1. 会議録本文
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000・会議録情報
會議
大正十五年三月二十日（土曜日）午前十時三十三分開議
出席委員左の如し
委員長 加藤政之助君
理事 奥村千藏君
理事 森恪君
理事 岩切重雄君
飯塚春太郎君 橋本喜造君
戸澤民十郎君 永田善三郎君
大里廣次郎君 山本条太郎君
青山憲三君 中村巍君
坂梨哲君 櫻内幸雄君
金光庸夫君 佐々木平次郎君
三月十九日委員小野義一君辭任に付其の補闕として同日青山憲三君を議長に於て選定せり
出席國務大臣左の如し
外務大臣 男爵 幣原喜重郎君
出席政府委員左の如し
朝鮮總督府事務官 山本犀藏君
商工參與官 野村嘉六君
商工技師 野田鶴雄君
委員長の許可を得て出席したる者左の如し
製鐵所長官 中井勵作君
商工書記官 渡邊義介君
本日の會議に上りたる議案左の如し
製鐵業奬勵法改正法律案（政府提出）
製鐵所特別會計法案（政府提出）
大正九年法律第五十三號中改正法律案（關税法等の朝鮮に於ける特例に關する件）（政府提出）発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005111930X00219260320&spkNum=0
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001・加藤政之助
○加藤委員長 是カラ製鐵業奬勵法改
正法律案外二件ノ委員會ヲ開キマス
岩切重雄君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005111930X00219260320&spkNum=1
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002・岩切重雄
○岩切委員 私ハ製鐵所ノ特別會計法
ヲ御制定ニナリマシタコトニ付キマシ
テ製鐵所長官ニ伺ヒタイ、之ニ依リマ
スト今後製鐵所ハ主トシテ借入金デ事
業計畫ヲ立テテ行クト云フ案ノヤウニ
思ハレマスガ、從來製鐵所ノ事業關係
ニ付キマシテ吾〓ハ十分ナ知識ハアリ
マセヌケレドモ、果シテ此借入金ニ依
テヤツテ行ク所ノ製鐵所ノ事業ト云フ
モノガ、收支償ッテ行クノデアルカ、表
ヲ戴キマシタケレドモ、要領ヲ一ツ御
說明願ヒタイ、殊ニ斯ウ云フ點ニ付テ
續イテ御尋シタイノハ、製鐵所ニ於ケ
ル銑鐵ト鋼材ト云フモノノ生產費ハ、
民間トハドウ云フ比較ニナッテ居ルカ、
或ハ銑鐵鋼材以外ノ物ガ大分アリマス
カラ、其點デ儲カルカモ知レマセガ、銑
鐵鋼材ニ對シテハ果シテドレ位ノ生產
費ガ掛カッテ居ルノデアルカ、此點モ併
セテ御答辯願ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005111930X00219260320&spkNum=2
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003・中井勵作
○中井製鐵所長官 只今ノ御尋ハ、第
一ニ今後ハ必要ナル設備ノ增加デアル
トカ改良トカハ借入金ヲ以テ行フト云
フ趣旨デアルカドウカト云フ御尋デア
リマスガ、是ハ此法案ニ依リマシテ考ヘ
テ居リマスコトハ、第一ニ製鐵所ノ益
金ヲ以テ改良擴張ニ充テル積リデアリ
マス、但シ或設備ニ相當多額ノ費用ヲ
要スル、其場合ニハ公債ヲ募集シ又ハ
借入金ヲ以テ充テマシテ、其償却ハ將
來ノ益金ヲ以テ充テルト云フヤウナ趣
旨デ編成サレタモノデアリマスガサ
ウ云フ事ガ將來都合好ク運ンデ行クカ
ドウカト云フ御尋デアラウト思ヒマス
ガ、只今ノ所改良擴張ト云フ事ニ屬シ
マスル事業ハ、第三期擴張ノ殘リガマ
ダ年額百三十萬圓バカリアリマス其
他ニ小形工場ノ增設ノ爲ニ約年額三十
萬圓バカリノモノガ、將來數年間ハ一
般會計ニ委任サレテ居ッタガ、一面益金
ノ方ハ十四年ガ百三十萬圓、十五年度
ガ百六十萬圓ト云フ益金ニナッテ居リ
マス是ハ財政計畫ノ上ニ於テ多少ヅ
ツ增スコトニ從來見積ラレテ居リマシ
テ、又製鐵所ニ於テハ年々幾分ヅツ益
金ヲ增スコトガ出來ル見込デ居ルノデ
アリマス、ソレデ何故ニソレデハ將來
益金ガ多少デモ增スカト申シマスト
是ハ增產ノ結果トシテ自然增シテ參ル
