1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
昭和六年法律第四十號廢止法律案（重要産業の統制に關する件）（森田福市君外一名提出）
酒造組合法中改正法律案（政府提出、貴族院送付）
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會議
昭和十年三月二十二日（金曜日）午前十一時十五分開議
出席委員左の如し
委員長 岩本武助君
理事 中井一夫君
板谷順助君 中野種一郎君
森田福市君 原吉郎君
栗原彦三郎君
同月十九日委員森田政義君、國枝捨次郎君及八並武治君辭任に付其の補闕として中野種一郎君、森田福市君及原吉郎君を議長に於て選定せり
三月十四日昭和六年法律第四十號廢止法律案（重要産業の統制に關する件）（森田福市君外一名提出）の審査を本委員に付託せられたり
三月十六日酒造組合法中改正法律案（政府提出、貴族院送付）の審査を本委員に付託せられたり
出席政府委員左の如し
大藏參與官 豐田收君
大藏省主税局長 石渡莊太郎君
大藏書記官 大矢半次郎君
大藏書記官 松隈秀雄君
本日の會議に上りたる議案左の如し
酒造組合法中改正法律案（政府提出、貴族院送付）発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=0
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001・岩本武助
○岩本委員長 是ヨリ會議ヲ開キマス-
豐田參與官発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=1
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002・豐田收
○豊田政府委員 酒造組合法中改正法律案
ニ付キマシテ、其大要ヲ御說明致シマス、
我國酒造業ノ現狀ニ顧ミマシテ、酒造組合
ニ對シ組合員ノ使用スル原料品ノ購入、保
管、加工、若ハ組合員ノ製品ノ保管、販賣
等ニ關スル共同施設、其他組合員ノ營業ニ
關スル指導、〓究、調査等ノ共同施設ヲ行
ハシムルノ外、組合員ニ對シ其營業ニ必要
ナル資金ノ貸付等ヲ併セ行ハシメ、以テ酒
造業ノ改良發達ニ資シタイノデアリマス
ガ、現行酒造組合法ニハ、組合ノ事業ノ內
容ニ關スル規定ヲ缺イテ居リマスルノデ、
此處ニ組合事業ノ內容ヲ規定致シマシテ、
將來一層酒造組合法ノ施行ノ圓滑ヲ期セン
トスル次第デアリマス、何卒御審議ノ上速
ニ御協賛アランコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=2
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003・中野種一郎
○中野委員 政府ガ酒造組合中、殊ニ〓酒
業者ガ近年疲弊、困憊ヲ來シマシテ、廢業
ヤ倒產者ガ簇出セル組合ノ現狀ニ鑑ミラレ
テ、此處ニ酒造組合法ノ一部ヲ改正セラレ
マシテ、圓滿ヲ期シ、基礎ヲ鞏固ニ致シタ
イトノ理由デ、多年要望致シテ居リマシタ
業者ノ希望ノ一端ガ容レラレ、玆ニ改正案
トシテ出マシタコトハ、洵ニ斯業奬勵ノ上
カラ機宜ニ適シタコトヽ思ヒマスガ、之二
對シマシテ二三政府ノ御所見ヲ承ッテ見タ
イト思ヒマス、第一ニ此原料米ノ購入加工
ト云フコトハ、〓酒釀造組合ガ原料米ヲ精
白シテ加工スル、原料米ニ精白加工シテ〓
酒ヲ釀造スル其〓酒、ソレカラ〓酒ヲ醸造
シテ由テ起ル所ノ酒ノ粕ノ如キモノモ、是
モ矢張加工品トシテ見ルコトガ出來マセウ
カ、又ハ原料品ノ-〓酒、燒酎、味醂等、
何レモ釀造用ニ供スルモノヽ原料品ハ-
獨リ原料品ノミナラズ、原料品ニ附隨シタ
ルモノハ、矢張原料品若ハ加工品ト云フコ
トニ相成ルノデアリマスカ、第一ニ此點ヲ
承リタイト思ヒマス、第二ニハ、製品ノ保
管竝ニ販賣等ニ關スル共同施設トアリマス
ノハ、是ハ具體的ニ申シマスト、ドウ云フ
コトヲ言フノデアリマスカ、〓酒ハ各自品
質價格等ニ於テモ相當異ッテ居リマス、隨
テ之ヲ販賣スル時ニハ、共同販賣ト言ッテ
モ同ジ品質デハナイ、酒ハ酒ニ違ヒアリマ
セヌガ、此點ガ頗ル困難ト思ハレマス、又
製品ノ保管ト云フコトハ、一定ノ倉庫ニデ
モ保管セシムル意味合デゴザイマセウカ、
是ハ組合ガ施設シテ新ニ保管等ヲスル意味
合ナノデアリマセウカ、是等モ私ハ具體的
ニ一ツ御說明ヲ願ヘレバ結構ダト思ヒマス、
第三ニハ組合ノ指導、〓究、調査等ノ共
同施設、是ハ貴族院デモ御說明ニナッテ居
リマスガ、營業ニ關スル〓究及試驗場、營
業ニ關スル一切ノ調査機關、品評會、〓究
會等、共他總テ指導的ノ立場ニアル共同施
設ト思ヒマスルガ、組合ハ組合員ガ是等ノ
施設ニ必要ナル資金ノ貸付ヲ行フコトヲ得
トナッテ居テ、資金ヲ貸付ケルト云フコト
ニ相成ッテ居リマスガ、斯業ノ發展ヲ圖ル爲
ニ結構ナコトヽ思ヒマスガ、此資金ノ融通
ハ組合員個人ニ貸付ケラレルト云フコトニ
相成ルノデアリマスカ、其施設スル酒造組
合ニ貸出サレルト云フコトニナルノデアリ
マセウカ、要ハ貸出サレル相手方ガ組合本
位カ、個人本位カト云フコトヲ承ッテ置キタ
イト思ヒマス、假ニ組合本位デアルト致シ
マシタナラバ、只今配付サレマシタ此組合
中ニモ、五千圓未滿ノ資產ヲ有シテ居ル組
合ガ百六十三、若ハ資產ノナイ組合ガ十五、
斯樣ニアルノデアリマスカラ、此邊ハ個人
ト組合トヲ問ハズ御貸出ニナルノカ、兩方
ニ連絡統制ノ上御貸出ニナルノデアリマセ
ウカ、之ヲ承リタイト思ヒマス、又個人ト
組合トヲ問ハズ、預金部ノ資金カラ融通サ
レルモノデアリマセウガ、其貸付金高ニハ
限度ガアルノデアリマスルカ、或ハ無制限
ニソレ等ノ施設ニ對スルダケノ貸出ヲサレ
ルノデアリマセウカ、之ヲ承リタイト思ヒ
やく、更ニ現在デハ、納稅資金ハ興業銀行
カラ相當金融ヲシテ居リマシテ、若シ共同
施設ニ御貸出ニナリマス融通資金ト、是等
ノ興業銀行カラ現在貸出シテ居リマスル利
率ニ、相當相違ガアリマスルガ、先ヅ是等
ヲ一ツ統制シテ、高イ方ヲ低イ方ニ訂正シ
タイ、同一ノ組合ニ御貸付ヲ願フノデアル
カラ、サウ云フ方法ニ將來統制上御取計ヲ
願フコトガ出來マスルヤ、是ダケノ本案ニ
對スル御答ヲ御願シタイト思ヒマス、引續
イテ又御尋ネ申上ゲマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=3
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004・大矢半次郎
○大矢政府委員 第一ノ御質問ハ原料品ノ
コトデアルト思ヒマス、原料品ノ購入ニ關
スル共同施設ト申シマスレバ、先ヅ原料米
ノ共同購入、種麴ノ共同購入、斯ウ云フノ
ガ例デアリマス、ソレカラ原料品ノ加工ニ
關スル共同施設ト致シマシテハ、共同精米
所ナドモ其例デアリマス、共同シテ酒類ヲ
釀造スルト云フコトハ、共同施設トシテ認
メナイ積リデアリマス、ソレカラ粕ハ加工
品デアルカドウカト云フ御尋ノヤウデアリ
マシタガ、加工品ト云フヨリハ、寧ロ釀造
ニ伴ッテ生ズル副產物ト解スベキデハナイ
カト思ヒマス、ソレカラ保管ニ關スル共同
施設ト云フノハ、精酒ヲ保管スル爲ニ、共
同ノ貯藏庫ヲ設ケテヤルト云フノガ例デア
リマス、次ニ貸付ノコトデ御尋デアリマシ
タガ、貸付ハ個人ニ對スルモノデアルカ、
酒造組合ニ對スルモノデアルカト申シマス
レバ、此法案ニアリマス貸付ハ、勿論組合
員ニ對シテ爲スノデアリマシテ、組合ガ各
種ノ共同施設ヲ營ム場合ニ、ソレニ伴ッテ必
要アリト認メル場合ニ、組合員ニ對シテ貸
付ヲスルコトガ出來ル、斯ウ云フ風ナ建前
ニナッテ居ルノデアリマス、例ヘバ共同シテ
原料米ヲ購入スル場合ニ、組合員ノ一二ノ
者ガ偶〓資金ノ不足ノ爲ニ困ッテ居ルト云フ
ヤウナ場合ニハ、其購入資金ノ幾分ヲ當該
組合員ニ貸付ケルト云フノガ其一例デアリ
マス、法案ニ「組合ハ前項ノ事業ニ併セ」ト
アリマスノハ、詰リ組合ガ共同施設ヲ致シ
マシタ場合ニ、必要ノ生ジタ時ニ組合員ニ
對シテ貸付ケルト云フ趣旨デアリマシテ、
單獨ニ何モセズニ貸付ノミ組合員ニ對シテ
行フト云フコトハ認メナイ趣旨デアリマ
ス、ソレカラ貸付金ノ限度ト云フモノハ、
此法案ニハ規定致シテ居リマセヌガ、實行
ニ際シテハ相當考慮スル必要ガアルノヂヤ
ナイカト思ヒマス、或ハ定款又ハ總會ノ決
議等ニ依ッテ、一定ノ限度ヲ設ケサシタイト
思ッテ居リマス、ソレデハ組合ハ他カラ資金
ヲ借入ガ出來ナイカト申シマスレバ、勿論
組合ガ各種ノ事業ヲヤッテ行ク上ニ相當資
金モ要リマセウシ、又共同施設ヲヤルニ際
シテ、組合ニ資金ノ必要ヲ生ジタ場合ニ、
組合固有ノ資金ノミデ之ヲ賄フコトガ出來
ナイ場合ガアルダラウト思ヒマス、サウ云
フ場合ニハ、他カラ借入ヲスルト云フコト
ハ少シモ差支ナイノデアリマシテ、或ハ銀
行ノ方面、或ハ又將來預金部カラ銀行ヲ經
由シテ借入スルト云フヤウナ途モ開カレル
ダラウト思ヒマス、現在興業銀行カラ、此
酒造組合ガ保證ヲシテ、組合員ガ借入ヲス
ルト云フコトガ行ハレテ居リマスガ、是ノ、
數年前酒造家ガ非常ニ納稅上困ルヤウナ事
態ガ起ッタ場合ニ、一時ノ變則的ノ制度トシ
テ設ケラレタモノデアリマシテ、將來長ク
斯ウ云フ制度ヲ認メテ行クカドウカト云フ
コトニ付テハ、相當考慮シナケレバナラヌ
ト思ヒマス、唯此度此法案ニ於テ、各種ノ共
同施設ヲ組合ガ爲スコトヲ得ルヤウニ致シ
マシタ一ツノ理由ハ、工業組合ト同ジヤウ
ナ設備ヲシテ、出來ルナラバ預金部カラ低
利ナル資金ヲ借リル途ヲ開キタイト云フノ
ガ、一ツノ目的ニモナッテ居リマスノデ、此
法案ガ成立致シマスト云フト、將來ハ現在
ノ興業銀行ヨリ融通ヲ受ケル利率ヨリモ、
低利ナ利率デ以テ組合ガ借入レ、隨テ組合
ニ對スル貸付モ行ハレルカト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=4
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005・中野種一郎
○中野委員 大體ニ於テ酒造業奬勵ノ爲
ニ、工業組合法ニ依ッテ基礎ヲ鞏固ニシテ發
展セシムルト云フ、現狀カラ御覽ニナリマ
シタ關係上、此法案ヲ御出シニナリマシタ
コトデスカラ、其點ハ能ク私共モ諒承致シ
マスガ、只今組合ガ施設シタ場合ニ、組合
ニ貸スト云フ御說明ノ中ニ、組合ニ資產ガ
有ッテモ無クテモ、施設サヘアレバ組合ニ貸
スノカドウカト云フコトガ、私共ニハ相當
疑問ヲ生ズルノデアリマスガ、ソレヲ伺ッテ
置キタイト思ヒマス、ドウシテモ組合ニ貸
スト云フコトデスカラ、多クハ申上ゲマセ
ヌ、假ニ現在金ガ組合ニ無クテモ、組合員
ハ酒造免許ヲ受ケテ居ルカラ、組合員トシ
テハ資產ヲ有ッテ居ルカラ、組合ニ貸スト云
フコトハ連帶責任ヲ有ツモノナリト思ッテ
