1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六年三月二十日(金曜日)午後一時五十三分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005902564X00519310320&spkNum=0
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001・伊東祐弘
○委員長(子爵伊東祐弘君) ソレデハ是カ
ラ特別委員會ヲ開キマス、今日ハ無盡業法
中改正法律案ノ御審議ニ移ラウト思ヒマ
ス、チヨット御諮リ致シマスガ、此條文ニ付
テ主ナ點ヲ政府委員カラ御說明ヲ願ヒマセ
ウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005902564X00519310320&spkNum=1
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002・大久保偵次
○政府委員(大久保偵次君) 御手許ニ無盡
業法新舊條文對照ト云フノヲ差上ゲテ置キ
マシタノデゴザイマス、ソレデ御覽ヲ願ヒ
マス方ガ重ナル點ノ改正ガ判明イタシマス
ト思ヒマス、ソレニ付テ大體申上ゲタイト
思ヒマス、チヨット前ニ御斷リ的ニ申上ゲテ
置キタイト思ヒマス、割合ニ此全文改正ニ
ナリマシタ爲ニ、條文ノ數ガ多イヤウニ見
エマスノテゴザイマスケレドモ、實ハ過日
小川政務次官カラ大綱ノ說明ガアリマシタ
通リ、今囘ノ改正ハ條文ノ數ニ比ベテ見マ
スト極ク比較ニナラヌ程僅少ナノデアリマ
ス、其要點ハ無盡營業ヲ商行爲ニイタシマ
シタ點ト、ソレカラ營業ノ主體ヲ株式會社
ニ制限イタシマシタコトト、營業上ノ資金
ノ運用ヲ或ル點マデ擴張イタシマシタコト
ト現在法律ニゴザイマス無盡收支計算簿
ト云フ極ク煩鎖ナ帳簿ヲ作製ヲスルコトヲ
要求イタシデ居リマシタノヲ、之ヲ省キマ
シテ之ニ代ル他ノ便法ヲ講ジマシタノト、
其他ノ點ハ此法律ノ大正四年ニ出來マシテ
以來、其後ニ銀行法、貯蓄銀行法信託會社、
信託業法等新ラシイ立法ガ出來マシタノ
デ、監督其他ノ便宜カラ新法ヲ採用イタシ
マシタト云フ點ニ止マリマスノデアリマ
ス、併シ一々條文ヲ弄リマスト、其修正ヲ
要スルモノガ二十五箇條位ニモ出マス譯
デ、條文ノ體裁上餘リ一々ノ修正ヲ出シマ
スノハ體裁ガ惡イ、見憎イト云フヤウナ趣
旨カラ、全文ニ致シマシタ次第デアリマス、
大體ニ於テハ條文ノ數程ノ修正ハゴザイマ
セヌノデス、ソレデ御手許ニ差上ゲテアリ
マス新舊對照表ノ中デ、二重丸ニナッテ居リ
マスノハ現行法ト同ジデゴザイマス、從ッテ
別段御說明ヲ申上ゲル必要モナカラウト
思ッテ省略イタシタイト思ヒマス、ツレカラ
丸印ガ付イテ居リマスノハ現行法ト新ラシ
イ法律ノ書キ方ヲ眞似マシタ監督上ノ便宜
ニ出來テ居リマスノデゴザイマス、是モ大
シテ重要ナル點デハゴザイマセヌ、法律ヲ
新ラシイノニ寄セタ次第デゴザイマス、何
モ印ガ付イテ居リマセズ黑線ヲ引張ッテア
リマスノガ今度ノ修正デゴザイマス、今度
ノ修正ノ分ニ付キマシテ一應御說明ヲ申上
ゲテ置キタイト思ヒマス、其第二條ハ、「無
盡ハ營業トシテ之ヲ爲ストキハ之ヲ商行爲
トス」ト云フ規定ヲ書キマシタノデゴザイマ
ス、營業トシテ營ミマス場合ノ商行爲ハ、
銀行保險法等ハ商法ニ規定ガゴザイマス、
信託業法ニ付キマシテハ信託業法ノ中ニ商
行爲トスルト云フ規定ガゴザイマス、無盡