ト云フコトト、多少ヅツ動力ノ電化ヲ
致シマシテ、又燃料ノ餘熱ヲ利用スル
設備ヲ每年多少ヅツ補足工事トシテヤ
ツテ居ルノデアリマスガ、其結果トシ
テ多少ノ益金ヲ增シマスルシ、又先年
來實行シテ居リマスル錻力デアルト
カ硅素鋼板ト云フヤウナ物ガ多少ノ
益金ヲ生出ス迄ニ進ンデ參リマシタ、
左樣ナ事カラ大正十四年度ハ百三十萬
圓、十五年度ハ百六十萬圓ノ益金ハ生
產ヲ增スニ從テ多少ヅツ增シテ參ル見
込デアリマス、然ラバ只今ノ一般會計
ヨリ支出サレテ居リマスル約百六十萬
圓ノモノヲ續ケテ參ルコトハ左程困難
デナク、又將來多少ヅツ益金ガ增加シ
テ參リマス、然ラバ其益金ヲ以テ繼續
的事業ニ充テルコトモ出來マスシ、將
來段々此法律ニ依テ改良擴張ヲ行ッテ
行キマシタ結果トシテハ、多少ヅツ益
金ヲ增加スルコトニナリマシテ、借入
金ヲ致シマシテモ其償却ガ此會計ニ於
テ負擔スルコトガ出來ルヤウニナルト
考ヘテ居リマス、而シテ此民間トノ生
產費ノ狀況ハドウデアルカト云フコト
ニ付テ續イテノ御尋デゴザイマスガ
是ハ生產費ガドウナッテ居ルカト事フ
コトヲ此所デ細カク申上ゲルコトハ困
リマスガ、大體ヲ申上ゲマスト、製鐵所
デハ銑鐵ヲ造ッテ居リマス、他ハ總テ製
鋼原料トシテノ銑鐵デゴザイマス、所
デ此銑銑ニ付テ製鐵所ハ御承知ノ通リ
皆大キナモノバカリデゴザイマス、副
產物ノ採收設備モ、マダ十分トハ申上
ゲ兼ネルカモ知レマセヌガ、相當進ン
デ採收シテ居リマス、昨日野田君カラ
申上ゲタ混銑爐ト云フモノヲ相當設備
シテ居リマスカラ、銑鐵ニ付テハドウ
シテモ多量ニ造ッテ居リマスダケ、他ノ
民間ノ物ヨリ相當安ク出來テ居ルト存
ジテ居リマス、殊ニ製鐵所デ使ッテ居リ
マス製鋼爐ノ原料ノ銑鐵ハ、只今出來
マスノハ殆ド總テ冷サイデ鎔銑ノ方ヲ
使ッテ居リマス、サウ云フ關係デ値ノ方
モ安ク出來マス、ソレカラ各種ノ鋼材
ヲ製作致シマスノハ、是ハ物ニ依ルト
民間ヨリ餘程安ク出來テ居ルト思ヒマ
ス、ソレハ是モ多量生產ノ結果デアル
ト存ジマスガ、全體ヲ綜合致シマシテ
申上ゲマスト、御承知ノ通リ日本ノ鋼
材ノ需要ノ範圍ガ、內地ダケニ限ラレ
テ居リマス、ソレデ幾度モ壓延工場ニ
於ケル「ロール」ノ掛替ヲシナケレバナ
ラヌト云フコトデ、割合高ク附クノモア
リマス、ソレデ彼處デ若シ製鐵所ノ最モ
經濟的ニ都合ノ好イ物バカリヲ造ルコ
トニナリマシタナラバ、今ヨリカ尙
ホ多クノ利益ヲ擧ゲルコトガ出來ルト
思ヒマスガ、是ハ日本ノ需要、殊ニ軍事
上ノ需要等ヲ考ヘマシテ、假令面倒デ
モ手數ガ掛カッテモ、再々「ロール」ノ掛
替ヲシナケレバナラヌト云フモノモア
リマスノデ、設備ノ割合ニ勞力ハ少イ
ト思ヒマスガ、大體銑鐵ニ於テモ鋼材
ニ於テモ、澤山造ルモノハ鎔銑使フコ
トモ出來マスシ、又餘熱ノ利用等ガ仕
事ノ範圍ガ廣イダケニ、割合ニ都合好
ク行ハレルト云フ關係カラ、銑鐵ニ致
シマシテモ、鋼材ニ致シマシテモ、民間
ニ比ベルト割合ニ生產費ガ安クテ濟ム
ヤウナ狀況ニナッテ居ルト考ヘマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005111930X00219260320&spkNum=3
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004・岩切重雄
○岩切委員 サウシマスト製鐵所ノモ
ノガ民間ヨリ割合安ク出來ルト云フノ
ハ、要スルニ多量生產ノ組果ダト斯ウ
云フ結論ニナルノデアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005111930X00219260320&spkNum=4
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005・中井勵作
○中井製鐵所長官 大體申シマストサ
ウ云フ譯デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005111930X00219260320&spkNum=5
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006・岩切重雄
○岩切委員 サウシマスト、製鐵國策
ト申シマスカ、近頃政府デモ色〓御計
