1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二年一月二十七日(木曜日)午後一時十四分開議
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議事日程 第七號
昭和二年一月二十七日
午後一時開議
第一 河川法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第二 右議案の審査を付託すへき委員の選擧
第三 登録税法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第四 印紙税法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第五 砂糖消費税法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第六 關税定率法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第七 右各案の審査を付託すへき委員の選擧
第八 國債整理基金特別會計法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第九 右議案の審査を付託すへき委員の選擧
第十 市町村義務教育費國庫負擔法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第十一 右議案の審査を付託すへき委員の選擧
第十二 計理士法案(政府提出) 第一讀會
第十三 右議案の審査を付託すへき委員の選擧
第十四 水戸鐵道株式會社、越後鐵道株式會社、陸奧鐵道株式會社、苫小牧輕便鐵道株式會社及日高拓殖鐵道株式會社所屬鐵道買收の爲公債發行に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第十五 右議案の審査を付託すへき委員の選擧
第十六 大正十四年法律第四十七號衆議院議員選擧法中改正法律案(林田龜太郎君外一名提出) 第一讀會
第十七 大正十四年法律第四十七號衆議院議員選擧法中改正法律案(東武君外二名提出) 第一讀會
第十八 大正十四年法律第四十七號衆議院議員選擧法中改正法律案(林田龜太郎君提出) 第一讀會
第十九 北海道農地特別處理法案(丸山浪彌君外六名提出) 第一讀會
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=0
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001・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 諸般ノ報告ヲ致サセ
マス
〔書記官朗讀〕
一政府ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
震災手形損失補償公債法案
震災手形善後處理法案
朝鮮事業公債法改正法律案
臺灣事業公債法中改正法律案
關東州事業公債法中改正法律案
商事非訟事件印紙法中改正法律案
九州製鋼株式會社ノ工場等ノ買收代金ニ
關スル法律案
鐵道敷設法中改正法律案
(以上一月二十六日提出)
一議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
會計檢査院法中改正法律案
提出者
千葉三郞君武藤山治君
未成年者飮酒禁止法中改正法律案
提出者
竹原樸一君田中万逸君
嶋居哲君有馬賴寧君
星島二郞君佐々木長治君
志賀和多利君植原悅二郞君
坂東幸太郞君杉浦武雄君
山口政二君宮島幹之助君
信太儀右衞門君谷原公君
森肇君〓水長〓君
戶田由美君
尼港漁業者ノ損害救濟ニ關スル建議案
提出者
佐々木平次郞君坂東幸太郞君
八戶久慈間鐵道速成ニ關スル建議案
提出者柏田忠一君
一戶荒屋間鐵道速成ニ關スル建議案
提出者柏田忠一君
濱名湖ヲ中心トスル國立公園設定ニ關ス
ル建議案
提出者倉元要一君
靑年團及處女會指導機關設置ニ關スル建
議案
提出者
倉元要一君秋田寅之介君
水道費國庫補助金層額ニ關スル建議案
提出者
倉元要一君秋田寅之介君
尾道市鹽町間鐵道敷設ニ關スル建議案
提出者
嶋居哲君山下谷次君
渡邊伍君河上哲太君
裏九戶鐵道建設ニ關スル建議案
提出者柏田忠一君
(以上一月二十五日提出)
後藤寺、上山田間鐵道敷設ニ關スル建議
案
提出者坂井大輔君
國有林野所在府縣市町村ニ對シ交付金下
付ニ關スル建議案
提出者
八田宗吉君堀切善兵衞君
志賀和多利君
國有林野法中改正ニ關スル建議案
提出者
八田宗吉君志賀和多利君
馬政振作ニ關スル建議案
提出者
八田宗吉君志賀和多利君
野岩羽鐵道速成ニ關スル建議案
提出者
八田宗吉君榊原經武君
西方利馬君
柳津小出間及只見古町間鐵道速成ニ關ス
ル建議案
提出者八田宗吉君
湖南鐵道建設ニ關スル建議案
提出者八田宗吉君
磐梯山猪苗代湖ヲ中心トスル國立公園設
定ニ關スル建議案
提出者
八田宗吉君堀切善兵衞君
(以上一月二十六日提出)
恩給其ノ他ノ恩典ニ雇員在職年數通算ニ
關スル建議案
提出者靑木精一君
(以上一月二十七日提出)
決議案(政府委員ノ任命ニ關スル件)
提出者
牧山耕藏君松田源治君
中村啓次郞君三土忠造君
武藤金吉君〓瀨一郞君
佐々木平次郞君林田龜太郞君
森田金藏君鷲野米太郞君
大藏省令第二十八號ヲ廢止シ之ニ代ルヘ
キ法律制定ニ關スル決議案
提出者武藤山治君
(以上一月二十五日提出)
一議員ヨリ提出セラレタル質問主意書左ノ
如シ
對支外交ニ關スル質問主意書
提出者神田正雄君
(以上一月二十六日提出)
〔左ノ報〓ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノ爲
玆ニ揭載ス〕
一去二十五日衆議院規則第十五條但書ニ依
リ議長ニ於テ議席ヲ左ノ通變更セリ
九山下谷次君
九九西方利馬君
一九〇向井倭雄君
一九井口延次郞君
一去二十五日辭任シタル常任委員左ノ如シ
第三部懲罰委員米原於菟男君
第七部豫算委員加藤政之助君
第五部豫算委員土生彰君
第三部豫算委員鳩山一郞君
一去二十五日常任委員補闕選擧ノ結果左ノ
如シ
第九部選出
決算委員橫山勝太郞君(宮崎松次郞
君補闕)
一昨二十六日若槻内閣總理大臣ヨリ左ノ通
發令アリタル旨ノ通牒ヲ受領セリ
內務省警保局長松村義
社會局長官長岡隆一郞
北海道廳長官中川健藏
內務省所管事務政府委員被仰付
一昨二十六日衆議院規則第十五條但書ニ依
リ議長ニ於テ議席ヲ左ノ通變更セリ
二四五中村貞吉君
二五七村山喜一郞君
一昨二十六日常任委員補闕選擧ノ結果左ノ
如シ
第三部選出
豫算委員倉元要一君(鳩山一郞君
補闕)
第三部選出
懲罰委員吉良元夫君(米原於蒐男
君補闕)
第五部選出
豫算委員三好榮次郞君(土生彰君補
關
第七部選出
豫算委員吉川吉郞兵衞君(加藤政之
助君補闕)
一昨二十六日部長補闕選擧ノ結果左ノ如シ
第七部部長村松龜一郞君(部長加藤政
之助君補闘)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=1
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002・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 是ヨリ會議ヲ開キマ
ス、諮問事項ガアリマス、第九部選出豫算
委員井出繁三郞君ヨリ常任委員辭任ノ申出
ガアリマシタ、許可スルニ御異議アリマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=2
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003・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ許可致シマス、其部ノ諸君ハ速
ニ補闕選擧ヲ行ヒ屆出アランコトヲ望ミマ
ス、尙ホ岡崎邦輔君病氣ニ付、一月二十六
日ヨリ二月十五日マデ二十一日間、井上利
八君病氣ニ付、一月二十八日ヨリ二月六日
マデ十日間、此兩君ヨリ請暇ノ申出ガアリ
マシタ、許可スルニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=3
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004・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 異議ナシト認メマ
ス、許可致シマス、尙ホ豫算委員長ヨリ本
日本會議中委員會ヲ開會致シタイトノ申出
ガアリマス、尙ホ〓後モ本會議中委員會及
分科會ヲ開會シタイトノコトデアリマス
ガ、之ヲ許可スルニ御異議アリマセヌガ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=4
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005・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ許可スルコトニ致シマシタ、田崎
信藏君ヨリ議事進行ニ關スル發言ヲ求メラ
レテ居リマス、之ヲ許シマス
〔田崎信藏君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=5
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006・田崎信藏
○田崎信藏君 私ハ議長ニ向テテ停會ト豫
算審議期間ノ事ニ關スル議長ノ御意見ヲ御
尋シタイノデアリマス、停會ノ期間ハ
豫算審議ノ期間ニ算入スベキモノデアリマ
セヌ、何トナレバ停會ハ政府ヨリ議院ノ活
動ヲ停止シタノデアリマス、政府ノ命ニ依
リ豫算ノ審議期間ガ縮小スル道理ハナイノ
デアリマス(「分ルカヘ」「分ラナイ」ト呼フ
者アリ)議院ガ任意休會シタル場合ナラバ
格別デアリマス、停會ト休會トハ性質ヲ異
ニスルノデアリマス、是ガ實際ヨリ言フモ
停會十數日ニ亙ルトキハ豫算ノ審議ハ不可
能トナルノデアリマス、前議會ニ於キマシ
テ議院法改正ニ當リマシテ、本員ハ停會ノ
日數ハ(發言スル者多シ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=6
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007・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=7
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008・田崎信藏
○田崎信藏君(續) 豫算ノ審議期間ニ算入
セズト致シマシテ、此明文ガ置カレタノデ
アリマス、而シテ當時是ハ新法制ニ非ズシ
テ、從前ノ解釋ヲ成文ニシタノデアリマス、
今期議會ニ於キマシテ本員ガ豫算案ヲ受取
リマシタノハ、一月十八日ナルガ故ニ、元
來二月七日迄ガ期間デアルノデアリマス、
中途一月二十日ヨリ二十二日迄ノ三日間ノ
停會アリタル爲ニ、此期間ハ二月十日迄當
然アルノデアリマス(發言スル者多シ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=8
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009・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=9
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010・田崎信藏
○田崎信藏君(續) 然ルニ今豫算委員會ノ
內容ナルモノヲ見マスレバ、豫算總會ハ僅
ニ三日間デアリマス、分科會ハ二十九日カ
ラ二月二日迄トシテ、後ハ黨議ニ依シテ五
日迄ニ終了スルト云フノデアリマス、若シ
豫算審議期間ガ二月十日迄アルモノナラ
バ今期議會ノ如ク重大ナル所ノ-反對
黨ハ膨脹セル豫算、又不景氣ノ深刻ナルガ故
ニ、此挽囘策ナル所ノ對案ガアルベキ筈デ
アルノデアリマス、然ルニ其對案ナルモノ
ヲ何等是"パカリモ示サズシテ、深甚ナル考
慮ノ下ニ政策以上ノ大問題ナリト云フ朴烈
問題、又ハ綱紀肅正ナルモノ、綱紀肅正ト
ハドシナコトカ、私ハ文字ノ上ニ於テ解釋
致シマスルナラバ、若シ一例ヲ擧ゲマスル
ナラ政友會、此政友會竝ニ本黨ガ協議セラ
レテ三ツノ問題ノ妥協ヲ遂ゲラレタ、綱紀
肅正-綱紀肅正ト云フモノハ若シ-今
日帝國議會ノ信用ガ失墜致シ、國民ガ議會
ヲ信用シナイト云フコトハ、最早言葉デハ
申サナクトモ諸君ハ知ッテ居ル筈デアル、政
友會ノ總裁ニ於カセラレテハ、最モ戰ハ六
分デアル、後ノ四分ハ意氣ヲ以テ戰ヘバ勝
ツノデアルトマデ極言サレテ居ル、政治ヲ
私議スルト云フコトハ卽チ此議會ノ權利ア
ル所ノ、審議シナケレバナラヌ所ノ義務ヲ
抛棄致シテ、徒ニ政治ヲ私議スルモノデアル
ト私ハ極言スルノデアル(拍手)深甚ナル考
慮ノ下ニ、龍虎ノ如キ政友會ノ勢ハ俄ニ狐、
狸ト變リ、尙ホ其上ニ兎ノ如ク變ッタノデ
アリマス(笑聲)而モ綱紀肅正ナルコトヲ口
ニスルナラバ、自分ノ秘書官ノ直訴問題、
事皇室ニ關スル重大ナル所ノ責任ノアル被
疑者ガ、此議會ニ議席ヲ有シテ居ルノデア
リマス(「默レ」「議長々々」其他發言スル者
多シ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=10
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011・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 田崎君···発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=11
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012・田崎信藏
○田崎信藏君(續) 斯樣ナコトニ依シテ、綱
紀肅正ヲ口ニシ、不景氣挽囘策ヲ口ニスル
ニ至ッテハ、厚顏無恥、政治ヲ私議スル所
ノ憲政ノ賊デアルト私ハ信ズル者デアリマ
ス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=12
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013・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 田崎君ニ注意シマ
ス、議事ノ進行ノ範圍外ニ渉ラナイヤウニ
御注意ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=13
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014・田崎信藏
○田崎信藏君(續) 宜シイ、三黨首ノ會合
ニ依ッテ、政策以上ノ重大問題デハナイ、
國民ノ生活ヲ脅威スル所ノ不景氣ノ挽回ヲ
スルト云フナラバ、何カ策ガナケレバナラ
ヌ、然ルニソレヲ示サズシテ、豫算ノ審議
期間ヲ成ベク短縮シテ、質問モ許サナイデ
以テ、勝手ニ斯樣ナ事ヲ早ク決メテシマフ
ト云フニ至ッテハ、國民ニ對シテ-諸君
等ハ吾輩ニ向シテ彌次ヲ飛バスケレドモ、
良心ガアルナラバ暫ク天ノ聲ナリトモシテ
聽クガ宜シイ、(拍手)私ハ此意味ニ於テ今期
議會ハ國民ノ期待スル重大ナル所ノ案件ガ
多イノデアリマス、然ルニ此案件ヲ審議シナ
イデ以テ徒ニ政治ヲ私議致シテ、政友會ノ
政治ノ如ク致スニ至ッテハ、此罪許スベカ
ラザルモノデアリマス、而モ尙且ツ鳩山一
郞君ノ此壇上ニ於テ、政府ノ祕密書類ヲ院
議ニ依シテ此衆議院ニ提出スベシトマデノ
決議案ヲ出シタ、苟モ此院議ヲ尊重スルナ
ラバ、贊成シタルガ故ニ(「贊成シタノヂヤ
ナイカ」ト呼フ者アリ)其結果ヲ問フノダ、賛
成シタル故ニ結果ヲ問フノダ、默レッー
私ハ院議ヲ尊重スルコトガ政治家ノ最モ公
明ナル遣方デアルト思フノデアル、然ルニ
何等此公明ナル所ノ行爲ヲ致サズシテ、闇
カラ闇ニ葬ッテ、唯、政權ノ授受ヲ目的トス
ル所ノ憲法上ノ大罪惡ヲ爲ス所ノ人々ニ
依シテ、國民ノ期待スル所ノ議會ハ全ク蹂
躪サレタト思フノデアリマス、此意味ニ於
テ、議長ハ此豫算審議期間ニ對シテ如何ナ
ル御考ガアルカ、若シ此事ガ分ラナイナラ
バ院議ニ問ハレンコトヲ望ム所以デアリマ
ス、以テ私ハ議事進行ニ付テ發言シタノデ
アリマス(拍手、發言スル者多シ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=14
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015・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 靜肅ニ願ヒマス-
田崎君ニ御答ヲ致シマス、只今田崎君ハ停
會ト豫算期間ノ關係如何ト云フコトニ付
テ、議院法ノ解釋ニ對スル議長ノ意見ヲ御
尋ニナッタヤウデアリマス、此場合ニ於キ
マシテ議院法ノ解釋ニ付テ議長ノ意見ヲ申
述ベル必要ハナイト思フノデアリマス、又
之ヲ申述べマシテモ何等效力ノ無イモノデ
アラウト議長ハ考ヘルノデアリマス、ソレ
故ニ此問題ニ付キマシテハ今後其實際問題
ニ逢著致シマシタ場合ニ、院議ニ依シテ之
ヲ御決シニナルノガ相當デアラウト考ヘル
ノデアリマス、以上御答致シマス
〔「議長々々」「議事ノ進行ニ付テ」ト呼
フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=15
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016・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 田崎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=16
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017・田崎信藏
○田崎信藏君 今議長ノ御答辯ニ依リマス
ルト實際問題ニ到著シタナラバト言ハレ
マスケレドモ、今實際問題ニ付テ本員ハ議
事ノ進行ニ付テ議長ノ意見ヲ求メタノデア
リマス、重ネテ明快ナル御答辯ヲ請ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=17
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018・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 尙ホ御答申上ゲマ
ス、議長ガ····(發言スル者多ク議場騒然)
静肅ニ願ヒマス-靜肅ニ願ヒマス-静·
肅ニ願ヒマス田崎君--古川君、御著席下
サイ-古川君御著席ナサイ-御著席ヲ
願ヒマス(「議長々々」其他發言スル者多ク
議場騒然)御著席ヲ願ヒマスー-古川君、
靜肅ニ願ヒマス(「議長々々」ト呼フ者アリ)
静肅ニ願ヒマス-古川君ニ退場ヲ命ジマ
ス
〔田崎信藏君「議長、議事ノ進行ニ付テ
重ネテ發言ガアリマス」ト呼ヒ其他發
言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=18
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019・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 靜肅ニ願ヒマス-
静肅ニ願ヒマス(「議長々々」ト呼フ者アリ)
暫ク靜肅ニ願ヒマス-古川君-古川〓
君ニ退場ヲ命ジマス、古川君、議長ハ甚ダ
遺憾デアリマスガ古川清君ニ退場ヲ命ジマ
ス(「賛成」ト呼ヒ拍手起ル)靜肅ニ願ヒマス
田崎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=19
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020・田崎信藏
○田崎信藏君 議長-議事進行ニ付テ
〔「議長田崎君ニ退場ヲ命ジナサイ」「議
