1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
會議
大正十五年三月十日（水曜日）午前十時五十九分開議
出席委員左の如し
委員長 折原巳一郎君
理事 村上國吉君
理事 志賀和多利君
理事 畔田明君
横山勝太郎君 菅村太事君
平沼亮三君 藤井敬愼君
平井光三郎君 近藤重三郎君
深井功君 加藤六藏君
青木知四郎君 關矢孫一君
青木精一君 若尾幾太郎君
石坂豐一君 二木洵君
加藤知正君 高橋熊次郎君
隅田豐吉君 山内範造君
高木音藏君 小島善作君
志村清右衞門君 丹下茂十郎君
千葉宮次郎君 小野寅吉君
三月六日委員村上紋四郎君辭任に付其の補闕として平沼亮三君を、同日委員寺島權藏君辭任に付其の補闕として近藤重三郎君を、同月十日委員加藤六藏君辭任に付其の補闕として青木知四郎君を、同日委員川口義久君辭任に付其の補闕として石坂豐一君を孰れも議長に於て選定せり
出席國務大臣左の如し
農林大臣 早速整爾君
出席政府委員左の如し
農林政務次官 小山松壽君
農林省農務局長 石黒忠篤君
本日の會議に上りたる議案左の如し
輸出生絲檢査法案（政府提出）発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113479X00819260310&spkNum=0
-
001・折原巳一郎
○折原委員長 ソレデハ開會致シマ
ス、私カラ小委員會ノ經過ヲ簡單ニ申
上ゲマス、小委員會ハ昨日開會致シマ
シテ、會議ガ終ッテ終了致シマシタ、會
議ニ現レタ事柄ハ一二ノ質問ノ外、直
ニ原案ニ對スル議論ニ這入リマシテ、
其議論ノ一ツハ此法案第一條ニ但書ヲ
加ヘテ、檢査手數料ヲ取ラナイ、又手數
料ヲ取ラナクナッタ場合ニハ、公共團體
ノ施設スル經費ハ國庫カラ之ヲ支辨ス
ル、サウシテ附則ノ「本法施行ノ期日ハ
勅令ヲ以テ之ヲ定ム」ト云フノヲ、大正
十六年一月一日ヨリ施行スル、斯ウ云
フ變更ヲ加ヘタイト云フ議論、ソレカ
ラ原案ヲ認メル、ソレニ付テハ政府ニ
强キ希望ヲ有スル二ツノ條件ガアルカ
ラ、其希望ヲ政府ガ認メルカドウカ、此
希望ニ付テハ政府ハ全ク認メルト云フ
意嚮デアリマシタ、然ル場合ハ原案ヲ
賛成スル、尙ホ其他ノ發言モアリマス
ガ、大體此二ツノ議論ニ分レマシテ、結
局前段ノ方ニハ三名ノ賛成者デアッテ
小數、後段ノ方ハ四名ノ賛成者デアッテ、
多數デ小委員會ハ終了致シマシタ、此
點ヲ御報告申上ゲマス、尙ホ嘗テ申合
サレマシタ通リ、小委員會ノ決議ハ此
委員會ヲ拘束致シマセヌノデアリマス
カラ、小委員會デ論議セラレタ演說其
他ヲ再ビ詳シク本會デ御繰込ミニナル
コトデアラウト存ジマスカラ、私カラ
其內容ヲ詳シク御報告スルコトハ差控
ヘマスカラ、御諒承ヲ願ヒマス、ソレカ
ラ委員ノ村上紋四郞君ガ三月六日ニ辭
任サレマシテ、平沼亮三君ガ選定サレ
マシタ、又同日寺島權藏君ガ辭任サレ
マシテ、近藤重三郞君ガ選定ニナリマ
シタカラ、御諒承ヲ願ヒマス、直ニ討論
ニ入リマスカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113479X00819260310&spkNum=1
-
002・折原巳一郎
○折原委員長 ソレデハ丹下君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113479X00819260310&spkNum=2
-
003・丹下茂十郎
○丹下委員 一寸委員長ニ承ッテ置キ
マスガ、昨日ノ小委員會ノ速記錄ハ、是
ハ委員會ノ速記錄ト同樣ニ一般ニ配付
サレルモノデアリマスカ、若シ配付サ
レルモノトシマスレバ、昨日ノ小委員
會デ述べマシタコトヲ詳シク申上ゲル
ノモ如何カト思ヒマスガ、今特ニ委員
長ヨリ御斷リガアリマシタカラ、念ノ
爲ニ伺ッテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113479X00819260310&spkNum=3
-
004・折原巳一郎
○折原委員長 速記錄ハ配ルサウデア
リマス、昨日ノ議論ハ速記錄デ盡ルト
思ヒマス、隨テ御省略ニナリマシテモ
委員諸君ガ直接御聽キニナル爲ニ詳シ
ク御述べニナリマシテモ、御自由デゴ
ザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113479X00819260310&spkNum=4
-
005・加藤知正
○加藤(知)委員 過日來大臣ニ質問致
シタイト云フコトヲ保留シテアッタ、只
今御見エニナッテ居リマス、討論ニ入ル
前ニ極ク簡單デゴザイマスカラ·発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113479X00819260310&spkNum=5
-
006・折原巳一郎
○折原委員長 宜シウゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113479X00819260310&spkNum=6
-
007・加藤知正
○加藤(知)委員 先般同僚ノ隅田君カ
ラ御尋ニナッタ正量檢査ニ付キマシテ、
橫濱ニ於ケル輸出商ト製絲家トノ間ニ
紛擾ガ起キタ、其紛擾ガ片付カナイ場
合ニハドウ爲サルカト云フ質問ニ對シ
マシテ、大臣ハ明快ニ此場合ニハ自分
ハ責任ヲ負フト云フ御答ヲ爲サレマシ
タ、責任ヲ負フト仰シヤレバ、此上御尋
申上ゲルト云フコトモ如何ト云フノ
デ、隅田君ハ御遠慮申上ゲタヤウニ承ツ
テ居リマスガ、併ナガラ此責任ヲ負フ
ト云フコトハドウ云フ風ニ責任ヲ負ハ
レルノデアルカ、吾〓ハ更ニ一步進メ
