1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
簡易森林火災保險法案（小山邦太郎君外十七名提出）
穀類搗精製粉取締法案（荒川五郎君外二名提出）
穀類搗精製粉取締法案（山本莊一郎君外二名提出）
擔保附社債信託法中改正法律案（政府提出、貴族院送付）
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會議
昭和八年三月二十二日（水曜日）午前十時五十六分開議
出席委員左の如し
委員長 清瀬規矩雄君
理事 壽原英太郎君 理事 手代木隆吉君
菅野善右衞門君 金光庸夫君
宮澤裕君 坂東幸太郎君
栗原彦三郎君 小林かなえ君
同日委員杉本國太郎君辭任に付其の補闕として菅野善右衞門君を議長に於て選定せり
同日委員小林かなえ君辭任に付其の補闕として宮澤裕君を議長に於て選定せり
同日委員小山邦太郎君辭任に付其の補闕として坂東幸太郎君を議長に於て選定せり
同日委員宮澤裕君辭任に付其の補闕として小林かなえ君を議長に於て選定せり
出席政府委員左の如し
大藏省銀行局長 大久保偵次君
大藏書記官 大野龍太君
司法省民事局長 長島毅君
農林參與官 松村謙三君
農林省農務局長 長瀬貞一君
委員長の許可を得て出席したる者左の如し
議員 荒川五郎君
内務書記官 藤原孝夫君
北海道廳産業部長 奧田茂造君
本日の會議に上りたる議案左の如し
穀類搗精製粉取締法案（荒川五郎君外二名提出）
擔保附社債信託法中改正法律案（政府提出、貴族院送付）発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=0
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001・清瀬規矩雄
○〓瀨委員長 ソレデハ開會致シマス、本
日ハ擔保附社債信託法中改正法律案ヲ議題
ト致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=1
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002・金光庸夫
○金光委員 本案ニ對シマシテハ、前會ニ
於テ司法省ノ政府委員ヨリ提案ノ理由ノ御
說明ガゴザリマシタガ、大藏省ノ所管ニ重
大ナ關係ノアルコトデゴザイマスカラ、大
藏省政府委員ノ御說明ヲ伺ヒマシテ、尙ホ
貴族院ノ修正ニ對スル政府ノ御所見ヲモ伺
ヒタイト思ヒマス、其上デ質問致シタイト
思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=2
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003・大久保偵次
○大久保政府委員 只今金光サンカラ御尋
ノ大藏省關係ノ方面ダケヲ御答申上ゲタイ
ト存ジマス、今般御審議ヲ願ッテ居リマス
擔保附社債信託法中改正法律案ノ經濟上ノ
理由トデモ申シマスカ、其趣旨ヲ大體申上
ゲテ見タイト思フノデアリマスガ、此重ナ
ル點ノ第一ハ、社債ノ總額ヲ數囘ニ分チテ
發行スル制度ヲ採ッタコトデゴザイマス、御
承知ノ通リ社債ハ、第一順位ノモノニ付テ
ハ、一遍ニ發行スルト云フ規定ニナッテ居
リマスノヲ、今度ハ同一ノ一番抵當ト云フ
モノニ對シテ、數回ニ分ケテ發行ガ出來ル
ト云フ便利ノ方法ヲ考ヘタ譯デス、所謂米
國等ニ於ケル「オープン·エンド·モルトゲ
ージ」ト云フ制度ヲ採ッタノデアリマス、是
ガ經濟上ノ方面カラ見マシタル改正ノ重ナ
ル眼目デゴザイマス、其點ヲ主トシテ申上
ゲテ見タイト思ヒマス、此社債ノ總額ヲ數
囘ニ分チマシテ、同一順位ノ擔保權ヲ以テ
擔保セラレマス制度ヲ採用スルコトガ、ド
ウ云フ譯デ便利デアルカト申シマスト、經
濟界ノ實情ヲ見マスルニ、社債ニ依ル會社
ノ金融ハ近年著シク發達ヲ示シテ來テ居リ
マス、數字ニ付テ申上ゲマスト、御手許ニ
差上ゲテアリマス參考資料ノ「七」ト書イテ
アリマス、十四頁ノ所ニアリマス通リニ、
昭和七年末ニ於ケル社債ハ、一般社債ノ分
詰リ銀行社債ヲ除キマシテ、總額ガ三十一
億一千五百萬圓ニ上ッテ居リマス、最近十箇
年ヲ出デナイ間ニ倍額以上ノ增加ヲ示シテ
居ルノデアリマス、若シ之ニ銀行ノ發行シ
テ居リマス所ノ債劵ヲ加ヘマスト云フト、
其金額ハ同年末ニ於テ五十三億二千八百萬
圓ト云フ巨額ニ逹シテ居ル譯デアリマス、
而シテ是等ノ社債ノ中ニ、擔保付ノモノハ、
其表ニモアリマス所ハ、七億五千六百萬圓、
卽チ銀行債劵ヲ除ク一般社債ノ二割四分三
厘ヲ占メテ居リマスガ、擔保付社債ハ逐年
其總額ニ於テモ、又社債總額トノ割合ニ方
キマシテモ、漸次增加スル勢ヲ示シテ居ル
ノデアリマス、是等ノ擔保付社債ニ關スル
信託ヲ引受ケテ居リマス會社ハ、御手許ニ
差上ゲテアリマス所ノ參考資料ノ表ニ載ツ
テ居リマス通リニ、朝鮮殖產銀行ヲ除キマ
シン、現在二十九會社デアリマシテ、其公
稱財產ハ九億三千五百餘萬圓デアリマシ
テ、是等ノ會社ガ前ニ述ベマシタ七億五千
六百萬圓ニ及ブ擔保付社債、及ビ其他ノ色
色ノ委託ヲ受ケテ、社債事業ヲヤッテ居ル
ノデアリマス、然ルニ現行法ニ依リマスト
云フト、例ヘバ五百萬圓ノ價値ノアル公稱
財產ヲ擔保トシテ、先ヅ百萬圓ノ社債ヲ出
スト致シマスト云フト、其百萬圓ノ社債ハ
第一順位トナルノデアリマスルガ、其後ニ
發行セラレルモノハ如何ニ擔保餘力ガ十分
デアリマシテモ、第二順位、或ハ第三順位
ト云フヤウナコトニナラザルヲ得ナイノデ
アリマス、順位ガ下リマスト云フコトハ、
發行會社ニ取リマシテ甚ダ不利益ナ條件ト
ナルコトハ申スマデモナイコトデアリマ
ス、是ハ一例ニ過ギマセヌガ、要スルニ現
行法ガ數囘ノ社債ニ同一順位ノ擔保ヲ付ケ
ルコト、換言シマスト云フト、社債ニ一種
ノ根抵當ヲ付ケテ發行スルト云フ途ヲ認メ
テ居リマセヌ爲ニ、會社ノ金融ニ取リマシ
テ、尠カラザル不便ガ存スル譯デアリマス、
ソコデ本改正案ハ此點ニ付キマシテ、現行
法ヲ改正シヤウトスルノデアリマスガ、此
改正ヲ加ヘルコトノ利益ヲ〓略申上ゲテ見
マスト云フト、第一ニ會社財產ノ擔保力ヲ
有效ニ利用セシメ得ル點デアリマス、現行
法ニ依リマスト、前ノ例ニ申シマシタヤウ
ニ、百萬圓ノ社債ヲ出ス時ニハ、其擔保物
ガドレ程ノ値打ガアリマシテモ、次ニ出ス
モノハ二番抵當以下トナラザルヲ得ナイノ
デアリマスカラシテ、會社ト致シマシテハ、
會社財產ノ擔保ヲ有效ニ利用スルコトガ、
ドウシテモ十分ニ行キマセヌ、ソレデ會社
財產ヲ其發行額ニ應ジマシテ、適當ニ分割
シテ、各々別個ノ社債擔保ト爲ス必要ガア
ルノデアリマスガ、サウシマスト云フト、
各社債ニ付テ丁度適當トスル位ノ大キサノ
擔保ニスルト云フコトニナリマス、其擔保
ヲ分ケルト云フコトハ中々實際上困難デア
ルバカリデナク、會社財產ヲ斯ウ云フ風ニ
分割致シマスト云フト、著シク其擔保力ヲ
減殺スルコトニナルノデアリマス、然ルニ
此改正案ノヤウニ致シマスレバ、適當單位
ノ財產ヲ一括致シマシテ、將來發行セント
スル數個ノ社債擔保ニ供スルコトガ出來ル
ノデアリマスカラシテ、餘ス所ナク擔保力
ヲ活用シ得ルト云フ利益ガアルノデアリマ
ス第二ニハ一時ニ多額ノ資金ヲ必要トシ
ナイ場合ニ、此方法ハ大變ニ便利デアリマ
ス、會社デ一時ニ多額ノ資金ヲ集メル必要
ノナイ場合トカ、事業ノ進行ニ連レマシテ、
數個ニ分ケテ社債ヲ發行シタイト云フ風ナ
場合トカ、市場ノ狀勢ニ依ッテ一時ニ多額
ノ社債ヲ出スト云フコトヨリモ、數囘ニ分
ケテ出スト云フコトヲ有利トスル場合等ニ
ハ、此制度ハ大變便利ニ利用サレル譯デゴ
ザイマス、第三ニ社債ノ借換ガ便利ニナル
コトデアリマス、數個ノ無擔保社債ヤ、無
擔保ノ借入金ヲ順次ニ擔保付社債ニ變更シ
ヤウトスル場合ニ於キマシテハ、此改正案
ノ方法ニ依リマスレバ、借換ノ前後ニ拘ラ
ズ、擔保力ノ許ス限リ、總テ同順位ノ擔保付
社債トスルコトガ出來マス、又擔保付社債
ヲ借換ヘマス場合ニモ、或ハ賣換シ借換シ
テ、又ハ數囘ニ分ケテ借換ヲスルト云フヤ
ウナコトモ出來テ甚ダ便利トナルノデアリ
マス、本改正ニ依リマスト云フト、以上ノヤ
ウナ種々ノ利益ガ生ジマスノデ、發行關係
ノ民間會社、其他信託會社等ニ於キマシテ
モ、現行法ニ依ルト甚ダ不便ガ多イ、仍テ
斯ル改正ヲ加ヘテ欲イト云フコトガ多年ノ
間問題ニナッテ居ッタノデアリマスガ、何故
ニ我國ノ金融界及ビ事業界ガ此改正ヲ要望
シテ居リマスカト云フ理由ヲ繹ネテ見マス
ト云フト、其主ナルモノハ、第一ニ前ニ申
述ベマシタ通リ、近年會社ノ金融ガ、社債
ノ發行ニ依ッテ行ハレルト云フコトガ非常
ニ多クナリマシタ、而モ其社債ガ次第々々
ニ擔保付ニナル傾向ガ多イノデゴザイマ
ス、第二ニハ現在ノ事業會社ニハ數個ノ無
擔保社債、又ハ無擔保借入金ヲ合セ有シテ
居リマスガ、之ヲ擔保付社債ニ借換整理ス
ル必要ヲ痛感シテ居ル者ガ少ナクナイノデ
ゴザイマス、第三ニハ外國、是ハ主ニ米國
等ニ於キマシテ、社債ヲ募集スルニ當リマ
シテハ、改正案ノヤウナ方法ニ依ル必要ガ
非常ニ多イニモ拘ラズ、現行法ニ其途ガ備ッ
テ居リマセヌ爲ニ、不便ガ非常ニ多カッタ
ト云フ點モ少ナクナイノデアリマス、念ノ
爲ニ米國ニ於キマシテノ「オープン·エン
ド·モルトゲージ」、此制度ガドウ云フ風ニ
行ハレテ居ルカト云フコトヲ、大藏省ノ財
務官ノ方へ尋ネテ調ベサシマシタ所ガ、非
常ニ是ガ向フニ行ハレテ居リマスルノデ、
所謂電氣瓦斯等ノ如キ、「パブリックユーチ
リティー」ト稱シテ居リマスル方面デハ千九
百十年以後ハ發行ノ七割五分ト云フモノガ
之ヲヤッテ居ル、ソレカラ鐵道ト云フヤウナ
方面ハ殆ド此方法デヤラレテ居ル、是ガ非
常ニ都合好ク行ハレテ居ル事情ヲ色々說
明、調査致シテ來テ居リマス、斯ウ云フヤ
ウナ實例モアリマスシ、今直チニ此借換ト
云フ問題モ起リマスマイガ、從來モ此點ニ
付テハ幾多ノ弊ヲ感ジテ居ッタ關係モアリ
マスノデ、之ヲ要シマスルニ、本改正案ハ
以上申述ベマシタ如キ、種々ノ事情ヲ考慮
致シマシテ、其必要ヲ認メマシテ、本制度
ヲ採用スルガ極メテ時節柄大切ナコトデア
ラウト云フコトデ、御承知ノヤウナ提案ヲ
致シマシタ、之ニ關聯致シマシテ、現行登
錄稅法ニ相當之ニ順應シタル改正ヲ加ヘマ
シテ、又不動產登記手續-鐵道ニ關係致
シマスカラ、鐵道抵當法ト云フヤウナ方面
ニモソレ〓〓ノ適應シタル改正モ加ヘマシ
タヤウナ次第デゴザイマス、其主眼ト致シ
マス社債ヲ數囘ニ分チマス方ハソレデアリ
マスガ、其外ノハ極ク輕少ナ問題デアリマ
シテ、大體此前ニ司法大臣ヨリ申述ベラレ
タ通リ物上擔保ノ種類ヲ追加致シタノデア
リマス、其追加ノ第一ハ、漁業財團抵當ヲ
加ヘタコトデアリマス、是ハ大正十四年ノ
三月ニ法律制定ニ依ッテ漁業財團ガ出來マ
シテ、相當大キナ漁業財團モ豫想セラレマ
スノデ、此機會ニ之ヲ附加ヘタラ宜カラウ
ト云フ點デアリマス、第二ニハ自動車交通
事業抵當ト云フノデアリマシテ、是ハ昭和
六年ノ四月ニ法律制定ニナリマシテ、其當
時關係省ニ於キマシテハ、是非之ヲ擔保附
社債信託ノ改正ヲシテ貰ヒタイト云フ切ナ
ル希望ガ出テ居リマシタノデアリマス、併
ナガラドウモ工合ガ惡イノデアリマシテ、
此機會ヲ以チマシテ此中ニ附加ヘタイト思
フノデアリマス、御承知ノ通リ自動車交通
事業ハ段々制定ノ趣旨ヲ發揮シテ參リマシ
テ、本法ノ物上擔保中ニ之ヲ加ヘテ、其事
業ニ對スル金融上ノ便宜ヲ得セシムルト
云フコトガ極メテ大切デアラウト思フノデ
アリマス、殊ニ自動車交通事業ヲ兼營シテ
居リマスル鐵道又ハ軌道會社ガ、擔保附社
債ヲ發行スルト云フ風ナ場合ニ於キマシテ
ハ、斯ウ云フ風ナ今度ノ制度ノ改正ノ如キ
ハ殊ニ大キナ利益ガアルダラウト思フノデ
アリマス、斯ウ云フ風ナ方面ニ特ニ此利用
ヲ致サセタイト云フ趣旨デ追加致シタ譯デ
アリマス、削除致シマシタ輕便鐵道抵當ト
云フノハ、是ハ法律改正ノ結果ナクナリマ
シタカラ、條文整理ノ關係カラ之ヲ削ルニ
過ギナイノデアリマス、大體以上ノ趣旨ヲ
以チマシテ、經濟上極メテ有效デアラウト
云フ趣旨ヲ以テ此際提案致シマシタ次第デ
ゴザイマス、ドウゾ御諒承下サイマスヤウ
ニ御願致シテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=3
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004・長島毅
○長島政府委員 私カラ貴族院ニ於ケル修
正ノ經過ヲ大體申上ゲタイト思ヒマス、其
一ツハ六十七條ノ二ニ修正ヲ加ヘタ點デア
リマスガ、是ハ原案デハ、詰リ原則ト致シ
マシテ總テ社債權者集會ノ決議ヲ要スル
コトハ、全部此社債權者集會ノ決議ヲ經ベ
キモノデアル、唯數囘發行ノ場合ニ於テ、
詰リ、オープン·エンド·モルトゲージ」ノ場
合ニ於テ、或ル囘ダケノ社債權者ニ損害ヲ
及ボスヤウナ時ニハ、其社債權者ノ集會ノ
決議モ要ルノデアル、卽チ總テ社債權者集
會ノ決議ヲ要スルコトヲ原則トシ、全部ヲ
數囘ニ發行シタ場合ニ於テモ、其數囘ノ發
行ヲ通ジテノ社債權者ノ集會ノ決議ガ要ル
ノデアルガ、唯其間特ニ或囘ニ損害ヲ及ボ
ス場合ニハ其囘ダケノ社債權者ノ集會ノ決
議ガ要ル、例ヘバ或囘ダケノ利率ヲ下ゲル
ト云フ場合ニハ、其囘ダケノ集會ヲモウ一
ツ開クノダ、斯ウ云フコトニナッテ居リマ
シタノデアリマスガ、貴族院ニ於キマシテ
ハ或ル囘ダケニ損害ヲ與ヘテ、他ノ囘ニハ
何モ利害關係ノナイヤウナコトニハ總社債
權者ノ集會ノ決議ハ要ラナイヂヤナイカ、
例ヘバ或囘ダケノ利息ヲ下ゲル、或囘ノ社
債ダケノ利息ヲ上ゲルト云フヤウナ時ニ
ハ、他ノ囘ノモノニハ何モ利害關係ハナイ
ノダカラ、其時ニハ其囘ノ社債權者ノ集會
ダケガアレバ宜イノデ、總社債權者ノ集會
ハ要ラナイヂヤナイカト云フ說ガ出タノデ
アリマス、私共ハ起草ノ際ニモサウ云フコ
トヲ考ヘテ見タノデアリマスガ、餘リ規定
ヲ細カク致シマスト、却テ複雜ニナルト思ッ
テサウ云フ事ハ取止メタノデアリマスガ、
併ナガラ固ヨリ趣旨ニ於テハ決シテ反對デ
ハナイノデアリマスカラソレニ贊成ヲ致
シマシタ、サウ云フ結果カラ元ノ六十七條
ノ二ヲ六十七條ノ三ト致シマシテ、六十七
條ノ二ト云フモノヲ新タニ加ヘマシテ、結
局是ハ或囘ダケノ社債權者ニ利害關係ハア
ルノデアルケレドモ、他ノ囘ノ社債權者ニ
損害ヲ及ボサナイ時ニハ、其利害關係アル
囘ノ社債權者ノ集會ダケデ宜シイ、他ノ方
ノ總テノ社債權者ノ集會ハ要ラナイノデア
ルト云フ規定ヲ設ケタノデアリマス、是人
政府モ同意ヲ致シマシタ、其他ハ全部字句
ノ修正デ、而モソレハ同ジ方針ニ基イテ居
ル字句ノ修正ノ結果ガ、全部ニ響イタノデ
アリマス「社債カ其ノ總額ヲ數囘ニ分チ發
行スルモノナルトキ」ト云フ、斯ウ云フヤ
ウナ言葉ヲ原案、卽チ政府提案デハ用ヒタ
ノデアリマスガ、ソレハ總テ「社債ノ總額
ヲ數囘ニ分チ發行スル場合ニ於テ」ト云フ
風ニ直シテ貰ヒタイ、ソレハ例ヘバ十九條
ノ二ニー「社債ノ總額ヲ數囘ニ分チ發行スル
場合」トアル、ソレト字句ヲ合セテ貰ヒタ
イ、「社債カ其ノ總額ヲ數囘ニ分チ發行スル
モノナルトキ」ト云フヤウナ文字ヲ、全部
一致サセテモ宜イヂヤナイカト云フノデア
リマス、是ハ一體態ト用語ヲ使ヒ分ケタノ
デアリマスカラ、私共ハ決シテ之ヲ改正ス
ル必要ハナイト認メマシタケレドモ、併ナ
ガラ字句ノ問題デアリマスカラ、强イテ之
ヲ爭ッテ居ルト云フ遑モアリマセヌシ、又必
要モナイト認メマシタカラ、餘リ强イテ爭
ハナイト云フ意味デ同意致シタノデアリマ
ス、是ハ唯「社債カ其ノ總額ヲ數囘ニ分チ
發行スルモノナルトキ」ト云フノヲ、「社債
ノ總額ヲ數囘ニ分チ發行スル場合」ト云フ
風ニ直サウト云フ意味カラ、ズット文字ダケ
ヲ直シタノデアリマシテ、是ハ實質ニハ何
等關係ハゴザイマセヌ、是ダケデアリマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=4
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005・金光庸夫
○金光委員 此法案ハ洵ニ結構ナ時宜ニ適
シタ法案ト存ジマスガ、貴族院ノ修正モ御
說明ニ依ッテ、成程此修正ノ通リニスルコト
モ宜イト存ジマスガ、サウ致シマスト、六
十七條ノ三ハナクテモ宜イデハナイカト存
ジマス、例ヘバ「社債權者集會ノ決議カ或
ル囘ノミノ社債權者ニ損害ヲ及ホスヘキト
キハ」ト云フヤウナ場合ニハ、六十七條ノ
二ニ依ッテ「其ノ囘ノ社債權者ノ集會ノ決議
ヲ以ッテ之ヲ定ム」ト云フコトニナルノデア
リマスカラ、六十七條ノ三ハ不要ニ歸スル
ノデハナイカト存ジマスガ、政府委員ノ御
意見ヲ承リタイト存ジマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=5
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006・長島毅
○長島政府委員 洵ニ御尤ナオ尋デアリマ
ス、是ハ條文ノ字句ガ大變分リ惡クナッテ居
リマスガ、簡單ヲ欲シタ爲メ斯ウ云フ字句
ニナッタノデアリマス、兎ニ角六十七條ノ三
ハ分割發行ノ場合ノ社債權者ノ集會ハ、或
ル囘ノミノ社債權者ニ損害ヲ及ボス場合ヲ
言ッテ居ルノデアリマス、ソレハ六十七條ノ
二ガ詰リ其ノ他ノ囘ノ社債權者ニ損害ヲ及
ボサザル場合ダケヲ規定シテ居リマスカ
ラ、六十七條ノ三ハ其ノ他ノ囘ノ社債權者
ニ損害ヲ及ボスヤウナ場合デアリマス、例
ヘバ一律ニ辨濟期ヲ延バスト云フヤウナ事
柄ニ付テ、旣ニ或ル囘ノモノハモウ辨濟期
ガ來テ居ルト云フヤウナ時ニハ、其囘ダケ
ニ特ニ損害ヲ及ボシマスルガ、併ナガラ又
社債權者全體ニモ損害ヲ及ボシマスルカ
