1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十一年五月二十三日(土曜日)午後二時十七分開議
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議事日程 第十三號
昭和十一年五月二十三日
午後二時開議
第一 重要輸出品取締法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第二 輸出絹織物取締法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第三 輸出組合法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第四 米穀自治管理法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第五 米穀統制法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第六 籾共同貯藏助成法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第七 昭和六年法律第四十號中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第八 自動車製造事業法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第九 關税定率法中改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=0
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001・議長(公爵近衞文麿君)
○議長(公爵近衞文麿君) 報〓ヲ致サセマ
ス
〔角倉書記官朗讀〕
昨二十二日思想犯保護觀察法案特別委員會
ニ於テ當選シタル正副委員長ノ氏名左ノ如
委員長侯爵西〓從德君
副委員長子爵保科正昭君
同日委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
昭和十一年度歲入歳出總豫算追加案(第
一號)、昭和十一年度各特別會計歲入歳出
豫算追加案(特第一號)、豫算外國庫ノ負
擔トナルベキ契約ヲ爲スヲ要スル件、昭
和十一年度歲入歲出總豫算追加案(第二
號)、昭和十一年度各特別會計歲入歲出豫
算追加案(特第二號)、豫算外國庫ノ負擔
トナルベキ契約ヲ爲スヲ要スル件(追第一
號)、昭和十一年度歲入歲出總豫算追加案
(第三號)可決報告書
競馬法中改正法律案可決報告書
米穀自治管理法案可決報告書
特別委員會
委員長侯爵池田宣政君
副委員長子爵秋元春朝君
製鐵業奬勵法中改正法律案特別委員會
委員長伯爵樺山愛輔君
副委員長男爵渡邊汀君
臺灣拓殖株式會社法案特別委員會
委員長伯爵柳原義光君
副委員長男爵松田正之君
本日委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
重要肥料業統制法案可決報告書
大正十三年法律第二十四號中改正法律案
可決報告書
昭和七年法律第四號中改正法律案可決報
〓書
製鐵業奬勵法中改正法律案可決報〓書
昭和九年度第一豫備金支出ノ件、昭和九
年度特別會計第一豫備金支出ノ件、昭和
九年度特別會計豫備費支出ノ件、昭和九
年度滿洲事件第一豫備金支出ノ件、自昭
和十年四月至同年十二月昭和十年度第二
豫備金支出ノ件、自昭和十年四月至同年
十二月昭和十年度特別會計第二豫備金支
出ノ件、自昭和十年四月至同年十二月昭
和十年度特別會計豫備金外ニ於テ豫算外
支出ノ件(承諾ヲ求ムル件)可決報告書
朝鮮事業公債法中改正法律案可決報告書
致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=1
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002・子爵西大路吉光君
○子爵西大路吉光君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=2
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003・議長(公爵近衞文麿君)
○議長(公爵近衞文麿君) 池田子爵ノ動議
ニ御異議ガゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=3
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004・議長(公爵近衞文麿君)
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=4
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005・議長(公爵近衞文麿君)
○議長(公爵近衞文麿君) 日程第一、重要
輸出品取締法案、日程第二、輸出絹織物取
締法中改正法律案、日程第三、輸出組合法
中改正法律案、日程第七、昭和六年法律第
四十號中改正法律案、日程第八、自動車製
造事業法案、政府提出、衆議院送付、第
讀會ノ續、委員長ノ報〓、是等ノ五案ヲ一
括シテ議題トナスコトニ御異議ゴザイマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=5
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006・議長(公爵近衞文麿君)
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス、林伯爵
重要輸出品取締法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十一年五月二十一日
委員長伯爵林博太郞
貴族院議長公爵近衞文麿殿
輸出絹織物取締法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十一年五月二十一日
委員長伯爵林博太郞
貴族院議長公爵近衞文麿殿
輸出組合法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十一年五月二十一日
委員長伯爵林博太郞
貴族院議長公爵近衞文麿殿
昭和六年法律第四十號中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十一年五月二十一日
委員長伯爵林博太郞
貴族院議長公爵近衞文麿殿
自動車製造事業法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十一年五月二十一日
委員長伯爵林博太郞
貴族院議長公爵近衞文麿殿
〔伯爵林博太郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=6
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007・林博太郎
○伯爵林博太郞君 只今日程ニ上ボリマシ
タル重要輸出品取締法案外四件ニ付キマシ
テ、特別委員會ノ經過ヲ御報〓致シマス、
此ノ五案ハ頗ル重要ナモノデアリ、且必要
ナモノデアリマスル關係上、全會一致ヲ以
テ可決ニ相成リマシタ、只今ヨリ其ノ經過
ニ付キマシテ、或ルベク簡潔ニ御報告ヲ致
シマス、此ノ特別委員會ハ二十日、二十一
日ニ亙リマシテ、愼重審議致シマシタノデ
ゴザイマス、重要輸出品取締法案、輸出絹
織物取締法中改正法律案、輸出組合法中改
正法律案、此ノ三案ハ何レモ今日海外ニ對
シテ貿易隆盛ノ情況ト相成リマシタノデゴ
ザイマスノデ、極メテ重要ナ法律案デゴザ
イマス、デ從來ハ組合ニ委セマシテ輸出ヲ
奬勵致シテ居リマシタガ、斯クノ如ク殷盛
トナリ且競爭ガ激シクナリマスト云フト、兎
角粗製濫造ニ流レ易クアルシ、又屢〓其ノ憂
ガアッタノデアル、是故ニ輸出製品ノ聲價ヲ
落サナイヤウニ、其ノ必要上カラ此ノ法律
案ガ出來タノデゴザイマス、卽チ不合格品
ノ監督ヲスルト云フコトガ不十分デアッタ
ソヲ、此ノ際補フ必要ガ起ッタノデアル、デ
不合格製品ノ輸出ヲ阻止スル爲ニハ、出來
ルダケ其ノ改善ヲ加ヘナケレバナラナク
ナッテ來タノデアリマス、又輸出商ノ暴利ヲ
取締リ、製產者ノ成ルベク有利ニナルヤウ
ニ、其ノ調節ヲ圖ッタコト、中小輸出業者ガ
大輸出業者カラ壓迫ヲ受ケテ居ッタノヲ、之
ヲ緩和スルト云フコトノ必要上カラモ、法
規ニ依ッテ取締ルコトガ起ッテ來タノデアリ
マス、是ハ提案ノ理由デアリマスルガ、委
員會ニ於キマシテハ非常ニ綿密ナ質問應答
ガゴザイマシタ、其ノ一二ヲ擧ゲテ申シマ
スレバ、外地卽チ例ヘバ朝鮮デ加工シタ粗
製品ヲ輸入スル場合ニハ、如何ニ內地カラ
監督ヲスルカ、之ニ付キマシテハ、朝鮮ニ
於テモ內地ト同一標準ノ下ニ、此ノ法規ヲ
適用シ得ル所ハ適用シテ行クノデアル、又
檢査モスルノデアル、重要輸出品十八以外ノ
輸出品ハ、ドウ云フ風ニヤル考デアルカト
云フ質問ニ對シマシテハ、玆ニ彈力性ヲ持
タシタノデアリマスルガ、是ハ省令ニ於テ
其ノ必要ニ應ジテ新シイモノヲ追加シテ行
ク考デアル、生絲ハ何故此ノ中ニ入ッテ居ラ
ヌノデアルカ、是ハ今迄ノ沿革上、農林省ノ
方デヤッテ居ルヤウナコトデアリマスカラ、
其ノ沿革ニ於テ今囘此ノ中ニ入レテナイノ
デアル、又輸出業者其ノ他ノ參考トシテ、
商品陳列所ト云フモノヲ置ク必要ハナカラ
ウカ、之ニ對シテハソレ等ノコトハ大イニ
考慮スルト云フコトデアリマス、又重要ナ
點ハ此ノ販路指導ノ原則デアリマス、如何
ニ日本デ必要ダト思ヒマシテモ、外國ニ於
テ其ノ必要ヲ認メナイ場合モアルシ、又其
ノ必要ノ種類ガ變ッテ來ルコトモアルノデア
ルシ、其ノ時代ニ應ジテ色々ノ關係ガ彼我
ノ間ニ起ッテ來ル、其ノ生產ノ利害ノ衝突ヲ
避ケルト云フコトハ出來ルダケヤリタイノ
デアル、例ヘバ「ドイツ」デハ鉛筆ガ「バヴ
アリヤ」デ澤山出來ル、其處へ日本カラ鉛
筆ヲ持ッテ行クト云フコトハ、色々外交其ノ
他ニ於テノ感情ノ衝突モ起ルヤウナコトモ
アリマスカラ、ソレ等モ注意シナケレバナ
ラヌ、或ハ半製品トシテ輸出スル方ガ、全
製品トシテ輸出スルヨリモ適切デアルト云
フヤウナ、サウ云フ外國ニ對シテハ又其ノ
事情ニ應ジテ貿易ヲサセルト云フヤウニ、
色々此ノ際ニ於テ考慮ヲシテ居ルノデアル、
ソレカラ生產者ト輸出組合トノ連絡竝ニ其
ノ統制如何ト云フ問題ニ付キマシテ愼重ニ
審議致シマシタ、是ハ十分ニ連絡ヲ取ル積
リデアル、例ヘバ昨年ノ日印通商條約ト云
フヤウナモノガ出來タノデアリマスガ、日
本ノ綿織物ノ輸出組合ガ其ノ際ニ出來タノ
デアル、是ト連絡ヲサセル爲ニ、其ノ生產
業者、輸出業者、棉花ノ輸入業者竝ニ當該
官吏、是等ガ一〓ニナリマシテ統制協議會
ト云フモノヲ造ッタノデアリマス、成ルベク
案ハ之ニ懸ケテ、其ノ承認ヲ經タ上デ統制
