1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和八年二月二十五日(土曜日)
午後一時十九分開議
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議事日程 第十七號
昭和八年二月二十五日
午後一時開議
第一 日本興業銀行法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第二 右議案の審査を付託すへき委員の選擧
第三 保險業法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第四 右議案の審査を付託すへき委員の選擧
第五 通信事業特別會計法案(政府提出) 第一讀會
第六 右議案の審査を付託すへき委員の選擧
第七 意匠法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第八 昭和七年法律第六號中改正法律案(昭和七年度一般會計歳出の財源に充つる爲公債發行に關する件)(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第九 船舶安全法案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十 船舶職員法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十一 助産師法案(野中徹也君外二名提出) 第一讀會
第十二 産師法案(土屋清三郎君外三名提出) 第一讀會
第十三 産師法案(野方次郎君外二名提出) 第一讀會
第十四 産師法案(山道襄一君外三名提出) 第一讀會
第十五 地方鐵道及軌道に對する地方税免除に關する法律案(本多貞次郎君外一名提出) 第一讀會
第十六 地方鐵道及軌道に對する地方税免除に關する法律案(鵜澤宇八君外三名提出) 第一讀會
第十七 建築士法案(岡田忠彦君外二名提出) 第一讀會
第十八 森林法中改正法律案(小林かなえ君外一名提出) 第一讀會
第十九 國立公園法中改正法律案(小林かなえ君外一名提出) 第一讀會
第二十 史蹟名勝天然紀念物保存法中改正法律案(小林かなえ君外二名提出) 第一讀會
第二十一 漁船保險法案(鵜澤宇八君外三名提出) 第一讀會
第二十二 衞生組合法案(田中祐四郎君外六名提出) 第一讀會
第二十三 傳染病豫防法中改正法律案(田中祐四郎君外五名提出) 第一讀會
第二十四 小作調停法中改正法律案(牧野賤男君外九名提出) 第一讀會
第二十五 借地借家調停法中改正法律案(牧野賤男君外九名提出) 第一讀會
第二十六 刑事訴訟法中改正法律案(原夫次郎君外九名提出) 第一讀會
第二十七 刑事訴訟法中改正法律案(原夫次郎君外十名提出) 第一讀會
第二十八 民事訴訟法中改正法律案(中野勇治郎君外九名提出) 第一讀會
第二十九 水産會法中改正法律案(小池仁郎君提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第三十 水産會法中改正法律案(鈴木英雄君外三名提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第三十一 大神都特別聖地計畫實施國營に關する建議案(島田俊雄君外十名提出)
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〔左の報告は朗讀を經さるも参照の爲茲に掲載す〕
一政府より提出せられたる議案左の如し
通信事業特別會計法案
(以上二月二十三日提出)
一議員より提出せられたる議案左の如し
度量衡法中改正法律案
提出者
野田文一郎君 福田虎龜君
簡易森林火災保險法案
提出者
小山邦太郎君 山田助作君
木檜三四郎君 荒川五郎君
小山松壽君 林平馬君
村松久義君 高田耘平君
高橋守平君 原淳一郎君
平川松太郎君 手代木隆吉君
内ヶ崎作三郎君 山枡儀重君
櫻井兵五郎君 百瀬渡君
田中祐四郎君 工藤鐵男君
度量衡法中改正法律案
提出者
山下谷次君 岡田伊太郎君
一瀬一二君
大垣鯖江間鐵道敷設に關する建議案
提出者
猪野毛利榮君 世耕弘一君
津輕中里小泊間鐵道速成に關する建議案
提出者
工藤十三雄君 兼田秀雄君
藤井達也君 梅村大君
大學令中藥學部設置に關する建議案
提出者
野村嘉六君 斯波貞吉君
大麻唯男君 武知勇記君
勝正憲君 大島寅吉君
土屋清三郎君
大學令中藥學部設置に關する建議案
提出者
福田虎龜君 後藤亮一君
夜間中等學校指定に關する建議案
提出者
中川觀秀君 中田正輔君
紀勢線古座驛設置に關する建議案
提出者
世耕弘一君 玉置吉之亟君
(以上二月二十三日提出)
大湊港開港竝北鮮内地間直通航路開始に關する建議案
提出者 藤井達也君
決議案(教育の根本的改革に關する件)
提出者
富田幸次郎君 櫻内幸雄君
坂東幸太郎君 大麻唯男君
吉川吉郎兵衞君 土屋清三郎君
前田房之助君 工藤鐵男君
平川松太郎君 平野光雄君
俵孫一君 田中隆三君
頼母木桂吉君 八木逸郎君
小山松壽君 櫻井兵五郎君
鈴木富士彌君 松田源治君
決議案(思想惡化の對策に關する件)
提出者
櫻内幸雄君 富田幸次郎君
坂東幸太郎君 大麻唯男君
吉川吉郎兵衞君 土屋清三郎君
前田房之助君 工藤鐵男君
平川松太郎君 平野光雄君
俵孫一君 田中隆三君
頼母木桂吉君 八木逸郎君
小山松壽君 櫻井兵五郎君
鈴木富士彌君 松田源治君
(以上二月二十四日提出)
一議員より提出せられたる質問主意書左の如し
陸軍造兵廠東京工廠小倉市移轉に關する質問主意書
提出者 小池四郎君
(以下二月二十三日提出)
一去二十三日委員長互選の結果左の如し
決算小委員
委員長 森肇君
一去二十三日に於ける特別委員の異動左の如し
小切手法案(政府提出、貴族院送付)委員
辭任 平井信四郎君 補闕 佐保畢雄君
農漁業災害保險法案(胎中楠右衞門君外一名提出)外一件委員
辭任 杉本國太郎君 補闕 中村嘉壽君
辭任 中井川浩君 補闕 村上紋四郎君
辭任 平川松太郎君 補闕 鵜澤宇八君
恩給法中改正法律案(政府提出)委員
辭任 岡田喜久治君 補闕 坂東幸太郎君
辭任 鈴木富士彌君 補闕 添田敬一郎君
辭任 清水徳太郎君 補闕 横山金太郎君
辭任 中谷貞頼君 補闕 宮澤裕君
一昨二十四日特別委員理事補闕選擧の結果左の如し
少年教護法案(荒川五郎君外六十六名提出)委員
理事 中野勇治郎君(理事鈴木安孝君昨日委員辭任に付其の補闕)
農漁業災害保險法案(胎中楠右衞門君外一名提出)外一件委員
理事 村上紋四郎君(理事中井川浩君去二十三日委員辭任に付其の補闕)
恩給法中改正法律案(政府提出)委員
理事 松田正一君(理事岡田喜久治君去二十三日委員辭任に付其の補闕)
理事 山枡儀重君(理事清水徳太郎君去二十三日委員辭任に付其の補闕)
理事 宮澤裕君(理事田中亮一君昨日委員辭任に付其の補闕)
外國爲替管理法案(政府提出)委員
理事 門田新松君(委員武田徳三郎君昨日理事辭任に付其の補闕)
一昨二十四日に於ける特別委員の異動左の如し
造幣局工場及其の附屬設備の新營費に關する法律案(政府提出)外二件委員
辭任 篠原義政君 補闕 加藤鐐五郎君
少年教護法案(荒川五郎君外六十六名提出)委員
辭任 山枡儀重君 補闕 作田高太郎君
辭任 鈴木安孝君 補闕 山本芳治君
小切手法案(政府提出、貴族院送付)委員
辭任 中谷貞頼君 補闕 花城永渡君
地租法中改正法律案(松岡俊三君外四十四名提出)外四件委員
辭任 松岡俊三君 補闕 林路一君
恩給法中改正法律案(政府提出)委員
辭任 竹下文隆君 補闕 林路一君
辭任 渡邊伍君 補闕 江藤源九郎君
辭任 田中亮一君 補闕 吉田鞆明君
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=0
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001・秋田清
○議長(秋田〓君) 是ヨリ會議ヲ開キマ
ス、御諮リ致シマス、第五部選出豫算委員
杉山元治郞君、第五部選出建議委員池田秀
雄君、右常任委員辭任ノ申出ガゴザイマス、
之ヲ許可スルニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=1
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002・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ガナケレバ許可
シマス、其部ノ諸君ハ速ニ補闕選擧ヲ行
ヒ、屆出アランコトヲ望ミマス-此際一
言致シマス、一昨二十三日ヲ以テ會期三分
ノ二ニ達シマシタカラ、先例ニ依リマシ
テ、本會議ハ火曜日、木曜日、土曜日ノ以
外ニ於テモ開キ得ルコト、本會議中委員會
開會ノ件ハ、院議ニ諮フコトナク議長ニ於
テ許可スルコト、尙ホ法律案ハ定規ノ日時
ニ拘ラズ上程シ得ルコトヽ致シマス-日
程第一、日本興業銀行法中改正法律案ノ
第一讀會ヲ開キマス-大藏大臣高橋是
〓君
第日本興業銀行法中改正法律案
(政府提出)第一讀會
日本興業銀行法中改正法律案
日本興業銀行法中左ノ通改正ス
第九條第一項中第八號ヲ第九號トシ以下
順次繰下ゲ第七號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
第八工場ニ屬スル敷地又ハ建物ヲ抵
當トスル貸付
第九條ノ二中「工場ニ屬スル敷地又ハ建
物竝」ヲ削ル
〔國務大臣高橋是〓君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=2
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003・高橋是清
○國務大臣(高橋是清君) 只今議題トナリ
マシタ日本興業銀行法中改正法律案ニ付
テ、提案ノ理由ヲ申述べタイト存ジマス、
工業ノ金融ハ日本興業銀行ノ業務中最モ
主要ナルモノデアリマシテ、同行ノ財團ヲ
抵當トスル貸出金額ハ、同行ノ貸出金中最
モ多額ニ上ッテ居リマスガ、就中工場財〓抵
當貸ガ其首位ヲ占メテ居リマス、然ルニ同
行ガ中小工業者ニ對シ金融ヲスル場合ニハ、
多クハ小規模ノ工場設備ヲ擔保ニ徵スルノ
デアリマスガ、是ハ種々ノ事情カラ工場財
團ヲ蘇生セシムルコトガ困難デアリマス、
故ニ興業銀行ハ、從來同銀行法第九條ノ二
ノ規定ニ依フテ、工場ニ屬スル敷地又ハ建
物ヲ擔保トスル、所謂工場抵當貸ヲシテ來
タノデアリマス、此規定ハ明治四十四年ノ
法律改正ニ依ッテ創定セラレタノデアリマ
シテ、同行業務ノ發達ニ伴ヒ、本條項ニ依
ル貸出モ漸次增加ノ傾向ニアリマシタガ、
殊ニ大正十二年ノ震災以降、日本興業銀行
ガ中小工業金融ニ意ヲ用ユルニ至リマシテ
カラハ、一層顯著ナ增加ヲ示シテ參リマシ
ク、仍テ昭和四年ニ同條項ニ依ル貸付金總
高ニ對スル當初ノ制限額、卽チ拂込資本金
額ノ二分ノ一トアルノヲ、三分ノ二ニ引上
グルコトニ改正セラレマシタノデアリマ
ス、而シテ改正後今日迄ノ經濟界ノ狀況ハ、
益〓中小工業者ニ對スル金融ノ必要ヲ切實
ナラシメタノデアリマシテ、政府モ種々是
ガ對策ヲ講ジ、興業銀行ニ於テモ此種ノ貸
出ニ努力ヲシテ居リマス、然ルニ中小工業
金融ト、密接不離ノ關係ニ在ル此條項ニ一
定ノ制限額ガアリマシテハ興業銀行ヲシ
テ十分ニ其機能ヲ發揮セシメ難キ憾ガアル
ノデアリマス、又大工業者ニ對シマシテハ
財團抵當ニ依リ自由ニ資金ヲ融通スルノ途
ガ認メラレテ居ルニ拘ラズ、中小工業者ニ
對スル貸出金額ニ一定ノ制限ガアルト云
フコトハ當ヲ得タルモノトハ稱シ難イノ
デアリマス、仍テ此工場抵當ノ貸出ニ付テ
法律上ノ制限ヲ撤廢スルコトガ、興業銀行
ヲシテ本來ノ機能ヲ十分發揮セシムル上ニ
於テ效果多ク、且又今日梗塞セル中小工業
金融ノ疏通ヲ圖ル爲ニモ、適當デアルト考
ヘマシタノデ、本案ヲ提出シタ次第デアリ
やっ、何卒速ニ御協贊アランコトヲ希望致
シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=3
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004・秋田清
○議長(秋田〓君) 日程第二、右議案ノ審
査ヲ付託スヘキ委員ノ選擧ヲ議題ト致シマス
第二右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員
ノ選擧発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=4
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005・上田孝吉
○上田孝吉君 本案ハ安達謙藏君外一名提
円地租ノ免除ニ關スル法律案外二件ノ委
員ニ、併セ付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=5
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006・秋田清
○議長(秋田〓君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=6
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007・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマス、
仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第三、保
險業法中改正法律案ノ第一讀會ヲ開キマス
商工大臣中島久萬吉君
第三保險業法中改正法律案(政府提
出、貴族院送付)第一讀會
保險業法中改正法律案
保險業法中左ノ通改正ス
第十三條ノ四ノ次ニ左ノ一條ヲ加フ
第十三條ノ五保險會社ハ契約ヲ以テ責
任準備金算出ノ基礎ヲ同ジクスル保險
契約ノ全部ヲ包括シテ他ノ保險會社ニ
移轉スルコトヲ得
第二十條ノ二第一項ヲ削リ同條第二項中
「會社ハ前項ノ契約ヲ以テ」ヲ「第十三條
ノ五ノ規定ニ依リ保險契約ヲ移轉スル場
合ニ於テハ會社ハ同條ノ契約ヲ以テ」ニ、
同條第三項中「第一項」ヲ「第十三條ノ五」
三段人
第二十條ノ七、第二十條ノ九及第二十條
ノ十一中「第二十條ノ二第三項」ヲ「第二
十條ノ二第二項」ニ改ム
第四十一條ノ二中「第二十條ノ二第一項
乃至第三項」ヲ「第二十條ノ二第一項、第
二項」ニ改メ同條ノ次ニ左ノ一條ヲ加フ
第四十一條ノ三保險契約ノ移轉アリタ
ル場合ニ於テ移轉ヲ受ケタル會社ガ相
互會社ナルトキハ其ノ保險契約者ハ其
ノ會社ニ入社ス
第四十二條ノ二前條ノ機關ニ於テ第七
十三條ノ決議ヲ爲シタルトキハ解散セ
ントスル會社ニ在リテハ解散ノ決議及
貸借對照表ヲ、合併ヲ爲サントスル會
社又ハ保險契約ヲ移轉セントスル會社
ニ在リテハ合併契約又ハ移轉契約ノ要
旨及各會社ノ貸借對照表ヲ公〓スルコ
トヲ要ス
第二十條ノ三第二項及第三項ノ規定ハ
前項ノ解散、合併及保險契約移轉ノ場
合ニ之ヲ準用ス
第六十三條第一項中「決議ニ依リテノミ
之ヲ爲スコトヲ得」ヲ「決議ニ依リ之ヲ爲
ス」ニ改ム
第七十三條第一項ヲ左ノ如ク改ム
任意ノ解散、合併及保險契約移轉ノ決
議ニハ第三十一條第二項ノ規定ヲ準用ス
第八十八條ノ三相互會社ガ第四十二條
ノ機關ノ決議ニ依リ解散又ハ合併ヲ爲
シタル場合ニ於テハ解散ノ登記ノ申請
書ニハ第四十二條ノ二ノ公〓ヲ爲シタ
ルコト、若シ異議ヲ述ベタル保險契約
者アルトキハ其ノ數及其ノ保險金額ガ
第二十條ノ三第三項ニ規定シタル割合
ヲ超エザルコトヲ證スル書面ヲ添附ス
ルコトヲ要ス
第九十八條第八號中「第二十條ノ二、第
二十條ノ三又ハ第二十條ノ五」ヲ「第十三
條ノ五、第二十條ノ二、第二十條ノ三、
第二十條ノ五又ハ第四十二條ノ二」ニ改
メ同條第十號ヲ左ノ如ク改ム
十第二十二條、第二十二條ノ二又ハ
第四十二條ノ二ノ規定ニ違反シテ任
意ノ解散又ハ合併ヲ爲シタルトキ
第百十二條中「第十九條ノ二乃至第一一十
二條ノ二」ヲ「第十三條ノ五、第十九條ノ
二乃至第二十二條ノ二」ニ改ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔國務大臣男爵中島久萬吉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=7
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008・中島久萬吉
○國務大臣(男爵中島久萬吉君) 玆ニ上程
ニ相成リマシタ政府提出ノ、保險業法中改
正法律案ニ付キマシテ御說明申上ゲマス、
保險業法ハ明治三十三年ノ制定ニ係リ、其
後明治四十五年及昭和二年ノ兩度ニ亙リマ
シテ、同法中ノ一部改正ヲ行ヒマシテ、特
ニ保險契約ノ包括移轉ナル制度ヲ認メマス
ト共ニ、保險會社ノ合併手續ヲ簡便ナラシ
ムル等、保險會社ノ整理合同ニ資スベキ規
定ヲ設ケタノデゴザイマス、併ナガラ今日
ノ時勢ニ於テハ、旣ニ現行保險業法ノ規定
ヲ以テ致シマシテハ、此整理合同ヲ遂行致
シマス上ニ於テ、尙ホ不便ガ少クナイノ
デ、速ニ是ガ必要ナル法規ノ整備ヲ圖リマ
スコトガ、我ガ保險事業界ノ現狀ニ鑑ミマ
シテ、最モ緊急ノ事項ト考フルノデゴザイ
マス、仍テ此際保險業法中一部改正ヲ行ヒ
マシテ、第一ニ株式會社ト相互會社トノ間
ニ於テ、保險契約ノ移轉ヲ爲シ得ル途ヲ拓
キマス、更ニ第二ニハ相互會社ノ合併、保
險契約ノ移轉及解散ノ決議方法ヲ簡便ナラ
シメマシテ、以テ時勢ノ要求ニ應ゼント致
シマスノデゴザイマス、何卒愼重御審議ノ
上、速ニ御協贊ヲ賜ハランコトヲ希望致シ
マス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=8
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009・秋田清
○議長(秋田〓君) 日程第四、右議案ノ審
査ヲ付託スヘキ委員ノ選擧ヲ議題ト致シマ
ス
第四右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員
ノ選擧発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=9
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010・上田孝吉
○上田孝吉君 本案ハ政府提出、工業組合
法中改正法律案ノ委員ニ、併セ付託セラレ
ンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=10
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011・秋田清
○議長(秋田〓君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=11
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012・秋田清
○議長(秋田濟君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第五、
通信事業特別會計法案ノ第一讀會ヲ開キマ
ス-大藏大臣高橋是〓君
第五通信事業特別會計法案(政府提
〓第一讀會
通信事業特別會計法案
通信事業特別會計法
第一條通信事業ヲ經營スル爲從來ノ本
事業所屬ノ土地、建物、船舶、電信電話
線路、機械其ノ他ノ設備、貯藏物品竝
ニ將來ノ資本勘定過剩金及本會計ノ負
擔ニ屬スル公債又ハ借入金ヲ以テ資本
ト爲シ其ノ歲入ヲ以テ其ノ歲出ニ充テ
特別會計ヲ設置ス
本法ニ於テ通信事業トハ郵便、電信及
電話ノ事業(郵便爲替、郵便貯金、年金
及恩給ノ支給其ノ他國庫金ノ受入拂渡
竝ニ收入印紙賣捌ノ事務ヲ含ム)竝五
之ガ附帶業務ヲ謂フ
第二條通信事業設備ノ擴張及改良ニ必
要ナル金額ハ業務勘定過剩金竝ニ電信
電話建設寄附及設備負擔金ヲ以テ之ニ
充ツ但シ業務勘定過剩金竝ニ電信電話
建設寄附及設備負擔金不足ノ場合ニ於
テハ電信電話設備ノ擴張及改良ニ必要
ナル金額ニ付公債ヲ發行シ又ハ借入ヲ
爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル公債及借入金ノ總額ハ
