1. 会議録本文
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000・会議録情報
會議
大正十二年三月二日午前十一時二十分開議
出席委員左の如し
委員長 武藤金吉君
理事 原田佐之治君 理事 山邊常重君
理事 星島二郎君 理事 守屋松之助君
秋本喜七君 白井博之君 野村勘左衞門君
松浦五兵衞君 望月政友君 改野耕三君
瀧正雄君 中倉万次郎君 牧野良三君
下岡忠治君 森達三君 植原悦二郎君
同月一日委員南里琢一君辭任に付其の補闕として中倉万次郎君を今二日委員土井權大君辭任に付其の補闕として植原悦二郎君を孰れも議長に於て選定せり
出席國務大臣左の如し
農商務大臣 荒井賢太郎君
出席政府委員左の如し
大藏省銀行局長 黒田英雄君
大藏書記官 岡田信君
農商務次官 岡本英太郎君
農商務省農務局長 長滿欽司君
本日の會議に上りたる議案左の如し
産業組合中央金庫法案(床次竹二郎君外十一名提出)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004612839X00819230302&spkNum=0
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001・武藤金吉
○武藤委員長 是ヨリ會議ヲ開キマス、前會ニ引續イテ產
業組合中央金庫法案ニ付テ討議ニ移リタイト思ヒマス、玆
ニ瀧正雄君ヨリ修正ノ意見ガ提出ニナッテ居リマス、瀧君ニ
御說明ヲ促シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004612839X00819230302&spkNum=1
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002・瀧正雄
○瀧委員 先日來皆樣ノ御意見ナリ、又政府ノ御意嚮ノ存
スル所ヲ考ヘマシテ、成ベク此際皆樣ノ意見ヲ參酌シテ修
正シタ方ガ宜カラウト思ヒマシテ、玆ニ修正意見ヲ提出シ
マス、先ヅ第一ニ修正ノ文句ノミヲズット申上ゲマス、第一
條ノ第二項ニ「有限責任トシ」云々トアルモノヲ「有限責任
トス」ト改メマシテ「シ」以下ヲ削除シマス、第三條「設立免
許」トアルノヲ「設立許可」ト改ナマス、ソレカラ第五條第二
項ニ於キマシテ、「產業組合聯合會竝」トアリマス「竝」ヲ
「及」ト改メマス、ソレカラ第七條「商法中株式會社」トアルノ
ヲ「產業組合法中產業組合」ト改メマス、ソレカラ第八條ニ
第二項ヲ新ニ加ヘマス「卽チ登錄稅法及印紙稅法中產業組合
聯合會ニ關スル規定ハ產業組合中央金庫ニ付之ヲ準用ス」
此一項ヲ加ヘマス、ソレカラ第十三條ノ第四號ニ「公共〓體
又ハ」トアリマス此「又ハ」ヲ削ル、サウシテ「共ノ他」ヲ入レ
ル、第十五條全部削除、第十六條ヲ第十五條ト改メマス、而
シテ其中ノ「預リ金又ハ」ト云フ文句ヲ削除シマス、第一號ニ
「預リ金ノ四分ノ一以上ハ」トアルノヲ削除シマス、第二號
ニ「公共〓體、」ガアリマスガ、此「公共〓體、」ヲ削リマシテ
「產業組合」ノ下ニ「公共團體」ヲ入レルノデス、隨テ「產業組
合、公共〓體」ニナリマス、次ニ第三號ハ全部削除、第十七條
ハ第十六條ト變へマス、、而シテ本條ノ中ニ第一項、第二項、
第三項ニ「郡」ト云フ字ガアリマスガ此三字ヲ消シマス、第十
八條ヲ第十七條ニ改メル、第十九條ヲ第十八條ニ改メル、而
シテ其第二項ニ於キマシテ「產業債劵」ト云フ四字ヲ殘シテ
以下ヲ「發行スル」云々全部ヲ消シマス、、而シテ其消シタ所
ニ持ッテ行ッテ「ノ發行ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之
ヲ定ム」ト入レマス、更ニ第三項ヲ新ニ入レマシテ「登錄稅
法中社債ニ關スル規定ハ產業債劵ニ付之ヲ準用ス」ト入レ
マス、第二十條ハ第十九條ニ改メマス、第二十一條ハ第二十
條、而シテ本條ノ中ニ「一時第十九條ノ制限ニ」トアハラフ
「第十八條ノ制限ニ」ト變へル、第二十二條ヲ第二十一條ニ、
第二十三條ヲ第二十二條ニ改メマス、而シテ本條ノ中ニ「產
業債劵」ノトアッテソレダケハ活カシマスガ、其以下「所有
者」云々全部削リマス、而シテ「產業債劵ノ」ノ次ニ持ッテ行ッ
テ「消滅事項ハ現金ニ在リテハ十五年ケ年利子ニ在リテハ
五箇年ヲ以テ完成ス」ト入レマス、而シテ「十五箇年」ノ下ニ
「ヽ」ヲ打チマス、第二十四條ハ全部削除、第二十五條ヲ、第
二十三條ニ改メマス、第二十六條ヲ第二十四條、第一一十七條
ヲ第二十五條、第二十八條ヲ第二十六條ニ改メマス、而シテ
第二項ヲ挿入シマス「本法中主務大臣トアルハ農商務大臣
及大藏大臣トス」ト云フ第二項ヲ入レマス、次ニ第二十九條ヲ二
十七條、第三十條ヲ第二十八條、第三十一條ヲ第二十九條、
第三十二條ヲ第三十條、第三十三條ヲ第三十一條、第三十四
ヲ第三十二條、第三十五條ヲ第三十三條、第三十六條ヲ第三
十四條、第三十七條ヲ第三十五條ニ改メマス、而シテ其第三
號ノ所ニ「第十六條」トアルノヲ「第十五條」ニ改メマス、而シテ
「預リ金又ハ」ノ五字ヲ削リマス、第四號ニ於テ「第十八條」トア
ルノハ「第十七條」ニ改メマス、第五號ニ於キマシテ「第十九條」
トアルノヲ「第十八條」三「第二十一條」トアルノヲ「第二十條」ニ
改メマス、第三十八條ハ第三十六條ニ、第三十九條ハ第三十七條
ニ、第四十條ハ第三十八條、第四十一條ハ第三十九條ニ改メマ
ス、而シテ共中ニ「認許」下アル文字ヲ「認可」ニ變ヘマス、其第
二項ニ「認可」トアルヲ「許可」下變ヘマス、條四十二條ヲ第四
十條ニ改メマス、而シテ最後ニ第四十一條ヲ新ニ設ケマス、
卽チ第四十一條「產業組合中央金庫設立ニ關シ必要ナル事
項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム」是ダケノ修正ヲ致シタイト思ヒ
マス、而シテ簡單ニ修正ノ理由ヲ申上ゲマス、第一條ノ第二
項ニ於キマシテ「產業組合聯合會及產業組合ヲ以テ之ヲ
組織ス」ト云フ文字削リマシタノハ第五條第一項ニ於キマ
シテ出資者ヲ限定シテ居リマス、此規定ガアル以上ハ必シ
モ今ノ文句ヲ必要トセナイト考ヘマシテ之ヲ削除シタノデ
アリマス、ソレカラ第三條ニ「免許」トアルノヲ「許可」ト變
へ、又第三十九條ニ「認許」トアルヲ「認可」ト變へ、「認可」ト
アルノヲ「許可」ト變へマシタノハ、別ニ意味ガアルノデハア
リマセヌガ、產業組合法ニ使ッテアル用語ト同ジニ致シマシ
テ、統一ヲ圖ッタニ過ギマセヌ、ソレカラ第七條ニ「商法中株
式會社」トアルノヲ「產業組合法中產業組合」ニ改メマシタ
理由ハ、第一決議權ノ不平等デアルノヲ、平等ニシタイト云フ
考カラ改メルノガ一ツト、ソレカラ又出資者總會ノ代リニ、
總代會ヲ開クコトヲ得ルノ規定ナドガ必要カト思ヒマシ
テ、是モ產業組合法ヲ準用シタ方ガ便利カト考ヘマス(R) と
又配當ニ付テ豫メ制限ヲ置クト云フコトモ、產業組合法ニ
準ジマシテ、勅令ナドデ定メテ置イタ方ガ便利デアルト云
フ、此三點カラ株式會社ニ關スル規定ヲ準用セズシテ產業
組合ニ關スル規定ヲ準用スルコトト致シマシタ、第八條ノ
第二項ニ登錄稅ノ事、及印紙稅ノ事ヲ規定シマシタノハ此
產業組合中央金庫ヲ設立シタリ、或ハ變更ヲシタリスル場