畫ニナッテ居ル計畫ハ、民間ノモノハ、
或ハ鋼材ニ對シテハ戾稅ト申シ、銑鐵
ニ對シテハ奬勵ト申シ、ソレ〓〓アリ
マスガ、製鐵所ノ官業ノ方ハサウ云フ
コトガナイ、多量生產デアルカラ生產
費ガ比較的安ク行ッテ、保護ヲシナデモ
償フト云フコトニナリマスト、民間ノ
鐵業ヲ指導スルト云フ立場カラ考ヘマ
スト、矢張民間ノ事業ヲ多ク合併シテ
行ケバ出來ルト云フ結論ニナリマス
ガ是ハ後デ御答ヲ得タイト思ヒマス、
ソレカラ製鐵所ハ從來何億ト云フ多額
ノ金ヲ注ギ込ンデ來マシタ、此從來ノ
固定サレマシタ資本、是ハ國費ダカラ
使ッテモ宜イモノデアリマスカ、特別會
計ニナリマスカラ幾ラカ償却シテ行ク
形式ヲ御取リニナリマスカ、其點ハド
ウナリマスカ、ソレカラ從來發行シタ
公債ト云フモノハドノ位デアリマス
カ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005111930X00219260320&spkNum=6
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007・中井勵作
○中井製鐵所長 官只今ノ初メノ御問
ハ、極ク大體論カラ申シマスト、多量ノ
生產ハ確ニ生產費ヲ安クスルト思ヒマ
ス、唯物ニ依リマシテハ、非常ニ細カイ
モノガアリマスカラ、サウ云フ細カイ
モノハ、細カイダケニ鋼片ヲドウシテ
モ冷サナケレバナラヌカラ、是ハ必ズ
シモ多量生產ニ限ラナイト思ヒマス
ガ大體カラ云ヘバ多量生產ニナレバナ
ルダケ生產費ノ安クナルコトハ、是ハ
各國ノ例カラ見テモ同樣デアルト考ヘ
マ、スソレカラ從來投資シタルモノハ、
只今ノ所約一億千何百萬圓デアッタト
記憶シマスガ、之ニ每年ノ作業ノ補足
等ニ依ッテ、只今固定財產ハ一億二千八
百萬圓カト記憶致シマスガ、是ハ此法
律案ガ施行セラレマスト、每年償却ヲ
致シマス、其償却ノ分ハ之ヲ國家ニ返
スノデゴザイマスガ、之ヲ資本勘定ニ
入レテ參リマシテソレニ依ッテ將來ノ
改良發展ヲスルト云フ仕組ニナッテ居
リマスソレカラ尙ホ從來製鐵所ノ創
立又ハ擴張ノ爲ニ發行シタル公債ト申
シマスノハ、全額デ二千四百七十七萬
圓ニナッテ居リマス、是ハ今申上ゲタ固
定財產ノ一部ニ是ガナッテ居ルヤウナ
次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005111930X00219260320&spkNum=7
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008・岩切重雄
○岩切委員 モウ大體質問スルコトア
リマセヌガ、一ツ製鐵所長官ニ御願ヒ
シテ見タイト思ヒマスガ、ドウモ生產
費ノ民間トノ比較デゴザイマス、是ハ
鐵ノ國策ト云フ方面カラ考ヘマシテ、
將來非常ニ參考ニナルコトヂヤナイカ
ト思ヒマス、果シテ此鐵ダケノ立場カ
ラ考ヘマシテ、製鐵所ガドウ云フ風ニ生
產費ガ掛カッテ居ルカト云フコトヲ、若
シ調ベルコトガ出來レバ、御序デ宜シ
イ參考ノ爲ニ拜見シタイト思ヒマス、
若シサウ云フモノガ出來マシタラ御廻
シヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005111930X00219260320&spkNum=8
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009・森恪
○森委員 私ハ此場合外務大臣ノ御方
針ヲハッキリ伺ッテ置キタイト思フノデ
アリマス、ソレハ甞テ外務ノ豫算分科
會ニ於キマシテ、一寸出マシタガ、本
委員會ノ問題ニナッテ居リマスノハ、政
府ハ製鐵事業ノ奬勵ヲナサレルニ方ツ
テ、委員會ノ大體ノ空氣トシテ希望シ
テ居リマス點ハ原料政策ト云フコト
ガ確立致シテ居ラナケレバ、此鐵ノ根
本發逹ヲ期待致スコトガ出來ナイ、而
シテ其原料政策ノ中デ、日本內地デ最
モ豐富ナリト看做サレテ居リマス砂鐵
ニ對スル點ハ姑ク別問題トシテ、現在
製鐵事業界ノ現實ニ使用サレテ居リマ
ス原料、卽チ鐵鑛石竝ニ滿俺、其他「コ
ークス」ノ原料デアリマスガ、今主トシ
テ私ヨリ外務大臣ニ御質シヲ致サント
スル所ノモノハ、鐵鑛石ト滿俺デアリ
マス、此二點デアリマス、外務大臣御承