ニ移ス、斯ウ云フ考デアルト云フコトデア
リマス、又第十四條ノ工場ノ檢査ニ於キマ
シテノ質問ガゴザイマシタ、工場ニ於キマ
シテハ、輸出ニ付テハ特ニ特殊ノ技能ヲ要
シ、其ノ製作上ニ於テ特殊ノ發明等ノコト
ガアルカラ、其ノ實驗ヲスル部屋ナドニ、
ヤタラニ檢査員ガ入ラレテハ非常ニ困ルコ
トガ多イデハナカラウカ、邪魔セヌ迄モ檢
査ヲシテ無理ナ註文ヲスルヤウナコトガアッ
テハ、甚ダ貿易ノ發展上困ルコトガ起リヤ
シナイカト云フ質問ニ對シマシテハ、此ノ
檢査員ハ出來上ッタ品物ノ中ノ不合格品ヲ、
海外ニ輸出スルヤ否ヤト云フ疑ガ動機デアッ
テ檢査ヲスルノデアッテ、工場ノ中デ如何ニ
製作シツヽアルカノ過程ヲ檢査スルノデハ
ナイノガ目的ナノデアル、此ノ檢査ト云フ
精神ヲ誤ラナイ以上ハ、マア實際問題トシ
テハサウ云フヤウナ不都合ハ起ラナイ、併
シナガラ密輸出ヲスルトカ、或ハ其ノ間ニ
手加減ヲシテ妙ナ物ヲ、不合格品ヲ合格品
ニ見セルヤウナコトノマア發明ト云フカ、
サウ云フ風ノ考デ以テヤッタ場合ハ別デス
ガ、先ヅ常識ニ於テハサウ云フ風ナコトハ
起リ得ナイト考ヘルト云フコトデアリマス、
此ノ檢査合格ノ標準、是ハ消極的デアリマ
シテ、最低ノ合格ノ標準ヲ立テタノデアリ
マス、良イ品物ノ中ニ一等品、二等品、三
等品ト云フヤウナコトヲヤッテハ、貿易上却
テ不都合ガ起リマスカラ最低、是カラ下ハ
落第ダト云フコトノ標準ヲ立テタノデアル、
實例ヲ擧ゲテ見レバ、例ヘバ支那ノヤウナ
所ニ歐洲ノ立派ナ品物ガ行クヨリハ、我ガ
國カラ第二流ノ品物ヲ送ッタ方ガ先方ニモ
受ケガ好イト云フヤウナコトガアル、サウ
云フ場合モ考慮シテ、是カラ下ハ不合格品
デアルト云フ標準ヲ立テタ方ガ寧ロ的確デ、
良イ方ハ放ッテ置イテモ宜イ、サウ云フ風ナ
譯デ、此ノ法律ト云フモノハ寧ロ彈力性ニ
富ムヤウニ出來テ居ルノデアル、本法ノ精
神ハサウ云フ工合デアリマシテ、結局海外
ニ對スル所ノ貿易ニ付テ不良ナル製品ガ出
ナイヤウニ、其ノ騰落ノ餘リ激シグナイヤ
ウニ調節ヲスルト云フ所ニゴザイマス、又
是等ノ生產上ノ知識ノ開發ニ對シマシテハ
工業試驗所、工藝指導所ト云フモノガ出來
テ居ッテ、十分ニ其ノ〓究ヲヤリ、又今後モ
續ケテ行ク積リデアルト云フコトデゴザイ
マス、昭和六年法律第四十號中改正法律案
ハ產業ノ統制ニ關スルモノデゴザイマス、
本法ハ昭和六年ノ頃、日本ノ產業ガ頗ル不
況デアッタ、其ノ際ニ於キマシテハ、其ノ企
業ノ濫立、無益ナル競爭等ガ激シクアッテ、
財界ガ頗ル不安デアッタノデアリマス、之ニ
對シテ安定ヲ與ヘ、健全ナル產業ノ發
達ヲ圖ルガ爲ニ本法ガ出來タノデアリ
マス、然ルニ本法ハ本年八月十日ヲ以
テ滿了ト相成リマス、玆ニ於テ現時ニ卽
應シタモノト變ヘナケレバナラナクナッ
テ來タ、玆ニ於テ今日ヨリ五年間本法
ヲ改善シテ延長スルト云フコトニナッタ所
ニ法ノ精神ガゴザイマス、一、現行法第二條
ノ統制服從命令ヲ發シマシタ場合、其ノ效
果ヲ十分ナラシメル爲ニ、許可制ヲ今度ハ
設ケタノデアル、大臣ノ許可ニ依ッテ生產ノ
擴張ヲ圖ルコトガ出來ルコトニ致シタノデ
アリマス、二、本法ノ適用ヲ逃レタ共同販
賣會社及「トラスト」迄モ、今度ハ取締ルコ
トニナリマシタ、今迄之ヲ取締ルコトガ出
來ナカッタノデアリマスガ、「カルテル」以外
ノ「トラスト」竝ニ共同販賣ノ會社ヲ取締ル
コトニ致シマシタ、三、一般消費者及公益
ノ擁護、以上述ベマシタ「トラスト」ヤ「カ
ルテル」モ安定ノ效果ハアルケレドモ、屢
公益ヲ害スル虞ガゴザイマス、今迄ノ規定
ハ頗ル抽象的デアリマシタカラ、今度ハ具
體的ニ不當騰貴竝ニ低落ヲ阻止スルヤウニ
努メタノデアル、四本法ヲ外地ニ及ボス
日に、第一條其ノ他ニ於キマシテ、之ニ關
シマシテ「主務大臣」ノ句ヲ、「政府又ハ行政
官廳」ニ改メマシタ、質問ノ要項ヲ申上ゲ
テ見マスレバ、日本ハ元來自由主義ヲ以テ
產業ヲ奬勵シテ來タノデアル、今此ノ統制
ヲヤルコトニナルト云フト、全ク此ノ自由
主義ガ束縛サレテ、產業ハ却テ發達ヲ阻止
セラルヽ虞ガアルガ、此ノ點ハドウデアル
カト云フコトニ付テノ質問應答ガアリマシ
タ、之ニ付テハ各般ノ利害ノ衝突ヲ緩和ス
ル上ニ統制ガ寧ロ必要デアリマス、卽チ產
業統制ヲ今日ハ寧ロ强化スル必要ガ起ッテ來
タノデアル、重點ハ國民生活ノ安定ニアル
ノデアル、需給ノ調節、卽チ自由主義ノ上
ニ必要ニ應ジテ統制スルモノデアルカラシ
テ、壓制デハナイノデアル、自由主義ト云
フモノハ、何處迄モ第一義トシテ尊重ヲス
ル、併シ自由ニ放任シタ結果トシテ、無益
ナ競爭ガ頻發スルト云フコトノ虞ガアル、
又色々ソレニ付テノ弊害ガアルカラ自由主
義ハ主デアルガ、玆ニ從トシテドウシテモ
統制ト云フコトノ必要ガアル、ソレカラ又
加入シテ居ラナイ、加盟シテ居ラナイ所ノ
「アウトサイダー」ノ色々ノ弊害ヲ取締ルト
云フコトヲ努メテ居ッタノデアリマス、五箇
年ノ延長ト云フコトニ付テノ質問モゴザイ
マシタ、是ハ今年滿了トナリマスル所ノ本
法ヲ改善シテ、更ニ之ヲ法律ニ致シマシテ、
本法ヲ改善シテ大イニ統制ヲ行ハナケレバ
ナラヌヤウニナッテ來テ居ルノデアルカラ、
此ノ際今日ニ適合シタモノデ五箇年延ビ
ル、ソレナラバ五年先キハ止スノデアルカ
ドウデアルカ、此ノ本法ノ不必要ヲ認ムル
ヤウナ時代ガ來レバ兎ニ角、漸次貿易ガ殷
盛トナリマスニ從ッテ、益〓其ノ統制ノ必要
モ起ルダラウト思フカラ、五年先キノコト
ハ何トモ申セナイガ、又其ノ時ニ應ジテ是
ハ適宜ノ處置ヲ執ルノデアル、此ノ產業ノ
統制委員會ノ顏觸レ、卽チ委員ノ種類ヲモ
ウ少シ專門的ノモノヲ入レテハドウデアル
カト云フコトノ質問應答ガゴザイマシタ、
是ハ臨時委員ヲ設ケテ、其ノ「エキスパー
ト」ヲ之ニ御賴ミヲスルト云フコトニシテ
行キタイト云フコトデアリマス、次ニ自動
車製造事業法案、自動車ガ日本ニ於テ、國
產品ヲ以テ出來ルヤウニナッタコトハ誠ニ
喜バシイコトデアリマス、國防上又經濟上
カラ考ヘテ大衆自動車ノ大量生產ト云フコ
トガ、今日國家總動員ノ上カラ必要ヲ認メ
テ來マシタ、其ノ製造ヲ政府ノ許可事業ト
致シマシテ、助成監督スルノガ本法ノ目的
デアリマス、之ニ付テノ質問ノ一班ヲ申上
ゲテ見マス、第一ニ國防產業ノ關係如何、
國防問題ヲ强調スレバ產業ノ發展ガ却テ鈍
ル場合モアル、今日自動車ノ事業ノ如キモ
ノハ、經濟トシテモ何處迄モ發達サセナケ
レバナラズ、國防ノ上カラモ出來ルダケ發
達サセナケレバナラヌ、此ノ兩者ガ各〓車
ノ兩輪ノ如キ關係ニ行カナケレバナラヌ、
此ノ點ニ付テハ政府ハ萬難ヲ排シテ之ヲ貫
徹セムト欲スルモノデアルト云フコトデア
リマス、又「トラック」ノ補助ニ付キマシテ
ノ質問應答モゴザイマシタ、大衆自動車ヲ
造ラセル理由ニ付テノ質問應答モアリマシ
ク、日產トカ豐田デアルトカ云フヤウナ、
「シボレー」ヤ「フオード」ヨリモ安ク、同ジ
ヤウナ大衆自動車ハ造リ得ルト云フヤウニ
今日ハナッテ居ルノデアル、デ何故大衆自
動車ト云フコトヲ標準ニ置イタカト云フ
ト、是ハ最モ多ク行ハレルカラデアリマス、
小型ノ小サナ自動車ガ澤山殖エタ所デ、一
旦總動員ヲシテ國家ノ危急ノ場合ニ役ニ立
ツト云フコトハドウモ考ヘラレナイ、ソレ
カト云ッテ頗ル高級ノ値段ノ高イモノガ、日
本ニ澤山行ハレルカト云フコトモ考ヘラレ
ナイ、要スルニ大衆向ノ大衆自動車ト云フ
モノガ、最モ多ク行ハレ易イノデアル、又
澤山役ニ立ツ所ノモノガ行ハレルト云フコ
トガ必要デアルカラ、其ノ意味ニ於キマシ
テノ大衆自動車ト云フモノヲ、澤山出來ル
ダケ造ラセルト云フコトガ本法ノ趣旨デア
リマス、トハ云フモノノ部分品ノ如キハ、
海外カラ輸入シナケレバ實際出來ナイヂヤ
ナイカ、又非常ニ高ク付キハシナイカト云
フ質問モアリマシタガ、是ハ政府ノ方面ニ
於キマシテハ、今日デハ製鐵モ、鋼鐵モ、
是等ノ素材ニ關シテハ十分ナル國產ヲ造リ
得ル自信ヲ持ッテ居ル、確信ヲ持ッテ居ルト
云フ答辯デナリマシタ、昭和十年八月九日
以前ニアリマスル所ノ會社ニ付キマシテ
ハ、今日生產ノ事業ノ範圍內ニ於テ繼續ヲ
許サセルノデアリマス、併シ今後ニ於キマ
シテハ、會社ガ自動車ヲ造ル場合ニ於キマ
シテハ、主眼トシテ日本人ノ經營主義ト云
フ所ニ著眼ヲ致シテ居リマス、卽チ國防上
是ハ必要デアルコトハ言フ迄モナイコトデ
アリマス、自動車ノ多數生產、特ニ大量生
產ノ大衆自動車ト云フコトノ必要デアルト
云フコトハ、國防ノ上ニ於テ誰ガ見マシテモ
明カナコトデゴザイマス、斯クノ如ク、以上五
案ト云フモノハ重大ナルモノデアリマスカ
ラ、愼重ニ審議ヲ遂ゲマシタ、而シテ討論
ニ移リ、採決ニ入リマシタ所、五案トモ全
會一致ヲ以テ可決ニ相成リマシタ次第デゴ
ザイマス、以上特別委員會ノ經過ノ報告ヲ
終リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=7
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008・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 質疑ノ通告ガゴ
ザイマスカラ之ヲ許シマス、芳澤謙吉君
〔芳澤謙吉君演壇ニ登ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=8
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009・芳澤謙吉
○芳澤謙吉君 私ハ自動車製造事業法案ニ
關聯シマシテ、一言私ノ所見ヲ違ベテ、之
ニ對シマスル政府ノ御意見ヲ伺ッテ見タイ
ト思フノデアリマス、申ス迄モナク近年我
ガ國ニ於ケル輕工業ハ、非常ナ發達ヲ爲シ
マシテ、是ト同時ニ重工業モ亦長足ノ進步
ヲ爲シタノデアリマス、然ルニ自動車製造
業ダケハ、未ダ十分トハ申スコトハ出來ナ
イノデアリマシテ、其ノ大部分ヲ外國カラ
ノ輸入ニ俟ツト云フ情況ニアルノデアリマ
ス、所ガ躍進日本トシマシテハ、殊ニ現下
ノ世界ハ飛行機ト自動車ノ世界デアル、日
本デモ國防カラ申シマシテモ、產業カラ申
シマシテモ、自動車ノ製造業ノ發達ハ日本
ニ取ッテ必要トスル所デアル、然ルニ只今申
シタ通リ自動車ノ大部分ハ、外國カラノ輸
入ニ俟ツト云フ現況デハ甚ダ心細イ、玆
於キマシテ政府ニ於テ、只今議題トナッテ居
ル自動車製造事業法ト云フモノヲ制定スル
コトニ相成ッタノデアルノデアリマス、此ノ法
案ノ目的ハ、只今委員長カラ縷々御說明ニモ
相成リマシタ通リ、國防上、產業上ノ爲ニ自
動車製造業者ニ對シテ、免稅其ノ他ノ特典、
便宜ヲ與フル、サウシテ自動車製造業ノ奬
勵鼓舞ヲヤルト云フノガ目的デアルノデア
リマス、私ハ此ノ目的ヲ達スル爲ニ誠ニ適
當ナ法律案ト考ヘテ居ルノデアリマシテ、
此ノ法律ガ發布セラレタ後ハ、大イニ自動
事製造業ノ發達ニ貢獻スルモノアルコト
ハ、私ノ確信シテ疑ハヌ所デアリマス、所
ガ自動車ノ製造業ノ發達ト云フコトハ、獨
リ此ノ製造業者ニ對スル奬勵鼓舞ト云フバ
カリデハイカヌヤウニ私ハ考ヘル、ドウ致
シマシテモ製造業者ニ對スル奬勵鼓舞ト
同時ニ、自動車ノ使用サルヽ道路ノ改良、
是ガ必要デアル、又同時ニ自動車ヲ使用ス
ル人ニ對スル奬勵鼓舞ト云フコトモ必要デ
