1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十年三月十六日(土曜日)
午後一時十四分開議
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議事日程 第二十七號
昭和十年三月十六日
午後一時開議
第一 昭和十年度一般會計歳出の財源に充つる爲公債追加發行に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第二 昭和十年度一般會計歳出の財源に充つる爲公債第二次追加發行に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第三 北洋漁業取締法案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第四 酒造組合法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第五 朝鮮事業公債法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第六 市町村立尋常小學校費臨時國庫補助法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第七 公立學校職員年功加俸國庫補助法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第八 倉庫業法案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第九 府縣制中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十 北海道會法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十一 市制中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十二 町村制中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十三 地租法中改正法律案(松岡俊三君外十四名提出) 第一讀會
第十四 計理士法中改正法律案(久山知之君外二名提出) 第一讀會
第十五 刑事訴訟法中改正法律案(牧野良三君外九名提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十六 刑事訴訟法中改正法律案(一松定吉君外三名提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第十七 舊獨逸膠州租借地還付に關する條約實施に伴ふ損失の補償に關する法律案(久山知之君外二名提出) 第一讀會の續(委員長報告)
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〔左の報告は朗讀を經さるも參照の爲茲に掲載す〕
一政府より提出せられたる議案左の如し
(第一號)昭和十年度歳入歳出總豫算追加案
(特第一號)昭和十年度各特別會計入歳出豫算追加案
(第二號)昭和十年度歳入歳出總豫算追加案
(特第二號)昭和十年度各特別會計歳入歳出豫算追加案
(追第一號)豫算外國庫の負擔となるべき契約を爲すを要する件
昭和十年度一般會計歳出の財源に充つる爲公債追加發行に關する法律案
昭和十年度一般會計歳出の財源に充つる爲公債第二次追加發行に關する法律案
(以上三月十五日提出)
一昨十五日貴族院より受領したる政府提出案左の如し
北洋漁業取締法案
酒造組合法中改正法律案
一議員より提出せられたる議案左の如し
地租法中改正法律案
提出者
松岡俊三君 猪股謙二郎君
林平馬君 西方利馬君
高橋壽太郎君 内ヶ崎作三郎君
工藤鐵男君 佐藤啓君
菊池良一君 清水徳太郎君
菅原傳君 助川啓四郎君
杉本國太郎君 田子一民君
梅村大君
計理士法中改正法律案
提出者
久山知之君 小林かなえ君
立川平君
(以上三月十四日提出)
一昨十五日貴族院に於て本院の送付に係る左の本院提出案を可決したる旨同院より通牒を受領せり
登録税法中改正法律案
一去十四日辭任したる常任委員左の如し
第六部選出豫算委員 野中徹也君
第八部選出豫算委員 生田和平君
一去十四日議長に於て辭任を許可したる常任委員左の如し
第八部選出豫算委員 立川平君
一去十四日議長に於て選定したる委員左の如し
兵役法中改正法律案(政府提出、貴族院送付)委員
宮脇長吉君 犬養健君
山本市英君 山本莊一郎君
蔭山貞吉君 原口初太郎君
原吉郎君 荒川五郎君
佐藤理吉君
勞働者災害扶助法中改正法律案(政府提出、貴族院送付)外二件委員
森田政義君 坪山徳彌君
増田金作君 鈴木安孝君
出塚助衞君 山口忠五郎君
保良淺之助君 伊藤皆次郎君
藤生安太郎君 貝谷眞孜君
松尾孝之君 小池仁郎君
比佐昌平君 藤井啓一君
清水留三郎君 高野喜六君
鈴木正吾君 亀井貫一郎君
畜産組合法中改正法律案(高田耘平君外四名提出)委員
本田義成君 八田宗吉君
長田桃藏君 横山泰造君
三善信房君 高田耘平君
手代木隆吉君 小河虎彦君
飯村五郎君
一去十四日に於ける特別委員の異動左の如し
借地借家調停法中改正法律案(藤田若水君外四名提出)外六件委員
辭任 須之内品吉君 補闕 中井一夫君
衞生組合法案(田中祐四郎君外二名提出)外四件委員
辭任 丸山浪彌君 補闕 福田虎龜君
度量衡法中改正法律案(東武君外三名提出)外二件委員
辭任 伊藤皆次郎君 補闕 三上英雄君
一昨十五日常任委員補闕選擧の結果左の如し
第六部選出
豫算委員 中村繼男君(野中徹也君補闕)
第八部選出
豫算委員 中谷貞頼君(生田和平君補闕)
第八部選出
豫算委員 星島二郎君(立川平君補闕)
一昨十五日委員長及理事互選の結果左の如し
兵役法中改正法律案(政府提出、貴族院送付)委員
委員長 宮脇長吉君
理事
蔭山貞吉君 原吉郎君
勞働者災害扶助法中改正法律案(政府提出、貴族院送付)外二件委員
委員長 森田政義君
理事
山口忠五郎君 貝谷眞孜君
高野喜六君
畜産組合法中改正法律案(高田耘平君外四名提出)委員
委員長 本田義成君
理事
三善信房君 手代木隆吉君
一昨十五日特別委員理事補闕選擧の結果左の如し
借地借家調停法中改正法律案(藤田若水君外四名提出)外六件委員
理事 中井一夫君(理事須之内品吉君去十四日委員辭任に付其の補闕)
一昨十五日に於ける特別委員の異動左の如し
治安維持法中改正法律案(政府提出)外一件委員
辭任 小島智善君 補闕 西村茂生君
借地借家調停法中改正法律案(藤田若水君外四名提出)外六件委員
辭任 工藤鐵男君 補闕 八並武治君
畜産組合法中改正法律案(高田耘平君外四名提出)委員
辭任 飯村五郎君 補闕 小池四郎君
米穀自治管理法案(政府提出)外二件委員
辭任 中亥歳男君 補闕 堤康次郎君
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=0
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001・濱田國松
○議長(濱田國松君) 是ヨリ會議ヲ開キマ
ス、植原悅二郞君ヨリ、第一囘議會以來繼
續シテ本院ニ議席ヲ保有サレテ居リマス
尾崎行雄君ノ功勞表彰ニ關シ發言ヲ求メラ
レテ居リマス、之ヲ許可致シマス-植原
悅二郞君
〔拍手起ル〕
〔植原悅二郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=1
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002・植原悦二郎
○植原悅二郞君 私ハ玆ニ諸君ノ御許ヲ得
テ、本院ニ於ケル各黨各派ノ議員一同ヲ代
表致シマシテ、議員尾崎行雄君ガ第一囘帝
國議會以來憲政ノ爲メ盡瘁セラレタル功勞
ニ對シ、院議ヲ以テ表彰シ、其文案ノ起草
ハ議長ニ一任スルノ動議ヲ提出致シタイト
存ジマス(拍手)
尾崎君ハ、夙ニ經世ノ志ヲ懷カレ、少壯
ヨリ國事ニ奔走セラレタノデアリマス、卽
チ民選議院開設ノ議起ルヤ、奮然蹶起、身
ヲ操觚界ニ投ジ、健筆ヲ揮ッテ民權自由ノ大
義ヲ鼓吹シ、議會開設ノ爲メ國論ノ喚起ニ
努メラレタノデアリマス、時ニ官條藩閣政
治家ノ威壓ニ遭遇シテ、幾多ノ艱苦辛酸ヲ
嘗メラレタノデアリマス、然ルニ更ニ屈ス
ル所ナク、毅然トシテ國民ノ指導ニ、其、
身ヲ投ゼラレタノデアリマス、而シテ明治
二十二年憲法發布セラレ、翌二十三年議會
開設セラルヽヤ、同年七月第一囘總選擧ニ
本院議員ニ當選セラレマシテ、爾來十八囘
ノ總選擧ニ引續キ常選セラレ、今尙ホ議席
ヲ保タレテ居ルノデアリマス、議員ノ職ニ
在ラセラルヽコト、實ニ四十三年ノ久シキ
ニ亙リ、其間恆ニ民意ノ暢達ヲ圖リ、憲政
ノ爲ニ盡瘁セラレタル功勞ハ、洵ニ多トセ
ネバナラヌ所デ、眞ニ憲政ノ先覺者ト申ス
ベキデアリマス(拍手)今ヤ初期議會以來議
席ヲ有セラルヽ者ハ、獨リ我ガ尾崎君アル
ノミデアリマス(拍手)而シテ君ガ尙ホ議會
政治ノ爲メ奮闘セラレテ居ルコトハ、洵
本院ニ於ケル異數ノ存在ト申スベキデアリ
マス(拍手)唯一囘ノ總選擧ニ於テサヘモ、
國論ヲ指導シ、國民ノ代表者タルコトハ容
易ノ事デハアリマセヌ、十八囘ノ總選擧ニ
於テ、引續キ當選セラルヽト云フガ如キコ
トハ、尋常一樣ノ業デハナイノデアリマス
(拍手)議員ニハ年金モナク、恩給モアリマ
セヌ、而シテ尾崎君ノ如キハ眞ニ己ヲ空フシ、
國事ニ專念シテ、社會民人ノ深キ信賴ヲ得
ルニ非ザレバ、決シテ爲シ能フ所ノモノデハ
アリマセヌ(拍手)隨テ君ノ國家的功績ハ實
ニ偉大ナルモノト謂フベキデアリマス、同君
ハ議員タリシ經歷ノ外、明治三十一年ニハ
文部大臣ニ任ゼラレ、又大正三年ニハ司法
大臣ニ任ゼラレマシタ、斯クテ前後二囘臺
閣ニ列シ、輔弼ノ重責ニモ膺ラレタノデア
リマス、加之其間東京市長ニ就職セラレ、
由來難治ノ稱アル帝都ノ市政ヲ、二任期ニ
涉リ鞅掌セラレタルハ、是亦異數トスル所
デアリマス(拍手)
尾崎君ノ國家ニ奉仕セラレタル功績ノ多
大ナルハ、以上〓略述ベマシタル通リデア
リマスガ、私ガ玆ニ最モ强調セントスル所
ノモノハ、四十三年一日ノ如ク本院議員ト
シテ其席ヲ保チ、時ニ或ハ藩閥全盛ノ時代
ニ於テモ、政黨政治ノ爲メ萬丈ノ氣ヲ吐カ
V、每ニ民論ヲ指導シテ憲政ニ盡瘁セラレ
タル偉大ナル功勞デアリマス(拍手)之ニ對
シ深甚ナル敬意ヲ表シ、之ヲ顯彰セントス
ルノハ、本院トシテ至當ノコトデアルト存
ジマス(拍手)
明治大帝萬世不磨ノ大典ヲ宣布シ給ヒシ
ヨリ、將ニ五十年ニ垂ントシ、皇威日ニ揚
リ、國運月ニ榮エ、國民ノ福社ハ年ト共ニ
增進スルハ寔ニ慶賀ノ至リデアリマス、併
ナガラ國家ノ前途尙ホ多難ナルモノアリ、
益〓憲政ノ爲ニ奮闘努力スベキデアリマス
此秋ニ當リ、吾等ノ尊敬スベキ〓廉高潔
ナル老政治家ノ、愈。健勝ニシテ多幸ナランコ
トヲ祈ッテ已マヌ次第デアリマス(拍手)終
リニ臨ミ尾崎君ニ對シ滿腔ノ敬意ヲ表スル
ト同時ニ、本案ニ對シ滿場一致御贊成アラ
ンコトヲ切望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=2
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003・濱田國松
○議長(濱田國松君) 只今植原悅二郞君ヨ
リ提出セラレタル動議ニ付キ採決ヲ致シマ
ス、植原君提出ノ動議ニ贊成ノ諸君ノ起立
ヲ求メマス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=3
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004・濱田國松
○議長(濱田國松君) 表彰セラルヽ方ヲ除
キ起立總員(拍手)仍テ本動議ハ表彰セラレ
ル方ヲ除キ、全會一致可決致シマシタ、玆
ニ議長ノ手許ニ於キマシテ起草致シタル表
彰文案ヲ朗讀致シマス
議員正三位勳一等尾崎行雄君帝國議會開
設以來繼續シテ議席ヲ衆議院ニ保チ當選
十八囘在職四十三年ニ及ヒ恆ニ民意ヲ體
シテ公論ノ暢達ニ努ム眞ニ憲政ノ先覺タ
リ衆議院ハ君カ積年ノ功勞ヲ多トシ特ニ
院議ヲ以テ之ヲ顯彰ス
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=4
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005・濱田國松
○議長(濱田國松君) 此文案ニ御異議ハア
リマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=5
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006・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ表彰文案ハ可決致シマシタ(拍手)
此表彰方ハ議長ニ於テ取計ヒマス(拍手)此
際尾崎君ヨリ發言ヲ求メラレテ居リマス、
之ヲ許シマス
〔尾崎行雄君登壇〕
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=6
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007・尾崎行雄
○尾崎行雄君 只今ノ御決議ニ對シテ謹デ
御挨拶ヲ致シマス、如何ニモ長ク當議場ニ
居リハ致シマシタケレドモ、何等勳勞ノ見
ルベキモノナキニ對シテハ、常ニ慚愧ノ至
リニ堪ヘズ感ジテ居リマス(「ノー〓〓」)然
ルニ斯ノ如キ決議ヲ以テ表彰セラレタコト
ハ光榮ノ至リ、聊カ衷心安ンゼザル所ガア
リマス
此場合ニ於テ、私情トシテ遺憾ニ堪ヘナ
イコトハ、初期以來常ニ兄弟ノ如ク共ニ議
場ニモ働キ、議場外デモ働イテ居ッタ所ノ犬
養毅君ト共ニ、此喜ビヲ頒ツコトノ出來ナ
イノハ、實ニ私情トシテ悲ミニ堪ヘマセヌ、
併ナガラ憲政ニ功勞ノアッタコトハ、無論私
ナドニ勝ルコトハ疑ヲ容レマセヌ、然ルニ
生殘ッタ私ダケガ表彰セラレテ、死シタル者
ニ付テ何等ノ事モナイト云フコトハ、或ハ
生者ニ厚クシテ死者ニ薄イト云フ憾モナイ
コトハゴザイマセヌ(拍手)憲政ノ功勞者
ハ、僅ニ犬養君ヤ私バカリデハナク、他ニモ
幾ラモアリ、又當院ノ外ニモアリマス、先輩
トシテハ大隈、板垣、或ハ伊藤博文諸君ノ
如キ、同輩トシテモ既ニ故人トナラレタ者
モ幾ラモアル、是等ハ苟モ立憲政治ト云フ
コトニ重キヲ置ク以上ハ、何レノ場合ニ於テ
カ、皆表彰セラレナケレバナラヌ筈ノモノ
ト思ヒマス、而シテ憲法實施五十年モ、近ク
數年ノ內ニ迫ッテ居リマス、多分議長及本院
ノ諸君ニ於テハ、今日ヨリ是等ノコトヲ取
調ベル機關ヲ設ケテ、漏レナク、公平ニ、
生者ト死者トヲ問ハズ、院ノ內外ヲ問ハズ、
苟モ立憲政治ノ實施及運用ニ功勞ノアッタ人
ハ、總テ適當ナ表彰ヲ致シ、國家ガ其勳勞
ヲ認ムルト云フダケノ働キハ、必ズ爲サル
ルコトヽ信ジ、又本員トシテモ特ニソレヲ
切望スルノデアリマス(拍手)願クハ院ノ內
外ヲ問ハズ、公平ニ御取調アランコトヲ希
望致シマス
同時ニ又公ノ場合ニ於テ、一ツ遺憾ニ思
フコトハ、元來申ス迄モナク、立憲政治ノ
用ハ、健全ナル政黨ト相俟ッテ、初メテ完カ
ルベキ筈ノモノデアリマスガ故ニ(拍手)今
日若シ我國ノ兩大政黨ヲ初メトシテ、其他
ノ政黨ガ皆健全ニ發達シテ、兩黨ガ代ルノ
内閣ヲ組織スルト云フ時代ニナッテ居ッテ、
若シ此表彰ニ會ッタナラバ、私ノ喜ビハ今日
ニ數倍スルモノデアルノデアリマス(拍手)
然ルニ殘念ナルコトハ、政黨及議會ノ信用
ガ-地ニ墜チタトハ申シマセヌガ、私四
十有餘年ノ議員生活ノ中デ、今日程薄クナツ
タコトハナイカノヤウニ考ヘルノデアリマ
ス(拍手)此場合ニ於テ獨リ表彰セラレルト
云フコトハ、私トシテハ實ニ慚愧ニ禁ヘヌ
ノデアリマス、若シ議會及政黨ノ信用ガ薄
クナッタト云フコト、私ノ認ムル通リデアル
ナラバ、其責ノ幾部分カハ、最モ久シク議會
ニ居ル私トシテハ、無論雙肩ニ負ハナケレ
バナラヌ筈ノモノデアリマス、卽チ其點ニ
於テハ寧ロ懲サレ罰セラレマスルトモ、表
彰セラルベキ資格ハナイ筈デアリマスルガ、
(「ノー〓〓」)遺憾ナガラ微力ノ致ス所、議
會及政黨ノ信用ノ段々低クナルコトヲ拯ヒ
得ナカッタコトハ、實ニ議會ニ於ケル一日ノ
長者トシテ、私ハ諸君ニ對シテ申譯ナク感
ズルノデアリマス
併ナガラ之ニハ色々ナ原因ガアル、振返ッ
テ見マスルト、如何ニモ一人二人ノ力デ救
ヘルモノデハナカッタラウカトモ思ヒマス、
殊ニ議會ノ信用ノ段々地ニ墜チタト云フコ
トニ付テハ、政黨モ責任ガアル、全國人民
モ責任ガアル、殊ニ行政部ニ立ッテ居ル所ノ
人ハ、一層責任ガアルカト思ヒマス、元來
我國ニ於テハ行政部ト立法部ガ權衡ヲ得テ
居リマセヌ、世界何レノ優良ナル立憲國ヲ
見テモ、斯ノ如ク不權衡ナル狀態ヲ、其儘
坐視シテ居ルト云フ場所ハ他ニナカラウ
カト信ズル(「ヒヤ〓〓」拍手)極ク其近キ例
ヲ申シマシテモ、例ヘバ只今議長及議員諸
君ガ、宮中ニ於テ如何ナル席次ヲ有ッテ居
ラレルカハ承知致シマセヌ、私モ時々宮中
ニハ出マスルケレドモ、僅カ二三年間行政
部ニ居ッタト云フ爲ニ、只今御讀上ゲニナッ
タ通リ、勳一等ト云フ資格ヲ有ッテ居リマス
ルガ故ニ、宮中デハ、私ハ議員トシテ列セ
ズシテ、常ニ動一等ノ位置デ列スル、隨テ
議長其他ノ諸君ガ如何ナル待遇ヲ受ケテ居
ルカヲ只今記憶シテ居リマセヌ、併シ立法
部相當ナ待遇ハ與ヘラレテ居ラヌノデハナ
イカト心配ヲ致シマス(拍手)是等モ憲法實
施五十年アタリノ機會ニ於テ、匡サナケレ
バナラヌコトダラウト思ヒマス、英吉利ノ
例ヲ申シマスルト、議長ハ無論黨派ノ外ニ
立ッテ、全院ノ議長デアル、決シテ一黨一派
ノ議長デハアリマセヌ、故ニ自ラ任ズル所
モ、或ハ我國ニ於ケル議長ヨリカ重イカモ
知レマセヌケレドモ、世間一般ノ待遇、宮
中ノ待遇、我國トハ比較ニナラヌ、普通議
長ノ席次ハ、總理大臣ト樞密院議長ヲ除イ
タ次ガ衆議院議長ノ席次デアッテ、其議長ハ
英吉利全貴族ノ上席ヲ占ムルコトニ相成ッ
テ居ル、一國ノ選良ノ府ノ議長タル者ハ、
左モアッテ然ルベキコトデアラウト思フ、今
日ハ外國ノ事例ト言ヘバ、事ノ善惡ニ拘ラ
ズ排斥スルト云フヤウナ傾ガアリマスルケ
