1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十年三月十一日(月曜日)午前十時二十一分開議
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議事日程 第十五號
昭和十年三月十一日
午前十時開議
第一 昭和九年度歳入歳出總豫算追加案(第一號) 會議(委員長報告)
第二 昭和九年度各特別會計歳入歳出豫算追加案(特第一號) 會議(委員長報告)
第三 酒造組合法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第四 國際文化事業に關する經費支辨に關する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第五 大正九年法律第五十六號中改正法律案(衆議院提出) 第一讀會
第六 登録税法中改正法律案(衆議院提出) 第一讀會
第七 刑事判決宣告猶豫に關する法律案(衆議院提出) 第一讀會
第八 小作調停法中改正法律案(衆議院提出) 第一讀會
第九 衞生組合法案(衆議院提出) 第一讀會
第十 傳染病豫防法中改正法律案(衆議院提出) 第一讀會
第十一 産師法案(衆議院提出) 第一讀會
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=0
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001・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 是ヨリ報〓ヲ致
サセマス
〔角倉書記官朗讀〕
去ル八日本院ニ於テ可決シタル左ノ政府提
出案ハ卽日裁可ヲ奏請シ又可決ノ旨ヲ衆議
院ニ通知セリ
昭和十年度歲入歲出總豫算案竝昭和十年
度各特別會計歲入歲出豫算案
豫算外國庫ノ負擔トナルベキ契約ヲ爲ス
ヲ要スル件
一昨九日委員長ヨリ左ノ報〓書ヲ提出セリ
昭和九年度歲入歲出總豫算追加案(分)
號)、昭和九年度各特別會計歲入歲出豫算
追加案(特第一號)可決報告書
請願委員會特別報告第五號
同日內閣總理大臣ヨリ左ノ通政府委員仰付
ケラレタル旨ノ通牒ヲ受領セリ
第六十七囘帝國議會內務省所管事務政府
香青
內務事務官相川勝六君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=1
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002・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 是ヨリ會議ヲ開
キマス、侯爵朴泳孝君病氣ニ付キ會期中、
請暇ノ申出ガゴザイマシタ、許可ヲスルコ
トニ御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=2
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003・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=3
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004・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 日程第一、昭和
九年度歲入歲出總豫算追加案、第一號、日
程第二、昭和九年度各特別會計歲入歲出豫
算追加案、特第一號、會議、委員長報告
一昭和九年度歲入歲出總豫算追加案第
〔 〕
一昭和九年度各特別會計歲入歲出豫算追
加案(特第一號)
右衆議院ヨリ受領シタル各案ヲ審査シ總
テ衆議院議決案ノ通可決スヘキモノナリ
ト議決セリ依テ及報〓候也
昭和十年三月九日
委員長伯爵柳澤保惠
貴族院議長公爵近衞文麿殿発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=4
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005・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 是等ノ兩案ヲ、
一括シテ議題トナスコトニ御異議ハゴザイ
マセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=5
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006・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス、柳澤委員長ノ登壇ヲ望ミマス
〔伯爵柳澤保惠君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=6
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007・柳澤保惠
○伯爵柳澤保惠君 御報〓ヲ致シマス、此
追加豫算ハ、大藏大臣ガ本議場ニ於テ御說
明ガゴザイマセヌノデ、簡單ニ說明ヲ致シ
テ置キマス、昭和九年度歲入歲出總豫算追
加トシテ計上セラレマシタル金額ハ、歲入
歲出トモ一千二十四萬五千六百二十五圓デ
ゴザイマス、財源ノ公債ニ依ルモノハ一ツ
モゴザイマセヌ、其事項金額ヲ申シマスト、
歲入經常部ノ刑務所收入ノ增加百二十八萬
五千二百圓、歲入臨時部デ前年度剩餘金繰
入ノ增加八百九十六萬四百二十五圓、歲出
經常部デハ外務、內務、大藏、陸軍、海軍、
司法、遞信ノ七省ニ亙ッテ居リマス、他ノ省
ニハゴザイマセヌ、其內百萬圓以上ノモノ
ダケヲ申上ゲマスレバ、內務省所管、警察
費連帶支辨金ノ增加百萬圓、大藏省所管、
貨幣交換差減ノ增加百一一十五萬六千百三
圓司法省所管、刑務所收容費ノ增加百二
十八萬五千四百五十五圓、遞信省所管、恩
給ノ增加百四十一萬千九百九十四圓、歲出
臨時部デハ外務、內務、大藏、陸軍、海軍、
農林、遞信ノ七省ニ亙ッテ居リマス、他ノ省
ニハゴザイマセヌ、其中經常部同樣百萬圓
以上ノモノヲ申上ゲマスト、タッタ一ツゴザ
イマス、遞信省所管デ、通信事業所屬經費繰
越財源繰入ニ要スル經費ガ二百三十萬七千
六十七圓デゴザイマス、要スルニ何レモ義
務費ノ補充費途ニ屬スルモノガ大部分デゴ
ザイマス、次ニ昭和九年度各特別會計歲入
歲出豫算追加ヲ申上ゲマス、是モ百萬圓以
上ノモノヲ申上ゲマスト、內務省所管、健
康保險ニ關シマシテ、歲入ハ健康保險收入
二百九十一萬四千七百五十五圓、歲出ハ健
康保險事業費二百七十六萬八千二百三十五
圓拓務省所管、朝鮮總督府デハ歲入經常
部デ官業及官有財產收入ト致シマシテ一千
五百三十萬五千六百七十六圓、歲出經常部
デ、專賣局デハ二百十五萬三千四百二十六
圓鐵道作業費デ八百七十九萬六千五百三
十五圓、臺灣總督府デハ、歲入ノ經常部ニ官
業及官有財產收入トシテ一一百九萬四千七百
八十一圓、歲出經常部ト致シマシテ、交
通局ニ百二十三萬八千五十七圓、何レモ各
種ノ官業ノ增進ニ關スル經費ガ大部分デゴ
ザイマス、此外ニ申上ゲタイコトハ、般
特別兩豫算ヲ通ジマシテ臨時部ニ、滿洲國
皇帝陛下御來朝ニ關スル經費ガ出テ居ルコ
トデゴザイマス、是ハ尙ホ十年度ノ豫算ニ
モ出ル筈ニナッテ居リマス、次ニ質問ニ移リ
マス、質問ハ五ツ六ツ出マシタガ、豫算ニ
關スル質問ノミデハアリマセヌ、經常歲出
デ、退營賜金及死亡賜金ノ增加十五萬餘圓
ガ出テ居ルノデゴザイマス、之ニ付テノ質
問デゴザイマス、豫算ニハ普通三箇年平均
デ出シテアルガ、滿洲事件ノ爲ニ給與ガ變ツ
タ結果、斯ク不足ヲ生ジタノデアルト申サ
レマシタ、又海軍下士官家族扶助金ノ增加
ガ十二萬餘圓ゴザイマス、是ハ豫想以上其
數ノ增シタ爲メデアルト申サレマシタ、臨
時部デハ七萬八千餘圓ノ陸海軍航空勤務遭
難者保護賜金ノ增加デアリマス、卽チ追加
ニ二割ノ增加ヲ見タノデアリマス、斯ク遭
難者ノ多クナッタノハ誠ニ遺憾デアル
ガ、將來何卒ドウカシタイモノダ、又
何カノ方法ニ依ッテ之ヲ少クセシムル
方法ハ出來ナイカト云フ御質問デゴザイマ
シタ、之ニ對シテ當局者ノ御答ハ、我國ノ飛
行機ノ成績ハ歐米ニ比べテ敢テ劣ッテ居ル
トハ思ハナイ、併シ昭和七年、八年、九年ト
進ムニ從ヒマシテ遭難者ガ增シテ來テ居ル、
是ハ猛烈ナル演習、人物ノ急速養成、〓育
機關ノ縮小、新式機械ノ取扱等ガ原因ト認
メラレテ居ルノデアル、此防止ニ關シテ
ハ、是等ノ場合ニ付テ十分〓究シテ見テ、
原因ヲ除去スルニ努メテ居ルト云フコトデ
ゴザイマシタ、尙ホ之ニ關聯イタシマシ
テ、陸海軍ニ關シマシテ、實驗心理學ノ〓
究航空者ノ心理狀態、其組織、應用ノ方
法等ニ付テ質問ガゴザイマシタ、之ニ對シ
マシテハ陸海軍トモ、前モ今日モ同樣、相
當〓究シテ居ルト云フ御返事デゴザイマシ
タ、滿洲國皇帝陛下ノ御入來ニ付キマシテ
ノ御質問デゴザイマスガ、是ハ九年度追加豫
算デハ各省ニ跨ッテ一般ト特別會計兩方ニ出
テ居リマス、是ハ軍艦ガ御出迎申上ゲル經
費、稅關ニ於キマス補修費、警備、衞生等