アルト思フノデアリマス、只今議題トナッテ
居リマスル自動車製造事業法案ハ、是ハ製
造業者ニ對スル奬勵鼓舞ノ方法デアル、手
段デアル、勿論道路ノ改良トカ、自動車使
用者ニ對スル奬勵鼓舞ノ途トカ云フモノハ、
此ノ法案ノ中ニ規定スベキモノデハナイノ
デアル、併シナガラ自動車製造業ノ發達ヲ
希望スルト云フ見地カラ申シマスルト云フ
ト、私共ハ矢張リ此ノ道路ノ改良、及自動
車ヲ使用スル人ニ對スル奬勵ノ途ニ付テモ、
政府ノ御考慮ヲ煩ハシタイト思フノデアリ
マス、ソコデ自動車ノ使用サルヽ道路ト云
フ問題ニ付キマシテハ、ドウモ日本ノ道路
ト云フモノガ、甚ダ我々ノ見ル所ヲ以テス
ルト不滿足ナ狀態ニアル、日本ノ國道ノ中
ニ、鋪裝サレタ部分ハ僅カニ一割强デアル、
府縣ノ道路ノ鋪裝サレタ部分ハ二分クラヰ
=當ッテ居ルト云フコトデアリマス、今日、
日本ハ政治上、經濟上、世界ニ於テ我モ他
モ一大强國ヲ以テ任ジテ居ル、其ノ日本ニ
於キマシテ、道路ノ錆裝サレタ部分ハ、只
今申スヤウナ比率デハ、甚ダ心細イ感ジガ
スルノデアリマス、是ハ面目上ノ問題ト云
フヤウナ性質ノモノデナク、實利實害ヲ伴ッ
テ居ル問題デアル、私ノ希望致シテ居ル所
ハ、セメテ國道ダケデモ、國道ノ中デモ特
ニ北樺太ヨリ南臺灣ニ至ル國道ノ幹線ダケ
デモ、早ク鋪裝シタ方ガ宜イト考ヘテ居ル
ノデアリマス、是ハ國防上カラ考ヘマシテ
モ、產業上カラ考ヘテモ、放擲シテ置クコ
トノ出來ナイ問題ト私ハ信ジテ居ル、
自動車製造業ノ發達ノ點カラ考ヘテ見
マシテモ、道路ガ改良セラレ、鋪裝セラレ
ルコトニナリマスト云フト、自動車製造業
ト云フモノハ盛ニナルニ決ッテ居ル、「ドイ
ツ」政府ハ最近ニ六千「キロメートル」ノ大
道路ヲ建築シタサウデアリマス、失業者救
濟ノ目的カラヤッタ事業デアルサウデアリ
マスケレドモ、其ノ結果ニ於テハ自動車ノ
發達、自動車工業ノ發達ニ非常ニ貢獻シタ
ノデアル、日本ノ國道ハ八千「キロ」ト稱セ
ラレテ居ル、八千「キロ」ノ國道ヲ鋪裝スル
ト云フコトハ、大シタ難事業デハナイト私
ハ考ヘテ居ルノデアリマス、「ドイツ」政府
ガ六千「キロ」ノ道路ヲ僅々短日月ノ間ニ拵
ヘタヤウナ努力ニ比べマスレバ、日本ノ國
道全部ヲ、殊ニ繼續事業トシテヤレバ決シ
テ難事業デハナイ、八千「キロ」グラヰノ國
道ヲ鋪裝スルト云フコトハ大シタコドヂヤ
ナイ、之ニ要スル經費トシマシテモ、非常
ニ多額ニハ上ボラヌト思フ、若シ之ヲ繼續
事業トシテ、數年度若シクハ十年間ノ繼續
事業トシテ遂行スルコトニシマスレバ每
年度ニ要シマスル經費ト云フモノハ僅カナ
額デ宜イ、今日國防費十一億、總歲出二十
三億圓ノ豫算ヲ使ッテ居ル日本政府トシマ
シテハ、僅々一年ニ一千萬ヤ二千萬圓ヲ道路
ノ改良費ニ振向ケル、サウシテ數年若シク
ハ十年ノ間ニ完成スルト云フコトニ致シマ
スレバ誠ニ容易ナ事業デアル、其ノ位ノ經
費ノ捻出ト云フモノハ財政當局ニ於テモ左
程私ハ困難ヲ感ゼラレルコトハナイト確信
シテ居ル、多少ノ勇氣ヲオ出シニナレバ出
來ルコトデアル、而シテ其ノ結果ハ誠ニ生
產的事業トナルノデアル、其ノ實例ヲ中シ
マスナラバ、年々外國ノ觀光客カラ日本ハ
數千萬圓ノ利益ヲ擧ゲテ居ル、外國人ハ御
承知ノ通リ鐵道旅行ヨリハ自動車ノ旅行ヲ
好ムノデアル、所ガ不幸ニシテ日本ノ道路
ガ良クナイ爲ニ、折角風光明媚ノ土地ニ行ッ
テ觀光シタイト思ッテモ、多クハ汽車ノ便ニ
依ルヨリ仕方ハナイ、自動車ノ旅行ガ不便
デアル、道路ガ惡イ、若シ國道ヲ初メ、府
縣ノ道路マデ鋪裝セラルヽコトニナレバ、外
國ノ觀光客ハ今ヨリ二倍シ、三倍スルニ至
ルコトハ、是ハ明カナ事實デアルト思フノ
デアリマス、サウ致シマスレバ、只今外國
ノ觀光客カラ日本ハ得ル所ノ數干萬圓、
億圓以內ノ金ト云フモノハ、其ノ時ニナレ
バ二倍シ、三倍スルニ相違ナイ、非常ニ利
益ニナリ國庫ノ自然增收ト云フモノハ大ニ
是デ助ルコトニナル、是ホド結構ナコトハ
ナイト思フノデアリマス、「ホテル」ノ建築
ハ必要デアルカモ知レナイ、ケレドモ何ヨ
リモ必要ナノハ此ノ道路ノ改良デアル、日
本ノ如キ一等國デ以テ、今日ノ情況ノヤウ
ナ道路ヲ持ッテ居ル國ハ、外ニハナイト私ハ
考ヘテ居ル、色々ノ意味カラ申シマシテ、
此ノ道路ノ改良ト云フコト非常ニ必要デア
ルノデアッテ、此ノ自動車ノ製造業ノ發達ノ
上カラ見マシテ、特ニ私ハ一日モ忽セニ
スルコトノ出來ナイ問題デアルト考ヘルノ
デアリマス、只今ノ此ノ道路ノ話ハ、自動車
ガ使用セラルヽ所ノ問題デアリマスルガ、
次ニ此ノ自動車ヲ使用スル人ノ問題デアリ
マス、是ハ卽チ自動車ヲ使用スル人ハ、營
業用トシテ使用スル人ト、自家用トシテ使
用シテ居ル人ト二種類アル、歐米諸國ノ此
ノ自動車ノ盛ナル國ニ於キマシテハ、營業
用自動車ヨリ自家用ノ自動車ノ方ガ遙カニ
多イ、所ガ日本デハ是ト反對ニ「タキシー」
ノ方ガ遙カニ多イ、ドウモ日本ハ一等國ト
申シマシテモ、此ノ點ニ於テハ誠ニ遺憾ニ思
ハルヽノデアリマス、ソレガドウシテサウ
云フ工合ニ自家用ガ少イノカ、日本ニ於テ
ハ自動車ヲ自家用トシテ持ッテ居ルコトハ
贅澤デアル、ソレハ何故贅澤デアルカト云
フト、色々ナ他ニモ原因ガアリマセウケレ
ドモ、第一ニハ稅ガ高イ、自家用ノ自動車
ハ本稅ニ附加稅ヲ合算シマスト云フト、隨
分ナ多額ニ上ボル、馬力ニ依ッテ稅率ガ違ヒ、
又府縣ニ依ッテ稅率ガ違ヒマス、併シ兎ニ角
日本ニ於ケル自動車ニ對スル稅ト云フモノ
ハ、恐ラクハ世界中デ一番高イダラウト思
フ、殊ニ東京府ニ於テハ最モ高イ、併シナ
ガラ自動車ガ若シ果シテ贅澤品デアルト云
フコトナラバ、是ハ禁止的ニ高率ノ稅ヲ課シ
タ方ガ宜イ、決シテ自動車製造業ノ發達ヲ
希フ爲ニ、製造業者ニ對シテ保護奬勵ヲ與ヘ
ル必要ハナイ、若シ自動車工業、製造工業ト
云フモノハ國防上、產業上必要アリトスレバ、
國家トシテハ贅澤品デアルト云フ頭ヲ去ッテ、
サウシテ自動車製造業ノ發達ヲ圖ラナケレ
バナラヌ、若シ贅澤品デアレバ、是ハ禁止ス
ル積リデ益〓稅率ヲ高クスルバカリデナク、
製造業者ニ對スル保護奬勵モ止メタ方ガ宜
イ、併シ私ハソレハ時代逆行デアッテ、現ニ
政府ニ於テモ、今囘此ノ法律案ノ制定ニ著
手セラルヽヤウナ譯デアリマシテ、自動車
ハ決シテ贅澤品トシテ取扱フベキモノデハ
ナイト思フ、國防上ハ勿論、產業上、換言シ
マスレバ政治上、經濟上ニ於テ、日本ガ此
ノ上躍進ヲ更ニ遂ゲムトスレバ、ドウシテ
モ飛行機ト自動車ノ發達ヲ遂行スルコトニ
努力シナケレバナラヌ、其ノ見地カラ申シ
マスト云フト、自動車ノ製造業ヲ發達セム
ガ爲ニハ、今日ノ自家用ノ自動車ニ對シテ
モ稅率ヲ少シ低クスル、是ガ必要デアル、
尤モ此ノ課稅ノ目的ハ、要スルニ自動車ト
云フモノハ道路ヲ破損スルコトガ夥シイ、
是ハ誠ニ御尤モナ話、併シナガラ自動車ノ
數ガ殖エテ、サウシテ全體ノ自動車カラ徵
收セラルヽ稅額ガ多クナレバ、道路ノ改良
費モ亦多クナッテ來ル、詰リ多量ノ自動車ヲ
日本ガ持ツコトニナレバ、府縣ニ於ケル自
動車カラ徴收スル稅額ガ多クナルカラシテ、
改良費モ其處カラ十分出テ來テ、改良事業
ハ賄フコトガ出來ルト思フ、例ヘバ現在ノ
稅率ヲ假ニ三分ノ二ニスル本稅及附加稅
ヲ合シテ······サウシテ其ノ結果自動車ノ數
ガ今日ノ倍ニナルトスレバ、全體ノ稅額ハ
現在ノ稅額ヨリモ餘計ニナル、斯ウ云フ計
算ニナル、ソレデアリマスルカラ今後政
府ガ本法案ノ制定ニ依ルナリ、道路ノ改良
ニ依ルナリ、ソレカラ府縣ノ自動車ニ對ス
ル稅率ヲ低クスルナリ、色々ナ奬勵方法ヲ
講ジマシタ結果、自動車ノ數ガ多クナルト
云フコトニナレバ、自動車ニ對スル稅額ガ
殖エテ來、其ノ結果道路ノ改良費ハ十分
出テ來ル、斯ウ云フコトニナルト思フノ
デアリマス、米國ノ如キハ實ニ自動車ノ數
ガ多イ、所ガ道路ハ非常ニ立派デアル、ド
ウシテサウ云フ立派ナ道路ヲ造ルコトガ出
來ルカ、自動車カラ徵牧スル稅額ハ十二億
圓ニモ上ボッテ居ル、自動車ノ數ガ多ケレ
バソレダケ稅額ガ多クナルカラ、決シテ
道路ノ破損ヲ心配スル必要ハナイ、日本ノ
自動車ノ數ハ全體デ何萬アル、最近ノ調べ
ニ依ルト十三四萬臺デアルト云フ、所ガ英
米佛等ノ國ニ於テハ自動車ノ數ハドウデア
ルカ、「アメリカ」ハ五人カ六人ニ付テ一
臺、「イギリス」ハ二十五人ニ付テ一臺、「フ
ランス」ハ二十人ニ付テ一臺、所ガ日本デ
ハ六百二十人ニ付テ一臺デアル、誠ニ自動
車ノマダ發達ノ遲々タルコトハ、此ノ數字
デモ分ルノデアリマス、サウ云フヤウナ譯
デアリマシテ、私ハ此ノ自動車製造事業法
ノ制定ニハ全然同感デアリマスルガ、併シ
此ノ法案ノ目的トシテ居ル所ハ何處ニアル
カト云フニ、卽チ自動車製造業ノ發達ニア
ル、所ガ自動車製造業ノ發達ト云フコトニ
ナリマスト云フト、最初私ガ申上ゲタ通リ、
此ノ法律ノ制定バカリデハ所期ノ目的ヲ達
スルコトハ出來ナイ、ドウシテモ自動車ノ
使用サルヽ道路ノ改良發達及自動車ニ對ス
ル稅ヲ低クスル、此ノ二ツ、卽チ此ノ製造
業法ト三ツ相竝ンデ初メテ政府ノ希望シテ
居ラレ、民間ノ希望シテ居ル自動車製造業
ノ發達ガ初メテ成功スルコトニナルヤウニ
私ハ考ヘテ居ルノデアリマス、此ノ見地カ
ラ致シマシテ私ノ申上ゲタ只今ノ道路ノ改
良ノ點及稅率ヲ低クスルト云フ點ニ付キマ
シテ、政府當局、ドノ大臣デモ、ドノ政府
委員ドナタデモ宜シイ、政府當局ノ御意嚮
ヲ承ラシテ戴ケバ、誠ニ滿足之ニ過ギヌノ
デアリマス
〔國務大臣小川〓太郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=9
-
010・小川郷太郎
○國務大臣(小川〓太郞君) 只今御意見ヲ
付シテノ御質問デアリマシタ、其ノ御意見
ハ御尤モト存ジマス、私モ同ジヤウナ考ヲ
持ッテ居ルノデアリマス、第一ニ此ノ道路ノ
改良、是ハ最モ必要デアリマシテ、政府モ
幹線道路ノ改良ニハ最モ力ヲ注イデ居ルノ
デアリマス、現ニ東京橫濱ノ間ニハ御承知
ノ通リ鋪裝シタ道路ガ一本アリマスガ、更
ニ之ニ竝行シテモウ一ツノ鋪裝シタ國
道ヲ造ラムトシテ居ルノデアリマス、
其ノ他色々ナ地方ニ政府自ラノ手ニ依ッテ
國道ヲ改良シテ居ルノデアリマスガ、
併シナガラ何分財政上ノ都合モアリマシテ、
思フヤウニハ參ッテ居リマセヌ、只今ノ御意
見ニハ十分ニ副ヒ兼ネテ居ルト思フノデア
リマス、御意見ヲ尊重致シマシテ善處シタ
イト考ヘルノデアリマス、尙次ニ使用スル
人ニ付テノ御意見デアリマス、是モ御尤モ
デアルト存ジマス、自動車稅ニ付テノ御意
見デアリマシタ、御承知ノ通リニ今日ノ自
動車稅ハ地方稅デアリマス、各地方ニ依ッ
テ區々ニナッテ居ルト思ヒマス、或地方デハ
御話ノ通リニ隨分重イ稅ニナッテ居ルカト
モ存ジマス、是ガ自動車ヲ、殊ニ自家用ノ
自動車ヲ廣ク、多ク行ハレルヤウニスルニ
ハ妨ゲデアルト云フノハ左樣トモ存ジマス、
政府ハ此ノ中央地方ニ亙ッテノ稅制改革ヲ
行ハムトシテ居リマス、デ地方稅ノ中デ自
動車稅ハ最モ考ヘナケレバナラヌコトダト
思ヒマス、此ノ稅制改革ニ際シマシテハ、
只今ノ御意見ハドウシテモ考慮セナケレバ
ナラヌト思フノデアリマス、是モ成ルタケ
御意思ニ副ハムコトヲ庶幾シテ居リマス、
尙使用スル人ニ付キマシテハ、他ニモ色々
考ヘナケレバナラヌト思ッテ居リマス、官廳
