1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六年一月二十九日（木曜日）
午後一時三十二分開議
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議事日程 第七號
昭和六年一月二十九日
午後一時開議
第一 特別會計に於ける營繕費に關する法律案（政府提出） 第一讀會
第二 特別會計の恩給負擔金を一般會計に繰入るることに關する法律案（政府提出） 第一讀會
第三 賠償金特別會計法廢止法律案（政府提出） 第一讀會
第四 昭和四年法律第二十六號中改正法律案（神戸商業大學移轉改築費に關する件）（政府提出） 第一讀會
第五 京都高等工藝學校移轉改築費に充用したる金額の補填に關する法律案（政府提出） 第一讀會
第六 製鐵所特別會計法中改正法律案（政府提出） 第一讀會
第七 簡易生命保險特別會計法中改正法律案（政府提出） 第一讀會
第八 右各案の審査を付託すへき委員の選擧
第九 市制中改正法律案（若宮貞夫君外四名提出） 第一讀會
第十 町村制中改正法律案（若宮貞夫君外四名提出） 第一讀會
第十一 北海道會法中改正法律案（若宮貞夫君外四名提出） 第一讀會
第十二 治安警察法中改正法律案（末松偕一郎君外三名提出） 第一讀會
第十三 治安警察法中改正法律案（山枡儀重君外二名提出） 第一讀會
第十四 樺太に衆議院議員選擧法施行に關する法律案（東武君外二名提出） 第一讀會
第十五 樺太に衆議院議員選擧法施行に關する法律案（鵜澤宇八君外二名提出） 第一讀會
第十六 公娼制度廢止に關する法律案（三宅磐君外十名提出） 第一讀會
第十七 辯護士法中改正法律案（北浦圭太郎君外三名提出） 第一讀會
第十八 中央卸賣市場法中改正法律案（藤田若水君外四名提出） 第一讀會
第十九 違警罪即决例中改正法律案（一松定吉君外三名提出） 第一讀會
第二十 行政執行法中改正法律案（一松定吉君外三名提出） 第一讀會
━━━━━━━━━━━━━発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=0
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001・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 諸般ノ報告ヲ致サ
セマス
〔書記官朗讀〕
一政府ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
震災被害者ニ對スル和稅ノ減免猶豫等ニ
關スル法律案
(以上一月二十九日提出)
一議員ヨリ提出セラレタル議案左ノ如シ
恩給法中改正法律案
提出者
山下谷次君宮脇長吉君
治安警察法中改正法律案
提出者
安藤正純君川島正次郞君
岡田忠彥君星島二郞君
瀧正雄君船田中君
田子一民君守屋榮夫君
山下谷次君倉元要一君
山口義一君
(以上一月二十九日提出)
內海志布志間鐵道敷設速成竝停車場等設
置ニ關スル建議案
提出者
東〓實君佐藤重遠君
寺田市正君崎山武夫君
大霧島山國立公園設定ニ關スル建議案
提出者
寺田市正君東郷實君
井上知治君佐藤重遠君
藏園三四郞君中村嘉壽君
津崎尙武君永田良吉君
崎山武夫君
肝屬川治水工事ニ關スル建議案
提出者
永田良吉君津崎尙武君
志布志古江間鐵道敷設速成ニ關スル建議
案
提出者
永田良吉君東〓實君
津崎尙武君崎山武夫君
空軍擴張ニ關スル建議案
提出者永田良吉君
松山佐川間鐵道敷設速成ニ關スル建議案
提出者
武知勇記君松田喜三郞君
村上紋四郞君下元鹿之助君
高松松山間夜行列車運轉開始ニ關スル建
議案
提出者
武知勇記君松田喜三郞君
矢野庄太郞君本多眞喜雄君
(以上一月二十七目提出)
羽犬塚竹田間鐵道敷設ニ關スル建議案
提出者
樋口典常君村田虎之助君
〓瀨規矩雄君
(以上一月二十八日提出)
菊川改修工事速進ニ關スル建議案
提出者小久江美代吉君
(以上一月二十九日提出)
決議案(救護法實施ノ件)
提出者
望月圭介君鳩山一郎君
秦豐助君熊谷直太君
東武君瀧正雄君
山口義一君島田俊雄君
秋田〓君山崎達之輔君
松野鶴平君內田信也君
熊谷巖君加藤久米四郞君
藏園三四郞君武藤山治君
堀部久太郞君鷲野米太郞君
中田驟郞君八木幸吉君
森本一雄君
(以上一月二十八日提出)
一議員ヨリ提出セラレタル質問主意書左ノ
如シ
農漁山村政策ニ關スル質問主意書
提出者土井權大君
(以上一月二十七日提出)
〔左ノ報〓ハ朗讀ヲ經サルモ參照ノ爲
玆ニ揭載ス〕
一去二十七日幣原內閣總理大臣臨時代理ヨ
リ左ノ通發令アリタル旨ノ通牒ヲ受領セ
リ
商工省工務局長吉野信次
商工省鑛山局長福田糖雄
商工省貿易局長立石信郞
第五十九囘帝國議會商工省所管事務政府
委員被仰付
一去二十七日衆議院規則第十五條但書ニ依
リ議長ニ於テ議席ヲ左ノ通變更セリ
二〇七田中貢君
四六二由谷義治君
一去二十七日議長ニ於テ選定シタル委員左
ノ如シ
地租法案(政府提出)外六件委員
本田恒之君西脇晉君
永田善三郞君中村繼男君
木村小左衞門君〓水長〓君
菊池良一君松井文太郞君
勝田永吉君戶部良祐君
本多眞喜雄君松本忠雄君
鏑木忠正君前田房之助君
一柳仲次郞君鈴木寅彥君
前田米藏君木暮武太夫君
高橋熊次郞君武田德三郞君
大口喜六君〓水銀藏君
土井權大君岡田忠彥君
金光庸夫君東〓實君
松谷與二郞君
一去二十七日議長ニ於テ辭任ヲ許可シタル
常任委員左ノ如シ
第五部選出
豫算委員山本条太郞君
第五部選出
豫算委員鳩山一郞君
一昨二十八日幣原內閣總理大臣臨時代理ヨ
リ左ノ通發令アリタル旨ノ通牒ヲ受領セ
リ
海軍少將寺島健
第五十九囘帝國議會海軍省所管事務政府
委員被仰付
文部省專門學務局長赤間信義
文部省普通學務局長篠原英太郞
文部省學生部長伊東延吉
第五十九囘帝國議會文部省所管事務政府
委員被仰付
一昨二十八日衆議院規則第十五條但書ニ依
リ議長ニ於テ議席ヲ左ノ通變更セリ
三一四田崎武男君
三八五戶澤民十郞君
一昨二十八日委員長及理事互選ノ結果左ノ
如シ
地租法案(政府提出)外六件委員
委員長本田恒之君
理事
西脇晉君永田善三郞君
中村繼男君高橋熊次郞君
東〓實君
一昨二十八日常任委員補關選擧ノ結果左ノ
如シ
第二部選出
懲罰委員保良淺之助君(米田規矩馬
君補關)
第三部選出
懲罰委員寺田市正君(崎山嗣朝君補
關
第五部選出
豫算委員內田信也君(山本条太郞君
補闘)
第五部選出
豫算委員濱田國松君(鳩山一郞君補
関
第六部選出
決算委員瀨川嘉助君(庄司良朗君補
關
第七部選出
請願委員米田規矩馬君(保良淺之助
君補闘)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=1
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002・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 是ヨリ會議ヲ開キ
てい、御諮リ致シマス、第三部選出決算委
員工藤十三雄君、第二部選出懲罰委員濱田
國松君、第八部選出懲罰委員樋口典常君、
右常任委員辭任ノ申出ガアリマス、許可ス
ルニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=2
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003・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 御異議ガナケレバ
許可致シマス、共部ノ諸君ハ速ニ補闕選
擧ヲ行ヒ御屆アランコトヲ望ミマス、頁ノ
御諮リ致シマス、地租法案外六件委員長ヨ
リ本日本會議中委員會ヲ開キタイトノ申出
ガアリマシタ、尙ホ今後モ本會議中ト雖モ
同委員會ヲ開キタイトノコトデアリマス、
之ヲ許可スルニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=3
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004・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 御異議ナシト認メ
マス仍テ許可スルニ決シマシタ、日程第
一乃至第七ハ便宜上一括議題ト爲スニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=4
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005・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 御異議ナシト認メ
マス-日程第一特別會計ニ於ケル營繕
費ニ關スル法律案、日程第二、特別會計ノ
恩給負擔金ヲ一般會計ニ繰入ルルコトニ關
スル法律案、日程第三、賠償金特別會計法
廢止法律案、日程第四、昭和四年法律第二
十六號中改正法律案、日程第五、京都高等
工藝學校移轉改築費ニ充用シタル金額ノ補
塡ニ關スル法律案、日程第六、製鐵所特別
會計法中改正法律案、日程第七、簡易生命
保險特別會計法中改正法律案ヲ一括シテ第
一讀會ヲ開キマス-井上大藏大臣
第特別會計ニ於ケル營繕費ニ關ス
ル法律案(政府提出)第一讀會
特別會計ニ於ケル營繕費ニ關スル法
律案
特別會計所屬ノ營繕ニ要スル經費ハ當該
特別會計法ノ規定ニ拘ラズ之ヲ一般會計
ノ所屬ト爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ一般會計ノ所屬ト爲シ
タル經費ニ充用スル爲必要ナル金額ハ當
該特別會計ヨリ之ヲ一般會計ニ繰入ルル
モノトス
前項ノ規定ニ依リ各特別會計ノ一般會計
ニ繰入ルベキ金額ノ每年度歲出豫算ニ於
ケル支出殘額ハ遞次之ヲ翌年度ニ繰越シ
使用スルコトヲ得
附則
本法ハ昭和六年度ヨリ之ヲ施行ス
第二特別會計ノ恩給負擔金ヲ一般會
計ニ繰入ルコトニ關スル法律案(政
府提出)第一讀會
特別會計ノ恩給負擔金ヲ一般會計ニ
繰入ルルコトニ關スル法律案
各特別會計ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ當該
會計ニ於テ俸給又ハ給料ヲ支辨シタル公
務員若ハ之ニ準ズベキ者又ハ其ノ遺族ノ
恩給外國人支)ニ拂ツベキ金額ヲ
恩給ヲ含ム
一般會計ニ繰入ルルコトヲ得恩給法第十
七條ノ規定ニ依リ國庫ノ分擔スル金額ニ
付亦同ジ
附則
本法ハ昭和六年度ヨリ之ヲ施行ス
第三賠償金特別會計法廢止法律案
(政府提出)第一讀會
賠償金特別會計法廢止法律案
賠償金特別會計法ハ昭和五年度限リ之ヲ
廢止ス
賠償金特別會計ニ屬スル資金及權利義務
ハ之ヲ一般會計ニ歸屬セシム
昭和五年度賠償金特別會計ノ歲出豫算ニ
於ケル支出殘額ハ之ヲ一般會計ニ繰越シ
使用スルコトヲ得
第四昭和四年法律第二十六號中改正
法律案(神戶商業大學移轉改築費ニ
關スル件)(政府提出)第一讀會
昭和四年法律第二十六號中改正法律
案
昭和四年法律第二十六號中左ノ通改正ス
第二項ヲ左ノ如ク改ム
昭和三年度ニ於テ施行シタル元神戶高等
商業學校ノ移轉改築ノ經費竝ニ昭和四年
度乃至昭和九年度ニ亙リ施行スル神戶商
業大學ノ移轉改築ノ經費ニ充用シタル金
額ヲ補塡シ又ハ其ノ經費ニ充用スル爲昭
和十一年度迄ニ官立大學資金ノ內百三十
六萬四千百十六圓ヲ限リ一般會計ニ繰入
ルルコトヲ得
附則
本法ハ昭和六年度ヨリ之ヲ施行ス
第五京都高等工藝學校移轉改築費ニ
充用シタル金額ノ補塡ニ關スル法律
案(政府提出)第一讀會
京都高等工藝學校移轉改築費ニ充用
シタル金額ノ補塡ニ關スル法律案
大正十五年度乃至昭和五年度ニ亙リ施行
シタル京都高等工藝學校ノ移轉改築ノ經
費ニ充用シタル金額ヲ補塡スル爲昭和六
年度乃至昭和八年度ニ於テ學校及圖書館
資金ノ內百六十萬圓ヲ限リ一般會計ニ繰
入ルルコトヲ得
附則
本法ハ昭和六年度ヨリ之ヲ施行ス
大正十五年法律第三十一號ハ之ヲ廢止ス
第六製鐵所特別會計法中改正法律案
(政府提出)第一讀會
製鐵所特別會計法中改正法律案
製鐵所特別會計法中左ノ通改正ス
第二條第二項中「六千萬圓」ヲ「七千萬圓」
三重A
附則
本法ハ昭和六年度ヨリ之ヲ施行ス
第七簡易生命保險特別會計法中改正
法律案(政府提出)第一讀會
簡易生命保險特別會計法中改正法律
案
簡易生命保險特別會計法中左ノ通改正ス
第二條中「事業取扱費」ノ下ニ、「營繕費」ヲ
加フ
附則
本法ハ昭和六年度ヨリ之ヲ施行ス
大正十二年法律第二十二號ハ之ヲ廢止ス
〔國務大臣井上準之助君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=5
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006・井上準之助
○國務大臣(井上準之助君) 只今議題トナ
リマシタ特別會計ニ於ケル營繕費ニ關スル
法律案ニ付キマシテ、其提案ノ理由ヲ說明
致シマス、各廳ノ營繕事業ニ付キマシテハ、
行政事務ノ刷新及ビ經濟化ヲ圖ル爲メ特殊
ノ事由アルモノヲ除クノ外ハ總テ營繕管
財局ニ於テ統一シテ施行スルコトニ致シマ
シタ、就キマシテハ其統一セラレタル範圍
ノ營繕ハ營繕管財局ノ司掌ニ屬スルコト
トナリ、隨テ其經費ハ當該特別會計ニ於テ
ハ直接ニ之ヲ施行シ得ナイコトヽナリマシ
ク、然ルニ現行法規ノ下ニ於キマシテハ
各特別會計所屬ノ營繕ニ付キマシテハ〓
ネ當該特別會計ノ支辨トシマシテ一般會
計ノ支辨ト爲スコトガ出來ナイノデアリマ
ス、仍テ特別會計負擔ノ營繕ヲ一般會計ニ
於テ施行シ得ルノ途ヲ開クノ必要ガアリマ
ス、當該營繕費ノ財源ハ當該特別會計ヨリ
之ヲ繰入ルヽコトヽシ、且ツ該繰入金ハ一
般會計營繕費ノ施行ニ應ジマシテ繰入ルベ
キモノデアリマスカラ、是ガ歲出豫算ニ於
ケル支出殘額ハ、遞次之ヲ翌年度ニ繰越使用
スルノ途ヲ開クノ必要ガアリマシテ、本案
ヲ提出致シマシタ次第デゴザイマス、何卒
御審議ノ上御協贊ヲ與ヘラレンコトヲ希望
致シマス(拍手)
次ニ特別會計ノ恩給負擔金ヲ一般會計ニ
繰入ルルコトニ關スル法律案ニ付キマシ
テ、其提案ノ理由ヲ說明致シマス、特別會
計ニ於キマシテ俸給又ハ給料ヲ支辨致シマ
シタ公務員、若クハ之ニ準ズベキ者、又ハ
其遺族ノ恩給及ビ外國人恩給竝ニ恩給法第
十七條ノ規定ニ依リマシテ、一般會計ガ國
庫以外ノ他ノ經濟ニ支拂フベキ恩給金額ノ
分擔額ニ付キマシテハ從來〓ネ一般會計
ニ於テ負擔致シマシタガ、右ハ各特別會計
所屬職員ノ俸給其他ノ諸給與ト同ジク、條
理上特別會計ノ負擔ト致シマスコトヲ妥當
ト認メマシテ、昭和六年度以降各特別會計
ノ負擔トシ、是ガ資金ヲ一般會計ニ繰入ル
ルノ途ヲ開クノ必要ガアリマシテ、本案ヲ
提出致シマシタ次第デゴザイマス、何卒御
審議ノ上御協賛アランコトヲ希望致シマス
次ハ賠償金特別會計法廢止法律案ニ付キ
マシテ、其提案ノ理由ヲ說明致シマス、賠
償金特別會計ハ大正九年ニ設置セラレマシ
テ、獨逸國等トノ平和條約賠償條項ニ基キマ
シテ受領スル賠償金等ノ爲ニ、特別會計ノ
經理ヲシテ居"タノデアリマス、然ルニ獨逸
國及ビ其同盟國トノ戰爭ニ依リ、損害ヲ被
リマシタル帝國臣民ニ對スル救恤金ニ付テ
支出ヲ終了致シマシタノデ、將來ニ於キマ
シテハ特ニ特別會計ヲ存置スルノ必要アリ
トモ認メマセヌ故ニ、本會計ハ昭和五年度
限リ之ヲ廢止致シタイト思ヒマシテ、本案
ヲ提出致シタ次第デアリマス、何卒御審議
ノ上御協贊ヲ與ヘラレンコトヲ希望致シマ
ス(拍手)
次ハ昭和四年法律第二十六號中改正法律
案ニ付キマシテ、其提案ノ理由ヲ說明致シ
やっ、神戶商業大學移轉改築費ハ其總額
ガ百五十四万八千七百六十圓デアリマシク
ノヲ、昭和五年度ニ於キマシテハ七万六千
二百七十八圓、同六年度豫算ニ於テハ十万
八千三百六十六圓、合計十八万四千六百四
十四圓ヲ節減シ、且ツ昭和四年度及ビ同五
年度ノ二箇年ノ繼續費デアリマシタモノヲ、
特別ニ昭和六年度豫算トシテ提出致シマシ
タ如ク、繼續年度ヲ四箇年間延長致シマシ
テ、昭和四年度乃至同九年度ニ改正シ、之
ニ伴フ法案ヲ改正スルノ必要ガアリマシ
テ、本案ヲ提出致シマシタ次第デアリマス、
何卒御審議ノ上御協賛ヲ與ヘラレンコトヲ
希望致シマス(拍手)
次ハ京都高等工藝學校移轉改築費ニ充用
シタル金額ノ補塡ニ關スル法律案ニ付キマ
シテ其提案ノ理由ヲ說明致シマス、
議會ノ協賛ヲ經マシテ、大正十五年度乃至
昭和五年度ニ亙ッテ施行致シマシタ京都高
等工藝學校ノ移轉改築費ニ要スル經費ノ財
源ハ、其工事ノ施行年度ニ應ジマシテ學校
及ビ圖書館資金ノ百六十万圓ヲ限度トシマ
シテ一般會計ニ繰入レルコトヲ得ルコト
ニ、大正十五年法律第三十一號ヲ以テ規定
セラレテ居リマシタ所、學校及ビ圖書館資
金ハ前述ノ年度內ニ繰入ヲ爲スコトノ出來
ナイ實情ガアリマシタカラ、其移轉改築費
トシテ一般會計ノ支出ヲ致シマシタ金額ヲ
補塡スル爲メ、昭和六年度乃至同八年度ニ
於テ學校及ビ圖書館資金ノ中、當該經費ニ
相當スル金額ヲ一般會計ニ繰入レルノ必要
ガアリマシテ、本案ヲ提出致シマシタ次第
デアリマス、何卒御審議ノ上御協贊ヲ與ヘ
ラレンコトヲ希望致シマス(拍手)
次ニハ製鐵所特別會計法中改正法律案ニ
付キマシテ、其提案ノ理由ヲ說明致シマス、
製鐵所ニ於キマシテハ製鐵所特別會計法實
施卽チ昭和二年四月一日當時ニ比シマシ
テ、生產規模ノ擴大ニ伴ヒマシテ、運轉資
金ニ不足ヲ生ジマシタノト、近時經濟界不
況ノ爲ニ在庫品ガ著シク增加致シマシタ爲
メ、資金ノ運轉圓滑ヲ缺クニ至リマシタ、
而モ强テ資金ノ運轉ヲ期スル爲メニ製品ノ
賣急ギヲ爲スト致シマスト、民間製鐵業者
ヲ益、窮地ニ陷レ、市場ヲ混亂セシムルノ
虞ガアリマスカラ、製鐵所運轉資金ニ充當
スベキ金額ノ限度ヲ一千万圓增加スルノ必
要ガアリマシテ、本案ヲ提出致シマシタ次
第デアリマス、何卒御審議ノ上御協賛ヲ與
ヘラレンコトヲ希望致シマス(拍手)
次ハ簡易生命保險特別會計法中改正法律
案ニ付キマシテ、其提案ノ理由ヲ說明致シ
マイ、簡易生命保險特別會計所屬ノ營繕ニ
付キマシテハ大正十二年法律第二十一一號
ノ規定ニ依リマシテ、簡易保險局廳舍ニ充
ツル爲メ、當分ノ中土地建物ヲ買入レ、又ハ
建物ヲ建設シ得ルコトヽナッテ居リマスガ、
同會計ノ事業ノ發展ニ伴ヒマシテ、昭和六
年度及ビ同七年度ノ繼續費トシテ、福岡ニ
簡易保險支局ヲ新設スルノ必要ガ生ジマシ
テ、是ガ豫算ハ別途昭和六年度豫算ニ計上
シテアリマス、此經費ノ施行ヲ前述ノ法律
ニ依ッテ致シマスコトハ妥當デアリマセヌ
ノト、且ツ同會計ノ事業ノ狀況ニ鑑ミマシ
テ、將來同樣ノ必要ヲ生ジマスノデ、此際
營繕費ヲ常時的ニ同會計ノ負擔ト爲スコト
ノ途ヲ開クヲ適當ト認メマシテ、本案ヲ提
出致シタ次第デアリマス、何卒御審議ノ上
御協賛ヲ與ヘラレンコトヲ希望致シマス
(拍手)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=6
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007・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 質疑ノ通〓ガアリ