長々々」其他發言スル者多ク議場騒然〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=20
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021・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 靜肅ニ願ヒマス
〔「田崎君ニ退場ヲ命ジナサイ」「議長々
々」「退場スル必要ナシ」「必要ガアル」
ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=21
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022・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 靜肅ニ願ヒマス(「議
長ハ公平ダ」ト呼フ者アリ)諸君、靜肅ニ願
ヒマス-田崎君ニ重ネテ御答ヲ致シマ
ス、議長ガ實際問題ト申シマシタノハ、卽
チ豫算委員會ニ於ケル審議ノ經過ヲ指スノ
デアリマス、故ニ此問題ハ或ハ豫算審査ノ
期間ガ不足ヲスルト云フヤウナコトデアリ
マスルナラバ、自然豫算委員會ニ於テ其問
題ガ起ルデアラウト思フノデアリマス、議
長ハ總テ其經過ヲ俟チマシタ上ニ於テ、院
議ニ依シテ之ヲ決スルノ外ハナイト思フノ
デアリマス、是ダケノコトヲ御答致シマス
田淵豐吉君ヨリ議事進行ニ關スル發言
ヲ、求メラレテ居リマス、田淵豊吉君
〔田淵豊吉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=22
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023・田渕豊吉
○田淵豊吉君 諸君、私ハ一言議事進行ニ
付テ、田崎君ノ發言モゴザイマシタガラ、
議長ニ重ネテ問ヒタイノデアリマス、諸君
暫ク靜肅ニ願ヒタイ、ソレハ第一議長ニ聞
キタイノハ、過日モ聞キマシタガ、議院法ノ
解釋ノコトハ總テ議長ハ解釋權ガアルノカ
ナイノカト云フコトヲ聞キタイノデアリマ
ス、唯、事實上ノ問題ニ之ヲ委シテ置クノ
デアルカドウカト云フコトヲ聞キタイ、今
實際問題ニ當ッテ居ルニ拘ラズ、實際問題
ヲ知ラヌト云フノハ私當ラヌコトヽ思フノ
デゴザイマス、故ニ議長ハ議院法ノ解釋ハ
交涉會トカ、院議デ決マルモノデ、議長ハ
何等此解釋權ガナイト云フコトヲ仰シヤル
ノカドウカト云フコトヲ聞キタイ、田崎君
ハ內容論、動機論ニ付テ之ヲ論ゼラレタ、
ソレハ澤山意味ガゴザイマセウ、私ハソレ
ヲ言フノデハゴザイマセヌガ、法規上カラ
ドウ取扱フカト云フ問題デアル、所ガ議長
ハ曩ニハソレハ知ラヌト答ヘラレタ、今囘
再ビ田崎君ノ逆襲ニ遭ウテ、豫算委員會デ
審査シテ居ルカラ其結果ニ依シテト云フコ
トハ、前ニ私ニ答ヘラレナイコトヲ今答ヘ
ラレテ居ルノデアッテ、-寸其處ハ瞹眛デ
アルヤウニ私ハ思フ、ソレ故ニ議長ハ私ノ
見解カラスレバサウデアルガ、彼ノ人達ハ
ソレヲ聽カヌノデアッテ、私ノ權限ハソレ
ニ及バヌト云フコトヲ明ニスル必要ガアル
ト思フ、法律問題ハ事實ヂヤナイ、事實ガ
具體化シタルモノヲ法律ニ於テドウスルカ
ト云フコトガ、法規ノ觀念ノ上ニ在ルノデ
ハゴザイマセヌカ、ソンナ事ハ憲法デモ議
院法デモ何處ニアルカ、ソンナ事ハ大空ノ
上ニ揭ゲテアルモノデハナイ、吾々人聞ノ
規定ニアル所デアル、規定ト事實トハ別問
題デアル、法規ノ適用ト具體的事實ト云フ
コトハ別ナ問題デアラウト思フ、サウ云フ
コトヲ言ッタナラバ、事實論デ押通シテ强
イ者が勝ツト云フコトニナルト思ヒマス、
議長ハ果シテ此議院法ニ對スル解釋權ヲ
持シテ居ナイモノデアルカドウカ、又現在
差迫ッテ居ル問題ニ付テ、ドウ云フヤウナ
考ヲ法規ノ適用ノ上ニ於テ持クテ居ルカト
云フコトヲ聞キタイノデアリマス、田崎君ノ
意見トハ違ヒマス、彼ハ內容論ヲ說キ、動機
論ヲ說イテ居ルヤウニ思フ、私ハ寧ロ色と
ナ不便モゴザイマセウケレドモ、是ハ矢張
二十一日間ト規定シテ居ル以上ハ、七日
ニ限ラレル方ガ相當デハナイカト私ハ思ウ
テ居ルヤウナ次第デゴザイマス、其點ヲ議
長カラ後來誤リノナイヤウニ明ニシテ戴キ
タイト思フ、一寸一言···発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=23
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024・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 田淵君ノ御尋ニ對シ
テ御答ヲ致シマス、既ニ繰返シテ申上ゲテ
置キマシタ如ク、議院法ノ解釋ニ付此場合
議長ノ考ヲ申述ベル必要ハナイト思フノデ
アリマス、是ダケノ事ヲ御答シテ置キマス
(田淵豊吉君「理由ヲ明ニセヨ」ト呼フ)是ヨ
リ日程ニ入リマス、日程第一、河川法中改
正法律案ノ第一讀會ヲ開キマス、內務大臣
臨時代理安達謙藏君
第河川法中改正法律案(政府提出)
第一讀會
河川法中改正法律案
河川法中左ノ通改正ス
第六條中「但シ」ノ下ニ「主務大臣カ自ラ
河川ニ關スル工事ヲ施行シタルモノニ付
必要ト認ムルトキ又ハ」ヲ加フ
第五十八條中「二百圓以內ノ罰金若ハ一
年以下ノ禁錮」ヲ「一年以下ノ懲役若ハ禁
錮又ハ二百圓以下ノ罰金」ニ改ム
第六十六條ヲ削ル
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔國務大臣安達謙藏君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=24
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025・安達謙藏
○國務大臣(安達謙藏君) 私ハ茲ニ河川法
中改正法律案ノ提案ノ理由ヲ簡單ニ說明申
上ゲマス、現行ノ河川法ニ於キマシテハ
主務大臣ガ地方行政廳ニ代リマシテ、河川
ノ管理又ハ維持修繕ヲ爲シ得マスルコト
ハ、他府縣ノ利益ヲ保全スル爲ニ必要ト認
メラレタル場合ニ限シテ居リマス、然ルニ
主務大臣ガ直轄施行致シマシタル河川工事
ノ完成後ニ於キマシテ、尙ホ其工事ノ效果
ヲ全ウスル爲ニ、二府縣ニ亙リマセヌ所ノ
河川ト雖モ、矢張主務大臣ニ於テ引續イテ
其管理又ハ維持修繕ヲ爲スヲ必要トスルモ
ノガゴザイマス、是ガ本改正案ヲ提出スル
理由デゴザイマス、何卒極ク簡單デゴザイ
マスカラ、速ニ御協賛アランコトヲ希ヒマ
ス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=25
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026・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 此案ニ對シテハ數名
ノ質疑ノ通告ガアリマス-一寸誤リマシ
タ、日程第二、右議案ノ審査ヲ付託スベキ
委員ノ選擧ヲ議題ト致シマス
第二右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員ノ
選擧発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=26
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027・砂田重政
○砂田重政君 本案ハ議長指名九名ノ委員
ニ付託セラレンコトヲ望ミマス
〔「賛成賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=27
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028・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 砂田君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=28
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029・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-次ハ日
程第三乃至第六ハ同種ノ議案デアリマスカ
ラ、一括議題ト爲スニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=29
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030・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス仍テ日程第三、登錄稅法中改正法律
案、日程第四、印紙稅法中改正法律案、日
程第五、砂糖消費稅法中改正法律案、日程
第六關稅定率法中改正法律案、右四案ノ第
一讀會ヲ開キマス、片岡大藏大臣
第三登錄稅法中改正法律案(政府提
由)第一讀會
登錄稅法中改正法律案
登錄稅法中左ノ通改正ス
第二條不動產ニ關スル登記ヲ受クルト
キハ左ノ區別ニ從ヒ登錄稅ヲ納ムヘシ
一相續ニ因ル所有權ノ取得
不動產價格千分ノ五
二遺言、贈與其ノ他無償名義ニ因ル
所有權ノ取得
不動產價格千分ノ四十五
但シ神社、寺院、祠宇、佛堂又ハ民
法第三十四條ニ依リ設立シタル法
人カ無償名義又ハ寄附行爲ニ因リ
所有權ヲ取得シタルトキハ千分ノ二
十五
三前各號以外ノ原因ニ因ル所有權ノ
取得不動產價格千分ノ三十三
四所有權ノ保存
不動產價格千分ノ五
五共有物ノ分割
分割ニ因リテ
受クル不動產千分ノ五
ノ價格
六地上權、永小作權又ハ賃借權ノ取
得
存續期間十年以下ノモノ
不動產價格千分ノ一
同二十年以下ノモノ
不動產價格千分ノ二
同三十年以下ノモノ
不動產價格千分ノ四
同五十年以下ノモノ
不動產價格千分ノ七
同七十年以下ノモノ
不動產價格千分ノ十
同百年以下ノモノ
不動產價格千分ノ十五
同百年ヲ超ユルモノ
不動產價格千分ノ二十
存續期間ノ定メナキモノ
不動產價格千分ノ一
存續期間ノ定メナキモノニシテ
民法第二百六十八條若ハ第二百
七十八條ノ規定ノ適用アルモノ
又ハ借地法第二條第一項ノ規定
ノ適用アルモノ
不動產價格千分ノ四
相續ニ因ル取得ニシテ存續期間
三十年ヲ超ユルモノ
不動產價格千分ノ五
權利移轉ニ因ル取得ノ場合ニ於テ
ハ既ニ經過シタル期間ヲ存續期間
ヨリ控除シ其ノ殘期間ヲ以テ存續
期間ト看做ス
七地役權ノ取得
要役地價格千分ノ一
八華族世襲財產ノ設定
不動產價格千分ノ二十五
九先取特權ノ保存又ハ取得
債權金額又ハ
不動產工事費千分ノ五·五
用豫算金額
十質權、抵當權ノ取得
債權金額千分ノ五·五
+-信託ノ登記
所有權ニ付テハ
不動產價格千分ノ四
所有權以外ノ權利ニ付テハ
不動產價格千分ノ二
十一競賣、强制管理ノ申立
債權金額千分ノ五·五
十三假差押、假處分
債權金額千分ノ四
十四抵當アル債權ノ差押
債權金額千分ノ五·五
十五相續財產ノ分離
所有權ニ付テハ
不動產價格千分ノ五·五
所有權以外ノ權利ニ付テハ
不動產價格千分ノ一
十六滯納處分以外ノ原因ニ因ル權利
ノ處分ノ制限ニシテ特ニ揭ケサルモ
ノ債權金額千分ノ四
十七抹消シタル登記ノ囘復
不動產每一箇金四十錢
十八假登記
不動產每一箇金四十錢
十九附記登記
不動產每一箇金二十錢
但シ一件ニ付稅額金二圓ヲ超ユ
ルトキハ二圓トス
二十登記ノ更正、變更又ハ抹消
不動產每一箇金二十錢
但シ一件ニ付稅額金二圓ヲ超ユ
ルトキハ二圓トス
前項第一號乃至第三號ノ場合ニ於テ共
有物持分ノ取得ニ係ルモノハ其ノ持分
ノ價格ニ依ル
第三條船舶ニ關スル登記ヲ受クルトキ
ハ左ノ區別ニ從ヒ登錄稅ヲ納ムヘシ
ー相續ニ因ル所有權ノ取得
船舶價格千分ノ三
二遺言、贈與其ノ他無償名義ニ因ル
所有權ノ取得
船舶價格千分ノ三十五
三前各號以外ノ原因ニ因ル所有權ノ
取得船舶價格千分ノ二十三
四委付船舶價格千分ノ三
五所有權ノ保存
船舶價格千分ノ三
六賃借權ノ取得
船舶價格千分ノ一
七抵當權ノ取得
債權金額千分ノ五·五
八信託ノ登記
所有權ニ付テハ
船舶價格千分ノ三
所有權以外ノ權利ニ付チハ
船舶價格千分ノ一
九競賣ノ申立
債權金額千分ノ五·五
十假差押、假處分
債權金額千分ノ四
十一抵當アル債權ノ差押
債權金額千分ノ五·五
十二滯納處分以外ノ原因ニ因ル權利
ノ處分ノ制限ニシテ特ニ揭ケサル
モノ債權金額千分ノ四
十三登記證書ヲ提出セスシテ受ケタ
ル特別登記簿ノ登記ヲ登記簿ニ移
ス場合ニ於ケル登記
船舶每一箇金一圓
十四抹消シタル登記ノ回復
船舶每一箇金四十錢
十五假登記
船舶每一箇金四十錢
十六附記登記
船舶每一箇金二十錢
十七登記ノ更正、變更又ハ抹消
船舶毎一箇金二十錢
前項第一號乃至第三號ノ場合ニ於テ共
有物持分ノ取得ニ係ルモノハ其ノ持分
ノ價格ニ依ル
第三條ノ五ヲ削リ第三條ノ二ヲ第三條ノ五
トシ同條中「、輕便鐵道抵當原簿」ヲ削ル
第三條ノ二信託財產タル不動產又ハ船
舶ヲ委託者ヨリ受託者ニ移ス場合ニ於
ケル所有權取得ノ登記ニ付テハ左ノ區
別ニ從ヒ登錄稅ヲ納ムヘシ
委託者カ元本ノ歸屬權利者ニシテ
委託者以外ノ者又ハ委託者ト委託者
以外ノ者トカ收益ノ受益者ナル信託
不動產
不動產價格千分ノ四
船舶
船舶價格千分ノ三
二委託者カ收益ノ受益者ニシテ委託
者以外ノ者又ハ委託者ト委託者以外
ノ者トカ元本ノ受益者又ハ歸屬權利
者ナル信託ニシテ信託財產ノ處分ヲ
目的トスルモノ
不動產
不動產價格千分ノ四十五
但シ神社、寺院、祠字、佛堂又
ハ民法第三十四條ニ依リ設立シ
タル法人カ元本ノ受益者又ハ歸
屬權利者ナルトキハ千分ノ二十
五
船舶
船舶價格千分ノ三十五
三委託者以外ノ者又ハ委託者ト委託
者以外ノ者トカ元本ノ受益者又ハ歸
屬權利者ニシテ委託者以外ノ者又ハ
委託者ト委託者以外ノ者トカ收益ノ
受益者ナル信託
不動產
不動產價格千分ノ四十五
但シ神社、寺院、祠宇、佛堂又
ハ民法第三十四條ニ依リ設立シ
タル法人カ元本ノ受益者又ハ歸
屬權利者ナルトキハ千分ノ二十
五
船舶
船舶價格千分ノ三十五
前項第一號ノ信託ニ付信託ノ登記事項
ヲ變更シタル爲前項第一一號又ハ第三號
ノ信託ニ該當スルニ至リタルトキハ其
ノ變更ノ登記ヲ以テ受託者ノ所有權取
得ノ登記ト看做シ前項第二號又ハ第三
號ノ規定ヲ適用ス
第三條ノ三前條第一項各號ニ該當セサ
ル信託(委託者カ收益ノ受益者ニシテ
委託者以外ノ者又ハ委託者ト委託者以
外ノ者トカ元本ノ受益者又ハ歸屬權利
者ナル信託ニシテ信託財產ノ管理ヲ目
的トスルモノ及委託者カ信託利益ノ全
部ヲ受クヘキ信託)ニ因リ不動產又ハ
船舶ヲ委託者ヨリ受託者ニ移ス場合ニ
於ケル所有權取得ノ登記ニ付テハ登錄
稅ヲ課セス但シ信託ノ登記事項ヲ變更
シタル爲前條第一項各號ノ信託ニ該當
スルニ至リタルトキハ其ノ變更ノ登記
ヲ以テ受託者ノ所有權取得ノ登記ト看
做シ前條ノ規定ニ依リ登錄稅ヲ納ムヘシ
第三條ノ四委託者カ收益ノ受益者ニシ
テ委託者以外ノ者又ハ委託者ト委託者
以外ノ者トカ元本ノ受益者又ハ歸屬權
利者ナル信託ニシテ信託財產タル不動
產又ハ船舶ノ管理ヲ目的トスルモノニ
付其ノ元本ヲ受託者ヨリ受益者又ハ歸
屬權利者ニ移ス場合ニ於ケル所有權取
得ノ登記ニ付テハ左ノ登錄稅ヲ納ムヘシ
不動產不動產價格千分ノ四十五
但シ神社、寺院、祠宇、佛堂又ハ民
法第三十四條ニ依リ設立シタル法人
カ元本ノ受益者又ハ歸屬權利者ナル
トキハ千分ノ二十五
船舶船舶價格千分ノ三十五
受託者ヨリ受益者又ハ歸屬權利者ニ不
動產又ハ船舶ヲ移ス場合ニ於ケル所有
權取得ノ登記ニ付テハ前項ニ該當スル
場合ノ外登錄稅ヲ課セス
第三條ノ六工場財團登記簿、鑛業財團
登記簿又ハ漁業財團登記簿ニ登記ヲ受
クルトキハ左ノ區別ニ從ヒ登錄稅ヲ納
ムヘシ
-抵當權ノ取得
債權金額千分ノ一
二信託ノ登記
債權金額千分ノ一
三競賣、强制管理ノ申立
債權金額千分ノ一
四假差押、假處分
債權金額千分ノ一
五抵當アル債權ノ差押
債權金額千分ノ一
六滯納處分以外ノ原因ニ因ル權利ノ
處分ノ制限ニシテ特ニ揭ケサルモノ
債權金額千分ノ一
七抹消シタル登記ノ回復
每一件金二圓
八假登記
每一件金二圓
九附記登記
每一件金二圓
十登記ノ更正、變更又ハ抹消
每一件金二圓
第五條削除
第六條中「千分ノ四」ヲ「千分ノ五」ニ、「十
五圓」ヲ「二十圓」ニ、「七圓」ヲ「十圓」ニ、
「五圓」ヲ「七圓」ニ、「一圓五十錢」ヲ「二
圓」ニ改ム
第六條第一項第九號ヲ左ノ如ク改ム
九合併又ハ組織變更ニ因ル會社ノ設立
拂込株金額及財
產ヲ目的トスル千分ノ一
株金以外ノ出資
ノ價格
但シ合併ニ因リ消滅シタル會社又
ハ組織變更ヲ爲シタル會社ノ合併
當時又ハ組織變更當時ノ拂込株金
額及財產ヲ目的トスル株金以外ノ
出資ノ價格ヲ超過スル金額ニ付テ
ハ千分ノ五
第六條第一項第十號ヲ左ノ如ク改ム
十合併ニ因ル會社資本ノ增加
增資拂込株金額
及財產ヲ目的ト千分ノ一
スル株金以外ノ
出資ノ價格
但シ合併ニ因リ消滅シタル會社ノ
合併當時ノ拂込株金額及財產ヲ
目的トスル株金以外ノ出資ノ價格
ヲ超過スル金額ニ付テハ千分ノ五
第六條第一項第十一號ヲ左ノ如ク改メ同
項第十一號ノ二ヲ削ル
十一社債又ハ第二回以後ノ社債拂込
商法第二百四條ノ拂込アリタル
(賣出ノ方法ニ依リ發行シタ
ル場合ニ於テハ賣出滿了ノ日)
ヨリ最終ノ償還期限ニ至ル期間
一年以下ノモノ
每囘拂込金額千分ノ一
同三年以下ノモノ
每囘拂込金額千分ノ二
同三年ヲ超ユルモノ
每囘拂込金額千分ノ三
但シ產業債劵、農工債劵、北
海道拓殖債劵、興業債券、勸
業債劵又ハ東洋拓殖債劵ニ付
テハ千分ノ二
第六條第二項中「登錄稅ヲ納ムヘシ」ノ
下ニ「朝鮮、臺灣、關東州、樺太若ハ南
洋群島ニ於ケル法人又ハ外國會社カ登記
ヲ受クルトキ亦同シ」ヲ加フ
第六條ノ二中「七圓」ヲ「十圓」ニ、「三圓」
ヲ「五圓」ニ、「一圓五十錢」ヲ「二圓」ニ、
「七十錢」ヲ「一圓」ニ改ム
第十條中「千分ノ六」ヲ「千分ノ五·五」ニ
改メ第二項ヲ削ル
第十一條第一項中「千分ノ六」ヲ「千分ノ
五·五」二郎六「使用權又ハ」ヲ削リ第六
號ヲ第十號トシ第五號ヲ第六號トシ第四
號ノ二ヲ第五號トシ第六號ノ次ニ左ノ三
號ヲ加フ
七代理人ノ選任又ハ代理權ノ登錄
每一件金五十錢
八抹消シタル登錄ノ囘復
每一件金五十錢
九假登錄
每一件金五十錢
第十一條第二項ヲ削ル
第十二條第一項中「千分ノ六」ヲ「千分ノ
五·五」ニ改メ第六號ヲ第十號トシ第五
號ヲ第六號トシ第四號ノ二ヲ第五號トシ
第六號ノ次ニ左ノ三號ヲ加フ
七代理人ノ選任又ハ代理權ノ登錄
每一件金五十錢
八抹消シタル登錄ノ囘復
每一件金五十錢
九假登錄
每一件金五十錢
第十二條第二項ヲ削ル
第十二條ノ二第一項中「千分ノ六」ヲ「千
分ノ五·五」ニ改メ「使用權又ハ」ヲ削リ
第六號ヲ第十號トシ第五號ヲ第六號ト
シ第四號ノ二ヲ第五號トシ第六號ノ次ニ
左ノ三號ヲ加フ
七代理人ノ選任又ハ代理權ノ登錄
每一件金五十錢
八抹消シタル登錄ノ回復
每一件金五十錢
九假登錄
每一件金五十錢
第十二條ノ二第二項ヲ削ル
第十三條中但書ヲ削リ第二號ヲ第六號ト
シ第一號ノ二ヲ第二號トシ第二號ノ次ニ
左ノ三號ヲ加フ
三代理人ノ選任又ハ代理權ノ登錄
每一件金五十錢
四抹消シタル登錄ノ囘復
每一件金五十錢
五假登錄
每一件金五十錢
第十四條第一項中「千分ノ六」ヲ「千分ノ
五·五」ニ、「十錢」ヲ「二十錢」ニ改メ第十
三號ヲ第十六號トシ第十二號ヲ第十三號
トシ第十一號ヲ第十二號トシ第十號ヲ第
十一號トシ第九號ノ二ヲ第十號トシ第十
三號ノ次ニ左ノ二號ヲ加フ
十四抹消シタル登錄ノ回復
每一件金四十錢
十五假登錄
每一件金四十錢
第十四條第二項ヲ削ル
第十五條第一項中、千分ノ六」ヲ「千分ノ
五·五」ニ、「十錢」ヲ「二十錢」ニ改メ第九
號ヲ第十二號トシ第八號ヲ第九號トシ第
七號ヲ第八號トシ第六號ノ二ヲ第七號ト
シ第九號ノ次ニ左ノ二號ヲ加フ
十抹消シタル登錄ノ囘復
每一件金四十錢
十一假登錄
每一件金四十錢
第十五條第二項ヲ削ル
第十五條ノ二第一項中「千分ノ六」ヲ千
分ノ五·五」ニ、「二十錢」ヲ「四十錢」ニ、
「十錢」ヲ「二十錢ニ、「請求又ハ申立ニ因リ
抹消セラレタル」ヲ「抹消シタル」ニ改
メ第十六號ヲ第十八號トシ第十五號ヲ第
十七號トシ第十四號ヲ第十六號トシ第十
三號ヲ第十五號トシ第十二號ヲ第十三號
トシ第十一號ヲ第十二號トシ第十號ヲ第
十一號トシ第九號ノ一一ヲ第十號トシ第十
三號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
十四滯納處分以外ノ原因ニ因ル權利