ラ、サウ云フ場合ニハ、先ヅ社債權者集會
ノ決議ガ要ル、ソレカラ特ニ利害ノ異フテ
居ル、損害ヲ受ケル或ル囘ノ社債權者ノミ
ノ集會ノ決議モ要ル、斯ウ云フ趣旨デアリ
マス、詰リ六十七條ノ三ハ他ノ囘ノ社債權
者ニ損害ヲ及ボス時ノモノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=6
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007・金光庸夫
○金光委員 私ハ素人デ法文ノ解釋ノ事ハ
能ク解リマセヌガ、文字其モノカラ見マス
レバ、「社債權者集會ノ決議カ或ル囘ノミノ
社債權者ニ損害ヲ及ホスヘキトキ」トアリ
マスカラ、或ル囘ノ社債權者ノミニ損害ヲ
及ボシテ、他ノ方ニモ及ボス場合ガアルト
云フ御說明ハ、一寸解リ兼ネマスガ、「或ル
囘ノミ」トアリマスコトカラ考ヘマスレバ、
六十七條ノ二ノ所謂「其ノ他ノ囘ノ社債權
者ニ損害ヲ及ホササル」ト云フノト同ジコ
トニナリハシマセヌデセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=7
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008・長島毅
○長島政府委員 ソレハ少シ字ガ足リナ
カッタカモ知レマセヌガ、結局六十七條ノ
二デハ或ル囘ノミノ社債權者ニ利害關係
ガアッテ、其ノ他ノ囘ノ社債權者ニ損害ヲ及
ボサヾル事項ダケヲ決メテアリマス、ソレ
デアリマスカラ、或ル囘ノ社債權者ニ害ガ
アリ、他ノ囘ノ社債權者ニ害ヲ及ボサナイ
時ガ、六十七條ノ二ニ出テ居リマシテ、ソ
レニ當ラヌ場合ヲ六十七條ノ三ハ言ッテ居
リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=8
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009・金光庸夫
○金光委員 第六十七條ノ二ハ「利害ノ關
係アリ」ト云フ、利ト云フ點ダケガ違フニ
過ギナイノヂヤナイカト思ヒマスガ、サウ
云フコトデハゴザイマセヌカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=9
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010・長島毅
○長島政府委員 六十七條ノ二ハ或ル囘ノ
ミノ社債權者ニ害ガアッテ、ソレカラ他ノ社
債權者ニ損害ヲ及ボサヾル方ガ六十七條ノ
二デス、ソレデ一般ニ斯ウ云フコトヲ原則
ニ置イテ考ヘテ戴クト解リ宜ウゴザイマ
ス、一體總テノ事項ハ、總社債權者ノ決議
ガ要ルト云フコトガ原則ニナッテ居リマシ
テ、其中デ先ヅ六十七條ノ一一デ、或ル囘ノ
ミノ社債權者ニ利害關係ガアッテ、他ノ囘ノ
者ニハ損害ヲ及ボサヾル場合ヲ先ヅ決メマ
シテ、其次ノ六十七條ノ三へ來マシテ、總
社債權者「プラス」或ル囘ノ決議ノ要ル場合
ハドウデアルカト云フト、ソレハ六十七條
ノ三デ、或ル囘ノ社債權者ニ特ニ損ヲ掛ケ
ル時ニハ、其囘ノ決議ガ要ルノダ、總社債
權者「プラス」或ル囘ダケノ決議ノ要ル時
ハドウ云フ場合ダト云フト、六十七條ノ三
デ、或ル囘ノ社債權者ダケニ損害ヲ及ボス
時ハ六十七條ノ二デアリマス、詰リ其囘ノ
社債權者ダケニ損害ヲ掛ケル場合、ソレカ
ラ其次ニ總社債權者ノ決議ガ要ルト云フ原
則ノ例外、卽チ總社債權者ノ決議「プラス」
或ル囘ノ社債權者ノ決議ト云フノガ六十七
條ノ三ニナッテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=10
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011・金光庸夫
○金光委員 六十七條ノ三ハ或ル囘ノミノ
社債權者ニ損害ヲ及ボスベキ事デアッテ、
「プラス」一般社債權者集會ノ決議ヲ要スル
ト云フヤウナ事項ダト云フヤウナ御話デア
リマシタガ、例ヲ擧ゲレバドウ云フヤウナ
事デアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=11
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012・長島毅
○長島政府委員 例ヘバ辨濟期ヲ一律ニ二
箇月ナラ二箇月延バス、斯ウ言ヘバマア總
テニ影響ノアルコトデアリマスカラ、總社
債權者ノ決議ガ要ル譯デアリマス、併ナガ
ラ或ル囘ノミハ辨濟期ガ來テ居ル、既ニサ
ウ云フノヲ延バスト抵當權ノ實行マデ延ビ
テシマフデスカラ、或ル囘ノミ特ニ損害ガ
アル譯デアリマス、サウ云フ譯デ總社債權
者ノ決議ノ外ニ、或ル囘ダケノ決議ガ要ル、
或ハ利率ヲ-サウ云フ事ガ實際アルカド
ウカ存ジマセヌガ、利率ヲ十分ノ一引ク、
サウスルト總テノ囘ノ其引ク割合ガ違ッテ
來ル、五分ノモノハ五厘引キ、七分ノモノ
ハ七厘引クト云フコトニナルト、全體ノ關
係デ、其決議ガ要リ、同時ニ各囘ニ利害關
係ガアルカラ、其囘ノミノ決議ガ要ル譯デ
アリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=12
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013・金光庸夫
○金光委員 サウスルト六十七條ノ一一ハ、
或ル囘ノミノ社債權者ニ利害關係ガ及ブノ
ミデ、其他ノ分ニハ實質上利害關係ガ及バ
ナイト云フコトニナルヤウニ存ジマスガ、
今ノ說明カラ推シマスト···発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=13
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014・長島毅
○長島政府委員 詰リ一律ニ辨濟期ヲ延バ
シマスト、總社債權者ノ辨濟期ガ延ビマス
カラ、全體ニ影響ガアル譯デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=14
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015・金光庸夫
○金光委員 ケレドモ實際問題トシテハ、
其一部ノモノハ旣ニ辨濟期ガ來テ居ルノデ
アルカラ、事實影響ハ無イ、利害關係ハ無
イ、斯ウ云フコトニナルト思ヒマスガ···発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=15
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016・長島毅
○長島政府委員 辨濟期ガ來テ居ルカラ、
尙更利害ガアル譯デアリマシテ、直グニデ
モ抵當權ノ實行ノ出來ルノガ出來ナクナッ
テシマヒマスカラ、餘計損ガアル譯デア
リマス、其囘ノミ特ニ利害關係ガアリマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=16
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017・金光庸夫
○金光委員 サウ致シマスト、利害關係有
リト云フコトニナルノデアリマスカ、他ニ
損害ヲ及ボサヾルデナク、利害關係有リト
云フコトニナルヤウニ思ヒマスガ······発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=17
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018・長島毅
○長島政府委員 其通リデアリマス、其囘
ニ損害ガアリマスカラ、其囘ノ決議ガ特ニ
要ル譯デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=18
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019・金光庸夫
○金光委員 能ク十分ニ呑込メマセヌケレ
ドモ、是ガアッテモ別ニ不都合トモ存ジマ
セヌカラ、此程度ニ止メテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=19
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020・清瀬規矩雄
○清瀨委員長 金光君、質問ハモウ宜シウ
ゴザイマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=20
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021・金光庸夫
○金光委員 マア能ク出來テ居ルト思ヒマ
ス、宜シウゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=21
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022・栗原彦三郎
○栗原委員 此改正ハ經濟界ノ實情ニ徵シ
テ必要ナルコトデアルト考ヘマスガ、一寸
御伺シテ置キタイノハ、擔保財團ノ見積
リ.或ハ社債ヲ許スト云フ場合ニ於テハ、
相當ノ御調査ガアルデアラウト存ズルノデ
アリマスガ、其調査方法內規ト云フノハ、
一體ドンナヤウナ方法ニナッテ居リマセウ
カ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=22
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023・大久保偵次
○大久保政府委員 只今ノ御尋ハ洵ニ實際
問題上重要ナ關係ノコトヽ思ヒマスノデス
ガ、大體擔保附社債ニ付キマシテハ、吾々
ノ方デハ免許主義ヲ採ッテ居リマス、誰デモ
彼デモ擔保附社債信託ヲ實行スル者ハ出來
ルト云フコトニナッテ居リマセヌノデ、御承
知ノ通リ此擔保附社債信託法ニ於キマシ
テ、峻嚴ナル規定ノ下ニ其缺格者ヲ除キマ
シテ之ニ許ス、現在擔保附社債ノ許サレテ
居ルモノハ、銀行會社ニ付テ、御手許ニ差
上ゲテアリマス通リ、極ク僅カノ數字ノモ
ノデアリマス、併ナガラ資產、信用等モ法
律ニ於テ許サレテ居ルノミナラズ、實際問
題ト致シマシテモ、非常ナ嚴選主義ヲ採ッ
テ居リマス、今御質問ノ御趣旨ニ含マレテ
居リマスル通リ、擔保ニ基イテ社債ヲ發行
シマシテ、其社債ヲ一般公衆ガ之ヲ有チマ
シテ、一般公衆ノ爲ニ擔保權ヲ信託ト言ヒ
マスカ、信託ニ依ッテ管理シテ居ル、斯ウ云
フ建前ニナッテ居リマスカラ、苟モ此擔保
附社債ヲ發行スル會社ト云フモノハ、非常
ナ立派ナ安心ノ行ケルモノデナケレバナラ
又、ソレデ法律ノ上ニモ、峻嚴ナル免許規
定ガ書イテゴザイマスガ、實際ニ於キマシ
テハ、尙ホソレヲ非常ニ嚴選致シマシテ、
御覽ノ通リニ非常ニ數ガ少クナッテ居ル譯
デアリマス、更ニ又一々ノ擔保ヲ測定致シ
マス時ニハ、ドウ云フ標準ヲ採ルカト云フ
御尋モ含マレテ居ルト存ジマス、是ハ實ハ
非常ニ痛シ痒シト申上ゲタイノデアリマ
ス、若シサウ云フ會社ガ一般公衆ノ利益ヲ
慮ルニ急ナル餘リ、餘リニ峻嚴ナル擔保ヲ
査定致シマシテ、其價値等ニ付テ非常ナヤ
カマシイ方法ヲ執リマスト云フト、社債權
者ハ成程安心スルカモ知レマセヌケレド
モ、金融ヲ受ケマス所ノ會社ト云フモノハ
堪ラヌダラウト思フノデアリマス、其處ガ
中々程合ノアル所デアリマシテ、擔保附社
債信託法ノ第十九條ノ九號ヲ引張リマシ
テ、第二十二條ノ第四號ニ「擔保ノ價格ヲ
知ラシムルニ必要ナル程度ニ於テ第十九條
第一項第九號ニ揭ケタル事項ノ〓要ノ表
示」ト云フコトヲ公〓サセルコトニナッテ
居リマス、一般社債權者ヲシテ、或ル程度
ノ其處ニ安心ヲ得サセルト云フ風ナ兩方面
カラ、是等ノ點ヲ見テ居ルヤウナ次第デゴ
ザイマス、併シ要ハ矢張之ヲ運用シテ居リ
マス所ノ會社ノ信用ト云フコトニナリマス
カラ、吾々ノ方トシテハ、擔保附社債信託
ヲ行フ會社ニ付テハ、非常ニ缺格ニ付テヤ
カマシク申シテ居ルヤウナ次第デゴザイマ
ス、左樣御承知ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=23
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024・栗原彦三郎
○栗原委員 此社債ニスベキ財團ヲ分割ス
ルト云フコトハ、會社側ニ於テ非常ナ利益
ガアリ、便利ノアルコトハ當然デアル、又
今ノ財界ノ狀態カラ其必要ガアルト云フコ
トヲ痛感致シマスガ、唯數囘ニ分割サセル
ガ爲ニ、其財團ヲヨリ良ク價格以上ニ評價
スルヤウナ憂ガナイカ、例ヘバ千ト云フモ
ノデアッテモ、之ヲ四ツニ分割シテ、三百宛
ニスレバ、千二百ノ割合ニナルト云フヤウ
ナ虞ガナイカドウカ、一ノ杞憂デアリマセ
ウガ、社債ヲ所有スル所謂資本家ノ側カラ
言ヒマスト、サウ云フ例モ多少ナイデハナ
イト思フノデアリマスガ、其點ヲ一寸御尋
シタイト思ヒマス、分割サレルコトニ依ツ
テ此財團ガ餘計ニ見積ラレハシナイカ、價
格以上ニ見積ラレル憂ハナイカドウカト云
フコトヲ伺ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=24
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025・大野龍太
○大野政府委員 發電所ト送電線トアリマ
ス場合ニ、送電線ノミヲ擔保ニ附スル、若
クハ發電所ノミヲ擔保ニ附スルト云フ風ニ
分ケマスト、實ハ擔保價値ハ非常ニ少ナイ
ノデゴザイマス、發電所ト送電線ト合セマ
シタ時ニハ、擔保價値ハ事實多クナリマシ
テ、財團ヲ組成セシムルト云フコトハ、全
體トシテ財團ヲ組成シテ居ル一個々々ノ
モノヲ集メルヨリモ擔保價値ガ多クナリマ
ス、是ハ原則デアリマス、デアリマスルカラ
個々ノモノヲ取ッテ見マスルヨリハ、全體ト
シテ價値ガ增シテ來ルト云フコトハ、是ハ
當然サウアルベキダト思ヒマスガ、御心配
ノ點ハ之ヲ更ニ一層從前ヨリモ餘計ニ見
積ッテ不確實ナルモノヲ擔保ニ附ケルト云
フ虞ガアリハシナイカ、ソレデハ一般ノ社
債權者ニ對シテ非常ナ迷惑ヲ與ヘルコトニ
ナリ、若クハ金融上却テ惡影響ヲ及ボシハ
シナイカト云フ所ガ御心配ノ點ダト考ヘマ
ス、大變御尤デアリマスノデ、殊ニ社債ヲ
數囘ニ亙ッテ發行スル場合ノ如キハ、一層其
弊害ガ多カラウト云フコトハ、十分想像ス
ルコトガ出來ル所デアリマス、サウシテ現
行法ノ、只今銀行局長ガ申シマシタヤウニ、
現行法デハ「擔保ノ種類、目的物、順位、
先順位ノ擔保ヲ附シタル債權ノ金額其ノ他
目的物ニ關シ擔保權者ニ對抗スルコトヲ得
ヘキ權利ノ表示」ト云フコトヲ受託會社ガ
調ベマス、サウシテ更ニ社債ヲ募集致シマ
ス時ニ、公〓ヲ致シマスト云フコトダケデ
ハ不十分デアルト云フノデ、今度提案致シ
マシタ改正法ノ中ニ更ニ「受託會社カ擔保
ノ價格ニ付調査シタル結果ノ表示」、一々數
囘ニ亙ッテヤルノデアリマスカラ、多少最初
ニ調査シタ時ト、其次ニ社債ヲ出シマス場
合ニ於ケル時間的ノ間隔ガゴザイマス、其
時ニ改メテ受託會社ガ擔保價格ニ付調査ヲ
致シマシテ、擔保餘力十分ナリト認ムルト
云フ確證ヲ得マシテカラ、發行サセルヤウ
ニ致シタノデアリマス、ソレカラ更ニモウ
一ツ此關係デ心配致シマシタノハ、數囘ニ
亙ッテ社債ヲ出スノデアリマスカラ、最初出
シマシタ時カラ十五年モ二十年モ經ッテカ
ラ、最後ノ社債ノ發行ヲスルト云フコトデ
ハ價値ノ下落モアリマセウシ、或ハ減價モ
アリマセウシ、會社ノ狀態モ變リマセウシ、
色々變化ガアリマスカラ、ソレデハイケナ
イト云フノデ、今度提出致シマシタ法律案
ノ第三十一條ノ二ヲ御覽ニナルト、「社債ノ
總額ヲ數囘ニ分チ發行スル場合ニ於テハ其
ノ最終ノ囘ノ發行ハ信託證書作成ノ日ヨリ
五年內ニ之ヲ爲スコトヲ要ス」ト云フ風デ、
信託證書ヲ作成シマシテカラ、五年內ナラ
バ大體ニ於テ擔保財產ノ價格ニ於テモ大ナ
ル變動ハナイト云フ積リデ、五年內ニ最終
ノ發行ヲスルト云フコトヲ決メマシテ、其
上デ更ニ其時々數囘ニ分ッテ發行スルノデ
アリマスガ、其度每ニ擔保財產ヲ調査致シ
マシテ、サウシテ受託會社ガ擔保價格ニ付
テ調査ヲスル、ソレダケノ愼重ナ手續ヲ執
ラセマスルカラ、大體ニ於テ痛シ痒シノ點
ハアリマスガ、ソコマデ制限ト申シマスカ、
愼重ナル態度ヲ執ラセルコトニ致シマス爲
ニ、御心配ニナルヤウナ點ハ餘程少クナッ
テ、是レ位ノ所デ十分ニ動キハシナイカト
考ヘテ居ル次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=25
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026・大久保偵次
○大久保政府委員 私耳ヲ惡ク致シテ居ル
ノデ、甚ダ失禮致シマシタガ、只今ノ點ハ實
際私等ノ方モ一番重キヲ置イテ調ベマシタ
點デアリマス、此制度ヲ最モ能ク利用シテ
居ル先程中上ゲマシタ米國ノ主トシテサウ
云フ點ヲ調ベテ見マシテ、大體ニ於テ皆弊
害ナク行ハレテ居ルト云フコトノ報告ガ來
テ居リマス、又受託會社ガソレ等ノコトニ
付キマシテハ非常ニ工合能クヤッテ居ルサウ
デアリマス、先程一寸米國ノコトハ申上ゲマ
セヌデシタケレドモ、御話ノ點等ニ付テハ受
託會社ガ能ク注意ヲシテヤッテ居ルト云フコ
トハ今後、今他ノ政府委員カラ申シマシタ通
リ、斯ウ云フヤウナ報〓ノ上ニサウ云フ風