知ノ通リ支那ノ現行鑛業條例ト云フモ
ノニ對シマシテハ、吾〓ノ承知スル範
圍デハ、日本政府ハ十分徹底致シタ所
ノ對策ヲ講ジテ居ラナイノデアリマ
ス、第二ニ殊ニ鐵ニ對シマシテハ今ノ
支那ノ政府ハ鐵國有主義ノ下ニ鐵鑛暫
行辯法ト云フモノヲ制定致シマシテ、
之ヲ嚴重ニ施行致シテ居リマス、其結
果ト致シマシテ殆ド禁止的ナル輸出稅
ガ課セラレテ居ル、一噸ニ付テ一圓以
上ノ重稅ガ課セラレテ居ル、而シテ鐡
鑛石ノ原料ヲ數量ニ拘ラズ度數ニ拘ラ
ズ賣買ヲ致シマス、殊ニ海外ニ輸出ス
ル時分ニハ必ズ中央政府ト地方官憲ノ
承認ヲ必要トスルト云フコトニナッテ
居リマス、ソレカラ又外國人ハ技師一
名以外ハ顧問ニスルコトハ出來ナイ、
極端ニ言ヘバ山ニ住ムコトモ出來ナイ
ト云フヤウナ嚴重ナ規定ガアル、有ラ
ユル拘束ガアリマスガ爲ニ、此支那ノ
鐵鑛山ノ經營ハ非常ニ困難ニナッテ居
ル、ソレカラ又一體鑛山事業デ其鑛山
ノ事業ノ安全ヲ期待致シマスルニハ、
大〓十年以上ノ創業的施設ト云フモノ
ヲナサナケレバ安全ニナラナイノデア
リマス、而モ非常ニ大ナル資金ガ要ル、
今ノ政府ノ國情デ鑛山ヲ開クト云フ場
合ニハ、大體海外ノ資金ヲ仰ガナケレ
バ決シテ出來ナイ、一方ニ斯樣ナ嚴重
ナ拘束ノ下ニヤッテ居リマス、ソレニ對
シテ外國カラ資金ヲ仰グト云フコトハ
殆ド困難デアル、外國ノ資金ノ這入ラ
ナイト云フ所以ノモノハ、主ニ斯ウ云
フ一方ニ於テ鑛山法ガアリ、一方ニ於
テ禁止的特殊制度ガアリマスル爲ニ、
一層困難ニナッテ居ル、成程日本ノ製鐵
所關係カラ、或ハ大冶鑛山デアルトカ
挑中鐡山デアルトカ云フモノニ對シテ
間接的ニ資金ハ供給サレテ居リマスル
ガ、其資金ノ供給ノ調子ハ極テ曖昧デ
不徹底ナル手續ノ下ニ爲サレテ居ル、
隨テ其資金ノ威力ト云フモノハ少モ無
イ、ソレガ詰リ極テ困難ニナッテ居ル重
大ナル原因デアル、ソレデ國家ガ此製
鐵事業ニ對シテ、進ンデ獎勵的方針ヲ
執ラナイト云フ場合ナラバ暫ク措キマ
スルガ、今斯樣ニ奬勵セラレルト云フ
場合ニ、其基礎トナル此原料ノ供給ニ
付テ、斯樣ナ資金ノ援助モスルコトガ
出來ズ、經營モ困難ニ陷ルト云フ場合
ニアルコトヲ此儘ニ見テ居ルト云フコ
トハ、非常ニ是ハ大ナル不便デアルト
思フノデアリマスガ、或ハ外國ノ事デ
アルカラ何モ言ヘナイ斯ウ云フ御言
葉ガアルカモ知レマセヌガ、併シ從來
ノ行懸リカラ言ヒマシテ、是ハ日本政
府ニ於テ懇切ニ御接衝ニナッタナラバ、
斯樣ナ事ニハナラナカッタノデアラウ
ト思フ、現ニ此鑛業暫行辯法ガ出來マ
スル時分ニ、北京公使舘ニ於テ私ガ其
當時、前ノ農商務省トノ間ニ立ッテ、今
ノ支那ノ現行鑛業條例ノ如キ、實ハ私
ガ飜譯ヲ致シタ、ソンナ工合デアリマ
シテ、日本ノ方針ガ一貫致シテ居リマ
シタナラバ接衝スル餘地ハ十分アルノ
デアリマス、何故カ是等支那ノ法規ガ
實際ハ我ガ日本ノ製鐵事業ニ非常ナ不
便ヲ與ヘテ居ルニ拘ラズ、是ガ甚ダ言
葉ハ宜シクナイカモ知レマセヌガ、先
ヅ等閑ニ附セラレテ居ルト云フ有樣デ
アリマス、ソレデアリマスカラ吾〓ハ
ドウカ一ツ、國策ノ一端トシテ此點ニ
十分ニ御注意ヲ拂ッテ-唯言葉ノ上
デ拂ッテ居ルト云フノデナク、實際此不
便ヲドウシタラ解除出來ルカ、ドレダ
ケノ努力ヲサレルカト云フコトヲ一ツ
此際承ツテ置キタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005111930X00219260320&spkNum=9
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010・幣原喜重郎
○幣原國務大臣 支那ニ於キマシテ製
鐵材料ノ外國ニ輸出セラレルコトニ付
キマシテ、色〓ノ制限ヲ置キ、不便ヲ加
ヘテ居ルト云フコトハ、只今森君ノ御
話ニナッタ通リデアリマス、又此事業ニ
關シテ外國ノ資本トカ、技術トカガ加ツ
テ參リマスコトヲ、支那ハ何故デアリ
マスカ、非常ニ恐レヲ懷イテ居リマシ
テ、之ニ對シテ又非常ナル制限ヲ加ヘテ
居ルト云フコトモ事實デアリマス是
等ノ點ハ森君モ御承知ノコトト思ヒマ
スルガ、華盛頓會議ノ席上ニ於キマシ
テ、所謂極東委員會ノ席上ニ於キマシ
テ、私ヨリ隨分詳シク論ジマシタ、是等
ノ制限不便ト云フモノハ、支那ノ方デ
撤囘スルト云フコトハ、列國ノ利益ダ
ケデナクシテ支那自身ノ爲ニ非常ニ利