合ニ、登記又ハ出資證劵ノ稅ナドニ關シマシテ、目下確カ貴
族院ノ方ニ印紙稅法ノ改正案ガ提出サレテ居ルト思ヒマス
ガ、此改正案ガ成立シマスモノト考ヘマシテ、ソレト同趣旨
ニ基イタ方ガ、便利デアラウト思ッテ、斯ウ改メタノデアリ
マス、第十五條ヲ削除致シマシタノハ、先日來本委員會ニ於
テモ色〓議論ガアリマシタヤウニ、產業組合主義卽チ相互
主義ヲ重ク視テ、此中央金庫ノ條文ヲ規定スルナラバ成
ク一般銀行トノ競爭ヲ避ケル必要モ起ッテ來ルデアラウカ
ラ、斯ウ云フ定期預リ金ヲ爲スコトハ止メタ方ガ宜シイデ
ハナイカト云フ御意見モ拜聽シタ通リデアリマスルカラ、
此際之ヲ削除シタ方ガ、皆サンノ意思ニ合致スルモノト考
ヘテ削除シタノデアリマス、ソレカラ次ノ條文ノ「預リ金又
ハ」ヲ削ッタノハ、卽チ定期預リ金ガ削除サレタ結果デアリマ
ス、隨ヲテ第一號ノ預リ金ノ四分ノ一以上ハ、國債又ハ公債
ヲ買ッテ置クト云フ制限ハ不必要ニナル譯デアリマス、第
三號ノ「國債又ハ公債若ハ生產物ヲ擔保トスル三箇月以內
ノ短期貸付又ハ手形ノ割引ヲ爲スコト」ヲ削除シテシマヒ
マシタノハ、是モ相互主義ヲ重ク視ルノ結果、成ベク他ノ
方面ニ手ヲ出サヌ方ガ當分安全デアラウ、斯ウ云フ見地カ
ラ削除シタノデアリマス、第十八條ニ於キマシテ商法ノ規
定ヲ準用シテ置キマシタガ、是ハ株式會社ノ規定ヲ準用ス
ルト云フ第七條ノ規定ガ削除セラレタ結果、特ニ必要ナ事
ハ勅令ヲ以テ定メタ方ガ便利デアラウト思ヒシテ委ネタ
次第デアリマス、而シテ其ノ第三項ニ「社債ニ關スル規定ハ
產業債劵ニ付之ヲ準用ス」ト云フ條項ヲ入レタコトハ甚八
課稅上ノ必要カラ來タノデアリマス、第二十二條ニ於テ「消
滅事項」云々ト云フコトヲ入レマシタノハ修正以前ノ原案
ニ於キマシテハ消滅事項デアルカ何デアルカガ判然トシテ
居リマセヌ、隨テ是ハ消滅事項ノ規定デアルト云フコトヲ
明白ニスルガ爲ニ斯ク改メタノデアリマス、第二十四條ノ
「產業債劵ノ發行ニ關スル印紙稅及登錄稅ハ之ヲ免除ス」ト
云フノヲ削除致シマシタノハ之ヲ免除スルノハ宜シクナ
イト云フ意見モアリマシタノデ、サウ云フ意見ニ從ッタ次第
デアリマス、第二十六條ニ於キマシテ本法中主務大臣トア
ルハ農商務大臣、大藏大臣ノ兩大臣デアルコトヲ規定シマ
シタノハ、誤解ヲ避クル爲ニ特ニ明白ニシタノデアリマス、
最後ニ設立ニ關シテ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ムト
云フコトヲ規定シマシタノハ、色々此外ニモ手續上遺漏ガ
アルカモ知レヌト思ヒマシタノデ、斯ウ云フ規定ヲ置ケバ
吾々ノ氣付カナカツタ所ヲ勅令ヲ以テ補フコトガ出來マス
カラ、此條文ヲ增シタノデアリマス、以上修正ノ理由及由來
ニ付テハ略〓御存ジノ事ト思ヒマスカラ、多クハ申上ゲナ
クトモ御諒解ヲ得ルコトヽ存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004612839X00819230302&spkNum=2
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003・武藤金吉
○武藤委員長 瀧君ニ念ノ爲ニ承ッテ置キマスガ、今御修正
中ニ第十五條「產業組合中央金庫ハ定期預リ金ヲ爲スコト
ヲ得」ト云フ條項ヲ削除セラレマシタガ是ハ諸君ノ希望ガ
多イカラト云フ御言葉ガアリマシタガ、言葉尻ヲ取ル譯デ
アリマセヌケレドモ、相互主義ノ本法ノ精神ニ副フヤウニ
削除サレタノデアリマシテ、諸君ノ希望トカ云フコトハ大
分耳障リデアリマスガ言葉ノ違ヒデハアリマセヌカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004612839X00819230302&spkNum=3
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004・瀧正雄
○瀧委員 成程ソレデ宜シウゴザイマス、私ノ修正シマシ
タノハ公益的デアッテ相互主義ニ重キヲ置ク中央金庫トシ
テハ一般銀行トノ競爭ヲ起シテハ宜シクナイト云フコト
ヲ、皆サンノ御議論ノ中ニ氣付キマシタノデ斯ウシタノデ
アリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004612839X00819230302&spkNum=4
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005・下岡忠治
○下岡委員 本員ハ此產業組合中央金庫法案ニ對シテ修正
意見ヲ申述べマス、先ヅ條文ノ修正ノ箇條ヲ申上ゲマス、第
四條第一項中ニ「三千万圓」トアルノヲ「五千万圓」トシテ
「三十万口」トアルノヲ「五十万口」ト致シマス、第五條第二項
中ニ「二百口」トアルノヲ「三百口」ニ改メマス、第六條第一
項中「千五百万圓」トアルノヲ「二千五百万圓」ト改メ、第十
一條第一項中「理事長、副理事長、理事及監事」トアリマスノ
ヲ「及監事」ノ三字ヲ削ッテ別ニ一項ヲ加ヘマス、ソレハ「監
事ハ出資者總會ニ於テ之ヲ選定ス」是ガ第二項トナルノデ
アリマス、ソレカラ同條第二項中「再任ヲ命スルコトヲ得」
トアリマスノヲ「再任ヲ妨ケス」ト改メマス、ソレカラ第十
二條ヲ左ノ如ク改メマス「產業組合中央金庫ニ評議員二十
名以內ヲ置ク」是ガ第一項デアリマス、第二項ハ「評議員中
十名以內ハ主務大臣之ヲ任命シ他ノ十名以內ハ出資者總
會ニ於テ之ヲ選定ス」ト云フノヲ加ヘマス、第十二條ノ次ニ
左ノ一條ヲ加ヘテ以下順次繰下ゲマス、其條文ハ「理事長、
副理事長、及理事ハ在任中何等ノ名稱ニ拘ラス他ノ職務
又ハ商業ニ從事スルコトヲ得ス但シ主務大臣ノ認可ヲ得タ
ル者ハ此ノ限ニ在ラス」ト致シマス、ソレカフ第十三條ノ各
號ノ「所屬」ト云フ文字ヲ總テ削リマス、第二十條ノ「無記名
利札附」ト云フコトニ「又ハ割引債劵」ト云フ文字ヲ加ヘマ
ス、ソレカラ附則ノ第三十九條ノ前ニ左ノ一條ヲ加ヘマス、
ソレハ「本法中主務大臣トアルハ第十一條第二十二條第二十
九條第三十條第三十四條第四十條及第四十一條ニ在リテハ
農商務大臣及大藏大臣其ノ他ニ在リテハ農商務大臣トス」
是ガ新ニ加ハル所ノ修正デゴザイマスガ、尙ホ只今瀧君ニ
依ッテ提案セラレマシタ修正案ニ付テ贊成ノ點モゴザイマ
スルシ、反對ノ點モゴザイマスルカラ、此修正ニ對シテ原案
ノ儘ガ宜シイト思ヒマスル所ヲ先ヅ先ニ述べマス、ソレハ
第十五條デアリマス「產業組合中央金庫ハ定期預リ金ヲ爲
スコトヲ得」トアリマスガ、是ハ原案ニ復活スル、原案通リ、ソ
レカラ第十六條デアリマス、第十六條ノ本文ニ「預リ金又ハ」
トアリマスガ、是ハ原案ノ通リ、ソレカラ第一號ト第三號ハ
原案通リニ復活スル「預リ金ノ四分ノ一以上ハ」ト一號ニア
リマスガ、是ハ原案ノ通リ、第二號ハ修正案ノ通リデ宜イ、
第三號削除ト云フノハ原案ノ通リニ復活シタイ、ソレカラ
第三十七條「預リ金又ハ」トアリマス、是モ原案ノ通リニ復
活スル、是ダケガ瀧君ノ修正案ニ對シテ原案ニ戾シタイト
云フ考デアリマシテ、其以外ノ點ト全然瀧君ノ修正案ニ吾々
モ同意ヲスルト云フ考ナノデアリマス修正ノ各項ハ右ノ
通リデゴザイマス、極ク簡單ニ其理由ヲ申シテ置キタイト
思ヒマス、第一ニ資本金ノ增加、此點ニ付キマシテハ、吾々