電信電話設備擴張改良及補充費ノ每年
度豫算定額ヨリ電信電話設備補充費繰
入金ニ相當スル金額ヲ除キタル殘額以
內トス
第三條左ニ揭グル國債ハ本會計ノ負擔
トス但シ昭和五年度以降一般會計ヨリ
國債整理基金特別會計ヘノ繰入金額ノ
內五百萬圓ハ本會計ノ負擔ニ屬スル國
債ノ償還ニ充當セラレタルモノト看做
ス
一事業公債條例ニ依リ電話擴張ノ爲
從來發行シタル公債
二電話事業公債法ニ依リ從來發行シ
タル公債
三電信事業公債法ニ依リ從來發行シ
タル公債
四震災善後公債法ニ依リ通信事業ノ
爲從來發行シタル公債又ハ借入金及
將來發行スル公債又ハ借入金
五前條ノ規定ニ依ル公債又ハ借入金
六前各號ニ規定スル國債ノ借換ノ爲
起債シタル國債
前項ニ規定スル國債ノ償還金、利子竝
ニ發行及償還ニ關スル經費ノ支出ニ必
要ナル金額ハ每年度之ヲ國債整理基金
特別會計ニ繰入ルベシ
第四條本會計ハ每年度八千二百萬圓以
內ニ於テ豫算ニ定ムル金額ノ一般會計
ニ納付スベシ
第五條本會計ハ之ヲ資本勘定、用品勘
定及業務勘定ニ區分ス
第六條資本勘定ハ業務勘定過剩金繰入
金、事業設備補充費繰入金、電信電話
建設寄附及設備負擔金、公債募集金、
借入金、所屬財產ノ賣拂代金其ノ他附
屬雜收入ヲ以テ其ノ歲入トシ事業設備
ノ擴張費改良費補充費、國債償還金其
ノ他附屬諸費ヲ以テ其ノ歲出トス
第七條用品勘定ハ用品收入、工作收入
其ノ他附屬雜收入ヲ以テ其ノ歲入トシ
テ用品費、工作費其ノ他附屬諸費ヲ以
テ其ノ歲出トス
第八條業務勘定ハ業務上ノ諸收入、預
金部繰入金、預金利子其ノ他附屬雜收
入ヲ以テ其ノ歳入トシ業務上ノ諸費用、
一般會計納付金、事業設備ノ維持修理
費、事業設備補充費繰入金、國債ノ利
子其ノ他附屬諸費ヲ以テ其ノ歲出ト
ス
第九條業務取扱數量ノ增加ニ因リ生ジ
タル豫算ノ不足ヲ補フ爲用品勘定及業
務勘定ノ歲出ニ豫備費ヲ設クベシ
第十條用品勘定又ハ業務勘定ニ於テ決
算上生ジタル過剩ハ之ヲ資本勘定ニ繰
入ルベシ
用品勘定ニ於テ決算上生ジタル不足ハ
之ヲ資本勘定ニ移シ整理スベシ
第十一條資本勘定ニ於テ決算上生ジタ
ル過剩ハ之ヲ資本ニ組入ルベシ
資本勘定ニ於テ決算上不足ヲ生ジタル
トキハ資本ヲ減額シ之ヲ整理スベシ
第十二條政府ハ每年本會計ノ歲入歲出
豫算ヲ調製シ歲入歲出ノ總豫算ト共ニ
帝國議會ニ提出スベシ
第十三條本會計ニ於テ支拂上現金ニ餘
裕アルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ大
藏省預金部ニ預入ルコトヲ得
第十四條本會計ノ收入支出ニ關スル規
定ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
附則
本法ハ昭和九年度ヨリ之ヲ施行ス
電話事業公債法及電信事業公債法ハ之ヲ
廢止ス
通信事業特別會計ノ設置ニ付他ノ會計ニ
關渉シ必要ナル規定ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
(國務大臣高橋是〓君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=12
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013・高橋是清
○國務大臣(高橋是〓君) 只今議題トナリ
マシタ通信事業特別會計法案提出ノ理由ヲ
說明致シマス、通信事業ノ圓滑ナル發達ヲ
期シ、以テ最モ合理的ナル經營ヲ行ハント
致シマス爲ニハ、之ニ關スル收入支出ハ特
別會計ト爲シ、其施設ノ擴張及改良ハ、
通信事業自身ノ負擔ニ於テ之ヲ行ハシメ、
卽チ原則トシテ其過剩金竝ニ電信電話建設
寄附及設備負擔金ヲ以テ其資源ニ充テ、必要
缺クベカラザル場合ニ於テハ、公債又ハ借
入金ニ依ルコトガ出來ルヤウニ致シマシテ、
長期ニ亙ル計畫ヲ安定セシムルヲ適當ト認
メマス、斯ノ如キ方法ニ依リマス時ハ、社
會一般ノ通信施設需要ニ關シマシテ、適切
機宜ノ對策ヲ行フニ便利デアリ、且ツ經濟
的ニ其效果ヲ擧グルコトガ出來ルモノト考
ヘマス、尙ホ是ガ收支ヲ特別ニ經理シ、其
計算ヲ明瞭ナラシメル時ハ、其結果業績向
上ニ資スル所モ亦少クナイカト考ヘラレマ
ス、以上ノ如ク彼此レ考慮致シマストキハ、
本事業ノ收支ハ之ヲ一般會計ト切離シテ、
特別會計ト爲スノ必要ガアルト認メマシタ
ノデ、昭和九年度ヨリ之ヲ施行致シタキ考
ヲ以テ、本案ヲ提出致シマシタ次第デアリ
マス、何卒御審議ノ上、御協贊アランコト
ヲ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=13
-
014・秋田清
○議長(秋田清君) 日程第六、右議案ノ審
査ヲ付託スヘキ委員ノ選擧ヲ議題ニ致シマ
ス
第六右議案ノ審査ヲ付託スヘキ委員
ノ選擧発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=14
-
015・上田孝吉
○上田孝吉君 本案ハ議長指名十八名ノ委
員ニ付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=15
-
016・秋田清
○議長(秋田清君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=16
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017・秋田清
○議長(秋田清君) 御異議ナシト認メマス、
仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第七、意
匠法中改正法律案ノ第一讀會ノ續ヲ開キマ
ス、委員長ノ報告ヲ求メマス-委員長竹
內友治郞君
第七意匠法中改正法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
報〓書
一意匠法中改正法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和八年二月二十三日
委員長竹內友治郞
衆議院議長秋田〓殿
〔竹內友治郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=17
-
018・竹内友治郎
○竹内友治郞君 意匠法中改正法律案委員
會ノ經過及結果ヲ御報〓致シマス、此改正
案ハ意匠公報ヲ發行スルト云フコトニ關ス
ル改正デゴザイマシテ、極メテ簡單ナ改正
デゴザイマス、御承知ノ通リ從來特許權或
ハ登錄實用新案又ハ登錄商標ニ付キマシ
テ、ソレ〓〓公報ヲ發行致シマシテ、其所
有權ノ確保ヲ期シマシタト同樣ノ趣意ヲ以
テ、意匠ニ付テモ公報ヲ發行シテ、此權利
ヲ確保致シタイト云フニ外ナラヌノデアリ
やく、而シテ之ニ關スル經費ハ、既ニ八年
度豫算ニ計上サレマシテ、本院ヲ通過シ
テ居ル次第デゴザイマス、委員會ハ愼重審
議ノ結果、極メテ適當ナル改正ト認メテ、
全會一致ヲ以テ可決致シマシタ、右御報告
ヲ致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=18
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019・秋田清
○議長(秋田〓君) 本案ノ第二讀會ヲ開ク
ニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=19
-
020・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマ
ス、本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=20
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021・上田孝吉
○上田孝吉君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=21
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022・秋田清
○議長(秋田〓君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=22
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023・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ第二讀會ヲ開キ、議案全部
ヲ議題ト致シマス
意匠法中改正法律案第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=23
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024・秋田清
○議長(秋田〓君) 別ニ御發議モアリマセ
又、第三讀會ヲ省略シテ委員長報告通リ、
可決確定致シマシタ(拍手)日程第八、昭和
七年法律第六號中改正法律案ノ第一讀會ノ
續ヲ開キマス、委員長ノ報〓ヲ求メマス
委員長金光庸夫君
第八昭和七年法律第六號中改正法律
案(昭和七年度一般會計歲出ノ財源
ニ充ツル爲公債發行ニ關スル件)(政
府提出)第一讀會ノ續(委員長報〓)
報〓書
一昭和七年法律第六號中改正法律案昭
和七年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツル
爲公債發行ニ關スル件)(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和八年二月二十四日
委員長金光庸夫
衆議院議長秋田〓殿
〔金光庸夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=24
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025・金光庸夫
○金光庸夫君 昭和七年法律第六號中改
正法律案ノ特別委員會ニ於ケル審議ノ〓
末ヲ御報告申上ゲマス、本案ハ昭和七年
度追加豫算ノ財源ニ充ツル爲メ、公債增
發ノ必要ガアルト云フノデ、提出サレタ
案デアリマシテ、豫算案ハ既ニ豫算總
會ヲ通過シテ、本院ニ於テ可決サレタ
ノデアリマス、委員會ハ愼重審議ノ結果、
今日ノ財政ノ現狀ニ照シマシテ、已ムヲ得
ザルモノデアルト云フコトヲ認メマシテ、
全會一致、可決致シタ次第デアリマス、此
段御報〓申上ゲマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=25
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026・秋田清
○議長(秋田〓君) 本案ノ第二讀會ヲ開ク
ニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=26
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027・秋田清
○議長(秋田清君) 御異議ナシト認メマス、
本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=27
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028・上田孝吉
○上田孝吉君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ委員長報告ノ通リ、
可決セラレムコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=28
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029・秋田清
○議長(秋田清君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=29
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030・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ第二讀會ヲ開キ、議案全部
ヲ議題ト致シマス
昭和七年法律第六號中改正法律案(昭
和七年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツル
爲公債發行ニ關スル件)
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=30
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031・秋田清
○議長(秋田〓君) 別ニ御發議モアリマセ
ヌ、第三讀會ヲ省略シテ委員長報告ノ通
リ、可決確定致シマシタ(拍手)日程第九及
第十ハ同一委員ニ付託シタル議案ナルニ依
リ一括議題ト爲スニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=31
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032・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマ
ス、日程第九、船舶安全法案、日程第十、
船舶職員法中改正法律案、右一括シテ第一
讀會ノ續ヲ開キマス、委員長ノ報〓ヲ求メ
マス-委員長向井倭雄君
第九船舶安全法案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
第十船舶職員法中改正法律案(政
府提出)第一讀會ノ續(委員長報告)
報〓書
一船舶安全法案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和八年二月二十四日
委員長向井倭雄
衆議院議長秋田〓殿
報告書
一船舶職員法中改正法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和八年二月二十四日
委員長向井倭雄
衆議院議長秋田〓殿
〔向井倭雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=32
-
033・向井倭雄
○向井倭雄君 船舶安全法案竝ニ船舶職員
法中改正法律案ノ、委員會ノ經過竝ニ結果
ヲ御報告致シマス、船舶安全法案ハ、近時
海運竝ニ造船業ノ著シキ發達ニ伴ヒマシ
テ、船舶安全ニ關係致シマスル各般ノ施設
モ餘程整ッテ參リマシタノデ、主要海運國
トノ步調ヲ揃ヘマスルコトニ相成リマシ
タ、曩ニ昭和四年ト昭和五年ニ、人命ノ安
全ニ關シマスル國際條約、竝ニ國際船舶滿載
吃水線條約ヲ締結ニ相成タノデアリマス、
今囘此兩條約ヲ施行スルコトニ相成リマシ
タノデ、此條約ノ内容ヲ法文ニ現サナケレ
バナラヌ、法規ヲ制定シナケレバナラヌコ
トニ相成ッタノデアリマス、是ト同時ニ、此
船舶ノ安全ニ關シマスル我國ノ法規ハ、四
ツ五ツノモノガアルノデアリマス、中ニハ
明治六年アタリノ太政官ノ布告ヲ以テ、規
定シテアルモノモアルノデアリマシテ、現
代ノ實情ニ適合シナイモノガアリマスノ
デ、是等ノモノヲ統一整理スル必要ト、此
二ツノ理由ニ依リマシテ、此船舶安全法ト
云フモノヲ制定セラルヽコトニ相成ッタヤ
ウデアリマス
今一ツノ船舶職員法中改正法律案、此法
案ハ今囘船舶安全法ガ施行セラレマスルト
同時ニ、當然廢止セラルベキ船舶檢査法ノ
規定ヲ、引用シテ居ルノデアリマスカラ、
是ガ施行セラレマスレバ、船舶安全法ヲ引
用シナケレバナラヌ結果、此改正ノ條項中
ニ改正ノ箇所ヲ生ジテ參リマシタ、是ト共
ニ唯輕微ナル二三ノ事柄ヲ、此序ニ改正ス
ルト云フヤウナコトニナッテ居ルノデアリ
マン、而シテ委員會ハ四囘ニ亙リマシテ、
各委員諸員カラ最モ熱心ニ、最モ適切ナ
ル質問ガアリマシタ、之ニ對シテ遞信大臣
竝ニ政府委員ヨリ、又懇切ナル答辯ガアッタ
ノデアリマスルガ、其中デ一二ノ事柄ヲ御
紹介申上ゲテ置キタイト思ヒマス、民政黨
ノ山本厚三君竝ニ國民同盟ノ風見章君ヨリ、
本案ト直接ノ關係ガアリマスカドウカ、私
ニハ一寸分リ兼ネタノデアリマスケレドモ、
外國船ノ輸入ヲスルコトヲ遞信省令ヲ以テ、
特許令ヲ施行セラレルト云フコトデアルガ、
外國船ノ輸入ヲ徒ニ防遏スルコトハ、如何
ナモノデアルカト云フヤウナ意味ノ御質問
ガアリマシタ、之ニ對シテ遞信大臣竝ニ政
府委員ヨリ、外國船ノ輸入ハ絕對ニ禁止ヲ
スルノデハナイケレドモ「ダンピング」的ニ、
歐洲戰爭ノ後始末ニ古船ヲ賣込マレルノヲ、
濫ニ之ヲ買取ルコトハ、國家ノ爲ニ不利益
デアル、國家ノ大局カラ見テ不利益デアル
カラ、サウ云フコトハ致サセナイヤウニス
ル積リデアルト云フヤウナ、御答辯ガアッタ
ノデアリマス、又我黨ノ中井一夫君カラ、
此法律ノ十三條ノ適用ニ付テハ之ヲ省令ニ
讓ッテアル、卽チ船員ヨリ檢査ノ申出ヲス
ル場合ガアルノデアリマス、其船員ノ申立
ヲスルコトヲ濫用ヲスルト云フコトニナレバ、
勞資ノ間ニ圓滑ヲ缺クコトニモナルシ、弊
害ノ及ブ所ガ大キイカラ、是ハ餘程愼重ニ
致サナケレバナラヌト思フガ、ドウカト云
フヤウナ御質問ガアリマシタ、之ニ對シテ
政府當局ハソレハ愼重ニ審議ヲ致ス、サ
ウ云フコトハ政府ノ欲スル所デハナイノデ
アル、之ヲ濫用スルヤウナコトハ絕對ニ
サセナイヤウニスルト云フヤウナ御答辯ガ
アリマシタ、船舶職員法中改正法律案ニハ、
別段ノ御質問ハナカッタノデアリマス、而シ
テ委員會ハ滿場一致ヲ以テ、兩案トモ可決
ニ相成リマシタ、何卒本會ニ於キマシテモ、
滿場一致ヲ以テ、御贊成アランコトヲ希望
致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=33
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034・秋田清
○議長(秋田〓君) 兩案ノ第二讀會ヲ開ク
ニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=34
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035・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマス、
兩案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=35
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036・上田孝吉
○上田孝吉君 直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報〓ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=36
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037・秋田清
○議長(秋田〓君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=37
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038・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマ
ス、直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開キ、議案全
部ヲ議題ト致シマス
船舶安全法案第二讀會(確定議)
船舶職員法中改正法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=38
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039・秋田清
○議長(秋田濟君) 別ニ御發議モアリマセ
又、第三讀會ヲ省略シテ、兩案トモ委員長
報告通リ可決確定致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=39