マス津崎尙武君
〔津崎尙武君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=7
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008・津崎尚武
○津崎尙武君 只今議題トナッテ居リマス
ル諸案ニ付キマシテ、二三ノ事ヲ政府ニ御
尋シタイト思フノデアリマス、今段々大藏
大臣ノ御說明ガアリマシタガ、此各種ノ法
律案ハ案トシテハ極メテ簡單ナ案デアリマ
スケレドモ、此法案ノ中ニアルモノハ極メ
テ重大ナ政策ガ含マレテ居ルト思フノデア
リマス其點ニ付キマシテ玆ニ大藏大臣竝
ニ〓僚ノ或ル方々ニ御質問シタイト思フノ
デアリマス
第一ハ特別會計ノ營繕ニ關スル件デアリ
マスガ、是ハ只今大藏大臣ノ御說明ノ通リ
デ、營繕事業ノ統一ハ之ヲシテ行クコトハ
勿論デアリマスケレドモ、今日特別會計所
屬ノ營繕ニ要スル經費ノミヲ一般會計ニ繰
入レルト云フコトヲ爲サルコトハ營繕ヲ
統一シテ冗費ヲ省クト云フコトノミデハナ
クテ、一般會計ノ缺陷ヲ補塡スル目的デ爲
サレタノデハアリマセヌカ、斯ウ云フコト
ヲ御伺スルノデアリマス、卽チ營繕統一ヲ
根本的ニ行フトスルナラバ、ソレヨリモ或
ハ行政整理ヲスルトカ、共同購入物件ノ統
一ヲスルトカ、モット重大ナルモノガアル、
然ルニ營繕統一ノ特別會計ヲ一般會計ニ移
スト云フコトノミヲ今日茲ニ提案セラレタ
コトハ一般會計ニ缺陷ガアリ、其缺陷ヲ
補塡スル爲ニ都合ノ好イヤウナ法律ヲ今日
出シタノデハナイカヲ御伺スルノデアリマ
ス、卽チ一時ノ彌縫ノ爲ニ困難ナ事ハ後廻
シニシテ、簡單ナ事ヲ先ヅ先ニヤルト云フ
ヤウナ考デ、斯ウ云フ法案ヲ提出セラレタ
ノデハナイカヲ御伺致スノデゴザイマス
(拍手)而シテ此場合ニ御伺致シテ置キタイ
コトハ營繕事業ノ統一ト共ニ、購入物件ノ
統一ヲスル御意思ハナイカ、若シアルトス
ルナラバ、其計畫ヲ立テラレテ居ルカドウ
カ、其計畫ノ實行ヲ是カラスル御見込デア
ルカト云フコトヲ、此場合御伺致シテ置キ
タイノデアリマス
次ニ賠償金ノ特別會計法ノ廢止デゴザイ
マスガ、只今其廢止ノ理由ヲ承リマスト云
フト、獨逸ノ賠償金ハ、其戰爭ニ依ッテ災
害ヲ受ケタ者ノ救恤ハ旣ニ終タタラシテ、
此賠償金特別會計法ヲ廢止スルノダト、斯
ウ云フ理由デアル、私共ハ斯ノ如キ簡單ナ
理由デ、此歷史アリ且ツ意味ノアル所ノ特
別會計法ヲ廢止セラルヽト云フコトガ、抑こ
受取レヌノデアリマス、此事ヲ此場合ニ大
藏大臣竝ニ政府ノ方々ニ質シタイト思フノ
デアリマス、此賠償金特別會計法ナルモ
ノハ、本年玆ニ廢止ノ法律案ヲ出サレ
タノデアリマスケレドモ、之ヲ設置セラ
ルヽニ至タニハ理由ガアル、又之ヲ設
置セラレテカラ昨年其法案ヲ改正セラ
レタ、其改正ハ誰ガシタカト云ヘバ
卽チ現內閣デヤッテ居ラレル、デアリマスカ
ラ昨年此賠償金特別會計法ガ改正セラルヽ
ニ至ッタ其理由ト、昨年改正セラレテマダ一
年モ經タヌ中ニ、玆ニ之ヲ廢止シナケレバ
ナラヌト云フコトハ關聯シテ考ヘナケレ
バナラヌト思フノデアリマス、ソコデ吾々
ガ此問題ヲ考ヘルニ當リマシテ、昨年ノ本
法改正ト關聯シテ想起サナケレバナラヌコ
トハ、卽チ現內閣成立ニ営田ッテ、世間ニ發表セ
ラレタ所謂十大政綱、其十大政綱ノ一ツデ
アル所ノ公債政策ト、極メテ重大ナ關係ヲ
有スルカラデアルノデアリマス、卽チ十大
政綱ノ一ツトシテ、國債整理ニ付テドウ云
フコトヲ當時言ッテ居ラレタカ、民政黨ノ方々
ハ能ク御承知デアリマセウガ、吾々ハ之ヲ
民政黨トシテデハナクテ、現內閣ガ成立シ
タ時、內閣トシテ閣議ヲ經テ、堂々ト天下
ニ表明セラレタ十大政綱、其中ニドウ云フ
コトガアルカト云ヘバ政府ハ昭和五年度
以降一般會計ニ於テハ新規募集ヲ打切ルベ
ク、特別會計ニ於テモ、其年額ヲ既定募集
計畫ノ半額以內ニ止メンコトヲ期ス、又國
債償還ノ步合ハ之ヲ增加スル方針ヲ採ル
獨逸國ヨリ受領スル賠償金ハ之ヲ國債償
還ニ充當スルノ方針ヲ立ツベシトシテアル、
斯ノ如クニシテ國債ノ總額ハ昭和四年度末
現在額ヨリ增加セザルコトヲ期シ更ニ進
ンデ其總額ヲ遞減スルコトニ努ムベシ云々
ト言ハレテ居ルノデアリマス、斯ウ云フコ
トカラ致シマシテ、昨年ノ特別議會ニ於
テ、卽チ賠償金特別會計法ノ改正法律案ガ
四月二十三日ニ提出セラレテ三十日ニ本
會議ニ上程セラレタノデアリマスガ、其會
議ニ上程セラルヽニ當ッテ、只今此處デ此法
律案ヲ廢止スルト云フコトニ付テノ說明ヲ
ナサレタ井上大藏大臣ハ、ドウ云フ說明ヲ
シテ居ルカト云フト、斯ウ云フコトニナッテ
居リマス「獨逸國トノ平和條約ニ基キマシ
テ受領致シマスル賠償現金及ビ物件ノ賣拂
代金ヲ一般會計ノ負擔ニ屬スル國際償還ニ
充テル爲メ豫算ノ定ムル所ニ依リ國債整
理基金特別會計ニ繰入ルル途ヲ開クコトデ
アリマス蓋シ賠償金ハ其性質上國債償還
ニ使用スルノガ妥當デアリマスルノミナラ
ズ、我ガ財政ノ現狀ニ鑑ミマシテ、國債償
還額ヲ出來得ル限リ增加スルコトガ最モ緊
要ナリト考ヘルノデアリマス」ト斯ウ言シテ
居ラレマス、卽チ現內閣ガ成立致シマシタ
時定メタ所ノ十大政綱ノ中ノ、最モ重大ナ
ル國債政策ニ基イテ、減債基金ニ其賠償金
ヲ繰入レル法律ノ改正マデシテ、其繰入レ
ヲスルト云フコトヲ昨年ノ特別議會デ、態こ
玆ニ御決定ニナッタノデアリマス、ソコデ
是ガ委員會ノ議ニ移リマスト云フト、此議
會ニ於キマシテハ政府ノ法案ニ付テハ大
體與黨ハ餘リ質問ヲシナイノガ普通デア
ル、然ルニ昨年ノ此委員會ノ速記錄ヲ調べ
テ見マスト、此問題ニ付テハ盛ニ與黨の諸
君ガ御質問ニナッテ居ル、其御質問ノ御趣旨ハ
2抑〓何處ニ在ルカト云ヘバ、此問題ハ所謂
我黨ノ十大政綱ノ一ノ重大ナルモノデハナ
イカ、斯ウ云フ御趣旨デ頻ニ御質問ニナッテ
居ル、デアリマスカラ、吾々ハ玆ニ此問題
ガ法律案トシテハ極メテ簡單ナ案デアッテ
モ、現內閣竝ニ與黨ニ取ッテハ、見遁スコト
ノ出來ナイ重大ナ法案デアルト云フコトヲ
信ズルノデアル、此委員會ノ經過ニ付キマ
シテハ詳細ニ之ヲ述ベル必要ハアリマセ
ヌケレドモ、要スルニ此法案ノ提案ニ當リ
マシテ、小川政務次官ガ、ヤハリ井上大藏
大臣ガ此議席デ言ハレタト同ジヤウナコト
ヲ言ッテ居ラレル、卽チ賠償金ノ如キ臨時的
牧入ヲ、恆久的經費ノ財源ニ充當スルコト
ハ不適當デアル、ノミナラズ斯ノ如キ臨時
的收入ハ、我國ノ財政整理中最モ急務デア
ル國債整理ノ財源ニ使用スルコトヲ妥當ト
認メルカラ、斯ウスルノダト言ッテ居ル、
而シテ此事ニ對シテ先ヅ口ヲ切ック者ハ民
政黨ノ委員諸君デ、盛ニ此事ヲ言ッツテ居ル、何
ヲ言ノテ居ルカト云ヘバ、卽チ賠償金ハ減債
基金ノ方ニ繰入レテ、國債償還ニ充テルコ
トガ精神デアルト言,テ居ル、然ルニ前ニ
本條ノ第二ニ於テ此法律案ヲ改正致シマシ
タ時ニ、之ヲ例ヘバ國際聯盟、移植民、航
空施設等ニ使用スルコトガ出來ルコトニ
ナッテ居ルガ、ソレガ出來ルコトニナッテ居ル
ノニ、新ニ此減債基金ニ繰入レル法律ヲ作ッ
テモ、前ノ法規ガ存在スルト、前ノ方ニ餘
計使ハレテ此目的ヲ達スルコトガ出來ナ
イデハナイカト云フコトガ、民政黨ノ委員
諸君カラ盛ニ聞カレタコトナノデアリマ
ス、其事ハドウ云フコトヲ意味スルカト云
ヘバ繰返シテ申上ゲル通リ民政黨殊ニ
民政黨ヲ基礎トスル現內閣ガ成立スルニ付
テ、極メテ重大ナ問題デアルカラ、斯ウ云
フ質問ガ度々出タコトヽ私ハ思フノデアリ
マス、ソコデ此問題ヲ委員會デ審議スル中
二、第二囘ノ會議ニ於テ民政黨ノ津原君
ガー財政通ダト言ハレテ居リマスガ、津
原君ガヤハリ同樣ノ事ヲ御質問ニナッタ、サ
ウシテ小川政務次官デハ物足ラナイト見エ
マシテ此處デ「事ガ可ナリ政策ノ根本問
題ニ觸レタルコトデゴザリマスカラ、(藤)
キ管大臣ノ出席ヲ求メマシテ、此點ニ付テ
ノ主義、御方針ヲ拜承致シマシテサウシ
テ態度ヲ決シタイ」ト言シテ居ルノデアリマ
ス大藏大臣ハ他ノ委員會ニ出テ居シタノ
ヲ態と此委員會ニ引張リ出サレテ、サウ
シテ津原君ガ同樣ナ質問ヲシタノニ對シ
テ、ドウ云フ事ヲ御答ニナッテ居ルカ、「政
府ガ今回提出致シマシタ趣旨ハ本會議ニ
於キマシテ私ガ說明致シマシタヤウニ、獨
逸カラ取リマス賠償金ヲ、國債償還基金ニ
充當シヨウト云フ爲メニ、アレダケノ改正
案ヲ提出シタノデアリマスガ、何レ此賠償
金特別會計ト云フモノハ適當ノ解決ヲシ
テシマハナケレバナラヌ、斯ウ云フ事ヲ考
ヘテ居リマス、隨テ只今津原委員ノ御意見
ノ如ク-」此處デ御町嚀ニモ「御意見ノ如
クト云フヨリハ御意見ニ從ヒマシテト云フ
方ガ相應シイ言葉ト思ヒマスガ」ト言ッテ、
大變御世辭ヲ言っテ居ラレマス、「御意見ニ從
ヒマシテト言フ方ガ相應シイ言葉ト思ヒマ
スガ」ト云フコトハドウ云フ事カ存ジマセ
ヌガ、井上大藏大臣ハ當時マダ政黨員デハ
ナカッタ、內閣ガ出來テ大藏大臣ニナルト共
ニ民政黨員ニナラレタ方デアルカラ、御意
見ノ如クト云フヨリハ、御意見ニ從ヒマシ
テト云フ方ガ相應シイト言ハレタノヂヤナ
イカト、私ハ此速記錄ヲ讀ムノデアリマ
ス、而シテ民政黨ヲ基礎トスル此政府ノ重
大ナ政綱デアルト云フコトヲ、不言ノ中ニ
モ-此言葉ノ中ニモソレガ現ハレテ居ル
ト思ヒマスガ「其趣旨ヲ持チマシテ關係法
耀ノ改正ヲ致シマシテ、サウシテ連ニ議會ニ
提出スルコトニ致シマスト云フコトヲ申上
ゲテ差支ナイノデアリマス」ト言ッテ居ル、
津原君ハドウ言シテ居ル、「政府ノ趣旨ノ在
ル所ハ諒解致シマシタ、就キマシテハ聊カ
考ヘル所モゴザイマスカラ、此程度デ体憩
致シマシテ」云々ト言ッテ居ル此處デ御尋
致シタイコトハ井上大藏大臣ハ賠償金特
別會計ハ適當ノ解決ヲシナケレバナラヌ
ト言テ居ラレマス、此適當ノ解決ト云
フコトハ當時民政黨ノ諸君ノ要求セラ
レタ如タ、全部ヲ賠償金特別會計ハ之ヲ
減債基金ニ繰入レル斯ウ云フ方針デ行
カナケレバナラヌ、卽チ減債基金ヲ多
クスルト云フ、其政策ニ副フヤウニ改
正スルト云フコトヲ津原君ガ諒解セラ
レタト思フニ拘ラズ、井上サンハ一年足ラ
ズノ中ニ適當ノ解決ト申シテ、玆ニ廢止ノ
法律案ヲ出サレタノデアリマス當時ノ御
意思ハ、之ヲ津原君ヤ民政黨ノ委員ノ諸君
ノ希望セラレタヤウナ意思ニ副フト云フ御
考デアタカ、ソレトモ今日ノ如キ廢止法律
案ヲ出スト云フ御考デアッタカト云フコト
ヲ御聞キシタイノデアリマス(拍手)ト申シ
マスノハ、津原君其他ノ委員ノ諸君ノ言ハ
レルコトニ副フト云フ御趣旨ナラバ、現內
閣ノ揭ゲテ居ル所ノ此公債政策ニ副フ所以
デアルカラ、少シモ差支ナイケレドモ、ソ
レニ反シテ之ヲ廢止スル、廢止シテ以テ一
般會計ニ繰入レルト云フコトニスルト云フ
ト、卽チ公債政策ノ破綻デアル斯ウ云フ
結論ニ相成ルノデアリマスカラ、此事ヲ御
問スルノデアリマス、ソコデ此問題ニ付キ
マシテハ-此賠償金ニ付テ民政黨ノ方針
ト、吾々政友會ノ考トガ玆ニ異ノテ居ルコト
ヲ現シテ居ルト思フノデアリマス、卽チ民
政黨ニ於テハ之ヲ減債基金ニ繰入レテ公
債政策ヲ行ッテ行カウ、一方ニ於キマシテ
ハ政友會ノ時ニ出來タ所ノ改正案ハ國
際聯盟、移植民、航空ノ經費、斯ウ云フコ
トニ其賠償金ヲ使ヒ得ルヤウナ途ヲ開イテ
居ッタノデアリマス、然ルニ今日ハ此救恤ヲ
スル必要ガナクナッタカラ最早廢止スルノ
デアル斯ウ言ハレテ居リマスガ、吾々ハ
玆ニ此國際聯盟モ、移植民ノ問題モ航空
ノ問題モ、考ヘテ見マスルト云フト、決
シテ此賠償金ヲ使用スルニ付テ飛離レタ
コトデハナイ、賠償金ト最モ關係アル重大
ナ國策上ノ問題デアルト思フノデアリマ
ス、斯ウ云フコトニ使用スルコトモ止メテ、
モウ救恤ノ必要モ濟ンダノデアルカラ、是
ヲバ全部廢止シテシマフ廢止シテシマフ
ト云フコトハ、畢竟スルニ政府ニ歲入ニ缺陷
ガアル爲メニ、其缺陷ヲ補塡スルニ付テ都
合好イヤウナ政策ヲ執ラレタノデハナイカ
ト云フコトヲ御伺スルノデアリマス(拍手)
吾々ハ此問題ハ現内閣ノ政策上極メテ重大
ナ問題デアリマスガ爲メニ、此事ヲ特ニ御
伺致スノデアリマス、斯ク申シマスト云フ
ト、昨年ノ總選擧ノ時、民政黨ノ諸君ガ
言ハレタ、此公債政策ニ付テ、日本ハ五十
八億幾ラノ負債ガアル、生マレルト直ダ一
人當リ九十圓ノ借金ヲ背負ッテ居ルノデア
ルト云フヤウナコトヲ盛ニ唱ヘラレテ、サ
ウシテ選擧ニ臨マレタ、事情ヲ知ラナイ所
ノ國民ハ欺カレテ、成程斯ウ云フ所ノ借金
ヲ音負ッテ居ルノカ、而モ此借金ガ政友會ノ
放漫政策ノ結果ナドト盛ニ言ッテ居ル、然ル
ニ此問題ニ付テ吾々ガ其所謂六十億ノ國債
ノ事情ヲ調ベテ見ルト云フト、其公債ノ
內容ト云フモノハ諸君モ御承知ノ通リ、
大部分ガ軍事公債、鐵道公債、震災善後公
債サウ云フモノデアッテ、其四十億以上ト
云フモノハ、サウ云フ必要ナ經費デアッタデ
ハナイカ、此事ヲ詳細ニ說イテ、差引殘ル
所ノモノハ十六億シカナイノデアル其公
債ノ事情ヲ詳細ニ聽衆ニ說イテ聽カセルト
云フト其聽衆ハソレヲ諒解シテ、寧ロ此
日本ガ六十億ノ公債デ國ガ亡ビルヤウナコ
トヲ申シテ、盛ニ宣傳セラレテ、選擧ニ利
用セラレタ所ノ民政黨ガ誤リデアル其公
債ノ內容ヲ調べテ見ルトドウカト云ヘバ
(「放漫政策」ト呼フ者アリ)放漫政策デハナ
イ、其內容ニ當ッテ、最近ノ公債ニドウ云フ
モノガアルカト云ヘバ、御承知ノ二億圓ノ
震災手形ガアルデハナイカ、其震災手形ハ
誰ガヤッテ居ルカ、前々內閣ノ時ニ片岡大
藏大臣ガ之ヲヤッタノデアル、私ハ不幸ニシ
テ此演壇ニ立ッテ其贊成演說ヲセザルヲ得
ナカッタノデアリマスケレドモ、是ハ誰ガ
ヤッタノデアルカト云ヘバ、卽チ民政黨內
闇、前ノ憲政會內閣ノ仕事デハナイカ(拍
手、「ヒヤノ〓」)臺灣銀行ノ跡始末ハドウ
ダ、臺灣銀行ノ跡始末ニ一一億圓出シテ居ル、
此二億圓ノ支出ト云フモノハ抑、"ドウ云フ
モノデアルカト云フコトヲ調ベテ見ルト、
是ハ政友會時代ニヤッタンダケレドモ、憲政
會內閣ノ跡始末デハナイカ、是ハアナタ方
ガ能ク知ッテ居ル、サウ云フコトヲ國民ハ知
ラナイ國民ハ知ラナイガ爲メニ、唯徒ニ
政友會ノ放漫政策デアルナドヽ世間ヲ騙シ
テ、サウ云フコトデ投票ヲ取ッタノデアル、
殊ニ震災」後後公債五億圓ト云フモノガア
ル是ハ誰ガヤッタカト云フト、今ノ大藏
大臣井上サンガ、震災直後ニヤッタノデアリ
いく、民政黨ガヤッタトハ申サヌガ、民政黨
ノ大藏大臣井上準之助サンガヤッテ居ル、サ
ウ云フコトヲ段々調ベテ來レバ、日本ノ公
債ガ六十億圓ニナリ、今ニモ日本ガ潰レル
ヤウナ宣傳ハ、徒ニ國民ノ精神ヲ萎縮サセ
ルダケデアル、サウ云フコトヲ唯選擧ニ利
用シタニ過ギヌノデアル、斯クマデシテー
選擧ニ利用シテマデ此公債政策ト云フモノ
ヲヤカマシク言ヒ立テタ、サウ云フ公債政
策其公債政策ニ基イテ減債基金ヲ增シテ
行カウ、獨逸ノ賠償金ヲ減債基金ニ繰入レ
テ行カウト云フ法律ヲ昨年制定シテ置キナ
ガラ、突如トシテ又今年廢止スル是ガ分
ラヌ、分ラヌデナイ、分ル、ドウ云フコト
ガ分ルカト云ヘバ、卽チ度々本議場ニ於テ、
又ハ豫算委員會ニ於テ指摘セラレル通リ、
歲入ニ缺陷ガアル、歲入ニ缺陷ガアルカラ、
其缺陷ヲ補塡スル爲メニハ出來ルダケド
ウ云フ處カラデモ搔キ集メルコトヲシテ置
カウト云フノニ過ギヌノデアル、サウ見ル
外仕方ガナイノデアル、例ヘバ御承知ノ通
リ土木費モ繰延ベタ、其土木費ヲ繰延ベタ
結果ハ失業ヲ增シテ來タ、失業ヲ增シテ
來タカラ中央ニ於テ二千二百万圓、地方
ニ於テ一千二百万圓、三千四百万圓ノ公債
ヲ公債政策ヲ變ヘテ、非募債主義ヲ改
メテ、旣ニ失業公債ヲ發行シテ居ルデハナ
イカ、サウ云フコトモ卽チ現內閣ノ破綻ヲ
意味スルノデアリマス(拍手)昨年ノ義務〓
育費一千万圓ノ增加ノ如キモ、是ハ地方カ
ラ申セバ洵ニ結構ニ見エルガ、政府竝ニ民
政黨トシテハ、甚ダ御無理ヲナサッタト私ハ
思フノデアリマス、其事ハ卽チサウ云フ
御無理マデモシテ歲入ニ益〓缺陷ヲ多クシ
テ、サウシテ今日ノ窮狀ニ堕チテ居ルノデ
アリマス
ソレカラ一昨日本議場デ問題ニナリマシタ
所ノ減稅案デモ其通リ、減稅案ノ此理由書
ヲ見ルト、何デモ彼デモ倫敦會議トクッ付
ケテアル、何デモ彼デモ倫敦會議々々々々、
倫敦會議ヘクッ付ケナケレバナラヌヨウニ
アナタ方ハ窮地ニ墮チテ居ル、此事ノ詳細
ハモウ旣ニ盡サレテ居ルノデアリマスカラ
私ハ申シマセヌ、減稅ニ於キマシテサヘ
モ、既ニサウ云フ所ノ窮地ニ堕チテ居ル、
私ハソコデ大藏大臣ニ御尋シタイコトハ
此法律案ノ提出ハ、現內閣政策ノ破綻ヲ法
律的ニ證明セルモノト思ハレヌカドウカト
云フコトヲ御尋シタイノデアリマス、今マ
デ說明申上マシタコトニ依ッテ、其趣旨ハ御
分リト思ヒマスケレドモ、此事ヲ御尋シタ
イノデアリマス
ソレカラ茲ニ井上大藏大臣ニ付テ斯ウ云
フコトヲ問ハナイデ、幸ニ安達內務大臣ガ
居ラレマスカラ、此事ヲ御尋シタイノデア
リマスガ、公債政策ニ關シテ今申上ゲル通
リ、國民ヲ欺イテ選擧ニ不自然ナ數ヲ取ラ
ーノ、其現內閣ニ重大ナル政策ノ破綻ガ來
テ居ルトシタナラバ立憲ノ本則ニ則。テハ
總辭職スル外ナイト私ハ思フ、之ヲナサル
御意思ハナイカト云フコトヲ、私ハ安達サ
ンニ御尋シタイノデアル、卽チ立憲ノ本義
ニ則リマスト、斯ノ如ク政策ノ破綻ヲシタ
ナラバ、總辭職カ、議會ヲ解散スルカ、二
ツニ一ツシカナイノデアル、然ルニ議會ノ
解散ハ出來ナイト云フナラバ總辭職ヨリ
外仕方ガナイデハナイカ、私ハ井上大藏大
臣ニ御尋スルノデハナイ、寧ロ民政黨ノ總
裁代理トモ申サルベキ安達內務大臣カラ、
此質問ニ對シテノ御答辯ヲ承リタイノデア
リマス、斯ノ如キコトヲ申上ゲマスト、如
何ニモアナタ方ハ政友會ガ黨派的ニ此問題
ヲ考ヘルト云フ風ニ思ハレルカ知レヌガ、
私ハ之ヲ黨派的ニノミ見ルノデハナイ
〔發言スル者多シ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=8
-
009・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 靜肅ニ願ヒマ
ス-靜肅ニ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=9
-
010・津崎尚武
○津崎尙武君(續) 昨年ノ秋ト思ヒマス
ガ、政府ガ地方長官會議ヲ招集セラレタ頃
ト思ヒマス、其頃ニ我國文壇ノ大先輩德富
蘇峰先生ガ、日日新聞ノ「日日ダヨリ」ニ斯
ウ云フコトヲ書イテ居ル、是ハ唯吾々ガ政
黨員トシテ議會ノ中デ斯ウ云フコトヲ言フ
ノミデナイ、民政黨竝ニ現內閣ノ諸公ガ、
最モ尊重セラルヽ所ノ新聞紙ニドウ云フコ
トガアルカ、而モ是ハ堂々タル署名ノ下ニ
ドウ云フコトガアルカト云フコトヲ御聽キ
ニ入レタイノデアリマス「若シ我等ガ首相
デアッタナラバ」トシテ、「藥ガ利キ過ギタ」
トシテアリマス、「若シ我等ガ首相デアッタ
ナラバ、地方官ニ向ッテ先ヅ第一ニ左ノ如
ク訓示シタデアラウ、實ヲ言ヘバ先年來
緊縮ノ藥ガ餘リニ利キ過ギタ、是デハ日本
ノ贅澤倒レヨリモ、儉約倒レトナルサレ
バ政府モ是カラハ起スベキ事業ハ之ヲ起
シ續クベキ事業ハ之ヲ續ケ而シテ爲ス
ベキ事業ハ之ヲ爲スベク、各員ノ努力ヲ
竢ツ、而シテ其爲ニハ中央政府ニ於テモ十
二分ニ考慮スル」斯ウ言ヒタイト云フノデ
アリマス、而シテ其次ニ蘇峰氏ハドウ云フ
コトヲ言ッテ居ルカ「元來儉約サヘスレバ天
下泰平ト心得タルハ全ク藪醫者ノ診斷ダ、
儉約モ經濟ノ一面ニハ必須ダ、サレド經濟ノ
要ハ開物成務ト、利用厚生トニ存ス、恒五
新タナル方面ニ事業ヲ擴張スルガ故ニ勞
働者モ其職業ヲ得、一般ノ購買力モ出デ來
リ、又貨物ノ動キモ必然ノ結果トシテ生ズ