ナ一種ノ何ト言ヒマスカ、指示ヲ與ヘマシ
テ監督ノ下ニ十分ヤラセマス、實際上米國
ニ於テ弊害ナク行ハレテ居ル、受託會社ガ
總テ都合好クヤッテ居ルト云フ風ナコトモ調
バッテ居リマス、ソレ等ノ方法ヲ能ク見マシ
テ、無論當業者モ皆練達ノ人ガ居リマスカ
ラ、ヤッテ吳レルコトヽ思ヒマスガ、吾々監督
ノ任ニ當ル者モ此點ニ付テハ、斯ウ云フヤ
ウナ數箇ノ標準ヲ示シテ居リマスカラ、實
際ニ於テ十分ニ外國ニ於テ弊害ナク行ハレ
ルト云フヤウナ工合ニ、實效ヲ納メタイト
思ッテ居ル次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=26
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027・壽原英太郎
○壽原委員 私ハドウモ擔保附社債信託法
ノコトハ能ク分ラヌノデ、或ハ的違ヒノコ
トヲ申上ゲルカモ知レマセヌ、此擔保附社
債ノ今度ノ改正ニ依ッテ根擔保ヲ設定シテ、
假リニ一千萬圓ノモノナラバ、最初ニ二百
萬圓發行ヲスルト云フヤウナコトニナッテ、
又其次ニ二百萬圓發行スルト云フコトニナ
ルダラウト考ヘルノデアリマス、此總額ヲ
根擔保シタ場合ニ於テハ、其信託會社ハ全
額一千萬圓ナラ一千萬圓ヲ、必ズ需要會社
ノ請求ニ依ッテ社債ヲ直グ發行ヲスルト云
フ義務ガ發生シテ居ルノカドウカト云フコ
トヲ聽キタイ、如何ナル大キイ會社デモ此
物上擔保デ社債ノ借金ヲシテ居ル外ニ、色
色ノ借金ガアル、茲ニ總額的ナ根擔保ヲ設
定サレタ場合ニ於テハ、其他ノ會社ニ對ス
ル債權者ハ非常ナ不利ナ位置ニ立チハシナ
イカ、餘リニ此擔保附社債權者及ビ信託會
社ヲ保護シ過ギヤシナイカト云フ虞ガアル
ノデアリマス、其點ニ付テハ其他ノ債權者
ノ債權ハ、如何ニシテ保護ヲサレルノカ、
尤モ一方ハ擔保ヲ附ケラレルト云フコト
ハ分ッテ居リマスケレトモ、根擔保ノ場合ヲ
想像スルト云フト、マダ二百萬圓シカ發行
シテナイカラ、殘リマダ會社ノ財產ハ八百
萬圓ノ値打ガアルカラ、玆デ信用デ融通ヲ
スルトカ、色々ニ債權者ハ考ヘテ金融ヲス
ルト云フヤウナコトニナルダラウガ、若モ
ソレガ一方ニ於テ先程御話ノアッタ根擔保
ノ分ガ、此物上擔保附社債ニ振替ヘルト云
フコトガ出來テ非常ニ便利デアルト云フヤ
ウナ御話ガアリマシタケレドモ、ソレハ其
信託會社ナリ、其擔保附社債ニ限ッテ振替ヘ
ラルベキモノデアッテ、一般ノ債權者ハ其恩
典ニ浴スルコトガ出來ナイヤウニ解釋セラ
レルノデ、是ハ餘リナ特典デハナカラウカ、
モウ一ツ御尋シタイノハ、之ニ依ッテ今度
不動產ノ擔保ノ登錄稅ガ非常ニ緩カニナル
ヤウデアリマスガ、此不動產ノ擔保ノ登錄
稅根擔保ニ對スル登錄稅ヲ免除サレルト
云フコトハ、一般ノ債權債務ノ根擔保ニモ
準用サレ得ルノデスカ、是モ擔保附社債信
託法ニ依ル根擔保ニ限リ其登錄稅ガ猶豫サ
レルト云フヤウナコトハ一般ノ貸借關係、
其他ニ於テ非常ナ不公平デアリ、又惡影響
ヲ來スト云フコトヲ心配スルノデアリマス
ガ、此點ニ付テ一ツ御說明ヲ願ヒタイト思
フノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=27
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028・大久保偵次
○大久保政府委員 壽原サンノ御尋ノ第一
ノ點カラ御答申上ゲマス、信託會社ニ數囘
ニ分ッテヤル制度ヲ認メルガ爲ニ、非常ニ恩
典ヲ與ヘルト云フ風ナ結果、或ル種ノ勢力
ヲ認メル結局需要會社等ハ其人ニ依ッテ金
融ヲ付ケザルヲ得ナイ、所謂金權ノ-金
融勢力ノ下ニ押ヘラレハシナイカト云フ心
配ガアルト云フヤウナ趣旨ノ御尋ダト思ヒ
マスガ、私等モ其點ニ付テハ實ハ非常ニ心
配ヲ致シタ譯デアリマシテ、今度ノ法律ノ
三十一條ノ三ト云フノガ御趣旨ノ點ニ關係
シテ居ル條文ナノデゴザイマス、元來擔保
附社債信託ノ契約ト、ソレカラ發行致シマ
ス所ノ引受ノ契約トハ、觀念上ハ別個ニ考
ヘテ宜カラウト思フノデアリマス、擔保附
社債信託法モ必シモ觀念上之ヲ同一ニシテ
居ル譯ヂヤアリマセヌノデ、一方ノ擔保ヲ
信託サレル所ノ所謂信託契約ト、個々ノ信
託契約ト云フ方面ト、ソレニ基イテ社債ヲ
發行スルト云フノハ必シモ引受ケタ會社デ
ナクトモ宜シイ、今ノ法律ニ於テモ第三者
ガ總額引受若クハ分割引受ヲスルヤウナ規
定ガ出來テ居リマス、殊ニ今度ノ如ク數囘
ニ分ケテヤリマス場合ニハ、第一囘ハソレ
ヂヤ俺ガヤラウ、第二囘以後ハ他ノ者ガヤ
ラウト云フヤウナ引受契約ハ、時ノ金融事
情ニ依リ、金ノ工合ニ依ッテヤッテ行ケルト
云フ途ハアリマスガ、併ナガラ今仰セノ通
リ擔保ヲ一旦設定セラレマシテ、ソコニ信
託契約ガ出來テ、或ル種類ノ信用關係ガソ
コニ出來テ居リマス以上ハ、押へラレ氣味
ニナルト云フ風ナ御心配ハ至極私ハ御尤ダ
ト思フノデアリマス、私等モサウ云フ風ナ
點ノ爲ニ、初囘ハ-初囘モ問題ハ起リマ
セウガ、多クノ場合ニ於テ二囘、三囘、四囘
ト云フヤウナ方面ニ於テ受託會社ニ始終頭
ヲ押ヘラレテ、需要會社ノ信用ガ金權ノ爲
ニ屈從スルト云フヤウナ形ニナッテ居ッテハ
非常ニ工合ガ惡イ、ソレハ今マデノ法律ノ
豫見セザルコトデアリマス、ダカラ此點ハ
特ニ考ヘナケレバナラヌト云フコトデ、理
論上ハ今マデモ其點ハ考ヘテ居ナカッタ譯
デモナイノデス、併ナガラ實際上ハ數囘ニ
分ケマスト云フコトニナル以上ハ、其弊害
ガ一層强クナルト云フ風ニ考ヘラレマスノ
デ、玆ニ三十一條ノ三ノヤウナ規定ヲ設ケ
マシタ、一寸讀ンテ見マスト、「社債ノ總額
ヲ數囘ニ分チ發行スル場合ニ於テ未タ發行
セサルモノアルトキハ委託會社ハ受託會社
トノ契約ヲ以テ社債ノ總額ヲ其ノ既ニ發行
シタル額ニ至ルマテ減額スルコトヲ得受託
會社ハ正當ノ事由ナクシテ契約ノ締結ヲ拒
ムコトヲ得ス」詰ル所、第一囘デ以テ抑ヘ
しや、ソコニ決メルコトガ出來ルト云フヤ
ウナコトヲ設ケマシタ所以デアリマス、是
等ノ趣旨ニ付テハ、全ク仰セノヤウナ心配
ヲ以テ設ケマシタノデ、之ヲ以テ稍〓双方ト
モ公平ヲ得ルノデハナイカト考ヘテ居ル次
第デアリマス、第二ノ點ノ登錄稅ノ方ノ問
題デアリマスガ、書キ方ガ少シ拙ナイノデ
アリマス、今ノ御疑問ハハッキリ致シマセ
ヌデシタガ、事實取ラナイト云フノデハナ
イノデス、信託會社ガ發行致シマス時ニ、
最初根抵當見タイナモノヲ設定致シマシ
テ、五百萬圓ナラ五百萬圓ト云フモノハ、
發行スルト否トニ拘ラズ登錄稅ヲ一時ニ納
メナケレバナラヌト云フノガ今マデノ遣方
デアリマス、所ガ發行シナイデ濟ムカモ知
レマセヌ、サウ云フ場合ニ五百萬圓ニ對ス
ル登錄稅ヲ課ケサセルコトハ、餘リニ酷ヂ
ヤナイカト云フコトデ、發行ノ都度課スル
ト云フコトニ之ヲ改メマシタ、取ラナイノ
ヂヤナクテ、正當ノ理由デ取ルト云フ建前
ニシテ居リマス、御尋ノ末ノ方ニアリマシタ
ヤウニ、成程今ノ一般ノ當座取引ニ對シテ
ハ、權衡ヲ得ナイヂヤナイカト云フ御趣旨
ガ含マッテ居ルヤウニ思ヒマスガ、確ニ其點
ハアリマス、私共モ其點ハ餘程關係ノ稅ノ
方面トモ相談致シマシタ、此法ハ銀行ノ當
座取引ト違ヒマシテ、金額モ非常ニ大キナ
モノデアリマス、實際問題トシテハ今申上
ゲマシタ通リ、何億ト云フ金額デアリマス、
銀行ニ僅カバカリノ不動產ヲ持ッテ行ッテ借
ルト云フノト違ヒマス、ノミナラズ斯ウ云
フ風ナ法規ニ基キマシテ、嚴格ナル監督ノ
下ニ一々發行シテ行キマス、其發行ノ都度、
今度ノ法律ノ改正ニ於テ明ニ此會社ハ幾等
發行シタト云フコトガ分ルヤウニ今度ナル
譯デアリマス、ソレデチヤント發行シタ都
度每ニ之ヲヤッテ行ク、僅カナモノヲ當座取
引ノ如クニ、出シタリ入レタリスルヤウナ
場合ニ於テハ、是ハ已ムヲ得ヌカラ全額ノ
制度ヲ採リマスガ、今度ノヤウナ登記ノ上
ニ於テモ公明正大ニヤラナケレバナラズ、
額ガ非常ニ多額ニ上ルト云フ風ナ場合ニ
ハ、明ニソレニ適フヤウナ法律ヲ設ケタラ
宜カラウト云フコトデ、公正ナル方法ニ於
テ徴稅ヲスル、斯ウ云フヤウナ趣旨ニ致シ
マシタ、書キマシタ趣旨ハ、多少誤解ヲ懷
クヤウナ文句ガ現レテ居ルヤウデスガ、能
ク此法律ノ文句ヲ御覽下サイマスト、發行
シタ都度ニ必ズソレダケノ額ヲ課スルト云
フ風ニナッテ居リマスカラ、最モ是ハ公正ナ
方法デアルト思フノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=28
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029・壽原英太郎
○壽原委員 只今ノ御說明デ諒承致シマシ
ク、ドウモ根擔保主義ハ、物上擔保社債權
者及受託會社ニ特權ヲ與ヘ過ギラレハシナ
イカト云フコトヲ窃ニ憂フル、例ヘバ擔保
物件ガ價値ヲ段々失ウタ場合ヲ考ヘタ時ニ
於テ、一千萬圓デ決メテ居ッタガ、五百萬圓
出シタケレドモ、ドウモ擔保價格ガ下ッテ
來タカラ、後ハ貸セナイト云フコトモ出來
ルト共ニ、社債權者ハ有利ニ、利息其他ヲ
其擔保ノ處分ニ依ッテ十分取ルコトガ出來
ルケレドモ、其物上擔保權者以外ノ他ノ債
權者ハ、根擔保ニマダ是ダケシカ發行シテ
居ナイカラ、會社ヲ十分信用シテ融通シテ
ヤルコトガ出來ルト云フヤウナコトデ、債
權者ヲ非常ニ苦シメルモノデハナイカト云
フコトヲ案ゼラレルノデアリマス、併シ大
體ノ此改正案ハ、洵ニ結構ノヤウニ思フ、
同時ニ是ハ借入會社ニ取ッテモ、受託會社ニ
取ッテモ、洵ニ便利ナ方法デアルト考ヘラレ
ルノデアリマス、唯私ハ其他ノ債權者ノ權
利ヲ餘リニ侵害シハシナイカト云フコトヲ
心配シテ御質問致シタ次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=29
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030・金光庸夫
○金光委員 第十九條ノ五ノ規定ニ於テ各
社債ノ金額ヲ制限シタノハドウ云フ必要カ
ラデゴザイマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=30
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031・長島毅
○長島政府委員 是ハ初メニハ詰リ分割發
行ノ場合ヲ想像シテ居リマセヌモノデスカ
ラ、第十九條ノ二項ニ「各社債ノ金額ハ均
一ナルカ又ハ最低額ヲ以テ整除シ得ヘキモ
ノナルコトヲ要ス」トアリマシタガ、今度
ハ分割發行ノ場合ガアルモノデスカラ、之
ヲ唯置イテ置キマスト、各囘每ニ第十九條
ノ二項ニ據ルノダト云フコトノ虞ガアリマ
スカラ、數囘ニ分ッテ發行シテモ、全體ニ付
テ均一デナケレバナラヌカ、又ハ最低額デ
整除シナケレバナラヌモノデアル、全體ノ
社債權者總會ヲ開キマス場合、其時ノ議決
權ノ中ノ數ヲ勘定スル爲ニ困リマスカラ、
ソコデ總社債デ抑ヘルト云フ爲ニ、第十九
條ノ五ヲ揭ゲマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=31
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032・清瀬規矩雄
○〓瀨委員長 若シ御質問ガナケレバ質問
ヲ打切マスガ、宜シウゴザイマスカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=32
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033・清瀬規矩雄
○淸瀨委員長 ソレデハ本案ニ對スル質問
ヲ打切リマシテ、何レ各黨トモ黨ニ諮ラナ
クテハナラヌト思ヒマスカラ、本日ハ午後
ハムヅカシイノデスガ、出來ルナラバ明日
ノ午前位ニ決ヲ採リタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=33
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034・壽原英太郎
○壽原委員 午後ニ委員會ヲ續イテ開イ
テ、他ニ併託サレテ居ル案ノ審議ヲ進メテ
戴キタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=34
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035・手代木隆吉
○手代木委員 出來ルナラバサウ云フコト
ニ御願シタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=35
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036・清瀬規矩雄
○淸瀨委員長 ソレデハ午後一時半頃カラ
開クコトニ致シマス、暫ク休憩致シマス
午後零時一分休憩
午後一時五十分開議発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=36
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037・清瀬規矩雄
○淸瀨委員長 ソレデハ開會致シマス、穀
類搗精製粉取締法案ヲ議題ト致シマスガ、
先ヅ以テ提案者ノ提出ノ理由ヲ承ルコトニ
致シタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=37
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038・荒川五郎
○荒川五郞君 穀類搗精製粉取締法案ハ、
其理由書ヲ御讀ミ下サレバ要旨ハ分ルコト
ト思ヒマスシ、又此案ノ上程ノ際モ大要ヲ
述ベテ置キマシタノミナラズ、私ハ日本ノ民
族ノ力ガ日ニ日ニ衰へテ弱クナリツヽアル
コトヲ、是ハ現前ノ事實ニ卽シテ洵ニ憂慮
ニ堪ヘマセヌノデ、多年深ク其〓究ニ沒頭
シマシテ、其因ヲテ來ル三ツノ大キナ弊害
ヲ切論シテ、長イ理由書ヲ出シテ置キマシ
タ、其中ノ一項ニ、國民全體ガ榮養缺損ノ
爲ニ、悉ク身體機能ヲ萎微消耗シツヽアル
次第ヲ述ベテ置キマシタカラ或ハ旣ニ諸君
モ御一讀下サッタコトデアラウシ、尙ホ昨日
玄米普及ニ盡力シテ貰ヒタイ、是ハ政府ノ
ヤラルベキモノデ、一個人ニ委スベキモノ
デハナイ、政府ガ全力ヲ擧ゲテヤラナケレ
バナラヌ、何卒大ニ努力シテ貰ヒタイト云
フ國民幸福ノ爲メノ請願、是ハ今現ニ玄米
ノ普及ニ熱心ニ盡力中デアル東京榮養研究
會ノ會長官腰彥三郞氏ガ請願シテ居リマ
ス、私ハ其請願ヲ昨日紹介說明シマシタ、
斯樣ニ各方面デ說明モシテ居リマスシ、賢
明ナル皆サンノ前デ、長時間ヲ御割愛願ヒ
マスノモ、此會期切迫ノ場合ニ相濟マヌ
ト思ヒマスカラ、極メテ大切ナ所ダケヲ、
成ベク手短ニ申上ゲタイト思ヒマス、是ハ
我ガ日本民族ノ將來ニ極メテ重大ナ意義ヲ
持ツ最モ大切ナコトデアリマシテ、是等ノ
コトニ常ニ念々心ヲ置カレル愛國熱誠ナ委
員諸君ニ、短時間デモ切ニ御〓聽ヲ希望ス
ル次第デアリマス
穀類ヲ搗イテ磨キ精ゲタ、卽チ搗精淘洗
シタ白米ハ、玄米ニ比シテ大切ナ滋養量ヲ
多ク減損スル、其中デ脂肪量ガ減ジテ、約
十分ノ一ニナリ、又無機分デアル燐、「カリ
ウム」「マグネシューム」「カルシューム」鐵
等ハ二分ノ一、甚ダシキハ三分ノ一ニ減ジ
マス、又「ヴィタミン」ノA、B共ニ絕對
皆無ニナリマス、隨テ是等榮養分ノ補足ハ
生理的自然ノ要求上、是非他ノ副食物ヲ以
テ補ハネバナリマセヌカラ、自然ノ必要上、
脂肪ヤ、蛋白質ニ富ム肉食、又ハ脂類ヲ多
ク要求スルヤウニナリマス、其不經濟ヲ自
ラ求メテ冒サネバナリマセヌガ、唯此不經
濟ノ損失ダケト云フノナラバ、ソレハ自ラ
招ク損失デアルカラ、自ラ忍ベバ宜イヤウ
ナモノヽ、唯此不經濟ノ損失ニ止マラナイ
デ、其以上ニ身體衞生ノ上ニ對シテハ、肉
類ヲ多ク攝取スル時ハ、其結果ハ多クハ酸
過剩ニナルカ、又ハ「アルカリ」缺乏ノ害
ヲ受ケマス、又一方ニ於テハ蛋白質ガ過剩
ニナル爲ニ、諸種ノ自家中毒ノ害ニ罹ルノ
ミデナク、脂强イ肉類、脂類ヲ慾求スル自
然ノ結果トシテ、淡白ナ野菜類ヲ嫌フヤウ
ニナリマスカラ、隨テ「ヴィタミン」C、
D.Eノヤウナモノヤ、必要ナ「アルカリ」
ヲ身體ニ攝ルコトガ出來ナイコトニナリマ
ス、是等ノ害ハ實ニ見逃スコトノ出來ナイ、
國民ノ榮養發達ノ上ニ與ヘラルヽ損失障碍
ハ、極メテ甚大ナモノデアリマシテ、爲ニ
今日ノ國民ハ總テノ者ガ誰人モ皆輕カレ、
重カレ等シク多少ノ白米中毒ニ侵サレテ、
所謂白米病ニ罹ラナイ者ハナイノデアリマ
ス.ソレデ此白米ノ斯樣ナ不利不衞生ノ甚
シキコトハ、博士專門家ノ悉ク認メル所デ
アリマシテ、此點ハ玄米禮讚者ノミデハナ
クシテ、七分搗或ハ胚芽米ヲ主張スル者デ
モ同ジデアリマス、蓋シ旣ニ白米ガ宜ク無
イトスル以上ハ、全クノ白米デアル全白ハ
全害デアリマセウ、半搗ノ半白ハ半害デア
ルト云フ道理デアリマスカラ、五分搗デ
モ、七分搗デモ、孰レモ精白ノ程度ニ應ジ
テ、ソレ〓〓精白度ノ違フダケ、ソレダケ
不利不榮養タルコトハ疑ノナイコトデアリ
せて、今國民榮養、殊ニ白米中毒等ニ關シ
テ、特ニ熱心ニ〓究セラレテ居リマスル高
龜良樹博士ノ國民榮養講座、竝ニ平石貞市
氏ノ〓究セラレタル「白米病ニ付テ」又戶
出軍兵博士ノ「白米亡國論」ト云フヤウナ
モノニ書イテアリマスル所デ、白米病ニナ
リツヽアル症狀ヲ列擧シテアルノヲ見マス
ルト
全身ガ何トナク倦怠ノヤウナ感ジガ
シテ仕事ガ厭ニナル
二、氣分ガイラ〓〓シテ來テ一寸シタコ
トニモ腹立タシクナル
三、落付ガナクナリ氣力魂氣ガ續カナ
イ
四、便祕シテ來テドウモ腹ノ工合ガ惡