ノ處分ノ制限ニシテ特ニ揭ケサルモ
ノ債權金額千分ノ四
第十五條ノ二第二項ヲ削ル
第十六條法人ノ合併ニ因ル不動產又ハ
船舶ニ關スル權利ノ取得ニ付登記ヲ受
クルトキハ左ノ登錄稅ヲ納ムヘシ但シ
他ノ規定ニ依リ算出シタル稅額カ本條
ニ依リ算出シタル稅額ヨリ少キトキハ
其ノ稅額ニ依ル
不動產又ハ船舶ノ價格千分ノ三
第十六條ノ二債權金額ニ依リ課稅額ヲ定
ムル場合ニ於テ一定ノ債權金額ナキト
キハ債權ノ目的タルモノ又ハ處分ノ制限
ノ目的タルモノノ價格ヲ以テ債權金額
ト看做シ先取特權、質權、抵當權又ハ
處分ノ制限ノ目的タルモノノ價格カ債
權金額ヨリ少キトキハ其ノ目的タルモ
ノノ價格ヲ以テ債權金額ト看做ス但シ
抵當アル債權ノ差押ヲ登記又ハ登錄ス
ル場合ニ於テハ差押へラルヘキ債權ノ
額又ハ質權若ハ抵當權ノ目的タルモノ
ノ價格カ債權金額ヨリ少キトキハ其ノ
最少キモノヲ以テ債權金額ト看做ス
第十六條ノ三管轄ヲ異ニスル登記所ニ
於テ順次ニ不動產登記法第百二十二條
ノ規定ニ依ル登記ヲ受クル場合ニ於テ各
登記所ニ於テ受クル登記ニ付テハ債權金
額ヨリ既ニ登記ヲ受ケタルモノノ價格ヲ
控除シタル殘額ヲ以テ債權金額ト看做ス
第十六條ノ四同一ノ債權ノ爲ニ先取特
權質權又ハ抵當權ニ關シ種類ヲ異ニ
スル二以上ノ登記登錄ヲ受クル場合ニ
於ケル登錄稅ニ關シテハ前條ノ規定ニ
準シ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十九條左ニ揭クルモノニハ登錄稅ヲ
課セス但シ第十一號及第十四號ニ付テ
ハ命令ノ定ムル所ニ依ル
政府自己ノ爲ニスル登記又ハ登錄
二社寺若ハ堂宇ノ敷地又ハ墳墓地ニ
關スル登記
三北海道府縣市町村其ノ他ノ公共團
體ニ於テ公用ニ供スル不動產ニ關ス
ル登記
四府縣市町村ノ廢置分合若ハ境界變
更ニ因ル府縣市町村ノ權利ノ取得又
ハ其ノ府縣市町村ニ所有權ヲ移スニ
付爲ス所有權ノ保存ノ登記又ハ登錄
五市町村ノ一部ニ屬スル財產ヲ其ノ
市町村ニ移ス場合ニ於ケル市町村ノ
權利ノ取得又ハ其ノ市町村ニ所有權
ヲ移スニ付爲ス所有權ノ保存ノ登記
又ハ登錄
六市町村又ハ市町村ノ一部ニ屬スル
入會權ニシテ二以上ノ市町村ニ亙ル
モノヲ消滅セシムル爲市町村又ハ其
ノ一部カ其ノ入會財產ニ付爲ス權利
ノ取得若ハ財產ノ分割又ハ之カ爲ニ
スル所有權ノ保存ノ登記
七產業組合、產業組合聯合會、產業組
合中央會、漁業組合、漁業組合聯合
會、重要輸出品工業組合、重要輸出品
工業組合聯合會又ハ輸出組合ニ付產
業組合法、漁業法、重要輸出品工業組
合法又ハ輸出組合法ニ基キテ爲ス登記
八自作農ノ創設維持事業ニ關スル國
庫補助金ノ交付ヲ受ケテ行フ北海道
府縣市町村、產業組合又ハ產業組合
聯合會ノ施設ニ依ル個人ノ土地所有
權ノ取得ノ登記
九前號ニ規定スル北海道府縣市町
村、產業組合又ハ產業組合聯合會カ
自作農ノ創設維持ノ爲ニスル抵當權
ノ取得ノ登記
十北海道府縣市町村、產業組合又ハ
住宅組合カ住宅ノ供給ノ爲ニスル抵
當權ノ取得ノ登記
十一住宅又ハ住宅用地ニ付產業組合
員又ハ住宅組合員カ其ノ所屬組合
ヨリノ權利ノ取得ノ登記
十二第八號ニ規定スル北海道府縣市
町村、產業組合又ハ產業組合聯合
會ヨリ自作農創設維持ノ爲資金ノ
貸付ヲ受ケタル者カ其ノ貸付ノ條
件ヲ具備セサルニ至リタル場合ニ
於ケル北海道府縣市町村、產業組
合又ハ產業組合聯合會ヨリ土地所
有權ノ取得ノ登記
十三農業倉庫業者又ハ聯合農業倉庫
業者ノ農業倉庫若ハ聯合農業倉庫
又ハ其ノ敷地ニ關スル權利ノ取得
ノ登記
十四學校經營ヲ目的トスル法人ノ土
地建物ノ權利ノ取得又ハ所有權
ノ保存ノ登記
第十九條ノ二ヲ第十九條ノ四トシ第十九
條ノ三ヲ第十九條ノ五トシ以下順次繰下
第十九條ノ二信託ニ因ル財產權取得ノ
登記又ハ登錄ニシテ左ノ各號ノ一ニ該
當スルモノニハ登錄稅ヲ課セス
-委託者カ信託利益ノ全部ヲ受クヘ
キ信託ニ因リ委託者ヨリ受託者ニ移
ス場合ニ於ケル財產權取得ノ登記又
ハ登錄
二受益者又ハ歸屬權利者ノ權利取得
ノ登記又ハ登錄但シ不動產又ハ船舶
ノ所有權取得ニ付テハ第三條ノ四ニ
依ル
三信託ノ受託者更迭ノ場合ニ於ケル
新受託者ノ權利取得ノ登記又ハ登錄
前項第一號ノ規定ハ當該信託財產ニ付
受益者(歸屬權利者ヲ含ム)變更ノ登記
又ハ登録ヲ受クル場合ニハ之ヲ適用セ
ス此ノ場合ニ於テ信託財產ハ其ノ變更
ノ登記又ハ登錄ノトキニ於テ受託者ニ
移轉シタルモノト看做シ登錄稅ヲ課ス
第十九條ノ三登記又ハ登錄ノ抹消又ハ
錯誤若ハ遺漏カ當該官吏ノ過誤ニ出テ
タルトキハ其ノ囘復又ハ更正ノ登記又
ハ登錄ニ付テハ登錄稅ヲ課セス
附則
本法ハ昭和二年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
第三條ノ二ノ改正規定中第二項、第三條
ノ三及第三條ノ四ノ改正規定ハ信託財產
ヲ委託者ヨリ受託者ニ移ス場合ニ於ケル
受託者ノ所有權取得ニ付從前ノ規定ニ依
リ登錄稅ヲ課セラレタル不動產又ハ船舶
ニ付テハ之ヲ適用セス
第四印紙稅法中改正法律案(政府提第二條
出第一讀會第四條
印紙稅法中改正法律案
印紙稅法中左ノ通改正ス
-不動產、鐵道財團、軌道財團又ハ船舶ノ所有權移
轉ニ關スル證書
二消費貸借ニ關スル證書
三請負ニ關スル證書
四運送ニ關スル證書
五傭船契約書
委任狀
九八七六約束手形
爲替手形
銀行預金證書
十產業組合又ハ產業組合聯合會ノ發スル貯金證書
十一產業組合聯合會、重要輸出品工業組合、重要輸出
品工業組合聯合會又ハ輸出組合ノ發スル出資證券
十二船荷證劵
十三運送貨物引換證
十四倉庫證劵
十五保險證券
十六株劵
十七債劵
十八相互保險會社ノ發スル基金證券
十九株式申込證
二十社債申込證
二十一地上權、永小作權又ハ地役權ニ關スル證書
二十二使用貸借、賃貸借、雇傭、寄託又ハ定期金ニ
關スル證書
二十三信託行爲ニ關スル證書
二十四無盡ニ關スル證書
二十五定款又ハ組合契約書
二十六權利ノ變更ニ關スル證書
二十七追認又ハ承認ニ關スル證書
二十八物品切手
二十九受取書
三十質權、抵當權ニ關スル證書
三十一前各號以外ノ證書
三十二預金通帳
三十三前號以外ノ通帳
三十四判取帳
削除
左ニ揭クル證書、帳簿ニ關シテ
ハ證書ハ一通每ニ、帳簿ハ一册一年以
内ノ附込ニ對シ左ノ印紙稅ヲ納ムヘシ
記載金高五十圓以下二錢
ノモノ
同百圓以下ノモノ三錢
同五百圓以下ノモノ十錢
同千圓以下ノモノ二十錢
同一万圓以下ノモノ五十錢
同一万圓ヲ超ユルモノ國
記載金高ナキモノ三錢
二錢
三錢
五錢
五十錢
證書ニ金高記載ナキモ證書面ニ標記シ
アル價額ノ單位其ノ他ノ記載事項ニ依
リ其ノ金高ヲ算出スルコトヲ得ルモノ
ハ其ノ總金額ヲ以テ記載金高ト看做ス
第五條中第六號、第八號、第十一號、第
十二號及第十三號ヲ各左ノ如ク改ム
六產業組合ノ發スル出資證劵若ハ貯金
通帳又ハ住宅組合ノ發スル出資證劵
八貯金通帳、積金通帳又ハ積金證書
(貯蓄銀行法第一條ノ貯金又ハ)
積金ニ付發スルモノニ限ル和金二仁發スルモノニ排ル
十一賣買仕切書
十二物品又ハ有價證劵ノ賣買契約證
書
十三送狀
第五條ニ左ノ五號ヲ加フ
二十一農業倉庫證劵又ハ聯合農業倉
庫證劵
/質屋營業者
二十二質札又ハ質物通帳ノノススモモ
ルハニ限)
二十三勤務通帳
二十四乘車劵、乘船劵又ハ各種入場
券
二十五第四條第一號乃至第五號及第
三十一號ノ證書ニシテ記載金高
十圓未滿ノモノ
第十條中「帳簿、賣買仕切書、送狀」ヲ「證
書帳簿ニシテ營業ニ關スルモノ」ニ改
ム
附則
本法ハ昭和二年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
本法施行前作成シタル證書又ハ帳簿ノ印
紙稅ニ關シテハ仍從前ノ例ニ依ル
第五砂糖消費稅法中改正法律案政
府提出)第一讀會
砂糖消費稅法中改正法律案
砂糖消費稅法中左ノ通改正ス
第三條消費稅ノ割合左ノ如シ
砂糖
第一種砂糖色相和蘭標本第十一號
未滿ノ砂糖
甲樽入黑糖
百斤ニ付圖
乙樽入白下糖但シ分蜜シタルモ
ノ白下糖以外ノ砂糖ニ加工
シテ製造シタルモノ及全部又
ハ一部ノ新式機械ニ依リ製造
シタルモノヲ除ク
百斤ニ付二圓
丙其ノ他ノモノ
百斤ニ付二圓五十錢
第二種砂糖色相和蘭標本第十八號
未滿ノ砂糖
百斤ニ付五圓
第三種砂糖色相和蘭標本第二十二
號未滿ノ砂糖
百斤ニ付七圓三十五錢
第四種砂糖色相和蘭標本第二十二
號以上ノ砂糖
百斤ニ付八圓三十五錢
第五種氷砂糖、角砂糖、棒砂糖其
ノ他類似ノモノ
百斤ニ付十圓
二糖蜜
第一種氷砂糖ヲ製造スルトキニ生
スル糖蜜
甲糖分ヲ蔗糖トシテ計算シタル
重量全重量ノ百分ノ七十ヲ超
エサルモノ
百斤ニ付三圓
乙其ノ他ノモノ
糖分ヲ蔗糖トシテ計算シタ
ル重量百斤ニ付八圓三十五
錢ノ割合ヲ以テ算出シタル
金額
第二種其ノ他ノ糖蜜
甲糖分ヲ蔗糖トシテ計算シタル
重量全重量ノ百分ノ六十ヲ超
エサルモノ
百斤ニ付一四
乙其ノ他ノモノ
百斤ニ付二圓五十錢
三糖水百斤ニ付七圓三十五錢
附則
本法ハ昭和二年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
左ニ揭タル砂糖、糖蜜又ハ糖水ニ付テハ
仍從前ノ例ニ依ル
ー本法施行前消費稅ヲ課スヘカリシ
モノ
二本法施行前製造場若ハ保稅地域ヨ
リ引取リ又ハ製造場外ニ移出シタル
モノニシテ砂糖消費稅法第五條第三
項第七條第三項又ハ第十一條ノ一
第三項ノ規定ニ依リ消費稅ヲ徵收ス
ヘキモノ
三本法施行前消費稅ノ徵收ヲ猶豫シ
タルモノ
第六關稅定率法中改正法律案(政府
提出)第一讀會
關稅定率法中改正法律案
關稅定率法別表輸入稅表中左ノ通リ改正
ス
第四十號ヲ左ノ如ク改ム
四〇砂糖
ー和蘭標本色相
第十一號未滿每百斤二·五〇
ノモノ
二和蘭標本色相
第二十二號未每百斤三·九五
滿ノモノ
三其ノ他每百斤五·三〇
第二百四十四號中「每百斤」ヲ削リ「一二
八·〇〇」ヲ「無稅」ニ改ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔國務大臣片岡直溫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=30
-
031・片岡直温
○國務大臣(片岡直溫君) 只今議題トナリ
マシタ登錄稅法中改正法律案外三件ノ法律
案ニ付キマシテ、大體ノ說明ヲ致シマス、
我國多年ノ懸案デゴザイマシタ稅制ノ整理
ハ前期議會ノ協賛ヲ經テ既ニ實施セラ
レ、我ガ國民租稅負擔ノ公平ヲ得ルニ至リ
マシタコトハ諸君ト共ニ邦家ノ爲メ慶賀
ニ堪ヘヌ所デゴザイマス、昨年一般的稅制
整理ニ際シマシテ、整理ヲ行ハナカッタ租
稅ニ付キマシテハ、政府ハ調査考究ノ上、
今期議會ニ成案トシテ提出致シタイ希望ヲ
述ベテ置イタノデゴザイマス、登錄稅、印
紙稅及砂糖消費稅ニ付キマシテハ政府
ハ愼重調査ノ結果、成案ヲ得ルニ至リマシ
タカラ、玆ニ登錄稅法中改正法律案外三件
ノ法律案ヲ提出致シマシテ、諸君ノ御協賛
ヲ求ムル次第デゴザイマス、是等租稅ノ改
正ニ當リマシテハ、我國現下ノ財政狀態ニ
照シ、其認容得シベキ範圍內ニ於テ國民負
擔ノ均衡ヲ圖ルト共ニ、成ベク社會政策的
ノ效果ヲ擧ゲ、產業ノ發達ニ資シ、且ツ官
民相互ノ手數ヲ省略致シマシテ、稅務行政
實行上ノ便宜ヲ圖ルコトニ努メタノデアリ
さく、其結果平年度ニ於キマシテ登錄稅ノ
改正ニ因リ二百二十三万三千圓、印紙稅ノ
改正ニ因リ百四十七万千圓、砂糖消費稅ノ
改正ニ因リマシテ四百十三万八千圓、合計
七百八十四万二千圓ノ減稅トナル計算デア
リマス、尤モ砂糖ニ付キマシテハ關稅增徵
ノ爲メニ二百四十八万三千圓ノ曾收トナリ
マシテ、差引百六十五万五千圓ノ減稅トナ
リマスノデ、結局ニ於キマシテハ第二次稅
制整理及砂糖關稅ノ改正ニ因リマシテ、平
年度ニ於キマシテハ五百三十五万八千圓ノ
減收トナル見込デアリマス、先ヅ登錄稅ニ
付テ申シマスレバ、現行登錄稅法ハ明治二
十九年ノ立法ニ係リマシテ、明治三十二年
根本的ニ改正ヲセラレマシタ、其後日露戰
爭ノ當時非常特別稅ノ增徵ガアリマシタ
ガ、爾來今日ニ至ルマデ全般的ニ改正ヲ行,
タコトガナイノデアリマス、隨テ時勢ノ變
遷ニ依リ課稅ノ權衡ヲ失スルモノヲ生ジマ
シテ、相當改正ヲ加ヘルノ必要ヲ認メタノ
デアリマス、今回改正ノ主要ナル點ヲ擧ゲ
テ見マスレバ、第一、不動產及船舶ニ對ス
ル稅率ハ大體過重デアルト認メラレマスノ
デ、其所有權ノ移轉、質權、抵當權ノ取得
等、各ミノ場合ニ於キマシテ相當稅率ヲ輕減
致シ、第二、法人ノ合併ハ我國現下ノ經濟
狀態ニ於キマシテハ、之ヲ奬勵スベキモノ
ト認メテ居ルノデアリマシテ、之ニ對スル
稅率ヲ相當輕減スルコトニ致シタノデゴザ
イマス、第三、不動產信託ニ付キマシテ
ハ現行法ハ信託ノ當初ニ際シ、高率ナル
稅率ヲ以テ課稅致シマスルガ爲メ、十分ニ
之ヲ利用スルヲ得ザル虞ガアルノデアリマ
スガ、今囘ノ改正ニ當リマシテハ信託ノ內
容ニ依リマシテ其稅率ヲ區分シ、出來得ル
限リ信託ノ發達ヲ阻害セザランコトヲ期シ
タノデアリマス、第四ニ社會政策的竝ニ公
共的施設遂行ノ場合ニ於キマシテ、登錄稅
ヲ課セザルヲ相當卜認メタルモノ、卽チ自
作農ノ創設維持事業ニ關スル場合、農業倉
庫建設ノ場合、小住宅建設ノ場合、部落有
財產ヲ其市町村ニ移ス場合、數箇町村ニ亙
ル入會權ヲ消滅セシメル場合、學校經營ヲ
目的トスル法人ノ不動產取得ノ場合等ニハ
各、法令ノ定ムル所ニ依リ、登錄稅ヲ免除ス
ルコトニ致シタノデアリマス、第五、土地臺
帳ノ登錄稅ハ之ヲ廢止スルコトニ致シタノ
デアリマス、土地臺帳ノ登錄稅ハ稅額ハ僅
少デアルノミナラズ、官民共ニ相當ニ手數
ヲ要シマスノデ、之ヲ廢止スルヲ適當ト認
メタノデアリマス、第六、以上述ベマシタ
改正ニ依ル歲入ノ減少ノ一部ヲ補塡シ、且
ツ負擔ノ均衡ヲ圖ランガ爲ニ商業登記其他
ニ付テ稅率ノ引上ヲ行フコトニ致シマシ
タ、卽チ合名會社、合資會社ノ設立、資本
增加ニ付テハ之ヲ株式會社ト同様ノ稅率ニ
改正スルコトニ致シ、社債ノ登記ニ付キマ
シテハ償還期限ノ長短ニ依ッテ稅率ヲ區別
シ、負擔ノ均衡ヲ得セシムルコトニ致シ、
商業登記、其他一部ノ定額稅ニ付キマシテ
ハ相當稅率ノ引上ヲ行フコトニ致シマシタ、是
等ノ定額稅ハ何レモ其稅率實施以來十數年
以上ノ歲月ヲ經過シ、時勢ノ變遷ト共ニ相
當之ヲ引上グルモ不可ナシト認メタノデア
リマス、次ニ印紙稅ノ改正ニ付テ申上ゲマ
ス、印紙稅ニ付キマシテハ從來屢〓改正セ
ラレマシタ、大正十二年ニ於テモ二、三重
要ナル改正ガ加ヘラレタノデアリマスガ、
今囘調査〓究ノ結果ハ、更ニ印紙稅ヲ根本
的ニ改正スルノ必要ヲ認メタノデアリマ
ス第一現行ノ印紙稅法ハ、比例稅ト定
額稅トヲ併用スルノ制度デアリマスガ、比
例稅ハ實際ニ於キマシテ官民共ニ手數ヲ要
スルノミナラズ、知ラズ識ラズノ間ニ脫
稅ヲ誘致スルノ虞ガ多クゴザイマシテ、却
テ負擔ノ公平ヲ得難イノデアリマスカラ、
之ヲ改メマシテ從來比例稅ヲ課シテ居リマ
シタ主ナル證書、卽チ不動產移轉ニ關スル
證書、消費貸借ニ關スル證書等ニ對シマシ
テハ、適當ナル稅率ニ依シテ階級定額稅ヲ課
スルコトニ致シタノデアリマス、第二ハ賣
買仕切書、物品又ハ有償證劵ノ賣買ニ關ス
ル證書及送狀ニ付キマシテハ、是等ノ證書
ガ商人間ニ於キマシテ頻繁ニ作成セラルヽノ
ミナラズ、證書自體ニ依ッテ果シテ財產
權ノ創設、移轉、變更又ハ消滅ヲ證明スル
モノナリヤ否ヤト云フコトヲ判定スルコト
ハ困難デアリマシテ、印紙稅ヲ課スルト否
トニ關シテ官民間ノ紛爭ヲ絕タザル實況デ
アリマスガ故ニ、是等ノ證書ニ對シマシテ
ハ一切之ヲ免稅スルコトヽ致シマシタ、將
來此點ニ關スル官民間ノ紛爭ヲ一掃シタイ
ト思フノデアリマス、第三ニ零細ナル資金
ニ關シ、又ハ社會政策上課稅セザルヲ適當
ナリト認メラルヽ貯金通帳、質札、勤務通帳
等ニ對シテハ之ヲ免稅スルコトニ致シマシ
タ、第四、以上述ベマシタル改正ニ伴フ歲
入減少ノ一部ヲ補塡スルガ爲ニ、通帳、判
取帳ニ對シ其稅率ヲ引上グルコトニ致シマ
シタ、蓋シ是等ノ帳簿ハ多數ノ取引事實ヲ
記載スルモノデアリマシテ、相當擔稅能力
ガアルト認メマシテ、其ノ稅率ヲ引上ゲマ
シタ次第デアリマス、次ニ砂糖消費稅改正
ニ付テ申上ゲマス、現行砂糖消費稅ノ稅率ハ
明治四十三年ノ改正ニ依リマシテ、其後時
勢ノ變遷ト糖業ノ發達トニ伴ヒ是ガ改正ヲ
要スル事ヲ認メマシテ、關稅ノ改正ト相
俟ッテ立案ヲ致シタノデアリマス、是ガ立
案ニ當リマシテハ、政府ハ出來得ル限リ國
民ノ負擔ヲ輕減スルト共ニ、產業上ノ支障
ヲ除キ、我國糖業ノ發達ニ資センコトヲ期
シタノデアリマス、御承知ノ如ク砂糖ハ世
界的ノ商品デアリマシテ、消費稅ノ改正ハ
關稅ノ改正ト相俟ツノ要ガアリマス、關稅
ノ改正ニ付キマシテハ後ニ之ヲ說明スルコ
トヽ致シマスルガ、茲ニハ砂糖消費稅ニ關
スル改正ニ付テ、大體ノ趣旨ヲ說明スルコ
トヽ致シマス、第一砂糖ハ色相ニ依リマシ
テ、之ヲ六種ニ分ッテ課稅致シテ居リマス
ル ク第一種糖ハ主トシテ庶民階級ノ需用
品デアリマスノデ、社會政策上ノ見地ヨリ
シマシテ、之ニ對シマシテ相當ノ減稅ヲス
ルコトニ致シタノデアリマス、第一種糖ノ
中、樽入黑糖ハ其大部分ガ沖綿縣及大島ニ
於テ生產サレマスノデ、旁、同地方ノ經濟
上ニモ相當ノ好影響アルコトヽ考ヘルノデ
アリマス、第二ニ現行法ニ依ル第二種糖、
第三種糖ハ、之ヲ併セテ同一種別ト致シマ
シタ、現行第二種ノ稅率ヲ適用スルコトヽ
致シマシタ、現行第四種糖ニ對シマシテ
ハ稅率ヲ輕減スルコトニ改正致シタノデ
アリマス、現行稅率制定當時ニ於キマシテ
ハ糖業ノ技術未ダ進步セズ、自然ニ生產セ
ラルヽ所謂粗糖ハ、主トシテ第二種糖ニ屬
シタノデアリマスル、然ルニ其後糖界ハ次
第ニ發達致シマシテ、自然ニ上種別ノ砂糖
ガ生產セラルヽニ至ッタニ拘ラズ、稅法ノ
改正ガ之ニ伴ハザリシ爲ニ、故意ニ著色シ
テ第二種糖ト爲シ、輕率ノ課稅ヲ受クルノ
弊ヲ生ジマシタ、延イテ產業上ニモ支障ヲ來
タシツヽアルノデアリマス、今囘ノ改正ニ
當リマシテハ是等產業上ノ支障弊害ヲ除
去矯正ニ努メマスト同時ニ、我國砂糖生產
ノ狀況竝ニ各種砂糖ニ對スル稅率ノ按配等
ヲ考慮致シマシテ、適當ニ稅率ヲ定メタノ
デアリマス、第三ニ現行法ニ依ル第五種糖
ニ對シマシテハ一方關稅ニ於キマシテ幾
分ノ增徵ヲ致シテ居リマスケレドモ、消費
稅ニ於テ其稅率ヲ引下ゲ、成ベク國民ノ負
擔ヲ輕減センコトヲ期シタノデアリマス、
現行第六種糖ハ氷砂糖、角砂糖等デアリマシ
テ、稍、奢侈的消費ニ屬シマスノデ、其稅
率ハ之ヲ据置クコトニ致シタノデアリマ
ス、糖蜜ニ付キマシテハ、砂糖ノ稅率改正
ニ準ジテ稅率ノ改正ヲ加ヘタノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=31
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032・川原茂輔
○川原茂輔君 是ヨリ豫算委員會ヲ開キマ
ス、ドウゾ御出デヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=32
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033・片岡直温
○國務大臣(片岡直溫君) (續)次ニ關稅定
率法中改正法律案ニ對シテ提出ノ理由ヲ說
明致シマス、政府ハ昨年第五十一議會ノ協
賛ヲ經マシテ、多年ノ懸案デアリマシタル
關稅定率ノ一般改正ヲ行ヒマシタガ、當時
砂糖類ノ關稅率ハ第二次稅制整理ノ問題
タル砂糖消費稅ト併セテ之ヲ攻究スルノ適
當ナルヲ認メマシテ、之ガ稅率ニ手ヲ觸レ
ナカッタノデアリマス、然ルニ御承知ノ通リ
第五十一議會ニ於テ、右法律案ノ協賛ニ當
リマシテ、貴衆兩院共ニ砂糖類以外ノ數多
ノ物品ニ對シテ、附帶希望又ハ希望決議ヲ
附シ、特ニ衆議院ニ於テハ數十種ノ物品ノ
關稅率ハ之ヲ關稅常設委員會ニ付議シテ、
愼重審議ノ上之ヲ次期議會ニ提案シ、適當
ニ改正セラレタキ旨ノ希望ヲ表明セラレタ
ノデアリマス、政府ハ右等ノ經緯ニ鑑ミマ
シテ、關稅調査委員會ニ對シテ砂糖類及右
等物品ノ關稅率等ニ關シマシテ、諮問ヲシ
タノデアリマスガ、同委員會ハ爾來愼重審議
ヲ重ネマシテ、砂糖類及右等物品中ノ或物ニ
對シマシテ既ニ審議ヲ了シマシタ、砂糖及
酸化「コバルト」ニ付テハ、其稅率ヲ改正ス
ルノ要アリトシ、且ツ稅率ノ程度等ニ付テモ
ソレ〓〓答申スル所ガアッタノデアリマス、
ソコデ政府ハ右ノ答申ヲ愼重考慮致シマシ
タガ、何レモ適當ナモノト認メマシタガ故
ニ、玆ニ本改正法律案ヲ提出スルニ至ッタ
次第デアリマス、今本案ノ内容ニ關シマシテ
大要ノ說明ヲ致シマスレバ、第一砂糖ニ對
スル現行稅率ハ、明治四十三年我ガ糖業保
護ノ趣旨ニ於テ制定セラレタモノデアリマ
シテ、實施以來既ニ十數年ノ歳月ヲ經過致
シマシタガ、此間ニ於テ內外ノ糖業ハ著シ.