ルコトヽナル今日ノ如ク增加スル者ハ唯
失業者ノ數ニシテ、世間ハ眠ルガ如ク死
スルガ如ク、折角ノ貨車モ運輸スベキ貨物
ガナクシテ所謂オ茶挽ノ爲體デアルコト
ハ正シク現内閣ノ緊縮政策ノ影響ト受取
ルヨリ外ハアルマイ、知ラズヤ儉約ノ結果ハ
歲入ノ激減トナリテ、明年ノ豫算サヘモ碌
ニハ組ムコトガ出來ナイ苦境ニ陷リツヽア
ルデハナイカ、爾ニ出デタルモノハ爾ニ反
ヘルト言ハバソレマデノコト、而モ國家ノ
損失ハ單ニ濱口內閣ノ人氣ヤ不人氣ニテ
償ヒ得ベキモノデハナイ、吾等ハ此際斷然
ト政府ハ其政策ノ更新ヲ男ラシク公示シ、
以テ世間ノ人氣ヲ一變センコトヲ希望ス
ル經濟學ノ一半ハ心理學ダ、經濟界ニ於
ケル勢力ヲ單ニ物資ノ多寡ヤ需要供給ノ
「バランス」ノミニ限ルモノトスルハ是亦
籔井竹庵ノ匙加減ダ、當初カラ人心ヲ腐ラ
シメテ、人心ヲ萎縮セシメテ、而シテ殆ド
人心ヲ絕望セシメテ、更ニ之ヲ鞭韃シタリ
トテ、到底世間ノ景氣ハ立直ルモノデハナ
イ若シ所謂世直シ大明神ナルモノアリト
セバ、ソハ此人心ニ活ヲ入レルコトダ、
吾人ガ今更濱口內閣ガ看板ヲ塗リ換フルニ
困ルトハ思ハナイ、投藥ハ病狀ニ應ゼネバ
ナラヌ、一度處方シタリトテ、ソレヲ永久
不變トスルハ病者ニ取リテハ寔ニ迷惑至
極ダ、濱口內閣ノ支持者仙石翁サヘモ、內閣
ノ藪醫者ニハ因ルト喞チタト聞ク、其言ノ
眞否ハ何レニモセヨ、國民ガ全ク困ッテ居
ル、今日ハ內閣ノ面目トカ、不面目トカ云
フ場合デナイ、唯速ニ此人氣ヲ一變スルヲ努
メヨ」ト申シテ居ルノデアリマス、是ハ私ガ
唯議場ニ於テ、唯吾々ガ政黨者トシテ、御
互ニ議論スレバ唯徒ニ政治家ノ論議ヂヤナ
イカ、與黨ト反對黨ノ論爭ヂヤナイカト取
リ易イノデアリマス、然ルニ、斯ウ云フ第
三者、殊ニ德富翁ノ如キ第三者、殊ニ諸君
ノ最モ尊重セラレル所ノ新聞權威者ガ斯ウ
云フコトヲ言ッテ居ルコトハ確ニ參考ト
ナルノデアルカラ、私ハ之ヲ讀ンダノデア
ル、
〔發言スル者多シ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=10
-
011・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=11
-
012・津崎尚武
○津崎尙武君(續) ソコデ私ハ國家ノ損失
ハ
〔發言スル者多シ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=12
-
013・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=13
-
014・津崎尚武
○津崎尙武君(續) ソコデ私ハ玆ニ德富翁
ノ言葉ヲ藉リマシテ一ツ御尋致シタイノデ
アリマス、國家ノ損失ハ單ニ濱口內閣ノ人氣
ヤ不人氣ニテ償ヒ得ベキモノデハナイ、吾
等ハ此際斷然ト政府ハ其政策破綻ノ責任ヲ
負ヒ男ラシク內閣ヲ總辭職シテ罪ヲ天下
ニ謝センコトヲ希望スル、詰リ私ハ玆ニ御
尋致シマシタコトニ付キマシテ
〔發言スル者多シ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=14
-
015・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=15
-
016・津崎尚武
○津崎尙武君(續) 此政策ノ破綻ヨリ來ル
所ノ內閣ノ責任ニ付キマシテ、安達內務大
臣ガ政黨ノ出身者トシテ先輩デアリマス關
係ニ於キマシテ、其事ヲ御答アランコトヲ
希望致スノデゴザイマス
〔國務大臣井上準之助君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=16
-
017・井上準之助
○國務大臣(井上準之助君) 津崎君ニ御答
致シマスガ只今營繕統一ニ關スル御質問
ハ實際ノ運用ヲ中上ゲマシタラ、直ニ御
諒解下サルコトヽ思ヒマス、特別會計ニ營
繕ノ豫算ガアリマスト、之ヲ營繕管財局ニ
取リマシテ、同額ノ金ヲ取ッテ、ソレニ相當
スル營繕ヲスルノデアリマスカラ、餘計取ッ
テ少ク使ッテ、ソレデ一般會計ノ財源ノ缺
陷ヲ補フト云フ風ニ出來テ居リマセヌ唯
何處ニ營繕ノ統一ヲスル必要ガアルカト云
フト、各省ニ技師ヲ置キ、各省ニ建築ノ事
務官ヲ置クト云フコトヲ、營繕管財局ニ一
緒ニ纒メテ見マスルト、大體ノ國ノ財政ニ
少カラザル節約ガ出來ルト云フ趣意デアリ
マシテ、只今ノヤウニ運用ヲ致シマスカラ、
津崎サンノ御質間ノヤウナ點ハ一切ゴザイ
マセヌ
賠償金特別會計廢止ニ付テ、過去ノ歷史ハ
今仰シヤッタ通リニ考ヘテ居リマス、賠償
金ノ六百三十万圓ヲ減債基金ニ入レルコト
ヲ言明シナガラソレヲ直ニ取消シタト云
フコトハドウカ、斯ウ云フコトガ質問ノ要
點ノヤウデアリマスガ、財政演說ニ申上ゲ
マシタヤウニ、歲入ノ減少ガ急激ニ參リマ
シタカラ、之ニ應ジテ歲出ヲ減スト云フ努
メヲシタノデアリマスガ、此上努メテ見レ
バ行政ニ差支ヲ生ズルカラ、ソレデ當分ノ
間賠償金ヲ減債基金ニ繰入レルコトヲ廢メ
テ、大體ニ公債ヲ減サウ-八ム債ヲ巨額ニ
出サナイト云フ方針ヲ拾テタ譯デモ何デモ
アリマセヌ、今日ノ經濟界ノ特別ノ現象ニ
應ズル特別ノ處置ト考ヘテ居リマス
〔發言スル者多シ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=17
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018・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=18
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019・井上準之助
○國務大臣(井上準之助君)(續) ソレカラ
私ニ御質問デアッタカ、國務大臣ニ御質問デ
アリマシタカ、ハッキリシマセヌデシタガ、
只今德富蘇峰君ノ
〔發言スル者多シ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=19
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020・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=20
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021・井上準之助
○國務大臣(井上準之助君) 箱德富蘇峰
氏ノ經濟上ノ御意見ヲ御朗讀ニナリマシタ
ガ、私モアノ新聞ノ文ヲハッキリ讀ンデ居
リマス私ハ德富蘇峰君ニ、文學者トシ
歷史家トシテ多大ノ敬意ヲ拂ッテ居ル者デ
アリマシテ、私ハ德富蘇峰氏ガ「國民ノ友」
ヲ書カレタ處女作カラ、或ハ「日本ノ靑年」
カラデアリマスカ··
〔發言スル者多シ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=21
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022・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=22
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023・井上準之助
○國務大臣(井上準之助君)(續) 遺憾ナガ
ラ吾々ハ先刻御讀上ゲニナリマシタ經濟上
ノ意見ニ於テハ全然違ヒマス、誠ニ遺憾ナ
ガラ違ッテ居ルト云フコトヲ申上ゲテ置キ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=23
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024・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 津崎君、モウ濟ミ
マシタカ
〔國務大臣安達謙藏君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=24
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025・安達謙藏
○國務大臣(安達謙藏君) 津崎君ノ御尋ニ
御答致シマス、政府ノ公債政策ハ、今日ニ於
キマシテモ少シモ變ッテ居リマセヌ(「變ッテ
居ルデハナイカ」ト呼フ者アリ)元カラ大體ニ
於テ非募債主義ヲ執リ
〔發言スル者多シ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=25
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026・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=26
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027・安達謙藏
○國務大臣(安達謙藏君) 續併シ失業救
濟又ハ災害豫防等ノ事ニ付テハ此限ニ在ラ
ズト云フコトニナッテ居リマス、ソレダカ
う
〔發言スル者多シ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=27
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028・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=28
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029・安達謙藏
○國務大臣(安達謙藏君) (金)此場合ニ當
リマシテ、吾々ハ憲政ノ本義ニ則,テ、總辭
職スル意思ハアリマセヌ
〔津崎尙武君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=29
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030・津崎尚武
○津崎尙武君 井上大藏大臣竝ニ安達內務
大臣カラ御答ガアリマシタガ、營繕統一ハ
勿論デアリマスガ、用度統一ヲ爲サル御意
思ハアルカ、此事ハ極メテ關聯シタコトデ
アリマシテ、後ニモ影響ノアルコトデアリ
マスカラ、其御意思ノ程ヲ承ッテ置キタイ
ノデアリマス、ソレカラ德富蘇峰氏ノ說ニ
付テ井上サンガ反對デアル今ノ內閣ノ施
設ニ反對デアルコトヲ書イテアルカラ反對
ダト云フコトハ是ハ當リ前ノ事デアル、
私ハ斯ウ云フコトニ付テ井上大藏大臣ニモ
ウ彼レ此レ申スコトハ要リマセヌ、モウ既
ニ本會議ニ於テ、又豫算委員會ニ於テモ、
盛ニ我黨ノ同志カラ論議セラレテ、十分ニ
井上大藏大臣ノ不信ニ付テハ明瞭ニナッテ
居ルノデアリマス、吾々ハ此會議ニ於キマ
シテ、此議場カラ此論議ヲ聽ク時ニ、井上
大藏大臣ガドウ云フ風ヲシテ居ラレタカト
見テ居ル時ニ、洵ニ白々シイ態度ヲ執。テ
居ラレル、其反面ニ於テ、吾々ノ友人デア
リ、尊敬スベキ多數ノ政府委員ガ、井上サ
ンニ反シテ、却テ赤イ顏ヲシテ居ラレルコ
トヲ實ニ氣ノ毒ニ思フ(拍手)斯ウ云フ大藏
大臣ヲ持デ、サウシテ以テ此日本ノ財政
ヲヤッテ行カウト云フ政府ガ、此公債政策ノ
破綻ヲ來シテ、ソレニ對シテモ責任ヲ執ラ
ヌト言ハレルコトハ是ハ當リ前ノコトデ
アルデアリマスカラシテ、此以上ニ吾々
ハ之ヲ論議致シマセヌケレドモ、唯吾々ノ
憂ヘマスコトハ、財政ニ於テハ井上氏ノ如
キ人ヲ用ヒ、外交ニ對シテハ軟弱退嬰ノ幣
原男爵ヲ用ヒサウシテ此內閣ヲ組織シテ
居ラレル曾テ濱口サンガ大藏大臣デアラ
レタ時ニ、濱口大藏大臣ハ正直ナル嘘吐キダ
ト誰カガ言ッタコトガアリマス、然ルニ今
日濱口內閣ノ下ニ於キマシテ、私ハ井上藏
相ハ濱口サンヨリモモットヒドイ、正直ナル
嘘吐キドコロカ、橫著ナル嘘吐キダト思フ
(拍手)サウ云フコトハ餘リ言ヒタクナイノ
デアリマスケレドモ、サウ云フ感ジガ私共
ハスルノデアリマス、此事モ表明致シテ置
キマス
ソレカラ吾々ハ此幣原臨時代理ノ問題ニ
付キマシテ、餘リ此事ヲヤカマシク言ハヌ
ガ故デハナイカト思フタ位デアルソレハ
ドウ云フコトカト申シマスト云フト、幣原
軟弱外交ニ依ッテ、倫敦會議ノ結果ハ御承
知ノ通リニナッタ、ソコデドウナルカト申
シマスト云フト、若シ幣原外相ガ過ッテ民
政黨ノ總裁ニデモナリ昭和十年、卽チ千
九百三十五年ニ過ッテ總理大臣ニデモナッタ
ナラバ、國家ノ將來ハドウナルカト云フコ
トヲ、眞面目ナ人ハ憂ヘテ居ルノデアリマ
ス(拍手)私ハ安達內務大臣ガ公債政策ノ破
綻-自分ノ內閣ノ重要ナ政策ガ破綻シテ
モ、ソレニ對シテ責任ヲ執ラヌト言ハレル
コトハ、先生達ノ立場トシテハ當リ前カモ
知ラヌケレドモ、憲政ノ常義カラ致シマシ
テ、當然ノ事ヲ行ハレナイト云フコトニ付
テ、遺憾ノ意ヲ表明スルノデアリマス(拍
手発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=30
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031・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 宮澤裕君
〔宮澤裕君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=31
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032・宮澤裕
○宮澤裕君 御提案ノ各種ノ法案ニ對シ
テ、同僚津崎代議士カラ既ニ質問ガ行ハレ
タノデアリマスガ、私モ此法案ノ個々ニ付
テハ後刻御答辯ヲ煩シタイト思フノデアリ
マスガ、之ニ關聯シテ、現內閣ガ一昨年ノ
七月組閣當時ニ於テ、所謂十大政策ト云フ
モノヲ揭ゲテ天下ニ聲明サレタ、其中ニ於
テ最モ吾人ノ注目ヲ惹キ、國民多數ノ歡喜
ヲ以テ迎ヘラレタ政策ハ何デアルカ、所謂
財政ヲ緊縮シテ、財界ヲ建直シテ、國民ニ
休養ヲ與ヘルト云フコトデアル、次ニハ所
謂借金ヲ六十億持ッテ居ルト云フコトハ
國民ノ負擔ヲ重カラシムルノデアルカラ、
吾々ハ公債ヲ整理償還シテ、國民ノ負擔ヲ
輕減スルト云フ事ヲ以テ國民ヲ欺イテ居
ル、更ニ金解禁ヲヤルコトニ依ッテ物價ヲ
低落セシメ、國民ノ生活ヲ安定セシムルト
云フヤウナ色々ノ問題ヲ揭ゲテ、多數國民
ノ同情ヲ得、歡心ヲ得テ、此政策ヲ天下ニ
發表ナサッタ、之ヲ以テ議會對策トシテハ遺
憾ナク效ヲ奏サレタノデゴザイマセウガ、
其後ノ結果ハドウナッテ居ルノデアリマス
カ、何ガ一ツ此主義ヲ實行セラレテ居ルカ、
誤レル金解禁、時機方法ヲ擇バザル金解禁
ノ政策ハ今日斯ノ如キ失態ヲ演ジテ居ル
ト云フコトハ私ノ申スマデモナイ、極端ナ
ル緊縮ハ總テノ事業ヲ中止、打切、繰延、
延期、是デハ不景氣トナラザルヲ得ナイノ
デアル、財界ハ總テ是ガ爲ニ大恐慌ヲ來シ、
工場ハ閉鎖スル、信用ハ破壞スル、失業者
ハ續出スル破產、倒產、强盜、殺人、夜
遁ゲ、有ユル悲慘事ガ今日ノ社會ニ出テ居
ルモノハ何デアルカト云フト、是レ皆民政
黨ノ欺瞞政策ノ結果デアリマス、欺瞞ノ一
ウトシテ天下ノ耳目ヲ聳動シタモノハ何デ
アルカト云ヘバ簡單ニ言ヘバ各省ノ自動
車ノ整理デアリマス(「細カイコトヲ言フ
ナ」ト呼フ者アリ)細カイト申シマスガ、之
ヲ以テ多數國民ヲ欺イテ居ル果シテ半箇
月一箇月ノ間ハ自動車ヲ整理シ、或ハ之ヲ
二日三日置キニ使フヤウニシテ天下ヲ欺イ
タノデアリマスガ、今日ニ於テドウデアル
カ、殆ド課長マデ送リ迎ヒヲ致シテ居ル
是デ國民ノ信ヲ繫ギ得ル政策ヲ實行シテ居
ルト言ヒ得ルカ(拍手)少シ諸君モ冷靜ニ御
考ニナッタガ宜カラウト思フ、斯ノ如キ欺瞞
政策ノ結果ハ何デアルカト云フト、所謂民
力ノ疲弊トナッテ、千古未曾有ノ歲入缺陷ヲ
來シタ、其歲入缺陷ヲ補塡致ス爲ニ四苦八
苦ノ結果ハ、前ニ申シマシタ通リニ、折角昨
年法律ヲ改正シテ、此獨逸賠償金ノ如キ性
質ノモノハ減債基金ニ充當スルコトガ當
リ前デアルト云フコトデ、法律ノ改正ヲ爲
サッテ、翌年ノ今日、未ダ一囘モ實行スルコ
トナクシテ、此基金ノ全部一千二百幾十万
圓ヲ、擧ゲテ悉ク一般會計ニ振向ケルガ如
キ法案ヲ提出サレタノデアリマス、是デ諸
君、如何ニ民政黨ト雖モ之ヲ以テ何ト言ッテ
天下國民ニ見エル勇氣ガゴザイマスカ、私
ハドノ面下ゲテ諸君ハ國民ニ見エルノデア
ルカト云フコトヲ言ヒタイノデアル、體體
私共ハ井上藏相ガ其當時ニ於テ、入ルヲ計。ツ
テ出ヅルヲ制スルト御話ニナッタ、尤ノ主張
ナンデアル、所ガ入ルヲ計ッテト云フコト
ハ先ヅ收入ノ方ニ計畫ヲ立テヽ財源ヲ
培養シテ、サウシテ利益ヲ擧ゲルヤウニシ
テ其利益ノアル範圍內ニ於テ國家ノ政治
ヲ賄ッテ行クト云フノガ、入ルヲ計ッテ出ヅ
ルヲ制スルノデアラウト思フ、是ハ國家ノ
財政ノミデハナイ、個人デモサウデアル
其言葉ヲ井上藏相ガ何ト實行致シテ居ルカ
ト云フト、唯出ヅル方ハ全ク停止シテシマ
フコトナンダ、出ヅル方ヲ停止シテシマッ
テ事業ヲ打切リ、中止シテシマフノデア
ルカラ、國家ノ歲入ハアリヤウ筈ハナイ
自然歲入滅ヲ來サザルヲ得ナイ、其結果ガ
斯ノ如キ結果ヲ招來シテ居ルノデアリマ
ス、又非募債主義ト云フコトヲ申サレテ居
ルガ、一體政治ヲ行フノニ、非募債主義ノ
募債主義ノト云フコトノ政策ハアルベキデ
アラウカ、政治ト云フモノハ活物デアリマ
ス、其場合ニ依シテ事業ノ性質ヲ調べ、事ノ
緩急輕重ニ依ッテ、是ハ起債ヲ起シテ、事業
ヲスベキモノハ事業ヲシテ宜シイ(「起債ヲ
起ストハ何ダ」ト呼フ者アリ)必ズシモ借金
ノ歡迎スベカラザルコトハ吾人モ知ッテ居
リマスガ、頭カラ非募債主義公債ヲ募
集シナイナドヽ云フコトハ是ハ立憲政治
家ノ言フコトデハナイ、マルデ政友會ヲ對
象ニシタ、是ガ小策デアルト云フコトヲ私
ハ言ヒタイ、政友會ハ多年天下ノ政局ニ當ッ
テ居ル、事ニ依ッテハ公債ヲ募集致シテ居
ル、諸君等ハソレニ依ッテ其惠澤ヲ受ケテ居
ル、國家モソレニ依ッテ發逹シテ今日ノ進展
ヲナシテ居ル、又文化ノ上ニ於テ、產業ノ
上ニ於テ發達ヲナシテ居ルガ、是ハ公債政
策ノ賜物デアルト云フコトハ國民ハ能ク
理解致シテ居リマス、不景氣ノ原因ハ借金
政策ニ因ルト言,テモ、國民ハ欺カレヌ、ソ
コデ此理論ヲ一轉シテ、此不景氣ノ原因ガ
政友會ノ公債政策云々デハ國民ガ承服致サ
ナイカラ、今日デハ世界不景氣ノ結果ダナ
ント言ッテ、自分等ノ失政ヲ棚ニ上ゲテ、世
界ニ不景氣ノ原因ヲ擦リ付ケテ居ルノハ卑
怯デハゴザイマセヌカ一體政友會ヲ對象
ニシタ政策デアルカラ非募債主義ト云フノ
デアルガ、政治ヲヤルノニ、豫メ非募債主
義ヂヤ、募債主義ヂヤト定ムベキモノヂヤ
ナイ、事業ノ關係ヲ能ク調べテ、時代ノ趨
勢ニ應ジ公債ヲ募集スベキモノハ公債ヲ
募集スル、スベカラザルモノハ無論スベカ
ラザル狀態ニ依ッテ、政治ヲ賄ッテ行クト云
フノガ是ガ政治ノ當リ前ナンダ、始カラ
之ヲ非募債主義ダト銘打テ天下ヲ欺イタ
モノハ何デアルカト云ヘバ、區々タル-
私ハ區々タルト言ヒタイ、我ガ政友會ヲ對
象ニシテ國家民人アルコトヲ眼中ニ置カザ
リシ結果デアルト私ハ言ヒタイ、モウ少シ
大政黨ノ面目トシテ、政策ヲ樹立サレルナ