テ御伺シテ置キタイト、云フノハ幸ニ
大臣ガ二年モ三年モ現職ニ御出下サル
コトデアレバ實ニ申分ナイコトデアリ
マス、併ナガラ政變常ナイ今日デアリ
マスカラ、明日ガ日ニモ大臣ハ御辭任
爲サラヌトモ限ラヌ、左樣ナ場合ニ於
テ此紛擾ハ片付カヌ、正量檢査ハ實施
シタ、當業者ノ紛擾ハ益紛擾ヲ重ネ
ルト云フヤウナコトニナリマシタ場合
ニハ、迷惑ヲスル者ハ製絲家デアル、是
ハ明カナコトデアル、斯ウ云フ場合ニ
後任者ハ前任者ノシタ仕事デアルカ
ラ、ソレハ自分ノ與リ知ル所デナイト
云フコトガ有リ勝デアルカラ、其責任
ヲ負ハルルト云フコトハ、御在職中ニ
此紛擾ハ解決シテ見セル、若シ出來ナ
イ場合ニハ之ヲ何トカスル、斯ウ云フ
ヤウナコトニ於テ今一步進メタル所ノ
御言葉ヲ吾ミハ頂戴シテ置キタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113479X00819260310&spkNum=7
-
008・早速整爾
○早速國務大臣 明白ニ御答ヲ致シテ
置キタイト思ヒマス、加藤君ハ私ノ此
間言ッタコトヲ少シ誤解シテ居ラレル
ヤウデアリマス、輸出商ト製絲家ノ間
ニ紛擾ガアル、其紛擾ニ對シテ私責任
ヲ負フト云フ風ニ言フタヤウニ今御述
ニナリマシタガ、ソレハ或ハ私ノ聽違
ヒデアッタカ知ラヌガ、私ハ紛擾ニ對シ
テ責任ヲ持ット申シタノデナイ、隅田君
ノ御問ハ誠ニ明白デアッタ、此正量取引
ヲ實施スレバ輸出商ハ反對スル、現ニ
輸出商ハ正量取引ヲ實施スル場合ニ絲
ハ買ハナイ、卽チ言換へテ見レバ商賣
ヲ廢メテシマウト云フ風ニ言ッテ居ル
デハナイカ、サウスルト生絲ノ貿易ノ上
ニ對シテ國家ハ非常ナ影響ヲ受ケルコ
トニナル、詰リ此大ナル貿易ト云フモ
ノガ實際ニ於テ圓滿ニ行ハレナイコト
ニナルカラシテ、是ハ國家ノ一大事、經
濟上ノ大打擊ヲ受ケルコトニナリハシ
ナイカ、ソレヲ無カラシムル爲ニ農林
大臣ハ努力ヲシナケレバナラヌ責任ガ
アル、斯ウ云フ風ノ意味デアッタノデア
リマス、如何ニモ左樣ナ事ガアッテハイ
カヌト私ハ答ヘタ、輸出商ガ左樣ニナッ
テ、日本ノ生絲貿易ニ非常ナ影響ヲ受
ケルヤウナ事ガアッテハナラヌ、ソレハ
ナカラシメナケレバナラヌ、ソレニ付
テハ若シサウ云フ事ガアッテ、貿易上ニ
非常ナ打擊ヲ受クルコトガアッタ場合
ニハ、ソレハ私トシテ責任ヲ負フ、ソレ
ナカラシムルト云フコトヲ主ニシテ私
ハ左樣ニ申シタノデアリマシテ、唯紛
擾ニ對シテ云々ト云フ簡單ナ言葉デハ
ナカッタノデアリマス、今ハッキリ是ハ
申スノデアリマシテ、私矢張前日ノ言
葉ヲ繰返シテ申スノデ、其貿易ノ上ニ
非常ナル影響ヲ來スト云フヤウナ事
ハ、是ハナカラシメナケレバナラヌ、私
ハ矢張責任ヲ以テ左樣ナル事實ガ現レ
テ來ナイヤウニハ何處迄モ努力シナ
ケレバナラヌノデアリマス、ソレニ對
シテハ私ハ其責任ヲ負フ、斯樣ニ此席
デモ申シ得ルノデアリマス、萬一左樣
ナ事ガアッタラバト云フコトノ御尋デ
アリマスケレドモ、併シ私左樣ナ事ハ
ナカラシムル、左樣ナ事ガアッテハナラ
ヌ、之ニ對シテハ當業者トシテモ全力
ヲ注グ、斯ウ云フ事ハ繰返シテ申シマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113479X00819260310&spkNum=8
-
009・加藤知正
○加藤(知)委員 或ハ私ノ聽違ヒデア
ツタカモ知レマセヌ、今大臣ノ御明言
ニ依リマスレバ、貿易上ニ若シサウ云
フヤウナ影響ノアッタ場合ニハ、成ベク
努力スルト云フダケノ御言葉デアルト
シマスレバ、別ニ此上御尋スル必要モ
ナシ、御依賴スル必要モナシ、當然ノ事
ト考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113479X00819260310&spkNum=9
-
010・丹下茂十郎
○丹下委員 昨日小委員會ニ於キマシ
テ私ノ意見ハ大體ニ於テ申述ベタノデ
アリマス、尙ホ只今委員長ヨリ成ベク
詳細ニ言ッタ方ガ宜カラウト云フ意味
ノ御意見ガアリマシタガ、多少重複ス
ルカモ知レマセヌガ、一通リ申述ベタ
イト思フノデアリマス、輸出生絲檢査
法案ガ提出サレマシテ、當業者ノ間ニ
色〓物議ヲ生ジタノデアリマス、本員
モ其法案ノ審査ニ付キマシテ特別委員
ニ擧ゲラレマシテ、色〓法案ノ上ニ於
キマシテ〓究モ致シマシタガ、大體ニ
於テ二ツノ疑問ヲ生ジタノデアリマ
ス、本法典ノ內容ハ大體約メテ言ヒマ
スレバ輸出生絲ノ取引ヲ正量ヲ以テ
スルト云フコトト、輸出生絲ハ正量檢
査ヲ勵行スルト云フコトト正量檢査
手數料ヲ徵收スルト云フコトト、今一
ツハ國立檢査所ノ外ニ公共團體ノ檢査
所ヲ認メルト云フ、此四點ガ主ナル箇
所ト思フノデアリマス、其中デモ輸出
ノ目的ヲ以テ取引スルモノハ總テ正量
ヲ以テスルト云フコトハ、是亦別段議
論ハナイヤウデアリマス、又檢査ノ勵
行ニ付テハ尙ホ一部ニハ多少ノ議論モ
アルヤウデアリマスケレドモ、大體ニ
於テ最早已ムヲ得ヌト云フコトヲ認メ
ラレテ居ルヤウデアリマス、又公共團
體ノ檢査所ヲ認メルト云フコトモ、旣
ニ神戶市ガ經營致シテ居リマス所ノ檢
査所ノ相當ノ施設ヲ爲シテヤッテ居ル
以上ハ、之ヲ認メルニ付テモ議論ハナ
カラウト思フ、唯檢査ノ手數料ヲ徵ス
ルト云フコトハ、其可否ガ本案ノ審議
ニ當ッテ重大ナル關係ヲ持ッテ來タノデ
アリマスガ、私ノ二個ノ疑問ヲ持ッテ居
ルト申上ゲマシタコトハ、卽チ此檢査
手數料ヲ徵スルコトノ可否デアッタノ
デアリマス、此檢査手數料ヲ徵收スル
コトガ主トシテ製絲業者ノ負擔トナ
リ、又ソレガ漸次轉嫁サレテ一般養蠶
家ニ及ブノデハナカラウカト云フコト
