1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十年二月二十一日(木曜日)
午後一時五十二分開議
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議事日程 第十六號
昭和十年二月二十一日
午後一時開議
第一 競爭入札の取締等に關する法律案(福田關次郎君提出) 第一讀會
第二 地方財政調整法案(富田幸次郎君外二十名提出) 第一讀會
第三 登録税法中改正法律案(金光庸夫君外三名提出) 第一讀會
第四 營業收益税法中改正法律案(中谷貞頼君外二名提出) 第一讀會
第五 水利組合法中改正法律案(熊谷五右衞門君提出) 第一讀會
第六 傷痍軍人及戰公傷病死者遺族等の鐵道船舶等乘車船優遇に關する法律案(江藤源九郎君提出) 第一讀會
第七 傷痍軍人及戰公傷病死者遺族等の鐵道船舶等乘車船優遇に關する法律案(上原平太郎君外二名提出) 第一讀會
第八 選擧革正組合法案(佐藤庄太郎君外三名提出) 第一讀會
第九 司法保護法案(小林かなえ君外三名提出) 第一讀會
第十 司法保護法案(手代木隆吉君外三名提出) 第一讀會
第十一 民族優生保護法案(荒川五郎君外三名提出) 第一讀會
第十二 義務教育費臨時補充金交付法案(野田文一郎君外四名提出) 第一讀會
第十三 地租の減額に關する法律案(野田文一郎君外四名提出) 第一讀會
第十四 地租附加税等の半減に關する法律案(野田文一郎君外四名提出) 第一讀會
第十五 農家食糧差押禁止法案(杉山元治郎君提出) 第一讀會
第十六 小作法案(杉山元治郎君提出) 第一讀會
第十七 檢査計理士法案(中村繼男君外一名提出) 第一讀會
第十八 輸出補償法中改正法律案(宮本雄一郎君外三名提出) 第一讀會
第十九 産師法案(山道襄一君外二名提出) 第一讀會
第二十 家祿賞典祿給與未濟に關する法律案(八田宗吉君外七名提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十一 刑法中改正法律案(一松定吉君外四名提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十二 借地借家調停法中改正法律案(藤田若水君外四名提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十三 度量衡法中改正法律案(東武君外三名提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十四 度量衡法中改正法律案(荒川五郎君外十三名提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十五 度量衡法中改正法律案(山道襄一君外二名提出) 第一讀會の續(委員長報告)
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〔左の報告は朗讀を經さるも參照の爲茲に掲載す〕
一政府より提出せられたる議案左の如し
倉庫業法案
市町村立尋常小學校費臨時國庫補助法中改正法律案
(以上二月二十日提出)
一議員より提出せられたる議案左の如し
自動車交通事業法中改正法律案
提出者
吉川吉郎兵衞君 本田彌市郎君
竹田儀一君 川橋豊治郎君
中亥歳男君 小山松壽君
三宅磐君 松永東君
北海道鐵道敷設速成に關する建議案
提出者
山本厚三君 小池仁郎君
坂東幸太郎君 手代木隆吉君
大島寅吉君
北海道港灣漁港修築速成に關する建議案
提出者
山本厚三君 坂東幸太郎君
手代木隆吉君 大島寅吉君
小池仁郎君
北海道東部に高等農林學校設置に關する建議案
提出者
小池仁郎君 手代木隆吉君
山本厚三君 坂東幸太郎君
大島寅吉君
北海道中部に鐵道局増設に關する建議案
提出者
坂東幸太郎君 小池仁郎君
山本厚三君 手代木隆吉君
大島寅吉君
北海道に航空隊設置に關する建議案
提出者
坂東幸太郎君 山本厚三君
小池仁郎君 手代木隆吉君
大島寅吉君
膽振日高兩支廳管内を煙草耕作區域編入に關する建議案
提出者
手代木隆吉君 山本厚三君
小池仁郎君 坂東幸太郎君
大島寅吉君
原料牛乳及乳製品事業統制に關する建議案
提出者
手代木隆吉君 山本厚三君
坂東幸太郎君 小池仁郎君
大島寅吉君
北海道農家負債整理に關する建議案
提出者
山本厚三君 坂東幸太郎君
手代木隆吉君 大島寅吉君
小池仁郎君
東京札幌旭川間定期航空輸送開始に關する建議案
提出者
山本厚三君 小池仁郎君
坂東幸太郎君 手代木隆吉君
大島寅吉君
機船底曳網漁業取締勵行に關する建議案
提出者
大島寅吉君 牧山耕藏君
手代木隆吉君 坂東幸太郎君
史蹟名勝天然紀念物保存法中改正に關する建議案
提出者
坂東幸太郎君 山本厚三君
手代木隆吉君 小池仁郎君
大島寅吉君
小名木川越中島間鐵道速成に關する建議案
提出者
眞鍋儀十君 中島彌團次君
松永東君
氷鐵道運賃特別賃率適用に關する建議案
提出者
眞鍋儀十君 小山邦太郎君
百瀬渡君 頼母木桂吉君
萬國博覽會開催に關する建議案
提出者
頼母木桂吉君 中島彌團次君
八並武治君 松永東君
眞鍋儀十君
齒科軍醫設置に關する建議案
提出者
杉山元治郎君 工藤鐵男君
坂本一角君 中山福藏君
吉田鞆明君 中田正輔君
産業組合監査制度樹立に關する建議案
提出者
高田耘平君 谷原公君
西村丹治郎君 松村謙三君
國立工藝指導所設置に關する建議案
提出者
竹田儀一君 本田彌市郎君
一松定吉君
航空國策樹立に關する建議案
提出者
前田米藏君 中島知久平君
堀切善兵衞君 田子一民君
山本条太郎君 倉元要一君
岩崎幸治郎君 久原房之助君
島田俊雄君 松野鶴平君
花城永渡君 安藤正純君
東武君 高橋熊次郎君
高見之通君 加藤久米四郎君
山口義一君 岡田忠彦君
河上哲太君 野田俊作君
金光庸夫君 若宮貞夫君
小川郷太郎君 大麻唯男君
勝田永吉君 頼母木桂吉君
武富濟君 田中武雄君
中島彌團次君 鵜澤宇八君
内ヶ崎作三郎君 坂東幸太郎君
高田耘平君 永田善三郎君
工藤鐵男君 松尾四郎君
牧山耕藏君 木檜三四郎君
櫻内幸雄君 三宅磐君
一松定吉君 野田文一郎君
小山谷藏君 岸衞君
伊禮肇君 高橋壽太郎君
風見章君 加藤鯛一君
中村繼男君
國民保健に關する建議案
提出者
安藤正純君 三上英雄君
西宮京都間に産業道路新設に關する建議案
提出者
蔭山貞吉君 中井一夫君
岩崎幸治郎君 中野種一郎君
磯部清吉君
第十二囘國際オリンピック大會經費補助に關する建議案
提出者
鳩山一郎君 島田俊雄君
安藤正純君 頼母木桂吉君
牧山耕藏君 大麻唯男君
鷲澤與四二君 岸衞君
小池四郎君 安部磯雄君
(以上二月十九日提出)
東京札幌間定期航空輸送開始に關する建議案
提出者
丸山浪彌君 岡田伊太郎君
林路一君 佐々木家壽治君
大石倫治君 工藤十三雄君
星廉平君
(以上二月二十日提出)
一去十九日辭任したる常任委員左の如し
第二部選出豫算委員 世耕弘一君
第四部選出豫算委員 小池四郎君
一去十九日議長に於て選定したる委員左の如し
辯護士法中改正法律案(政府提出)外三件委員
板野友造君 磯部尚君
牧野賤男君 篠原義政君
宮澤清作君 渡邊幸太郎君
小林かなえ君 渡邊伍君
紅露昭君 金井正夫君
平島敏夫君 鈴木富士彌君
原吉郎君 武富濟君
竹田儀一君 武知勇記君
井上剛一君 岡本一巳君
大正九年法律第五十六號中改正法律案(北海道拓殖鐵道補助に關する件)(東武君外五名提出)外一件委員
横川重次君 本多貞次郎君
廣瀬爲久君 丸山浪彌君
林路一君 上田孝吉君
手代木隆吉君 本田彌市郎君
清水徳太郎君
一去十九日に於ける特別委員の異動左の如し
昭和十年度一般會計歳出の財源に充つる爲公債發行に關する法律案(政府提出)外一件委員
辭任 山本厚三君 補闕 田中貢君
借地借家調停法中改正法律案(藤田若水君外四名提出)外六件委員
辭任 鈴木安孝君 補闕 名川侃市君
辭任 崎山嗣朝君 補闕 宮崎一君
辭任 森田政義君 補闕 山本芳治君
度量衡法中改正法律案(東武君外三名提出)外二件委員
辭任 岸衞君 補闕 中川觀秀君
一昨二十日常任委員補闕選擧の結果左の如し
第二部選出
豫算委員 芦田均君(世耕弘一君補闕)
第四部選出
豫算委員 亀井貫一郎君(小池四郎君補闕)
一昨二十日委員長及理事互選の結果左の如し
辯護士法中改正法律案(政府提出)外三件委員
委員長 板野友造君
理事
小林かなえ君 金井正夫君
竹田儀一君
大正九年法律第五十六號中改正法律案(北海道拓殖鐵道補助に關する件)(東武君外五名提出)外一件委員
委員長 横川重次君
理事
林路一君 手代木隆吉君
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=0
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001・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 是ヨリ會議ヲ開
キマス、御諮リ致シマス、風見章君用務ニ
付二月二十一日ヨリ二十八日マデ、中野寅
吉君病氣ニ付二月二十一日ヨリ三月六日マ
デ、石井三郞君病氣ニ付二月二十一日ヨリ
三月二十二日マデ、右請暇ノ申出ガアリマ
ス、之ヲ許可スルニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=1
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002・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 御異議ナシト認
メマス、仍テ許可スルコトニ決シマシタ、
尙ホ御諮リ致スコトガアリマス政府貸付
金處理ニ關スル法律案、家祿賞典祿給與未
濟ニ關スル法律案、衞生組合法案外四件ノ
各委員長ヨリ、本日本會議中委員會ヲ開キ
タイトノ申出ガアリマシタ、又建議委員長
ヨリ、本日本會議中分科會ヲ開キタイトノ
中出ガアリマシタ、尙ホ向後本會議中ト雖
モ同委員會及分科會ヲ開キタイトノコトデ
アリマス、何レモ之ヲ許可スルニ御異議ア
リマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=2
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003・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 御異議ナシト認
メ許可致シマス-日程第一、競爭入札ノ
取締等ニ關スル法律案ノ第一讀會ヲ開キマ
ス、提出者ノ趣旨辯明ヲ許シマス-福田
關次郞君
第競爭入札ノ取締等ニ關スル法律
案(福田關次郞君)提出第一讀會
競爭入札ノ取締等ニ關スル法律案
第一條政府、道府縣、市町村及市町村
組合ニ於テ各種事業ノ工事、物件ノ買
入賣却又ハ物件ノ貸付借入其ノ他財產
處分ニ關シ一般競爭契約、指名競爭契
約又ハ隨意契約ヲ爲サムトスルニ當リ
入札者及之カ關係者ハ談合行爲其ノ他
之ニ類似スル行爲ヲ爲スコトヲ得ス
第二條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ政
府、道府縣、市町村及市町村組合カ一
般競爭契約、指名競爭契約又ハ隨意契
約ヲ爲スニ際シ競爭入札ニ加リ又ハ契
約者ト爲ルコトヲ得ス
一第三條ノ罪ヲ犯シ刑ニ處セラレタ
ル者但シ刑ノ執行ヲ終リ又ハ其ノ執
行ヲ受クルコトナキニ至リタル日ヨ
リ起算シ三年ヲ經過シタル者ハ此ノ
限ニ在ラス
二第三條ノ罪ニ依リテ檢擧セラレ未
タ刑ノ有無確定スルニ至ラサル者
三前二號ノ一ニ該當スル者ノ代理人、
使用人其ノ他ノ從業者
四前各號ノ一ニ該當スル者カ名義ヲ
變更シ又ハ之ニ類似ノ行爲ヲ爲シタ
ルニ基ク者
第三條第一條ノ規定ニ違反シタル者又
ハ第一條ノ規定ニ違反スル行爲ヲ爲シ
何等ノ名義ヲ問ハス金錢其ノ他ノ利益
ヲ提供シ、收受シ若ハ之ヲ要求、約束
シタル者ハ三月以上三年以下ノ懲役又
ハ禁錮ニ處ス
前項ノ場合ニ於テ收受シタル金錢其ノ
他ノ利益ハ之ヲ沒收ス若其ノ全部又ハ
一部ヲ沒收スルコト能ハサルトキハ其
ノ價額ヲ追徵ス
第四條法人ノ代表者又ハ法人若ハ人ノ
代理人、使用人其ノ他ノ從業者カ其ノ
法人又ハ人ノ業務ニ關シテ第一條ノ違
反行爲ヲ爲シタルトキハ行爲者ヲ罰ス
ルノ外其ノ法人又ハ人ニ對シ亦前條ノ
刑ヲ科ス
第五條官吏若ハ道府縣、市町村及市町
村組合ノ公吏又ハ之ニ準スヘキ者第二
條第一號乃至第四號ニ該當スル者ヲ競
爭入札ニ加ハラシメ又ハ契約者タラシ
メタルトキハ三月以上三年以下ノ禁錮
又ハ三千圓以下ノ罰金ニ處ス
第六條政府、道府縣、市町村及市町村
組合ニ於テ一般競爭契約、指名競爭契
約又ハ隨意契約ヲ爲スニ當リ之カ擔當
ノ任ニアル官吏、公吏又ハ之ニ準スヘ
キ者第一條ノ規定ニ違反スル行爲又ハ
當時ノ物價、勞銀、運賃等ニ比シ著シ
ク不當ニ高價若ハ安價ナルコトヲ知リ
若ハ之ヲ知リ得ヘカリシニ拘ラス契約
ノ締結ヲ中止セシメス又ハ契約ノ解除
ヲ爲ササルトキハ三月以上三年以下ノ
禁錮又ハ三千割以下ノ罰金ニ處ス此等
ノ者ヲ監督スヘキ任ニアル者亦同シ
第七條官吏若ハ道府縣、市町村及市町
村組合ノ公吏又ハ之ニ準スヘキ者一般
競爭契約、指名競爭契約又ハ隨意契約
ヲ爲スニ當リ其ノ落札豫定價額其ノ他
祕密ニ係ル事項ヲ他人ニ漏洩シ又ハ漏
洩ニ依リテ他人ヨリ金錢其ノ他ノ利益
ヲ收受シタルトキハ五月以上五年以下
ノ懲役又ハ禁錮ニ處ス
前項ノ場合ニ於テ收受シタル金錢其ノ
他ノ利益ハ之ヲ沒收ス若其ノ全部又ハ
一部ヲ沒收スルコト能ハサルトキハ其
ノ價額ヲ追徵ス
第八條官吏若ハ道府縣、市町村及市町
村組合ノ公吏又ハ之ニ準スヘキ者故ナ
ク徵收スヘキ稅金、保證金、違約金、
賠償金、手數料、使用料、賣拂代金、
負擔金等ヲ徵收セス若ハ納入延期ヲ默
認シ又ハ故ナク稅額ヲ輕減シ、脫稅ヲ
默認シ若ハ滯納處分ヲ怠リタルトキハ
二月以上二年以下ノ禁錮又ハ三千圓以
下ノ罰金ニ處ス
第九條官吏若ハ道府縣、市町村及市町
村組合ノ公吏又ハ之ニ準スヘキ者在
職中其ノ職務ニ關シ請負人及商人ニ不
當ノ利益又ハ便宜ヲ與ヘタルノ故ヲ以
テ退職後何等ノ名義ヲ問ハス請負人及
商人ヨリ金錢其ノ他ノ利益ヲ收受シタ
ルトキハ三年以下ノ懲役ニ處ス
前項ノ場合ニ於テ收受シタル金錢其ノ
他ノ利益ハ之ヲ沒收ス若其ノ全部又ハ
一部ヲ沒收スルコト能ハサルトキハ其
ノ價額ヲ追徵ス
第十條官吏若ハ道府縣、市町村及市町
村組合ノ公吏又ハ之ニ準スヘキ者國有
若ハ公有財產ノ賣却貸付又ハ物件ノ買
入借入其ノ他ノ處分ヲ爲スニ當リ一般
ノ注意ヲ怠リ政府、道府縣、市町村及
市町村組合ニ對シ損害ヲ與ヘタルトキ
ハ職ニ在ルト否トヲ問ハス之ニ因リテ
生シタル損害ヲ辨償セシム
會計法第三十五條第二項及第三十六條
ノ規定ハ前項ノ辨償ニ付之ヲ準用ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔福田關次郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=3
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004・福田關次郎
○福田關次郞君 只今日程ニ上サレマシタ
競爭入札ノ取締等ニ關スル法律案ノ提案者
ト致シマシテ、其理由ヲ簡單ニ述ベタイト
存ジマス、法文ヲ御覽下サレマスレバ御分
リデアリマスルガ、本案ハ國家ノ稅務竝ニ
地方自治行政ノ執行ノ上ニ於キマスル今日
マデノ缺點ヲ矯正致シマシテ、是等ヲ改革
致シマスル所ノ廣汎ナル意味ヲ含ム法案デ
アルノデアリマス、時勢ノ推移ト社會ノ複
雜化ト相俟チマシテ、國民生活ノ不安ハ日
ト共ニ甚シクナッテ參ルノデアリマス、爲ニ
中央地方ノ別ナク財政上ノ危機ヲ招來致シ
マシテ、一面ニハ又綱紀ノ頽廢ハ全ク限リ
ナキ情勢ニアリマスルト共ニ、民心ノ惡化
モ亦底止スル所ヲ知ラザル情勢ニアルノデ
アリマス、隨ヒマシテ智能的脫法行爲モ亦
日ト共ニ募リテ、國家ノ軌制將ニ危フカラ
ントスルハ、吾々ノ常ニ遺憾ト致シマスル
所デアリマス、現ニ政府ガ行ヒツヽアリマ
スル各種ノ事業、物品ノ購入竝ニ財產處分、
續イテ徵稅法ノ上ニ於キマスル所ノ不正不
義ニ基ク損害ハ、蓋シ莫大ナルモノデアルノ
デアリマス、又續イテ地方道府縣市町村ニ
起リツヽアリマスル疑獄事件ノ如キモ、是
等ヲ完全ニ取締ルベキ法ノ不備ニ基カザル
モノハナイノデアリマス、此秋ニ當リマシ
テ國費ノ巨額ナル濫費、及ビ地方費ノ不正不
義ニ基ク巨額ノ濫費ヲ防止致シマスルト同
時ニ、當然徵收スベキ徴稅ノ基礎ヲ確立致
シマシテ、我國ノ財政ノ危機ヲ救ヒ、國民
擔稅ノ公平若クハ輕減ニ資シマスルト共ニ、
國家及地方產業開發ノ財源ヲ得ルト云フコ
トヲ、主ナル目的ト致シタイト存ズルノデ
アリマス、又續キマシテ綱紀官紀ノ肅正ヲ
致シマシテ、國家百年ノ基礎ヲ確立致シマ
スコトハ、現下ニ於キマスル最モ急ヲ要ス
ルモノナリト存ズルノデアリマス、蓋シ近
來起リツヽアリマス、御承知ノ通リノ不正
不義ナル疑獄事件ノ如キハ、悉ク玆ニ胚
胎スルモノアルヲ信ズルガ爲デアリマス、
是レ本案ヲ提出致シマシタ所以デアリマス
尙ホ本案ノ適用サレマス一二ノ例ヲ申上
ゲマシテ、本案ヲ御審議下サレマスル上ニ
於テノ參考資料ト致シテ置キタイト存ジマ
ス、例ヘバ本案ヲ以チマシテ、唯政府地方
自治體ノ行ヒマスル工事請負等ノ取締ヲス
ルノデアルト云フガ如ク、狭義ニ御解釋ニ
ナッテ居ル方ガ多イノデアリマスガ、法文ニ
示シテアリマスルヤウニ、左樣ナモノデハ
アリマセヌ、工事ノ請負ヲ取締ルト云フガ
如キハ、本法ノ百分ノ一ニモ値セザル寥々
タルモノデアリマシテ、本法ノ目的ハ國家
政務及ビ地方自治行政執行ノ上ニ於キマス
缺陷ノ總テヲ含ムノデアリマス、玆ニ其例
ヲ申上ゲマスレバ、法文ノ不備ニ基キマシ
テ、稅務署ガ一ツノ財閥ヨリ三十三万六千
圓ト云フ脫稅ヲ助長シタ所ノ事實ガアリマ
ス、又續イテ同ジ稅務署管內デ、矢張リ一箇
所デ五十五万九千圓ト云フ脫稅ヲ助長致シ
テ居リマスガ、法ノ不備ニ因リマシテ、斯
ウ云フ罪惡ヲ致シマシテモ、今日取締ル法
律ガナイ、又鐵道省ガ虛構ノ事實ニ物品ノ
不正購入ヲ致シマシテ、三千三百四十三万
圓ヲ國庫ニ損害ヲ與ヘテ居リマスガ、是
亦之ヲ取締ル法律ガナイ、續キマシテ政府
ガ阿片ノ賠償ト稱シテ、每年八十九万七
千餘圓ノ不當支出ヲ致シテ居リマスガ、是
亦今日マデ之ヲ取締ルベキ法ガナイノデア
リマス、海軍省ガ豫算超過及豫算外目的ニ
使用致シマスル四百八十五万圓ノ不當支出
ヲ致シテ居リマスル事件、又海軍省ガ會計
法勅令違反ヲ致シマシテ、百六十万圓ト云
フ金ヲ、藤永田造船所ニ貸與シタト云フ名
目ニ於テ、數年間之ヲ放置シテ置キマシテ、
ソレヲ吾々ガ決算ニ於テ、本議會ニ於テ審
議シテ初メテ生キテ來タ、其金ハ事實吾々