ラバ宜シク天下國家ヲ目標トシテ、國家
民人ヲ對象ニ致シテ、サウシテ政策ヲ樹テ
テ行ッタナラバ、斯ウ云フコトハナカラウト
思フ、此非募債主義ト云フコトハ豫メ政
友會ヲ對象トシタ政策デアルカラ破綻ヲ來
シタノデアル、今日ノ失政ハ何ト言ッテモ明
瞭デアル、諸君ニ於テモ斯ノ如ク致シマシ
テ果シテ國民ノ生活ノ安定ガ期セラレタ
カ、乃至ハ公債ヲ何處ニ償還ガ出來タカ、
昨年ノ所謂減債基金ノ繰入、特別會計法ヲ
改正致シテ、サウシテ每年六百三十万圓ヅ
ツハ減債基金ニ充當スルト言ッタ、其金全部
或ハソレ以上、前年度カラノ殘リ千二百數
十万圓ヲ悉ク特別會計カラ一般會計ニ繰戾
シテ、一般經費ニ充當スルト云フコトヲヤッテ
居ル、又國民ノ生活ヲ安定セシムルト云ウテ、
極度ニ國民ノ生活ニ脅威ヲ與ヘテ居ル、公
債ヲ償還スル整理スルト云テ、公債ハ益〓殖
エテ居ルデハナイカ、公債ノ償還ハ行ハレ
テナイ、五年度ニ九千何百万圓カ公債償還
基金ガアルガ、確カ六年度ニ於テハソレガ
七千幾百万圓カニナッテ居ル公債償還基
金ハ千六百万圓カラ減ジテ居ル事實カラ見
マシテモ、公債ハ減ラザルノミナラズ、殖
エテ居ル狀態ヲ馴致致シテ居ルノデアル、
斯ウ云フ結果デアリマスルガ故ニ、私ハ濱
口總理大臣ハ御出席ゴザイマセヌガ、首相
代理ニ御尋シタクアリマセヌカラ、已ムラ
得ズ大藏大臣ニ問フノデアリマスルガ、此
政策ハ根本的ニ誤ッテ居ル、非募債主義ト云
フコトハ吾々ノ誤リデアッタト云フコトヲ、
此處デ白狀シテ貰ヒタイ、然ルニツレヲ白
狀セラレナイノミナラズ、ドウ云フコトヲ
言ッテ國民ヲ更ニ欺瞞シテ居ラレルカハ
諸君モ御案內デアリマセウ、今囘ノ施政方
針ノ濱說ノ當日ニ於テモ、斯ウ云フコトヲ
言ッテ居ル、「昭和六年度ノ歲出豫算額ハ十
四億四千八百万圓トナリ、之ヲ昭和五年度
ノ實行豫算ニ比スレバ經常部ニ於テ四千
四百餘万圓、臨時部ニ於テ一億一千五百餘
万圓、合計一億六千餘万圓ノ減少トナッテ
居リマス」、之ニ對シテ民政黨ハ大變拍手ナ
サッテ居ル、「尙ホ昭和四年度ノ豫算總額十
七億七千餘万圓ニ比較致シマスレバ、實ニ
三億二千餘万圓ノ減少トナッテ居リマス」ト
云フテ自慢致シテ居ル、數字ノ上カラ云ヘ
バ減少致シテ居ルデアリマセウガ、減少シ
ヨウニモ、緊縮シヨウニモ、是ダケシカナ
イノデハナイカ、是デハ緊縮デハナイ縮小
ナンダ、緊縮ト云フコトハ、豫算ノ上ニ於
テ或ル歲入ハアルケレドモ、事業ノ性質ニ
佐 乃、事ノ緩急輕重ニ依ッテ、此事業ハ繰
延ベル、或ハ此事業ハ實施スルト云フヤウ
ナ風ニ、財源ニ餘裕ガアッタ上ニ、自由自在
ニ豫算ヲ編成スル、是ガ緊縮ナンダ、今日
ノ狀態ハ緊縮デハナイ、萎縮デアル、十四
億四千八百万圓ノ金シカナイ、正ニ萎縮シ
テ居ルデハナイカ、而シテ尙ホ之ニ付キマ
シテモ、民政黨ノ諸君モ素ヨリデアリマス
ルガ、大藏大臣ノ如キハ今囘ノ豫算ハ大
正十何年以來始メテノ少額豫算デアッテ両
モ少シノ剩餘金モ加ッテナイ、借金ノナイ
豫算デアルト自慢シテ居ル、何ガ自慢デア
ルカ、剩餘金ハ塵一本モ有リヤウ筈ガナイ、
公債ヲ募集シテ借入レガ出來ナイ掛リ合ニ
ナッテ居ル、サウシテ十四億四千八百万圓ト
云フ過大ナル見積ヲサレタノデ、非難攻擊
ノ的トナッテ居リマスヤウナ財政計畫ヲ立
テヽ今日ヲ胡麻化シ去ラントシテ居ルノ
ガ今日ノ實情デアル、若シ緊縮政策ト云フ
モノヲ實行スルナラバ、他ノ必要ナル事業、
例ヘバ先日來我ガ黨ノ議員諸君カラ度々質
間致シタノデアリマスルガ、救護法ノ實施
ノ如キヲ何故爲サラヌノデアルカ、救護法
ノ實施ノ如キハ五十六議會ニ我黨ガ地案
致シマシテ、諸君モ贊成致シタノミナラズ、
附帶決議マデヤッテ、此法律ハ社會立法デ
アルカラシテ昭和五年ノ四月一日カラ實
施シテ吳レト云フ要求ヲシタノハ諸君デハ
ナイカ然ルニソレガ民政黨ノ政府トナッ
テ、五年ハ愚カ六年度ノ豫算ヲ編成スルニ
當シテ、僅ニ、國庫ノ支出四百万圓ヲ要スル
此救護法ノ實施ガ出來ナイト云ウテ、何メ
面目ヲ以テ天下ニ見エルノデアルカ、ソレ
ガ三箇年ノ經費ト致シマスレバ、十月ノ一
日カラ實施スレバ二百万圓デ濟ム、一月ノ
一日カラ之ヲ實施スレバ百万圓デ濟ム、天
下ヲ擧ゲテ國民ニ對スル施設、斯ノ如ク甚
大ナルモノハナイ、此救護法ガ實施スルコ
トノ出來ナイヤウナ今日ノ財政狀態デアツ
テ、是デ欺瞞政策、欺瞞政治ノ結果デアル
ト言ッテモ何カ諸君ニ辯解ノ辭ガ出來ル
ノデアルカ(拍手)斯ノ如キ狀態デアリマス
ルガ故ニ、私ハ政治道德ノ立場ヨリ致シマ
シテ、此案ニハ反對スル者デアリマス而
シテ大藏大臣ニ對シ、所謂吾々ハ財政計畫
ニ於テ遺憾ナク破綻ヲ來シ、國民ニ公約ヲ
裏切ッタ、天下ニ罪ヲ御詑ニナッテ然ルベキ
ダト思フノデアリマス
第二デアリマスルガ、一體財政計畫ガ極
メテ放漫ナノデアリマス、昨年ノ十月ノ終
デアリマスカニ、政府ハ國庫ノ歲入ヲ十四
億二千八百万圓計上致シタト云フ評判ヲ聞
イタノデアリマス、ソレガ十一月ニナリマ
スルト云フコト、各省ノ復活要求ノ爲ニ、
二千万圓一夜ノ間ニ歲入ガ殖エテ、十四億
四千八百万圓ニナッテ居ル、偖テ不思議ナ
コトデアル、十四億二千八百万圓デモ見積
過大デアルノニ、更ニソレガ一夜ノ間ニ二
千万圓增大シタト云フコトハドウ云フ譯デ
アルカ、能ク調ベテ見ルト所調今日提案
サレテ居リマスル獨逸ノ賠償金ノ繰入ヲヤ
リ、或ハ煙草ノ元實捌人ノ延納金ヲ繰入レ
ルコトヤ、或ハ甚シイノハ郵便切手、印紙
ノ手數料ヲ値上ヲシテ、其金ヲ入レテ辻褄
ヲ合スト云フヤウナ、憐ムベキ財政計畫ニ
ナテ居ルノデアリマス、而シテ之ニ依ッテ
實施サレテモ、到底此豫算ト云フモノハ
所謂見積過大ガ直チニ暴露シテ、此豫算ハ
實行難ニ陷ルコトハ明瞭デアル、之ニ贊成
スルト云フコトハ、共ニ井上藏相ヲシテ一
層誤リヲ繰返サシムルコトニナル、吾々ハ
財政監督ノ立場ヨリシテ之ニ絕對ニ反對シ
タイ、迚モ實行出來ルモノデハナイ
更ニ私ガモウ一ツ最後ニ諸君ニ御聽キヲ
願ヒタイコトハ、大體是マデ財源ヲ持。デ
居テ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=32
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033・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 宮澤君餘リ議論ニ
涉ラヌヤウニ
〔發言スル者多シ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=33
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034・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=34
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035・宮澤裕
○宮澤裕君(續) 少シ注意ヲ願ヒマス
〔「贊否ヲ決スルノデハナイ」「質問ダケ
シロ」其他發言スル者多シ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=35
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036・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 靜肅ニ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=36
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037・宮澤裕
○宮澤裕君(續) 財源ノ點ニ移ルノデアリ
マハ一體モウ少シ財源ガ他ニアルダラウ
ト思ヒマス、井上藏相ハ前ニ前辯士津崎君
モ申シマシタヤウニ、此法律案ノ昨年ノ改
正ノ時分ニ於テハ、賠償金ハ國債償還ニ費
消スルモノダト言ッテ居ル、然ラバ其財源ヲ他
ニ求メテ然ルベキデアル、手近ナ財源ハ澤
山アルデハナイカ、一昨年ノ十月ノ十五日
デアリマスルカニ、諸君等ノ內閣デハ減俸
案ト云フモノヲ天下ニ聲明致シタ、而シテ
之ニ依ッテ凡ソ一千万圓ノ財源ヲ捻出スル
コトヲ天下ニ叫ンダ、其後ニ於テ一層國民
ノ生活ハ不安トナリ、單リ天下ニ橫行致シ
テ居リマスルモノハ何デアルカト言。タラ
月給取バカリデアル、減俸案ヲ天下ニ聲明
致シテ僅ニ一週間ニシテ之ヲ撤囘スル、其
撤囘ノ理由ハ何デアルカ、國民ノ輿論ノ趨向
ニ鑑ミル所ガアッテ輿論ハ何處ニ在ッタ
カ、少數ノ判檢事デアルトカ、其他ノ少數
ノ官吏ハ反對シタデアリマセウガ、天下多
數ノ農民ハ減俸案ニ贊成致シテ居ル、天下
ニ五割五分以上ノ人口ヲ占メテ居ル農民
ハ悉ク減俸案ニ贊成致シテ居ル、若シ農
民ノ五割五分ガ國民ノ輿論デナイト云フナ
ラバ何ガ輿論デアルカ、所謂蓆旗ヲ立テ
テ竹槍ヲ以テ、法螺ヲ吹イテ、竹槍蓆旗
ノ騷ヲシナケレバ天下ノ輿論ナラズト云フ
ノデアッタナラバ、今日ノ國民ヲ率ヒテ民衆
政治ノ第一線ニ立ッテ、天下ヲ料理スル資
格ナシト私ハ斷ズルノデアリマス(拍手)目
先ニ斯ノ如キ一千万圓ノ財源ガアルノニ、
此減債基金ノ如キ性質ノ金ヲ、昨年法律ヲ
改正シテ、ソレヲ再ビ改正ヲ致シテ、サ
ウシテ之ヲ以テ此財源ニ充當スルト云フコ
トハー財源ハ手近ニ在ルノデアリマス、
以上デアリマスガ、私ハ親切ニ財源マデ〓
ヘテヤル
ソレカラ更ニ諸君ニ、デハナイ、井上大藏
大臣ニ御尋スルノデアリマスガ、獨逸ノ賠
償金ト云フモノハ、之ヲ特別會計ヨリ一般
會計ニ御入レニナル、當分ノ間之ヲ一般會
計ニ繰戾スノデアルト仰シヤルガ、其當分
トハドノ間ヲ言フノデアルカ、之ヲ一ツ說
明ヲ承リタイ恐ラク私ハ今ノヤウナ緊縮
政策ヲ實行スル、更ニ之ヲ高調スルノデアツ
タナラバ、當分ハ一-イツ其當分ガ滿
了ニナルカ、私ハ豫定ガ付カナイ、唯胡麻
化シテ當分トハ云フモノヽ遂ニハ是ハ
般會計ヨリ特別會計ニ、若シ還元スルトス
しや、ソレガ將來出來ヌヤウナ結果ニナル
コトヲ氣支ッテ居ルノデアリマス、之ヲ一ツ
伺ヒタイノデアリマスソレカラ更ニ製鐵
所ノ特別會計法ノ改正法律案ニ關シテヾア
リマスルガ、是ハ大藏大臣カラデモ、或ハ
商工大臣カラデモ宜シイノデアリマスガ、
此運轉資金ニ一千万圓ヲ增額スル、此六千
万圓ノ運轉資金ト云フモノハ確ニ覺エマセ
天カ、昨年カ一昨年改正サレテ、此金額ニ
ナッタノデアリマス、ソレヲ此經濟不況デ、
事業ハ益〓不振デアラウト思ヒマスル今日
ニ於テ、更ニ一千万圓增大セラレル理由、
其理由ハ簡單ニ民間事業ヲ補助スルノ意味
デアルトカ、或ハ在庫品ガ固定シタノデ、
斯ウ云ウヤウナ御話ガアッタノデアリマス
ガ、此製鐵所ノ材料ト云フモノハ、多クハ
支那ニ求メテ居ルノデアリマス、支那カラ
材料ヲ買ッテ、之ヲ製品ニ致シテ加工致
シテ之ヲ市場ニ賣出スト云フノガ、製鐵所
ノ事業デアル然ルニ其材料ヲ買フ支那ニ
對シテハ、昨年預金部ノ金ヲ製鐵所ノ特別
會計ニ委讓致シマスル際ニ、御話ガアッタノ
デアリマスルガ、漢冶萍公司ニ持ッテ行"テ、
三千九百何十万圓、先ニ金ヲ貸シテ居ル
裕繁公司ニ四百何十万圓ノ金ヲ貸シテ居
ル、是等ヲ合計致シマスト四千四百六十何万
圓ノ金ガ旣ニ材料費トシテ支那ノ各地ノ人
ニ下渡ヲシテ居ル、サウシタナラバ相當材
料ハ使フデアリマセウガ、其材料費ノ一部
分ハ之ニ依ッテ補ハレテ居ル筈デアリマス、
運轉資金ト申シマスルト果シテドウ云フ
意味ノ運轉資金デアルカ、此材料費トシテ
下渡ヲシテ居ル金ノ囘收ハドウ云フコトニ
ナッテ居ルカ、此際承リタイ、斯ウ云フコト
ガ私ノ質問デアリマスルガ)商工大臣及ビ
井上大藏大臣、何レデモ宜シウゴザイマス
ガ、御答辯ニ依リマシテ重ネテ發言ヲ求メ
マスルガ、先ヅ其答辯ヲ承リタイ
〔政府委員小川〓太郞君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=37
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038・小川郷太郎
○政府委員(小川郷太郞君) 只今御質問ト
云フ形式デ大變御意見ガアッタヤウデアリ
マスカラシテ、御意見ニ對シマシテハ御答ス
ル必要ハナイト思ヒマス、唯此賠償金ヲ減
債基金ノ方ヘ繰入レタノヲ止メタ當分ノ
中止メタト云フノデアルガ、其當分ノ中ト
云フノハドレ位ノ期間カト云フヤウナ御趣
旨ノ御質問デアッタヤウニ思ヒマス、之ニ付
テ御答致シマスガ、當分ノ中ト申シテ居リ
マスノハハッキリ年ヲ限ッテ申上ゲル譯ニ
行キマセヌ何レ行政財政ノ整理ヲ致シマ
シテ、其調査ハ來年ニ之ヲ行フ積リデアリ
マスカラ、ソレニ依リマシテ此財政計畫ノ
上デ餘裕ガ出來テ來マスレバ直チニ之ヲ囘
復致シマシテ、ヤハリ減債基金ノ方へ繰入
レルヤウニ致シタイト思ウテ居リマス(拍
手)
〔國務大臣俵孫一君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=38
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039・俵孫一
○國務大臣(俵孫一君) 製鐵所ノ特別會計
ノ案ニ付テノ御質問デアリマスガ、私ヨリ
答辯致シマス、此融通資金ノ增額ニ付キマ
シテハ曩ニ六千万圓ノ金額ノ決定ガアッタ
ノデアリマス是ハサッキ御話ノ通リニ、昭
和二年六月デアッタノデアリマス、然ルニ
其後財界ノ不況ニ依リマシテ、在庫品ノ蓄
積ガ段々溜ッテ參ッタノデアリマス、賣レマ
セヌカラシテ、隨テ倉庫ニ在庫品ガ溜リマ
ス、之ヲ强テ市場ニ賣出シマスルト云フト、
民間ノ製鐵業者ノ壓迫ヲスル虞ガアリマ
ス、ソレ故ニ段々在庫品トシテ之ヲ賣出シ
マセヌカラ運轉資金ノ增加ヲ必要トスル
ヤウナ譯デアリマス、是ハ例ニ御引キニナ
リマシタ支那ノ漢冶萍公司借款ト何等關係
ハゴザイマセヌ、此漢冶萍公司ノ借款ハ
年々同所ヨリ鑛石ヲ取寄セマシテ、其鑛石
ノ代金ト差引テ居ルノデアリマス、是ハ何
等其方ニハ關係ハナイノデアリマス(拍手)
〔宮澤裕君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=39
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040・宮澤裕
○宮澤裕君 大藏大臣ハ居リマセヌカ、私
ハ大藏大臣ニ對スル答辯ヲ求メテ居ルノデ
アリマス、今小川次官カラ御答辯ガアッタ
ノデアリマスルガ、財政行政ノ整理ガ出來
タラバ之ヲ復活スルト云フ御話デアリマス
ガ、大凡何時出來ルノデアリマスカ、私ハ
民政黨ノ內閣ガ、行·財·稅ノ三政制ノ整
理ヲヤルト云フコトハ多年聞イテ居リマス
ガ、恐ラク近キ將來モ、或ハ遠キ將來モ、
是ハ出來ヌデアラウト思フ、常ニ食言ニ〓
言ヲ重ネテ國民ヲ欺イテ居ルト云フ例ハ
稅制ヲ整理スルト言ッテ、軍備ヲ縮小スル
上슬,テ、何等軍備ノ縮小ヲシナイ、唯軍縮
會議ニ於テ斯ノ如ク國防ヲ薄弱ナラシメ
テ五億八百万圓ノ餘剩財源ガ出來ルカ
ラ、之ヲ以テ負擔ノ輕減ヲ圖ルト云ッタ、其
結果ハドウナッテ居リマス、吾々ハ其當時ニ
於テ言ッタ、斯ノ如ク國防ヲ縮小スルコトニ
依り、迚モ其剩餘財源ト云フモノガ全部
輕減ニ廻ルベキモノデナイ、現ニ此席ニ於
テ濱口總理大臣ガ國防ノ心配ハゴザラヌ
ト言ハレタ、幣原、當時ノ外務大臣モ何ト
言ッタ、決シテ國防ノ心配ハナイ、斯ノ如ク
諸君ガ憂フルノハ神經過敏ニ過ギルトマデ
言ツテ吾々ヲ欺イタノデアルガ、其口ノ下カ
ラ所謂軍事參議會ニナルト云フト、國防ニ
重大ナル缺陷ガアッテ、此缺陷ヲ補充スルニ
ハ餘剩財源ノ五億八百万圓ヲ以テシテモ尙
ホ足ラヌト云フコトニナッタ、而モ其餘剩財
源ト云フモノハ、財政計畫上餘剩財源モ何
モ金ヲ積ンデ居ル譯デナイ、一定ノ收入ハ
ナイ、御案内ノ通リ大正十三年頃カラ日本
ノ國庫ノ歲入ハ漸增ノ形デ、十六億見當マ
デ增收シテ居ル、增大シテ居ル、其金ガア
レバコソ、其範圍ニ於テハ六箇年ノ間ニハ
五億八百万圓ト云フ餘剩財源ヲ捻出スルコ
トガ出來タデアリマセウガ、民政黨内閣ノ
失政ノ結果ハ最早其十六億見當ノ國庫ノ
歲入ハ著シク減少ヲ來シテ、今日ハ十四億
ソコ〓〓ト云フヤウナ風ニ-每年民政黨
ノ見積過大ヲ以テスルモ尙且ツ二億万圓ノ
缺損ヲ來シテ居ルノデアリマスカラ、餘剩
財源ト云フモノハ有ルベキ筈ハナイ、ソレ
ヲ如何ニモ國民ニ餘剩財源ガアルガ如ク吹
聽シテ、約三億七千四百万ハ軍備ノ補充計
畫ニ充テルケレドモ一億三千四百万圓ハ
負擔ノ輕減ニ充テルト言ッタノダ、サウシテ
ソレヲ六年間ニヤルノデアルト云フ、デス
カラ、負擔ノ輕減一億三千四百万圓ヲ六年
ニヤルナラバ少クトモ平均低減額ハ一一千
五百六十万圓見當デアルト言ッテ居ル、然ル
ニ來年ノ負擔輕減ナルモノハ九百万圓ヂヤ
ナイカ、九百万圓デアルト致シマスナラ
バ、果シテ國民ニドレダケノ負擔輕減ガ出
來ルカ、同志ガ旣ニ申シマシタガ如ク、內
地人口七千万ニ九百万圓ヲ割當テマスト
一人営リ一箇年十三錢ニ足リマセヌ、一四
月ニ割ルト一錢一厘ニ足リマセヌ、一八一
一箇年デ十三錢ニ足ラザル負擔ノ輕減ヲシ
テ、稅制ノ整理ヲシタト言フノデアルガ
斯ノ如キコトヲシテ國民ニ言質ヲ與ヘテ、
果シテ立憲政府ノ責任ヲ遂行シタト考ヘル
ヤウナ、政治道德ノ極メテ低劣ナル內閣ニ
依ッテ此減債基金ガ繰戾サレルト云フコト
ハ、吾々ハ信ズルコトハ斷ジテ出來マセヌ、
私ハモウ少シ責任アル御答辯ヲ聽キタイト
思フ、殊ニ井上大藏大臣ノ如キハ、物價ハ
下ル、國民ノ生活ハ安定シタ、其一例ト致
シテ何處カ桐生外十一箇所ノ機業地ノ例ヲ
擧ゲテ、皆此數量ニ於テハ寧ロ增シテ居
ル金額ニ於テハ減シテ居ルケレドモ、數量
ニ於テハ增シテ居ル所ノ例ヲ見テモ、如何
ニ國民ノ消費力ガ盛ニナリ、購買力ガ盛ニ
ナッタカト云フコトガ分ルト仰シヤッタ、私
ナドハ反對ノ數字ヲ持ッテ居リマス、何處ニ
サウ云フ數字ガアルカ承リタイ、一體物價
ガ下ッテ國民ノ需要ガ增シタト云フコトハ
非常ナ見當違ヒ、曾テ日比谷ノ公會堂ニ於
テ、井上大藏大臣ハ國民ニ向ッテ、諸君モ公
債ハ御持チデアラウガト云フヤウナ、斯ウ
云フ演說ヲシテ物笑ヒニナッテ居ル、斯ウ云
フヤウナ觀察デアルカラ、非常ニ事情ニ疎
イ、御案内ノ通リ今日ノ物價ノ下ッテ居ル
ト云フノハ所謂合法的ノ低物價ヂヤナ
イ、變態的ノ低物價ナンデス、國民ガ物ヲ
消費スル力ガナイ、拵ヘルコトハスル仕入
ハシタノデアルガ、之ヲ金ニ換ヘルコトガ
出來ナイ、之ヲ金ニ換ヘルニハ投賣リスル
ヨリ仕方ガナイ、隨テ生產業者ガ仲介業者
ガ非常ニ損ヲシテ居ル而シテ國民ハ斯ノ
如ク暴落シタ物資ヲ消費スル力ガナクシ
テ、多クノ品物ハ或ハ倉庫ニ藏サレ、或
棚曝シトナッテ、國民ノ消費ニハ向ケラレ
テ居ラヌ、國民ノ多クト云フモノハ、購買
力ガナイ、物ハ買ヘナイノデアリマス、物
價ノ下ッテ居リマスルモノハ、所謂買フ物ハ
物價ガ下ッテ居ルノデアルガ、ソレモ一割、
二割、精々三割、賣ルモノハ極端ニ物價ガ
低落シテ居ル、大抵半分カ三分ノ一ニナッテ
居ル、極メテ國民ト云フモノハ不合理ナ經
濟生活ヲシテ居ル、殊ニ農村ニ於キマシ
テ、此狀勢ハヒドイノデアリマスカラ、ド
ンナニ物價ガ安クナッテモ國民ハ買フ力ガ
ナイ、隨テ所謂生產ハ過剩デアルト言フケ
レドモ、消費ノ減退ニ伴フ生產過剩デアッ
テ消費ヲ滿足サセナイ所謂生產過剩デ
アッテ、サウシテ物價ガ下ッタノデアル、生
