1. 会議録本文
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000・会議録情報
大正十二年三月三日(土曜日)午後一時十七分開議
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議事日程 第二十三號 大正十二年三月三日
午後一時開議
質問
一 北樺太油田に關する再質問(高野毅君提出)
二 食糧問題に關する質問(中原徳太郎君提出)
三 滿蒙政策の遂行に關する質問(久下豐忠君外一名提出)
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第一 議員樋口伊之助君懲罰事犯の件 (委員長報告)
第二 恩給法案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第三 種牡馬檢査法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第四 岩北軌道株式會社所屬軌道經營廢止に對する補償の爲公債發行に關する法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第五 中央卸賣市場法案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第六 産業組合中央金庫法案(床次竹二郎君外十一名提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第七 身元保證に關する法律案(上畠益三郎君提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第八 借地借家調停法中改正法律案(横山勝太郎君外二名提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第九 社寺現境内地無償下付に關する法律案(鵜澤總明君外二名提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十 民事訴訟法中改正法律案(大道寺慶男君提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十一 治安警察法中改正法律案(砂田重政君提出) 第一讀會
第十二 治安警察法中改正法律案(森田茂君提出) 第一讀會
第十三 米穀法中改正法律案(齋藤宇一郎君外二名提出) 第一讀會
第十四 非役壯丁税法案(荒川五郎君外十一名提出) 第一讀會
第十五 行政裁判法中改正法律案(宮古啓三郎君外十五名提出) 第一讀會
第十六 訴願法中改正法律案(宮古啓三郎君外十五名提出) 第一讀會
第十七 市制中改正法律案(濱田國松君外八名提出) 第一讀會
第十八 町村制中改正法律案(濱田國松君外八名提出) 第一讀會
第十九 府縣制中改正法律案(濱田國松君外八名提出) 第一讀會
第二十 農業倉庫業法中改正法律案(花城永渡君外四名提出) 第一讀會
第二十一 司法官試補及辯護士の資格に關する法律案(熊谷直太君外四名提出) 第一讀會
第二十二 土山三田間鐵道敷設に關する建議案(多木久米次郎君外三名提出)
第二十三 第六囘内國勸業博覧會開催に關する建議案(加藤重三郎君外九名提出)
第二十四 勳章年金増額に關する建議案(根本正君外五名提出)
第二十五 日本アルプス山中上高地(神河内)に國立公園設定に關する建議案(塚原嘉藤君外六名提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=0
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001・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 諸般ノ報告ヲ致シマス
〔原田書記官朗讀〕
一政府ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
競馬法案
(以上三月三日提出)
一議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
開墾助成法施行ニ關スル建議案
提出者伊藤廣幾君岡田伊太郞君
松實喜代太君東武君
木下成太郞君栗林五朔君
黑住成章君中西六三郞君
宮河内谷川改修國庫補助ニ關スル建議案
提出者岡順次君原田佐之治君
海原〓平君淺石惠八君
京若鐵道速成ニ關スル建議案
提出者風間八左衞門君河崎〓君
竹上藤次郞君
園部篠山間鐵道速成ニ關スル建議案
提出者風間八左衞門君長田桃藏君
大島實太郞君奧繁三郞君
竹上藤次郞君
花園宮島間鐵道敷設ニ關スル建議案
提出者風間八左衞門君奧繁三郞君
大島實太郎君長田桃藏君
竹上藤次郞君
高等師範學校設置ニ關スル建議案
提出者伊藤廣幾君東武君
岡田伊太郎君木下成太郞君
松實喜代太君栗林五朔君
黑住成章君中西六三郞君
借地法借家法竝借地借家調停法施行ニ關スル
建議案
提出者吉田磯吉君鮎川盛貞君
定行八郞君橫山勝太郎君
毛里保太郞君
土浦江戶崎間鐵道速成竝江戶崎郡間鐵道敷
設ニ關スル建議案
提出者高野毅君吉植庄一郞君
四國大學設置ニ關スル建議案
提出者蓮井藤吉君成田榮信君
水野吉太郞君竹內明太郞君
大石大君坂本素魯哉君
大林森次郞君河上哲太君
田中定吉君林毅陸君
矢野丑乙君渡邊修君
原田佐之治君國澤新兵衞君
三善〓之君岡順次君
海原清平君淺石惠八君
二條三宅間鐵道敷設ニ關スル建議案
提出者安原仁兵衞君河崎〓君
(以上三月二日提出)
產業組合中央金庫法案ニ對スル修正案
提出者下岡忠治君紫安新九郞君
山邊常重君森達三君
植原悅二郞君足島二郞君
中等〓育機關擴張ニ關スル建議案
提出者押川方義君
(以上三月二日提出)
一議員ヨリ提出セラレタル質問主意書左ノ如シ
小作調停法制定ニ關スル質問主意書
提出者土井權大君
勞働失業者枚濟及輸入勞働者ニ關スル再質問主意
書
提出者太田信治郞君
(以上三月二日提出)
一昨二日政府ヨリ受領シタル答辯書左ノ如シ
衆議院議員作間耕逸君外五名提出帝都政策殊ニ
市格ノ制定竝事業ノ國庫補助ニ關スル質問ニ對スル
答辯書
衆議院議員鈴木久次郞君提出千葉縣望陀農學校
ニ關スル質問ニ對スル答辯書
衆議院議員南鼎三君提出三等旅客待遇改善二關
スル質問ニ對スル答辯書
衆議院議員〓水留三郞君提出瓜哇印度及海峽植
民地航路運賃値上ニ關スル質問ニ對スル答辯書
衆議院議員仙波太郞君提出市町村長竝在〓軍人
分會行賞ニ關スル質問ニ對スル答辯書
衆議。議議員古賀三千人君提出礦業被害ニ關スル質
問ニ對スル答辯書
帝都政策殊ニ市格ノ制定竝事業ノ國庫補助ニ關ス
ル質問主意書
右成規ニ據リ提出候世
大正十二年二月二十日
提出者作間耕逸
外五名
賛成者石井研二
外三十名
帝都政策殊ニ市格ノ制定竝事業ノ國庫補助ニ關
スル質問主意書
政府ハ東京市ニ特別市制ヲ速施シ又其ノ施設事業ニ
對シ完成ヲ速ナラシムル爲必要ナル國庫補助ヲ爲スノ意
ナキヤ如何
右及質問候也
大正十二年三月二日
內閣總理大臣男爵加藤友三郞
衆議院議長粕谷義三殿
衆議院議員作間耕逸君提出帝都政策殊ニ市格ノ制定
竝事業ノ因庫補助ニ關スル質問ニ對シ別紙答辯書差
進候
〔別紙〕
衆議院議員作間排逸君提出帝都政策殊ニ市格ノ制
定竝事業ノ國庫補助ニ關スル質問ニ對スル谷辯書
政府ハ東京市ニ對スル特別制度ノ施行ニ關シ銳意其ノ
調査ヲ進メツヽアリ東京市ノ施設事業ニ對シテハ從來
國庫財政ノ許ス範圍內ニ於テ一般都市ト同樣ノ補助ヲ
爲スノ外特殊ノ事業ニ對シテハ特別ノ補助ヲ爲セリ將
來亦此ノ方針ヲ持續センコトヲ期ス
右及答辯候也
大正十二年三月二日
內務大臣水野鍊太郞
大藏大臣市來乙彥
千葉縣望陀農學校ニ關スル質問主意書
右成規ニ據リ提出候也
大正十二年二月二十一日
提出者鈴木久次郞
賛成者鈴木梅四郎
外四十二名
千葉縣望陀農學校ニ關スル質問主意書
一望陀農學校移轉認可申請ニ對シ文部大臣ニ於テ
之ヲ認可セサル理由如何
二千葉縣知事及郡長カ郡會多數ノ議決ニ反シ原案
執行ノ非常手段ヲ採リタルハ內務文部兩者ノ諒解
ノ下ニ決行シタリト謂フ其ノ眞相及理由如何
三當初知事ノ指揮ノ下ニ君津郡長カ移轉及改築ノ
發案ヲ爲シ郡參事會及郡會カ多數ヲ以テ決議シタ
ルモノヲ後日ニ至リ全然其ノ提案ト相反スル更正豫
算ヲ郡長自ラ提案シ縣會カ前議ヲ固執シタル爲原
案執行ノ舉ニ出テタルハ地方自治ノ精神ヲ破壞
シタル暴擧ニ非サルカ
四多數ノ議決ヲ無視シ官憲自ラ變說改論ヲ政テシ郡
會ノ多數カ其ノ改論ニ耳ヲ傾ケスシテ前提案ヲ固
持シタル爲更正原案ノ執行ヲ爲スカ如キ非常識非
立憲ナル官吏ヲ依然トシテ任用シ置クノ方針ヲ採
ラルルヤ否ヤ
五右ノ事實ニ對スル文部當局ノ責任觀念及監督ノ
責任ヲ有スル内務當局ノ所見如何
右及質問候也
大正十二年三月二日
內閣總理大臣男爵加藤友三郞
衆議院議長粕谷義三殿
衆議院議員鈴木久次郞君提出千葉縣望陀農學校ニ
關スル質問ニ對シ別紙答辯書差進候
〔別紙〕
衆議院議員鈴木久次郞君提出千葉縣望陀農學校
ニ關スル質問ニ對スル答辯書
千葉縣望陀農學校移轉ニ付テハ「縣移管後ニ於テ考究
スル樣千葉縣知事ニ照會セルゴトアルモ不許可ノ指令
ヲナシタルコトナシ又質問主意書第二項ニ謂フ原案執
行ハ內務文部兩省ノ與リシ所ニアラサルモ不當ノ點ヲ認
メス尙ホ本件ニ關スル郡長ノ處置ニ、付テハ不當ノモノア
ルヲ認メス
右及答辯候也
大正十二年三月二日
文部大臣鎌田榮吉
內務大臣水野鍊太郞
三等旅客待遇改善ニ關スル質問主意書
右成規ニ據リ提出候也
大正十二年二月二十二日
提出者南鼎三
賛成者森下龜太郞
外三十二名
三等旅客待遇改善ニ關スル質問主意書
從來我カ國鐵道收入ノ大部分ハ三等旅客ヨリ吸集ス
然ルニ三等旅客ヲ冷遇虐待シ上等客ニ限リ優遇セル程
度ハ賃金ノ高差ノ割合ニ比シ過越スルコト甚大ナリ斯
ノ如キハ思想變調ノ素因ニシテ世道人均心ニ惡傾向ヲ及
ホスヘシ國民ハ社會的向上ト共ニ機會等ヲ要求スルノ
權能ヲ有ス從テ國家ハ多數國民ニ對シ須ラク公平均等
ノ待遇ヲ爲スノ責任亦存ス而モ鐵道ヲ國有政策トセル
我カ國ノ如キハ殊ニ然ラサルヘカラス政府ノ所見如何
右及質問候也
大正十二年三月二日
內閣總理大臣男爵加藤友三郎
衆議院議長粕谷義三殿
衆議院議員南鼎三君提出三等旅客待遇改善ニ關スル
質問ニ對シ別紙答辯書差進候
〔別紙〕
衆議院議員南鼎三君提出三等旅客待遇改
善ニ關スル質問ニ對スル答辯書
三等旅客ノ待遇問題ニ就テハ當局ニ於テモ多年其ノ改
善ニ銳意努力スル處ニシテ近年漸ク徐々ニ其ノ實現ヲ
見ツヽアリ今其ノ主ナル事項ヲ列擧セハ左ノ如シ
一客車構造ノ改善現今各列車ニ連結スル三等客車ヲ
數年前ニ於ケルモノト對比セハル全體ノ一構造ニ於テ著
シク改善ヲ施セリ今其ノ主ナル點ヲ列擧セハ
イ車體各部ノ構造ヲ堅牢ニシ彈機ヲ改良シテ運輸上
ノ安全率ヲ增加セシメタルコト
ロ座席面積ノ擴張及其ノ敷物ヲ改良シタルコト
ハ以上ハ最近製作ニ係ル二等客車一輛約一万九千
圓ナルニ同型ノ三等客車一輛約一万五千圓ヲ要
スル點ヨリ徴スルモ二等客車ニ比シ遜色ナキヲ證ス
ルニ足ル
二東京下關間ニ三等旅客專用急行列車增發從來三
等旅客専用急行列車ハ東京神戶間ニノミ運轉セシ
處大正八年八月東京下關間ニ三等專用ノ急行列
車ヲ。新設シ三等旅客ノ利便ニ供シタリ之卽チ三等旅
客優遇ノ途ヲ更ニ進メタルモノニシテ所謂旅行上ノ機
會均等ノ要求ニ順應シタルモノナリ且ツ當局ニ於テ更
ニ時代ノ推移ニ鑑ミ現行一、二等特別急行列車ト相
前後シテ東京下關間ニ三等特別急行列車增發ノ計
畫ヲ樹テ目下之カ準備中ニ屬ス
三手荷物無賃輸送斤量ノ增加大正十年無賃手荷
物輸送斤量ヲ左表ノ如ク改正シ以テ三等旅客優遇
ノ實ヲ示セリ
手荷物無賃斤量
舊制度ノ無賃斤量改正後ノ無賃斤量
等一〇〇斤一〇〇斤
二等六〇七〇
三等三〇五〇
四運賃制定竝之カ蓮用ノ方針旅客運賃ノ制定ニ付
テハ常ニ國民ノ負擔ヲ考査シテ之ラ决定スルハ勿論
ナルモ殊ニ輓近數年來ハ三等旅客ノ負擔輕減ニ重キ
ヲ置クノ方針ヲ採レリ卽チ大正七年ニ於ケル運賃改
正ニ際シテハ從來三等運賃ノ五割增ナリシ一一等運賃
率ヲ七割五分增二十五割增ナリシ一等運賃率ヲ十
七割五分增ニ引上ケタリ又大正九年ニ於ケル旅客運
賃改正ノ際ハ二等運賃率ヲ三等ノ二倍ニ一等運賃
率ヲ三等ノ三倍ニ改正セリ之ニ徵スルモ當局ハ如何
ニ三等旅客ニ對シ常ニ考慮ヲ繞ラシツツアルカヲ證ス
ルニ足ル又其ノ運用上ニ於テモ常ニ三等旅客ノ優遇
ヲ怠ラス卽チ移住民、漁夫團體其ノ他勞力移動旅行
ノ三等旅客ニ限リ運賃割引ヲ爲ス方針ヲ採リツツア
リ尙國體乘客ニ對スル割引制度ノ如キハ一二等旅
客ニ對シテハ絕對ニ之ヲ施行セサルニ獨リ三等旅客
ニ對シテハ特ニ該割引制度ヲ存置セリ就中學生及勞
働者等ノ團能旅行ニ對シテハ一般團體ノ割引率以
上ニ多額ノ割引ヲ施行シツツアリ
五食堂車ノ利用擴張竝驛待合室ノ差別撤廢食堂車
ハ一、二等客ニ限リ利用セシメタル舊習ヲ敬シ各等平
等ニ之カ利用ヲ推奨シタリ又停車場待合室ノ如キモ
特殊ノ必要アル少數ノ驛舍フ除キ等級別待合室ノ區
別ヲ撤廢シ以テ旅客待遇ノ平等ノ国レリ
六船舶三等室ノ改善鐵道ニ於ケル三等旅客優遇ノ實
ヲ示スト同時ニ連絡船ノ設備ニ於テモ亦之カ改善ヲ
施セリ卽チ新造ノ關釜連絡船タル景福丸級ノ三等客
室ノ如キハ座席ヲ一段制トナシテ一人當リノ面積ヲ
擴大シ又四國連絡新造船ニ於テモ三等客ノ座席ニ
改善ヲ加ヘ以テ船客ノ利便ヲ圖レリ
右及答辯候也
大正十二年三月二日
鐵道大臣伯爵大木遠吉
瓜哇印度及海峽植民地航路運賃値上ニ關スル質問
主意書
右成規ニ據リ提出候也
大正十二年二月二十二日
提出者〓水留三郞
賛成者井上例
外三十名
爪哇印度及海峡植民地航路運賃値上ニ關スル
質問主意書
瓜哇印度及海峽植民地ニ航路ヲ有スル日本郵船大阪
商船南洋郵船ノ三汽船會社カ一二ノ外國汽船會社ト
協調シテ近日其ノ運賃ヲ値上セムトス之レ我カ輸出貿
易ニ對シ大打撃ヲ與フルモノニシテ折角ノ販路ヲ根柢ヨ
リ〓覆スルニ至ルヘシ邦家ノ蒙ルヘキ不利貿易業者ノ受
クヘキ影響甚大ナリ政府ハ之ニ對シ如何ナル處置ヲ採
ラルルカ
右及質問候也
大正十二年三月二日
内閣總理大臣男爵加藤友三郞
衆議院議長粕谷義三殿
衆議院議員〓水留三郞君提出瓜哇印度及海峽植民
地航路運賃値上ニ關スル質問ニ對シ別紙答辯書差進
候
[別紙]
衆議院議員〓水留三郞君提出瓜哇印度及海峽植
民地航路運賃値上ニ關スル質問ニ對スル答辯書
本邦ヨリ瓜哇方面行貨物運負ハ內外汽船會社問ニ於
ケル競爭ノ結果異常ノ低落ヲ來シ爲メニ近時各社孰レ
モ該航路ノ經營上頗ル困難ニ陷リタルヲ以テ今回貿易
ノ實況竝輸出品ノ運賃負擔力等ヲ考量シ幾分其ノ引
上ヲ爲サムトスルモノニシテ之カ爲我南洋輸出貿易上別
段惡影響ヲ及スモノト認メス
右及答辯候也
大正十二年三月二日
遞信大臣子爵前田利定
市町村長竝在〓軍人分會行賞ニ關スル質問主意
書
右成規ニ據リ提出候也
大正十二年二月二十二日
提出者仙波太郞
賛成者佐々木平次郞
外三十二名
市町村長竝在〓軍人分會行賞ニ關スル質問主意
書
大正七八年西伯利派遣軍動員師團卽チ第十一一、第三
師國管下市町村長及在〓軍人分合ハ動員ヨリ復員ニ
至ル間ニ於テ其ノ動績頗ル〓若ナルニ拘ラス市町村長
ニ對スル行賞ニ付内務省ハ大正九年以來既ニ約三箇
年間調査中ト稱シ未タ其ノ詮議ニ至ラス又在〓軍人分
會ノ行賞ニ付テハ陸軍省ニ於テハ詮議ニ及ハサルヤニ聞
ク斯ノ如キハ將來國家有事ノ秋ニ方リ動員又ハ軍人後
援家遺族救恤ニ關シ影響尠カラサルモノアリト認ム之ニ
對スル政府ノ所見如何
右及質問候也
大正十二年三月二日
內閣總理大臣男爵加藤友三郞
衆議院議長粕谷義三殿
衆議院議員仙波太郞君提出市町村長竝在〓軍人分
會行賞ニ關スル賃四ニ對シ別紙答辯書差進候
〔別紙〕
衆議院議員仙波太郞君提出市町村長竝在〓軍人
分會行賞ニ關スル質問ニ對スル答辯書
大正四年乃至九年事件ニ關スル市町村吏員ノ行賞ハ
大正七年八月以降同九年九月ニ至ル迄ノ間ニ行ハレタ
ル動員、召集竝出兵事務ニ鞅掌シテ功績顯著ナル者ヲ
行賞セムトスルモノナリ然ルニ今次ノ動員及召集ハ二年
有餘ノ問ニ約四十回ニ瓦リテ行レタルモノニシテ其ノ範圍
モ亦殆ント全國十五師團管下ニ涉レルノミナラス各地ニ
於ケル動員召集等ノ狀況ハ互ニ相異ナレルモノ多キヲ以テ
之カ行賞ハ功績ノ考査擬賞ノ判定身分ノ調査等頗ル
多岐ニ亙リ劃一ナル標準ニ依リ一律ニ擬賞スルコト難キ
ヲ以テ爾來愼重調査ヲ重ネテ今日ニ及ヒタルモノナリ今
ヤ其ノ調査完了セルヲ以テ不日上奏ノ手續ニ及ハン
トス
在〓軍人分會ノ動員召集等ニ於ケル業務ノ關係ハ專ラ
後援事業ニシテ軍部又ハ地方官憲ノ業務トハ貴任上全
ク其ノ性質ヲ異ニス而シテ後援事業ニ從事シタル者ト雖
モ明治三十七八年ノ如キ大戰役ニ於テ其ノ成績特ニ顯
著ナリシ者ニハ表彰セラレタル例アレトモ今囘ノ出兵事
件ニ於テハ大正三四年ニ於ケル靑島戰ノ際ト略相等シ
ク之ニ恩賞ヲ加ヘサルヘカラサル程度ニ至ラサリシモノト
認ム右及答辯候也
大正十二年三月二日
內務大臣水野鍊太郞
陸軍大臣山梨半造
礦業被害ニ關スル質問主意書
右成規ニ據リ提出候也
大正十二年二月二十四日
提出者古賀三千人
賛成者內藤濱治
外二十九名
礦業被害ニ關スル質問主意書
近時礦業ノ發展ニ伴ヒ石炭採掘ニ因リ土地ノ陷落煙
毒礦毒水及家屋ノ傾斜陷落等ノ被害益甚シク礦業地
帶ニ於ケル住民ニ對シ一大慘害ヲ蒙ラシメ實ニ寒心ニ
堪ヘサルモノアリ政府ハ之ニ對シ救濟ノ方法ヲ如何ニセ
ムトスルヤ
右及質問候也
大正十二年三月二日
內閣總理大臣男爵加藤友三郞
衆議院議長粕谷義三殿
衆議院議員古賀三千人君提出鑛業被害ニ關スル質問
ニ對シ別紙答辯書差進候
〔別紙〕
衆議院議員古賀三千人君提出鑛業被害ニ關スル
質問ニ對スル答辯書
鑛業ニ因ル損害ノ補償ハ當事者間ニ於テ大體解決ヲ告
ケツヽアルノ狀況ナリ又之レカ解決ニ付テハ法律上損害
賠償ヲ求ムルノ途アリテ救濟ヲ缺クモノト認ムルヲ得ス
然レトモ一層適切ナル解決方策ノ樹立ニ付テハ除害方
法ト共ニ目下調査中ニ屬ス
右及答辯候也
大正十二年三月二日
農商務大臣荒井賢太郞
又今三日政府ヨリ受領シタル答辯書左ノ如シ
衆議院議員仙波太郞君提出國民的國防主義實現
ニ關スル質問ニ對スル答辯書
衆議院議員高野殺君提出北樺太油田ニ關スル再質
問ニ對スル各辯書
衆議院議員久下豊忠君外一名提出滿蒙政策ノ遂
行ニ關スル質問ニ對スル答辯書
國民的國防主義實現ニ關スル質問主意書
右成規ニ據リ提出候也
大正十二年二月十日
提出者仙波太郞
賛成者納富陳平
外七十二名
國民的國防主義實現ニ關スル質問主意書
世界大戰後歐米列强ハ擧國一致シテ文化ノ向上ト國
力ノ增進ト國權ノ仲張トニ全力ヲ傾倒シ靑年及少年ノ
〓育訓練指導至ラサルナシ然ルニ飜テ我カ帝國ノ現狀
ニ顯レハ轉タ憂慮ニ堪へサルモノアリ依テ左ノ各項ニ就
キ政府ノ所見ヲ問ハムトス
一軍備縮少竝軍備整理ノ爲向後在營年限短縮ノ豫備
トシテ國民ノ訓練ヲ依然軍隊ノ軍事〓育ニノミ委ネ
テ安セラルルヤ將夕全國民ヲ舉テ國防ニ從事セシメム
トセラルルヤ
二全國民ヲ擧テ國防ニ從事セシムル必要アリトセハ我カ
國民性ノ缺陷ト國民〓育ノ不整備不徹底ト體軀ノ
劣弱トニ鑑ミ政府ハ如何ナル時期ニ於テ如何ナル施
設ヲ爲サムトスルヤ
三我カ國民ハ由來利慾ニ走リ安逸ニ流レ責任ト犧牲的
精神トヲ缺ク此ノ點ニ付諸學校ノ〓育方針及各種
團體ニ對スル訓練等ニ關シ政府ノ所見如何
右及質問候也
大正十二年三月三日
內閣總理大臣男爵加藤友三郞
衆議院議長粕谷義三殿
衆議院議員仙波太郞君提出國民的國防主義實現ニ
關スル質問ニ對シ別紙各辯書差進候
〔別紙〕
衆議院議員仙波太郞君提出國民的國防主義實現
ニ關スル質問ニ對スル答辯書
一帝國ノ國防ハ全國民ヲ擧テ之ニ從事スルヲ本旨トス
政府ハ此ノ目的ヲ達スル爲國民ヲ訓練シ質問中ニ
指摘セラレタル如キ各種ノ缺點ヲ改良スルニ最善ノ方
法ヲ執ルヘキ意志ヲ存シ目下具體的方法ヲ〓究審議
中ナリ
二我ガ國民〓育ハ心身ノ陶冶ニ關シ相當ノ成績ヲ擧ケ
ツヽアレトモ政府ハ今後一層當事者ヲ督勵シテ之カ徹
底ヲ期セントス尙大正十二年度ヨリ國立體育〓究所
ヲ設立スルノ趣旨モ亦我カ國民ノ體軀ニ鑑ミ國民體
育ノ〓究ニ資シ之カ向上ヲ企圍セルニ外ナラス
三政府ハ時勢ノ變遷ニ鑑ミ最近諸種ノ學校令ヲ改正シ
品性ノ陶冶人格ノ養成ニ一層深ク留意セシムルコト
トセリ更ニ靑年團處女會等ニ對シテモ講演會講習會
ノ如キ方法ニ依リテ思想ノ善導ニ努メツヽアリ
右及答辯候也
大正十二年三月三日
文部大臣鎌田榮吉
陸軍大臣山梨半造
海軍大臣男爵加藤友三郞
內務大臣水野鍊太郞
北樺太油田ニ關スル再質問主意書
右成規ニ據リ提出候也
大正十二年二月十七日
提出者高野毅
賛成者大島實太郞
外二十九名
北樺太油田ニ關スル再質問主意書
大正十二年二月三日本員ノ提出セル北樺太油田ニ關
スル質問ニ對シ二月十日海軍大臣及外務大臣ヨリ答
辯書到達セリ然ルニ該答辯書ニ本員ハ滿足シ能ハサル
ニ依リ玆ニ再質問ヲ提出ス
一政府ハ大正九年以降北樺太油田調査ヲ行フニ當リ
獨リ北辰組ニ委托セラレル理由如何
二政府ハ既ニ三箇年ニ亙リ約三百萬圓ヲ支出シタリト
答辯セラル然リ其ノ支出ハ一般豫算ニ依ラス全部臨
時軍事費ヲ以テ支辨シタルカ如シ而シテ本員ハ臨時
軍事費ナルモノハ軍事上ノ經費ニ充當スルモノト解ス
然ルニ固定投資事業タル石油試掘費ニ斯ル多額ノ
支出ヲ爲シタルハ不當ト認ム政府ノ所見如何
三政府ハ大正十三年度ニ亙リ更ニ繼續支出スルノ意ナ
リト答辯セラル然ラハ其ノ豫算ノ形式及金額ヲ示サレ
ムコトヲ望ム
四政府ハ油田地ノ氣候ノ關係上一年中操業時間ハ三
四箇月ナリト答辯セラル然ラハ殘餘ノ八九箇月間ハ
空費徒食スルモノナラム斯ル沍寒ノ地ニシテ費用ハ内
地ノ四倍ヲ要シ能率ノ低級ニアル危險程度ノ多キ而
モ油田トシテ價値大ナラサル地ニ事業ヲ繼續スルハ害
アリテ利ナキモノト思考ス政府ノ所見如何
五大正九年度ヨリ本年度ニ至ル各年度ノ支出金額、二
十三箇所ニ亙ル試掘地名、坑井ノ數及深度ト地質柱
狀圖、掘鑿方法ノ種類、使用人數ト工程、北辰組トノ
契約書寫其ノ他參考トナルヘキ書類ヲ提示セラレムコ
トヲ望ム
六政府ハ假占領地タル北樺太ニ固定事業タル石油ニ關
スル利權ヲ永久ニ獲得シ得ルモノトシテ計畫シタルモ
ノノ如シ之レ外交上當然ノ行動ト信スルヤ本員ハ多
大ノ疑ナキ能ハス政府ノ所見如何
七政府ハ日本軍占領繼續スル間ハ一切他ノ權力ヲ認メ
サルトノ答辯ナルモ該地ヲ占領シタルハ尼港事件解決
迄ノ保證トシテ假占領シタルモノナレハ何時返還ノ期
到ルヤ計リ知ルヘカラス其ノ間ニ於テ多大ノ支出ヲ
爲シ固定事業ニ深入リスル如キハ却テ相手國ニ疑ヲ
懐カシムルモノニシテ策ノ得タルモノニ非スト思考ス政
府ノ所見如何
右及再質問候也
大正十二年三月三日
內閣總理大臣男爵加藤友三郞
衆議院議長粕谷義三殿
衆議院議員高野教君提出北樺太油田ニ關スル再質問
ニ對シ別紙答辯書差進候
〔別紙〕
衆議院議員高野毅君提出北樺太油田ニ關スル再質
問ニ對スル答辯書
一北辰會ハ事業上ノ經驗及實力ノ點ヨリ見テ本調査ヲ
委託スルニ最適當ト認メタリ
二占領地ニ於ケル軍用燃料ノ調査ヲ目的トスルモノナル
カ故ニ臨時軍費ヲ支出スルハ不當ニアラスト認ム
三大正十三年度ニ互リ繼續支出ニ關シテハ未タ說明ノ
時機ニ達セス
四諸般設備充分ナラサル調査時代ニ於テ作業能率ノ低
キハ止ムヲ得サル處ナリ尙ホ政府ハ前回質問第二ニ
對スル答辯ノ通リ調査ヲ繼續スルノ必要ヲ認ム
五未タ詳細說明ノ時機ニ達セス
六政府ハ北樺太油田ニ關シ其ノ有望ナルヤ否ヤヲ確知
セムカ爲調査ノ實施シツヽアルモノニシテ石油ニ關スル
利權ノ獲得等ハ全然別個ノ問題ニ屬ス
七占領地油田ニ對スル政府ノ措置ニ對シ他國カ疑念ヲ
懷クヘキ正當ノ理由ナシト信ス
右及答辯候也
大正十二年三月三日
海軍大臣男爵加藤友三郎
外務大臣伯爵内田康哉
滿蒙政策ノ遂行ニ關スル質問主意書
右成規ニ據リ提出候也
大正十二年二月二十四日
提出者久下豊忠
外一名
賛成者山口義
外三十七名
滿蒙政策ノ遂行ニ關スル質問主意書
一間島方面ノ治安ハ今尙往々匪賊ノ爲ニ脅サレ北鮮ノ
邊境甚タ不安ナルモノアリ我カ政府ノ之ニ對スル根本
的政策如何
二吉會線ハ日支兩國ノ協定ニ係ル豫定鐵道線ニシテ現
ニ數年前我カ國ヨリ巨額ノ出資ヲ爲セルニ拘ラス今尙
敷設ノ契約スラ爲シ得サル理由如何
右及質問候也
大正十二年三月三日
內閣總理大臣男爵加藤友三郞
衆議院議長粕谷義三殿
衆議院議員久下豊忠君外一名提出滿蒙政策ノ遂行ニ
關スル質問ニ對シ別紙答辯書差進候
〔別紙〕
衆議院議員久下豊忠君外一名提出滿蒙政策ノ
遂行ニ關スル質問ニ對スル答辯書
一支那ノ領土タル間島地方ニ對シ其ノ治安維持ノ責任
カ支那政府ニ存スルコトハ言フヲ俟タサル所ニシテ右
ニ關シテハ帝國政府ハ絕エス在支帝國公使ヲシテ支
那政府ニ警告ヲ與ヘシムルト同時ニ一方同地方駐在
ノ帝國領事官ヲシテ當該地方支那官憲ヲ督勵セシメ
ツツアル外尙ホ政府ハ國際關係及經費ノ容ス範圍ニ
於テ同地方帝國領事館附警察官ノ增員ヲ行ヒ以テ
居留民ノ保護ニ努メツツアリ
二吉會鐵道借款本契約締結方ニ關シテハ政府ニ於テ
モ常ニ攻究ヲ怠ラス之ニ關係スル日本興業銀行等ニ
於テハ之カ爲メ現ニ大正八年及十年ノ二囘ニ亙リ支
那政府ト交渉ヲ重ヌルニ至リタルモ支那側ニ於テハ
本鐵道建設ニ對シテハ極メテ冷淡ニシテ我方ノ到底
容認シ難キ條件若ハ希望ヲ固守シテ讓ラサルノミナラ
ス關係地方ノ牽制運動モ行ハレタル等種々ノ障害ニ
逢著シタル爲未タ其成立ヲ見ルニ至ラサルハ政府ノ遺
憾トスル所ナリ
右及答辯候也
大正十二年三月三日
外務大臣伯爵內田康哉
一今三日貴族院ニ於テ本院ノ送付ニ係ル左ノ政府提
出案ヲ可決シタル旨同院ヨリ通牒ヲ受領セリ
東京砲兵工廠及大阪砲兵工廠ノ各特別會計合併
ニ關スル法律案
〔左ノ報告ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノタメ玆ニ揭
載ス〕
一昨二日常任委員補關選擧ノ結果左ノ如シ
第一部選山決算委員岩切重雄君(靑柳郁次郞
君補關)
第二部選出決算委員吉植庄一郞君(大矢馬太郞
君補關)
第五部選出決算委員野溝傳一郞君(村田虎之助
君補闕)
第六部選出豫算委員望月小太郞君(山道襄一君
補闕)
第六部選出決算委員中西六三郞君(門田新松君
桶園)
第七部選出決算委員中村喜平君(宮崎友太郞
君補闕)
一昨二日委員長補關選擧ノ結果左ノ如シ
社寺現境內地無償下付ニ關スル法律案委員
委員長〓水市太郞君(委員長渡邊祐策君補閱)
一昨二日理事補閱選擧ノ結果左ノ如シ
中央仰賣市場法案委員
理事紫安新九郞君(理事武內作平君補關)
一昨二日委員長及理事互選ノ結果左ノ如シ
土地牧用法中改正法律案委員
(下出民義君
委!!長鳩山一郞君理事佐久間啓莊君
(上畠益三郞君
醫師法中改正法律案委員
委員長八木逸郞君理事大林森欠郞君
一昨二日日本勸業銀行法中改正法律案外三件委員
土井權大君辭任ニ付キ其補閱トシテ植原悅二郞君
ヲ中央卸賣市場法案委員坪田十郞君辭任ニ付キ其
補閣トシテ菊川惣吉君ヲ職業紹介法中改正法律案
外二件委員鈴木富士彌君辭任ニ付キ其補閾トシテ
〓本照藏君ヲ職業紹介法中改正法律案外二件委
員野田文一郞君辭任ニ付キ其補閱ナシテ武内作平
君ヲ孰レモ議長ニ於テ選定セリ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=1
-
002・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 是ヨリ含議ヲ開キマス、御諮リ致
スコトガアリマス、第六部選出決算委員中野寅吉君、第九
部選出諸顯委員阿由菜勝作君、右兩君ヨリ常任委員辭
任ノ申出ガアリマシタ許可スルニ御異謙アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=2
-
003・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナイト認メマス、仍テ許可
致シマス、其部ノ諸君ハ速ニ補聞選擧ヲ行ヒ、[旭出アランコ
トヲ希望致シマス-議事進行ニ聞シテ海江田準一郞君ヨ
リ發言ヲ求メラレテ居リマス、海江田準一郞君
〔海江田準一郞君登増〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=3
-
004・海江田準一郎
○海江田準一郞君 私ハ議事進行ニ付ア一言シタイノデ
ゴザイマス、一昨日ノ本會議ニ於キマシテ、憲政會ノ小泉又
次郞君ヨリ、所謂普選案ヲ、議長指名二十名ノ委員ニ付託
スベシト云フ動議ガ出マシテ、革新倶樂部ノ佐々木安五郞
君ガ其賛成演說ヲサレタノデゴザイマシタ、其演說中ニ於キ
マシテ「若シ誠心誠意ガアルナラバ、何月何日マデニ調査ス
ル、ソレカラ實行ニ移ルト云フコトヲ豫メ言フベキモノデア
ル、明治天皇陛下デモ二十三年ヲ」云々ト云フ言ガアルノ
デゴザイマス此「デモ」ト云フノハ既ニ諸君御承知ノ通リ、世
間デモ「デモ付」ト云フコトヲ申スノデゴザイマス、ソレデ是ハ
事皇室ニ關スル用語デゴザイマス故ニ、私ハ深ク論ジタク
ナイノデゴザイマス、最終ニ以テ參リマシテ「贊成セヌナラバ政
友會ハ國賊デアル」ト云フ言ガアルノデゴザイマス、成程勢ノ
乘ズル結果、時ニ或ハ不用意ノ言論ガ無イトモ限ラナイノ
デゴザイマス、サリナガラ不用意ノ言論ナリトシテ一〓ニ之ヲ
不問ニ附シ、或ハ見遁スコトハ議場ノ神聖ヲ保ツ上ニ於キ
マシテハ、私ハ直ニ見道スコトハ出來ナイノデゴザイマス(拍
手)殊二當日佐々木君ト同シ倶楽部ノ所属タル所ノ星島君
ハ、此種ノ言論ニ對シマシテ、洵ニ適切ナル所ノ意見ヲ述べ
ラレタノデゴザイマス、私ハ其意見ニ對シマシテ洵ニ同感デ、
竊ニ革新倶樂部ノ意見ト致シマシテ傾聽シタ次第デゴザイ
マス、然ルニ呈島君ガ演說ヲサレマシタ而モ一時間經タザル
中ニ同ジ倶樂部ノ佐々木君ガ斯ル言語ヲ發セラレルト云
フコトハ、洵ニ私ハ遺憾ニ存ジマシテ、神聖ナル諸場ニ於テハ
洵ニ私ハ不信當ナル言ト認メルノデゴザイマス(拍手)殊ニ
又近來世間ニ於キマシテハ此議場-吾々議員ニ對シマシ
テ種々ナル非難ノ聲ガ高イノデゴザイマス、今其一何ヲ申上
グテ見タイ三月二日ノ東京朝日ノ新聞記事ニ斯ウ云フコト
ガ見エテ居リマス「佐々木安五郞君入代ッテ彌次的賛成演
說ヲシタガ、例ノ卷舌デ「メートル」ヲ揚ゲルノデ議場ハ一層
ノ亂調子、一聲高ク彌次リ上ゲルト安五郎君ンレナラバ國