イ
五、頭ヲ押ヘラレルヤウナ氣ガシテ憂欝
二·アル
六、兎角居眠リハ多クスルガ、サレバト
テ靜ニ寢付カレナイ
七、考ヘルコトガ纒ラナイデ取留メモナ
ク空想ニ浸タル
八、嗅覺ガ非常ニ銳敏ニナリ、其代リ口
腔ガ何トナク乾燥スル症候
九、決斷ガ付カナイデ自然頭ガボットシ
テ來ル
十、一寸シタ物音ニモビクットシテ物ニ
驚キ易クナル
斯樣ナ自覺症狀ヲ世人ハ誰モ、人間ハ誰
デモ疲レテサウナルノダラウト云フヤウニ
考ヘタリ、或ハ腸胃ガ惡イ、肺ガ惡イカ
ラ、斯ウナルノダラウト、多クハ自然的ノコ
トト考ヘラレテ居ルヤウデアリマスガ、是ハ
皆白米病ノ一種ノ現ハレデアリマス、サウ
シテ其結果ガ各人ノ身體ノ態容如何ニ依ッ
テ、或ハ脚氣ニナルノモアリ、肺疾ニナル
者モ、又痔ニナル者モアリ、肋膜ニナルノ
モアル、色々其人々ノ體質ニ依ッテ違ヒマ
スケレドモ、甚シキハ諸種ノ重イ病氣ニナ
ルノデアリマス、斯樣ニ凡ソ總テノモノハ
所謂其平ヲ得ザレバ鳴ル道理デ、食物モ適
當且ツ完全デナケレバ、卽チ〓物的ノ平ヲ
得ナケレバ、健康ヲ損フト云フコトハ勿論
デアリマス、健康ヲ損ヘバ氣分モ勝レナ
イ、氣分モ常ニ快適ナラズシテ、自然ニ精神
モ亂レテ來ルヤウニナルノハ當然デアリマ
ス、是ニ於テ自然或ハ偏屈ニナッタリ、憂鬱
ニナリ、不平ガ多クナリ、人ト調和セズ、
遂ニハ思想的ニモ偏スルニ至ル者ガ出マシ
テ、彼ノ危險思想ノ如キモ、此〓物身體ノ
影響カラ來ルモノガ少クナイト存ジマス
ル
然ルニ斯樣ニ白米中毒ニ侵サレル者デ
モ、是ガ玄米ノ完全食ニ還レバ、又容易ニ
精神身體モ自然的ニ恢復シテ安定スルコト
ハ、實ニ有難イ極ミト申シマセウカ、眞一
天ノ恩惠ノ鴻大ナルニ、感激セザルヲ得マ
セヌ、今日デハ、既ニ病氣ダラケノ癈人同樣
ノ者デモ、玄米食ニ救ハレテ健康ニ甦生シ
タ顯著ナ適例ハ幾ラモアリマシテ、敢テ贅
言ヲ要シマセヌガ、此處ニ齋藤總理大臣ノ
如キハ、内外重大ナ此國家問題ヲ頭ニ有ッテ
居ッテハ、夜寢テモ眠付カレナイコトガ屢
アル、ソレデモサシテ疲勞ヲ覺エズ、兎
ヤ角斯ウシテ續ケテヤッテ行ッテ居ルノハ、
全ク玄米ノ御蔭デアル、玄米ハ誠ニ體工合
ガ善イト話シテ居ラレマス、旁〓今日ハ此
委員會ノ開カレル時分ニハ、總理大臣ニ出
席シテ貰ヒタイト云フコトヲ、今朝要求シ
タノデアリマスガ、今朝ハ此法案ノ會議ガ
ナイト云フコトデ、ソレデ又斷リヲ申入レ
マシタ、然ルニ今俄ニ此會ガ開カレマシタ
カラ、御出席ヲ求メル手續ニ及ンデ居リマ
セヌ、又玄米食ノ偉勳者二木謙三博士ノ如
キハ、到底今日ノ命ヲ保ツトハ思ハレナカッ
タ程デアリマス、其人ヲ診タ醫者モ、學校
ノ先生モサウ思ッタ程デアルノニ、其病弱ノ
身ガ、今日ノ如ク壯健デアノヤウニ活動ヲ
セラレルヤウニナラレタノデアリマスガ、
ソレハ博士ガ〓究ニ〓究ノ上ニ、玄米食ニ
結論シテ、之ヲ實行シタ結果、アノヤウニ
身體ヲ改造シテ、斯ク今日活動シテ居ラレ
ル、又二萬人ニ近イ多クノ從業員ヲ皆玄米
黨ニシテ、サウシテ彼等ノ多クノ者ニ、ア
ア何時ノ間ニカ腸胃ガ良クナリマシタ、イ
ヤ驚ク程睡眠時間ガ減ッテ、仕事ガ多ク能ク
出來ルヤウニナリマシタ、又何時ノ間ニカ
便通ガ良クナッタ、イヤ氣分ガ爽カニナッタ
等、是等ノ多クノ從業員ヲ喜バセツヽ、サ
ウシテ能ク働カーシテ仕事ノ能率ヲ擧ゲツ
ツ、現ニ其會社ハ半期々々ニ、現在デモ經
費四萬圓バカリノ節約ヲ得ツヽアルノハ、
京都綾部ノ郡是製絲會社デアリマス、是ハ
其片山專務ノ夫人ガ、サシモニ酷イ長イ病
氣デ、腸胃モ惡イ、身體中惡イ、殆ド常ニ
寢テ居ルト云フヤウナ病身カラ意外ニモ此
玄米食ニ救ハレタ、其爲メ此實物〓示デ此
郡是製絲會社ハ二萬人ニ近イ從業者職工
ガ、皆今立米黨ニナッテ居ル、サウシテ今申
シタヤウニ會社モ利益ヲ擧ゲ、人々モ喜ン
デ居ルノデアル、斯樣ナ次第デ、何トシテ
モ吾々ノ常食ハ之ヲ玄米ノ古ニ復スルコト
ガ實ニ直前喫緊ノ急務デアリマス、節約ト
健康ト二ツナガラ簡單ニ、且ツ容易ニ得ラ
レル以上ハ、此我ガ國家ヲ救ヒ、時局ヲ救
フ第一ハ、實ニ此玄米食ノ普及ニ努力スル
ニアリト信ジマスル、尙ホ序ニ申上ゲマス
ガ、世間ニハ半搗米、胚芽米等ノ禮讚者
モ相當ニ多イノデアリマスガ、併シ食物ノ
最モ大切ナノハ、新鮮ナ物ト云フコトデア
リマス、新鮮ナコトガ第一ノ重要點デアリ
マス、野菜デモ、魚デモ、時日ヲ經過シタモ
ノハイケマセヌ、新鮮ナモノヲ必要トシマ
ス、卽チ生キノ良イモノ程榮養ノ値ガ多イ
ノデアリマス、鰻ヤ鰌ガ滋養ガ良イト言ヒマ
スノモ、鯉ノ生作リトカ、鼈ノ生血ヲ飮ム
ト藥ニナルト云フコトモ、皆生キノ良イ所
ニ效能ガアルノデアリマス、而シテ玄米ハ
生キテ居リマス、玄米ハ水ニ漬ケテ置ケバ
芽ガ出ルヤウニ生キタ力ガアリマス、然ル
ニ之ヲ搗ケバ、搗クト云フコトノ爲ニ死ニ
マス、假令半搗デモ、旣ニ搗カレタ以上ハ
生命ヲ失ウテ死米トナリマスカラ、死ンダ
米ハ搗イタ當座ハマダ生キノ良イモノト言
ヘマセウガ、日ヲ經ルニ從ッテ自然ニ生キ
ガ惡クナリ、遂ニハソレガ變質シテ來ルノ
デアリマス、米ヲ精白シテ幾日モ置キマス
ト、變質シテ、ソレガ中毒ヲ起シ、白米病
ノ原因ヲ爲ス、野菜デモ之ヲ採ッテカラ幾
日モ棚曝シニシタリ、鰻デモ殺シテ何日モ
置イタモノハ效ガ乏シイヤウニ、生キヲ失
フ、榮養價値ヲ失フノミナラズ、變質シテ
毒性化スルノデアリマスカラ、機械デ米ヲ
搗クト云フコトハ、庖丁デ鰻ヲ切ルト云フ
コトヽ同ジニ、殺スノデアリマスカラ、殺
シタモノヲ何日モ其儘ニ置イテ、ソレデ新
鮮デアリ、生キガ良イト云フコトハアリヤ
ウハナイ、斯樣ナ次第デ、混砂ヲスルト否
トニ拘ラズ、搗クト云フコトガ、卽チ殺ス
ノデアル以上ハ、搗粉ト云フコトハモウ旣
ニ問題デナク、一日モ早ク玄米ニ復ルト云
フコトガ必要デアリマスガ、併シ物ニハソ
レ〓〓順序モアリマス、多年ノ習慣ヲ一朝
ニシテ改メルコトハ、普通ノ人情トシテモ
困難デアル以上ハ、先ヅ搗粉ノ害ダケデモ
之ヲ除イテ、其不合理、不經濟、不衞生ヲ
減ジタイト云|フノガ本案ノ要旨デアリマ
ス何卒我ガ民族ノ素質ヲ向上改善シテ、
隆々タル國運ノ進步ヲ圖ルヤウニ御心懸ケ
下サル、憂國ノ皆サンノ御〓究、御盡力ヲ衷
心ヨリ御願致ス次第デゴザイマス、以上此
案ヲ提出シマシタ要旨ヲ述ベテ、尙ホ諸君
ノ一々ノ御質問ニ對シテ或ハ十分ノ御答ハ
出來ナイコトモアリマセウガ、大正四年カラ
私ハ此玄米ノ〓究ヲ致シマシテ、非常ニ其
大切サヲ認メ、大正八年ニ玄米食普及ノ建
議案ヲ出シ、其後モ一囘出シテ居リマスノ
デ、私トシテハ熱心ニ永年心ヲ留メテ居リ
マスカラ、私ノ知ッテ居ルコトダケハ十分
ニ御聽キヲ願ヒマシテ、サウシテ一段ト皆
樣ノ御配慮ヲ願ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=38
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039・壽原英太郎
○壽原委員 只今荒川先生カラ本案提案ノ
理由ヲ巨細ニ拜聽致シマシタガ、併シドウ
モ御話ハ殆ド玄米食制定法ヲ提出セラレタ
觀ガアルノデ、私ガ是カラ本案ニ付テ御質
問スルコトヽハ、大分隔リガアルコトヲ殘
念ニ思フノデス、此玄米食ノ鼓吹ニ付キマ
シテハ、先程カラ御話モアリ、又吾々モ荒
川先生ガ多年此奬勵ニ對シテ御努力ヲ遊バ
サレタコトニ付キマシテハ、滿腹ノ敬意ヲ
表スルノデアリマス、此問題ニ付テハ此間
モ洵ニ廣汎ナ質問ヲ拜見シテ、非常ニ感心
シタ一人デアリマス、本員モ此玄米食ト云
フコトニ付キマシテハ、二十年前カラ、先
程御話ノアッタ國家ノ經濟上、又衞生上ノ見
地ヨリ、是非白米食ヨリ玄米ニ移サナケレ
バナラヌ、ソレガ爲ニハドウシタナラバ一
體玄米ヲ食ベルコトガ出來ルダラウト云フ
コトニ付テハ、〓究ヲ致シマシタガ、此玄
米ハ銀皮ヲ破ルベク非常ニ困難デ、銀皮ヲ
破ルト云フト、迚モザラ〓〓シテ食ベラ
レナイト云フノデ、此銀皮ヲ破ル方法トシ
マシテ、自分共トシマシテモ、或ハ水ノ中
ヘ長ク漬ケテ置イテ煮ルトカ、或ハ又此銀
皮ヲ破ル爲ニ苦鹽酸ノヤウナモノヲ媒介劑
トシテ使ッテ、同時ニ其害ヲ防グヤウナ方法
モ案出シタリ、或ハ又特殊ナ釜ニ依ッテ强
壓ヲ掛ケテ其銀皮ヲ破ル、サウ云フヤウナ
釜モ賣出シテ見ヨウトシタ經驗者ノ一人デ
アリマス、併シ其結果ハ遂ニ失敗デアリマ
ス、ソレデ提案者ガ此玄米食ヲ强制スルト
云フ法案ヲ御出シニナルナラバ、或ハ贊成
スル一人デアルカモ知レマセヌガ、併シ先
程御話ノヤウニ、半搗米ニスレバ半分ノ滋
養分ガ取レテ行ク、精白米ニスレバ全部ノ
榮養分ガナクナルト言フ、白米ハ唯無砂搗
ニスルカ、混砂搗ニスルカノ違ヒデ、白米
ニスルコトハ同ジデアル、サウ云フヤウナ
點カラ申シマスト、只今ノ荒川サンノ提案
ノ理由ハ、サッパリ了解ニ苦シム者デアリマ
ス、兎ニ角此玄米ト云フモノハ、ドウシテ
吾々ガ今日食ベラレナイカト云フト、吾々
ノ色々ノ經驗カラ判斷致シマシテ、ドウモ
人間ト云フモノハ見テ美シイ物ヲ好ム、殊
ニ日本ノ總テノ料理、食物ト云フモノハ、
見テ食フ方ガ多イ、支那ノ如キ、或ハ消化
ガシ易イ、吸收ガシ易イト云フ點カラ、又
舌ニ美味シク當ルト云フヤウナ點カラ出テ
居ル、支那食モアリマス、或ハ又洋食ノ如
キ、榮養主義ニ採ルモノガアリマスガ、日
本ノ物ハ兎角見テ美シイ物デアリマス、ソ
レニドウモ此玄米ハ舌觸リガ惡イ、ドウシ
テモ是ハ日本人ノ嗜好ニ適シナイヤウニ感
ズルノデアリマス、又ドウモ此嗜好ノ慾望
ト云フモノハ洵ニ强イモノデアリマシテ、
丁度阿片吸飮者ガ命懸ケデ阿片ヲ飮ンデ居
ル、デスカラドウモ白米ヲ食ベルト、先程御
話ノヤウニ「ビタミン·ビー」ガ缺乏シテ脚
氣病ニナルト云フ事實ハ、今デハ殆ド肯定
サレタヤウナ次第デアリマスケレドモ、ド
ウモ嗜好ノ前ニハサウ云フ病氣モ恐レズ、大
膽ニナッテ、白米ヲ食ハウトスル傾ガアルノ
デアリマス、又モウ一ツハ經濟上ノ點カラ
シマシテ、從來無砂搗ノ場合ハ、此搗減リガ
多ク、サウシテ玄白ノ價格ノ開キガ、非
常ニ澤山デアッタノデスケレドモ、近時
ハ摩擦精白機ガ色々改良サレテ、玄米
ト白米トノ開キガ少クナッテ參リマシタ、
而モ摩擦機械ニ依ル精米ハ時間的ニモ、又
或ハ勞力的ニモ非常ニ節約ヲスルコトガ出
來タノデ、白米トノ開キガ非常ニ少クナッ
タト云フヤウナコトデ、如何ニ貧困者デ
モ、白米ノ代リニ玄米ヲ食フト云フヤウナ
所ヘ來ナイト思フ、遂ニ此玄米〓ト云フモノ
ハドウモ今日ノ時勢ニハ適シナイト云フ
自分ノ結論デ、自分ハ其試ミヲ遂ニ斷念シ
タヤウナ次第デアリマス、此二ツノ原因ガ
除カレザル以上ハ、ドウモ我ガ民間ニ玄米
食ノ普及ガ至ッテ困難デアルト考ヘラレル
ノデス、斯ルガ故ニ今日ニ於キマシテハ、
或ハ七分揚、或ハ半搗、又ハ胚芽米、ソレ
ゾレ衞生ニ志ノアル方ハ、ソレ〓〓〓究ヲ
シテ食用シテ居ラレル、ソレハ洵ニ吾々ノ
衞生上カラ見マシテモ、或ハ經濟上カラ見
マシテモ、又ハ〓糧政策カラ見マシテモ、
洵ニ私ハ歡迎スル一人デアリマス、併シ本
案ノヤウニ精白ト云フコトヲ是認シ、精白
ノ經費ヲ節減スル、又衞生上有益ナラザル
石粉ノ使用ヲ、禁止スルト云フコトニ付キ
マシテハ、非常ニ幾多ノ疑問ヲ有スルノデ
アリマシテ、是等ノ點ニ付キマシテ一ツ提
案者ニ質問シテ見タイト考ヘテ居リマス、
第一、所謂石粉ト言ハレルモノハ、主トシ
テ炭酸「カルシューム」デアリマス、此炭酸
「カルシューム」ヲ主成分トスル所ノ石粉
ハ、衞生上有害ト認メラレル確證ガアルヤ
否ヤト云フ點ヲ、一ツ聽イテ見タイノデア
リマス、ソレデ或ハ搗粉ト云フモノニ付キ
マシテモ、是ハ長イ歷史ガアルノデアリマ
ス、今日マデ土トカ、石粉トカ云フモノヲ
媒介劑トシテ、精白ヲシテ今日マデ來テ居
ルノデアリマスガ、中ニモ普通石粉ト云フ
モノハ、一糠ノ成分其物ニ「カルシューム」
ト云フモノガ含マレテ居ルノデアリマス、
「カルシューム」ガ白米ニ含マレテ居ルト云
フコトガ、衞生上有益ト、此頃一部デ唱ヘ
ラレテ居ル位デアルノデアリマス、或ハ佐
伯博士ノヤウニ權威アル御方、或ハ其他ノ
方ニ依レバ、砂土デ胃腸ヲ傷フトカ、或八
石粉ヲ小サイ鼠ニ試驗シテ見タラ、結石ガ
出來タト云フヤウナコトデ、色々弊害ヲ擧
ゲラレテ居ルノデアリマスケレドモ、今日
マデ結石病等ニ罹ッタ人ガドノ位アルデア
リマスカ、又結石病ノ原因ガ果シテ此石粉
ノ結果デアルカ否ヤト云フコトガ、吾々ド
ウモ信ズルコトガ出來ナイノデアリマス、
其次ニ承リタイノハ無砂搗ノ白米ハ、洗ハ
ズニ食用セシメル御考デアルカドウカ、石
粉搗ハ勿論、化粧粉ヲ洗ハナケレバナラヌト
云フコトハ勿論デアリマスガ、無砂搗ガ吾
吾深イ〓究ハアリマセヌガ、田舍ニ居ッタ時
ニ、無砂搗ガアッタ場合ニハ、洗ハナケレバ
糠臭クテ喰ベラレナイカラ、一般ニ能ク洗ッ
テ居ルト云フヤウナ譯デ、其點カラ致シマ
スト、恐ラク無砂搗ノ白米ハ、幾ラカ榮養
分ガ餘計殘ッテ居ルヤウニ、此理由書ニ書イ
テアリマスケレドモ、スッカリ之ヲ洗去ッテ
シマフトスルト、何等精白米ニ付テハ石粉
搗ト無砂搗トハ、何等區別ガ出來ヌト考ヘ
ルノデアリマス、其次ハ石粉搗ガ、殊ニ胚
芽ヲ失フカ否ヤト云フ御〓究ヲシテ見ラレ
タカドウカ、ソレト此理由書ニ依ッテ疑問
ヲ發見シタノデスガ、無砂搗ハ胚芽分ガクッ
附イテ居ル爲ニ榮養ニナッテ、搗粉ノクッ附
イタモノハ、ソレ等ノモノガ總テ取除カレ
ルト云フコトガ書イテアリマスカラ、此質
問ヲスルノデアリマスガ、今日摩擦機械ノ
改良ガサレテ、搗粉ヲ入レテヤリマスト、
却テ胚芽ヲ殘スコトガ容易デアルノデアリ
マス、是ハ實際デ、精米業者ノ實驗デアリ
マス、然ルニ無砂搗ニシタ場合ハドウデア
ルカ、是ハ昔カラ臼搗カ何カデ無砂搗ヲ
ヤッテ居リマスケレドモ、其頃ト云フモノハ
洵ニ精米技術ガ下手ナ關係ガアリマシタラ
ウガ、兎ニモ角ニモ胚芽ガ落チルコトハ勿
論、米ガ非常ニ碎ケガ澤山出來テ、所謂小
米ト云フヤウナモノガ出來、農家ハ之ヲ團
子ノ材料ニシテ居ッタヤウナ次第デアリマ
ス、サウ云フヤウナ次第デアリマシテ、本
案ノ理由書ノ無砂搗白米ハ「カルシューム」
有機燐「オリベリン」等ノ多量ニ附著シテ居
ルト云フヤウナ、ドウモ誇大ナ宣傳振ヲ見
テ、非常ニ私ハ驚イテ居ルノデアリマス、
同ジ精白程度ノ白米ニ於テ、無砂搗ガ榮養
分ヲ含ミ、搗粉ノ精米ガ榮養分ヲ失フト考
ヘテ居ラレマスカドウデアリマスカ、ソレ
カラ色々理由書ナリ又本日ノ提案ヲ拜見致
シマスト、其最後ノ目的ハ玄米食ニアラズ
ヤト思ハレル、御提案ノヤウデアリマスガ、
ドウモ吾々ハ同ジ精白ノ程度ニスルト云フ
コトニ於テハ、先程カラ申シマシタヤウ
ニ、ドウシテモ榮養分ヲ失フ外ハナイト考
ヘルノデアリマス、ソレガ故ニ本案ハ無砂
搗ニ依ッテ、、精白ノ程度ヲ低クスル、或ハ八
分搗ニシロ、或ハ七分搗ニシロ、或ハ半搗
ニシロト云フ御考デアルカ、其邊ヲシッカ
リト承リタイ、ドウモ此理由書ヲ拜見シマ
スト、飛デモナイコトガ書イテアル、佐伯
博士ノ計算ニ依リマスレバ、混砂米搗減ハ
六百四十萬石ニ達スルト書イテアリマス
ガ、吾々ノ計算ニ依リマスト、石粉搗デハ
大抵八分見當ノ搗減デアリマスケレドモ、
無砂搗ハ非常ニ時間ヲ要シマシテ、搗減ハ
却テ一割二分、此點カラ申シマスト、私ハ
混砂搗減ガ六百四十萬石ナラバ、無砂搗ハ
九百六十萬石ノ搗減ガアル、是ハ國家トシ
テ最モ重大ナコトデアルト考ヘルノデアリ
マス、是ハ理由書ニサウ書イテアリマス
ガ、是ハ全ク理由書ノ書方ガ、恐ラク玄米ト
白米トノ所謂全體ノ搗減ヲ考ヘテ、玄米食
ヲ奬メラレル理由ト、考ヘラレテ居ルノデ
アリマス、ソレカラ其次ハ最モ主要ナ質問
デアリマス、此精白ニ使フ所ノ石粉、是ハ普
通寒水石粉ト申シマスガ、其殆ド九九%ハ、
炭酸「カルシウーム」カラ出來テ居ル、ソレ
ガ有害デアルガ故ニ、本法案ニ依ッテ之ヲ取
締ラウトセラレルノデアリマスカ、又ハ白
米食ヲ禁止シテ、國民一般ニ玄米ヲ食用セ
シメントスル目的デアリマスカ、ドウモ此
點ニ付キマシテハ、此間出マシタ二十五歲
未滿禁酒法案ト、何ダカ似寄ッタ所ガアルノ
デアリマス、若モ禁酒ガ必要デアリ、又玄
米食ガ緊急必要デアルト云フナラバ格別デ
アリマスガ、ドウモ此提案ノ理由カラ見マ
スト云フト、御趣旨ハ酒ハ飮ンデモ宜イ、
白米ハ〓ッテモ宜イト云フヤウナ、御方針ノ
ヤウニ感ジラレル、サウシマスト云フト、
此穀類統制取締法案ト云フモノガ、色々ナ
難點ニ逢著スルコトト考ヘルノデアリマ
ス、殊ニ炭酸「カルシウーム」ガ衞生上有
害、無害ト云フコトニ付キマシテハ、マダ幾
多ノ議論ガアリマスガ、兎ニ角吾々ハ今日
マデノ經驗カラ、ドウモ米ヲ食ッタカラ結石
病ニナッタト云フ人ノアルコトモ餘リ聽カ
ナイデアルカラ、同ジ白米ヲ食フナラ、成
ベク糠臭クナイ、最モ美味シイ白米ヲ食べ
タイ、又同ジ飮ムナラ美味シイ酒ヲ飮ミタ
イト云フノガ、人情ダト考ヘルノデアリマ
ス、要スルニ此取締法ハ、彼ノ二十五歲未
滿禁酒法同樣ニ、徒ニ人ノ嗜好ヲ禁止シヨ
ウトスル惡法ニナリハシナイカト言ウテ、
心配ヲシテ居ルノデアリマス、ドウカ是等
ノ點ニ付キマシテ、御提案者ノ御答辯ヲ御
願致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=39
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040・荒川五郎
○荒川五郞君 壽原君ノ御熱心ナ御質問
デ、壽原君ハ此事ニハ造詣ガ深イコトニ敬
意ヲ表シマス、御問ニナリマシタ數點ニ付
テ說明致シマス、混砂ノコト竝ニ寒水石粉
ノコトヲ、前後ニ御話ニナリマシタガ、ソ
レハ後ニシテ、混砂ト無砂トハドウカ、無
砂ハ洗ハヌ積リカ、無砂ナラバ胚芽ガ餘計
殘ルト云フノカ、同ジ精白スルノナラバ、其
結果ハ同ジ程度デハナイノカ、ト云フヤウ
