニ乾溜シテ取ル液體燃料、之ヲ以テ補充スルト云フヤ
  ウナ計畫ヲ立ッテ居リマス、次ニ又代用品トシテ〓究サレテ
  居ル物ハアルコール、或ハ缺陷好模樣ニ於テ、是ハ英吉利デ
  ハ大分成功サレテ居ル、併ナガラ我國ニ於テハ此原料ハ甚
  ダ不足デアリマシテ、是モ餘リ大ナル望ヲ以テ期待スルコト
  ハ出來ヌト思ヒマス、併シ此代用品〓究ト云フコトハ、經濟
  上ニハ當テニナラヌデモ、戰時ニ於テ有用ニ使用サレル爲メ
  ニ〓究シテ置クト云フ必要上、最モ今日爲スベキ事ト私ハ
  信ズルノデアリマス、近頃聞ク所ニ依リマスト、人造石油ト
  云フモノガ發明セラレタト云フコトデアリマス、果シテ人造
  石油ト云フモノガ、最モ大ナル規模ニ於テ成功サレタ曉ニ於
  テハ、是ハ單ニ我國ノ名譽ノミデナク、世界ニ於ケル大ナル
  力ヲ有スル次第デアリマスカラ、是等ノ事モ調査ノ一ニ算フ
  ルコトヽ思ヒマス、如上述ベタル如ク、我國ノ液體燃料問題
  ト云フモノニ向ッテハ、外國ノ物ヲ迎ヘルニモ力ノ足ラザル所
  ガアリ、内地ノ油田モ樂觀ヲ許サズ、代用品ニ就テハ經濟上ノ
  問題ト共ニ餘リ能ク成功サレテ居ラヌ、斯ノ如キ時ニ於テ
  如何ナル方法ヲ以テ、我國ノ液體燃料ノ缺陷ヲ充タスカト
  云フコトハ、最モ考慮ヲ要スル問題デアルト思フ、ソレニ就テ
  ハ從來海軍省ガ非常ニ之ニ向ッテ努力サレマシタケレドモ、
  併ナガラ是ハ海軍省ノミデ解決サレルモノデハアリマセヌ、其
  內地ノ油田ハ農商務省ノ管轄デアリマシテ、又海外ニ向フ
  ニハ、外務省ノ力ヲ最モ要スルノデアリマス、關稅問題其他
  ノ稅問題ニ於テハ、大藏省ガ之ヲ管轄スルト云フ有樣デ、各
  省ガ皆ナ其機能ヲ持,テ居リマシテ、一ツノ問題ノ起ル每ニ、
  各省ニ於テツレヲ統一シタ政策ガ樹ツルコトハ出來ナイノ
  デアリマス、其故ニ私ハ前議會ニ於キマシテモ、液體燃料ノ
  最モ急速ニ解決シナケレパナラヌト云フコトヲ以テ、燃料調
  査會ノ建議ヲ致シタ次第デゴザイマス、然ルニ是ハ單ニ外ノ
  一案ト共ニ、政府ハ速ニ燃料政策ヲ樹立スベシ、斯ウ云フ
  決議デ政府ヘ致シマシタガ、今日ニ至ルマデ政府ハ何等之
  ニ就テ見ルベキ施設ハ無イノデアリマス、此政府ノ施設ノ出
  來ナイト云フモノハ、畢竟スルニ政府ガ燃料政策ニ於ケル、
  智識ニ乏シイカラ生ズル原因ダト私ハ思フノデゴザイマス、
  (拍手起ル)其故ニ此各省ノ重要ナル位置ノ人、及實地家
  ナリ、或ハ學者ナリ、幾多ノ智識アル人ヲ以テ、委員會ナリ
  或ハ調査會ヲ設立シテ燃料政策ヲ速ニ決定スルノガ、最モ
  順序トシテ運ブベキコトヽ私ハ信ズルノデアリマス、(「ヒヤヒ
  ヤ」)簡單ニ是ダケ申上ゲテ置キマスガ、ドウカ諸君ニ於テ愼
  重審議御賛成アランコトヲ、偏ニ希望スル次第デアリマス
  (拍手起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=108

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• 109・岩崎勲

  ○岩崎動君〕「本案ハ議長指名ヲ以テ、九名ノ委員ニ付託　
  セラレンコトヲ望ミマス
  〔「賛成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=109

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• 110・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　岩崎君ノ動議ニ御異議ガ無イト
  認メマス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=110

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• 111・岩崎勲

  ○岩崎勳君　重ネテ議事日程變更ノ緊急動議ヲ提出致
  シマス、卽チ茲ニ政府提出軌道法案、政府提出朝鮮私設
  鐵道補助法案、及政府提出樺太地方鐵道補助法案ヲ一
  括議題ト爲シ、其第一讀會ノ續キヲ開キ、委員長ノ報告ヲ
  求メ、且ツ其審議ヲ進メラレンコトヲ望ミマス
  〔「賛成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=111

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• 112・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　岩崎君提出ノ日程變更ノ動議ニ
  ハ御異議ナイト認メマス、仍テ日程ハ變更サレマシタ、卽チ
  軌道法案、朝鮮私設鐵道補助法案、樺太地方鐵道補助
  法案ヲ議題ト致シマス、其一讀會ノ續キヲ開キマス、委員長
  ノ報告ヲ求メマスー委員長米田穣君
  〔岩崎動君「理事大石大君」ト呼フ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=112

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• 113・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　米田君ハ缺席デスカ--大石大君
  軌道法案(政府提出)第一讀會ノ續(報告(電話 〇二)
  報告書
  一軌道法案(政府提出)
  右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致候此段及報告
  候也
  大正十年三月十二日
  軌道法案理事
  大石大
  衆議院議長奧繁三郞殿
  朝鮮私設鐵道補助法案(政府提出)
  第一讀會ノ續(報告(委員長)
  報告書
  一朝鮮私設鐵道補助法案(政府提出)
  右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致候此段及報告
  候也
  大正十年三月十二日
  朝鮮私設鐵道補助法案理事
  大石大
  衆議院議長奥繁三郎殿
  樺太地方鐵道補助法案(政府提出)
  第一讀會ノ續(變化委員長)
  報告書
  一樺太地方鐵道補助法案(政府提出)
  右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致候此段及報告
  候也
  大正十年三月十二日
  樺太地方鐵道補助法案理事
  大石大
  衆議院議長奧繁三郎殿
  〔大石大君登壇、拍手起ル〕

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• 114・大石大

  ○大石大君　只今議題ト相成リマシタ鐵道法案、竝ニ朝
  鮮鐵道補助法案、樺太地方鐵道補助法案ヲ一括致シマシ
  テ、委員會ノ經過竝ニ結果ヲ御報告申シマス、先ヅ軌道法
  案ニ就キマシテハ、政府委員ノ出席ヲ求メマシテ、質問應答
  ノ結果、委員會ニ於キマシテハ、現行ノ軌道條例ハ明治二
  十三年ノ制定ニ係リマシテ、實際ノ適用ノ上ニ於キマシテ、
  非常ナル不便ト不備ノアルコトヲ感ジタ譯デアリマス、現今
  ノ實情ニ適合セシメンガ爲メニ、此軌道法案ヲ提出セラレ
  タ譯デアリマス、本案ハ道路ノ維持ヲ完全ニシ、一面ハ道路
  ノ補助機關ト致シマシテ、軌道ノ發展ヲ圖ル目的ヲ以テ制
  定ヲセラレタノデゴザイマシテ、最モ時勢ニ適スル所ノ法案
  デアルト云フコトヲ認メマシテ、委員會ニ於キマシテハ全會
  一致ヲ以テ可決致シマシタ、唯ダ之ニ一二ノ希望ガ附シテ
  ゴザイマスルガ、今之ヲ試ニ御報告申上ゲマスナラバ、軌道
  法案ノ第三條ハ卽チ免許デゴザイマス、免許ヲ致シマスル場
  合ニ於テハ、關係市町村ニ諮問ヲ致シテ、聽イテ貫ヒタイト
  云フ希望條件ガ出テ居リマス、又第四條第九條ニハ、道路
  ヲ使用スル場合ニ於キマシテ、道路ノ占用料ヲ取ルコトニ
  ナッテ居リマスガ、是モ新タナル誠ミデアリマスカラ、成ベク軌
  道業者ニモ迷惑トナラナイ、軌道業者ノ苦痛トナラナイ所
  ヲ、十分考慮ヲシテ戴キタイト云フ希望ガ出テ居リマス、九
  條ハ道路管理者ガ道路ノ新設、若クハ改築ノ爲メニ必要
  ガアルト認メタル場合ニ於キマシテハ、軌道經費者ガ新タニ
  拵ヘマシタ所ノ軌道數地ヲ、無償ニテ道路敷地トスルコト
  ガ出來ルト云フ規定ニナテテ居リマスル、是モ成ベク軌道業者
  ノ意思ヲ尊重シテ、苦痛ニナラザル所ノ程度ニ於テ、此九條
  ヲ施行セラレンコトヲ希望スルト云フ條件ガ出テ居リマス、シ
  レカラ道路ニ鐵道ヲ敷設スル場合ニ於テハ、道路ノ一端ニ軌
  道ヲ數設シテ、道路ノ本質ヲ損セザルヤウ、特ニ地方長官ニ
  訓、示若クハ命令ヲシ、道路保全、卽チ道路法ノ目的ニ十分
  ノ監督遺憾ナキヲ期セラレタシト云フ希望條件ガ出テ居リ
  マス、次ニ朝鮮竝ニ樺太ノ鐵道補助法案、是ハ朝鮮竝ニ樺
  太ノ統治ノ上ニ於キマシテ、產業發展ノ上ニ於キマシテ、最
  モ必要ナル法案デアルト云フコトヲ認メマシテ、是亦委員會
  ニ於キマシテハ、全會一致ヲ以テ可決ニナッタ譯デゴザイマ
  ス、ドウカ本會ニ於キマシテモ、滿場一致ヲ以テ可決アラン
  コトヲ希望致シマス(拍手起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=114

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• 115・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　此三案ヲ一括シテ、第二讀會ヲ開
  クヤ否ヤヲ御諮リ致シマス
  〔「第二讀會ヲ開クニ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

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• 116・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　第二讀會ヲ開クニ御異議ナイト認
  メマス、仍テ第二讀會ヲ開クニ決シマシタ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=116

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• 117・岩崎勲

  ○岩崎勳君　三案ヲ一括シテ直チニ其第二讀會ヲ開キ、
  第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通リ可決確定セラレ
  ンコトヲ望ミマス
  〔「賛成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=117

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• 118・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　岩崎君ノ動議ニ御異議ナイト認
  メマス、直チニ第二讀會ヲ開キマス
  軌道法案第二讀會(確定議)
  朝鮮私設鐵道補助法案第二讀會(確定議)
  樺太地方鐵道補助法案第二讀會(確定議)

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• 119・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　此三案ハ委員長報告通リ御異議
  アリマモヌカ
  〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=119

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• 120・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　御異議ナイト認メマス、仍テ此三
  案ハ委員長報告通リ可決確定致シマシタ-日程第二十
  特別市制促進ニ關スル建議案ヲ議題ト致シマス-作間
  耕逸君
  第二十特別市制促進ニ關スル建議案
  (作間耕逸君外五名提出)
  特別市制促進ニ關スル建議案
  特別市制促進ニ關スル建議
  東京其ノ他ノ特別市制ハ多年ノ懸案ニシテ殊ニ現下市
  政ノ改善ヲ期スル上ニ於テ一層其ノ緊急ヲ要スルニ至
  レリ依テ政府ハ速ニ提案セラレムコトヲ望ム
  右建議ス
  〔作間耕逸君登壇、拍手起ル〕