居リマスカラ、是レ以上ハ追究致シマセヌ、
何卒御便宜ヲ圖ッテ戴キタイト思ヒマス、此
機會ニ關聯シテ、聊カ私共酒造組合ノ現狀
カラシテ希望ノ點ヲ申上ゲテ置キタイト思
ヒマス、申ス迄モナク酒造業中殊ニ〓酒釀
造ハ、國家ノ產業ノ中心デアルニ拘ラズ、
近來年々減石シテ、疲弊困憊ノ狀態ニアル
ノデアリマス、是等ハ何ニ依ッテ斯樣ナ不振
ノ狀態ニ陷ルカ、大局カラ見マスレバ、何
トカ是ハ政府ニ於テモ御〓究ヲ下サッテ宜
カラウト思ヒマス、假ニ〓酒組合以外ノ各
釀造ノ狀態ヲ見マスト、麥酒ニシテモ、味醂
ニシテモ、何レモ實需ガ年々增シテ來テ居
リマスガ、獨リ〓酒ニ限ッテ減石ヲ致シテ居
リマス、是ハ國民ノ嗜好ノ多少變化スル結
果ニモ依リマス、併シ單ニ實需ノ關係ノミ
デナイ、ドウシテモ之ヲ匡救スル途ハ、
ツハ販賣價格ヲ引下ゲルト云フコトデアリ
マス、何故販賣價格ヲ引下ゲナケレバナラ
ヌカト云フト-價格ヲ引上ゲルト云フコ
トニ付テハ、稅率ノ不權衡ト云フコトガ
ツノ原因ヲ成シテハ居ナイカ、稅ガ不權衡
デアルナラバ、稅額ヲ輕減シナケレバナラ
ヌト云フヤウナ考ヲ有ッテ居リマス、酒ノ酒
精分ハ十六度乃至十七度デアリマシテ、假
ニ之ヲ十七度ト致シマスト、酒精分ノ一度
當リハ二圓三十錢、味醂、燒酎一度當リガ
一圓二十九錢、酒精分含有飮料酒デアル理
〓酒、新〓酒ハ一度當リガ一圓六十錢トナ
ルノデアリマス、斯ウ云フ酒精分ヲ基礎ニ
シタル〓酒ノ原料カラ見ルト、前者ニ較ベ
ルト約十八圓、後者ニ較ベルト九圓三十五
錢ト云フ、高率ノ稅ガ〓酒ニハ課ッテ居ルノ
デアリマス、併シ味醂、燒酎ハ下層階級ノ飮
料デアルト云フ理由デ、多少斟酌スベキ理
由モアラウト思ヒマスケレドモ、理〓酒ノ
如キハ上流ノ人モ飮ムノデ、〓酒ト異ル點
ガナイノデアリマス、一ハ倍額以上ノ稅ヲ
納メ、一ハ半額以下ノ稅金ヲ納メテ居ルト
云フヤウナ狀態デアリマス、此不權衡ガ販
賣價格ニ影響シマシテ、爲ニ〓酒ガ年々不
振ニ陷ルノデハナカラウカト思フ、是ニ於
テ稅法ヲ根本的ニ改廢シテ戴キタイノデア
リマスガ、其御意思ガアルカナイカ、何レ是
等ノ稅ヲ改廢サレルニ付キマシテハ、國庫
收入ニモ關係致スコトデアリマスカラ、餘
程考慮ヲ要スルコトデアルトハ思ヒマス、
併シ實際ニ於テ酒精ガ十七度シカナイノ
ガ、二十三度ト云フコトニナッテ居ル、其歷
史ヲ申シマスト、御承知ノ通リ大正七年迄
ハ二十度以下ヲ〓酒トシテ居ッタ、當時一石
二十圓ノ稅金デアッタガ、二一度增スコトヲ理
由ニ增稅サレタ、ソレデ二十三度ニナッテ居
ル、稅金ヲ增サレタノハ其處ガ原因ニナッテ
居ル、所ガ二十三度ノ酒精分ハ絕對ニ出來
ナイ、十七度シカナイノニ二十三度ノ稅金
ヲ拂フト云フコトハ、東京カラ上野ニ行ク
ノニ、靑森マデノ切符ヲ買フヤウナモノデ
アリマス、ソレデアリマスカラ此點ニ御留
意願ッテ、吾々ノ希望トシテハ、〓酒ニ限ッテ
相當ノ稅ノ是正ヲサレマシテ、減稅ヲサレ
ル御意思ガアルカナイカ、將來ニ於テ減稅
ヲシテ貰ヒタイ、私共ハ稅ノ根本ヲ是正シ
テ戴キタイト云フ希望デアリマスガ、之ニ
對スル政府ノ御所見ヲ伺ヒタイト思ヒマ
ス、次ハ交付金問題デアリマスガ、國家產
業ノ中樞ヲ成ス酒造營業ニ關シマシテ、〓
究施設改善其他-近來ハ亞米利加ガ禁
酒ヲ解禁致シマシテ以來、相當外國ニモ出
テ居リマス、是等海外輸出ヲ助長致シマス
二、ドウシテモ中央會竝ニ酒造組合等ガ
相當ノ經費ヲ投ズル要ガアルノデアリマシ
テ、少クトモ是等ノ統制ヲ圖ッテ居ル中央
會ニ對シマシテ、業界ノ統制上各種ノ事業
ヲナサシメル爲ニ、實際ニ行ッテ居ル實情
ニ鑑ミマシテ、相當交付金ヲ御出シニナッ
テ、サウシテ向上發展ニ努メルコトニ御留
意願ヒタイト思ヒマスガ、此點ニ付テノ御
所見モ伺ヒタイト思ヒマス、第三ニハ、酒造
組合中央會ガ總テヲ統制シテ居リマスガ、
同ジ中央會デモ、酒造組合ニハ〓酒ト蒸溜
酒トノ區別ガアルノデアリマシテ、是ハ利
害ヲ異ニシテ居ル、〓酒ハ現在原料米ヲ以
テ製造スル、一面ニ味醂、燒酎、理〓酒ノ
如キ蒸溜酒モ造ッテ、利害ノ異ナルモノモ造
ルガ、將來中央會カラ分離サレテ之ヲ設立
サレル御意思ハナイカ、一例ヲ申シマスト、
庫出課稅ノ如キハ酒造業者ノ一部分ニハ
議論ガアリマシタケレドモ、今日ハ議論ノ
時代ヂヤナイ、實行ノ時代ニナッテ居リマシ
テ、庫出課稅ト云フモノヲ總テノ組合ガ要
求シテ居ル、之ヲ蒸溜業者方面カラ言フト、
製品ハ一々庫出ヲシツヽ四期ニ分納シテ居
リマスカラ、其方カラ言フト、庫出課稅ハ
非常ナ不利益ニナルト云フ關係デ、利害ノ
點ニ付テモ常ニ一致ヲ見テ居ナイト云フヤ
ウナ業界ノ狀態ハ、是等モ其發展向上ノ上
ニ支障ヲ來シハシナイカ、斯樣ニ私共思フ
ノデアリマス、先ヅ是ダケニ付キマシテ當
局ノ御所見ヲ伺ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=5
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006・大矢半次郎
○大矢政府委員 先程私ガ御答シタ趣旨ニ
於テ酒造組合、全然資產ノ無イモノニ對シ
テモ、將來預金部資金デモ貸付ケテ貰ヒタ
イト云フヤウナコトニ付テ、御答ヲ漏シマ
シタガ、是ハ中野サンノ仰シヤッタ通リ、資
金ガ全然現存シナイ組合デアリマシテモ、
組合員ノ保證其他ノ方法ニ依ッテ、他カラ借
リルト云フ途ハアルダラウト思ヒマス、其
點ハ御心配ニナルヤウナコトハナカラウト
思ヒマス、次ニ酒類ノ中ニ於キマシテ、〓酒
ト他ノ酒類トノ關係ニ於テ、稅率ニ付テ相
當考慮スル餘地ガアルノデハナイカト云フ
コトデ、段々ノ御話ガアリマシタ、如何ニ
モ近年一般經濟界ノ不況ニ伴ッテ、〓酒ノ造
石高モ漸減シテ參ッタノデアリマスガ、昭和
八年酒造年度ニ於テハ多少囘復シテ參リマ
シテ、將來經濟界ガ段々好況ニ赴クニ從ッ
テ、〓酒釀造高モ亦殖エテ行ク可能性ガア
ルノデハナイカト思フノデアリマス、味醂、
燒酎ノ造石高ガ殖エテ行キ、〓酒ガ減ッテ來
ルト云フ御話デアリマスガ、マダ日本ノ現
在ト致シマシテハ、何トシテモ〓酒ハ酒類
ノ王者ノ地位ヲ確保シテ居リマシテ、近キ
將來ニ於テ其地位ニ動搖ヲ來スト云フヤウ
ナコトハ、想像ガ出來ナイノデアリマス、
殊ニ新〓酒、合成酒ニ付テモ御話ガアリマ
シタガ、此合成酒ノ如キハ、全國總體デ僅
僅三萬石內外、〓酒ニ對シテ一%ニ足ラナ
イ程度ノモノデアリマシテ、是ガ爲ニ〓酒
ガ著シイ脅威ヲ受ケルト云フヤウナコト
ハ、現狀ニ於キマシテハ全然考ヘラレナイ
コトヂヤナイカト思ヒマス、唯色々酒類ノ
釀造方法モ變ッテ參リマスシ、嗜好ノ變遷其
他ニ於テモ、隨分時代ノ推移ト共ニ變ッテ來
ルノデアリマスカラ、私共ニ於テモ現在ノ
酒造稅ノ稅率ガ、其儘デ將來差支ナイト云
フヤウナコトハ思ッテ居リマセヌ、將來ニ於
テ相當考究シテ行カナケレバナラヌモノガ
多々アルト存ジテ居リマス、併ナガラ此酒
造稅ノ整理ト云フコトハ、國庫ノ收入ニモ
至大ノ影響ガアルコトデアリマスシ、又我
國ノ產業トシテモ、非常ニ重要ナ產業デア
リマシテ、其稅率ヲ如何ニスルカト云フコ
トハ、各種ノ方面ニ影響スル所大キイモノ
ガアリマスカラシテ、愼重ニ調査考究シタ
上デナケレバ、俄ニ決メラレナイト思ッテ居
リマス、從來モ調査ハ致シテ居リマスガ、
今ノ御話ニアリマシタ分モ、十分〓究シテ
見タイト思ヒマス、ソレカラ次ノ交付金ノ
問題デアリマスガ、酒造經營上ニ各種ノ〓
究改善ヲ重ネテ行カナケレバナラヌ、又外
國輸出ノ增加ヲ圖ルニ付テモ、色々資金ノ
要ルコトモアリマスカラ、相當ニ交付金ヲ
增額シテ吳レナイカト云フ御話デゴザイマ
ス、御承知ノ通リ酒造組合ニ對スル其目的
ハ、酒造組合ガ徵稅上必要ナル設備ヲナシ、
又ハ徵收事務ノ補助ヲ爲ス場合ニ交付スル
ト云フコトニナッテ居リマシテ、今十石ニ對
シテ一圓ノ交付金ヲ出シテ居ルノデアリマ
スガ、全國三百八ノ酒造組合ノ現狀ヲ調査
シテ見マスルト、此徵稅上必要ナル設備、
又徵收事務ノ補助ノ爲ニ、現ニ使ッテ居ル所
ノ費用ト云フノハ、交付金ニ對シテハ幾分
マダ少イノデアリマシテ、大體此酒造稅法
デ規定シテ居ル所ノ目的ニ對シテハ、交
付金ハ今ノ所決シテ不足シテ居ナイト
思ッテ居リマス、併シ將來酒造組合ニ對
シテ、今中野サンノ御話ニナッタヤウナ方面
ノ施設改善ヲ爲シテ行ク上ニ於テ、相當ナ
費用ガ要ル、國家ガ之ニ對シテ或ル資金ヲ
交付シテモ宜イヂヤナイカト云フコトモ、
一應考ヘラレナイコトモナイノデアリマス
ガ、現在ノ交付金ノ目的トハ、自ラ異ナル
モノガアリマスケレドモ、是ハ將來ノ問題
トシテ考ヘテ行キタイト思フノデアリマ
ス、ソレカラ酒造組合中央會ニ酒類ノ製造
業者ヲ網羅シテ、其中ニハ〓酒、燒酎等ノ
如キ、利害相反スルモノガ入混ッテ居ル、例
ヘバ庫出課稅ナドニ付テハ、ドウモ兩者ノ
意見ガ一致シナイ、斯ウ云フモノヲ一ツノ
酒造組合中央會ト云フヤウナモノヽ中ニ統
一シテ居ルノハドウカ、寧ロ分離シタ方ガ
宜イヂヤナイカト云フ御話デゴザイマシタ
ガ、此庫出課稅ニ付キマシテモ、私共ノ見
ル所ハ、マダ中野サンノ仰シヤッタヤウニ、
實行ノ時期ニマデ入ッテ居ルカドウカト云
フコトハ、一應疑ヲ有シテ居ルノデアリマ
シテ、數年前ニ於テモ庫出課稅ヲ實施シテ
見ヨウカト云フ議ガアッタ場合ニ、〓酒製造
業者ノ間ニ大分異議ガアッタノデアリマシ
テ、果シテ斯ウ云フ點ニ於テ、〓酒製造業
者ト燒酎製造業者トガ、全然利害ガ相反ス
ルモノデアルカドウカト云フ點ナドモ、尙
ホ檢討ヲ要スルモノガアルデハナイカト思
ヒマス、此酒造組合中央會カラ〓酒、燒酎
ト云フヤウナ、異ッタ種類ノモノヲ分離シテ
シマフト云フコトニ付テハ、十分尙ホ考ヘ
タ上デナケレバ、速ニ可否ヲ言フ譯ニハ參
ラヌカト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=6
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007・中野種一郎
○中野委員 只今御答辯ヲ得マシタガ、私
共ソレデ滿足ハ致シマセヌガ、將來組合ヲ
統制スル中央會ニ對シテ、是非交付金ヲ交
付シテ、統制ヲ執ルダケノ機能ヲ發揮スル
ヤウニ御考慮ヲ願ッテ置キタイ、現在ノ組合
員ノ交付金ガ、必シモ不足ナリト言ッテ居ル
モノデハナイ、寧ロ機關ノ運用ヲ益〓發揮
サセル意味ニ於テ、中央會ニ活動力ヲ與ヘ
ルト云フ意味ニ於テ、交付金ヲ與ヘル方法
ヲ講ジテ貰ヒタイト云フコトヲ申上ゲタノ
デアリマス、只今ノ庫出稅ニ對スル問題ハ、
中々此庫出稅ヲ御始メニナリマシタ時ニ、
相當〓酒業者ニモ反對ガアリマシタ、反對
ガアリマシタコトハ、ソレハ最終ノ納期ノ
問題、此日數ノ問題ニ於テ相當議論ガアッタ
コトヽ思ヒマスガ、今日ハドウデモ宜イト
云フヤウニ、〓酒業者ハ統一シタ意見ヲ實
際ニ於テ有ッテ居ルノデアリマス、是ハ大體
