1. 会議録本文
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000・会議録情報
大正十二年三月二十四日(土曜日)午後一時二十五分開議
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議事日程 第三十七號 大正十二年三月二十四日
午後一時開議
質問
一 圓山川川敷買収に關する件(紫安新九郎君提出)
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第一 大正九年度決算
第二 帝都制案(鳩山一郎君外九名提出) 第一讀會
第三 東京府廢止竝神奈川縣界變更に關する法律案(鳩山一郎君外九名提出) 第一讀會
第四 帝都制案(作間耕逸君外七名提出) 第一讀會
第五 東京府廢止に關する法律案(作間耕逸君外七名提出) 第一讀會
第六 帝都制案(近藤達兒君外六名提出) 第一讀會
第七 東京府廢止竝神奈川縣界變更に關する法律案(近藤達兒君外六名提出) 第一讀會
第八 大阪都制案(赤田瑳一君外一名提出) 第一讀會
第九 大阪府廢止竝浪速縣設置に關する法律案(赤田瑳一君外一名提出) 第一讀會
第十 浪速縣大阪都組合法案(赤田瑳一君外一名提出) 第一讀會
第十一 大阪都制案(板野友造君外七名提出) 第一讀會
第十二 浪速縣設置に關する法律案(板野友造君外六名提出) 第一讀會
第十三 浪速縣大阪都組合法案(板野友造君外六名提出) 第一讀會
第十四 京都制案(竹上藤次郎君提出) 第一讀會
第十五 京都府廢止竝西京縣設置に關する法律案(竹上藤次郎君提出) 第一讀會
第十六 西京縣京都組合法案(竹上藤次郎君提出) 第一讀會
第十七 京都制案(渡邊昭君外二名提出) 第一讀會
第十八 京都制實施に關する法律案(渡邊昭君外二名提出) 第一讀會
第十九 京都府京都組合法案(渡邊昭君外二名提出) 第一讀會
第二十 人事訴訟手續法中改正法律案(麓純義君外五名提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十一 普通選擧に關し一般投票實施に關する建議案(林田龜太郎君外二名提出)
第二十二 郡町村連絡直通電話特設奬勵に關する建議案(佐久間啓莊君外八名提出)
第二十三 因襲打破に關する建議案(横田千之助君外六名提出)
第二十四 在支公使館を大使館に昇格することに關する建議案(田淵豐吉君提出)
第二十五 三浦半島一週鐵道敷設に關する建議案(田川平三郎君外三名提出)
第二十六 私設社會事業經營者補助に關する建議案(木村權右衞門君提出)
第二十七 明治神宮聖徳記念繪畫館に關する建議案(荒川五郎君外二名提出)
第二十八 石炭及含油頁岩低温乾餾事業振興に關する建議案(宮古啓三郎君外十二名提出)
第二十九 矢部川改修工事に關する建議案(吉原正隆君外一名提出)
第三十 大野川改修速成に關する建議案(金光庸夫君外二名提出)
第三十一 陸軍除隊兵に對し軍服支給に關する建議案(木村清三郎君外六名提出)
第三十二 水戸鹿島間高濱延方間及玉造鉾田間鐵道速成に關する建議案(宮古啓三郎君外三名提出)
第三十三 熊久線速成に關する建議案(有馬秀雄君外一名提出)
第三十四 高等試驗令施行に關する建議案(三輪市太郎君提出)
第三十五 高等試驗令中改正に關する建議案(三輪市太郎君提出)
第三十六 農村振興に關する建議案(安達謙藏君外四名提出) (委員長報告)
第三十七 農村振興に關する建議案(床次竹二郎君外十一名提出) (委員長報告)
第三十八 農業倉庫普及充實に關する建議案(井上角五郎君外十名提出) (委員長報告)
第三十九 産業組合中央金庫設置に關する建議案(土井權大君提出) (委員長報告)
第四十 島根縣に内務省土木出張所設置に關する建議案(原夫次郎君外五名提出) (委員長報告)
第四十一 新潟縣下各税務署移管に關する建議案(伊藤虎助君外二名提出) (委員長報告)
第四十二 露國政變及事變に關する被害者救濟竝對露貿易企業促進に關する建議案(川崎克君外六名提出) (委員長報告)
第四十三 對露被害者救濟竝企業貿易促進に關する建議案(矢野丑乙君外六名提出) (委員長報告)
第四十四 青島罹災民救恤に關する建議案(岩切重雄君外三名提出) (委員長報告)
第四十五 治水事業に關する建議案(松浦五兵衞君外三名提出) (委員長報告)
第四十六 國税徴収事務に對する交付金増額に關する建議案(長谷川宗治君外三名提出) (委員長報告)
第四十七 正米市場設置に關する建議案(田中定吉君外二名提出) (委員長報告)
第四十八 鑛業に因る農耕地の被害救濟に關する建議案(中村清造君外四名提出) (委員長報告)
第四十九 借地法借家法竝借地借家調停法施行に關する建議案(吉田磯吉君外四名提出) (委員長報告)
第五十 水道補助費補助範圍擴張に關する建議案(八田宗吉君外二名提出) (委員長報告)
第五十一 都市計畫事業費國庫補助に關する建議案(鳩山一郎君外五名提出) (委員長報告)
第五十二 都市計畫促進に關する建議案(山口義一君外六名提出) (委員長報告)
第五十三 都制調査會設置に關する建議案(砂田重政君提出) (委員長報告)
第五十四 衆議院議員選擧法別表中改正に關する建議案(木下甚三郎君外四名提出) (委員長報告)
第五十五 隱岐國航海費補助増額竝造船費補助に關する建議案(若林徳懋君外五名提出) (委員長報告)
第五十六 松江隱岐間海底電信電話増設速成に關する建議案(若林徳懋君外五名提出) (委員長報告)
第五十七 大正九年勅令第四百五號適用に關する建議案(若林徳懋君外五名提出) (委員長報告)
第五十八 四國九州間海底電話開通に關する建議案(矢野丑乙君外三名提出) (委員長報告)
第五十九 兩國驛萬世橋驛間連絡鐵道速成に關する建議案(鈴木久次郎君提出) (委員長報告)
第六十 木更津久留里間鐵道改良工事速成に關する建議案(鈴木久次郎君提出) (委員長報告)
第六十一 勝田上菅谷間鐵道速成に關する建議案(根本正君外二名提出) (委員長報告)
第六十二 科學研究機關統一に關する建議案(近藤達兒君提出) (委員長報告)
第六十三 長野縣南安曇郡に特用作物試驗場設置に關する建議案(春日俊文君外五名提出) (委員長報告)
第六十四 入學難緩和に關する建議案(荒川五郎君外四名提出) (委員長報告)
第六十五 中等教育機關擴張に關する建議案(押川方義君提出) (委員長報告)
第六十六 國定教科書國營に關する建議案(水野吉太郎君外七名提出) (委員長報告)
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001・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 諸般ノ報告ヲ致サセマス
〔原田書記官朗讀〕
一昨二十三日貴族院ヨリ囘付セラレタル政府提出案左
ノ如シ
大正十二年度各特別會計歳入歳出豫算案
一議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
衆議院議員選擧法中改正法律案
提出者小池仁郞君一柳仲次郞君
山本厚三君岡本幹輔君
淺川浩君友田文次郞君
平出喜三郞君
政治結社加入不法勸誘ニ關スル法律案
提出者尾崎行雄君濱田國松君
小橋藻三衛君湯淺凡平君
林田龜太郞君野溝傳一郞君
前川虎造君菊地良一君
〓瀨一郞君平野光雄君
(以上三月二十四日提出)
一議員ヨリ提出セラレタル緊急質問主意書左ノ如シ
海軍ノ軍艦建造及器械製作ニ關スル不正事件ニ對
スル緊急質問主意書
提出者高木正年君
(以上三月二十四日提出)
一昨二十三日政府ヨリ受領シタル答辯書左ノ如シ
衆議院議員小池仁郞君提出國境郡界ノ變更ニ關ス
ル質問ニ對スル各辯書
衆議院議員山本厚三君外六名提出小樽官有地貸
付ニ關スル質問ニ對スル答辯書
衆議院議員鈴木久次郞君提出千葉縣望陀農學校
ニ關スル再質問ニ對スル答辯書
衆議院議員久下豐忠君外一名提出滿蒙政策ノ遂
行ニ關スル再質問ニ對スル答辯書
衆議院議員橫山勝太郞君外二名提出靑島守備軍
司令官ノ爲シタル二百二十万圓ノ責任支出ニ關スル
質問ニ對スル答辯書
衆議院議員木檜三四郎君提出綱紀肅正ニ關スル質
問ニ對スル答辯書
衆議院議員北井波治目君提出大使館附武官ニ關ス
ル質問ニ對スル答辯書
衆議院議員奥村安太郞君提出關東州及靑島ニ於ケ
ル阿片賣却ニ開スル質問ニ對スル答辯書
衆議院議員根本正君提出郵便切手賣捌手數料及
外國郵便ニ關スル質問ニ對スル答辯書
圈境郡界ノ變更ニ關スル質問主意書
右成規ニ據リ提出候也
大正十二年三月七日
提出者小池仁郞
賛成者横山勝太郞
外百二名
國境郡界ノ變更ニ關スル質問主意書
國境郡界ハ山河自然ノ形勢ヲ按シテ設定セラレ其ノ因
由深シ古來人爲ヲ以テ猥ニ變更ヲ許サス明治二年八月
十五日太政官布告「蝦夷地自今北海道ト被稱十一箇
國ニ分割國名郡名別紙ノ通被仰付候事」ヲ以テ北海道
十一箇國八十六郡ヲ制定セラル後年郡ノ廢合新設アリ
タルモノ悉ク布告公元セラル然ルニ
一根室國野付郡西別川ノ上流十數方里ヲ釧路國川上
郡虹別村ト稱スルハ如何ナル手續ニ準據シタルモノナ
リヤ
一大正十一年右虹別村ノ地域ヲ更ニ標津郡界迄擴張
シ從來ノ標津野付ノ郡界ヲ以テ新ニ根室釧路ノ國境
ト定メタルハ如何ナル手續ニ準據シタルモノナリヤ
一右地域ノ擴張ニ伴ヒ根室國ヨリ釧路國ニ編入セラレ
タル土地ハ約五十餘方里ニシテ根室國根室野付二
郡ト釧路國川上郡界ヲ新ニ設定シ之ヲ國境ト定メタ
ルハ如何ナル手續ニ準據シタルモノナリヤ
一右國境郡界ノ變更ニ伴ヒ北海道廳ハ大正十一年三
月二十五日北海道全國ヲ訂正發行シ大正十一年四
月十日植民區畫圖ヲ刊行セリ其ノ他土木森林各般
行政ニ關スル圖書ヲ改メタルハ如何ナル手續ニ準據シ
タルモノナリヤ
一右ノ圖書ハ內務省文部省陸軍參謀本部ノモノト國
境郡界ヲ異ニセリ如何ナル理由ナリヤ
一國境郡界ノ變更ハ最丁重ナル調査ヲ遂ケ相當ノ手續
ヲ要ス猥ニ變改シ且圖書ヲ刊行スルニ至リテハ官紀ノ
頽廢公文書ノ變造其ノ罪責輕カラス政府ノ所見如
何
一右地域ヲ釧路國支廳管轄ニ編入スルニ當リ何故行
政區畫變更ノ手續ヲ取ラサリシヤ
右及質問候也
大正十二年三月二十三日
內閣總理大臣男爵加藤友三郞
衆議院議長粕谷義三殿
衆議院議員小池仁郞君提出國境郡界ノ變更ニ關スル
質問ニ對シ別紙答辯書差進候
〔別紙〕
衆議院議員小池仁郞君提出國境郡界ノ變更ニ關ス
ル質問ニ對スル答辯書
一、虹別村ハ明治二年八月十五日太政官布告及明治
十二年七月二十三日開拓使乙第四號布達ニ依リ釧
路國川上郡ニ屬スル行政區劃ノ名稱ナリ但シ當時實
測未濟ナリシヲ以テ實際ノ境界ハ圖面上明確ノモノ
ナシ
二、大正十一年北海道廳發行各種圖面ニ於ケル境界
線ハ前項ノ行政區劃ヲ參酌シテ記入シタル略圖ニシ
テ必スシモ國郡界ヲ變更シタルモノニアラス
在來ノ北海道地形圖ニ示セル根室、釧路兩國ノ國境
ハ明治二十五、六年ニ亙リ該地方實測ニ際シ境界不
明ノ爲假ニ分水嶺ニ依リ割シタルモノニシテ之ニ依リ
該國境ヲ決定シタルモノニアラサルハ該圖面ニ附記ス
ル所ニ依リ明ナリ
三、質問第三以下ハ前二項ニ述ル所ニ依リ明ナリトス
四、政府ハ右境界ヲ確定スル爲目下之カ調査中ニ屬セ
リ
右及各辯候也
大正十二年三月二十三日
內務大臣水野鍊太郞
小樽官有地貸付ニ關スル質問主意書
右成規ニ據リ提出候也
大正十二年三月八日
提出者山本厚三
外六名
贊成者飯塚春太郎
外三十二名
小樽官有地貸付ニ關スル質問主意書
-小樽船渠株式會社發起人ニ對シ大正十年九月
十二日付ヲ以テ三十箇年ノ長期貸付ヲ許可シタル
小樽市所在官有地八千百五十七坪六一ニ付テハ左
ノ諸點ニ於テ政府ノ貸付指令ニ違反セリ政府ハ此ノ
事實ヲ認メサルヤ
イ船渠工事著手期限ハ大正十一年十二月末日ナ
ルニ拘ラス何等工事ニ著手スル模樣、ナキノミナラス
株式募集以來滿四箇年ニ垂ムトスルモ未夕會社ノ
成立スラ見ル能ハサル現狀ニ在リ之レ明ニ許可指
令第三條ニ違反セルモノナリ
此ノ點ニ付テハ船渠事業許可ノ指令ニ接セサルカ
爲工事ニ若手シ能ハサルモノナリトノ辯解ヲ爲スモノ
アリト雖會社スラ成立セサル狀態ニテハ假令許可ア
ルモ事實著手不可能ニ非スヤ
ロ行政廳ノ許可ヲ受クルニ非サレハ他ニ轉貸スルコ
トヲ得サルニ拘ラス無斷ニテ之ヲ他ニ轉貸シ刹ヘ政
府使用料ノ六倍乃至八信ニ相當スル賃料ヲ收得
シツツアリ之レ又明ニ指令第八條ニ背反セルモノナ
リ
此ノ點ニ對シテ右發起人等ハ小梅市海岸ニ於ケル木
材貯藏場ノ缺乏ヲ補フ爲公益上一時的應急ノ處
置ナリト辯明シ居ルモ事實ハ全ク之ニ反シ本年モ
引續キ轉貸ノ契約ヲ爲シ殊ニ七八倍ノ貸地料ヲ收
得セルニ觀テ其ノ否ラサルヲ知ルヘシ
ハ右ノ如ク無斷轉貸ノ違反行爲アルノミナラス之ヲ
船集事業以外卽チ木材置場倉庫等ニ使用シ居ル
ハ指令第二條ニ違反セルコト明ナリ
二政府ハ該地借受人タル會社、發起人カ誠意ヲ以テ
該事業ヲ計畫シ又經營スルモノト認ムルヤ且又指定
期間内ニ工事ノ完成ヲ爲シ得ヘシト認ムルヤ
元來該地ハ小樽市ニ於テ明治三十八年理立ヲ出
願シ同四十一年ニ於テ其ノ拂下ヲ出願シ更ニ大正
七年ヨリ數回ニ亙リ追願ヲ爲シタルモノナルニ中途
大正七年ニ至リ新ニ拂下ヲ出願セル會社發起人等
ニ之ヲ貸下ケ却テ小樽市ノ出願ヲ郤ケタルモノナリ
當時借地人等ハ全地積二萬餘坪(當時時價二百
餘萬圓)ヲ僅ニ時價ノ二十分ノ一タル十萬圓ヲ以
テ拂下ノ出願ヲ爲シ旣ニ當局ノ內諾ヲ得タリト稱
シ(當時當局カ內諾ヲ與ヘタルハ世間一般ニ之ヲ事
實ナリト認メタリ)之ヲ基礎トシテ船渠事業ノ好調
ニ乘シ計畫セラレタル所謂プレミアム事業トモ評ス
ヘキモノナリキ然ルニ市民ノ輿論沸騰シ遂ニ第四十
四囘議會ノ問題トナルヤ政府ハ此ノ不當拂下ヲ中
止シ長期ノ貸下ト變更セラレタルヲ以テ豫期ノ畫
策半ハ壞レ會社創立ノ發表以來六閱年ニシテ未タ
其ノ成立スラ見ル能ハサル現狀ニ在リ是レ一面財
界不況ノ然ラシムルトコロナリト雖當初ノ第一目的
タル不當價格拂下中止セラレテ長期貸下トナリ株
式募集ニ唯一ノ呼物タル甘味ヲ失ヒタルハ其ノ主
クル原因ト認メサルヘカラス
第四十四回議會ニ於ケル同一事件ノ質問ニ對シ
政府ハ「實行ノ意思アリ又實行シ得ルモノト認ム」ト
ノ答辯アリタルモ滿二箇年ノ今日尙前記ノ現狀ニ
在リ
三政府ハ會社スラ未タ成立セス又近ク成立ノ模樣ナ
ク加フルニ貸付條件中主要ナル點ニ付テハ殆ト違反
セサルモノナキ現狀ヲ睹テ尙之ヲ放任看過セムトスル
ヤ
將又之ヲ命令違反ナリトシテ許可ノ取消ヲ爲スノ意
思アリヤ
四萬一今日ニ於テ直ニ之ヲ取消サストセハ將來今日
ノ狀態ヲ繼續スル場合ニ於テ政府ハ如何ノ處置ヲ採
ラムトスルヤ
五右發起人等ハ該貸付地ニ先ニ埋立ノ出願ヲ爲セリ
ト聞ク果シテ事實ナリトセハ其ノ出願ノ〓要竝政府
許否ノ方針如何
六該貸付地ニ接スル一萬餘坪ノ官有地ハ目下政府
ノ港灣工事ニ使用中ナルカ近キ將來ニ於テ之カ公用
廢止ノ曉ハ是レ又該發起人等ニ於テハ其ノ當初ノ目
的通リ之カ拂下ヲ受ケムトスル計畫アリト聞ク此ノ官
有地公用廢止後ノ處理ニ付キ政府ノ方針如何
右及質問候也
大正十二年三月二十三日
內閣總理大臣男爵加藤友三郞
衆議院議長粕谷義三股
衆議院議員山本厚三君外六名提出小樽官有地賃付
ニ關スル質問ニ對シ別紙答辯書差進候
〔別紙〕
衆議院議員山本厚三君外六名提出小樽官有地貸
付ニ關スル質問ニ對スル答辯書
ノイ工事ニ付未タ許可ヲ與フルノ運ニ至ラサルニ依
リ工事ニ著手セサルモノニシテ許可アレハ事業ニ著手
シ得ヘキモノト認ム又會社設立ノ期限ハ貸付許可條
件ニ定メ居ラス
會社ハ木材組合ニ對シ臨時應急的ノ一時利用
承諾ヲ爲シタルニ止マルモノナルニ依リ必シモ指令
ノ趣旨ニ反セルモノト認メス
ハ臨時應急的ノ利用ニ過キサルヲ以テ之ヲ目的外
ノ使用ト認メス
二政府ハ該地借受人タル會社發起人カ誠意ヲ以テ
該事業ヲ計畫シ又經營スルモノト認ム但シ設計圖書
ノ訂正增補ヲ要シ之カ爲多數ノ日子ヲ要シ未タ許可
ニ至ラサルモノナルヲ以テ工事ノ遲延ハ自然已ムヲ得
サルモノト認ム
三工事ニ著手シ得ル時期ニ至ラサル今日會社成立ノ
見込ナシト速斷スルヲ得ス又命令條件ノ違反ハ目下
之ヲ認メサルヲ以テ許可取消ノ意思ナシ
四將來ノ問題ニ付テハ今日ヨリ之ヲ假想シテ其處置
ヲ豫定スルヲ得ス
五發起人ハ該貸付地先ニ埋立ノ出願ヲ爲セリ蓋シ貸
付地ノミヲ以テシテハ地域彼小ニシテ事業經營上頗
ル困難ナルニ依ルモノトス右ニ付テハ目下詮議中ナリ
該貸付地ニ接スル官有地ハ三千餘坪ニ過キス該地
ハ目下政府ニ於テ使用中ニシテ今。後尙數年間繼續
使用ノ見込ナリ將來公用廢止ノ場合ニ於ケル處分ニ
付テハ目下何等考慮シ居ラス
右及答辯候也
大正十二年三月二十三日
內務大臣水野鍊太郞
大藏大臣市來乙彥
千葉縣望陀農學校ニ關スル再質問主意書
右成規ニ據リ提出候也
大正十二年三月十日
提出者鈴木久次郞
賛成者鈴木梅四郞
外四十三名
千葉縣望陀農學校ニ關スル再質問主意書
大正十二年二月二十一日本員ノ提出シタル千葉縣望
陀農學校ニ關スル質問ニ對シ去三月二日文部大臣
及內務大臣ヨリ答辯書提出セラレタルモ其ノ答辯ハ本
員ヲ滿足セシムル能ハス卽チ
望陀農學校ノ位置移轉ノ申請ニ對シ不許可ノ指令
ヲ爲シタルコトナシトノ答辯ナルモ「考究ヲ要ス」トノ理
由ニ依リ該申請書ヲ返戾シタルハ卽チ其ノ結果ニ於
テ不許可ト何等相違アルコトナシト信ス政府ハ實質ニ
於テモ尙不許可ト同樣ニ非スト認メラルルヤ否ヤ
右及再質問候也
大正十二年三月二十三日
內閣總理大臣男爵加藤友三郞
衆議院議長粕谷義三殿
衆議院議員鈴木久次郎君提出千葉縣望陀農學校ニ
關スル再質問ニ對シ別紙答辯書差進候
〔別紙〕
衆議院議員鈴木久次郎君提出千葉縣望陀農學校
ニ關スル再質問ニ對スル答辯書
千葉縣知事ニ對スル照會ハ其ノ實質ニ於テモ不許可ノ
意思ヲ表示シタルモノニアラス
右及答辯候也
大正十二年三月二十三日
文部大臣鎌田榮吉
滿蒙政策ノ遂行ニ關スル質問主意書
右成規ニ據リ提出候也
大正十二年二月二十四日
提出者久下豊忠
外一名
賛成者山口義
外三十七名
滿蒙政策ノ遂行ニ關スル質問主意書
-間島方面ノ治安ハ〓尙往々匪賊ノ爲ニ脅サレ北
鮮ノ邊境甚タ不安ナルモノアリ我カ政府ノ之ニ對スル
根本的政策如何
二吉會線ハ日支兩國ノ協定ニ係ル豫定鐵道線ニシテ
現ニ數年前我カ國ヨリ巨額ノ出資ヲ爲セルニ拘ラス
今尙敷設ノ契約スラ爲シ得サル理由如何
右及質問候也
大正十二年三月二十三日
內閣總理大臣男爵加藤友三郞
衆議院議長粕谷義三殿
衆議院議員久下豐忠君外一名提出滿蒙政策ノ遂行ニ
開スル再質問ニ對シ別紙答辯書差進候
〔別紙〕
衆議院議員久下豐忠君外一名提出滿蒙政策ノ遂
行ニ關スル再質問ニ對スル答辯書
質問ノ主旨ハ間島ニ於ケル居留民ノ保護ニ關スル根
本政策如何ト云フニ歸著スルモノノ如キ處間島ニ於
ケル治安維持ノ責任カ支那政府ニ存スル次第ハ旣ニ
前囘答辯セル通ニシテ帝國政府トシテハ之ヲ基礎トシ
テ居留民保護ノ貴務遂行方ニ付最善ノ努力ヲ爲シツ
ツアル次第ニテ其方法ハ前囘ノ答辯ニテ明瞭ナリト思
考ス
二、吉會鐵道問題ノ解決策如何ノ問題ハ要スルニ如何
ニセハ支那政府ヲシテ本鐵道建設ニ關スル本契約ヲ
締結セシメ得ルカト云フニ在ル處我方ニ於テハ假契約
ニ基ク權利ヲ堅持セル以上支那政情ノ發展ニ注意シ
テ適當ナル交渉ヲ遂クルヨリ致方ナク此點ニ付テハ政
府ニ於テ今後モ引續對策上遺漏ナキヲ期スル意向ナ
リ
右及答辯候也
大正十二年三月二十三日
外務大臣伯爵内田康哉
靑島守備軍司令官ノ爲シタル二百二十万圓ノ責任
支出ニ關スル質問主意書
右成規ニ據リ提出候也
大正十二年三月十二日
提出者橫山勝太郞
外二名
賛成者八並武治
外五十五名
靑島守備軍司令官ノ爲シタル二百二十万圓ノ責
任支出ニ關スル質問主意書
一靑島守備軍司令官由比光衞ハ鐵道從業員ノ同盟
罷業ニ關シ其ノ責任ヲ以テ百七十万圓ヲ支出シタリ
ト謂フ果シテ適當ノ處分ナリヤ且其ノ法律上ノ根據
如何
二該百七十万圓ノ支出ハ由比司令官一人之ヲ獨斷
擅行シタルモノナリヤ或ハ豫メ上司ノ諒解ヲ得タルモ
ノナリヤ如何
三又同司令官ハ靑島取引所ノ〓〓濟ニ〓シ其ノ責任
ヲ以テ五十万圓ヲ支出シタリト」謂フ而シテ其ノ命令
條項左ノ如シ
命令
會社ノ整理ニ關スル件
株式會社靑島取引所
大正十一年三月布令第十四號靑島取引所令第四
十六條ニ依リ左記命令ス
大正十一年一月十三日
青島守備軍司令官由比光衞
記
一其會社資本金額ハ之ヲ一千四百万圓ニ減少ス
ヘシ但シ其資本減少ノ方法ハ其會社株式四萬株
ヲ切棄消却スルモノトス
二前項但書其會社株式四萬株ノ消却ハ全株主ニ
平分シテ負擔セシムルコトヲ得ス相當責任アル重役
及之ニ類スル責任者ノ責任ニ於テ消却スヘキモノヲ
定メ消却同意者ヨリ豫メ其承諾書ヲ徴スヘシ
三定款變更ノ爲ニ直ニ臨時株主總會ヲ招集スヘシ
整理資金交付ニ關スル件
株式會社靑島取引所
其ノ會社ニ對シ左記條件ノ下ニ金五十万圓ヲ交付
スヘシ
大正十一年十一月十三日
靑島守備軍司令官由比光衞
記
-其會社ハ軍ノ示シタル整理方法及之ニ伴ヒ發ス
ル命令ニ從ヒ誠意ヲ以テ其整理ヲ遂行スルコト
二松井憲三名義ノ其會社ニ對スル債權金六十五
万圓ノ抛棄ヲ受クルコト
三其會社ハ將來決算期ニ於テ半期五分(年一割)
ヲ超ユル株主配當ヲ爲シ得ヘキ其利益ヲ生シタル
時ハ其五分ニ該當スル金額ヲ超ユル金額ノ半額ニ
相當スル金額ヲ日支共同ノ利益ノ爲ニ官ノ指示ニ
從ヒ交付スルコト(本金額ノ殘額ハ之ヲ配當ニ編入
スルコトヲ妨ケス)但シ交付ノ總額カ本件交付金ニ
達スルヲ以テ止ム
四本條件ニ違反シ又ハ履行スルコト能ハサルトキハ
本件ノ效力ハ消滅ス若シ現金交付後違反ノ事實
又ハ履行セサルモノナルコトヲ發見シタル時ハ卽時
還附ヲ命スルコトアルヘシ
政府ハ此ノ事實ヲ認ムルヤ如何
四此ノ五十万圓ノ支出ニ關シ關門日々新聞ニ左ノ如
キ記事アリ本員ノ調査スル所ニ依ルモ事實相違ナギ
モノノ如シ政府ハ此ノ事實關係ヲ承認スルヤ如何
(關門日々新聞記事)
抑靑島取引所ハ去ル大正八年ヲ以テ軍政部ニ於
テ設立シタモノテアツタカ官設ニテハ取引ニ關シテ
〓算決算等ヲ行フコトガ出來ナイノテ止ムヲ得ス本
年四月之ヲ民間ニ移スコトトシ資本金八百万圓內
二百万圓拂込日支合辦共同經營ノ會社ヲ設立シ
日本側ハ松井伊助氏ヲ理事長ニ支那側ハ劉子山
氏ヲ副理事長ト之ヲ以テ取引決算ヲ行ハシメテ居
タノテアルカ彼ノ華府會議ノ結果山東還附ノ決定
スルヤ同取引所カ山東還附交渉ニ際シ既得權トシ
テ存續スヘキコトヲ想像シ同取引所ヲ民間ノ手ニ
收ムベク東京大阪兩實業家ハ本年一月ヨリ猛烈
ナ運動ヲ開始シ東京ノ南波禮吉氏一派ハ商劵信
託會社ヲ設立シ大阪ノ島德藏一派ハ企業信託株
式會社ヲ起シ何レモンノ掌中ニ納メントシタノテア
ツタカ如何ナル運動功ヲ奏シテカ遂ニ大阪ノ島德一
派ハ首尾ヨク成功シ新ニ八百万圓ノ資金ヲ以テ企
業信託會社ヲ設立シ之ニ取引所ヲ合併スルコトト
シ本年四月兩會社ニ於テ各々合併ヲ決議シタル上
本年六月合併成立シ玆ニ取引所ハ千六百万圓ノ
資本金ヲ以テ經營スルコトトナツタ玆ニ注目スヘキ
ハ同企業信託會社ノ設立ニ當リ政友會ノ幹事タル
鈴木錠藏氏カ自ラ創立委員長トシテ政友會ノ背
景ヲ以テ陸軍側ヲ動カシタル奇怪ナル事實ノ伏在
セルコトテアル扨島德一派ノ企業信託ハ同取引所
ノ首尾ヨク乘ツ取ルヤ忽チ例ノ辛辣ナル手段ヲ發
揮シ同派ノ傀儡タル松井伊助ヲ通シテ横暴惡辣
至ラサルナク遂ニ今囘ノ大破綻ヲ招致スルニ至ツタ
ノテアル卽チ企業信託ニ於テ取引所ヲ合併スルヤ
之ヲ以テ支那側ハ當初ノ計畫タル日支合辨事業
ノ精神ニ反スルモノトシテ反對運動ヲ起シタ一說ニ
ヨレハ當時同所ノ株劵ハ十二圓五十錢拂込カ二
十圓以上ニモ成ツテ居夕ノテ支那人側ハ日本人側
ニ利益ヲ〓斷サルルヲ不平ニ思ツタノニ原因スルト
モ言ハレテ井ル陸軍側テハ已ムヲ得ス支那側ノ理
事丁敬臣氏ヲシテ四百万圓ヲ以テ〓算會社ヲ設
立セシメ之ヲ取引所ニ合併シテ權利分配ノ均衡ヲ
計ラントシ其計畫ノ實施ニ著手セシメ本年九月末
其準備成リ十一月上旬取引所ト〓算會社トハ何
レモ合併ヲ決議シ將ニ計畫成ラントシタ時ニ當リ
一方取引所ハ四百餘万圓ニ及フ大缺損アリ理事
長松井伊助氏以下ノ背任問題暴露シタ爲メニ同
計畫ハ一頓挫ヲ來シタ卽チ松井伊助ノ背任行爲
ニ基ク四百万圓ノ大缺損ノ眞相ハ日本人取引仲
買人三十餘名ニ對スル貸出金三百八十六万圓及
ヒ松井理事長ノ子息松井憲三氏ニ對スル貸出金
六十五万圓テアル而シテ此擔保ハ同取引所株劵
テアツテ而モ一株三十圓テ引取ツテ居ルノハ實ニ
驚クヘキ事テ表面ハ見返リ擔保ト成ッテキルガ商法
違反デアルコトハ勿論デアル要スルニコノ缺損ハ何レ
モ島德一派ガ同取引所合併ヲ機トシテ一ト儲ケスヘ
ク自己會社ノ株ヲ買ヒ煽フテ株劵ノ値ヲ釣上ント
試ミタ結果デアル、之ガタメ十二圓五十錢拂込ミノ
株ハ一時四十七圓臺マデ騰貴シ之ニヨッテ島德一
派ハ數百万圓ヲ利シタノデアッタ而カシテ一度斯ノ
如キ内情暴露スルヤ株劵ハ忽チ暴落シ爲メニ前記
ノ如ク四百餘万圓ノ缺損ヲ生ズルニ至ッタノデアル
ガ玆ニ於テ在留邦人ノ不面目ヲ蒙ルニ至リ支那人
側ハ日本人側ノ不信ヲ非難シ形勢極メテ險惡トナ
リ日支間ノ大問題トナッタノデ由比司令官及秋山
長官ハ大ニ驚キ前滿鐵理事ノ片山義勝氏ニ依賴
シテンノ善後策ヲ講ズル事トナッタ玆ニ於テ片山義
勝氏ガ十一月六日渡靑シ由比司令官ソノ他當事
者ト協議ノ結果一ノ救濟案ヲ決定シテ同月十三
日發表シタ卽チ同救濟案ハ
(一)陸軍側ヨリ五十万圓ノ救濟金ヲ支出スルコト
(二)松井憲三氏名義ノ六十五万圓ノ貸出ハコレ
ヲ抹消スルコト
(三)四万株二百万圓ヲ抹殺シ二百万圓ヲ減資ス
ルコトトシ其ノ四万株ハ全部責任重役ノミニ於
テ引受クルコト
卽チ右ノ整理案ニ依リ取引所ハ二百万圓ノ減資ヲ
行ヒ千四百万圓ノ資本ヲ以テ事業ヲ繼續スル事ト
ナリ十一月三十日總會ヲ開キ同整理案ヲ承認シ
表面ハ落著シタノデアルガ同事件ノ暴露ト同時ニ軍
司令部ニ於テハ十一月十六日理事長松井伊助理
事石原勇、楠見〓二郞、小西〓松ノ四名ガ檢擧拘
留シタガ何故カ陸軍側ハ十二月五日ニ至ッテ起訴猶
豫トシテコレヲ放免シ單ニ靑島財界紊亂ノ廉ヲ以テ
論而退去ヲ命ジ上記四名ハ十日出帆ノ春日丸デ
内地ニ歸還シタノデアル然シ彼レ等ノ商法違反及ピ
背任ノ行爲ハ歷然タルモノナノデ中央司法當局ニ於
テハ何等カノ措置ヲ講ズベク目下調査中デアルト
五由比司命官カ五十万圓ヲ支出シタルハ果シテ適當
ノ處分ナリヤ又其ノ法律上ノ根據如何
六該五十万圓ノ支出ハ由比司令官ノ獨斷擅行ノ行
爲ナリヤ或ハ政府ノ承認ヲ經タルモノナリヤ如何
七大正十一年十一月十六日靑島取引所理事長松
井伊助、理事石原勇、楠見〓二郞、小西〓松ノ四人ハ
背任其ノ他ノ罪名ヲ以テ一旦檢擧拘留セラレ且家
宅搜索ヲ受ケ證據品ヲ押收セラレタルニ大正十一年
十二月五日ニ至リ何故カ之ヲ放免シ靑島ヨリ退去ヲ
命シタルモノノ如シ其ノ詳細ナル〓末及理由如何
八前記靑島取引所理事長松井伊助外三人ニ對シ我
カ司法當局ハ之ヲ放任シテ何等司法處分ヲ爲ササル
ノ方針ナリヤ如何
九松井理事長等ノ行爲ハ其ノ任務ニ背キ靑島取引
所ニ對シ莫大ナル損失ヲ蒙ラシメタルノミナラス之カ
爲ニ靑島ノ財界ヲ紊亂セシメ靑島守備軍司令官ヲシ
テ五十万圓ノ救濟資金ヲ支出セシメタルモノニシテ其
ノ罪質敢テ輕シト謂フヘカラス然ルニ司法當局カ之ヲ
放任スル刑事政策上ノ根據如何
要スルニ我カ軍隊ハ從來軍紀極メテ嚴肅ニシテ忠勇無
比ナリト稱セラル然ルニ欧洲戰爭以來我カ邦ノ海外駐
屯軍憲カ風紀上中外ノ指彈ヲ蒙ルモノ多キハ我カ忠精
ナル軍隊ノ名譽上遺憾ニ堪ヘサル、所ナリ殊ニ政商政黨
ト結托シテ、醜聲ヲ暴露スルモノアルニ至テハ國民ノ顰蹙
措ク能ハサル所ナリ政府ハ宜シク事實ノ眞相ヲ率直ニ聲
明シ中外ノ疑惑ヲ解クノ手段ヲ。採リ速ニ其ノ責任ノ所
在ヲ明ニスルノ必要アリト信ス政府ノ所見如何
右及質問候也
大正十二年三月二十三日
內閣總理大臣男爵加藤友三郞
衆議院議長粕谷義三殿
衆議院議員横山勝太郞君外二名提出靑島守備軍
司令官ノ爲シタル二百二十万圓ノ責任支出ニ關スル
質問ニ對シ別紙谷辯書差進候
〔別紙〕
衆議院議員橫山勝太郞君外二名提出靑島守備軍
司令官ノ爲シタル二百二十万圓ノ責任支出ニ關スル
質問ニ對スル答辯書
靑島守備軍司令官ニ於テ其ノ貴任ヲ以テ約百三十
万圓ヲ支出シタルハ適當ノ處分ニアラサルニ依リ責任
者ニ對シ相當處分ヲ了セリ
(因ニ支出額百七十万圓トアルモ約百三十万圓トス)
二、約百三十万圓ノ支出ハ軍司令官ニ於テ獨斷擅行シ
タルモノニシテ上司ノ諒解ヲ得タルモノニアラス
三、軍司令官ニ於テ靑島取引所ニ對シ左記二件ノ命令
ヲ發シタル事實ハ之ヲ認ム
-、會社ノ整理ニ關スル件
二、整理資金交付ニ關スル件
四、關門日々新聞記事ニハ事實ト相違セル點アリ隨テ
其ノ事實關係全部ノ承認ヲ爲スコト能ハス
五、由比司令官カ五十万圓ヲ支出シタルハ適當ノ處分
ニアラサルニ依リ責任者ニ對シ相當處分ヲ了セリ
六、五十万圓ノ支出ハ由比司令官ノ獨斷擅行ノ行爲ニ
シテ政府ノ承認ヲ經タルモノニアラス
七、八、九、靑島取引所ニ關スル被告ハ孰レモ深ク前非
ヲ悔ヒ誠意ヲ抜瀝シテ極力整理ニ盡瘁シタルニ因リ
久シク紛糾ヲ重ネタル取引所問題モ漸ク整理ノ〓ニ
就キタルヲ以テ彼等改悛ノ誠意ト努力ノ成果トヲ諒
トシ又取引日支雨株主、支那商務總會、日支多數有
志者ノ情願モアリシカ故ニ刑事政策ノ見地ヨリ終ニ
訴追ヲ命セサリシナク然レトモ被告人中松井小西兩
名ハ情狀重キニ付旨ヲ諭シテ再ニ靑島守備軍管內ニ來
ラス又靑島財界ヲ攪亂スルカ如キ行爲ヲ爲ササルコト
ヲ條件トシテ十二月十日限リ靑島ヲ退去セシメタリ
要スルニ本件ハ青島守備軍司令官カ正當ノ權限ニ依
リ法律ノ規定ニ基キ處置シタルモノナリ
之ヲ要スルニ靑島守備軍司令官ニ於テ前記二件ノ支
出ヲ爲スノ止ムヲ得サルニ至レルハ時恰モ行政ノ移轉
目睫ニ迫リ國交ノ圓滿統治ノ全責任ヲ完フセントス
ルノ秋ニ際シ鐵道從業員ノ爲內訌不祥事ヲ惹起スル
ニ至ランカ之カ爲行政ノ移轉ハ不能ニ陷リ帝國ノ威
信ヲ中外ニ失墜スルニ至ルヘク又靑島取引所ノ紛糾
ハ多年吾爲政ノ下ニ協調ヲ得來リシ日支經濟關係
ヲ破壞セラレントスルノ虞アルベク根本的ニ之ヲ整理
シ以テ經濟界ノ安定ヲ圖ルノ緊急ナルヲ認メ軍司令
官ハ責任ヲ一身ニ負ヒ支出スルノ止ムヲ得サルニ至レ
ルモノニシテ其ノ間何等政商政黨ト結托スル等奇怪
ナル事實ノ伏在スルカ如キコトハ絕對ニ存セサル所ナ
リ
右及答辯候也
大正十二年三月二十三日
陸軍大臣山梨半造
綱紀肅正ニ關スル質問主意書
右成規ニ據リ提出候也
大正十二年三月十四日
提出者木檜三四郞
賛成者井上剛
外三十一名
綱紀肅正ニ關スル質問主意書
綱紀ノ肅正ハ現内閣成立當初ノ宣言ナリ然ルニ就職以
來九箇月其ノ地方長官ノ交迭ニ於テ或ハ執務ノ處理
ニ於テ偏頗不公平ノ甚シキモノアリ斯ノ如クニシテ公正
ノ政ヲ行ヒ以テ補弼ノ大任ヲ完ウセリト爲スカ
右及質問候也
大正十二年三月二十三日
內閣總理大臣男爵加藤友三郞
衆議院議長粕谷義三殿
衆議院議員木檜三四郞君提出綱紀ノ〓正ニ關スル質
問ニ對シ別紙答辯書差進候
〔別紙〕
衆議院議員木檜三四郞君提出綱紀肅正ニ關スル質
問ニ對スル答辯書
現内閣ハ成立以來特ニ綱紀ノ肅正ヲ念トシ官吏ノ任
免其他庶政ノ變理一ニ嚴正公平ナラムコトヲ期セリ
右及答辯候也
大正十二年三月二十三日
内閣總理大臣男爵加藤友三郞
內務大臣水野錬太郞
大使館附武官ニ關スル質問主意書
右成規ニ據リ提出候也
大正十二年三月十四日
提出者北井波治目
賛成者岩崎幸治郞
外二十九名
大使館附武官ニ關スル質問主意書
-大使館附武官ノ報告ハ大使ヲ經スシテ報告アリヤ
若アリトセハ外交上統一ヲ缺ク虞ナキヤ
二佛國巴里大使館附武官ハ事務所ヲ別ニ有シ事務
上大使館ト沒交涉ノ如シ之ヲ大使館内ニ併置スルト
キハ便宜ニシテ冗費ヲ省クコトヲ得ヘシ特ニ事務所ヲ
別ニ設クルノ必要アリヤ
三獨國伯林ニ大使館武官ヲ有スルハ獨リ我カ國アルノ
ミ英佛米スラ之ヲ存置スルナシ我カ國ハ特ニ存置ノ理
由アリヤ
四大使館附武官ハ海外ニ於テ大使ノ指揮ヲ受ケス直
接ニ報告ヲ參謀本部又ハ、陸海軍省ニ爲スカ如シ又
佛國巴里ニ於テ大使節附武官ノ別ニ建物ヲ賃借シ
居ルハ費用ヲ多カラシメ事務上ニモ不便ナルヘシ次ニ
獨逸伯林大使館附武官ヲ存置スルハ何ノ必要アリヤ
若同國ノ軍情ヲ知ラムトセハ國際聯盟會議ニ基キ派
遣セル武官ヲ以テ足ルへシ上記ノ事實ハ由來我カ國
ノ軍國主義或ハ二重外交ト稱セラルル原因ヲ爲スモ
ノニ非サルカ
右及質問候也
大正十二年三月二十三日
内閣總理大臣男爵加藤友三郎
衆議院議長粕谷義三殿
衆議院議員北井波治目君提出大使館附武官ニ關スル
質問ニ對シ別紙答辯書差進候
〔別紙〕
衆議院議員北井波治目君提出大使館附武官ニ關
スル質問ニ對スル答辯書
一、大使館附武官ノ報告中大使ヲ經サルモノハ軍事專
門ニ屬スル事項ニシテ外交上ニハ關係無キモノナリ但
シ之カ爲外交上統一ヲ缺ク虞ナシ
二、大使館狹隘ナルト執務ノ便宜ノ爲已ムヲ得サル所ナ
リ
三、大戰間及其前後ニ於ケル獨軍ノ施設ハ各方面ニ亙
リ〓究ノ價値大ナリ而シテ之カ〓究ニハ現狀ニ於テ
ハ大使館附武官ノ存置ヲ必要且有利トス
四、國際聯盟車事委員ハ本然ノ任務ヲ有スルモノナルヲ
以テ獨逸軍情調査ノ任務ヲ課スルハ過重ナルノミラ
ス諸種ノ情況上兼務ハ不可餃ノコトニ属ス
右及答辯候也
大正十二年三月二十三日
海軍大臣男爵加藤友三郞
外務大臣伯爵内田康哉
陸軍大臣山梨半造
關東州及靑島ニ於ケル阿片賣却ニ關スル質問主意書
右成規ニ據リ提出候也
大正十二年三月十七日
提出者奥村安太郞
賛成者上畠益三郞
外二十九名
關東州及靑島ニ於ケル阿片賣却ニ關スル質問主
意書
-靑島守備軍ニ於テハ其ノ歸還前ニ方リ阿片賣却
特許人ヨリ特許料以外ニ多額ノ納金ヲ得テ之ヲ各方
面ニ使用シタリトノ風說アリ政府ハ此ノ事實ノ有無
ヲ調査シタルコトアリヤ
二阿片賣却ニ關シ關東州ニ於テ起リタル官吏背任橫
領等ノ疑獄事件ノ經過ニ徵スレハ政府ハ收入增加ノ
爲大連民政署長ヲシテ癒者(阿片中毒者)以外ノ者
ニモ阿片ヲ賣却セシメタルモノノ如シ果シテ右ノ事實
アリヤ若之アリトセハ該民政署長ヲシテ右ノ如キ不正
販賣ヲモ職務上ニ爲サシメタル上司ニ對シ政府ハ如
何ニシテ其ノ責任ヲ正サムトスルヤ
三從來靑島及關東州ニ於ケル阿片賣却特許ハ癮者
救済ヲ目的トシテ爲サレタルカ將又政府ノ牧八ヲ圖
ル趣旨ニ出テタルカ竝將求ノ方針如何
右及質問候也
大正十二年三月二十三日
內閣總理大臣男爵加藤友三郞
衆議院議長粕谷義三殿
衆議院議員奧村安太郞君提出關東州及靑島ニ於ケル
阿片賣却ニ關スル質問ニ對シ別紙答辯書差進候
〔別紙〕
衆議院議員奥村安太郎君提出關東州及靑島ニ於
ケル阿片賣却ニ關スル質問ニ對スル答辯書
、靑島守備軍ニ於テ其歸還前ニ方リ阿片賣却特許人
ヨリ特許料以外ニ多額ノ納金ヲ得タル事實ナシ
二、政府ニ於テ收入增加ノ爲大連民政署長ヲシテ癮者
以外ノ者ニ阿片ヲ賣却セシメタル事實ナシ
三、從來靑島及關東州ニ於ケル阿片ノ賣却ハ癮者救済
ノ目的ヲ以テ爲シタルモノナリ尙關東州ニ於テハ將來
モ此目的ヲ以テ進ムモノトス
右及答辯候也
大正十二年三月二十三日
內閣總理大臣男爵加藤友三郞
陸軍大臣山梨半造
郵便切手賣捌手數料及外國郵便ニ關スル質問主意
書
右成規ニ據リ提出候也
大正十二年三月十九日
提出者根本正
贊成者天春文衞
外二十九名
郵便切手賣捌手數料及外國郵便ニ關スル質問主
意書
一三等郵便局及切手費捌所へノ手數料ヲ時世ノ進運
ニ伴ヒ增率スルノ意ナキヤ
一外國郵便中米國ノ如キハ從來ノ如ク條約最低料金
五仙(十錢)ヲ貼用スルニ我カ國ニテハ最高料金二十
錢ヲ貼用セシム斯ノ如キハ我カ貿易上支障ヲ來スノ
憂ナキヤ
一我カ內國小包郵便ノ容積重量ハ外國行小包郵便ヨ
リモ小ナルヲ以テ少クモ之ヲ外國行小包邨便ノ容積重
量ト同一ナラシメ交通貿易上便宜ヲ與フルノ意ナキヤ
右及質問候也
大正十二年三月二十三日
內閣總理大臣男爵加藤友三郞
衆議院議長粕谷義三殿
衆議院議員根本正君提出郵便切手賣捌手數料及外
國郵便ニ關スル質問ニ對シ別紙答辯書差進候
〔別紙〕
衆議院議員根本正君提出郵便切手賣捌手數料及
外國郵便ニ關スル質問ニ對スル答辯書
一、政府ハ差向キ三等郵便局又ハ賣捌所ニ對シ郵便切
手類ノ割引步合ヲ增率スルノ意ナシ
二、外國郵便料金ハ現行馬德里萬國郵便條約ニ依リ
改正シタルモノニシテ之カ爲通信利用上特ニ影響ヲ
及ホセルモノトハ認メラレス
三、内國小包郵便物ノ容積及重量ノ制限ハ孰レモ萬國
郵便聯合條約ニ基ク外國行小包郵便物ニ比シ大ナ
リ
右及谷辯候也
大正十二年三月二十三日
遞信大臣子爵前田利定
一昨二十三日貴族院ニ於テ本院ノ送付ニ係ル左ノ政
府提出案ヲ可決シタル旨同院ヨリ通牒ヲ受傾セリ
大正十二年度歳入歲出總豫算案
豫算外國庫ノ負擔トナルヘキ契約ヲ爲スヲ要スル件