賊ダ、徹頭微尾不熱心、不眞面曰、低劣、愚劣ノ大波小波
ニ翻弄サレル、普選〓コン災ヒナル哉」斯ウ云フ新聞ノ記事モ
ゴザイマス、是ハ今朝ノ讀賣新聞デゴザイマスガ、「此頃ノ彌
次ニハ這麼オ上品ナノハ見當ラナイ、蒙古王佐々木ノ如キ
ナラ低級彌次ニ感染シテ下劣、卑屈、聽クニ堪ヘナイ言語ヲ
弄シ、以テ自ラ豪傑振リ、以テ自ラ愉快ガルノミナラズ、他モ
亦之ヲ以テ巨砲ト褒メンヤシ、遉ハト感心スル、何タル愚劣
ゾ、何タル醜惡ゾ」斯ウ云フ記事モアルノデゴザイマス、故ニ
私ハ敢テ新聞ノ記事ヲ以テ云々スルノデハゴザイマセヌガ、
唯、世間ニ於テ吾々議員ヲ非難スル其一例ヲ中上ゲテ見
タノデアリマス、故ニ私ハ神聖ナル此議場ノ體而ヲ維持スル
上ニ於キマシテ、佐々木君ノ「賛成セヌナラバ政友會ハ國賊
デアル」此言ヲ佐々木君ニ於テ御取消ヲ願ヒタイノデアリマ
ス、ドウカ議長ニ於カレマシテハ、然ルベク御取計ヒヲ希望シ
テ巳マナイ次第デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=4
-
005・粕谷義三
○議長(谷谷義三君) 只今海江田君ヨリ議長ニ對シテノ
御要求デアリマスガ、議長ハ一昨日ノ佐々木君ノ御演說ヲ
全部聽取ッテ居リマセヌ、又議事錄モ未ダ一覽致シテ居リマ
セヌカラ、能ク議事錄ヲ熟讀致シマシタ上ニ考慮致シマ
ス-是ヨリ質問ノ趣旨辯明ヲ許シマス、質問ノ第一及第
三ハ、共ニ政府ヨリ各辯書ガ參クテ居リマスカラ日程ヨリ笛
キマス-質問第二、食糧問題ニ關スル質問ノ趣旨辯明ヲ
許シマス-中原德太郞君
二食糧問題ニ關スル質問(中原德太郞
君提出)
食糧問題ニ關スル質問主意書
右成規ニ據リ提出候也
大正十二年二月十九日
提出者中原德太郞
賛成者石井〓二
外二十九名
〓糧問題ニ關スル質問主意書
食糧問題ニ關シ微底的ニ之カ解決ヲ講スルハ國民生存
上重要ナル事項ト信ス政府ハ本問題ニ關シ如何ナル施
設講究ヲ爲シツツアリヤ
右及質問侯也
〔中原德太郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=5
-
006・中原徳太郎
○中原德太郞君 諸君、木員ハ食糧問題ニ關シマシテ、卽
チ食糧政策ト云アコトニ付キマシテ、聊カ政府ニ質問ヲ試
ミタイト思フノデゴザイマス、中スマデモナク食糧問題ヲ徹底
的ニ〓究ヲ致シマシテ、是ガ解決ヲ圖リマスルコトハ、國民
ノ生存上最モ重要ナル事ト信ジマス、卽チ食糧政策ノ確立
ニ依リマシテ、國民ハ初テ生活ノ安定ヲ得、又國家ハ之ニ
依リマシテ强健ナル國民ヲ造出致シマシテ、國家ノ基礎ヲ
鞏固ニシ、以テ國運ノ隆昌ヲ圖ルコトガ出來ルコトヽ私ハ確
信ヲ致シマスル、此食糧ト申シマスルコトハ、申スマデモナク
榮養ト云フコトヽハ最モ密接ナル關係ヲ有シ、榮養ハ國民
ノ保健衡生ト云フコトニ直ニ關係ノアルト云フコトハ明カ
ナル事柄デゴザイマス、然ルニ此問題ハ極テ複雜ナル問題デ
アリマシテ、廣ク各方面ノ知識ヲ網羅シ、是ガ調査〓究ニ
從事セネバナラヌコトヽ信ジマス、我國ニ於キマシテ食糧政
策ニ關スル施設ト致シマシテハ、彼ノ米穀法ノ實施ニ伴ヒ
マシテ、一昨年農商務省ニ食糧局ヲ新設致シマシテ、此食
糧局ニ於キマシテ、本邦人ノ主食物タル米ニ付キマシテ、調
査〓究ヲ爲シテ居ルコトニナッテ居リマス、又一方ニ於キマ
シテハ國立榮養研究所ヲ設ケマシテ、國民ノ榮養問題ト云
フコトニ向フテ調査研究ヲヤッテ居ルノデゴザイマス、此榮養
〓究ト中シマスコトハ、取リモ直サズ食糧政策ト最モ密接
ナル關係ヲ持ッテ居ルモノデゴザイマス、先ヅ現今ニ於ケル我
國ノ食糧問題ニ關シマスル施設ト致シマシテハ、只今申述
ペマシタル農商務省ノ食糧局ト、國立榮も〓究所ノ二ツデ
アリマシタ、其以外ニ於キマシテハ、各大學ニ於ケル〓究室
デアリマスルトカ、或ハ衍生試驗所ノ如キモノデアリマスル
カ、或ハ陸軍省ニ在リマス所ノ脚氣調査會デアリマスルト
カ、又各方面ノ學者ガ私ニ之ヲ〓究シテ居ルノデアリマス
然ルニ此問題ノ頗ル重要ナル問題デ、且ツ複雜ナル問題デ
アリマシテ、各方面ノ聯絡ヲ保チマシテ是ガ研究ニ從事セ
ネバナラヌコトヽ考ヘラレマス、然ラズンバ到底食極政策ヲ
完全ニ解決スルコトハ出來ヌト信ジマス、一度食糧政策ヲ
誤リマシタナラバ、其結果ト致シマシテ國家ハ遂ニ其存立ヲ
危クスルト云フコトニナルモノト信ジマス、現ニ先年ニ於ケル
彼ノ歐洲大戰爭ニ於キマシテ、獨逸ハ常カラ致シマシテ、非
當ナル努力ヲ以テ此食程問題ニ關スル調査研究ヲシテ居ツ
タノデアリマス、然ルニ戰爭ニ際シマシテ、此平素カラ〓究致
シマシタル知識、更ニ獨逸ノ國民性トモ云フベキ絕大ナル科
學的能力ニ依リマシテ、有ユル方面ノ〓究ヲヤリマシタケレ
ドモ、其食糧政策ハ不幸ニシテ十分ナル效果ヲ奏スルコト
ハ出來ズ致シマシテ、最後ニハ遂ニ獨逸ハ食糧政策ノ失敗
ヨリ致シマシテ、戰爭ヲ中止センケレバナラヌ結果ニナッタノ
デゴザイマス、此獨逸ニ於キマシテハ只今申上ゲマシタ如キ
意味ニ於テ、既ニ平常カラ之ニ關シテ十分ナル調査ヲヤッテ
居クタノデアリマス、又實際問題トシテハ食糧品トシテ、平素
ナラバ到底人間ノ食ヒ得ベカラザル物モ、總テ學術ノ方法
ヲ用ヒマシテ、食糧品トシテ新ニ造リ出スト云フコトニ全力
ヲ傾注シタノデアリマスケレドモ、只今申上ゲマシタヤウニ食
糧品缺乏ノ爲ニ戰爭ヲ中止センケレバナラヌト云フ運命ニ
到著シタノデアリマス、獨逸ガ此食糧政策ヲ誤シタト云フコ
トハ、獨逸ガ榮養研究ト云フコトニ何等カノ缺陷ガアッタノ
デハアルマイカト考ヘラレマス、ンコデ我國ニ於ケル食糧局ノ
官制ニ依リマスト、先ツ大體ニ於テ米穀ノ買入、賣渡、貯藏
ニ關スル事項デアルトカ、主要食糧ノ需求調節ノ實行ニ關
スル事項トカ、米穀ノ生產消費ニ開スル事項トカ、耕地整
理ニ關スル事トカ、左樣ナ事ヲ掌ッテ居ルノデアリマス、而シ
テ一方國立榮養〓究所ニ於テハ、先ヅ各部門ヲ設ケマシテ、
或ハ化學部ニ於テハ分析ヲスルトカ、生物學部ニ於テハ新
陳代謝ヲ調ベルトカ、其他「カロリーメーター」ヲ用ヒテ「カロ
リー」ヲ定メルトカ、生理、病理、物理、細菌、農政、經濟斯
ノ如キ各部門ヲ設ケ、或ハ廢物利用部トカ、1料理部トカ、公
衆展覽宣傳部ト云フヤウナモノヲ設ケラレテアルヤウデアリ
マス、ソレカラ消化部ト云フモノガアリマスガ、或ハ米ノ良否
トカ、消化能率ノ關係ト云フヤウナ事ヲ調査致シテ、其米ノ
料理法、消化能率ノ關係、榮養資料ノ〓究ト申スヤウナコ
トフ、此國立榮養〓究所デヤン仕事ノ一ニナッテ居ルヤウデ
アリマス、吾々カラ申シマスト、斯ノ如キ問題ハ食糧菜養問
題ノ解決ニ對シテハ、單ニ一部分ノ條項ニ過ギナイモノト信
ジマスル、少クトモ次ノ事項ヲ調査研究セネバナラヌコトヽ
考ヘマス、先ヅ第一ニ人口ノ調査デアリマス、是ハ既ニ國勢
院ニ於キマシテ精密ナル調査ヲサレタコトガゴザイマス、次ニ
死亡ノ統計デアリマス、此死亡ノ統計ト云フコトハ頗ル大
問題デゴザイマシテ、世界何レノ國ニ於キマシテモ、完全ナル
死亡統計ヲ出シテ居ル所ハゴザイマセス、彼ノ學問ト云フコ
トニ向クテ、常ニ非常ナル〓究心ヲ有シテ居リマスル獨逸ニ
於キマシテハ、戰前初メテ此國內ノ完全ナル死亡統計ヲ作
リテ、ソレニ依リマシテ總テノ死亡者ガ如何ナル疾病ニ依ッテ
死シ、又其疾病ノ原因ハ何デアルカト云フコトヲ調査〓究
ヲシヤウト云フコトヲ金テタノデゴザイマス、其中デモ癌腫患
者ノ癌腫ニ依シテ死亡致シマシタル人間ノ死亡統計ヲ完成
スルト云フコトニ向ッタ第一ニ步ヲ進メタノデゴザイマスガ、
死亡統計ガ完全デナクシテ、極テ不完全デアルト申シマスル
コトハ、一ノ例ヲ擧ゲテ申シマスルナラバ、例へバ內務省ノ死
亡統計表ニ依リマスルト、一年間ニ死亡致シマシタ肺結核
患者ガ何人、或ハ胃腸病デ死ンダ患者ガ何人トニムフコトガ
明記シテアリマスケレドモ、是等ハ事實ニ於キマシテ決シテ
完全ナル統計デハナイノデアリマス、先ツ醤者ノ方カラ中シ
テ見マスルト、癌腫デ死ンダ病人デ、死亡證書ニハ胃潰瘍ト
云フ診斷書ヲ與ヘマス、是ハ初メ胃潰瘍デアリマシテ後ニ胃
癌デ死ンダ場合ニハ、胃潰瘍ト云フ死亡證書ヲ與ヘマス、
又氣管支加答兒ニ罹リマシテ、後ニ肺結核デ斃レマシタル
患者ノ死亡證書ニハ、矢張氣管支炎ト云フ死亡證書ヲ
與ヘマス、斯ノ如キ死亡證書ヲ統計ト致シマシテノ統計デ
アリマスカラ、其實際ニ於キマス所ノ死亡統計ヲ知ルト云フ
コトハ絕對ニ出來ナイノデアリマス、是ハ一般ニ國民ガ努力
シテ完全ナル死亡統計ヲ作シテ、一國ノ衛生狀態ヲ改善ニ
導クト云フコトニ努力シナケレバ、到底完全ナル死亡統計
ヲ得ルコトガ出來ナイノデアリマスガ、只今申述ベマシタル如
ク、獨逸ニ於キマシテハ戰前其一部分トシテ癌腫ノ死亡統
計ノ調査ニ掛ッタ所ガ、不幸ニシテ戰爭ノ爲ニ其事業ヲ中
止シタノデゴザイマス、是等ニ向クテモ吾々ハ此國民保健ノ
上カラ考ヘテ見マスルト、將來大ニ考慮シテ國民ガ協力シ
テ、此種ノ問題ニ向シテ私ハ努力シナケレバナラヌコトヽ確信
ヲ致シマス(拍手)第二番目ニハ榮養素ノ國產高ノ調査デ
アリマス、是ハ〓料品トナルベキ農產物中ノ榮養素ノ分量
デアリマス、續イテ食料品トナルベキ農產物中、廢物トシテ
動物何料ニ供スベキ榮養素ノ分量デアリマス、是等ヲ調査
スル事ガ必要デゴザイマス、第三番目ニハ初ヨリ人間ノ食
料トナラゲル物ニシテ、動物飼料トナルベキ農產物中ノ榮
養素調査デアリマス、斯ノ如キ物ノ中ニハ、通常今日マデノ調
査ニ依リマスルト、二十「プロセント」ノ榮養分ヲ含有シテ居
ルト云フコトニナッテ居リマスガ、是等ガ果シテドノ位アルカ
ト云フコトヲ調査スルノデゴザイマス、第四番目ニハ現存シ
テ居リマスル所ノ畜產ノ中デ、食料ニ供シ得ベキモノニ付キ
マシテ榮養素ノ調査ヲスルノデゴザイマス、是ハ魚類、鳥類ト
云フヤウナモノモ含ンデ居ルノデゴザイマス、第五番目ニハ、
現在ノ畜產ヨリ生ジマスル肉以外ノ榮養品ノ調査デゴザイ
マス、是ハ乳デアリマストカ、或ハ卵デアリマスルトカ、サウ云
フヤウナモノモ含マレテゴザイマス、第六番目ニハ、天產動植
物ヨリ食料ニ供スベキ榮養素ノ調査デアリマス、是ハ主トシ
テ魚類デゴザイマス、第七番目ニハ、將來我ガ國土ニ於ケル
所ノ栄養品ノ改善及增加ノ方法ノ調査〓究デ、コザイマス、
是ハドノ程度迄改善增加シ得ベキカヲ調査〓究スルノデゴ
ザイマス、第八ハ食料品ノ配給法竝ニ保存法ノ〓究デゴザ
イマス、第九ハ物價調節法ノ〓究デアリマス、第十ハ食料品
ノ安價供給法及其〓究デアリマス、第十一ハ食料品消費
ニ關スル〓究デゴザイマス、是ハ家族ヲ單位ト致シマシテ國
家ニ及ブト云フ順序ニナッテ居リマス、卽チ我國ニ於ケル人
口ト食料品ノ關係、年々增加致シマスル所ノ七十万內外
ノ人口ト、國土內ニ於ケル所ノ生產分量、消費量、又外國
カラ輪入致シマスル所ノ物資ノ分量、斯ノ如キ事柄ヲ十分
ニ調査スルコトハ最モ重要デアルト信ジマスル、政府ハ此〓
糧問題ニ對シマシテハ、現在竝ニ將來ニ於キマシテ、如何ナ
ル考ヲ有シテ居ラレマスルカ、是ハ私ガ伺ヒタイ所ノ箇條ノ
一ツデゴザイマス、尙ホ此食糧問題ト申シマスルコトハ、國民
ノ保健衞生ニ重大ナル關係ヲ有シテ居ルモノデゴザイマシ
テ、食料品ノ需給調節ヲ誤リマシタ場合ニハ、直ニ之ガ種々
ナル疾病ノ原因ヲ造ルノデゴザイマス、例へバ粗惡ナル食料
品ヲ供給致シマスルトカ、又ハ測ラザル天變地異ニ依リマシ
テ、食料品ノ缺乏ヲ來スト云フヤウナトキハ、直ニ是ガ疾病
ノ原因トナル、又食料ガ傳染病ノ媒介トナルト云フヤウナ
コトハ、何人モ了解シテ居ラルヽコトヽ存ジマス、殊ニ人間ノ
生活ガ種々變遷ヲ致シマスルニ從ヒマシテ、食科品ノ種類
モ段々ニ變化シテ參リマス、而シテ此食糧問題ハ、直ニ國民
ノ衞生ニ直接ナル關係ヲ有スルモノデアリマスルガ、我國ニ
於ケル衞生狀態ハ如何ナルモノデアリマスルカ、極ク簡單ニ
ソレヲ申述ベマスルナラバ、先ヅ此死亡者ノ數ガ歐米文明國
ト比較ヲ致シマシテ、遙ニ多イノデゴザイマス、先ヅ大正六年
迄ハ一年間ノ死亡數ハ、大低百十万人カラ百一一十万人デ
ゴザイマス、卽チ千人ニ對シマシテ二十人ト云フ割合デゴザ
イマスル、大正七年ニ至リマシテハ、其死亡數ハ俄ニ增加致
シマシテ、百四十九万三千百六十二人ト云フ死亡者ヲ出シ
テ居リマス、卽チ大正七年ニナリマシテハ、千人ニ對シマシテ
二十六、八ニナッテ居リマス、是ハ可ナリ大ナル數デゴザイマ
シテ、歐米諸國ニ於キマシテハドノ位多イト申シマシテモ、千
人ニ對シマシテ十五人以內、卽チ十五人以上ヲ出スコトハ
決シテ無イノデゴザイマス、此統計カラ見マシテモ、歐米諸國
ト我國ノ衞生狀態ヲ比較致シマスルナラバ、我國ノソレガ
遙ニ劣ッテ居ルト云フコトガ證明セラレマス、而シテ此死亡
者中最モ多イノハ病氣デ死ヌノデゴザイマス、卽チ千人ノ死
亡者ノ中デ、九百十九人九ト云フモノハ疾病ニ因ッテ死ヌ
ノデゴザイマス、天壽ヲ全ウシテ自然ニ死ニマス者ノ數ハ、此
千人ノ中カラ僅ニ五十五人デゴザイマス、疾病デ死亡ヲ致
シマシタル者ノ中デ、傳染病デアリマストカ、又ハ全身病ノ死
亡者ガ最モ多數ヲ占メテ居リマシテ、其次ハ呼吸器ノ疾病
デ死ニマシタル人、ソレカラ消化器ノ疾病デ死ニマシタル人、
斯ノ如キ順序ニナッテ居リマス、是等ノ死亡者ノ原因ガ悉ク
榮養ニ直接ニ關係ガアルト云フコトハ申サレマセヌガ、又食
料品ガ間接ノ原因トナッテ居ルト云フコトモ非常ニ多イノデ
ゴザイマス、今日ニ於キマシテハ、總テノ問題ガ「インターナシ
ヨナル」國際的ニナッテ居リマシテ、保健衞生ト云フヤウナ問
題モ、獨リ國内ニ於キマシテノ問題ニ非ズシテ、國際協力ニ
依シテ是ガ解決ヲ要スルヤウニナッテ居リマス、而シテ其必要
ハ全世界ニ涉リマシテ、廣ク認メラレタヤウニナッテ參リマシ
タ、卽チ列國ノ政府ハ近來防疫上ノ共助····共ニ助ケルト
云フコトヲ約束スルニ至リマシテ、又列國ノ專門家ハ常ニ聯
絡ヲ取リツヽアルノデゴザイマス、又列國ノ間ニハ報告ノ交
換ガ行ハレマシテ、同時ニ防疫手續ノ國際的統一ガ行ハレ
ルニ至ッタノデゴザイマス、現ニ彼ノ國際聯盟ハ千九百二十
年ノ春、衞生委員會ナルモノヲ設置致シマシタ、此衞生委
員會ハ、設立匆々カラ致シマシテ、素晴ラシイ實績ヲ擧ゲテ居
リマス、此委員會ハ歐洲大戰後ニ於キマシテ、彼ノ露西亞デ
アリマスルトカ、或ハ波蘭全土ニ涉リマシテ、非常ニ猖獗ヲ
極メマシタ所ノ、怖ルベキ「チブス」ノ流行ニ對シマシテ、適當
ナル對應策ヲ講ズル爲ニ組織サレタモノデアリマスガ、其病
魔ノ勢力ガ顔ル猛烈デゴザイマシテ、到底一地方、一局部ノ
小規模ノ機關デハ有效ニ防禦スルコトガ出來ナイト云フコ
トガ判明致シマシタル爲ニ、遂ニ聯盟理事會ハ、各關係政
府ニ說キマシテ、是ガ防禦ニ關シマシテ、資金ヲ提供セシメタ
ノデゴザイマス、其資金ヲ集メマシテ、國際防疫委員會ヲ組
織シタノデゴザイマス、此擧ニ賛成ヲ致シマシテ、快ク資金ヲ
提供致シマシタル國家ハ、二十三箇國ノ多キニ上ゥテ居リマ
ス、其結果此委員會創立後、僅ニ一年ノ後ニサシモニ猖
獗ヲ極メマシタル所ノ波蘭、露西亞二)於ケル「チプス」モ著シ
ク減少致シマシタノデアリマス、斯ノ如ク致シマシテ、防疫ニ
關シマスル國際的協力ガ、如何ニ有效デアルカト云フコトガ
十分ニ證明サレマシタノデ、遂ニ彼ノ國際聯盟ハ千九百二
十一年ノ九月一日ヲ以チマシテ、愈こ永久的ノ衛生委員會
ヲ設置スルコトニナッタノデゴザイマス、此衞生委員ノ仕事ハ、
列國ノ衞生狀態ニ付キマシテ、正確ナル統計ヲ集メ、又列
國政府間ニ衞生上ノ報告ヲ爲スノ制度ヲ設ケタノデアリマ
ス、斯ノ如ク致シマシテ、各國ノ(「簡單」「謹聽」「謹聽」ト呼フ
者アリ)政府ガ全世界ノ衞生狀態ガ現在如何ナル有樣ニア
ルカヲ常ニ知リ得ルコトノ便宜ヲ計ッタノデアリマス、斯樣ナ
譯デ、世界各國ノ衞生狀態ヲ御互ニ知リ得ルト云フコトニ
ナッタノデゴザイマスカラシテ、隨テ之ト密接ナル關係ヲ有シ
テ居リマスル所ノ、各國ノ〓糧ノ狀態ヲモ御互ニ知リ合フト
云フコトガ必要ニナッテ來タヤウニ考ヘラレマス、政府ニ於キ
マシテハ、此點ニ向ッテハ、如何ナル考ヲ有シテ居ラレマスル
カ、私ハ之ヲ伺ヒタイノデゴザイマス、又列國ニ於キマシテモ、
此食糧政策ニ付キマシテハ、殊ニ歐洲大戰爭ニ依リマシテ、
大ナル經驗ヲ得マシタ結果ト致シマシテ、銳意是ガ攻究ニ從
事致シテ居ルノデゴザイマス、既ニ英國、佛蘭西ニ於キマシ
テハ、食糧省ヲ設置シテ、食糧大臣ヲ置イテ居リマスルシ、
伊太利ニ於テモ、食糧院ヲ設ケテアリマス、然ルニ我國ニアリ
マシテハ、現在農商務省ノ食糧局デアリマシテモ、又國立榮
養研究所デアリマシテモ、現在ヤッテ居ル仕事ノ上カラ觀察
致シマスルナラバ、又其内容カラ申シマシテモ、所管事務ノ
條項カラ考ヘテ見マシテモ、未ダ決シテ完全ナルモノトハ思
ハレナイノデゴザイマス、例ヘバ本邦人ノ主食物タル米ノ〓
究ニ對シマシテハ、前ニ申述べマスル如ク、稍、其緒ニ就テ
居ルヤウニモ考ヘラレマスルガ、又政府ノ言明ニ依リマスル
ト、向後十年間ニ於キマシテ、米穀ノ需給調節ガ完全ニ遂
行サレルト云フコトデアリマスルガ、年々增加致シマスル所ノ
七十万內外ノ人口ニ對シマシテ、果シテ十分ニ其目的ヲ達
シ得ラルヽヤ否ヤト云フコトハ、本員聊カ疑ヲ挾マンケレバ
ナラヌ次第デゴザイマス(拍手)其他主食物以外ノ食料品、
殊ニ本邦人ニ取リテハ最モ大切ナル食料品ノ一ツトナッテ
居リマスル所ノ魚類、此魚類ノ〓究ニ付キマシテハ、殊ニ疾
病トノ關係ニ付テノ調査ニ至リマシテハ、頗ル遺憾ノ點ガア
ルト私ハ考ヘマス、例ヲ申上ゲテ見マスルナラバ、昨年東京
市ニ「コレラ」ガ流行致シマシタニ際シマシテ、魚類ハ病氣ノ
媒介物デアルト云フコトノ爲ニ、市民ニ魚類ヲ供給ヲスルコ
トヲ禁止シ、卽チ日本橋ノ魚河岸ヲ閉鎖ヲスルト云フコトニ
ナッタノデゴザイマス、是ハ斯ノ如キ事ヲセズトモ、平素カラ魚
類ノ病毒媒介ニ關スル〓究ヲ十分ニ致シテ置キマシタナラ
パ宜カッタラウト考ヘラレマス、例ヘバ魚ハ活キテ居リマスル
間ハ其肉デアリマストカ、若クハ魚ノ表面ニ黴菌ノ發育致シ
マスコトハ決シテ無イノデゴザイマス、然ルニ一度魚ガ死ニマ
シタナラバ、其魚ノ體ノ各所ニ微菌ガ俄ニ增殖ヲ始メルモノ
デゴザイマス、故ニ此魚ノ貯藏法等ニ向ッテ平素カラ十分ニ
攻究ヲ致シマシタナレバ、斯ノ如キ場合ニ際シマシテ魚ヲ用
ヒマシテモ、サシタル危險ヲ招クト云フコトモナク、又魚河岸
ニ向ッテ一日十五万圓ノ損害ヲ與ヘズシテ濟ンダコトダラウ
ト思ヒマス(「ヒヤノ〓」拍手)米國ニ於キマシテハ、日本人ノ
如ク生魚ヲ用ヒマセヌケレドモ、生ノ牡蠣ヲ多量ニ用ヒマス
カラ、此牡蠣ノ調査〓究ニ關シマシテハ、莫大ナル費用ヲ投
ジマシテ、是ガ調査〓究ニ從事シテ居リマス、本邦二於キマ
シテハ、主食物ニ次デノ食料品タル魚ノ〓究ニ對シマシテハ、
未ダ何レノ方面ニ於キマシテモ-少クトモ病氣ト魚トノ關
係ニ付キマシテハ、十分ナル調査攻究ヲ始メテ居ラヌヤウデ
アリマスルガ、政府ハ是等ニ向ッテ如何ナル考ヲ有シテ居ラレ
マスルカ、是ハ本邦人ニ取リマシテハ、特殊ノ食料品デアリマ
スカラ、特ニ注意ヲ拂ハンケレバナラヌコトヽ信ジマスカラ、政
府ニ對シマシテ其御考ヲ拜聽シタイト思ヒマス(拍手)其他
例ヲ擧ゲテ一々申上グレバ、枚擧スルニ遑アラズト雖モ、私
ハ之ヲ省略致シマス(「簡單」ト呼フ者アリ)ンコデ最後ニ私
ハ質問ノ條項ダケヲ申述ベマシテ此壇ヲ降ラント欲シマス、
先ヅ第一ニハ食糧ニ關シマスル知識ヲ國民ニ普及致シマス
ルコトハ最モ大切ナ事デアルト信ジマスルガ、政府ハ國民〓
育ノ中ニ之ヲ加ヘルト云フヤウナ考ヲ有シテ居ラルヽヤ否ヤ
ト云フコトヲ伺ヒタイノデゴザイマス、其次ハ食料ト榮養及
疾病トノ關係ヲ攻究シ、是ガ聯絡ヲ保ツコトガ重要ナル事
項デアルト存ジマスルガ、政府ハ既ニ存在シテ居リマスル所
ノ食糧局ト榮養研究所、或ハ其他ノ各種ノ同樣ノ〓究所
トノ聯絡ヲ既ニ執リツヽアルヤ否ヤト云フコトヲ聽キタイノデ
アリマス、其次ニハ此聯絡ヲ執ルコトヲ便ニ致シマス爲ニ是
等ヲ統一シテ、ヨリ大ナル機關ヲ設置スルノ意思アリヤ否
ヤ、例ヘバ食糧省ノ如キモノデアリマスルトカ、或ハ衞生省ノ
如キモノデアリマスルトカ、斯ノ如キ大ナル機關ヲ設置スルノ
意思ヲ有シテ居ルヤ否ヤデアリマス、其次ハ此榮養〓究所
ニ於キマシテハ、定メテ曩ニ申述ベマシタル內容ニ付テ、十分
ニ〓究シテ居ラルヽコトヽ考ヘテ居リマスルガ、世間ニ現レテ
居リマス所ニ依リマスルト、每日ノ新聞紙ニ依リマシテ標準
食ヲ新聞紙ニ公表シテ居リマスコトヽ、時々料理ノ講習會
ヲ聞催シテ居リマスルト云フコトノ外ニハ、何モ現レテ居ラナ
イノデアリマスガ、政府ハ現在ノ國立榮養研究所ニ於キマス
ル所ノ遣方ニ向ッテハ、之ヲ以テ滿足ナルモノデアルト信ジテ
居ラルヽヤ否ヤト云フコトヲ伺ヒタイノデアリマス(拍手)其
次ニ最後ニハ外國ノ食料品ヲ輸入スベキ所ノ食料船ノ如
キモノヲ準備シテ居ラルヽヤ否ヤ、日本ノ需要ノ何割ヲ外國
カラ得テ居ルヤ否ヤ、又將來政府ハ此需給ノ關係ニ、向ッテ
ハ、如何ナル方策ヲ有シテ居ラルヽヤ否ヤト云フコトヲ伺ヒ
タイノデアリマス、私ノ質問條項ハ是デ終リヲ告ゲタノデアリ
マスガ、最後ニ壇ヲ降リマスルニ際シマシテ、一言申述ベタイ
コトハ、斯ノ如キ問題ハ國民ト致シマシテモ、又國民ヲ代表
サレマシタル所ノ滿場ノ各位ニ於キマシテモ、極テ重要ナル
問題トシテ、深ク之ヲ論議センケレバナラヌ所ノ責任アルモ
ノト私ハ確信致シマス(拍手)何ガ故ニ斯ノ如キ問題ニ付テ、
私ガ演說ヲシテ居リマスニ際シマシテ、簡單ト云ヘル言葉ヲ
發シラレマスルカト云フコトハ、私ハ我國ノ議會政治ニ於キ
マシテ、極テ遺憾ナル事ト確信ヲ致シマス(「ヒヤノ〓」)何卒
此點ニ向ッテハ、將來十分ナル考慮ヲ拂ハレンコトヲ切望致
シマシテ此壇ヲ隆リマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=6
-
007・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 是デ質問事項ヲ終リマシタ、尙ホ
星島二郞君及古賀三千人君、右兩君ヨリ質問ニ對スル政
府ノ答辯書ニ關シテ意見陳述ノ申出ガアリマス、ソレハ次ノ
ノ質問日ニ之ヲ許ス考デアリマス、左樣御承知ヲ願ヒマス
〔「賛成」「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=7
-
008・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 田中善立君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=8
-
009・田中善立
○田中善立君 此場合日程變更ノ動議ヲ提出致シマス、
卽チ豫テ蠻勇、或ハ横暴知事ヲ以テ其名高キ、川口愛知縣
知事ノ下ニ、去二月二十六日ニ名古屋ノ市會議事堂及市
役所ノ内外ハ、幾百名ノ暴徒ノ爲ニ蹂躪ヲサレマシテ、暴行
ヲ逞ウシタニ拘ラズ、僅カ一二町ヲ離レテ居ル縣廳ニ所在セ
ル川口知事ハ、何等ノ處置ヲ執ラズ、幾十名ノ私服巡査、
數名ノ正服巡査ガ其現狀ニ在ッタニ拘ラズ、更ニ之ヲ制止
セズ、當日午前十時頃ヨリ午後四時二十分ニ至ル間ハ、全
ク無警察ノ狀態ニ陷リ、市長、助役、名古屋市會議長、及市
會議員ハ、何レモ暴行脅迫ヲ加ヘラレマシテ、遂ニ流血ノ慘
事ヲ見ルニ至リ、市會議事堂、市役所ハ非常ニ器物ヲ毀損
サレテ居ルト云フヤウナ、昭代ノ不祥事ヲ現出シタノデアリ
マス、此事ニ付キマシテ翌日直ニ現狀調査ニ參リマシタル橫
山勝太郞君ヨリ、書面ヲ以テ緊急質問ノ請求ヲ本日致シ
テ居ルノデアリマス、故ニ此場合是非之ヲ御許シアランコト
ヲ希望致シマス、次ニ尙ホ二月十四日靑島ニ於テ支那ノ官
兵ハ、我ガ官民ニ對シテ忍ブベカラザル暴行ヲ加ヘテ居リマ
ス、當局ハ常ニ讓歩ヲ爲シテ、支那官民ノ感情ヲ融和シタリ
ト、貴衆兩院デ聲明セルニ拘ラズ、斯ノ如キ陵辱ヲ加ヘラレ、
今ヤ居留民ヨリハ驅逐艦ノ派遣ヲ請求セントスル迄ニ至ッテ
居ルニ拘ラズ、何等當局者ハ機宜ノ處置ニ出デ居ラヌヤウ
デアリマス、是レ實ニ我ガ退嬰外交ノ崇リデアリマス、實ニ
許ス可カラザル問題デゴザイマスルカラ、淺賀長兵衞君ヨリ
是モ書面ヲ以テ緊急質問ノ請求ヲ致シテ居ルノデアリマス、
共ニ是レ内外重要ニシテ緊急ナル問題デアル、今日ハ數多
ノ案件ハアリマスルケレドモ、旣ニ議長ニ於テハ普通ノ質問
マデモ許シテ居ルデハナイカ、何故ニ此緊急重要ナル問題
ヲ、此際質問辯明ヲサセナイト云フ理由ハ那邊ニ在ルノデア
リマスカ、故ニ是非此際日程ヲ變更サレマシテ、直ニ此ニ緊
急質問ノ趣旨辯明ヲ御許シニナランコトヲ偏ニ希望致シマ
スル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=9
-
010・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 只今田中君ヨリ、横山勝太郞君
ヨリ御提出ニナリマシタ名古屋市會騷擾事件ニ關スル緊
急質問、淺賀長兵衞君ヨリ御提出ニナリマシタ、靑島邦人
陵辱ニ關スル緊急質問、此二件ヲ日程ヲ變更シテ、直ニ上
程シテ貰ヒタイト云フ御要求デアリマス、是ヨリ先キ三輪市
太郞君ヨリ自治體ノ監督ニ關スル緊急質問ノ申出モアリ
マス、議長ハ今之ヲ併セテ、諸君ニ御諮ヲシヤウト考ヘテ居ッ
タ所デアリマス、幸ヒ田中善立君ヨリ日程變更ノ動議ガ出
マシタカラ、此三件ヲ併セテ日程ヲ變更シテ、之ヲ上程スル
ヤ否ヤヲ御諮リ致シマス、此動議ニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ求
メマス
〔賛成者起立〕
〔「反對」「少數」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=10
-
011・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 少數デアリマス、日程變更ハ否決
サレマシタ
〔「横暴」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=11
-
012・岩崎勲
○岩崎勳君 議事日程變更ニ關スル緊急動議ヲ提出致
シマス、卽チ玆ニ日程第一、樋口伊之助君懲罰事犯ノ件
ハ、之ヲ後廻シトシ、日程第二、恩給法案ノ審議ニ入ラレン
コトヲ望ミマス
〔「贊成」「反對」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=12
-
013・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 岩崎君ヨリ日程變更ノ動議ガ提
出サレマシタ、是モ反對ノ聲ガアリマスヤウデアリマスカラ、起
立ニ依シテ採決致シマス、此岩崎君ノ動議ニ賛成ノ諸君ノ
起立ヲ求メマス
〔賛成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=13
-
014・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 多數デアリマス、日程ハ變更セラレ
マシタ、日程第二、恩給法案ノ一讀會ノ續ヲ開キマス、委員
長ノ報告ヲ求メマス、委員長高橋光威君
第二恩給法案(政府提出)
第一讀會ノ續(經營長)報告し
報告書
一恩給法案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ別紙ノ通修正スヘキモノト議決致候此
段及報告候也
大正十二年二月二十三日
恩給法案委員長
高橋光威
衆議院議長粕谷義三殿
恩給法案中左ノ通修正ス
第二條中「、一時扶助料及一時給與金」ヲ「及一時扶助
料」ニ改ム
第六條第二項中「宮內官」ヲ「第四十二條第一項第一
號ニ規定スル宮內職員」ニ改ム
第十八條第一項中「但シ」ヲ「但シ府縣費ヨリ体給ヲ給
スル文官」ニ改ム
第三十二條第二項ヲ削リ同條第三項中「前二項」ヲ
「前項」ニ改ム
第六十條第二項中「二百四十分ノ六十」ヲ「百五十分ノ
五十」ニ、「二百四十分ノ一」ヲ「百五十分ノ一」ニ改ム
同條第三項中「二百四十分ノ一」ヲ「三百分ノ一」ニ改
ム
同條第七項中「二百四十分ノ六十」ヲ「百五十分ノ五
十」ニ改ム
第六十一條第四項中「差額」ノ下ニ「ノ二分ノ一」ヲ加フ
第六十二條第二項中「一一百四十分ノ六十」ヲ「百五十
分ノ五十」ニ、「二百四十分ノ一」ヲ「百五十分ノ一」ニ改
ム
同條第三項中「二百四十分ノ三」ヲ「百五十分ノ一」ニ
改ム
同條第四項中「二百四十分ノ一半」ヲ「三百分ノ一」ニ改
ム
同條第八項中「二百四十分ノ六十」ヲ「百五十分ノ五
十」ニ改ム
第六十三條第二項中「二百四十分ノ六十」ヲ「百五十
分ノ五十」ニ、「二百四十分ノ一」ヲ「百五十分ノ一」ニ改
ム
同條第三項中「二百四十分ノ一」ヲ「三百分ノ一」ニ改
ム
第六十四條第二項中「一一百四十分ノ六十」コ「百五十
分ノ五十」ニ、「二百四十分ノ一」ヲ「百五十分ノ一」ニ改
ム
第六十七條第二項中「ノ二分ノ一」ヲ削ル
第六十九條第二項中「ノ二分ノ一」ヲ削ル
第七十條第二項中「ノ三分ノ二」ヲ削ル
第七十一條第二項中「ノ二分ノ一」ヲ削ル
第七十九條中「在ル」ヲ「アル」ニ改ム
第八十二條文官、〓育職員若ハ〓遇職員在職年一
年以上十五年未滿ニシテ在職中死亡シ又ハ警察監
獄職員在職年一年以上十年未滿ニシテ在職中死亡
シタル場合ニハ其ノ遺族ニ一時扶助料ヲ給ス
前項ノ一時扶助料ノ金額ハ公務員ノ死亡ノ當時ノ
俸給月額ニ相當スル金額ニ其ノ公務員ノ在職年ノ年
數ヲ乘シタル金額トス
下士以上ノ軍人在職年一年以上十一年未滿ニシテ
在職中死亡シタル場合ニハ其ノ遺族ニ一時扶助料ヲ
給ス
前項ノ一時扶助料ノ金額ハ死亡者ノ階等及在職年
ノ年數ニ依リ定メタル別表第四號表ノ金額トス
第八十三條ヲ削ル
第八十四條ヲ左ノ如ク改ム
第八十三條本法施行ノ期日及各條ノ適用ニ付テハ
勅令ヲ以テ之ヲ定ム
(別表)
第一號表
階將官及相當官佐尉官及旧富官浄土官
在等高等官判
職
年數親任一等二等一三等四等五等六等七等八等等-
ん불림開田
十一年二、五〇〇二、一六七一、八六七一、五三四一、三一七一、〇八四大君國九九四九七四〇〇
十二年二、五五〇二、二一〇一、九〇四一、五六四一、三四三一、一〇五お兄さ玉乃四十六四〇八
十三年二、六〇〇二、二五四一、九四二一、五九五一、三七〇一、一二十스숲第八代四人六四大六
十四年二、六五〇二、二九七一、九七九一、九三元一、三九六一、一四八A10六〇〇四九九W.I8.