其事ニ付テ屢〓會合シテ協議シテ居ルノデ
アリマス、此點ハ蒸溜酒卽チ燒酎業者トハ
全然利害ガ變ッテ來ル、一方カラ言ヘバ、每
日釀造シテ製品ハドン〓〓送ル、是ハ庫カ
ラ出スコトニ依ッテ稅金ヲ拂ッテ居ル、定
ノ期間中ニ稅金ヲ納メナケレバナラヌト云
フコトニナルト、非常ニ面倒デアリ、尙ホ
迷惑ト損害ヲ蒙ルノデアルカラ、此處ガ庫
出稅ニ同ジ酒造業者デモ、〓酒業者ト燒酎
業者トノ利害ガ根本ニ岐レテ居ル、其爲ニ
サウ云フ問題ニナッタ、又〓酒業者ノ方ニモ
全般ニ行渡ラズニ、一體贊成スベキ〓酒家
ニモ反對ガ起ッタト云フノハ此處デス、此點
ハ私共統制上將來非常ニ御〓究ヲ實際上
願ッテ置カナケレバナラヌ問題デハナイカ、
斯樣ニ思フノデアリマスカラ、ドウカ御考
慮ヲ一ツ願ッテ置キタイト思ヒマス、其外御
承知ノ近來〓酒ノ造石ノ減退致シマスルノ
ハ、一面ニ於テ思想上ヨリ來ルモノデ、本
年ノ議會ニモ二法律ガ現レテ居リマス、或
ハ學生生徒ニ酒ヲ飮マシテハイケナイ、若
ハ二十五歲以下ノ禁酒法案ト云フヤウニ、
議場ヲ通ジテ思想的ナ問題デ禁酒ヲ宣傳サ
レル、一面ニ於テハ、產業組合ニモ自家釀
造ヲ許シタラドウカト云フヤウナ聲モ、相
當熾烈ニナッテ來テ居リマス、斯ウ云フ外
觀ニ於テハ非常ナ迫害ヲ受ケツヽ營業ヲシ
テ行カナケレバナラヌ、サウシテ酒造業者
ハ免許制度デアリマシテ、是ハ酒ハ賣ラナ
クテモ稅金ハ期日ニ納メナケレバナラヌ、
一日モ遲レテハイカス、サウシテ一面〓酒
ヲ販賣スル所ノ小賣業者ハドウカト云フ
ト、免許制度デハナイ、自由營業デアリマ
ス爲ニ、約二十五萬ノ全國ノ小賣業者ハ、
自由ニ酒造業者カラ酒ヲ買フ、サウシテ時
ニハ濫賣ヲシテ市價ノ價格ヲ低廉ニセシム
ル、ノミナラズ小賣業者ガ何時モ釀造業者
ニ迷惑ヲ掛ケテ居ルノガ少クナイ、ーノハ、
免許制度デアッテ、小賣業者ハ自由營業デア
ル、併シ變幻出沒デ、元方ニ迷惑ヲ掛ケル
コトヲ知リツヽ、小賣業ヲ惡イヤウデアリ
マスガ營ムト云フヤウナ狀態デ、ソレ等モ
私ハ今日ノ酒造業者ガ減石シテ、年々續イ
テ倒產スルト云フヤウナ一ツノ原因デナイ
カ、ソレ等ニ付テ私ノ要望シテ居ルノハ、
矢張小賣業者モ免許制度ト同樣ニスルナ
リ、何等カノ方法ヲ將來ニ御考究ヲ願ッテ
置カナケレバ、當然廉賣ヲ防止シ、又免許
制度デ酒造業者ヲ保護シテ行クニハ、餘程
困難デアリマスカラ、此機會ニ小賣業者ニ
對シテモ、免許制度ニ付テ御考慮ヲ願ッテ置
キタイト思ヒマス、更ニモウ一ツハ、葡萄
酒ニ對シマシテハ課稅ヲ致シテ居リマセ
ヌ、造石高モ今日デハ-從來ハ保健衞生
上カラ自家釀造位ヲ許シテ居ラレタノデ、
五六千石位ナ程度デアリマシタガ、今日デ
ハ造石高モ相當數萬石ニ上ッテ居ルダラウ
ト思ヒマス、國家ノ財源ト致シマシテモ、
之ニ課稅ヲセラレナイト云フコトハ、是ハ
國家的ニモ不利益デアルト思ヒマスカラ、
是等ノ點ニ付キマシテモ、將來ニ於テ十分
ニ一ツ御留意ヲ願ッテ、何レ酒造稅法ヲ根本
的御改正ニナル時モ遠クハナイト思ヒマス
カラ、是等ノ點ニ付テモ十分ナル御考慮ト
御心配ヲ願ッテ置キタイ、斯樣ニ思ヒマス、
私共ハ常ニ事情ニ多少精通シテ居リマスノ
デ、是レ以上ノ質問ハ致シマセヌ、本案ニ
對シテハ以上述ベテ私ノ質問ヲ終リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=7
-
008・岩本武助
○岩本委員長 板谷君ニ御諮リ致シマスケ
レドモ、參考資料ノ御要求デアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=8
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009・板谷順助
○板谷委員 サウデス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=9
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010・岩本武助
○岩本委員長 ソレデハ板谷君ニ發言ヲ許
ツコ大発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=10
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011・板谷順助
○板谷委員 參考書ノ提出ヲ政府ニ要求致
シマス、最近三箇年間ニ於ケル全國ノ燒酎
製造高竝ニ需要高ノ、道府縣別ノモノヲ要
求致シマス、ソレカラ國外ヨリノ輸入高、
以上ヲ要求シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=11
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012・中野種一郎
○中野委員 御序ニ現在ノ納稅資金ニ貸出
サレテ居リマスル額、組合竝ニ金高、之ヲ
興業銀行カラ御取寄セニナッテ御提出ヲ願
ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=12
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013・原吉郎
○原委員 只今本案ニ對シマシテ、中野委
員カラ詳細ニ亙ッテ御質問ニナリマシテ、之
ニ對シテ政府委員カラ御答ニナッテ居リマ
ス、大體私ノ伺ヒタイト思ヒマスコトモ盡
キタヤウデアリマスルガ、尙ホ重ネテ成べ
ク重複致シマセヌヤウナ範圍ニ於テ御尋ヲ
シタイト思ヒマス、多少重複スルカモ分リ
マセヌ、此案ノ中ノ原料品ト云フ中ニハ無
論燃料等ハ含ンデアルモノヽ如ク考ヘタノ
デアリマスガ、燃料ハ含ンデアルモノト思ッ
テ宜シイデスカ、ソレカラ加工ト云フコト
ハ、精米等ノ何デアリマシテ、酒類ノ製造
ト云フヤウナコトハ含ンデ居ナイモノト心
得テ宜シウゴザイマスカ、ソレヲ伺ヒマス、
ソレカラ終ヒニアリマス「組合ハ前項ノ事
業ニ併セ組合員ニ對シ其ノ營業ニ必要ナル
資金ノ貸付ヲ行フコトヲ得」トアリマスガ、
「前項ノ事業ニ併セ組合員ニ對シ其ノ營業ニ
必要ナル資金ノ貸付ヲ行フコトヲ得」ト云
フ意味ハ、共同施設ヲヤル組合ノ組合員ニ對
シテハ貸付ヲスルコトガ出來ルト、斯ウ云フ
意味デアリマスカ、共同施設ヲヤラヌ組合ノ
組合員ニハ貸付ヲセラレナイコトニナリマ
スカ、ソレカラ今一ツハ、此改正案ガ實施
サレマシタ以後ニ於キマシテハ、現在特殊
銀行タル興業銀行ヲ通ジテ組合員ガ貸付ヲ
受ケテ居リマスガ、ソレハ引續キ御許シニ
ナル御方針デアルカ、御禁止ニナル御方針
デアリマスルカ、其點ヲ一ツ御伺致シタイ、
ソレカラ御承知ノ通リ各府縣ニハ酒造組合
聯合會、及全國ニ中央會ガアルノデアリマ
スガ、是等ノ聯合會、中央會ノ事業モ、矢
張此法ノ支配ヲ受ケテ、此處ニ規定サレタ
ヤウナ仕事ヲヤッテ差支ナイノデアリマス
カ、是等ノ點ニ付テ重ネテ御伺ヲ致シタイ
ト思ヒマス、ソレカラ尙ホ之ニ關聯シマシ
テ私ノ希望ヲ述ベマシテ、併セテ政府委員
ノ御意思ノアル所ヲ御說明願ヘバ仕合セダ
ト思ヒマスガ、只今中野委員カラモ御尋ニ
ナリマシタ如ク、政府ニ於カレマシテハ、
近ク酒造稅法ノ根本的改正ヲ爲サル御意思
ガアルカナイカト云フ點デゴザイマス、二
億圓內外ノ多額ノ國稅ヲ負擔シテ居リマス
所ノ、此酒造業ノ盛衰ハ、我國ノ財政ノ上
ニ至大ノ影響ノアルコトハ中ス迄モナイ所
デアリマス、ソレ故ニ今囘此酒造組合法中
改正法律案ヲ御提出ニナリマシテ、此組
合法ヲ改正シ、組合ヲシテ十分ナル活動
ヲ爲サシメラレルト云フヤウナコトハ、
斯業ノ改善發達ヲ圖ル上ニ、又稅源涵養
ニ努メラレル上カラ言ヒマシテ、洵ニ結
構ナコトダト思フノデアリマス、併シ眞
ニ稅源ノ涵養ヲ圖リ、斯業ノ改善向上ヲ
期サウト致シマスナラバ、此酒造組合法
ノ改正ノ如キハ、第二義的ノ問題デハナ
イカト思ヒマス、私ハモット根本的ノ改正
ガ必要デハナイカ、卽チ酒造稅法ノ根本
的ノ改正ガ極メテ緊要ナコトデナカラウカ
ト思フ、御承知ノ通リ現行酒造稅法ハ、發
布サレマシテカラ大分ノ年月ガ經ッテ居リ
マス、今日ノ實情ニハ適シテ居ラナイ點ガ
多々アルノデアリマス、其主要ナ點ニ付キ
マシテハ、只今中野委員カラモ御述ニナリ
マシタ通リデアリマスガ、第一ニ各種ノ酒
ニ對スル課稅率ノ均衡ヲ得テ居ラヌト云フ
點デアリマス、是ハドウシテモ現在ノ實情
ニ卽シマシテ、能ク御〓究ノ上デ均衡ヲ得
ルヤウニ、一ツ改正シテ戴ク必要ガアルト
思フノデアリマス、試ミニ過去二十四箇年
間ノ各種酒類ノ課稅石數ノ消長ヲ、私ノ調
ベマシタモノニ付テ申上ゲマスレバ、大正
元年度ニ於キマシテハ、〓酒ノ課稅石數ハ
四百十二萬九千石デアッタノデアリマス、ソ
レガ昭和八年度ニ於キマシテハ、四百一萬
二千石ニ減ジテ居ルノデアリマス、此大正
元年ノ課稅石數ヲ基準百ト致シマスト、昭
和八年度ノ課稅石數ハ、其指數ガ九十七ニ
減ジテ居ルノデアリマス、又麥酒ハ大正元
年度ニ於キマスル課稅石數ガ十九萬六千石デ
アッタノデアリマス、然ルニ昭和八年度ニ於キ
マシテハ、九十五萬九千石ト云フ非常ナル
增加ヲ致シテ居ルノデアリマス、其指數ハ
百ニ對スル四百八十八ニ增加致シテ居リマ
ス、ソレカラ酒精含有飮料ハ、大正元年度
ニ於キマシテハ一萬五千石デアッタモノガ、
昭和八年度ニハ六萬石ニナッテ居リマス、先
刻政府委員ハ三萬石程度デアルヤウニ御話
ガアリマシタガ、私ノ調ニ依リマスト、六萬
石デアルヤウニ思ヒマス、其指數ハ四百九
十二デアリマス、又燒酎ハ大正元年度ニ於
キマシテハ、二十五萬七千石デアリマシタ
モノガ、昭和八年度ニ於キマシテハ五十二
萬八千石ニ激增シテ居リマス、其指數ガ二
百五ニナッテ居リマス、斯樣ナ工合デ、〓酒ヲ
除ク他ノ酒類ハ增加ヲ致シテ居リマスニモ
拘ラズ、人口ハ年一年ト非常ナ增加ヲ致シ
テ居リマスノニ拘ラズ、〓酒ハ段々減ッテ來
テ居リマス、固ヨリ一般經濟界ノ景氣、不
景氣、或ハ嗜好ノ變遷ト云フヤウナコトモ、
一ツノ大ナル原因デハアリマセウガ、ドウ
考ヘテモ是ハ課稅ガ當ヲ得テ居ラヌト云フ
コトガ、大ナル原因ノヤウニ考ヘラレルノ
デアリマス、デアリマスカラドウゾ先刻中
野委員モ御述ニナリマシタ如ク、是等ノ點
ニ付キマシテハ、急速ニ御調査ノ上、成べ
ク速ニ適切ナル一大改正ヲ希望致シタイト
思ヒマス、ソレカラ其次ハ、矢張先刻御述
ニナリマシタ通リニ酒稅納期ノ改正デアリ
マス、現行法ニ依リマスレバ、七月、十月、
二月、三月ノ四期ノ納期ニナッテ居ルノデア
リマス、併シ近來ハ一般ノ嗜好ガ段々向上
致シマシテ、此新酒ノ庫出ト云フノハ洵ニ
少イ、大多數ノ〓酒ハ十月以後ノ庫出ニナ
リ、サウ致シマスト七月、八月ノ納稅ノ如
キハ、當業者ガ未ダ庫出ヲ致シマセヌモノ
ヲ、立替ヘテ納稅ヲスルコトニナッテ居ル實
情デアリマスノミナラズ二月、三月ノ納稅