ニ關スル費用デゴザイマス、尙ホ十年度ノ
見積額ハ追加豫算ヲ出ス時ニ申上ゲルト云
フコトデゴザイマシタ、次ハ國立工藝指導
所ノ設立ニ關スル質問デゴザイマス、現今
海外ヘ雄飛シテ居ル種々ノ我國ノ製品ハ、
中小工業者ノ手ニ依ッテ製造サレテ居ル
ノガ非常ニ多イ、是等ノ進出ヲ一層盛ニス
ル爲ニハ工藝品ノ指導ガ必要ト思フ、其爲
ニハ大阪ニ國立工藝指導所ヲ設ケテ、指導
サレタイト云フ御質問ニ對シマシテハ、之
ニ關シテハ同感デアル、生產奬勵ノ爲メ商
工省ハ、十年度豫算中ニモ計上シテ居リ、
又工藝品ノ輸出ノ奬勵ヲ致ス爲ニハ役人ヲ
海外ニ派遣シテ居リ、又陳列所ノ設備等色
色ナ事ヲシテ居ル、大阪ニ工藝指導所ヲ設
ケルコトニ付テハ御趣旨ニ副フヤウニ考慮
シテ見タイト云フ御答辯デゴザイマシタ、
次ハ木材政策ニ關スル質問デゴザイマス、
內地ニハ木材ガ少ク、北海道ヤ或ハ樺太ニ
ハ木材ガ相當ニアッテモ常ニ國內ノ需要ヲ
滿タスニ足ラナイ、外國カラ入ッテ來ルガ、何
トカ考ハナイカト云フ御質問デアリマス、
當局ハ之ニ答ヘマシテ、樺太ニハ森林ガア
ルケレドモ、其大部分ハ「パルプ」ノ用ニ使ツ
テ居ル、又內地ニサウ澤山移出ノ出來ルヤ
ウナ狀態ニナッテ居ラナイ、北樺太······露領
ノ方ニハ大森林ガアルガ、是ハ兩國ノ協調
ニ依ラネバナラヌノデアル、惟フニ南洋方
面「ボルネオ」方面ノ材木ノコトハ、相當
是ガ進ンデ居ルヤウデアルカラシテ、ドウゾ
之ニ付テ考ヘテ見テ貰ヒタイト云フ御返事
デゴザイマシタ、モウ一ツノ質問ハ、大阪市
ノ海面ニ沿フテ居リマスル大工業區域ニハ
大工場ガ多イノデアルカラ、此中心部ノ沿
岸ヲ安全ニシテ貰ヒタイ、所ガ其處ニ危險
ナモノガアル、現在其附近ニ火藥庫ガ三ツ
モアル、附近ヲ通行スル者ガ何トナクソレ
ニ付テ危險ヲ感ズルノデアルカラ、斯樣ナ
危險ノ虞ノアルモノハドウカシテ貰ヒタイ
モノダ、例ヘバ播州ノ家島ノ如キ、火藥庫
ノアル所ニ移シテハ如何デアラウカ、之ニ
對シマシテ北島ノ火藥庫ハ、鑛山業者ノ爲
ノ火藥ヲ預ッテ居ルノデ、此火藥庫移轉ニ付
テハ是迄モ考ヘテ居ルシ、又將來モ考ヘテ
見タイト云フ御返事デゴザイマシタ、以上
申述ベマシタ外ニ、米穀自治管理法案、國際
文化事業ヘノ經費補助ニ關シマシテ御質問
ガ出マシタ、此米穀自治管理法案ニ付キマ
シテハ、法文ノ箇條ニ付テ二三箇所質問ガ
アリマシタ後ニ、此法案ハ大層御苦心デ出
來タヤウニ思フガ、要スルニ外地米ノ奬勵
法案ト同樣ナモノデアルト云フ意見ヲ述べ
ラレマシテ、當局ガ又之ニ對シマシテ、是
ハ數箇月間練リニ練ッタ案デアッテ、十分ニ
是ハ考究シタノデアル、大體此法案ノ眼目
トスル所ハ、內地米ト外地米トヲ一貫シタ
ル統制方策ヲ立テルモノデアルト申サレマ
シテ、詳細ハ同法案ガ衆議院カラ本院ニ
參ッタ時ニ申上ゲルト云フコトデゴザイマ
シタ、次ニ國際文化事業ヘノ補助ハ、成ル
ベク早ク本筋ニ出テ貰ヒタイト云フ御希望
ガゴザイマシテ、是デ質問ヲ終リマシテ討
論ニ移リマシタ所ガ、何等ノ御發言モ無ク
可決ニ相成リマシタ、何卒御贊成ヲ願ッテ
置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=7
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008・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 次ニ通〓ガゴザ
イマス、阪谷男爵
〔男爵阪谷芳郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=8
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009・阪谷芳郎
○男爵阪谷芳郞君 本員ハ去ヌル八日、總
豫算ノ討議ノ際質問イタシテ置キマシタ
ガ、時間切迫ノ爲ニ大藏大臣カラノ御答辯
ヲマダ得テ居リマセヌ、ソレニ本員ノ質問
ハ極メテ事柄ガ重大デアリマスカラ、重ネ
テ玆ニ質問イタシマス、第一ノ質問ハ、此
内閣デ御發表ニナリマシタ國民ノ所得百六
億、之ニ對スル國家ノ負擔ガ重イカ輕イカ、
其輕重ニ付テノ大藏大臣ノ御所見ヲ伺ヒタ
イノデアリマス、御承知ノ通リニ內閣デ發
表ニナリマシタ此國民所得ノ調ベハ、內閣
ノ御命ニ依リマシテ中央統計委員會デ審議
イタシマシタ、中央統計委員會ハ貴衆兩院
ノ議員、又各省ノ有力ナル委員カラ成立ッテ
居リマス、其當時內閣ノ御内命ノ趣旨ハ、
將來國民ノ負擔ガ增加スル虞ガアル、然ル
此國民ノ所得ガドノ位アルカト云フ標準
ガナクテハ甚ダ其料理ニ困ル譯デアル、故
ニ統計局ニ於テ至急ニ調ベテ吳レルヤウニ
ト云フコトデアリマシタ、ソレガ卽チ昭和
五年ヲ基礎トシテ調ベタノデゴザイマス
ガ、百六億ト云フ結果ヲ得マシタノデ、卽
チ此百六億ノ國民ノ所得ニ對シテ國家ガド
ノ位使フカ、府縣市町村ガドノ位使フカト
云フコトヲ計量シテ行カナケレバナラヌ、
今日ノ負擔ガ、チヨット十年度ノ豫算デハ五
十億······國庫、地方ヲ合セルト五十億カラ
ニナリマスカラ、國民ノ負擔ガ甚シク重イ
コトハアルマイカト云フヤウナコトヲ憂ヒ
マス、是等ニ付テモ大藏大臣ノ御所見ヲ伺
ヒタイ、要スルニ今後國防費ヲ出スナリ、
或ハ農民ノ負擔ノ輕減ヲ圖ルナリ、色ニノ
問題ニ付テモ、凡ソ據ルベキ標準ガナケレ
バナラヌト云フコトハ、誠ニ御尤ナコトデ
アリマスノデ、其事ニ付テ政府ノ意見ト貴
衆兩院ノ意見ヲ能ク一致サセテ置キタイト
斯ウ考ヘマス、ソレカラ第二ハ米穀統制法
ト云フモノノ結末ガ付カヌニ付テ伺ヒマシ
タノデアリマスガ、ソレハ現在二億七千萬
圓不足ガアルト云フコトデアル、此不足ハ
結局大藏省デ以テ公債證書ヲ御出シニナル
ヨリ外ニハ整理ノ仕方ガアルマイト思フ、
甚ダ國民ノ負擔ニ對シテ迷惑ナ事デアリマ
スケレドモ、是ハマア巳ムヲ得ナイガ、今
後矢張リ年々數千萬ノ不足ガ生ズルヤウデ
アッテハソレヲドウナサルカ、是ハ國防費以
外ニ又途方モナイ負擔ガ出ル譯デアッテ、前
申シマシタ國民ノ負擔ハソレダケ又〓〓ス
ル譯ニナリマスノデ、大藏大臣ハ如何ナル
方法デ以テ、今後年々生ズベキ數千萬ノ米
穀ノ管理法カラ生ズル······米穀統制法ト申
シマスカ······カラ生ズル不足ヲ補塡シテオ
イデニナル御見込デアルカト云フ、大體ノ
無論御見込デ宜シウゴザイマスガ、ソレヲ
承知イタシテ置キタイ、ソレガ爲ニハ到底
增稅ヲシナケレバナラヌトカ、色ミナ御計畫
ガ必要ヂヤナイカト思フ、ソレカラ第三ニ
ハ、詰リ財政法案ノ伴ハヌ豫算ト云フモノ
ヲ貴族院ニ議決サセタト云フコトガ、私ハ甚
ダ宜シクナイ前例デアルト、斯ウ考ヘテ首相
ニ注意イタシマシタ所ガ、首相ハ確信ガア
ル、首相ノ言葉ニ確信ガアルト言ハレル以
上ハ、我〓ハ此財政法案ガ無事ニ通過スル
モノト信ズル外ハナイノデアリマスガ、ド
ウモ私ノ聞ク所ニ依ルト、衆議院ニ於テハ
利得稅法案ヲ其儘通シサウモナイ、廢棄ハ
セヌデモ修正ヲ加ヘヤシナイカ、其結果三
百萬カ五百萬位ノ不足ガ出ヤシナイカ、サ
ウスルト貴族院ニ廻ッテ來テ、貴族院ガ衆議
院ニ同意シテモ不足ガ出ル、同意シナケレ
バ是ハ協議會ニナリマスガ、協議會ニナッタ
場合ニハ、或ハ利得稅法案ガ死ンデシマフ
ト云フコトガアリハシナイカ、協議ガ纏マ
ラヌ時ハ死ンデシマフト云フ危險ガ
アル、マア半々讓合ッテ纏マッタニシテ
モ、尠カラズ其處ニ矢張リ、衆議院ガ
ドレダケ讓リマスカ、五百萬ノ修正ニ對
シテ二百五十萬ヅツ讓ッテ吳レテモ、二百
五十萬ノ不足ガ出ル、サウスルト貴族院ノ
議決シタ豫算ト云フモノハ空手形ニナッテ
シマフ、其空手形ト云フモノノ數字ハ、矢
張リチヤント當リ前ノ數字ヲ政府ハ載セテ
オイデニナルカラ、豫算ノ布告ヲナサル時
ニ、國民ニ向ッテ是ダケガ空手形デアルト云
フコトヲ言葉デモ添ヘテ布告シナイト云フ
ト大變ナ誤リヲ生ズル、是ハ皆サン御承知
デモアリマセウケレドモ、議會ノ初マリニ
於キマシテハ、法律ニ伴ハヌ豫算ハ貴族院
ハ通サナカッタ、法律ガ成立ッテカラ、或
成立ツベキ、ソレコソ本當ノ確信ガアッテナ
ラソレハ無論通シマスガ、サウ一錢一厘ド
ウ斯ウト云フ譯デハアリマセヌケレドモ、
凡ソ見込ガ立タナケレバ貴族院ハ通サナ
カッタノデアリマス、又大藏省ノ豫算ノ編成
モ、此重大ナル財政法案ニ伴フモノハ追加
ニナッテ居リマシタカラ、本豫算ガ通過シテ
モ財源不足ノ儘デ通過シテ居ルカラ、後ノ
追加デソレヲ補フコトガ出來ルヤウニナツ
テ居ッタ、所ガ其後是ガ所謂政黨內閣ノ結果
ト申シマスカ、政黨內閣ガ出來テカラ財政
法案ハ必ズ通過スルヤウニナッタ、始終衆議
院ガ豫算ト財政法案ハ必ズ、大方衆議院ノ
前以テ了解デモ得テアルモノト見エテ始終
通過シマスカラ、私ノ申ス問題ガ起ラナク
ナッタノデアリマス、起ラナクナッタモノダ
カラ近年ノ大藏省ノ豫算ノ編成ハ、法律案
ノ通過ヲ待タナケレバナラヌモノ迄モ、卽チ
未ダ空手形ニナッテ居ルモノ迄モ、豫算ニ編
入ニナッテソレデ貴族院ハ通ッテシマフ、其
後ノ財政法案ガ通ラナイト空手形ニナッテ
シマフ、斯ウ云フ結果ニナル、今年ノハ甚
ダ面白カラヌ始末ニナリハセヌカト思フノ
デアリマスガ、マダ政府トシテハ利得稅法
ガ無事ニ通過スルト云フコトヲ我ミニ保
證、保證ト言ッテハ言葉ガ惡イカモ知レマセ
ヌガ、ソレコソ確信シテオイデニナルト云