レドモ、斯ノ如キヤリ方ハ、寧ロ外國ノ英
吉利ノ方ガ合理的デアッテ、日本ガ之ヲ大層
輕ク扱ッテ居ルノガ間違デハナイカト思フ
ノデアリマス(拍手)斯ノ如クシテ行政部ト
立法部ガ權衡ヲ得ナイ、歷史ニ遡ッテ見レバ
無理ハゴザイマセヌ、薩長藩閥ノ連中ハ、
立法府ノ信用ノ段々高マルコトヲ餘リ好マ
ナカッタ、ソレニ使ハレテ居ル所ノ官僚輩ハ
無論ノコト、何トカシテ之ヲ抑ヘルコトヲ、
自分ノ立身出世ノ捷徑トスラ考ヘタ時代モ
アッタノデアリマスカラ、ドウシテモ立法部
ノ位置ノ陞ルコトノ邪魔ヲ百方致シマシタ、
是ハ宜シクナイコトデアリマスルカラ、政黨
及議會ノ信用ノ墜チタト云フコトヲ咎ムル
ト同時ニ、此不權衡ハ先ヅ行政部ノ人達モ
注意シテ直サナケレバナラヌ筈ノモノト思
ヒマス(拍手)自分ノコトヲ申スハ甚ダ愧入
リマスケレドモ、只今御決議ノ如ク、私
立法府ニ於テハ稍〓上流ノ位置ヲ占メテ四十
有餘年勤メタ、行政部ニ於テハ纔ニ伴食大
臣トシテ僅カ二三年居ッタ、其伴食トシテ
二三年居レバ正三位動一等ノ資格ヲ與ヘラ
レ(笑聲)此議院ニ於テ一流ノ仲間ニ入ッ
テ四十餘年勤メタノデハ、マダ何等ノ
國家カラハ待遇ヲモ享ケテ居リマセヌ(拍
手)唯僅ニ氣紛レ同樣ニ、時ノ內閣ガ發作
的ニ勳章ナドヲ與ヘテ、慥カ議員ヲ長ク勤
メタト云フ爲ニ動三等ニ敍セラレタコトハ
アルト思ヒマス、元來立法府ニ向ッテ斯ノ如
キ待遇ヲ與ヘルコトノ適否ハ問題デアリマ
ス、初カラ動章トカ位階トカ云フモノヲ與
ヘズシテ、國民ノ選良ハ特別ノ表彰ノ仕方
ヲシタラ宜カラウト思ヒマシタケレドモ、
旣ニ與ヘタ以上ハ仕方ガナイカラ、矢張行
政部ト權衡ヲ得ナケレバナラヌ、行政部ニ
伴食トシテ僅カ二三年居ッテ正三位勳一等
ニナルナラバ、コチラニ四十餘年勤メタナ
ラバ、ソレ以上ノモノヲ與ヘルノガ當然デ
アル(拍手)ソレヲ行政部ノ者モ平氣デ居
リ、世間一體モ頓著シナイト云フコトハ、
如何ニ我國ニ於ケル憲法政治、卽チ人民ノ
輿論公議ニ重キヲ置クト云フ政治組織ガ、
理解セラレテ居ラヌカト云フコトノ、一ツ
ノ證據ニ確ニナルノデアリマス、若シ私ガ
行政部ニ入ラズシテ、議員ダケデ居ッタナラ
バ、多分動三等デ終リ、死ンダナラバ高木
正年君同樣ニ、從五位カ正五位クライ贈ラ
レタカモ知レマセヌ、ソレガ國家ノ議員ニ
對スル認識ノ仕方デアル、之ヲ當然ト思フ
人ハ、官尊民卑ノ弊風ニ飽マデ囚ハレタ人
以外ニハ、何人モ當然ト思フコトハナイデ
アリマセウ(拍手)斯ノ如キ官尊民卑ノ弊風
ヲ矯メナイ以上ハ、議會ノ信用及議員ヲシ
テ自ラ重ンズルト云フ精神狀態ヲ起サセル
コトハ元來無理デアリマス(拍手)
如何ナル待遇ヲシテモ、斯樣ナ考ヲ起ス
人ハ、陋巷ノ裡ニ在ッテモ一國ノ重キニ任
ズルコトガ出來マスルケレドモ、普通ノ人
間ハサウ云フ者デハゴザイマセヌ、國家ノ
待遇ニ應ジテ、ソレ相當ノ考ヲ起スノガ普
通ノ人情デアリマシテ、議員ト雖モ帝國
普通ノ臣民デアル以上ハ、之ニ向ッテハ國家
ハ相當ナ待遇ヲ與ヘナケレバナラヌト思
フ、此事モ行政部ノ諸君ニ向ッテ、御挨拶ノ
序ニ忠告ヲスルト同時ニ、立法部ノ諸君ニ
於テモ始終是等ノコトニ注意シ、議長ニ
於テハ院ノ事務官ナドヲ指揮シテ、常ニ是
等ノ典例ヲ調ベテ、有ユル諸外國ノ例、如
何ニ取扱ッテ居ルカ、日本ノ如何ニ不適當ナ
ルカト云フコトヲ調ベテ、機會アル每ニ議
長ノ地位ヲ陞セ、議員ノ地位ヲ昇セルト云
フコトニ御努メニナルコトモ、矢張憲政擁
護ノ一端ト心得テ居リマスル(拍手)
又政黨ガ今日ノ事態ニ陷ッタコトニ付テ
ハ、責任ノ幾何カヲ負ハナケレバナラヌ所
ノ私トシテハ、實ニ遺憾デハアリマスルガ、
之ニ對シテハ可ナリ盡力ハ致シマシタ、政
黨ガ信用ヲ失ッタト云フコトハ內部ニ原因
ガアル、卽チ一言ニシテ言ヘバ、政黨ガ權
力金力ヲ濫用シ過ギタ、ソレヲ濫用スル爲
ニ、權力金力ヲ得ル目的デ不當ナ手段ヲ
執ッタ、是ガ內部ノ原因デアリマス、此權力
金力ノ濫用ヲ自ラ戒メザル以上ハ、此原因
ヲ除イテ、政黨ガ改善ノ途ニ就クコトハ出
來マセヌ(拍手)之ヲ直ス爲ニ、私ハ內ニ於テ
色々ナコトヲ致シマシタ、此議會ニ提出シ
タヾケデモ、黨費公表議案、或ハ又選擧入
費調べ方、黨勢擴張ノ爲ニ公共事業ヲ用フ
ルコトヲ禁ズル法律案、色々ナコトヲヤッテ
見マシタケレドモ、ドウモ思ハシク參リマ
セヌ、又議長ノ職責ナドニ對シマシテモ、
私ハ奧議長ヤ粕谷議長ニ肉迫シテ、今ノヤ
ウナヤリ方ハ行ケヌゾト云フコトヲ、極力
忠告シタ揚句、遂ニ政黨以外ニ立ッタ議院
ノ議長トナリ、ソレ迄ハ政黨ノ議長デアッタ
ガ、議院ノ議長トナルト云フコトニナッタ
ノデアリマスケレドモ、少シク怠ッテ居リマ
スト、動モスレバ復タ後戾リヲスルヤウデ
アリマス、ソレ等ノコトモオ互ニ改メナケ
レバナリマセヌ
元來議長ノ選擧ハ、英吉利邊リデハ取リ
合ハ致シマセヌ、讓リ合ハ致シマス、何時
デモ滿場一致デ選ム、ソレハ多數黨、卽チ
其時ノ政府黨ガ少數黨、卽チ反對黨ノ陣營
ヲ物色シテ、議長ノ適任者ヲ探シテ、無ケ
レバ仕方ガナイガ、適任者ガアレバ、反對
黨ノ一番適任者ヲ指名致シマス、少數黨ノ
中カラ指名ヲ致ス、旣ニ指名セラレタ所ノ
少數黨ハ、無論反對スルコトハ出來マセヌ
カラ、ソコデ滿場一致ノ議長ガ何時デモ出
來ル、一度選マレヽバ、病氣其他ノ事故ガ無
イ限リ、終身其職ニ居ルノガ當リ前デ、議會
ガ幾ラ改選セラレヤウトモ、其人ガ居ル間ハ
必ズソレヲヤル、是モ議院ノ議長ヲ決メル方
法トシテハ、洵ニ左モアルベキコトヽ思ヒマス
ガ、日本デハ何時デモ議長ノ奪ヒ合ヲシテ居
ル、奪ヒ合ヲスルト云フコトハ卽チ議長ヲ
シテ不公平ヲサセヨウト云フ意思ガアルカラ
取リ合ヲスルノデアリマス(拍手)公平ニ其
職務ヲ行ハントスルナラバ、英吉利ノ如ク
讓リ合コソスレ、決シテ取リ合ナドヲスル
筈ハアリマセヌ(拍手)ソレ等ノ點ニ於テ
ハ、精神狀態ガ根本的ニ間違ッテ居リマス、
總テノ政黨及議員ガ、議長ノ職務ヲ理解シ
ナイト言ハレテモ、辯解ノ言葉ハアリマス
千代是等モドウカ機會アル每ニ改メテ行
キタイモノデアリマス
其他色々アリマスガ、今日ハ御禮ガ主デ
アリマスカラ多クヲ申シマセヌガ、尙ホ外
部ノ原因トシテハ、矢張國民全體ヲモット
オ互ニ〓育シナケレバナリマセヌ、議院制
度ト云フモノハ、元來少數ノ權力者、金力
者ノ跋扈ヲ匡正スルノガ根本ノ目的デアリ
マスカラ、何方カト言ヘバ權力者、金力
者卽チ時ノ政府ナドニ反對ノ投票ヲ入レ
ナケレバナラヌ筈ノモノデアリマスガ、我
國ノ選擧人ハ權力者、金力者ヲ匡正スルノ
デナクシテ、ソレニ媚ビ諛ッテ投票ヲ入レ
ル、政府黨ガ何時デモ多數ニナリマス、是
デハ或ル場合ニ於テハ、立憲政治アルガ爲
ニ、全國大多數ノ人間ハ、善キ專制政治ヨ
リモ、自ラ己レヲ苦メル結果ニ陷ルコトハ
當リ前ノコトデアリマス、斯ノ如ク權力、
金力ニ反抗スベキ選擧人ガ、之ニ屈服シ服
從スルト云フ、卑劣ナ封建的思想ヲ出來ル
ダケ早ク洗ヒ去ラナケレバ、政黨ダケ良ク
ナル譯ニハ參リマセヌ、極ク有體ニ申シマ
スレバ、政黨ハ權力、金力ヲ濫用スレバ內
閣ガ取レル、黨勢擴張ヲヤッテ內閣ヲ組織ス
ルコトガ出來ル、之ヲ濫用シナケレバ黨勢
ハ段々衰弱スルコトニナッテ居ルノガ日本
ノ現狀デアル、元來政黨ノ人ハ何處ノ方面
ノ人ト較ベテモ、寧ロ優リハスルトモ劣リ
ハセヌ人間ガ集ッテ居ルノデアリマス、然ル
ニ今日デハ政黨員ト言ヘバ、普通ノ日本人
中ノ屑デモ集ッテ居ルカノ如ク、動モスレバ
世間デ看做シテ居ルノハ、以テノ外ノ心得
違デアル、今政黨ノ陣中ヲ御覽ニナリマス
ト、其首領株ハ多クハ官僚出ノ人デアリマ
ス、政黨出身ノ人デ首領株ニナッテ居ル人ハ
殆ド少イ、其官僚出ノ政黨員ヲ御覽ニナリ
マスルト、行政部ニ於テハ皆指折ノ人デア
リマス、伊藤公モ政黨員ニナッタ、是ガ日本
人中ノ下等ノ人間デアルトハ誰モ言ハヌデ
アラウ、原敬君、加藤高明君、軍部カラ言フ
ナラバ桂君、田中義一君、又政黨ノ中ニハ
入ラズトモ、政黨ト共ニ事ヲシテ居ル所ノ
現首相ヲ初トシテ、前ノ齋藤首相、山本權
兵衞伯、幾ラモアルノデアリマス、是等モ
決シテソレ等ノ社會ニ於テ優リハスルトモ
劣ッタ人間デハアリマセヌ、サウ云フ優レタ
者ダケガ政黨ニ入ッテ來、若クハソレト事ヲ
共ニシテ居ルノデアリマスルカラ、當リ前
ナラバ政黨ガ惡クナラウ筈ハナイ、行政部
及軍部ニ於テモ稀ニ見ル人ガ政黨ニ入リ、
若クハ是ト提携シテ居ッタノデアリマス、其
政黨ガ惡クナッタト云フコトハ、幾何カノ罪
ハ政黨ニアリマスルケレドモ、根本原因ハ
外、卽チ全國人民ガ之ニ對スルノ途ヲ知ラ
ナイ、善イ事ヲスレバ投票ヲ入レナイ、惡
イ事ヲシテ、金力、權力ヲ濫用スレバ投票
ヲ入レル(拍手)卽チ惡事ヲスレバ黨勢ガ擴
張サレ、善事ヲスレバ黨勢ハ衰徴スル、黨
勢ガ衰ヘテハ、國家ノ爲ニ獻身的働キヲシ
ヨウトシテモ出來ナイカラ、淚ヲ呑ンデ政黨
ノ首領株ハ、已ムヲ得ズ世間ノ非難攻擊ヲ
冐シテ不正ナ金ヲ集メル、不正ナ金力ヲ濫
用シ、色々ナ事ヲスルト見ルノガ、公平ナ
見方ト私ハ思フノデアリマス(拍手)
故ニ兩方カラ直サナケレバナラヌ、內カ
ラ直スノ手段トシテ、色々ヤッタガ效能ガ
ナイカラ、私ハ最後ニ逆ノ手ヲ打ッテ、暫ク
之ニ政權ヲ渡サズニサヘ居ッタナラバ、彼等
ハ悔悟反省スルデアラウト考ヘマシタ爲
ニ、遺憾ナガラ十年バカリ前カラ、當分ノ
間政黨ニ政權ヲ渡スナト私ガ唱ヘ出シタコ
トハ、諸君皆御承知デアラウト思ヒマス、
今言フ所ノ憲政ノ常道ト云フノハ、正シキ
政黨ノアル時ニ於テノ常道デアッテ、今日ノ
ヤウナ惡イ事ヲスル政黨ニ政權ヲ渡スノ
ハ、憲政ノ常道デアリヤウ筈ガナイト云フ
ノガ私ノ主張デアリマス(拍手)全國私ニハ
反對致シマシタガ、偶然ノ結果デ、而モ私
ガ最モ同意スルコトノ出來ナイ手段ニ依ッテ、
政黨內閣ガ一時倒レテ、絕對多數ヲ有ッテ居
ル所ノ政友會モ、二度內閣組織ヲスルコトガ
出來ナカッタ、失禮ナガラ多分多少思當ルコト
トガアルダラウカト考へマス、アレダケノ多數
ヲ以テ政權ガ取レナイ、心アル者ハ何故カト反
省セナケレバナラヌ譯デアリマス、之ヲ反
省スル時ニ、ソレハ信用ヲ失ック爲デアル、
何故信用ヲ失ッタカ、權力、金力ヲ濫用シ、
且ツ不謹愼ナコトヲシタ爲デアルトハ、
誰デモ氣ガ付クニ決ッテ居ル、氣ガ付ケ
バ、ソコデ改善ノ途ガ開ケル、私ガ政黨
ニ內閣ヲ渡スナト言フノハ、恰モ慈父ガ
可愛イ子ノ放蕩道樂ヲ直サウガ爲ニ、小
遣錢ヲヤラナイト云フ心持ヲ以テヤッタ
ノデアル、政黨ヲ憎ムガ爲デハナイ、之
ヲ愛スルノ至レルガ爲ニ、暫ク政權カラ
遠ザケテ、彼等ヲシテ悔悟反省セシメヨウ
ト云フ意味デアリマス、兩黨ノ諸君ニシテ、
苟モ悔悟反省シテ、良クナル道ヲ開クナラ
バ、私ハ及バズナガラ何時モ死ヌマデ緣ノ
下ノ力持チヲ致シマス、決シテ憎ム爲デハ
ナイ、同時ニ全國人民モ良クシナケレバナ
ラヌト同時ニ、行政部ト立法部ノ權衡ヲ維
持スルコトニシナケレバナラヌ、是等ノ調
子ガ總テ揃ヘバ、議會ノ信用ハ恢復シ、隨
テ政黨員自ラ任ズルコトモ高クナルノデア
ラウカト考ヘマス、故ニ玆ニ御禮ノ御挨拶ヲ
兼ネテ、ソレダケノコトヲ申述べ、殊ニ最
初ニ述ベタ憲政五十年ノ機會ニ於テ、議院
ニ關スル總テノ制度ヲモウ少シ秩序的ニ考
ヘ、功勞者ヲ萬遍ナク、今日表彰セラレル
人バカリデハナク、有ユル方面ニ向ッテ表彰
セラレルコトヲ希望致シマス、同時ニソレ
ハ唯年限ガ長ク居ッタト云フダケデハ困ル
カト思ヒマス、年限ハ如何ニ短クトモ、非
常ナ功勞ヲ擧ゲタ人ハ幾ラデモアルベキ譯
デアリマスルカラ、ソレ等モ矢張功勞ヲ認
識シテ、表彰スルト云フ手續ヲ御執リ下サ
レマシタナラバ、私ニ取ッテハ實ニ本懷ノ
至リ、今日此光榮ニ浴スル以上ノ歡ビデア
リマスル故ニ、御禮ノ序ニ併セテ其事ヲ申
述ベテ置キマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=7
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008・濱田國松
○議長(濱田國松君) 更ニ植原悅二郞君ヨ
リ、本院議員トシテ三十年以上在職ノ方ニ
對スル功勞表彰ニ關シ發言ヲ求メラレテ居
リマス、之ヲ許可致シマス-植原悅二郞
君
〔植原悅二郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=8
-
009・植原悦二郎
○植原悅二郞君 諸君、私ハ玆ニ再ビ諸君
ノ御許ヲ得テ、本院ニ於ケル各黨各派ノ議
員一同ヲ代表致シマシテ、議員菅原傳君、
同大竹貫一君、同安達謙藏君、同望月圭介
君、同濱田國松君、此五君ガ三十有餘年憲
政ノ爲盡瘁セラレタル功勞ヲ表彰シ、其文
案ノ起草ヲ議長ニ一任スベシトノ動議ヲ提
出致シマス(拍手)
菅原傳君ハ宮城縣遠田郡ノ人、夙ニ東京
帝國大學ニ學ビ、更ニ轉ジテ米國ニ留學シ、
後內地及米國ニ於テ新聞事業ニ從事セラ
v、且又屢〓布哇ニ渡航シ、移民問題、日本
人參政權問題竝同國獨立間題等ニ盡力セラ
レタル所ガ尠クナカッタノデアリマス、明治
三十一年三月、第五囘衆議院議員總選擧ノ
行ハルヽニ際シマシテ、初メテ議員ニ當選
セラレ、本院ノ人トナラレタノデアリマス、
爾來引續キ當選セラルヽコト十四囘、在職
三十二年、一身ヲ挺シテ國事ニ專念シ、東
奔西走寧日ナク、恆ニ國論ノ指導ト議會政
治發達ノ爲、全力ヲ傾倒シテ今日ニ至リ、
今尙ホ現ニ本院ニ於テ其活動ヲ繼續セラレ
ツヽアルノデアリマス、其間本院ニ於テ全
院委員長タリシコトアリ、出テハ海軍參與
官ニ任ゼラレシ等、永年ニ亙リ立憲政治發
達ノ爲、貢獻セラレタル功績ハ、洵ニ偉大
ナルモノデアルト存ジマス(拍手)
次ニ大竹貫一君ハ新潟縣ノ人、夙ニ縣會
議員ニ擧ゲラレ、地方自治ニ貢獻スル所尠
クナカッタノデアリマス、明治二十七年三
月、第三囘衆議院議員總選擧ニ際シ、選バ
レテ初メテ本院議員トナラレ、爾來當選セ
ラルヽコト實ニ十四囘、在職三十二年、此
間君ハ更ニ一身一家ヲ顧ミズ、其全生活ヲ
捧ゲテ議會政治ニ沒頭シ、常ニ國論ノ指導
ト民意ノ暢達トニ奮鬪セラレツヽアルノデ
アリマス、君ハ現ニ其老軀ヲ提ゲテ、本院
ニ於テ熾ニ其奮闘ヲ繼續サレテ居リマス、
君ノ氣魄タルヤ今尙ホ壯者ヲ凌グノ感ガア
リマス(拍手)斯クテ君ガ永年憲政ノ爲ニ盡
瘁セラレシ功勞ハ、實ニ多大ナルモノデア
ルト存ジマス(拍手)
次ニ安達謙藏君ハ、諸君御承知ノ如ク熊
本市ノ人、漢學ヲ濟々黌ニ學バレテ、夙ニ
韓國ニ於テ朝鮮時報社及漢城新報社ヲ創立
セラレテ、操觚界ニ活躍サレタノデアリマ
ス、明治三十五年八月、第七囘衆議院議員
總選擧ニ於テ、初メテ本院議員ニ當選セラ
V、爾來今日ニ至ル迄引續キ當選十二囘、
在職三十二年ノ長キニ及ビ、恆ニ憲政ノ爲
ニ盡瘁セラレ、其間遞信大臣、內務大臣等
ノ要職ニ歷任セラレ、輔弼ノ重責ニ膺ラレ
タノデアリマス、尙ホ君ハ現ニ國民同盟ノ
總裁トシテ、折角奮鬪セラレツヽアルノデ
アリマス、之ニ徵スルモ君ガ議會政治ノ爲
貢獻セラレシ功績ノ、實ニ甚大ナルコトハ
明カデアリマス(拍手)
次ニ望月圭介君ハ廣島縣豐田郡ノ人、夙
ニ英學及政治、經濟學ヲ學バレ、明治三十
一年八月、第六囘衆議院議員總選擧ニ於テ、
初メテ本院議員ニ當選セラレ、爾來當選囘
數ヲ重ネラルヽコト十一囘、在職三十一年、
其間遞信大臣、內務大臣等ニ歷任シテ、輔
弼ノ重任ニ膺ラレタノデアリマス、君ハ恆
ニ世道人心ノ指導ニ意ヲ用ヒ、民意ノ暢達
ニ心ヲ碎カレ、多年能ク憲政ノ爲メ盡瘁セ
ラレ、其功績誠ニ大ナルモノガアルノデア
リマス(拍手)
次ニ濱田國松君ハ宇治山田市ノ人、東京
法學院ヲ卒業セラレ、夙ニ區會議員、郡會
議員ニ選バレ、地方自治ニ貢獻スル所尠ナ
カラズ、,遂ニ明治三十七年三月、第九囘衆
議院議員總選擧ニ於テ、初メテ本院議員ニ
當選セラレ、爾來引續キ當選セラルヽコト
十囘、在職三十一年、其間司法政務次官ニ
任ゼラレ、又大正六年ニハ本院副議長ニ、
今現ニ本院議長ノ重職ニアリテ、折角議會
政治ノ爲ニ盡瘁サレテ居リマス(拍手)君ノ
人權及憲政擁護ニ關スル辯論ハ、本院ノ一
異彩デアリマス、而シテ君ガ永年我ガ憲政
發達ノ爲メ貢獻セラレタル所、誠ニ大ナル
モノガアルノデアリマス(拍手)
以上〓略述ベマシタ通リ、五君ハ孰レモ
人格高潔、其德望群ヲ拔キ、本院議員トシ
テ三十年以上在職シ、憲政ノ爲ニ盡瘁セラ
レタル、其積年ノ功勞ニ對シ、深甚ナル敬
意ヲ表シ、之ヲ顯彰セントスルハ、本院ト
シテ極メテ至當ノコトヽ存ジマス(拍手)何
卒滿場ノ諸君ノ御贊同ヲ冀ヒマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=9
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010・濱田國松
○議長(濱田國松君) 只今植原悅二郞君ヨ
リ提出セラレタル動議ニ付キ採決ヲ致シマ
ス、植原悅二郞君提出ノ動議ニ贊成ノ諸君
ノ起立ヲ求メマス
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=10
-
011・濱田國松
○議長(濱田國松君) 表彰セラルヽ方ヲ除
キ起立總員(拍手)仍テ本動議ハ表彰ヲ受ケ
ラルヽ方ヲ除キ全會一致可決致シマシタ
(拍手)玆ニ議長ノ手許ニ於テ起草シタル表
彰文案ヲ朗讀致シマス
議員正五位勳三等菅原傳君衆議院議員ニ
當選スルコト十四囘在職三十四年ニ及ヒ
恆ニ憲政ノ爲ニ盡瘁シ民意ノ暢達ニ努ム
衆議院ハ君カ積年ノ功勞ヲ多トシ特ニ院
議ヲ以テ之ヲ顯彰ス
〔拍手起ル〕
議員勳三等大竹貫一君衆議院議員ニ當選
スルコト十四囘在職三十二年ニ及ヒ恆ニ
憲政ノ爲ニ盡瘁シ民意ノ暢達ニ努ム衆議
院ハ君カ積年ノ功勞ヲ多トシ特ニ院議ヲ
以テ之ヲ顯彰ス
〔拍手起ル〕
議員正三位動一等安達謙藏君衆議院議員
ニ當選スルコト十二囘在職三十二年ニ及
ヒ恆ニ憲政ノ爲ニ盡瘁シ民意ノ暢達ニ努
ム衆議院ハ君カ積年ノ功勞ヲ多トシ特ニ
院議ヲ以テ之ヲ顯彰ス
〔拍手起ル〕
議員從三位動一等望月圭介君衆議院議員
ニ當選スルコト十一囘在職三十一年ニ及
ヒ恆ニ憲政ノ爲ニ盡瘁シ民意ノ暢達ニ努
ム衆議院ハ君カ積年ノ功勞ヲ多トシ特ニ
院議ヲ以テ之ヲ顯彰ス
〔拍手起ル〕
次ハ私ニ關スル案文デアリマスガ、議長
事務ノ執行上自ラ之ヲ朗讀スルコトヲ御諒
恕ヲ賜リタイ(拍手)
議員正五位勳二等濱田國松君衆議院議員
ニ當選スルコト十囘在職三十一年ニ及ヒ
恆ニ憲政ノ爲ニ盡瘁シ民意ノ暢達ニ努ム
衆議院ハ君カ積年ノ功勞ヲ多トシ特ニ院
議ヲ以テ之ヲ顯彰ス