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• 121・作間耕逸

  ○作間耕逸君　本案建議ノ趣意ヲ簡單ニ說明致シマス、
  尤モ特別市制ノ理義、其急施ノ理由等ハ、先刻日程第一
  ノ六大都市行政監督ニ關スル法律案御審議ノ際ニ於ケル
  質問應答ノ間ニ、大部分現ハレマシタ通リデスカラ、ドウヤ
  ラ突合ヒサウデアリマスケレドモ、重複ヲ避]ケテ其點ハ總テ
  申上ゲヌコトニ致シマス、今ヤ我ガ東京市首メ厖大ナル地域、
  戶口、巨多ノ事業、及經濟等ヲ包容致シテ居リマスル大都市
  ニ對シテ、全ク同一ノ市制ヲ以テ之ヲ律シヤウトスルコトノ
  不合理、不適當デアルコトハ、啻ニ其大都市ニ於テノ熱烈
  ナル輿論トナッテ居リマスルノミナラズ、其大都市ト偶、利害
  ノ一致致シマセヌ周圍ノ郡部ヲ除キマシテハ、全國ノ他
  ノ市町村ニ至リマシテモ、總テ特別市制ノ相當ナルコトヲ十
  分ニ認メテ居ルノデアリマス、院內ノ問題ト致シマシテモ、諸
  君ガ御承知ノ通リ東京市其他ニ對シマスル特別市制、若
  クハ都制ニ關シマスル提案ガ、委員會ヲ經テ若クハ委員會
  ヲ經ズシテ本院ヲ通過致シマシタコトハ、實ニ明治三十年ノ第
  十議會以來十有一回、貴族院ヲ通過致シマシタコトガ明
  治二十六年ノ第五議會以來五回、洵ニ見樣ニ依リマシテハ
  光輝アル沿革ヲ持ヲテ居リマスルガ、又見樣ニ依リマシテハ
  極メテ不名譽ナル經歷ヲ持っテ居リマスル多年ノ懸案デアリ
  マス、殊ニ昨年ノ議會ニ於キマシテハ、各派聯盟シテ特別市
  制ニ對スル建議案ガ提出セラレ、本員等モ其委員ノ一人ト
  ナリマシテ、政府ニ交涉致シマシタ際ニ、政府ハ次ノ議會卽
  チ本議會ニ於キマシテハ恰モ特別市制ヲ提案シテ吳レルヤ
  ウナ態度ヲ裝ヒマシタカラ、本員等モ是ハ眞實實現スルモノ
  デアラウト思ヒマシテ、其主張ヲ最小限度ニ譲リマシテ、單
  ニ內務大臣ノ下ノ府縣知事ノ二重監督ヲ廢シテ下サレバ、
  先ヅソレデモ一應我慢致シマス、急速ニ實現ヲ希望スル意
  味ニ於キマシテ此度ハ諦メルト云フ、特ニ希望條件ヲ附シ
  マシタニ拘ラズ、此議會ニ於キマシテハドウデアリマスカ、矢
  張先刻質問應答ノ繰返サレタヤウナ經過デゴザイマシテ、未
  ダ全ク特別市制トシテハ解決ニナッテ居リマセヌ、政府委員
  內務次官ハ、矢張特別市制トシテハ、調査中デアルト云フ
  御答ヲ繰返サレテ居ラレマスケレドモ、果シテドウ云フヤウナ
  組織デ、ドウ】云フヤウナ(「簡單」ト呼フ者アリ)方法デ、ドウ
  云フヤウナ調査ヲサレテ、其結果ガ今現ニドウ云フヤウニ相
  成シテ居ルト云フコトハ、少シモ明答ガアリマセヌカラ、私ハ此
  調査中ト云フ御答ハ.、矢張月並ノ遁口上ニ過ギナイモノト、
  邪推カハ存ジマセヌケレドモ左樣ニ信ズルノデアリマス、(拍
  手)斯ノ如ク洵ニ現内閣ハ都市ニ於ケル熱烈ナル大輿論
  ヲ無視スルノミナラズ、院議ヲ蔑視セラルヽ遣方デアラウト
  思フノデアリマス、(拍手起ル)本員等モ特別市制ノ內容ノ
  範圍及組織等ニ就キマシテハ、色ニ理想モアリ、希望モアリ
  主張モアルノデゴザイマスケレドモ、今ヤ其實現ノ一日モ速
  カナランコトヲ欲シマスルガ爲メニ、餘リ諄とシク注文ヲ致シ
  マセズ、卽チ今囘ハ案其モノヽ內容ハ一切抜キニ致シマシテ
  政府自ラ相當ト信ゼラルヽ特別市制案デ宜イカラ、早速ニ
  之ヲ提案ヲシテ貰ヒタイト云フ御催促ヲ申シタイ趣旨デア
  ルノデアリマス、而シテ(「簡單」ト呼フ者アリ)前議會ニ於キ
  マシテ、吾こガ建議案ノ結果ヲ以テ政府ニ交涉致シマシタ際
  ニ、政府ハ衆議院ノ院議ナル特別市制案ト云フモノヽ骨子
  ハ斯様ナモノデアル、斯ノ如クンバ寧口姑息嗤フニ堪エタリ、
  ナゼモウ一步思切ッテ、根本的ノ大計畫案ヲ建議セラレナイ
  ノデアルカト云フヤウナ、蔭ナガラ嗤ハレタト云フ說ヲ聞イタ
  ノデアリマスガ、今日ノ政府ガ出サレマシタル六大都市行政
  監督ニ關スル法律案ヲ見マスト云フト、全ク紫安君ノ御說
  ノアリマシタ通リ、斯ノ如キハ自治制施行ノ當初カラシテ、既
  ニ出サナケレバナラナカッタモノデアリマシテ、數十年ノ自治制
  ヲ寧口私ハ逆轉スルモノデアル、其點ニ就テハ一大時代錯誤
  ノ法律案ト思量致スノデアリマス、(拍手)政府ハ昨年吾ミヲ嗤
  ハレマシタ所ノ御言葉ハ、今日ハ私ハ大ニ御返シヲシテ、其
  政府ノ固陋頑冥ナルコトヲ御嗤ヲシナケレバナラヌノデアリ
  マス、而シテ政府ハ此法律案ハ、特別市制其モノトハ別案
  デアルト仰セラレマスケレドモ、私ハ特別市制ト云フモノガ提
  案セラレルモノガ、如何ナル程度ノ低イ、內容ノ少サイ案デ
  ゴザイマシテモ、今日ノ法律案ニナリマシタ六大都市行政
  監督、卽チ單ニ或ル事項ニ就テ府縣知事ノ許可ヲ要セザル
  位ノ事ハ、當然其中ニ包含セラレナケレパナラヌ所ノ事柄ト
  考ヘマスルカラ、私ハ決シテ本日提出ニナリマシタ法律案
  ハ特別市制トハ別物ナリトハ考ヘナイノデアリマス、本日ノ
  法律案ハ寧ロ特別市制ヲ促進セズシテ、其進行成案ヲ阻
  碍スル所ノ、一大妨害ノ法律案デアラウト私ハ思フノデ
  アル、(拍手起ル、「簡單々々」ト呼フ者アリ)而シテ今
  ヤ政府ハ一面ニ於キマシテハ、地方制度ヲ根本カラ改正
  致シテ、サウシテ市制等ノ一大改正ヲ行ハルヽ殊ニ北海
  道ノ區又ハ沖繩ノ僻遠ノ地方ニ於キマシテモ、新タニ市制
  又ハ町村制ヲ施カウトスルヤウナ目的ヲ以テ此大改正案ヲ
  出サレテ置キナガラ、此多年ノ重大懸案デアリマスル特別
  市制ヲ、此絕好ノ時機ニ於キマシテ、根本原則タル市町村
  制ト共ニ御改正下サラヌト云フコトハ、私共ハ法制ノ精神
  カラ申シマシテモ、一大遺憾ニ存ズルノデアリマス、(拍手起
  ル)又市制ノ實際ニ於キマシテモ、今ヤ東京市首メ他ノ大都
  市ニ於キマシテ、市政ノ刷新ヲ要スルモノ多々アルノデゴザ
  イマスルガ是等ハ矢張多クハ人ノ罪ニ非ズシテ、制度其モノ
  ノ罪デアラウト思ヒマス、若シ東京市ニ於テ旣ニ特別市制ガ
  施カレテ居ッタト云フコトデアリマシタナラバ、今囘ノヤウナ
  不祥事ノ大部分ト云フモノハ、起ラヌデ私ハ〓ンダコトヽ考
  ヘマスルカラ、政府ハ今日ニ於テ特別市制ヲ提案セラルヽコ
  トハ、時機ニ於テモ最モ私ハ好イ場合デハナイカト考ヘルノ
  デアリマスル、免ニ角本案ハ既ニ稍、慢性的ニナリ掛ケテ居
  ルカラ之ヲ急性的ニ改メマスル爲メニ、此度ハ案ノ內容ヲ示
  サズ、又從來トハ形式ヲ異ニシテ、各派聯合一致ノ方法ニ
  依ラズ、別々ニ一ツ御催促ヲ申上ゲマシタナラバ、或ハ政府
  ヲ刺戟スル力ガ稍こ多クハアルマイカト考ヘマシテ、先ヅ愧
  ヨリ始メテ、吾と東京市選出我黨代議士六名カラ、此案ヲ
  提出シタ次第デアリマスカラ、ドウカ諸君モ政府ヲ鞭韃督勵
  セラルヽ意味ニ於テ、此大都市ノ熱求スル一大懸案ヲ何ト
  カシテ、具體化セシメラレマスルガ爲メニ、本案ニ御賛成アラ
  ンコトヲ切ニ希望致シマス(拍手起ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=121

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• 122・岩崎勲

  ○岩崎動君　本案ハ政府提出六大都市行政監督ニ關ス
  ル法律案ノ委員ニ、併セ付託セラレンコトヲ望ミマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=122

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• 123・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　一寸御提出ヲ御待ヲ願ヒマス、質
  疑ガアリマス-井上孝哉君
  〔井上考〓君君壇、拍手起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=123

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• 124・井上孝哉

  ○井上孝哉君　提出者ニ質問ヲ致シタイト存ジマス、提案
  者作間君ノ仰セノ如ク、特別市制案ハ實ニ本院ニ於テ多
  年ノ懸案デアリマシテ、同時ニ又仰セノ如ク、東京都制案ハ
  貴族院ニ於テ-本年ハ出テ居ラヌヤウデアリマスルガ、是
  モ多年ノ懸案デアリマス、然ルニ特別市制案ハ市ヲ以テ府
  縣ト對立セシムル、少クモ知事ノ監督ヲ脫セシムル、卽チ官
  吏ノ監督カラ離レシムルト云フコトガ其大ナル目的デアル、
  之ニ反シテ都制案ハ、市長ヲ官選ニスルト云フ方法ヲ執ル、
  共ニ其目的ハ大都市ノ行政ノ大ナル進展ヲ期スル爲メデハ
  アリマセウガ、其方法ニ至リマシテハ、全然東西方向ヲ異ニ
  シテ居ルモノヽヤウニ存ジマスルガ、偖此特別市制案ニ於キ
  マシテ、假リニ東京市ニ就テ提案者ニ御伺ヲ致シマスルガ、
  東京市ヲシテ東京府ノ監督ヲ離レシムル、言葉ヲ換ヘテ言
  ヘバ、東京府ヲ東京市カラ脇ニ離レシムル、去ラシムル、東京
  府ノ現ニ東京市ニ於テ行ッテ居ル範圍ノ行政ヲ、東京市ヲ
  シテ爲サシムル、斯ウ云フ目的デアラウト存ジマスルガ、此束
  京府カラシテ、東京市ガ受クル監督ヲ脫セシムルト云フコト
  ニ就キマシテモ、私ハ疑問ヲ大ニ留保シテ置キマスガ、假リニ
  束京府ノ監督ヲ東京市ニ對シテ全ク之ヲ離スコトガ出來
  得ルト致シマシタトキニ、警察ノ行政ハ如何取扱フベキ御趣
  意デアリマセウカ、卽チ警察ノ行政ヲモ、尙且ツ自治體デア
  ル東京市ヲシテ爲サシメラルヽ御考デアリマスカ、警視總監
  ノ仕事ヲ、助投若クハ區長等ヲ以テ當ラシメ得ルモノデア
  リ、若クハ警視廳ヲ區役所ノ如クニシテ、警察行政ガ成立
  チ得ルモノデアルト云フ御趣意デアリマセウカ、若シモ左樣ナ
  御趣意デアルナラパ、是ハ絕對ニ行ハレナイ事デアリマスマイ
  カ、ソレガ質問ノ第一ノ要點デアリマスルガ、警視廳ハ變則
  デアル、斯ウ云フ事デアルナラバ-卽チ目的ハ東京府カラ
  東京市ヲ離レシムルダケダアッテ、警視廳ハ警視廳トシテ存
  在シテ行クモノデアル、斯ウ云フ事デアルナラバ、東京ハ假リ
  ニ其途ガ立チマセウ、卽チ警察行政ニ就テハ二重監督ヲ離
  レルコトハ出來ナイ、警察行政ニ對シテハ一一重監督ヲ甘ン
  ズル、斯ウ云フ御御意デアラウト考ヘマスガ、此點ニ就テ御
  趣意ヲ伺ヒタイノデアリマス、若シモ東京ニ於キマシテハ警
  視廳ガアルカラシテ是ハ別物デアルト云フナラバ、東京以外
  ノ大都市、大阪、京都其他ニ就テハ如何デアリマセウカ、府
  縣知事ガ警察權ヲ握ッテ居リマスルガ故ニ、到底警察行政
  ガ自治體ニ委セルコトノ出來ナイモノトスルナラバ、大阪其
  他ノ大都市ニ於キマシテハ、二重監督ハ到底免ルヽコトノ
  出來ヌモノデアリマスマイカ、ソレカラ第二ニ御尋致シタイノ
  ハ、特別市制ノ施行ノ都市ハ何レマデノ御趣意デアリマス
  カ、或ハ六大都市ヲ以テ其目的ト致シテ居ルノデアリマセウ
  カ、六大都市ニ限ラレルト云フコトニナリマスレバ、若シモ此
  特別市制ナルモノガ都市行政ヲ〓活ニ致シマシテ、而シテ
  是ガ何等ノ支障ナク、唯ダ便宜ヲノミ之レ得ルモノデアルト
  致シマシタナラバ、何ゼ六大都市ニ續クベキ廣島ナリ、長崎
  ナリ、或ハ博多ナリ、金澤ニシテモ、仙臺ニシテモ-斯ノ如
  キ便宜ニシテ、而モ行政ノ敏活ヲ求メ得ルモノデアルナラバ、
  何ゼ之ヲ六大都市ニ非ラザル大ナル都市ニ、施行スルコト
  ヲ目途トセラレナイノデアリマセウカ、大ト小トニ依ッテ大ニハ
  便利ヲ與ヘル、大ニハ敏活ヲ要スル、小ニハ之ヲ要セヌト云
  フ區別ヲ立テラレル程度ノモノデハアルマイト存ゼラレマス
  ガ、此邊ノ御考ハ如何デアリマセウカ、偶〓大都市ニ大ナル
  機關ガアル、立派ナル市長ガアル、立派ナル設備ガアル、ソレ
  ハソレニ相違アリマスマイガ、併ナガラ大ナル都市ニ於テハ大
  ナル事業ガアリ、澤山ニ複雜ナル事態ガアル、之ニ對シテ相
  當ナ設備ガアリマセウ、併ナガラ大都市ナラザル他ノ都市ニ
  於キマシテ、其都市相應ナ設備ガアリ、其都市相應ナ機關
  ガアル、而シテ却テ最モ大ナル都市ニ於テ、往々ニシテ諸君
  ノ御感ジノ如キ誤ガアル、却テ大都市ナラザル相當ナ設備
  アル都市ニ於テ、其事務ハ簡潔ニシテ、寧口監督ヲ受ケルヲ
  要セザル程度ニ整理セラレテ居ル傾ガアリハシマスマイカ、シ
  テ見マスレバ六大都市ナラザル所ノ他ノ[都市ニ於キマシテ
  モ、若シモ二重監督ヲ脫スルト云フコトガ便利デアリ、而モ
  ソレガ行政ノ敏活ヲ圖リ得ルモノデアルナラバ、他ニモ及ボス
  ペキモノデハアリマスマイカ、是ハ先刻政府ノ提案セラレマシ
  タ六大都市行政監督ニ關スル法律案ニ對シテモ、同ジヤウ
  ナ憾ガアリハセヌカト考ヘマス、此都市範圍ニ就テ御尋申ス
  ノガ第二ノ點デアリマス、次ニハ斯ノ如ク特別市制ヲ施キマ
  シタナラバ、行政ノ統一ハ大イニ缺ケルデアラウト存ジマス、
  大ニ缺ケルモノデアルト云フコトハ、是ハ認メナケレバナラヌ
  ト思ヒマスノミナラズ、東京府カラ東京市ヲ除キマシタナラ
  バ、其殘リノ東京府ナルモノハ、府トシテ存在シ得ルモノデア
  リマセウカ、大阪府カラシテ大阪市ヲ除キマシタル所ノ郡部
  ガ、果シテ獨立シ得ル一ノ府デアリマセウカ、此府カラ市ヲ獨
  立サセマシタナラバ、恐ラク殘ル所ノ郡部ヲ以テハ、到底一ノ
  府縣ヲ形作ラレナイモノト思ハレマス、今日迄ハ市ト郡トガ
  連帶ヲ致シテ存立致シテ居リマスルガ、ソレガ離レヽバ到底
  一ノ府縣ヲ成サナイモノト考ヘマス、是ハ如何ニ御考デアリ
  マスカ、是ガ第三ノ御尋デアリマス、最後ニ斯ノ如ク行政ノ
  統一ヲ缺キ、而モ其府縣ノ廢合ヲ要セナケレバナラヌヤウナ
  大イナル犠牲ヲ拂ヒマシテ、之ニ對スル所ノ利益ガ果シテア
  リマセウカ、恰モ屋上ニ屋ヲ架スルヤウナ事ニハ見エマスル
  ガ、併ナガラ社會ノ機關ハ多ク是ハ必要デアッテ存スル例へ
  バ茲ニ本院ニ於キマシテハ議長ガアル、議長ガアリマスレバ
  總テノ議事ハ議長直接ニ之ヲ處理サレタナラバ、ソレデ濟ム
  カモ知レマセヌガ、併ナガラ委員會ノ設ガアッテ-各澤山ノ
  委員會ガアッテ、始メテ委員長ガ處理致シマシテ議事ハ漸ク
  進行スル、若シモ委員會ナルモノヲ廢メマシテ、議長直接ノ
  處理ト致シマシクナラバ、一年經ッテモ議會ハ了リハセヌ、私
  ハ卑近ナ例デアリマスガ、當ニ內務大臣ガ監督致シマスル下
  ニ府縣知事ガアッテ之ヲ監督致シマシテ、始メテ事務ノ進行
  ガ却テ敏捷ナルモノデアラウカト考ヘルノデアリマス、若シモ
  府縣知事カラ離レマシタナラバ、大阪、京都、斯ノ如ク離レ
  タル所へ内務大臣ガ直接ニ事務ヲ處理スル爲メニハ、如何
  ニ之ヲ處理致シマシタナラバ敏活ナ行動ガ執レルデアリマセ
  ウカ、恐ラク提案者ガ特別市制ニ就テ行政ノ敏活ヲ圖ラル
  ト云フノニ對シテハ、反對現象ヲ現スヤウナ虞ガアリハシ
  マスマイカ、卽チ却テ得ル所ハ少ナクシテ、失フ所ノ犠牲ノ
  方ガ頗ル多イコトデハアリマスマイカ、此四點ニ就テ御伺シ
  マス
  〔作間耕逸君登壇、拍手起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=124