十五年二、七〇〇ニ、三四、二、〇一七一、六五六一、四二三一、一七〇人民大六三三五요五ESTIN
十六年二、七五〇二、三八四二、〇五四一、六八六一、四四九一、一九一숫大三郎エルNa
十七年二、八〇〇二、四二八二、〇九二一、七一十一、四七六IIIz八七七大豆大BIN賀県人
十八年二、八五〇二、四七一二、一二九一、七四七一、五〇二一、二三四入れ三六百七Instit四五六
十九年二、九〇〇二、五一五二、一六七一、七七八一、五二九一、二五六カーハ消防VHH県大須
二十年二、九五〇二、五五八二、二〇四一、八〇八一、五五五一、二七七Aher夫+〇至五三R·H2)
二十一年三、〇〇〇二、六〇三二、二四二一、八三九一、五八二一、二九九九三九大八五六三四八〇
二十二年三、〇五〇二、六四五二、二七九一、八六九一、六〇八一、三(0た〓〓六五星五七一四八八
二十三年三、一〇〇二、六八九二、三一七一、九〇〇一、六ヨ五一、三四二え·〇cat五八、四月六
二十四年三、一五〇二、七三三二、B〓H〓一、九三〇一、六六一一、四五五六人八七六八九〇五〇四
二十五年三、二〇〇二、七七六二、三九二一、九六一一、六八八一、三八五一、〇〇一三八太○五三
二十六年三、二五〇二、八一九二、四二九一、九九一一、七一四一、四〇六一、〇一六七日九六〇七210
二十七年三、三〇〇三、八六三二、四六七二、〇二三ー、七四一一、四二八一、〇三二五五火·九프로
二十八年一三、三五〇三、九〇六三、五〇四三、〇五三一、七六七一、四四カ一、〇四七-56.2六六至る六
繰上ク
トキハ當分ノ內」ニ改ム
第百二條ヲ削ル
第百三條ヲ左ノ如ク改ム
第百一條
ヲ勅令ノ定ムル所ニ依リ分割遞次增給ス
第百二條
令ノ定ムル所ニ依リ分割遞次增加シタル額トス
下士兵卒
任官海罩(上上)-51.車
竹乃比ます
一等一三等四等一等六複軍二カロ三海道四
等兵ハンドメ
圓
二八二五二三五·〇〇一〇一六九五0
二八二二六五ichs二〇〇一六六一七一二八六
ニ九九二六九ニーニル二三一 hi一七七一六二
3014二〇二三六三八一八八一八三一六八
三三二八五二三三一五郎二〇〇一八九一〓〓
=1+0二九〇二八〇三10二一〇一九九一八〇
三三二九五二六十二三六三六二〇一一六六
こ〓はい三〇〇円エモリ二四二ish101一九
ヨロニ三二二八一三八三三二二三一八八
三國八三八六人三六二三五二九二〇〇
こ豆五三三五二元二六〇二五〇二三五二〇〇
三六三三二80°二六八二四六citi二天
豆大丸三三六九三〇〇Linha二三五三三七lam
三五六三角、三六天三八·二四三二二八
三六三五三Time二六二六四二八九二三四
三九〇又はつU100二九〇二十〇二三五1 6 7
三九七三九九七五三子二六六二·六六大一二四六
四·〇四三百圓三種類colo六三六七三四三
第八十五條ヲ第八十四條ニ改メ以下第百一條迄順次
第九十一條(修正)中「在勤シタルトキハ」ヲ「在勤シタル
本法施行ノ際現ニ從前ノ規定ニ依リ年金
タル恩給、退隱料、遺族扶助料其ノ他之ニ準スヘキモ
ノヲ受ケ又ハ受クヘキ者ニシテ本法所定ノ恩給又ハ扶
助料ノ金額ヲ受ケサルモノニハ當該金額ニ其ノ金額ト
本法所定ノ各相當恩給又ハ扶助料ノ金額トノ差額
本法施行後勅令ヲ以テ定ムル時期迄ニ年
金タル恩給又ハ扶助料ヲ受クヘキ事由ノ生シタル者ノ
恩給又ハ扶助料ノ年額ハ當該金額ニ其ノ額ト本法
所定ノ各相當恩給又ハ扶助料ノ年額トノ差額ヲ勅
二十九年三、四〇〇二、九五〇三、五四二二、
三十年三、四五〇二、九九三二、五七九二、一一三
三十一年三、五〇〇三、〇三七三、六一七二、一四四
三十二年三、五五〇三、〇八〇二、六五四二、一七四
三十三年三、六〇〇百、二二四二、六九三二、二〇五
三十四年三、六五〇三、一六七二、七二九二、二三五
三十五年三、七〇〇一三、二一二二、七六七二、二六六
三十六年三、七五〇三、二五四二、八〇四
三十七年三、八〇〇三、二九八二、八四二二、
三十八年三、八五〇三、、三四一二、八七九二、三五七
三十九年コ、九〇〇三、二八五二、九一七二、三八八二、
四十年三、九五〇三、四二八二、九五四
四十一年四、〇〇〇
四十二年11.〇五〇二、五一五三、〇二九二、四七九二、一三八
四十三年四、一〇〇三、五五九三、〇六七二、五一〇
四十四年四、一五〇二、六〇一三、一〇四二、五四〇
四十五年四、二〇〇ヨ、六四六三、一四二二、五七一二、二一八一、八一五
四十六年四、二五〇三、六八九三、一七九二、六〇一
四十七年四、三〇〇三、七三三三、二一七二、
四十八年四、300三、七七六三、二五四二、六六二
四十九年四、四〇〇三、스ヘ)三、二九三二、六九三
五十年四、四五〇三、八六三三、三二九
第百四條ヲ第百三條ニ改ム
第百四條勅令ヲ以テ定ムル時期迄ニ公務ニ因ル傷痍
疾病ノ爲死亡シタル警察監獄職員ノ遺族ニ給スヘキ
扶助料ノ年額ニ付テハ仍從前ノ例ニ依ル
第百五條北海道屯田兵ノ現役ニ服シタル年月日數
ハ之ヲ公務員ノ在職年ニ通算シ本法施行ノ日ヨリ其
ノ者ノ受クル年金タル恩給ヲ改定シ又ハ新ニ之ニ普
通恩給ヲ給ス
前項ノ規定ハ前項ニ規定スル者ノ遺族ノ年全夕ル扶
助料ニ付之ヲ準用ス
前二項ノ場合ニ於テハ第五條ニ規定スル請求期間ハ
本法施行ノ日ヨリ之ヲ起算ス
第百六條第八十三條及第八十五條乃至前條ニ規
定スルモノヲ除クノ外本法ノ施行ニ關シ必要ナル事項
ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
別表中第一號表乃至第四號表ヲ別表ノ如ク改メ第五
號表ヲ削ル
Cハ全一、十九間四七一一、〇六三キモ〓六六八專賣問三三三八Nationsaヘㅊniche三八
一、八二〇一、四九二一、〇七八心力大山比프로巨人三八八ミニハル三四円二番二六九二六頁
一、八四七一、五一四一、〇九四ナカルー六十七포九〇四三五三六九年三六九三〇〇090二五二十〇
一、八七三一五三六一、一〇元八·八大夫六要大人FST5001SH:H三六六=0·K元ー二六六
むへ0一、五五七一、二二五△0°六十六五十六四三九四〇九三五九SHINH3212二九井二八
一、九二六一、五七八一、一四〇八二.大五天人四次六第一次三人三三八三八三〇三六人
一、九五三一、六〇〇一、一五六六百三六九五五九六四五五四三五三九郎三四国Zinl三〇·二元町
二、二九六一、九七九一、六二一一、一七一八武町七〇四300四八〇三二〇四〇〇三五〇三(10三六三〇〇
三二七二、〇〇六-大臣は一、一八七入大六七日方八博大比四三七5·5c三六六三三六三三:00
二、〇三二一、大倉一、二〇二八·十五七二三大正RT8國府財買一台三六三三四二Sche三一二
〇五九一、六八六一、二一八八九九1호(大会員四一四五二三二三八三四八THE三八
二、四一八二、〇八五一、七〇七一、二三三80°1511大八三四八六四五人四二八三·日間三日町三三六CH2
三、四七三二、九九三二、四四九二、一一二一、七二九一、二四九九三+B24六〇〇國五五同六五四三五三八〇3 8 0三國家三三〇
一、七五〇一、二六四Abe大き大八八五〇三R·H四座三三人三六三六二三角六
二、一六五一、七七二一、二八〇九三百七三六大夫豆の丸四九九買賣丸三月二O.Hon三元七三四三
二、一九一一、七九三一、二九五丸武大七人〇大君至正同人大四五六三九八三·R三六三三國八人
一、三一一九九人七九〇六·三三至三五四五五四五五四〇〇三六街受大丸豆乳質
二、二四四一、八三六一、五二六九九九お祝い大八〇310800四七〇■ O三九〇三重五六〇
六三二二、二七一一、八五八一、三四二た八八·〇六人八至五五80G四十十四大六三六九三八民族
二、二九七一、八七九一、三元七九た三스人大丸大乳酸〓五百円四八酒WIII500.三八七R+10
ニ、Immu一、れつと一、Subs一、〇〇四八二八to메又は、三丁四九九四三八四〇八三角五三·五
二、七二三二、三五〇一、九一三一、三八八一、〇一五△三七トニ표八프트員人四三四三四三九九三人
第二號表
親任奏任
階
葛症等勅任三等乃至五等「六等乃至九等
病狀勅任待遇奏任待遇
原事
因差將官佐官尉官
図醫圖
特別項
戰闘
甲第一項二、四〇〇一、八〇〇一、二〇〇
又ハ
、戰闘第二項二、〇〇〇一、五〇〇一、〇〇〇
ニ準第三項一、六〇〇一、二〇〇八〇〇
スヘ第四項一、二八〇九十〇大BO
號キ公
第五項一、〇〇0七五〇五〇〇
務
第六項八〇〇六〇〇四〇〇
圖■英
特別項
普第一項一、九二〇一、四四〇
乙九九〇
通第二項一、六〇〇一、二〇〇八〇〇
第三項一、二八〇九九〇大BD
公第四項一、〇二四七六八
五一二
號第五項八〇〇800四〇〇
務
第六項大き0四八〇三二〇
備考特別項ハ各號第一項ノ金額ニ其ノ十分ノ五以內ヲ加ヘタルモノトス
第三號表
傷病傷病
原因症狀等差下士兵卒
原因
圖圓
第一款一、六五〇一、五〇〇第
〔高橋光威君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=14
-
015・高橋光威
○高橋光威君 御付託ニナリマシタ恩給法案ニ付キマシ
テ、委員會ノ經過竝ニ結果ヲ御報告致シマス、此政府提出
ノ恩給法案ハ、其提出ノ趣旨ハ從來ノ恩給額ガ少キニ失
スル故ヲ以チマシテ、之ヲ增額致シタイト云フノガ一ツデアタ
リマス、又モウ一ツハ從來ノ恩給法規ハ時々其必要ニ應ジ
マシテ規定セラレタモノデアリマスカラシテ、免角統一ヲ缺イ
テ居ル、之ヲ統一致シタイト云フノガ其目的ノ一ツデアリマ
ス、又現行法ハ實際ノ事情ニ副ハザル所ガ多イノデアルカラ
シテ、是ハ成ベク實際ノ事情ニ適合スルヤウニ致シタイト云
フノガ目的ノ一ツデアルノデアリマス、本案ニ付テ吾々委員
會ニ於テハ、十分ニ愼重審議ヲ致シマシタノデアリマスガ、其
結果御手許ニ配布致シテ居リマシタヤウナ修正ニナッタノデ
アリマス、質問ハ種々多岐ニ亙フテ居リマシタガ、就中此恩給
ハ增加恩給ノ方ニ於テ政府ノ提案ガ極ク少イ、今年百五
第二款
甲
判任第三款
等一二等三等-四等鬪戰ハ又聞戰
判任待遇第四款
准士官下士兵卒第五款
圓震
第六款
一、〇八〇九九〇九〇〇第七款
務公キヘス準ニ
九〇〇八二五七五〇第八款
號
七二〇六六〇六〇〇第九款
五五六至三八四八〇第十款
四五〇四一三三七五
三八〇三三〇三〇〇第四號表
■62詞階等將官及相當官
高
在騎年數親任-等
八六四七九二£100
5g
と二〇六六〇かつ〇一年
五五六五二八四八 二年
四六一四二三三六円三年
三六〇三三〇三〇〇四年
六六二六百二四〇五年二、
六年三、二五〇
年四、三七五
八七
年五、〇〇〇酉、三三三三、
症狀等差下士兵卒九年五、六二五曰、八七五
圖十年六、二五〇五、四一
-款一、三二〇一、二〇〇七
十五万圓ノ扶助料竝ニ增加恩給ニ付テ、增加ノ案ガ豫算
ニ組マレテ居リマスケレドモ、是デハ尙ホ少キニ失スルガ故ニ
之ヲ增額スル意思ナキヤナドト云フヤウナ質問モアリマシタ、
又普通文武官ノ思給モ物價ノ低イ時ニ作ッタモノデアルカ
ラ、是ハ今少シ增額ノ必要ナキカト云フ質問モアリマシタヽ
其ノ他軍縮竝ニ行政整理ニ件ヒマシテ、一時賜金ヲ政府
ガ今回支出スルノハ非常ニ多イノデアル、ソレニ比較致シマ
シテハ、恩給ハ少イデハナイカト云フ議論ガ大分アッタノデア
リマス、北海道ノ屯田兵ナルモノハ、其一部ハ恩給ノ-受
恩給ノ中ニ這人ッテ居リマスルケレデモ、大部分ハ除外サレ
テ居ル、是ハ宜シクナイ事デアルカラ、是非相當資格アル者
ヲ調査シテ加ヘテ貰ヒタイト云フ質問モアッタノデアリマス、
其他警察官ノ恩給ノ年限ハ十箇年デアリマシテ、軍人ハ十
一箇年デアリマス、文官ハ十五箇年デアリマスガ、甚ダ是ハ
不一致デアルニ依シテ、成ベクナラバ警察官ヲ軍人ト同樣ニ
一、四八五一、三五〇普第二款一、一八八一、〇八〇
乙
一、三二〇一、二〇〇第三款一、〇五六九十〇
一、一五五一、〇五〇通第四款えいAB.
九九〇か00第五款千代と七二〇
八二五七五〇第六款大·〇六〇〇
六七〇六〇〇公第七款
五六四八七
四五五REC第八款三九六三六〇
三三〇三〇〇號務第九款二六円〓mO
一六六-80第十款一二二二〇〇
佐尉官及相當官准士官下士
き宮判任官
二等三等一四等五等六等七等八等等=等三等四等
食局製5t三日%2
一九六一四二一一七一〇·〇七一六四五六
五四二三六五年二八三二三三(8)1.524二八一一三
九八九八一三五人四二五三五〇三〇〇二一四一九-一六九
五三三一、三一七一、〇八三七八四要んじん四六七四〇〇二八五二五五二二五
一、九一七一、六四六一、三五四九八七とる人五五五〇〇三五六三一九八
二、八〇〇二、三〇〇一、九七五一、六二五一、一七六八五〇七〇〇六〇〇四二八三八三三三八
三、七九二三、二六七二、六八三二、三〇四一、八九六一、三七二九九二八一七000四九九四四六三九四
七三三三、〇六七二、六三三ニ、一六七一、五六八Climme九三三八〇〇포·10五一〇四五〇
四、二〇〇三、四五〇二、九六三二、四三八一、七六四一、二七五一、〇五〇九〇〇六H五七四五〇六
四、六六七三、八三三コ、二九二二、七〇八一、九六〇一、四一七一、一六七一、〇〇〇七一三大三八至る五
スルノ意思ナキヤト云フヤウナ質問モアリ、ソレカラ居員ニ
恩給ヲ給シテ貰ヒタイト云フ質問モアリ、種々澤山ナ多岐
ニ互ッテノ質問ガアリマシタガ、是ハドウカ速記錄デ御覽ヲ願
ヒタイノデアリス、以上ノ如クニシテ討論ニ移リマシタ、結局三
善〓之君ノ修正動議ガ出マシテ、文武官ノ恩給ハ俸給ニ對
スル四分ノ一ノ從來恩給デアルガ、之ヲ三分ノ一ニシタイヽ
斯樣ナル修正、其他數多クノ修正ガ出タノデアリマス、是ハ
諸君ノ御手許ニ配布シテ居リマシタ所ノ修正案ニ詳シクア
リマスカラ、御覽ヲ願ヒタイノデアリマス、是ヨリ先キ高木正
年君ヨリ雇員ニ恩給ヲ給スルヤウニシテ貰ヒタイト云フ動
議ガアリマシタ、又恩給ノ增額ハ只今申シマシタ所ノ三善
〓之君ヨリノ修正ニ依ッテノ、ソレニ基ク所ノ恩給增加、是
ハ將來三箇年ノ中ニ完成シテ之ヲ與ヘルヤウニシタイト修
正モアリマシタ、卽チ大正十二年度ニ一千万圓ノ追加豫算
ヲ此恩給ノ爲ニ出シテ、サウシテ此文武官ノ恩給ヲ增額支
給スルヤウニシテ貰ヒタイト云フ修正ノ動議モ出タノデアリ
マス、此二ツハ少數ヲ以テ否決サレマシタ、引續キマシテ三
善〓之君ヨリ扶助料、是ハ御承知ノ如ク從來恩給ノ三分
ノ一デアリマスガ、遺族扶助料ハ之ヲ恩給額ノ半額迄上セ
タイ、卽チ半額ニ致シタイト云フ動議ガ出マシテ、是モ可決
サレマシタ、前ノ恩給四分ノ一ヲ三分ノ一ニ增加シタイト云
フ修正モ、是モ多數ヲ以テ可決セラレマシタ、ソレカラ其他
細々シイ箇條ニ亙ッテノ修正モアリマシタケレドモ、是ハ御手
許ニ御廻シタ所ノ修正案デ御覽ヲ願ヒマスルガ、主ナル事
ヲ此所ニ御報告申シマスレバ、北海道ノ屯田兵、之ニ相當
資格アル者ヲ調査致シテ、恩給ヲ付與スルト云フコトニ改
メタイト云フ此動議ガ三善君ヨリ出タノデアリマス、是モ多
數ヲ以テ左樣ニスルコトニ決定致シマシタ、ソレカラ我黨ノ
津野田代議士ヨリ修正ガ出マシタ、是ハ癈兵ノ恩給デアリ
マス、卽チ增加恩給デゴザイマス、今回政府ヨリ提案サレテ
居リマスル所ノ增加恩給ハ、相當ノ額ニ上ッテ居リマスケレ
ドモ、是デハ少イ、ドウカ之ヲ大ニ增加シテ貰ヒタイ、卽チ更
ニ二百六十万圓ノ增加ヲシタイノデアルト云フ修正ガ出タ
ノデアリマス、其詳シキ表ハ御手許ニ御廻シヽテ置キマシタ
ガ、是ハ卽チ其修正通リニ可決サレタノデアリマス、卽チ現在
甲號、乙號トアリマスガ、乙號ノ方ノ一番低イノハ年六十四
圓支給シテ居リマスノヲ、政府ガ更ニ今回ノ改止案ニ於テ
百五十圓トシテ提出シタノデアリマス、ソレヲ津野田君ノ修
正ニ於キマシテハ、二百四十圓ニ增加シタイト云フノデアリ
マス、是ハ多數ヲ以テ可決致シマシタ、ソレカラ一般ノ文武
官ノ恩給增額、之ヲ併セテ政府ノ提案ハ四百八十万圓デ
アリマスケレドモ、是ハ總體ニ於キマシテ今囘三善君ノ修正
ニハ、總計併セテ二千百万圓、更ニ增加恩給其他一時恩
給等ノ增額ヲ併セマシテ、屯田兵モ加ハリマス、之ヲ併セマ
シテ總額約三千万圓ノ增額ニナリマス、此修正案ニ依リマ
スルト、三千万圓ノ增額ニナリマスルガ、ソレニ對シテ政府ハ
直ニ大正十二年度ノ豫算ヨリ。之ヲ增額スルコトハ困難デ
アル、尤モ此癈兵ニ給スル所ノ增加恩給ハ、既ニ百五十万
圓豫算ニ出テ居リマスルガ、其上ニ之ヲ三百六十万圓增加
シマシタノデアリマシテ、此二百六十万圓/中ノ約八十万
圓位ハ更ニ之ニ追加シテ、大正十二年度ヨリ支給スルコト
ニナリマスガ、其他ノ一般文武官ノ恩給增加ニ向ケマスル
所ノ約二千五百万圓許リデアリマスガ、此二千五百万圓
ノ金ト云フモノハ、直ニ大正十二年度ヨリ增加支給スルコ
トハ困難デアルニ依テテ、將來五箇年カ六箇年ノ間ニ之ヲ
分ケテ增加シテ完成シタイト云フ政府ノ希望デアリマスケ
レドモ、吾々ハンレデハ滿足出來ヌカラ、政府ハ更ニ大正十
二年度ノ豫算ニ四百万圓ヲ增加シテ貰ヒタイ、四百万圓
ハ追加豫算ニ出シテ貰ヒタイ、卽チ約二千五百万圓ノ增加
スベキ分ヲ大正十二年度ニ四百万圓追加シテ貰ヒタイト
云フ希望デアリマス、是ハ政府ハ此希望ヲ容レマシテ、然ラ
バ大正十二年度ヨリ左樣ニスルコトニシマセウト云フ言明
ヲ得タノデアリマス、ソレカラ尙ホ希望ト致シマシテ、今日ノ
恩給ノ年限ハ聊カ短キニ過ギル、斯樣ニシテ恩給ガ年々增
加スルコトニナリマスレバ、結局ハ恩給ノ爲ニ國家ノ歳入ノ
餘程多キ部分ヲ振向ケナケレバナラヌト云フ結果ニナリマ
ス、遂ニ或ハ歳入ノ一割若クハ一割五分ニモ達スルト云フ
ヤウナコトニナリハシナイカト思フ、現ニ斯樣ニ增額致シマス
ト云フト、年々一億ノ金ガ此恩給ノ爲ニ費サレルコトニナ
ル、斯樣ニシテハ到底國民ガ堪ヘル所デナイカラ、年限ヲ延
長スルノ意思ナキヤ、例ヘバ文官ハ今日十五年デアリマス、
ソレデ恩給ニ達スルノデアリマス、之ヲ二十年ニ延長スルト
云フコトハ出來ナイカ、武官モ同樣、又警察官モ同樣デアリ
マス、是ハ警察官ハ今日ハ十年、武官ハ十一年デアリマスカ
ラ、是モ相當ノ年限ノ延長ハ出來ナイノデアルカト云フ質問
ガアリマシタガ、之三對シテハ政府ハ御尤ナ次第デアルニ依ツ
テ相當考慮致ス、斯樣ニ返事ガアッタノデアリマス、是ハ
種ノ希望ノヤウナ質問デアリマスガ故ニ玆ニ終リニ臨ンデ
御報告致ス次第デアリマス、更ニモウ一ツ修正ニ付テ重要
ナル點ヲ一ツ落シマシタカラ申上ゲマスガ、ソレハ此表ノ中
ノ第五號表デアリマス、是ハ削ッタノデアリマス、必要ナキガ
故ニ削ッタノデアリマス、從來文官〓職員、巡查、看守ト云
フ者ノ一時恩給デアリマスガ、是ハ從來勅令ニ讓ッテ居クタ
モノデアリマスガ、故ニ玆ニ特ニ法律ニ現ハス必要ハナイガ
故ニ、同樣勅令ニ讓フテ然ルベキデアルニ依ッテ、是ハ削ルト
云フノデ削ッタノデアリマス、以上大要委員會ノ經過竝ニ結
果ニ付テ御報告申上ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=15
-
016・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 別ニ討論ノ通告モアリマセヌカラ
採決致シマス、本案ノ第二讀會ヲ開クニ御異議ハアリマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=16
-
017・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナイト認メマス、仍テ第二
讀會ヲ開クニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=17
-
018・岩崎勲
○岩崎勳君 直ニ本案ノ第二讀會ヲ開カレンコトヲ望ミ
マス
〔「賛成」「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=18
-
019・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 岩崎君ノ動議ニ御異議ナイト認メ
マス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、直ニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、議案全部ヲ議題ト致シマス、本案ニ對シマシテハ高木正
年君外一名ヨリ修正案ガ提出サレテ居リマス、其趣旨辯
明ヲ許シマス、高木正年君
恩給法案第二讀會
〔高木正年君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=19
-
020・高木正年
○高木正年君 私ハ委員長ノ報告ニ對シテ修正ノ意見
ヲ申シタイ思ヒマス、其修正意見ハ、恩給法第四十二條「判
任官見習」ノ下ニ「雇員」ノ二字ヲ加ヘルト云フコトガ一ツ
ト、イマ一ツハ恩給法ハ元來百五條デアリマスガ、委員會デ
之ヲ百六條ニ修正ヲシテアル、其百六條ノ次ニ第百七條ナ
ル一箇條ヲ設ケテ、一ツノ修正文ヲ挿入シタイト思ヒマス、
ソレハ「第六十條第六十二條乃至第六十四條中百五十
分ノ五十ニ對スル金額ハ其金額ト」從前ノ規定ニ依ル二百
四十分ノ六十ニ對スル金額ノ差額ノ三分ノ一ヲ大正十二
年度ニ於テ增給シ其餘ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ遞次增給
ス」是ガ一箇條、ソレカラ本文ノ末尾ニ更ニ一箇條ヲ添ヘル
ノデアリマス、ソレハ卽チ「本法第一號表乃至第四號表ニ於
ケル委員會修正ノ金額ト原案ノ金額トノ差額ニ對シテハ
其ノ三分ノ一ヲ大正十二年度ニ於テ增給シ其ノ餘ハ遞次
之ヲ增給ス」此三箇條ガ私ガ委員長ノ報告ニ對スル修正
意見ノ大體デアリマス、先ヅ四十二條ニ挿入スル雇員ノ問
題ニ付テ申シマセウカ、大正九年デアリマシタカ、臨時議會
ノ際、鳩山一郞君ヨリ雇員ヲ恩給規定ノ下ニ加ヘテ之ニ恩
給ヲ與ヘタイ、所謂通算ノ中ニ加ヘテ、若クハ恩給其モノヲ
雇員デ長イ年間居ノ夕者ニモ與ヘル、又是ガ判任官以上ノ
官吏ニナッタトキニモ、之ヲ恩給ノ部分ニ加へタイト云フ建
議ガアッタノデアリマス、丁度大正九年ノ議會ノ末尾デアリ
マシタガ、恩給ノ委員會ガ前ニ開カレタ其續キトシテ、此鳩
山君ノ建議案ハ委員會ニ付託サレタ當時、私共ハ雇員ノ
外ニ傭員ヲ加ヘタイト一云フ議ヲ附シテ、是ガ委員會致
意見トシテ其建議ヲ了シタノデアリマス、是レ以來恩給ノ問
題ノ起ル每ニ、常ニ此傭員、雇員ト云フコトハ恩給法ノ規
定ノ中ニ加ヘルト云フコトヲ再々建議ヲ致シテ居ッタ、此度
恩給法ガ統一的制定ヲ見ルニ至リマシタ所ガ、此雇員ノ問
題ガ脫ケテ居ル、私共ハ豫テノ要求通リ雇員、傭員共ニ加
ヘタイノデアリマスガ、先ヅ第一ニ雇員ナルモノハ是非加ヘタ
イ、元來雇員ノ分限ハドウ云フモノデアルカト云フト、判任
官見習ト同ジク官吏ノ分限ヲ守ルベキ資格ヲ有シテ居ル、
隨テ刑事上ノ問題ノ如キハ、判任官見習ト同ジク制裁ヲ受
クベキ事柄ニナッテ居ル、勿論雇員モ五箇年經チマスルト判
任官ニ昇級ハ致シマスケレドモ、其昇級シタ後ニ於テ是ガ恩
給ニ通算サレルカト云ヘバ、今日迄通算ハサレナイ、況ヤ數
十年雇員ノ儘デ居ル人モ稀ニハアル、是等ノ事ヲ見遁スト
云フコトハ、一般官吏ノ待遇ノ上ニ付テ極メテ差別的ノ待
遇ヲ遺スト云フコトニナルノデアリマス、統一サルペキ此時
代ニ於テ、之ヲ見遁スト云フコトハ出來ナイ、勿論判任官
見習モ雇員モ、其勤續ノ年限ヲ全部之ヲ恩給ニ通算スルニ
アラズシテ、二分ノ一ヲ通算スルノデアル、ソレ故ニ餘リ多ク
ノ年限ヲ增スト云フ事ニモナラナイノデアリマスカラ、此度ノ
改正案ニハ先ヅ雇員ヲ加ヘル、備員ノ事ハ一般官吏トモ違
フ爲ニ、委員會ニ於テモ屢。問答致シマシタケレドモ、此事ハ
特別ノ規定ノ下ニ所謂共濟組合等ニ依シテ、老年マデ傭員
ヲ勤メテ居ッタヤウナ人ニ對シテハ、相當ノ老後ノ補給ノア
ルコトヲ政府ニ希望トシテ申シ殘シテ、先ヅ今年ハ雇員ダケ
ヲ此法條ニ加ヘルト云フコトニ致シタノデアリマス、次ニ委
員會ニ於テ私共ハ豫テノ希望トシテ、恩給ノ增額ト云フコ
トハ時代ノ推移スルニ依ヲテ已ムヲ得ズ今日ハ之ヲ見捨テル
コトガ出來ナイ、元來恩給ナルモノハ如何ナルモノデアルカト
云フト、文武官ガ其在職中ニ消耗サレタ所ノ勞力ノ衰耗ニ
對シテ、退職後ニ於テ之ヲ補足スルト云フコトガ、大體ノ趣
意ニナッテ居ルノデアリマス、然ルニ物價ハ騰貴シ、殊ニ官吏
ノ中ニアッテハ屢〓增俸等ガアリマシタケレドモ、前ノ任官ノ
時ノ俸給其儘ガ恩給ニナッテ居ルノデアルカラ、是等ハ皆落
伍者トナッテ苦シキ生活ノ中ニ呻吟シテ居ル、而モ物價騰貴
ノ今日ニ於テハ、一面ニハ文官ガ年々其俸給ノ百分ノ一ヲ、
通貨ノ貴キ時代ニ捧ゲテ置イテ退官後ハ、而モ昨今ニ至フテ
ハ通貨ノ下落甚シク、言葉ヲ換ヘテ言ヘパ物貨騰貴ノ時代
ニ前ニ定メラレタ所ノ低キ恩給ヲ受ケルト云フコトハ、到底
堪へ得ベキ限リデナイ、且ツ武官ニ在リマシテハ-文官ハ
退隱スレバ退隠シタヾケノ事デアリマスガ、武官ハ退職シテ
モ後備役ニ入ラザル以前ニ於テハ殊ニ一朝動員ノ際ニ於
テハ、矢張軍人トシテノ體面ヲ維持シ居ラネバナラナイノデア
リマス、然ルニ實際ノ狀態ハドウデアルカト云フト、在官當
時ハ儼然タル資格ヲ以テ軍人ノ各階級ノ間ニ相當ノ位地
ヲ持ッテ居ノ夕者ガ、退職後ハ却テ昔ノ從卒ヤラ或ハ部下等ノ
世話ニナラナケレバ生活ガ出來ヌト云フヤウナ狀態デアッテ、
一朝動員ノ際ニ、決シテ軍紀ヲ保持シテ、十分ニ國家ニ貢
獻スルト云フ事モ出來ナイト云フコトハ、今更申ス迄モナイ
事デアリマス、斯ノ如ク〓日ハ有ユル方面カラ生活ノ脅威ヲ
受ケテ居ル、物質的ニ虐待サレテ居ル許リデナク、一面ハ精
神的ニモ是等ノ人々ハ甚シキ所ノ虐待ヲ受ケテ居ルトモ言
ヒ得ル事ガ生ジタノデアリマス、所謂一蓮托生デ、財政ガ不
如意デアッテ、何分今ノ時代デハ國庫モ相當ノ補給ハ出來
ナイ、斯ウ云フ時代デアレバ、幾分軍人モ我慢ヲスルコトガ
出來ルノデアリマスルガ、昨年來軍備縮小及陸軍整理ノ爲
ニ政府ガ企テタ所ノ勤續賜金及退職賜金卜云フモノハ、頗ル
是等ノ人々ノ社會ニ動搖ヲ與ヘタノデアリマス、國ノ財政ガ
行詰ッテ恩給ガ增加ニナラヌ、恩給法ガ改正ニナッテ統一ハ
出來タケレドモ、ソレハ唯〓描イタ饗應デアッテ、實際是等ノ
人々ニ何等ノ食物モ與ヘナイト云フ時ニ於テ、一方ニハ退
職手當トシ、一方ニハ勤續手當トシテ軍人ニ在ッテハ大尉ニ
於テ五千圓、中將邊リノ人デハ二万圓ノ金額ヲ二者ヲ合
セテ給與スル、斯ノ如ク根本ノ恩給制度ト相對照シテ、公
平ナラザル所ノ待遇ヲ與ヘタト云フコトハ、何人モ之ヲ爭フ
餘地ガ無イ、西伯利邊リデ戰死シタ人ニヤッタ一時手當ヨリ
モ、勤續手當、退職手當ガ多イト云フコトハ、極テ是ハ不公
平デアル、此事何レ迫加豫算ガ出マスカラ、其時ニ於テ一
面ハ會計法ヲ紊リ、一面ニハ財政ヲ亂シタ點ニ付テハ十分
私共論議スル積リデアリマスガ、斯ノ如ク一方ニ公平ナラザ
ル所ノ手當ヲ與ヘテ、從來ノ退官者退職者等ハ、而モ前內
閣以來ノ政治ノ或ル傾キトシテ物價ヲ騰貴セシメテ、其貴
任ヲ政府自ラ負ハズシテ、却テ恩給者ニ負ハシメルト云フコ
トハ到底吾々ノ忍ブベカラザル所デアル、此三分ノ一ノ支
給ト云フコトハ、成程金額ニ於テハ一千万圓ニ達スル、九百
万圓以上ニナルデアリマセウ、全部ヲ合セレバ約三千万圓ニ
ナルノデアリマス、本年一千万圓出シテ、來年二千万圓、再
來年三千万圓出シテ合セテ六千万圓ニナル、所ガ今度ノ退
官賜金、勤續賜金ニドレ位拂フカト云フト、現金ニ於テ二
千万圓、公債ニ於テ四千万圓、合セテ六千万圓ニナル、面モ
恩給者ノ法案ハ改正サレタケレドモ、僅ニ本年四百万圓、
來年モ五百万圓、五六年ノ間ニハ或ハ達成セザルカモ知レ
スガ、先ヅ全部ヲ達シ得ル積リデアルト云フ當局ノ答辯デア
ル、斯ノ如キ生温キ事デ、官際恩給問題ガ解釋セラレベキ筈
ガナイ、私共ハ必シモ恩給者ニ私スルノデハナイ、ドウシテモ今
後財政ノ整理、行政ノ改革、此二ツヲ成シ遂ゲルニ付テハ、
甚ダ氣ノ毒デアッテモ、在官者ノ上ニ幾分ノ異動ヲ生セザル
ヲ得ヌノデアリマス、軍縮ハ徹底的ニ或ル程度マデ之ヲ行ハ
ナケレバナラヌ、行政整理モ或ル程度マデ之ヲ爲サネバナラ
ヌ、斯ウスル上ニ於テハ先ヅ此退官者ノ所謂職務中ニ於ケ
ル能力ノ消耗シタル者ニ對シテ、其老後ノ生活ヲ補給スル
途ヲ開イテ置カナケレバナラヌ、地租ヲ委譲ヌル何ヲスルト
言ッタ所ガ、要スルニ行政財政ノ改革ノ爲ニ生レ得ベキ所ノ
總テノ問題デアル、其前驅トシテ先ツ恩給ヲ片付ケネバナラ
ヌ、私共ガ斯ク委員長ノ報告ノ通リ修正ヲ致スノハ決シテ
恩給者ニ傾イタ譯デハナイ、帝國ノ將來ノ政治ノ改革ノ上
ニ、是非トモ〓日ニ於テ豫メ其途ヲ開イテ置クコトガ極テ緊
要ナ事デアルト思クテ、斯ク修正ノ箇條ヲ委員會ノ報告ニ添
ヘテ提出シタ所以デアルノデアリマス、願ハクハ此意味ニ於
キマシテ、ドウゾ私共ノ修正案ガ本會ヲ通過シテ、恩給者ヲ
シテ老後ノ補給ノ幾分ナリトモ、滿足トハ參リマセズトモ、對
應シ得ル程度ニ運ブ道順ニ歩ミタイト、斯樣ニ思フノデアリ
マス、以上申上ゲタ通リデアリマスカラ、實シク御賛同ヲ願ヒ
マス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=20
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021・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 計論ニ移リマス、通告順ニ依クテ、
順次發言ヲ許シマス、三善〓之君-御出ガ無イヤウデア
リマスカラ、三浦君ニ發言ヲ許シマス
〔三浦得一郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=21
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022・三浦得一郎
○三浦得一郞君 私ハ修正案ニ贊成ヲ致シタ所ノ理由ヲ
一言述ベタイト思ヒマス、本案ハ多年ノ懸案デアリマシテ、
今囘政府ヨリ提出セラレタ所ノモノハ、根本的改正ト稱セ
ラレテ居ルノデアリマス、如何ニモ現行法ニ於キマシテハ、文
武官、學校職員、又ハ巡查、看守等區々ニナッテ居リマスノ
ヲ、此度統一セラレタノデアリマス、吾々ガ先年來此根本的
改正ト云フコトヲ要求致シマシタノハ、是等ノ統一ハ固ヨリ
ノ事受恩給者一般ノ生活難ノ窮狀ヲ救濟センガ爲ニ、主
トシテ恩給金ノ增額ヲ要求シタノデアリマス、然ルニ政府案
ニ依リマスト、今度ノ恩給ノ增額ハ僅ニ負傷增加恩給遺
族扶助料トノ一部分デアッテ、一般ノ受恩給者ニハ觸レテ
居ラヌノデアリマス、本案ガ議場ニ提出サレマシ夕際ニ、私ハ
總理大臣ニ質問ヲ致シタノデアリマス、所ガ誠ニ不滿足ナル
御答辯ヲ得タノデアリマス、仍テ吾々ハ根據アル所ノ修正
案ヲ作成シタノデアリマスガ、政友會ヨリ只今委員長カラ報
告セラレタ通リ、修正案ガ矢張提出サレタノデアリマス、此
修正案ト吾々ノ案ト比較シテ見マスルト、第一號第二號表
ニ於キマシテ、吾々ノ案ヨリハ增加率ガ幾分少クナッテ居ル