キ發達ヲ遂ゲマスルト共ニ、其需給ノ狀態
ニモ多大ノ變化ヲ見タノデアリマス、殊ニ
我方臺灣ノ糖業ハ領臺以來著シキ發達ヲ遂
ゲマシテ、其產糖額ハ現今八億斤以上ニ達
スルコトヽナッタノデアリマス、併ナガラ
我國ニ於ケル砂糖ノ需要ハ、未ダ内地產ノ
ミヲ以テ之ヲ充スコトハ出來ナイノデアリ
マシテ、年々多額ノ外國糖ノ輸入ヲ仰グノ
實情ニ在ルノデアリマス、我國砂糖ノ需給
ノ狀況ハ大體右ノ通リデアリマシテ、我ガ
重要產業ノ一タル粗糖業及精糖業ニ對シ、
共ニ適當ノ保護ヲ加ヘマスルコトハ、極メ
テ肝要ナル事柄ト信ズルノデアリマス、併
ナガラ他面ニ砂糖ハ元來國民ノ主要食料品
ノ一デアリマシテ、現ニ其消費額ハ多額ニ
上ッテ居リマス、而モ將來益、曾進スベキモ
ノデアリマスカラ、成ベク之ヲ安價ニ供給
セシムルコトモ亦等シク肝要ナル事項デア
リマス(拍手)然ルニ砂糖ニ對スル現行稅率
ヲ見マスルニ、和蘭標本ヲ標準ト致シマシ
テ、之ヲ五種ニ區別シテ各こ從量稅ヲ課
シ、以テ我ガ糖業ノ保護ヲ致シマスルト同時
ニ、他方輸出奬勵ノ趣旨ノ下ニ、輸出糖ノ
原料タル輸入糖ニシテ、色相第十八號未滿
ノモノニ對シテハ、其輸入稅ヲ免除スルコ
トヽ致シテ居ルノデアリマス、而シテ是等
外國ヨリノ輸入糖ハ、製糖技術ノ進步ニ伴
ヒマシテ、漸次其色相ヲ高ムルコトヽナ
リ、近時ニ於キマシテハ主トシテ第二十
一號乃至二十二號程度ノモノヲ產出スルニ
至ッタノデアリマス、然ルニ我ガ現行法ハ色
相ニ依ル種別ヲ數多ニ區分致シマシテ、之
ニ對シテ各、異リタル從量稅率ヲ定メテ居
リマスル關係上、輸入者ハ實質上第二十一
號程度ニ屬スル砂糖ニ對シ關稅ノ輕減ヲ圖
ルノ必要上、其色相ヲ降下セシムル爲ニ、
故ラニ不自然且ツ不經濟ナル著色等ノ方法
ヲ施スコトヽナリマシテ、延イテ我ガ糖業
ノ進步發達ヲ阻害シツヽアルノ實情ニアル
ノデアリマス、隨テ此際輸入糖ノ實際ニ適
應スルヤウニ其色相區分ヲ改メマスルト同
時ニ、右等ノ弊害ヲ伴ヘル種別ノ砂糖ニ對
シマシテ、一律ノ稅率ヲ按配スルコトハ、
最モ適切ナル措置ト信ズルノデアリマス、
而シテ是ガ稅率ノ程度ニ付キマシテ考慮致
シマスルニ、若シ其稅率ガ低キニ失シマス
レバ、我ガ糖業ニ對シテ打擊ヲ與フルコト
トナルノデアリマスルカラ、內地糖業ニ對
スル現在ノ保護ノ程度ヲ變更セザル方針ヲ
採用致シマスルト同時ニ、他面消費者ノ立
場ヲモ十分ニ考慮致シマシテ、愼重考究ノ
上、本改正案ヲ立案致シタ次第デアリマ
ス、隨テ第一ニ色相第十一號未滿ノモノヽ
稅率ハ、之ヲ据置クコトヽ致シマシテ、第
二ニ色相第十一號以上ノモノ乃至第二十二
號未滿ノモノハ、之ヲ合併致シテ、之ニ對シ
テ生產費其他各種ノ方面ヨリ考察シタル
適當ナル關稅率ヲ新ニ按配スルコトヽ致
シ、第三ニ第二十二號以上ノモノニ對シマ
シテハ其原料糖ノ改正稅率ニ對應スベキ
相當ノ稅率ヲ配スルコトヽ致シタノデアリ
さく、右ノ結果我ガ精製糖業者ハ外國市場
ニ於キマシテ、原料糖ノ買付上ニ多大ノ便
宜ヲ享受スルコトニナリマシタ、且ツ我ガ
粗糖業ハ現在ノ利益ヲ擁護セラルヽ事トナ
ルノデアリマス、是ト同時ニ右程度ノ課稅
ハ糖價ニ對シテ差シタル影響ヲ與ヘザルノ
ミナラズ、他面政府ハ同時ニ砂糖消費稅ヲ
輕減スルコトヽ致シマシタガ故ニ、砂糖ノ
關稅及消費稅ノ改正ハ消費者ニ取リ相當ノ
利便ヲ與フルモノト思惟スルノデアリマ
ス第二ニ、次ニ酸化「コバルト」ニ付テ申
上ゲマスルガ、是ハ工業原料トシテ必要ナ
ルモノデアリマスルガ、內地ニ於テハ生產
ノ見込ガアリマセヌノデ、大正五年ニ其輸
入稅ヲ無稅ト致シタノデアリマス、然ルニ
大正十三年ニ至リマシテ、新ニ含銅硫化鐵
鑛ノ收銅廢液中ヨリ之ヲ採取スルコトガ案
出セラレマシテ、爾來市場ニ其製品ヲ見ル
コトヽナッタノデアリマス、而シテ其原料
鑛石タル含銅硫化鐵鑛ノ埋藏量ハ本邦ニ
於テハ頗ル豐富デアリマスルカラ、之ニ對
シテ相當ノ保護ヲ加ヘマスルニ於キマシテ
自給ノ域ニ達スルコトガ出來ヤウト云
フ見込ノ下ニ、昨年ノ一般關稅改正ノ際ニ
本品ニ對シテ現行稅率ヲ設ケタ次第デア
リマス、當業者ハ此關稅改正ニ力ヲ得マシ
テ、昨年四月以來、其製造設備ノ改善ニ努
力致シマシテ、銳意曾產ノ準備ヲ爲シタノ
デアリマスガ、不幸ニモ同品ノ市價ハ漸次
低落致スコトニナリマシタル爲ニ、當業者
ハ損失ヲ累ネマシテ、遂ニ其製造ヲ廢止ス
ルノ已ムナキニ陷リマシタ、當分其復活ヲ
期待シ得ザルノ狀態ニ立至ッタノデアリマ
ス、隨テ今日ニ於キマシテハ最早本品ノ
關稅ヲ存置スルノ必要ヲ見ザルコトヽナッ
タノデアリマスカラ、玆ニ其關稅ヲ撤廢致
スコトヽシタノデアリマス、以上ノ理由ニ
依リマシテ玆ニ本改正法律案ヲ提出致シタ
ノデゴザイマス、何卒御審議ノ上、御協賛
アランコトヲ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=33
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034・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 是ヨリ質疑ヲ許シマ
ス岩切重雄君
〔岩切重雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=34
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035・岩切重雄
○岩切重雄君 只今大藏大臣ヨリ御說明ニ
ナリマシタ砂糖消費稅法、登錄稅法、印紙
稅法、關稅改正法、此提案ニ對シマシテ質
問ヲ致シタイト思フノデアリマスルガ、私
ノ主トシテ御尋ネ致シタイト思ヒマスモノ
ハ關稅法改正ニ對スル點ニ在ルノデアリ
やっ、此度ノ提案ニハ砂糖竝ニ酸化「コバ
ルト」ニ對スル提案ガ致サレテ居ルノデア
リマスガ、其内容ニ付キマシテハ何レ委員
會ニ於テ仔細ニ御尋ネ致ス機會ガアルト思
フノデアリマス、唯、此際ハ昨年以來ノ關
稅改正ニ關スル所ノ懸案ニ付キマシテ、大
體上ノ觀察カラ數點ニ亙テ質問致シタイ
ト思ヒマス、先ヅ第一點ハ關稅ノ收入ニ對
スル問題デアリマヌ、昨年關稅法ヲ改正サ
シマシタ際ニ、吾々ハ關稅改正ニ依ル所ノ
收入ハ政府ガ唱ヘラレマス所ノ大正十五年
度ニ於キマシテハ、七百五十二万一千百十
六圓、平年度ニ於キマシテハ千九百三十万
六千三百二十五圓ノ增收ニナルト云フ點ヲ
主張サレタノデアリマス、吾々ハ斯ノ如キ
所ノ少額ノ增收デハナイ、必ズヨリ以上ノ
收入ガアルニ違ヒナイト一云フコトヲ力說致
シマシタケレドモ、當時政府トシテハ絕對
ニ左樣ナコトハナイト一云フ意味ヲ以テ、詳
細ナル數字ヲ吾々ニ示サレタノデアリマ
ス、吾々ノ見ル所ヲ以テ致シマスレバ、關
稅ヲ徒ニ改正スル結果ハ、自然消費稅ニ重
キ負擔ヲ負ハセルヤウニナリマスカラ、其
結果ハ物價ノ騰貴トナルノデハナイカト云
フ茲ニ疑問ガアルノデアリマス、一方ニ產
業ヲ奬勵シテ一方ニ關稅ヲ改メルナラバ
ソレハ關稅政策ノ意味ヲ成シマスケレド
モ、當時ノ政府、卽チ今日ト雖モ政府ハ緊
縮方針ノ下ニ、產業ノ助長ニ對シテハ餘リ
力ヲ盡シテ居ナイノデアル、國內ノ產業ニ
餘リ力ヲ盡サズニ、一面ニ於テ關稅ノミノ
改正ヲ行ヘバ、卽チ關稅ハ收入主義ニ陷。ツ
テ居ルコトハ、是レ明カナル見解デアルト
私ハ思フ、然ルニ政府ハ此點ヲ憚ラレマシ
テカ、非常ニ內輪ニ見積ッタ所ノ數字ヲ吾
吾ニ示サレタノデアリマス、然ルニ大正十
五年度ニ於ケル關稅收入ノ結果ハ正確ナル
數字ハ私存ジマセヌガ、新聞其他ニ依シテ
傳ヘラルヽ所ニ依リマスト、到底七百五十
万圓ト云フヤウナ僅カナ數字デハナイ、殆
ド數倍ニナル所ノ數字ヲ而シテ居ルノデア
リマシテ、此點ニ對シテハ先般來、或ハ三
土、小川ノ兩氏カラモ質問サレタノデアリ
マスガ、ソレニ對シテ政府ハ明確ナル御答
辯ガ今日マデナイノデアリマス、唯〓漠然
トシテ伺フ所ニ依リマスト、先年政府ノ出
シタ所ノ關稅改正ニ對シテ吾々委員會ガ之
ヲ修正シタ、其修正ハ麥ト麥粉ト卵デアリ
さく、是等ノ點ニ修正ヲ加へタコトガ如何
ニモ增收入ニナッタ如ク政府ハ說明サレルノ
デアリマス、併ナガラ正確ナ數字ハマダ
分ラナイカ知レナイガ、麥ト麥粉ト卵ノ改
正ニ依シテドレダケノ玆ニ增教ガアッタカト
云フコトヲ、先ヅ第一點ニ伺ッテ見タイト
思フノデアリマス、次ニ第二ノ點ハ、昨年
吾々ノ希望條件ト致シマシテ、提出致シマ
シタモノハ非常ニ多クアッタ、第一ハ十數
項目ニ亙リマス所ノ關稅日目ニ對シテ政府
ノ考慮ヲ促シタノデアル、然ルニ僅ニ其中
カラ酸化「コバルト」ノ問題、而モ是ハ其當
時ニ於テ既ニ明瞭デアッタ問題ヲ、政府ハ
頽强ニ固執シテ之ヲ讓ラナカッタ結果、今
日果シテ輸入ガ何モナイト云フコトガ明ニ
ナリマシテ、此點ニ改正ヲ加ヘラレタ、是
ハ國家ノ政治デアリマスカラ、間違シテ居
レバ改メルコトハ是ハ當然デアリ、又極メ
テ結構ヲ事デアル、然ルニ是ダケ吾々ノ希
望シタ中カラ僅ニ一ツダケシカ改正サレナ
イト云フクハ、其他ヲ稅目ハ果シテ何等修
正ノ必要ガナカッタノデアルカドウカ、此
點ハ吾々ハ政府ノ御意向ニ依リマシテ、常
設委員會ニ依シテ愼重ニ取調ベルト云フコ
トデアリマシタガ、果シテ常設委員會ハ如
何ナル程度ニ熱心ナル調査ヲ遂ゲラレタノ
デアルカ、何回御開キニナッテ、ドレ〓〓
ク問題ヲドノ程度ニ御調査ニナッタカト云
フコトヲ、今少シク詳細ニ承リタイト思フ
ソデアリマス、其次ニハ吾々ハ不當廉賣ニ
對スル修正ノ希望ヲ申上ゲテ置イタノデア
リマス、然ルニ其後ノ我國ノ產業界ニ於キ
マシテハ、或ハ鐵ノ輸入ニ對シマシテモ、
當然不當廉賣法ナルモノヲ適用シテ、何等
カノ調査ヲ進メナケレバナラヌ必要ガアッ
タト私共ハ考ヘルニモ拘ラズ、政府ハ果
シテ是等ノ取扱ヲ如何ナル程度ニヤラレ
テ居ルカドウカ、折角拵ヘラレタル所ノ法
律ヲ、之ヲ棚ニ載セテ置イテハ何モナラナ
イ、ドノ程度ニ之ヲ取扱ハレタカト云フコ
トニ村テ、政府ノ所見ヲ伺ッテ見タイノデ
アリマス、其外尙重大ナル問題ト致シマシ
テハ、染料及鐵ニ對シマシテ、項目ヲ改メ
マシテ政府ニ質問ヲ致シテ置イタノデアリ
マスガ、之ニ對スル御調査ハドノ程度ニ進
ンデ居ルノデアルカ、以上申上ゲマシタ所
ノ各項目ニ付テ、政府ノ所見ヲ伺ヒタイト
思フノデアリマス
〔國務大臣片岡直溫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=35
-
036・片岡直温
○國務大臣(片岡直溫君) 只今岩切君ノ御
質疑ニ對シマシテ御答致シマス、第一ハ關
稅ノ收入ニ對シマシテノ御質疑デアルノデ
アリマス、是ハ大體先日モ申上ゲタノデア
リマスガ、今日モ私ヨリ大體ノ事ヲ申上ゲ
テ、尙ホ數字ニ涉ル事ハ政府委員ヨリ申上
ゲルコトヽ致シマスガ、當時關稅ノ實情ハ
關稅改正ヲ企テマシタ事柄ガ、自然見越輸
入ト云フモノヽ計畫ガ多少行ハレタ、併ナ
ガラ其救入其手續ハ其前年度ニ屬セズシ
テ、此年度ニ移。ッタト云フ關係ガゴザイマ
スノト、ソレカラ有稅品ノ輸入ガ殖エマシ
タノト、ソレガ主ナル原因デアリマス、議
會ニ於テ改正ニナリマシタ結果トシテ增收
ニ粗成リマシタ事柄ハ、先日此處デ申土ゲ
マシタ數字ト大體違ッテ居リマセヌガ、要ス
ルニ數字ノ事柄ノ內容ハ詳細ニ涉シタ方ガ
便利ト存ジマスカラ、政府委員ヨリ御答ヲ
致サセマス、ソレカラ現内閣ハ產業助長ニ
ハ餘リカヲ入レテ居ナイ、關稅其モノハ自
然消費者ノ手許ニ於テ高キモノヲ使用スル
結果トナルカラ、餘程愼重ナル注意ヲ要ス
ルモノデアルト云フ御論旨ハ、是ハ全ク同
感デアリマス、其通リデアリマス、ソレ故
ニ此點ニ於テハ十分ニ注意ヲ拂クテ、案其物
ヲ作ッテ居リマスノト、產業助長ニ對シマシテ
ハ現內閣以前、卽チ加藤伯內閣成立以來年
年此產業助長ニ對シテ種々ノ畫策ヲ行ヲテ
來タコトハ、今更私ガ改メテ申スマデモヲ
イコトダト思ヒマス、本年度ノ豫算ニ於キ
マシテモ、是等ニ對シテハ相當ノ計上ヲ致
シテ居リマスルノト、同時ニ產業助長ノ方
法ハ單ニ豫算ノ上ニ現ハスバカリデハナク
シテ、或ハ組織ノ改善ヲ促スト云フガ如キ
事柄、或ハ組合ヲ組織セシムルト云フガ如
キ事柄、或ハ結局ハ法律案トナッテ現ハレ
ナケレバナラヌト存ジマスルガ、金融制度
ノ改善ト云フガ如キ事モ、是ハ主トシテ產
業發達ヲ期スル目的ニ外ナラヌノデアリマ
ス、之ヲ甚ダ怠シテ居ッテ、唯〓收入主義ニ
重キヲ置イテ居ルト云フ御論ニ至リマシテ
ハ是ハ大ニ異ナル所デアリマスカラ、決
シテ左樣ノ趣旨デナイノミナラズ、今岩切
君ノ御述べニナッタ精神ト同一ノ精神ヲ持。シ
テ居ルコトヲ明ニ申上ゲテ置キマス、次ニ
關稅改正ニ付テハ、五十一議會ニ種々ノ希
望條件等ヲ附シテ置イタニ拘ラズ、單ニ酸
化「コバルト」ダケノモノヲ出シテ、他ノモ
ノヲ出サヌコトハドウ云フ譯カ、ドウニムフ
成行ニナッテ居ルカト云フ意味ニ付テノ御
質疑デアッタト存ジマスガ、是等ニ付キマ
シテハ、今尙ホ關稅委員會ノ調査ノ濟マナ
イモノモアリマス、又濟ンダモノモアリマ
スガ、濟ンダモノニ對シテハ提案ヲ致シテ
居リマス、又今後ニ於テ此委員會ノ進行ニ
依シテ更ニ提出スルモノモアラウト存ジマ
ス、此酸化「コバルト」ハ當時自分等ガ極メ
テ反對ヲシタニ拘ラズ、非常ナ主張ヲシテ
置キナガラ、吾々ノ言フ通リニナッタヂヤ
ナイカト云フ御論デアリマスガ、是ハ今說
明ヲ致シマシタ通リノ事由ニ依ッテ、當時
ノ主張ヲ致シタモノニ相違ナイノデアリマ
ス、併シ之ヲ又今後ニ於テ多分出來ルデア
ラウナドト言ッテ、他日ノ調査ニ事ヲ託シ
テ、之ヲ玆ニ提案ヲシナイ方ガ宜シイカ、
先ヅ今差向キ無クナッタモノナラバ關稅ハ
除ケテ置イテ、他日出來ルヤウニナッタラ更
ニ法律ヲ改正スルガ如キ協賛ヲ求メルコト
ニ出夕方ガ宜イカ、是ハ虛心坦懷ニ出夕方
ガ御互ノ利益ダラウト思フ、サウシサイト
負惜ミ負惜ミト云フコトニナルト、自然直
スベキモノモ直ラナイヤウニナリハシマセ
ヌカ、サウ云フコトヲ私ハ氣ガ付カチイク
デハナイ、サウ云フコトハ虛心坦懷ニ、出
來ヌモノハ出來ヌト云フコトニシタ方ガ宜
イヂヤナイカ、ツレカラ第三ニ不當廉賣ニ
村テ御質疑ガアリマシタガ、是ハ實ハ私ノ
主管デハナイノデアリマス、然ラバ知ラヌ
カト申シマスレバ、一通リハ如ッテ居リマ
ス、知ッテ居リマスガ、主管大臣ガ居リマセ
ウト存ジマスカラ、是ハ私ノ商工大臣當時
ニ於テ關係ノアルコトデアリマスカラ、
知ッテハ居リマスガ、今差急イデ御答ハ要
シナイト思ヒマスカラ、ツレハ當局カラ申
上ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=36
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037・議長(粕谷義三君)
○議長(粕谷義三君) 黑田政府委員
〔政府委員黑田英雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=37
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038・政府委員(黑田英雄君)
○政府委員(黑田英雄君) 只今岩切君ノ御
尋ニナリマシタ第一ノ點、卽チ小麥、小麥
粉竝ニ鳥卵、之ニ付テ十五年度ノ收入ガ豫
想ヨリモ多クナッテ居ル、其中小麥、小麥粉
鳥卵ノ稅率ノ修正ノ結果何程殖エテ居ルカ
ト云フ御尋デアッタノデアリマス、此點ニ付
キマシテ御答ヲ致シマスルガ、御承知ノ通
リ小麥ニ付キマシテハ百斤七十七錢ガ一圓
五十錢ニナリ、小麥粉ニ付キマシテハ一圓
八十五錢ガ二圓丸十錢、卵ニ付キマシテハ
四圓五十錢ノ提案ガ六圓ニ修正サレマシタ
ノデアリマス、本年度ノ四月ヨリ十一月ニ
至リマスル間ニ於キマシテ輸入サレマシタ
是等ノ數量ハ、三百七十三万八千五百六十
一「ピクル」ニ相成シテ居リマス、之ヲ若シ政
府ノ提案通リデ收入ガアリマシタ場合ト、今
日ノ如ク修正ニ相成リマシタ後ノ收入ト比
較シテ見マスト、二百八十九万五千七百三
十圓ノ差ヲ生ズルノデアリマス、卽チ先日
大藏大臣ガ本年ノ關稅收入ノ中、增加シタ
モノヽ一ツトシテ、是等ノモノヽ稅率ノ修
正サレマシタ結果ヲ約三百万圓ト御話ニナ
リマシタノハ、卽チツレデアルノデアリマス、
其他大正十五年度ノ令日マデノ關稅ノ收入
カ、當時ノ豫算ヨリモ多カシタコトニ付テ
度を御質疑ガアリマシテ、既ニ大藏大臣ヨ
リ御答辯ニ相成シテ居ルノデアリマスルガ、
尙示此機會ニ於テ多少補足シテ私御答申生
ゲタイト思ヒマス、十一月頃マデク收入ハ
約二千万圓位多クサッテ居ルノデアリマス、
然ルニ其中只今申シマシタ約三百万圓ト云
フモノハ、是ハ當時豫算ヲ作リマシタ際ニ
於テハ、豫想致シテ居リマセヌ金額デアル
メデアリマス、其他爲替相場ノ恢復ノコト
ニ付キマシテモ、過日大藏大臣ガ御述ベニ
ナッタノデアリマスガ、爲替相場ハ當時豫算
ヲ致シマシタ時ノ基礎ニ比較致シマスト、
十一月マデノ平均ヲ見マスト云フト、約一
割八分ノ騰貴ニ相成シテ居ルクデアリマス、
隨ッテソレダケ有稅品ノ輸入モ有利ニ相成ッ
テ居ルノデアリマス、隨テ其結果ヲ見マシ
テモ、此十一月マデノ實績カラ見マスト云
フト、輸入ノ總額ハ前年ニ比較致シマスレ
バ相當減額致シテ居リマスルガ、是等ノ減
額ノ大部分ハ無稅品デアルノデアリマシ
テ、有稅品ニ付テ見マスト、却テ前年度ニ
比較シマシテ多額ノ噌加ニ相成シテ居ルノ
デアリマス、是ハ輸入價格デアリマス、輸
入價格ノ增加ハ是ガ從價稅品デアリマスレ
バ、自然ニ收入ノ增加スルコトハ申スマデ
モナイノデアリマス、是ガ若シ從量私品デ
アリマシタナラバ、爲替相場ノ恢復ノ爲ニ
却テ同一ノ金額ナラバ數量ガ多ク這入ル譯
デアリマスカラ、多ク這入リマシタモノニ
對シマシテハ、自然收入ヲ增加致スノデア
リマス、ソレ故ニ有稅品ノ輸入價格ノ增加
ト云フモノハ從量稅ナラバ尙ホ一層ノ收
入ノ增加ヲ來ス傾向ヲ持ツノデアリマス、
是等ノ影響ハ相當多クアッタコトヽ考ヘル
ノデアリマス、是等ハ當時ニ於テ豫算ノ上
ニ其當時ノ狀況ヲ基礎ト致シマシテ豫算致
シマシタモノニ比較致シマスレバ當時豫
想セザリシ所ノ事柄ニ屬スルノデアリマ
ス其他見越輸入ニ付キマシテモ、見越輸
入ニ係ル品物モ相當ニ多クアッタヤウニ思
フノデアリマス、併ナガラ是ハ特種ノロ物
ニ付キマシテノ輸入ガ多カッタノデアリマ
シテ、ンレニ付キマシテ施行ヲ三月ノ二十
丸日ニ致シマシタ結果トシテ、施行後ニ入ッ
テ參参ママタタ、隨サ此改正サレマシタ新稅率
ヲ適用セラレタモクモ相當ニアルクデアリ
マス、是ガ卽チ本年度ノ歲入ニ入ッタノデ
アリマス、其當時豫定致シテ居リマシタ所
ノー是ハ御參考ニ御手許ニ差上ゲテ置イ
タト思ヒマスルガ、其見込ンデ居リマシタ所
ノ見越輸入總額モ、幸ニシテソレダケノ見
越輸入ガナカッタノデアリマス、隨テ本年度
ノ歲入ノ上ニソレダケ多ク收入ガ出來ルト
云フ結果ヲ來シテ居ルノデアリマス、其他
細カク申シマスレバ或ハ鐵鋼材、或ハ人造
絹、ソレ等ノ價格ガ非常ニ安クナリマシタ、
爲替相場ノ恢復ト相俟チマシテ非常ニ輸入
ヲ曾加シタト云フ、此輸入ノ自然ノ增加ノ
結果殖エタモノモアルノデアリマス、是等
ヲ綜合致シマスト云フト、此增加額ト云フ
モノハ當時ノ事情ト事情ノ變化ニ基イタ所
ノ增收デアッタコトニ相成ルノデアリマス、
尙ホ來年度、昭和二年度ニ付キマシテモ、
先程岩切君ノ御話ガアリマシタガ、是モ當
時此稅率改正ノ時ニ御而シ致シマシタ
所ノ卽チ大正十六年度トシテ御而シ致シマ
シタ所ノ〓算額ニ比較致シマスレバ、約千
万圓ノ增加ヲ見積ッテ居リマス、是ハ其中ノ
一部ハ先程申シマシタ小麥、小麥粉、島卵
ノ曾率ニ係,タコトデアリマス、此爲ニ當然
當時〓計ニ見積ッテ居リマシタ額ガ、三百六
十万圓ヲ增加スルコトニナルノデアリマ
ス、其他ニ此砂糖ノ關稅ノ改正ノ結果、當
時豫想シテ居リマセヌ砂糖ノ關稅ノ改正ノ
結果二百四十八万圓、其他ハ卽チ此爲替相
場ノ恢復ト今日ノ現狀ヲ基礎ト致シマシ
テ、豫想致シマシタ結果ノ增加ガアルノデ
アリマス、左樣ナ結果ニ相成ッテ居ルノデ
アリマス、ソレカラ昨年當議場ニ於キマシ
テ希望決議ニナリマシタ品物ニ村キマシテ
大藏大臣ガ既ニ御話ニナリマシタガ、是ハ
關稅調査委員會ノ御希望デアリマシタ以
來、砂糖關稅竝ニ是ニ關シマスル砂糖消費
稅ト云フモノヽ調査ガ、相當時日ヲ要シタ
ノデアリマス、其他ノモノニ付キマシテモ
銳意〓究ハ致シテ居リマスルガ、先程太臣
ノ御述べニナリマス通リ、未ダ完了致サナ
イノデアリマス、ソレ数二尙ホ今日ニ於キマ
シテモ其調査ハ急イデ居ルヤウナ次第デア
リマスカラ、左樣御了承ヲ願ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=38