ハ、二月、三月ハ御承知ノ通リ、當業者ガ
釀造ヲ漸クニシテ終了致シマシテ、ソコヘ
以テ來テ總納稅額ノ二分ノ一ト云フ多額ノ
納付ヲ命ゼラレルト云フコトハ、非常ニ苦
痛ヲ感ズルノデアリマス、ソレガ爲ニ濫賣
者モ出來マシテ、色々無理ナ金融ヲヤラレ
ル等ノ爲ニ、斯業ノ發達ヲ非常ニ阻害シテ
居ルノミナラズ、業者モ是ガ爲ニ非常ニ迷
惑ヲ感ジテ居ルヤウナ實況デアリマス、是
ハドウシテモ先程中野委員カラモ御述ニナ
リマシタ如ク、今日ハ庫出課稅ニシテ戴キ、
而モ庫出ニ對シ、其以後二箇月位ノ猶豫ヲ
與ヘテノ庫出課稅ニシテ戴クノガ、極メテ
適當ノヤウニ考ヘマス、先程政府委員ニ於
カレマシテモ、ソレハ當業者中ニモ多少利
害ヲ異ニシ、意見ヲ異ニシテ居ル者モ、先
年ノ實況ニ依ッテ見ラレルノデアリマスカ
ラ、大ニ考慮ノ餘地ガアルト云フヤウナ御
答辯ノヤウデアリマシタガ、先年ハ左樣ノ
コトモアリマシタガ、今日デハモウ十分ニ
〓究シ盡サレマシテ、〓酒業者ノ大部分ノ
者ハ、今日庫出課稅ヲ希望シテ居ルヤウナ
次第デアリマスカラ、此點ニ付キマシテモ
十分御〓究ヲ願ヒマシテ、成ベク早ク此稅
法ノ根本的改正ヲ御願シタイト思ヒマス、
其他色々改正スベキ點ガアルト思フノデア
リマスガ、是等ニ對シマシテ重ネテ政府當
局ノ御方針、御意見ヲ伺フコトガ出來レバ
幸ヒデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=13
-
014・大矢半次郎
○大矢政府委員 御尋ノ第一點、原料品ノ
中ニ燃料ヲ含ムカドウカ、是ハ含ミマス、例
ヘバ石炭ノ如キハ、其原料品ノ中ニ入ッテ居
リマス、第二點、加工ハ精米事業ガ入ッテ居
ルコトハ明ニサレタケレドモ、酒類ノ製造
ヲ含ムカドウカ、是ハ酒類ノ製造ハ含ミマ
セヌ、ソレカラ第三ニ貸付ノコトデアリマ
スガ、「前項ノ事業ニ併セ」ト云フノハドウ
云フ意味カ、是ハ組合ハ共同施設ヲセズニ、
單ニ貸付ノミヲ致スト云フコトハ出來ナ
イ、各種ノ共同施設ヲヤルニ際シテ貸付ノ
必要ガ生ジタ場合ニ、其共同施設ト併セテ
組合員ニ貸付ヲスルコトハ出來ル、斯ウ云
フ趣旨デアリマス、併ナガラ現在ノ狀況カ
ラ致シマスレバ、各組合モ此一號、二號ニ
書イテアル共同施設ノ何レカノ一ツ、或
ハ數種ハヤッテ居ルノデゴザイマス、隨テ貸
付ヲヤリ得ナイ組合ト云フモノハ實際ニ於
テハアリマセヌ、ソレカラ第四ノ、現今特
殊銀行ヲ通ジテ貸付ヲシテ居ルモノハ今後
モ引續キスルカドウカ、是ハ先程中野サン
ノ御尋ニ對シテ御答シテ置キマシタ通リ、
數年前業界ノ非常ニ不況ナ場合ニ、ロケ
便宜ト致シマシテ斯ウ云フ途ヲ開イタノデ
アリマシテ將來永ク繼續シテ行カウト云フ
考ハ今ノ所有ッテ居リマセヌ、併シ現ニ借入
ヲ爲シテ居ル者ニ對シテ、直チニ其貸付ヲ
廢止スルノハ、相當支障ガアルダラウト思
ヒマシテ、此點モ十分考慮シテ行ク積リデ
アリマス、ソレカラ第五點、酒造組合聯合
會ニ於テハ、此改成案ニ揭ゲテアルヤウ
ナ、共同施設ハヤリ得ルカドウカト云フコ
トデアリマスガ、酒造組合聯合會ハ御承知
ノ通リ、其所屬組合ノ連絡統一ヲ圖ルノヲ主
タル目的ニシテ居ルノデアリマシテ、斯ウ
云フ事業ヲ色々致スコトハ、其本來ノ目的
デハナイト思フノデアリマス、隨テ此度ノ
改正案ニ於キマシテハ、聯合會ニ付テハ特
ニ斯ウ云フ規定ヲ設ケナカッタノデアリマ
ス、併シ今囘ノ改正案ハ、要スルニ酒造組合
ガ從來モ酒類製造業ノ改良發達ヲ圖ル目的
ノ下ニヤリ得ル各種施設ヲ、法規ノ上デ明
示シタニ過ギマセヌカラ、酒造組合聯合會
ニ於テモ、共同施設ハ全クヤリ得ナイトハ
解釋シテ居ナイノデアリマシテ、例ヘバ〓
究、調査ト云フヤウナ施設ハヤッテ差支ナ
イ、斯ウ解釋シテ居リマス、次ニ酒造稅法ノ
改正ヲ爲ス考ガアルカドウカ、稅率ノ點納
期ノ點、或ハ酒類ノ定義、ソレカラ酒類販
賣業ヲ免許制度ニ改メルコトヲ爲ス意思ガ
アルカドウカト云フコトヲ、色々計數ヲ擧
ゲテノ御尋デアリマシタ、其擧ゲラレマシ
タ計數ハ、全ク御說ノ通リデアリマスガ、
唯其中ノ一點私ガ先程中野サンニ對シテ御
答シタ中、酒精含有飮料ガ三萬石內外ニ過
ギナイ、斯ウ云フ風ニ說明シタカノ如ク仰
セデアリマシタガ、酒精含有飮料ノ中〓酒
ニ類似シテ居ル、所謂新清酒ニ付テハ大體
三萬石內外デ、現在ノ〓酒製造高ノ一%ニ
モナラナイ、斯ウ申上ゲタノデアリマス、此
稅率、納期ノ點ニ付キマシテモ、先程中野サ
ンノ御尋ニ對シテ私ハ御答致シテ置キマシ
タガ、政府ト致シマシテモ、是等ノ點ヲ十
分調査考究シテ居ルノデアリマシテ、近ク
國稅地方稅ヲ通ジテ、一般稅制整理ヲ致ス
際ニ於テ、十分考慮スル積リデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=14
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015・原吉郎
○原委員 詳細ナル御答辯ヲ得マシテ洵ニ
能ク分リマシタ、尙ホ重ネテ一寸伺ヒマス
ガ、尙ホ其外ニ聯合會デ組合員ノ製品ノ保
管及販賣ト云フヤウナコトヲヤリ得ルカ得
ナイカ、現ニヤッテ居ル所モアルカト思フ
ノデアリマスガ、其點ハ如何デスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=15
-
016・石渡莊太郎
○石渡政府委員 今囘ノ共同施設ニ關スル
規定ハ特別ノ條文ヲ以チマシテ酒造組合ニ
之ヲ規定致シマシタ、併シ此中ニハ當然規
定致サナクテモ、酒造組合ノ性質上、又聯
合組合ノ性質上出來ルコトハアルト思ヒマ
ス、只今御話ノ點ニ關シマシテハ、從來モ
ヤッテオ出デニナッタコトデアリマスシ、其
事ハ今囘ノ條文ノ改正ヲ俟タズトモ、出來
得ルモノト存ジテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=16
-
017・原吉郎
○原委員 段々ノ御答辯ニ依リマシテ、能
ク諒承致シマシタガ、ドウゾ政府ニ於カレ
マシテハ、近キ將來ニ於キマシテ酒造稅ノ
根本的改正ヲ爲サイマシテ、眞ニ酒造業ノ
向上發展ノ爲ニ御心配下サルヤウニ希望ヲ
述ベマシテ、私ノ質問ヲ打切リタイト思ヒ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=17
-
018・岩本武助
○岩本委員長 午後一時半マデ体憩致シマ
ス
午後零時二十一分休憩
午後一時五十八分開議発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=18
-
019・岩本武助
○岩本委員長 休憩前ニ引續キ會議ヲ開キ
マス-中野君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=19
-
020・中野種一郎
○中野委員 午前中ニ資料要求ヲ致シマシ
タ其外ニ、〓酒ノ過去三年間ノ釀造石數ノ
御調査ノ御報告ヲ願ヒタイト思ヒマス、各
酒造組合別、府縣別、是ダケ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=20
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021・岩本武助
○岩本委員長 板谷君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=21
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022・板谷順助
○板谷委員 私ハ同ジ酒類ニ屬シテ居ル所
ノ燒酎ノ問題ニ付テ、政府ノ意ノアル所ヲ
御伺シタイト思フノデアリマス、近年ノ酒
類ノ賣行ノ情勢ヲ見マスト、年々燒酎ノ需
要ガ非常ニ增加シツヽアル傾向デアルニモ
拘ラズ、之ニ對スル製造ノ制限ヲ爲スッテ
居ルノデアリマスルガ、是ハ如何ナル法規
ニ依ッテ御ヤリニナッテ居ルノデスカ、其根
據ヲ一ツ伺ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=22
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023・石渡莊太郎
○石渡政府委員 燒酎ノ此近年ノ造石高ト
申シマスモノハ、昭和六年酒造年度、是八
〓酒モ同樣デアリマスルガ、昭和六年度ガ
一番減ッテ居ルト思ヒマス、昭和七年、八年
ニ至リマシテ、幾ラカ增シテ來テ居ルト思
ヒマス、ソレカラ本年ハサウ增セズ、或
寧ロ昨年ヨリモ減少スルノデハナカラウ
カ、斯ウ見テ居リマス、豫算ニ於テモ、〓
酒ニ於キマシテモ、燒酎ニ於キマシテモ、
今年ハ減收ヲ見込ンデ居ルト思ヒマス、サ
ウ燒酎ダケ特別ニ需要ガ殖エテ居ルモノト
ハ思ヒマセヌ、此燒酎ノ造石制限ト云フコ
トハ、是ハ大藏省トシテハ別ニ制限ハシテ
居ラヌノデアリマスガ、當業者ガ需要供給
ノ關係上、自ラ制限シテ居ルコトヽ斯ウ
思ッテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=23
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024・板谷順助
○板谷委員 政府當局ノ御答辯ハ、實ニ其
意ヲ得ナイ譯デアリマスガ、一例ヲ申上ゲ
マスト、北海道ニ於ケル所ノ造石高ハ、約
二萬八千石デアリマス、併ナガラ之ニ對ス
ル需要ガ、恐クハ三萬四五千石アルノヂヤ
ナイカト豫想ヲシテ居ルノデアリマスガ、
現在北海道ニ於ケル實情ヲ申上ゲマスト云
フト、從來燒酎製造業者ガ非常ニ不況ニ陷ッ
テ、稅金ナドモ大分滯ッテ居ッタ時代ガアッ
タ、其關係カラシテ官廳トシテハ之ニ合同
ヲ奬メタ、合同ガ成立シテ、或ル程度マデ
シカ許サナイト云フ方針ノ下ニヤラレタト
云フコトハ其當時ノ情勢ニ於テ已ムヲ得
ヌコトヽ考ヘテ居ッタノデアリマスルガ、此
合同酒造會社ガ最近六箇年ニ於テ、百二十
萬圓ノ資本デ以テ、約八十六萬圓ノ利益ヲ
擧ゲテ居ルノデアリマス、又此會社ガ非常
ニ不況ニ陷ッタ際ニ、五十圓拂込ノ株ヲ六七
圓乃至十圓位ノ程度デ大部分個人ガ集メ
テ、殆ド今日デハ北海道ニ於ケル合同燒酎
ト云フモノハ、個人ガ半數以上ヲ持ッテ非常
ナ暴利ヲ貪ッテ居ルノデアリマス、只今政府
當局ノ御答辯ニ依リマスト、別ニ官廳トシ
テ制限シタノデナク、當業者ガ自制的ニヤッ
タト云フノデアルガ、ソレハサウデハアリ
マセヌ、今申上ゲルヤウニ、北海道ノ燒酎
ノ現在ノ供給高ト云フモノハ、マダ需要ニ
充チルダケ造ッテ居ナイノデアリマス、當業
者ハ非常ニ望ンデ居ル、又一面ニ於テ北海
道ノ是ガ拓殖ノ財源ニナル、其關係カラシ
テ吾々ハ少クトモ北海道デ需要スルダケ
ハドウシテモ造ラシテ貰ヒタイト云フコ
トヲ、昨年來屢〓當局ニ話ヲスルノデアリマ