〔左ノ報告ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノ爲玆ニ揭載ス〕
一提出者ヨリ撤囘セラレタル議案左ノ如シ
西比利亞政變及撤兵ノ爲損害ヲ被リタル者ノ救恤ニ
關スル建議案
提出者川崎克君
外六名
西比利亞政變及撤兵ノ爲損害ヲ被リタル者ノ救恤
ニ關スル建議案
提出者矢野丑乙君
外五名
(以上三月二十三日撤囘)
一昨二十三日理事補閣選舉ノ結果左ノ如シ
社會事業基金特別會計法案委員
理事武內作平君(理事小野重行君補關)
利根運河國有ニ關スル建議案委員
理事吉原正隆君(理事本多貞大郞君補悶)
一昨二十三日電力政策實施ニ關スル建議案委員守屋
松之助君辭任ニ付其ノ補闘トシテ、山邑太三郎君ヲ
同委員板野友造君辭任ニ付其ノ補闕トシテ植原悅
二郞君ヲ社會事業基全特別會計法案委員小野重
行君辭任ニ付其ノ補關トシテ武内作平君ヲ熱海大
仁間鐵道速成ニ關スル建議案委員三枝彥太郎君辭
任ニ付其ノ補關トシテ岩本平藏君ヲ利根運河國有ニ
關スル建議案委員出口直吉君辭任ニ付其ノ補閥ト
シテ吉川吉郞兵衞君ヲ朝鮮事業公債法中改正法律
案外二件委員一柳仲次郞君辭任ニ付其ノ補閥トシ
テ松井鉄夫君ヲ孰レモ議長ニ於テ選定セリ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=1
-
002・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 是ヨリ會議ヲ開キマス、御諮リヲ致
ス事ガアリマス、高木正年君外二名提出、恩給法改正ニ關
スル建議案、三浦得一郞君提出、恩給法改正ニ關スル建議
案、横田千之助君外十一名提出、文武官竝巡査看守等
恩給增額ニ關スル建議案、右何レモ提出者ヨリ撤回ノ申
出ガアリマシタ、許可スルニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=2
-
003・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマス、仍テ撤回ヲ
許シマス、此際日程ヲ變更シテ、大正十二年度各特別會計
歳入歳出豫算案ガ貴族院ヨリ囘付ニナリマシタカラ、之ヲ
議題ト爲スニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=3
-
004・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマス、仍テ日程ハ
變更セラレマシク、卽チ茲ニ大正十二年度各特別會計歲
入歲出豫算案貴族院ノ囘付ニ係ルモノヲ議題ト致シマスヽ
貴族院回付ノ箇所ハ只今朗讀致サセマス
〔原田書記官朗讀〕
大正十二年度各特別會計歳入歲出豫算追加案
右貴院ノ送付ニ係ル政府提出案本院ニ於テ修正議決
セリ依テ議院法第五十五條ニ依リ及囘付候也
大正十二年三月二十三日
貴族院議長公爵德川家達
衆議院議長粕谷義三殿
(小字及-ハ貴族院修正)
大正十二度各特別會計歳入歳山豫算追加案貴族院
囘付ノ箇所左ノ如シ
甲號
(ト四八頁、四九頁)
樺太廳
歲入
經常部
六、七五四、七一二
第一款樺太歲入七、二五四、七二
第一項租稅、四〇八、二六二
第二項官業及官有財產收入四、四八五、四七五
第三項印紙收入二五五、四二四
第四項鹽專賣收入五〇〇
四
第貮編煙草專賣益金受入四七四、九四〇
五
第六項雜收入一三〇、六一
(ト五〇頁)
一七、三一二、二五六
合計七、八二、二五六
歳出
經常部
(ト五一頁、五二頁)
第六款鹽專賣費三九五、〇〇〇
第一項俸給二二、七〇〇
第二項事業費七二、三〇〇
第三項鹽購買費三〇〇、〇〇〇
六
前往 大諸支出金六七、三六七
第一項諸支出金六七、三六七
七國債整理基金特別
東京會計繰入一、二三三、九〇二
第一項國債整理基金特別一、二三三、九〇二
會計繰入
八
詩織豫備金一六〇、〇〇〇
第一項埣豫備金六〇、〇〇〇
第二項第二豫備金〇〇、〇〇〇
七、二四五、二六八
經常部合計七、六四〇、二六八
臨時部
(ト五三頁)
三、七〇、〇〇○
第三款官行斫伐費三七五、〇〇〇
三、〇七〇○○○
第一項官行斫伐費三、七五、〇〇〇
(ト五四頁)
一〇、〇六六、九八八
臨時部合計〇七一、九八八
一七、三二、二五六
合計七、八一二、二五六発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=4
-
005・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 只今ノ貴族院ノ回付案ニ對シテ
同意スルコトニ御異議アリマセヌカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=5
-
006・横田千之助
○橫田千之助君 本案ニ對スル貴族院ノ修正ハ、政府提
出鹽專賣法案ニ對スルー-樺太ニ對スル鹽專賣法案ノ否
決ニ伴フ修正デアリマス、當然ノ結果ト思ヒマスカラシテ、貴
族院ノ修正ニ同意ノ意思ヲ表明致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=6
-
007・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 横田君御發議ノ通リ、貴族院ノ回
付案ニ同意スルコトニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=7
-
008・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマス、仍テ同意
スルコトニ決シマス、質問ノ趣旨辯明ヲ許シマス、圓山川川
敷買收ニ關スル質問-紫安新九郞君
一圓山川川敷買收ニ關スル件(紫安新
九郞君提出)
圓山川川敷買收ニ關スル質問主意書
右成規ニ據リ提出候也
大正十二年三月二十日
提出者紫安新九郞
賛成者〓水留三郞
外二十九名
圓山川川敷買收ニ關スル質問主意書
-改修工事中ノ兵庫縣圓山川川敷及堤防トナルヘ
キ沿岸町村ノ宅地及田畑買收ニ關シ單ニ宅地及田
畑ノ價格ヲ示シ所有者ヲシテ賣渡ヲ承諾セシメ土地
賣渡承諾書及登記承諾書ヲ徴シ居レルニモ拘ラス其
ノ地上物件タル建物移轉料ヲ示サス又之ニ關スル交
涉ヲ開始セサル理由如何
二地上物件ノ移轉料ヲ示ササルノ理由ハ既ニ宅地買
收ニ應スルコトヲ永諾セシメ其ノ地上ニ存スル建物ノ
移轉ヲ餘儀ナクセシムルノ手段素地既ニ成レルカ爲ナ
リト傳ヘラル果シテ如何
三沿岸町村ノ宅地及田畑ノ買收價格頗ル低廉ニシ
テ最甚シキ村ニ於テハ最高坪八圓最低坪三圓ナリ而
シテ新ニ移轉セムト欲スル土地ヲ宅地ト爲スニハ少ク
トモ賣渡價格ノ三倍以上ノ費用ヲ要ス之カ爲沿岸町
村民ハ非常ニ困難ヲ感シ日夜集會ヲ催シ善後策ヲ講
スルモ未タ得ル所ナク進退ニ迷ヒ居レリ斯ノ如ク時價
ト相距ルコト遠キ不當ナル價格ニテ買收シ又ハ買收セ
ムトスル理由如何
右及質問候也発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=8
-
009・紫安新九郎
○紫安新九郞君 會期切迫セル今日、重要問題ノ殘ッテ
居ルモノモ少カラヌノデアリマス、私ガ圓山川川敷買收ニ關
シテ政府ニ質問セントスル所ハ、質問主意書ニ於キマシテ大
略明カニナッテ居リマス、仍テ私ハ演說スルコトヲ省略致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=9
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010・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 尙ホ質問ニ對スル政府ノ答辯書ニ
付テ、意見ノ陳述ノ申出ガ數名ゴザイマス、是ハ議事ノ都合
ニ依リマシテ本日ノ日程ヲ終リマシタ後ニ、之ヲ許シタイト
考ヘマス、左樣ニ御諒承ヲ請ヒマス-此際緊急質問ノ申
出ガアリマス、高木正年君ヨリ海軍ノ軍艦建造及器械製
作ニ關シ政府ニ對シテ緊急質問ヲシタイト云フコトデアリ
マス、今日程ヲ變更致シマシテ、其緊急質問ノ趣旨辯明ヲ
許スニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=10
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011・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマス、仍テ之ヲ許
シマス高木正年君
海軍ノ軍鑑建造及獨機製作ニ關スル不正
事件ニ對スル緊急質問(高木正年君提出)
〔高木正年君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=11
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012・高木正年
○高木正年君 會期切迫ノ今日質問ヲ致シマスコトハ、甚
ダ自分ニ於テモ心苦シイノデアリマスガ、此問題ニ關シマシ
テノ重要書類ガ、海軍省ヨリ豫テ島田代議士ヨリ出シタ材
料ガ、自分ノ手許ニ參リマセヌ爲ニ、今日ニ至ッテ質問ヲスルト
云フ次第ニナッタノデアル、成ルベク二十分間以上ニ互ラヌ
限リニ於テ、德義ヲ守リタイト思ヒマスガ、何分時間ノコトデ
且ツ時計ヲ見ルコトノ出來ナイ私デアリマスカラ、若ラモ長イ
ヤウデアリマシタラ、議長カラ御注意ヲ請フト云フコトヲ豫メ
願ヲテ置イタノデアリマス、此問題ニ付キマシテハ、先ヅドウ云
フ事ガ質問ノ主要點デアルカト云フコトヲ申上ゲテ置キタイ
ト思フ、私ノ質問シタイ其主要點ハ、天城艦用ノ主要機關
部ノ附屬ノ器具及其器具ノ素質、彈力、水壓、是等ノ點ニ
付テ不十分デアッタト云フコトハ、既ニ刑事問題ニナッテ明カ
ニナッテ居ルノデアリマス、然ルニ海軍大臣ハ豫テ命ゼラレテ
居ル所ノ監督官ヲシテ、十分監督ノ貴ヲ盡サシメナイノミナ
ラズ、海軍大臣モ亦此監督ノ責アルニ拘ラズ、殆ド之ヲ放任
セラレテ居ルト云フヤウナ實際ニナッテ居ル、幸ニ疑獄事件ガ
起ッテ或ル一部ノ器械ニ對シテハ、徹底的ニ其不正ナル次第
ガ今日露白セラレテ居ルノデアリマス、若モ之ヲ露白セズニ
アッテ、現ニ今日ノ新聞ニアル名取艦ノ如キ出來事バ、今後
我ガ主要艦ノ中ニ發見セラレタリトシタナラバ、ドウナルノデ
アル、洵ニ斯ノ如ク考へ來リマスレバ、我ガ國防ノ上ニ坐ロニ
吾々ハ憂慮ヲ禁ズルコトガ出來ナイノデアリマス、ソレ故ニド
ウシテモ斯ノ如キ場合ニ於テハ、斯ル不正事件ハ過去ニ於
テモ相當ノ處分ヲセラレ、又責任アル人ハ其責任ヲ執リテ、
今後斯ノ如キ事ノ再ビ生ゼザランコトヲ、此機會ニ於テ本
員ハ之ヲ確メ置カナケレバ、數億ノ豫算ヲ議シ、國民ハ重大
ナル負擔ヲ捧ゲツヽアル國防其物ガ、何等意味ナキモノトナ
ラヌトモ限ラヌノデアリマス、是ガ會期切迫セル今日ニ於テ、
漸ク手許へ書類ガ到著致シタノデ此質問ヲ爲スノデアリマ
ス、勿論此大體ニ於テハ、豫テ私モ聞知スル所ガアリマスノ
デ、本年一月三十日ノ豫算總會ニ於テ、軍艦ノ製造、及軍
艦主要ノ器具製作ノコトニ付テ、海軍大臣ニ質問致シタ
所ガ、海軍大臣ハ此事ヲ否認サレナイニ拘ラズ、毫モ部內ニ
於ケル取締ト云フモノガ徹底シタル狀態ヲ發揮シテ居ラヌノ
デアル、ソレ故ニ其後更ニ考ヲ重ネ、意ヲ積ンデ今日マデ延
引シテ居リマシタガ、漸ク有體ニ申セバ昨晩遲ク此材料書
類ガ參クタノデ、其經路ヲ申上ゲマスト、本年ノ四月二十日
大崎留藏ト云フ人、元ト東京電氣瓦斯株式會社ノ職工ト
相知レル者アルヨリ、是等ノ職工ニ依フテ海軍ノ不正納入品
ノ始末ヲ聞知シタ、此事ヲ島田代議士ニ依ッテ、四月二十
日、海軍省ニ同代議士ノ手ヲ經テ此事ヲ申告シタ、若シ島
田君ガ健全デアリマスルナラ、此問題ハ同君ノ手ニ依ッテ今
期議會ニ十分海軍當局ニ問フ所モアリ、此問題ノ始末モ必
ズヤ同君ノ力ニ依ッテ、徹底的ニ爲シ得ラレタト思ヒマスガ、
悲ムベキハ同君ノ病牀ニ在ラルヽコトデアリマス、私ハ一月
ノ豫算會開會前ニ、島田君ニ面談致シマシテ、同君ノ囑託
モアリマシテ、旁、豫算總會ニ於テ、僅ニ得タル一部ノ材料ニ
依ッテ質問シタノデアリマス、當時島田君ヨリ數囘ニ亙リテ
海軍省ニ出シタ書面ガ、一向海軍ノ法務局カラ返シテ吳レ
マセヌ、ソレデ每日電話ヤ人ヲ遣フテ、漸ク島田君ノ手ニ戾ツ
タヤウナ次第デ、ソレカラドウ云フ經路ニ段々進ンデ參ッタカ
ト云フト、最初島田三郎君カラ海軍大臣ニ此事ヲ照會サレ
タ結果、五月七日カラ十五日ノ間ニ於テ、瓦斯電氣株式會
社ノ技術長若クハ職工長ト云フヤウナ者、山崎某、吉田健
次郞、其他ヲ海軍省ニ喚上ゲテ取調ヲシタ、同月ノ十八日
ニ再ビ大崎留藏ト云フ人ハ海軍省ヲ訪ウテ、其經過ヲ伺ヒ
マシタ所ガ、一週間以内ニハ必ズ的確ナ報告ヲスル、斯ウ云
フコトデアリマシタガ、更ニ其後査トシテ消息ニ接シナイ、元
來此問題ノ實體ハドウナッテ居ルカト云フト、瓦斯電氣株式
會社ニハ合金ヲ鎔解スル所ノ坩堝ヲ有シテ居ラヌ、ソレ故ニ
鋼鐵ヲ鎔解スル所ノ反射爐ニ依シテ、是等ノ合金ヲ始終鎔
解ヲシテ製造ヲシテ居フ夕、其證據ニハ橫須賀ニ於テ之ヲ分
析シタルトキニ鐵分ガ混ヲテ居ル、斯ウ云フコトモ發見セラレ
タ、元來原料トシテハ銅ノ一貫目中八百目-鍚一貫目ニ
亞鉛二百目ヲ入レテ初テ鋼鐵ト云フモノニナル、所ガ此
坩堝ヲ有セザルノミナラズ、新シキ所ノ合金ヲ造ルト云フコ
トハ、極メテ多額ノ費用ヲ要シマス爲ニ古キ合金ヲ用ヰ
テ、鑄物ト云フモノハ幾度モ鑄替レバ金ガ硬クナル、鉛ヲ加
ヘテ其質ヲ軟化サセテ、此古地金ニ依シテ海軍ノ最モ軍艦
中主要トシテ居ル多クノ壓力ヲ要シ多クノ力ヲ要スベキ所ノ
總テノ吸水喞筒、其他ノ各種ノ喞筒、種類ニ於キマシテ數ガ
十二、其個數ニ於キマシテ七十四個ノ器械ヲ製造シテ海軍省
ニ納メタ、檢査ノ結果ハ十二種七十四個ノ中、僅ニ完全ナリ
ト稱シタモノハ-或ハ水壓ノ試驗、或ハ彈力ノ試驗、或ハ地
金ノ性質ノ試驗ニ於テ合格シタモノハ僅ニ一點、七十四點
ノ中七十三點ハ悉ク不合格デアッタト云フコトガ、如何ニ今
日ノ海軍ニ納メラレテ居ル瓦斯電氣會社ノ納入品ガ不正
デアッタカト云フコトガ此事デ分ル、是ガ此問題ノ先ヅ實體
トモ謂フベキ刑事問題ニナッタ、此材料ノ點ニ就ティアリマ
ス、ソレカラ今申シマシタ通リ五月十八日ニ、海軍省ニ七日
ヨリ十五日ノ間ニ調ベタ物ノ狀態ガ分ラナイト一云フノデ、更
ニ島田三郞君ノ手ヲ介シテ五月二十九日ニ實體試驗ヲ要
求シタ、實體試驗ハ何デアルカト云フト、水壓ニ耐ヘルカ强
力ノ試驗及地金ノ性質如何ト云フコトデアッタ、越エテ六月
ノ八日ノ日ニ、瓦斯電氣會社ハ職工ノ吉田健次郞君外二
名ニ申付ケテ、旅費等ヲ與ヘテ同月ノ九日ニ橫須賀ニ行ッ
テ、檢査ニ立會フベキ旨ヲ中渡サレタ、是ハ海軍省ノ命デ瓦
斯電氣株式會社モ已ムヲ得ズ斯ル手段ニ依ッタモノト思ヒ
マス、同日横須賀ニ試驗ガアルト云フコトヲ大崎留藏ト云
フ人ガ聞キマシテ、其日横須賀ニ行クテ、同人ノ面前ニ於キ
マシテ海軍少將ノ吉田造機部長ガ、佐官級ノ技術者二名
ヲ立會ハシテ檢査ヲシタ所ガ、大型吸水喞筒ハ三箇ノ漏水
ガアル、其他ノ喞筒ニ於キマシテハ十二箇所ノ漏水ガアル、
殆ド喞筒トモ言ハレナイヤウナ狀態デアル、彈力試驗ハドウ
云フコトデアルカト云フト十四噸ノ重量ニ耐ヘルモノ、海軍
省ノ帳簿ヲ見ルト何レモ納入品ニ對シテ十四噸以上試驗
合格ノ彈力アリト、斯樣ニ記入シテアルニ拘ラズ、實際ノ檢
査ニ行クト十四噸以下ノモノデ、殆ド合格スルモノガ無イト
云フ實際デアル、分析ノ結果ハドウデアルカト云フト、鉛ノ這
入ッテ居ルモノ、鐵分ノ道]入ッテ居ルモノ、古合金ヲ用キタノ
デアリマスカラ、之ヲ再ビ鑄物ヲスルニハドウシテモ鉛ヲ入レ
ナケレバ素質ガ軟カニナラヌ、之ヲ鎔解シタ所ノ爐ハ何デア
ルトカ云フト、鋼鐵ヲ鎔カス爐デアルカラ、自然鐵分ガ其中
ニ這入ッテ居ル、素質ノ試驗ニ於テ全ク是ガ不合格ナモノデ
アルト云フコトガ分ッタ、斯クテ此問題ハ其後ドウナッタカト
云フト、一向海軍省ハ試驗ハ斯クナッタケレドモ手ヲ著ケナ
イ、ソレデ已ムナク再ビ島田三郎君ヲ介シテ、六月ノ二十二
日ニ海軍省ニ折角警告ヲシタケレドモ、海軍ガ相當ノ處置
ヲ執ッテ居ナイ、此事ハ瞹味裡ニ埋沒スルト云フコトハ出來
ヌノデアリマスカラ、今後ハ發見者ニ對シテ自由行動ヲ執ラ
シムルト云フ通告ヲ島田君ニ依テ爲サレタ、ソレト同時ニ同
日ニ於テ此事ハ金山檢事正ニ依シテ告發狀ヲ大崎留藏ガ
出シタ、此所ニ豫審ノ申渡書ノ本書ヲ持っテ居リマスガ、十
二種七十四箇ノ中一箇ヲ除クノ外ハ悉ク不正品デアルト
云フノデ豫審ガ終結シテ、公判ニ移サレルコトニ相成シテ居
ルト云フ現狀デアル、此事ハ甚ダ私共少シク怪訝ニ堪ヘナイ
ノハ、裁判ノ方面トシテモ、是等ノ職工ヤ或ハ技術長ハ、古
合金ヲ用キテ躊夕所ガ、彼等自身ノ利益ニハ少シモナッテ居
ラヌ、一昨日カラ昨日ニ掛ケテ國民新間ニ掲ゲラレタル豫
審調書ノ一部ヲ讀ンデ見マシテモ、是等ノ職工ガ何故ニ斯
ル不正ナ事ヲシタカト云フコトニ對シテハ、若シ之ヲシナイ時
分ニハ上級ノ者ニ叱ラレマスカラ已ムヲ得ズ斯樣ナ事ヲシ
タ、サウシテ犯罪ノ狀態ハドウ云フコトデアルカト云フト、躊
物ヲ爲ストキニ於テ此鑄物ノ片隅ニ鑛口ヲ設ケテ、其所ニ
試驗片ト稱スルモノヲ同時ニ鑄出スノデアリマス、試驗官ハ
此鑄出シタ試驗片ヲ分解シテ見テ、サウシテ此鑄物ノ實質
ハドウ云フモノデアル、此彈力ハドウ云フモノーデアルト云フコ
トヲ檢査スル、所ガ豫メ他ノ新シイ所ノ材料ニ依ッテ此試驗
片ヲ造ッテ置イテ、鑄物ヲ爲ス場合ニ於テ差込ンデ置イテヽ
同一ノ物體カラ鑄出シタモノヽ如キ形ニシテ檢査ヲ受ケタ
ト云フコトガ實際デアル、當時横須賀ノ此檢査ガ不合格デ
アッタ時分ニ、告發人ハ此器械ハ元ノ製造會社ニ返スノデア
ルカト云フコトヲ聞キマシタ所ガ、是ハ海軍ノ購入品デアル
カラ海軍自身ニ處分スルノデアルト云フコトヲ言ハレテ、返ス
ト云フコトヲセラレナカッ夕、斯ノ如ク此問題ハ海軍ノ監督
官ト云フ者ガ全ク有レドモ無キガ如ク、斯ルー事實ガ明白ニ
ナッタ昨年ノ六月以後ニ於テモ、何等ノ事ヲシテ居ラヌ、而モ
實際ニ於テハ是等ノ事アル度ニ、其責任ヲ持ツベキ所ノ海
軍ノ法官部ト云フモノハ、何等ノ働キモシナイ、シナイノミナラ
ズ或ハ實際ニアリタルコトヲ、東京地方裁判所ノ豫審廷ニ
サヘモ、之ヲ明ニ告白セザリシト云フ事實ガアル、只今ノ試
驗ノ成績ヲ得テモ、而モ海軍ハ何等手ヲ著ケナイ爲ニ、大崎
留藏ガ告發ヲシマシタ、其二日ヲ隔ヲ夕、六月二十四日デア
リマス、各新聞記者諸君ガ横須賀ニ吉田兵器部長ヲ訪ウ
テ、試驗ノ成績ヲ尋ネマシタ所ガ、吉田部長ノ言フニハ、アレ
ハ故ラニ不正品アリトシテ檢查ヲシタノ『デハナイ、大森ノ工
場ヨリ橫須賀マデ運送ノ途中、器械ニ若シヤ破損ガアリハ
シナイカト云フノデ檢査シタノデアルト言ッテ、一向其檢查ノ
不成績デアッタト云フ實際ヲ告ゲナカッタト云フガ爲ニ、同二
十六日再ビ大崎留藏ガ法官部長ヲ訪ウテ其始末ヲ訪ッタ、
所ガ法官部長ノ曰ク、海軍省ニハ斯ノ如キ器械ヲ檢査スル
所ノ費用ガ無イノデアル、他ノ檢査ノ序ニヤルノデアルカラ、
ソレ故今迄十分ノ事モ爲シ得ナカッタト云フコトヲ言ハレタ
ノデアリマス、如何ニモ訝カシイト云フノデ、其後七月二十
五日ニ井出海軍次官ヲ大崎留藏ガ訪ウテ、此始末ヲ詰ッタ
ラ海軍次官ノ言フニハ、海軍ニ如何ナル場合デモ斯ル問題
ノ爲ニ、費用ヲ呑ンデ、檢査ヲ爲サナイコトハナイト中シタト
云フコトデアル、是ハ其通リデアラウト思フ、併ナガラ此以上
ノ〓末ノ段々考ヘテ見マスト、此事ノ發見シタノハ今申上ゲル
通リ五月七日カラ十五日ノ間ニ、海軍省ニ於テハ職上ヲ調
ベテ事實ハ分クテ居ル、更ニ素質、彈力、水壓ノ試驗ヲ六月
九日ニシタトキニハ更ニ是ガ明確ニナッタ、若モ此器械ガ初ニ
申上ゲルガ如ク何事モ氣付カズニ、大崎留藏ガ島田三郞君
ニ依ノテ爲サルレタコトノ如キ所謂申告ガ無ク、又之ヲ告發
シテ刑事問題トナルト云フヤウナコトガ無クテ終ツタナラバ、
ドウスルデアリマセウガ、此處分ガ卽チ問題ノ重要點デアル、
他ノ軍艦ノ取締、現ニ石川島デ出來夕菫ノ成績ノ如キハ
六回程、公試運轉ヲシテ、尙ホ其器械ガ不十分ナルト云フ
1〓終ニ其罐ヲ取換ヘザルヲ得ヌト云フコトニナッタ、海軍大
臣モ其事ハ此間私ニ向〓テ各辯サレテ居ル、元來監督官ハ
其工場ニ出張シテ、軍艦ニ据付ケザル前ニ先ヅ水管式ノ「ポ
イラー」ナラバ其「ポイラー」ニ付イテノ地金及總テノ事ヲ檢
査シテ居ラナケレバナラヌノデアル、然ルニ全部艦ニ造付ケ
テ、サウシテ公試運轉ヲシテ器械ガ壞レル、器械ガ鎔ケルト
云フヤウナコトハ、ドウシテモ監督官タル者ノ目ガ屆イテ居
ラナイノデアル、其監督官ヲ選ブニ付テ何等カ此間ニ情實ガ
アリ監督官モ亦己レノ受ケタル監督ヲ實行シナクテモ、海
軍省ハ何等之ニ向ッテ問責ヲシナイト云フヤウニ、情實ノ孕
ンデ居ルト云フコトハ言ヒ得ラレル、言フ迄モナク瓦斯電氣
會社ハ松方一家ノ組織セル所ノ會社デアッテ、神戶ノ川崎
造船所トハ姉妹ノ會社デアリマス、ドウモ此事ガ問題ニナ
リ、殊ニ現內閣カ成立具以來、特ニ海軍省ガ此問題ニ手ヲ
著ルルトヲ厭ウテ居クタト云フ事實ハ、今ノ六月ノ試驗後ハ
査トシテ其處分ニ付テハ何事モ聞カナイノデアル、其器械ハ
今日ドウナッテ居ルカ分ラヌ、或ハ鳳翔ノ如キモ矢張此製造
所ヨリ製造シタ器械ヲ以テ据付ケラレテ居ルト云フコトヲ
聞イテ居ル、更ニ鳴戶若ハ陸奥ノ如キ重要主戰艦ノ中ニ
モ、是等ノ會社ヨリ納マッタ器械ガアルト云フコトヲ吾々ハ
聞イテ居ル、言フマデモナク我ガ海軍ニ華府會議ノ條章ニ
依リマシテ、英米ノ一艦半ニ對シテ我ガ一艦ヲ持スル、彼ノ
十ニ對シテ我ハ六ヲ持スルト云フ此時代ニ於テ、一艦ノ力
ハ他ノ國ノ一艦半ニ匹敵スルダケノ優秀ナルモノデナケレバ
ナラヌ、若モ斯ル場合此艦ノ或ル重要器具ノ間ニ缺點ガア
リ、有事ノ際ニ於テ是ガ爆發スルヤウナ事ガアッタラドウデア
ル、殊ニ喞筒ノ如キハ、艦ニ於テハ「極メテ重要ナルモノデア
ル、水壓ニ用フル喞筒ノ如キハ若シ一度此器械ガ十分ノ働キ
ヲ爲サナイ時ニナリマシタナラバ、大砲ヲ動カスコトガ出來ナ
イト云フ狀態ニナリ、戰鬪艦トシテモ殆ド戰闘ガ出來ナイ、
廢船ニ等シイモノヲ海洋ニ浮ベテ居ッテ、而モ其進退ニスラ
モ窮スルト云フコトニ遭遇シナイトモ限ラヌ、此事ハ尋常一
樣ノ責任問題デハナイト私ハ思フ、ドウシテモ此問題ハ海軍
ガ徹底的ニ、責任者ニ對スル相當ノ處罰バカリデナク、其責
任者ニ對スル責任ノ地位ニ在ル海軍大臣ソハ自身ガ、ドウ
シテモ此問題ニ付テハ、何等カ適當ノ態度ヲ執ラザル限リ
ハ、吾々ハ今日ノ海軍ヲ信ズルコトガ出來ナイト云フ程度ニ
迄、現內閣ニ對シテ信用ヲ墜サヾルヲ得ナイト斷言スルモ憚ラ
ナイノデアリマス、以上申シマス通リ、尙ホ申上ゲタイ事モ澤
山アリマスガ二十分ト云フコトデアッタ、多分其位ノ時刻ニ
ナッタト思ヒマスカラ、此邊デ止メマスケレドモ、要スルニ此瓦
斯電氣工業會社ノ納メタル所ノ材料、若クハ其製作二
依シテ現在海軍ニ納メラレテ居ル所ノ品目ヲ聽キタイ、是ハ
私ノ質問ニ對スル答辯ノ一部トシテ、是非共海軍大臣ヨリ
今明日ノ中ニ、私ノ手許マデ御答ノアルコトヲ希望スル、第
二ハ此處分ニ對シテ如何ナル態度ヲ以テ此責任ヲ全ウスル
ノデアルカト云フコトヲ聽キタイ、其直接監督ノ任ニ當ッタ者
ハ勿論ノコト、購買ノ責任ノアル者ハ勿論ノコト、此購買ノ責
任アル者、監督ノ責任アル、監督ノ地位ニアル海軍大臣ハ、
如何ナル態度ヲ以テ此責任ヲ果サントズルノデアルカ、此點
ニ付テ明確ナル答辯ヲ得ナイ爲ニ、此壇ニ立っタノデアリマ
ス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=12
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013・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 只今ノ高木君ノ御質問ニ對シテ
ハ、政府ハ書面ヲ以テ答辯スルト云フコトデアリマス、是ヨリ
日程ニ入リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=13
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014・高見之通
○高見之通君 議事日程順序變更ニ關スル緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ日程第一、大正九年度決算ハ政府ノ同
意ヲ得テ之ヲ後廻シニセラレンコトヲ望ミマス
〔「贊成」「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=14
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015・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 高見君ノ動議ニハ御異議アリマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=15
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016・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマス、此變更ニハ
政府モ同意致サレマシタ、仍テ日程ハ變更サレマシタ、日程
第二乃至第十九ハ同種ノ議案デアリマスカラ、一括議題ト
爲スニ御異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=16
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017・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマス、仍テ其通リ
ニ決シマス
第二帝都制案(鳩山一郞君外九名提出)
第一讀會
第三東京府廢止竝神奈川縣界變更ニ關
スル法律案(鳩山一郞君外九名提
四第一讀會
第四帝都制案(作間耕逸君外七名提出)
第一讀會
第五東京府廢止ニ關スル法律案(作間
耕逸君外七名提出)第一讀會
第六帝都制案(近藤達兒君外六名提出)
第一讀會
第七東京府廢止竝神奈川縣界變更ニ關
スル法律案(近藤達見君外六名提
田第一讀會
第八大阪都制案(赤田瑳一君外一名提
出第一讀會
第九大阪府廢止竝浪速縣設置ニ關スル
法律案(赤田瑳一君外一名提出)
第一讀會
第十浪速縣大阪都組合法案(赤田瑳一
君外一名提出)第一讀會
第十一大阪都制案(板野友造君外七名
提出)第一讀會
第十二浪速縣設置ニ關スル法律案板
野友造君外六名提出)第一讀會
第十三浪速縣大阪都組合法案(板野友
造君外六名提出)第一讀會
第十四京都制案(竹上藤次郞君提出)
第一讀曾
第十五京都府廢止竝西京縣設置ニ關ス
ル法律案(竹上藤次郞君提出)
第一讀會
第十六西京縣京都組合法案(竹上藤次
郞君提出)
第十七京都制案(渡邊昭君外二名提出)
第一讀會
第十八京都制實施ニ關スル法律案(渡
邊昭君外二名提出)第一讀會
第十九京都府京都組合法案(渡邊昭君
外二名提出)第一讀會
〔右各議案ハ浩瀚ニ付追テ別册トシテ掲載ス〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=17
-
018・高見之通
○高見之通君 日程第二乃至第十九ノ十八案ハ、之ヲ
一括シテ提案者ノ說明ヲ省略シ、濱田國松君外八名提
出、市制中改正法律案外十一件ノ委員ニ併セテ付託セラ
レンコトヲ望ミマス
〔「賛成」「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=18
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019・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 高見君ノ動議ニ御異議アリマセヌ
カ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=19
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020・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマス、依テ日程
第二乃至第十九ヲ一括シテ、動議ノ如ク決シマシタ-次ニ
日程第二十、人事訴訟手續法中改正法律案、第一讀會
ノ續ヲ開キ委員長ノ報告ヲ求メマス、理事大道寺慶男
君-大道寺君ハオキデニナリマセヌカ-是ハ後廻シニ致
シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=20
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021・高見之通
○高見之通君 再ビ議事日程變更ニ關スル緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ茲ニ日程第三十六以下建議案ノ委員
長報告ヲ逐次議題トナシ、其審議ヲ進メラレンコトヲ望ミ
マス
〔「賛成」「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=21
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022・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 高見君ノ動議ニ御異議ナシト認
メマス、依テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第三十六乃至
第三十九ハ、同一委員ニ付託シタル議案デアリマスカラ、
括議題ト爲スニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=22
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023・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマス、仍テ日程
第三十六、農村振興ニ關スル建議案以下三件ヲ一括シテ
議題トシ、委員長ノ報告ヲ求メマス、委員長元田肇君
第三十六農村振興ニ關スル建議案(安
達謙藏君外四名提出)
(委員長報告)
第三十七農村振興ニ關スル建議案(床
次竹二郞君外十一名提出)
(委員長報告)
報告書
一農村振興ニ關スル建議案(安達謙藏君外四名提出)
一農村振興ニ關スル建議案(床次竹二郞君外十一名
提出)
右ハ本院ニ於テ二案ヲ併合シ表題ヲ「農村振興ニ關ス
ル建議」トシ別紙ノ通修正スヘキモノト議決致候此段及
報告候也
大正十二年三月二十一日
農村振興ニ關スル建議案外一件委員長
元田學
衆議院議長粕谷義三殿
農村振興ニ關スル建議
農村ノ盛衰ハ直ニ國運ノ消長ニ關ス然ルニ近時漸ク不
振ノ情勢ヲ見ルハ國家ノ爲深憂ニ堪ヘサル所ナリ政府
ハ官シク農務省ヲ獨立設置シ擧省專心農務ノ刷新發
達ニ從ヒ同時ニ臨時調査會ヲ設ケ根本的及應急的ノ
政策ヲ調査シ以テ速ニ適當ノ對策ヲ立テ其ノ實行ヲ期
セラレムコトヲ望ム而シテ其ノ調査事項ハ多々アルヘシト
雖
一米穀法ノ運用ヲ完ウシ以テ米ノ需給ノ調節ヲ圖リ
同時ニ其ノ價格ノ調節ニ違算ナキヲ期スルコト
二農村〓育ノ改善普及ヲ圖ルコト
三農村ニ對スル社會的施設竝堅實ナル娯樂其ノ他
風〓ノ振作ニ關スル施設ヲ圖ルコト
四稅制ヲ整理シ過重ノ負擔ヲ輕減シ且其ノ均衡ヲ
圖ルコト
五產業組合中央金庫其ノ他金融機關ノ機能ヲ發揮
シ更ニ大ニ低利資金ヲ增加シ以テ農村ノ金融ヲ潤澤
ナラシムルコト
六農村現在各種組合ノ適否及更ニ農業ニ關スル組
合ヲ設クルノ可否等ヲ審査シ且其ノ機能ヲ完カラシ
ムルコト
七耕地整理ヲ促進シ且農具ノ改良農業技術ノ向上
ニ努メ之カ保護奬勵ノ方策ヲ講スルコト
肥料其ノ他物資ノ購入販賣等ニ關スル共同作用ヲ
助長スルコト
土地ノ改良委託林ノ擴張牧野ノ管理改善ヲ圖ルコト
八副業ノ獎勵ヲ圖ルコト
九小農及自作農保護ノ方策ヲ立ツルコト
十都鄙勞働ノ調節ト人口增殖トノ實勢トニ鑑ミ移
植民ノ方策ヲ講スルコト
十一農家經濟其ノ他農業狀態ノ根本的調査ヲ爲ス
コト
等ノ如キハ最急速調査ヲ要スルモノナリ又新ニ根本政
策トシテハ
米專賣法制定ニ關スル件
農業保險法ニ關スル件
小作制度確立ニ關スル件
自治體ノ基礎ヲ鞏固ナラシムルカ爲國有土地森林
原野ニシテ往時地方自治體ニ於テ使用收益ノ實アル
モノハ之ヲ當時ノ狀態ニ復セシムルノ作
等ノ如キ臨時調査會ニ於テ調査〓究ヲ爲スヘキ重要問
題ナリト認ム
右建議ス
第三十八農業倉庫普及充實ニ關スル建
議案(井上角五郞君外十名提
田(委員長報告)
報告書
一農業倉庫普及充實ニ關スル建議業(井上角五郞君
外十名提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致候此段及報告
候也
大正十二年三月二十一日
農業倉庫普及充實ニ關スル建議案委員長
元田肇
衆議院議長粕谷義三殿
第三十九產業組合中央金庫設置ニ關ス
ル建議案(土井權大君提出)
(委員長報告)
報告書
一產業組合中央金庫設置ニ關スル建議案(土井權大
君提出)
右ハ本院ニ於テ床次竹二郞君外十一名提出產業組合
中央金庫法案議決ノ結果院議ヲ要セサルモノト議決致
候此段及報告候也
大正十二年三月二十一日
產業組合中央金庫設置
ニ關スル建議案委員長
元田肇
衆議院議長粕谷義三殿
〔元田肇君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=23
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024・元田肇
○元田肇君 農村振興ニ關スル建議案、委員會ノ經過竝ニ
結果ヲ報告致シマス、委員會ハ受命ノ翌日、委員長理事互
選ヲ行ヒマシテ、其翌日各提出者ノ出席ヲ求メ、提出ノ理由
ニ付テノ說明ヲ聽キマシタ、ソレヨリ質問ニ移リマシテ數日間
質問應答ヲ續行シテ居リマス中ニ、農業組合法案、米穀專
賣法制定ニ關スル建議案、米穀法中改正法律案外數件、
併テ約十三件程ノ法律案若クハ建議案ガ當委員會ニ付
託サレマシタ、是等諸案ハ何レモ農村振興ニ關係スルモノ
デアリマスカラシテ、各提出者ノ說明ヲ求ムルト同時ニ農村
振興ニ關スル建議案ノ委員會ニ於ケル質問ヲ續行致シマ
シテ、成ベク重複ニ亙ラヌヤウニ質問ヲ續ケマシタ、此間政
府委員ハ勿論ノコトデアリマスガ、外務大臣、內務大臣、文
部大臣、當局農商務大臣、是等國務大臣ノ出席ヲ求メマ
シテ、質問ヲ盡シマシタ、ンレヨリ委員龍野君ヨリ農村振興
ニ關スル建議案ハ二案デアリマスガ、其他ニ付託サレタル所
ノ諸案、何レモ大切ナ農事振興策デアリマスカラシテ、此場
合ニ七名ノ小委員ヲ委員長ヨリ指名シ、委員長之ニ參加
シ、審議ヲ盡シ、其成案ヲ待フテ委員總會ヲ開クコトニ致シ
タイト云フ動議ガ起リマシテ、此動議ハ全會一致可決致シ
マシタ、仍テ委員長ハ龍野周一郞君、田中萬逸君、齋藤宇
一郎君、守屋松之助君、此四君ハ理事ニナッテ居ラレルノデ
アリマスガ、各派ヲ代表サレテ居ル關係上、小委員トスル事
ノ至當ヲ認メ、委員長ハ之ニ小川平吉君、下岡忠治君、吉
植庄一郎君ヲ加ヘテ、七名ノ小委員ヲ指名シ、委員長之ニ
參加スル事ニ致シマシタ、其後小委員ハ別室ニ會シ互ニ胸
襟ヲ開キ腹藏ナク意見ヲ交換シ、懇談審議ヲ重ネタル末、委
員長ノ手許ニ於テ修正案ヲ作ルコトニナリマシタ、仍テ委員
長ハ小委員ノ意見ヲ折衷シテ、修正案ヲ作リ之ヲ小委員
會議ニ附シ成案ヲ得マシタカラ、更ニ之ヲ委員總會ニ報告
シ、其賛否ノ討議ニ移ッタノデアリマス、此際尙政府委員竝
ニ國務大臣ノ出席ヲ求メ、重ネテ確メタ點モアリマスガ遂ニ
此成案ガ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=24
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025・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 一寸-只今重要問題ノ報告デ
アリマスカラ、成ベク諸君ノ靜肅ニ御聽取リアランコトヲ希