ノデアリマスケレドモ、政府案卜比較シマスルトキニハ、遙ニ此
修正案ガ增額サレテ居ルノデアリマス、大藏大臣モ亦委員
會ニ於テ、此修正案ニハ全然同意スル、斯樣ニ言明サレタノ
デアリマス、吾々ハ不十分ナガラ此修正案ノ通リニ實施セラ
レマシタナラバ、先ヅ當面ノ生活難ヲ救濟シ得ルモノト信ジ
テ、妥協ノ上此修正案ニ同意ヲ表シタ次第デアリマス、而
シテ其增加ノ結果如何ニナルカト云フト、其金額ハ約三
千万圓ニ近イモノデアルト云フコトデアリマスガ、之ニ對シテ
大藏大臣ハ、先ヅ十二年度ニ於テ四百万圓ヲ支出スル、他
ハ五六年ニ亙フテ金額ヲ滿ス計畫デアルト云フコトヲ言ハレ
タノデアリマス、政府當局ガ修正案ニ全然同意ヲスル、同意
デアルト言ハレタ以上ハ、此救濟ノ目的ヲ達成スルダケノ支
出ヲサレルガ當然ノ事ト私ハ考ヘルノデアリマス、殊ニ受恩
給者ノ數ハ約二十万ト註セラレテ居リマスルガ、之ニ四百
万圓ヲ分割致シマシタナラバ一年僅ニ二十圓、之ヲ一箇月
ニ割リマスルナラバ一圓六十錢デアルノデアル、斯ノ如キ零
碎ナ金デハ迚モ今日ノ窮狀ヲ救濟シ得ルモノトハドウシテ
モ思ハレナイ、仍テ吾々ハ少クモ十二年度ニ於キマシテ、全
增額ノ三分ノ一ヲ支給セラレンコトヲ希望スル者デアリマ
ス、デ是ハ十三年度以降ニ於キマシテ速ニ增加ノ目的ヲ完
成セラレンコトヲ今尙ホ主張スル者デアリマス、仍テ高木君
カラ今修正案トシテ出サレタル通リ、三分ノ一ヲ十二年度ニ
支出セラレンコトヲ希望致スノデアリマスルガ、併セテ本案
第四十二條中ニ雇員ノ二字ヲ加入スルト云フコトヲモ併セ
テ贊成致シマス、終リニ希望トシテ申述ベテ置キマス、ソレハ
恩給法ノ第十一條ニ斯樣ナ事ガアルノデアリマス「恩給ヲ
受クルノ權利ハ之ヲ譲渡シ又ハ擔保ニ供スルコトヲ得ス」ト
云フコトガアルノデアリマス、然ルニ今日ノ狀態ハ如、何デアル
カト申シマスルト云フト、先日政府委員モ委員會デ述ベマシ
タノデアリマスガ、約二割ハ皆高利貸ノ手ニ這入ッテ居ルノ
デアル、恩給證書ガ吾々ノ調ベク所ニ依リマスト云フト、下
士以下、判任官以下、同部ヲ通ジテ約六七割ノモノガ擔保
ニ這入ッテ居ルト云フコトデアリマス、是ハ主ニ斯樣ナル禁令
ガアルニモ拘ラズ皆高利貸ノ手ニ渡シテ居ルノデアル、一旦
彼等ノ手ニ渡リマシタナラパ、殆下終身ソレガ返ルト云フコト
ハ餘程ムヅカシイト云フコトデアリマスル、最初ニ契約ヲスル時
分ニ於キマシテ先ヅ一割五分、或ハ二割ノ高イ利子ヲ天引
デ取ラレテ、サウシテ保險ニ這入ルノデアリマス、保險ノ掛金
ヲモ其貸金ノ中カテ控除セラレル、若シ死ンダナラバ其保險
金ヲ彼等ガ取ルト斯ウ云フコトデアル、此位確實ナル擔保ハ
無イト云フコトニナッテ居ルノデアリマス、ンコデ若シ是ガ此禁
令ガナカッタナラパデス、銀行其他低利ノ金融機關ニ依ッテ
融通ヲシテ貰フコトガ出來ルデアラウト思フ、是ニハ中と議
論ガアルノデアリマスガ、政府當局モ斯樣ナ事ヲ許シタナラ
バ底止スル所ヲ知ラズデアル、殆ドサウ云フコトニナッテ、遂ニ
折角恩給ヲ支給シタモノガ、遂ニ其物ニ食ソコトガ出來ナイ
ヤウニナッテ來ル、國家ニ功勞アル者ガ斯ノ如キ悲惨ニ陷ル
ト云フコトハ、實ニ見ルニ忍ビヌカラ矢張是ハ嚴重ニ禁ジテ
置カナケレバナラヌト斯ウ申サレルノデアリマスガ、然ラバ何
故ニ高利貸ナル者ノ店頭ニハ思給年金證書ヲ擔保ニシテ
貸金ラスルト云フコトノ金看板ヲ揭ゲテ居リマスカ、其外帝
都ノ眞中ノ電柱ニ、到ル處ニ恩給年金證書ヲ擔保ニ金ヲ
貸スト云フコトガ貼ッテアル、斯樣ニ恩給法デ禁ジテアルナラ
バ、左樣ナ事モ徹底的ニ禁ジナケレバナラヌト思フノデアリマ
ス、默許ノ姿デアル-默許ノ姿デアルナラバ、寧ロ一般ノ金
融機關ニ依シテ融通ノ出來ルヤウニ許シタナラバ、却テ恩給
證書ヲ根本カラ失フコトガナカラウカト吾々ハ信ズル者デア
リマス、故ニ此十一條ニ「諛渡スルコトヲ得ス」トシテ擔保云
云ト云フコトヲ創リタイト云フ希望ヲ持〓テ居リマスカラ、此
事ヲ附加ヘテ申述ベテ置キマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=22
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023・岩崎勲
○岩崎勳君 第二讀會ノ討論ヲ此際之ヲ終結シテ、修正
案ハ否決シ、委員長報告ノ通リ決定セラレンコトヲ望〓マ
ス
〔「贊成」「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=23
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024・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 他ニ討論ノ通告モアリマセヌシ、又
岩崎君ヨリ動議ガ出テ居リマス、仍テ直ニ採決ヲ、致サウト
思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=24
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025・三善清之
○三善〓之君 本員ハ一寸御斷リ申シマスガ、私ハ便所
ニ參リマシタノデ甚ダ殘念ニ存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=25
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026・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 高木正年君外一名ノ修正案ノ中
ニハ、委員長ノ報告ト同一ノ箇所ガ澤山アリマス、此點ハ委
員長ノ報告ニ依リマシテ採決ヲ致シマス、先ヅ其點ヲ除キマ
シタル高木君ノ修正ニ付テ採決ヲ致シマス、高木君ノ修正
案ニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
〔賛成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=26
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027・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 起立少數デアリマス、修正案ハ否
決サレマシタ、次ニ委員長ノ報告ニ付テ採決致シマス、委員
長報告ニ賛成ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
〔賛成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=27
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028・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 起立多數、委員長報告ノ通リニ決
シマス、是ニテ本案ノ第二讀會ヲ終了致シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=28
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029・岩崎勲
○岩崎勳君 直ニ第三讀會ヲ開キ、第二讀會議決ノ通リ
可決確定ヒラレンコトヲ望ミマス
〔「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=29
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030・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 岩崎君ノ動議ニハ御異議ナイト認
メマス、仍テ第三讀會ヲ開キ、議案全部ヲ議題ニ供シマス
恩給法案第三讀會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=30
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031・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 別ニ御異議モ無イヤウデアリマスカ
ラ第二讀會議決ノ通リ、可決確定シタルコトヲ宣告致シマ
ス(拍手)次ハ日程第三、種牡馬檢査法中改正法律案、第
一讀會ノ續ヲ開キ、委員長ノ報告ヲ求メマス、伊藤廣幾君
第三種牡馬檢査法中改正法律案(政府
提出、貴族院送付)
第一讀會ノ續(報告)(委員長
報告書
一種牡馬檢查法中改正法律案(政府提出、貴族院送
付)
右ハ本院ニ於テ可決スへキモノト議決致候此段及報告
候也
大正十二年二月二十七日
種牡馬檢査法中改正法律案委員長
伊藤廣幾
衆議院議長粕谷義三股
〔伊藤廣幾君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=31
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032・伊藤廣幾
○伊藤廣幾君 本案ニ對スル委員會ノ經過及結果ヲ極
テ簡單ニ申上ゲマス、本法ノ改正ノ要點ハ、種馬ノ檢査ハ是
マデ每年施行シテ居リマシタノヲ、今後ハ三箇年目ニ之ヲ
行フト云フコトニ改メルト云フノガ一ツデアリママス、又種馬a
證明書ノ有效期間ハ、是マデ一年限リトナッテ居リマスノヲ、
三箇年以内ニ改メルト云フノデアリマス、是ガ爲ニ委員會ハ
三回之ヲ開キマシテ、政府委員ノ出席ヲ求メ、質疑應答ヲ
重ネ、而シテ後ニ審議ニ入リ、愼重審議ノ結果原案ノ通リ
可決致シマシタ、此段報告ニ及ビマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=32
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033・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 本案ノ第二讀會ヲ開クニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=33
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034・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ハナイト認メマス、仍テ第二
讀會ヲ開クニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=34
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035・岩崎勲
○岩崎動君 直ニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、第三讀會ヲ省
略シテ、委員長報告ノ通リ可決確定セラレンコトヲ望ミマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=35
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036・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 岩崎君ノ動議ニハ御異議ナイト認
メマス、仍テ直ニ第二讀會ヲ開キ、議案全部ヲ議題ト致シマ
ス
種牡馬檢査法中改正法律案
第二讀會(確定議)
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=36
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037・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 別ニ御異議アリマセヌカラ第三讀
會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通リ可決確定シタルコトヲ宣
告致シマス-日程第四、岩北軌道株式會社所屬軌道經
營廢止ニ對スル補償ノ爲公債發行ニ關スル法律案ノ第一
讀會ノ續ヲ開キマス、先ヅ委員長ノ報告ヲ求メマス、八田宗
吉君
第四岩北軌道株式會社所屬軌道經營慶
止ニ對スル補償ノ爲公債發行ニ關
スル法律案
第一讀會ノ續(糖化)就是你的藤原 昭彦
報告書
一岩北軌道株式會社所屬軌道經營廢止ニ對スル補償
ノ爲公債發行ニ關スル法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スへキモノト議決致候此段及報告
候也
大正十二年二月二十七日
岩北軌道株式會社所屬軌道經
營廢止ニ對スル補償ノ爲公債發
行ニ關スル法律案委員長
八田宗吉
衆議院議長粕谷義三殿
〔八田宗吉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=37
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038・八田宗吉
○八田宗吉君 極テ簡單ナ案デアリマスルガ、委員會ノ經
過竝ニ結果ヲ御報告致シマス、本案ハ東北本線ノ巖手縣
好摩驛ヨリ平舘ニ至ル間ハ、國有線トシテ既ニ大正十一年
八月二十七日ニ開業スルコトニナッテ参リマシタ、而シテ我
ガ國有線ニ沿ウテ從來岩北軌道會社ガ經營シテ居リマシ
タル所ノ此軌道ト云フモノガ廢業スル狀態ニナリマシタ爲
ニ、政府ハ玆ニ公債ヲ發行シテ此軌道ヲ買收スル必要アッ
テ、此法案ガ提案ニナッタノデアリマス、委員會ニ於キマシテ
ハ愼重審議、政府當局ニ對シテ質問ヲ重ネ、滿場一致本案
ニ對シマシテ可決シ、且ツ速ニ此公債ヲ發行シテ、買收方法
コノ手續ヲ早ク御執リニニルコトノ希望ヲ附シテ可決致シタ
次第デアリマス、此段御報告致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=38
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039・岩崎勲
○岩崎勳君 本案ハ讀會ノ順序ヲ省略シテ、委員長ノ報
告通リ、可決確定七ラレンコトヲ望ミマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=39
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040・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 岩崎君ノ動議ニハ御異議ナイト認
メマス、仍テ讀會ヲ省略シテ直ニ可決確定シタルコトヲ宣告
致シマス-次ニ日程第五、中央御賣市場法案、第一讀會
ノ續ヲ開キマス、先ヅ委員長ノ報告ヲ求メマス、富安保太郞
君
第五中央卸賣市場法案(政府提出)
第一讀會ノ續(報告(電話本)
報告書
一中央卸賣市場法案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ別紙ノ通修正スヘキモノト議決致候此
段及報告候也
大正十二年三月二日
中央卸賣市場法案委員長
富安保太郞
衆議院議長粕谷義三殿
(小字及-ハ委員會修正)
中央卸賣市場法案中左ノ通修正ス
第十九條主務大臣又ハ地方長官必要アリト認ムル
トキハ官吏又ハ吏員ヲシテ開設者又ハ卸賣ノ業務ヲ
○及之ニ關スル
爲ス者ノ業務〓の簿簿、財產其ノ他ノ物件ヲ檢査セシム
ルコトヲ得
第二十六條第一條ノ法人又ハ第十條ノ規定ニ依リ
卸賣ノ業務ヲ爲ス者第十九條ノ規定ニ依ル檢査ヲ
受クル場合ニ於テ職務ノ執行ヲ拒ミ、妨ケ若ハ忌避シ
タル者又ハ檢査ノ際當該官吏吏員ノ等問ニ對シ答
辯ヲ爲サス若ハ虚僞ノ陳述ヲ爲シタル者ハ千圓以下
ノ罰金ニ處ス
〔富安保太郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=40
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041・富安保太郎
○富安保太郞君 諸君、簡單ニ本案委員會ノ〓末ヲ御
報告申上ゲマス、諸君御承知ノ如ク、本案ハ社會問題解決
ノ一策ト致シマシテ、先ヅ都市ニ於ケル食糧問題ニ一指ヲ
染メタノデゴザイマシテ、公共〓體又ハ民法第三十四條ノ
規定ニアル法人ヲシテ卸賣市場ノ經營ヲ爲サシメ、サウシテ
極ク廉價ニ且ツ便利ニ魚類、鳥類、内類、卵、蔬菜及果實ノ
御賣ヲ爲ス業務ヲ執ラシムルノガ主デゴザイマス、デ此委員
會ヲ開キマスコトガ前後四囘デゴザイマシテ、其間ノ質問應
答ハ極テ緻密ニ行ハレマシタ、概略委員會ノ模樣ヲ申上ゲ
マスト云フト、此魚類、肉類、鳥類ト云フ、生物ノミヲ此度ノ
法案ニ規定シテアルガ、鹽乾魚及乾物ノ如キモノヲ何故此
中ニ入レナイカ、政府ハソレニ對シマシテ、成程サウ云フ嫌ハ
アルガ、先ヅ値ノ變動ノ甚シキ物ノミニ之ヲ規定シテアルカ
ラ、サウ御承知ヲ願ヒタイ、魚類ノ中ニ詰リ鹽乾魚、及蔬菜ノ
中ニ椎昔ヤ干瓢ノ如キ物ヲ無論含ンデ居ル、大根-漬
物ノ如キモノモ之ニ包含シテ宜シカラウト思フト、斯ウ云フ
答辯ガ第一ニゴザイマシタ、ンレカラ第六條ニ行キマシテ、最
モ質問ガ所謂微ニ入リ細ヲ穿ツ底ノ質問ガゴザイマシタ、之
ニ對シテハ中〓面倒ナ質問ガ澤山アッタ、第一ニハ政府ハ何
故ニ、開設者ノ意思ノミヲ尊重シテ、旣設市場者ノ意ヲ慮ラナ
イカ、政府ハ殘サレタル既設業者ノ意嚮ヲ顧ミズシテ、其救
濟方法ハドウスル積リダ、市場ヲ統一セズシテ竝立主義ヲ執
ルカト云フヤウナ種々ノ質問ガ出マシテ、殆ド質問ノ全部ハ
是デ埋マッタヤウナモノデゴザイマス、政府ハ之ニ對シマシ
テ、此開設ニ至ルマデノ間ニ於テ開設者ノ意見ヲ聽イテ、既
設市場ノ閉鎖ヲ命ズルコトヲ得ルト、斯ウ申スノハ詰リ補償
ノ義務ヲ此開設者ガ持テ居ル故ニ、此經營者ノ意見ヲ聞
クノヲ最モ重要ナリトシテ、此文句ヲ此處ニ入レタノデアル、
既設市場者ガ若シ之ニ加入セヌト思フナレバ、其意嚮ヲ申
出ルト、政府ハ十分之ニ考慮ヲ拂フ、此市場ト云フモノハ新
開ノモノデアッテハ、中ミ經營者自ラヤラント思ヲテモ、一寸ヤ
レナイ、故ニ經驗アル者、信用ノアル者ヲ既設市場ヨリ之ヲ
拉致シ來シテ、初テ此市場ノ進步發達ヲ期スルコトガ出來マ
スカラ、自カラ其間ニ圍滿ナル解決ガ付クデアラウト政府ハ
思フ、政府ハ此法案ヲ實施スルニ當ッテ、是非共之ヲ一ツニ
纏メテシマフ統一主義ハ持ッテ居ナイ、或ハ補償ヲ好マヌ者
ガマルカモ知ラン、ソレハ矢張營業ヲ繼續シテ差支ナイ、自
由意思ヲ尊重スル爲ニ竝立主義ヲ採ッタノデアル、ソレカラ
或ハ二三年後ニ於テ、既設營業者ガ非常ニ困苦ノ場合ニ
陷ルカ知ラヌ、其際ハ成ベク之ヲ收容致シマシテ、新設市場
ノ問屋ニ之ヲ採用スルヤウニシタイ、其位ノ餘地ハ大キイ
市場デアルカラ十分アルノデアル、斯ウ云フ風ナ政府ノ答辯
ガアッタノデゴザイマス、ソレカラ補償ト云フコトニ付テハドウ
云フ意デアルカ、斯ウ云フ質問ガゴザイマシタガ、補償ト云フ
モノニ對シテハ、詰リ第三條損失ノ補償、或ハ營業權ノ補
償、其中ニ得意先ノ權利モ含ム、斯ウ云フ答辯デゴザイマシ
タ、之ヲ以テ此補償ノ性質ヲ限定スル、斯ウ云フヤウナ話デ
ゴザイマシタ、ソレカラ第八條ニ往キマシテ、此政府ハ開設者
ニ對シ、命令ノ定ムル設備ニ要スル費用ノ三分ノ一ノ補助
ヲ與ヘルト云フ、斯ウ云フコトガアル、命令ガ中ニ面倒ナ命令
ガ來レバ、或ハ市場經營者ハ之ヲ好マヌデ三分ノ一ノ補助
ヲ辭スルカモ分ラヌ、其場合政府ハドウスルカ、斯ウ云フ質
問ニ對スル政府ノ答辯ハ、成程補助額ハ三百四十万圓、
年ニ八十万圓ノ補助、之ヲ六大市ニ分チマスカラ僅カデアル
ガ、是ハ唯、内部ノ設備ニ對スル補助デアッテ、市場全體ニ
對スル問題デナイ、內部ト中シマスト云フト、詰リ汽車ノ引
込線トカ、或ハ冷藏庫ノ設備トカ、或ハ棧橋ノ設備トカ、貯
藏庫トカ云フヤウナモノニ對シテノミ補助ヲスルモノデアッテ、全
體ニ對スル補償デハナイ、建築ノ全體ニ對シテハ低利資金ヲ
之ニ供給スル、大阪、東京ノ如キニ對シテハ、一千五六百万圓
ハ少クトモ供給スル積リデアルカラ、其經營者ハ喜ンデ補償
金ヲ受ケ、且ツ低利資金ノ融通ヲ仰グコトニナルノデアラウト
云フ政府ノ答辯デアリマス、小サイ質問ハ色〓ゴザイマシタ
ガ、此法案ニ無イ所ノ質問ヲ申シマスト、此法案ニハ公設市
場トノ關係ガ少シモ規定シテナイ、是ハドウ云フ譯デアルカ
ト云フ質問ガゴザイマシタガ、政府ハ公設市場ト卸賣市場
トノ聯絡ヲ成ベク圓滑ニスル爲ニ、餘程苦心ヲシタ積リデア
ル、元來公設市場ト云フモノハ、米騷動ノ際ニ俄ニ臨機ノ處
置トシテヤリマシタ施設デゴザイマスカラ不十分デアル、此
不十分デアル施設ニ對シテハ、將來低利資金ノ融通ヲシテ、
成ベク完成ヲ期スルコトニ之ヲ努メル、此法案ニ之ヲ規定シ
ナイノハ、詰リ卸賣市場法デアルカラ、公設市場ニ付テハ
規定シナカッタ、斯ウ云フコトデアッタ、政府ハ此御賣市場ヲ
實施スルニ當ッテ、敷地ハ如何ニスルカ、社會事業調査會ノ
建議ニ依リマスト、無償デ此土地ヲ提供セヨト建議シテアル
ガ、此方ハドウナルカト云フ質問ニ對シテハ、成ペク之ニ努メ
ル十云フ谷辯デゴザイマシタ、ソレカラ最後ニ数野君ヨリ直
截箇明ナル質問應各ガアリマシタガ、是ハ讀ム方ガ便利ト
思ヒマスカラ讀上ゲマス、第一、本法律案ハ中央市場營業
人トシテ問屋ニ付キ規定スルモ、仲買人ニ關シ何等言フ所
ナシ、政府ハ中央市場ノ營業ニ仲買人ヲ必要トセザルヤ、否
ヤ、第一問ノ二、若シ仲買人ノ必要ヲ認ムレバ、仲買人トハ
如何ナルモノヲ意味スルカ、三施行細則ニ於テ問屋竝ニ仲
買人ニ關シ如何ナル規定ヲ爲サントスル意ナルヤ、之ニ對ス
ル政府ノ答ハ、一、六大都市ノ中央市場ニハ仲買人ノ必要
ヲ認ム、而シテ之ニ關スル事項ハ業務規程中ニ規定セシム
ル方針ナリ、二、仲買人トハ主トシテ問屋ト小賣人トノ間ニ
立ッテ取引ノ媒介ヲ爲ス者ヲ言フ、三ハ施行細則中ニハ資
格、保證金、員數、處罰等ニ關スル事項ヲ規定スル積リデア
ル、斯ウ云フ答辯デアリマス、第二問ハ政府ハ中央市場ノ營
業人ニ關スル資格條件ヲ定メ、此條件ヲ具備スル既設市場
營業人-問屋及仲買人-ハ其希望ニ依リ中央市場ノ
營業人タラシムルノ方針ヲ執リ、其職ヲ失フガ如キ者ヲ生ゼ
ザラシムルノ意アリヤ、政府ノ所見如何、答辯ハ成ベク收用
シテ失職者ナカラシムルニ努ムル方針ナリ、第三問、然レドモ
既設市場營業人中、中央市場營業人タルノ資格條件ヲ備
ヘザル者ヲ生ズパシ、政府ハ是等ノ者ニシテ、若シ法人其他
團體ヲ組織シ、其必要トスル資格條件ヲ備ヘ、以テ中央市
場營業人タルコトノ希望ヲ申出デタルトキハ、之ヲ認メテ許
可セラルヽヤ如何、答辯、勿論之ヲ許可スルノ方針ヲ執ルベ
ク、政府ハ中央市場ノ新設ニ依リ既設市場ノ營業人ガ其
職ヲ失フガ如キコトナキヤウ十分注意スベシ、第四問、政府
ハ以上其意ノアル所ヲ事實ニ遺憾ナカラシムル爲メ、中央市
場ノ營業人ノ指定ニ付テハ、既設營業者團體ノ意見ヲ尊
重スルニ努メラルヽ意思アリヤ、答辯、中央市場營業人ノ指
定ニ付テハ、十分既設團體ノ意見ヲ尊重スルニ努ムルヤウ、
地方長官ニモ通牒スベシ、第五問、第六條竝ニ第七條ノ規
定ニ依リ閉鎖ヲ命ゼラレ、其結果補償金ヲ受ケタルモノー
問屋又ハ市場經營者-ハ特別ノ事由アルニアラザレバ
中央市場ノ營業人トナルコトヲ得ザラシムルニアラザレバヽ
不公平ナル結果ヲ生ズベシト信ズ、此點ニ關スル政府ノ所
見如何、答辯、政府モ亦全ク同一意見ナリ、第六問、然レド
モ營業ヲ欲スル者ハ補償金ヲ辭退スルコトニ依リ、中央市
場ノ營業人タルコトヲ得セシムルヤ、此點ニ關スル政府ノ所
見如何、答辯、補償金ヲ受クルコトノ代リニ、中央市場ノ營
業人タランコトヲ欲スル者ニ付テハ、十分其希望ヲ容ルヽ方
針ナリ、斯ウ云フ質問ガアリマシテ、質問全部終了致シマシ
テ、討論ニ移リマシテ、一ノ修正ヲ加ヘ、ソレニ附帶スル希望
條件ヲ附シマシテ、滿場一致ヲ以テ可決致シ】マシタ、ソレハ
卽チ牧野君ヨリ出サレ夕修正案デアリマス、作間君ガ直ニ
贊成サレタノデアリマス、其修正ハ第十九條ニ加ヘタルモノ
デアリマシテ、主務大臣又ハ地方長官必要アリト認ムル時
ハ「官吏又ハ吏員ヲシテ」トアル中ノ「又ハ吏員ノ」四字ヲ削
ル、ソレカラ同第十九條中「卸賣ノ業務ヲ爲ス者ノ業務、帳
簿、財產其他ノ物件」トアル「業務」ノ下ニ「及之ニ關スル」ノ
六字ヲ挿入スルト云フ修正案、隨テ第二十六條ノ「吏員」
ヲ削ル、是ハ修正意見デアリマス、ソレニ對スル希望條件ハ、
一、本法施行後ニ於テ中央卸賣市場類似ノ業務ヲ開始シ
タル者ニ對シテハ第七條ノ規定ヲ適用セザル旨ノ規定ヲ施
行細則中ニ規定スルコト、二、本案或立後其ノ指定區域內
ニ於テ、現ニ中央卸賣市場類似ノ業務ヲ爲ス者ハ、第十條
ノ許可ニ付、他ノ出願者ニ對シ優先的ニ考慮スベキ旨ノ規
定ヲ施行細則中ニ規定スルコト、其二ノ中ノ附タリニ中央
市場設立後、其業務ヲ壓迫セラルヽ者ナキコトヲ努メラレ、
若シ之ヲ生ジタルトキハ政府ハ十分之ガ善後ノ處置ニ考慮
ヲ拂ハレタキコト、第七條ニ依リ政府ヨリ補償金ヲ受ケタル
者ハ、中央市場ノ營業人タルコトヲ得ザラシムルコト、此二
ツノ意見デアリマシタ、第三ニ人口百万以上ヲ有スル都市
ニ在リテハ、中央卸賣市場竝ニ之ガ分場ヲ合セ合計三箇
所以上ヲ設立セシメラルベキコトヲ開設者ニ命ゼラレタキコ
ト、ソレカラ其後ニ作間君ヨリ附加ヘラレマシタル修正ハ、業
務規程ヲ作ラルヽ場合ニ於テ努テ當業者中重ナル者ノ意
見ヲ間キ之ヲ定メラレタキコト、斯ウ云フ希望條件ガ附イテ
居リマス、此修正案竝ニ希望條件ニ付キマシテハ、政府ハ
同意ヲサレマシタ、以上委員會ノ經過結果ヲ御報告申上ゲ
マス、ドウゾ滿場一致可決アランコトヲ希望致シマス(拍手発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=41
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042・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 質疑ノ通告ガアリマス、田川大吉
郞君
〔田川大吉郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=42
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043・田川大吉郎
○田川大吉郞君 只今委員長ノ御報告ヲ伺ヒマシテ、各
條項ニ亙〓テ綿密ナル審査ヲ遂ゲラレタト云フコトヲ伺ヒマ
シタ、ソレヲ疑ヒマスノハ甚ダ失禮ニ亙ル嫌ガアリマスケレドヽ
私ハ委員會ノ審査ガ或ハ粗漏デナカッタカト云フコトヲ疑クテ
居ル者デアリマス、甚ダ失禮ナ言葉ヲ用ヒマスドウゾ御許ヲ願
ヒマス、一ツノ例ヲ擧ゲテ見マセウ、是ハ質問ト申スヨリモ、寧
口修正ノ事項ニ關係致シマスガ、一ツノ例トシテ此事ヲ擧
ゲルコトヲ御許ヲ願ヒマス、修正ノ意見トシテ第十九條ノ
「官吏又ハ吏員」ノ「又ハ吏員」ト云フ四字ヲ削ルコトニ決シ
タト云フ御報告デアリマシタ、是ハ第十九條ニ關シテヾアリ
マス、第二十六條ニ「檢査ノ際當該官吏吏員ノ尋問ニ對シ
答辯ヲ爲サズ若ハ虚僞ノ陳述ヲ爲シタル者ハ千圓以下ノ
罰金ニ處ス」トアリマス、若シ第十九條ニ於テ「官吏又ハ吏
員」ト云フ「吏員」ヲ御削リニナリマシタナラバ、第二十六條
ニ於テモ「官吏吏員」ト云フノ「吏員」ト云フ字ヲ御削リナサ
ルノガ當然デナクテハナラヌヤウニ思ハレル、讀ミヤウガ若シ
私ニ間違ガアリマスレバ御〓授ヲ願ヒマス、普通ノ讀方トシ
テハ前ノ「官吏吏員」ト云フ「吏員」ノ二字ヲ御削リニナリマ
シタ以上ハ、二十六條ニ於キマシテ當然之ヲ削ラルベキ筈
デアルト思フ、然ルニ御削リニナッテ居ナイ、斯樣ナコトデ揚
足取リ見タヤウナコトヲ申出デマシテ相濟ミマセヌガ、若シ
私ノ讀方ガ間違ッテ居リマセヌナラバ、法文ノ統一ヲ保ツ上
カラ、體裁ノ上カラ字句ノ上カラ、此文字ハ私ヨリ修正說ハ
持出シマセヌケレドモ、委員長若クハ其他ノ方ニ於キマシテ、
修正セラルヽノガ當然デアラウト存ジマス、是ハドウ云フ意
味デアルカ、免ニ角私ハ委員會ノ方々ガ熱心周密ニ御〓究
ナサレタト稱セラレルノニモ拘ラズ、前後ノ條文ノ讀合セノ仕
方ガ、幾分粗漏ノ廉ガアッタンデハナカラウカト申スノデアリ
マス、餘談ニ亙リマシタガ、是ヨリ質問ノ事ヲ數項ダケ申上
ゲマス、第六條ニ關シテ舊市場ヲ竝行スル方針デアル、成べ
ク之ヲ存續セシムル方針デアル、新市場ト舊市場ヲ對立セ
シムル方針デアル、斯樣ニ伺ヒマシタ、此場合ニ於キマシテ
ハ、舊市場ヲ取締ル法規ヲドウナサイマスカ、此法規ハ新市
場ヲ取締ラルヽ法規デアル、舊市場ト新市場ト竝ンデ存シ
マス場合ニ於テハ、舊市場ヲ取締ル法規ハドウナサルノデア
ルカ、此法ニ依シテ御取締ニナルカ、若クハ新シイ法ヲ制定ナ
サルカ、ソレカラ今度ハ其實際ニ二ツノ市場ガ竝ンデ存在シ
マスル場合ニ、兩方ノ市場ニ糶賣ヲ御許シニナルカ、又糶賣
ヲ御要求ナサレルカ、此市場ノ荷扱ヒ方ガ糶賣ノ方針デア
ル、現在之ニ類シテ存在シテ居リマスル舊市場ニハ糶賣ノ
行ハレテ居ル所ト、行ハレテ居ナイ所トアリマスガ、其雜賣ヲ
行ヲテ居リマセヌ舊市場ヲ存在セシムル場合ニ於テモ、糶賣
ヲ要求セラルヽカ否ヤ、糶賣ヲ要求セラレル、命令セラレルト
シテ、新舊ノ二ツノ市場ガ竝ビ存在スル場合ニ於テ、標準ノ
價格ノ統一ヲドウシテ保タレルカ、二ツノ市場ニ依シテ價格
ノ標準ガ二ツニ分レル嫌ガアルソレヲドウ云フ風ニ統一セ
ラルヽ御趣意デアルカ、是ガ第六條ニ關スル私ノ質問デアリ
マス、第七條ニ關シマシテハ、御說明ニ依ッテ能ク分リマシタ、
損失ヲ補償スルト云フノハ、營業權ヲモ含ムモノデアルト云
フ御說明デ能ク分リマシタケレドモ、尙ホ御尋シテ置キマス、
其事ハ法律ヲ以テ明ニ規定シテ置ク必要ハアリマセヌカ、補
償スベシト云フ漠然タル文字ヲ用ヒテ、政府ノ當局者ガ其
內容ニハ營業權ヲ含ムモノデアルト議會デ說明致シマシタ
ガ爲ニ、ソレデ十分デアル、此上法律ヲ以テ明ニ之ヲ規定ス
ル必要ハ無イト云フ御趣意デアリマスカ、例ヘバ昨日ノ議場
ニモ上リマシタガ、土地收用法、此土地收用法ノ補償ニ關
スル規定ハ、是ヨリモ此條文ヨリモ、モット明細ニ規定セラレ
テ居ルノデアリマス、ケレドモ實際ニ於テハ疑義ヲ生ジテ居
ル、疑義ヲ生ジタ結果トシテ、昨日現ニ土地收用法ノ改正
案モ政府ヨリ御提出ニナッテ居ル、近來ノ立法ノ方針ハサウ
云フ事ノ仔細ニ規定ヲ設ケル方針ニナッテ居ルヤウニ思ハレ
マスガ、今日此案ヲ新ニ制定セラルヽトキニ、外ノ立法ハサ
ウ云フ風ニ事細カニ規定シツヽアリマス際ニ、此條文ニ於テ