ナ、數點ノ御質問ガアッタヤウデアリマス、
全體支那ノ阿片ト日本ノ白米、私ハ是ハ對
照シテ宜イ位、支那民族ヲ衰ヘサセルモノ
ハ阿片デアリ、日本民族ヲ〓亡ニ導クモノ
ハ白米デアル、斯ウ思ウテ居リマスカラ、
結局ハ一日モ速ニ玄米ニ落著カナケレバナ
ラヌモノデ、一日早ケレバ一日國家ノ利益
デアリ幸福デアルト考ヘテ居リマス、ケレ
ドモ只今壽原君ノ言ハレタヤウニ、人ノ習
慣嗜好ト云フモノハ、理窟デハイケマセヌ
カラ、之ヲ善處ニ尋クニハ、自ラ緩急順序
ガアリマスノデ、ソレデ實ハ本案ヲ出シマ
シタ次第デアリマス、全體私ハ玄米論者デ
アリマスカラ、此案ニハ大ニ重キヲ置イテ
居ラヌノデアリマスガ、同志ノ仲間デモ特
ニ私ガ說明ニ當ルヤウニト云フコトヲ勸說
セラレ、又他黨ノ同志カラモ熱心ナ御賴ミ
ガアッテ、遂ニ私ガ此說明ノ衝ニ當ルコトニ
ナッタノデアリマシテ、丁度壽原君ノ看破
セラレマシタ通リニ、私ハ一日モ早ク國民
ヲ玄米食ニ導キタイ精神デアリマシテ、昨
秋以來ハ一層馬力ヲ加ヘ試食會モ數囘開キ
齋藤首相等ノ御列席ヲ得タコトモアリマシ
タ、荒川五郞ノ現在トシテハ、是ハ容易ナ
ラヌ努力ヲモ拂フテ、サウシテ今日マデ來
テ居リマス、私ハ全生命モ捧ゲ、又無イ財產
マデモ總テヲ擲ッテ民族ヲ救ヒタイ、斯樣ニ
考ヘテ居ルノデアリマス、然ルニ斯樣ニ支
那ノ阿片ニモ比スベキ日本ノ白米ノ害ヲ、
賢明ナル日本人ガ玆ニ思ヒ及バズ改メ得ズ
トアッテハ、支那人ヲ嗤フコトハ出來マイ
ト、私ハ思フノデアリマス、ソレナラバ直
チニ白米ヲ禁止シタイト言ヒタイノデアリ
マスケレドモ、併シ其間ニ於テ、先ヅ一般
ノ人ヲ近寄リ來リ易イヤウニ導クノガ事ノ
成功ノ順序デ、十ノモノヲ望ンデ十ヲ得ナ
イヨリモ、五ツノモノヲ導イテ五ツノモノ
ヲ行フノガ、先ヅ道行キノ順序デハナイカ
ト考ヘマス、只今二十五歲未滿禁酒ノ御話
ガアリマシタガ、ソレトハ全ク根本ヲ異ニ
致シテ居リマス、酒ヲ好クト云フノハ一ツ
ノ嗜好デアリマス、人ノ嗜好ハ容易ニ壓迫
ハ出來ルモノデハナイ、隨テ亞米利加ガアレ
ダケノ努力ヲ拂ヒ、多大ノ國費ノ損ヲシテ
モ、サウシテ世界ノ自由國ヲ以テ誇ル亞米
利加デアリナガラ、壓制ナ禁酒法ヲ行フタ
ト云フコトハ、是ハ亞米利加トシテハ無類
飛切ノ英斷デアッタ、然ルニ其大決心スラ今
ハ改メナケレバナラヌ、修正ヲ要スル時代
ニナッタノデ、人ノ嗜好ナルモノハ中々容易
ニ止メラレヌノデアル、然ルニ白米食ノ今
日ノ一般ノ國風ト云フノハ、是ハ人ノ嗜好
性ニアラズ、唯惡習慣カラ來テ居ル一ツノ
弊習デアリマス、吾々ハ習慣ヲ改メルト云
フコトハ-習慣ニハ良イノモ惡イノモア
リマス、今日ノ〓育モ良習慣ニ人ヲ導カウ
ト云フノガ、國民指導ノ本デアリマスカラ、
習慣ハ出來ルダケ先輩ヤ指導者ガ力ヲ盡シ
テ、之ヲ改善セシメルヤウニ努力ヲシナケ
レバナラヌト考ヘマス、今ヤ國民ガ全ク
此白米ニ溺レタト云フ此惡習慣ヲ改ムルコ
トハ、是ハ熱心ナル諸君ノ御盡力ニ依リタ
イト思ヒマスカラ、此點ニ於テ斷ジテ二十
五歲禁酒ナドヽ同樣デハアリマセヌ、私
多年酒ヲ飮マズ、又〓育家デアリナガラ、
禁酒法ニハ反對デアル、是ハ斯ヤウニ法ヲ
以テモ禁止ハ行ハレモセズ、無理ニ强ヒ行
フベキモノデナイト心得テ居リマスガ、白
米ハ努力スレバソレヲ改メテ、玄米ニ移リ
得ルコトガ出來ルト思ヒマス、以上ヲ先ヅ
第一段ノ御答ト致シマス
第二段ノ無砂搗白米ハ、淘洗ヲ少クスル
積リカト云フコトデアリマス、成ベク洗ハ
ヌヤウニ致シタイ、多少糠臭クテモ、アノ
臭ヒハ好キニナリ得ルト思ヒマス、ケレ
ドモサウデナイ者ハ、是ハ洗ハナケレバナ
リマセヌガ、此點ニ於テ米屋モ今心配シテ
ドウカ餘計洗ハヌデ-洗フコトハ米屋モ
損デアル、今日米屋ハ搗粉ヲ入レテ搗イタ
上ニ、其量目ヲ增ス爲ニ化粧粉マデ入レテ
居ル者モアル、是ハコンナニ洗ウテモ尙ホ
白イ汁ガ出ルト言ハレテハ嫌ヤダカラ、成
ベク米屋トシテモ、洗ハナイヤウニト云フ
〓究ガ行ハレテ居リマシテ、搗粉ノ中デ搗
キサヘスレバ、磨イダヤウナ米ガ得ラレル
ヤウナ〓究モ、漸次行ハレテ居リマス、ソレ
カラ混砂揚ナラバ胚芽ガ多ク落チルカ、同
ジク搗クコト故胚芽ノ落チルノモ同ジコト
デナイカト云フコトデアリマスガ、私ノ考ヘ
テ居ル所デハ、米粒ト米粒ト摩擦シ合フノト
細カイ粉デ摩擦スルノトハ違イマス、細カ
イ粉ハ摩擦スルニ隨ヒ米粒ニ抉リ込ム、胚
芽ノアル所ハ軟カイカラ、其軟カイ所ニ搗
粉ガ挾マル、ソレガ摩擦ヲ受ケル調子ニ胚
芽ガ落チ易イ、米ト米ナラバ其間ニ接觸ヲ
保ツコトガ少イカラ、無砂搗ナラバ胚芽ガ
落チニクイ、混砂搗ナラバ、落チ易イト思
ヒマス、ソレカラ混砂シマスト、ソレニ矢
張脂肪分ガ吸取ラレルト云フコトガアリマ
スノデ、混砂搗キハ榮養分ヲ多ク取ラレル
ト云フコトハ-ドノ位カト云フコトハ、
私モソンナコトマデ調ベテ居リマセヌガ、
併ナガラ細カイモノハ、大キイモノヽ間ニ
挾マリ易イ、其目ノ細イモノガ其間ニ挾マ
ルダケ、ソレタケ惡イノト、尙ホ搗粉ノ中
デ硅素質ノモノハ、是ガ米ノ中ヘモ喰込ム、
千倍位ノ顯微鏡デ見マスト、米ノ面ニ硅先
稜々タル硝子粉ノ如クギラ〓〓シタノガ、
搗粉ノ目ニ見エヌー千倍位ノ顯微鏡デ
ハ見エマスガ普通目ニ見エヌ位ノモノガ、
米ノ面ニ喰込ンデ居ル、ソレ等ハ洗ウテモ
落チナイ、ソレガ自然〓道カラ胃ニ入リマ
スト胃ノ中ニ沈澱シテ、其沈澱シタ所ヘハ
胃液ノ分泌ヲ妨ゲタリ、色々ナ結果デ胃癌
其他ノ疾病ヲ起ス、是ハ恐ルベキモノデア
リマス、尙ホ糠ト云フモノハ大變ニ肥料ニ
モナリマスケレドモ、サウ云フ硅質的ノ搗
粉ノ混ツタ糠ハ、之ヲ肥料ニシテモ、土ノ
上ニ掛ケレバ地面ヲ塗ヲタヤウニナル、土
ハ風ヤ空氣ヲ食ハナケレバナラヌノニ、地
面ヲ塗ッタヤウニナルト、風ヤ太陽ノ光線ヲ
妨ゲルヤウニナル、是ハ野菜デモ、其細カ
イ搗イタ搗粉ガ、葉ノ上ヘサラット塗ラレル
ト、日光ノ吸收ヲ妨ゲル、隨テサウ云フヤ
ウナモノハ糠トシテモ、卽チ肥料ニモ何ニ
モナラナイ、否却テ害ニナル、動物ニ食ペ
サシテモ無論惡イト云フコトハ、色々ナ試
驗モ致シテ居リマス、斯樣ナ次第デ搗粉ヲ
入レヽバ、第一胚芽ナドヲ多ク落ス上ニ米
ノ纎維ノ中ヘモ喰込ム、ソレヲ洗ヒ落サウト
思ッテモ容易ニ洗ヘナイ、滋養分ヲ去ルノミ
ナラズ、尙ホソレデモマダ〓〓取レサウモ
ナイ、斯ウ云フヤウナコトダケデモ、混粉ス
ルト云フコトハ宜クナイ、斯ウ云フヤウナ
所カラ、ドウゾ同ジ搗クナラバ、混粉ヲシナ
イヤウニ、混粉ヲスレバ、ソレニ自然ニ脂ヤ
何カモ吸取ッテ取去ラレルト云フヤウナ點
モアリマシテ、滋養分ノ分量ニ相違ガアル
カラ、ドウゾ混砂ハ止メタイ、是ガ二點ノ
御答
第三點ニ御尋ニナッタノハ最モ大切ナ件
デアルト思ヒマス、卽チ此ノ炭酸「カルシ
ュム」ノ搗粉ヲ入レタノハドウデアルカト
云フ御尋デアリマス、搗粉ニハ先ヅ硅素主
成分ノ搗粉ト、ソレカラ石灰主成分ノ搗粉
ト、兩樣ノ搗粉ガアリマス、所ガ只今御尋
ニナッタノハ石灰分ノ、卽チ炭酸「カルシュ
ム」性ノ搗粉デアル、ソレハ寒水石粉トモ
言ヒマスカ、其方デアルヤウデアリマス、
是モ兩方ノ硅素性搗粉モ石灰性搗粉モ、共
ニ害ガアルト云フコトハ、我ガ國立榮養〓
究所ニ於テ、昨昭和七年七月ニ白鼠ニ依ツ
テ〓究セラレタ〓究ガ發表ニナッテ居リマ
ス其發表ニ依リマスト、硅素性ノ搗粉デ
搗イタ其米ヲ平生用ヒマスト、胃潰瘍ヤ、
癌ニナル前程ノ症狀ヲ認メル、ソレカラ第
二ニ「カルシウム」主成分ノ搗粉ヲ以テ搗イ
タ米ヲ續ケテ用ヒルト、胃ニ病變ノ著シイ
徵候ヲ認メテ、腎臟ヤ膀胱ノ結石症ヲ發ス
ルカラ、ドチラモ害ガアルト云フコトヲ發
表サレテ居リマス、併シ此點ハ只今質問者
ノ質問セラレタヤウニ、私モ實ハ之ニ疑ヲ
持ッテ居ル、其道ノ事門家ガ國家ノ費用ヲ以
テ調ベラレタ-一體是ハ昨年ノ七月ニ發
表ニナッタノデアリマスガ、吾々生レ落チテ
以來、命ヲ繫ガナケレバナラヌ命ノ親デア
ル米ヲ、國立ノ榮養〓究所ガ、昭和ノ今日
ニナッテ漸ク發表スルト云フコトハ、怠慢ノ
至リト思フ、國民ヲ健全ニ導カナケレバナ
ラヌ、其素質ノ根本ヲ〓究スベキ責任ノ者
ガ漸ク昨年ニナッテ、其成績ヲ發表スルト
云フコトハ、何ノ爲ノ榮養〓究所デアルカ、
私共熱烈ニ民族ノ將來ヲ考ヘル者ハ、意外
千萬ニ考ヘルノデアリマスガ、併シ遲レタ
リト雖モ無キニ勝ルノデ、先ヅソレダケハ
效ハアル譯デアリマスガ、然ルニ其調ベニ依
ルト一寸素人分リ、早分リノスルヤウニ言
フト、「カルシューム」主成分ノ搗粉、卽チ御
質問ニナル炭酸「カルシューム」性、搗粉ノ寒
水石粉ノヤウナモノヲ、白鼠ニ依ッテ調ベラ
レタノニハ、非常ニ多量ヲ與ヘテ居ラレル、
斯樣ニ非常ナ多量ヲヤッテ、サウシテ其結
果ヲ害トセラレルノハ、普通ノ人ノ爲ノ取
調トシテハ案外ノコトヽ思フノデアリマス
カラ、御質問ノ通リニ私モ疑ヲ有ッテ居ル
ノデアリマス、殊ニ此「カルシューム」ハ
人間ノ體ニ最モ必要デアリマシテ、今日肺
病デアルトカ、肋膜デアルトカ云フヤウナ
病氣、ソレカラ始終惡性ノ感冒ニ罹フテ、月
ノ半分ハ休ンデ居ルヤウナ人々ハ、多クハ
「カルシューム」ノ缺乏デアル「カルシューム」
性ノ缺乏ニ依ッテ斯樣ナ身體ノ毛弱ヲ致ス
ノデアリマスカラ「カルシューム」ナルモ
ノガ、人間ノ身體ニ極メテ必要デアルト云
フコトハ、申ス迄モアリマセヌ、隨テ一時
ハ「カルシューム」萬能ノ時代ガアリマシ
テ、御飯ヲ炊クニモ「カルシューム」ヲ入
レテ「カルシューム」飯ニスル、煎餅モ「カ
ルシューム」ヲ入レテ「カルシューム」煎
餅「ビスケット」モ「カルシューム·ビスケッ
ト」ト云フヤウニ、時、「カルシューム」
全盛ノ時代ガアッタノデアリマス、併シ「カ
ルシューム」ト雖モ量ガ過ギテハイケナ
イ、過ギルト今言フ腎臟ニナッタリ、或ハ膀
胱ノ結石症ヲ來スコトモアラウト思ヒマ
ス、壽原君ハ酒家ト思フガ、ソレデモ酒ガ
過ギテハイケナイ、何デモ過ギテハイケマ
セヌカラ、搗精ニドノ位「カルシューム」
ヲ入レテ搗クノガ宜イカト云フコトハ、素
人ノ私共ニハ分リマセヌガ、又其搗粉モ硅
酸「カルシューム」ト炭酸「カルシューム」
ハ、是ハ同ヤウニ論ズベキデハナイ、私ハ
斯樣ニ考ヘチ居リマス、是ハ榮養〓究所ノ
〓究ハ、洵ニ私共ハ不本意千萬デアリマシ
テ、之ニハ再考ヲ願ハナケレバナラヌト
思ッテ居ルト同時ニ、サウ云フモノハ少々惡
イ點ガアリトシテモ、之ヲ直チニ腎臟病ニ
ナリ、又結石症ニナルト云フヤウニ非常識
的ナ多量試驗ニテ一〓ニ恐シイモノナリト
云フ試驗ノ結果ヲ發表スルノハ、吾々ハ首
肯スルコトガ出來ナイ次第デアリマス、凡
ソ試驗ハ常識的ニ普通ノ常量ヲ目標トスベ
キモノト思ヒマス、隨テ本案ヲ作リマス時
ニモ、私ハ多少此邊ノ事ハ考ヘマシテ、或ハ
搗粉ト云フテモ、或ハ米ヤ麥ノ粉ヲ入レテ
モ、是モ混ゼ物ニハ違ヒナイガ、是ハ惡イ
ト云フコトハ出來マスマイ、ソレ等ハ自ラ
其品物ニ依ル事デアリマシテ、何ンデ混ゼ
物ハ皆惡イトハ言ヘナイガ、併シサウ云フ
モノハ入レテ搗イテモ、大シタ效能ガナイ
デハナイカ、炭酸「カルシューム」千、私
ハソレヲ入レテ早ク搗ケルカドウカ、此點
ハ私ハ疑ヲ置イテ居ルノデアリマスルガ、
此案ヲ作リマス時分ニハ、搗精製粉ニハ砂
土、石粉、其他ノ液類-液類ト云フノハ、
苦汁ナドハ最モイケナイ、斯ウ云フヤウナ
所カラ此法案ハ立テマシタノデ、中ニハ入
レテモ役ニ立タヌガ、害ニナラヌト云フモ
ノモアリマスガ、是等マデ干涉スル必要モ
アリマセヌノデ、自ラ是ハ取扱方ガアルト
考ヘマス、以上ノヤウナ次第デアリマシ
テ、寒水石粉ト云フモノハ、硅石質粉ナド
ノヤウニ更ニ害ノナイモノ、且ツ是ハ炭酸
「カルシューム」ハ私ハ其實ハ搗粉デハナク
藥品デアラウト思ヒマス、藥品デアルトス
レバ、是ハソレヲ咎メル必要ハナイ、斯ウ
心得テ居リマス、先ヅ以上ノ答辯申シマス、
此邊デ一ツ御諒承ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=40
-
041・壽原英太郎
○壽原委員 只今荒川サンノ御答辯ヲ聞キ
マシテ、私ガ想像シテ居ッタヤウニ、荒川先
生ノ方デハ、何トカ主食ヲ玄米食ニシタイ
ト云フ御熱心ナ御方デアルト云フコトハ分
リマシタ、併シ殘念ナガラ本法案ハ白米禁
止、玄米主食ト云フ案デハアリマセヌガ故
ニ、私ハ洵ニ失望シテ居ルノデス、而シテ
炭酸「カルシューム」ト云フコトニ付キマ
シテハ、却テ是ハ人體ニモ非常ニ良イヤウ
ニ承ッテ、私共寔ニ意ヲ强ウスル者デアリマ
ス、荒川サンカラ色々御話ガアリマシタ
ガ、胞子硅素ノ澤山含ンダモノモアリマス
ガ、此寒水石粉ハ此處ニ分析表ガアリマス
ガ、炭酸「カルシューム」ガ九八·九八、ソ
レカラ礬土ガ〇·一六、苦土ガ〇·二〇、ソ
レカラ「アルカリ」ガ〇·一八ヲ含ンダモ
ノノ、殆ド食用ノ炭酸「カルシューム」純
粹ナ炭酸「カルシューム」ト言ッテ可ナリ
ナモノデアリマス、ソレ等ヲ入レマシテ精
白ノ場合、白米ノ上ニ附著シテ居ッタナラ
バ、糠分ノ中ニ含ム「カルシューム」同樣
ニ、此白米ニ「カルシューム」ヲ含ムト云
フモノハ、榮養上無砂搗ヨリハ、一層其效
能ガアルモノト私ハ言ヒタイノデアリマ
ス、ソレデ本問題ニ付キマシテハ、此上荒
川サンニ御尋スルノハ御無理ト考ヘマシ
テ、是カラ一ツ農林省ノ御方ニ伺ヒタイト
思ヒマスガ····発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=41
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042・清瀬規矩雄
○〓瀨委員長 農林省ノ政府委員ハ今見エ
テ居リマセヌカラ、保留サレテハ如何デ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=42
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043・壽原英太郎
○壽原委員 ソレデハ保留シテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=43
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044・清瀬規矩雄
○〓瀨委員長 ソレデハ通〓順ニ依ッテ宮
澤君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=44
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045・宮澤裕
○宮澤委員 私ハ此穀類搗精製粉取締
法ニ關シマシテ、質問ヲ通〓シテ置イタ
ノデアリマスガ、今壽原委員ト提案者ノ
荒川サントノ應答ニ依ッテ、大部分了解
致シマシタノデ、此上質疑ヲスル必要ガ
ナイマデニナッテ居リマス、併シ尙ホ多
少ノ疑義ヲ有シテ居リマスル點ニ付テ、
提案者デアリマスル荒川サンニ御釋明ヲ
願ヒタイト思フノデアリマス、荒川委員
ハ私共〓里ノ先輩トシテ、常ニ御會ヒス
ル機會ヲ有ッテ居ルノデアリマスガ、日本
ノ國家民衆ノ爲ニ玄米食ヲ奬勵爲サルト云
フコトハ、吾々平素此御熱誠、愛國ノ至誠
ニ實ハ敬服ヲ致シテ居ル、是ハ獨リ講演、
勸誘ノミニ非ラズシテ、私費ヲ投ジテ、實
物〓育、實物指導ヲオヤリニナッテ居ルノ
デアッテ、吾々滿腔ノ敬意ヲ表シテ居ル者デ
アリマス、壽原君モ仰セデアリマスルガ、
是ガ玄米食ニ關係スル法案デアリマスルナ
ラバ、私共更ニ考慮ガシタイノデアリマス
ルガ、是ハ穀類搗精製粉ノ取締ニ關スル法
案デアリマシテ、此提案ノ理由ヲ承リマスト
云フト、玄米〓ニ至ル、何ト申シマスルカ、
過程トシテ、斯ウ云フ取締法ヲ提案シタモ
ノデアルト云フ御話デアリマスガ、私ハ果
シテ此過程ニ依ッテ、玄米食ニ到達スル目
的ヲ達成スルカドウカト云フ疑問ヲ有ッテ
居ルノデアリマス、又是ガ縱シ到達シ得ル
過程デアルト致シマシテモ、此法案ト云フ
モノガ、却テ荒川委員邊リノ御至誠ニ私ハ
副ハナイ點ガ、相當アルノデハナイカト云
フコトヲ申上ゲテ見タイト思ヒマス、申上
ゲル迄モゴザイマセヌガ、從來使ヒマスル
製粉ニハ、硅素質ノモノト、炭酸「カルシュ
ーム」性ノモノト兩樣アルノデアリマ
ス、硅素質ノモノヲ混入致シマシテ、搗精
致シマスルコトハ、是ハ非常ニ有害デア
ル、私共モ是ガ國民ノ保健衞生ニ及ボシマ
スル弊害ハ、夙ニ了知致シテ居ルノデアリ
マスルカラ、何程カ此弊害ヲ除去スルコト
ニ付テハ、決シテ吝カデハナイ、併シ此製
粉ヲ使ヒマスルト云フコトモ、一面自然ニ
國民ガ馴致シテ來タ風習デアリマスルガ故
ニ、何カ利益ガアル、其利益ハドウ云フ方
面ニアルカト云フト、壽原君モ御話デアリ
マシタガ、勞力トカ電力ヲ省キマスル上
ニ、搗減ヲ少クスルト云フコトノ利益ガア
ルト云フコトハ、是ハモウ周知ノ事實デア
リマス、併シ一面ニ是ガ胃ノ腑ニ入ッテ、無
論吸收シナイ有害物デアリマスルガ故ニ、
人體ニ害ヲ及ボス、所謂保健衞生ニ非常ナ
害ヲ及ボスト云フコトモ、是ハ明瞭デアリ
マスルカラ、利害得失、何レヲ採ルカト云
フコトニナリマスルト云フト、寧ロ斯ウ
云ッタ山砂ヲ混入致シマシタモノヲ、常食ニ
スルコトノ害ノ方ガ、少々ノ利益ヨリモ大
キイノヂヤナイカト云フコトヲ考ヘルコト
モ、決シテ私ハ吝カナル者デハナイノデア
リマス、然ルニモウ一ツノ炭酸「カルシュ
ーム」ト云フモノハ、寧ロ害ヂヤナクテ、
利益ノ方面バカリ有シテ居ル製粉劑デアラ
ウト、私ハ信ジテ居ルノデアリマス、此提
案ノ理由ニ見マシテモ、胃ノ腑ヲ害スルコ
トガ多イト云フコト、穀類ヲ變質セシムル
コト、腐敗セシムルト云フコトガ書イテア
リ、ソレカラ搗減、淘洗ノ爲ノ損失ガ、計
數ノ上デアリマスガ、一箇年九百三十四萬
四千石ノ損失ニナッテ居ル、更ニ是ガ糠ト
ナッテ獸類、家畜ニ與ヘマスル弊害モ論ジ