產費ガ非常ニ低下致シテ、ソレニ依ッテ物
價ガ下ッタト云フコトハ非常ナ誤ッタ見方
デアルト私ハ斷言シテ、井上大藏大臣ノ蒙ヲ
啓イテ置キマス、斯ウ云フ風ナ狀態ニナツ
テ居リマスカラ、私ハ今ノ小川政務次官ノ
御答辯ニ付テ、然ラバ是ガ何時復活サレル
カト云フコトニ付テノ議論ハ私御受ケス
ル譯ニ參リマセヌ
ソレカラ更ニ商工大臣ノ御答辯ニ對シテ
デアリマスガ、私ハ今ノ漢冶萍ノ問題ト關
係ハ致シマセヌガ漢冶萍ノ如キ、或ハ裕
繁商會ノ如キ、澤山ノ金ヲ貸シテ居ル、其
金ト云フモノヲ多ク材料ノ購買費ニ向ケラ
レルノデアルカラ、此製鐵所ノ特別會計ニ
委スコトニ依ッテ整理ガ付クノデアルー
讓渡スルト云フ御話デアッタノデアリマス
ルケレドモ、一箇年ノ今日ニ於テ、果シテ
ドレ程整理ガ出來タカ、ソレガ整理ガ出來
タトスレバ、材料ノ購入費、或ハソレニ依ツ
テ補ッテ居ル運轉資金ト云フモノハ、之一
依ッテ非常ニ助カッテ居ル筈デアル、ニモ拘
ラズ二年ノ一月ニ改正サレタモノヲ、此不況
ノ際ニ於テ、更ニ一千万圓ノ增額ヲスル必
要ハ何處ニアルカ、果シテ此囘收ハ如何樣
ニナッテ居ルカ承リタイ
續イテ更ニ商工大臣ニ承リタイノデアリ
マスガ、此鐵ノ關稅ニ對スル意見ハドウデ
アルカ、自由貿易ヲ盛ニ唱ヘラレテ居ル半
面ニ於テ、保護政策ヲ行ハレル傾向ガナイ
デモナイ、之ニ對スル御所見ガ果シテドウ
デアルカ、或ハ近ク滿鐵ニ於テ製鐵事業ヲ
開始シヨウト致シテ居ルノデアリマスガ、
此製鐵事業ニ對スル、此製鐵ヲ內國品ト御
覽ニナッテ居ルノデアルカ、外國品ト御覽
ニナッテ居ルノデアルカ、所見ハ如何デアル
カ、之ニ對スル御答辯ヲ重ネテ御願致シタ
イノデアリマス、ソレニ依ッテ私ハ重ネテ
質問ヲ致シマス
〔「答辯ノ必要ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=40
-
041・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 俵商工大臣
〔國務大臣俵孫一君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=41
-
042・俵孫一
○國務大臣(俵孫一君) 第一ノ御質問ハ、
此度千万圓ヲ增加スル理由如何、斯ウ云フ
コトデアッタヤウデアリマスガ、ソレハ先刻
モ申上ゲタ通リ(宮澤裕君「ソレハ違ヒマ
ス」)此漢冶萍ハ借款ノ問題トハ關係ナク、
不景氣ノ結果ト致シマシテ製品ガ段々溜ル
ノデス、製品ガ段々溜リマスカラ、資金ノ
運轉ガ付カナクナル、ソレ故ニ此運轉資金
ノ增加ヲ必要トスルト云フコトデアリマ
ス
ソレカラシテ第二ノ御問ノ、漢冶萍ノ約
款ハ、是ハ確ニ行惱ンデ居ルコトハ事實デ
ス併ナガラ此約款ハ由來ハ御承知ノ通
リデアルカラ申シマセヌガ、此約款ノ爲ニ
鑛石ヲ取寄セテ、其鑛石ヲ使シテ、製鐵ヲス
ルト云フコトニ相成ッテ居ルノデアリマ
ス、多年ノ間此約款ハ預金部ノ所管ノ整理
デアリマシタケレドモ、先般丁度御話ノ通
リニ、製鐵所ノ會計ニ之ヲ引繼イデ、製鐵
所ノ會計ガ之ヲ持ッテ居ルト云フコトニ
ナッテ居リマスガ、遽ニ是ガ直チニ償還ヲ受
ケルト云フコトニハ相成ラヌノデアリマ
ス、併ナガラ其代リニ、ヤハリ漢冶萍カラ
鑛石ヲ取リツヽアルノデアリマス、之ニ依ツ
テ此約款ノ意義ヲナシテ居ルノデアリマス
ソレカラ次ノ御尋ノ關稅問題ニ付キマシ
テハ、先般武藤山治君ノ質問ニ對シテ、大
藏大臣ヨリ御答致シテ居リマス、卽チ今製
鐵事業ニ對シマシテハ合理化ノ意味ヲ以
テ合同ノ計畫ヲ致シテ居リマス、合同ノ計
畫ノコトハ目下調査中デアリマシテ、成案
ヲ得ルナラバ議會ニ提案スル譯デアリマス
ガ、マダ議會ニ提案スルマデノ運ニナッテ
居リマセヌ、併ナガラ此製鐵ノ合理化、卽
チ製鐵業ノ合同ハ、八幡ノ製鐵所ヲ中心ニ
シテ之ヲ民營ニ移スト云フコトガ、其中心
ノ問題ニナッテ居リマス、然ルニ八幡ノ製鐵
所ニ對シマシテハ、從來ハ官營デアルガ爲
ニ、更ニ銑鐵補助ヲ貰シテ居ナイ、之ニ對シテ
民營ニシマスナラバ、之ニ補助ヲ與ヘルカ、
又ハ其補助ダケノ金額ヲ關稅ニ轉嫁スルト
云フ問題ガアルノデアリマス是ガ卽チ目
下世上ニ現レテ居ル所ノ、鐵ノ關稅問題ノ
一部分デアリマス、ソレ故ニ此問題ニ付キ
マシテハ此案ガキマラザルガ如ク、又何
トモキメテ居リマセヌ、何レ決定ノ上デ、
更ニ議會ニ提案ヲ致シマスル時ニ、此問題
ニ付テハ十分ニ御說明ヲシタイト思ヒマ
ス
更ニ次ノ御尋ノ滿洲ノ製鐵所ノ問題デア
リマス是ハ目下ノ所、未ダ滿鐵ニ於キマ
シテハ製鋼所ヲ設置スルコトニ付テ調査
中デアリマシテ、マダ決定致シテ居リマセ
又、併ナガラ後日若シ昭和製鋼所ガ出來マ
シテ、此製品ガ出來マスルナラバ是ハ我
國製品ト同樣ニ考慮シナケレバナラヌモノ
ト考ヘテ居リマス
〔宮澤裕君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=42
-
043・宮澤裕
○宮澤裕君 商工大臣ノ御答辯ニ依リマシ
テ、國產品ト同樣ニ扱フト云フ御話デアリ
マスガ、然ラバ國產品ト御認ニナルノデア
リマスカ、扱ヒヲ同樣ニスルノカト云フ意
味デハアリマセヌ、若シ然リトスルナラバ、
今日撫順炭坑ノ如キ、アノ石炭ハヤハリ國
產品トシテ是ガ待遇サレテ居ナイ、外國品
トシテ、內地品ニ比シテ非常ニ不利ナ立場
ニ置カレテ居ルガ、之ニ對スル御所見ハド
ウデアルカ
ソレカラ之ヲ私ハ一般ノ諸君ニ御話シタ
イノデアリマスガ
〔「一般ノ諸君トハナンダ」ト呼ヒ其他
發言スル者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=43
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044・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 質疑ヲ早ク進メテ
下サイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=44
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045・宮澤裕
○宮澤裕君(續) 私ハ小川政務次官モ折角
彼處ニ御出席ニナッテ居リマス、何カ答辯シ
タイヤウナ風ヲシテ居リマスルシ、是非承
リタイ(「餘計ナコトヲ言フナ」ト呼フ者ア
リ)民政黨ノ諸君ガ執政以來一年半デアリ
マスガ、私ハ斯ウ云フコトヲ始終思ッテ居ル、
梁ノ惠王ガ孟子ニ對シテ、虛心坦懷ニ國ヲ治
ムルノ道ヲ聞イタノデアリマス、アナタノ
〓ヲ承リタイト言ッタ、サウシタラ孟子ガ何
ト之ニ答ヘタカ、アナタニ反問ヲ致シマス
ガ、梃デ人ヲ殺スモ、刃デ人ヲ殺スモ、殺
スコトハ同ジデアルカ違フノデアルカト質
問シタ、ソレハ同ジデアリマスト言ッタ、然
ラバ刃デ人ヲ殺スノト政治デ人ヲ殺スノト
違フカト言ッタラ、ソレモ同ジデアルト言ッ
タ、然ルニ今日刃ヤ梃デ人ヲ殺スコトハ殘
虐ト認メテ居ルガ、政治デ人ヲ殺スコト夥
シイガ、之ヲ何ト見テ居ルカ、又アナタノ
厨房ニハ肥肉ガアリ、厩ニハ肥馬ガアルガ、
民ニハ飢色ガアリ、野ニハ餓莩ガアル、是
ハ卽チ獸ヲ率テ國民ヲ殺シテ居ルト同ジデ
アル是ガ天下ニ仁政ヲ施ク爲政家ノ態度
デアルカト云フコトヲ反問ヲサレタノデア
リマスガ、私ハ此言葉ヲ以テ-民政黨ノ
諸君モ能ク御聽キヲ願ヒタイノデアリマス
ガ、果シテ之ニ對シテ所謂政ヲ以テ多數ノ
天下國民ヲ惱マシテ居ル、殺シテ居ル、此
殺人的狀態ヲ繼續スルノデアルカ、之ヲ
重ネテ御質問申上ゲタイノデアリマス
〔政府委員小川〓太郞君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=45
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046・小川郷太郎
○〓府委員(小川〓太郞君) 御意見ノヤウ
デアリマシテ、質問デハナイヤウニ思ヒマ
スガ、一言只今ノ御言葉ニ付テ申上ゲマス、
世界ノ不景氣デ人ガ苦ンデ居ルガ、政治ノ
力ニ依ッテ其人ヲ活カサントスルモノデア
リマス、サウ云フモノヲ政治ト考ヘテ居リ
マス(拍手)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=46
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047・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 武田德三郞君
〔武田德三郞君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=47
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048・武田徳三郎
○武田德三郞君 私ハ只今提案サレマシタ
諸案ノ中、賠償金特別會計法ト、製鐵所特
別會計法ニ付テ御尋ヲ致シタイト思フノデ
アリマス
私ハ元來現內閣ノ公債政策ノ根本ニ付テ
疑ヲ持ッテ居ル一人デアッタノデアリマス、
而シテ本案提出ノ際ニ當リマシテ、吾々ノ
同志津崎、宮澤ノ兩君ヨリ適切ナル御質問
ガアリマシタノデ、之ニ對シテ大藏大臣ハ
此好機會ニ於テ其公債政策變更ノ御趣旨ヲ
吾々ノ了解スルヤウニ御說明アルモノト
私ハ信ジテ傾聽致シタノデアリマスガ、遂
ニ之ヲ發見スルコトガ出來ナカッタノデア
リマス、而モ內務大臣ハ津崎君ノ質問ニ對
シテ、明白ニ現內閣ノ公債政策ハ何等ノ變
更ヲ來サナイト云フコトヲ仰シヤッタノデ
アル、私ハ如何ニモ奇怪至極ニ感ジタノデ
アリマス、昔支那ニ白馬馬ニ非ズト云フ詭
辯ヲ致シタ人ガアリマス、又我國ニ於テハ
腹ガ空ッテモ饑ジクナイト云フコトヲ言ッタ
貴公子ガアリマス、私ハ仙臺ノ貴公子ガ腹
ガ空ッテモ饑ジクナイト言ッタ、噓ニハ相違
ナイケレドモ、此詭辯ハ實ニ愛スベキ、同情
スベキ詭辯デアルト思フ、ケレドモ白馬馬
ニ非ズト云フヤウナ詭辯ニ至ッテハ、何等ノ
許スベキ事情ガナイト思フノデアリマス
(拍手)現內閣ノ公債政策ニ對スル辯明ハ
白馬馬ニ非ズト云フヤウナ詭辯デアルカ、
又同情ニ値スル腹ガ空。テモ饑ジクナイト
云フヤウナ詭辯デアルカ、私ハ之ヲ事實ニ
就テ申上ゲテ答辯ヲ煩シタイト思フノデア
リマス井上大藏大臣ハ組閣以來本院ニ於
キマシテ、又院外ニ於キマシテ公債政策ニ
付テ力ヲ極メテ主張サレタノデアリマス
單リ大藏大臣ノミナラズ、濱口總理大臣モ
同樣ニ天下ニ高唱サレタノデアリマス、皆
サンモ御承知ノ通リ、現內閣ガ一昨年ノ七
月ニ組閣サレテ一週間後ニ、所謂十大政綱
ヲ發表サレ、續イテ「リーフレット」ヲ總理大
臣ノ名ヲ以テ天下ニ頒タレマシタ、其中ニ
ハ日本ガ多額ノ公債ヲ持ッテ居ル爲ニ、國民
ガ今ニモ破產セントスルガ如キ狀態ニ在ル
ト云フコトマデ高唱サレテアルノデアリマ
ス、而シテ又大藏大臣ハ斯樣ナル公債ノ
整理ノ必要ナルコトハ、外國ニ對スル我ガ
帝國ノ財政ノ信用ヲ維持スル所以デアルト
云フコトヲ高唱サレタノデアリマス又
般會計ニ於テ無公債、無借金ノ歲計豫算ヲ
作ルニ非ザレバ、昨年一月ニ借換ヲサレタ所
ノ英貨公債二億三千万圓ハ到底借換ノ出
來ナイ狀態ニ在ッタノデアル、此借換ガ滿足、
ニ出來タノハ現內閣ガ成立致シテカラ、
所謂非募債主義ヲ實行致シテ、一般會計ニ
於テ無公債政策ヲ採ッタ效果デアルトシテ、
現内閣ノ重大ナル手柄ノ一ツデアルカノ如
ク屢〓天下ニ聲明サレタノデアリマス、是
ハ私ハ濱口總理大臣竝ニ井上大藏大臣ノ說
ヲ取テ、共是非ヲ言ハントスルノデハア
リマセヌ、果シテ斯樣ナル態度ヲ聲明サレ
タ所ノ現內閣ガ、今尙ホ其公債政策ヲ持續
シテ居ラレルヤ否ヤト云フコトヲ少シ承ラ
ントスルモノデアリマス、然ルニ明年度ノ
豫算ヲ、拜見致シマスルト云フト、實ニ驚ク
ベキモノガアルノデアリマス、卽チ今提案
ニナッテ居サマスル所ノ獨逸賭償金特別會
計ノ如キモ、共通リデアリマス、單リ是レノ
ミデハアリマセヌ、皆樣ノ御承知ノ如ク明
年度ノ豫算案ヲ見マスト云フト、政府ハ從
來公債ハ特別會計ニ限ルト致シマシテ其
金額ハ五千六百餘万圓ト云フコトニ決定シ
テ居シタノデアリマス、然ルニ本年ハ所謂鐵道
會計ニ於テ、竝ニ失業救濟ニ於テ、何レ追加豫
算ニ提出スルト云フコトヲ言明サレテ居リ
マスガ、其額ガ三千四百万圓デアリマス、
シテ見ルト云フト、其增加スル割合ハ、政
府ノ豫テ天下ニ聲明サレテ確定シテ居リマ
ス所ノ公債額ノ增加スル割合ガ六割ニナツ
テ居ルノデアリマス、諸君、六割モ餘計公
債ヲ募集シテ、ソレデ尙ホ是ガ一般會計ニ
於テ無公債主義ヲ實行サレタト云フコトガ
出來マセウカ、所謂非募債主義ト云フモノ
ガ忠實ニ守ラレタト認メルコトガ出來マセ
ウカ、私ハ强テ難キヲ求ムルモノデハアリ
マセヌ、多少ノコトガアッテモ、御亙ニ是ハ
宥恕スベキ理山ガアリマセウ、併ナガラ六
割以上モ豫定ヨリ變〓テ居テ、又是ガ何等ノ
變更デナイト强辯セラルヽコトハ、是レ卽
チ白馬馬ニ非ズト云フ詭辯ト何ノ異ナル所
ガアリマセウ、ノミナラズ政府ハ其他ニ交
付公債ト云フモノヲ非常ニ發行致シテ居リ
そく、又名ハ公債ニアラズト雖モ、大藏省
證劵ト云フモノヲ非常ニ餘計ニ發行シテ居
ル、サウシテ年度ノ始カラ年度ノ終リマデ、
未ダ曾テ大藏省證劵ト云フモノヽ無イ日ハ
一日モナイノデアル、然ラバ大藏省證劵ノ
性質ヲ全ク缺イテ居ルデハアリマセヌカ、
(拍手)明年度ノ豫算案ハ一億ヲ增額シテ、
二億五千万圓ノ大藏省證劵ヲ發行スルト云
フコトニナッテ居ル、然ラバ昭和五年度ニ於
テモ、一月ノ一日カラ十二月ノ三十一日マ
デ一億五千万圓ノ大藏省證劵ガ發行サレテ
居ル又明年モ更ニ一億圓ヲ增シテ二億五
千万圓ト云フモノヲ發行シ、大藏省證劵ガ
一日モ無イ日ガナイト云フコトデアッタナ
ラバ是ハ卽チ名ハ大藏省證劵デアリマス
ケレドモ、國民ノ上カラ見レバ政府ガ依
然トシテ是ダケノ借金ヲシテ居ルト云フコ
トデハナイカ(拍手)洵ニ私ハ奇怪千萬ノ事
デハナイカト思フノデアリマス又獨逸賠
償金ノ如キハ、御承知ノ如クニ我黨ノ內閣
ノ時ニハ之ヲ一般會計ニ繰入レルノ案デ
アッタ、然ル時ニ民政黨ノ諸君ハ此獨逸賠
償金ノ如キハ性質上兩稅委讓ノ財源ニ供サ
ルベキモノデハナイ、是ハ一時的ノモノデ
アルト云フ理由カラ、卽チ公債ニ等シキモ
ノデアルト云フ理由カラ、非常ナ力ヲ以テ
反對サレタノデアリマス、而シテ獨逸賠償
金ソレ自身ノ性質上、是ハ公債ノ償還ニ充
ツベキモノデアルト云フ理山カラ本案ガ提
出サレテ、是ガ可決サレタノデアリマス
然ルニ是ガ一年ナラズシテ變更サレルト云
フコトニ付テハ重大ナ理由ガナケレバナ
ラヌノデアリマスルガ然ルニ此獨逸賠償
金特別會計法廢止法律案理由書ト云フモノ
ニハ斯ウ云フコトガ書イテアル、「賠償金
特別會計ハ之ヲ存置スルノ要ナキニ至リタ
ルヲ以テ云々」ト書イテアルノデアリマス、
シテ見ルト云フト是ハ一時ノ便宜ノ問題デ
ハナイ、主義ノ上カラシテ、政府ハ此獨逸
賠償金ト云フモノハ公債ノ返還ニ繰入レル
ノ必要ガナイト認メラレタカラシテ存置
スルノ要ナキニ至ッタノデアルト云フコト
ヲ言ハレタモノト思フノデアリマス(拍手)
是ハ吾々ノ見ル所ヲ以テスレバ非常ナ相違
デハナイカト思フノデアル、然ルニ今吾々
同僚ノ質問ニ對シテ小川政務次官ノ答ヘラ
レル所ハ此理由書ニ書イテアルノト矛盾
シテ居ルコトヲ仰シヤル、是ハ暫時斯ウス
ルノデアッテ、軈テ明年度ノ財政經濟調査會
ノ結果、明後年度ニ又公債償還ニ繰入レル
カモ知レヌ、ドウナルカ分ラヌ、斯ウ云フ
コトニナッテ居ル、然ラバ此提案ノ理由ト云
フモノト、小川政務次官ノ說明トハ矛盾シテ
居ルヤウニ私ハ思フノデアリマス私ハ斯
樣ニ考ヘテ見マスルト云フト、政府ガ此公
債政策ニ付テ一體如何ナル根本的ノ意見ヲ
持ッテ居ラルヽノデアルカト云フコトヲ疑
ハザルヲ得ナイノデアル、如何樣ナル詭辯
ヲ以テ言ハレマシテモ一般會計ニ於テ公
債ヲ募ラヌト云フコトガ、從來ノ現內閣ノ
公債政策ノ根本主義デアッタト云フコトニ
向ッテハ、是ハサウデナイト仰シヤルコトハ
出來マスマイ··
〔發言スル者多シ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=48
-
049・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=49
-
050・武田徳三郎
○武田德三郞君(續) 然ルニ今日公債ヲ、
假令ソレガ特別會計デアラウトモ豫定ノ額
ヲ增加シ、殊ニ一般會計ニ於テ、今現ニ提
案シテハナイケレドモ、大藏大臣ガ追加豫
算ニ提案スルト言ッテ居ラレル以上ハ、般
會計ニ於テ、ソレガ失業救濟デアレ何デア
レ私ハ事實ノ問題ヲ言フノデハナイ、主
義ノ問題ヲ言フノデアリマス、其失業公債
ヲ發行スルコトガ必要デアルヤ否ヤト云フ
必要論ト、主義ノ問題トハ別ニシテ、之ヲ
考ヘテ見ナケレバナラヌノデアリマス、若
シ民政黨ノ諸君ガ、失業ノ救濟上必要デア
ルト云フコトカラヤッタノダト仰シヤルナ
ラバ、假ニソレヲ認メマセウ然ラバ前ノ
主義ヲ變更シマシタ、自分ノ不明ノ爲ニ、
斯樣ナ事ハ出來ナイト思。タ所ガ、焉ゾ知ラ
ン意外ナ事ガ出テ來テ、到底自分ノ主義ヲ
完フスルコトガ出來ナイカラ、主義ノ破綻
ヲ忍ンデ斯樣ニ致シタノデアルト、先以テ
御詫ヲナサルコトガ至當デハアリマセヌカ
(拍手)故ニ大藏大臣ハ公債政策ニ對シテ主
義ヲ變ヘタノデアル失業公債ヲ募ルト云
フコトモ、又獨逸ノ賠償金ノ繰入ヲ廢メタ
ト云フコトモ、已ムヲ得ザル事實ニ强要サ
レテ、其主義ヲ擲ッタノデアルト仰シヤル
ナラバ、或ハ吾々ハサウ追窮シナイノデア
ル已ムヲ得ナイトシ之ヲ承認スルカモ知
レヌ、ケレドモ白馬馬ニ非ズト云フガ如キ
詭辯ヲ弄シテ、サナガラ現內閣ノ公債政策
ノ主義ヲ變更シナイノダト强辯セラレルナ
ラバ、飽マデ之ヲ伺ハナケレバナラヌト云
フコトニナルノデアリマス、故ニ私ハ大藏
大臣ガ果シテ主義ノ變更デアルト云フコト
ヲ御認メニナルカ、又主義ノ變更ニアラズ、
假令公債ヲ募ッテモ、ソレハ非募債主義デア
ル、斯樣ナコトヲ今尙ホ高調セラレルノデ
アルカドウカト云フ、其根本方針ニ付テ伺
ヒタイノデアリマス、私ハ寧ロ現內閣ノ大
藏大臣ニ好意ヲ以テ考ヘテ見タイコトガ一
ツアル、井上氏ハ昨年ノ十月頃明年度ノ豫
算編成ニ著手セントスルニ當リマシテ、歲
入ハ激減致ス、依テ新規事業ニハ手ヲ出ス
コトガ出來ナイ、如何樣ニ差繰ッテ見テモ、
新規事業ニ向ケル所ノ財源ハ、漸クニシテ
二千八百万圓ヲ出デナイト云フコトヲ、新
聞ヲ通ジテ天下ニ聲明サレテアリマス、然
ルニ其後又新聞ノ傳フル所ニ依リマスト云
フト各省ノ分取主義ニ脅迫セラレテ、到
底ソレダケデハ抑ヘルコトガ出來ナイカ
ラ更ニ財源漁リヲシテ、之ニ應ジナケレ
バ內閣ノ基礎ガ危クナル虞ガアルト云フヤ
ウナコトデ、頻ニ財源漁リヲサレタ、ソレ
デ如何樣ニ漁ッテ見テモ財源ガ無イノデ、大
藏大臣ハ屬僚ニ命ジテ、ドウデモモウ少シ
金ヲ彈キ出セ、斯樣ナコトヲ非常ニ嚴シク
言ハレタ、ケレドモ、大藏當局ノ諸君ハ、ド
ウシテモ無モノハ無イ、出スコトガ出來ナ
イト云フ話デアッタト云フコトガ、其當時ノ
新聞ニ傳ヘラレテアッタノデアリそう、然
ルニ此編成サレタ所ノ豫算ヲ見マスト云フ
ト、四千八百万圓ノ新規事業ガ計畫サレテ
アルト云フコトニナッテ居ル、是ニ於テ二千
何百万圓ト云フ金ヲ、所謂無理ニ計上サレタ