ノミ此簡單ナル、動モスレバ漠然ニ亙ル嫌ヒノアル此文字ヲ
用ヒテ滿足シ、安心セラルヽ理由ハ何處ニ在ルカ、是ガ第
二ノ問デアリマス、第三ハ第八條ニ關係致シマス、是モ御說
明ニ依ッテ稍、分リマシタ、命令ノ定ムル設備ニ要スル費用
ノ三分ノ一以內ノ補助金ヲ交付スルト云フ、其命令ノ要求
スル設備ノ內容ハ鐵道ノ引込線デアルトカ、冷藏庫ノ設備
デアルトカ云フコトノ御說明デ稍〓分リマシタ、併ナガラ此
三分ノ一以內ノ補助金ハ、此議會ガ承認シテ出スノデアリ
マス、御互ハ之ヲ此事業ニ向ッテ補助スル以上ハ、其補助ヲ
受クベキ事業ノ内容ハ明確ニ知ッテ置ク必要ガアリマセウ、
知ラズシテ之ヲ補助スルト云フ譯ニハ行キマスマイ、デスカラ
補助ヲスル以上ハ補助ノ內容ヲ知ッテ置ク必要ガアルト思
ヒマスガ、之ヲ此條文ニ於テ明確ニ規定スル譯ニハイカナイモ
ノデセウカ、私ノ聞イテ居リマス所デハ、設備ノ內容ハ單ニ鐵
道ノ引込線デハナイ、單ニ冷藏庫ノ設備デハナイ、其市場ニ
備ヘラレマス所ノ自動車モ亦設備ノ內容デアルト間イテ居
ル、其處ニ仲買人ガ賣場ヲ設ケルト、其賣場モ亦設備ノ內
容デアルト聞イテ居ル、其處ニ小賣商人ガ待合所ヲ設ケル、
ソレモ亦設備ノ內容デアルト聞イテ居リマス、デスカラ委員
長ノ御報告ニアリマシタ鐵道引込線、若クハ冷藏庫ノ設備
ニ止マラズシテ、ヨリ以上ニ私ガ只今列擧致シマシタヤウナ
數々ノ內容ヲモ含ムモノデアルカ、サウ云フ疑問ガ玆ニ起フテ
來ルノデアル、其疑問ヲ決定シナイデ-其内容ヲ明ニ決定
シナイデ、私共ハ直ニ三分ノ一ノ補助ヲ致ストー云フコトヲ承
認シ去ルノハ-國民ノ納メタル其金納ヲ、直ニ或ル事業家
ニ向ヲテ補助シ去ルト云フコトヲ決定スルノハ、輕卒ノ嫌ガ
アルヤウニ思ヒマスカラ、玆ニ命令ノ定ムル設備ニ要スル費
用ノ三分ノ一ニ向ッテ、私共ハ内容ヲ知ラズシテ之ヲ補助ス
ルト云フヤウナ規定ヲ決議シ去ルニ當ッテ、其内容ニ對シマ
シテ、ドノ程度迄シッカリ政府ノ意見ノ在ル所ヲ御突留ニ
ナリマシタカヲ、繰返シテ御尋致シタイ、第四ハ第十條ニ關
係致シテ居リマス「地方長官ノ許可ヲ受ケタル者ハ中央卸
賣市場ニ於テ卸賣ノ業務ヲ爲スコトヲ得」トアリマス、故ニ
卸賣業者ハ地方長官ノ許可ヲ受ケナケレバナラヌ、中央卸
賣市場ハ公共團體ガ開設スルノデアリマスガ、其公共〓
體ハ何ガ故ニ其卸賣市場ニ於テ卸賣營業ヲ營ム者ヲ許否
スル權利ヲ持タナイノデアリマスカ、此權利ガ何故ニ限定的
ニ地方長官ニ委ネラレテ居ルノデアリマスカ、私ハ公共團體
ガ其開設者トシテ、其市場ニ於テ"卸賣營業ヲ營ム者ニ向〃
テ之ヲ許シ、或ハ之ヲ否認スルノ權利ガアルベキ筈ノモノト
思フノデアリマス、其點ニ付テ委員會ノ御審査ノ經過ハ如何
デアッタカ伺ヒタイノデアリマス、次ニ第十九條ニ於テモ先ニ
中シマシタヤウニ「「員員」ト云フ字ヲ御削リニナリマシタ、第
十六條ヲ讀ミマスト、市場ノ開設者ハ其市場ニ於テ、卸賣
ノ業務ヲ爲シテ居ル者ニ對シテ其業務ヲ停止スル、若クハ
千圓以下ノ過怠金ヲ課スル、又ハ賣買ニ參加スル者ノ入場
ヲ停止スルコトガ出來ルトナッテ居リマス、開設者ハ是ダケノ
權利ヲ持ッテ居ル、其開設者ハ公共〓體デアル言換ヘレバ
市役所ノ如キモノデアル、然ルニ其市役所ノ吏員ガ、政府ノ
官吏ハ卸賣業者ノ帳簿ヲ點檢シ得ル『権利ヲ有シテ居ルケ
レドモ、開設者トシテ中央卸賣市場ニ全責任ヲ持ッテ居ル
市役所ノ當該吏員ハ、帳簿ヲ點檢スルノ權利ヲ有シテ居ラ
ナイ、政府ノ官吏ダケガ之ヲ有シテ市役所ノ吏員ガ之ヲ有
シナイ、斯樣ニ吏員ノ文字ヲ削リ去ッテ、開設者ノ當然持ッテ
居ルベキ催利ヲ制限セラルヽ理由ハ何處ニアルカ、委員會
ノ御審査ノ經過ヲ伺ヒタイ、ソレカラ第六ニ-第六ハ第二
十七條ニ關係致シテ居リマス、二十七條ニ於テハ市場ヲ開
設致シマス法人ノ役員、是ハ公共〓體デハナイ卜思ヒマス、
公益法人デアルト思フ、此法案ハ公共團體ト公益法人ト
ヲ始終區別シテ文字ヲ立テラレテ居リマスルカラ、此場合法
人ノ役員ト申スノハ是ハ公益法人ノ役員デアルト思ヒマス、
其役員ガ職務ニ對シテ惡イ事ヲシタ、間違ッタ事ヲシタ、或
ハ賄賂ヲ受ケタ、サウ云フ場合ニ於テハ一年以下ノ懲役又
ハ三千圓以下ノ罰金ニ處スルトシテアリマス、因テ不正ノ行
爲ヲ爲シ、又ハ正當ノ行爲ヲ爲サミルトキハ三年以下ノ懲
役又ハ五千圓以下ノ罰金ニ處スルトシテアリマス、是ハ必
要ナ規定デアリマセウケレドモ、中ミ重イ規定デアリマス、公
益法人ノ役員ハ、此條文ニ依ッテ制裁ヲセラレル、サウシテ公
共團體ノ役員ハ條文ニ依シテ制裁ヲセラレナイ、公共團體
ノ役員、公共〓體ノ吏員、此市場ニ關係ノアリマスル吏員
ガ、萬一此規定ニアルヤウナル罪ヲ犯シタ、間違ッタ事ヲ致シ
タト云フトキニハ、他ノ法律ニ依クテ制裁ヲセラルヽノデアリ
マスガ、其制裁ト此制裁ト權衡ヲ得テ居リマスルカ、ソレヲ
御專スル、其權衡ニ付テ慎重ナ考慮ヲ費サレタデアラウカ否
ヤ、此事ヲ委員會ノ御審査ノ際ニドウ云フ御協議デアッタラ
ウカト云フコトヲ伺ヒタイノデアリマス、初ニ申シマシタ通リ、
粗漏デハナカッタカト云フヤウナル失禮ナ語ヲ用ヒテ相済ミ
マセヌガ、ドウゾ第一ヨリ第六ニ至ル是等ノ點ニ付テ、御迷
感ナガラ重ネテ御說明下サレンコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=43
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044・富安保太郎
○富安保太郞君 本席ヨリ此答ヲ致スコトヲ御許ヲ願ヒマ
ス-第一ノ御質問ノ一一十六條ニ吏員ト云フ文字ヲ削ッテ、
居ラヌヂヤナイカト云フコトハ、御報告申シタ積リデアリマシ
タガ、落シテ居リマシタナラバ失禮致シマタ、御手許ニアリマ
ス報告書ニ書イテアリマス、是デ御承知ヲ願ヒマス、ソレカラ
市場法ノ第六條ニ付テ、從來ノ市場ノ取締ハドウスルカト
云フ御質問デアリマスガ、ソレハ是ハ直接施行スルト云フノ
デハアリマセズ、暫ク餘地ガゴザイマス、其間ニ市場法デモ政
府ガ制定サレル、其方デ規定サレルコトデアラウト思ヒマス、
ソレハ政府ノ方デ御定メニナルガ便利デアルト思ヒマスカ
ラ、ソレニ譲ルコトニ致シマス、雜賣ノコトハ是モ舊市場ニ於
テハ相對賣買ガ盛ニ行ハレテ居ルサウデゴザイマスカラ、何
レ政府ニ於テ其規定ハ新ニ市場法ヲ作ラレルコトヽ思ヒマ
ス、サウ御承知ヲ願ヒタイ、ソレカラ第七條ニ關スル土地收
用等ノコトハ、矢張收用法ニ依ルベキモノト信ズルノデゴザイ
マス、サウ云フ政府ノ御答辯ガアッタヤウニ記憾致シテ居リ
マス、此八條ニ付テ補助ノコト、是ハ田川君ノ申サレル通リ
引込線ヤラ-電車ノ引込線モアル「クレーン」モアルカモ知
レヌ、自動車ハ固ヨリノコト、サウ云フコトハ政府デ申サレテ居
リマシタガ、私ハ一々例證スルノヲ煩ト考ヘマシテ「等」ト云
フ字ヲ用ヒテ報告ヲ致シタ積リデゴザイマス、之ヲ此法文ニ
明ニ規定シテ置ク方ガ便利デアルヤ否ヤト云フ點ニ付テハ、
ソレハ何レ政府委員ノ答辯ヲ待ツ方ガ便宜ダラウト思ヒマ
ス、委員會ハ〓括シテンレヲ是ナリト認メタ次第デゴザイマ
ス、第十九條ノ吏員ト云フ字ヲ削リマシタコトハ、ソレハ甚
ダ煩ニ過ギルト云フ色〓意見ガゴザイマシテ削ッタ次第デア
リマス、サウ御承知ヲ願ヒマス、第二十七條ノ罰則ハ成程之
ハ講論ガゴザイマシタ、政府ノ答辯ニ依リマスト、取引所法
ニ準ジテ此罰則ヲ定メタ、委員ハソレハ甚ダ刑法トノ權衡
ガ取レナイト頻ニ議論ガゴザイマシタガ、熟議ノ結果、矢張
此方ヲ是認スルト云フコトニナリマシタ、其他ハ刑法ヲ以テ
之ヲ律スルト云フコトニナッテ居リマス、左樣御承知ヲ願ヒ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=44
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045・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 岡本農商務次官
〔政府委員岡本英太郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=45
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046・岡本英太郎
○政府委員(岡本英太郞君) 只今田川君ノ御質問ノ中、
特別委員長ヨリ御答辯ニナリマシタ以外ノ事ニ付キマシテ
御答辯ヲ申上ゲマス、第一ノ御質問ハ本案ハ新シキ市場
ニ對シテノミ取締規定ヲ設ケテ居ルガ、新舊市場ノ併立シ
タ場合ニ、舊市場ノ取締ハ如何ニスルカト云フコトデアッタト
存ジマス、是ハ政府ハ初ニ大臣ヨリ申述ベマシタ如クニ、竝
立主義ヲ取リマシテ、本案ハ固ヨリ新市場ニ對シテノミノ一
般ノ規定デゴザイマスノデアリマス、舊市場ニ對シマシテハ
府縣令、及東京ニアリマシテハ警視廳令等ニ其取締ヲ許ス
ノデゴザイマス、ソレカラ第二ニ矢張新舊市場ガ竝立シタ場
合ニ、本案ノ市場ハ糶賣ヲ原則トシテヤルガ、舊市場ニ對シ
テハ相對賣買ヲシテ居ルモノモアルシ、羅賣ヲヤッテ居ルノモ
アル、之ヲ統一スル積リカト云フ御質問デアッタヤウニ存ジマ
ス、是ハ從來ノ通リ相對賣買ヲヤッテ居リマスモノハ、ソレニ
任セテ置ク積リデアリマス、本案ニ依シテ設立致シマシタ新
市場ニ對シテハ、原則ト致シテ糶賣ヲヤラス積リデアリマス、
ソレカラ第八條ノ設備ノ事ハ、特別委員長ヨリ大體御答辯
ニナリマシタガ、政府ノ大體考ヘテ居リマスノハ、新市場ノ
特別トモ申スベキ設備ニ對シテ補助ヲ致シタイ考デゴザイ
マシテ、其廉ヲ擧ゲマスト、餘程多クナルノデアリマス、是ハ一
般ノ規定一般ノ法律ノ例ニ做ヒマシテ、命令ニ依ッテ詳細ヲ
規定シタ方ガ宜カラウト考ヘマシテ、サウ致シタノデゴザイマ
ス、若モ其多數ニ亙ルモノヲ申述ベヨト云フコトデゴザイマ
シタラバ、申述ベテモ宜シウゴザイマスガ、是ハ命令二讓ッテ
置キタイト存ジマス、ソレカラ第十條ノ中央卸賣市場ニ於テ
御賣ノ業務ヲ爲スコトヲ得ル者ハ、地方長官ノ許可ヲ得ル
コトニナッテ居ルガ、何ガ故ニ開設者タル市ニ業務ヲ爲サシメ
ル、詰リ認可ヲ與ヘル權能ヲ與ヘナイカト云フヤウナ御質問
デアッタヤウデアリマス、是ハ先ヅ營業免許ハ地方長官ヲシテ
ヤラシメルト云フ主義ヲ執リマシテ、此法律ニハ現レテ居リ
マセヌケレドモ、必ズ開設者ヲ經由シテ」地方長官ニ願出ル
ヤウニ致シタイ積リデゴザイマス、是ハ命令ヲ以テ規定致シ
タイト考ヘタノデゴザイマス、ソレカラ二十七條ノ件モ一應
ハ特別委員長ヨリ御答ガゴザイマシタガ、市ノ吏員ニ對シテ
ハ御承知ノ如クニ、刑法ノ公務員ノ規定ガ適用サレマスカ
ラ、其方ニ譲ンタノデアリマスガ、市ノ吏員トシテハ一般ノ法
人ノ役員ヨリハ、玆ニ第一條ニ於キマスル法人ノ役員ヨリハ
責任ガ重イノデアリマス、二十七條ノ法人ノ役員ニ關スルモ
ノヨリハ重クナッテ居リマス、併ナガラ本案ハ取引所ノ制裁ト
同樣ノ規定ヲ設クルガ至當ナリト考ヘマシテ、ンレニ依フテ規
定ヲ設ケタ次第デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=46
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047・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 本案ニ對シテハ別ニ討論ノ通告モ
アリマセヌ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=47
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048・田川大吉郎
○田川大吉郞君 私ハ再調査ノ動議ヲ起シタイト思ヒマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=48
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049・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 田川大吉郞君
〔田川大吉郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=49
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050・田川大吉郎
○田川大吉郞君 諸君、再々此壇ヲ汚シマシテ甚ダ恐縮
デゴザイマスガ、問題ハ極メテ重大ナル案件ト存ジマス、委員
長モ社會政策的ノ立法トシテ大切ナル案件デアルト仰セニ
ナリマシタ、其御趣意ニ全ク同感デアリマス、ンレダケ私モ及
パズナガラ相當ノ思慮ヲ此立法ノ計畫ニ加ヘテ置キタイト
思フノデアリマス、問題ノ要點ハ、此中央仰賣市場ノ設立ニ
依シテ消費者ニ幾何ノ利益ヲ與へ得ルカト云フ第ニ在リマ
セウ、若シ此設立ニ依ッテ消費者ニ利益ヲ與ヘルコトガ出來
ズニ、却テ市價ヲ騰貴セシメル結果ニ終リマスナラバ、中央
御賣市場ノ設立ハ無用デアルト』云フコトニナル、中央卸賣
市場ノ設立ヲ有效ナラシムル爲ニハ、設立ノ結果トシテ消
費者ガ其市場ノ扱ヒマスル食料品ニ付テ、今迄ヨリモ低廉
ナル價格ニ依シテ之ヲ需要スルコトガ出來ルト云フ結果ニナ
ラナケレバナラヌ、然ルニ本案ノ如キ計畫ヲ以テ方針ヲ以テ、
消費者ノ利益ヲ增進スルコトガ出來ルト確實ニ保證セラレ
得ルヤ否ヤ、此點ニ私ハ疑問ヲ懷ク者デアリマス、議論ガ抽
象的ニ亙ルト云フコトヲ避ケマス爲ニ、成ベク事實若クハ事
實ニ近キモノヲ材料トシテ御話致スコトヲ許シテ下サイ、私ノ
間イテ居リマス所デハ、北法案ノ成立ノ結果トシテ、東京市
ニモ中央卸賣市場ヲ設立セラルヽ運ビニ至ルデアリマセウ、
東京市ハ現ニ其計畫ヲ有シテハ居リマセヌ、併シ此立法ノ
目的ハ東京市ヲシテ此法律ノ規定ニ適フ如キ中央卸賣市
場ヲ設立セシメタイト云フノデアリマス、束京市ガ此法案ノ
計畫ニ基イテ設備スベク期待セラレテ居リマス所ノ卸賣市
場ノ面積ハ、約三万五千坪デアルト聞イテ居リマス、此市場
ニ日本橋ノ魚市場ヲ移スモノトシテ、ソレニ要スル廣サハ約
一万五千坪デアル、其一万五千坪ノ魚市場ノ中ニ、實際ニ
賣場トシテ豫定セラルヽ所ノモノガ凡ゾ三千坪デアル、三千
坪ノ建物ヲ要スル計畫デアルト聞イテ居リマス、此計畫ニ對
シテ政府ハ約二千万圓ノ低利資金ヲ供給セラルヽ方針ダ
ト是モ人傳ニ聞イテ居ルノデアリマスガ、此二千万圓ハ土地
ヲ買入レ建物ヲ建造スル、其大體ノ費用デアリマセウ、壓
三分ノ一以内ノ補助金ヲ或ル設備ニ對シテ補助スルト、第
八條ニ規定セラレテ居リマスル內容ハ、其市場ノ中ノ特別
ノ設備ニ屬スル委員長ノ御說明ノ引込線トカ、冷藏庫ト
カ、自動車トカ云フ設備ニ屬スル、ソレニ對シテ三分ノ一ノ
補助ヲ與ヘラレル、東京市ニ對シテハ二百四十万圓ノ中ノ
約百万圓前後デアラウト云フコトヲ聞イテ居リマス、サウト
スレバ、東京市ガ此特別ノ設備ニ費シマス費用ハ約三百万
圓前後ニナル、建設ノ爲ニ二千万圓ヲ要シテ、特別ノ設備
ノ爲ニ三百万圓ヲ要スル、第七條ニ於テ舊來ノ卸賣業務
者ニ損失ヲ補償シナケレバナラヌ、此費用ガ幾何ニ上リマス
カ分リマセヌケレドモ、営業權ヲ含メテ補償セラルヽトスレバ、
此費用ハ極テ莫大ナル高ニ上ルモノト豫想セザルヲ得マセ
ヌ、是ハ幾何ニ上ルカ分リマセヌガ、此場合ニ假ニ凡ソソレガ
七百万圓ニ上ルデアラウト豫想致シマシテモ、決シテ過大デ
ハナイ、モット多カラウト實際ノ關係者ハ豫想致シテ居ルノ
デアリマス、ソコデ此三口ノ費用ヲ合算致シマスレバ、ザット
三千万圓ニナル、低利資金ト申シマシテモ是ハ五分ノ利ト
永ッテ居リマスガ、二千万圓ノ融通ニ對シテ一年約百万圓
ノ利子ヲ拂ハナケレバナラヌ、殘リ一千万圓ハ東京市ナリ、
大阪市ナリハ之ヲ公債ニ依ル事デアリマセウガ、サウスルト
五分デハ足リマセヌ、八分ノ利子ヲ拂ハナケレバナラヌ、斯
様ニ致シマスト利子ダケデモ百二三十万圓ヲ拂ハナケレバ
ナラヌ、其現金ヲ償却スルト、ドウシテモ此三千万圓ノ事業
ニ對シマシテハ、百四五十万圓ノ元利償却金ヲ年々準備シ
テ掛ラナケレバナラヌノデアリマス、此百四五十万圓ハ誰ガ
負擔スルノデアリマスカ、此百四五十万圓ハ直ニ此市場ニ
於テ取扱ハルヽ所ノ材料ニ掛ケラレル、結果ニナル、サウナリ
行キマスコトハ現在ノ習慣ニ於テ取引セラレテ居リマス物
價ニ對シマシテ、ンレダケノ價ヲ附加ヘラレル結果ニナルト
云フコトニ終ルノデアルト思ヒマス、ソコニ斯樣ニ成行カシメ
ナイ有力ナル方法ガアルトスレバ、御〓ヘヲ受ケタイノデアリ
マスガ、私ノ觀察致シマス所ニ於テハ、此市場ニ三千万圓ノ
費用ヲ掛ケマス以上ハ、ドウシテモ其元利ニ對スル費用ハ消
費者ニ於テ分擔シナケレバナラヌ、ンコニ取扱ハルヽ物品ニ
課セラレナケレバナラナイト思フノデアリマス、是ハ一例デア
リマス、ノミナラズ私ハモウ少シ進ンデ話スコトヲ許シテ戴キ
タイ、コヽデ東京市ノ中央市場ニ三万五千坪ノ廣サノ敷地
ヲ要スルト假定セラレテアルサウデアリマスガ、斯ノ如キ廣大
ナル敷地ヲ有シテ居ル市場ハ、今日ノ世界ニハ少イノデアリ
マス、能ク伯林ノ中央市場ノ例ヲ御引ニナリマスガ、伯林ノ
中央市場ハ其廣サハ一一千坪ニ過ギナイ、倫敦ノ「ビリングス
ゲート」ノ魚市場ハ年々取扱シテ居リマス魚ノ數量ニ於テハ、
現ニ日本橋ノ魚市場デ取扱シテ居リマス數量ヨリモ多イノ
デアリマス、「ビリングスゲート」ハ年々〓算二十万噸以上ノ
荷ヲ扱ッテ居リマス、日本橋ノ魚市場ハ年々十八万噸前後
ノ魚荷ヲ扱ッテ居リマス、其「ビリングスゲート」ノ魚市場ノ廣
サハ農商務省ノ報告ニ依レバ七百五十坪トナッテ居ル、私ハ
之ヲ千七十坪ト計算致シテ居リマス、假ニ私ノ計算ノヤ
ウニ致シマシタ所ガ千坪、農商務省ノ報告ニ依リマスレバ七
百五十坪デス、ソレダケノ廣サニ於テ、一年二十万噸ノ荷ヲ
扱フコトガ出來テ居ル、習慣ハ違ヒマセウケケレドモ、私共ガ
若シ新シイ方法ヲ設ケテ整理ヲ圖リマスナラバ、茲ニ假定セ
ラレテ居リマスヤウナ廣サ一万五千坪ノ敷地ニ、大ナル三
千坪以上ノ建物ヲ要セズシテ之ヲ扱フコトガ出來ル筈デア
ル、ソレモ收支ノ勘定ガ出會ヒサヘシマスレバ、ドンナ廣イ數
地ヲ造ラレ、建物ヲ建テラレテモ、勿論異存ハ無イケレドモ、
收支ガ償フカ否ヤ、サウ云フ風ナ贅澤ナ派手ヤカナ御方針
デ御掛リニナリマスレバ、其結果ハドウナルデアラウカト云フ
コトヲ案ゼザルヲ得ナイノデアリマス、伯林ノ中央市場、其
市場ハ收支ハ償ッテ居ルト御考カモ知レマセヌケレドモ、戰
爭以前ノ報告ニ依リマスレバ、收支ハ償ッテ居リマセヌデシ
タ、收支ヲ强イテ償ハシメマス爲ニ、市場ヲ倉庫トシテ貸渡
シタ、一般ノ事務所トシテ貸渡シタ、左樣ナ事ヲシテ而モ其
事務所ノ費用ヲ引上ゲテ、漸クニシテ收支ヲ當ラシメタ事
ニナッテ居リマス、ンレデ敷地ノ廣サハ幾ラデアッタカト云ヘバ
二千坪、其市場ノ建造ニ費シタ費用ハ約五百万圓-三
千坪ノ廣サニ亙フテ五百万圓ノ資金ヲ投ジテ計畫ヲ立テタ
モノニ對シテ、伯林ガ戰前ノ彼ノ盛ナル景氣ヲ持ッテ居テ收
支ガ殆ド債ハナカッタ、右樣ナ經過ニナッテ居リマス際ニ、此案
ニ計畫サレタヤウナ大キナ計畫、盛ナル計畫、派手ヤカナル
計畫ニ於テ、果シテ敗支ヲ纏メルコトガ出來ルカト云フノガ
問題ニナルノデアリマス(「簡單ニ願ヒマス」、謹聽」ト呼フ者
アリ)又政府カラ-農商務省カラ御配リニナッテ居ル書類
ノ中ニハ、紐育ノ「プロンクス」ノ市場ノ例ガアリマス「ブロン
クス」ノ市場ノ例ハ私モ典味ヲ以テ注意致シテ居リマス、是
ハ戰前千九百十二年ノ設計デアリマス、其十一一年ノ設計デ
今ニ至ルマデ實行セラレテ居ナイ計畫デアル、勿論昨年ノ春
ニ於テ再ビ之ヲ設立シナケレバナラヌト云フ或ル人ミノ意
見ハ發表セラレマシタ、併ナガラ未ダ設立セラレルマデノ運
ビニハ至ッテ居リマセヌノミナラズ、其千九百十二年ニ紐育
市ニ於テハ別ニ中央市場ヲ「ブロンクス」デハナイ「マンハッタ
ン」區ニ設ケヤウト計畫シタノデアリマス、ケレドモ其際ニ擧
ゲラレマシタル他ノ委員、紐育ニ參リマス食料品ノ價格ヲ調
査致シマス特別委員會ハ、〓究ノ上ニ斯ノ如キ中央市場ハ
引合ハナイ、故ニ建設スルヲ必要トシナイト云フ結論ニ達シ
タノデアリマス、シコデ紐有ノ中央市場ノ計畫ハ-千九百
十二年ニ委員ヲ擧ゲテ調査セシメラレタル中央市場ノ計畫
ハ、一方ニ於テハ、其計畫ノ大體ノ規模ガ出來上ッテ居タニ
拘ラズ-私ハ現ニ其設計ヲ見タイノデアリマス、其設計ハ
出來上ッテ居クタニ拘ラズ、一ウノ市場ニ約千万弗乃至千二
百万弗ノ經費ヲ要セラレルモノトシテ、斯ノ如キ莫大ナル費
用ヲ要スル計畫ハ、市價ヲ低廉ナラシムル根本ノ目的ニ背
反スルモノデアルトシテ否決セラルヽニ至リマシタ、「ブロンク
ス」ハ御承知ノ通リ紐育ノ中ノ一ツノ區デアッテ、吾々ガ通
常経有ト申シマスノハ「マンハツタン」デアリマスカラ「プロン
クス」ハ其「マンハツタン」ト川ヲ隔テヽ隣ニ接シテ居ル所ノ
一ツノ區ニ過ギマセヌ、其區マ約六十万ノ人口ガアッテ其處
ニマダ一箇ノ整然タル市場ヲ有シテ居ナイト云フ所カラ、此
計畫ヲ今日ニ至ルマデ繼續シテ、ドウカ之ヲ設置セシメタイ
ト、有志ノ人〓ガ盡力ヲシテ居ルノデアル、故ニ「ブロンクス」
ノ市場ノ例ハ、今日此所ニ提案セラレタヤウナ法案ノ中央
御賣市場ノ適例トハナラナイノデアリマス、サウシテ彼等ハ
常ニ如何ニシテ物價ヲ低廉ナラシムルカト云フコトニ注意ヲ
致シマシテ、今日ノ大規模ノ中央市場ヲ造リマスコトハ、ド
ウシテモ其目的ニ副フコトガ出來ナイト云フ風ニ躊躇ヲ致
シテ居ル、紐育ニ於テハ躊躇致シマスノミナラズ、亞米利加
到ル處ニ於テ、此問題ニハ躊躇致シテ居ル、歐羅巴ニ於テ
ハ中央市場ヲ或ハ巴里ニ於テ、或ハ倫敦ニ於テ設立シテ居
ルコトハ勿論デアリマス、併ナガラ其設置ノ結果、收支ガ償ッ
テ居ルカ、相當ニ市民ニ利益ヲ與ヘテ居ルカト云フコトニ付
テハ、尙ホ問題ガ存シテ居ル、斯樣ナ時デアリマス、中央卸賣
市場ヲ設ケントセラレル趣旨ニハ私ハ賛成スル者デアル、私
モドウカシテ斯ノ如キモノヲ造ラルレバ宜イト田心ヶテ居リマス
ケレドモ、之ヲ造リマスルノニハ餘程地味ナ考ヲ要スル、眞面
目ナ考ヲ要スル、堅實ナ計畫ヲ要スル、大雜駁ナ上調子ノ、
二階カラ目藥ヲ注スヤウナ計畫デハ、到底此目的ヲ達スル
コトハ出來ナイ、今政府ハ東京市ニ二千万圓ヲ融通シテモ
宜イト思ッテ居ラレルケレドモ、東京市自身ハ之ヲ迎ヘテ、是
ガ設立ヲ圖ル所ノ計畫ハナイ、斯ノ如キ計畫ハ極テ架空ノ計
畫デアリマス、斯ノ如キ架空ノ計畫ニ依ッテ社會政策ノ目
的ヲ達シ、物價ヲ低廉ナラシムル目的ヲ達スル作用ヲ遂ゲ
ントスルコトハ、ドウモ私ハ適切デハナイ、矢張失禮ナ言葉
デアリマスガ、二階カラ目藥卜云フヤウナ感ジヲ起サヾルヲ得
ナイノデアリマス(拍手)ソコデ趣意ニハ贊成シマスガ、調査
ノ內容ニ多少ノ不安ヲ感ジマスノト、此委員會ノ委員諸君
ニ對シテハ御氣ノ毒デアリマスケレドモ、再調査ヲシテ貰ヒ
タイ、單リ委員ニ向シテ再調査ヲ促スノミナラズ、政府ニ向ツ
テ再調査ヲ促シタイ、根本ハ如何ニシテ物價ヲ低廉ナラシ
ムルカニ在ル、物價ヲ低廉ナラシムルノ方法如何、是ハ農商
務ニ於テ-政府ニ於テ御研究ニナッテ居ルノデアリマセウ
ケレドモ、私共ガ-「私ノヤウナ淺學ナ者ガ、歐米ノ既ニ取
調ベマシタ實績ヲ幾ラカ見タリ聞イタリシテ居ルノニ照シマ
シテ、日本ノ政府ノ調査ハ失禮ナガラ尙ホ淺薄デハナイカト
思フ、徹底シテ居ナイノデハナイカト思フ、此計畫ニ必要ナル
細心ノ注意、愼密ナル計算ヲ缺イテ居ラレルノデハナイカト
思フ、仍テ失禮デハアリマスケレドモ、再審査ノ動議ヲ提出
シテ諸君ノ御考慮ヲ煩スノデアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=50
-
051・岩崎勲
○岩崎勳君 吾々ハ委員會ノ審査ニハ滿幅ノ敬意ト信
賴ヲ拂フ者デアリマス、ンレ故ニ只今ノ再審査ノ動議二八反
對致シマス
[「賛成」「採決」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=51
-
052・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 一寸念ノ爲ニ田川君ニ伺ッテ置キ
マス、アナタノハ新ニ委員ヲ拵ヘルト云フ意味デハナイデセ
ウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=52
-
053・田川大吉郎
○田川大吉郎君 ソレハドチラデモ宜シイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=53
-
054・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 其處ガ明カデアリマセヌト、採決ニ
甚ダ差支へマスガ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=54
-
055・田川大吉郎
○田川大吉郞君 私ハ寧ロ從來ノ委員ニ再度ノ御面倒
ヲ願ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=55
-
056・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 田川君ノ動議ニハ定規ノ賛成ガ
アルト認メマス、此問題ガ先決問題デアリマスカラ直ニ採決
致シマス、田川君ノ委員ヲシテ再審査セシムルト云フ、此動
議ニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
〔賛成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=56
-
057・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 少數デアリマス、否決サレマシタ、本
案ノ第二詰會ヲ開クヤ否ヤヲ御諮リ致シマス、第二讀會ヲ
開クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=57
-
058・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマス、仍テ第二
讀會ヲ開クニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=58
-
059・岩崎勲
○岩崎動君 直ニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、第三讀會ヲ省
略シテ委員長報告ノ通リ、可決確定セラレンコトヲ望ミマ
ス
〔「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=59
-
060・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 岩崎君ノ動議ニハ御異議ナイト認
メマス、仍テ直ニ第二讀會ヲ開キ、議案全部ヲ議題ト致シ
マス
中央卸賣市場法案第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=60
-
061・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 別ニ御異議ノ通告ガアリマセヌカ
ラ本案ノ第二讀會ヲ開キ、第三讀會ヲ省略シテ第二讀會
委員長報告ノ通リ可決確定サレマシタ(拍手)次ハ日程第
六、產業組合中央金庫法案第一讀會ノ續ヲ開キマス、先ヅ
委員長ノ報告ヲ求メマス-委員長武藤金吉君
第六產業組合中央金庫法案(床次竹二
郞君外十一名提出)
第一讀會ノ續(報告(電話本)
報告書
一產業組合中央金庫法案(床次竹二郞君外十一名提
也
右ハ本院ニ於テ別紙ノ通修正スヘキモノト議決致候此
段及報告候也
大正十二年三月二日
產業組合中央金庫法案委員長
武藤金吉
衆議院議長粕谷義三殿
(小字及-ハ委員會修正)
產業組合中央金庫法
第一章總則
第一條產業組合中央金庫ハ法人トシ其ノ主タル事
務所ヲ東京市ニ置ク
ス
產業組合中央金庫ノ組織ハ有限責任トシ產業組合
聯合會及產業組合ヲ以テ之ヲ組織ス
第二條產業組合中央金庫ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ
從タル事務所ヲ設置スルコトヲ得
主務大臣ニ於テ從タル事務所ヲ必要ナリトスルトキハ
產業組合中央金庫ニ命シテ之ヲ設置セシムルコトヲ
得
產業組合聯合會ハ產業組合中央金庫ノ業務ヲ代理
スルコトヲ得
第三條產業組合中央全庫ノ存立期問ハ設立免許
육
〓ノ日ヨリ五十箇年トス但シ政府ノ認可ヲ經テ存立
期間ヲ延長スルコトヲ得
第四條產業組合中央金庫ノ資本金ハ三千萬圓トシ
之ヲ三十萬口ニ分ヲ一口ノ金額ヲ百圓トス
產業組合中央金庫ハ資本金全額ノ拂込前ト雖出資
者總會ノ決議ニ依リ政府ノ認可ヲ經テ資本金ヲ增
加スルコトヲ得
第五條政府、產業組合聯合會又ハ產業組合ノ外產
業組合中央金庫ノ出資者タルコトヲ得ス
及
產業組合聯合會竝產業組合ノ有スヘキ出資口數ハ
二百口ヲ超ユルコトヲ得ス
第六條政府ハ千五百萬圓ヲ限リ產業組合中央金庫
ニ出資スヘシ政府ハ其ノ出資額ニ對シ設立當初ニ於
テ五百萬圓ヲ拂込ミ爾後每年五百萬圓宛拂込ムモ
ノトス政府以外ノ出資者ハ其ノ出資ニ對シ設立當初
ニ於テ出資額ノ五分ノ一ヲ拂込ミ爾後十箇年間ニ
其ノ殘餘ヲ拂込ムモノトス
政府ノ產業組合中央金庫ニ對シテ所有スヘキ持分ニ
關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
產業組合法中產業組合
第七條商法中株式會社ニ關スル規定ハ本法ニ別段
ノ規定アルモノヲ除クノ外產業組合中央金庫ニ付之
ヲ準用ス
第八條產業組合中央金庫ニハ所得稅及營業稅ヲ課
セス
登錄稅法及印紙稅法中產業組合聯合會ニ關スル規定ハ產業
組合中央金庫ニ付之ヲ準用ス
第二章役員
第九條產業組合中央金庫ニ理事長、副理事長各一
人理事監事各三人以上ヲ置ク
第十條理事長ハ產業組合中央金庫ヲ代表シテ其ノ
事務ヲ總理ス
副理事長ハ理事長事故アルトキ其ノ職務ヲ代理シ理
事長缺員ノトキ其ノ職務ヲ行フ
副理事長及理事ハ理事長ヲ補助シ定款ノ定ムル所ニ
從ヒ產業組合中央金庫ノ業務ヲ掌理ス
監事ハ產業組合中央金庫ノ業務ヲ監査ス
第十一條理事長、副理事長、理事及監事ハ主務大臣
之ヲ任命ス
理事長、副理事長及理事ノ任期ハ五箇年監事ノ任
期ハ三箇年トス但シ其ノ任期滿限ノ後再任ヲ命スル
コトヲ得
第十二條產業組合中央金庫ニ評議員二十名以內
ヲ置キ主務大臣之ヲ任命ス但シ其ノ半數以上ハ產業
組合關係者中ヨリ之ヲ選任スルコトヲ要ス
評議員ハ名譽職トシ定款ノ定ムル所ニ依リ業務經營
ニ關スル重要ナル事項ニ就キ理事長ノ諮問ニ應スル
モノトス
評議員ノ任期ハ三箇年トス