ノ推定デハ分ケテ取ッタノデアラウト思ヒ
そう、併シ是ガ議會ノ糺彈ヲ受ケタノデ、
遂ニ年賦デ償還スルト云フヤウニナッタ、是
等ノ如キモ、我ガ日本ノ法律ノ不備ニ依リ
マシテ取締ル所ノ基礎ガナカッタノデアル、
同時ニ大藏省ガ國有財產處分ニ、時價一坪
九十八圓ノモノヲ三十一圓ト云フ所ノ廉價
ヲ以テ、數万坪ト云フモノヲ拂下ゲテ、國
家ニ莫大ナル損害ヲ與ヘテ居ル事實ガアリ
マスルガ、是亦法ノ不備ノ爲ニ取締ル途ガ
ナイノデアリマス、又地方費補助ト稱シマ
シテ、關東廳ガ百万圓ノ不當支出ヲ致シテ
居リマス、是亦如何トモスルコト能ハズシ
テ、帝國議會ナカリセバ、斯ル不正不義ヲ
摘發スルコトガ出來得ナカッタノデアリマ
ス、又一面大藏省ノ事業費中ニ於キマシテ、
一箇年問食鹽廻漕費ト稱シテ、三百万圓ト
云フ損害ヲ年々國庫ニ與ヘツヽアルノデア
リマス、是等ニ對シマシテモ、今日マデ帝
國議會ニ於キマスル論議ニ多クサレテ居リ
マセヌガ、事重大ナルモノデハゴザイマス
マイカ、之農林省ガ九州ノ八重山郡ニ於キ
マスル、千年斧鉞ヲ加ヘザル國寶的要存置
林數十町步、約四十万立方米ノ林木ヲ、開
墾ニ名ヲ藉リテ之ヲ無償ニ等シク拂下ゲテ
シマッタト云フ事實、實ニ我ガ日本ノ現代ニ
於キマシテ、斯樣ナ事ガ行ハレツヽアルコ
トハ、恐ルベキ結果ヲ來スモノデハゴザイ
マスマイカ、又鐵道省ガ貨物ノ集荷運賃
割戾ト稱シマシテ、不當ノ支出ヲ致シテ、
ソレガ一箇年間ニ於テハ、七百六十六万八
千圓ノ損害ヲ國庫ニ與へテ居ルノデアリマ
ス、又樺太鐵道ガ鐵道改良費ト稱シマシテ、
七十七万八千圓ノ不正支出ヲ爲シテ、國家
ニ是ガ損害ヲ與ヘテ居ルノデアリマス、臺
灣軍經理部ガ土地不當ノ拂下ヲ致シマシテ、
國庫ニ數十万圓ノ損害ヲ與ヘタル事實ガア
リマス、尙ホ驚クノハ、朝鮮總督府ガ度量
衡專賣法ヲ行ヒマシテ、度量衡器ヲ總督府
ガ之ヲ販賣人ニ賣渡シマシタ、其賣渡シタ
賣上代金ヲ、聯合シテ六箇年間總督府ニハ
一文モ納メテハ居リマセヌ、斯樣ナ恐ルベ
キコトガ日本ノ現狀ニ於テ法律アリト雖モ
行ハレテ居ル、斯ル不正不義、綱紀紊亂ノ
事實ハ、何ヲ以テ吾々ハ處置スベキデアル
カ、今日ノ帝國議會ニ於キマスル所ノ眞ノ
意義ヲ明ニシ、其本分ヲ全ウセントスルノ
ニハ、此點ニ留意ヲシナケレバナリマセヌ、
又大藏省ガ煙草直營ニ際シマシテ、政府ガ
旣ニ與フベカラズト決定シテ居ルモノニ、
期日ヲ經過シテ此者ニ莫大ナル金ヲ與ヘタ
ト云フ事實、是亦斯樣ナモノヲ取締ラナケ
レバナリマセヌ、內閣印刷局ガ物品購入ニ
際シマシテ、何等價値ナキコトヲ知リナガ
ラ、六十三万九千圓ト云フモノヲ出シマシ
テ、不用ノ土地ト物品トヲ購入シテ、其儘
放置サレテアリマス、次ハ製鐵所ノ物品ノ
不當購入、豫算ヲ惡用致シマシテ、八十九
万九千圓ヲ國庫ニ損害ヲ與ヘマシタ事實、
當然徵スベキ金額ヲ徴收セズシテ未濟ニ終
ラシメタル、大連民政署ノ六十三万四千餘
圓ノ損害ヲ與ヘマシタ事實、最近各製糖會
社ニ對シマスル所ノ、稅額不當認定三千百
三万八千餘圓ノ國庫ニ與ヘタル損害ノ例デ
アリマストカ、樺太廳ガ林木ヲ、一億八十
万石ト云フ巨額ノ不正拂下ヲ致シマシテ、國
家ニ數千万圓ノ損害ヲ與ヘマシタ事實、東京
神田一ツ橋ニ於キマスル土地數千坪ヲ、共立
女子職業學校長鳩山春子ニ不當拂下ヲ致シ
マシテ、數十万圓ノ損害ヲ國家ニ與ヘマシタ所
ノ事實、農林省ガ旭「シルク」株式會社ト要
償契約ヲ締結致シマシテ、驚クベシ一千六百
十七万圓ト云フ金ヲ國家ガ徴收シナケレバナ
ラヌノヲ、其儘私立會社ヨリ之ヲ徵收セズ、
今日ニ放置致シマシテ、其間ニハ恐ルベキ
國家ノ綱紀紊亂ノ事實ガアリマス、諸君、過
般來帝國議會ノ問題トナッテ居リマスル所
ノ一千五百万圓ノ第二豫備金ノ問題ハ、兩
院ヲ通ジテ今日尙ホ議論ノ中心ヲ爲シテ居
ルノデアリマス、千五百万圓ノ僅ノ金ヲ以
テ農村ヲ救濟セントスルニ、斯ル如キ重大
ナル論議ヲ喚起シテ居ル、然ルニ一私立會
社ト政府トガ契約シテ、一千六百十七万圓
ト云フ巨額ノモノヲ、當然徵收スベキコト
ニナッテ居ルノニ拘ハラズ、之ヲ不問ニ付シ
テ居リ、其間ニ於テ不正手段ニ依リ之ヲ免
除シテヤラントスル如キ結果ヲ見ルニ至リ
マシテハ、國家ノ由々シキ大事件デハゴザ
イマスマイカ、尙ホ遞信省ガ不用品ト分リ
ナガラ、之ヲ購入致シマシテ、八十八万四
千餘圓ト云フモノヲ國庫ニ損害ヲ與ヘマシ
タ事實、陸軍省ガ衣糧費ノ項目ニ於キマシ
テ、四十三万七千圓ノ不當支出ヲ致シテ、
國庫ニ損害ヲ與ヘテ居リマスル事實ガア
リマス、內務省ガ東京深川ノ官有土地ヲ、
同潤會ニ數千坪ヲ不當ニ拂下ゲマシテ、是
亦國庫ニ數十万圓ノ損害ヲ與ヘテ居リマ
ス、又信濃川水力電氣發電工事請負ニ於キ
マシテ、工事請負ノ人間ヲ選定シテ限度ヲ
決メルト云フノデ、人數ヲ少クスル其代償
トシテ、一人當リノ工事指名料トシテ十万
圓宛取リ、合計七十万圓ヲ此處デ掠メテ居
ル事實ガアリマス、以上述ベマシタコトハ、
本員ノ調査致シマシタ所ノ百分ノ一ニモ足
ラザル例ヲ申上ゲマシテ、本法ノ如何ナル
點ヲ取締ルベキカノ例ヲ示シタニ過ギナイ
ノデアリマスケレドモ、顧ミマシテ我ガ日
本現代ニ於キマスル中央地方ヲ通ジテノ不
正不義ハ、驚クベキ結果ヲ招來スルコトヲ
感知シナケレバナリマセヌ、是レ悉ク不正
不義ヲ致シマシテモ取締ルベキ法律ガナ
イ、此競爭入札取締ニ關スル法律案ハ、斯
ル恐ルベキ弊害ヲ除去致シマシテ、國家ノ
基礎ヲ確立シ、國民擔稅ノ輕減公平ヲ期セ
ン爲ニ、本案ヲ提出シタ所以デアルノデア
リマス、何卒愼重審議速ニ成文法トナリマ
スルヤウニ、御協贊アランコトヲ御願致シ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=4
-
005・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 本案ニ對シテハ
別ニ質疑ノ通〓ガアリマセヌカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=5
-
006・青木雷三郎
○靑木雷三郞君 本案ハ政府提出、辯護士
法中改正法律案外三件委員ニ併セ付託セラ
レンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=6
-
007・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 靑木君ノ動議ニ
御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=7
-
008・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 御異議ナシト認
メマス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=8
-
009・青木雷三郎
○靑木雷三郞君 日程第二ハ延期セラレン
コトヲ望ミマス
〔「贊成」「反對」ト呼ヒ其他發言スル者
多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=9
-
010・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 工藤鐵男君
(「何ノ爲ノ登壇「ダ」「登壇スル必要ガナ
イヂヤナイカ」ト呼ヒ其他發言スル者
多シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=10
-
011・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 靑木君ノ動議ニ
反對ノ意見陳述デアリマス
〔工藤鐵男君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=11
-
012・工藤鐵男
○工藤鐵男君 只今靑木君ヨリ日程第二、
卽チ地方財政調整法案ニ對スル日程延期ノ
動議ガアッタノデアリマス、私ハ此際議長ノ
許可ヲ得マシテ、此動議ノ不當ナル理由ヲ
明ニシテ反對ヲ致シマス地方財政ノ窮迫セ
ル狀態ハ、屢〓本院ヲ通シテ明ニセラレテ居
リマス、隨テ吾々ハ此法案ガ一日モ速ニ成
立致シ、日本全國市町村、地方財政ノ窮迫
セル狀態ヲ打開センガ爲ニ、各派或ハ協調
或ハ各派獨自ノ意見ニ依ッテ之ヲ成案ト
爲シ、現ニ六十五議會ニ於テハ、之ニ關
スル院議ヲ定メマシテ、全會一致ヲ以テ通
過シタ案デアリマス(拍手)又院外ニ於キマ
シテハ、日本全國到ル處地方財政ノ根本ニ
對シ一大改革ヲ加ヘ、之ニ財源上ノ餘裕ヲ
與フルニ非ザレバ、或ハ國務ノ委任スラ返
還セントスル議論モアルト云フコトハ、政
友會ノ諸君モ之ヲ認メテ居ルノデアリマ
ス、隨テ臨時議會ニ於テ政友會ノ諸君ハ、
所謂爆彈動議ヲ提出致シ、其中ニハ明ニ地
方財政ニ對シ交付金ヲ出サナケレバナラヌ
ト云フコトヲ、理由ノ一トシテ述べテ居ル
ノデアリマス、既ニ前臨時議會ニ於テ、窮
迫一日モ忽ニスルコトノ出來ナイ、卽チ豫
算審査ヲ中止シテモ、之ヲ實現シナケレバ
ナラヌト主張シタ政友會諸君デアリマスカ
ラ、斯樣ナ法案ハ一日モ速ニ成立セシメ、
實現スルコトニ同意スルデアラウト云
フノガ私共ノ意見デアリマス、故ニ私共
ハ本案ヲ提出スルニ當ッテ、院內外ノ情勢
ヲ番カニ考ヘ、又各黨ソレ〓〓ノ獨自ノ
立場ガアリマスカラ、此點モ考ヘ、或
ル一派ヨリ種々ナル交涉ガアリマシタケ
レドモ、我黨ノ主張ハ儼トシテ存スルモノ
ガアルガ故ニ、我黨ハ獨特ノ見地ヨリ此法案
ヲ提出致シタノデアリマス、斯ノ如ク本案
ノ成立ヲ一日モ速ニシナケレバナラヌト云
フコトハ諸君モ御承知ノ通リデアリマ
ス、隨テ吾々ハ此日程ガ本日上程セラル
ニ當リマシテ、各派交涉會ヲ開キ、此案ノ取
扱方ニ付テ御相談ヲシタノデアリマス、政
友會ヲ代表シタ島田君ハ發言シ、此日程ヲ
延期センコトノ希望ガアッタノデアリマス、
併ナガラ多年ノ要望デアリ、一日モ忽ニス
ルコトノ出來ナイ法案トシテ、延期ノ理由
ノ不當ナルコトヲ吾々ハ交涉會ニ於テ主張
シタ結果島田君モ流石一黨ノ領袖ダケアッ
テ、此案ノ上程ニ共鳴サレ、延期ハ强テ求
メナイ、併ナガラ延期ハシナイケレドモ、赤
字公債外數件ノ委員會ニ入レルカラ、ソレ
デモ宜シイカトノコトデアリマシタ、私共
ハ結局一日モ早ク之ヲ片付ケルト云フ主張
ガアリマスカラ、ソレデモ宜シイト云フコ
トヲ申シテ承認ヲ得タノデアリマス、旣
政友會ノ領袖トシテ、一黨ノ力ヲ背景トシ
テ、各派交涉會ニ於テ、各派ノ有力ナ支持
ノ間ニ於テ決メラレタ此案ヲ、突如トシテ
動議ヲ以テ之ヲ延期スルガ如キハ、交涉會
ノ價値何レニ在リヤト言ハナケレバナラヌ
ノデアリマス(拍手)私共ハ徒ニ此動議ニ反
對スルノデハナイ、之ニ對シマシテ斯樣ナ
說ヲ申上ゲル歷史ヲ有ッテ居ルノデアリマ
ス、又交涉會デハ、各派ノ間ニ圓滿ニ議事
ノ進行ヲ圖ル爲ニ、此趣旨ノ諒解ヲ求メ交
涉會ニ臨ンデ居ルノデアリマス、故ニ前々
ノ交涉會ニ於テ、政友會ハ日程中、同一案
ノ提出ノ準備中デアルカラ、或ル日程ヲ延
期シテ吳レト云フ場合ニ、政友會ノ希望ヲ
容レ、其上程延期ニ同意シタコトモアルノ
デアリマス、又前會ノ本會議ニ於テ、政友
會カラ出シマシタ一ツノ法案、之ニ對シテ
我ガ黨ニモ同一案準備中デアルカラ、前例
ニ傚ヒ政友會ニ延期ヲ求メマシタ所ガ、是
モ亦政友會ハ拒ンダノデアリマス、多數ノ
力ヲ以テ橫車ヲ曳クト云フナラ曳イテ御覽
ナサイ、斷ジテ私共ハ合法的ニ爭ハザルヲ得
ナイノデアリマス(拍手)諸君、本日ノ傍聽
席ニハ恐クハ全國カラノ代表者ガ見エテ居
リマセウ、全國ノ市町村長ノ要求ハ一日モ
早ク成立ヲ希望シテ居ルノデアリマス、
日モ速ニ之シ實行シテ貰ヒタイト申スノデ
アリマス、故ニ一日モ速ニ實行スルニハ
日モ速ク本案ヲ成立スル爲ニハ、一刻ト雖
モ私共ハ此上程ヲ怠ル譯ニハ行カヌノデア
リマス(拍手)爆彈動議ヲ出シマシタル臨時
議會當時ノ光景ヲ御覽ナサイ、豫算ノ審議
權スラモ抛棄シテ、以テ此交付金ヲ其一ツ
トシテ論ヲ立テタ政友會ガ、今ニ於テ本案
ノ延期ヲ申込ムナドヽ云フコトハ、少クモ
市町村ノ要望ヲ蹂躪スルモノニアラズシテ
何ゾヤデアリマス、斯ノ如ク此日程ヲ延期
スルコトノ謂レノナイコトハ、只今申上ゲ
タ所ニ依ッテ明デアリマス、私共ハ徒ラニ事
ヲ好マヌカラ、極メテ圓滿ノ間ニ協定ヲ希
望シマシタケレドモ、大政黨ハ多數ノ力ヲ
以テ國民ノ輿論ヲ蹂躪シテ、斯樣ナルコト
ヲ企ツルニ至ッテハ、斷ジテ贊成ハ出來ナイ
ノデアリマス、故ニ私ハ靑木君ノ動議ハ政
友會ヲ代表シタル動議トシテ、政友會ノ意
思ニ依ッテ斯樣ナル案ヲ延期シ、地方ノ窮迫
ノ狀ヲバ手ヲ束ネテ見テ居ルト云フ政友會
ノ態度ニ對シマシテ、滿腔ノ不滿ヲ以テ此
動議ニ反對ヲスルト云フコトヲ聲明シマス
(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=12
-
013・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 〓瀨一郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=13
-
014・清瀬一郎
○〓瀨一郞君 簡單ニ此席ヨリ申上ゲタイ
ト存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=14
-
015・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 許可致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=15
-
016・清瀬一郎
○〓瀨一郞君 此地方振興ノ爲ノ交付金ノ
問題ハ重大デアリマス、吾々ハ過般政民兩
黨ニ向ッテ共同提案ヲ誘ッタノデアリマス、
其時ノ民政黨ノ答ハ、交付金ハ來ルベキ內
閣審議會ニ懸ケテ實施スベキコトデアルト
申サレテ、到頭提案ヲ拒絕セラレタノデア
リマス、天下公知ノ事實デ、ヨモヤ然ラズ
トハ御答ニナリマスマイ(拍手)果セル哉民
政黨ノ議案ヲ見レバ、本案ノ施行期日ハ勅
令ヲ以テ之ヲ定メルト云フ、勅令ヲ以テ之
ヲ定メルト云フコトノ裏ニハ此年度カラ
ハ實施シナイト云フコトガ含マレテ居ル
(拍手)此年度カラ實施セズニ、內閣審議會
デ決メルナラバ、來年度カラ實施スルカ、
然ラザレバ民政黨ノ案ハ、結局永久ニ實施
シナイ、見セビラカシノ案デアル(拍手)私
ハ本案ノ如キハ卽決否決スベキモノトハ思
ヒマスルケレドモ、近ク吾々ト政友會ト共
同ニ出シマスル案ノ序ニ、併セ〓究シテモ
宜シイト思フ、靑木君ノ只今ノ之ヲ延期ス
ルト云フ動議ハ至極適切デアリマスルカ
ラ、國民同盟ハ之ニ贊成致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=16
-
017・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 靑木君提出、日
程第二ヲ延期スベシトノ動議ヲ採決致シマ
ス、靑木君ノ動議ニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ求
メマス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=17
-
018・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 起立者多數
(「異議アリ」ト呼ヒ其他發言スル者多
シ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=18
-
019・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 議長ノ宣〓ニ對
シ成規ニ依ル異議ノ申立ガアリマス、仍テ
記名投票ヲ以テ採決致シマス、是ヨリ記名
投票ヲ行ヒマス、靑木君ノ動議ニ贊成ノ諸
君ハ白票、反對ノ諸君ハ靑票ヲ持參セラレ
ンコトヲ望ミマス-閉鎖-氏名點呼ヲ
命ジマス
〔書記官氏名ヲ點呼ス〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=19
-
020・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 投票漏ハアリマ
セヌカー-投票漏ナシト認メマス-投票
函閉鎖-開匣-開鎖
〔書記官投票ノ數ヲ計算ス〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=20
-
021・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 投票ノ結果ヲ書
記官長ヨリ報〓セシメマス
〔田口書記官長朗讀〕
投票總數二百六十五
可トスル者白票百八十三
否トスル者靑票八十二
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=21
-
022・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 靑木君ノ動議ハ
可決セラレマシタ、仍テ日程第二ハ延期致
シマス
〔參照〕
靑木雷三郞君提出議事日程第二ハ之ヲ延
期スヘシトノ動議ヲ可トスル議員ノ氏名
左ノ如シ
伊藤仁太郞君岩崎幸治郞君
岩瀨亮君磯部尙君
磯部〓吉君井上知治君
板野友造君板谷順助君
今井健彥君猪野毛利榮君
生田和平君林讓治君
林路一君林田操君
原惣兵衞君葉梨新五郞君
服部岩吉君八田宗吉君
花城永渡君西岡竹次郞君
西村茂生君西方利馬君
仁田大八郞君堀切善兵衞君
本田義成君本多貞次郞君
戶田虎雄君東〓實君
沼田嘉一郞君大口喜六君
大崎〓作君大野伴睦君
大石倫治君大本貞太郞君
太田正孝君小高長三郞君
岡田伊太郞君渡邊幸太郞君
加藤知正君加藤久米四郎君
川手甫雄君金光庸夫君
金井正夫君勝又春一君
菅野善右衞門君橫川重次君
米田規矩馬君吉田鞆明君
田中善立君田中喜代松君
田邊熊一君田邊七六君
田子一民君田村實君
高橋金治郞君高橋泰雄君
高橋熊次郞君竹澤太一君
竹內友治郞君立川平君
土倉宗明君中島知久平君
中井一夫君名川侃市君
永田良吉君上田孝吉君
上野基三君上原平太郞君
梅村大君野田俊作君
熊谷直太君熊谷五右衞門君
久山知之君國枝拾次郞君
倉元要一君藏園三四郞君
山本愼平君山本莊一郞君
山本市英君山崎猛君
山口忠五郞君山田又司君
山下谷次君山村豐次郞君
八角三郞君矢野晋也君
松木弘君松山常次郞君
松野鶴平君松實喜代太君
松尾孝之君牧野賤男君
前田米藏君增田金作君
益谷秀次君丸山浪彌君
藤生安太郞君船田中君
福井甚三君深澤豐太郞君
小林錡君小島智善君
木暮武太夫君後藤脩君
近藤壽市郞君紅露昭君
寺田市正君靑木雷三郞君
靑田勝晴君靑山憲三君
有馬淺雄君天辰正守君
