1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五年五月七日(水曜日)
午後一時二十五分開議
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議事日程 第九號
昭和五年五月七日
午後一時開議
第一 市町村義務教育費國庫負擔法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第二 輸出補償法案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第三 賠償金特別會計法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第四 製鐵所特別會計に於て大藏省預金部又は日本銀行の横濱正金銀行又は株式會社日本興業銀行に對する債權の讓渡を受くることに關する法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第五 關税定率法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=0
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001・議長(藤澤幾之輔君)
○議長(藤澤幾之輔君) 是ヨリ會議ヲ開キ
やっ、日程第一市町村義務〓育費國庫負
擔法中改正法律案ノ第一讀會ノ續ヲ開キマ
ス、委員長ノ報告ヲ求メマス、委員長武內
作平君
第市町村義務〓育費國庫負擔法中
改正法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
報〓書
一市町村義務〓育費國庫負擔法中改正法
律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和五年五月五日
委員長武内作平
衆議院議長藤澤幾之輔殿
〔武內作平君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=1
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002・〓〓〓〓
○ 武內作平君市町村義務〓育費國庫負擔
法中改正法律案ノ委員會ノ經過及結果ヲ御
報告致シマス、本案ハ現行法ノ第二條ニ市町
立尋常小學校〓員ノ俸給ニ要スル經費ノ
中「國庫ノ負擔トシテ支出スヘキ金額ハ每
年度七千五百万圓ヲ下ラサルモノトス」ト
アリマスルモノヲ「八千五百万圓ヲ下ラサ
ルモノトス」ト斯ウ改正ヲ致スノデアリマス
カラ、唯〓七ノ字ヲ八ノ字ニ變ヘルダケノコ
トデアリマスノデ、法文ノ關係カラ言ヘバ
是程簡單ナルモノハナイノデアリマスガ、
(拍手)改正ノ目的ハ每年一千万圓宛ノ金
ヲ支出致シマシテ、恆久的ニ今、日本ノ政
界ノ大問題トナッテ居リマスル地方費ノ負
擔ヲ輕減ヲシテ、〓育ノ改善ニ資スルト云
フノニ在ルノデアリマスカラシテ、其關係
ヲ致シマスル所ハ重且ツ大デ、非常ニ緊要
ノ法案ニ是ガナル譯デアリマス、委員會ハ
付託ノ翌日卽チ五月ノ一日ニ委員長理事ノ
選擧ヲ致シマシタ、山枡儀重君、林平馬君、
倉元要一君、寺田市正君ガ理事ニ當選ヲサ
レマシタ、引續イテ爾來三日間、長時間ニ
亙ッテ〓心ニ〓究ヲ積ンダ譯デアリマス、私
ガ御報告申上ゲマスト、唯、平凡ニシカ聞エ
ナイノデアリマスケレドモ、實際ハ火ノ出
ルヤウナ質問應答ガ行ハレマシテ、愼重ニ
研究ヲサレタ譯デアリマス、其間ニ於キマ
シテ倉元君、武田君、山下君、藤井君、服部
君、岡田君、大口君、山崎君、安藤君、寺
田君ノ各委員ト、田中文部、井上大藏、安
達內務、町田農林ノ各大臣、及野村、次田、
藤井、平野ノ各政府委員ノ間ニ、熱心ニ質
問應答ヲサレタノデアリマスカラ、私ハ是
等ノ質問應答ヲ極ク簡單ニ要約ヲ致シテ
此際御紹介申上ゲタイト思フノデアリマ
ス
其一ハ主義方針ニ關スル質問應答デアリ
やく、先ヅ第一ニ本案ノ國庫負擔金ノ增額
ハ、市町村義務〓育費國庫負擔法ノ制定ノ
本トナリマシタ臨時〓育會議ノ建議、卽チ
市町村ト國庫トガ連帶支辨ニスルト云フ趣
意ニ背反スルモノデハナイカト云フコトガ、
根本ノ問題トシテ論議サレ、質問應答サレ
タノデアリマス此建議案ニハ御承知ノ通
リ、市町村立小學校〓員俸給ノ、國庫及市
町村ノ連帶支辨スベキ國庫支出金ハ右〓
員俸給ノ半額ニ達セシムベシト、斯ウ云フ
コトガ建議案ニ書イテアルノデアリマス、
是ガ基礎ニナリマシテ、現在ノ國庫負擔法
ガ成立ヲ致シタノデアリマスガ、此ノ趣意
ニ背反ハシヤシナイカト云フコトノ問題ガ
深刻ニ論議サレタノデアリマス、此點ニ對
シ政府ハ、臨時〓育會議ノ建議ノ趣意ハ、必
ズシモ半額以上國庫ノ負擔ト爲スベシト云
フ趣意ニ限定シタモノデハナイ、少クトモ
半額マデハ國庫ニ於テ負擔セヨト云フ趣意
ニ解釋スルコトヲ至當ト考ヘル、現ニ是マ
デ國庫ノ負擔金ガ七千五百万圓ノ時、卽チ
昭和元年度ハ七千五百万圓デアッタノデ
アリマスガ、ソレデモ負擔金ノ割合ハ五割
四分ニ當ッテ居ッタノデアル、又昭和二年度
モ矢張負擔金ハ七千五百万圓ノ時デアリマ
スカ、其割合ハ五割五分ニ當,テ居ッタノデ
アッテ、卽チ半額以上國庫ガ負擔ヲ致シテ
居ノタノデアル、其後ニ〓員俸給ガ增額シタ
爲ニ、今日デハ五割以下ニ低下ヲ致シテ居
ルカラシテ今囘一千万圓ヲ增額スルト
丁度ソレガ五割四分ニ當ルモノデアッテ、卽
チ五割四分ニ復舊ヲスル勘定ニナル譯デア
ルカラ、趣旨ニ衝突ノ問題ハ起ラナイト思
フト、斯ウ云フ答辯デアリマシタ
第二ニ政府ハ全額負擔主義ヲ支持スルガ、
全額負擔主義ニ依リ今後更ニ增額スルコトニ
ナレバ、貧弱町村ノ中ニハ旣ニ〓員俸給ノ殆ド
全額ノ交付金ヲ受ケテ居ルカラ、ソレ以上受
ケルコトガ出來ナイ、隨テ今後ノ增額ハ富裕
ナル市町村ノ擁護トナッテ、最モ救濟ヲ必要
トスル貧弱町村ハ少シモ利益ヲ受ケルコト
ガ出來ヌヤウナ結果ニナルノデハナイカ
ト、斯ウ云フ質問ニ對シマシテ、政府ハ全
額負擔主義ヲ支持スル、併シ之ヲ實現ヲス
ルノニハ、無論財政ノ緩急ヲ計リ、諸般ノ
事情ヲ比較〓究シテ之ヲ決行スルノデア
ル謂ハヾ理想ト言フベキモノデアッテ、現
在ノ問題デハナイ、現在ノ問題ハ一千万圓
ノ增額ニアルノデアル、一千万圓ノ增額ハ、
其分配交付ノ率ヲ現行法ノ通リニ實行スル
ノデアルカラシテ、現在最高ノ交付金、卽
チ九割以上ノ交付金ヲ受ケテ居ル貧弱町村
モ、矢張其率ニ依"テ交付金ヲ受クルコトニ
ナルノデアルカラシテ、今囘ノ分ハ決シテ
貧弱町村ヲ無視シテ、富裕ノ町村バカリノ
利益トナル譯デハナイ、全般ノ利益トナリ、
殊ニ貧弱町村ハ一層利益ヲ受クル關係ニナ
ルノデアル、將來ニ於キマシテ更ニ之ヲ增
額シ得ラルヽヤウナ時ガ來レバ御尋ノ問題
ガ起ルカラ、其時ハ更ニ適當ノ方法ヲ考慮
ヲシヨウ、斯ウ云フ答辯デアッタノデアリ
マス
第三ニハ政府ハ今囘ノ交付金ヲ以テ全部
戶數割、家屋稅ノ附加稅、其他ノ負擔ノ輕
減ヲスルト言ッテ居ルケレドモ、交付金ノ增
額ハ地方費ノ膨脹ヲ招來スルノミデアッテ、
負擔ノ輕減ハ出來ヌト思フガドウカ、此點
ニ對シマシテハ、國民精神ノ緊張ト政府
ノ監督ト相俟シテ必ズ實行ガ出來ルト確信
ヲスルト、內務大臣ハ確言ヲ致サレタノデ
アリマス
第四ニ國民ハ地方費ノ財源ヲ要望シテ居
ルケレドモ、〓育費ニ因ル負擔輕減ヲ希望
ヲシテ居ラヌ、是ガ實際ノ實情デアルト云
フ御質問ガアッタノデアリマスガ、之ニ對シ
マシテ、政府ハ津々浦々マデ負擔金ノ增額ヲ
要望シテ居ルノガ實情デアル、事實デア
ル、殊ニ全國ノ市町村長ハ、過日伊勢ノ大神
宮ニ祈願ヲ籠メテ、齋戒沐浴ヲシテ本案ノ通
過スルヨウニト言ッテ、滿場一致ヲ以テ決議
ヲシテ、其請願ヲシテ居ル、之ヲ見テモ國
民意嚮ノ一端ヲ知ルコトガ出來ルデハナイ
カ、斯ウ云フ答辯デアッタノデアリマス
其二ガ財源ニ關係スル質問應答デアリマ
スガ、第一ハ昭和五年度ノ追加豫算ニ現レ
タル所ノ此一千万圓ノ增加ノ金額ハ、是
無論經常歲出デアリマスガ、ソレニ拘リマ
セズ、此臨時歲入デアル所ノ剩餘金ヲ其財
源ニ致シテ居ル、之ニ依リマシテ歲入ニ缺
陷ノアルコト、又此施設ガ不確實デアルコ
トヲ、此一點カラ見テモ明ニ證明ヲスルコ
トガ出來ルデハナイカ、斯ウ云フ質問ガアツ
タノデアリマスガ、之ニ對シマシテ政府ハ、
追加豫算ニ於テハ經常歲出ニ屬スルモノデ
モ、剩餘金ヲ財源トスルハ、豫算編成技術
ニ關スル常例デアッテ、是迄モ大抵其通リニ
ヤッテ居ルノデアル、併シ實際、實質ニ於テハ
〓計表ニ示シテアリマスルガ如ク、昭和五
年度ノ經常歲入ハ十五億圓デアリ經常歲
出ハ十二億圓デアル、此十二億圓ノ中ニ包
含ヲ致シテ居ルノデアルカラシテ、今囘ノ
此增額ノ金額ガ、唯臨時歲入ヲ財源トシテ
計畫ヲ立テヽ居ルモノデハ斷ジテナイ、昭
和六年以後ニ於テモ同樣デアッテ、少シモ此
增額ノ財源ニ付テハ不安ガナイノデアル、
斯樣ニ答辯ヲサレタノデアリマス
第二ニハ昨日モ當議場ニ於テ問題トナッ
タノデアリマスガ、經常歲入、殊ニ租稅、
專賣益金、森林收入等ノ見積ガ過大デアル
ト云フコトニ付テ、詳細ニ亙ッテ質問應答
ガアッタノデアリマスガ、歸スル所政府ハ豐
富ナル經驗ト、知識ヲ有スル責任アル機關
ヲシテ、愼重ニ調査〓究セシメタル上決定
シタルモノデアッテ、決シテ過大デナイ、斯
樣ナ答辯ヲ致シタ譯デアリマス
更ニ第三ト致シマシテ、國庫負擔金ノ增
額ハ、昭和六年度以後ノ新規事業ノ財源ヲ
涸渇セシムルデハナイカ、昭和六年度以後
ニ於テハ新規事業ノ財源ニスルヤウナ金ガ
ナイデハナイカ、斯ウ云フ質問ガアッタノデ
アリマスガ、之ニ對シテ政府ハ昭和五年度
以後ニ於キマシテハ、歲出ノ節約セラル
モノモアルカラ、ソレデ相當ノ剩餘金ヲ生
ズル見込デアルノデ、之ヲ以テ新規事業ノ
財源ニハ支障ヲ來スコトハナイト信ジテ居
ルト答〓セラレタノデアリマス
更ニ第四ト致シマシテ國庫負擔金一千
万圓ノ增額ヲスル餘裕ガアルナラバ失業
救濟其他一層緊急有要ナ事業ヲ爲ス方ガ宜
シイデハナイカ、斯樣ナ質問ガアッタノデア
リマスガ政府ハ失業救濟其他ノ社會政策
モ著々實行ヲ致スガ、本案國庫負擔金ノ增
加モ緊急ヲ要スルコトハ、是等ノ諸問題ニ
決シテ劣ルモノデハナイカラ、政府ハ實行
ヲスルノデアル、斯ウ云フヤウナ答辯ガアツ
タノデアリマス、其他ニモ澤山ナ質問應答
ガアッタノデアリマスガ、是ハ總テ速記ニ讓
ルコトニ致シタイト考へルノデアリマス
討論ニ入リマシテ增田委員ハ民政黨所屬
ノ黨員ヲ代表致シマシテ原案贊成ノ意見
ヲ述ベラレ、倉元委員ハ政友會所屬ノ委員
ヲ代表致シマシテ、黨議未決定ノ理由ニ依
リ、贊否ヲ留保サレタノデアリマスガ、採
決ノ結果、增田委員ノ意見ノ通リ多數ヲ以
テ決定ヲ致シタ次第デアリマス(拍手)本會
議ニ於キマシテモ本案ヲ可決セラレンコト
ヲ切望致ス次第デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=2
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003・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 質問ノ通告ガアリ
マス之ヲ許シマス鷲野米太郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=3
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004・淺川浩
○淺川浩君 請願委員會ヲ開キタイト思ヒ
マスカラ一寸離席ヲ御許ヲ願ヒマス
〔鷲野米太郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=4