望シマス(拍手)(「謹聽」ト呼フ者アリ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=25
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026・元田肇
○元田肇君(續) 斯樣ニ致シマシテ小委員會ノ成案ヲ總
會ニ付シテ決定スル事ニナリ、最後ノ正案トナルニ至ッタノデ
アリマス、此レハ農村振興ニ關スル建議案、二案ノ修正案デ
ハアリマスルガ、付託サレタル所ノ此以外ノ十三件ハ、何レモ
重要ナル事項デゴザイマスガ、此中ニ就テ調査旣ニ十分デア
ルカラ、會議討論ニ付シテ決定シテ宜シイト認メマシタル案、
卽チ農業倉庫普及充實ニ關スル建議案、是ハ補助金ノ增
率ニ關スル建議案デアリマスガ、御承知ノ通リニ廉イ時代ノ
單價ニ對シテ、補助率ヲ定メタノデアリマスカラ、今日ニテハ
其效ナキ故更ニ相當ナル增率ヲシテ給スルコトニ改メタイ
云フ建議案デアリマス、次ニ倉庫法中改正法律案、是ハ沖
繩縣ノ如ク砂糖ヲ主產物トスル土地ニ於テハ他ノ米穀ヲ主
產物トスル上地ト、同樣ニ砂糖ノ倉庫ガ必要デアル故ニ、是
等ノ地方ニ於テハ砂糖ヲ以テ-砂糖ヲ以テ他ノ縣ノ米穀
ニ準ジテ補助金ヲ付與スルヤウ、金庫法ヲ改正セントスル法
律案デアリマス、以上二案ハ何レモ最早調査十分ニシテ、別
段此上ニ調査スル必要ハナイト認メマシテ、單獨ニ是等ノ
法案ハ通過スルノ方針ヲ執リマシタ、又產業組合中央金庫
設置ノ建議案ニ付キマシテハ旣ニ前ニ別件ガ院議ヲ經マシ
テ、貴族院ニ回付サレテアルノデアリマスルカラ、改メテ此所
ニ之ヲ議スル必要ナシト認メ、其方針ヲ採リマシタ、以上三
件ヲ除キマシテ、他ノ諸案ハ其精神趣旨ハ採ルベキモノアリ
ト認ムルモ、重要問題ニシテ調査未ダ十分ナラズト思料致
シマスカラ、其諸案ノ精神趣旨ヲ農村振興各建議案ノ本
文及理由書中ニ記載シテアル所ノ事項ト參酌シ、之ヲ修正
案ノ中ニ加ヘマシテ政府ヲシテ更ニ調査審議セシムルコトニ
致シタノデアリマス、是ヨリ大體ニ付テ成案ノ趣旨ヲ述ベマ
ス、委員會ノ作リマシタル修正案ニ於キマシテハ、第一ニ政
府ハ宜シク農商務省ヲ獨立設置セヨト云フ點デアリマス、
從來農務省ハ農務ト商工ト同一省內ニ於イテ取締ルコ
トニナッテ居リマスガ、委員會ノ見ル所ニ於キマシテハ、是モ
一ツノ方法デハアリマスルケレドモ由來商工ト、農業トハ各、
其性質ヲ異ニシテ居ルモノデアリマスカラシテ、之ヲ別箇ノ
省ト致シテ、農務省ハ獨立サシタ方ガ宜シイト認メタノデ
アリマス、隨テ商工省モ獨立スル譯デアリマス、委員會ハ決
シテ商工ヲ疎ンジ、農業ヲ重ンズルト云フ趣旨デハアリマセ
ヌガ、之ヲ一省内ニ併置シ、一大臣ヲシテ統轄セシムルトキ
ハ、ドウシテモ專心一意事務ニ當ルト云フコトガムヅカシク
ナッテ來マスルカラシテ、分離致シマシテ農務省ハ獨立サシ
テ、上大臣ヨリ下吏僚ニ至ルマデ、擧ゲテ農事ニ專心從事ス
ルト云フコトガ效果ヲ上ゲル上ニ於テ最モ適切ナル措置デア
ルト、斯樣ニ考ヘマシテ、第一ニ農務省獨立設置ト云フコト
ヲ加ヘタノデアリマス、ソレカラ第二ニ臨時調查會ニ置クベ
シト云フコトガ加ヘテアリマス、顧ミマスルニ農商務省設置
以來、商工、農事、諸般ノ施設種々盡サレテ居ルコトハ、認メ
マスケレドモ、農村今日ノ衰頽ノ狀況ニ鑑ミマシテ、委員會
ハ之ヲ以テハドウシテモ滿足スルコトハ出來ナイ、此衰頽ヲ救
フノニハ更ニ調査會ヲ設ケテ、根本的應急的ノ政策ヲ樹立
致シマシテ、之ヲ行フト云フコトガドウシテモ必要デアル、斯
樣ニ考ヘマシテ、調査會ヲ置クト云フコトヲ第二ニ加ヘタノ
デアリマス、第三ハ其實行ヲ期セムコトヲ望ムト云フコトデア
リマス、是ハ輕〓ニ讀メバ一寸文章ノ餘勢ノヤウニモ聞エマ
スガ、委員會ガ其實行ヲ期センコトヲ望ムト記シマシタノハ
特ニ意味ガアルノデアリマス、從前既ニ成立ッテ居ル所ノ制
度、政策、是等ニ致シマシテモ、十分ナル運用ト實行ヲ爲ス
ニ於テハ、今日ヨリ以上ノ效果ヲ收メルコトハ委員會ノ信
ジテ疑ハヌ所デアリマス、或ハ財政トカ色ミナコトニ付キマシ
テ十分ニ行ヒ得ヌ事情モアリマセウケレドモ、動モスレバ制
度旣ニ定ッテ居フテモ、徒法ニ歸シ、之ヲ實行セヌト云フコト
ガ往々ニ事實ニ見エルノデアリマスカラシテ、委員會ハ其實
行ト云フコトヲ特ニ加へタ次第デアリマス、殊ニ今囘根本的
應急的ノ政策ニ付、幸ニ調査ヲ進メマシテ、之ヲ樹立スルコ
トニナリマシテモ、幾分カハ實行シタケレドモ十分ナラヌト云
フコトニナリマシタナラバ、折角ノ國策モ其效果ヲ擧ゲルコ
トガ出來マセヌカラ、ソレ故ニ最後ニ於テ其實行ヲ期センコ
トヲ望ムト云フコトヲ記載シタ譯デアリマシテ、單純ナル行
文ノ末句トシテ書イタモノデナイト云フコトヲ茲ニ一言致シ
テ置キマス、是ヨリ調査會ニ附スベキ所ノ事項ト致シマシテ、
兩建議案ノ理由書中ニ記載シテアル所ノ事項、付託サレタ
ル所ノ十餘件ノ法律案、改正案、若クハ建議案ニ記載シテ
アル所ノ事項等ニ付キマシテ、審議ヲ遂ゲマシテ、尙ホ質問
應答中ニ委員中ヨリ特ニ希望セラレタル事項ニ致シマシテ、
調査會ノ議ニ附シテ大ニ〓究シテ成案ヲ得ル必要ガアラウ
ト思フモノヲ之ヲ加へマシテ、調査會ニ附スベキ所ノ事項ヲ
引擧シタ次第デアリマス、其列擧シタ事項ノ第一ハ、米穀法
ノ運用ヲ全ウシ以テ米ノ需要調節ヲ圖リ、同時ニ其價格ノ
調節ニ違算ナキヲ期スルト云フコトデアリマス、是ハ付託サ
レタル案中ニ、米穀法ノ改正案ト云フモノガアリマシテ、米
穀法ノ第一條ニ價格ト云フ文字ヲ加ヘタイト云フ改正案
デアリマス、政府ノ辯ズル所ニ依リマスレバ、是ハ一昨年デア
リマス、成案ニナル場合ニ貴衆兩院ニ於テ、此點ハ非常ニ
〓究討論シタコトデアッテ、價格ヲ標凖トスルト[云フコトニ
ナッテハ、容易ナラザル難事ヲ來ス、ソレ故ニ數量ノ上ニ於テ
調節スレバ、確カナル米ノ需給ノ調節ガ出來ル、隨テ其結
果ハ價格ノ調節ヲ來スコトナル、該法ハ實施日尙淺キ故今之
ヲ改正セントスルニハ反對デアル、今暫ク實行ノ後ヲ待テト
云フコトデアリマシタ、併ナガラ米穀ノ數量ヲ調節シタカラ
ト云ウテ、必シモ其效ハナイ、卽チ供給上ニ不足ナキヤウニ、
又啻ニ供給ガアルカラト云ウタ所ガ、非常ナ高價格デアリマ
シタナラバ買フコトガ出來ヌ、隨テ價格ノ調節ト云フコトガ
非常ニ大事デアリマスカラ、委員會ニ於テハ再三、再四之ヲ
政府ニ質問シ、或ハ要求シタノデアリマスガ、政府ノ最後ニ
明確ニ數量ヲ目標トシテ買上ヲナスケレドモ、固ヨリ米價ノ
調節ト云フコトハ爲サナケレバナラヌノデアルカラ、相當ナル
僧格ニナルマデニハ、數量ノ調節ト同時ニ、其裏面ニ於テ相
當ノ價格ヲ維持スルコトニ努メル、卽チ此米穀法ノ運用ニ
依ッテ之ヲ努メルト云フコトヲ言明サレタノデアリマス、斯カ
ル言明ガアル以上ハ本法制定以來日尙ホ淺イコトデアリマ
スカラ、法文ヲ改正セラレズトモ政府ニ於テ其實ヲ擧ゲルコ
トニ努メラルヽ以上ハ、强イテ今日之ヲ改正スル必要ハナカ
ラウト云フ委員ノ意見デアリマシタ、併ナガラ政府ガ左樣ニ
言明致シマシテモ、此議會ガ濟メバ之レガ實行ヲ怠ラナイト
モ期セラレマセヌカラ、本法ノ運用ヲ完ウシ以テ米ノ需要調
節ヲ圖リ、同時ニ其價格ノ調節ニ違算ナキヲ期スルコトヽ
云フ一項ヲ特ニ揭ゲタノデアリマス、第二ニ農村〓育ノ改
善普及ヲ圖ルコト、是ハ私ガ申上ゲルマデモナク諸君御了
承ニナルコトヽ存ジマス、農村ノ〓育ハ如何ニスベキカ、農
村ニハ農村ニ又特別ナル〓育モ施サナケレバナラヌコトモゴ
ザイマセウシ、補習〓育ヲ如何ニスベキカ色ニゴザイマセウ、
之ヲ一々申上ゲルコトハ少時間ノ盡ス所デアリマセヌカラ、
農村〓育ノ普及改善ヲ、圖ルト云フコトニ止メテ置キマス、
第三ハ農村ニ對スル社會的施設竝ニ堅實ナル娛樂其他風
〓ノ振作ニ關スル施設ヲ圖ルコトデアリマス、近來農村ニ於
テハ娛樂ニ乏シク、動モスレバ靑年子弟ガ地方ヲ飛出シテ
都會ニ出ルト云フコトニナリマシテ、爲ニ農村ノ耕耘其他萎
靡不振ノ狀態ニ陷ルコトニナッテ居リマス、是ハ幾多ノ原因
モアリマセウケレドモ、農村ニ居ノ夕所ガ社會的施設ハナシ、
堅實ナル娯樂トシテモナシ、昔稍、アッタモノモ今日ハ廢レチ
行クト云フ有樣デ、又或ル場合ニハ官憲ノ力ニ依ッテ昔ノ娯
樂ヲ廢メサセルト云フヤウナ傾キモナイノデハアリマセヌ、左
樣ナ次第デアリマシテ斯樣ナ狀況ヲ呈スルノデアルカラ、特
ニ玆ニ農村ニ對スル社會的施設、竝ニ堅實ナル娛樂其他
風〓ノ振作ニ關スル施設ヲ圖ルト云フコトヲ加ヘタ譯デア
リマス、堅實ナル娛樂、堅實ト云フ字ハ文字或ハ分リ憎イカ
モ知レマセヌガ、浮華ニ流レズト云フ意味デアリマシテ、近來
文化ト云フヤウナ文字ガ用ヒラレマスガ、文化ト云フコトハ
妙ナ「ハイカラ」的ノコトニ聽取レル、委員會ハ「ハイカラ」的ナ
娛樂ハ農村ニ宜クナイト云フ考ヲ以チマシテ、堅實ナル娯樂
ト云フコトニ致シタノデアリマスカラ左樣御承知ヲ願ヒマス、
第四ニ稅制ヲ整理シ過重ナル負擔ヲ輕減シ、且ツ其均衡ヲ
圖ルコト、是ハ說明ヲ俟タズシテ御了解ノ事ト信ジマス、第
五ニ產業組合中央金庫其他全融機關ノ機能ヲ發揮シ、更
ニ大ニ低利資金ヲ增加シ以テ農村ノ金融ヲ圓滿ナラシムル
コト、之ヲ加ヘタノデアリマス、產業組合中央金庫ハ旣ニ本
院ヲ通過シテ貴族院ニ廻ヲテ居リマシテ、政府モ之ヲ承認ヽ
テ居ルト信ジマスカラ、行ハレルコトハ最早疑ノナイコトデア
ル、併ナガラ其機能ヲ發揮シナケレバ拵ヘテモ一向效果ガ少
ウコザイマス、獨リ中央金庫バカリデハアリマセヌ、農工銀
行、勘業銀行色とアリマスケレドモ、本員否、委員會ノ認メル
所デハ、ドウシテモ今日マデノ有樣デハ、其機能ヲ十分ニ發
揮シテ居ラヌト思ヒマスカラ、將來益、其機能ヲ發揮スルコ
トニ致シタイノデアリマス、而シテ更ニ大ニ低利資金ヲ地方
ニ廻シマシテ、農村ノ金融ヲ潤澤ナラシムルコトヲ必要ト認
メタノデアリマス、此低利資金ノコトニ付キマシテハ、委員會
ノ最後ニ於テ痛烈ナル質問ガアリマシテ、吉植庄一郞君デ
ゴザイマシタガ、其要旨ガ從前數囘ノ議會ニ於テ屢〓此事ヲ
要求致シテ、桂內閣ノ當時平田內務大臣ノ當時ニ方リマ
シテ、勤儉貯蓄ノ風ヲ奬勵スルト云フ費用ヲ五万圓請求シ
タコトガゴザイマスガ、其際ハ勿論其以後モ度〓繰返シテ居
ル、地方農村カラ郵便貯金ヲ澤山集メ、其金ハ總テ-總
テデハアリマセヌケレドモ、中央ノ方ニ大部分ヲ廻シテ農村
ノ金融ハ涸渴スル傾ガアル、斯樣ナ事ヲシテ行ケバ到底農
村ハ立行クコトガ出來ナクナルコトハ當リ前デアリマスカラ、
桂內閣當時ニハ割合ガ定メテアックガ、爾後ノ經過ヲ見ルニ
政府ハ之ヲ實行シテ居ラヌ、今後ニ於テハ是非共之ヲ實行
セヨト云フコトデアリマシタ、政府ハ成ベク其趣旨ニ副フ
コトヲ期シタシトノ言明デアリマシタガ、尙ホ大切ナ問題デ
アリマスカラシテ、五項ニ於テ之ヲ揭ゲ、且ツ各銀行ノ機能
ヲ十分ナラシムルニ付テハ、色々攻究スベキ事項モゴザイマ
セウカラ、是等ハ調査會ニ付シテ緊急ニ調査セシムルコトト
致シタノデアリマス、第六ニ農村現在ノ各種組合ノ適否、更
ニ農業組合ヲ設クルノ可否等ヲ審査シ、且ツ其機能ヲ全カ
ラシムルコト、今日ノ現在ノ組合ハ產業組合モアリ農會モ
アリ、其他ニモ色色アルコトヲ承ッテ居リマスガ、果シテ此
組織ガ適當ナルモノデアルカドウカ、或ハ改善ヲシナケレバナ
ラヌコトハナイカ、又付託サレタ案ノ中ニハ、農業組合ヲ設ケ
ルト云フ案ガゴザイマスガ、之ヲ新ニ設クルノ必要ガアルカド
ウカ、是ハ十分ニ調査スル價値アルモノト認メマシテ玆ニ加
ヘタ次第デアリマス、第七ニ耕地整理ヲ促進シ、農具ノ改良
農業技術ノ向上ニ努メ、是ガ保護奬勵ノ方策ヲ講ズルコト、
耕地整理ハ現在行ハレテ居ルノデアリマスガ、遲々トシテ進マ
ナイ、委員會ハ今日ノ狀態デハ滿足セズ、是非今一層促進
スルヤウニ致シタイ、而シテ農具ノ改良農業技術ノ向上ニ
就テモ今後政府ニ於テ益之ヲ努メラレ、之ガ保護獎勵
ノ方策ヲ講ジテ貰ヒタイト云フコトハ委員會ノ痛切ナル希
望デアリマシテ、玆ニ之ヲ加ヘタ譯デアリマス、ソレカラ肥料
其他物資ノ購入販賣等ニ關シ共同作用ヲ助長スル事、是
モ諸君既ニ御分リノ事ト存ジマスルカラ、別段說明致シマセ
ヌ、次ニ土地ノ改良委託林ノ擴張、牧野ノ整理改善ヲ圖ル
コト、土地ノ改良ニ付テハ別ニ說明致シマセヌガ、委託林ノ擴
張、是ハ付託サレタル議案中ニアルノデアリマシテ、殊ニ東北
地方ニ於テハ委託林トナルベキモノガ多々アル、或ハ西南ノ鹿
兒島邊ニモ山ノ多イ處ニハ澤山アリマセウガ、政府ハ既ニ委
託林ノ制度ハ設ケテアルガ、動モスレバ地方ニ委託スルコト
ヲ吝ミ、委託ハスルガ調査ガ屆カヌト云ウテ充分ニ實行シテ
居ラヌ、之ガ爲ニ玆ニ規律改正ノ建議案ガ提出セラレタノ
デアリマスカラ、委員會ハ此委託林ノ擴張ヲ圖ルト云フコト
ガ必要デアルト認メテ、玆ニ加ヘマシタ次第デアリマス、又牧
野ノ整理改善ヲ圖ルト云フコトニ付テハ、吉良元夫君カラ
牧野ノ法律案ガ出テ居リマスガ、政府ノ言フ所ヲ聽キマス
ト、日本ニ牧畜ヲ專ラニスルカ、或ハ米穀其他ノ產物ヲ獎勵
スルカト云フコトニ付テハ、日本ハ牧畜ヲ以テ大ナル產業トナ
スニハ、不適當ノ土地デアルト認メテ居ル、隨テ之レガ爲メ特
ニ法律ヲ作ルト云フコトハ、政府ニ於テ同意セヌトノ答デア
リマシタガ、併ナガラ今日ノ牧野ニ付キマシテハ、管理ノ方法
等ガ、宜シキヲ得テ居ラヌト思フ、今議會二ハ競馬法案ト云フ
モノガ出タヤウデアリマス、本員ノ如キハ競馬法案ニ依シテ、
何カ賭事ヲスルト云フコトハ餘リ好カナイ方デアリマス、ケレ
ドモ、是ハ上下兩院定メテ通過スルノデアリマセウ、之ヲ通
過サセルト云フ趣旨ハ何處ニ在ルカト云ヘバ賭事ヲ獎勵ス
ルノデハナイ、卽チ牧畜ノ盛ンニナリ、良馬ヲ得ルト云フコト
ノ必要ヲ、此途ニ依シテ得ヤウト云フノデアリマス、左樣ナ譯
デアリマスルカラシテ、牧野ノ整理改善ヲ圖ルト云フコトハ、
特ニ加ヘルノ必要ガアル、斯樣ニ信ジマシテ、玆ニ加ヘル譯デ
アリマス、第八ハ副業ノ獎勵ヲ圖ルコト、農家ニ於キマシテ
主產物ハ米デゴサイマセウガ、或ハ繭ノ如キモ主產物ニナル
土地モゴザイマセウ、或ハ砂糖ノ主產物タル所モゴザイマセ
ウガ、ンレヨリ以外ニ副產物ト云フモノヽ奬勵ヲ圖ルト云フ
コトハ、非常ナ國家ノ利益デアリマス、國民ノ利益トナル事
デアリマスカラシテ、副業ノ奬勵ヲ圖ルト云フコトヲ加ヘク譯
デアリマス、第九ニ小農及自作農保護ノ方策ヲ樹ツルコト、
御承知ノ如クニ近年地方ニ於テハ小農ガ段々減ッテ來ルヽ
或ハ自作農モ減ッテ來ル傾キガアリマス、國家ノ爲ニ之ヲ憂
慮スル聲ハ、獨リ委員會ノミナラズ天下ニ滿チテ居ルト思ヒ
マス、如何ニシテ小農ヲ安全ニ立行カレルヤウニスルカ、自
作農ヲ殖ヤスカ、斯樣ナ事ハ既ニ識者ノ夙ニ心配シテ居ル
所デアリマス、是レ茲ニ小農及自作農ノ保護ノ方策ヲ樹ツ
ルト云フ一項ヲ加ヘケ次第デアリマス、第十ニ都鄙勞働ノ
調節ト、人口增殖トノ實勢ニ鑑ミ移植民ノ方策ヲ講ズルコ
トヽ、植民政策ヲ擴張シテ行カナケレバナラヌト云フコトハ、
是亦天下囂々タル事デアリマスルガ、委員會ハ槓民政策ヲ
樹ツルト云フノミデハ十分デナイト思フ、都鄙勞働ノ調節ト
云フコトモ考ヘナケレバ、農業ヲ爲ス者ガ無クナルヤウナコト
デアリマスカラシテ、都鄙勞働ノ調節ト、年々增殖シ來ル
所ノ人口ノ實勢トニ鑑ミマシテ、移植民ノ方策ヲ講ズルト
云フコトハ、是亦調査研究スベキ要點ト信ジマシテ、玆ニ加
ヘクノデアリマス、第十一ニ農家經濟其他農業狀態ノ根本
的調査ヲ爲スコト、由來總テノ政策ヲ樹ツル上ニ於キマシテ
統計ガ無ケレバナラヌ、如何ナル農業政策ヲ樹ツルニモ、農
家經濟、其他農業ノ狀態ニ付正確ナル調査ガ屆イテ居ラナ
ケレバ、拵ヘタ政策ガ其宜シキニ適セヌヤウニナリマス、是故
ニ、之ヲ大切ナル事ト信シマシテ玆ニ揭ゲタモノデアリマス、委
員會ニ於テハ種々政府ニ質問致シマシタガ、當局タル農商
務省ニ於テモ農家ノ經濟其他農業狀態ノ調査ハ出來テ居
ラヌヤウデアリマシテ、確タル答辯ハ出來ナカッタノデアリマ
ス、斯樣ナ事デハ農業ヲ振典スル方策ヲ樹ルニ就テ、洵ニ因
難ナ事デアリマスカラシテ、之ヲ加ヘタノデアリマス、以上十
一項ノ如キハ最モ急速ニ調査ヲ要スルモノト認メマシタ、ソ
レ故ニ最モ急速調査ヲ要スルモノナリトシタノデアリマス、
更ニ新ニ根本政策ト致シマシテ米専費法制定ニ關スル件、
農業保險法ニ關スル件、小作制度確立ニ關スル件、自治體
ノ基礎ヲ鞏固ナラシムルガ爲メ、國有土地森林原野ニシテ
往時地方ノ自治體ニ於テ使用收益ノ實アルモノハ、之ヲ當
時ノ狀態ニ復セシムルノ件、是ハ就レモ付託サレタル法案又
ハ建議案ノ中ニ在ルノデアリマスガ、委員會ハ是等諸案ニ
付提案ノ理由ヲ容究シ頗ル重要問題ト認メ、之ヲ調査〓
究スベキ事項トナシタル次第デアリマス、斯ク二ツノ種類ニ
之ヲ分チマシタモノハ、前十一ノ事項ハ急速ニ調査ヲ進
メテ實行シタイト希望スルモノデアリマシテ、第二ノ四事項
ハ新ニ根本政策トシテ〓究スルノ必要アルモノト語メマシタ
モノデ、之ヲ二段ニ分ケタノデマリマス、以上ヲ以テ成案ト致
シタノデアリマス、此場合ニ私ハ政府ノ答辯中ニ特ニ報告ス
ルノ要アリト存ジマスモノニ付一言致シマス、米價調節ニ付
テハ先刻一通リ申述べマシタカラ略シマシテ、次ハ議員ノ提
出案ニシテ本委員會ニ付託サレタ案ノ中、農業倉庫ノ築造
ニ付テ補助率ヲ增加スルノ建議案、是ハ政府ニ質シマシタ
ガ、政府モ同意スルコトニナリマシテ、率ガ何程ト云フコト迄
ニハ今日言明サレテ居リマセヌケレドモ、大體委員ノ希望ヲ
聽イテ其意ニ應ジヤウト云フ事ニナリマシタ、隨テ是ハ此調
査事項ノ中ニハ加ヘテ居リマセヌ、ゾレカラ砂糖ヲ主產物ト
スル地方ニ在リテハ、砂糖ヲ以テ他ノ米蘭ト同樣ニ見做ス
ペシトスル他縣ノ米ニ代ヘル、倉庫法ノ改正案ハ、洵ニ尤モ
千万ノ事デアリ、政府モ敢テ反對セズト云フ事デアリマシタ、
併ナガラ反對セズト云フ程度デアリマスカラ、改正法律案ト
シテ特ニ通過サセテ置クノ必要ガアルト認メマシテ、是ハ昨
日院議ニ付シテ、既ニ貴族院ニ送付ニナッタ次第デアリマス、
尙ホ此場合ニ私ハ述べテ置キマスルガ、昨日遠ベタカト思ヒ
マスケレドモ、或ハ短簡ノ法律案トシテ述ベナカッタカモ知レ
マセヌガ、該法案ニ於キマシテハ改正案ノ法文ガ宜シクナイ
ト思ヒマシタカラ之ニ修正ヲ致シマシタ、尙其理由書ニハ
沖縄縣ト云フコトガ主ニ出テ居リマスケレドモ、大島ノ如キ
モ砂糖ガ主產物デアルカラシテ、沖繩縣ト云フ文字ヲ出ス
ヨリハ、砂糖ヲ主產物トスル地方ニ於テハトシタ方ガ宜シカ
ラウト云フノデ、修正案ハ左樣ニ致シタノデアリマス、以上ヲ
以テ本委員會大體ノ經過及結果ハ盡シタト信ジマス、若
シ詳シク報告致シマスレバ調査事項十一項ニ互ニ四項ノ
〓究事項ガアリマシテ、容易ナラザル時間ヲ要スルコトデア
リマシテ、委員長ハ一々委員會ニ出マシタ所ノ應答ノ意見
ヲ述ブル必要ハナイト信ジ之ヲ省キマス、又政府ノ同意、不
同意ノ事ニ付キマシテモ、一々之ヲ申述ベルコトハ甚ダ煩雜
ニ涉リマスカラ、速記錄ニ讓リマシテ此邊ニ止メテ置キマス、
終リニ臨ミ私ハ特ニ茲ニ御報告致シマスコトハ、此委員會
ニ於キマシテハ前後十五回集會致シマシテ質問應答ヲ重
え、又小委員會等モ開イタコトデゴザイマスガ、何レノ場合ニ
於キマシテモ洵ニ熱心デアリマシテ、而モ互ニ相譲リ懇談ヲ造
ダ、腹藏無ク意見ノ交換ニ努メルコトニ致シタノデアリマス、
私ハ稀ニ見ルノ現象ト心得マス、唯、本修正案ヲ可決スルニ
當リマシテ、田中君ガ憲政會ノ代表ノ意味ニテ農商務省ヲ
獨立サセルト云フコトハ全然趣意ニ於テハ賛成デアルガ、今
日其時期デアルカト云フコトニ付テ、或ハ意見ガ出ルカモ知
レヌカラ、此點ダケハ留保ヲシテ總テ賛成スルト云フコトデ
アリマシタ、是ハ委員日〓トシテ留保ヲサレタコトデアリマスカ
ラ、報告スルノ必要ガアラウト存ジマス、其他ハ總テ修正案
ニ對シテ滿場一致ヲ以テ可決サレマシタ、敢テ計論スル必要
ヲ認メヌト云フ程ノ熱誠ヲ以テ贊成サレタコトデアリマス
(拍手)斯ノ如キハ農村今日ノ衰頽ノ狀況ヲ見ルニ忍ビズ、
各員至誠ヲ以テドウカ之ヲ救濟シタイト云フ事カラシテ、是
ニ出タモノト信ジマシテ、委員長ハ洵ニ之ヲ欣幸ト致シマシ
テ、特ニ御報告申上ゲル次第デアリマス、斯様チ次第デアリ
マスカテ、願ハケバ諸君此本會議ニ於キマシテモ、滿場一致
一人ク異議者無ク此案ヲ通過シ、以テ本建議案ノ威力ア
ルコトヲ政府及世上ニ發揮セシメラレンコトヲ新リ、此壇ヲ
降リマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=26
-
027・高見之通
○高見之通君 日程第三十六乃至三十九ノ四案ヲ一括
シテ、全會一致ヲ以テ委員長報告ノ通リ、可決確定セラレ
ンコトヲ望ミマス
〔「賛成」「賛成」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=27
-
028・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 高見君ノ動議ニ御異議アリマセヌ
カ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=28
-
029・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマス仍テ委員長
報告ハ全會一致ヲ以テ可決サレマシタ(拍手)次ニ日程第
二十、先程後廻シニシテ置キマシタ···発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=29
-
030・元田肇
○元田肇君 私ノ申述ベタ中ニ、農務省ヲ農商務省トツ
ヒロガ辷ッタノガアリマシタラ、速記錄ヲ訂正致シマスカラソ
レヲ御承知願ヒマス
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=30
-
031・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 日程第二十、人事訴訟手續法中
改正法律案ノ第一讀會ノ續ヲ開キマス、委員長ノ報告ヲ
求メマス、大道寺慶男君
第二十人事訴訟手續法中改正法律案
(麓純義君外五名提出)
第一讀會ノ續((記憶分)
報告書
一人事訴訟手續法中改正法律案(麓純義君外五名提
也
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致候此段及報告
候也
大正十二年三月二十三日
人事訴訟手續法中改正法律案委員長
北井波治目
衆議院議長粕谷義三殿発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=31
-
032・大道寺慶男
○大道寺慶男君 簡單デアリマスカラ此席カラ申上ゲマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=32
-
033・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 大聲ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=33
-
034・大道寺慶男
○大道寺慶男君 兩親が死亡致シマシク場合ニ認知ノ訴
ヲ起サウトスル際、對手方ガ無イ爲ニ-現行法デハ規定ガ
無イノデアリマスカラ、檢事ヲ對手方ト定メテ、此場合ノ救
濟方法ヲ定メタイト云フノガ本改正案ノ趣旨デアリマス、委
員會ハ質問應答ヲ重ネマシテ、此案ハ最モ必要適切ナルモ
ノデアルトヨaムムノ決議ヲ致シマシテ、全會一致ヲ以テ可決
シタノデアリマス、此段御報告致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=34
-
035・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 本案ノ第二讀會ヲ開クニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=35
-
036・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマス、仍テ第二
讀會ヲ聞クニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=36
-
037・高見之通
○高見之通君 直ニ其第二讀會ヲ開キ、第三讀會ヲ省略
シテ委員長報告ノ通リ、可決確定セラレンコトヲ望ミマス
〔「異議ナシ」「美議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=37
-
038・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 高見君ノ動議ニ御異atナイト認メ
マス、仍テ直ニ第二讀會ヲ開キ、議案全部ヲ議題ト致シマ
ス
人事訴訟法中改正法律秦
第二讀言(確定議)
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=38
-
039・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 別ニ御異議ナシト認メマス、仍テ第
三讀會ヲ省略シ、委員長報告ノ通リ可決確定サレマシタ、
先刻ノ高見君ノ動議ハ日程第二十一ヨリ第三十五迄ハ
後廻シニスルト云フ動議デゴザイマシタラウカ、念ノ爲メ伺ヒ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=39
-
040・高見之通
○高見之通君 サウデス、ソレデアリマスカラ第四十ヨリ進
メラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=40
-
041・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 日程第四十、第四十一ハ、同一委
員ニ付託シタ議案デアリマスカラ、一括議題ニ供スルニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=41
-
042・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマス、仍テ日程
第四十、島根縣ニ內務省土木出張所設置ニ關スル建議
案、第四十一新潟縣下各稅務署移管ニ關スル建議案ハ一
括議題トシ、委員長ノ報告ヲ求メマス、委員長中倉万次郞
君
第四十島根縣ニ內務省土木出張所設置
ニ關スル建議案(原夫次郞君外
五名提出)(委員長報告)
報告書
一島根縣ニ内務省土木出張所設置ニ關スル建議案(原
夫次郎君外五名提出)
右ハ本院ニ於テ可決スへキモノト議決致候此段及報告
候也
大正十二年三月十九日
島根縣ニ内務省土木出張所
設置ニ關スル建議案委員長
床次竹二郞
衆議院議長粕谷義三殿
第四十一下各稅務署移管ニ關ス
ル建國崇(伊藤席助君外二名
提出)(委員長報告)
報告書
一新潟縣下各稅務署移管ニ關スル建議案〓(伊藤乕助
君外二名提出)
右ハ本院ニ於テ可決スへキモノト議決致候此段及報告
候也
大正十二年三月十九日
新潟縣下各稅務署移管ニ
關スル建議案委員長
床次竹二郞
象議院議長粕谷義三殿発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=42
-
043・中倉万次郎
○中倉万次郞君 簡單デアリマスカラ、此席カラ御許ヲ願
ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=43
-
044・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 許シマス、成ベク大聲ニ願ヒマス、
速記ノ都合ガアリマスカラ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=44
-
045・中倉万次郎
○中倉万次郞君 日程第四十、島根縣ニ內務省土木出
張所ヲ設置シテ貰ヒタイト云フノデアリマス、山陰山陽一帶
ノ地方ハ、河川港灣等ノ内務省ノ土木囑託事業ガ澤山ア
ルノデアリマス、將來ニ於テ是等ノ事業ガ澤山アリマスカラ、
是迄ハ大阪出張所又ハ下ノ關ノ出張所ノ管韓デアッタガ、
非常ニ不便デアッタノデ事業ノ進行ヲ期スル事ガ出來ナイノ
デーアノ一帶ノ地方ヲ管轄スル爲ニ島根縣ニ內務省ノ土
木出張所ヲ設置シテ貰ヒタイト云フ案デアリマス、委員會ニ
於キマシテハ提案者ヨリ詳細ニ說明ヲ聽キマシテ、政府當
局者ノ意兒ヲ導ネマシタ、所ガ政府ニ於テモ未ダ具體的ノ
調査ヲ遂ゲテ居ラナイ、而シテ絕對イカヌト云フノデアリマ
セヌノデ、將來考慮スルト云フ答辯デアリマシテ、外ニ質問モ
アリマセヌデ、委員會ハ多數ヲ以テ可決スベキモノト決定致
シマシタ、第四十一ハ新潟縣下ノ各稅務署ハ、今日迄名古
屋ノ監督署ノ管轄デアッタノヲ、東京稅務監督署ノ管語ニ
シテ貫ヒタイト云フ建議案デアリマス、是モ別ニ質問モゴザ
イマセヌノデ、政府當局ニ於キマシテモ別ニ反對ノ意見モア
リマセヌノデ、十分考慮スルト云フ程度ノ谷辯ガアリマシタ、
是モ多數ニ依ヶテ可決スベキモノト決定致シマシタ、此段御
報告申上ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=45
-
046・高見之通
○高見之通君 日程第四十、第四十一ノ雨案ハ、一括シ
テ委員長報告ノ通リ、可決確定セラレンコトヲ希望シマス
〔「賛成」「賛成」ノ畳起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=46
-
047・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 高兄君ノ動議ニ御異議ナイト認メ
マス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第四十二乃至第四
十四ハ同一委員ニ付託シタ件デアリマスカラ、一括議題ニ
供スルニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ノ聲起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=47
-
048・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマス、仍テ日程
第四十二、露國政變及事變ニ關スル被害救濟竝對露貿
易企業促進ニ關スル建議案、外二案ヲ一括シ【テ議題トシ、
委員長ノ報告ヲ求メマス-委員長麓純義君
第四十二路國政變及事變ニ關スル被害
者救濟竝對露貿易企業促進ニ
關スル建議案"(川崎克君外六
名提出)(委員長報告)
報告書
一露國政變及事變ニ關スル被害者救済竝對露貿易企
業促進ニ關スル建議案(川崎克君外六名提出)
右ハ本院ニ於テ可決スへキモノト議決致候此段及報告
候也
大正十二年三月二十一日
露國政變及事變ニ關スル被害者救濟竝對
露貿易企業促進ニ關スル建議案委員長
麓純義
衆議院議長粕谷義三殿
第四十三對露被害者救濟竝企業貿易促
進ニ關スル建議案(矢野丑乙
君外六名提出)(委員長報告)
報告書
一對露被害者救濟竝企業貿易促進ニ關スル建議案
(矢野丑乙君外六名提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致候此段及報告
候也
大正十二年三月二十一日
對露被害者救濟竝企業貿易
促進ニ關スル建議案委員長
麓純義
衆議院議長粕谷義三殿
第四十四靑島罹災民救恤ニ關スル建議
案(岩切重雄君外三名提出)
(委員長報告)
報告書
一靑島罹災民救恤ニ關スル建議案(岩切重雄君外三
名提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致候此段及報告
候也
大正十二年三月二十一日
靑島罹災民救恤ニ關スル
建議案委員長
麓純義
衆議院議長粕谷義三殿発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=48
-
049・麓純義
○麓純義君 本席カラ報告ヲ御許シヲ願ヒマス、日程第
四十二第四十三ヲ合併シマシテ、委員會デハ質疑應答ヲ重
ネマシテ可決、全會一致デ可決シマシタ次第デゴザイマスル
ガ、此問題ハ、問題ガ西伯利ニ關係シテ居リマスルガ爲ニ、
非常ニ熱心ニ討議御質問ヲ重ネラレタ次第デアリマス、其
質疑應答ノ詳細ナコトハ速記錄ニ依リマスルガ、政府ノ答
辯ノ要領ヲ簡單ニ申上ゲテ置カウト思ヒマス、政府ハ通商
貿易モ勞農政府承認モ成ベク早クヤリタイ、ザウシテ政府ハ
非常ニ努力シテ居ルノデアルト、斯ウ云フ事デゴザイマス、ソ
レカラ邦人ノ救濟及企業ノ囘復仲展ト云フコトモ政府ハ
大ニ考慮シテ居ル、ソレ等ノ事柄ガ非常ニ必要ナ事ハ政府
モ認メル、所ガ其方法ニ至ッテマダ確定シテ居ラヌノデアル、
其方法ガ-方法ニ對シテハ政府ハ大ニ考慮シツヽアリ、〓
究シツヽアルノデアルカラ、其方法ガ決マレバ隨テ資金ノ問
題ニナルノデアルガ、其場合ハ低利資金デモ宜シイ、又必シ
モ低利資金ヲ俟タヌデモ、他ノ方法依ヶテデモ差支ナイコト
デアルト斯ウ云フ事デゴザイマスノデ、尙ホ勞農政府承認ノ
問題ノ如キモ加藤總理大臣ハ機會ダニアレバ其機會ヲ逸
セズニ承認ヲスル積リデアルト云フコトモ言明サレタノデゴザ
イマス、ソレデ總理大臣、外務大臣、大藏大臣ノ此建議案ニ
對スル答辯ハ、委員會ノ速記錄デ御承知ヲ願ヒタイノデゴ
ザイマス、次ニ靑島罹災民ノ救恤ニ關スル事柄ハ、政府ハ救
恤ハ最モ必要ナ事デ調査ヲ進行シツヽ-進メツヽアルト
斯ウ云フコトデゴザイマス、是ハ建議案ニハアリマセヌガ、政
府ハ建議案以上ニ範圍ヲ廣クシテ調査ヲ爲シツヽアルト云
フコトデアリマスルノデ、是モ全會一致可決シマシタ譯デゴザ
イマス、詳細ハ委員會ノ速記錄デ御承知ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=49
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050・高見之通
○高見之通君 日程第四十二乃至第四十四ノ三案ハ、
一括シテ委員長報告ノ通リ、可決確定セラレンコトヲ望ミ
マス
〔「賛成」「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=50
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051・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 高見君ノ動議ニ御異議ナシト認メ
マス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第四十五、治水事
業ニ關スル建議案ヲ議題トシ、委員長ノ報告ヲ求メマス-
委員長友常穀三郞君
第四十五治水事業ニ關スル建議案(松
浦五兵衞君外三名提出)
(委員長報告)
報告書
一治水事業ニ關スル建議案(松浦五兵衞君外三名提
也
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致候此段及報告
候也
大正十二年三月二十三日
治水事業ニ關スル建議案委員長
友常穀三郞
衆議院議長粕谷義三殿発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=51
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052・友常穀三郎
○友常穀三郞君 此席ヨリ-此治水事業ニ關スル建議
案-此委員會ハ昨日開キマシテ提案者ノ說明ヲ求メ、政
府ノ答辯ヲ得マシテ、卽チ全會一致ヲ以テ可決サレマシタ、
此段御報告致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=52
-
053・高見之通
○高見之通君 本案ハ委員長報告ノ通リ、可決確定サレ
ンコトヲ望ミマス
〔「賛成」「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=53
-
054・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 高見君ノ動議ニ御異議ナシト認メ
マス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第四十六、國稅徵