-
039・岩切重雄君
○岩切重雄君 簡單デゴザイマスカテ此席
カラ····発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=39
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040・議長(粕谷義三君)
○議長(粕谷義三君) 許可致シマス
岩切重雄君只今大藏大臣ノ御答辯ノ中
ニ私ガ申上ゲマシタ點ニ付テ、決シテ牧八
主義ニ陷ツテ居ナイト云フコトヲ申サレタ
ノデアリマスガ、其點ニ付キマシテ質閣ト
云フ程デモアリマセヌケレドモ、尙ホ委員
會ニ於テ承ハル機會モアルト思ヒマスガ、
關稅問題ハ一ノ保護政策デアルカラ、若シ、
關稅其モノヽ精神ガ一變シテ來マスレバ、收
入ハ漸次減少シテ行カナケレバ關稅ノ目
的ト云フモノハ達シナイモノデハナイカト
私ハ思フノデアリマス、關稅ヲ改正スルト
云フコトハ、產業政策デアッテ收入政策デナ
イ、產業政策ヲ實行シテ、而モ其牧入ガ漸
次增加シテ行クト云フナラバ、自然產業上
ニ對スル施設ヲシタト言ハレテモ、其效果
ハ現レテ居ナイト云フコトニナルノデハナ
イカト私ハ思フノデアリマス、其點ハ只今
大藏大臣ガ收入主義デハナイト言ハシタケ
レドモ、精神ハ收入主義デナクテモ結果ハ
收入主義ニ陷ルノデハナイカト云フコトヲ
申上ゲテ、尙ホソレニ對スル數字ノ如キ
ハ委員會デ御答辯ガ願ヒタイト思ヒマ
ス、モウ一ツ酸化「コバルト」唯、一ツダケ
改正ヲシタト云フ點ヲ、私ガ御非難申上ゲ
タ所ガ、ンレハ虛心坦懷デアルカラ宜イデ
ハナイカト仰シヤイマシタガ、然ラバ虚心
坦標ナモノハ他ニハナカッタカ、一ツダケ
虛心坦懷デ、他ハサウデナクシテヤッタモ
ノデハナイカ、虛心坦懷ノ御心持ヲ持タレ
テ、更ニ其他ノ點ニ對シテモ、此立派ナ精
神ヲ御實行ナサル意思ハナイカドウカト云
フコトヲ御尋ネシテ、委員會デナク此所デ
御說明ヲ顯ヒタイト思フノデアリマス
〔國務大臣片岡直溫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=40
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041・國務大臣(片岡直溫君)
○國務大臣(片岡直溫君) 岩切君ノ最後ノ
御質疑ニ御答申上ゲマス、岩切君ノ御說明
ニ從ヒマスト、關稅ハ遂ニ無クナルコトガ
國ノ非常ナ產業ノ發達デアルト云フコトニ
歸著スルヤウデアリマスガ、其意味ハ私モ
餘リ反駁ハ致シマセヌ、貴方ノ仰セラレル
所ノ意味ハ幾ラカ道理アルト思ヒマスケレ
ドモ、一體此關稅ヲ高メルト一云フモノニ對
シテハ、内ニ成立ノ見込ガアル、所謂自給
自足ノ見込ノアル物ニ對シテ當分保護ヲ加
ヘナケレバ、自給自足マデ行カナイ、此保
護ヲ加ヘルコトニ依シテ消費者ガ多少ノ迷
惑ハ蒙ルガ、其代リニ他日自給自足ノ域ニ
達スルト云フ譯ノモノデアリマス、ソコマ
デ行キマスル間ニ於テ、貴方ノ御論ノヤウ
ナ部分モ生ジマセウガ、是ハ實際家トシテ
少シ、御考へ下サッタナラバ自ヲ明瞭スル
コトノ筈ダト思ヒマス、ソレカラ酸化「コ
バルト」ニ對シテ唯。一ツ出シタノハ虛
心坦懷デナイト仰セラレル、此酸化「コバ
ルト」ハ、モウ內ニ製造ヲスル力ガ無クナッ
テ、製造ヲ見ナイ、是ハ明ニナッタ、其他ノ
物デ委員會ニ於テマダ調査、或ハ濟ンダ物
デ、曩ニ御希望ノ條件中ニ屬シタ物ガアル
ノデアリマス、是ハ未ダ日月ガ早クシテ、
實行ヲシテ數月ニシカナラヌノデアッテ、今
之ヲ御希望ノ通リスルノガ善イヤラ惡イヤ
ラ是ハ分ラヌノデ、委員諸君ニ於テモ今
暫ク時期ヲ見ルノガ相當デハナイカト云フ
コトデ、此所ニ提案スルコトニ至ラナカッ
タヤウデアリマス、酸化「コバルト」ダケハ
明ニ其製造場ガ製造シナイ、他ニ製造スル
所ガナイ、ハッキリシテ居ル、ソレ故ニソ
レ程明ニナッテ居ル物ハ直グニ出シテ、他
ノ物ハ相當ノ調査ガ終リマシタナラバソ
レハ矢張虚心坦懷ニ取扱フ積リデアリマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=41
-
042・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 次ハ前田房之助君
〔前田房之助君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=42
-
043・前田房之助
○前田房之助君 只今上程ノ議案ニ付キマ
シテ極メテ簡單ニ質問ヲ致シタイト思ヒマ
ス只今ノ御說明ニ依リマスレバ、第二次
稅制整理ハ國民負擔ノ均衡ヲ圖リ、且ツ成
ベク社會政策ノ效果ヲ舉グルト云フ御說明
デアッタノデアリマス、果シテ其內容ガ御說
明ノ趣旨ニ合致スルヤ否ヤハ、委員會ニ於
テ詳細論議ヲ盡スコトヽ思ヒマスカラ、其
點ハ相避ケマシテ、二三要點ニ付テ質問ヲ
致シタイト思フノデアリマス、御說明ニ依
リマスレバ、本年度ヨリ第二次稅制整理ノ
結果ト致シテ四百五万餘圓、明年度ヨリハ
五百三十餘万圓ノ減收ヲ來スト云フ御說明
デアッタノデアリマス、ソコデ御尋ネ申上
ゲマスルガ、此減牧ノ計算ニ付キマシテハ、
片岡大藏大臣ハ明確ナル、確乎タル御信念
ヲ有セラレルヤ否ヤト云フ點デアリマス、
第一次稅制整理ノ結果ヨリ見マシテ、私共
ハ甚ダ不安ニ堪ヘナイノデアリマス、又內
容ヲ點檢致シマシテモ、幾多疑ハシイ點ガ
アルノデアリマス、一例ヲ擧ゲマスルナラ
バ此登錄稅デアリマスルガ、此登錄稅ハ
明治二十九年度實施サレマシタ當時ハ、僅
ニ五百八十七万圓餘デアッタノデアリマス、
ソレガ明治四十年ニハ一千四百七十八万圓
ニ增加ヲ致シテ居ルノデアリマスル、更ニ
大正元年ニハ千九百四十九万圓餘ニ增加ヲ
致シテ居ル、更ニ十四年度ニ於キマシテ
ハ一躍致シテ五千六百八十三万圓餘ニ曾
加ヲ致シテ居リマス、斯ノ如ク年々非常ナ
ル勢ヲ以テ增加ヲ致シテ居ルノデアリマ
ス、而モ其件數ヲ見マスルト云フト、明治
二十九年ニ六百二十五万九千五百九十一件
ノモノガ、大正十四年度ニ至ッテ五百五十
四万一千九百六十六件、件數ハ寧ロ減少致
シテ居ルノデアリマス、此結果ヨリ推論致
シマスナラバ、卽チ登錄稅ニ關スル資本竝
ニ不動產其他ノ單價ガ非常ニ大キクナッタ
結果デアラウト思フノデアリマス、而シテ
是等ニ關スル單價ガ年々增大スルト云フコ
トハ、今後モ持續スル所ノ形勢デアルト云
フコトハ-趨勢デアルト云フコトハ間違
ナキ事實デアラウト思ヒマス、然ラバ假令
僅ニ稅率ヲ御下ゲニナッテモ-低下サレ
マシテモ、其結果ニ於キマシテハ私ハ決シ
テ減收スルモノデナカラウト思フノデアリ
さく、或ハ寧口本年度ノ登錄稅ハ十四年度
ノ登錄稅ヨリモ增加スルヤウナコトニ相成
リハセヌカト思フノデアリマス、ソコデ果
シテ只今御說明ノ如ク、第二次稅制整理ノ
結果今年度ニ於テ四百五万圓減少スルヤ否
ヤ、是ハ私ハドウモ甚ダ疑念ヲ持ッテ居ル
ノデアリマス、片岡大藏大臣ハ本會議竝ニ
豫算委員會ニ於キマシテモ屢、聲明ナサッ
テ、斯樣ナコトハ是ハ自然增收デアル、稅
額ハ年々、加加ヲ致シテ居ル、第一次稅制整
理ノ如キモ、整理外ノ稅額モ約七分五厘曾
加ヲ致シタノデアル、デアルカラ稅制整理
ノ結果四千五六百万圓曾額致シタト云フコ
トハ、是ハ自然曾收ダト云フコトヲ强辯ナ
サレテ居リマスケレドモ、併ナガラ斯ウ云
フ統計ヲ以テ當然減少シナイト云フコトガ
略〓明瞭ニナッテ居ルニ拘ラズ、豫算ノ上ニ於
テ減少ト云フヤウニ計上サレテ居ルト云フ
コトハ貴方トシテハソレハ自然曾收ノ言
葉ヲ以テ滿足ナサルカモ知レマセヌガ、國
民ハ至極迷感ト思フノデアリマス、デアリ
マスルガ故ニ、先ヅ此點ニ付テ果シテ確乎
タル信念ヲ有セラルヽヤ否ヤ、又貴方が引
續イテ來議會ニ於テ大藏大臣ノ時ニ曾收ヲ
シテ居ルカラ、ソレハ自然曾牧ダト仰シヤ
ラレテハ吾々ハ甚ダ迷惑ヲスルノデアル、ソ
コデ第一次-是ハ印紙稅モ同ジコトナン
デアリマス、登錄稅ダケノ方デ讀ミマシダガ、
同ジ趨勢ヲ馴致致シテ居ルノデアリマスル
ガ故ニ、此點ニ付テ先ヅ以テ明確ナル所ノ
御信念ヲ伺テテキキイト思フノデアリマ
ス、第二ハ砂糖ノ消費稅竝ニ砂糖ニ關スル
關稅ノ問題デアリマスルガ、砂糖消費稅ノ
改正ノ御趣旨ハ今申上ゲタ如ク、庶民階級
ノ需要品デアル所ノ第一種糖ノ消費稅
ヲ半減ヲ致シテ、以テ社會的效果ヲ圖ラウ
ト云フノガ一ツノ目的ノヤウデアリマ
ス、第二ハ第二種糖以上ノ砂糖ニ對シテ、
其消費稅ヲ按配ヲシテ、以テ產業上ノ支
障ヲ除イテ、サウシテ國民負擔ノ輕減ヲ
圖ルト云フコトノ目的デアルヤウデアリマ
ス、併ナガラ吾々ガ砂糖ノ實際需要ノ趨勢
ヲ見マスノニ、年々此第一種糖ノ一部デア
ル所ノ黑砂糖ノ需要ハ減少ヲ致シテ居ルノ
デアリマス、卽チ此稅額カラ見マシテモ第一
種糖ノ黑砂糖デアリマスルガ、大正五年度
ニハ百九十二万四千四百七十七圓ノ消費稅
デアリマス、ソレガ年々減少致シマシテ、
大正十四年度ニハ百四十六万六千九百二十
七圓、斯樣ニ減少ヲ致シテ居リマス、又此
第一種糖ヲ合計致シマスルト、大正五年ニ
五百六十三万八千三百九十一圓、是ガ大正
十四年度ニハ減少致シテ四百五十八万四千
百八十六圓、斯様ニ第一種糖ハ年々下ッテ
來テ居ルノデアリマス、此實情ハ明ニ此庶
民階級ト雖モ第一種糖竝ニ黑砂糖ノ需要ガ
減少ヲ致シテ、サウシテ優良糖ニ向ッテ居
ルト云フ所ノ結果ヲ證明致シテ居ルモノト
思フノデアリマス、是ニ於テカ、假令僅ニ
第一種糖ニ對シテ減稅ヲナサレマシテモ、
私ハ大藏大臣ガ豫期サレテ居ル如クニ、社
會政策ノ效果ガ擧ルモノトハ考ヘナイノデ
アリマス、私ハ斯樣ナコトヲオヤリニナル
ヨリモ、寧ロ其生產地デアル沖繩縣竝ニ大
島ニ於ケル所ノ糖業ニ對シテ、政府ガ特別
保護ヲナサル方ガ優ッテ居ルノデハナカラ
ウカト思フノデアリマス、詰リ第一種糖ノ
消費稅ノ半額ガ大藏大臣ガ豫期サレル如
〃社會政策ノ效果ガアルヤ否ヤ、又ソレ
ヨリモ-斯ウ云フ事柄ヨリモ沖繩、大島
ノ製糖業ニ對シテ適當ナル保護奬勵ヲオヤ
リニナルト云フ考ガナキヤ否ヤ、此點ヲ先
ヅ以テ御伺致スノデアリマス、更ニ第二種
糖以上ノ消費稅ノ改正デアリマスガ、此第
二十二號ト第二十五號ノ砂糖ノ稅金ガ今迄
ハ餘リ開キガナカッタノデアリマス、ソレ
ガ改正ノ結果非常ニ開キヲ生ジタ、ソコデ
此第二十二號ノ砂糖ト第二十五號ノ砂糖ガ
非常ニ競爭ガ激甚ニナル虞ガアルノデアリ
マス、卽チ其結果トシテ糖業界ガ動モスレ
バ混亂スルト云フ所ノ形勢ヲ馴致スル虞ガ
アラウト思ヒマス、更ニ此砂糖ニ關スル關
稅ノ改正デアリマスルガ、是ガ只今モ御說
明ノ如ク第二種、第三種、第四種、詰リ號
デ申シマスルト二十二號以下ノ關稅ニ對シ
テハ、從來三種ニ變"テ居ッタノデアリマス
ガ、今回ハ同一率ト爲サレテ三圓九十五錢
ノ關稅率ヲ課シテ居ラレマス、其結果トシ
テ關稅率ガ同一ニナッタガ爲ニ、第二種糖
ニ對シテ第三種、第四種糖ガ壓迫ヲ加ヘル
所ノ傾向ヲ來シハシナイカト云フコトヲ虞
レルノデアリマス、詰リ第二種糖、稍〓原
料糖ニ近イモノガ第三種、第四種糖ノ爲ニ
壓迫ヲ受ケテ、サウシテ此原料糖ノ發達ヲ
堕害スルヤウナコトガ起リハシナイカト思
フノデアリマス、詰リ此糖業界ニ於キマシ
テハ粗糖業ト精糖業トガ均衡ヲ保クテ發展
スルト云フコトガ、根本方針ノヤウニ承ソ
テ居ルノデアリマスガ、砂糖消費稅ノ改正
竝ニ砂糖ニ關スル關稅法改正ノ結果トシ
テ、此根本政策ガ動モスレバ背馳スルヤウ
ナ形勢ヲ馴致スル虞ガナキヤ否ヤト云フ點
ニ付テ、御答ヲ願ヒタイノデアリマス、以
上私ノ質問ヨリ考へマスルト、ドウモ第二
次稅制整理ハ一ハ財政上ノ都合モアッタラ
ウト思ヒマスルガ、登錄稅、印紙稅ノ改正
ナルモノハ頗ル不徹底デアル、オヤリニナ
ルナラバモット徹底的ニヤル點ガ多々アル
ノデアリマス、何レ委員會デ詳論スル機會
モアラウト思ヒマスカラ、今日ハ申上ゲヌ
ガ、是ハ財政上ノ都合已ムヲ得ズ斯カル不
徹底、動モスレバ矛盾シタ所モアリマス
ルガ、斯樣ナ點ガアルト云フモノハ、財政
困難ノ際ニ在ルカラ斯ウ云フコトガ起ッタ
ノデアラウト思フ、又砂糖消費稅竝ニ關稅
ニ對スル改正ニ付テ、幾多實情ニ副ハナイ
點ガアルノデアリマス、此實情ニ副ハナイ
點ガアルト云フ所以ノモノハ、全ク片岡大
藏大臣ガ第二次稅制整理ハ必ズヤルト云フ
ヤウナ御聲明ヲ爲サレタ結果トシテ、自分
ノ功績ヲ飾ランガ爲ニ實際ノ事情ヲ能ク調
査ナサレズニ、急遽トシテ斯ウ云フ案ヲ拵
ヘラレタ結果デハナカラウカト思フノデア
リマス、卽チ登錄稅、印紙稅ハ頗ル不徹底
デアリ、砂糖ニ關スル改正ハ關稅モ消費稅
ノ方モ極メテ實情ニ遠イモノガアル、是ハ
私ノ考デアリマスルガ、斯樣ナ點カラ考ヘ
マシテ、此稅制ナルモノハ申スマデモナク、
屢〓改正スルコトハ出來ナイノデアリマス、
一度改正致シマスレバ、是ハ當分此儘ニ置
イテ置ク必要ガアルノデアリマスカラ、寧
口斯樣ナ稅制整理ヲ只今御提案ナサルヨリ
モ、モウ少シク財政ニ餘裕ノ生ジタ際ニ徹
底的ナル所ノ登錄稅、竝ニ印紙稅ノ改正ヲオヤ
リニナリ、更ニ砂糖消費稅竝ニ關稅ノ改正
ヲオヤリニナルト云フ方ガ、私ハ國民ノ爲
ニモ好都合デアラウト思フ、功績ヲ飾ル意
味カラシテ斯ウ云フモノヲ慌テヽ御出シニ
ナルヨリモ、寧口能ク考慮ヲ爲サレタ上デ完
全ナル案ヲ御提案ニナッテ、而シテ吾々國
民ガ最モ熱望致シテ居リマスル所ノ義務〓
育費國庫負擔額ヲバ、五百万圓ヲ更ニ五百
万圓曾サレテ一千万圓曾額ナサルト云フ方
ガ、國家國民ノ爲ニハ餘程私ハ仕合デアル
ト思フノデアリマス(拍手)此點ニ付キマシ
テモ、片岡大藏大臣ノ御答ヲ得タイト思ヒ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=43
-
044・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 片岡大藏大臣
〔國務大臣片岡直溫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=44
-
045・片岡直温
○國務大臣(片岡直溫君) 只今ノ御質疑ニ
御答申上ゲマス、第一ハ此提案ニ對シテ本
年度ハ四百五万圓餘、平年度ニ於テ五百万
圓餘ノ減稅トナルト云フコトトハ、是ハ確
乎タル確信ヲ有スルカ、是ガ第一問デアル
ト思ヒマス、其御質問ノ起リマシタ理由ト
シテ、昨年稅制整理ヲシタモノニ、本年非
常ニ曾加致シテ居ルコトヲ自然曾收ト云フ
ガ、ドウモ腑ニ落チナイ、此所ヨリシテ其
御質疑が起ッテ居ルト思ヒマス、私ハ此提
案ニ對シマシテハ、現在ノ實情ヲ押ヘテ、
之ニ對シテ改正ヲ加ヘタナラバ是ダケノ
モノガ減ル、斯ウ云フコトヲ實際ノモノニ
引當テヽ見タノデアリマス、是ハ確乎不拔
ト云フヨリ外ニハ恐ラク言ヒヤウハナイト
思ヒマス、然ラバ曾減ハナイカト云フ御尋
ガ起ル、是ハ此社會ノ實狀態ヲ能ク御押ヘ
ニナッテ見タナラバ、是ハ多少動クコトハ
ドウモ免ルヽコトハ出來マセヌ、現ニ大正
十二年ノ大震火災ノ如キニ對シマシテハ、
稅ノ收入ハ著シク減ッタデアリマセヌカ、
アヽ云フ出來事ガアルト云フト、豫定ノ收
入ハ減ルコトハ免レヌ、ソレカラ又經濟界
ガ恢復シテ漸次增進シテ參リマスト云フ
1、課稅ノ目的物ガ段々增進シテ來レバ、
收入ハ殖エテ來ルト一云フコトハ、是ハ自然
デアリマス、(拍手)如何ニ今日減稅ヲシタ
カラト云ッテ、明日カラ一文モ收入ガ曾サ
ヌナドト云フコトハ、ソレハ他日ノ見込ヲ
加ヘテ置キマシタナラバ、ソレニ近キモノ
ニナリマセウ、併ナガラ我國ノ制度トシテ
此現在ノ年度ニ對シ、サウシテ將來ノ繼續
費ニ對シ、所謂財政計畫ナルモノヲ立テネ
バナラヌコトニナッテ居リマス、本年一時
限リト云フガ如キ總テ財政ノ立方デハナ
ィ、是ニ於テ實際ノ上ニ差支ヘヌヤウニシ
ヤウト云フ見地カラ起ッタコトカ知レマセ
ヌガ、此稅ノ如キハ現年度ヲ押ヘデ成タケ
近イ所ニ依ッテ、其年ノ收入豫算ナルモノ
ハ組ムノデアリマス、ソレカラ後ノ見込ト
云フモノハ現在ヲ押ヘテ置イテ、是カラ二
割儈スデアラウ、一割五分贈スデアラウト
云フ曾加ヲ見込ンダモノデハアリマセヌ、此
曾加ヲ見込マナイ爲ニ、矢張自然增收ナル
モノガ出來ル、自然增收ナルモノハ段々出
來ルト云フコトヲ見込ンデ、サウシテ此新
規要求ニ應ズルヤウナコトヲ致シテ行ケ
バ結局財政ハ膨脹ノ一點張ニナルカラ、
是ハドウシテモ押ヘルヤウナコトヲ一面ニ
考ヘナケレバナラヌト云フコトヽ現在發
行ノ公債額ト云フモノガ、非常ニ增加シテ
居ルカラ、玆ニ一ツノ方法ヲ案出致シマシ
タモノガ、後ニ議題トナルベキ法案デアリ
さく、斯ウ云フモノヽ生ズルト云フコト
ハ、卽チ將來ノ收入ノ增加ヲ見込ンデ居ラ
ヌモノデアリマスカラ起ルノデアリマス、
ソレデ明年ニ私ガ存在シテ居ルカドウ
カ、ソンナコトハ分リマセヌガ、今日確乎
不拔ト言ッテ置イテ、又違ッタカラドウダト
云〓テ御攻メヲ蒙ッテモ、日本ノ現狀其モノ
ガ活動シテ居ルノデアリマスカラ、之ヲ
以テ少シモ動キガナイト云フコトハ、人
間業デ出來ルモノデハナイト云フコトヲ
御承知ヲ願ヒタイノデアリマス(拍手)
ソレカラ砂糖ニ付テ種々ノ御意見ガアッタ
ノデアリマス、是ハ實際ノ數字ニ涉ッテ說
明シナケレバ徹底シナイト思ヒマスカラ、
其數字ノ部分ハ政府委員ニ讓リマシス、方
針ニ關スルコトハ私ヨリ申上ゲマス、成程
大體ニ於キマシテ此黑糖等ヲ用ヒル所ノモ
ノハ減ッテ、サウシテ精製糖ノ方ノ需要ニ
向イテ行クト云フコトハ、是ハ社會自然ノ
趨勢デゴザイマセウ、此砂糖ニ於キマシテ
モ、其趨勢ハナイトハ申シマセヌ、併ナガ
ラ現在ニ於テモ數百万圓ノ第一種糖ノ需要
ガゴザイマスルコトハ掩フベカラザルコト
デアリマス、而シテ此需要者タル者ハ多ク
中產階級以下ノ方ニ在ルコトモ否ムベカラ
ザル事實デアラウト思ヒマス、然ラバ之ニ
對シテ成タケ價格ヲ低ウシテ、需要ニ應ズ
ルヤウニ致スト云フコトハ、社會政策上十
分ニ考慮スベキコトヽ思フノデアリマス、
ソレ等ノ數字ニ付キマシテハ、政府委員ヨ
リ申上ゲマスガ、此黑糖ニ對シテ寧口沖
繩等ニ對シテハ別ニ保護ヲ加ヘルノ法ヲ講
ジタラドウカ、是ハ現在ノ沖繩ノ狀況ニ於
キマシテハ相當ノ考慮ヲ要スル事柄ナリト
ハ見テ居リマス、併ナガラ砂糖ニ對シテ特
ニ免稅ヲスルトカ云フガ如キコトハ是ハ
却テ保護ニナルマイト思ヒマスガ、沖繩地
方ニ於ケル狀況ニ應ジテ、相當ノ保護ノ方
法ヲ考ヘナケレバナラヌト云フコトニ對ス
ル御意見ハ、相當ニ考慮スル價アリト存ジ
テ居リマス、ソレカラ第三ニハ頗ル不徹底
デアル、寧口財政ノ狀況ニ依ッテ他日徹底
的ノモノヲ拵ヘタラドウカ、ソレヨリモ
〓育費國庫支辨ノ金額ヲ曾シタ方ガ宜シ
イ、斯ウ云フ御意見ト承知致シマシタ、元
來稅制ノ整理ハ屢、繰返サレタル如ク、大體
ノ上ニ於テ收入ヲ減サナイ範圍ニ於テ、現
在ノ收入ノ範圍ニ於テ負擔ノ均衡ヲ圖ルト
云フコトガ、稅制整理ノ目的デアッタコト
ハ今申スマデモナイコトデゴザイマセウ、
ソレカラ之ヲ以テ私ノ功ヲ街フ爲ニ云々ト
言ハレマシタガ、是ハ甚ダ迷惑デアル、
私ハ此ノ內閣ノ新參者デアリマス、此稅制
整理ヲ献立テラレタノハ、ズット前ノ事デ
アリマシテ、加藤內閣成立當時ノ事デアリ
さく、而シテ是ハ憲政會ノ方デハ私共モ黨
員トシテ主張シタ事柄ニ相違ゴザイマセ
ヌ、何モ第二次稅制整理ハ私ハ皆樣ト約束
シタ覺エハアリマセヌ、是ハ昨年ノ議會ニ
於テ一般的ノ第一次稅制整理ノ中ニ入レテ
以テ調査ガナッタノデスリマスカラ、其調
査未了ノモノハ、次ノ議會ニ提案ヲスル、
此出來夕部分ニ協賛シテ貰ヒタイ、是ガ五
十一議會デアッタ、是ハ五十一議會ノ豫約
デアル、サウシテ方針ハ五十一議會ト同ジ
コトデアル、大體ノ方針ニ於テハヒドク傷
ケヌヤウニスル、是ガ目的デアリマス、併
ナガラ今日ノ社會ノ實情ニ顧ミマシテ、社
會政策的相當ノ效果ヲ擧ゲルヤウニセンナ
ラヌト云フコトノ必要ノ迫ッテ居ルコトハ、
是ハ論ノ無イコトデアリマス、ソレ故ニ爲
シ得ル限リニ於テ其方ニ力ヲ盡シテ調査ヲ
致シタノデアリマス、現ニ此案其モノガ吾
吾國民全體ニ於テ、多少當局者ニ對シテ異
議ヲ挾ム者ガ絕無トハ私ハ言ハヌガ、大體
ニ於テ頗ル歡迎致シテ居ルコトハ論ヨリ證
據ダト私ハ思ヒマス(拍手)成程〓育費國庫
負擔金ヲ增加スルト云フコトハ、是モ昨年
ヨリシテ八千万圓ニ致サウト云フコトニ對
シテハ、政友本黨諸君ト同意見デアリマス、
今モ尙ホ其通リデアリマス、其通リデアリ
マスルカラ財政ガ許スナラバト云フ考ヲ以
チマシテ、卽チ苦心ノ結果五百萬圓ノ增加
ヲ提案ヲ致シタ次第デアリマス、又他日ニ
於テ繰合セノ付ク時ガ到來致シマスレバ、
此目的ヲ達スルヤウニ致サウト云フコトニ