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005・鷲野米太郎
○鷲野米太郞君 委員長カラノ只今ノ御報
告ニ依リマシテ、委員長其他委員各位ノ御
努力ト御調査ニ村キマシテハ-御審議ニ
付キマシテハ感謝ニ堪ヘナイノデゴザイマ
スルガ、私ハ尙ホ了解致シ兼ル點モアリマ
スルノデ、二三政府ニ向テ質疑ヲ致シタイ
ト考ヘルノデゴザイマス
此間題ハ金額カラ言ヒマシタナラバ、僅
カ一千万圓ノ問題デアルノデアリマスケレ
ドモ、事ノ影響スル所、及將來ノ國庫ノ負
擔ヲ多カラシムル方面カラ考ヘマスルト云
フト、地租、營業收益稅ノ委讓問題ト同樣
ニ、財政上カラ考ヘマシテモ重要チ問題デ
アルノデアリマスルガ、此重大ナル問題ノ
審議ト致シマシテハ、私ハ委員會ノ審議ハ
マダ不十分ノ嫌ガアルト考ヘルノデゴザイ
マス、委員長ノ御報告ニ依リマスト云フト、
政府ハ今マデ國ノ方針トシテ決"テ居ッタ連
帶支辨主義ヲ抛ッテ、金額國庫負擔主義ヲ採
ルト云フ方針ヲ政府ガ明カニセラレタサウ
デアリマスガ、七千万圓ヲ七千五百万圓ニ
スルトカ、或ハ六千五百万圓ヲ七千五百万
圓ニスルト云フ問題ハ、ソレハ根本ノ問題デ
ナイノデアリマスルカラ、變更ヲ致シマシ
テモ、增額ヲ致シマシテモ、五割ガ五割五
分ニチラウガ、ソレヲ文政審議會ニ掛ケル
トカ云フヤウナ手續ヲ經ル必要ハナイト考
ヘルノデアリマスケレドモ、苟モ連帶支辨
主義ヲ抛シテ、全額負擔主義ヲ採ルトスルナ
ラバ、相當成規ノ手續ヲ經テ文政審議會
ノ議ニ付スルナリ、其他ノ手段ヲ執ルト云
フコトハ、私ハ適當ヲコトデアラウト考へ
ルノデゴザイマス(拍手)是ハ〓育ノ根本ノ方
針ニ關スル、國是ニ關スル問題デアルノデ
アルカラ、民政黨ガ單ニ選擧ニ當ッテ選擧民
ニ對シテ公約ガアルカラト言ッテ(拍手、
ノー〓〓)單ナル民政黨ノ立場カラ、千
万圓增額ヲ突如トシテ提出シテ、サウシテ
將來國庫ニ大ナル負擔ヲ脊負フヤウナコト
ヲ輕々ニ爲スト云フコトハ私ハ非常ニ遺
憾ト考ヘルノデアリマス(拍手)之ニ付キマ
シテ第一政府ノ御考ヲ承リタイノデゴザイ
マス
ソレカラ第二ト致シマシテ假ニ政府ノ全額
國庫負擔主義ガ適當ト致シマスルナラバ
ソレハ〓育ノ事務ハ.勿論國ノ事務デアルケ
レドモ現在ハ國ノ事務デアル所ノ〓育ノ
事務ヲ、地方ノ自治體ヲシテ之ヲ行ハシメ
テ居ルノデアルカラー-地方自治體ノ仕事
トナッテ居ルノデアルカ、ソレヲ國ガ全額負
擔ニスルト云フ方針ヲ採ルナラバ、ソレハ
國庫ノ支辨ト云フ方針ニスルノデアルカ
全額負擔ノ主義ヲ採ッテモマダ地方自治體ノ
仕事トシテ、地方自治體ニ全額ヲ補助シテ、
サウシテ廻リ諄イコトヲヤルノデアルカ
全額負擔主義ヲ採ルナラバ〓員ハ國ノ官
吏ト同樣ノ立場ニナッテ、國カラ直接俸給ヲ
支辨スル方針デアルカ、玆ニ色々ナ問題ガ
起ッテ來ルノデアリマス、尋常小學〓員ノ
俸給ヲ全額國庫ガ負擔シテ、サウシテ國費
支辨ヲ御認メニナッテ、國ノ官吏トシテフ立
場ヲ與ヘルト致シマススルト、高等小學ノ
〓員ハドウナルカ、或ハ中等諸學校ノ〓員
ハドウナルカト云フ身分上ノ問題モ起〃テ
參ル、中々事容易ナ問題デナイト考ヘルノ
デアリマス、苟モ全額負擔主義ヲ採ルト云
フコトヲ議會ニ向シテ聲明シタ以上ハ、此
問題ニ付テモ十分ノ御〓究、御考慮ノア
ルコトヽ考ヘルノデアリマスガ、之ニ付テ
總理大臣ナリ、文部大臣ナリノ御所見ヲ伺
ヒタイト考ヘルノデアリマス
ソレカラ簡單ニヤリマスガ、其次ハ財源
ニ關スル問題デアルノデアリマスヽ私ハ昭
和五年度ノ財源問題ハ多少意見ガアルノ
デアリマスガ、敢テ申シマセヌ、昭和六年
以後ノ此義務〓育國庫負擔增額ノ一千万圓
ハ矢張他ノ七千五百万圓ト同樣ニ、經常
歲入ヲ以テ其財源ニ充テヽアルト云フヤウ
ナ政府ハ御說明デアッタサウデアリマスガ、
果シテ昭和六年度以後ニ於テ、政府ノ歲入
歲出概計表デ謳ッテアルヤウニ、私ハ歲入ガ
十分デアルカドウカト云フコトヲ、政府ニ
對シテ伺ヒタイノデアリマス、ソレハ震災
地ノ府縣市町村等ニ貸付ケテアル所ノ貸付
金ノ年賦償還、及各私立學校ニ對シテノ貸
付金ヲ年賦償還額ガ大分多額ニ上リ、又保
險會社ニ對スル助成金ノ年賦償還モ相當ノ
額ニ達スルコトニナッテ居リマスガ、是ガ都
合合セテ一千三、五百万圓ニナル計算ニナ
ルノデアリマスガ、是ガ政府ノ昭和六年度
以後ノ經常歲入ノ中ニ謳ハレテ居ルノデア
リマスガ、此金額ハ全部果シテ取立ガ出來
ル見込デアルカドウカ、私ノ見ル所デハ全
部ノ取立ハ不可能デアルト考ヘルノデアリ
マス、又東京橫濱ノ震災復興復舊ニ關スル
外債ノ利子ノ補給問題デアルノデアリマス
ガ、是ガ昭和五年度ニ於テハ政府ハ補給
シナイト云フ御意思デアルサウデアリマス
ケレドモ、六年度以後ニ於テハ必ズ此問題
ガ起ッテ參ル、サウスルト政府ハ厭々ナガラ
デモ、東京市及橫濱市ニ對スル外債利子ノ
支拂ノ補給ト云フコトヲ執ラナケレバナラ
ヌ所ノ運命ニ、私ハ逢著スルト考ヘルノデ
アリマス、サウ致シマスト此補給ノ爲ニ七、
八百万圓ノ金ノ支出ヲ要スルノデアリマ
スガ、サウ致シマシテ之ヲ〓算致シマスル
ト、二千万圓近イ所ノ金ト云フモノガ、政
府ノ豫定ノ歲入、歲出ノ〓算表カラ別ニ出
テ行カナケレバナラヌヤウニナルノデアリ
ママ、此點ニ付テ政府ハドウ云フ御考デア
ルカ、其邊ヲ御尋致シタイト考ヘルノデア
リマス
第四ハ救護法ノ問題デアリマスガ、救護
法ハ昨年ノ議會ニ於テ、本法ハ昭和五年度
ヨリ必ズ之ヲ實施スベシト云フ付帶決議ガ
付イテ、滿場一致デ以テ衆議院ヲ通過シ、
貴族院ヲ通過シタ所ノ重要ナル法律デアル
ノデアリマス、此重要ヲ法律、而モ本法ハ
昭和五年度ヨリ必ズ之ヲ實施スベシト云フ
付帶決議ガ付イテ居ルヤウナ重要ナ法律、
而モ今日ノ此不景氣ノ深刻ナル、失業者ガ
澤山出テ〓フニ困ッテ居ルヤウナ人間ガ澤
山アル時ニハ、何ヲ扱置イテモ救護法ノ實
施ト云フコトヲ急ガナケレバナラヌノニ、
政府ハ斯ウ云フ重要ナ法律ノ實施マデ差措
イテ、而モ根本ノ大キナ問題ガ解決ヲセナ
ケレバナラヌ、正當ナ方法ヲ執ラナケレバ
出來ナイヤウナ〓育費ノ全額國庫負擔主義
ト云フコトヲ聲明シテ、此千万圓ノ義務
〓育費國庫負擔ノ增額ヲ試ミテ、サウシテ
餘リ國民ハ之ヲ要望シテ居ナイケレドモ、
(ノー〓〓)選擧ノ時口約シタ立場カラ、自
分ノ黨勢ノ擴張ノ都合カラ、比較的不急ナ
此問題ノ解決ニ非常ニ力ヲ注イデ、殆ド死
物狂ニナッテ居ルト云フ其御所見ヲ私ハ伺
ヒタイト考ヘルノデアリマス
〔國務大臣濱口雄幸君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=5
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006・〓〓〓〓
○ 國務大臣(濱口雄幸君)鷲野君ノ御質問
ニ御答申シマス第一問ト第二問トハ質問
者ノ目的ハ違クテ居フタヤウデアリマスケレ
ドモ、私トシテハ是ハ一括シテ御答スル方
ガ便宜ト考ヘマス
全額負擔ノ主義ヲ採ル以上ハ、文政審議
會ノ議ニ付スルナリ、共他相當ノ手續ヲ執
ルベキモノデハナイカト云フ御趣意デアリ
やく、全額負擔ノ主義ヲ政府ハ支持ハ致シ
テ居リマス、併ナガラ之ヲ將來實現スル爲
ニハ其時々ノ財政ノ緩急ヲ圖リ、又社會上、
經濟上、總テノ問題ヲ綜合〓究致シマシテ、
年々財政計畫ヲ立テル場合ニ於テ之ヲ決定
スルモノデアリマス、隨シテ今日現實ノ問題
ニナッテ居リマスモノハ全額負擔ノ問題デ
ハアリマセヌ、卽チ一千万圓增額ノ問題デ
アリマス(拍手)隨テ此議場ニ於テ御審議ヲ
願フ範圍ハ一千万圓ノ增額ノ案ダケデア
リマス此程度ニ於テハ未ダ文政審議會ノ
諮問ニ掛ケル程度ノモノニ非ズト確信ヲ致
シマス將來全額負擔ト云フコトヲ具體化
シテ法律案ヲ出ス時ニ於テハ、只今ノ如キ
御質問モ起ルデアリマセウ、今日ノ程度ニ
於テハ左樣ナルコトヲ政府ハ考ヘル必要ハ
ナイト思ヒマス
隨テ第二問ニ對シテモ同樣ノ趣意ヲ以テ
御答スルコトガ出來マス、第二問ノ目的ハ
全額負擔ヲ實行シタ場合ニ於ケル〓員ノ資
格、其他身分上ノ問題等デアッタノデアリ
マス、是ハ全額負擔ヲ實行スル時ノ問題デ、
今日ハマダ問題ニハナッテ居リマセヌ
第三ノ財源ノ問題ニ對シテハ、是ハ大藏
大臣ヨリ答辯ガアラウト存ジマス
第四ノ救護法ノ問題、是ハ救護法ノ實行
ハ私モ其必要ヲ十分ニ認メル、併ナガラ此
特別議會ニ於テハ先以テ全國民ノ最モ要望
シテ居ル所ノ(「ノー〓〓」拍手)〓育費ノ增
額卽チソレニ依ッテ市町村稅ノ負擔ノ輕
減ヲ圖ルト云フコトヲ先ニ致シタノデアリ
マス(拍手)無論救護法ノ無用ナルコトヲ論
ズル者デハアリマセヌ、其必要ハ十分ニ之
ヲ認メテ居リマスルガ、其實行ニ付キマシ
テハ昭和六年度ノ財政計畫ヲ樹テルニ當ッ
テ、十分ノ厚意ヲ以テ之ヲ考慮致シマス、
(拍手)
〔國務大臣井上準之助君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=6
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007・〓〓〓〓
○ 國務大臣(井上準之助君)義務〓育費ノ
國庫負擔ノ財源ニ付テノ御尋デアリマシタ
ガ、其中デ保險會社ノ納付金、是ハ三百五
十五万圓アリマスガ、只今將來ノコトニ付
テノ御疑ガアリマシタガ、是迄ハ殆ド間違
ナク、ズット返濟ガ出來テ居リマス、今後ニ
於キマシテモ間違ナク必ズ入ルト思ッテ居
ル次第デアリマス、尙ホ震災地ノ貸付金ノ
償還金ノ御質問ガアリマシタガ、是ハ總額
デ年々千百万圓アリマス、其中デ確ニ取レ
ルト思ッタダケノモノヲ一一百七十万圓程此
昭和五年度ニ入レテアリマスカラ、是ハ必
ズ囘收ガ出來ルト確信シテ居リマス、總額
全部入レタ譯デハナイノデアリマシテ其
中デ拾ヒ上ゲテ確ニ償還ノ出來ルモノダケ
ヲ入レタノデアリマスカラ、サウ御承知ヲ
願ヲテ置キマス、ソレカラ公共團體ニ對スル
外債ノ利息ノ補給ト云フヤウナ問題ガアリ
マシタガ、是ハ各公共團體ノ財政ノ整理如
何ヲ見マシテ、サウシテ此昭和六年度ニ於
テ考究スル積リデアリマスカラ、サウ御承
知ヲ願ヲテ置キマス
〔鷲野米太郞君登壇〕
鷲野米太郞君只今濱口總理大臣カラ御
答辯ガゴザイマシテ(「能ク分シタ」ト呼フ者
アリ)分シタ所モアレバ、分ラヌ所モアルノ
デアリマス、分ッタ所ハ言葉ダケハ分ッタノ
デアリマスケレドモ其根本ノ問題ニ付テ
若シ總理大臣ノ御答ガ本當ニ總理大臣ノ御
考デアルトスルナラバ、總理大臣ハ此問題
ノ重要性ト云フモノヲ御認メニナッテ居ラ
ナイデ、餘リ之ヲ簡單ニ考ヘ過ギテ居ル
ノデゴザイマス、苟モ國庫全額負擔主義ヲ
採ルト云フコトヲ委員會ナリ其他ニ於テ之
ヲ聲明シタ以上ハ、ソレニ對シテ適法ナル
所ノ處置ヲ執ッテ、此問題ノ解決ニ當ラナケ
レバナラヌト考ヘルノデアリマス、寧ロ私
ヲシテ言ハシムレバ、此問題ハ一千万圓ノ
增額ノ法律案トセズニ、根本ノ問題トシテ
小學校〓員ノ俸給ハ全部國庫ガ負擔スルト
云フ、其法律ヲ作ラナケレバナラヌモノト
私ハ考ヘルノデアリマス、ソレヲ姑息ニ、
單ニ一千万圓ノ增額トシテ提案ヲシテ、サ
ウシテ色々ト非難批評ガアルト云フト、說
明ノ都合ヤ、其爲ニ全額負擔主義ヲ採ルト
カ云フヤウナコトヲ仰シヤルノデアリマス
ルケレドモ餘リ是ハ彌縫ニ過グルト考ヘ
ルノデアリマス、一體濱口內閣ハ總テノ問
題ニ付テ日頃ハ民衆ニ對シテハ如何ニモ合
理的ニ、論理的ニ、民衆ニ對シテ色々ノ聲
明ヲスルケレドモ、イザ局ニ當ルト云フト
總テ勇氣ヲ缺イテ、勇斷ヲ缺イテ、實行力
ニ乏シイ嫌ガアル、例へバ軍備縮小ニ關ス
ル、陸軍ノ整理ニ關スル問題デアッテモ、行
政整理ノ問題デアッテモ、減稅ニ關スル問
題デアッテモ、其他ノ問題ニ付テモ總テサ
ウデアルノデアリマス、又譬ヘテ見マスル
ト云フト、樞密院ヲ彈効シテ、サウシテ樞
密院ノ改革ヲヤラナケレバナラヌト云フ
ノハ民政黨ノ諸君ガ···