益デアル、今ヤ列國ハ相會シテ支那ノ
門戶開放トカ、機會均等ト云フヤウナ
保障ヲ與ヘマスニ當リマシテ、支那自
身ニ於テモ反省シ、斯樣ナ不便制限ト
云フヤウナモノハ除去シナケレバナラ
ヌト云フコトヲ、相當ニ私ハ痛論シタ
積リデアリマス、英吉利ノ全權モ之ニ
對シテ全然同感ヲ表シマシテ、共ニ支
那ノ問題ニ對シテ、支那ノ此問題ニ關ス
ル政策ヲ明カニセンコトヲ求メタノデ
アリマス、單ニ製鐵材料ダケノ問題デ
アリマセヌ、總テノ鑛業原料ニ付テデ
アリマスガ、製鐵材料ハ其主ナル一例
トシテ述ベタノデアリマス、遂ニ支那
ノ委員モ吾〓ノ述ベマシタ趣意ヲ諒承
致シマシテ、一ツノ陳述書ヲ朗讀致シ
タノデアリマス、卽チ支那ハ斯ノ如キ
富源ノ開發ト云フコトニ付テ喜ンデ外
國ノ技術的、竝ニ財政的ノ援助ヲ歡迎
スルノデアル、是等ノ援助ニ依テ支那
ノ富源ノ開發ト云フモノヲ期スルコト
ハ、時代ニ適シタル一ツノ政策デアル、
此趣意ニ付テ少シモ異存ノアルコトハ
ナイト云フコトヲ明言致シタノデアリ
マス、此華盛頓會議ハ御承知ノ如ク、其
結果ハ其後或ル一國ガ久シク批准致シ
マセヌガ爲ニ、延〓ニナッテ居リマシ
タ、漸ク昨年ノ九月デアリマシタカ、十
月デアリマシタカ-九月ダト思ッテ
居リマスガ、列國總テノ批准ヲ了シタ
ノデアリマス、是ニ於キマシテ列國ノ
側ニ於キマシテモ、支那ニ對シ義務ト
ナッテ居リマス事項ハ確ニ其義務ヲ勵
行スベキコトト相成ッタノデアリマス、
是ト同時ニ支那ガ又華盛頓會議ノ結果
ニ依テ果スベキ事項ハ、吾〓ハ同時ニ
支那ニ對シテ要求シ得べキ立場ニナツ
タノデアリマス、御承知ノ如ク昨年ノ
暮ヨリ支那ニ動亂ガ起リマシテ、斯樣
ナ問題ニ付テ篤ト支那ノ政府ト交涉ヲ
開クト云フ立場ニナッテ居リマセヌ、今
日ノ狀態ニ於テ支那ノ政府ト談判致シ
マシテモ、中央政府ノ威力ト云フモノ
ハ地方ニ餘リ及ンデ居リマセヌ、具體
的ノ斯ウ云フ問題ヲ決定致シマスル適
當ナ時機デゴザイマセヌノデ、今日迄
延〓ニナッテ居ルノデアリマス、此關稅
會議ノ進行ニ伴ヒマシテ、斯樣ナ支那
ノ外國貿易ニ對スル妨害ト云フヤウナ
モノハ、撤囘スルヤウナ方針ヲ以テ吾
吾ハ出來ルダケノ解決ヲ致シタイ斯
樣ニ考ヘテ居ルノデアリマス、隨テ只
今森君ノ御述ニナリマスル所モ、是モ
出來レバ今度ノ關稅會議ニ於テ解決致
シタイ、若シ關稅會議ニ於テ解決スル
ニ適當ナ時機ヲ得マセヌ場合ニ於キマ
シテハ、更ニ適當ナル時機ヲ見マシテ、
成ベク速ニ是等ノ目的ヲ達スルヤウニ
致シタイト考ヘテ居ル次第デアリマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005111930X00219260320&spkNum=10
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011・森恪
○森委員 只今ノ外務大臣ノ御說明デ
幾分吾〓ノ意ノアル所ガ通ッタヤウナ
氣ガ致シマス、實ハ先般關稅會議ノ問
題ニ觸レマシタトキニ、私ガ當然日本
ガ支那ニ爲サシメナケレバナラヌヤウ
ナ事柄ニハ觸レラレル意思ガナイノデ
アルカト云フコトヲ御尋シタノデアリ
マスガ、今囘モサウ云フ意思ガナイト
云フヤウナ意味ノ御答デアッタノデア
リマス、現ニ亞細亞局長モ政友會ノ政
務調査會ニ於テ、日本ハ合理的要求ヲ
シテ此際何等カ解決スルトカ、觸レル
トカ云フ意思ハナイカト云フ質問ニ對
シテ、今囘ハナイ、唯支那ノ合理的申出
ニハ愼重ニ考慮スルト云フヤウナ意味
ノ御答デアッタ、吾々ハ此點ヲ滿足致サ
ナカッタノデアリマスガ、今關稅會議ノ
機會ニ於テ、出來得ルナラバ各種ノ斯
ウ云フ問題ヲ解決スル意思デアルト云
フコトノ御言明ヲ得タノデアリマス
ガ、此點ハ私ハ滿足致シマス、唯只今外
務大臣ノ御言葉ノ中ニ、中央官憲ノ威
力ガ地方ニ及バナイ、其結果暫行辯法
ノ如キモノノ解決モ、中央ノ威力ガ及
バナイ間ハ十分滿足ヲ得ラレナイト云
フ意味ノ御意思カト想像出來ルノデア
リマス、暫行辯法ノ制定ハ地方官憲ノ
運動ニ依テ出來タモノデハナイ、全ク
北京ニ於ケル高等政策ノ上ニ於テ取極
ツタモノデアリマシテ、此暫行辯法ノ
改正ト云フガ如キハ、北京中央政府ダ
ケデ十分出來ル筈ノモノデアルノデ
ス、成立カラ考ヘマシテモ、其當時ハ今
ノ土耳其大使小幡君ガ北京ニ居ラレマ