付テハ何等變シタ考ヲ持ッテ居ル者デハア
リマセヌ、併ナガラ稅制整理ヲ一部ヤッテ、
而シテ登錄稅ヤ、砂糖消費稅ヤ其他ノ稅ニ
對シテハ、何等ノ改正ヲ加ヘナイト云フガ
如キ、片手落ノコトヲ爲スコトハ頗ル宜シ
クナイト思フ、況ヤ印紙稅、登錄稅ノ如キ
モノハ國民全體的トモ云ヘマセヌガ、實
際仕事ヲ致シテ居ル者ハ非常ニ是ハ困ッテ
居ル事柄デアリマス、現ニ不動產ノ如キモ
ノヲ所有シテ、之ヲ擔保ニ供シテ金ヲ借ル
トキモ、或ハ之ヲ他ニ讓ルトキ等ニ於テ非
常ニ稅ノ高キモノヲ負擔スルコトハ、實際
其所有者ハ非常ニ苦痛デアリマス、其他僅
カノ事ニ稅ヲ課セラレ、非常ノ手數ヲ加ヘ
テ。居ルガ如キ事實、或ハ累進稅ノ勘定ノ仕
方ニ依シテ、當局者ト意見ヲ異ニシテ屢〓紛
擾ヲ來スト云フガ如キコトハ、是ハ當然避
ケテ宜シイコトデアラウト存ジマス、故ニ
之ヲ甚ダ不徹底ト仰セラレルガ、凡ン徹底
不徹底ト云フガ如キコトハ、是ハ人ノ見樣
ニ依ッテ違フコトデアリマセウガ、豫〓此
稅制整理ナドヽ云フモノハ懸案トナッテ來
タモノデアリマスガ、何時モ實行ノ出來ナ
カッタト云フコトハ、此徹底不徹底ノ議論
ノ爲ニ出來ナイコトデアリマセウ、卽チ第
一次稅制整理ヲヤッタコトヽ、第二次稅制
整理ヲヤラウト云フコトヽハ目的ニ於テ、
方法ニ於テ大體異ノタ所ハナイノデアリマ
シテ、第一次稅制整理ニ御協賛下サッタ以
上ハ、第二次ニ於テ之ヲ不徹底ヲ名トシテ
御拒ミニナル道理ハ私ハ無イト思ヒマス
(拍手)私ハ〓育費國庫負擔額ヲ增加スルコ
トニ於テ異議ハゴザイマセヌガ、之ヲ犧牲
ニ供シテソコヘ持ッテ行カウト云フコトニ
對シテバ、是ハ斷ジテ御同意ハ出來マセヌ
〔政府委員黑田英雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=45
-
046・黒田英雄
○政府委員(黑田英雄君) 砂糖ニ關シマス
ル御質問ニ對シマシテ御答ヲ申上ゲタイト
思ヒマス、併シ此事ハ大分御質問モ詳細ニ
涉ッテ居リマスルシ、詳シク申上ゲマスレバ
非常ニ時間ヲ要スルコトニ相成ルト考ヘル
ノデアリマス、ソレ故ニ此處デハ極メテ簡
單ニ大要ヲ申上ゲテ置キマシテ、委員會ニ
於テ詳細御答ヲ申上ゲタイト思ヒマス、第
一ニ一種糖ノ消費ガ漸次減少シテ居ル、殊
ニ一種ノ甲ニ付テハ例ヲ御擧ゲニナリマシ
タガ、減少シテ居ルト云フ御話デアリマ
ス、是ハ時ノ作柄ノ豐凶ニモ依リマシテ違
ヒマスルガ、大體カラ申シマスレバ、先程
大藏大臣ノ申述べマシタ通リ、自然消費ガ
上級品ニ移リツヽアルト云フ傾向ハ認メラ
ルヽノデアリマス、併ナガラ此一種糖ハ獨
リ之ヲ輕減致シマスコトガ、是ノ主產地デ
アリマス所ノ沖繩、大島ヲ救濟スルト云フ
目的デハナイノデアリマシテ、其消費ガ東
北或ハ北海道、或ハ九州地方ニ主トシテ消
費サレテ居ルノデアリマシテ、其消費ノ狀
況カラ見マシテ、庶民階級ニ屬スルモノト
考ヘラレルノデアリマスカラ、其負擔ヲ輕
減スルト云フ趣旨デ減稅致シテ居ルノデア
リマス、ソレカラ二種以上ノ砂糖ニ付キマ
シテ、或ハ二十二號ト二十五號トガ稅率ノ
開キガ少イト云フ意味ノ御質間デアッタカ
ト思ヒマスルガ、是ハ二十二號未滿ト二十
五號ノ御話デアッタラウト思ヒマス、二十
二號未滿、現行法ニ依リマス四種、是ト現
行法ノ五種トノ間ニ於キマシテハ、消費
稅ニ於キマシテ相等ノ間隔ヲ設ケタ積リデ
居リマス、卽チ一圓ノ開キヲ置イテ居ルノ
デアリマス、是ハ若シ此開キヲ少ク致シマ
スルト云フト、五種ノ砂糖ノ消費ガ自然ニ
四種ノ方ニ移ッテ來ル、ソレガ爲ニ五種卽
チ先程御述べニナリマシタヤウニ精製糖
業粗糖業ノ双方ノ立場ヲ能ク考慮シテ稅
率ヲ盛ラナケレバナラヌノデアリマスル
ガ、若シ左樣ナコトガアリマスト云フト、
精製糖業ノ方ガ非常ニンレガ爲ニ脅威ヲ蒙
ルト云フコトモ起リ得ル、ソレ故ニ是等ノ
砂糖ノ糖度、或ハ市價等カラ考へマシテ、
此程度ガ適當デアルト考ヘマシテ稅率ヲ盛
リマシタ次第デアリマス、ソレカラ二種、
三種、四種ト云フモノガ關稅ニ於テ一緒ニ
ナリ、二種ノ砂糖ヲ壓迫ヲシハシナイカト
云フ風ナ御疑問ノヤウデアリマシタ、是、
先程モ大藏大臣ガ述べマシタ通リ、現行法
ノ制定サレマシタ當時ニ於キマシテハ、自
然ニ造ラレマス所ノ砂糖ハ多ク十五號未滿
ヨリ二種ノ砂糖デアッタノデアリマス、然ル
ニ漸次此精製糖業ガ發達シテ參リマシテ、
今日自然ニ出來マスモノハ我國ニ於キマ
シテモ三種若クハ四種ニ相成シテ居ルノデ
アリマス、ソレ故ニ今日二種糖ガ斯ノ如ク
澤山ニ輸入サレ、或ハ消費サレテ居リマス
ルノハ、稅率ガ輕クナッテ居リマス爲ニ、折
角出來タ所ノ上級品ヲ殊更ニ色著ケヲ致シ
マシテ、二種ノ砂糖ニスルト云フ風ナコト
デアリマスカラ、今囘關稅ニ於キマシテ之ヲ
一ツニ致シマシテ、三圓九十五錢ト云フ稅
率ヲ設ケマシタノハ、是等ノ不自然ヲ避ケ
マシテ、自然原料トシテ輸入サレルモノ
ハ主トシテ今日輸入シテ居リマスル瓜哇
ニ於テ生產サレマスモノデ、所謂中双卽チ
二十一號二十二號程度ノモノガ輸入サレル
ヤウニナッテ來ルノデアリマス、二種ノ砂糖
ノ輸入ト云フモノハ原料糖ト致シマシテハ
殆ド無イコトニナラウカト考ヘテ居ルノデ
アリマス、隨テ臺灣ニ於キマシテモ矢張中
双ノ精製ガ出來ルコトニナリマシテ、二種
ノ砂糖ヲ壓迫スルニ非ズシテ、自然ニ是等
ノ砂糖ガ原料糖トシテ用ヒラレルコトニナ
リ、自然ノ狀勢ニ合フヤウニナルノデアリ
マス、消費稅ニ於キマシテ二種三種ヲ合
セマシテ四種ヲ區別致シテ居リマスルノ
ハ、是ハ直接消費トシテ用ヒラレマスル所
ノモノニ、未ダ三種ノ砂糖ノ自然ニ出來テ
居ルモノモアリマスルカラ、是等ノモノヽ
壓迫ヲ避ケル爲ニ、二種三種ヲ合セマシテ
今日ノ二種ノ低イ稅五圓ト云フモノヲ-
三種ハ卽チ七圓デアリマスルガ、此五圓-
七圓ノモノニ代ヘマシテ、五圓ノ消費稅ヲ
課スルト云フコトニ致シマシテ、消費者ノ
負擔ノ輕減ヲ圖リ、品質ノ良キ砂糖ヲ消費
シ得ルト云フコトニ致シタノデアリマス、
四種ヲ區別致シマシタノハ、先程申シマシ
タヤウニ、一方ニハ五種ノ精製糖ノ關係モ
アリマスルシ、又一方ニハ消費稅ニ於キマ
シテ、二種、三種、四種ヲ一率ニ致シマス
ルト云フト、其稅率ヲ低クスレバ、精製糖
ノ非常ナ脅威ニナリマスルシ、高ク致シマ
スレバ消費者ノ負擔ヲ過重スルト云フコト
ニナリマスノデ、一種糖ト五種糖トノ間ニ
適當ナル差ヲ設ケマシテ、消費ノ現狀、取
引ノ現狀ヲ破壞シナイヤウニ注意ヲ致シマ
シテ盛リマシタ次第デアリマス、ソレ等ノ
結果ニ付キマシテノ詳細ハ、何レ委員會ニ
於キマシテ申上ゲタイト考ヘマスルガ、大
要ヲ申上ゲマスレバ左様ナ次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=46
-
047・前田房之助
○前田房之助君 極メテ簡單デアリマスル
カラ、此席ヨリ御許ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=47
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048・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 許シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=48
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049・前田房之助
○前田房之助君 只今片岡大藏大臣ハ、自
然增收ノ事ニ付キマシテ縷々御述べナッタ
ノデアリマスルガ、私ノ問ハントスル所ノ
眞意ヲ十分御諒解ニナッテ居ラナイヤウニ
思ヘルノデアリマス、就キマシテハ、此問
題ハ他日ノ機會ニ讓ルト致シマシテ、唯
此第二次稅制整理ハ、吾々ガ不必要デアル
カラ何トカ考慮セヨト一云フヤウナ質問ヲ致
シタカノ如クニ御答辯ニナッタノデアリマ
スルガ、私共ハ決シテサウ云フ意味デ質問
申上ゲタノデナイノデアリマス、第二次稅
制整理ノ目的ハ、固ヨリ吾々モ必要トハ信
ジテ居リマスルケレドモ、財政ノ都合上如
何ニモ不徹底ナル點ガアルノデアリマスカ
ラ、能ク御〓究ヲ爲サッテ、サウシテ財政ノ
都合ガ付イタ時ニ徹底的ナル整理ヲ斷行サ
レテハ如何デアルカ、稅制ナルモノハ假令
少々不都合ナモノデモ、慣習ニ慣レマスト
云フト所謂良稅ニ化スルト云フコトガ是ガ
稅制ノ原則デアリマス、サウ度々變更ヲス
ベキ性質ノモノデナイガ故ニ、斯カル不徹
底ナル稅制整理ヲ今御出シニナルヨリモ、
暫クシテ財政ノ都合ガ許ス時ニ至ッテ、今少
シク徹底的ナル案ヲ御出シニナル方ガ宜シ
クハナイカト云フ、所謂希望的質問ヲ申上
ゲタノデアリマスルガ、併シ此問題ニ付キ
マシテモ、他日ノ機會ニ十分論議ヲ致シタ
イト思ヒマスカラ、私ハ此程度デ質問ヲ打
切リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=49
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050・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 此際古川〓君ノ入場
ヲ許シマス-次ノ質疑通告者吉良元夫君
〔吉良元夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=50
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051・吉良元夫
○吉良元夫君 先刻ヨリ先輩岩切君及前田
君ヨリ重要ナル御質問ガアッタノデアリマ
シテ、私ノ問ハント欲スル大體ハ殆ド盡シ
テ居ルノデアリマスルガ、其點ヲ除外致シ
マシテ、成ベク簡單ニ御尋ネ致シタイノデ
アリマス、只今議題ニナッテ居リマスル所
ノ所謂第二次稅制整理ニ於テノ此登錄稅法
中改正法律案、印紙稅法中改正法律案、砂
糖消費稅法中改正法律案、關稅定率法中改
正法律案、是レ所謂第二次整理ト現內閣ガ
仰セラレマスル所ノ、卽チ此一月十八日ニ
於テ首相ガ施政方針ノ演說ノ中ニモ述ベラ
レテ居ル所ノ、此最モ當議會ニ於ケル重要
法案、所謂重要改正案デアルト私ハ思ウテ
居ル者デアリマス、然ルニ人各〓見ル所ガ
違ヒマスルノデアリマスルガ、現內閣諸公ハ
昨五十一議會ニ於テ、所謂第一次稅制整理
ヲ御斷行ニナッタノデアル、而シテ此第一次
ノ稅制整理ト云フモノハ、多年國民ガ要望
致シテ居ッタ、所謂國民ノ要望ニ副ウタル極
メテ適切緊要ニシテ、國民ノ實際生活ニ至
大ノ效果ヲ擧ゲタル所ノ稅制整理デアルト
誇シテ居ラレルノデアリマス、然ルニ不幸ニ
シテ吾々ハ此稅制整理ヲ左樣ニ見ナイノデ
アル、是ハ人各〓意見ガ異ナル、卽チ人心ノ
同ジカラザルコト尙ホ其面ノ如シデアリマ
シテ、見方ガ違ヘバ大ニ其感想モ違フ、又
實際問題ニ觸レテノ結果ニ付テ見マスルト
云フト、私ハ此稅制整理ノ總テヲ以テ失敗
ナリト卽斷スルモノデハアリマセヌケレドモ
ガ、大體ニ於テ昨年非常ニ此問題ニ付テ討
論考究セラレタノデアリマスケレドモガ、
其時ニ論難攻擊セラレテ居ル中ニ、我ガ政
友會ノ先輩ニ於テ提唱セラレタ議論ガ洵ニ
適切デアッテ、而モ今日ニ於テ其議論ト云
フモノガ昭々ト有力デアッタト云フコトハ、
事實明瞭ナルコトニナッテ居ルノデアル(拍
手)此第一次ノ效果カラ考ヘマシテモ、勿
論國民負擔ノ均衡ヲ得セシメ、若クハ實際
生活ニ卽シテ必要ナル減稅ヲ爲スト云フコ
トニ於テ、誰モ異議アルベキ筈ハナイ、醬
油稅トカ、賣藥稅トカ、通行稅トカ、織物
稅ヲ廢止シタト云フ點ニ於テ誰モ異議ヲ申
述べヌガ、之ニ代ッテ酒造稅、麥酒稅、〓凉
飮料稅等ノ曾徵ヲ致シマシタ結果、實際ニ
於ケル農民勞働者社會ノ下ノ方ニ住ンデ居
リマシテ、非常ナル勞働ヲ以テ、國家ノ事
業ニ貢獻致シテ居リマス人方ノ今日ノ感想
ハ如何デアリマスカ、勿論酒ナドハ人生生
活必需品ニアラズト云フ議論ガ、今日ニ於
キマシテ多ク唱道サレテ居ルノデアリマス
ルケレドモガ、ソレハ正シキ見方カハ存ジ
マセヌ、併ナガラ日本帝國ニ於ケル〓酒ナ
ルモノハ、或ル意味ニ於テハ生活必需品ナ
リトモ言ヒ得ルノデアリマス(「ヒヤ〓〓」)
之ニ向ッテ極メテ不景氣ナ時代ニモ拘ラズ、
二割以上ノ增稅ヲナサレタノデアル、サウ
シテ此四五ノ廢稅ヲナサレタノデアル、其
結果如何ニナッテ居ルカト云フコトヲ、實
際社會生活ニ付テ考ヘテ見マシテモ、能ク
分ッテ居ルノデアリマス、醬油稅ヲ廢稅サレ
タ後ニ國民ガドレダケ醤油ヲ安ク、而モ結
構ニ愉快ニ食ベテ居ルノデアリマスカ、此
醬油稅廢止ノ結果ハ醬油營業者ノ陰暗ナル
利益トナッテ大部分ハ居ルノデアリマス、サ
ウ云フヤウナ次第デアリマシテ、實際社會
生活ノ上ニ於テ現レタル所ノ有樣カラ、之ヲ
〓究ヲ致シテ見マスルト云フト、洵ニ寧ロ
斯ノ如キ稅制整理ト云フモノハ致サナイ方
ガ、却テ國民ノ實際生活ニ喜ブ現狀デアッ
タト私ハ信ズルノデアル(拍手)斯樣ナ實歷
ガアルニモ拘ラズ、此度ハ又第二次ノ稅制
整理ノ意味ヲ以テ、斯ノ如ク廣汎ニ亙ル所
ノ登錄稅及印紙稅等ノ改正案ヲ御編製ニナ
リマシテ、玆ニ御提案ニナッタノデアリマ
スルガ、此一ツ々々ノ詳細ノ項目ニ亙リマ
シテハ、私ハ法律ニ暗イ者デアリマスカ
ラ、立法ト云フ事ニ付テ十分ノ〓究ヲヤッ
テ居リマセヌケレドモガ、是ハ先刻先輩前
田君ガ御話ニナリマシタ通リニ、斯ノ如キ
非常ニ國民ノ實際事業ニ關係ノアリマスル
所ノ印紙稅法、或ハ登錄稅法ノ如キモノヲ、
今急速ニ改正ヲ行ヒマセヌケレバ、ドレダ
ケ今實際社會ニ弊害ガ存在シテ居ルノデア
リマセウカ、勿論負擔輕減ノ意味カヲ申シ
マスレバ一日モ速ニ成ベク負擔輕減ノ實
ヲ舉ゲルト云フコトガ、國民ノ要望シテ居
ルコトニ相違ナイ、先刻カラ大藏大臣ノ御
演說ニ依ッテ見マスルト云フト、今年度ニ
於テハ四百万圓ノ減稅ト相成ル、明年度ヨ
リハ少クトモ五百三十万圓餘ノ減稅ト相成
ルト云フ御演說デアリマスルケレドモガ、
是ハ恰モ昨年ノ稅制整理ニ於テ非常ナ減稅
ニナルト仰セラレタノデアリマシタケレド
モガ、實際ニ於キマシテハ減稅ドコロデハ
ナイ、非常ナル大增稅ノ結果ニ陷ッテ居ル
事實ガアリマス、丁度ソレヲ再ビ重ネルコ
トニナラウト私ハ思フノデアリマス、併ナガ
ラ私ハ左樣ニ思ウテモ、大藏大臣ハサウデ
ナイト仰シヤルノデアリマスルカラ、是ハ水
掛論デアリマスカラ餘リ申上ゲマセヌケレ
ドモガ、旣ニ今日ニ於キマシテハ、印紙稅
法ニ於テモ、登錄稅法ニ於テモ、其實際法
案ノ慣用ニ極メテ國民ガ今慣レテ居リマス
ルノデアリマスガ、之ヲ玆ニ御提案ニナッ
タヤウニ直ニヤリマシテハ、私ノ信ズル所
ニ依シテハ決シテ減稅ニハナラヌノミナラ
ズ、此法律ノ改正ノ結果、國民ガ多大ニ此
改正ノ實行ト云フコトニ付テ苦シム結果ト
ナルト私ハ信ズルノデアル、凡ソ時勢ノ進
步ニ應ジテ法律ノ改廢ヲ致スト云フコト
ガ、時代ノ推移ニ鑑ミテ適切ナコトヽ私ハ
信ズルノデアル、併ナガラ斯ノ如キ重大
ナル法案ヲ、格別國民ガ苦ミモシナイノニ
(「ノウ〓〓」)咄嗟ノ間ニ提案シテ、サウシ
テ之ヲ御議了ニ相成リマシテハ、丁度如何
デアリマスカ、普選法ハ國民ノ要望デアル
ト云ウテ喧マシク此前々ノ議會ニ於テオヤ
リニナリマシタガ、今日普選ヲ實行スルニ
當ノテハ疑義百出、遂ニ此議會ニ於テ、ドウ
シテモ之ニ種々ナル改正ヲ加ヘナケレバ實
際ニ行フベカラザル法律案デアルト云ウヤ
ウナル次第ニナッテ。居ルデハアリマセヌ
カ、凡ソ國家國民ニ最モ痛切ナル關係ノア
リマスル重大ナル法案ト云フモノハ、左樣
ニ輕々ニ改廢スベキ筋ノモノデナイト私ハ
信ズルノデアル、是ニ於テ當局ニ御尋ヲ致
シマスルノハ、此改正ヲ此議會ニ於テ急ニ
行ハンケレバ、ドレダケ國民ノ生活ノ上ニ
弊害ガアルト信ジテ居ラルヽノデアルカ、
國民ハ左様ニ今日此法案ヲ一日モ速ニ、此
議會ニ於テ是非改廢シテ、斯ノ如キ改正案
ヲ出シテ貰ハンケレバナラスト要望致シテ
ハ居ラヌト私ハ認メテ居ル者デアリマス拍
手)現ニ昨年ノ稅制整理ノ問題ニ於キマシ
テモ、私共地方農村ニ居ル者デアリマシテ、
自作農免稅ト云フコトニ付テハ、政友本黨
ナドデモ非常ニ御苦心デアリマシタガ、近
接町村ヲ併合シテ自作スル者ニ限ッテ、二百
圓未滿ノ地價ヲ持ノテ居ル人方ノ稅ヲ減ジ
タノデアル、國民中小農ノ人ガ我ガ帝國ニ
ハ甚ダ多イノデアルカラシテ、此人ハ非常
ニ喜ンデ居ルデアラウト云フコトヲ私共自
ラモ信ジテ居ッタノデアル、然ルニ此法律ヲ
確定シテ、實行ノ一段ト相成ッテ見マシタ
所ガ、實際國民ハ左樣ニ此議決ヲ喜ンデ居
ナイ(「ノウ〓〓」)併シ是ハ無理モナイコト
デアル、姿ヲ變ヘテ地方稅トシテ、特別稅
トシテ殆ド同額ノモノヲ取ラレテ居ルノデ
アル、法ハ面デアル、一方ノ頰ヲハット打ッ
テ、一方ノ頰ハ撫デタト云フヤウナ結果ニ
ナッテ居ルノデアル、何等國民トシテハ有難
味ヲ感ジナイ、唯、地方ニ於テハ非常ニ此
酒稅ト云フモノヽ上ッタコトニハ苦ンデ居
ルノデアル、然ラバ酒ハ飮マナケレバ宜イ
ヂヤナイカ、成程酒ハ飮マヌ方ガ宜イノデ
アル、酒ヲ用ヒヌ方ガ宜イノデアリマス
ガ、地方農村ニ於ケル所ノ勞働ニ從事シテ
居ル者ハ、辛ウジテ其生活狀態ノ一端ヲ酒
デ痛苦ヲ慰メテ、明日ノ勞働ニイソシンデ
居ルノデアル、ソレニ極端ナル課稅ヲセラ
レタノデアル、爲ニ此酒造業ニ直面致シテ
居ル所ノ吾々同業者ハ、少クトモ一稅務署
管下ニ於テ、大藏大臣ガ御調査ニナッタナ
ラバ能ク分クテ居リマセウガ、少キハ二三名、
多キハ五六名ヅツ父祖ノ事業ヲ擲チ、經營
スルコトガ出來ナイ悲況ニ陷ッテ居ル人ガ
アルノデアル、併シ國民中酒造家ノ一部分
ガ苦ンデモ、國家ニ非常ナル重大ナル公益
ガ上レバ、ソレハ犧牲トシテ甘ンジナケレ
バナラヌカモ知レマセヌガ、決シテ國民ト
シテハ之ヲ喜ンデ居ラヌノデアル、洵ニ此
度突如トシテ又再ビ實際行ウテ見タナラ
バ、果シテ當局ノ仰セラルヽガ如キ好結果
ヲ得ルヤ否ヤハ甚ダ疑ハシイ、寧口當局ノ
言明ヲ裏切ルガ如キ、又曾稅ノ結果ニ陷ル
モノデアラウト私ハ信ジテ居ルノデアル
ガ、兎ニモ角ニモ斯ノ如キ法ヲ今是非提案
ヲシ、之ヲ議決シナケレバナラヌト云フ理
由如何ヲ、詳細ニ御說明アランコトヲ切望
スルノデアリマス(拍手)
〔國務大臣片岡直溫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=51
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052・片岡直温
○國務大臣(片岡直溫君) 只今ノ吉良君ノ
御質問ニ御答ヲ致シマス、大分長ク御質疑
デゴザイマシタガ、ドウモ御論旨ガ一寸私
ニハ了解シ兼タ點モアルノデアリマス、
寸聽キ樣ニ依ルト、醬油稅ヲ廢シタガ國民
ハ何トモ思ウテ居ラヌ喜ンデ居ラヌ、其
他ノ御言葉等ヲ拜聽シマシテモ、何ダカ增
稅ハ一向御嫌ヒデナイヤウナ風ニモ聞エ
ル、ソコデドウモ御論旨ガ何處ニ在ルカト
云フコトガ分リ兼ル點モゴザイマスガ、兎
ニ角私ノ受取ッタ所ニ依テ御答ヲシテ見マ
セウ(「眞面目ニヤルベシ」ト呼フ者アリ)極
メテ眞面目ダ、是レ以上ニ眞面目ノ仕方ハ
ナイ(「同感」「眞面目カ」ト呼フ者アリ)是ハ
驚イタコトヲ仰セラレル-此第二次稅制
整理案ヲ突如トシテ出シタトカ、咄嗟ノ間
ニ拵ヘタトカ、サウシテ是非此案ヲ此際ニ
仕遂ゲナケレバナラヌト云フ理由ハ何處ニ
在ルカ、斯ウ云フ仰セデアリマス、稅制ノ
整理ハ年來ノ懸案デアルコトハ吉良君モ御
承知デアリマセウ、何レノ内閣ニ於テモ稅
制整理ノコトハ屢〓唱道セラレタモノデア
リマス、而シテ此課稅ノ標準ナルモノニ於
テハ、ソレ〓〓意見ノアルコトデアリマス
ガ爲ニ、中々實行ヲ見ルコトガ出來得ナカッ
タ、卽チ加藤內閣成立以來、大震大火等ノ
出來事ガアッタ爲ニ減稅ト云フコトハドウ
モ出來得ナイ、サリトテ現在ノ收入ノ範圍
内デ均衡ノ保テルヤウニシナケレバナラ
ヌ、面シテ社會政策的ノ實行ヲシナケレバ
ナラヌ、此趣旨ノ下ニ案ヲ立テラレテ、彼
ノ木綿ノ織物ノ消費稅ヲ廢スルトカ、通行
稅ヲ廢スルトカ、如何ナル下級者ト雖モ無
クテハ適ハヌ醬油ノ如キモノニ稅ヲ課スル
コトハ宜クナイカラ之ヲ廢スル、或ハ賣藥
ノ如キモノハ地方ニ於テ醫者ヲ迎ヘルコト
モ出來ナイヤウナ場所、及其境遇ニ在ル者
ガ用ユル、之ニ稅ヲ課シテ高カラシムルコ
トハ宜クナイト云フ所ヨリシテ廢稅ヲヤッ
タノデアリマス、廢稅ヲヤッタヾケ其處ニ
收入ガ足ラヌコトニナッタカラ、足ラヌ所ヲ
埋合ス爲ニ酒ニ稅ヲ上ゲ、麥酒ニ稅ヲ上ゲ
〓凉飮料水ニ對シテ稅ヲ課ケ、ソレカラ又
資本家ニ對シテモ、資本利子稅ト云フモノ
ヲ拂ハセル、斯ウシテ之ヲ埋合セヲスル、
