1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六年三月九日(月曜日)午前十時十九分開議
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議事日程 第二十九號
昭和六年三月九日
午前十時開議
第一 國務大臣の演説に關する件(第二十三日)
第二 請願委員長報告
第三 抵當證券法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第四 不動産登記法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第五 民事訴訟法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第六 競賣法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第七 民事訴訟用印紙法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第八 日本勸業銀行法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第九 農工銀行法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第十 北海道拓殖銀行法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第十一 國税徴收法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第十二 貯蓄銀行法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第十三 治安警察法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第十四 簡易生命保險法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第十五 寄生蟲病豫防法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第十六 未成年者飮酒禁止法の改正法制定に反對の請願 會議
第十七 穀類搗精取締法制定に關する請願 會議
第十八 釋放者保護制度設定の請願 會議
第十九 名寄區裁判所出張所設置の請願 會議
第二十 福島縣田村郡要田村に無集配郵便局設置の請願 會議
第二十一 北海道枝幸郡頓別村に漁業組合設置の請願 會議
第二十二 北海道頓別川河口改修の請願 會議
第二十三 岩手縣釜石港を開港に指定の税關官署設置の請願 會議
第二十四 島根縣邑智郡長谷村に郵便局設置の請願 會議
第二十五 島根縣那賀郡大内村に無集配郵便局設置の請願 會議
第二十六 雪害に關し市町村義務教育費國庫負擔法の施行勅令改正の請願 會議
第二十七 島根縣簸川郡遙堪村に無集配郵便局設置の請願 會議
第二十八 北海道石狩川架橋の請願 會議
第二十九 北海道江差、瀬棚間鐵道敷設の請願 會議
第三十 軍人傷痍記章令中改正即行の請願 會議
第三十一 北洋漁業權益確立の請願 會議
第三十二 遠洋漁業奬勵の請願 會議
第三十三 沿岸漁業奬勵の請願 會議
第三十四 漁村共同施設奬勵の請願 會議
第三十五 海外出漁奬勵の請願 會議
第三十六 漁業組合の指導施設改善充實の請願 會議
第三十七 機船底曳網漁業禁止區域取締の請願 會議
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=0
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001・徳川家達
○讀長(公爵徳川家達君) 是ヨリ書記官ヲ
シテ諸般ノ報告ヲ致サセマオ
〔瀬古書記官朗讀〕
一昨七日本院ニ於テ可決シダル産ノ政府提
出案バ卽日之ヲ衆議院ニ送付セリ
船舶積量測度法中改正法律案
同日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ヲ受領セリ
抵當證劵法案
不動產登記法中改正法律案
民事訴訟法中改正法律案
競賣法、中改正法律案
民事訴訟用印紙法中改正法律案
日本勸業銀行法中改正法律案
農工銀行法中改正法律案
北海道拓殖銀行法中改正法律案
國稅徵收法申改正法律案
貯蓄銀行法中改正法律案
治安警察法中改正法、律案
簡易生命保險法中改正法律案
寄生蟲病豫防法案
同日業議院ヨリ本院ノ送付ニ係ル左ノ政府
提出案ハ同院ニ於テ之ヲ可決シ奏上セル旨
ノ通牒ヲ受領セリ
明治四十年法律第十一號中改正法律案
本日鑛業法中改正法、律案特別委員會ニ於テ
當選シタル正副委員長ノ氏名左ノ如シ
委員長伯爵二荒芳德君
副委員長岡喜七郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=1
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002・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 是ヨリ本〓ノ會
議ヲ開キマス議事ノ都合上、日程第二ヲ
劈頭ニ廻ハシダイド存ジマネ、御輿議バゴ
ザイマセヌカ
〔「異議ナツ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=2
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003・徳川家達
○議長(公爵德川家遠者) 御異議ナイド認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=3
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004・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 申程第二、靜願
委員長報告、〓岡子爵
〔子僻〓。國長、言君漁壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=4
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005・清岡長言
○予爵清時長言君 請願委員會ノ第二同御
報告、卽チ昭和六年二月八日ヨリ同ジク三
月せ目マデノ御報告ヲ致ジマズ、請願委員
會開會ハ二月十三日、同ジク二十一昨同
ジク二十七日、及ビ三月六日ノ四囘デゴザ
イマス、請願委員分科會ハ總計十六周開會
イタツマシダ、之ヲ內譯イタシマズルド、
第一分科ハ二月十日、十六日、二十三日、
及ビ三月二日、同ジグ四日ノ丑囘、第一子
科ハ二月十日、十七日、一一十四日及ビ三月
三日ノ四同、第三分科ハ二月十六日、同ジ
ク二十三日、三月二日ノ三囘、第四分科ハ
二月十日、同ジク十七日、同ジク二十四日
及ビ三月三日ノ四囘デゴザリマス、請願文
書表報〓ハ二月十二日、同ジク十八日、同
ジク二十五日、三月四日ノ四同デゴザイマ
ズ、請願委員會特別報告ハ二月十三日、同
ジク二十一日、同ジク二千七日、及ビ三月
六日ノ四囘デゴザイマス、請願書受領伴數
ハ二百五十九件、是ガ連署イタジテ居リマ
スル人名數ハ二十五万九千二百八名デゴザ
イマス次ニ審査ノ經過及結果ヲ御報告イ
タシマス、第一囘委員長報〓ノ際、交書表
未揭載件數ガ二十二伴、第一囘委員長報告
後受領件數二百五十九件、之ヲ合計イダシ
マスルト二百八十一件デゴザイマス、而
シテ此中請願文書表第三囘、第四囘、第五
囘、第六囘ニ掲載イダシテ唐リマズル件數
ハ二百二十一件、外ニ第一囘委員長報〓ノ
際交書表ニ記載シグルモノノ申、審査未了
ニ屬スルモノ八十七件、之ヲ合計イタシマ
シテ三百八件デアリマス、此結果院議ニ付
スベシト議決シタルモノ、卽チ採擇ガ九十
六件、及ビ院議ニ付スルヲ要セズト議決シ
タルモノ、卽チ不採擇ガ十二件、而シテ此
十二件ハ文書表ノ第十七號、第二十號、第
二十五號、第五十號、第五十八號、第八十二
號第八十三號、第九十六號、第百二十一
號、第百五十二號、第百九十四號、第二百
三號ノ十二件デゴザリマス、其他審査未了
ノモノガ二百件デゴザイマス、尙ホ請願文
書表ニ未ダ揭載ニ至ラザルモノガ六十件ゴ
ザイマス以上ハ昭和六年三月七日午後四
時締切迄ノ御報告デゴザリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=5
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006・赤池濃
○赤池濃君 私ハ皆サンノ御許シヲ得マシ
テ、外務大臣ニ對シテ緊急質疑ヲ致シタイ
ト思ヒマス、御許シヲ願ヘレバ仕合セデゴ
ザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=6
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007・徳川家達
○議長(公爵徳川家達君) 赤池君ノ御要求
ニハ贊成者ヲ要シマスガ
〔「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=7
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008・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 赤池君ノ要求ヲ
容ルベシトスル諸君ノ起立ヲ請ヒマス
〔起立者多數〕
過半數ト認メマス、赤池君ノ登壇ヲ望ミ
マス
〔赤池濃君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=8
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009・赤池濃
○赤池濃君 玆ニ皆サンノ御同意ヲ得マシ
テ外務大臣ニ對シテ緊急質疑ヲ致シマス
ノハ、餘ノ儀デハゴザイマセヌ、本月六日
ノ上海電報ハ支那ノ東北交通委員會代表
ノ言ト致シマシテ、實ニ驚クベキコトヲ我
我ニ報道シテ來タノデゴザイマス、右代表
者ハ今囘奉天ニ於テ協議サレツツアリマス
ル所ノ日支交涉ニ關シテ、凡ソ左ノヤウナ
意味ノ事ヲ語ッタノデゴザイマス、此交渉ニ
付テハ二ツノ原則ヲ先ヅ必要トスルンダ、
其一ツハ日本ガ支那ニ於ケル所ノ特殊ノ權
益ハ合法タルト非合法タルトヲ問ハズ、
日本側ニ於テ完全ニ之ヲ放棄スルト云フコ
トヲ聲明セラルベキコトデアルンダト、ソ
レカラ第二ハ經濟的性質ヲ有スル問題ハ
政治的範圍マデ之ヲ推廣メテハナラナイ、
デ此二ツノ條件ヲ木村理事ガ承認シナイ場
合ニ於テハ東北側······卽チ滿洲側デアリ
やく、東北側ハ交渉ニ應ジナイ、尙ホ日本
ノ吉會鐵道ハ··吉會鐵道トハ會寧ニ行ク
鐵道デアリマス吉會鐵道ハ大規模ノ經
濟侵略ヲ實行セムトスルモノデアルカラシ
テ是ニハ反對スル、斯ウ云フコトヲ述べ
タサウデアルノデアリマス、此言タル實ニ
國際信義ヲ無視シテ居リマスルシ、我國ヲ
輕蔑シタルノ甚シイモノデアリマスルノミナ
ラズ、我國ノ條約上ノ權利ヲ根柢カラシテ破
壤シ、我ガ國人ヲシテ滿洲カラ驅逐セシメム
トスル所ノ意思ヲ表示シタルモノト思ハレ
ルノデアリマス、故ニ此言葉ハ輕々ニ看過
スベキモノデナイト考へマスルガ故ニ、玆
ニ幣原外相ノ御所見ト之ニ對スル所ノ處置
ヲ御尋ネシタイト思フノデアリマス最近
又承ハリマスルト云フト、支那ハ我國ニ對
シテ債務ノ中カラシテ一億九千万元ヲ割引
シテ貰ヒタイト云フ要求ヲ出スト云フ噂モ
アリマス、又滿鐵沿線竝ニ滿鐵附屬地ニ於
ケル我ガ郵便ノ撤退ヲ要求スルト云フ噂
モ、電報デ以テ承知イタシタノデアリマス、
曩ニハ漢口蘇州其他ノ居留地ノ······租界ノ
撤回ヲ要求シマシタ所ノ支那ノコトデアリ
マスルカラシテ、斯ノ如キコトハ是ハニカフ·
風說デハナクシテ、必ズ近イ中ニ事實ニナッ
テ現ハレルダラウト考ヘル次第デアリマ
ス、我ミハ善隣ノ誼ミニ依リマシテ、支那
ガ一日モ早ク秩序ヲ恢復シ、又國ガ能ク發
達繁榮スルヤウナコトハ是ハ何處マデモ
冀〓テ居リマス、衷心カラシテ同情ヲ表シ、
相當ノ援助ヲ與ヘルコトニ吝カナラザル
モノデアリマスケレドモ、不當ノ要求ヲ致
シマシテ條約ヲ蹂〓スルヤウナ風ノコトニ
付キマシテハ是ハ斷乎トシテ排斥セナケ
レバナラヌト考ヘルモノデアリマス、兎角
近來支那ノ行動ハ、常ニ常識ヲ以テ律スル
コトガ出來ナイモノガ多イ或ハ不穩ノ言
葉ヲ弄シマシテ或ハ不當ノ行動ヲ致シマ
シテ、條約ヲ無視シ權利ヲ侵害スルコトガ
甚ダ少ナクナイノデアリマス、殊ニ滿洲關
係ニ於テ最モ其甚シイノヲ見ル次第デアリ
マス、現ニ滿鐵ノ如キモノハ今日支那ノ
鐵道政策ノ爲ニ非常ナ、窮地ニ陷リマシテ
若シ此儘推移シテ、彼ノ鐵道政策ヲシテ鐵
道網ノ完成ヲヤラセマシタナラバ滿鐵ハ
殆ド存立マデ危クスルダラウト云フヤウナ
風ノ危險ニ迄際會シテ居ルノデアリマス
本議會ノ初メニ當リマシテ外務大臣ハ施政
演說ニ於テ、支那ニ於テ「我ガ南滿洲鐵道ノ
地位ヲ危クセントスルガ如キ計略ガアリ得
ベキモノトハ信ゼラレマセヌ、又斯カル企
テガ容易ニ實現シ得ラルルモノデハアリマ
セヌ」ト、斯ウ仰シヤラレマシタノデアリマ
スルガ、我ミハ斯ク言ハレタルコトニ付キ
マシテハ外務大臣ハ必ズヤ强キ信念、十
分ナル所ノ御成算アッテノコトダト思フノ
デアリマス、我ミハ今日支那就中滿洲ノ狀
況ヲ見テ、色ミ憂慮ニ堪ヘナイ所ノコトガ
アリマスルモノデアリマスルカラシテ、此
東北交通委員會ノ代表者ノ言ヲ聞キマシ
テ、少ナカラズ憂慮ニ堪ヘナイモノガアル
ノデアリマスルカラシテ、此際外務大臣ノ
御忌憚ノナイ御意見ヲ玆ニ承ハルコトガ出
來ルナラバ仕合セト存ジマシテ、此質問ヲ
致シタ譯デアリマス
〔國務大臣男爵幣原喜重郞君演壇ニ登
ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=9
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010・幣原喜重郎
○國務大臣(男爵幣原喜重郞君) 只今ノ赤
池君ノ御質問ニ御答ヲ申上ゲマス、只今赤
池君ガ仰セラレマシタル如キ東北交通委員
會ノ鄒恩元氏ノ談トシテ新聞ニ現ハレテ居
リマシタコトハ、私モ承知イタシテ居リマ
ス、其新聞ノ電報ニ依リマスルト云フト
鄒恩元氏ハ自分ノ個人ノ意見トシテハ、鐵
道問題ハ我國ニ於ケル日本ノ旣得權ハ合法
的ナルト否トヲ問ハズ、日本側ニ於テ之ヲ
完全ニ抛棄スルコト、第二ニ經濟的性質ヲ
有スル問題ハ政治的範圍ニ出デザルコト
此二原則ニ基イテ交涉スル必要ガアルト云
フコトヲ申シテ居ルノデアリマス、是ハ此
談話ニモアリマスル通リ、自分個人ノ意見
トシテ中シテ居ルノデアリマスルガ、果シ
テ斯ノ如キ意見ヲ鄒恩元氏ガ持ッテ居リマ
スルカドウカ、是ハマダ新聞ニ發表サレタ
ダケノコトデアリマシテ、事實デアルカド
ウカハ確カメテハ居リマセヌ、確カメル手
段ハ執ッテ居リマスルケレドモ、必シモ確實
トモ思ハレナイノデアリマス、赤池君ガ仰
セラレマス如ク、支那ガ若シ日本ノ關係ニ
於ケル條約ヲ蹂躪スル不當ノ要求ヲ致シマ
スル場合ニハ、我ミハ固ヨリ之ヲ拒絕スル
用意ヲ持クテ居ルノデアリマス、私ハ一月ノ
二十二日ノ本會議ニ於キマシテモ申述ベタ
通リデアリマシテ、日華兩國間ニ於ケル密
接複雜ナル政治的竝ニ經濟的關係ヲ構成ス
ル各般ノ分子ノ中ニハ、如何ナルモノガ我
ガ國民的生活ニ絕對的ニ必要デアッテ、其必
要上變改ヲ許サザル性質ノモノデアルカ、
又如何ナルモノガ世界ノ變遷、殊ニ日華兩
國間ノ新タナル事態ニ適應シテ變改シ得ル
性質ノモノデアルカ、調整シ得ラレルモノ
デアルカ、而シテ之ヲ調整スルニハ如何ナ
ル順序、如何ナル方法ニ依ルベキカト云フ
コトニ付キマシテハ私ハ我ガ國論ハ根本
ニ於テ其判斷ヲ一ニシテ居ルト考ヘテ居ル
ノデアリマス、私等ハ此一ニスル國論ノ趨
向ニ依ッテ行動イタシタイト考ヘテ居ルノ
デアリマス、從ッテ若シ此現在ノ關係ヲ支那
ガ無視ヲ致シ、不法不當ナル要求ヲ致シタ
場合ニ於テハ、我ミハ之ヲ拒絕セザルヲ得
ザルノデアリマシテ、我〓ハ其覺悟ト決心
ハ持ヲテ居ルノデアリマス、此點ニ付キマシ
テ日本トノ債務ヲ一億何千万元割引ヲシテ
支拂ハナイト云フコトヲ支那ガ意見ヲ持ツ
テ居ルト云フ御話ガアリマシタガ、是ハ恐
ラクハ今現ニ行ハレツツアリマス所ノ不確
實債務ノ整理ノ問題ニ關シテ、斯樣ナル議
論ヲ支那ノ中デ爲ス者ガアルノデアラウト
考ヘマス、大體ニ於キマシテ不確實債務ノ
整理ノ問題ハ只今非公式交涉ノ程度デアリ
マシテ、何等纒マッタモノハナイノデアルケ
レドモ大體ニ於キマシテ支那ノ提案ハ
必シモ日本ノ方デ考慮ヲシ得ラレナイト云
フヤウナ提案デナイノデアリマス、是等ノ
コトニ付キマシテハマダ總ベテ未確定ノコ
トデアリマスルカラ申上ゲ兼ネマスルケレ
ドモ、理由ナクシテ日本ニ對シテ負フテ居
ル債務ヲスッカリ免レテ或ハ勝手ニ減額ヲ
スルト云フヤウナコトハ是ハ行ハレルモノ
デアリマセヌ、不確實債務ノ整理ノ問題ヲ
決定イタシマスニ付キマシテハドウシテ
モ兩國ノ間ニ交渉ガアリ、或ル意見ノ一致
ト云フモノガナケレバナラヌノデアリマシ
テ、是モ支那ガ不當ナル要求ヲ致シマス場
合ニ於キマシテハ我ミハ之ニ同意スルコ
トハ出來ナイノデアリマス、ソレカラ滿鐵
ノ附屬地ニ於ケル郵便局ノ撤廢ノ問題ヲ御
聽キニナッタノデアリマスガ、是亦歷史ノア
ル問題デアリマシテ、我〓ハマダ何等斯カ
ル要求ニハ接シテ居ナイノデアリマス、併
ナガラ是ハ只今申シタ如ク歷史ノアル問題
デアリマスカラ、我ミハ其歷史ヲモ考ヘテ、
若シ斯カル要求ガアリマス場合ニハ適當
ニ之ヲ善處スル覺悟ヲ持テテリリススケレ
ドモ、マダ何等要求ニ接シテ居リマセヌカ
ラ、具體的ニ如何ナル方針ヲ以テ之ニ交涉
イタスカト云フコトニ付テハ申上ゲルコト
ハ出來マセヌ、大體御答へ申シタイト思
ヒマスガ、尙ホ念ノ爲ニ附加ヘテ置キマス
コトハ只今滿鐵ニ關スル問題ニ付テ東三
省側ト、滿鐵ノ木村理事ノ間ニ於テ種々ノ事
項ニ關シテ非公式ノ交渉ヲ行ッテ居リマス、
懇談ヲ致シテ居ルノデアリマスガ、其結果ニ
付テ其交涉ノ一端ニ付テ、支那側ノ方デ日
本ト相談ノ上デ發表イタシタモノガアリマ
ス、ソレニ依リマスルト、今後ノ懇談ニ關
スル雙方ノ態度、精神ニ關シテ世間ノ疑惑
ヲ避ケル爲ニ左ノ點ニ關シテ兩者ノ間ニ意
見ノ一致ヲ見タト云フコトヲ申述ベマシ
テ、其意見ノ一致セル點ヲ新聞紙ニ發表イ
タシテ居リマス、卽チ今後ノ話合ハ所謂外
交的トカ、政治的トカ重ミシキ形式ヲ取ル
交涉卽チ談判ヲ避ケテ、寧ロ實際的ノ見地
カラ非公式ノ懇談又ハ商議ノ形式トスルコ
ト第二ニハ日支互ニ腹藏ナク率直ニ意見
ヲ交換スルコト相互ノ立場ヲ尊重スルコ
ト、共存共榮ノ解決案ニ到達スルコトニ相
互ニ努力シ、之ヲ天下ニ發表スルモ何等恥
ヅルコトナキ公明正大ノ解決案ニ達スルコ
トニ盡力スルコト、此精神ニ依ッテ友誼的商
議ヲ爲スコト第三ニ以上ノ形式精神ニ基
イテ懇談ノ結果解決可能ナルヤ否ヤヲ各問
題ニ付キ檢討スルコト、此三ツノ點ヲ公表
イタシテ居リマス、併ナガラ只今申シタル
如ク此交涉ガ全ク非公式ノ懇談デアリマス
カラ、此具體的ノ問題ニ付テ世間ニハマダ
發表サレテ居ナイノデアリマスノデ支那
ノ各方面ニ於テハ多少、不安ノ念ヲ持ッテ居
リマス、誤解ヲ懷イテ居リマス、從ッテ何カ
日本ガ此機會ニ於テ大イナル要求······支那
側ノ主權ヲ侵害スルガ如キ要求、支那側ノ
立場ヲ無視スルガ如キ亂暴ナル要求デモス
ルカノ如キ誤解ヲ持フテ、色〓ナ意見ヲ發表
シテアルコトヲ、私ハ知テ居リマス、併ナ
ガラ日本ノ態度ノ公明正大ナルコトハ、恐
ラクハ東三省ノ當局者自身ガ能ク諒解イタ
シテ居ルコトト考ヘマス、只今マダ具體的
ニ其結果ヲ發表出來マセヌガ爲ニ、若干ノ
誤解ガアルト考ヘマスケレドモ、是ハ他日
是等ノ經過ガ明カニナリマスル上ニ於キマ
シテハ是等ノ誤解ハ一朝ニシテ消ユルベ
キ性質ノモノデアルト考ヘテ居リマス、是
ダケ御答辯申シテ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=10
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011・赤池濃
○赤池濃君 簡單デスカラ此席カラ申シテ
宜シウゴザイマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=11
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012・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 宜シウゴザイマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=12
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013・赤池濃
○赤池濃君 只今外務大臣カラ支那ノ不當
ノ要求ニ對シテハ斷乎トシテ拒絕スルト云
フ所ノ御話ヲ承リマシテ、私ハ非常ニ滿足
ヲ致ス者デアリマス、帝國ノ態度トシテハ
斯クナラザルベカラザルモノト深ク考ヘル
次第デアリマス、此點ニ付テハ外相ノ御聲
明ヲ得タコトヲ喜ブ次第デアリマス、就キ
マシテハ今ノ滿鐵交涉ニ關スル御話ノ中
ニ簡單ナ覺書ヲ取交ハシタト云フヤウニ
伺ヒマシタガ、其申ニ讓ルトカ讓ラヌトカ
云フ御話ニナッタノデゴザイマスガ、左樣ナ
コトガアルカドウカ、條約上ノ權利ヲ讓ル
ニ付テハ相當然ルベキ理由ガナケレバ濫リ
ニ讓ルコトハ出來ナイト思フノデアリマス
ガドウ云フ點ナノデゴザイマスカ、尙又
東三省ノ當局者ハ日本ノ公平ナル立場ヲ諒
解シテ居ルト云フ御話デアリマシタガ、私
ハ東三省ノ人ハ隨分帝國ノ立場ヲ諒解セズ、
サウシテ不當ナ權利ノ侵害若クハ條約ノ蹂
躪ヲ致シテ居ルト云フコトヲ考ヘル者デゴ
ザイマスガ、獨リ當局バカリデハナイ、支
那ノ國民ノ中ニ於テ大分サウ云フ者ガアル
ト云フコトヲ考ヘテ居ル者デアリマスガ、
之ニ對スル外務大臣ノ御意見ガドウデア
リマスカ、此點ヲ伺ヒタイト思ヒマス
〔國務大臣男爵、幣原喜重郞君演壇ニ登
ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=13
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014・幣原喜重郎
○國務大臣(男爵幣原喜重郞君) 私ガ先刻
讀上ゲマシタノハ東三省側ト木村理事トノ
間ニ何カ覺書ノ取交ハセデモヤッタヤウニ
御聽取リニナッタヤウデアリマスガ、私ハ左
樣ニ申シタノデハナイノデアリマシテ、張
副司令ト木村理事トノ會談ノ結果其如何ナ
ルコトヲ會談シタカ、其方針如何ト云フコ
トニ付テ新聞ニ發表シヤウト云フコトニ相
成リマシタ、斯ク斯クノコトヲ發表シヤウ
ト云フコトニナリマシテ、發表イタシタノ
デアリマス、何等覺書ヲ取交ハシタト云フ
譯デハアリマセヌ、ソレカラ日本ノ權利ヲ
讓ルト云フコトガ書イテアルト云フコトヲ
仰セラレマシタガ、ドウ云フ點デアリマス
カ左樣ナコトハ何モ無イノデアリマス、相
五、互ニ腹藏ナク率直ニ意見ヲ交換スルコ
ト、互ニ彼我ノ立場ヲ尊敬スルコト、ソレ
カラ共存共榮ノ解決案ニ到達スルコトニ互
ニ努力スルト云フヤウナコトガ書イテアル
ノデアリマシテ、ドチラノ方モ權利ヲ讓ル
トカ讓ラヌトカ云フヤウナ具體的ノ問題ニ
付テ、何等ノコトハ無イノデアリマス、ソ
レカラ最後ニモウ一點何カ御聽キニナリマ
シタガ、チヨット失念イタシマシタガ···発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=14
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015・赤池濃
○赤池濃君 支那ガ條約ヲ蹂躍イタシマツ
テ條約ヲ無視イタシマシテ權利ヲ侵害ス
ルコトガ澤山アルト思ヒマス、尙又日本ニ對