用ノ自動車ハ勿論國產ノモノニ致シマスト
カ、或ハ今ノ營業自動車ト云フモノニ付テ
ハ、相當統制ヲ加ヘル必要モアルカトモ思
ヒマスガ、サウ云フコトニ關聯致シマシテ
國產自動車ヲ用ヒルト云フコトモ、併セ考
ヘナケレバナラヌカトモ存ジテ居リマス、
御意見ヲ拜承シテ置キマシテ、善處致シタ
イト考ヘマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=10
-
011・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 別ニ御發言ガナ
ケレバ採決ヲ致シマス、以上五案ノ第二讀
會ヲ開クコトニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=11
-
012・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=12
-
013・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ各案ノ第二讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=13
-
014・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=14
-
015・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 直チニ第二讀會
ヲ開クコトニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=15
-
016・近衞文麿
○議長(公爵近衛文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=16
-
017・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 第二讀會、全部
ヲ問題ニ供シマス、全部委員長ノ報告通リ
デ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=17
-
018・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=18
-
019・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ各案ノ第三讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=19
-
020・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=20
-
021・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 直チニ第三讀會
ヲ開クコトニ御異議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=21
-
022・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=22
-
023・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 第三讀會、全部
第二讀會ノ決議通リデ御異議ゴザイマセヌ
カ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=23
-
024・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=24
-
025・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 日程第四、米穀
自治管理法案、日程第五、米穀統制法中改
正法律案、日程第六、籾共同貯藏助成法案、
政府提出、衆議院送付、第一讀會ノ續、委
員長報〓、是等三案ヲ一括シテ議題トナス
コトニ御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=25
-
026・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス、片桐子爵
米穀自治管理法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十一年五月二十二日
委員長子爵片桐貞央
貴族院議長公爵近衞文麿殿
米穀統制法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十一年五月二十二日
委員長子爵片桐貞央
貴族院議長公爵近衞文麿殿
籾共同貯藏助成法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十一年五月二十二日
委員長子爵片桐貞央
貴族院議長公爵近衞文麿殿
〔子爵片桐貞央君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=26
-
027・片桐貞央
○子爵片桐貞央君 只今上程ニナリマシタ
米穀自治管理法案、其ノ外二件ノ特別委員
會ノ經過竝ニ結果ヲ御報告申上ゲマス、委
員會ハ去ル二十日、二十一日、二十二日、
三囘ニ亙リマシテ午前午後ヲ通ジマシテ連
日開會ヲ致シテ、全會一致可決セラレタノ
デゴザイマス、尙希望決議モゴザイマスガ、
ソレモ全會一致可決セラレテ居リマス、是カ
ラ米穀自治管理法案其他ノ提案ノ理由ニ付
テ御說明ヲ申上ゲタイト思ヒマスガ、大體本
議場ニ於テ、過日農林大臣ヨリ詳細ノ御說明
ガゴザイマシタノデゴザイマスカラ、簡單
ニ其ノ內容ヲ申上ゲタイト思ヒマス、米穀自
治管理法案ノ趣旨ハ、過剩米ノアル場合ニ
內地外地ヲ一貫致シマシテ、其ノ方針ノ下ニ
之ヲ民間ニ於テ自治的ニ統制セシメマシ
テ、米穀統制法ノ運用ト相俟ッテ、米穀調節
ヲ圓滑ニシ、併セテ國庫負擔ヲ輕減シヨウ
トスルモノデゴザイマス、卽チ我ガ國ニ於
キマスル米穀ノ需給狀態ト云フモノハ、大
體供給ガ過剩ノ趨勢ニゴザイマスノデ、豐
作ノ場合ハ相當ノ過剩米ヲ生ジマス、而シ
テ米價ヲ低落セシムル虞ガアリマスカラ、
斯樣ノ時ニハ米穀生產者等ノ團體ニ、一定
ノ數量ノ米穀ヲ割當テマシテ貯藏セシメマ
シテ、米價ガ一定ノ程度ニ値上リヲ致シマ
シタ時ニハ、其ノ貯藏ヲ解除セシメマシ
テ、米價ノ變動ヲ調節シ、國民經濟ノ安定
ニ資セムトスルノデゴザイマス、是ガ米穀
自治管理法案ノ改正案ノ內容デゴザイマ
ス、次ニ米穀統制法中改正法律案ハ、三ツ
ノ條項ニ分レテ居リマシテ、第一ハ出〓期
間中ハ最低價格ニ金利、保管料ニ相當スル
金額ヲ加算シマシテ、出廻期間中ノ米價低
落ヲ防ギマシテ、政府ニ對スル最低價格ニ
依ル米價ノ賣渡ノ激增スルコトヲ防ガウト
スルノデゴザイマス、第二ハ災害、事變、
其ノ他避クベカラザル場合ニハ、政府ハ政
府米ヲ賣渡ス途ヲ開カウトスルノデアリマ
ス、第三ハ米ノ代用食料タル小麥及小麥粉
ニ對シマシテ、期間ヲ定メマシテ輸入ヲ禁
止シ、又其ノ輸入關稅ノ增減免除ヲ爲シ得
ル途ヲ開イタノデアリマス、最後ニ籾共同
貯藏助成法案ノ趣旨ヲ申上ゲマス、米穀ノ
出廻調節ト云フモノハ、備荒貯蓄ノ目的ノ
爲ニ籾ヲ共同貯藏サセルノデゴザイマシ
テ、之ヲ助成スル爲ニハ其ノ金利及保管料
ニ相當スル政府ノ所有米ト云フモノヲ交付
シ得ル途ヲ開カムトスルノデゴザイマス、
右ガ三法律案ノ大體ノ內容ノ御說明デゴザ
イマス、是ヨリ委員會ニ於キマスル大體ノ
經過ヲ御報〓申上ゲタイト思ヒマス、委員
會ニ於ケル質問應答モ多々ゴザイマシタノ
デゴザイマスケレドモ、其ノ中ノ主ナルモ
ノヲ數件申上ゲタイト思ヒマス、第一ハ此
ノ法案ハ生產者ニ對シテ、ドンナ影響ガア
ルカト云フ御問ニ對シマシテ、政府ハ本案
ハ、豐作ニ依ッテ米價ガ米穀統制法ノ最低價
格ヲ下ラムトスルヤウナ場合ニハ、過剩米
ヲ統制シマシテ、米價ヲ維持スルノデアリ
マスカラ、生產者ニ對シテハ現在ヨリモ有
利ナルコトデアル、斯ウ云フコトデアリマ
ス、第二ハ消費者ニ對スル影響ハドウデア
ルカト云フ御質問デアリマス、之ニ對シマ
シテハ、此ノ法案ニ依リマシテハ、統制セ
ラレタル貯藏米穀ト云フモノハ、米價ガ最
低價格カラ一割程度値上リシタ時ニハ解除
スルコトトナルノデアリマスカラ、最高價
格ニ達シナイ中ニ米穀ノ供給ヲ增加致シマ
シテ、米價ノ騰貴ヲ抑制スルコトトナルノ
デゴザイマスカラ、現在ヨリハ消費者ニ取ッ
テモ有利デアル、斯ウ云フ御答デゴザイマ
シタ、次ニハ米穀商ニ對スル影響ハドンナ
影響ガアルカト云フヤウナ御尋ニ對シテハ、
色々ゴザイマシタガ〓括シテ之ヲ申上ゲマ
スレバ、政府ハ本法案自體カラハ、米穀商ニ
惡影響ヲ及ボスコトガナイト考ヘテ居ル、
寧ロ米價ノ安定ニ依ッテ米穀商ガ不測ノ損
害ヲ受ケルヤウナ危險ヲ免レルコトガ出來
ルト云フ作用ヲ爲スノデアル、唯米穀取引
所ニ對シマシテハ其ノ影響ヲ及ボスコトガ
アルト考ヘテ居ル、故ニ之ニ對スル方策ニ
付テハ十分考慮シタイト思ッテ居ル、尙本法
實施ニ當リマシテハ、產業組合ノ指導監督
ノ機關ヲ充實致シマシテ、世上ノ不安ノ原
因ヲ一掃スルト共ニ、一方米穀商ニ對シマ
シテハ、其ノ組織スル商業組合ニ對シマシ
テ、政府ニ於キマシテ米穀ノ買上ヲ行フ際
ニ保險金ヲ免除スルノ途ヲ開キ、又政府米
ノ隨時賣却ヲ行ヒマシテ其ノ途ヲ開キ、且
商業組合倉庫ヲ政府ノ指定倉庫トシテ、政
府米ヲ保管セシメ得ルコトトスル等、大體
產業組合ト同樣ノ商業組合ニ對シテモ取扱
ヲ爲スヤウニシタイ、斯ウ考ヘテ居ル、斯
ウ云フコトデゴザイマシタ、尙之ニ付キマ
シテハ商工大臣ヨリモ、農林大臣ト同樣ノ
御答辯ガゴザイマシタ、次ニハ本案ヲ執行
スルナラバ國庫ノ負擔ガ輕減スルト云フガ、
是ハドウ云フ譯カ、斯ウ云フ御問ニ對シマ
シテハ、政府ハ是ハ場合々々ニ依ッテ異ルコ
トデ、ハッキリト數字的ニハ今申上ゲル
コトガ出來ナイガ、大體ノ見込トシテハ
現行制度ヨリハ國庫ノ負擔ヲ輕減スルト思
ハレル、斯ウ云フコトデゴザイマシタ、又
本法實施ニ對シテ、生產者ニ對シテハ如何
ナル施設ヲ講ズルカ、斯ウ云フ質問ニ對シ
マシテ、政府ハ本法ニ依リマシテ統制セラ
レタ米穀ニ對シマシテハ、資金ノ融通、利
子ノ補給及保管料ノ補助、或ハ貯藏ニ必要
ナル倉庫ノ建設等ニ對スル補助ヲ行ヒマシ
テ、貯藏ヲ命ゼラレタルモノニ對ジマシテ
ハ、成ルベク負擔ヲ掛ケナイヤウニ致シタ
イ、斯ウ云フ考デアル、斯ウ云フ答辯ガゴ
ザイマシタ、ソレカラ產業組合ヲ統制組合
ノ代行機關ト認メルコトハドウカト云フ御
質問モゴザイマシタ、是ハ政府ヨリノ御答
二、現下農村ノ實情已ムヲ得ザルモノガ
アルノデサウ云フ風ニシタノデアル、斯ウ
云フ御答デゴザイマシタ、尙政府ハ本案ノ
實施ニ當ッテ、產業組合ヲ重壓スルヤウナ意
思ヲ持ッテ居ルノデハナイカ、斯ウ云フ御尋
モゴザイマシテ、政府ト致シマシテハ之ニ
對シテ、產業組合トシテハ、飽ク迄モ產業
組合自體ノ健全ナル發達ヲ遂ゲサセルノガ
