1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
市町村義務教育費國庫負擔法中改正法律案（政府提出）
市町村義務教育費國庫負擔法中改正法律案（湯淺凡平君提出）
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會議
昭和二年二月十九日（土曜日）午前十時四十分開議
出席委員左の如し
委員長 堀田義次郎君
理事 山枡儀重君
理事 山下谷次君
理事 丸山浪彌君
清水留三郎君 蟻川五郎作君
上埜安太郎君 熊谷五右衞門君
浦野謙朗君 土屋清三郎君
同月四日委員建部遯吾君、十八日委員八木逸郎君孰れも辭任に付其の補闕として四日菅原英伍君、十八日堀田義次郎君を議長に於て選定せり
同月十八日委員長八木逸郎君辭任に付其の補闕として十九日堀田義次郎君當選せり
同月十七日市町村義務教育費國庫負擔法中改正法律案（湯淺凡平君提出）の審査を本委員に付託せられたり
出席政府委員左の如し
文部政務次官 田中善立君
文部書記官 西山政猪君
委員長の許可を得て出席したる者左の如し
湯淺凡平君
本日の會議に上りたる議案左の如し
市町村義務教育費國庫負擔法中改正法律案（政府提出）
市町村義務教育費國庫負擔法中改正法律案（湯淺凡平君）提出発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005211283X00319270219&spkNum=0
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001・山枡儀重
○山枡委員長代理 委員長ガ辭任致サ
レマシタカラ暫ク私此席ヲ汚シマス、
只今カラ市町村義務〓育費國庫負擔法
中改正法律案委員會ヲ開會致シマス、
委員長ガ辭任致サレマシタカラ、其補
闕選擧ヲ致シタイト思ヒマスガ、如何
樣ニ致シマセウ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005211283X00319270219&spkNum=1
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002・丸山浪彌
○丸山委員 選擧ノ手數ヲ省キマシテ、
座長ノ指名ニ御願ヒ致シタイト思ヒマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005211283X00319270219&spkNum=2
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003・山枡儀重
○山枡委員長代理 御異議アリマセヌカ
[「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005211283X00319270219&spkNum=3
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004・山枡儀重
○山枡委員長代理 サウスレバ堀田義
次郞君ニ御願ヒ致シタイト思ヒマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005211283X00319270219&spkNum=4