シテ友誼的デナイ所ガ澤山アルト思ヒマス
ガ此點ニ付テ伺ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=15
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016・幣原喜重郎
○國務大臣(男爵幣原喜重郞君) 了解イタ
シマシタ、私ガ先刻申シマシタノハ此木村
理事ノ只今ノ交涉シテ居リマス、或ハ懇談
ト申シテ宜イカ、懇談ヲ致シテ居リマスル、
其日本側ノ申出ニ付キマシテ東三省側ニ於
テ誤解ハナイ筈デアルト私ハ申シタノデア
リマス、支那ノ主權ヲ侵害スルトカ云フヤ
ウナ要求ハ一ツモ致シテ居ラヌノデアリマ
ス、其點ニ付キマシテハ支那ノ當局者ニ於
テハ何等誤解ナイ筈デアル、又誤解イタシテ
居ラヌト云フコトヲ申シタノデアリマス、
木村理事ガ其話ヲ始メマス前ニ於キマシテ
ハ、日本ノ方デ非常ナ高壓的ナ要求デモ致
スノヂヤナイカト云フ疑ヲ懷イテ居ッタヤ
ウデアリマスケレドモ、木村理事ガ篤ト自
分ノ意見ヲ說明イタシマスルト、向ウノ方
モ諒解イタシマシテ、サウ云フコトデアル
ナラバ宜シク懇談ヲ致スコトニ何等異議ハ
ナイ、懇談イタサウト云フコトニ決マッタノ
デアリマシテ、日本側ノ公正ナル態度ヲ向
ウ側ニ於テモ十分諒解イタシテ居ル筈デア
ルト云フコトヲ申シタノデアリマス、日本
ニ於テモ支那ニ於テモ、此兩國ノ關係ニ付テ
ハ色ミノ議論ヲ持シテ居ル人ガアリマス、日
本側ニ於テハ私ガ只今申シタル如キ根本的
ニハ國論ハ一ニ歸シテ居ルト思ヒマスケレ
ドモ、各種ノ問題ニ付テハ色ミノ議論ガア
ルノデアリマス、是ト同時ニ支那側ニ於テ
モ色ミ議論ガアルノデアリマス、併ナガラ
私ノ見テ居ル所ニ於キマシテハ、大體ニ於
テハ支那側ハ所謂政治ノ建設的革新ト云フ
コトニ重キヲ置キマシテ、之ヲ總テノ機會
ニ於テ高調シ、此方針ニ依ッテ只今政治ヲ行
ナッテ居ルモノト認メラレルフデアリマス、
政治ノ建設的革新、······破壞的デハナクシ
テ建設的革新ヲ行フ上ニ於キマシテハ日
本トモ其他何レノ國トモ徒ラニ事端ヲ滋ク
シテ紛爭ヲ致スヤウナ狀況デハ建設的革新
ハ出來ナイノデアリマス矢張リ平和協調
ノ主義ニ依ッテ、堅實ニ步ヲ進メテコソ、建
設的革新ハ行ハレルモノデアリマスカラ
今日支那ノ當局者ハ我國ニ對シテ、殊更ニ
我國ヲ挑發シ、我國ノ世論ヲ激成セシムル
ガ如キ手段ハ取ルベキモノデナイト私ハ考
ヘテ居ルノデアリマス、色〓ノ意見ハアリ
VV、新聞ノ中ニハ隨分亂暴ナ議論ノアル
コトヲ私ハ承知イタシテ居リマスケレドモ、
今日支那ノ政治ノ衝ニ當ッテ居ル人達ニ於
テハ斯ノ如キ無責任ナル、亂暴ナル議論
ハ持ッテ居ナイデアラウト、私ハ信ジテ居ル
ノデアリマス、又事實ニ於テモ左樣ナ形跡
ハ現ハレテ居ナイノデアリマス
〔赤池濃君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=16
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017・赤池濃
○赤池濃君 只今外務大臣ヨリ支那ハ今建
設的事業ニ熱心デアリマスルカラ、徒ラニ
日本ニ對シテ挑發的ノ手段ヲ講ズルコトハ
決シテ無イト云フ御話デアリマシタ、支那
ノ當局者ハ無責任ノ言論ヲスルコトモ無
イ、又左樣ナ事實ハ無イト仰セラレタノデ
アリマス、私ハ非常ニサウ云フコトガ澤山
アルト思ヒマスノデ、ソレデ此際帝國ノ態
度ヲ明カニシテ戴キタイト思フ爲、此質問
ヲモウ一度致サナケレバナラナイ巳ムヲ得
ナイ羽目ニ相成リマシタノデアリマス、先
程先ヅ東北代表ノ······交通委員會ノ代表ノ
鄒恩元氏ノ言ハ都恩元氏一個人ノ言デア
ルト云フ御話ガアリマシタノデアリマス
私ハ兎ニモ角ニモ鄒恩元氏カラ出タ所ノ言
葉デアリマシテ、是ハ事實ダト思フノデ、
而モ今日ニ於テ其人ハ今日東北交通委員
會ナルモノハ、外交權ト交通權トヲ東北カ
ラ南京政府へ移管イタシマシタ結果、總テ
南京ノ指揮ヲ受ケテ、ソレデ行動シナケレ
バナラヌト云フ、斯ウ云フ立場ニナッテ居ル
ノデアリマシテ、而モ此人ハ南京ニ於テ此
當局者ト協議中ニ於テ、サウシテ多勢ニ向ツ
テ言ウタコトデアリマス、是ハ單ニ鄒恩元
氏一家ノ言トシテ見ル譯ニハ行カナイト思
ヒマス、必ズヤ南京政府トノ間ニ相當諒解
ノアッタコトト考ヘルノデアリマス、ノミナ
ラズ何故サウ申シマスカト云ヘバ、最近南
京政府ニ於キマシテカラシテ、鐵道法ナル
モノヲ將ニ發布セントシテ居ルノデアリマ
ス、此鐵道法ノ發布ト相俟チマシテ、其眞意
ガ想像サレルノデアリマス、鐵道法ハ只今
マダ草案、法案ニナッテ居リマセヌ案デアリ
きて、恐ラクハ最近發布サレルコトデアラ
ウト云フコトデアルノデアリマス、兎ニモ
角ニモ、其鐵道法ヲ見マスルト云フト、全
文、案ハ四十八條カラ成ッテ居リマスルガ
隨分中ニ外國人ガ-外國ノ持ッテ居ル所
ノ鐵道ニ付テハ非常ヲ制限ガ加ヘテアリマ
シート、サウシテ之ヲ適用シタナラバ、我國
ノ滿鐵ヲ始メトシテ其他ノ鐵道ト云フモノ
ガ、ドノ位ノ影響ヲ受ケルカト云フコトハ、
是ハ言フヲ俟ツ迄モナク、實ニ明白ナ結果
ニ相成ルモノデアルノデアリマス、殊ニ其
鐵道法ノ第十條ヲ見マスルト云フト、十條ニ
ハ隨分エライコトガ書イテアリマス、而モ
此十條ニ付テハ我ミニ最モ關係アル十條
デアリマスルガ、ソレニハ態〓說明附デ以テ
其立法ノ趣意ヲ明カニシテ居ルノデアリマ
ス、此十條ノ如キモノヲ適用サレマシタナ
ラバ日本ノ吉會鐵道ノ如キモノト云フモ
ノハ、眞ク先キニ權利ヲ喪失スル所ノ規定ガ
アルノデアリマス、吉會鐵道ハ御承知ノ如
ク明治四十二年ニ間島ニ關スル協約ノ中
ニ於テ規定サレタモノデアリマシテ、卽チ
我國ニ於テハ間島ニ對スル領土權ノ主張ヲ
抛棄スルト同時ニ、支那カラシテ吉會線ヲ
得タモノデアリマシテ、所謂領土ト交換シタ
所ノ鐵道ガ卽チ吉會線デアリマス、單純ニ
我ミガ唯得タ所ノ權利デハナイ、デ我〓苟
クモ朝鮮ニ職ヲ奉ジタ人ト云フモノハ間
島ガ日本ノ領土デナイ爲ニドノ位ノ苦痛ヲ
嘗メルカト云フコトハ、是ハ皆サンノ御想
像ニ餘ルヤウナ風ナコトガ澤山アルノデア
リマシテ、斯ノ如キ間島ヲ抛棄シテ得タ所
ノ此吉會線鐵道ノ如キモノモ、若シ支那ニ
於テ此鐵道法ヲ發布イタシマシタナラバ、非
常ニ危イ運命ニ立到ルモノデアルノデアリ
マス、何故ニ今度支那ニ於キマシテ斯ウ云
フ鐵道法ヲ發布イタシマシテ、サウシテ日
本ガ持ッテ居ル所ノ、滿蒙ニ持ッテ居ル既得
ノ權利ヲ奪ハウトスルカ、其眞意ガ分ラヌ
ノデアリマス、我ミハ之ヲ決シテ善意ナル
モノトハ判斷ガ出來マセヌノデアリマス、
從シテ斯ウ云フ風ナ法案ヲ出ス······審議シ
テ居ルト云フコトカラ見マシテモ、所謂是
ガ革命外交、支那人ガ言フ革命外交ノ現ハ
レノ一端デアルカト云フコトヲ想像イタス
ノデアリマス、デ私ガ唯漫然ト交通委員會
ノ一委員ノ言動ヲ摑マヘテ、サウシテ此處
デ以テ其問題ヲ大キク言フノデナイ、此背
後ニハ相當深イモノガアルト云フコトヲ考
ヘマスモノデアリマスカラシテ、此際其二
葉ノ中ニ處分ヲシナカッタナラバ、恐ルベキ
害惡ノアル結果ヲ生ズルト云フコトヲ憂フ
ルモノデアリマスカラシテ、此コトヲ申ス
譯デアリマス、尙又先程カラ外務大臣ハ
支那人ハ我ミノ感情ヲ挑發シタリ、我國ノ
權利ヲ侵害スル如キコトハシナイト云フ仰
セデアリマシタガ、私甚ダソレニ對シマシ
テハサウデナイ事實ヲ遺憾ナガラ多ク見テ
居ルノデアリマス、先ヅ一例ヲ擧ゲテ見マ
スルト云フト、二月六日ノ抗州ノ發電ニ斯ウ
云フコトガ書イテアルノデアリマス、外交
部長王正廷氏ハ〓里ニ歸省中二月二日縣黨
部總理紀念週ニ出席シテ外交演說ヲ試ミテ
居ル、右ノ演說中ニ領事裁判權撤廢、租界
囘收、玆ニ內地航行權囘收ノ必要ナル所以
ヲ詳シク述ベタ上デ以テ、今年中ニハ必ズ
相黨ノ成蹟ヲ收メ得ベシト申シマシテ更
ニ日本ノ南滿鐵道守備兵撤退ノ問題ニ言及
イタシマシテ、日本ガ守備兵ノ撤退ニ應ズ
レバ宜シ、若シ應ジナイ場合ニ於テハ全國
上下一致シテ之ニ對抗スベシ、之ガ對抗ノ
方法ハ宣言ヤ宜傳等ノ生溫イ方法デハ役ニ
立タヌヽ必ズ軍事的ノ〓究ヲシテ作戰計畫
ヲ立テテ、軍器糧食ヲ準備ヲシテ之ニ對抗
スベキモノデアル、我ニ軍事上ノ準備ガアッ
タナラバ日本ハ屈服スル、我ニ軍事上ノ準
備ガアッタナラバ日本ハ屈服スベシト述べ
タサウデアリマス、承ル所ニ依リマスルト
云フト、我國ノ其筋カラシテ此演說ガ噓デ
アルカ本當デアルカト云フコトヲ問合シタ
時ニ於テ、支那側ニ於テハ嘘トモ何トモ言
ハナイデ、新聞ノ報道ハドウモ間違ガアル
ト云フ風ナコトデ以テ、取消シタトモ付カ
ズ取消サズトモ付カズ、極メテ微妙ナ態度
デソレヲ葬ッタサウデアルノデアリマス、
國ノ外交部長ガ斯ノ如キコトヲ言フト云フ
コトハ隨分ナ國際間ノ信義ヲ無視シテ、
人ノ感情ヲ刺戟スル所ノ言デアルコトハ申
スマデモアリマセヌ、併シ私ハ此言葉ハ必
ズアッタモノト推測イタシマス、何トナレバ
我國ノ此守備兵撤退ハ單ニ滿鐵沿線バカリ
デハアリマセヌ、北京天津ニ於ケル所ノ此
軍隊ノコトニ付キマシテモ是ハ昨年ノ十
一月支那ニ開カレマシタ所ノ第四次中央執
監委員全體會議、大變ムヅカシイ名前デア
リマスガ通常全體會議ト申シテ居リマス
ガ 、此全體會議ニ於テ決議サレタカラデア
リマス、其執監委員全體會議ニ於テ決議シ
タ中ニ於テハ千九百三十一年度ノ外交方
針ノ決定ト云フ所ノ項目ガアリマス其項
目ノ中ニハ所謂外交方針ナルモノハ第一ハ
治外法權撤廢ノ速行デアル、第二ハ租界ノ
囘收デアルア第三ハ外國軍隊ノ撤退、斯ウ
云プ三ツノコトガアルノデアリマス、而モ
此三ヶ條ハ本年ノ五月ニ開カレル所ノ
國民會議マデニ何トカ埒ヲ明ケルト云フヤ
ウナ風ノ段取リニナッテ居ル譯デアリマス、
斯ノ如キコトガ執監全體會議ニ於キマシテ
決議サレテ居ルノデアリマス、此決議ヲ見
マスルト云フト、丁度王正廷氏ガ言ハムト
ズル所ノ理由ガ能ク分ルノデアリマス、漫
然王正廷氏ガサウ云フ風ナコトノ極端ナ言
葉ヲ出ツタドハ思ハレマセスノデアリマ
ズ、尙又斯ク言ックラウト思フコトハ外デモ
アリマセヌ、王正廷氏ハ二月十三日ニ上海
「マジェスティック·ホテル」ニ内外新聞記
者ヲ集メテ、其中デ以テ演說ヲシタユトガ
有ルノデアリマスヾ其演說ハ皆樣モ御承知
ダト思ビマスケレドモ、念ノ爲ニ玆デ讀ン
デ見マスレバ、先ヅ大體斯ウ云フ意味デア
ルノデアリマズ一昨年ノ末ニ國民政府ハ
命令ヲ以テ昨年ノ元旦カラシテ領事裁判權
ヲ取消スト云フ旨ヲ公布シタガ、友證上列
國ニ若ツ支那ノ辨法ニ對シ異見ガアッタナ
テバ相當ノ期間內ニ異見ヲ提議スベシト云
プコトヲ通ジタケレドモ、其期間ハ十三ケ
用ヲ經過シタ今日ニ於テ未ダ具體的解決ヲ
兇ナイノハ遺憾デアル、交那ハ今ハ民法、
刑法、民刑訴訟法、土地法、商法等ヲ公布
シテ何所ニモ劣ラナイ所ノ法制ヲ完備シ
テ居ル新式法院監獄ヲ設置シタ而モ條
約國二十五箇國ノ中デ以テ一箇國ハ治外法
權ガナイ、六箇國ハ抛棄ヲ願ヲテ、三箇國ハ
滿期ニナッタカラシテ過激ノ手段ヲ取ッテ
モ其影響ハ僅カデアル、殘ッテ居ルノハ少イ
カラ過激ノ手段ヲ取ッテモ其影響ハ僅カデ
アルヽ尙ホ特ニ注意スベキハ此惡制度ノ束
縛ヲ受ケルモノハ支那一國デアル、依ッテ政
府モ人民モ死ヲ誓ッテ奮闘スル、從前各國ガ
支那ノ法制及ビ裁判ガ完備シタナラバ撤廢
ヲ承認スルト云フ約束ハニ列國ノ誠意
ナキ所ノ彌縫策デアッタ、故ニ余ハ關係國ニ
最近期間ニ正式ニ取濃シノ期日ヲ確定セン
コトヲ望ム、此時ニ尙ホ遲延策ヲ事トスル
ヤウナ風デアッタナラバ却ッテ支那ノ撤廢
ノ決心ヲ增加スルバカリデアラウ、今ハ友
誼的談判以外ノ方法デ以テ目的ノ速成ヲ計
ルデアラウ、·····友誼的談判以外ノ方法デ
以テ目的ノ達成ヲ計ルデアラウト云フコト
ヲ言ッテ居ルノデアリマス、之ヲ〓里ニ於テ
言ッタ所ノ演論ノ軍事的行動ヲ取ルト云フ
ユトト對照ヲシマシタナラバ如何ニモ意
味ガ能ク分ルノデアリマシテ、私ハ必ズヤ
其言葉ト云フモノハ、多少ノ用語ノ違ヒハ
アルカモ知レマセヌケレドモ、本音ハ何所
ニアルカト云フコトヲ察スルニ十分餘リア
ルト思フノデアリマス、獨リ外交部長ノ王
正廷氏ガサウ云フコトヲ言フバカリデナク、
司法總長ノ王寵惠氏ノ演說ノ中ニモ非常ニ
聞キ捨テナラヌ一句ガアルノデアリマス、
治外法權ニ關シ二月末マデニ列國ガ滿足ナ
ル回答ヲ與ヘナイ場合ハ、支那ハ强硬手段
ヲ取ル積リデアル云々、租界還付問題ハ治外
法權問題ト併發的ニ協議スル意向デアルト
云フコトヲ言ッテ居ルノデアリマス、是モ全
體會議ノ決議ヲ見マスルト云フト、自カラ
首肯カレル一點デアルノデアリマス、ソレ
カラシテ支那ハ内外債整理ニ付テ非常ニ努
力シテ居ルト云フコトヲ外務大臣ハ今御話
ガアリマシタ、所ガ此內外債整理ト、ソレ
カラ釐金廢止ト云フコトハ、支那ノ今日對
外對內ノ兩方ノ問題ニ於キマシテ重要ナル
モノデアリマスルガ、之ニ付キマシテ私共ハ
南京政府ノヤッテ居ルコトト云フモノハ甚
ダ我ミニ向テテ害意ト申セバ語弊ガアルカ
モ知レマセヌガ、少クトモ不信ノ行動ヲシ
テ居ルト云フコトヲ玆ニ斷言シナケレバナ
ラヌ、之ガ爲ニ我國ニ向フテ非常ニ損害ヲ與
ヘルト云フコトヲ言ハナケレバナラヌト思
フノデアリマス、卽チ御承知デモアリマセ
ウガ、南京政府ハ昨年ノ十二月ノ二十九日
ノ晩ニ極ク祕密ノ會議ヲ開キマシテ、サウ
シテ突如トシテ、本年ノ一月一日カラシテ
新國定稅率ヲ實施スルト云フコトヲ決定イ
タシマシテ、翌三十日ノ日ニ全國ノ稅關ニ
向ッテ一月一日カラ之ヲ執行スル、新關稅政
策ヲ實施スル、サウシテ釐金ヲ廢シテシマ
フ、サウシテ五十里······五十里ト云ヒマス
ガ支那ノ里數、五十支里デス、五十支里以
內ノ常關ヲ廢止スベキ旨ノ嚴命ヲ發ツテ居
リマス、稅關デハ之ニ依ッテ其旨ヲ告示イタ
シマシタ、所ガ其告示ハ大晦日ノ正午デアッ
タサウデアリマス、大晦日ノ正午ニ於テ釐
金ヲ廢止シ新シイ稅ヲ取ルト云フコトヲ〓
示イタシマシテ、サウシテ一月一日カラ·····
翌年ノ一月一日カラ之ヲ實行シタ譯デアリ
マス、日本ノ如ク行政機關ガ整頓シテ居リ
マスルシ、交通其他ノ設備ガ完備シテ居ル
所ニ於キマシテハ一ツノ命令ヲ出シマシテ
カラ翌日之ヲ實行シテモ、或ハ間ニ合フコ
トガ出來ルカモ知レマセヌノデアリマス、
穩當不穩當ノ問題ハ別ト致ツマシテ、間ニ
合フカモ知レマセヌデゴザイマス、支那
ノ今日ニ於テ今日命令ヲ出シテ翌日カラ直
グ實行スルト云フヤウナ風ノ法律ヲ出シマ
シタカラト云ッテ、ソレガ實行出來ルト思ハ
レマスカ、而シテ大抵ノ人ハ凡ソ一箇月位
ノ豫〓期間ガアルダラウト思ッテ居リマシ
タガ、ソレハ少シモ無イ、其結果ドウカト
申シマスト、新シイ關稅ニ依リマスルト云
フト、從價稅ハ約五割、從量稅ハ約十割若
クハソレ以上ノ稅率ヲ引上ゲラレテ居ルノ
デアリマス、而モ其稅ハ一月一日カラシテ
遠慮ナク取ッテ居ルノデアリマシテ、甚シキ
ハ荷物ヲ先ニ送リ出シタケレドモ一日一
日以後ニ支那ニ屆イタ所ノ荷物ニ對シテ
ハ直グ其儘新關稅率ニ依ッテ徵收シテ取ッ
テ居ルト云フ風デアリマシテ、稅ヲ取ルト
云フコトニ付テハ少シモ遺漏ガナイ、缺點
ガナイ、サウ云フ風ナコトヲシテ居ルノデ
アリマス、之ニ反シテ屢〓宣言シ多年ノ
交渉デアッタ所ノ〓金廢止ハドウデアッタカ
ト申シマスレバ釐金廢止ハナカ〓〓行ハ
レナイ、中央ノ政府ハ所謂南京政府ハ釐金
廢止ノコトヲ布令ヲ出シマシク、出シマシ
タケレドモ、今日南京政府ノ勢力範圍ハ何
處ノ國ダケデアリマセウカ、南京政府ノ治
下ニ在ル所ノ省ハ幾ツアリマセウカ、現.
浙江省ニ於テモ江蘇省ニ於テモ尙ホ共產黨
ノ巢窟ガアッテ、其處ニハ尙ホ命令ガ行ハレ
ナイト云フ狀況デアルノデアリマス、江西
ヲ中心トスル所ノ西南ノ五省ニ於キマシテ
ハ、全然命令ガ行ハレマセヌ、今日御承知
ノ如ク共產黨ノ爲ニ我ガ長沙ノ帝國領事館
ハ非常ナ辱シメヲ受ケマシテ領事館ヲ追
拂ハレマシタ、マダ今日ハ領事館ノ廳舍ニ
歸ルコトノ出來ナイ位ノ狀況デアリマス
ソンナ邊ニ於キマシテハ、サウ云フヤウナ
風ノ所ニハ命令ガ行ハレサウモナイノデア
リマス、全然長沙ノ共產黨ノ横暴ニ任シテ
居ル所ニハ、釐金廢止ト云フコトハ當然行
ハレマセヌ、尙ホ先程御話ガアリマシタ所
ノ我ガ態度ヲ了解シテ居ル所ノ東北四省ニ
於キマシテモ、此釐金ハ四月一日マデ延期
スルト云フコトニナッテ居リマス、四月一日
マデ延期スルコトニナッテ居リマス、ケレド
モ、新稅ハ取シテ居ル譯デアリマス、而モソ
レニ代ルベキ所ノ稅ハ〓究サレテ、或モノ
ハ取ラウトスル譯デアリマス、斯樣ナ譯デ
アリマシテ、我國ニ向ッテハ、取ルベキモノ
ハ取リ、廢スベキモノハ廢サナイト云フ狀
況デアリマシテ、是ガ決シテ友誼的ノ精神
ヲ持ッテ居ル所ノ國交ノ關係トハ思ハレマ
セヌ、尙又釐金ノ廢止ニ付キマシテカラシ
テ此財政ノ收入ガ少クナルト云フ爲ニ、
新タニ統稅、)統ベル稅ト書キマス、日本ノ
消費稅デアリマス、特稅、特別消費稅デア
リマス、營業稅·····統稅、特稅、營業稅ト、
斯ウ云フ三種ノ新シイ稅目ガ附加サレタ譯
デアリマス所謂之ヲ裁釐加稅、釐金稅ヲ
廢止スル代リニ作ッタ所ノ稅、裁釐加稅ト稱
シテ居ルノデアリマス、此中ニ於テ統稅ハ
旣ニ中央政府カラ發令シテ實施ヲシテ居ル
ノデアリマス、營業稅ハ中央政府ノ收入大
綱ニ基イテ、各省デソレゾレ立案シテ近ク
實施スル筈ニナッテ居リマス、斯ノ如ク新タ
ニ制定サレタ所ノ新稅ハ支那ニ居ル所ノ日
本ノ人、之ニ容赦ナク掛ケラレテ居ルノデア
リマシテ、之ニ依ル影響ハドウデアリマセ
ウカ、而モ此統稅、卽チ消費稅ヤ、營業稅
ヲ治外法權ヲ持クテ居ル所ノ外人ニ適用ス
ルト云フコトハ、是ハ法律上、根本的ニ一
種ノ疑ガアリマス、違法デアルカドウデア
ルカト云フコトニ付キマシテモ、根本的ニ
疑ガアルノデアリマス、併ナガラ向フニ於
テ仕事ヲスルカラト云フコトデ以テ、貿易關
係者ハ契約ト稱シテ、ソレデ以テ其消費稅
ヲ納付スルト云フコトヲヤッテ居ルノデア
リマスガ、兎ニ角是ハ法律ニモナイ、國際
法上疑ノアルコトヲ現ニ强制サレマシテ、
ソレヲ聽カナケレバナラヌヤウナ風ノ羽目
ト申シマセウカ、利害關係ト申シマセウカ、
サウ云フ風ニナッテ居ルノデアリマス、治
外法權ヲ持テテ居ル所ノ者ガ、尙ホ國內法
ニ服從スルト云フコトハ甚ダ不合理デア
リマスケレドモ、之ニ服シナケレバナラヌ
ト云フヤウナ狀況ニナッテ居ルト云フコト
ハドウデアリマセウカ、ソレニサウ云フヤ
ウニ仕向ケル風ニシテ居ルト云フコトハ、
ドウデアリマセウカ、是ヤ何カモ畢竟スル
ニ一種ノ壓迫ノ爲ニ斯ウナッテ居ルノデア
リマシテ、兎ニモ角ニモ此釐金廢止ニ對ス
ル所ノ此問題ヲ見マシテモ、如何ニ支那ハ
我國ニ對シテ空手形ヲ澤山出シテ居ル、而
モソイツヲ何時實施スルカ分ラナイ、又全
部ニ實行サレルコトハ何時デアルカ殆ド分
ラナイ、斯ウ云フモノヲ出シテ、ソレデ以
テ又同時ニ直グニ廢スルト云フロノ下カラ
シテ新シク代リノモノヲ徵收スルト云フ譯
デアリマシテ、斯ノ如キ不信、無責任ノ行
動ト云フモノハ、決シテ是ハ國際關係ヲ善
良ニ導ク人ノ行動トハ思ハレマセヌノデア
リマス、我〓ハ之ニ依ッテモ尙ホ支那ヲ十分
ニ信賴シテ、感情ヲ刺戟シナイデ居ラレル
コトガ出來マセウカ、ドウデアリマセウカ
ソレカラ外務大臣ハ先程不確實債務ノコト
ニ付テ、支那ハ熱心ニ整理中ト云フ、斯ウ云
フ御話デアッタノデアリマス、我ミハ支那ノ
債務關係ニ付テ十分ナ盡力ヲシ、整理スル
ヤウナ風ノコトニ付テハ、援助ヲ與ヘルコト
ガ必要ダト考ヘルノデアリマスケレドモ、
支那ノ勝手ノコトバカリ言ウテ、コチラノ
方ニ非常ニ無理ナ損害ヲ加ヘルコトニ付テ
ハ、是ハ考慮シナケレバナラヌト思ヒマス、
支那ガ一億九千万圓、約二億万圓ノ割引ヲ請
求スルト云フコトデアリマスケレドモ唯
ソレヲ口ニスルタケデアリマシテ、西原借
款ニ付テハ何等事ガ觸レテ居ラナイ、又滿
洲ニ於キマシテカラニ我國ガ請負鐵道、或
ハ借款鐵道ト申シマシテ、支那ノ鐵道ニ對
シテ一億三千万圓、或ハ一億六千万圓デア
リマスルカ、其金ヲ投資シテ居リマシテ、
今日殆ド其利子モナク、又期限ガ到來イタ
シマシテモ、ソレノ書換モナイト云フ狀況、
此一億三千万圓ノ中ニハ西原借款ノ吉會線
ニ對スル二千万圓モ這入ッテ居リマスルガ、
兎ニ角サウ云フ狀況デアリマスルニ拘ラ
ズ、是等ノ債務其他ノ關係ニ付キマシテハ
何等注意ヲ喚起スルコトナクシテ、唯自分
ノ都合ノ好イヤウナコトバカリ言ッテ來ル
ト云フコトハ是ハ決シテ善意ヲ以テ帝國
政府ニ當ルモノトハ思ハレナイト思フ、尙
又私共非常ニ遺憾ニ堪ヘマセヌノハ、上海
ノ臨時法院ニ於キマシテハ、今日尙ホ日本
ノ有利ニ······日本人ト支那人トノ取引關係
其他係爭事件ニ付キマシテ、日本ノ有利ニ
ナッテ居ル所ノ判決ハ一切之ヲ、判決ガアリ
マシテモ之ヲ實行イタシマセヌデアリマス、
日本人ノ有利ニ屬スル所ノ事件ハ受付ハ致
シマスケレドモ、之ヲ審理シテ居リマセヌ
デアリマス、是ガ爲ニ折角有利ナ判決ヲ受
ケテ居リナガラ、我國ノ人ト云フモノハ何
等法律ノ保護ヲ受ケルコトガ出來ズ、コチ
ラノ正當ノ權利ヲ行使スルコトガ出來ナイ
ノデアリマス是ガ今日ノ上海ニ於ケル所
ノ現狀デアルノデアリマス、支那ガ自分ノ
國ガ法制ガ完備シテ裁判ガ宜クナッタ、ソレ
ダカラ治外法權ヲ撤廢シロト云フ理由ヲ以
テ我〓ニ迫クテ居ルノデアリマスケレドモ、
其支那ガ尙ホ現在斯ウ云フヤウナ風ノ狀況
ニ於テ裁判ノ判決ヲ取扱テテルルノデアリ
やく、上海ト申シマスレバ言フ迄モナク支
那ニ於テハ代表的ノ都、文化ノ都トシテア
リマスルシ、上海ノ臨時法院、昔會審衙門
ト云ッタモノデアリマス、是ハ勿論彼ガ理想
的裁判所トシテ常ニ代表ニシテ誇クテ居ル
所ノモノデアルノデアリマス、此裁判所ニ
於テ尙且判決ヲ實行シナイト云フコトデア
リマシタナラバ帝國ノ臣民ハ支那ニ於テ
ドウ云フヤウナ風ノ狀況ニ相成ルデアリマ
セウカ、斯ノ如キコトコソ、最モ利害關係
ガアルモノデアリマスカラシテ、外務大臣
ハ率先シテ御交涉ナサルベキ筈デアル又
支那ハ何ヲ差置イテモサウ云フヤウナコト
ヲ止メテ、サウシテ日本ノ諒解ヲ求メルノ
ガ當然デアルノデアリマスケレドモ、少シ
モソレヲヤラナイト云フコトニ付キマシテ
ハ是ハ決シテ支那ガ十分我ミニ對シテ好
意ヲ表スルモノトハドウシテモ申シ兼ネル
モノト思フノデアリマス、尙又支那ニ於キ
マシテハ〓日盛ニ宣傳ヲシテ居ルノデアリ
マス、國定〓科書、國定〓科書ト申シマス
ト語弊ガアルカモ知レマセヌガ、兎ニ角國
民黨ガ認メテ居ル所ノ〓科書ニ於テ盛ンニ
排外、就中排日ニ關スル所ノモノヲ非常ニ
宣傳シテ居ルノデアリマス、我ミガ支那ニ
參リマシテ一番目ニ著クノハ排日ノ宣傳ト
廣〓デアルノデアリマス、幼少ナル所ノ者
ノ其〓科書ニ書イテアル所ノモノハ隨分
露骨大膽ニ且ツ力强キ名文デ以テ書イテア
ルノデアリマスルカラ、之ヲ讀ンダ者ハ必
ズヤ一種ノ刺戟ヲ受ケル、大人ト雖モ心ヲ
動カサレルノデアリマス、況ヤ小サナ若イ
人ニ於テハ尙更血ガ湧キ肉ガ躍ルト云フコ
トハ是ハ言フ迄モナイ話デアリマス、非
常ニ或一種ノ思想ヲ喚起サレルノデアリマ
ス、尙ホ其中ニハ屢〓舊領土ノ恢復ト云フ章
ヲ置キマシテ舊領土ヲ恢復スル、其舊領土
ノ中ニハ滿洲、臺灣ハ勿論ノコト朝鮮琉
球迄モ舊領土トシテ恢復シロト云フコトヲ
書イテ居ルノデアリマス、此內政部ノ部員
必携ト申シマシテ、官吏ガ必ズ持タナケレ
バナラヌ文書デアリマスガ、其中ニモ其事
ガ書イテアルノデアリマス、斯ノ如キコト
ヲ大ピラニ宣傳モシ、大ピラニ書物ナンカ
ニ之ヲ書キマシテ、之デ尙且ツ我ミノ行
動、感情ヲ刺戟シナイヤウナコトヲシテ居
ル日本ニ好意ガアルト云フコトヲ申サレ
ルノデアリマセウカ、若シ支那國民政府ニ
シテ多少デモ誠意ガアリマシタナラバ斯
ノ如キモノヲ······殊ニ官吏ニ持タセル、官
吏ハ之ニ依フテ宣傳シナケレバナラヌ義務
ガアルノデアリマス、サウ云フ者ニサウ云
フコトヲサセルト云フコトハ如何ニモ私
共ハ容シガタイコトデハナイカト思フ、常
識デハ到底判斷ガ出來ナイコトダト私共思
フノデアリマス以上申シマシタコトハ極
クソレノ一例ヲ擧ゲタニ過ギナイ、參考ノ
爲ニ一例ヲ擧ゲタニ過ギナイノデアリマス
ガ、兎ニモ角ニモ、支那ノ官民ガ爲シテ居
ル所ノ行動ニ對シテハ我ミガ非常ニ善意
ニ受取レナイモノガ少クアリマセヌノデア
リマス、殊ニ先程申シマシタ所ノ重要ナル
役人ノ言動ノ如キモノハ、是ハ幣原外相ノ
此議會ニ於テ施政演說ガアリマシタ以後ニ
屬スルコトナノデアリマス、本年ニナリマ
シテカラニ屬スルコトデアリマシテ、斯ウ