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040・上田孝吉
○上田孝吉君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此際松岡俊三君外四十
四名提出、地租法中改正法律案、小池仁郞
君外四名提出、地租法中改正法律案、工藤
鐵男君外十一名提出、地租法中改正法律
案、金城紀光君外五名提出、地租法中改正
法律案ヲ議題トシ、委員長ノ報告ヲ求メ、
其審議ヲ進メラレンコトヲ望ミマス-緊
急動議ノ追加ヲ致シマス、尙ホ伊禮肇君提
四、地租法中改正法律案ヲ議題トシ、委員
長ノ報告ヲ求メ、其審議ヲ進メラレンコト
ヲ望ミマス
〔「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=40
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041・秋田清
○議長(秋田清君) 只今上田君ノ發議セラ
レマシタ動議、追加動議、此二ツニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=41
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042・秋田清
○議長(秋田済君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ變更セラレマシタ、松岡俊
三君外四十四名提出、地租法中改正法律
案、小池仁郞君外四名提出、地租法中改正
法律案、工藤鐵男君外十一名提出、地和法
中改正法律案、金城紀光君外五名提出、地
租法中改正法律案、伊禮肇君提出、地租法
中改正法律案、右ヲ一括シテ第一讀會ノ續
ヲ開キマス、委員長ノ報告ヲ求メマス-
委員長菅原傳君
地租法中改正法律案(松岡俊三君外四
十四名提出)第一讀會ノ續(委員長報〓)
地租法中改正法律案(小池仁郞君外四
名提出)第一讀會ノ續(委員長報告)
地租法中改正法律案(工藤鐵男君外十
一名提出)第一讀會ノ續(委員長報告)
地租法中改正法律案(金城紀光君外五
名提出)第一讀會ノ續(委員長報告)
地租法中改正法律案(伊禮肇君提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
報〓書
一地租法中改正法律案(松岡俊三君外四
十四名提出)
一地租法中改正法律案(小池仁郞君外四
名提出)
一地租法中改正法律案(工藤鐵男君外十
一名提出)
一地租法中改正法律案(金城紀光君外五
名提出)
一地租法中改正法律案(伊禮肇君提出)
右ハ本院ニ於テ五案ヲ併合シテ一案ト爲
シ表題ヲ「地租法中改正法律案」トシ別紙
ノ通修正スヘキモノト議決致候此段及報
〓候也
昭和八年二月二十五日
委員長菅原傳
衆議院議長秋田〓殿
〔別紙〕
地租法中左ノ通改正ス
第十條ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ靑森縣、岩手縣、宮城縣、秋田縣、
山形縣、福島縣、北海道、沖繩縣及鹿
兒島縣大島郡ハ百分ノ一一·六トス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔菅原傳君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=42
-
043・菅原傳
○菅原傳君 只今上程ニナリマシタ地租法
中改正法律案、五案ノ委員會ノ經過結果ヲ
簡單ニ申述ベマス、委員長、理事ハ互選ノ
結果、委員長ニ不肖、理事ニハ窪井義道、
高橋金治郞、比佐昌平、猪股謙二郞ノ四君
ガナリマシタ、審議ノ順序トシテ、大體此
五法案ガ地理上ノ關係等モアリマシテ、二
ツニ分ケテ審議ヲ進メタノデアリマス、東
北、北海道ニ關スル案ヲ一括シ、沖繩、大
島ニ關スル二法案ヲ一括シテ、二ツニ分ッテ
審議ヲ進メタノデアリマス、審議ノ順序ト
致シマシテ、提案者ノ說明ガアッタノデアリ
マスガ、中々是ハ長ク、二日間モ費シタノ
デアリマス、松岡君、內ケ崎君、金城君、
伊禮君、金井君、花城君、其他ノ說明ガア
リマシテ、中々委曲ヲ盡サレタノデアリマ
ス、併シ大體ノ趣意ハ、提案ノ際此演壇デ
述ベラレタ所ト同ジデアリマスルカラ、玆ニ
述ベルコトヲ略シマス、唯玆ニ諸君ニ御紹
介シタイコトハ提案者ノ質問、之ニ對ス
ル政府ノ答辯デアリマスガ、大體主要ノ點
ダケ玆ニ御紹介致シマス
松岡君ヨリ質問ガアッタノデアリマスガ、
七箇條ヨリ成シテ居ルノデアリマス、其要旨
ハ一、東北ノ產業ハ關南西ニ比シ振ヲテ居
ルト思フカ、二、政費卽チ國費ハ明治維新
以後、東北ニ厚イト思フカ、三、東北ハ主
產業ハ農業デアリ、土地ノミニ依ルト思ハ
R〓b、四、稅負擔ハ東北地方ニ重クナッテ居
ルト思ハヌカ、五、何故東北地方ハ小作爭
議ガ多ク起ルノカ、又共小作爭議ハ他方面
ト全ク種別ヲ異ニスルモノヽ多イノハ何
ニ原因スルト思フカ、六、何故時局匡救ノ
豫算ガ、東北ヲ主トセザルベカラザルニ至
リタルカヲ何ト解スルカ、七、時局匡救事
業完成シタリトシテモ、同一線上ヲ出發シ
テ、果シテ東北地方ノ者ハ落伍スルコトナ
シト解スルカ、大要此七ツデアッタノデア
リマスガ、之ニ對シ政府當局ニ於カレテハ、
一ツ〓〓ノ辯明答辯ハセヌノデアリマス、
大體ニ於テ答辯サレタ、殊ニ東北ニ關係ス
ルノミナラズ、沖繩縣及鹿兒鳥縣ノ大島郡
ニ對スル答辯ガアッタノデアリマス、今其大
要ヲ玆ニ御紹介シマス
政府ノ答辯、東北、北海道地方ノ特殊ナル
事情ニ付テハ、最モ關心ト同情ヲ政府ハ有ス
ル次第ナルガ、折角雪害對策調査會ガ組織
サレ、產業、經濟方面ハ勿論、〓育、衞生、社
會施設等、萬般ノ廣範圍ニ於テ熱心審議中
デアルカラ、此結果ニ依フテ考慮スベキ
モノト思フ、又沖繩縣、鹿兒島縣ノ大島郡
ニ付テハ、今日マデ相當ニ考慮施設シテ、
黑糖ニ關シテ等ハ特別ニ施設シテ居ルガ、
尙ホ今後ノ振興計畫等ニ付テモ考慮中デア
ル、右ノ如ク政府ハ深ク關心ト同情ヲ有ス
ル次第ナルモ、唯地租ノ稅率ニ關シテノミ
ハ全國一律ト爲シタル建前上、他地方ト
ノ關係上遺憾ナガラ贊意ヲ表シ難イト云フ、
政府ノ答辯デアッタノデアリマス、此外多少
ノ應答モアリマシタケレドモ、是ダケニ止
メテ置キマス、是ヨリ討論ニ入ッタノデア
リマスガ、東北方面ニ對シ、殊ニ松岡君ヨ
リ此根案贊成ノ諏旨ヲ述ベラレタノデアリ
やっ、其要旨ハ、政府ハ東北地方ノ實情全
ク他地方ト趣キヲ異ニスルコトヲ認メテ調
査中ナル程、ソレ程同情スベキ實情ニアル
ヲ、此儘何時終了スルヤモ知レヌ調査會ノ
結果ニ俟ツトハ、既ニ種々ノ事業ガ政治ニ依。ツ
テ解決スルモノナリト明ニ自覺シタル所ノ
東北人民ニ對シテ、遂ニ政治ニ志シテモ駄
目ダト云フガ如キ感ヲ抱カシメルコトハ
思想困難ノ今日ニ於テ殊ニ大ナル關心ヲ持
タナケレバナラヌノデアル、文部省ニ於テ
モ特別施設ヲ爲シ、內務、農林各省モ、皆ソ
レゾレ特別ナル施設ヲ爲サネバナラヌト云
フヤウナコトヲ認メテ實施シテ居ル際デア
ル獨リ稅方面ノミ此儘ニセバ、實ニ彼等
ヲシテ悲觀セシメ、或ハ橫道ニ入ルノ虞ガ
アル、故ニ立憲政治ノ爲ニ、敢テ實情ニ卽
スル政治ヲ吾等選良議員ニ依ッテ之ヲ行ハ
シメ、以テ東北、北海道地方人民ヲ幸福ニ
導カントスルモノナリトノ、大體ノ趣意デ
アッタノデアリマス
更ニ沖繩方面ノ贊成意見ヲ伊禮君ガ陳述
セラレマシタ、其大要ハ、沖繩方面ニ於テ
ハ雪害等ハナイ、サリナガラ暴風ノ如キハ
中々大損害ヲ地方ニ與ヘル、農業作業ニ非
常ナ被害ヲ與ヘル、加之水利ニ於テ實ニ涸
渴シテ居ル、總テノ方面ニ於テ農業ガ中々
裕カデナイ、裕カデナイドコロデハナイ、
疲弊困憊殆ド課稅ニ堪ヘザル狀況デアルノ
デアル、故ニ吾々ハ此減稅ニ向,テ、要求ス
ル外ナイト云フ御意思デアッタノデアリマ
ス、大體此兩論ニ、東北方面、沖繩方面、
此兩案ガ全員一致ヲ以テ可決セラレタノデ
アリマス、可決セラレタノデアリマスルガ、
是ニ至ッテ更ニ修正動議ガ起ッタノデアリマ
ス、ソレハ案ノ內容ニ付テヾモナケレバ、
案ノ實體ニ付テデモナイノデアリマス、內
容ハ多少ノ差異ガアッテモ、歸スル所結局ハ
地租二分六厘ト云フ減稅ヲ求メルノデアル、
然ラバ形式ニ於テ、法律文ノ體裁カラ言
ウテモ、此二案ヲ一案ニ、詰リ五案ヲ一案
ニスルコトガ宜カラウト云フ動議ガ出來タ
ノデアリマス、詰リ修正案デゴザイマス、
ソレハ斯ウ云フヤウニ修正スル譯デアリマ
ス、本院ニ於テ五案ヲ併合シテ一案ト爲
シ、表題ヲ「地租法中改正法律案」トシ、
別紙ノ如ク修正スルト云フ譯デアリマ
スガ、其修正ハ唯形式デアリマスガ
「第十條ニ左ノ但書ヲ加フ、但シ靑森縣、岩
手縣、宮城縣、秋田縣、山形縣、福島縣、
北海道、沖繩縣及鹿兒島縣大島郡ハ百分ノ
二·六トス」斯ウ一案ニ致シタノデアリマ
ス、是モ全會一致デ可決セラレタノデアリ
やく、右大要御報〓致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=43
-
044・秋田清
○議長(秋田〓君) 質疑ノ通〓ハアリマセ
ヌ、討論ノ通告順ニ依ッテ發言ヲ許シマス
川口義久君
〔川口義久君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=44
-
045・川口義久
○川口義久君 私ハ只今議題ニナッテ居ル
委員長報告ニ對シテ、全然贊成ノ意見ヲ述
ベントスル者デアリマス、簡單ニ申上ゲテ
御〓聽ヲ煩ハシタイト思ヒマス
私ハ關東ノ者デアリマスガ、東北地方ト
中部日本及關南西地方ト比較シテ見マスル
ト、極メテハッキリト相違ガアルコトヲ認メ
ルノデアリマス、同一日本ノ中デアリナガ
う、ソレモ高山地帶デヽモアッテ、人間ノ住
ムノニ甚ダ不適當デアルト云フノナラバマ
ダシモ、住民ノ適地トシテ現ニ多數ノ人々
ノ生活シテ居ル平野部ガ、數尺乃至丈餘ノ
積雪ノ下ニ冬ノ籠リヲシテ居ル所ノ、東北
及北海道地方ノ光景ヲ見テハ、洵ニ同情ニ
堪ヘナイノデアリマス、(拍手)熱心ニ雪害
ヲ說ク松岡君デナクテモ、直チニ中部日本
ノ各地又ハ關南西ノ同胞ト相較ベテハ、甚
シク生活上ノ困難ヲ認メルノデアリマス
全國ノ町村ノ中デ制限外課稅ノ甚シイ地方
ハ何處デアルカト申シマスルト、東北地方
デアルノデアリマス(拍手)制限外ノ課稅ヲ
受クル地方ニ產業ノ發展ヲ望ムコトノ出來
ナイノハ、是ハ當然デアリマス、足一度上
野驛ヨリ白河ノ關ヲ越エテ、會津、奧羽、
南部地方ニ參リマスルト、產業及文化的施
設貧弱ニシテ、語ルニ足リマセヌ、寧ロ是
ガ文明人カト思ハシムル程、關西地方ニ比
較シテハ貧弱ナルモノデアリマス(拍手)警
視廳管內ノ賣笑婦ノ出身地ヲ調ベテ見マス
ルト、制限外課稅地デアル東北地方ノ者ガ
極端ニ多イト云フ事質ハ、實ニ社會問題デ
アリ、深ク考慮ヲ拂フ必要ガアルト思フノ
デアリマス、私ハ右ノ諸點ノ由ッテ起ル原
因ヲ、高處大處カラ見マスルト、明治維新
當時ノ種々ナル事情ハ一切之ヲ拔キマシテ、
東北地方ハ氣象的ニ一毛作デアッテ、田畑ヲ
唯一ノ產業トシテ居ルノト、ソレカラ養蠶
ニシマシテモ、二囘以上ニ亙フテ之ヲ飼育
スルコトノ出來ナイ、是ガ大ナル貧弱ノ理
由ニナルト思ヒマス、更ニ東北地方ハ御承
知ノ通リ、檐先カラ直グ或ハ裏庭カラ直グ
ニ在ル所ノアノ山林ガ、殆ド大部分ハ國有
林ニナッテ居ルノデアリマス、是モ東北地方
ガ振ハナイ大ナル原因デアルト私ハ信ジテ
居リマス(拍手)
時局匡教費ノ約半分ガ東北地方ニ費サレ
タト云フコトハ、私ハ東北地方ガ其匡救ヲ
必要トスルト云フコトヲ物語,テ居ルト思
ヒマス、併シ此時局匡救ト云フモノハ要
スルニ唯一時的ノモノデアリマス、將來東
北ノ人ガ他ノ地方ト同ジヤウニ、足竝ヲ揃
ヘテ進ムノニハ、玆ニ時局匡救ノ外ニ更ニ
何カノ方法ヲ講ジナケレバナラヌト、私ハ
信ジテ居リマス(拍手)沖繩縣、鹿兒島縣ノ
大島郡ニ付テモ、事情ハ違ヒマスケレドモ、
救濟ヲ必要トスルコトニ於テハ同斷デアリ
マス、私ハ嘗テ沖繩縣ニ參ッタコトモアリマ
スガ、アノ限ラレタル狹イ土地、而モ地積
甚ダ貧弱ニシテ、農業ニ適シナイ處デアッテ、
サウシテ其賃貸價格ハ極メテ高率デアルノ
デアリマス、私ハ沖繩縣ノ人々ノ爲ニ洵ニ御氣
ノ毒ニ堪ヘナイノデアリマス、東北ノ方面モ賃貸
價格ニ於テハ他ノ方面ヨリ見テ高イノデ
アリマスカラ、沖繩縣地方ト同ジヤウニ此
法案ニ依ッテ稅率ヲ下ゲテ、初メテ國民ノ負
擔ガ均等ニナルト私ハ信ジテ居ルノデアリ
やっ、政治ノ惠澤ヲ萬民ニ浴セシムルト云
フコトガ、政治ノ大眼目デナケレバナラヌ
ト思フノデアリマス、若シ或ル特殊ノ階級
ノ者ノミガ、政治ノ恩惠ニ浴スルナラバ、
是ハ徹底的ニ排除シナケレバナラズ、又或
ル一部ノ人ガ政治的ニ惠レナカッタ場合ニ
ハ、是等ノ人ニ對シテ政治ノ恩惠ニ浴セシ
ムルノ方策ヲ講ズルノガ、吾々政治家ノ責
任デアルト信ズルノデアリマス、今玆ニ特
殊ノ人デナクテモ、特殊ノ地方ガ今日政治
的ニ惠マレザル場合ニ於テ、此惠マレザル
地方ニ對シテ、特別ノ施設ヲシテ、政治ノ
恩惠ニ浴セシムルヤウニスルコトガ、吾々
議員ノ當然ノ責任デアルト信ズルノデアリ
マく、議會ノ信用ノ爲メ、此法案ヲ滿場一
致ヲ以テ通過セシメテ、而シテ民意ガ何處
ニ在ルカト云フコトヲ、貴族院ノ諸公ニ知
ラシムル必要ガアルト信ズルノデアリマス
(拍手)政府當局モ英斷ヲ以テ、本案ニ對シ
テ贊成セラレテ、東北ノ野カラ義民ノ起ル
コトノナイヤウニスルノガ、議院政治ヲ守
ル吾々ノ責務デアルト信ズルノデアリマス、
何卒諸君ノ御贊成ヲ得テ、此案ヲ全會一致
ヲ以テ可決致シマスヤウ、御願致シテ降壇
致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=45
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046・秋田清
○議長(秋田〓君) 西脇晉君
〔西脇晉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=46
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047・西脇晉
○西脇善君 私ハ只今議題トナッテ居リマ
スル、地租ノ改正案ニ贊成ヲ致ス次第デア
リマス、明治四十三年ニ宅地租ノ改正ヲ爲
シ、昭和六年ニ於キマシテ田畑其他ノ地租
ノ改正ヲ致シマシテ、全國劃一ノ所謂稅率
ヲ以テヤル制度ニ改メマシタノデアリマス
ガ、課稅ノ基礎ガ旣ニ收入主義デアリ、賃
貸價格主義ヲ採ッテ、其收入ニ對シテ課稅ヲ
スルト云フ方法ヲ採リマシタ以上ハ、北海
道及東北六縣或ハ沖繩縣、鹿兒島縣ノ一部
ノ大島、サウ云フ地力ガ弱クテ、加フルニ
幾多ノ天災ガ伴ヲテ、非常ニ負擔ノ上ニ於テ
困難ヲ來シテ居ル所ノ地方ニ於キマシテハ
此全國劃一主義ノ、所謂課稅方法ヲ用ヒル
コトハ、課稅ノ均衡、負擔ノ公平ト云フ點
カラ言ヒマシテモ、是非是ハ輕減ヲシナケ
レバナラヌト云フ理由ガ、大ニアルト思フ
ノデアリマス(拍手)此意味ヲ以テ、今囘提
案サレマシタ所ノ東北六縣及北海道、沖繩
縣、鹿兒島縣ノ一部ノ大島、是等ノ土地ニ
對シマシテ租稅ノ率ヲ改メテ、二分六厘ニ
スルト云フ此制度ニ對シマシテハ、私ハ滿
腔ノ〓意ヲ以テ贊成ヲスルノデアリマス
(拍手)ドウカ皆樣ニ於カセラレマシテモ、
此案ニ付テハ全會一致、大贊成ヲ願ヒタイ
ノデアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=47
-
048・秋田清
○議長(秋田〓君) 小池仁郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=48
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049・小池仁郎
○小池仁郞君 簡單デアリマスカラ、自席
カラ發言ノ御許シヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=49
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050・秋田清
○議長(秋田清君) 許可致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=50
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051・小池仁郎
○小池仁郞君 私モ贊成ノ意ヲ表シタイデ
アリマス、吾々國民同盟ハ疲弊困憊セル
農村救濟ノ爲ニ、二箇年ノ耕作專用地ニ關
スル地租全免ノ法律案ハ別ニ出シテアリマ
ス、併シ只今議題ニナリマシタノハ、東北
六縣及北海道竝ニ沖繩縣、鹿兒島縣ノ一部、
之ニ對スル非常時ニ於テ地租課稅ノ稅率ヲ
低減シヨウト云フコトデアリマス、東北、
北海道ノ雪害ニ對シテハ、旣ニ皆樣ノ御承
知ノ通リ、事實ガ之ヲ明瞭ニ物語ッテ居リマ
ス、又沖繩縣、鹿兒島縣大島郡ノ如キハ、
海洋ノ中ニ在リマスル島デアル、西カラ吹
カウガ、東カラ吹カウガ、南北カラ風害ガ
アラウガ、是ハ免レルコトノ出來ナイ土地
デアルト云フコトモ、亦明瞭ナル事デアリ
やっ、隨テ地租ノ率ヲ輕減スルコトハ、當
然ノ歸結デアルヤウニ確信シテ居ルノデア
リマス、隨テ本案ニ贊成ヲ致シマス、簡單
ニ其意思ヲ表明シテ置キマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=51
-
052・秋田清
○議長(秋田清君) 委員長報告ハ五案ヲ併
合シテ一案トシ、修正議決シタモノデアリマ
ス、五案ノ第二讀會ヲ開クニ御異議アリマ
セヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=52
-
053・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマ
ス、五案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=53
-
054・上田孝吉
○上田孝吉君 直チニ五案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報〓ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=54
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055・秋田清
○議長(秋田清君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=55
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056・秋田清
○議長(秋田清君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ第二讀會ヲ開キ、議案全部
ヲ議題ト致シマス
地租法中改正法律案第二讀會(確定議)
地租法中改正法律案第二讀會(確定議)
地租法中改正法律案第二讀會(確定議)
地租法中改正法律案第二讀會(確定議)
地租法中改正法律案第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=56
-
057・秋田清
○議長(秋田〓君) 別ニ御異議モアリマセ
又、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通リ
可決確定致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=57
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058・上田孝吉
○上田孝吉君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此際、日程第二十九及
第三十ヲ繰上ゲ上程シ、其審議ヲ進メラレ
ンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=58
-
059・秋田清
○議長(秋田清君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=59
-
060・秋田清
○議長(秋田濟君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ變更セラレマシタ-日程