東武君佐藤洋之助君
佐藤庄太郞君佐々木家壽治君
佐保畢雄君佐竹直太郞君
崎山嗣朝君坂本一角君
實岡半之助君木本主一郞君
木村正義君宮古啓三郞君
宮本雄一郞君宮崎一君
宮脇長吉君三善信房君
三井德寶君島田七郞右衞門君
島田俊雄君平井信四郞君
廣瀨爲久君森田政義君
門田新松君瀨川嘉助君
仙波久良君世耕弘一君
鈴木吉之助君鈴木喜三郞君
鈴木辰三郞君砂田重政君
菅原傳君助川啓四郞君
壽原英太郞君伊豆富人君
伊禮肇君井上剛一君
鷲澤與四二君加藤鯛一君
高橋壽太郞君中村繼男君
中田正輔君野田文一郞君
山道襄一君古屋慶隆君
深水〓君小山谷藏君
佐藤理吉君〓瀨一郞君
岸衞君菊池良一君
由谷義治君
否トスル議員ノ氏名左ノ如シ
池田秀雄君飯塚春太郞君
猪股謙二郞君原吉郞君
原夫次郞君濱野徹太郞君
坂東幸太郞君西村丹治郞君
本田彌市郞君戶井嘉作君
戶澤民十郞君豐田豐吉君
大麻唯男君大島寅吉君
小川〓太郞君岡田喜久治君
川橋豐治郞君川淵洽馬君
勝田永吉君勝正憲君
吉川吉郞兵衞君高橋守平君
高田耘平君田中祐四郞君
田中武雄君田中貢君
武知勇記君竹田儀一君
賴母木桂吉君多田滿長君
依孫一君谷原公君
堤康次郞君中村三之丞君
中村不二男君中島彌團次君
中亥歲男君中井川浩君
永田善三郞君永井柳太郞君
內藤正剛君村松久義君
村上紋四郞君內ケ崎作三郞君
野村嘉六君工藤鐵男君
山本厚三君山田助作君
山枡儀重君八木逸郞君
矢野庄太郞君松田竹千代君
松田正一君松村謙三君
松永東君眞鍋勝君
眞鍋儀十君牧山耕藏君
增田義一君藤井啓一君
藤田若水君福田關次郞君
小山松壽君駒井重次君
木檜三四郞君後藤亮一君
手代木隆吉君靑木亮貫君
荒川五郞君齋藤直橘君
齋藤隆夫君作田高太郞君
〓寛君〓水留三郞君
〓水德太郞君重松重治君
平川松太郞君松定吉君
比佐昌平君百瀨渡君
鈴木富士彌君末松偕一郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=22
-
023・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 日程第三、登錄
稅法中改正法律案ノ第一讀會ヲ開キマス、
提出者ノ趣旨辯明ヲ許シマス-金光庸夫
君
第三登錄稅法中改正法律案(金光庸
夫君外三名提出)第一讀會
登錄稅法中改正法律案
登錄稅法中左ノ通改正ス
第十六條ニ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ規定ハ保險業法ノ規定ニ從ヒ保
險契約全部ノ移轉契約ニ因リテ不動產
又ハ船舶ニ關スル權利ヲ移轉シタル場合
ニ於テ其ノ權利ノ取得ニ付之ヲ準用ス
〔金光庸夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=23
-
024・金光庸夫
○金光庸夫君 登錄稅法中改正法律案ノ提
案ノ理由ヲ說明致シマス、會社ノ合併ニ依
ル不動產、船舶ニ關スル權利移轉ノ場合ニ
ハ、形式ハ移轉デアッテモ、內容ニ於キマシ
テハ、賣買讓渡等ニ因ル權利移轉ノ場合ト
事情ヲ異ニスルモノガアリマス、且ツ我國
經濟界ノ狀態ニ鑑ミマシテ、會社ノ合併ヲ
容易ニシ、之ヲ奬勵センガ爲ニ、昭和二年中
登錄稅法第十六條ノ實施ヲ見タノデアリマ
シテ、施行以來所期ノ目的ヲ達スル上ニ著
シキ效果ガアッタノデアリマス、然ルニ保險
業ニ於キマシテハ、其事業ノ特異性ニ鑑ミ
マシテ、合併ニ代ヘテ其實ヲ擧ゲルノ方法
ト致シマシテ、保險契約ノ包括移轉、卽チ
保險契約ノ全部ト、之ニ對スル積立金タル
財產ノ全部ヲ一括シテ、權利ヲ移轉スルコ
トノ制度ガ設ケラレテ居ルノデアリマシテ、
其實質ハ合併ニ等シキモノデアリマスガ、
合併ナル形式ニ依ラザル爲ニ、登錄稅法第
十六條ノ適用ガ出來ズ、公平ヲ失シマスカ
ラ、合併ノ場合ニ適用スル同條ヲ準用セン
トスルモノデアリマス、何卒滿場一致御贊
成アランコトヲ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=24
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025・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 本案ニ對シテハ
別ニ質疑ノ通〓ガアリマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=25
-
026・青木雷三郎
○靑木雷三郞君 本案ハ東武君外三名提
田、度量衡法中改正法律案外一一件委員ニ併
セ付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=26
-
027・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 靑木君ノ動議ニ
御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=27
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028・植原悦二郎
○副議長(植原稅二郞君) 御異議ナシト認
メマス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日
程第四、營業收益稅法中改正法律案ノ第一
讀會ヲ開キマス、提出者ノ趣旨辯明ヲ許シ
マス-小林錡君
第四營業收益稅法中改正法律案〓中
谷貞賴君外二名提出)第一讀會
營業收益稅法中改正法律案
營業收益稅法中左ノ通改正ス
第七條第六號中「又ハ演劇興行」ヲ削ル
附則
本法ハ昭和十一年四月一日ヨリ之ヲ施行
ス
〔小林錡君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=28
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029・小林かなえ
○小林鉤君 簡單ニ提案ノ理由ヲ御說明申
上ゲマス、大正十五年ニ營業稅ヲ廢シマシ
テ、新ニ營業收益稅ヲ設置セル所以ノモノ
ハ、舊營業稅ガ外形標準ヲ採用シ、收益ニ
應ズルコトヲ得ザル苛酷ナル點ヲ是正致シ
マシテ、應能課稅ノ原則タル給付能力主義
ニ基カシメ、以テ收益ニ應ジタル公平ナル
課稅ヲ爲サシムルニ在ッタノデアリマス、隨
テ舊法ニ於キマシテハ、法人ニ在ッテモ、稅
法ニ特ニ揭ゲタ營業ノミニ課稅シタノニ反
シ、營業收益稅ニアリマシテハ、一切ノ營
利法人ニ對シ課稅スルコトヽシタノデアリ
マス、是レ卽チ營業收益稅ガ地租、資本利
子稅ト共ニ資產重課ヲ目的トシテ、所得稅
ノ補完稅タル職能ヲ果スノ理由ニ依ルノデ
アリマス、然ラバ演劇興行ノミガ、特ニ除
外例トシテ營業收益稅ヨリ除去サレタノハ
不合理デアリマシテ、且ツ五十七年前ノ明
治十一年太政官布〓ニ依ッテ、縣稅雜種稅タ
リシ緣由ニノミ依リ、我ガ租稅體系ヲ紊亂
スルノハ不可解ナリト言ハナケレバナリマ
セヌ、今ヤ經濟界ノ疲弊ハ甚シク、給付能
力ニ應ジタル所ノ課稅ヲ以テスラ、其負擔
ニ堪へ難キ折柄、演劇興行ノミガ苛酷ナル
外形標準ニ依ル課稅ノ下ニ泣クノハ、社會
正義ニ反スル不公平ノ處置ト言ハナケレバ
ナリマセヌ、是レ本案ヲ提出シタ所以デア
リマス、何卒御協賛アランコトヲ切ニ御願
致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=29
-
030・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 本案ニ對シテハ
別ニ質疑ノ通〓ガアリマセス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=30
-
031・青木雷三郎
○靑木雷三郞君 本案ハ議長指名十八名ノ
委員ニ付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=31
-
032・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 靑木君ノ動議ニ
御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=32
-
033・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 御異議ナシト認
メマス、仍テ動議ノ如ク決シマシター日
程第五、水利組合法中改正法律案ノ第一讀
會ヲ開キマス、提出者ノ趣旨辯明ヲ許シマ
ス--熊谷五右衞門君
第五水利組合法中改正法律案(熊谷
五右衞門君提出)第一讀會
水利組合法中改正法律案
水利組合法中左ノ通改正ス
第三十三條第一項但書中「官吏ヲ指定シ」
イ.p.「又ハ組合會ノ議決ニ基キ其ノ申
請ニ依リ管理者ヲ指定シ」ヲ、同條第三
項中「其ノ代理者」ノ下ニ「第一項但書ニ
依ル管理者故障アルトキハ第三十六條ノ
吏員」ヲ加フ
第四十四條第一項中「官吏又ハ市町村長
ニ於テ」ヲ「市町村長又ハ第三十三條第一
項但書ニ依リ指定セラレタル者ニ於テ」
三六九
〔熊谷五右衞門君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=33
-
034・熊谷五右衞門
○熊谷五右衞門君 只今上程ニナリマシタ
水利組合法中改正法律案ノ提出ノ理由ヲ一
言致シマス、本法中知事ノ指定ニ依リマス
ル管理者ハ、關係市町村長ノ一人又ハ官吏
ニ限ルト云フコトニナッテ居ルノデアリマ
ス、然ルニ市町村長ニテハ、其市町村ノ利
害ヲ異ニ致シマスルヨリ致シマシテ、多ク
ハ府縣事務官ガ指定サレテ居ルノデアリマ
ス、事務官ハ地方ノ實情ニ暗イノデアリマ
スルノミナラズ、洪水ナドノ急場ノ際ニ處
スルニ付キマシテ、大ナル支障ヲ來スノデ
アリマス、仍テ組合ノ申請ヲ以テ専任ノ管
理者ヲ設クルコトヲ得ルト云フノニ改正シ
タイト云フノデアリマス、本案ハ是マデ本
院ヲ通過致シタルコトモアルノデアリマス
ルカラシテ、何卒諸君ノ御贊成ヲ願ヒマス
(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=34
-
035・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 本案ニ對シテ別
ニ質疑ノ通〓ハアリマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=35
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036・青木雷三郎
○靑木雷三郞君 本案ハ田中祐四郞君外二
名提出、衞生組合法案外四件委員ニ、併セ
付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=36
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037・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 靑木君ノ動議ニ
御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=37
-
038・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 御異議ナシト認
メマス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日
程第六ハ提出者不在ニ付後〓シニ致シマ
ス-日程第七、傷痍軍人及戰公傷病死者
遺族等ノ鐵道船舶等乘車船優遇ニ關スル法
律案ノ第一讀會ヲ開キマス、提出者ノ趣
旨辯明ヲ許シマス-提出者上原平太郞
君-本案モ提出者不在ニ付後〓シト致シ
マス-日程第八、選擧革正組合法案ノ第
一讀會ヲ開キマス、提出者ノ趣旨辯明ヲ許
シマス-提出者佐藤庄太郞君
第八選擧革正組合法案(佐藤庄太郞
君外三名提出)第一讀會
選學革正組合法案
選擧革正組合法
第一條選擧革正組合ハ法律ノ定ムル議
會ノ議員選擧ニ付投票買收及棄權ヲ防
止シ其ノ他選擧ノ自由公正ヲ確保スル
ヲ以テ目的トス
第二條選擧革正組合ノ區域ハ地方長官
之ヲ指定ス但シ組合員百名ヲ越ユル區
域ヲ指定スルコトヲ得ス
第三條選擧革正組合ハ其ノ區域內ニ居
住スル法律ノ定ムル議會ノ議員ノ選擧
權ヲ有スル者ヲ以テ組合員トス
第四條組合員中其ノ總數百分ノ五以上
投票買收ノ罪ヲ犯シ刑ニ處セラレタル
者アルトキハ他ノ組合員ハ其ノ裁判確
定ノ後五年間法律ノ定ムル議會ノ議員
ノ選擧權ヲ有セス
第五條選擧革正組合ノ管理、監督其ノ
他必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔佐藤庄太郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=38
-
039・佐藤庄太郎
○佐藤庄太郞君 只今上程サレマシク選擧
革正組合法案ノ提案ノ趣旨ヲ申上ゲマス、
ドウカ少シノ間時間ヲ貸シテ戴キタイト思
ヒマス、代議政治ノ根本ヲ爲シテ居ル所ノ
此議員ノ選擧、我ガ日本ノ現時ノ選擧ノ狀
態法律ニ定ムル所ノ總テノ議會ノ議員選
擧、其弊害洵ニ言フニ忍ビズ、吾々ハ明治
ノ初年以來、此憲法政治、代議政治ノ完成
淨化、之ニ依ッテ我ガ日本帝國ノ國民ノ權利
モ仲張シ、政治モ淨化スル、之ヲ吾々先輩
竝ニ吾々ガ一世ノ仕事トシテ奮闘努力ヲシ
テ今日マデ至リマシタ、然ルニ其憲法政治
ノ根源ヲ爲ス選擧界ノ腐敗ノ狀態ハ、此處
デ明カニ言フニ忍ビマセヌ、悉ク皆樣ノ御
承知ノ通リデアリマス、而シテ之ヲ如何ニ
淨化スルカ、卽チ選擧ト云フモノヲ〓ラカ
ニスル、言葉ヲ換ヘテ言ヘバ、多クノ金ヲ
掛ケヌデ選擧ガ出來ルト云フコトニシタイ
ト云フコトハ、私ノ信念デアリマス、昨年
衆議院議員ノ選擧法改正案ヲ齋藤内閣ヨリ
提案サレテ、吾々ハ委員ノ一人トナッテ、此
審議ノ衝ニ當リマシタガ、政府提案ノ趣旨
モ、選擧ヲ淨化スルト云フ點ニ至ッテハ勿
論同一デアリマスルガ、其內容ト云フモノ
ハ候補者、卽チ議員ノ候補者ニ立ッタ者ヲ嚴
罰ニ處スルヲ重點ニ置イテ、サウシテ此選
擧ノ革正ヲ圖ラントスルト云フコトハ、洵
ニ理窟ヲ爲サナイ、木ニ緣ッテ魚ヲ求ムルガ
如キモノデアルト言ウテ、吾々ハ此修正ヲ
試ミテ、眞ニ選擧ノ革正ノ爲ニハ、多年ノ
經驗ニ依リ斯ノ如クニスレバ選擧ノ革正ガ
出來ルノグト云フコトヲ主張シテ、之ヲ實
現セント圖ッタケレドモ、時機到ラズシテ遂
ニ此吾々ノ主張ハ通ラナカッタノデアリマ
スガ、本年玆ニ此案ヲ提出致シマシテ、サ
ウシテ我ガ選擧界ヲ淨化スルト云フコトヲ、
ドウシテモ仕遂ゲタイト云フ、信念ノ上ニ
私ハ之ヲ提案シタル譯デアリマス、先ヅ此
吾々衆議院議員ノ選擧ニ付テノ事柄ヲ言フ
コトヲ此處デ憚リマス、言ヒマセヌ、先以テ
一例トシテ貴族院議員ノ選擧ニ付テノコト
ヲ申上ゲテ見マス、僅ニ五十票カ百票ヲ取ッ
テ當選スル貴族院議員ノ選擧、此選擧ニ數
万圓或ハ十万圓モ掛ルト云フ所ノ狀態ヲ爲
シテ居ルコトハ、皆サンノ御承知ノ通リデ
アリマス、其他府縣會議員ノ選擧、市町村
會議員ノ總テガ、大體之ニ倣フノ狀態ヲ爲
シテ居ルト云フコトハ、洵ニ悲シマザルヲ
得ナイ、憲法政治、代議政治ノ爲ニ悲ミニ
堪ヘナイノデアリマス、故ニドウカ之ヲ矯
正シヨウト云フコトニ付テ種々ノ〓究ヲ遂ゲ
マシタガ、憲法政治ノ先進國ノ英國ニ於テ
ハ選擧界ノ腐敗ノ狀態極點ニ達シタルノ
時ニ於テ、此私ガ提案シタルモノト殆ド同
樣ノ法案ヲ實行シ、サウシテ英國ノ選擧界
ガ革正サレタト云フ實例モアルノデアリマ
ス、此內容ニ付キマシテハ主タル重點
ハ-候補者ヲ嚴罰ニ依ッテ選擧ノ革正ヲシ
ヨウト云フコトモ、吾々ハ勿論反對デハナ
イノデアリマスガ、選擧ノ現狀ト云フモノ
ハ、決シテ候補者好ンデ金ヲ使フノデハナ
イノデアリマス、皆諸君モ體驗サレル通リ、
多クノ有權者側ニ、因襲ノ久シイ、多年、
數十年ノ因襲ノ久シイ、各町村ニ向ッテ幾分
カノ金ヲ配付シナケレバ、選擧ガ出來ナイ
コトノ實情ニナッテ居ルコトハ、御承知ノ通リデ
アリマス、其要求ヲサレルニ依ッテ、餘儀ナク
候補者ハ苦ンデ、赤貧洗フガ如キ吾々ノ如
キ階級ノ者デモ出サヾル得ナイノデアリマス、
サウシテ是ガ眞ニ選擧法ニ適フ理想選擧、卽
チ選擧淨化ト云フコトニナルト、卽チ金ヲ出サ
ヌト云フ選擧ヲスレバ、各〓悉ク當選スルコ
トガ出來ナイ實情ニナッテ居ルト云フコト
ハ、洵ニ悲ムベキコトデアリマス、故ニ有
權者側、選擧人側ニ於テ、其候補者ノ方面
若クハ候補者ノ事務所ノ方面ニ向ッテ、金ノ
要求ヲスルコトハ出來ナイト云フ法案ヲ作ッ
テ、之ヲ矯正シタイト考ヘテ此案ヲ出シタ
譯デアリマスガ、此內容ニ付キマシテ要點
ダケヲ申上ゲマスト、此選擧ノ組合ヲ、地
方長官ノ命令ニ依ッテ區域ヲ定メ、サウシテ
其定メタル所ノ區內ニ住居スル所ノ有權者
ハ悉ク組合員トナリ、其組合員中百分ノ
五、卽チ百人ノ組合員ガアッタ場合ニ於テ、
其中ノ五人ガ買收、選擧違反ニ會フノ時ハ、
是レ卽チ其組合員ガ全部選擧權ヲ失フト云
フコトデアリマス、是ハ隣保相戒メテ、サ
ウシテ選擧ヲ〓ラカニシタイト云フ趣旨カ
ラノコトデアリマス、サウシテ又連坐規
定-犯罪ノ連坐規定ト云フコトハ、理窟
ニ當ラヌト云フ反對モアリマスケレドモ、
我國千年來此連坐規定ト云フモノガアッタ、
ソレデ日本ノ政治ハ封建時代カラ千年以上
モ、是ガ行ハレテアッタノデアリマス、サウ
シテ吾々候補ニ立ツ者ニ對シテハ、選擧法
ニ於テ旣ニ連坐規定ガ出來テ居ルノデアリ
マス、卽チ御承知ノ通リ候補者自身ハ此買
收選擧ヲシナクテモ、他ノ選擧ニ關係シ、
主宰ヲシタル者ガ買收ヲスルナラバ議員ノ
缺格トナル、卽チ當選ヲ致シテモ議員デナ
イト云フコトニナルト云フ嚴重ナル法律ガ、
候補者側デハアルノデアリマスカラ、此有
權者側ニ對スル所ノ嚴重ナル法律ヲ定メテ、
〓ラカナ政治ニシタイト考ヘルノデアリマ
ス、先ヅ之ヲ考フルノ時、吾々ノ先輩、殊
ニ吾々ノ最モ崇敬ヲ拂ッタ犬養先生ノ如キ、
白晝公然總理大臣ノ官邸ニ於テ暗殺ニ遭ツ
タ、此原因何處ニ存スル、卽チ政界ガ淨化
シテ居ナイ、腐敗シテ居ル政黨ノ首領ナル
ガ故ニ之ヲ暗殺シタト云フ、認識不足ノ一
部ノ者ノヤッタコトデハアルケレドモ、兔ニ
角原因ハ此選擧界ノ腐敗ノ事ヨリ來シテ居
ルト云フコトハ御承知ノ通リデアリマス、
又多クノ吾々ノ先輩ニ於テモ金錢ノ問題ノ
爲ニ、吾々ノ先輩ノ中、或ハ同僚ノ中、幾
多ノ悲慘ナ境遇ニナッテ居ル者ノアルコト
モ、皆此選擧ノ腐敗ノ結果デアリマス、誰
モ吾々政治家ノ中ニ於テ、一身一家子孫ノ
榮達ヲ圖ラント欲シテ金ヲ作ッタリ、取多
リスル者ハ一人モアルモンヂヤナイノデア
ル(「ヒヤ〓〓」)皆悉ク選擧ノ爲ニ多クノ金
ガ掛ル、其金ガ掛ルノデ、準備ヲシ、或ハ