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=11
-
012・濱田國松
○議長(濱田國松君) 此各文案ニ御異議ガ
アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=12
-
013・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、表彰文案ハ確定ヲ致シマシタ、其贈呈
ノ方法ハ議長ニ於テ取計ヒマス(拍手)此場
合菅原傳君ヨリ發言ヲ求メラレテ居リマス、
之ヲ許シマス-菅原傳君
〔菅原傳君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=13
-
014・菅原傳
○菅原傳君 只今ノ大竹貫一君、安達謙藏
君、望月圭介君、濱田國松君、及不肖ト、
五名ニ對スル御鄭重ナル御決議ニ對シ、甚
ダ借越ナガラ私ヨリ一同ヲ代表致シマシ
テ、一言御挨拶ヲ申上ゲタイト存ジマス(拍
手)
吾々五名ノ政治上ノ意見ハ、必シモ一致
致シタルモノデハゴザイマセヌ、併ナガラ
孰レモ明治大帝ノ御聖旨ニ依リ、立憲政治
ノ布カルヽヤ、先輩ノ驥尾ニ附シ、立憲政治
ノ爲ニ三十有餘年間、孜々トシテ努力致シ
タモノデアリマス(拍手)然ルニ今日尙ホ憲
政有終ノ美ヲ濟スニ至ラザルハ、眞ニ衷心
忸怩タルモノガアルノデゴザイマス(拍手)
希クハ春秋ニ富マルヽ諸君ト共ニ、今後益、ミ
力ヲ憲政ノ爲ニ盡サンコトヲ期シテ居ルノ
デゴザイマス(拍手)圖ラズモ茲ニ永年在職
ノ故ヲ以テ、功勞表彰ノ御決議ニ與リマシ
タコトハ、誠ニ感銘ニ堪ヘザルト共ニ恐悚
ノ至リデゴザイマス(拍手)玆ニ一同ヲ代表
致シマシテ、謹ミテ感謝ノ意ヲ表スル次第
デゴザイマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=14
-
015・青木雷三郎
○靑木雷三郞君 議事日程變更ノ緊急動議
ヲ提出致シマス、卽チ此際第一號、昭和十
年度歲入歲出總豫算追加案、及特第一號、
昭和十年度各特別會計歲入歲出豫算追加案
ヲ一括議題トナシ、委員長ノ報告ヲ求メ、
其審議ヲ進メラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=15
-
016・濱田國松
○議長(濱田國松君) 靑木君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=16
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017・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ變更セラレマシタ、第一號、
昭和十年度歲入歲出總豫算追加案、特第一
號昭和十年度各特別會計歲入歲出豫算追
加案、以上兩案ヲ一括シテ議題ト致シマス、
委員長ノ報〓ヲ求メマス-砂田重政君
(第一號)昭和十年度歲入歲出總豫算追
加案
(特第一號)昭和十年度各特別會計歲入
歲出豫算追加案
報〓書
一(第一號)昭和十年度歲入歲出總豫算追
加案
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十年三月十六日
豫算委員長砂田重政
衆議院議長濱田國松殿
報〓書
一(特第一號)昭和十年度各特別會計歲入
歲出豫算追加案
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十年三月十六日
豫算委員長砂田重政
衆議院議長濱田國松殿
〔砂田重政君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=17
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018・砂田重政
○砂田重政君 只今議題トナリマシタ第一
號昭和十年度歲入歲出總豫算追加案、竝
ニ特第一號、昭和十年度各特別會計歲入歲
出豫算追加案ノ豫算委員會ノ經過竝ニ結果
ヲ御報告申上ゲタイト思ヒマス、此豫算ハ
昨日議會ニ提案ヲサレマシテ、本日午前十
時ヨリ豫算總會ヲ開キマシタ、豫算ノ內容
ハ、一般會計ニ於テ五十五万餘圓、特別會
計關東局及朝鮮總督府特別會計ニ於テ十一
万餘圓デアリマシテ、何レモ今囘滿洲國皇
帝陛下ガ日本御訪問ニ相成リマスル御歡迎
ヲ申上ゲル經費デゴザイマス、曩ノ追加豫
算委員會ノ經過ヲ御報告申上ゲマシタ通
リ、當時此御歡迎ヲ申上ゲル經費ハ、吾々國
民トシテ最モ記念スベキ、又最モ愼重且ツ
敬意ヲ表シテ、此案ヲ滿場一致通過ヲ致シ
タイト云フ希望ノ下ニ、他ノ追加豫算等ト
ハ、之ヲ切離シテ提案サレンコトヲ、强キ
意味ニ於テ議員諸君ヨリ御希望ガアッタコ
トヲ申上ゲテ置キマシタ所、此度政府ヨリ
御提出ニナリマスル際ニハ、此希望ヲ容レ
ラレテ、是ダケヲ別箇ノ豫算トシテ提案ヲサ
レタノデアリマス、本日委員會開會ノ劈頭ニ
於キマシテ、各派理事諸君ノ御集リヲ願ッテ
御協議ヲ申シタ結果、敬意ヲ表スル爲ニ、
一切ノ質問ヲ省略シテ、直チニ採決ニ移ル
申合セガ出來マシテ、委員會ハ採決ノ結
果、滿場一致ヲ以テ卽決可決ヲ致シマシタ
(拍手)何卒此會議ニ於キマシテモ、願クハ
滿場一致ヲ以テ可決セラレンコトヲ切望致
ス次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=18
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019・濱田國松
○議長(濱田國松君) 採決致シマス、第
號昭和十年度歲入歲出總豫算追加案、特
第一號、昭和十年度各特別會計歲入歲出豫
算追加案、以上兩案ノ委員長報告ニ贊成ノ
諸君ノ起立ヲ求メマス
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=19
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020・濱田國松
○議長(濱田國松君) 起立總員、仍テ兩案
ハ何レモ委員長報告通リ全會一致可決致シ
マシタ(拍手)日程第一及第二ハ同種ノ議案
デアリマスルカラ、一括議題トナスニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=20
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021・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程第一、昭和十年度一般會計歲
出ノ財源ニ充ツル爲公債追加發行ニ關スル
法律案、日程第二、昭和十年度一般會計歲
出ノ財源ニ充ツル爲公債第二次追加發行ニ
關スル法律案、右兩案ヲ一括シテ第一讀會
ヲ開キマス-大藏大臣高橋是〓君
第昭和十年度一般會計歲出ノ財源
ニ充ツル爲公債追加發行ニ關スル法
律案(政府提出)第一讀會
第二昭和十年度一般會計歲出ノ財源
ニ充ツル爲公債第二次追加發行ニ關
スル法律案(政府提出)第一讀會
昭和十年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツ
ル爲公債追加發行ニ關スル法律案
政府ハ昭和十年度一般會計歲出ノ財源ニ
充ツル爲他ノ法律ニ依リ起債シ得ル金額
ノ外六十萬圓ヲ限リ公債ヲ發行シ又ハ借
入金ヲ爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル公債ノ發行價格差減額
ヲ補塡スル爲必要アル場合ニ於テハ前項
ノ制限以外ニ公債ヲ發行シ又ハ借入金ヲ
爲スコトヲ得
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
昭和十年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツ
ル爲公債第二次追加發行ニ關スル法律
案
政府ハ昭和十年度一般會計歲出ノ財源ニ
充ツル爲他ノ法律ニ依リ起債シ得ル金額
ノ外二千百四十萬圓ヲ限リ公債ヲ發行シ
又ハ借入金ヲ爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル公債ノ發行價格差減額
ヲ補塡スル爲必要アル場合ニ於テハ前項
ノ制限以外ニ公債ヲ發行シ又ハ借入金ヲ
爲スコトヲ得
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔國務大臣高橋是〓君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=21
-
022・高橋是清
○國務大臣(高橋是〓君) 只今議題トナリ
マシタ昭和十年度一般會計歲出ノ財源ニ充
ツル爲公債追加發行ニ關スル法律案提出ノ
理由ヲ說明致シマス、昭和十年度歲入歲
出總豫算ニ伴フ一般會計歲出不足ノ補塡ニ
付キマシテハ、之ニ關スル法律案ヲ今期議
會ニ提出シテアリマスガ、別途提出致シマ
シタ同年度歲入歲出總豫算追加第一號ニ計
上セル經費ノ財源ニ付キマシテモ、亦今日
ノ場合公債ニ依ルノ必要ガアリマスノデ、
本法律案ヲ提出シタ次第デアリマス、尙ホ
本法律案ハ、前述ノ如ク總豫算ニ伴フ歲入
補塡公債法案ガ目下審議中ナルニ鑑ミ、別
ノ法律案ト致シタ次第デアリマス、何卒御
審議ノ上速ニ協賛ヲ與ヘラレンコトヲ希望
致シマス
次ニ昭和十年度一般會計歲出ノ財源ニ充
ツル爲公債第二次追加發行ニ關スル法律案
提出ノ理由ヲ說明致シマス、昭和十年度歲
入歲出總豫算及同追加第一號ニ伴フ一般會
計歲入不足ノ補塡ニ付キマシテハ、之ニ關
スル法律案ヲ今期議會ニ提出シテアリマス
ガ、別途提出致シマシタ同年度歲入歲出總
豫算追加第二號ニ計上セル經費ノ財源ニ付
キマシテモ、公債ニ依ルノ外ハアリマセヌ
ノデ、本法律案ヲ提出シタ次第デアリマス、
何卒御審議ノ上御協贊ヲ與ヘラレンコトヲ
希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=22
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023・濱田國松
○議長(濱田國松君) 各案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=23
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024・青木雷三郎
○靑木雷三郞君 日程第一、第二ノ兩案ヲ
一括シテ、議長指名十八名ノ委員ニ付託セ
ラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=24
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025・濱田國松
○議長(濱田國松君) 靑木君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=25
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026・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第三、
北洋漁業取締法案ノ第一讀會ヲ開キマ
ス-農林政務次官守屋榮夫君
第三北洋漁業取締法案(政府提出、貴
族院送付)第一讀會
北洋漁業取締法案
北洋漁業取締法
第一條本法ニ於テ會社ト稱スルハ第六條
ニ規定スル條約ニ基キ漁業ヲ營ム株式
會社ニシテ主務大臣ノ指定スルモノ又
ハ命令ヲ以テ指定スル母船式漁業ヲ營
ム株式會社ニシテ主務大臣ノ指定スル
モノヲ謂フ
第二條會社ノ取締役及監査役ノ選任及
解任、定款ノ變更、利益金ノ處分、社
債ノ募集、合併竝ニ解散ノ決議ハ主務
大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效
力ヲ生ゼズ
會社ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザ
レバ其ノ所有スル重要財產ヲ讓渡シ又
ハ擔保ニ供スルコトヲ得ズ
前項ノ重要財產ノ範圍ハ命令ヲ以テ之
弓山五
第三條會社ハ命令ノ定ムル所ニ依リ營
業年度每ニ事業計畫ヲ定メ主務大臣ノ
認可ヲ受クベシ事業計畫ヲ變更セント
スルトキ亦同ジ
主務大臣ハ會社ノ業務又ハ財產ノ狀況
ニ關シ檢査ヲ爲シ又ハ報告ヲ命ジ其ノ
他監督上必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第四條主務大臣ハ會社ニ對シ命令ノ定
ムル所ニ依リ北洋漁業ノ維持開發又ハ
統制ノ爲必要ナル施設ヲ命ズルコトヲ
得
第五條會社ノ決議又ハ其ノ取締役若ハ
監査役ノ行爲法令、主務大臣ノ命令若ハ
定款ニ違反シ又ハ公益ヲ害スト認ムル
トキハ主務大臣ハ其ノ決議ヲ取消シ、取
締役若ハ監査役ヲ解任シ又ハ會社ノ業
務ヲ停止スルコトヲ得
第六條命令ヲ以テ指定スル條約ニ基キ
漁業ヲ營ミ又ハ漁業權ヲ取得セントス
ル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣
ノ認可ヲ受クベシ
第七條前條ノ認可ヲ受ケズシテ漁業ヲ
營ミ若ハ營マントシ又ハ漁業權ヲ取
得シ若ハ取得セントシタル者ハ一年以
下ノ懲役又ハ五千圓以下ノ罰金ニ處
ス
第八條本人ノ漁業ノ經營又ハ漁業權ノ
取得ニ關シ其ノ代理人、戶主、家族、
同居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ本法ニ
違反シタルトキハ本人ハ自己ノ指揮ニ
出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルル
コトヲ得ズ
本法ノ罰則ハ其ノ者ガ未成年者又ハ禁
治產者ナルトキハ之ヲ法定代理人ニ適
用ス但シ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能
力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ
在ラズ
前二項ノ場合ニ於テハ懲役ノ刑ニ處ス
ルコトヲ得ズ
第九條本法ノ罰則ハ其ノ者ガ法人ナル
トキハ理事、取締役其ノ他ノ法人ノ業
務ヲ執行スル役員ニ之ヲ適用ス
第十條本法ノ罰則ハ本法施行地ニ本
店、主タル事務所若ハ住所ヲ有スル者
又ハ其ノ代理人、使用人其ノ他ノ從業
者ガ本法施行地外ニ於テ爲シタル行爲
ニモ之ヲ適用ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔政府委員守屋榮夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=26
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027・守屋榮夫
○政府委員(守屋榮夫君) 北洋漁業取締法
案提出ノ理由ヲ說明致シマス、現在我ガ北
洋漁業ニ於キマシテ重キヲ爲シテ居リマス
ノハ、露領漁業及鮭、鱒等ノ母船式漁業デ
ゴザイマス、露領漁業ハ、我國ガ其漁業權
ヲ獲得致シマシテ以來、長キ歷史ヲ有シ、
其權益維持ニ關スル官民不斷ノ努力ニ依リ
マシテ、今日ノ情況ヲ見ルニ至ッタノデア
リマス、又母船式漁業ハ、近時發展致シマ
シタ漁業デアリマシテ、露領漁業ト相俟チ
マシテ、北洋ニ於ケル我ガ漁業ノ開發上重
要ナル地位ニ在ルモノデゴザイマス、然ル
ニ是等漁業ノ從來ノ經過ヲ見マスノニ、關
係漁業ノ間ニ動モスレバ統制ヲ缺キマス結
果トシテ、或對外的行動ニ一致ヲ缺キ、或
ハ資源ノ永續性ヲ害シ、又或ハ販賣輸出上
ニ不利ヲ招キマスル等、內外兩方面ニ亙リ
マシテ權益ノ維持進展上、遺憾ノ點尠カラ
ザルモノガアッタノデアリマス、政府ハ先年
來此弊ヲ矯正シマスガ爲ニ、關係當業者
ヲ指導誘披致シマシテ、企業合同ヲ促進ス
ルニ努メタノデアリマスガ、是等ノ漁業及
漁業者間ノ統制監督ニ關シマシテハ、其準
據スベキ法規ガ不備デアリマスガ爲ニ、各
般ノ禍因ヲ除去スルコトガ困難デアリマシ
テ、北洋漁業ノ基礎ヲ動搖スルコトナキヲ
保シ難イ憂ヲ免レナイノデアリマス、仍テ
政府ハ本案ニ依リマシテ、其主力經營主體
デアル株式會社ヲ、政府ノ特別ナル監督ノ
下ニ立タシメ、本漁業ノ特殊性ニ基キマシ
テ、國家的立場ニ於テ事業ヲ運營セシメマ
シテ、北洋漁業ノ基礎ヲ鞏固ニシ、其維持
發展ヲ圖ルコトニ致シタ次第デゴザイマス、
何卒御審議ノ上御協贊アランコトヲ希望致
シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=27
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028・濱田國松
○議長(濱田國松君) 質疑ノ通告ガアリマ
ス、順次之ヲ許シマス-此場合申上ゲ
テ置キマス、農林大臣ハ米ノ委員會ニ出席
中デ、出席不能ノ趣デアリマス-田村實
君
〔田村實君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=28
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029・田村實
○田村實君 只今上程サレマシタル北洋漁
業取締法案ニ關シマシテ、提案ノ理由ヲ承
リマシタケレドモ、尙ホ諒解シ難イ點ガア
リマスノデ、玆ニ一言政府ノ御所見ヲ伺ヒ
タイト思フノデアリマス、北洋漁業ハ多大
ノ犠牲ヲ拂ッタ結果ノ權益デアルコトハ玆
ニ私ガ多言ヲ用ヒヌノデアリマス、北洋漁
業ノ經營ハ、條約ニ基ク我ガ權益ヲ完全ニ
保有スルハ勿論、其統制ヲ圖リ、魚族ノ蕃
殖保護ト漁撈ノ改善ニ依リマシテ、漁利ヲ
永遠ニ保有シ、其安定ヲ期スルニアリト信
ズルノデアリマス、同時ニ內地漁政トハ密
接不離ノ關係ヲ有ツベキモノデアッテ、其連
絡調和ヲ期スルコトガ最モ緊要デアリ、之
ヲ以テ第一義トシナケレバナラヌト存ズル
ノデアリマス、思フニ國家ノ權益ハ國民全
體ノ關與スル所デアッテ、國民ヲシテ深キ
關心ヲ有タシムベキデアリ、廣ク之ニ參加
シ得ルノ機會ヲ容易ニ與ヘルコトガ、又極