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005・山枡儀重
○山枡委員長代理 ソレデハ委員長ノ
御著席ヲ乞ヒマス
〔山枡委員長代理委員長席ヲ退
キ堀田委員長代リ著席〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005211283X00319270219&spkNum=5
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006・堀田義次郎
○堀田委員長 ソレデハ只今御推選ニ
依リマシテ、私ガ是ヨリ委員長ノ席ヲ
汚シマス、一寸御諮リヲ致シマスガ、政
府提出法律案ノ方ハ都合ニ依リ後廻シ
ニ致シマシテ、是ヨリ湯淺凡平君提出
ニ係ル市町村義務〓育費國庫負擔法中
改正法律案ニ付テ審議ヲ進メタイト思
ヒマスガ、御異議アリマセヌカ
[「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005211283X00319270219&spkNum=6
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007・堀田義次郎
○堀田委員長 ソレデハ左樣取計ヒマ
ス、ソレデハ先ヅ審議ニ入ルニ先チマ
シテ、湯淺君ノ趣旨辯明ヲ許シタイト
思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005211283X00319270219&spkNum=7
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008・湯淺凡平
○湯淺委員 本案ノ提案ノ理由ハ、本
會議ニ於テ大體申述テ置キマシタガ、
要スルニ只今ノ義務〓育費國庫負擔七
千萬圓、本年ノ豫算ニ於キマシテ更ニ
五百萬圓增加サレテ、七千五百萬圓ト
ナッテ居リマスノヲ、更ニ五千五百萬圓
ヲ加ヘテ約一億三千萬圓、卽チ尋常科
小學校〓員俸給ノ全部ヲ國庫ノ負擔ト
致シタイト云フノガ、此改正案ノ趣旨
デアリマス、隨テ法文ハソレニ準ジテ
改正スルコトニナッテ居リマス、申上ゲ
ル迄モナク、此事柄ハ全國ノ殆ド輿論
ト申シテモ差支ナイ、旣ニ町村長會同ノ
際ナドニ於テモ屢問題トナリ、要求ト
ナッテ居ル次第デアリマス、殊ニ近來地
方町村ノ費用ハ非常ニ增加致シマシタ
爲ニ町村民是ガ負擔ニ苦シンデ居ル
ノデ、何トカ致シテ是ガ輕減ノ方法ヲ
考ヘテヤラナケレバナラヌ事情ニ迫ッ
テ居リマスガ、差當ッテ如何ナル方法ニ
依テ此輕減ヲ圖ルカト云フコトニ付テ
ハ、相當ノ問題ガソコニ橫ッテ居ル譯デ
アリマスケレドモ、差當リ地方町村總
費用ノ約五割ニ達セントスル程ノ〓育
費ニ對シテ、國庫ガ補助スルコトハ最モ
簡單ニシテ且適切ナル方法ニアルト思
ヒマス、尤モ此事ニ關シ山枡君ヨリ御
尋ノ通リ、一方デ地方費ノ補助ヲ致シ
テモ、他方デ之ヲ國費トシテ負擔セシ
メテハ、差引何ニモナラナイト云フコ
トデアリマシタ、國費ハ他ノ方法ニ依
テ私共ハ節減ノ餘地アリト考ヘテ居リ
マスガ、今日七千萬圓ノ國庫負擔ヲ受
ケマシテモ地方ハ助ッテ居リマスカラ
國費トシテ負擔シテハ何ニモナラナイ
ヤウデスガ、事實助ッテ居リマス故ニ、
更ニ之ヲ增額スレバ今ト同シ事情ニ於