配付ヲシナケレバナラナイ爲ニ、無理ナ算
段ヲシテ金ヲ作ッタ結果ト云フモノガ、事實
ニ偶〓現レルノ實情ヲナシテ居ル、洵ニ是ハ
遺憾ナ事デ、悲シムベキ事デアリマス、斯
樣ナ趣旨ニ依ッテ此案ヲ提出シ、サウシテ將
來日本國中ノ總テノ議員ノ選擧ニ此法律ヲ
適用シテ、今ノ法定費用ヲ以テ、吾々初メ
選擧ガ皆出來ルト云フ時代ニシタイト云フ
私ノ深キ信念ノ下ニ、之ヲ提出シタ所以デ
アリマス、ドウカ滿場ノ諸君ノ御贊成ヲ希
ヒ、本案ノ成立スルヤウ御配慮ヲ願ヒマス
(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=39
-
040・植原悦二郎
○副議長(植原悦二郞君) 本案ニ對シテハ
質疑ノ通告ガアリマス、之ヲ許可致シマ
ス-丸山浪彌君
〔丸山浪彌君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=40
-
041・丸山浪彌
○丸山浪彌君 私ハ本案ニ對スル政府ノ所
見ヲ質スベク、內務大臣、文部大臣ノ出席
ヲ要求致シテ居ッタノデアリマスルガ、生憎
兩大臣ハ貴族院ニ出席シテ居ッテ御見エガ
アリマセヌ、サリナガラ內務ハ政務次官、
文部モ亦政務次官ガオ出デニナルヤウデア
リマスカラ、幸ニ御答辯ヲ與ヘラレンコト
ヲ望ミマス、政府ハ此選擧革正組合法案ニ
對スル所感ヲ如何ニ有タレテ居ラルヽコト
デアラウカ、如何ニモ選擧法ハ昨年ニ於テ
改正セラレマシタ、併ナガラアノ改正セラ
レタル所ノ選擧法ニ依ッテ、我國現代ノ腐敗
堕落ノ極致ニ達セル所ノ、此選擧界ヲ革正
シ得ルモノデアルト云フ御考ヲ有ッテ居ル
カドウデアルカ、惟フニ如何ニ認識不足ノ
政府委員ト雖モ、左樣ナ答辯ヲナサル人ハ
アルマイ、今日此政界ノ腐敗墮落ニ向ッテ、
或ル方面ヨリハ政黨ニ向ッテ攻擊ノ矢ヲ放ッ
テ居ル、實ニ誤レルモ甚シキモノデアル(「ヒ
ヤヒヤ」)此腐敗堕落ヲ叫ブ所以ノモノハ、
國民自ラ其罪ノアルコトヲ忘レテ居ルモノ
デアル、卽チ今提案者ノ佐藤先輩ノ御述ニ
ナッタガ如キコトハ、實ニ選擧界ノ實情ヲ物
語ルモノニシテ、何人モ異議ナイ所デア
ル、選擧法ガ改正ニナッテ、或ハ千圓ノ罰
金ガ二千圓ニ、或ハ三千圓ガ四千圓ニナ
リ、體刑ガ或ハ二年ガ三年、三年ガ四年ニ
ナッタ、斯ノ如キ微溫的ノ法ノ改正デ、何ヲ
以テ今日ノ政界ノ革正ガ出來マセウ、是一ノ
於テカ此法案ガ現ハレタ所以デアリマス、
今日ノ我國ノ政界全局ヲ達觀スル時ニ於
テ、實ニ今此席ニ於テ言フコトハ甚ダ躊躇
セザルヲ得ヌノデアリマス、併ナガラ私ハ
此席ヲ借リテ-通ジテ國民ニ向ッテ一貫
愬ヘテ置キタイト思フノデアル、是ハ決シ
テドノ政黨、ドノ人ヲ指スノデハナイ、今
日政界ノ多クヲ見ル時ニ於テ、免レテ恥ナ
キ人ガ幾人居ルカ、唯此一言ヲ以テ叫ビ、
而シテ此免レテ恥ナキ人ヲ造ル人ハ何人
カ、今日ノ我國ノ國民ノ認識不足ニ起因ス
ルノデハナイカ(拍手)勿論斯ノ如キ國民ニ
向ッテ自省ヲ促スコトハ、眞ニ文部ニ於テノ
根本的〓育、國民〓育、政治〓育ノ力ニ俟
タザルベカラザルコトハ明デアルガ、文部
省ハ此點ニ付テ、選擧法改正後ノ今日ニ於
テ如何ニ見テ居ラルヽカ、如何ニ文部ノ政
策ヲ執ラレルコトデアラウカト云フコトニ
付テモ、特ニ文部當局ニ御伺スルノデアリ
マく、尙又內務ノ政務次官ニ向ッテ御伺シ
マスルガ、彼ノ連坐法、或ハ選擧公營等ノ
微溫的ナ法ヲ以テ、今後來ルベキ-明年
ハ總選擧ガ執行セラレルガ、ソレヲ以テ此
堕落ヲ矯正シ得ルコトデアラウカ、得ラレ
ザルコトハ明デアル、サレバ此法案ニ向ッテ
ハ政府自ラ共ニ倶ニ共鳴シテ、是ガ成立
ヲ圖ラナケレバナラヌコトデアルト私ハ信
ズルノデアルガ、政府ハ此法案ニ對シテ如
何ナル御考ヲ有ッテ居ルコトデアラウカ、分
リ切ッタコトデアリマスカラ多クヲ申上ゲ
マセヌガ、此事ニ付テ兩政府委員ノ御答辯
ヲ要求シマス(拍手)
〔政府委員男爵大森佳一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=41
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042・大森佳一
○政府委員(男爵大森佳一君) 選擧革正組
合法案ノ提案ニ際シマシテ、只今此法案ガ
革正上如何デアルカ、內務當局ノ所見ハド
ウダト云フ御尋デアリマス、申譯ハゴザイ
マセヌガ、マダ十分ニ拜見ヲシテ居リマセ
ヌガ、此選擧ノ弊害ニ對シマシテ革正ヲ圖
ルノ御精神ニ對シマシテハ、十分ノ共鳴ヲ
有ッテ居リマス、唯此法案ニ於キマスル其
目的ヲ現實ニ致シマス方法ガ如何デアルカ
ト云フコト、就中地域的ノ連坐ノ制度ヲ取
ラレテ居ルヤウデアリマスガ、其是非ニ關
シマシテハ相當議論モアルコトカト存ジマ
スガ、尙ホ當局ト致シマシテハ、十分ニ愼
重考究致シマシテ、意見ヲ定メタイト存ジ
テ居リマス、肅正上ノ御精神ニ對シマシテ
ハ、十分同感デゴザイマス
〔政府委員山枡儀重君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=42
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043・山枡儀重
○政府委員(山枡儀重君) 丸山君ノ只今ノ
御質疑ノ御趣旨、卽チ選擧革正ノ根本義ハ
國民ノ政治〓育ニアルト云フ御考ニ付テハ、
私共全ク御同感デアリマス、從來トテモ學
校〓育ニ於テソレ〓〓適當ナル處置ヲ執ッ
テ參ッテ居ルノデアリマシテ、〓科書ノ中ニ
モアリ、或ハ特ニ最近中等〓育ニハ公民科
ナル一科ヲ設ケテ、其徹底ヲ圖ッテ居ルノ
デアリマス、併ナガラ之ヲ以テ未ダ十分デ
アルトハ考ヘラレナイノデアリマシテ、今
後御趣旨ノ次第モアリマスルカラ、十分ニ
各方面ニ注意ヲ拂ッテ、國民ニ政治〓育ノ徹
底スルヤウ、努力致シタイト考ヘル次第デ
アリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=43
-
044・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 是ニテ質疑ハ終
了致シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=44
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045・青木雷三郎
○靑木雷三郞君 本案ハ田中祐四郞君外二
名提出、衞生組合法外四件ノ委員ニ、併セ
付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=45
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046・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 靑木君ノ動議ニ
御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=46
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047・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 御異議ナシト認
メマス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日
程第九及第十ハ同種議案ナルニ依リ、括
議題トナスニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=47
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048・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 御異議ナシト認
メマス、仍テ日程第九、司法保護法案、日
程第十、司法保護法案、右兩案ヲ一括シテ
第一讀會ヲ開キマス、順次提出者ノ趣旨辯
明ヲ許シマス-小林錡君
第九司法保護法案(小林錡君外三名
提出)第一讀會
第十司法保護法案(手代木隆吉君外
三名提出)第一讀會
司法保護法案
司法保護法
第一條左ニ揭クル者ニシテ必要アリト
認ムルトキハ本法ニ依リ之ヲ保護ス
一刑ノ執行ヲ終リ又ハ刑ノ執行ノ免
除ヲ得タル者
二假釋放ヲ許サレタル者
三刑ノ執行ヲ停止セラレタル者
四刑ノ執行ヲ猶豫セラレタル者
五起訴猶豫又ハ微罪釋放ノ處分ヲ受
ケタル者
六其ノ他刑事處分ヲ受ケタル者
第二條保護事務ハ司法大臣ノ管理ニ屬
ス
第三條地方裁判所所在地ニ地方保護局
ヲ置キ保護事務ヲ行ハシム
必要アルトキハ地方保護分局ヲ置クコ
トヲ得
第四條地方保護局ノ設置、廢止及管轄
ニ關スル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第五條地方保護局ニ局長、保護司及書
記ヲ置ク
第六條地方保護局ニ保護事務ニ關スル
諮問機關ヲ置ク
諮問機關ノ組織竝職務ニ關スル規定ハ
命令ヲ以テ之ヲ定ム
第七條地方保護局ハ保護事務ノ補助ヲ
爲サシムル爲適當ト認ムル者ニ保護委
員ヲ囑託スルコトヲ得
第八條地方保護局ハ保護ノ要否ヲ認定
スルニ當リ保護ヲ受クル者ノ父兄親族
其ノ他保護ヲ委託スルニ適當ト認ムル
者ニ出頭ヲ求メ保護ヲ勸說シ又ハ保護
ニ必要ナル事項ヲ指示スルコトヲ得
第九條地方保護局ハ保護ヲ受クル者又
ハ保護ヲ受ケムトスル者ヲ召喚シ又ハ
保護司ヲシテ同行セシムルコトヲ得
第十條地方保護局ハ其ノ事務ヲ行フニ
當リ必要アルトキハ公務所又ハ公務員
ニ對シ囑託ヲ爲シ又ハ補助ヲ求ムルコ
トヲ得
第十一條保護ノ種類左ノ如シ
一生業助成
二融和調停
三輔導援護
第十二條地方保護局被保護者ノ居宅ニ
於テ保護ヲ爲スコト能ハス又ハ之ヲ適
當ナラスト認ムルトキハ保護團體ヲシ
テ收容セシメ又ハ寺院〓會其ノ他適當
ナル施設若ハ私人ノ家庭ニ收容ヲ委託
スルコトヲ得
第十三條地方保護局ハ被保護者ニ對シ
保護ノ爲必要ナル事項ノ遵守ヲ命スル
コトヲ得
第十四條地方保護局ハ必要アリト認ム
ルトキハ被保護者ヲ保護司ノ觀察ニ付
スルコトヲ得
第十五條保護期間ハ二年以內トス但シ
繼續ノ必要アルトキハ之ヲ更新スルコ
トヲ得
第十六條保護ノ解除竝保護期間ノ更新
ハ地方保護局之ヲ決定ス
第十七條保護團體ヲ設置セムトスル者
ハ司法大臣ノ認可ヲ受クルヲ要ス
第十八條地方保護局ハ收容ヲ委託シタ
ル保護團體又ハ適當ナル者ニ對シ命令
ノ定ムル所ニ依リ收容費ヲ補給スルコ
トヲ得
第十九條保護團體ノ用ニ供スル土地建
物ノ權利ノ取得又ハ所有權ノ保存ノ爲
ノ登記ニ付テハ登錄稅ヲ課セス
第二十條保護團體ノ用ニ供スル土地建
物ニ對シテハ租稅其ノ他ノ公課ヲ課セ
ス但シ有料ニテ之ヲ使用セシメタル者
ニ對シテハ此ノ限ニ在ラス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
司法保護法案
司法保護法
第一條左ニ揭クル者ニシテ必要アリト
認ムルトキハ本法ニ依リ之ヲ保護ス
刑ノ執行ヲ終リ又ハ刑ノ執行ノ免
除ヲ得タル者
二假釋放ヲ許サレタル者
三刑ノ執行ヲ停止セラレタル者
四刑ノ執行ヲ猶豫セラレタル者
五起訴猶豫又ハ微罪釋放ノ處分ヲ受
ケタル者
六其ノ他刑事處分ヲ受ケタル者
第二條保護事務ハ司法大臣ノ管理ニ屬
ス
第三條地方裁判所所在地ニ地方保護局
ヲ置キ保護事務ヲ行ハシム
必要アルトキハ地方保護分局ヲ置クコ
トヲ得
第四條地方保護局ノ設置、廢止及管轄
ニ關スル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第五條地方保護局ニ局長、保護司及書
記ヲ置ク
第六條地方保護局ニ保護事務ニ關スル
諮問機關ヲ置ク
諮問機關ノ組織竝職務ニ關スル規定ハ
命令ヲ以テ之ヲ定ム
第七條地方保護局ハ保護事務ノ補助ヲ
爲サシムル爲適當ト認ムル者ニ保護委
員ヲ囑託スルコトヲ得
第八條地方保護局ハ保護ノ要否ヲ認定
スルニ當リ保護ヲ受クル者ノ父兄親族
其ノ他保護ヲ委託スルニ適當ト認ムル
者ニ出頭ヲ求メ保護ヲ勸說シ又ハ保護
ニ必要ナル事項ヲ指示スルコトヲ得
第九條地方保護局ハ保護ヲ受クル者又
ハ保護ヲ受ケムトスル者ヲ召喚シ又ハ
保護司ヲシテ同行セシムルコトヲ得
第十條地方保護局ハ其ノ事務ヲ行フニ
當リ必要アルトキハ公務所又ハ公務員
ニ對シ囑託ヲ爲シ又ハ補助ヲ求ムルコ
トヲ得
第十一條保護ノ種類左ノ如シ
一生業助成
二融和調停
三輔導援護
第十二條地方保護局被保護者ノ居宅ニ
於テ保護ヲ爲スコト能ハス又ハ之ヲ適
當ナラスト認ムルトキハ保護團體ヲシ
テ收容セシメ又ハ寺院〓會其ノ他適當
ナル施設若ハ私人ノ家庭ニ收容ヲ委託
スルコトヲ得
第十三條地方保護局ハ被保護者ニ對シ
保護ノ爲必要ナル事項ノ遵守ヲ命スル
コトヲ得
第十四條地方保護局ハ必要アリト認ム
ルトキハ被保護者ヲ保護司ノ觀察ニ付
スルコトヲ得
第十五條保護期間ハ二年以內トス但シ
繼續ノ必要アルトキハ之ヲ更新スルコ
トヲ得
第十六條保護ノ解除竝保護期間ノ更新
ハ地方保護局之ヲ決定ス
第十七條保護團體ヲ設置セムトスル者
ハ司法大臣ノ認可ヲ受クルヲ要ス
第十八條地方保護局ハ收容ヲ委託シタ
ル保護團體又ハ適當ナル者ニ對シ命令
ノ定ムル所ニ依リ收容費ヲ補給スルコ
トヲ得
第十九條保護團體ノ用ニ供スル土地建
物ノ權利ノ取得又ハ所有權ノ保存ノ爲
ノ登記ニ付テハ登錄稅ヲ課セス
第二十條保護團體ノ用ニ供スル土地建
物ニ對シテハ租稅其ノ他ノ公課ヲ課セ
ス但シ有料ニテ之ヲ使用セシメタル者
ニ對シテハ此ノ限テ在ラス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔小林錡君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=48
-
049・小林かなえ
○小林鑄君 本案ハ過去ニ於キマシテ既ニ
二囘本院ヲ通過シテ居リマス、貴族院ニ於
テ不幸ニモ審議未了ニ終ッタノデアリマス
ルカラ、極メテ簡單ニ提案ノ理由ヲ御說明
申上ゲタイト思ヒマス、惟フニ檢察、裁判、
行刑ハ司法ノ三大事務デアリマスルケレド
モ、刑餘者ニ對スル保護ハ、改善主義刑罰
ノ最後ノ仕上ゲナリト言ハナケレバナラヌ
ノデアリマス、殊ニ近代ノ刑事處分ニ於ケ
ル新傾向ト致シマシテ、刑ノ執行ヲ猶豫シ、
或ハ免除シ、或ハ刑執行ノ途中ニ於テ假釋
放ノ制度ヲ採用シ、更ニ進ンデハ起訴ヲ猶
豫シ、或ハ起訴ヲ留保スル等ノ、極メテ廣
汎ナル便宜主義ヲ採ル點カラ見マシテモ、
保護制度ノ確立ハ、我國ニ於テ最モ緊要ナ
リト言ハナケレバナラヌト思フノデアリマ
ス、又國家財政ノ上カラ見マシテモ、若シ
此制度ニシテ完備致シマスルナラバ、累犯
ヲ防止スルコトモ出來マセウシ、又刑務所
費用モ減ズルコトガ出來ルト考ヘルノデア
リマス、惟フニ明治四十一年、現行刑法ガ
實施セラレマシテカラ、新刑事思潮ノ吸收、
便宜主義ノ採用、行刑施設ノ改善、或ハ少
年法ノ制定、假釋放規定ノ擴充ナド、幾多
ノ進步發展ガアリマシタノニ拘リマセズ、
刑事政策有終ノ美ヲ濟スベキ所ノ保護觀察
ノ制度ト云フモノガ、何等完備シテ居ラナ
イノハ、洵ニ遺憾ニ堪へナイノデアリマス、
御承知ノ如ク、現在ノ狀態ニ於キマシテハ、
單ニ此保護觀察ノ事業ヲ民間篤志家ノ奉仕
事業ニ委ネマシテ、政府ハ極メテ少額ノ奬
勵金ヲ交付スルニ止マッテ居ルノデアリマ
ス、今ヤ我國ノ時局ハ極メテ多難デアリマ
シテ、一方ニ於テハ各種ノ犯罪ガ增加シ、
特ニ處遇ノ極メテ困難ナル思想的犯罪ノ發
生ガ又尠クナイコトハ、私ノ申上ゲル迄モ
ナイコトデアリマス、今ヤ俣護制度ノ確立
ハ最モ喫緊ノ要事トスルト云フコトハ、
何人モ議論ガナイ所デアラウト考ヘルノデ
アリマス、何卒皆サンノ御贊同ヲ得マシテ、
一日モ早ク此制度ガ確立スルヤウニ希フ次
第デアリマス、切ニ皆サンノ御贊成ヲ願フ
次第デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=49
-
050・手代木隆吉
○手代大隆吉君 簡單デアリマスカラ、自
席カラ發言スルコトヲ御許シヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=50
-
051・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 許可致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=51
-
052・手代木隆吉
○手代木隆言君 只今日程ニ上ッテ居リマ
ス所ノ司法保護法案ハ、日程第九ノ法案ト
全ク同一趣旨ノ法案デアリマス、其提案ノ
理由ハ只今小林君ノ辯明セラレタ所ト全
ク同一デアリマス、ソレデアリマスカヲ小
林君ノ趣旨辯明其儘ヲ引用致シマシテ、私
ノ提案理由ノ說明ト致シマス、何卒御審議
ノ上ニ速ニ協贊ヲ與ヘラレンコトヲ御願政
シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=52
-
053・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 此兩案ニ對シテ
ハ別ニ質疑ノ通告ガアリマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=53
-
054・青木雷三郎
○靑木雷三郞君 日程第九及第十ノ兩案ハ、
一括シテ政府提出、辯護士法中改正法律案
外三件ノ委員ニ、併セ付託セラレンコトヲ
望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=54
-
055・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 靑木君ノ動議ニ
御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=55
-
056・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 御異議ナシト認
メマス-仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日
程第十一、民族優生保護法案ノ第一讀會ヲ
開キマス、提出者ノ趣旨辯明ヲ許シマス
荒川五郞君
第十一民族優生保護法案(荒川五郞
君外三名提出)第一讀會
民族優生保護法案
民族優生保護法
第一條本法ハ民族ノ優生ヲ保護助長シ
惡種遺傳ヲ防止根絕スルヲ以テ目的ト
ス
第二條前條ノ目的ヲ達スル爲左ノ各號
ノ一ニ該當スル者ニ對シ命令ノ定ムル
所ニ依リ保性斷種法ノ施術ヲ行フヘシ
殺人、强盗其ノ他兇暴ナル犯罪者
ニシテ其ノ惡質ヲ遺傳スヘシト認メ
ラルル者
二精神狂症、遺傳的腦脊髄病、早發