收事務ニ對スル交付金增額ニ關スル建議案ヲ議題ト致シ
マス-日野辰次君
第四十六國稅徵收事務ニ對スル交付金
增額ニ關スル建議案(長谷川
宗治君外三名提出)
(委員長報告)
報告書
一國稅徵收事務ニ對スル交付金增額ニ關スル建議案
(長谷川宗治君外三名提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致候此段及報告
候也
大正十二年三月二十一日
國稅徵收事務ニ對スル交付金
增額ニ關スル建議案委員理事
堀切善兵衞
衆議院議長粕谷義三殿発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=54
-
055・日野辰次
○日野辰次君 是ヨリ報告ヲ-此建議案ニ對シマスル
政府委員ノ谷辯ト致シマシテハ、都市ハ兎ニ角貧弱ナル町
村ニ對シテハ同情ヲ表スルモ、今直ニ同意シ難イト云フコト
デアッタノデアリマス、然レドモ委員會ニ於テハ全會一致ヲ
以テ可決致シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=55
-
056・高見之通
○高見之通君 本案ハ委員長報告ノ通リ、可決確定アラ
ンコトヲ望ミマス
〔「賛成」「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=56
-
057・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 高見君ノ動議ニ御異議アリマセヌ
カ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=57
-
058・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマス、仍テ動議
ノ如ク決シマシタ、日程第四十七、第四十八ハ同一委員ニ
付託セラレタル議案デアリマスカラ、一括シテ議題ト爲スニ
御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=58
-
059・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマス、日程第四
十七、正米市場設置ニ關スル建議案、日程第四十八、鑛業
ニ因ル農耕地ノ被害救濟ニ關スル建議案、右二案ヲ一括
シテ議題トシ、委員長ノ報告ヲ求メマス、委員長川原茂輔
君-水野吉太郞君
第四十七正米市場設置ニ關スル建議案
(田中定吉君外二名提出)
(委員長報告)
報告書
一正米市場設置ニ關スル建議案(田中定吉君外二名
提出)
右ハ本院ニ於テ可決スへキモノト議決致候此段及報告
候也
大正十二年三月二十三日
正米市場設置ニ關スル建議案委員理事
水野吉太郞
衆議院議長粕谷義三殿
第四十八鑛業ニ因ル農耕地ノ被害救濟
ニ關スル建議案(中村〓造君
外四名提出)(委員長報告)
報告書
一鑛業ニ因ル農耕地ノ被害救濟ニ關スル建議案(中村
〓造君外四名提出)
右ハ本院ニ於テ可決スへキモノト議決致候此段及報告
候也
大正十二年三月二十三日
鑛業ニ因ル農耕地ノ被害救
濟ニ關スル建議案委員理事
水野吉太郞
衆議院議長粕谷義三殿発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=59
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060・水野吉太郎
○水野吉太郞君 此席ニテ報告ヲスルコトヲ御許ヲ願ヒ
マス(「大聲ニ願ヒマス」ト呼フ者アリ)正米市場設置ニ關ス
ル建議案ニ付キマシテハ提案者ノ說明ヲ求メマシテ、且ツ政
府ノ意見ヲ聽キマシタ所、政府ニ於キマシテモ、大體此建議
案ノ趣旨ヲ以テ近キ將來ニ於テ之ヲ實現スベク調査シテ
居ルト云フコトデアリマス、斯樣ナ次第デアリマシテ全會一
致ヲ以チマシテ、委員會デハ可決ヲ致シマシタ次第デアリマ
ス、鑛業ニ因ル農耕地ノ被害救濟ニ關スル建議案ニ付テハ、
提案者ヨリ委シイ說明ガアリ、且ツ各國ノ立法制ナドモ調
查ヲシテ提出ヲ致サシタノデ、政府ノ意見ト致シマシテハ、政
府ハ本件ハ其交涉スル所モ非常ニ廣ク、且ツ甚ダ複雜ヲ極
メテ居ルノデアッテ、今調査中デアルガ、俄ニ此建議案ニ贊
成スルコトハ出來ナイト云フコトデアリマシタ、サリナガラ是
モ亦全會一致ヲ以テ可決ヲ致シタ次第デアリマス、此段報
告ヲ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=60
-
061・高見之通
○高見之通君 日程第四十七第四十八ノ兩案ハ、一括
シテ委員長報告ノ通リ、可決確定アランコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=61
-
062・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 高見君ノ動議ニ御異議アリマセヌ
カ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=62
-
063・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマス、仍テ動議
ノ如ク決シマシタ、日程第四十九、借地法借家法竝借地借
家調停法施行ニ關スル建議案ヲ議題ト致シマス、委員長
北井波治目君-理事大道寺慶男君-委員長理事共
不在デアリマスカラ···発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=63
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064・横山勝太郎
○横山勝太郞君 議長発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=64
-
065・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 橫山君何デス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=65
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066・横山勝太郎
○橫山勝太郞君 本案ニ付キマシテ一言希望ヲ述ベタイ
ト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=66
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067・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) ソレハ今理事モ居リマセヌカラ···発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=67
-
068・高見之通
○髙見之通君 後廻シニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=68
-
069・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 後廻シニシマス、日程第五十乃至
第五十四ハ、同一委員ニ付託シタル議案デアリマスカラ、
括議題ト爲スニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=69
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070・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマス、卽チ日程
第五十、水道補助費補助範圍擴張ニ關スル建議案外四案
ヲ一括シテ、議題トシ、委員長ノ報告ヲ求メマス-委員長
鳩山一郞君
第五十水道補助費補助範圍擴張ニ關ス
ル建議案(八田宗吉君外二名提
四(委員長報告)
報告書
一水道補助費補助範圍擴張ニ關スル建議案(八田宗
吉君外二名提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致候此段及報告
候也
大正十二年三月二十三日
水道補助費補助範圍擴張
ニ關スル建議案委員長
鳩山郎
衆議院議長粕谷義三殿
第五十一都市計畫事業費國庫補助ニ關
スル建議案(鳩山一郞君外五
名提出)(委員長報告)
報告書
一都市計畫事業費國庫補助ニ關スル建議案(鳩山一
郞君外五名提出)
右ハ本院ニ於テ可決スへキモノト議決致候此段及報告
候也
大正十二年三月二十三日
都市計畫事業費國庫補助
ニ關スル建議案委員長
鳩山一部
衆議院議長粕谷義三殿
第五十二都市計畫促進ニ關スル建議案
(山口義一君外六名)
(委員長報告)
報告書
一都市計畫促進ニ關スル建議案(山口義一君外六名
提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致候此段及報告
候也
大正十二年三月二十三日
都市計畫促進ニ關スル建議案委員長
鳩山貳
衆議院議長粕谷義三殺
第五十三都制調査會設置ニ關スル建議
案(砂田重政君提出)
(委員長報〓)
報告書
一都制調査會設置ニ關スル建議案(砂田重政君提出)
右ハ本院ニ於テ可決スへキモノト議決致候此段及報告
候也
大正十二年三月二十三日
都制調査會設置ニ關スル建議案委員長
鳩山一郞
衆議院議長粕谷義三殿
第五十四衆議院議員選擧法別表中改正
ニ關スル建議案(木下理三郞
君外四名提出)(委員長報告)
報告書
一衆議院議員選舉法別表中改正ニ關スル建議案(木
下甚三郞君外四名提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致候此段及報告
候也
大正十二年三月二十三日
衆議院議員選擧法別表中改
正ニ關スル建議案委員長
鳩山一郞
衆議院議長粕谷義三殿発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=70
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071・鳩山一郎
○鳩山一郞君 簡單デアリマスカラ此席ヨリ報告ヲ致シ
マス、日程第五十ヨリ第五十四ニ至ル五ツノ議案ハ別ニ御
報告致スベキ質問應答モゴザイマセヌ、委員會ハ本會ニ於
テ可決スベキモノト、全會一致ヲ以テ議決致シマシタ、此段
御報告致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=71
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072・高見之通
○高見之通君 日程第五十乃至第五十四ノ五案ハ、
括シテ、委員長報告ノ通リ、可決確定セラレンコトヲ望ミマ
ス
〔「賛成」「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=72
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073・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 高見君ノ動議ニハ御異議ナシト認
メマス、仍テ動議ノ如ク決シマス-日程第五十乃至第五
十八モ、同一委員ニ付託シタル議案ナルニ依リ、一括議題
ト爲スニ異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=73
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074・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマス、仍テ第五
十五、隱岐國航海費補助增額竝造船費補助ニ關スル建
議案外三案ヲ一括シテ議題トシ、委員長ノ報告ヲ求メマ
ス-委員長菅野傳右衞門君
第五十五隱岐國就海費補助增額竝造船
費補助ニ關スル建議案(若林
德懋君外五名提出)
(委員長報告)
報告書
一隱岐國航海費補助增額竝造船費補助ニ關スル建議
案(若林德懋君外五名提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致候此段及報告
候也
大正十二年三月二十三日
隱岐國航海費補助增額竝造船
費補助ニ關スル建議案委員長
菅野傳右衞門
衆議院議長粕谷義三殿
第五十六松江隱岐間海底電信電話增設
速成ニ關スル建議案(若林德
懋君外五名提出)(委員長報告)
報告書
松江隠岐間海底電信電話增設速成ニ關スル建議案
(若林德懋君外五名提出)
右ハ本院ニ於テ可決スへキモノト議決致候此段及報告
候也
大正十二年三月二十三日
松江隱岐間海底電信電話增設
速成ニ關スル建議案委員長
菅野傳右衞門
衆議院議長粕谷義三殿
第五十七大正九年勅令第四百五號適用
ニ關スル建議案(若林德懋君
外五名提出)(委員長報告)
報告書
一大正九年勅令第四百五號適用ニ關スル建議案(若
林德懋君外五名提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致候此段及報告
候也
大正十二年三月二十三日
大正九年勅令第四百五號適
用ニ關スル建議案委員長
菅野傳右衞門
衆議院議長粕谷義三殿
第五十八四國九州間海底電話開通ニ關
スル建議案(矢野丑乙君外三
名提出)(委員長報告)
報告書
一四國九州間海底電話開通ニ關スル建議案(矢野丑
乙君外三名提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致候此段及報告
候也
大正十二年三月二十三日
四國九州間海底電話開
通ニ關スル建議案委員長
菅野傳右衞門
衆議院議長粕谷義三殿発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=74
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075・菅野傳右衞門
○菅野傳右衞門君 簡單デアリマスカラ此席カラ報告致
シマス、日程第五十五乃至第五十八、右四案ヲ一括シテ、
委員會ニ於ケル經過ヲ御報告致シマス、委員會デハ質問應
答ヲ重ネマシタ結果、一人ノ異議者モナク四案共、滿場一
致ヲ以テ可決致シタ次第デアリマス、此段御報告致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=75
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076・高見之通
○高見之通君 日程第五十五乃至第五十八ノ四案ハ、
一括シテ委員長報告ノ通リ、可決確定セラレンコトヲ望ミ
マス
〔「賛成」「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=76
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077・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 高見君ノ動議ニハ御異議ナシト認
メマス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-次ハ日程第五十九
乃至六十一ハ、同一委員ニ付託シタル議案ナルニ依リ、
括議題ト爲スニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=77
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078・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマス、卽チ日程
第五十九兩國驛萬世橋驛間連絡鐵道速成ニ關スル建議
案外二案ヲ一括議題ト爲シ、委員長ノ報告ヲ求メマス、委
員長小泉策太郞君
第五十九兩國驛萬世橋驛間連絡鐵道速
成ニ關スル建議案(鈴木久次
郞君提出)(委員長報告)
報告書
一兩國驛萬世橋驛間連絡鐵道速成ニ關スル建議案
(鉛木久次郞君提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致候此段及報告
候也
大正十二年三月二十三日
兩國驛萬世橋驛間連絡鐵道速
成ニ關スル建議案委員理事
森恪
衆議院議長粕谷義三殿
第六十木更津久留里間鐵道改良工事速
成ニ關スル建議案(鈴木久次郎
君提出)(委員長報告)
報告書
一木更津久留里間鐵道改良工事速成ニ關スル建議案
(鈴木久次郞君提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致候此段及報告
候也
大正十二年三月二十三日
木更津久留里間鐵道改良工事
速成ニ關スル建議案委員理事
森恪
衆議院議長粕谷義三殿
第六十一勝田上菅谷間鐵道速成ニ關ス
ル建議案(根本正君外一一名提
〓(委員長報告)
報告書
一勝田上菅谷間鐵道速成ニ關スル建議案(根本正君
外二名提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致候此段及報告
候也
大正十二年三月二十三日
勝田上菅谷間鐵道速成ニ
關スル建議案委員理事
森恪
衆議院議長粕谷義三殿発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=78
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079・小泉策太郎
○小泉策太郞君 簡單デアリマスカラ此席ヨリ陳述致シマ
ス、第五十九、第六十、第六十一ハ一括シテ陳述致シマス、
委員會ノ內容ニ付キマシテハ、速記錄ニ揭載致シテアリマ
スカラ之ヲ省略致シマス、委員會ハ可決確定致シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=79
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080・高見之通
○高見之通君 日程第五十九乃至第六十一ノ三案ハ、
一括シテ委員長報告ノ通リ、可決確定セラレンコトヲ望ミ
マス
〔「贊成」「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=80
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081・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 高見君ノ動議ニ御異議ナシト認
メマス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第六十二、第六
十三ハ同一委員ニ付託シタル議案ナルニ依リ、一括議題ト
爲スニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=81
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082・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマス、卽チ第六
十二、科學〓究機關統一ニ關スル建議案、第六十三、長野
縣南安曇郡ニ特用作物試驗場設置ニ關スル建議案、右二
案ヲ一括シテ議題トシ、委員長ノ報告ヲ求メマス-理事
柿原政一郞君
第六十二科學〓究機關統一ニ關スル建
議案(近藤達兒君提出)
(委員長報〓)
報告書
一科學〓究機關統一ニ關スル建議案(近藤達兒君提
出)
右ハ本院ニ於テ表題ヲ「理化學〓究機關連絡ニ關スル建
議」ニ改メ別紙ノ通修正スヘキモノト議決致候此段及報
告候也
大正十二年三月二十三日
科學〓究機關統一ニ關スル建議案委員長
小坂順造
衆議院議長粕谷義三殿
〔別紙〕
理化學〓究機關連絡ニ關スル建議
政府ハ官公署竝民間ニ散在スル個々ノ理化學〓究機
關ニ對シ相當ノ整理連絡ヲ圖リ以テ其ノ目的ノ達成ヲ
促進スヘシ
右建議ス
第六十三長野縣南安曇郡ニ特用作物試
驗場設置ニ關スル建議案(春
日俊文君外五名提出)
(委員長報告)
報告書
一長野縣南安曇郡ニ特用作物試驗場設置ニ關スル建
議案(春日俊文君外五名提出)
右ハ本院ニ於テ表題ヲ「特用作物試驗場設置ニ關スル
建議」ニ改メ別紙ノ通修正スヘキモノト議決致候此段
及報告候也
大正十二年三月二十三日
長野縣南安曇郡ニ特用作物試驗
場設置ニ關スル建議案委員長
小坂順造
衆議院議長粕谷義三殿
〔別紙〕
(小字及-ハ委員會修正)
長野縣南安曇郡ニ特用作物試驗場設置ニ關ス
ル建議
ノ如キハ
山葵い古來本邦各地ニ於テ栽培セラレ其ノ產額ノ大輕
視スヘカラサルモノアリ其ノ雷要年々增加スルノミナラス
特ニ近時該植物カ歐米人ノ嗜好ニ投シ漸次海外ニ輸
出セラルルニ至リ其ノ栽培逐年增加ノ傾向アルハ寔ニ
喜フヘキ現象ナリトス然レトモ其ノ栽培及利用ニ關シテ
ハ未タ何等ノ組織的〓究ヲ爲ス者ナキカ爲農家ニテハ
從來ノ經驗ヲ基礎トシテ栽培スルニ止マリ斯業ノ進步
改善殆ト見ルヘキモノナキハ痛嘆ニ堪ヘス長野縣南北
ノ如キハ
安曇郡い其ノ地質頗ル·山葵ノ栽培ニ適シ現下當業者
約四百名年產額百萬圓ヲ算シ斯業ノ將來ニ關シ最有
等相當ナル
望ナル地ナリトス依テ政府ハ此。ノ適地ニ該特用作物ノ
試驗場ヲ設置シ其ノ栽培及製造ニ關スル組織的試驗
〓究ヲ爲シ當業者ヲ指導シテ以テ斯業ノ改良發達ニ資
スヘシ
右建議ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=82
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083・柿原政一郎
○柿原政一郞君 此席ヨリ報告申上ゲマス、第六十二、
科學〓究機關統一ニ關スル建議案ハ、提出者ノ說明ヲ聽
キ其申出ニ依リマシテ、理化學〓究機關連絡ニ關スル建議
案ト訂正、尙ホ建議案ノ趣旨ニ依リマシテ「政府ハ官公署
竝民間ニ散在スル個々ノ理化學〓究機關ニ對シ相當ノ整
理連絡ヲ圖リ以テ其ノ目的ノ達成ヲ促進スヘシ」ト訂正セラ
レマシタノデ、委員會ハ三回開會シテ審議ヲ盡シマシテ、修
正ノ通リニ可決致シマシタ、日程第六十三、長野縣南安曇
郡ニ特用作物試驗場設置ニ關スル建議案ハ、矢張提案者
ヨリ長野縣南安曇郡ト云フ字ヲ削リ、其他本問題ニ於キマ
シテ、二三ノ修正ヲ施スヤウニ申出ガアリマシテ、字句ノ修正ヲ
致シマシテ、委員會ハ可決致シマシタ、右御報告申上ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=83
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084・高見之通
○高見之通君 日程第六十二、第六十三ノ兩案ハ一括
シテ委員長報告ノ通リ、可決確定セラレンコトヲ望ミマス
〔「贊成」「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=84
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085・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 高見君ノ動議ニハ御異議ナシト
認メマス、仍テ委員長報告ノ通リ可決セラレマシタ、日程第
六十四乃至六十六ハ、同一委員ニ付託シタル議案ナルニ
依リ、一括議題ト爲スニ御異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=85
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086・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 異議ナシト認メマス、-日程第六十
四、入學難緩和ニ、關スル建議案、第六十五、中等〓育機
關擴張ニ關スル建議案、第第十六、國定〓科書國營ニ關
スル建議案、右三案ヲ一括シテ議題ト爲シ、委員長ノ報告
ヲ求メマス、委員長木下成太郞君-理事吉良元夫君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=86
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087・吉良元夫
○吉良元夫君 是ハ後廻シニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=87
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088・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 只今委員長ガ不在デアルサウデス
カラ、後廻シニ致シマス、是ヨリ日程第二十一ニ戾リマス、日
程第二十一、普通選舉ニ關シ一般投票實施ニ關スル建議
案ヲ議題トシ、提出者ノ趣旨說明ヲ許シマス-林田龜太
郞君
第二十一普通選舉ニ關シ一般投票實施
ニ關スル建議案(林田龜太郞
君外二名提出)
普通選擧ニ關シ一般投票實施ニ關スル建議案
普通選擧ニ關シ一般投票實施ニ關スル建議
今ヤ政府ハ選擧法調査ヲ設ケ專ラ普通選舉ノ調査〓
究中ニ屬ス衆議院ハ主義ニ於テ大體普通選擧制ニ異議
ナク唯其ノ時期ニ於テ議論アルモノノ如シ此ノ際之ヲ卽
行スルノ可否如何ニ就キ一般投票ヲ行ヒ以テ國民ノ意
向ヲ確メラレムコトヲ望ム
右建議ス
〔林田龜太郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=88
-
089・林田龜太郎
○林田龜太郞君 初メテ此演壇ニ登リマス時ニハ、自分ノ
選舉竝ニ氏名ヲ名乘ルコトガ議員タル者ノ作法デアルト承
リマス、私ハ東京府第二區選出林田龜太郞ト申ス者デ、今
囘私共ガ提出致シマシタ建議案、卽チ普通選擧卽行ノ可
否ヲ國民一般投票ニ問フト云フ建議案ノ趣旨ヲ辯明致シ
タイト思ヒマスガ、會期切迫ノ今日ブアリマスカラ極ク簡單
ニ致シタイノデス、併ナガラ本案ハ帝國議會開カレマシテ以
來、民權伸張ト云フ方面ニ向ッテハ最モ重大ナ案件ト心得
マスカラ、暫ク御〓聽ヲ煩シタイト思ヒマス、議會ガ選舉デ
成立ッテ居リマス以上ハ、民意ハ十分議會ニ現レテ居ル筈デ
アル、故ニ議會ガ若モ民意ヲ失ヒタル場合ニハ、解散ヲ以テ
スレバ民意ハ確メラレルデハナイカ、此上ニ國民投票ナドハ
全ク不用デハナカラウカト云フ說ガ大分アルノデアリマス、併
ナガラ帝國議會ガ民意ヲ代表シテ居ラヌ場合ガアルコトハ、
旣ニ歐米ノ學者等モ十分之ヲ明カニシテ居リマスシ、殊ニ解
散ヲ以テ民意ヲ確ムルト云フコトハ甚ダ矛盾スル場合ガア
ルノデアリマス、又解散ノ行ハレナイ場合ガアル、例ヘバ衆議
院ノ多數ガ政府ノ同一ノ黨派ヨリ出デタル場合、又現時ノ
我ガ政界ノ如ク衆議院ノ多數ト政府ガ相提携スルト云フ
場合斯ノ如キ場合ニハ、如何ニ衆議院ガ民意ヲ失墜シテ居
ルカト云フコトガ-是ハ實際ハサウデハアリマスマイガ-
天下ニ現レテ來マシテモ、政府ハ之ヲ解散スルコトヲ敢テシ
ナイ、斯ノ如キ場合ニ民意ヲ問ハントシテモ、如何ナル手段
ヲ以テ民意ヲ問フコトガ出來マセウカ、是ハ私共ノ申ス國民
一般投票ニ依ッテ民意ヲ問フヨリ外ニ民意ヲ問フベキ手段
ハ無イノデアリマス、且又解散ニ依テテ意意ヲ問ヒマシタ所ガ
其解散ト云フモノガ直接ニ民意ヲ發表スル途ニハナラヌコ
トガ往々アルノデアリマス、何故ナレバ解散ノ場合ニ選舉人
ハ如何ナル心理ニ依ッテ投票ヲスルカ、選擧人ガ投票ヲ爲ス
ニ當フテ其心ヲ動カスモノハ何デアルカト申シマスレバ、候補
者ノ人格ソレガ第一、第二ニハ所屬政黨、第三ニハ種々ナル
周圍ノ事情、サウ云フモノガアリマシテ、實際解散問題ニ付
テノ判斷ハ非常ニ稀デ、第四位デアルト云フコトガ一致シタ
ル學者ノ說デアリマス、斯ク觀マスレバ、解散ヲシテ輿論ニ問
題ノ可否ヲ問ヒマシタ所ガ、實際其問題ノ是非曲直ト云フ
モノニ付テ、民意ノ如何ヲ發表スル機會ニハナラヌノデアリ
マス、故ニ民意ヲ確メル方法トシテハ歐米ノ先進國ニ於テ
モ、益〓國民投票法ヲ採用スル傾ニナッテ居ルノデアリマス、
私ハ我ガ議會ガ民意ヲ代表スル點ニ付テ、不十分デアルト
云フコトヲ今少シ詳シク諸君ノ前ニ披瀝致シタイト思フノ
デアリマス(謹聽)第一ノ理由ハ法制ノ上カラ民意ヲ代表ス
ベキモノデナイト云フコトヲ申シタイ、卽チ我國デ採用シテ居
ル所ノ選擧法ハ小選舉區制度デアル、小選擧區制ハ第一
回ノ選擧ヨリ第六囘迄之ニ依ッテ行ヒ、而シテ其弊害ニ堪
ヘズ大選舉區單記法ニナッタノデアリマス、而シテ政友會內
閣ニ至リマシテ、又再ビ小選擧區制ニ還クテ、第十四囘ノ總
選擧トナッタ、其結果ニ就テ見マスルト、前ニ小選舉區時代
ニ遭遇シタル所ノ種々ノ弊害ガ又繰返ヘサレマシタ、就中
最モ大ナルモノト私共ノ認ムル所ノ點ハ、少數者ガ一府縣
ニ於テ却テ多數ノ議員ヲ出スト云フ結果ヲ見ルノデアリマ
ス、是ハ小選擧區制ニ免ルベカラザル弊害デアリマシテ、而シ
テ其實例ハ茲ニ衆議院ヨリ發表シタル所ノ選擧報告ノ第
一頁ヲ見テモ分明デアリマス、卽チ東京市ニ於テ政友會ノ
候補者ガ得タル所ノ總票數ハ二万一千票デアッテ、而シテ
其當選者ハ僅ニ三人デアル、然ルニ無所屬竝ニ國民黨ハ是
ヨリモ五千五百票少クシテ而モ四人ヲ得、憲政會ハ五千票
少キ票數ヲ以テ五人ヲ得テ居ルノデアリマス、又廣島縣デモ
憲政會ハ政友會ニ對シ、二千五百票少クテ、二人對六人ト
云フ多數ノ議員ヲ出シテ居ルノデアリマス、是ハ詳シク調べ
マシタナラバ他ニモ澤山アルノデアラウト思ヒマス、一卽チ斯ノ
如キ缺點ガアリマスカラ」小選擧區制ハ民意ヲ代表セズシ
テ、少數者ガ議會ニ於テ却テ多數ヲ占メテ居ルコトガアリマ
ス、例ヘバ英國ノ千八百九十五年ノ總選擧ノ如キハ、自由
黨ガ七万八千票程英蘭ニ於テ多數ヲ占メテ居リマスケレド
モ、議席ハ却テ七十七席少ク、又昨年ノ總選擧ニ於テモ在
野黨ガ三百十万程多カッタニ拘ラズ、議席ハ八十九席少イ
ノデアリマス、若モ多數制ト云フコトガ代議政治ノ實體デア
ルトスレバ、英吉利ノ今日ノ政體ハ全然代議制デハ無イコ
トニナリ、民政ヲ標榜ヲシテ居ルガ、英國ハ實ハ少數專制制
度デアルノデアル、卽チ民意ハ在野黨ノ說ヲ贊成シテ居ルニ
拘ラズ、議會デハ少數黨ニ依ッテ代表セラレテ居ルト云フ不
思議ナ現象ヲ生ジテ居ルノデアリマス(拍手)又英國ガ既ニ
斯ノ如キノミナラズ、我ガ帝國ニ於テモ亦然リデアリマス、卽
ヲ政友會ガ總選擧ニ得ラレタル所ノ票敷ハ百十三万票デア
リマス、卽チ選舉人百人ノ中僅ニ三十六人ヲ代表シテ居ル
ニ過ギナイノデアリマス、政支會ノ諸公ガ此議會ニ於テ絕對
多數ヲ占メテ居ラレル、併ナガラ此絕對多數ト云フモノハ僅
ニ選擧人百人ニ付テ三十六人ノ意見ヲ代表シテ居ルニ過
ギナイノデアリマス、是ガ果シテ選擧人多數ノ意見ヲ代表ス
ルモノデアルカドウカハ疑問デアル、況ヤ全國五千七百万人
ノ意見ヲ代表スルト云フコトヲ言フノハ、大早計ト言ハナケ
レバナラヌ(拍手)小選擧區ノ制度ハ既ニ斯ノ如クデアリマス
ガ、モウ一ツ我ガ制度ノ缺陷ハ卽チ制限選擧デアリマス、制
限選擧ノ結果トシテ今申シマシク通リ、三百八万人ガ選擧權
ヲ有スルニ過ギナイ、故ニ之ヲ五千七百万人ノ人口ニ割當
テマスレバ、僅ニ百人ニ付キ五人强デアリマス、斯ノ如キ少
數ヲ以テ國民多數ヲ代表シ得ルト云フコトハ絕對ニ言ヘナ
イ次第デアリマス、私ハ此理由ヲ以テ法制上ノ缺陷ヨリシ
テ、今日ノ選擧法ソレ自身ガ既ニ民意ヲ代表スルト云フコ
トハ出來ヌト云フコトヲ言フノデアリマス(拍手)次ニ選擧當
時ニ色々ナ事ガ行ハレテ、必シモ選擧ガ公正ニ行ハレテ居ナ
イ、是ハ日本バカリデハナイ、世界ノ代議政體ニ共通ノ弊害
デアリマス、ソレハ卽チ選擧運動者ノ跋扈デアル、選擧運動
者ガ選擧人ト候補者ノ間ニ立チマシテ、種々惡辣ナ運動ヲ
スル爲ニ、民意ヲ代表スベキ正當ノ人ガ議院ニ出ナイト云フ
コトハ、各國通弊デアル、又選擧ガ公正ニ行ハレナイノハ政
府ガ干涉ヲスルカラデアルト云フコト、是ハ歐未先進國ニ於
テハ曾テ見ルコトノ出來ナイ圖デアリマス、今日此議會ニ現
レテ居ル多數ノ方ガ、悉ク此忌ムベキ干渉ニ依リテ選バレテ
居ルト云フコトハ、私ハ申ザヌノデアル、併ナガラ行政官、-
地方官ガ若モ官權ヲ弄シテ選擧ニ干涉スルト云フコトガア
リマシタナラバ選擧ノ公正ハ斷ジテ保タレナイ、隨テ憲法政
治ハ根本カラ破レルノデアリマス、斯ノ如ク惡弊ガ若モアッタ
トスレバ、今日ノ議員ハ公正ニ民意ヲ代表スルト云フコトハ
言ヘナイノデアリマス、此次ニ最モ重大ナル缺陷ガ我ガ帝國
議會ニアルト云フコトヲ申上ゲタイ、ソレハ卽チ何デアルカト
云フト黨議ノ拘束デアリマス、政黨ハ各々其主義綱領ニ
依クテ立ツモノテアル、然ルニ日本ノ政黨中ニハ主義綱領ノ
外ニ、臨時ニ黨議制ト云フモノヲ設ケ、而シテ此黨議制ニ背
ク者ハ如何ナル黨ノ元老ト雖モ除名ヲ免レナイト云フノデア
リマス、自分ガ如何ニ立派ナ考ヲ持っテ居リマシテモ、黨議ノ
制裁ノ前ニハ之ヲ捨テ顧ミズ、一絲紊レズト「稱シテ之ニ服
從スルト云フ美德-是ハ美德デアリマセウ、併ナガラ歐米
各國ノ今日ノ政黨ノ組織ヨリ見、又其現狀ヨリ見マシタナ
ラバ、此美德ハ果シテ如何ナルモノデアリマセウカ、此黨議拘
束ノ結果ト云フモノハ、代議政體、卽チ多數制代議政體ニ
最モ必要ナル所ノモノハ悉ク破壞サレ、蹂躪サレ、而シテ議
院ノ決議ハ全ク虛僞ニナルノデアリマス(拍手)】試ニ問題ヲ
簡便ニスル爲ニ、玆ニ百人ノ議員ガアッテ此議場ヲ組織スル
ト假定致シマシテ、甲ノ政黨ガ五十一人、乙ノ政黨ガ四十
九人アルトシ、而シテ普通選擧問題ヲ此會議ニ提出致シタ
ト假定シマセウ、五十一人ノ政黨ガ黨議ヲ定ムルニ當リ、二
十六人ノ反對ハ卽チ黨議ヲ決定スルノデアリマスカラ、黨議
ハ反對ト決シマス、旣ニ普通選擧問題ニ反對ト決定シタ以
上ハ、百人ノ議場ニ於テ甲黨ノ黨議ガ卽チ勝ヲ制シ、百人
ノ議會ハ普通選擧問題ニ反對ト決定スルノデアリマス、然
ルニ實際其內容ヲ調ベテ見レバ、普通選舉問題ニ反對ノ者
ハ甲ノ黨派二十六人ダケデ、賛成ノ者ハ甲黨ノ二十五人ト
乙黨ノ四十九人合セテ七十四人デアリマス、卽チ黨議ヲ以
テ拘束スル結果トシテ一一十六人ノ說ガ勝フテ、七十四人ノ
說ガ破レルト云フ結果ニナルノデアリマス(拍手)是ガ果シテ
代議政體ノ眞意デアリマセウカ、多數ヲ以テ決スルト云フ憲
法ノ精神ニ背カナイト云フコトガ出來マセウカ、斯ノ如キ制
度ガ存スル限リ代議政體ハ悉ク寡人政治ニ後戾リシタト言
ハナケレバナラヌト私ハ思フノデアリマス(拍手)又近頃黨議
制ヲ拵ヘルニ當リマシテモ、幹部一任ト云フコトガ往々行ハ
レル、此幹部一任ト云フコトハ無論全然幹部ノ意思ガ多數ノ
意思ト相合シテ居ルカラ、此說ガ行ハレルニ相違アリマスマイガ
此幹部一任ト云フコトガ行ハレタ結果ドウ云フコトガ生出サ
レルカト云ヒマスレバ、少數幹部ノ意思ガ黨ヲ制シ、サウシテ
黨ノ意思ガ議院ヲ制スルカラ、恰モ幹部ハ全然舊時代ノ專
制主ノ如キ權力ヲ持っテ居ルノデアリマス、而シテ其號令ガ
全院ヲ壓スル勢ヨリ見マスレバ、今日諸君ガ元老ニ對シテ
何等憲法上ノ位置モ持ッテ居ナイニ拘ラズ]政治ニ容喙シ、
而シテ其容喙シタル結果トシテ恐ルベキ事ヲ生出スト云フ
コトヲ以テ元老ヲ攻擊サレマスガ、此政黨幹部ナル者ハ元
老以上ノ横暴ヲ逞シウスル者ト言ハナケレバナラヌ(拍手)
ソレハ幹部ガ政黨多數ノ意見ニ合シテ居ルカラ是ダケノ事
ガ出來ルノデアリマセウガ、表面ヨリ論ズレバ斯ル論結ニ到
著スルメデアリマス、斯ノ如ク黨議制ヲ以テ拘束スル結果ト
シテ、多數ガ多數ノ意見トシテ發表セラレズシテ、議員少數
ノ意見ガ却テ議院ノ意見トシテ現レルト云フ結果ヲ生ジマ
スカラ、黨議制ノ存スル限リ此議院ノ神聖ハ保タレナイノデ
アリマス、我國ニ於テ若モ議會制ヲ呪フ者ガアリマシタラ、此
黨議制ト云フモノハ卽チ民意ヲ反響シナイ結果トシテ、確
ニ其一大原因ヲ成シテ居ルモノト私ハ考ヘルノデアリマス
(拍手)私ハ今申シマシタ通リニ、既ニ制度ノ上ニ於テ小選