ハ今マデ斯ウ云フ規定ガゴザイマセヌデシ
タケレドモ、大體今日ノ營業無盡ト致シマ
シテハ、之ヲ商行爲トシマシテ行キマス方
ガ色ミナ點ニ便宜ガアラウ、又其主ナルモ
ノハ申ス迄モナク一般債權ノ民法デ行キマ
ス方ハ十年デゴザイマスガ、商行爲ニ行キ
マス債權ハ五年ト云フ消滅時效ニナッテ居
リマス、法定利率ノ方ハ民法デ行キマスト
五分デゴザイマス、商法デ行キマスト六分、
其他利息制限法第五條ノ適用ヲ受ケナイト
云フ風ナ、商行爲ニ致シマシタ結果直接ノ
利益モアリマス、之ヲ條文ノ上デ無盡ト信
託業法ト列ベマスノハ、營業スル方ノモノ
ノ上カラ行キマスト頗ル便宜ヲ得ルト云フ
點デ斯ウ致シマシタノデゴザイマス、ソレ
カラ第三條ガ新タニ加ハリマシタ點デゴザ
イマス、其內デ資本金三萬圓以上ニシテ拂
込金額一萬五千圓以上」ト云フ條件ハ從前ト
變リマセヌノデゴザイマス、株式會社デナ
ケレバ出來ナイト云フ點ダケガ今度ノ修正
ノ眼目デゴザイマス、從前ハ個人デアリマ
スト又會社ハ合名合資デアルトヲ問ヒマセ
ズ營業スルコトガ出來テ居リマシタガ、時
勢ノ進運ニ顧ミマシテ株式會社ニスル方ガ
宜カラウト云フ趣旨デ之ヲ制限イタシマシ
タ次第デゴザイマス、此次ニ加ヘマシタ點
ハ第八條デゴザイマス、尤モ此第八條ノ中
ノ趣旨ハ現在ノ法律ニモゴザイマスデス
ガ、條文ノ體裁ト致シマシテ第八條ヲ新シ
ク致シマシテ、認可申請ヲ致シマス場合ヲ
明カニ致シマシテ、貯蓄銀行法等ノ例ヲ參
酌イタシマシテ、定款ヲ變更シマストキニ
ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケナケレバナラヌ、事
業方法又ハ無盡契約約款ヲ變更スル時ニ
モ認可ヲ要スル出張所又ハ代理店ヲ設置セ
ムトスル時ニモ認可ヲ要スル、本店其他ノ
營業所ノ位置ヲ變更セムトスル時ニモ認可
ヲ要スル、ソレカラ其次ハ第十條ニナリマ
ス、第十條ハ現行法ノ第九條ニ對應イタシ
さく、大體ニ於テハ是モサシタル變化ハゴ
ザイマセヌ、營業上ノ資金ノ運用ノ範圍ヲ
少シ擴ゲマシタ次第デアリマス、其第一ハ
國債地方債其他特別ノ法令ニ依リ設置シタ
ル法人ノ債劵ト云フ文字ニ變ヘマシテ主ト
シテ產業組合中央倉庫ノ發行イタシマス產
業債劵ト云フモノノ買入ヲ認メマシタノデ
アリマス、是ハ極ク安心ナモノデアリマス
カラ斯カル運用ニハ適當シテ居ルト云フ趣
旨デ加ヘマシタ、其次ニハ從前ノ法律ノ第
三號デアリマス、掛金者ニ對シテ契約給付
金額ヲ限度トスル貸付ト云フコトニナッテ
居リマスモノヲ今度ハ其掛金者ノ中デモ既
ニ拂込ミタル掛金額ヲ限度トスル貸付ヲ一
ツ特ニ擧ゲマシテ、ソレカラ旣ニ拂込ミタ
ル金額ヲ超過イタシマシテ、契約給付金額
マデ參リマス貸付ヲ更ニ四ト擧ゲマシテ第
五號ノ既ニ拂込ミタル掛金額ヲ限度トスル
モノハ十分ナ擔保ガアリマスカラ、是ハ此
資金運用ノ制限ニハ無制限ニ出來ルト云フ
コトニ致シマシタ、第四ノ無擔保ノ意味ノ
方ノ部分ダケヲ前ノ法律ノ第二項、今度ノ
法律ノ同ジク第二項ノ「前項第四號ノ規定ニ
依ル貸付金總額ハ拂込資本金及諸準備金ノ
總額ヲ超ユルコトヲ得ズ、」要スルニ銀行ノ
資本金積立金ト云フ風ナモノ以上ニハ斯ウ
云フ無擔保ノ貸付ハサセナイト云フコトデ
安全ヲ保障スルト云フ意味デ分ケマシタ、
之ガ無盡業者ノ方ニ於テ非常ニ切望シテ居
リマシタ點デアリマシテ、營業上ノ資金運
用ノ範圍ヲ此點ニ於テ改正ヲ加ヘマシタ次
第デアリマス、其次ハズット飛ビマシテ第
二十條ニナリマス、之ガ現行法ノ第十八條