性痴呆症等ニシテ其ノ症狀ニ依リ是
等惡疾ヲ遺傳スヘシト認メラルル者
三諸種ノ中毒症、「ヒステリー」、遺傳
性不具、結核病、癩病等ノ重症者其
ノ他優生學上不正常兒ノ外生ム能ハ
サル者ト認メラルル者
第三條前條ニ揭クル者ノ惡種ヲ懷姙セ
ル者ニ對シテハ命令ノ定ムル所ニ依リ
法醫審判ヲ經テ墮胎セシム
第四條第二條ノ規定ニ該當スル者ニシ
テ本法ニ依リ斷種法ノ施術ヲ受ケサル
者又ハ梅毒淋疾ノ帶患者ニシテ完全ニ
治癒セサル者ハ婚姻ヲ爲スコトヲ得ス
第五條總テ婚姻ヲ爲サムトスル者ハ法
律上ノ條件ヲ具備シタル旨ノ當該官公
吏ノ證明書及醫師ノ健康診斷書ヲ提出
シテ婚姻許可證ヲ受クヘシ
第六條醫師、官公吏虛僞ノ診斷書又ハ
證明書ヲ作リタルトキハ刑法第百六十
條及第百五十六條ノ例ニ依ル
第七條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ一
年以下ノ禁錮又ハ五百圓以下ノ罰金ニ
處ス
本人カ欺罔シテ婚姻ヲ爲シタルト
キ
二本人又ハ家族カ虚僞ノ申立ヲ爲シ
タルトキ
三故ナクシテ本法ノ施術ヲ拒ミタル
トキ
四許可證ナクシテ婚姻ヲ爲シタルト
キ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔荒川五郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=56
-
057・荒川五郎
○荒川五郞君 民族優生保護法案ノ提案ノ
理由ヲ簡單ニ說明致シマス、諸君、今日社
會ノ各方面トモ非常ニ不景氣悲況ノ裡ニ、
獨リ刑務所ト所在ノ病院トハ、皆大入滿員
ノ盛況ヲ呈シテ居リマス、是ハ單ニ刑務所、
病院ノ狀況タルニ止マラナイデ、社會各方
面ノ狀態ガ、玆ニ縮圖トシテ現レタト申シ
テモ宜イノデアリマシテ、國家ノ政務、地
方ノ事務ノ煩累ヲ致シナガラ、常ニ其事務、
事業ガ妨ゲラレ、其效果ヲ減殺スルモノ
ハ、殆ド悉ク惡人、病人、卽チ精神上、身
體上ノ不具缺陷異常者ニ對スルコトニ基ク
ト申シテモ宜イ次第デアリマシテ、家庭ニ
於ケル困難、係累モ、市町村、府縣、國家
ノ行政政務等モ、大半是ガ原因ヲ爲スモノ
デアリマシテ、大ハ國家ヨリ小ハ一家庭ニ
至ル迄、其煩累ト失費トヲ精密ニ數ヘテ統
計ヲ取ッタナラバ、實ニ巨額ノ數ニ上ルコ
トデアラウト思ハレルノデアリマス
諸君、諸君ガ國ノ豫算ヲ議セラレルニ大
ニ關心ヲ有タルヽノハ、國防軍事費ノ巨額
ナルコトデアリマス、富國ト强兵ハ相竝行
セネバナラナイノニ、富國ノ勸業費ガ强兵
ノ國防費ニ伴ハナイトノ議論、是ハ屢〓此議
場デモ聽カサレタノデアリマス、併シ國防
軍事費ハ國家ノ自衞維持ノ爲ニ已ムヲ得ナ
イ國費デアリマシテ、而モ其效果ハ直接ニ
ハ靑年壯丁ヲ强壯ニ且ツ規律的、能率的ニ
之ヲ養成シ、又國ノ貿易ヤ、製造ヤ、技術
學術等ヲ助長保護シテ、其結果間接ニハ多
大ノ國富、產業ノ上ニモ效果ヲ齎スノデア
リマシテ、決シテ全部不生產的デハナイノ
デアルコトハ、今更申上ゲル迄モアリマセ
又、然ルニ人ノ精神及ビ身體ノ異常ニ原因
スル煩累ト其費用トハ、一般世間個人ノ
モノヲ合セマシタナラバ、決シテ國防軍事
費ドコロデハナク、巨額ニ上ルト思フノデ
アリマシテ、ソレガ悉ク直接的ニモ間接的
三、、國家民族ノ損害、不利益ヲ致シテ居
ルノデ、此位國家ノ重大問題ハナイト存ジ
マス、然ルニ人々ノ身體ニ附隨スル常習的、
慢性的ニ、殊ニ箇々全般的デアリマスカラ、
大ニ世人ノ耳目ヲ惹カナイガ爲ニ、唯漫然
トシテ之ニ苦シメラレ、不注意ニ經過シ來ッ
タヤウナ有樣デアリマス、併シ國ノ政治ハ
國民卽チ人ヲ對象トスルノデアリマスカ
ラ、其人ヲ無駄ニシナイヤウニ、無益ノ費
用ヲ除キ、之ヲ有效能率的ニ役立タシムル
コトハ、國家第一ノ要諦デナクテハナリマ
セヌ、是ハ我ガ民族ヲ向上優秀化シテ、剛
健資明ノ素質ヲ齎ラスベキ國家ノ大切ナ仕
事ト申サネバナリマセヌ、ソレニハ民族ノ
血液ヲ〓潔純正ニスルコトガ第一デアリマ
ス
凡ソ人間ノ生命ヲ保ツノニ、血液ガ如何
ニ大切デアルカハ今更申上ゲル迄モアリマ
セヌ、是ハ我國ニ於テハ古來夙ニ之ニ重キヲ
置イテ、結婚ノ際ニハ血統ヲ調査シテ、血統
ヲ引ク病氣ヲ恐レテ居ルノデアリマス、血
統ヲ引ク病氣ハ、最近マデハ癩病ヤ肺病ナ
ド、其一種トシテ恐レラレテ居ッタノデア
リマスガ、今日ノ醫學ノ〓究ノ結果ニ依レ
バ是等ノ病氣ニ對スル遺傳說ハ何レモ否
定セラレテ、自分サヘ注意スレバ、或ル程
度マデハ皆其病氣ヲ豫防スルコトガ出來ル
コトヽナッタ血統ヲ引ク病氣ノ減ジタコト
ハ喜ブベキデアリマスガ、獨リ黴毒デアリ
ママ、黴毒ハ遺傳シテ血ヲ濁スハ勿論、ツ
イ不注意カラシテヾモ其病毒ニ罹レバ、其
病毒ノ黴菌「スピロヘータ」ハ血液ヤ淋巴腺
中ニ侵入シテ、遂ニ仝身ノ血液ヲ濁スヤウ
ニナルノデアリマスカラ、斯クシテ血液ガ
不純ニナレバ記憶力、判斷力ヲ減耗シ、神
經系統ヲ衰弱シ、血管ニ障礙ヲ來シテ、血管
特有ノ彈力ヲ失フニ至レバ、諸種ノ機能的
障礙ヲ起シマシテ、進ンデ腦ノ中樞ヲ冒スニ
至レバ、精神病トモナッテ、遂ニハ殺人放火
等ノ性惡ナ犯罪者ニモナルノデアリマス、
此身體ノ病ノミナラズ、精神的ノ惡人モ、
此血液ノ不純ニ原因スルコトノ多イノハ、
獨逸ノ「ブランデンブルグ」州ノ州立病院ニ
於テ、精神的患者ノ大半ハ、此蓮原因ニ依
ルトノ統計ヲ示シテ居ルノヲ以テモ、知ル
コトガ出來ルノデアリマス、世人ハ刑務所
入リノ罪人ヲ皆惡人トシテ、性質ノ惡イモ
ノトシテ憎ミマス、勿論國法ニ觸レク惡人
ニハ違ヒアリマセヌガ、是等ノ多クハ、性
質ヨリハ身體ノ病氣カラ來テ、サウシテソ
レガ腦ヲ冒シテ、一種ノ精神病ニナッテ罪ヲ
犯シタ、卽チ一種ノ病人デ、憎ムベキヨリ
モ寧ロ憐ムベキモノガ多イノデアリマス、
是等ノ理由ニ依リ、此性病ヲ我ガ社會カラ
根絕スルコトガ卽チ第一デアリマシテ、本
案ノ主要目的モ此處ニアルノデアリマス、
併シ是ノミデハ十分デナイノデ、兇暴性
惡ノ者ハ社會環境的ニ傳播スルコトハ免レ
マセヌカラ、隨テ血統上ノ遺傳デハナクテ
モ、兇暴性ノ傳播スルコトハ免レナイノデ
アリマス、仍テ民族ノ向上優秀化ノ立場カ
ラ、醫師ノ醫術ノ力モ、亦社會〓化ノ遷善
ノ效力モ及バナイ、遺傳的ニ異常ノ精神的
身體的ノ者ガ社會國家ニ害惡ヲ來シ、社會
生活ニ不適當デ、民族ノ發達ヲ妨グル者ニ
對シテ、國法ノ力ヲ以テ其子孫ノ蕃殖、生
殖ヲ不可能ナラシメ、救治、改善スルコト
ノ出來ナイ惡性分子ヲ、國家將來ノ爲メ、
民族ノ健全ナ發達ノ爲ニ根絕シヨウト云フ
ノガ、卽チ本案設定ノ要旨デアリマス
諸君、私ハ全精神ヲ〓育奉仕ニ捧ゲマシ
テ、我ガ民族ノ健全ナル發達ヲ希望スル爲
メ當面〓育事業カラ進ンデ諸般ノ事ニモ
力ヲ用ヒテ居ルノデアリマスガ、何レニシ
テモ此原因タル、血統ノ純正ト精神ノ健全
トヲ民族遺傳ノ上ニ圖リ、以テ我ガ社會ニ
來ルベキ子孫ハ皆〓育ガ出來、修養進步改
善ノ可能性アルモノニスルコトガ、民族奉
仕ノ第一ト信ジマシテ、多年注意〓究ヲ怠
ラナカッタノデアリマスガ、今ヤ學術大ニ進
ミ、人間ノミナラズ生物ニ共通スル生殖慾、
其生殖慾ヲ害セズシテ、惡種遺傳ヲ根絕シ
得ル方法ガ行ハルヽニ至リマシタカラ、仍
テ前年來此案ヲ提出致シタ次第デアリマス、
此法ク適用ヲ受クベキ病氣トカ、其方法ト
カニ關シテハ、御說明ヲ委員會ニ讓リマシ
テ、玆ニ其要旨ヲ說明致シ、滿堂諸君ノ御
共鳴御盡力ヲ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=57
-
058・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 別ニ質疑ノ通〓
ハアリマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=58
-
059・青木雷三郎
○青木雷三郞君 本案ハ田中祐四郞君外二
名提出、衞生組合法案外四件ノ委員ニ、併
セ付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=59
-
060・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 靑木君ノ動議ニ
御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=60
-
061・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 御異議ナシト認
メマス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程
第十二乃至第十四ノ三案ハ、提出者ヨリ延
期ノ申出ガアリマシタ、仍テ之ヲ延期スル
コトニ致シマス、日程第十五及第十六ハ、
提出者同一ノ議案ナルニ依リ、一括議題ト
ナスニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=61
-
062・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 御異議ナシト認
メマス、仍テ日程第十五、農家食糧差押禁
止法案、日程第十六、小作法案、右兩案ヲ
一括シテ第一讀會ヲ開キマス、提出者ノ趣
旨辯明ヲ許シマス-杉山元治郞君
第十五農家〓糧差押禁止法案(杉山
元治郞君提出)第一讀會
第十六小作法案(杉山元治郞君提出)
第一讀會
農家食糧差押禁止法案
農家食糧差押禁止法
農業者及其ノ家族カ次ノ收穫迄必要トス
ル食糧ハ之ヲ差押フルコトヲ得ス
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
小作法案
小作法
第一章小作權
第一節小作權ノ範圍
第一條本法ニ於テ小作權ト稱スルハ永
小作權、耕作若ハ牧畜ヲ目的トスル土
地ノ賃借權又ハ小作人カ農業上使用收
益スル宅地採薪地採草地其ノ他ノ土地
ノ地上權及賃借權ヲ謂フ
小作人カ小作地ニ附隨シテ立木、建物
其ノ他ノ物ヲ使用收益スル權利ヲ有ス
ル場合ニ於テ其ノ權利ノ存續及消滅ハ
小作權ノ存續及消滅ニ從フ
第二節小作權ノ對抗力
第二條小作權ハ其ノ登記ナキモ小作地
ノ引渡アリタルトキハ爾後其ノ小作地
ニ付物權ヲ取得シタル者ニ對シ其ノ效
力ヲ有ス
第三節小作權ノ存續期間
第三條小作權ノ存續期間ハ二十年以上
五十年以下トス但シ開墾、開拓等ニ因
リ鍬下年限ノ定アル場合ニ於テハ其ノ
小作權存續ノ最長期間ハ其ノ年限ノ期
間ニ五十年ヲ加ヘタルモノトス
第四節小作契約ノ更新
第四條地主カ其ノ小作地ヲ自己又ハ家
族ノ勞力ニ依リ自作スルノ必要アル場
合ニ於テ期間滿了ノ時ヨリ少クトモ二
年前ニ其ノ更新ヲ拒否スルコトヲ小作
人ニ通知シタル場合ヲ除クノ外其ノ小
作契約ハ更新セラレタルモノト看做ス
第五節小作權ノ讓渡竝小作地
ノ轉貸及賃貸
第五條小作權ノ讓渡又ハ小作地ノ轉貸
若ハ賃貸ハ其ノ旨ヲ地主ニ通知スルニ
非サレハ地主ニ對抗スルコトヲ得ス
第六條小作權ノ讓渡又ハ小作地ノ轉貸
若ハ賃貸ヲ禁止又ハ制限スル特約ハ無
效トス
第七條小作權ノ讓渡又ハ小作地ノ轉貸
若ハ賃貸ヲ爲ス場合ニ於テ讓渡人、轉
貸人又ハ賃貸人ハ不當ナル利益ヲ受ク
ルコトヲ得ス
第六節小作權ノ消滅
第八條地主ハ左ノ場合ニ於テ小作權ノ
消滅ヲ請求スルコトヲ得
一小作人カ正當ナル理由ナクシテ引
續キ三年以上小作料ヲ滯納シタルト
キ
二小作人カ小作地ヲ著シク荒蕪セシ
メ又ハ小作地ニ永久ノ損害ヲ及ホス
ヘキ行爲ヲ爲シタルトキ
前項ニ依ル消滅カ收穫後作付前又ハ慣
習ニ依リ定マリタル時期其ノ他小作人
ノ損害最少キ時期ニ非サル場合ニ於テ
ハ小作權ハ其ノ收穫終リタル時、慣習ニ
依リ定マリタル時期又ハ爾後一年以內
ノ小作人ノ損害最少キ時期迄存續スル
モノト看做ス
第九條地主ハ本法ノ規定ニ依ルニ非サ
レハ小作權ノ消滅ヲ請求スルコトヲ得
ス
第二章小作料
第一節小作料ノ支拂
第十條物納小作料ハ其ノ小作地ニ生產
シタルモノノ普通品又ハ其ノ相當品ヲ
以テ支拂フモノトス
第十一條物納小作料ヲ收穫後三月以內
ニ、金納小作料ヲ六月以內ニ支拂ヒタ
ルトキハ小作料支拂ニ遲滯ナキモノト
ス
第十二條小作料ノ物納ナルトキハ小作
人カ小作料ノ支拂ニ付遲滯アル場合ニ
於テモ地主ハ小作人ニ其ノ利息ヲ請求
スルコトヲ得ス
金納小作料支拂ニ遲滯アリタル場合ニ
限リ地主ハ年百分ノ五以下ノ利息ヲ請
求スルコトヲ得
滯納小作料ヲ消費貸借ニ更改シタルト
キハ前二項ノ規定ヲ準用ス
第十三條地主ノ交替其ノ他ノ事由ニ因
リ小作料支拂場所カ從前ヨリモ遠隔ト
爲リ又ハ運搬困難ト爲リタル場合ニ於
テハ小作人ハ之ニ因リテ生シタル費用
ヲ小作料ヨリ控除スルコトヲ得
第十四條法令ニ依リ小作料ノ品質、俵
裝、荷造等ニ關スル制限アル場合ニ於
テハ小作人ハ契約ノ有無ニ拘ラス之カ
爲增加シタル負擔額ヲ小作料ヨリ控除
スルコトヲ得
第二節小作料ノ支拂猶豫及減
免
第十五條災害ニ因リ通常ノ收穫高ヨリ
モ少キ收穫高ヲ得タルトキハ小作人ハ
其ノ減收ノ割合ニ應シテ小作料ノ一時
的減額、免除又ハ支拂猶豫ヲ請求スル
コトヲ得
第十六條小作人又ハ其ノ家族ニ兵役、
災害、疾病アリタルトキハ小作人ハ小
作料ノ減免又ハ支拂猶豫ヲ請求スルコ
トヲ得
第十七條法令ニ依リ地租ノ免除、徵收
猶豫アリタルトキハ小作人ハ小作料ノ
免除又ハ支拂猶豫ヲ請求スルコトヲ得
第三節相當小作料
第十八條地主又ハ小作人ハ小作料ノ改
訂種類、品質及換價等ニ付爭アルト
キハ其ノ判定ヲ小作審判所ニ請求スル
コトヲ得
第十九條小作審判所カ相當小作料ノ判
定ヲ爲ス場合ニハ左ノ事項ヲ斟酌スル
コトヲ要ス但シ相當小作料ト雖耕作農
民ノ相當ナル家計費ヲ侵スコトヲ得ス
一經濟事情ノ變更
二土地ノ生產力
三風水害其ノ他ノ災害ノ多少
四勞力、肥料其ノ他小作地經營ニ要
シタル小作人ノ支出
五小作人ノ爲シ又ハ負擔シタル土地
ノ改良
ハ小作人ノ爲シ又ハ負擔シタル現物
小作料ノ改良
七隣地ノ小作料
第二十條相當小作料ノ判定アリタル小
作地ノ地主ハ敷金、保證金、前拂小作
料、手數料、小作權設定料其ノ他直接
タルト間接タルト名義ノ何タルトヲ間
ハス相當小作料以外ノ利益ヲ受クルコ
トヲ得ス
旣ニ受ケタル敷金、保證金等ハ相當小
作料ノ判定アリタル日ヨリ一月以内ニ
小作人ニ返還スルコトヲ要ス
前二項ノ規定ハ小作料ノ滅免又ハ支拂
猶豫ノ判定アリタル場合ニ之ヲ準用ス
第三章作離料、費用ノ償還及損
害賠償
第二十一條小作人ハ小作地返還ニ際シ
相當ノ作離料ヲ請求スルコトヲ得
第二十二條小作人カ小作地ニ付公租、
公課其ノ他地主ノ負擔ニ屬スヘキ必要
費ヲ支出シタルトキハ地主ハ直ニ其ノ
費用ヲ小作人ニ償還スルコトヲ要ス
第二十三條小作人カ小作地ニ客土、灌
漑排水工事其ノ他ノ改良ヲ爲シ又ハ
其ノ他ノ有益費ヲ支出シ小作地返還ノ
際其ノ價格ノ增加カ現存スルトキハ地
主ハ小作人ノ選擇ニ從ヒ其ノ費用又ハ
增加額ヲ小作人ニ償還スルコトヲ要ス
第二十四條小作人カ小作地ニ播種播植
シタル作物、築造シタル工作物其ノ他
ノ設備ニシテ小作地返還ノ際現存シ前
二條ノ規定ニ依リ其ノ費用ヲ償還セラ
レサルモノニ付テハ小作人ハ地主ニ對
シ其ノ際ニ於ケル相當價格ヲ以テ之ヲ
買取ルヘキコトヲ請求スルコトヲ得
第二十五條小作權消滅ノ場合ニ於テ小
作人ハ前三條ノ支拂ヲ受クル迄其ノ小
作ヲ繼續スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ耕作ノ中途又ハ小作
人ノ損害最少キ時期ニ非サル時期ニ於
テ償還スヘキトキハ爾後一年內ノ小作
人ノ損害最少キ時期迄其ノ小作ヲ繼續
スルコトヲ得
第二十六條小作人カ故意又ハ重大ナル
過失ニ因リテ其ノ小作地ヲ著シク荒廢
セシメ又ハ之ヲ毀損シタルトキハ地主
ハ小作人ニ對シ之ニ因リテ生シタル損
害ノ賠償ヲ請求スルコトヲ得
第四章强制執行ノ制限
第二十七條小作地ノ作物ハ之ヲ差押フ
ルコトヲ得ス
第二十八條小作地ニ小作人ノ立入ヲ禁
止スル趣旨ノ假處分ハ之ヲ許サス
第五章小作審判所
第二十九條小作審判所ハ區裁判所ヲ以
テ之ニ充ツ
小作審判所ノ裁判ハ區裁判所ノ判事之
ヲ行フ
判事二人以上ヲ置キタル區裁判所ニ於
テ前項ノ裁判ヲ行フヘキ判事ハ地方裁
判所長之ヲ定ム
第三十條小作審判所ノ管轄區域ハ區裁
判所ノ管轄區域ニ據ル
第三十一條小作審判所ハ本法ニ規定セ
ラレタル事項ニ關スル民事上ノ紛爭ニ
付當事者ノ一方ノ申請アリタルトキ之
ヲ判定ス
第三十二條本法ノ規定ニ依リ小作審判
所ニ判定ヲ申請シ得ヘキ事項ニ關スル
訴ハ小作審判所ノ判定ニ對シ上訴シタ
ル場合ノ外通常裁判所之ヲ處理スルコ
トヲ得ス
第三十三條小作審判所ノ判定ハ通常裁
判所ノ判決ト同一ノ效力ヲ有ス
前項ノ判定ニ不服ナル者ハ地方裁判所
ニ上訴スルコトヲ得
第三十四條小作審判所ハ事件ヲ受理シ
タル場合ニ於テ左記ニ該當スル者ヨリ
各一人ノ參與員ヲ選定シテ事實ノ判斷
及意見ノ陳述ヲ爲サシムルコトヲ要ス
但シ必要アリト認ムルトキハ小作審判
所ハ參與員ヲ各三人迄增員スルコト得
一地主又ハ地主團體ノ代表者
二引續キ三年以上農業ニ從事シタル
自作農又ハ自作兼小作農
三小作人又ハ小作人團體ノ代表者
控訴裁判所ハ必要アリト認ムルトキハ
參與員ヲ選定シテ事實ノ判斷及意見ノ
陳述ヲ爲サシムルコトヲ得
第三十五條左ニ揭ケタル者ハ參與員タ
ルコトヲ得ス
一當事者、親族、共同權利者及共同
義務者
一未成年者、禁治產者及準禁治產者
三小作審判所ヲ管轄スル地方裁判所
ノ管轄區域內ニ住居セサル者
第三十六條小作審判所ハ小作官ノ意見
ヲ徵シ又ハ之ニ事實ノ調査ヲ囑託スル
コトヲ得
第六章補則
第三十七條小作權設定ノ約款ニシテ本
法ニ違反スルモノハ無效トス但シ小作
人ノ利益ナルモノハ此ノ限ニ在ラス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
小作調停法ハ之ヲ廢止ス
本法施行前設定シタル永小作權ノ存續期
間ハ其ノ存續期間ニ三十年ヲ加ヘタルモ
ノトス
本法施行前設定シタル永小作ニ非サル小
作關係ニ付本法施行後一年以內ニ地主小
作人間ニ特別ノ契約ヲ爲ササルトキハ其
ノ小作權ノ存續期間ハ三十年トス但シ第
三條ニ依ル鍬下年限ノ定アル場合ニ於テ
ハ之ニ三十年ヲ加ヘタルモノトス
〔杉山元治郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=62
-
063・杉山元治郎
○杉山元治郞君 只今上程ニナッテ居リマ
ス農家〓糧差押禁止法ニ付テ、先ヅ第一ニ
極ク簡單ニ說明致シタイト存ジマス、本案
ノ趣旨ハ、昨年ノ議會ニ提出サレマシテ本
院ヲ通過致シマシタ民事訴訟法中改正法律
案、又先般本議場ニ政友會ノ竹下文隆氏、
國民同盟ノ風見章氏ノ提案ニ係リマス所ノ
民事訴訟法中改正法律案ト、同一趣旨デゴ
ザイマス
〔副議長退席、議長著席〕
デアリマスカラ、私ハ重ネテ其說明ヲ致シ
マスコトヲ省イテ置キタイト存ジマス、唯
私ガ其同一法案ト致シマセズシテ、單獨ニ