舉區制ヲ採用シテ居ル結果トシテ、又制限選擧ヲ採用スル
結果トシテ、及ビ選擧ガ公平ニ行ハレナイ結果トシテ、
及ビ議院ニ於テ黨議制ヲ採用シテ居ル結果トシテ、
民意ヲ代表セナイ事ガアルト云フコトヲ申シマシタガ、
尙ホ今一ツ大キナ原因ガアル、ソレハ時ノ經過デアル、今
ヨリ十數年前ニハ不用意ノ間ニ普通選擧問題が本院
ヲ通過致シマシタ時代ハ論セズ、近年具體的ノ案ガ作成
セラレタル時ニ於キマシテ、國民黨ハ初メ過激論ノ主張者ト
シテ普通選擧論者ハ除名シマシタガ、併ナガラ其翌年ニハ
自ラ提出者トナリ、憲政會モ亦同樣デ、元老サヘモ免ルヽコ
ト能ハナカッタノデアリマスガ、其翌年ニハ獨立ノ生計ヲ條件
トシテ之ニ賛成シ、又其翌年ニハ全然其條件モ放棄シテ國
民黨ト本案ノ提出者トナリマシタ、又庚申倶樂部ニ於キマ
シテモ、初ハ僅カ三人ノ同意者ヲ得タノデアリマスガ、今日ハ
過半數ノ方ガ提出者トシテ署名サルヽニ至ク夕、政友會モ初
ハ絕對無條件ニ反對ラシク私共ニハ看做サレタ、併ナガラ
後ニハ主義ニ於テハ賛成デアルガ、實行ノ期限ニ於テ反對、
或ハ熱考ヲ要スルト云フヤウナ態度ニ化サレタノデアリマス、院
內ニ於ケル變化ハ卽チ院外ノ變化ヲ意味スルモノデアッテ、三
年後ノ選擧民ノ意思ガ如何ニ變化シタルカヲ窺フコトガ出
ボルノデアリマス(拍手)若モ院外ニ於ケル變化ガ全然無イ
場合ニ於テハ、解散ハ無論ノコト必要ハナク、任期モ四年ヲ
八年十年トシテモ宜イノデアリマスガ、任期ヲ定メル理由ハ
卽チ院外ノ變化ヲ豫想シタノデアリマス、斯ノ如キ次第デア
リマスカラ、議員ガ民意ヲ代表セナイト想像スベキ場合ハ、
斯ノ如ク五箇モ六箇モアルノデアリマスカラ、若モ此場合ニ
於テ普通選舉ヲ卽行スルニ果シテ反對デアルカ、賛成デアル
カヲ試スニハ、國民投票ヲ以テスルト云フコトガ最モ適宜ナ
モノデハアルマイカト思フノデアリマス(拍手)是ガ本案ヲ提
出スル所以デアリマス(拍手)國民投票法ヲ私ガ主張スルニ
當ッテ、多クノ人ヨリ外國ニ於テ斯ノ如キモノヲ採用シテ居
ル所ガアルカト云フ質問ヲ受ケタノデアリマス、私ハ御參考
ノ爲ニ少シタ御話申シテ置キタイト思ヒマス、初メ國民投票
法ガ採用セラレタノハ瑞西ト忌ッテ居リマス、現ニ瑞西ハ國
民投票ヲ基調トスル民主國ト稱セラルヽ程デアリマスガ、實
際今日ノ意味ニ於テ國民投票法ヲ初テ採用シタノハ亞米
利加デアリマス、亞米利加デ千七百八十年頃ノ憲法制定
ノ場合ニ於キマシテ「ニウハンプシヤイア」其他ノ一州ガ國民
投票ニ依シテ憲法ヲ栽可シタ、而シテ佛蘭西ハ共和三年、卽
チ一千七百九十三年、憲法制定ノ際ニ之ヲ適用シ又「ナポ
レオン」一世ガ國民投示ニ依ッテ皇帝ニ選舉セラレタコトハ
皆サン御承知ノ事ト思ヒマス、無論其當時ノ國民投票法ハ
「プレビシット」ト云シテ居ッタノデアリマス、今日ノ形體ヨリモ
少シ違ッテ居リマスガ、實體ハ矢張國民投票デアリマス、英
國ニハ「ローカルオブシヨン」ト申スモノガ古クヨリアリマシテ、
或ル法律ヲ其地方ニ施行スルノ可否ヲ決シタノデアリマス
ガ、是モ國民投票ノ一種デアリマスガ、昨年國民投票ノ議
論ガ英吉利ニ盛ニナリマシタノハ「グラッドストーン」ガ千八百
九十年ノ議會ニ愛蘭自治法案ヲ提出シタ時カラデアリマ
ス、當時斯ノ如キ問題ヲ以テ國内ノ紛擾ヲ來スト云フコトハ甚
ダ面白カラヌコトヽアリマシテ、憲法學者ノ「ダイシー」政事
家ノ「チヤンバレーン」等ハ此問題ニ限ラズ、關稅問題、其他
重大ナル案件ハ悉ク國民投票ニ依ノテ決スベシト云フコトヲ
盛ニ唱道シマシタ、降ッテ千八百九十五年ノ選擧ノ結果、卽
チ少數黨ガ却テ多數ノ議員ヲ出シタト。云フコトガ明白ニナ
リマシタカラ、世間ガ非常ニヤカマシクナリマシテ、之ヲ救正
スル途ガ朝野ノ大問題トナリ、一方ニ於テハ比例代表法ヲ
採用シタラ宜カラウト云フコトヲ言ヒ、一方ニ於テハ國民投
票デナケレバナラヌト云フコトヲ主張スル者ガアリマシテ、今
モ非常ナ運動ヲ繼續シテ居ルノデアリマス、又伊太利ハ千
八百六十年建國ノ際「シシリー」ヨリ起ッタ所ノ「エマニュエ
ル」王ヲ伊太利ノ國王ニスベキヤ否ヤト云フコトモ國民投票
ニ依ッテ決シタノデアリマスシ、其後「トスカニー」其他ノ四五
國ヲ併合スル場合ニモ、民族自決ノ爲ニ國民投票ヲ行ック
ノデアリマス、亞米利加モ前申シマシタ通リ憲法制定當時
既ニ之ヲ採用致シマシタガ、其後法律ニモ之ヲ適用スル州
ガ段々現ハレマシテ、今デハ殆ド全國ニ行ハレテ居マス、米
國ニ行ハルヽモノニ二ツノ種類ガアリマス、卽チ一ハ强制的
國民投票、一ハ參考的國民投票デアリマス、前者ハ國民投
票ノ結果トシテハ、國民之ニ從ハナクテハナラヌ、卽チ憲法
法律其他ノモノニ效果ヲ現ハスノデアリマスガ、參考的國民
排票、卽チ「アド井サリー、レフェレンダム」ト稱スルモノハ、只
政府又ハ立法府ノ參考トナルニ止マルモノデアリマス、現ニ
昨年「オハイオ」「イリノイス」其他ノ諸州竝ニ「ニユージーラン
ド」等ガ禁酒法案ニ付テ國民投票ヲ採ッタノハ其例デアリマ
ス、又獨逸ハ御承知ノ通リ政治上ニ於テモ、科學上ニ於テ
モ、學問ノ上ニ於テハ最モ進步シタル國ト言ハレテ居ル、其
獨逸ガ最近ニ憲法ヲ定メマシタガ、其立法中ニ此國民投票
法ノ制度ヲ採用致シ、憲法ノ制定ニ付テハ勿論法律ノ公
布及栽可、大統領ノ選擧及其免職、國境ノ制定、斯ノ如キ
重大問題ニ付テハ悉ク國民投票ヲ以テ決スベキコトガ規定
サレテ居ルノデアリマス、蓋シ國境ノ變更或ハ政體ノ大變
革ト云フコトニ付テハ、昔ハ戰爭ニ愬ヘタモノデアリマスガ、
國民投票法ノ流行以來、斯ノ如キ野蠻ナ事ハ行ハレズニナ
リマシタ、現ニ諾威、瑞典ノ分離、南阿弗利加、「ローデシア」
ノ聯邦加盟問題ノ如キモ、平和ノ間ニ國民投票ニ依っテ
決定シテ居ルノデアリマス、又近頃「アンゴラ」ノ國民議會ニ
於テモ、西「スレース」ハ民族ノ國民投票ニ依リテ其所屬ヲ決
定スベキコトヲ「ロザンヌ」ノ會議ニ提出致シタコトモ、亦是ハ
御永知ノ事ト思ヒマス、又獨逸ハ自國ニ於テ國民投票ヲ以
テ重大ナル案件ヲ決定スルト云フコトニ滿足セズ、近頃英
吉利ト、佛蘭西ト、獨逸ト、伊太利ノ間ニ戰爭ヲ行フ時分ニ
ハ、豫メ國民投票ヲ以テ其可否ヲ決スベシト云フ申合セヲ
シヤウト云フコトヲ亞米利加ニ向ッテ提案シタト云フコトヲ
承リマシタ、斯ノ如キ有樣デアリマシテ、國民投票ハ現世界
ノ大運動トナッテ居ルノデアリマス、之ヲ我國ニ採用致シマシ
テ、議會ガ民意ヲ代表シナイ場合ニ處シ、而シテ民意ヲ公正
ニ代表スル機會ヲ作ルト云フコトハ、憲法政治ノ我國ニ完
全ニ施行サルヽ上ニ於テ、最モ必要デハナカラウカト考ヘル
ノデアリマス、此問題ニ付テ更ニ御參考ニ御話シテ置キタイ
ト思フコトガアリマス、ソレハ國民投票ニ依ッテ決セネバナラ
ヌ重大ノ案件ガ、近頃必ズ我ガ帝國議會ニ於テモ現レテ來
ルダラウト思フノデアリマス、是ハ普通選擧ノ良否ト云フヤ
ウナ小ナル問題デナク、マダ重大ナル案件ガ眼前ニ橫クテ居
ルト思ヒマス、ソレハ何デアルカト申ンマスト、政府ト議會ト
ノ衝突ノ場合(及ビ甲院ト乙院トノ街突ノ場合デアリマス、
斯ノ如キモノハ如何ナル方法ヲ以テ決スルカト云フコトハ、
今日ニ於テ決定シテ置ク必要ガアラウト思ヒマス、例ヘバ政
府ト議會ト衝突ノ場合、卽チ兩院ヲ通過シタル議案ニシ
テ政府ガ之ニ不栽可ヲシヤウト云フ場合、斯ノ如キ不祥ナ
事ハ、我ガ衆議院、貴族院ガ出來マシテカラ今日ニ至ルマデ
三十四年ノ間、未ダ曾テ無イノデアリマスガ、併ナガラ何レ
ノ國ノ大統領モ拒否ノ權ヲ持ッテ居ルノヲ見テ、モ、英國デサ
ヘモ千七百七年マデ斯ノ如キ事ガ現レテ來タノヲ考ヘマス
レバ、日本ノ如キ代議政體ガマダ完全ニ發達シテ居ナイ國
ニ於テハ、斯ノ如キ事ガイツ何時現レテ來ナイトモ思ヘナイ
ノデアリマス、雨院ト政府ト衝突スルコトハ無イニシテモ、政
府ト一院トノ衝突ハ決シテ少クナイ、例ヘバ政府ガ貴族院
令ノ改正案ヲ貴族院ニ提出シタ場合、貴族院ガ之ニ反對
シマシタ時ニハ如何致スデアリマセウカ、通常政府ハ衆議院
ヲ解散シテ與論ニ問フト云フ手段ヲ執ルヨリ途ハアリマスマ
イ、併ナガラ貴族院令ノ改正ハ衆議院ハ容喙スルコトガ出
來ナイ問題デアル、斯ノ如キ問題ノ爲ニ衆議院ヲ解散スル
ト云フコトハ、憲政上ニハ有リ得ベキ事デハアリマセウガ、實
際甚ダ穂當デナカラウト私ハ思フノデアリマス、斯ノ如キ場
合ニ國民投票ニ依ッテ果シテ政府ノ提案ガ正シイカ、貴族
院ノ態度ガ宜シイカ、斯ウ云フ事ヲ決定スルト云フコトハ、
無用ノ紛争ヲ除ク爲ニモ洵ニ必要デアラウト思ヒマス、又上
下兩院ノ衝突ノ場合、卽チ衆議院ガ諸君ノ言ハルヽ如ク
若モ時節到來致シテ、普通選擧ノ問題ヲ可決致シ、之ヲ貴
族院ニ送付シタ場合ニ當リマシテ、貴族院ガ之ニ反對シタ
ラ如何デアリマセウカ、無論通常ノ手段ヲ以テスレバ、衆議
院ヲ解散シテ貴族院ニ臨ムト云フコトガ順序デアリマス、解散
シタ後貴族院ガ再ビ之ニ反對致シマシタラ如何デアリマセ
ウ、斯ノ如キ場合ハ英國デハ度々生ジタノデアリマス、千七
百十年ニ「ユーツレクト」』ノ條約ガアリマシタ時ニハ、貴族ヲ
數十人拵ヘテ、而シテ貴族院ヲ多數デ壓シタノデアリマス、
千八百三十二年ノ議院改革案ガ提出セラレタ時ニ、其問
題ガ又ヤカマシクナリマシテ、第一囘ニハ衆議院ヲ解散シテ
貴族院ニ臨ミ第二囘ニハ貴族院ノ委員會ガ之ニ對シテ非
常ナル斧鉞ヲ下シ、ソレガ爲ニ國內ノ與論ハ沸騰シ、到ル處
ニ暴動ガ起リ、一揆ガ起リ、遂ニハ之ヲ鎭壓スルコトガ出來
ズシテ、内閣ハ總辭職ヲスルト云フ場合ニ立至リ、國王ハ反
對黨ノ首領ヲ招イテ、内閣組織ヲ託シタ所ガ、如何ナル人物
ト雖モ此場所ニ處シテ、內閣ノ組織ヲ引受ケル者ハナイ、是
ニ於テ再ビ前ノ總理大臣ヲ招イテ、如何ニシタラバ此國内
ノ騒擾ヲ止メルコトガ出來ルカ、如何ニシタラバ內亂ヲ防グ
コトガ出來ルカト云フ問題ニナッテ來マシテ、遂ニ前總理大
臣ハ、私ニ貴族院ノ多數ヲ壓スルダケノ新貴族ヲ拵ヘル御
委任ガアリマシタナラパ引受ケヤウト云フコトヲ申出シタ、
ソレガ爲ニ國王ハ已ムヲ得ズ其委任ヲ下シタノデ、前
總理ハ其委任ヲ携ヘテ貴族院ニ臨ンダノデ、貴族院
ノ多數モ遂ニ屏息シテシマッタノデアリマス、其次ノ例ハ
十年バカリ前ノコトデ、關稅問題ニ付テ起リマシタガ、其結
果トシテ二回衆議院ヲ通過シタルモノハ貴族院ニ於テ之ニ
反對スルコトハ出來ナイト云フ法律ガ出來マシテ、是デ二
百年來ノ問題モ解決シタノデアリマス、然ルニ日本ニ如何ニ
シタラ宜シイカ、日本デハ貴族院ガ若モ反對シマシタ場合
ニ、貴族院ノ多數ヲ壓スルダケノ議員ヲ拵ヘヤウト致シマシ
タラ、例へバ百人ノ貴族院議員ヲ拵ヘヤウトスレバ公、侯爵
ヲ百人拵ヘルカ、然ラザレバ伯、子、男爵ヲ五百人以上ヲ拵
ヘナケレバナラヌ、何故ナラバ伯、子、男爵ハ互選、五人ニ付
テ一人ト云フコトニナッテ居ルカラ、百人ノ議員ヲ拵ヘルニハ
五百人以上ヲ拵ヘナケレバナラヌ、斯ノ如キコトハ華族制度
ガナケレバ止ム、苟モ之ヲ存スル以上ハ華族制度ノ根本ヲ
破壞スルモノデアリマスカラ、斯ノ如キ事ハ到底行ハレナイ、
然ラパ近頃英國ガヤリマシタヤウニ法律ヲ以テ之ヲ制限セ
ントシマスルト、是モ出來ナイ、日本ノ憲法ハ兩院對等ノ主
義ヲ採ッテ居ル、對等デアリマスカラ下院デ二度-衆議院
ヲ通過シタル所ノ議案ハ、上院ニ於テ之ニ反對スルコトハ出
來ヌト云フ法律ガ若モ出來マシタナラバ、貴族院ニ於テモ同
ジヤウナ要求ヲスルニ違ヒナイ、卽チ二回貴族院ヲ通過シタ
ル議案ハ、衆議院ハ之ニ反對スルコトハ出來ヌト云フコトデ
ナケレバ貴族院ガ納ラナイ、斯ノ如キ法律ガ出來タラ其結
果ハ如何デアリマセウカ、私共玆ニ多辯ヲ要サヌノデアリマ
ス、斯ノ如キ有樣デアリマスカラ、兩院衝突ノ場合ハ遂ニ腕
力ニ愬ヘテ可否ヲ決スルカ、勝敗ヲ決スル外ハナイノデアリ
マスガ、若モ茲ニ國民投票ト云フモノヲ設ケマシテ、國民ノ
意思ヲ正直ニ明白ニ表ハスコトガ出來ル機會ガアリマシタ
ナラバ、斯ノ加キ無益ナ紛爭ナクシテ、一一擧ニシテ曲直是非
ヲ決定スルコトガ出來ルダラウト思フノデアリマス(拍手)以
上ハ此國民投票ト云フモノハ、ドウ云フ威力ヲ持ッテ居ルカ
ト云フコトヲ示ス爲ニ一寸申上ゲタノデアリマス、斯ク申上
ゲマシタナラバ、國民投票ト云フモノハ代議政體ヲ行フ上ニ
於テ已ムヲ得ヌ、否洵ニ必要ナモノデアルト云フコトヲ御了解
ニナッタラウト私ハ思フノデアリマスガ、之ヲ施行スルニ付テ果
シテ圓滿ニ簡便ニ、立派ニ行ハレルノデアラウカ、又ドウ云フ
方法ヲ以テ施行スルカト云フ御疑念ガアルカモ知レヌ、私ハ
其點ニ付テ一言申シ述べタイノデアル、全體國民投票ヲ行ヒ
マス場合ニハ、選擧人ニ對シテ其投票ヲ求メ、表決ヲ求メル
コトガ順序デアリマス、併ナガラ日本デハ制限選舉ガアリマ
ス、故ニ私ハ其投票人ノ資格ヲ丁年以上ニシタイト私ハ主
張スルノデアリマス、何故ニ丁年以上ニシタカト申シマスレ
バ、男子丁年ニ達スレバ卽チ血稅ヲ負擔シナケレバナラヌ、
血稅ヲ負擔スル以上ハ、國ノ政治ニ對シテ容喙スル權利ガ
アルト言ハナケレバナラヌト私ハ思フノデアリマス、故ニ私ハ
丁年以上ヲ以テ適當ナ表決ヲシ得ベキ人間ト思フノデアリ
マス、其次ニ事務ガ非常ニ面倒デハナカラウカ、例ヘバ選擧
人名簿ノ如キモノヲ調製スル上ニ於テモ非常ニ困難デハア
ルマイカト云フ疑念ガアリマス、是ハ若モ納稅資格ヤ何カヾ
ヤカマシクアリマシタナラバ、或ハ面倒カモ知レヌノデアリマス
ガ、唯、單ニ丁年以上ニ施行シテ、之ヲ行フコトガ出來ナイ者
ハ公權ヲ停止シ若クハ剝奪セラレタル者バカリデアルト云フ
コトニ限ルコトニ致シマスレバ、本籍寄留籍ノ存在セヌ者ハ
無イノデアリマスカラ、至テ簡便デアリマス、又投票所ハ既ニ
町村會議員選擧ニ於テ爲シタルモノヲ採用シマスレバ、其
方法モ至テ簡便ニ行ハレルト私ハ思フノデアリマス、又費用
ノ點デアリマス、今日マデ我ガ衆議院議員ノ選擧ノ經驗カ
ラ見マスレバ、第十四回ノ總選擧ニ於キマシテハ、我ガ內務
省竝ニ司法省ノ費シタルモノハ、選擧一人ニ付テ平均シテ
二十七錢七厘ニ當ッテ居リマス、比例ヲ以テ丁年以上ノ男
子千六百万人ニ加へマスレバ、隨分多額ノ費用ヲ要スルノ
デアリマスガ、而シテ多額ノ費用ヲ要スルト云フノガ英國ニ
於キマシテモ反對ノ理由ノ一ツトナッテ居リマス、併ナガラ近
頃瑞西ニ於テ行ッテ居ル所ノ、如キ極ク單簡ナ方法ヲ以テ、
卽チ小紙片ト、普通選擧卽行、反對、賛成ト云フヤウナ紙
片ヲ以テ投票場ニ臨ムコトニ致シマスレバ、其費用ハ至ッテ
少イノデアリマス、現ニ近頃ノ報告ニ依リマスト、瑞西ニ於テ
郡縣ニ於テ費シタル所ノモノハ、選擧人一人ニ付テ一「サン
チム」乃至四「サンチム」、聯邦ニ於キマシテハ一「サンチム」乃
至四「サンチム」ト云フ報告デアリマス、卽チ之ヲ我國ノ貨幣
ニ換算ヲ致シマスレバ三錢五厘乃至一錢四厘ニ當ルノデア
リマス、之レ千六百万ノ選舉人ニ加算致シテ見マシテモ
僅カ五万圓乃至二十万圓デアリマス、五万圓乃至二十万
圓ヲ以テ斯ノ如キ重大ナル問題ガ試驗サレルト云フコトニ
ナリマスレバ、洵ニ結構ナ次第デアリマス、斯ル次第デアルカ
ラ其方法次第ニ依シテハ、手數ガ至テ少クシテ、而シテ費用
モ洵ニ輕微デアッテ、斯ノ如キ重大ナル案件ヲ實際ニ行フ事
ガ出來ルト私ハ思フノデアリマス、斯ク論ジテ來リマスレバ、
理論トシテ議會ガ民意ヲ代表シナイ場合ガアルト云フコト
ガ明白ニナリ、而シテ國民投票ニ依ルニ非ザレバ民意ヲ明カ
ニスルコトガ出來ズ、民意ヲ明カニスルニアラザレバ、完全ニ代
議政體ノ實ヲ擧ゲルコトガ出來ナイト云フコトガ明白ニナ
リ、而シテ手續モ簡便デアリ、費用極ク輕微デアルト云フコト
ガ分リマシタナラバ、諸君モ此問題ニ對シテハヨモヤ御反對ガア
ルマイカト思考スルノデアリマス、若モ茲ニ反對ノ方ガア
リマシタナラバ、ソレハ本案ノ不完全ナルガ故ニ非ズシテ、私
ノ說明ガマダ十分撤底シナイ所ガアル爲デアラウト思ヒマ
ス、私ハ此意味ニ於キマシテ、斯ノ如キ重大ナ案件、而シテ
明治大帝ノ萬機公論ニ決スベシト宣ハセラレタ其公論ヲ國
政ノ上ニ實現スル上ニ於キマシテ、願ハクバ諸君ハ此案ニ
付キマシテハ十分ニ愼重ナ御考慮ヲ賜リマシテ、而シテ全會
一致ヲ以テ御賛成ヲ禱ル譯デアリマス、謹ンデ御〓聽ヲ謝シ
マス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=89
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090・高見之通
○高見之通君 本案ハ濱田國松君外八名提出、市制中
改正法律案外二十四件ノ委員ニ、併セ付託セラレンコトヲ
望ミマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=90
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091・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 高見君ノ動議ニハ御異議ナイト認
メマス、依テ之ヲ右ノ委員ニ付託スルコトニ決シマシタ、日程
第二十二、郡町村連絡直通電話特設奬勵ニ關スル建議
案ヲ議題ニ致シマス、提出者ノ趣旨辯明ヲ許シマス、佐久
間啓莊君
第二十二郡町村連絡直通電話特設奬勵
ニ關スル建議案(佐久問啓莊
君外八名提出)
郡町村連絡直通電話特設奬勵ニ關スル建議案
郡町村連絡直通電話特設奬勵ニ關スル建議
郡役所ト其ノ管轄スル町村トヲ連絡直通スル電話ノ架
設ハ刻下ノ急務ナリト認ム政府ハ相當ノ獎勵法ヲ設ケ
其ノ架設ヲ速ナラシメムコトヲ望ム
右建議ス
〔佐久間啓莊君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=91
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092・佐久間啓莊
○佐久間啓莊君 只今上程セラレマシタ郡町村連絡直
通電話特設奬勵ニ關スル建議案ハ、昨年四十五議會ニ不
肖ヨリ提出シマシタ案件デコザイマス、昨年ハ不幸ニシテ決
議未了ニ終フタノデアリマス、今回提出シマスルニ當リマシテ
ハ或派ノ方々ノ諒解ヲ得テ提出シタ次第デアリマス、抑〓此
各町村ヲ連絡シマスル電話ノ架設ノ必要ナルコトハ、是ハ
昨年大體ヲ申上ゲテ置キマシタ、此點ニ付テハ說明ヲ略シ
マス、然ルニ此架設一件ニ付テハ、内務省側ニ於テハ之ニ同
意ヲサレルヤノ意嚮ガアルヤウニ感ゼラレマス、而シテ遞信省
ノ側ニ於テハ、之ニ反對セラレルヤウナ意嚮ガアリマス、ソレ
ハドウ云フ原因デサウナルカト察シマスルノニ、凡ン此郵稅
ノ收入ガ減ルト云フ威ジガアル【カラデアラウト察セラレマス
ルガ、絕對ニサウ云フ憂ハ無イノデアリマス、且又之ニ對スル
架設費用ノ如キモ、想像ヨリ安ク行クト思ヒマス、是ハ希望
スル郡町村ニ架設セシムルノデ、郡市町村ガ相當ノ寄附ヲ
シ、唯〓政府ハ相當ノ奬勵ヲシ、便利ヲ與ヘテヤッタナラバ、架
設シ得ルコトダト深ク信ジマス、尙ホ詳細ノ事ハ委員會ニ申
上ケルコトヽ致シマシテ、何卒滿場一致デ御贊成ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=92
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093・高見之通
○高見之通君 本案ハ松山常次郞君外一名提出電力
政策實施ニ關スル建議案外三件ノ委員ニ併セ付託セラレ
ンコトヲ望ミマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=93
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094・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 高見君ノ動議ニハ御異議ナシト認
メマス、仍テ動議ノ如ク委員付託ニ決シマシタ、日程第二
十三、因襲打破ニ關スル建議案ヲ議題トシ、提出者ノ趣旨
辯明ヲ許シマス、横田千之助君
第二十三因襲打破ニ關スル建議案(橫
田千之助君外六名提出)
因襲打破ニ關スル建議案
因襲打破ニ關スル建議
政府ハ士族平民ノ族籍上ノ差別ヲ廢シ且帝國臣民ノ
間ニ於テ其ノ一部ニ對シ特ニ侮蔑的稱呼ヲ爲シテ階級
的差別待遇ヲ爲スカ如キ因襲ヲ成ルヘク迅速ニ一掃ス
ル爲適切ナル債極的方法ヲ講セラレムコトヲ望ム
右建議ス
〔橫田千之助君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=94
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095・横田千之助
○橫田千之助君 因襲打破ニ關スル建議案ノ要領ヲ成
ベク簡單ニ說明致サウト思ヒマス、建議案ノ趣意ハ二ツニ
分レテ居リマス、卽チ士族ト云フ族籍稱號ヲ廢メテ貰ヒタ
イ、第二ニハ、何ト云フ言葉ヲ使ッテ宜イカ知リマセンガ、世ニ
謂フ所ノ特殊部落-此特殊部落ト云フ言葉ハ、著シク一
部國民ノ感情ヲ刺戟シテ、是ガ爲ニ聖代ニアルマジキ出來
事ヲ起スノデアリマスルカラ、此壇上デ私ガ使フノニ付テモ、
餘程注意ヲシナケレバナラヌ言葉デアル、此ニ於テ私ハ用語
ハ適切デアルカドウカ知リマセヌガ、此說明ヲスル上ニ於テハ、
少數同胞ト此場合唱ヘヤウト思フ、此少數同胞ト云フ是
等ノ人々、是等ノ人々ニ對スル所ノ因襲的社會感情、之ヲ
一掃スル爲ニ政府ハ積極的手段方法ヲ執ッテ貰ヒタイ、斯
ウ云フ趣意ニナッテ居ルノデアリマス、項目ハ二ノツニ分レテ
居リマスケレドモ、此建議案ノ要求スル所ノ舊思想ハ固ヨリ
一ツデアリマス、士族ト云フ事ニ付テハ、舊刑法時代迄ハ明治
四年ニ其稱號ヲ置カレタ以後、一ツノ是ハ貴號トシタ時代
ガアリマス、貴イ號トシタ時代ガアル、華族士族平民ノ區別
ヲ置カレタ後ニ、此士族ナルモノハ是ガ貴號トシテ國法ガ認
メタ時代ガアル、此時代ハ多分明治二十年前後ニ終ッタト思
フ、其法律ニ貴號トシタ譯ハドウデアルカト云ヘバ、從來ノ因
襲カラ生ジタノデアリマシテ、刑法ナドノ規定ニハ、刑罰上ノ
刑罰制裁トシテ、除族ト云フコトヲ拵エタコトガアル、斯ウ云
フ規定ヲ置イタコトガアル、除族スルト云フノガ卽チ貴號ヲ
奪フ、然ルニ此時代ハモウ三十年ノ昔ニ遡ル、併ナガラ此因
襲ノ人心ニ潜ンデ居ルノハ、マダソレカラ以後ニ續イテ居ル、
今ヨリ十年乃至十五年前マデハ、各地方カラ士族編入願
ト云フノガ中と出テ來タノデアル、吾々ハ斯ウ云フ由緒ヲ
持ノテ居ル、斯ウ云フ歴史アル所ノ國民デアルカラシテ、士族
ノ仲間ニ入リタイト云フノガ屢、内閣ヘ申請サレテ、是ガ閣
議決定デ決メルコトニナッタ時代ガアル、然ルニ其後今日ニ
至リマシテハ、斯ウ云フ事柄モ最早消滅シテシマッテ、國民大
多數ノ觀念ニハ、士族平民ト云フノ唯、名義ガ殘ッテ居ッテ、
實際ニ何等差別的觀念ハ無イモノト斷ズルコトガ出來ヤウ
ト思フ、然ルニモ拘ラズ尙ホ族籍ノ上ニ士族平民ノ區別ヲ
置イテ、身分ノ稱號トシテ官廳ニ、是ガ稱ヘ方ヲ異ニスル取
扱振ト云フモノハ、全ク時代錯誤ノ仕事デアラウト考ヘテ居
ルノデアリマス(拍手)加之此士族平民ノ此文字ガ、日々
夜々使ハレテ、是ガ又繁文禮纏ノ上ニ於テモ、官廳其他ノ
仕事ノ捗取ノ上ニモ、影響スル所ハ決シテ尠クナイト云フコ
トヲ斷言スルコトガ出來ルノデアリマス、私ノ建議案ノ提出
ニ當リマシテ、一部ノ士族ト云フ人こカラシテ、種々ノ反對
ノ意見ヲ寄セテ來ル人ガアッタ、此反對ガナケレバ、此建議
案ノ趣意ハ餘リ意味ヲ爲サナカッタカモ知レナイ、反對ノ手
紙、反對ノ團體ガ各處ニアッテ、動モスレバ提案者ノ私ニ向ツ
デ、會迫的行動ガアルノヲ見ルト云フト、私ハ意外ニ此建議
案ガ値打ガアッタト考へテ居ル(拍手「ヒヤ〓〓」)何トナレバ
私ノ考デハ何千万ノ國民、士族平民ト云フ族稱ニ依ッテ、自
分ガ優越デアル、自分ガ平凡デアルト云フ考ハ一人モ無イ
ト〓迄思ッテ居ッタ、然ルニ此形式ガアルガ爲ニ、自己ハ士族
ナルガ爲ニ、優越シタル國民ダト云フガ如キ考ヲ持ッテ居ル
者ガ、十人デモ二十人デモアルト云フコトナラバ、是ハ以テノ
外デアル、此意味ニ於テ此士族平民ノ族稱ト云フコトヲ廢
サナケレバナラヌト云フ必要ヲ御認ヲ願ヒタイノデアリマス、
次ニ輕侮擯斥ノ代表的言葉トナッテ居ル少數同胞ニ對ス
ル種々綽名ミタヤウナコト、是ハドウモ千年以前カラ事柄ガ
起ッテ居ルノデアリマスカラ、之ヲ改メルコトハ中こ政治ノ上
ニ於テモ大切ナ事デアッテ、非常ナ困難ナ事デアルト云フコ
トハ、私ハ能ク承知シテ居ルノデアリマス、先ヅ此少數同胞
ノ歷史ヲ詳シク中上ゲレバ、長イ時間ヲ要シマスカラ是ハ省
キマス、唯〓是ダケノ事ハ申上ゲテ置カナケレバナラヌ、千年
以前ニ此少數同胞ノ元ガ出夕、之ニハ色〓ノ種族ガアルガ、
此種族ハ決シテ他ノ國民ヨリ劣等ナ者デナイコトハ大キナ
聲デ言フコトガ出來ル、(拍手)加之仔細ニ此種族ノ生活
狀態、發達シタル徑路ヲ調ベテ見マスルト、其自治的精神ノ
旺盛ナルコト其階級制度ノ秩序整然タル、其團結本能ノ
最モ雄大ナルコトハ、他ノ一般國民ヨリモ事ロ優越デアッタ
ト云フ歴史ガアルノデアリマス、斯ウ云フ點カラ考へテ見マ
スト、ドウシテモ現在ノ多數ノ同胞ガ、此少數同胞ニ向フテ
假ニモ侮蔑擯斤ノ心持ヲ持シテ居ルト云フコトハ、何等ノ根
據ナク、何等ノ意味ナク、單ナル因襲的感情ノミデアルト云
フコトヲ斷定シテ憚ラヌノデアリマス、(拍手)諸君、此無理
解ナ、人類愛ヲ知ラザル、歷史ヲ知ラザル、事實ヲ逸視シタ
ル所ノ因襲的感情ガ、今ヤ世界ノ五大國-三大國ト云
フ所ノ大國民ノ多數ノ國民ニ牢トシテ拔クコトガ出來ナイ、
是アルガ爲ニ是等ノ人〓ガ、六歳七歲ノ學齡兒童ノ時カラ
小學校へ行ッテ、他ノ兒童ニ擯斥サレ、或ハ彼ハト云ッテ指サ
レテ育ッテ來ル、此觀念ト云フモノハ、私ハ詳シク說明スルコ
トヲ寧ロ憚ルノデアリマス、而モ同一軍隊ニ於テ、義勇奉公
ノ念ヲ以テ國家ニ勤メナケレバナラヌ兵士ノ間ニ、食器ノ事
ヤ何カデ斯ウ云フ關係カラ種々ノ面倒ヲ起シテ、侮葭擯斥
ヲ受ケルト云フノ事情ヲ聞クト、諸君ハ一掬ノ淚無キヲ得
ナイ譯ニナルノデアリマス、家主ト賃借人、湯屋ト浴客ノ關
係、結婚關係、是等ノ關係カラ惹起シタ差別觀念カラ起ッタ
人生悲慘ノ事柄ト云フモノハ、此所デ竝べ舉ゲタナラバ、殆
ド皆淚襟ヲ潤スノ〓アル話ガ多イノデアリマス、唯〓斯ノ如
キ事實、悲慘ナル事實、悲ムベキコトガ多イト云フコトヲ此
場合申上ゲテ置クニ止メマス、元來是等少數同胞ト言ハレ
ル人ニハ、或ル時代佛〓ノ最モ國民精神ニ打込マレタ時代
ニ於テハ、佛〓ノ神髄タル六種輪轉三世輪廻ノ因果律ニ依ク
テ能ク救ハレテ居ッタノデアル、名僧親鸞ハ此仲間ノ中二一
身ヲ沒入シテ、其大ナル手ヲ擴ゲ、至誠天地ヲ動ス〓ヲ以
テ、佛〓ノ神體ヲ是等ノ人々ニ說イテ、是ニ一脈ノ安心ヲ彼
等ニ與ヘテ、離レントスル所ノ人心ヲ玆ニ繫ギ止メタカト云
フモノハ大ナルモノデ、然ルニ明治維新以來、泰西文明ヲ吸
牧スルニ急ナリシ日本ノ國家ノ狀態、社會事情、廢佛毀釋
以來、此佛〓ノ信念ガ步一步衰頽スルト共ニ、科學ハ頻リ
ニ各人ノ頭ニ注入サレテ、今日ニ於テハ彼等ガ衰ムベキ少
數同胞ヲ支配スルハ、科學ノ知識ト論理的頭腦ヨリ外ナイ
ト云フコトガ過言デアルカ知ラヌガ、先ヅ形容シ得ラレルト
思フ、此場合ニ彼等ハ維新前ニ於テハ、其職業上ニ於テ、或
ル程度ノ獨占的業務ヲ持ッテ居ッタ、其業務ニ依テテ其生活
ノ保障ト云フモノガ確實デアッタ、然ルニ數十年間ノ經濟的
變遷ヨリ、此職業上ノ優越ナル方面ハ奪ハレテ、精神的慰
安トスルベキ所ノ宗〓ノ權威ハ衰へ、唯〓科學論理ノ知識
ト、經濟的壓迫ト、而シテ同情ナキ多數同胞ガ、學齡時代
ヨリ擯斥侮蔑ノ言葉ト目ヲ以テ迎ヘラレル此間ニアルノデ
リマスカラ、彼等ノ神經ハ尖ラザラントスルモ得ヌノデアリ
マス、國家ハ明治四年ノ太政官布告ニ於テ、無論差別的稱
號ノ廢滅ヲ命ジタノデアリマス、廢滅ヲ命ジタガ、爾來國家
ハ積極的ニ如何ナル事ヲ爲シタカ、固ヨリ明治初年以來今
日ニ至ル迄、政治家、宗〓家、學者、是等ノ人々ノ仕方ハ餘
リニ分量カ多カッタ、餘リニ變化ガ多カッタ爲ニ、斯ウ云フ點
迄手ガ屆カナカッタコトヲ今更私ハ攻撃シヤウト云フモノデ
ハナイ、併ナガラ今日ニ至ル迄、經濟的ニハ細民部落何々、
或ハ講演〓化ト云フヤウナコトデ、チヨコ〓〓シタ仕事ハシ
テ居リマスケレドモ、眞ニ積極的ニ國家意思ノ全體ヲ擧ゲ
テ、是等ノ人々ヲ此差別待遇カラ救出スト云フ國家ノ身構
ト云フモノハ、未ダ見出スコトガ出來ヌノデアリマス、此ニ於
テ私ハ今日ノ事態ハ容易ナラヌコトニ及ンデ居ル、最近ニ至
リマシテ二三ノ出來事ガアリマスガ、此二三ノ出來事ノ起ル
根ハ、頗ル深イ、頗ル長イ、玆ニ國家ハ餘程考ヲ著ケナケレ
パナラヌ、此事ハ一朝ニシテヤルコトデハナイガ偖テ現狀デ
ドウシテモ棄テ置クコトハ出來ナイ、有ユル手段方法-積
極的手段方法ヲ講ジテ、此因襲ヲ打破っテ貰ヒタイ、積極
的手段方法-積極的手段方法ト謂ヒマシテモ、直グ之ヲ
ト云フテ求ムルコトガ頗ル少イコトニ私ハ苦シム者デアルガ、
先ヅ此少數同胞ノ歷史沿革、是等人々ノ千年以來來フタ所
ノ牛活ノ狀態寧口是等ノ人々ト云フモノガ他ノ同胞ヨリモ
健全ナル方面ニ活動シタ事實、是等ノ事柄ト云フモノヲ最
モ能ク調査シテ、是ヲ多數國民ニ打込ムト云フノモ一ツノ
方法デアリマセウ(拍手)此打込ム人ハ、法律ノ試驗ヲ受ケ
タ高等文官試驗ニ出ダ法律家デハイケナイ、殉〓者的最モ
熱烈ナル所ノ人物ヲ選定スル必要モアラウト思フ、又此差
別觀念ヲ直接間接ニ世問ノ多數ニ吹込ム所ノ講談演劇
ト云フヤウナモノハ、無論是ハ斷然禁止シナケレバナラヌ、小
說ノ題材ナドニ斯ウ云フ問題ヲ捉ヘテ、一面ハ此方面ノ
人々ニ非常ニ同情ヲ表スルヤウニ書キ立テミ泣カセル小說
ガ澤山アルケレドモ、是ガ同清ヲ寄セルヤウデアッテ、實ハ此
人々ト云フモノト、何カ一般同胞ト云フモノトハ、非常ナ隔
離レタ關係ニ在ルト云フコトデ、妬ミヲ起ス樣ナ小說ナドモ
澤山アル斯ウ云フモノヽ發賣頒布ハ斷乎トシテ國家ハ禁ズ
ルガ宜シイ、少クモ今日殊別的言葉ヲ用ヒ、侮蔑擯斤ノ行
動ヲスル者ニ對シテ、法令ヲ以テ積極的ニ取締ルカドウカト
云フコトハ、是ハ大問題デアル、之ヲ取締ルガ爲ニ、此少數
同胞ト他ノ同胞トノ間ニ却テ大ナル障壁ヲ築クヤウナコト
ニ相成クテハ濟マヌケレドモ、併シ幸ヒ此處ニ水野内相ガ居
ラルヽカラ、內相ニ御聽キヲ願ヒタイノハ、今日日本人ハ勅
令及省令ニ於テ、種々ノ罰則ヲ附ケタモノガ多イ、此種々ノ
罰則ヲ附ケタ多イモノヽ中ニ、一面ニ於テハ法的規則デア
ルケレドモ、他ノ一面ニ於テハ道德的訓戒デアッテ、社會種
族ノ向上ヲ求ムル所ノモノガ澤山アルヤウデアル、例ヘバ動
物ヲ虐待スル、人ノ見テ居ル所デ動物ヲ虐待スル者ニ付テ
ハ拘留三十以上食フ、犬ニ荷車ヲ牽カシテハイカヌ、是ハ地
方ニ依ッテ違フケレドモ、其他之ヲ數ヘ上ゲルト一云フト、勅令
省令ノ中ニ罰則ヲ以テ善良ナル風俗ノ維持ト向上ヲ圖ル
規定ハ澤山アル、當局ハ同胞ノ少クモ百万人、多ク數ヘレ
バ三百万ト云フ、此最モ不遇ニ嘆ク所ノ同胞ニ對スル侮蔑
擯斥ノ言葉ニ對シテハ、斯ノ如キモノトノ權衡ハ如何ニ御
覽ニナルカ、是等ノ點カラ考慮ヲ致シテ、サウシテ此法令ヲド
ウ云フ風ニ此方面ニ使ハルヽカト云フコトハ、私ハ固ヨリ御
指圖ハシナイガ、善良ナル判斷ノ下ニ、速ニ相當ノ考慮ヲ求
メタイ點モ積極的手段方法ノ一ツデアリマス、殊ニ考ヘナケ
レバナラヌノハ、是等ノ詳シイ歴史ヲ述ベルト云フコトハ、又
少シク刺戟ヲ與ヘルコトニナリマスカラ申シマセヌ、外國ノ例、
或ル政治家デアッタカ、學者デアッタカ、名前ハ忘レマシタガ、世
界ニ猶太人アルノハ、恰度樂皿ニ一罎ノ劇藥ヲ置クガ如シ、
之ヲ多數ノ氣圍氣デ壓迫スルト、之ガ爆發シテ他ノ藥罎ガ破
裂スルコトニナッテ、遂ニ大火事ガ起ルト云フコトヲ、或ル學者カ
政治家ニ承ッタコトガアル、少數同胞ヲ他ノ國民ト殊別的
觀念ノ間ニ介在サセテ、之ニ對スル國家ノ何ト言ヒマスカ、
同情ト言ヒマスカ、國家ガ之ニ相當ノ待遇、當然ノ待遇ヲ
スベキ所ノ手段方法ヲ怠ヲタナラバ、今ノ西洋ノ學者カ政治
家ノ藥罎ノ話、劇藥ノ話ト云フモノモ、餘程參考ニシナケレ
バナラヌト思フ、今腕ノ力ヲ-國家一大事變ノトキニ、腕
ノ力ヲ以テ集團ヲ提ゲテ臨ンダ所ノ世界ノ各團體ガアルガ、
此歷史ヲ見ルト云フト、元ハ其中堅ニナッタ者ハ、一般國民
カラ侮蔑擯斥サレタ人ガ少クナイ、此人々ガ水平運動ト號
シテ、水平線ニ至ルマデヲ標的トスレバ、洵ニ國家社會ノ幸
慶デアリマスケレドモ、反動ハ怖ロシイモノデ、水平線ヲ突破
スル場合ガ往々ニシテアル、是ハ嚴ニ警メナケレバナラヌ、自
他共ニ警メナケレバナラヌ、此意味ニ於テモ少數同胞ノ感
情ガ、此マデ高調シタトキニハ、國家ハ確カリ身構ヘヲスベ
キ必要ガアルノデアリマス、況ヤ今日ノ時代、私ハ世界思
潮、-世界思潮ト號シテ、唯、世界ノ大勢ニ丸呑込ミヲシ
テ順應シヤウト云フ論者デハアリマセヌ、昨年ノ六月「チエツク
スロヴアキア」ノ首府ニ開カレタ國際聯盟委員會ニ於テモ、
各國ノ人ガ集〓テヤッタ決議ノ要目ハ、曰ク人種差別撤廢、
少數民族ノ保護、此二ツノ觀念デ經トナリ緯トナッテ、世界
思潮ノ所謂眞只中ニ渦イテ居ルト云フコトヲ象徵スルコト
ガ出來ル、而モ帝國ハ此人種的差別觀念ヲ一掃スルニ、今
後其旗頭トナッテ、先頭ニ立ッテ世界的經綸ヲ行フ一大標目
トシテ臨マナケレバナラヌト云フコトハ、何人モ異議ハナイ事
デアル(拍手)此場合ニ於キマシテ明治四年ニ國家意思ハ
明白ニ同等ノモノデアルト云フコトヲ表現シ、其事實ノ裏ニ
ハ何等差別スベキ點ハナイ、風俗ハ同ジク血液ハ同ジク、言
語ハ同ジデアル、是等ノ人々ニ向ッテ、如何ニ因襲トハ云ヒナ
ガラ、多數國民ノ眼ガ開ケズシテ、斯ウ云フ事柄ガ國家内ニ
在ルトシテハ、日本ノ世界的使命ヲ遂行スル上ニ於テ、大ナ
ル累デアルト云フコトヲ觀破シナケレバナラヌ諸君、此建議
案ノ影響スル所ハ、今帝國及世界ノ各方面ニ漂フテ居ル「ポ
ルシエヴイツク」ノ運動ニ影響スル所モアルト云フコトヲ申上
ゲテ置ク、說明ハ申上ゲマセヌガ、アルト云フコトヲ申上ゲテ
置ク、無資產階級ノ過激ナル運動ニモ關係ガアルト云フコ
トヲ私ハ第二ニ申上ゲテ置ク、而シテ又宗〓〓革、風〓維
持ノ上ニモ大ナル關係ガアルト云フコトヲ申上ゲテ置ク、殊
ニ帝國ハ臺灣及朝鮮ノ特別統治ヲヤッテ居ル、之ヲ包容シ
テ行カナケレバナラナイ、此臺灣及朝鮮ノ統治ノ上ニモ、此
觀念ヲ速ニ一掃スルヤ否ヤト云フコトハ、大ナル影響ヲ及ボ
ス、ト云フコトヲ申上ゲテ置ク、人或ハ五十年問牢トシテ拔ク
ベカラザル因襲、否、遡レバ一千年間拔ケザル因襲、此因襲
ガ君ノ言フ通リサウ旨クヤレルカ、斯ウ言フ人ガアル、唯〓政
治家ハ時代ヲ見ナケレバナラヌ、一千年間拔ゲナカッタ、五十
年ノ間ハ明治維新以後此觀念ガ今日マデ拔ケナイ、併シ考
ヘテ見ルト、士旅ト平民トノ觀念ハ、是ハ明治維新ノ前ニ
遡フタラ容易ニ差別觀念ハ拔ケナカッタ筈デアル、然ルニ今日
士族ノ族籍廢止ト云フコトニ多少ノ反對者ガアルトシテモ、
大多數ハ異議ガナイト云フ所マデ行ッタ以上ハ、此差別觀
念ハ拔ケテ居ル、帝國ノ今世界ニ於ケル使命ハ、人種平等
ヲ高調シナケレバナラヌ、御互ガ戮力協心シテヤリ上ゲル所
ニ、吾々ハ先ニ國家ノ爲ニ働イタル所ノ政治家、軍人、宗〓
家ノ後進タル所ノ値打ガアルト云フコトヲ覺悟シナケレバナラ
ヌ、此精神ヲ多數ノ國民ニ吹込ンデ、此意味カラ出發シテ、
是等ノ少數同胞ハ何ノ吾々ト異ルモノデハナイ、是ト共ニ相
抱イテ、之ト相一致シテ、以テ世界的經綸ニ上ラナケレバナ
ラヌト云フ更始一新、帝國ノ一大飛躍ヲスル時代デアルト
云フコトヲ今日ハ考ヘレバ、此時代ノ渦卷ニ卷込マレル時
ハ、斯ノ如キ因襲ハ普通ノ人ガ物指ヲ當テ、算盤球ヲ採テ計
算スル計數以外ノ働ヲ以テ、吾々ガ一掃スベキ時期デハナイ
カト信ズルノデアル、諸君、私ハ熟〓第四十六議會ノ傾向ヲ
見テ居ル、其辯論モ出來ルダケ傾聽致シ、且ツ速記錄モ努
メテ拜見致シマシテ、黨派ノ異同ヲ問ハズ、各黨各派ノ名士
ノ所說カラ抽象シテ、一貫スル此議會ノ樣子ヲ捉ヘヤウト今
年ハ苦心シタ、ドウモ行詰ッタト云フ中ニ、日本ノ時代ハ更
始一新ノ時代、大飛躍ノ時代ガ迫リ來ッテ、各黨各派ノ辯
論ノ中ニ、一種勇躍ノ氣味合、興國洋々ノ氣分ガ私ノ眼ニ
ハ見出セル、多數ノ方ミニハドウデアルカ知リマセヌガ、一脈
ノサウ云フ點ヲ私ハ見出シタ、此時機ガ捉へ所デアル、國務
大臣タル水野内相ハ之ヲ洞察セラレナケレバナラヌ、斯樣ナ
時機ガ政治家ノ捉へ所デアル、斯樣ナ時機ヲ捉ヘテ公明ニ
シテ大膽、果斷ナ何カ大政策ヲ樹テヽ戴キタイ、政治家ノ左
右ノ手ニハ、水ト劍トヲ持タナケレバナラヌ、此不遇ニ苦ム社
會ノ差別觀念ニ苦ム所ノ同胞ニ向クテハ、水ヲ以テ此不遇ノ
モノヲ洗ヒ去フテ〓カナケレバナラナイ、若シ夫レ突破シテ公安
ヲ害スル者ニ向"テハ、斷々乎トシテ劍ヲ以テ臨マナケレバナ