第二十九及第三十ハ同一委員ニ付託シタル
議案ナルニ依リ、一括議題ト爲スニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=60
-
061・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマ
ス、日程第二十九、水產會法中改正法律案、
日程第三十、水產會法中改正法律案、右兩
案ヲ一括シテ第一讀會ノ續ヲ開キマス、委
員長ノ報告ヲ求メマス-委員長鈴木英雄
君
第二十九水產會法中改正法律案(小
池仁郞君提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
第三十水產會法中改正法律案(鈴木
英雄君外三名提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報告書
一水產會法中改正法律案(小池仁郞君提
四
一水產會法中改正法律案(鈴木英雄君外
三名提出)
右ハ本院ニ於テ兩案ヲ併合シ表題ヲ「水
產會法中改正法律案」トシ別紙ノ通修正
スヘキモノト議決致候此段及報〓候也
昭和八年二月二十四日
委員長鈴本英雄
衆議院議長秋田〓殿
〔別紙〕
水產會法中左ノ通改正ス
第十六條第二項中「第四號、第七號及第
八號」ヲ「第四號及第七號」ニ改ム
第二十一條第二項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
前項但書ノ規定ニ依ル選任ハ行政官廳
ノ認可ヲ受クルニ非サレハ其ノ效力ヲ
生セス
第二十六號第二項ノ次ニ左ノ一項ヲ加ヘ
同條第三項中「前項」ヲ「前二項」ニ、「徴收
金ニ次クモノトス」ヲ「徴收金ニ次キ其ノ
時效ニ付テハ市町村稅ノ例ニ依ル」ニ改
ム
市町村カ前項ノ請求ヲ受ケタル日ヨリ
三十日以內ニ其ノ處分ニ著手セス又ハ
九十日以內ニ之ヲ完了セサルトキハ會
長ハ地方長官ノ認可ヲ得テ之ヲ處分ス
ルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ町村制第百
十一條第一項及第四項ノ規定ヲ準用ス
〔鈴木英雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=61
-
062・鈴木英雄
○鈴木英雄君 只今上程致サレマシタル水
產會法中改正法律案外一件ノ、委員會ノ經
過竝ニ結果ヲ御報告申上ゲマス、委員會ニ
付託サレマシタ所ノ此兩案ハ、全ク同一ノ
內容ヲ有フテ居ルモノデアリマス、其改正
セントスル所ノ要點ハ、役員及議員ノ選任
及解任ニ付キマシテハ、會員又ハ議員以外
ノ者ヨリ選任スル場合ヲ除キマシテハ、行
政官廳ノ認可ヲ要セヌコトニスルコト、又
此組合ノ經費及過怠金ノ滯納ノアリマス場
合ニ、水產會ノ會長モ滯納處分ヲスルコト
ガ出來得ルヤウニスルト云フ改正デアリマ
シテ、農會ト同一ニシタイト云フ趣旨ヲ有ツ
テ居ルモノデアリマス、委員會ハ二囘開會
致シマシテ、質疑應答ノ末、此兩案ハ全ク
其內容ヲ同一ニシテ居ルモノデアルカラ、
二案ヲ併合ジテ一案トシテ、水產會法中改
正法律案ト云フコトニ致シマシテ、右修正
議決ノ上、滿場一致ヲ以チマシテ可決致シ
マシタ次第デアリマス、此段御報〓致シマ
ス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=62
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063・秋田清
○議長(秋田清君) 只今ノ委員長報告ハ兩
案ヲ併合シテ一案ト爲シ、修正議決シタモ
ノデアリマス、兩案ノ第二讀會ヲ開クニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=63
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064・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマス、
兩案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=64
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065・上田孝吉
○上田孝吉君 直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通リ
可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=65
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066・秋田清
○議長(秋田清君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=66
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067・秋田清
○議長(秋田清君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
水產會法中改正法律案
第二讀會(確定議)
水產會法中改正法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=67
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068・秋田清
○議長(秋田清君) 別ニ御發議モアリマセ
又、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通リ
可決確定致シマシタ(拍手)日程第十一乃至
第十四ハ同種議案ナルニ依リ、一括議題ト
爲スニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=68
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069・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程第十一、助產師法案、日程第
十二、產師法案、日程第十三、產師法案、
日程第十四、產師法案、右四案ヲ一括シテ
第一讀會ヲ開キマス、順次提出者ノ趣旨辯
明ヲ許シマス--日程第十一、提出者野中
徹也君
第十一助產師法案(野中徹也君外二
名提出)第一讀會
第十二產師法案(土屋〓三郞君外三
名提出)第一讀會
第十三產師法案(野方次郞君外二名
提出)第一讀會
第十四產師法案(山道襄一君外三名
提出)第一讀會
助產師法案
助產師法
第一條助產師タラムトスル者ハ二十年
以上ノ女子ニシテ左ノ資格ヲ有シ助產
師名簿ニ登錄ヲ受クルコトヲ要ス
-內務大臣ノ指定シタル助產師學校
ヲ卒業シタル者
二助產師試驗ニ合格シタル者
三外國ノ助產師學校ヲ卒業シ又ハ外
國ニ於テ助產師免許ヲ得タル者ニシ
テ內務大臣ノ免許ヲ得タル者
第二條左ニ揭クル者ハ助產師ノ登錄ヲ
受クルコトヲ得ス
一六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處
セラレタル者
二禁治產者、準禁治產者、聾者、啞
者又ハ盲者
第三條助產師試驗ハ地方長官之ヲ擧行
ス
第四條助產師試驗ハ高等女學校卒業者
又ハ之ト同等以上ノ學力ヲ有スル者ニ
シテ二箇年以上助產ニ必要ナル學術ヲ
修業シタル者ニ非サレハ之ヲ受クルコ
トヲ得ス
第五條地方長官ハ助產師試驗ヲ受ケム
トスル者又ハ助產師名簿ニ登錄ヲ願出
ツル者ニシテ試驗又ハ登錄ノ以前堕
胎ノ罪、助產師ノ業務ニ關スル罪其ノ
他禁錮以上ノ刑ニ處セラルヘキ罪ヲ犯
シタル者又ハ試驗ニ關スル規程ニ違反
シタル者ナルトキハ試驗又ハ登錄ヲ受
ケシメサルコトヲ得
助產師試驗ノ科目及試驗施行ノ方法ハ
命令ノ定ムル所ニ依ル
第六條地方長官ハ助產師試驗ニ關スル
規程ニ違反シタル者アルトキハ其ノ試
驗ヲ無效トスルコトヲ得若巳ニ登錄ヲ
受ケタルトキハ其ノ登錄ヲ取消スコト
ヲ得
第七條助產師名簿ハ地方長官之ヲ管理
ス
助產師名簿ニ登錄ヲ受ケムトスル者ハ
第一條第一號ノ學校卒業ノ證書、助產
師試驗合格證書又ハ免許證ヲ添ヘ地方
長官ニ願出ツヘシ
助產師名簿ノ登錄事項ハ命令ノ定ムル
所ニ依ル
助產師名簿ノ登錄事項ニ異動ヲ生シタ
ルトキハ二十日以內ニ助產師名簿ノ登
錄ノ變更ヲ願出ツヘシ
助產師其ノ住所ヲ移轉シタル爲管轄地
方廳ヲ異ニスルトキハ直ニ前ノ管轄地
方廳ニ助產師名簿取消ノ登錄ヲ願出テ
後ノ管轄地方廳ニ助產師名簿ノ登錄ヲ
願出ツヘシ
前項ノ登錄ヲ爲ササル者ハ助產師ノ業
務ヲ爲スコトヲ得ス
第八條助產師廢業シタルトキハ二十日
以內ニ地方長官ニ助產師名簿取消ノ登
錄ヲ願出ツヘシ
助產師失踪又ハ死亡シタルトキハ戶籍
法ニ依ル屆出義務者ヨリ二十日以內ニ
地方長官ニ助產師名簿取消ノ登錄ヲ願
出ツヘシ
第九條助產師ハ何等ノ方法ヲ以テスル
ヲ問ハス業務上學位、稱號ヲ除ク外其
ノ技術又ハ經歷ニ關スル廣告ヲ爲スコ
トヲ得ス
第十條助產師ハ姙婦、產婦、褥婦又ハ
胎兒、初生兒ニ異常アリト認ムルトキ
ハ醫師ノ診療ヲ請ハシムヘシ自ラ共ノ
處置ヲ爲スコトヲ得ス但シ臨時救急手
當ハ此ノ限ニ在ラス
第十一條助產師ハ姙婦、產婦、褥婦又
ハ胎兒、初生兒ニ對シ外科手術ヲ行ヒ
產科機械ヲ用ヰ藥品ヲ授與シ又ハ之カ
指示ヲ爲スコトヲ得ス但シ消毒ヲ行ヒ
臍帶ヲ切リ浣腸ヲ施スハ此ノ限ニ在ラ
ス
助產師ニシテ命令ノ定ムル所ニ依リ特
別ノ講習ヲ受ケ地方長官ノ認定ヲ得タ
ル者ハ救急ノ手當トシテ助產ニ必要ナ
ル皮下注射(强心劑、止血劑、陣痛促
進劑ノ注射)、會陰縫合術、用手胎盤
剝離術及初生兒假死蘇生劑注射ヲ施ス
コトヲ得
第十二條助產師ハ助產師名簿ニ登錄ヲ
受ケサル者ニ姙婦、產婦、褥婦又ハ胎
兒初生兒ノ取扱ヲ專任スルコトヲ得
ス
第十三條助產師ハ自ラ檢案セスシテ死
產證書又ハ死胎檢案書ヲ交付スルコト
ヲ得ス
第十四條助產師ニシテ墮胎ノ罪、助產
師ノ業務ニ關スル罪又ハ禁錮以上ノ刑
ニ處セラルヘキ罪ヲ犯シタルトキハ地
方長官ハ助產師ノ業ヲ禁止シ又ハ一年
以內之ヲ停止スルコトヲ得
助產師名簿登錄前ニ犯シタル罪ノ發覺
シタルトキ亦同シ
第十五條地方長官ハ助產師ノ業ヲ禁止
シ又ハ停止シタル後本人ノ行狀ニ依リ
其ノ禁止又ハ停止ヲ解除スルコトヲ得
第十六條助產師ニシテ三箇年間其ノ業
ヲ營マサルトキ又ハ瘋癲、白痴又ハ癈
疾トナリ其ノ業ヲ營ムニ堪ヘスト認ム
ルトキハ地方長官ハ助產師名簿ノ登錄
ヲ取消スコトヲ得
第十七條助產師名簿ノ登錄、登錄ノ取
消、登錄事項ノ訂正竝助產師業ノ禁止
又ハ停止及其ノ解除ハ地方長官之ヲ〓
示スヘシ
第十八條左ニ揭クル者ハ五十圓以下ノ
罰金ニ處ス
-助產師名簿ニ登錄ヲ受ケスシテ助
產師ノ業務ヲ爲シタル者
二助產師名簿ノ登錄ヲ取消サレタル
後助產師ノ業務ヲ爲シタル者
三助產師ノ業ヲ禁止又ハ停止セラレ
タル後助產師ノ業務ヲ爲シタル者
四第四條ニ關シ虛僞ノ證明又ハ陳述
ヲ爲シタル者
五第九條乃至第十三條ニ違反シタル
者
第十九條第七條第四項第八條第二項ニ
違反シタル者ハ科料ニ處ス
第二十條本法ニ依リ地方長官ノ爲シタ
ル處分ニ對シテハ訴願又ハ行政訴訟ヲ
爲スコトヲ得
附則
第二十一條本法施行期日ハ勅令ヲ以テ
之ヲ定ム
產婆規則ハ之ヲ廢止ス
第二十二條本法施行以前ニ產婆名簿ニ
登錄セラレタル者ハ助產師トシテ登錄
ス
第二十三條本法施行前地方長官ヨリ業
務ノ地域及期限ヲ定メ假ニ產婆ノ業ヲ
免許セラレタル者ハ本法施行後ト雖其
ノ效力ヲ有シ目其ノ有效期限ハ申請ニ
依リ之ヲ更新スルコトヲ得
第二十四條地方長官ハ助產師ニ乏シキ
地ニ限リ當分ノ內出願者ノ履歷ニ依リ
業務ノ地域及一定ノ期間ヲ限リ助產師
ノ業ヲ免許スルコトヲ得
前項ノ免許ヲ受ケタル者ハ助產師ニ準
シ本法ヲ適用ス但シ助產師名簿ニ登錄
スル限ニ在ラス
第二十五條從來內務大臣ヨリ指定セラ
レタル產婆學校ハ本法施行ト同時ニ更
ニ助產師學校トシテ之ヲ指定ス
產師法案
產師法
第一條產師トハ助產ヲ業ト爲ス者ヲ謂
フ
第二條產師タラントスル者ハ二十歲以
上ノ女子ニシテ左ノ資格ヲ有シ內務大
臣ノ免許ヲ受クルコトヲ要ス
一高等女學校卒業者又ハ之ト同等以
上ノ學力ヲ有スル者ニシテ內務大臣
ノ指定シタル產師學校ヲ卒業シタル
者
二產師試驗ニ合格シタル者
三外國ノ產師學校ヲ卒業シ又ハ外國
ニ於テ產師免許ヲ受ケタル者ニシテ
命令ノ規定ニ該當スル者
產師試驗ハ內務大臣之ヲ行フ
產師試驗ハ高等女學校卒業者又ハ之ト
同等以上ノ學力ヲ有スル者ニシテ修業
年限二箇年以上ノ產師學校、產師講習
所ヲ卒業シ又ハ命令ノ定ムル外國產師
學校ヲ卒業シタル者ニ非ザレバ之ヲ受
クルコトヲ得ズ
第三條聾者、啞者、盲者又ハ精神病者
ニ對シテハ產師ノ免許ヲ爲スコトヲ得
ズ
墮胎ノ罪其ノ他產事ニ關スル罪又ハ禁
鋼以上ノ刑ニ處セラレタル者ニ對シテ
ハ產師ノ免許ヲ爲サザルコトアルベシ
第四條產師ハ姙婦、產婦、褥婦又ハ胎
兒、生兒ニ異常アリト認ムルトキハ直
ニ醫師ノ診療ヲ請ハシムベシ自ラ其ノ
處置ヲ爲スコトヲ得ズ但シ臨時應急ノ
處置ハ此ノ限ニ在ラズ
第五條產師ハ自ラ臨產又ハ檢案セズシ
テ死產證書又ハ死胎檢案書ヲ交付スル
コトヲ得ズ
第六條產師ハ何等ノ方法ヲ以テスルヲ
問ハズ業務上技能、經歷又ハ命令ノ定
ムル事項ノ廣〓ヲ爲スコトヲ得ズ
第七條產師ハ產簿ヲ備ヘ七年間之ヲ保
存スベシ
第八條產師ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ道
府縣產師會ヲ設立スベシ
道府縣產師會ハ日本產師會ヲ設立スル
コトヲ得
產師ハ土地ノ狀況ニ依リ郡市區產師會
ヲ設立スルコトヲ得
產師會ハ法人トス命令ノ定ムル所ニ依
リ產事衛生ノ改良發達ヲ圖ルヲ以テ目
的トス
前各項ノ外產師會ニ關シ必要ナル事項
ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第九條產師第三條第一項ニ該當スルト
キハ其ノ免許ヲ取消スベシ
產師墮胎ノ罪其ノ他業務ニ關スル罪又
ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタルトキハ
免許ヲ取消シ又ハ期間ヲ定メテ業務ヲ
停止スルコトアルベシ其ノ免許前ニ係
ル場合亦同ジ
本條ノ取消處分ヲ受ケタル者ト雖改悛
ノ情顯著ナルトキハ再免許ヲ爲スコト
ヲ得
本條ノ處分ハ內務大臣之ヲ行フ但シ第
二項ノ處分及第三項ノ再免許ヲ爲ス場
合ハ中央衞生會ノ審議ヲ經ルコトヲ要
ス
第十條第二條ノ免許ヲ受ケズシテ助產
ノ業ヲ爲シタル者又ハ第四條乃至第七
條ノ規定ニ違反シタル者ハ百圓以下ノ
罰金又ハ科料ニ處ス業務停止中ノ產帥
ニシテ助產ノ業ヲ爲シタル者亦同ジ
附
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行前產婆名簿ニ登錄セラレタル者
ハ本法ニ依リ產師ノ免許ヲ受ケタルモノ
ト看做ス
本法施行前地方長官ヨリ業務ノ地域及期
限ヲ定メテ假ニ產婆ノ業ヲ免許セラレタ
ル者ハ本法施行後ト雖尙其ノ效力ヲ有シ
且其ノ有效期限ハ申請ニ依リ之ヲ更新ス
ルコトヲ得
本法施行ノ際從前ノ規定ニ依リ產婆名簿
ニ登錄ヲ受クル資格ヲ有スル者及本法施
行後五年內ニ從前ノ規定ニ依リ產婆名簿
ニ登錄ヲ受クル資格ヲ得タル者ハ第二條
ノ規定ニ拘ラズ產師ノ免許ヲ受クルコト
ヲ得
產師法案
產師法
第一條產師トハ助產ヲ業ト爲ス者ヲ謂
フ
第二條產師クラントスル者ハ一一十歲以
上ノ女子ニシテ左ノ資格ヲ有シ內務大
臣ノ免許ヲ受クルコトヲ要ス
-高等女學校卒業者又ハ之ト同等以
上ノ學力ヲ有スル者ニシテ內務大臣
ノ指定シタル產師學校ヲ卒業シタル
者
二產師試驗ニ合格シタル者
三外國ノ產師學校ヲ卒業シ又ハ外國
ニ於テ產師免許ヲ受ケタル者ニシテ
命令ノ規定ニ該當スル者
產師試驗ハ內務大臣之ヲ行フ
產師試驗ハ高等女學校卒業者又ハ之ト
同等以上ノ學力ヲ有スル者ニシテ修業
年限二箇年以上ノ產師學校、產師講習
所ヲ卒業シ又ハ命令ノ定ムル外國產師
學校ヲ卒業シタル者ニ非ザレバ之ヲ受
クルコトヲ得ズ
第三條聾者、啞者、盲者又ハ精神病者
ニ對シテハ產師ノ免許ヲ爲スコトヲ得
ズ
墮胎ノ罪其ノ他產事ニ關スル罪又ハ禁
鋼以上ノ刑ニ處セラレタル者ニ對シテ
ハ產師ノ免許ヲ爲サザルコトアルベシ
第四條產師ハ姙婦、產婦、褥婦又ハ胎
兒、生兒ニ異常アリト認ムルトキハ直
ニ醫師ノ診療ヲ請ハシムベシ自ラ其ノ
處置ヲ爲スコトヲ得ズ但シ臨時應急ノ
處置ハ此ノ限ニ在ラズ
第五條產師ハ自ラ臨產又ハ檢案セズシ
テ死產證書又ハ死胎檢案書ヲ交付スル
コトヲ得ズ
第六條產師ハ何等ノ方法ヲ以テスルヲ
問ハズ業務上技能、經歷又ハ命令ノ定
ムル事項ノ廣〓ヲ爲スコトヲ得ズ
第七條產師ハ產簿ヲ備ヘ七年間之ヲ保
存スベシ
第八條產師ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ道
府縣產師會ヲ設立スベシ
道府縣產師會ハ日本產師會ヲ設立スル
コトヲ得
產師ハ土地ノ狀況ニ依リ郡市區產師會
ヲ設立スルコトヲ得
產師會ハ法人トス命令ノ定ムル所ニ依
リ產事衞生ノ改良發達ヲ圖ルヲ以テ目
的トス
前各項ノ外產師會ニ關シ必要ナル事項
ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第九條產師第三條第一項ニ該當スルト
キハ其ノ免許ヲ取消スベシ
產師堕胎ノ罪其ノ他業務ニ關スル罪又
ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタルトキハ
免許ヲ取消シ又ハ期間ヲ定メテ業務ヲ
停止スルコトアルベシ其ノ免許前ニ係
ル場合亦同ジ
本條ノ取消處分ヲ受ケタル者ト雖改悛
ノ情顯著ナルトキハ再免許ヲ爲スコト
ヲ得
本條ノ處分ハ內務大臣之ヲ行フ但シ第
二項ノ處分及第三項ノ再免許ヲ爲ス場
合ハ中央衞生會ノ審議ヲ經ルコトヲ要
ス
第十條第二條ノ免許ヲ受ケズシテ助產
ノ業ヲ爲シタル者又ハ第四條乃至第七
條ノ規定ニ違反シタル者ハ百圓以下ノ
罰金又ハ科料ニ處ス業務停止中ノ產師
ニシテ助產ノ業ヲ爲シタル者亦同ジ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行前產婆名簿ニ登錄セラレタル者
ハ本法ニ依リ產師ノ免許ヲ受ケタルモノ
ト看做ス
本法施行前地方長官ヨリ業務ノ地域及期
限ヲ定メテ假ニ產婆ノ業ヲ免許セラレタ
ル者ハ本法施行後ト雖尙其ノ效力ヲ有シ
且其ノ有效期限ハ申請ニ依リ之ヲ更新ス
ルコトヲ得
本法施行ノ際從前ノ規定ニ依リ產婆名簿
ニ登錄ヲ受クル資格ヲ有スル者及本法施
行後五年內ニ從前ノ規定ニ依リ產婆名簿
ニ登錄ヲ受クル資格ヲ得タル者ハ第二條
ノ規定ニ拘ラズ產師ノ免許ヲ受クルコト
ヲ得
產師法案
產師法
第一條產師トハ助產ヲ業ト爲ス者ヲ謂
フ
第二條產師タラントスル者ハ二十歲以
上ノ女子ニシテ左ノ資格ヲ有シ內務大
臣ノ免許ヲ受クルコトヲ要ス
高等女學校卒業者又ハ之ト同等以
上ノ學力ヲ有スル者ニシテ内務大臣
ノ指定シタル產師學校ヲ卒業シタル
者
二產師試驗ニ合格シタル者
三外國ノ產師學校ヲ卒業シ又ハ外國
ニ於テ產師免許ヲ受ケタル者ニシテ
命令ノ規定ニ該當スル者
產師試驗ハ內務大臣之ヲ行フ
產師試驗ハ高等女學校卒業者又ハ之ト
同等以上ノ學力ヲ有スル者ニシテ修業
年限二箇年以上ノ產師學校、產師講習
所ヲ卒業シ又ハ命令ノ定ムル外國產師
學校ヲ卒業シタル者ニ非ザレバ之ヲ受
クルコトヲ得ズ
第三條聾者、啞者、盲者又ハ精神病者
ニ對シテハ產師ノ免許ヲ爲スコトヲ得
ズ
墮胎ノ罪其ノ他產事ニ關スル罪又ハ禁
鋼以上ノ刑ニ處セラレタル者ニ對シテ
ハ產師ノ免許ヲ爲サザルコトアルベシ
第四條產師ハ姙婦、產婦、褥婦又ハ胎
兒、生兒ニ異常アリト認ムルトキハ直
ニ醫師ノ診療ヲ請ハシムベシ自ラ其ノ
處置ヲ爲スコトヲ得ズ但シ臨時應急ノ
處置ハ此ノ限ニ在ラズ
第五條產師ハ自ラ臨產又ハ檢案セズシ
テ死產證書又ハ死胎檢案書ヲ交付スル
コトヲ得ズ
第六條產師ハ何等ノ方法ヲ以テスルヲ
問ハズ業務上技能、經歷又ハ命令ノ定
ムル事項ノ廣〓ヲ爲スコトヲ得ズ
第七條產師ハ產簿ヲ備へ七年間之ヲ保
存スベシ
第八條產師ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ道
府縣產師會ヲ設立スベシ
道府縣產師會ハ日本產師會ヲ設立スル
コトヲ得
產師ハ土地ノ狀況ニ依リ郡市區產師會
ヲ設立スルコトヲ得
產師會ハ法人トス命令ノ定ムル所ニ依
リ產事衞生ノ改良發達ヲ圖ルヲ以テ目