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• 125・作間耕逸

  ○作間耕逸君　特別市制ノ制度ノ內容、組織及範圍等
  ニ就キマシテ、私一人トシテハ相當ノ理想モアリ主張モア
  リ、希望モアルノデアリマス、併ナガラ本案提出ノ理由ト致
  シマシテハ、昨年建議案ノ可決致サレマシタ、内務大臣ノ下
  ニ府縣知事ノ二重監督ヲ廢スルト云フコトヲ最小限度ト
  致シマス、ソレ以上ソレ以外ニ於テハ、政府自ラ相當ト信ズ
  ル進步サレタル案サヘ出シテ下サレバ、ソレデ宜イト云フ趣
  旨デアリマス、デアリマスカラ其餘ノ事ハ私見ニ係リマスカラ
  ソレハ略シマス、只今ハ第一點ノ總括的御質問ニ對シテ御
  答致シマス、第二點ト致シマシテハ、此特別市制ヲ施カント
  スル地域ハ、何ト申シマシテモ先ヅ帝國ノ首都デアル束京ヲ
  第一ト致シマスルガ、他ハ戶口、地域、事業、及經濟ノ尨大
  巨額ナル順序ニ依リマシテ、東京市ト同時ニ、又漸ヲ逐ウテ
  追〓ニ施行致スト云フ趣旨デアリマス、第三行政ハ却テ統
  一サレ易イ、監督ガ二重ニナッテ居リマスレバ、先刻日程第
  一ノ法律案ニ於テ森下君ガ申サレマシタ通リニ、色〓ノ行
  政事項取扱ノ上カラ、書類整理等ノ上カラ、矢張統一ヲ缺
  キ、不便ヲ感ズル點ガ頗ル多イ、其監督ノ二重ヲ廢シテ一重
  ニスレバ行政官ガ自ラ能ク統一サルヽト云フコトハ、玆ニ議
  論ヲ要スマイト思フノデアリマス、ソレカラ尙ホ其點ノ中ノ周
  圍ノ郡部地方ハ如何ヤウニ致ス、是ハ內務省ハ最モ進步シ
  タル考ヲ持っテ吳レサヘスレバ、東京府ヲ獨立サシテ、東京部
  或ハ束京市トサシテ吳レヽバ、吾ミニハ一層滿足ヲ致スノデア
  リマスガ、迚モ今ノ政府當局ニサウ云フ藝當ハ出來マスマイ
  若シ地域ノ點ニ於テ現在ノ市ト郡部ト分レルヤウニ相成リ
  マスレバ、事業上經濟上聯絡調和ヲ圖ル途ヲ講ジサヘスレ
  バ、郡部ノ地方モ私ハ決シテソレニ對シテ、不滿ハ懷カレナ
  カラウト思フノデアリマス、此點ハ政府當局ニ於テ進步セラ
  レタル御考ヲ以テ、新シク案ヲ出シテ戴クトキニ、其邊ノ聯
  絡調和ヲ十分御考へ下サッタラ、井上君ノ御心配ノ如キ結
  果ハ生ズルコトハナカラウト思ヒマス、最後ノ第四ハ私ハ特
  別市制ヲ施行サヘスレバ、府縣事務ト同樣ニ一重監督ノ下
  ニ於テ、市ノ事務ハ一層統一サレルト同時ニ亦敏活ニ相
  成ッテ、其損失ヨリモ利益ノ方ガズット多イデアラウ、日程ノ
  第一ニ上リマシタ法案ノ如キハ、二重監督サヘモ廢シナイ現
  行ノ儘ト云フコトデアリマスルカラ、斯ノ如キ法律案ノミヲ
  以テシテハ、到底事業ノ敏活ト云フコトハ期待サレマセヌカ
  ラ、是非トモ此特別市制ノ施行ニ依ッテ、其目的ヲ貫徹シタ
  イト云フ趣意デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=125

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• 126・岩崎勲

  ○岩崎動君　本案ハ政府提出六大都市行政監督ニ關ス
  ル法律案ノ委員ニ、併セテ付託セラレンコトヲ望ミマス
  〔「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

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• 127・奧繁三郎

  ○議長(奥繁三郞君)　岩崎君ノ動議ニ御異議ハ無イト
  認メマス、仍テ動議ノ如ク決シマス-日程第二十一多摩
  川改修費及水源涵養費國庫支辨ニ關スル建議案ヲ議題
  ニ致シマス-森恪君
  第二十一多摩川改修費及水源涵養費國
  庫支辨ニ關スル建議案(秋本喜七君
  外二名提出)
  多摩川改修費及水源溷養費國庫支辨ニ關スル建
  議案
  多摩川改修費及水源涵養費國庫支辨ニ關ス
  ル建議
  多摩川ハ其ノ流域八十四方里延長三十八里ニ互リ東
  京府及神奈川山梨ノ二縣ヲ貫流スル大河ニシテ東京
  市水道用水トシテ畏クモ皇室ノ御料用ニ供進セラル
  ルノミナラス都下三百餘萬人ノ飮料ニ使用セラレ兼テ
  沿岸各地ノ灌漑及水運ノ便ニ供セラルル極メテ重要士
  ル河川タルコトハ言ヲ俟タス然ルニ頻年洪水ノ被害ハ年
  每ニ增大シ其ノ慘狀實ニ名狀スヘカラサルモノアリ依テ政
  府ハ速ニ本川改修費及附帶事業タル水源涵養費ヲ國
  庫ニ於テ負擔シ完全ナル治水計畫ヲ實施セラレムコトヲ
  望ム
  右建議ス
  〔森恪君登壇、拍手起ル〕

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• 128・森恪

  ○森恪君　多摩川ハ山梨、東京、神奈川ノ一府二縣ヲ貫
  流致シテ居リマスル、延長三十八里弱ノ川デアリマス、沿道
  ノ住民ハ他ノ河川ト等シク、水運灌漑ノ利便ヲ受ケテ居ル
  ニハ相違アリマセヌガ、此川ノ本流ノ大部分ト云フモノハ、
  之ヲ東京市ノ水道ニ堰入レテ、サウシテ上ハ皇室ノ御料、竝
  ニ束京市民三百万人ノ飮料ニ供給セラレテ居ルノデアリマ
  ス、然ルニ近年年毎ニ洪水ノ慘害ガ增大致シテ參リマシテ、
  今日ニ於キマシテハ、殆ド住民ノ負擔ニ堪ヘナイ程度ニナッ
  テ居ルノデアリマス、洪水ノ害ノ大ナル河川ハ全國其例ニ尠
  カラヌノデアリマスケレドモ、特ニ本川ニ於キマシテハ、此川
  ヲ最モ多ク利用スル所ノ者ハ帝都三百万ノ市民デアル、サ
  ウシテ此川ヲ比較的少ナク利用シ、此川ニ依ッテ受ケル所ノ
  損害ヲ多ク学ケル者ハ、沿道住民デアリマス、斯ノ如キ特殊
  ノ例ヲ持ンテ居リマス所ノ川ハ、全國ニ殆ド其例ガ無イト斷
  言致シテ差支ナイノデアリマス、斯ノ如キ狀態ニ在ル所ノ河
  川ハ、宜シク其水源ノ涵養ニ要スル費用、或ハ其モノヲ改修
  致ス所ノ費用ヲ國庫ニ於テ負擔シ、一日モ速ニ完成ヲ期ス
  ルト云フコトガ、當然ノ事デアルト吾ミハ考ヘルノデアリマス、
  是ガ此建議案ヲ提出致シマシタ趣旨デアリマス、尙ホ此多
  摩川ノ改修ニ就キマシテハ、此本議會ニ於テ請願ガ採擇セ
  ラレタルコト數次デアリマス、今議會ニ於キマシテモ、旣ニ請
  願委員會ニ於テ採擇ト決セラレテ居ル次第デアリマスカラ、
  詳細ナル事ハ尙ホ委員會ニ於テ陳述致シマスケレドモ、ドウ
  カ諸君ノ御賛同ヲ得テ、此建議案ノ成立致スコトヲ希望
  致シマス(拍手起ル)

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• 129・岩崎勲

  ○岩崎勳君　本案ハ議長指名ヲ以テ、九名ノ委員ニ付託
  セラレンコトヲ望ミマス
  〔「賛成々々」ト呼フ者アリ〕

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• 130・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　岩崎君ノ動議ニ御異議ナイト認メ
  マス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第二十二多摩川
  改修費及水源涵養費國庫支辨ニ關スル建議案ヲ議題ト
  致シマス、高木正年君
  第二十二多摩川改修費及水源涵養費國
  庫支辨ニ關スル建議案(高木正年君
  外六名提出)
  多摩川改修費及水源涵養費國庫支辨ニ關スル建
  議案
  多摩川改修費及水源涵養國庫支辨ニ關スル建
  議
  多摩川ハ其ノ源ヲ山梨縣下ニ發シ束京府西多摩、南多
  摩、北多摩、荏原郡、神奈川縣橘樹郡トノ間ヲ貫流スル
  一大河ニシテ其ノ水質ノ無菌〓凉ナルハ關東河川中第一
  位ヲ以テ稱セラレ畏レ多クモ皇室ノ御飮用ニ供シ奉ル
  ノミナラス帝都三百萬ノ人口ハ之ヲ生命トシテ其ノ供給
  ヲ受ケツツアリ而シテ多摩川本流ノ水量ハ平時東京市
  ノ水道ニ堰入レ唯秋川及淺川ノ流末ヲ以テ僅ニ下流
  各町村ノ用水及飮用ニ充テ居ルカ爲ニ平時此カ水流ハ
  甚タ豐ナラサルモ其ノ流域ハ駿山丘陵ノ間ヲ奔流シ來
  ルヲ以テ一朝大雨又ハ暴風雨ニ台スル時ハ瞬時ニ水量
  ヲ增加シ猛烈ナル勢ヲ以テ奔逸シ爲ニ其ノ被害ハヨリ
  多ク激烈ニシテ此カ改修費及附帶事業タル水源涵養ニ
  關シ多額ノ費用ヲ要シ關係府縣ニ於テ到底之カ負擔ニ
  耐ユヘカラス依テ右改修費及水源涵養費等ハ之ヲ國庫
  ノ負擔ニ移シ完全ニ該工事ノ進成ヲ期セラレムコトヲ望
  ム
  右建議ス
  〔高木正年君登壇、拍手起ル〕