メテ肝要デアルコトハ、今更事新シク申ス
迄モアリマセヌ、政府今囘御提案ノ北洋漁
業取締法案ハ、此根本精神ニ依リテ立案
計畫セラレタルモノト固ク信ジマスルガ、
其運用ノ如何ト、局ニ當ル者ノ適否ハ、往
往ニシテ立法ノ趣旨ニ反スルコトガアリマ
ス、心スベキハ實ニ此點デアリマス、從來
統制ノ結果、實施後其目的ニ反シ、一部特
權者ノ利益ヲ擁護シ、大衆ヲシテ其圈外ニ
放置セシムルコトガナイデモアリマセヌ、
斯ノ如キハ立法ノ精神ニ背馳スルモノデア
リマシテ、吾々ガ本法案ヲ審議スルニ當リ、
法案其モノハ勿論ノコト、該案實施後ノ結
果如何ガ、最モ關心ヲ要スル所デアルト存
ジマス、仍テ前段申述ベマシタル趣旨ニ依
リマシテ、御答辯ヲ煩シマスル便宜上、以
下數項ニ亙リマシテ其所見ヲ質シ、御用意
ノアル所ヲ承リタイト思フノデアリマス
一、北洋漁業中殊ニ陸上漁業ハ國家ノ權
益デアルガ故ニ、其利益ヲ一二ノ事業家ニ
壟斷セシムベキデナク、多數國民ヲシテ此
利益ニ浴セシメナケレバナラヌト信ジマス
ルガ、所見如何
一、本法制定ニ當リ此原則ヲ織込マレテ
居ルヤ否ヤ
一、從來ノ例ニ徵スルニ、認可許可ノ制
度下ニアリテハ、合理的ニ新陳代謝ガ行ハ
レズ、却テ不良經營者ガ固定スルノ例ガ乏
シクアリマセヌ、卽チ權利ノ賣買等ガ行ハ
レルノ弊害ヲ生ジテ居リマス、本法實施後
是等ノ弊害ヲ如何ニシテ除去セントセラル
ルカ、御所見如何
現在ノ母船式漁業ハ、內地ノ機船底
曳漁業者ノ救濟トナッテ居リマスガ、之ヲ
今少シ廣イ範圍ニ於テ、底曳網漁船ヲ北洋
漁業ニ利用スルノ方策アリヤ否ヤ、又本法
制定ノ結果、是ノ利用ガ局限セラルヽノ虞
ナキヤ否ヤ
一、機船底曳網漁船ハ所謂獨行船ト稱セ
ラレ、刺網漁業ニ適應シテ居ルノデ、內地
底曳網漁船ガ之ニ全部轉業出來マスレバ、
一ハ經營困難ナル底曳漁業者ノ救濟トナ
リ、一ハ沿岸漁業ノ障碍排除トナッテ、一擧
兩得ノ方策トナリ信ジ、北洋ニ於ケル沖取
漁業ニ多大ノ期待ヲ有シテ居リマスルガ、
之ヲ裏切ルガ如キ結果ヲ招ク虞ナキヤ否ヤ
一、北洋漁業ノ勞務者ヲ、內地漁村ノ窮
迫セル漁民ヲ移行セシムルコトハ、極メテ
漁業政策上肝要ノコトナリト信ジマス、本
法施行後如何ナル結果ヲ來スカ、又其方策
如何
一、北洋漁場ニハ現在操業シツヽアル以
外ニ、內地漁民ガ其技能ヲ發揮シテ操業ヲ
爲シ得ル餘地アリト思ヒマスガ、本法ノ制
定ニ依リ是ガ進出操業ヲ不可能ナラシメル
結果ヲ招來スルコトナキヤ否ヤ、又之ニ對
スル方策ヲ有セラルヽヤ如何
日「ソ」漁業條約ハ修正ノ要アリ、殊
ニ均等入札制及借區料ノ如キハ、漁區ノ經
營上其安定性ヲ缺クノ虞ガアルノデアリマ
ス、之ヲ修正シ以テ漁業ノ基礎ヲ鞏固ナラ
シムルコトハ、頗ル緊要ノコトヽ信ジマス
ルガ、更新期ハ目睫ノ間ニ迫ッテ居ルノデア
リマス、政府ハ如何ナル用意ノ下ニ其準備
工作ヲ進メツヽアリヤ如何、又遺算ナキヲ
期スルノ用意アリヤ否ヤ、此點ヲ御伺シタ
イノデアリマス
最後ニ私ハ簡單デアリマスルガ、此機會
ニ一言農林當局ノ御所見ヲ質シタイト思ヒ
そく、ソレハ此案ニ關聯致シマシテヾアリ
マスルガ、內地沿岸漁場ノ復興ニ關スル間
題デアリマス、我國ノ大多數ノ漁民ガ、其
生業ノ基礎ト致シテ居リマスル沿岸漁業今
日ノ不振ハ、現下水產界ノ重大問題デアリ
マス、是ガ根本的解決ハ焦眉ノ急ニ迫マラ
レテ居リ、是ガ不振ノ打開ハ、沿岸漁場ノ
復興ニアリマス、沿岸漁場ノ復興ハ、從來
ノ共同施設事業ノ奬勵、時局匡救ニ因リマ
スル所ノ諸施設ヲ實行シツヽアリト雖モ、
現狀ニ於テハ助成費ノ僅少ト、其施行方法
ノ不徹底ガ、目的ノ達成ニ副ハザル所ガ頗
ル多イノデアリマス、假ニ其經費ガ充實シ、
其方策ノ宜シキヲ得マシテモ、尙且ツ荒廢
漁場ノ復興ヲ期スルコトハ困難ト存ジマス、
故ニ是レ以外ニ直接荒廢漁場ノ復興、漁業
ノ統制、漁業權內容ノ充實、漁業經營ノ改
善、漁獲物配給ノ統一改善、利用增進、水
產金融機關ノ特設等、尙ホ施設スベキ事項
ガ非常ニ多イノデアリマス、而モ何レモ焦
眉ノ急ナラザルハナイノデアリマス、最近
又有力ナル事業家ニシテ、水產ニ投資スル
ノ傾向ヲ見ルニ至リマシタコトハ、斯業發
展ノ爲ニ洵ニ慶祝スベキ點デアリマス、併
シ喜ブベキコトデハアリマスルケレドモ、是
等ノ事業家ガ其漁利ヲ遂フニ急ニシテ、其背
後ニアリマスル漁民ヲ忘レルガ如キコト
ガアルコトハ、是亦斯業發展ノ爲ニ由々
シキ重大事デアルノデアリマス、指導助
成ノ局ニ當リマスル者ハ、此點ニ深キ注意
ヲ拂ハナケレバナラヌノデアリマス、新規
漁業ノ勃興ハ常ニ沿岸漁業ヲ利シ、漁村ヲ
シテ不況ニ陷ラシメザルヤウ、是ガ指導ヲ
怠ッテハナリマセヌ、今日迄ノ狀況ヲ見マス
ルニ、却テ漁村ニ不況ノ拍車ヲ掛ケルガ如
キ結果ヲ招來シテ居ルコトガ少クハナイノ
デアリマス、若シ此儘ニ放任スレバ、漁村
經濟ハ極度ニ行詰リ、大多數ノ沿岸漁民ハ
遂ニ餓死スルノ外途ナキニ至ルノデアリマ
ス、之ヲ要スルニ、沿岸漁場ノ荒廢ノ原因
ヲ排除シ、一日モ速ニ是ガ復興ノ方策ヲ樹
立シ、漁村經濟更生ヲ圖リ、漁民生活ノ安
定ヲ期スルコトハ、北洋漁業統制ヨリモ、
尙ホ一層其必要ニ迫ラレテ居ルノデアリマ
ス、政府ハ何故ニ之ヲ爲スコトナクシテ今
日マデ來リシカ、頗ル不審ニ堪ヘナイノデ
アリマス、此際水產界ノ大問題デアリマス
ル所ノ沿岸漁業復興ニ對シ、如何ナル方策
ヲ有シ、又之ヲ實行セラレントスルカ、幸
ニシテ此機會ニ御所見ヲ承ルコトガ出來マ
スルナラバ、洵ニ仕合セニ存ズル次第デア
リマス(拍手)
〔政府委員守屋榮夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=29
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030・守屋榮夫
○政府委員(守屋榮夫君) 田村君ノ御質問
ニ御答致シマス、御質問ハ頗ル多岐ニ亙リ
マシテ、廣汎ナル問題ヲ含ンデ居ッタノデア
リマスカラ、ソレ等ノ一々ニ關シマスル詳
細ナル答辯ハ、委員會ノ時ニ讓リマシテ、
其中最モ概括的デアリ、重要デアルト考ヘ
マスル點ニ付キマシテ御答辯ヲ致シマシ
テ、不足ノ分ガアリマスレバ、後デ又補充
スルコトニ致シマス
露領陸上漁業ガ「ポーツマス」條約ノ結果
得タル權益デアッテ、日本國民ガ齊シク其利
益ニ均霑スルヤウニ措置スベキモノデアル
ト云フ御意見ニ付テハ、農林當局ト致シテ
モ其通リ考ヘテ居リマス、唯從來此露領漁
業ノ權益ヲ維持シマスルガ爲ニ、ドウ云フ
コトガ行ハレタカト申シマスト、御承知ノ
ヤウニ、一時此權益ガ根本カラ失ハレルヤ
ウナ事態ヲ發生致シタノデアリマス、卽チ
自由競爭ニ依ッテ入札ヲサセマシタ結果、サ
ウ云フ事態ヲ起シマシタコトニ鑑ミマシ
テ、當業者ノ方デモ進ンデ合同ノ形ヲ
取ッテ、其不自然ナル競爭ヲ止メ、力强イ一
ツノ會社トシテ、之ヲ經營シテ行クコトノ
必要ヲ認メテ、今日ニ至ッタノデアリマス
ルカラ、農林當局ト致シマシテモ、其情勢
ヲ認メマシテ、主力經營主體タル會社ヲシ
テ、之ヲヤラセルト云フ方針ヲ決メタノデ
アリマス、又沖取ノ漁業ハ、是ト關聯ヲ有ッテ
居ルノデアリマスルガ、是モ近來幾ラカ統
制ヲ缺キマスル結果、其鮭、鱒族ノ保護繁
殖ノ點カラ致シマシテ、又其鮭、鱒族ヲ材料
トシテ拵ヘマシタ罐詰製品ノ販賣ナドニ付
キマシテモ、色々ソコニ不便ヲ感ズルト云
フヤウナ狀態ヲ生ジマシテ、當業者ノ方ニ
於テモ、之ヲ合同スルコトガ必要デアルト
云フ考ヲ起シ、政府ニ於テモソレヲ認メマ
シテ、一月ノ半バ頃デアリマスルガ、關係
會社ガ合同シタノデアリマスカラ、其狀態
ヲ維持シテ行クコトガ必要デアル、斯ウ考
ヘマシテ、其方針ニ則ッテ居ル次第デアリマ
スルガ、其結果、陸上漁業ニ於キマシテ
モ、沖取ノ鮭、鱒漁業ニ於キマシテモ、獨
占的ナ位置ヲ主力經營會社ガ有ッテ居ルト
云フコトニナリマスカラ、ソレニ對シテハ
國家的見地ニ立ッテ經營セシメテ行クト云
フ方針ノ下ニ、政府ニ於テハ嚴重ニ監督ヲ
加ヘマスルト共ニ、其利益ノ一部ヲ割イテ
公共的施設ニ之ヲ投ゼシメルト云フ措置ヲ
講ジマシテ、此權益ガ元來國民全般ノ
爲ニ用ヒラルベキモノデアルト云フ趣旨
ヲ明瞭ニ致シタ次第デアリマス、併シ
今日ノ狀態カラ申シマスルト、陸上漁
業ニ於キマシテモ、沖取漁業ニ於キマ
シテモ、自由競爭ニ對シテ統制ヲ加ヘル必
要ヲ認メテ、會社モ其ヤウニ進ンデ參リ、
政府モ亦其方針ニ基イテ之ヲ助成シタノデ
アリマスカラ、此關係區域ニ於キマシテハ、
新シイ企業ヲ認メルト云フヤウナコトハ、
之ヲ差控ヘナクテハナラヌト考ヘマス、北
洋全體ノ廣イ範圍デハアリマセヌ、兔ニ角
此陸上漁業、竝ニ從來ノ母船式沖取、鮭、鱒
漁業ト云フモノガ行ハレマシタ範圍內ニ於
テハ、新シキ事業ノ許可若ハ認可ヲヤルコ
トハ出來ナイ狀態ニナッテ居ルト御承知ヲ
願ヒタイノデアリマス
沿岸漁業ノ復興ニ付テ、政府ハドンナコ
トヲ考ヘテ居ルカト云フコトデゴザイマシ
タガ、此事ニ付キマシテハ、政府ニ於テ既
ニ御協贊ヲ得テ居リマスル二十万圓ノ豫算
ガゴザイマス、之ニ依リマシテ共同施設ヲ
奬勵致シマスルトカ、又從來通リ遠洋漁業
ヲ奬勵致シマスルトカ、適當ナ方法ヲ講ジ
タイト考ヘテ居ルノデアリマスルガ、併シ
此問題ハ御承知ノヤウニ非常ニムヅカシイ
問題デアリマス、機船底曳網ノ整理デアリ
マスルトカ、ソレカラ遠洋漁業ノ奬勵デア
リマスルトカ、其他適當ナ方法ヲ講ジテ全
般的ナ解決ヲ見ナクテハナラヌト考ヘマシ
テ、政府ニ於テモ其點ニ付テハ十分注意ヲ
シテ居ル次第デゴザイマス
〔國務大臣廣田弘毅君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=30
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031・廣田弘毅
○國務大臣(廣田弘数君) 只今田村君ヨリ
御質問中、外務省ニ關係ノ分ニ付テ御答辯
致シタイト思ヒマス、御述ノ通リニ日「ソㄴ
間ノ漁業協定モ、改訂ノ時期ガ近付イテ參ッ
テ居リマスノデ、當業者ニ於テハ勿論、農
林省竝ニ外務省ニ於キマシテモ、此改訂ノ
方針其他ニ付キマシテ、目下ソレ〓〓〓究
致シテ居ルノデアリマシテ、特ニ御述ニナ
リマシタ投票ノコト、或ハ借區料等ノコト
ハ、最モ重キヲ置クベキ點デアルト存ズル
ノデアリマス、是等ノ點ニ付キマシテハ、
御承知ノ通リ最近ノ北洋ニ於ケル我ガ漁業
權ノ執行ハ、大體ニ於テ順調ニ運ンデ居ル
ヤウデアリマス、併ナガラ過去ノ經驗ニ依
リマシテ、現在ノ協定中相當改正スベキ點
モ認メラレマスノデ、如何ナル方法ヲ以テ、
此交涉ニ當ルカト云フコトハ、先方政府ト
モ篤ト打合セマシテ、遠カラズ此協議ニ臨
ンデ、其結果ニ付キマシテハ、萬遺憾ナキ
ヲ期シタイト思フ次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=31
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032・田村實
○田村實君 簡單デアリマスカラ、此席カ
ラ發言ヲ致シタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=32
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033・濱田國松
○議長(濱田國松君) 許可致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=33
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034・田村實
○田村實君 私ノ質問ニ對シマシテ政府委
員ノ御答辯ハ、私ノ質問ノ要旨ヲ御聽キ誤
リニナッテ居ルカ、私ノ申上ゲ方ガ惡カッタ
ノデアリマスルカ、私ノ質問ニハ十分ニ御
答ニナッテ居ラヌノデアリマス、私ハ北洋漁
業ノ統制ヲスルコトニ反對致シテ居ル者デ
ハアリマセヌ、又北洋漁業ノ經營ヲ國民全
般新タナ、從來マデ關係シテ居ナイ者ニ、
之ニ關係セシメヨト云フノデハアリマセ
又、國家ノ權益デアリマスルガ故ニ、殊ニ
國ノ力ヲ以テ、國家ノ强制力ヲ以テ、之ヲ
統制シヨウト云フコトデアルナラバ、全部
ノ國民ヲシテ、多數ノ國民ヲシテ、此利益
ニ浴セシムルヤウナコトニシナケレバナラ
ヌ、聞ク所ニ依リマスルト、或ハ統制サレ
マシタル所ノ會社ニ配當ノ制限ヲスルト云
フヤウナコトヲ聞キマス、又北洋漁場ニ對
スル所ノ施設ヲサスコトガ出來ルト云フヤ
ウナ事柄モ聞イテ居リマスケレドモ、サウ
云フヤウナコトデハイケナイ、モウ少シ廣
イ意味ニ於テ、國民ニ其利益ヲ得セシムル
ヤウナ方法ヲ講ゼナケレバナラヌト云フ意
味デアルノデアリマス、事柄ハ違ヒマスケ
レドモ、日露戰役ノ結果ニ依リマスル所ノ
滿洲問題モ、長イ間喧シク唱ヘラレテ居リ
マシタケレドモ、一時ハ滿洲問題ニ對シテ、
國民ノ關心スラ薄ライデ居ッタコトガアリマス、
卽チ國家ノ權益ハ、何ガ故ニ斯樣ナ結果ヲ
得タカト云フコトノ、國民ニ關心ヲ有タシ
ムルコトガ、極メテ必要デアルト私ハ思フ
ノデアリマスカラ、其關心ヲ有タシムル意
味ニ於テ、是ガ又恩典ニモ浴セシムルヤウ
ナ方法ヲ執ラナケレバナラヌト云フ根本
精神カラ、御質問申上ゲタ次第デアリマ
ス、尙ホ其他ノ問題ニ對シマシテハ、北洋
漁業ニ關スル委員會ノ席ニ於テ、詳細ニ
御說明セラルヽト云フコトデアリマスルカ
ヲ、是レ以上質問ヲ進メマセヌ、唯最後ニ
申上ゲタイコトハ、沿岸ノ漁業ノ復興ニ對
シテハ、旣ニ二十万圓ノ豫算ヲ出シテ是ガ
協賛ヲ求メテ居ル、著々政府ガ實行ヲ致シ
テ居ルト云フコトデアリマスケレドモ、私
ノ申述ベタノハ、今日ノヤウナ政府ノ執リ
來ッテ居リマス所ノ沿岸漁業ニ對シマスル
所ノ施設デハ、到底此窮迫シテ、將ニ瀕死ノ
狀態ニ至ラントシテ居ル所ノ、沿岸漁民ヲ
救濟スルニハ足リマセヌ、沿岸漁場ノ荒廢
ヲ、之ニ依ッテ復舊スルコトハ出來ナイト
云フコトヲ申上ゲタノデアリマス、故ニ漁
業ノ改善、利用ノ增進、物資配給ノ統一改
善、漁業權ノ內容充實等、爲スベキ施設、
之ヲ指摘シテ政府ニ此用意ガナイカドウ
カ、之ヲオヤリニナル其意思ガナイカドウ
カ、ヤルカヤラナイカト云フコトヲ申上ゲ
タノデアリマス、質問ニ對スル御答辯ニ
ナッテ居リマセヌ、外務大臣ノ御答辯ハ私
ハ滿足致シマス、日「ソ」ノ問題ハ、重大ナ
ル所ノ日「ソ」關係ノ問題ガ、外務大臣ノ力
ニ依ッテ解決セラレタト云フコトハ、私ハ
新聞デ承知致シテ居リマス、日「ソ」漁業條
約ノ問題ハ、我國漁民ノ生活ニ重大ナル關
係ヲ有ツノミナラズ、獨リ北洋ニ出漁セラ
レテ居リマス漁民ノミデアリマセヌ、內地
ノ漁民ニモ其利害ニ重大ナ關係ガアルノデ
アリマス、勿論獨リ水產業者ノミデハアリ
マセヌ、國家ノ權益デアリマスルガ故ニ、
今後萬違算ナキヲ期セラレマシテ、我ガ北
洋漁業ノ圓滿ナル發達ヲ爲ス上ニ於テ、萬
違算ナキヲ期セラレンコトヲ、特ニ御願申
上ゲテ私ノ質問ヲ終リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=34
-
035・濱田國松
○議長(濱田國松君) 次ノ通〓者手代木隆
吉君
〔手代木隆吉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=35
-
036・手代木隆吉
○手代木隆吉君 只今上程セラレマシタ北
洋漁業ノ取締法案ニ對シマシテ、多數ノ疑
問ヲ有ッテ居ルノデアリマスルガ、是ガ曩ニ
貴族院ニ提案セラレマシテ、貴族院ニ於テ
相當ナル質疑應答ヲ重ネラレタノデアリマ
スケレドモ、尙ホ私ノ了解シ能ハザルモノ
ガアルノデアリマス、只今田村君モ質疑ヲ
セラレタノデアリマスルガ、ソレ等ニ對シ
マスル當局ノ御答辯モ甚ダ不十分デアリマ
ス、私ハ是ヨリ七箇條ニ互リマシテ、此法
案ノ最モ重大ナリト思ハルヽ點ニ付テ、政
府ノ御所見ヲ御伺致シタイト考ヘルノデア
リマス
第一ニ承リタイノハ、此日露漁業條約ノ
意義及精神ニ關スル所ノモノデアリマス、
言フ迄モナク露領ニ於キマスル我ガ漁業權
益ハ、明治三十七八年日露戰役ノ結果ニ依
ル我國ノ重大ナル權益デアルコトハ言フ迄
モアリマセヌガ、曩ニ露國ト條約ヲ締結致
シマシタ時ハ、明治四十年ノ七月デアリマ
ス、而シテ現在ノ日「ソ」間ニ於ケル條約
ハ、昭和三年ノ五月ニ締結セラレタノデア
リマシテ、此間二十二年ヲ經過致シテ居ル
ノデアリマス、此間ニハ御承知ノ通リ世界·
大戰ナドヽ云フ劃期的ナ事件モアッタノデ
アリマスルガ、舊條約ノ相手デアリマシタ
帝政資本主義露西亞カラ、一變致シマシテ
社會主義共和國ノ「ソヴィエト」聯邦ニ變ツ
タノデアリマスルガ、斯樣ニ時代ト事態ノ
變化ガアリマシテモ-併ナガラ此兩國ノ
間ニ締結セラレマシタ所ノ漁業條約ノ精
神我國ノ得テ居リマシタ漁業權益ノ意義
ト云フモノニハ、一貫シタル所ノモノガナ
ケレバナラヌコトハ言フ迄モナイノデアリ
やく、舊條約ニハ其條約ノ冒頭ニ、此條約
ハ「ポーツマス」ノ條約ニ起因ヲ置イテ居ル
ト云フコトヲ明ニ致シテ居リマス、現ニ其
冒頭ニハ斯樣ナ文句ヲ用ヒテ居リマシテ、
千九百五年八月二十三日「ポーツマス」ニ於
テ締結セラレタル條約第十一條ニ依リ云々
ト、日露戰役ノ戰績ヲ明確ニ現シテ居ルノ
デアリマス、新條約ハ直接日露戰爭ノ關係
ヲ明示シテハ居リマセヌケレドモ、併ナガ
ラ此權益ガ何處マデモ日露戰役ノ賜デアル
ト云フ所ノ觀念ヲ、「ソヴィエト」側ニ對シ
テモ十分ニ認識セシメテ、「ポーツマス」條
約ニ根據ノアルト云フコトヲ、十分ニ諒解
セシメナケレバナラヌト思フノデアリマ
ス、斯樣ナ點ニ於テ、現在ノ露領ノ漁業ニ
ハ、私ハ缺陷ヲ有ッテ居ルノデハナイカト
考ヘルノデアリマス、舊條約ハ洵ニ平等ニ
規定ヲセラレテ居リマシテ、漁區ノ貸下ニ
シマシテモ、或ハ賦課ノ問題ニシマシテ
モ、或ハ條約ニ規定ノナイモノモ、共ニ平
等ニ取扱フト云フヤウナコトマデ定メテア
ルノデアリマシテ、現ニ過去ニ於ケル沿革
ヲ見マスレバ、其漁區ノ如キ、明治四十一
年ニハ我國ノ獲得致シマシタ漁區ノ比例ハ
八九%、ソレヨリ十年經チマシタ大正五年
ニハ七五%、ソレヨリ尙ホ十年去リマシタ
昭和元年ニハ八六%、斯樣ナ程度ニ非常ニ
多クノ漁區ヲ獲得ヲ致シタノデアリマスル
ガ、其後ニナリマシテ非常ニ、急激ニ漁區
ノ獲得數ガ減少致シテ居ルノデアリマス、
昭和四年ハ六五%ニナリ、是ハ「ソヴィエ
ト」ガ漁業五箇年計畫ヲ立テタ年ニ當リマス