フノデアルカ、ドウモ私ハ甚ダ心配イタシマ
ス、デ惡例ヲ作ラヌヤウニ、我國ノ憲法ニ
一々詳シイコトハ書イテナイノデスカラ、
後ハ慣例ニ據ラナケレバナラヌカラ、惡イ
慣例ヲ作ラヌヤウニ致シタイト思フ、ドウ
云フ風ニシテ、其喰違ノ起ッタ場合ニ、政府
ガ善後ノ處置ヲ御執リニナルカト云フコト
ニ付テノ、藏相ノ所見ヲ伺ッテ置キタイ
〔國務大臣高橋是〓君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=9
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010・高橋是清
○國務大臣(高橋是〓君) 只今阪谷男爵ヨ
リ、色〓御心配ノ點ガアリマシテ御質疑ニ
ナリマシタ、御答ヲ致シマス、第一ハ國民
ノ負擔ノ輕重ニ付テノ御心配デアリマス、
成程現在ハ豫算ノ額ハ大層大キクアリマ
ス、併シ現在デハ公債ヲ以テ之ヲ賄ッテ居リ
マスカラシテ、其大キナルモノガ直ニ國民
ノ負擔ト今日ナッテ居ルト云フ譯デハナイ
ノデアリマス、又全部ヲ國民ノ負擔デ賄ッテ
行キマスレバ、誠ニ過重デアルト言ヒ得ル
ノデアリマスルケレドモ、是ハ國家ノ現狀
トシテ已ムヲ得ザルコトモアリマスシ、又
國民ノ負擔ガ五十億ト言ハレマスルガ、是
ガ必シモ全部ノ國民ノ負擔トナル譯デナ
ク、例ヘバ五十億ト云フ中ニハ、鐵道ノ如
キモノモ必ズアルノデアリマシテ、其特別
會計ニ於テ、ソレ自身カラ生ズル所ノ收益
ヲ以テ賄ッテ居ルモノモアルノデアリマス、
故ニ今日ノ此五十億圓ト云フ歲出ガ、全部
國民ノ負擔ナリトシテ之ヲ標準トスル譯ニ
ハ行カナカラウト思ヒマス、第二ハ、米穀
法ニ付テノ將來ニ段々政府ノ負擔ガ增スト
云フコトニ付テノ御心配ハ、誠ニ御尤ノ次
第デアリマス、是モ結局公債ヲ以テ補塡ス
ル外ハナイノデアリマスル故ニ、出來ルダ
ケ將來ニ於テ此國家ノ負擔ノ多クナラヌヤ
ウニ努力イタス考デ居リマス、第三ノ御尋
ハ、此臨時利得稅ニ關スル御尋デアリマシ
テ、今是ガ衆議院ニ於テマダ懸案ニナッテ
居ルノデアリマシテ、是ガ減ズルト云フヤ
ウナコトニナッタラドウスルノカ、又是ガ否
決ニナッタラドウスルノカ、政府ハ豫算ニ於
テ·······總豫算ニ於テ空手形ヲ出シテ居ルト
云フコトニナリハセヌカト云フ御懸念デア
リマス、一應御心配トシテハ御尤ノ次第デ
アリマスルガ、未ダ下院ノ······衆議院ニ於
テノ修正ガドウ云フ程度デアリマスルノ
カ、政府ニ於テハマダ之ヲハッキリト確メナ
イデ分リマセヌノデス、又或ハ今後兩院ノ
協議會トナルコトニナラヌトモ限ラヌ、併
シ其場合ニ於テ必ズ是ガ不足ヲ生ズルト云
フコトニ終ルダラウト云フコトモ、今日ハ
豫想シテ居ラヌノデアリマス、必ズ是ハ滿
足ノ程度ニ於テ解決セラレルモノト信ジテ
居ル次第デアリマス、以上御答イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=10
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011・阪谷芳郎
○男爵阪谷芳郞君 本席カラ許シテ戴キタ
イ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=11
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012・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 宜シウゴザイマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=12
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013・阪谷芳郎
○男爵阪谷芳郞君 大藏大臣ノ御答辯ハ平
生ノナカ〓〓堂々タル御答辯ニ似合ハズ、
今日ハ甚ダ御苦シイヤウニ伺ヒマシタ、答
辯ニナッテ居ラヌ、答辯ヲ成サヌト私ハ考ヘ
マス、併シモウ別ニ追究ハ致シマセヌカ
ラ、能ク私ノ質問ノコトヲ速記錄デ御覽下
サイマシテ、今後國家ノ憂トナラヌヤウ
ニ、十分御深切ナル善後ノ處置ヲ御執リ下
サルヤウニ致シタイ、三ツノ問題ハナカ〓〓
大切ナ問題ト本員ハ考へマスルカラ、國家
百年ノ大計ヲ誤ルト云フコトノナイヤウ
ニ、ドウゾ十分ナル注意ヲ以テ、善後處置
ヲ執ラレルコトヲ希望イタシテ置キマス、
御答辯ニハ成ッテ居ラヌ、是ダケ申上ゲテ置
キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=13
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014・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 他ニ御發言モナ
イト認メマスカラ、是ヨリ採決ヲ致シマ
ス、兩案全部ヲ問題ニ供シマス、全部委員
長ノ報告通リデ御異議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=14
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015・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=15
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016・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 日程第三、酒造
組合法中改正法律案、政府提出、第一讀會
酒造組合法中改正法律案
右
勅旨ヲ奉ジ帝國議會ニ提出ス
昭和十年三月六日
內閣總理大臣岡田啓介
大藏大臣高橋是〓
酒造組合法中改正法律案
酒造組合法中左ノ通改正ス
第三條ノ二酒造組合ハ其ノ目的ヲ達ス
ル爲左ノ事業ヲ行フコトヲ得
一組合員ノ原料品ノ購入、保管及加
工組合員ノ製品ノ保管及販賣其ノ
他組合員ノ營業ニ關スル共同施設
二組合員ノ營業ニ關スル指導、〓究
及調査ニ必要ナル共同施設
組合ハ前項ノ事業ニ併セ組合員ニ對シ
其ノ營業ニ必要ナル資金ノ貸付ヲ行フ
コトヲ得
〔國務大臣高橋是〓君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=16
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017・高橋是清
○國務大臣(高橋是〓君) 玆ニ議題トナリ
マシタ酒造組合法中改正法律案ニ付テ、其
大要ヲ御說明イタシマス、我國酒造業ノ現
狀ニ鑑ミマシテ、酒造組合ニ對シ、組合員
ノ使用スル原料品ノ購入、保管、加工若ク
ハ組合員ノ製品ノ保管、販賣等ニ關スル共
同施設、其他組合員ノ營業ニ關スル指導、
〓究調査等ノ共同施設ヲ行ハシムルノ外、
組合員ニ對シ其營業ニ必要ナル資本ノ貸付
等ヲ併セ行ハシメ、以テ酒造業ノ改良發達
ニ資シタイノデアリマスルガ、現行酒造組合
法ニハ組合ノ事業ノ內容ニ關スル規定ヲ缺
イテ居リマスノデ、玆ニ組合事業ノ內容ヲ
規定イタシマシテ、將來一層、酒造組合法
施行ノ圓滑ヲ期セムトスル次第デアリマ
ス、何卒御審議ノ上、速ニ御協賛アラムコ
トヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=17
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018・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 別ニ御質疑ガナ
ケレバ、特別委員ノ氏名ヲ書記官ヲシテ朗
讀イタサセマス
〔小林書記官朗讀〕
酒造組合法中改正法律案特別委員
公爵德川賴貞君子爵大河内輝耕君
子爵大岡忠綱君男爵高崎弓彦君
男爵山根健男君西野元君
三橋彌君山本米三君
野村德七君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=18
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019・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 日程第四、國際
文化事業ニ關ス〓ル經費支辨ニ關スル法律
案、政府提出、衆議院送付、第一讀會ノ續、
委員長報告、委員長樺山伯爵
國際文化事業ニ關スル經費支辨ニ關ス
ル法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十年三月五日
委員長伯爵樺山愛輔
貴族院議長公爵近衞文麿殿
〔伯爵樺山愛輔君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=19
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020・樺山愛輔
○伯爵樺山愛輔君 御報告申上ゲマス、此
法案ハ國際文化事業ニ關シ必要ナル經費ヲ
支辨スル爲メ、政府ハ當分ノ中、每年度該