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• 131・高木正年

  ○高木正年君　此案ハ只今森恪君ノ御紹介ニナリマシタ
  多摩川ノ改修費ノ國庫支辨建議案デアリマス、私ハ森恪
  君ノ御殘シニナッタ部分理由ガ、此問題ヲ國庫支辨ニ致ス
  要求トシテノ、必要ナ事柄デアルト思フ點ダケヲ申上ゲテ、極
  メテ簡單ニ自分ノ責務ヲ了ラウト思フノデアリマス(「謹聽
  ト呼フ者アリ)多摩川ノ改修ガ、他ノ河川ト實際今日國
  庫ノ補助ヲ異ニシテ居ルト云フコトガ一ツデアリマス、御承
  知ノ如ク四十三年ノ大洪水ノ後ヲ承ケマシテ、當時桂內閣
  ガ臨時治水調査會ニ依ッテ、全國六十河川ノ選定ヲシマシ
  タ、其第二期ニ屬スル多摩川改修工事デアルノデアリマス、
  ドウ云フ譯デアリマシタカ、最モ緊要ナル多摩川改修工事
  ハ第二期川ニ入ッタ、ンレ故ニ之ヲ繰上ゲヤウトシマシテモ、
  中〓第一期川サヘ完成ノマダ了ラナイ時デアリマシテ、容易
  ニナリマセヌ爲メニ、他ノ河川改修ハ四分ノ三ヲ國庫負擔
  シテ四分ノ一ノ僅カヾ地方負擔ニナッテ居ル、此通リノ補助
  デヤルト云フコトハ、當時ノ財政狀態デ中ミ政府ガ聽イテ、
  吳レナイ、是ニ於テ宮城縣ニ於テ例ヲ開イタ所ノ國庫負擔
  ヲ二分ノ一、地方負擔ノ二分ノ一ト云フ程度ニ於テ、宮城
  縣デ初メテ例ヲ開カレタ、確カ其翌々年デアリマシタ、多摩川
  改修工事ガ此例ニ依ッテ、初メテ改修ニ著手スルコトニナッ
  タ、多摩川ノ必要ナル點、他川ニ比シテ最モ多ク國ニ利用
  サレテ居ル點ニ於テハ、森恪君ノ言ハレタ通リデアル、然ルニ
  其國庫ノ負擔ナルモノハ、他ノ河川ヨリモヨリ多ク地方ガ
  負擔ヲシテ居ルノデアリマス、之ニ就テ東京府ハ市モ郡モ同
  一ニ負擔ヲシテ居ルノデアリマスルガ、神奈川縣ニ至リマス
  ト僅ニ橘樹郡ダケニ此流域ガ存シテ居ル爲メニ都會ノ供セ
  ラルヽ-勿論神奈川縣モ矢張田用水ニモ飮用水ニモ使ッテ
  居リマスガ、實際ニ供給サレル其用途ノ上カラ言フト、神奈
  川縣ガ東京ニ比シテ頗ル分量ガ小サイニ拘ラズ矢張其負
  擔ハ同ジク、地方ニ於テハ二分ノ一ノ少カラヌ所ノ分量ヲ
  負ウテ居ル、之ガ爲メニ神奈川縣ニ於キマシテ、横濱市ト郡
  部トノ間ニ、此分擔ニ就テ始終紛紜ノアルト云フコトハ、始
  終新聞デモ傳ヘラレテ居ル、且ツ斯樣ニ感ジマスト、元來都
  市ノ用ニ供セラルルノデアルカラ、ソレナラバ東京市ニ於テ
  多ク之ヲ負擔スレバ、差支ナイノダラウト云フ議論モ起ルカ
  モ知レマセヌ、私共ハ元來多摩川ノ國ニ對シテ獻ゲテ居ル所
  ノ用途ト云フモノハ、必ズシモ單ニ一地方ノ東京ト云フノミ
  ノ意味ハ持ッテ居ラヌト思フ、東京ハ御承知ノ如ク下町ナル
  モノハ悉ク埋地デアル、盛洲若クハ築地等ニ依シテ今日ノ束
  京市ハ造ラレテ居ル、ンレ故ニ飮料水トシテハ、地下水ト雖
  モ容易ニ得ラレナイ、此多摩川ノ上水ガアッテ、而モ日本ノ
  中デ最モ古イ上水デアル、所謂大江戶ノ今日アルノハ、全ク
  水アッテ始メテ、此中央都市ニ人ヲ集メタ東京ガ全國ノ中
  央ノ都トシテ、且ツ皇城ノ存在地トシテ、國ガ之ニ對シテ獻
  クベキ力アリトシタナラバ、是等ノ事ニ就テハ十分力ヲ盡シ
  得ベキ筈デアルニ拘ラズ、他ノ河川改修ニ就テハ既ニ東京
  神奈川ガ負ウテ居ル、多摩川ノ改修費ノ負擔ヨリモヨリ多
  ク國庫ガ出シテ居ッテ、却テ此多摩川ハ地方ニ於ケル負擔
  ガ他ノ河川ヨリ重イト云フ理窟ハ、事實上無理ナル分擔額
  デアルト思フ、ソレ故ニ私共ハ今日マデ餘リ例ノ無イ事デア
  リマスガ、是非共多摩川ノ改修費ハ大都市ヲ形造クル上ニ
  於キマシテモ、又國民ノ皇室ニ捧ゲ奉ル意味ニ於キマシテモ
  全部之ヲ國庫負擔トスルノガ相當デアラウト云フ意味ガ、卽
  チ此建議ヲ致ス根本ノ趣意デアリマス、尙ホ附加ヘテ置キ
  マスガ、多摩川ノ難儀ナ事ハ、多摩川ノ本流ノ水ヲ總テトハ
  申シマセヌケレドモ、多摩川ノ中デ-多摩川ハ本流ト秋川ト
  淺川ト此三川ガ入ッテ、多摩川トナッテ居ルノデアリマスガ、
  第一番水ガ澤山アッテ、水質ノ最モ良イ本流ハ東京市ニ皆
  ナ入ッテシマウ、川ト云フモノハ水自身ガ川ヲ渫フノデアル、
  不斷水ガ流レテ居ルトハ、底ニ流レテ來ル木ノ葉ヤ芥ナドハ
  水自身ガ浚ァテ行クカラ、川ガ埋ラヌノデアル、所ガ浚フ水ガ
  無クシテハ秋川或ハ淺川ノ水ガ入ッテ、下流ノ田用水飮用
  水ニ供スルトシテモ、不斷水ノ無イ川デアルカラドウシテモ
  埋リ勝デアル、理リ勝デアルカラ、一朝水ガ出ルト其水ハド
  ウスルカ、東京市ニ持ッテ行クカト云フト是ハ持ッテ行カナイ、哲
  多序川沿岸ノ地方ヲズット持ッテ行ク而モ荒川ノヤウニ水
  源ガ遠ク平地ヲ迂回シテ流レテ來ルト云フ狀態デアルト、水
  ガ出テモ二日位間ガアルノデアリマスケレドモ、多摩川ハ深
  山ト云ッテ非常ニ高イ山デハナイノデアリマスガ、此山カラ流
  レテ來ル所ノ水デアリマスカラ、忽チ汎濫スル、ソレデアリマ
  スカラ水害モ非常ニ多イ、デ是ハ徒ラニ地方問題トシテ、此
  壇上ニ立ッテ多クノ時間ヲ費シタクハナイノデアリマスガ、斯
  ル必要ノ上カラ森恪君ノ御說明ガアリマシタケレドモ、少シ
  ク之ヲ補足シテ、此問題ハ是非共委員會ニ於テモ本會ニ於
  テモ通過スルヤウニ、御盡力ヲ願ヒタイト思フノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=131

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• 132・岩崎勲

  ○岩崎動君　本案ハ前ノ日程ノ委員ニ併セテ付託セラレ
  ンコトヲ希望致シマス
  〔「賛成々々」「異議ナシ」ド呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=132

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• 133・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　岩崎君ノ動議ニ御異議ナイト認
  メマス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程二十三免囚差別
  待遇撤廢ニ關スル建議案ヲ議題ニ致シマス、鮎川盛貞君
  第二十三免囚差別待遇撤廢ニ關スル建
  讃案(鮎川盛貞君提出)
  免囚差別待遇撤廢ニ關スル建議案
  免囚差別待遇撤廢ニ關スル建議
  官營事業竝官設工場ニ於ケル職工傭人ノ採用ニ就テ
  ハ其ノ採用資格ノ一トシテ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル
  者ノ採用ヲ絕對ニ禁止スルノ規定アリ然レトモ這ハ刑事
  政策ノ目的ニ背馳スルノミナラス國家自ラ改悛セル免因
  ノ生活方法ヲ拒絕スルモノナルカ故ニ政府ハ速ニ此等諸
  官署工場ノ採用規則中ニ「其ノ刑ノ執行ヲ終リ又ハ執
  行ノ免除アリタル日ヨリ滿五箇年ヲ經過シタル者ハ此ノ
  限ニ在ラス」トノ意味ノ規定ヲ追加シ以テ免囚ニ對スル
  差別待遇ヲ撤廢セラレムコトヲ望ム
  右建議ス
  〔鮎川盛貞君登壇〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=133