的トス
前各項ノ外產師會ニ關シ必要ナル事項
ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第九條產師第三條第一項ニ該當スルト
キハ其ノ免許ヲ取消スベシ
產師墮胎ノ罪其ノ他業務ニ關スル罪又
ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタルトキハ
免許ヲ取消シ又ハ期間ヲ定メテ業務ヲ
停止スルコトアルベシ其ノ免許前ニ係
ル場合亦同ジ
本條ノ取消處分ヲ受ケタル者ト雖改悛
ノ情顯著ナルトキハ再免許ヲ爲スコト
ヲ得
本條ノ處分ハ內務大臣之ヲ行フ但シ第
二項ノ處分及第三項ノ再免許ヲ爲ス場
合ハ中央衞生會ノ審議ヲ經ルコトヲ要
ス
第十條第二條ノ免許ヲ受ケズシテ助產
ノ業ヲ爲シタル者又ハ第四條乃至第七
條ノ規定ニ違反シタル者ハ百圓以下ノ
罰金又ハ科料ニ處ス業務停止中ノ產師
ニシテ助產ノ業ヲ爲シタル者亦同ジ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行前產婆名簿ニ登錄セラレタル者
ハ本法ニ依リ產師ノ免許ヲ受ケタルモノ
ト看做ス
本法施行前地方長官ヨリ業務ノ地域及期
限ヲ定メテ假ニ產婆ノ業ヲ免許セラレタ
ル者ハ本法施行後ト雖尙其ノ效力ヲ有シ
且其ノ有效期限ハ申請ニ依リ之ヲ更新ス
ルコトヲ得
本法施行ノ際從前ノ規定ニ依リ產婆名簿ニ
登錄ヲ受クル資格ヲ有スル者及本法施行後
五年內ニ從前ノ規定ニ依リ產婆名簿ニ登錄
ヲ受クル資格ヲ得タル者ハ第二條ノ規定
ニ拘ラズ產師ノ免許ヲ受クルコトヲ得
〔野中徹也君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=69
-
070・野中徹也
○野中徹也君 簡單ニ只今提出致シマシク
助產師法案ノ提出ノ理由ヲ申上ゲマス、御
承知ノ如ク現在施行セラレテ居リマス所ノ
產婆規則ナルモノハ、明治三十二年ニ制定
セラレタモノデゴザイマス、其後我ガ學界
ニ於キマスル所ノ醫術、醫學ノ進步ハ、洵
ニ著シクアリマシテ、先進國デアリマスル
所ノ獨逸ノ壘ヲ摩スルト言ッテモ、差支ナイ
狀態デアリマス、隨テ此醫學、醫術ヲ規律
致シマスル所ノ產婆規則ガ、幾多ノ點ニ缺
陷ヲ生ジタト云フコトハ是ハ巳ムヲ得ザ
ル狀態デゴザイマス、仍テ本員ハ此缺陷ヲ
生ジテ居リマス所ノ產婆規則ヲ、此際是非
改正致シマシテ、現在ノ實情ニ適應セシム
ルヤウニスルコトガ、最モ必要デアルト信
ジマシテ、本案ヲ提出致シマシタ譯デアリ
マス
而シテ本案ノ現在ノ施行規則ト違ッテ居
リマスル最モ重大ナル點ハ、二ツデアリマ
ス、一ツハ卽チ產婆ト云フ名前ヲ改メマシ
テ、助產師ト致シタノデアリマス、此產婆
ナル言葉ハ、日本ノ言葉カラ見マスル時ニ
於キマシテハ、洵ニ理由ノナイ言葉デアリ
マス、卽チ產ト云フ言葉ハ自動詞デアリマ
ス、產ムト云フ言葉ハ自動詞デアリマス、
自ラ產ムニ非ズシテ、人ヲ產マシムル所ノ
職業ヲ持ッテ居ル者ハ、卽チ產ム者ニ非ザル
ガ故ニ產マシムルト云フ意味合カラ、助產
ト云フ言葉ガ最モ此職業ニ相應シイト信ジ
マシタガ故ニ、產婆規則ト云フ所ノ名前ヲ
改メマシテ、助產師法案ト致シタ次第デゴ
ザイマス、次ニ此法案ノ特色ハ、今日ニ於テ
ハ緊急ナル場合ニ、屢〓皮下注射共他ノ所謂
醫療ヲ加ヘル所ノ實狀ヲ、私共ハ實見シテ居
ルノデアリマスガ、都會ニ於キマスル所ノ有
產家デアルナラバ別デアリマスルガ、田舍ニ
於キマスル所ノ通常ノ家庭ニ於キマシテハ、
先ヅ醫者ニ掛カルヨリ前ニ、出產ニ際シマ
シテハ產婆ヲ呼ビマシテ、其產婆ガ產ヲ
取上ゲルノデアリマス、其取上ゲル時ニ、
異常姙娠或ハ異常出產ノ場合ニ於キマシテ、
醫師ヲ呼ブ時間ノナイ、或ハ呼ブノニ餘リ
時間ヲ要スルト云フヤウナコトガ間々アル
ノデアリマス、斯樣ナ場合ニ若シモ現在ノ
法律ノ儘ニ致シテ居リマシテ、所謂皮下注
射ノ如キ、或ハ簡單ナル手術ノ如キヲ許ス
コトガナカッタナラバ、或ハ吾々ノ同胞、或
ハ吾々ノ仲間デアリマスル所ノ母子ト云フ
者ハ、不幸ニシテ死ナヽケレバナラヌト云
フ運命ニ、遭遇シナイトモ限ラヌノデアリ
やっ、否實情ニ於キマシテ吾々ハ屢〓其狀
態ヲ聞イテ居ルノデアリマス、故ニ斯樣ナ
場合ニ於キマシテハ、今日ノ所謂產婆ニ非
ズシテ、相當ノ藥物學的ノ經驗ヲ有チ、知
識ヲ有チマスル所ノ人ニ、緊急ナル場合ニ
皮下注射ノ如キヲ許スコトガ最モ適切ニシ
テ、現狀ニ適應シテ居ルノデハナイカト信
ズルノデアリマス、故ニ私共ハ此法案ヲ提
出シタノデアリマスルガ、併シ此法案ノ實
施ヲ見テモ、直チニ現在ノ產婆又ハ醫師ノ
領域ヲ侵スモノデハナイト云フコトハ明ニ
致シテ居リマス、何故トナレバ、本案ノ所
謂皮下注射其他ノモノヲ爲サントスル所ノ
人ハ一定ノ講習ヲ受ケ、一定ノ試驗ヲ受
ケマシテ、相當ノ學識ト經驗ヲ有スル者デ
アルト云フコトヲ、認定セラレタ者ニ對シ
テ許サレルノデアリマス、斯樣ナ實情ニ適
シタ所ノ本案デアリマスルカラ、何卒各員
ニ於カレマシテハ、愼重審議ノ上ニ可決セ
ラレンコトヲ切望致シマシテ、簡單ナガラ
本案ノ趣旨辯明ヲ致ス次第デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=70
-
071・秋田清
○議長(秋田〓君) 日程第十二、提出者土
屋〓三郎君
〔土屋清三郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=71
-
072・土屋清三郎
○土屋〓三郞君 提案者一同ニ代リマシテ、
產師法案提案ノ理由ヲ簡單ニ申上ゲマス、
此案ハ去ル五十九議會ニ於キマシテ、各派
同志ノ共同提案ニ依リマシテ、滿場一致本
院ヲ通過致シタノデアリマス、隨テ野方次
郞君、山道襄一君等カラ只今提案サレテ居
リマスルモノト、全然同一デアリマシテ、
野中徹也君等ノ案トハ其內容ニ於テ、其精
神ニ於テ、著シイ相違ノアルモノデアリマ
ス、本案ノ重要ナル點ハ、第一ニ產婆ノ現
在ノ〓育ノ程度ヲ高メテ、高等女學校卒業
若クハソレ以上ノ者ニシテ、產婆ノ〓育ヲ
受ケタ者デナケレバ、產婆ノ試驗ヲ受ケル
コトガ出來ナイヤウニシテ、又其試驗ガ現在
各地方長官ニ一任サレテ居リマスルノヲ、
內務大臣ノ下ニ於テ之ヲ統一シテ、サウシ
テ又產婆ノ團體ヲ公ケニ認メテ、共活動ニ
依ッテ公衆衞生ノ上ニ貢獻サセヨウト云フ
ノデアリマス、產婆規則ハ御承知ノ通リ只
今カラ約三十年以前ノ內務省令ニ依ッテ、出
來テ居ルモノデアリマシテ、產婆ト同ジク
公衆衞生ノ爲ニ働イテ居ル所ノ醫師、齒科
醫師、藥劑師、獸醫師等ニ付キマシテハ、ソ
レゾレ法律ニ依ッテ身分職能竝ニ其團體的
活動ヲ公認サレテ居ルニ拘ラズ、同ジ衞生
協力團體デアル所ノ產婆ガ、之ニ遲レテ居
ルト云フコトハ、國民衞生ノ上ニ洵ニ遺憾
ニ堪ヘナイト存ジマシタカラ、玆ニ吾々ハ
全國五万ノ產婆ノ意思ヲ代表シテ、本案ヲ
提出致シマシタ次第デアリマス、何卒產婆
ハ第二ノ國民ヲ產ム所ノ母性ノ保護者デア
リ、同時ニ新ニ生レ出テ來ル所ノ第二ノ國
民ノ保護者デアルト云フ所ニ、十分ニ御考
慮ヲ賜リマシテ、愼重審議滿場一致ヲ以テ、
御協賛アランコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=72
-
073・秋田清
○議長(秋田〓君) 日程第十三、提出者野
方次郞君
〔野方次郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=73
-
074・野方次郎
○野方次郞君 提案ノ理由ヲ簡單ニ申述べ
マス
〔發言スル者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=74
-
075・秋田清
○議長(秋田濟君) 靜肅ニ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=75
-
076・野方次郎
○野方次郞君 (續)只今土屋君ニ依ッテ大
體ハ述ベラレテ居リマスガ、私ハ產婆ノ社會
的地位ヲ高メ、其〓養ヲ進メルト云フコトハ、
少クモ家庭ニ出入シテ、產前產後ニ於テ主
婦ニ接近スルガ故ニ、家庭ノ所謂衞生指導
者トシタイト云フ考カラデアリマス、尙ホ
〓育方面カラ見マシテモ、今日ノ我國ノ義
務〓育、幼稚園〓育デハ遲イ、英國ノ小兒〓
育モ遲イ、ドウシテモ胎內〓育ガ必要デアル、
之ヲ以テ思想惡化ヲ防グ、是ハ所謂心理學、
〓育學、胎生學ヲ〓ヘル必要ガアルト存ジ
やっ、此意味ニ於キマシテ、ドウゾ滿場ノ
諸君ハ、御協賛ヲ賜ハランコトヲ願ヒマス
(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=76
-
077・秋田清
○議長(秋田清君) 日程第十四、提案贊成
者後藤亮一君
〔後藤亮一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=77
-
078・後藤亮一
○後藤亮一君 只今上程サレテ居リマスル
產師法ノ提案ノ理由ニ付テ、簡單ニ說明致
シマス
〔發言スル者多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=78
-
079・秋田清
○議長(秋田〓君) 靜肅ニ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=79
-
080・後藤亮一
○後藤亮一君(續) 本案ハ只今土屋〓三郞
君及野方次郞君ニ依ッテ說明ヲサレマシタ
ルト、同樣ノ趣旨ニ依ッテ提案ヲ致シタモ
ノデアリマス、ドウカ滿場ノ御贊成ヲ御願
致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=80
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081・上田孝吉
○上田孝吉君 日程第十一乃至第十四ノ四
案ハ、一括シテ荒川五郞君外六十六名提
出、少年〓護法案外三件ノ委員ニ、併セ付
託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=81
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082・秋田清
○議長(秋田〓君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=82
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083・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
十五及第十六ハ同種議案ナルニ依リ、一括
議題ト爲スニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=83
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084・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程第十五、地方鐵道及軌道ニ對
スル地方稅免除ニ關スル法律案、日程第十
六、地方鐵道及軌道ニ對スル地方稅免除ニ
關スル法律案、右兩案ヲ一括シテ第一讀會
ヲ開キマス、順次提出者ノ趣旨辯明ヲ許シ
マス-日程第十五、提出者金光庸夫君
第十五地方鐵道及軌道ニ對スル地方
稅免除ニ關スル法律案(本多貞次郞
君外一名提出)第一讀會
第十六地方鐵道及軌道ニ對スル地方
稅免除ニ關スル法律案(鵜澤字八君
外三名提出)第一讀會
地方鐵道及軌道ニ對スル地方稅免除ニ
關スル法律案
地方鐵道法ニ依ル鐵道又ハ軌道法ニ依ル
軌道ノ線路及車輛ニ對シテハ地方稅ヲ賦
課スルコトヲ得ス
附則
本法ハ昭和八年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
本法施行前旣ニ賦課シタル地方稅ニ付テ
ハ尙從前ノ例ニ依ル
地方鐵道及軌道ニ對スル地方稅免除ニ
關スル法律案
地方鐵道法ニ依ル鐵道又ハ軌道法ニ依ル
軌道ノ線路及車輛ニ對シテハ地方稅ヲ賦
課スルコトヲ得ス
附則
本法ハ昭和八年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
本法施行前旣ニ賦課シタル地方稅ニ付テ
ハ尙從前ノ例ニ依ル
〔金光庸夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=84
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085・金光庸夫
○金光庸夫君 只今上程ニナリマシタ、地
方鐵道及軌道ニ對スル地方稅免除ニ關スル
法律案ノ、提案理由ヲ說明致シマス、鐵道
軌道ハ公益事業デアリマシテ、文化產業ノ
發逹ニ貢獻スル所ガ大キイト云フコトハ
敢テ申上ゲルマデモアリマセヌ、而シテ其
建設ニ當リマシテハ、啻ニ厖大ナル資本ヲ
固定セシムルノミナラズ、相當ナル收益ヲ
見ルニ至ルマデハ、實ニ長年月ヲ經過致シ
テ參ルノデアリマス、此間ニ於ケル事業經
營上ノ苦心ハ、到底他ノ一般企業ニ比スベ
キモノデハアリマセヌ、ソコデ政府ハ地方
鐵道補助法ヲ制定シテ、地方鐵道ノ配當ヲ
補償致シマス、又鐵道軌道用地ノ地租ヲ免
除シテ、其負擔ヲ輕減致シマス、若クハ都
市計畫事業ニ於キマシテ、受益者負擔金ヲ
免除シテ居リマス、又土地收用法ノ適用ヲ
認メテ、事業ノ促進ヲ助長スル所以デアリ
マス、然ルニ一部地方ニ在リマシテハ、鐵
道軌道ニ對シテ軌道稅、或ハ軌條稅、又ハ
車輛稅、或ハ電車稅ヲ賦課スルモノガアリ
マス、斯ノ如キハ公共事業ニ對スル國家ノ
保護助長ノ趣旨ニ反スルノミナラズ、
數府縣、數十箇市町村ニ亙リ、鐵道軌道
ニ對シテ是等地方稅ヲ賦課スルニ至ラ
ンカ、遂ニ斯業ノ破滅ヲ來スベキハ火ヲ
睹ルヨリ明カデアリマス、現ニ鑛業法ニ
於キマシテハ、鑛業ニ對シ、又ハ鑛夫、
鑛產物、鑛區、若ハ直接鑛業用ノ工作
物、器具、機械ヲ標準トシテ地方稅ヲ
賦課スルコトヲ得ザル旨ヲ規定シテ居リマ
ス、サウシテ鑛業ノ保護助長ヲ圖ッテ居リ
VV、然ルニ文化ノ進展、產業ノ發達ノ源
泉タルベキ鐵道軌道事業ニ對シテ、線路、車
輛等ノ如キ、事業用箇々ノ物件ニ對シマシ
テ地方稅ヲ賦課スルコトハ、不穩當デアル
ト思ハレルノデアリマス、而シテ本案ハ曩
ニ政民兩黨カラ提案サレマシテ、本院ヲ通
過セル案デアリマス、特ニ目下地方鐵道ハ
非常ノ不況ニ陷リマシテ、相當ノ配當ヲシ
テ居ルモノモ稀ニハアリマスガ、是等ノ會社ノ
多クハ電燈兼營ノ會社デアリマシテ、單五
鐵道ノミノ收支計算ヲ申シマスナラバ、收
支ノ償ハナイモノガ多イノデアリマス、鐵
道バカリ經營シテ居リマス會社ニ就テ見マ
スレバ、大多數ノ會社ハ實ニ無配當ノ悲慘
ナル狀況ニ在ルノデアリマス、或ハ軌條ヲ
撤去シテ解散スベシト云フ說モアル程デア
リマシテ、其慘狀ハ實ニ見ルニ忍ビザルモ
ノガアルノデアリマス、何卒此現狀ニ鑑ミ
マシテ、全會一致贊同アランコトヲ切望ス
ル次第デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=85
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086・秋田清
○議長(秋田〓君) 日程第十六-提出者
鵜澤宇八君
〔鵜澤宇八君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=86
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087・鵜澤宇八
○鵜澤宇八君 私共ノ提案モ、本多君等ノ
提案ト殆ド同一デゴザイマス、簡單ニ趣旨
ヲ申述ベマス、國有鐵道ハ本土ノ中樞ヲ貫
通致シテ居リマス、若クハ大都市ヲ包容ス
ル所ノ路線デゴザイマスカラ、相當ノ收益
モ擧ゲラレルノデゴザイマス、然ルニ之ニ
反シマシテ、地方鐵道ハ其名ヲ地方鐵道ト
謂フガ如ク、地方ノ山間僻遠ノ土地ヲ買ヒ
マシテ、サウシテ開拓シタ所ノ鐵道デゴザ
イマスカラ、其收益モ甚ダ少イノデゴザイ
やっ、實ニ地方鐵道ハ文化ノ先驅トシテ、
產業ノ發展ニ貢獻セラレタ所ハ甚ダ少クナ
イノデゴザイマス、之ニ對シマシテ政府
ハ地方鐵道ノ補助法ヲ設ケラレマシテ、年
年七百五十万圓ノ補給ノ下ニ地方鐵道ヲ保
護シテ、其普及發達ノ策ヲ講ゼラレテ居ル
ノデアリマス、殊ニ今日ハ自動車ガ異常ノ
發達ヲ致シマシタカラ、鐵道ノ輸送ト云フ
モノガ著シク減少致シマシタ、故ニ其收益
ガ甚ダ少ナイノデゴザイマス、ソレガ爲ニ
此私設鐵道デ配當ヲ致ス會社ト云フモノハ
殆ド稀レデアルト申シテ宜シイノデゴザイ
マス、然ルニ府縣ニ於キマシテ、政府ガ保
護奬勵ヲ致シテ居リマスル此地方鐵道ニ對
シマシテ、軌道稅トカ、軌條稅トカ云フ所
ノ地方稅ヲ賦課スルト云フコトハ、甚ダ
不當デアルト思フノデアリマス、到底地方
鐵道ハ此負擔ニ堪へ得ラレナイノデゴザイ
マスカラ、爾今此地方稅ト云フモノヲ免除
シテ吳レロト云フノガ、本案ヲ提出シタ理
由デゴザイマス、ドウゾ御贊成ヲ願ヒマス
(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=87
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088・上田孝吉
○上田孝吉君 日程第十五及第十六ノ兩案
ハ一括シテ安達謙藏君外一名提出、地租
ノ免除ニ關スル法律案外三件ノ委員ニ、併
セ付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=88
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089・秋田清
○講長(秋田〓君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=89
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090・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマス、
仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第十
七、建築士法案ノ第一讀會ヲ開キマス、提
出者ノ趣旨辯明ヲ許シマス、提出者兒玉右
二君
第十七建築士法案(岡田忠彥君外二
名提出)第一讀會
建築士法案
建築士法
第一條建築士ハ建築士ノ稱號ヲ用ヒテ
建築ニ關スル設計、工事監督、相談、
調査、鑑定其ノ他之ニ附隨スル事項ヲ
取扱フコトヲ業トスルモノトス
第二條左ノ條件ヲ具フル者ハ建築士タ
ル資格ヲ有ス
一帝國臣民又ハ主務大臣ノ定ムル所
ニ依リ外國ノ國籍ヲ有スル者ニシテ
私法上ノ能力者タルコト
二建築士試驗ニ合格シタルコト
建築士試驗ニ關スル事項ハ勅令ヲ以テ
之ヲ定ム
第三條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ前
條第一項第二號ノ規定ニ拘ラス建築士
タル資格ヲ有ス
一建築學ヲ修メタル工學博士
二帝國大學若ハ大學令ニ依ル大學ニ
於テ建築學ヲ修メ之ヲ卒業シ一年以
上建築ニ關スル實務ニ從事セル者又
ハ專門學校令ニ依ル專門學校ニ於テ
建築學ヲ修メ之ヲ卒業シ一年以上建
築ニ關スル實務ニ從事セル者
三主務大臣ニ於テ前號ニ揭クル學校
ト同等以上ト認メタル學校ニ於テ建
築學ヲ修メ之ヲ卒業シ一年以上建築
ニ關スル實務ニ從事セル者
四前各號以外ノ者ニシテ建築士試驗
委員ノ銓衡ニ依リ前二號同等ノ資格
アリト認メラレタル者
第四條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ建
築士タル資格ヲ有セス
一禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者但
シ六年未滿ノ懲役又ハ禁錮ニ處セラ
レタル者ニシテ刑ノ執行ヲ終リ又ハ
其ノ執行ノ免除ヲ得タル日ヨリ起算
シ三年ヲ經過シタル者ハ此ノ限ニ在
ラス
二破產者ニシテ復權ヲ得サル者
三建築士ノ業務ノ停止ノ期間中其ノ
業務ヲ廢止シ未タ其ノ期間ノ經過セ
サル者
四建築士ノ業務ノ禁止ノ處分ヲ受ケ
タル者但シ其ノ處分ヲ受ケタル日ヨ
リ起算シ三年ヲ經過シ主務大臣ニ於
テ改悛ノ情顯著ナリト認メタル者ハ
此ノ限ニ在ラス