テ、ヨリ良クナルノデアリマスカラ、負
擔輕減ノ點カラ言ッテモ、今日此金額ヲ
增加スルコトハ必要ト思ヒマス、ソレカ
ラ將來小學〓員ノ境遇ヲ保障スル點
カラ申シテモ、地方ノ財政ガ益窮迫スル
場合ニ於テハ、其俸給ノ支拂ニモ差支
ヲ生ズル地方ガ現ハレテ來ルヤウニナ
レバ、〓員ノ不安ガ段々增シテ往クト
思ヒマスノデ、尠クトモ全額ヲ國庫ニ
於テ負擔スルコトニナレバ、〓員ノ安
心ハ非常ニ鞏固ニナルト考ヘマス、サ
ウ云フ風ニ致シマシテ義務〓育費ヲ國
庫ニ負擔セシメテ、義務〓育ノ完全ヲ
圖ル趣意デアリマス、之ヲ要約シテ申
セバ、〓員俸給ノ支出ヲ確實ニシ、サウ
シテ地方費ノ輕減ヲ圖ル趣意デアリマ
スドウゾ御贊成ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005211283X00319270219&spkNum=8
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009・山枡儀重
○山株委員 御提案ノ御趣旨ニハ私モ
洵ニ同感デアリマス、先日本會議デ質
問致シマシタガ、時刻ノ迫ッテ居リマス
爲ニ、極メテ簡單ニ致シマシタノデ、其
意ヲ盡サナイ所ガアリマシタカラ、之
ヲ此席ニ於テ補足致シマス、是ハ重大ナ
ル問題デ、唯全額「國庫負擔ニスレバ良
カラウ」「サウダ」ト云フヤウニ簡單ニ
片附ケル譯ニ參リマセヌ、私モ實ハ〓
員給全額國庫負擔ニスベシト云フ議論
ヲ一時ヤッテ居リマシタガ、實際問題ト
シテ考ヘテ見マシタ時ニ、茲ニ疑問ガ
起ッテ來マシタ、ソレハ只今湯淺君御話
ノ中ニ私ガ地方費ガ國費ニナルカラ同
ジ國民ノ負擔ニナッテ何ニモナラナイ
ト言ッタト云フ風ニ御了解ニナリマシ
タガ、私ハサウ云フ風ニ考ヘテ居ラナ
イノデ、地方費ガ國費ニナッテモ國民全
體ノ負擔スル金額ハ異ナラナイケレド
モ、其負擔者ガ異ッテ來テ負擔ノ公平ヲ
期スルコトガ出來ルノデ、是ハ當然然
ルベキコトヽ考ヘテ居ルノデアリマス
ガ、私ノ心配スル點ハ二ツアリマシテ、
其一點ハ義務〓育費國庫負擔額ヲ增加
スレバ、市町村ノ〓育費ハソレダケ減
ジナイデ-減ジテモ更ニ增加致シマ
シテ、〓育費ノ國家全體ノ費用カラ申
シマスレバ、更ニ增加スルノデアリマ
ス、ソレト言フノハ現在市町村ハ財政
ニ餘裕ガ出來レバ〓員ヲ優遇シ、〓育
ノ爲ニ金ヲ投ジタイト云フ希望ガアリ
マスカラ、負擔ガ輕減サルレバ幾分其
ノ方ニ振向ケルト云フ熱心カラ、サウ云
フコトニナッテ來ルコトヽ思ヒマス、是
ハ一面カラ言ヘバ喜ブベキコトデアリ
マスガ、國庫負擔ガ增加スル度ニ〓員
ガ優遇ヲ受ケルノデアリマス、然ルニ
將來町村長ガ〓員ノ俸給ニ關係ガナイ
ト云フコトニナルト、サウシテ國家
衆議院ダケガ此問題ニ關係スルコトニ
ナリマスト、此俸給ノ增額ハ他ノ官吏ノ
平均給トノ權衡上困難ニナッテ來ルノデ
今日〓員ノ優遇ガ進ミツヽアル時ニ當
テ其出鼻ヲ挫クト云フ意味ニナリマス
カラ、此點ヲ憂ヘテ居ルノデアリマス、
今日ハ町村長諸君ガ關係シテ居ルカラ
競ッテ優遇スルノデ、好イ結果ヲ見テ居
リマスガ、ソレガドウ云フ風ニ片付ケ
ラルヽカト云フコトヲ疑ッテ居リマス、
第二ハ分配ノ方法デアリマス、今分
配ヲ致シテ居リマスノハ〓員ノ數ト兒
童ノ數ニ應ジテ之ヲ分配致シテ居ルノ
デアリマシテ、而モ割合ハ市ニハ少ク、
町村ニハ多イ、而シテ特別町村ニ更ニ