ハ三千万圓デハドウモ此大事業ヲ行フニ資力ガ少ナ過ギ
ル、殆ド初メテヤル事デハゴザイマスケレドモ、產業組合中
央金庫ノ設立ト云フ問題ハ、實ハ十數年來ノ懸案トナッテ、識
者ノ頭ヲ惱マシテ居ッタ問題デゴザイマスルカラ、此際愈〓
之ヲヤルト云フ場合ニ於キマシテハ、中々大ナル責任ヲ持ヲ
テ居リ、大ナル使命ヲ持ッテ居ル所ノ事業デアルカラシテ、
隨テ資力ニ付テモ初カラ十分ニ用意ヲシテ掛ル必要ガアル
カラ、ドウモ今日ノ狀態カラ考ヘテ見マスルト、三千万圓ノ
資本ト云フ事デハ、直ニ行詰ルヤウナ事ガ起リ得ルカラ、少
クトモ五千万圓位ニスル必要ガアラウト云フ意味ニ於テ、
增額ヲ致シタノデアリマス、隨テ政府ノ出資額モ千五百万
圓ト云フノハ二千五百万圓トシマシテ、二千五百万圓ヲ無
利子デ政府ガ出スト云フコトハ多少苦痛デゴザイマスケレ
ドモ、此位ナ金ヲ出シテ、此中央金庫ヲシテ思フ存分ニ活動
ヲサセル爲ニ、政府トシテ此位ナ犠牲ヲ拂ッテモ宜シイ、但
シ本年ノ追加豫算案ハ、或ハ政府ノ都合上五百万圓以上ヲ
出スコトハ困難デアラウ、ソコハ吾〓モ察スル事デアルカ
ラ、ソレハ五箇年ニ割ッテ、年〓五百万圓ヅヽ遂ニ二千五百
万圓ニ達セシムルト云フコトニスルナラバ政府モ大シテ
苦痛デナカラウト思フカラシテ、政府ガ二千五百万圓、產業
聯合會及產業組合ヲシテ二千五百万圓出資ヲセシメルト云
フコトニシタイ考デアリマス、此修正ヲ致シマスルト、自然
此各組合ノ出資口數限度ハ或ハ二百ノ口數デハ少ナク、資
力ノ非常ニ富ンデ居ル所ノ組合ナドハモウ少シ多ク出サ
セルト云フコトニスル方ガ、出資總額ガ增加シテ宜カラウ
ト思フカラ、二百口ト云フノヲ三百口ニ改メルト云フコト
ハサウ云フ主義カラヤッテ居ルノデアリマス、ソレカラ第
二ノ點ハ先日來屢〓質問應答ヲ重ネテ居マシタ、此中央金
庫ノ機關、此機關ハ總テ任命權ヲ主務大臣ガ持ヲテ居ルト云
フコトハ、是ハ餘リニ官權萬能ニ過ギル事デアルカラ、矢張
或ル程度マデハ自治的ニ之ヲヤラス必要ガアル併ナガラ初
メノ內カラ理事長、副理事長、或ハ理事等マデ總テ選擧デ選
ブト云フコトニ致シマスルト、是ハ多少危險ノ伴フ事デモ
アルシ、政府トシテ見レバ、二千五百万圓ヲ無利子デ十數年
間出スト云フ非常ナ犠牲ヲ拂ヒ、又低利資金ヲ追々澤山之
ニ出シテヤラナケレバナラヌト云フ大ナル犠牲ヲ拂フノデ
アル隨テ或程度マデ役員ノ任命權ヲ與ヘルト云フコトハ
必要デアリマスガ、總テノ機關ヲ主務大臣ニ一任スルト云
フコトハ餘リ是ハ不公平ナ遣方デアル、恐ラク他ニ類例ヲ
見ナイ位ノモノデアルカラ、或ハ理事マデモ出資者總會デ
決メルト云フコトガ宜イノカモ知レヌカ、先ヅ初メノ間ハ、
政友會ノ御提案者ノ趣意モ御尤ノ所ガアルト酌取リマスカ
ラマア理事マデハ主務大臣ガ之ヲ任命スルコトハ宜シイ
ガ、少ナクトモ監事及評議員ト云フモノハ出資者總會ナリ
其他ノ方法ニ於テ、政府ノ手ヲ離レタモノニ依ッテ、任命ス
ル必要ガアラウィ云フ考カラ、此修正ヲ致ス考デアリマス、
他ノ例ヲ見マシテモ、マア會社ヤ銀行デ言ヘバ、、監査役マデ
ヲマルデ同ジヤウナ人間カラシテ選ブト云フコトハ是ハ
甚ダ面白クナイ、詰リ血事ト云フモノハ、理事長以下ノ役員
ニ不都合ハ無イカ否カト云フコトヲ、十分監視スルト云フ
重要ナル使命ヲ持ッテ居ルコトデアルカラシテ、之ヲ有名無
實ノ者タヲシメズシテ、相當ナル效果ヲアラシメヤウトス
ルナラバ矢張別ノ所カラ離レタル者ヲ以テスルト云フコ
トハ、是ハ當然ナ事デアル、ソレヲ總テ主務大臣ガ任命スル
ト云フ立テ方ニシテ置クト殆ド官邊ニ於テモ、理事長等ト
同種類ノ人ヲ選ブト云フコトハ極リ切ッタ事デアリマスカ
ラ、少クトモ監事ノ選任ト云フコトニ付キマシテハ、出資者
總會ニ於テ之ヲ選定スルコトニスル、ソレカラ評議員亦然
リ、評議員ト云フ者ハ唯〓單純ナ諮問機關デゴザイマス、
諮問機關デアリマスケレドモ、此評議員ト云フモノヲ少シ
ク有意義ノ者ニシヤウト云フコトニシマスト、矢張主務大
臣ガ全部之ヲ任命スルト云フコトヲセズシテ、先ヅ半數ダケ
ハ出資者總會デ之ヲ決メルト云フコトニスルナラバ、幾ラカ
民意ヲ現ハス、唯〓政府ガ勝手氣儘ナ事ヲヤルニ非ズシテ、
兩方ノ者ノ妥協點ヲ採ル趣意ニ於テ總テノ仕事ヲシテ行
クト云フ意思ヲ現ス上カラ考ヘマシテモ、ドウシテモ是ハ
一方ダケハ斯ウ云フ趣旨ニスルノガ至當ダト云フ趣意ニ於
テ變ヘル譯デアリマス昨日モ農商務大臣デアリマシタカ
ノ話デ、役員選定ノ際ニ、色々ナ爭ガ起ヲタリスル心配ハナカ
ラウカト云フ御話デアリマシタガ、併ナガ私共見ル所デハ、
此產業組合ノ從來ノ遺方及成績等カラ推シテ見マスト斯
ウ云フ問題デ或ル一派ノ者ガドウスルトカ、或ハ非常ニ競
爭ヲ起シテ大變ナ弊ヲ起スト云フコトハ、是ハ斷ジテ無イ
ト思ヒマス、產業組合ノ從來ノ遣方ハ中々綺麗ニ行ッテ居ル、
立派ニ行ッテ居ル、決シテ斯ウ云フ事ノ爲ニ爭ガ起ッテ、選定其
人ノ宜シキヲ得ナイト云フ心配ナドハ私ハ斷ジテ無イト思
ヒマスカラ、願クハ斯ウ云ノ修正ヲ行フコトニシタイト云
フ考デアリマス、ソレカラ此十二條ノ次ニ一條加ヘマシタ
ノハ卽チ役員ヲシテ色々ノ他ノ仕事ニ從事スルト云フコ
トハ止メタイ、主務大臣ニ任命サルヽ官吏タルガ爲ニ非ズ、
專心一意仕事ヲヤラシタイト云フノデ、是ハ中央金庫ノ性
質上ドウモ斯ウアルベキモノデアルト思フ、他ノ總テハ特
殊會社、特殊銀行等ニ對シテモ此條文ガアルガ、殊ニ此產業
組合中央金庫ノ如キ、非常ニ地味ナ、非常ニ手堅イ、非常ニ
質實ナル遺方ヲシテ居テ貰ハナケレバナラヌ所ノ役人デ
アルカラ、是ハ他人ノ色々ノ事ニ手ヲ出スト云フコトハヤ
ラヌデアリマセウケレドモ、若シヤルト云フコトガアッテハ
甚ダ面白クナイカラ、斯ウ云フ規定ハ特ニ必要デアルト云
フ意味デアルノデアリマス、第十三條ノ「所屬」ト云フ字ヲ
削ルノハ、是ハ一應原案ニ尤ナ點モアルトハ考ヘマスルケ
レドモ何分マダ中央金庫ト云フモノヲ始メマシテモ、仕
事ノ範圍ガ中〓手廣クヤリ難イダラウト思ヒマスガ、所屬
ト制限セズシテ他ノモノニモ行キ得ルヤウニ、成ベク營業ノ
範圍ガ廣クナルヤウニスル意味ニ於テ、「所屬」ト云フ窮窟
ナル文字ハ之ヲ削ッタ方ガ宜カラウト云フ意味カラ取ルノ
デアリマス、第二十條ノ「無記名利札」ト云フ以外ニ「割引又
ハ割引債劵」ト云フ文字ヲ加ヘルノハ、是ハ「無記名利札」ハ
舊式デアリマシテ、寧ロ割引債劵ヲ加ヘテ相當ニ割引シタ
モノデヤル方ガ、餘程新式デアリマス、併ナガラ無記名利札
ヲ全然止メルコトハ出來マセヌカラ、便宜上割引債劵ト利
札ノ兩方ヲ用ヰルヤウニスルノデアル斯ウ云フ意味デア
リマス、ソレカラ附則ニ改正ヲ加ヘル理由ハドウモ主務大
臣ノ問題ガ甚ダ從來ハ面倒デアリマス、ソレ故ニ農商務大
臣若ハ大藏大臣トシテ修正ヲシヤウト云フ改正ノ意見ト思
ヒマスケレドモ、宜ク考ヘルト云フト、之ヲ兩大臣ニスルト
云フト、行政事務ヲ運ブ上ニ於テハ非常ニ煩雜デ、理窟ヲ言
ヘバドンナ細カイ事デモ皆兩大臣ニ持ッテ行カナケレバナ
ラヌヤウニナリマシテ、中央金庫ニ關スル總テノ問題ガ兩
屬スルト云フコトニナッテ、所謂兩頭ノ蛇ト云フコトニナッ
テ、甚ダ仕事ガ運ビ難イコトモアリマス、サレバト云ウテ之
ヲ詮議スル譯ニハ參リマセヌガ、吾々ノ考デハ何方カニ所
屬ヲ決メル、而シテ或ル特別ナ非常ニ密接ナ關係アルモノ
ニ付テハ兩大臣ノ認可ヲ經ルトカ、兩大臣ニ監督ヲシテ貰