云フ風ニ露骨ナ行動ガ我〓ノ目ニ······我〓
ノ眼前ニ展開サレテ居ルノデアリマス、斯
ウ云フコトヲ我ミガ唯漫然ト看過イタシマ
シー、サウシテ唯支那ノ誠意ハ斯ウデアル
ト云フ風ニ、ソレデ以テ向フノ誠意ニ賴。ツ
テサウシテ行クコトガ出來ルデアリマセ
ウカ、ドウデアリマセウカ、デ私ハ之ニ對
シテ幣原外相ガドウ云フ風ナ御積リヲ以テ
支那ヲ御覽ニナッテ居ルカ、サウシテ支那
ノサウ云フ我國ニ對スル不利ナ行動、不謹
愼ナル所ノ行動ニ對シ、或ハ權利ヲ侵害シ
或ハ條約ヲ無視スルト云フヤウナ行動ニ對
シテハドウ云フ御考デアルカト云フコト
ヲモウ一遍承リタイノデアリマス
〔國務大臣男爵幣原喜重郞君演壇ニ登
ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=17
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018・幣原喜重郎
○國務大臣(男爵幣原喜重郞君) 只今赤池
君ヨリ種々ノ問題ニ付テノ御質問デアリマ
シタガ、第一ニハ鄒恩元氏ガ新聞ニ發表シ
テ居ル意見ヲ、私ガ之ヲ本人ノ個人ノ意見
ト解シテ居ルヤウニ御話ニナリマシタガ
ソレハサウデナイノデアリマシテ、先刻モ
申シマシタ如ク、本人ガ之ヲ發表スル時
ニ、自分ノ個人ノ意見デアルト云フコトヲ
明記シテ發表イタシテ居ルト云フコトヲ先
刻申シタノデアリマス、而モ其發表ナルモ
ノハ果シテ實際本人ガ發表イタシタモノ
デアルカ新聞紙ノ或ハ何カ誤聞ニ屬スル
モノデアルカ、ソレハマダ明瞭デナイト云
フコトヲ申上ゲタノデアリマシテ、私ガ是
ハ同氏ノ個人ノ意見デアルト云フコトヲ保
證イタシタノデハアリマセヌ、其點ハ無論
誤解シテ居ラレナイコトト思ヒマスルガ、念
ノ爲ニ附加ヘテ申上ゲテ置クノデアリマス、
ソレカラ第二ニ鐵道法案ノコトヲ御話ニ
ナッタノデアリマスガ、誠ニ今日支那ノ鐵道
部ガ鐵道法案ナルモノヲ脫稿イタシタコト
モ私等ハ承知イタシテ居リマス、又ドウ云
フ條文デアルカト云フコトモ大體傳ヘ聞キ
ヲ致シテ居リマス、併ナガラ之ガ愈〓法律
トナッテ定マリマス迄ニハ尙ホ幾多ノ經緯
ガアルト云フコトヲ聞イテ居リマス、何等
確定セル支那政府ノ法律案ガ出來タト云フ
風ニハ了解イタシテ居リマセヌ、就キマシ
テ此鐵鐵部デ脫稿イタシタ法律ナルモノハ、
結局如何ナル所ニ落著クカト云フコトニ付
キマシテハ十分注意ヲ致シテ居ルノデアリ
マイ、又假令支那ガ自國ノ法律ヲ以テ鐵道
問題ニ關シテ如何ナルコトヲ規定イタシマ
シテモ、日本ノ政府又ハ會社ガ支那トノ協
定ニ基イテ持ッテ居リマスル、權利ト云フモ
ノニハ何等影響ヲ及ボスベキモノデナイ
ト了解イタシマス、第三ニハ王外交部長ガ
此滿蒙ニ於ケル權利ニ付テ、何カ兵力ヲ以
テ日本ト抗爭スル、爭フ意思ガアルト云フ
コトヲ申述ベタト云フ御話デアリマスガ、
是ハ如何ニモ支那ノ新聞ニ左樣ナ王氏ノ談
トシテ現レタコトガアリマスルノデ問合セ
マシタ所ガ其後外交部ニ於テハ之ヲ取消
シテ居リマス、外交部長ハ絕對ニ斯樣ナコ
トヲ申シタコトハナイ、斯樣ニ言ッテ取消シ
テ居リマス、又私モ苟モ外交部長デ居ル人
ガ、自分ノ友邦ニ對シテ事ニ依レバ戰爭モ
スルノデアル軍事的手段ヲ以テ此問題ヲ
解決スル積リデアルト云フヤウナコトハ
私ハ外交部長ガ言ハレタト云フコトハ信ゼ
ラレマセヌ、併シ何レニ致シマシテモ外交
部ニ於テモ之ヲ取消シテ居ルト云フコトハ
御承知ヲ願ヒタイノデアリマス、其次ニ第
四ニ、支那ガ昨年ノ十二月ノ末日ニ突如ト
シテ國定稅率ヲ制定シテ一月一日カラ實施
イタシテ居ル、是ハ國際信義ニ違反シテ居
ルト云フ御話デアリマシタガ、御承知ノ如
ク昨年締結イタサレタル日支關稅協定ニ依
リマシテ、我ミハ支那ノ關稅自主權ナルモ
ノヲ承認イタシタノデアリマス、列國共既
ニ疾クニ承認イタシマシテ、我ミハ昨年ノ
協定ニ依ッテ之ヲ承認シタト云フコトニ
ナッテ居ルノデアリマス、關稅自主權ヲ承
認イタシマスル以上ハ、此關稅協定ニ違反セ
ザル範圍內ニ於キマシテ支郡ガ行動ヲ執リ
マスル場合ニ、之ニ對シテ我ミハ抗議ヲ致シ
得ル筋合ノモノヂヤナイト考ヘルノデアリ
マス、支那ガ自分ノ主權ニ基イテ、條約ニ違
反セザル範圍内ニ於テ行動ヲ執リマスト云
フコトニ付キマシテハ、我〓ハ之ニ對シテ異
議ハ申述ベラレ得ル筋合デナイノデアリマ
ス我國ニ於キマシテモ、例ヘバ此稅率ヲ
卽時施行スルト云フヤウナ法律ヲ假ニ拵ヘ
マシテモ、是ハ列國カラ何等苦情ヲ言ハレ
ルベキ筋合ノモノデハナイノデアリマス、見
越輸入ナルモノヲ防止セムガ爲ニ卽時施行
スル法律ヲ拵ヘマスコトハ、例ガナイコトハ
アリマセヌ、併ナガラ私ハ此問題ニ付キマ
シテ、支那ノ行動ガ貿易ヲ致シテ居ル人ニ對
シテ穩當ナ處置デアルカドウカト云フコト
ハ、私ハ別問題デアルト考ヘマスケレドモ、
是ハ條約違反デアル、國際信義ヲ破ッタ行爲
デアルトハ申スコトハ出來ヌト考ヘマス、
其次ニ釐金ノ撤廢問題ニ付テ御話ニナリマ
シタガ、如何ニモ支那ノ釐金ノ撤廢ハ事實
上ニ於キマシテハ大問題デアルト考ヘマス
ガ、支那ノ如キ事態ニ、今日ノ事態ニ於キ
マシテ釐金ヲ撤廢スル、是デ以テ各省ガ得
テ居ル財源ヲ一時ニ無クスルト云フコトデ
アリマスルカラ此實行ハ非常ナル困難ナ
コトデアリマスコトハ十分ニ我〓モ諒察
イタサレマスルガ、中央國民政府ハ非常ナ決
心ヲ以テ此釐金ノ撤廢ニ努力イタシテ居ル
ト云フコトハ是ハ認メナケレバナラヌノ
デアリマシテ、現ニ全然撤廢サレタ省モア
リマス、併ナガラマダ撤廢サレテ居ラナイ
所モアリマス、是ハナカノ〓支那ノ釐金ヲ、
一時ニ釐金ノ撤廢ト云フコトハ困難ナルコ
トデアラウト考ヘマスルガ、條約上カラ見
マシテ條約違反ト云フコトハ申スコトガ
出來マセヌ、支那ハ自主的ニ成ベク速ニ釐
金ヲ撤廢スル意思デアルト云フコトヲ聲明
イタシテ居リマスケレドモ、釐金ノ撤廢ヲ
約シテ居ルコトハアリマセヌ、是ハ支那政
府ガ尙ホ引續イテ鞏固ナル決心ヲ以テ、此
撤廢ニ努力セムコトヲ我ミハ希望スルニ止
マルノデアリマス、尙ホ其關係ニ於テ統稅
ノコトヲ御話ニナリマシタガ、是ハ大分込
ミ入ッタ問題デアリマスルケレドモ、要スル
ニ當業者ガ自分ノ利益ニ顧ミマシテ、統稅
ニ付テ支那政府ト協定スルト云フコトニ付
キマシテ、政府トシテ何等苦情ハ强ヒテ唱
ヘル必要ハナイカト考ヘマス、御承知ノ如
ク英米ノ側ニ於キマシテハ煙草ニ付テ同
樣ノ統稅ノ希望ガアルノデアリマス、ソレ
ガ極メテ圓滑ニ行ハレテ居ルト云フノデ、
今度斯ウ云フ案ガ起ッテ居ルノデアリマス
ケレドモ、支那ノ實況ニ顧ミテ之ヲ全然苦
情ヲ言ッテ阻止シナケレバナラヌモノトハ
考ヘテ居リマセヌ、當業者ガ自分ノ利益ノ
爲ニ斯樣ナ話ヲ支那側ト始メマスコトニ付
テハ强ヒテ妨害ヲ加ヘルホドノ必要モナ
カラウト考ヘテ居ルノデアリマス、ソレカ
ラ不確實債務ノ整理ノコトニ付テ、支那ハ
亂暴ナルコトヲ致シテ居ルト云フ御話デア
リマシタガ、是ハドウ云フコトデアリマス
カ、不確實債務ノ整理ノ問題ニ付キマシテ
ハ先刻モ申述べマシタ如ク、只今非公式
ノ交涉中ナノデアリマシテ、支那ハ何等ノ
行動ハマダ執ッテ居ナイノデアリマス、何レ
ニシテモ債務デアリマスルカラ債權者ノ屬
スル國ノ側ト十分ナル話合ヒト云フモノハ
無ケリヤナラヌノデアリマシテ今日マダ
非公式交涉ノ道程デアリマスルガ今日迄
ノ經過ヲ見マスルト云フト、支那側ノ態度
ハソレホド無謀ナル要求ハ致シテ居ナイト
私ハ思ッテ居ルノデアリマス、ソレカラ鐵道
工事契約、請負ノ契約ニ付テ支那側ガ一向
其契約ヲ實行シテ居ラヌト云フコトデアリ
マシタ、是ハ思フニ滿洲ノ鐵道ノ工事ノコ
トデアリマセウ、如何ニモ其通リデアリマ
スルカラ、此問題ハ只今木村理事ガ東三省
側ト交涉イタスベキ問題ノ一ツデアリマ
ス、工事ノ請負契約ヲ或ハ借款契約ニ引直
ストカ、或ハ如何ナル調整ヲ行フノデアル
ト云フヤウナコトニ付キマシテハ、木村理
事ガ話合ヒヲシヤウト思フ問題ノ一ツデア
リマス、ソレカテ上海ノ臨時法院ノコトヲ
其次ニ御述べニナリマツタ臨時法院デハ
判決ヲ執行シテ居ナイ、一ツモ判決ヲ執行
シテ居ナイト云フ御意見デハカカラウト思
フノデアリマスガ、或事件ニ關シテ判決ヲ
執行シテ居ナイト云フ事例ガアリマスレ
バ其個々別々ノ場合ニ付キマシテ、之ヲ
〓究イタサナケレバナリマセヌ、之ヲ一々
ノ場合ニ付テ是ハ頗ル煩雜ニ涉リマスノ
デ、今日之ヲ御話申上ゲル譯ニモ參リマセ
ヌガ、要スルニ支那側ノ裁判所ノ處置ニ於
テ不當ナ所ガアリマスナラバ日本政府ニ
於テ之ニ對シテ抗議ヲ致スト云フコトハ
是ハ申ス迄モナイコトデアリマス、ソレカ
ラ支那ノ〓科書ニ排日宣傳ヲヤッテ居ルト
云フコトデアリマス、是ハ我ミモ如何ニモ
遺憾ニ考ヘテ居ルノデアリマスルガ、是ハ
今日始マック事態デハナイノデアリマシテ、
大正四年ノ條約卽チ之ヲ支那側ノ方デハ
之ヲ不當ニ、二十一箇條條約ナド申シテ居
リマスルガ、此問題ガ起リマシデ以來、支
那側カ斯樣ナ排日ノ宣傳ヲ致シテ居ルト云
フコトハ事實デアリマス、今日ノ事態ハ
今日斯樣ナ宣傳ガ急ニ起ッテ來タト云フノ
デハ毛頭アリマセヌ、是ハ赤池君モ御承知
ノコトデアラウト思ヒマス是ハ多年ノ間
題デアリマス、何トカシテ解決イタシタイ
ト我ミモ考ヘテ居リマスガ、支那ノ今日
ノ事態ニ於テ、〓科書ヲ全體ニ一律ニ改メ
ルト云フコトハナカ〓〓困難ナコトデア
リマスケレドモ、併ナガラ打ッチヤッテ置イ
テ宜シイ問題トハ決シテ考ヘテ居リマセ
ヌ、私ガ先刻申シマシタ趣旨ト云フモノハ
支那ハ決シテ日本ノ感情ヲ刺戟スルヤウナ
コトヲ言ハナイトカ、言ッテ居ナイトカト云
フ風ニ御解釋ニナッテ居ルヤウデアリマス、
私ハサウ云フ趣旨デ申上ゲタノデハナイノ
デアリマス、若シサウ云フ風ニ御解釋下サ
ルナラバ私ノ言葉ガ不完全ダト考ヘマス
ガ、私ノ申シマシタノハ今日支那ハ所謂
建設的革新ト云フコトヲ方針トシテ進ンデ
居ルノデ、破壞的革新デハナイノデアリマ
スガラ建設的革新ノ方針ヲ以テ進ムナラ
バ、徒ニ外國ト事ヲ構ヘテ、外國ト紛爭ヲ
釀スト云フヤウナコトハ、此革新ニ對シテ
阻害スル所以デアル、支那ノ人モ能ク之ヲ
考ヘマスルナラバ、左樣ナ亂暴ナ、不法ナ
行動ハ致スベキモノデハナイ、支那ノ政治
家ガ今日努メテ居リマス所ノ建設的革新ノ
方法ヲ却テ阻害スル所以デアルト云フコト
ハ能ク了解サルベキモノデアルト云フ趣旨
デ私ハ申シタノデアリマシテ、今日支那側
ノ新聞或ハ支那政治家ノ一部分ノ人達ガ面
白カラザル言動ヲ致シテ居ルト云フコトハ
事實デアリマシテ、私ハ強ヒテソレヲ否認
シヤウト致シタノデハアリマセヌ、治外法
權ナドノ問題ニ付キマシテ、列國トモ一樣
ニ此撤廢ヲ支那ハ求メテ居リマス、而シテ
若シ列國トノ交涉ニ依ッテ平和的交渉ニ
後の 、此問題ガ解決セザル場合ニハ支那
ハ一方的ノ行動ニ依ッテ此治外法權ヲ撤廢
スル方針デアルナドト云フコトヲ部部
政治家ガ申シテ居ルコドハ私モ承知シテ
居リマス、併ナガラ是ハ申ス迄モナク條約
違反ノ符動ト云フモノハ支那ニ之ヲ行フ
ノ權利ハナイノデアリマス、我ミハ支那ガ
左樣ナ國際條約ニ違反スルト云フヤウナ行
動ヲ執ラザルコトヲ期待イタシテ居ルノデ
アリマス
〔赤池濃君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=18
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019・赤池濃
○赤池濃君 私ハ決シテ外務大臣ト此壇上
ニ於テ議論ヲ鬪ハセヤウナンドト云フ考ハ
毛頭アリマセヌデス、只願ハクバ支那ガ能
ク友誼ヲ重ンジテ正道ニ歸ルヤウナ風ニシ
テ欲シイト云フコトヲ希望スルノデアリマ
シテ、若シモ彼ガ反省ヲシナカッタナラバ其
時ニ於テハ斷乎タル御處分ヲ外務大臣ニ
執ッテ戴キタイト云フノガ、私ノ衷心カラノ
希望デアルノデアリマス、本意ハ其所ニア
リマス、只今外相ヨリ色ミナ御話ガアリマ
シタガ、中ニハ先程外務大臣ハ支那ノ官
民ノ行動ハ我ミヲ刺激スルヤウナ風ノコト
ハシナイ、斯ウ云フ御說ガアッタモノデアリ
マスルカラシテ、其一例ト致シマシテ、私
ガ幾ツカノ例ヲ擧ゲテソレデ以テ、是ガド
ウダト云フコトノ御參考ニ供シテ伺ッタ譯
デアリマスルガ、所ガ其中ニ於テ、外務大
臣ハ王正廷氏ノ言ノ一部ヲ御取消ニナッテ、
ソレハ懇談會ノ時ニ於ケル言ハ御取消シニ
ナッタガ、多勢集メテ置イテ言ッタ言葉ト云
フモノハ隨分酷イコトヲ言ッテ居ル、平和的
談判以外ノ方法ニ於テヤルト云フコトニ付
テハ御取消シニナッテ居ラヌノデアリマ
ス、私ハ向フノ外務大臣ガサウ云フヤウナ
風ノコトヲ言フコトヲ甚ダ遺憾ト致シマ
ス、實際外務大臣ガ······向フノ外交總長ガ
サウ云フヤウナ心ヲ以テヤラレタナラバ
日本トノ國交ト云フモノハドウナルノデア
リマセウカト云フコトヲ甚ダ憂フルノデア
リマス、又治外法權ガ今日ノ大問題デアリ
マスニ拘ラズ、向フノ王寵惠氏ガ······總長
ノ王寵惠氏ガ隨分暴言ヲシテ居ル、外務大
臣ハソレヲ遺憾トサレテ居ッタノデアリマ
スルガ、私共ハ甚ダ遺憾トシテ居ルノデア
リマス、兎ニ角支那ノ官民、大官ガ、責任アル
人ガ大ッピラニ斯ウ云フ風ナコトヲソコラ中
デヤラレテ見テ、決シテドウモ宜イトモ思ハ
レマセヌ、釐金ノ問題ニ付キマシテモ、私ガ
申シマシタノハ外デハアリマセヌ、釐金ノ廢
止ニ關スル所ノ支那ノ態度ト云フモノガ
如何ニモ誠意ヲ缺イテ居ル、信ヲ缺イテ居ル
ト云フコトヲ申シタノデアリマシテ、ドウモ
之ヲ以テ見テモ、日本ニ好意ヲ持ッテ居ルモ
ノトハ思ハレヌノデアリマス尙ホ關稅問
題ニ付テハ向フハ權限ダカラ仕方ガナイト
云フ御話ガアリマシタガ、之ニ付キマシテ
私ハ外務大臣ニ向ッテ遺憾ノ意ヲ表シタイ
ト思フ、ト申シマスノハ先年北京ニ政府ガ
アル時ニ於キマシテ、外務大臣ガ其時ノ外
務大臣デアラレタノデアリマシタカラシ
テ、關稅ノコトヲ言ハレマシタガ、私ハ支
那ノ今日ニ於テハ何レノ政府ト雖モ、ドウ
シタ所ガ微力ナモノデアルカラシテ、關稅
ノ協定ヲサレテモ、自主權ヲ渡サレテモ、
其命令ガ全國ニ徹底スルコトハ出來マスマ
イト云フコトヲ申上ゲタ、所ガ外務大臣ハ
非常ニ威猛高ニナラレテ、サウシテ我ミハ
國民政府ヲ······支那ノ政府ヲ相手ニスルノ
ヂヤナイ、支那ノ人民ニ呼ビカケテ居ルノ
ダト云フコトヲ大イニ言ハレタノデアリマ
スルガ、人民ヲ相手ニスルト云フコトハ非
常ニ宜イ言葉デアリマスケレドモ、責任ノ
歸屬ヲ知ラナイ言葉デアッテ、責任者ガナイ
モノヲ相手ニシテ何ガ出來ルカト云フコト
ヲ私ハ反問シタコトガアリマスルガ今此
處ニ於キマシテカラシテ、自主權ヲ與ヘタ、
ダカラ向フガ勝手ニヤルンダ、自主權ヲ與
ヘタカラ勝手ニ向フデ稅ヲ極メルカラ仕方
ガナイト言フケレドモ、ソレハ支那ノ十八
省ノ中ニ於テ、五省ニモ行ヘナイコトデア
ル、支那ノ大部分ニ於テ其稅法ハ行ハレテ
居ラヌ、而モ亦一且此方ガ抛棄シタ所ノ釐
金稅ト云フモノハ、抛棄シタ所ノ所謂權限
ハ、是ハ恢復ハ出來マセヌケレドモ、新タニ
認メタ所ノ權限ニ依ッテ取ル所ノ稅ト云フ
モノハ何處デモ、十八省及ゼ東北四省ノ何
處ニ於テモ取レル譯デアリマス、デ我ミハ此
稅制改正ノ結果ト云フモノガ、日本ニ非常
ニ不利益ヲ與ヘタト云フコトヲ思フノデア
リマスルガ、併シ是ハ此際論ジマセヌ、先
程私ガ外務大臣ハ支那人ハ······支那ノ官
民ハ今建設ノ際デアルカラシテ、殊更ニ日
本ニ事ヲ構ヘルコトハシナイト云フ御話ガ
アリマシテ條約上ノ權利ノ侵害ハナイト
云フ御話ガアリマシタガ、私ハ唯向フノ感
情ヲ刺㦸スルコトガ、斯ノ如キモノガアル
ト云フコトヲ申シタノデアリマス、次ニ條
約上ノ非常ニ重大ナ侵害ヲシテ居ルト云フ
コトヲ申シテ見タイト思フノデアリマス
れ、之ニ付テハ速ニ外務大臣ガ相當ノ方法
ヲ考究サレムコトヲ望ミタイノデアリマ
ス日本ガ支那ニ持ッテ居リマスル所ノ最
太ノ權利ハ何カト申シマスレバ、滿鐵デア
ルヲデアリマス、滿鐵ニ付キマシテハ、明
治三十八年ノ日支滿洲善後條約ニ依リマシ
テ、善後條約ニ胚胎スル所ノ會議錄ノ協定
ニ依リマシテ滿鐵ニ對シテ、支那ハ滿鐵
ノ利益ヲ害スルヤウナ並行線竝ニ支線ヲ敷
設スルコトガ出來ナイコトニナッテ居ルノ
デアリマス、條文ハ滿鐵ノ利益ヲ維持スル
爲ニ、〓國ノ政府ハ滿鐵ニ並行シ若クハ滿
鐵ノ利益ヲ害スル所ノ線又ハ支線ヲ敷設セ
ザルコトヲ約スト云フコトニナッテ居ルト
思セマス兎ニ角滿鐵ヲ十分ニ保護スル爲
ニ本線ハ勿論ノコト支線迄モ並行シテ
敷設スルコトガ出來マセヌシ妨害シテ敷
設スルコトガ出來ナイコトニナッテ居ルノ
デアリマス然ルニ今日ニ於キマシテハ支
那ハ奉海線、吉海線ヲ造リマシテ東部ニ
於テ滿鐵ト競爭シテ居リマス、尙ホ支那ノ
大鐵道計畫ニ依リマスト、綏遠、五常ヲ經
テ南ノ方ハ安東ノ方マデ來ルヤウナ風デ
アリマシテ大々的ノ線ヲ造ル計畫デアリ
さ け、兎ニ角今現ニ出來テ居リマスノハ東
部ニ於テハ奉海線、吉海線デアリマス西
部ニ於テハ打通線ガ出來テ居ルノデアリマ
ス、是ハ明カナ競爭線デアリマス、此線ヲ
現ニ運轉シテ居ルノデアリマス、斯ノ如キ
コトト云フモノハ條約違反ノ最モ甚シイモ
ノト思フノデアリマス、又北寧線、昔京奉
線ト申シマシテ、京奉線ヲ奉海線マデ延長
イタシマシタ、サウシテ滿鐵ヲ縦斷シテ居
ルノデアリマス、是モ其當時ノ善後條約ニ
背クコトノ甚シイモノデアルノデアリマ
ス、現ニ之ヲヤッテ居ルノデアリマス、今日
滿鐵ガ減收二千万圓ト稱セラレテ居リマシ
テ、サウシテ非常ナ不況ニ陷ノテ居ル、之ニ
付テハ先達テ此議場ニ於キマシテ、外務大
臣ハ豆ノ景氣ガ惡イカラダトカ、銀安ノ爲
メデアルトカ、其他ノ爲メダト仰シヤイマ
シタケレドモ、ソレモ確カニ其一部分デア
リマセウ、ケレドモ最大ノ原因ハ何デアル
カト申シマシタナラバ、包圍線ニ依ッテ苦メ
ラレテ居ル結果デアルコトハ申スマデモア
リマセヌ、包圍線ヲ造ルノミナラズ、非常
ニ特別ニ運賃割引ヲ致シマス爲ニ滿鐵ガ苦
ンデ居リマシテ、現ニ三月一日カラ滿鐵ハ
貨物ニ對シテハ約五割ノ値下ヲシテ競爭
シナケレバナラヌヤウナ風ニナッテ居リマ
ス、若シ西部ニ於キマシテカラシテ、ズット
今ノ洮昂線ナリ或ハ打通線ナルモノガ開通
スルコトニ相成リマシタナラバ、又更ニ西
西部ニ於ケル所ノ黑齊線ガ開通スルヽ此支
那ノ鐵道ガスッカリ完成スルヤウニナリマ
シタナラバ、滿鐵ト云フモノハ殆ド手モ足
モ出ナイヤウニナリマシテサウナリマス
1、先ヅ自滅セザルヲ得ナイヤウニナルダ
ラウト思ヒマス、斯ノ如キ重大ナル所ノ條
約違反ヲシテ居ルコトニ付キマシテ、帝國
政府ハ唯漫然トシテソレヲ見テ居ル譯ニ行
カヌダラウト思ヒマス此條約違反ニ對シ
テハドウ云フヤウナ御處置ニナッテ居リマ
スカ、先程外務大臣カラ條約違反ノコトハ
萬々承知シテ居ルト云フコトヲ言ハレマシ
タガ、我〓ハ誠ニ人意ヲ强ウ致スコトノ出
來ルヤウニシテ戴クコトニ山ミノ願ヲ持ッ
テ居ルノデアリマス、デ此並行線ノ問題ニ
付キマシテノ御意見ノ在ル所ヲ承ハリタイ
ト思ヒマス
〔國務大臣男爵幣原喜重郞君演壇ニ登
ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=19
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020・幣原喜重郎
○國務大臣(男爵幣原喜重郞君) 滿鐵ノ並
行線ニ付テノ御質問デアリマスルガ、其中
ニ御述ニナリマシタ奉海線、只今デハ藩海
線ト申シテ居リマス、此線ハ昭和二年ノ九
月ニ竣工イタシタノデアリマス、ソレカラ打
通線ハ昭和二年ノ十一月ニ竣エイタシテ居
ルノデアリマス、ソレカラ吉海線デアリマ
ス、是ハ昭和四年ノ五月ニ竣工イタシテ居
ルノデアリマス、是等ノ線ニ付キマシテ、
藩海線ニ付キマシテハ、旣ニ滿鐵ノ方ハ同
意ヲ與ヘテ居ル線デアルト考ヘマス、吉海
線ニ付キマシテハ、是ハ同意ヲ與ヘテ居ナ
イノデアリマス、打通線ニ付キマシテモ、
是モ滿鐵ノ利益ニ影響ヲ及ボシ得ル線デア
リマス、是等ノ線ハ旣ニ只今申シタル如ク
兩三年前ニ出來上ッタ線デアリマシテ、之ニ
對シマシテ出來上ッタ線ヲ今更線路ヲ引メ
クルト云フ譯ニハ參リマセヌケレドモ、之
ニ對シテ何カノ協定ヲシナケレバナラヌト
考ヘテ居ルノデアリマス、卽チ滿鐵ノ利益
ヲ不當ニ侵害スルコトガナイヤウナ方法ハ
執ラナケレバナラヌト云フノデ、是モ只今
申シマシタ所ノ木村理事ガ東三省ト話合ヲ
付ケナケレバナラヌ問題ノ一ツニナッテ居
ルノデアリマス、數年來打遣ッテアッタ問題
デアリマスケレドモ、我ミハ寧ロ十年十五
年ノ先キヲ考ヘマスルト、是等ノ問題ハ何
トカ此際解決ヲシ卽チ滿鐵モ支那側ノ鐵
道モ、共ニ何トカ兩立シ得ルヤウナ、所謂
共存共榮ノ基礎ニ於テ相當ノ協定ヲ致ス方
ガ宜シカラウ、斯樣ニ考ヘテ、我ミハ此際
此問題ヲ解決セムガ爲ニ力ヲ盡シテ居ルノ
デアリマス、卽チ木村理事ガ只今交涉ヲ始
メテ居ルノガ、是等ノ問題デアリマス、決シ
テ此問題ヲ等閑ニ付シテ置イテ、ドウナッテ
モ宜イト云フ風ニ考ヘテ居ルノデハナイコ
トハ能ク御諒承ヲ願ヒタイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=20
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021・赤池濃
○赤池濃君 チヨット簡單デスカラ此處デ
願ヒタイト思ヒマス、只今ノ奉海線···藩
海線ト申シマスカ、藩海線ニ付テハ滿鐵ガ
同意ヲ與ヘタト仰シヤイマシタガ、果シテ
左樣デゴザイマスカ、チヨット其點ヲ伺ヒタ
イト思ヒマス
〔國務大臣男爵幣原喜重郞君演壇ニ登
ル発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=21
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022・幣原喜重郎
○國務大臣(男爵幣原喜重郞君) 瀋海線ノ
問題ハ私ノ記憶イタシテ居リマスル所デ
ハ日本側ノ方デ苦情ハ述ベナイト云フコ
トニ相成ッテ居ッタト思ヒマス、卽チ此問題
ハ例ノ洮〓線ノ問題ト關聯シテ議セラレタ
問題デアリマシテ、此問題ニ付キマシテハ
異議ヲ唱ヘナイコトニ相成ッテ居ッタト私ハ
了解イクシテ居リマス、若シ私ノ何カ記憶
違ヒガアリマスレバ後デ訂正イタシマス
〔赤池濃君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=22
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023・赤池濃
○赤池濃君 私ハ只今外務大臣カラシテ以
外ノ御答辯ヲ得マシテ、非常ニ無限ノ感慨
ニ打タレテ居ルモノデゴザイマス、奉海線
ガ出來上リマシタノハ昭和二年デアリマ
ス、ソレガ工事ニ著手サレマシタ······起工
シマシタノハ大正十四年デアリマス、今日滿
鐵ガ窮狀ニ陷ヲテ居リマス所ノ狀況、滿鐵ガ
危殆ニ瀕シテ居ルト言ヒマスモノハ、卽チ
並行線ノ爲メ······並行線ノ一番ノ濫觴ハ奉
海線デアルノデアリマス、若シ奉海線ノ建
設ナカリセバ續々發生スル所ノ並行線ハ起
ラナカッタト考ヘルノデアリマス、デ此奉海
線ヲ何デ許サレタカ、何デ此方ガ同意シタ
カト云フコトニ付キマシテハ、是ハ滿洲鐵
道ニ關スル重大ナ問題ダト思フノデアリマ
ス、之ヲ許スニ付テハ定タシ重大ナ理由ガ
アッタラウト思フノデアリマスガ、何故許サ
レタカ、私共ハマサカ日本ノ滿鐵ヲ立枯レ
ニスルヤウナ風ナ、衰滅ニ陷レルヤウナ風
ナ、斯ウ云フ風ノ鐵道ハ許サレマイダラウ
ト云フコトヲ確信スルモノデアリマス、大
正十四年ト申シマスレバ、外務大臣ガ當時
外務大臣トシテオ出デニナッタ當時デアル
ノデアリマス、何故ニ外務大臣ガ此鐵道ノ
敷設ニ付テ御同意ガアッタカト云フコトヲ
非常ニ疑ハシク思フノデアリマス、大正十
四年ニ旣ニ起工サレテ、昭和二年ニ出來テ
居ル、而シテ今日ニナッテカラ初メテ木村理
事ヲシテ交涉セシムルト云フヤウナ風ノコ
トハ甚ダドウモ時日ガ長過ギルト思フ、苟
モ滿洲鐵道ニ付テノ相當ノ知識ガアルモノ
デアッタナラバ、如何ニ此奉海線ガドウカト
云フコトハ直グ分ル筈デアリマス、ソレカラ
尙又出來タモノハ仕方ガナイ、ソレダモノダ
カラシテ、之ヲ何トカ相當ノ方法ヲ設ケテ協
定スルト云フ御話デアルノデアリマスル
ガ、此點ニ付キマシテハ、先程來ノ外務大臣
ノ御意見ト非常ニ違ヒマシテ、甚ダ私共心
細サヲ感ズルノデアリマス支那ハ鐵道ニ
關スル限リニ於テハ殊ニサウデアリマスル