希望デアル、斯ウ云フ御答デゴザイマシタ、
又附則ニ當分ノ內ト云フコトガゴザイマス、
ソレハ何時頃迄ヲ指スノカト云フ御質問ニ
對シマシテモ、現在ノ米穀事情ガ今日ノヤ
ウナ事情デアル以上ハ、此ノ附則ノ規定ガ
適用サレルノデアル、斯ウ云フ御答デゴザ
イマシタ、又朝鮮及臺灣總督ニ於ケル將來
ノ米作ニ對スル方針ハドウ云フ風ニスルノ
カ、斯ウ云フ御質問モゴザイマシタ、之二
對シテ政府ハ、內地、朝鮮及臺灣ヲ通ジマ
スレバ、米穀ト云フモノハ大體供給過剩ノ
趨勢ニアリマスカラ、朝鮮ニ於キマシテハ
產米計畫ヲ中止シテ代作奬勵ヲ致シマスシ、
又臺灣ニ於キマシテモ甘蔗、其ノ他ノ代作
奬勵ヲ致シマシテ、生產ノ統制ヲ圖リタイ、
斯ウ云フ方針デ居ルト云フ答デゴザイマシ
ク、又次ニハ過剩米ノ推算ハ大變困難デア
ルト思フガ、奬來何カ之ヲ是正スルノ方策
ヲ講ズルカドウカ、斯ウ云フ御質問モゴザ
イマシタ、現在高調査、移動調査及收穫豫
想高調査等ヲ一層精密ニシマシテ、之ニ基
キマシテ推算ヲ行ヒタイト思フ、斯ウ云フ
答辯ガゴザイマシタ、其ノ他多々ゴザイマ
シタガ、本法ノ實施ニ伴フ倉庫ノ計畫ハド
ウデアルカ、臺灣米ノ貯藏ハ困難ダト思フ
ガドウデアルカ、內地ニ於テ生產制限ヲス
ルヤウナ意思ガアルカ、又本法ニ依リマシ
テ、外地ニ於テ貯藏ヲ命ジテモ、貯藏米以
外ノ米穀ハ移出シテ來ルカラ、外地ヨリノ
內地移入數量ガ減少シナイガト云フヤウナ
御尋モ多々ゴザイマシタガ、マダ〓〓餘程
色々ゴザイマスノデアリマスケレドモ、長
クナリマスカラ是ハ省略致シマシテ、大體
今ノヤウナコトダケヲ申上ゲタ次第デアリ
さく、是等ノ種々應答ガゴザイマシテ審議
ヲ致シマシタガ、詳シイコトハドウカ速記
錄デ御覽ヲ願ヒタイト思ッテ居リマス、以上
質問應答ヲ大體終了致シマシテ、討論ニ移
リマス前ニ御意見モゴザイマシタノデ懇談
會ヲ開キマシタ、懇談會ノ席上ニ於キマシ
テモ希望ノ決議ト云フヤウナ話モゴザイマ
シク爲ニ、小委員會ヲ作リマシテ此ノ案ヲ
練リマシテ、出來上リマシテ再度開會ヲ致
シマシテ、討論ニ移リマシタ、討論ニ入リ
マシテカラ、一委員ヨリ本法ヲ實施スルコ
トハ必要ノモノト思フガ、其ノ內容ニ付テ
ハ稍〓遺憾ノ點ガアルト思フガ、併シ此ノ法
案ノ運用ノ如何ニ依ルコトデアッテ、是ハ政府
ノ運用ニ當ッテ遺憾ナキヲ期シタイ、斯ウ云
フ希望ヲ述ベラレマシテ三案ニ對シテ贊成
ノ意見ガゴザイマシタ、ソレニ付キマシテ
採決致シマシタ結果、三案ニ付テ何等異議
ナク全會一致デ可決セラレタヤウナ次第デ
アリマス、右申上ゲマシタ次第ニ依リマシ
テ、決議案ガ玆ニ出來マシタノデアリマス、
其ノ決議案ヲ茲ニ朗讀ヲ致シマス
希望決議
政府ハ米穀ノ生產配給消費ニ亙リ內
地外地ヲ通シ基礎調査ヲ整ヘ米穀事情
ノ變化ニ適應スル米穀政策樹立竝運用
ニ遺憾ナキヲ期スヘシ
二、政府ハ米穀統制ニ關シ各種法制ノ適
正ナル運用ニツキ指導監督ヲ周到ニシ
內地朝鮮臺灣ノ官廳ノ職務及協力ニ關
シテ遺漏ナキヲ期スヘシ
三、政府ハ米穀統制施設ニ依リ米穀ノ取
引及配給ノ機關ニ及ホス影響ニ關シ適
當ナル對策ヲ講スヘシ
是ガ希望決議デアリマス、之ヲ委員會ニ諮
リマシタ所ガ、全會一致御贊成デゴザイマ
シタ、以上ノヤウナ次第デゴザイマシテ、
委員會ニ於キマシテハ米穀自治管理法案、
米穀統制法中改正法律案、籾共同貯藏助成
法案ノ三案ヲ全會一致ヲ以テ可決ニナッタ
ヤウナ次第デゴザイマス、極ク簡略デゴザ
イマスガ、速記モゴザイマセヌシ致シマス
ノデ、自分ノ覺エヲ以テ御報告申上ゲタヤ
ウナ次第デアリマス、ドウカ御諒承ヲ願ヒ
タイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=27
-
028・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 通〓ガゴザイマ
スカラ發言ヲ許シマス、小林嘉平治君
〔小林嘉平治君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=28
-
029・小林嘉平治
○小林嘉平治君 私ハ只今上程ニ相成ッテ
居リマスル米穀自治管理法案外二案ニ付キ
マシテ贊成ノ意ヲ表スル者デアリマス、私
ガ改メテ申上ゲル迄モナク米ノ問題ハ國策
トシテ最モ重要ナ問題デアリマシテ、而モ
此ノ重要ナ問題ガ、過日ノ衆議院ニ於キマ
シテ、殆ド全會一致ヲ以テ可決サレタノデ
アリマス、私共愈、自分ノ自信ヲ强ク致シ
タ次第デアリマスノデ、又先刻委員長ノ御
報〓ノ通リ、委員會ニ於キマシテモ全會一
致ヲ以テ可決ヲ致シタノデアリマス、コン
ナ風ニ大體此ノ案ノ見通シガ付イテ居リマ
スノデ、會期切迫ノ折柄、私ハ此ノ壇上ニ
登ルコトヲ見合ハサウカトモ思ッタノデア
リマスルガ、世間ニハマダ色々此ノ問題ニ
付テハ心配ヲナシテイラッシヤル方ガ、現ニ
今尙我々ノ手許ヘ反對ノ意味ノ色々ノ御書
面ノ參ッテ居ルヤウナ現狀デアルノデアリ
マス、デアリマスカラシテ私共此ノ米ノ問
題ニ對スル政策ヲ常ニ支持シツヽアル所ノ
一人ト致シマシテ、此演壇カラ自分共ノ信
念ヲ語ルト云フコトハ決シテ無意味デナイ
ト思フノデアリマス、先刻委員長ノ御報〓
ニ依リマシテ、此ノ法案ノ內容如何、又ド
ウ云フ働キヲ爲スモノデアルカ、又世間ノ
人ノ色々ノ誤解モ大凡解ケ得タト思フノデ
アリマス、從ッテ私共此ノ本案其ノモノニ付
テノ詳シキ自分ノ考ヲ述ベル必要ヲ認メマ
セヌ、殊ニ此ノ自治管理法案ハ、曩ニ統制
法ガ議題トナッテ現レマシタ時ニ、我々モ其
ノ委員ノ一人デアリマシタガ、ドウシテモ
此ノ統制法ヲ實行スルノニハ、外地米ノ問
題ニ付テ大イニ〓究ヲスル必要ガアル、外
地米ヲ此ノ儘ニ放置シテ置イテ統制法ヲ實
行シテ見タ所ガ、恰モ栓ノ拔ケトル桶ニ水
ヲ入レルヤウナモノデ、目的ヲ達シ得ナイ、
何トカ此ノ防ギヲ付ケナケレバナラヌト云
フコトガ、衆議院及貴族院ニ於ケル所ノ要
望デアッタノデアリマス、此ノ要望ニ對シテ
衆議院ニ於テハ、各派ノ代表者、貴族院ニ
於テハ有力ナル方々ガ委員トナラレテ、所
謂米穀對策調査會ト云フモノガ出來テ、其
ノ對案ニ基イテ政府ノ提出シタ法律デアル
ノデアリマシテ、謂ハヾ此ノ法律案ハ、所
謂民間ト政黨ト政府トノ持チ寄リデ出來タ
法律案デアルノデアリマス、斯ウ云フヤウ
ナ經過カラ見マシテモ、私共今更此ノ問題
ニ付テ彼此申ス必要ハナイノデ、此ノ問題
ノ內容ニ觸レ、又此ノ問題ニ付テ別ニ贊成
ノ自分ノ考ヲ申ス必要ハ認メマセヌガ、先
刻申上ゲタヤウナ世間ニハ色々誤解ヲシテ
居ル者ガアル、デアリマスカラ其ノ點ニ觸
レマシテ、私ハ玆ニ自分ノ所信ヲ語リタイ
ト思フノデアリマス、デ大體世間デ色々論
難ヲ致シテ居リマスルガ、是ハ此ノ案其ノ
モノデナイノデアリマシテ、此ノ法律ガ所
謂統制法ノ補强工作デアル、此ノ法律ガ實
行サレタナラバ、彼ノ米穀統制法ハ愈〓力强
イモノニナル、斯ウ云フ意味デ所謂米穀對
策其ノモノニ付テ、總體的ニ色々心配モシ、
論難モ致シテ居ルノデアリマス、其ノ主ナ
ルモノヲ申上ゲマスト、第一ハ此ノ米穀法
ハ、政府ノ實行シテ居ル所ノ、又セムトス
ル所ノ對策ハ高米價政策デアル、米ノ値段
ヲ高クスル政策デアル、從ッテ消費大衆ノ生
活ヲ脅威スルモノデアル、斯ウ云フ誤解デ
アリマス、第二ハ農村對策デアルト言ウテ
居ルガ、其ノ實ハ地主擁護デアル、小農所
謂農民ノ中ニモ米ヲ買ハヌナラヌ者ガアル、
斯ウ云フ者ハ却テ此ノ髙米價政策ノ爲ニ非
常ナ迷惑ヲシテ居ル、斯ウ云フ非難デアリ
マス、第三ニハ、此ノ米ノ配給ニ關係ヲシ
テ居ル所ノ商賣人ハ、其ノ生業ヲ奪ハレル
ノデアル、第四ハ、以上ノヤウナ譯デアル
カラシテ、重大ナル社會問題ヲ惹キ起スコ
トニ至ル、第五ハ、國庫ノ負擔ヲ輕減スルト
言フガ決シテサウデナイ、反對ノ結果ヲ持
チ來スモノデアル、凡ソ以上ノ五點ガ私ハ
主ナルモノデアルト思フノデアリマス、其
ノ一々ニ付キマシテ自分ノ所信ヲ玆ニ語リ
タイト思ヒマス、第一ノ消費大衆ノ生活ヲ
脅威スル、是ハ大イナル問題デアリマス、
私共愼重ニ考ヘタイ、米ノ問題ハ如何ニモ
消費大衆ニハ大キナ關係ノアル問題デアリ
マシテ、此ノ論難スル方ノ言ハルヽ通リ、
所謂高米價政策デ消費者ヲ顧ミナイト云フ
コトデアルナレバ、我々ハ極力此ノ法案ニ
對シテ反對ヲシナケレバナラヌノデアリマ
ス、私共愼重ニ考ヘテ見タイ、私共ノ見ル
所ヲ以テスルト、決シテ高米價政策デハナ
1、所謂適當ナ價格ヲ維持安定スルガ爲ニ
出來テ居ル私ハ政策ナリト見テ居リマス、
私共此ノ法案ニ付キマシテハ相當〓究ヲ積
ンダ一人デアリマスガ、所謂政府ノ買上ゲ
ル所ノ最低米價ト云フノハ、如何ニシテ算出
シタカ、之ヲ調ベテ見タナラバ能ク分ルノ
デ、所謂生產者側ノ生產費ト云フモノヲ勿
論一面ニ參酌致シマス、又其ノ半面ニ所謂
家計米價、一體消費者側デハドノ位迄ハ米
代ニ拂ウタラ宜イカ、所謂家計米價、之ヲ
見出スノデアリマス、是ニハ相當澤山ナ消
費者ノ數ニ亙リ、色々ノ階級ニ亙リマシテ
統計ヲ致シマシテ、其ノ結果得タ所ノ家計
米價デアリマス、サウシテ勿論生產費ヲ償
ハヌト云フコトモ困ルガ、所謂此ノ家計米
價ノ標準ヲ超エテハナラヌト云フコトニシ
テ最低米價ヲ定メルノデアリマス、又此ノ
最低米價ニ依ッテ漸ク生產費ハ維持サレマ
ス、米ガ如何ニ上ッテモ最高米價ヲ定メマ
シテ、ソレ以上ハ上ラナイヤウニ、是ガ此
ノ法案ニ依ッテ定メラレテアルノデアリマ
ス、又此ノ法案ノ活動ニ依ッテ其ノ實行ガ出
來ルノデアリマス、デ斯ウ云フ風ニ極ク基
礎的ニ考ヘテ見タナラバ、私ハ直チニ此ノ
疑問ハ打消スコトガ出來ルデアラウト思フ、
現ニデス、實例ガアル、大正九年ニハ所謂
一千萬石以上モ不作デアリマシタ、凶作デ
アリマシタ、又十年ニモ引續イテ不作デア
リマシタ、ニモ拘ラズデス、是ガ米穀統制
ガ發動シナカッタナラバ、前ノ實例デ調ベテ
見マスルト云フト、恐ラクハ米ハ石四十圓
以上デアッタデアリマセウ、一俵ニ致シテ十
六圓デアリマス、ニモ拘ラズ此ノ二年間一
俵十二三圓ノ値段デ止ッテ居ルト云フコト
ハ、如何ニ此ノ統制法ガ先刻申上ゲタ、消
費者ノ側ニ有利ニ働イテ居ルカト云フコト
ヲ、現實ニ我々ハ體驗シ得タノデアリマス、
又其ノ半面ニ大正八年ハ豐作デアリマシタ、
一千萬石以上モ平年ヨリ多ク取レマシタニ
モ拘ラズ、大正九年ニ米ガ一俵八圓內外ヲ
維持シ得タト云フコトハ、所謂生產者側ヲ
保護シタノデアリマシテ、若シ是ガ放置サ
レテアッタナラバ、恐ラク五圓ニモ低落シタ
ノヂヤナイカト思ハレマス、是ハ前例ガ明
カニ示シテ居ル、ニモ拘ラズ石二十圓〓外
ヲ維持シテ農民ニ安心ヲ與ヘタト云フコト
ハ、確カニ統制法ノ働キデアル、理窟ノ上
カラモ實際ノ上カラモ現ニ我々ハサウ云フ
實例ヲ見セテ貰ウトルノデアリマス、次ニ
私ハ適當ナル米穀ノ維持及安定ト云フコト
ヲ申上ゲマシタ、確カニ安定ヲ致シマシタ、
此ノ食料品、殊ニ米ノ値段ノ安定スルト云
フコトハ極ク必要ナコトデアルガ、所謂生
活ノ安定ノ大キナ役割ヲ爲スモノデアリマ
ス、是ハ私ガ改メテ申スマデモナイコ
トデアリマス、如何ニ安定シタカト云
フコトハ、是モ私ハ政府當局カラ得マ
シタ材料ニ依ッテ······、是ハ一昨年ノ委