シテ、主トシテ此問題ニ當ラレタノデ、
私ハ其間ニ往來ヲ致シテ居ッタノデア
リマスカラ、能ク之ヲ承知致シテ居ル、
ソレデ此暫行辯法ノ如キ法規ハ、全ク
日本ノ製鐵事業ニ付テ拵ヘタモノデ、
極端ニ云ッタラ日本ニ對抗スル爲メニ
拵ヘタト云ッテ差支ナイヤウナ性質ノ
モノデアリマス、私ハ大體大キナ高等
政策ノ上カラ申シマスルト、大方針ノ
極マル時期デナケレバ極マラヌト云フ
コトニナルノカモ知レマセヌガ、斯樣
ナ部分的ノ問題ニ付テハ、相成ベク速
ニ手ヲ御著ケ下サイマシテ、サウシテ
吾ミノ不便トスル所ヲ合理的ニ除カレ
ルト云フコトニ御盡力ヲ願ヒタイノデ
アリマス、イツモ外務當局ハ斯ウ云フ
問題ヲ御願ヒシタリ、質問ヲ致シマス
ルト、ヤッテ居ルヤル積リダト云フ御
言葉ハ必ズ得ルノデアル、併ナガラ事
實ハ中ミサウ行カナイ、實際問題ニ觸
レラレナイ、ソレデ私共ハ滿足スルコ
トガ出來ナカッタ、之ヲ要求スルコトガ
支那ニ向ッテノ壓迫デモナケレバ何デ
モナイ、公ニ要求ヲサレル事柄デア
ル、是ガ解決サレナカッタナラバ內地デ
如何ニ此製鐵事業ノ奬勵ヲシテモ、製
鐵工業ノ上ニ此鑛石ヲ使ッテ居ル以上
ハ、日本ノ製鐵上ノ安全ヲ期スルト云
フコトハ全然不可能ダラウト思ヒマ
ス、要スルニ鑛石ガ土臺ニナルノデア
リマス、殊ニ滿俺ニ至リマシテハ製鐵
所長官ヨリモ御話ガアッタ通リ全ク依
ルベキ原料鑛ガナイノデアリマス、支
那ニハ今見當ラナイト云フ話デアリマ
シタガ、要スルニ是ハ〓究ガ足リナイ
カラ發見出來ナイ、今ノ支那ノ狀態デ
ハ技師ガ支那ノ鑛山ヲ調査スルコトハ
出來ナイ、甞テ農商務省ハ地質〓究所
ノ技師ヲ派遣サレテ非常ニ〓究サレタ
ノデアリマスガ、是モ殆ド或ル場合ニ
ハ吾〓關係事業ノ事業員ノ名前ヲ利用
シテ旅行サレタト云フヤウナ姑息ナ有
樣デアリマス、少シモ徹底シタ〓究ガ
出來ナ之ヲシナイ理由ハ何所ニアル
カ、別ニエライ法規ガアル譯デモ何デ
モナイ、ヤレバ十分出來ル、唯外交關係
者ノ折衝ガ十分デナイ爲ニ其目的ヲ逹
シ得ナイト云フ實情ニアルノデス、此
點ハ相成ベク至急、特ニ此暫行辯法ニ
付テハ解決ヲ急イデ着手セラレムコト
ヲ御願ヲ致シマシテ、私ハ外務大臣ニ
對スル質問ヲ打切リマス、外務大臣ノ
言明ヲ得タイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005111930X00219260320&spkNum=11
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012・幣原喜重郎
○幣原國務大臣 只今森君ノ御述ニナ
リマシタ御意見竝ニ御希望ニ對シマシ
テハ、十分ニ考慮ヲ加ヘルコトニ致シ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005111930X00219260320&spkNum=12
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013・加藤政之助
○加藤委員長 他ニ御質問ガアリマス
カ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005111930X00219260320&spkNum=13
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014・森恪
○森委員 大藏當局ハ出ラレナイノデ
スカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005111930X00219260320&spkNum=14
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015・加藤政之助
○加藤委員長 大藏大臣ハ病氣デ出ラ
レマセヌ今日モ一寸出席ガムヅカシ
イ、ソレデ昨日ハ片岡商工大臣ノ言明
デ御了承ヲ願ヒタイ、斯ウ云フコトデ
アリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005111930X00219260320&spkNum=15
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016・森恪