第三章業務
第十三條產業組合中央金庫ハ左ノ業務ヲ營ムモノ
トス
-所屬產業組合聯合會又ハ所屬產業組合ニ對シ
擔保ヲ徵セスシテ五箇年以內ノ定期償還貸付ヲ爲
スコト
二所屬產業組合聯合會又ハ所屬產業組合ニ對シ
手形ノ割引又ハ當座預金貸越ヲ爲スコト
三所屬產業組合聯合會又ハ所屬產業組合ノ爲ニ
爲替業務ヲ爲スコト
其ノ他
四產業組合聯合會、產業組合、公共〓體又ハ營
利ヲ目的トセサル法人ヨリ預リ金ヲ爲スコト
第十四條產業組合中央金庫ハ必要アリト認メタル場
合ニ於テハ擔保ヲ徵シテ前條第一號及第二號ノ業務
ヲ爲スコトヲ得
第十五條產業組合中央金庫ハ定期預リ金ヲ爲スコ
トヲ得
五
第十六條產業組合中央金庫ハ左ノ方法ニ依ルノ外
預リ金又ハ業務上ノ餘裕金ヲ運用スルコトヲ得ス
一預リ金ノ四分ノ一以上ハ國債又ハ公債ノ買入、
大藏省預金部若ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケタル銀
行ヘノ預金又ハ郵便預金ト爲スコト
公共〓體
二公共〓體、產業組合聯合會、產業組合〇其ノ他
營利ヲ目的トセサル法人ニ對シ短期貸付ヲ爲スコ
ト
三國債又ハ公債若ハ生產物ヲ擔保トスル三箇月
以内ノ短期貸付又ハ手形ノ割引ヲ爲スコト
六
第十七條無擔保ニテ借入ヲ爲シタル府縣郡市町村
其ノ他法律ニ依リ組織セル公共〓體ニ於テ元利金ノ
拂込期日ヲ過キ之ヲ拂込マサルトキ又ハ期限前ノ償
還請求ニ對シ其ノ拂込ヲ爲ササルトキハ產業組合中
央金庫ハ監督官廳ニ其ノ處分ヲ請求スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ產業組合中央金庫ハ府縣ニ對シ
テハ內務大臣ニ郡市町村其ノ他法律ニ依リ組織セル
公共團體ニ對シテハ第一次監督官廳ニ其ノ請求ヲ
爲スヘシ
監督官廳請求ヲ受ケタルトキハ府縣郡市町村其ノ他
法律ニ依リ組織セル公共團體ニ命令シテ延滯元利金
ヲ拂込マシムヘシ
七
第十八條產業組合中央金庫ハ本法ニ記載セサル業
務ヲ營ムコトヲ得ス
第四章產業債劵
八
第十九條產業組合中央金庫ハ拂込金額ノ十倍ヲ限
リ產業債劵ヲ發行スルコトヲ得但シ貸付金現在高割
引手形現在高及其ノ所有ニ係ル有價證劵現在高ヲ
超過スルコトヲ得ス
ノ發行ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
產業債劵ヲ發行スル場合ニハ商法第百九十九條及
第二百條ノ二ノ規定ヲ準用セス
登錄稅法中社債ニ關スル規定ハ產業債劵ニ付之ヲ準用ス
十九
第二十條產業債劵ハ劵面金額五拾圓以上トシ無記
名利札附トス但シ應募者又ハ所有者ノ請求ニ依リ記
名ト爲スコトヲ得
第二十一條產業組合中央金庫ハ產業債劵借換ノ爲
八
一時第十九條ノ制限ニ依ラス低利ノ產業債劵ヲ發
行スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ產業債劵ヲ發行シタルトキハ發行
後一箇月以內ニ抽籤ヲ以テ其ノ發行券面金額ニ相
當スル舊產業債劵ヲ償還スヘシ
一
第二十二條產業組合中央金庫ニ於テ產業債劵ヲ發
行セムースルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
二消減時效ハ元金ニ在リテハ十五
第二十三條產業債劵ノ所有者其ノ元金又ハ利子ヲ
箇年、利子ニ在リテハ五箇年ヲ以テ完成ス
要求セサルトキハ元金ハ十五箇年利子ハ五箇年ニシ
テ其ノ要求ノ權利ヲ失フモノトス
第二十四條產業債劵ノ發行ニ關スル印紙稅及登錄
稅ハ之ヲ免除ス
三
第二十五條產業債劵ノ模造ニ關シテハ通貨及證劵
模造取締法ヲ準用ス
第五章計算
四
第二十六條產業組合中央金庫ノ事業年度ハ一箇年
トス
五
第二十七條產業組合中央金庫ハ每事業年度ニ於テ
準備金トシテ剩餘金ノ十分ノ一以上ヲ積立ツヘシ
第六章監督及補助
六
第二十八條主務大臣ハ產業組合中央金庫ノ業務ヲ
監督ス
本法中主務大臣トアルハ農商務大臣及大藏大臣トス
七
第二十九條產業組合中央金庫ハ其ノ定款ヲ變更セ
ムトスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クヘシ
二十八
第三十條產業組合中央金庫ハ主務大臣ノ認可ヲ受
クルニ非サレハ剩餘金ノ處分ヲ爲スコトヲ得ス
二十九
第三十一條產業組合中央金庫ハ主務大臣ノ命令ニ
從ヒ其ノ業務ニ關スル諸般ノ狀況及計算報告書ヲ差
出スヘシ
第三十二條主務大臣ハ必要アリト認ムルトキハ產業
組合中央金庫ノ貸付又ハ割引ノ金額若ハ方法ヲ制
限スルコトヲ得
第三十三條產業組合中央金庫ノ貸付金利子ノ最高
步合ハ每事業年度ノ初ニ於テ主務大臣ノ認可ヲ經テ
之ヲ定ムヘシ其ノ事業年度內ニ於テ之ヲ變更セムトス
ルトキ亦同シ
二
第三十四條主務大臣ハ特ニ產業組合中央金庫監理
官ヲ置キ產業組合中央金庫ノ業務ヲ監視セシム
三
第三十五條產業組合中央金庫監理官ハ何時ニテモ
產業組合中央金庫ノ業務及財產ノ狀況ヲ檢査スル
コトヲ得
產業組合中央金庫監理官ハ監視上必要ナリト認ム
ルトキハ何時ニテモ產業組合中央金庫ニ命シテ業務
上諸般ノ計算及狀況ヲ報告セシムルコトヲ得
產業組合中火金庫監理官ハ出資者總會其ノ他諸般
ノ會議ニ出席シテ意見ヲ陳述スルコトヲ得但シ議決ノ
數ニ加ハルコトヲ得ス
四
第三十六條產業組合中央金庫ハ創立初期ヨリ十五
箇年間政府ノ出資ニ對シ剩餘金ノ配當ヲ爲スコトヲ
要セス
第七章罰則
五
第三十七條左ノ場合ニ於テハ產業組合中央金庫ノ
理事長副理事長、理事又ハ監事ヲ百圓以上千圓以
下ノ過料ニ處ス
ー本法ニ於テ主務大臣ノ認可ヲ受クヘキ場合ニ其
ノ認可ヲ受ケサルトキ
二主務大臣ノ命令ニ反シタルトキ
五
三第十六條ノ規定ニ反シ預リ金又ハ業務上ノ餘
裕金ヲ使用シタルトキ
七
四第十八條ノ規定ニ反シ本法ニ規定セサル業務ヲ
營ミタルトキ
八
五第十九條第一項及第二十」條第二項ノ規定ニ
反シタルトキ
六
第三十八條非訟事件手續法第二百六條乃至第二
百八條ノ規定ハ前條ノ過料ニ之ヲ準用ス
附則
七
第三十九條主務大臣ハ設立委員ヲ置キ產業組合中
央金庫ノ設立ニ關スル一切ノ事務ヲ處理セシム
三十八
第四十條設立委員ハ定款ヲ作リ主務大臣ノ認可ヲ
受ケタル後出資者ヲ募集ス
三十九
第四十一條設立委員ハ出資者ノ募集ヲ終リタルトキ
ハ出資申立書ヲ主務大臣ニ提出シ産業組合中央金
이
庫設立ノ認許○ヲ禀請スヘシ
許
前項ノ認可ヲ受ケタルトキハ設立委員ハ近滯ナク出
資第一回ノ拂込ヲ爲サシムルコトヲ要ス
第四十二條創立總會終結シタルトキハ設立委員ハ其
ノ事務ヲ產業組合中央金庫理事長ニ引渡スヘシ
第四十一條產業組合中央金庫設立ニ關シ必要ナル事項ハ勅
令ヲ以テ之ヲ定ム
〔武藤金吉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=61
-
062・武藤金吉
○武藤金吉君 本案ノ特別委員會ノ成績ヲ報告ヲ致シ
マス、委員長ハ數回ニ亙フテ審查ヲ致シマシテ、提案者及政
府トノ問ニ數十回ノ質問應答ガアリマシタ、其中ノ要旨ハ
大切ノ事デアリマスカラ、特ニ御報告ヲ致シテ置キタイト思
ヒマス、資本金ノ三千万圓ヲ五千万圓ニ增加スルコトガ出
來ナイカト云フ問ニ對シマシテハ、提案者ハ差當リ此資金ハ
政府ヨリ-郵便貯金ヨリ出ス方針ヲ執ッテ、產業組合ノ
發達整理ト共ニ徐々ニ此資本ヲ增シテ參ルコトデアッテ、取
政ズ三千万圓ヲ相當トスルト云フ答辯デアリマス、次ハ長
期貸付、擔保貸付ヲ何故此案ノ中ニセナイカト云フ質問デ
アリマス、之ニ對シテ提案者ハ長期貸付ハ勸業銀行農工銀
行デ既ニ行ッテ居ルノデ、此ノ銀行ト牴觸衝突ヲシナイ範圍
ニ於テ本案ノ機能ヲ、發揮スル爲ニ此長期貸付、擔保貸付ヲ
入レナカッタノデアルト云フ各辯デアリマス、ソレカラ既設銀
行ト中央金庫トノ差ハドウデアルカト云フコトデアリマス、之ニ
對シマシテ提案者及政府ハ此中央金庫ハ相互主義ヲ以テ產
業組合ノ機能ヲ發揮シテ、資金ヲ融通スル社會政策ヲ完ウ
スル爲ニ、卽チ勤勞ヲ資本ニ化スル目的デ此金融ヲ圖ルモ
ノデアッテ、旣設ノ勸業銀行ヤ農工銀行トハ其設立ノ趣旨
ヲ異ニスルト云フ答辯デアリマス、更ニ此中央金庫ハ非營
利的法人デアルガ、利益ノ配當ハドウデアル、又出資者ハド
ウデアルト云フ問ニ對シマシテハ、提案者及政府ハ、是ハ營
利ヲ目的トスル仕事デナイノデアルカラ、利益配當ハ極メテ
少額ノモノニシテ、利益ガアルニ致シマシテモ、制限スルト云フ
コトヲ答ヘラレマシタ、ソレカラ附屬產業組合-此法文中
ノ「所屬」ト云フコトニ付テ、何故廣イ意味ニ於テ所屬ト云フ
コトヲ除カヌカト云フ問ニ對シテハ、提案者ハ極メテ之ニカ
ヲ入レマシテ「所屬」ト云フコトガアルニ付テ、本案ノ機能ガ
最モ適切ニ働ク所デアヲテ、特ニ此所屬組合ト云フコトガ必
要デアルト云フ答ヲ致サレマシタ、殊ニ此監督ニ付テ、主務
大臣何レノ大臣ガ主務大臣トシテ是ガ所管ヲスルカト云ス
問ニ付キマシテハ、提案者竝ニ政府ハ、農商務大臣及大
藏大臣ヲ主務大臣トスルト云フコトニ明ニ答ヘラレマシタ、
ソレカラ產業組合中央會ト中央金庫トノ關係ハドウデアル
カト云フ質問ニ對シテハ、農商務大臣ハ決シテ衝突ノ虞ハ
ナイト云フコトヲ聲明サレマシタ、ソレカラ加入者ノ權利及
義務ハ如何デアルカト云フ問ニ對シテハ、提案者ヨリハ提案
ニ此規定ヲ明ニ定ムルト云フコトヲ答ヘラレマシタ、ソレカラ
此法案ハ理事者ノ選任ノ仕方ガ官臭ヲ帶ビテ居ル、其理
事長、副理事長、監事マデヲ政府カラ任命スルト云フコト
ニセナイノデ、出資者ノ中カラ之ヲ幾分ナリ出シタラドウダト
云フ問ニ對シマシテハ、提案者ハ是ハ此創業ノ際、殊ニ產業
組合ヲ働カシテ此金融ヲスルニ付ケテハ、却テ此政府ガ理事
者ヲ任命スルト云フコトガ、適當ナ人ヲ得ラレルト云フコト
デアルト云フ答デアリマシタ、更ニ其中デ最モ問題トナリマシ
タノハ、「所屬」ト云フコトヲ除ッテハドウカト云フ事、ソレカラ
年試貸付ノ方法ヲ加へタラドウカト云フ事、ソレカラ生產物
ノ擔保ヲ原案ハ三箇月トナッテ居ルガ、何故之ヲ六箇月ニセ
ナイカト云フ質問ニ對シテハ、是ハ提案者及政府ヨリ、是等
ノ事柄ハ普通銀行ト異フテ、何處マデモ是ハ絕對相亙主義
デ參ルノデアリマスカラ、年賦貸付ノ事、生產物ノ擔保ノ事
柄ハ、特殊銀行、普通銀行ト同樣ニナルカラ、此金庫ハ何處
マデモ普通銀行、特殊銀行ト其性質ヲ異ニスルト云フ答辯
デアリマシタ、ソレカラ產業組合聯合會ガ今日マデ金融ヲシ
テ居ルノニ、個人保證ヲシテ居ルコトハドウカト云フ、之ニ對
シマシテハ政府ヨリ、是ハ信用ヲ支持スル上ニ於テ已ムヲ得
ナイ、ソレカラ又脫退スル者等ガアル場合ニハ困ルカラ、是等
ノ個人保證ト云フモノヲ取ッテ置クト云フ答辯デアリマシタ、
ソレカラ資金ノ募集ハ困難デハナイカ、資金ノ募集ニ付テハ
政府ハ決シテ樂觀ハ許サヌケレドモ、此本案ノ、爲サントスル
目的ニ對シテハ差支ナク出來ル、而シテ政府ノ出資ハドウ
云フ方法ヲ以テ此資金ヲ出スノデアルカト云フ問ニ對シテ
ハ、政府ハ本案ガ兩院ヲ通過シタル曉ニ於テハ、追加豫算ヲ
今期議會ニ要求シテ之ニ充ツルト云フ答辯デアリマス、尙ホ
詳細ナル事ハ速記錄ヲ御覽ヲ願ヒタイト思ヒマスガ、右樣ノ
質問應各ヲ重ネタル結果、委員會ニ於キマシテハ、特ニ政府
ヨリ國務大臣、政府委員ノ出席ヲ求メテ懇談會ヲ開イタノ
デアリマス、斯ノ如キ始メテ行ヒマスル法案ニ對シマシテハ、
提案者橫田君カラ說明ノ際ニ要求モアッタ通リ、此案ヲ玉
成スル上ニ於テハ、政黨政派ヲ問ハズ、何處マデモ意見ヲ微
シテ、サウシテ之ヲ實際ニ行フコトニ努メタイト云フ主義ニ
從ヒマシテ、委員會ハ懇談會ヲ開イテ意見ノ交換ヲ致シマ
シタ、サウシテ政府ノ此案ニ對スル意見ヲ確メマシタ所、政
府ハ大體此案ニ付キマシテハ同意デアル、又此案ノ條項ニ
付キマシテハ、成ベク既設銀行法ト衝突ヲシナイヤウニシ、且
又此相互主義ノ社會政策ヲ實行スル上ニ於テ便宜ノ宜イ
コトニシ、產業組合ノ發達ノ上ニ於テ支障ノ來タサナイヤウ
ナ方法ニ付テ、何處マデモ賛成ヲスルト云フ意味デ、修正ノ
點等ニ付キマシテモ、同意ノ意見ヲ聲明サレタノデアリマス、
而シテ討論ニ移リマシテ、政友會ノ瀧正雄君ヨリ修正ノ案
ガ出シタ、御手許ニ文書ヲ以テ御報告ニナッテ居リマルガ、大
切ノ事柄デアリマスカラ此席ヨリ御紹介ヲ致シマス、第一
條ノ「產業組合中央金庫ハ法人トシ其ノ主タル事務所ヲ
東京市ニ置ク」第二項ノ「產業組合中央金庫ノ組織ハ有限
責任トン」云々トアリマスノヲツレヲ「ス」ト致シマシテ、以下
ヲ全部削除、第三條ノ「設立免許」トアリマスノヲ「許可」ト
改メマス、第五條ノ二項ノ「產業組合聯合會竝」トアリマス
ノヲ「及」ト改メマス、第七條ノ「商法中株式會社」トアリマ
スノヲ「產業組合中產業組合」ト改メマス、第八條ノ二項ニ
新二「登錄稅法及印紙稅法中產業組合聯合會ニ關スル規
定ハ產業組合中央全庫ニ付之ヲ準用ス」ヲ加ヘマス「第十
五條產業組合中央金庫ハ定期預リ金ヲ爲スコトヲ得」トア
リマスノヲ全部削除、次ノ第十六條ヲ第十五條ト改メ、其
中ノ產業組合中央金庫ハ左ノ方法ニ依ルノ外「預リ金又
ハ」ト云フコトハ、是ハ十五條削除ノ結果ト致シマシテ削
除致シマス、其次ノ第一號ノ「預リ金ノ四分ノ一以上ハ」ト
云アノヲ削除致シマス、第二號ノ冒頭ニ「公共團體」トアル
ノヲ削サ「產業組合聯合會、產業組合」ノ次ニ「公共國體」ト
入レマス、卽チ冒頭ヲ削ッテ其次へ入レマス、第三號ノ「國債
又ハ公債若ハ生產物ヲ擔保トスル三箇月以内ノ短期貸付
又ハ手形ノ割引ヲ爲スコト」ト云フノヲ削除致シマス、第十
七條ヲ第十六條ト改メ、其中ニ「府縣郡市町村」トアリマス
ノヲ「郡」ト云フ字ヲ創リマス、之ニ關聯シタル「郡」上云フ文
字ハ全部削除致シマス、第十八條ヲ第十七條ニ改メマス、
第十九條ヲ第十八條ト改メマス、而シテ其第二項ニ「產業
債劵ヲ發行スル場合」云々トアリマスノヲ「產業債劵ノ發行
ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム」ト改メマス、其
次ニ「登錄稅法中社債ニ關スル規定ハ產業債劵ニ付之ヲ
準用ス」ノ一項ヲ加ヘマス、第二十條ヲ第十九條ト改メマ
ス、第二十一條ヲ第二十條ニ改メマス、其條項ノ中ノ「第十
九條ノ制限ニ依ラス」ト云フ「第十九」ノ「九」ノ字ヲ「八一ニ
改メマス、第二十二條ヲ第二十一條ニ改メマス、第二十三
條ヲ第二十二條ニ改メマス、其本文ノ「產業債劵ノ所有者」
云々トアリマスノヲ「產業債劵ノ消滅時效ハ元金ニ在リテ
ハ十五箇年、利子ニ在リテハ五箇年ヲ以テ完成ス」ト改メマ
ス、第二十四條ハ之ヲ削除致シマス、ソレカラ第二十五條ヲ
第二十三條ニ改メマス、第二十六條ヲ第二十四條ニ改メ
マス、第二十七條ヲ第二十五條ニ改メマス、第二十八條ヲ
第二十六條ニ改メマス、其第二項トシテ新ニ「本法中主務
大臣トアルハ農商務大臣及大藏大臣トス」ト加ヘマス、第
二十九條ヲ第二十七條ニ改メマス、第三十條ヲ第二十八
條ニ改メマス、第三十一條ヲ第二十九條ニ改メマス、第三
十二條ヲ第三十條ニ改メマス、第三十三條ヲ第三十一條
ニ改メマス、第三十四條ヲ第三十二條ト改メマス、第三十
五條ヲ第三十三條ト改メマス、第三十六條ヲ第三十四條
ト改メマス、第三十七條ヲ第三十五條ト改メマス、而シテ此
第三十七條ノ第三號ノ「第十六條」トアリマスノヲ「第十五
條」ト改メ「預リ金又ハ」ヲ削除致シマス、第四號ノ「第十八
條」ヲ「第十七條」ニ改メマス、第五號ノ「第十九條」トアルノ
ヲ「第十八條」ト改メマス、而シテ「第二十一條」トアルノヲ
「第二十條」ニ改メマス、第三十八條ヲ第三十六條ニ改メマ
ス、第三十九條ヲ第三十七條ニ改メマス、第四十條ヲ第三
十八條ニ改メマス、第四十一條ヲ第三十九條ニ改メマス、
而シテ其條文ノ中ノ「認許」トアリマスノヲ「許可」ト改メマ
ス、ソレカラ第二項ノ「前項ノ認可」トアルノヲ「許可」ト改メ
マス、第四十二條ヲ第四十條ト改メマス、更ニ終リニ第四
十一條ヲ新ニ加ヘマス「產業組合中央金庫設立ニ關シ必
要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム」瀧君ノ修正案ハ右ノ通
リデアリマシテ、此修正ニ付キマシテハ、政府ハ全然同意ヲセ
ラレマシタ、而シテ此案ハ全ク產業組合ノ發達トシテ、產業
組合ノ所屬ニ限クテ金融ヲスル、頗ル普通持殊銀行ト其領
分ヲ異ニシテ、卽チ發案ノ目的ニ適フ所ノモノニナッタト信ジ
マス、此案ノ發案セラレタル所ノ動機ハ、農村振典ノ一端ト
致シマシテ政友會ヨリ提出セラレタモノデアリマスルガ、此
案ハ我國ニ於テモ十數年前ヨリ多年間ノ懸案デアッテ、殊ニ
此種ノ案ハ歐羅巴各國ニ於テハ、其最モ成績ヲ擧ゲテ居ル
ノハ丁抹デアルト信ジマス、又獨逸ニ於テモ此通リノ案ヲ
ヤッテ居リマスルガ(「獨逸ハ何年ニ出シタ」ト呼フ者アリ)默ッテ
御聽キナサイ··
〔「獨逸ハ何年ニ出シタンンナ廣告ハ要ラヌ、憲政會
ダッテ賛成シタノヂヤナイカ政友會ノ廣告バカリスル
ナ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=62
-
063・粕谷義三
○議長(相谷義三君) 靜ニ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=63
-
064・武藤金吉
○武藤金吉君(續) 憲政會ノ廣告モ是カラ致シマス-斯
ノ如ク練ッタ結果ハ、實際ニ之ヲ行フ上ニ於テ、勸業銀行、
農工銀行ト衝突ヲンナイ、從來勸業銀行、農工銀行ノ貸付
ノ出來ナカッタ所ニ、此資金ガ廻〓テ行クコトニナリマスカラ、
先日横田君ハ此壇上ニ於テ此閃キヲ御紹介セラレマシタ
ガ、本員ハ此機會ニ更ニ一層熱ノ加ッタコトヲ認ムルモノデ
アリマス、更ニ此案ノ兩院ヲ通過シタル曉ニ於キマシテハ、此運
用ニ付テハ一層ノ努力ヲ要シ、一層ノ働キヲシナケレバ此目的
ヲ達スルコトハ困難デハナイカト思フ、何故ナラバ現在產業
組合ノ數ハ一万四千ニナッテ居リマス、而シテ此働キハ随分
效果ヲ擧ゲテ居ル所モアリマスガ、又甚ダ振ハナイ組合モ少
クナイノデアリマス、此機會ノ活動ト共ニ、產業組合モ段々
整理發達ヲサレテ來ルコトハ疑ヒナイノデアリマス、故ニ此
案ノ成立ト同時ニ、此案ノ前途ハ私ハ理事者其人ハ勿論
デアリマスガ、組合各自ノ儀キト自覺ニ俟タナケレバナラヌ、
又政府ニ於テモ此案ヲ育フテ行ク上ニ於テハ、尙ホ幾多ノ努
力ヲ要スルコトヽ信ズル者デアリマス、而シテ委員會ニ於テ
大體ニ於テハ之ヲ認メテ、意見ハ一致シテ居リマスルガ、討
論ノ際ニ於テ、憲政會ニ於テハ大體ハ賛成デアルガ、主ナル
點ニ付テ修正ノ意見ガ異テテ居ル、其點ニ付テハ、私ハ別段
少數意見デハアリマセヌケレドモ、大切ナ案デアリマスカラ、
憲政會竝ニ革新倶樂部カラ御提出ニナッタ修正案モ御紹
介スル方ガ御便宜ダラウト思ヒマス、第一條第二項「產業
組合中央全庫ノ組織ハ有限責任トス」トシ其以下ヲ削リ
マス、是ハ瀧君ノモ同ジデアリマス、ソレカラ第二條モ同樣デ
アリマス、第四條ノ產業組合中央金庫ノ資本金ヲ「三千万
圓」ヲ「五千万圓」三ヲ五ニ直シタ、ソレカラ「三十万口」ヲ
「五十万口」トシタ、ソレカラ第五條ノ「產業組合聯合會竝」
ト云フノヲ「及」ト云フコトニ致シマシタ「二百口」トアルヲ「三
百口」ニ直シタ、ソレカラ第六條ノ「政府ハ千五百万圓ヲ限
リ」ト云フノヲ「二千五百万圓」トナッテ居リマス、第七條ノ
「商法中株式會社ニ關スル」云々ト「云フノヲ「產業組合法
中產業組合ニ關スル規定」ト直ッテ居リマス、第八條第二項
ニ「登錄稅法及印紙稅法中產業組合聯合會ニ關スル規定
ハ產業組合中央金庫ニ付之ヲ準用ス」ト加フテ居リマス、第
十一條ハ「理事長、副理事長」ノ點ノ問ニ「及」ト云フ字ヲ入
レマス「及監事」ト云フノヲ削ッテアリマス、ツレカラ其次ニ「監
事ハ出資者總會ニ於テ之ヲ選定スルヲ妨ケス」ヲ加ヘテア
リマス、第十二條「中央金庫ニ評議員二十名以內ヲ置キ〕
云々トアルノヲ「置ク」ト直シマシテ、第二項三評議員中十
名以內ハ主務大臣之ヲ任命シ他ノ十名以內ハ出資者總
會ニ於テ之ヲ選定ス」ト直。テ居リマヌ、第十三條ニ新ニ「理
事長、副理事長及理事ハ在任中何等ノ名稱ニ拘ラス他ノ
職務又ハ商業ニ從事スルコトヲ得ス但シ主務大臣ノ認可
ヲ得タルトキハ此限ニ在ラス」ト云フ條項ヲ置カレテアリマ
ス、第十三條ヲ第十四條トシ、其第一、第二、第三各號ノ
「所屬」ト云フ字ヲ悉ク削ッテアリマス、第四號ノ「產業組合、
公共圍體」ノ下ニ「其ノ他」ト云フ字ヲ加ヘテアリマス、第十
四條ヲ第十五條、第十五條ヲ第十六條、第十六條ヲ第十
七條トシ、第十七條ノ第二項號冒頭ノ「公共團體」ヲ割マ
シテ「產業組合」ノ下ニ挿入致シマス、第十七條ヲ第十八條
トシ、此條文ノ中ノ「郡」ト云フ字全部削ッテアリマス、第十
八條ヲ第十九條トシ、第十九條ヲ第二十條ト訂正、其第
二項ヲ「產業債劵ノ發行ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以
テ之ヲ定ム」ト改メマス、ソレカラ「登錄稅法中社債ニ關スル
規定ハ產業債劵ニ付之ヲ準用ス」トノ第三項ガ加ハッテ居
リマス、第二十條ヲ第二十一條トシ「無記名利札附」ノ下
ニ「又ハ割引債劵トス」ト云フ字ガ加ッテ居リマス、第二十一
條ヲ第二十二條トシ、其中ノ「第十九條」トアルノヲ「第二
十條」ト改メテアリマス、第二十二條ガ第二十三條、第二十
三條ガ第二十四條トナッテ、サウシテ產業債劵ノ「所有者」
ト云フ所ヲ削リマシテ「消滅時效ハ元金ニ在リテハ十五箇
年、利子ニ在リテハ五箇年ヲ以テ完成ス」ト訂正、第二十四
條ハ全部削除、第三十七條ノ第三號「第十六條」トアルヲ
「第十七條」、第四號「第十八條」トアルヲ「第十九條」、第五
號「第十九條」ヲ「第二十條」、「第二十一條」ヲ「第二十二
條」ト改メラレテ居リマス、ゾレカラ附則ヲ冒頭ニ、第三十九
條ヲ新ニ加ヘテ「本法中主務大臣トアルハ第十一條、第二
十三條、第二十九條、第三十條、第三十四條、第四十一
條及第四十二條ニ在リテハ農商大臣及大藏大臣、其他ニ
在リテハ農商務大臣トス」ト云フコトデ、下岡君ノ御提案ハ
此本文ノ條文中ニ於テ、大藏大臣ト農商務大臣ノ所管ヲ
明カニシデアリマス「第三十九條」ヲ「四十條」ト改メ、「第四
十條」ヲ「第四十一條」ニ改メ「第四十一條」ヲ「四十二條」
ニ改メ、ソレカラ中央金庫ノ設立「認可」トアルノヲ「許可」ト
改メ、ソレカラ次ノ「認可」トアルノヲ「許可」ト改メ「四十二
條」ヲ「四十三條」ト改メ、ソレカラ終リニ第四十四條ト置イ
テ「產業組合中央金庫設立ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ
以テ之ヲ定ム」是ガ下岡君ノ御提出ニナリマシタ修正案デ
アリマシテ、革新倶樂部ノ植原君ノ御賛成ガアッタノデアリ
マス、委員會ニ於キマシテハ、斯ノ如キ法案ハ成ベク全會一
致ヲ以テ成案ニ致シタイト思シテ、種々懇談モ申上ゲ、御交涉
モ申上ゲタノデアリマスガ、大體ニ於テハ委員會ハ本案ヲ認
メテ居リマスルガ、以上申上ゲタ主要ナル三點バカリニ付キ
マシテ、遺憾ナガラ一致ヲ見ルコトガ出來ナカッタノデアリマ
ス、卽チ下岡君ノ訂正サレタル所ノ要旨ハ、機關組織ニ關
シテ、ソレカラ資本/額ニ關シテ、年賦償還貸付ノ方法ヲ置
キタイ、是ガ要點デアルヤウニ思ヒマス、本案ノ大體ノ修正
ニ付キマシテハ、委員會ニ於キマシテモ格別メ異論ハナカッタノ
デアリマスルガ、以上瀧君ノ案ハ大多數ヲ以テ之ヲ認メマシ
タ、ザウシテ下岡君、植原君ノ御修正ノ案ハ少數ヲ以テ委
員會ニ於テハ否決ヲ致シマシタ、右大要ヲ御報告申上ゲマ
ス、本會議ニ於キマシテモ何卒斯ノ如キ案ハ、兩院ガ之ヲ成
立致シマスレバ、追加豫算ヲ政府ヨリ提出ニナッテ、且ツ至
急之ヲ實行セナケレバナラヌ案デアリマスルガラ、何卒此提
案ノ趣旨ニ基キマシテ、滿場一致ヲ以テ御贊成ニ與ランコ
トヲ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=64
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065・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 本案ノ第二讀會ヲ開クニ御異議
ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=65
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066・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナイト認メマス、仍テ第二
讀會ヲ開クニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=66
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067・岩崎勲
○岩崎動君 直ニ本案ノ第二讀會ヲ開カレンコトヲ望ミ
マス
〔「贊成」「贊成」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=67
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068・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 岩崎君ノ動議ニハ御異議ナイト認
メマス、仍テ直ニ第二讀會ヲ開キ議案全部ヲ議題ト致シマス
產業組合中央金庫法案第二讀會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=68
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069・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 本案ニ對シマシテハ、只今武藤委
員長ニ依シテ紹介サレタ如ク、下岡忠治君外五名ヨリ修正
案ガ提出サレテ居リマス、其趣旨辯明ヲ許シマス、植原悅
二郞君
〔植原悅二郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=69
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070・植原悦二郎
○植原悅二郞君 私ハ只今議題トナッテ居リマスル產業
組合中央金庫法案ノ委員長ノ報告ニ對シマシテ、玆ニ修
正案ヲ提出シ、其趣意ヲ說明致サウト思フノデアリマス、私
ガ申スマデモナク、本案ハ極メテ重要ナル案デアルト思ヒマ
ス、殊ニ今日ノ如ク農科ノ經濟ガ非常ナル窮乏ヲ告ゲテ居
リマスル時代ニ於テハ、斯樣ナ機關ヲ設ケマシテ、中小產業
者、農村民ニ新シキ所ノ產業ノ生命ヲ與へ、國民全體ノ產
業ノ發達ヲ期スルト云フコトニ付テハ、何人モ異議ノナイ所デ
アリマス、私共ハ多年之ヲ唱ヘテ居リマシタシ、殊ニ私共ノ
同志土井權大君ノ如キハ數年前カラ屢〓此問題ヲ此議場
ニ於テ述ベマシタ(拍手)玆ニ政友會諸君ノ御努力ニ依リ
マシテ此提案ヲ見ルニ至リマシタノハ、私共非常ノ喜ビヲ以
テ迎ヘル者デアリマス、而シテ努メテ此案ノ成立ヲ希望スル
者デアリマス、併ナガラ私共極メテ重要ナル案デアリ、此案
自體ガ中小產業者ノ金融機關トナッテ、始メテ小產業者ノ
發達ニ助成スルコトガ出來ルモノナルガ故ニ、特ニ其點ニ付
テ考慮ヲ致シ、而シテ此案ノ成立ヲ考ヘナケレバナラナイト
確信致シテ居ル者デアリマス
〔粕谷議長退席、松田副議長代リ著席〕
此意味ニ於テ私共ハ修正案ヲ提出スル次第デアリマス、私
共ノ提案ニ付キマシテハ、只今委員長ガ細密ニ鄭重ニ御述
ペ下サイマシタ、委員長ノ報告ニナリマシタ私共ノ提案ノ中
ニ、瀧君ノ修正案ト共通ノ點ガアリマス、其等ノ點ハ總テ除
キマシテ、瀧君ノ修正案ト共通點以外ノ點ニ於ケル所ノ
吾々ノ修正ニ付キマシテ、其修正ノ理由ヲ申述ベタイト思
フテ居リマス、第一ニ資本金ノ點ニ付テ修正ヲ加ヘタノデア
リマス、只今委員長ノ報告サレマシタ通リ、私共ハ資本金
三千万圓ヲ五千万圓ニ致シ、之ニ隨ヒマシテ其口數三十
万ヲ五十万ト致シタノデアリマス、而シテ第五條ニ於キマシ
テ、出資口數ハ二百口ヲ超ユル云々ト云フノヲ、是ハ出資
者ノ或ハ資金ヲ得ル爲ニ多少ノ便法ナラント思ヒマシテ、二
百口ヲ三百口ニ改メマシタ、而シテ資本金ヲ三千万圓ヲ五
千万圓ニ改メマシタ關係上、政府カラ出資致サセマスモノ
モ、ソレニ準ジテ增額セシムルコトガ當然ト思ヒマシテ、政府
ノ出資額ハ、原案ニ於キマシテ千五百万圓トアリマシタノ
ヲ、私共ハ二千五百万圓ニ修正シタノデアリマス、私ガ申ス
マデモナク、產業組合ハ一万四五千ニ達シテ居リマス、而シ
デ其組合員ハ約二百五十万ト計算致サレテ居リマス、現
在ニ於テ其組合ガ拂込資金トシテ有シデ居ルモノ六千八
百万圓ニ達シテ居リマス、又準備金トシテ有シテ居ルモノ
二千七百万圓以上ニナッテ居リマス、此產業組合ガ農工銀
行、勸業銀行カラ借入レテ居リマス所ノモノガ、約四千七百
万圓ニ相成ッテ居リマス、而シテ是等ノ產業組合ガ預リ金、
卽チ貯蓄ト致シテ居リマスモノ二億七千万圓ニ達シテ居リ
マス、現在ニ於テモ是ダケノ巨額ノ金ヲ取扱ッテ居リマス、其
數一万四五千以上ニ達スル產業組合デアリマス、此產業
組合ニ對シマシテ、努メテ金融ヲ滑カニ致シ、產業ノ發達ヲ
助成シテヤラウト致シマスニハ、私共三千万圓ノ資金ハ
少々心細イト感ズルノデアリマス、此點ニ於キマシテ私共ハ
三千万圓ヲ五千万圓ニ致スコトニ致シタ、勿論三千万圓
ト致スニ付キマシテハ、提案サレタ諸君ニ於テハ、其半額ヲ
政府カラ出資セシメルカラ、政府ノ今日ノ財政ノ狀態モ顧
慮シナケレバナラヌト云フ御考察ガアッタコトヽ推測シマス、
是ハ洵ニ御尤ナ事ト存ジテ居リマス、ソレ故ニ私共ハ政府
ヲシテ二千五百万圓ニ出資額ヲ增額セシムルヤウニ原案ヲ
修正致シマシタガ、政府ガ年々拂込ムコトニ付キマシテハ、
原案ノ通リ、五百万圓宛ト致シテ置キマシタカラ、現在ノ財
政狀態ヲ顧慮致シマシテモ、政府ノ出資額一千五百万圓
ヲ二千五百万圓ニ增加シタコトガ、中央ノ政府ノ財政狀
態ニ影響スル所ノ修正デアルトハ考慮出來ナイノデアリマ
ス、此意味ニ於キマシテ私共ハ努メテ提案者ノ趣旨ニ
副フベク、中小產業者ニ對シ資金ノ供給ノ途ヲ開キ、
產業ノ發達ヲ助成スル此御提案ノ趣意ニ副ヒマシテ、
其目的ヲ努メテ優良ニ貫徹セシメタイト思ヒマシテ、
此修正ヲ試タ譯デアリマス(拍手)次ニ私共ノ主モナル修正
ハ役員ニ關スル事デアリマス、是ハ只今委員長カラモ報告
ザレマシタガ、又委員會ニ於キマシテモ、屡、議論ノアッタ問
題デアリマス、此產業組合中央金庫ヲ相互的純然タル產
業組合組織ノモノニスルカ、又ハ一部ノ組合組織ト金融機
關トヲ加味シタモノニスルカト云フコトニ付テハ、頗ル議論
ノアル問題デアル、意見ヲ異ニスル問題デアラウト思ヒマス、