スルガ、一向之ニ對スル所ノ要領ヲ得ナイ
ノデアリマス、又成程法規ノ上カラ、恐ク
ハ之ニ對スル制限ヲ加へルト云フコトハ、
官廳トシテハ出來ヌデアリマセウ、併ナガ
ラ燒附ヲ製造セントスル者ハ、皆〓酒ヲ造ッ
テ居ル關係カラシテ、監督官廳ガ之ニ干涉
シテ、萬一燒酎デモ造リタイト云フ話ヲス
ルナラバ、所謂江戶ノ敵ヲ長崎デ討ツト云
フヤウナ、報復的ニ何カヤラレルダラウト
云フ心配カラシテ、躊躇シテ居ルト云フヤ
ウナ實情デアリマスルガ、今御話ノ如ク法
規ニ於テ何等禁ズルト云フコトガナイト致
シマシタナラバ、出來ルダケ-勿論認可
ヲ得、或ハ又之ニ當嵌ッタ條件ト云フモノモ
アリマセウケレドモ、造ルト云フコトニ付
テハ御異存ハナイノデアリマスカ、其點ヲ
一ツ伺ッテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=24
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025・石渡莊太郎
○石渡政府委員 燒酎ノ造石ノ問題ニ付キ
マシテハ、餘程是ハ沿革的ノ問題ガ多イノ
デゴザイマス、御承知ノ通リ大正七八年度
ノ非常ナ好景氣ノ際ニ、各地方ニ於キマシ
テ燒附會社ガ濫設致シマシテ、其後ヲ承
ケマシテ非常ナル不況ニ沈淪致シマシテ、
其爲ニ稅務署ニ於キマスル各納稅額等ニ於
キマシテモ、非常ナ缺損不納ヲ生ジマシテ、
非常ニ苦ンダノデアリマス、其一例ト致シ
マシテハ、每年決算委員會ニ於キマシテ御
叱リヲ受ケテ居ルヤウナ問題モゴザイマ
ス、ソレデ稅務當局ト致シマシテモ、此調
子デ變化シテ行ッテハ是ハ堪ラナイ、ドウモ
稅金ガイザト云フ場合ニ殆ド皆取レナクナ
ルヤウナコトガ起ッテハ、事容易ニ非ズト云
フコトヲ以チマシテ、認可ニ付キマシテハ
出來ルダケ確ッカリシタモノニ認可シタイ、
斯ウ云フ方針ヲ執ッテ居リマス、併シ其認可
ヲ受ケタ當業者ガ、幾ラノ燒酎ヲ造ルカト
申シマスルコトハ、是ハ燒酎業者ガ集リマ
シテ、今日非公式ノ會ヲ組織シテ居ルノデ
アリマシテ、大體ソレニ於キマシテ、箇
年幾ラ造石スルト云フコトヲ決メテ居ル模
樣デゴザイマス、隨ヒマシテ認可ヲ受ケマ
シタ各社ノ造石數ニ付キマシテハ、大體其
造ル者ノ御互ノ協定ニ委セテゴザイマス、
唯稅務官廳ト致シマシテハ、或ル特殊ノ會
社ニ於キマシテハ、此會社ガ資產狀態、經
營者如何ニ依リマシテ、將來稅金ヲ取ルコ
トガ危イト云フヤウナ感ジノ致シマスモノ
ニ付キマシテハ、是ハ特別ナル注意ヲ致シ
テ居ルノデアリマスガ、大體ニ於キマシテ
當業者ノ制限ニ委シテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=25
-
026・板谷順助
○板谷委員 ドウモ要領ヲ得ナイ御答辯デ
アリマス、當業者ノ意嚮ヲ聽イテ、ソレニ委
セルト云フヤウナ御話デアルガ、當業者ト
シテハ出來ルダケ其仕事ガ獨占的ニナッテ
-他ニ競爭者ガ出來ルト云フコトハ勿論
望マヌ、其關係ニ於キマシテ、當業者ガ或
ル程度マデ制限ヲシテ貰ヒタイト云フコト
ハ當然デアリマス、併ナガラ政府ノ當局ト
シテハ大局カラ見テ、實際ノ需要ガ相當ニ
アッテ、供給ガソレニ伴ハナカッタナラバ、卽
チ認可ヲスルト云フコトニ付テモ、相當ノ
資格條件ヲ具ヘタナラバ、ソレニハ必ズ許
スベキ筋合ノモノデアル、然ルニ事實ニ於
テ之ヲ認可セヌト云フ實情デアリマス、今
アナタノ御話ハ、當業者ノ自制ダト云フ御
言葉モアリ、又認可ニ對スル或ル程度ノ制
限デモヤッテ居ルヤウナ御言葉モアッテ、要
領ヲ得マセヌガ、一體ドウナンデスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=26
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027・石渡莊太郎
○石渡政府委員 新式蒸溜機ヲ持ッテ致シ
マスル所ノ燒酎ニ付キマシテハ、是ハ出
來ルダケ認可ニ付テ愼重ナル態度ヲ執ッテ
居リマス、絕對ニ認可ヲ致サナイト云フコ
トハ、是ハ仰シヤル通リ出來マセヌ、ソレ
デ出來ルダケ堅實ナ會社ニ對シテ認可シテ
行クト云フ方針ヲ執ッテ居リマス、此事ハ北
海道ニ於キマシテ、最近ニ於キマシテ一社
認可致シマシタ、決シテ認可ヲ致サナイト
云フノデハゴザイマセヌガ、從來ノ關係ニ
顧ミマシテ、從來ノ關係ト云フノハ、從來
屢〓會社ガ倒レル、稅金ハ未納ニナルト云フ
ヤウナ事實ニ鑑ミマシテ、堅實ナルモノニ
許スト云フ方針デ進ンデ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=27
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028・板谷順助
○板谷委員 昨年北海道ニ新シク一會社ガ
出來タト云フコトモ、私ハ承知シテ居リマ
ス、是ハ吾々ガ大藏當局ニ向ッテ、如何ニモ
甚ダ不都合デアル、兎ニ角法ノ命ズル所ノ
ナイモノヲ、無暗ニ內訓ヲ發シテ之ヲ禁止
サレ、或ハ制限ヲ加ヘルト云フコトハ、甚
ダ不都合デアルト云フヤウナ意味ニ於テ御
許ニナッタラウト思フ、併ナガラ今申上ゲマ
シタヤウニ、北海道ノ拓殖財源ト云フモノ
ハ、斯ウ云フ方面ガ段々增加シテ來ナケレ
バ、北海道ノ有ユル仕事ヲスル上ニ於キマ
シテ非常ニ支障ガ來ル、其意味カラシテ、
私共ハ北海道ニ於ケル需要ダケハ是非トモ
北海道デ造ラシテ貰ヒタイ、是ガ本筋ヂヤ
ナイカト思フ、別ニ制限ヲ加へタト云フ意
味ハナイノデアリマスケレドモ、各地ニ於
ケル-恐クハ全國デモサウダラウト思ヒ
マスガ、現ニ北海道ノ稅務監督局ニ對シテ
モ內訓ヲ出シテ、サウシテ制限ヲ加ヘルト
云フヤウナ事實ガアルト云フノデアリマス
ガ、ソンナ事實ハナイノデアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=28
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029・石渡莊太郎
○石渡政府委員 內訓ヲ出シテ、總テニ制
限ヲ加ヘルト云フヤウナコトノ內訓ハゴザ
イマセヌ、唯先程モ申シマシタ通リ、出來
得ル限リ免許ヲ愼重ニ致スト云フ申合ハゴ
ザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=29
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030・板谷順助
○板谷委員 免許ヲ愼重ニスルト云フガ、
酒造法ノ法文カラ言ヒマスト、一定ノ資格
アル者ガ屆出タ場合ニハ、必ズ之ニ許可セ
ネバナラヌヤウニ吾々ハ解釋シテ居ルノデ
アリマスルガ、然ルニ願出テモソレヲ許サ
ヌ、或ハ條件ガ相當具備シテ居ッテモ許サ
ヌト云フノハ、一體ドウ云フ譯デアリマス
カ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=30
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031・石渡莊太郎
○石渡政府委員 酒造法ノ施行規則ニ於キ
マシテ免許ヲ與ヘナイト云フ場合ハ、詰リ
稅務署ノ取締上免許ヲ與フルニ不適當ト認
メルモノハ、免許ヲ申請シテ來タ場合デモ、
之ニ免許ヲ與ヘナイト云フコトニナッテ居
ルノデアリマス
〓板谷委員ドウモ局長ノ御答辯ハ、甚ダ
私共要領ヲ得ナイヤウニ考ヘマスガ、現
大藏省カラ內訓ガ出テ居ルノデアリマス、
ソレハ札幌ノ稅務監督局長モサウ言ッテ居
ル、ドウモ此上燒酎ヲ殖ヤサレルト云フコ
トハ、現ニヤリツヽアル所ノ業者ニ打擊ヲ與
ヘルト云フヤウナコトヲ言ッテ居ルノデア
リマス、事實サウ言ッテ居リマス、デアルカ
ラシテ今御答辯ノヤウナコトデアルナラ
バ、私ハ更ニ一ツ內訓ヲ御出シ願ッテ、北海
道ニ於ケル所ノ燒酎業者ガ、相當資格アル
者ナラバ、之ニ許シテオヤリニナル御意思
ガアリマスカ、ドウデスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=31
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032・石渡政府委員
○石渡政府委員 サウ云フヤウナ內訓ハア
リマセヌカラ出ス譯ニ參リマセヌ、唯北海
道ノ事ニ付キマシテハ、主稅局ト致シマシ
テモ十分考慮シテ居リマス、十分考慮シテ
居リマスカラ、昨年モ一社許可致シタヤウ
ナ次第デゴザイマシテ、將來北海道ノ需給
關係ニ於キマシテハ、十分考慮致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=32
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033・板谷委員
○板谷委員 十分考慮スルト云フ御言葉
ハ、聽ケバ或ル程度マデノ滿足ヲ得ラレル
ヤウナ結果ニナリマスケレドモ、實情ガ唯
形式的デアッテ、事實ニ於テ造ラシテ居ラヌ
ト云フ情勢デアリマスカラシテ、今御答辯
ノ如ク、燒酎ノ釀造ニ付テハ、之ヲ禁止ス
ベキ、或ハ制限ヲ加ヘル何等ノ法規ハ無イ
ノデアル、斯ウ云フ御話デアルカラシテ、
今ノ御答辯ニ基イテ、私共ガ將來北海道ニ
於テ、相當ノ資格ノアル者ガ願出タ場合ニ
於テハ、必ズ是ハ許可サレルベキモノデア
ル、斯ウ信ジテ差支アリマセヌカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=33
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034・石渡政府委員
○石渡政府委員 是ハ必ズ許可致スト云フ
コトハ、一寸申上ゲ兼ネルカト思フノデア
リマス、北海道ノ燒酎ニ付テハ、特別ニ關心
ヲ持ッテ居リマスカラ考慮ハ致シマス、併シ
願出タ者ニ付テ必ズ免許ヲ致スト云フコト
ハ、是ハ一寸御引受ケ兼ネルカト思フノデ
アリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=34
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035・板谷委員
○板谷委員 私ハ考慮スルトカ、或ハ必ズ
免許ヲ與フベキコトヲ御引受スルコトノ出
來ヌト云フコトノ、御答辯ヲ爲サルベキ筋
合ノモノヂヤナイト思ヒマス、別ニ釀造ニ
付テ、今申上ゲルヤウニ何等法ノ禁止ト云フ
コトモナシ、制限ヲ加ヘルト云フコトモナ
イノデアリマス、唯大藏省內ニ於テ、從來ノ
營業者ヲ保護センガ爲ニ、其爲ニ內規ヲ設
ケテオ出デニナルノデアリマス、デアルカ
ラシテ、酒造法ノ規則ニ依ッテ資格ノアル者
ガ願出ルノニ、ソレヲ許サヌトカ、考慮ス