○森委員 然ラバ商工省ノ政府委員カ
ラ大藏省ニ對スル資金ヲ要求シテ、原
料供給ノ途ヲ開ク援助スルト云フ必要
ガアルト思フ、例ヘテ申シマスルレバ、
內地ニ於テハ朝鮮銀行ガ營業ニ失敗ス
ル臺灣銀行ガ事業ニ失敗シタ、興業銀
行ガヤリ損ナッタト云フヤウナ點ニ對
シテ、五千萬圓或ハ一億萬圓ト云フ巨
額ノ資金ヲ出シテ之ヲ救濟致シテ居ラ
レル、然ルニ此日本ノ製鐵工業ノ基礎
トナルベキ鑛石ノ供給、之ヲ加工スル
事業ニ對スル資金的援助ト云フモノ
ハ實ニ不徹底デアル、積極的デナイ、
受身デアル其受身モ實ニ徹底シテ居ラ
ナイ、是ハ手續法規ノ上カラシテ出來
ルトカ出來ナイトカ云フ理由ガアルコ
トトハ信ジマスケレドモ要スルニ方針
ガ其所ニナイ爲ニ出來ナイノダラウト
私ハ思フ、此點ニ對シテ積極的ニ御援
助ニナラナカッタナラバ、原料ノ供給ト
云フコトハ安全ニナラナイト云フ私共
ハ確信ヲ持ッテ居リマス、是ハ昨日モ參
與官ガ御同意ニ相成ッタ點デアリマス
カラ、此點ヲ一ツ大藏省方面ニ徹底致
スヤウニ吾〓ノ意思トシテ御傳ヘヲ願
ヒタイ、ソレカラ第二ニ大藏省ノ、若シ
此處ニ大藏大臣御出席デアルナラバ、
私共ハ言明ヲ得テ置キタイト思ッテ居
リマシタノハ、製鐵事業奬勵ノ骨子ガ
銑鋼一貫主義、之ヲ發達サスト云フ趣
旨デ、日本ノ現狀ハ銑鋼一貫主義ニ成ツ
テ居ラナイ、其成ッテ居ラナイ現狀ヲ理
想ノ域マデ漕ギ着ケマスニハ、斯樣ナ
薄キ補助、助成デハ其目的ヲ達シ得ラ
レナイト思フ、之ヲ逹スルニハ相當巨
額ナル資金ヲ製鐵事業ノ上ニ加ヘナケ
レバナラヌト思フ、然ルニ今日ノ資本
不足、金利高ノ世ノ中ニ斯樣ナ經濟ノ
立タヌ算盤ノ償ハザル、而モ補助ノ薄
イ事業ト云フモノガアル、然ルニ他ノ
事業ニ對シテハ此援助トカ、救濟トカ
云フコトヲシテ居ラレル政府ハ、各種
ノ事業ニ對シテ自ラ低利資金ガ必要デ
アルトシテ、先程申シマシタ銀行ノ救
濟等ニ相當ノ資金ヲ投ジテ居ラレルノ
デアリマスカラ、今國策トシテ進行ヲ
圖ルベキ此重大ナル問題ニ對シマシテ
ハ是非共一ツ資金ノ供給ヲ爲シテ製
鐵事業ノ銑鋼一貫主義ヲ完備サスト云
フコトニ其意ヲ御用ヰ下サラナケレ
バ、私ハ其目的ヲ達スルコトガ出來ナ
イト思ヒマス、此點ニ對シマシテモ、大
藏當局ノ所謂產業政策ノ上ニ重キヲ置
カレルト云フ意味ニ於テ、此意思ヲ十
分徹底サスコトニ、一ツ御盡力ヲ願ヒ
タイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005111930X00219260320&spkNum=16
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017・野村嘉六
○野村政府委員 只今ノ森君ノ御意見
ハ御尤デアリマシテ、丁度昨日モ此第
二第三ニ對スル御質問ガアリマシタノ
デ、資金ヲ供給シテサウシテ製鐵事業
ノ發達ヲ圖ル、完全ニ製鐵事業ヲ發達
セシムルニハ、有ユル方面ニ便宜ト援
助ヲ與ヘナケレバ、御說ノ通リニ完全
ニ發達セヌト思ヒマス、サウシテ今日
ノ程度デハ露骨ニ申シマスト或ハ不足
カモ知レマセヌ、併ナガラ是ハ昨日モ
申シマシタ通リニ、一面又現時ノ財政
ノ立場ヲモ御考慮ヲ戴キタイ、御說ノ
點御尤デアリマス、就キマシテハ大藏
省ノ方ニ對シマシテハ商工省ト致シマ
シテ御趣旨ニ基キマシテ十分ニ交涉ス
ル考ハ持ッテ居ル次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005111930X00219260320&spkNum=17
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018・戸澤民十郎
○戶澤委員 此附則ヲ見マスルト「本
法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム」
トゴザイマスガ、是ハ何時頃カラオヤ
リニナル御考デアリマスカ、豫算ノ請
求等ハドウ云フ風ニシテ御出シニナル
ノカ、又此勅令ノ內容ハ昨日ノ御說明
デ略了解シマシタガ、補助金ヲ與ヘル
總額ハドレ位アルデゴザイマセウカ、
承ルコトガ出來レバ承ッテ置キタイト