ラヌ、此點ニ於テ私ハドウカ現内閣ノ諸公ハ、其練達ナル事
務的手腕ニ加フルニ、雄大ナル所ノ政治家的氣象ヲ十二
分ニ發揮シデ、先ヅ第一著ニ此少數同胞ヲ救ヒ上ゲル所
ノ手ヲ高ク擧ゲラレンコトヲ熱望シテ此建議案ノ要旨ト致
シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=95
-
096・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 質問ノ通告ガアリマス、其發言ヲ
許シマス-鈴木富士彌君
〔鈴木富士彌君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=96
-
097・鈴木富士彌
○鈴木富士彌君 因襲打破ニ關スル建議案ノ提出ハ、頗ル
機宜ニ適ッタ處置デアリマス、特ニ我ガ畏敬スル横田千之助氏
ヨリ此議案ガ提出セラレ、且ツ趣旨ヲ說明セラレタルコトヲ
深ク喜ブ者デアリマス、此建議案ハ提案者モ申サレマシタ如
ク二段ニ分レテ居リマス、卽チ前段ニ於テ士族平民ト云フ
族籍上ノ差別ヲ撤廢スベシト呼ビ、後段ニ於テ或ル部
落-横田氏ノ言葉ヲ藉リテ申セバ所謂小數同胞ニ對スル差
別的態度ヲ改ムベキコトヲ要求シ、而シテ斯ノ如キ階級的
差別待遇ハ成ベク速ニ之ヲ一掃スベク、政府宜シク積極的
手段ヲ執ルベシト云フノガ建議ノ趣旨デアリマス、洵ニ時弊
ニ的中シタル議案デゴザイマス、殊更ラ建議案ノ文面ニ於
テ、又趣旨ノ御說明ニ於テ、「特殊部落」下カ或ハ「部落」トカ
云フヤウナ言葉スラモ愼マレタ點ニ於テ、頗ル苦心ノ存スル
所ヲ認メルノデアリマス、私モ數年前ヨリ此問題ニ著眼致シ
マシテ居リマシタ關係上、此案ガ出ルト、直ニ議案ヲ熟讀致
シマシク、再讀シ三讀シ、繰返シテ讀ム間ニ、端無ク數個ノ
疑問ガ私ノ腦裡ニ湧イタノデアリマス、是ハ疑問ト申スヨリ
ハ、寧口感ト云フ方ガ適當デアルカモ知レヌ、而シテ此感タル
ヤ或ハ私ノ誤解ニ基クモノデアルカモ知レマセヌガ、一應提
案者ニ御伺ヒシテ、私ノ惑ヲ解クコトガ出來レバ甚ダ結構デ
アルト存ジマス、先ヅ第一ニ此建議案ハ、冒頭ニ於テ士族平
民ノ差別ヲ撤廢スベシト書イテアリマスガ、華族ニ對シテハ
提案者ハ如何ナル考ヲ有ッテ居ラレルノデアルカ、之ヲ承リタ
イト思フノデアリマス、此建議案ノ主眼トスル所ハ、申スマデ
モナク階級的差別待遇ヲ爲スノ因襲ヲ打破スベシト云フ點
二重キヲ置カレテ居ルノデアリマス、本案ハ此點ニ於テ政治
上ニモ社會上ニモ極メテ重大ナ意義ヲ有スルノデアリマス
然ル所日本現在ノ社會ニ於テ、族籍上三ッノ階級ノ存スル
コトハ御承知ノ通リデゴザイマス、華族士族平民卽チ是レデ
アリマス、此中士族平民ハ單純ナル族籍上ノ稱呼ニ過ギナ
イノデアリマス、卽チ呼名ニ過ギナイノデアリマシテ、何等其
間ニ實際上差別待遇ヲ受ケテ居ナイコトハ、横田千之助氏
ノ此所ニ於テ言明セラレタル通リデアリマス、政治上ニ於テ
モ、社會上ニ於テモ、同一ノ待遇ヲ受ケテ居ルノデアリマス、
卽チ官吏ニナルニ付キマシテモ、兵役ニ就クニシテモ、納稅ノ
點カラ申シテモ、選舉權ヲ行使スル點カラ申シテモ、何等差
別ト云フコトハ無イ、交際モ自由デアレバ、結婚モ自由デア
ル、舊幕時代ニ於テ素町人ト土百姓ト云フ言葉ハ用ヒラレ
タガ、今日斯ヤウナル言葉ヲ用ユル者ハナイ、ノミナラズ寧ロ
「士族ノ商法」ト云フ言葉ガ今日殘フテ居ル、或ル部分ニ於
テ是ガ嘲笑ノ言葉ニ用キラレテ居ルト云フ位ニ、舊幕時代
トハ變フ夕狀態ニ相成ッテ居ルノデゴザイマス、前ノ政友會ノ
總裁ニシテ内閣總理大臣ニナラレマシタ原敬氏ハ、平民宰
相トシテ一世ノ尊敬ヲ受ケラレタ人デアリマスルガ、原氏ノ
祖先ハ南部家ノ由緒アル家柄ダト承ッテ居リマスガ、分家以
後ノ原敬氏ハ平民デアル、岩手縣平民トシテ內閣總理大
臣ニナラレタノデアル、此間士族平民ニ何等差別ノ無イト
云フ最モ顯著ナル例デアリマス、今日ハ唯士族平民ト云フ
名前パカリガ殘ッテ居フテ、實際上差別待遇ト云フモノハナイ
ノデアリマスカラ、之ヲ廢スルト云フコトハ頗ル機宜ニ適シテ
居ル事デアルガ、又見方ニ依リマシテハ廢セザルモ亦可ナリト
云フ意見モ立ツダラウト思ヒマス、士旅平民ハサウデアルガ、華
旅ト華族ニアラザル者トノ間ハ、少シク異ッタ關係ヲ有ッテ居ル
ヤウニ思フノデアリマス、士族ハ士族タルノ故ヲ以テ特權ヲ持フ
テハ居リマセヌケレドモ、華族ハ華族タルノ故ヲ以テ、一種ノ
特權ヲ有ッテ居ルト云フコトハ、貴族院令竝ニ宮內省關係
ノ法規ヲ繙イテ見レバ、直ニ之ヲ見出スコトガ出來ルノデア
リマス、卽チ華族ニアリマシテハ士族平民ガ享有スルコトノ出
來ナイ一種ノ特權ヲ有,テ居ルノデアリマス、私ハ是ノ善惡
ヲ此處デ論ジヤウト云フノデハナイ、此建議案ノ趣旨ガ階級
的差別待遇ノ因襲ヲ打破スルト云フコトデアッテ、而シテ士
族平民ニ論及致シタ以上ハ、此華族ニモ言及シナケレバ、甚
ダ徹底ヲ缺クモノデハナイカト云フ疑ヲ有ッテ居ルノデアリマ
ス(拍手)單ニ特殊部落ノ事ニ言論ヲ限局致シテ居ルノデア
レバ、我又何ヲカ言ハンヤデアリマスガ、既ニ建議案ノ文面ニ
士族平民ト云フ文字ヲ出シタ以上ハ、華族マデ及ポシテ御
議論ヲ進マシメナケレバ、何トナク龍ヲ描イテ睛ヲ點ゼザルノ
憾ガアルヤウニ思ヒマス、華族制度ニ對スル私ノ意見ハ、今
此處デ申上ゲル必要ハアリマセヌ、又質疑演說デアリマスル
カラ申上ゲル譯ニモ參リマセヌガ、此際提案者ノ御考ダケハ
承ッテ置ク必要ガアラウカト思ヒマス、何卒此點ニ關シテ御
說明ガ願ヘレバ大變結構デアルト思ヒマス、ソレカラ第二ハ
建議案ニ羅列セル文字ノ奧ニ-此文字ノ奧ニ潜ンデ居ル
思想ノ根柢ニ付テ、少シバカリ疑-疑ト云フヨリハ感ガア
ルノデ、是ヲモ併セテ御說明ノ勞ヲ煩シタイト思フノデアリマ
ス、申ス迄モナク此建議案ハ、人道上ノ正義ノ觀念ニ基イテ
提出セラレタルモノデアルト信ジマス、又此案ハ此意味ニ於
テ頗ル貴イノデアリマス、能ク申スコトデアリマスルガ神ハ人
ノ上ニ人ヲ造ラズ、人ノ下ニ人ヲ造ラズ、總テノ人ハ水平線
上總テ同列ニ竝ブベキモノデアルト云フ人道上ノ大精神ヲ
根柢トシテ此議案ガ出來上ッテ居ルト私ハ確信ヲ致スノデ
アリマス、然ルニ世ノ中ニハ不思議ニモ斯樣ナ差別待遇ヲ
却テ謳歌スル者ガアリ、斯樣ナ差別待遇ヲ撤廢スルノハ却
テ危險デアルト云フ思想ガ一部ニ存スルコトハ、横田氏モ此
壇上デ申サレタ通リデアリマス、卽チ此建議案ガ
出サレテカラ間モナク、仙臺、名古屋、岸和田-竝ニ
橫田氏ヲ選出シタル栃木縣ノ宇都宮ニ於テモ、反對ノ聲ガ
アルト云フコトデアリマス、此等ノモノヲ一〓ニ頑冥者流ト
罵ッテシマフコトハ、如何ナモノデアラウカト思フノデアリマス、
人間ハ其面ノ異ナル如ク思想モ異リ、又一ツノ國家トシテ
兄レバ、進步ノ分子アリ、保守ノ分子アッテ、始メテ調和ガ取
レルノデアルカラ、一〓ニ之ヲ頑冥者ト罵ルコトハ考ヘモノデ
アラウト思ヒマスルガ、免モ角モ社會ノ一部ニサウ云フ論者
ノアルト云フコトハ、動スペカラザル事實デゴザイマス、ソレニ
付テ私ガ聯想ヲ致シマシタノハ、政友會前總裁原氏ノ御演
說デアリマス、其御演說ハ大正九年二月二十六日、此壇上
ニ於テ普通選舉ニ關シテナサレタル所ノ御演說デアリマス、
其一節ニ曰ク「納稅資格撤廢ノ理由トシテ提案者ノ說明ヲ
承ハルノニ、漸次ニ國民ノ多數ニ選舉權ヲ與ヘルト云フ單
純ナ意味ニアラズシテ、階級制度ヲ打破スル、現狀ヲ打破ス
ルト云フ意味ニ聞エルガ、階級ヲ打破スルガ根本ノ目的デ
アッテ、納稅資格ヲ撤廢スルト云フコトデアレバ、是ハ現在ノ
社會組織ニ向ヲテ脅威ヲ與フルモノデアル、斯樣ニ認メザル
ヲ得ナイ、ソレデハ國家ガ如何ニナルデアリマセウカ、甚ダ危
險ナルモノト考ヘテ政府ハ御同意ガ出來ナイ」斯樣ニ御演
說ヲナサレ、此趣旨ヲ以テ第四十二議會ヲ解散セラレタノ
デアリマス、又政友會諸公ニ於カレマシテハ、此原氏ノ遺策
ヲ繼ガレテ、今日ニ至ルマデ議會ニ普通選擧法案ノ現ハレ
ル每ニ反對シテ、之ヲ卽決否決ナサレタ歷史ガアルノデアリ
マス、此原敬氏ガ亡クナラレテ未ダ一年有半ニ滿タズ、所謂
墳墓ノ土未ダ乾カズシテ、政友會ヨリ此階級打破ノ議案ヲ
提出サレタト云フコトハ、實ニ大英斷ト申シテモ差支ナイコ
トデアルカト思ヒマス(拍手)此點ニ付キマシテ私ハ決シテ攻
撃ハ致シマセヌ、近頃見上ゲタ御精神ト申シテ宜シイノデア
リマスガ、此精神カラ致シマスレバ、選擧制度ニモ矢張階級
打破ヲ致ス必要ガアリハシナイカト私ハ思フノデアリマス(拍
手)昨年三月三日ニ橫田氏ノ所謂少數同胞ガ京都ニ集リ
マシテ、水平社ト云フモノヲ組織致シマシタ、是ハ階級的差
別待遇ノ撤廢運動ヲ目的トスルモノデアッテ、其水平社ト云
フ名前ノ由ッテ起レル所以ハ、横田氏モ申サレタル如ク、水
平線以下ニ取扱ハレタ者ヲ、水平線マデ引上ゲルト云フ趣
旨デアリマシヨウ、若シ、此點カラ觀測シテ此種ノ運動ヲ水
平運動ト稱スルコトガ出來ルナラバ、巴里ノ講和會議ニ於
テ日木ガ人種差別待遇撤廢案ヲ提出致シタノモ、是レ水
不運動ノ一種デアリマス、又政黨ノ役員公選說ノ起ルノモ、
水平運動ノ一種ト申シテ宜シイ、普通選擧論モ亦水平運
動ノ一種ト謂ッテ差支ナイノデアリマスガ、此建議案ハ少數
同胞ノ水平運動ヲ理由アリトシテ其趣旨ニ基キ提出セラレ
タルモノト思ヒマスルノデ、此點カラ申セバ、實二一大進步デア
ルト申サナケレバナリマセヌガ、偶、原サンノ御演說ガアル爲
ニ、世ノ中ニハ此趣旨ヲ誤解スル者ガアルカモ知レヌ、故ニ提
案者トシテハ一應御釋明ヲナサル必要ガアラウカト信ズルノデ
アリマス、而シテ横田千之助君ノ縷々申述ベラレタ本案提
出ノ理由ハ、私洵ニ謹聽致シマシタノデアリマス、而シテ其
根柢ヲ同情ニ置イテ說明セラレタルコトハ、私ノ特ニ喜バシ
ク思っ夕所デアリマスガ、横田氏ノ談話トシテ三月二十日ノ
或ル新聞ニ揭載セラレタ御話ヲ拜讀シマスト、斯樣ナ事ヲ申シ
テ居ル「要スルニ左ノ手ニ經文、右ノ手ニ劒ト云フ調子デ水
平社員ヲ治メナケレバナラヌ」今日モ同ジ意味ノ事ヲ申サレ
マシタ、是ハ千三百年前ニ「マホメツト」ガ回々〓ヲ布〓スル
時分ニ執ラレタル所ノ態度デゴザイマス、此點ニ付テ矢張世
ノ中ニ誤解シテ居ル者ガアル、是ハ水平運動カ脫線シタ時
分ニ、劒ヲ以テ之ヲ治メナケレバナラヌト云フ趣旨デアラウト
存ジマシテ、私共別ニ差支ナイ御言葉デアルト思ヒマスルガ
世ノ中ニハ必ズシモ斯ク考ヘズニ、之ハ時代錯誤ノヤリ方デ
ハナイカト云フ風ニ非難シテ居ル人モゴザイマス、ンコデ私ハ
横田氏ガ此案ヲ提出セラレタル所ノ基礎觀念、根柢トナル
ベキ思想ハ何所ニ在ルカ、卒然トシテ建議案文面ヲ讀メバ
少數同胞ノ間ニ生ズル、不平ヲ鎭壓スルト云フ意味ニモ受
取レルノデアル、併シ私共ハサウデナク、是ハ基礎觀念ヲ人
道上ノ大精神ニ求メナケレバナラヌト信ジテ居ル者デアリマ
ス(拍手)甚ダ古イ事ヲ引キマシテ恐縮デアリマスガ「リンコ
ルン」ガ奴隷解放ノ爲ニ南北戰爭ヲ起シマシタ、此南北戰
爭ハ前後五箇年ニ亙リ、二十七億弗ノ國帑ヲ費シ、殆ド三
十万ニ近イ人命ヲ犠牲ニシテ始メテ其目的ヲ達スルコトガ
出來タノデアルガ、斯クマデノ大犠牲ヲ拂ッテ「リンコルン」ガ
此戰爭ヲ爲シタ所以ハ何處ニアルカト申セバ、決シテ是ハ奴
隸ノ間ニ存スル不平ヲ鎭壓スルト云フ意味デハ無カッタノ
デ、奴隷ニ對スル同情、人道ノ上カラ是ハ爲サナケレバナラ
ヌト云フ大精神ニ基イテヤッタノデゴザイマス、決シテ不平
鎭壓ト云フ趣旨デハナカッタノデアリマスカラ、多分横田氏ノ
御考モ此ニ存スルモノデアラウト存ジマスケレドモ、曩ニ原氏
ノ演說アリ、後ニ横田氏ノ御言葉アリ、偶〓世ノ中ニハ之ヲ
誤ル者ガアルヤモ圖リ難キヲ以テ、私ハ此點ニ付テ御釋明ヲ
求メ、而シテ私自ラノ感ヲ解キタイト思フ次第デアリマス、提
案者ニ對シテハ是ダケヲ伺ヒ致シマス、偖テ別ニ內務當局ニ
對シ簡單ニ御伺ヒシタイ事ガ二點ゴザイマス、本年度ノ豫
算ヲ見マスルト、地方改善費トシテ五十万圓バカリ計上致
シテアリマスルガ、是ハ詰リ部落改善費トシテ使用セラルル
モノデアルト云フ御說明デゴザイマシタ、部落ト云フ文字ヲ
地方ト改メタノデアリマスルケレドモ、其内容ヲ見マスルト云
フト、矢張部落ヲ部落トシテ改善スル、何等差別待遇ヲ撤
廢スル所マデ行カズ、部落トシテ取扱ヒ、部落トシテ改善ヲ
國ルト云フ趣旨ニナッテ居ルヤウニ思フノデアリマスガ、若シ
斯様ナコトデアレバ、日本國內ニ於テ此少數同胞ニ對スル
差別待遇ノ態度ヲ改ムルノハ、百年河〓ヲ俟ツノ類デハ
ナイカト思フ、是ハドウシテモ部落ヲ部落トシテ改善スルノデ
ハイケナイ、部落ト云フ觀念ヲ全然去ッテシマフ立前ニナラ
ナケレバ、十分ノ目的ヲ達スルコトハ出來ナイノデハナカラウ
カト思フノデアリマス、殊ニ部落民ニ對スル一部國民ノ考ノ
間違ッテ居ルト云フコトハ、橫田氏モ詳シク申サレタ通リデア
リマシテ、私共聞ク所ニ依リマスレバ、此部落民ノ中ニハ所
謂南朝ノ忠臣ノ子孫モアルト云フコトデアル、又皇別ニ出デヽ
居ル者モアルト云フコトデアリマシテ、何等日本人ト差別ス
ベキ血統ノ者デハナイノデアリマスガ、世ノ中ニハ尙ホ誤レル
考ヲ持ノテ居ル者ガアリマス、其點ヲモ併セテ正サナケレバナ
ラヌ、又部落ヲ部落トシテ住居セシメテ居ルノデハ、其效果
ガ洵ニ面白クナイノデアリマスカラ、成ベク之ハ日本全國ニ
散在セシメテ、一般國民ノ間ニ住居ヲ持シテ誰ガ部落民デアル
カ區別ノ出來ナイ程度ニヤラナケレバ、十分ノ目的ヲ達スル
コトハ出來ヌモノデハナカラウカト思フノデアリマズガ、從來
內務當局ノ施設此點ニ於テドウモ不十分デアッタヤウニ
思ヒマス、內務當局ハ此點ニ付テドウ云フ御考ヲ持シテ居ラ
レルカ、玆ニ承ルコトガ出來レバ結構ト思ヒマス、ソレカラ尙
ホ伺ヒタイ事ハ、少シ此問題ト離レマスガ、奈良縣下磯城郡
都村ニ於テ起リマシタ所ノ水平社對國粋會ノ爭鬪ノ問題
ニ關係致シテ居ルカラ、申上ゲルノデアリマスガ、國粹會ハ床
次氏ガ內務大臣ノ時代ニ御造リニナッタヤウニ記憶致シテ
居リマス、設立ノ趣旨ハ必シモ惡クハナイノデアリマシテ、殊
ニ關束ノ國粹會ニ於キマシテハ、左程ノ弊害ヲモ認メラレナ
イノデアリマスガ、地方ニ參リマスト、動モスレバ此國粹會員
ガ謂ハレナク腕力沙汰ヲ致スノ例ガ非常ニ多イノデアリマ
ス、奈良縣ノ例ハ既ニ新聞紙上ニ於テ御承知ノ通リデアル
シ、尾崎行雄氏ガ嘗テ名古屋ニ於テ國梓會員ニ暴行ヲ働
カシタト云フコトモアリマス、又我黨ノ川崎克氏、竝ニ三木
武吉氏モ、其害ニ罹ラレタ事ガアルヤウニ承ッテ居リマスガ、
ドウモ到ル處ニサウ云フ腕力沙汰ガアルノデアリマス、而シテ
警察ノ之ニ對スル態度ガ甚ダ感服シナイノデアリマス、曾テ
京都ニ於テ演說會ヲ法曹團ガヤラウト致シマシタ時分ニ、
警察官ハ演說會ヲ開クナラバ國粹會ニ渡リヲ著ケテカラ
ヤッタラドウダト云フ答辯ヲ致シタコトガアル、是デハマルデ警
察官ガ國枠會ヲ保護シテ居ルヤウナ形ニ見エルノデアリマ
ス、今度ノ奈良ノ事件デ水平社員ガ警官ヲ誤解シタト云フ
ノモ、詰リ國粹會ヲ庇護スルモノト考ヘテ此騒動ニ及ンダー
云フコトデアリマスガ、斯ノ如ク暴力ヲ行フ現象ヲ呈スルコ
トハ、政府ノ威力ノ足ラザルコトヲ一用スモノデアリマシテ此點
ハ私共甚ダ殘念ニ思フノデアリマス、將來如何ナル御取締
ヲ爲ス積リデアルカ、是ヲモ合セテ承ッテ置キタイノデアリマ
ス、而シテ最後ニ司法當局ニ御伺ヒシタイコトハ、奈良ノ水
平社ニ關スル騒動モ、先ヅ一段落ヲ告ゲマシタガ、最近徹底
的ニ檢擧ヲ始メルト云フノデ、三百名許リノ警官ガ入リ込
ンデ搜査ヲ始メタト云フコトデアリマスガ、元來此騷動ハ御
承知ノ通リ、或者ガ四本ノ指ヲ出シテ之ヲ侮蔑致シタガ爲
ニ生ジタ所ノ騒動デアルト云フコトデゴザイマスカラ、此少數
同胞ガ斯カル場合ニ立腹スルノハ、已ムヲ得ナイト思フ、故
ニ是ハ餘リ徹底的ニ大檢擧ヲナサルト云フコトハ、少シ考ヘ
物デハナイカト思フノデアリマス、而シテ奈良地方裁判所檢
事正ノ檢擧ノ方針ト、檢事總長ノ抱イテ居ラレル檢擧ノ方
針トハ、新聞紙上デ見マスルト、聊カ齟齬シテ居ルヤウナ風
ニモ見エル、左樣ナル事ノアルベキ道理ハアリマセヌケレドモ、
新聞紙上ニ於テハ免モ角モ左樣ニ拜承致スノデアリマスガ、
斯樣ナ騒動ニ對シテハ、私ハ成ベク寬大ノ處置ヲ執ッテ載キ
タイト云フ考ヲ持ッテ居リマス、如何ナル御方針デアリマスカ、
若シ承ルコトガ出來レバ結構ト思ヒマス、私ハ是レダケノ質
問ヲ致シテ答辯ヲ期待スル次第デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=97
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098・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 横田千之助君
〔橫田千之助君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=98
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099・横田千之助
○橫田千之助君 鈴木君ノ御尋ハ三ツアリマシタ、是ハ一
寸間違ヒ易イ點デアリマスカラ、唯〓御尋ヲ得タコトハ私ノ
爲ニハ大ニ幸ノ事デアリマス、私ノ士族ノ族籍ヲ廢メルト云
フコトノ建議案ノ主意ノ要旨ハ、士族ト云フモノハ今ヤ法
制上平民ト云フモノト何等ノ區別ガナイ、實質ニ區別ガナ
ク、法制上何等ノ根據ナク、社會的ニモ政治的ニモ根據ガ
ナイニ拘ラズ、此空稱ガアルカライケナイ、斯ウ云フノガ私ノ
建議案ノ主意デアル、華族ハ御承知ノ通リ憲法第十五條
ノ天皇ノ榮譽大權-此榮譽大權ノ規定カラ出發シテ、華
族令ト云フ法制ノ力ヲ以テ、政治的特殊ノ關係ニアリマス
カラ、此問題ヲ討究スルノハ憲法上ノ問題、憲法改更ノ問
題ニナルカラ、之ニハ此建議案ハ觸レナイノテアリマス、而シ
テ又第二ニハ故原敬氏ノ階級打破ヲ危險ナル行動ナリト
シタ思想ト、今私ノ建議案ノ根柢ニ流ルヽ思想トノ間ニ、ド
ウ云フ風ノ調和ガ出來ルカト云フ御質問ノ主意ト思ヒマ
ス、此建議案ノ主意ハ、少數同胞ノ長キ歷史因襲カラ囚ヘ
ラレテ居ル所ノ社會思想ノ此桎梏ヲ除カウトスルノデアル、
政治的權利ノ關係デハナイ、階級打破デハナイ、此少數同
胞ノ中ニモ自ラ上流階級ト云フ人ガアル、中等階級ト云フ
人ガアル、下層階級ト云フ人ガアル、少數同胞ノ中ニモ無資
產階級モアリ、資產階級モアル、此階級ヲ經濟的ノ關係カラ
起クテ來、人ノ天分カラ起,テ來ル所ノ人間ノ地位ノ上下、
品性ノ高下ヲ打ッテ之ノ野平ラニシヤウト云フ建議ノ主意
デハナイ、卽チ此多數同胞對少數同胞ノ社會的因襲ノ桎
桔ヲ除カウト云フノガ建議案ノ趣旨デアリマス(拍手)私ハ
階級打破ニハ反對デアリマス、明白ニ私ノ態度ヲ申シマス、
人類ニ生レ出デヽ社會國家ヲ組織スルニ、階級ハドウシテモ
生ズル、憲政會諸公ノ中ニモ、總裁アリ幹部アリ、院內總務
ガアッテ活動ヲ爲シテ居ルノデアル(拍手「ヒヤ〓〓」「ノウ〓〓」)
ソレハ一種ノ階級デアル(「階級ガ違フ」「階級デハナイ」ト呼
フ者アリ)一種ノ階級ニナッテ居ル自然ニ出來ル階級ニナッテ
居ル、人類ガ出來テ經濟的ノ優者ト經濟的ノ劣者ガ玆ニ出
來ル、治者ト被治者ガ出來テ、其力量ノ上カラ起ッタ所ノ階
級ニ對シテ、國家ガ表彰シタノハ華族制度デアル、此華族制
度ガ此大精神ニ合シテ居ルカドウカハ別問題-ンレハ別
問題、〓後新華族ヲ作ルト云フ上ニ於テ、此自然ノ優劣カ
ラ起ッテ來ルノニ、國家カ玆ニ區別ヲ付ケルノデアルカ、人爲
デ行クノカト云フコトニ付テハ、是ハ卽チ華族制度ノ當否、
憲法二十五條ノ當否問題ニナッテ、此問題トハマルデ根抵
ガ違ッテ居ルノデアル、ンレカラ第三ノ此建議案ノ精神ハ、鎭
壓ヲ目的トスルノデハナイカ、是ハモウ建議案-私ノ演說
ヲ御讀ミ下サレバ分ルノデアリマスガ、大體ハ決シテサウデナ
イ、所謂人道ニ立脚シテ、鈴木サンノ仰シヤッタ通リデアル、
唯、鈴木サンモ憂ヒテ居ラレルガ、國家ハ一面ニ於テハ非常
ナル同情ヲ持ヲテヤラナケレバナラヌノデアリマスガ、往々ニシ
テ今ノ鈴木サンガ心配サレルヤウニ、ドウモ公安ヲ維持スル
上ニ於テ、チット危險デハナイカト云フ點ヲ世間ガ懷イテ居
ル、是等ニモ考慮ヲ拂ハナケレバナラナイ、併シ之ヲヤル前ニ
ハ非常ナル國家意思-國家ノ手ト云フモノハ斯ウ云フ方
面ニ力强ク、此差別觀念ヲ一掃スルニ骨ヲ折ッタト云フコト
ガ、ハッキリシタ後デナケレバイケナイ、斯ウ云フ意味合ニ過ギ
ヌノデアリマス、或ハ是デモ亦ソレヂヤ斯ウヂヤナイカ、アヽヂ
ヤナイカト云フコトニナルト、是ハ討論デス、私ニモ色々說ガ
アリマスガ、併シ是ハ鈴木サンノ質問サレルヤウナ疑ガ起リ
易イ建議案デアル、之ニハ說明ヲ餘程骨ヲ折っテヤラナケレ
バナラヌト思ッタ點デアリマスガ、幸ヒ〓鈴木サンノ御質問ガ
起リマシタカラ、私ノ考へタ區別ノ要領ダケヲ申上ゲマス(拍
手「迷宮ニ入ッタ」ト呼フ者アリ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=99
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100・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 水野內務大臣
〔國務大臣水野鍊太郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=100
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101・水野錬太郎
○國務大臣(水野鍊太郞君) 只今鈴木君カラ本建議案
ニ關聯致シマシテ、私ニ對シテ二點ノ御質問ガアッタノデア
リマス、之ニ對シテ御答ヲ致シマス、第一點ハ本年ノ豫算ニ
地方改善費トシテ十數万圓ヲ要求シタノデアルガ、其改善
ノ内容ヲ見レバ、或ル一部ノ部落ノ改善デアル、故ニ其點ニ
於テ所謂差別的待遇ガアルカノ如キ觀ガアルカラ、ソレニ對
シテ何カ特殊ノ考ガアルカト云フヤウナ意味ノ御問デアッタ
ト拜承致シタノデアリマス、誠ニ御尤ナ御質問デアルト思ヒ
マス、私ハ横田君ノ御說明竝ニ鈴木君ノ御趣旨ト同樣ニ、
此間ニ何等ノ區別ヲ爲サヾルコトヲ本旨トシタイト思フノデ
アリマス、故ニ從來或ル名稱ヲ付シテ居クテ、例へバ部落改
善ト云フヤウナコトヲ言ッテ居ッタノデアリマスガ、ソレハ言葉
ノ上デハアリマスケレドモ、成ベクサウ云フ言葉モ廢シタイト
云フ考デ、特ニ地方改善ト云フ名稱ヲ附シタノデアリマス、
或ル一部ノ部落ニ致シマシテモ、帝國ノ一地方-地域デ
アルノデアリマス、ソレデアリマスルカラ、其或ル地域ニ付デ
特ニ改善ヲ要スルト云フ事ガアリマスナラバ、則チ是レ地方
改善デアリマスルカラ、其意味ニ於テ特ニ名稱ヲサウ云フ風
ニ變ヘマシタ、歸スル所、横田君、鈴木君ノ御趣旨ト同感ノ
上カラ出タ事ナノデアリマス、併シ唯〓、事實或ル一地域ニ對
シマシテハ改善ヲ要スルト云フコトガアルノデアリマシテ、他
ニ名稱ヲ附スルコトガ出來マセヌカラ、斯ノ如キ名稱ヲ附シ
マシタガ、事實ニ於テハ成ベク總テノ地方ト同一ノ地域ニ置
キ、同一ノ待遇ノ下ニ置キタイト云フ趣旨ニ外ナラナイノデ
アリマス、尙ホ部落ニ付キマンテハ、成ベク總テノ地方ト混同
シテ、其間ニ或ル部落トカ、或ル區域トカ云フヤウナ事ニスル
ノガ宜シノデハナイカト云フ御趣旨デアリマシタ、私モ左樣ニ
思フ、所謂集散主義ヲ採リマシテ、總テノ方面ニ散在致ザセ
マシテ、其間ニ何等ノ區別ノナイ、御互ノ間ニ、地位ニ於テ
モ、社會的待遇ニ於テモ、少シモ差別ノ無イヤウニ致スコト
ガ適當デアルト思フノデアリマス、之ニ就テハ從來種々ノ方
策ヲ考ヘマシテ、苦心ハ致シテ居ルノデアリマスルガ、何分ニ
モ此實行ガ隨分困難ガアルノデアリマス、左樣デアリマスル
カラ、事實或ル地域ニ居リマスル者ニ對シテ、特ニ改善ヲ要
スルト云フ場合ニハ、先ヅ此點カラシテ改善ヲ致シタラ宜カラ
ウ、是ガ卽チ差別ヲ撤廢スル所ノ一ツノ方策デアルト考ヘル
ノデアリマス、次ニ奈良縣ニ起リマシタ事實ニ對シテ、國粹
會ノ事ニ付テノ御質問ガアッタノデアリマス、國粹會ニ付キマ
シテハ、或ハ特ニ警察トノ特殊ノ關係ガアル、或ハ警察ガ之
ニ對シマシテ特殊ノ援護ヲ與ヘタト云フヤウナ風評ヲ爲ス
者ガアルノデアリマスガ、私共ハ決シテサウ云フヤウナ事ハシ
テ居ラヌト考ヘマス、或ル行動ニ付テ法ヲ犯シ、若クハ不當
ノ行動ヲ爲ス者ニ對シマシテハ、十分ナル取締ハ致シテ居リ
マス、而シテ其結果ガ國法ニ觸レマスナラバ國法ノ制裁ヲ
受ケルコトニ於テ何等ノ違ヒハナイノデアリマス、此點ニ付
キマシテハ、國粹會ニ對シテ特殊ノ便利援護ヲ與ヘルト云フ
ヤウナ事ハシテ居ラナイト云フコトヲ御承知ヲ願ヒタイ(拍
手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=101
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102・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 林政府委員
〔政府委員林賴三郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=102
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103・林頼三郎
○政府委員(林賴三郎君) 鈴木君カラ司法當局ニ御尋
ニナッタ事ニ付キマシテ御答ヲ致シマス、鈴木君ハ先般ノ奈
良縣ニ起リマシタ不祥事ニ關シマシテ、新聞ノ記事ヲ土臺
トシテ檢擧ノ方針ニ關スル御尋デアリマシタガ、御承知ノ通
リ犯罪ノ搜査、或ハ檢擧等ニ關係スル事ハ、絕對ニ祕密ノ
事柄デアリマスルカラシテ、是ガ新聞ニ現レル筈ガナイ、斯ノ
如キ事ニ付テ新聞ノ記事ガアリマシタナラバ、ソレハ記者ノ
搗摩臆測ニ過ギナイノデアリマス、是ハ鈴木君ハ十分御承
知ノ事デアルト考ヘマスノデ、隨テ斯ノ如キ據ロナキ事ヲ根
據トシテ御質問ヲ受ケルト云フコトハ、當局トシテ淘ニ迷惑
ヲ感ズルノデアリマス(拍手)然ラバ檢擧ノ方針ハ如何デアル
カト云フコトヲ御答ヲスレバ御滿足ヲ得ルノデアリマセウガ、
是ハ中スマデモナク絕對ニ祕密ニ屬スル事項デアリマスカ
ラ、此所デ言明スルコトハ山來マセヌ、併ナガラ唯、抽象的
ニ御答ヲスルコトハ出來ル、苟モ像タル法律ガアルノデ之ヲ
蔑視シ、法ヲ犯シテ甚シク公安ヲ害スルト云フ事態ガアッタ
以上ハ、之ヲ看過スルコトノ出來ヌノハ、是ハ論ガ無イ事デ
アル、併シサウ云フ事態ガアッタ場合ニ、如何ナル方針デ、如
何ナル程度ノ檢擧ヲスルカト云フコトハ、申スマデモナク正
義ノ要求ト公益ノ必要トニ鑑ミ、其他諸般ノ事情ヲ十分
攻究致シマシテ、必要アルモノハ檢擧シ、必要ナキモノハ檢
擧シナイ、斯ウ云フ事ニナルノデアリマス、司法當局ガ此處
置ヲスル上ニ於テ、一點ノ私ヲ挾マヌト云フコトハ斷言シテ
憚フヌノデアリマスドウゾ御安心ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=103
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104・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 星島二郞君
〔星島二郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=104
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105・星島二郎
○星島二郞君 諸君、私ハ十數日前本議院ニ對シマシテ
質問書ヲ提出致シテ居リマス、ソレニ付キマシテ十分ナル御
答ヲ得マセヌカラ、再質問ノ形式ヲ執リ、又最近奈良ノ不
祥事件ガ起リマシタカラ、緊急質問ヲ出シマシタケレドモ、其
機會ヲ失シマシタ際ニ、横田氏ヨリ此提案アリ、勿論其精
神ニ非常ニ感銘スルト同時ニ、特ニ此機會ヲ借リマシテ、私
ノ質サントスル質疑ノ答辯ノ機會ヲ政府ガ與ヘラレクト云
フコトヲ非常ニ感謝スルノデアリマス、私ハ大體ニ於キマシテ
ハ、只今ノ鈴木君ノ總括的ノ御質問ガ終リマシタカラ、私ハ
平素ヨリ不審ニ思シテ居リマスル所ノ各箇ノ事ニ付キマシテ
二三内務、司法當局ニ御伺シテ見タイト思フノデアリマス、
第一ハ先程横田氏ハ言葉ヲ御心配ニナリマシタガ、私ハ穢
多ト云ハウガ、非人ト云ハウガ、特殊部落ト云ハウガ、地方
民ト云ハウガ、心ノ中ニ眞ニ彼等ヲ卑下スル心ガ無カッタナ
ラバ宜シイト思ヒマスガ、今日ノ場合一般ニ特殊部落ト稱
ヘラレテ居リマスカラ、其言葉ヲ用ヒマス、私ハ現在ノ内務
省ノ大正十年ノ調査ニ依リマスレバ、部落數ガ四千八百九
十、ソレカラ戶數ガ五万四千二百八十七、人口ガ八十九万
九千五百四十四、斯ウ云フコトガ大正十年ノ三月ノ調査ニ
ナッテ居リマスルガ、私ハ多ク此部落改善費ト云フヤウナモノ
ガ、斯ウ云フ調査費ニ使ハレテ居ルノデハナイカ、サウシテ斯
ウ云フコトハドウ云フ所カラ集メラレテアルカ、或ル部落ノ人
達ハ戶籍簿ニ赤イ印ガ附イテ居ルトマデ不快ニ思ヲテ居ルノ
デアリマスガ、却テ調査スルコトニ依ッテ、尙更特殊的ナ區別
ヲ設ケルヤウナ結果ニハナッテ居ナイカト云フ點ニ付キマシ
テ、御伺シタイト思フノデアリマス、サウシテ尙ホ是レ以外ニ
散在シタル部落民、水平社ノ人達ハ三百万ト由シテ居リマ
スガ、若シ内務省ニ御調査ガアレバ、ドウ云フ數ニナッテ居ル
カ、ソレガ第一デアリマス、ソレカラ第二ニハ岡山縣ニ於テ
部落數ガ二百九十七、人口ハ四万二千八百九十四トナツ
テ居リマス、サウシテ是ガ一年間ニ八十三件ノ所謂不祥事
ガ起ヲテ居ル、是ハ或ル篤志者ノ調デアリマスガ、例ヘバ埼玉
縣ニ起リマシタヤウナ、西伯利ノ戰勝記念碑--出征軍人
ノ戰勝記念碑ヲ建テマスルニ付テ、其部落民ノ名ヲ無理ヤ
リニ省イタ爲ニ騒動ガ持上ッテ、村長ガ辭職シタト云フ事件
ガアル、或ハ離婚ノ材料ニナッタ、斯ウ云フ事ガ岡山縣ダケデ
或ル篤志家ノ調査ニ依リマスレバ、八十三件ニモナッテ居リ
マスガ、全國ニ於テハ何百件ニナッテ居ルカ、非常ニ虞レルノ
デアリマス、斯ウ云フ事ニ付テ若シ御調査ガアレバ、此機會
ヲ借リテ伺ヒタイト思フノデアリマス、ソレカラ今一ツ、其樣
ナ悲慘事ガ頻々トシテ起ルニ付テ、廣島縣下ニ於テハ縣ノ
諭告ヲ出シマシテ、或ハ靑年團、學校、神社、其他ノ團體ニ
對シテ、特殊ノ扱ヲシテハナラナイ、斯ウ云フ精神カラ非常ナ
良イ結果ヲ收メマシテ、今日所謂水平運動サヘモ、廣島縣
ニハマダ起ラナイト言ハレル程ニ良キ扱方ヲシテ居ルヤウニ
本員ハ見テ居ルノデアリマスガ、然ルニ聞ク所ニ依リマスレ
バ、內務當局ハ此諭告ニ對シテ寧ロ反對デアル、卽チ當局ハ
積極的ニ或ル行動ヲスルコトハイケナイト認メテ居ラレルヤ
ウニ間イテ居ルノデアリマスガ、ソレハ果シテ眞實デアルカド
ウカンレカランレト關聯シマシテ、縣ニ於テ諭生ロヲ發シテ、特
別ニ差別スル者ヲ罰シ、差別スル者ヲ取締ルト云フ方針ニ
付テ、今一步積極的ニ當局ニ於テハ特別法ヲ設ケルノ意思
アリヤ否ヤ、現在日本ノ刑法ノ二百三十條、若クハ二百三
十一條、之ヲ徹底的ニ用ヒマスレバ、十分ニ足リルトハ思ヒ
マスルガ、特殊ノ色ニナル所ノ關係ガアリマスカラ、之ニ對シ
テ特別ノ法規ヲ設ケル意思アリヤ否ヤ、私ハ人種平等案ヲ
日本ガ出シマシテ、サウシテ國際聯盟ニ於テハ寧ロ監督ノ
地位ニ在ル我ガ日本ノ國內ニ於テ、斯ノ如キ特別法規ヲ設
クルト云フコトハ、甚ダ遺城ニ思ヒマスルケレドモ、今日亞米
利加ノ上院ニ於テ、所謂黑奴解放ノ爲ニ「リンチ」廢止ノ法
律案ガ出タ、多分通過スルカト思→テ居リマスガ、サウ云フ事
モ米國ニアルノデアリマスカラ、今日ノ如ク極端ニ惡化シタ
場合ニ於テ、寧口私ハ斯ル奈良縣ニ於ケル不祥事ノ如キ直
接行動ノ發セザル前ニ、或ハ特殊ノ法規ヲ設クル必要ガア
ルデハナイカト思フ節モアルノデアリマス、之ニ就キマシテ政
府當局ノ御考ヲ聞キタイト思フノデアリマス、ソレカラ今一
ツ、最近彼等部落民ノ多數ガ職業トシテ居ル所ノモノヲ、
般ノ人ガ此職業ヲスルヤウニナリマシテ、多クハ皮革業デアル
ガ、ソレガ爲ニ彼等ノ多クノ人ハ職ヲ失〓テ居ル、之ニ對シテ
何カ特別ノ方法ヲ以テ彼等ヲ擁護スル方策ニ出デヽ居ラル
ルヤ否ヤ、斯ウ云フ點ニ付テ内務當局ノ御答辯ヲ得タイト
思フノデアリマス、サウシテ私ガ最モ特ニ聽キタイト思ヒマス
ノハ、最近京都ニ起リマシタ三月三日ノ水平社ノ大會ノ後
ニ於キマシテ、甚ダ不祥ナ事件ガ起ヲテ居ル、平素差別スル
人間ヲ罰セナイト同ジヤウニ、今度ハ若シ彼ノヤウナ大會ガ
所謂一般ノ人ガシテ居,タ場合ニハ、非常ナ嚴格ナル取締ヲ
シテ居ル今日ニ於キマシテ、特ニ極端ニ彼ノ會合ニ於キマシ
テハ、全然自由ヲ認メタ爲ニ、後ニ於テ責任者サヘモ出スコ
トガ出來ナイト云フヤウナ不祥事ヲ起シ、警官ガ殆ド瀕死ノ
狀態ニナッタニ拘ラズ、主催者ノ人〓ノ子供ナドガ自ラ進ン
デ自首ヲシナケレバナラヌト云フ程ニ罪人ガ擧ラヌト云フコ
トニナッテ居リマスガ、當局ハ特ニ斯ル運動ニ對シマシテ、普
通ノ人詰リ一般ノ人達ニ對スル手段ヨリモ、却テ自由ナル
取締方針ヲ有セラレルヤウニモ考ヘルノデアリマスガ、此間ニ
對シテドウ云フ御考ガアリマスカ、今一ツ伺ヒタイト思ヒマ
スノハ、最近今議會ニ於テ多ク經費ノ節減ヲセラルヽ場合
ニ於キマシテ、特別ニ此地方改善費ガ增シテ居ル、私ハ此度
此因襲打破ノ提案ヲ非常ニ喜ブト同時ニ、本議會ニ於ケル
所ノ傑作ト自分ハ思フノデゴザイマスガ、併ナガラ金高ハ增
シマシタケレドモ、今マデノ使方ハ或ハ調査費トカ、或ハ特殊
部落民ノ中デモ、寧口上流ニ位スル人達ニノミ偏頗ナル所
ノ所謂改善、斯ウ云フモノニ使ハレテ、却テ無產ノ特殊部落
民ノ中デ最モ無產ナル人達ハ、其改善費ノ爲ニ却テ思想ガ
惡化シテ居ルヤウナ傾向ノアルコトヲ往々ニ認メルノデゴザ
イマス、最モ其顯著ナル一ツノ實例ト致シマシテ、諸君ニ知フ
テ戴キタイト思ヒマスノハ、是ハ內務省ノ改善費デハアリマ
セヌケレドモ、宮内省カラ出テ居ル金ノ事デゴザイマスケレド
モ、有名ナル奈良縣ノ高市郡ノ白橿村ノ事件デアリマス、神
武御陵ノ周圍ニアリマス所ノ部落民二百八戶ヲ、御陵故ニ立
退カサントシタ爲ニ、三十万圓以上ノ金ヲ宮內省ガ出シテ
居ル、所ガ其金ハ二百八戶ノ中ノ漸ク九十七戶ニ渡ッテ
居ルノミデアッテ、不公平ニ渡フテ居ル、其後ニ殘リノ人達ハ
寧ロ反感ヲ起シテ居ル、水平運動ノ起源七此白橿村ニ起ッ
テ居ルト云フコトハ、私ハ非常ナル「ヒント」ヲ此取締法ノ上
ニ〓ヘテ居ルト思フノデアリマス、而シテ此地方改善費、斯
ウ云フモノヽ爲ニ使ハルヽ金ガ、斯クノヤウニ却テ彼等ヲ惡
化セシムルヤウナ結果ニナッテ居ルノデハアルマイカ、寧口第
一ニ部落民ノ中ノ無產者、無資力者ノ方ニ濃クシナイケレ
バナラヌノニ、徒ラニ統計ヤ形式上ノ外觀ノ美ヲ衍ッテ當局
ヤ諸役人ノ報告ヲ立派ニスル爲ニ使ハレテ居ル爲ニ、却
テ内務省カラ云ヘバ、地方改善ノ思想ノ多イ處ニ、却テ惡イ
思想ガ起ッテ居ルト云フコトヲ十分ニ認メテ居ルノデアリマ
スガ、此部落改善費ノ增加サレタノハ、ドウ云フ方面ニ於テ
使ハレル目的テアルカ、如何ト云フコトニ付テ御答辯ヲ願ヒ
タイノデアリマス、而シテ最後ニ司法當局ニ伺ヒマスガ、矢
張特別法規ヲ設ケテマデ、差別者ヲ罰スルト云フヤウナ御
考ハ無キヤ否ヤト云フ點ニ付テ、御答辯ヲ請ヒタイト思フノ
デアリマス
〔政府委員田子一民君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=105
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106・田子一民
○政府委員(田子一民君) 只今ノ御質問ニ御答ヲ致シ
マスガ、御質問ノ中ニハ聽取レナイ點モ數多アリマシタガ、聽
取レマシタ點ニ付テ、御答ヲ致シマス、第一ハ內務省ニ於
テ調査シテ居ル此種ノ人々ノ人口ハ八十二万ニナッテ居ル
ガ、世ノ中デハ三百万ト稱スルガ、其調査ハドウ云フ關係ニ
ナッテ居ルカト云フ御尋ト考ヘマシタ、世間デハ成程三百万
ト稱シテ居リマスケレドモ、段々御話ガアリマシタ如ク、既ニ
關係地區ヲ出マシテ他〓ニ居ル、隨テ今迄ノ身分等ハ一切
不明ナ者デアリマス、內務省ト致シマシテ改善シマスル者ハ、
世ノ中ヨリ所謂差別待遇ヲ受ケマシテ、悲慘ナル狀況ニ在
リマスル者、或ハ侮蔑ヲ受ケテ居リマスル者トカ、サウ云フヤ
ウナ狀態ニ在ル者ノミヲ調査シテ居リマスカラ、隨テ人數ノ
上ニ於テハ他ノ調査トハ違フノデアリマス、要スルニ八十二万
ト云フノハ、今日稍、差別待遇ヲ受ケテ居リマス者ノ人口ト
御承知ヲ願ヒタイノデアリマス、第二ハ廣島縣等ニ於ケル告