員會デアリマシタカ······是ハ當年デス、
尙其ノ前ニ得タ自分ノ材料モ併セテ統計
的ニ調ベテ見マスト云フト、所謂大正十年、
アノ不完全ナ米穀法デアリマシタ、今ノ統制
法カラ見ルト誠ニ不完全ナモノデス、アノ
不完全ナ米穀法デアッタガ、アレヲ中心トシ
テ過去十二年、又昭和七年マデノ十二年、
十二年ノ間ノ統計ヲ取ッテ見マスルノニ、大
正十年カラ昭和七年ニ至ルマデノ米價ノ動
キハ、百ニ對シテ二七·三デアリマス、然ル
ニ遡ッテ明治四十二年カラ大正九年マデ十
二年間ノ統計ヲ取リマスト百ニ對シ三九·
八ノ變動ガアルノデアリマス、又最近ノコ
トハ此ノ統計ニ依リマシテ、所謂統制法ガ
發動シテカラ、昭和九年カラ此ノ十一年ニ
至ル間ノ動キヲ見マスト云フト、僅カニ一
八·九九デアリマス、如何ニ此ノ米穀法ガ、
不完全ナル米穀法デアッタカ、又完全ナル此
ノ統制法ニ依ッテ相場ガ安定シタカト云フ
コトヲ、數字ノ上ニハッキリ見ルコトガ出來
ル、又事實ニ於テ全國ノ取引所ガ殆ド自滅
ノ狀態ニアル、何トカ是ハ救濟ヲセネバナ
ラヌト云フ狀態ニ陷ッテ居リマス、是ガ又明
カニ常識的ニ判斷ガ出來ルノデアリマス、
勿論取引所ノ〓微シタト云フコトニ付テハ
色々ノ原因ガ外ニアリマス、ソレハ能ク承
知シテ居リマスガ、此ノ相場ノ足掻キガ少
クナッタト云フコトガ、アノ方々ニ興味ヲ少
クシテ、一面自滅ノ狀態ニ陷ッタト云フコト
モ一ツノ原因ニ數ヘテ宜カラウト思フノデ
アリマス、コンナ風ニ考ヘマスト、今ノ高
米價政策ナンカ怪シカラヌ譯デ、所謂適正
ナル、適當ナル米價ノ維持安定ノ爲ニ、大
イナル働キヲ爲シテ居ルト云フコトヲハッ
キリト私ハ理論ノ上カラ、事實ノ上カラ立
證スルコトガ出來ルト思フ、次ニハ地主擁
護デアル、隨分聞ク聲デアリマス、是モ一
ツ檢討シテ見タイ、如何ニモ農村ニハ自分
デ米ヲ作リナガラ、全部ノ食糧ヲ支ヘルコ
トガ出來ナイノデ米ヲ買ハヌナラヌ方々ガ
澤山アリマス、事實デアリマス、從ッテ米ノ
高クナルノハ一面困ルト云フ常識判斷モ出
來マス、併シナガラ此ノ米價ガ適當ナル價
格ヲ維持シテ下落ヲシタナラバドンナ狀態
ニナルカ、何レ自分自ラ作ッタ米デ自分ヲ
支ヘルコトノ出來ヌ人ハ、或ハ勞働ヲシテ
村デ働イテ居ルトカ、或ハ小店ヲ開イテ生
計ヲ立テテ居ル人デアリマス、決シテ米ノ
安クナルノヲ喜ビマセヌ、如何ニモ其ノ人
ノ出スオ金ハ少イヤウデアルガ、米ガ安ク
ナッタラ傭ヒ手モ少クナル、又賃銀モ安クナ
ル半面ニ······又小店ヲ開イテ居ル者ハ品
物モ賣レナイト云フコトニナルノデ、決シ
テ所謂其ノ米ノ唯安イ〓〓ト云フコトヲ望
ムモノデハナイノデアリマス、是ハ私共ハ
農村ニ住ンデ居リマスカラシテ、農林省カ
ラ發表サルヽ所ノ其ノ數字ノ如何ニ拘ラズ
私共ハ體驗ヲ致シテ居ル、又是ト能ク似タ、
今ノ米ノ高イト云フコトハ都市ガ困ル、都
會地ガ困ル、延イテハ農村對都市ノ問題デ
アルヤウニ此ノ米ノ問題ヲ吹聽スル人ガア
リマス、決シテソンナモノヂヤアリマセヌ、
米ガ安クナッタナラバ所謂不景氣デ、都市ニ
於ケル所ノ品物モ賣レナイト云フ實情デ、
例ヘバ何カ盆カ正月ニ大安賣ヲ始メテモ、
トント品物モ賣レナイト云フノハ、今年ハ
米ガ安カッタンデト云フヤウナコトハ、是ハ
實際ノ實情デアルノデアリマス、コンナ風
ニ考ヘマスト、適當ナル米價ヲ維持スルト
云フコトハ、決シテ單ナル地主擁護デモナ
ケレバ、又單ナル所謂農村擁護デモナイト
云フコトガハッキリト認識シ得ルト思フノ
デアリマス、次ニハ所謂配給ニ關係シテ居
ラルヽ米穀商ノ方ガ、其ノ生業ヲ奪ハレル
ト云フ御心配デアリマス、是ハ一面カラ考
ヘマスト色々將來ノコトヲ御心配ナサッテ、
サウシテ斯ウ云フ考ヲ御持チニナルト云フ
コトモ御尤モデアリマス、併ス靜ニ考ヘマ
スト決シテソンナモノヂヤアリマセヌ、先
刻委員長ノ報〓ニモアリマシタ通リ、又政
府當局ガ說明シタ通リデアリマシテ、ソン
ナ影響ノアルモノヂヤアリマセヌ、唯併シ
此ノ法律ヲ離レ、統制ヲ離レテ、所謂產業組
合ト多少此ノ問題ガ觸レル所ガアル、ソコ
デ大袈裟ニ斯ク吹聽サレルノデナイカト思
フノデアリマス、併シ能ク〓〓調ベテ見ル
ト、產業組合デ扱ウタ米ヲ結局誰ノ手デ消
化サレルカト思フト、八九分通リハ商賣人
ノ手ニ依ッテ是ガ處分サレルノデアリマス、
其ノ間ノ過渡期ニ或程度商賣人ノ手ガ拔ケ
ルト云フコトハアリマセウ、又ソコガ產業
組合ノ働キデアリマス、ソレハ認メマス、併
シナガラ結局產業組合デ扱ウタ米ノ八九分
通リハ、商人ノ手ニ依ッテ買取ルト云フコト
ニ相成ッテ居ルノデアリマス、配給スルト
云フコトニ相成ッテ居ルノデアリマス、殊ニ
今度ノ自治管理法案ニ於キマシテ、是ハ政
府當局モ御話ニナッタノデアリマス、第二次
ノ統制ヲスルノニハ米穀商モ矢張リ關係シ
得ルノデアリマシテ、サウシテ其ノ時ニハ
矢張リ同ジ政府ノ補助思典ヲ受ケルコトニ相
成ッテ居ル、殊ニ米價ハ安定致シテ居ルノデア
リマスカラシテ、一層私ハ此ノ統制法ノ恩
澤ト云ウテハ如何デアルガ、其ノ働キニ均
霑シ得ルノデアリマス、併シナガラ何ニシ
マシテモ此ノ產業組合ノ健全ナル發達ト云
フコトハ阻止スルコトハ出來マセヌ、所謂
資本主義經濟ト言ヒマスカ、其ノ缺點ヲ之
ニ依ッテ補ハネバナリマセヌ、殊ニ農村ニ於
テハ一層其ノ感ジヲ深ク致シテ居ル、デ所
謂資本主義經濟ノ補强工作ノ一ツデアルト
モ言ヒ得ルト私ハ思ッテ居ルノデアリマス、
デ健全ナル發達ヲ私共ハ喜ブ者デアル、併
シナガラ所謂法規ヲ無視シ、埓ヲ越エテ、
サウシテ不當進出ヲスルト云フコトニ付テ
ハ、飽ク迄我々トシテモ愼マネバナリマセ
又、又政府モ其ノ方針デ以テ、產業組合ノ
不當進出ヲ監督スルト同時ニ、一面此ノ米
穀商ノ方々ニモ其ノ同業組合ニ對シテハ、
產業組合ト同ジヤウナ特典ヲ與ヘルヤウニ
努力サレツヽアル現狀デアルノデアリマ
ス、ソレデアルカラシテモウ旣ニ私共ノ縣
デモ、目先キノ見エタ米屋サンハ努メテ產
業組合ト手ヲ握ルコトニ努メテ居リマス、
サウシテ共存共榮デ、差當リ是マデナラバ
農村ニ出掛ケテ行ッテ米ヲ買ハナケレバナラ
ヌモノモ、サウシテ浪費ト時間ヲ費シテ來
タモノガ、產業組合ヘ行ケバ安定シタ相場
デ以テ、サウ苦シマズシテ手ニ入ル、又產
業組合デ澤山ニ買入レテ、之ヲ名古屋、大
阪ノ方面へ出ストカ、寧ロ產業組合ト手ヲ
握ッテ、サウシテ協調ヲ保ッテ居ル所ノ現狀
デアルノデアリマス、コンナ風ニ考ヘマシ
テ、ドウカ米穀商ノ方々モ靜カニ此ノ法案
ノ性質、又一面ニハ產業組合ハ如何ナルモ
ノデアルカト云フコトヲバ御諒解ナスッテ、
サウシテオ進ミニナルト云フコトガ必要デ
アルト云フコトヲ痛切ニ感ズル者デアリマ
ス、次ニハ重大ナル社會問題ヲ惹キ起ス、
是ハ實ニ怖ロシイ、我々モ一層考ヘサセラ
レルノデアリマス、併シ以上申上ゲタヤウ
ナ働キヲ此ノ法律ガ爲スモノデアルト考ヘ
タナラバ、根本カラ斯ウ云フ問題ハ心配ガ
要ラナイト、斯ウ私ハ思フ、殊ニアノ東北
ノ凶作ノ場合ニ五十萬石ノ交付米ヲバア
ノ五十萬石ト云フオ金ニシタナラバ一千二
百萬圓モノアノオ米ガ、市價ニ何等ノ影響
モナクシテ交付スルコトガ出來テ、サウシ
テアノ大ナル目的ヲ達シ得タト云フヤウナ
コト、ソレカラ又今度ノ統制法ノ改正ニ依
リマシテ、先刻委員長ノ報〓ノ通リ、災害
ナドノ起ッタ場合ニハ、相當有利ニ其ノ地方
ニ米ヲバ賣却スル途モ開ケタ、又是マデデ
モ私ハ嘗テ委員會ノ時ニ忘レモシマセヌガ
話シタコトガアル、此ノ統制法ニハ社會政
策ノ意味ハ別ニ織込ンデナイガ、實際ノ實
情ノ上ニハ社會政策ノ意味ガ大イニ籠ッテ
居ル、斯ウ云フコトヲ申シタコトガアル、
ソレハ何カト云フト私ノ體驗カラデアリマ
ス、其ノ年ニ米ガ高クテ大變農村ノ者ハ困
リマシタ、然ルニ所謂古米格ノ米ヲ、味ハ
多少惡イデスガ、皆良イ品質デアリマスカ
ラ、分量モサウ減ッテ居リマセヌ、ソレヲ相
當其ノ當時ノ市價カラ見ルト、安イ値段デ
彼等ハソレヲ拂下ゲテ貰ッタ、ソレニ依ッテ
如何ニアノ當時困ッタ農山漁村ガ救ハレタ
カト云フコトヲ體驗ヲ致シマシタ、ソレデ
私ハ實ニ此ノ法案ハ社會政策的ナ意味ガ事
實ニ於テ行ハレタルモノデアルト云フコト
ヲ禮讚致シタコトガアリマス、コンナ風ニ
考ヘルト、重大ナル社會問題ヲ惹キ起スド
コロデナク、社會問題ヲ解決スル所ノ誠ニ
都合ノ好イ制度デアルト云フコトヲ痛感致
シテ居リマス、次ニハ國庫ノ負擔ガ決シテ
減ラナイ、斯ウ云フコトヲ矢張リ反對ノ側
ニ立ツ人ガ仰セラレマス、大體ニ於テソン
ナ理窟ハアリマセヌ、何故カト云ッタナラ
バ是迄國庫ガ全部脊負ッテ居ッタ仕事ヲ、
ソレヲ民間ノ農民ガ脊負ッテ、サウシテ自分
自ラ自治管理ヲヤラウト云フノデアリマ
ス、勿論是ニハ補助ト云フコトモアルノデ
アリマスガ、其ノ爲ニオ金モ費シマスケレ
ドモ、大體ノ建前ガサウデスカラ、經費ノ
餘計要ルト云フ理窟ハ立タナイ、現ニ私ノ
得タ材料ニ依ッテ調ベテ見マスト、假ニ五百
萬石ノ米ヲ政府ガ所謂統制法ニ依ッテ買入
レタ場合ト、ソレカラシテ今度ノ自治管理
法ガ發動シタ場合ト、ソレヲ比較シテ此處
ニ詳シク調ベタモノガアリマスガ、尤モ是
ハ五百萬石ト云フコトニ相成ッテ居リマス、
尤モソレデアルカラ三年間ハ凡ソ持タネバ
ナラヌモノト見テ、其ノ相場ノ變動モ豫想
シテアリマス、一面ニ此ノ自治管理ガ發動
スル場合ニハ、最低値段ノ一割ヲ超エタ時
ニハ解除シ得ルノデアリマスカラ、是ハソ
ンナニ長ク持タヌデモ宜イ、一年デ大體解
除シ得ルモノト云フ想像ノ下ニ立テタ案デ
アリマス、又其ノ數量ニ於テハ、自治管理
ガ發動シタ場合ニハ、政府ニ於テハ百五十
萬、民間ニ於テハ三百五十萬、斯ウ云フコ
トヲ基礎トシテ立テタ數字デアリマス、ガ
併シ今申上ゲタ理論ヲ基礎トシテ机ノ上ノ
計算ヲシテ見マスト、驚ク勿レ五百萬石ニ
付テ二千八百五十萬圓ト云フ玆ニ政府ノ支
出ガ助ルト云フ數字ガ現レテ居ルノデアリ
マス、是ハ其ノ事情々々ニ卽シテ必ズシモ
斯ウハナラヌデセウ、デスガ今ノヤウナ基
礎ノ下ニ計算ヲスルト、少クトモ經費ガ減
ズルガ、殖エルト云フコトハ何處カラ眺メ
テモ、サウ云フ結論ハ見出シ得ナイノデア
リマス、ソンナ風ニ考ヘテ見マスト、又衆
議院ニ於ケル所謂少數會派ノ方ニモ隨分此
ノ小農ニ付テ心配ヲシテ戴イテ居ル方々デ
アリマス、サウ云フ御方モ此ノ法案ノ成立ニ
贊成ヲサレタト云フヤウナコトカラ考ヘテモ、
私共ハ此ノ法案ハ殆ド完全ニ近イモノデアル
ト云フコトノ信念ヲ愈。固クスルノデアリマス、
然ルニ世間デハ此ノ法案ニ對シテ一時的ノ
モノデアル、過渡的ノモノデアルト云フヤ
ウナ考ヲ持ッテ居ル人ガアリマス、デ其ノ結
論カラ言ヒマスト、所謂自由放任ニスルカ、
若シクハ國家管理ニスルカ、專賣ニスルカ
ノ道行ノ仕事ノ一ツノヤウニ考ヘル方ガ間
間アルノデアリマス、私ハソンナ風ニ考ヘ
テ居リマセヌ、此ノ米ヲ自由放任ニ出來ヌ
ト云フコトハ、歷史的ニ考ヘタラ能ク分ル
コトデス、如何ニモ米穀法ハ大正十二年ニ
布カレタノデアリマスルガ、明治御一新以
來如何ニ此ノ米ノ問題ニ苦シンデ居リマ
スカ、政府ハ或ハ官制ノ上デ、政府自ラ手
ヲ出シテ米ヲ買ウタコトモアリマス、又所
謂米穀取引業者ヲ利用シテ米ヲ買ウタ時
代賣ッタ時代モアリマス、又御承知ノ暴利
取締令デ以テ、サウシテ臨ンダ時代ガアリ