ガ、最モ橫紙破リノコトヲシテ居ルノデア
リマス、滿洲鐵道ニ付キマシテハ屢〓此方ガ
抗議ヲ申込ムニ拘ラズ、向フガ知ラヌ顏ヲ
シ或ハ馬耳東風ニ聞キ流シテ、ソレデ以
テ隨分非違ヲ遂行シテ今日マデ來タノデア
リマス此方ノ抗議、抗議又抗議、ソレハ
何等顧ミル所ナクシテ、ソレデ以テ鐵道ヲ
敷設シテシマッテ、ソレヲヤッテ居ル譯デア
リマス、ソレヲ出來タカラ仕方ガナイカラ
ト云フ譯デ以テオヤリニナルト云フノハド
ウ云フモノデゴザイマセウカ、萬事サウ云
フヤウナ筆法デ以テ條約ヲ蹂躙シテヤルコ
トヲ唯傍觀·····傍觀ト申シマシテハ語弊ガ
アリマスナラバ穩當ナ言葉ニ取換ヘマス
ガ、兎ニ角爲スガ儘ニサセテ、横紙破リノ
コトヲサセテ、サウシテ出來タカラ仕方ガ
ナイ、何トカ後始末ヲスルト云フ風ナコト
ヲシテハ、將來ノコトガ甚ダ思ヒヤラレマ
ス、滿鐵ト申シマスモノハ我國ノ滿洲經營
ノ最モ大ナルモノデアリマシテ、滿鐵ヲ失
ヘバ卽チ滿洲ヲ失フト、左樣ナコトニナル
ノデアリマス、此滿鐵ノ利害ニ重大ナル關
係アル所ノ此奉海線、之ニ付キマシテ唯サウ
云フ風ノ態度デ居ラレルモノデアリマセウカ、
ドウカ又所謂先程申シマシタ所ノ北寧線ト
奉海線ノ延長、所謂「クロッス」問題、是モ向
フガ無理押シヲシテソレデ以テ昨年ノ九月
ヤッタモノデアルノデアリマス、此前カラモ
開通ハシテ居リマシタケレドモ、我ガ抗議ニ
依ッテ中止シテ居リマシテ、昨年カラハ堂々
ト國際的ノ鐵道デアルノダ、通路デアルノ
ダト云フヤウナ顏ヲシテ、ソレデ以テ公然
ト平氣デヤッテ居ルト云フヤウナ風ニ相
成ッテ居ル、卽チ向フノ橫紙破リノ狀況ヲ
此方ガ傍觀シテ居ルト云フヤウナ狀況ニ
ナッテ居ルノハ、萬事斯ウ云フ風ナコトニナ
リマシタナラバ滿鐵ノ將來ト云フモノハ
ドウ云フモノデアリマセウカ、言フヲ俟タ
ズ、火ヲ諸ルヨリモ明カナル結果ニナルダ
ラウト思フノデアリマス、私ハ是レ以上色
色ノコトヲ問ヒ、論議ガマシイコトヲ言フ
ヤウナ氣ハアリマセヌ、飽迄モ外務大臣ガ
條約上ノ權利ハ何處マデモ尊重サレマシ
テ、サウシテ十分ニ其事ヲヤッテ戴キタイ、
彼ニ非違ヲ遂ゲサセルコトノナイヤウナ風
ニ、警〓スベキモノガアッタラ十分戒告シテ
反省サセ、ソレデ以テ非ヲ改ムルヤウナ風
ニサセタイ、玆ニ帝國外交ノ眞價値ガアル
ダラウト云フコトヲ思フノデアリマシテ、
若シソレガ出來ナカッタナラバ、甚ダ遺憾ノ
次第ダト、斯ウ思フノデアリマシテ、吳レ
吳レモ外務大臣ノ御健全ナラムコトヲ希望
イタシマシテ此壇ヲ下ル者デアリマス
〔伯爵柳澤保惠君發言ノ許可ヲ求ム〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=23
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024・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 柳澤伯爵発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=24
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025・柳澤保惠
○伯爵柳澤保惠君 チヨット私ハ議事ノ進
行ニ付テ申上ゲタイト思ッテ居リマシタガ、
只今赤池君ハアレデ以テモウ後ハ言ハレヌ
ヤウデゴザイマスカラ、發言ハ致シマセヌ
〔國務大臣男爵幣原喜重郞君演壇ニ登
ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=25
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026・幣原喜重郎
○國務大臣(男爵幣原喜重郞君) 簡單ニ御
答申上ゲマス、瀋海線ハ何カ滿鐵ニ對シテ
非常ナ競爭線デ、滿鐵ヲ脅威スル線ノヤウ
ニ御考ニナッテ居ルヤウデアリマスルガ、
是ハ事實デアリマセヌ、瀋海線ハ滿鐵ニ對
シテ甚ダ事實上ニ於テハ有利ナル榮養線ニ
ナッテ居リマス、卽チ藩海線ニ依ッテ支那側ノ
北寧鐵道ガ吸收シタル數量ハ一年ニ二万七
千瓲デアリマシテ、滿鐵ノ吸收シタノハ六
万五千瓲トナッテ居リマス、卽チ北寧鐵道著
ノ增加數量ノ二倍半ニ達シテ居リマシテ、
全增加數量ノ八割强マデ占メテ居ルノデア
リマス、從"テ瀋海線ガ滿鐵ニ對シテ脅威デ
ハナイノデアリマス、ソレカラ今迄打遺ッテ
居ッタノハドウカト云フ御話デアリマシタ
ガ、私ハ斯ウ云フ問題ハ決シテ政治上ノ年
ノ問題デアリマセヌ、政黨上ノ問題デアリ
マセヌカラ、私ハ前內閣ノ時ニハドウデアッ
タトカ、現內閣ノ時ニドウデアッタカト云
フコトヲ申スノデアリマセヌケレドモ、前
内閣ノ時ニハ實ハ何等ノ手段モ執ヲテ居ナ
カッタノデアリマス、私ハ此問題ヲ局ニ當ッ
テ、是等ノ問題ヲ徹底的ニ調査イタシマシ
テ、何時迄モ此問題ハ矢張リ打遣ッテ置ク
ノハ宜シクナイ、今日ニ於テ滿鐵ニ對シテ
脅威デナクテモ、十年二十年ノ先ヲ考ヘル
ト是ハ脅威ニナリ得ル問題デアルカラ、解
決シタ方ガ宜シイト考ヘマシテ此解決ニ
努力スルコトニ決定イタシタノデアリマ
ス、左樣御諒承ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=26
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027・赤池濃
○赤池濃君 只今御反駁ガアリマシタノデ
スカラ事實ヲ訂正ダケヲ申上ゲテ置キマ
ス奉海線ガ滿鐵ノ竝行線デナイ、妨害線
デナイ榮養線デアルト云フ御話デアッタ
ノデアリマスガ、明カナ竝行線デアリマス、
是ガ竝行線デナイト云フ人ガアリマシタ
ナラバ地圖ヲ見タ人ノ議論ダト云フコト
ハ申サレマセヌ、而シテ奉海線ト吉海線ガ
連絡シタ結果ハドウデアリマスカ、之ガ爲
ニ日本ノ滿蒙五案件ニ關スル協約ニ依ル所
ノ吉林開原線ヲ抛棄イタシタト同等デアル、
昔滿鐵ニ於テハ公主嶺、開原ハ最モ殷賑ナ
ル所ノ貨物ノ驛デアリマシタ、所ガ此奉海
線ノ出來タ爲ニ今日公主嶺ナリ、開原ノ衰
微ハ言語道斷デアルノデアリマス、又我國
ノ外交ハ吉會鐵道ノ問題ニ於テモ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=27
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028・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 赤池君ハマダ質
疑ヲ爲サルノデアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=28
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029・赤池濃
○赤池濃君 唯一言申シテ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=29
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030・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 質疑ダケニ願ヒ
タイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=30
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031・赤池濃
○赤池濃君 畏マリマシタ、ソレデハ私ハ
滿鐵ノ脅威ヲ受ケナイト仰シヤイマシタケ
レドモ、滿鐵ノ脅威ト思ヒマスカラ、モウ
一應外務大臣カラシテ、其脅威デナイト云
フコトヲ御聽キシタイト思ヒマス、モウ一
ツハ政黨內閣ノ御話ニナリマシタガ、私ハ
今迄自分ガ政黨政派ニ關係イタシマセヌカ
ラ、國家問題ヲ政黨關係デ論ジヤウト云フ
意ハ毛頭アリマセヌ、先程申シマシタノハ
大正十四年ニ起工サレ、昭和二年ニ出來上〃
タノデスガ、ソレガ今日マデ其儘放任サレ
タノハドウ云フノデスカ、而モ御在職中ノ
コトデアリマスカラ、ソレヲ抛棄サレタ理
由ヲ承ハッタノデアリマスガ、ソレニ對スル
御答ガアリマセヌカラ、其點ニ付テ御質問
ヲ致シタイト思フノデアリマス
〔國務大臣男爵幣原喜重郞君演壇ニ登
ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=31
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032・幣原喜重郎
○國務大臣(男爵幣原喜重郞君) 其點ニ付
キマシテハ先刻申述ベタノデアリマス、
洮昂線ノ工事請負ヲ致シマス時ニ關聯イタ
シマシタ此奉天海龍間ノ問題ハ、日本ノ方
ニ於テ異議ヲ唱ヘナイコトニナッタト私ハ
了解シテ居ルノデアリマスガ、先刻申シタ
ノハ實ハ事實デアリマシテ、瀋海線ナルモ
ノガ今日滿鐵ニ對シテ滿鐵ノ利益ヲ侵害シ
テ居ルモノデナクテ、事實上ニ於テハ滿鐵
ノ給養線ニナッテ居ル、瀋海線ニ依ッテ奉天
ヘ行キマス荷物ノ中ノ大部分ハ滿鐵ニ
參フテ居リマス以上、滿鐵ニ對シテ實ハ利益
ノアル線デアルト云フコトノ事實ヲ申シタ
ノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=32
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033・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 休憩ヲ致シマ
ス午後テ時三十分カラ開會イタシマス
午後一時五十一分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=33
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034・近衞文麿
○副議長(公爵近衞文麿君) 是ヨリ午後ノ
會議ヲ開キマス、日程ヲ變更シテ第一、國
務大臣ノ演說ニ對スル件ハ、之ヲ最後ニ〓
シタイト存ジマス、御異存ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=34
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035・近衞文麿
○副議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナイト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=35
-
036・近衞文麿
○副議長(公爵近衞文麿君) 第三ヨリ第十
二マデヲ一括シテ議題ニ供シマス、渡邊司
法大臣
抵當證劵法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和六年三月七日
衆議院議長藤澤幾之輔
貴族院議長公爵德川家達殿
抵當證劵法案
抵當證劵法
第一條土地、建物又ハ地上權ヲ目的ト
スル抵當權ヲ有スル者ハ其ノ登記ヲ管
轄スル登記所ニ抵當證劵ノ交付ヲ申請
スルコトヲ得
抵當權ノ目的物ガ數個ノ登記所ノ管轄
地ニ散在スルトキハ抵當證劵ノ交付ハ
其ノ一ノ登記所ニ之ヲ申請スルコトヲ
要ス
抵當證劵交付ノ申請ハ申請人(代理人
ニ依リテ申請スルトキハ其ノ代理人)
登記所ニ出頭シテ之ヲ爲スコトヲ要
ス
第二條左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ
於テハ抵當證劵ヲ發行スルコトヲ得
ズ
一抵當權ガ根抵當ナルトキ
二抵當權ニ付本登記ナキトキ
三債權ノ差押若ハ假差押ノ登記又ハ
抵當權ノ處分禁止若ハ抵當權ヲ他ノ
債權ノ擔保ト爲シタル旨ノ登記アル
トキ
四債權又ハ抵當權ニ附シタル解除條
件ノ登記アルトキ
五抵當證劵發行ノ特約ナキトキ
第三條抵當證劵ノ交付ヲ申請スルニハ
左ノ書面ヲ提出スルコトヲ要ス
一申請書
二抵當權者ノ權利ニ關スル登記濟證
三手形其ノ他ノ債權ニ關スル證書
四抵當證劵發行ノ特約ノ登記ナキト
キハ抵當權設定者又ハ第三取得者及
債務者ノ同意書
五代理人ニ依リテ申請スルトキハ其
ノ權限ヲ證スル書面
前項第三號ノ證書ナキトキハ申請書ニ
其ノ旨ヲ記載スルコトヲ要ス
第一條第二項ノ申請ヲ爲スニハ申請書
ニ其ノ旨ヲ記載シ且他ノ登記所ノ管轄
ニ屬スル目的物ノ登記簿ノ謄本竝ニ其
ノ登記所ノ數ニ應ジ申請書ノ副本及附
屬書面ノ寫本ヲ提出スルコトヲ要ス
抵當證劵ノ交付ヲ申請スルニハ命令ノ
定ムル所ニ依リ手數料ヲ納付スルコト
ヲルク
第四條申請書ニハ左ノ事項ヲ記載シ申
請人之ニ記名捺印スルコトヲ要ス
-申請人ノ氏名及住所
二代理人ニ依リテ申請スルトキハ其
ノ氏名及住所
三抵當權ノ目的タル土地、建物又ハ
地上權ノ表示
四抵當權設定者及第三取得者ノ氏名
及住所
五抵當權ノ順位及登記ノ年月日
六不動產登記法第百十七條ニ揭グル
事項
七債務者ノ氏名及住所
八抵當權、質權又ハ先取特權ノ登記
アルトキハ債權額、債權者ノ氏名及
住所竝ニ登記ノ年月日
九地上權、永小作權、地役權又ハ賃
借權ノ登記アルトキハ其ノ權利者ノ
氏名及住所竝ニ登記ノ年月日
十登記所ノ表示
+一申請ノ年月日
第五條登記官吏ハ抵當證劵交付ノ申請
ガ左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ理由
ヲ附シタル決定ヲ以テ之ヲ却下スルコ
トヲ要ス但シ申請ノ欠缺ガ補正スルコト
ヲ得ベキモノナル場合ニ於テ申請人ガ
卽日之ヲ補正シタルトキハ此ノ限ニ在
ラズ
一其ノ登記所ノ管轄ニ屬セザルトキ
二第二條ニ規定スル事由アルトキ
三申請書ニ記載シタル事項ガ登記簿
ト符合セザルトキ
四申請人ガ出頭セザルトキ
五申請書ガ方式ニ適合セザルトキ
六必要ナル書面ヲ提出セザルトキ
七手數料ヲ納付セザルトキ
第一條第二項ノ申請アリタル場合ニ於
テハ登記官吏ハ申請書ノ副本及附屬書
面ノ寫本ヲ各管轄登記所ニ送付シ其ノ
管轄ニ屬スル目的物ニ付抵當證劵ヲ作
成スベキ旨ヲ囑託スルコトヲ要ス
第六條抵當證劵交付ノ申請ヲ受理シタ
ルトキハ登記官吏(前條第二項ノ規定
ニ依ル囑託アリタルトキハ其ノ部分ニ
付テハ囑託ヲ受ケタル登記所ノ登記官
吏)ハ遲滯ナク抵當證劵ノ交付ニ付異
議アラバ一定ノ期間內ニ之ヲ申立ツベ
キ旨ヲ抵當權設定者、第三取得者、債
務者、抵當權又ハ其ノ順位ノ讓渡人及
先順位ヲ抛棄シタル者ニ催告スルコト
ヲ要ス但シ抵當證劵ノ發行ヲ妨グル事
由アルコトヲ發見シタル場合ハ此ノ限
ニ在ラズ
囑託ヲ受ケタル登記所ノ登記官吏ガ抵
當證劵ノ發行ヲ妨グル事由アルコトヲ
發見シタルトキハ其ノ旨ヲ囑託ヲ爲シ
タル登記所ニ通知スルコトヲ要ス
第一項ノ催告ニハ第四條第一號及第三
號乃至第七號ニ揭グル事項ヲ記載スル
コトヲ要ス
債務者ニ對スル催告ニハ前項ノ事項ノ
外第三條第一項第三號ノ證書ガ手形ナ
ルトキハ其ノ表示及同條第二項ノ規定
ニ依ル記載ヲモ記載スルコトヲ要ス
第七條抵當證劵ノ交付ニ關スル異議ハ
左ノ理由ニ基クトキニ限リ之ヲ申立ツ
ルコトヲ得
申請ニ付第二條ニ規定スル事山ア
ルコト
二債權ノ質入、差押又ハ假差押アリ
タルコト
三催告ニ記載シタル事項ガ登記簿ノ
記載又ハ事實ト符合セザルコト
四債務者ガ抵當權者ニ對シ相殺ヲ以
テ對抗シ得ベキ債權ニシテ其ノ辨濟
期ガ抵當權者ノ債權ノ辨濟期以前ニ
到來スルモノヲ有スルコト
異議ハ他ノ利害關係人ノ權利ニ關スル
理由ニ基キ之ヲ申立ツルコトヲ得ズ
異議甲立ノ權利ハ豫メ之ヲ抛棄スルコ
トヲ得ズ
第八條異議ニ關スル裁判ハ抵當證劵交
付ノ申請ヲ受理シタル登記所ノ所在地
ヲ管轄スル區裁判所ニ於テ非訟事件手
續法ニ依リ之ヲ爲ス
前項ノ裁判ニ對シテハ卽時抗告ヲ爲ス
コトヲ得抗告ハ執行停止ノ效力ヲ有
ス
異議ノ申立ヲ受理シタルトキハ登記官
吏ハ事件ヲ管轄裁判所ニ送付スルコト
ヲ要ス
第九條異議ニ關スル裁判確定シタルト
キハ裁判所ハ遲滯ナク其ノ旨ヲ關係登
記所ニ通知スルコトヲ要ス
第十條第六條ノ催告ヲ受ケタル者ハ異
議ノ申立ヲ爲スコトヲ得ル事由ニ付テ
ハ其ノ申立ヲ爲シタルモノニ非ザレバ
之ヲ以テ抵當證劵ノ善意ノ取得者ニ對
抗スルコトヲ得ズ
異議ノ申立ヲ理由ナシトスル裁判確定
シタル場合ニ於テハ其ノ申立ヲ爲シタ
ル者ハ二月內ニ訴ヲ提起スルニ非ザレ
バ申立ヲ爲シタル事由ヲ以テ抵當證劵
ノ善意ノ取得者ニ對抗スルコトヲ得
ズ
前項ノ訴ノ提起アリタルトキハ裁判所
ハ之ヲ公〓スルコトヲ要ス
第十一條第六條ノ催告ニ指定シタル期
間內ニ異議ノ申立ナキトキハ登記官吏
ハ抵當權ノ目的物ガ其ノ登記所ノ管轄
地ノミニ在ル場合ニハ直ニ、抵當權ノ
目的物ガ數個ノ登記所ノ管轄地ニ散在
スル場合ニハ囑託ヲ受ケタル登記所ヨ
リ抵當證劵ノ送付ヲ受ケタル後直ニ抵
當證劵ヲ交付スルコトヲ要ス異議ヲ理
由ナシトスル裁判確定シタルトキ亦同
第十二條抵當證劵ニハ左ニ揭ダル事項
ヲ記載シ登記官吏記名捺印シ且登記所
ノ印ヲ押捺スルコトヲ要ス
一證劵ノ番號
二第四條第一號及第三號乃至第九號
ニ揭グル事項
三登記所ノ表示
四證劵作成ノ年月日
囑託ヲ受ケタル登記所ヨリ抵當證劵ノ
送付ヲ受ケタルトキハ登記官吏ハ其ノ
作成ニ係ルモノト一括シ之ニ各證劵ハ
同一ノ債權ノ爲ニ作成シタルモノナル
旨ヲ記載シ且記名捺印スルコトヲ要
ス
第十三條第三條第一項第二號及第三號
ノ書面ノ提出アリタル場合ニ於テ抵當
證劵ヲ交付シタルトキハ登記官吏ハ抵
當證劵ヲ交付シタル旨ヲ其ノ書面ニ記
載シ登記所ノ印ヲ押捺シテ之ヲ申請人
ニ還付スルコトヲ要ス其ノ書面中ニ手
形アルトキハ其ノ手形ハ爾後效力ヲ有
セズ
第十四條抵當證劵ノ發行アリタルトキ
ハ抵當權及債權ノ處分ハ抵當證劵ヲ以
テスルニ非ザレバ之ヲ爲スコトヲ得
ズ
抵當權ト債權トハ分離シテ之ヲ處分ス
ルコトヲ得ズ
第十五條抵當證劵ノ讓渡ハ裏書ニ依リ
テ之ヲ爲ス
商法第四百五十七條第一項ノ規定ハ前
項ノ裏書ニ之ヲ準用ス尙其ノ裏書ニハ
裏書人ノ住所ヲ記載スルコトヲ要ス
第十六條抵當證劵ノ發行アリタル場合
ニ於テハ抵當權ノ變更ハ不動產登記法
ノ定ムル所ニ從ヒ其ノ登記ヲ爲シ且抵
當證劵ノ記載ノ變更ヲ爲スニ非ザレバ
之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ズ
數個ノ不動產ニ付抵當權アル場合ニ於
テ其ノ一ヲ消滅セシメタルトキ亦同
ジ
第十七條抵當證劵ノ記載ノ錯誤又ハ遺
漏ガ登記ノ錯誤又ハ遺漏ニ基カザル場
合ニ於テハ所持人ハ抵當證劵ノ記載ノ
變更ヲ申請スルコトヲ得債務者ノ表示
ノ變更其ノ他ノ事由ニ因リ登記ヲ變更
又ハ更正シタル爲抵當證劵ノ記載ガ登
記ト符合セザルニ至リタル場合亦同
第十八條前條ノ場合ヲ除クノ外抵當證
劵ノ記載ノ變更ハ不動產登記法第五十
六條、第六十四條、第八十一條又ハ第
九十三條ノ規定ニ依ル登記ヲ爲シタル
後ニ非ザレバ之ヲ爲スコトヲ得ズ
第十九條抵當證劵ノ發行アリタル場合
ニ於テ登記官吏ガ抵當權ノ變更、消滅
又ハ更正ノ登記ヲ完了シタルトキハ抵
當證劵ノ記載ヲ變更シ之ヲ其ノ所持人
ニ還付スルコトヲ要ス
第二十條前條ノ規定ハ不動產登記法第
八十一條又ハ第九十三條ノ登記ヲ完了
シタル場合ニ之ヲ準用ス
第二十一條抵當證劵ノ所持人ハ左ノ場
合ニ於テ抵當證劵ヲ交付シタル登記所
ニ證劵ノ再交付ヲ申請スルコトヲ得
一證劵ヲ汚損シタルトキ
二證劵ヲ喪失シタル場合ニ於テ除權
判決アリタルトキ
第二十二條抵當證劵ノ再交付ニ關シテ
ハ命令ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外
第三條乃至第十三條ノ規定ヲ準用ス
第二十三條不動產登記法第六十五條ノ
場合ニ於テ登記官吏ガ囘復登記ノ手續
ヲ完了シタルトキハ更ニ抵當證劵ヲ作
成シ舊證劵ノ所持人ニ交付スルコトヲ
要ス
第二十四條民法第三百七十八條及第三
百八十一條乃至第三百八十七條ノ規定
ハ抵當證劵ノ發行アリタル抵當權ニハ
之ヲ適用セズ
第二十五條抵當證劵ノ所持人ハ元本ノ
一部又ハ利息ノ支拂アリタルトキハ證
劵ニ其ノ金額及受領ノ年月日ヲ記載シ
且之ニ記名捺印スルコトヲ要ス
第二十六條債務者ガ利息ノ支拂ヲ怠リ
タル場合ニ於テ其ノ延滯ガ二年ニ達シ
タルトキハ元本ノ辨濟期到來シタルモ
ノト看做ス但シ抵當證劵ニ特約ノ記載
アルトキハ其ノ定ニ從フ定期ニ元本ヲ
辨濟スベキ場合ニ於テ其ノ延滯ガ二年
ニ達シタルトキ全元本ニ付亦同ジ
第二十七條抵當證劵ノ所持人ハ元本ノ
辨濟期後一月內ニ債務者ニ對シテ支拂
ノ請求ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ場合ニ於テ債務者ガ支拂ヲ爲サ
ザルトキハ抵當證劵ノ所持人ハ公證人
又ハ執達吏ニ其ノ支拂ナキ旨ノ證明ヲ
求ムルコトヲ要ス
第二十八條抵當證劵ニ元本及利息ノ支
拂ノ場所ノ記載ナキ場合ニ於テ債務者
ノ現時ノ住所ガ知レザルトキハ登記簿
ニ記載シタル住所ニ於テ支拂ノ請求ヲ
爲スヲ以テ足ル
第二十九條第二十七條第一項ノ場合ニ
於テ債務者ガ支拂ヲ爲サザルトキハ抵
當證券ノ所持人ハ五日內ニ各裏書人ニ
對シテ其ノ旨ノ通知ヲ發スルコトヲ要
ス
前項ノ場合ニ於テハ各裏書人ハ抵當證
劵ト引換ニ其ノ支拂ヲ爲スコトヲ得
第三十條抵當證劵ノ所持人ハ債務者ガ
元本ノ支拂ヲ爲サザルトキハ辨濟期ヨ
リ三月內ニ抵當權ノ目的タル土地、建
物又ハ地上權ニ付競賣ノ申立ヲ爲スコ
トヲ要ス
巳ムコトヲ得ザル事由ニ因リ前項ノ期
間內ニ競賣ノ申立ヲ爲スコト能ハザル
トキハ抵當證劵ノ所持人ハ期間ノ伸長
ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得裏書人全
員ノ同意アリタルトキ亦同ジ
第三十一條抵當證券ノ所持人ハ競賣代
金ヲ以テ支拂ヲ受ケザル債權ノ部分ニ
付テノミ其ノ前者ニ對シ償還ノ請求ヲ
爲スコトヲ得但シ第二十七條又ハ前條
ニ定メタル手續ヲ爲サザリシトキハ其
ノ權利ヲ失フ
第三十二條抵當權ガ存在セズ若ハ其ノ
目的タル物及權利ノ全部ガ滅失シタル
ニ因リ競賣ノ申立ヲ爲スコト能ハザル
トキ又ハ競賣代金ヲ以テ競賣費用ヲ償
フ見込ナキトキハ抵當證劵ノ所持人ハ
前二條ノ規定ニ拘ラズ裁判所ノ許可ヲ
得テ其ノ前者ニ對シ償還ノ請求ヲ爲ス
コトヲ得但シ辨濟期ヨリ三月內ニ許可
ノ申請ヲ爲スコトヲ要ス
第三十條第二項ノ規定ハ前項但書ノ許
可ノ申請ニ付之ヲ準用ス
第三十三條第三十條第二項及前條ノ裁
判ハ抵當權ノ目的物ノ所在地ヲ管轄ス
ル區裁判所ニ於テ非訟事件手續法ニ依
リ之ヲ爲ス
許可ヲ與ヘタル裁判ニ對シテハ不服ヲ
申立ツルコトヲ得ズ
申請ヲ却下シタル裁判ニ對シテハ卽時
抗告ヲ爲スコトヲ得
第三十四條本法ニ依ル裁判ノ費用ニ付
テハ民事訴訟費用法第十六條及民事訴
訟用印紙法第十六條ノ規定ニ依ル
第三十五條抵當證劵ノ所持人ガ第三十
一條又ハ第三十二條ノ規定ニ依リ其ノ
前者ニ對シ償還ノ請求ヲ爲サントスル
トキハ競賣代金ヲ受取リタル日又ハ第
三十二條ノ許可ヲ得タル日ヨリ五日內
ニ各裏書人ニ對シ償還請求ノ通知ヲ發
スルコトヲ要ス
第三十六條抵當證劵ノ所持人ノ裏書人
ニ對スル通知ハ證劵ニ記載シタル住所
ニ宛ツルヲ以テ足ル
第三十七條抵當證劵ノ所持人ガ第二十
九條第一項又ハ第三十五條ニ規定スル
通知ヲ發セザリシトキハ之ニ因リテ生
ジタル損害ヲ賠償スル責ニ任ズ
第三十八條抵當證劵ノ所持入又ハ償還
ヲ爲シタル裏書人ハ左ノ金額中支拂ア
ラザリシモノニ付其ノ前者又ハ債務者
ニ對シ償還又ハ支拂ノ請求ヲ爲スコト
ヲ得
元本及支拂ノ請求ヲ爲シタル日迄
ノ利息
二支拂ノ請求ヲ爲シタル日後ノ元本
ニ對スル法定利率ニ依ル利息但シ約
定利率ガ法定利率ニ超ユルトキハ約
定利率ニ依ル利息
三第二十七條第二項ノ規定ニ依ル證
明書作成ノ費用其ノ他ノ費用
第三十九條抵當證劵ノ所持人ノ其ノ前
者ニ對スル償還請求權ハ競賣代金ヲ受
取リタル日又ハ第三十一一條第一項ノ許
可ヲ得タル日ヨリ一年、裏書人ノ其ノ
前者ニ對スル償還請求權ハ償還ヲ爲シ
タル日ヨリ六月ヲ經過シタルトキハ時
效ニ因リテ消滅ス
第四十條民法第四百七十條、第四百七
十二條、商法第二百七十八條第一項、
第二百七十九條、第二百八十一條、第
四百三十七條、第四百三十八條、第四百
四十條、第四百四十一條、第四百五十九
條第四百六十三條、第四百六十四條