ルガ、彼ノ島德事件ナドガ此年ニアッタノ
デアリマス、昭和五年ニハ五五%、昭和
六年ニハ五〇%、七年ガ五七%、八年五
六%、九年五二%、斯樣ナ風ニ漸次我ガ
權益ガ縮小、減縮致シタ姿ニナリマシ
テ、隨テ我國ガ之ニ依ッテ相當ナル損害
ヲ受ケテ居ルト云フコトニナル譯デアリ
ママ、斯樣ナ狀態ニアルノデアリマスル
ガ、ドウ致シマシテモ前ニ述ベマスルヤウ
ニ、此權益ハ日露戰爭ノ結果ニ依リ、我ガ
十數万ノ同胞ノ血ト、二十七億ノ國帑ヲ費
シタ、其二十七億ノ國帑ノ半分ハ外債デ
アッテ、左樣ナ多大ナ犠牲ヲ拂ッテ得タル所
ノ權益デアリマスルカラ、此權益ノ意義、
此精神ヲ何處マデモ一貫致シマシテ、卽チ
之ニ依ッテ相手ノ「ソヴイエト」ヲシマシテ、
我國ノ權益ヲ十分ニ尊重セシムルコトニ致
スベキデアルト考ヘルノデアリマス、是ガ
我ガ北方ノ漁業權益ヲ確立スル所ノ根本デ
アルト考ヘルノデアリマスルガ、農林當局
竝ニ外務當局ノ御所見ヲ承リタイト思フノ
デアリマス
第二ニ承リタイノハ、日「ソ」漁業協約ノ
缺陷デアリマス、此缺陷ニ付テハ、現外務
大臣ハ最モ能ク御承知デアラウト思フノデ
アリマス、只今田村君ノ御質疑ニ對シマシ
テモ、善處スベク調査〓究考慮中デアルヤ
ウナ御答辯デアリマスルガ、新聞ニ依リマ
スト云フト、旣ニ外務省ニ於テモ大體ノ案
ガ成ッタヤウニ見エルノデアリマスルガ、
體新條約ノ缺陷ガ何處ニアルカ、其主ナル
モノヲ調ベテ見マスルノニ、舊條約ト新條
約ハ、大體其形ニ於テハ相似タルモノガア
ルノデアリマスルガ、併ナガラ最モ私ノ間
題トナルト考ヘマスルノハ、第二條ノ規定
デアルト思フノデアリマス、是ハ舊條約モ
新條約モ、字句ハ殆ド同ジデアリマス、唯新
條約ノ方ニハ、字ガ第二條ニ二ツダケ足リ
ナクナッテ居ル、其條文ヲ簡單デアリマスカ
ラ讀上ゲマスルト、漁區ノ貸下ハ其短期タ
ルト長期タルトヲ問ハズ總テ競賣ノ方法ニ
依ッテ之ヲ爲シ露西亞國臣民トノ間ニ何等
ノ區別ヲ設クルコトナク云々ト云フコトガ
アリマス、是ハ舊條約デアリマス、然ルニ
新條約ノ方ノ第二條ニハ、總テト云フ字ヲ
拔イタノデアリマス、總テ從來競落ノ方法
ニ依ッタト云フ、此總テト云フノヲ拔イテ、
サウシテ例外ヲ附加シテ居ルノデアリマ
ス、ソレハ「兩締約國政府ノ合意アリタル
漁區ハ競賣ニ依ラズシテ之ヲ貸付スルコト
ヲ得ルモノトス」斯樣ナモノガアルノデア
リマスルガ、此總テト云フ文字ノ拔ケタコ
ト、ソレト例外トシテ兩締約國政府ノ合意
アリタル漁區ハ競賣ニ依ラナイ、斯樣ナ事
項デアリマスルガ、是モ考ヘヤウニ依ッテ
ハ、合意ガ調ッタモノハ競落ニ依ラナイノデ
アリマスカラ、必シモ我國ノ不利益デハナ
〃、場合ニ依リマシテハ之ヲ運用致シマシ
テ、却テ利益ヲ得ル場合ヲ想像シ能ハナイ
コトハナイノデアリマスケレドモ、實際ノ
事例ニ依リマスルト、是ガ合意ノ調ハナ
カッタ時ニハ如何ニスルカト云フヤウナ解
決ノ策ガナイノデアリマス、ソレデアリマ
スカラ、却テ是ガ事柄ヲ紛糾セシムルコトニ
ナル譯デアリマス、斯樣ナ點ト、新條約ノ第
九條ニ國營ト云フ文字ガ現レタノデアリマ
スガ、此國營ト云フ文字ハ、其當時我國ノ
漁業交涉ニ當ック者ナドモ、解釋ニ或ハ誤リ
ヲ來シタヤウニモ思ハレルノデアリマスル
ガ、「ソヴイエト」聯邦デハ、企業ハ總テ國
營デアル、個人ノ企業ヲ認メナイト云フコ
トヲ原則ト致シテ居ルノデアリマス、此漁
業ノ條約ニ於テモ、漁業ハ國營ニ依ッテ營マ
レルノガ原則デアル、個人ノ企業ヲ認メナ
イ、ソレデアルカラ國營ト云フ文字ガ現レ
テモ、左程驚カナカッタコトデアルヤウニ思
ハレルノデアリマス、左樣ナ所カラシテ、
此點ニ重キヲ置カナイデ條約ヲ締結致シタ
結果、之ニ非常ナル紛糾ヲ生ジテ來テ居ル
ノデアリマス、是等ノ點、尙又此他ニ漁業
權ヲ例外トシテ附與スル場合ガアル、貸下
ゲル場合ガアル、ソレハ地方ノ農民及漁民
ニ對スルモノデアリマス、斯樣ナ風ニ先ヅ
國營、尙ホ又第二條ノ例外ノ場合ニ紛糾ヲ
生ジテ、我ガ國人ガ獲得ノ出來ナイヤウナ
場合、及地方農民、漁民ニ貸付ケルヤウナ
漁區ヲ除ク、而モ國營ハ優先的ノ立場ニ居
ル、優先シテ漁區ヲ留保スル、斯樣ナコ
トニナリマスル結果、我ガ國人ガ競落ニ參
加スル所ノ漁區ガ非常ニ少クナル、此點ニ
於テ或ガ漁業權益ニ非常ナル不安ヲ與ヘ、
非常ニ漁業權益ヲ縮小セシムル、斯ウ云フ
ヤウナ所ニ、此禍根ガ潛ンデ居ルヤウニ思
フノデアリマス、斯樣ナモノハ今囘ノ漁業
協約ノ改訂ニ當ッテハ、第一ニ考慮改善セラ
ルベキ所ノ問題デアルト思フノデアリマ
ス、之ニ對スル農林當局及ビ外務當局ノ御
所見ヲ伺ヒタイト思フノデアリマス
第三ニ承リタイノハ、此取締法案ハ、殆
ド私ハ提案ノ根據ガナイ、甚ダ薄弱ナモノ
デアルト考ヘルノデアリマス、貴族院ニ於
ケル大臣ノ答辯、委員會ニ於ケル大臣及ビ
政府委員トノ質疑應答ヲ見マシテモ、只今
又守屋次官ノ此處ニ於テ述ベラレタ所ヲ見
マシテモ、甚ダ斯樣ナ法案ヲ提出スルノ基
礎ガ薄弱デアルト考ヘルノデアリマス、第
一ニハ統制ヲ紊スコトニナッテ、對外的ニ不
利益ヲ招ク、斯ウ云フコトデアリマスガ、
陸ノ方ノ漁業、卽チ條約漁業ノ方ハ、旣
ニ日魯漁業會社ニ殆ド獨占セラレテ
居ル、其他ニ一二ノ微弱ナ企業家ハア
リマスケレドモ、問題ニハナリマセ
又、而シテ又母船式ノ沖取漁業ニ致シマ
シテモ、是ハ大合同ヲセラレテ、而モ又政
府ノ說明ニ依レバ、現在行ハレテ居ル所ノ
區域ニ於テハ、新ニ企業ヲ認可シナイト云
フヤウナコトヲ言ハレテ居ル、左樣ナ風ニ、
陸ニ於テモ、沖ニ於テモ、而モ資本系統ヲ
同一ニスル此獨占的企業ガ今日成立ッテ居
ル、ソレヲ何ガ故ニ此取締法ニ依ッテ取締ラ
ナケレバナラヌノデアルカ、是ガ此法案提
出ノ根據ノ薄イ第一點デアリマス、第二點
ハ、資源ノ永續ト云フコトヲ言ハレテ居リ
マスガ、資源ノ永續ハ洵ニ必要ナコトデア
リマス、併ナガラ此法案ニ依ッテ、ドウシテ
一體資源ノ永續ヲ圖ルコトガ出來ルノデア
ルカ、日魯漁業ニ致シマシテモ、太平洋漁
業ニ致シマシテモ、私法人デアル、斯樣ナ
モノガ、此資源ノ永續ヲ圖ル、政府ハ之ニ
何等カノ施設ヲ命ズルト言ハレルノデアリ
マスケレドモ、沖取ノ方カラ申シマスレバ、
沖デ資源ヲ保護蕃殖スルト云フヤウナコト
ハ、殆ド不可能デアラウト思フノデアリマ
ス、陸ノ方ハドウカト申セバ、是ハ外國ノ
領土デアル、左樣ナ所ニ一營利會社ガ、資
源ノ永續ヲ圖ルヤウナ施設ガ、一體ドウシ
テ完全ニ出來ルノデアルカ、從來デモ露領
水產組合ニシテモ、或ハ此日魯漁業ニ致シ
マシテモ、資源ノ保護蕃殖ト云フヤウナコ
トニハ、幾ラカ留意ヲ致シタヤウデアリマ
スケレドモ、其實績ハ何等見ルベキモノガ
ナイノデアリマス、左樣ナ狀態ニ今日經過
致シテ居ルノデアリマスガ、此時ニ當リマ
シテ、此統制法ニ依ッテ、此會社ニ資源ノ永
續施設ヲ行ハシメル、左樣ナコトハ恐ラク
私ハ不可能ノコトデアラウト考ヘルノデア
リマス、是ハ少クトモ國家ノ力ニ依ッテ、殊
ニ前カラ申上ゲマスル通リ、相手ノ「ソヴィ
エト」ノ狀態ハ、先程外務大臣ハ甚ダ圓滑
ニ何カ物ガ運ンデ居ルヤウニ言ハレマスケ
レドモ、此漁業ノ問題ニ付テハ、中々左
樣ナ樂觀ヲスベキ問題デハアリマセヌ、左
樣ナ所ニ於テ、資源ノ永續ノ施設ヲ爲サル
ナドト云フニハ、國家自ラ之ニ當ルノデナ
ケレバ、到底完璧ヲ期スルコトハ私ハ出來
ナイト思フノデアリマス、左樣ナモノヲ此
營利會社ニ仰付ケテモ、何等ノ效果ヲ擧ゲ
得ナイ結果ニ相成ルダラウト考ヘルノデア
リマス、是ガ此法案ノ提案根據ノ薄弱ナル
第二點デアルト考ヘルノデアリマス、第三
ハ、生產品ノ販賣統制ト云フコトヲ言ハレ
ルケレドモ、斯樣ナコトハ前申上ゲル通リ、
日魯漁業-日露系ニ今日企業ガ統一セラ
レタ以上、販賣ノ統制モ何モナイデハナイ
カ、多數ノモノガアッテコソ、玆ニ販賣統制
ト云フ施設ガ必要デアリマセウ、而モ此區
域ニハ新タニ企業ヲ許サヌト云フコトデア
ル以上、一體何ノ必要ガアルノデアリマセ
ウカ、從來多數ノ企業者ガアル場合デモ、
企業者自ラノ統制ニ依ッテ調節ヲ圖ッテ、十
分ニ其目的ヲ達成シテ居ルト私ハ考ヘルノ
デアリマス、ソレニ今更斯樣ナモノニ依ッテ
販賣ノ統制ヲ圖ルナドト云フコトハ、愈〓此
法案ノ提出ノ根據ガ薄弱デアルト申サンケ
レバナラヌノデアリマス、斯ウ云フ風ニ考
ヘマスト、少ナクモ此三點ダケデモ、斯ル
法案提出ノ根據無シト考ヘルノデアリマ
スガ、農林當局ハ如何ニ御考ニナルノデア
リマスカ
次ニ第四ト致シマシテ、今囘沖取ノ大制
限ヲセラレタ、此制限其モノニ對シテ、私
ハ甚ダ理解シ能ハザルモノガアルノデアリ
マス、此沖取漁業ノ沿革ニ付キマシテハ、
今更申ス迄モナク、是ハ我國ノ漁業ノ方式
ト致シマシテハ新シイ所ノモノデアリマ
ス、卽チ大正十五年、函館ノ平出喜三郞君
ガ、始メテ此沖取漁業ノ出願ヲセラレ、昭
和二年ニ實際ノ事業ニ著手セラシタ、サウ
シテ最初ノ試ミデアル爲ニ、少ナカラザル
失敗ヲセラレテ、我國ノ漁業發達ノ爲ニ非
常ナ犠牲ヲ拂ハレタノデアルガ、昭和四年
カラ漸ク成績ノ見ルベキモノガアルヤウニ
ナッタノデアリマス、サウシテ是ガ段々ニ認
可ノ數ガ多クナリマシテ、サウシテ現在ノ
狀態ヲ見マスルト許可數ガ定置漁業ノ建
網ガ四十六件、ソレノ九年ニ於ケル出漁數
ガ十件、巾著網ガ五十件、是ハ出漁ナシ、
揚繰網ガ十五件、是モ出漁ナシ、浮曳落シ
網ガ二十五件デ、是ハ出漁ナシ、流シ網ガ
十四万三千反ノ許可數デ、三万反ノ出漁ガ
アッタ、母船式ノ數ガ四十四隻デ、出漁シタ
モノガ十七隻ニナッテ居リマス、斯樣ニ非常
ニ澤山許可ヲセラレテ、沖取漁業ヲ奬勳セ
ラレタ、サウシテ遽ニ今日之ヲ縮小スルト
云フコトハ、甚ダ不可思議デアル、急ニ其
必要ヲ認メタト言フカモ知レマセヌガ、斯
樣ニ多數ノモノヲ認可シテ、若シ是等ガ總
テ出漁シタナラバ、一體今日如何ナル結果
ニナッテ居ッタノデアルカ、斯樣ナコトヲ考
ヘテ見マスルト、農林當局ハ寔ニ無方針デ
アル、此前モ農林當局ノ無方針ヲ非難致シ
タノデアリマスルガ、機船底曳網ニシマシ
テモ、無暗ニ許シテ、後デ之ヲ持テ餘シテ
居ル、斯樣ニ多數ノモノヲ許シテ、サウシ
テ今日ハ急ニ之ヲ減縮シナケレバ、資源ノ
永續ガドウトカ、或ハ日「ソ」ノ漁業條約ノ
上ニドウデアルトカ云フヤウナコトヲ言ッテ
居ル、一體之ヲ豫期シナカッタノデアルカ、
左樣ナ無方針ノ下ニ許シテ置イテ、サウシテ
遽ニ今日之ヲ減縮スルト云フコトハ、モウ
少シ其理由ヲ明ニ承ラナケレバナラヌノデ
アリマス、殊ニ對外的ノ關係、日「ソ」ノ漁
業條約ヲ好轉スル爲ニ減縮スル必要ガアル
ト云フコトガ、一ツノ理由ノヤウデアリマ
スルガ、左樣ナコトニスレバ、是ハ農林當
局ダケニ依ッテ之ヲ決定セラルベキモノデ
ハナイト思ヒマス、卽チ此場合ニハ外務省
ト協議ヲナサルノガ當缺デデリマスルガ、
農林省トシテ外務省ニ協議サレタコトガア
ルカ、又外務省トシテハ、對外的關係ニ於
テ、農林省ガ獨自ノ考デ斯樣ナ制限ヲ致
シ、而シテ是ハ日「ソ」漁業條約ヲ好轉セシ
ムル爲デアルト云フノデアリマスガ、ソレ
ヲ外務當局ハ御承認ニナルノデアリマスル
カ、此點ニ付テ承リタイト思フノデアリマ
ス
第五ハ、是ハ田村君モ頻ニ言ハレタノデ
アリマスルガ、漁業權益ノ擁護ト、之ヲ合
理的ニ經營スルコトデアリマス、田村君ハ
多數ノ國民ノ爲ニ、此權益ヲ開放シ、利用
セシメ、其效果ヲ擧ゲナケレバナラヌト云
フコトヲ言ハレタノデアリマスルガ、寔ニ
御尤デアルト思フノデアリマス、左樣チ點
カラ見マスルナラバ、一營利會社ニ之ヲ獨
占セシメル-會社ハ二ツノ形ニチッテ居
リマスルケレドモ、是ハ資本ガ同一デアリ
マスルカラ、一營利會社ト見テ差支ナイノ
デアリマス、此一營利會社ニ之ヲ任セルト
云フコトハ、ドウシテモ私ハ不合理デアル
ト考ヘルノデアリマス、少クモ冒頭ニ申上
ゲマシタヤウニ、所謂此權益ノ意義、此權
益ノ精神ト云フコトヲ考ヘテ參リマス時
ニ、ドウシテモ之ヲ國家的ノ事業-能ク
營利會社モ國家的事業ト云フ言葉ヲ使ヒマ
スルケレドモ、彼等ノ使フ所ノ國家的事業
ノ意義ハ餘程違フノデアリマス、此權益ヲ
ドウシテモ矢張國家ガ守ルト同時ニ、此權
益ヲ國家ガ最モ活用ヲ致サナケレバナラけ
イ、此點カラ申シマスト、ドウシテモ半官
半民ノ事業ニ致スコト、彼ノ滿鐵ノ如クス
ルコトガ至當デアルト考ヘルノデアリマ
ス、是等ニ付テハ貴族院ニ於テモ論議セラ
レタヤウデアリマスルガ、政府當局ノ意見
ハ、マダソコマデニ至ッテ居リマセヌ、而シ
テ御承知ノ通リ此權益ヲ一營利會社ニ獨占
セシムルト云フコトハ、不合理デアリマス
ルガ故ニ、之ニ對シテ所謂納付金ナドノ制
度ヲ設ケテ、或ル程度ノ利益ヲ國家ニ提供
スル、斯樣ナコトニ付テ貴族院ハ希望決議
ヲ附シタヤウデアリマスケレドモ、左樣ナ
程度デハ私ハ滿足スベキモノデナイト考ヘ
ルノデアリマス、而モ此權益其モノヲ一營
利會社ニ委ネテ居リマスルガ、日魯漁業會
社ナドニ於キマシテハ、此權益ヲ資產トシ
テ評價ヲ致シテ居ル、固ヨリ借入レタ所ノ
漁區ヲ、之ヲ或ル程度ニ評價ヲ致シテ資產
ト致スコトハ、不都合ダトハ考ヘマセヌケ
レドモ、併ナガラ其見積タルヤ驚クベキ所
ノ額ニナッテ居ルノデアリマス、玆ニ最近ノ
日魯漁業ノ事業報告書ガアリマスルガ、ソ
レニ依リマスト、資本ガ五千三百八十万
圓、此中拂込金額ガ三千六百五十五万圓、
ソレニ對シマシテ漁業權ヲ千七百五十万圓
ト見テ居ルノデアリマス、拂込資本金ノ半
額以上ガ、此漁業權ニ當ルノデアリマス、
國家ノ權益ヲ借受ケマシテ、ソレヲ斯ノ如
ク厖大ニ見積ルト云フコトハ、私ハ至當デ
ナイト考ヘル、假ニ是ダケノ値打ガアルナ
ラバ、少クモ此半額ハ國家ニ納メテ宜シイ
ト考ヘルノデアリマス、尙ホ之ニ例ノ低利
資金ヲ東拓ヲ通シテ日魯漁業ニ融通致シテ
居ルモノガ九百万圓モアル、斯樣ナモノヲ
國家ノ出資ト致シマシテ、玆ニ半官半民ノ
會社ヲ拵ヘルコトハ、至ッテ簡單ニ行フコ
トガ出來ルト思フノデアリマス、斯樣ナコ
トニシテコソ、初メテ本當ニ此法案ニアリ
マス所ノ、第二條ニ所謂「會社ノ取締役及
監査役ノ選任及解任、定款ノ變更、利益金
ノ處分、社債ノ募集、合併竝ニ解散ノ決議
ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ
效力ヲ生ゼズ」是ガ本當ニビッタリ當嵌ッテ
意義ヲ成スコトヽ私ハ思フノデアリマス、
今日此統制ヲ受クル所ノ日魯會社ハ何ト言
ウテ居ルカ、此第二條ニ付テ大ナル不服ヲ
有ッテ居ルコトハ、諸君御承知デアリマセ
ウ、斯樣ナコトマデ干渉セラレルコトハ、
甚ダ心外デアルト云フコトヲ言ハレテ居
ル、而シテ玆ニ最近數日前ニ發行ニナリマ
シタ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=36
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037・濱田國松
○議長(濱田國松君) 手代木君、討論ニ入
ラヌヤウニ、質疑ノ範圍デ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=37
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038・手代木隆吉
○手代木隆吉君(續) 質疑ノ範圍デヤリマ
ス、左樣ナ點カラ見マシテモ、ドウシテモ
之ヲ半官半民ノ會社ニ組織スルト云フコト
ガ至當デアルト考ヘルノデアリマス、之ニ
付テ當局ノ御所見ヲ承リタイト思ヒマス
次ニハ此法案ノ適用範圍デアリマス、當
局ノ說明ニ依リマスト、是ハ北緯四十一度
以北ノ日本海「オホーック」海「ベーリング」
海ナドノ、北太平洋一帶ノ區域ヲ指スト云
フコトデアリマスガ、併ナガラ此範圍ニ於
キマシテハ、鮭鱒蟹或ハ鱈、〓オ
鮃、其外ノ種々ナル魚族ガアルノデアリマ
ス、是等モ此法案ニ依リマスト、矢張企
業ヲ認可シ得ルヤウニ見エルノデアリマ
ス、先程ノ御話ニ依レバ、少クモ鮭、露
付テハ、現在以上ニ許サヌト云フコトデア
リマスルガ、サウ致シマスト此區域以外-
卽チ此法案ハ從來露領ニ於ケル漁業ニ
ノミ限ラレルノデアッテ、ソレ以外ノ範
圍、卽チ或ハ「ブリストル」灣デアルトカ、
或ハ「アリューシャン」方面トカ、左樣ナ方
面ニハ是ガ適用ガナイモノデアルト考ヘル
ノデアリマスガ、其通リデアリマスカ、當
局ノ御意見ヲ伺ヒタイト思ヒマス
最後ニ伺ヒタイコトハ、今囘ノ漁業統制
ニ付テ、卽チ沖取ノ統制ニ付テハ、少ナカラ
ザル官紀ノ紊亂ガアルト思フノデアリマス、
此問題ニ付テハ、是非諸君モ暫ク時間ヲ割
イテ御聽キヲ願ヒタイト思フノデアリマス
ガ、前ニ申上ゲマスル通リ、ドン〓〓此沖
取ノ事業ヲ擴張致シテ來テ居ッテ、急ニ之ヲ
縮小致シタ、昨年ノ十一月ノ二十日ニ至ツ
テ、三割制限ヲ此當業者ニ申渡シタ、サウ
シテ此當業者ガ種々ナル之ニ反對陳情ヲ致
シタノデアリマス、偶〓臨時議會、六十六議
會ノ時ニ、東北ノ救濟ノ爲ニ、東北カラ出
漁スル所ノ漁夫共ノ失業ヲ防グ爲ニ、箇
年間延期スルト云フコトニ決定ヲセラレタ、
サウシテ當業者ガ各〓歸ッタ後ニ、又急ニ呼出
シテ、今度ハ大合同ヲ命ゼラレタ、所謂朝
令暮改ト云フコトガアリマスガ、此僅カノ
間ニ一體何故左樣ニ方針ヲ變ヘラレタノデ
アルカ、之ヲ惡ク考ヘマスルト、先ヅ差當
リ三割制限ヲ以テ臨ンデ、之ニ反對ニ會ウ
タガ爲ニ、三百十一艘ノモノヲ三百艘ダケ
ニ制限ヲシテ、其以外ニ先程讀上ゲマシタ
種々ナル權利ヲ、是ハ制限外デアルト云フ
所カラ、之ヲ無價値ノモノニシテシマッテ、
サウシテ置イテ此合同ヲ强要致シタ、當業
者ガ之ニ對シテ種々ナル反對意見ヲ有ッテ、
當局ニ嘆願ヲ致シタニ拘ラズ之ヲ一蹴シ
タ、是ハ農林次官長瀨君、竝ニ局長ノ戶田君、
或ハ監督課長、斯樣ナ人、或ハ越田技師ノ
如キ、斯樣ナ人々ガ非常ニ之ヲ强要致シテ、
サウシテ而モ十二月ノ末ニナッテ、漸ク此合
同ニ泣ク〓〓當業者ガ應諾スル、左樣ナ場
合ニ至リマシテモ、當業者ノ中ニハ株式會
社ガ五ツアル、個人ノ企業ガ三ツアル、少
クモ此株式會社ハ法人トシテ、ソレ〓〓ノ
手續ヲ執ラナケレバナラナイ、自分ノ存在
ヲ失フヤウナ、或ハ是ハ解散デアルカ、併
呑合併デアルカ知リマセヌケレドモ、兔モ
角モ自分ノ存在ニ關スル重大ナル問題、之
ニ對シテ所謂株主總會ヲ開ク餘裕ヲ與ヘテ
貰ヒタイト云フコトノ申出マデモ拒絕ラ
シタ、サウシテ直チニ同意スベキコトヲ脅
迫ガマシクヤッタノデアリマス、何故脅迫ガ
マシクヤッタカト云フト、此許可ヲ貰フ時ニ