ヒタイト云フ立テ方ニシマセヌト云フト單ニ兩屬ト云フ
コトニ致シマスト云フト、非常ナ面倒ナ事ガ起ルト云フコ
トヲ懸念致シマシテ、本法中十一條以下是々ノ條文ニ付テ
ハ兩大臣、其他ニ付テハ農商務大臣、斯ウ云フ立テ方ニシタ
ノデアリマス、例ヘバ地方ノ行政事務ニ付テモ、一般ノ事ニ
付テハ內務大臣、併ナガラ財務ニ關スル事ニ付テハ大藏大
臣、或ハ〓育ニ關スル事ニ付テハ文部大臣ト云フ立テ方ニ
シテ居ルト同樣ニ、本員ノ考デハ大體ニ於テハ農商務大臣、
詰リ產業組合ソレ自ラガ、從來農商務大臣ノ所管ニナリ來ッ
テ居ルコトデアルシ、又產業組合ヲ中心ニシテ行フ金融機
關デアルカラ、金融ノ上カラ云ヘバ大藏大臣ニ關係アルガ、
児ニ角產業組合ヲ中心ニシテヤッテ行クナレバ、矢張主務大
臣ヲ農商務大臣トスルノガ宜カラウ、併ナガラ事柄ソレ自ラ
金融機關トシテ大藏大臣ニ關係ガ多イコトデアリマスカラ、
吾々ニハ其條文ヲ列記シテ、十一條ノ產業組合ノ中樞機關
トシテ働ク人間ニ關シテハ、大藏大臣先ヅ之ニ關與スル必要
ガアル、又之ヲ監督ヲシテ居ル管理權ニ付テハ、大藏大臣ガ
矢張之ニ關係スルガ宜カラウ、ソレカラ定款ヲ作リ、又ハ之
ヲ改正スル事ハ是ハ大藏大臣ガ、所謂是ハ中央金庫ノ憲法
デアルカラ、其憲法ヲ作リ或ハ之ヲ變更スル場合ノ如キハ兩
大臣ニ屬スル事ニシナケレバナラヌ、又產業債劵ノ發行、是ハ
大藏大臣ノ最モ關係深イ事デアリマスカラ、此事柄ニ付テハ
固ヨリ大藏大臣ノ領屬デアルソレカラ剩餘金ノ處分デアル
ガ、是ハ政府トシテ二千五百萬ノ犠牲ヲ拂ッテ之ヲ膨脹シヤ
ウト云フ譯デアリマスカラ、無暗ニヤッテハ困ル、財政ニ非
常ナル影響ガアルト云フ意味カラ、斯ウ云フ風ニ或ル一定
ノ條項ヲ擧ゲマシテ、之ニ付テハ大藏大臣、農商務大臣ノ所
屬トスル積リ、是ハ骨子ニ付テハドウシテモ大藏大臣ノ意
見ヲ十分ニ容レテ、農商務大臣ガヤッテ行カナケレバナラヌ
ケレドモ、他ノ普通ノ事務ハ-一般ノ行政事務ハ寧ロ單
純ニ農商務大臣ノ所屬ニスルコトヽ云フコトガ、仕事ヲ運
ブ上ニ於キマシテハ便宜デアラウト云フ考カラ、此附則ノ
規定ヲ置カウトスル考デアリマス尙ホ政友會ノ只今瀧君
ノ御修正案ニ付キマシテ原案ニ復活シタイト云フ考ハ、卽
チ第十五條ノ定期預金デアリマス、是モ成程見方ニ依リマ
シテ御尤ナ點モアラウト思ヒマス、併ナガラ餘リニ此政府
ノ低利資金バカリヲ的ニシテ居ルト云フヤウナ遣方デハ
產業組合中央金庫ノ發達ト云フコトガ甚ダ怪シイ、私共ハ
何所マデモ獨立自治ノ精神ヲ以テ、唯〓單純ニ政府ニバカ
リ任セルト云フ立テ方ニシナイ、自ラ自ラノ資力ヲ培養シ、
自ラ自ラノ力ニ依ッテ行クト云フ考ヲ持タシテ行キタイ、
其意味カラ考ヘルト、幾分カ普通銀行ノ形ニ入ルヤウデア
リマスケレドモ、併ナガラ隨分サウ云フ方面カラシテ金ヲ
吸收致シマスカラ、新シイ銀行ガ更ニ出來タト思ヘバソレ
マデノ事デアリマス、是位ノ事ヲヤリマシタ所デ、一般ノ銀
行ガ非常ナ苦痛ヲ受ケルコトガナイカラシテ、中央金庫ノ
將來ノ發達ト云フ上カラ考ヘマスルト、此位ノコトハモウ
少シ營業ノ範圍ヲ擴ゲルト云フコトハ惡クナイコトデアル
ト云フ考ヘカラシテ、第十五條ノ復活ヲ希望スル、又第十
六條モ同ジ趣意カラシテ、一號ノ改正モ其趣意カラ起ッテ
居ル、三號ノ改正モ矢張少シク仕事ノ範圍ヲ擴メテヤル、卽
チ產業組合中央金庫ヲシテ、幾分銀行業ニ近イヤウデアル
ケレドモ、活動ノ範圍ヲ擴ゲテヤルト云フ趣意ニ於テ之ヲ
認メルガ宜カラウト云フ考デ原案ニ復活シタイ、其他ニ付
テハ瀧君ノ只今御述ニナッタ修正案ハ洵ニ結構ナ修正案デ
アリマスカラ、全部御同意ヲシタイ、大體私共ノ方ノ修正
意見ハ左ノ通リデアリマス、願クハ御贊成ヲ希望スル次第
デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004612839X00819230302&spkNum=5
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006・植原悦二郎
○植原委員 私ハ下岡君ノ修正案ニ贊成ヲ表スル者デアリ
リマス、細末ノ事ニ付キマシテハ既ニ下岡君カラ御說明ガ
アリマシタカラ、此場合ニ於テ意見ヲ述べル必要ハナイト
思ヒマス、私共ハ多年產業組合ニ對シテ、何等カ統括的ノ金
融機關ヲ設ケナケレバナラナイト主張致シテ居リマス、斯
樣ナ案ヲ政友會ノ諸君カラ提出サレタコトニ對シテハ私
共多大ノ贊意ヲ表スル者デアリマス、私共ハ產業組合ニ對
シテ、極メテ基礎ノ强固ナ、而モ普遍的ニ參ル所ノ金融機關
ガナケレバ、堅實ナル產業ノ發達ヲ圖ルコトガ出來ナイシ、
又極メテ小資本、又資力ノ乏シイモノニ對シテハ金融ノ機
關ノ途ガ無イト思ヒマス、斯樣ナ機關ガ出來ルト云フコト
ハ多大ノ贊意ヲ表スルモノデアリマス、洵ニ結構ナ事ダト
思ヒマスソレ一付キマシテモ只今下岡君カラ申述ベラ
レマシタ通リ、努メテ之ヲ健全ナルモノトスルト共ニ、一
面ニ於テ民衆的ノ機關ニスルコトヲ必要トスル、其意味ニ
於キマシテ、役員ノ任命方法選出方法ニ付キマシテハ、下岡
君ノ提案サレタ事ニ贊意ヲ表スル者デアリマス、又第十三
條ニ於キマシテ「所屬」ト云フ字ヲ削ルコトニ付テモ下岡君
ガ述ベラレマシタ通リ、唯〓之ニ所屬スル所ノ組合ダケニ
制限サルヽ日ニハ、此後新ニ興ル所ノ組合其他ノモノニ對シ
テ普遍的ニ參ラナイ、務メテソレヲ民衆的ニ普遍的ニシタイ
ト云フ點ヲ考慮スルナラバ其「所屬下云フ字ヲ削ルノガ當
然デアル、又十五條十六條ノ修正ニ付キマシテモ下岡君ガ述
ベラレタモノニ對シテ、敢テ私ガ蛇足ヲ附スル必要ハナイ
ト思ヒマスガ、此產業組合中央金庫ヲ私共ノ考ヘマスルガ
如ク、務メテ之ヲ强イモノニシテ行渡ルモノニシヤウト致
シマスレバ、定期貸付ケヲ爲スコト、或ハ國債又ハ公債等ニ
付キマシテモ相當ノ取扱ガ出來ルヤウニスルコト、手形ノ
割引モ出來ルヤウニスルコトガ、只今下岡君ノ申サレタ通
リ、或ハ純然タル銀行業者ノ範圍ヲ侵スヤウニナルカト云フ
懸念ノアルト云フコトハ、是ハ申ス迄モナイ事ト思ヒマス、
併ナガラ旣ニ金融ノ問題ヲ掌ル、極メテ微力ナ資產ノ無イ
所ノ人ニモ行渡ルヤウニ、資金ノ供給ヲ致サウト云フコト
モ、多少銀行ノ業務ノ範圍ヲ侵スコトハ純理ノ上カラ行ケ
バ避ケラレナイ事デアリマス、故ニ成ベク此中央金庫ノ資
力ヲ、啻ニ政府カラ出資スル金額バカリデナク、產業組合自
ラガ其力ヲ培養シ、殊ニ借受ケマス者以外ニ、產業組合或ハ
產業組合以外ノモノトモ成ルベク金融上圓滑ニシテ密接
ナル關係ヲ維持シテ行クト云フコトガ、尙更此金庫性質ニ副
ウテ、共地位ヲ鞏固ナラシメ、且ツ其效力ヲ發揮スルコトニ
於テ便宜ナラシメルモノナリト思ヒマスガ故ニ、此修正ニ
モ贊意ヲ表スル譯デアリマス、其他ノ事ハ下岡君ノ述ベラ
レタ通リデアリマス、又其他ノ政友會ノ諸君カラ御修正ニ
ナリマシタ事ニ付キマシテハ私共贊意ヲ表シマス、下岡君
ノ修正ニ對シテハ私ハ全部同意ヲ致スモノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004612839X00819230302&spkNum=6
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007・守屋松之助
○守屋委員 私ハ政友會ノ修正意見ニ贊成スル者デアリマ