ト十九條ニ對應スルモノデゴザイマシテ、
現行法ノ第十八條ニ依リマスレバ「無盡業
者ハ各無盡ニ付抽籤入札ノ都度其收支ノ計
算ヲ帳簿ニ記載シ次囘ノ抽籖入札ノ前日迄
ニ之ヲ營業所ニ備ヘ置クベシ」其次ハ十九
條「掛金者ハ無盡業者ニ對シ營業時間內何
時ニテモ前半年末貸借對照表ノ閱覽ヲ請求
シ又ハ其ノ加入シタル無盡ノ掛金者五分ノ
一以上ノ同意ヲ以テ前條ノ帳簿中其加入シ
タル無盡ニ關スル部分ノ閱覽ヲ請求スルコ
トヲ得」、要スルニ利害關係ノ掛金者ハ自分
ノ無盡ノ收支計算ノコトニ付キ帳簿ヲ見ル
コトガ出來ルト云フ規定ニナッテ居リマス、
是ハ無盡ノ如ク收支ノ計算ガ頗ル複雜ニ
ナッテ居リマシテ、且又組合セ數ガ非常ニ多
クナリマスト云フトナカ〓〓大キナ帳簿ガ
玆ニ出來マス、實際上之ヲ要求スル人ト云
フモノハ誠ニ少イ場合デアル、極ク少イ場
合ニ備ヘル爲ニ非常ナ費用ト繁雜トヲ掛ケ
ルト云フコトハ實益ガナイト云フ注文ガ長
イ間ゴザイマスノデ、ソレデ實際上ノ掛金
者ノ利益モ保護スルト云フ點モ忘レマセズ
ニ二十條ニハ「掛金者ハ無盡會社ニ對シ其
ノ加入シタル無盡ノ掛金者五分ノ一以上ノ
同意ヲ以テ其ノ加入シタル無盡ニ關シ命令
ノ定ムル事項ニ付キ說明書ノ交付ヲ求ムル
コトヲ得」、全體ノ帳簿ニ致シマセズニ要求
ガアリマシタ場合ニハ關係箇所ノ說明書ヲ
交付スル、斯ウ云フヤウナコトニ折衷イタ
シマシタ次第デゴザイマス、其後ノ方ニハ
殆ド新シイ修正ハ附則迄ニハゴザイマセヌ
積リデゴザイマス、附則ニ參リマシテ四十
五條ハ「從前ノ規定ニ依リテ免許ヲ受ケタル
株式會社以外ノ無盡業者ニシテ本法施行ノ
際現ニ存スルモノハ本法施行後五年ヲ限リ
仍其ノ營業ヲ繼續スルコトヲ得、本法中無
盡會社ニ關スル規定ハ前項ノ無盡業者ニ之
ヲ準用ス」、斯ウ致シマシタ、唯今株式會社
タラザル無盡會社ガ三十四ゴザイマス、是
等ノモノガ直チニ株式會社ニ變形スルト云
フコトモ不便ガアルデアラウト思ヒマスカ
ラシテ、五ヶ年間ノ猶豫期間ヲ置イタ次第
デゴザイマス、ソレデ其次ノ四十六條ハ「從
前ノ規定ニ依ッテ免許ヲ受ケタル無盡者ニ
シテ本法施行ノ際現ニ存スルモノニ付テハ
第四條ノ改正規定ニ拘ラズ本法施行後五年
ヲ限リ仍從前ノ規定ニ依ル」、第四條ハ資本
金ノ制限ガ此關係トシテハ眼目ト致シテ居
ル次第デゴザイマス、現行法ニ於キマシテ
ハ法律施行前ニ存在シテ居リマス會社ニ付
テハ其拂込金額ニ付キマシテ、資本金三万圓
以上、拂込金額一万五千圓以上ト云フ制限ヲ
適用シテ居リマセヌデシタ、今其種類ノ株式
會社ガ二ツダケゴザイマスガ、此モノニ付キ
マシテモモウ僅カ二ツバカリニナリマシタ
カラ五ケ年ノ猶豫期間ヲ置イテ資本金額制
限ヲ矢張リ適用シヤウ、是ダケノコトデゴ
ザイマス、四十七條ハ四條ノ要件ヲ具備セ
ザルモノガ此法律ノ要件ヲ具備スルコト能
ハズシテオシマヒニナッタ場合ノ會社、業者
ニ付テハ其契約ヲ引續イテ、現ニ有シテ居
リマス契約金額ダケハ繼續スルコトガ出來
ル、斯ウ云フヤウナ趣旨ニ致シマシテ結末
ヲ付ケサセルト云フ風ノコトヲ規定イタシ
マシタ次第デゴザイマス、其他ハモウ殆ド
全部同ジデアリマス、五十三條カラ非訟事
件手續法ヲ此處ニ引イテ參リマシタ次第デ
ゴザイマス、是ハ現行法等ニモゴザイマス
規定デゴザイマスガ〓算人ノ選任、解任ニ
關シマス事件ハ會社ノ本店所在地ノ區裁判
所ノ管轄トスルト云フコトヲ初メマシテ〓
算ニ關シマス裁判所ノ關係ヲ規定シタ次第
デゴザイマス、大體以上ノ通リデゴザイマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005902564X00519310320&spkNum=2