第五條建築士ハ自ラ左ノ業務ヲ營ミ又
ハ左ノ業務ヲ營ム者ノ使用人タルコト
司教大
一土木建築ニ關スル請負業
二建築材料ニ關スル商工業又ハ製造
業
第六條建築士タラムトスル者ハ建築士
登錄簿ニ登錄ヲ受クルコトヲ要ス
建築士ノ登錄ニ關スル事項ハ勅令ヲ以
テ之ヲ定ム
第七條建築士ノ登錄ヲ受ケムトスル者
ハ登錄料トシテ二十圓ヲ納付スヘシ
第八條建築士ハ主務大臣ノ監督ニ屬ス
第九條建築士本法ノ規定ニ違反シタル
トキ又ハ品位ヲ失墜スヘキ行爲若ハ
業務上不正ノ行爲ヲ爲シタルトキハ主
務大臣ハ建築士懲戒委員會ノ議決ニ依
リ之ヲ懲戒スルコトヲ得
建築士懲戒委員會ニ關スル事項ハ勅令
ヲ以テ之ヲ定ム
第十條建築士ノ懲戒處分ハ左ノ四種ト
ス
一譴責
二千圓以下ノ過料
三一年以內建築士ノ業務ノ停止
四建築士ノ業務ノ禁止
前項第二號ノ過料ヲ完納セサルトキハ
主務大臣ノ命令ヲ以テ之ヲ執行ス
非訟事件手續法第二百八條ノ規定ハ前
項ノ規定ニ依ル執行ニ付之ヲ準用ス
第十一條登錄ヲ受ケスシテ建築士ト稱
シタル者ハ千圓以下ノ過料ニ處ス
非訟事件手續法第二百六條乃至第二百
八條ノ規定ハ前項ノ過料ニ付之ヲ準用
ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際迄引續キ一年以上建築ノ實
務ニ從事シタル者ハ本法施行ノ日ヨリ五
年以內ニ出願シタルトキニ限リ第二條第
一項第二號ノ規定ニ拘ラス建築士試驗委
員ノ銓衡ヲ經テ建築士タルコトヲ得発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=90
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091・兒玉右二
○兒玉右二君 自席ヨリ御許シヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=91
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092・秋田清
○議長(秋田濟君) 簡單ナラバ宜シウゴザ
イマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=92
-
093・兒玉右二
○兒五右二君 此案ハ五十九議會以來ノ懸
案デアリマシテ、五十九議會ニハ岡田忠彥
君ガ說明シテ、委員會ニマデ出タノデゴザ
イマスカラ、最早私ガ言フ必要ハナイヤウ
ニ思ヒマス、唯建築物法ナルモノガ制定サ
レマシテ、物ノ法律ガ出來タガ、人ノ法律
デアル建築士法ガ出來ナイコトハ甚ダ片
手落デアルト云フコトハ、是ハ岡田君モ說
明セラレテ居ッタヤウニ思ヒマス、私共ハ現
代ノ建築物ガ文明都市ノ美觀デアリ、或
家屋ガ生命財產ノ基調デアルト云フコト
ハ、是ハ申ス迄モナイコトデアリマスカラ、
人格的、識見的ノ建築士法ナルモノガ制定
サレルコトガ、國家文明ノ要素デアルコト
ヲ申上ゲテ、之ヲ提案ノ理由ト致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=93
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094・上田孝吉
○上田孝吉君 本案ハ政府提出、輸出絹織
物取締法中改正法律案外三件ノ委員ニ併セ
付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=94
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095・秋田清
○議長(秋田〓君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=95
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096・秋田清
○議長(秋田清君) 御異議ナシト認メマス、
仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第十八
乃至第二十ハ、便宜上一括議題ト爲スニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=96
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097・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程第十八、森林法中改正法律案、
日程第十九、國立公園法中改正法律案、日
程第二十、史蹟名勝天然紀念物保存法中改
正法律案、右三案ヲ一括シテ第一讀會ヲ開
キマス、提出者ノ趣旨辯明ヲ許シマス-
提出者小林錡君
第十八森林法中改正法律案(小林錡
君外一名提出)第一讀會
第十九國立公園法中改正法律案(小
林錡君外一名提出)第一讀會
第二十史蹟名勝天然紀念物保存法中
改正法律案(小林錡君外一一名提出)
第一讀會
森林法中改正法律案
森林法中左ノ通改正ス
第二十八條保安林ノ編入ニ因リテ損害
ヲ受ケタル私人ハ通常生スヘキ損害ニ
限リ政府ニ其ノ補償ヲ求ムルコトヲ得
木竹ノ伐採ヲ禁止セラレタル保安林ノ
所有者カ前條ニ依ル施業又ハ保護ノ方
法ノ指定ニ依リ造林又ハ工事ヲ爲シタ
ルトキハ其ノ費用ハ前項ノ損害ト看做
ス
前二項ノ補償ニ付政府ハ保安林編入ニ
因リ特ニ利益ヲ受クル公共團體若ハ私
人ヲシテ其ノ全部又ハ一部ヲ負擔セシ
メ國稅徵收法ノ例ニ依リ之ヲ徵收スル
コトヲ得
第一項及第二項ノ補償金額ハ地方長官
ニ於テ地方森林會ノ議ニ付シ之ヲ決定
ス
第二十八條ノ二木竹ノ伐採ヲ禁止セラ
レタル保安林ノ所有者又ハ立木竹若ハ
土地ノ所有者ハ政府ニ對シ其ノ森林又
ハ立木竹若ハ土地ノ買收ヲ請求スルコ
トヲ得
前項ノ買收金額ハ地方長官ニ於テ地方
森林會ノ議ニ付シ之ヲ決定ス
第二十九條第二十八條第四項ニ依ル政
府ノ補償金額又ハ前條第二項ニ依ル政
府ノ買收金額ニ付不服アル者ハ其ノ補
償金額又ハ買收金額ノ通知ヲ受ケタル
日ヨリ九十日以內ニ通常裁判所ニ出訴
スルコトヲ得
第二十八條第三項ニ依ル負擔ニ付不服
アル者ハ訴願ヲ提起スルコトヲ得
國立公園法中改正法律案
國立公園法中左ノ通改正ス
第九條第二項、第三項及第四項ヲ削ル
第九條ノ二國立公園地域ニ編入セラレ
タル爲損害ヲ受ケタル私人ハ通常生ズ
ベキ損害ニ限リ政府ニ補償ヲ求ムルコ
トヲ得
政府ハ前項ノ補償ヲ爲サズシテ國立公
園ニ編入セラレタル區域內ノ土地、立
木竹其ノ他ノ物ヲ所有者ヨリ買收スル
コトヲ得
前二項ノ補償金又ハ買收金ニ付政府ハ
國立公園地域編入ニ因リ特ニ利益ヲ受
クル公共團體若ハ私人ヲシテ其ノ全部
又ハ一部ヲ負擔セシムルコトヲ得
第一項及第二項ノ補償金又ハ買收金ハ
主務大臣ト損害ヲ被リタル私人トノ協
議ニ依リ之ヲ定ム協議調ハザルトキハ
主務大臣鑑定人ノ意見ヲ徵シテ之ヲ決
定ス
前項ノ決定ニ對シテ不服アル者ハ其ノ
決定ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ三月以內
ニ通常裁判所ニ出訴スルコトヲ得此ノ
場合ニ於テハ訴願シ又ハ行政裁判所ニ
出訴スルコトヲ得ズ
第十一條第六項中「第九條第四項」ヲ「第
九條ノ二第四項及第五項」ニ改ム
第十五條中「第九條第一項」ヲ「第九條」ニ
改ム
史蹟名勝天然紀念物保存法中改正法律
案
史蹟名勝天然紀念物保存法中左ノ通改正
ス
第四條第二項ヲ削ル
第四條ノ二史蹟名勝天然紀念物ノ指定
ニ依リ損害ヲ受ケタル私人ハ通常生ス
ヘキ損害ニ限リ政府ニ其ノ補償ヲ求ム
ルコトヲ得
政府ハ前項ノ補償ヲ爲サスシテ史蹟名
勝天然紀念物ニ指定セラレタル物及之
ト分離シ難キ物ヲ所有者ヨリ買收スル
コトヲ得
前二項ノ補償金又ハ買收金ニ付政府ハ
史蹟名勝天然紀念物ノ指定ニ依リ特ニ
利益ヲ受クル公共團體若ハ私人ヲシテ
其ノ全部又ハ一部ヲ負擔セシムルコト
ヲ得
第六條中「第四條第一項」ヲ「第四條」ニ改
ム
〔小林錡君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=97
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098・小林かなえ
○小林錡君 簡單ニ提案ノ趣旨ヲ說明致シ
マス、御承知ノ如ク、個人ノ森林ガ保安林ニ
編入サレマスルト、現行森林法ノ第二十六
條、第二十七條ニ依リマシテ、非常ニ極端
ナル所有權ノ制限ヲ受ケマシテ、草ノ根、
木ノ根ヲ掘取ルコトマデ、地方長官ノ許可
ナクシテハ出來ナイノデアリマス、而モ極
メテ特殊ノ場合ノ外ハ、現行ノ森林法ニ於
テハ、此保安林ニ編入セラレタル森林ノ所
有者ニ對シテ、何等ノ補償ヲモシテ居ラナ
イノデアリマス、斯ノ如ク個人ノ所有權ヲ
制限シ、若ハ侵害シテ居ルノニ拘ラズ、國
家ガ何等ノ補償ヲシナイト云フコトハ、極
メテ不合理ナコトヽ言ハナケレバナラヌノ
デアリマス(「ヒヤ〓〓」)而モ斯ル被害ヲ受
ケテ居ル所ノ國民ハ、極メテ多數デアルコ
トハ、諸君ノ旣ニ御承知ノ所デアリマス、
私ハ斯ル不合理ノ規定ハ、一日モ早ク改メ
マシテ、出來ルダケ個人ノ損害ヲ補償シナ
ケレバナラヌト云フ趣旨ノ下ニ、此法律ノ
改正案ヲ提出スル所以デアリマス、卽チ保
安林編入ニ依ル所ノ損害補償ハ、第一、禁
伐ト制限トニ限ラズ其直接ノ損害ニ限リ、
政府ノ負擔トスルコトヽシタイ、又此保安
林指定ニ依フテ利益ヲ受クル所ノ地方公共
團體-或ハ私人ノ存スルコトモアリマス
ルカラ、斯ノ如キ場合ニハ利益ヲ受クル
公共團體又ハ私人ニ、其全部又ハ一部ヲ負
擔サセルコトガ出來ル、第二ニハ禁伐保安
林所有者ハ、政府ニ買收ヲ請求スルコトガ
出來ル、第三ニハ補償ノ金額及買收金額
ハ、地方森林會ノ議決ニ依リ定ムルコト、
卽チ金額ノ補償ヲスル以外ニ、場合ニ依〃
テハ、此森林ヲ政府ガ買取ルコトガ出來
ル、買收スルコトガ出來ルト云フ建前ノ下
ニ、此侵害セラレタル個人ノ權益ヲ、出來ル
ダケ補償シタイト思フノデアリマス
又國立公園法ハ、昭和六年ノ制定デアリ
マスルケレドモ、諸君モ御承知ノ如ク、第
八條ニ於テ、個人ノ所有權ガ極メテ高キ程
度ニ於テ制限サレテ居ルノデアリマス、唯
特別ナ行爲ノ禁止、或ハ制限、其他特別ノ
措置ヲ命ジタル場合ニノミ、僅カナル補償
ヲ許スニ過ギナイノデアリマス、當時ハ國
立公園ノ美名ノ下ニ、自分ノ附近ガ國立公
園ニ編入サレルコトヲ、國民ハ輕々シク喜
ンダノデアリマスルケレドモ、其以後ニ於テ
ハ此地域ニ編入サレタガ爲ニ、個人ノ
權利ガ侵害セラレテ、自分ノ家ノ隣ニ、
犬小屋ヲ造ルノデサヘ、主務大臣ノ許可
ヲ受ケナケレバナラヌト云フヤウナ、非
常ナル制限ヲ受ケテ、今ヤ寧ロ怨嗟ノ聲ガ
國民ノ間ニ高イノデアリマス(拍手)聞ク所
ニ依レバ、當時ノ委員會ニ於キマシテ、內
務大臣ハ、必ズ近キ將來ニ於テ此法律ノ改
正ヲシテ、斯ノ如キ損害ヲ補償スルカラ、
ドウカ今囘ハ通シテ吳レヨト云フ意味ノコ
トヲ言明セラレテ、漸ク通ッタト云フコト
デアリマスルケレドモ、其以後何等ノ改正
案ガ出テ居ラナイノデアリマス
又史蹟名勝天然紀念物保存法ニ於テモ、
殆ド是ト同一ナル建前ノ下ニ、國民ノ權利
ヲ極メテ侵害シテ居ルコトハ、私ノ申ス迄
モナク諸君ノ御承知ノ所デアリマス、故
是等ノ三ツノ法律ハ、同ジ基本觀念ト同ジ
建前ノ下ニ、速ニ改正ヲスルト云フコト
ガ、今日ノ急務デハナイカト考ヘタノデア
リマス、唯財源ノ點デアリマスルガ、聞ク
所ニ依リマスレバ、農林當局ニ於カセラレ
マシテモ、林野整備調査委員會ト云フモノ
ヲ設ケラレテ、國有林ノ或ル一部ヲ拂下ゲ
テ、年々七八百万圓ノ財源ヲ得ラレテ、之
ヲ以テ從來編入セラレタル保安林ヲ政府ニ
買上ゲルト云フ目論見サヘ、アルト云フコ
トデアリマスカラ、國有林ノ一部ヲ拂下ゲ
ル、或ハ其他ノ方法ニ依ッテ此財源ヲ得ル
コトハ、私ハ決シテ困難デナイト思フノデ
アリマス、故ニ一日モ早ク、何等ノ理由ナ
クシテ不當ニ個人ノ權利ヲ侵害スル所ノ現
行ノ法律ヲ改正スルコトガ、吾々議員ノ最
モ重大ナル義務デアルト思フガ故ニ、技
此法律ノ改正案ヲ提出シタ次第デアリマ
ス、ドウカ諸君ノ御贊同アランコトヲ御願
スル次第デアリマス(拍手)
(「贊成々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=98
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099・上田孝吉
○上田孝吉君 日程第十八乃至第二十ノ三
案ハ、一括シテ安達謙藏君外一名提出、町
村役場費臨時國庫補助法案外五件ノ委員
ニ、併セ付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=99
-
100・秋田清
○議長(秋田〓君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=100
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101・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=101
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102・上田孝吉
○上田孝吉君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此際日程第三十一ヲ繰
上ゲ上程シ、其審議ヲ進メラレンコトヲ望
ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=102
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103・秋田清
○議長(秋田〓君) 上田君ノ動議ニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=103
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104・秋田清
○議長(秋田〓君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ變更セラレマシタ-日程
第三十一、神都特別聖地計畫實施國營ニ關
スル建議案ヲ議題ト致シマス、本案ハ建議
委員長ヨリ卽決ノ要求アリタル議案デアリ
マく、提出者ノ趣旨辯明ヲ許シマス-提
出者濱田國松君
第三十一大神都特別聖地計畫實施國
營ニ關スル建議案(島田俊雄君外十
名提出)
大神都特別聖地計晝實施國營ニ關スル
建議案
大神都特別聖地計畫實施國營ニ關ス
ル建議
畏クモ皇祖大神宮鎭座ノ神域ヲ中心ト
シ國營ヲ以テ大神都ヲ建設スルノ諸施
設ヲ完整シ以テ全日本禮讚ノ一大聖地タ
ラシムルハ現下思想動搖ノ國狀ニ鑑ミ最
有意義且緊切ナリト認ム政府ハ宜シク之
カ計畫實施ニ關スル特別ノ機關ヲ設置シ
速ニ其ノ達成ヲ期スヘシ
右建議ス
〔濱田國松君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=104
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105・濱田國松
○濱田國松君 只今上程ニナリマシタ大神
都特別聖地計畫實施國營ニ關スル建議案ノ
提案趣旨ヲ辯明致シマス、此案ハ院內三派
ノ共同提案ニ係ッテ居ルノデアリマシテ、旣
エ同僚諸君四百餘名ノ御贊成ヲモ仰イダ譯
デアリマス、隨テ餘リ長ク提案理由ヲ說明
スル必要モナキカノヤウニモ存ジマスルガ、
本案ハ思想對策ニ出發ヲ致シテ居ル譯デア
リマシテ、重大性ヲ含ムモノデアリマス、
故ニ一應提案趣旨ノ辯明ヲスルコトノ御許
ヲ仰ギタイト存ジマス
今日ノ時局ハ所謂非常時ト稱セラレテ
居ルノデアリマス、非常時トハ何ヲ意味
スルノデアリマセウカ、外、國際ノ危機ニ
逢著シ、內、國民經濟ノ緊迫ニ苦シミ、
國民思想ノ惡化ニ至リテハ、洵ニ戰慄ス
ベキモノガアルノデアリマス、國際ノ危
機ハ、所謂强烈ナル我ガ民族的心理ノ緊
張、所謂皇道精神ノ發露ニ依リマシテ、
當面ノ國際危機ヲ突破スルコトニ付テハ、國
論ハ旣ニ一致ヲ見タノデアリマス、是レ以
外ニ進ムベク、施スベキ術ハナイノデアラ
ウト存ジマス、國民生活、經濟ノ緊迫打開
ニ付キマシテハ、所謂政府萬能主義ニ依ル
ベキモノデハナイノデアリマシテ、國民ノ
自力更生ニ俟タナケレバナラナイト存ズル
ノデアリマス、旣ニ國民ノ自力更生ト云フ
以上ハ、玆ニ其基礎ヲ國民心理ノ緊張ニ求
メナケレバナラナイコトハ、申ス迄モナイ
コトデアリマス、更ニ思想惡化ノ對策ニ付
キマシテハ今日ノ實情ハ、遺憾ナガラ國
家ノ嚴法モ、司直ノ權威モ、〓育ノ感化モ、
效果ヲ完ウスルコトヲ得ズシテ、洵ニ寒心
スベキ狀態ニ置カレテ居ルコトハ御承知ノ
通リデアル、華冑ノ家庭、政府要人ノ子弟、
軍隊ノ間、高等學府、甚シキハ國民〓育ノ
擔任者ノ間ニ於テ、極端ナル赤化主義者ノ
續出ヲ見ル今日ノ狀態ハ、御同樣ニ痛心ニ
堪ヘナイ所デアリマス(拍手)是ノ對策ヲ果
シテ何レニ求ムベキデアリマセウ
今更申上グルマデモナク、我ガ尊敬スベ
キ皇道精神、貴重ナル我ガ民族精神ハ、建
國三千年ノ歷史ニ培ハレテ、今日ニ形作ラ
レタルモノデアリマス、故ニ凡ソ對策ノ適
切ナルモノヲ求メント欲スルナラバ、何ト
申シテモ我ガ國民ノ心理ヲ、我國ノ歷史ニ
結ビ付ケルト云フコトガ、根本策トシテ最
モ必要デアラウト存ズルノデアリマス拍
手)卽チ國民ノ心理ヲ一種ノ歷史的信念ニ
結ビ付ケテ、何物モ冒スコトヲ得ズ、何物
モ動カスコトヲ得ザル所ノ民族心理ノ涵養
ヲ圖ルト云フコトガ、所謂拔本塞源ノ思想對
策デアラネバナラヌト存ズルノデアリマス
(拍手)今ヤ思想ノ對策ニ付キマシテハ、朝野
ヲ擧ゲテ是ガ實現ニ汲々タルモノデアリマ
ス、而モ何レモ皮相ノ對策ガ多クアリ、或ハ又
單純ナル理想ニ基クモノガ多ノデアリマス、
本員等ハ玆ニ著眼ヲ致シマシテ、只今中述べ
マシタル民族ノ心理ヲ、我國ノ歷史ニ結ビ付
ケテ、一種ノ民族的信仰ヲ固クスル、此施設ヲ
根本ニ於テ致スコトガ、思想對策トシテ先ヅ
喫緊デアラウト云フ考ヲ定メタモノデアル、
是ガ本案ヲ提出シタ根本ノ理山デアリマス、
卽チ我ガ民族精神ノ淵源デアル、歷史ノ根
源デアル、皇祖大神宮ノ神域ヲ中心ト致シ
マシテ、玆ニ全日本國民ノ一大禮讚ヲ喚起
ス所ノ聖地ノ計畫ト云フモノヽ下ニ、有ユ
ル神域ノ設備ヲ擴張スルト云フ案デアリマ
ス
此案ハ全ク只今申述ベタ我國ノ國民ノ心
理ヲ三千年ノ歷史ニ結ビ付ケル、玆ニ我ガ
民族ノ大使命ヲ達成シ得ル、玆ニ我ガ貴重
ナル皇道精神ノ發露ヲ全クスルコトガ出來
ル、由テ以テ多難多事ナル此思想國難ヲ突
破シヨウト云フノガ、本案提出ノ理由デア
リマス(拍手)宜シク政府ハ此建議ノ根本義
ニ鑑ミラレテ、速ニ、神宮中心ノ聖地計畫
ニ對スル調査立案ヲ遂ゲラレ、且ツ速ニ之
ヲ實施セラレンコトヲ求ムルノガ、建議案
ノ大趣意デアリマス、ドウカ滿場一致ノ御
贊成ヲ切ニ希望スル次第デアリマス、猶此
說明ヲ終ルニ方ッテ、本員ハ幸ヒ齋藤總理大
臣モ御出席デアラルヽヤウデアリマスカラ、
此案ニ對シテ政府ノ持タルヽ所ノ所見ノ御
言明ヲ得ルコトヲ得バ、滿足ノ至リニ堪ヘ
マセヌ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=105
-
106・秋田清
○議長(秋田〓君) 討論ノ通〓ガアリマ
ス、順次之ヲ許シマス-池田敬八君
〔池田敬八君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=106
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107・池田敬八
○池田敬八君 只今上程ニナリマシタル大
神都特別聖地計書實施國營ニ關スル建議案
ニ就キマシテ、吾々提案者ノ一人デアル濱
田國松君カラ、詳細ニ其趣旨ヲ述ベラレマ
シタノデ、凡ソ其要ヲ盡シテ居リマスルガ
私ト致シマシテハ、我黨ヲ代表致シテ一應
贊成ノ意ヲ述ベタイト存ジマス、暫ク御〓
聽ヲ願ヒタウ存ジマス(拍手)
抑〓天照大神樣ガ伊勢ニ御鎭座存シマシ
タノハ、御承知ノ如ク倭比賣命ガ雨ノ晨、
風ノタヲ厭ヒナク、數十年各地ヲ御巡歷ニ
ナリマシテ、遂ニ伊勢ノ五十鈴川ノ地ヲト
サレテ、此處ガ一番定住ノ居トシテ宜シイ
ト云フコトデ、御鎭マリニナリマシタノデ
アリマス(「吾々ハ生徒デハアリマセヌ」ト
呼フ者アリ)仰ゲバ神路山ノ鬱蒼タル大樹、