〔拍手、發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=7
-
008・〓〓〓〓
○ 議長(藤澤幾之輔君)注意シマス、鷲野
君-鷲野君、議題外ニ涉ラヌヤウニ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=8
-
009・〓〓〓〓
○ 鷲野米太郞君(續)議長ノ注意ガアッタ
カラ其問題ハ止シマスガ、兎ニ角勇斷ヲ缺
キ、サウシテ色々ト世間ノ非難トカ、攻擊
トカ、或ハ障碍ヲ恐レテ、事勿レ主義ヲヤ
ルカラ、斯ウ云フ問題ニ打突カルノデアリ
マス、〓育費國庫負擔ノ問題ト云フコトハ、
決シテ簡單ナ問題デナイ、民政黨ハ地租及
營業收益稅ノ委讓ノ問題ニドウ云フ態度
ヲ執ッタカ、其態度ガ善イトカ惡イトカ云フ
コトハ別トシテ、アレ程非常ナル努力ヲシ
テ、サウシテ非常ナル論戰ヲ鬪ハシテ、到
頭貴族院ニ於テ握リ潰シヲシタデハナイカ、
ソレニ此義務〓育費國庫負擔ノ問題ト云
フモノハ、吾々ノ立場カラハ十分愼重審議
ヲ盡サナケレバナラヌ、委員會ノ皆サンハ
努力ヲ爲サレタノデアルガ、私ハモウ一步
進ンデ此根本ノ問題ニ付テ審議ヲ盡サナ
カッタコトヲ非常ニ遺憾トスルノデアリマ
ス、之ニ就キマシテ更ニ濱口總理大臣ノ御
答辯ヲ求ムル次第デアリマス
〔國務大臣濱口雄幸君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=9
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010・國務大臣(濱口雄幸君)
○國務大臣(濱口雄幸君) 鷲野君ノ再度ノ
御質問デアリマシタガ是ハ初メノ答辯ニ
依ッテ十分ニ御了解ガ出來テ居ル筈デアリ
きく、是以上答辯スル必要ハアリマセヌ
ソレニ附帶シテ樞密院ガ何デアルトカ、種
種ノコトガアリマシタガ、是ハ問題外、答
辯ノ限リデナイ
卷議長(藤澤幾之輔君)是ヨリ討論ニ入リ
マス、岡田忠彥君
〔岡田忠彥君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=10
-
011・岡田忠彥君
○岡田忠彥君 諸君、昨日ノ議場ニ於キマ
シテ我黨同志ハ今年度ノ追加豫算ニ付テ
ハ、殆ド總テ輕卒不謹愼ノ至リデアルニ依。ソ
テ、政府ハ再ビ之ヲ編成替ヲ致シテ提出アル
ベシト云フ意見ヲ出シタノデアリマス、私
ハ其當然ノ歸趨トシテ、本案ニ對シテハ反
對否決ノ意見ヲ述ベタイト思フノデゴザ
イマス(拍手)此千万圓ノ國庫負擔金ノ增額
ニ付テハ其財源論ニ付テ昨日同志ヨリ詳
細盡シテアリマス、私ハ重複ヲ避ケタイノ
デアルガ、聊カ違ヲタ方面ヨリ此財源論ニ
付テ意見ヲ述ベテ見タイト思ヒマス
曩ニ委員會ニ於テ我黨同志ヨリ斯ル恆久
的ノ財源ニ對シテ剩餘金ヲ以テ之ニ臨ムト
云フコトハ、甚ダ本末ヲ誤ッテ居ルデハナ
イカト云フコトヲ質問ヲ致シタ所ガ、大藏
大臣ハ待構ヘテ居ッタト云フヤウナ顏色ヲ
サレマシテ、何ト言ッタカ、卽チ實行豫算ノ
〓計表ニ於テ牧支ノ計算ハ明カニナッテ居
ル、其均衡ヲ得テ居ルニ依ッテ、何モ心配ス
ルコトハナイト云フ御答辯デアッタノデア
リマス然ラバ其概計表ノ提出ヲ求メテ之
ヲ拜見スルト云フト一枚ノ紙デアル、而
モ此〓計表ナルモノハ此備考ニ書イテアル
通リニ、別表ハ大體ノ計算ヲ示シテ參考ニ
供スルモノデアルト云フコトハ備考ニ書
イテアル、苟モ恆久ノ財源ニ亙ル重大ナル
財源ヲ論ズルニ當ッテ、此簡單ナル一ケン
〓計表ヲ以テ、吾々ハ信ズルコトハ斷ジテ
出來ナイノデアリマス、ノミナラズ平常ノ
場合ニ於テハ或ハ此〓計表ヲ以テ多少ノ
論據ト爲シ得ルデアリマセウ、然レドモ今
日ハ如何ナル時デアルカ、卽チ政府ガ極端
ナル緊縮ノ政策ヲ斷行致シテ、經濟界ハ異
常ノ萎縮ヲ來シテ居ルデハアリマセヌカ、
此異常ノ時ニ當ッテ、十年間ヲ見通シテ居ル
所ノ此〓計表ヲ以テ、何ガ根據トナルノデ
アリマスカ、私ハ斯ル空漠タル〓計表ヲ以
テ、各市町村ノ恆久財源ヲ作ル所ノ議論ノ
根據トサレルト云フコトハ、甚ダ大藏大臣
ノ常識ヲ疑フノデアリマス(拍手)卽チ政府
ガ昭和四年度ノ帝國議會ノ意見ヲ以テ確立
致シタ所ノ豫算ヲ、其自己ノ權ニ依ッテ勝
手ニ削除切捨ヲ加ヘテ置イテ、其實行豫算
ナルモノヲ基調トシテ、而モ此經濟界ノ不
景氣ノ眞唯中ニ於テ、ソレヲ根據ト致シテ、
十年間ノ計算ヲ立テルト云フコトハ是程
無謀ナコトハナイノデアル、故ニ吾々ハ此
〓計表ヲ離レテ、政府ノ現實ニ見込ンデ居
ル所ノ歲入ハ如何デアルカト云フコトヲ、
或ハ稅目ニ亙リ、或ハ稅外ノ收入ニ亙ッテ、
詳シク政府ノ意見ヲ求メクノデアルナレド
モ、少シモ首肯スベキ所ノ材料ヲ得ルコト
ガ出來ナイノデアル、政府ハ歲入ノ見積替
ヲ致スト申スノデアルナレドモ、吾々ノ見
ル所ニ依レバ、其減額ニ屬スル部分ニ付テ
ハ、殆ド申譯的ノ減額ヲ加ヘテ置イテ、其
增ニ屬スル分ニ於テハ、或ハ專賣局ノ收入ニ
於テ、或ハ森林ノ收入ニ於テ、或ハ所得ノ
收入ニ於キマシテ、非常ナル過大ノ見積ヲ
致シテ居ルコトハ、是ハ明瞭デアル、吾々ハ
減額ト云フモノヲ幾ラ少ク見積ッテモ、四五
千万圓ノ減額ト云フモノハ確ニアル、今日
各會社ガ悉ク爭フテ其減配ヲ致シテ居リ、
或ルモノハ減俸ヲ致シテ居ルト云フ、此時
代ノ趨勢ヲ捉ヘテ見テモ、如何ニ我國ノ租
稅ガ今年度ニ於テ、又來年度ニ於テ減ズベ
キモノデアルト云フコトハ何モ大藏大臣
ヲ俟タヌデモ、常識ヲ以テ容易ニ之ヲ判斷
スルコトガ出來ルト思フノデアル、デ政府
ハ此〓計表ニ於テ、將來ノ財源ハ何處ニ求
メルカト云フコトヲ見ルト、昭和六年度ニ
於テ僅ニ五十五万圓ノ剩餘金ヲ殘シテ居ル
ヤウデアル、差引ノ殘ガアルヤウデアル、七年
度ニ於テハ六十餘万圓アル、八年度ニ於テ
ハ八十餘万圓、僅ニ此少シバカリノ財源ヲ
以テ、將來ノ事業ニ當ラント致シテ居ルノ
デアル果シテ政府ハ今日ノ緊縮ノ政策ナ
ルモノヲヲ十年間ニ亙ッテ之ヲ斷行セン
トスル勇氣ガアルノデアルカ、若シ其緊縮
ノ政策ヲ斷行シ得ルトスルナラバ將
來ニ於ケル財源ハ何處ニ之ヲ求メルノデ
アリマスカ、ノミナラズ先程鷲野君ノ御
質問ニ對シテ大藏大臣ノ御答辯デアツ
タノデアルガ、成程震火災ニ對スル公共
團體、若クハ保險會社、是等ニ對スル貸付
金ト云フモノハ、其一部分ガ戾ルト云フコ
トハ先程大藏大臣ノ御辯明ノ通リデアリ
マスガ、共額ハ本年度ニ於テ僅カ二百三十
万圓、是ガ確實デアルト云フコトデアル、
六年度以後ニ於テハ如何ニサレテ居ルカ、
此〓計表ニハ必ズ載ッテ居ナケレバナラ
ヌモノデアル、何故ナラバ此償還額ト云フ
モノハ國家ガ契約ヲ以テ之ヲ貸シテ居ル
モノデアル以上ハ當然概計表ニ載セナケ
レバナラヌモノデアルト私ハ信ズルモノデ
アル、國家ノ權利デアル、其金ガ凡ソ年々
千四百万圓アルノデアルガ、大臣ハ此金ヲ
何處カラ生出サウト致シテ居ルカ、此全部
若クハ一部ト云フモノハ、六年度以後ニ於
テ、確ニ國家ノ收入ニ吳リ得ルト云フ確信
ヲ持ッテ居ラレルカ、是亦常識ヲ以テシタナ
ラバ、サウ云フヤウナ確信ヲ持ツコトハ斷
ジテ出來ヌト私ハ思フノデアリマス、又東
京市及ビ横濱市ノ外債ノ利子ノ補給、新聞
ニ依ッテ見テモ、こ屢。兩市ノ市長ガ大藏大臣
及ビ總理大臣ニ面謁ヲ致シテ、其利子補給
ヲ求メタ、此兩市ノ今日ノ財政ノ狀況ヲ見
タナラバ、利子ノ補給ヲ求メルト云フコト
ハ是ハ已ムヲ得ナイ、然ルニ拘ラズ大藏
大臣ハマア將來ヲ待ッテ居レ、此次ノ豫算
デ考ヘテヤルト云フ位ノ生溫イ返事ヲ致シ
テ、遂ニ此緊急ナル所ノ利子ノ補給ヲ、此
追加豫算ニ計上シ得ナカッタノデアル、斯ノ
如クニ、日本ノ最モ大ナル都會デアリ、帝
都デアル東京市其モノガ利子ノ補給ヲセ
ンガ爲ニ、又更ニ市債ヲ募ッテ其利子ヲ補ッ
テ行カナケレバナラヌ、斯樣ナ狀況デハア
リマセヌカ、隣邦支那ニ於テハ、左樣ナ事
實ガアルケレドモ、我ガ帝都ノ眞中ニ於テ、
斯樣ナ公債ノ利子ヲ又公債ヲ以テ拂フト云
フ、斯樣ナ醜體ヲ演ジテ居ル、之ヲ放任シ
テ置イテ、飜テ千万圓ト云フ不確定ナル財
源ヲ撿出シテ、市町村ニ渡スト云フコトハ、
私ハ緩急ノ度ヲ全ク誤〓テ居ルモノデアル
ト信ズルノデアリマス、斯ノ如ク致シテ、
兩市ノ利子補給ハ七八百万圓ニ年々亙ルモ
ノト思フ、又各公共團體、保險會社、私立學
校ニ對スル貸金ノ償還金モ、年々蓋シ千四五
百万圓ニ達スルモノト私ハ思フ、サウ致シ
タナラバ、此二千二三百万圓ノ昭和六年以
後ニ於ケル缺陷ハ、如何ニシテ之ヲ補フノ
デアリマスカ、之ヲ補ハナケレバナラヌト
スレバ、市町村ノ千万圓ハ如何ニシテ出サ
ントスルノデアリマスカ、其權衡ヲ考ヘ
國家ノ權利ノアルコトヲ考ヘタナラバ、私
ハ此一事ヲ以テシテモ如何ニ政府ノ財政ニ
對スル將來ノ見込ガ薄弱デアルカ、確信ガ
ナイカト云フコトハ明瞭デアルト思フノデ
アル、假ニ數百步ヲ讓ッテ、政府ハ將來ニ
向シテ、何カ確信ガアルト致スノデアリマセ
ウ、左樣ニ致シテ此〓計表ナリ、收入ノ見
込ガ確ナモノト致シテモ、尙ホ玆ニ政府ハ
考ヘ殘シテ居ル事ガアルデナイカ、何故ナ
ラバ政府ハ今囘ノ豫算ニ於テ、千万圓ノ國
庫負擔增額ヲ中軸トシテ此豫算ヲ編ンデア
ルヤウデアルガ、果シテ此國情ヲ顧ル時ニ
於テ、千万圓ノミガ最モ須要ナルモノデア
ル、最モ緊急ナルモノデアル、最モ之ヲ先
ニ議スベキモノデアルカドウカト云フコト
ヲ考ヘタナラバ甚ダ疑ヲ存スルモノガ多
イノデアリマス、卽チ先程鷲野君ノ御質問
ノ如ク、昭和五年度ヨリ直ニ實行スベシト
云フ條件迄付ケテ、院議ヲ以テ之ヲ決メタ
所ノ救護法ノ、實施ハドウ致シタカ、殊ニ
政府ガ此不景氣ヲ招來致シテ、最モ其必要
ヲ感ジテ居ル所ノ救護法、卽チ一般普通ノ
最モ社會ノ窮乏セル者ヲ救フト云フ精神ニ
立脚セル所ノ救護法ト云フモノヲ捨テヽ
市町村ノ補給ノミニ向ケルト云フ大ナル精
神ガ分ラヌノデアル、ノミナラズ政府ハ尙
ホ色々ノ仕事ヲ持ッテ居ルヤウデアル、救護
法、或ハ減稅、或ハ失業問題、或ハ小作法
ノ問題、勞働組合法ノ問題、地方ノ稅源ノ
問題、農村ノ救濟ノ問題、肥料ノ配給ノ問
題數ヘ來レバ幾ラデモ當面ノ急務ト云フ
モノハアルノデアル、失業ノ保險ハドウナツ
テ居ルカ、軍縮會議ハドウナッタノデアル
カ、又中小商工業者ニ低利資金ノ供給ハド
ウナッタノデアルカ、斯樣ナル事ヲ考ヘ來ル
ト云フト、政府ハ何ノ爲ニ此千万圓ノミヲ
左樣ニ血眼ニナッテ提案サレルカト云フコ
トノ趣旨ガ頓ト分ラナイ、井上大藏大臣
ハ、財源ノ質問ヲ致シタ時ニ何ト言ハレタ
カト云ヘバ、如何ニモ諸君ノ御質問ノ如ク
ニ、財源ハ是シカナイ、將來ノ急ニ應ズル
場合ニハ國費ヲ減ジテヾモ此辻褄ヲ合ス積
リデアルト、斯樣ナル大膽ナルコトヲ仰セ
ラレテ居ルノデアルガ、面リ大ナル事業ニ
向ッテ如何ニ爲スカト云フコトノ、經綸抱負
ノ少シモナイト云フコトハ甚グ私ハ我ガ
帝國ノ大藏大臣トシテ遣憾ニ思フノデアル
(拍手)
ノミナラズ玆ニ一ツノ見逃スベカラザル
コトハ、法律ヲ改正致シテ市町村ノ補助金
ヲ增サウト試ミルノデアル、今囘ノ此法律
ヲ以テ國家ヲ拘束スベキ所ノ重大ナル案件
ト云フモノヲ、何等ノ確信アル所ノ根據モ
ナクー財源ニ於テノミナラズ全額負擔ト
云フ、將ニ來ルベキ其大ナル問題ニ付テ、
何等ノ確信モナクシテ此法律案ヲ出シテ、
國家ニ八千五百万圓ト云フ拘束ヲ加ヘルト
云フコトハ私ハ國家ニ對シテ非常ニ不忠
ナルモノデアルト斷言シテ憚ラナイモノデ
アル(拍手)
更ニ一轉ヲ致シテ、此千万圓ト云フモノ
ヲ、假ニ地方ニ配給ヲ致シタトシタナラバ、
如何ナル結果ガ起ルカト云フコトヲ〓究シ
テ見タイ、政府ハ今囘ノ一千万圓ニ限リ
之ヲ〓員ノ增俸其他ノ費目ニ流用ハ許サナ
イ、偏ニ之ヲ以テ町村ノ家屋稅若クハ戶數
割其他ノ稅率ノ輕減ニ充テシメル積リデ
アル、斯樣ニ申シテ居ルノデアル、而シテ此
基ク所ハ勅令ノ規定ニ依リテ其使途ヲ命ズル
コトガ出來ル、此勅令ノ規定ニ依ッテ、他ノ
仕事ニハ用ヒラレナイ、必ズ稅率ノ輕減ニ
充テロト云フコトヲ命ズルト云フコトヲ