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003・伊東祐弘
○委員長(子爵伊東祐弘君) 御質問ガゴザ
イマスレバ是ヨリ質問ニ移リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005902564X00519310320&spkNum=3
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004・松本烝治
○松本照治君 一二御質問イタシタイノデ
アリマス、此改正ノ主ナ點ハ極メテ少イヤ
ウデアリマス、其內株式會社ニ無盡業者ヲ
限定シタト云フコトガ一番主ナ點ノヤウニ
考ヘラレマス、此御趣旨ハ恐ラクハ主トシ
テ斯ノ如キ金融機關ノ主體ハ恒久性ヲ有〃
テ居ルモノニシタイ、故ニ銀行、信託會社、
保險會社等ト同ジク株式會社ニ限ルモノニ
シヤウト云フ御趣旨カト考ヘマスル、銀行、
信託會社等ハ銀行法、又ハ信託業法ニ依リ
マスルト、餘程大キナ資本ヲ以テ居ル株式
會社ニ限ルコトニナッテ居ルヤウニ思ヒマ
ス、保險業法デハ保險會社ダケハ十万圓以
上トカ云フコトデ、資本金額ノ制限ガ至ッテ
低イノデアリマスルガ、是ハ明治三十二三
年頃ノ確カ法律デアリマシテ、當時ニ於テ
ハ相當ノ金額デアッタノデ、現在ハ勿論低キ
ニ過ギルノデアリマスルガ、實際上ハ勿論
大キナ金額ノ資本ヲ持っテ居ルモノデナケ
レバ許サレテハ居ラナイノデアリマスルカ
ラ、是亦實際ニ於キマシテハ、相當大ナル
資本金額ヲ要求シテ居ルモノト云ッテ宜シ
イト思ヒマス、此案ノ第四條ニ依リマスル
ト、僅カニ資本金額三万圓以下デハイケナ
イト云フコトニシテ居ルノデアリマスル
ガ、斯樣ニ小サイ資本金ノ株式會社デハド
ウモ矢張リ一二ノ人ガ個人營業ヲ、唯形式
ダケヲ株式會社ニシテヤルト云フコトガ出
來ルコトニナリマシテ、恒久性ヲ要求スル
ト云フ點ニ付テハ、甚ダシク遺憾ガアルカ
ト考ヘマスルガ、或ハ單純ナ恒久性ト云フ
コト以外ニ、株式會社ニ限定スベキ外ノ御
理由モアッタノカモ知レヌト考ヘマスルノ
デ、ソレ等ノ點ニ付キマシテ伺ヒタイ、尙
ホ此資本金額ヲモウ少シ大キクスルコトハ
イケナカッタノデアルカドウカ、其理由ニ付
テモ伺ッテ見タイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005902564X00519310320&spkNum=4
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005・大久保偵次
○政府委員(大久保偵次君) 御答申上ゲマ
ス、只今仰セノ株式會社ニ限定イタシマシ
タ趣旨ハ、大體斯ウ云フ金融業ノ取扱ハ、
今丁度御示シノ例ニアリマシタ通リニ、銀
行、信託其他ノモノニ付キマシテモ、株式會
社ニ限定イタシテ居ル次第デゴザイマス、
株式會社ノ斯ウ云フ風ニ金融業ニ適當シテ
居リマスト云フコト、恒久性ノ上カラ見マ
シテモ適當ト思ハレマス、大體御趣旨ノ通
リノ理由デゴザイマス、若シ附加ヘサシテ
戴キマスレバ、株式會社ニナリマスト云フ
ト監査役ガ出來マシテ、今度ノ法律ハ監
査役ニハ、銀行法ト同ジヤウニ、監査書ノ
作成提出ヲ命ジ得ルコトニナッテ居リマス
ノデスカラ、銀行等ノ實驗カラ見マシテモ
大變ニ內部監査ガ能ク行ハレ、監督上ニモ