ヲ憂ヘタノデアリマス、而シテ此檢査
手數料ノ金額ナルモノハ極メテ僅少デ
アルヤウデアリマスケレドモ、併シ只
今加藤君ヨリ御述ニモナリマシタ通
リ、輸出業者ト製絲業者トノ間ニ於キ
マシテ只今非常ニ紛糾ヲ來シテ居ルヤ
ウデアリマス、此紛糾ノ本ガ製絲業者
側ノ言フ所ヲ聽キマスト、全國ノ製絲
業者ガ此輸出業者ヨリ提示サレマシタ
所ノ條件ノ結果、千二百萬圓ノ損失ニ
ナルト云フコトヲ申シテ居ルノデアリ
マス、是ハ計算等ニ付キマシテハ曩ニ
加藤君ヨリ詳細ナル書面ヲ以テ配付サ
レテ居ルヤウデアリマスカラ、其內容
ニ付キマシテ一々正確デアルカドウカ
ト云フコトハ調ベテ居リマセヌガ、大
體ニ於テ左樣ナ意見ヲ持ッテ居ル、是等
ノモノガ一般農家ノ事業ノ上ニ影響ス
ルコトガアッテハ、是ハ頗ル重大ナル間
題デアルト考ヘマシテ、此檢査手數料
ノ問題ニ付テ屢又相當詳シク政府ノ所
見ヲ伺ッタ次第デアリマス、卽チ此輸出
業者ト製絲業者トノ間ニ於ケル現在交
涉ニナッテ居ル問題、卽チ極端ニ申セバ
頗ル紛糾シテ居ル問題ガ、是ガ私ノ極
メテ本法審議ノ上ニ疑問ト致シテ居リ
マス第二ノ問題デアッタノデアリマス、
本年ノ一月二十六日デアリマシタカ、
輸出業者ノ側ニ於テ聯合協議會ニ於テ
決議シタ所ノ十二箇條ノ問題ハ、之ニ
對シマシテ製絲業者ノ方ハ到底之ヲ聽
入ルルコトガ出來ナイト云フ意味ニ於
テ、今尙ホ頗ル紛糾致シテ居ルノデア
リマス、隨テ此輸出業者ト製絲業者ト
ノ此問題ノ解決如何ガ、極メテ此蠶絲
業ノ上ニ重大ナル關係ヲ持ッテ居ルノ
デアリマシテ、延イテハ生絲ノ取引ノ
上ニ於テ圓滑ヲ缺キ、又輸出貿易ノ消
長ニモ大ナル打擊ヲ與ヘルコトト思フ
ノデアリマス、斯ウ云ウ當業者間ニ於
テ非常ナ紛糾ヲ致シテ居ル時機ニ本法
ヲ施行スルコトニナリマシタナラバ、
本法ノ施行ノ上ニ於テノ聲價ヲ減殺ス
ルバカリデハナク、又諄ク申シマスガ
一般養蠶家ニ對シテモ至大ノ影響ガア
ルト云フコトヲ私ハ憂ヘテ居ルノデア
リマス、大體此手數料徵收ノ可否ハ從
來任意檢査ヲ施行サレタ當時、無手數
料デアッタノデアリマシテ、之ニ反シテ
此度强制檢査ヲ施行スルニ當ッテ、手數
料ヲ强制徴收スルト云フコトハ如何デ
アラウ、寧ロ强制スル以上ハ手數料ヲ
徵サナクテモ宜イノデハナイカ、其額
モ餘リ多カラヌコトデアル、又此檢査
手數料ノ問題ガ公共團體ノ施設ニ係ル
檢査所ノ經營ノ上ニモ影響ヲ持ッテ來
ルコトハ勿論デアリマスガ、是等ニ付
テ相當政府ニ考慮ノ餘地ハナカラウカ
ト云フコトニ付テハ、豫テ委員會ニ於
キマシテ質問ヲ出サレタ次第デアリマ
ス、政府ノ意見トシテハ|大體ニ於テ從
來ハ奬勵時代デアッテ、無手數料デ成ベ
ク檢査ヲ受ケシムルト云フコトニ付テ
十分努力スル必要ガアッテ、手數料ハ徵
サナカッタガ、併シ最早檢査ヲ受ケルト
云フコトニ付テハ一十分ニ進步ヲ致シ、
又其礎モ出來テ居ル今日デアルカラ、
之ヲ免除シナクテモ宜イト云フ御意見
デアルヤウデアリマス、又隨テ受檢者
ノ爲ニ其商品ノ價値ヲ高メ、受檢者ノ
利益トモナル、其特定ノ受益者ノ爲ニ
其費用ヲ其者カラ徵收スルト云フコト
ハ當然デアルト云フ政府ノ御意見デ
アルヤウデアリマス、成程是ハ一部ノ
受益者ノ爲ニ一般國費ヲ以テ其費用ヲ
支辨スルト云フコトハ、是ハ道理ノナ
イコトト思フノデアリマス、是ハ何方ニ
シマシテモ理窟ガアルノデアリマシ
テ、今マデ任意検査ニ於テ手數料ヲ取
ラナカッタノデアルカラ、强制檢査ヲス
レバ取ラナクテモ宜イト云フコトモ理
窟デアリマスガ、要スルニ蠶絲業ノ上
ニ於キマシテハ、國家トシテハ將來施
設經營スベキ事柄ハ多々アルノデアリ
マシテ、吾〓常ニ要望致シテ居ル一人
デアリマス、例ヘバ蠶絲局ヲ設置致シ
マシテ、蠶絲ノ行政ヲ統一スルト云フ
ヤウナコトモ、是ハ蠶絲業ノ上ニ於キ
マシテ先ヅ以テシナケレバナラヌヤウ
ナコトト思ヒマス、其他幾多ノ施設ス
ベキ事業モアリマスガ、要スルニ財政
上ノ關係デ、其實現ヲ見ルコトガ出來
ナイ事情デアリマスカラ、直ニ手數料ヲ
以テ、蠶絲業ノ施設ニ充テルト云フコ
トハ出來ナイカモ知レマセヌ、卽チ積
極的ニ其收入ヲ以テ施設ニ充テルコト
ハ出來ナイカモ知レマセヌガ、兎ニ角
消極的ニハ所謂國庫ニ餘裕ノ生ジタ上
ニ於テ、相當ナル施設ヲスルト云フコ
トハ、政府ニ於テモ其意味ノコトヲ聲
明セラレテ居ルヤウデアリマス、私ハ
此手數料ヲ徵スルト云フコトノ可否ハ
須ク政府ノ意見ニ委シテ宜カラウト思
ヒマス、殘ル所ハ唯輸出業者ト製絲業
者トノ間ニ於キマスル昨今問題ニナッ
テ居リマス所ノ紛糾デアリマス、是ハ
何ト致シマシアモ一ツ圓滿ナル解決ヲ
圖ラナケレバラヌコトデアリマシテ、
若モ此問題ノ紛糾シテ居リマスル時期
ニ本法ヲ施行致シタト致シマシテモ、
只今申シマシタ通リ非常ニ施行ノ上ニ
障害ヲ來スバカリデナク、延イテハ色
色ナ方面ニ影響ヲ與ヘルモノデアリマ
スカラ、勅令ノ規定ニ定メラレテ居ル
八月ヨリ施行ト云フコトハ、餘程考ヘ
ナケレバナラヌ問題ト思フノデアリマ
ス、ソレ故ニ此紛糾ヲ旨ク解決サセテ、
然ル上ニ於テ本法ヲ施行スルト云フコ
トガ最モ必要ナル事柄ト私ハ信ズルノ
デアリマス、ソレカラ今一ツ製絲業者
ハソレ相當大キナ資本ヲ以テ經營シテ
居ル者モ澤山アリマスケレドモ、地方ニ
於キマシテハ極メテ小規模ノ製絲業者
ガ澤山アルノデアリマスガ、是等ガ經營
上ニ困ッテ居リマス事ハ、輸出業者ノ掣
肘デアリマス、輸出業者ガ製絲業者ヲ
掣肘スル點ハ種々アリマセウケレド
モ、吾〓ノ考ヘル所ニ依リマスト、製絲
資金ノ運用、此問題ニ付テ常ニ頭ヲ抑
ヘラレテ居ルノデアリマス、卽チ地方
ノ小製絲業者ハ資本ノ融通ニ付キマシ
テ、常ニ輸出業者ノ援助保護ヲ受ケテ
居ルノデアリマス、ソレ故ニ輸出業者