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• 134・鮎川盛貞

  ○鮎川盛貞君　此案ハ社會ノ表面ニ華こシク働イテ居リ
  マス人〓ニ關スル問題デハナク、社會ノ裏面ニ於キマシテ、世
  態人情ノ冷酷ナルニ泣キツヽアル所ノ、刑餘ノ人こニ對スル
  救濟ノ問題デアルノデアリマス、隨テ諸君ノ感興ヲ惹クコト
  非常ニ僅少デハアリマスガ、私ト致シマシテハ、是ハ重大ナル
  人道問題デアリ、刑事政策上ノ大問題デアルト考ヘテ居ル
  ノデアリマス、今日日本ノ法律制度ヲ見マスレバ、一般ノ官
  公吏ハ固ヨリ、總テ國家ガ經營シテ居リマス所ノ工場ト
  云ハズ、或ハ其他ノ事業ト云ハズ、是等ニ使用スル所ノ雇員、
  職工、傭人ノ類ニ至ルマデ、悉ク禁錮以上ノ刑ニ處セラレタ
  ル者ハ、絕對ニ永久ニ使用ヲシナイト云フ規定ガ設ケラレテ
  アルノデアリマス、國家ガ斯ノ如ク免囚ニ對シマシテ、差別的
  ノ待遇ヲ致ス所ノ標本ヲ示シマス爲メニ、民間ニ於キマシテモ
  稍〓大ナル所ノ工場、銀行、會社、鑛山ノ如キニ悉ク此前科ノ
  アル、詰リ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者ハ使ハナイト云フ
  ヤウナ採用ノ規定ヲ設ケデ、差別的待遇ヲシテ居ルノデアリ
  やっ、斯ウ云フ風ノ現在ノ有樣デアリマスカラシテ、社會ニ
  於ケル數百万ノ免囚ノ境遇ト申シマスモノハ、殆ド皆ナ斯
  ル差別的待遇ノ下ニ置カレテ居ルト云フ、悲慘ナル境遇ヲ
  辿ッテ居ルノデアリマス、故ニ今日此免囚ガ步イテ居リマス
  所ノ道ハ、決シテ希望ノアル光明ノアル道デハアリマセヌ、モ
  ウ絕望ノ非常ニ·心細イ道ヲ迪リツヽアルノデアリマス、私ガ
  實驗致シマシタ所ニ依リマスト、此免囚ノ中デモ資產ノアル
  者ハ別デアリマスガ、資產ノ無イ免囚ニナリマスレバ知識階
  級デアルト勞働階級デアルトヲ問ハズ、大部分ハ自分ノ故
  〓ヲ離レテ他國ヲ放浪シテ居ルノデアリマス、是ハ國家ガ免
  囚ニ對シマシテ、差別待遇ヲスルト云フ所ノ標本ヲ元シ、一
  面ニ於テ社會ガ之ニ對スル差別的ノ感情ヲ持ッテ居リマス
  爲メニ、此壓迫カラ免レル爲メニ自分ノ故〓ヲ離レテ、他ノ
  前科者デアルト云フコトノ全ク知レナイ所ノ土地三至ッテ、
  其處ニ住心地ノ好イ天地ヲ開カウト努力致シテ居ルノデア
  リマス、併ナガラ是トテモ免囚ニ對スル永イ避難地デハナイ、
  暫ク致シマスルト、或ル機會ニ或ル動機カラ其者ノ前科ガ
  アルト云フコトガ知レテ參リマスレバ、直チニ以前ノ通リニ執念
  深イ所ノ社會ノ壓迫ヲ、之ニ向ッテ加ヘラレルノデアリマス、斯ノ
  如ク資產ノ無イ免囚-自分デ働イテ生活シテ行カナケレ
  バナラマ資產ノ無イ免囚ハ、生活ノ途ヲ自然々々ニ壓迫サ
  レマシテ、次第々々其居ヲ移シテ、到頭所々ヲ放浪シテ、悲慘
  ナル境週ニ彷徨スルト云フコトニナッテ、サウシテ是ガ免囚ソ
  レ自身ノミナラバマダ宜イガ、罪モ科モ無イ妻子ニ至ルマデ
  モ同ジキ苦シミヲ受ケマシテ、此世ノ人情ノ冷酷ナルコトヲ
  呪ヒ、社會組織ノ餘リニ深刻ニ、非常ニ待遇ノ酷薄ナルコ
  トヲ怨マナケレバナラヌト云フヤウナ境遇ニナッテ居ルノデア
  リマス、デ私ノ出シマシタ所ノ建議案ハ、此免囚ニ對スル國
  家ノ制度ノ上ニ於ケル、差別ノ待遇ヲ撤去シテ戴キタイ、斯
  ウ云フノガ主旨デアリマス、併ナガラソレトテモ、現在ノ場合
  全部ヲ撤廢シテ戴キタイト云フコトヲ申スノデハナイノデア
  リマス、全部ヲ取ッテ戴クト云フコトニナリマスレバ一般ノ官
  公吏全部ニ對シテモ、此差別待遇ヲ取シテ戴カナケレバナラ
  ヌト云フコトニナルノデアリマスガ、私ハ現在ノ制度ニ鑑ミマ
  シテ、全部ヲ撤廢シテ戴キタイト申スノデハナイノデアリマス、
  ソレハ唯ダ職工、傭人、此階級ニ對シテ、此差別待遇ノ制度
  ヲ取ッテ戴キタイト云フコトヲ御願スルノデアリマス、而モソ
  レハ監獄ノ門ヲ出ヅルヤ直チニ之ニ對シテ差別撤廢ヲシテ
  貫フト云フノデハナイノデアリマス、刑ノ執行ノ免除ヲ受ケ、
  若クハ刑ノ執行ヲ終ック時カラ滿五箇年ヲ經過シタル者ニ
  對シテ國家ハ之ニ對シテ、差別待遇ヲ撤廢スルト云フ制度
  ニシテ戴キタイト云フコトヲ御願スルノデアリマス、此刑ノ執
  行ヲ終リ、若クハ刑ノ免除ヲ受ケタル日カラ五箇年ヲ經ッタ
  者ニ對シテ、此恩典ヲ與ヘテ貰ヒタイト云フノデアリマシテ、
  是ハ現行刑法ノ精神ヲ斟酌致シマシテ、此建議案ヲ拵上
  グクノデアリマス、現行法ノ規定ニ依リマスルト云フト、刑事
  政策ノ意味ニ依ッテ規定サレマシタ所ノ法文ヲ見マスレバ、
  例ノ再犯ニ關スル規定、再犯ニ關スル規定ハ刑ノ執行ヲ終
  リ、若ハ刑ノ免除ヲ定メタル時カラ滿五箇年ヲ經過シタル場
  合ニ於キマシテハ、再ビ罪ヲ犯シマシテモ、是ハ新タナル動議
  新タナル性格カラ起ッタ犯罪トシテ、再犯トシテ刑ヲ加重シ
  ナイト云フコトニナッテ居リマス、詰リ刑ノ執行ヲ終リ、若ク
  ハ刑ノ免除ヲ得タル日カラ五年間、自由ナル社會ニ免囚ノ
  心理ヲ試練セシメル、五年ノ間再ビ罪ヲ犯サナカッタト云フ
  コトハ、其人間ノ反社會的危險性ハ全滅サレタルモノト見
  テ、再犯ノ規定ガ拵ヘテアルノデアリマス、刑ノ執行猶豫ニ
  關スル規定モ亦同ジデ、刑ノ執行治豫ニ關シテハ最長五年
  マデトナッテ居リマス、刑ノ執行猶豫ノ言渡ヲ受ケマシテ、五
  年ヲ經過致シマスレバ、刑ノ判決ヲ受ケザリシト、同一ノ程
  度ノ待遇ヲ與ヘルコトニナッテ居ルノデアリマス、矢張是モ五
  箇年間ト云フ社會ニ於ケル所ノ試練ヲ經マシテ、五箇年間
  罪ヲ犯サナカッタナラバ、其人間ガ一度タピ過ッテ犯シタ所ノ
  前ノ犯罪ニ對スル危險性ハ全ク取去ラレテシマウテ、改悛
  ノ情ハ明カナモノデアルトシテ、刑法ハ此規定ヲ設ケテアル
  ノデアリマス、既ニ刑法ノ刑事政策ニ關スル所ノ精神ガ、免
  囚ニ對シテ滿五年間ヲ經過スレバ、之ヲ立派ナ改悛シタル
  人間トシテ取扱フト云フコトニナッテ居リマスル以上ハ、國家
  ガ自ラ滿五箇年ヲ經過シタルニモ拘ラズ、一生涯禁錮以上
  ノ刑ヲ受ケタル者ニ對シテ、其門戶ヲ全ク塞イデシマッテ、サ
  ウシテ之ニ對スル生活ノ方法ヲ拒絕スルト云フコトハ、此刑
  法デ規定サレテ居リマスル刑事政策ノ精神トモ、大變ナ矛
  盾撞著ノ制度ト私ハ考ヘテ居ルノデアリマス、又之ヲ半面
  カラ見マスレバ、國家ガ斯ウ云フヤウナ制度ヲ維持シテ居ル
  ト云フコトハ、自ラ國家ガ設ケテ居ル所ノ制度ヲ信用セザル
  モノデアルト、斯ウ云云風ニ言ハレテモ、已ムヲ得ヌノデアリ
  マス、何故ナラバ國家ガ司法栽判所ヲ設ケマシテ、監獄ヲ設
  ケ、一定ノ期間ノ刑ノ言渡ヲ致シマシテ、其期間監獄ニ之
  ヲ留置致シマシテ、サウシテ之ヲ〓化ヲ施シマスレバ、之ニ依
  テ遷善改過ノ實ハ擧ルモノト法律ハ認メテ、裁判ヲ爲シ監
  獄ヲ設ケテ、之ニ留置スルコトニナッテ居ルノデアリマス、然ル
  ニ裁判ハ斯ウ云フ精神ヲ以テ刑ノ期間ヲ定メテ言渡シ、監
  獄ハ其期間之ヲ留置致シマシラ、サウシテ身體ノ自由ヲ拘
  束シ之ニ向ッテ精神上ノ〓化ヲ加ヘテモ、尙且ツソレカラ出
  テモ一生涯是ハ危險ナ者デアルカラシテ、國家ノ何事ニモ使
  用スルコトハ出來ヌゾト云フヤウナ、法律制度ヲ國家ガ立テ
  テ居ルト致シマスレバ、詰リ自分ガ遷善改過ヲ目的トシテ拵
  ヘタ監獄制度ノ效果ヲ、自ラ疑ッテ居ルト云フコトニ歸著ス
  ルノデアリマス(拍手起ル)斯ウ云フヤウナ矛盾シタ制度ハ、
  一日モ早ク取ッテ戴キタイト云フコトヲ私ハ希望ヲ致スノデ
  アリマス、ノミナラズ近來此經濟界ノ不況ニ陷リマシタ結果
  非常ニ勞働階級ニ失業者ガ殖エマシタ、サウシテ此失業者
  等ガ各所ニ口ヲ求メマスル際ニ、是ガ非常ニ邪魔ニナリマシ
  テ、殆ド前科ノアル者ハ、悉ク食フニ困ルト云フヤウナ境遇
  ニ立タナケレバナラヌコトニナッテ參ッテ居ルノデアリマス、之
  ヲ拒絕スルト云フコトハ、半面ニ於キマシテ其勞働者等ノ所
  謂生活ノ方法ヲ奪ヒ、サウシテ彼等ヲシテ、再ビ危險ナル所
  ノ行爲ヲ爲サナケレバ生活シテ行クコトガ出來ナイト云フ方
  面ニ、之ヲ差向ケルコトニナルノデアリマス、其意味ニ於キマ
  シテ、私ハ此建議案ヲ提出シタノデアリマスカラシテ、ドウカ
  諸君モ此點ヲ十分御考慮ヲ願ヒマシテ、サウシテ御審議ノ
  上ニ、御賛成ヲ希ヒタイト云フコトヲ申上ゲテ置キマス、尙
  ホ一言附加ヘテ置キマスルノハ、是ハ私ハ決シテ此案ヲ以テ
  理想案トハ致シマセヌ、モウ少シ進ンデ、免囚保護ニ對スル
  幾多ノ問題ヲ解決シナケレバナリマセヌガ、今日ノ場合第一
  步ト致シマシテ此點ヲ御願ヲシタ譯デアリマス、ドウカ其點
  ヲ御諒解ヲ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=134

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• 135・岩崎勲

  ○岩崎動君　本案ハ戶水寛人君外三名提出ノ、刑事訴
  訟法中改正法律案外六件ノ法律案ノ委員ニ、併セテ付託
  セラレンコトヲ望ミマス
  〔「贊成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=135

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• 136・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　岩崎君ノ動議ニ御異議ナイト認
  メマス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第二十四救世軍
  補助ニ關スル建議案ヲ議題ニ供シマス、橫山勝太郞君
  第二十四救世軍補助ニ關スル建議案
  (橫山勝太郞君提出)
  救世軍補助ニ關スル建議案
  救世軍補助ニ關スル建議
  救世軍カ我カ社會事業ニ貢獻セルトコロ鮮カラス現下
  ノ社會狀態ハ政府ニ於テ之カ補助ヲ爲スヲ適當ナリト
  思料ス依テ政府ハ救世軍ニ對シ相當ナル補助ヲ爲サム
  コトヲ望ム
  右建議ス
  〔橫山勝太郞君登壇、拍手起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=136

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• 137・横山勝太郎

  ○横山勝太郞君　極メテ簡單ニ申上ゲマス、實ハ此案ハ
  吾とノ如キ者ヨリ之ヲ提出スルヨリモ、或ハ基督〓信者、或
  ハ佛〓家ト申スヤウナ、宗〓家ノ御方ニ御願シタ方ガ極メ
  テ適當デアルト存ジマシテ、多少ノ手段ヲ執リマシタケレド
  モ、不幸ニシテ此議席ニ居ラレマスル、多クノ宗〓家諸君ノ
  同意ヲ得ルコトガ出來ナカッタコトハ甚ダ遺憾デアリマス、問
  題ハ救世軍ノ補助ヲシテ貰ヒタイト云フコトデアリマシテ、甚
  ダ人氣ノ乏シイ建議デゴザイマスガ、要スルニ此建議案ノ趣
  旨ハ、第三階級ノ者ノ救濟ヲシテ戴キタイト云フコトニ歸著
  スルノデアリマス、諸君モ御承知ノ通リ、我國ニ於テ大都市
  ヲ首メトシテ、各地方ニ殆ド千ヲ以テ數フル所ノ救濟團體
  ガゴザイマスケレドモ、其多クハ資金ニ乏シク、微々トシテ振
  ハナイノデアリマス、故ニ今日ノ救済事業ハ、歐羅巴各國ニ
  比シテ甚ダ遜色ノアルモノデアルト云フコトハ、私ヨリ申スマ
  デモナイ事デゴザイマス、此間ニ立ッテ所謂救世軍ナルモノ
  ガ、如何ナル行動ヲシテ居ルカト云フコトヲ一寸簡單ニ申上
  ゲマスレバ、救世軍ガ最モ努力シテ居ルノハ、婦人救濟ノ事
  業デアリマス、之ガ爲メニ東京婦人「ホーム」ナルモノヲ造リ、
  女子ノ希望館ナルモノヲ造リ、又一面ニ於テ大ニ廢娼運動
  ニ努メテ居ル事柄ハ、特ニ諸君ノ御承知ノ通リデアリマス、
  其他月島勞働寄宿舍、無料宿泊所、救世軍病院、結核療
  養所、社會植民部、愛隣館、身上相談部、免囚保護勞作
  館斯ノ如ク多數ノ枚濟事業ヲヤッテ居リマス、其他ニ大連
  ニ婦人「ホーム」及育兒「ホーム」ナルモノヲ設ケテ、專ラ慈善
  救濟ノ事業ノ爲メニ努力致シテ居リマス、而シテ救世軍ガ
  此事業ヲ始メマシテカラ今日ニ至ルマデ、恰モ四半世紀デ
  アル、卽チ二十五年ヲ經過致シテ居リマス、此二十五年間
  ニ於ケル其行動、竝ニ功績ニ關シマシテハ、本日爰ニ之ヲ詳
  細ニ述ブルノ必要ハゴザイマセヌガ、此救世軍ノ事業ナルモ
  ノハ、特ニ宮內省ニ於テモ其事柄ヲ諒トセラレマシテ、諸君
  モ御承知ノ通リ大正七年中ニハ天皇皇后兩陛下ノ御
  思召ヲ以テ、年々一千圓ヅヽ向フ十箇年間資金トシテ與ヘ
  ルト云フ、有難キ恩命ニ浴シテ居リマス、ソレデ今日ノ狀態
  ヲ承ッテ見マスルノニ、救世軍ハ今申上ゲマシタ幾多ノ社會
  事業ノ爲メニ、年々二十万圓前後ノ金ヲ費シテ居リマス、其
  多クハ日本ノ各方面ニ於ケル寄附金等ニ依ッテ居リマスガ、
  其中デ年々約五万圓ノ金錢ト云フモノハ實ニ英國倫敦ニ
  アリマスル救世軍ノ本營カラ、之ヲ寄贈致シテ居ルノデアリ
  マス、卽チ我國ニ於ケル社會事業ノ最モ秩序アル組織アル
  救世軍ノ事業ガ、年々四五万圓ノ外國ノ傳道會社ノ補助
  ヲ受ケテ、漸ク之ヲ遂行致シテ居ルト云フ、洵ニ憫ムベキ狀
  態ニ居ルノデアリマス、諸君、我政府ハ口ヲ開ケバ我日本國
  ハ五大國ノ一ニ列シタト云フコトヲ、頻々誇唱致シテ居リマ
  スケレドモガ、翻シテ闇黑面ヲ見マシタナラバ、此救濟事業ニ
  就テモ、英國ノ慈善家ノ保護ニ依シテ纔ニ此救世軍ノ事業
  ガ遂行致シテ居ルト云フコトハ、宜シク東方君子國ノ名ニ
  對シテ、甚ダ耻ヂナケレバナラヌ事デアルト私ハ考ヘマス、私
  ハ宗〓家デハゴザイマセヌ、卽チ基督〓信者デモゴザイマセ
  ヌ、故ニ救世軍其者ニ同情スルト云フ意味デハアリマセヌ、
  官民上下顧ミザル所ノ此救濟事業ニ就テ、日夜努力奮闘
  致シテ居リマスル彼レ救世軍ノ諸氏ノ功績ニ對シテハ、吾〓
  日本人トシテ、多大ノ敬意ヲ捧グル必要ガアルト存ジマ
  ス、此故ニ救世軍以外ノ救済事業ニ關シマシテモ、政府ハ
  能フダケノ援助ヲスル必要ガアルト考へマスガ、免ニ角今日
  ノ場合、最モ組織アル、最モ系統的ニ、最モ歷史ノアル救世
  軍ニ對シテ多少ノ補助ヲ與ヘルト云フ事柄ハ、今日最モ焦
  眉ノ急ナリト考ヘル次第デゴザイマス、詳細ノ事柄ハ委員會
  デ私ノ知レル範圍ニ於テハ御答ヲ致シマス、ドウカ滿場ノ諸
  君ノ御賛成ヲ仰グ次第デゴザイマス(拍手)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=137