屢〓明言サレテ居ルノデアルガ、是ガ若シ左
樣ナ趣旨デアッタナラバ、何處ニ〓育ノ改善
ト云フ趣旨ガ籠レルカト云フコトヲ問ヒタ
イノデアリマス、何處ニ〓育改善ノ趣旨ガ
在ルカ、地方ノ稅率ヲ減ズルト云フコトノ
ミガ、何ヲ以テ〓育改善ニ資シ得ルカト云
フコトヲ聞イテ見タイノデアルノミナラ
ズ政府ハ此千万圓ヲ以テ專ラ地方稅ノ輕減
ニ當テルト云フノデアルガ、今日全國一万
二干ノ町村ハ、如何ナル狀況ニ居ルカト云
フコトヲ〓究シテ見タイノデアル、今日政
府ハ法令若クハ法令以外ノ强壓ヲ用ヒテ
現ニ各市町村各府縣ト云フモノハ極端ナル
豫算ノ緊縮ヲ行ハレテ居リマス、既ニ緊縮
ヲ行ヒ、旣ニ稅率ノ減額ヲ行,テ、年度半バ
ニ居ルノデアルガ、今日此處デ千万圓ノモ
ノヲ決議致シテ、之ヲソロ〓〓ト來年ノ二
三月ニ至ッテ町村ニ之ヲ配給致シタ所デ、何
ガソレガ町村ニ對シテ減稅ノ效果ガアル
カ、加之假ニ此金ト云フモノヲ全國ノ一万
二千ノ町村ニ分ツトナッタナラバ、ドウナル
カト云フコトハ計算シテ見タラ直グ分ル
日本全國ノ戶數ハ千二百万戶デアル、千二
百万戶ヲ以テ千万圓ヲ割レバ明瞭デアル、
卽チ一戶平均僅ニ八十錢ニシカナラヌ、其
僅カ八十錢ノモノヲ、之ヲ現在ノ率ニ依ッ
テ配給致スト市ニ於テハ僅ニ二三十錢
貧弱ナル町村ニ於テモ蓋シ一圓ヲ超サヌデ
アラウト思フノデアル此僅カノ金ヲ配給
ヲ致シテ、結局或ル町村ニ於テハ僅ニ二十
圓、或ハ三十圓位シカ增額トナリマセヌ
二十圓ノ增額ハ僅ニ町村役場ノ人ノ新年
宴會ニモ足ラヌデハナイカ、左樣ナコトヲ
大キナ聲ヲシテ、町村財政ノ輕減ナドヽ云
フコトハ所謂羊頭ヲ懸ケテ狗肉ヲ賣ルモ
ノデアルト私ハ斷言セザルヲ得ナイノデア
ル(拍手)今ヤ農村ノ產物ハ政府ノ金解禁
ノ結果トシテ一時ニ暴落ヲ致シテ居ル、其
損害ハ何億ニ上ッテ居ルガ、其何億ト云フ損
害ノ中ニ向ッテ、此千万圓ヤ二千万圓投ゲタ
所ガ何ノ效能ガアルカ、寧ロ政府ハ農村ノ
振興ニ向ッテ全力ヲ注グト言フコソ、今日
ノ政府ノ努ムベキ所デアルト私ハ信ズルノ
デアル(拍手)
若シ假ニ一千万圓ノ決議ヲ以テ、而モ一
面ニ於テハ先程申ス如ク、政府ガ過大ノ收
入ヲ見積ッテ、歲出入ノ均衡ヲ取ッテ置イテ
之ヲ遂行シタナラバ、私ハ農村ガ一千万圓
得ル代リニ於テ、昨日モ同僚ガ申シタ通リ
苛歛誅求ノ結果ニ陷リ、其損害ト云フモノ
ハ洵ニ言フニ忍ビザルモノガアルト思フノ
デアリマス(拍手)ノミナラズ之ヲ減稅ノミ
ノ方針ニ用ヰルト云フノデアルガ、私ハ此
點ニ付テモ疑ヲ挾ム者デアリマス、今各市
町村ハ先程中ス如クニ、政府ノ極端ナル干
涉ノ下ニ實行豫算ノ緊縮ヲ致シテ、非常ニ
窮屈ナル行政ノ執行ヲ致シテ居ル、千万圓
ラ與ヘテ、之ヲ以テ減稅ヲシロ、ソレ以上
ニ增稅ヲスルコトハ出來ナイト云フコト
二、政府ガ若シ監督ヲスルナラバドウナル
カ、私ハ今日ノ町村ハ僅カ二十圓、先程申
ス如ク或ハ二百圓或ハ五百圓ノ補助ヲ貰
タバカリニ、其補助ノ有ラン限リ、永久ニ
町村ガ其必要ニ應ジテ租稅ヲ增スコトガ出
來ナイコトニナル、左樣ナ不合理ナコトガ
何處ニアルカ、殊ニ政府ハ去年八月訓令ヲ
發シテ、府縣ノ豫算ハ一割五分以上減ズル
ヤウニ、又市町村ノ豫算モ之ニ準ズルヤウ
ニト云フ訓令ヲ發シ、又之ニ續イテ地方局
長ノ通牒ナルモノヲ發シテ、町村ノ財政ノ
監督ヲ爲シテ居リマスガ、私ハ此監督ナル
モノガ實際ニ於テモ實行ガ出來ナイノミナ
ラズ、此政府ノ監督ノ方式ヲ遂行スル事ガ、
我國ノ市町村制ノ精神竝ニ其條文ニ牴觸ス
ルモノデアルト云フコトヲ茲ニ斷言スル者
デアリマス(拍手)其簡單ナル說明ヲ致シテ
置キタイノデアル、昭和七年九月五日內務
省ノ地方局長ヨリ各地方長官ニ通牒ガ發シ
テアル(「昭和四年ダ」ト呼フ者アリ)四年
ダ、其中ニ「正式ニ議決機關ニ付議シテ豫
算ノ更正ノ手續ヲ執ルコトニ付テハ議論ノ
餘地ヲ存シテ居ラヌ」斯樣ニ書イテアル、然
レドモ「理事者限リ實行豫算ヲ作製施行ス
ルコトニ付テハ之ヲ違法ナリトスル〓〓ア
ルガ如シト雖モ、歲出豫算ハ理事者ニ對シ、
其目的以外ニ又ハ其款項ノ金額ヲ超過シテ
支出ヲ爲ス可カラザル拘束ヲ與フルニ止マ
リ其款項ニ定ムル金額ヲ支出シ盡サザル
ベカラザル義務ヲ生ズルモノニアラザルガ
故ニ、理事者ニ於テ既定豫算ノ範圍內ニ於
テ實際ノ必要ニ應ジタル使用計畫ヲ立ツル
モ、其性質上支障ナキ所ナルノミナラズ、
之ヲ從來ノ實例ニ徵スルニ、今囘ノ場合ト
稍〓趣ヲ異ニスルモ、歳出ノ或ル科目ニ缺陷
ヲ生ズル虞アル時、其他當該團體ノ財政上
必要アル場合ニ於テ、一定ノ豫算殘額ヲ生
ゼシムルガ爲ニ、理事者限リ成立豫算ノ款
項ニ付キ一定ノ不用額ヲ生出スベキ使用計
畫ヲ立テ、之ニ依リ實際ノ支出ヲ爲スガ如
キコトハ往々ニシテ存スル所デアル」斯樣
ニ言ッテ居ル、尙ホ又更ニ進ンデ「既定豫算
ハ議決機關ノ協贊ヲ經テ成立シタルモノナ
リ、·然ルニ理事者限リニ於テ是ト內容ヲ異
ニスル實行豫算ヲ編成施行スルハ議決機
關ヲ無視シ、自治行政運用上失當ノ措置ニ
アラズヤトノ說アルモ必シモ然ラズ」ト、
斯ウ申シテ置イテ「其中ニ豫算成立後ノ情
況ニ依リ執行ヲ要セズ、若クハ其儘執行ス
ルヲ不適當トスルトキ、事實上年度內執行
不能ナルトキ、又ハ執行スルモ尙ホ剩餘ア
リト認ムルトキニ於テハ之ヲ削ッテモ宜イ」
ト、斯様ニ言ッテ居ルノデアルガ、此中ニ只
今申ス所ノ通牒ヲ顧ミテ見ルト云フト、內
務當局ハ斯樣ナル意見ヲ持ッテ居ルノデア
ル、卽チ豫算ヲ更正スルコトハ常道デアル、
アルケレドモ、萬一其手續ヲ履ムマイト思へ
バ、斯樣ナル理窟ヲ付ケレバ履マナイデ出
來ルト斯樣ニ潜ッテ居ルノデアル、ノミナ
ラズ不適當ナリト認ムルモノニ向ッテハ削ッ
テモ宜イト云フコトハ何デアルカ、卽チ府
縣會ノ決議事項ニ對シテ、府知事ガ自己ノ
考ヲ以テ不適當ト信ズルナラバ、之ヲ執行
セヌデモ宜イ、之ヲ削除シテモ宜イト云フ
コトデアル、又市町村長ニ於テモ同樣デア
ル、左樣ニ致スナラバ此內務省ノ地方局長
ノ通牒其モノガ、今日ノ市町村制ノ規定ニ
直ニ衝突ヲシテ居ルモノデアル何故デア
ルカ卽チ從前ノ百三十條ニ於テハ知事
ハ不適當ト認ムル場合ニ於テ、或ハ市町村
長ガ不適當ト認ムル場合ニ於テハ之ヲ削除
スルノ權利ヲ持ッテ居ッタノデアルケレド
モ幾ラ不適當ト認メテモ、其自治體ニ於テ
正式ナル機關ノ決議ヲ經テ此事ヲ決メタ以
上ハ之ヲ削除スルコトガ出來ナイト云フ
コトガ今日ノ自治制ノ本旨デアルノデアル
(拍手)然ルニモ拘ラズ先般ノ委員會ニ於テ
ハ專門家デアルト稱スル所ノ地方局長ニ
於テスラ、自ラ此通牒ヲ出シテ置イテ、其
內容ヲ知ラナカッタト云フコトハ、如何ニモ
怠慢ノ至デアルト私ハ思フノデアル(拍手)
斯樣ニ致シテ地方ノ豫算ナルモノハヽ若シ
カ之ヲ更正シ追加ヲスル場合ニ於テハ臨
時ノ府縣會、臨時ノ市町村會ヲ開イテ之ヲ
付議シロト云フコトガ書イテアル、更正又
ハ追加ヲ爲スコトヲ得ル、更正追加ヲ爲ス
ニハ臨時議會ヲ招集センケレバナラナイト云
フコトガ此市町村制ノ成文デアルニ拘ラ
ズ、其追加更正ノ手續ヲ執ラヌデモ宜イト
云フ、而モ又不適當ト認ムル場合ニハ削クテ
モ宜イト云フコトデアルナラバ、現政府ハ
何處ニ自治制度ノ精神ヲ重ンズル點ガアル
カ、私ハ現政府ノ爲ス所ハ直ニ我國ノ自治制
ノ大本ヲ崩スモノデアルト云フコトヲ斷
言シテ憚ラザル者デアリマス(拍手)ノミナ
ラズ一万二千ノ町村、或ハ減稅ヲ欲スル者
アラン、或ハ小學校〓員ノ增俸ヲ欲スル者
アラン、或ハ道路ノ修築ヲ欲スル者アラン、
之ニ財源ヲ與ヘテ、其各、ノ事情ニ適スル
如キ行政ヲ行ハシムルト云フコトガ、是卽
チ自治ノ大本デアリ、地方分權ノ精神デハ
ナカラウカ、然ルニ拘ラズ其事ヲスッカリ
止メテシマッテ、安達內務大臣ノ言葉ニ依。ツ
テ見レバ、活キタ政治ヲシタイ千篇
律ニ增稅ヲ止メルト云フコトガ活キタ政治
デアルカ、或ハ市町村ノ事情ニ應ジテソレ
ゾレノ支出ニ當テルト云フコトガ活キタル
政治デアルカ、是ハ能ク考ヘタラ直グ分ル
事デアラウト私ハ思フノデアル、ノミナラズ
安達內務大臣ハ、又野村次官ニ於テモ、此
義務〓育費ノ國庫負擔ヲ爲スト云フコトハ
天下ノ輿論デアル、殊ニ市町村長ガ伊勢ニ
參集ヲ致シ、其決議ヲ致シタコトニ依ッテ見
テモ、其輿論タルコトハ分ルト、斯様ナ意
見デアッタ若シカ左樣ナルコトヲ以テ直
ニ輿論ト爲スノデアルナラバ、前政府ニ於
テ兩稅委讓ヲ爲ス時ニ於テモ、全市町村長
ハ決議ヲ致シ、之ニ贊成シタデハナイカ、
凡ソ輿論ヲ見ル者ハ其形ヲ見テハナラヌ、
其根柢ニ在ル所ノ精神ヲ見タイノデアリマ
ス、今日ノ町村ハ財政ノ窮乏ヲ致シテ居ル
ニ依ッテ、國庫ヨリ幾ラデモ補給ヲ受ケルト
云フコト、其事ハ望ム所デアル、之ヲ〓育費
ノ形ニ於テ貰ッテモ、之ヲ兩稅委讓ノ形ニ於
テ貰"テモ、其事ハ問ウテ居ルノデハナイ
其事ヲ知ラズニ唯、形骸ニ囚ハレテ以テ市
町村長ガ決議ヲ致シタ、或ハ又野村次官ノ
如キニ至ッテハ、此全額負擔ト云フモノハ全
國ニ宣傳致シタ、ソレガ爲ニ吾々ハ二百七
十二名ノ多數ヲ得タノデアルト云フコトヲ
豪語スルニ至ッテハ、私ハ此重大ナル問題ヲ
如何ニ民政黨ガ政策的ニ用ヰタカト云フコ
トノ證明デアルト思フノデアル(拍手)兩稅
ノ委讓ガ宜イカ、或ハ中央集權ノ主義ニ依ヶ
テ國庫ノ全額負擔ガ宜イカ、自ラ天下ノ正
義ニ依シテ決スルノ日ガアルト思フノデア
ル、ノミナラズ現政府ハ今囘ノ法律案、今
囘ノ豫算案ヲ提出スルニ當ッテ、甚シク其誠
意ヲ缺キ、甚シク確信ヲ缺イテ居ル點ガ多
イノデアル、何故デアルカ、卽チ只今鷲野
君ノ御質問ニアック通リニ、又總理大臣ノ答
辯ニアッタ通リニ、此全額負擔ナルモノヲ全
國ニ唱ヘテ以テ多數ヲ得タトマデ言ッテ居
ル、其全額負擔ノ主義ニ向ッテ問ヘバ、私ハ
此點ニ付テハ主義トシテ支持シテ居ルケレ
ドモ、說明ノ限リデナイト斯樣ニ言ウテ
居ルト云フコトハ、私ハ首相ノ政治的良心
ノ在ル所ヲ疑フ者デアル(拍手)
抑此全額負擔ヲ爲スカ爲サヌカト云フ
コトハ、我國ノ國策ノ上ニ於テ最モ重大ナ
ル論爭ヲ經ナケレバナラヌモノデアル、殊
ニ屢〓首相ノ引證サレル所ノ臨時〓育會議、
其會議ニ於テ如何ナル決議ヲ爲シテ居ル
カ、私ハ之ヲ冷靜ニ諸君ガ聽カレタナラバ
直グ分ルコトデアラウト思フノデアル大
正五年寺內內閣ノ時ノ臨時〓育會議ノ答申
ノ決議ト云フモノガアル、其時ノ決議ノ要
領ト云フモノハ、第ニ此市町村ニ向。シ〓
ハ、〓育費ノ、小學校〓員ノ俸給ノ國庫及
ビ市町村ノ連帶支辨ノ主義ヲ立テルヨウニ
ト又國庫支出金ノ分配支給ニ付テハ最モ
有效ナル方法ヲ取ルヨウニト此二ツノ決
議ヲ致シマシテ、偖テ其精神ニ付テノ解釋
ヲ見ルト云フト、右精神ハ獨リ經費ノ上バ
カリデナタ、〓員優遇ノ上カラモ、從來ノ
如ク市町村ニ委ネテ置イテハ宜シクナイ、
國家ト市町村トノ共同負擔ト爲スベキモノ
デアルト云フコトヲ闡明致シテ居ル、尙ホ更
ニ進ンデ、其半額負擔ト爲ス所ノ根本理由
ノ決議ガアル之ヲ一ツ讀ンデ見タイノデ
アリマス、市町村ニ於ケル〓育費ノ全部ヲ
國庫ノ負擔トシナカッタト云フコトニ付テ
ハ全部國庫ノ負擔トスルト市町村ノ方
デハ大切ナル自分等ノ子弟ノ〓育事業ニ對
スル親ミガ薄クナリ、〓育者自身ニ於テモ、
其町村ト利害休戚ヲ共ニスルト云フ觀念ガ
自然ニ乏シクナッテ、町村自治團體ノ〓育上
面白クナイカラデアル、斯樣ニ書イテ居ル
ノデアル、卽チ此主義ト云フモノヲ、今日
變改スルナラバ、如何ナル理由ニ依テ變改
スルカト云フコトヲ十分ニ討議ヲ致シ、六
千万國民ノ前ニ愬ヘテ之ヲ爲スベキコトガ
公明ナル政治デハナイカト私ハ思フノデア
リマス(拍手)
畢竟スルニ此問題ハ左樣ニ急イデ決メル
ベキ問題デハナイ、十分ニ討議ヲ盡シテ、
只今ノ小學校ノ〓員、高等小學校〓員、中等
學校ノ〓員ノ、其國庫ニ對スル位置スラモ
答辯出來ナイト云フヤウナ、斯樣ナル輕卒
ナル〓究ノ下ニ之ヲ容易ニ斷行スルモノデ
ナイト云フコトハ私ハ斷言シテ憚ラナイ
ノデアル(拍手)左樣ニ致シタナラバ、少ク
モ現內閣ハ文政審議會ヲ開イテ、愼重ニ