テアルノデアリマスルガ、此炭酸「カルシュ
ーム」質ノモノカラ申シマスト云フト、是
等ノ利益ヲ悉ク保有シマスル上ニ、是等
ノ弊害ヲ悉ク有ッテ居ラナイノデアリマス、
有ッテ居ラナイ譯ハ、色々官公衙ノ試驗所ニ
於テ、試驗モ致シテ居リマスルシ、政府ノ
發表致シマシタ材料ニ依リマシテモ、之ヲ
如實ニ說明致シテ居リマス、只今荒川委員
ノ御話デハ、國立榮養〓究所ニ於テ、千分
ノ三、詰リ〇·三%ヲ混入シマシタ炭酸「カ
ルシューム」ハ、之ハ白鼠ニ應用シテ非常
ナ弊害ガアル、膀胱加答兒、腎臟炎ヲ起シ、
或ハ膽石ヲ持チ易イト云フヤウナ御話ガア
リマシタガ、矢張荒川委員自ラ御釋明ノ通
リ、多量ニ用ヰマスナラバ、或ハ害ガアル
カモ知レマセヌケレドモ、此硅素質ト云フ
モノガ人體ニ入リマスト、重炭酸「カルシ
ューム」ニナッテ胃壁ヲ通ジ、腸壁ヲ通ジテ
血液ニ吸收サレテ、是ガ骨格トナリ、琺瑯
質トナッテ齒ヲ健在ナラシムルト云フヤウ
ナ利益ガアル、是ガ爲ニ飯ニ混入致スダケ
デナク、煎餅ニモ混入シテ用ヰラレテ居ル
ト云フコトハ、荒川委員自ラ說明ニナリマ
シタ通リデアリマス、ソレカラ搗減ト云フ
コトノ點ニ付テ申シマスルト云フト、是ガ
一般土砂ト同ジヤウニ、搗減ヲ少クシマス
ル上ニ、却テ水分ガ〇·五或ハ六ト云フヤ
ウニ、極メテ稀薄ノ水分ヲ有シテ居リマス
ガ故ニ、不良米ニ混入シテ搗キマスルト、
不良米ノ水分ヲ是ガ吸收スル、サウシテ米
ヲ能ク乾燥セシムル上ニ-極メテ不良米
ノ水ノ多イヤツハ搗キマスルト、小米ニナ
リ易イノデス、此炭酸「カルシューム」所謂
寒水石粉ヲ混入致シマスル爲ニ、小米ノ出
來マスルコトヲ防止シテ、搗減ヲ極メテ少
量ナラシムルト云フヤウナ利益ガアルノデ
アリマス、而シテ其小糠ハ家畜ニ害ガア
ル、獸畜ニ害ガアルト云フ御話デアリマシ
タケレドモ、是モ炭酸「カルシューム」粉ヲ
混入致シマスル小糠ニ依ッテハ、家畜ハ極メ
テ成育ガ良イ、是ガ成績表モアリマスル
シ、殊ニ屠牛場ニ於テ牛ヲ屠殺致シマシタ
骨ヲ比較シテ、此種ノ小糠ヲ食ヒマシタ牛
ノ骨ト、小糠ヲ食ハナイ牛ノ骨トハ一見シ
テ、素人ガ見テモ質ト硬軟ノ度ガ大變違ウ
ノデアリマス、ト云フコトカラ考ヘマス
ト、小糠ニ對シテモ斯ウ云フ風ナ效顯ガ著
シク現ハレテ居ルト云フコトハ、學理上ニ
於テモ、實際上ニ於テモ明瞭ニナッテ居ル、
其上ニ尙ホ米ノ貯藏ヲ長カラシムル、米ノ
保存力ヲ增大ナラシムルト云フ利益ガ、是
ニ依ッテアルノデアリマス、サウ致シマスト
云フト、玆ニ法律案ヲ提出致サレマシタル
理由ノ缺點ヲ悉ク補ヒ得テ、尙ホ餘アルモ
ノダト云フコトガ言へルト思フノデアリマ
ス,而シテ前ニ申上ゲルヤウナ、一般搗精
ニ要シマスル電力、竝ニ勞力、斯ウ云フモ
ノヲ節約シ、浪費ヲ極メテ節約スルト云フ
コトハ、固ヨリデアリマシテ極メテ一擧兩
得ノ、是ハ所謂搗精原料デアラウト私共ハ
考ヘテ居ルノデアリマスカラ、縱令此法案
ガ通過致シマシテモ、サウシテ山砂ト云
フモノガ除去サレマシテモ、此種ノモノ
ハ私ハ是非國民保健ノ上カラ申シテモ、
或ハ穀類節約ノ上カラ申シテモ、所謂保
健衞生、國家產業ノ上カラ申シテモ、是ダ
ケハ是非存置シテ置キタイ、是ガ搗精劑
デアラウト云フコトヲ、私】ハ堅ク信ジ
テ居ルノデアリマス、サウ致シマスル
時ニ、本案ノ第四條デアリマスルガ、「砂
土、石粉其ノ他液類等ヲ混入シテ」云々ト
書イテアリマス、此提案者ノ御說明ニ依
リマスト、石粉ノ中ニハ炭酸「カルシュー
ム」粉ハ入ッテ居ナイ、所謂寒水石粉ガ入ッ
テ居ナイヤウナ御說明デアッタノデアリマ
スガ、是モ併シ文字通リニ解シマスルト石
粉ト申シマスルト、ヤハリ炭酸石モ石デア
リマシテ、其粉デアリマスガ、是モ法文通
リニ眞直グニ解釋致シマスルト、仲間ニ卷
添ヒヲ食フヤウナ結果ニナッテ來ルト思フ
ノデアリマス、最後ニ六條ノ除外例トシテ
「豫メ主務官廳ノ許可ヲ得タルモノニ付テ
ハ本法ハ之ヲ適用セズ」斯ウ云フ條文ガア
リマスノデ、或ハ斯ウ云フモノヲ除外スル
御考デアルカト思フノデアリマスガ······発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=45
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046・清瀬規矩雄
○淸瀨委員長 荒川君ノ案ニハ、サウ云フ
除外規定ハアリマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=46
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047・宮澤裕
○宮澤委員 畏マリマシタ、除外規定ニナ
リマスルモノニ付テ論ジテ居ルノデアリマ
スガ、此除外規定ハ、然ラバ荒川委員ノ御
提案ニハ御加ヘニナラヌ事項デアルカドウ
カ、尙又石粉云々ヲ此處ニ規定サレテ、此
處ニ除外規定ガナイ時ニハ、今ノ提案說明
ノヤウナ除外例ハ、何ニ依ッテ御救濟ニナル
ノデアルカドウカト云フコトヲ、御質問申
上ゲルノデアリマス、ソレカラ此除外規定
ヲ御加ヘニナッタ提案者ニ對シテ、此六條ノ
豫メト云フ文字デアリマス、此豫メト云フ
ノハ、ドウ云フ意義ノ文字デアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=47
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048・荒川五郎
○荒川五郞君 只今ノ宮澤君ノ御質問ニ對
シテ簡單ニ御答ヲ致シマス、此搗粉ニモ
色々ナ種類ガアリマシテ、硅素性ノ主成
分ノモノト、石灰性主成分ノモノト、大別シ
テ此二種ガアリマス、ソレヲ榮養〓究所ノ
結果ニ依リマスト、何レモ等シク人身ニ害
ガアルト云フ結論ヲ發表シテ居リマスケレ
ドモ、ソレハ先キニ私ガ說明申シタ通リニ、
炭酸「カルシューム」性ノモノニ付テハ、私
ハ異論ヲ持ッテ居リマス、隨テサウ云フヤウ
ナコトヤ、ソレカラ更ニ近頃ハ鹽ヲ原料ト
シテ搗粉ヲ作ル、是ハ完全ニ榮養モ助ケ、
保存モ助ケテ利益ニナルト云フノデ、特許
局ノ特許マデモ得タモノガアルノデアリマ
ス、將來モ亦幾多ノサウ云フモノガ出テ來
ルカモ知レマセヌ、隨テサウ云フモノハ、
自然差支ナイト云フコトニ取締カラ省カナ
ケレバナラヌト思ヒマス、ソレ等ノコトハ、
此法文デ一々現ハシテ居リマセヌ、此法文
デ石粉ノ中ニ大理石粉ガ入ルカ、何ハ除ク
カト云フヤウナコトハ、詳シク書イテ居リ
マセヌガ、併シ凡ソ法令ヲ行フニハ、必ズ
ソレニ施行命令ト云フモノガ附イテ、ソレ
ニ依ッテ實際的ノ運用ガ出來ルモノト心得
テ居リマス、私ハ一々此種ノ物ハ害ガアル、
此種ノ物ハ害ガナイト云フコトヲ、總テ〓
究シテ居ル譯デハアリマセヌ、ソレハ政府
ノ局ニ當ッテ居ル人ガ、法律ヲ施行スル上ニ
差支ナキ施行命令ヲ出サレルコトヽ心得テ
居ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=48
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049・宮澤裕
○宮澤委員 只今荒川委員ノ御說明ニ依リ
マシテ、此除外例ノ救濟ハ施行規則ニ依ッ
テヤル考デアルト云フ御話デアリマスル
ガ、併シ矢張此條文ニ、サウ云フ規定ヲ入
レテ置イタ方ガ、却テ一ツノ規定ノ進步デ
ハナイカ、製粉ト云フ物ハ悉ク許サヌト云
フコトニナルト、砂土、石粉等、悉クサウ云
フ材料ヲ使フ物ハ、禁止サレテ居ルカノ如
ク世ノ中ガー解シテ、斯ウ云フヤウナ炭酸
「カルシューム」粉ノ如キ、無害有益ナル搗
精粉ガ出來マシテモ、之ヲ用フルコトハ許
サレナイモノダト云フコトニ國民ガ解シ
テ、斯ウ云フ物ノ現ハレルコトヲ、却テ防止
スル結果ニナリハシナイカト私共ハ思フノ
デアリマスガ、寧ロ斯ウ云フ規定ヲ御入レ
ニナリマスル方ガ、却テ本法ヲ完成セシム
ル所以デナイカ、又提案ノ理由ヲ完フセシ
ムル所以デナイカ、而シテ更ニ詳細ハ施行
規則ニ依ッテ之ヲ補フト云フノガ、本當ノ立
法ノ建前デナイカト思フノデアリマス、之
ニ付テ御意見ガアリマスレバ、重ネテ承リ
タイノデアリマスガ、此六條ヲ御加ヘニナ
リマシタ提案者ノ御說明ハナイノデアリマ
セウカ、ナケレバ委員長カラデモ、御存ジ
ノ範圍ニ於テ御說明ヲ願ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=49
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050・清瀬規矩雄
○〓瀨委員長 今提案者ガ見エテ居リマセ
ヌ、提案ノ理由モマダ私ハ承ッテ居リマセヌ
カラ、次會マデニ出テ貰ッテ說明シテ戴ク
コトニシテハ如何デスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=50
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051・宮澤裕
○宮澤委員 然ラバ私ノ質問ハ是デ打切リ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=51
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052・壽原英太郎
○壽原委員 私ハ本案ニ關聯シテ農林省ノ
政府委員ノ方ニ御尋シタイノデスガ、農林
省ノ提出セラレタ所ノ有名ナ米穀統制法案
モ、殆ド兩院ヲ通過セントシテ居リマスヤ
ウナ次第デ、是ハ洵ニ結構ナコトデアリマ
スガ、此米穀統制案ハ、獨リ農家ヲ救濟ス
ル爲ニ出來テ居ル法案デアルカ、又ハソレ
ガ同時ニ消費者ヲモ保護スルト云フ意味ニ
於テノ案デアリマスルカ、所謂消費者側ノ
需要經濟ガ常ニ考慮サレテ居ルモノト見テ
差支ナイカドウカ、若シモ然リトセバ、此
穀類ノ取締法案ニ付キマシテハ、此統制ニ
ハ非常ニ重大ナル關係ガアルモノト考ヘマ
シテ御尋シタイノデアリマス、第一ニ此米
穀統制法運用ノ上ニ於キマシテ、白米ノ品
位及價格ニ付テ、之ヲ放任シテ置カレル考
デアルカ、ドウデアルカト云フコトヲ承リ
タイノデアリマス、今日ノ白米精米ノ狀態
ニ於テハ、玄米ノ値段ハ、略〓產米檢査其他
ノ方法ニ依ッテ、格付ガ確カニナッテ居リマス
ルケレドモ、ドウモ白米ノ格付ト云フコト
ニナルト、今日ノ所各府縣區々ニナッテ居ル
ノデアリマス、我ガ北海道ノ如キハ、此自
米ノ檢査モアリマスルケレドモ、是ハ唯精
白ノ度ト申シマスルカ、尤モソレハ粒
揃ヒトカ其他ノ關係モアリマセウガ、白
クアリサヘスレバ、一等トカ二等トカ云フ
コトニナリマシテ、ドウモ肝腎ナ玄米ノ
品質ト云フモノガ、閑却サレルヤウナ傾ガ
アルノデアリマシテ、ドウモ北海道ニ於テ
ハ優良ナ玄米ヲ元トシタ所ノ白米ハ、賣
ルコトガ出來ナイノデアリマス、皆同ジク
白サノ加減ニ依ッテシカ等級ガ決メラレテ
居ナイト云フヤウナコトデ、今日ノ北海道
ノ精米ハ、最モ下級ナ玄米ヲ元トシテ出來
タ白米シカ、精米サレテ居ナイト云フ事實
デアリマス、此玄米ニ付テハ、大抵各府縣
ガ格付檢査ヲスル、或時ハ白米デモ輸出ス
ルモノダケハ檢査ヲスルト云フヤウナコト
デ、區々ニナッテ居ル、東京ノ如キハ所謂混
合米デアリマシテ、色々各玄米ノ特徵ヲ混
合シテ、ソコニ何十ト云フ格付ヲシテ、今
日小賣屋ガ賣ッテ居ル次第デアリマス、サウ
云フヤウナコトデ、若シ此米穀統制法ガ、單
ニ玄米ニノミ限定セラレテ居ル時ニ於キマ
シテハ、或ハ生產者ハ救ハレルカモ知レマ
セヌケレドモ、消費者ノ側ニ於テハ非常ニ
不公平ガ出來ル、サウシテ取捨ニ非常ニ困
難ヲシ、損失ヲスル者ガ多カラウト思フノ
デアリマシテ、吾々ノ考トシテハ、ドウシ
テモ米穀統制法ニ附隨シテ、白米ノ品位、
價格ヲ命令的ニ規定スルコトガ出來ルコト
ガ宜イト考ヘルノデアリマス、次ニ此取
締法案ガ實施セラレル曉ニ於テハ、朝鮮カラ
移入ノ米ハ、是ハ玄米ダケニサレル考デア
ルカ、或ハ又白米ヲモ許可セラルヽ考デア
ルカ、今日マデ朝鮮カラ入ッテ居ルモノハ、
我ガ北海道ニ殊ニ多イヤウデスガ、皆白米
バカリノヤウデアリマス、其白米ハ玄米ト
シテノ見場ノ惡イヤウナ物ヲ精白シテ移入
シテ來テ、此吾々ノ道產米ヲ壓迫シテ居ル
ヤウナ次第デアリマス、斯ウ云フヤウナコ
トデ、若モ本法案ガ實際ニ實施サレルナラ
バ、是等ノ朝鮮カラノ白米ノ移入モ禁止サ
レナクテハナラナイ、併シ玆ニ問題トナル
ノハ、朝鮮ノ白米ガ安クテ、必ズ品賣ガ惡
イカト云ヘバ、サウデハナイ、ドウモ玄米
ノ產米檢査ノ標準ニ於テ、或ハ粒揃ヒトカ、
靑田構ヘト云フヤウナコトニ、色々ナ規則
カラ成ッテ居リ、品質ノ點ニ付テハ、此朝鮮
ノ白米モ中々食ベテ宜イヤウニ感ズルノデ
アリマスガ、サウ云フヤウナ譯デ、此取締
法ヲ厲行シテ、朝鮮白米ノ移入ヲ禁止サレ
ルコトハ、第一朝鮮ノ米穀ニ取ッテモ大ナ
ル打擊デアルノミナラズ、又需要者ニ於テ
モ、非常ニ失望スルヤウナコトニナリハセ
ヌカト考ヘテ居リマス、次ニ伺ヒタイノ
ハ、全國ニ於テ今日府縣令デ無砂搗ヲ厲行
シテ居ル府縣ハ何處ト何處デアリマスカ、
自分ハ寡聞ニシテ能ク分リマセヌケレド
モ、今日實施シテ居ルノハ、滋賀縣一縣ノ
ヤウニ考ヘテ居リマス、來ル六月一日カラ
北海道ニ於テ、此無砂搗ノ白米ガ厲行サレ
ルヤウナコトニナッテ居ルノデスガ、又ドウ
シタ加減カ、樺太ガ混砂白米移入ヲ禁止セ
ントスルヤウナ話ヲ聞イテ居リマスガ、果
シテサウデアリマスカ、是ト共ニ滋賀縣其
他無砂搗白米ヲ厲行シテ居ル所ノ成績ハ、
果シテ完全ニ厲行サレテ居ルヤ否ヤ、又之
ニ對シテ其縣民ガ不平ヲ洩シテ居ルカ居ラ
ヌカ、ソレ等ノ點ニ付テ能ク御聽キシタイ
ノデアリマス、尙又是等ノ各府縣ガ縣令又
ハ廳令ヲ以テ之ヲ取締ラントスル際ニ、豫
メ農林省ニ對シテ、何カ其可否ヲ相談シテ
居リマスカドウカ、ソレヲ一ツ御聽キシタ
イノデアリマス、ソレデ私ハ本法案ハ、審
議ノ結果恐ラク否決サレルモノト思ッテ居
リマスガ、又他方ニ於テ、無砂搗ノ白米ハ
禁止サレテ居ナイノデアリマスカラ、要ス
ルニ本案ガ實施サレントスルト、玆ニ無砂
搗白米ト混砂搗白米ガ出來マスノデ、之ニ
付テ吾々ガ自分ダケノ衞生カラ考ヘテ、無
砂搗ノ白米ヲ購買シテ居リマスガ、ドウモ
是ハ精米ノ勞力其他ノ關係カラシテ、高ク
ナルベキモノガ、常ニ低イ價格ヲ持ッテ居ル
ノデアリマス、ソレハト申スト、此白米ノ
檢査方法ニ於テノ統一ガナイカラデアリマ
ス、此寒水石粉其他デ白ク化粧シタモノ
ハ、ドウシテモ高クナルガ、無砂搗ノモノ
ハ色ガ惡イノデ、ドウシテモ格付ガ落チル
ノデアリマス、今日大分諸方カラ無砂搗白
米ト云フ註文ガ精米屋へ來テモ、精米屋ハ
成ベク無砂搗白米ヲ作ラヌヤウニシテ居
ル、作ッタラ格ヲ落サレテ損ガ行ク、サウ云
フヤウナ矛盾ガアリマスノデ、先ヅ此米穀
統制案ヲ完全ニ實施運用サレル場合ニ於テ
ハ、ドウシテモ此無砂搗白米ノ格付、又混
砂搗白米ノ格付ヲ、最モ公平ニ而モ統一サ
セナクテハナラヌカト考ヘマス、ソレニ付
テモウ一ツ御尋シタイノハ、本法案ガ若
シモ否決ノ運命ニ陷ッタナラバ、其後ハ
或ハ滋賀縣、或ハ北海道ノヤウナ一二ノ縣
ガ、縣令ナリ廳令ヲ以テ無砂搗ヲ厲行スル
トスレバ、玆ニ全國的ニ白米ノ上ニ非常ナ
混亂ヲ來シハシナイカト思フ、ソレト同時
ニ之ニ付テ若シモ本案ガ否決サレタナラ
バ、同時ニ省令ヲ以テ-權成アル省令ヲ
以テ、是等府縣令ヲ廢止サレル所ノ意思ガ
アリヤナキヤト云フコトヲ、先ヅ第一ニ御
聽キシタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=52
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053・松村謙三
○松村政府委員 只今ノ壽原サンノ御質問
ニ御答ヲ申上ゲマス、第一ニ米穀統制法ガ
通過セントシテ居ルガ、其中ニ米穀法ノ目
的ハ、生產者ダケヲ保護スル意味デアルカ
ト云フヤウナ御尋デアリマスガ、是ハ決シテ
サウヂヤアリマセヌノデ、生產者ヲ保護ス
ルハ勿論デアリマスガ、同時ニ消費階級ヲ
モ保護スル、卽チ量ノ調節ト價格ノ調節ヲ
シマシテ、生產者及消費者ノ利益ヲ適當ニ
圖ルト云フノガ、米穀統制法ノ精神デアリ
マス、然ラバ何故白米ニ及バナイカ、白米
ヲ嚴重ニ統制スルニアラザレバ、消費者階
級ノ利益ヲ擁護スルコトハ出來ヌデハナイ
カト云フ御質問デアリマスケレドモ、今度
ノ米穀統制法ノ司ル範圍ハ、經濟的ニ米ノ
價格及數量ノ調節ヲスルト云フ所ニアリマ
スノデ、此白米ニシタモノマデニハ及ンデ
居リマセヌノデアリマス、併ナガラ之ヲ抛
棄シテ置イテ宜イカト申シマスト、只今壽
原サンノ御話ノヤウナ點ニ於キマシテ、矢
張遺憾ノ點モアリマスガ、併シ本當ニ價格、
品位ヲ統制シヨウト云フコトデアリマス
ト.米穀檢査ト云フモノヲ國デ統一セナケ
レバイカヌノデアリマス、所ガ之ヲ全國的
ニ統一スルト云フコトハ、是ハ吾々トシテ
ハ是非必要ナコトデアルト考ヘマスガ、ソ
レニハ中々ノ準備ト費用ヲ要シマスルカ
ラ、ソレガ必ズ近キ將來ニ實行出來ルカ出
來ヌカト云フコトヲ申上ゲル機會ニマデ達
シテ居リマセヌ、ソレカラ朝鮮ノ米ノコト
デアリマスガ、朝鮮ノ米ヲ米穀法ニ依ッテ
支配スルノモ、是モ經濟的ノ統制デアリマ
シテ、法制ヲ以テ何等拘束スルコトガ出來
ヌノデアリマス、ソレハ朝鮮、臺灣ノ統治
ノ問題モアリマスルシシマスノデ、今日ハ
唯單ニ經濟的ノ方法ヲ以テ統制致シテ居ル
ノデアリマスガ、卽チ季節的ニ朝鮮カラ殺
到シテ來マス米ヲ、アチラヘ農林省カラ
行ッテ、其過剩ノ米ヲ買上ゲマシテ、サウシ
テ月別平均ナラシムルヤウニ努メルト云フ
程度デアルノデアリマス、隨テ只今農林省