ス、成程先程來下岡君ヨリ、色々憲政會ノ御修正意見ニ對シ
テ御說明ガアリマシタノデアリマスガ、勿論今囘御提案ニ
ナナリマシタ產業組合中央金庫法ナルモノハ、多年我ガ產
業組合界ニ於テハ要望シテ居リマシタ法案デアッテ、一日モ
早ク此法案ヲ成立サシテ、サウシテ一日モ早ク此法案ノ實
施ヲ望ンデ居ル場合デアリマスカラ、區々タル金融ノ狀態、
或ハ此組合內ニ於ケル組合法ノ條文ニ拘泥致シマシテ、此
法案ノ通過ヲ困難ナラシメルコトハ吾々トシテハ遺憾ニ存
ジテ居リマス、ソレ故ニ此組合法ガ、今日政友會ノ御提出ニ
ナリマシタ組合法ト修正法トガ、完璧ノモノデアルト云フ
コトハ私共申上ゲマセヌ、又憲政會ノ御修正ニナリマシタ
ノニ對シテモ、私ハ全然是ガ完璧ノモノデアルト云フコト
ニ同意モ出來ナイノデアリマス、寧ロ今日ノ場合ハ一日
モ早ク此組合法ヲ實施スルト云フコトガ私等ノ希望デア
ル、サウシマスルト云フト、先程憲政會ノ下岡君ガ御述ニ
ナリマシタ第十五條ノ組合法、組合ガ定期預リ金ヲ爲ス
コトヲ得ト云フヤウナ文字ニ對シテモ、或ハ若シモ此中
央金庫法ヲ訂正サレタ場合ニ於テ、他ノ銀行業者ノ業務
乙酸反ヤウナ場合ガナイト〓限ラヌ、之ヲ更ニ私等ノ立
場カラ考ヘテ見マスト、產業組合ニ對シテノミ此中央金
庫法ト云フモノヲ實施スルノデナクシテ、是ハ一面ニ於テ
ハ產業組合ト云フモノニ對シテ、ドウシテモ此中央金庫
法ヲ實施サセナケレバナラヌ、同時ニ又他ノ金融業者ニ
對シテモ、此金庫法ガ果シテ實施シタ場合ニ於テ、其業務ノ
一部ヲ侵スヤウナ場合ガアリトシマシタナラバ、此法律ヲ
制定スル吾々ノ任務トシテハ、此點ニ付テハ十分ニ考ヘ
ナクチヤナラヌ事ト思フノデアリマス、ソレ故ニ私ハ先程
來御述ニナリマシタ、定期預リ金ノ如キモノヲ原案通リ存
續スルト云フコトハ暫ク此場合ニハ政友會ノ修正ニ同意
ヲ願ヒマシテ、サウシテ今後若シモ此中央金庫法ガ實施シ
タ曉ニ於テ、ドウシテモ定期預リ金若ハ他ノ預リ金ヲ募集
シナイ限リハ、此中央金庫法ノ活動ガ出來ナイト云フ場合
ニ於テ、共場合ニ於テハ或ハ憲政會ノ御修正ニ對シテ、吾々
ハ同意ヲ表スルカモ知レマセヌケレドモ、只今ノ場合ハ此
產業組合中央金庫法ガ實施ノ場合ニ於テハ、他ノ銀行業務
ノ範圍ヲ侵スヤウナ場合ガアルト云フコトヲ吾々ハ𣏌憂ス
ル一人デアリマスカラ、此點ニ付テ暫時ノ間憲政會ノ御修
正ニ對シテ反對致スモノデアリマス、尙ホ先程「所屬」ト云
フコトニ對シテ、植原君カラ民衆的又普遍的ノモノトシテ、
「所屬」ノ文字ヲ削リタイト云フ御意見モアリマシタガ、今
目產業組合中央金庫法ハ普遍的ノモノデアル、決シテ一部
ノ者ガ此中央金庫ノ活用ヲ壟斷スベキモノデナイト云フコ
トハ私モ信ジテ居リマス、併シ折角此中央金庫法ト云フモ
ノガ一面ニ出來夕以上ハ、成ベク其中央金庫ニ加入シタル
モノニ對シテ、第一ニ恩典ニ浴サセル、其加入シタモノガ恩
典ニ浴シタ場合ニ於テハ漸次他ノ產業組合モソレニ加入
シマシテ、サウシテ中央金庫ノ恩典ニ浴スルコトノ出來ル
方ガ、寧ロ漸進的發達ヲ期スルモノデナイカト思ヒマスソ
レ故ニ此「所屬」ナル文字モ暫クノ間置ク方ガ適當デハナイ
カト思ヒマス、憲政會ノ折角御修正ニナリマシタ意見デア
リマスケレドモ、斯ル意味ニ於キマシテ私ハ反對ヲ致シマ
ス、政友會ノ御修正ニ對シテ贊成ノ意ヲ表シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004612839X00819230302&spkNum=7
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008・牧野良三
○牧野委員 本員ハ遺憾ナガラ、憲政會竝ニ革新倶樂部カ
ラ御提案ノ修正意見ニハ反對ヲ致シマス、特ニ本員ハ斯ル
反對意見ガ本委員會ニ出タコトニ多大ノ遺憾ヲ感ズル者デ
ア、リマス、本員等此法律案ヲ提出シテ以來、十分誠意ヲ披瀝
致シマシテ、特ニ本案ガ如何ナル修正ニ遭ヒマセウトモ、相
共ニ倶ニ提携シテ以テ、豫テ各黨各派ガ〓心ニ希望シテ居
ルモノデアルカラ、之ヲ實行スル上ニ於テ最モ遺憾ノ少ナ
イ點マデ讓歩シテ成立ヲ見タイ、此意味ヲ以チマシテ懇談
會ニ於キマシテモ種々懇談ヲ申上ゲタノデアリマス、サウ
シテ此性質ニ副ヒマシタ修正案ガ、立派ニ其主義政策ニ於
テ異ナルモノデアルナレバ則チ已ミマスケレドモ此修正
條項ヲ見マスレバ、五十步百步ノモノニ非サレバ吾々ノ不
滿トスル所ノモノモ忍ンデ、敢テ玆ニ妥協點ニ訴ヘントス
ルニ對シテ、何等ノ同情モナク一蹴シ去ラントスルモノデ
アッテ、其間甚ダ同情ノナキ遣方デアル、國家ノ政策ヲ實行
スル上ニ於テ同情ノナキ修正デアルト私ハ思フノデアリ
マス、此意味ニ於キマシテ本員ハ從來十分御意見ノ在ル所
ヲ尊重シテ、其言フ所ニモ隨分已ヲ空シウシテ申シテ置キ
マシタ、卽チ此機會ニ於キマシテ私ハ修正ノ各條項ニ對シ
テハ時間ガ迫リマシタカラ簡單ヲ旨トシナケレバナリマ
セタケレドモ一々辯駁ヲ試ミタイト思ヒマス、第一ニ最モ
注意ヲ致スベキ事ハ「所屬」ノ文字ヲ第十三條ノ各號ヨリ削
ラントスルノデアルガ、是ハ本員ト致シテハ相當ニ注意ヲ
拂フベキ點デアルト思フ、其「所屬」ヲ加ヘルト加フナイト
ハ只今下岡委員竝ニ植原委員ノ言ハレタヤウナソンナ小
サナ問題デハアリマセヌ、之ヲ產業組合ノ沿革ニ徵シ、之ヲ
各國ノ立法例ニ見マシテモ、此條項ニ「所屬」ト云フ文字ノ
有ルト無イトハ普遍的トカ平民的トカソンナ末葉ノ問題
デハナクテ、本質的ニ本金庫ヲ大藏大臣ノ所管ニスルカ、農
商務大臣ノ所管ニスルカ、相互的ノ色彩ヲ濃クスルカラ「バ
ンク」式ノ色彩ヲ濃クシテ行クカト云フ重大點デ、其事情ニ
於テ種々ナ理由ノアルコトヲ理解セラレナイデ、之ヲ非難
セラレ、修正ヲ爲サルト云フコトハ、本員等ハ甚ダ之ニ遺憾
ヲ感セザルヲ得ナイ、修正意見トシテ若シモ此條項ニ「所
屬」ノ文字ヲ削レルナラバ、何故大藏大臣ノ所管トセヨト
言ハレナイカ、此「所屬」ヲ入レルト入レラレヌトハ、諸君ノ
言ハレルヤウナソンナ淺薄ナ點ニ理由ガアルノデハナイ(「ノ
ウ〓〓」)ノウ〓〓デハアリマセヌ若シ之ニ對シテ反對ノ
御意見ガアレバ十分私ハ聽キマス、此「所屬」ヲ入レルト云
フコトハ普國ニ於テ發達シテ來テ居リマスル所ノ農民金
融機關ニ關スル「セントラルゲノッセンシヤフト、カッセ」ノ
方面ニ行クカ、ソレトモ他ノ方面ニ行クカノ岐レ路デアリ
マス、實ハ私等ハ此兩者ヲ折衷セシムル爲ニ此條文ヲ入レ
タノデアッテ、何モ特ニ一部組合ニ局限スル爲ノモノデハナ
イト云フコトヲ言明致シテ置ギタイ、之ヲ出發點ト致シマ
シテ、私ハ各條項ニ付テ申上ゲタイ、先ヅ第四條ト第五條ト
第六條ニ關スル修正意見ハ同一ノ議論ニ根據ヲ致シテ居
リマスカラ是カラ申シマス、是ハ蓋シ現在ノ產業組合ト云
フモノヽ現狀ト、政府ノ財政ト云フモノトヲ考慮セラレナ
イ殘酷ナ修正トシテ本員ハ遺憾ニ存ジマス、何トナレバ本
員等ガ資本ヲ三千萬圓トスルニ付テハ苦心ガアル、此苦心
ノ第一ハ政府ノ現在ノ財政狀態ニ於テ、千五百萬圓以上ノ
金ヲ支出スルコトガ可能的ニ豫想シ得ルヤ否ヤ、此點デア
ル、成程每年支出スル金ハ五百萬圓デアリマセウケレドモ
現ニ皆サンガ御承知ノ通リ、今年議會ニ提出セラレマシタ
ル恩給法ノ如キ、旣ニ各黨各派ノ一致ノ意見ニ依ッテ、其修