經費ノ豫算定額ニ相當スル金額ヲ限リ、大
正十二年法律第三十六號ニ依ル特別會計ニ
屬スル資金ヲ繰替ニ使用スルノ件デゴザイ
マス、特別委員會ハ會議ヲ五日ノ午前十時
ニ開キマシテ、十二時ニ全部終了イタシマ
シタ、此法案ノ政府委員ノ說明ハ、極ク簡
單ニ申上ゲマスガ、大體左ノ通リデゴザイ
マス、我ガ現在ノ國際生活ノ四圍ノ事情ニ
鑑ミマシテ、斯ノ如キ文化事業ノ必要ナコ
トハ申スマデモナイ、ソレデ此經費ニ付テハ、
何處マデモ一般會計ニ依ッテ支出ノ方法ヲ〓
究シタケレドモ、現在ノ我ガ財政ノ、昭和十
年度ノ財政狀態ト云フモノハ、非常ニ困難ナ狀
態ニ陷ッテ居ルノデアルカラ、不本意デハア
ルケレドモ、此特別會計ノ方ニ多少餘裕ガ
アッタカラ此方カラ流用シテ、此十年度ノ
經費ヲ支辨スルコトニ餘儀ナクセラレタノ
デアル、而シテ特別會計ノ收支ノ何ヲ見テ
見マスト云フト、御說明シマスト、特別會
計十年度歲入ノ超過額ガ五百十三萬四千九
百二十三圓四十八錢二厘ト云フモノガアル、
此超過額ノ金ノ中カラ國際文化事業費トシ
テ百萬圓ダケ今年繰替へルノデアル、ソレ
デ次年度ヘ、此特別會計ノ積立金ノ方ヘ繰
越シテ行ク金額ハ四百十三萬四千九百二十
三圓四十八錢二厘ト云フコトニナル、ソレ
デ質問應答ノ大略ヲ申上ゲマスト、一體百
萬圓ノ支出ハドウ云フ風ニ外務省ハ支出ス
ルノデアルカ、外務省トシテハ外務省部內
ニ、文化課ト云フ新シイ課ヲ一ツ置クノデ
アル、ソレカラ海外ノ重要ナ大學ニ日本語
學、文化ノ講座、〓授ノ交換、學生ノ交換、
移民〓化、民間文化事業補助其他、大體斯
ウ云フコトヲ此百萬圓ノ豫算ヲ以テヤルノ
デアル、······第二ノ質問ハ、此金額ヲ繰替
ヘテモ特別會計ノ方ニ差支ハ來サヌノカ、
差支ハナイ、餘裕ガアル、殊ニ今年度、今
年度ト云フノハ卽チ九年度デアリマス、「ポ
ンド」ノ爲替相場ガ大變工合ガ好カッタカラ、
二百八十萬圓餘ノ差益ヲ生ジタ譯デアルカ
ラ、サウ云フ餘裕モ九年度ニアッタノダカ
ラ、何ノ故障モ此特別會計ノ方ニハ來サナ
イ、斯ウ云フ答辯デアリマシタ、第三ハ此
文化事業ハ一般會計ヨリ支出スベキモノデ
アルノデハナイカ、此繰替ハ特別會計ノ精神
ニモ副ハナイ、豫算編成ノ本則ニモ副ハナ
イデハナイカ、之ニ對シテハ前申上ゲタ通
リ、十年度ハ財政ガ非常ニ困難ナ狀況ニア
ルノデアルカラ、據ロナク此方法ニ依ッタ
ノデアル、成ルベク早ク是ハ返金スルノデ
アル、無論是ハ結局ハ一般會計ヨリ支出ス
ベキモノデアルト、大體斯ウ云フ御返事デ
アリマシタ、第四ハ、諸外國ハ非常ニ大キ
ナ豫算ヲ以テ文化事業ヲ遂行シテ居ルデハ
ナイカ、此計畫ト云フモノハ不十分デアル
ト思フ、殊ニ國際聯盟ヲ脫退シタ揚句ニハ、
國際聯盟ノ方ニ日本ガ分擔金トシテ拂ッテ
居ル金額ガ餘程浮イテ來ル譯ダカラ、此金
ヲ文化事業ノ方ニ〓スト云フコトモ考ヘテ
貰ヒタイ、外務省トシテハ、豫算ヲ是カラ
增加シテ事業ノ進展ニ伴ッテ段々金額ヲ增
スヤウニ取計フ積リデアルト、斯ウ云フ御
返事デアリマシタ、現今ノ所デハ、外務省
ハ民間ノ文化事業ノ補助ハ、一ツノ民間ノ
文化事業ニ對シテ與ヘテ居ルヤウデアルガ、
外ニ文化事業ニ關係シテ居ルモノデ、日英
協會トカ、日米協會、日佛、日獨、其他團
體ガアルノデアッテ、結局ハ此一ツノ文化事
業ノミデハ十分ニ用ハ爲サヌト思フ、ソレ
ゾレ斯ウ云フ協會ト云フモノハ分業ガアル
ノデアルカラ、斯ウ云フモノヲ總括シテ協
力セシメテ、此文化ノ事業ノ目的ヲ全ウシ
ナクチヤナラヌト思フ、之ニ對シテ新設ノ
文化課ニ依ッテ、結局此質問ノ趣意ノ目的ヲ
達シタイト思フ、ソレカラ其次ハ、今日ハ
日支間ノ事情ガ非常ニ好轉シツツアルト思
フガ、此機運ニ乘ジテ一層對支文化ニ努力
スルコトガ今日ハ急務デアルト思フ、斯ウ
云フ質問ガアッタノデアリマス、之ニ對シ
テ、是迄モサウ考ヘテハ居ッタガ、種々ノ
故障ガアッテ十分ニ思フヤウニ行カナカッタ
ガ、今後ハ一ツ出來ルダケ其趣意ニ依ッテ此
事業ノ進展ヲ圖ル積リデアル、ソレカラ終
リニ臨ンデ斯ウ云フ質問ガゴザイマシタ、
外ハ外デ宜シイガ、折角觀光協會其他種々
ノ協會ガアッテ、外客ヲ出來ルダケ歡迎スル
積リデ種々ノ設備ヲ玆ニシテ居ルガ、往々
橫濱、神戶邊ニ船ガ入港シタ時ニ稅關ニ於
テ、警察、憲兵等ガ船客ノ身元ノ調ベヤ何
カヲスル時ニ、度ミ禮ヲ缺クヤウナ態度ヲ
以テ接スルコトガ多イノデアル、人間ト云
フモノハ最初ノ印象ト云フコトガ深ク入ル
モノデアルカラ、横濱ニ著イタ時ニ甚ダ面
白クナイ待遇デモ受ケルト、旅行中殆ド此
印象ヲ打消スト云フコトハ出來ナイヤウナ
結果ニナルコトガ多イノデアルカラ、外ニ
向ッテ文化事業ヲヤッテ、外國ニ我ミヲ認識
セシムルト云フコトナラバ、內ニ於テモ相
當ニ注意シテ貰ハナクチヤナラヌト思フノ
デアル、ソレカラモウ一ツハ、我ガ政府カラ
年々外國ニ取調ニ出ル所ノ役人デアル··
此質問ハサウ云フコトヲ實見シタ方カラノ
質問デアッタノデアリマスガ、取調ニ出ル
ニ、言葉ハ不十分デアル、ソレカラ取調べ
ル事柄ガ一昨年モ昨年モ今年モ同ジヤウナ
コトヲ、同ジヤウナ向フノ役所ニ向ッテ取調
ヲヤルノデアル、斯ウ云フコトニ付テ非常
ニ向フノ役所ト云フモノハ惡イ感ジヲ持
ツ、斯ウ云フコトニ付テハ、內地カラ外ニ
人ヲ派遣スル前ニ、各省間ニ能ク打合セヲ
シテ、サウシテチヤント向フニ行ッタラ、調
査スル事柄ト相手ト、總テ斯ウ云フコトニ
付テノ陣立ヲスッカリ出ル前ニ拵ヘテ置イ
テ、サウシテ取調ニ出スト云フヤウナコト
ニナラヌト、是モ同樣、向フヘ幾ラ文化々々
ト云ッテ何シタ所ガ、片ッ端カラ行ッテ之ヲマ
ルデ、逆宣傳ヲヤルヤウナ形ニナルノデア
ルカラ、是等ニ付テモ、ドウカ一ツ注意ヲ
シテ貰ヒタイト云フ何デゴザイマシタ、政
府委員ノ方ニ於テモ至ッテ同感デアルカラ、
今後出來ルダケノコトハ一ツ改善スルヤウ
ニ努メルト、斯ウ云フ話デアリマシタ、ソ
レカラ最終ニ委員外カラ一ツノ希望ガゴザ
イマシタ、文化ノ本ト云フモノハ學者デア
ル、ソレデ本當ニ日本ノ文化事業ヲ進メヤ
ウト思フナラバ、日本ノ各地ニアル大學
ノ綜合大學ミタイノモノヲ一ツ中央ニ建
設シテ、サウシテ其處デ各大學デ調査シタ
モノヲ纏メテ、此「エッセンス」ト云フモノ
ヲ政府、民間其他ニ散ラシテ、結局文化
事業ノ材料ヲ與ヘルヤウナコトニスルト云
フコトハ、缺クベカラザルコトデアルト思
フカラ、自分ノ希望ヲ述べテ置ク、斯ウ云
フコトデアッタノデゴザイマス、討論ニ入リ
マシテ、別ニ議論モゴザイマセズニ、滿場
一致可決イタシマシタ、右御報告申上ゲマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=20
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021・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 曾我子爵ヨリ質
疑ノ通〓ガゴザイマスカラ、此際發言ヲ許
シマス
〔子爵曾我祐邦君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=21
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022・曾我祐邦
○子爵曾我祐邦君 只今特別委員長カラ御
報告ニナリマシタ、國際文化事業ニ對シマ
スル件ニ付キマシテハ、過日ノ委員會ニ於
キマシテ、私ハ隨分種々ノ質問ヲ致シタノ
デゴザイマス、不幸ニシテ其節外務大臣及
大藏大臣ノ御出席ガゴザイマセヌデゴザイ
マシタ爲ニ、其中ノ質問ノ一二ヲ今日マデ
留保シテ置イタノデゴザイマス、此際兩大
臣ニ二三質問ヲ許シテ戴キタイノデゴザイ
マス、委員長ノ御報告ニアリマス通リ、文
化事業ノ重大性ヲ持ッテ居ルト云フコトハ
申スマデモナイコトデゴザイマス、恐ラク
ハ今日ノ外交ト云フコトハ、要スルニ文化
外交ト云フモノガ其先頭ヲ走リ、其後ニ政
治外交ガ續キ、其後ニ經濟外交ガ伴フト云
フコトガ、今日ノ外交工作其モノノ根本義
デアラウト私ハ信ズルノデゴザイマス、然
ルニ文化事業ノ重大性ガアルト申シマスル
コトハ、政府當局モ十分最近ニ至ッテ御了
解ニナリ、昨年豫算ニ於キマシテ國際文化
振興會ノ爲ニ豫算ヲ二十萬圓御取リニナリ
マシタ、其節豫算分科會ニ於キマシテ、
私ハ斯ノ如ク少額ノ金デ如何ナル仕事ガ
出來マスルカ、モット徹底セル所ノ國是
トシテ、文化事業ト云フモノハ繼續的ニ
又永久的ニ、御進メニナラナケレバナラ
ヌモノデハナイカト云フ意見ヲ申上ゲタノ
デゴザイマス、本年ノ豫算ハ三十萬圓デ
ゴザイマス、併ナガラ此三十萬圓ノ此金ト
云フモノハ······文化振興會ニハ三十萬圓、
全體ヲ合シテ百萬圓デゴザイマス、併ナガ
ラ此百萬圓ノ出所ト云フモノハ、若シ嚴格
ナル意味カラ議論ヲ致シマシタナラバ、非
常ニ無理ナ出シ方ヲシテ居ルノデハナイカ
ト思ハレルノデアリマス、斯ノ如ク永續的
ニ又秩序的ニ年々爲サナケレバナラナイ事
業ニ向ッテ、斯カル無理ナ方法ヲ以テ豫算ヲ
出サレルト云フコトハ、將來ニ於テ誠ニ此
事業ノ發展ノ上カラ、又國策遂行ノ上カラ、
不利ナモノガ玆ニ存在シテ居ルト云フコト
ヲ言ヒタイノデゴザイマス、國際關係ト申
シマスモノヲ、之ヲ卑近ナ例ヲ取ッテ申シ
マシタナラバ、恐ラクハ個人ノ關係ト同ジ