トシテ取扱ッテ居リマスコトハ、玄米及籾
ノ買上デアリマス、白米ニ及ンデ居リマセ
又、但シ朝鮮ニ於キマシテハ、御承知ノ通
リ去年カラデアリマスカ、アソコノ米ノ檢
査ヲ道營ニ致シマシタ、道營檢査ヲ致スコ
トニシテ統一ヲ圖ッテ居リマスカラ、其意
味カラシテハ、或ハ白米ノ統制ト云フコト
モ漸次出來ルノデハナイカト思ヒマスケレ
ドモ、米穀統制法ノ關スル範圍內ニ於テ
ハ、玄米及籾ヲ內地ニ移入スル數量ヲ月別
平均ナラシムル爲ニ買上ヲスルト云フニ過
ギヌノデゴザイマスカラ、左樣御承知ヲ願
ヒタウゴザイマス、ソレカラ今日府縣令デ
混砂米ノ搗精ヲ禁止スルト云フノハ、御話
ノ如ク是ハ滋賀縣ト北海道ノヤウニ私ハ存
ジテ居リマス、此事ニ付キマシテハ農林省
ノ方ヘハ、矢張相談ニハ來テ居ルコトト思
フノデアリマスガ、然ラバ農林省ハ之ニ贊
成デアルカラ、ソレガ宜イダラウト云ッテ許
シタカト申シマスト、必シモサウデハナイ
ノデアリマス、斯ウ云フコトハ大體其府縣
ノ意向ヲ尊重致シマシテ、害ノナイ限リニ
於テ相談ニ應ジ、若クハ許可スベキモノハ
許可シテ居ルニ過ギヌノデアリマシテ、元
元省トシテノ考ヲ申上ゲマスト、此混砂米
其モノガ衞生上ドウ云フモノデアラウカト
云フコトニ付キマシテハ、是ハ內務省ノ問
題デアリマシテ、吾々ハ深ク〓究シテ居リ
マセヌ、內務省ノ〓究ニ待ツベキモノデア
リマス、併ナガラ出來得ル限リ混砂ヲシナ
イヤウニシタ方ガ宜イトハ思ヒマスケレド
モ、之ヲ法制ヲ以テ禁ズルト云フコトハ如
何ナモノデアリマセウカ、ソレヨリモ寧ロ
近頃ハ搗精ノ機械ナンカヾ餘程發達致シマ
シタカラ、サウ云フ意味合ニ於テ、經濟的
ニモ混砂シナイデ精白シ得ル機械ノ奬勵、
其他ノ方法ヲ以テ其目的ヲ達スル方ガ適當
デハアルマイカ、斯ウ云フ風ニ考ヘテ居ル
ヤウナ次第デアリマス、大體ノコトハ以上
御答申上ゲマシタガ、尙ホ詳細ノコトハ農
務局長モ見エテ居リマスカラ、御質問ガア
リマスレバ農務局長ヨリ御答致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=53
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054・壽原英太郎
○壽原委員 サウシマスト米穀法ト云フモ
ノハ籾及玄米ニシカ關係シナイカラ、白米
ノコトニ付テハ先ヅ米穀檢査ノ統一ト云フ
コトモアルシ、中々實施ノ運ビニ至ラヌト
云フヤウナ御意見ノヤウニ思ヒマス、朝鮮
カラハ月別ニ玄米及籾ヲ適量ニ移入スルト
云フコトニナッテ居ルガ、白米ノ移入ニ付テ
ハ放任ヲスルト云フ御考デアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=54
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055・松村謙三
○松村政府委員 其點ハ御承知ノ通リ、朝
鮮カラ一ケ年ニ入リマス額ヲ月別ニ大體割
リマシテ、サウシテ假ニ一ケ月ニ五十萬石
入レバ月別平均ニナルノヲ、ソレヲ此月ハ
八十萬石入ッタト云フナラバ、其三十萬石ヲ
買上ゲテ、サウシテ內地へ移入スル額ヲ五
十萬石ニ止メタイト云フヤウナヤリ方デア
リマス、其五十萬石入ッテ來ルモノノ中ニ玄
米モアリマセウシ、白米モアリマセウ、ソ
レハコチラデハ干與スルコトハ出來マセヌ
ノデ、コチラデハ過剩米ダケヲ政府ノ手デ
買ゲルト云フ仕組デゴザイマスカラ、ソレ
デ白米ニ付テハ自然アチラカラ入ッテ來ル
コトヲ止メルコトガ出來ヌノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=55
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056・壽原英太郎
○壽原委員 ソレカラモウ一ツ、一寸先程
御尋シタノデスガ、要スルニ本案ガ否決ニ
ナッタ場合ハ、全國ノ白米ノ統一ノ目的ヲ以
テ、僅カ一縣ヤ一道ニ施行サレテ居ルヤウ
ナ、此混砂米禁止ノ縣令ナリ廳令ヲ存續シ
テハ、全國ノ白米ノ價格品位等ニ對シテ非
常ニ消費者ガ迷惑ヲスル、斯ウ云フ點カラ
サウ云フ一二縣ニヤッテ居ルノヲ禁止スル
御考ハアリマセヌカドウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=56
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057・松村謙三
○松村政府委員 其事ハ內務省關係ト存ジ
マスカラ、内務省ノ方カラ御答ヲ御願致シ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=57
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058・壽原英太郎
○壽原委員 ソレデハ內務省ノ方ハ後ニシ
テ戴キマシテ、無砂搗ニ依ル精白米ト、混
砂搗ニ依ル精白米トハ、貯藏保存ノ上ニ於
テ何レガ優レリト御考ニナリマスカ、吾々
ノ知ル所ニ於キマシテハ、此寒水粉ヲ入レ
タ爲ニ、先程宮澤サンヨリモ御話ガアリマシ
タガ、米ノ中ニ含ム水分ヲ幾ラカ吸收スル
爲ニ非常ニ保存ガ宜イ、尤モ今日長ク保存
サレテ居ルモノハ、大抵玄米又ハ籾デアリ
マスケレドモ、併シ交通不便ノ所トカ、精
米機械ノナイ所デハ、矢張一時ニ澤山ノ白
米ヲ購入シナクチヤナラヌノデアリマス、
大體保存ト云フコトハ總テ文明ノ進步ニ
從ッテ最モ肝要ナコトデアッテ、熱帶地方ニ
行キマスト云フト、食ベル米ハ其日ノ朝曰
デ搗イテ、其晩〓ベルヤウナ姑息ナヤリ方
ヲシテ居ルノデアリマス、吾々ノ田舍ノ方
ノ狀態デモ、昔ハ今摺米ヲ卽時食ベルト云
フヤウナコトデ、ドウモ貯藏トカ保存ト云
フヤウナコトニ餘リ關心ヲ持ッテ居ナカッタ
ノデスガ、文明ノ進步ト共ニ是ハ單ナル個
人經濟デナク、國家經濟ノ上ニ於テ、總テ
ノ物ヲ如何ニ長ク保存サスカト云フコトガ
大問題デアリマス、ソレ等ノ點カラ致シマ
シテ、此無砂搗ニ依ル精白米ガ貯藏シ易イ
カ、混砂搗ノ精白米ガ保存シ易イカト云フ
コトヲ先ヅ第一ニ伺ヒマス、次ニ家畜ノ飼
料デアリマスガ、家畜ノ飼料トシテ燐分ガ
多イ無砂糠ト、石粉、所謂炭酸ニカルシュ
ーム」ヲ含ム糠、此二ツノ糠ガドチラガ飼
料トシテ適當シテ居リマスカ、尤モ糠ノ中
ニハ燐分ガ非常ニ多イノデアリマス、或ハ
枯草ナリ野草ナリノ澤山アル所ハ、之ニ依ツ
テ「カルシューム」ヲ補給致シマシテ、石灰分
ノ缺乏ニ依ル所謂骨軟病、其處ニ荒川サンガ
立派ナ標本ヲ持ッテ來テ居ル、所謂畜類ノ骨
軟病ハ主トシテ「カルシューム」ノ缺乏ニ依ル
モノデアリマス、デアリマスガ故ニ「カルシュ
ーム」モ、枯草ナリ野草ナリノアル所ハ宜イ
ノデアリマスガ、ソレ等ノ牧草ガ少イ所-
-又藁モ幾ラカ含ンデ居ルヤウデアリマス
ケレドモ、藁モ餘リ多量ニ牛馬ハ攝レヌヤ
ウニ聞イテ居リマス、ソレ等ノ點カラ致シ
マシテ、吾々ハサウ云フ安イ濃厚飼料ヲ使
フ上ニ於テハ、無砂糠ヨリハ却テ此寒水粉
ヲ含ンダ所ノ混砂糖ガ最モ宜イト信ズルノ
デアリマス、之ニ對シテ御所見ハ如何デア
リマスカ、尙ホ是ハ北海道デ保存サレテ居
ルノデスガ、此無砂糠ト云フ物ハ非常ニ水
分ヲ含ンデ居ッテ貯藏ニ困難ナノデアリマ
ス、吾々ハドウシテモ混砂糠デナケレバナ
ラナイト言フト畜產ノ方ノ方々ハ、混砂
糠デハ燐分ガ少イトカ、榮養分ノ上ニ於テ
惡イトカ云フヤウナ問題ガ出タノデアリマ
スガ、果シテ此混砂糠ガソレ程惡イカドウ
カ、又先程荒川君カラ此混砂糠ヲ肥料トシ
テ使フ時ニハ、「カルシューム」分ガ放散シ
テ、總テノ植物ノ成育ヲ害スルト云フ、洵ニ
緻密ナ御話ガアッタノデアリマス、是ハ私ハ
「カルシューム」ハサウ云フ輕イ放散シ易イ
モノデナカラウト思フノデアリマスケレド
モ、一步讓ヲテ放散スルモノトシテ、左程
植物成育上ニ有害デアッテ、其「カルシュー
ム」分ヲ含ンダ所ノ混砂糠ハ、肥料トシテ
不適當デアリマスカ、是等ノ點ニ付テ御聽
キシタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=58
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059・荒川五郎
○荒川五郞君 只今私ノ申シヤウガ惡カッタ
カ知レマセヌガ、珪素質ノ石ヲ粉ニシタモ
ノハ非常ニ宜クナイト云フヤウナ、是ハ珪
素質ノ方ノ說明ヲシタノデアリマス、又炭
酸「カルシューム」ハサウ云フコトハナイト
云フ意味ヲ說明シタ筈デアリマス、只今ノ
ハ少シ誤解ガアルヤウデスカラ、ソレダケ
申上ゲテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=59
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060・長瀬貞一
○長瀨政府委員 只今ノ御尋ハ餘程技術上
ノ事項ノ勝ッタ問題バカリノヤウニ承リマ
シリ、私トシテハ御答辯ニ甚ダ困ルノデア
リマスガ、事務ノ傍ラ承ッタ所ヲ綜合致シマ
シテ、一應御答辯申上ゲマス、保存ノ點ニ付
キマシテハ、是ハ要スルニ混入致シマスル
物ノ物質如何ニ依ルト存ジマス、水分吸收
力ノ相當アル物ナラバ、ソレハ或ル程度マ
デ水分ヲ吸收スルト云フコトノ爲ニ、保存
ニ幾分カ資スル所ハアリマセウケレドモ、
併シ是ガ爲ニドノ程度ニ保存ヲ助ケルカト
云フコトニナリマスト、是ハ相當ニアルマ
イカト考ヘテ居リマス、此保存ノ點ニ付キ
マシテハ、從來トモ白米ニ付キマシテハ、
農林省ニ於キマシテ十分ノ考究ヲ積ンデ居
ナイノデアリマス、ソレハ玄米貯藏或ハ籾
貯藏ト云フコトヲ、從來實行モシ、獎
勵モシテ參リマシタ結果ト致シマシテ、
双方完全ニスルトカ、或ハ通風ノ關係乃至
ハ害蟲ノ燻蒸ヲ行フトカ、或ハ「アドソー
ル」乾燥ヲスルト云フ程度ノコトヲヤッテ
居リマスガ、白米ニナリマスト、ドウシテ
モ保存力ト云フモノガ乏シイコトハ申スマ
デモナイノデアリマス、隨ヒマシテ試驗材
料ト致シテハ、白米ニ依ラズシテ玄米ニ
依ッテ居ルガ爲ニ、左樣ナ結果ニナッテ居ル
次第デアリマス、其點ハ御諒承願ヒタイト
思ヒマス、尙ホ家畜飼料トシテノ只今御質
問ガゴザイマシタノデアリマスガ、幾分カ
砂ガ混リマシテモ「カルシューム」成分ノ
モノナラバ、左樣ナ非常ナ害ハナイト信ジ
マス、唯珪酸質、珪素類ノモノニナリマス
ト、房州砂其他ニ見マスルガ如キ、胃壁ヲ
害スルト云フヤウナ結果ガ起リマスルガ爲
ニ、自然矢張是モ混入致シマスル所ノ砂ノ
實質ノ差別ニ依リマシテ「カルシューム」
石灰分ハソレ程デナイト思ヒマスケレド
モ、此珪酸類ニナリマスルト、矢張面白ク
ナイ、ソレデ畜產當局ノ考ヲ曾テ聽イタコ
トモゴザイマスガ、此砂類ハドウモ面白ク
ナイ、ドウシテモ混ゼルト云フナラバ、
精々二〇%程度以上ハ到底イケナイ、ソレ
以下デモ無論ナイニ越シタコトハアリマセ
ヌガ、此珪酸類ハ無論困ルト云フ立場デア
リマシテ、今囘北海道ニ於カレマシテ、此
六月カラサウ云フモノヲ禁止シヨウト云フ
コトマデ御考ヘニナッテ居ルノモ、矢張家
畜飼料ト云フ點ニ於テ色々考慮ヲ廻ラサレ
タ結果ダト承ッテ居リマス、ソレカラ無砂
搗キノ糠ハ水分ヲ含ムカト云フ御話デゴザ
イマス、此點ニ付テハ私マダ不幸ニシテ知
識ヲ持チマセヌ爲ニ、若シ必要ナラバ技術
家ノ方カラ承リマシテ御返事ヲ申上ゲマ
ス、ソレカラ最後ノ砂ノ混ッタ糠ハ肥料ト
シテ有害ナリヤ否ヤ、是ハ先程荒川サンカ
ラ珪素質ニ限ルト云フ御釋明ガアリマシタ
ガ、私共モ左樣ニ考ヘマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=60
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061・壽原英太郎
○壽原委員 先程ノ松村サンノ御返事ノ、
滋賀縣ニ於ケル所ノ無砂搗白米ノ成績ハド
ウデスカト云フコトハ御分リニナッテ居リ
マスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=61
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062・長瀬貞一
○長瀨政府委員 滋賀縣ニ於ケル無砂搗白
米ノ成績ト申シマスルト、搗精步合ガドレ
ダケニナッテ、經濟狀態ガドウデアルカト
云フコトニナルノデアリマスガ、御尋ハ結
局不平ガアルカドウカト云フコトダト思ヒ
マスガ、私共不平ガアッタト云フコトハ聞
イテ居リマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=62
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063・壽原英太郎
○壽原委員 ソレデハ今度ハ先ノ問題ト關
聯シテ、內務省ノ方ニ御聽キシタイ、玄米
ノ食用ガ衞生上有益ニシテ、經濟上ニモ利益
ナリトシテ、內務當局ハ之ヲ奬勵サレル御
考デアルヤ否ヤヲ御聽シタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=63
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064・清瀬規矩雄
○淸瀨委員長 一寸諸君ニ御諮リ致シマス
ガ、政府委員ガ今差支ヘテ出席ガ出來ナイ
ノデアリマス、保健課長ノ藤原サント云フ
方ガ說明委員トシテ出席サレテ居リマス
ガ、此方ニ說明シテ貰ッテ差支アリマセヌ
カ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=64
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065・清瀬規矩雄
○淸瀨委員長 ソレデハ御說明願フコトニ
致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=65
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066・壽原英太郎
○壽原委員 近來二木博士ガ此玄米單一食
ヲ非常ニ鼓吹サレテ居リマスガ、御附合デ、
コノ間院內ノ試食會デモ詳シク承リマシタ
ガ、果シテ斯樣ナ玄米單一食ト云フコト
ガ、榮養學上是認シテ宜イカ惡イカ、實ハ
甚ダ疑問ニ存ズル者デアリマス、吾々ハ此
天然ノ與ヘラレタル所ノ其米以外ニ、或ハ
魚肉、獸肉、野菜ナドガ必ズ副食物ニナッ
テ、所謂適當ナ混食、是ガ一番宜イモノナ
リト今日マデ信ジテ來タノデアリマシ
テ、或ハ白米食ノ爲ニ失フ所ノ幾分ノ榮養
分ハ、此副食物ニ依ッテ優ニ補充サレルコ
トハ勿論デアリマス、米ノ外ニ何モ生產出
來ヌ所ハイザ知ラズ、單ナル米ガ生活ノ糧
デアルト云フコトハ首肯シ得ルト共ニ、又
色々ノ副食物ニ依ッテ食慾ヲ喚起シ、愉快ナ
食事ガ出來ルモノト考へテ居ルノデアリマ
ス、勿論今日デハ「ヴィタミン」Bノ缺乏ガ脚
氣病ノ原因ニナルト云フコトハ學說デ確定
シテ居リマスルガ、唯ソレハ「ヴィタミン」
Bノ缺乏バカリガ原因デアルカト申シマス
ト私ハサウハ考ヘラレマセヌ、風土ノ關
係、氣候ノ關係ガ非常ニアルヤウニ考ヘテ
居リマス、一體日本ニ於テ脚氣患者ト云フ
モノハドレ程アルノデアリマセウカ、吾々
ハ少數ナ此患者ノ犠牲トナッテ食ベニクイ、
好カナイ玄米ノ單一食ヲ採ラウトスルコト
ハ、洵ニ苦痛ニ感ズル者デアリマス、又サ
ウ云フ脚氣病者ニ對シテハ「オリザニン」ト
カ、其他色々藥ヲ服用スルコトニ依ッテ癒ル
ト考ヘテ居ルノデアリマスガ、是等ノ點ニ
付テノ御所見ハドウデアリマスカ、ソレカ
ラモウ一ツハ要スルニ搗粉入ノ白米ハ、先
程荒川君ヨリ國立榮養〓究所ノ成績デ、鼠
ニ食ハシタラバ惡カッタト云フヤウナ御話
ハアリマスルケレドモ、吾々ハ今日マデ混
砂搗ノ白米ヲ食ッタラ病氣ニナッタト云フコ
トモ聞イタコトガナイノデアリマシテ、却
テ此頃人體ニ於テモ「カルシウム」ノ不足ノ
者ニハ「カルシウム」ヲ注射シタリ、飮マシ
タリシテ居ルノデアリマス、人體ニ於テヾ
モ「カルシウム」ノ不足ガ骨軟症トナルト云
フコトハ御當局ガ認メラレルカドウカ、結
論ト致シマシテハ、內務當局ハ混砂搗白米
取締法ニ對シテ贊成サレルカドウデアルカ
ト云フコトヲ御伺シタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=66
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067・荒川五郎
○荒川五郞君 只今玄米單一食ヲ主張シテ
居ラルヽト云フ御話デアリマシタガ、試食シ
テ下スッタカモ知レマセヌガ、玄米ダケデナ
シニ、相當ナ副食物ハ出シタノデアリマス、
玄米單一〓ヲ主張スルニ非ズシテ、ソレ相
當ナル副食物ハ、決シテ否ムモノデハナイ
ノデアリマス、一寸申上ゲテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=67
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068・藤原孝夫
○藤原內務書記官 只今ノ御間ニ御答致シ
マスガ、或ハ御尋ノ順序ニ依ラナイデ、
便宜上前後スルト思ヒマスガ、豫メ御
諒承ヲ願ヒタイト思ヒマス、先ヅ前段
ト致シマシテ、玄米食ヲ衞生上ノ見地カ
ラ見テ奬勵スルカドウカト云フコトニ
付テノ御尋ニ御答ヲ致シタイト思ヒマ
スカ、ソレハ內務省ニ於キマシテハ米ノ
搗精ト云フコトニ依リマシテ、米ノ中
ニ存在スル所ノ蛋白質デアルトカ、脂肪