多イ、斯ウ云フ風ニ段々財政ノ豐カナ
ラザル方ニ多ク〓ルヤウニ分配サレテ
アル、而モソレガ分配サレテ來タ村デ
ハ、其分配ノ金額ニ拘ラズ俸給ヲ出シ
テ居リマシテ、或村デハ小學校ノ〓員
ノ俸給ハ分配サレル金額ノ倍以上モ出
シテ居ル所モアレバ、或村ニ行キマス
ト〓員給ノ中ノ七割モ八割モ分配サレ
タ金額デ賄ッテシマッテ居ル所モアッテ、
其〓員ノ俸給ノ間ガ都合好ク圓滿ニ行ッ
テ居リマス、然ルニ之ヲ國庫カラ全額
ヲ負擔スルト云フコトニナルト、之ヲ
ドウ云フ風ニシテ分配スルカ、全部町
村ハ〓育費ヲ出サナイ、ソコデ恐ラク
斯ウシナケレバ都合ガ付クマイト思ヒ
マス、各府縣ニ依リ、或ル一定ノ金額ヲ
渡シテ置ク、サウシテ其中デ各府縣デ
適當ニ〓員ノ俸給ヲ決メテ分配スル、
斯ウ云フコトデナケレバナラヌ、然ル
ニサウヤラズニ〓員ノ一人〓〓ノ俸給
金額ヲ國家ガ決メルト云フコトハ、到
底不可能デアリマスカラ、各府縣ニ於
テ之ヲ定メテ賄フ、各府縣ノ自由裁量
ニ委セル、斯ウ云フコトニシナケレバ
始末ガ付クマイト思ヒマス、サウスル
ナラバソレハドウ云フ風ニ各府縣ニ
金額ヲ分ツカ、斯ウ云フコトニナリマ
スト、各府縣ノ〓員給竝ニ之ヲ兒童
數ニ依テ之ヲ分ッテ行ク、斯ウ假定
致シマスト、都市ニハ僅ノ金額シカ
振當ガ行カナイコトニナルノデアリ
マス、大都市ヲ含ム府縣ナドハ、他ノ
極ク田舍ノ府縣ト同ジ金額シカ行カ
ナイノデアリマスカラ、到底此〓員ノ
俸給ヲ支拂フコトガ不可能ニナルノデ
アリマス、田舍ノ〓員ト東京市ノ〓員
ト同ジ俸給デ働ケト云フコトニナリマ
スト、到底東京市デハ生活ガ出來ナイ、
ノミナラズソンナ所ニ〓員ニ來ル者ハ
ナイノデアリマス、斯ウシテ〓員ヲ得
ラレナクナッテシマフノデアリマスカ
ラ、此方法デハイカナイ、矢張俸給ヲ澤
山出サナケレバナラヌ所ハ澤山配當ス
ルヤウニ仕組マナケレバナラヌト思フ、
斯ウ云フ風ニ仕組ミマスレバ都市ニ金
額ガ多ク〓ッテ來ルト云フコトニナル、
サウスルト元來此國庫負擔ノ目的ハ實
ハ農村ノ負擔ヲ輕減シタイト云フコト
ニ在ルノデアリマス、卽チ國家ノ收入
ハ大體カラ申シマスナラバ、町村カラ
來ルモノヨリモ市カラ來ルモノヽ方ガ
多イカ、若クハ同等ニアルノデアリマ
ス、非常ニ多ク大都市カラ財源ヲ得テ
居ルノデアリマス、其都市カラ得テ居
ル財源ヲ地方ニ分配スルト云フコトデ、
ソコデ負擔ノ公平ニナラヌト云フコト
デ、玆ニ義務〓育費ノ國庫負擔ノ問題
ガ出テ來テ居ルノデアリマス、デアリ
マスカラソレガ其目的ニ適ハヌト云フ
コトニナッテシマヒマシテ、成程田舍カ
ラ見マスナラバ、町村ノ負擔ハ一面カ
ラ見マシテ無クナッタケレドモ、所得稅
トカ色ミナモノハ拂ハナケレバナラヌ、
若シソレガナケレバ所得稅ナドハ輕減
セラレル譯デアリマスカラ、隨テ農村
ノ方デハ馬鹿ヲ見タト云フコトニナッテ、
國費ノ取上ゲラレタモノハ非常ニ多數
ヲ都會ニ持ッテ行カレルコトニナッテ、
是デハ農村振興ノ精神ニ違反スルコト
ニナルノデアリマスノミナラズ、此日
本ト云フ國ハ北ノ端カラ南マデ實ニ複
雜ナル事情ガアルノデアリマシテ、玆
ニ色〓ナ生活ノ經濟狀態ガ異ッテ居ル
ノデアリマシテ、非常ニ多額ヲ要スル
所モアレバ、少額デ宜イ所モアル、之ヲ
旨ク適當ニ處置シテ行カウト思フナラ
バ其分配ノ方法ハ中〓困難ニナルノ
デアリマス、ソレカラサウ云フ風ニ何
等カノ標準デ〓員ノ數ニ依テ割當テル