(第一項但書ヲ除ク)第四百八十三條、
第四百八十八條ノ四、第四百九十五條
及民法施行法第五十七條ノ規定ハ抵當
證劵ニ付之ヲ準用ス
第四十一條不動產登記法第十條、第十
二條、第十三條、第二十一條、第四十
四條、第四十五條、第七十七條、第百五
十條乃至第百五十四條第一項、第百五
十五條、第百五十六條、第百五十八條
及第百五十九條ノ規定ハ抵當證劵ニ付
之ヲ準用ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第四項乃至第九項ノ規定ヲ除クノ外本法
施行ノ地域ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ニ關シ必要ナル規定ハ司法大臣
之ヲ定ム
耕地整理法第二條中「登記シタル權利ヲ
有スル者」ノ下ニ「(抵當證劵ノ發行アリ
タルトキハ其ノ所持人)」ヲ加フ
耕地整理法第二十五條中「第四十四條第
二項」ヲ「第四十四條第三項」ニ、「前項」
ヲ「第一項」ニ、「前二項」ヲ「第一項又ハ
第三項」ニ改メ同條第一項ノ次ニ左ノ一
項ヲ加フ
同一所有者ニ屬スル數筆ノ土地ヲ目的
トスル抵當權ニ付抵當證劵ノ發行アリ
タル場合ニ於テハ前項ノ規定ニ依リ供託
スヘキ第三十條第一項又ハ第二項ノ規
定ニ依ル拂渡金額ノ計算ニ付テハ其ノ數
筆ノ土地ヲ一筆ノ土地ト看做ス但シ其ノ
土地ニ付當該抵當權以外ノ前項ニ揭ク
ル權利アル場合ニ於テ其ノ權利者ノ同
意ヲ得サルトキハ此ノ限ニ在ラス
耕地整理法第四十三條第一項中「建物ニ
村登記シタル權利ヲ有スル者」ノ次ニ「(抵
當證劵ノ發行アリタルトキハ其ノ所持
人)」ヲ加ヘ同條第一項ノ次ニ左ノ一項ヲ
加フ
前項ノ場合ニ於テ抵當證劵ノ所持人ノ
同意ヲ得ルコト能ハサルトキハ地方長
官ノ認可ヲ以テ之ニ代フルコトヲ得
耕地整理法第四十四條第一一項中「前項」ヲ
「第一項」ニ改メ同條第一項ノ次ニ左ノ一
項ヲ加フ
前條第二項ノ規定ハ前項本文ノ場合ニ
於テ抵當證劵ノ所持人ノ同意ニ付之ヲ
準用ス
耕地整理法第八十七條中「第四十四條第
二項」ヲ「第四十四條第三項」ニ改ム
都市計畫法第十五條ノ次ニ左ノ一條ヲ加
フ
第十五條ノ二土地區劃整理ニ付テハ耕
地整理法第四十三條ノ規定ニ拘ラス建
物アル宅地ヲ土地區劃整理施行地區ニ
編入スルコトヲ得
不動產登記法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和六年三月七日
衆議院議長藤澤幾之輔
貴族院議長公爵德川家達殿
不動產登記法中改正法律案
不動產登記法中左ノ通改正ス
第二十八條ニ左ノ一項ヲ加フ
抵當證劵ノ發行アリタル場合ニ於テハ
債務者ノ表示ノ變更登記ハ債務者ノミ
ニテ之ヲ申請スルコトヲ得
第四十三條ニ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ規定ハ第二十八條第二項ノ規定
ニ依ル變更登記ノ申請ニ之ヲ準用ス
第五十六條中「其登記ヲ爲ス」ヲ「其登記
ヲ爲ス尙權利ノ變更ノ登記ニ村キ利害ノ
關係ヲ有スル抵當證劵ノ所持人又ハ裏書
人アルトキハ其者ノ承諾書又ハ之ニ對抗
スルコトヲ得ヘキ裁判ノ謄本ヲモ添附ス
ルコトヲ要ス」ニ改メテ同條ニ左ノ一項
ヲタリ
抵當證劵ノ發行アリタル場合ニ於テハ
其抵當權ノ變更登記ノ申請書ニ抵當證
劵ヲ添附スルコトヲ要ス
第六十五條中「添附スルコトヲ要ス」ヲ「添
附スルコトヲ要ス尙登記ノ囘復ニ付キ利
害ノ關係ヲ有スル抵當證劵ノ所持人又ハ
裏書人アルトキハ其者ノ承諾書又ハ之ニ
對抗スルコトヲ得ヘキ裁判ノ謄本ヲモ添
附スルコトヲ要ス」ニ改ム
第七十一條ニ左ノ一項ヲ加フ
登記官吏ハ囘復ノ登記ヲ爲ス場合ニ於
テ前登記ニ付キ職權ヲ以テ記載シタル
事項アリタルコトヲ發見シタルトキハ
其事項ヲモ記載スルコトヲ要ス
第八十一條中「添附スルコトヲ要ス」ヲ
「添附スルコトヲ要ス尙抵當證劵ノ發行
アリタル場合ニ於テハ其所持人又ハ裏書
人ノ承諾書又ハ之ニ對抗スルコトヲ得ヘ
キ裁判ノ謄本ヲモ添附スルコトヲ要ス」
ニ改メ同條ニ左ノ一項ヲ加フ
第五十六條第二項ノ規定ハ抵當證劵ノ
發行アリタル場合ニ於ケル前項ノ申請
ニ之ヲ準用ス
第百十七條中「其發生期若クハ支拂時期
ノ定アルトキ」ノ下ニ「元本若クハ利息
ノ支拂場所ノ定アルトキ、」ヲ加ヘ「又ハ
民法第三百七十條ノ但書ノ定」ヲ「、民法
第三百七十條但書ノ定アルトキ又ハ抵當
證劵發行ノ定」ニ改ム
第百十九條ノ二抵當證劵ノ發行アル抵
當權ノ目的物ノ讓渡ニ因ル移轉ノ登記
ヲ爲シタルトキ又ハ抵當權ノ目的物ノ
讓渡ニ因ル移轉ノ登記ヲ爲シタル後抵
當證劵ノ發行アリタルトキハ抵當權設
定者ハ其氏名、住所ノ登記ヲ申請スル
コトヲ得但抵當權設定者カ債務者ニ非
サルトキハ此限ニ在ラス
前項ノ登記ハ抵當權設定ノ登記ニ附記
シテ之ヲ爲ス
第百二十六條ノ三登記官吏カ抵當證劵
ヲ交付シタルトキハ職權ヲ以テ抵當權
設定ノ登記ニ其旨ヲ附記スルコトヲ要
ス
第百二十六條ノ四登記官吏カ抵當證劵
法第五條第二項ノ囑託ニ因リ抵當證劵
ヲ作成シタルトキハ職權ヲ以テ抵當權
設定ノ登記ニ其旨ヲ附記スルコトヲ要
ス
抵當證劵法第一條第二項ノ申請アリタ
ル場合ニ於テ登記官吏カ抵當證劵ヲ交
付シタルトキハ他ノ登記所ニ前條ノ登
記ヲ囑託スルコトヲ要ス其申請ヲ却下
シタルトキハ前項ノ規定ニ依ル登記ノ
抹消ヲ囑託スルコトヲ要ス
第百二十六條ノ五前條第一項ノ規定ニ
依ル登記アリタル不動產ニ付キ同條第
二項ノ囑託ニ因リ抵當證劵交付ノ登記
ヲ爲シタルトキハ其登記ハ同條第一項
ノ規定ニ依ル登記ノ時ニ遡リテ其效力
ヲ生ス
第百四十六條中「添附スルコトヲ要ス」ヲ
「添附スルコトヲ要ス尙登記ノ抹消ニ付
キ利害ノ關係ヲ有スル抵當證劵ノ所持人
又ハ裏書人アルトキハ其者ノ承諾書又ハ
之ニ對抗スルコトヲ得ヘキ裁判ノ謄本ヲ
モ添附スルコトヲ要ス」ニ改メ同條ニ左
ノ一項ヲ加フ
抵當證劵ノ發行アリタル場合ニ於テハ
其抵當權ノ抹消ノ登記ノ申請書ニ抵當
證劵ヲ添附スルコトヲ要ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
民事訴訟法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和六年三月七日
衆議院議長藤澤幾之輔
貴族院議長公爵德川家達殿
民事訴訟法中改正法律案
民事訴訟法中左ノ通改正ス
第六百四十三條中「地價」ヲ「賃貸價格」ニ
改ム
第六百四十八條ニ左ノ一號ヲ加フ
第五知レタル抵當證劵ノ所持人及
ヒ裏書人
第六百九十八條第二項ノ次ニ左ノ一項ヲ
加フ
債權ノ屆出ヲ爲ササル抵當證劵ノ所持
人ノ債權又ハ其順位ニ對シテ異議ノ申
立ヲ爲シタル債務者又ハ他ノ債權者ノ
提起スヘキ訴ニ付テハ第六百九十七條
ノ規定ニ依リ準用セラルル第六百三十
三條ノ期間ハ其所持人ノ知レタル日ヨ
リ之ヲ起算ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム但
シ第六百四十三條ノ改正規定ハ地租法施
行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
競賣法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ囚テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和六年三月七日
衆議院議長藤澤幾之輔
貴族院議長公爵德川家達殿
競賣法中改正法律案
競賣法中左ノ通改正ス
第二十四條第三項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
抵當證劵ノ所持人カ競賣ノ申立ヲ爲ス
場合ニ於テハ前項ノ書面ノ外申立書ニ
抵當證劵ヲ添附スルコトヲ要ス
第二十七條第三項ニ左ノ一號ヲ加フ
五知レタル抵當證劵ノ所持人及ヒ裏
書人
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
民事訴訟用印紙法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和六年三月七日
衆議院議長藤澤幾之輔
貴族院議長公爵德川家達殿
民事訴訟用印紙法中改正法律案
民事訴訟用印紙法中左ノ通改正ス
第十六條第二項ニ左ノ一號ヲ加フ
四抵當證劵法ニ依ル異議ノ申立及ヒ
同法第三十二條第一項ノ規定ニ依ル
許可ノ申請
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
日本勸業銀行法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和六年三月七日
衆議院議長藤澤幾之輔
貴族院議長公爵德川家達殿
日本勸業銀行法中改正法律案
日本勸業銀行法中左ノ通改正ス
第十四條第二項中「拂込資本金及積立金
總高ニ相當スル金額ヲ限」リヲ削リ同項
ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ貸付金額及第三十一條ノ二ノ貸
付金額ハ拂込資本金及積立金總高ノ二
倍ヲ超過スルコトヲ得ス
第十四條ノ二中「宅地又ハ建物ヲ抵當ト
スル貸付金額」ヲ「宅地若ハ建物ヲ抵當ト
シ又ハ之ヲ抵當トスル債權(抵當證劵ヲ
含ム)ヲ質トスル貸付金額」ニ改ム
第十五條第四項中「定期償還ノ方法ニ依
リ」ノ下ニ「又ハ十箇年以內ニ於テ年賦償
還ノ方法ニ依リ」ヲ加フ
第十五條ノ二中「田、畑、鹽田、山林、牧場、
養魚池又ハ漁業權ヲ抵當トスル貸付」ヲ
「田、畑、鹽田、山林、牧場若ハ養魚池ヲ抵
當トシ又ハ之ヲ抵當トスル債權(抵當證
劵ヲ含ム)ヲ質トスル貸付、漁業權ヲ抵當
トスル貸付」ニ改ム
第三十一條ノ一ヲ第三十一條トシ第三十
一條ノ二ヲ第三十一條ノ四トス
第三十一條ノ二日本勸業銀行ハ不動產
ヲ抵當トスル債權(抵當證劵ヲ含ム)ヲ
質トシテ五箇年以內ノ定期償還貸付ヲ
爲スコトヲ得
第十六條第一項、第十七條、第十八條、
第二十六條及第二十七條ノ規定ハ前項
ノ貸付ノ擔保タル債權ニ附隨スル抵當
權及其ノ目的タル不動產ニ之ヲ準用
ス
第三十一條ノ三日本勸業銀行ハ抵當證
劵ノ賣買ヲ爲スコトヲ得
本法中貸付ニ關スル規定ハ抵當證劵ノ
買入ニ關シ之ヲ準用ス
第三十二條第二項中「第十四條第二項」ノ
下ニ「及第三十一條ノ一一」ヲ加フ
第三十二條ノ三日本勸業銀行ハ其ノ發
行スル債劵ニシテ政府ノ所有又ハ保管
ニ係ルモノヲ日本銀行ノ爲ニ管理スル
コトヲ得
第五十六條第三號中「第三十一條ノ二」ヲ
「第三十一條ノ四」ニ改ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
農工銀行法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和六年三月七日
衆議院議長藤澤幾之輔
貴族院議長公爵德川家達殿
農工銀行法中改正法律案
農工銀行法中左ノ通改正ス
第六條第二號中「拂込資本金及積立金總
高」ノ下ニ「ノ二倍」ヲ、同條第三號中「市
町村」ノ上ニ「府縣」ヲ、同條第五號中「定
期償還ノ方法ニ依リ」ノ下ニ「又ハ十箇年
以內ニ於テ年賦償還ノ方法ニ依リ」ヲ加
フ
第六條ノ二中「宅地又ハ建物ヲ抵當トス
ル貸付金額」ヲ「宅地若ハ建物ヲ抵當トシ
又ハ之ヲ抵當トスル債權(抵當證劵ヲ含
ム)ヲ質トスル貸付金額」ニ改ム
第七條中「拂込資本金額及農工債劵發行
額ノ四分ノ三迄」ヲ「拂込資本金額及農工
債劵發行額迄」ニ改ム
第七條ノ三ヲ第七條ノ五トス
第十條ノ四ヲ第七條ノ六トシ同條中「田
烟鹽田、山林、牧場、養魚池又ハ漁業
權ヲ抵當トスル貸付」ヲ「田、畑鹽田、
山林、牧場若ハ養魚池ヲ抵當トシ又ハ之
ヲ抵當スル債權(抵當證劵ヲ含ム)ヲ質ト
スル貸付、漁業權ヲ抵當トスル貸付ニ、
「第七條ノ三」ヲ「第七條ノ五」ニ改ム
第七條ノ三農工銀行ハ第六條第二號ノ
制限內ニ於テ不動產ヲ抵當トスル債權
(抵當證劵ヲ含ム)ヲ質トシ五箇年以內
ノ定期償還貸付ヲ爲スコトヲ得
第八條第一項、第九條、第十條、第十
八條及第十九條ノ規定ハ前項ノ貸付ノ
擔保タル債權ニ附隨スル抵當權及其ノ
目的タル不動產ニ之ヲ準用ス
第七條ノ四農工銀行ハ抵當證劵ノ賣買
ヲ爲スコトヲ得
本法中貸付ニ關スル規定ハ抵當證劵ノ
買入ニ關シ之ヲ準用ス
第二十條中「市町村」ノ上ニ「府縣」ヲ加ヘ
「前項ノ」ヲ削リ同條第一項ノ次ニ左ノ一
項ヲ加フ
前項ノ場合ニ於テ農工銀行ハ府縣ニ對
シテハ內務大臣ニ、市町村其ノ他法律
ラ以テ組織セル公共團體ニ對シテハ第
一次監督官廳ニ其ノ請求ヲ爲スヘシ
第二十三條第二號中「第六條各項」ヲ「第
六條及第七條ノ三」ニ改ム
第二十四條第一項中「日本勸業銀行」ノ下
ニ「又ハ他ノ農工銀行」ヲ加ヘ同條ニ左ノ
一項ヲ加フ
農工銀行ハ不動產ヲ抵當トスル債權
(抵當證劵ヲ含ム)ヲ質トシテ日本勸業
銀行ヨリ定期償還ノ方法ニ依リ借入金
ヲ爲スコトヲ得
第二十六條第一項中「十倍」ヲ「十五倍」ニ
改メ同項但書ヲ左ノ如ク改ム
但シ年賦償還貸付金總高及定期償還貸
付金總高ヨリ第二十四條第四項及第五
項ニ依リ質ト爲シタルモノヲ控除シタ
ル金額ヲ超過スルコトヲ得ス
第二十七條中「第二十四條第四項」ノ下ニ
「又ハ第五項」ヲ加フ
第四十六條第一號中「第七條ノ四」ヲ「第
七條ノ六」ニ改ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
北道道拓殖銀行法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和六年三月七日
衆議院議長藤澤幾之輔
貴族院議長公爵徳川家達殿
北海道拓殖銀行法中改正法律案
北海道拓殖銀行法中左ノ通改正ス
第七條ノ二北海道拓殖銀行ハ五箇年以
內ニ於テ定期償還ノ方法ニ依リ不動產
ヲ抵當トスル債權(抵當證劵ヲ含ム)ヲ
質トスル貸付ヲ爲スコトヲ得
第七條ノ三北海道拓殖銀行ハ抵當證劵
ノ賣買ヲ爲スコトヲ得
本法中貸付ニ關スル規定ハ抵當證劵ノ
買入ニ關シ之ヲ準用ス
第八條第一項中「北海道ニ於ケル市」ノ
上ニ「北海道、」ヲ、同條第三項中「定期
償還ノ方法ニ依リ」ノ下ニ「又ハ十箇年
以內ニ於テ年賦償還ノ方法ニ依リ」ヲ加
フ
第八條ノ二中「前二條」ヲ「前四條」ニ改
ム
第八條ノ三中「同條第四項」ノ下ニ「、第七
條ノ二」ヲ加フ
第十一條ノ二中「市町村」ノ上ニ「北海道」
ヲ加へ「前項ノ」ヲ削リ同條第一項ノ次ニ
左ノ一項ヲ加フ
前項ノ場合ニ於テ北海道拓殖銀行ハ北
海道ニ對シテハ內務大臣ニ市町村其
ノ他ノ公共團體ニ對シテハ第一次監督
官廳ニ其ノ請求ヲ爲スヘシ
第十二條第一項中「十倍」ヲ「十五倍」ニ改
ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
國稅徵收法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和六年三月七日
衆議院議長藤澤幾之輔
貴族院議長公爵德川家達殿
國稅徵收法中改正法律案
國稅徴收法中左ノ通改正ス
第四條ノ五中「地租、營業稅、所得稅、醬油
稅」ヲ「所得稅、地租、營業收益稅、資本利
子稅」ニ改ム
第二十八條ニ左ノ一項ヲ加フ
賣却シタル物件抵當證劵ヲ發行シタル
抵當權ノ目的物ニシテ第三條ノ證明ヲ
爲スヘキ抵當證券所持人分明ナラサル
場合ニ於テ其ノ代金ヨリ督促手數料、
延滯金及滯納處分費ヲ徵シタル殘額カ
債權者ニ交付スヘキ債務額及徵收スヘ
キ稅金ニ充タサルトキハ其ノ抵當證劵
所持人ニ交付スヘキ金額ハ之ヲ保管ス
此ノ場合ニ於テ債權ノ辨濟期限後四月
ヲ過クルモ尙其ノ證明ヲ爲ササルトキ
ハ其ノ保管シタル金額ヲ稅金ニ充テ尙
殘餘アルトキハ之ヲ抵當證劵所持人ニ
交付ス物件ノ賣却後二年內ニ其ノ證明
ヲ爲ササルトキ亦同シ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
貯蓄銀行法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和六年三月七日
衆議院議長藤澤幾之輔
貴族院議長公爵德川家達殿
貯蓄銀行法中改正法律案
貯蓄銀行法中左ノ通改正ス
第五條ニ左ノ二號ヲ加フ
六國債、地方債又ハ特別ノ法令ニ依
リ設立シタル法人ノ債劵ノ割賦販賣
七國債其ノ他前號ニ揭クル有價證劵
ノ募集又ハ其ノ元利金支拂ノ取扱
第九條中「第五號」ノ下ニ「第六號」ヲ加ヘ
「前項」ヲ「第一項」ニ改メ同條第一項ノ
次ニ左ノ一項ヲ加フ
貯蓄銀行ハ主務大臣ノ定ムル所ニ依リ
大藏省預金部ヘノ預ヶ金ヲ以テ前項ノ
供託ニ代フルコトヲ得
第十條預金者、第一條第一項第四號ノ
規定ニ依ル給付金ノ債權者及第五條第
六號ノ規定ニ依ル有價證劵ノ給付ヲ受
クヘキ債權者ハ其ノ預金、給付金及有
價證劵ノ給付ヲ受クヘキ債權ニ關シテ
ハ前條ノ規定ニ依リテ供託シタル國債
及有價證劵竝ニ供託ニ代ヘタル大藏省
預金部ヘノ預ケ金ニ付他ノ債權者ニ先
チ辨濟ヲ受クルノ權利ヲ有ス
前項ノ規定ニ依リ優先辨濟ヲ受クル範
圍ハ預金額、給付金額又ハ給付ヲ受ク
ヘキ有價證劵ノ時價ヲ限度トス但シ給
付金又ハ有價證劵ノ給付ヲ受クヘキ債
權ニシテ給付金又ハ有價證劵ノ給付時
期到來セサルモノニ付テハ旣ニ拂込ミ
タル金額ヲ限度トス
第十一條第一項中第六號以下ヲ左ヲ如ク
改ム
六第五條第六號ノ規定ニ依ル有價證
劵ノ給付ヲ受クヘキ債權者ニ對シ旣
ニ拂込ミタル賦拂金ヲ限度トスル貸
付
七道府縣市町村ニ對スル一年內ノ貸
付
八割賦償還ノ方法ニ依ル二年內ノ貸
付
九銀行若ハ大藏省預金部へノ預ケ金
又ハ郵便貯金
十主務大臣ノ定ムル所ニ依リ信託會
社ヘ爲ス金錢又ハ有價證劵ノ信託
十一銀行又ハ信託會社ノ引受アル手
形ノ買入
第十三條第二項ヲ左ノ如ク改ム
第十一條第一項第三號又ハ第七號ノ規
定ニ依ル貸付金ノ總額ハ各拂込資本金
及準備金ノ總額ヲ、第十一條第一項第
八號ノ規定ニ依ル貸付金ノ總額ハ拂込
資本金及準備金ノ五分ノ一ヲ超ユルコ
トヲ得ス
同條ニ左ノ一項ヲ加フ
第十一條第一項第八號ノ規定ニ依ル貸
付金ハ一人ニ付千圓以下トシ且確實ナ
ル二人以上ノ保證アルコトヲ要ス
第十四條中「第五號」ノ下ニ「第六號」ヲ加
へ「第九條第二項」ヲ「第九條第三項」ニ改
メ同條ニ左ノ一項ヲ加フ
前二項ノ規定ハ一信託會社ニ對スル信
託財產及其ノ信託會社ノ引受ケタル手
形ノ買入高ノ總額ニ付之ヲ準用ス
第十五條第一項中「第五號」ノ下ニ「第六
號」ヲ加フ
第十七條有價證劵割賦販賣業法ハ第一
條及第八條乃至第十一條ノ規定ニ限リ
貯蓄銀行ニシテ第五條第六號ノ業務ヲ
營ム者ニ付之ヲ適用ス
第十九條ニ左ノ一號ヲ加フ
三有價證劵割賦販賣業法第十條ノ規
定ニ違反シタルトキ
第二十一條第二項中「給付金」ノ下ニ「及
第五條第六號ノ規定ニ依リ給付ヲ爲スヘ
キ有價證劵」ヲ加フ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔國務大臣渡邊千冬君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=36
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037・渡邊千冬
○國務大臣(子爵渡邊千冬君) 只今議題ト
ナリマシタ抵當證劵法案、不動產登記法中
改正法律案、民事訴訟法中改正法律案、競
賣法中改正法律案及民事訴訟用印紙法中改
正法律案ニ付キマシテ一括シテ提案ノ理由
ヲ申述ベタイト存ジマス、我國不動產金融
ノ狀況ヲ見マスルニ、不動產ヲ擔保トスル
債務ノ總額ハ、昭和三年末ニ於テ六十一一億
圓ヲ超ユル巨額ニ上ボッテ居ルノデアリマ
ス、而シテ之ガ流動化及資金化ト云フコト
ハ我國經濟ノ發達上最モ重大ナル問題デ
アリマシテ、之ガ解決ハ社會一般ヨリ非常
ニ要望セラレテ居ルノデアリマス、然ルニ
我國現在ノ制度ニ於テハ不動產抵當債權者
ガ自己ノ抵當債權ヲ資金化スル上ニ於キ
マシテ、有效簡便ナル方法ガ設ケラレテ居
ナイ爲メ、平時ニ於テ財界變調ノ際ニ於テ
モ、常ニ多大ノ不便ヲ感ジテ居ク次第デア
リマス、政府ハ玆ニ見ル所ガアリマツテ、
抵當證劵法ノ制定ニ依リ、抵當證劵制度ヲ
創設イタシマシテ、不動產抵當付債權ノ證
劵化ヲ圖ルコトトシ、兎角ニ固定シ易イ不
動產貸出ニ關スル缺點ヲ除去シ、不動產所有
者ノ爲メ、金融ノ便宜ヲ增進セシメタイト
存ジマス、今此制度ノ金融上ノ作用ヲ〓略
申述べマスト抵當證劵ハ不動產ヲ抵當ト
スル債權ヲ證劵化シタモノデアリマシテ、
大體ニ於テ手形ニ不動產抵當ヲ固著セシメ
タ形トナルノデアリマス、而シテ此制度ナ
キ現在ニ於キマシテ一々移轉登記ノ手續ヲ
經ナケレバ、不動產上ノ抵當權ノ移轉ヲ以
テ第三者ニ對抗スルコトガ出來ナイノデア
リマスガ、抵當證劵法ニ於キマシテハ手形
ト同樣ニ裏書ニ依シテ之ヲ讓渡シマスレバ、
第三者ニ對抗シ得ルコトトナルノデアリマ
ス、斯クテ裏書讓渡ト云フ簡便ナル手段ニ
依リマシテ轉々スルコトニナルノデアリマ
スカラ、不動產ノ抵當ノ附イタ債權ガ容易
ニ流動シ、從ッテ又資金化ニ都合好クナルト
云フ仕組デアルノデアリマス、之ニ加ヲル
ニ右ノ裏書ニハ一定ノ裏書上ノ責任ガ附著
シテ居リマスノデ人的擔保作用ガ不動產
ナリ物的擔保ノ上ニ加ハリ、更ニ流動化及
資金化ノ作用ヲ圓滑ナラシメルコトト相成
ルノデアリマス、以上ハ抵當證劵法ノ大要
ノ說明デアリマスガ、本法制定ノ必要ニ付
キマシテハ旣ニ金融制度調査會ニ諮問シ
テ可決セラレタ所デアリマス、而シテ同法
ノ制定ニ伴ヒ、不動產登記法、民事訴訟法、
競賣法及民事訴訟用印紙法ノ改正ヲモ必要
トシタノデアリマシテ、ソレ〓〓〓正法律
案ヲ提出イタシタ次第デアリマス、何卒愼
重審議速ニ御協贊アラムコトヲ希望イタ
シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=37
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038・近衞文麿
○副議長(公爵近衞文麿君) 小川政務次官
〔政府委員小川〓太郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=38
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039・小川郷太郎
○政府委員(小川郷太郞君) 只今議題トヲ
リマシタ諸法案中先ヅ第一ニ日本勸業銀
行法中改正法律案、農工銀行法中改正法律
案及北海道拓殖銀行法中改正法律案ニ付キ
マシテ一括シテ提案ノ理由ヲ申述ベタイ
ト存ジマス、不動產金融ノ圓滑ヲ圖ルコト
ハ積年ノ問題デアリマシテ、此問題ヲ解決
スル爲ニハ不動產ヲ抵當トスル債權ノ資
金化、證劵化ヲ行フノ必要ガアリマス、依ッ
テ政府ハ別ニ抵當證劵ニ關スル法律案ヲ提
案シテ、不動產ヲ抵當トスル債權ノ轉々ヲ
容易ナラシムル制度ヲ設ケントスルコトハ
既ニ司法大臣ヨリ說明セラレタ通リデアリ
マス此抵當證劵制度ヲ設ケマスト共ニ、
不動產金融ヲ主タル業務トシテ居リマスル
日本勸業銀行、農工銀行及北海道拓殖銀行
ヲシテ抵當證劵ヲ賣買シ、又ハ之ヲ質トシ
テ定期償還貸付ヲ爲スノ途ヲ開キ、又抵當
證劵トナリ居ラザル不動產抵當債權ニ付キ
マシテモ、同樣ノ貸付ヲ行フコトヲ得セシ
メ、是等ノ銀行ヲシテ其機能ヲ十分ニ發揮
サセタイト考ヘマス、此種ノ業務ヲ新タニ
認メルコトニ依リマシテ、定期償還貸付限
度ノ擴張、又ハ債劵發行限度ノ擴張ガ必要
トナリマスカラ、此點ニ付テモ相當改正ヲ
加フルコトト致シマシタ、更ニ現在是等ノ
銀行ハ農業者、工業者、又ハ漁業者ニ對シ
マシテ十人以上ノ連帶ヲ以テ定期償還ノ
方法ニ依リ、無抵當ノ貸付ヲ爲スコトヲ認
メラレテ居リマスガ、今囘是等ノ者ニ對シ
新タニ年賦償還ノ方法ニ依リ、無抵當貸付
ヲ認メルコトトシ、長期低利ノ資金ノ利用
ヲ容易ナラシメテ、庶民金融ノ改善ノ一端
ニ資シタイト考ヘマス、又農工銀行及北海
道拓殖銀行ハ今日ニ於キマシテハ資力モ
相當充實シテ來タノデアリマスカラ道府
縣ニ對スル無抵當貸付ヲ爲スコトヲ認ムル
コトト致シマシタ、尙ホ日本銀行ニ於テ管
理スル有價證劵中、日本勸業銀行發行ノ債
劵ハ便宜同行ヲシテ日本銀行ニ代リ、是
ガ管理ヲナサシムルコトトシ、又農工銀行
ガ農工債劵元利金支拂等ノ爲ニ、他ノ農工
銀行ノ代理店トナリ得ルヤウエ改正ヲ致シ
タイト考ヘマス、以上ノ事項ニ關シ、其大
綱ニ付キマシテ、金融制度調査會ニ諮問シ、