斯ウ云フコトニ致シタコトハ今改メテ申ス
マデモナイ、其趣旨ノ中ニ今囘提出シタ所
ノ稅種モアルノデアリマスガ、是ハ十分ノ
調査ヲ遂ゲナクテハナラヌノデアッテ、其調
査ノ不十分ナルモノヲ提案スル譯ニ行カナ
イカラ後廻シニシタ、殊ニ砂糖ノ如キハ
方ニ消費者ノコトヲ考ヘナクチヤナラヌ、
一方ニ於テ製造業者ヲ保護スル關係上ニ於
テ、關稅ノコトヲ考慮シナケレバナラヌ、
相互考慮ヲ要スル事柄デアッテ、昨年ノ議
會ニ間ニ合ハナカッタカラ、其後ニ於テ調査ヲ
繼續シテ、玆ニ成案ヲ見タト云フ譯デアル、
決シテ突如デモナケレバ、咄嗟デモナイ(拍
手)十三年以來掛ヲテ此ニ至ッタモノデアル、
(拍手)大正十三年-是ガ突如ダノ、咄
嗟ダノト云フコトデアッタナラバ世ノ中
ノ咄嗟ナルモノハドンナモノデアルカ(拍
手)サウシテ此稅ノ改正ニ依クテ、現ニ昨年
協賛ヲ經テ實行サレタ自作農ナドト云フモ
ノハ何ニモ喜ンヂャ居ナイ、斯ウ云フ例
證ニ擧ゲラレタノデアリマスガ、其擧ゲラ
レタ理由トシテハ、成程租稅ハ課カラヌヤウ
ニナッタガ、地方ニ於テ其稅ヲ課ケルカラ
何ニモナラヌト仰セラレル、地方ノ方デ稅
ヲ課ケルコトハ、地方ノ制度其モノガ惡イ
カモ知レマセヌガ、若シモ此場合ニ於テ租
稅ガ課カリ、地方稅モ課クタラドウデス(ヒ
ヤヒヤ」拍手)卽チ租稅ヲ免ゼラレタダケ
ハ、喜バザルヲ得ナイヂャアリマセヌカ
(「ヒヤ〓〓」)サウシテ酒ノ値上ヲセラレタ
コトハ非常ニ困ヲテ居ル、此酒ハ必需品トモ
言ヘル、斯ウ云フ御話デアリマスガ、是、
酒ノ嫌ヒナ方ノ人カラ云ヘバ又見解ガ違ヒ
マセウ、酒ノ好キナ方カラ云ヘバ必需品ト
モ云ヘマセウ(「ヒヤ〓〓」笑聲)併ナガラ酒
ガナケレバ死ヌルト云フモノデハナイ、生
キテ居レヌト云フモノヂャナイ、是ダケハ
言ヒ得ル、必需品ト云フ程度ニ近キ考ヲ持
ツ人モアリマセウ、ソレハ私ハ否ミハシナイ
(「若槻總理ニ聞クベシ」「文部大臣ニ聞クベ
シ」ト呼フ者アリ)併ナガラ酒ノ稅ガ上ッテ
非常ニ困ッテ居ル、上ラヌ方ガ宜イニ極ッテ
居リマス、御論旨ニ私ハ反對セヌガ、併ナ
ガラ酒ノ稅ガ上ヶテ非常ニ困シテ居ルト云フ
コトデアレバ、アノ收入見込ガ平年ノ所ヘ
早ク戾ッテ來ルナドト云フコトノアルベキ
筈ノモノデハナイト思フノデアリマス、當
局者ハドウシテモ稅ヲ上ゲタラバ、玆ニ酒
ヲ造ルコトモ減ルダラウ、酒ヲ消費スルコ
トモ滅ルデアラウト考ヘタガ、ソレガ平年
ニズーット返シテ來テ、卽チ增收ヲ見テ居ル
デハナイカ、造石高モ餘リ減シテ居ナイデ
ハナイカ、サウシテ見ルト云フト、酒ガ上〃
テ大變困ル、成程喜ビハシナイガ、困ルト
云フ程度ガ今此處デ仰セラレタ程困ヲテ居
ルカドウカ、是ハ議論ノ立方ニ依ッテ色と
アリマセウガ、要スルニ先刻モ提案ノ時ニ
說明モ致シ、ソレガラ後カラ質問ノゴザイ
マシタ時ニモ御答致シマシタ通リ、是ハ昨
年來カラノ公約ノ案デアリマス、此本日提
案ヲ致シタ所ノモノハ次ノ議會ニ提出スル
ト云フ譯デアル、サウシテ之ヲ爲サナケレ
バナラヌト云フガ如キ理由ガ何處ニ在ルト
云フノデアリマスガ、是ハ提案ノ時ニ於テ說
明致シマシタ如キ理由ガアル、ソレナラソ
レヲ正確ニ言ヘト仰セラレルガ、ドウモマ
サカ目方ニ掛ケテ量ッテ見ルト云フヤウナ
譯ニハ參リマセヌ(笑聲起リ拍手、「脫線」ト
呼フ者アリ)國民全體ガ此案ヲ歡迎シテ、
ドウカ是ガ通過スルヤウニ期待致シテ居ル
コトハ事實デアリマセウ、是ガ卽チ國民多
數ノ期待スル所ニ副ウテ居ル、所謂民衆政
治ノ當然ノ道行ヂャナイカト思ヒマス(「片
岡サン眞面目ニヤッテ下サイ」ト呼フ者ア
リ)ドウモ我輩ノ顏付ガ不眞面目ナノカモ
知レマセヌガ、中々說明シテ居ル所ハ極メ
テ眞面目デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=52
-
053・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 禱苗代君
〔禱苗代君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=53
-
054・祷苗代
○禱苗代君 只今議題ニ上程セラレマシテ
居リマスル此議案中ノ砂糖消費稅法中改正
法律案中、黑糖ニ關スル改正稅率ノ事ニ付
キマシテ、政府ノ所見ヲ二三伺ッテ置キタ
イト思フノデアリマス、私ハ昨年ノ議會ニ
於キマシテ黑糖ニ對スル消費稅ヲ存續スル
ト云フコトハ、負擔ノ均衡ノ上ヨリ、又產
業ヲ發展セシムル上カラ、竝ニ社會政策ノ
效果ヲ擧ゲル上カラ、其存續スベカラザ
ル、卽チ之ヲ全廢セナケレバナラヌト云フ
所ノ理由ヲ擧ゲテ、政府ノ所見ヲ伺ヒマシ
タ所ガ、成程其議論ハ尤デアルカラシテ、
第二次稅制整理ニ際シテハ考慮シテ、必ズ
其時ニ相當ノ案ヲ出スト云フ所ノ御答ガア
リマシタルガ故ニ、本年ノ此議會ニ對シテ
ハ、此砂糖消費稅法中改正法律案ノ出ルニ
際シテ、第一種卽チ砂糖稅ノ中ノ和蘭標本
第十一號未滿ノ砂糖ニ對スル消費稅ト云フ
モノハ、全廢セラルヽコトデアラウト期待
シテ居クタノデアリマス、然ルニ此改正案ヲ
見マスルト云フト、此第一種ノ中ノ甲種、
乙種ニ對シテ相當ニ減額ヲセラレ、卽チ黑
糖ニ對シテ其稅額ガ半減セラレテ居リマス
ルノデアリマスルガ、是ハ私ガ昨年御尋ネ
シタ所ノ理由ニ基イテ、全部廢止スベキ理
由ガアルノデ、之ヲ存續セシメルト云フコ
トハ、詰リ政府ノ言明セラレテ居リマスル
所ノ所謂負擔ノ均衡ヲ得セシムル上カラ、社
會政策ノ實效ヲ擧ゲル上カラ、又產業ノ發達
ヲ圖ル上カラシテ、甚ダ理由ガナイコトデ
ハナカラウカ、蓋シ之ニ對シテ尙ホ此種ノ
稅ガ存續スルト云フコトハ、是ハ政府當局、
此立案ニ與カラレタ人ガ、所謂黑糖ノ製造
業其物ノ業體ヲ能ク御存知ナイ所カラ、斯
カル案ガ出來タノデハナカラウカト云フ疑
ヲ私ハ持シテ居ルノデアリマス、此疑ヲ晴ラ
スト共ニ、政府ガドウ云譯デ之ヲ存續セシ
メラレテ居ルカト云フコトニ付キマシテ、
二三政府ノ所見ヲ伺ッテ置キタイノデアリ
マスガ、其中ノ第一ハ、黑糖ノ製造業者
ニハ他ノ農產工業ニ比シテ、ドウ云フ譯デ
斯樣ニ重稅ヲ課シテ保護ヲ薄クサレルノデ
アルカ、卽チ他ノ農產工業ニ比較ヲ致シマ
シテ、黑糖ニハ同一業體ナルノニ拘ラズ、
重稅ヲ課シテ之ヲ保護セラレナイノデアル
カト云フノガ、疑問ノ第一デアリマス、昨
年改正ニナリマシタ所ノ營業收益稅法第七
條ノ第七號ニ依リマスルト云フト、斯ウ云
フ條項ガアルノデアリマス、自己ノ收獲シ
タル農產物、林產物、畜產物、若クハ水產
物ノ販賣又ハ之ヲ原料トスル製造業ハ、其
純益金額ノ如何ニ拘ラズ、卽チ稅金ヲ課セナ
イト云フコトニナッテ居リマス、一例ヲ申シマ
スレバ、農家ガ薩摩芋ヲ澤山ニ作リマシテ、
之ヲ原料トシテ澱粉ヲ造ッテモ、其純益ガ四
百圓以上ニナリマシテモ、之ニ對シテハ課
稅ヲシナイト云フコトニナッテ居リマス、是
ト同一業體デアリマスル所ノ此甘蔗ヲ原料
トシテ、同ジ業體ニ基イテ居ル所ノ甘蔗ヲ
原料トシテ製造シテ居ル所ノ砂糖ニ對シテ
ノミ其保護ヲ薄クサルヽト云フコトハ、此
營業收益稅ノ方面カラ考ヘテ、其農業ヲ發
達セシメル、產業ヲ保護スルト云フ精神カ
ラ考ヘテ、彼此レ其保護ニ厚薄ガアルト云
フコトハ、理由ガナイコトデハナイカト私
ハ思フノデアリマス、成程甘蔗ヲ原料トシ
テ砂糖ヲ製造スルト云フ、其生產物ハ違ヒ
ママ、一方ハ澱粉デアリ、一方ハ砂糖デア
ル、其生產品其物ハ違ヒマスケレドモ、其
業體ノ上カラ考ヘマスレバ、彼此レ少シモ
異ル所ハナイ、然ルニ斯ク取扱ヲ異ニスル
ト云フコトハ、不公平デハナイカト私ハ思
フノデアリマス、所ガ甘蔗ヲ原料トシテ製
造シタル砂糖其物ハ、成程一ツノ課稅ノ物
件トナッテ居リマス、故ニ假ニ規模ガ如何
ニ小サクアッテモ、其生產物ガ砂糖ナルガ故
ニ課稅シナケリヤナラヌデハナイカ、卽チ
大資本ヲ以テ經營スル所ノ機械製糖業者ニ
對シテ課稅スルト同樣ニ、矢張兎ニ角家庭
工業デアラウトモ、其生產物ガ砂糖ナルガ
故ニ課稅シナケレバナラヌデハナイカト云
フコトハ、是ハ機械製糖業及黑糖ヲ製造ス
ル所ノ小農ノ經營シテ居ル家庭工業ト同一
ニ取扱ハルヽト云フコトハ、是ハ頗ル不公
平ナル處置デアルマイカト思フノデアリマ
ス、申上ゲルマデモナク沖繩竝ニ大島ニ於
テ出來マス黑糖ハ、牛若クハ馬ヲ以テ牽引
セシメテ砂糖黍ヲ壓搾シテ、漸クニシテ日
ニ四五人若クハ十人掛リデ一樽若ハ一樽半
位ヲ拵ヘル、是卜一日ノ內ニ夥シイ所ノ產
額ガ出來ル機械製糖デ生產致シマス所ノ製
糖業者ト同一ナル取扱ヲ爲スト云フコト
ハ甚ダ以テ不公平デハナカラウカト思フ
ノデアリマス、或ハ政府ハ辯解セラレルデ
アリマセウ、成程機械製糖モ是モ同ジク砂
糖デアルガ、併シ一方ハ大資本ヲ以テ經營
シ、一方ハ家庭工業ナルガ故ニ、其稅率ニ
於テモ大ニ考慮スル所ガアッテ、一方ハ半減
ニモシテ居ルケレドモ、一方ハソレ程下ゲ
テ居ラヌデナイカ、併シ是ダケデハ只今申
上ゲタ所ノ業體ニ比較シテ甚ダ不徹底デハ
ナカラウカト私ハ思フノデアリマス、或
又政府ハ辯解ガアリマセウ、砂糖ニ對スル
課稅ハ消費稅デアッテ、成程製造業者ガ之ヲ
納稅ハスルケレドモ、其負擔ト云フモノハ
是ハ消費者ガスルノデアルカラ、產業ノ發
達ヲ妨ゲルモノデハナイ、或ハ負擔ノ上カ
ラ申セバ、多クノ消費者ガ負擔スルノデアッ
テ、サウ苦シイト云フコトハ考ヘラレナイ
デナイカ、或ハ斯ウ云フ辯解モサレルデア
リマセウケレドモ、此消費稅ガ轉嫁セラレ
ル場合ハ、所謂生產者ノ所得ガ生產費ヲ補ッ
テ尙ホ餘リアル場合ニハ、是ハ順調ニ轉嫁
シテ行キマスケレドモ、其所得ガ生產費ヲ
補フニ足ラザル場合ハ、是ハ轉嫁セナイノ
ガ原則ト申シテモ宜カラウト思フ、面シテ沖
繩大島ニ於ケル今日ノ狀況カラ見マス
↑、今日ノ砂糖製造業者トー云フモノハ實際
上引合ハナイ、現ニ人夫ヲ換算シ、或ハ肥
料ヲ金ニ換ヘテ計算ヲ致スヤウニナリマシ
タナラバ、甚ダ引合ハナイ營業ニナッテ居
ルノデアリマス、故ニ斯カル場合ニ於テ
ハ所謂是ハ名ハ消費稅デアリマスケレ
ドモ、其實ハ是ハ生產稅デアルト申上ゲテ
モ宜カラウト思フ、斯カル狀態デアリマス
カラ、其業體ノ上カラ考ヘテ、今日之ニ對シ
テ、所謂小農ノ營ンデ居リマス所ノ家庭工
業ニ對シテモ、尙ホ〓日ノ砂糖ノ價格カラ
シマスレバ、約從償一割ニ相當スル重稅ヲ
課セラレルト云フコトハ、是ハ苛酷デアル
マイカ、斯ウ云フ疑ヲ私ハ持っテ居リマス
ノデ、此意味ニ於テ此稅金ヲ存續セシムル
ト云フコトハ、矢張負擔ノ均衡ヲ得セシム
ル上カラ申シマシテモ、又社會政策ヲ實行ス
ル上カラ申シマシテモ、所謂產業ヲ發展セ
シムル上カラ申シマシテモ、甚ダ理由ノ無
イコトデアラウト思フノデアリマスガ、之
ニ對スル政府當局ノ言明ヲ伺ヒタイノデ
ス是ガ第一點、第二ハ砂糖消費稅ヲ存續
セシメテ置キマシタナラバ之ニ伴ウテ色
色ナル弊害ガ伴ウテ來ルノデアリマス、先
ヅ第一之ニ對シテ伴フ所ノ弊害ト申シマス
ルノハ稅務官吏ノ今日不足ノ上カラ、之ヲ
檢査スルガ爲ニハ、殊ニ大島ノ如キハ幾ツ
モノ島カラ成シテ居リマスガ故ニ、稅務官
吏ヲ迎ヘテ、之ニ檢查ヲシテ貰ハナケレバ
移出ガ出來ナイ、隨テ早ク出張シテ貰フコ
トヲ賴ム爲ニ其官吏ヲ或ハ歡待ヲシ、或ハ
是ハ極言スレバ贈賄ヲスルト云フヤウナコ
トニシテ、漸ク砂糖ノ檢査ヲシテ貰シテ移
出スルコトニナル、斯樣ニシテ風儀ヲ紊ス
ノミナラズ、又次ノ如キ弊害モ件フノデア
リマス、此消費稅ノ取締上或ハ已ムヲ得ヌ
トモ言ヘマセウケレドモ、昔カラ大島デモ
沖繩デモ同ジコトデ、是ハ日本國中何處へ
行ッテモ新シイ品物ガ出來マジタナラバ、之
ヲ先祖ニ先ヅ一番最初ニ上ゲルト云フコト
ハ、我國ノ淳風美俗ヲ維持スル所以デアル、
所謂敬神崇祖ノ念ヲ涵養スル上ニ必要ナル
事柄デアラウト思フノデアリマス、然ルニ
大島デ砂糖ノ一番最初ニ出來タ場合ニ或ハ
茶碗ニ、或ハ「コップ」ニ、或ハ竹筒ニ其砂糖
糖ヲ入レテ、之ヲ先祖ニ上ゲルト云フコト
ニスレバ、ソレガ爲ニ處罰ヲ受ケル、其處
罰ハ是ハ法律ノ缺點モアリマスルガ、尠カ
ラザル罰金ヲ科セラルヽノデアリマス、五
十圓以上トナッテ居リマスガ爲ニ、多ク七
十圓、八十圓、百圓ト云フ罰金ヲ受ケテ、
僅ニ半斤、ソレ以下ノ品物ヲ斯樣ナ美風ノ
爲ニ使フトキニモ、尙ホサウ云フヤウナ處
罰ヲ受ケル所ノ者モ少クナイ、故ニ砂糖ヲ
造ルト云フコトハ、是ハ甚ダ危險ナコトデ
アル、斯業ナ事柄モ一ノ砂糖ノ消費稅存續
ノ上カラ、所謂我國ノ淳風美俗ヲ發達セシ
ムル上カラ考ヘマシテモ不都合ヲ來スノデ
アリマス、其上ニ尙ホ負擔ヲ增シマスルコ
トモアリマス、卽チ砂糖消費稅以外ニ、其
砂糖消費稅ヲ存續セシムルト云フコトニ於
キマシテ、頗ル重稅ト云フテモ宜イ位ノ負
擔ヲ免レヌコトガ少クナイ、一例ヲ申シマ
スレバ、此稅務官吏ガ來テ檢査ヲシテ貰ウ
コトガ出來ナイ、故ニ偶〓船ガ來テモソレ
ニ積出スコトモ出來ナイ、故ニ約束ノ契約
ノ期間ヲ守ルコトモ出來ナケレバ、商機ヲ
逸スルコトガ少クナイカラシテ、ソレニ依
リ斯ウ云フ損害モ亦少クナイノデアリマ
ス、デ斯樣ニ稅金ガ半額セラレマシテモ、
ソレニ附帶スル所ノ其損害ヲ受ケルコト
ハ、又少クナイノデアリマスカラ、是等ノ
點ヲモ尙ホ之ヲ考慮致サレタナラバ此稅
金ノ存續ト云フモノハ爲スペカラザル事柄
ガ種々生ジテ來ルデノアルニ拘ラズ、是等
ノ點ガ考ヘラレテ居ルノデアリマセウカド
ウデスカ、矢張存續セラレテ居ラルヽト云
フコトハ、是等ノコトハ矢張考慮ノ中ニ入
レラレタノデアリマスルカドウカト云フコ
トヲ、私ハ伺シテ置キタイノデス、第三ニ
ハ現在大島ニ於キマシテハ砂糖ノ生產高ヲ
見マスト云フト、一箇年ニ中等ノ土地一反
步ニ對シテ出來ル所ノ砂糖ハ金額ニ之ヲ
見積リマスト約五十餘圓ニ相當スルノデア
リマス、然ルニ其生產費ハ幾ラ掛ルカト申
シマスルト、人夫ヲ男ヲ七十錢、女ヲ五十
錢ト云フ低廉ナ賃金ニ見積リマシテモ、尙
ホ七十餘圓何ガシト云フ金額ヲ要スルノデ
アリマス、故ニ斯ノ如キ金額ニ見積リマス
ルト云フト、是ハ約二十四圓何ガシト云フ
損失勘定ニナッテ居リマス、デ斯ウ云フ狀
態ノ卽チ業體ニ對シテ課稅ヲセラルヽト云
フコトニナッタナラバ產業ノ發達ト云フ
モノハ望ムコトハ出來ナイ、故ニ吾々ノ處
デアリマシテモ、沖繩デアリマシテモ、所
謂足腰ノ立ツ所ノ靑年ナル者ハ皆農村ヲ
飛出シテ阪神地方ニ出テ勞働ニ從事シテ居
ルト云フ現狀デアリマス、斯カル現狀デア
リマスカラシテ、今日ハ益、沖繩大島ノ
農村ト云フモノハ一層他ノ處ニ比シ
テ疲弊困憊ノ極ニ達シテ居ルノデアリマ
スルガ、此狀態ヲ見ラレタナラバ、此狀
態カラ考ヘラレタナラバ斯ウ云フ所ノ業
體ニ從事シテ居ル此製造業者ニ對スル課稅
ト云フモノハ頗ル酷デハアルマイカト思
ハレルノデアリマスルガ、政府ハ尙ホ之ニ
對シテ此稅ヲ存續セラレルト云フコトハ
一體ドウ云フ御考デアルカ、其邊ヲ御答ヲ
願ヒタイノデアリマス、第四ニハ是ハ先刻
カラ屢、問題ニナッテ居リマスルガ、此砂糖
ハ所謂庶民階級ノ人〓ガ需要スルノデアツ
テ、サウシテ此人こヲ救フガ爲ニ、所謂社
會政策ノ效果ヲ擧ゲル上カラシテ、之ヲ他
ノ稅種ニ-他ノ種類ノ砂糖ニ對シテ相當
ナ金額ヲ減ゼラレタ、成程ソレダケ減ゼラ
レタミケ是ハ有難イニハ違ヒアリマセヌ、
違ヒハアリマセヌケレドモ、先刻來申上ゲ
マスル通リ、此消費者ハ成程東北ニ、成ハ
北海道ニ、或ハ北九州ノ山ノ奧ニ於テ使ハ
ルヽノデ、多クハ此庶民階級ノ人〓デアリ
マシテ、是等ノ人モ是ダケ減ジタナラバ、
其轉嫁ガ減ズル譯デアリマスルケレドモ、
實際ハ今マデ申上ゲル事柄ニ依ッテ考ヘテ
見マシテ、此消費稅ノ轉嫁ト云フモノハ行
ハレズシテ、生產者ガ負擔スルコトニナリ
ハセヌカ、斯ウ云フ點カラ考へテ見マスト
云フト、此生產ヲ援助シ、此產業ヲ發達セ
シムルト云フ上カラ考ヘマスレバ、所謂此
社會政策ハ兩方ニ跨ガリマスケレドモ、是
ダケノ減稅デハ尙ホ不徹底デアリ、其半額
以上ヲ生產者ハ負擔シテ居ルノデアリマス
ルガ故ニ、イッソ之ヲ撤廢セラレル處置ニ
出ラレナカッタノハドウ云フ譯デアリマス
カ、是ダケノ事ヲ極ク率直ニ伺ッテ置キタ
イノデアリマス、尙ホ詳細ノコトハ委員會
ニ於テ數字ニ基イテ御尋ネ致シタイノデア
リマスガ、以上申述べマシタ數項ニ對シテ
御意見ヲ伺ヒタイノデアリマス(拍手)
〔政府委員黑田英雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=54
-
055・黒田英雄
○政府委員(黑田英雄君) 御尋ネニナリマ
シタ點ハ極メテ多イノデアリマスルガ、要
スルニ今囘ノ砂糖消費稅ノ改正ニ於キマシ
テ、第一種甲ニ屬シマス樽入黑糖ヲ何ガ故
ニ免稅ヲシナカッタカト云フコトニ歸著致
スヤウデアリマス、樽入黑糖ヲ免稅シロト
云フ御議論ハ屢、拜聽致シテ居ルノデアリ
マシテ、能ク御趣旨ハ承知致シテ居ルノデ
アリマス、隨テ〓囘ノ稅制整理ニ於キマシ
テモ其點ハ十分攻究ヲ致シタノデアリマ
ス、樽入黑糖ヲ免稅致シマスト云フコト
ハ、只今御述べニナリマシタヤウニ、是ガ
主產地デアリマス沖繩縣、或ハ鹿兒島縣ノ
大島等ニ於キマスル是等ノ製糖業ヲ保護ス
ルト云フ御趣意ニアルヤウニ承ルノデアリ
マスガ、私共〓究致シマシタ所ニ於キマシ
テハ、是ハ却テ沖繩、大島ノ製糖業ノ爲ニ
利益デナイト云フコトヲ考ヘテ居ルノデア
リマス、若シ此樽入黑糖ヲ免稅致スト云フ
コトニナリマスト云フト、是ノ製造ハ極メ
テ自由ニナルノデアリマス、隨テ今日樽入
黑糖ガ造ラレテ居リマスノハ主トシテ沖
繩大島デアリマスケレドモ、內地ニ於テ
モ尙ホ御承知ノ通リ九州各縣ニ於テ或ハ高
知縣、德島縣、愛知縣、三重縣等ニ於テモ
多少ノ生產ハ今日アルノデアリマス、是等
ガ極メテ便利ニ生產ヲスル事ガ出來ルノデ
アリマス、又ソレノミナラズ非常ニ製糖能
力ノ强イカヲ持ッテ居リマス所ノ臺灣ニ於
キマシテモ、是ガ免稅ニナリマスレバ樽入
黑糖ヲ造ルト云フコトハ極メテ容易ニ出來
ルノデアリマス、又海外カラ參リマス、殊
ニ比律賓アタリニ出來マス所ノ砂糖ノ如
キ、是ナドヲ內地ニ持ッテ參リマシテ、假
置場デ樽入ヲ致シマスレバ、樽入黑糖トシ
テ是ハ免稅ノ扱ヒヲシナケレバナラヌノデ
アリマス、左樣ニシマスレバ沖繩、大島ノ
糖業ハ非常ナ壓迫ヲ受ケルコトニナッテ、
却テ今日ヨリモ苦シイ〓場ニ陷ルヤウニナ
ルト考ヘルノデアリマス、ソレ故ニ之ヲ免
稅スルト云フコトハ沖繩、大島ノ製糖業ヲ
保護スル所以デナイト一云フ風ニ考ヘタノデ
アリマス、併ナガラ是ガ消費ノ方面ヲ見マ
シテモ、先程申シマシタヤウナ事情ニ在リ
マスシ、又製造ノ方ヲ見マシテモ只今御述
ベニナリマシタヤウニ相當困難ナ情況ニ在
ルト云フコトハ能ク承知致シテ居リマスノ
デ、成ベク消費者ノ負擔ヲ輕減シ、是等ノ
製造ヲ容易ニ致ス趣旨ヲ以チマシテ、他ノ
砂糖ニ比較致シマシテハ、其率ヲ低ク致シ
マシテ半減致シタノデアリマス、之ニ依リ
マシテ消費者ハ其恩典ヲ受ケナイデアラウ
ト云フ風ナ御疑念モアリマシタガ、私ハ是
ハ消費者ノ上ニソレダケノ-少クトモソ
レ以下ノ輕減サレルコトハ當然デアルト考
ヘテ居ルノデアリマス、又沖繩、大島ニ於
キマシテ製糖業ノ困難デアルト云フコト
ハ是ハ單リ消費稅ノ關係デハナイヤウニ
考ヘルノデアリマシテ、其他經濟上種々ナ
原因ガアラウト思フノデアリマス、一例ヲ
擧ゲマシテモ、砂糖ニ付キマシテモ、沖
繩大島カラ大阪ノ市場ニ持シテ來マス運
賃ハ、却テ臺灣等カラ持シテ來マスヨリモ
高イト云フ風ナ事情モアルノデアリマス、
生產上ニ種々不利益ナ事情ガアラウト思フ
ノデアリマス、是ハ消費稅ヲ免ズルコトニ
依ッテノミ救濟スルコトハ出來ナイノデア
リマスカラ、他ノ經濟上ノ改善ニ依シテ其目
的ヲ達スル外ハナイト考ヘルノデアリマ
ス、併ナガラ消費稅ノ半減致シマシタコト
ハ製造業者ニ取リマシテモ極メテ有利ノ
狀況ニナルノデアリマス、唯、只今御述べ
ニナリマシタヤウニ、時ニハ此消費稅ガ轉
嫁サルベキモノガ或ハ製造者ノ負擔ニナル
ト云フ風ナ事ガアルト云フ御話ガアリマシ
タガ、サウ云フ場合ガ必シモナイトハ申シ
マセヌガ、サウ云フ場合ヲ少クスル、又サウ
云フ場合ヲ除キ得ルト云フコトハ、此半減
ヲスルコトニ依シテ非常ニ效果ガアルヤウ
ニ考ヘルノデアリマス、又營業收益稅ノ條
項ニ付テ權衡上御話ニナリマシタガ、此御
疑問ハ私ハ正確ニ御質疑ノ點ヲ捉ヘルコト
ガ出來ナカッタノデアリマシテ、或ハ違ヒマ
シタラバ委員會ニ於テ詳シク申上ゲマス
ガ、他ノ農產物ニ付キマシテハ砂糖ト違ヒ
マシテ、砂糖ハ砂糖トシテノ消費稅ヲ設ケ
テ居ルノデアリマスカラ、ソレガ甘蔗ト云
フ農產物カラ造リマシテモ、其出來夕砂糖
ト云フモノヽ權衡上、只今申シマスヤウニ
適當ナ稅率ヲ按配シテ居ルノデアリマスカ
ラ、特ニ是ハ製糖業ニ對スル重キ負擔ヲ課