ト云フコトハ、卽チ見積ヲ無理ニ過大ニサ
レタト云フコトハ略〓想像ニ難クナイノ
デアリマス(拍手)斯樣ナル事情ノ下ニ井上
大藏大臣ハ非常ニ苦心慘憺ノ結果考出サレ
タノデ所謂獨逸賠償金ノ公債償還ニ繰入
ヲ一時止メロト云フ案ガ出タノデハナイカ
ト思ヒマス、シテ見マスルト云フト本案提
出ノ理由ハ、此說明書ニ書イテアリマスル
ガ如ク、之ヲ存置スルノ要ナキニ至ッタノ
デハナクシテ、財政ノ上ニ於テ收入ガ意外
ニ激減ヲシタ爲ニ、已ムヲ得ズシテ無理ナ
計畫ヲ立テラレタモノデハナイカト私共ハ
疑フノデアリマス、此點ニ付テ私ハ明白ナ
ル說明ヲ伺ヒタイノデアリマス
而シテ今一ツ大藏大臣カラ伺ヒタイコト
ハ大藏大臣ハ最初申上ゲマシタ如ク、我
國ノ公債ハ將ニ六十億ノ多キニ上ッテ、非常
ニ國民ガ困ッテ居ル、國家ノ前途ニ取ッテ
モ、財政ノ上ニ取ッテモ、國民經濟ニ取ッテ
モ、是ガ非常ナル壓迫ヲシ、我國ノ財政經濟
ノ癌デアルト云フコトヲ唱ヘラレタノデア
リマス、私ハ今其說ノ是非ヲ申スノデハナ
イ、假ニ大藏大臣ノ說ノ如ク、六十億ノ公
債ガ我ガ國民經濟ノ重壓ノ因ヲ爲スモノデ
アリ我ガ財政ノ癌デアルト云フ大藏大臣
ノ說ヲ假定致シマセウカ、左樣ニ致シマス
レバ私ハ斯樣ニ考ヘル、若シ果シテ六十億
ノ公債ガ昭和四年度、現內閣成立ノ當時ニ
於キマシテ、現內閣ノ諸君ガ考ヘル程我ガ
國民經濟ヲ壓迫スルモノデアリマシタナラ
バ今日ハ如何デアリマセウカ、現內閣ノ
金解禁ト云フ政策ノ爲ニ、我國ノ貨幣價値
ト云フモノハ非常ナ騰貴ヲ致シタノデアリ
マス、此事ニ對シテハ本會議竝ニ豫算委員
會ニ於テモ屢。論議セラレテ居リマスガ、大
藏大臣ハ遂ニ是ダケノコトハ認メラレタ
初ノ中ハ井上大藏大臣ハ今日ノ不景氣、物
價ノ下落、言換ヘマスレバ貨幣價値ノ騰貴
ト云フモノハ、世界ノ不景氣ノ影響デアル
ト云フコトヲ常ニ言ハレテ居ッタノデアリ
マシタ、最近ノ豫算委員會ニ於テ、到頭是
ダケハ認メラレタ金解禁ノ結果日本ノ貨
幣價値ガ一割二分ダケ上ッタト云フコトハ
認メルト云フコトヲ言ッテ居ラレルノデア
リマス、故ニドノ程度ノ影響ガアッタト云
フヤウナコトヲ、敢テ私ハ玆ニ論議ヲ致シ
マセヌ、兎モ角モ大藏大臣ハ其政策ノ爲ニ、
我國ノ貨幣價値ガ騰貴致シテ、隨テ物價ガ
下落シタト云フ事實ダケハ、明ニ大藏大臣
ガ御認メニナッタノデアリマス、然ラバ是ニ
於テ貨幣價値ガ政府ノ政策ニ依ッテ騰貴シ
テ、物價ガ下落シタト云フコトハ吾々國
民ノ財產ヲ少クシタト云フコトデアリマ
ス、隨テ又吾々ノ借金ハ一方ニ殖エタト云
フコトデアリマス、若シ現內閣ノ諸君ノ公
債政策ノ根本ガ、六十億ノ公債ヲ吾々國民
ガ持ッテ居ルト云フコトハ非常ナ壓迫デア
ルト致シマスルナラバ、貨幣價値ガ二割七
分モ、三割モ上ッタル今日ニ於テハ、卽チ六
十億ノ公債ハ今日ニ於テハ少クトモ九十億
乃至百億ノ公債ヲ吾々ガ持ッタト何ノ異ル
所ガアリマスルカ、故ニ現內閣ハ從來ノ公
債政策ヲ變へナイト言ハレルナラバ、安達
內務大臣ガ先刻此處デ聲明サレタル如ク、
現內閣ノ公債政策ハ不變デアルト言ハルヽ
ナラバ公債ガ益"殖エタ今日、卽チ五割モ
六割モ事實上殖エテ居ル所ノ今日ニ於テ
ハ、愈、公債返還ノ必要ガ急ヲ〓ゲテ居ル
ト言ハナケレバナラヌデハナイカ、然ルニ
公債ガ益〓殖エ、國民ニ對スル壓迫ガ益、甚
シクナッタ時ニ、其自ラ必要ガアルカラト
言ッテ、法律ヲ改正シテマデ決定致シタル
所ノ賠償金ノ繰入ヲ止メルト云フコトハ
如何樣ニ現內閣ノ爲ニ最屓目ニ之ヲ見テ
モ、是ガ矛盾ニアラズシテ何デアリマセウ
(拍手)是ガ公債政策ノ破綻ニアラズシテ何
デアリマセウ、是ガ公債政策ノ變更ニアラ
ズシテ何デアリマセウ(拍手)
更ニ私ハ現内閣ノ公債政策ノ根本方針ニ
向テモウ一ツ伺ヒタイコトガアル、一體民
政黨ノ諸君ハ、我ガ政友會內閣當時ニ於テ、
卽チ募債ノ額ヲ二億圓ニ定メタト云フコト
ニ向ッテ、絕エズ攻擊ヲサレタノデアリマ
ス、是ガ非常ニ多イ、日本ノ財政ヲ破壞ス
ルモノデアル、ト云フヤウナコトニ於テ
非常ニ攻擊ヲサレタノデアリマス、併ナガ
ラ吾々ノ此二億圓ヲ限度トシテ募債ヲスル
ト云フコトヲ定メマシタモノハ、是ハ腰ダ
メニ依ッテ定メタモノデハナイノデアリマ
ス、其二億圓ヲ募集スルト云フコトハ善イ
カ惡イカト云フ議論ハ暫ク措イテ相當ノ根
據ガアル、相當ノ數字上ノ根據ガアッテ、一
定ノ方針ノ下ニ此額ガ定ッタモノデアリマ
ス、然ラバソレハ如何ナル方針ニ依フテ政友
會ノ二億ト云フモノガ出タカト申シマスナ
ラバ、御參考ノ爲ニ一應說明致シテ置キマ
ス、元來私ノ申スマデモナク、公債ヲ募集
スルト云フコトモ國民ノ負擔ニ歸スルノデ
アリマス、租稅ヲ徵收スルト云フコトモ、
結局國民ノ負擔ニ歸スノデアリマスカラ、
是等ヲ定ムルニ當ッテハ國民ノ收入ト云
フコトヲ考ヘテ、根據ヲ是カラ割出サナケ
レバナラヌト云フコトハ當然デアリマス、
而シテ大正十四年ノ內閣統計局ノ調査サレ
タ所ニ依リマスト云フト我國ノ國民ノ生
產上ノ收入ハ大體ニ於テ百三十億万圓ト
計算サレテアッタノデアリマス、而シテ國民
ノ生活費ハ約九十億ト計算サレテアッタノ
デアリマス、故ニ此國民ノ總收入ノ中カラ
必要ナル生活費ノ九十億ヲ差引キマスト云
フト、後ハ四十億圓殘ルノデアリマス、而
シテ當時ノ我ガ國民ノ租稅其他ノ負擔ト云
フモノハ約二十億ト計算サレテアッタノ
デアリマスガ故ニ、剩ス所ハ卽チ二十億殘
ルノデアリマス、而シテ當時ノ計算ニ依リ
マスルト云フト、我國ノ一箇年ニ於ケル生
產事業ニ投下サレル所ノ金額ハ約十五億
万圓ト計算サレテアッタノデアリマス、故
ニ斯樣ニ精算致シマスト云フト、餘ル所ノ
モノハ五億万圓デアリマス、是ガ卽チ國
民ノ、銀行ノ貯蓄トカ、或ハ郵便貯金トカ
云フモノニナルノデアリマス、故ニ是ガ正
ニ投下サレズシテアル所ノ剩餘金デアリマ
ス此中二億万圓ハ政府ガ公債トシテ募集
ノ資源ニ充テヽ差支ナイ、三億万圓ハ地方
債其他ノ公共事業ノ募債ニ應ジテモ差支ナ
カラウト云フ、大體ハ斯樣ナルコトデ明
白ナル數字上ノ根據ニ依、〓テ定メタ數字デ
アッタノデアリマス、私ハ今此是非ヲ論ゼン
トスルノデハナイ、最初ニ申上ゲタ如ク、
我黨ノ公債募集額ヲ決定シタ所以ノモノ
ハ唯空論ニ依ッタノデハナイ、腰ダメニ
依ッタモノデハナイ、相當ノ根據ガアッテ定
メタノデアリマスガ、偖テ現內閣ガ本年度
ニ於キマシテ、丁度九千万圓ノ公債ヲ募集
シヨウト致サレマシタコト、竝ニ地方ノ公
債ヲ、初メノ昭和四年度ニ於テ決定サレマ
シタ所ノ方針ヲ裏切ッテ、失業救濟ト云フ名
ノ下ニ、地方債ノ募集ヲ非常ニ許可サレテ
居ルト云フ方針ヲ今日執テテラレマスル
ガ、斯樣ニ致シマシテ、非常ニ募債額ヲ增
加サレル、其根本ノ割出シノ基礎ハ何レニ
アルノデアリマスカト云フトコヲ伺ヒタ
イノデアリマス、單ニ是位ハ宜カラウ、必
要デアルカラ已ムヲ得ナイ、此位ダラウガ、
初メハ五千六百万圓トキメタノデアルケレド
モ失業者ガ出タカラ、マア此上又三千万
圓出サウカト云フヤウナ、腰ダメデ御決定
ニナッタノデアルカ、何カ據リ所ガアッテ、
此位ノ公債ヲ募集シテモ、我國ノ國民經濟
ニ於テハ何等影響ハナイ、又斯樣ナ國民ノ
收入ノ減ガアルカラ、此何割ヲ募集シテモ
宜イト云フコトデ定メタモノデアルト云フヤ
ウナ、根本ノ基礎數字ガアリ、根本ノ方針
ガアリマスカドウカト云フコトヲ伺ヒタイ
ノデアリマス
ソレカラ私ガ申スマデモナク現内閣ノ方
方ハ今日ノ我國ノ公債高ノ分布ガ如何樣
ニナッテ居ルカト云フヤウナコトハ、私ハ千
萬御承知ノコトデアルト思フ、大體ニ於テ
吾々ノ知レル所ニ於キマシテハ所謂金融
資本家ト言ハレル者ノ持テテルルノ金額
ガ二十八億万圓位ニナッテ居ルノデアリマ
ス、又全國ノ富豪ト言ハレル者ノ持ッテ居ラ
レルモノガ八億万圓持テテルルノデアリマ
ス、而シテ大藏省ノ預金部ノ持ッテ居ル公
債ハ八億デアル、而シテ外國ニ行ッテ居ル所
ノ我國ノ公債ト云フモノハ約十四億万圓デ
アリマス、斯樣ナ狀態ニナッテ居ルト云フコ
トハ、是ハ明白デアル、然ルニ現內閣ハ
其豫テ主張致サレマシタ所ノ公債償還ニ力
ヲ入レルト云フ其主張ヲモ裏切ッテ、今日ノ
如キ此賠償金ノ繰入ヲ取止メヲ致スト云フ
ヤウナコトハ、洵ニ其主義ヲ裏切ルモノデ
ハナイカト思フノデアリマス、吾々ハ元來
今申上ゲタヤウニ、公債ノ分布ハ富豪階級
ニアルノデアリマスカラ、敢テ此公債ノ償
還ヲ等閑ニ付シテ宜シイトハ申シマセヌガ、
何モ國家ノ必要ナル事業ヲ止メテマデ、無
理ヲシテ、公債ノ償還ヲ急ガナイデモ宜イ、
卽チ公債ノ償還ニ當ッテハ法律ノ上ニ於
テ萬分ノ百十六ト云フコトガ定ッテ居ルノ
デアルカラ、其邊ノ實行ヲ間違ナクヤッテ居
リサヘスレバ何モソンナニ差支ナイデハ
ナイカト云フコトヲ屢、警告ヲ致シタノデア
ル、然ルニ現内閣ハ斷ジテソレヲ許サヌ
ノデアリマス、ドウデモ公債ハ一日ト雖モ
此償還ヲ猶豫スルコトハ出來ナイト云フ理
由カラ、此賠償金特別會計法ト云フモノガ
出來タノデアリマス、然ルニ斯樣ナルコト
ヲ、今ハケロリト忘レラレタルガ如クニシ
テ、此賠償金特別會計法ト云フモノ、廢止
ノ法案ヲ今日提出致サレマシタ理由ニ至ッ
テハ吾々ハドウシテモ未ダ會得ヲスルコ
トガ出來ナイノデアリマス
更ニ私ノ伺ッテ見タイコトハ、獨逸賠償金ノ
繰入ヲ廢スト云フコトハ卽チ公債ノ償還
金ヲ少クスルト云フコトデアルノデアリマ
ス然ルニ政府ノ方針ハ、公債ノ償還額ヲ
少シデモ多クシヨウト云フ御方針デアッタ
ノデアル、然ルニ定メラレタル所ノ公債償
還ノ財源タル獨逸賠償金ノ繰入ヲ止メタト
云フコトハ、之ヲ逆ニ申シマスナラバ、公
債ノ增加ニナルコトデアリマス、此獨逸賠
償金ノ繰入ヲ止メタト云フコトハ事實上
公債償還ノ額ガ減ズルト云フコトデアリマ
スレバ、此本案ガ可決サレルト云フコト
卽チ獨逸賠償金ノ繰入ヲ取止メルト云フコ
トハ、是レ卽チ公債ヲ募集スルト何等異ナ
ル所ハナイノデアリマス、政府ハ此私ノ見
解ヲ御認メニナルカドウカ、之ヲ併セテ伺
ヒタイノデアリマス
〔「簡單々々」其他發言スル者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=50
-
051・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=51
-
052・武田徳三郎
○武田德三郞君(續) 今一ツ伺ッテ置キタ
イコトハ井上大藏大臣ハ豫算委員會ニ於
キマシテ、失業救濟ノコトニ付テ一年限リ
ト云フコトヲ屢〓仰シヤッタノデアル、年
限リデアルカラ一般會計ノ公債ヲ募ラヌト
云フ方針トハ矛盾セヌ、依然トシテ一般會
計ニ於テハ現内閣ハ其積リデアッタ、斯樣ニ
仰シヤッタノデアル、ケレドモ是ハ私共ハ如
何ニモ受取レヌ話ダ、公債ヲ募ッテモ、是ハ
非募債主義カ、一年募ッテモヤハリ募ルノハ
募ルデハアリマセヌカ、一輪咲イテモ花ハ花
デハアリマセヌカ(笑聲)一年限リダカラ非
募債主義ダト云フ道理ハ私ニハ會得ガ出
來ヌノデアル、併シ私ノ今承ラント欲スル
所ハ、斯樣ナ揚足ヲ取ラントスルノデハナ
イノデアル、是ハ重大問題デアリマス(笑
聲)果シテ失業救濟ガ一年限リデアルカド
ウカト云フコトハ是ハ諸君ノ如キ笑フベ
キ問題デハアリマセヌ、今日ノ我國ノ經濟
狀態ハ如何デアル、實ニ恐ルベキ事デハア
リマセヌカ、此頃井上大藏大臣ハ我黨ノ三
土忠造氏ノ質問ニ答ヘテ、財界ハ最早底ヲ
突イテ稍、好轉ノ傾向ニ向ッタト言ハレマス
ル、而シテ其原因ハ何事デアルカト云フト、
我國ノ國民經濟ハ稍、好轉ニ向シタト云フ
大藏大臣ノ說明ノ中ニ、斯樣ナコトガア
ル、外國ノ狀況モ稍、好轉ノ兆ガ現ハレ
タ、又國內ノ產業ニ於テモ、足利方面ノ織
物業ノ狀態ヲ見テモ稍、好轉ノ狀態ガ現ハ
レテ來タト斯ウ仰シヤッタノデアル、併ナ
ガラ吾々ノ見ル所ハ、頗ル之ニ向シテハ憂ヲ
懷カザルヲ得ナイ狀態デアルノデアリマ
ス現ニ外國ノ狀態ニ付テハ商工省ノ調
査サレタ所ノモノガ新聞ニ發表サレテア
ル、其調査ニ依レバ、外國ノ商工業ノ衰退
ハ益〓前途憂フベキ狀態デアルト云フコト
ハ商工省ガ天下ニ發表致シテ居ルノデア
リマス、然ルニ井上大藏大臣ハ外國ノ狀況
ハ稍、直リ掛ケタト仰シヤルコトハ、同ジ
内閣ノ商工大臣ノ御考ト、大藏大臣ノ御考
トガ違ッテ居ルト云フコトハ如何ニモ危怪
千萬ノコトデハアリマセヌカ(拍手)又我黨
ノ三土氏ノ質問ニ對シテ、卽チ桐生、足利
方面ノ織物業ガ少シク生色ヲ生ジタト云フ
コトハ是ハ他ノ理由デアル、併ナガラ我
國ノ財界ガ恢復スルカドウカト云フコトノ
根本ハ、國民全般ノ購買力ノ增加ト云フコ
トガ基礎デナケレバ、經濟界ガ恢復スルモ
ノデナイ、然ルニ我國ノ國民ノ購買力ノ主
ナル基礎ハ何デアルカト云フコトハ卽チ
全國ノ半數以上ヲ占メテ居ル農民デナケレ
バナラヌ(拍手)然ルニ農村ノ購買力ハ繭ノ
暴落、米價ノ暴落ノ爲ニ非常ナル悲慘ノ狀
態ニナッテ居ル、此農民多數ノ購買力ノ激減
ト云フコトハ、昭和六年度ニ於テ初メテ現
ハルベキ狀態ニ今日ハナッテ居ルノデアリ
やく、然ルニ此國民購買力ノ減殺サルベキ
こ狀態ガ愈〓明カニナッテ居ル今日ニ於テ、明
年度ノ財界ガ恢復スルヤウニ考ヘラルヽノ
ハ間違デナイカト云フ、此質問ニ對シテ、
大藏大臣ガ明白ナル答辯ヲシテ居ラナイノ
デアリマス(拍手)吾々ハ斯樣ナル憂ヲ持。ツ
テ居ルノデアル、斯樣ナ狀態ノ時ニ、益ミ
將來ニ於テ失業ガ增加スベキ傾向ノアル此
我ガ國民ノ經濟ノ現狀ニ於テ、失業救濟ハ
一箇年限リデアル、昭和六年度限リデアル
ト云フコトヲ言明サルヽノ勇氣アリヤ否
ヤ、之ヲ私ハ大藏大臣ニ承ラントスルノデ
アリマス(拍手)私ノ公債ニ關スル質問ハ此
程度ニ止メマス
更ニ製鐵所特別會計法ノコトニ付テ簡單
ニ一言御伺致シマスガ、商工大臣ハ國產
奬勵ト云フコトハ、現內閣ノ重要政策ノ一
デアルト云フコトヲ屢〓述べ、吾々モ國產
奬勵ト云フコトニ取ッテハ、必シモ反對ノ意
見ハ持ッテ居リマセヌ、唯此際伺ッテ置キタ
イコトハ國產--所謂國產トハ何ヲ言フ
カト云フコトデアリマス、此點ニ向ッテ商工
大臣ノ明白ナル御答ヲ得テ置キタイノデア
リマス、今我黨ノ宮澤君ノ、滿洲ニ生產サ
ルヽ鐵ト云フモノヲ國產ト認ムルヤ否ヤ
ト云フ宮澤君ノ質問ニ對シテ、商工大臣ハ
何等ノ御答辯ガナカッタノデアリマス、是ハ
重大ナルコトデアリマス、滿洲ニ生產サル
ル所ノ鐵ガ國產ナリヤ否ヤト云フコトハ
單リ今滿鐵ガ非常ナ力ヲ入レテ居ル所ノ鞍
山站ノ製鐵所ノ生命ニ關スルノミナラズ
延テ八幡ノ製鐵所ノ利害ニ非常ナ影響ヲ及
ボシマス、ノミナラズ現ニ商工大臣ガ近ク
提案サレントスル所ノ、製鐵業者ノ合同案
ニ取ッテモ、是ガ重大ナル影響ヲ及ボス所ノ
案デアルノデアリマス、故ニ所謂國產ト云
フモノヽ中ニ、滿洲共他ニ於テ我ガ國民ノ
手ニ依ッテ製出サルヽ所ノ製鐵モ、國產ノ
中ニ入ルベキモノデアルカドウカ、之ヲ明
白ニ伺ヒタイノデアリマス、又同樣ノ意味
ニ於テ、卽チ撫順カラ生產サルヽ所ノ石
炭、其他我國ノ勢力範圍ニ於テ生產サル
所ノ石炭ヲ、是レ卽チ國產デアルト御認ニ
ナルカドウカ、是亦我國ノ石炭業者ニ取ッテ
ハ重大ナル利害關係ノアル問題デアリマス
カラ、之ヲ如何樣ニ商工大臣ハ解釋サルヽ
カト云フコトヲ伺ヒタイノデアリマス
更ニ今一ツノ商工大臣カラ伺シテ置キタ
イコトハ、是ハ外國ノ我國ノ勢力範圍內ニ
起ル所ノ問題デアリマスガ、我國內ニ於テ
モ疑ノ存スベキモノガアリマス、卽チ我ガ
國內ニ於テ生產サレル所ノモノニ於テ、其
資本ノ大部分ガ外國ノ資本デ生產サレテア
ルモノガアリマス、卽チ一例ヲ擧ゲマスル
ナラバ、彼ノ「マツダランプ」ノ如キモノハ
是ハ猶太系ノ資本ガ大部分ヲ占メテ居ルノ
デアリマス、一面ニ於キマシテ、私ハ敢テ
玆ニ多クノ御話ヲ申シマセヌガ、今日ハ世
界ノ何レノ所ニ於キマシテモ、猶太系金融
資本家ハ單ニ金融資本家ト云フコトニアラ
ズシテ、猶太ノ勢力ヲ增加センガ爲メニ、
金融資本ノ勢力ヲ以テ世界ヲ征服セントス
ル計畫ノアルコトハ政府モヨモヤ御承知
ノナイコトハナイト思フノデアリマス、然
ルニ我ガ「マツダランプ」ノ資本ノ半數以上
ト云フモノハ此恐ルベキ猶太ノ金融資本
ノ手ニ依テ押ヘラレテ居ルノデアリマス
斯樣ナ恐ルベキ外國ノ金融資本ノ手ニ依テ
生產サレツヽアルヤウナ生產品ヲモ、之ヲ
國產ト認メルヤ否ヤト云フコトヲ、私ハ商
工大臣ノ明白ナル御答辯ヲ承リタイノデア
リマス(拍手)
〔政府委員小川〓太郞君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=52
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053・小川郷太郎
○政府委員(小川郷太郞君) 武田君ノ御質
問ニ御答致シマス、色々廣汎ニ亙ッテノ御意
見モアッタヤウデアリマスガ、公債政策ニ關
聯致シマシタコトヲ簡單ニ御答致シタイト
思ヒマス、私ハ貴族院ノ方ニ居リマシタノ
デ、其以前ノ問答ヲ存ジマセヌ、或ハ大藏
大臣ノ御答ト重複スルヤウナコトガアルカ
モ知レマセヌガ、唯箇條別ニ簡單ニ御答致
シテ置キマス、公債政策ガ變シタ、斯ウ云フ
御意見ヲ混ヘテノ御質問デアリマシタガ、
ソレハサウデアリマセヌ、非募債主義ト云
フヤウナコトノ御議論ガアッタヤウデアリ
マスガ、實際ハ其言葉ガ適當デアリマセヌデ
ス、旣ニ武田君モ御引用ニナリマシタヤウ
ニ、此內閣ガ出來マシテモ、公債ヲ或ハ五
千六百万圓起スト云フコトヲ御引用ニナツ
テ居リマシタガ、全ク募債ヲシナイノヂヤ
ナイノデス、サウ云フヤウナコトヲ言ッタノ
ヂヤナイノデアリマシテ、此公債政策ニ付
テ、現内閣ガ非募債ト云フコトハ言ッテアリ
マセヌ
〔發言スル者多シ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=53
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054・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=54
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055・小川郷太郎
○政府委員(小川〓太郞君) 現內閣ノ
公債政策ガ出テ來マシタノハ今武田君ノ
御話ニナリマシタヤウニ、政友會ノ公債ヲ起
スノハ年々二億圓ト言ハレタノデアル、其
二億圓ト云フヤウナ大キナ公債ヲ起スト云
フコトハ、財界ニ對シテ惡イ、財政ニ對シ
テ惡イ、之ヲ改メントシタノデアリマス
〔拍手「嘘言フナ」其他發言スル者多シ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=55
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056・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=56
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057・小川郷太郎
○政府委員(小川〓太郞君) 續ソレデア
ルカラシテ昭和四年ノ七月九日ノ所謂十
大政綱ノ聲明ノ中ニモ
〔發言スル者多シ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=57