ヤウナモノデアラウト思ハレル、個人ノ關
係ニ於キマシテ羽織、袴デ初メテ會ヒマシ
タ友達ガ、何處マデ兩人ノ間ノ了解ヲ保チ
マスカ、或ハ友達ノ間デモ其人格、其德
性、其學問、其人品、其他ニ於テ御互ニ了
解シ合ッタ際ニハ、所謂其親密ノ程度ハ益〓
增シテ、遂ニ極ク離ルベカラザル所ノ有益
ナル友人ニナルト云フコトハ、我ミガ日常
經驗シテ居ル所デゴザイマス、斯カル意味
ニ於キマシテ、之ヲ個人ノ例ニ引イテ見マ
スレバ、國際關係モ等シイモノデアラウカ
ト私ハ思フノデゴザイマス、チヨット例ヲ
引キマシテ、前ニ日本ニ居ラレマシタ外交
官ノ一二ノ例ヲ引キマスレバ、前ノ「ドイツ」
大使ノ「ソルフ」君デゴザイマス、「ゾルフ」
君ハ「ヨーロッパ」デ名高イ哲學者デゴザイ
マシテ、「ドイツ」デモ名高イ方デゴザイマ
シタガ、日本ニ來ラレマスルヤ、日本ノ文
化ノ非常ニ根源ノ深キ······所謂二十六世
紀ノ文化ノ根源ガ、如何ナルモノデアルカ
ト云フコトニ非常ニ興味ヲ持タレテ、サウ
シテ日本ヲ〓究スルニ從ッテ、日本ト云フモ
ノヲ非常ニ了解セラレ、遂ニ「ドイツ」ニ歸
ラレマシタ後ト雖モ、常ニ日本ノ立場ニ對
シテ非常ナル有利ナル、又有益ナル所ノ宣
傳ヲセラレタコトハ御存ジノ通リデゴザイ
や 、而シテ「ゾルフ」君ハ「ドイツ」ニ於テ
ハ、或ハ「ヒンデンブルグ」ノ後ノ大統領デ
ハナイカト云フ位ノ人氣ヲ得ラレタサウデ
ゴザイマスガ、日本ガ國際聯盟ヲ、其正義
觀ニ於テ列國ト見ル所異ナルガ故ヲ以テ脫
スルニ當リマシテ、「ソルフ」君ハ常ニ、オ
前等ノ見ル所ノ日本ノ批評ト云フモノハ外
レテ居ル、日本ハソンナモノデナイト云フ
コトヲ公言セラレタ爲ニ、餘リ親密的ナ態
度ガ强イト云フコトヲ以テ、其人氣ヲ多少
失ハレタト云フコトデゴザイマス、併シ今
日ト雖モ先生ハ自分ノ信念ノ儘ニ、日本ニ
對シテ如何ナル機會ニ於テモ日本ノ正シ
イ、又日本ノ根據アル文化ニ對シテハ、常
ニ辯護ノ勞ヲ惜マズニ居ラレルサウデゴザ
イマス、又其當時ニ居ラレマシタ所ノ「フ
ランス」ノ大使「ポール·クローデル」、彼
世界ニ有名ナル詩人デゴザイマス、而シテ
日本ニ參ッテ居リマス間ニ、「クローデル」
大使ハ、日本ノ文化ニ非常ニ接シテ、日本
ノ限リナイ所ノ此强キ文化ノ根源ニ心カラ
共鳴ヲ持タレ、或ハ日本ニ關スル所ノ書物
或ハ詩ヲ御出版ニナッテ居ルノデゴザイマ
ス、ノミナラズ「クローデル」大使ハ私ハ能
ク存ジテ居リマシタガ、震災ノ當時ニ於キ
マシテ、「クローデル」大使ノオ孃サンハ、
只今居ラレマス「ベルギー」大使「パッソン·
ピエール」氏ノオ孃サント鎌倉ニ轉地中デ
ゴザイマシタ、其時ニ於テ震災ガ起ッタノデ
ゴザイマス、「クローデル」大使ハ自分ノ娘
ノ身ノ上ヲ心配サレテ、徒步デ横濱ノ方ニ
出發サレタノデアリマス、其際ニ大森カ何
處カ、アノ邊デゴザイマシタラウ、
非常ニ澤山ノ人ガ避難シテ居ル、又自
分ノ家ハ壞レテ居ルニモ拘ラズ、往來ノ
人ニ茶ヲ出シタリ何カシテ、避難スル
人間ヲ救ッテ吳レル人ガ多々方々ニアッタ
サウデゴザイマス、ノミナラズ「クロー
デル」大使自身ガ外國人デアルガ爲ニ、殊更
其待遇ヲ深切ニシテ吳レ、或ハ明日ニモ持
堪ヘルコトノ出來ナイカト思ハレル家ノ糧
食ヲ、自分ニモ分ケテ食べヨト云フコトヲ
言ハレタ、其後「クローデル」大使ハ私ニ斯
ウ云フコトヲ言ハレタ、日本人ノ非常ナル
犧牲的精神ハ、自分ハ芝居ニ於テ見、著述
ニ於テ讀ンダ、併シ多少疑ナキヲ得ナカツ
ク、誇大サレテ居ルノデハナイカト云フ疑
ヲ自分ハ持ッテ居ッタ、併シ今日此震災ノヤ
ウナ非常ナ出來事ニ遭遇シテ、サウシテ一
外人デアル所ノ自分ガ徒步デ横濱街道ニ
向ッテ行クニ當ッテ、自分ニ食物ヲ分ケテ吳
レル、自分ニ茶ヲ進メテ吳レル、誠ニ日本
人ハ立派ナ志ノ、犠牲的精神ノ强イ國民デ
アル、自分ハ今日ノ出來事ニ遭遇シテ、此
日本人ノ美シキ氣持ヲ初メテ了解シタ、斯
ウ云フコトヲ言ハレタ、其後賜暇休暇ヲ以
テ「フランス」ニ歸ラレマスルヤ、屢〓自費ヲ
以テ日本ノ爲ニ宣傳ヲシテ居ラレル、ノミ
ナラズ日本滯在中ニ、日本ニ日佛會館ト云フ
モノヲ造ラレ、サウシテ「フランス」ノ學者
ヲ始終日本ニ寄越スヤウニシ、更ニ京都ニ
於テ關西日佛文化協會ト云フモノヲ作ラ
v、現在モ京都九條山ニ存在シテ居ルヤウ
ナ次第デゴザイマス、又前ノ「イギリス」ノ大
使「エリオット」君ヲ見マスト、「エリオット」
君ハ非常ニ東洋文化、東洋藝術ニ共鳴ヲシ
テ居ラレル方デゴザイマシテ、私ハ偶〓此方
トソレカラ此處ニ居ラレマス一條公爵ト、
數年前「ヨーロッパ」ニ參リマス際同船ヲシ
タノデアリマス、船中ニ於テ日本ニ對スル
所ノ御話ト云フモノニ付キマシテハ、私共
ハ誠ニ恐縮スルヤウニ、日本ノコトヲ細カ
ク御存ジデアリマシテ、日本ノ文化ト云フ
モノニ心カラ憧レテ居ラレタノデアリマス、
ノミナラズ日本ガ今日偉大ナル位置ニ到達
セシコトハ、非常ニ根據アルコトデアルト
云フコトヲ、非常ニ强ク御話ニナッテ居リマ
ス、其後御自分ハ外交官生活ヲ止メタナラ
バ、再ビ自分ノ憧レテ居ル所ノ奈良ノ一隅
ニ住ンデ、一生ヲ終リタイト云フコトヲ言
フテ居リマシタガ、不幸ニシテ最近オ亡ク
ナリニナリマシタ、此外交官ノ如キ、斯ノ如
キコトハ殆ド空前ノ出來事デアリマセウ、
外國ノ大使ガ三人モ揃ッテ日本最負ノ、又日
本ノ文化ヲ十分、根本カラ〓究セラレタ人
ガ出會ッテ居ラレタト云フコトハ、此時ノ誠
ニ珍ラシイ現象デゴザイマス、所デ此文化
事業ト申シマスモノハ、外國ガドウ云フ風
ニ今日ハシテ居ルカ、只今モ申上ゲマス通
リ、文化外交ト云フノガ其尖端ヲ切リ、其
後ニ政治外交、經濟外交ガ續イテ行クコト
ハ、今日世界各國ノ强國ガ皆執リツツアル
所ノ政策デゴザイマス、「フランス」ニ於キ
マシテハ、一昨年邊リハ日本ノ金ニ致シマ
シテ八百萬圓位ノ豫算デ致シマシタガ、今
日ハ千五百萬圓ニナッテ居ル、「イタリー」モ
同樣一箇年ニ使フ金ハ矢張リ日本ノ金ニシ
テ千五百萬圓ニナッテ居リマス、是モ矢張リ
數年前ニ較ベマスレバ約二倍ニナッテ居ル
ノデアリマス、又「スペイン」デサヘモ三百
萬圓バカリノ金ヲ使ッテ居リマス、「ドイツ」
モ是ハ能ク分リマセヌケレドモ、日本ノ金
ニシテ四五百萬圓使ッテ居ルト云フコトヲ
聞イテ居ルノデアリマス、「ロシア」モ相當
ニ使ッテ居リマス、其事實トシマシテ、「ロシ
ア」ハ最近ニ至ッテ「フランス」ノ國內ニ大キ
ナ雜誌ヲ發行シ、所謂自分ノ國ノ宣傳ヲシ
テ居ルヤウナ次第デゴザイマス、「アメリカ」
ハ是亦桁外レノ大キナコトヲシテ居ル、御
承知ノ通リ「コンテーシヨン」、「ロックフエ
ラー」或ハ「カーネギー」ノヤウナ財團ヲ以
チマシテ、世界ニ使ヒマス所ノ金ハ一千萬
「ドル」以上ノ金ヲ使ッテ居ルサウデゴザイ
マス、「アメリカ」ノ日本ニ使ッテ居ル金ハ細
カイ數字ハ分リマセヌガ、信ジマス筋カラ
得タ材料ニ依リマスト、少クモ二百萬圓位
使ッテ居ルサウデゴザイマス、聖路加病院デ
ゴザイマストカ、或ハ「ワイ·エム·シー·エー」
デアルトカ、「ワイ·ダブリユー·シー·エー」
デアルトカ云フヤウナモノ、「フランスㄴ
自身ガ日本ニ使ッテ居リマス金ガ、日佛會
館及京都ノ學館其他ニ於キマシテ、三十萬圓
乃至三十五萬圓ヲ使ッテ居ルサウデアリマス、私
ハ金ヲ使ヒサヘスレバ文化事業ト云フモノ
ハ宜イト云フコトヲ言フノデハ決シテゴザイマ
セヌ、使ヒ方ノ如何ニ依ッテハ重大性ガ玆ニ
殘ルト云フコトハ無論申ス迄モゴザイマセヌ
ガ、唯日本ガ過去ニ於テ、過去數年以來ト云
フモノハ、非常ニ日本ホド世界ニ誤解サレタ
國ハナイノデゴザイマス、日本ハ好戰國デア
ル、如何ニモ日本ノ昨今ノ氣分ハ戰好キノ
國デアル、右手ノ陸軍ヲ以テ「ロシア」ト戰
ヒ、左手ノ海軍ヲ以テ「アメリカ」ト戰ヒ、
足ヲ踏ミ上ゲテ支那ヲ踏ミ潰スト云フヤウ
ナ、一種ノ氣分ガ或ル方面ニ擴ガッタノデ
アリマス、此事自體ハ日本ヲ知ラザル「ヨー
ロッパ」人ノ誤解ニ基ク認識不足ニ依ル所
ノモノデアリマシテ、日本ノ內部ニ於テモ
多少其責任ノ或モノヲ分タナケレバナラ
ヌ人モアッタカノヤウニ私ハ感ズルノデア
リマス、而シテ國際聯盟ヲ日本ノ正義觀ノ
相違カラ脫出スルニ當リマシテハ、世界ハ
又其處ニ非常ナル誤解ヲ日本ニ持ッテ來タ
ノデアリマス、何モ國際聯盟ヲ脫出シタト
云フコトハ、所謂鎖國攘夷ノ元ニ戾ッタト
云フコトデハナイノデアリマス、然ルニ日
本ノ一部デハサウ云フヤウナ氣分、似寄ッタ
ヤウニ感ジタ時代モアリマス、ソレガ直
ニ「ヨーロッパ」ニ五倍十倍ト響イテ、恰モ
日本ハ鎖國攘夷ニ戾リ、再ビ日本ハ好戰國
ノ本體ヲ現ハシテ、嘗テ「カイゼル」ノ著ハ
シタ黃禍論ト云フヤウナ、笑フベキ議論ノ
「ヨーロッパ」ニ持映ヤサレタ時代ノヤウナ
氣分ニ戾ラムト致シタノデアル、然ルニ其
處ニ居ラレマス外務大臣ハ、外交工作ヲ根
本トスルト云フコトヲ聲明サレ、且又內閣
ノ諸公ハ直ニ理解ヲ持タレテ、廣田外相ノ
所謂外交工作ト云フコトガ初メテ正道ノ上
ニ置カレテ、其軌道ノ上ヲ迪リツツアルヤ
ウニ信ズルコトハ、私共ハ深ク御同慶ノ次
第ダト存ジマス、斯ク申上ゲマスルノハ、
今後斯カル重大性ヲ持ッテ居ル所ノ文化事
業ニ對シテ、日本ガ今日只今上程サレマシ
タヤウナ方法ヲ以テ、豫算ヲ無理ニ案出ス
ル······捻出スル、或ハ來年何處カラ出ルカ
分ラナイト云フヤウナ、斯カル方法ヲ以テ