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• 138・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郎君)　本案ニ就テ質疑ノ申出ガアリマス、
  吉良元夫君
  〔吉良元夫君登壇、拍手起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=138

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• 139・吉良元夫

  ○吉良元夫君　只今橫山勝太郞君ヨリ御說明ニナリマ
  シタル救世軍ノ補助ニ關スル建議案ノ大體ニ於テハ、只今
  ノ御說明ニ於テ明カニ承リマシタガ、此救世軍ハ御承知ノ
  如ク、英國ニ於テ嘗テ「プース」大將ガ御創メニナリマシテ、サ
  ウシテ千八百七十七年ノ「クリスマス」ノ前後ニ於テ、始メテ
  倫敦ニ於テ盛ニ傳道ヲ始メラレタ所ノ一種ノ〓會デアリマ
  スルガ、我日本ニハ明治二十八年ノ九月ニ此傳道ガ參リマ
  シテ、サウシテ四十年ノ四月ニ「ブース」大將自ラモ來朝セラ
  レマシテ天皇陛下ニ謁見ノ光榮ヲ荷ウタヤウナ次第デア
  リマスル、デ「プース」大將ノ高德感化ト云フコトニ就テハ私
  ハ不幸ニシテ基督〓ヲ信ズル者デアリマセヌ、佛〓徒デアリ
  マスケレドモ、多大ノ敬意ヲ表スル者デアリマス、表スル者デ
  アリマスガ、此建議案ハ私ノ信ズル所ニ依リマスレバ、少クト
  モ日本ノ帝國議會ニ於テ、澤山ナ建議案ガ年々出テ居リマ
  スルケレドモ、未ダ帝國議會始ッテ以來斯ノ如キ類例ノ建議
  案ト云フモノハ、此帝國議會ニ出タコトガ無イト私ハ信ズル
  ノデアリマス、(「ヒヤ〓〓」)何故カト申シマスルノニ、此救世
  軍ナルモノガ、社會救済ノ爲メニ大ニ獻身的ノ努力ヲヤル
  ト云フコトノ其感化救濟ノ大ナルコトハ、私モ否定致シマセ
  ヌ、否定致シマセヌガ、斯ノ如キ事ヲ國家ガ補助スベキモノ
  ナリヤ否ヤト云フ事ニ就テハ、非常ナ疑ヲ挾ム者デアル、何
  故ナラバ此救世軍ナルモノハ、非常ニ毛色ノ變ッタ傳道ヲヤ
  リマス、基督〓ノ中ニモ「クエーカー」宗、「ユニテリアン」等、色
  色毛色ノ變ッタ傳道ヲヤリマスガ、此救世軍ナルモノハ、名ノ
  示スガ如ク〓會ヲ軍隊組織ニ致シマシテ、上ハ大將ヨリ下
  ハ一兵卒ニ至ル迄、チヤント軍除組織ノ制度ヲ執ッテ居リマ
  シテ、音樂ヲ以テ非常ナル宣傳ヲヤリマシテ、洵ニ其遣方ガ
  社會ノ耳目ヲ惹キ、又社會ノ注意ヲ喚起スベキ遣方デアリ
  マス爲メニ之ガ初メテ英吉利ニ於テ行ハレマシタ時ニハ、非
  常ニ他ノ〓會ノ人モ是ニハ壓迫、若クハ非常ナル迫害ヲ加
  ヘタモノデアリマスガ、併シ其感化救濟ノ仕方ガ如何ニモ熱
  心誠意デアッタ爲メニ、斯クノ如ク今日ハ世界ノ何レノ處ニ
  モ、此救世軍ト云フモノハ宣傳サレテ居ル位ニ盛ンニナッテ
  居ルノデアリマス、一寸日本ノ宗派デ申シマスルト云フト、或
  點ニ於テ日蓮宗ニ餘程似テ居ルノデアリマス、而シテ此宗
  派ナルモノガ、國家社會ノ爲メニ種々ナル救濟事業ニ盡シ
  テ、偉大ナル效果ガアルト云フコトハ否定致シマセヌ、殊ニ女
  子ノ獨立、或ハ社會ノ暗黑面ニ於テ、洵ニ忌ハシイ所ノ行
  動ヲ致ス婦人ノ救濟等ニ就テハ、隨分救世軍ナルモノハ與ッ
  テ效果アル働ヲ爲シテ居ル、併ナガラ斯ノ如キモノハ私ノ信
  ズル所ニ依リマスレバ、此總テ宗〓家ノ活動スルモノハ、世ノ
  慈善家ノ篤志ヲ待ッテ、實ニ富者ノ万燈ヨリモ貧者ノ一燈
  ト云フコトガアリマシテ、眞個ニ熱誠溢ルルガ如キ同情心ヨ
  リ溢レ出マス所ノ恩惠ヲ以テスベキモノデアリマス、故ニ世
  界各國共宗〓家ノ活動ト云フモノハ、多ク世ノ所謂慈
  善家、特別ノ考ヲ持ッテ居ル人方ノ活動ニ待チ又其資金
  ノ供給ヲ仰イデ活動致シテ居ルノデアリマス、(「ヒヤ〓〓ㄴ
  然ルニ〓斯ノ如キ事ヲ日本ニ於テ建議ヲ致シマシテ、採用
  スルトシナイトハ政府ノ御意見デアリマセウガ、致スコトニナ
  リマスレバ、之ニ似タル社會救濟事業ハ、救世軍ノ如キ音樂
  入ノ「プロバガンダ」ハヤリマセヌケレドモ、社會ノ或部分ニ於
  テ、隨分ヤッテ居ル所ノ宗〓各派ガアルノデアリマス、ソレニ
  モ悉ク之ヲ補助スルト云フヤウナコトニナリマシタナラバ、我
  國ノ財政ハ各種追加豫算ヲ合セマスレバ、殆ド將ニ二十億
  ニモ達スルヤウナ勢ニナッテ居リマスガ、是ハ國家ガ斯ノ如キ
  モノニ悉ク補助ヲ爲シ得ルヤ、否ヤ又爲スベキ性質ノモノナ
  リヤ否ヤト云フコトニ就テ、私ハ多大ノ疑ガアルノデアリマス、
  簡單ニ伺ヒマスガ、私ハ之ヲ區別致シマシテ五點ノ質問ヲ
  致シマス、橫山君ノ御說明ニ依リマスレバ、救世軍ニ補助シ
  ヤウトスルノハ、其〓義ヲ崇敬宣傳スル譯デハナイ、唯ダ其
  社會救済事業ニ貢獻スルト云フカガ甚ダ偉大デアルカラシ
  テ、之ヲ補助スベシト云フ御趣意デアル、果シテ然リトシマス
  レバ、我國ノ現在社會ノ狀態ニ於テ、特ニ救世軍ナルモノヲ
  先ヅイノ一ニ、是非補助セネバナラヌト云フ理由ハ、何レノ
  點ニ在ルカト云フコトヲ一ツ伺ヒタイノデアリマス、又第二
  ハ、宗〓家ノ活動ト云フモノハ慈善家ノ篤志ニ待ツノガ世
  界各國共通ノ事實デアリマス、然ルニ今日特ニ此救世軍ニ
  政府ノ補助ヲ與ヘルト云フコトハ何故ノ御發案デアリマス
  カ、又第三ニハ宗〓家ガ社會奉仕ニ熱心精勵スルノハ、固ヨ
  リ仁慈博愛ノ主義ニ因ルモノデアリマスカラ、其善事ハ實ニ
  賞讃スルニ足リマスケレドモ、斯樣ナ事ヲ特ニ今日救世軍
  ニ與ヘルト云フノハ、ドウ云フ御趣意デアルカ、少シ重複シタ
  ヤウデアリマスケレドモ意味ハ違ヒマス、第四ニハ宗〓家ガ
  社會奉仕ニ熱心スルノハ宜シウゴザイマスガ、私共ノ救世軍
  ニ對シテ考ヘマス所ニ依リマスレバ、能ク銀座ノ街頭、若ク
  ハ九段下ナドニ於キマシテ、甚ダ天女ニ似テ居ラヌヤウナ「ア
  グリーウーマン」ガ居リマシテ、「関ノ聲」ナドヲ强請的ニ吾ミ
  ニ賣付ケルト云フヤウナ手段ガ、果シテ善事デアルカ美事デ
  アルカ、ソレガ社會救濟ノ最モ賞揚スベキ事ノ一デアルカト
  云フコトヲ、甚ダ疑ッテ居ルノデアリマス、此善惠救濟ナルモ
  ノハ前ニモ申上ゲタヤウニ、人ノ自發的ニヤルベキモノデア
  ル、强請的、壓迫的、若クハ無理强ニ强ヒテ爲スベキモノ
  デナイト思フ、然ルニモ拘ラズ救世軍ハ彼ノ慈善鍋ナドヲヤ
  ル時ト云フモノハ、兔角人ヲ壓迫シテ、吾とモ大分袖ヲ引カ
  レテ五錢十錢ヲ投ジマシタガ、是ハ果シテ眞個ニ喜ブベキ神
  ノ宣傳、基督ノ眞意ニ副ウテ居ルモノガアラウカ、甚ダ私ハ
  疑フノデアリマス、然ルニ斯ノ如キ事ガ今日目下ノ社會ニ於
  テ、最モ必要デアルト御認デアルヤ否ヤ、モウ一ツゴザイマスケ
  レドモ、是ハ略スルコトニ致シマセウ、少シ辛辣ノ嫌ガアリマ
  スカラ略シマスガ、(「遠慮ニハ及ビマセヌ」ト呼フ者アリ)私ガ
  最モ尊敬心醉致シテ居ル所ハ孔子ノ〓デアリマス、孔子ハ
  吾ニノ仰イテ以テ大聖トスル所ノ者デアリマシテ、論語ノ
  公冶長篇ニ於テ斯ウ云フコトヲ御示ニナッテ居ル、是ハ餘談
  デアリマスカラ、御笑下サッテモ宜シウゴザイマスガ(「笑ハナイ」
  ト呼フ者アリ)孰カ微生高ヲ直ナリト謂フ、或人醯ヲ乞フ
  詰ヲ其鄰ニ乞ウテ之ヲ與フ、斯ウ云フ御言葉ガアル、是ハ朱
  文公ノ註釋ニ依リマスルト-私ハ朱子ノ註ヲ最モ信ズル
  ノデアリマスガ、「其意ヲ曲ゲ物ニ徇ヒ美ヲ掠メ恩ヲ市ル直ト
  爲スヲ得ザルヲ譏ルナリト」云フ言葉ガアル、所ガ孔夫子ノ
  如キ聖人カラ御考ニナレバ、微生高ヲ直ト言ハレヌト御前
  シデアリマスケレドモ、私共ハ實ハマダ孔夫子ノ眼カラ見マ
  スト、子子見タヤウナ者デアリマスカラ(「ノウ〓〓」)非常ニ違
  フノデアル、例ヘバ傍聽劵ヲ私ニ吳レヨト云フ傍聽者ガアリ
  マス、然ルニ私ハ今日傍聽劵ヲ持合セテ居ナイ、ソレデ友人
  ニ是非一枚下サレヨト言ッテ乞ヒマシテモ、ソレヲ上ゲルト云
  フ場合ニ、何等ソレヲサウ御議リ下サルヤウナ譯合モ無イモ
  ノデアル、サウ云フヤウナ事ハ、矢張一種ノ慈善事業ニ似タ
  事ヲ爲スモノデアッテ、餘程宜シイ事デアルト斯ウ云フ位ニ信
  ジテ居ルノデアル、然ルニモ拘ラズ斯ウ云フ御言葉ガアル、ド
  ウモ少シ解釋ニ苦シムノデアルガ、深ク此聖人ノ御言葉ヲ
  吾こ判ラヌナガラ拜察致シテ見マスルト云フト、成程朱子ガ
  明カニ註釋ヲ施シタ所ニアルノデアル、其意ヲ曲ゲ、物ニ徇
  ヒ、美ヲ掠メ、恩ヲ市ル、サウ云フコトハ直トスルニ足ラヌト斯
  ウ御議リニナッタノデアル、此註釋ニ依シテ始メテ聖人ノ意ヲ
  窺フコトヲ得ルノデアル、所ガ救世軍ノ遣方ヲ見マスルト、之
  ヲ左ノ方ニ壓迫强請シテ、之ヲ右ノ方ニ與ヘル、丁度微生
  高ノスルヤウナ事ニ似タ壓迫行爲ガ甚ダ多イノデアリマス、
  ソレデ社會宣傳ノ上ニ就テハ幾分救済事業トシテ感ズベ
  キ點モアリマスケレドモ、此救世軍ナルモノハ私カラ見マスレ
  バ、耶蘇〓中ノ外道デアルト信ズル、斯ノ如キモノニ國帑ヲ費
  シテ、人民ノ膏血トモ稱スベキ所ノ租稅ヨリ補助スルト云フヤ
  ウナコトハ、甚ダ惡シキ例ヲ作ルノデナイカ、聖人ハ嘗テ俑ヲ
  作ル者ハ其レ後ナカラント仰セラレタ、此御言葉ハ甚ガ吾こ
  服膺スベキモノデアルト信ズル、横山君以テ如何トス、(拍手、
  笑聲起ル)
  〔横山勝太郞君登壇、拍手起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=139