諭ニ付アヾアリマス、是ハ和歌山縣ニ於テモ發シテ居リマス、
其告論ノ要領ハ、是等ノ人々ノ自重自愛ヲ促シマスト同時
ニ、更ニ一般ノ人々ニ、對シテ侮蔑ノ念ノ無イヤウニ融合融
和シ、相愛シテ共ニ提携スベシト云フヤウナ告諭デアリマス
カラ、内務省トシマシテモ至當ナル告論ト考へテ居リマス、
特別法ノ關係ニ付キマシテハ他ノ政府委員ヨリ御答ヲ致シ
マス、職業問題ノ保護ニ付キマシテハ、從來內務省ト致シマ
シテモ、授產事業ヲ奬勵致シマストカ、又他府縣ニ移住ヲ奬
勵致シマストカ、相當職業上ノ保護ニ付キマシテ攻究ヲ致
シテ居リマス、第五ハ從來支出セラレマシタ所ノ地方改善
費ノ費途ノ問題デアリマス、從來ノ例ト致シマシテハ、改善
地區ニ於キマスル町村費ノ支辨ニ對シマシテ、府縣ガ同額
若クハ半額ヲ補助ヲ致シテ居リマス、其府縣費ノ支出ニ對シ
テ、內務省ハ同額ノ補助ヲ致シテ居ルノデアリマス、此經費
ノ補助ニ付キマシテハ、内務省ヨリ常ニ專任ノ吏員ヲ派シマ
シテ、實地調査ヲ致シテ居リマスルカラ、只今御話ガアリマシ
タ如キ、或ル人々ニ均霑セラレナイト云フ事ハ無イト信ジテ
居リマス、而シテ此費用ハ唯〓調査費ニ用ヒラルヽカノ御
話ガアリマシタケレドモ、全部改善費ニ用ヰラレマシテ、調査
ノ費用ニハ支出シテ居リマセヌノデアリマス
〔政府委員林賴三郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=106
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107・林頼三郎
○政府委員(林賴三郞君) 司法當局ヨリ、御尋ノ差
別待遇ニ關係スル犯罪ニ付テ、特別法ヲ制定スル意思ガ
アルカドウカト云フ御尋デアリマシタガ、唯〓ノ所デハ特別
法ヲ制定スル意思ハゴザイマセヌ、但シ申上ゲテ置キマスガ、
御承知ノ通リ刑法全體ニ亙ッテ改正スル必要ヲ認メマシテ、
今日法制審議會ニ於テ著々審議中デアリマス、只今仰セノ
問題モ、自然審議會ニ於テ攻究セラレルコトデアラウカト考
ヘマス、左樣御了承ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=107
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108・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 賛成ノ通告ガアリマスカラ發言ヲ
許シマス、紫安新九郞君
〔紫安新九郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=108
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109・紫安新九郎
○紫安新九郞君 諸君、本員ハ只今上程セラレタル因襲
打破ノ建議案ニ對シテ賛意ヲ表スル者デアリマス、併ナガラ
士族平民ノ稱呼ニ對シマシテハ、私ハノ廢スルモ可ナリ、存ス
ルモ可ナリ位ニ思ッテ居リマス、唯我ガ同胞ノ一部ニシテ、
因襲ノ爲ニ社會的ニ差別待遇ヲ受ケテ居ル者ニ對シテハ、
私ハ同情ニ堪ヘナイ者デアリマス、本月十一日私ハ政友會、
革新倶樂部及我黨ノ諸君ト共ニ、同愛社ノ有馬伯ノ幹旋
ニ依リマシテ、華族會館ニ於テ水平社ノ代表者タル南、平
野、栗栖ノ三君ト會談致シマシテ、是等三君ガ水平運動ノ
爲ニハ、一死尙辭セザル悲壯ナル告白ヲセラレタノヲ聞キマ
シテ、私ハ轉〓感慨ニ打タレタル者デアリマス、歐洲大戰後
動モスレバ國民ノ思想ニ動搖ヲ來サントスルニ際シマシテ、
農村ニハ小作爭議ガ頻發シ、都會ニハ勞働運動ガ盛ニ起リ
マシタ、併ナガラ此度起レル水平運動程深刻ニシテ、其意義
ノアルモノハ無シト私ハ信ズル者デアリマス、水平運動ハ何
ノ爲ニ起ッタ/デゴザイマセウカ、此事ニ付キマシテハ先刻來
横田君ナリ、鈴木君ナドモ申サレタル中ニモ現レテ居ルノデ
アリマスカ、水平運動ハ千有餘年間有ユル迫害、侮辱、壓迫
ニ泣カサレ來レル我ガ同胞ノ一部デアル、所謂特殊ノ部落
民ガ諦メノ運命ヨリ闘争ノ運命ヲ自覺致シマシテ、叩カズ
シテ開カレル時ヲ待ツヨリハ、飽マデ自ラ叩イテ開カネバナラ
ナイト云フコトヲ自覺シ、血ト涙デ彩ラレタル過去ノ歷史ヲ抹
殺シテ、人間ノ平等ナルコトヲ叫ビ、間違ヘル社會ニ對シテ
正義ヲ要求シ、當然ノ權利ヲ主張センガ爲デアリマス、諸君
猶太族ヤ愛蘭ノ「シンフエン」黨ヤ、又印度人ヤ「ネグロ」人ノ
不遇ニ泣クコトニ心ヲ傷マシムル人達ハ、先ヅ眼前ニ我ガ國
内ニ於テ不合理ナル因襲ニ依クテ千有餘年ノ間泣キ來レ
ル、所謂特殊部落ナルモノヽアルコトヲ痛切ニ悲シマナケレ
バナラナイノデアリマス、此所謂部落ニ屬スル人達ハ、北海
道ヤ沖繩縣ヲ除クノ外···
〔粕谷議長議長席ヲ退キ松田副議長代リ著席〕
全國ノ到ル處ニ存在致シテ居ルノデアリマス、先刻橫田君
モ申サレタヤウニ、明治四年ニ解放令ガ出タノデアリマスガ、
其當時ニハ此部落ニ屬スル人達ハ三十万人デアッタト云フ
コトデアリマス、併ナガラ〓日ニ於テハ或ハ百五十万人トモ
稱シ、或ハ二百万人トモ稱シ、又水平社ノ人達ノ言フコトヲ
聞キマスレバ、今日ハ三百万人ニモ達シテ居ルト云フコトデ
アリマス、此大集團ハ心理的ニ多クハ普通人ト全ク孤立致
シマシテ、其社會的地位ハ恰モ古代ニ於ケル征服國家ノ奴
隸ニ對スル有樣ニ髣髴致シテ居ルノデアリマス、ソレデアリ
マスカラ、普通人トノ間ニハ通婚モシナイ、普通人トノ同居
モシナイ、普通人トハ又同火同棲モシナイノデアリマス、而シ
テ近頃奈良縣下ニ於テ水平社一派ト國粹會員トノ間ニ一
大衝突ヲ惹起シ、平和ノ村落ヲ擧ゲテ亂闘ノ巷ト化セシメ
去ッタノハ、聖代ノ不詳事トシテ天下ノ耳目ヲ聳動セシムル
ニ足ルモノガアリマス、而シテ私ハ從來內務省ノ此特殊部
落ニ對シテ執レル態度ニ付キマシテモ慊焉タラザル者デアリ
マス、從來內務省ナドデハ斯ル不合理ノ差別待遇ヲ撤廢セ
シムルガ爲ニ色々劃策セラレタルコトハ申スマデモアリマセヌ
ガ、併ナガラ其遣方ガ私ハ宜シキヲ得ナカッタノデハナカラウ
カト思フノデアリマス、內務省ハ明年度ノ豫算ニデモ、地方
改善費トシテ五十万圓ノ豫算ヲ計上シテ居ルノデアル、是
ハ先刻水野內相モ申サレタルヤウニ、此地方改善費ナルモ
ノハ、多クハ所謂特殊部落改善費ニ充テラレルノデアルガ、
從來ノ遣方ト云フモノハ部落民其者ノ生活、慣習ヲ善導
シ、向上セシムルト云フコトニ熱中致シマシテ、一般世人ノ
部落民ニ對スル差別的觀念ト排斥的態度ヲ矯正シ、緩和
スルト云フ此一點ニ付テ、私ハ甚ダ遺憾ノ點ガアッタルコトヲ
切ニ感ズル者デアリマス、成程部落民ニハ不衞生ノ所モア
リマス、又風紀モ良クナイ所モアリマセウ、又「トラホーム」ノ
患者モ多イヤウデアリマス、又貧乏人モ多イヤウデアリマス、
其他部落民ノ風俗慣習ニハ遺憾トスル所モ多々アルノデア
リマスルガ、彼等ガ如何ニ生活慣習ノ改善ヲ圖リマシタ所
デ、一般世人ノ差別的觀念ト排斥的態度ニシテ依然タル
限リハ、無差別待遇ノ實現ヲ期スルコトハ出來ナイト思フノ
デアリマス、ソコデ部落民ノ生活ナリ、思想ナリガ進步シ、進
歩スレバスル程一般民ニ對シテ、反感ノ思想ヲ大ナラシメハ
シナイカト思フノデアリマス、部落民ガ千有餘年ノ間、不合
理ナル待遇ヲ一般人ヨリ受ケタルコトハ普ク人ノ知ル所デ
アリマスルガ、此部落民ノ奴隷的地位ガ最モ明白ニナッタノ
ハ、德川時代デアラウト思ヒマス、殊ニ社會的理想ノ最モ廢
頽致シマシタル其後期ニ於テヾアリマス、私ハ思フノデアリマ
ス、德川時代ノ社會的統制ノ基本的手段ト云フモノハ、武
士階級ノ擁護デアリマシタ(「ソンナ事ヲ言フカライカヌ」「簡
單々々」ト呼フ者アリ)默ッテ聽ヶ無禮者メ
〔「何ガ無禮ダ」「謹聽シロ」ト呼フ發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=109
-
110・松田源治
○副議長(松田源治君) 計ニ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=110
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111・紫安新九郎
○紫安新九郞君(續) 此人道上ノ大問題ニ付テ演說ヲ
シテ居ルノニ、様々ニ妨害ナル批評ヲ爲スカラデアル
〔「何ガ無禮ダ」「妨害ヲスル者ハ無禮者ダ」「誰ガ無
禮ダ」「貴樣ノヤウナコトヲ言フカラ簡單ニ言ヘト云
フノガ何ガ無禮ダ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=111
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112・松田源治
○副議長(松田源治君) 靜上発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=112
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113・紫安新九郎
○紫安新九郞君(續) 禮節ヲ知ラザル君ノ如キ者ニハ應
酬シナイ-此人道上ノ大問題ニ向フテ本員ガ賛意ヲ表シ
テ居ルノニ、何故ニ簡單トカ、種々ナル批評ヲ爲スカ、ソレダ
カラ無禮者ト言フノデアル(「簡單々々」「ヤルベシ」ト呼フ者
アリ)德川時代ノ嚴重ナル階級制度ハ、社會全體ヲ支配シ
テ居ッタノデアル、其當時ノ社會階級ハ士農工商ニ分レテ
居タガ、武士ヲ除ク其他ノ者ハ殆ド奴隷ノ如クニ視ラレテ
居ッタノデアル、其中ニ於テ最モ穢多ハ、非人ト共ニ奴隸中
ノ奴隷トシテ待遇セラレテ居ッタノデアリマス、斯樣ナ狀態デ
アリマスルカラシテ、彼等特殊部落ハ現世ニ於テハ到底人
間並ノ待遇ヲ望ムコトガ出來ナイ(「ソンナ事ヲ言フ者ヲ罰
シロト云フ案ダ」ト呼フ者アリ)仍テ平民的宗〓デアル所ノ
眞宗ニ歸依致シマシテ、親鸞ニ親シンデ、來世ノ樂土ニ憬レ
ルニ至リマシタル此心理狀態ニ想及ビマスルトキハ、私共ハ
坐ロニ一摘ノ淚ヲ禁ゼザル者デアリマス(拍手)世ノ中ノ人
ハ能ク申シマスル、先程モ水野內相デアリマシタカ、政府委
員デアリマシタカハ、部落ノ分散ニ努メテ居ルト云フコトヲ
申サレタ、所デ此部落ハ何故ニ然ラバ分散シナイノデアリマ
セウカ、分散スレバ部落民デアルカ何デアルカヽ知レナイノデ
アリマスルガ、併ナガラ部落民ノ分散ト云フコトハ、無雜作
ニハ出來ナイ事デアリマス、何トナレバ人トシテ其郷土ヲ愛
セザル者ハ無イ、其〓土ヲ愛スル者ガサウ容易ク自分ノ〓
土ヲ拾テヽ、他所ニ移住スルト云フコトハ中こ出來難イ事
デアリマス、又思切ッテ他所ニ入込ミマシテモ、其〓里ガ露ハ
レテ來マスルト、到ル處ニ於テ普通民ヨリ壓迫セラレ、排斥
セラレルノデアリマス、彼等ハ折角其懷カシイ〓里ヲ捨テヽ
知ラヌ他所ニ入込ミナガラ、依然トシテ壓迫セラレ、排斥セ
ラレルヨリハ、寧ロ其〓里ニ於テ、同族トノ親ミニ多少ナリ
トモ慰安ヲ得タイト云フ考ヲ持っテ居ルノデアリマス、此點ガ
部落民ガ容易ニ分散セザル一ツノ理由デアラウト私ハ思フ
ノデアリマス、ソレカラ又分散スルト云フコトニナリマスレバ、
彼等ハ先祖カラノ家モ、田地モ捨テ、新シキ土地ヲ求メテ移
轉スルト云フコトハ、一家ノ財政上カラモサウ容易ク出來
得ラレル事デハナイノデアリマス、是モ亦部落民ガ分散スレ
パ宜イノデアリマスガ、容易ニ分散スルコトノ出來ナイ點デ
アリマス、申ス迄モナク今日ハ法制ノ上ニ於テハ、何等特殊
ノ部落ナルモノヲ見テ居リマセヌ、法制ノ上ニ於テハ特殊部
落ハ見テ居ナイガ、併ナガラ部落民ガ如何ニ高等ノ學問ヲ
致シマシテモ、部落民ハ陸海軍ノ將校ニモ採用セラレナイ、
又部落民ハ高等官ニモ採用セラレナイノデアリマス、而シテ
彼等ハ結婚シテモ、又一般人ノ所ニ於テ商賣ヲ致シマシテ
モ、又學校ヤ會社ヤ工場ニ於テ職ヲ執リマシテモ、部落民ト
云フコトガ現レテ參リマスレバ、彼等ハ離別セラレ、絕交セラ
レ、馘首セラレ、友交ヲ拒絕セラレ、排斥セラレ、侮蔑セラレ
テ、血ト淚ヲ呑ンデ生活シテ居ルト云フコトハ、彼等ノ境遇
ニ同情ヲ寄スル者ノ齊シク皆知ッテ居ル所デアリマス、私ガ
此間水平社ノ代表者カラ聞ク所ニ依リマスレバ、伊勢ノ松
坂驛ニ於キマシテ、車夫ヲシテ居ル彼等部落ノ一人ガ、日々
地方新聞紙上ニ於テ怪シキ自殺、不思議ナル自殺ノ記事ノ
アル每ニ、書面デ問合セマシテ調査シタル結果、明治四十
五年カラ大正十年迄ノ統計ニ依リマスト、部落民ノ名ニ
依フテ、一箇年ニ二百名以上モ間接直接ニ彼等ハ殺サレテ
居ルト云フノデアリマス、故ニドンナニ差別無イ法令ガ出來
マシテモ、彼等ノ實際上ノ差別ガ取レナカッタナラバ、私ハソ
レハ何ニモナラナイト思フノデアリマス、故ニ彼等ハ折角解
放令ヲ喜ビマシテモ、ソレハ丁度崖ノ上ノ美シイ花ノ咲イテ居
ルノヲ手折ラントスルガ如キモノデアッテ其解放令ヤ法制ノ
上ニ差別ノ無イト云フ事ガ、彼等ノ實際ニ何等ノ效果ヲ與
ヘテ居ナイト云フコトヲ、私共ハ痛切ニ悲マザルヲ得ナイノデ
アリマス、彼等ハ間違クタ社會ノ爲ニ刄ヲ用キズシテ、將ニ命
ヲ絕タレヤウトシテ居ル、元來彼等部落民ハ一定ノ専門ノ
職業ヲ持ッテ居ッタノデアリマス、其專門ノ職業ハ皮革デアリ
マス、彼等ハ此一定ノ専門ノ職業ヲ持ッテ居ルガ爲ニ、一般
ノ人カラモ卑マレナガラモ相當ノ利益ヲ得テ居ッタ、所ガ此
頃ハ彼等ノ此專業ヲ普通民ニ依シテ奪ハレ、經濟的ニ壓迫
セラレテ來テ居ル、昔カラノ專業トセル皮革ノ如キ、今日デハ
大資本ヲ以テ經營セル大會社ガ、堂々ト彼等ノ專業トセル
皮革製造ニモ從事致シテ居ルノデアリマス、又彼等ノ專業
トシテ卑シメ來ラレル屠牛ノ如キデモ、今日ハ株式組織デ
以テヤッテ居ル所モ少カラヌノデアリマス、故ニ彼等ハ昔ナガ
ラノ商賣ハ、普通人ノ爲ニ益〓奪去ラレテ、而シテ普通人ト
同樣ナル商賣ヲ致シマシテモ、其素性ガ分リマスレバ彼等ハ
忽ニ侮辱セラレ、迫害セラルヽト云フ狀態ニ在ルノデアリマ
ズ(「簡單」「簡單」)質問ヂヤアリマセヌヨ、議長ガ何ト宣告シ
マシタ、御聞違ナサルナ(「餘計ナ事ヲ言フナ」「簡單」「簡單」
ト呼フ者アリ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=113
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114・松田源治
○副議長(松田源治君) 靜肅ニ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=114
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115・紫安新九郎
○紫安新九郞君(續) 彼等昔カラノ商賣ハ、段々普通人
ノ爲ニ取ラレル、而シテ他ノ商賣ヲシテモ流行ラナイ、人間ハ
ドン〓〓殖エテ行ク、稼イデモ貧乏ハ追付クト云フ狀態ニ在
ルノデアル、故ニ彼ノ特殊部落ニ對シテ改善シロ向上シロト
申シマシテモ、彼等ノ今日ノ境遇ガ容易ニ改善シ向上シ能
ハザル境遇ニ在ルト云フコトヲ私ハ深ク悲ム者デアリマス、
私ガ〓玆ニ賛成演說ヲ爲スニ付テモ、政友會ノ諸君ハ動モ
スレバ冷笑ヲ以テ御迎ニナリマスガ、私ハ是ハ人道上ノ問
題デアリ、思想上ノ問題デアリ、又社會上ノ問題デアッテ、是
ハ有ユル方面ニ影響ヲ持ッテ居ルノデアルカラ、此解決ニハ
極メテ重大ナル意義ヲ有ヲテ居ル問題ニシテ、最早一日モ之
ヲ等閑ニ付スベキモノデハナイト思フノデアリマス、申ス迄モ
ナク部落民ハ御同樣ニ日本人デアル、此世ノ中ニ生レ落チ
ルト、世界ノ人口ノ現在ノ數ニ一人ガ加ハルノデアル、彼等
ハ人間トシチ家庭ノ人、社會ノ人、國家ノ人、世界人類トシ
テ、ソコニ始メテ此世ニ生レタ意義ガアル、ソレカラ又翻ッテ
考ヘマスレバ、明治ノ初メ三百ノ諸侯ヲ廢シテ四民平等ノ
制度ヲ布キ、又帝國意法ヲ欽定シテ立憲政治ヲ施シタノ
モ、皆一視同仁ノ大御心ヨリ來レルモノデアル発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=115
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116・松田源治
○副議長(松田源治君) 定刻ガ近ヅキマシタカラ時間ヲ
延長致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=116
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117・紫安新九郎
○紫安新九郞君 又「ヴエルサイユ」ノ講和會議ニ於テ、帝
國全權ガ人種平等ノ主義ヲ確立スル案ヲ提出シタト云フ
コトモ、人種ニ對シテ總テ平等ナル觀念ヲ鼓吹シ主張スル
ガ爲ニ外ナラナイノデアル、今ヤ世界ニ於ケル日本ノ地位ハ
益〓重大ヲ加フルト同時ニ、外ニ對シテハ同胞心ヲ一ニシテ
國運ノ發展ヲ期セネバナラヌ、殊ニ七千万同胞ガ君臣一致
ノ〓體ヲ以テ誇リトスル帝國ニ於テ、一部ノ同胞ヲ疎外シ
所謂兄弟墻ニ閱グガ如キ狀態ノ存スルコトハ、外ノ侮ヲ防
ダ所以デハナイノデアル、我國ニ特殊ナル部落ノ存スルコト
ハ國家ノ疾忠デアッテ、人道ノ汚點デアル、文明ノ大瑕瑾ト
謂ハネバナラナイノデアル、凡ン人ノ生ヲ地上ニ享クルヤ、自
ラ自由ノ意識ガアッテ、貴族ニ生レルトカ、或ハ富豪ニ生レル
トカ、或ハ普通人ニ生レルトカ、或ハ特殊部落ニ生レルトカ
云フコトハナイ、宗〓家ヲシテ言ハシメタナラバ、種々ノ理窟
ハアラウガ、皆偶然ノ結果デアル卽チ人ハ生レナガラニシテ
平等デアルト云フコトハ爭フベカラザル事デアル、然ルニ彼
等部落民ハ生レ落ツルト同時ニ、一般社會ヨリ壓迫セラレ、
追害セラレ、虐ゲラレテ、無限ノ不平、無量ノ怨恨ヲ懷カシメ
ラレテ居ルノデアル、此點カラ考ヘテモ吾々ハ彼等ニ對シテ、
滿腔ノ同情ヲ濺ガナケレバナラヌ、明治天皇ハ天地神明
ニ誓ハセラレテ御發布アラセラレタル五箇條ノ御誓文中ニ、舊
來ノ陋習ヲ破リ天地ノ公道ニ基クヘシト仰セニナッテ居ルノ
デアル、私ハ千有餘年ノ間我國ニ此因襲ニ依ッテ、一般人ヨ
リ差別待遇セラレテ居ル部落ノ存シテ居ルコトヲ打破ルノ
ガ、正シク明治大帝ノ御誓文ニ仰セラレタル所ニ副ヒ奉ル
モノデアルト云フコトヲ信ズル者デアリマス(拍手)故ニ此千
有餘年來ノ陋習ヲ破ルガ爲ニハ、法律ノ力ヲ以テスルモ宜
シイ、又行政上ノ力ヲ以テスルモ宜シイ、私ハ有スル手段ヲ
以テ一般ノ國民ガ溫キ心ヲ以テ彼等ニ接近シテ、其名ヨリ
モ其實ノ擧ルヤウニ渾然融和ノ方法ヲ講ゼラレルコトヲ望ムト
云フ意味ヲ持チマシテ、本案ニ贊意ヲ表スル者デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=117
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118・高見之通
○高見之通君 本案ハ議長指名ヲ以テ九名ノ委員ニ付
託セラレンコトヲ望ミマス
〔「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=118
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119・松田源治
○副議長(松田源治君) 高見君ノ動議ニハ異議アリマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=119
-
120・松田源治
○副議長(松田源治君) 異議ナシト認メマス、依テ動議
ノ如ク決シマス、只今競馬法案竝ニ產業組合中央金庫法
案ノ兩案ガ、貴族院ヨリ回付サレマシタ、此際日程ヲ變更
シテ順次議題ト爲スニ異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=120
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121・松田源治
○副議長(松田源治君) 異議ナシト認メマス、依テ日程ハ
變更セラレマシタ、先ツ競馬法案ヲ議題ト致シマシテ、貴族
院回付ノ箇所ヲ朗讀致サセマス
〔田淵豊吉君「恣ニ日程ヲ變更シテ貰ッテハ困ル」
ト呼フ〕
競馬法案(貴族院囘付)
〔原田書記官朗讀〕
競馬法案中貴族院囘付ノ箇所左ノ如シ
第二條第一項ヲ左ノ如ク改ム
競馬ノ開催ハ年二回ヲ超ユルコトヲ得ス但シ主務大
臣ノ許可ヲ受ケタルトキハ年三回開催スルコトヲ得
第十六條第二號ノ次ニ左ノ一號ヲ加へ三號ヲ四號ニ四
號ヲ五號ニ改ム
三第五條第一項ニ揭クル者ニシテ勝馬投票劵ヲ購
買シタルモノ
附則ノ末尾ニ左ノ一項ヲ加フ
本法ニ依ル競馬ヲ行フ法人ノ數ハ當分ノ內十一以內
トス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=121
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122・横田千之助
○橫田千之助君 本案ニ對スル貴族院ノ修正ハ、曩ニ本
院ノ委員會ニ於テ屢〓質問應答ヲ重ネテ、射倖心ノ制壓ヲ
スルニ付テ十分ノ注意ヲシタ上ニ、更ニ一層細心ノ條項ヲ
入レタモノデアリマス、本案第四ハ本院ニ於テ討論サレタル
根本ノ精神ト何等抵觸シナイモノデアリマスカラ、貴族院ノ
修正ニ同意ノ意思ヲ表明致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=122
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123・松田源治
○副議長(松田源治君) 貴族院ノ修正ニ同意ヲスルニ異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=123
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124・松田源治
○副議長(松田源治君) 異議ナシト認メマス、仍テ貴族
院ノ修正ニ同意スルコトニ決シマシタ(拍手起ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=124
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125・松田源治
○副議長(松田源治君) 次ハ產業組合中央金庫法案、
貴族院ノ囘付ヲ議題ト致シマス、回付ノ箇所ヲ朗讀致サセ
マス
產業組合中央金庫法案(貴族院囘付)
〔原田書記官朗讀〕
產業組合中央金庫法案中貴族院囘付ノ箇所左ノ如シ
第十五條第二號中「產業組合聯合會」ノ下ニ「又ハ」ヲ
加へ「產業組合」ノ下「公共〓體其ノ他營利ヲ目的トセサ
ル法人」ヲ削ル
第十六條削除
第十七條ヲ第十六條ニ改ム
第十八條ヲ第十七條ニ改メ第三項中「登錄稅法」ノ上
ニ「所得稅法及」ヲ加フ
第十九條ヲ第十八條ニ改メ以下順次繰上ク発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=125
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126・松田源治
○副議長(松田源治君) 貴族院ノ修正ニ同意スルヤ否ヤ
ヲ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=126
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127・横田千之助
○橫田千之助君 本案ニ對スル貴族院ノ修正ハ、此法律
案ニアル所ノ產業組合中央·金庫ノ雙互組織ノ主義ヲ、衆
議院ノ規定ヨリモモット强メタモノデ、設立ノ當初ニ於テハ
資本金モ少額デアリマスカラ、貴族院ノ此修正ハ後日此法
律案カラ起ル中央金庫ノ發展ヲ待ッタ後ハ別問題デアリマ
スガ、創立ノ當初ニ於テハ貴族院ノ修正可ナルモノト私共
ハ信ジマス、此意味ニ於テ貴族院ノ修正ニ同意ヲ表シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=127
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128・松田源治
○副議長(松田源治君) 貴族院ノ修正ニ同意スルニ異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=128
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129・松田源治
○副議長(松田源治君) 異議ナシト認メマス、仍テ貴族
院ノ修正ニ同意ヲスルコトニ決シマシタ
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=129
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130・松田源治
○副議長(松田源治君) 日程第二十四、在支公使館ヲ
大使館ニ昇格スルコトニ關スル建議案ヲ議題ト致シマス、
提出者田淵豊吉君
第二十四在支公使館ヲ大使館ニ昇格ス
ルコトニ關スル建議案(田淵
豐吉君提出)
在支公使館ヲ大使館ニ昇格スルコトニ關スル建議案
在支公使館ヲ大使館ニ昇格スルコトニ關スル建議
日支ノ國交ハ益親善ヲ加フ政府ハ速ニ在支公使館ヲ大
使館ト爲シ有能ノ大使ヲ擧ケ以テ其ノ任ヲ完ウセシムへ
シ
右建議ス
〔田淵豊吉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=130
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131・田淵豐吉
○田潤豊吉君 暫クノ間御〓聽ヲ汚シマス、支那ハ御存
ジノ通リ非常ニ古イ文明國デアッテ、非常ナル大領土ヲ持
チ、非常ナル所ノ大人口ヲ持ヲテ居ル世界ノ一等國デアルト
私ハ思フノデゴザイマス、所ガ其內容ガ整ハヌ爲ニ、二等國、
三等國ノ扱ヲ受ケテ居リマスケレドモ、將來大ニ吾々ノ注目
シナケレバナラヌコトデアルト信ズルノデアリマス、御存ジノ通
リ日本ガ最モ關係ノ深イノハ支那デアッテ、或ハ露國、或ハ
英國、米國ト云フ、此四大強國ハ日本ト大ナル關係ヲ持ツ
國デアラウト私ハ思フ、然ルニ日本ガ此支那ニ對スル所ノ點
ニ付キマシテ、餘程關係ガ十分ニ重大デ無イト云フコトヲ
思フテ居ルト云フコトハ、大ナル誤デナイカト私ハ思フノデア
リマス、御存ジノ通リ露國ハ非常ニ長イ所ノ國境ヲ以テ支
那ト繫ガレテ居ルシ、又北滿ニ於テハ露國ト支那トノ間ニ於ケ
ル大ナル關係ガアル、又蒙古ニ於テ露國ト支那トノ大ナル關
係ガアル、西藏ニ於キマシテハ、英國ト或ル關係ヲ持ッテ居
ル、佛蘭西ニ於テハ支那ノ西南ニ於テ大ナル關係ヲ持ヲテ居
ル、日本ハ御存ジノ通リアノ朝鮮ト界ヲ接シテ居ル所ノ間
島ハ勿論、滿洲ノ全部、或ハ臺灣ニ於テ大ナル關係ヲ持ヲテ
居ルノデゴザイマス、故ニ日本ハ佛蘭西トカ、獨逸トカ、或ハ
伊太利トカ云フ國ヨリモ、支那ト云フ図ハ大ナル關係ヲ持ソ
テ居ルモノト私ハ確ク信ズルノデアリマス、所ガ日本ガ外國
へ大使ヲ出シテ居ル國ハ、或ハ英トカ、米トカ、獨トカ、佛トカ、
伊トカ云フ國ハ勿論、大戰後ニ於キマシテハ、外國ノ例ニ做
ヒマシテ白耳義迄モ大使ヲ出シテ居ル、更ニ進ンデハ此戰
後伯剌西爾迄モ日本ノ大使ヲ出シテ居ルト云フヤウナ狀
態デアリマス、而シテ土耳古ノ國ニ於キマシテハ、條約ガ回
復サレルナラバ-條約ガ旨ク出來マスナラパ、此土耳古ニ
於テモ大使ハ既ニ送ルヤウニ、今カラ大使格ノ者ヲ以テヤノ
テ居ル狀態デアルサウデアリマス、ソレカラ露國ガ承認サレヽ
バ露國ヘモ大使ヲ送ラナケレバナラヌ狀態ニナクテ居リマス、
又聞ク所ニ依リマスト云フト、彼ノ南米ノ「エー、ビー、シー
デアル所ノ亞爾然丁トカ、或ハ智利トカ、伯剌西爾トカ云フ
所ノ國ガ、相互ニ大使ヲ交換シテ居ルサウデアリマス、又更
ニ進ンデハ亞米利加合衆國ガ二等國三等國ト言ハレテ居
ル所ノ、彼ノ墨西哥ニ大使ヲ送ッテ居ルト云フ特殊的關係
ヲ持ノテ居ルサウデアリマス、然ルニ我ガ日本ハドウデアルカト云
フト、歐米カラハ最モ關係ノ深イ所ノ彼ノ伯刺西爾トカ、或
ハ白耳義トカ云フヤウナ、日本ト關係ノ少イ國ニマデ大使ヲ
出シテ居ルノニ、日本ト最モ密接ノ關係ヲ有シテ居ル支那
ニ大使ヲ出シテ居ナイト云フコトハ、吾々ノ解スルコトノ出
來ナイ點デアルノデアリマス、反對論者或ハ言フ-反對論
デハナイカモ知レヌガ、反對的ニ見エル、支那ノ財政ガ惡イカ
ラ、支那デハ日本ナドヘ大使館ヲ設置スルノハ費用ガ掛ルカ
ラ、却テ好マヌノデハナイカ知ラヌト言ハレテ居ル、併ナガラ
私ハ是ハ重大ナル問題デハナイト思フノデゴザイマス、又二
十一箇條ノヤウナモノガ支那カラ出サレテ居ル時ニ當リマシ
テ之ヲ爲スト云フコトハ、其時期ヲ得ナイカライケナイト云
フヤウナコトヲ言ハレテ居ル、詰リ今日遺ッテ居ル所ノ者ヲ變
ヘテ大使ヲ派遣スルト一云フコトハ、或ル適當ナル所ノ時機ヲ
選バナケレバナラヌト云フノデアリマス、併ナガラ私ハサウ云
フヤウナ時ヲ得ナクテモ、十分ニ今日ヤッテモ私ハ宜カラウル
思フノデゴザイマス、然ルニ政府ハ彼ノ羅馬法王廳ニ使節ヲ
派遣スルコトニ付テノ豫算ニ計上サレタノデアリマス、諸君
モ御存シノ通リ此外交官ヲ派遣スルノハ、或ハ觀察報告ヲ
求ムルトカ、或ハ又吾々日本人ノ外國ニ行ッテ居ル所ノ者ヲ
保護スル役目ヲスルトカ、或ハ雨國ノ交涉ニ當ルト云フヤウ
ナ事ガ三ツノ三大任務トシテ數ヘラレテ居ル、然ルニ此羅馬
法王廳ニハ殆ド報告ヲ取ルトカ、或ハ觀察ヲ致スノニ便宜
デアルトカ云フコトガ、派遣ノ理由ノ重大ナルモノトシテ唱ヘ
ラレテ居リ、第二ノ小サイ理由ハ卽チ好感ヲ以テ法王廳ト
接スルト云フコトガ、卽チ任務トナッテ居ッタラシイノデ、三大
任務中ノ交涉或ハ國民ヲ保護スルノ任務ノ必要カ無イト
思ハレルヤウナ事ニサヘモ、使節ヲ出サウト云フコトヲ言ハレ
タデハナイカ、私ハ此羅馬法王廳ヘハ絕對的ニ出セナイト云
フノデアルカナイカ知ラナイ、併ナガラ現在ハ十分ニ必要ガナ
イト云フコトヲ皆認メテ反對サレタヤウデゴザイマス、然ルニ
私ハ支那ノ關係ハ全ク是等ト違クテ居ルト思フノデゴザイマ
ヌ、御存知ノ通リ支那ニハ非常ニ大キナ幾多ノ領事館總領
事館ガアルノデゴザイマス、或ハ滿鐵會社ガアッテ非常ナル權
利ヲ振フテ居ルノデアリマス、或ハ關東廳ガ或ル權利ヲ有シテ
居ルノデゴザイマス、或ハ又日本ノ陸軍ノ駐屯等ニ依クテ生
ズル所ノ陸軍ノ關係ガアリ、外交ノ關係ガアルト云フヤウナ
コトデ、三重ニモ、四重ニモ、五重ニモ入込ンダ所ノ大ナル關
係ヲ持ッテ居ルノデゴザイマス、而シテ我ガ日本ノ原料ト云フ
モノハ、綿デモ豆デモ支那カラ持ッテ來ナケレバイケナイト云
フヤウナ狀態デアル、又我ガ日本ノ製品ヲ支那ニ賣ラナケレ
バナラヌト云フ經濟的立場ヲ持テ居リマス、或ハ軍事上カラ
言ッテモ、支那ガ日本ニ對シテ重大ナル援助ヲ受クル國ニナ
ルカモ知レヌノデゴザイマス、或ハ又文化上ニ於テモ、學問
上ニ於キマシテモ、支那ト非常ナ交渉ヲ持タナケレバナラヌ
ヤウニナルカモ知レヌ、後來サウ云フコトニナッテ來ルト思フノデ
ゴザイマス、日本ト支那トハ非常ナル所ノ複雜ナル關係ヲ有ッ
テ居ル、軍事上、外交上、政法上、或ハ社會上、或ハ倫理道
德上、宗〓上ニ於テモ密接ナル關係ヲ持っテ居ル、日本ト支
那トハ千三百年以前ニ聖德太子ガ隋ニ使節ヲ送クタ時カラ
今日マデ、非常ナル所ノ密接ナル關係ヲ持クテ來タノデゴザ
イマス、而シテ我ガ日本ノ外交家ノ遣方ヲ見マスルノニ、少
シモ支那ノ事情ヲ知ラナイ、支那ノ政黨ト云フモノハドウ
云フ風ニナッテ居ルノカ、如何ナル「コンピネーシヨン」ニ依ッテ
軍閥ガアルノデアルカ、政治閥ガアルノデアルカ、各〓ノ政治
家ノ頭ガドウ云フ頭ヲ持ッテ居ルカト云フヤウナコトヲ十分
知ラナイ、或ハ事業ノ報告モ十分ニ知ラナイカラ、借款ヤ何
カニ對シテ非常ナル過ヲ生ジテ居ルト云フコトガアル、報告
ガ非常ニ區々デアッテ、觀察ガ機敏デナイト云フ大ナル失敗
ガアル、日本ハ滿洲ナリ山東ナリニ行ヲテ居ル日本ノ人民ヲ
保護スルコトヲ知ラナイデ、色ニナ失態ヲ演ジテ居ル、或ハ交
涉スル場合デモ、今囘ノ山東ノ交涉デモ、最初ニ持ヲテ行ッタ
モノト、最後ニ得タ結果トノ間ニハ非常ニ軒軽ガアッテ慚愧
ニ堪ヘナイト云フコトヲ、北京ニ於テ交涉ニ當っ夕日本ノ或
ル役人ガ言ハレテ居ッタノデゴザイマス、サウ云云ヤウナ工合
デ其觀察報告ニ於テモ誤リガアリ、國民ノ保護ニ於テモ任
務ヲ盡サズ、交涉ニ於テモ十分ニ交涉スルコトガ出來ナイ、
又今回ノ二十一箇條ノ事ガ問題ニナルカドウカ知リマセヌ
ガ、伊集院氏ヲシテ關東廳ノ長官タラシメタト云フコトハ、
此樣ナ問題ニ備フル爲ニヤッタノデハナイカト云フコトヲ吾々
ハ疑ハザルヲ得ナイ狀態デアリマス、詰リ色〓ノ寄木細工デ
ゴッタ返シテ居ルト云フコトハ、私ハ支那ノ現狀デハナイカト
思フノデアリマス、斯ウ云フヤウナ非常ニ重大ナル關係ヲ持ッ
テ居ルヤウナ支那デゴザイマス、又支那人ヲモ吾々ハ何百万
人ト臺灣ニ有"テ居ル、朝鮮人ガ又吉林省方面へ何百万人
行クヤウニナルト云フ、非常ナル移住ガ起ラヌトモ限ラヌ、又
支那人ガ日本領土ニ來ヌトモ限ラヌト云フヤウナ、斯ウ云フ
ヤウナ狀態ニ際シテ、今ノヤウナ外交家デハ、到底私ハ我日
本ノ前途ヲ託スルコトハ出來ナイト思ヒマス、卽チ斯ノ如キ
重大ナル關係ガアルノデアリマスカラ、日本デハ斯樣ナ人ハ
無イカモ知レマセヌケレドモ、彼ノ比斯馬克ガ外國ニ使シタ
如キ、政治家デ同時ニ外交家デアル所ノ一流ノ人物ヲ-總
理大臣級ノ人物ヲ以テ、支那ニ對スル外交ノ使臣トシテ送ル
ト云フコトハ、日本帝國ノ最モ必要ナル事ト私ハ斷言スルノデ
アリマス、然ルニ日本ノ政治家ニハ此頭ガ無イ、內田外相ノ
下ニ唯〓諾々トシテ使ハレルヤウナ人ヤ、或ハ又木デ鼻ヲ括ク
タヤウナ人ガ北京ニ居ルト云フヤウナ狀態デ、如何ニシテ日
支ノ親善ガ出來ルカト思ヒマス、或ハ公使ノ見習ノヤウナ者
デアッテ、伯剌西爾ヤ亞爾然丁ニ行クヤウナ人ヲ以テ支那ニ
送ルノハ非常ナル誤リデ、支那ヲ侮辱シタルモノデアルト思
フ、支那ニ使スル人ハ一等國ニ使スルヤウナ最モ眞面目ナ、
總テノ見識ヲ具ヘテ、人情モ法律モ知ッテ居クテ、外國ノ英米
ノ大使ト樽俎ノ間ニ折衝シテ、少シモ負ケナイト云フ人物
ヲ遺ラナケレバナラヌト思ヒマス、諸君ガ議院內デ外交ノ決
議ヲ爲サァテ居クテモ、出先デ報告ガ誤ッテ來タリ、政策ニ於テ
爲ス所ガ誤ヲテ居ッタナラバ、何等ノ效力モ無イト思ヒマス、
先ヅ斯ウ云フ所ニ最モ目星シイ所ノ人物ヲ送ラナケレバナ
ラヌ、過日聞イタノデアリマスガ、「マンパワー」卽チ人物ノ力
ト云フコトヲ高調サレタ人ガアリマシタ、英米佛ト云フヤウ
ナ間ニ日本人ガ這入っテ交ル場合ニハ、其一人ノ人ガ偉イカ
偉クナイカト云フコトニ依テ、非常ナル影響ガアルト云フコ
トヲ聞イタノデアリマス、殊ニ現在ハ恰モ植民地ノヤウニゴッ
タ返シテ居ル、支那ニ於テハ一層其感ガ甚シクハナイカト
思フ、故ニ吾々ハ支那公使ヲ十分ニ選擇シマシテ、有能ナル
公使ヲ定ルト云フコトガ吾々ノ眼目デアリマス、然ラバ有能
ナル公使ヲ送レバソレバ宜イデハナイカト云フ、ソレデ宜イカモ
知レヌケレドモ、支那ノ國ヲ尊敬スルト云フヤウナ意味カラ
言ヒマシテモ、亦日本ガ是等ノ人ニ-十分ナル一等ノ人ヲ
其職ニ居ラシムルノニハ、ソレダケノ尊敬ヲ拂フテ、物質上、精
神上其任務ヲ全ウセシムルコトガ必要デアル、又設備及其
他ノ金額及地位ニ於キマシテモ、適當ナルモノヲ與ヘルト云
フコトガ最モ完全ナル活動ニ便利デアルト私ハ信ズルノデア
リマス、今ヤ支那ハ二十一箇條ノ問題ニ付テ或一部ノ與論
ガ起ヲテ居ル、或ハ治外法權撤去ノ問題ガ來ルデアラウ、其
他續々色ヒナ問題ガ出來テ、外交上ノミナラズ、經濟上ノ
大問題ガ玆ニ起ッテ來ルト私ハ思フ、斯ウ云フヤウナ場合ニ、
啻ニ外交上ノ政策ノミナラス政治上、經濟上ニ大經綸ヲ持ッ
テ居ル所ノ人ヲ此支那ニ派シテ遣ルコトハ最モ緊要適切
ダト思ヒマスカラ、一日モ早ク此公使館ヲ大使館ト爲シ、有
爲ノ人物ヲ任ジ、以テ日支ノ親善提携ノ爲ニ資スルト云フ
コトハ日支兩國ノ利益デアルト思フ、是レ此建議案ヲ提出
シタ所以デアリマス、諸君ノ御賛成アランコトヲ希望致ス次
第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=131
-
132・高見之通
○高見之通君 本案ハ阪上貞信君外四名提出殖民政
策確立ニ關スル建議案外十三件ノ委員ニ併セ付託セラレ
ンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=132