此法案ニ致シマシタ、此一點ダケヲ申述ベ
テ置キタイト考ヘルノデアリマス、近時農
家ノ差押ヘラレマス其狀態ヲ見マス時ニ、
金錢債務ニ因リマス所ノ差押モ多々ゴザイ
マスケレドモ、其外ニ小作關係ニ於キマス
所ノ差押モ多々アルノデアリマス、若シ氣
事訴訟法ダケノ改正デゴザイマシタナラバ、
或ハ其金錢債務ニ關シマスル食糧米ノ差押
ヲ禁止スルコトハ可能デアリマスルガ、若
シ小作關係ニ於テ、執達吏ガ參リマスル時
ニ、或ハ是ガ可能デナイ、斯ウ云フコトヲ
感ジマスルガ故ニ、尙ホ一步進メテ、サウ
シタ小作關係ニ於キマスル所ノ差押マデ範
圍ヲ擴張致シタイ、斯ウ云フ意味合ニ於キ
マシテ、獨立シタ法案トシテ提出シタ次第
デアリマス、何卒皆樣ノ御協賛ヲ希望致シ
マス
次ニ今上程セラレテ居リマスル小作法案
ニ付テ簡單ニ說明致シタイト存ジマス、小
作問題ガ近來大變喧シクナッテ參リマシタ
關係カラ致シマシテ、斯ウシタ問題ヲ解決
致シマスル所ノ方法ト致シマシテ、地主小
作間ノ關係ヲ無クスルナラバ、是ハ理想的
デアル、斯ウシタ意味合ニ於キマシテ、自作
農ヲ作ル、汎自作農ト云フ政策ハ我國ノミ
ナラズ、總テノ國ニ於キマシテモ試ミラレ
タコトデゴザイマスルガ、遺憾ナガラ自作農
化ト云フ問題ハ、一部分ハ爲スコトガ出來
マシタケレドモ、多クノ小作人ヲ全部自作
農化スルト云フコトハ出來ナカッタ、是ハ歐
米ノ歷史ニ於キマシテモ、亦日本ノ自作農創
定ノ事實ニ徵シマシテモ明ナ事デアリマス、
斯ノ如ク自作農化スルコトガ理想デアッテ
モ、是ガ出來ナクシテ、現實ニ地主對小作
ノ問題ガ遺サレテ居ル、然ラバ此遺サレテ
居ル所ノ小作ノ問題ニ關シテ、近時色々ナ
問題ガ起ッテ來マスナラバ、此問題ニ對シマ
スル所ノ一ツノ解決ノ方法トシテ、小作法
案ノ如キモノヲ制定スル必要ガアルノデナ
イカ、斯ク考ヘル次第デアリマス、先ヅ第
一ニ私ガ此法案制定ノ必要ヲ認メマスル所
以ハ、ソレハ大正十年ニ農林省ガ調ベマシ
タ所ノ慣行小作調査ニ依ッテ見マシテモ、我
ガ日本ノ小作ト云フモノハ、所謂民法デ決
メラレテ居リマスル所ノ普通ノ小作デハナ
クシテ、俗ニ慣行小作ト申シテ居リマスル
所ノ小作デアルコトハ明デアル、卽チ永小
作ト普通小作ノ中間ニアルコトヲ認メラレ
テ居ルノデアリマス、然ルニ現在ハ、サウシ
タ法律的ナ制定ガゴザイマセヌガ爲ニ、現
行民法デ唯普通小作トシテ取扱ハレテ居リ
マスガ故ニ、色々ト其當ヲ得ナイ所ノ處置
ヲ執ラレテ居ルノデアリマス、故ニ少クト
モ慣行小作トシテノ權利ヲ法律的ニ明ニシ
タイ、斯ウ云フコトガ本法案ヲ制定シタイ
ト云フ第一ノ理由デアリマス、第二ニ明治
ノ初年ニ於キマシテ、今日ノヤウナ土地ノ
私有制度ト云フモノガ制定サレマシタ所ノ
其精神ニ徵シマシテモ、今日ノ小作法ノ制
定ガ必要デアルト考ヘルノデアリマス、卽
チ明治維新ノ際ニ私有制度ヲ確立スルニ
至リマシタコトハ、其時ニ所有者ノ利益
バカリデナシニ、國家社會全體ノ利益ノ爲
ニ、私有制度ガ確立サレタト申サレテ居リ
やっ、資本主義ノ發展ノ初期ニ於キマシテ
ハ、其目的ノ如クニ進ンデ來タノデアリマ
スルガ、段々進展シテ參リマスルニ從ッテ、
又資本主義ノ熟爛期、或ハ今日ノヤウナ時
期ニ入リマスルト、全ク違ッタ情勢ニナッテ
參ッタノデアリマス、卽チ土地ハ段々ト兼併
サレ、而シテ持ツ者ト持タナイ者トニ分レ
テ是ガ對立スル、而シテ小作問題ガ頻發シ、
多クノ社會不安ガ釀成サレテ居ルノデアリ
マシ、今日土地問題バカリデハナイ、色々
ノ方面ニ於キマシテ、資本主義制度ト云フ
モノヽ餘弊ガ各所ニ認メラレテ、資本主義ノ
是正改革ノ聲ハ、本院ニ於キマシテモ屢、
耳ニスル所デアリマス、恐ラク齋藤內閣ノ
十大政綱ノ第七ニ、小作制度ノ整備ヲ入レ
マシタコトモ、今日ノ社會情勢ニ適合セン
爲ニナサレタモノデアルト考ヘルノデアリ
マく、齋藤內閣ノ延長デアルト言ハレテ居
リマス所ノ岡田内閣ノ十大政綱ノ中ニ、產
業問題ノ整備ガ揭ゲラレテ居リマスノハ、
又這般ノ消息ヲ傳ヘルモノデナイカト考ヘ
ルノデアリマス、若シ然リト致シマスナラ
バ土地制度ノ改革ノ如キハ、第一ニ爲ス
ベキモノデアリ、又今日ノ農村問題ノ解決
ノ第一トシテ、金ヲ要サナイ方法トシテ、
小作制度ノ整備ノ如キハ必要デアルト考ヘ
ルノデアリマス、第三ニ、小作法ヲ制定シ、
耕作權ヲ確立致シマスルコトハ、耕作農民
ヲシマシテ、安ンジテ耕作ニ從事セシムル
爲ニ、農業政策上或ハ〓糧政策上必要ナ事
デゴザイマス、現行民法ハ〓々ノ際ニ制定
サレタト聞キマス、又其中ニハ色々飜譯的
ナ部分モアリ、且ツ制定當時ト今日ノ社會
事情トガ全ク變ッテ參リマシタノデ、色々ト
不適合ナ部分ガ出來テ參リマシタコトハ當
然デアリマス、卽チ現行民法ノヤウニ所有
權ニ絕對ノ權力ヲ與ヘテ、單ナル耕作人、
否、慣行小作トシテ當然權利ノアルベキニ
モ拘ハリマセズ、何等ノ權利ヲモ賦與サレ
テ居ナイト云フ、斯ウ云フ狀態デアリマシ
テハ、營々トシテ父祖傳來不毛ノ土地ヲ耕
シテ、サウシテ今日ノヤウナ美田ニ致シマ
シタトシテモ、偶〓小作問題ニ於テ、或ハ何
等カノ問題デ、一朝地主ノ機嫌ヲ損ズルト
云フヤウナコトガアリマシタナラバ、其土
地ヲ引上ゲラレルト云フ所ノ憂目ヲ多ク見
テ居ルノデアリマス、今日ノ小作問題ハ這
般ノ消息ヲ如實ニ示スモノデゴザイマシテ、
昭和七年ノ統計ヲ見マスルト云フト、小作
爭議ノ中土地引上ニ關シマスルモノハ、千
九百七十四件デゴザイマシテ、總小作問題
ノ中ノ五八%二ニ當ッテ居ルノデアリマス、
尙ホ八年、九年ニナリマスルナラバ、ソレ以
上ニ增加シテ居ル狀態デアリマス、斯ル狀
態デハ農民ガ心血ヲ濺イデ土地ヲ改良シタ
リ、安心シテ肥培行爲ヲスルコトガ出來ナ
クナルノデアリマス、現行民法ノヤウニ、地
主ノ所有權ノミヲ絕大ニ認メテ、而シテ單
ニ耕作農民ニハ、何等ノ權利モ認メラレテ
居ラナイト云フコトデハ、耕作農民ノ生活
權ヲ脅威シマスルバカリデナシニ、國家社
會全體ニ色々ナ不安ヲ生ンデ參ルノデアリ
マス、斯ル意味ニ於キマシテ、一方所有權
ヲ認メマスルト同時ニ、總體的ニ耕作者ノ權
利ヲ認メテ、國家的見地ヨリ、是ガヨリ良
キ途ニ進ムヤウニト云フコトガ、第三ノ理
由デアリマス第四ニ、今日ノ都會ニ於キマ
シテ、借地人ハ借地權ガ認メラレ、借家人
ガ其居住權或ハ老舗權ヲ認メラレテ居ルト
云フ時ニ、小作人ガ小作權ヲ認メラレルノ
ハ當然デアルト考ヘルノデアリマス(「簡單
簡單」ト呼フ者アリ)否、前述ノヤウニ、日
本ノ小作人ノ大多數ハ慣行小作人トシテ、
旣ニ權利ヲ有ッテ居タノデアリマス、ソレヲ
民法制定ノ當時ニ、遺憾ナガラ眠ッテ居ッタ
爲ニ、ソレガ失ハレタノデアルガ、ソレヲ
今日ノ社會情勢ニ照シテ元ニ戾シテ貰ヒタ
イ、還元シタイト云フコトデアリマス、
要スルニ私ガ本法案ヲ提出スルニ至リマシ
タ理由ハ、近時社會竝ニ經濟事情ノ變遷
ニ伴ッテ、小作制度ノ之ニ伴ハナイモ
ノガアルノヲ見ルノデアリマシテ、且ツ
小作問題ノ頻發、或ハ現行法制ノ不備ヲ補
ヒ、農村生活ノ安定ヲ圖リ、尙ホ農事ノ改
良發達ヲ期スル爲ニ、小作ニ關スル此法制
ヲ整備スル必要ガアルト考ヘマシタガ故
ニ、提出致シマシタ次第デアリマス、尙ホ
條文構成等ニ付テノ詳シイ說明ハ、委員會
ニ於テ致スコトニ致シマシテ、之ヲ以テ提
案ノ說明ト致シマスルガ故ニ、何卒皆樣ノ
御贊成ヲ希望スル次第デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=63
-
064・濱田國松
○議長(濱田國松君) 別ニ質疑ノ通〓ハア
リマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=64
-
065・青木雷三郎
○靑木雷三郞君 日程第十五及第十六ノ兩
案ハ、一括シテ藤田若水君外四名提出、借
地借家調停法中改正法律案外六件ノ委員
ニ、併セ付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=65
-
066・濱田國松
○議長(濱田國松君) 靑木君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=66
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067・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=67
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068・武知勇記
○武知勇記君 議長発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=68
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069・濱田國松
○議長(濱田國松君) 武知君
〔武知勇記君登壇〕
〔「何ダ々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=69
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070・濱田國松
○議長(濱田國松君) アナタノ發言ハ上程
ノ議事ニ關係ガアリマスカ、或ハ議事進行
上速カナ處置ヲ要スベキ發言デスカ-ソ
レニ違ヒアリマセヌカ--ソレデハ議事進
行ニ付テ發言ヲ許シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=70
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071・武知勇記
○武知勇記君 私ノ議事進行ニ關スル發言
ハ、杉山君ノ前ニスルノデアリマシタガ、
遲レタノデアリマス、先刻議長ノ御報告ニ
依リマスルト、日程第十二、義務〓育費臨
時補充金交付法案、第十三、地租ノ減額ニ
關スル法律案、第十四、地租附加稅等ノ半
減ニ關スル法律案、此三案ハ提出者ヨリ延
期ノ申出ガアッタトノ報告ガアッタノデアリ
マスルガ、本案ノ如キハ地方財政涵養ニ關
スル緊急案件デアリマシテ、速ニ審議ヲ要
スベキモノト思フノデアリマスルニ拘ラ
ズ、何ガ故ニ之ヲ突如トシテ上程直前ニ延
期ノ申出ヲナサレタノデアルカ、之ヲ議長
ヲ通ジテ提案者ニ承ッテ貰ヒタイノデアリ
マス、出シタリ引込メタリ致シマスルコト
ハ議事ノ進行上ニモ頗ル困ルノミナラズ、
果シテ自信アッテ提案シタモノデアルカド
ウカヲ問ハナケレバナラヌノデアリマス、
私ハ斯ノ如キ案ハ、速ニ審議スベキガ當然
デアルト思フ、曩ニ日程第二ニ對シテ政友
會ヨリ延期ノ動議ガ出マシテ、之ニ國民同
盟ハ贊成ヲセラレタ、其時ハ曝シ物ニスル
ノデアルト〓瀨君ヨリ御話ガアリマシタ
ガ、現ニ上程セラレテ居リ、今將ニ審議ニ
入ルト云フ直前ニ、之ヲ突如トシテ其延期
ヲ申出ルガ如キハ、全ク自信アッテ提案シタ
モノトハ思ヘナイノデアリマス(拍手)實ニ
其發案權ヲ愚弄シ、審議權ヲ輕ンズルモノ
ト言ハナケレバナラヌノデアル、斯ク一日
モ速ニ審議シナケレバナラナイ法律案ヲ、
何ガ故ニ突如トシテ延期ヲ申出ラレタノデ
アルカ、此點ヲ伺ヒタイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=71
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072・濱田國松
○議長(濱田國松君) 日程第十七、檢査計
理士法案ノ第一讀會ヲ開キマス、提出者ノ
趣旨辯明ヲ許シマス-中村繼男君
第十七檢査計理士法案(中村繼男君
外一名提出)第一讀會
檢査計理士法案
檢査計理士法
第一條檢査計理士ハ檢査計理士ノ稱號
ヲ用ヒテ會計ニ關スル檢査、鑑定又ハ
證明ヲ爲スコトヲ業トスルモノトス
第二條左ノ條件ヲ具フル者ハ檢査計理
士タル資格ヲ有ス
帝國臣民又ハ主務大臣ノ定ムル所
ニ依リ外國ノ國籍ヲ有スル者ニシテ
私法上ノ能力者タルコト
二檢査計理士試補トシテ一一年以上ノ
實務修習ヲ爲シ且考試ヲ經タルコト
前項第二號ノ實務修習及考試ニ關スル
事項ハ主務大臣之ヲ定ム
第三條檢査計理士試補タルニハ成規ノ
試驗ニ合格スルコトヲ要ス
前項ノ試驗ニ關スル事項ハ勅令ヲ以テ
之ヲ定ム
第四條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ檢
査計理士タル資格ヲ有セス
一禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者但
シ二年未滿ノ懲役若ハ禁錮ニ處セラ
レタル者ニシテ刑ノ執行ヲ終リ若ハ
其ノ執行ヲ受クルコトナキニ至リタ
ル日ヨリ起算シ三年ヲ經過シタル者
又ハ陸軍刑法若ハ海軍刑法ニ依リ一
年未滿ノ禁錮ニ處セラレタル者ハ此
ノ限ニ在ラス
二前號ニ該當スル者ヲ除クノ外本法、
辯護士法、辨理士法又ハ計理士法ニ
依リ刑ニ處セラレタル者但シ刑ノ執
行ヲ終リ又ハ其ノ執行ヲ受クルコト
ナキニ至リタル日ヨリ起算シ三年ヲ
經過シタル者ハ此ノ限ニ在ラス
三懲戒處分ニ依リ免官若ハ免職セラ
レタル者、辯護士法ニ依リ除名セラ
レタル者又ハ本法、辨理士法若ハ計
理士法ニ依リ業務ヲ禁止セラレタル
者但シ免官、免職、除名又ハ業務禁
止ノ處分ヲ受ケタル日ヨリ起算シ三
年ヲ經過シ主務大臣ニ於テ改悛ノ情
顯著ナリト認メタル者ハ此ノ限ニ在
ラス
四破產者ニシテ復權ヲ得サル者
第五條檢査計理士タラムトスル者ハ檢
査計理士登錄簿ニ登錄ヲ受クルコトヲ
要ス
檢査計理士ノ登錄ニ關スル事項ハ勅令
ヲ以テ之ヲ定ム
第六條檢査計理士ノ登錄ヲ受ケムトス
ル者ハ登錄料トシテ二十圓ヲ納付スル
コトヲ要ス
第七條檢査計理士ハ報酬アル公務ヲ兼
ヌルコトヲ得ス但シ帝國議會若ハ地方
議會ノ議員ト爲リ又ハ公務所ヨリ特ニ
任命セラレ若ハ囑託セラレタル職務ヲ
執行スルハ此ノ限ニ在ラス檢査計
理士ハ商業其ノ他營利ヲ目的トスル業
務ヲ營ミ若ハ之ヲ營ム者ノ使用人ト爲
リ又ハ營利ヲ目的トスル法人ノ業務執
行社員、取締役若ハ使用人ト爲ルコト
ヲ得ス但シ主務大臣ノ認可ヲ得タルト
キハ此ノ限ニ在ラス
第八條前條ノ規定ハ實務修習中ノ檢査
計理士試補ニ之ヲ準用ス
第九條檢査計理士ハ左ニ揭クル事項ニ
付第三者ニ對シテ證明ト爲ルヘキ業務
ヲ行フコトヲ得ス
自己若ハ配偶者又ハ四親等以內ノ
血族若ハ三親等以內ノ姻族カ業務執
行者又ハ會計擔當者トシテ其ノ職務
上關與シタル會計事項但シ姻族ニ付
テハ婚姻ノ解除アリタルトキト雖亦
同シ
二前號ノ外著シキ利害關係ヲ有シ又
ハ其ノ業務ヲ公正ニ行フニ支障アリ
ト認メラルル會計事項
第十條檢査計理士又ハ檢査計理士タリ
シ者ハ其ノ業務上知得シタル祕密ヲ保
持スル權利ヲ有シ義務ヲ負フ但シ他ノ
法令ニ別段ノ規定アル場合ハ此ノ限ニ
在ラス
第十一條檢査計理士ハ主務大臣ノ監督
三段文、
第十二條檢査計理士本法ノ規定ニ違反
シタルトキ又ハ品位ヲ失墜スヘキ行爲
若ハ業務上不正ノ行爲ヲ爲シタルトキ
ハ主務大臣ハ檢査計理士懲戒委員會ノ
議決ニ依リ之ヲ懲戒スルコトヲ得
檢査計理土懲戒委員會ニ關スル事項ハ
勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十三條檢査計理士ノ懲戒處分ハ左ノ
四種トス
一譴責
二千圓以下ノ過料
三一年以内檢査計理士ノ業務ノ停止
四檢査計理士ノ業務ノ禁止
前項第二號ノ過料ヲ完納セサルトキハ
主務大臣ノ命令ヲ以テ之ヲ執行ス
非訟事件手續法第二百八條ノ規定ハ前
項ノ規定ニ依ル執行ニ付之ヲ準用ス
第十四條檢査計理士又ハ檢査計理士タ
リシ者故ナク其ノ業務上取扱ヒタル事
項ニ付知得シタル祕密ヲ漏泄シ又ハ竊
用シタルトキハ一年以下ノ懲役又ハ千
圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ罪ハ〓訴ヲ待テ之ヲ論ス
第十五條檢査計理士タル資格ヲ有セス
シテ檢査計理士ノ業務ヲ行ヒタル者ハ
六月以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ
處ス
第十六條檢査計理士タル資格ヲ有スル
モ其ノ登錄ヲ受ケスシテ檢査計理士ノ
業務ヲ行ヒタル者ハ十圓以上二百圓以
下ノ過料ニ處ス
非訟事件手續法第二百六條乃至第二百
八條ノ規定ハ前項ノ過料ニ付之ヲ準用
ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法ノ適用ニ付テハ明治十三年第三十六
號布告刑法ノ二年ノ禁錮以上ノ刑ニ處セ
ラレタル者ハ二年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ
刑ニ處セラレタル者ト看做ス
五年以上引續キ計理士法ニ依リ會計ニ關
スル檢査、鑑定又ハ說明ノ業務ニ從事シ
其ノ業績ヲ證スルニ足ル書類ヲ添附シテ
出願シ檢査計理士試驗委員ノ銓衡ヲ經タ
ル者ハ當分ノ内第二條第一項第二號及第
三條ノ規定ニ拘ラス檢査計理士タルコト
ヲ得
〔中村繼男君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=72
-
073・中村繼男
○中村繼男君 只今上程ニナリマシタ檢査
計理士法案提出ノ理由ヲ御說明致シマス、
今日實行サレテ居リマス計理士法案ハ、昭
和二年設定サレタノデアリマスガ、其後今
日マデ計理士ノ數ハ非常ナ多數ニ上ッテ居
ルノデアリマシテ、六千百人ト云フ、世界
ニ於ケル第三位ノ數ニ達シテ居ルノデアリ
マス、現在ノ特許辨理士數ノ數倍、一二年
ノ後ニハ、六十年ノ歷史ヲ有スル辯護士ト
同數ニナルト云フヤウナ趨勢ニ在ルノデア
リマシテ、其結果自然所謂計理士ノ素質ニ
付キマシテ、玉石混淆ノ譏ヲ免レナイノデ
アリマス、卽チ其人物或ハ手腕識見等ニ於
キマシテ、全ク玉石混淆デアッテ、隨テ依賴
者ハ其歸著スル所ニ迷フト云フヤウナ狀態
ニナッテ居ルノデアリマス、是ニ於キマシ
テ計理士法改正ノ議ガ起ッタノデアリマス
ガ、是ハ現在六千百人ヲ包容シテ居ル現狀カ
ラシテ、現行ノ計理士法ノ改正ハ甚ダ容易
デナイコトニナッテ居リマス、是ニ於テ高級
ナル檢査計理士法ト云フモノヲ制定致シマ
シテ、試驗或ハ考査、或ハ其經歷等ニ應ジ
テ、檢査計理士タルノ資格ヲ與ヘルコトニ
致シ、一面ニ於テ普通ノ計理士ノ向上發展
ヲ促スト云フコトニ致シタイト云フノガ、
本案提出ノ趣旨デアリマス、外國ニ於キ
マシテモ、英國ニ於キマシテハ「フエロー·
チャータート·アッカウント」ト云フ普通ノ會
計士ノ外ニ、「アッソシエート·チヤーター
ト·アッカウント」ト云フ高級ノ者ガアル、
又獨逸ニ於キマシテハ、普通ノ帳簿檢査人
ト云フモノヽ外ニ、經濟檢査人ト云フ高級
ナル計理士ガ存在致シテ居リマス、先進國
ニ於ケル狀態モ斯ノ通リデアリマシテ、日
本ニ於キマシテモ、此高級ナル計理士法ヲ
制定ヲ致シ、一面ニ於テ優秀ナル普通ノ計理