思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005111930X00219260320&spkNum=18
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019・野村嘉六
○野村政府委員 此施行期日ハ勅令ニ
讓ッテアリマス、ソレハ御說ノ通リデア
リマス、就テハソレヲ何時カラ施行ス
ルカ、斯ウ云フ御質問デアリマスガ、是
ハ關稅定率法ノ-先ニ通過シマシタ
改正案、アレヲ施行致シマストキニ同
時ニ施行致シタイト云フ考ヲ持ッテ居
リマス、ソレカラ此改正ニ伴フ補助額
ハドレ程ニナルカ、斯ウ云フ第二ノ御
質問デアリマシタガ、本日追加豫算ノ
方ニ上程致シマシタ其額ハ、內地ガ六
十五萬圓、朝鮮ガ三十五萬圓、合セテ百
萬圓ト云フ追加豫算ヲ請求致シテ居リ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005111930X00219260320&spkNum=19
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020・戸澤民十郎
○戶澤委員 モウ一ツ第八條ノ第二號
ニ依ル「主務官廳ノ認可ヲ受ケ一定ノ
期間內ニ第一條ニ規定スル設備ヲ完成
スルニ至ルヘキトキ」ト云フ分リ難イ
文句ガアリマスガ、此「至ルヘキトキ」
ト云フノハ卽チ補助金ヲ與ヘル起算點
ト云フ趣意ニナルノデセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005111930X00219260320&spkNum=20
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021・渡邊義介
○渡邊商工書記官 只今ノ御尋ニ御答
ヘ致シマスガ、第二號ノ規定ハ銑鋼一
貫設備ノナイ人デアルト致シマシテ
モ、其設備ノ對象トシテノ工事期間ノ
長短-例ヘバ製銑ノ設備ノ方カラ先
ニ着手シテ、製銑ノ方ノ設備ガ完成致
シマスルト云フト、當業者ハ先ヅ其處
カラ引入レヲシテ、事業ヲ開始スルカ
モ知レナイ、サウシマスト銑鋼一貫シ
マシタ設備ノ全部ヲ完成シマスノハ、
三年後デアリマシテモ、製銑ノ設備ダ
ケガ一年半位デ完成シマスヲ以テ、其
處カラ事業ヲ開始シタ場合デモ、其製
銑設備ニ依テ銑鐵ニ對シテハ奬勵金ヲ
ヤラウ、三年後ニ銑鋼一貫シタ設備ガ
完成スルト云フ見込ガ確定シテ居レ
バ、一部作業ノ開始ニ依テ銑鐵ヲ製造
シタ場合デモ吳レル機會ヲ與ヘマシタ
ノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005111930X00219260320&spkNum=21
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022・加藤政之助
○加藤委員長 ソレナラバ質問ハ是デ
終了シテ·····発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005111930X00219260320&spkNum=22
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023・金光庸夫
○金光委員 モウ少シ質問致シタイ事
ガアリマスガ、其質問ノ終局前ニ一寸
御休憇ヲシテ戴クコトハ出來マスマイ
カ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005111930X00219260320&spkNum=23
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024・加藤政之助
○加藤委員長 ソレデハ金光君ノ質問
ヲ保留シテ、是デ質問ハ一應終了致シ
マシタト云フコトニシテ、午後一時カ
ラ決議ノ會ヲ開キマス
午前十一時二十一分休憇ノ儘散
會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005111930X00219260320&spkNum=24
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