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058・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=58
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059・小川郷太郎
○政府委員(小川郷太郞君) 特特別會計
ニ關聯シテハ前內閣ノ公債計畫ノ約半分ノ
所ヲ抑ヘテ行クト、斯ウ云フコトガ申シテ
アルノデアリマス、其半分ノ所ヲ抑ヘルト
云フノデ五千六百万圓ト云フヤウナ數字ガ
出タノデアリマス、ソレデアリマスカラ、
初メカラシテ一ツモ之ヲ起サナイトハ一寸
モ言シテ居ラヌノデアリマス、唯政友會ノ內
閣ノヤウニ巨額ノ公債ヲ起スコトヲ改メ
テ、財界ノ許ス限度ニ於テ之ヲ起サントシ
タモノデアリマス、ソレデアリマスカラシ
テ玆ニ千万圓トカ二千万圓トカ、公債ヲ
起ス額ガ違フタカラト言っテモ、公債政策ノ
方針ガ變ッタト云フコトハ斷ジテ言ヘマセ
ヌ
〔發言スル者多シ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=59
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060・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 靜肅ニ願ヒマスー
靜肅ニ願ヒマスー君ニ御注意ヲ致シ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=60
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061・小川郷太郎
○政府委員(小川〓太郞君) 殊ニ武田
君ノ只今ノ御話デハ五千六百万圓ト云フ
モノニ付テ六割多クナッタ、唯五千六百万圓
ト云フ數字カラ比例ヲ御取リニナルト云フ
コトハ穩當デナイ、二億圓ト云フ公債ヲ起
ス上カラ考ヘテ御覽ナサイ、今ノ內閣ガ昭
和六年度ニ起サントスル計畫ノ半分ニモ及
ビマセヌ、非常ニ少イモノデアリマス、此
公債計畫ガ嚴然トシテ威力ヲ持シテ居ルノ
デアリマス
〔發言スル者多シ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=61
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062・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=62
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063・小川郷太郎
○政府委員(小川〓太郞君)(續) 失業公債
ヲ起スノヲ以テ公債政策ノ變更ト言ハレマ
シタケレドモ是ハ大藏大臣ガ度々聲明セ
ラレタヤウニ、非常特別ノ場合ニ處スルモ
ノデアッテ、唯一年限リノモノデアルソレ
デ決シテ公債政策ノ方針ハ變ノテ居ルノデ
ハアリマセヌ、一年限リト云フガ、其後モ
起シハセヌカト云フヤウナ御質問ガアリマ
シタケレドモ、今ノ所一年限リト考へテ居
ルノデアリマス、尙ホ交付公債ニ付テモ御
論及ニナリマシタガ、アノ十大政綱ノ聲明
書ヲ御覽ニナリマスレバ、交付公債ニ付キマ
シテハ、是ハ別問題デアルトチヤント書イテ
アリマス、次ニ大藏省證劵ノコトニ付テ御話
ニナリマシタガ、大藏省證劵ハ是ハ別問題
デアリマス、大藏省證劵ノ性質ニ付キマシ
テハ、武內君モ御承知ノ通リ、是ハ一時ノ
融通ノ爲メニスルモノデアリマス、剩餘金
ガアル時分ニハ、大藏省證劵ヲ發行スル必
要ハタントナイノデアリマス、剩餘金ガ
無クナッテ來マスト云フト、當然日本ノ今
日ノ財政制度カラ言ヒマスト云フト大藏省
證劵ヲ發行セナケレバナラヌコトニナル、是
ハ既ニ政友會ノ方カラモ始終御論ジニナリ
マシタガ、前內閣ノ財政當局者ノ如キ、剩
餘金ト云フモノハ無イ方ガ宜イトマデ言ハ
レタ、剩餘金ガアル時代ニ於テ財政ヲ料理
セラレタ時分ニハ、大藏省證劵ヲ發行スル
額ハ少イ、、併シ政友會內閣ノ財政當局者ノ
御考ノ通リニ、剩餘金ガ無クテ宜イト云フコ
トデアルナラバ當然此大藏省證劵ヲ多ク
發行セナケレバナラヌノデアリマス、足八
決シテ現内閣ノ公債政策ノ變更デモ何デモ
アリマセヌ、尙ホ此公債ノ額六十億ト云フ
コトニ付テモ御論及ニナッタヤウデアリマ
スガ、ヤハリ今日ニ於キマシテモ六十億
ニハ屆キマセヌ、昭和六年ノ初ニナリマシ
テモ屆キマセヌ、六十億ニナリマセヌ、昭
和六年度ノ終ニナッテ、卽チ今出シテ居リマ
ス此豫算ノ通リノ公債ヲ起シマシテモ六十
億ニハナリマセヌ、是モ少シモ今日マデノ
聲明ヲ裏切ッテ居リマセヌ
〔「明瞭ニ裏切ッテ居ル」其他發言スル者
多シ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=63
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064・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=64
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065・小川郷太郎
○政府委員(小川〓太郞君)(續) 賠償金特
別會計法ノ廢止ニ關聯シテ御質問ガアリマ
シタ、ソレハ存置スル必要ガナイト言フガ、
ソレハドウ云フ譯カ恐ラクハ此問題ハ大
藏大臣ガ御答ニナッタラウト思フノデアリ
マス御承知デモアリマセウガ、獨逸賠償
金特別會計ガアリマシテ、ソレカラ一般會
計ヘ多クノモノハハイッテ行クノデアリマ
ス、所ガ獨逸賠償金カラ一般會計ヘハイラ
ナイデ支拂ヲスルモノモアッタノデアリマ
ス、此會計ノ支拂ニ屬スルモノデ、旣ニ之
ヲ了シタモノガアリマス、例ヘバ救恤交付
金ノ如キモノハ旣ニ濟ンダノデアリマスカ
ラ、其點ニ於テ賠償金特別會計ヲ存シテ置
ク必要ガナイノデアリマス、今賠償金ガ入ツ
テ來マシテモ、一般會計ニ入ル、一般會計
カラシテ或ハ移植民、國際聯盟、航空事業
等、サウ云フモノニ對シテ支拂フト云フコト
ニナッテ居リマスカラ、ソレハ一般會計ニ
〓償金ガ入レバ、直チニソレカラ支拂ッテ宜
シイノデアリマス、是ガ故ニ今日ニナリマ
シテハ、此賠償金特別會計ヲ存置スル必要ハ
ナイノデアリマス、唯今日ノ現行法ニ於キ
マシテ、現在此獨逸賠償金特別會計カラ減
債基金特別會計ニ入ルヤウニナッテ居リマ
ス、ソレガ、問題ノ六百三十万圓ノコトデ
アリマス、併シ此六百三十万圓ノ金ヲ賠償
金特別會計カラ減債基金ニ持ッテ行クト云
フコトヲ廢メタナラバ玆ニ賠償金特別會
計ヲ置ク必要ハ斷ジテナイノデアリマス、
是ガ武田君ノ御質問ニ御答ヲスル所デアリ
マス、賠償金六百三十万圓ヲ減債基金ニ繰
入レルコトヲ當分取止メルト云フコトニ付
テハ、既ニ申上ゲタ通リデアリマス、ソレ
故ニ苟モ獨逸賠償金ノ六百三十万圓ヲ減債
基金ニ繰入レナイト致シマシタナラバ、全
然此特別會計ヲ置ク必要ガナイノデアリマ
ス、ソレガ今日此處ニ提案シタ所以デアリ
マス、尙ホ六百三十万圓ヲ減債基金ニ繰入
レルコトヲ取止メルコトニ付テ御意見ガア
リマシタガ、是ハ武田君ノ御意見デアリマ
シテ、私等ハ今日ノ財政狀態、非常特別ノ
場合已ムヲ得ナイト考ヘルノデアリマス
〔「モウ止メロ〓〓」其他發言スル者多
シ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=65
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066・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=66
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067・小川郷太郎
○政府委員(小川〓太郞君) 穂若シ之ヲ
御非難ナサルナラバ、嘗テ政友會內閣ノ時ノ
如キ、八八艦隊ヲ拵ヘルト云フ理由ニ依ッ
テ、減債基金ノ万分ノ百十六ヲ一時減債基
金ニ入レルト云フコトヲ止メタコトモアリ
さい、國家非常特別ノ場合、其時分ニハ万
分ノ百十六マデモ減債基金ニ繰入レルコト
ヲ止メル斯ウ云フコトヲ敢テシタデハア
リマセヌカ、今囘ノ如キハ僅ニ六百三十万
圓デアリマス是ハ特別ノ場合ニ於テ當然
見込マナケレバナラヌコトト考ヘマス
〔政府委員横山勝太郞君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=67
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068・横山勝太郎
○政府委員(橫山勝太郞君) 只今武田君ノ
御質問ニ係リマス國產品ノ問題ニ關シテ簡
潔ニ御答辯ヲ申上ゲマス、滿洲ノ鐵、滿洲
ノ石炭、其他勢力範圍ノ地域ニ於テ出來ル
所ノ物ヲ、國產品トシテ取扱フカドウカト
云フ御質問デアリマスガ、是ハ御質問ノ通
リ餘程困難ナ問題デアリマス、唯此場合御
答申シテ差支ナイコトハ、昨年ノ六月二日
以來、臨時產業合理局ヲ設ケマシテ、此處
デ國產品ノ奬勵ト國產品ノ愛用ト云フコト
ヲヤツテ居リマスル趣旨ハ、内地ニ於ケル國
產品ノ需要ヲ盛ナラシメ、又其生產ヲ盛ナ
ラシメテ、內地ノ產業ノ振興ヲ圖ルト同時
ニ、之ニ依ッテ外國ノ輸入ヲ防遏スルト云
フコトガ、所謂國產品愛用ノ運動ノ精神デ
アリマス、此故ニ國產品ト申シマスルコト
ハ色々ノ場合ヲ想像シテ申シマスレバ種
種議論ガゴザイマスルガ、要スルニ內地ニ
於テ、內地ノ資本家ガ內地ノ勞働者ノ力ニ
依ッテ造ル物ガ大體ニ於テ內地品デアリ
是ガ國產品デアルノデアリマス(拍手)隨テ
只今ノ問題ノ如キ點ニ付キマシテハ、只今ノ
所マダ之ヲ實際問題トシテハ餘リ多ク取
扱ッテ居リマセヌ、唯對比展覽會等ニ於テ、
御承知ノ通リニ是レ々々ノ品ヲ外國カラ輸
入ヲ致シテ居ル、之ニ對シテハ內地品ガ優
ニ之ニ對抗スルコトガ出來ル、卽チ數量ニ
於キマシテモ、產額ニ於キマシテモ、又代
金ニ於キマシテモ總テノ點ニ於テ外國品
ニ對抗シ得ルト云フ物ヲ以テ、之ヲ國產優
良品トシテノ取扱ヲシテ居ルノデアリマ
ス、合理局ハ此意味ニ於テ、只今國產品ノ
扱ヒト云フコトヲヤッテ居ルノデアリマス、
隨テ仰セノ如キ物ヲ今後ドウ云フヤウニ扱
フカト云フコトニ付キマシテハ更ニ其問
題ニ逢著致シタ際ニ詳細ニ御答申上ゲタイ
ト思ヒマス、今日ノ所ハ是ダケ申上ゲテ置
キマス
〔武田德三郞君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=68
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069・武田徳三郎
○武田德三郞君 私ハ只今現內閣ノ公債ニ
對スル根本方針ヲ伺ヒタイト云フコトヲ前
提ト致シテ質問ヲ致シタノデアリマス、故
ニ小川政務次官カラ答辯ヲ承ラウトハ實
ハ思ッテ居ラナカッタノデアリマス、是ハ公
債政策ノ根本政策ハ、總理大臣若クハ大藏
大臣ガ責任ヲ以テ吾々ニ答辯サルベキモノ
デアルト思フノデアリマス、然ルニ此重大
問題ヲ一政務次官ニ答辯セシムルト云フコ
トハ此公債政策ニ向ッテ政府ハ甚ダ不親
切デアリ忠實デナイト云フコトヲ表明ス
ルヤウニ私ハ考ヘルノデアリマス、ノミナ
ラズ小川政務次官ハ、元來現内閣ノ公債政
策ヲ能ク御存知ナイノデハナイカト思フ
(拍手)私ノ質問ニ對シテ何等適切ナル御答
辯ガナイノデアリマス、現內閣ノ公債政策
ノ根本主義ヲ說明サレタルヤウナモノハ
ツモナイノデアリマス、私ハ現內閣ノ公債
政策ト致シマシテ、井上大藏大臣ハ明カニ、
決シテ一文モ公債ヲ募ラナイトハ-其位
ナ事ハ私共ハ敢テ彼此レ言フノデハナイ、
唯斯ウ云フ事ヲ明白ニ井上大藏大臣ハ天下
ニ聲明サレタノデアル卽チ一般會計ニ於
テハ募集ヲシナイ、卽チ無公債ノ豫算ヲ編
成スルト云フコトハ日本ノ財政ノ信用ヲ
海外ニ得ル上ニ於テ絕對的ニ必要デアルト
云フコトヲ、大藏大臣ガ天下ニ聲明シタノ
デアル(拍手)然ルニ今日一般會計ニ於テ募
債ヲスルト云フ計畫ヲ、明年度ノ豫算ニシ
テ居ルガ、是ガ大藏大臣ノ聲明ヲ裏切ッテ
居ルモノデハナイカト云フ質問ニ對シテ、
小川政務次官ハ非募債主義トハ言ハナイ、
現內閣ハソンナ言葉ハ使。ッタコトハナイ、政
友會ノ二億圓ノ公債募集ト云フノハ多過ギ
ルカラ、成ベクソレヲ少クシタイト云フ
コトヲ言ッタダケデアルト云フヤウナコト
ヲ言ッテ居ラレル、シテ見ルト云フト、小
川君ハ井上大藏大臣ノ一般會計ニ於テ無公
債主義ヲ執ッテ居ル、是ガ我ガ財政ノ基礎ヲ
鞏固ニシ、我ガ財政ノ信用ヲ海外ニ博スル
重大ナル原因デアルト云フ、此說ヲ未ダ御
諒解ニナッテ居ナイノデアル(拍手)ソレデ
ハ私ノ現內閣ノ公債政策ノ根本方針ノ質問
ニ對シテ御答ナサル資格ガナイノデアリマ
ス(拍手、「ヒヤ〓〓」)又私ハ、現內閣ハ昨年
ノ實行豫算ニ於テ公債額ヲ五千六百万圓ガ
適當デアルト決定サレタノニ、其時ヨリハ
財界ノ狀態ガ惡化シテ居ル今日ニ於テ六
割以上ノ募債ヲ餘計サレルト云フノハドウ
云フ譯デアルカト云フ質問ニ對シテ、見當
違ヒノ返事ヲシテ居ラレル、成程餘計ニハ
ナッタガ、政友會ノ時ノ二億圓ニ比ベレバ
其半分ニ稍、少イ、何モ差支ナイデハナイ
カト云フヤウナコトヲ仰シヤル、何ト云フ
愚ナ答辯デアリマセウカ、一體昨年ノ經濟
狀態ニ於テ、我黨ガ二億圓ノ公債募集ノ爲
ニ豫算ヲ作ッテ置イクモノヲ、ソレガ不適當
ナリトシテ、實行豫算ニ於テ五千六百万圓ト
決定サレタノデハナイカ、卽チ現內閣ノ諸
君ハ昭和四年度以來ノ我ガ國民經濟ノ狀
態ニ鑑ミテ、公債ハ五千六百万圓ヨリ餘計
募集スルト云フコトハ宜シクナイト云フコ
トノ御考カラ定マッタモノデアリマセウ、
然ラバ其時ヨリハ今日ノ經濟狀態ガヨリ以
上ニ惡クナッテ居ル今日ニ於テ、其當時ノ內
閣ガ適當ト認メラレタル五千六百万圓ヨリ
ハ、五割モ六割モ餘計募集セラレル、其數
字上ノ根據ハ何レニアルカ其方針ノ變更
ノ根據ガ何レニアリヤト云フ質問デアルノ
デアリマス(拍手)
更ニ又私ハ現内閣ノ公債ノ根本方針トシ
テ五千万圓ナリ八千万圓ナリ、此限度ヲ
定メラレタノハ如何ナル數字上ノ根據カラ
出テ居ルノカト云フコトヲ伺ッタノデアル、
私ハ我黨ノ政策ノ具體的說明マデシテ、我
黨ハ斯樣ナ根據カラヤッテ居ルノデアルガ、
此我黨ノ主張ヲ非常ナル勢ヲ以テ熱心ナル
反對ヲサレタル所ノ現內閣ノ、此公債政策
ノ數字ノ據"テ來ル所ノ根據ハ何レニアリ
ヤト質問シテ居ルノニ對シテ、唯顧ミテ他
ヲ言フ、我黨ハ政友會ノ募債ヨリハ成ベク
少クシタイト云フコトヨリ外言ハナイ、斯
ウ仰シヤル、之ヲ他ノ言葉ヲ以テ言フト、
民政黨内閣ハ何デモ政友會ノ政策ニ反對シ
ヨウ反對シヨウト云フノガ其根本主義デア
ルト云フコトニ承ッテ宜シウゴザイマスカ
(拍手)是ハ國家ノ爲ニ政治ヲスルノデナク
シテ、民政黨內閣ハ唯徒ニ政友會ニ反對ス
ルガ爲メニノミ政治ヲ行ッテ居ルヤウニ考
ヘルガ、如何デアリマスカ(拍手)又小川君ハ
大藏省證劵ヲ一年中一日モ缺カサズ募集シテ
置イテモソレハ公債デナイト斯ウ仰シヤ
ル、是ハ奇怪至極ノコトデハアリマセヌ
カ、是コソハ所謂白馬馬ニ非ズト云フ議論
デアリマス、大藏省證劵ト云ヒ、公債ト云
ヒ、借金デアルコトニ於テハ變リハナイデ
ハナイカ、元來私ガ申スマデモナク、大藏省
證劵ノ性質ハ、其年度內ニ於ケル歲計ノ遣
繰ニ於テ、卽チ租稅ノ徴收ガ必要ノ時ヨリ
遲レタ場合、其、時ノ辻褄ヲ合セルガ爲メ
ニ募集スルノガ大藏省證劵ノ性質デハナイ
カ、然ルニ年度內一日モ缺カサズ募集シテ
居ル又翌年度ニ於テモサウデアル、此內
閣ハ是カラ何年續キマセウ、私ノ見ル所デ
ハモウ三箇月カ四箇月デ潰レルト思フ此內
閣ガ、此內閣ノ存續間ニ於テ、一日タリト
モ大藏省證劵ノナイ日ガナイト云フコト
ハ借金ヲ續ケテシテ居ルト云フコトデハ
ナイカ、借金ヲシテ置イテ、サウシテ大藏
省證劵デアルカラ借金ガナイト云フコト
ハ是ガ詭辯ニ非ズシテ何ヲ詭辯ト言ヒマ
セウカ、私ハ小川君ガ政治家デアッテ、學者
デアル以上ハ、其名譽ニ掛テモ
〔發言スル者多シ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=69
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070・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=70
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071・武田徳三郎
○武田德三郞君(續) サウ云フコトハ少シ
御愼ミニナッタ方ガ小川君ノ爲メデアルト、
敢テ忠告致シマス
又賠償金特別會計法ノ此理由書ニ於テ、存
置スルノ要ナシト言ッタコトハ、是ハ賠償
金ノ目的、植民地ノ爲ニ使フトカ、國際聯
盟ノ爲ニ使フト云フコトハ、軈テ一般會
計ニソレガ含マレタト同一ノ結果ヲ來スカ
ラデアルト云フ說明デアリマス、是モ洵ニ
辻褄ノ合ハナイ、頭隱シテ尻隱サズノ議論
デハアリマセヌカ、獨逸賠償金ノ目的ト云
フコトハ此本案ヲ前々議會ニ於テ民政
黨內閣ガ提出サレナイ前ニ定マッテ居ルノ
デアリマス、此賠償金特別會計法ト云フモ
ノヲ、民政黨ガ制定サレタ所以ノモノハ
此獨逸賠償金ヲ國債償還基金ニ繰入レタイ
ト云フコトガ唯一ノ目的デアッタノデア
リマス、然ルニ其目的ヲ持ッテ居ル所ノ賠
償金特別會計法ヲ、存置ノ必要ナシト云フ
コトハ獨逸賠償金ヲ公債償還ノ財源ニ繰
入レナイデ宜イト云フ意味ニナルデハナイ
カ、故ニ私ハ其理由ヲ承"テ居ルニ拘ラズ、
顧テ他ヲ言フト云フコトハ私ノ質問ニ對
シテ適切ナル御答辯ト考ヘルコトガ出來ナ
イノデアリマス(拍手)
更ニ商工次官ノ御答辯ニシテモ、私ハ甚
ダ明確デナイト思フ、國產ト云フコトハ如
何ナルモノヲ以テ國產ト云フカト云フコト
ニ對シテハ、頗ル困難デアルト仰シヤルガ、
私ハ國產ト云フモノノ定義ヲ定メルコトハ
困難デアルヤ否ヤト云フコトヲ承ァタノデ
ハナイノデアル、私ハ事實ヲ擧ゲテ承ッタ
ノデアル、卽チ滿洲ニ於テ生產スル所ノ撫
順ノ石炭ノ如キ、鞍山站製鐵所ニ於テ生產
スル所ノ鐵ノ如キモノヲ、國產ト御認ニナ
ルヤ否ヤト云フコトヲ承。ッタノデアル、橫山
サンノ御話ノ如ク、是ガ重大ナル影響ヲ及
ボスノデアリマス、若シ鞍山站ノ製鐵所ニ
於テ生產スル所ノ鐵ヲ國產ト認メマスナラ
バ先程申上ゲマシタ如ク、現內閣ノ計畫
サレル所ノ製鐵所合同ト云フコトニ向ッテ
ハ、重大ナル影響ガアルノデアル、又撫順
炭ヲ以テ國產ト認メラレルナラバ、此疲弊
困態ヲ極メテ居ル內地ノ生產業者ニ重大ナ
ル影響ヲ及ボスカラ之ヲ明白ニ承リタイ
ト云フノデアル、然ルニ此定義ハ困難デア
ルガ、唯大體カラ言ヘバ日本內地ノ資本
デ、日本內地ノ勞働者ノ手ニ依ッテ出來タモ
ノヲ大體國產品ト認メルト云フヤウナコト
ヲ仰シヤル、ソレナラソレデ宜シイ、然ラ
バハッキリトソレヲ承リタイ、現内閣ノ國產
ト云フ意味ハ、內地ニ於テ、內地ノ資本ト
內地ノ勞働者ニ依ッテ出來タ物ノミヲ國產
ト御認ニナルノデアルカ、斯樣ニ御認
ニナルトスレバ、撫順ノ石炭ヤ鞍山站ノ鐵
ト云フモノハ內地ノ勞働者モアリマスケ
レドモ、大部分ハ滿洲ノ支那人ノ勞働者ヲ
使ッテ居ルノデアリマスルカラ、是等ハ國