ヨリハ常ニ壓迫掣肘ヲ受ケテ居ルノデ
アリマス、而シテ又蠶絲業ノ發達ノ上
ニ於キマシテ、製絲業者ノ製絲資金ノ
圓滑ニ潤澤ニセシムルト云フコトハ非
常ニ必要ナル事項ト思フノデアリマ
ス、是ハ去ル大正十二年ノ當時ニ於キ
マシテモ、非常ニ製絲資金ノ融通ニ困
リマシテ、政府ニ於キマシテモ、又地方
ニ於キマシテモ、其資金ノ運用ニ付キ
マシテ非常ナル努力ヲ致シマシタガ、
其結果ハ一般養蠶業者ニ對シテ多大ノ
利益ヲ與ヘタト云フコトハ、今尙ホ吾
人ノ記憶ニ新タナル所デアリマス、將
來ニ於キマシテモ、政府ハ製絲資金ノ
運用ノ圓滑潤澤ト云フコトニ付キマシ
テ、今一段ノ考慮、努力ヲ拂ハレンコト
ヲ私ハ希望シテ居ル者デアリマス、此
意味ニ於キマシテ、私ハ本問題ノ賛否
ヲ決スルニ當リマシテ、本法ノ施行期
日ヲ相當延期スルト云フコトト、製絲
資金ノ圓滑潤澤ト云フコトニ付テ、政
府ノ考慮、努力ヲ求メルト云フ、此二ツ
ノ問題ニ付キマシテ、幸ニ早速農林大
臣ヨリノ御聲明ヲ得テ、然ル上ニ賛否
ヲ決シタイト思ヒマス、是ハ昨日ノ
小委員會ニ於キマシテモ、大體斯樣ナ
意味ヲ申上ゲマシテ、旣ニ小山農林次
官ヨリハ極メテ明快ナル御聲明ヲ得タ
ノデアリマスガ、ソレニモ拘ラズ尙ホ大
臣ト云フコトハ甚ダ諄イヤウデアリマ
スケレドモ、併シ此問題ハ頗ル重大デ
アリマスガ故ニ、幸ニ大臣モ御出席ニ
ナッテ居リマスカラシテ、極メテ强イ意
味ニ於ケル所ノ希望條件ヲ提示致シマ
シテ、之ニ對シテ農林大臣ノ御聲明ヲ
得タイト思ヒマス、其希望條件ハ、單ニ
演說ダケデハ、言葉ノ趣意ニ於テ間違ガ
起ッテモイケマセヌカラ、書面ニ認メテ
居リマスカラ、一應朗讀致シマシテ御
聽取ヲ願ヒマス、希望條件、一、輸出生
絲檢査法ノ施行ヲ大正十六年一月一日
以後ニ於テスルコト、理由、最近生絲檢
査輸出業者側ノ決議ニ依リ製絲業者側
ニ對シ、生絲取引ニ關スル數箇ノ要求
ヲ爲シタルコトハ世間周知ノ事實ナ
リ、右ハ製絲業者側ニ取リテ頗ル重大
ナル關係ヲ有シ、引イテ生絲取引ノ圓
滑ト輸出貿易ノ消長ニ多大ナル打擊ヲ
加フル結果、本法施行ノ成果ヲ減殺ス
ル虞アルノミナラズ、養蠶業者ニ及ポ
ス影響至大ナルモノアリト信ズ、從テ
此問題ハ本法施行以前ニ於テ圓滿自由
ナル解決ヲ了セシムル必要アリト認
ム、仍テ政府ハ是等ノ關係ヲ十分考慮
シ、本法ノ施行ヲ大正十六年一月一日
以後ニ於テセラレンコトヲ望ム、二、製
絲業者ノ製絲資金ヲ圓滑潤澤ナラシム
ル途ヲ講ズルコト、理由、製絲業者ガ輸
出業者ニ掣肘セラルル重大ナル點ハ、
資金問題ニアリト信ズ、製絲業者ノ資
金運用ノ如何ハ直ニ養蠶業者ニ至大ノ
影響アルヲ以テ、政府ハ將來一層製絲
資金ノ圓滑潤澤ヲ得セシムルノ途ヲ講
ジ、十分ナル注意ト努力トヲ拂ハレム
コトヲ望ム、第一ノ條件ニ付キマシテ
モ、第二ノ條件ニ付キマシテモ、旣ニ前
段申述べマシタ通リデアリマシテ、唯
此問題ノ解決ニ當リマシテ、政府ガ餘
リ干涉壓迫ヲシテ、無理ニ抑ヘ付ケル
ト云フコトハ是ハ甚ダ宜シクナイノデ
アリマスガ故ニ、成ベク彼等ノ間ニ於
キマシテ圓滿ニ、自由ニ、公正ニ、此問
題ヲ早ク解決サセマシテ、其後ニ於テ
本法ヲ施行サレルト云フコトニナリマ
シタナラバ、本法制定ノ趣意ニ適シマ
シテ、極メテ國家ノ上ニ益スルモノト思
ヒマス、ソレ故ニ只今申上ゲマシタ希
望條件ニ付テ、是非共御賛成ヲ得タイ
ノデアリマシテ、而シテ之ニ對シテハ
責任アル御聲明ヲ得マシテ、其上ニ於
テ私ハ賛否ノ意見ヲ申述ベルコトヲ玆
ニ保留シテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113479X00819260310&spkNum=10
-
011・隅田豐吉
○隅田委員 丹下君ノ只今御演說ニナ
リマシタ、第一ノ希望條件ノ理由ノ中
ニ、自由ナル解決ト云フ御言葉ガアッタ
ノデアリマスガ、自由ナル解決トハ如
何樣ニ心得テ宜シイカ、政府ノ干涉ヲ
忌避スル意味ニ於テノ自由ナル解決デ
アリマス、其點ヲ明確ニ御說明ヲ煩シ
タイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113479X00819260310&spkNum=11
-
012・丹下茂十郎
○丹下委員 隅田君ノ御質問デアリマ
スガ、私ハ此點ニ付テハ、少シク强ク申
述ベタ積リデアリマス、本法ノ施行ヲ
急グ爲ニ餘リニ干渉壓迫ヲシテ、無理ナ
解決ヲスルト云フコトガアッテハ甚ダ
面白クナイ、斯ウ云フ意味ニ於テ相當
奬勵援助スルト云フコトハ、固ヨリ必
要デアリマスケレドモ、其意味ニ於テ
圓滿ニ、自由ニ、且ツ公正ニ、此問題ヲ
解決ヲスルヤウニト云フ意味デアリマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113479X00819260310&spkNum=12
-
013・早速整爾
○早速國務大臣 丹下君ノ御要求デア
リマスカラ、私ガ御答ヲ致シマス、御述
ニナリマシタ趣意ハ、第二段ニ分ケテ
ノ御陳述デアッタノデアリマス、其趣意
ハ私ニ能ク分リマシタ、第一點ノ色〓
御述ニナリマシタ御趣旨ノ輸出生絲檢
査法ノ施行ハ、大正十六年一月一日以
後ニ於テスルト云フ御希望デアリマ
ス、之ニ就テハ當局トシテ御希望ニ副
フベク十分考慮ヲ致シタイト思フノデ
アリマス、第二點ニ付テモ、是ハ製絲資
金ニ關係シテノ御希望デアッタノデア
リマス、當局ト致シマシテハ出來得ル
ダケ、此御希望ニ副フベク、此點ニ付テ
モ十一分ノ考慮ヲ拂ヒタイト思ヒ一マ
ス、是ダケ申上グテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113479X00819260310&spkNum=13