ルトカ、或ハ必ズ許可スルト云フコトノ御
引受ハ出來ヌト云フ御答辯ハ、私ハナッテ居
ナイヤウニ思ヒマスガ、モットハッキリシタ
御答ヲ願ヒタイト思ヒマス、若シ愈〓許サナ
イナラバ許サレナイ、或ハ制限ヲ加ヘルノ
ナラ加ヘルト云フコトヲ、ハッキリ仰シヤッ
テ戴キタイ、若シサウデナイナラバ、此規
則ニ基イテ願出タ者ガアルナラバ、是ハ必
ズ許スベキモノデアル、私ハサウ解釋シテ
居ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=35
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036・石渡政府委員
○石渡政府委員 免許ニ付テ決シテ許サナ
イトハ申シテ居ラナイノデアリマス、其事
ハ現ニ昨年モ屢〓申上ゲタ例モアルノデア
リマス、決シテ將來北海道ニ新シイ燒酎業
者ヲ許サヌト云フコトハ申上ゲテ居ル譯デ
ハゴザイマセヌ、唯願出タ場合ニ必ズ許ス
カドウカト云フ點ニ付キマシテハ、願出ガ
アルナラバ必ズ免許スルト云フコトハ申上
ゲ兼ネルト思フノデアリマス、ソレハ免許
シナイ所ノ條件ガアルノデゴザイマスカ
ラ、免許シナイ所ノ條件ニ當嵌ルヤウナモ
ノニ付キマシテハ、是ハ免許致シマセヌノ
デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=36
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037・板谷委員
○板谷委員 餘リ諄イヤウデアリマスケレ
ドモ、私ハ現ニ北海道ニ於ケル所ノ燒酎業
者ガ非常ニ暴利ヲ貪ッテ居ル、其關係カラシ
テアナタニ伺ッテ居ルノデアリマス、ダカラ
シテ從來ノ營業者ヲ飽マデ保護スルト云フ
ヤウナ現在ノ情勢ニナッテ居ルノデアルカ
ラシテ需要ダケノモノヲ造ラセルト云フコ
トニ付テハ、詰リ法ノ命ズル所ニ依ッテ、資
格アリ、法ニ當嵌マル者ハ、ソレハ許シテ
差支ナイト云フコトヲ、御答辯ニナッテモ差
支ナイト思フ、若シサウデナイトスルナラ
バ、今申上ゲルヤウニ大藏省ノ內規ニ於テ、
是レ以上ハモウ許サヌノデアルト云フ風ニ
御決メニナッテ居ルト云フコトガ、如何ナル
根據ニ依ッテソレヲ御決メニナッテ居ルノ
カ、モットハッキリ御答辯ノ出來ル筋合ノモ
ノヂヤナイカト思ヒマス、何モアナタ御役
所ノ手加減ニ依ッテ、其自由ニ判斷シテ、許
スカ許サヌト云フ筋合ノモノヂヤナイ、
定ノ基準ト云フモノガアリマス、其基準ニ
依ッテ願出テ居ルモノヲ、御差止ニナル理由
ガ何處ニアリマスカ、引受ケラレナイト云
フ御言葉ハ、一寸私受取リ兼ネル、卽チア
ナタ御役所デ何モ彼モ許可、認可ノ權利ヲ
御有チニナッテ、自由ニ判斷シテ、サウシテ
世間ノ經濟的ノ情勢ヲ御考ニナラヌデ御ヤ
リニナルト云フコトハ、其衝ニ當ッテ居ル方
方ノ處置トシテハ、私共不滿ナノデアリマ
ス、ドウ云フ點カラ必ズ引受ケガ出來ヌト
云フ御言葉ガ出ルノデアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=37
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038・石渡莊太郎
○石渡政府委員 稅務署ニ於キマシテ、取
締上免許ヲ與ヘルニ不適當ト認ムルモノ、
斯ウ云フモノニハ免許ヲ與ヘル譯ニハ行カ
ヌダラウト思フノデアリマス、殊ニ只今御
話ノアリマシタ通リ、北海道ノ砂糖ノ經營
ニ致シマシテモ、北海道ノ砂糖ト云フモノ
ハ實ハ隨分此方ヘモ參ルノデゴザイマシ
テ、必シモ北海道ノ自給自足ト云フコトハ
出來ナイノデアリマスカラ、隨テ必ズ北海
道ノ自給自足ニナルマデハ、北海道デ作ラ
ナケレバナラヌト云フコトハ、如何ナモノ
カト實ハ思フノデアリマスガ、ソレハ矢張
オ互ニ交通致シマシテ、一方ノ物ハ一方ニ
行ク、北海道ノ砂糖モ亦此方ヘ來ルト、斯
ウ云フ譯合ノモノヂヤナイカト思フノデア
リマスガ、北海道ニ付キマシテハ、地方費
ト致シマシテ將來十分ニ考究ハ致シマス、
考ヘマス、併ナガラ必ズ願出タ者ニ對シテ
免許ヲシロト仰シヤルコトハ、是ハ少シ難
カシイノデハナカラウカト思フノデアリマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=38
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039・板谷順助
○板谷委員 ドウモ石渡サン、アナタノ御
答辯ハ何デスネ、矢張言ハズ語ラズノ間ニ、
北海道ニハ制限ヲ加ヘテ、是レ以上ハ造ラ
サセナイノダト云フコトニ落チガ行クノヂ
ヤナイカト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=39
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040・石渡莊太郎
○石渡政府委員 決シテサウ申シテ居ル譯
デハゴザイマセヌ、北海道ニハ特別ニ燒酎
ニ付テハ、却テ他ノ地方ヨリハ好意ヲ以テ
考ヘル、斯ウ申上ゲテ居ルヤウナ次第デア
リマシテ、決シテ北海道ダケヲ他ノ地方ト
引離シテ、特別ニ北海道ニ對シテ制限ヲ加
ヘルト云フ考ハ毛頭有ッテ居リマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=40
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041・板谷順助
○板谷委員 好意ヲ有ッテ考ヘルト云フ御
言葉ハ有難イガ、好意ヲ有ッテ考ヘルト云
フ筋合ノモノヂヤナイト思ヒマス、今申上
ゲルヤウニ一定ノ、詰リ認可ヲ與ヘルコト
ニ付テハ基準ガアッテ、其基準ニ當嵌ッタモ
ノデアルナラバ、誰ニモ許スト云フ筋合ノ
モノヂヤナイカ、好意ヲ有ッテヤルトカ、ヤ
ラヌトカ、ソンナ薄弱ナモノヂヤナイト思
ヒマス、法規ニ基イテ出願者ガアリ、ソレ
ガ相當ナ資格デアッタナラバ、ソレニハ許ス
モノデアル、斯ウ云フ風ニ私ハ御答辯ヲ、
アナタノ御答辯ヲ申上ゲテハ變ナコトデア
リマスケレドモ、サウ御答辯ハ願ハレマセ
ヌカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=41
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042・石渡莊太郎
○石渡政府委員 法律的ニ申シマスレバ、
私ガ先程カラ申シテ居リマス通リ、稅務署
ニ於テ取締上免許ヲ與ヘルノニ不適當ナモ
ノト、斯ウ認メタモノニハ免許ヲ致サヌト
云フコトノ方ガ、法律的ニ行ケバソレデ宜
イノダト思フノデアリマス、唯其爲ニ非常
ニ此免許出願者ガ餘計アリマシテ、其結果
ガ非常ナ生產過剩ニナリ、濫賣ニナリ、其
結果倒產スルト云フヤウナ結果ニナリマシ
テ、此十二三年來非常ニ稅務官廳ト致シマ
シテ、執行上苦イ經驗ヲ甞メタモノデゴザ
イマスルカラ、隨ヒマシテ出來ルダケ堅實
ナモノニ、將來注意シテ行カウヂヤナイカ、
倒產スレバ互ニ、當業者モ迷惑スレバ、國
家モ非常ナ迷惑スルト云フヤウナ場合ヲ考
慮致マシテ、出來ルダケ堅實ナモノニシテ
行カウヂヤナイカト、斯ウ云フ方針ヲ執ッ
テ居ルノデゴザイマス、隨ヒマシテアナタ
ニ此場合御答致シマスコトモ、法律上ノ問
題トシテハ、アナタガ只今答ヘタラ宜イヂ
ヤナイカト仰シヤル通リノコトデ、私モ通
リ一遍ノ答辯ヲ致シマスナラバ、ソレデ結構
ダト思ヒマスルガ、唯法制上ノ實際上ノ必
要カラ生ジマシタ扱ト致シマシテハ、出來
ルダケ免許ニ向ッテハ、愼重ナ態度ヲ執ッテ
行カウト云フヤウナコトニ致シテ居リマス
ノデ、其事ヲ分ケテ御諒解ヲ願ヒタイト思
フノデゴザイマス、決シテ免許ヲ致サナイ
ト、斯ウ云フコトヲ申上ゲテ居ル譯デハゴ
ザイマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=42
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043・板谷順助
○板谷委員 サウスルトモウ一遍確メテ置
キマスガ、法律的カラ言ッタナラバ一定ノ
基準ニ基イテ、資格アル者ニハ、必ズ許ス
ノデアル、斯ウ私ハ解釋ヲ致シテ居リマス、
卽チ私ノ申上ゲタル質問ニ對スル御答辯ガ
ハッキリシテ居リマス、併ナガラ需要供給ノ
關係ニ於テ、其官廳ニ於テ斟酌スルト云フ
御言葉ガアリマシタガ、併ナガラ此經濟上
ノ情勢ニ付テハ、サウ役所ノ方デ御心配ニ
ナラヌデモ、何モ其當業者ガ商賣ニナラヌ
モノヲ無暗ニ增石シテ、生產過剩ニナッテ、
ソレガ爲ニ困ルヤウナコトハ取リハシナ
イ、現在北海道ノ實情ヲ申上ゲマスルト云フ
ト、三萬四五千石ノ需要ノアル所へ、現在
造ッテ居ルモノガ二萬八千石デ、マダ七千
石餘リ足リナイノデアリマス、又從來ヤッ
テ居ル當業者ノ仕事ガ獨占的ニナッテ、先程
申上ゲマスルヤウニ、百二十萬圓ノ資本デ
六箇年ノ間ニ八十六萬圓ノ利益ヲ擧ゲタ、
如何ニモ不當デアル、不當デアルカラシテ、
是等ニ獨占的ニ委セズ、又一面カラ見マス
ト云フト、北海道ノ拓殖財源ニ充テナケレ
バナラヌノデアルカラ、出來ルダケ稅ノ收入
ヲ圖ル必要モアル、斯ウ云フ實情デアリマ
スガ、法律的デハ無論私ノ意見ニ御同意ノ
ヤウデアリマスガ、又實際上ノ需要供給ノ
關係ニ於テモ御同感デアリマスカ、ドウデ
スカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=43
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044・石渡莊太郎
○石渡政府委員 需要供給ノ關係ニ於キマ
シテ、北海道ニ於キマスル燒酎ガ內地カラ
行キ、之ヲ補ッテ居ルト云フコトハ事實デゴ
ザイマセウガ、ソコハ先程モ申上ゲマシタ
通リ、北海道ガ必ズソレダケノ燒酎ヲ造ラ
ナケレバ、自給自足ガイカヌト云フ譯デハ
ナイノデアリマシテ、隨ヒマシテ北海道ノ
拓殖財源ニナッテ居ル所ノ砂糖ニ致シマシ
テモ、此方ヘ持ッテ來テ消費致スノデアリマ
スカラ、是ハ矢張全國的ノー-一府縣トシ
テノ北海道ヲ御覽願ヒタイト思フノデゴザ
イマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=44
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045・板谷順助
○板谷委員 御說ノ如ク北海道ニハ、現在
供給ガ需要ヲ滿タスダケマダ出來テ居ラヌ
爲ニ、內地カラ相當入ッテ居ルノデアリマス
ガ、北海道ハ御承知ノ通リ澱粉ノ粕ヲ利用
シテ、廢物利用ト云フ程ニマデ行キマセヌ
ガ、兎ニ角北海道デ生產シタモノヲ以テ燒