私共ノ考ハ若シ日本ノ總テノ產業組合ノ進步ノ狀態ガ許
ス事デアルナラバ、斯ヤウナ中央機關ヲ作ルニ致シマシテモ、
努メテ相互的ノモノニスルコトガ最モ其效力ヲ發揮スルニ
有利ナルモノナリト信ジテ居ルモノデアリマス(拍手)併ナガ
ラ今日ノ日本ノ產業組合ノ狀態、一總テノ日本ノ社會制度
ノ狀態ガ私共ヲシテ徹底的ニ立案セシムルコトヲ許サナイ
狀態デアリマス、ソレ故ニ政友會ノ諸君ハ更ニ初メ御提案
ニナッタモノヲ御修正ナサルニ付テ、努メテ產業組合ノ精神
ニ則リ、修正ヲナサッタト御言ヒナサリナガラ、役員ノ點ニ付
テハ一步モ手ヲ御觸レニナラナイコトハ頗ル矛盾ノモノデア
ルト確信致シマス(拍手)若シ此產業中央金庫ノ問題ヲ相
互的ノモノトシ、相互的組合組織ノモノトスルナラバ、私共
ノ理想ヲ申セバ出資者ノ總會ニ於テ選出スル役員デナケレ
バナラヌト信ジテ居リマス、ケレドモ、今日ノ狀態ハ其程度
迄行クコトヲ總テノ事情ガ許シマセヌガ故ニ、現在ノ事實ヲ
根據ト致シマシテ此法案ヲ實際ニ運用スルニ遺憾ナカラシ
メンコトヲ期スルガ爲ニ、私共役員ニ付テハ····原案ニ於キ
マシテハ理事長、副理事長、理事及監事ハ主務大臣之ヲ任
命ストアリマスルノヲ、理事長、副理事長、理事ダケハ主務
大臣ノ任命ニ存シ、監事ハ出資格總會ニ於テ之ヲ選定スル
コトヲ至當ナリト認メマシテ、稍〓玆ニ民本化スル折衷的ノ
修正ヲ致シタ譯デアリマス(拍手)次ニ第十二條デアリマス、
原案ニ於キマシテハ、產業組合中央金庫ニ評議員二十名
以內ヲ置キ、主務大臣之ヲ任命スト、而シテ其半數ハ產業
組合關係者中ヨリ選任セラルヽノ規定ヲ設ケテアルコトヲ
以テ、提案者諸君ハ之ニ依ッテ稍、民意ガ容レラレルモノデ
アル、組合組織ノ精神ガ此處ニ稍、發揮サルヽモノデアルト
御主張ナスッテ居ルヤウデアリマス、併ナガラ私共ハ更ニ此
評議員ニ對シテハ、モウ少シク徹底的ニ組合出資者ノ意思
ヲ實現セシムル所ノ規定ヲ設クルコトガ至當ナリト認メマシ
テ、評議員中十名以內ハ主務大臣之ヲ任命シ、他ノ十名
ハ出資者總會ニ於テ之ヲ選定スルコトノ規定ヲ置イタノデ
アリマス、之ニ關聯致シマシテ寔ニ遺憾ナ事デハアリマスガ、
日本ノ現在ノ狀態ニ於キマシテハ、斯樣ナ機關ヲ造ラレマ
シテモ、動モスレバ是ガ政黨ノ間ニ利用サレ、惡用サレルト
云フ弊害ガ起リ易イノデアリマス、寔ニ遺憾ナ事デアリマス、
私共ハ左様ナ事ノナキコトヲ希望致シマスケレドモ、日本ノ
現在ノ政略、實業界、社會ノ狀態ノ現實ヲ事實ト致シテ考
慮スル時ニハ、斯ウ云フ點ニ付テモ多少考慮ヲ致サナケレバナ
ラヌト考ヘテ居リマス、此意味ニ於キマシテハ、私共ハ新ニ十
三條ヲ設ケマシテ、理事長、副理事長及理事ハ在任中何等
ノ名稱ニ拘ラズ、他ノ職務又ハ商業ニ從事スルコトヲ得ズト
原則ヲ定メマシタ、併ナガラ時ト場合ニ依リマシテハ、相當ノ
場合ニ於テハ、他ノ業務ニ從事サセナケレバ適任者ガ得ラレ
ナイト云フコトモアラウト考慮致シマシテ、但書ヲ入レマシ
タ、但シ主務大臣ノ認可ヲ得タルトキハ此限ニアラズト規定
致シタノデアリマス、次ニ私共ノ主ナル所ノ修正ノ一ツデア
ルコトハ、原案ニ於キマシテハ第十三條、私共ノ修正致シマ
シタ修正案ニ依レバ第十四條デアリマス、第十四條ノ一號、
二號、三號中ニアリマス所ノ所屬產業組合、若ハ所屬產業
組合聯合會トアリマスル其「所屬」ト云フ字ヲ削除シタコト
デアリマス、之ニ付テハ少シク此理由ヲハツキリ申上ゲテ置
カナケレバナラナイト思ヒマス、若シ此產業組合中央金庫ヲ
純然タル組合組織ノモノト致シマスレバ、此所屬ト云フ字
ノ存スルコトニ於テ、寔ニ意味ガアルコトデアリマス、併ナガ
ラ全體ヲ通ジテ役員ノ立場カラ見マシテモ、總テノ機關ノ運
用ノ此處ニ規定サレテ居リマス所ノ狀態カラ考慮致シマシ
テモ、純然タル所ノ相互的組合組織ノモノト認メルコトハ出
來マセヌ、而シテ私共二千五百万圓ト云フ資金ヲ政府カラ
出サセマスガ、此二千五百万圓ト云フノハ、取リモ直サズ、
國民全體ノ負擔ニ係ルモノナルコトハ明カデアリマス、此產
業中央組合金庫ノ組織ハ、純然タル產業組合ノ組織デナ
イモノデアリマシテ、而モ政府ニ二一五五百万圓ノ金ヲ出資
セシメヤウトシマスル以上ハ、此組合ニ所屬スル所ノ組合ノ
ミニ貸金ヲ爲シ、或ハ爲替ノ取引ヲシテヤル、預金ヲ取扱シテ
ヤルト云フガ如キコトニナリマシテハ、私共此全體ノ構造其
モノカラ考慮致シマシテ、甚ダ不備デアリ、不公平デアルト信
ジテ居ルノデアリマス、ノミナラズ、斯樣ナ規定ヲ設ケテ置キ
マスレバ、現在存在シテ居ル所ノ產業組合デ、此中央金庫
ノ中ニ這入リマシタ所ノモノハ宜シウゴザイマセウガ、是カラ
新ニ出來マス所ノモノガ、此產業組合中央金庫ト取引關
係ヲ開キタクモ開クコトノ出來ナイヤウナ狀態ニナリマス、私
共斯樣ナ現在ノ金融機關ノ如キ「ブルジヨア」ノ機關デアル
ナラバ免ニ角デアリマス、斯樣ナ努メヲ民衆的ナ、而モ中小
產業者ニ便宜ヲ與ヘヤウ、金融ノ途ヲ開カウト云フ所ノ計
畫デアルモノナラバ、所屬デアル、所屬デナイト云フヤウナ差
別ヲシテ取扱フベキモノデナイト信ジテ居リマス(拍手)此意
味ニ於テ私共ハ此「所屬」ト云フ字ヲ創ッタノデアリマス、之
ニ付キマシテハ此所屬ト云フ字ガアルトナイトニ依ッテ其主
務大臣ノ之ヲ管理スル所ノ主力ガ、大藏大臣ニ屬スルカ、
農商務大臣ニ屬スルカ、二ツノ岐レ目デアルト一云フヤウ御議
論ガアリマスガ、私共之ヲ傾聽スル價値ハナシト信ジテ居ル、
私共ハ農商務大臣大藏大臣ト云フガ如キ差別ヲ致サズシ
テ、政府ハ政府トシ、内閣ハ內閣トシテ、總テ考慮致サナケ
レバナラナイト確信致シテ居リマス(拍手)現在ニ於キマシテ
日本ノ内閣制度ガ恰モー郡雄割據ノ如キ狀態デ、一ツノ新
ジイ所ノ仕事ガ起レバ、官吏ノ就職口、或ハ官吏ノ榮達ヲ
圖ルノ途ノ爲ニ、勞働局ヲ作レバ農商務省ト內務省、社會
局ヲ作レバ農商務省ト內務省、產業組合中央金庫ヲ作
ラウトスレバ大藏省ト農商務省ト、恰モ其勢力ヲ爭フガ如
キ狀態ニ對シテ、私共ハ慊タラザル者デアリマス、斯樣ナ事
ヲ私共改メル點カラ申シマシテモ、斯樣ナ所屬ト云フ字ノ
如キ字ヲ削リマシテ、努メテ此機關ノ普遍的ニ民衆的ニ赴
クコトヲ希望スル意味ニ於テ、此所屬ト云フ字ヲ削ッタノデ
アリマス、更ニ私共ノ重要ナル修正デアリマスガ、是ハ原案
ニ付キマスレバ第十五條デアリマス、私共ノ修正カラ申シマ
スレバ、第十六條デアリマス、政友會ノ瀧君ノ修正ハ原案ノ
十六條ヲ削除ナスッテ居リマス、ソレニ關聯スル所ノ幾多ノ
修正ヲ加ヘラレテ居リマス、此原案十五條ノ規定ハ斯樣ナ
規定デアリマス「產業組合中央金庫ハ定期預リ金ヲ爲スコ
トヲ得」ト云フ規定、是ハ政友會ノ御提案ニ係ルモノデ、政
友會ノ提出ニナッタモノデアリマス、シレヲ瀧君ガ此全文ヲ削
除ナスッテ居リマス、ソレト共ニ原案ノ第十六條、私共ノ修
正案ニ依リマスレバ、十七條ノ第三號ニ當リマスル「國債又
ハ公債若ハ生產物ヲ擔保トスル三箇月以內ノ短期貸付又
ハ手形ノ割引ヲ爲スコト」ト云フ、此規定ヲ瀧君ハ削除ナ
スッテ居リマス、昨日委員會ニ於キマシテ、私共ト意見ヲ同
ジウ致シマスル憲政會ノ下岡君ガ、斯樣ナ修正ノ提案ヲ爲
シタコトニ付キマシテ、牧野君ハ私共ノ修正ハ無責任デアル
ト云フガ如キ言ヲ御吐キニナリマシタ、是ハ牧野君ノ御熱
心ノ餘リ斯樣ナコトヲ御言ヒニナッタ事ダラウト思ヒマシテ、
此點ニ付キマシテハ私ハ御咎メヲ致シタクナイノデアリマス、
私共ノ修正ハ決シテ無責任デナイト云フコトダケヲ牧野君
ヲ御咎メスル意味デナクテ、明瞭ニ致シテ置ク必要ガアルト
思ヒマス、私共斯樣ニ信ジテ居リマス、此大切ナル產業中
央金庫ノ法案ヲ政友會ガ御作リニナッテ、此二ツノ項ヲ削
除ナスッタガ爲ニ、全ク骨拔キ案ニナッタト信ジテ居ル者デア
リマス(拍手)政友會ノ諸君ハ此提案ノ埋由ニ斯樣ナコト
ヲ申シテ居リマス、「農村振興ノ爲施設スベキモノ極メテ
多シ雖中小產者ニ對シ資金供給ノ途ヲ開キ其ノ產業ノ發
達ニ努ムルコトヲ以テ最急務ナリトス」ト、而シテ產業組合
ノ本質ニ照シ主トシテ對人信用ヲ目的トスル特種金融機
關ヲ設立スル意味ニ於テ、此法案ヲ提出シタト設明理由書
ニ御述ニナッテ居リマス、私共一ツノ金融機關ヲ造リマシテ、
其金融機關ガ既ニ存在シテ居ル、勸業銀行ナリ、或ハ農工
銀行ナリニ多少ノ影響ナイト云フコトヲ希望スルノハ、絕對
ニ不可能ノ事デアリマス、既ニ現在アル所ノ金融機關ガア
ル如何ナル種類ノ金融機關ヲ造リマシテモ、必ズ既成ノモノ
ニ對シテ多少ノ影響アルコトハ免レマセヌ、現在ノ農工銀行、
勸業銀行ハ主トシテ中產以上ノ階級ノ金融機關トナッテ
居リマス、玆ニ新ニ創設セントスル所ノ、卽チ此法案ニ依リ
マシテ創設セントスル所ノ產業組合中央金庫ナルモノハ、努
テ中小產業者ノ金融機關タラシメヤウト云フ趣意ニ出ヅ
ルモノデアリマス、ソレ故ニ其範圍ニ於テハ多少農工銀行、
勸業銀行等ノ事業ニ影響スル所ガアリマシテモ已ムヲ得ナ
イ事デアリマス、若シ此只今申述べマシタ十五條ト十六條
ノ三項ノ規定ヲ削除シマスレバ、殆ド此モノガ金融機關タルノ
素質ヲ大半失フコトニナルノデアリマス、斯樣ナモノニナリマ
スレバ折角政友會ノ諸君ガ御作リニナラウトシタ精神ヲ
十分ニ發揮スルコトガ出來ナイ、ノミナラズ私共ハ此原案ヲ
保存スルコトニ依ッテ、此中央金庫ノ其意味ガ發揮セラル
ルモノト確信致シマシテ、此規定ノ自續スルコトニ致シ、卽チ
政友會ノ多木君ノ修正案デ此處ヲ削除シマシタモノヲ、私
共復活ヲスルト云フ意味デアリマス、次ニ私共ノ企テマシタ
所ノ修正ハ、原案ニ於キマシテハ第二十條、私共ノ修正案
ニ於キマシテハ二十一條ノ規定ニナッテ居リマス「產業債劵
ハ劵面金額五十圓以上トシ無記名利札附トス」ト斯樣ニ
アリマスルモノヲ債劵ニ付テ無記名利札田ト云フノハ極テ
古イ型デアリ、且ツ幾多ノ不便ノ點モアルノデアリマスカ
ラ-ト言ッテ之ヲ全部削除スルニハ及バナイ、是ト併セテ割
引債券ヲモ加ヘテ置クコトガ此法案ヲ運用スル爲ニ便法ト
信ジマシテ、無記名利札附又ハ割引債劵トスト云フ數字ヲ
加ヘルコトニ修止致シタノデアリマス、其意味ハ前段申上ゲ
タ通リデアリマス、次ニ私共ノ加ヘマシタ所ノ修正ハ、此法
律案ヲ委員會ニ於テ審議スル際ニモ幾多問題ニナリマシ
ク、此產業組合中央金庫ハ主トシテ大藏省ニ所屬スルカ、
農商務省ニ所屬スルカト云フヤウナコトデ幾多ノ問題ガア
リマシタ爲ニ、ソレ故ニ政友會ノ諸君モ主務大臣ト云フ項
ニ對シテ修正ヲ加ヘラレテ本法ニ於ケル主務大臣トハ農商
務大臣及大藏大臣ト云フ規定ヲ設ケラレタノデアリマス、
私共ハソレダケノ規定ヲ以テ滿足致ス者デハアリマセヌ、斯
樣ニ兩方ノ大臣ガ此法案ノ總テノ事項ニ關係致シマス以
上ハ、兩大臣ノ範圍ヲ明ニ限定致シテ置キマシタ方ガ此運
明-法ヲ迅速ニ運用スル上カラ申マシテモ、又幾多ノ煩
瑣ナ手續ヲ避クル點カラ申シマシテモ、農商務大臣ノ所轄
ニ屬スル事、大藏大臣ノ所轄ニ屬スル事ヲ、豫ノ法文ノ間デ
區別シテ置ク方ガ便宜ト心得マシテ、附則ノ初メニ於キマシ
テ一條ヲ加ヘラレマシタ、ンレハ私共ノ修正ニ依レバ、第三
十九條ト相成ル譯デアリマス、其九條ノ修正ハ「本法中生務
大臣トアルハ第十一條、第二十三條、第二十九條、第三十
條、第三十四條、第四十一條及第四十二條ニ在リテハ農
商務大臣及大藏大臣其他ニ在リテハ農商務大臣トス」ト
斯樣ヲ規定ヲ設ケテ、此法ヲ運用スル爲ニ、大藏省ノ所屬、
農商務省ノ所屬ヲ豫メ限界ヲ立アヽ置ケバ、極テ敏活ニ込
速二此群雄割殊ノ如キ兩者ニ於テモ、比較的衝突ナクシテ
圓滿ニ運用出來ルト信ジマシテ、斯樣ナ規定ヲ設ケタノデア
リマス、私共ノ修正ハ只今申述ベタ通リデアリマス、政友會
ノ諸君ガ初ニ御提案ナスッタトキノ精神ニ成ベク〓フフウニ"
致シ、私共ノ多年ノ主張ニ成ベク副フヤウニ致シ、日本ノ現
狀ニ鑑ミマシテ、此產業組合中央金庫法ガ出來マシテ、此
機關ガ整ウタナラバ、玆ニ希望スル所ノ事ガ、努テ最初カラ
可ナリ其期待ヲ裏切ラザル狀態ニ實現出來ルヤウニト考慮
ヲ致シマシテ、瀧君ノ修正ノ或點ニ於テハ、私共共通ノ點ハ
贊成シ、只今ノ特ニ十五條、十六條ノ問題ニ於キマシテ、骨
拔ノ原案ニ爲スッタコトヲ遺憾ト致シマシテ、ンレヲ復活シ、
此中央金庫ノ意味ヲ明確ニ堅實ナラシメヤウトシテ修正案
ヲ出シタ譯デアリマスカラシテ、何分滿場ノ諸君、愼重ニ御
考慮下スッテ、御賛成アランコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=70
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071・松田源治
○副議長(松田源治君) 修正案ニ付テ討論ノ通告ロアリ
マス、通告順ニ依シテ發言ヲ許可致シマス、牧野良三君
〔牧野良三君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=71
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072・牧野良三
○牧野良三君 本員ハ委員長ノ報告ニ賛成ヲ致シ、只今
革新倶樂部ノ植原君ヨリ御提議ニナリマシタル修正案ニ、
反對ノ意兄ヲ陳述致シタイノデゴザイマス、只今植原君ノ
御演說ヲ永クテ居リマスルト、委員會ニ於テ此修正案ヲ御
提議ニナリマシタル下岡委員ノ御演說ノ趣旨トハ、大分違ア
テ居ル點ガアルヤウニ存ジマス、修正ノ字句ハ固ヨリ同一デ
アリマスルガ、其御趣旨ニ至ッテ、多少本員ノ解スル能ハザル
點ガアリヤニ拜聽致シマシタ、此點ニ付キマシテハ、下圖姿
員ノ御說明ニ依〓テ本員ノ反駁ヲ試ミタイト存ジマス、豫メ
御諒承ヲ属ヒタイト存ジマス、尙ホソレハ甚ダ植原委員ニハ
敬意ヲ失スルノ虞ハアルヤウニ思ヒマスルガ、實ハ植原委員
ハ、委員會ニハ質問終了後出テ來ラレタ委員デアリマシテ、
質問應答ノ内容ヲ條リ御永知ナイコトハ御無理ハナイ、敢
テ之ヲ咎メチイ方ガ眞ノ討論ヲ爲ス所以デアルト存ジマス、
決シテ植原委員ニ敬意ヲ失スル所以デナイト云フコトヲ、豫
メ御諒承ヲ願ヒタイト思上マス、本員ハ本案ニ對シマシテ憲
政會竝ニ革新倶樂部ノ一部ヨリ修正意見ノ出デタルコト
ヲ、深ク遺憾ト致ス者デゴザイマス、何故遺憾トスルカト申シ
マスレバ、此修正意見ハ吾々ノ意ノ在ル所ヲ、未ダ十分ニ御
認下サラナイ結果デアルト斯樣ニ解スルガ故デアリマス、何
故吾々ノ意ノ在ル所ヲ十分ニ御諒解下サラナイモノト解ス
ルカト申セバ、本案ハ諸君既ニ御承知ノ通リ、之ヲ口ニ唱ヘ
テ社會ニ向シテ理想ヲ叫ブノ案デハナイノデアリマス、吾々ハ
相共ニ諸君ト力ヲ戮セ、政府ヲ督勵シ、之ヲ實行セシムルノ
實行案デアリマス、然ルニ只今此所ニ提議サレマシタル案ノ
內容ハ、政府ニ向ッテ其不可能ナル事ヲ求メントセラルヽ理
想事項ガ、内容ノ主ナルモノニナッテ居ルト云フコトヲ遺憾ニ
2感ズルノデアリマス、抑〓本條ノ目的トスル所ヲ實行センガ爲
ニハ、政府ノ出資額ト云フ點ニ於テ、組合ノ出資額ト云フ
點ニ於テ、而シテ更ニ大藏農商務、及法制局等、關係各省
ノ圓滿ナル協調ノ點ニ於テ深ク御考慮ヲ願ヒタイト思フ、
隨テ是等ノ聞係ニ於テ最上ノ可能性ヲ取八レテ以テ、本案
ノ達成ヲ期シタイト思フノハ本員等ノ衷心ノ望デアルノデ
アリマス、然ルニ修正案ノ條項ハ連日ニ亙リマシテ、最モ熱
心ニ詳細ニ、委員會及懇談會ニ於テ遂ゲマシタル其調査ト
〓究ト論議ノ結果ヲ、何等同情ナクシテ一蹴シ去ッテ居ラレ
ルノ嫌ガアルノデアリマス、斯ク解シマストキニ、本員等ハ此
修正案ト云フモノハ當初ヨリ是ガ實行ヲ-實現ヲ期待サ
レタノデハナク、吾々ノ理想ハ此點デアルト云フコトノミヲ、
茲ニ表白セラレタニ過ギナイノデナカラウカト思フノデアリマ
ス、元來本案ハ各黨各派ノ希望、ソレヲ內容ト致シテ居ルモ
ノデアル、隨テ假令發案者ハ政友會デアリマシテモ、此案ガ
勇マシク呱々ノ聲ヲ揚ゲル、其聲ハ各黨各派同一ノ手ニ於
テ發セシメタイト思フノガ吾々ノ希望デアル、苟モ是ガ一致
ノ手ニ依ッテ取上スルト云フコトニナリマシタラバ、一致ノ手
ニ依ッテ吉テルト云フコトノ責任ト愉快トガンコカラ生ジテ
來ルニ相違ナイ、斯ノ如クニシテ願クハ我國自治生活ニ新
生面ヲ與へ、國家ノ基礎根幹ヲ、培フト云フコトニ相與ニ倶
ニ進ミタイ、斯樣ニ本員等ハ苦心ヲ致シタ、何トナレバ產業
組合中央金庫法案ハ、單ニ農村ニ對スル金融機關タル使
命ヲ有スルバカリデナク、我ガ國民生活ノ一大革新ヲ斷行
スベキ重大ナル使命ヲ有シテ居ルト云フコトハ、旣ニ提案者
ヨリ此壇上ニ於テ說明ヲモラシタ通リデアリマス、現ニ諸君
ガ最近ニ於テ憂慮シテ居ラレル小作問題ノ如キニ開シマシ
テモ、決シテ此問題ハ小作料ノ高下、若クハ掟米ノ高イ低イ
ト云フヤウナ問題ガ其中心ヲ成シテ居ルノデハナイ、今ヤ農
村ノ子弟ハ滔々トシテ工業勞働、若クハ都會勞働ニ赴キツ
ツアル、之ニ走ルコトソレ自身ヲ、私ハ必シモ咎メルノデナイ
ノデアリマスガ、其影響ガ更ニ大ニ寒心ニ堪ヘザルモノガアル
コトヲ、此場合ニ於テ一言中シタイノデアル、何トナレバ彼等
ハ何ノ爲ニ是等都會ノ勞働、若クハ商工ノ勞働ニ走ルカト
云ヘバ、ソレハ己ノ生活ヲ犠牲ニシテ、唯〓賃銀ヲ追ウテ茲
ニ走ルノ傾向ガアルカラデアリマス、今日農村ハ--今日吾々
ノ農村ハ進ンダ結果ト申シマスカ、臺灣米ヲ用キルコトヲ
覺ヘテ來タノデアル、而シテ其臺灣米ノ一袋ノ代ガ、諸君御
承知ノ通リニ十圓ニ充タナイモノガアル、然ルニ農業ニ於テ
此一袋ノ臺灣米ヲ得ルト云フコトノ若心ハ、、容易ナモノデナ
イニモ拘ラズ、商工勞働ニ若クハ市街勞働ニ赴キマスナラ
バ、一日ノ勞働ノ賃銀ハ少クトモ二圓、二圓五十錢、三圓、
三圓五十錢ト云フモノニ一至ルコトハ諸君御承知ノ通リデア
ル、隨テ此臺灣米一袋ヲ得ルニハ、子供一人ガ四五日働ケ
パシレデ足ルノデアル、親子共ニ働ケバ二日カ三日ニハ一袋
ノ臺灣米ヲ得ルコトガ出來ルノデアル、故ニ彼等ハ此米、此
食糧ヲ得ンガ爲ニ、眞面目ナル農耕ニ從事スルヨリモ、彼等
ハ單ニ其賃銀ヲ得ンガ爲ニ、都會ニ走ラントスルノ傾向ヲ著
シク現シテ來タノデアル(拍手)然ルニ彼等ハ之ニ依リマシテ
生話ノ滿足ヲ得ルト云フコトガ出來タナラバ、吾々ハ彼等ガ
是等ノ勞働ニ走ルコトヲ咎メタクハナイ、併ナガラ彼等ノ之
ニ走ルノハ唯〓勞銀ノ額ニ向ッテ走ルノデアル、其額ニ欺カレ
テ、彼等ガ彼等ノ祖先以來卑ンデ來タ所ノ勞働、彼等ノ隣
人ガ卑シム所ノ勞働ニ赴クノデアル、其結果トシテ、彼等ハ
勞働其モノヲ樂マズ、一日働イテ來テ家ニ歸ッテ決シテ一日
ヲ樂マズ、己ヲ裏切リ、社會ヲ裏切リ、而シテ其時彼等ガ耳
ニ聞キ、眼ニ見ル所ノモノハ何デアルカ、彼等ノ耳ニ聞ク所ノ
モノハ非國家的ノ聲デアル、彼等ノ眼ニ見ルモノハ非國家
的ノ文字デアル、卽チ彼等ノ不平ト不滿トヲ煽ラントスル所
ノ思想ト云フモノガ、彼等ノ勞働ニ走ル所ノ收獲デアッタノ
デアリマス、卽チ國家ノ思想問題ト云フコトニ付テ甚ダ寒心
ニ堪ヘナイト云フノハ、此點ニ深キ々々モノガアルト云フコト
ヲ諸君ト吾々トハ想ハナケレバナラヌト信ズルノデアリマス
(拍手)此意味ニ於テ希クハ本員等ハ農村ヲ繁榮セシメ〓
村ノ子弟ニ職ヲ與ヘ、樂ンデ農村ノ農業ニ從じ、喜ンデ祖先
以來ノ其土地ヲ守ルト云フ念ヲ彼等ニ與ヘシメ、希クハ以
テ陛下ノ國土ヲ安德ニ維持スル此心懸ヲ、諸君ト吾々トハ
特ニ深カラシメント欲スル者デアリマス(「ヒヤ〓〓」)夫レ產
業組合ト申シマスルモノハ、御承知ノ通=經濟的强者ニ對
シテ、經濟的弱者ガ自ラ自己ヲ保護シ、發達セシメントスル
ノ制度デアリマス、而シテ是ガ中央金庫設立ノ目的任務ハ、
農村若クハ都會ニ於テ各種ノ生產ニ從事スル中產以下ノ
國民ノ必要トスル所ノ資本ヲ、最モ確實ニ最モ適切ニ、與へ
ントスル所ニ其重大ナル任務ガ在ル、卽チ彼等ガ牛活上ノ
努力及國家ノ生產上ノ努力其モノヲ保護シ、普及シ、發達
セシムルト云ソコトガ、本案ノ目的骨子ヲ成スノ任務デアルト
云フコトヲ御承知ヲ願ヒタイ(拍手)隨テ本案ノ目的ハ國
家ガ行フ所ノ社會政策中ノ、最モ重要ナルモノデアルト云フ
コトヲ御永知ヲ願ヒタイノデアル、此點ニ關スル誤解ガ、卽チ
只今此所ニ上リマシタル修正案ノ骨子トナッテハ居ナイカト
本員ハ疑フノデアル、此重大ナル使命ヲ有スル所ノ本案ヲ
成立セシメ、實行セシムルガ爲ニハ、各黨各派ノ協調的ナ卽
チ全會一致ノ決議ニ依ヲテ之ヲ進メタイト思フノデアル、其
爲ニ吾々ハ委員會ニ於テ連日讓步ニ譲歩ヲ重ネ、協議ニ協
議ヲ重ネテ以テ、諸君ノ意思ヲ適當ニ實現センコトニ努メタ
ノデアル、然ルニモ拘ラズ最後ノ日ニ於テ、突然トシテ修正
案ガ提起セラレタト云フコトニ對シテ、本員ハ非常ナル不滿
足ヲ感ズル者デアリマス(拍手)是レ卽チ私ガ本案ニ對スル
憲政會竝ニ革新倶樂部ノ提出ノ修正案ニ付テ、遺憾ト感
ズル第一點デアリマス、更ニ第二點ハ本案ヲ成立セシメ、貴
任ヲ以テ其實行ヲ期スル上ニ於テ、瀧君ノ修正案ト云フモ
ノハ、最小限度ノモノデアルト云フコトヲ知ラレナケレバナラ
ヌノデアル、何トナレバ諸君ニ此場合ニ於テ御披露致シタ
イ、此修正案ノ骨子ハ、最後ノ懇談會ノ席上ニ於テ法制局
長官自ラ種々ナル意見ヲ述ベラレ、各委員モ玆ニ種々ナル
希望ヲ述ベ、論議ヲ重ネタ結果ニ於テ、吾々ガ是認スベキ實
行ノ上ニ於テ、最小限度ノ修正其モノデアルト云フコトヲ御
承知ヲ願ヒダイノデアル、然ルニ單ナル理想ヲノミ主張セラ
ルヽト云フノナラバ宜イケレドモ、今マ之ヲ可決シテ以テ實行
シナケレバナラヌト云フトキニ、政府之ヲ容ルヽ能ハズ、實行
ヲ妨グルノ修正條項ヲ吾々ニ突付ケテ、然ラバ之ラ容レヨ
ト言ハルヽニ至ッテハ、本員之ヲ遺憾ヲ感ズル所ノ第二ノ理
由ト致サヾルヲ得ナイノデアル、之ヲ以テ本員ハ其修正條項
ハ、甚ダ遺憾ナル修正意見デアルト云フコトヲ述べマシテ、更
ニ各修正條項ニ對シテ一々具體的ニ其謂レナキコトヲ辯
駁致シテ見タイト存ジマス、第一ニ資本ヲ五千万圓ニセヨト
言ハレマシテ、吾々ガ提出致シマシタル案ノ第四條、第五
條、竝ニ第六條ノ修正意見ヲ提出サレマシタ、是ガ本員ノ
承服スルコトノ出來ナイ第一點デアル、ソレガ三千万圓ハ少
キニ失スルト言ハレマスケレドモ、五千万圓ニシナケレバナラ
ヌト云フ根據ハ、唯、サウシナケレバナラヌト云フダケノ御議
論デアッタヤウニ拜承スルノデアル、固ヨリ此種ノ金額ノ多イ
コーハ、吾々決シテ反對ハ致シマセヌ、併ナガラ吾々ハ今之ヲ
以テ實行スルガ爲ニ、其額ヲ定メナケレバナラヌト云フコトヲ
考ヘナケレバナラヌ、其點ニ於テ第一ニ政府ノ出資額ト、現
在我國ノ財政狀態ト云フモノヲ十分ニ考慮シナケレバナラ
ヌ、現ニ此議會ニ於テハ政府ハ吾々ノ意ノ在ル所ヲ尊重シ
テ、義務〓育費ニ三千万圓ノ增額ヲ爲サントシ、更ニ又本
日上程サレマシタ所ノ恩給法ニ於テ、吾々ノ意見ヲ容レテ、
全額ニ於テ二千五百万圓以上ノ增額ヲ斷行セントシ、其中
ノ約四百万圓ト云フモノハ、本年ヨリ之ヲ支出スルコトヲ約
束致シテ居ル、隨テ恩給法實施ノ爲ニハ、旣ニ改正恩給法ニ
於テ、政府ハ從來ノ恩給ヨリハ五百万圓ノ增額デアル、其
上ニ更ニ四百万圓ヲ吾々ノ意ニ依フテ本年ヨリ增額
スルト云ヘバ、此意味ニ於テ九百万圓-云フモノヲ支出シナ
ケレバナラヌ、其餘ノ約二千万圓ト云フモノハ向フ五年、六
年ノ間ニ於テ支出スルト云フコトヲ、政府ガ諸君ト吾々トノ
前ニ約束シタノデアル、其政府ガ尙ホ其上ニ吾々ニ向ッテヽ
產業組合聯合會中央金庫ノ資本トシテ若干ノ金額ヲ支出
セヨト言フ、其額ニ對シテ吾々ハ種々ナル交涉ヲ爲シ、而シ
テ政府ノ財政狀態ヲ數字ニ依テ徹底的ニ之ヲ〓究シタ結
果、最大限アアル千五百万圓ヲ向フ三年間ニ出資セシムル
ノ約言ヲ得タノデアリマス、卽チ此意味ニ於テ千五百万圓
ハ架空ナル千五百万圓ニ非ズシテ、政府財政ノ根柢ニ付テ、
種々ナル調査〓究ノ結果デアルト云フコトヲ御承知ヲ願ヒ
タイノデアル、随テ之ヲ唯〓無條件ニ增加スルト云フコーハ
政府ノ容ルヽ能ハザル、卽チ本案ヲ行フ能ハザルコトヲ豫想
シテ、唯〓之ヲ强要スルノ結果ニ過ギナイ(拍手)故ニ吾々ハ
此千五百万圓ヲ維持致シタイ(「二三年延ビルヂヤナイカ」ト
呼フ名アリ)二年延バス三年延バス云々ノ事ヲ曰實トシテ
言ハレマスケレドモ、既ニ政府ハ今申シマシタ金額ハ、二年
三年向フニマデ之ヲ支出シナケレバナラヌ、政府ハ無暗ニ將
來ニ對シテ左樣ナル約束ヲシテハナラヌト云フコトハ、早速
整爾君ノ財政演說ノ場合ニ於テ、此壇上デ爲サレタ演說ノ
內容デハナイカ(拍手)然ルニ五年六年ノ向フニ行ッテ出セバ
宜シイノデアルカラ、此所デ約束セヨト言ハレルノハ、政府ニ
無責任ヲ强フル所ノ無責任ノ言論デアルト吾々ハ斷定致シ
タイノデアル(拍手)更ニ此三千万圓ト決定致シマシタ第二
ノ理由ヲ申サン、第二ノ理由ハ御承知ノ如ク、其三千万圓
ノ半額一千五百万圓ハ、產業組合竝ニ產業組合聯合會ガ
之ヲ支出スルノデアル、隨テ現在產業組合竝ニ其聯合會ノ
狀態ヲ考察シナクチヤナラヌ、此點ニ於テ植原君ノ擧ゲラレタ
ル數字ト云フモノハ、本員亦之ヲ其儘用キルコトニ躊躇致
シマセヌ、併ナガラ現在一万四千ノ產業組合ノ中ニ、果シテ
責任ヲ以テ此中央金庫ガ設立サレル曉ニ、相違ナク實施シ
得ルモノヽ數ヲ後ラト見積ルヲ適當トスルカ、私ハ此場合ニ
於テ七千五百位ニ見積ルコトヲ適當ト思フ、更ニ其出資口
數ニ向ッテモ、約平均ニ於テ二十口ト見ルコトヲ適當トスル、
種々ナル狀況、其狀態、其發達、及其資產狀態、有ユル方面
カラ見マシテ、約七千五百ノ組合ヲ約平均二十ノ出資ヲ見
ルトシテ、茲ニ十五万口ト云フ出資ガ、本案成立シテ之ヲ實
行スル曉ニ多クノ苦慮ヲ拂ハズシテ、玆ニ集ルモノト推定致
シタノデアル、斯ノ如ク確實ナル責任アル根據ニ依ッテ立テタ
所ノ此十五万口ヲ、謂レナク單ニ形式ノミノ數字ヲ以テ破
ラントセラルヽコトハ、餘リニ本案ノ苦心アル點ヲ一蹴シ去
ラントスルモノトシテ、甚ダ遺憾ヲ感ゼザルヲ得ナイノデアル、
若シモ本案ガ成立シ實行セラルヽ曉ニ於テ、本案ノ趣旨ヲ
賛成シ、全國ニ於テ急ニ多クノ產業組合ガ出來テ其產業
組合ガ皆十、二十ノ出資ヲ爲サント欲スルコトノ申込ヲ爲
シタナラバ、ソレコソ吾々ノ出シタル此法律案ハ適切ナルモノ
デアルト云フコトニナルノミナラズ、翌年ニ於テ-來年度ニ
於テ玆ニ吾々ハ、更ニ多クノ增資ヲ斷行スルト云フ的確ナ
ル資料ヲ得ルノデアル、斯ノ如クニシテ吾々ハ徐々トシテ堅
實ニ此金庫ヲ發達セシメクイ、其念慮カラ吾々ガ責任ヲ以
テ募集シ得ルノ金額、及政府當局ガ責任ヲ以テ加入セシメ
得ル其ノ口數ヲ十五万口、千五百万圓ト推定致シダ、此根
據ニ對シテ願クハ修正案ヲ出サレタ諸君モ、十分御考ノ土御
賛成アランコーヲ希望致シタイノデアル、現ニ此席ニ於テ下岡
忠治氏ガ述ベラレタル、-農村振興ノ演說中ニ述ベラレタ
ル、普魯西ノ「セントラゲノツセンシヤフトカツセ」ノ如キモ、其
設立セラレマシタル千八百九十五年ニハ、其資本ハ五百万
麻克デアッダノデアリマス、僅ニ五百万麻克デアッタ、而シテソレ
ニ依フテ社會ノ狀態、產業組合ノ眞ノ實力ヲ見タ上デ、直ニ
其翌年千八百九十六年ノ六月八日ニハ、勅令ヲ以テ二千
万麻克ニ增加致シテ居ルノデアリマス、更ニ十四年經チマ
シテ、千九百九年ニハ之ヲ七千五百万麻克ニ增加シ、又千
九百十八年ニ至ッテ一億二千五百万麻克トナリ、更二一億
五千万麻克ト致シ、往々トシテ堅實ニ漸ヲ逐ウテ、實際ノ產
業組合ノ發達ニ應ジテ、其規模ト其出資額トヲ增加致シテ
來テ居ルノデアル、ドウカ初メカラ吾々ガ確信ナキ大キナ額ヲ
喜バナイ、確信ノアル堅實ナル、額ヲ少クシテ之ヲ維持シタ
イト云フノガ吾々ノ希望デアルノデアリマス、修正案ノ第二
ノ理由ハ本案ガ免角官僚的色彩ヲ有シテ居ハシナイカト
云フ理由ノ下ニ、理事長、理事、監事、評議員、是等ノ選任ガ
總テ政府ノ任命ニナッテ居ルト云フ點ヲ指摘サレテ居リマス、
此問題ニ關スル論議ハ一應御尤ナ點ガアルトシテ敬意ヲ表
シタイノデアリマス、而シテ憲政會ノ修正案ニ依リマスト、監
事竝ニ評議員ハ之ヲ組合員相互ヨリ選任セシムル方針ヲ
採クテハ如何、斯樣ト述ベラレテ居ラレル併ナガラ本員ハ現
在之ヲ實行案ト致ス意味ニ於テ、憲政會ノ修正意見ニ反
對致シタイノデアリマス、其第一ハ抑〓憲政會ノ人々ノ主張
ハ、或ハ多少ノ誤解ガアルノデハナイカト思フ、御承知ノ通リ
本案ノ使命ハ政府ノ行フ社會政策、其政府ノ行フ社會政
策ニ吾々ハ民衆的色彩ヲ多ク加ヘテ、以テ國民ノ欲スル所
ニ政府ノ手ヲ入レシメタイ、斯様ナ點ニ在ルコトハ御承知ノ
通リデアル、卽チ政府ノ爲ニ政府自ラ社會政策ヲ行フ其施
設ノ一ツデアルト云フコトニ、御考慮ヲ置カレタイノデアリマ
ス、又第二ニ國家ノ出資ハ既ニ限定サレテ居ルノデ、社會政
策ト云フ意味カラ、吾々ハ國家ノ有スル信用ヲ無限ニ利用
致シタイ、其爲ニ理事其他監事ト云フ者ヲ政府ノ任命ニ致
シタノデアル、而シテ假令政府ノ出資額ハ有限デアッテモ、
吾々ノ之ヲ利用スル上ニ於テハ、國家ノ有スル信用ヲ無限ニ
利用シタイ、ソレニ付テハ矢張政府ノ任命ト致シタ方ガ便
利デアラウ、之ヲ具體的ニ言ヘバ、政府ガ特殊ノ機關ヲ以テ
集メ得タル低利資金ヲ、極度ノ程度マデ吾々ガ之ヲ社會政
策的施設、殊ニ中央金庫ノ「キヤナリー」ヲ通シテ以テ、地方
全般ノ小產者ノ資金ニ充テタイ、其爲ニハ矢張幹部ハ政府
ノ任命ニスルコトガ最モ便利デアル、斯樣ニ認メタノデアル、
更ニ其第三ハ、政府ガ千五百万圓ノ出資ナルニ拘ラズ、此
機關ノ重大部分ヲ成シテ居リマス、出資者總會ニ於テ、官
權ヲ振廻サナイト云フ意味ニ於テ、僅カ百圓出資ノ地方ノ
一組合ト同ジヤウニ、唯"一票ノ議決權シカ行使シナイト
云フ規定ニナッテ居リマス、此點ヲ能ク諸君ニ御熟考ヲ願ヒ
タイ、千五百万圓ノ出資ヲ爲シテ居ルニ拘ラズ、唯、僅ニ一
口ノ出資ヲ爲シテ居ルニ過ギナイ、地方ノ產業組合ト同ジ
ヤウニ出資者總會ニ於テ一票ノ議決權ヲ行使スルニ過ギナ
イ、此點ニ諸君ノ注意ヲ請ヒタイノデアル、更ニ第四點ト致
シマシテハ、本金庫ノ出資者ハ總テ法人デアルト云フ點デア
リマス、而シテ之ヲ運用スル所ノ理事ト云ヒ、之ヲ監督スル監
事ト云フ者ハ、總テ自然人デアルト云フ點デアル、本員ハ
此點ニ御注意ヲ願ヒタイノハ、本案ニ於テ出資者デアル所
ノ政府ト云ヒ、產業組合ト云ヒ、產業組合聯合會ト云ヒ、
是等ハ總テ法人デアリマス、此法人ガ各〓ノ代表者ニ付テ
ソコニ自然人ガ出來テ、是等ノ人々ノ中ヨリ適當ナル理事
者ヲ得ルト云フ困難ヲ、其當初ニ於テハ豫想シナケレバナラ
ヌ、其意味ニ於テ本案ノ出資者ハ、卽チ組織者ハ法人デア
ルト云フ意味カラ、本案運用ノ衝ニ當ル理事者ハ、之ヲ政
府當局ノ任命ニスルト云フコトガ、最モ適當デアラウト斯樣
ニ考ヘテ居ル次第デアリマス、更ニ第五ト致シマシテハ、本金
庫ノ設立ノ當初ニ於テ、評議員若クハ監事ヲ選任スルト云
フコトニ付キマシテハ、其初ニ於テ、各組合ノ間ニ面白カラヌ
競爭ヲ惹起スルト云フコトガアリマシタナラバ、其結果ニ於テ
圓滿ナル相互主義ノ效果ヲ果ス上ニ於テ、多大ノ障害ナキヲ
保セナイト考ヘタノデアル、是レ卽チ吾人ガ此場合ニ於テハ、
總テ幹部ハ政府ノ任命ト致シ、此金庫ノ發達ト產業組合
ノ發達トノ狀況ニ鑑ミテ、將來ニ於テ多少ノ修正ヲ加ヘル
コトヲ以テ、最モ適當ナリト考ヘタ所デアリマス、次テ修正意