「システマテイック」ナ、又秩序的ニ進マケレ
バナラヌ所ノ、此文化事業ヲ考ヘテ居ラレ
ルト云フコトハ、非常ナル間違ッタコトデ
アリマシテ、寧ロ無イニハ優リマセウケレ
ドモ、斯カル無理ナ方法、又何等永續性ノ
ナイ方法ヲ以テ、此續ケナケレバナラヌ事
業ヲ徹底的ニヤルノニハ、如何ニモ不安心
ニ私共思フノデアリマス、私共ガ思フノミ
ナラズ外務大臣其御方ハ、必ズ是ハ非常ナ
ル私ハ不安心ト、又御心配トヲ持ッテ居ラル
ルコトダラウト私ハ想像スルノデゴザイマ
ス、ソレデ私ノ伺ハムトスルモノハ、今日
ノ如キ豫算ノ取リ方、又今日ノ如キ方法ヲ
以テ、外務大臣ハ滿足セラルルヤ否ヤト云
フコトガ一ツ、又大藏大臣ニ對シテハ此文
化事業ノ重大性ト云フコトト、又內閣ニ於
ケルドウ云フ御話ニナッテ居ルカ存ジマセ
ヌガ、若シ此事ヲ能ク御理解ニナッタナラ
バ、之ヲ何トカ通常豫算ノ上ニ於テ、來年
相當ノ金額ヲ取ルコトヲシテ宣傳セラルル
必要ハアリハシナイカト信ジテ、此點ヲ御
伺ヒシタイノデアリマス、モウ一ツ、若シ
又外務大臣ガ私ト所見ヲ同ジウセラレテ、
此事ハ永續的性質ヲ持ッタ所ノ方法ニ依ッテ
豫算ヲ計上スベキモノデアル、必ズサウ云
フ方法ニ依ッテヤッテ行キタイト云フ御意見
ガアルナラバ、今日ノ如キ方法ニ依ッテ、之
ヲ言ヒ換ヘマスレバ所謂國際文化振興
會ノ今日ノヤリ方デ、御滿足デアルヤ
否ヤト云フコトヲ御伺シタイノデアリ
マス、斯カル重大性ヲ持チマスルト同
時ニ、又斯カル仕事ト云フモノハ往々
浪費ニ陷リ易イ虞ガアリマスノミナラズ、
又或ル場合ニハ古イ御役人ノ隱居場所ニナ
ルヤウナコトガアッテハ、是ハ非常ニ不安ナ
コトデアリマス、要スルニ是ハ擧國一致各〓
其專門ニ向ッテ、關係ノアル者ノ衆智ヲ集
メテ、國策ノ上カラ御同樣ニ〓究シテ、各
方面ニ秩序的ナ方法ヲ以テ、發展スベキ事
業ダト思ヒマス、若シ政府ニ於キマシテ將
來モ之ヲヤルモノナラバ、今日ノ方法デ滿
足セラルルヤ、之ガ適當ナル改善ヲ考ヘテ
オイデニナルカ、否ヤト云フコトモ序ニ伺ッ
テ置キタイト私ハ思フノデゴザイマス、冀ク
ハ斯ウ云フ事業ニ對シマシテハ國民全體ガ
理解シテ、政府當局モ茲ニ了解ヲ持タレテ、
サウシテ秩序的ノ宣傳ヲ外國ニナシ、而シ
テ外國國民ヲシテ冀クバ日本ノ正義ノ觀
念及ビ日本ハ如何ナル國民デアルカ、所
謂二十六世紀ノ文明ヲ持ッテ、東洋ニ今日巍
然トシテ居ル所ノ此日本ヲ能ク正視セシム
ルコトガ必要デアラウト、私ハ思フノデゴ
ザイマス、モウ一ツ、只今委員長ノ報〓ニモ
ゴザイマシタ所ノ一部ニ觸レルカモ知レマ
セヌガ、此外務省ノ今度ノ百萬圓ノ中ノ使
ヒ方ニ付キマシテ、委員會ニ於テ御尋ヲ致
シマスルト、種々ナル事業ガゴザイマス、此
中ニハ或ハ「フイルム」ニ依ッテ世界ニ宣傳
スルト云フヤウナコトモゴザイマス、又飜ッ
テ觀光局ノ豫算ヲ見マスルト、同ジヤウナ
コトガ書イテゴザイマス、又文部省ノ方ノ
豫算ニモ、同ジヤウナ「フイルム」ノコトガ
書イテゴザイマス、同ジ「フイルム」ノ宣傳
ニ依リマシテ、日本ノ風光或ハ日本ノ文化
ヲ世界ニ宣傳スルニ當リマシテ、三省トモ
各〓違ッタ立場カラ之ヲナサルト云フコト
ハ、同ジヤウナコトニ無駄ナ金ヲ使ッテ居ラ
レルヤウナ點ガアル、此「フイルム」ノミデ
ハゴザイマセヌ、他ニモ多々アラウト思フ
ノデゴザイマス、其處ニ何等ノ連繫統一ガ缺
ケテ居ルト云フコトハ、著シク私ノ眼ニ著
イタ所デゴザイマス、ドウカ斯ウ云フヤウ
ナコトニ付キマシテモ、三省トモ十分御連
絡ヲ取リ、之ニ無駄ノイカナイヤウニシテ
戴キタイト私ハ思フノデゴザイマス、只今委
員長ノ御報〓ノ間ニゴザイマシタ官吏ノ洋
行或ハ稅關ノ出來事、是等ハ此處デ申上
ゲタイノデゴザイマスガ、モウ委員會ニ於テ
詳シク質問シテゴザイマスカラ、ソレハ速
記錄ニ讓リシマシテ、簡單ニ私ノ二三ノ質
間ヲ以テ兩大臣ニ御尋シタイト思フノデゴ
ザイマス
〔國務大臣廣田弘毅君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=22
-
023・廣田弘毅
○國務大臣(廣田弘毅君) 只今ノ曾我子爵
ノ御質問ニ御答イタシマス、國際文化事業
ノ必要デアルコトハ、只今縷々御述ニ相成
リマシタ通リデアルト感ズルノデアリマス、
此文化事業ト云フモノハ隨分複雜ナ仕事デ
アリマスガ、只今モ日本ノ文化ニ對シテ「ゾ
ルフ」博士、「クローデル」博士等、其他隨分
能ク日本ノ事情ヲ了解シテ居ラレル方モア
ルト云フコトデアリマシタガ、誠ニ其通リ
デ、日本ノ爲ニ仕合セト思フノデゴザイマ
スガ、其各國人ニ日本ノ文化狀態ヲ知ラセ
マスト云フコトハ、其時とノ時代ノ變化ニ
依ッテ、各國ノ人とガ段々ニ新シクナッテ參リ
マスコトデアリマスノデ、我ガ此文化ノ宣
傳ト云フコトモ、一時大イニヤッタカラ後ハ
其儘デ宜イト云フモノデハナイ、絕エズ實
行シナケレバナラヌモノデアルト思フノデ
アリマス、從ヒマシテ之ニ要スル費用ノ如
キモノモ、無論確實ナ財源ニ依ラナケレバ
ナラヌコトハ當然デアリマス、從ヒマシテ
此文化事業ノ價値ガ認メラルルコトニ相成
リマスレバ、自然國家ノ一般豫算ノ方面カ
ラ支出ヲ仰ガナケレバナラヌモノダト考ヘ
ルノデアリマス、併ナガラ不幸ニシテ、今囘
ハサウ云フ運ビニモ相成リマセヌノデ、巳ム
ヲ得ズ變則ノ財源ヲ求ムルコトニ相成ッタノ
デアリマスガ、是ハ財政ノ事情ノ許スヤウ
ニ相成リマスレバ、適當ナ方面ニ此財源ヲ
求メナケレバナラヌト思ッテ居ル次第デア
リマス、其要シマスル費用モ無論是ハ將來
ハ相當增加スベキモノデアルト考ヘルノデ
アリマスガ、現在ノ所ハ先ヅ此國際文化ノ
振興會ト云フモノヲ中心ト致シマシテ、此
事業ニ著手ヲ致シテ居ル狀態デアリマスル
ノデ、國際文化振興會ハ、元來是ハ振興會
其モノトシテ、ソレダケノ活動ヲ以テ滿足
スベキモノデハナイノデアリマシテ、是ガ、
從來日本ガ各國ニ對シ文化事業ヲ行ッテ居
リマシタ所ノ中心ノ系統トナルト云フ趣旨
デ、此振興會ト云フモノハ出來テ居ルノデ
アリマスノデ、追〓此振興會ヲ中心トシテ、
從來ノ各種ノ協會或ハ學會等ニ連絡ヲ取ラ
レマシテ、必ズヤソコニ統一シタル大キナ
文化機關ガ成立シテ參ルコトデアルト私ハ
考ヘテ居ルノデアリマス、此振興會ニ對シ
マシテハ非常ナ熱心ヲ以テ、之ニ從事シテ
居ラルル方モ御有リニナリマスコトデアリ
マスノデ、必ズヤ十分ノ發展ヲ見ルコトデ
アルト私ハ信ジテ居ルノデアリマス、最後
ニ日本ノ文化宣傳ニ付テハ、「フイルム」ヲ
利用スルト云フコトモ必要デアルガ、其點
ニ付テ日本ノ各方面ノ「フイルム」ニ關スル
統一ガマダ付イテナイデハナイカ、是ハ誠
ニ御尤ナコトデアルト思ヒマシテ、近來世
界ノ各方面ヲ見マシテモ、各種ノ知識ヲ非
常ニ求メテ居リマシテ、其知識ヲ求メル靑
年ノ氣持カラ申シマスト、耳カラ入ル知識
ヨリモ眼カラ入ル知識ノ方ニ、非常ニ重キ
ヲ置イテ居ルト云フ傾向モアリマスノデ、
此點ニ付キマシテハ十分〓究ヲ遂ゲナケレ
バナラヌト思フノデアリマス、外務省ト致
シマシテモ、其意味ニ於キマシテ、情報部
ヲ中心トシテ各映畫界ニ働キカケテ居リマ
スノデ、適當ニ之ヲ發達イタサセマシテ、
此「フイルム」ニ依ル文化宣傳ノ方ニモ、大
イニ努力イタシタイト思フ次第デアリマス
〔國務大臣高橋是〓君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=23
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024・高橋是清
○國務大臣(高橋是〓君) 曾我子爵ノ御質
問ハ誠ニ御尤ナ次第デアリマス、十年度ニ
於キマシテハ、現今ノ財政ノ都合上、已ム
ヲ得ズ繰入ト云フコトニ致シマシタ、勿論
此繰入ト云フコトハ、他日一般會計カラ是
ハ戾スト云フコトデアリマスコトハ、申ス
マデモナイコトデアリマス、而シテ今後財
政ノ情況ガ好クナリマスレバ、必ズ是ハ財
政ノ常道ニ復シテ、一般會計カラ常ニ出ス
ト云フコトニ改メタイト考ヘテ居リマスカ
ラ、此段御答ヲ致シテ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=24
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025・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 曾我子爵ノ御質
疑ハモウ終リマシタカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=25
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026・曾我祐邦
○子爵曾我祐邦君 モウ是デ······発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=26
-
027・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 他ニ御發言モナ
イト認メマス、本案ノ第二讀會ヲ開クコト
ニ御異議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=27