附ヲ造ルノデ、マダ餘裕ガ澤山アルノデア
リマス、デアルカラシテ御言葉ノ通リ北海
道ニ於テハ、現在ニ於テ足ラヌト云フコト
ガ、能ク御分リニナッテ居ルノデゴザイマス
カラ、考慮スルト云フコトダケデナク、吾
吾ノ要求ト致シマシテハ、其法ノ命ズル所
ニ依ッテ相當ニ資格アルモノニ付テハ必ズ
御許シ下サルト云フコトノ、一ツ御同意ヲ
此際御願致シテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=45
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046・石渡莊太郎
○石渡政府委員 法定條件ノ具備ニ付キマ
シテハ、具體的ノ問題ニ付テ考慮致シタイ
ト思ヒマスガ、出來ルダケ好意ヲ有ッテハ
考ヘマス、其事ハ先程モ申上ゲタ通リデゴ
ザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=46
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047・板谷順助
○板谷委員 ソレデハドウカアナタノ今ノ
御答辯ノ趣ヲ、札幌ノ稅務監督局ノ方ニ御
通達ヲ願ッテ置キタイト思ヒマス、私ノ質
問ハ是デ止メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=47
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048・森田福市
○森田委員 一寸今二三聽イテ見タイノデ
アリマスガ、是ハ利得稅ヤ鐵ノヤウニ喧マ
シイ問題デハナイ、簡單ナ問題デス、其積
リデ-此改正法ヲ見ルト、產業組合法ニ
依ルノデハナク、是ハ工業組合法トカ何ト
カニ依ルノダト言フガ、要スルニ此商人ガ扱ッ
テ居ル酒造器具デアルトカ、材料ヲ其酒造
組合ニ取扱ハセヨウ、仕入ヲシテ酒造家ニ
販賣サセヨウト云フノデアルカラ、隨テ從
來斯ウ云フモノヲ扱ッテ居ッタ商人ハ迷惑ス
ルコトニナルト思フガ、如何デアリマセウ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=48
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049・石渡莊太郎
○石渡政府委員 商人ハ格別迷惑致サヌト
思フノデゴザイマス、ソレハ購買致スノニ
付キマシテ、共同購買、又ハ共同販賣所ヲ
設ケルト云フヤウナコトニ相成ルノデゴザ
イマスルガ、或ハ多少ハ影響ハアルカモ分
リマセヌガ、大シタ影響ハナイト思フノデ
ゴザイマス、結局商人カラ共同購入ヲ致ス
コトニ相成ルト思ヒマス、又實際此法規ヲ
設ケマセヌデモ、場合ニ依リマシテハ酒造
家ガ工業組合ヲ拵ヘマスレバ、斯ウ云フコ
トモ出來ルト思フノデアリマス、酒造家ニ
取リマシテ工業組合モ造リ、酒造組合ニモ
入リ、兩組合ニ加入致スト云フコトモ費用
ノ點ガアルト思ヒマシテ、實ハ此酒造組合
法ニ特別ノ規定ヲ設ケマシテ、酒造組合モ
サウ云フコトガ出來ルヤウニシテヤラウ
ト、斯ウ考ヘテ居ル次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=49
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050・森田福市
○森田委員 是ハ大シタ事デハナイノデア
ルカラ、此法案其モノニ對スル贊否ハ別ト
シテ、今ノ御話ノ商人ニ影響ガナイト云フ
コトハ私ハ分リマセヌ、組合ガ出來レバ、
組合ハ製造家カラ直接仕入レテ、ソレ〓〓
專門々々ノ製造家ガアルノデアルカラ、其
製造家カラ酒造組合ガ仕入レルノデアッテ、
從來ハ大阪デモ其他、私ハ關西ノコトヲ知ッ
テ居ル譯デアルガ、吾々ノ地方デモ此製造
家カラ、各地ノ製造家カラソレヲ取寄セテ、
酒造家ヘ持ッテ行ッテ居ル、ソレデ多額納稅
者ニナッタト云フヤウナ人モアリマス、今度
ハ酒造組合ガヤルト云フコトニナレバ、其
處ノ店屋ハ-小賣店ト言フカ、中繼屋ハ
仕事ガ少クナルコトハ明カダ、サウシテ行
クト-私ハ反對スルノヂャナイカラ誤解ノ
ナイヤウニ願ヒタイ、サウヤッテ行クト、結
局サウ云フ小サナ商業家ヲ困ラシテ行クノ
ミナラズ、營業收益稅ヤ、所得稅ノ-組
合ニナルト云フト特典ガアッテ、此組合モ取
ラレヌダラウト思フ、酒造組合モ取ラレヌ
ノダラウト云フ前提ノ下ニ聽クノデアル
ガ、所得稅ヤ營業收益稅ヲ御取リニナルナ
ラバ是ハ別問題ダ、ソレヲ若シ取ラヌト云
フナラバ、一方歲入ノアルモノヲ無イヤウ
ニシテ一方ニ發逹サシテ行ク、國家カラ行
ケバドウ考ヘテモ宜イコトヂヤナイ、私ハ反
對ダト云フ議論デハアリマセヌ、今後常ニ
行政ノ府トシテ、所謂政府ガ立法ノ府ニ協
贊ヲ求メル場合ニハ、私ハ矢張相當ナ御考
ヲセラレヌトイカヌト思フ、大藏省ハ何ト
シテモ、殊ニアナタノ方デハ稅金ノ入ルコ
トヲ、一寸缺ケテモ喧マシク言ハレル程稅
金ヲ重ク見テ居ラレル、ソレヲ稅金ノ減ル
方ノ案ヲ考ヘルト云フコトハ考ヘモノデ
ス、先ヅ此組合ハ營業收益稅、所得稅ハ取
ルノデゴザイマセウカ、ドウデアリマセウ
カ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=50
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051・石渡莊太郎
○石渡政府委員 酒造組合ノ性質ニ付キマ
シテハ、色々議論ガアルト思フノデゴザイ
マスルガ、大體此組合ハ强制加入及經費ノ
强制徴收ヲ認メテ居リマスノデ、先ヅ今日
ノ分類カラ行キマスレバ、公法人ノ一ダト
思フノデゴザイマス、隨ヒマシテ營業收益
稅、所得稅ハ徵收致シマセヌノデアリマス、
只今御心配ノ點ハ、多少ハ影響ハアルカト
思フノデアリマスガ、大シタ影響ハナカラ
ウト思ッテ居リマス、オ互ノ共助的ノ精神ニ
依リマシテ、先程カラ御話モアリマシタ通
リ、掛賣ヲ防グノデ、又必要ナ場合ニ非常
ニ高價ナ物品、燃料ヲ買入レナケレバイカ
ヌト、サウ云フヤウナ場合ニ於キマシテ、
多少ノ便宜ガアルカト思フノデゴザイマス
ガ、之ニ依リマシテ商人ニ壓迫ヲ加ヘル程
ノ問題デハアルマイト、斯ウ見テ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=51
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052・森田福市
○森田委員 ドウモ政府ト云フモノハ勝手
ナコトヲ言フモノデ、自分ガ出シタ時ニハ
大シタコトハナイト言フ、人ガ言フ時ニハ
大シタ影響ガアルヤウニ言ハレル、其點ハ
追究ハセヌガ、私ハ斯ウ思フ、是ハ政府ノ
出ス時ニハ、大體筋道ノ通ッタヤウナ答辯ノ
出來ルヤウニ、其議會ニ書イテ出ス、今度
ハ讓ッテモ宜イヤウナ時ニハ、今ノヤウナコ
トデ-歲入ノ減ルヤウナ法律ヲ出ス時ニ
ハ總テ關稅ノ引下デアルトカ、或ハ斯ウ
云フヤウナモノヲヤルトカ、其議會ヘ出ス、
スルト答辯ガ一途ヲ行キサヘスレバ宜イノ
ダガ、增ス分ニモ出シテ、減ス分ニモ出シ
テ居ルカラ、答辯ガ二筋道デ行カナケレ
バナラヌ、辻褄ガ合ハヌ、議會ニ提案スル
ナラバサウ云フコトヲ御考ニナッテ戴キタ
イ、ソレカラ此事ハ大シタ問題デナイカラ、
吾々モ已ムヲ得ヌコトダラウト思ハレルケ
レドモガ、將來少クモ此問題ニ小商工業者
-中ト言フノハドノ程度ヲ中ト言フカ分
ラヌカラ、私ハ小ト言ウテ置クガ、小サナ
商人ガ困ルヤウナコトヲヤルコトハ考ヘモ
ノヂヤナイカ、何ト言ウテモ產業組合ト云
フモノハ、是ハ私ハ反產運動デモナイノダ
ガ、吾々ハ商人ノ經驗ガアルカラ知ッテ居リ
マス、營業收益稅、其他所得稅、色々ナ稅
金ニ對シテ更ニ附加稅モ課ケル、サウ云フ
モノヲ納メテ行ッタ上ニ、家族ヲ養ウテ行カ
ナケレバナラヌ義務ガアル、一方產業組合
ト云フモノハ、何ト言ウテモ斯ウ云フ稅金
ハ一切課ラズニヤッテ居ル、隨テ地方ノ爲ニ
ハナルカモ知ラヌガ、國家ノ爲ニハ收入ガ
減ッテ來ルカラ爲ニナラヌ、ソレデ私ハ順次
減ルヤウニ、商工業者ノ仕事ヲ剝奪シテ行
クト云フコトニ、役人ノ傳統的思想ガナッテ
居ルノデハナイカト思フ、商工省、農林省
ノ方デヤッテ、ボツ〓〓大藏省へ傳染シ出シ
テ來タノダガ、サウ云フ風ニナッテ行クコト
ハ、私ハ宜イコトヂヤナイト思フ、是ハ農
村ノ爲ニモ、商工業者ノ爲ニモ、サウ云フ
風ニ次第ニ權利ヲ剝奪シテ行クコトハ、特
ニ考慮シテ貰ヒタイ、私ハ是レ以上議論ハ
シマセヌガ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=52
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053・石渡莊太郎
○石渡政府委員 產業組合及商業組合、其
他營業類似ノ行爲ヲシテ居ルモノニ付テ、
課稅ヲシテ行クカドウカト申シマスコト
ハ、是ハ極メテ大キナ問題デアリマス、屢〓
此問題ニ付キマシテハ、主稅當局ト致シマ
シテモ〓究致シテ見タノデゴザイマス、今
日未ダ〓究中デ、何トモ申上ゲ兼ネルノデ
ゴザイマスルガ、將來ノ問題トシテ、是等
ノ課稅問題ノ關係ハ、餘程考慮致サネバイ
カヌト思ッテ居リマスコトハ、アナタノ仰シ
ヤル通リデゴザイマス二三年前ニ於キマ
シテ、英吉利ニ於キマシテモ、佛蘭西ニ於
キマシテモ、又獨逸ニ於キマシテモ、此問
題ガ極メテ喧マシク問題ニナリマシテ、旣
ニ或程度ノ課稅ヲ皆致シタヤウニ覺エテ居
ルノデゴザイマス、我國ノ產業組合ガ、今
日果シテ課稅シ得ルト云フ狀態ニマデ達シ
テ居ルカドウカト云フコトハ、一ツノ〓究
スベキ問題ダト思ヒマスカラ、今後ニ於キ
マシテ、私共モ將來ノ稅制ヲ改正シテ行ク
上ニ於キマシテ、此問題ハ一ツノ重要ナ問
題ダト思ッテ居リマス、御說ノ如ク此問題ニ
付キマシテハ、更ニ一層注意ヲ加ヘマシテ
〓究ヲシテ行キタイト存ジテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=53
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054・森田福市
○森田委員 結構デアリマス、ドウゾ御〓
究ヲ願ヒマス、併シ私ガ言ッタノハ、少シ履
キ違ヒガアッタヤウニ思フガ、今ノ產業組合
カラ稅金ヲ直グ御取リナサイト云フ意味ヲ
申上ゲタノデハナイ、ソレハ御取リニナラ
ヌデモ宜イシ、御取リニナルナリ、御〓究
ニナルナリ、ソレハ御自由デアリマスガ、
私ガ申上ゲタノハ、商賣人ノヤッテ居ルコト
ヲ次カラ次ニ剝奪シテ、ソシヲ產業組合ニ
持ッテ行クヤウナコトヲ御考慮願ヒタイ、卽
チ今度ノ-酒造家ハ別デアリマスガ、要
スルニ仲繼ヲシテ販賣ヲシテ居ル人間ハ、