同會ニ於テ愼重審議ノ上可決セラレタノデ
アリマシテ、玆ニ其趣旨ニ依リ本案ヲ提出
シタ次第デアリマス、何卒御協賛アラムコ
トヲ希望イタシマス、第二ニ議題トナッテ居
リマシタ國稅徵收法中改正法律案ニ付キマ
シテ、其提案ノ理由ヲ說明イタシマス、現
行法ニ於キマシテ納稅者ノ財產ノ上ニ抵當
權ヲ有シテ居リマス者ガ、國稅ニ對シ先取
權ヲ行使シマスルニハ、其抵當權ノ設定ガ
國稅ノ納期限ヨリ一箇年以前ニアルコトヲ
證明シナケレバナラナイコトニナッテ居リ
や 、然ルニ今囘抵當證劵ノ制度ガ出來マ
シテ、納稅者ノ財產ノ上ニ設定セラレマシ
タ抵當權ニ付テ抵當證劵ガ發行セラレタ場
〓、證劵ガ轉々シマシテ、其所持人ガ何人
デアルカ分明セズ、従テ稅務署ガ權利者ニ
通知が出來ズ、其結果トシテ債構者ガ國稅
ニ對シ先取權ヲ行使スルノ機會ヲ失フガ如
キ場合ヲ生ズル虞ガアリマス斯ノ如キ場
合ニハ相當期間ノ獵豫ヲ與ヘ、其權利行
使ノ機會ヲ得セシムルノ必要ヲ認メマシ
テ玆ニ本案ヲ提出シタ次第デアリマス
俺ホ從來稅法ノ改廉モ伴ヒマシテ改正ヲ
要スルモノガアリマスルノデ、是モ同時ニ
改正スルコトト致シマシタ何卒御審議ノ上
練協賞ヲ與ヘラレムコトヲ希望イタシマ
次.最後ニ貯蓄銀行法中改正法律案ニ付キ
キテ其提案ノ理由ヲ說明をタウマス
現得貯蓄銀行法ハ大正十年制定セテレ
同十一年ヨリ實雄ヲ見タモノデアリマシチ、
其制度ハ略整備シテ居リマスガ更ニ實
施後ノ實情ニ鑞ミマシテ、時蓄銀行ノ業務
トシテ營マオムルモ支障ナツト認ムル種目
テ遺加シ又資金運用ノ範圍ヲ擴張シ、就
中貯蓄銀行ガ庶民階級ニ對キ、對人信用ニ
依ル或程度ノ資金供給ヲ爲シ得ルカ途ヲ
關キ以テ刻下ノ間題タル庶民金融緩和ノ
一助タラシムル爲メ、適當ノ改正ヲ加ヘム
トスルモノデアリマス何卒御審議ノ上御
協賛アラムコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=39
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040・山岡萬之助
○山障萬之助君 質疑ヲ佛許シ廳ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=40
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041・近衞文麿
○翻議長(公爵近衞文麿君) 宜シウゴザイ
マ大
〔山岡。萬之助君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=41
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042・山岡萬之助
○山陽萬之映君 私ハ只今上程ニナリマシ
タル〓當證劵法案、是等ニ牽聯イタシマシ
タル法律關係ニ付キマシテ政府ニ質疑ヲ
我シタイノデアリマス、四下ノ經濟界ノ不況
ハ對人信用ニ付キマシテ非常ニ惡タナリ
マシク、今日デハ對物信用ヲ以テ我ガ經濟
界ニ於ケル金融ヲ圖ルノ外ハナイ狀況エ
ナ〓テ居リマスルコトハ、私ノ最モ遺憾トス
ル所デアリマス、卽チ今日手形ノ如キ對人
的ニ取引セラレタル所ノモノガ非常ニ減少
イタシマシテ、不渡手形ガ激增イタシ、五年
內ニ於ケル不渡手形ノ數ハ九千五百五十八
枚ヲ數フル狀泥デアリマスルコトハ以テ
如何ニ我ガ財界ノ對人信用ガ惡クアルト云
フコトヲ推知スルニ足ルノデアリマス、今
日誠ニ金融難ノ時代デアリマス、產業ノ發
達ハ何トシテモ其本トナリマスル所ノ資
金ノ融通ヲ圓滑ニスル、是ガ土臺テアルト
考ヘルノデアリマス、不動產擔保ノ、今日、
金額ハ只今渡邊司法大臣ノ御述べユナリマ
シタヤウニ六十二億圓ヲ數フル次第デア
リマス、ソコデ農村ノ不動產ノ負債ハドノ
位アルカト見マスレバ犬約此中ノ六割位
ニ及ブデアラウト思ヒマス而シテ今日農
村ノ負債ハ政府ノ裨提出ニナシテ居リマス
ル所ノ調書ニ依リマスレバ、約ソ四十億乃
至五十億ナリト記載イタシテアリマス、兎
モ角是ハ我〓ハ五十億圓アルト、斯ウ考ヘ
ルクデアリマス、斯ノ如ク負債ハ非常ニ增
加イタシテ居ル場合ニ際シテ、農村ニ於キ
マシテハ昨年ノ收額不足、卽チ金錢上ノ收
納シタル額ノ減少シタル所、是ガ農林省ノ
御謝ベニ依レバ纔額十二億五千万圓
ト推計セラルヽト云フノデアリマス勿論
物價ノ下落其他ニ依リマウチ、農村ニ於ケ
ル生活其他ノ經費ソレガ四億若クハ五億
ト云フモノガ減少シテ層ルデアリマセウ、
結属七八億ト云フモノハ農村ノ收入ガ咋
年ヶ間ニ於テ前年度ニ比較シテ減少不タ
シタノデアリマス斯ノ如ク經濟界ニ於ケ
ル商取引ノ範圍ニ於テハ不渡手形ガ增加シ、
農村ニ於テハ收入ガ斯クモ多額ニ減少イタ
シタ場合モ於テハ資金難エ陷リマスルコ
トハ是ハ申ス迄モナイコトデアリマス、
玆ニ於テ不動產ノ證劵化ト云フコトハ、是
ハ必要ナルコトトナッテ居ルノデアリマス、
私ガ不動產證劵化ニ付キマシテ、今日ノ財界
ニ於テ必要ナリト考ヘルヨリモ、我國ノ金
融關係ニ於ケル信用······是ハ對人信用ト云
ブモノハ遺憾ナガラ我國ニハ確立イタシテ
居リマセヌノデアリマス手形ハ有價證券
デアルニ拘ラズ、擔保ナシニハ、其手形ガ
動イテ行カナイヤウナ狀況ニアルノデアサ
青く、眞ニ約東手形ノ如キハ貸借證書ニ過
ギカイ狀況コアルコトハ誠ニ我〓ノ產業
界ノ爲ユ遺憾千萬ナ事栖デアリマス、ソレ
デアリマスルカラシテ、對人信用ヲ補フ爲
ニ對物信用ヲ以テスルト云フ場合ニ、動產
ヌ倉庫ニ入レテ倉庫證劵ヲ發行セシムルト
云フガ如キコトハ勿論一通リデアリマシ
テ斯ノ如キコトハ業ニ已コ行ハレテ居ル
ノデアリマス、今日マデ我國ニ缺陷トナッテ
居リマシタモノハ不動產ノ眞ノ融通性ヲ
與ヘル證券化デアックノデアリマズ、是ハ秘
ハ相當長本間〓究ヲ試ミタノデアル此不
動產證劵化ハ獨逸ニ於テ最モ能タ發達イタ
シテ居ルノデアリマス故ニ不動產證券化
ヲ致ツマスルコハ是等ノ制度ヲ十分ユ參
酌ウテ效果アル制度ヲ立テ而シテ永久ニ
我國ノ產業界ニ於ケル金融ノ滑カナルコト
ヲ圖ラスケレバナラスト私ハ考ヘマス是
故ニ不動產ノ證劵化ニ付テ政府が立法ヲ爲
サルト云フコトヲ昨年仄聞イタシマシテ
誠ユ宜キ御企テデアル、ドウソ最モ宜キ證
劵法ヲ御制定ユナッテ議會ニ速ニ御提案ニ
ナリ、而シテ此疲弊国憊セル產業界ヲ救濟
スル一助トナサレルナヲバ誠ニ結構ナコ
トデアルト、私ハ考ヘテ居ッタノデアリマ
々、デ大イニ不動產證劵化制度ノ法案ヲ邊
ヘテ居ル一人デアリマス然ル所、只今議
題ニナリマスル迄ニ運ビマシテ政府提案
ノ法律案ヲ一々調査イタシテ見マシタノデ
アリマス、然ル所、私ヲシテ申サシメレバ、
ソレハ誠ニ不完全デアリマシテ、强ク申セ
バ甚シキ缺陷ヲ有スル、斯ウ申ス狀況ニア
ルコトデ玆ニ於テ私ハ政府ノ意ノアル所
ヲ御尋ネ致サヌケレバナラヌノデアリマ
ス、何ガ然ラバ不完全デアルカ、斯ウ申シ
マスレバ第一ニ本案ヲ法律上カラ觀察シ
テ見マスルト有價證券トシテノ眞ノ價が
ナイノデアリマスドウ云フ譯デサウ云フ
コトガ起キテ居ルカト申シマスレバ、此津
案ノ第三十二條、此第三十二條ハ不動產農
體カラ債權額ヲ得ルコトノ出來ナカッケ場
合ニ於テ、裁判所ノ許可ヲ得テ前者ニ對シ、
卽チ裏書人ニ對シチ償還テナスコトガ出來
ルト云フ規定デアリマス、其冒頭ニ於テ「抵
當權ガ存在セズ」斯ウ云フ規定ガアリマス、
是ハ卽チ我國ノ民法ニ於ケル物權ノ制度ガ、
此結論ヲ來タスノ已ムテ得ナイ立前ニ層ル
ノデアリマス、卽チ有價證劵トシテ只今御
說明エナッタル通リ不動產金融機關ニ於テ
ハ之ヲ賣買スル、斯ウ云フ御說明デアル、
其賣買スルト云ヲコトユナリマスレバ、眞
ヨ此證劵ハ轉々シテ動クト云フコトガ、ソ
レニ依ッテ示シテ居ル、其證劵ガ抵當權ガ存
在セザル場合アリトシタラ如何デアリマセ
ウカ、有價證劵ニ非ズシテ無價物デアリマ
ス、斯ノ如キ場合ガ假令ドレダケノ數ガ續
計上ニ現レマスカハ先ヅ成ベクサウ云フ
場合ノナイコトヲ希望イタシマスケレドモ
法律、既既ニ豫想シテ居ル以上、相當ノ統計
ガ現レルト云フコトハ見ナケレバカヲス
サウシマスルト云フト有價證劵ナリト信
ジテ之ヲ買受ケ、之ヲ質ニ質取リシ、其他
之ヲ所有シテ居ル者ガ數年ノ後ニ於チ知
ヲナイ間ニ損害ヲ來タスト云フコトエカリ
マスルナヲバ如何ニシテ此有價證劵ガ社
會ニ於テ信用ヲ以テ迎ヘルコトガ出來ルデ
アリマセウカ、基ダ疑ハザルヲ得ナイノデ
アリマス、其據ノテ基ク所ハ此處ニ在ルノヂ
アリマス、卽チ我ガ民法ノ第百七十六條ニ
依リマスレバ、「物權ノ設定及ヒ移轉ハ當事
者ノ意思表示ノミニ因リテ其效力ヲ生ス」、
是ガ我國ニ於ケル物權ノ基本法デアリマ
ス、抵當權ハ是故ニ當事者ノ意思表示ヲ以
テ效力ヲ生ズルノデアリマス又所有權ノ
移轉モ當事者ノ意思ノ表示ニ依ッテ、意思ガ
合致イタシマスルト云フト、玆ニ所有權ヲ
移轉シ抵當權ハ成立スルノデアリマス、ソ
レ故ニ所有者ガ假ニ第一ノ人ト所有權移轉
ノ契約ヲシマスト、ソレニ所有權ハ移轉ス
ルノデアリマス、第二ニ更ニ他人ニ契約イ
タシマシタ場合ニ於テハ兩者ノ關係ハ問
題ガ起キテ參リマス、所有權ハ一ツデアリ
マスカラ兩人ニ移轉スルコトノ出來ナイ
コトハ當然デアリマス、玆ニ於テ何人ガ所
有權者デアルヤト云フ問題ヲ生ズルノデアリ
マス、ソコデ我ガ民法ハ第百七十七條ニ於
キマシテ、「不動產ニ關スル物權ノ得喪及ヒ
變更ハ登記法ノ定ムル所ニ從ヒ其登記ヲ爲
スニ非サレハ之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコ
トヲ得ス」、故ニ登記ヲ爲スト云フコトハ對
抗條件ニ過ギナイノデアリマス、權利關係
ハ意思表示ニ依ッテ完全ニ成立シテ來ルノデ
アリマス、玆ニ於テ右例示イタシマシタル
場合ヲ採ッテ申シマスレバ、先ニ契約イタシ
マシタル所有權若クハ抵當權ノ移轉ヲ致シ
タ場合ニ於テ、第二ニ約束シタ人ノ方ガ先
ニ登記ヲ致シマスレバ、第二ノ登記ヲ爲シ
タ者ガ權利者トナルノデアリマス、此事ガ
獨逸ノ法制トハ全ク異ナル所デアリマス
此結果ハ先ニ申上ゲマシタヤウナ結論ニ到
達スルノデアリマス、獨逸ノ制度ニ於キマ
シテハ當事者ガ玆ニ約束ヲ致シマス、所有
權ノ移轉乃至ハ抵當權ノ設定ノ約束ヲ致シ
ママ、其合意、卽チ物權契約ニ依リマシテ、
一應權利關係ガ成立ツベキ準備ハ成立スル
ノデアリマス、然レドモ之ヲ以テ物權ハ完
成イタシマセヌ卽チ登記法ニ依リマシテ
之ヲ登記スルコトニ於テ初メテ其權利ト云
フモノガ確定サレルノデアリマス、卽チ登
記ハ權利關係ヲ確定スル效力ヲ有ツノデア
リマス、我國ノ登記ハ單ニ第三者ニ對抗ス
ル、卽チ行使ノ方法ニ過ギナイノデアリマ
シテ、所有權ヲ證明シ、確定スル所ノ力ヲ
有タヌノデアリマス、此差異ガ非常ニ重大
デアリマス、故ニ獨逸ニ於キマスル所ノ法
制ニ從ヒマスルト云フト、合意アリ且ツ登
記アル場合ニ於キマシテハ其登記セラレ
タル不動產ニ付テノ權利關係ハ玆ニ確定イ
タシマス、何人モ之ヲ爭フコトハ出來得ナ
イ狀況ニ置カレマスルノデアリマス、故
登記簿ニ於キマスル所ノ權利ヲ讓渡ヲ受ケ
マシタ人ハ損害ヲ受ケナイノガ原則デアリ
やく、善意デアル限リ絕對ニ損害ヲ受ケヌ
ノデアリマス、之ヲ證劵ノ轉々シタ場合ニ
假定イタシマスレバ、證劵ガ制定サレテ、
數次轉々イタシタ先ニ於テ之ヲ受取ッタ者
ハ絕對ニ此權利ヲ失ハヌノデアリマス、然
ルニ我國ノ制度ニ依リマスルト、第一ノ人
ハ何等ノ權利ヲ第三者ニ對シテ主張スルコ
トガ出來ナイ狀況ニ置カレルダケ、卽チ登
記ハ纔ニ行使ノ方法ニ過ギマセヌカラシ
テ公證力、確定力ハ有サナイノデアリマ
ス、故ニ登記ガ誤ッテ居リマスル場合ニ於テ
ハ、何人ガ是ガ損害ヲ被ムルカト申シマス
レバ、誤リタル登記ニ於ケル權利關係ヲ取
得シタル人ガ損害ヲ受ケルノデアリマス、
玆ニ卽チ誤リタル登記ヨリ、之ヲ信ジテ權
利ヲ取得イタシマシタル其人ガ詐害行爲ニ
依ッテ害ヲ受ケルト云フコトニナリマス、全
ク獨逸トハ反對ニ行クノデアリマス、故ニ
獨逸ノ制度ニ依リマスレバ、此轉々シテ行
ク場合ニ於テハ常ニ法律上有效デアリマシ
テ、我國ノ制度ニ依リマスレバ、轉々シテ
行ク場合ニ於テ此法ガ效力ノ無イ場合ガ出
來ル、而シテ此方ニ登記簿ニナイ所ノ權利
ヲ完全ニ有シテ居ッタ人ハ登記簿ノ無效ヲ主
張スルコトガ出來ルノデアリマス、之ヲ言
葉ヲ單純ニ申シマスレバ、登記簿ニ他人ノ
名ガ登記シテアリマシテモ、尙且ツ權利關
係ヲ主張スルコトガ出來ル狀況ニ置カレテ
居ルノデアリマス、此關係ハ例ヘバ證書
ヲ僞造シテ登記ヲ致シマシタ場合ガアリト
假定イタシマシテモ、同樣デアリマス、獨
逸ノ制度ニ依リマスレバ、善意ノ第三者
ハ決シテ損害ヲ受ケナイノデアリマス、
我國ニ於テハ僞造登記ニ依テ轉々シマシタ
場合ニ於テハ轉々ヲ受ケタ人ガ損害ヲシテ、
僞造セラレタル所ノ人ハ財產上ニ於テハ
何等ノ損害ヲ受ケナイノデアリマス、故
ニ斯ノ如キ次第デアリマシテ、玆ニ三十
二條ト云フモノガ明記セラレタド云フコト
ハ當然ノ結果デアリ、立法者ガ斯ク立法ス
ルト云フコトハ當リ前デアル次第デアリマ
ス、是ガ誠ニ重大ナ關係ニナルノデアリマ
ス、ソコデ立案者ハ此點ニ留意セラレマ
シテ、法案第六條ニ於キマシテ抵當證劵
ノ交付ノ申請ヲ受理イタシマシタ場合ニ於
テハ登記官吏ハ遲滯ナク異議ヲ申立ツベキ
機會ヲ其不動產登記簿ニ關係アル人ニ通知
イタスノデアリマス、是ハ立法者ノ苦心ノ
アル所ヲ示シテ居リマス、サリナガラ是ダ
ケノ規定ヲ置キ、若クハ其他ノ規定ヲ以テ
補充シテ、善意ノ取得者ハ常ニ損害ヲ被ラ
ナイト云フコトニナリマスレバ民法ノ制
度如何ハ兎モ角モ、此抵當證劵ニ依ッテ、結
果カラ見マスルト云フト、獨逸ノ制度ト同
等ニナルノデアリマスルケレドモ、此三十
二條ガ存シマスル以上ハ其證劵ト云フモ
ノハ無價値ノ場合ガ時ニ發生シテ參ルノデ
アリマス、斯ノ如クニシテ不動產證劵化ヲ
圖リマス場合ニ於テハドウ致シテモ民法
ノ規定ヲ根本カラ變ヘルト云フコトハ出來
ナイニ致シマシテモ、之ヲ補正イタシマシ
テ、證劵ガ常ニ價値ヲ有ッテ居ルト云フコト
迄ニハ民法ヲ補正スルコトガ絕對ニ私ハ必
要デアルト信ジマス、卽チ有價證劵トシテ
轉々スル以上ハ有價證劵ニ信用ヲ與ヘナケ
レバナラヌノデアリマス、如何ニシテ斯ノ
如ク致スベキカト申シマスレバ、我國ノ抵
當權ハ從タル物權デアリマシテ、債權ノナ
キ場合ニ於テハ絕對ニ成立シナイ所ノ權利
デアリマス、故ニ抵當權ト云フモノハ我國
ノ制度ノ上ニ於キマシテハ獨立性ガナイノ
デアリマス、是デハイカナイノデアリマス、
或程度マデ獨立性ヲ與ヘマシテ、其有價證
劵ヲ發行シタ場合ニ於キマシテ、之ニ所有
者ガ辨濟ヲシタ場合ニ於テハ、其抵當權ハ
所有者ニ戾リ、所有權者ハ低當權ヲ更ニ活
用シテ資金ヲ得ル所ノ途ガ立ツ程度······此
程度モ考ヘナクチヤナラヌノデアリマス
サウ云フ風ニ制度ヲ考ヘテ參リマスレバ
茲ニ善意ノ第三者ヲ害スルコトナク、卽チ
登記簿ノ效力ヲ相當認メ、而シテ證劵ガ發
行セラレタ場合ニ於テハ確定力、公證力ト
云フコトヲ認メルト云フコトノ制度ガ立チ
得ルノデアリマス、勿論此制度ハナカ/
立法ノ技術ヲ要シマセウ、立法ノ技術ハ要
シマシテモ、政府ガ有價證劵トシテ不動產
ヲ流通化サウ、斯ウ云フ以上ハ其立法ハ爲
サラナクチヤナラヌノデアリマス、殊ニデ
ス、私ガ本法案ニ付テ非常ニ物足ラナク感
ジマスルコトハ、土地自體ニ負擔ヲ課シテ、
土地ガ負擔ヲ負ウテ行ク制度、卽チ獨逸ニ
於ケル土地債務ノ制度ヲ御考ヘニナッタト
思ヒマスルケレドモ此法案ニハ片鱗モ現
レテ居リマセヌ、御承知ノ如ク抵當權デア
リマスルト云フト最後ニムヅカシイ競賣
ノ手續ガゴザイマス、債務者ガ辨濟シナイ、
卽チ證劵ニ表示セラレマシタ所ノ債務者ガ
辨濟ヲ致シマセヌ場合ニ於テハ、區裁判所
ニ競賣ノ申立ヲ致サヌケレバナラヌノデア
リマス、其競賣ノ申立ヲ致シマシタ場合ニ
於テ何モ簡易ノ手續ヲ行フ譯ニハ參リマセ
ヌ、卽チ二三ノ法案ノ示ス所ニ於キマシテ、
通常ノ競賣手續ニ依ルノデアリマスルカ
ラ隨分是ハ煩瑣ナ手續ヲ要シマシテ、長
ク此歲月ヲ要スル場合モアリ、中ニハ短イ
場合モアリマスケレドモ、隨分煩瑣ナ手續
デアリマス、之ニ異リマシテ土地自體ガ負
擔ヲ持ツト云フコトニナリマスレバ、所有
權ト云フモノニ負擔ヲ以テ進ム道理ニナリ
マスルガ故ニ、若シ債務者ガ辨濟シナカッタ
場合ニ於キマシテハ、此不動產ヲ直ニ權利
者ニ委付スルト云フコトニ付テ簡易ナ手續
ガ作リ得ルノデアリマス、斯樣ナ次第デ有
價證劵トシテ流通シ置カレマシタモノガ一
旦債務者ガ支拂ヲ致シマセヌ場合ニ於テハ
誠ニ煩瑣ナ手續ニ陷ルノデアリマス、ソコ
デ私ハ此立案ノ上ニ於テ法律關係トシテ、
今一ツ附ケ加ヘテ申シタイノデアリマス、所
謂讓渡スルコトニ付テノ裏書ノ制度デアリマ
ス、手形ノ如ク裏書ニ依ァテ移轉イタシマス、
ソコデ裏書人ハ裏書ノ責任ヲ持チマシテ、所
有權者ガ支拂ハナカッタ場合ニ於テハ、裏書
人デアル其人ガ後者ニ對シテ義務ヲ負ウテ、
拂ッテ行カナクチヤナラヌコトニナッテ居リ
ママ、是ハ有價證劵ト云フモノノ價値ヲ强
メマスル程度ニ於テハ政府ノ立案者ノ御
苦心ノアッタ所デアリマス、銀行ガ裏書ヲ致
シタト云フ場合ニハ殊ニ、例ヘバ日本勸業
銀行ガ裏書ヲ致シテ居ルト云フヤウナ場合
ニ於テハ是ハ十分ナ信用ガ置ケルノデア
リマス、併シ是ハ不動產ガ證劵化シタニ非
ズシテ、單ニ債權其モノガ證劵化シタニ過
ギマセヌ、今一ツ申セバ勸業銀行ノ信用ガ
證劵化シタニ過ギナイノデアリマス、然ラ
バ勸業銀行、農工銀行、北拓銀行ト云フモ
ノヽ如キハ、債劵ヲ發行スルコトガ出來ル
ノデアリマスカラシテ、自己ノ信用ヲ以テ
證劵ヲ流通セシメルト云フノデアリマスル
ナラバ債劵ヲ發行シテ資金ヲ廣ク募レバ
ソレデ事ガ足ッテ居ルノデアリマス、斯樣ナ
次第デ法律ノ基礎ニ於キマシテ、私ハ甚ダ
疑義ヲ持"テテルルノデアリマス、卽チ有價證
劵ニ非ズシテ、時ニ依ッテハ無價證券デアル
ト云フ場合ガアルト云フコトハ私ノ最モ
心配ニ堪ヘヌ一點デアリマスヽ次ニ此經濟
上カラ見マシタル所ノ缺陷デアリマス、曩
ニ申上ゲマシタ如ク、我國ノ經濟界ハ今日
金融難ニ惱ンデ居ルノデアリマス、之ヲ救
濟スルト云フ措置ヲ御取リニナッタト致シ
マスルナラバ、法案ニ或ル缺點ガアリマシ
テモ、是ハ拙速主義速カニ之ヲ制定シテ
實行スルノ必要アリト、其必要論カラシテ
論理ノ不都合ナル所、合理的ナラザル所ヲ·
必要論カラ補フコトガ出來ルト思フノデア
リマス、然ルニ必要論ハ如何ニナッテ居リマ
スルカ、卽チ實際論ハ如何ニナッテ居リマス
ルカ、之ヲ觀察イタシマスルト云フト政
府ノ御辯明ハ、中ミムヅカシイ法律デアル、
ムヅカシイ法律デアルカラ全國ニ施行スル
コトガ出來ナイ、先ヅ都市ヨリ始メテ、而
シテ農村ニ及ブノデアル是モ練習ヲシタ
後ニ次第ニ及ンデ行クト云フコトデアルナ
ラバ、ソレモ一論デアリマス、然レドモ經
濟界ノ困難ナルニ際シテ立法シタト云フコ
トデアリマスルナラバ、之ヲ試ミテ何年モ
居ルト云フコトハ先ヅ無イノデアリマス、
此法律ハ成立ッタ上ハ農村ニハ及バヌノデ
アリマス、サウ致シマスルト云フト不動產
擔保ノ債務ヲ持ヲテ居リマスル所ノ農村、五
十億ノ債務ヲ整理スル所ノ必要アルコトハ
段々當議場ニ於テ、政府デモ、各質問者ニ
於テモ、玆ニ質問應答ガ交換セラレタノデ
アリマス、故ニ五十億ノ債務ヲ整理スルコ
トニ直接關係ガアリマスルナラバ卽チ今
日其必要アリト云フコトガ中サレルノデア
リマス、然ルニ是ハ都會ノ事柄ニ過ギマセ
ヌノデアリマス、而モ其事ガ勸業銀行、農
工銀行、北拓銀行、是ガ主ニ恐ラク此制度
ニ於ケル證劵ヲ動カシテ行クノデアリマ
ス、サウシマスルト云フトデス、是等ノ
機關ニ對シマスル金融ノ問題ニ付テハ其信
用ヲ以テ先刻申上ゲマスルヤウニ資金ノ吸
收ガ出來ル次第デアリマスルカラ、焦眉ノ急
デアルト云フコトハ言ヘナイノデアル、是
故ニ私ハ此法案ハ私ノ觀ル所ニ於テ左樣ナ
缺點ヲ有シマスル以上、十分ニ考究ヲ爲サ
ナケレバナラヌ所ノモノデアルト考ヘルノ
デアリマス、是ガ民法ノ物權ノ制度、登記ノ
制度、之ニ或ル補正ヲシタト云フコトデア
リマスルナラバ玆ニ私ガ斯ノ如ク論ズル
必要ハアリマセヌ、既ニ存在スル所ノ制度
ヲ補正スルト云フコトニ於テハ何時ト雖モ
適當デアル、然レドモ不動產ヲ證劵化スルト
云フコトハ我國ノ過去ニ於キマシテ、地劵
ト云フ制度ガゴザイマシタケレドモ、是ハ
今日申ス證劵化トハ甚ダ遠ッタモノデアリ
マス、嘗テハ何等ノ不動產ニ對シテ證明ス
ベキモノガナカッタノデアリマスルカラ、玆
ニ地劵ヲ發行シテ所有者ヲ明カニ致シタノ
デアリマス、是ハ其意味デ必要デアッタノデ
アリマシテ、金融ノ爲ニ證劵化スルト云フ
必要カラ置カレテ居,タノデハゴザイマセ
又、此度ノ制度ハ是故ニ眞ニ我國ニ置キマ
スル所ノ過去カラ見マシテモ、全ク新シイ
制度デアルト申上ゲテ宜シイノデアリマ
ス、所謂物ノ證劵化、而シテ此證劵化サレ
タモノガ出來テ、例ヘバ三年トカ、五年ニ
必ズ戾ルモノデアル、登記所ニ戾ルナリ、或
ハ所有權者ニ戾ルナリ致シマスルナラバ
是モサウ深ク論ジナクテモ宜イシカモ知
レマセヌ、サリナガラ此制度ハ今日現ニ存
スル所ノ抵當權ニ關シマシテ、證劵化スル
ノデゴザイマスルカラシテ、勸業銀行ノ如
キハ十年、十五年ノ年賦金ヲ以テ貸付ケテ
居ル、確ニ十年、十五年ノ證劵ガ動クコト
ニナルデアラウト思ハレルノデアリマス、
兎モ角モ相當長期ノ間社會ヲ轉々トシテ步
クト云フコトハ是ハ明カデアラウト考ヘマ
スルサスレバ玆ニ此證劵制度ヲ布キマシ
テ、證劵ヲ一度發行イタシマシタナラバ
後ニ良キ制度ヲ立テマシテモ曩ニ社會ニ
流通イタシタルモノヲ取返スコトハ困難デ
アリマス而シテ此制度ヲ立テマスルト云
フト二十何万圓カ確カアルト云フ御說明デ
アッタノデアリマス、平素ノ年ナラ四万圓位
デアルト云フコトガゴザイマスヽ兎モ角モ
此制度ヲ布クヤ否ヤ今日マデ停滯イタシテ
居リマスル所ノ抵當權ハ證劵化サレテ其
澤山ナル證劵ガ社會ノ流通ニ置カレルノデ
ゴザイマス、サウ致シマスルナラバ茲ニ考
ヘルベキモノハ危險視スベキモノト云フ
コトガアリマスル以上ハ餘程考慮ヲ致サ
ヌケレバナラヌノデアリマス政府ノ衆議
院ニ於キマスル所ノ御說明ニ於テモ其問題
ハ頗ル困難デアルト云フ御說明又場合ニ依
リマスルト云フトソレハ說明ハ出來マセヌ
ト云フヤウナ所モアルヤウデアリマス、誠
ニ其通リ、何樣我ガ民法ノ物權制度ハ右申
上ゲマシタヤウニ合意ヲ以テ物權ガ成立ス
ルト云フコトハ私ハ不完全ト考ヘマス、所
有權ガ意思表示ヲスレバ、此所ヘ移ッテ行ク
ト云フガ如キコトハ如何ニモ輕とシイ制
度デアル而シテ登記ト云フコトハ何カト
云ヘバ公證ニアラズシテ第三者ニ對抗スル
要件デアルアシダケ登記簿ヲ制定シテ
登記官吏ヲ置イテ行キマス以上ハモウ少
シ私ハ登記ノ證明力ヲ强メタイ一人デアリ
マく、此點ハ私ハ相當考究シテ斯ノ如ク考
ヘマス、又私ハ斯ウ思フノデアリマス今
日登記簿ヲ閱覽イタシマシテ、此物ハ何某
ノ所有デアルト云フコトガ明カニ書カレア
リマスル時ニ、之ヲ買受ケル人ガ惡イカ
若クハ此方ニ權利ノ上ニ睡ッテ登記簿ノ登
記ヲ怠クテ居ル人ガ惡イカドチラガ惡イ
カ、此點ヲ〓究イタシマスト、登記簿ヲ修
正シナイデ置イタ其人ガ、私ハ權利ノ上ニ
睡ッテ居ル落度ノアル人ダト考ヘマス、故ニ
之ヲ閱覽シテ、登記簿ヲ閱覽シテ物ヲ買シ
人ガ何等ノ損害ヲ受ケナイコトガヽ今日ノ
如ク取引ノ進步シタル時代ニ於テハ當然デ
ハナイカト思フノデアリマスマア是ハ舊
式ノ制度デアッテ、取引制度ガ斯ノ如ク擴大
サレマシテ、東京ノ土地ヲ九州ノ人ガ持チ
田舍ノ土地ヲ都會ノ人ガ持ツト云フ、斯ウ
云フ時代ニ於キマシテハ登記簿ノ證明力
ヲモット强クシナケレバナラヌノデアリマ
ス恰モ好シ、此制度ヲ立テマス時ニ於テ
登記簿ノ效力ヲ强メマスト云フコトニ致シ
マシタノハ誠ニ私ハ適當ナル改革デアル
ト思フノデアリマス、斯ウ云フ次第デ政府
ノ御說明ニ相成ル所モ此不完全ナル證劵ヲ
發行イタシマスルニ付テハ、誠ニ不完全ナ
ル制度ノ下ニ、而モ有價證劵ト云フ此重大
ナル重ミノアル所ノ制度ヲ立ッタノデアリ
マスルカラ、土臺ガ非常ニ弛イ、言葉ヲ惡
ク使ヒマスレバ砂上ノ樓閣デアリマス、斯
樣ナ次第デアリマスルカラシテ、此點ニ付
テハ十分ナル考究ヲ要スルモノト考ヘマス
ルガ故ニ私ハ政府ニ御尋ネシタイ點ハコ
コニアルクデアリマス兎モ角モ此抵當證
劵法案ノ示ヌ所ノ法規ノ關係ハ必シモ完
全デハナイト云フコトヲ御認メニナルカド
ウカ而シテ必シモ完全デハナイト云フ以
上ハ不動産ヲヲカル稱ニ於テ之ヲ輔正シ、眞ノ.