其全額負擔ニ對スル利害得失ヲ〓究ヲ致
シ、更ニ進ンデ政府ノ、或ハ社會政策、或
ハ軍制ノ改革、或ハ國際貸借ノ改善、其他
政府ノ提唱致シテ居ル所ノ總テノ重要ナル
政策ト之ヲ綜合シ、之ヲ〓究致シテ、其大
體ニ依クテ之ヲ決メルト云フヤウニセンケ
レバナラヌ是ノミニ向シテ先ニ進ムト云
フコトハ、如何ニ考ヘテモ、政府ノ主義ノ
在ル所ヲ信ズルコトハ出來ナイノデアル、
假ニ私ハ-政府ハ論ジナイケレドモ、其
點ニ付テ多少ノ論評ヲ加ヘテ見タイト思フ、
此金額ト云フモノヲ政府ハ一億五、六千万
圓デアルト云フコトヲ發表シテ居ルノデア
ルカ、假ニ之ヲ國庫全額支辨ト致シタナラ
バドウナルカト云フコトデアル、左樣致ス
ナラバ斯樣ナル一億五、六千万圓ノ如キ少
シノ金デハ濟マナイノデアル、卽チ代用〓
員或ハ准〓員、或ハ學級ノ增加、總テ是
ハ完全ニ之ヲ振興スル所ノ氣運トナルニ
依ッテ、私ハ今日ノ一億五、六千万圓ト云フ
モノハ、更ニ進ンデ二億或ハ二億五、六千
万圓ノ是ハ程度ニ達スルモノト見ナケレバ
ナラヌ、左樣ニ致シタナラバ政府ハ如何ニ
シテ此財源ニ應ゼントスルノデアルカ國
防ノ費用ノ如キモノハ成程非常ナル金ヲ
取ッテ居ルカナレドモ、此國防費ナルモノハ
一定ノ編成ニ基キ、定ノ編成ニ依クテ之
ヲ遂行スルノデアルカラシテ、我ガ政府ニ
於テモ此計畫ヲ立テルコトガ出來ル、獨リ
補充科目デアル所ノ或ハ監獄、或ハ馬糧、
斯樣ナルモノハ多少ノ增減ガアルガ此〓
員俸給ノ全額國庫支辨ナルモノヲ監獄ノ費
用或ハ馬糧ノ費用ノ如キモノト一〓ニ補
充科目ノ類ト考ヘテ居ッタナラバ、非常ナル
違算ヲ生ズルト云フコトハ是ハ明瞭デア
リマス(拍手)若シ又此增加スル所ノ趨勢ヲ
政府ガ矯メント致スト云フコトニナッタナ
ラバ、却テ今日ノ〓員ノ待遇ト云フモノハ、
將來ニ於テ惡クナルト云フコトヲ見ナケレ
バナラヌ、之ヲ國庫ノ官吏ト同樣ニ待遇致
セバドウナルカ、卽チ他ノ判任官トノ權衡
ヨリ之ヲ致シテ見テモ、今日ノ〓員ノ俸給
ハ之ヲ維持スルコトガ出來ナイ、ノミナラ
ズ大都市ニ對スル所ノ設備モ、或ハ特別ノ
町村ニ對スル設備モ、政府ハ千篇一律ノ平
均率ヲ以テ、動モスレバ之ニ應ズルノデア
ルカラ、所謂彈力性ナルモノハ之ヲ失フノ
デアルノミナラズ又之ヲ全國ニ分配スル
コトニナッタナラバ、今日ノ貧弱町村ニ對シ
テハ、旣ニ飽和點ニ達シテ居ルト云フ、此
一點ニ見テモ、政府ノ政策ハ所謂此富裕ナ
ル町村、所謂全國ノ市、重ナル市、大ナル
都會、斯樣ナルモノニ向ッテノミ其惠澤ヲ
與ヘルト云フコトニナルノデアルカラ、之
ヲ以テ政府ガ農村ニ對シテ非常ナル不權衡
ニシテ、非常ニ冷淡ナル所ノ政策ヲ執ルモノ
デアルト、之ヲ斷ゼザルヲ得ヌノデアル(拍
手)單リ經費ノ一點ヨリ見テモ、斯樣ナル
論評ヲスル點ガ多イ、多イニ拘ラズ之ヲ閑
却致シテ、答辯ヲ求メレバ說明ヲセヌト云
フ、サウシテ其第一步トシテ千万圓出シタ
ト云フガ、而モ民政黨ノ諸公ハ、濱口總理
ヲ始メトシテ、全額負擔ヲ致サナケレバナ
ラヌト唱ヘタデハナイカ、其唱ヘタ所ノ舌
ノ根ノ乾カヌ前ニ當ノテ、其說明ガ出來ヌト
云フヤウナコトデアッタナラバ、何處ニ政治
家ト云フ者ノ責任ガアルノデアルカ(拍王)
此〓育費ノ國庫負擔ナルモノニ付テハ、若
シ是ガ半額ノ前後ノ程度ニ止マルモノデア
リ、又其財源ノ確立シタモノデアリ、又其
動機ニ於テ純ナルモノガアルナラバ吾々
ハ必ズシモ反對シナイ、ケレドモ先ニ論ズ
ル如クニ、政府ノ此提案ハ財源ニ於テ既ニ
不確實デアリ、又之ヲ遂行セントスルナラ
バ苛斂誅求ノ弊ニ陷ルモノデアル、又此
監督ノ方面ニ於テモ、政府ノ今日ノ監督ハ
町村自治ノ精神ヲ破ルモノデアル、斯ノ如
ク論ジ來ルト云フト、吾々ハドウ致シテモ
政府ノ追加豫算ナリ、法律案ニ對シテ反對
セザルヲ得ナイコトヽ考ヘルノデアルノ
ミナラズ昨日ノ豫算ノ全體ヲ見テモ、單リ
此千万圓ガ不確實ニシテ確信ガナイノミデ
ハナイ、總テノ豫算ノ表ニ於テ、政府ハ黨
利黨略ノミニ殉ジテ居ルト云フコトガ明瞭
トナッテ居ルノデアル(拍手)其一例ヲ擧ゲ
テ見レバ彼ノ敦賀ノ築港費ハドウ致シタカ、
五年度ニ於テハ僅カ一千圓ノ金ヲ出シテ置
イテ、六年度カラ三十四万九千圓ト云フ、
斯樣ナル驚クベキ金ヲ出シテ居ルト云フコ
トハ何デアルカ、又石川縣ノ梯川、山形縣
ノ赤川、福岡縣ノ矢部川、斯樣ナルモノハ
何レモ四十六万圓乃至七十一万圓ノ經費ヲ
投ジテ、繼續費用ヲ以テ爲スモノデアルカ
ナレドモ、政府ハ此三河川ヲ突如トシテ追
加豫算ヲ出シテ置イテ、本年度ノ支出ト云
フモノハ僅ニ五千圓、五千圓出シテ置イ
テ、四十六万圓、七十一万圓ト云フ大ナル
繼續費ニ致シテ、以テ地方黨員ヲ釣ラント
致シテ居ルト云フコトハ是デ以テ明瞭デハ
ナイカ(拍手)斯ノ如ク論ズルナラバ、政府
今囘ノ豫算ト云フモノハ小ハ千圓ヨリ大
ハ千万圓ニ至ル迄、悉ク黨利黨略ノ結晶デ
アルト云フコトヲ私ハ斷言シテ憚ラナイノ
デアル(拍手)政府ハ强イ政策ヲ行フト言ウ
タノデアル、公明ナル政策ヲ行フト言ウタノ
デアル、然ルニ拘ラズ政府ハ続帥權ニ對ス
ル憲法論ヲ避ケタデハナイカ、憲法ノ精神
ヲ擁護シ、大臣ノ輔弼ノ範圍ヲ明確ニスベ
シト云フコトハ、是コソ總理大臣ガ聲明ニ
對シテ負ウテ居ル重大ナル責任デハナイ
カ、其重大ナル責任ヲ閑却致シテ、自己ノ輔
弼ノ責任ノ範圍ヲ答ヘ得ザルト云フコトニ
至ッテハ、私ハ其無責任ヲ笑ハザルヲ得ナイ
ノデアル(拍手)樞府ノ問題然リ、樞府ニ對
シテ非常ナル攻擊ヲ加ヘテ置イタガ、今ヤ
政府ハ樞府ニ向ッテドウ致シテ居ラレルカ、
全額負擔ニ於テモ其通リデアル、斯ノ如ク
ニシテ政府ハ無爲無策、無方針、無經綸ノ間
ニ漂ッテ居ル間ニ、我國ハドウナルカト云フ
コトヲ考ヘテ見テ貰ヒタイ、此政府ノ政策
ト云フモノハ昨日モ我ガ同僚ヨリ申シタ
通リ、無數ナル無產階級ヲ天下ニ漂ハシテ
シマッテ、少數ノ金權ヲ生カシテ居ル、此政
治ハ何デアルカト云フナラバ、取リモ直サ
ズ共產主義ノ萌芽ヲ我國ニ蒔クノデアル、
政府ガ黨利黨略ニ因ハレテ居ル間ニ、我國
ノ中堅階級ハ亡ビル、中堅階級ガ亡ビテ無
數ノ無產階級ト少數金權者流トナッタナラ
バ如何ニシテ我國ノ穩健ナル美風ヲ保チ
得ルカ、政府ノ政策ハ卽チ社會主義、共產
主義ノ萌芽ヲ蒔クモノデアル悉ク黨利黨
略ノ下ニ囚ハレタルモノデアルト私ハ斷ズ
ルモノデアル(拍手)此意味ニ於テ私ハ本案
ニ對シテ反對ノ意ヲ表スルモノデアリマス
(拍手)
〔增田義一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=11
-
012・増田義一
○ )增田義一君私ハ委員長ノ報〓ニ全然贊
成スルモノデアリマス、地方財政ノ困難ニ
シテ市町村負擔ガ多イノニ苦ンデ居ルト云
フコトハ是ハ爭フベカラザルノ事實デア
ル(拍手)之ガ負擔ヲ幾分デモ輕減シテヤル
ト云フコトハ是ハ目下ノ急務デアル、義
務〓育費ノ國庫負擔ヲ增額スルト云フコト
ハ市町村民ノ負擔ヲ輕減スルコトニ於テ
普遍的デアッテ、且ツ極メテ有效適切デアリ
マス(拍手)今囘ノ增額ハ一千万圓デアリマ
スルガ、是ダケハ全國市町村ニ於ケル戶數
割及家屋稅ニ對シテ減額スルコトニナルノ
デアリマス(「廻リ諄イ」ト呼フ者アリ)何モ
廻リ諄イコトデハナイ極メテ簡單明瞭ナ
話デアリマス(拍手)只今岡田君ハ一千万圓
ト云フ金ヲ大キクモ見ラレヽバ極メテ小
サクモ見ラレテ、何ダカ市町村ヘ對シテ僅
カナヤウニ勘定セラレタガ、之ヲ一万二千
町村ニ割當ツルト一町村ニ對シテ八百三
十餘圓ニナルノデアリマス、此八百三十餘
圓ハ必ズシモ極メテ些細ナモノトハ今ノ狀
態ニ於テハ言ハレナイノデアリマス(拍手)
元來小學〓員ノ俸給ヲ國庫カラ支出スルト
云フコトヽ市町村カラ支出スルト云フコ
トハ、其意義ニ於テ極メテ違フノデアリマ
ス、同ジ金額デアッテモ國庫ヨリ受クル方ハ
小學〓員ノ心持ガ好イノデアリマス、此處
ガ餘程大ナル重要性ヲ帶ビテ居ルト云フコ
トヲ考ヘテ貰ヒタイノデアルソレデアリ
マスルカラ本案ハ單ニ物質的問題トノミ考
ヘナイデ、〓員ノ精神的作用カラ考ヘル必
要ガアルノデアリマス(拍手)從來ノ義務〓
育費ノ國庫負擔金七千五百万圓ヲ八千五百
万圓ニ增額スルノデアリマスガ、之ヲ昭和
四年度ノ全國尋常小學校〓員ニ對スル割合
ヲ調ベテ見マスルト、五割四分ニ過ギナイ、
併シ昭和二年度ノ時ニハ七千五百万圓デモ
五割五分ニ當ッテ居タノデアリマス、而シテ
五年度ハ四年度ニ較ベレバ今ノ一千万圓增
シテモ尙ホ一分少イノデアリマス、ソレヲ
高等小學〓員ノ俸給ニ合セテ計算シテ見マ
スト云フト、玆ニ一千万圓ヲ增シマシテモ
僅ニ四割八分ニシカ過ギナイノデアリマ
ス此點カラ見レバ所謂半額負擔主義ノ方
モ大ニ考慮セラルヽ必要ガアル、小學〓員
ノ俸給ハ
〔發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=12
-
013・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 靜肅ニ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=13
-
014・増田義一
○ 增田義一君(續)小學〓員ノ俸給ハ、國
庫カラ支出セラレル額ガ增額セラレヽバ增
額セラルヽ程、小學〓員ニ對スル優遇ノ精
神ガ現ハレテ來ルノデアルソレデアリマ
スカラ〓員ノ精神上ニ及ボ.ス好イ影響ノ大
デアルト云フコトハ爭ハレナイノデアリマ
ス今日ノ財政緊縮ノ時代ニ於テ、國家ガ
斯クマデ奮發セラルヽト云フコトガ明カニ
ナレバ、一面小學〓員ハ天職ヲ認メテ吳レ
ルト云フ誠意ニ感激シテ、〓育ノ內容改善
ニ努力スルニ至ルノデアリマス、現ニ全國ノ
小學〓員ハ義務〓育費ノ國庫負擔ノ增額ヲ
希望シテ居ルヽ其證據ニハ去ル四月下旬東
京市ニ於テ全國小學校長會議ガ開カレタ、
其時ニ義務〓育費國庫負擔ノ增額ニ對シ熱
烈ナル希望ヲ決議シテ居リマス、ソレデア
リマスカラ其希望ヲ充シテヤルト云フコト
ハ〓員ノ精神作用ニ及ボス良イ影響ガア
ルト云フコトハ明カデアリマス(拍手)而シ
テ其一千万圓ノ財源ニ付テハ剩餘金ヨリ支
出スルト云フコトハ財源極メテ不確實デ
アルト云フ論ヲ只今矢張岡田君ガ繰返サレ
マシタ、所デ現内閣ハ昭和五年度ノ豫算ニ
一千万圓計上シテアルノデアル、ソレガ議
會解散ノ爲ニ豫算不成立ニナリマシタカラ、
已ムヲ得ズ剩餘金ヨリ支出スルコトニナツ
テ居ルノデ、決シテ財源不足ト云フ意味デ
ハナイ、此財源ニ關シテ井土大藏大臣ノ說
明セラレル如クニ、經常歲入ハ十五億千四
百万圓、經常歲出ガ十二億二千四百万圓デ
アルカラ、差引二億九千万圓アル譯デア
ル、此二億九千万圓ノ中カラ切盛リスルコ
トガ出來ルノデアル、殊ニ將來歲出ノ節約
ト云フコトハ政府デ出來ルコトデアリマス、
況ヤ倫敦軍縮會議ノ結果軍費ノ節約ガ出來
テ剩餘ガ出來ルト云フコトハ、是ハ爭ヘナ
イ事實デアリマセウ(拍手)私ハ本案ノ財源
ニ對シテハ大藏大臣ノ言明ニ對シテ全然心
配ナイト確信シテ居ルモノデアリマス(ヒ
ヤヒヤ、拍手)或ハ此一千万圓增額ヲ以テ、
〓育上ノ制度ノ大問題デアルト云フヤウナ
口吻ガアリマスルガ、是ハ七千五百万圓ガ
八千五百万圓ニナッタカラト言ッテ、何モ制
度上ノ大問題デハナイノデアリマス(拍手)
是ハ鬼面人ヲ欺クト云フヨリ外ハナイ、吾
吾ハ主義トシテハ小學〓員ノ俸給全額ヲ國
庫ノ負擔トシタイト田心ッテ居ル、而シテ財政
ニ餘裕ノ生ズル每ニ漸次增額シテ、其目的
ヲ貫徹シタイト云フ望デアル、是ハ小學〓員
ノ精神ヲ獨立セシメテ、其天職ニ對スル所
ノ權威ヲ維持スルガ爲ニ、極メテ必要デア
ルト信ジテ居ル(拍手)元來國民〓育トシテ
最モ大切ナルモノハ人間ラシキ人間ヲ造ルト
云フコトデアル(拍手)卽チ精神〓育、人格
〓育ノ必要ナルコトハ近時ノ世相ニ鑑ミ
テ最モ痛切ニ考ヘテ居リマス
〔發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=14