少クトモ斯ウ云フコトヲ組合ニ公認シテ
行ッテ、稅金ノ要ラヌ所ニ持ッテ行クコトニ
ナレバ、其中繼商人ハ困ルダラウ、隨テ產
業組合ニ對スル力强イ財源ヲ與ヘルト云フ
カ、組合ノ良クナルコトニハ間違ナイガ、
一方商人ハソレダケ困ッテ來ルヤウニナル
ノデアルカラ、今度ノ政府ノ案ハ、米ト言
ヒ、肥料ト言ヒ、何ト言ヒ、出テ來ル案モ
出テ來ル案モ、ドウモ商賣人ヲ窘メル案ニ
ナッテ來テ居ルカラ、ソレ等ヲ御考慮願ヒタ
イ、唯薤ノ皮ヲ剝グヤウニ、次第々々ニ取ツ
テ行カヌヤウニシタイモノデアルト云フ註
文ナノデアリマス、是ハソレデ宜カラウト
思ヒマス、ソレカラモウ一ツ御聽キシテ置
キタイノハ、先ノ板谷君ノ御質問ニ對スル
アナタノ御答辯ヲ能ク聽イテ居ッタノデス
ガ、政府ハ斯ウ云フコトヲ御考ニナラヌカ
ドウカ、別ニ政府ハ燒酎ノ如キモノヽ釀造
ヲ許スカ許サヌカ-酒造家ガ利益金ヲ出
ス、出サヌト云フコトニ付テハ、何時モ稅
金ヲ頭ニ置カレテ-アナタハサウ仰シヤ
ラナカッタガ、稅金ガ取レルカ取レナイカ、
稅金ヲ引掛ケラレテハ大變ダト云フコト
ガ、一番頭ノ中ニアルノヂヤナイカト思
フ、ソコデ此酒ノ稅ノ徵收ノ方法ハ、屢
斯ウ云フコトハ問題ニナッタト思フノデア
ルカ、造石高ニ一遍ニ課稅シテ取レル譯ハ
ナイ、アレヲ麥酒ナドノヤウニ、販賣高ニ
應ジテ稅金ヲ取ッテ行ケバ、酒屋ハアレ程困
ラヌト思フ、是ハ御承知ノ通リ、酒屋ハ小
サイ酒屋モ中々多イノデアルガ、ソレガ一
遍ニ稅金ヲ取ラレルカラ、其時ニハ一樽五
十圓モ六十圓モスル酒ヲ、二十圓ニモ三十
圓ニモ下ゲテ投賣シテ、稅金ヲ納メナケレ
バナラヌヤウニナッテ居リマスカラ、儲ケル
ノハ酒ノ問屋ダケデアル、酒ノ問屋ハ非常
ニ儲ケルガ、苦勞シテ造ッタ釀造家ハ儲ケ
テ居リマセヌ、ソレガ何故カト云フト、釀造
家ハ稅金ヲ今ノヤウニ一度ニ納メナケレバ
ナラヌ爲ニ、一度ニ處分ヲシナケレバナラ
ヌカラ儲カラヌノデアルガ、麥酒ハ慥カ
遍ニ取ルノデハナクテ、販賣高ニ應ジテ、
順次保證金ヲ積ンデ徵收シテ行キ居ルガ、
此日本酒ヲ造ッタ場合ニハ一時ニ酒造稅ヲ
取ッテ行クカライカヌノヂヤアリマセヌカ、
是ハ政府ガ損ノ行ク譯デハナイカラ、賣高
ニ應ジテ順次取ッテ、分割納入ヲシテ行クト
云フヤウニシタナラバ、損ガ行カヌデ宜イ
ノヂヤナイカ、何故ナラバ酒屋ガ安ク賣ラ
ナクテモ宜イヤウニナルカラ、隨テ稅金モ
引ッ掛ラナイト考ヘラレルノデアルガ、主稅
局長ハドウ御考ニナリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=54
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055・石渡莊太郎
○石渡政府委員 森田サンノ仰シヤル所ハ、
森田サンノ誤解セラレテ居ル點モアルカト
思フノデアリマスガ、又仰シヤルコトニ當ッ
テ居ルヤウナ點モゴザイマス、麥酒ハ販賣高
デハゴザイマセヌ、是ハ釀造高デゴザイマシ
テ、其月ニ拵ヘタモノヲ翌月ニ徵收致シテ居
リマス、ソレカラ酒ノ方ハ四囘ニ分ケマシ
テ、昭和九年ノ十月カラ昭和十年ノ九月マデ
ニ拵ヘマシタ酒ニ付キマシテ、昭和十年ノ
七月ト十月ト、昭和十一年ノ二月ト三月、此
四囘ニ分ケテ徵收致シテ居リマス、ソレデ
此昭和九年酒造年度ニ拵ヘマシタモノハ、
第一囘ノ徵收ガ七月デゴザイマス、其七月
ニ第一囘ヲ徴收スルト云フコトガ、早過ギ
ルヂヤナイカト云フコトガ、何時モ問題ニ
ナル一點デゴザイマス、ソレカラ更ニ翌年
ノ二月、三月ト續イテ二囘納メルノハ非常
ニ苦痛デアル、隨テ只今アナタノ仰シヤッタヤ
ウナ、酒ノ投賣ヲシナケレバイカヌヤウナコ
トニナッテ來ル、斯ウ云フ非難デゴザイマス、
是ハ中々難カシイノデゴザイマシテ、此年
度末ノ押迫ッタ二月、三月ノ納期ト云フモノ
ハモット早カッタノデゴザイマスガ、ソレヲ
モット遲クシロ、遲クシロト云フコトノ御要
求デ、漸次遲ラシテ參リマシテ、年度末ニ二
月クッ付イテシマッタノデゴザイマス、之ヲ
更ニ遲ラセマスコトハ、初年度ニ於キマシ
テ、實ハ數千萬圓ノ減ガ行クノデゴザイマ
ス、ソレデ酒造家ノ方々カラモ、能ク御要求
ヲ受ケルノデゴザイマシテ、庫出シヲシテ
カラ二月位置イテ徵收シテ貰ヒタイト云フ
御話デゴザイマスガ、何シロ今日ノ納期ガ、
二月、三月ト二月ピツタリトクッ付イテ居リ
マス關係上、一寸デモ遲レヽバ、四分ノ
ノ稅金ト云フモノハ、翌年度ノ歲入ニ入ル
コトニナルノデゴザイマスカラ、容易デゴ
ザイマセヌノデ、實ハ熱心ナル御要求ガア
ルノデゴザイマスガ、政府ト致シマシテハ
未ダニ其處置ヲ執リ得ナイノデゴザイマス、
ソレデマア昨今ノ問題ト致シマシテハ、
興業銀行カラ幾分融通ヲ受ケマシテ、七月
ノ納期ニ納メテ、八月、九月ノ二月ニ之ヲ
返濟スル、十月ニ納メテ、後デ返濟スルト
云フヤウナ、變態的ノヤリ方ヲ致シテ居リ
マス、是ハ尤モ酒造界ノ非常ナ不景氣ノ後
ヲ承ケテノ問題デゴザイマスルガ、將來ノ
酒造稅法ノ改正ニ當リマシテハ、餘程此納
期ノ點ニ對シマシテハ、調査考究致シテ見
タイト存ジマス、中々是ハ難カシイ問題デ
ゴザイマスノデ、一方ニ莫大ナ歲入ノ穴ガ
明クモノデゴザイマスカラ、ソレデ何時モ
澁ッテ居ル次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=55
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056・森田福市
○森田委員 今ノ御說明ハ能ク分リマシタ
ガ、麥酒ノハ今月造ッテ翌月取ルト言ハレル
ガ、ソレハ取ルト云フコトニナッテ居ルダケ
デ、實際ハ取ラヌヤウニ私ハ思フ、翌月ニ
ハ中々入ッテ來テ居ラヌ、麥酒會社ニ依ッテ
ハ、半年モ一年モ遲ラセテ居ル會社ガアル
ヤウニ思フ、ソレカラ日本酒ノ方ハ一寸納
メヌト云フト、直グ差押ヂヤ、何ヂヤ彼ヂ
ヤト言ウテ、喧マシク言ウテ居ルト云フヤ
ウナコトハ私ハ宜クナイト思フ、今私ノ申
シタノハ、酒造稅ハ造石高ニ依ッテ居ルト言
ハレルガ、ソレハ石數ハ造石高ニ依ラナケ
レバイカヌガ、稅金ノ取立ヲ販賣高ニ從ッテ
ヤッタラ宜イト言フノデアル、販賣高ニ從ウ
テ取ッテ行ケバ、サウ云フ投賣ヲセズニ濟
ム、同時ニ酒造家モ困ラヌ、サウスルト一
方ニアナタノ御話ノヤウニ、大變ナ歲入ニ
支障ヲ來スト仰シヤルガ、ソレハ御尤デア
ル、ソレハ豫算カラ見レバ支障ヲ來スガ、
ソレハタッタ一年ダケデ濟ムヂヤナイカト
私ハ思フ、次ノ年カラ順次ソレヲ取ッテ行ク
カラシテ、サウ云フコトヲヤルノハ、今ノ
時代ガ一番好イヂヤナイカ、赤字公債ヲ何
ト言ッテモドシ〓〓出シテ居ルノデアリマ
シテ、何レニシテモ五十步百步デアルカラ、
ソレヲ序ニ一ツ賄フト云フコトデ行ケバ宜
イヂヤナイカ、昭和九年度ナドハ-是ハ
主計局長デナケレバ分ラナイカモ知レマセ
ヌガ、昭和九年度ナドハ、恐クハ前ノ議會
デ協贊ヲ與ヘテ貰ッタヾケノ公債ヲ發行セ
ズニ濟ムノデハナイカト思フ、是ハ人ノコ
トヲ疝氣ニ病ム必要ハナイガ、國家ノ事カ
ラ考ヘレバ、昭和九年度ニ協贊ヲ與へタ十
億近イ公債ハ、全部發行セズニ濟ムノデハ
ナイカ、サウ云フ場合ニ斯ウ云フ問題ヲヤ
リサヘスレバ、酒造稅ニ於テ何千萬圓ノ不
足ガ出來テ來ヨウガ、外ノ方デ遣繰リガ出
來ルカラ、後年度ニ繰越シテ差支ナイヂヤ
ナイカト思フカラ、其點ノ一ツ御考慮ヲ御
願シタイ、ソレハ別ニ是非ト言フノデハナ
イガ、其方ガ釀造家ハ非常ニ助カルカラ、
特ニ御考慮ヲ願ヒタイノデアリマス、ソレ
カラモウ一ツハ、先ニモ聽キマシタガ、此
頃ハ中々燒酎ダケヂヤナイ、日本酒デモ何
デモ大變免許ガヤカマシイガ、アレハ法律
カラ言ヘバ大層ヤカマシク言ハヌデモ宜
イ、政府ガ心配シテ居ルノハ需要供給ノ問
題ヂヤナク、稅金ノ問題ヂヤナイカ、稅金サ
ヘ盛ニ入レバ宜イ、所ガ不景氣ニナルト投賣
ガ行ハレル、ソコデアノ統制ヲ取ッテ行クノ
ガヤカマシイノヂヤナイカ、斯ウ思フノダ
ガ、日本酒ナドデモ石數ヲ增スノハ中々喧
マシイ、廣島地方デハ全ク一種ノ利權見タヤ
ウニナッテシマッタ、是ハ稅務署ダケデハナ
イ、監督局ガヤハリ關係スルノカモ知レヌ
ガ、今板谷君ガ言ハレタヤウニ、サウヤカ
マシク言ハヌデモ、アノ點ハ本當ニ國家ノ
歲入ヲ增スノデアルカラ、酒飮ミハ殖エテ
モ宜イヂヤナイカ、唯稅金ヲ取損フト思フ
ノガ、大藏省ノ心配ダラウト思フノデスガ
如何デスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=56
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057・石渡莊太郎
○石渡政府委員 私ノ方ト致シマシテハ、
仰シヤル通リ稅金ヲ吳レヽバ宜イヂヤナイ
カ、斯ウ仰セラレルコトモ一理アルト思フ
ノデゴザイマス、併ナガラ稅金ガ圓滑ニ納
メラレテ行クト云フ關係ニ於キマシテハ、
可ナリ釀造家ニ於キマシテモ、相當稅金ノ
納メラレルダケノ經營ヲ致シテ行ク必要ガ
アルト思フノデアリマス、隨ヒマシテ免許
ニ當リマシテ、是モ宜シ、アレモ宜シト云フ
ヤウナ、免許ノ致方ヲ致シテ行キマスト、
隨テ供給過剩ニナリ、投賣ヲ誘致致シマス
シ、隨テ破產モスル、隨テ徵稅ニ困ルト云
フヤウナ結果ニ相成ッテ來ルノデアリマシ
テ、ソレデ出來ル限リ堅實ナモノニ許シテ
行キタイト云フ、斯ウ云フ方針デ行ッテ居
リマス、折々御叱リモ受ケルノデアリマス
ガ、ドウモサウ云フ方針ヲ執ッテ行クヨリ
外ニハ行キ方ガナイノデハナイカ、斯ウ信
ジテ居ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=57
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058・森田福市
○森田委員 私ノ質問ハ大體是デ終リマス
ガ、今マデヤッテ來タ釀造家カラ言ヘバ、成
ベク嚴シクシテ貰フ方ガ宜イダラウガ、併
ナガラ五百石ナラ五百石賣行キガアレバ、
稅金ハ造ッタダケ納メルノダカラ差支ナイ、
マア其點ハ此處デ押合ヒマセヌガ、其邊ヲ
頭ノ中ニ入レテ置イテ下サルコトヲ願ッテ、
是デ打切リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=58
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059・岩本武助
○岩本委員長 本日ハ他ニ質疑ノ御通告モ
アリマセヌカラ、此程度ニシテ散會致シマ
ス
午後二時五十五分散會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006712107X01019350322&spkNum=59
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