俯スレバ五十鈴川ノ〓滾タル所ノ流ハ、此
神ノ神威ヲ一層加ヘルモノト言ハナケレバ
ナラヌト存ジマス、其外ノ環境ノ神聖デア
ルコトハ、恐ラク日本一ト申シテ宜シイト
存ジマス、神宮ノ鎭座在シマスノモ偶然デ
ハナイト信ズルノデアリマス(拍手)御維新
以前ニハ、御師ト稱スル制度ガアリマシテ
全國國民ガ一生ニ一度ハ伊勢ノ宮ニ御詣リ
ヲシテ、其身ヲ淨メタモノデアリマス、卽
チ皆サンモ御承知ノ如ク伊勢音頭ト稱スル
「ヤートコセ、ヨーイヤナ、アレワイサ、コ
レワイサ」ト云フ唄ガアリマス(笑聲)是ハ
決シテ御笑ヒニナルコトデハナイ、私ノ友
人デアル所ノ畑嘉門ト云フ市會議員ガ、
之ヲ〓究ヲ致シタ所ニ依リマスルト云フ
ト「ヤートコセ」ト云フノハ、ヤー此處ガ伊
勢デアル、倭比賣命ガ卽チ
〔「問題ヲ茶化シテハイカヌ」其他發言
スル者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=107
-
108・秋田清
○議長(秋田〓君) 靜肅ニ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=108
-
109・池田敬八
○池田敬八君(續) 卽チ御宮樣ヲ奉祀シテ
ヤー此處ガ伊勢デアルト云フコトヲ申シタ
モノデアル、是ハ決シテ御笑ヒニナルコト
デハナイ、神聖ナル唄デアル、是ハヲカシイ
所ニ使ハレルカラ皆サンハサウ云フ感ジヲ
サレマスガ、決シテサウ云フ意味デハナイ、
卽チ由〓ノアル所ノ言葉デアル、此伊勢音
頭ヲ以テ全國カラ御詣リヲシタモノデア
リマス、然ルニ廢藩置縣トナッタ今日ニ於
キマシテハ、此風ガ全ク絕エテ、參宮客
ガ一時ハ杜絕致シタノデアリマス、近頃
赤化思想ガ入リマシテ、尙更國民思想ヲ
惡化シタノデアリマスルガ、最近ニ於テ諸
君ニ喜ンデ戴カナケレバナラヌト云フコト
ハ、交通機關ガ稍、完備ヲ致シテ、省線ノ
外ニ參宮急行ト云フ、大阪カラ山田マデ二
時間デ達スル電車ガ出來タ、又伊勢鐵道ト
云フノガ出來テ、ソレガ爲メ參宮客ハ近年
增加シタノデアリマス、私ハ每年一月元旦
ニ必ズ參宮致シマスガ、今年ノ如キハ非常
ニ增加ヲ致シタノデアリマス、之ニ依テモ
決シテ吾々ハ此國民思想惡化ヲ恐レルモノ
デハアリマセヌ、併ナガラ神都ニ於ケル所
ノ設備ハ、甚ダ不十分ナルモノデアリマス
ルカラ、是ニ於テ此建議案ガ起ッタ次第デア
ル、仍テ吾々ハ此我ガ神都ノ設備ヲ十分ニ
致シ、卽チ聖地計畫ヲ整ヘテ、全國ノ參宮
客ヲ滿足セシメルト云フコトガ、此思想問
題解決上ノ重大ナ案件デアルト考ヘテ提案
ヲ致シタノデアリマス、明治天皇ノ御製ニ
モ「カミチ山松ノ梢ニカヽリケリ天ツ御ソ
ラノ雲ノシラユフ」ト云フ御歌ガアリマス、
又「アマテラス神ノ御光アリテコソワカ日
ノモトハクモラサリケレ」「神風ノ伊勢ノ宮
居ノ事ヲマツ今年モ物ノ始ニソキク」マダ
御製モ澤山アリマスルガ、餘リ多クアリマ
スルカラ此程ニ止メマスルガ、斯ノ如キ有
難イ大御心モアル次第デアリマスカラ、何
卒此聖地計畫ニ
(「反對」「反對トハ何ダ」其他發言スル
者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=109
-
110・秋田清
○議長(秋田濟君) 靜肅ニ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=110
-
111・池田敬八
○池田敬八君(續) 何卒御贊成アランコト
ヲ、特ニ御願ヲ申上ゲテ壇ヲ降リマス印
手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=111
-
112・秋田清
○議長(秋田濟君) 加藤鯛一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=112
-
113・加藤鯛一
○加藤鯛一君 本案ハ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=113
-
114・秋田清
○議長(秋田濟君) 加藤君、議案ノ性質ニ
鑑ミ御登壇ヲ希望致ンマス
〔加藤鯛一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=114
-
115・加藤鯛一
○加藤鯛一君 只今議題ニナッテ居リマス
ル本案ハ國民大多數ノ翹望シテ巳マザル
モノデアルト信ジマス、故ニ本案ニ對シマ
シテハ千言万語ヲ費スノ必要ヲ感ジマセ
又、心ヨリ謹ンデ贊成ヲスルト云フ意思表
示ヲ致シマシテ、本案ニ對スル贊成ヲスル
者デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=115
-
116・秋田清
○議長(秋田清君) 齋藤內閣總理大臣
〔國務大臣子爵齋藤實君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=116
-
117・齋藤實
○國務大臣(子爵齋藤實君) 本案ノ精神ニ
ハ御同感デアリマス、此案ニ對シマシテハ、
各般ノ關係ヨリ色々調査ヲ要シマスルコト
モアルト思ヒマスルカラ、愼重ニ考慮ヲ致
シマスルコトニ致シマス、此段御答申上ゲ
マス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=117
-
118・秋田清
○議長(秋田〓君) 採決ヲ致シマス、本案
ニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=118
-
119・秋田清
○議長(秋田〓君) 起立多數-仍テ本案
ハ可決セラレマシタ
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=119
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120・秋田清
○議長(秋田〓君) 日程第二十一、漁船保
險法案ノ第一讀會ヲ開キマス、提出者ノ趣
旨辯明ヲ許シマス-提出者鵜澤宇八君
第二十一漁船保險法案(鵜澤宇八君
外三名提出)第一讀會
漁船保險法案
漁船保險法
第一章漁船保險組合
第一節總則
第一條漁船ノ所有者ハ其ノ所有スル漁
船及漁具ニ付相互保險ヲ爲ス目的ヲ以
テ漁船保險組合ヲ設立スルコトヲ得
漁船保險組合ハ前項ノ外組合員ノ共濟
其ノ他福利增進ニ關スル施設ヲ爲スヲ
目的トスルコトヲ得
保險ノ目的タルベキ漁船及漁具ノ範圍
ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二條漁船保險組合ハ法人トス
第三條組合ハ其ノ名稱中ニ漁船保險組
合タルコトヲ示スベキ文字ヲ用フベシ
漁船保險組合ニ非ザルモノハ其ノ名稱
中ニ漁船保險組合タルコトヲ示スベキ
文字ヲ用フルコトヲ得ズ
第四條家畜保險法第五條乃至第十條ノ
規定ハ組合ニ之ヲ準用ス
第二節設立
第五條組合ヲ設立セントスルトキハ命
令ノ定ムル所ニ依リ發起人ハ定款ヲ作
成シ組合員タルベキ資格ヲ有スル者ノ
同意ヲ得テ創立總會ヲ招集スベシ
定款ニハ左ノ事項ヲ記載スベシ
一目的
二名稱
三區域
四事務所ノ所在地
五保險ノ目的及保險料率
六準備金ノ積立及管理ノ方法
七剩餘金處分及不足金塡補ニ關スル
規定
八組合員ノ共濟其ノ他福利增進ニ關
スル施設ヲ爲ス組合ニ在リテハ之ニ
關スル規定
九組合員タル資格ニ關スル規定
十組合員ノ加入及脫退ニ關スル規定
十一事業施行ニ關スル規定
十二役員ニ關スル規定
十三組合ガ公〓ヲ爲ス方法
十四存立時期又ハ解散ノ事由ヲ定メ
タルトキハ其ノ時期又ハ事由
第六條創立總會ニ於テハ命令ノ定ムル
所ニ依リ定款其ノ他必要ナル事項ヲ議
定シ且理事及監事ヲ選任スベシ
第二十三條ノ規定ハ創立總會ニ於ケル
決議ニ之ヲ準用ス
第七條登記スベキ事項左ノ如シ
一第五條第二項第一號乃至第三號、
第十三號及第十四號ニ揭ゲタル事項
二事務所
三設立認可ノ年月日
四理事及監事ノ氏名、住所
前項ニ揭ゲタル事項中ニ變更ヲ生ジタ
ルトキハ其ノ登記ヲ爲スベシ
第八條家畜保險法第十三條乃至第十五
條ノ規定ハ組合ニ之ヲ準用ス
第九條民法第四十五條第三項及第四十
八條ノ規定ハ組合ニ之ヲ準用ス但シ一
週間トアルハ之ヲ二週間トス
第三節組合員ノ權利義務
第十條組合員ハ命令ノ定ムル場合ヲ除
クノ外其ノ所有スル漁船全部ヲ保險ニ
付スベシ
組合ハ組合員ニ對シ正當ノ事由ナクシ
テ保險ノ引受ヲ拒ムコトヲ得ズ
第十一條家畜保險法第十九條乃至第二
十二條ノ規定ハ組合ニ之ヲ準用ス
第四節保險關係
第十二條組合ハ本法又ハ定款ヲ以テ定
ムル場合ヲ除クノ外保險ノ目的ニ付沈
沒、行衛不明、破壞、坐礁、膠沙、衝
突、火災、爆發其ノ他ノ危險ニ因リテ
生ズルコトアルベキ損害ヲ塡補スルモ
ノトス
損害塡補ノ種類ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十三條組合ノ責任ハ定款ニ別段ノ定
アル場合ヲ除クノ外組合ガ保險料ヲ受
領シタル日ノ翌日ニ始マル
第十四條組合ハ何時ニテモ保險ノ目的
タル漁船及漁具ヲ檢査シ又ハ組合員ニ
危險ノ防止ニ付必要ナル處置ヲ爲サシ
ムルコトヲ得
第十五條組合員ハ危險ガ著シク變更又
ハ增加シタルコトヲ知リタルトキハ遲
滯ナク其ノ旨ヲ組合ニ通知スベシ
第十六條組合員ハ保險ノ目的タル漁船
ニ付損害其ノ他著シキ異狀ヲ生ジタル
コトヲ知リタルトキハ遲滯ナク修繕ヲ
爲スコトヲ要ス
第十七條左ノ場合ニ於テハ組合ハ損害
ノ全部又ハ一部ニ付塡補ノ責ヲ免ルル
コトヲ得
一組合員第十四條ノ規定ニ依ル組合
ノ檢査ヲ拒ミ又ハ組合ノ指示ニ從ハ
ザルトキ
二組合員第十五條ノ規定ニ依ル通知
ヲ怠リタルトキ
三組合員第十六條ノ規定ニ依ル修繕
ヲ怠リタルトキ
第十八條組合員ノ故意又ハ重大ナル過
失ニ因リテ生ジタル損害ハ組合之ヲ塡
補スル責ニ任ゼズ
第十九條保險金額ハ漁船ノ價額ノ百分
ノ八十ヲ超過スルコトヲ得ズ
保險金額ガ漁船ノ價額ノ百分ノ八十ヲ
超過シタルトハ其ノ超過シタル部分ニ
付テハ漁船保險ハ無效トス
第二十條組合員保險ノ目的タル漁船ニ
付海難救助料ヲ支拂ヒタルトキハ組合
ハ保險金額ノ保險價額ニ對スル割合ニ
依リテ之ヲ塡補スルモノトス
第二十一條組合員ハ損害ノ防止ニ力ム
ルコトヲ要ス但シ之ガ爲必要又ハ有益
ナリシ費用ハ定款ノ定ムル所ニ依リ組
合之ヲ負擔ス
第二十二條本法ニ依ル漁船保險ニハ商
法第三百八十七條、第三百八十八條、
第三百九十條乃至第三百九十二條、第
三百九十三條第二項、第三百九十四條、
第三百九十五條、第三百九十七條、第
三百九十九條乃至第四百條、第四百三
條第一項、第四百十二條、第四百十三
條、第四百十六條、第四百十七條、第
六百六十七條、第六百七十一條第一號
乃至第四號、第六百七十二條、第六百
七十四條第一項第二項及第六百七十五
條乃至第六百七十九條ノ規定ヲ準用ス
第五節管理
第二十三條理事及監事ノ選任及解任ハ
總組合員ノ半數以上出席シ其ノ議決權
ノ三分ノ二以上ヲ以テ之ヲ決ス但シ定
款ニ別段ノ定アルトキハ此ノ限ニ在ラ
ズ
第二十四條家畜保險法第三十四條、第
三十五條及第三十七條乃至第四十條ノ
規定ハ組合ニ之ヲ準用ス
第二十五條定款ノ變更ハ總會ノ決議ニ
依ルベシ
第二十三條ノ規定ハ前項ノ決議ニ之ヲ
準用ス
定款ノ變更ハ行政官廳ノ認可ヲ受クル
ニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第二十六條家畜保險法第四十二條、第
四十四條乃至第四十九條及第五十一條
ノ規定ハ組合ニ之ヲ準用ス
第二十七條民法第四十四條第一項、第
五十二條第二項、第五十三條乃至第五
十五條、第六十條及第六十一條第一項
ノ規定ハ組合ノ理事ニ之ヲ準用ス
民法第五十九條ノ規定ハ組合ノ監事ニ
之ヲ準用ス
第二十八條民法第六十二條、第六十四
條及第六十六條ノ規定ハ組合ノ總會ニ
之ヲ準用ス
第六節組合ノ計算
第二十九條組合ハ不足金ノ塡補ニ備フ
ル爲每事業年度ノ剩餘金中ヨリ命令ノ
定ムル所ニ依リ準備金ヲ積立ツベシ
第三十條組合員ノ共濟其ノ他福利增進
ニ關スル施設ヲ爲ス組合ニ在リテハ每事
業年度ノ剩餘金中ヨリ前條ノ準備金ヲ
控除シタル額ノ全部又ハ一部ヲ定款ノ
定ムル所ニ依リ基金トシテ積立ツルコ
トヲ得
第三十一條前條ノ基金及組合員ノ共濟
其ノ他福利增進ニ關スル施設ヲ爲ス爲
組合員ヨリ徵收シタル分賦金ハ命令ヲ
以テ定ムル場合ヲ除クノ外之ヲ不足金
ノ塡補其ノ他ノ費用ニ充ツルコトヲ得
ズ
第三十二條家畜保險法第五十三條、第
五十四條及第五十六條ノ規定ハ組合ニ
之ヲ準用ス
第七節加入及脫退
第三十三條除名ノ事由ハ定款ヲ以テ之
ヲ定ムベシ
除名ハ總會ノ決議ニ依ルベシ但シ除名
シタル組合員ニ其ノ旨ヲ通知スルニ非
ザレバ之ヲ以テ其ノ組合員ニ對抗スル
コトヲ得ズ
第二十三條ノ規定ハ前項ノ決議ニ之ヲ
準用ス
第三十四條家畜保險法第五十七條乃至
第五十九條及第六十一條ノ規定ハ組合
員ニ之ヲ準用ス
第八節解散
第三十五條組合ノ合併及分割ハ總會ノ
決議ニ依ルベシ
組合ノ分割ノ場合ニハ前項ノ決議ノ外
尙分割後存續スル組合及分割ニ因リテ
設立スル組合ノ組合員タルベキ者各別
ニ決議ヲ爲スベシ
第二十三條ノ規定ハ解散、合併及分割
ノ決議竝ニ前項ノ規定ニ依ル決議ニ之
ヲ準用ス
前三項ニ規定スルモノノ外合併及分割
ノ決議竝ニ第二項ノ規定ニ依ル決議ニ
關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定
ム
第三十六條組合ガ合併又ハ分割ノ決議
ヲ爲シタルトキハ其ノ決議ノ日ヨリ二
週間以內ニ財產目錄及貸借對照表ヲ作
成スベシ分割ヲ爲ス場合ニ於テハ尙分
割ニ因リテ設立スル組合ガ承繼スベキ
權利義務ノ限度ヲ記載シタル書面ヲ作
成スベシ
組合ハ前項ノ期間內ニ其ノ債權者ニ對
シ異議アラバ一定ノ期間內ニ之ヲ述ブ
ベキ旨ヲ公〓シ且知レタル債權者ニ各
別ニ之ヲ催告スベシ但シ其ノ期間ハ二
月ヲ下ルコトヲ得ズ
第三十七條債權者ガ前條第二項ノ期間
內ニ合併又ハ分割ニ對シテ異議ヲ述べ
ザリシトキハ之ヲ承認シタルモノト看
做ス
債權者ガ異議ヲ述ベタルトキハ組合ハ
合併又ハ分割前之ニ對シ辨濟ヲ爲シ又
ハ相當ノ擔保ヲ供スベシ
第三十八條第三十六條第二項又ハ前條
第二項ノ規定ニ違反シテ爲シタル組合
ノ合併又ハ分割ハ之ヲ無效トス
第三十九條合併後存續スル組合又ハ合
併ニ因リテ設立シタル組合ハ合併ニ因
リテ消滅シタル組合ノ權利義務ヲ承繼
ス
分割ニ因リテ設立シタル組合ハ第三十
六條第一項ノ規定ニ依リテ定メタル限
度ニ於テ從前ノ組合ノ權利義務ヲ承繼
ス
第四十條組合ガ解散シタルトキハ合併
又ハ分割ノ場合ヲ除クノ外保險關係ハ
終了ス
前項ノ場合ニ於テハ組合ハ未ダ經過セ
ザル期間ニ對スル保險料ヲ拂戾スベシ
第四十一條家畜保險法第六十二條、第
六十七條及第七十條乃至第七十二條ノ
規定ハ組合ニ之ヲ準用ス
第四十二條民法第七十條ノ規定ハ組合
ニ之ヲ準用ス
第九節〓算
第四十三條〓算人ハ左ノ順序ニ從ヒテ
組合財產ヲ處分スベシ
一一般ノ債務ノ辨濟
二解散ノ日ノ屬スル事業年度ニ於テ
支拂ノ原因ノ生ジタル保險金額及第
四十條第二項ノ規定ニ依リテ拂戾ス
ベキ金額ノ支拂
三殘餘財產ノ處分
前項第三號ノ殘餘財產ノ處分ニ付テハ
行政官廳ノ認可ヲ受クベシ
第四十四條家畜保險法第七十四條、第
七十五條及第七十七條乃至第七十九條
ノ規定ハ組合ニ之ヲ準用ス
第四十五條民法第七十三條、第七十四
條、第七十八條乃至第八十一條及第八
十三條ノ規定ハ組合ニ之ヲ準用ス
第十節登記手續
第四十六條各登記所ニ漁船保險組合登
記簿ヲ備フ
第四十七條設立ノ登記ハ理事及監事ノ
全員ノ申請ニ依リテ之ヲ爲スベシ
申請書ニハ定款竝ニ理事及監事ノ資格
ヲ證スル書面ヲ添附スベシ
合併又ハ分割ニ因ル設立ノ登記ニハ前
項ノ書面ノ外合併又ハ分割ニ關スル總
會ノ決議錄ヲ添附スベシ分割ニ因ル設
立ノ場合ニハ尙第三十五條第二項ノ決
議アリタルコトヲ證スル書面ヲ添附ス
ベシ
第四十八條合併又ハ分割ニ因ル解散ノ
登記ハ解散シタル時ノ理事及監事ノ全
員ノ申請ニ依リテ之ヲ爲スベシ
申請書ニハ總會ノ決議錄竝ニ第三十六
條及第三十七條ノ手續ヲ爲シタルコト
ヲ證スル書面ヲ添附スベシ
第四十九條家畜保險法第八十一條、第
八十四條及第八十六條ノ規定ハ組合ニ
之ヲ準用ス
第五十條非訟事件手續法第百一一十二
候、第百四十一條乃至第百五十一條ノ
六、第百五十四條乃至第百五十七條、
第百七十五條、第百七十六條、第百七
十八條及第百九十五條ノ二ノ規定ハ組
合ニ之ヲ準用ス
第十一節監督
第五十一條行政官廳ハ何時ニテモ理事
又ハ〓算人ヲシテ組合ノ事業、財產又
ハ〓算事務ニ關スル報〓ヲ爲サシメ、
組合ノ事業、財產又ハ〓算事務ノ狀況
ヲ檢査シ其ノ他監督上必要ナル命令又
ハ處分ヲ爲スコトヲ得
行政官廳ハ組合〓算ノ場合ニ於テ必要
ト認ムルトキハ組合ニ對シ其ノ財產ノ
供託ヲ命ズルコトヲ得
第五十二條組合ノ事業若ハ組合財產ノ
狀況ニ依リ其ノ事業ノ繼續ヲ困難ナリ
ト認ムルトキ又ハ組合ノ行爲若ハ決議
ガ法令若ハ定款ニ違反シ其ノ他公益ヲ
害スルノ虞アルトキハ行政官廳ハ決議
ヲ取消シ、理事、監事若ハ〓算人ヲ解
任シ、組合ノ事業ヲ停止シ又ハ組合ノ
解散ヲ命ズルコトヲ得
第二章漁船再保險
第五十三條本法ニ依ル漁船保險ノ再保
險事業ハ政府之ヲ管掌ス
第五十四條組合ガ漁船保險ノ引受ヲ爲
シタルトキハ之ニ因リテ政府ト組合ト
ノ間ニ再保險關係成立スルモノトス
第五十五條再保險金額及再保險料ニ關
スル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五十六條組合ハ漁船保險ノ引受ヲ爲
シタルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ政
府ニ對シテ其ノ旨ヲ通知スベシ
第五十七條左ノ場合ニ於テハ政府ハ命
令ノ定ムル所ニ依リ再保險金額ノ全部
又ハ一部ノ支拂ノ責ニ任ゼズ
一組合ガ法令又ハ定款ニ違反シテ損
害ノ塡補ヲ爲シタルトキ
二組合ガ損害額ヲ不當ニ認定シテ損
害ノ塡補ヲ爲シタルトキ
三組合ガ不正ノ目的ヲ以テ前條ノ規
定ニ依ル通知ヲ怠リタルトキ
第五十八條組合ガ再保險ニ關スル事項
ニ付政府ニ對シテ民事訴訟ヲ提起スル
ニハ漁船再保險審査會ノ審査ヲ經ルコ
トヲ要ス
第五十九條前條ノ審査ノ請求ハ時效ノ
中斷ニ關シテハ之ヲ裁判上ノ請求ト看
做ス
第六十條漁船再保險審査會ニ關スル事
項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第六十一條本法ニ依ル漁船再保險ニ關
スル書類ニハ印紙稅ヲ課セズ
第六十二條本法ニ依ル漁船再保險ニハ
商法第三百九十一條、第三百九十九條、
第四百十二條、第四百十六條及第四
百十七條ノ規定ヲ準用ス
第三章罰則
第六十三條左ノ場合ニ於テハ漁船保險
組合ノ發起人、理事、監事又ハ〓算人
ヲ五圓以上五百圓以下ノ過料ニ處ス
一本法ニ依リ行政官廳ノ認可ヲ受ク
ベキ場合ニ於テ其ノ認可ヲ受ケザル
トキ
二本法ニ依ル登記ヲ爲スコトヲ怠リ
タルトキ
三行政官廳又ハ總會若ハ總代會ニ對
シ不實ノ申立ヲ爲シ又ハ事實ヲ隱蔽
シタルトキ
四本法ニ依リ行政官廳ノ徵スル報〓
ヲ差出サズ又ハ其ノ檢査ヲ拒ミ其ノ
他行政官廳ノ命令若ハ處分ニ從ハザ
ルトキ
五本法ニ依ル總會又ハ總代會ノ招集
ヲ怠リタルトキ
六組合ノ目的ニ非ザル事業ヲ爲シタ
ルトキ
七本法ニ依リ事務所ニ備ヘ置クベキ
書類ヲ備ヘズ、其ノ書類ニ記載スベ
キ事項ヲ記載セズ若ハ不正ノ記載ヲ
爲シ又ハ正當ノ事由ナクシテ其ノ閲
覽ヲ拒ミタルトキ
八本法ニ違反シテ破產ノ宣告ヲ請求
セザルトキ
九第三十二條ノ規定ニ依リテ準用セ
ラルル家畜保險法第五十四條ノ規定
ニ違反シタルトキ又ハ第三十六條、
第三十七條第二項ノ規定ニ違反シタ
ルトキ
十本法ニ依ル公〓ヲ爲スコトヲ怠リ
又ハ不正ノ公〓ヲ爲シタルトキ
十一〓算ノ場合ニ於テ本法ニ違反シ
テ辨濟ヲ爲シ又ハ組合財產ノ處分ヲ
爲シタルトキ
十二法令又ハ定款ニ違反シテ剩餘金
ヲ處分シ又ハ追徵金ヲ取立テ若ハ保
險金額ヲ削減シタルトキ
第六十四條第三條第二項ノ規定ニ違反
シタル者ハ十圓以上二百圓以下ノ過料
三段、
第六十五條非訟事件手續法第二百六條
乃至第二百八條ノ規定ハ前二條ノ過料
ニ之ヲ準用ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔鵜澤宇八君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=120
-
121・鵜澤宇八
○鵜澤宇八君 只今議題ニナリマシタ漁船