產ニ非ズト云フ定義ヲ與ヘルコトニナリマ
スルガ、如何デアリマスルカ、之ヲ具體的
ニ承リタイノデアル、又私ノ最後ノ質問ニ
向ッテ御答ガナイ、卽チ日本內地ニ於テ外國
ノ資本、殊ニ猶太ノ如キ危險ナル金融資本
ニ依ッテ、ソレガ大部分ヲ占メテ居ル所ノ生
產業者ノ生產致シマスル所ノ生產物、是等
ハ國產ト御認ニナルカドウカ、此事ハ未ダ
御答ガナイノデアリマスガ、併セテ明確
ナル此點ニ向ッテノ御答ヲ煩シタイノデア
リマス
〔政府委員小川〓太郞君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=71
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072・小川郷太郎
○政府委員(小川郷太郞君) 武田君ノ再質
問ニ對シマシテ簡單ニ御答申シマス、第
ハ一般會計ニ公債ヲ無クシ、特別會計ニ前
內閣ノ起債額ヨリハ、半分位ノ所デ起債ヲスル
ト、斯ウ云フコトヲ現內閣ガ成立後ニ於キ
マシテ聲明シタノデアリマス、ソレヲ努メ
テ居ルノデアリマス、其事ハ間違アリマセ
又、併シ其精神ハドウデアルカト云ヘバ
政友會ノヤウニ、巨額ノ公債ヲ起スト云フ
コトハ宜クナイカラ、之ヲ少クシヤウト云
フ、斯ウ云フ精神カラ出テ居ルノデアリマ
ス、此昭和六年度ニ失業公債ヲ何故起スカ
ト云フコトハ一般會計ニ對シテ一ツノ例
外--一般會計デ公債ヲ起スト云フコトハ
例外デアリマスカラ、ソレハ非常特別ノ場
合デアルカラト云フコトヲ說明シテ居ル
〔發言スル者多シ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=72
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073・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=73
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074・小川郷太郎
○政府委員(小川郷太郞君) 納ソレガ經
濟界ガ變動シテ居ルカラ惡イヂヤナイカト
申シマスケレドモ、失業公債ト云フコトハ、
財界ヲ救フノデアルト云フコトヲ考ヘルカ
ラデアリマス
〔發言スル者多シ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=74
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075・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=75
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076・小川郷太郎
○政府委員(小川郷太郞君)(續) 第二ニ大
藏省證劵ノ事ニ付テ御話ニナリマシタガ、
大藏省證劵ハ廣ク言ヘバ國家ノ借金デアリ
マンク。ソレハ間違アリマセヌ、併シ普通ハ
所謂公債ト言ッテ居ルモノト、大藏省證劵ト
云フ一時ノ融通トハ別ニ考ヘテ居ルノデア
リマス、其事ハ前內閣時分ニ三土大藏大臣
ガ此席ニ於テ明言サレテ居ルノデアリマス
カラシテ寧ロ三土君ニ御聞キニナッタガ宜
シイノデアリマス(拍手)賠償金ノ事ニ付キ
マシテ御尋ニナリマシタガ、當分ノ中之ヲ
止メルノデアリマスカラ、誤解ヲ避ケル爲
メニ申上ゲルノデアリマス、賠償金特別會
計カラ減債基金ニ直グ繰入レルト云フコト
ニナッテ居リマスガ、今度之ヲ廢止致シマシ
テ、再ビ之ヲ減債基金ニ繰入レル時分ニ
ハ減債基金法ニサウ云フ趣旨ヲ書クコト
ニナルノデアリマスカラ、當分此減債基金
ニ繰入レザル限リ賠償金特別會計ハ存置ス
ル必要ガナイノデアリマス
〔政府委員橫山勝太郞君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=76
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077・横山勝太郎
○政府委員(横山勝太郞君) 先刻ノ答ガ要
領ヲ得ナイト云フ御話デアリマスガ、私ノ
申シマシタ趣旨ハ商工省ノ管轄下ニアル
產業合理局ガ、今日國產品ト云フモノヲド
ウ云フヤウニ取扱テ居ルカト云フ趣旨
ヲ申上ゲレバ、自ラ滿洲其他ノ方面ノ事柄
モ解決スルデアラウト考ヘテ申上ゲタノデ
アリマス、只今御話ニ依リマシテ更ニ御答
ヲ致シテ置キマスガ、滿洲ニ於テ產出致シ
マスル石炭ノ事業ニ關シマシテモ、商工大
臣ハ之ニ對シテ相當ナル保護奬勵ノ實ヲ與
ヘナケレバナラヌト云フコトハ當然ナコト
デアリマス、此故ニ滿洲ノ產鐵ニ關シマシ
テモ、內地ノ當業者ト相當ノ協調ヲ遂ゲマ
シテ、內地ノ產業ノ基礎ヲ脅威セザル範圍
內ニ於テハ內地ニ之ヲ輸入スルコトヲ認
メテ居ルノデアリマス、此故ニ先刻來申上
ゲタ通リ、產業合理局ガ國產品トシテ扱シテ
居ルト云フ點カラ申シマスルト、形式的ニ
ハ仰セノ如キ物資ハ之ヲ國產品ト申スコト
ハ出來マセヌ、併ナガラ共貫質ハ、固ヨリ
我國ノ產業ノ一部ト看做スベキモノデアリ
マスカラ、我國ノ產業ニ準ジマシテ極力
之ニ對シテ保護助長ノ實ヲ擧ゲル斯ウ云
フ趣旨デアリマス、重ネテ申上ゲマスガ、
只今產業合理局ニ於キマシテ、國產品ト云
フモノヲ力說高唱致シテ居リマスル趣旨ハ
先刻モ一言致シマシタ通リ、輸入ヲ防遏シ
テ內地ノ產業ヲ振興セシムルト云フコトガ
精神デアリマスカラ、此意味カラ立脚シテ
御考究ニナリマスレバ、只今商工大臣ガ如
何ナルモノヲ國產品トシテ扱ヒ、將來如何
ナルモノヲ國產品トシテ扱フカト云フコト
ハ極メテ明瞭デアルト思ヒマス、又最後
ニ御質問ニ相成リマシタ外國ノ資本ノ注入
サレテ居ル產業ニ關スル點デアリマスガ、
只今「マツダランプ」カ何カノ事例ガアリマ
シタガ、私ハ此席デ具體的ニ其事實ヲ申ス
コトガ適當デアルカドウカ存ジマセヌカ
ラ、暫ク具體的ノ會社、具體的ノ產業ヲ指
シテ申スコトハ遠慮致シマス唯外國ノ資
本ガ日本ニ流入致シマシテ、其資本ニ依ツテ
外國人ガ事業ヲ經營シテ居ルト云フヤウナ
場合ニハ是ハ多クハ日本ノ產業ト云フコ
トハ出來マセヌ隨テ國產品ト云フコトハ
出來ナイ場合ガ澤山アルダラウト思ヒマス
ケレドモ、數千万圓若クハ數億万圓ノ資本
ヲ投ジテ居ル產業會社ニ於キマシテ、其半
分若クハソレ以下ノヤウナ數字ガ外國ノ資
本デアッテ、半分若クハソレ以上ハ日本ノ資
本デアル、而シテ會社ノ重役モ大部分ハ日
本人デアル、而シテ勞働者ハ殆ド日本人ヲ
使シテ居ル、工場ハ日本ノ內地ニ存在致シテ
居ル、斯ウ云フ風ナ場合ニ於キマシテハ
之ヲ內地品トシテ扱ヒ、之ヲ國產品トシテ
扱フト云フ方針デヤッテ居リマス、箇々ノ問
題ニ付テハ一々申上ゲマセヌガ、大體ノ方
針ハサウ云フ意味デヤッテ居リマスカラ、左
樣御承知ヲ願ヒタウゴザイマス(拍手)
〔武田德三郞君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=77
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078・武田徳三郎
○武田德三郞君 私ハ成ベク質問ヲ簡單ニ
シ、成ベク答辯ヲ率直ニ願ヒタイト思シテ居
ルノデアリマスガ、小川政務次官ノ御答辯
ハ承レバ承ハル程私ハ分ラナクナルノデ
アリマス
〔發言スル者多シ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=78
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079・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 靜肅ニ願ヒマス-
靜肅ニ並ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=79
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080・武田徳三郎
○武田德三郞君(續) 併シ吾々ハ國民ヲ代
表シテ重大ナル問題ヲ審議スルニ當リマシ
テハ政府ノ答辯ガ曖味ナレバナル程、吾
吾ガ質問ヲ繰返スコトハ
〔發言スル者多シ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=80
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081・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=81
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082・武田徳三郎
○武田德三郞君(續) 吾々ノ職責上巳ムヲ
得ナイコトデアルト思フノデアリマス、小
川君ハ政治家デアルト同時ニ有名ナル學者
デアル、然ラバ私ノ質問ニ對シテ、廻リ諄
イコトヲ言ハズシテ、直截簡明ニ御返答ニ
ナレバ宜イデハアリマセヌカ、然ルニ今ノ
御答辯ヲ承シテ見ルト洵ニ曖昧デアリマス、
私ハ繰返シ〓〓先カラ伺ッテ居ルノデアル、
井上大藏大臣ノ方針ト云フモノハ、一般會
計ニ於テ無公債主義ヲ採テ居ラレルノデ
アル、ソレハ井上サンノ聲明デ明カニナッテ
居ル、然ルニ一般會計ニ於テ、今日公債ヲ
募集セラルヽト云フコトハ、卽チ其方針ヲ變
ヘラレタノデアルカドウカ、公債ヲ募集シ
テ、非募債主義ト云フヤウナ言葉ガアリヤ
ウガナイト私ハ申スノデアル前ニハ一般
會計ニ於テ無公債主義デアッタガ、其主義ヲ
改メタノデアルカドウカ、斯ウ尋ネルノデ
アリマス、又現內閣ハ本年度ヨリハ國民經
濟ノ狀態ガ稍〓良イ時ノ昨年度ニ於テ、五
千六百万圓ノ公債ノ募集額ガ適當ト考ヘ
ラレテ居ルニモ拘ラズ、昨年ヨリ、ヨリ以
上惡化セントスル明年度ニ於テ、其六割以
上ノ九千万圓、八千万圓ト云フ募債額ヲ定
メラレタ、共數字上ノ割出シノ根據ガ何レ
ニアリヤト云フコトヲ聞イテ居ルノデアリ
やべ、然ルニ成ベク少クスル方針デアルト
カ、曖味至極ナル御答辯ト云フモノハヽ私
ハ甚ダ諒解ニ苦シム、明白ニ答辯ヲ願ヒタ
イノデアリマス
ソレカラ商工政務次官ノ御答辯ハ、大體
ニ於テ分リマシタ、唯政府ノ國產奬勵ノ方
針ハ內地品ノ生產ヲ盛ナラシメテ、外國
貿易ノ逆調ヲ直サントスルノデアルカラ、
內地ニ於テ內地ノ資本ト、內地ノ勞働者ノ
手ニ依ッテ成ルモノヲ國產品ト認メル方針
デアル故ニ此方針カラ推測スレバ、國產
ハ如何ナルモノデアルヤト云フコトハ斷定
スルニ難クナイデアラウト云フヤウナ御話
デアリマス、是ハ大體分リマシタ、併シ斯
樣ナ御方針デアリマスナラバ、何故ニ現在
今日、現內閣ニ於キマシテ、撫順ノ石炭竝
ニ鞍山站ノ鐵ヲ國產ト認ムルヤ、國產ニア
ラズトスルヤ之ヲ明白ニ何故御答ニナラヌ
ノデアリマスカ、或ハ滿洲ノ製鐵業ヲ相當
保護スル意思ヲ持ツテ居ルトカ、撫順ノ石炭
ハドウデモ宜イト云フ考ヲ持シテ居ナイト
カ、左樣ナコトヲ承ルノデナイ、國產奬勵
ト云フコトヲ定メテ、何ト何ガ國產品デア
ルト云フコトヲ、政府ハ政府ノ權限ヲ以テ
限定サレル上ニ於テハ其限定サレタ國產
ハ法規ノ命ズル所ニ從ッテ保護スベキモ
ノハ保護シタラ宜イデハアリマセヌカ、故
ニ國產奬勵ノ趣旨ニ於テ現內閣ハ滿洲ニ生
產サレル所ノモノ、其中最モ重大ナル鐵ノ
如キ、石炭ノ如キモノヲ國產ト御認ニナル
ヤ否ヤト、斯ウ云フノデアリマス、之ヲ明白
ニ御答辯ニナレバ宜イノデアル、廻リ諄イ
コトヲ仰シヤラヌデ宜イノデアリマス、國
產奬勵ノ御趣旨ハ吾々モ諒解シテ居ル、之
ヲ明白ニ御答辯ヲ願ヒタイト思フ、ソレカ
ラ內地ニ於テ外國ノ資本ノハイッテ居ル所
ノ生產品ニ對シテモ明白ナ御答辯ガナイ、
大體ニ於テ資本ガ半額以下トカ、或ハ成ベ
ク其重役ガ日本人デアルヤウナモノハ之ヲ
內地品ト認メルサウデナイモノハ或ハ國
產品ト認メナイ場合ガアルカノ如キ曖昧ナ
御話デアル、是モ資本金ノ半額以下ノモノ
ハ國產品ト認メルトカ、其重役ガ半數以上
日本人デアレバ之ヲ國產品ト認メルトカ、
或ハ其使用スル所ノ勞働者ハ半數日本人デ
アレバ之ヲ國產品ト認メルトカ、ソコノ區
域ヲ明瞭ニシテ御答辯ヲ願ハナケレバ、如
何ナルモノガ國產品ト認メラレルベキモノ
デアルカト云フコトガ明瞭ニナラヌノデア
リマスカラ其點ヲ具體的ニ明白ニ御答辯
ヲ願ヒタイト思ヒマス
〔政府委員小川〓太郞君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=82
-
083・小川郷太郎
○政府委員(小川〓太郞君) 簡單ニ答ヘマ
ス、度々申上ゲマシテ同ジコトヲ繰返スニ
過ギマセヌ、公債政策ヲ改メタカト云フ御
質問デアリマスガ、前御說明申上ゲタ通リ
ニ改メタノデハアリマセヌ、唯一年度限リ
ノ失業公債ヲ起スノデアリマシテ、是ハ特
例デアリマス、ソレカラ三千四百万圓ノ失
業公債ヲ起ス、ソレハドウ云フ譯カト云フ
コトデアリマシタガ、其三千四百万圓ト云
フ金ノ出テ來ル其根據ハ、共金ヲ以テ失業
救濟事業ヲ爲シ得ルコトガ出來ル其程度ヲ
見マシテ、三千四百万圓ト定メタノデアリ
マス(拍手)
〔政府委員橫山勝太郞君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=83
-
084・横山勝太郎
○政府委員(横山勝太郞君) 重ネテ申上ゲ
マスガ、豫テ御承知ノ通リ、臨時產業合理
局ハ國產品ニ對シテ容觀的ノ定義ヲ與ヘテ
居リマセヌ、隨テ絕對的ノ標準ヲ定メテ、
是ガ國產品デアル、是ハ國產品ニ非ズト云
フ取扱ヒハシテ居ラヌノデアリマス、併ナ
ガラ先刻來中上ゲマシタコトデ大體御分リ
デゴザイマセウガ、御互ノ經驗ト常議ニ依
リマシテ、是ガ日本品デアルカ、是ガ日本
品デナイカト云フコトハ極メテ明瞭デアリ
マス(拍手)併ナガラ是ガ資本ノ關係或ハ生
產費ノ關係其他ノ事情ニ依リマシテ、或
多少疑義ノ生ズル場合ガアルカモ仔ジマセ
ヌガソレハ商工省ニハ相當ノ專門家ガ澤
山居リママシ、ソレ等ノ人ノ審議、又國產
愛用委員會ナルモノモアリマシテ、相當ノ
權威者ガ居リマシテ、是等ノ人ガ相當ノ協
議ヲ致シマス、最後ニ商工大臣ガ決裁スレ
バ國產品デアルト致スノデアッテ、極メテ明
瞭デアルト信ジマス(拍手)ソレカラ外國
!
〔發言スル者多シ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=84
-
085・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 靜肅ニ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=85
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086・横山勝太郎
○政府委員(橫山勝太郞君)(續) 資本ノ問
題ニ對シテ重ネテ御質問ガアリマシタガ、
是モ亦明瞭デアリマス、半分ナラバドウト
カ三分ノ一ナラバドウト云フ標準ハ定メ
テ居ル譯デハナイノデアリマス、大體斯ウ
云フヤウナモノハ斯ウ云フ方針デ行ケバ
分ルト云フ目安ヲ私ガ申上タニ過ギナ
イ、隨テ此點ニ關シテハ、三分ノ二以上日本
ノ資本デアレバ之ヲ日本ノ產業品トスルト
カ、全部日本勞働者デナクチヤナラヌトカ、
或ハ重要ナ地位ヲ悉ク日本人ガ持ッテ居ラ
ナケレバナラヌト云フ標準ハ商工省デハ
定メテ居リマセヌカラ、臨機應變ニ依シテ
國產品デアルヤ否ヤノ標準ヲ定メル方針デ
アリマス、左樣御承知ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=86
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087・作田高太郎
○作田高太郞君 各案ニ對スル質疑ハ之ヲ
以テ終局セラレンコトヲ望ミマス
〔「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=87
-
088・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 質疑終局ノ動議ニ
御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=88
-
089・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ御異議ガアリマスカ-御
異議ナシト認メマス、仍テ作田君ノ動議ノ
如クニ決シマシタ-日程第八、右各案ノ
容査ヲ付託スベキ委員ノ選擧ヲ議題ト致シ
マス
第八右各案ノ審査ヲ付託スヘキ委員
ノ選擧発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=89
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090・作田高太郎
○作田高太郞君 右七案ヲ一括シテ、議長
指名二十七名ノ委員ニ付託セラレンコトヲ
望ミマス
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=90
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091・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 作田君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=91
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092・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 御異議ナシト認メ
マン、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、暫時休
憩致シマス
午後四時五十五分休憩
午後七時二十五分開議発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=92
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093・藤澤幾之輔
○議長(藤澤幾之輔君) 休憩前ニ引續キ會
議ヲ開キマス本日ハ最早定刻モ過ギマシ
タカラ、是デ散會致シマス、次囘ノ日程ハ
公報ヲ以テ御通知致シマス
午後七時二十六分散會
衆議院議事速記錄第四號中正誤
頁段行誤正
三七三一〇此年度二千此年度ニ千
万圓万圓
三七三一二千五百万圓一億五千万
圓
三七三三九五千五百万一億五千五
圓百万圓
衆議院議事速記錄第六號中正誤
頁段行
八三二九石井次郞君坂井大輔君寺
田市正君ヲ加フ
衆議院議事速記錄第七號中正誤
頁段行誤正
一四、一三一種一種二種ニ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=005913242X00819310129&spkNum=93
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