都合ガ好イヤウニ思ヒマス、尙ホ株式總會
ト云フノモゴザイマス次第デ、外部ニ比較
的金融上ノ取引ノ多イ業態ト致シマシテ
ハ、現今ノ經濟狀態ニ於テハドウモ株式會
社デナイト云フト經營其モノカラ見マシテ
モ、又監督ヲ致シマス方面カラ見マシテモ
殊ニ此帳簿其他ノコトニ行キマスト云フ
ト、現在個人組織ノモノナゾニナリマシテ
ハ、先程申シマシタ通リ、可ナリ株式會社
以外ノモノモ現存イタシテ居リマス實情デ
ゴザイマス、彼是紛雜イタシマシテ、其經
營ノ計算ヲ明カニスルト云フコトニ於キマ
シテモ、誠ニ遺憾ナ點ガ多イノデアリマ
ス、從ッテ監督上ノ不便ガアリマスシ、外部
ノ利害關係者ニ對シテモ、自然十分ナ責任
ヲ執ルト云フ上ニ於キマシテモ困難カト思
ヒマス、彼是ノ事情ヲ參酌イタシマシテ、
今日ノ經濟狀態デハ是非株式組織ニシタ
イ、斯ウ云フ趣旨デゴザイマス、尙ホ其資
本金ノコトニ付テハ實ハ問題ガゴザイマス
ノデ、現ニ衆議院ニ於キマシテモ、資本金
ヲ十万圓以上ニ上ゲタラドウデアルカ、斯
ウ云フ風ナ修正意見ト云フヤウナモノモ現
レタ次第デアリマス、幸ニシテ極ク少數デ
倒レマシタ次第デアリマシタ、我ミノ方ト
致シマシテモ斯ノ如キ會社ガ相當ニ資本金
ヲ上ゲマスト云フコトハ、其擔保力ヲ增加
シマスル上カラ見マシテ、或程度マデ是認
且ツ希望スル所デゴザイマス、併シ何分ニ
モ是ハ庶民金融機關トシマシテ、極ク中產
以下ノ融通ニ便ニシマスル意味カラ、地方
的ノ又從前ノ沿革カラ見マシテモ、組織ハ
地方的ト云フコトニナッテ居リマス、從三分
實際上ハサウ大キナ資本モ必要トセズニヤ
ル場合モ相當ニ多カラウト云フ風ナ點カラ
見マシテ、且又現在二百六十ノ中ニ、此資
本金ガ十万ト假ニ致シマスレバ、百十二ト
云フ風ナモノニ其要件ガ足リマセヌノデア
リマス、殆ドマア半分近イモノガソレニ足
ラナイ、斯ウ云フコトニナッテ居リマス、長
イ間ノ猶豫期間ヲ置キマスレバ、之モ漸次
ニ上ゲ得ルカト思ヒマスルケレドモ、財界
ノ現狀其他カラ見マシテ、又此業態カラ見
マシテ、更ニ其處迄上ゲナイデモ宜イヂヤ
ナイカ、但シ新シク設立スル者ニ對シテハ
法律ニ三万圓以上トシテ、認可ノ標榜ト致
シマシテ、是非サウ云フ風ナ方針ヲ執リタ
イ、斯ウ云フ風ナ趣旨デ實ハ其資本金ニ付
テハ現行法ノ規定ヲ改メマセヌ次第デアリ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005902564X00519310320&spkNum=5
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006・水上長次郎
○水上長次郞君 チヨット今ノ御尋ニ關聯
シテ御尋ヲ致シマス、現行法デハ資本金ハ
三万圓拂込ガ一万五千圓、斯ウ云フコトニ
ナッテ居リマス、唯改正デ「以上」ト云フコトヲ
改正ニナッタダケデスナ、「三万圓以上」、ドウ
デスカ之レ迄ノ拂込資本ハ、制限ノ拂込資金
デ別段抽籤落札者ニ給付ヲ拂フコトガ出來
ナイトカ云フヤウナコトデ、纒レヲ生ジテ
居ルコトハ往々アルカノヤウニ想像セラレ
ルノデスガ、サウ云フコトハ實際ドウデス
カ、ゴザイマスデセウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005902564X00519310320&spkNum=6
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007・大久保偵次