マス、此ノ問題ハ離シタコトハナイ、又過
去ノ歷史ヲ見マシテモ、旣ニ奈良朝ノ時代
ニ三倉ノ制度ガ布カレタト云フコトヲ我々
ハ聞イテ居ル、又義倉デアルトカ、社倉デ
アルトカ、又常平倉デアルトカ、又幕府ノ
時代ニ如何ニ此ノ問題ニ苦シンダカト云フ
コトモ、話デハアラウガ、品川ニ、米ガ餘
リ多ク出來タンデ放リ込ンダト云フ話マデ
モ傳ッテ居ル、決シテ政府ガ無關心デアルコ
トハ出來ナイ、絕對ニ放任スルコトガ出來
ナイノデアリマス、サウスルト、玆ニ殘ル
問題ハ國家管理トカ、專賣ト云フ問題デア
ラウト思ヒマス、專賣ト云ヘバ煙草ヤ、サ
ウ云フコトノ問題ヲ聯想致シマシテ、何カ
錢儲ケデモ出來ルヤウニ考ヘル人ガ世間ニ
ハアル、ケレドモ此ノ米ノ問題ニ限ッテハ、
毛頭サウ云フ考ヲ交ヘテハナラナイ、全ク
社會政策的ニ考ヘナケレバナラナイ、國費
ハ愈〓增スバカリデス、ソンナコトガ私ハ近
キ將來ニ實現スルトハ思ヒマセヌ、我々ハ以
上ノ如キ信念ヲ持ッテ居マスカラシテ、之ガ
實行ニ移サレタ場合ニハ、私共ハ農村ニ歸ル
ト云フト、自分自ラモ實行シ、又指導ノ任
ニ當ラネバナラヌモノデアリマス、我々ガ
苦勞ニ苦勞シテ漸ク生レタ子供ニ、是ハ過
渡的ナモノデアルトカ、ソンナケチハ附ケ
タクナイ、又先刻申上ゲタヤウニ立派ナ子
供デアルト私ハ思ッテ居リマス、立派ニ之ヲ
育テタナラバ、ソンナ手數ノ掛ル、經費ノ
掛ル、サウ云フ私ハ專賣ト云フヤウナコト
ヲシナクテモ、忠實ニ、又惡イ點ハ改メテ、
サウシテ之ヲ實行シタイト云フコトヲ考ヘ
テ居ル者デアリマス、以上自分ノ所信ノ一
端ヲ語リマシテ、贊成ノ趣旨ヲ述ベタ次第
デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=29
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030・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 前田子爵
〔子爵前田利定君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=30
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031・前田利定
○子爵前田利定君 米穀自治管理法案外二
件ハ、既ニ去ル第六十七回帝國議會衆議院
ニ於キマシテ、論爭ノ末修正可決ト相成リ
マシテ、貴族院ニ廻付ニナッタノデアリマ
ス、然ル所當時會期切迫ノ折柄、審議未了
ニ相成リマシテ、遂ニ不成立トナッタ歷史附
ノ法案デアルノデアリマス、故ニ其ノ法案
ノ內容ニ付キマシテハ、殆ド檢討論議ガ盡
サレテアルノデアリマス、ト申シマスノハ、
實際此ノ法案ハ齋藤內閣ノ時ニ後藤農相ノ
手ニ依ッテ起案サレマシテ、岡田內閣ノ山崎
農相、次イデ現內閣ノ島田農相ノ手ニ依ツ
テ、再ビ衆議院ニ於テ可決サレ、當院ニ廻
付ニ相成リマシタノデアリマス、内閣三代、
農相三代、三年越シノ宿題デアルノデアリ
さく、故ニ法案ノ檢討ハ十分ニ盡サレテ居
ルノデアリマス、私モ米穀問題トハ因緣ノ
深イモノノ一人デアリマシテ、大正ノ中期
ニ當リマシテハ米穀委員會ノ設置ニ當リ其
ノ委員ニナリ、特別委員ニナリ、又特別委
員長ニナリマシタ、又昭和ノ初期、田中內
閣ノ末期ヨリ濱口內閣ノ前半ニ亙リマシテ
設置シアリマシタ米穀調査會ノ是亦委員ニ
ナリ、特別委員ニナリ、又特別委員長ニナッ
テ、其ノ審議ニ參加致シタノデアリマス、
左樣ナ次第デアリマシテ、私自身ハ米ト云
フ學問ニ付キマシテハ、極クウブノ者デア
ルノデアリマスルケレドモ、同僚ノ當時委
員ノ方々ハ何レモ一方ノ重鎭ノ方々デアリ
マシテ、或ハ生產者側、配給者側、朝野ノ
學者、大地主、大實業家、又關係官廳ノ大
官、朝鮮總督府、臺灣總督府ノ當該官吏、
ソレ等ノ名流、代表的ノ人ヲ網羅サレタ大
調査會デ卓ヲ圍ミ、膝ヲ交ヘマシテ、是等
ノ方々ノ所謂名論卓說ガ縱橫ニ論議サレテ
居リマシタノヲバ、耳ガ飽キル程拜聽ヲ致
シタノデアリマス、門前ノ小儈ハ習ハズシ
テ經ヲ讀ムト云フコトガアリマスルガ、私
モ前後二囘ノ調査會ニ列シマシテ、斯樣ナ
ル名論ノ雰圍氣中ニアリマシタガ故ニ、耳
ハ餘程米ノ問題ニ付テハ肥エテ參ッタ次第
デアリマス、從ヒマシテ此ノ度此ノ法案ノ
特別委員ニ指名ヲ受ケマシタ節ニハ、特別
委員會ニハ列席ヲ致シマセヌデモ、此ノ法
案ニ對スル贊否ノ肚ハ疾クニ決ッテ居ッタ
ヤウナ次第デアルノデアリマス、此ノ
法案ハ申上ゲル迄モナク、米穀統制法ノ
缺陷ヲ是正致シマスル所ノ補充的施設デ
アリマス、卽チ內地、朝鮮、臺灣ヲ通ジ
マシテ、供給米ガ過剩ニ相成リマシタ場合
ニ於キマシテハ、內地、外地共々分擔的ニ、
自治的ニ其ノ過剩米ヲバ貯藏シ、若シクハ
保管ヲ致シ、以テ需給ノ調整ヲ圖リ、米價
ノ調節ヲ整ヘテ行クト云フ趣旨ガ、此ノ立
法ノ精神トナッテ居ルノデアリマス、併シナ
ガラ一面此ノ法律ガ實施サレマシタ曉ニ於
キマシテハ、正米配給ノ機構ノ上ニハ影響
ガ自然出テ參リマスト云フ所カラ、米穀商
ノ連中ガ所謂全面的ノ反對運動ヲ起サレマ
シテ、其ノ熾烈ナル反動ガ議會ニ反映ヲシ
テ、昨年衆議院ニ於キマシテハ二三重大ナル
點ニ向ヒマシテ修正ガ施サレタノデアリマ
ス、而シテ今囘出テ參リマシタル所ノ自治管
理法案ハ、昨年衆議院ニ於テ修正ヲ致シマ
シタ其ノ修正ノ趣旨ヲバ多量ニ織リ込ミマ
シテ、出直シテ參ッタモノデアルノデアリマ
ス、デアリマスルカラシテ當時ノ反對論ノ
要旨モ此ノ法案ノ中ニハ多量ニ盛リ込マレ
テ居ルノデアリマス、然ルニ此ノ法案ガ衆
議院ニ上程致サレマスルト云フト、又ゾロ
全國ノ米穀業者ガ之ニ向ッテ反對運動ヲ起
シタノデアリマス、其ノ刺戟ヲ受ケラレテ
衆議院ニ於カレマシテハ、熾烈ナル論爭ノ
結果、附帶希望決議ガ出來マシテ、ソレニ
依ッテ議論ガ統一サレテ、可決トナッテ貴族院
ニ〓付ニ相成ッタノデアリマス、是ハ皆樣モ
御承知ト思ヒマスケレドモ、皆樣ノ記憶ヲ
新ニ致シマスル爲ニ、衆議院ニ於ケル附帶
決議ノ內容ヲ申シマスルト云フト、「一、內外
地ヲ通ジ米穀ノ生產統制方策ヲ樹立シ代作
ノ奬勵ニ對シ適切ナル方策ヲ講ズベシ、二、
速ニ米穀ノ國營檢査ヲ斷行スベシ三、米穀
自治管理委員會ノ委員ニハ生產者、米穀業
者及消費者ノ代表者ヲ加フベシ、四產業
組合ノ指導監督ヲ厲行シ其ノ官僚化ト營利
化ヲ排除シ殊ニ違法及脫法行爲ノ絕滅ヲ期
シ組合本來ノ使命ニ基キ其ノ健全ナル發達
ヲ圖ルベシ、五、本法ノ實施ニ際シテハ米
穀取引所竝ニ米穀業者ニ重大ナル影響ヲ與
ヘザルヤウ特ニ注意シ損害アリタル場合ニ
ハ適當ナル對策ヲ講ズベシ、六、政府ハ米
穀ノ生產機關ト配給機關トノ利害ヲ調節シ
共存共榮ノ方途ヲ講ズル爲調査會ヲ設クベ
シ、七、朝鮮及臺灣ニ於テ本法實施ノ目的
ヲ達スル爲內外地官廳ノ協力ニ付特ニ留意
シ萬遺憾ナキヲ期スヘシ」、要シマスルノニ
此ノ法案ノ實施ニ伴ヒマシテ、起ッテ參リ得
ベキ所ノ生產機關ト配給機關トノ摩擦ヲバ
整調致シマシテ、共存共榮ノ途ヲ講ジマス
ルヤウニ調査會ヲ設ケテ貰ヒタイト云フコ
トヲ要望シタノデアリマス、之ニ對シマシ
テ當時衆議院ノ議場ニ於キマシテ、某代議
士カラノ質問ニ對シマシテ、廣田首相竝ニ
島田農相ハ、明確ニ言明サレマシテ公約ヲ
致サレテ居ルノデアリマス、速記錄モゴザ
イマスルケレドモ、ソレハ省略致シマス、
左樣ナ次第デアリマシテ、旣ニ今囘ノ法律
案ノ內容ハ世間デ反對ヲ唱ヘマシタ所ノ其
ノ趣旨ガ、モウ既ニ多量ニ包含シテアリマ
スル上ヘ持ッテ行ッテ、此ノ附帶決議ガ衆議
院ニ於テハ附ケラレタノデアリマス、而シ
テソレニハ總理大臣、農林大臣ガ太鼓判ヲ
捺サレマシテ、必ズヤ法ノ運用ニ付テハ、
十分周密ナル注意ヲ以テ、サウ云フ摩擦ナ
ンカノ場合ガ生ジタ時ニハソレヲ整ヘル、
又重大ナル損害ガ出タ場合ニハ、ソレニ對
策ヲスルト云フコトヲ國民ニ向ッテ固ク誓
ハレテ居ルノデアリマス、玆ニ至リマス迄
ノ衆議院ノ勞作、論議ニ付キマシテハ私ハ
大イニ多トスル次第デアルノデアリマス、
一面ニ於キマシテハ玆ニ內外地ヲ通ジマス
ル所ノ、米穀ニ對スル根本策ガ樹立サレル
ト同時ニ、他面ニ於キマシテハ產業組合ニ
對シマスル指導監督ヲバ厲行シテ、此ノ生
產、配給ノ兩機關ノ摩擦ヲ整ヘ、共存共榮ノ
途ヲ講ズルト云フヤウナコトヲ、今後政府
モ努力シテヤッテ行クト云フコトニ迄運バ
レタト云フコトニ付キマシテハ、私ハ衆議
院ノ各員ノ御勞力ニ對シマシテ多トスル次
第デアルノデアリマス、斯樣ナ次第デアリ
マスルカラシテ、私ノ思ヒマスルノニハ、
米穀業者ガ左樣ニ御心配ニナルコトハナイ
ノデアリマス、殊ニ此ノ內閣ハ、國政一新
ヲ以テ立ック所ノ眞創味ノアル內閣ト私ハ
確信スルノデアリマス、其ノ總理ナリ農相
ナリガ斯ク請合ハレマシタ以上ニハ、御自
分達ノ首ニ賭ケテモ、是ハ國民ニ對シテ背
信行爲ノアルベキ筈ハナイト私ハ思フノデ
アリマス、又國民ニ對シマスル政府トシテ
ノ信用、責任ヲ保ツ上ニ於テ、左樣ナ遠約
ヲ爲サルヤウナコトハ決シテ生ジナイト私
ハ堅ク信ズルノデアリマス、サリナガラ此
ノ法案ノ實施ニ伴ヒマシテ、米穀業者ガ自
分ノ一家ノ計ヲ失ヒハシナイカト云フ心配
ヲ懷カレルト云フコトモ、是モ御尤ノヤウ
ニ私ハ思フノデアリマス、私ノ平素御見知
リ申上ゲタル方ハ無論デアリマスガ、私ノ
見知ラザル方々モ、數日來茅屋ニ態々出デ
ニナリ、中ニハ御目ニ懸ッタ方モアリ、御目
ニ懸ラヌ方モアリマスガ、御目ニ懸ッタ方カ
ラハ、此ノ法案ノ否決ヲ望マレ、又之ニ對
スル御批評ヲモ伺ッテ居ルノデアリマス、又
電報ハ連日、夜トナク晝トナク、或場合ニ
ハ夜半家人ノ夢ヲ驚カスト云フ場合モアッタ
ノデアリマス、郵便ニ託サレル所ノ書類ハ、郵
便配送ノ時間每ニ、恰モ年賀郵便ヲ受取ル時
ノ如クニ、大束ノ郵便物ガ運ビ込マレルノデ
アリマス、私ハ必ズヤ是等ノ書類ハ同ジヤ
ウナコトガ書イテアルノダラウト思ヒマシ
タケレドモ、謹ンデ敬意ヲ表シテ、兎ニ角拜見
ヲ致シタノデアリマス、其ノ中ニ於キマシ
テ、私ガ最モイヂラシク思ヒ、淚ナクシテ
ハ讀ミ得ナイヤウナコトガアッタノデアリ
やく、ソレハ何デアルカト云フト、思フニ
小學校在學ノ兒童デアルト思ヒマスノガ、
葉書ニ鉛筆或ハ毛筆ヲ以テ、覺束ナキ文ヲ
綴ッテ、此ノ本案ニ對スル窮狀ヲ訴ヘテ來ラ
レタノデアリマス、其ノ一二ノ標本ヲ御參
考ニ申上ゲマス、澤山アリマスケレドモ、
是ハ和歌山縣方面ノヲ三、四枚ヲ持ッテ參リ
マシタ、文章ノ長イ方カラ先キニ、「アナタ
ヲ神樣トシテオ縋リ致シマス、ドウゾ眞面
目ナオ父サンヲ失業サセナイデ下サイ、私
達ハ學校ヘモ行ケズ、食ベルコトサヘ出來
マセヌ、私達モ大キクナッテ偉イ人ニナリタ
ク思ヒマス、ドウゾ私達ヲ是非救ッテ下サ
イ、オ父サンニ代ッテオ願ヒ致シマス」是ハ
尋常四年生デス、「米屋ガ出來ナクナルト、
私等ハ學校ニ行ケナクナルノデ、每日心配
デナリマセヌカラ、否決方ヲアナタノオ力
デ是非トモオ願ヒシマス」是ハ五年生「小
父サンオ願ヒデス、僕ノオ父サン達ガ夜モ
寢ズニオ米ノコトデ心配シテ居マス、ドウ
ソ小父サン達ノオ力デ宜シクオ願ヒ致シマ
ス」、是ハドウモ米屋サンノ家ノ雇人カ何カ