證劵化スルコトノ制度ヲ御立テニツ
ナルベキコトヲ御考ヘニナテ居ルカ否ヤ、
而シテ抵當證劵法ダケデハ不十分デアリマ
ス土地若クハ土地所有權其モノノ上ニ
負擔ヲ課シテ行クト云フコトガ、私ハ自作
農ヲ制定スルニ付テモ非常ス、自作是ハ即チカ、三十時ノ制ノートル
スルモノヲ、此小作ニ移シテ行ク、其土地
ニ負擔ヲ著セテソコニ移シテ行クノデア
リマスルカラ此小作人卽チ自作農者ガツ
返濟ガ出來タ場合ニハ其儘他ニ移セバ移
行クノデアルテ行クノデアル、斯ウ云フ制度、卽チ自作斯ウ云フ制度、
農ヲ立テマス上ニ土地負擔ノ規定ヲ立テマ
非常ニ便利ニナルノデアリマス
產制度ト云フモノハ
マダマダ大ニ〓究イタシマスレバ幾
〓究スベキモノガ澤山ニア
デゴザイマス然ルニ昨年此制度ヲ御
"text "〓〓其證劵一ゾ
社會ヘ出サウト云フ案ヲ御作リニナPressures
條文ハ可ナリ多イノデアリマス登記
ニナラヌデ、其手續ダケヲ御變ヘニナツ
私ハ是ハ適當デハナイト
故ニ將來之ヲ補正ニナ
ル御考ガアルノデアリマセウカ而シテ第
三ニ伺ヒタイコトハ全國到ル所ニ於キマス
業農業其經濟難ヲ救ヒマス
ノルルー、此立案ハ卽チ都會ニ限ッテ居ル
デアリマスカラシテ、其都會ニ限ッテ而
モ不動產金融機關ノ有ッテ居ル所ノ債權ヲ
證劵化スルニ止マルノデゴザイマスカラ
必シモ今日卽刻制定シナケレバナラヌ必要ヽ
ハナイト私ハ考ヘマス必要論カラ卽チ
實際論カラシテ焦眉ノ急デハナイト考ヘマ
ス此點ニ付テ焦眉ノ急ナリトスルナラバ
如何ナル點ガ焦眉ノ急カ御說明ヲ求メタ
イノデアリマス私ハ以上ノ三點ヲ政府ニ
御尋ネ致ス次第デアリマス
〔國務大臣子爵渡邊千冬君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=42
-
043・國務大臣(子爵渡邊千冬君)
○國務大臣(子爵渡邊千冬君) 山岡君ノ御
質問ノ中法律關係ニ關シマシテハ政府委
員カラ御答ヲ申上ゲルコトニ致シマス唯
大體論ニ於キマシテ山岡君ハ此抵當證劵法
一位だよりテ發行セラレル所ノ抵當「證劵ナルモ
ノハ、動、モスレバ無價値ナモノデアル、其
樣ナルモノガ世ノ中ニ轉々シテ行クト云フ
コトハ甚ダ危險ナコトデアル此抵當證劵
不完全ナモノデアルカラ我國ノ登記
開幕!!更新!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!改メデ爛逸ノ樣ナ公信主義。ニャルノガー
カラウ、我國ニ於ケル
ドリンクスナリングルトランプテンう よう甚ダ危
アリマスガ登記法ノ根柢カラ(株)
餘程是ハ重大問題デ
一覽特製作者之事政府ニ惠民の議論
ドライブ居ノノノ高階
マ)卽チ此抵當證劵ハ物的信用ト人的信
用ト兩方ノ信用カラ成立ッテ居ルノデアリ
マシテ普通ノ手形ト其性質ガ餘リ異、デ
居ラナイノデアリマス、例ヘバ先刻例ニ御
擧ゲニナリマシタ所ノ、普通ノ融通手形卽ツ
チ約束手形ニ於キマシテハ其擔保トナテ
居ル物ガアル、其擔保ニナッテ居ル物ノ價値
ト又其手形ヲ發行シタ人ノ信用トニ依デ
其手形ノ値打ト云フモノガ有ルノデアリマス、
此抵當證劵ニ於キマシテモ亦同ジク其抵
當權ノ目的トナッテ居リマス所ノ土地デア
リマスルトカ家デアリマストカ地上權デ
アリマストカ云フヤウナモノノ値打トソ
レカラ之ヲ發行ヲシ裏書ヲシタ所ノ人ノ信
用ト兩方ヲ伴。
中華中央局大阪東日本町
ヽ
法律上ニ擔保ニ
ルア商マリ品スガ
一一九大学家电力
マス新茶ノノミガリンケル
11、其目的デアル所ノモ
、
ノデアヽハ是ナ
{"title "〓〓"アンドレイ·オブ·ザ·インターン·ジェイムズ·アンド·アンド
ルーン
、唯一
二條ハ斯ノ如キ場合ニハドウ云フ手"text "〓〓
マシテノ丸ノ湖南ノルマルクリル
ナ
場合ハ極メテ稀
ソレデアリマスカラシテ台北檜山くれん···
キモキモノガ確カニ存在シテ居ルト思へバ
強い出匠ゾノ
初メニ裏書シ
テフタン抵抵Weigert)します。
ハ43247シテ居ルノデアマシ
1921年3月19日一覽證據書きソ- 20
分北京市公安局海淀分局十
トデアラウ
台北一路大阪府出局私ハ此抵當證劵ト
左樣危險ナモノデナイト云
フコトヲ信ジテ居ルノデアリマス其外詳
細ノ御質問デアリマシタガ、法律關係ノコ
トニ付キマシテ政府委員カラ申上ゲルコト
ニ致シマス
〔政府委員長島毅君演壇ニ登ル〕
鳥取書第一ノ御質問ハ
四日電腦小行星等示主義ヲ採ッテ
抵當證劵ノ流通ガ圓滑ヲ缺キ
ヽヤシナイカト云フ大體ノ御尋ネト存ジマシ
タ仰セノ如ク我ガ民法ハ登記ニ付テ公示
モアリマシタ通リニ、其爲ニ抵當證劵
"title "〓〓大體ニ於テハ此異議ノ制
殆ド全部ノ異議ガ打
ト シ抵當證劵ノ流通ニハ殆ド差
2 2x唯第三十二條ニ抵當
36.7878/
一覽カツカウラマスカラ法律ニ調ガサヲ譯行
非常ニ僅カナ場合ダケデアリマス從ヒマ
シテ抵當證劵ノ流通ニハ此異議ノ制度アル、
ニ依ッテ決シテ支障ノナイコトト存ジマス
モノヲ唯根本的ニ此民法ニ於ケル登記制度ト云刀獨逸ノ如クニ公信主義ニ改メル
スルコートレイクストレニチケテハ、マホン、特ニ考慮ヲ要
成程之ニ
依シテ不動産ノ流前ト云フモノヲ便宜ニ致
マレバ不動產ヲ現ニ持ッテ居ル人ツ
ツ卽チ持テ
人民幣版シャップループリーセック、
"text "〓〓勿
不動產ト
レナデン
バ、
或ハ流通ト云フ方ヲ保護シタ方ガ宜イノカ
モ仔ジマセヌガ併ナガラ今直ニ······公信
主義ニ改メルノガ宜シイト云フ風ニハ考ヘ
テ居リマセ
北京市公安局西城分局ブラックスタン·オブ·タインニ裏書ニ依ッテ抵當證劵ガ
ガスリックハットリック
レドモ、レウモールナガラ御府知ノ如クニ是ニハ獨
當權ガクツ付イテ居リマシテ最終ニ於テ
抵當權ヲ實行イタシマシテ、其餘ノテ居ル額
海鮮の海鮮香料ツ
"text "〓〓ガチャップ卽チ抵當權ノ實行セ
裏書人ガ抵當權ニ付テ
什分:三十一年-----------------------シマスレバ殆ド損害ガナ
抵當證劵ヲ裏書スルコ
トモ出來ルノデアリマス
リマスカラ何モク
ト同ジデアリマセヌデ、ガリッジョックガーデン大イニ此不動お客様の歴代とした。
流通ト云フモノガ行ハレルト存ズルノ
リマス
ラ御答ヘニナルコトト存ジマスカラ私ハ
是ダケ御答ヘ致シマス
〔政府委員小川〓太郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=43
-
044・政府委員(小川〓太郞君)
○政府委員(小川〓太郞君) 山岡君ノ御質
問ニ御答へ致シマス山岡君ハ經濟上カラ
見テ非常ニ缺陷ガアルト云フコトデ御意見392,584
ヲ述べラレタヤウデアリマス
此都會ニ限ラレテ發行サレテ、を 60分
の # 相手 な
抵當證劵ハ先ヅ都會ニ於テ之
ヲ行ハウト考ヘテ居リマス市制施行地
借家法施行地及ビ縣廳所在
indicated登記官吏ノ習
shippings,"バカナリーグセンターSchurters,"ラジオフェストラ·キングノウン
都ヘルヤメテ居ルノデアリマス、其抵當證劵法ガ先
會地ニ於テ行ハレルカラシテヽ農村ニ
斯ウ云フコトデア
丁度私ガ先頃說明イタシマシタ
勸業銀行法農工銀行法北海道拓殖銀行
法等ヲ改正イクシマシテ其抵當證劵ヲ賣
買シ又ハ之ヲ質トスル貸付ヲ行フコトヲ得
セシメルコト行シテート
トスル貸付ヲモ許シテ行カウト云フノデア
リマス、農村ニハ抵當證劵ヲ發行イタンマセ
ガ發行セヌデモ不動產抵當附積權ガア
ナリヌマス其債權ヲ質ト致シマ
リ農工銀行ナリ北海道拓殖銀行ナ
貸付ヲ致シマスカラシテ
動イテ行クコトニナリマシテ31/3
32.3ゾ泥ア行村
スレバ都會ニ限ラレテ農村ニ關
)只今
申上ゲマシタ勸業銀行法農工銀行法北
海道拓殖銀行法中改正法律案ノ總テニ瓦ツ
テ御考へ下サイマスレバサウ云フ御心配
ハナイト考ヘルノデアリマス
〔山岡萬之助君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=44
-
045・山岡萬之助君
○山岡萬之助君 只今政府ノ御說明ヲ承ハ
リマ,シテ渡邊司法大臣ハ手形ガ直接ニ擔、
保ハ持タナイガ其裏ニハ擔保ガアルソ
ヨリモ强イ意味ニ於テ不動產ガ裏ニ控ヘ
居ルカラ是故ニ相當ナル信用ガ置、其ケ處ル
シタ
36.3848
一言玆ニ申シテ置キタイコト
ガイコトハ仙桃園市場所不動產ノ價値ヲ全部證劵化
デアリマス、:40%純
證劵化デアリマスルカラソコガ不動產ノ
價格全部ニ及バナイト云フ結果ニナリマス、
而シテ長島政府委員ノ仰セノ六條ニ於テ異
議ヲ申述べ、三十二條ニ於テ稀ナル場合ニ
其抵當ガナカッタ場合ガアル、此點デアリマ
ス是ハ實施シテ見ナケレバ分リマセヌノ
デアリマスルケレドモ根本ガ旣ニ善意ノ
萬元才元確認........................ス
ルカラ
此處ニハ申上ゲマセ
ヌ此異例ナル如何ナル場
ディールガ誠ニ重大性ヲ持シ.
日本ハイモニクルスヽケレドモ斯
1921年一 氏に他ノ機會
尋ネ致シタイ私ハ是ダケ申上ゲ
ハ打切ルコトニ致シマス
私ハ只今山岡君ニ對ス
ル小川政務次官ノ御答辯デ大體分リマシタ
私ノ御尋ネ致サウト思ツタノハ矢張リ抵當
證券法ガ農村ニ第一ニ眞先キニ施行セラレ
スケルト132311201531
ニ慣レナイ爲ニ後廻シ
ル
二浮ブコトハ
融
ヽ
リガ
拔ガ
アリマスゝ
ルナラバ
質問ハ致シマセヌ
問ニ御答ヘ致シマス
シテ
農リマタス
村マス
テシガノフデ
得
COFACER
テ
救ハ
デアリマス
ナリマ
子爵前田
希望シテ居フタノデアリマ
フ只今政務次官ノ御說明ニ依
登記所ノ官吏ガ此事務
ニ農村ハナッタノデ
斯樣ニ申サレタノデアリマシテ此
私ガ質問イタシマスルト云フト時ヲ要
農村ノ窮シテ居ル所ノ此
梗塞シテ居ル所ノ金融ヲ一日モ早
11/19融通ノ途ヲ開イテヤルト云
先程モ申シマシタ通リ望マシイ
マスルガ此法案ガ通過イタシマ
如何ニモ政府ノ御取
國トシテノ取扱ガ不公平ニ陷リハシ
ナイカ、此點ヲ唯一點承ハッテ置キタイノデ
不公平ニ陷ラヌト云フコトデア
私ハ重ネテ此點ニ付キマシテハ
〔政府委員小川〓太郞君演唱ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=45
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046・政府委員(小川郷太郞君)
○政府委員(小川郷太郞君) 奧平伯ノ御質
御質問ハ山岡君ノ御
質問ト大體趣旨ヲ同ジウシテ居ルヤウデア
而シテ私ハ只今山岡君ニ御答ヘ致
先ヅ抵當證劵ハ都會ヨリ始メテ
後ニ農村ニ及プト云フコトヲ申上ゲ
唯不公平デハナイカ其國百萬萬噸
只今モ申上ゲマシタヤウ
ノ方ニハ抵當證劵ヲ發行シマ.
矢張リ不動產ノ金融
"title "〓〓同一ノ目的ヲ達
レルノデアリマスカラシテ、之ニ依ジ
興興酒業清簡單らすく
ス此法案ヲ見マシテおおいしい
都市ニ居ル人ハ抵當證劵法ニ依フテ證
ツ發行スルコトガ出來マスルガ
東京都千代田区大会電線ガアリバング
レルト云フコトニ付キマシテ
Oblogist斯樣ニ考ヘタ
此以上申上ゲマスルト議論
スカラ私ハ是デ止メマス
副讀長(公爵近衞文麿君)特別委員ノ指
マス
〔小林書記官朗讀〕
抵當證劵法案外九件特別委員
利定君子爵伊東祐弘君
水上長次郎君有吉一君
男爵渡邊修二君松本雷烝忠太治君君
菅原通敬君藤山
名取忠愛君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=46
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047・副議長(公爵近衛文麿君)
○副議長(公爵近衛文麿君) 日程、第十三、
治安警察法中改正法律案政府提出、衆議
院送付第一讀會齋藤政務次官
治安警察法中改正法律案
右政府提出業木院ニ於テ修正議決セリ因
テ議院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和六年三月七日
衆議院議長藤澤幾之輔
貴族院議長公爵德川家達殿
治安警察法中改正法律案
治安警察法中左ノ通改正ス
(小字ハ衆議院修正)
○第三號中「僧侶其ノ他諸宗〓
師」ヲ削リ
第五條第一項〇第五號ヲ左ノ如タ改ム
五年齡二十五年未滿ノ女子
(政務次官齋藤隆夫君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=47
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048・政務次官(齋藤隆夫君)
○政務次官(齋藤隆夫君) 治安警察法中改
正法律案存提案ノ理由ヲ簡單ニ申述べマ
ス輓近女子ノ社會的地位竝ニ〓育程度ノ
向上大イニ見ルベキモノガアルノデアリ
マス曩ニ第四十五議會ニ於キマシテハ
北京市公安局海淀分局200米大刀屻又先般提出イタ北京市公安局西城分局
享有シ得ル旨ヲ規定シテ居ルノデマヲ
ス斯ノ如キ次第デゴザイマスル一覽
早今日ニ於キマシテ
成果大正四城機関クリークルマ何等弊害
認リシテ、將來其シテ途ヲニ能テ之ヲ釀入最
マス而
政社加入ノ自由ヲ認ムルニ付テマシ
)努メテ急激ナ一個儿子电力
社會ノ實情ニ適合セシムベク
キマシテ今囘ノ改正ニ於キマシテ八年齢
ムトスルモノデアリマス尙ホ衆議
政府原案ニ對シ更ニ第
、チャーハロウィンド千佛竹ニ號中「前トルノ地方に大教師」i
以テ僧侶其他諸宗〓師ニ對シテ政
社加入ノ自由ヲムルコトニ修正ヲ加ヘタ
ノデアリマス此修正ハ政府ニ於キマシテ
モ適當ナルモノト認メマシテ之ニ同意ヲ致
シタ次第デゴザイマス何卒御審議ノ上御
協賛ヲ與ヘラレムコトヲバ切ニ希望イタシ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=48
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049・副議長(公爵近衛文麿君)
○副議長(公爵近衛文麿君) 別ニ御質疑ガ
ゴザイマセヌケレ本案ハ市制中改正法
律案外三件ノ特別委員會ニ付託イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=49
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050・副議長(公爵近衞文麿者)
○副議長(公爵近衞文麿者) 日程第十四、
簡易生命保險法中改正法律案、政府提出、衆
議院送付第一讀會、中村政務次官
簡易生命保險法中改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和六年三月七日
衆議院議長藤澤幾之輔
貴族院議長公爵德川家達殿
簡易生命保險法中改正法律案
簡易生命保險法中左ノ通改正ス
第四條ノ二被保險者十二歲ニ達スル迄
ハ被保險者ノ死亡ニ因リ支拂フヘキ保
險金額ハ被保險者一人ニ付勅令ノ定ム
ル金額以下トス
第四條ノ三被保險者十二歲ニ達スル迄
ハ保險契約者ハ被保險者ノ二親等內ノ
親族ニシテ勅令ノ定ムル者タルコトヲ
要ス
第四條ノ四被保險者十二歲ニ達スル迄
上海天皇冠文化研究科技有限公司豫州刺ノ事中國民主
ルトキハ被保險者ヲ以テ保險契約者ト
スタイミ無約者力前條ニ該當七サハニト
タルトキ亦同シ
第四條ノ五被保險者十二歲ニ達スル迄
人氣味道、大腸、明、衣、衣、有タミナステロック台灣大安全年大
第
第二十二條中「及商法第四百二十九條」ヲ
マ、第三十四條第三項、商法第三百九十九
條及第四百二十九條』ニ改ム
第二十三條第二項中「二年」ヲ「一年六月」
二郎、
第二十七條保險金額又ハ第二十五條ノ
規定ニ依ル還付金額ヲ支拂フへキ場合
ニ於テ其ノ保險契約又ハ之ニ基キテ爲
シタル貸付ニ付政府カ辨濟ヲ受クヘキ
金額アルトキハ支拂金額ヨリ之ヲ控除
ス
第三十三條中「郵便物ハ」ノ下ニ「命令ノ
定ムル所ニ依リ」ヲ加フ
第三十四條ニ左ノ二項ヲ加フ
被保險者十二歲未滿ナルトキハ第十四
條第一項及商法第四百二十八條ノ規定
ニ依ル被保險者ノ同意ヲ要セス
商法第四百二十九條ノ規定ハ被保險者
十二歲未滿ナルトキハ被保險者ノ法定
代理人ニモ之ヲ準用ス
附則
本法ハ昭和六年十月一日ヨリ之ヲ施行ス
〔政府委員中村啓次郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=50
-
051・政府委員(中村啓次郞君)
○政府委員(中村啓次郞君) 只今上程セラ
レマシタ簡易生命保險法中改正法律案提出
ノ理由ヲ簡單ニ說明申上ゲマス今囘ノ改
正法律案ニ於キマシテハ現行簡易生命保
險ノ加入年齡範圍ヲ擴張イタシマシテヽ所
謂小兒保險ヲ實施スル爲ニ之ニ必要ナル規
定ヲ追加スルト共ニ、併セテ保險金支拂ノ
削減期間ヲ短縮シ其他現行法規中不備ノ
點ヲ修補スル爲ニ簡易生命保險法ノ一部改
正ヲ爲サントスルノデアリマス簡易生命
保險ハ一般生命保險制度ノ足ラザル所ヲ補
ヒマシテ國民ノ大多數ヲ占ムル薄資者ニ
對シテ容易ニ生命保險ヲ利用シ得ルノ途ヲ
開キ、其生活安定ニ資セシムル目的ヲ以チマ
シテ大正五年創始セラレマシタコトハ御承知
ノ通リデアリマス爾來本事業ハ極メテ順
調ナル發達ヲ遂ゲマシテ最近ニ於キマシ
テハ契約件數約千六百万件、保險金額約二十
炒飯乳製テ屈ルノテアリ、著々ト
北京国公安局海淀分局
然ルニ現行制度ニ於キマシテハ一
加入年齡ヲ滿十二歲ニ制限イタシテ居日和食物有限公司大學院マ
ス結果約人口ノ三割
滿ノ小兒ハ全然本制度ヲ利用シ能ハ
況ニアルノデアリマス
小兒ノ死亡ト雖モ薄資者ニ取リマ
セ
ス
シテハ特ニ考慮ヲ要スル所ト考ヘル次第デ
ゴザイマスル、而シテ之ガ救濟策ト致シマ
シテハ生命保險制度ノ利用ニ依ルコトヲ最
モ適當トスルノデゴザイマスルガ我國ニ
致シマスル生命保險ガ官營ニ於キマ
ノデゴザイマス而シテ小兒保險ハ無審4657
ノ小額保險デアリマスノデ簡易生命保
シテモ明白デアルノデアリマスルガ我
占事業デアリマスカラ小兒保險ヲ實施スル
ト致シマスレバ現行簡易生命保險ノ一部ト
シテ政府ニ於テハ之ヲ實施スルコトヲ最モ
適當ト致ス次第デゴザイマス、次ニ本改正
法律案ニ於キマシテハ小兒保險實施上必要
アイスタンプラスクリーム大正貳年大利麫
間ヲ一年半ニ短縮イタシマシテ以テ加入者
ノ利益ヲ增進スルコトト致シタ次第デアリ
マス其外規定ノ形式上不備ト認メマスル
條文ノ字句ヲ二、三修補スルコトニ致シマ
シタ右樣ノ次第デゴザイマスルカラ愼重
ニ御審議ノ上何卒速カニ御協贊アラムコト
ヲ切ニ希望イタス次第デアリマス
〔伯爵柳澤保惠君發言ノ許可ヲ求ム〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=51
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052・副議長(公爵近衛文麿君)
○副議長(公爵近衛文麿君) 質問デアリマ
スカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=52
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053・伯爵柳澤保惠君
○伯爵柳澤保惠君 質問デゴザイマス
〇副議長(公爵近衞文麿君)通〓ガゴザイ
マスカラ此次ニ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=53
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054・伯爵柳澤保惠君
○伯爵柳澤保惠君 ソレデハ後トデ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=54
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055・副議長(公爵近衞文麿君)
○副議長(公爵近衞文麿君) 高橋琢也君
〔高橋琢也〓演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=55
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056・高橋琢也君
○高橋琢也君 私ハ只今上程ニナッテ居リ
テ政府ニ質問ヲ致シタイ私ガ質問ヲス
ニ付テハ多分本院カラ政府ヘ其旨ガ通〓
テアルト承ハッテ居ル、然ルニ當局ノ大臣じゅうえんきゅう
是ハ餘リ輕々ニ
其位ノコトハ當局
ナケレバ出ラレヌ巳ムヲ得ヌカラ政府委
員ヲ以テ質問ニ答ヘサスゾヨト云フ位ノコ
トハ申出ラレテモ宜カラウト思フ、此法案
一覽2012年4月24日附午時上海交通大学
〃テ政府ハ
斯ウ云フ事柄ハ自分ノ政府、卽チ濱口內閣
デハ是ハ善イコトデアルケレドモ民政黨
ガ常〓天下ニ聲明シテ居リ又組閣當時ニ
旣ニ十ケ條ノ政綱ヲ聲明シテ居ル之ニ對
シテモ此事業ハヤッテ宜シイ、惡イトカ云フ
コトハ一番最初ニ御詮議ニナッテ居ルコト
デアラウト思フ、故ニ私ハ第一ニ是ニ向ティ
政府ニ伺ヒタイト思ッタガ、總理大臣代理モ
見エナイ、斯ウ云フ有樣デアルカラ是モ伺
フコトハ出來得ナイ依テ政府委員デ十二
分ニ御答辯下サルコトデアラウト思フ尙
ホ私ガ此演壇デ質シマシタ事柄ハソレ〓〓
國務大臣ニ御申通ジニナッテ十分ニ自分ガ
納得シ得ルヤウナ御答辯ヲシテ御貰ヒシタ
イノデス、政府ハ何故ニ今日ノヤウナ國事
多難ナ時ニ此樣ナ法案ヲ御出シニナッタノ
デアラウカト私ハソレヲ疑フノデス、小サ
イコトノヤウニ思ッテ御イデニナル、所謂小
兒保險デアルト、斯ウ此理由書ニモ書イテア
ルガ、小兒保險ト云フカラ小サイ問題ノヤウ