-
015・藤澤幾之輔
○ 議長(藤澤幾之輔君)靜肅ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=15
-
016・増田義一
○ 增田義一君(續)精神〓育ト云ヒ人格〓
育ト云ヒ是ハ理窟ノ問題デハナイ、〓員
ノ感化ノ問題デアリマス、所謂感化ハ〓員
ノ人格ノ力デアル、小學〓員ハ生徒ニ對シ
テ最モ偉大ナル感〓ノノヲ持ッテ居ル或
ル靑年ハ斯ク言ッタコトガアリマス、小學校
ニ於テ感化ヲ受ケ、中學校ニ於テ友ヲ得、
高等學校へ行ッテ社會ヲ見タト言フ、卽チ人
間ノ大切ナル感化ガ小學校時代ニアルト云
フコトハ、是ハ大ニ考フベキコトデアリマス、
ソコニ小學校〓員ノ天職ノ重大ナルコトヲ
發見スルノデアリマス(拍手)是ニ於テカ小
學校〓員ニ、出來ルダケ優秀ナル人物ヲ得
タイト云フコトハ、是ハ人格〓育、精神〓育
ノ上カラ益〓其必要ヲ感ズルノデアル、而シ
テ其小學〓員ハ俸給ヲ國庫カラ支辨サレル
コトヲ望ンデ居ルノデアル義務〓育費ノ
國庫支辨ノ意味ガ玆ニ重大性ヲ帶ビテ居ル
ト云フコトヲ考ヘナケレバナラヌノデアリ
マス(拍手)私ガ此問題ヲ精神的ニ取扱ッテ
貰ヒタイト云フノハ此意味カラデアリマス
〔發言スル者多ク議場騒然〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=16
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017・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 林君、靜ニ
〔「嘘ヲ言フカラダ」其他發言スル者多
シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=17
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018・増田義一
○增田義一君(續) 政友會ノ諸君ハ全額負
擔ナドハ將來絕對ニ出來ナイ、不可能デアル
ト、斯ウ云フヤウナ意味デ岡田君ヨリモ今
述ベラレタ、所ガ地租及ビ營業收益稅ヲ地
方ヘ委讓セヨト言ハレタ方カラ此議論アル
ニ至ッテハ、少々私モ意外ニ感ズル(拍手)何
故ナラバ此兩稅ノ收入ハ、全國小學校〓員
ノ俸結ヲ支辨シテ尙ホ遙ニ餘リアリ所謂
義務〓育ニ屬スル所ノ尋常小學校〓員ノ俸
給ハ一億四千九百八十五万圓、ソレカラ高
等小學校〓員ヲ合セテ一億六千七百六十万
圓デアリマス、所デ地租營業收益稅ノ兩方
ヲ合セマスト、其牧入ハ一億二千七百万圓デ
アリマス、而シテ此八千五百万圓案ガ通過
致シマスレバ後ノ殘リヲ兩稅ノ一億一一千
七百万圓ノ中カラ尋常小學校〓員ノ俸給モ
引イテ見マスト、六千二百万圓餘ッテ來ル、
若シモ之ニ高等小學校〓員ノ俸給モ加ヘテ
見ルトドウナルカト云フト、ソレデモ四千
四百万圓餘ルノデアリマス(拍手)
諸君、兩稅委讓ノ財源ガアルナラバ、所
謂俸給全額ヲ負〓シテモ尙ホ綽々トシテ餘
裕アリト云フ數字ヲ玆ニ述ベテ居ルノデア
リマス(拍手)或ハ又······(「ソレハ何ダ」其
他發言スル者多シ)或ハ小學校ノ〓員ノ俸
給ハ年々增加スルカラ、到底國庫ノ負擔ニ
堪ヘナイト云フ說モ言ハレテ居ルガ、必ズ
シモ是ハ無限ノモノデハナイ、若シ國庫デ
サヘモ全國小學校〓員ノ俸給全額ノ負擔ニ
堪ヘナイトスルナラバ如何ニシテ地方ノ
市町村ガ之ニ堪ヘルコトガ出來マセウカ
玆ニ矛盾ガアルデハナイカ(拍手)義務〓育
ノ國庫負擔額ハ地方ノ負擔ヲ輕減スルト共
ニ、農村振興ニ裨益スル所尠クナイノデア
ル(拍手)農村振興ト云ヘバ言フ迄モナク
農家ノ經濟ヲ裕カニスルト云フ意味ヲ含ン
デ居ルノデアル農家ノ經濟ヲ裕カニスル
ト云フ點カラ考ヘルナラバ負擔ヲ輕減ス
ルト云フコトモ農家ノ經濟ヲ幾ラカ裕カニ
スルト云フ意味ニナルノデアル、ソレデア
ルカラ··
〔發言スル者多ク議場騒然〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=18
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019・藤澤幾之輔
○ 議長(藤澤幾之輔君)靜肅ニナサイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=19
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020・増田義一
○增田義一君(續) 小學〓員ノ俸給ヲ國庫
負擔ニスルコト益〓多ケレバ多クナル程、地
方農村ガ良イ譯デアルカラ、言ヒ換ヘレバ
義務〓育費國庫負擔ノ增額ハ卽チ農村振興
ニ對スル一種ノ卽效藥トモ言ヒ得ル譯デアル
(拍手)平素吾々ト共ニ農村經濟ノ不振ヲ唱
ヘラレ、農村振興ヲ唱ヘラレテ居ル政友會
ノ諸君ガ之ニ反對セラレルト云フコトハ
如何ニモ農村ニ對シテ不親切デハアリマセ
ヌカ(拍手)
去ル四月下旬宇治山田市ニ開催サレタ所
ノ全國市町村長會議ノ決議ヲ御覽ナサイ、
アレニ出席シタ市町村長千五百餘名、其中
ニハ政友會ニ屬スル町村長モ御出席ニナツ
テ居リマス、サウシテ其義務〓育費國庫負
擔ノ增額ヲ、而モ伊勢大廟ニ誓ッテ其增額ヲ
絕叫シテ居ルデハアリマセヌカ(拍手)諸君
ハ此全國ノ市町村長ノ熱心ナル要求ヲ何ト
見ラレマスカ、諸君ハ此議場ニ於テ反對セ
ラレマスガ、一タビ地方ヘ御歸リニナッテ市
町村民ノ言葉ヲ聞イテ御覽ナサイ(拍手)
諸君、本年二月ノ總選擧ニ於テ民政黨ハ
此義務〓育費國庫負擔ノ增額ヲ唱ヘタ、ソ
レニ囚ハレテ政府ヲシテ此案ヲ提出セシム
ルノ餘儀ナキニ至ラシメタト唱ヘラレテ居
リマスルガ、諸君、若シ此問題ガ選擧ニソレ
程效力ガ大デアッタナラバ、ソレコソ國民ガ
如何ニ之ヲ望ンデ居ルカト云フコトガ分ル
ノデアル(拍手)卽チ本案ハ全ク國民ノ聲デ
アリ、天下ノ輿論デアル(拍手)以上ノ理由
ニ依ッテ私ハ全然本案ニ贊成スル者デアリ
マス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=20
-
021・岡本實太郎
○ 岡木實太郞君本案ニ對スル討論ハ此程
度ニ於テ終局セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=21
-
022・藤澤幾之輔
○ 議長(藤澤幾之輔君)只今ノ岡本君ノ動
議ニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=22
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023・藤澤幾之輔
○ 議長(藤澤幾之輔君)御異議ナシト認メ
マス、仍テ討論ハ終局致シマシター是ヨ
リ採決致シマス、本案ノ第二讀會ヲ開クニ
贊成ノ諸君ハ起立ヲ願ヒマス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=23
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024・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 多數ト認メマス、
仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
ター岡本君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=24
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025・岡本實太郎
○岡本實太郞君 直ニ本案ノ第二讀會ヲ開
カレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=25
-
026・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 岡本君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=26
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027・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 御異議ナシト認メ
マタ仍テ直ニ第二讀會ヲ開キマス
市町村義務〓育費國庫負擔法中改正法
律案第二讀會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=27
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028・岡本實太郎
○岡本實太郞君 直ニ本案ノ第三讀會ヲ開
カレンコトヲ望ミマス
〔議場騒然聽取スル能ハス〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=28
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029・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 何デスカ岡本君、
一寸聞エマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=29
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030・岡本實太郎
○岡本實太郞君 委員長報告ノ通リ可決セ
ラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=30
-
031・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 直ニ三讀會ヲ開キ
二讀會
〔議場騒然聽取スル能ハス〕
〔「二讀會カ三讀會カドチラカ分ラナ
イ」ト呼ヒ其他發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=31
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032・藤澤幾之輔
○護長(藤澤幾之輔君) 徹底致シマセヌカ
ラ更ニ採決致シマス-直ニ第二讀會ヲ開
キマシテ、サウシテ委員長報告ノ通リ決定
致シマシタ、仍テ本案ノ第二讀會ハ終了致
シマシタ-岡本君岡本君
〔「多數黨ドウシタ」「岡本登壇シテヤ
シ」ト呼ヒ其他發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=32
-
033・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 一寸御待チ下サ
イ、改メテ宣告致シマス、直ニ第二讀會ヲ
開キマス、委員長ノ報告ニ御異議アリマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=33
-
034・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 御異議ナシト認メ
やっ、仍テ委員長報告ノ通リ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=34
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035・岡本實太郎
○岡本實太郞君 直ニ委員長報告ノ通リ可
決セラレンコトヲ望ミマス
〔「三讀會カ何ダ」ト呼ヒ其他發言スル