-
133・松田源治
○副議長(松田源治君) 高見君ノ動議ニハ異議アリマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=133
-
134・松田源治
○副議長(松田源治君) 異議ナシト認メマス、仍テ動議ノ
如ク決シマス-日程第二十五、三浦半島一週鐵道敷設
ニ關スル建議案ヲ議題ト致シマス、提出者小泉又次郞君
第二十五三浦半島一週鐵道敷設ニ關ス
ル建議案(田川平三郞君外三
名提出)
三浦半島一週鐵道敷設ニ關スル建議案
三浦半島一週鐵道敷設ニ關スル建議
横須賀ヨリ浦賀三嶋ヲ經テ三浦半島ヲ一週スル鐵道
右鐵道線中横須賀ヨリ浦賀ニ至ル六哩間ノ建設ハ多
年ノ懸案ニシテ政府モ既ニ豫定線中ニ編入シ其ノ速成
ハ國防上產業上最急要務タルヲ以テ一日モ速ニ之カ敷設
ニ著手セラレムコトヲ望ム又三崎港ハ縣下唯一ノ漁港トシ
テ物資ノ呑吐口トシテ近年著シク膨脹發展シ現ニ國庫
ノ補助ヲ得テ築港ニ著手シツツアリ殊ニ三浦半島ハ風
光明媚ニシテ都人〓遊ノ地ニ適スルヲ以テ來往織ルカ
如ク其ノ交通機關タル循環鐵道ノ設計ハ一日ヲ緩ウス
ル能ハサルモノアリト認ム依テ政府ハ速ニ之カ敷設ヲ計
ラレムコトヲ望ム
右建議ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=134
-
135・高見之通
○高見之通君 本案ハ提出者ノ說明ヲ省略シ、下出民義
君外二名提出地方鐵道法中改正法律案ノ委員ニ併セ付
託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=135
-
136・松田源治
○副議長(松田源治君) 高見君ノ動議ニハ異議アリマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=136
-
137・松田源治
○副議長(松田源治君) 異議ナシト認メマス、仍テ動議ノ
如ク決シマス、日程第二十六、私設社會事業經營者補助
ニ關スル建議案ヲ議題ト致シマス、提出者木村權右衞門
君
第二十六私設社會事業經營者葡助ニ關
スル建議索(木村權右衞門君
提出)
私設社會事業經營者補助ニ關スル建議案
私設社會事業經營者補助ニ關スル建議
政府ハ私設社會事業經營者ニ補助金ヲ下付シ其ノ事
業ノ目的ヲ大成セシメラレムコトヲ望ム
右建議ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=137
-
138・木村權右衞門
○木村權右衛門君 簡單デアリマスカラ此席カラ御許シ
ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=138
-
139・松田源治
○副議長(松田源治君) 許シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=139
-
140・木村權右衞門
○木村權右衞門君 本案ハ大正十年、十一年度ノ各年
度ニ於キマシテ全國ノ社會事業奬勵ノ思召ヲ以チマシテ御
下賜金ノアッタコトハ、當田社社事事業者ガ草木ノ雨露ノ惠
ヲ得タルガ如キ思ヲ致シテ、皇室ニ於カセラレマシテ、斯ク迄
吾々人民ノ生活上ニ御軫念アラセラルヽト云フコトニ感泣
致シマシタ、一般社會人ガ社會公共心ヲ大ニ助長致シマシ
タコトハ、吾々ノ最モ感激ニ堪ヘナイ次第デアリマス、殊ニ近
年内務司法雨省ヨリモ社會事業ヲ督勵サレマシタ結果、各
府縣ニ於キマシテモ、其事業ヲ起シマシタル公共〓體ヲ援
助セラレツヽアルコトハ、洵ニ時宜ニ適シタコトヽ信ジマス、
故ニ近時公共團體ガ各種ノ社會事業ヲ經營致シマスル所
ノ氣運モ亦大ニ進ンダノデアリマス、之ハ政府ノ指導ノ宜シ
キニ依リマスルモノモ亦多イヤウデアリマスルガ、私人ノ施設
ニ於キマシテ力ガ足リナイ爲ニ、之ハ公共〓體ノ力ヲ藉ルモ
ノモ亦多イヤウデアリマス、現下ノ時勢ニ鑑ミマシテ、最モ必
要ナ施設デアルト思ヒマスカラ、其力ヲ大ニ增サナケレバナ
ラヌト思ヒマス、是ニ於キマシテ政府モ今回社會事業基金
特別會計法案ヲ御提出ニナリマシテ、益〓事業ノ大成ヲ期
セラルヽ點ニ於キマシテハ、大ニ賛成ヲ表スルモノデアリマス、
併ナガラ從前ヨリ私人ト致シマシテ社會事業ニ從事セラレ
ル者ノ中ニモ、是等ノ公共團體ノ社會事業ガ進展致シマシ
タル結果、其事業ノ困難ガ一層困難ヲ加ヘタ事實ガアリマ
ス、固ヨリ社會事業者ノ經營難ト困苦缺乏トハ、事業其モノ
ノ定著物デアリマシテ、今更事業者ガ之ニ對シテ意ニ介シテ
居ル者ハアリマセヌガ、多年國家ノ爲メ此事業ト困難トニ奮
鬪シツヽアル社會事業家モ、亦等閑ニ付スベキモノニアラズ
ト私ハ存ジマス、宜シク國家ハ相當ノ同情ト援助ヲ與ヘラ
レマシテ、其素志ヲ貫徹サセルコトガ社會政策ノ一端カト存
ジマス故ニ、政府ハ今後ニ於キマシテ著實ナル私設社會事
業者ニ對シテハ、從來ヨリ以上ノ補助ヲ御與へニナリマシ
テ、其事業ノ目的ヲ達成セシメラレンコトヲ望ムモノデアリマ
ス、ドウカ諸君ニ於カセラレマシテモ本案ニ御賛成ヲ願ヒマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=140
-
141・高見之通
○高見之通君 本案ハ政府提出社會事業基金特別會
計法案ノ委員ニ併セ付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=141
-
142・松田源治
○副議長(松田源治君) 高見君ノ動議ニハ異議アリマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=142
-
143・松田源治
○副議長(松田源治君) 異議ナシト認メマス、仍テ動議ノ
如ク決シマス、日程第二十七、明治神宮聖德記念繪畫館
ニ關スル建議案ヲ議題ト致シマス、提出者砂田重政君
第二十七明治神宮聖德記念繪畫館ニ關
スル建議案(荒川五郞君外二
名提出)
明治神宮聖德記念繪畫館ニ關スル建議案
明治神宮聖德記念繪畫館ニ關スル建議
明治神宮奉賛會ハ神宮外苑内ニ聖德記念繪畫館ヲ設
立スルノ議ヲ決シ之カ經費ヲ一般國民ニ募リ今ヤ其ノ
工事ハ著々進捗シツツアリ是レ洵ニ明治天皇ノ聖德
ヲ奉頌シ其ノ治績ヲ不朽ニ傳フルノ美擧ニシテ宜シク官
民協同ノ力ヲ以テ其ノ大成ヲ期セサルヘカラス然ルニ同
會ノ事業及聖德記念方法ニ關シ端ナク物論ヲ醸シ延テ
美術界及一般識者間ノ問題トナリ絕好ノ美擧或ハ將ニ
聖德ヲ冒瀆スルニ終ラムトスルノ情態ニ在ルハ眞ニ遺憾
ニ堪ヘサル所ナリ故ニ政府ハ此ノ際嚴ニ同會ヲ監視戒
飭シ之ヲシテ當初設立ノ趣旨ニ悖ルコトナカラシメ官民
一致以テ此ノ美擧ノ大成ニ資セラレムコトヲ望ム
右建議ス
〔砂田重政君登壇」発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=143
-
144・砂田重政
○砂田重政君 本案ハ各派聯合ノ提案デアリマシテ、極
メテ簡單ニ其趣旨ヲ辯明致シタイト思ヒマス、明治神宮拳
齋會ハ明治天皇ノ御治績ヲ不朽ニ記念致シマスル爲ニ、
其外苑内ニ聖德記念繪畫館ヲ建設スルコトニ決定ヲ致シ
其經費ヲ一般國民ヨリ募集ヲ致シマシテ、約七百万圓ヲ金
ヲ以テ今ヤ其工事ハ著々トシテ進捗シツヽアルノデアリマス、
然ルニ此繪畫館ハ御治績中ヨリ畫題八十點ヲ選ヒ出シマ
シテ、和洋兩畫ニ依リマシテ壁畫ヲ描寫スルコトニ相成ッタ
ノミナラズ、既ニ數名ノ人こニ委嘱致シマシテ、他ノ人とニ
對シテモ其交涉中ニアルノデアリマス、然ルニ其際全國ニ於
ケル有力ナル日本畫家ノ團體ノ反對ヲ受ケマシテ、今日ハ
最モ其輿論ノ喧シキ時代ニナッテ居ルノデアリマス、元來御
治績ニ對スル壁畫ノ製作ハ頗ル重大ナルモノデアリマシテ、
一步ヲ誤レバ延イテ御聖德ヲ永遠ニ冒瀆シ奉リ、他面ニハ
明治大正ノ文化ヲ後世ニ誤ラシムルノ結果ニ陷ルモノデア
リマス、奉齋會ハ其計畫ノ當初ニ於キマシテ、廣ク斯道ノ專
門家ノ人〓ニ之ヲ諮フテ十分ノ熟議ヲ遂ゲ、十分愼重ナル
態度ヲ以テ此計畫ヲ進行スベキ筈デアリマスルニ拘ラズ、單
ニ當事者間ニ於キマシテ輕〓ニ之ヲ所斷致シマシタ結果、
遂ニ〓日ノ如ク輿論ノ沸騰ヲ來シ、美術界ノ反抗ヲ招クニ
至ッタモノト思ハレルノデアリマス、殊ニ此壁畫ハ萬一低劣
ナルモノヲ作リ上ゲマスルナラバ、必ズヤ幾多ノ壁畫ノ間ニ
不統一ヲ來シ、混亂ヲ來シ、却テ御聖德ヲ員濱シ奉ル虞ガ
アルノデアリマス、申ス迄モナク今日ノ美術界ニ於ケル所謂
美術ノ眞髓ハ、唯〓其表ニ現ハレタル繪畫ノ方面/外ニ、各、
其美術家ノ精神的ノ表現ト云フコトガ土臺ニナルノデアリ
マス、然ルニ萬一其人ニシテ適當ナ人ヲ得ナイ場合ニ於テハ
ハ、各〓異ナリタル表現ノ下ニ一ツノ室内ニ於テ幾多ノ變化
シタル陛下ノ御尊影迄モ揭ゲルト云フコトハ、是ハ非常ナル
危險ヲ齎ラスモノト思ハレルノデアリマス、又壁畫ヲ以テ御
治績ヲ表現セントスルニハ和洋兩面共ニ其材料ニ付キマシ
テモ、其保存ノ上ニ於キマシテモ、一大難事ガアルノデアリマ
ス、又八十ノ畫題ノ中ニ於テ殊ニ戰役ニ關係スルモノガ多
數ヲ占メテ居リマスルコトハ、今日平和ヲ尊ムペキ場合ニ於テ
甚シク矛盾セル行爲デアリマシテ、我國ヲシテ好戰國民タル
ノ感アラシムルノ虞ガアルノデアリマス、殊ニ大帝ノ御治績
ハ恰モ軍國的ノ御經綸ト其御英姿ノミニ依ッテ居ルカノ如
キ感ヲ起サシムルノ虞アリト云フコトハ、内外思想上ニ頗ル
惡結果ヲ生ズルノミナラズ、陛下ノ御治績ニ對シテ恐懼ニ
堪ヘナイ次第デアルト考ヘルノデアリマス、奉賛會ノ事業ヲ
此儘ニシテ進行セシメマスルノハ-國民ノ經營ガ此儘ニ
進行致シマスルノハ、折角國民ノ熱誠ヲ以テ此事業ヲヤリ
掛ケタニ拘ラズ、遂ニ失敗ニ了ラシムル虞ガアルノデアリマス、
卽チ此賛意ニ依ッテ少クトモ政府當局ハ、此際嚴ニ同會ノ
計畫ニ對シテ、監視戒飭ヲ加ヘテ、更ニ國家トシテモ相當ノ
力ヲ之ニ注イデ、聖德ヲ崇メ民意ヲ表現スベク完全ナル記
念館ヲ建設スル事ヲ圖ルト云フコトガ、此際最モ國民ノ希
望ニ一致スルコトヽ考へマシテ、卽チ本案ヲ提出シタ次第デ
アリマス、希クバ御賛成アランコトヲ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=144
-
145・高見之通
○高見之通君 本案ハ齋藤鷲次郞君提出猿投神社昇
格ニ關スル建議案外二件ノ委員ニ、併セテ付託セラレンコ
トヲ望ミマス
〔「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=145
-
146・松田源治
○副議長(松田源治君) 高見君ノ動議ニ異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=146
-
147・松田源治
○副議長(松田源治君) 高見君ノ動議ニ異議ナシト認メ
マス、依テ動議ノ如ク決シマシク、日程第二十八石炭及含
油頁岩低溫乾餾事業振興ニ關スル建議案ヲ議題ト致シ
マテ、宮古啓三郞君
第二十八石炭及否油頁岩低溫乾餾事業
振興ニ關スル建議案(宮古啓
三郞君外十二名提出)
石炭及含油頁岩低溫乾餾事業振興ニ關スル建議案
石炭及含油頁岩低溫乾餾事業振興ニ關スル建議
石炭低溫乾餾法ハ低溫ヲ以テ石炭ヲ燻灼シ瓦斯、重
油、「コーライト」等(又硫酸安母尼亞其ノ他ノ副產物)ヲ
生產スル方法ニシテ瓦斯ハ以テ普通燃料ニ用ウヘク重油
ハ以テ軍艦其ノ他ノ動力ヲ起スヘク「コーライト」ハ以テ
木炭代用ニ供スヘシ又石炭ヲ燻灼シテ悉ク瓦斯化セシ
メ之ヲ燃料トシテ電氣ヲ起サハ水力電氣ヨリモ廉價ニ電
力ヲ供給スルコトヲ得へシ面シテ石炭ニ代フルニ褐炭、亞
炭、泥炭等ヲ以テスルモ其ノ效用何等差異アルコトナク
褐炭、亞炭、泥炭等ハ我カ邦領土ニ無限ニ存在スルヲ以
テ之ヲ用井テ瓦斯、重油、「コーライト」、電氣等ヲ無限ニ
生產スルコトヲ得ヘシ又此ノ方法ヲ含油頁岩ニ對シテ施
サハ一層多量ニ重油ヲ生產スルコトヲ得ヘシ而シテ含油
頁岩ハ朝鮮及支那ニ無限ニ存在セリ今ヤ此ノ二樣ノ低
溫乾餾ハ〓究ノ時代ヲ去テ實行ノ時期ニ達シ燃料界ニ
一大革命ヲ來サムトス天然ノ燃料ニ天惠薄キ我カ邦ト
シテハ燃料問題ノ對策トシテ大々的ニ此ノ大事業ヲ起サ
サルヘカラサルヤ論ヲ俟タス依テ政府ハ速ニ國立ノ石炭
及含油頁岩ノ低溫乾餾工業所ヲ設立スルカ又ハ民間ニ
於テ起シタル一大會社ニ對シ此ノ事業ニ從事セシメ低
利資金ノ融通、國庫ノ補助若ハ其ノ他ノ方法ヲ以テ大
ニ之ヲ助成スヘシ
右建議ス
〔宮古啓三郞登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=147
-
148・宮古啓三郎
○宮古啓三郞君 今期切迫ノ今日デゴザイマスカラ、提案
ノ理由ノ詳細ハ之ヲ委員會ニ讓リマシテ、此處デハ述ベマセ
ヌ、要スルニ石炭、褐炭、亞炭、ンレカラ泥炭、ンレカラ含油頁
岩、是等ノ低溫乾餾法ト云フモノハ、今日ハ既ニ最早研
究ノ時代ヲ去ッテ實行ノ時期ニ入ッテ居ルノデアリマス、之ニ
依リマシテ我ガ日本ニ最モ必要デアル所ノ重油、ソレカラ輕
油、揮發油、瓦斯、ソレカラ木炭代用ノ「コーライト」等ヲ無
限ニ生產スルコトガ出來ルノデアリマス、又此瓦斯ヲ燃料ニ
致シマシテ電氣ヲ起スト云フト、電氣ヲ極ク廉價ニ供給スル
コトガ出來ルノデアリマス、サウ云フ譯デアリマスカラ今ヤ
今日ヘ燃料界二一大革命ヲ來サントシツヽアルノデアリマ
ス、併ナガラえン新事業ナルモノハ國家ニ於キマシテ其範ヲ
〓シ、若クハ十分ニ保護獎勵スルデナケレバ、其發達ト云フ
モノハ容易デナイト云フコトハ申ス迄モアリマセヌカラ、ソレ
デ此案ヲ提出致シマシク次第デアリマス、何卒御賛成ヲ願
ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=148
-
149・高見之通
○高見之通君 本案ハ秦豐助君外七名提出、電力政策
實施ニ關スル建議案外三件ノ委員ニ、併セ付託セラレンコ
トヲ望ミマヌ
〔「賛成」「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=149
-
150・松田源治
○副議長(松田源治君) 高見君ノ動議ニ御異議アリマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=150
-
151・松田源治
○副議長(松田源治君) 異議ナシト認メマス、仍テ動議ノ
如ク決シマス日程第二十九、矢部川改修工事ニ關スル建
議案ヲ議題ト致シマス
第二十九矢部川改修工事ニ關スル建議
案(吉原正隆君外一名提出)
矢部川改修工事ニ關スル建議案
矢部川改修工事ニ關スル建議
政府ハ河川改修第二期線ニ編人セラレタル福岡縣下矢
部川改修工事費ヲ速ニ豫算ニ計上シ以テ起工ニ著手セ
ラレムコトヲ望ム
右建議ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=151
-
152・高見之通
○高見之通君 本案ハ提案者ノ說明ヲ省略シ、本多貞次
郞君外三名提出河川法中改正法律案ノ委員ニ併セ付託
セラレンコトヲ望ミマス
〔「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=152
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153・松田源治
○副議長(松田源治君) 高見君ノ動議ニ異議アリマセヌ
カ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=153
-
154・松田源治
○副議長(松田源治君) 異議ナシト認メマス、仍テ動議ノ
如ク決シマシタ、日程第三十、大野川改修速成ニ關スル建
議案ヲ議題ト致シマス、提出者金光庸夫君
第三十大野川改修速成ニ關スル建議案
(金光庸夫君外二名提出)
大野川改修速成ニ關スル建議案
大野川改修速成ニ關スル建議
大分縣大野川ハ直入、大野、大分、北海部ノ四郡ヲ貫流
スル大川ニシテ沿岸町村頻年水害ヲ被リ就中其ノ下流
ニ於テハ洪水每ニ氾濫シ堤防道路ノ破壊、橋梁ノ流失、
家屋農產物人畜ノ被害激甚ニシテ其ノ慘害實ニ名狀ス
ヘカラス之カ改修ハ焦眉ノ急務ナリト認ムルヲ以テ政府
ハ速ニ實地調査ノ歩ヲ進メ改修工事速成ノ擧ニ出テラ
レムコトヲ望ム
右建議ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=154
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155・高見之通
○高見之通君 本案ハ提案者ノ說明ヲ省略シ、本多貞次
郞君外三君提出、河川法中改正法律案外一件ノ委員ニ、
併セ付託セラレンコトヲ望ミマス
〔「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=155
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156・松田源治
○副議長(松田源治君) 高見君ノ動議ニ異議アリマセヌ
カ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=156
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157・松田源治
○副議長(松田源治君) 異議ナシト認メマス、仍テ動議
ノ如ク決シマシタ、一日程第三十一陸軍除隊兵ニ對シ軍服
支給ニ關スル建議案ヲ議題ト致シマス、提出者吉良元夫
君
第三十一陸軍除隊兵ニ對シ軍服支給ニ
關スル建議案(木村〓三郞君
外六名提出)
陸軍除隊兵ニ對シ軍服支給ニ關スル建議案
陸軍除隊兵ニ對シ軍服支給ニ關スル建議
陸軍除隊兵ニ對シ軍服ヲ支給スルコトハ在〓軍人ノ軍
人精神維持ノ上ニ於テ好結果アルノミナラス國民思想
上有形無形ニ其ノ影響スルトコロ甚タ大ナルニ拘ラス政
府ハ國費節減ノ故ヲ以テ大正十二年度ヨリ之カ支給ヲ
廢止スルコトニ決定セラレタリ斯クテハ在〓軍人ノ精神
上多大ナル惡結果ヲ齋スモノト認ム依テ政府ハ速ニ陸
軍除隊兵ニ對シ軍服支給ニ關スル適當ノ方法ヲ講セラ
レムコトヲ望ム
右建議ス
〔吉良元夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=157
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158・吉良元夫
○吉良元夫君 諸君ガ最早極メテ御疲勞デアリマスルノ
ニ、私ガ此處ニ登壇ヲ致シマシテ「慚愧スル者デアリマス、併
ナガラ是ハ御土產案デハナイノデス、ソレデ私ハ十分間ダケ
諸君ノ御忍ビヲ願ヒタイト思ヒマス、(「謹聽」「御土產案ト云
フ案ハナイヨ」ト呼フ者アリ)御土產案デハアリマセヌ、此陸軍
除隊兵ニ對シ軍服ヲ支給スルト云フコトハ、囘顯致シテ見
マスルト、此追加豫算デ以テ大正九年ニ始メタ仕事デゴザ
イマス、是ハ諸君モ御存ジノ如ク此除隊兵ト云フ人方ハ陸
軍ノ最モ水平線ニ在ラレル人デアリマシテ、我等ノ〓黨隣
閭ニ於テ帝國ヲ護ル所ノ兵役ノ義務ヲ負ウテ出テ居ル人
ニ對シテ、除隊ノ際ニ僅ニ軍服一著ヲ支給サレルト云フコ
トデアリマスノデアリマスルガ、此僅カナ軍服一著位ドウデモ
宜イト云フヤウナ議論ガアリマスルケレドモガ、是ニ於テ私ハ
僅カ十分間デモ拜借セザルヲ得ヌノデアリマス、諸君如何デ
ゴザイマセウ、昨年此壇上ニ於キマシテ我國ノ最モ理想政
治家デアル所ノ大政治家トシテ天下ノ人ガ極メテ崇敬シテ
居ルデアリマセウ、犬養穀君モ軍備縮小案ト云フモノヲ御
提案ニナリマシテ、縷々御辯明ガアリマシテ、其大演說ハ實
ニ光彩陸離タルモノガヘアッタノデアリマス、併ナガラ吾々ハ甚
ダ其御演說ヲ遺憾ニ思ウタ次第デアル、之ニ對シテハ有森
新吉君ガ質疑ヲ爲サイマシタケレドモガ、不幸ニシテ有森君
ハ隨分抱負ノ有ラレル人デアルケレドモガ、言フコトガ餘リ
雄辯デナイ爲ニ、諸君ガ此議場ニ於テ冷殺サレタノデアリマ
ス、所ガ私ハサウハ思ハヌノデアリマス、有森新吉君ニ同情
ヲスル者デアリマス、軍備縮小ト云フ事ハ軍備整理ト云フ
事ヲ意味スルモノデアッテ、我ガ政友會ニ於テモ此軍備整理
ト云フ事ニ付テハ滿場一致ヲ以テ贊成ヲ致シテ居リマシテ、
手取四千万圓云々ト云フコトデアリマシタガ、陸軍當局ガ
其後調查ヲ進メラレマシタガ、併シ四千万圓ト云フモノハ出
來ナカッタノデアル、ソレハ遺憾デアルト云フ御說ガアルノデ
アリマス、所ガ吾々ノ觀ル所ハ甚ダ之ニ異ルノデアル、今日
假想敵國ト云フモノハ東ヲ見テモ西ヲ見テモ何處ノ方面ヲ
見テモ無イ、軍備ハ宜シク撤廢スベシト云フヤウナ事ガ、此
一般ノ世論デアルト云フコトデゴザイマスルケレドモガ(「ノ
ウ〓〓」)私共ハ其邊ノ觀方ガ非常ニ違フノデアリマス、此議
場ニ於テ論ゼラレタ軍縮ト云フモノハ、左樣ナ意味デナカッタ
モノト私ハ確信シテ疑ヒマセヌ、ケレドモガ世ノ中デハ最早
陸軍ノ軍備モ、海軍ノ軍備モ、必要ナキカノ如キ心理狀態
ニ陷ッテ居ルノデアリマス、是ハ誤ヲ傳ヘタ所謂一犬虛ヲ吠エ
テ萬犬實ヲ傳ヘルト云フヤウナコトデアリマシテ、洵ニ誤ラレ
タル宣傳、誤ラレタル思想デアリマス、ケレドモガ、其實國家
トシテハ遺憾極リナキ〓日ノ狀態デアルノデアリマス、此事
ハ私共地方ニ居リマシテ-田舍ニ居リマシテ、田舍ノ國民
ノ心理狀態ヲ能ク觀察ヲ致シマシテ、深ク此點ニ於テ遺憾
ヲ感ジテ居ルモノデアリマス、今マデハ兵役ノ義務ニ服スル
ト云フコトハ、國民ノ義務ノミナラズ誇デアルト云フ考ヲ持っ
テ居ッタノデアリママ、身體强壯、思想堅實ナラザル者ハ軍
隊ニ行クコトハ出來ナイノデアリマスカラ、苟モ帝國ノ靑年
ニシテ、丁年ニ達シタ者ガ軍隊ニ入ルト云フコトハ、非常ナ
ル名譽、非常ナル「ブライト」トシテ居〃タノデアリマスガ、今日
ハ其精神ガ甚ダ滅却ヲ致シマシテ、地方農村ノ如キ洵ニ淳
朴ナル人民モ、軍隊ニ入ルコトヲ左樣ニ名譽ト致シ、左樣ニ
誇ト致サヌヤウナ思想ガ何トナク其間ニ鬱積、磅礴シテ居
ルト云フコトハ、私ノ見方ガ違フト言ハレルカ知レマセヌケレ
ドモ、建ウテハ居リマセヌ、實ハ甚ダ殘念ナコトデアリマス、是
ハ會テ明治大帝ノ如キ不世出ノ名君ノ軍人ニ對スル御
聖諭ノ一條ニ、汝等ヲ我ガ股肱ト賴ムト云フヤウナ御聖諭
ガアル、其御聖論ニ感泣ヲ致シマシテ、苟モ男子ト生レタ者
ハ一度兵役ノ義務ニ服セナクテハ相濟マナイ、帝國軍人タ
ルノ資格ガナイト云フ位ニ、自發的ニ非常ナル獻身的ノ思
想ヲ以テ之ニ服シタモノデアリマスガ、今日ハ海軍モ陸軍モ
無用デアル、謂ハバ軍備ハ全然撤廢シテモ宜イカノ如キ風
ニナリマシタ爲ニ、國民ハ兵役ニ入ルコトヲ少シ嫌ッテ來タヤ
ウナ氣勢ガアル、況ヤ〓育ヲ受ケタ人々ノ爲サレ方ハ如何
デアリマス、現ニ非常ニ徵兵忌避ヲシテ居ルデハアリマセヌ
カ、斯樣ナル事ガアルト云フコトハ甚ダ私共ハ遺憾ニ堪ヘヌ
ノデアリマス、所ガ其樣ナル大綱論ハ此問題ニハ當嵌ラヌ
ヤウデアリマスガ、私ハ申上ゲタイ事ハ山々アリマシテ、一
時間位申上ゲタイノヲ十分位ニ申上ゲルノデアリマスカ
ラ、前後聯絡ガ付キマセヌケレドモガ、私ハ深ク信ズル、此被
服ト云フモノヲ除隊軍人ニ與ヘルト云フコトガ、天下國家
ノ爲ニ非常ナル事デアレバ免モ角モデアリマスケレドモガ、調
査ヲ致シテ見マスルト、其全額タルヤ僅ニ百五十万圓ニ過
ギナイノデアリマス、而シテ之ヲ受ケル所ノ一般兵卒諸君ハ、
年々約十万人アル、サウシテ此事ハ大正九年ニ御始メニナフ
タ、軍人精神ヲ養フニハ非常ニ斯ノ如キ事ハ良イ事デアル
ト云フコトデ、追加豫算マデモ要求サレテオヤリニナッテ、サウ
シテ此度ハ財政整理、經費緊縮ト云フ問題カラ、斯ウ云フ
事マデモ斧鍼ヲ加ヘラレマシテ、此支出ヲ削減サレルト云フ
ガ如キハ、當局ノ爲サレ方ハ洵ニ賢明カハ知レマセヌケレド
モガ、其要ヲ得ナイコトヲ甚ダ遺憾トスルモノデアル、此一般
軍隊ニ入リマス人々ノ程度ハ、甚ダ諸君ニ申上ゲルノモ御
氣毒デアリマスガ、一般ノ人ハ多ク知識ニ富ンデハ居リマセ
ヌ、一著ノ軍服ヲ貰シテ有難ガル人ハナカラウト云フガ、實ハ
有難ク感ジテ居ルノデアリマス、此一般國民ガ二年ノ兵役
ニ服從シ、其間非常ナル〓育訓練ヲ受ケマシテ、隨分嚴重
ナル練訓ノ下ニ養成サレマシテ、將ニ故〓ニ歸ラントスルト
キニ、其著テ居ル軍服ヲ或ル言葉デ言ヘバ剝取ラレテ、〓里
カラ送リ來ッタ手織木綿、若クハ極メテ粗末ナ服裝デ歸シテ
來マス、ソレヲ必ズ地方ニ於テハヤハリ歡迎致シテ居リマス
ガ、金ノアル者ハ軍服モ造ルデアリマセウガ、一般國民ハ甚
ダ諸君ノ御存知ノ如ク金ガ無イノデアリマス、僅カ十數圓ニ
値スル軍服一著ヲ拵へ得ナイト云フコトハ、アリヤウハナイト諸
君ハ御考デアリマセウ、實際ノ程度ニ於テハ實ニ苦ンデ居リ
マス、ソレデ私ハ申上ゲタイ事ハ山々アリマスガ、此樣ナ事ヲ
緊縮ニナル位ナラ、マダ大ニ斧鉞ヲ加フルモノガ澤山アルト
信ズルノデアリマス、兵卒ノ在營中近來ハ幾許カ賄ノ如キ
ハ良クナリマシタガ、僅ニ平均四十二錢ノ賄ヲ以テ養ハレテ
居ルノデアリマス、又被服費ハ一人ニ對シテ約平均四十二
園トアリマスケレドモ、此一著御渡シニナル軍服ハ僅カ十圓
內外ノモノニ過ギヌノデアリマス、之ヲ著テ歸ルト云フコトハ
非常ナル名譽デアル、而シテ後日點呼ノ場合ニハ必ズ軍服
ヲ著テ應召セマト、浴衣ガケヤ何カデハ甚ダ都合ガ惡イ、サ
ウ云フ事ノ出來ナイノハ實ニ涙デアリマス、私ハマダ〓〓申
上ゲタイノデアリマスガ、豫約ノ十分ヲ過ギマシタカラ申上
ゲル事ハ盡シマセヌケレドモ、實ハ斯ノ如キモノニ金ヲ使フト
云フコトハ活キタ金デアッテ、死ンダ金デハナイノデアル、百五
十万圓ノ此金ヲ以テ非常ナル有難味ヲ感ジ、兵役ニ服シタ
ル精神ヲドコマデモ其服ノ破レルトモ、其精神ハ殘ルノデア
リマスカラ、是非追加豫算ヲ以テ實現セラレンコトヲ願ヒマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=158
-
159・高見之通
○高見之通君 本案ハ鶴澤宇八君外一名提出金鵄勳
章年金增額ニ關スル建議案外一件ノ委員ニ併セテ付託セ
ラレムコトヲ望ミマス
〔「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=159
-
160・松田源治
○副議長(松田源治君) 髙見君ノ動議ニハ異論アリマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=160
-
161・松田源治
○副議長(松田源治君) 異議ナシト認メマス、仍テ動議ノ
如ク決シマス-次ハ日程三十二水戶鹿島間高濱延方間
及玉造鉾田間鐵道速成ニ關スル建議案ヲ議題ト致シマス
第三十二水戶鹿島間高濱延方間、及玉造
鉾田間、鐵道速成ニ關スル建議
案(宮古啓三郞君外三名提出)
水戶鹿島間高濱延方聞及玉造鉾田間鐵道速成ニ
關スル建議案
水戶鹿島間高濱延方間及玉造鉾田間鐵道速成
ニ關スル建議
一茨城縣水戶ヨリ鉾田ヲ經テ鹿島ニ至ル鐡道
一芙城縣高濱ヨリ玉造ヲ經テ延方ニ至ル鐵道及玉造ヨ
リ分岐シテ鉾田ニ至ル鐵道
右鐵道敷設法別表ニ揭ケアル鐵道ナルカ此ノ地方ハ交
通最不便ニシテ文明ノ恩澤ニ浴スルコト薄ク人智ノ發
達ヲ阻害スルコト大ナリ依テ政府ハ速ニ計畫ヲ立テ其ノ
敷設ニ著手セラレムコトヲ望ム
右建議ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=161
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162・高見之通
○高見之通君 本案ハ提案者ノ說明ヲ省略シ、木下甚三
郞君外一名提出、姫津鐵道龍野町經由ニ關スル建議案ノ
委員ニ、併セ付託セラレンコトヲ望ミマス
〔「賛成」「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=162
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163・松田源治
○副議長(松田源治君) 高見君ノ動議ニハ異議アリマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=163
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164・松田源治
○副議長(松田源治君) 異議ナシト認メマス、仍テ動議
ノ如ク決シマシタ-日程第三十三、熊久線速成ニ關スル
建議案ヲ議題ト致シマス
第三十三熊久線速成ニ關スル建議案
(有馬秀雄君外一名提出)
熊久線速成ニ關スル建議案
熊久線速成ニ關スル建議
本線ハ福岡縣久留米ニ起リ八女郡及熊本縣山鹿ヲ經
テ宮原ニ至リテ熊本市ニ通スル舊敷設法豫定線ニ係ル
優先的鐵道ニシテ地方產業ノ開發竝熊本久留米兩市
間距離ノ短縮上最必須ノ線路ナリト認ムルヲ以テ今後
新線選擇ノ場合ハ最先ニ決定敷設アラムコトヲ望ム
右建議ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=164
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165・高見之通
○高見之通君 本案ハ提案者ノ說明ヲ省略シ、吉良元夫
君外三名提出、重三鐵道建設ニ關スル建議案ノ委員ニ、
併セ付託セラレンコトヲ望ミマス
〔「賛成」「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=165
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166・松田源治
○副議長(松田源治君) 高見君ノ動議ニハ異議アリマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=166
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167・松田源治
○副議長(松田源治君) 異議ナシト認メマス、仍テ動議ノ
如ク決シマシク-日程第三十四、第三十五ハ提出者同
一ナルニ依リ、一括議題ト爲スニ異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=167
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168・松田源治
○副議長(松田源治君) 異議ナシト認メマス、仍テ日程
第三十四、高等試驗令施行ニ關スル建議案、日程第三十
五、高等試驗令中改正ニ開スル建議案ヲ議題ト致シマス、
提出者三輪市太郞君
第三十四高等試驗令施行ニ關スル建議
案(三輪市太郞君提出)
高等試驗令施行ニ關スル建議案
高等試驗令施行ニ關スル建議
高等試驗令施行ニ關シ明治四十年七月三十一日迄ニ
於テ司法大臣ニ於テ指定シタル公立又ハ私立ノ學校ニ
於テ三學年以上法律學科ヲ修メ卒業證書ヲ有スル者
ニ對シテハ裁判所構成法第五十八條ノ試驗ニ關シ大正
七年勅令第七號高等試驗令第七條ヲ適用セス又明治
四十年七月三十一日迄ニ於テ司法大臣ニ於テ指定シ
タル公立又ハ私立ノ學校ニ於テ三學年以上法律學科ヲ
修メ卒業證書ヲ有スル者及大正十年三月三十一日迄ニ
於テ官立學校若ハ專門學校令ニ因ル公立又ハ私立ノ
學校(別科ヲ除ク)ニ於テ三學年以上ノ法律學科ヲ修メ
卒業證害ヲ有スル者ニ對シテハ裁判所構成法第五十八
條ノ試驗ニ關シ大正七年勅令第七號高等試驗令中豫
備試驗ヲ免スル旨ノ除外令ヲ設ケラレムコトヲ望ム
各建議ス
第三十五高等試驗令中改正ニ關スル建
議案(三輪市太郞君提出)
高等試驗令中改正ニ關スル建議案
高等試驗令中改正ニ關スル建議
大正七年勅令第七號高等試驗令第十六條中「翌年ニ
限リ」トアルヲ「爾後」ト改メラレムコトヲ望ム
右建議ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=168
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169・三輪市太郎
○三輪市太郞君 本案ノ說明ハ頗ル簡單デゴザリマスル
デ、自席ヨリ發言ノ許可ヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=169
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170・松田源治
○副議長(松田源治君) 簡單ナラ許シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=170
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171・三輪市太郎
○三輪市太郞君 此理由ハ理由書ニ依シテ明カナリト信
ジマスルガ故ニ、其點ハ省略致シマスルガ、唯〓一言附言致シ
テ置キタイノハ、本案ヲ提出スル其動機ハ、此建議案ト大同
小異ノ請願ガ出マシテ、其請願ニ對シテハ特別委員マデモ
設ケテ愼重審議致シタル結果、其請願ハ採擇ヲ致シマシタ
ノデゴザリマスルガ、ソレト關聯シテ請願委員會ニ於テハ、請
願委員長ノ名義ヲ以テ、更ニ建議案ヲ提出スベシト云フコ
トヲ決定致シタノデゴザイマシテ、一既ニ議長ノ御手許ヘハ其
報告ハ差出シテアルノデゴザイマスルガ、其後此院議ノ先例
ヲ調ベマスルト、法律案ハ請願委員會ノ結果提出スルノ前
例モアリマスルガ、建議案ニ對シテハ、斯ル例ガ無イ爲ニ、寧
ロ是ハ請願委員長ト云フ肩書ヲ取ッテ、三輪市太郞個人ノ
名ヲ以テ此建議案ヲ提出シテ貰ヒタイト云フ事ガ、卽チ請
願委員會一致ノ希望デゴザイマシテ、各派共此請願委員
ニ屬スル所ノ議員諸君ハ皆同意ノ案デゴザイマスルカラシテ、
ドウカ滿場一致御賛成アランコトヲ望ミマス
〔「賛成」「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=171
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172・高見之通
○高見之通君 日程第三十四、第三十五ノ兩案ハ之ヲ
一活シテ鈴木梅四郞君外四名提出、陸海軍大臣任用ノ
官制改正ニ關スル建議案外四件ノ委員ニ、併セ付託セラ
レンコトヲ望ミマス
〔「賛成」「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=172
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173・松田源治
○副議長(松田源治君) 高見君ノ動議ニ異議アリマセヌ
カ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=173
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174・松田源治
○副議長(松田源治君) 異議ナシト認メマス、仍テ動議ノ
如ク決シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=174
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175・高見之通
○高見之通君 殘餘ノ日程ニ對シテ延期ノ動議ヲ提出
致シマス
〔「贊成」「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=175
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176・松田源治
○副議長(松田源治君) 殘餘ノ日程延期ノ動議ニ異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=176
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177・松田源治
○副議長(松田源治君) 異議ナシト認メマス、仍テ延期ニ
決シマシタ-次ノ日程ハ公報ヲ以テ通知致シマス、本日
ハ是ニテ散會
午後六時五十四分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=004613242X03819230324&spkNum=177
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