分デアルトカ、或ハ「ヴィタミン」其他ノ
榮養分ヲ多ク含有致シマスル所ノ米ノ皮
質及胚芽ヲ損耗サセマシテ、之ニ依ッテ米
ノ榮養上ノ價値ヲ減損スルコトニナルト云
フコトハ、認メテ居ルノデアリマス、隨テ
我國ガ多イ所ノ脚氣ノ誘因ヲ成スノ虞ガア
ルト云フヤウナ風ニモ考ヘテ居ルノデアリ
マス、併ナガラ此點ニ付キマシテハ、副食
物ノ配合宜シキヲ得マスナラバ、之ニ依リ
マシテ其榮養分ニ對スル補充ヲ致スコト
ハ、決シテ困難デハナイト考ヘテ居ルノデ
アリマシテ、搗精ヲシナイデ其儘〓ベルコ
トヨリモ、搗精スルコトニ依ッテ榮養上ノ減
損ヲ來スト云フコトニ付テハ、認メテ居ル
ノデアリマス、併ナガラソレナラドノ程度
ニ於テ搗精シタモノヲ勸ムベキデアルカ、
或ハ全然搗精ヲシナイモノ、言ヒ換ヘレバ
玄米ヲ勸ムベキデアルカドウカト云フコト
ニ付テハ、是ハ別問題デアリマシテ、愼重
ニ榮養上、廣ク言ヘバ衞生上ノ點及經濟上
ノ點カラ十分ニ調査ヲ遂ゲタ上デ、決定ヲ
シナケレバナラナイ重要ナ問題ト考ヘテ居
ルノデアリマス、之ニ付キマシテハ榮養〓
究所ニ於テ夙ニ調査ヲ致シテ居ルノデゴザ
イマスガ、今日マデノ調査〓究ノ結果ニ於
キマシテハ、必シモ玄米其モノガ最モ國民
ニ衞生上勸ムベキモノデアル、最モ奬勵ス
ベキモノデアルト云フコトハ、今日マデノ
調査ノ結果ニ於テハ、斷定スルコトガ出來
ナイ狀況ニアルノデアリマス、其邊ヲ御承
知置キヲ願ヒタイト思ヒマス
尙ホ本案其モノニ對シマシテ、衞生上ノ
見地カラ見テドウ云フ考ヲ持ッテ居ルカト
云フ御尋デゴザイマスガ、之ニ付キマシテ
モ衞生上及經濟上ノ二點カラ、愼重ニ考究
致サナケレバナラナイノデアリマシテ、經
濟上ノ問題ニ付テハ前刻來農林省カラ御答
ガゴザイマシタカラ、私ハ其衞生上ノ問題
ニ付テ御答ヲ致シタイト思フノデアリマス
ガ、搗粉其モノヽ害ト云フ事柄ニ付キマシ
テハ、提案者ニ於カレテモ御引用ニナリマ
シタヤウニ、國立榮養〓究所ニ於テ之ヲ鼠
ニ食ベサシテ、如何ナル結果ガ現ハレタカ
ト云フ、動物試驗ヲ致シタノデアリマシ
テ、ソレニ依リマスト、御話ノ通リニ硅素
質ノモノモ、或ハ炭酸「カルシューム」ヲ
主トスルモノモ、何レモ相當ノ害ヲ示シテ
居ルノデアリマス、併ナガラ是ハ非常ニ多
量ナル搗粉ヲ鼠ニ適用シタ場合デアリマシ
テ、人體ニ於テハ斯ノ如キ多量ノモノヲ決
シテ用ヒルモノデハナイノデアリマス、果
シテ人體ニモ同樣ノ結果ガ現ハレルカドウ
カト云フコトニ付テハ、固ヨリ非常ニ疑問
デアリマス、併ナガラ鼠ニ對シ非常ニ多量
ヲ食ベサシタ場合ノ結果ハ左樣ニ相成ッ
テ居ルノデアリマス、假ニ人體ニ對シテ同
樣ノ結果ヲ生ズルコトガアリト致シマシテ
モ、白米ニ付テハ之ヲ必ズ炊グ場合ニ水デ
洗フノデアリマス、所謂淘洗ヲスルト云フ
コトハ、國民ノ習慣デゴザイマスカラ、白
米ニ附著シテ居ル搗粉ハ此淘洗ヲスルコト
ニ依リ洗ヒ去ラレルノデアリマス、隨テ搗
粉ノ衞生上ノ被害ガ人體ニ及ボスト云フヤ
ウナ虞ハナイモノト考へラレルノデアリマ
ス、ソコデ唯淘洗ニ依ッテ積極的ニ被害ハ生
ジナイケレドモ、併ナガラ一面ニ於テハ米ノ
搗精ト同ジヤウニ、矢張米ノ皮質及胚芽ニ
存在スル所ノ榮養分モ消耗セシメルト云フ
ヤウナ虞ガアリマスカラ、之ニ付テハ先刻
モ搗精ト云フコトニ付テ申上ゲマシタ場合
ト同ジヤウニ、之ヲ他ノ副食物等ニ依リ榮
養價ノ缺陷ヲ補フト云フ必要ハ存在スル譯
デアリマス、大體斯ウ云フ風デアリマシ
テ、穀類混砂搗精ト云フコトニ付キマシテ
ハ、衞生上ノ積極的ノ被害ハ生ジマセヌ、
認メテ居リマスガ故ニ、法律ヲ以テ之ヲ衞
生上ノ見地カラ禁止ヲスルト云フヤウナコ
トヨリモ、寧ロ適當ニ國民ヲ指導シ、奬勵
スルコトニ依リマシテ、嗜好ヲ無砂搗精ト
云フヤウナ方面ニ導イテ行クコトヲ、適當
ト認メテ居ルノデアリマス、尙ホ本法案ノ
中ニ於キマシテ搗精若クハ製粉シタ穀類ニ
砂デアルトカ、或ハ石粉デアルトカ、其他
液類等ヲ混入シテ販賣スルコトヲ禁止スル
ト云フ意味ノ規定ヲ挿入シテ居ルノデアリ
マスガ、此點ニ付テハ現ニ警察犯處罰令ニ
於キマジテ飮食物ノ中ニ異物ヲ混入シテ、
サウシテ之ヲ販賣シ、不正ノ利ヲ計ルト云
フモノニ對シテハ、ソレ〓〓取締規定ガ存
在シテ居ルノデアリマシテ、現行ノ規定ニ
依ッテモ之ニ對スル取締ノ方法ハアルノ
デゴザイマス、ソレカラ此法案ガ若シ否決
サレタ場合ニ於テハ、省令ヲ以テ廳令若ク
ハ府縣令ヲ廢止スルト云フヤウナ意思ガア
ルカドウカト云フヤウナ御尋デアリマシタ
ガ、之ニ付テハ內務省ハ、全體的ニハ只今
申上ゲマシタヤウナ考ヲ持ッテ居ルノデア
リマスガ、旣ニ警察上等ノ必要ニ依リマシ
テ、各地方長官ノ中デ其管內ニ於テ此混砂
搗精ヲ致シタ所ノ穀類販賣ヲ禁止シテ居ル
規定ヲ設ケテ居ルコトガアルノデアリマス
ガ、ソレ等ニ對シマシテハ、是ハ其地方長
官ガ其府縣ナリ、或ハ北海道ノ地方ノ實情
ニ基キマシテ、警察上ノ必要カラ取締ノ法
規ヲ出シテ居ルモノデアリマスルカラ、之
ニ對シマシテハ農林省ハ別ニ本法案ガ如何
樣ニナリマセウトモ、之ニ對シテ假ニ否決
サレマセウトモ、廢止セシムル考ヲ有ッテ
居ラナイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=68
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069・清瀬規矩雄
○清瀨委員長 壽原君、アナタノ御質問ハ
長ケレバ、一ツ保留シテ次囘ニシテ貰ヒタ
イト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=69
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070・壽原英太郎
○壽原委員 モウ十五分バカリ-只今內
務當局カラノ御答辯ヲ諒承致シマシタガ、
ドウモ內務當局デハ此問題ヲ唯單ニ衞生ノ
見地カラ御述ベニナルノデ、洵ニ力ガ薄イ
ヤウニ考ヘルノデアリマス、私ハ此混砂ス
ベキカ、無砂デアルカト云フコトハ、單リ
衞生上ノミナラズ、是ハ產業經濟ノ上ニ大
關係ヲ有ッテ居ル、殊ニ飼料問題、肥料問題
ト云フコトニナルト、非常ニ重要ナコトヽ
考ヘルノデアリマシテ、私ハ冀クハ本案ニ
對シマシテ農林當局ト內務當局ト能ク御協
議相成リマシテ、本案ヲ否決セラレルト共
二、全國ノ米穀搗精ノ統一ヲ御計リ下サル
コトヲ希望シテ置キマス
次ニ是ハ北海道長官ヘ御聽シタイノデア
リマス、第一ニ來ル六月一日カラ北海道ニ
無砂搗ヲ强要セラレル御考デアリマスカ否
ヤヲ御聽シタイノデアリマス、今日マデ滋
賀縣デハ其實行成績ガ良好デアルト云フノ
デ、北海道ノ當局ノ御方ハ非常ニ乘氣ニナッ
テ、此六月一日カラ無砂搗厲行ヲサレル、是
ハ洵ニ危險千萬ノコトト私ハ考ヘルノデア
リマス、デ北海道ニ於ケル所ノ此無砂搗取
締案ハ、本案トハ少シ目的ヲ異ニシテ居リ
やく、是ハ無砂糠ニ依ル家畜用濃厚飼料ノ
要求ニ立脚シテ居ルノデアリマス、其他ノ
理由ニ依ル所ノ人體衞生上ニ有害トカ、又
輸入白米ヲ禁止シタナラバ道內ノ精米業者
ガ却テ喜ブデアラウト云フ洵ニ結構ナ御話
ヅクメデ、遂ニ道會議員全部盲從シタヤウ
ナ結果ニナッタコトハ洵ニ殘念ニ思フノデ
アリマス、先刻カラ奧田產業部長モ御臨席
デ、大抵無砂糠其他ノコトニ付テ御聞及ビ
ノコトヽ洵ニ喜ビニ感ズルノデアリマス、
是ハ道民ノ爲ニ大ニ慶スベキコトヽ考ヘル
ノデアリマス、何トナレバ此質問應答ニ依ツ
テ、此北海道長官ガ米穀其他飼料ニ對シテ
認識不足ト云フコトガ能ク御分リニナッタ
コトヽ思フノデアリマス、本案ノ結果ハ確
ニ反對ニハ決ッテ居ルノデアリマス、若モ本
案ガ通過シテモ、政友會案ニ依ル所ノ所謂
附則附キトシテ、恐ラク炭酸「カルシュー
ム」卽チ寒水粉ヲ除外スルト云フコトニナ
ルト考ヘルノデアリマス、サウ云フヤウナ
時ニ於キマシテ尙且ツ北海道ニ於テ無砂揚
ヲ厲行カ嚴行カサレル考デスカ、又モウ少
シ御〓究アッテハドウカ、第一北海道ノ實施
ニ付キマシテハ我等モモウ少シ十分ニ實施
猶豫期間ヲ與ヘテ戴キタイト云フコトヲ重
ネ〓〓申上ゲタケレドモ御聞入レナカッタ
次第デアリマシテ、米穀統制法ノ實施ガ十月
一日カト思フノデアリマスガ、其時マデヾ
モ御見合セニナル御考ハナイカドウカ、恐
ラク先程カラ農林省ノ方ノ御答辯デハ白米
政策ニハ及バヌヤウナ御考デアリマシタケ
レドモ、私ハ是ハモウ少シ農林省ガ御閑ニ
ナッタ時ニ能ク御考ヘニナッタナラバ必ズ白
米搗精ニマデ及バレルコトヽ考ヘルノデア
リマシテ、ドウカ其時マデ猶豫スルコトヲ
希望シテ置ク次第デアリマス
次ニ御尋致シタイコトハ、炭酸「カルシュ
ーム」ヲ混入スル時ハ、完全ナル飼料ト
ナルコトヲ御認メニナルカドウカ、搗粉ニ
モ色々アリマスガ、先程カラ私ガ主張スル
ノハ寒水搗粉デアリマシテ、一〓ニ搗粉搗
粉ト言ヒマスケレドモ、米ニ使ッテカラ何十
年ト經ッテ居ルノデアリマス、其間ニハ色
色ノ變轉モアリ、〓究モアッテ、今日デハ理
想的ナ此寒水石粉ヲ用ヒテ最モ精巧ナ精米
機械デ精搗サレテ居ルノデアリマスカラ、
私ハ今日ハ此寒水石粉卽チ炭酸「カルシュー
ム」ハ貴重ナル精米媒介劑トシテ認メテ居
ルノデアリマス、實ハ長官ガ御出デニナッ
タナラバ此本ヲ見テ戴キタカッタ、農林省ガ
昭和七年十月ニ「骨軟症豫防ニ就テ」ト云
フ本ヲ出シタノデアリマスガ、之ヲ讀ンデ
戴キタカッタノデアリマス、洵ニソレハ殘念
デアリマスガ、兎モ角モ米ノ價値トシテ非
常ニ燐分ヲ澤山含ンデ居ルト云フコトハ事
實デアリマス、要スルニ完全ノ飼料ハ燐ト
「カルシューム」ノ調和ヲ要スルノデアリマ
ス、若シ調和ヲ缺キマスレバ畜類ノ骨軟病
ヲ起スノデアリマス、北海道トシマシテハ、
「カルシューム」ハ容易ニ手ニ入ラナイカ
ラ、此濃厚飼料ノ中デ調和シタナラバ、最
モ宜イデハナイカト私ハ考ヘルノデアリマ
ス、兎モ角モ今日ニ於テ、炭酸「カルシュー
ム」ノ米糠ガ色々飼料ノ適品トシテ御認ニ
ナッタナラバ-今日北海道ハ凶作、水害ニ
依ッテ不況ノドン底ニ陷ヲテ居ル、旣ニ北海道
ヲ建直スベク長官初メ皆ガ非常ニ努力シテ
居ラレル、其幾多ノ施設ノ中デモ、今日ハ有
畜農業ト云フコトヲ第一ニ奬勵サレントシ
テ居ル、所謂牛馬百萬頭ノ理想ニ進マントス
ル時デアリマス、此時ニ於テ其飼料ノ適否ヲ
誤ッタナラバ、其選擇ヲ誤ッタナラバ、是ハ大
變ナ事デアリマシテ、今日此處デ本案提案
者ノ荒川君初メ、全員、ハ皆炭酸「カルシュー
ム」ト云フモノヽ有效ナリト云フコトヲ確
實ニ認メテ居ルノデアル、今日ニ於テ尙ホ
時勢遲レノコト、無砂糠ガ畜牛ニ好イトシ
テ居ルヤウナコトハ、是ハ餘程考ヘモノデ
ナカラウカト考ヘルノデアリマス、次ニ又
混砂搗白米禁止ノ此條令ノ一部ヲ、改正セ
ラルヽ御意思ハナイカ、此處ニ提出セラレ
テ居ル政友會ノ案ニ依ッテ、若モ有害デナイ
媒介劑ナラ、搗粉ナラバ之ヲ入レテモ宜イ
ト云フコトニ、條令ノ一部ヲ改正セラレル
御考ハナイカト云フコトヲ、御尋シタイノ
デアリマス、マダ御尋シタイ事柄モアリマ
スガ、餘リ時間モ過ギテ居リマスカラ、以
上ノ點ニ付テ御答辯ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=70
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071・手代木隆吉
○手代木委員 今ノ壽原君ノ御質問ニ對ス
ル御答辯ヲ願フ時ニ、併セテ御答辯ヲ戴ク
方ガ都合ガ好イト思ヒマシテ、北海道廳當
局ニ御伺スルノデアリマスガ、先程內務省
衞生局ノ方ノ御意見ニ依リマスト云フト、
衞生上カラ申セバ是ハ害ガナイ、斯ウ云フ
御趣意ノ御答辯デアッタノデアリマス、而シ
テ滋賀縣デアルトカ、或ハ北海道ナドガ取
締ヲ致スト云フコトハ、其地方ノ特別ナル
事情ニ依ルノデアッテ、其事情ハ之ヲ〓括シ
テ言フナラバ、是ハ警察力ノ關係、警察ノ
取締ガ出來ナイ關係上、左樣ナコトニナル
ノデアルト云フ意味ノ御話ガアッタノデア
リマスガ、サウシマスルト、北海道廳ガ管
內ニ對シテ取締ヲ施行シ、之ヲ厲行シヨウ
ト云フ點カラ考ヘマスルナラバ、結局北海
道廳ノ警察部ノ無能ヲ、暴露シテ居ルヤウ
ナコトニ考ヘ得ラレルノデアリマスガ、若
シ警察力ニ依ッテ有害ナモノガアルノヲ取
締リ得ルナラバ、故ラニ左樣ナコトヲ致サ
ヌデモ濟ムト云フ意味ニ受取レルノデアリ
マス、ソレデ何レ之ヲ設ケタ目的モアリ、
又之ヲ設ケルノニハ愼重ナ調査〓究モシタ
コトデアリマセウカラ、ソレ等ノ結果ニ依ツ
テ、是ガ實施セラレルコトニナッタノデア
リマセウケレドモ、併シ今申上ゲルヤウナ
風ニ、內務當局ノ見解カラ言ヘバ、警察力
ニ依ッテ此有害ナモノハ取締リ得ルノデア
ルカラ、特ニ斯樣ナル法律ヲ設ケル必要ガ
ナイト思フト云フコトデアリマスト云フ
ト、其處ニ只今申上ゲルヤウナコトガ、ド
ウシテモ考ヘ得ラレルノデアリマス、ソレ
ニ對シテ道廳當局ハ、一體如何ニ御考ニ
ナッテ居ラレルノカ、併七テ御答辯ヲ願ヒタ
イト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=71
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072・清瀬規矩雄
○〓瀨委員長 チヨット諸君ニ御諮リ致シ
マスガ、北海道長官ガ政府委員デゴザイマ
スケレドモ、今日ハ都合デ見エラレナイノ
デアリマス、奥田產業部長ガ說明員トシテ
見エテ居リマスガ、產業部長ニ答辯ヲ許シ
テ差支ヘアリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=72
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073・清瀬規矩雄
○〓瀨委員長 奥田產業部長発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=73
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074・奧田茂造
○奧田北海道廳産業部長 先ヅ壽原サンニ
御答致シマス、道廳ト致シマシテハ六月一
日カラ實施ヲ致シマスノデ、實施シマシタ
曉ハ何處マデモ嚴重ナル取締ヲシタイト考
ヘテ居リマス、只今滋賀縣ガ實施シマシテ
相當ノ成績ガ擧ッテ居ルカラ、北海道モ實施
スルンダト云フコトノ御話ガゴザイマシタ
ガ、此點ハ左樣デゴザイマセヌノデアリマ
ス、北海道ハ北海道ノ立場カラ考ヘマシテ、
最モ必要ダト云フヤウナ見解カラ、此規則
ヲ出シタノデアリマス、又移入サレル所ノ
モノヲモ禁止シマシタト云フ所以ハ、是ハ
獨リ飼料ノ關係ノミナラズ、一般衞生ノ立
場カラ考ヘマシテシタ事柄デアッテ、米屋ヲ
喜バス爲デナイト云フコトヲ、御諒承ヲ願
ヒタイト思ヒマス、私等ノ考カラ行キマス
ト云フト、混砂米ニ於キマシテハ、寒水粉
以外ノモノニ於キマシテハ、四%以上這入ッ
テ居ル場合ニ於キマシテハ、人體ニ害ガア
ルト云フコトノ考ヲ持ッテ居リマス、寒水
粉ニ於キマシテハ一八%以上ノ場合ニ於テ
ハ、ヤハリ人體ニ害ガアルト云フコトヲ認
メマシテ、此禁止令ヲ出シタノデアリマス、
次ニ北海道廳トシテ、只今御提案ニナッテ居
ル政友會案ノ、除外例ノ如キモノヲ認メル
カ否カト云フ御話デアリマスガ、是ハ只今
ノ所デハ左樣ナ考ヲ持ッテ居リマセヌ、併
ナガラ實施ノ結果ニ於キマシテ、十分ニ考
慮ガ出來ルト致シマスレバ、其時ニ於キマ
シテ除外ヲシタイト考へテ居リマス、更ニ
附加ヘテ申上ゲタイノハ、此規則ノ發布ハ
一方カラ見マシテハ、一般衞生ノ立場カラ
禁止ヲスルコトニナリ、次ニハ北海道ガ只
今御話ノ如ク牛馬百萬頭ヲ目指シテ、拓殖
計畫ヲ樹テヽ居ル關係上、飼料ト云フモノ
ニ付キマシテハ、相當考慮ヲ拂ハナケレバ
ナラヌ、今マデノ北海道ニ入リマス所ノ飼
料ハ、五百萬圓ニ及バントシテ居ルヤウナ
狀況デアル、サナガラ飼料デアル所ノ枯草
其他ニ於キマシテハ、相當豐富ナモノガア
ルガ、濃厚飼料ハ不足シテ居ルカラシテ、
之ヲ無砂糠ニ依リマシテ補フト云フコト
ガ、北海道自身ノ建前カラ致シマシテ、最
モ必要デアルト云フヤウナ考方カラシテ、
斯ウ云フヤウナ規則ノ制定ヲ見タヤウナ次
第デアリマス、更ニ手代木サンニ御答致シ
マスガ、只今藤原保健課長ノ御話ハ、警察上
ノ必要カラ各府縣デハ各〓取締ヲスルノデ
アルト、斯ウ言ハレタノダト私ハ考ヘルノ
デアリマシテ、其府縣ノ警察力ガ及バナイ
カラシテ、各府縣ガ警察ノ必要上此規則ヲ
發布シタノダト言ハレタノヂヤナイト考ヘ
マス、只今申シマシタヤウニ、北海道デハ
一般衞生ノ立場カラ警察取締ガ必要ニナッ
テ來ル、斯ウ云フコトヲ意味サレタノト同
樣ダト考ヘマス、ドウゾ左樣御諒承願ッテ、
北海道ノ警察力ガ必シモ取締ニ甚ダ緩漫デ
アルトカ、又行渡ラナイト云フコトハ毫モ
ゴザイマセヌト云フコトヲ、御諒承願ヒタ
イト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=74
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075・清瀬規矩雄
○〓瀨委員長 本日ハ此程度デ散會致シマ
シテ、明日又午後一時カラ開キタイト思ヒ
マス、孰レ公報ヲ以テ申上ゲマス、本日ハ
是デ散會致シマス
午後四時三十分散會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006410374X00419330322&spkNum=75
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