-
014・丹下茂十郎
○丹下委員 只今早速農林大臣ヨリ責
任アル御聲明ヲ得マシテ、私ハ滿足致
スノデアリマス、故ニ此二項ノ希望條
件ヲ附シテ政府ノ原案ニ賛成ヲ致シタ
イト思フノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113479X00819260310&spkNum=14
-
015・隅田豐吉
○隅田委員 本員ハ昨日小委員會ニ於
テ、本法案ニ對シテ修正案ヲ提出シタノ
デアリマスガ、不幸ニシテ少數デ廢案
ニセラレタ譯デアリマスガ小委員會ノ
設置ニ先ダチマシテ、小委員會ノ議決
ハ何等同委員會ヲ拘束シナイ申合セデ
アリマシタガ故ニ、小委員會ニ於テ廢
案トセラレマシタガ、玆ニ改メテ修正
案ヲ提出スル次第デアリマス、而シテ
修正ノ箇所ヲ委員長ノ手許マデ提出シ
テアルノデアリマス、吾〓政友會同志
ハ本法案ニ對シマシテ、第一條ノ末ニ
「但檢査料ヲ徵セス」此八字ヲ加ヘルノ
デアリマス、第一條二項ノ末ニ「此場合
ハ檢査ニ要スル經費ハ之ヲ國庫ヨリ交
付ス」昨日小委員會デハ之ヲ三項ニ加
ヘルトコトヲ申シマシタガ、之ヲ改メ
マシテ第一條第二項ノ末ニ加ヘルノデ
アリマス、更ニ附則ノ「本法施行期日ハ
勅令ヲ以テ定ム」トアリマスノヲ、「本
法ハ大正十六年一月一日ヨリ之ヲ施行
ス」是ハ昨日ノ小委員會ノ修正ト同樣
デアリマス、本法ノ修正ニ對スル詳細
ナル理由ノ陳述ハ、之ヲ本會議ニ讓ル
コトニ致シマシテ、此場合極メテ簡單
ニ其要旨ヲ陳述致シテ置ク次第デア
リマス、既ニ昨日小委員會ニ於テモ、陳
述ヲ致シマシテ、茲ニ之ヲ繰返スコト
ハ重複ノヤウデアリマスガ、簡單デア
リマスカラ一應御聽取ヲ願ヒマス、修
正ノ要點トスル第一ハ、農林當局ニ於
テハ我ガ蠶絲業ハ旣ニ幼稚ノ時代ヲ脫
シ、卽チ幼年時代ヲ經過シテ既ニ靑年
時代ニ相成ッテ居ル、今後特ニ保護奬勵
ノ必要ハナイ、斯樣ナ御意見ノ下ニ蠶
絲業ノ今囘ノ大改正ヲ加ヘラレ、正量
檢査ノ取引ニ依テ檢査ノ手數料ヲ徵シ
テモ何等差支ナイ、斯樣ナ御議論カラ
出發致シマシテ、本法案ヲ御提案ニチッ
タヤウデアリマスルガ、吾〓ハ今日我ガ
蠶絲業ノ悲慘ナ現狀ニ付テ詳細本會議
ニ於テ申述ベル積リデアリマスガ、此
悲慘ナル現狀ニ顧ミマシテ、此檢査ノ
手數料ヲ徵收スルト云フコトハ極メテ
不合理デアル、否吾〓ハ今後ニ於テ蠶
絲業ヲ益保護奬勵スル必要ヲ認ムルノ
デアルガ故ニ、此檢査料ヲ徴セナイト
云フコトガ至當デアルトスルモノデア
リマス、第二ニ於キマシテハ、本會議竝
ニ數囘開會セラレマシタ當委員會ニ於
キマシテ、政府當局ノ御說明御答辯ニ
依リマスト、此正量取引ヲ實施スルニ
至レバ、其利益ヲ受クルモノハ主トシ
テ製絲家デアル、施行細則ノ未定稿ノ
中ニハ此檢査料ハ要スルニ申請者ガ納
付スルコトニナッテ居ルガ、併ナガラ製
絲家ガ負擔スルモノト想像セラルル
ガ、其負損ヲシタ所デ、農林常局ノ心ヲ
以テスレバ製絲家ガ直接ニ莫大ナル利
益ヲ受クルノデアルカラ、其受益者ガ
費用ヲ負擔スルト云フコトハ當然デア
ル、斯樣ニ御說明ヲセラレテ居ルノデ
アリマスルガ、吾〓ノ考フル所デハ是
ト正反對ニ相成ッテ居ルノデアリマス、
其點ハ過日來屢開カレマシタ委員會ニ
於テ、本員ノ質問中ニモ多少意見トシ
テ附加ヘテ陳述致シテ置キマシタ通リ、
吾〓ノ正量取引ノ最初ノ主張ト云フモノ
ハ極メテ合理的デアッテ、內地ト同時ニ
海外ニ及ボス、斯ウ云フコトニ相成リ
マスルト、ソレハ農林當局ノ主張セラ
ルル如ク、此正量取引ノ實施ハ直ニ製
絲ノ利益トナルノデアリマセウ、併ナ
ガラ今囘實施セラルル所ハ左樣デハナ
イノデアリマス、唯內地ニ寧ロ試驗的
ニ實施セラルルモノデアリマシテ、而
シテ此正量取引ヲ致シタモノニ對シテ
ハ、輸出商ハ任意デアルノデアリマス、
而シテ過去ニ於テ我ガ輸出商ハ之ヲ海
外ニ輸送スル場合ニ於ケル狀況ニ鑑ミ
マスルト云フト、水分率ノ低減スル目
方ト云フモノハ其輸出商ノ利益ニナッ
テ、何等製絲家ノ利益ニハ相成ラナイ
ノデアリマス、只今ハ準備期間デアル、
政府當局ノ稱スル此準備期間ニ於テハ
製絲家ハ利益ニ相成ラヌ、之ハ要スル
ニ意見ノ相違デアリマセウケレドモ、
兎ニ角吾〓ハ左樣ニ信ジテ疑ハナイノ
デアリマス、此意味ヨリ致シマシテ吾
吾ハ此準備期間ニ於テハ、兎ニ角製絲
家ノ損失デアル、當局ハ利益デアル、斯
樣ニ見ラレマスルケレドモ、吾〓ノ損
失ト云フ意味ヨリ致シマスルト云フ
ト、ドウシテモ此檢査料ヲ徵スルト云フ
コトハ極メテ不合理ト信ジテ疑ハナイ
ノデアリマス、ソレカラ第三ノ點ト致
シマシテハ、當局ハ此檢査料ハ極メテ
少額デアル、斯ノ如キ高價ナル商品ニ
對シテ少額ノ檢査ノ手數料ヲ徵シテモ
何等苦痛デハナカラウ、斯樣ニ御說明
アラセラレテ居ルモノデアリマスル
ガ、吾〓ハ左樣ニ信ジナイ、此點モ過日
ノ特別委員會ニ於テ詳細陳述致シテ置
イタ次第デアリマスルガ、要シマスル
ニ此檢査ハ進ンデ品位檢査ナリ、或ハ
特別檢査モ實施スルニ至ルモノデアリ
マスルガ故ニ、今後ハ生絲生產額ノ增
額ト共ニ、是等諸種ノ檢査ヲ實施スル
ニ當ッテ、同樣ニ檢査料ヲ徴收セラルル
ト云フコトニ相成リマスルト云フト、
其額決シテ尠クナイノデアリマス、又第
四ノ點ト致シマシテハ、從來此生絲貿
易ニ於テ荷掛金ト云フモノガアルノデ
アリマス、一俵ニ付テ九十錢ノ割合デ
製絲家ガ出シテ居ッタンデアル、其荷掛
金ハ當然廢止セラルル譯デアルカラ、
其荷掛金ノ代リニ一俵一圓幾ラカノ手
數料ヲ以テシタ所デ、何等收支償ハヌ
ト云フコトハナカラウ、斯樣ニ說明セ
ラレテ居リマスルガ、吾〓ノ此荷掛金、
俗ニ申シマスル所ノ看貫料ナルモノハ