見ノ第三、卽チ一箇條ヲ挿入シテ「理事長、副理事長及理
事ハ在任中何等ノ名稱ニ拘ラス他ノ職務又ハ商業ニ從事
スルコトヲ得ス但シ主務大臣ノ認可ヲ得タル者ハ此ノ限ニ
在ラス」ト云フ一條文ヲ以テ挿入致シタイト云フ御意見デ
アリマス、サリナガラ諸君、本員ハ、本案ヲ以テ民衆的ニ致シ
タイ、官僚的色彩ヲ極度ニ取去リタイト云フ人ガ、斯ノ如キ
官僚式規定ヲ此際ニ及ンデ殊更挿入セラレントスルノ意見
ノ、那邊ニ在ルヤヲ推スルニ苦シムノデアリマス、何トナレバ
此條文ノ字句ハ、現在ノ勸業銀行法、農工銀行法、北海道
拓殖銀行法、其他特殊銀行ノ總テニアル所ノ文字、其字句
ヲ一字一句モ違ヘズシテ持ッテ來ラレテ居ルノデアルケレド
モ、現在特殊銀行法ノ規定ノ中デ最モ官僚式規定デアル、之
ヲ改正シナクチヤナラヌト云フ輿論ガ叫ンデ居ルノハ卽チ此
條文デアリマス、然ルニ何ガ故ニ斯ル條文ヲ挿入シテ以テ、
此重役ヲ法律ヲ以テ、若クハ官憲ノ力ヲ以テ、其自由ヲ拘
束サレントスルノカ、本員等今日之ヲ省イタノハ、自由ノ儘
ニ活動ヲ、營業ヲ、職業ヲ彼等ニ許セト云フノデハアリマセヌ、
唯、彼等ノ人格ヲ尊重シ、彼等ガ眞ニ德義的ニ、此場合ニ
於テ此方面ノ職業ハ之ヲ控ユベシトスルナラバ敢テ法律ノ
規定、官憲ノ壓迫ナクトモ、自發的ニ、德義的ニ、之ヲ爲サヾ
ルト云フコトニセシムルコトガ、卽チ民衆的デアリ、官僚
的分子ヲ除去スル重大ナル點デアルト思フノデアル(拍
手)斯樣ナル修正ヲ爲シテ、斯ル條文ガ特殊銀行ノ總テノ法
律ノ中ニアルニモ拘ラズ、之ヲ本員等ノ提案ノ當初ニ削除
致シタト云フノハ、何所迄モ理事者ノ人格ヲ認メ、民衆的
立法ト同時ニ、時代精神ニ適合セシメントスルノ微意ニ外
ナラザルト云フコトヲ御諒承ヲ願ヒタイノデアリマス(拍手)
更ニ修正ノ第四點ニ付テ中上ゲタイ、是ハ卽チ第十三條ノ
各號ニ「所屬」ト云フ字ヲ削レト云フコトデアル、卽チ第十三
條ノ各號ニハ、本金庫ヲ直接利用スル者ハ-第一線ニ於
テ利用スル者ハ、本金庫ニ加入致シテ居ル所ノ所屬產業組
合若クハ產業組合聯合會デナケレバナラヌト限定ヲ致シ
タル點ニ對スルノ反對デアリマス、而シテ此「所屬」ト云フ文
字ヲ此場合此箇所ニ入レルト入レナイトハ、卽チ本法案ノ
立法ノ方針ヲ右ニスルカ、左ニスルカト云フコトヲ決定スル
重大ナル點デアルト云フコトヲ御理解ヲ願ヒタイ、卽チ之ヲ
入レマシテ、加入產業組合ニ非ザレバ、本金庫ヲ第一線ニ
於テ利用スル能ハズトスルコトハ、何所迄モ相互主義ヲ嚴
格ニ貫カントスルモノデアリマシテ、此意味ニ於テ此金庫法
案ハ組合ノ大聯合主義トナリ、之ヲ具體的ニ申上ゲマスレ
バ農商務的ノ色彩ヲ濃厚ニスルモノデアリマス、又之ヲ削
ルト云フコトニナレバ、加入スルト否トヲ問ハヌ、一般ノ產業
組合若クハ聯合會ニ之ヲ許スト云フコトニナリマスルカラ、
益〓銀行的ニナル、卽チ之ヲ具體的ニ申セバ、大藏省的色彩
ヲ多クスルコトニナルノデアリマス、而シテ此立案ヲ銀行的
色彩ヲ濃厚ニセシムルカ、組合大聯合式ノ色彩ヲ濃厚ニセ
シムルカト云フコトハ、本員等之ヲ立案ノ當初ニ於キマシテ
モ相當注意ヲ拂ッタ點デアル、卽チ吾々ガ之ヲ挿入致シマシ
タ重大ナル第一ノ理由ハ、本案成立ノ曉ニ於ケル此出資ト
云フモノニ對シテハ、非營利法人ノ結果ト致シ、若クハ低利
ニ地方中小產者ニ資金ヲ供給スルノ必要カラシテ、剩餘金
ト云フモノヲ多ク得ルコトガ出來ナイ、、隨テ剩餘金ノ配當ト
云フモノハ三步、四歩、多クモ五步ト云フ所ノ上ハ、甚ダ多
額ハ出ルコトガ出來ナイト思フ、然ルニ地方産業組合ニ於
テ資金ヲ利用スレバ、定期預金ニ於テ六步五厘、若クハ七
步ト云フモノヽ利用ガ出來ルノデアルカラシテ、若シモ產業
組合ヲシテ加入スルト加入セザルトヲ問ハズ、一樣ニ同列ニ
本金庫ヲ利用セシメルコトニ致シタナラバ、或ハ自ラ茲ニ出資
ヲ差控ヘルト云フガ如キ、不心得ナル組合ヲ生ズルノ虞ガアル
ノデアリマス、隨テ總テノ組合ヲ總テ此金庫ニ加入セシメテ、
全國的ニ全般的ニ相互組織ニセシメタイ「ニユーチヤル」ノ
精神ヲ本當ニ發揮セシムル爲ニハ、矢張「所屬」ト致シテ置
イテ、此名ノ下ニ全國ノ產業組合ヲ例外ナク此中ニ包含セ
シメルト云フコトハ、又立案當初ニ於ケル此精神ノ上ニ、重
大ナル注意ノアル點ト御諒承ヲ願ヒタイノデアル、是レ卽チ
組合ヲシテ成ベク均一的ニ、普汎的ニ其出資ヲ爲サシメン
トスルノデアリマシテ、大株主ヲ成ベク少クセンガ爲ニ、最高
二百口ト限定致シタノモ此點デアリマシテ、三百口ニ修正
スルニ非ザレバ、此點ニ於ケル出資總額ノ增加ヲスルコトガ
出來ヌト云フ憲政會ノ提案ノ中ニハ、多少實施ヲ求ムルコ
トノ難イト云フコトヲ豫想致シテ居ラレルト思フ、隨テ本員
等ノ此點ニ關スル主張ハ、最モ責任アル、最モ正確ナル根據
ニ依ルモノデアルト云フコトヲ御承知ヲ願ヒタイノデアリマ
ス
〔「時間延長」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=72
-
073・松田源治
○副議長(松田源治君) 時間ノ延長ヲ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=73
-
074・牧野良三
○牧野良三君(續) 更ニ此壇上ニ於キマシテ、植原君ヨ
リ若シモ所屬產業組合、若クハ聯合會等ヲ限定スルトキハ、
新ニ出來タル所ノ產業組合、若クハ聯合會ガ、之ニ加入ス
ルコトガ出來ナイデハナイカト云フヤウニ言ハレルノデアリマス、
是ガ卽チ現在ノ產業組合、若クハ產業組合聯合會ノ、極メ
テ親密ナル相互的ノ點ヲ無視セラレテ居ルコトデアル、成程
自ラ直ニ加入スルコトガ出來ナイト致シマシテモ、出資ハ之
ヲ讓渡スコトハ自由デアリマス、其爲ニコン縣組合モ、聯合
會モアルノデアリマス、サレバ縣聯合會ガ自己ノ持數、所有
出資ヲ、其下ニ出來タル所ノ新ナル產業組合ニ之ヲ與ヘル
ト云フコトハ容易デアルノミナラズ、數箇月若クハ一二年ノ
後ニ於テハ、是等ノモノヲ合セテ大體ドレ位ナ增資ヲシタナ
ラバ、全國的ニ直ニ其滿株トナルト云フコトガ豫想出來ル
ト云フ的確ナル材料ヲ寄セテ、當局カ若クハ其理事者ガ增
資ヲ斷行スルニ極メテ便益ガアルト存ズルノデアリマス、卽
チ僅カナ點デアリマスケレドモ、我黨ノ提案ニハ斯ル點ニマ
デ深切ナル考慮ガ拂ハレテ居ルト云フコトヲ御理解ヲ願ヒ
タイノデアル(拍手)第五條ノ修正案ト致シマシテ、第二十
條ニ「割引債劵」ヲ挿入致シテハドウダ、產業債劵ハ五十圓
ノ債劵唯、一ツトシナイデ、其下へ割引債劵ニ依ルコトヲ得
ト云フ、便法ヲ認メラレタナラバドウカト云フ點ニ付キマシテ
ハ敬意ヲ表シタイト存ジマス、但シ是ハ突然ノ修正ノ御提
議デアリマス、一ツモ此點ニ對スル質問應答モ無ク、用意モ
無カッタ爲ニ、吾々ハマダ此點ニ於テ〓究ヲ致シテ居ナイ、未
ダ〓究ノ深ク至ラザルモノヲ輕忽ニ此中ニ入ルヽト云フコ
トヲ考ヘテ、暫ク之ヲ留保致シタイト存ジマス、第六ノ修正
ニ付キマシテハ、卽チ本金庫ハ兩大臣ノ管轄ト致シタルト云
フ點デアリマス、農商務、大藏、兩大臣ヲ管轄トシタト云フ
コトハ、兩頭ノ蛇タラシムルノ嫌ガアル、故ニ適當ナル修正ヲ
試ミナケレバナラヌト云フ所カラ、下岡案ニ依リマスルト、澤
山ノ條文ヲ引來シテ是レ々々ハ大藏省ト農商務省ノ管轄
デアルガ、其他ノモノハ農商務省ノ專屬管轄ニ歸セシムル、
斯樣ニ言ッテ居ラルヽノデアリマス、私ハ下岡議員ハ長ク官
界ニ身ヲ置カレタ所ノ方デアリマシテ、立法技術ニ對シテモ
相當ニ御堪能ナ御方ト承ッテ居リマス、此場合ニ於キマシテ
斯ノ如ク修正ヲ爲サルコトガ、一立法上ニ於テ適當デアルヤ
否ヤ、既ニ兩大臣ノ管轄ト爲ス所ノ立法例ハ其數少カラザ
ルノミナラズ、若シ其一部分ヲ限局シテ是レ々々ハ專屬管
轄デアル、唯、是レ々々ノ條文ニ關スルモノダケハ、兩管轄デ
アルト云フヤウナ制限的規定ヲ爲ストキニハ、將來豫想スベ
カラザル確執ヲ生ズルノ嫌ナキヤ否ヤ、確執ト云フコトハ語
弊ガアルガ、却テ圓滿ナル、進歩發達ノ圓滑ヲ期スル上ニ於
テ、遺憾ナ點ヲ生ジハシナイカト思フノデアリマス、併シ斷然
トシテ是ハ農商務省ノ管轄ニスル、若クハ斷然ト大藏省ノ
管轄ニスルト言ハルヽナラバ則チ已ム、御提案ノ如ク多数ノ
條文ヲ引張ッテ來テ、是等ハ兩大臣ノ管轄ニスルト云フナラ
バ、其管轄ソレニ付テ、何等兩頭ノ蛇タル弊害無シト云フコ
トヲ斷言セラルヽナラバ、此修正案ニ從フ所ノ考慮ヲ致シテ
見マセウ、併ナガラ是等ハ斷ジテ兩頭ノ蛇タル弊害ヲ生ゼズ
ト云フ確言ナキ以上ハ、斯ル不體栽ナル立法ノ形式ニ從フ
コトガ出來ヌト云フコトヲ御許シヲ願ヒタイト思ヒマス、最
後ニ第七ト致シマシテ下岡案ニ依リマスト、第十五條、第十
六條ノ復活ヲ要求致シテ居ラルヽノデアリマス、此點ニ對ス
ル下岡議員ノ御提案ハ、本員ハ深ク敬意ヲ拂ッテ拜聽致シ
且ツ深ク同ジ感ヲ懷クコトヲ言明致シテ置キタイノデアリ
マス、唯〓此點ニ關シテハ、植原代議士ガ之ヲ拔ケバ本案ハ
骨拔ニナル-言ハレルコトハ、本員不肖ニシテ其何ノ故タ
ルヲ解スルコトガ出來ナイノデアリマス、何故カナラバ、若シ
モ本案ハ農商務大臣ニ管轄セシメズ、大藏大臣ニ管轄セシ
メ、專ラ金融機關トシテノ機能ヲ發達セシムルト云フコトニ
ナルナラバ、卽チ大藏省的、銀行的ノ色彩ヲ濃厚ニセシムル
ト云フナラバ、卽チ銀行業務デアル所ノ預リ金、其他普通ノ
預金ヲ取扱フト云フ、十五條及十六條ヲ置クコトガ當然カ
モ知レマセヌ、併ナガラ今日實行ノ便宜ノ爲ニ、之ヲ大體ニ
於テ農商務省、大藏省ノ管轄トシテ、主トシテ產業組合ノ
大聯合的ノ「システム」ニ依ルトスルナラバ、其原則ヲ認メル
當然ノ結果トシテ、銀行業務ノ嫌アル十五條、十六條ヲ此
場合ニ於テ削除スルモノハ當然ノ處置トシテ、首尾一貫洵
ニ完全ナル創除デアルト本員ハ解スルノデアリマス、唯〓本員
ハ暫ク此案ニ付テ其進步發達ヲ期シタイト思ヒマスケレド
モ、將來吾々ノ有スル重大ナル理想ヲ實行致ス上ニ於キマ
シテハ、下岡氏ガ主張サレタル、之ニ對スル金融機關ノ色彩
ヲ加ヘナケレバナラヌト云フコトハ十分同感ノ意ヲ表シマス、
隨テ是等ノ規定ヲ挿入スル場合ニ於テ、其時機ニ至ッテ更
ニ考慮シテ、而シテ本規定ハ產業組合中央金庫ガ其業務
ノ根幹ヲ培養スル培養規定デアリマス、願クハ是等ノ規定
ガ挿入セラレ、此產業組合中央金庫ノ機能ト云フモノガ、
更ニ更ニ一段ノ光彩アル所ノ業務ヲ遺憾ナク行フノ時期
來ランコトヲ、本員モ亦切ニ望ム次第デアリマス、本員ハ是
等ノ意見大體ヲ述べマシテ、下岡案ニ反對ノ意ヲ表明致シ
タイモノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=74
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075・松田源治
○副議長(松田源治君) 森達三君
〔森達三君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=75
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076・森達三
○森達三君 私ハ植原君ニ依シテ述べラレマシタ修正案ニ
賛成ヲ致シマシテ、隨テ委員長報告ノ修正案ニハ反對ニナ
ル結果トナリマス、近來產業組合ト云フモノガ著シク發達
致シマシタト云フコトハ、甚ダ慶ブベキ事デアルト考ヘテ居リ
マス、申スマデモナク近來產業制度ノ大缺陷ト致シマシテ、
社會ニ多數ノ經濟的弱者、經濟的逆境ニ立ッテ居ル者ガ生
ジテ居ルノデアリマシテ、而モ之ガ社會ノ中ニ多數ヲ占メテ
居ルト云フ狀態デアリマス、是ニ於キマシテ是等ノ多數ノ人
ノ間ニ所謂社會運動-經濟上ノ弱者、逆境ニ立ッテ居ル
者ヲ自ラ救ハウト云フ社會運動ガ起クタノデアリマスルガ、產
業組合ト云ヒマスルモノモ、亦此社會運動ノ一種デアルト
見テ差支ナカラウト考へマス、而シテ此產業組合ノ本旨ト云
ヒマスルモノハ、御承知ノ通リ人間ノ本質デアリマスル共存
共榮、相互扶助ノ根本ノ思想ハ土ニ立ッテ居ルノデアリマシ
テ、而モ其性質ハ或ハ破壞ニ流レ、或ハ消極ニ流レルト云フ
コトナクシテ、寧口建設的デアッテ、積極的デアルト云フ性質
カラ此產業制度ニ依リマシテ-組合制度ニ依リマシテ、社
會ノ缺陷デアル經濟的弱者、逆境ニ在ル者ヲ救フト云
フコトハ甚ダ適當デアル甚ダ時宜ニ適シテ居ル方
法デアルト云フコトハ、何人モ疑ハナイ所デアリマシテ、斯
樣ナ案ニ依リマシテ、此多數ノ經濟上ノ弱者、逆境者ヲ救
フト云フコトハ、吾々ノ亦常ニ其希望シ持ッテ居ル所デアリマ
シテ、殊ニ此農村振興ト云フコトヲ主張シテ居リマスル私
達ニ取リマシテハ、此法案ヲ政友會ノ手カラ御提出サレタ
ト云フコトニ對シテモ、非常ニ感謝ヲ致シ、敬意ヲ表シテ居
ル次第デアリマス、率直ナ所ヲ申シマスルト云フト、私ハ此
法案ヲ此壇上ニ依シテ御說明ニナリマシタ時ニ、實ニ時宜ニ
適シタ案デアルカラ、是ハ黨派ノ觀念ナドハ全然除イテ、出
來得ヘクンバ賛成ヲシタイモノデアルト云フ考ヲ持フテ居ル
ノデアリマス(ヒヤ〓〓)此考ヲ持チマシテ委員會へ臨ミマシ
ノ所ガ、委員長ノ態度ト云ヒ、又提案者ノ態度モ甚ダ妥協
的デヲリマシタ、溫情シ含マレマシテ、寬大ナル態度デ吾々
ニ應酬ヲセラレマシタノデ、私達ハ非常ニ愉快ニ感ジマシテ、
如何ニモ相互扶助ニ根據ヲ置イテ居ル組合制度ニ付テ論
議ヲスルニ相應ハシイ會議デアルト云フ感ジヲ致シマシタ
ガ、其委員會ノ最後ノ後半ニ至リマシテ、私達ハ稍〓意意ニ
感ゼザルヲ得ナカッタノデアリマス、私達ハ此法案ヲ成ベク協
調シテ、全會一致デ贊成ヲスルト云フ希望ヲ持ッテ居リマシ
タカラ、寧ロ此際小委員會ヲ開クト云フコトガ適當デアラウ
ト云フコトヲ考ヘタノデアリマスガ、併シ是ハ容ルヽ所トナラ
ナカッタノデアリマス、又懇談會ヲ開カレマシクガ、懇談會ト
言ヒマスルケレドモ、名ノミノ懇談會デアリマシテ、政府ノ希
望ヲ述ベラレタニ過ギナイノデアリマシテ、吾々ノ方カラ十分
意嚮ノ存スル所ヲ申上ゲルダケノ機會モ時間モ與へラレナイ
デ終ッタノデアリマス、此委員會ノ最後ノ後半ニ於キマシテ
ハ、甚ダ非妥協的ノ空氣ニ包マレタノデアリマシテ、遂ニ私
達ハ諸君ト共ニ同ジ案ニ贊成スルコトガ出來ズ、違ッタ修正
案ヲ出サナケレバナラナクナッタコトハ甚ダ遺憾ニ存ジマス
ガ、先程質問ノ一ツトシテ牧野君ノ仰セラレマシク中ニハ、
自分等ハ誠心誠意協調ニ努メタト云フコトヲ仰セラレテ居
リマスケレドモ、此委員會ノ最後ノ後半ノ狀態ニ於テハ決
シテ牧野君ノ仰セラレル程、左樣ニ爾ク妥協的デアリ、協調
的デナカッタト云フコトヲ此際申シテ置キマス(「簡單々々」
「謹聽」ト呼フ者アリ)斯樣ニ不幸ニ致シマシテ、此案ハ私達
ガ政友會ノ方々ト同一案ニ贊成スルコトガ出來ナー狀態ニ
ナッタノデアリマスガ、餅シ能ク考ヘテ見マスルノニ、此產業
組合、又ハ中央金庫ト云フヤウナモノニ於キマスル其主義
ナリ、或ハ理想ナリト云フヤウナモノヲ相比較致シマスルト、
全然ト言ウテ差支ナイ位ニ、政友會ノ委員ノ方々モ吾々モ
同ジ主義理想ヲ持テテ居ルノデアリマシテ、殆ド何等ノ相違
ガナカッタト云ウテモ差支ナカッタノデアリマス、斯樣ニ私達ガ
主義トシ理想トスル所ヨリモ、更ニ一步進ンデ徹底シタ主
義理想ヲ諸君ガ持タレテ居ルニ拘ラズ、私達ガ諸君ト共ニ
同一案ニ賛成スルコトガ出來ナイ狀態ニナリマシタ其大ナ
ル原因ハ何デアルカト云フコトヲ深ク考ヘテ見マスルト云フ
ト、先ヅ私達ト諸君トノ立場ガ違ッテ居ルト申シマスカ、又
此案ニ對スル主義トカ理想トカ云フモノデナクシテ、態度ト
カ方針トカ云フモノガ違ッテ居。タノデハナカラウカト思ヅノデ
アリマスガ、繰返シテ言葉ヲ改メテ言ヒマスルト云フト、詰リ
諸君ハ餘リニ政府ト云フモノヽ意思ヤ都合ニ重キヲ置カレ
過ギタノデハナカラウカ、私達ヨリハ尠クトモ目由ヲ缺イテ居
ラレタト云フコトガ、吾々ガ同一家ニ賛成スルコトガ出來ナ
カッタ最大ナル原因ノ一ツデアルト考ヘマス、第二ハ此事ハ
政友會ノ諸君ガ本案ヲ提出セラレタノデアリマスルガ、自ラ
再ビ修正案ヲ出サレマシタガ、其修正案ト云フモノハ、過目
ノ懇談會ニ於キマシテ、政府當局ヨリ述ベラレタ希望ト殆
ド全部合致シテ居ルノデアリマシテ、此點カラ見マシテモ、諸
君ガ餘リ政府ノ御都合ヤ意思ヲ尊重セラレ過ギテト云フ
コトハ疑フコトハ出來ナイト考ヘルノデアリマス(拍手)第二
ハ是ハ決シテ惡意ヲ以テ申上ゲルノデハアリマセヌ、寧口尊
敬ノ意ヲ以テ申上ゲルノデアリマスガ、只今牧野君モ申サレ
マシタヤウニ、諸君ハ餘リニ此法案ノ完成ヲ急ガレマシテ目
先ニ重キヲ置カレマシタガ故ニ、却テ-言葉ハ失禮デアリ
マスカモ知レマセヌガ、先ノ先ヲ考ヘルト云フヤウナ、サウ云
フヤウナ方面二聊カ〓ケル所ガテッテ、餘リニ目先バカリニ重
キヲ置カレルト云フ頓ガナカッタデアリマセウカ、私ハ是ガ又
一ツノ吾々ト諸君ト合致スルコトノ出來ナカッタ大原因デア
ルト考ヘ7居リマス、之ニ付キマシテハ最前御質問ガアリマ
シタカラ、具御質問ニ御答ガテラ只今申上ケタ所ヲ簡單ニ
申上ゲテ見タイト考へマス、組合ノ數ガ凡シ一万四千モア
リ、組合員ガ二百五十万モアルト云フヤウナモノヲ引括メマ
スル中央金庫ニ對シテ、三千万圓ノ資本金ハ餘リニ過少デ
アリマシテ、是ハ少クトモ五千万圓ニ直スト云フコトガ適當
デアルト云フコトハ、委員會ニ於キマスル應酬ニ依リマシテ
モ、殆下一致スル所アアリマスルガ、唯〓先程モ申シマスヤウ
ニ、牧野君ノ仰セラレマスニハ多イコトハ必シモ不可デハナイ
ガ、政府ガ三千万圓ノ中千五百万圓デヤルナラバ、近キ將
來ノ間ニ資スルコトガ出來ルカラ、シレヲ前提トセラレタト
言ッテ居リマスルガ、是ハ只今申上ゲマシタハ餘リニ政府ノ意
思ヤ都合ヲ諸君ガ尊重シ過ギルノデハナカラウカト思フ第
一點デアリマス、私達ハ行政整理デモ、財政整理デモ何デモ
多クノ場合ニ於テ今ノ政府ト見解ソ異エシテ居リマヌルカ
ラ、聊々自由過ギルカモ知レマセヌガ、諸君ガ攘イテ居ラシマ
スル行政ナリ財政ノ根本的整理ヲ爲サイベシテモ、此重
要法案ノ爲ニ千五百万圓ノ上更ニ一千万圓ヲ增加スルト
云フヨトハ甚ダヤサシイコトデアラウト私ハ考ヘマス(拍手)
若シ諸君ガ内閣デモ造フテ居ラレマスルナラバ、必ズヤ吾々
共カラ申上グマセヌトモ三千万測以土ノ資本ヲ增加シテ
益〓中產階級以下ノ人ノ救済ニカヲ盡サレテ居ラレルデア
ラウト私ハ確信致シマヌ(拍手)ンレカカ產業組合ノ方面ノ
資本ガ募集ガ出來ルカト云フヤウナ御疑ノ質問モテリマシ
タガ、是ハ牧野君ノ御說ヲ其儘申上ゲテモ差支ナイノデアリマ
シテ、吾々ハ一万四千ノ全國組合ノ中ノ約一万トニムフモイ
ハ、此中央金庫ニ加盟シ得ルダラウト云フ考ヲ持ッテ居ルノ
デアリマス、此考カラ致ノマメレバ、一ツノ組合ガ平均二十
五日サヘ負擔スレバ、二千五百万圓ノ金ハ易々トシテ藥マ
ルノデアリマスカラ、牧野君ノ仰セラレルヤウナ御心配ハ少
シモナカラウト考ヘルノデアリマス、ンレカラ此中央金姉メ俄
關デアリマスガ、湖互主義ヲ基礎トシテ居リマスル產業組
令ノ集團デアル中央〓庫ノ機關ガ、全部官選デアルト云フ
ヨトガ甚ダ不合理デアルト云フ〓トハ、何方モ御異存ガナイ
ト考ヘマスガ、此相互主義、自治的精神ヲ基礎トシテ居リ
マス、此組合組減ノ幹部ヲ官選ニスレト云フコトガ、相矛盾
シテ居ルト云フヤウサヨトハ、提案者諸君ニ於フハ、私カラ
申上ゲルマデモナク百モ二百モ御承知ノ上ノコトデワリマ
ス、斯樣ニ能ク御永知デアリナガラモ、尙ホ此官僚主義、官
憲主義ニ陷ラレマシタ原因ハ何處ニアルカト云フコト
ヲ考ヘテ見マスト、此點モ先程ノ牧野サンノ御質問ニ
御答ガテラノ說明デアリマスガ、私達ハ本案ヲ諸君ガ御提
出ナサイマス場合ニ於キマシテ、採ラレタ主義-主義ト申
シマスヨリモ其方針態度ガ幾分誤クテ居ルノデハナイカト考
ヘマス、ソレハ先程牧野君ガ力强ク申サレマシタヤウニ、此案
ハ政府ガ行フ社會政策ノ一デアルト云フコトニ重キヲ置カ
レテ申サレマシタ、牧野君ノ言葉ヲ借リマスト國家ヨ汝ハ此
形式ニ於テ社會政策ヲ行ヘヨト云フ意味ニ於キマシテ、此
法案ヲ提案ナサレテ居リマスルガ、是ガ此民本主義ニ立ッテ
居ル中央金庫ノ役員ヲ官選スルト云フヤウナ不思議ナ有
樣ニ陷ラセマシタ大原因デアリマシテ、寧ロ本質上カラ申
マスルナラバ、組合ノ方ヲ主ト致シマシテ、國民各自ガ吾々ガ
中央金庫ヲ組織スルカラ、政府ハ來クテ之ニ援助ヲ爲セヨ、
又其當然ノ義務トシテ其出資ヲ爲セヨト云フ意味ニ於テ
本案ヲ提出ナサイマシタナラバ、斯樣ナ誤ッタ仕組ニハナラナ
カッタデ、アラウト考ヘルノデアリマス、殊ニ私達ガ是非共申上
グナケレバナリマセヌノハ、成程此法案ニ於キマシテハ、政府
ハ多大ノ出資ヲ爲スノデアリマスカラ、政府ニ於テ重要ナル
役員機關ヲ選出致スト云フコトハ、或ル程度マデハ忍ビマセ
ウ、牧野君ノ御言葉ヲ借リマスナラバ生レ出ル苦ミト云フ
綺麗ナ熱情アル御言葉ニ從ヒマシテ、此機關ヲ官選スルト
云フコトハ認メマセウガ、併シ此機關ノ中デモ監事ト云フモ
ノヲ矢張政府ガ選任スルト云フコトハ、何處マデモ私違ハ承
認スルコトガ出來ナイノデアリマス、監事ト云フ者ノ作用ハ、
私ガ今更申上ゲルマデモナイノデアリマシテ、理事長デアルト
カ、理事ト云フ人ニ對シテハ、或場合ニ於テハ敵役ニ廻ラナケ
レバナラナイ性質ノモノデアリマスガ、此敵役ノ理事ヤ理事
長ト云フ者ヲ、同ジ政府ガ任免スルト云フコトハ甚シク不條
理極マルモノデアルト私ハ考ヘルノデアリマス(拍手)デ如何
ニモ色ミノ點ニ於キマシテ讓步ヲ致シマセウ、生レ出ヅル苦
ト云フ御言葉ニ對シテ協調ヲ保シテ行キタイト考ヘマシテモ、
斯樣ナ點ニ於キマシテハ、幾ラ生レ出ル苦ミデアリマシテモ、
何處マデモ協調スルコトヲ得ナイト云フコトハ甚ダ殘念デア
リマス、ケレドモ、吾々ノ考カラ云ヒマスレバ、監事ヲ官選スル
ト云フヤウナコトハ、殆ド不條理ト云ヒマスヨリモ、此監事ト
カ役員トカ云フモノヽ本質ヲ蹂躪シ盡シタモノデアッテ、何ト
モ批評ノシヤウノナイモノデアラウト考ヘテ居リマス、ソレカ
ラ十二條ノ次ニ十三條ヲ入レテ、「理事、理事長ハ在任中何
等ノ名稱ニ拘ラズ他ノ職務又ハ商業ニ從事スルコトヲ得ズ」
云々ノ規定ガアリマスガ、之ヲ牧野君ハ甚シク官僚的ノ規
定ノヤウニ仰セラレマシテ反對ヲナサッタノデアリマスガ、是ハ
私達ノ考ハ殊更ニ斯樣ナ規定ヲ入レタノデアリマシテ、此中
央金庫ト云ヒマスヤウナ地味ナ確實デアルベキ團體ニ於キ
マシテハ、他ノ營利會社銀行等ノヤウニ、辣腕ノ人デアルト
カ、手腕家デアルトカ云フヤウナ者ハ、寧口希望シナイノデアリ
マシテ、確實デ忠實デ、而モ組合組織ト云フモノニ信仰ヲ持シ
テ居リマス者、斯樣ナ人ガ來サヘスレバソレデ澤山ナノデアリ
マスカラ、寧ロ斯樣ナ規定ハ態ト入レタモノデアルト云フコト
ヲ御承知願ヒタイノデアリマス、ソレカラ三十九條ニ條項ヲ
限定シテ、主務大臣ノ管轄ヲ定メタコトヲ非難サレタヤウデ
アリマスガ、第七條ニ於キマシテ株式會社ニ關スル規定ヲ削
除サレテ、產業組合ニ關スル規定ヲ特ニ本案ニ準用スルヤ
ウニ致シマシタ以上ハ、先ヅ原則ト致シマシテ、農商務大臣
ヲ其主管トスルコトガ必要ニナッテ來ルノデアリマシテ、大體ニ
於テ農商務大臣ヲ主務大臣トシナケレバナリマセヌケレド
モ、其會計經濟ニ關スルコトハ、又大藏大臣ヲシテ關係セシ
メル必要モアリマスカラ、特ニ斯樣ナ規定ニ付キマシテハ
農商務、大藏、兩大臣ヲ共ニ主務大臣トシタ次第デアリマ
ス、デ私ハ前日此法案ノ提案ノ趣旨ヲ橫田サンガ此處デ御
述ニナルノヲ聽キマシタトキニ、此法案ニ反對說ガアルト云
フコトヲ御紹介ナサイマシタ中ニ各省大臣ガ割據主義ヲ執
リ籠城主義ヲ執ヶテ居ルカラ、隨テ國務大臣タル地位ヲ忘レ
テ、是ガ爲ニ内閣統一ノ働キヲ忘レテ居ルカラ、今日デハ斯
樣ナ法律案ヲ作ルコトハ止メテ、議會一致デ行政ノ根本組
織ヲ改造シタラドツカト云フ御話ガアリマシクノヲ承リマシ
テサウ云フ事ナラ何モ特別ニ此法案ニ限ッタコトモナイ、ドノ
法案デモ左樣ナ風ニ考ヘラレルノデアルト不思議ニ思ヲテ居
リマシタガ、此法案ノ委員會ニ臨ミマシテ、提案者諸君ノ御
說明振ナリ、又政府ノ態度ナリヲ見マスト云フト、如何ニモ
此間ニ農商務大臣大藏大臣ガ主管爭ヲシテ居ルノデハナ
イカト云フコトヲ威ズルコトガ出來タノデアリマス(「ヒヤ〓〓」)
若モ之ヲ政友會ガ修正ナサイマシタヤウニ、唯主務大臣ハ
「本法中主務大臣トアルハ農商務大臣及大藏大臣トス」ト
云フヤウナコトデハ、斯樣ナ危險ナル勢力爭ト云フコトハ、或
ハ防グコトガ出來ナイノデハナカラウカ、斯樣ニ條項ヲ擧ゲテ
限定スル方ガ、其權力爭、主管爭ヲ防グニ便デハナカラウカ
ト考ヘタノデアリマス(拍手)之ヲ要シマスルニ、不幸ニ致シマ
シテ諸君ト私共ハ案ヲ異ニシテ修正案ヲ出サナケレバナラナ
イヤウニナリマシタガ、併シ冷靜ニ考ヘテ見マスレバ、諸君ガ
モウ少シ自由ノ立場ニ立タレテ、諸君獨自ノ御判斷ニ依ッテ
此法案ヲ議セラレタナラバ、或ハ私達ノ修正案ニ御同意ナ
サルヤウナコトニナリハシナイデアラウカ、左樣ナ風ニナッタ方
ガ又諸君ノ理想ガ實現スルノデハナイカト云フコトヲ考ヘル
ノデアリマス(拍手)何卒諸君ニ於テ吾々ノ修正案ニ御賛成
ヲ乞フ次第デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=76
-
077・松田源治
○副議長(松田源治君) 修正案ニ對スル計論ハ終局致
シマシク、採決致シマス、採決ニ付テ一言致シマス、下同忠
治君外五名提出修正案中、委員長ノ報告ト同一ノ箇所ガ
アリマス、其點ハ委員長報告ニ依リ採決致シマスカラ、先ヅ
其點ヲ除キタル他ノ修正ニ付テ採決致シタイト思ヒマス、異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=77
-
078・松田源治
○副議長(松田源治君) ソレデハ下圖忠治君外五名提
出修正案中、委員長報告ト同一ノ箇所ヲ除ク其他ノ修正
ニ賛成ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
〔賛成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=78
-
079・松田源治
○副議長(松田源治君) 少數デアリマス、仍テ修正案ハ否
決サレマシタ、委員長ノ報告ニ付テ採決致シマス、委員長ノ
報告ニ賛成ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=79
-
080・松田源治
○副議長(松田源治君) 起立多數デアリマス、仍テ委員
長ノ報告通リ決シマシタ
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=80
-
081・岩崎勲
○岩崎勳君 直ニ本案ノ第三讀會ヲ開キ、第二讀會議決
ノ通リ可決確定セラレムコトヲ望ミマス
〔「賛成々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=81
-
082・松田源治
○副議長(松田源治君) 岩崎君ノ動議ニ御異議アリマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=82
-
083・松田源治
○副議長(松田源治君) 異議ナシト認メマス、仍テ本案ノ
第三讀會ヲ開キマス
產業組合中央金庫法案第三讀會
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=83
-
084・松田源治
○副議長(松田源治君) 異議ナシト認メマス、仍テ動議ノ
如ク決定致シマス、本案ハ可決確定致シタコトヲ宣告致シ
マス
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=84
-
085・岩崎勲
○岩崎勳君 議事日程變更ニ關スル緊急動議ヲ提出致
シマス、卽チ茲ニ日程第一ニ揭ゲタル議員樋口伊之助君懲
罰事犯ノ件ヲ議題トシ、委員長ノ報告ヲ求メ、且ツ其審議
ヲ進メラレムコトヲ望ミマス
〔「賛成々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=85
-
086・松田源治
○副議長(松田源治君) 岩崎君ノ動議ニ御異議ハアリマ
セヌカ
〔「異議ナシ異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=86
-
087・松田源治
○副議長(松田源治君) 異議ナシト認メマス、仍テ動議ノ
如ク決シマス-日程第一議員樋口伊之助君懲罰事犯ノ
件
第議員樋口伊之助君懲罰事犯ノ件
(委員長報告)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=87
-
088・松田源治
○副議長(松田源治君) 懲罰事犯ノ議事ハ祕密會デアリ
マスカラ傍聽人ノ退場ヲ命ジマス
〔午後六時三十六分祕密會ニ入ル〕
〔午後六時五十八分祕密會ヲ終ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=88
-
089・松田源治
○副議長(松田源治君) 樋口君ノ入場ヲ許シマス、祕密
會ノ結果ヲ報告致シマス、祕密會ニ於テハ樋口伊之助君
懲罰事犯ノ件ヲ決議致シマシタ、仍テ其決議ニ基ク宣告ヲ
致シマス、議員樋口伊之助君ニ對シ議院法第九十六條第
一項第一號ニ依リ譴貴ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=89
-
090・岩崎勲
○岩崎勳君 殘餘ノ日程ニ對シテ延期ノ動議ヲ提出致シ
マス
〔「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=90
-
091・松田源治
○副議長(松田源治君) 岩崎君ノ動議ニ異議アリマセヌ
カ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=91
-
092・松田源治
○副議長(松田源治君 異議ナシト認メマス、仍テ爾餘ノ
日程ハ延期ト決シマス、諮間事項ガアリマス、第六部選出
請願委員花岡次郞君、第一部選出決算委員米原於菟男
君、第九部選出豫算委員矢島專平君、、右常任委員辭任ノ
申出ガアリマス、許可スルニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=92
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093・松田源治
○副議長(松田源治君) 異議ナシト認メマス、仍テ其部ノ
諸君ハ速ニ補缺選舉ヲ行ヒ御屆アランコトヲ望ミマス、次ノ
日程ハ公報ヲ以テ御通知致シマス、本日ハ是ニテ散會
午後七時一分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X02419230303&spkNum=93
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