保險法案ニ付テ簡單ニ其趣旨ヲ申述ベタイ
ト思ヒマス、我國ノ漁業ハ其歷史ハ極メテ
古イノデゴザイマス、往古ハ魚類ヲ以テ常
食ト致シタ時代モアッタノデアリマス、現ニ
今日ト雖モ樺太ニ於ケル土人ハ、魚類ノミ
ヲ以テ常食ト致シテ居リマスル者モ甚ダ尠
クナイノデゴザイマス、祖先カラ先天的ニ
其知識ヲ有フテ海洋ヲ征服シツヽアル所ノ、
四面ガ海デアル所ノ我ガ國民ハ、其漁獲シ
タ所ノ魚ニ依ッテ營養ヲ攝ッテ居ラレルノデ
アル、此〓糧問題ト云フモノハ、此米麥ト、
此漁業ニ依フテ解決致シテ居ルモノト申シ
テ宜シイト思フノデアリマス、斯ノ如キ所
ノ重要產業デゴザイマス、然ルニ此漁業ハ、
海上ニ於キマスル所ノ作業デゴザイマスカ
ラ、時ニ或ハ怒濤澎湃ノ爲ニ難破難船ニ逢
著スル場合モ甚ダ尠ナクナイノデゴザイマス、
波浪ノ爲ニ漁船ガ沈沒ヲ致ス場合モ甚ダ
尠クナイノデアリマス、サウ云フ譯デゴザ
イマスカラ、漁船保險法案ナルモノヲ設ケ
マシテ、政府ノ下ニ於テ、此漁船保險法ヲ制
定シテ、漁民ノ不安ヲ除去致シ、サウシテ此
漁民ノ生活安定ヲ圖リタイノデアル、又一ツ
ニハ、漁船ハ動產デゴザイマスガ、物體ト致
シマシテ擔保ニナラナイノデゴザイマス、
ソレデ漁業資金ヲ得ルニ甚ダ困難デゴザイ
やく、此漁船保險法案ガ一タビ成立致シマ
ス以上ニ於テハ、擔保トナッテ資金ヲ得ルコ
トガ容易デゴザイマス、斯ノ如ク致シマ
シテ、漁業ノ振興ヲ圖リ、サウシテ多數國
民ノ膳ノ上ニ供ヘル所ノ魚ヲ、極メテ安ク
供給サセマシテ、而シテ其餘分ハ之ヲ精製
加工致シマシテ海外ニ送リ出シ、澤山ノ金
ヲ取ルコトニ致シタイ、左樣致シマスレバ、
國際貸借ノ上ニ裨益スル所ガ甚ダ尠ナクナ
イト、斯樣ニ考ヘルノデゴザイマス、漁業
者ト致シマシテ、本案ハ極メテ重要且ツ必
要ナル案件デゴザイマスカラ、諸君ノ御贊
成ヲ切ニ御願致シタイノデゴザイマス(拍
手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=121
-
122・秋田清
○議長(秋田〓君) 質疑ノ通〓ガアリマス、
之ヲ許シマス、谷原公君
〔谷原公君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=122
-
123・谷原公
○谷原公君 私ハ只今上程セラレマシタル
漁船保險法ニ關聯ヲ致シマシテ、政府ニ御
尋ヲ致シタイノデアリマス、政府ノ御答辯
ハ速記錄ニ依リマシテ後デ御答ヲ受ケマ
シテモ結構デアリマス、私共ノ信ズル所ニ
依リマスルナラバ、漁業經營ノ上ニ於キマ
シテ、只今付議サレテ居リマスヤウナ漁船
保險ヲ實施致シマスルト共ニ、漁業勞働者
ノ災害ニ關シマスル所ノ、社會保險ヲ併セ
テ實施致サナケレバ相成ラヌト思フノデア
リマス、御承知ノ如ク漁船ナルモノハ、漁
業ノ企業者ノ所有財產デアリマシテ、之二
保險制度ヲ設ケマシテモ、アノ遭難事故ノ
頻々ト起リマス所ノ漁業勞働者ノ、或ハ死
亡シ、或ハ傷害ヲ被リマシタル場合ノ利益、
助ケトハ相成ラヌノデアリマス、隨ヲテ茲
ニ資本家ニ利益ヲ與ヘマスル所ノ漁船保險
ヲ作リマスル以上ハ、アノ無產者タル所ノ
漁業勞働者ノ災害ヲ扶助致シマスル所ノ社
會保險ヲ併セテ實施セナケレバナラヌト信
ズルノデアリマス、政府ハ之ニ對シマシテ
如何ナル御用意ガ出來テ居リマスルカ、漁
船保險ノ如キハ、旣ニ政友會ノ諸君カラ御
提案ニナリマシタモノハ、委員會ニ於キマ
シテ相當進捗致シテ居ルノデアリマス、隨フ
テ是等ノ實現ヲ見マスルコトハ、餘リ遠キ
ニアラザルコトヲ私共確信スルノデアリマ
ス、隨ッテ政府ニ於キマシテモ、此漁業
勞働者災害扶助ニ付キマシテハ、相當ナ御
用意ガナケレバナラヌト思フノデアリマス、
申ス迄モナク近時社會保險ノ思想ハ急激ニ
進步致シマシテ、國際勞働會議ニ於キマシテ
旣ニ決議ノ出來テ居リマスルコトハ申ス迄
モアリマセズ、世界ノ文明國ニ於キマシテ
ハ其採用ノ程度ニコソ差異ハアリマスケ
レドモ、殆ド總テ或程度ノ實施ヲ見テ居ル
ノデアリマス、我國ニ於キマシテモ、失業
保險ヲ除キマスル其他ノモノハ、或ル範圍
ニ於キマシテハ旣ニ實施濟デアリマス、現
在ノ產業形態カラ申シマスルト云フト、如
何ナル生產ニ取リマシテモ、大部分ハ勞働
者ノ協力ニ俟タナケレバ相成ラヌノデアリ
マく、然ルニ其勞働者ガ業務上災害ヲ受ケ
マシテ、或ハ死亡シ、或ハ不具癈疾トナリ
マシタ際ニ於キマシテ、ソレヲ其儘捨テヽ
置クト云フコトハ、相互扶助ノ觀念カラ考
ヘマシテモ、決シテ妥當ナ措置デナイト思
フノデアリマス、是レアリマスルガ故ニ、
昭和六年ノ四月一日カラ、アノ自由勞働者
ノ大部分ヲ包含致シマスル所ノ勞働者災害
扶助法竝ニ勞働者災害扶助責任保險法ト云
フモノガ實施セラレマシテ、自由勞働者ノ大
部分デスカラ、相當ナ扶助ヲ受ケルコトニ相
成ッテ居ルノデアリマス、斯樣ニ迄此社會保
險ガ進ンデ居リマスルニモ拘ラズ、ドウシ
テ漁業勞働者ノミ其恩典ニ浴スルコトガ出
來ナイノデアリマセウカ、私共ハ頗ル不可
解ニ存ズルノデアリマス
我國ニ於ケル所ノ漁業勞働者、卽チ賃銀
ヲ得テ漁業ノ爲ニ從事致シテ居リマスル勞
働者ノ數ハ六十二万人バカリデアリマス、
此六十二万人ノ中、一箇年ノ災害數ハドレ
位デアルカ、最近ノ統計ヲ見マスルト云フ
ト、昭和六年ニハ四千十四人、是ハ難船其
他ニ依リマシテ遭難致シテ居ルノデアリマ
ス、此四千十四人ナルモノハ、船ト運命ヲ
共ニスル團體的ノ遭難デアリマスルガ、此
外ニ機械ノ爲ニ指ヲ落シ、或ハ手足ヲ損傷
致シマシタ如キ者ハ、數ヘラレテ居ナイノ
デアリマス、而シテ此四千十四人ノ中デ、
死亡ト、死亡ヨリモ尙ホ悲慘ナル死體ガ揚
ラナイ爲ニ、行方不明トシテ處理サレテ居
リマスルモノヲ併セマスト云フト、千百七
十四人ノ多キニ達シテ居ルノデアリマス、
而シテ是等ニ對シマシテハ、何等ノ扶助ガ
行ハレテ居ナイノデアリマス、最近私共ノ
地方ニ於キマシテ、風波ノ爲ニ難船シテ五
人死亡致シマシタガ爲ニ、非常ニ世間カラ
同情ヲ得テ、義捐金等モ戴キマシタケレド
モ、一人當リ僅カニ四十九圓ニシカ當ラナ
カッタノデアリマス、所ガ之ヲ旣ニ國法ノ保
護恩典ヲ受ケテ居リマスル所ノ鑛山勞働者
等ニ比較致シマスルト如何デアリマセウ
カ、鑛業法ノ第八十條竝ニ鑛夫雇傭勞役扶
助規則、之ニ依リマシテ鑛山ノ勞働者ハ、
業務ノ爲ニ死亡致シマスルト云フト、少ク
トモ葬祭料ハ三十圓以上交付サレル、又賃
銀ノ三百六十日分以上ヲ支給サレルト云フ
コトニ相成ッテ居ルノデアリマス、而シテ鑛
山勞働者ノ此業務上ノ災害死亡數ハ幾ラア
ルカト申シマスト云フト、最近ノ統計ニ依
リマスト云フト、八百七十四人デアリマ
ス、卽チ漁業勞働者ノ遭難死亡數ヨリモ三
百人モ少イノデアリマス、此數字ヲ比較致
シマスルト、アノ漁業ト云フ事業ガ、鑛山
事業ヨリモ遙ニ危害危險性ノ多イト云フコ
トガ證明サレテ居ルノデアリマス、左樣ナ
次第デアリマスルカラ、私共ハヤハリ鑛山
勞働者同樣、漁業法ニ或ル一條項ヲ設ケマ
シテ、ヤハリ是等ニ對シマシテ、鑛山勞働
者同樣ナ扶助ヲ設ケマスルカ、或ハ既ニ勞
働者災害扶助法竝ニ勞働者災害扶助責任保
險法モアルノデアリマスルカラ、此災害扶
助法ノ第一條ノ、所謂危險ナル事業トシテ、
勅令ヲ以テ此漁業ヲ御認定ニ相成シテ、サウ
シテヤハリ自由勞働者ニ同樣ナ法ノ恩典、
或ハ國ノ力ニ依ル所ノ扶助ヲ爲サシメルト
云フコトガ、目下ノ必要ナ措置デハナカラ
ウカト思フノデアリマス是等ノ點ニ對シ
マシテ、政府ニ於テハ如何ニ御考ニ相成ヲ
テ居ラレルノデアリマスカ、マダ調査中デ
アルナラバ其調査ノ程度、又政府ニ於キマ
シテ全然左樣ナ意思ナシト言ハレルノデア
リマシタナラバ、其理由ノ御說明ヲ要望ス
ル次第デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=123
-
124・秋田清
○議長(秋田〓君) 有馬農林政務次官
〔政府委員伯爵有馬賴寧君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=124
-
125・有馬頼寧
○政府委員(伯爵有馬賴寧君) 谷原君ノ御
質問ニ對シマシテ、私ヨリ簡單ニ御答ヲ申
上ゲマス、日本ノ水產業ノ發達ヲ助成スル
コトハ、極メテ大切ナコトナノデアリマ
ス、併ナガラ從來此方面ニ對シマシテハ
他ノ方面カラ見マスト非常ニ總テガ遲レテ
居ルヤウナ傾ガアリマス、只今御質問ノア
リマシタ漁業ノ勞働者ノ保護救濟ト云フヤ
ウナコトニ付キマシテハ、遺憾ナガラ何等施
設スル所ガナイノデアリマス、今議會ニ政
友會竝ニ民政黨ヨリ提出サレマシタ漁船保
險ニ付キマシテモ、是ハ御承知ノ通リ既ニ
兩院ニ於テ請願ガ採擇ヲサレマシテ、又第
六十二議會ニ於キマシテ、之ニ關スル費用
モ協贊ヲ得タノデアリマスルノデ、農林省
ニ於キマシテハ銳意之ニ付キマシテ調査考
究中デアルノデアリマス、漁船保險ガ成立
ヲ致シマスレバ、只今モ御話ノアリマシタ
ヤウニ、水產金融ノ圓滑ガ圖ラレ、其他漁
業經營上非常ニ有利デアルト思フノデアリ
やく、是ハ單ニ漁船ヲ持フテ居リマスル者
バカリノ利益デナクシテ、延イテ漁業ニ從
事シテ居リマスル所謂勞働者達モ、其恩惠
ニ浴スルコトガ出來ルノデアラウカト思フ
ノデアリマス、現在漁業勞働者ニ對スル施
設ト致シマシテハ、漁業組合ノ一部ニ於キ
マシテ、所謂水難救恤ト云フヤウナコトヲ
ヤッテ居ルモノモゴザイマスルシ、又水產會
ニ於テモ、同樣ナコトヲヤッテ居ルノモゴザ
イマス、又露領水產組合ニ於キマシテモ、共
濟積立金ノヤウナモノガアリマスルシ、又
所謂蟹工船ノ組合ニ於キマシテモ、勞資協
調ノヤウナ意味ニ於テ、施設ノ行ハレテ居
ル點ガアルノデアリマス、遺憾ナガラ、極
ク少數ノサウシタ實例ガアルノミデアリマ
シテ、只今谷原君ノ御話ノアリマシタヤウ
ニ、特ニ漁業勞働者ノ爲ノ社會保險ト云フ
ヤウナコトニ付キマシテハ、今日何等設ケ
ラレテ居ル所ガナイノデアリマス、漁船保
險ガ成立ヲ致シマシタ後ニ、所謂組合ノ附
帶事業ト致シマシテ、サウシタヤウナコトモ
行ハレルヤウニナルノデハナイカト思フノ
デアリマス、政府ト致シマシテハ、只今ノ
御質問ノ要旨ニハ極メテ御同意致スノデア
リマスガ、現在ノ所デハ、只今申上ゲタヤ
ウナ狀態デアリマシテ、特ニ是ガ爲メ何等
ノ施設ハナイノデアリマス、併シ將來ハ漁
船保險ノ事ヲ考ヘマスト、同時ニ、サウシタ
方面ニ付キマシテ、十分考慮致シタイト考
ヘテ居リマス、是ダケ御答致シテ置キマ
ス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=125
-
126・上田孝吉
○上田孝吉君 本案ハ胎中楠右衞門君外一
名提出ノ農漁業災害保險法案外二件ノ委員
ニ併セ付託セラレンコトヲ望ミマス
〔「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=126
-
127・秋田清
○議長(秋田〓君) 上田君ノ動議ニハ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=127
-
128・秋田清
○議長(秋田清君) 御異議ナシト認メマス
仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第二十
二及ビ第二十三ハ關聯スル議案ナルニ依リ、
一括議題ト爲スニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=128
-
129・秋田清
○議長(秋田清君) 御異議ナシト認メマス、
仍テ日程第二十二衞生組合法案、日程第
二十三傳染病豫防法中改正法律案、右二案
ヲ一括シテ第一讀會ヲ開キマス、提出者ノ趣
旨辯明ヲ許シマス-提出者田中祐四郞君
第二十二衛生組合法案(田中祐四郞
君外五名提出)第一讀會
第二十三傳染病豫防法中改正法律案
(田中祐四郞君外五名提出)第一讀會
衞生組合法案
衞生組合法
第一條衞生組合ハ公衆衞生ノ改良發達
ヲ圖ルヲ以テ目的トス
第二條衞生組合ハ法人トス
第三條衞生組合ハ其ノ目的ヲ達スル爲
左ノ事業ヲ行フ
一衞生思想ノ普及ニ關スル事業
二傳染性疾患及寄生蟲病ノ豫防救治
ニ關スル事業
三〓潔保持ニ關スル事業
四其ノ他公衆衞生上必要ナル事業
衞生組合ハ行政官廳又ハ市長ノ指示ヲ
承ケ前項ノ事業ニシテ國、道府縣又ハ
市ニ屬スル事務ヲ補助スルコトヲ得
第四條衞生組合ノ區域ハ市內ニ於テ市
長之ヲ定ム
第五條衞生組合ハ其ノ區域內ノ世帶主
ヲ以テ其ノ組合員トス
衞生組合ハ組合規約ノ定ムル所ニ依リ
前項ニ揭グル者ノ外組合區域內ニ學
校、病院、工場、倉庫、營業所又ハ事
務所等ヲ設クル者ヲ組合員ト爲スコト
ヲ得但シ國、道府縣、市町村其ノ他之
ニ準ズベキモノハ此ノ限ニ在ラズ
第六條衞生組合ヲ設立セントスルトキ
ハ其ノ區域內ノ組合員タル資格ヲ有ス
ル者七人以上發起人ト爲リ組合規約ヲ
作成シ組合員タル資格ヲ有スル者二分
ノ一以上ノ同意ヲ得テ地方長官ノ認可
ヲ受クベシ
第七條地方長官必要アリト認ムルトキ
ハ市長ニ對シ區域ヲ指定シ衞生組合ノ
設立ヲ命ズルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ衞生組合ノ設立ヲ命
ゼラレタル市長ハ組合規約ヲ作成シ地
方長官ノ認可ヲ受クベシ
第八條衞生組合ハ組合規約ノ定ムル所
ニ依リ總會ヲ開キ組合ニ關スル事件ヲ
議決ス但シ命令ノ定ムル所ニ依リ代會
ヲ以テ總會ニ代フルコトヲ得
總會ニ關スル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定
ム
第九條衞生組合ニ組合長及副組合長一
人又ハ二人ヲ置ク
組合長及副組合長ハ組合員中ヨリ之ヲ
選擧ス
前項ノ選擧ニ關スル事項ハ命令ヲ以テ
之ヲ定ム
組合長及副組合長ノ外組合規約ノ定ム
ル所ニ依リ衞生組合ニ他ノ役員ヲ置ク
コトヲ得
第十條組合長ハ組合ヲ代表シ組合一切
ノ事務ヲ擔任ス
副組合長ハ組合長ヲ輔佐シ組合長事故
アルトキハ其ノ職務ヲ代理ス
副組合長二人アルトキハ豫メ組合長ノ
定メタル順序ニ依リ之ヲ代理ス
第十一條衞生組合ノ經費ハ組合規約ノ
定ムル所ニ依リ組合員之ヲ負擔ス
第十二條組合規約ヲ變更セントスルト
キハ市長ヲ經テ地方長官ノ認可ヲ受ク
ベシ
第十三條地方長官ハ衞生組合ニ對シ監
督上必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲
スコトヲ得
市長ハ衞生組合ニ對シ事務ノ報告ヲ爲
サシメ、書類帳簿ヲ徵シ、實地ニ就キ
事務ヲ視察シ若ハ出納ヲ檢査シ又ハ事
業ニ關シ必要ナル事項ヲ指示スルコト
ヲ得
第十四條地方長官ハ總會ノ議決若ハ選
擧又ハ役員ノ行爲ガ法令若ハ組合規約
ニ違反シ又ハ公益ヲ害スト認ムルトキ
ハ議決若ハ選擧ヲ取消シ、役員ヲ解任
シ、組合ノ事業ヲ停止シ又ハ組合ノ解
散ヲ命ズルコトヲ得
第十五條衞生組合ノ解散、分合及區域
變更ニ關スル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定
ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
傳染病豫防法ニ依リ設立シタル市内ノ衞
生組合ニシテ本法施行ノ際地方長官ノ指
定シタルモノハ本法ニ依リ設立シタルモ
ノト看做ス
前項地方長官ノ指定シタル衞生組合ハ遲
滯ナク組合規約ヲ定メ地方長官ノ認可ヲ
受クベシ
傳染病豫防法中改正法律案
傳染病豫防法中左ノ通改正ス
第二十三條地方長官ハ傳染病ノ豫防救
治ノ爲町村内ニ衞生組合ヲ設ケシムル
コトヲ得
地方長官ハ衞生組合法ニ依ル衞生組合
及前項ノ衞生組合ニ對シ〓潔方法、消
毒方法其ノ他傳染病ノ豫防救治ニ關シ
必要ナル事項ヲ指示シテ之ヲ履行セシ
ムルコトヲ得
市町村ハ衞生組合法ニ依ル衞生組合及
第一項ノ衞生組合ニ於テ傳染病ノ豫防
救治ノ爲支出スル費用ノ全部又ハ一部
ヲ補助スルコトヲ得
第二十四條中「第二十三條第二項」ヲ「第
二十三條第三項」ニ改ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔田中祐四郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=129
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130・田中祐四郎
○田中祐四郞君 此兩案ト同種ノ案ニ付
テ、先日ノ本會ニ於テ國民同盟ノ中田君、
政友會ノ鷲野君ヨリ詳細提案ノ趣旨辯明ヲ
致サレマシテ、私共ノ此提案モ兩君ノ案ト
其內容ヲ同ジウシテ居リマスカラ、玆ニ蛇
足ヲ添ヘルノ必要ハナイト認メマシテ、趣
旨辯明ヲ略シテ置キタイト存ジマス、唯と
玆ニ一言致シタイノハ、政府案ガ去ル五十
九議會ニ於テ貴族院デ審査未了ニ終ヲタ事
デアリマス、是ハ如何ナル風ノ吹キ廻シデ
アリマシタカ、全ク握リ潰シノ狀態ニ出
會ッタノデアリマスガ、若シ其事ナカリセ
バ、此衞生組合法等ハ旣ニ業ニ我國ノ法制
トナッテ實現サレテ居ルト思ヒマスルニ拘
リマセズ、斯ノ如キ狀態デアリマスコトハ
洵ニ遺憾デアリマス、此度ノ法案ニ付キマ
シテハ、政府ハ何故カ怯エテ提案ヲ致サナ
イ寧ロ議員案ノ出マスコトヲ非常ニ歡迎
シテ居ルノ觀ガアルノデアリマス、恐ラク
政府ハ之ニ贊意ヲ表シマセウシ、又貴族院
デ先年論議ノアリマシタ點等ハ、此度ノ法
案ニ於テ大ニ綏和シテ居ル積リデアリマ
ス、貴族院モ恐ラクハ甚シキ異論ノナイコ
トデアラウト思ヒマス、ドウカ一日モ早ク
此案ヲ御審議、御決議ニナリマシテ、貴族
院ニ廻シ、サウシテ此案ガ本期議會ノ成案
トシテ成果ヲ得マスルヤウニ、切ニ諸君ノ
御同情ヲ希望シテ已マナイ次第デアリマ
ス、之ヲ以テ終リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=130
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131・上田孝吉
○上田孝吉君 日程第二十二、及ビ第二十
三ノ兩案ヲ一括シテ、安達謙藏君外一名提
出町村役場費臨時國庫補助法案外八件ノ委
員ニ、併セ付託セラレンコトヲ望ミマス
(「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=131
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132・秋田清
○議長(秋田〓君) 上田君ノ動議ニハ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=132
-
133・秋田清
○議長(秋田清君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=133
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134・上田孝吉
○上田孝吉君 殘餘ノ日程ヲ延期シ、本日
ハ是ニテ散會セラレンコトヲ望ミマス
〔「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=134
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135・秋田清
○議長(秋田清君) 上田君ノ動議ニハ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=135
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136・秋田清
○議長(秋田濟君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ハ可決セラレマシタ、次會ノ
日程ハ公報ヲ以テ御通知致シマス、本日ハ
是ニテ散會致シマス
午後三時二十九分散會
衆議院議事速記錄第十六號中
頁段行
二七八一三史蹟名勝天然記念物保存法
中改正法律案提出者中ニ丹
下茂十郞君ヲ加フ
衆議院議事速記錄第十七號中正誤
頁段行誤正
(上田孝吉君外(上田孝吉君
三一一二六十四名提出)外十〓名提
出)第一讀會
三一七四二五單一性單一制発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006413242X01819330225&spkNum=136
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