士ヲ優遇ヲ致シ、又社會ノ依賴者ニ其目標
ヲ與ヘルト云フコトハ、公共的カラ見マシ
テモ頗ル必要ナモノダト考ヘマシテ、本案
ヲ提出致シタ次第デアリマス、何卒御協賛
アランコトヲ御願致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=73
-
074・濱田國松
○議長(濱田國松君) 別ニ質疑ノ通〓ハア
リマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=74
-
075・青木雷三郎
○靑木雷三郞君 本案ハ東武君外三名提出
度量衡法中改正法律案外二件委員ニ、併セ
付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=75
-
076・濱田國松
○議長(濱田國松君) 靑木君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=76
-
077・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-先刻ノ
議事進行ノ發言ニ對シテ、〓瀨一郞君ヨリ
答辯致シタイトノ申出ガアリマシタ、此場
合之ヲ許可致シマス--〓瀨一郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=77
-
078・清瀬一郎
○〓瀨一郞君 是亦簡單デアリマスカラ、
此場デ御許シヲ願ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=78
-
079・濱田國松
○議長(濱田國松君) 許可致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=79
-
080・清瀬一郎
○〓瀨一郞君 先刻武知君ヨリ吾々ガ日程
第十二乃至十四延期ノ申出ニ付キ、理由ノ御
質シガアッタノデアリマス、强テ御說明ヲ申
上ゲル必要モナカラウトハ存ジマスルケレ
ドモ、折角ノ御問デアリマスルカラ申上ゲ
マスルガ、吾々ノ義務〓育費臨時補充金交
付法案、地租ノ減額ニ關スル法律案、地租
附加稅等ノ半減ニ關スル法律案ハ、を付金
法案ト相俟ッテ、今日地方農村ノ窮乏ヲ救ハ
ントスル、實際ノ誠意ヨリ出デタ案デアリ
マく、吾々ハ之ヲ昭和十年度、卽チ來ル四
月一日ヨリ實施セントスルモノデアリマス、
サウデアッテ見マスルト、同ジク四月一日ヨ
リ實施スベキ交付金案ト並行シテ合セ議ス
ル必要ガアルノデアリマス、民政黨ノ御案
ノ如クニ、實際ハ實質ノナイヤウナ案トハ
少シク違フノデアリマス(「ヒヤ〓〓」拍手)
而シテ之ニ要スル資金モ相當重大ナモノデ
アリマスルガ故ニ、交付金案ト共ニ愼重審
議ヲ致ス必要ヲ感ジタノデアリマス、而シ
テ此事ハ本日午前中ニ開カレマシタ各派交
涉會ニ於テ、明ニ吾々ヨリアナタ方ノ黨派
ニ申上ゲテアル筈デ、突如申上ゲタノデハ
アリマセヌ、議會政治ハ總テ善意ヲ以テ實
行スルノガ大本デアリマス、アナタ方ノヤ
ウナ揚足取リニハ是カラ一々構ッテ居ラ
レマセヌガ(拍手)此際一言前後ノ狀態ダケ
ヲ辯明致シテ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=80
-
081・濱田國松
○議長(濱田國松君) 日程第十八、輸出補
償法中改正法律案ノ第一讀會ヲ開キマス、
提出者ノ趣旨辯明ヲ許シマス-提出者宮
本雄一郞君
第十八輸出補償法中改正法律案〓
本雄一郞君外三名提出)第一讀會
輸出補償法中改正法律案
輸出補償法中左ノ通改正ス
第一條中「百分ノ七十」ヲ「百分ノ八十」ニ
改ム
第五條第二號中「百分ノ六十」ヲ「百分ノ
七十」ニカテ
附則
本法ハ昭和十年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
〔宮本雄一郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=81
-
082・宮本雄一郎
○宮本雄一郞君 只今上程セラレマシタ輸
出補償法中改正法律案ニ付キマシテ、提案
者ト致シマシテ簡單ニ提案ノ趣旨ヲ辯明致
シマス、輸出補償法ハ昭和五年五月法律第六
號ヲ以チマシテ公布セラレマシテ、同年ノ
七月勅令第百四十四號ヲ以チマシテ、同年
ノ八月一日ヨリ實施セラレマシタ法律デア
リマス、此法律ノ目的ハ、本法ノ施行地内
ニ住所又ハ營業所ヲ有スル者ガ、我國ニ於
キマシテ生產製造又ハ加工セラレタル商品
ヲ、主務大臣ノ指定スル地域ニ輸出スル爲
メ荷爲替手形及約束手形ニ對シテ政府ガ補
償致シマシテ、當業者ニ金融上ノ便ヲ與ヘ、
而シテ又保險ノ意義ノ含マレテ居ル法律デ
アリマス、補償ノ種類ハ甲乙ノ二種ニ分レ
テ居リマシテ、甲種ハ主トシテ當業者ノ金
融ノ途ヲ開キ、乙種ハ保險ヲ主トシテ居ル
ノデアリマス、補償ノ割合ハ、甲種ガ百分ノ
七十、乙種ガ百分ノ六十デアリマシテ、此
改正案ハ此割合ヲ、甲種百分ノ八十、乙種
百分ノ七十ト致シマシテ、輸出業者ニ對シ
一層金融上ノ便ヲ與ヘ、且ツ保險ヲ擴大致
シマシテ、我ガ國產品ノ海外貿易ノ進展ヲ
圖ルニ資セントスルモノデアリマス、本案
ノ實施以來ノ實績ニ付キマシテハ、數字的
說明ヲ省略致シマスガ、政府ノ支出セル補
償金額ハ極メテ少額デアリマシテ、却テ補
償料ノ收入ガ、一部ノ國庫ノ歲入ニナリマ
シテ、之ヲ助ケテ居ルノデアリマス、此點
ヨリ致シマシテ、補償率ヲ增加シ、併セテ
補償料ヲ低下スルト云フコトハ、此實績ニ
徵シマシテモ亦必要ナル事柄デアルト信ジ
マス、本案ハ政府提出ヲ希望致シマシテ、
第六十四議會、第六十五議會ニ其趣旨ノ建
議案ヲ提出致シマシテ、本會ヲ通過致シテ居
ル問題デアリマス、然ルニ政府ニ於キマシ
テハ、未ダ法律ノ改正案ノ提案ガナイノデ
アリマスカラ、玆ニ提出ヲ致シマシタ次第
デアリマス、何卒我ガ國產品ノ海外貿易ノ
發展ヲ助長スル理由ノアル所ヲ御諒解ヲ願
ヒマシテ、皆樣方ノ御協贊アランコトヲ御
願致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=82
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083・濱田國松
○議長(濱田國松君) 別ニ質疑ノ通〓ハア
リマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=83
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084・青木雷三郎
○靑木雷三郞君 本案ハ東武君外三名提出
度量衡法中改正法律案外二件ノ委員ニ、併
セ付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=84
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085・濱田國松
○議長(濱田國松君) 靑木君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=85
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086・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第十
九、產師法案ノ第一讀會ヲ開キマス、提出
者ノ趣旨辯明ヲ許シマス-提出者岸衞君
第十九產師法案(山道襄一君外二名
提出)第一讀會
產師法案
產師法
第一條產師トハ助產ヲ業トスル者ヲ謂
フ
第二條產師タラムトスル者ハ一一十年以
上ノ女子ニシテ左ノ資格ヲ有シ內務大
臣ノ免許ヲ受クルコトヲ要ス
修業年限四箇年以上ノ高等女學校
ノ卒業者又ハ之ト同等以上ノ學力ヲ
有スル者ニシテ内務大臣ノ指定シタ
ル產師學校ヲ卒業シタル者
二外國ノ產師學校ヲ卒業シ又ハ外國
ニ於テ產師ノ免許ヲ得タル者ニシテ
命令ノ規定ニ該當スル者
三產師試驗ニ合格シタル者
產師試驗ハ內務大臣之ヲ行フ
產師試驗ニ關スル事項ハ命令ヲ以テ之
ヲルム
第三條聾者、啞者、盲者又ハ精神病者ニ
對シテハ產師ノ免許ヲ與フルヲ得ス
墮胎ノ罪其ノ他業務ニ關スル罪ヲ犯シ
刑ニ處セラレタル者又ハ禁錮以上ノ刑
ニ處セラレタル者ニ對シテハ產師ノ免
許ヲ與ヘサルコトアルヘシ
第四條產師ハ妊婦、產婦、褥婦又ハ胎兒、
生兒ニ異常アリト認ムルトキハ直ニ醫
師ノ診療ヲ請ハシムヘシ自ラ其ノ處置
ヲ爲スコトヲ得ス但シ臨時應急ノ處置
ハ此ノ限ニ在ラス
第五條產師ハ自ラ診察又ハ檢案セスシ
テ死產證書又ハ死胎檢案書ヲ交付スル
コトヲ得ス
第六條產師ハ何等ノ方法ヲ以テスルヲ
問ハス業務上技能、經歷又ハ命令ヲ以
テ定ムル事項ノ廣〓ヲ爲スコトヲ得ス
第七條產師ハ產薄ヲ備へ十箇年間之ヲ
保存スヘシ
第八條產師ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ道
府縣產師會ヲ設立スヘシ
道府縣產師會ハ日本產師會ヲ設立スル
コトヲ得
產師ハ土地ノ狀況ニ依リ郡市區產師會
ヲ設立スルコトヲ得
產師會ハ法人トス
產師會ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ產事衞
生ノ改良發達ヲ圖ルヲ以テ目的トス
產師會ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ會
員ヨリ徵收スヘキ收入ニ關シ民事訴訟
ヲ提起スルコトヲ得
前各項ニ規定スルモノノ外產師會ニ關
シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第九條產師第三條第一項ニ該當スルト
キハ其ノ免許ヲ取消スヘシ
產師墮胎ノ罪其ノ他業務ニ關スル罪ヲ
犯シ刑ニ處セラレタルトキ又ハ禁錮以
上ノ刑ニ處セラレタルトキハ免許ヲ取
消シ又ハ期間ヲ定メテ業務ヲ停止スル
コトアルヘシ其ノ免許前ニ係ル場合亦
同シ
前二項ノ取消處分ヲ受ケタル者ト雖第
三條第一項ノ原因止ミタルトキ又ハ改
悛ノ情顯著ナルトキハ再免許ヲ與フル
コトヲ得
前三項ノ處分ハ內務大臣之ヲ行フ但シ
第二項ノ處分ヲ行フ場合及改悛ノ情顯
著ナル者ニ對シ前項ノ再免許ヲ與フル
場合ニ於テハ中央衞生會ノ審議ヲ經ル
コトヲ要ス
第十條免許ヲ受ケスシテ助產ノ業ヲ爲
シタル者又ハ第四條乃至第七條ノ規定
ニ違反シタル者ハ百圓以下ノ罰金又ハ
科料ニ處ス業務停止中ノ產師ニシテ助
產ノ業ヲ爲シタル者亦同シ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
產婆規則ハ之ヲ廢止ス
本法施行前產婆名簿ニ登錄セラレタル者
ハ本法ニ依リ產師ノ免許ヲ受ケタル者ト
看做ス
本法施行前地方長官ヨリ業務ノ地域及期
限ヲ定メテ假ニ產婆ノ業ヲ免許セラレタ
ル者ハ本法施行後ト雖仍其ノ業務ヲ爲ス
コトヲ得且其ノ期限ハ申請ニ依リ之ヲ更
新スルコトヲ得
本法施行ノ際從前ノ規定ニ依リ產婆名簿
ニ登錄ヲ受クル資格ヲ有スル者及本法施
行後五箇年以內ニ從前ノ規定ニ依リ產婆
名簿ニ登錄ヲ受クル資格ヲ得タル者ハ第
二條ノ規定ニ拘ラス產師ノ免許ヲ受クル
コトヲ得
〔岸衞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=86
-
087・岸衞
○岸衞君 本案ハ我ガ國民同盟ニ於キマシ
テ、山道襄一君ガ最モ熱心ニ主張セラレテ
居ルノデアリマスルガ、其趣旨ハ旣ニ野方
君、土屋君提出ノ案ト、全然其內容ヲ一ニ
スルノデアリマスルカラ、私ハ說明ノ煩ヲ
避ケテ、一切ヲ省略致シタイト存ジマス、
唯重要ナル點ハ、所謂產婆ト云フ名前ガ今
日ノ時勢ニ適セヌト云フノデ、之ヲ產師ト
致シ、ソレカラ彼等ノ〓養程度ヲ更ニ高メ
テ行カウト、斯ウ云フノデアリマス、最後
ノ第三點ハ、產師組合ト云フモノヲ作リマ
シテ、彼等ノ向上發展ニ資スルト云フ、此
三點ガ主ナル點デアリマス、而シテ此案ハ
殆ド政友會ノ諸君、民政黨ノ諸君ノ提出ノ
モノト同ジ性質ノモノデアリマスルガ故
ニ、殆ド滿場一致ノ案ト言ッテモ差支アリマ
セヌ、唯我黨ノ野中君ヨリ多少異ッタ案ガ出
テ居リマスルガ、是ハ其趣旨ハ大體同ジデ
アリマスルカラ、吾々ノ案ト見テ差支ナイ
ト考ヘル次第デアリマス、何卒諸君ニ於キ
マシテハ御同情ヲ以チマシテ、此案ヲ御
取上ゲ下サイマシテ、此案ガ此議場ト云フ
母胎ヲ通ジマシテ、呱々ノ聲ヲ揚ゲ得、サ
ウシテ日ノ目ヲ見ルコトノ出來マスルヤウ
ニ、何卒各位ノ御贊成ヲ賜ランコトヲ切望
致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=87
-
088・濱田國松
○議長(濱田國松君) 別ニ質疑ノ通〓ハア
リマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=88
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089・青木雷三郎
○靑木雷三郞君 本案ハ田中祐四郞君外二
名提出、衞生組合法案外四件ノ委員ニ、併
セ付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=89
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090・濱田國松
○議長(濱田國松君) 靑木君ノ動議ニ御異
議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=90
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091・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第二
十ハ委員長ヨリ延期ノ申出ガアリマシタ、
仍テ之ヲ延期致シマス、日程第二十一及第
二十二ハ、同一委員ニ付託セラレタル議案
ナルニ依リ、一括議題トナスニ御異議アリ
マセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=91
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092・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程第二十一、刑法中改正法律案、
日程第二十二、借地借家調停法中改正法律
案、右兩案ヲ一括シテ第一讀會ノ續ヲ開キ
マス、委員長ノ報告ヲ求メマス-委員長
原惣兵衞君
第二十一刑法中改正法律案(一松定
吉君外四名提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
第二十二借地借家調停法中改正法律
案(藤田若水君外四名提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
報〓書
一刑法中改正法律案(一松定吉君外四名
提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十年二月十六日
委員長原惣兵衞
衆議院議長濱田國松殿
報〓書
一借地借家調停法中改正法律案(藤田若
水君外四名提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十年二月十六日
委員長原惣兵衞
衆議院議長濱田國松殿
〔原惣兵衞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=92
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093・原惣兵衞
○原惣兵衞君 只今議題トナリマシタ刑法
中改正法律案、借地借家調停法中改正法律
案ノ、此二案ニ付キマシテノ委員會ノ經過
竝結果ヲ御報〓致シマス、刑法中改正法律
案ノ內容ハ、刑ノ執行猶豫ニ關スル問題デ
アリマシテ、從來罰金刑ハ執行猶豫ヲ許シ
テ居ナイノヲ、罰金刑ヲモ執行猶豫ノ恩典
ニ浴セシムル必要ガアルノデハナイカ、今
一點ハ二年以下ノ體刑ノミニ限ッテ居リマ
シタガ、ソレヲ三年以下ニ改メル、此點デ
アルノデアリマス、是ハ先般ノ議會ニ二度
バカリ通過致シテ居リマシテ、吾々法曹及
委員全體ノ贊成スル案デアリマス、此議案
ニ付キマシテ政府委員ト質疑應答ガ行ハレ
マシタ點ハ、體刑ト罰金刑トハ、刑ノ範圍
ニ付テ多少違フヤウナ政府委員ノ御意見モ
アリマシタガ、併シ是ハ刑事政策ノ上カラ
見テ、體刑ヨリモ輕イ罰金刑ニ執行猶豫ノ
恩典ヲ與ヘヌト云フコトハ-將來ニ向ッ
テ刑ヲ科シタコトノナカリシ狀態ニ置クト
云フコトガ、執行猶豫期間ノ經過ニ依ッテ、
サウ云フ恩典ヲ與ヘルコトガ、此執行猶豫
ノ制度ヲ設ケタ所以デアル、シテ見レバ輕
イ罰金刑ガ執行猶豫ノ恩典ガナイ爲ニ、永
久ニ前科者ノ結果ガ殘ル、斯ウ云フコトハ
甚ダ矛盾極ルモノヂヤナイカト云フ意見デ
アリマシタ、結局政府委員ハ決シテ反對ヂ
ヤナイケレドモ、司法ノ調査會ト云フモノ
ガアルカラ、其調査會デ決定シタ上デ御返
事スルト云フヤウナ意味デアッタノデ、結局
吾々ハ總員滿場一致デ以テ本案ヲ可決シ
タ次第デアリマス
今一ツノ案ハ、借地借家調停法中改正法
律案デアリマスガ、是ハ極ク內容ハ簡單デ
アリマス、併シ當然ノ理窟ノ問題デアリマ
ス、ソレハドウ云フ點デアルカト申シマシ
タラ、借地借家ノ調停法ノ當事者及利害關
係人ガ出頭シテ、其爭議ノ問題ヲ解決ス
ル、斯ウ云フコトニナッテ居ルガ、其時ニ辯
護士ヲ此中ニ入レナイト云フ理由ハナイ、
殊ニ司法機關ノ重要ナル地位ト職責ヲ有ッテ
居ル辯護士ニ、代理ヲ命ゼシメラレナイト
云フコトハナイヂヤナイカ、斯ウ云フ意味
デアリマス、ソコデ司法省ノ政府委員ノオ
方ノ御答辯ハ、辯護士ヲ許可シテ吳レト言
フタ時ニ於テ、全國デ之ニ許可ヲ與ヘナカッ
タコトハ僅ニ二件ダケデ、殆ド全部許可ヲ
與ヘテ代理人ニ致シテ居ル、斯ウ云フ御說
明ガアッタノデアリマス、シテ見レバ當然之
ヲ法律デ規定シテ、許可制度デナクシテ、
法律上司法機關ノ重要ナル地位ニ在ル辯護
士ニ、其地位ヲ當然ノ權利トシテ與フルコ
トガ、當然ノ結論ヂヤナイカト云フコトニ
到達致シマシテ、是モ滿場一致ヲ以テ可決
シタ次第デアリマス、右御報〓申上ゲマ
ス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=93
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094・濱田國松
○議長(濱田國松君) 兩案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=94