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028・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシー認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=28
-
029・植村家治
○子爵植村家治君 直ニ本案ノ第二讀會ヲ
開カレムコトヲ希望イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=29
-
030・梅園篤彦
○子爵梅園篤彥君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=30
-
031・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 直ニ本案ノ第二
讀會ヲ開クコトニ御異議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=31
-
032・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=32
-
033・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 全部ヲ問題ニ供
シマス、全部委員長ノ報告通リデ御異議ハ
ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=33
-
034・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=34
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035・植村家治
○子爵植村家治君 第三讀會ヲ直ニ開カレ
ムコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=35
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036・梅園篤彦
○子爵梅園篤彥君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=36
-
037・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 植村子爵ノ動議
ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=37
-
038・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=38
-
039・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 直ニ第三讀會ヲ
開キマス、全部ヲ問題ニ供シマス、全部第
二讀會ノ決議通リデ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=39
-
040・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=40
-
041・近衞文麿
○議長(公爵近衛文麿君) 日程第五、大正
九年法律第五十六號中改正法律案、日程第
六、登錄稅法中改正法律案、衆議院提出、
第一讀會
大正九年法律第五十六號中改正法律案
右本院提出案及送付候也
昭和十年三月二日
衆議院議長濱田國松
貴族院議長公爵近衞文麿殿
大正九年法律第五十六號中左ノ通改正
ス
同法ニ左ノ一項ヲ加フ
政府ハ必要アリト認ムルトキハ前項ノ期
間ノ外更ニ五年ヲ限リ勅令ノ定ムル所ニ依
リ北海道拓殖費ヨリ補助ヲ爲スコトヲ得
附則
本法ハ昭和十年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
本法施行ノ際營業開始ノ日ヨリ十五年ヲ
經過シタルモノニ付テハ營業開始ノ日ヨ
リ二十年ニ達スル迄本法施行ノ日ヨリ改
正規定ニ依リ更ニ補助ヲ爲スコトヲ得
登錄稅法中改正法律案
右本院提出案及送付候也
昭和十年三月二日
衆議院議長濱田國松
貴族院議長公爵近衞文麿殿
登錄稅法中左ノ通改正ス
第十六條ニ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ規定ハ保險業法ノ規定ニ從ヒ會
社カ其ノ保險契約全部ノ移轉契約ニ因
リテ不動產又ハ船舶ニ關スル權利ヲ移
轉シタル場合ニ於テ其ノ權利ノ取得ニ
付之ヲ準用ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=41
-
042・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 是等ノ兩案ヲ一
括シテ議題トナスコトニ御異議ゴザイマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=42
-
043・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス、別ニ御質疑ガナケレバ、兩案ハ之
ヲ酒造組合法中改正法律案ノ特別委員ニ付
託イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=43
-
044・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 日程第七、刑事
判決宣告猶豫ニ關スル法律案、日程第八、
小作調停法中改正法律案、衆議院提出、第
一讀會
刑事判決宣告猶豫ニ關スル法律案
右本院提出案及送付候也
昭和十年三月二日
衆議院議長濱田國松
貴族院議長公爵近衞文麿殿
第一條裁判所ニ於テ審理ノ結果被〓人
ノ性格、年齡及境遇竝犯罪ノ情狀及犯
罪後ノ情況等ニ因リ判決ノ宣告ヲ爲サ
サルヲ相當ト認ムルトキハ決定ヲ以テ
一年以上五年以下ノ期間內其ノ宣〓ヲ
猶豫スル旨ノ言渡ヲ爲スコトヲ得
檢事及被告人ハ前項ノ決定ニ對シ卽時
抗告ヲ爲スコトヲ得
第二條判決宣告猶豫ノ言渡アリタルト
キハ勾留セラレタル被〓人ニ對シテハ
放免ノ言渡アリタルモノトス
第三條左ノ場合ニ於テハ裁判所ハ檢事
ノ請求ニ因リ判決宣告猶豫ノ言渡ヲ取
消スコトヲ得
一被〓人カ宣告猶豫ノ期間內ニ犯シ
タル罰金以上ノ刑ニ處セラルヘキ罪
ニ依リ公判ニ付セラレタルトキ
二其ノ他被〓人ニ著シク宣〓猶豫ノ
決定ヲ爲シタル趣旨ニ反スル行狀ア
リタルトキ
第四條判決宣告猶豫ノ期間內ハ公訴ノ
時效ハ進行セス
第五條判決宣告猶豫ノ言渡取消アリタ
ルトキハ裁判所ハ更ニ刑事訴訟法ノ規
定ニ從ヒ判決ノ言渡ヲ爲スヘシ
第六條判決宣告猶豫ノ言渡ヲ取消サル
ルコトナクシテ猶豫ノ期間ヲ經過シタ
ルトキハ被〓人ニ對シ免訴ノ言渡アリ
タルモノト看做ス
第七條判決宣告猶豫ノ言渡アリタルト
キハ私訴ニ付テハ其ノ裁判所ノ民事部
ニ移ス言渡アリタルモノトス
第八條本法ニ依ル卽時抗〓ニ付テハ刑
事訴訟法ノ規定ヲ準用ス
小作調停法中改正法律案
右本院提出案及送付候也
昭和十年三月二日
衆議院議長濱田國松
貴族院議長公爵近衞文麿殿
小作調停法中左ノ通改正ス
第十六條當事者、總代及利害關係人ハ
自身出頭シ又ハ辯護士ヲ代理人トシテ
出頭セシムルコトヲ要ス
前項ノ代理ニ付テハ民事訴訟法中代理
ニ關スル規定ヲ準用ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=44
-
045・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 是等ノ兩案ヲ
括シテ議題ト爲スコトニ御異議ゴザイマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=45
-
046・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス、別ニ御質疑ガナケレバ、兩案ハ之
ヲ刑法中改正法律案外一件ノ特別委員ニ付
託イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=46
-
047・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 日程第九、衞生
組合法案、日程第十、傳染病豫防法中改正
法律案、日程第十一、產師法案、衆議院提
出、第一讀會
衞生組合法案
右本院提出案及送付候也
昭和十年三月二日
衆議院議長濱田國松
貴族院議長公爵近衞文麿殿
衞生組合法
第一條衞生組合ハ公衆衞生ノ改良發達
ヲ圖ルヲ以テ目的トス
第二條衞生組合ハ法人トス
第三條衞生組合ハ其ノ目的ヲ達スル爲
左ノ事業ヲ行フ
一衞生思想ノ普及ニ關スル事業
二傳染性疾患及寄生蟲病ノ豫防救治
ニ關スル事業
三〓潔保持ニ關スル事業
四其ノ他公衆衞生上必要ナル事業
衞生組合ハ行政官廳又ハ市長ノ指示ヲ
承ケ前項ノ事業ニシテ國、道府縣又ハ
市ニ屬スル事務ヲ補助スルコトヲ得
第四條衞生組合ノ區域ハ市內ニ於テ市
長之ヲ定ム
第五條衞生組合ハ其ノ區域內ノ世帶主