シテ居ルト云フコトハ申サレナイト考ヘル
ノデアリマス、ソレカラ是ハ特ニ大島ニ付
テノ御話デアリマシタガ、存續ヲ致スニ付
キマシテモ色ミナ弊害不便ト云フコトヲ御
述ニナリマシタ、是等ノ點ニ付キマシテハ
常ニ注意ヲ致シテ居ルノデアリマシテ、是
ハ恐クハ禱サンモ御承知ノ事トハ考ヘルノ
デアリマスガ、其取扱ニ付キマシテハ極メ
テ便宜ヲ圖シテ居ルノデアリマス、又組合ト
モ能ク協力ヲ致シマシテ、內地ノ製糖業者
ニ對シマス其場所ノ關係、色ミナ事情ノ關
係カラ致シマシテ、出來ルダケノ便宜ヲ今
日圖リツヽアルト云フコトハ、能ク御承知
下スッテ居ルコトヽ考ヘルノデアリマス、稅
務官吏ノ之ガ爲ニ腐敗スルト云フコトニ付
テ御述べニナリマシタガ、是ハ單リ大島ニ
限リマセヌ、全國ノ稅務官吏ニ付キマシテ
常ニ戒メテ居ルコトデアリマス、殊ニ斯ノ
如キ交通不便ナ所ニ參リマス者ニ付キマシ
テハ一層注意ヲ加ヘルコトニ致シテ居ル
ノデアリマス、是等ハ將來ニ於キマシテモ
左樣ナ事ガナイヤウニ、公平ニ仕事ヲスル
ヤウニ、十分ニ注意ヲ致ス積リデ居リマ
ス、勿論今日迄モ左様ナ事ハナイト信ジテ
居リマス、ソレカラ或ハ自家用ノ事トカ、
或ハ商機ヲ逸スルト云フ風ナ事ニ付テノ御
話モゴザイマシタガ、是ハ先程申述ベマシ
タ通リ、取締上差支ナイ限リニ於テ相當便
宜ナ取扱ヲ致シテ居ルノデアリマスカラ、
私ハ御述べニナリマシタ程ノ不都合ハ生ジ
テ居ラヌト考ヘテ居ルノデアリマス、生產
費等ノ事ニ付テノ御話モゴザイマシタガ、
是ハ又委員會デ詳細承リマシテ意見ヲ申上
ゲマスルガ、先程申シマシタヤウニ是ハ唯、
消費稅ノ關係ノミデナク、經濟上ノ種々ノ
原因カラシテ困難ナ事情モアラウト考ヘル
ノデアリマシテ、之ヲ除キマスノハ自ラ他
ニ方法モアルコトデ、考慮シナケレバナラ
ヌコトヽ考ヘテ居ルノデアリマス、大體御
質問ノ點ニ付テハ御答申上ゲタト思ヒマス
(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=55
-
056・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 神崎勳君
〔神崎勳君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=56
-
057・神崎勳
○神崎勳君 私ハ只今付議サレテ居リマス
所ノ登錄稅法中改正案ノ一部ニ付キマシ
テ、政府ノ御意見ヲ伺ッテ見タイト思フノ
デアリマス、政府ニ於キマシテハ先年來銀
行ノ合同ニ付キマシテ非常ニ御奬勵ニナッ
テ居ルノデアリマスガ、併シ吾々ノ見受ケ
ル所ニ依リマスレバ、御奬勵ト申スヨリモ
寧ロ强制ナサレテ居ルヤウニ見受ケラレル
ノデアリマス、併シ我ガ日本帝國ノ今日ノ
金融界ノ狀態カラ見マシタナラバ機宜ニ
適シタ所ノ御處置ト致シマシテ私モ其擧ニ
賛同シテ居ル一人デアルノデアリマス、政
府ガ御奬勵サレマスト同時ニ、一般社會モ
此合同ヲ是非ヤラナケレバナラヌト云フコ
トニナッテ居ルト致シマシタナラバ、此合同
ニ付キマシテ最モ苦痛トサレマス所ノ登錄
稅ノ免除ト云フモノヲ、是非ヤラナケレバ
ナラヌト云フコトノ聲ガ高イノデアリマ
ス、政府ノ御奬勵ト云フコトニ付キマシテ
バ他ノ事業ニ於キマシテハ奬勵金ナドヲ
出シテ居ルノガアリマスカラシテ、假令財
產家ノ組織サレタ所ノ銀行ト申シマシテ
モ、小サイ銀行等ニ於キマシテハ必シモ
富豪ノミデハナイノデアリマスカラ、當然
是ハヤラナケレバナラヌト云フ考ヲ以チマ
シテ、私モ一昨年デアッタト思フノデアリ
マス、五十議會ニ是ガ免除ノ建議案ヲ提出
サレマシタ所ガ、本會議ニ於キマシテモ、若
クハ委員會ニ於キマシテモ、滿場一致ヲ以
チマシテ、是ガ決定ヲ見テ居ルノデアリマ
ス斯ノ如キ所以ヲ以チマシテ、今囘政府
ガ若シモ此登錄稅法ノ改正案ヲ御提出ニ
ナッタト致シマシタナラバ、必ズ此課稅ト云
フモノハ削除サレルデアラウト云フ考ヲ
持ノテ居ッタノデアリマス、然ルニ圖ラザリ
キ今囘御提出ニナリマシタ所ノ改正案ニ依
リマスレバ其第六條ニ於キマシテ、千分
ノ一ト千分ノ五ト云フ二樣ニ依リマシテ課
稅サレテ居ルノデアリマスガ、實ニ吾々ハ
政府ノ御意見ノ在ル所ヲ疑ハザルヲ得ナイ
ノデアリマス、地方ニ於キマシテハドウデ
アリマセウ、百万圓以下ノ銀行ノ合併ト云
フモノヲ政府ガ是非ヤラセル若シモ之ヲ
ヤラナカッタナラバ、近キ將來ニ於キマシテ
法律ヲ以テ百万圓以下ノ銀行ノ存在ヲ禁ズ
ルト云フコトヲ縣ニ於キマシテハ殆ド口外
サレテ居ルノデアリマス、法律ヲ以テ百万
圓以下ノ銀行ノ存在ヲ禁ズルカラ、是非合
併シナケレバナラヌト云フ口調マデ御使ヒ
ニナリマシテ、合併ヲ奬勵サレテ居ルニモ
拘ハリマセズ、今囘ノ御提出案ニ依シテ見
マシタナラバ、矢張何程カノ課稅ヲサレテ
居ルト云フコトハ何タル是ハ大矛盾デア
ラウカト思フノデアリマス、併シ私等ガ考
ヘルノニ付キマシテハ、地方ニ於キマシテ
非常ニ中央政府ノ御意見ノ在ル所ト云フ
ヤウナコトヲ申サレテ居ルノデアリマス
ガ、是ハ私ハ或ハ地方ニ於テ間違シタコト
ヲ唱ヘテ居ルノデハアルマイカト思フノデ
アリマス、大藏省ニ於キマシテハ餘リ合併
ト云フコトニ御熱心デナイニモ拘ハリマセ
ス、縣ノ都合ニ依リマシテ斯ノ如キコトヲ
申サレテ居ルノデハアルマイカト云フ疑ガ
起ルノデアリマス、私ハ寧ロ斯ノ如キコト
デアリマシタナラバ、洵ニ重大ナ事件ト思
フノデアリマス、政府ハ何所々々マデモ此
銀行ノ合併ヲヤラナケレバナラヌ、若シモ
ヤラナカッタナラバ、近キ將來ニ於キマシ
テ法律ヲ以テ其存在ヲ禁ズルト云フヤウナ
コトヲ主張サレテ居リマシテ、其實際今回
提出サレマシタ所ノ案ニ依リマシタナラ
バ矢張本議場ニ於キマシテ滿場一致ヲ以
テ是ガ削除ヲ請願サレテ居ルニモ拘ハリマ
せて、故ラニ政府ガ之ヲ御提出ニナッタト
云フコトハ確ニソコニ地方ト中央トノ行
違ヒガアルノデアラウト思フノデアリマ
スデアリマスカラ私ハ大藏者ニ於キマシ
テ、銀行ニ對スル所ノ御處置ハ、地方ニ於
テ唱ヘラレテ居ルヤウニ非常ニ御熱心デア
ルカ、若クハ他ノ會社ノ合併見タヤウニ餘
リ熱心デモナイト云フコトデアリマスカ、
之ニ付キマシテ詳細ナ御聲明ヲ願ヒタイト
思フノデアリマス、此御聲明ハ洵ニ重大問
題デアリマシテ、政府ノ御聲明如何ニ依
リマシテハ、廣ク全國ニ於キマシテ大變奬
勵ヲ進メテ居ル所ノ銀行ノ合併ニ一頓挫ヲ
來タスベキモノデアラウト思フノデアリマ
ス、ドウカ極ク簡單ニ此事ニ付キマシテ、
御聲明アランコトヲ希望スル次第デアリマ
ス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=57
-
058・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 大藏大臣
〔國務大臣片岡直溫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=58
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059・片岡直温
○國務大臣(片岡直溫君) 只今ノ御尋ネニ
御答ヲ申上ゲマス、今回ノ改正案ハ從來ヨ
リ大體半減致シテ居リマス、併ナガラ百萬
圓ト百萬圓ヲ合併シタ時ハサウデアリマス
ガ更ニ曾加スルモノニ對シテハ、資本ノ
增加スル場合ニ於テハ、是ハ少シ率ガ變シ
テ居ルト思フ、是ハドウモ他ノ課稅ノ權衡
上、之ヲ全ク免稅シテシマフト云フコトハ
不適當ダト思シテ居リマス、而シテ銀行合
併ニ對スル大藏省ノ方針ニ付テノ御尋ネデ
アリマスガ、大體我國ノ金融制度ナルモノ
ハ元ト各種ノ銀行ノ出來マスル際ハ、相
當制度ガ備シテ居ッタト思ヒマスガ、段々ニ
法規ガ改正セラレマシテ、今ノ所デハ各種
ノ金融機關ガソレ〓〓整頓サレテ居ルトハ
思ハヌノデアリマス、如何ニ產業ノ發展ヲ
主張シマシテモ、金融機關ナルモノガ今少
シ完全ニナッテ參リマセヌケレバ、ドウシテ
モ產業ノ發展ハ私ハ出來ヌト思フノデアリ
マっ、ソレ故ニ此制度ヲ十分ニ致シタイト
考ヘマシテ、朝野ノ識者ヲ集メテ、金融制
度ノ調査委員會ヲ拵ヘテ居ル、其議決ヲ經
タ所ノモノハ最早遠カラズ普通銀行ニ對シ
テハ提案スル積リデアリマス、此提案ニ依ツ
テ大藏省ノ方針ナルモノハ明ニナルト存ジ
マス、大體小資本ニシテ各地ニ多クノ銀行
ガ散在シテ居リマスルコトハ一面ニハ頗
ル便宜ヲ得ルヤウデアリマスガ、是ガ爲ニ
金融ニ種々ノ阻害ヲ來スコトハ少クナイ、
是ハ當業者ノ過チモアリマスルガ、制度ノ
不備モアルト思ヒマス、又地方ノ方面ニ至
リマシテハ都會ノ如キ金融ハ便利ニ滑ラ
カニハ行キ惡イ事情ガアリマスルガ爲ニ、
各町村ニ對シテハ所謂庶民銀行ナルモノヲ
設ケタイト思ッテ居リマス、是ハ不日、最近
ニ金融制度ノ調査委員會ニ掛ケマシテ、成
案ヲ得マシタナラバ、提案ヲスル積リデア
リマス、要スルニ今日ノヤウナ普通銀行ガ
幾ツモ小資本ノ儘散在シテ居ルコトハ却
テ金融ヲ不圓滑ナラシムルモノデアル、故
ニ之ヲ合同セシムルコトヲ欲スルノデアリ
マス、ソレ故ニ合同ノ促進ノ上ニ於テ課稅
ノ如キモ從來ヨリ半減ヲ致シタト云フ趣旨
ニ外ナラヌノデアリマス、此金融制度ニ付
テ具體的ニ十分申上ゲタイト存ジマスガ、
大分此稅制案ニ付テ時間ヲ取リマシタカ
ラ、他日案其モノガ備ハリマシタナラバ、
其時ニ讓リタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=59
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060・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 是ニテ質疑ノ發言ヲ
終リマシタ、仍テ日程第七、右各案ノ審查
ヲ付託スベキ委員ノ選擧ヲ議題ト致シマス
第七右各案ノ審査ヲ付託スヘキ委員
ノ選擧発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=60
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061・原惣兵衞
○原惣兵衞君 日程第三乃至第六ハ之ヲ
括シテ、議長指名二十七名ノ委員ニ付託セ
ラレンコトヲ望ミマス
〔「賛成」「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=61
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062・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 原君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=62
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063・粕谷義三
○議長(粕谷義三君) 御異議ナシト認メマ
ス仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第八、
國債整理基金特別會計法中改正法律案、第
一讀會ヲ開キマス、片岡大藏大臣
第八國債整理基金特別會計法中改正
法律案(政府提出)第一讀會
國債整理基金特別會計法中改正法律
案
國債整理基金特別會計法中左ノ通改正ス
第二條ノ二國債ノ元金償還ニ充ツル爲
前條ノ繰入額ノ外每年度其ノ前前年度
ニ於テ一般會計ノ歲計上新ニ生シタル
剩餘金ノ四分ノ一ヲ下ラサル金額ヲ一
般會計ヨリ國債整理基金特別會計ニ繰
入ルヘシ
前項ノ剩餘金ノ計算ニ付テハ之ヲ生シ
タル年度ヨリ翌年度ニ繰越シタル歳出
豫算ノ財源ニ充ツヘキ額ヲ算入セサル
モノトス
第四條第一項ヲ左ノ如ク改ム
國債整理基金ハ國債ヲ以テ保有シ又ハ
大藏省預金部ニ預入レ之ヲ運用スルコ
トヲ得
附則
本法ハ昭和二年度ヨリ之ヲ施行ス
〔國務大臣片岡直溫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=63
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064・片岡直温
○國務大臣(片岡直溫君) 只今議題ト相成
リマシタ國債整理基金特別會計法中改正法
律案ニ付キマシテ說明ヲ致シマス、曩ニ昭
和二年度總豫算ヲ說明致シマスル際ニ申述
ベマシタル通リ、近年我ガ國債曾加ノ趨勢
ハ頗ル著シク、最近十箇年間ニ我ガ國債ノ
總額ハ二倍餘ニ增加シテ居リマス、故ニ將
來若シ何等施ス所ナクシテ、從來ノ趨勢ニ放
任致シマストキハ、我ガ國債額ハ年々累增
致シマシテ、國庫將來ノ負擔ヲ過重ナラシ
ムルハ勿論、益金融市場ヲ壓迫致シマシ
テ、延イテ我ガ經濟界方面ニ及ボス影響洵
ニ恐ルベキモノガアルト存ジマス、故ニ我
國將來ノ國債政策ト致シテハ極力起債額
ノ減少ニ努メマスルコトノ必要ナルコトハ
勿論デアリマスルガ、從來ノ國債償還方針
ニ更ニ一歩ヲ進メマシテ、其償還額ノ曾加
ヲ圖ルコトガ現下ノ最大急務デアルト信ズ
ルノデアリマス、而シテ國債償還額曾加ノ
方法ドシテハ、現行ノ國債整理基金特別會
計法第二條第二項ノ規定ニ依リマスル萬分
ノ百十六以上ノ償還資金ノ繰入ノ外ニ、歲
計ニ剰餘ヲ生ジマシタル時ハ之ヲ國債ノ
償還ニ充ツルノ制度ヲ樹テマスルコトハ
財政政策上最モ妥當ナリト認メマシテ、昭
和二年度ヨリ歲計剰餘ノ一部ヲ國債償還資
金ニ充當スルノ制度ヲ樹テマシタノデアリ
マス
〔粕谷議長議長席ヲ退キ小泉副議長代
リ著席〕
而シテ其割合ハ成ベク多キヲ可ト致シマス
ルコトハ勿論デゴザイマスルケレドモ、歲
計剰餘ノー新規蔵計ノ剩餘ヲ新規歲出ノ
財源ニ充テヽ來マシタコトハ我國財政多年
ノ慣行デアリマシテ、今俄ニ之ヲ變更スルコ
トハ如何ニモ困難ト致ス實情デアリマス、
ソレ故ニ其最低割合ヲ前々年度ニ新ニ生ジ
タル純剰餘金ノ四分ノ一ト爲スコトヽ致シ
マシタ、而シテ此制度ハ現今ノ確定償還ノ
制度ト相俟シテ、將來ニ涉リ繼續シテ實行
スル爲ニ之ヲ法制トシテ定メテ置ク必要ヲ
認メマス、玆ニ國債整理基金特別會計法中
改正法律案ヲ提出シタ次第デアリマス、何
卒愼重審議ノ上速ニ御協賛ヲ與ヘラレンコ。
トヲ希望スル次第デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=64
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065・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 日程第九、右議
案ノ審査ヲ付託スベキ委員ノ選擧ヲ議題ト
致シマス
第九右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員
ノ選擧発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=65
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066・砂田重政
○砂田重政君 本案ハ議長指名十八名ノ委
員ニ付託セラレンコトヲ望ミマス
〔「賛成」「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=66
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067・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 砂田君ノ動議ニ
御異議ナイト認メマス、仍テ動議ノ加ク決
シマス、日程第十、市町村義務〓育費國庫
負擔法中改正法律案ノ第一讀會ヲ開キマ
ス、文部大臣岡田良平君
第十市町村義務〓育費國庫負擔法中
改正法律案(政府提出)第一讀會
市町村義務〓育費國庫負擔法中改正
法律案
市町村義務〓育費國庫負擔法中左ノ通改
正ス
第二條中「七千萬圓」ヲ「七千五百萬圓」ニ
改ム
附則
本法ハ昭和二年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
〔國務大臣岡田良平君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=67
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068・岡田良平
○國務大臣(岡田良平君) 只今議題ニナリ
マシタ市町村義務〓育費國庫負擔法中改正
法律案ノ要旨ヲ申上ゲマス、既ニ十分御承
知ノ通リ市町村義務〓育費國庫負擔法ニ依
リマシテ、大正十六年度、卽チ昭和二年度
ニ於キマシテハ豫算ニ於テ七千五百万圓
ヲ計上スルコトニ致シテアルノデアリマ
ス、是ハ豫算ニ伴ヒマシテ、法律ヲ改正ス
ル慣例ニナッテ居リマスルノデ、卽チ茲ニ
法律ノ改正案ヲ提出致シマシテ、法律ノ第
二條中ニ七千万圓トゴザイマスルノヲ、七
千五百万圓ト改正致サントスル法律案デゴ
ザイマス、何卒御審議ノ上御協賛ヲ與ヘラ
レンコトヲ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=68
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069・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 日程第十一、右
議案ノ審査ヲ付託スベキ委員ノ選擧ヲ議題
ト致シマス
第十一右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委
員ノ選擧発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=69
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070・砂田重政
○砂田重政君 本案ハ議長指名十八名ノ委
員ニ付託セラレンコトヲ望ミマス
〔「賛成」「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=70
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071・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 砂田君ノ動議ニ
御異議ナイモノト認メマス、仍テ動議ノ如
ク決シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=71
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072・砂田重政
○砂田重政君 殘餘ノ日程ニ對シテ延期ノ
動議ヲ提出致シマス
〔「賛成」「賛成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=72
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073・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 砂田君ノ動議ニ
御異議ナイト認メマス、仍テ動議ノ如ク決
シマシタ、尙ホ御諮リ致スコトガアリマス、
第二部選出豫算委員山口左一君、第七部選
出豫算委員松井郡治君、右何レモ豫算委員
辭任ノ申出ガアリマス、許可スルニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=73
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074・小泉又次郎
○副議長(小泉又次郞君) 御異議ナケレバ
許可致シマス、其部ノ諸君ハ速ニ補關選擧
ヲ行ヒ、直ニ御屆出アランコトヲ望ミマ
ス、次回ノ日程ハ公報ヲ以テ通知致シマス、
本日ハ散會致シマス
午後四時四十一分散會
衆議院議事速記錄第七號中正誤
頁段行誤正
八五一四砂田ノ砂田君ノ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005213242X00819270127&spkNum=74
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