者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=35
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036・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 岡本君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=36
-
037・岡本實太郎
○ 岡本實太郞君直ニ第三讀會ヲ開カレン
コトヲ望ミマス
〔「贊成」「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=37
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038・藤澤幾之輔
○讓長(藤澤幾之輔君) 岡本君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=38
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039・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 直ニ第三讀會ヲ開
キマス
市町村義務〓育費國庫負擔法中改正法
律案第三讀會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=39
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040・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 第二讀會ノ通リ可
決スルニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=40
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041・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 多數デアリマス、
仍テ本案ハ可決確定致シマシタ-日程第
二、輸出補償法案ノ第一讀會ノ續ヲ開キマ
ス、委員長ノ報告ヲ求メマス、委員長岡崎
久次郞君
第二輸出補償法案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
報〓書
一輸出補償法案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和五年五月五日
委員長岡崎久次郞
衆議院議長藤澤幾之輔殿発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=41
-
042・小山谷藏
○小山谷藏君 決算委員ノ諸君ハ決算委員
室ニ御集リヲ願ヒマス
〔岡崎久次郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=42
-
043・岡崎久次郎
○岡崎久次郞君 諸君、私ハ政府提出輸出
補償法案ノ委員會ニ於ケル經過竝結果ヲ御
報告申上ゲマス
本案ハ御承知ノ通リ國際貸借改善ニ處ス
ベキ重大ナル政府ノ成案デゴザイマス、叉
政府提出ノ重要法案デゴザイマシテ、委員
會ハ五月一日開會致シマシテ、委員長及理
事ノ選擧ヲ致シマシタ、委員長トシテハ不
肖其選ニ當リ、理事ト致シマシテハ丹下茂
十郞君竝中亥歲男君ガ當選セラレタノデアリ
マツ、卽日審議ヲ續行致シマシテ、五日間
ニ亙リ質疑應答ガ繼續セラレタノデアリマ
ス本案ハ其性質ニ於テハ-本體ニ於テ
ハ政府ヨリ既ニ說明ヲサレマシタ通リ、我
國ノ國產品ヲ海外ニ輸出シマス場合ニ於キ
マシテ、銀行ニ損失ノアッタ場合ニ於キマ
シテハ政府ガ補償ヲスルト云フ性質ノ法案
デゴザイマス、其輸出區域ハ我國ノ國產品
ガ未ダ開拓セラレナイ、未ダ十分ニ取引ヲ
セラレヌト云フ場所ニ於テ、卽チ南米、中
米、或ハ亞弗利加、巴爾幹「ソヴエット」露國
ニ至ルマデ、是等ノ諸國ニ輸出スル我國ノ
國產品ニ對シテ、損失ノアッタ場合ニ銀行
ニ政府ガ或ル程度ノ補償ヲスル、斯ウ云フ
性質ノ法案デアリマシテ、我國今後ノ輸出
貿易ニ資スベキ重大ナル性質ヲ荷ヲデ居ル
モノデアリマス、斯樣ナ案デアリマスルカ
ラ、委員諸君ハ極メテ熱誠ニ愼重ニ審議ヲ
進メラレタノデアリマス、今其質疑ノ〓要
ヲ申上ゲマスレバ、質疑ハ多クノ人カラ發
セラレマシタガ、政友會ノ松村君、丹下君、
或ハ佐々木平次郞君等ヨリ、又民政黨カラ
モ中君其他カラ種々ナル實際問題トシテモ
質疑ガ行ハレタノデアリマス之ニ對シテ
ハ大藏大臣、商工大臣、政務次官、參與官、
政府委員等ヨリ懇篤ナル答辯ガアッタノデ
アリマス松村君ノ質問ノ要點ハ多クハ金
解禁ニ伴フ問題デアリマシテ、其巨細ハ速
記錄ニ依ッテ御覽ヲ願ヒタイノデアリマス
ガ本問題ニ關係スル要點ハ此輸出補償
法案ハ世界各國ニ於テ、先進國ニ於テ既ニ
行ハレタル法案デアル、金解禁ノ豫備行爲
トシテ、金解禁以前ニ於テ行ハルベキ法
案デアル、今日之ヲ行ハントスルハ幾分遲
レタル感ガアルト云フ御質問デアリマシ
タ政府當局ハ此問題ハ七月組閣以來國際
貸借審議會ニ於テ愼重ニ審議セラレ、過般
ノ議會ニ提出セラレタガ、遺憾ナガラ議會
解散ノ結果今囘提出シタノデアルカラ少
シモ遲レテ居ラヌ、最モ迅速ナル方法ヲ執ツ
タノデアッテ、少シモ遲レテ居ラヌト云フ答
辯デアリマシタ、又丹下君ノ御質問ハ本案
ハ洵ニ趣旨ハ結構デアル、異議ハナイケレ
ドモ、少シ規模ガ小サイ、今少シ大キイ規
模デ輸出ノ振興ヲヤリタイ、斯ウ云フ御質
問デアリマシタ、此趣旨ハ松村君モ共ニ仰
シヤイマシタガ、大藏大臣ガ出席セラレマ
シテ、其場合ニ於テハ輸出ガ增加シタ場合
ニ補償金ガモット要ル、モット豫算ガ要ルト
云フ場合ニ於テハ勿論之ヲ增額スルニ異議
ガナイ、範圍モ亦之ヲ擴大スルト云フコト
ニハ異議ガナイト云フ答辯ガアッタノデア
リマス、更ニ佐々木君ノ御意見ハ、露領ニ
於ケル本邦人ガ水產業ヲ營ンデ居ルガ、之
ガ參加出來ルカ、此法案ノ恩典ニ浴スルヤ
否ヤト云フ、極メテ緊切ナル御質問ガアッ
タノデアリマス、商工大臣ハ是ハ大ニ必要デ
アルカモ知レマセヌガ、現在ノ法案トシテ
ハ適用シナイ、併シ考慮シヨウト云フ御答
辯デアッタノデアリマス、結局五月五日ニ質
問ヲ終了致シマシテ、同日討論ニ入リマシ
タ、太田君竝ニ前田君カラ本案必ズシモ十
分トハ言ハレナイケレドモ、輸出貿易振與
ノ爲ニ極メテ適切ナル方案デアルガ故ニ是
ニ贊成デアルト、贊成趣旨ヲ述ベラレタノ
デアリマス、丹下君ハ政友會ヲ代表セラレ
マシテ、留保スルト云フ御說デアリマシタ、
結局採決ノ結果多數ヲ以テ本案ハ可決確
定サレタノデアリマス、何卒御贊成ヲ願ヒ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=43
-
044・藤澤幾之輔
○ 議長(藤澤幾之輔君)質疑、討論共ニ通
告ガアリマセヌ、本案ノ第二讀會ヲ開クニ
御異議ガアリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=44
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045・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 御異議ナシト認メ
マス仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマ
シタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=45
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046・岡本實太郎
○ 岡本實太郞君直ニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ委員長報告ノ通リ
可決セラレンコトヲ望ミマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕
議長(藤澤幾之輔君)御異議ナシト認メ
マハ直ニ第讀會ヲ開キマス
輸出補償法案第二讀會(確定議)
議長(藤澤幾之輔君)御異議ガアリマセ
ヌケレバ第三讀會ヲ省略シテ委員長報告通
リ可決確定致シマシタ(拍手)日程第三及ビ
第四ハ同一委員ニ付証シタル議案ナルニ依
リ括議題ト爲スニ御異議ガアリマセヌ
カ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=46
-
047・議長(藤澤幾之輔君)
○議長(藤澤幾之輔君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ日程第三、賠償金特別會計法申改
正法律案、日程第四、製鐵所特別會計ニ於
テ大藏省預金部又ハ日本銀行ノ橫濱正金銀
行又ハ株式會社日本興業銀行ニ對スル債權
ノ讓渡ヲ受クルコトニ關スル法律案ヲ一括
シテ第一讀會ノ續ヲ開キマス、委員長ノ報発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=47
-
048・ヲ求メマス、
○ヲ求メマス、 委員長池田敬八君
第三賠償金特別會計法中改正法律案
(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報生ロ)
報告書
賠償金特別會計法中改正法律案(政府
提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和五年五月五日
委員長池田敬八
衆議院議長藤澤幾之輔殿
第四製鐵所特別會計ニ於テ大藏省預
金部又ハ日本銀行ノ橫濱正金銀行又
ハ株式會社日本興業銀行ニ對スル債
權ノ讓渡ヲ受クルコトニ關スル法律
案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
報告書
一製鐵所特別會計ニ於テ大藏省預金部又
ハ日本銀行ノ横濱正金銀行又ハ株式會
社日本興業銀行ニ對スル積權ノ譲渡ヲ
されすぎどうを
受クルコトニ關スル法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和五年五月五日
委員長池田敬八
衆議院議長藤澤幾之輔殿
〔池田敬八君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=48
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049・〓〓〓〓
○ 池田敬八君茲ニ賠償金特別會計法中改
正法律案及ビ製鐵所特別會計ニ於テ大藏省
預金部又ハ日本銀行ノ橫濱正金銀行又ハ株
式會社日本興業銀行ニ對スル債權ノ讓渡ヲ
受クルコトニ關スル法律案ニ關スル委員會
ノ經過及ビ結果ヲ御報告申上ゲマス、本委
員會ハ前後三囘開キマシテ愼重容議ヲ致シ
マシタガ、元來獨逸國等カラ受クル賠償金
ハ、其性質トシテ歐洲大戰ノ被害ヲ受ケタ
者ニ對スル賠償ナリ、補償ナリニ充テルモ
ノカ、或ハ國債整理基金ニ繰入ルベキモノ
デアリマスルガ、五十六議會ニ於キマシテ
國際聯盟或ハ移植民若クハ航空施設ノ爲ニ
使用スベク第三條ノ二ノ改正法律案ガ出マシ
テ、其當時我黨ニ於キマシテハ、之ヲ國債
償還基金ニ充テラルベキモノデアルト云フ
意見ヲ立テマシタケレドモ、通リマセヌデ
シタ、然ルニ今囘政府ニ於キマシテハ第三
條ノ三ヲ以テ國債整理基金ニ充テルコトニ
相成リマシテ洵ニ結構ナコトヽ存ズルノ
デアリマス