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• 140・横山勝太郎

  ○橫山勝太郞君　只今吉良君カラ御質問ガゴザイマシタ
  ガ實ハ私ハ左樣ナ御質問等ハ無論ナイモノト思ッテ居リマ
  シタガ、私ノ說明ガ不十分デアッタカモ知レヌト考ヘマス、併
  ナガラ御質問ノ趣旨ハ大體承ッテ居リマシタガ、私ノ考ヘテ
  居ル事トチットモ違シテ居リマセヌ、私モ御尋問ノ趣旨ハ同
  感デアリマス、唯ダ結論ガ少シク違ッテ居ルヤウデアリマスカ
  ラ、之ニ對シテ簡單ニ御答ヲ致シテ置キマス、第一ノ御質問
  ハ色ミ救濟圏體ガアルガ、何故救世軍ヲ第一ニシタカト云
  フ御話デゴザイマスガ、ンレハ先刻申上ゲタ通リ、私ハ救世
  軍ニ特ニ同情ヲスルト云フ理由ハ持タナイ、何ノ救済團體
  ニモ同樣ニ御同情申スノデアリマスガ、今日ノ場合ニ於テ救
  世軍ガ最モ多クノ努力ヲシテ居ル、最モ多クノ資金ヲ投ジ
  テ居ル、最モ組織的ニヤッテ居ル、故ニ此團體ニ先ヅ一ツ國
  家ガ補助ヲ與フルノ先例ヲ作ッテハドウカト云フ趣旨ヲ、皆
  サンニ御願シタ次第デアリマス、ソレカラ第二ハ御質問ノ趣
  旨ヲ多少誤解シテ居ルカモ知レマセヌガ、要スルニ斯ノ如キ
  問題ハ宗〓家、若タハ慈善家ノ援助スベキモノデアル、國家
  ガ左樣ナ事ニ關係ヲ致シタナラバ、非常ニ國家ノ財政上困
  難ヲスル場合ガアリハシマイカト云フ意味ヲ含ンデ居ッタヤ
  ウデアリマスガ、是モ趣旨ニ於テハ吉良君ト私ハ同感デアリ
  マス、唯ダ御承知ノ通リニ國家ガ斯ノ如キコトニ干渉スル程
  救濟事業ガ無クシテ止メバ、則チ社會ハ理想的デアルノデア
  リマスガ、今日ノ場合多クノ慈善團體ガ出テ救濟ヲ致シマ
  シテモ、尙且ツ我國ノ救濟事業ハ洵ニ貧弱ナ有樣ニ在ルノ
  デアリマス、此故ニ理想ト致シマシテハ、宗〓家或ハ慈善家
  ノ援助ニ待ツベキモノデアリマセウケレドモ、宗〓家ノ力ガ微
  弱デアリ慈善家ノ補助ガ甚ダ貧弱デアッテ、今日ノ社會問
  題ヲ救濟スルニ足ラヌ場合ニ於キマシテハ、國家トシテハ之
  ヲ單ニ慈善家宗〓家ノ、微溫的ノ援助ニ一任シテ置クト
  云フ譯ニハ參リマセヌカラシテ、第三階級竝ニ第四階級ノ
  人ガ現ニ困ッテ居ルト云フ事情ガアルナラバ、國家ハ宜シク
  進ンデ之ヲ援助スルノ義務ガアルト考ヘマス、此意味ニ於テ
  甚ダ變則デハアルカモ知レマセヌガ、國家ニ此救濟ヲ訴ヘル
  ノデアリマス、而シテ此點ニ就テハ委員會デ申上ゲヤウト思
  ウテ居リマシタガ、無論吉良君モ御承知デモアリマセウガ、明
  治四十二年ノ二月十一日ニ、旣ニ內務省ハ事業資金トシテ
  救世軍ニ對シテ五百圓ノ金ヲ下賜致シテ居リマス、ソレカ
  ラ年々一番多イ時分ニハ千二百圓、少ナイ時分ニモ三百圓
  五百圓フ金ヲ下附致シテ居ルノデアリマス、卽チ國家ハ無
  論-帝國政府ハ救世軍ノ存在ヲ認メテ、之ニ對シテ年々
  數百圓ノ金ヲ下賜致シテ居ルノデアリマス、所ガ先刻申上
  ゲル通リ、今日ニ於テハ枚世軍ノ事業ガ非常ニ擴張シテ參
  リマシテ、二十万圓内外ノ金ヲ費消シテ居リマスガ、其中四
  五万圓ハドウシテモ足リマセヌ、足リナイ所ヲ英國ノ救世軍
  ノ本營カラ補助ヲ受ケテ居リマス、情ケナイ有樣デアリマス
  カラ、是ハ國家ノ體面上宜シク日本政府ガ補助シテ、救濟
  事業マデ英國ノ宗〓家慈善家ノ力ヲ借リル必要ハ無イナイ
  ト云フコトニシタイト考ヘテ居リマス、ソレカラ其次ニ救世軍
  ノ宣傳ノ方法ガ惡イト云フ議論ガアリマシタガ、吾〓モ如何
  ハシイ風彩ヲ致シタル婦人ナリ、妙ナ帽子ヲ冠ッタ救世軍ノ
  士官ナル者ガ、大キナ大皷ヲ叩イテ、吾ミカラ見レバ少シ奇
  妙ニ感ズル宣傳ノ方法ヲヤルト云フコトハ、吾ニハ感情ノ上
  ニ於テ甚ダ不快トシテ居ル者デアリマス、然レドモ決シテ之
  ヲ不德ナリト責メル譯ニハ行キマセヌ、彼等ハ彼等ノ矢張最
  善ノ方法ナリト信ジテ居リマスノデ、之ガ日本ノ國安國家ニ
  ニ害イ無イ限リハ吾ニノ感情ノ上ニ多少不快ナリトスルモ
  忍耐スル必要ガアルト考ヘマス、其他孔夫子ノ御話ヲ御引
  ニナッテ御論ガアリマシタガ、私ハ敢テ御返事ヲ申ス次第デハ
  アリマセヌ、唯ダ終リニ一言シテ置キタイノハ救世軍ノ宣
  傳ノ方法ハ甚ダ不都合デアル、救世軍ハ基督〓ノ中ノ外道
  ニ屬スルモノデアルト云フ御話ガアリマシタガ、是ハ吉良君
  ノ御失言デアルト思ヒマス、是ハ先刻吉良君モ御話ノ如ク、
  明治四十二年四月十八日ニ「ブース」大將ガ初メテ日本ニ
  參リマシタ時分ニ明治天皇陛下ハ先例ヲ御破リニ相成ッ
  テ、救世軍所定ノ軍服ヲ著ケタ儘デ、特ニ御謁見ヲ御許シ
  ニナッタ事ニ照シテ見テモ、決シテ私ハ今日ノ救世軍ノ遣方
  ガ、外道ニ屬スルモノトハ思ヒマセヌ、私ハ天皇陛下ノ破
  格ノ御謁見ヲ賜ハリシ一事ニ對シテ、救世軍ハ社會人道ノ
  上ニ相當ナル貢獻ヲ致シテ居ル、立派ナ一ツノ宗派デアルト
  確信シテ居ルノデアリマス、又其他ノ事ハ若シ私ノ力能フナ
  レバ、委員會ニ於テ如何ヤウニモ答辯ヲ致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=140

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• 141・岩崎勲

  ○岩崎勳君　本案ハ議長指名ヲ以テ、九名ノ委員ニ付託
  セラレンコトヲ望ミマス
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=141

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• 142・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　岩崎君ノ動議ニ御異議ナイト認メ
  マス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第二十五ハ提出者
  ヨリ延期ノ申出デガアリマシタカラ、延期スルコトニ致シマ
  ス、日程第二十六遠美鐵道速成ニ關スル建議案ヲ議題ト
  致シマス、松浦五兵衞君
  第二十六遠美鐵道速成ニ關スル建議案
  (松浦五兵衞君外五名提出)
  遠美鐵道速成ニ關スル建議案
  遠美鐵道速成ニ關スル建議
  東海道鐵道線路中静岡縣遠江國掛川驛ヲ起點トシ同
  縣二俣愛知縣大野武節ヲ經テ岐阜縣美濃國大井又ハ
  中津川若ハ瑞浪ニ至リ中央線ニ接續スル鐵道ノ敷設ハ
  本邦中央部ニ於ケル東海ト北陸トノ連絡交通上極メテ
  必要ナルノミナラス文化ノ普及產業ノ振興ハ勿論本邦
  唯一ノ高原森林地帶タル西信、美濃、飛驒及奥三河竝
  北遠地方ノ開發上一日モ緩フスヘカラサル須要線路ナ
  ルコトハ敢テ言ヲ俟タス沿道地方人民亦夙ニ其ノ必要
  ヲ痛感シ之カ敷設ヲ出願シタルハ實ニ二十餘年ノ以前
  ニアリ政府當局亦疾ク玆ニ著眼シ線路ノ踏査既ニ再三
  ニ及ヘリト聞ク然ルニ今ニ迨ムテ尙未タ其ノ敷設ニ著手
  スルニ至ラサルハ實ニ國家ノ爲又該地方ノ爲一大痛恨
  事タラスムハアラス依テ政府ハ速ニ實査ヲ遂ケ一日モ早
  ク其ノ敷設ニ著手セラレムコトヲ望ム
  右建議ス
  〔松浦五兵衞君登壇、拍手〕

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• 143・松浦五兵衞

  ○松浦五兵衞君　本建議案ハ東海道鐵道線路ノ中、靜
  岡縣ノ掛川驛ヨリ同縣ノ二俣、及愛知縣ノ大野、浦川、武
  節ヲ經マシテ岐阜縣ノ大井ニ至ル、若クハ岐阜縣中津川或
  ハ瑞浪ニ至ル鐵道ノ速成ヲ顕ヒタイト云フノデアリマス、尙
  ホソレニ附屬シマシテ、大野附近ヨリ分離シテ長篠ニ至ル、
  竝ニ浦川附近ヨリ分離シテ佐久間ニ至リマシテ、遠信鐵道
  ニ連絡シタイト云フ趣意】ノ建議案デアリマス、御承知ノ通
  リ地圖ヲ一見シテモ分リマスルガ、此日本ノ中樞ニ位シテ居
  ル所ノ天龍川ニ沿ウ同地方ハ、不幸ニシテ大キナ川ガアリ
  山嶽ガ重疊シテ居リマシタガ爲メニ、今日尙ホ彼ノ廣大ナ
  ル區域ガ、何等ノ交通上ノ便宜ヲ得ルコトノ出來ナイ境遇
  ニ在ルノデアリマス、此地方沿道ニ於ケル所ノ人民ハ、之ガ
  爲メニ非常ニ苦痛ヲ感ジテ、既ニ明治三十年頃ニハ大奮發
  ヲ以テ私設鐵道ノ計畫マデシタノデアリマシタガ、此當時政
  府ハ此沿線ノ狀態ニモ鑑ミ、又國防等ノ見地ヨリマシテモ
  此鐵道ノ-私設鐵道ノ敷設ノ許可ヲ與ヘタコトガアリマ
  スガ、當時不幸ニシテ經濟上ノ事情其他ノ爲メニ敷設ヲ見
  ルコト能ハズ、遂ニ今日マデ流レ〓〓ニ其儘ニナッタノデアリ
  マシテ、洵ニ當該地方民ノ不幸ハ此上ナキ境遇ニナッテ居リ
  マス、右樣ノ次第デアリマスガ故ニ、本員共沿道ノ者ガ率先
  シマシテ、本鐵道ノ速成建議案ヲ提出シタ次第デアリマス
  カラ、ドウゾ本院ニ於カレマシテモ之ヲ御採納アルヤウニ切
  望ニ堪ヘヌノデアリマス、尙ホ詳シイ事ハ委員會ニ於テ詳細
  申述ベヤウト存ジマスカラ、ドウゾ左樣御承知ヲ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=143

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• 144・岩崎勲

  ○岩崎勳君　本案ハ議長指名ヲ以テ、九名ノ委員ニ付託
  セラレンコトヲ望ミマス
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=144

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• 145・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　岩崎君ノ動議ニ異議ナイト認メマ
  ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第二十七大垣、大野、
  金澤間鐵道速成ニ關スル建議案、西村正則君
  第二十七大垣、大野、金澤間鐵道速成ニ
  關スル建議案(西村正則君外八名
  提出)
  大垣、大野、金澤間鐵道速成ニ關スル建議案
  大垣、大野、金澤鐵道速成ニ關スル建議
  一岐阜縣大垣市ヨリ福井縣大野町ヲ經テ石川縣金澤
  市ニ至ル間百三哩ノ鐵道
  右ハ本邦中部ニ於ケ横斷鐵道トシテ產業開發ノ爲急
  設ノ必要アルモノト認ム政府ハ速ニ計畫ヲ立テ之カ敷設
  ニ著手セラレムコトヲ望ム
  右建議ス
  〔西村正則君登壇、拍手〕