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095・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ兩案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=95
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096・青木雷三郎
○靑木雷三郞君 直チニ兩案ノ第二讀會ヲ
開キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=96
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097・濱田國松
○議長(濱田國松君) 靑木君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=97
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098・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
刑法中改正法律案第二讀會(確定議)
借地借家調停法中改正法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=98
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099・濱田國松
○議長(濱田國松君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、兩案トモ委員
長報告通リ可決確定サレマシタ(拍手)日程
第二十三乃至第二十五ハ、同一委員ニ付託
シタル議案ナルニ依リ、一括議題トナスニ
御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=99
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100・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程第二十三、度量衡法中改正法
律案、日程第二十四、度量衡法中改正法律
案、日程第二十五、度量衡法中改正法律
案、右三案ヲ一括シテ第一讀會ノ續ヲ開キ
やく、委員長ノ報告ヲ求メマス-福井甚
三君
第二十三度量衡法中改正法律案東
武君外三名提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
第二十四度量衡法中改正法律案発
川五郞君外十三名提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
第二十五度量衡法中改正法律案山
道襄一君外二名提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報告書
一度量衡法中改正法律案(東武君外三
名提出)
-度量衡法中改正法律案(荒川五郞君
外十三名提出)
一度量衡法中改正法律案(山道襄一君
外二名提出)
右ハ本院ニ於テ三案ヲ併合シテ一案トシ
別紙ノ通(內容同一)修正スヘキモノト議
決致候此段及報〓候也
昭和十年二月十九日
委員長福井甚三
衆議院議長濱田國松殿
〔別紙〕
度量衡法中左ノ通改正ス
第一條度量衡ハ尺貫法ヲ本位トシ特ニ
便宜アル場合ハメートル法ニ依ルコト
ヲ得
尺貫法ニ依ル度量ハ尺、衡ハ貫ヲ以テ
基本トシメートル法ニ依ル度量ハ
メートル、衡ハキログラムヲ以テ基本
トス
第二條尺ハメートルノ三十三分ノ十、
貫ハキログラムノ四分ノ十五トシメー
トルハ融解シツツアル純粹ノ水ノ氷ノ
溫度ニ於ケル國際メートル原器ノ示ス
所ノ長、キログラムハ國際キログラム
原器ノ質量トス
メートルハメートル條約ニ依リ帝國ニ
交付セラレタルメートル原器ニ依リ、
キログラムハメートル條約ニ依リ帝國
ニ交付セラレタルキログラム原器ニ依
リ之ヲ現示ス
第三條ヲ第三條ノ二トシ同條第一項中
「度量衡」ヲ「メートル法ニ依ル度量衡」ニ
改メ同條第二項ヲ削ル
第三條尺貫法ニ依ル度量衡ノ名稱命位
ヲ定ムルコト左ノ如シ
度
毛尺ノ一萬分ノ一
厘尺ノ千分ノ一
分尺ノ百分ノ一
寸尺ノ十分ノ一
尺
丈十尺
間六尺
町三百六十尺
里一萬二千九百六十尺
地積
勺步ノ百分ノ一
合步ノ十分ノ一
步又ハ坪三十六平方尺
畝三十步
段三百步
町三千步
量
勺升ノ百分ノ一
合升ノ十分ノ一
升六萬四千八百二十七立方分
斗十升
石百升
衡
毛貫ノ百萬分ノ一
厘貫ノ十萬分ノ一
分貫ノ一萬分ノ一
匁貫ノ千分ノ一
貫
斤百六十匁
第三條ノ三前二條ニ規定スル度量衡又
ハ其ノ倍數若ハ分數ニ依ル度量衡ニシ
テ特殊ノ場合ニ用ウルモノノ名稱命位
ニ關シテハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
前二條ニ規定セサル度量衡ニシテ從來
慣用セルモノ又ハ特殊ノ場合ニ用ウル
モノノ名稱命位ニ關シテハ勅令ヲ以テ
之ヲ定ム
第五條第一項中「第二條」ヲ「第二條第二
項」ニ、同條中「農商務大臣」ヲ「商工大臣」
三四人
第十一條中「破毀シ」ヲ「領置シ」ニ改ム
附則(大正十年法律第七十一號)第二項ヲ
削リ第三項中「第三條第一項ノ規定又ハ
同條第二項」ヲ「第三條及第三條ノ二ノ規
定又ハ第三條ノ三」ニ改ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔福井甚三君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=100
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101・福井甚三
○福井甚三君 本委員會ニ付託サレマシタ
度量衡法中改正法律案デアリマスガ、本案
ハ政友會ヨリハ東武君外三君ヨリ提出サ
v、民政黨ヨリハ荒川五郞君外十三名ヨリ
提出サレ、續イテ國民同盟ノ山道君外二君
ヨリ提出サレタ案デアリマスガ、端的ニ言
ハ、全院一致案ト申シテ敢テ差支ナイ譯
デアリマス、而シテ本委員會ニ於キマシ
テ、政府委員トシテハ松田文部大臣、下村
普通學務局長、商工省トシテハ勝政務次官、
高橋參與官、竹內工務局長ガ御出席ニナリ
マシテ、委員ト質疑應答ヲ致シタノデアリ
マス、之ヲ簡單ニ御報〓致シマスト、先ヅ
荒川君ヨリ提案ノ理由トサレマシテ、現行
ノ「メートル」法ハ如何ニモ國民一般ニ不便
デアルカラ、從來ノ尺貫法ト併用致シテヤ
ルガ當然デアルカラ、本案ヲ提出致シタノ
デアルト云フ御說明デアッタノデアリマス、
又政友會ノ山下君ヨリモ斯樣ナ御說明ガア
リ、又特ニ御報告申上ゲルコトハ、山下君
ヨリハ家庭ニ於テ最モ不便デアルカラ、是
非併用ヲシナケレバナラナイト云フコトノ
重要點ヲ申述ベラレマシテ、提案ノ御說明
ガアッタノデアリマス、之ニ對シテ勝政府委
員ハ、本案ハ旣ニ六十五議會ニ於テ通過致
シタモノデモアリ、及貴族院ニ於テモ調査
會ヲ開ケト云フ所ノ建議モアッタ譯デアル
カラ、去ル二月十六日ニ本案ガ委員ニ付託
サレマスト同時ニ、遽ニ閣議ヲ開イテ、之
ニ付テ愼重審議ヲ致スベキ調査會ヲ、政府
ニ於テ開クコトニ相成ッタノデアルト云フ
所ノ御話モアッタノデアリマス、故ニ此調査
會ニ懸ケテ併用スベキモノデアルカドウカ
ト云フコトヲ、十分愼重審議ヲスル譯デア
ルカラ、直チニ本案ニハ此場合ニ於テ贊成
スルト云フ意見ノ陳述ヲスルコトハ、甚ダ
困難デアルカラ、左樣御承知下サイト云フ
御話デアリ、又松田文部大臣ハ、本案ニ付
キマシテハ旣ニ閣議ヲ開イテ、貴族院ノ建
議ニ基イテノ調査會ヲ開クト云フコトニ致
シタノデアルカラ、其調査會ニ於テ篤ト審
議ヲ致シテ、サウシテ日本ノ國情ニ適スル
ヤウニ私ハ改メタイト思ウテ居ルノデアル
ト云フコトノ御言明ガアッタノデアリマス、
之ニ對シテ荒川君ナリ、政友會ノ山下君ヨ
リハ、旣ニ文部大臣ガ調査會ニ懸ケテ、國
情ニ適スルヤウニ改正ヲ致シタイト云フコ
トヲ言明セラレル以上ハ調査會ニ於テ一
年ナリ二年ナリ遷延セラレルト云フト、今
日現行ノ「メートル」法ヲ小學校ニ於テ〓育
シテ居ラレルコトガ、却テ迷惑ヲ致スコト
デアルカラ、衆議院ニ於テ昨年モ通過シ、
本年モ幸ニ通過シ、貴族院モ通過致シタナ
ラバ、卽時實行スルヤウナ考ヲ以テヤッテ貰
ヒタイト云フコトノ、希望ノ意見ヲ附セラ
レタノデアリマス、之ニ對シテ政府ハ精々
調査會ニ懸ケテ、委員會ノ意見ヲ參酌シテ、
出來ルヤウニ致サウト云フ御話デアリマシ
タ、特ニ山下君ハ、吾々ノ同僚トシテ商工
省ノ高橋參與官ハ、昨年ノ議會ニ於テ之ニ
對シテ贊成ノ署名ヲセラレテ居ル方デア
ル、今日參與官ニナラレテ、之ニ反對ノ意
見ガアルヤウニ承ルト云フコトハ、甚ダ吾
吾遺憾トスル次第デアルカラ、ドウカ抂ゲ
テ一ツ滿場一致デ、政府モ思切ッテ吾々ノ案
ヲ通シテ貰ヒタイト云フコトヲ、山下君ハ
鄭重ニ附加ヘラレタノデアリマス、左樣ナ
コトデアリマシテ、本案ハ旣ニ昨年ノ議會
ニ通過致シタノデアリマス、而シテ採決ニ
入ラント致シマシタ際ニ、竹內工務局長ハ、
此法律ヲ五箇年間延期致シタ理由ハ、委員
諸君ヨリ申サレルガ如ク、困ッタ爲ニ延期シ
タノデハナイ、圓滿ニ、圓滑ニヤリタイト云
フヤウナ意味デ延期ヲ致シタコトデアルカ
ラ、左樣御承知ヲ願ヒタイト云フ、念ノ入ッ
タ御話ガアッタノデアリマス、尙又調査會ニ
付キマシテモ、此法案ヲ圓滿ニヤリタイト
云フコトヲ調査致シタイト云フヤウナ意味
デ、調査會ヲ商工省內ニ置クコトニ致シタ
ノデアルカラ、左樣御承知ヲ願ヒタイト云
フ、御念ノ入ッタ御話モアッタノデアリマス、
サウシテ採決ニ入リマシタ所ガ、滿場一致、
本案ハ適當ナリトシテ、可決確定ヲサレタ
コトヲ御報告致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=101
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102・濱田國松
○議長(濱田國松君) 質疑ノ通〓ガアリマ
ス、大島寅吉君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=102
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103・大島寅吉
○大島寅吉君 簡單デアリマスカラ此席カ
ラ御許シヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=103
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104・濱田國松
○議長(濱田國松君) 許可致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=104
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105・大島寅吉
○大島寅吉君 本案ハ國民ノ日常生活上
ニ、如何ニ重大ナル關係ガアルカト云フコ
トハ、本員ノ別ニ喋々申上ゲルマデモナイ
コトデアリマス、仍テ政府ハ大正七年、本
院ノ建議ニ依リマシテ調査會ヲ設ケ、サウ
シテ大正十年ニハ法律ガ發布サレテ、今日
デハ旣ニ一部ハ實施期間ニ入ッテ居ルノデ
アリマス、國民全體ニ對シテハ、未ダ實施
ハ-一昨年ノ十二月五箇年ノ延期ニナッ
テ居リマスルガ、官廳其他ノ場合ニ於キマ
シテハ、旣ニ實施サレテ居ルノデアリマス、
又國民〓育ノ上ニモ、ソレ〓〓〓科書中ニ
モ是ガ皆〓授サレテ居ルノデアリマス、隨
テ斯ル改正案ガ突然起キマスルト云フト、
如何ニ國民ノ經濟上ニ、或ハ又〓育上、思
想上等ニ重大ナル影響ガアルカト云フコト
ハ、多々申上ゲルマデモナイノデアリマス
ガ、委員會ノ議事錄ニ依ッテ拜見致シマスル
ト云フト、成程昨年モ通過致シテ居リマス、
所ガ昨年モ既ニ會期迫ッタ三月二十三日ニ
委員會ヲ御開キニナッテ、二十五日ニ直チ
ニ上程ニッテ、其時ニ何等ノ討論モナクシ
テ通過致シテ居ルノデアリマス、又今囘
モ議事錄ヲ拜見致シマスルト、一囘デアリ
マシテ、先ヅ時間ハ分リマセヌガ、卽日直
チニ委員長ノ選擧ヲ行ハレルト同時ニ委員
會ガ開カレテ、半日ノ中ニ既ニ質疑應答ハ
終ッタノデアリマス、サウシテ其質疑ノ內容
ヲ承リマスト、大體ニ於テ政府ガ旣ニ五箇
年延期スルト云フコトハ、最早其必要ヲ認
メナイノデアラウト云フヤウナ意味ガ主ナ
ルモノデアリマシテ、如何ニ實質ニ於テ、
是ガ〓育上或ハ經濟上ニ、ドウ云フ影響ガ
アルカト云フヤウナコトニ付テハ、質疑應
答ガ行ハレテ居ラヌノデアリマス、私ハ此
點ハ甚ダ遺憾デアルト思フ、斯ル重大ナル
所ノ問題ヲ、僅ニ半日位ノ間ニ審議ヲ結了
致シテ居ルト云フコトハ、如何ニモ輕卒デ
ハナイカト思フ、私ハ昨年ノ議事錄ヲ拜見
致シマスルト云フト、大正十年ノ時ニ於テ
ハ「メートル」法ト云フモノハ、ドウ云フモノ
デアルカ分ラヌガ、政府ガ法律ニ依ッテ斯ル
コトヲヤルト云フノデ、何トナク贊成ヲシ
タノデアルト云フヤウナコトモ、議事錄ニ
依ッテ拜見致シテ居リマスルガ、若シ今日斯
樣ナ改正案ヲ出シマシテ、阻止スルト云フ
コトガナキヤ否ヤト云フコトヲ、甚ダ私ハ
遺憾ニ思フノデアリマスカラ、此際政府ハ
如何ナル御所見ヲ御持チニナッテ居リマス
ルカ、又調査會ニ付テハ如何ナル御考デア
リマスカ、政府ノ御所見ヲ伺ヒタイノデア
リマス
〔政府委員勝正憲君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=105
-
106・勝正憲
○政府委員(勝正憲君) 我國ノ度量衡法ヲ
「メートル」法ニ依リマシテ統一スルノ根本
方針ハ、旣ニ十年以前ニ於テ確立セラレテ
居ルコトハ、皆樣ノ御承知ノ通リデアリマ
ス、然ルニ近時種々ノ理由ニ依リマシテ「メー
トル」法實施反對ノ聲ヲ聞クニ至リマシ
タガ、實施十年間ニ達シマシテ、普通〓育
ヲ初メトシ、產業上、學術上、軍事上、其
他一般國民生活ニ根强ク普及シテ居ル今日
ニ於キマシテ、卒然トシテ是ガ根本的變革
ヲ加ヘルコトハ、〓育上、產業上、國防上
果シテ如何デアラウカ、或ハ不測ノ損害ヲ
及ボスノ虞モアリマスカラ、廣ク朝野ノ名
士ヲ網羅シタル調査會ヲ設ケマシテ、根本
的方針ヲ確立スルノ必要ヲ感ジマシテ、二
月十六日閣議ノ決定ヲ以チマシテ調査會ヲ
設ケルコトニ決シマシタ、隨テ此調査會ノ決
定ヲ俟チマシテ善處スルコトヲ適當ト考ヘ
マスカラ、此際ニ於キマシテハ、政府ハ遺
憾ナガラ本案ニ反對致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=106
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107・濱田國松
○議長(濱田國松君) 委員長報告ハ三案ヲ
併合シテ一案トナシ、修正議決シタモノデ
アリマス、三案ノ第二讀會ヲ開クニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=107
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108・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ三案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=108
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109・青木雷三郎
○靑木雷三郞君 直チニ三案ノ第二讀會ヲ
開キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ
通リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=109
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110・濱田國松
○議長(濱田國松君) 靑木君ノ動議ニ異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=110
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111・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ三案ノ第二讀會ヲ開キ、
案全部ヲ議題ト致シマス
度量衡法中改正法律案
第二讀會(確定議)
度量衡法中改正法律案
第二讀會(確定議)
度量衡法中改正法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=111
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112・濱田國松
○議長(濱田國松君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通
リ確定致シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=112
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113・青木雷三郎
○青木雷三郞君 曩ニ後廻シトナシタル日
程ハ延期スルコトヽナシ、本日ハ是ニテ散
會セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=113
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114・濱田國松
○議長(濱田國松君) 靑木君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=114
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115・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、次會ノ議
事日程ハ公報ヲ以テ御通知致シマス、本日
ハ是ニテ散會致シマス
午後四時十七分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X01719350221&spkNum=115
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