極メテ弊害アルモノトシテ、排斥ヲ致
シテ居ルモノデアリマスケレドス、數
十年ノ永キニ亙テ因襲致シテ居ル所ノ
此商習慣ハ、左樣ニ政府當局ガ御考ニ
ナッテ居ルヤウニ一朝一夕ニ之ヲ廢止
スルコトハ、吾〓ハ不可能ト存ジテ居
ルモノデアリマス、デ又他ニモ色〓ノ
點ガアリマスルガ、私共ノ檢査料ヲ徵
セズト修正スル所ノ理由ノ要旨ハ以
上申上ゲマシタ四五ノ點ニ在ルモノデ
アリマス、而シテ此第一項ノ末ニ「檢査
料ヲ徵セス」ト書キ加ヘテ修正スルニ
伴ヒマシテ、第一條第二項ノ末項ニ只
今申上ゲマシタ「此場合ハ檢査料ニ要
スル經費ハ之ヲ國庫ヨリ交付ス」、卽チ
政府當局ノ御認メニナッテ居リマス所
ノ神戶市立檢査所ニ正量檢査ヲ委託ス
ルニ付キマシテ、其手數料ヲ徵セナイ
コトニナリマスルト、神戶市立檢査所
ノ經費ハ神戶市ガ負擔スルカ、乃至ハ
國庫ガ之ヲ負擔スルカ、此兩樣ノ中何
レカニ出デナケレバ相成ラヌモノト
信ジマス、而シテ神戶市ハ公共團體デ
アリマシテ、而シテ今囘ノ此神戶市立
檢査所ノ新築ニ付キマシテハ多大ノ犠
牲ヲ拂ッテ、殆ド百萬圓ニ近キ所ノ巨額
ノ金ヲ出シテ居ルモノデアリマス、又
一面國ノ生絲檢査所ハ手數料ヲ徵セズ
シテ、其經費ハ國庫カラ支辨スルモノ
デアリマスカラ、其意味ニ於キマシテ
神戶市立檢査所ノ檢査ニ要スル所ノ經
費ハ、之ヲ國庫ヨリ交付スルノハ當然
ナリト信ジマシテ、此修正ヲ加ヘル次
第デアリマス、最後ニ此附則ノ修正ハ、
本案ヲ施行スルニ當ッテ檢査料ヲ徵セ
ナイト云フコトニナルト、或ハ經費ノ
支出ニ困ッテ、政府ガ實施スルコトガ出
來ナクナル、斯樣ニ杞憂セラレル點ガ
アッタガ故ニ、吾〓ハ正量取引ノ實施ヲ
出來得ル限リ早ク實行セラレンコトヲ
希望シ、而シテ此手數料ヲ徵セズト修
正スルコトニ依テ、政府ハ立法府ノ決
議シタル、此法案ノ執行權ヲ持ッテ居ル
所ノ責任ト致シマシテ、必ズ適當ナル
方法ノ下ニ經費ヲ御支出ニナルト云フ
コトヲ考ヘマシテ、茲ニ今讀上ゲマシ
タ如ク修正スル次第デアリマス、而シ
テ尙ホ此點ニ付テ申上ゲマスルガ、本
員等ハ政府ノ本法案提出ニ當リマシ
テ、最初ノ意思ヲ尊重シマシテ、此施行
期日ノ修正ニ付テハ、大正十五年八月
一日ト爲ス考デアリマシタ所、前刻丹
下委員ノ希望條件ノ第一點ニ對シマス
ル、政府當局ノ御聲明ニ準據致シマシ
テ、茲ニ「本法ハ大正十六年一月一日ヨ
リ之ヲ施行ス」ト修正致シタ次第デア
リマス、尙ホ詳細ノ點ハ本會議ニ讓リ
マスルガ、若シ御質疑ガアリマシタ場
合ニハ御答ヲ致シマス、何卒御賛成ヲ
願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113479X00819260310&spkNum=15
-
016・折原巳一郎
○折原委員長 此場合ニ畔田君ニ發言
ヲ許シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113479X00819260310&spkNum=16
-
017・畔田明
○畔田委員 私モ簡單ニ本案ニ付キマ
シテ意見ヲ申述ベタイト思ヒマス、私
ノ疑點ハ、本案ト帝國議會ノ立法權ノ
限界ニ關シマシテデアリマスルガ、是
等ニ付キマシテハ、度〓政府當局ト憲
法第六十二條第二項ニ關シテ意見ヲ戰
ハシタノデアリマスガ、不幸ニシテ政
府當局ノ御見解ハ、私ノ見ル所ト異ニ
致シテ居ル、隨テ更ニ議論ヲ重ネテモ
水掛論ニナリマシテ、何等ノ結果ヲ齎
サナイト思ヒマシタガ故ニ、尙ホ速記
錄ニ遺漏モアリマシタシ、又世間ニ誤
リ傳ヘラレナイヤウニ、私ハ之ヲ五日
ノ委員會ニ於キマシテ、自分ノ憲法ニ
對スル見解ヲ極ク要點ヲ摘ミマシテ、
三點ヲバ一ツノ覺書ニシテ、委員長ヲ
經マシテ政府當局ニ差上ゲタノデアリ
マス、私ハ再ビソレヲ繰返スコトヲ好
ミマセヌガ、私ノ主張致シマスル論據
ガ其點ニ在リマスルガ故ニ、其要點ノ
ミヲ申上ゲタイト思ヒマス、其要點ハ
三ツアル、卽チ六十二條二項ノ解釋カ
ラ致シマシテ、「報償ニ屬スル行政上ノ
手數料及其他ノ收納金ハ、前項ノ限ニ
アラス」ト申シマスルノハ、其總テニ付
テ當然命令ニ依テ徵收シ得ベキモノト
認メタモノデハナイ、其命令ヲ以テ定
ムルモノト致シマスルハ、唯其收納ノ
本來ノ性質上法律ガ要ラナイ、又ハ憲
法ノ他ノ條項ニ基イテ、命令ヲ以テ定
メ得ベキ所ニ屬スルモノニ限リ、憲法
ノ他ノ條項竝ニ精神ヨリシテ、法律ヲ
要スベキ場合ニハ依然帝國議會ノ協賛
ヲ經タル立法ヲ要スルモノデアル次
ニ行政行爲ニ對スル報償ト雖モ、(一)其
反對給付タル行政行爲自體ガ法律ニ依
リテノミ定メ得ベキ所ニ屬スル場合、例
ヘバ租稅督促、手數料、(一一)其反對給付
タル行政行爲ガ現ニ法律ニ依リテ定メ
ラレタル場合、本件ノ輸出生絲檢査ノ
如キ類デアリマス、是等ノ報償タル手
數料ハ法律ニ依ラナケレバナラヌ、尙
ホ公衆ノ自由使用ニ供セラレル公物ノ
使用ニ村テ、使用料ヲ徵スル場合ニ於
キマシテモ、國家ノ營造物ノ利用ガ强
制セラル場合、若クハ國家ノ獨占ニ屬
スル場合ニ於キマシテハ、其使用料ハ
法規ノ根據ヲ要スル、以上申上ゲマシ
タ三ツノ點ヲ私ガ覺書ニシテ差上ゲタ
次第デアリマス、而シテ以上ノ論據ニ
依リマシテ本案ヲ見マスルノニ、本案
ハ法律ニ依テ義務ヲ强制致シテ居ル、
サウシテ帝國議會ノ關與シナイ所ノ行
政命令ヲ以テ手數料ヲ取ルト云フコト
ニナッテ居ル、而シテ其罰ノ如キハ千圓
ト云フ重キ罰ヲ科シテ居ルノデアリマ
ス、卽チ其義務ノ强制ノ程度ヨリ申セ
バ甚ダ强イモノデアル、隨テ是ハ手數
料ヲ取ルベキモノデナイト見ルコトガ
至當デアラウト思フ、小委員會ニ於テ
モ申上ゲマシタガ、若シ本案ノ中ニ手
數料ハ勅令ニ依テ定ム〓云フ根據ガア