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• 146・西村正則

  ○西村正則君　只今上程サレマシタ此建議案ハ、岐阜縣
  ノ大垣市ヨリ福井縣ノ大野町ヲ經テ、石川縣ノ金澤市ニ
  達スル所ノ鐵道デ、本邦中部ニ於ケル所ノ横斷線ト致シマ
  シテ、產業開發ノ爲メ、又軍事上急設スベキ必要アルモノト
  認メルガ故ニ、政府ハ速ニ其計畫ヲ立テ、之ガエ事ニ著手セ
  ラレタイト云フ(「鑛山ノ事モ話シテ下サイ」ト呼フ者アリ)ノ
  ガ、本建議案ノ要旨デアリマス、此鐵道ハ東海線ノ大垣ト
  北陸線ノ金澤トヲ連結スル所ノ延長百三哩殆ド一直線ノ
  鐵道デアリマス、此鐵道ノ沿道ハ人口ハ極メテ多ク土地ハ
  肥沃デアッテ、農產物ノ豐富ナルコトハ申スニ及バズ、其他
  產物ヤ林產物ニモ非常ニ富ンデ居ル所デアリマシテ、實二天
  與ノ寶庫ト申シテモ決シテ過言デナイト思フノデアリマス、又
  本州南北中央ヲ顧斷スル運輪交通ノ便ヲ開クノデアリマス
  ル故ニ、經濟上ハ勿論、軍事上ニ對シテモ、多大ノ貢獻スル
  モノガアルト思フノデアリマス、此鐵道ノ敷設ハ關係地方多
  年ノ宿望デモアリマスルシ、又國民トシテモ、極メテ緊要ナ施
  設ノ一デアラウト思フノデアリマス、故ニ政府ハ曾テ此線路
  ハ鐵道網ニモ掲グラレ、既ニ十分御調査ニモナッテ居ルノデ
  アリマス、殊ニ今回法律案トシテ此議會ニ提出ニナッテ、既ニ
  本院ノ可法ヲ經タル所ノ線路デアリマス、偽ホ此路線ノ中
  ニハ福井市ノ大野松山間ニハ六哩ノ京都電燈既成線モア
  リ、石川縣ニ參リマシテハ、鶴來新野々市間ニハ七哩ノ石川
  鐵道ノ旣成線モアルノデアリマス、若シ是等ヲ利用スルコト
  ガ出來ルナラバ、新タニ工事ヲ施行スベキ所ハ、九十哩ニ短
  縮スルコトモ出來ルノデアリマス、幸ニシテ此鐵道ガ敷設セ
  ラレルナラバ、地方ノ富源ヲ開發シテ國利民福ヲ增進スル
  多大ナルモノナリト信ジマスガ故ニ、私ハ本建議案ヲ提出シ
  タ所以デアリマス、何卒贊成アランコトヲ望ミマス(拍手起
  ル)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=146

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• 147・岩崎勲

  ○岩崎動君　本案ハ曩ノ日程ノ委員ニ併セテ付託セラレ
  ンコトヲ望ミマス
  〔「賛成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=147

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• 148・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　岩崎君ノ動議ニ御異議ナイト認
  メマス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第二十八、熱海線
  完成ニ關スル建議案ヲ議題ニ付シマス森恪君
  第二十八熱海線完成ニ關スル建議案
  (森恪君提出)
  熱海線完成ニ關スル建議案
  熱海線完成ニ關スル建議
  本線ハ大正四年帝國議會ノ協賛ヲ經タルモノニシテ大
  正五年起工大正十三年ニ完成セシムヘキコトハ當時議
  院ニ於テ證明セラレシモノニ屬シ爾來著々工事ノ進捗ヲ
  計リ昨大正九年既ニ小田原驛ノ開通ヲ見タリト雖歐洲
  大戰ノ影響ト物價ノ騰貴トニ依リ經費ニ於テ多大ノ不
  足ヲ來シ啻ニ大正十三年度ニ完成ヲ期シ得サルノミナ
  ラス仄聞スルトコロニ依レハ前途幾年ヲ費スヘキヤ殆ト
  豫測スルコト能ハサル事情ニ陷レリト斯ノ如クムハ本線
  起工ノ精神ニ相反スルハ素ヨリ沿道開發上ノ遺憾竝關
  係地方人民ノ迷惑測ルヘカラサルモノアリ依テ政府ハ此
  ノ際速ニ適當ノ方法ヲ設ケ全線ノ完成ヲ期スルト共ニ
  既ニ開通セル小田原線ノ延長ヲ急速ニシ湯ケ原線ノ開
  通ヲ近ク實現シ以テ沿道人民ノ不便ヲ除去サレムコト
  ヲ望ム
  右建議ス
  〔森恪君登壇、拍手起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=148

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• 149・森恪

  ○森恪君　本線ガ完成ノ上多大ノ稗益ヲ與フルコトハ、今
  更論議ノ必要ハナカラウト考ヘマス、詳細ノ事ハ委員會ニ
  於テ陳述致ス考デアリマスルガ、一部ノ小田原線ガ開通サ
  レマシタ時ニ於テモ、鐵道院ガ豫想致シテ居リマシタ以上ノ
  好成績ヲ示シテ居ルノデアリマスカラ、全線ヲ完成スルニ大
  ナル不便アリト致シマシタナラバ、切メテハ湯河原線迄開通
  ノ出來ルヤウナ運ビニシタイト思ヒマスノガ、私共ノ此建議
  案ヲ出シマシタ附帶的希望デアリマス、何卒御審議ノ上、
  本案ニ御贊成アランコトヲ希望致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=149

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• 150・岩崎勲

  ○岩崎勳君　本案ハ前ノ日程第二十六第二十七ノ委員
  ニ併セテ付託セラレンコトヲ望ミマス
  〔「賛成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=150

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• 151・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　岩崎君ノ動議ニ御異議ナイト認
  メマス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第二十九米穀專
  賣法制定ニ關スル建議案ヲ議題ニ付シマス-小菅劍之
  助君
  第二十九米穀專賣法制定ニ關スル建議
  案(小菅剣之助君外三名提出)
  米穀専賣法制定ニ關スル建議案
  米穀專賣法制定ニ關スル建議
  惟フニ國民生活ノ安定ハ完全ナル食糧ノ保證ニ俟タサルへ
  カラス之レ實ニ帝國ノ重大ナル社會問題ニシテ米價ノ高
  低ト其ノ供給ノ多寡ハ常ニ國民生活ノ根柢ニ動搖ヲ及
  ホシテ止マス玆ニ於テカ政府ハ曩ニ開墾助成ノ計畫ヲ立
  テ今又常平倉案ノ計畫ヲ立テムトス然レトモ前者ハ自
  給食糧政策ノ永遠ノ根柢ヲ畫スルニ足ラス後者亦米價
  調節ノ一時的彌縫手段タルニ過キス宜シク食糧ノ如キ
  永遠ノ問題ニ關シテハ其ノ根幹ニ留意シテ百年ノ大計
  ヲ立テサルヘカラス之レ米穀專賣法ノ制定ヲ建議スル所
  以ニシテ玆ニ初テ國民ノ完全ナル安定ト農村經濟ノ確
  固タル保證トヲ得ヘシ政府ハ之カ調査ヲ爲シ速ニ專賣
  法ノ制定實行アラムコトヲ望ム
  右建議ス
  〔小菅劍之助君登壇、拍手起ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=151

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• 152・小菅劍之助

  ○小菅劍之助君　私ハ米穀專賣法制定ニ關スル建議案
  ニ就テ簡單ニ理由ヲ一言致シマス、我國ノ米ハ其價格ニ於
  テ毎年高低ガ甚シイノデアリマス、昨年ノ如キ暴騰ニ次グニ
  暴騰ヲ以テシマシタ、又本年ノ如キハ低落ニ次グニ低落ヲ
  以テ致シマシタ、餘リニ暴騰スレバ、消費者タル一般國民ノ
  生活ヲ曾威致シマス、又餘リ下落致シマスレバ、生產者タル
  農村ノ經濟ニ違算ヲ生ズルコトヽナリマス、此點ニ就テ歷代
  ノ政府ガ種々御心配ニナリマシテ、是ガ施設ニ種々御考慮
  下サレマシタガ、未ダ完全ナル成案ヲ得ヌノハ洵ニ遺憾トス
  ル所デアリマス、此原因ノ來ル所ヲ考察致シマスルニ、元來
  我國ノ米ハ豐作年ニハ六千万石以上ノ收穫モアリマスル
  ガ、不作ノ年ニハ五千万石ヲ下ルト云フ狀態デアリマス、此
  非常ナル生產額ニ於テ相違ノアルモノヲ以チマシテ、國民一
  般ノ食糧品トシテ需要ト供給トヲ圓滑ニシ、價格ヲ調節ス
  ルト云フコトハ、洵ニ困難ナル事デアリマヌ、然レドモ米ノ狀
  態ヲ今日ノ儘ニ放任シテ置クコトハ、如何ニモ不安ノ念ニ
  堪エヌ次第デアル、是ニ於テ現在ノ政府モ大ニ御心配ニナ
  リマシテ、今囘米穀法案ナルモノヲ當議會へ御提出ニナリマ
  シテ、既ニ是ガ通過ヲ見マシタガ、洵ニ御趣意トシテハ結構
  ナル事デ、私ト雖モ敢テ贊意ヲ吝ムモノデアリマセヌガ、憾ム
  ラクハ其内容實行方法ニ至リマシテ、多クノ弊害ヲ生ズルコ
  トノアルヲ憂慮致ス次第デアリマス、(「簡單ニ願ヒタイノデ
  アリマス」ト呼フ者アリ)故ニ米ハ專賣法ニ依ラナケレバ、我
  國ノ食糧政策ヲ根本ニ解決スルト云フコトハ不可能ノ事
  ト存ジマス、況ヤ將來益〓生存競爭ハ激シクナリ、複雜ナル
  社會問題ヲ起サントスル時ニ當ッテ、此法案ハ最モ必要ノ事
  トデ、一日モ忽セニスペカラザルモノト存ジマス、今ソレガ實
  行方法ニ就キマシテ一言セン、(「簡單」ト呼フ者アリ)每年
  我ガ經濟界ノ狀況ヲ參酌シテ、又農家ノ生產費ヲモ考慮シ
  テ、政府ハ一定ノ價格ヲ定メ、之ヲ農家ヨリ買入レ、又一定
  ノ價格ヲ定メテ、一般國民ニ販賣スルト云フコトニスレバ
  多年高低極マリナキ米價ノ變動ヲ防ギ、國民ノ生活ヲ安定
  ナラシメ、又一方農家ニ於テモ確實ニ生産費ヲ得ルコトヽ
  ナリ、安ンジテ生業ニ就クコトガ得ラレルノデアリマス、(「然
  リ」ト呼フ者アリ)本案ノ如キハ社會問題ニ屬スル重大問題
  デアリマス故ニ、諸君ニ於カセラレマシテモ、慎重御審議ノ
  上御協賛アランコトヲ切ニ望ミマス(拍手)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=152

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• 153・岩崎勲

  ○岩崎勳君　本案ハ奧村安太郞君外二名提出、發明奬
  勵ニ關スル外二件委員ニ、併セテ付託セラレンコトヲ望ミマ
  ス
  〔「賛成」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=153

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• 154・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　岩崎君ノ動議ニ御異議アリマセ
  ヌカ
  〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=154

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• 155・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　御異議ナシト認メマス、仍テ動議ノ
  如ク決シマシタ-一寸此場合木下謙次郞君ニ御尋致シ
  マス、本日午後會議ノ始マッタ頃ニ、木下君ノ一昨日當演
  壇ニ於ケル演說中或ル場合ニ於テ狂態ヲ演ジタ政黨トカ、
  諸君トカ云フ言葉ガ、私ハマダ速記錄ヲ見マセヌガ、速記錄
  ニ取消ニナッテ居ルガ、其後ニ同時ノ演說デアリマスガ、其後
  再ビ狂態ト云フ言葉ガアッテ、取消サレテ居テナイ、アレハド
  ウ云フ取扱ニナルカト云フ質問ガアリマシタガ、貴方ガ出席
  シテ居リマセヌカラ、出席ノ上ニ其事ヲ確メテ答ヲスルト云
  フコトヲ申シテ置キマシタガ、貴方ハアレニ對シテハドウ云フ
  御考デアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=155

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• 156・木下謙次郎

  ○木下謙次郞君　アノ當時ニ私ガ如何ヤウナ言葉ヲ使ヒ
  マシタカ、ハッキリ記憶ヲシテ居リマセヌ、併ナガラ速記ニ若モ
  斯ノ如キ言葉ガ殘リ、且ツ其言葉ガ甚シク質問者ノ御氣ニ
  障ルヤウナコトガアリマスナラバ、私ハ取消スコトニ躊躇致シ
  マセヌ(「ヒヤ〓〓」)

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=156

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• 157・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　實ハ議長モ速記ヲ見テ居リマセヌ
  シ、貴方モ十分ニ記憶ガ無イノデスカラ、今何トモ判斷ガ付
  キマセヌガ、前ニ取消サレタ例ノ通リニヤッテ置イテハドウデス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=157

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• 158・木下謙次郎

  ○木下謙次郞君　御意見ノ通リデアリマス、取消スニ躊躇
  致シマセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=158

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• 159・岩崎勲

  ○岩崎勳君　殘餘ノ日程ニ對シテ、延期ノ動議ヲ提出致
  シマス
  〔「賛成々々」ト呼フ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=159

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• 160・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　岩崎君ノ動議ニ御異議アリマセヌ
  カ
  〔「異議ナシ」ト呼フ著アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=160

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• 161・奧繁三郎

  ○議長(奧繁三郞君)　御異議ナシト認メマス、仍テ動議ノ
  如ク決シ、本日ハ是ニテ散會
  午後五時五十四分散會
  衆議院議事速記錄第二十四號正誤
  頁段行誤正
  五八九中一二漏レ對シテ起シ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004413242X02619210312&spkNum=161

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