ト致シマシテモ、〓員ノ數ト云フモノ
ヲドウシテ決メルカト云フコトガ又中
中困難デアリマス、東京府ノ〓員數何
人、福島縣ノ〓員數何人、斯ウ云フコト
ヲ決メルコトハ非常ニムヅカシイノデ
アリマス、何トナレバ今日日本ノ小學
校ノ一學級ノ兒童數ハ多過ギテ困ッテ
居ル、一學級ノ兒童數ヲ三十人位ニシ
タイト云フコトハ誰モノ希望デアリマ
ス、所ガサウ云フコトヲスレバ各府縣
デハ校舍ヲ建築シナケレバナラヌ、ソ
レハ地方ノ負擔ニナルノデアリマス
サウ云フコトノ爲ニ〓員ノ數ガ增加ス
ル、或ハ玆ニ專科〓員ヲ置クト云フコ
トハ段々盛ニナッテ來テ居ル、現在アル
〓員ノ數ヲ基準ニスルカ、將來何人置
クト云フコトヲ命令スルカト云フコト
ハ、茲ニ非常ナ複雜ナ關係ガ起ッテ來
マシテ、〓員數ヲ決メルト云フコトハ
非常ニ複雜ニナッテ來ル、斯ウ云フコト
ヲ考ヘテ見マスト、簡單ニ國庫ノ負擔
ヲ今ノ倍ニスレバソレデ濟ムヂヤナイ
カト、斯ウ云フ風ニ簡單ニハ片付カヌ
ノデアリマス、ソレデ若シモ地方ト都
會トノ平均俸給ヲヤッテ居ッテ、サウシ
テ生活ノ困難ナ所、物價ノ高イ所ニ向ッ
テハソレダケ各地方カラ特別加俸ヲ
出セバ宜イヂヤナイカト云フ議論ガア
ルノデアリマス、若シサウナルト云フ
ト義務〓育費中〓員給ノ七割若クハ全
額ヲ國庫ガ負擔スルト云フ主義ニ反シ
テ、是ガ全ク破レテシマフノデアリマ
ス、少クトモ〓員ガ受ケル俸給ノ全部
ヲ國庫ガ負擔シナケレバナラヌト云フ議論
ハ成立タナイノデアリマス、一部分ヲ
以テ生活費ノ程度ニ應ジテ各地方ニ於
テ、適當ニソレ以上ニヤレト云フコト
デアレバ、是ハ又各地方デ競爭ガ起ッテ
參リマシテ、町村ノ負擔ガ又多クナッテ
來ル、斯ウ云フコトニナルノデアリマ
ス、其議論モアリマシテ、本俸ダケヲ國
庫ガ支給シテ、各地ノ事情ニ應ジテ任地
俸ヲ各地方ニ於テ支辨セヨト云フ議論
ヲ先年私共ノ同僚建部議員ガ提出致サ
レテ、建議案ハ通過致シテ居リマス、昨
年ノ帝國聯合〓育會ニ於テハ其事ヲ決
議シテ居リマスガ、是モ亦非常ナ困難
ガアルコトハ分ッテ居ルノデアリマシ
テ、此本俸ト任地俸トノ區別ヲシテ居
ル所ハ佛蘭西ニアルノデアリマスガ、
佛蘭西ハ極メテ事情ガ簡單デアリマス
カラ是ガ行ケルノデアリマス、比較的
纒ッタ國デアリマシテ、生活ノ事情ガ餘
リ異ラナイ、而モ其俸給ハ極メテ機械
的ニ作ッテアリマスカラ是ガ出來ル、又
英吉利ハ〓員ノ俸給ノ六割ヲ國庫ガ負
擔ヲ致シテ居ルノデアリマスガ、其六
割ハ一ツ〓〓ニ付テ六割ヲ負擔スルノ
デアリマシテ、日本ノ今ヤッテ居ル半額
トカ半額以上ト云フノハ、合計ノ半額ニ
付テ言ッテ居ルノデアッテ、各村〓ノ〓
員ノ受ケル俸給ノ半額トカ六割ト云フ
コトニハナッテ居ナイノデアリマス、英
吉利ハ各〓員ノ受ケル俸級ノ六割ヲ國
庫ガ負擔スルコトニナッテ居リマス、而モ
英吉利ハドウカト居フト、倫敦ヤ「リバ
プール」等ノ大都市ハ田舍ト補給額ヲ
異ニシテ、確カ四ツニ別ケテ俸給表ヲ
作ッテ居リマス、其土地ノ經濟狀況ニ應
ジテ俸給表ヲ拵ヘテ、之ニ依テ國庫ガ
負擔ノ基準ヲ作ッテ居ルノデアリマス、
是ナラバ又仕易イ點ガアルノデアリマ
スガ、全額負擔ニスルト矢張困難ガ起
ル、斯ウ云フ困難ガ起ルカラシテ私此
頃考ヘテ居ル問題ハ是ハ又〓育社會
ニ於テモ時〓問題ニモナッテ居ルノデ
アリマスガ、要スルニ義務〓育費ノ國
庫負擔問題ハ、負擔ノ公平ガ目的デア
リマス、甲ノ町村ト乙ノ町村ト較ベテ、