デアル、ケレドモ私ハ其樣ナ小サイ問題ト見
テ居ラナイ、最モ大キナ問題ト見テ居ルド
ウ云フ譯デ斯ウ云フ樣ナ冷淡ナ御取扱ニ
ッテ居ルカ知ラヌガ、私ガ第一ニ伺ヒタイ
何故ニ斯カル法案ヲ今日御出シニチ
アルコン是ナン
ルエリノッショップ私ニハソレガ分ラナイ、分子力動物是程直接
又保險法ト云ヘ
バ今日最モ必要ナモノガ澤山アル就中社
會保險、失業保險之ニ類シタモノハ旣ニ
政府デ能ク御承知デアル今囘失業者ノ救
濟ニ付テハアレ程ニ威張シテ御出シニナッテ
公債ノ整理、是スラ反古ニシテ遂ニ今日ハ
失業者救濟ノ爲ニ公債ヲ御募リニナル募
リハセヌ、發行スルノダト仰シヤルカモ知
レヌガ同ジコトデアル政府ガソレダケノ
國家ガソレダケノ借金ヲスル
ヲノ骨スルアスソレヲモ顧ミズ今囘唯小兒保險
斯ウ云フモノヲ政府デ施
即行ストルノデアル、成程チヨット文字ヲ讀ンデ
輕イコトノ樣デス、併シ之ヲ愈と政府
ガ實行セラルルト云フ曉ニナリマシタナレバ
photo政府ハ利益
3/39シャノベリーが開かれたか博物館シリカーリーグカード害ト云フコトヲ見テ御イ
デニナ弊害ト云フモ
ノヲ御知リニナラナイノヂヤナイカ斯ウ
私ハ思フ此簡易保險ト云フ····實ハ簡易
保險ノ餘リ成蹟ガ宜シイ、政府委員ハサッキ
ニ簡易保險ノ保險金額ガ約二十一億圓ト斯
ウ言ハレタ、其通リデアル二十億九千万
圓餘アル是ハ保險契約ノ金高デアルケレ
ドモ隨分大キナ金ダ僅カナ年限デ此樣
ニ成功シタモノモ少ナイデゴザイマセウヽ
昨年ノ十二月ノ現在デ調ベルト月ニ一千二
百五十万圓ノ保險料ガ集マルト云フコト一デ
アリマス果シテサウデアルナラバ年上
億五千万圓ト云フ金ガ這入ッテ來ルノデ十
年貯メレバ十五億圓誠ニ大キナ金デス
政府ハ此金ニ味ヲ占メタカラ是ハ良イモノ
外ニ十五億圓出來ルデアラウト、ブル米ク、チェイル·ファンナー、 數ウ思ベ
レタカモ知ラヌソレハ政府ガ自分ノ都合
ノ好イ利益ノ方バカリ見タ話、之ニ依ッテ民
間ノ事業ヲドレダケ壓迫スル民間ノ事業
家ガ之ニ依ッテ如何ニ苦シムカ、政府ハ現ニ
一箇年ニ一億五千万圓ト云フ料金ノ集マッ
博多生活佛教養兒ッテ居ル、デ政府ハ大学院国人大学院院院
鹿児島天天宮城堡中國質問ヲ致シタノデス一
ヘ行ヲテ之ヲ聞クガ、東京デスラ主人ハ不在
デアル家族就中女子供ガ居ル所デ是ハ政
府ノ仕事デアル斯ウ云フ確カナモノハナ
イ、ソレ迄ハ宜シイソレカラ先ガ中ミヒ
ドイ、官尊民卑ハ地方ニ行クト殊ニエライ
「シヤッポ」著タ人間ガ來ルト云フト小學校ノ
生徒ハ直グ路ヲ避ケハット敬禮ヲシテ居ル
其怖イ「シヤッポ」ヲ冠ッタ勸誘員ガ出テ來テ
何所デモ皆這入ルノダヨオ前ノ所デモ這
入ラナクチヤナラヌ
〔議長公爵徳川家達君議長席ニ著ク〕
斯ウ一ツ威嚇セラレルトドウ云フモノデ
アラウアヽ云フ怖イ人ガ來テ言フカラ兎
ニ角一ツデモ二ツデモ這入ッテ置ケ、斯ウ云
フコトニナル是ハ如何ニモヒドイ地方
、ニ行クト云フト御承知ノヤウニ色ミノ弊害
ガアル例ヘバ警察デ以テ寄付ヲ募ル場合
二花幼兒其地方察ヲ恐レル方面へ行ッテイ
寄付ヲ募ッテ居ル、ソレデゴザイマス
、此方ハ非常ニ成功シテ居ル金ハ成
仕功カツ方シラデ向ウハ又毛蟲ガ來タ
フリードリヒ·ロック是ハドウモアノ毛蟲ラ刺サレ
淚ヲ飮ンデ出シテ置カ
斯ウ云フ風ニシテ出シテ居ル片方
ハ自分ノ地位ヲ利用シテヤッテ居ル、簡易保
檢ガ旣ニソレデアルカラ曩ニ遞信省カラ
出テ居ル特別會計ノ營繕費ニ關スル法律案
ニ對シテ私ガ質問シテ只今ノヤウナコト
モ承ッテ、ソレデ此數字ハ私ノ頭ニ入。ツテ居
ル其時ニ私ガ勸誘員ノ弊ノアルコトヲ述
ベタレバ、私等モソレハ耳ニシテ居リマス
何分多數ナ人ヲ出シマスノデゴザイマスカ
ラドウモ無イトモ申セマセヌ賀ノガーデングローブ
云フ者ガゴザリマスノデ其都度
濃厚西五十六斯ウ云フ話デアルシテ見
能ク矢張リ御分リニナッテ
此弊害ヲ默シテ隅ヘ片付ケテ置イテ
法案ヲ出シテ斯ク斯クデアルト言シテ先
ベ刻此御說明ニナッタガ私ハ此弊害ヲ先ニ御述
ニナッテ、實ハ地方ニ斯ウ云フ弊害モアル
カラ尙ホ小兒保險マデヤッタラバ餘程サウ
云フコトモ多イデアラウト思フカラ之ヲ
ヤル場合ニハ政府デモ斯ク斯クナ道ヲ講ジ
テ其弊ノナイヤウニスルケレドモ、尙ホ地
方デモ注意シテ貰ヒタイ、地方ニ限ラヌ、東
京デモ注意シテ貰ッテ、サウ云フヤウナ場合
ニハ直チニ遞信局トカ遞信省トカヘ通知シ
テ貰ヒタイト斯ウ仰シヤルデアラウト今
日ハ期待シテ居,タ所ガ何等之ニ對スル
御話ハ無カッタ過日私ガ質問ヲシタ場合
ノコトハ玆ニ速記錄ヲ持ッテ居リマスカラ
讀メト仰シヤリヤチヤント私ハ朱寿
ケテ持ッテ居ルソレニハ甚ダ私ハ小倉
思フ當局デ屢、:之ニ戒飭シテ居ルト云フ
程ニ分シテ居リナガラ、何等之ニ對スル唯戒
飭ダケ戒飭ハドウ云フコトヲナサルノデ
アルカ、ソレモ私ハ承ッテ見タイ、ドウ云フ
ヤリ方デ戒飭ヲナサルカ斯ウ云フ弊害ハ
日々多數ナ者ニアルノデスカラ、現ニ私ガ、
私ノ家ノ子供ヲ一人、二人入レテ居リマスサ
ウデス私ノ留守ニソレハ家族ガ入レタ
ソンナコトヲ今シナクテモ宜カッタト私ハ
申シタラ、何分ヤカマシク言ハレルカラF
ウモ氣味ガ惡イカラ宜シウゴザイマスト言ン
テ入レマシタ、斯ウ言ッテ居ル、之ヲ以テ知ル
ベシ私ノヤウナ溫和シイ人間デアルカラ
宜イケレドモ、ヤカマシイ人間デアッタラ御
覽ナサイ、キット何トカ苦情ヲ申スデセウ
役人デアルカラ唯竹箆返シガ恐ロシイカ
ヲ、何デモ川來得ルコトナラガンバンハイ
ト言ッテヤッテ置カウ、斯ウナル
ニ私ハ大變ナ是ハ弊害ノアルモノデアル
斯ウ思フノデアル第二ノ弊害トシテハ御
承知ノ如ク保險業ハ大變我國デハ發達シテ
居ル、民間デ之ヲ一ツ斯ウ云フモノヲヤッテ
ハドウカヤランカイト云フノデ御勸メ
ニナルト云フコトナラ誠ニ結構ナコトデア
ルドウシテモ民間デモ勸メテ見タガヤラ
ナイソレ故ニ政府デモ斯ウ云フ計畫ヲシ
タ、斯ウ仰シヤルナラ是モ多少道理ガアル
政府デ是マデノ簡易保險ハ大變ニ金ガ集ツ
テ其金ヲ利用スル私ハ試ニ去ヌル二日ノ
委員會デ遞信省ノ政府委員ニ聽イタノデ
ス集ッタ金卽チ積立金ハドウセラレルノ
カ、確カ學校ダトカ其他公共團體ノヤウナ
モノニ貸シソレゾレ貸付ヲセラルルヤウ
ナコトデアルガ、此趣意ハドコニアルカ
其趣意ハ成タケ利益ノアルヤウニ致シマス
ル是ハ聊カ私ハ失望シタ、聊カヂヤナイ
大イニ失望シタノダ、國家ノ仕事ト云フモ
ノハ自分ガ利益ヲスルガ爲ニ
デ經營スル仕事トシテモ、北京明日1月分店
ルベキモノヲ政府ガ進ンデカ
ラ營利事業ニハ違ヒナイ營利事業ニハ
違ヒナイガ民間ノ手デ之ヲヤルト云フニ
八寶木井橋開煙ルゾカ資本ガ要ル以上ハ是
ラ政府デ以テ仕方ナ
シニ是ハヤラウト云フノナラ分ツテ居ル、政
府デ以テ大變ナ收入ガアル仕事デ之ヲ貸
セバ大變ナ利益ガアル斯ウ云フ爲ニ此法
案ガ出タ卽チ小兒保險ト云フモノヲ御始
メニナルト云フコトハ私ハ政府者ノ仕事
トハ思ヘナイヽ是ガ爲ニ直接ニハ他ノ保險
業者折角今日マデ進ンデ來タ保險業者ガ
ドレ程ノ苦シミヲスルカモ知レマセヌ如
何ニモ政府ガエライ妨害ヲスルト思ウテモ
言クタレナイ、ト今日モ矢張
打リ泣明星光圀大學デゴザイマセウ、ドウモ政府ト太刀
ハ淚ヲ呑ンデ損失ガイッテモ、會
社ガ倒レテモドウカ斯楊ナコトハ我ミニ
御委セ下サラヌカト云ウテ哀訴歎願ヲシテ
北京市公安局海淀分局併シ我ミ議員トシテハお客様控えソレヲ見テ居ラブラブランド
議員ノ職分トシテ默ァ心力バッシュ
デナイト私ハ思ッテ居ル
ルト言ッテモ最モヒドイモノデアル、ソレカ
ラ第三ニ月々一千二百五十万圓ト云フ金ガ
集マル、、英釗チ政府力持タイムチームチームチームチームシートルー
銀行、
ル民間ノ金融業者ニハ非常ナ迷惑デアラ
ウト思ヒマス第一政府ノ御趣意ガ民間ノ
事業ニ影響ヲスルヤウナ壓迫ヲスルナント
所ガ
山陽地好吃好好味壓迫モシテ居リ人民幣暴露天然有苦シメモシ人生育幼兒物語テ居ル
ツテ
カンニール (小惑星)イヂ
31.2017.10.2017、何故ナラバ政府ハ帝國議
延
ベタリ節約ヲシタリ現ニ今囘モ六
千餘万圓ノ繰延ベヲシテオイデニナルサ
ウシテ置イテ金ノ備カリサウナモノハチ
ヨット斯ウ小サナ問題ノヤウニシテ御出シ
ニナッテ、是ハドウモ弊害モ何モ顧ミズニ
唯政府ニ金ガ少イカラ斯ウ云フ積立金デ
モ集メレバ大キナモノダ、集メテ大キナ程、
零細ナ金卽チ針箱ノ隅カラ出テ來ル地方
ノ零細ナ金ハ之ニ集テ一億五千万圓ニナ
ルノデアリマス、ソレヲ政府ハ喜ンデ御使
ヒニナラウト斯ウ云フ、是ハ隨分蟲ノ宜イ
話デアルケレドモ私ハ感服ハ致サナイノ
ソレノミナラズデラック死レノーブルーブルーム有錢一方ニハ生活ニ困難
ツテ是非失業保險ノヤウナモノヲ
捕ヘナクレバナラス其モノハ顧ミナイ
ソレハ差向キ政府ノ利益ニナラヌカラ措イ
テ置クト斯ウ仰シヤルナラ此ヤウナ無
情ナ政府ハナイ國民ハ何故ニサウ云フ政
府ヲ信賴シソンナ政府ヲ樹テヽ置カネバ
ナラヌカト、斯ウ云フ間題ガ起ッテ來ヤセヌ
カ致シマセヌ北京市公安局西城分局ヂヤナイ致シタクナイ一覽證據書
レ故ニソレハ致シマセヌ
點
シメルト云フヤウナコト一方ニハ勸誘員
ガ權威ヲ振ッテ細民ヲ威カスコト一方ニハ
(20%)(シテ居ルカラ自分ノ都合ノ
所ハ貸シテヤッテ居ル、斯ウ云フヤウガシック旨味炒め
ト之ガ爲ニ金融業者ハ非
ル斯ウ云フコトヽ少クモ此三點ト云フモ
ノハ政府ノナサルコトデハナカラウト思
ソレハ斯ク斯クデアル決シテ心配ス
ルフニ及バヌト仰シヤルコトヲドウカ納得
ノ行クヤウニ御說明ヲ戴キタイ、ソレカラ
今闇デドウ云フ御趣意ヲ持"シテ
炒飯炒麵粉豆腐丸湯ナルカモ知ラヌガ今申上ゲルヤ
利益ガアレバ其仕事ハスル
ゾ利益ガナケレバ其仕事ハ手ヲ著ケナイ
ゾ、斯ウ云フヤウナ御趣意ハナカラウト思ツ
ラカラ現ニ今囘ノ特別會計
ノ中ニ昨年迄ハ儲ヲタガ、本年ハ儲ラナイ
之ニ依フテ從來ノ六千万圓ヲ更ニ增シテ七
千万圓ノ豫算ニシタイト云フノガ出テ居
此間私モ其點ニ付テハ質問ヲ致シタノ
サウ云フモノハ是ハ政府デ以
三角手工業大學長ク持ヲテ居。テハ厄介モノダ、金喰ヒダ
創辦理工業管理ナイカツカーブル斯ウ云フ
趣意チヤナカラウカト思フ、との積を求め、
ニ電話民營ト云フモノヲ計畫セラレタコンスタンチ ノルシ
ド其事ハ實施セラレムトシ
ルダラウト私ハ期待シテ居ノタガ、36.20
エテシマッタカ、今ハ影モ形モナイ有樣デア
リマス是ハ政府ノ餘リ利益デナイコトデ
ハナイカト思フ又一方カラ言フト、例へ
バ鐵道ノ如キ、鐵道ノ運輸上デハドウモ減
收ガ餘リ甚シイ自動車ニスレバ儲カルト
云ウテ今度ハ鐵道屋カ自動車屋ニ轉業ヲス
ルト云フ·····轉業マデヂヤナイガ、兎ニ角
併セテ商賣ヲスル斯ウ云フヤウナコトニ
ナル併シ私ノ言ウタヤウナ意味デナイカ
モ存ジマセヌケレドモ總テノ經濟上ニ付
テノ爲サレ方ガ分ラヌソレ故ニ私ハ若シ
サウ云フヤウナコトデハナイカト思フ又
今一ツハ專賣モ煙草鹽樟腦トアルガ
其中ノ最モ大キナモノ煙草專賣之ニ付
テモ取扱ヲ今度スッカリ改メラレタ、是ハ政
府ノ收入ヲ增スガ爲デアラウト私ハ思ッテ
居ルサウシテ煙草ノ値段ハ下ゲラレルカ
一般ノ民間ノ物價ハ皆非常ニ下シテ居ル殊
ニ米マデエライ下ガリデアル其低落シ
タ場合ニ煙草ダケ高イ、下ゲテ居ラナイ
若シ是ガ民業デアッテ稅ヲ取ルノデアツタラ
バ縦シ稅ハ少々高クッテモ、民間ノ者ハ皆
之ヲ下ゲテ居ルト云フノハ當然ノ話デア
ル下ゲナケレバ賣レナイカラ下ゲル今
ハ政府ガ下ゲナイ、政府ノ手デ持ッテ居ル
仕方ガナイ喫ミタイ煙草ハ喫マネバナラ
、高クッテモ已ムコトヲ得ズ喫ンデ居ル
斯ウ云フ有樣デアル、サウスルト一體政府
ハ御趣意ハドウ云フ御趣意デアルカ固ヨ
リ煙草鹽、樟腦ノ專賣ハ今日始ッタモノデ
ハサイヨデスカラ、ソレハ申スノヂヤナイ
スヨ、唯政府ノ御趣意ガ、或ハ國家社
義ノヤウナヤリ方ヲ考ヘテオイデニ
或ハ「フイナンツ·システム」總テ
登場! 2012年7月22日(金)ノヲ悉ク收利主義ヲ以テ御取扱ヒニナツ
ドウモ今ノ所デハ今ノ大藏大
ピック·ルイン·エンジニアニメント
「フイナンツ·システム」
ヲ糖テノモノヲ御取枚ヒニナッテ、請勿忘門口味
此處ニ出發シチヤ居ラヌカト思フ是ハ
府委員ニ御答へ下サイト云フノハ、私ノ註文
ガ無理デアラウト思フカラ是ハドウカ首
相代理ナリ他ノ國務大臣ナリ現政府ハ
左樣ナ考ハ持ッテ居ラヌト仰シヤルノカ、成
程御前ノ言フ通リニ、現政府ハ收利主義
デアルトカ或ハ今申上ゲルヤウナ大キナ
社會主義ヲ持シテ居ルト云フノデアルカ、ド
チラモ宜シイ實際ノ所ヲ御答ヲ戴キタイ
〔政府委員中村啓次郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=56
-
057・中村啓次郎
○政府委員(中村啓次郞君) 高橋サンノ御
質問ニ對シマシテ極ク簡單ニ御答ヲ致シマ
ス第一ハ何故ニ斯カル法案ヲ此機會ニ提
出シタカ斯樣ナ御問ヒデアッタト承ハリ
マシタ、御承知ノ通リ簡易保險法實施ノ當
時カラシテ小兒保險マデ加入年齡ヲ延長
イタシタイト考ヘテ居リマシタノデスケレ
ドモ先ヅ以テ十二歲以上ニ試ミルト云フ
漸進主義ヲ以テ臨ンダノデアリマシテ其
後銳意之ガ調査ニ從事イタシテ居リマシ
タ殊ニ今日ノ此經濟界ノ狀況カラ見マス
ルト云フト薄資者階級ノ人ミモ景氣ノ
好イ時デアリマシタナラバ、自分ノ小兒入ヲ
失ヒマシタヤウナ時分ニ、他ノ何カノ收
ヲ以チマシテ之カ急ニ趣クコトハ出來ル
今日ノヤウナ不景
2012年4月2日日月日地味ニナ一ッタ時分ニ於キマシテハ
アルト教えカノッツ他日ノ備ヲ
ソレデアリマスカラ小サイ子供
一覽特別元年元旦モ亡クナリマスルト云フト、貧シイナガラ
ナ生活ヲ續ケテ居リマシタ者ガ
小兒ヲ失ヒマシタ爲ニ悲慘ナ生活ノドン底
ニ陷ルトハ
政府ガ之ガ防貧ノ設備ノ急ヲ考ヘタ北京市公安局海淀分局時間,都心存一方
リマス
案ヲ致シタ次第デゴザイマスお れ
二ハ政府ハ此簡易供險ニ依リマシテ有しあ
非常ナ利益ヲ認メ
上海交通大学建筑有限公司此利益ヲ認メタカラソレニ味ヲ占
ヘタノデアラウ、斯樣
ナ御尋デアッタト思フノデアリマスガ、政府
ノ味ヲ占メマシタノハ財政ノ運用ノ爲ニ
金ヲ得タイト云フノデハアリマセヌ簡易
保險ノ金ハ少シモ政府ハ財政運用ニハ供シ
テ居ラナイノデアリマス是ハ御承知ノ通
リ契約ヲ致シマシタ契約者ニ貸付ケテ居
リマスモノガ二億四千万圓ソレカラ或ハ
此預金部ニ預ケテ居リマス金是ガ約四千
五百万圓バカリゴザイマスルガ、斯樣ニ致
シテ此間モ分科會ニ於テ高橋サンニ詳細
之ヲ申上ゲマシタヤウニ總テ政府ノ財政
運用ニ供スルト云フヤウナコトハ無イノデ
アリマス皆成ルベク之ヲ還元シテ社會事
業ニ使フ、或ハ之ヲ運用イタシマシテ此保
檢ノ加入者ニ利益ヲ與ヘルト云フ外少シ
モ政府ハ財政運用ノ上ニ使フ味ヲ占メタト
一般社會政策ノ上ニ非
社會政策ノ上ニ十
{"title "〓〓斯ウ云フ見地カラ
居リマスノデ決シテ政府ハ財政運
味ヲ占メタト云フ筋合
タイト思フノデ
アリマスソレカラ簡易保險ノ勸誘員ガ民
間ノ業者ヲ壓迫シテ何カ斯ウ不當ニ勸誘
ヲ致シテ居ルヤウナ御話デゴザイマシタ
ガ是ハ澤山ノ中ニハ一人ヤ二人ハナイデ
ハアリマセヌ高橋君ハ澤山アルヤウニ仰
セラレマシタガサウ澤山ハナイ極メテ稀
ニサウ云フコトヲ耳ニ致スノデゴザイマス
ガ、併ナガラ稀ニモサウ云フ者ガ現ハ
シテハ甚ダ遺憾デアリマスノデバーハーモニカニ城
飭ヲ致シテ居リマス其戒飭
法デヤッテ居ルカト云フ御尋デゴザイマシ
タガ、是ハサウ云フ者ハ再ビ用ヰサセナイ
各遞信局其他交互ニ相戒メ合ヒマシテサ
シティオルサウ
斯ウ云フヤウニ致
F
ウカカ稱ニ解詞水ヲ研セマス 今後トッ今後ト雖モ
北京市公安局海淀分局上海青年青年少年教育
左樣ニ御諒承ヲ
ソレカラ何故小見保險ヲ民營ニ
兒保證ノ助キハ〓メチ御承知ノ通リ此小
利益ノ乏シイ、第一五
危險ノ多イ小口保險デアリマシテ、現代保
險ノ傾向ハ小口保險ハ段々無クナツ
歡迎大学助理北京市公安局海淀分局
ドリンクルマス
ハ殆ド新契約ニハナイノデ
保險ハ極メテ小サイ。
フヤウナ小サイ保險料ヲ佛ヒマシテ
シテ僅ニ死ンダ場合ニ"text "〓〓\
サウ
利益ノ無イ寧ロ社會ノ利益ヲ增進
民間ニ慫慂シナカッタ36.7812
ス、ソレカラ此小
と あちらす三十嵐
シタガ、私共ノ見ル所デハ
社トハ何等牴觸ヲ致シテ居ラナイ筋合
11"text "〓〓
ノハ主トシテ徴兵保險デアリマスガ
年齡ニ
於キマシテモ大變開キガゴザイマシテ金
額ニ於テモ大變違ウ目的ハ全然違ウ先
ヅ申シマスレバ年齡デ申シマスト云フト
此徴兵保險ノ方ハ零歲カラ取ルノデアリマ
ス零歲一歲、二歲、此三年中ニ殆ド七割
八分迄此子供ハモウ入ッテシマフノデア
リマス三歲以上ニナリマスト云フト二
割少シカナイノデアリマス、況ヤ徵兵保險
ハ婦人ハ女子ガ入ラナイノデアリマスカ
ラ此徵兵保險ト小兒保險ト······只今ノ簡
町スやめ見合論バル
品牌號ノ選手抄ッテ居ル
ニ二割幾ラシカナイサウシテ又徵兵保
モウ產
等三角、明珠三明、そば 、明日は、上海青浦青房物业管理有限公司零歲一級、
三
ヽ保險ニ來ルト云フコトハ滅多コナイノデア
險リマヽス況ヤ其目的タルヤハハハウハウスウェイ
デ私共只今御說明イ
兒保險ハ生存死亡混合保險デ
ガ廣義ニ於ケル死亡保險デアリマス如ボリヤヽ
方ノ方ノ徵兵保險ハサイズ 鉄、
入營スル(生生)條件
Company一方ハ死
スニ對
カラ目的ハマルッキリ違クテ居ル
ヲ吳レナイノデアリマス、CHH徵兵ニ入ル
入ラタ人ダケガ保險ノ利益ヲ受ケル、ソ
死ンダト云
ヽヤウナ時分ニ、葬式ヲスルヤウナ金ガ無
テテ遂ニ悲境ノドン底ニ入ルソレヲ助
行キタイ1921,徵兵保險ノ方デハサウ云フ
上ガ三万圓獨家長髮無人加播紙
此方ハ一月ニ五十錢掛ケマスノデ是
リガ万圓三十圓カラ二百七十六圓マ十デ六ア
一番上ニ行キマシテ二百七
圓一番下ガタッタ三十圓、一方ハ一番下ガ
一番上ガ三万圓、マシ
〒447-48
サウ云フヤウナ全ク目的モ違
保險サレル階級ト云。3·八惡ウゴザ
、生活狀態ハマルデ違フ、サ
カンターラの云フヤウナ性質デアリマスカラ、徴兵保
一方民業
居リマセヌ台灣檜木海老公司ソレカラ又大變簡易保險デ金子町商業高等専門学校
其
民間ノ金融業者ヲ壓迫スルダラウ是モ
應サウ云フヤウニ御考ヘニナルカモ知レマ
セヌガ此貸付ハ過日モ分科デ御聽取リノ
通リ誠ニ低利ナ金ヲ、詰リ社會政策的ノ
意味ヲ以テ還元スルノデアリマスカラ、或
ハ此公設市場トカ或ハ申セバ實費診療所
ミタヤウナモノヲ拵ヘ、又近頃段々人口ガ
多クナッテ〓糧ガ窮乏シテ來マスカラ、ド
ウシテモ自作農ヲ奬勵シナケレバナラヌト
云フヤウナハ國策ニ促サレマシテ自作農ニ
金ヲ貸ス、サウ云フヤウナ按排ニ社會政策
的ニ金ヲ貸シテ行キマシテサウシテ之ガ
地方公共團體ヲ相手ニ致シタト云フヤウサ
工合ニ簡易保險積立金運用ト云フモノハ
勅令デ定ッテ、運用委員會デ運用イタシテ
居ルノデアリマスルシ、サウシテソレガ非
常ヲ長期デス、非常ナ低利デアッテ非常チ
長期ナンデス、非常ナ低利デ非常ナ長期ノ
モノニ、民間ノ金融業者ハ金ヲ貸ス氣遺ヒ
ハナイ、金ヲ貸シテ吳レナイカラ此社會
政策的ノ意味ヲ以テ何トカシテ政府ノ方デ
活動シテヤラナケレバナラヌ其活動シテ
行クノニハ斯ウ云フヤウナ偶〓社會政策
的ノ意味デ集メマシタ金ヲ以テ之ニ融通
シテ行クト云フコトハ非常ナ必要ナ國策
デアルト考ヘテ居リマス、此簡易保險ノ金
ガ地方金融業者ヲ壓迫スルナント云フヨト
ハ更ニナイ、壓迫スルヤウナ狀態デアッテ
吳レレバ結構デアリマスケレドモ低利ナ
四分八厘トカ五分トカト云フ低利ノモノデ
サウシテ非常ニ長イ期闇デナケレバチラヌ
ノデアリマスカラ地方ノ金融業者ハ之ニ
應ジナイ、サウ云フ〓ヲ缺點ヲ救フテ居
ルノデアリマシテ、決シテ金融界ヲ壓迫イ
タシテ居ル次第デハナイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=57
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058・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 會期モ追く切迫
イタシマスカラ午後四時過デモ議事ヲ續
ケタイト議長ハ希望イタシテ居リマスガ、
何分定足數ガ缺ケル虞ガゴザイマス··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=58
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059・中村啓次郎
○政府委員(中村啓次郞君) 只今議長ノ御
注意モゴザイマスノデ詳細ナコトハ委員
會ニ於テ說明スルコトニ致シマシテ、此程
度デ終リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=59
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060・徳川家達
○議長(公爵德川家達君) 議長ハ政府委員
ノ答辯ガ終リマシタト存ジマシテ今申上
ゲタコトヲ申始メマシタ是ハ議長ノ誤リ
デゴザイマシタ決シテ政府委員ノ發言ヲ
短クセシメヤウト云フ目的デモナカッタノ
デゴザイマス、左樣御承知ヲ請ヒマス、如
何ニモ定足數ガゴザイマセヌヤウデゴザイ
マスカラ、是デ本日ノ議事ハ延會イタシマ
ス、次ノ議事日程ハ本院彙報ヲ以テ御通知
ニ及ビマス、本目ハ是ニテ〓會イタシマス
午後四時五分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005903242X02919310309&spkNum=60
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