所デ先ノ第三條ノ二ガ其儘ニナッテ居リ
マシテ、新ニ第三條ノ三ガ出來マスル場合
ニ兩方併存シテ居リマスル時ニハドチラ
ニモ融通ガ利クノデ、此點ニ於テ遺憾ヲ感
ジマシタカラ委員ノ一人カラ第三條ノ二
ヲ撥スル意思ハナイカト云フコトヲ政府ニ
質問ヲ致シマシタ所ガ、大藏大臣ハ尤デハ
アルケレドモ財政計畫上今日ハ其場合デ
アリマセヌカラ近キ將來ニ於テ之ガ改廢
ヲ行フ積リデアルト云フコトデ委員會ハ
之ヲ認メルコトニ致シ、討論ヲ用ヒズ採決
ニ移リマシクガ政友會側デハ別ニ强ヒテ
反對ト云フデモアリマセヌケレドモ、贊否
ハ本會議ノ時迄留保シタイト云フコトデ、
結局採決ノ結果多數ヲ以テ可決ヲ致シマシ
タ
次ノ製鐵所特別會計ニ於テ大藏省預金部
又ハ日本銀行ノ橫濱正金銀行又ハ株式會社
日本興業銀行ニ對スル債權ノ讓渡ヲ受クル
コトニ關スル法律案、是ハ現在橫濱正金銀
行ナリ、日本興業銀行ガ、預金部又ハ日本銀
行カラ借受ケマシテ、之ヲ漢冶萍公司裕
繁公司及ビ石原產業海運合資會社へ貸付ケ
テ居リマスノヲ、肩替リシヨウト云フ案デ
アルノデアリマシテ、實ハ製鐵所ノ今日ノ
財政上又ハ行政手續上、果シテ適當デアル
カドウカト云フコトヲ案ジマシタ故ニ、委
員會ニ於キマシテハ愼重審議ヲ致シ、政
府ニ向ッテモ色々質問ヲ致シマシタル結果、
當局者ノ答辯ト致シマシテハ現ニ預金部
若クハ日本銀行ガ、正金銀行若クハ興業銀
行ヲ通ジテ貸シテ居ルヨリモ、製鐵所ガ之
ニ肩替リスル方ガ手數料ノ關係ナリ、或ハ
原鑛石又ハ銑鐵ヲ買入レル爲ニ元利金ヘ之
ヲ充テルト云フ上ニ於テモ寧ロ都合ガ宜シ
イ、卽チ債務ノ辨償ヲスルノニ滑カナラシ
メルコトガ出來ルト云フ答辯デアリマシ
テ、審議ノ結果適當ト認メマシタルガ故ニ
採決ニ移リマシタ、其結果滿場一致ヲ以テ
可決相成リマシタ
以上兩案ノ經過及ビ結果ヲ御報〓ニ及ビ
マス何卒本會議ニ於テ可決アランコトヲ
望ミマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=49
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050・〓〓〓〓
○ 議長(藤澤幾之輔君)先ヅ賠償金特別會
計法中改正法律案ノ審議ニ入リマス、質問
討論共ニ通〓ガアリマセヌ、故ニ本案ノ第
二讀會ヲ開クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=50
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051・議長(藤澤幾之輔君)
○議長(藤澤幾之輔君) 御異議ナシト認メ
やっ、仍テ本案ハ第二讀會ヲ開クニ決シマ
シタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=51
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052・岡本實太郞君
○岡本實太郞君 直ニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ委員長報告ノ通リ
可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=52
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053・議長(藤澤幾之輔君)
○議長(藤澤幾之輔君) 岡本君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=53
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054・議長(藤澤幾之輔君)
○議長(藤澤幾之輔君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ直ニ第二讀會ヲ開キマス
賠償金特別會計法中改正法律案
第二讀會(確定議)
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=54
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055・議長(藤澤幾之輔君)
○議長(藤澤幾之輔君) 御異議ナシト認メ
マス、第三讀會ヲ省略シテ委員長報告通リ
可決確定致シマシター次ニ製鐵所特別會
計ニ於テ大藏省預金部又ハ日本銀行ノ橫濱
正金銀行又ハ株式會社日本興業銀行ニ對ス
ル債權ノ讓渡ヲ受クルコトニ關スル法律案
ノ審議ニ入リマス、是モ何等通〓ガアリマ
セヌ、本案ノ第二讀會ヲ開クニ御異議アリ
マセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=55
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056・議長(藤澤幾之輔君)
○議長(藤澤幾之輔君) 御異議ナシト認メ
やっ、仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマ
シタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=56
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057・〓〓〓〓
○ 岡本實太郞君直ニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ委員長報告ノ通リ
可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=57
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058・議長(藤澤幾之輔君)
○議長(藤澤幾之輔君) 岡本君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=58
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059・〓〓〓〓
○ 議長(藤澤幾之輔君)御異議ナシト認メ
せく、仍テ直ニ第二讀會ヲ開キマス
製鐵所特別會計ニ於テ大藏省預金部又
ハ日本銀行ノ橫濱正金銀行又ハ株式會
社日本興業銀行ニ對スル債權ノ讓渡ヲ
受クルコトニ關スル法律案
第二讀會(確定議)
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=59
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060・議長(藤澤幾之輔君)
○議長(藤澤幾之輔君) 御異議ガナケレ
バ、第三讀會ヲ省略シテ委員長報告通リ可
決確定致シマシタ-日程第五、關稅定率
法中改正法律案ノ第一讀會ノ續ヲ開キマ
ス、委員長ノ報告ヲ求メマス、委員長永田
善三郞君
第五關稅定率法中改正法律案(政府
提出)第一讀會ノ續(委員長報〓)
報告書
一關稅定率法中改正法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和五年五月五日
委員長永田善三郞
衆議院議長藤澤幾之輔殿
希望條項
歐洲大戰後國內ニ發達シ未ダ基礎確立セ
ザル產業ニ對シテハ政府ハ產業振興ノ見
地ヨリ宜シク適當ノ對策ヲ講ゼラレンコ
トヲ望ム
〔永田善三郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=60
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061・永田善三郎
○永田善三郞君 只今議題トナリマシタ關
稅定率法中改正法律案ノ委員會ノ經過竝ニ
結果ヲ御報告申上ゲマス、委員會ハ三囘程
開キマシタガ、極メテ順調ニ進ミマシタ
本案ノ改正品目ハ四ツバカリアリマスガ
主ナルモノハ綿絲關稅ノ中特殊ノ製品ヲ無
稅トシテ、一般ノ綿絲ヲ三割五分低減スル
ト云フ案デアリマス、其他ノコトハドウカ
法律案ヲ御覽ヲ願ヒタイト思ヒマス、又委
員會ノ經過ハ速記錄ニ依ッテ能ク御覽ヲ願
ヒタイト思ヒマス、洵ニ簡單ニ相濟ンダ譯
デアリマス、唯〓本案ニ付キマシテハ格別意見
ハアリマセヌデシタガ、關稅定率法改正ノ
一般ニ對シマシテ、各委員カラ意見ガ出マ
シタノデ、本案ヲ可決致シマシタ後、希望
條項ヲ一ツ附シマシタ、卽チ
歐洲大戰後國內ニ發達シ未ダ基礎確立セ
ザル產業ニ對シテハ、政府ハ產業振興ノ
見地ヨリ宜シク適當ノ對策ヲ講ゼラレン
コトヲ望ム
ト云フ希望條項デアリマス、斯ク致シマシ
テ全會一致ヲ以テ委員會ハ可決致シマシタ
此段御報告申上ゲマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=61
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062・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 本案モ質疑、討論
共ニ通〓ガアリマセヌ、本案ノ第二讀會ヲ
開クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=62
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063・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 御異議ナシト認メ
マス仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマ
シタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=63
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064・岡本實太郎
○ 岡本實太郞君直ニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ委員長報告ノ通リ
可決セラレンコトヲ王ミマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=64
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065・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 岡本君ノ動議ニ御
異議ナシト認メマス、仍テ直ニ第二讀會ヲ
開キマス
關稅定率法中改正法律案
第二讀會(確定議)
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=65
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066・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 御異議ナシト認メ
やっ、仍テ第三讀會ヲ省略シテ、委員長報
告通リ可決確定致シマシタ-是ニテ本日
ノ日程ハ全部議了致シマシタ、次囘ノ日程
ハ公報ヲ以テ御通知致シマス、本日ハ是ニ
テ散會致シマス
午後三時三十九分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005813242X01019300507&spkNum=66
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