ヲ以テ其ノ組合員トス
衞生組合ハ組合規約ノ定ムル所ニ依リ
前項ニ揭グル者ノ外組合區域內ニ學
校、病院、工場、倉庫、營業所又ハ事
務所等ヲ設クル者ヲ組合員ト爲スコト
ヲ得但シ國、道府縣、市町村其ノ他之
ニ準ズベキモノハ此ノ限ニ在ラズ
第六條衞生組合ヲ設立セントスルトキ
ハ其ノ區域內ノ組合員タル資格ヲ有ス
ル者七人以上發起人ト爲リ組合規約ヲ
作成シ組合員タル資格ヲ有スル者二分
ノ一以上ノ同意ヲ得テ地方長官ノ認可
ヲ受クベシ
第七條地方長官必要アリト認ムルトキ
ハ市長ニ對シ區域ヲ指定シ衞生組合ノ
設立ヲ命ズルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ衞生組合ノ設立ヲ命
ゼラレタル市長ハ組合規約ヲ作成シ地
方長官ノ認可ヲ受クベシ
第八條衞生組合ハ組合規約ノ定ムル所
ニ依リ總會ヲ開キ組合ニ關スル事件ヲ
議決ス但シ命令ノ定ムル所ニ依リ代會
ヲ以テ總會ニ代フルコトヲ得
總會ニ關スル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定
ム
第九條衞生組合ニ組合長及副組合長一
人又ハ二人ヲ置ク
組合長及副組合長ハ組合員中ヨリ之ヲ
選擧ス
前項ノ選擧ニ關スル事項ハ命令ヲ以テ
之ヲ定ム
組合長及副組合長ノ外組合規約ノ定ム
ル所ニ依リ衞生組合ニ他ノ役員ヲ置ク
コトヲ得
第十條組合長ハ組合ヲ代表シ組合一切
ノ事務ヲ擔任ス
副組合長ハ組合長ヲ輔佐シ組合長事故
アルトキハ其ノ職務ヲ代理ス
副組合長二人アルトキハ組合長ノ豫メ
定メタル順序ニ依リ之ヲ代理ス
第十一條衞生組合ノ經費ハ組合規約ノ
定ムル所ニ依リ組合員之ヲ負擔ス
第十二條組合規約ヲ變更セントスルト
キハ市長ヲ經テ地方長官ノ認可ヲ受ク
ベシ
第十三條地方長官ハ衞生組合ニ對シ監
督上必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲
スコトヲ得
市長ハ衞生組合ニ對シ事務ノ報〓ヲ爲
サシメ、書類帳簿ヲ徵シ、實地ニ就キ
事務ヲ視察シ若ハ出納ヲ檢査シ又ハ事
業ニ關シ必要ナル事項ヲ指示スルコト
ヲ得
第十四條地方長官ハ總會ノ議決若ハ選
擧又ハ役員ノ行爲ガ法令若ハ組合規約
ニ違反シ又ハ公益ヲ害スト認ムルトキ
ハ議決若ハ選擧ヲ取消シ、役員ヲ解任
シ、組合ノ事業ヲ停止シ又ハ組合ノ解
散ヲ命ズルコトヲ得
第十五條衞生組合ノ解散、分合及區域
ノ變更ニ關スル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ
定ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
傳染病豫防法ニ依リ設立シタル市內ノ衞
生組合ニシテ本法施行ノ際地方長官ノ指
定シタルモノハ本法ニ依リ設立シタルモ
ノト看做ス
前項地方長官ノ指定シタル衞生組合ハ遲
滯ナク組合規約ヲ定メ地方長官ノ認可ヲ
受クベシ
傳染病豫防法中改正法律案
右本院提出案及送付候也
昭和十年三月二日
衆議院議長濱田國松
貴族院議長公爵近衞文麿殿
傳染病豫防法中左ノ通改正ス
第二十三條地方長官ハ傳染病豫防救治
ノ爲町村內ニ衞生組合ヲ設ケシムルコ
トヲ得
地方長官ハ衞生組合法ニ依ル衞生組合
及前項ノ衞生組合ニ對シ〓潔方法消毒
方法其ノ他傳染病ノ豫防救治ニ關シ必
要ナル事項ヲ指示シテ之ヲ履行セシム
ルコトヲ得
市町村ハ衞生組合法ニ依ル衞生組合及
第一項ノ衞生組合ニ於テ傳染病豫防救
治ノ爲支出スル費用ノ全部又ハ一部ヲ
補助スルコトヲ得
第二十四條中「第二十三條第二項」ヲ「第
二十三條第三項」ニ改ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
產師法案
右本院提出案及送付候也
昭和十年三月二日
衆議院議長濱田國松
貴族院議長公爵近衞文麿殿
產師法
第一條產師トハ助產ヲ業トスル者ヲ謂
フ
第二條產師タラムトスル者ハ一一十年以
上ノ女子ニシテ左ノ資格ヲ有シ內務大
臣ノ免許ヲ受クルコトヲ要ス
-修業年限四箇年以上ノ高等女學校
ノ卒業者又ハ之ト同等以上ノ學力ヲ
有スル者ニシテ內務大臣ノ指定シタ
ル產師學校ヲ卒業シタル者
二外國ノ產師學校ヲ卒業シ又ハ外國
ニ於テ產師ノ免許ヲ得タル者ニシテ
命令ノ規定ニ該當スル者
三產師試驗ニ合格シタル者
產師試驗ハ內務大臣之ヲ行フ
產師試驗ニ關スル事項ハ命令ヲ以テ之
フルエ
第三條聾者、啞者、盲者又ハ精神病者ニ
對シテハ產師ノ免許ヲ與フルヲ得ス
堕胎ノ罪其ノ他業務ニ關スル罪ヲ犯シ
刑ニ處セラレタル者又ハ禁錮以上ノ刑
ニ處セラレタル者ニ對シテハ產師ノ免
許ヲ與ヘサルコトアルヘシ
第四條產師ハ妊婦、產婦、褥婦又ハ胎
兒生兒ニ異常アリト認ムルトキハ直
ニ醫師ノ診療ヲ請ハシムヘシ自ラ其ノ
處置ヲ爲スコトヲ得ス但シ臨時應急ノ
處置ハ此ノ限ニ在ラス
第五條產師ハ自ラ診察又ハ檢案セスシ
テ死產證書又ハ死胎檢案書ヲ交付スル
コトヲ得ス
第六條產師ハ何等ノ方法ヲ以テスルヲ
問ハス業務上技能、經歷又ハ命令ヲ以
テ定ムル事項ノ廣〓ヲ爲スコトヲ得ス
第七條產師ハ產簿ヲ備ヘ十箇年間之ヲ
保存スヘシ
第八條產師ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ道
府縣產師會ヲ設立スヘシ
道府縣產師會ハ日本產師會ヲ設立スル
コトヲ得
產師ハ土地ノ狀況ニ依リ郡市區產師會
ヲ設立スルコトヲ得
產師會ハ法人トス
產師會ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ產事衞
生ノ改良發達ヲ圖ルヲ以テ目的トス
產師會ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ會
員ヨリ徵收スヘキ收入ニ關シ民事訴訟
ヲ提起スルコトヲ得
前各項ニ規定スルモノノ外產師會ニ關
シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第九條產師第三條第一項ニ該當スルト
キハ其ノ免許ヲ取消スヘシ
產師墮胎ノ罪其ノ他業務ニ關スル罪ヲ
犯シ刑ニ處セラレタルトキ又ハ禁錮以
上ノ刑ニ處セラレタルトキハ免許ヲ取
消シ又ハ期間ヲ定メテ業務ヲ停止スル
コトアルヘシ其ノ免許前ニ係ル場合亦
同シ
前二項ノ取消處分ヲ受ケタル者ト雖第
三條第一項ノ原因止ミタルトキ又ハ改
悛ノ情顯著ナルトキハ再免許ヲ與フル
コトヲ得
前三項ノ處分ハ內務大臣之ヲ行フ但シ
第二項ノ處分ヲ行フ場合及改悛ノ情顯
著ナル者ニ對シ前項ノ再免許ヲ與フル
場合ニ於テハ中央衞生會ノ審議ヲ經ル
コトヲ要ス
第十條免許ヲ受ケスシテ助產ノ業ヲ爲
シタル者又ハ第四條乃至第七條ノ規定
ニ違反シタル者ハ百圓以下ノ罰金又ハ
科料ニ處ス業務停止中ノ產師ニシテ助
產ノ業ヲ爲シタル者亦同シ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
產婆規則ハ之ヲ廢止ス
本法施行前產婆名簿ニ登錄セラレタル
者ハ本法ニ依リ產師ノ免許ヲ受ケタル
者ト看做ス
本法施行前地方長官ヨリ業務ノ地域及
期限ヲ定メテ假ニ產婆ノ業ヲ免許セラ
レタル者ハ本法施行後ト雖仍其ノ業務
ヲ爲スコトヲ得且其ノ期限ハ申請ニ依
リ之ヲ更新スルコトヲ得
本法施行ノ際從前ノ規定ニ依リ產婆名
簿ニ登錄ヲ受クル資格ヲ有スル者及本
法施行後五箇年以內ニ從前ノ規定ニ依
リ產婆名簿ニ登錄ヲ受クル資格ヲ得タ
ル者ハ第二條ノ規定ニ拘ラス產師ノ免
許ヲ受クルコトヲ得発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=47
-
048・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 是等ノ三案ヲ一
括シテ議題ト爲スコトニ御異議ハゴザイマ
セヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=48
-
049・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス、別ニ御質疑ガナケレバ、三案ハ之
ヲ勞働者災害扶助法中改正法律案外二件ノ
特別委員ニ付託イタシマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=49
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050・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 日程ハ是ニテ終
了イタシマシタ、次會ノ日程ハ決定次第、
彙報ヲ以テ御通知ニ及ビマス、本日ハ是
ニテ散會イタシマス
午前十一時四十一分散會
貴族院議事速記錄第十一一號正誤
頁段行誤正
一二〇四二三入六
一二四二二答答答辯
貴族院議事速記錄第十四號正誤
頁段行誤正
一〇〇四入國際ノ國體ノ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006703242X01519350311&spkNum=50
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