正ニ依ル增加ノ額ハ二千五百萬圓以上ニナッテ居ル、是モ政
府ガ直ニ此一二年ニ於テ出スコトハ出來ナイ、故ニ向フ數
年ノ間ニ分割シテ出サナケレバナラヌ、ソレハ五年若クハ
六年掛ルト云フコトハ諸君御承知ノ通リデアル、此ノ場合政
府ガ之ヲ爲スニ付テ、サウ五年モ六年モ每年義務ヲ負フ所
ノ支出ヲ容易ニ贊成スルコトノ出來ナイ事情アルコトハ
諸君ト雖モ之ヲ諒モセラレナケレバナラヌト思フ、諸君ノ理
想トセラレ、吾々ガ之ヲ實行セントシテ居ル所ノ、此產業組合
中央金庫ガ設立サレルト云フ時ニ於テ、三年間ニ千五百萬圓
ノ無利子ノ金ヲ政府ヨリ提供サレルト云フコトニ對シテハ、
諸君自身モ相當政府ニ對シテ、同情ノ念ヲ以テ敬意ヲ表セナ
ケレバナラヌノデアリマス、是ガ第一ノ點デアル、次ニ第二ニ
於テ、全國ニ於ケル一万四千ノ產業組合ノ爲狀ニ思ヲ致サナ
ケレバナラヌト思フ〓何トナレバ下岡委員ハ二百口ヲ三百口
ニシテ富裕ナ組合ヨリ多額ノ出資ヲセシメヲ方針ヲ執ラ
ナケレバ出資全額ヲ滿タサシムコトノ出來ナイ虞ガアルト
言ヒ、懸念ガアルト言ハレテ居ル、然ルニ此點ニ關シ吾々ハ
案ヲ立テルノデアッテ、實行ハ政府ニ委セルノデアルカラ
心配ハ要ラヌト云フヤウナ冷淡ナ心デ、此案ヲ通過セシメ
テハナラナイノデアリマス、吾々ガ是等ノ案ヲ出スニ付テ
ハ吾々自身ノ力ガ幾ラ位ノ出資ナラバ現在ノ產業組合ニ
十分出資セシメルコトガ出來ルカ、萬一ニ成立ニ必要ナ出
資ヲ不足セシムルヤウナ事ガアッテハヲラヌト、十二分ノ注
意ヲ以テ責任ヲ持ッテ此案ニ掛ラナケレバナラヌノデアル
諸君ガ果シテ此責任ヲ負ヒ得ルヤ否ヤ、吾々ハ此案ニ於テ
三千万圓トシタコトニハ種々ナル理由ガナル、卽チ現在ノ
產業組合中、其半分ハ少クモ出資能力アルモノトシテ、ソレ
ニ約二三十ヲ割當テ、忽ニシテ滿株所謂滿出資ニナルヤウ
ニシタイ、若シ過剩出資ト云フモノガ出來レバ、由ッテ以テ
來年度ニ於テ更ニ此增額ヲスル、其時ニドレ位ノ增額ヲシ
テ宜イカト云フ目安ヲ定メル便宜ニモナラウ、卽チ此申込
好景氣ノ出資ニ依ッテ來年ハ幾ラニ增加シテモ、多分ソレガ
滿株ニナルデアラウト云フ其額ニモ、吾々ト諸君トガ責任
ヲ持ッテ行キタイ、其爲ニハ餘リ大キイ額ヲ以テ設立シ、多
クノ出資ヲ政府ニ迫ルト同時ニ、產業組合自ラノ出資ニ對
シテモ、苦シイ立場ニ陷ルト云フガ如キコトノナイヤウニ
シ、更ニ吾々ガ力ヲ協セテ、全國ノ產業組合ヲ奬勵スルコト
ニ盡サナケレバナラヌト信ズルノデアル、然ルニ何等ノ根
據モ無ク、唯〓資本ノ多キヲ望ムト云フヤウナ理由ヲ以テ
此三千万圓ヲ五千万圓ニ修正シ、之ニ對スル二一二ノ事項ヲ
修正セラルヽト云フコトハ無責任ナル修正ダト私ハ思フ
諸君ノ爲サル事ガ、一ツノ理想ヲ以テソレニ到達セラルナ
ラバイザ知ラズ、今日何等ノ根據ナクシテ額ノ多キコトヲ
ノミ望ムト云フコトハ無責任ト思フ、諸君ガ政府ト相當交
涉ヲ爲サレタ結果ノ增額ナラバイザ知ラズ、多キヲ望ムト
云フコトデ斯樣ナ修正ヲ出サレルト云フコトハ無責任モ
極マル修正ト本員ハ考ヘマス、第二ニ官僚的色彩ニ富ミ過
ギルト云フコトニ付テ下岡委員ノ言ハレル所ニハ心ヨリ
敬意ヲ表シタイト思ヒマス此點ニ付テ敬意ヲ表スル理由
モ既ニ申述べテアリマス、サリナガラ現在此組合ノ金庫ノ
出資者ハ、如何ナル者デアルカト云フコトヲ御考慮ヲ願ヒ
タイ、ソレハ自然人ガ出資者トナルノデハアリマセヌ、此出
資者ハ國家ヲ始メ產業組合、產業組合聯合會、共ニ法人デア
ル法人ガ寄ッテタカッテ此金庫ヲ拵ヘル、ソコニ適當ナル人
物ヲ得ルト云フコトニ對シテ、立案上ニ法律相當ナ注意ヲ
要スルノデアリマス、又此法律ヲ認メル以上ハ、政府モ茲ニ
十分ナル注意ヲシナケレバナラヌカラシテ、特ニ吾々ハ忍
ンデ以テ成立ノ初メ暫ノ間ハ、理事者ノ全部ハ政府之ヲ任命
スルト云フ方針ヲ執リタイ、斯樣ハ言ッテ居ルノデアル、又產
業組合ノ出資ノ者ヲ集メテ、其出資者總會デ選ブト云フコト
ニナッタナラバ各組合ガ分立シテ、選擧ニ弊·害ヲ生ズルヤウ
ナ事ガ出來テハナラナイト云フノデ、ソレ等ノ弊害ナカラシ
ムルヤウニ二三年ノ間ハ政府ノ任命トシ、數年後ニ改正ヲ爲
ス事モ又晩クハナイ、寧ロ萬全ヲ期スル事ヲ豫想シテ斯ク規
定シタノデアッテ、數年ノ經過ヲ見ク上ニ、アナタノ如キ意見
ヲ容レルト云フコトハ、正ニ吾々ノ希望トスル所デアル、故ニ
此點ハ是非折合ッテ吳レラレルヤウニト云フコトヲ、懇談會
マデ開イテ意見ヲ交ヘタノニ、吾々ノ苦心アル點ヲ一蹴シ
去ッテ、斯ノ如ク同情ノ無イ修正ヲ爲シ、本案ガ產レル上ニ
於テ同情ノ無イ修正ヲサレルト云フコトニ付テモ、頗ル遺憾
ニシテ、斯クノ如キハ成立ヲ望マレル所ノ修正ニ非ズシテ、
寧ロ此點ニ對シテ唯〓自己ノ所見ヲ固持サレルニ過ギナイ
修正デアルト思フ本員等ノ連日ノ苦心、及昨日ニ於ケル懇
談會ノ苦心ト云フモノモ何等ノ同情ナク一蹴シ去ラレタト
云フコトハ憲政會ノ長老デアル下岡委員ニ對シテ、遺憾ニ
思フト云フコトヲ言明致シタイト思フノデアリマス、更ニ
評議員ニ關スル下岡委員ノ御主張モ尊重致シタイ、固ヨリ
理想ハソコニ在ラネバナラヌノデアリマス、サリナガラ是
モ同ジ理由ノ下ニ、此際是非是デ折合ッテ戴キタイト思フ、
ソレハ何事デアルカト云ヘバ政府ガ自ラ千五百万圓ノ出
資ヲ爲シテ居ルニモ拘ラズ、下岡委員ヤ吾々ノ意ノ在ル所
ヲ酌ンデ、成ベク官權ヲ此中ニ入レシメナイ、成べク官僚的
ノ色彩ヲ帶バシメナイヤウニト云フ趣旨ヲ諒トシテ、出資
者總會ニ於ケル決議權行使ハ、一人一票ノ趣旨ヲ認メテ僅
カ一票デアル、僅ニ一百圓ノ出資者モ、千五百万圓ヲ出資シ
テ居ル政府モ共ニ一票デアルト云フ所ニ、官僚的色彩ト政
府ノ無用ノ干涉ヲ此間ニ入レシメナイト云フ苦心ガアル
ソコヲ諒トセラレタイ、ソコデ政府ト折合ッテ諸君ノ意思ヲ
「コンセントレート」シテ、諸君ノ意思ヲ事實ニ於テ入レシ
メルコトニ努メテ居ル、此子供ノ生レタ前ニ理想爭ヒヲシ
テ、不養生ヲスル女學生上リノ妻君ノヤウナコトヲ言ハナ
イデ、今ハ生ム爲メノ最上ノ努力ヲ爲シ、生落トシタ後ニ
吾々ガ立派ニ哺育シテ行クコトニ努ムベキデハナイカ、
是ダケノ事ヲ中上ゲタノニ、今ノ女學生上リノ妻君ノ言
フヤウナコトヲ言ッテ、其主張ヲ故意ニ通サウトスルコ
トハ、是ハ實ニ心ノアル人ノ主張デナイト思ヒマス、旣ニ
主張致シマス以上ハ、堅キ考ト自分ノ理想ニ於テ之ヲ
爲スベキデアル、斯樣ナ慘酷ナ事ハ、唯ダ自己ノ主張ヲ理
ガ非デモ遂ゲンガ爲メノ主張デアッテ、決シテ本案ヲ成立
セシメ、且ツ成立セシメタル曉ニ於テ、之ニ依リ國民ノ
生活狀態ヲ「リコンストラクシヨン」セシムル爲メノ、其
一步ヲ進ムルト云フ堅實ナル立場ニ立ッテノ修正案デナ
イト云フコトヲ此場合ニ指摘シテ、遺憾ノ意ヲ表シタイト
思フノデアリマス、第三ニ條文ノ挿入サレタ點ニ關スル
本員ノ反對ノ意見ハ旣ニ述べテ置イタノデアリマス、下岡
委員ハ第十二條ノ次ニ「理事長及副理事ハ其ノ在任中ハ何
等ノ名義ヲ問ハス他ノ職務又ハ商業ニ從事スルコトヲ得ス
但シ主務大臣ノ認可アルトキハ此ノ限リニ在ラス」ト云フ條
文ヲ入レテ、此理事長、副理事長ノ行動ヲ限局致シタイ、斯
樣ニ言ハレテ居ル、下岡委員、本員ハ此ニ至ッテ實ニ何トモ
言ヒヤウガナイノデアル少シク官廳監督ノ規定ガアルト
キニハ、ドウモ官僚臭味ニ過ギルト言ヒナガラ、官僚臭味ヲ
取ルニ努メタ本條ノ如キニ向ッテハ特殊銀行ニ皆此ノ規定
ガアルカラ此條項ヲ入レヨト言ハレルガ、此條項位時代錯