○政府委員(大久保偵次君) 御答へ申シマ
ス、現行法ハ御承知ノ通リ此出資ノ總額ハ
三万圓、其金錢ヲ以テスル拂込金額ハ一万
五千圓ヲ下ルコトヲ得ズト書イテアリマス
カラ、矢張此點ニ於テハ以上唯文字上ノ差
デアリマシテ、全ク同ジ關係デゴザイマ
ス、今日迄ノ實驗ニ徵シマスト云フト、會
社ノ拂込ノ資本金ノ高ニ因リマシテ、其業
態ノ良シ惡シト云フ風ナコトハ餘リゴザイ
マセヌデス、御承知ノ通リ無盡ハ極ク古イ
制度デゴザイマスケレドモ、營業的ニ所謂
會社トカ其他營業的ニヤッテ來タト云フコ
トハ明治四十年來ノコトノヤウニ承知イタ
シテ居リマス、其當時ハ可成リ弊害ガゴザ
イマシタ、色ミナ不始末ヲ演ジタコトヤ
弊害ヲ殘シタト云フコトハ多イヤウデゴザ
イマス、彼是ノ點デ大正四年ニ此法律ガ
出來マシテ、舊來ノ無盡ナルモノノ庶民階
級ニ必要ナルコトヲ勸メルト共ニ、惡イ方
ヲ大分制限スルト云フコトデヤッテ參リマ
シタ結果、法律制定後ニハ漸次良好ノモノ
バカリガ殘リマシテ、尙ホ新シク計畫シテ
參リマシタガ、其當時許シマシタモノガ百
三十グライデゴザイマス、今日デハ二百六十
ト云フヤウナ工合ニ殖エテ來テ居リマス次
第デアリマス、大正五六年代デハ可成リノ
弊害ヲ聽イテ居タガ、其後ニハ漸次サウ云
フコトモ少ナクナッテ參リマシテ、昨今デハ
又大藏省竝ニ地方官廳ノ檢査監督モ相當ニ
行ハレマスノデ、稍庶民階級ニ付テハ一
ツノ重要ナルモノト云フコトノ認識ヲ世間
カラ得ルヤウニナリマシタ、昨日モ政務次
官カラ說明ノアリマシタ通リ融通シマス金
額ハ法律施行ノ當時ニ於キマシテハ僅カニ
四千万圓代デゴザイマシタモノガ、今日デ
ハモウ十億ヲ突破イタシマシテ、昭和四年
末デハ十一億何ガシト斯ウナッテ居リマス、
年々ノ給付金額モ二億ト云フ風ナ工合ニ
ナッテ居リマス、サウ云フ風ニ此庶民階級ノ
實際ノ金融ニ役立ツヤウナ工合ニナッテ居
リマス次第デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005902564X00519310320&spkNum=7
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008・伊東祐弘
○委員長(子爵伊東祐弘君) チヨット御諮
リ致シマスガ、モウ一囘開カウト思ッテ居
リマスガ、若シ御質問ガナケレバ今日ハ決
議案モ上程ニナッテ居リマスカラ、延會イタ
シマシテ、二十三日ニ午後ニナルカモ知レ
マセヌガ、モウ一遍開キタイト思ヒマス、
サウシテ採決スルコトニシタラ如何デス
カ、ソレデ宜シウゴザイマスカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005902564X00519310320&spkNum=8
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009・伊東祐弘
○委員長(子爵伊東祐弘君) 今日ハ是デ延
會ヲ致シマス
午後二時二十三分散會
出席者左ノ如シ
委員長子爵伊東祐弘君
副委員長松本烝治君
委員
子爵前田利定君
水上長次郞君
男爵渡邊修二君
政府委員
大藏省銀行局長大久保偵次君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005902564X00519310320&spkNum=9
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