リマスルナラバ、本案ノ疑義ハ比較的少
クナル、併シ今申上ゲタ筋カラ申上ゲ
マスレバ、本案ノ强制ハ非常ニ强イ、其
手數料ハ寧ロ租稅ト同樣ニ見ルベキモ
ノデアラウト思フノデアリマス、現ニ
佛蘭西、墺地利ニ於キマシタモ、亦英國
ニ於キマシテモ、租稅ト手數料トノ區
別ガハッキリシナイ、單ニ名前ノミヲ以
テ之ヲ見ルハ非常ニ困難ナコトデア
ル、隨テ本案ノ手數料ノ如キ、其實質カ
ラ見レバ租稅ト異ラナイト思フノデア
リマス、斯樣ナ點デ私ハ隅田君ノ御意
見ヲ至當ト致シ、隅田君ノ御提出ニナ
リマシタ修正案ニ賛成ヲ致スモノデア
リマヌ、更ニ私ハ申添へタイノデアリマ
スガ、政府當局ヨリハ慣例ニ依ルト云
フ御言葉ガ度〓アッタガ、此慣例ニ依ル
ト云フコトヲ能ク顧レバ、行政命令ガ
隨分立法權ヲ犯シテ居ルノデアリマ
ス、而シテ其根據ハ明治二十三年ノ法
律第八十四號タル行政權ニ罰則ヲ委任
致シマシタ規則デアリマス、現ニ花莚
檢査規則ノ如キモ其罰則カラ出來テ居
ルヤウニ考ヘラレルノデアリマス、併
シ此花莚檢査規則ノ如キヲ命令ニ依テ
定メタノハ不當ト言ハナケレバナラ
ヌ、重要物產同業組合法ノ如キ、商業會
議所法ノ如キハ之ヲ法律デ定メ、又義
務ニ屬スル所ノ金錢關係モ法律ニ依テ
定メテアリマスルノデ、是ハ適當ト思
フノデアリマス、併シ是等ノモノヲ除
キマシテハ、大部分行政權ヲ以テ立法
權ヲ侵シタ事實ガ多イノデアリマス、
又性質ハ違ヒマスルガ、金輸出禁止ノ
大藏省令ノ如キモ同樣デアル、隨テ私
ハ本案ノ實體案ニ付キマシテハ寧ロ是
ハ宜イト思ヒマスルケレドモ、其憲法
上ノ見解、帝國議會ノ立法權ヲ侵シタ
點カラ考ヘマスルナラバ、本案ヲ提出
セラレタノヲ機會トシマシテ、從來行
政權ガ立法權ヲ侵シタ、其點ニ一展開
ヲ致サナケレバナラヌ、卽チ行政權ヲ
以テ立法權ヲ侵サナイト云フコトヲ明
ニ示ス必要ガアラウト思フノデアリマ
ス、要スルニ私ハ檢査ヲ强制シタル法
律ガ、手數料ニ關シテ何等ノ意思表示
ヲ爲サズシテ檢査ヲ强制シマシタル場
合ニハ、國民ハ無手數料ニテ檢査ヲ受
ケ得ラレルモノト解釋致シテ居ルノ
デアリマス、以上私ノ意見ヲ申述ベマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113479X00819260310&spkNum=17
-
018・村上國吉
○村上委員 私ハ憲政會ヲ代表致シマ
シテ意見ヲ申述ベマス、此輸出生絲檢
査法案ニ付キマシテハ、原案ニ賛成ス
ル者デアリマス、其理由ニ至リマシテ
ハ何レ本會議ニ於テソレ〓〓陳述スル
コトト存ズルノデアリマスカラ、其機
會ニ之ヲ讓リマス、而シテ丹下君ノ御
提出ニナリマシタル希望條件デアリマ
ス、之ニ對シテハ農林大臣ヨリシテ其
趣旨ヲ體シテ十分ニ考慮スルト云フ御
言葉ガアリマシタル以上、此希望條件
ヲ附ケルト云フコトニ付キマシテモ私
共ハ賛成ヲスル者デアリマス、尙ホ先
刻政友會ノ隅田君カラシテ修正意見ガ
御提出ニナリマシタ、其理由トセラル
ル點ヲ伺ッテ見マスルト、若シ斯ノ如キ
理由デアルトスルナラバ、檢査手數料
ヲ徵收シナイト云フ修正デハ甚ダ不徹
底ナモノデアッテ、寧ロ廢案說ヲ主張サ
ルルノガ當然ノ歸結デアルガ如キ疑ヲ
起シタノデアリマス、此場合ニ於キマ
シテハ其點ニ對スル追窮ハ私ハ差控ヘ
テ置カウト思ヒマス、唯私ガ承ッタ所ニ
依リマスト、其第一ノ理由中ニ於テ、政
府ハ我國ノ蠶絲業ハ既ニ幼年時代ヲ經
過シテ靑年時代ニナッテ居ル、故ニ最早
保護奬勵ヲ要シナイ、斯ウ云フコトヲ
政府ハ言ウタト云フ如クニ御話ニナリ
マシタガ、政府ノ當局カラ吾〓ハ我國
ノ蠶絲業ハ最早保護奬勵ヲ要シナイト
云フガ如キ御言葉ハ、嘗テ一囘モ承ッタ
コトハナイ、言葉ニ於テ承ラナイノミ
ナラズ、恐ラク左樣ナ意思ハ無イモノ
デアラウト思ヒマス、此法案ノ如キハ
卽チ我國ノ蠶絲業ヲ彌ミ發達サセル所
ノ必要カラシテ是ハ制定サレタモノデ
アルト、吾〓ハ認メルノデアリマス、故
ニ隅田君ノ申サレタ政府ガ蠶絲業ニ付
テハ最早保護奬勵ヲ要シナイト云フヤ
ウナ言葉ヲ使ッタト云フ意味合ニ於テ、
斯ノ如キ修正說ヲ立テラレタト云フコ
トニ付テハ、吾マハ承服シ難イモノデ
アルト云フコトヲ一言添ヘテ置ク次第
デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113479X00819260310&spkNum=18
-
019・折原巳一郎
○折原委員長 是デ主論ガ終リマシ
テ、演說ノ通告ガアリマスノデス、加藤
君此際ニ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113479X00819260310&spkNum=19
-
020・加藤知正
○加藤(知)委員 詳細ニ述ベタイト思
ヒマスケレドモ、最早時間モゴザイマ
セヌ、私ハ隅田君、畔田君ノ說ニ賛成ヲ
致シマシテ、憲政會ノ說ニハ大反對ヲ
致シマス、其反對ノ理由ハ詳細本會議
ニ於テ陳述ヲ致スコトニ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113479X00819260310&spkNum=20
-
021・折原巳一郎
○折原委員長 志村君何カ仰シヤイマ
スカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113479X00819260310&spkNum=21
-
022・志村清右衞門
○志村委員 アリマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113479X00819260310&spkNum=22