誤ノ條項ハアリマセヌ、現在ハ特殊銀行法ニ於テ、官僚的ノ
規定ノ第一トシテ指摘セラルヽモノハ御承知ノ通リ此規定
デアル、本條ヲ取リ去ッテ、而モ本條ノ趣旨ヲ達セシメント
スル、ソコニ民衆的ノ意義ガアル、規定無ケレドモ規定ガ有
ルト同ジクセシムルト云フ所ニ、吾々ノ本當ノ民衆生活ノ
意義ガ在ル、民衆生活ハ法律無キモ法律有ルト同ジ生活ヲ
爲ス點ニ在ル、是ガ卽チ民衆生活ノ實際デアル、故ニ斯ル規
定ガ無ク、官僚的ナ規定ノ支配ヲ受ケナイデモ、心ヨリ德義
的ニ道德的ニ、此條項アルト同ジダケノ義務ヲ履行セシメ
ヤウト云フ所ニ妙味ガアル、其人々ニ對シテ理事長トナリ
副理事長トナル所ノ人ガ、其隱レテ居ル所ノ規則ニ依ッテ抑
ヘラレル、規則ノ無イ所ニ吾々ガ一ツノ秩序ヲ造リタイト
云フ點ニ注意サレタイ、下岡委員、私ハ此點ニ付テハ實ニ衷
心ヲ披瀝シテ此條ヲ入レナカッタ理由ヲ述ベタデハアリマ
センカ、之ニ依ッテ官僚的ノ色彩ヲ排シテ行キタイト云フコ
トハ心ノ底ヲ割ッテ申上ゲタデハアリマセヌカ、ニモ拘ラ
ズ意地惡クモ此條項ヲ入レヨト强ヒ、他ノモノハ民衆的
ナラシメタイト言ハレナガラ、斯ノ如キ官僚的規定ヲ挿
入セヨト言ハレルコトハ吾々ノ立案ヲ飜弄セラレント
スル外、何等意味ハ無イト思ヒマス斯ノ如キコトハ過
言デアルカモ知リマセヌガ、心ノ中ニアルコトハ尙ホ言ハ
ナケレバナラヌ、本員ハ民衆的自治ヲ行ハントスル上ニ、
政府ニ餘リニ反感ヲ持タシメズシテ其實ヲ擧ゲ、以テ我國
ノ秩序アル發達ヲ期セントスレバコソ、是ハ爲シタノデア
リマシテ、何等ノ意義ナク是等ノ條項ヲ排除シテ居ルノデ
ハナイ、此條項ハ我國ノ總テノ特殊現行法ノ中ニアル條文
デアルガ、其條文ヲ取去,テモ尙ホ同ジ目的ヲ達シ得ベシト
思フ、然ルニ是等ノ條文ヲ存置シテ重役ヲ抑ヘ付ケル必要
ガアルト思フト言ハレルニ至ッテハ洵ニ遺憾ナ御主張デア
ルト云フコトヲ巾上ゲテ置キタイノデアリマス、第四ニハ「所
屬」ヲ削ラレタ點デアリマス、此點ニ對シ植原委員ハ以テ
一般的民衆的ナラシメタイト云ハレタ言葉ハ少シモ本案ノ
趣旨ニ觸レテ居ナイ論デアルト云フコトヲ申上ゲテ置キマ
ス、此「所屬」ヲ入レルト否トハ、本案ヲ大藏省ノ管轄ニ屬スル
金融機關「バンク」式ノモノトスルニ在ルカ、ソレトモ產業
組合ノ大聯合會式ノモノニスルカト云フ重大ナ點ノ岐レ
ル所ノ大切ナ點デアル、「所屬」ト云フ其言葉ハ平凡デアリ
マスケレドモ、之ヲ入レルト入レナイトニ付テ、政府ニ於テ
モ大藏大臣ト農商務大臣トガ、十分國家ノ現狀、我國ノ產業
組合ノ發達ノ現狀ヲ愼重ニ考慮シ、熟議ヲ遂ゲ、閣議ニ於テ
モ此點ニ付テ十分注意ヲ拂ハレタ點ト思ヒマス、吾々モ特
ニ此二字ヲ入レルカ入レヌカト云フ點ニ付キマシテ、少カ
ラヌ苦心〓究ヲ遂ゲタ結果デアリマス、ソレヲ民衆的ダノ、
普汎的ダノト云フヤウナ名目ノ下ニ左右セラレントスルト
云フコトハ遺憾至極デアリマス、此場合更ニ之ヲ存置スル
ノ理由ヲ述べタイ、ソレハ何故カト云フト、之ニ依ッテ農商
務大臣ノ管轄-農務的色彩ヲ加ヘテ來タノデアリマス、
卽チ本案ノ全體ト云フモノガ、今迄吾々ノ考デハ主トシテ
大藏省ノ管轄ニ置キタイト云フ點ニ在ッタ所ガ、下岡委員ヤ
植原委員ノ御主張ノ如ク政府ノ方ノ主張ハ農商務的色彩ヲ
多ク加ヘタイト云フコトニナッタノデアリマス、此「所屬」下云
フ言葉ヲ加ヘタ結果「ライフアイゼン」式ナ色彩ヲ濃クシ、
之ニ依ッテ產業組合ノ相互的組織、卽チ「ミユーチアル」ナ組
織ヲ徹底セシメント欲スルノデアリマス、吾々ハ相互的金
融機關タルノ機能ヲ發達セシメント欲スレバコソ、「所屬」
ト云フ文字ヲ置イタノデ、凡ソ我國ノ產業組合ヲ統一シ、農
商務大臣ノ監督ノ下ニ產業組合ノ普及發達ヲ期スル上ニハ
總テノ組合ヲ所屬組合トスルニ在ルト信ズルカラデアル
ノミナラズ再修正者ハ以テ普汎的ナラシムル爲メト言ハレ
ルケレドモ一万四千ノ組合ヲ相互的ナラシメテ其徹底ヲ
期スル上ニ於テ、是程重要ナ文字ハ無イ、何故ナラバ彼等ハ
出資ヲ爲シタル者モ、爲サヾル者モ、權利ガ同ジデアルトナッ
テハ出資ヲ奬勵スル所以デナイ、蓋シ中央金庫業ノ出資
ニ對スル配當ハ步合ガ少クシテ三分四分ト云フコトヲ豫
想シナケレバナラヌ、他へ預ケルトナラバ六分七分ニ廻ハ
ルモノヲ、ソレガ四分カ五分ニシカ廻ラナイ所ノ出資ヲシ
テ、以テ出資セザル者モ同ジ權利ヲ有スルト云フコトニナ
ラバ寧ロ出資シナイト云フヤウナ不心得ガ出テ來ナイトモ
限リマセヌ、今ヤ我國ノ產業組合ハ相當ナ發達ヲ爲シテハ
居リマスケレドモ下岡委員ノ認メラレル通リ、マダ〓〓幼
稚デアリマス、以テ我ガ國民生活ノ「リマンストラクシヨン」
ヲシヤウトスルノニハモット堅貫ナ發達ヲ望ミ、彼等ヲシ
テ本當ノ精神的自治ヲ認メシメ、實行セシメナケレバナラ
ヌト云フノデ、多少手ヲ取リ過ギルカモ知レマセヌケレド
モ、斯ノ如ク所屬組合ニ限ル制度ニシテ以テ手ヲ引イテ、彼
等ヲシテ知ラズ識ラズノ間ニ其中ニ「インテレッセー」ヲ持
タシメタイ-「インテレッセー」ト云フ語ニハ利益ト興味
ト二ツノ意味ガアル卽チ利益ヲ感ズルト同時ニ、國家生活
ノ產業組合ノ興味ヲ感ゼシメナケレバナラヌ、此重大ナル
意義アルコトヲ御理解願イタイノデアル、或ハ本員ノ申上ゲ
ルコトハ尊嚴ヲ傷ツケルコトガ多イカモ知レマセヌケレド
モ、ドウカ此點ニ對シテモ相當ノ讓步ヲ願ヒタイ、又第五ハ
第二十條ノ規定デアリマス、此第二十條ノ規定ニ「無記名利
札附」ノ下ニ「割引債劵」ヲ入レタ方ガ宜イデハナイカト云
フ點デアリマス、是ハ敬意ヲ表シタイト思フ唯〓吾々ハ此
案ヲ兎ニ角成立セシメタ後ニ、其後ニ紋付ノ着物モ、立派ナ
袴モ、立派ナ蒲團モ拵ヘテヤリタイト云フノデアリマス、多
少ノ不足ハアリセウガ、男ニ生レルカなニ生レルカ、生レタ
上デ諸般ノ用意ヲ致スコトモ敢テ晩シトセヌト思フ、今日
ニ至ッテ、從來何等ノ質問モナカッタ點ニ對シテノ修正ハ甚ダ
遺憾デアリマシテ、此點モドウゾ其意味ニ於テ御讓步ヲ願
ヒタイト思ヒマス、第六ニハ管轄ノ事デアリマス、兩頭ノ蛇
トナルノ虞ガアルガ故ニ、寧ロ改メテハ如何ト云フコトデ
アリマスガ、併シ是ハ長イ間官吏生活ヲセラレタル下岡委
員ノ御言葉トモ覺ヘマセヌ斯ノ如ク規定スルコトニ依ッテ
-下岡委員ノ如キ修正ヲ爲スコトニ依ッテ兩頭ノ蛇タル
コトヲ免レマスカ、吾々ノ如キ方針ヲ執ルコトニ依ッテ兩
頭ノ蛇タルノ弊ヲ助長シマスカ、ソレヲ御考ヲ願ヒタイ、殊
ニ條文ノ上カラ言ヒマシテモ、斯樣ナ風ニ澤山ノ條文ヲ列
擧シ、是ト是トハ兩省ノ主管デアル、其他ハ農商務大臣ノ主
管デアルト云フヤウナ規定ヲスルコトハ益〓以テ兩省ノ
管轄上ヨリ生ズル困難ヲ濃厚ナラシメテ、却テ其間ニ於テ
圓滿ナラザル結果ヲ生ズルカモ知レナイ、吾々ハ兩省ガ此
條文有ルガ爲メニ爭ヒ、無キガ故ニ爭ハズト云フガ如キ徹
底シタルモノニ非ズシテ、寧ロ弊害ヲ助長セシムル修正デ
アルト私ハ思フノデアリマス、最後ニ下岡委員ノ修正ニ付
テ一言申上ゲマス、第十五條第十六條ノ復活デアリマス、之
ニ對シテ唯今守屋君ヨリ言ハレマシタ所ニ於テ、私ノ言ハ
ントスル所モ略ボ盡キテ居ルノデアリマス、若シモ是等ノ條
文ヲ復活サセルナラバ何故大藏省的ノ色彩ヲ多クセヨト
言ハレマセヌカ、產業組合大聯合式ノ色彩ヲ加ヘテ、農商務
大臣ノ所管ニセヨト主張シテ居ラレル人々ガ、銀行業務ニ關
スル事項ヲ益〓是ニ入レヨト言ハレルコトハ、不合理モ甚