ハ當業者ガ請書ヲ取ラレテ居ル、其請書
三、將來農林省ガ國策上合同ヲ提唱スル
時ニハ異議ナク參加スル、此請書ヲ取ラレ
テ居リマスガ爲ニ、若シ之ニ應ジナケレバ
許可ヲ取消スト云フヤウナコトヲ仄カシテ、
サウシテ否應ナシニ承諾セシメタ、斯樣ナ
コトヲ一體取急イデヤラナケレバナラヌ理
由ハ何處ニアル、少クモソレ〓〓五十万圓
カラノ資本ヲ有ッタ會社デアル、是ガ合併ス
ル、其權利ヲ讓渡スル、斯ウ云フ場合ニ、其
手續ヲ踏ムコトノ餘裕ヲ與ヘナイト云フコ
トハ、今日ノ法治國ノ何處ニアリマスカ、
左樣ナコトヲ致シテ、到頭無理往生ニ之ヲ
合併セシメタ、其爲ニ其會社ノ中ニハ、其
後ニ非常ナ紛糾ヲ釀シタモノモアルデハ
アリマセヌカ、其結果ハ聞ク所ニ依レバ、
新太平洋漁業ハ-此異議ヲ述ベタ會社、
卽チ株主ノ中カラ强硬ナ者ガ出テ、事後承
認ヲ與ヘナイ、其爲ニ會社ハ紛糾致シテ、
其社長ハ責任ヲ取ラナケレバナラナイ、社
長ノ爲シタル行爲ヲ認メナイト云フコトニ
ナル、左樣ナモノヽ生ズルノハ當然ダ、左
樣ナモノヲ緩和スル爲ニ、來年度出漁スル
三百艘ノ中、五十艘ダケハ其會社ノ自由ニ
任シテ、其利益ヲ其會社ニ與ヘル、斯ウ云
フヤウナ便宜主義ヲ執ッタラシイ、ソレニ對
シテハ局長モ斡旋ヲ致シテ居ル事實ガアル
ノデアル、斯ウ云フヤウナコトマデ致シテ、
一體此合同ヲサセナケレバナラヌ理由ガ何
處ニアルノデアルカ、左樣ナコトハ大ナル
是ハ官紀紊亂デアルト申サナケレバナラ
又、所謂官權ノ濫用ダ、此商法ニ定メラレ
タ所ノ株式會社ノ合併ニ關スル所ノ規定、
斯樣ナモノヲ無視シタト云フヤウナコトハ、
一體ドウ云フ所ニアルノデアルカ、一體ド
ウ云フ考デ左樣ナコトマデサレタノデアル
カ、何モ二週間、三週間ノ餘裕ヲ與ヘ得ナ
イヤウナ、火急ナ狀態ガ何處ニアッタノデア
ルカ、斯ウ云フ點ニ付テ當局ノ辯明ヲ聽キ
タイト思フノデアリマス、甚ダ長クナリマ
シタガ、以上ヲ以テ私ノ質疑ヲ終リマス(拍
手)
〔國務大臣廣田弘毅君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=38
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039・廣田弘毅
○國務大臣(廣田弘毅君) 只今手代木君ノ
御質問ノ第一點第二點ニ付テ、私カラ御答
辯致シマス、第一點ハ、日露漁業條約ノ古イ
方ノ分ニハ「ポーツマス」條約ニ基イテ此權
利ヲ協定スルト云フコトガアッテ、新シイ
條約ニハソレガナイヤウダ、此權利ハ飽迄
「ポーツマス」條約ニ基イタ權利デアルカラ、
其方針デ進ンデ行クベキモノデアルト云フ
御意見デアッタヤウニ思ハレマスガ、新條約
ニ果シテサウ云フ文句ガ書イテナイカドウ
カ、私ハ實際ヲ存ジマセヌガ、有ッテモ無クテ
モ、此漁業權ガ「ポーツマス」條約ニ基イテ
居ルト云フコトハ當然デアリマシテ、御承
知ノ通リ露西亞ハ革命ノ際ニ、從來ノ條約
ハ總テ效力ヲ失ッタモノデアルト云フ建前
ヲ採ッタノデアリマス、併ナガラ我國ガ露西
亞ト國交ヲ開キマス際ニハ、サウ云フコト
ハ到底許シ難イ、苟モ兩國ノ間ニ現ニ有效
ニ存在スル條約、殊ニ「ポーツマス」條約ノ
如キモノハ、飽迄其效力ヲ維持スベキモノ
デアル、其中ニハ此漁業權ト云フ重大ナ點
ガ規定シテアリマスノデ、此「ポーツマス」
條約ヲ依然有效トスルコトヲ認メナケレバ
國交ヲ開始セナイト云フコトヲ主張致シマ
シタ結果、北京ニ於テ協定致シマシタ國交
開始ニ關スル條約中ニハ、明ニ其效力ノ有
效デアルコトガ書イテアルノデアリマス、
ソレハ全ク漁業權ノ爲ニ書イタノデアリマ
ス、隨ヒマシテ其後ノ漁業權ニ關スル條約
ニ、特ニ其事ガ書イテアッテモナクテモ、私
ハ大シタ差ハナイト思フノデアリマス、此
權利ヲ飽迄「ポーツマス」條約ニ基イテ居ル
ト云フ御意見ニ、私ハ全然同感デアリマス、
新條約、現行條約中ニ、色々日本ニ取ッテ
不利益ノ點ガアルト云フノデ、其第二條ノ
規定、第九條ノ國營ト個人企業ノ範圍ニ關
スル點、其他地方農漁民ニ對シ特別ノ貸付
ヲ致シマスル漁區ノ點等ニ付テ、御指摘ニ
相成ッタノデアリマスガ、是等ハ從來モ兩國
ノ間ニ屢〓討議ノ問題トナッタノデアリマス
ノデ、將來斯ウ云フ點ニ付テハ、新シク條
約ヲ改訂致シマス場合ニハ、適當ニ解決シ
置クベキ問題デアルト思フノデアリマス、
尙ホ第四項ノ御質問中ニ、沖取漁業ノ制限
ノコトニ付テハ、外務省ハ之ヲ承知シテ居ッ
タカドウカト云フコトデアリマスガ、私ハ
此沖取漁業ノ制限ト云フコトハ、適當デア
ルト思ッテ從來居ルノデアリマス、尙ホ此沖
取漁業ト更ニ陸上漁業トノ統一モ、矢張私
ハ日本トシテ適當ナコトデアルト云フ感ジ
ヲ有ッテ居ッタノデアリマス、隨ヒマシテ沖
取漁業ノ制限ノ意嚮ガアルト云フコトハ、
私モ承知シテ居ッタノデアリマス、此事ヲ御
答辯致シマス(拍手)
〔政府委員守屋榮夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=39
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040・守屋榮夫
○政府委員(守屋榮夫君) 手代木君ノ御質
問ニ御答致シマス、第一點及第二點ニ付キ
マシテハ、只今外務大臣カラ御答ガゴザイ
マシタ、農林當局ト致シマシテモ、外務省
ト協力致シマシテ、御趣旨ヲ實現スルコト
ニ付テ盡力致シタイト考へテ居リマス、第
三點ハ、本法制定ノ理由ガ薄弱デアルト云
フ御意見デゴザイマシタガ、農林當局ト致
シマシテハ、露領漁業竝ニ母船式沖取漁業
ガ、其資源維持ノ上カラ考ヘマシテモ、又
其製品ノ統一調節ノ上カラ考ヘマシテモ、又
日「ソ」條約ノ改正ニ對スル準備ノ上カラ考
ヘマシテモ、此際統制ヲスルト云フ必要ヲ
感ジ、自ラ進ンデ合同シタノデアリマスカ
ラ、其合同ニ依ッテ生ジタル獨占的位置ト云
フモノヲ確保スルコトガ必要デアルト考へ
マっ、隨テ本法ヲ制定致シマシテ、一四、
於テハ其獨占的位置ヲ保護シマスルト共ニ、
他面ニ於テハ十分之ヲ國家的見地カラ監督
致シマシテ、獨占的事業ノ往々ニシテ陷リ
勝デアル公共的ノ利益ヲ無視スルトカ、或
ハ國民的利益ヲ無視スルトカ云フヤウナコ
トノナイヤウニ、取締ヲシテ行ク積リデア
リマス、其點カラ考ヘマシテモ、本法ト云
フモノハ是非制定シナケレバナラヌト考ヘ
ル次第デゴザイマス、第四點ハ、母船式沖
取漁業ノ取締ニ關スル方針ガ、無方針デハ
ナイカト云フ御質問デゴザイマシタ、此點
ニ付テハ手代木君ハ能ク沖取漁業母船
式鮭、鱒漁業發達ノ經路ヲ御承知ニナッテ居
ラレルノデアリマス、是ハ對外的關係モゴ
ザイマスルシ、對內的關係モゴザイマシテ、
其事情ニ卽シテ政府トシテハ方針ヲ樹テナ
ケレバナラヌモノト考へマス、隨テ今日政
府ノ執ッテ居リマスル方針ハ適當ナモノデ
アルト、斯ウ考ヘテ居ル次第デゴザイマス、
第五點ハ、斯ウシタ獨占的會社ト云フモノ
ハ、之ヲ半官半民ノ會社ニ組直スコトガ宜
クハナイカ、ソレガ出來ナイナラバ、政府
ニ對スル納付金制度ト云フモノヲ設クルコ
トガ必要デナイカト云フコトデゴザイマシ
ク、是ハ御趣旨ハ御尤ト思ヒマス、例ヘバ
北樺太ニ於ケル石炭、石油採掘ノ權利ヲ、
或ル株式會社ニ與ヘマシタ時ニハ、サウ云
フ方法ヲ講ジタノデアリマス、隨テ新シク
獨占的ナ會社ヲ作リマシテ、他ニ競爭スベ
キ會社ヲ作ラナイト云フヤウナ場合デゴザ
イマスルナラバ、御趣旨ノ通リヤリマ
シテ、少シモ支障ガナイト考ヘマスガ、
今日ノ日魯漁業株式會社、太平洋漁
業株式會社ト云フモノハ、長イ間ノ歷史
ヲ有ッテ居リマシテ、今日辛ウジテ合同ノ時
代ニ達シタノデアリマスガ、其時代ニ之ヲ
半官半民ノ會社ニスル、或ハ之ニ納付金ヲ
直チニ命ズルト云フコトハ如何カト考ヘマ
シテ、先ヅ本法ノ適用ニ依ッテ之ヲ保護シ、
取締ル途ヲ講ジタ次第デゴザイマス、第六
ノ本法ノ適用範圍ハ、北緯四十一度以北ノ
海洋デアルコトハ申ス迄モナイノデアリマ
スルガ、取締ヲ受クル會社ニ付キマシテハ、
主務大臣カラ之ヲ指定スルコトニナッタノ
デアリマシテ、其指定サレル會社ト云フモ
ノハ、只今ノ所デハ日魯漁業株式會社ト太
平洋漁業株式會社ニ限定スル考デゴザイマ
ス、此露領漁業ノ區域以外ニ於テ、新シク
母船式ノ鮭鱒漁業ノ企業ヲ認メルカドウカ
ト云フコトニ付テハ、是ハ本法トハ何モ關
係ノナイコトデアリマス、第七ハ、本法ノ
制定ニ關聯シテ、年末カラ今春ニ掛ケマシ
テ、沖取鮭鱒漁業ノ合同ニ闘スル經緯ガアッ
タト云フコトニ付テ、當局ノ措置ナドニ付
テノ御批判ノ點モアッタヤウデアリマスガ、
私ノ承知致シマスル所デハ、是ハ各關係業
者ノ合意ニ依ッテ、此合同ヲ實現シタノデア
リマシテ、其間ニ於テ當局者ガ親切ニ、之
ニ關シテ注意ヲシ、指導シタト云フヤウナ
コトガアッタデアラウト考ヘマスルガ、其間
ニ今御話ノヤウナ兔角ノ經緯ガアッタトハ
考ヘテ居ラヌノデアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=40
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041・手代木隆吉
○手代木隆吉君 尙ホ理解ノ出來ナイ點ガ
アリマスケレドモ、何レ委員會ニ於テ詳細
ノ質疑ヲ致シタイト思ヒマスカラ、私ノ質
疑ハ是デ打切リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=41
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042・濱田國松
○議長(濱田國松君) 質疑ハ終局致シマシ
タ、本案ノ審査ヲ付託スベキ委員ノ選擧ニ
付テ御諮リヲ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=42
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043・青木雷三郎
○靑木雷三郞君 本案ハ議長指名十八名ノ
委員ニ付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=43
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044・濱田國松
○議長(濱田國松君) 靑木君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=44
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045・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
四、酒造組合法中改正法律案ノ第一讀會ヲ
開キマス-矢吹大藏政務次官
第四酒造組合法中改正法律案(政府
提出、貴族院送付)第一讀會
酒造組合法中改正法律案
酒造組合法中左ノ通改正ス
第三條ノ二酒造組合ハ其ノ目的ヲ達ス
ル爲左ノ事業ヲ行フコトヲ得
一組合員ノ原料品ノ購入、保管及加
エ、組合員ノ製品ノ保管及販賣其ノ
他組合員ノ營業ニ關スル共同施設
二組合員ノ營業ニ關スル指導、〓究
及調査ニ必要ナル共同施設
組合ハ前項ノ事業ニ併セ組合員ニ對シ
其ノ營業ニ必要ナル資金ノ貸付ヲ行フ
コトヲ得
〔政府委員男爵矢吹省三君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=45
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046・矢吹省三
○政府委員(男爵矢吹省三君) 茲ニ議題ト
ナリマシタ酒造組合法中改正法律案ニ付
テ、其大要ヲ御說明致シマス、我國酒造業
ノ現狀ニ鑑ミマシテ、酒造組合ニ對シ組合
員ノ使用スル原料品ノ購入、保管、加工、
若ハ組合員ノ製品ノ保管、販賣等ニ關スル
共同施設、其他組合員ノ營業ニ關スル指
導〓究、調査等ノ共同施設ヲ行ハシムル
ノ外、組合ニ對シ其營業ニ必要ナル資金ノ
貸付等ヲ併セ行ハシメ、以テ酒造業ノ改良
發達ニ資シタイノデアリマスガ、現行酒造
組合法ニハ、組合ノ事業ノ內容ニ關スル規
定ヲ缺イテ居リマスノデ、玆ニ組合事業ノ
內容ヲ規定致シマシテ、將來一層酒造組合
法施行ノ圓滑ヲ期セントスル次第デアリマ
入、何卒御審議ノ上速ニ御協贊アランコト
ヲ望ミマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=46
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047・濱田國松
○議長(濱田國松君) 本案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=47
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048・青木雷三郎
○靑木雷三郞君 本案ハ政府提出、倉庫業
法委員ニ併セ付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=48
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049・濱田國松
○議長(濱田國松君) 靑木君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=49
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050・濱田國松
○議長(濱田國松君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
五、朝鮮事業公債法中改正法律案ノ第一讀
會ノ續ヲ開キマス、委員長ノ報〓ヲ求メマ
ス-委員長松山常次郞君
第五朝鮮事業公債法中改正法律案
(政府提出)第一讀會ノ續
報〓書
一朝鮮事業公債法中改正法律案(政府提
1
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十年三月十四日
委員長松山常次郞
衆議院議長濱田國松殿
〔松山常次郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=50
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051・松山常次郎
○松山常次郞君 朝鮮事業公債法中改正法
律案ノ委員會ニ於ケル經過竝ニ結果ヲ御報
〓致シマス、本委員會ハ去ル三月ノ四日第
一囘ヲ開キマシタ、私ガ委員長ニ、森田福
市君、豐田豐吉君ガ理事ニ選擧セラレタノ
デアリマス、爾來四囘質問應答ヲ繼續致シ
マシタ、此法律案ハ初メニ說明セラレマシ
タル如ク、朝鮮事業公債ニ於テ新タニ九百
六十万圓ヲ補充シ得ルコトニシヨウト云フ
改正案デゴザイマス、其中九十五万圓ハ建
設費デゴザイマシテ、平壤ノ北ノ順川カラ
滿浦鎭ニ至ル鐵道ガ、昭和十三年迄ニ完成
スルコトニナッテ居ルノデアリマス、ト同時
ニ滿洲國方面ニ於キマシテモ、此期間內ニ
鐵道ガ著イテ來ルコトニナリマスノデ、是
ト連絡スル必要ガゴザイマス、卽チ鴨綠江上
ニ於キマシテ鐵橋ヲ架設シテ、之ニ附帶ス
ル線路ヲ敷設スル費用デゴザイマス、滿洲
國ト協定ノ結果、朝鮮側ニ於テ負擔スベキ
金額ガ、九十五万圓ニナッテ居ルノデゴザイ
マス、後八百六十万圓ハ改良費デゴザイマ
ス、段々朝鮮ニ於テ貨物ノ輸送量ノ增加シ
タコト、特ニ時局ニ關聯致シマシテ、其輸
送能力ヲ增ス必要上カラ、鐵道ノ改良工事
ヲヤルト云フコトニナッタノデアリマス、內
五百五十万圓ハ京義線、京釜線ノ改良費デ
アリマス、二百三十万圓ハ京元線ト咸鏡線
ノ改良費デアリマス、八十万圓ハ滿鐵ニ移
管ニナッテ居リマスル圖們線ノ改良費デア
リマス、之ヲ併シマシテ八百六十万圓ノ改
良費ヲ使フト云フコトニナッテ居ルノデア
リマス
質間應答ノ狀況ハ玆ニ省略致シマスル
ガ、一點重要ナル點ヲ申上ゲタイト思フノ
デアリマス、質問ノ中ニ、朝鮮ダケ改良シ
テ輸送能力ヲ增シテモ、是ハ日本內地及滿
洲方面ニ於ケルモノト均衡ガ取レナケレ
バ、何ニモナラナイコトデアル、ソレガド
ウ云フコトニナルノデアルカト云フ質問ニ
對シテ、政府當局ノ答ヘマシタル所ハ、內
地ニ於テモ、滿洲ニ於テモ、改良工事ハ進ン
デ居ルノデアル、特ニ朝鮮ガ其點ニ於テ遲
レテ居ルノデアル、一例ヲ申シマスレバ、
其「レール」ノ點ニ於テ、東海道線ナリ、山
陽線ハ、百封度ノ「レール」ヲ使ッテ居ル、滿
鐵本線ニ於テモ、百封度ノ「レール」ヲ使ッテ
居ルガ、朝鮮ニ於テハ七十五封度ノ「レー
ル」ヲ多ク使ッテ居ルノデアル、之ヲ今度百
封度ニ直スノデアル、斯ウ云フコトデアル、
但シ安奉線ガマダ八十封度ノヤウデアルガ
之ヲ改善スルコトニ付テハ
〔議長退席、副議長著席〕
滿鐵ト交涉中デアルト云フコトデアリマ
ス、質問應答ハ大體ソレデ終リマシタノ
デ、去ル十四日ヲ以テ質問ヲ終了シ討論ニ
入ッタノデアリマス、政友會ヲ代表致シマシ
テ、森田福市君ガ討論ノ衝ニ當ッタノデア
リマスガ、其中ニ森田君ハ之ニ贊成ヲセラ
レタノデアリマスルガ、希望ヲ述ベラレテ
居リマス、卽チ內地ニ朝鮮人ガ澤山入ッテ
來ルガ、之ヲモット止メル方法トシテ、朝鮮
ニ於テモット工事ヲ盛ニシロ、寧ロ鐵道計畫
ヲ繰上ゲテ、仕事ヲ澤山拵ヘテ、內地ニ多
ク朝鮮人ノ來ナイヤウニスルガ宜カラウト
云フ希望デアリマス、民政黨ヲ代表致シマ
シテ中島彌國次君ガ、贊成ノ意見ヲ述べラ
レマシタ、國民同盟ヲ代表セラレマシテ栗
原彥三郞君ガ、同ジク贊成ノ意思ヲ表示セ
ラレタノデアリマスルガ、是モ希望ヲ述べ
ラレテ居リマス、ソレハ滿洲事變ニ際シ
テ、朝鮮人ガ穩健ナル態度ヲ執ッタト云フ
コトニ付テ賞讃ヲセラレテ、日本國民ト
シテモ之ニ對シテ相當ニ酬ユル所ガナケ
レバナラヌ、斯ウ云フコトヲ前提ト致シ
マシテ、ドウモ朝鮮總督府ノヤル所ヲ見ル
ノニ、設備、制度ニ於テハ整ウテ居ルケレ
ドモ、人民ノ幸福ヲ增スト云フコトニ於
テ、注意ガ十分行屆イテ居ラナイヤウデア
ル、卽チ物ニ於テハ整ウテ居ルケレドモ、
人ニ對スル注意ガ足リナイヤウニ思フ、此點
ニ付テ特ニ注意ヲシテ貰ヒタイト云フ希望
デアッタノデアリマス、以上デ討論ガ終リマ
シタノデ、採決ニ入リマシテ、滿場一致贊