兒童〓ハ大〓同ジデアリマス、然ルニ
片一方ニ金持ガアル、片一方ニ金持ガ
ナイト云フト、玆ニ負擔ノ不權衡ヲ來
スコトニナル、ドウシテモ負擔シナケ
レバナラヌモノデアッテ、其經費ガ地方
費デアラウト國費デアラウト同一デア
リマスカラ、ソレガ不公平ニナル、其負
擔ノ公平ヲ期センガ爲ニハ府縣費ノ支
辨ニスル、〓員ノ俸給ハ府縣費デ支辨
スル、サウスレバ其縣內ノ町村ノ間ノ
不均衡ガ全部除カレテシマヒマシテ、
適當ニ按分スルコトガ出來ル、其所ハ
府縣デ定メマスカラ、其地方ニ適合シ
タル俸給ヲ定ムルコトガ出來ル、之ニ
對シテ國庫ガ全部ノ約六割ニ達スルト
カ七割ニ達スルトカ、帝國聯合〓育會
ニ於テハ七割ヲ決議致シテ居リマスガ、
其金額ヲ國庫カラ持ッテ來テ、斯ウ云フ
ヤウニスレバ其所ニ調和ガ取レルノデハ
ナイカト云フコトヲ今考ヘツヽアルノ
デアリマスガ、此點ヲ能ク考ヘテ頂キ
マセヌト、全部國庫ガ負擔ヲスルト、俸
給ガ上ルト云フ、優遇問題ニモ影響ス
ルノミナラズ、之ヲ機械的ニヤルト其間
ニ非常ナ混雜ヲ來シテ、〓育ガ形式化
シテシマフト云フ憂ガアル、斯ウ云フ
點ニ疑ヲ持ッテ居ルノデアリマス、私共
ハ愼重ニ考慮ヲスル必要ガアルト思ヒ
マス、斯ウ云フコトヲ實ハ[先日十分申
上ゲタカッタノデアリマスケレドモ時
間ガナイノデ是ハ申上ゲルコトガ出來
ナカッタノデアリマスガ、私共ノ間ニハ
能ク考慮致シテ居リマス、ドウカ提案
者ニ於カレマシテモソレ等ノ點ヲ能ク
御考慮ヲ願ヒ、又委員諸君ニ於カセラ
レマシテモ十分御攻究ヲ願ヲテ、適當ナ
ル方法ヲ講ゼラルヽヤウニ願ヒタイ、
サウ云フ事ニ付テ何カ御考ガアル點ガ
アリマスレバ、伺ッテ置キタイ、斯ウ云
フ風ニ思フノデアリマス、是ハ質問ト
云フヨリハ私ノ意見ニ屬スルカモ知レ
マセヌガ、サウ云フ問題ヲ提供シテ、サ
ウシテ是ハ一億四千萬圓ニ達スル國費
上ノ大問題デアリマスカラ、十分方法
ヲ攻究シテ置ク必要ガアラウト思ヒマ
シテ、此點ヲ申上ゲタ次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005211283X00319270219&spkNum=9
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010・湯淺凡平
○湯淺凡平君 色〓御尤ナ御意見ヲ伺
ヒマシタガ、別段御質問ト云フノデア
リマセヌカラ、私ハ提案者ノ說明ノ義
務ダケヲ盡シテ終リタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005211283X00319270219&spkNum=10
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011・堀田義次郎
○堀田委員長 他ニ御質問ハアリマセ
ヌカ-他ニ御質問モナイヤウデアリ
マスカラ、今日ハ此程度ニ止メテ置キ
タイト思ヒマス、追テ開會ノ日時ハ公
報ヲ以テ御知ラセ致シマス
午前十一時一分散會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005211283X00319270219&spkNum=11
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