-
023・折原巳一郎
○折原委員長 志賀君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113479X00819260310&spkNum=23
-
024・志賀和多利
○志賀委員 私モ何モアリマセヌ、唯
萬一ノ場合少數デ破レマシタ場合ニ、
少數意見ノ報告ヲ願ヒタイ、ソレダケ
請求致シテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113479X00819260310&spkNum=24
-
025・横山勝太郎
○橫山委員 私ハ此憲法論ニ付テ一言
致シテ置キタイト思ヒマス、此點ニ付
テハ過日來政府カラ畔田君ノ質問ニ對
シテ詳細答ヘラレテ居ルト全部同樣ノ
意見デアリマス、卽チ政府當局ノ聲明
スル通リ、決シテ憲法ニ違反スルモノ
デハナイト云フコトヲ申シテ置キマ
ス、殊ニ此本案ニ付テ憲法論ヲセラル
ルト云フコトハ全ク理由ガ無イ、本案
ハ畔田君ノ仰セノ通リ、其事柄ヲ表明
シテ居ラヌノデアリマス、隨テ本案自
體ガ憲法ニ觸レルト云フコトハ少シモ
無イノデアリマス、此意味ハ或ハ本會
議ニ於テ詳細ニ述ブルカモ知レマセ
ヌ、要スルニ憲法論ハ全部政府ノ申ス
通リ理由ガナイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113479X00819260310&spkNum=25
-
026・丹下茂十郎
○丹下委員 政友會ヨリ昨日小委員會
ニ提出サレマシタ御修正ノ案ハ、私其
當時承ル所ニ依リマスレバ、施行期日
ノ所謂附則ノ修正ハ八月一日ト云フコ
トニナッテ居ッタヤウデアリマス、(「ノ
ウ〓〓」)イヤ事實デアリマス、然ルニ
本員ノ提出致シマシタ此希望條件ニ依
リマシテ小山次官ノ御聲明ガ、矢張大
正十六年一月一日以後ト云フコトヲ承
認サレマシタ、其結果急速ニ又附則ガ
變更サレタヤウデアリマス、是ハ勿論
此機宜ノ處置ヲ御任セニナリマシタ上
ニ於キマシテ、洵ニ巧妙ナル御修正デ
アッタト思ヒマシテ敬服スル譯デアリ
マスガ、併シ非公式ニ隅田君ノ御話ヲ
承ッタトキニハ若シ萬一少數デ倒レマ
スレバ、次善ヲ取ッテ此希望條件ヲ附ケ
タモノニ賛成スルト云フ意味ノコトヲ
私ハ承ッタト思ッテ居リマス、デアルカ
ラ若シ萬一少數デアルナラバ、此條件
ヲ附ケタモノニ御賛成ガ願ヒタイト云
フコトヲ玆ニ希望スル譯デアリマス
〔「採決々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113479X00819260310&spkNum=26
-
027・若尾幾太郎
○若尾委員 此程度ニ於テ討論ヲ打切
ラレテ、直チニ採決サレンコトヲ願ヒ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113479X00819260310&spkNum=27
-
028・折原巳一郎
○折原委員長 ソレデハ皆サンノ御議
論モ盡キマシタト存ジマスカラ採決致
シマス、採決ハ原案ニ遠イ方カラ決ヲ
採ルコトニ致シマス、ソレハ內容ハ皆
樣御承知デアリマスカラ申述ベマセヌ
ガ隅田豐吉君ノ御提議ハ原案ニ三箇
所ノ修正ヲ加ヘル、斯ウ云御意見デア
リマス、丹下君ノ發議ハ原案ハ認メル、
但シ希望條件ヲ附スル、隅田君ノ御意見
ノ方ガ原案ニ遠イモノト認メマカラ、
是ヨリ先ニ採決ヲ致スコトニ致シマ
ス、隅田君ノ御發議ニ御同意ノ方ハ迷
惑デモ御起立ヲ願ヒマス
〔賛成者起立〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113479X00819260310&spkNum=28
-
029・折原巳一郎
○折原委員長 十一名-次ニ丹下君
ノ御發議ニ御同意ノ方ハ御起立ヲ願ヒ
マス
〔賛成者起立〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113479X00819260310&spkNum=29
-
030・折原巳一郎
○折原委員長 十五名、多數デアリマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113479X00819260310&spkNum=30
-
031・志賀和多利
○志賀委員 ソレデハ少數意見ノ報告
ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113479X00819260310&spkNum=31
-
032・折原巳一郎
○折原委員長 少數意見ヲ報告スルコ
トニ致シマス-ソレデハ是デ本委員
會ハ閉ジマス、一寸一言御挨拶ヲ申上ゲ
マス、本法案ハ法文トシテハ八箇條、極
メテ簡單ナモノナノデアリマスガ、內容
ハ御承知ノ通リ極メテ重大ナモノデア
リマシタノデ、會ヲ重ネルコト九囘、日
數ヲ要スルコト二十日ノ間ヲ以テ茲ニ
議了シマシタコトヲ恐縮ト存ジマスト
共ニ、致方ノナイ結果デアラウト思ヒ
マス、幸ニ諸君ノ御勵精ニ依リマシテ
無事ニ委員會ヲ終了致シタコトヲ、幸
福ト致シマスト共ニ、不慣レ不行屆ノ
私ノ爲ニ不滿足ノ點ガ多カッタコトト
存ジマス、茲ニ深ク御訖ヲ申上ゲマシ
テ御挨拶ト致シマス(拍手)
午後零時十二分散會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005113479X00819260310&spkNum=32
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。