成ノ意ヲ表シタ譯デアリマス、卽チ可決セ
ラレタ譯デアリマス、ドウカ本議場ニ於キ
マシテモ、滿場一致贊成セラレンコトヲ希
望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=51
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052・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 本案ニ付テハ別
ニ質疑ノ通告ガアリマセヌ、本案ノ第二讀
會ヲ開クニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=52
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053・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 御異議ナシト認
メマス、仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シ
マシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=53
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054・青木雷三郎
○靑木雷三郞君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ
開キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=54
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055・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 靑木君ノ動議ニ
御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=55
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056・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 御異議ナシト認
メマス、仍テ直チニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、
議案全部ヲ議題ト致シマス
朝鮮事業公債法中改正法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=56
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057・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 別ニ御發議モア
リマセヌ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報
告通リ可決確定致シマシタ(拍手)
日程第六及第七ハ同一委員ニ付託セラレ
タル議案デアリマスカラ、一括シテ議題ト
ナスニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=57
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058・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 御異議ナシト認
メマス、仍テ日程第六、市町村立尋常小學校
費臨時國庫補助法中改正法律案、日程第七、
公立學校職員年功加俸國庫補助法中改正法
律案、右兩案ヲ一括シテ第一讀會ノ續ヲ開
キマス、委員長ノ報告ヲ求メマス-川口
義久君
第六市町村立尋常小學校費臨時國庫
補助法中改正法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
第七公立學校職員年功加俸國庫補助
法中改正法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
報告書
一市町村立尋常小學校費臨時國庫補助法
中改正法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十年三月十四日
委員長川口義久
衆議院議長濱田國松殿
附帶決議
一政府ハ昭和十年度ニ於テ市町村ニ於
ケル尋常小學校費臨時國庫補助ノ減額
ニ因リ增稅、〓職員ノ馘首、〓員俸給
ノ不拂等ナカラシムルヤウ適當ノ措置
ヲ講スヘシ
二本法ハ過去三年間窮乏ノ地方財政ヲ
救濟シ義務〓育ノ遂行ニ資スル處甚大
ナルモノアリ仍テ政府ハ昭和十一年度
以降ニ於テモ尙本法ヲ存續シ且其ノ豫
算ノ增額ヲ期スヘシ
報告書
一公立學校職員年功加俸國庫補助法中改
正法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十年三月十四日
委員長川口義久
衆議院議長濱田國松殿
〔川口義久君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=58
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059・川口義久
○川口義久君 只今議題トナリマシタ兩案
ノ委員會ノ經過ト結果ヲ御報告申上ゲマ
ス
先ヅ最初ニ市町村立尋常小學校費臨時國
庫補助法中改正法律案、本案ハ時局匡救對
策トシテ、昭和七年度カラ九年度マデ三箇
年間、每年國庫カラ千二百万圓ヲ支出シ、
市町村立尋常小學校ノ經常費ヲ補助シテ來
タノデアリマスガ、昭和十年度ニ於キマシ
テ、九百万圓ヲ支出スルコトニ豫算ニ計上
サレマシタ關係上、本法モ補助期間ヲ十年
度マデ延長シ、併セテ市町村ニ對スル補助
金交付ノ割合ヲ變更スル必要アリト云フノ
デアリマス、委員會ノ詳細ノコトハ速記錄
ヲ御覽ヲ願フコトニ致シマシテ、唯一二主
ナル所ヲ御紹介申上ゲタイト思ヒマス、木
村委員カラ、大體斯ウ云フヤウナ質問ガ出
マシタ、總理大臣ガ貴族院デ說明サレテ居ル
所ニ依ルト、第二豫備金千五百万圓ノ支出ハ、
內務、農林ノ當局カラ事務的ノ要求ガアッ
タカラ支出スルノデアルト言フガ、如何ニ
モ外ノ方デハ使ハナイデモ宜イト云フヤウ
ナ口吻ニ見エテ居ルガ、左樣ナコトハナカ
ラウト私ハ思フガ、念ノ爲ニ一應文部大臣
ノ所見ヲ伺ヒタイ、之ニ對シテ松田文部大
臣ハ、マダソレハ確定ハ致シテ居リマセヌ
ケレドモ、第二豫備金ヲ使フコトニ付テハ、
閣議ノ決定事項トスルコトニナッテ居リマ
ス、其閣議決定ノ時ニ私ハ主張スル積リデア
リマス、斯ウ言ッタ答辯ガアリマシタ、次ニ
又木村委員カラ、臨時補助金三百万圓減少
ニ依ッテ生ズル町村ノ歲入減ハドウ處理サ
レルノダ、高等小學校ノ廢止、或ハ高等小學
校ヲ簡易ニシテ靑年學校ニ變更スルヤウナ
コトハナイトノ考ノヤウデアルガ、ソレナ
ラバ市町村ノ歲入減ハ、增稅カ、〓員ノ馘
リカハ此二ツニ依ル外ハナイト思フガ、增
稅ヲヤラレル考カ、ソレトモ〓員ノ馘首ヲ
ヤル考デアルカ、此質問ニ對シテ松田文部
大臣ハ、木村君ノ御質問ノヤウニナラヌヤ
ウニ、私ハ努力シテ見タイト思ッテ居リマ
スト、更ニ木村委員ハ、列席ヲサレテ居ッタ
大藏大臣ニ對シテ、大藏大臣ノ所見ヲ質サ
レタ、サウスルト高橋大藏大臣ハ、文部大
臣ガ實情ニ卽シテ、巳ムヲ得ヌコトガアレ
バソレハ考慮スル、處置スル御決心ガ文部
大臣ニモアルト思ヒマス、其邊デ御安心ニ
ナルヨリ仕方ガナイ、斯ウ云フ風ニ大藏大
臣ガ文部大臣ノ答辯ニ對シテ、裏書ヲサレ
タヤウニナッテ居リマス、去ル十四日質問ヲ
終リマシテ討論ニ入リマシテ、其際政友會
ノ木村委員カラ、只今朗讀スルヤウナ附帶
決議ヲ爲シテ、政府ノ案ニ贊成ノ意思ヲ表
示サレマシタ、附帶決議ヲ讀ミマス
附帶決議
一政府ハ昭和十年度ニ於テ市町村ニ於
ケル尋常小學校費臨時國庫補助ノ減額
ニ因リ增稅、〓職員ノ馘首、〓員俸給
ノ不拂等ナカラシムルヤウ適當ノ措置
ヲ講スヘシ
二本法ハ過去三年間窮乏ノ地方財政ヲ
救濟シ義務〓育ノ遂行ニ資スル處甚大
ナルモノアリ仍テ政府ハ昭和十一年度
以降ニ於テモ尙本法ヲ存續シ且其ノ豫
算ノ增額ヲ期スヘシ
是ガ附帶決議デアリマス、次デ民政黨ノ眞
鍋委員カラ、只今讀ミマシタ附帶決議ヲ矢張
認メラレテ、サウシテ矢張政府ノ原案ニ贊
成ノ意ヲ表サレマシタ、デ採決ノ結果滿場
一致此附帶決議ヲ附シテ、政府ノ原案ニ贊
成ト云フコトニナリマシテ可決致シマシタ
次ニ公立學校職員年功加俸國庫補助法中
改正法律案、此案ハ實業補習學校及靑年訓
練所ヲ統合シテ靑年學校トスルト共ニ、實
業補習學校〓員養成所ヲ改メテ、靑年學校
〓員養成所トスルコトニナリマシタノデ、
公立學校職員年功加俸國庫補助法中、學校
ノ名稱ヲ改メル必要ガアルト云フノデアリ
マス、是ハ唯學校ノ名前ヲ變ヘルダケデア
リマシテ、極ク簡單ナモノデ、別ニ此處デ
御報〓スルヤウナ質問モゴザイマセヌデシ
ク、此案ニ對シテノ討論ニ入ッテ、木村委員
眞鍋委員カラ、政友、民政ヲ代表シテ贊成ノ
意思表示ガアリ、採決ノ結果是モ滿場一致
ヲ以テ可決致シマシタ、兩案ハ斯ノ如クシ
テ委員會ハ可決ニナリマシタカラ、左樣御
承知ヲ願ヒマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=59
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060・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 本案ニ對シテ討
論ノ通〓ガアリマス、通〓順ニ依ッテ討論
ヲ許シマス-宮本雄一郞君
〔宮本雄一郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=60
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061・宮本雄一郎
○宮本雄一郞君 只今上程セラレマシタ市
町村立尋常小學校費臨時國庫補助法中改正
法律案ニ付キマシテ、委員長ノ報告ニ贊成
ノ意見ヲ有ッテ居ル者デアリマス、尙ホ附帶
決議ハ最モ妥當緊要ナル事柄デアリマシテ、
之ニ對シマシテモ亦同意デアリマス、是ヨ
リ極メテ簡單ニ其趣旨ヲ申述ベタイト存ジ
マス、尙ホ總理大臣ハ屢〓本議場ニ於キマシ
テ、地方財政ノ匡救ハ、其實情ニ卽シテ之
ヲ行フニ吝ナラズト申サレテ居リマス、此
關係上、私ハ旣ニ昭和十年度市町村小學校
費豫算ノ決定セル實情ヲ申述ベマシテ、政
府當局ニ希望セントスル者デアリマス
市町村ニ於ケル小學校費ハ年々增加致シ
マシテ、其財政ニ及ボス影響ハ多大ナルモ
ノガアリマス、最近學齡兒童ノ增加致シマ
ス狀況ハ、昭和六年度ニ於キマシテ、學齡
兒童ハ一千二百八万二千二百五十三人デア
リマス、昭和七年度ハ三十八万九千七十七
人ヲ增加致シマシテ、卽チ一千二百四十七
万一千三百三十人ニナッテ居リマス、昭和八
年度ハ更ニ二十九万一千四百十人ヲ增加致
シマシテ、一千二百七十六万二千七百四十
人ニナッテ居リマス、此學齡兒童ノ增加ニ伴
ヒマシテ、隨テ學級ガ增加致シマスコトハ、
小學校ノ經營上當然已ムヲ得ザルコトデア
リマス、學級增加ニ伴ヒマシテ〓員數ガ增
加致シマスコトモ、亦當然デアリマシテ、
昭和六年度小學校〓員數一一十三万六百五十
二人ニ對シマシテ、昭和七年度ハ三千百十
二人ヲ增シ、卽チ二十三万三千七百六十四
人ニナッテ居リマス、昭和八年度ハ更ニ六千
四百四十九人ヲ增シ、二十四万二百十三人
ニナッテ居リマス、學齡兒童ノ增加ニ伴ヒ〓
員ガ增加致シマスレバ、大體一學級八百圓
程度ノ經費ニ依リマシテ、小學校費ノ增加ス
ル數字ヲ示シテ居ルノデアリマス、昭和六
年度ニ於キマシテ小學校費ハ、二億三千四
百八十八万餘圓デアッタノデアリマスガ、昭
和七年度ハ八百五十餘万圓ヲ增加致シマシ
テ、二億四千三百三十八万餘圓ニナッテ居リ
マス、昭和八年ハ更ニ二千六百九十餘万圓
ヲ增加致シマシテ、二億七千二百八十餘万
圓ニナッテ居リマス、此內小學校〓員ノ俸給
ハ、昭和六年度ニ於キマシテ一億六千十六
万餘圓、昭和七年度ニ於キマシテハ五百十
八万三千餘圓ヲ增加致シマシテ、卽チ一億
六千五百三十五万餘圓ニナッテ居リマス、昭
和八年度ハ更ニ四百八十七万餘圓ヲ增加致
シマシテ、一億七千二十一一万餘圓ニナッテ居
リマス、然ルニ之ニ伴フ義務〓育費國庫負
擔法ニ依ル金額ハ八千五百万圓デアリマシ
テ、小學校費ノ增加ハ、義務〓育費國庫負
擔ガ增加セラレヌ限リニ於キマシテ、全部
市町村ノ負擔ニナッテ居ルノデアリマス、數
年前ヨリノ地方經濟ノ不況ハ、市町村財政
ニ非常ナル困憊ヲ來シマシテ、之ニ加ヘテ
每年度ノ小學校費ノ增加ハ、益〓市町村財政
ノ窮乏ヲ告グル實情ニ至ッタノデアリマス、
義務〓育費國庫負擔法ノ精神ハ、此法律第
供 作、「市町村立尋常小學校〓員ノ俸給ニ
要スル經費ノ一部ハ國庫之ヲ負擔ス」トア
リマス、第二條ニ於キマシテ「前條ノ規定
ニ依リ國庫ノ負擔トシテ支出スヘキ金額ハ
每年度八千五百万圓ヲ下ラサルモノトス」
ト規定サレテアリマス、第三條ニ於キマシ
テ、特定致シマシタ條項ニ依ル交付ノ基準
金額ヲ除ク外、〓員數ト兒童數トニ比較シ
テ交付スルコトニナッテ居リマス、此法律ノ
意義ニ於キマシテ、前申述ベマシタ如ク、學
齡兒童及〓員數ノ增加ニ依ル經費ノ增加ニ
對シマシテ、國庫交付金ヲ增加スベキコトハ
當然ナコトヽ信ズル者デアリマス、昭和七年度
ヨリ昭和九年度マデ三箇年間一千二百万圓
宛市町村立尋常小學校費臨時國庫補助法
ヲ設ケマシテ、國庫ヨリ支出セラレマシタ
コトハ、幾分市町村財政ノ窮乏ヲ緩和サレ
タモノデアリマス、而シテ現在市町村財政
ハ、今尙ホ窮乏ノ狀況ヲ續ケマシテ、更ノ
向上ノ實績ナキニ、小學校費ハ年々增加致
シマシテ、以上申述べマシタ增加ノ實情ヨ
リ致シマシテ、此制度ヲ繼續致シマスコト
ハ蓋モ當然ナ事柄デアリマス、然ルニ政府
ガ豫算ニ於キマシテ金三百万圓ヲ減額シタ
ルハ、頗ル遺憾トスル所デアリマス、先年
民政黨ハ其政策ニ於キマシテ、市町村義務
〓育費負擔法ニ依ル金額、〓員俸給ノ全額
ヲ國庫ヨリ支出スル政策ヲ聲明サレテ居リ
マス、此政策ヲ實現致シマスレバ-現在〓
員俸給ハ約一億六千万圓ニ達シテ居ルノデ
アリマス、民政黨ハ此政策ヲ御棄ニナッタト
云フコトハ、未ダ聞イテ居ラナイノデアリ
マス、少シ證文ハ古イヤウデアリマスガ、
マダ時效ニ掛ッテ居ラナイト信ズル者デア
リマス、文部大臣ハ民政黨ノ御出身デアリ
マシテ、此政策ヲ有シテ居ル民政黨ト致シ
マシテ、此政黨ヨリ出テ居ル文部大臣ト致
シマシテハ、全國市町村ノ當局者ハ、必ズ
ヤ此民政黨ノ政策ノ一部ヲ實現スル意味ニ
於キマシテ、市町村立小學校費中、何等カ
ノ名儀ヲ以テ必ズヤ增額セラルヽコトヲ期
待シテ居ッタノデアリマス、然ルニ增額ドコ
ロデハナイ、金三百万圓ヲ減額致シマシタ
コトハ、頗ル遺憾デアリマシテ、寧ロ失望
ヲ感ジテ居ル者デアリマス、本案審議ノ委
員會開會中、只今委員長ヨリモ御報〓ニナ
リマシタ通リ、木村正義君ノ質問ニ對シマ
シテ、政府ノ答辯セラレマシタ趣旨ハ、今
後市町村立小學校費ニ對シ、其實情ニ卽シ
テ、豫備金等ノ增額ヲ以テ緩和スルコトヲ
考慮スト申サレテアリマス、此點ヨリ致シ
マシテ、私ハ旣ハ全國市町村ニ亙リマシテ、
客月末日迄ニ大部分決定セル豫算ニ現レク
ル歲入歲出ノ實情ヲ申述ベマシテ、既ニ斯
ノ如キ實情ガ玆ニ現出致シテ居リマスコト
ヲ明ニ致シマシテ、政府當局ニ希望スル次
第デアリマス、尙ホ委員會ニ於キマシテ、國
庫補助金ノ減額ニ依リ、小學校費ノ豫算編
成上、增稅若クハ〓員俸給ノ減額ヲ爲サン
トスルニ付テ、豫算ノ歲入歲出ノ減額ヲ爲
サヾレバ出來得ザル場合、如何ニ爲スヤト
ノ質問ニ對シマシテ、文部大臣ハ、斯ノ如キ
コトハ致サセナイト答辯サレテアリマス、
現在決定セル市町村豫算ノ實情バ、增稅減
俸ノ事實ガアルノデアリマス、是ハ不日府
縣ヨリ其豫算ノ狀況ハ、內務省ニモ亦報〓
セラレルコトデアラウト存ジマス
先ヅ市町村豫算ノ實情ヲ申シマスレバ、
基本財產等ノ特別ナル歲入ノアル自治體ハ
別ト致シマシテ、全國多クノ市町村ハ、歲
入ニ增加スベキ科目ハナイノデアリマス、
察ロ目下ノ經濟事情ヨリ致シマシテ、減額
ヲセンケレバナラヌ實情デアリマス、歲出
中、小學校費モ、學齡兒童ノ增加ニ依リマ
シテ若干增加シ、殊ニ學級ノ增加スル市町
村ニ於テ、一層ノ豫算編成難ヲ見テ居ルノ
デアリマス、歲出豫算ノ小學校費ガ前年ト
同樣デアリマシテモ、臨時國庫補助金ノ三
百万圓減額ハ、其補充ヲ增稅ニ求ムルヨリ
外途ナタ、是等ハ何レモ戶數割ノ增額ニ依ツ
タモノガ多イノデアリマス、又市町村ニ依
リマシテハ、役場吏員ノ年功加俸條例ヲ廢
シ、又名譽職ノ報酬ヲ減ジタルモノ、學齡
兒童ガ一學級ノ法定數ヲ超過スルモノ、數
名ノ超過ニ於キマシテハ學級ノ增加ヲセナ
イ方針ヲ採ッタモノモアリマス、又歲入ニ
授業料ヲ計上致シマシテ、關係會議ガ之ニ
反對致シマシテ、未ダ自治體ノ豫算ガ議決
ニ至ラザル所モアリマス、是等ノ問題ニ對
シマシテハ、自治體公民ノ大會ヲ開キマシ
テ、會議ニ對シテ反對ヲ致シテ居ル所モア
リマス、斯ル問題ガ原因トナリ、自治體ノ
當局者ト公民トノ間ニ論爭ヲスルガ如キコ
トハ、自治體ノ發達ノ上ニモ甚ダ憂フベキ
コトデアリマスト同時ニ、是等ノ問題ガ學
齡兒童ノ神經ニ刺戟ヲ與ヘルヤウナコトガ
アリト致シマスレバ、國民ノ基礎〓育ノ上
ニ又憂フベキ問題デアリマス、昭和十年度
ノ市町村ノ豫算ハ、洵ニ慘澹タル有樣デア
リマシテ、文部大臣ハ增稅ハサセナイト申
シテ居リマスガ、實情ハ既ニ豫算編成ニ現
レテ居ル問題デアリマス、又豫算ノ關係ニ
於キマシテ、一學級法定數ノ八十名マデ生
徒ヲ收容スルト云フコトハ、狭隘ナル〓室
ニ於キマシテ、〓育上ノ效果如何ヲ憂フル
者デアリマス、又極メテ狹隘ナル〓室ニ八
十名ノ生徒ヲ收容致シマシテ、一朝風害其他
急激ナル天災等ガ起リマシタ場合ニ於キマ
シテハ、洵ニ學齡兒童ノ不幸此上モナイコ
トデアリマス、又〓育ノ效果的ナルハ、〓
員ノ生活ヲ保障シ、其待遇ノ向上ヲ圖ルニ
アルコトハ申ス迄モナイ事柄デアリマス、