シイ、左様ナ首尾一貫セザル事ハ本員等之ニ御賛成ヲスル
コトガ出來ナイノデアリマス、本員等ガ當初ヨリ主張セン
トスル所ノ大藏省色彩ヲ與ヘタイ、以テ銀行業務ヲ多クシ
タイト云フ風ニ修正シタイト云フナラバ、是等ノ復活固ヨリ
當然デアル若シ之ヲシテ眞ニ堅實ナル發達ヲ爲サシムル
爲ニ、銀行業者トノ競走ヲ避ケ、以テ相互的金融組織タラシ
メタイト云フナラバ同時ニ是等ノ條項ヲ削ルト云フコトハ
我國ノ現在ノ制度ヲ圓滑ニ運用セシムル上ニ於テ、又管轄
ヲ明ニスル上ニ於テ、之ヲ削ルノハ當然デアルト思フ、之ヲ
要スルニ下岡委員ノ御說、竝ニ植原委員ノ之ニ對スル贊成
意見ハ共ニ何等ノ誠意ノ無イモノデアルト思フ、先程カラ
承ッテ居ルト、或時ハ金融機關主義ヲ御高調セラルヽニ拘ラ
ズ、飽ク迄モ農商務主義ヲ採ラレル-農商務主義ト言ッテ
ハ語弊ガアリマスガ、大聯合主義ヲ主張セラレル、又或時ハ
大聯合主義ヲ主張セラレルカト思フト、銀行主義ヲ主張セ
ラレントシテ居ルノハ一貫ヲ缺イテ居ルト思フ本員等ハ其
發達ヲシテ堅實ナラシムルガ爲ニ、此程度デ安產セシメタ
イト思フノデアル、本員ノ過言ヲドウカ許サレマシテ、希ク
ハドウゾ滿場一致デ委員會ヲ通過シ、本會議ニ於テモ一致
デ之ヲ通過セシメ、貴族院ニ於テ政府當局ガ統一的ノ說明ヲ
爲シ、貴族院ノ諸君ニ於テモ釋然トシテ其意ノ在ル所ヲ諒解
セラレテ以テ、一日モ早ク圓滿ニ此案ガ成立セシムルヤウニ
努メラタイ、願クハ本員ノ過言及尊嚴ヲシタ言葉ヲ咎メズ、
熱心ヲ認メラレテ、ドウカ唯〓ノ御提案-修正案ハ御撤
囘ヲ願ヒタイ、過日本會ニ於テ言ハレタ下岡代識士ノ農村振
興ノ御演稅ノ第五項目ノ中ニ於テ、產業組合中央金庫ノコト
ヲ主張セラレ之ヲ高調シ、現ニ「セントラル、カッセ」ト云フ言葉
迄使ッテ說明シテ居ラレルノデアリマスガ、下岡委員ノ希望スル
所ハ吾々政友會員モ希望シテ、互ニ努メテ之ヲ成立セシメ
タナラバ運用ノ上ニ於テモ弊害ナキヲ保スルコトガ出來
ルト思ヒマス、ドウカ本員ノ誠意ノ在ル所ヲ御酌ミ下サレ
テ、今日ノ修正ノ點ダケハ御撤囘ニナリ、反對意見ヲ御撤囘
ニナッテ、總テノ方面カラ心ヲ一ニシテ之ヲ通過セシメラレ
ムコトヲ、切ニ々々御願申ス次第デアリマス、此希望ヲ述
べ、以テ修正反對ノ意見トシタイト存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004612839X00819230302&spkNum=8
-
009・下岡忠治
○下岡委員 唯〓色々御話ガアリマシタガ、併シ吾々ハ決
シテ無責任ナル修正ヲシタ積リデアリマセヌ、相當〓究シ
テ居リマス、又議論モシテ居リマス、併シ意見ハ但シ本會ニ
於テ述ベルコトガアルト思ヒマスカラ、今日ハ更ニ重ネテ
申上ゲマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004612839X00819230302&spkNum=9
-
010・武藤金吉
○武藤委員長 討論ハ終詰シタモノト見テ御異議アリマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004612839X00819230302&spkNum=10
-
011・武藤金吉
○武藤委員長 討論ハ終結サレマシタ、此機會ニ守屋君ヨ
リノ御質問ノ要點ヲ政府ヨリ聲明致シタイト云フ通告ガア
リマスカラ、之ヲ許シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004612839X00819230302&spkNum=11
-
012・黒田英雄
○黑田政府委員 過日守屋サンカラ、市町村公共〓體ガ無
擔保デ借リマシタ場合ニ元利金ノ滯リマシタトキニ、監督
官廳ニ對シテ、其處分ノ請求ヲシタ實例ガ有ルカト云フ御尋
デアリマシタ當時記憶ガ明確デアリマセヌ爲ニ、確カ二三
サウ云フ事實ガアッタト云フコトヲ申上ゲテ、尙ホ調査ヲ致
スト云フコトヲ申上ゲテ置イタノデアリマスガ、調ベマシ
タ結果勸業銀行ダケニ就テ調ベタノデアリマスガ、水利組
合ニ付テ知事ニ處分ノ請求ヲシタコトガアルノデアリマス
又村ニ付テモ郡長ニ處分ノ請求ヲシタ實例ガアルノデアリ
マス、是等ハ十數年前デアリマスガ、近頃モ處分ノ請求デハ
アリマセヌガ、元利金ガ滯リマシテ、知事ニ依賴ヲシタト云
フヤウナ實例ハアルノデアリマス、此點ヲ此機會ニ於テ申
上ゲテ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004612839X00819230302&spkNum=12
-
013・武藤金吉
○武藤委員長 是ヨリ採決ニ移リマス、採決ノ順序ト致シ
マシテ瀧正雄君ヨリ修正意見ノ中ニハ、下岡君、植原君モ
御同意ノ點モアリマスカラ、先ヅ以テ瀧君ノ修正意見ヲ採
決致シマシテ、更ニ下岡君ノ修正意見ヲ採決致シマス、瀧君
ノ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004612839X00819230302&spkNum=13
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014・下岡忠治
○下岡委員 サウシマスト瀧君ノ意見ニ付テハ吾々ハ賛成
ノ點モアリマスカラ、或點マデ保留シテ採決セヌト工合ガ
惡イデスガ···発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004612839X00819230302&spkNum=14
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015・武藤金吉
○武藤委員長 ソレデハ共通ノ點ヲ先キニ取リマセウ-
ソレデハ只今瀧君ノ說カラ先キニ採ルト云フコトハ取消シマ
ス、下岡君、植原君ノ修正意見ニ同意ノ諸君ハ起立
〔賛成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004612839X00819230302&spkNum=15
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016・武藤金吉
○武藤委員長 少數、次ハ瀧正雄君ノ修正意見ニ同意ノ諸
君ハ起立
〔賛成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004612839X00819230302&spkNum=16
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017・武藤金吉
○武藤委員長 大多數デアリマス、サウシマスト下岡君ノ說
ハ少數意見ニモナリマセヌ、產業組合中央金庫法案ハ瀧君
君ノ修正意見ノ通リ可決確定致シマシタ、本日ハ之ヲ以テ
散會致シマス
午後一時二分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004612839X00819230302&spkNum=17
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