政府當局モ亦之ヲ認メテ居ラルヽ所デアリ
マス、然ルニ現在ノ市町村財政ノ多クノ實
情ヨリ見マシテ、〓員ニ安心立命ヲ與ヘル
コトハ出來得ザルモノト思ハレマス、若夫
レ小學校費ニ付キマシテ、市町村當局ト父
兄トノ間ニ、其負擔ニ付キ激シキ論爭ノ起
ルガ如キコトアリト致シマスレバ、國民基
礎〓育ノ上ニ憂フベキ重大ナル問題デアル
ト信ジマス
以上ノ數項ニ互リマシテ、實情ヲ申上ゲ
マシタコトニ付キマシテ、此附帶決議ハ當
然ノ事柄デアリマス、文部大臣、大藏大臣
ハ、委員長ノ御報告ニアリマシタ如キ、今
後委員會ニ於キマシテノ答辯ノ言責ニ鑑ミ
ラレマシテ、極メテ急速ニ適切ナル處置ヲ
講ズル必要ノアルコトヲ信ズル者デアリマ
ス、政府當局ハ附帶決議ノ意ノ在ル所ヲ速
ニ實行セラレ、以テ市町村財政ノ窮乏ヲ緩
和シ、又國民基礎〓育ノ效果ヲ大ナシメン
コトヲ切望ニ堪エザル次第デアリマス、玆
ニ委員長ノ御報告ニ贊成ノ意ヲ表シ、併セ
テ政府當局ニ希望ヲ申述ベル趣旨ヲ終リト
致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=61
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062・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 末松偕一郞君
〔末松偕一郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=62
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063・末松偕一郎
○末松偕一郞君 私ハ只今議題トナッテ居
ル日程第六、第七ニ對スル委員長ノ報〓ニ
贊成ノ意見ヲ述べタイト思フノデアリマス、
日程第七ニ付キマシテハ、特ニ申上グベキ
必要モアリマセヌカラ、第六ニ付キマシテ、
殊ニ其附帶決議ノ趣旨ニ付テ、一言意見ヲ
述ベテ贊成ノ意ヲ表シタイト思フノデアリ
マス
元來本法律案ノ改正ハ、臨時國庫補助ノ
年限ヲ繼續シヨウト云フノデアリマス、是
ハ時局匡救對策ノ一部デアルコトハ政府委
員モ說明シ、又時局匡救對策豫算ニ於テモ
明瞭トナッテ居ルノデアリマス、委員ノ一部
ニ、是ハ恆久的性質ヲ有ッテ居ルベキ筈
デアルト云フコトノ御意見モアリマシテ、
私モ其點ニ付テ、若シ恆久的法律案デアル
ナラバ、十分ニ文部當局ノ責任ヲモ糺彈致
シタイト思ッタノデアリマスルガ、勿論法律
其モノガ示ス如ク、是ハ臨時國庫補助ノ規
定デアッテ、昭和七年カラ三年間千二百万圓
ト云フ金ヲ市町村立尋常小學校經常費ニ補
シヨウト云フノデアリマシテ、各時局匡救
費ガ次第ニ減ゼラレ、或ハ廢止サレテ居ル
際ニ、九百万圓ト雖モ、千二百万圓ニ對シ
テハ相當額デアリマスルカラシテ、吾々ハ
臨時費ノ性質上、此本案其モノニ付テハ、
之ヲ贊成セザルベカラザル立場ニナッテ居
ルノデアリマス、唯此善後措置ヲ如何ニス
ルカト云フコトハ、是ハ市町村ノ財政ニ鑑
ミテ、實ニ重要ナル問題デアリマスノデ、
此點ニ付キマシテハ委員諸氏カラモ、文部
當局初メ大藏大臣、其他ノ關係各閣僚ニ對
シテ幾多ノ質問ガアッタノデアリマス、吾々
ハ其點ニ付キマシテ、今日ノ地方財政ガ如
何ニモ窮乏シテ、此臨時ニ支出シテ居ッタ千
二百万圓ニ對シテモ、之ヲ補塡スル爲ニハ
非常ナル困難ニ陷ルデアラウト云フコトヲ
豫期シテ居ルノデアリマス、隨テ吾々民政
黨ト致シマシテハ、所謂〓育費國庫補助ト
云フコトガ多年ノ主張デアル、今囘此經費
ガ相當減額セラレヽバ、ソレニ對スル補充
ノミナラズ、將來ノ事ニ付テモ非常ニ考ヘ
ナケレバナラヌト云フノガ、卽チ地方財政
調整交付金ヲ出シタ一ツノ理由ナノデアリ
マス、御承知ノ如ク從來ノ〓育費ニ對スル
八千五百万圓ノ國庫補助ニ依ッテ、既ニ貧弱
町村ト云フモノハ、〓員給全額ノ支給ヲ受
ケテ居ルモノモアリマシテ、更ニ貧弱町村
ノミナラズ、其他ノ一般町村ノ財政ニ對シ
テ之ヲ救濟スル爲ニハ、何カ他ノ方法ニ依ッ
テ之ヲ考ヘナケレバナラヌト云フノガ、卽
チ地方財政調整交付金ノ重大ナル理由デア
リマシテ、吾々ノ見ル所ニ依リマスレバ此
種ノ、卽チ我ガ民政黨ガ多年唱ヘテ居ル〓
育費ノ國庫補助デアルトカ、或ハ地方財政
調整交付金、此種ノ制度ガ地方ノ爲ニハ最
モ適切ニシテ、又有利デアルト云フコトヲ
確信スル者デアリマス、之ヲ實例ニ徵シマ
シテモ、曩ニ吾々ガ協贊ヲ與ヘタ六億ニ近
イ所ノ時局對策匡救費ト云フモノヽ中ニ付
キマシテモ、此千二百万圓ト云フ尋常小學
校ノ補助費ノ如キハ、最モ效果ヲ擧ゲタル
一ツデアルト云フコトヲ考ヘルノデアリマ
ス、申ス迄モナク農村商工各方面ニ於キマ
シテ、時局對策ノ匡救費ヲ分ケテ貰ッテ、相
當地方ガ是ガ爲ニ利益ヲ得タト云フコトハ、
是ハ私モ否ムコトガ出來ナイ事實デアルト
思フ、ノデアリマスケレドモ、是等ノ時局對
策ノ費用ノ使ヒ方ニ付キマシテハ、吾々カ
ラ見レバ甚ダ濫費ニ屬シ、或ハ利益ガ甚ダ
少カッタト云フヤウナモノモ、必シモ少クナ
イノデアリマス、御承知ノ如ク此所謂時局
對策匡救費ト云フモノハ、成ベク普及スル
ヤウニ、又勞力ニ與ヘル所ノ賃銀トシテ、
之ヲ拂ヒタイト云フノガ趣旨デアリマスカ
ラ、色々ナ事業ヲ起シタト云フコトモ、是
ハ已ムヲ得ザル結果デアリマセウ、併ナガ
ラ此種補助金、助成金等ノ配分ニ付キマシ
テハ、地方〓體ガ色々ノ部門ニ分レ、是ハ
今日地方財政カラ言ヒマシテモ、亦地方各
方面ノ社會組織カラ言ヒマシテモ非常ナ私
ハ大問題デアルト考へマスルガ、此〓育ニ
付キマシテモ、今日殆ド〓育費ノ爲ニ市町
村ハ非常ナ窮狀ニ立ッテ居ル、殊ニ農村、卽
チ都會ヨリモ地方農村ガ、其點ニ於テ甚ダ
シイト云フコトハ、是ハ實際デアルノデア
リマス、而シテ今日農村ノ狀況ヲ見レバ幾
多ノ市町村以外ノ〓體ガ、或ハ農會トカ、產
業組合トカ、耕地整理組合トカ、其種ノ幾
多ノ公法人或ハ私法人ガアリマシテ、是ガ
地方ノ經濟組織ニ付テ、非常ナル錯綜シタ
關係ニナッテ居リマス、私ハ先般地方財政
調整交付金ノ委員會ニ於キマシテモ、總理
大臣及大藏大臣ニ對シテ、此今日ノ地方ヲ
救フ最モ有利ナル方法ハ、農村ヲ單純化ス
ルコトデアル、今日ノ農村ハ幾多ノ公法
人-內務省ニ之ヲ調べテ貰ヒマシタ所
ガ、二十一バカリ法人ノ團體ガアル、此種
ノ團體ハ內務大臣ノ監督モ受ケテ居ナイ、
又其主務省ト云フモノハ、單ニ事業ヲ奬勵
シ、費用ヲ徵收スルコトガ主タル目的デ
アッテ、其財政ヲ監督スルト云フコトニ付
テハ、全然之ヲ放任シテ居リマス、私ハ總
理大臣ニ對シテ、果シテ是等ノ放任サレタ
ル所ノ各種團體ノ監督權ハ、何レニアルカ
ト云フコトヲ質問致シマシタ所ガ、法制局
長官及內務大臣ノ說明ニ依レバ、從來是等
ニ付テハ財政上ノ監督ヲ加ヘテ居ナイノ
デアル、監督權ハ恐クハ各主務官廳ニアル
ダラウト云フ答辯デアリマシタ、私ハソレ
ニ對シテハ、地方局ノ官制ノ中ニ、府縣市
町村公共組合ノ財政及經濟ニ關スル事項ト
云フノガアルヂヤナイカ、是等ヲ利用シ
テ、今少シク內務省ガ立入ッテ、此種ノ團
體ヲ監督シナケレバ、此種ノ團體ガ中央、
地方ヲ通ジテ脈絡ヲ以テ各般ノ事業ヲヤラ
ウトシテ居ル、事業ハ結構デアルケレド
モ、其中ノ事業ノ一部ニハ、殆ド利益ガア
ルカナイカト云フコトハ度外視シテ、單ナ
ル自己ノ權限ヲ伸ス事業ヲヤッテ、其事業
ヲ樂シムト云フヤウナ趣旨デ、徒ニ事業ヲ
ヤッテ居ルト云フノガ澤山アル、之ニ對シ
テ財政的監督ヲ國家ガ加ヘルト云フコト
ハ、必要ナル點デアルカラ、此點ハ總理大
臣トシテ主管大臣ヲ定メテ、財政的監督ヲ
ヤル必要ガアルヂヤナイカト云フコトヲ、
私ハ總理大臣ニ質問ヲシ、總理モ之ヲ諒ト
シテ、內閣審議會ニ於テ相當考慮スルト云
フコトニナッタノデアリマスルガ、此種ノ
幾多ノ團體ノミナラズ、公益團體ト稱スル赤
十字社トカ、愛國婦人會デアルトカ、或ハ
軍人會、靑年會、此種ノ所謂公益團體ト云
フモノマデモ入レヽバ、今日地方農村ノ組
織ガ非常ニ複雜デアッテ、又都會地ニ於テ
ハ何等ナイ所ノ會費、或ハ負擔金、其他組
合費ト云フモノヲ地方ガ納メテ居リマシ
テ、今日都會ト地方ノ租稅公課ノ負擔ガ、
甚ダ不公平ニナッテ居ルノデアリマスル
ガ、是ハ其一部デアル、租稅公課以外ニ於
ケル此種ノ負擔金、組合費等ヲ加ヘタナラ
バ、今日都會ト地方ノ人々ノ負擔ト云フモ
ノハ、非常ナ差ガアルト云フコトヲ私ハ痛
感スルノデアリマス、斯ウ云フヤウナコト
ヲ考ヘマスレバ、今日色々ナ補助金、助成
金等ガアリマスケレドモ、此市町村小學
校ノ國庫補助ノ如キハ、最モ效果ガア
ルモノデアッテ、此千二百万圓ト云フモ
ノハ、眞ニ是ハ僅カ三年間ノ補助デア
リマシタ、併ナガラ之ヲ他ノ補助費ニ較
ベレバ、私ハ其效果ガ非常ニ大キカッタト
云フコトヲ信ズル一人デアリマス、御承知
ノ如ク他ノ費用ノ中ニハ補助金ヲ貰フ爲
ニ、地方トシテハ自己ノ負擔ニ相應シナイ
多額ノ負擔ヲシテ居ル、又其事業ハ中央、
地方ヲ通ジテ、各省各課各局ノ分捕ニナッテ
居ッテ、自分ノ所ニ使ヒタイト云フ爲ニ、其
事業ガ市町村團體ノ爲ニ將來有益デアルヤ
否ヤト云フコトヲ考ヘル遑ナクシテ、徒ニ
事業ヲ起シテ居ルト云フコトモ澤山アル、
又其事業ハ三年間ノ此時局ニ對スル補助費
ニ依ッテヤッタノデアリマシテ、途中デ道
路ガチヨン切ラレテ何等用ヲシナイ、澤山
ナ潰レ地ヲ出シテ、農耕地ヲ是ガ爲ニ費シ
ナガラ、殆ド其效果ガナイト云フノガ相當
アリマスルシ、マア其他、土木事業以外ニ
於キマシテモ、農林、商工等ノ事業ニ於キ
マシテハ、補助金ノ額ニ應ジタル利益ガ、
果シテアルヤ否ヤト云フコトノ疑アルモノ
ガ澤山アルノデアリマス、サウ云フコトヲ
考ヘマスレバ、或ハ所謂勞力ニ對スル報酬
トシテ、之ヲ配ル譯ニハ行カナイカモ知レ
マセヌケレドモ、只今議題ニナッテ居ル所
ノ、小學校費ニ對スル國庫補助ノ如キハ、
最モ適切ナル方法デアルト信ズルノデアリ
マス
又只今例ニ擧ゲ、又吾々ガ地方財政調整
交付金法案ヲ出シタ點ニ付キマシテ、卽チ今
日ノ財政狀態カラ見テ、吾々ハ何ガ故ニ本
案ニ附帶決議ヲ附ケ、又地方財政調整交付
金ニ付テ提案致シタカト云フコトニ付テ
モ、要スルニサウ云フ點ニアルノデアリマ
ス、卽チ將來市町村ノ財政ノ窮乏ヲ救フ爲
ニハ、國家トシテドウシテモ考ヘテ行カナ
クチヤナラヌ問題デアル、故ニ吾々ハ本案
ニ付キマシテモ、其附帶決議ニ於ケル財源
ニ付テハ、曩ニ大藏大臣ハ安心セヨト云フ
コトヲ申サレタノデアリマシテ、必ズ大藏
大臣トシテモ相當ナル成算ガアルダラウト
思ヒマス、又文部大臣モ責任ヲ以テ善處ス
ルト言ッテ居リマスカラシテ、文部、大藏兩
當局ニ對シテ、十分ナル信賴ヲ以テ、財政
ノ方面ニ於テモ、財源ヲ得ルコトニ努力セ
ラレンコトヲ希望スルノデアリマス
又私ハ先日大藏大臣ニ註文シテ置キマシ
タガ、ソレハ若シ大藏大臣ガ、財政上到底
財源ガナイト云フナラバ、從來ノモノニ付
テ考ヘタラ宜カラウ、卽チ或ハ地方財政調
整交付金ト言ヒ、或ハ義務〓育費國庫補助
ト言ヒ、是等ノモノハ地方財政ヲ救フ上ニ
於テ最モ良イモノデアリ、又最モ公平ニ國家
ノ國費ヲ分配スル所ノ方法デアルカラシテ、
是等ニ付テ先ヅ考フベキデアル、隨テ大藏大
臣ガ、若シ到底財政上餘裕ガナイト云フコト
ヲ言フナラバ、ドウカ補助金或ハ助成金ト云
フモノニ對シテ整理ヲ與ヘテ貰ヒタイ、補助
金ノ費途ニ付テハ相當弊害ガアル、先ニ御話
シタ如ク、必シモ補助金ノ額ニ應ジタル所ノ
利益ヲ擧ゲ得ルヤ否ヤト云フコトヲ疑フベ
キ事業ガ澤山アリマス、是等ハ又一方ニ於
テハ、ソレガ爲ニ市町村財政ヲ益〓涸渴サセ
ツヽアル、又甚シキハ此種ノ公共團體ガ事
業ヲ取ル爲ニ、民間ノ事業ガ淋レテ行ク、
民間ノ人々ガ是等ノ公共團體ノ爲ニ、卽チ
公共組合ノ爲ニ自己ノ事業ヲ奪ハレテ、サ
ウシテ其業務ガ次第ニ衰ヘテ行クト云フ實
蹟モ相當アルノデアル、今囘ノ米穀ニ關ス
ル統制組合ノ如キニ、米穀業者ガ反對スル
ノモ其一ツデアリマス、產業組合ト云フ特
權ヲ有ッテ居ル公法人ガ、私人ト競爭シテハ
敵ハナイト云フノガ、彼等ノ一ツノ惱ミデ
アッテ、此種ノ惱ミハ-今日幾多濫設サレ
テ居ル所ノ公法人ニ對シテハ、相當國家ト
シテ此制度ニ付テ考ヘル必要ガアルト思フ、
吾々ハサウ云フ點ニ付テ大藏大臣ガ、到底財
政上財源ニ餘裕ガナイ際ニ於テハ、補助金
ノ整理ヲヤッタラ宜カラウト云フコトヲ進
言シクノデアリマス、大藏大臣モ其點ニ付
テハ、內閣審議會ニ付議シテ相當〓究シヨ
ウト云フ御答辯デアリマシタガ、要スルニ
今日地方財政ガ甚シキ窮乏ニアルト云フコ
トハ、是ハ一般ニ議論ガナイノデアリマス、
旣ニ本委員會ニ於キマシテモ、內務、文部
兩大臣モ之ヲ認メテ居リマス、隨テ此善後
處置ニ付テハ、亦文部、大藏兩當局ガ深甚
ノ注意ヲスルト云フコトガ必要デアリマス
ルガ、是ト同時ニ地方ノ財政ノ窮乏ヲ救ヒ、
今日農村ノ甚シキ貧窮ヲ救濟スル爲ニ、根
本的ニ相當考慮スル必要モアラウト云フコ
トヲ痛感スル次第デアリマシテ、本法案ニ
付テ吾々ガ附帶決議トシテ此費用ハ是非繼
續シテ貰ヒタイ、又此費用ニ付テハ、或
〓員ノ首ヲ馘ルトカ、授業料ヲ徵收スル、
其他〓育上ノ施設ヲ害スルヤウナコトノ無
イヤウナ風ニ、政府ニ十分ナル考慮ヲシテ
貰ヒタイト云フノガ、卽チ本案ノ附帶決議
デアルノデアリマス、斯ノ如キ附帶決議ヲ
附シマシテ、吾々ハ本案ニ贊成スル次第デ
アリマス、仍テ贊成ノ理由ヲ簡單ニ玆ニ申
上ゲタノデアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=63
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064・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 是ニテ討論ハ終
リマシタ、兩案ノ第二讀會ヲ開クニ御異議
アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=64
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065・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 御異議ナシト認
メマス、仍テ兩案ノ第二讀會ヲ開クニ決シ
マシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=65
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066・青木雷三郎
○靑木雷三郞君 直チニ兩案ノ第二讀會ヲ
開キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ
通リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=66
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067・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 靑木君ノ動議ニ
御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=67
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068・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 御異議ナシト認
メマス、仍テ直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開キ、
議案全部ヲ議題ト致シマス
市町村立尋常小學校費臨時國庫補助法
中改正法律案第二讀會(確定議)
公立學校職員年功加俸國庫補助法中改
正法律案第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=68
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069・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 別ニ御發議モア
リマセヌ、第三讀會ヲ省略シテ、兩案トモ
委員長報告通リ可決確定致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=69
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070・青木雷三郎
○靑木雷三郞君 殘餘ノ日程ヲ延期シ、本
日ハ是ニテ散會セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=70
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071・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 靑木君提出ノ動
議ニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=71
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072・植原悦二郎
○副議長(植原悅二郞君) 御異議ナシト認
メマス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、次會
ノ議事日程ハ公報ヲ以テ御通知致シマス、
本日ハ是ニテ散會致シマス
午後四時四十一分散會
衆議院議事速記錄第二十六號
中正誤
頁段行誤正
五六七一一九件シ併シ
五九五二一二我心我執
五九五三時期デ始デ
五九七二二〇最ヲ最モ
衆議院議事速記錄第二十七號
中正誤
頁段行
六一四 一一六ニ於ケル各種ノ工事ノ下「ニ
於ケル各種ノ工事」ヲ削ル発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006713242X02819350316&spkNum=72
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