ノ若イ者カモ知レヌト思ヒマス、「アナタノ
オ力デ米管理案ヲ否決スルヤウドウゾオ願
シマス」、是モ四年生、最モイタイケナイノ
ガ、「アナタノオ力デ私ノオ父サンヤオッ母
サンヲ助ケ下サイ」、是ハ米屋サンノ娘サン
カ何カノヤウニ思ヒマスガ、「私共ノ家ヲオ
助ケ下サイ」、斯ウ云フヤウナンデアリマシ
テ、誠ニ來ル葉書、來ル葉書ヲ取上ゲテ見
マスト云フト、誠ニ目頭ガ熱クナリマシテ、
五尺ノ男子モ豈淚ナカラムヤノ氣分ガ致ス
ノデアリマス、私モ先年マデ父モ母モ居リ
マシタ、又現在ニ於テモ幾人カノ子供モ持ッ
テ居リマス、子ヲ思フ親ノ心、親ヲ慕フ子
ノ心、人情ハ私ニモ能ク分リマス、私モア
ナタ方ト同ジヤウニ、溫カイ血ハ身中ヲ廻ッ
テ居リマシテ、淚モ、淚モロイ程多分ニ持合
セテ居ル者デアリマス、斯樣ナル誠ニイヂ
ラシイ親ヲ思フ所ノ眞心一筋カラシテ、流
露シタル此ノ葉書ヲ手ニ取上ゲマシテ、讀
ンデハ泣キ、泣イテハ讀ンダノデアリマス、
一段、再讀、三讀、私モ斯樣ニ泣カサレタ
コトハアリマセヌ、深ク考ヘマシタ、マサ
カニ是ハオ芝居ヲナサッテ居ルンデハアル
マイガ、能ク子役ヲ使ッテ大向フヲワット泣カ
セルヤウナ藝當ガアルノデアリマスガ、私
ハ左樣ナモノデハナイト考ヘタイト思ヒマ
ス、又左樣デハナイト信ジマス、全ク親ヲ
思フ所、家ヲ思フ所ノ赤イ眞心ノ發露ダト
私ハ考ヘタイ、デアリマスカラ來ル葉書、
來ル葉書ヲ敬虔ノ態度ヲ以テ、兎ニ角泣キ
ツヽ讀ンダノデアリマス、併シナガラ如何
デアリマセウカ、此ノ大日本ト云フ所ノ大
國家ヲバ、將來我々現代人ニ代ッテ雙肩ニ
荷ッテ、サウシテ國際的ノ荒海ニ乗出シテ
貰ハナケレバナラナイ第二ノ國民、其ノ小
國民ノ少年少女ガ、學校ノコトハ打捨テタ
譯デモアリマスマイガ、斯樣ナ天下ノ大問
題ニ進出サレマシテ、如何ニ親ヲ思ヒ、世
ヲ思フノ眞心トハ言ヒナガラ、斯樣ナ葉書
ヲバ我々ノ所ニ送リ出サレル、或ハ送リ出
サセラレタノカモ分リマセヌガ、斯樣ナコ
トハ私ハ芳シキコトデハナイ、實ニ苦々シ
キコトダト私ハ思フノデアリマス、又運動
方法トシテハ極メテ賢明ナラザル方法デア
ル、人ノ同情ヲ贏チ得ムトシテ、却テ同情
ヲ大イニ失フ所ノ愚策デアルト私ハ思フノ
デアリマス、ノミナラズ兒童ノ、實ニ玲瓏
玉ノ如キ無垢ナル所ノ兒童ノ心理ヲバ搔キ
亂シマシテ、兒童ノ〓養上ニ誠ニ忌マハシ
キ印象ヲ殘スヤウナ、斯樣ナ事柄ハ私ハ實
ニ兒童ノ爲ニモ、又其ノ大方ノ家庭ノ爲ニ
モ、私ハ痛嘆セザルヲ得ヌノデアリマス、
豪閣諸公ハ如何ニ此ノ現象ヲ御覽ニナリマ
スルカ、斯樣ナ風〓上忌マハシキ此ノ現象ニ對
シマシテ、臺閣諸公ハ篤ト御考慮ヲ願ヒタイト
思フノデアリマス、殊ニ風〓ノ府ノ長官タル所
ノ文部大臣ニ於カレマシテハ、兒童ノ〓養上ニ
ドウ云フ風ニ御考ヲ爲サレマスルカ、深キ
考慮ヲバ御願ヒ致サナケレバナラヌト思フ
ノデアリマス、私ハ情迫リ、淚ニ咽ビマシ
テ、如何ニ此ノ問題ヲ取扱ハウカト實ハ思
案ヲ致シタノデアリマス、併シナガラ如何
ニ其ノ事情ハ誠ニイトシクアリマシテモ、
情ヤ淚ヲ以テ此ノ重要ノ法案ノ贊否ヲ決メ
ル物差ニ致スト云フコトハ、是ハ出來ナイ
コトデアリマス、國策ノ見地カラ考ヘマシ
テ、冷靜ニ熟慮判斷ヲ致シマシタ其ノ所信
ニ向ッテ、邁進スルヨリ外ハナイノデアリマ
ス、ソレガ私ノ如キ一介ノ貴族院議員トシ
テ、御國ニ御奉公ヲ申上ゲル所ノ眞心ガ私
ニ呼ビ掛ケル所ノ聲デアリマス、殊ニ全國
民ノ經濟上重大ナル所ノ此ノ問題ニ於キマ
シテハ、大所高所ヨリ見通シヲ付ケマシテ、
縱ンバ國民ノ或部分ニ、此ノ法案ノ實施ニ
依リマシテ摩擦スル所ノ點ガアラウトモ、
ソレニ拘泥ヲ致シマシテ、此ノ法案ノ贊否
ノ上ニ躊躇致スベキデハナイト思フノデア
リマス、固ヨリ此ノ法案ノ實行ニ伴ヒマシ
テ、摩擦ノ爲ニ玆ニ損害ヲ蒙ルト云フヤウ
ナ者ノアリマシタ場合ニ於キマシテハ、固
ヨリソレニ對シテ同情ハ致サナケレバナリ
マセヌ、又ソレニ對シマスル適當ナル方策
ヲ講ズルト云フコトハ、固ヨリ致サナケレ
バナラヌコトデアリマスケレドモ、其ノ事
ハ自ラ別問題ト致サナケレバナラヌト思フ
ノデアリマス、斯樣ナコトノ爲ニ此ノ大本
タル所ノ本案ヲ左右スルト云フコトハ、私
ト致シマシテハ到底是ハ致シテハナラナイ
コトデアルト深ク信ズルノデアリマス、サ
レバコソ先刻申上ゲマシタ通リニ、衆議院
ニ於カレマシテモ、十分ニ御討議ノ末ニ附
帶決議ト云フモノガ現レタノデアリマシテ、
之ニ依ッテ政府ヲシテ十分ニ法ノ運用ノ上
ニ付テ、周密ナル注意ヲ拂ハセル所ノ金城
鐵壁ガ玆ニ出來タノデアリマス、又貴族院
ニ於キマシテモ、先程特別委員長ノ委員會
ノ御報〓ノ時ニ、委員會ニ於キマシテモ附
帶ノ希望決議ヲバ附ケタ次第デアルノデア
リマス、貴衆兩院各、附帶決議ノ內容ハ其ノ
趣意ニ於キマシテハ差異ノアル點モゴザイ
マセウケレドモ、歸結スル所ハ此ノ法案ノ
實行ニ伴ヒマシテ、一部ノ業者ガソレガ爲
ニ不慮ノ損害ニ遭ハナイヤウニ、一面ニ於
キマシテハ此ノ法案ノ運用ノ目的トナル所
ノ過剩米ノ處理ニ付キマシテ、販賣組合ガ
其ノ則ヲ超エテ法ヲ無視スルヤウナ行動ノ
アッタ時分ニハ、十分ニ之ヲ取締ル、而シテ
生產者モ亦配給者モ、兩方共ニ利益ガ保護
サレルヤウニ致シタイト云フコトニ外ナラ
ナイ次第デアルノデアリマス、尙此米穀業
者カラシテ廻サレマシタ陳情ノ書類ニ付キ
マシテ、其ノ要項ニ付テ、過日特別委員會
デ私ハ農林大臣トノ間ニ質疑應答ヲ重ネタ
ノデアリマス、其ノ當時ノ速記錄モ漸ク間
ニ合ッテハ居リマスケレドモ、質問スル私ヨ
リ農林大臣ノ御答ノ方ガ頗ル雄辯デアリマ
シテ、頗ル該博デアリマスノデ、其ノ速記
錄デ皆樣ニ紹介シテハ非常ニ時間ガ掛リマ
スカラシテ、其ノ要旨ヲバ要約致シマシタ
モノニ依リマシテ、御紹介申サウト思フノ
デアリマス、是ハ米穀業者カラ多分ニ到來
シタ書類デアリマスルガ、先程モ小林君カ
ラ此ノ中ノ一二ニ付テハ旣ニ御話ガアリ又
御辯駁ガアリマシタガ、重複致シマスヤウ
デアリマスケレドモ、論辯ノ體系上御許ヲ
願ヒマス、第一、生產者ニ決シテ利益デナ
イ、之ニ對シマシテハ農林大臣ノ御答ハ、
固ヨリ此ノ法律ノミヲ以テ農村救濟ノ目的
ヲ達スルコトハ出來ナイケレドモ、相當大
キナ働キヲ爲スモノデ、生產者殊ニ小農ニ
對シテ出來秋ニ安賣リヲ免レシメルノデ有
利デアル、靑田賣リ等ヲ爲スモノニ付テハ、
別個ノ方法ヲ以テ救濟スルコトガ必要デア
ル、ト云フ御答辯デアリマシタ、第二、消
費大衆ノ生活ヲ脅威ス、之ニ付キマシテハ最
低價格ヨリ一定値上リヲシタ場合ニハ解除スル
カラ、端境期ニ於ケル値上リヲ防止シ、消費者ニ
利益ガアル
〔副議長伯爵松平賴壽君議長席ニ著ク〕
卽チ米價ガ生產費ヲ中心トシテ値幅ガ狭ク
ナルカラ、消費者ニ有利ナノデアルト云フ
御答デアリマシタ、第三、國庫ノ負擔ハ激
增スル、答辯、財政上カラ言ヘバ最惡ノ場合ト
雖モ現狀ヨリ惡クハナラナイ、米穀統制法
ニ依レバ、過剩米ハ全部政府デ買上ゲルヤ
ウナコトニナルガ、本法ニ依レバ其ノ必要
ガナクナルカラ、ソレダケ國庫ノ負擔ヲ輕
減スルコトニナル、併シ之ヲ具體的ニ數字
ヲ以テ言ヒ現スコトハ困難デアルト云フ御
答デアリマシタ、之ニ付キマシテハ後程申
上ゲマス、豫算委員會ニ於キマシテ大藏大
臣ト質疑應答致シマシタコトヲ後デ申上ゲ
マス、此ノ負擔ノ激增スルト云フコトニ付
キマシテノ反對ノ意見、卽チ國庫ノ負擔ハ
寧ロ輕減ヲスルト云フコトハ、過日此ノ本議
場ニ於キマシテ中島政務次官カラ、大河内
子爵デアッタカト思ヒマスガノ質問ニ對シ
テ御答ニナッテ居リマスガ、更ニ之ニ對スル
大藏大臣ノ御答辯ハ後ニ申上ゲマス、是ハ
農林大臣ノ御答デアリマス、第四、米穀商
ハ生業ヲ奪ハレル、答辯、米穀商人ニ對ス
ル問題ハ本法案ノ中カラハ出テ來ナイ、唯
產業組合トノ關係ニ於テ問題ガアルノデア
ルガ、此ノ點ニ付テハ衆議院ノ附帶決議ノ
趣旨モアリ、本法實施ニ當ッテハ、十分責任
ヲ持ッテ其ノ趣旨ノ實現ヲ圖ル考デアル、尙
本法ニ第二次締制ノ規定モアリ、商人ノ手持
米ノ値下リヲ防止スルコトガ出來ルカラ、
商人ハ寧ロ本法ニ依ッテ保護サレルモノト
思フト云フ御答デアリマシタ、第五、重大
ナル社會問題ヲ惹キ起ス、答辯、社會問題
ヲ起スト云フ議論ハ結局見方ノ相違デアル、
米穀法カラ米穀統制法、臨時米穀輸入調節
法ニ至ル經過カラ見ルト、本法案ヲ實施セ
ズニ此ノ儘放置シテ置クコトハ出來ナイ、
米穀統制法ヲ補强セネバナラナイモノト思
フ、本法案ヲ未解決ニシテ置クコトコソ、
社會問題ヲ深刻化セシメルモノト思フト云
フ御答辯デアリマス、第六、販賣組合ニ本
法ノ事業ヲ擔當セシムルハ非常ナル危險ヲ
伴フ、答辯、販賣組合ニ代行サセルコトハ
一々吟味ハスルガ、農村ノ實情カラ言ッテ萬
已ムヲ得ナイト思フノデアル、代行ノ結果
弊害ヲ生ズルコトニ付テハ十分ナル監督ヲ
加ヘ、留意致シマス、不良組合ガ本法實施
ニ依ッテ助ルヤウナコトハ決シテアリマセ
又、第七、衆議院ノ附帶決議ニ對シ貴族院
ニ於ケル當局ノ言明ハ安心出來ヌ、答辯、
十分責任ヲ持ッテ言明シタコトヲ、成ルベク
早ク實現スル積リデアリマス、尙是ハ要旨
デアリマスガ、私ハ御尋ネ致シマシタ時ニ
其ノ結末ニ斯ウ云フ御言葉ガアリマシタ、
政府ヲバ信用シナイト云フコトナラドウモ
致方ガナイ譯ダ、斯ウ云フヤウナ御話ガア
リマシタ、只今御聽取ノ通リニ、此ノ米穀
業者カラシテ我々ノ手許ニ送ラレマシタ所
ノ米穀自治管理法案反對ノ要點ノ一カラ七
迄ニ對シマシテハ、農林大臣ハ私ノ質疑ニ
對シマシテ右樣ノ要旨デ以テ御答ニナッテ
居ルノデアリマス、私ハ此ノ農林大臣ノ御
答ガ妥當デアルト信ズルノデアリマスガ、
此ノ御見解ハ皆樣ノ御自由ノ御意思ニ御委
セ致シマス、尙玆ニ一言申添ヘテ置キタイ
コトハ、此ノ本法案ノ目的物トナリマス所
ノ過剩米ノコトデアリマスガ、米穀ノ全數
量ノ中カラハ、此ノ統制サレマス所ノ過剩
米ハ、數量ニ於キマシテ極ク一小部分デア
ルノデアリマス、大部分ト云フモノハ從來
ノ通リニ依然トシテ自由ニ取引ヲ託サレテ
居ルノデアリマスルカラシテ、米穀業者諸氏
ノ考ヘラレルヤウナ御心配ノコトハナイト
私ハ信ズルノデアリマス、餘リ御心配ノ方
ガ强過ギルノデハアルマイカ、而シテ其ノ
强過ギル所ノ御心配ガ全國的ニ津々浦々ニ
喧傳擴大ヲ致シマスト云フコトハ、是ハ政
府ノ方ニ於カレマシテモ、此ノ本法ヲシテ
能ク理解アラシムルヤウナ事柄ニ付テ、御
努力ヲ爲サラナケレバナラヌコトデアラウ
ト思フノデアリマス、次ニ此ノ本法案ノ實
行ト云フコトト、國庫ノ負擔トノ關係ニ付
キマシテハ、農林大臣ノ御答ハ今申上ゲタ
ヤウデアリマスルガ、當局タル所ノ大藏大
臣ノ之ニ對スル御答辯振リヲバ御紹介申上
ゲマス、是ハ第一分科會ニ於キマシテノ質
疑應答ノ速記錄デアリマスルガ、委員ノ一
人カラ致シマシテ、此ノ米穀法案ト國庫負
擔トノ關係ヲ問ハレタノニ對シマシテ、馬
場大藏大臣ハ斯樣ニ答ヘラレテ居リマス、
「實ハ米穀自治管理法ノ〓究ノ時ニ、是ガ現
行ノ米穀統制法ニ依ル財政ノ負擔ヨリ
モ殖エルト云フヤウナ見込ガ立テバ、
是ハ財政當局トジテドウシテモ反對シ
ナケレバナラヌ、併シ米穀統制法ダケ
デヤッテ行クヨリモ、米穀自治管理ヲモヤル
方ガ幾ラカ財政ノ負擔ガ輕クナルト云フコ
トナラバ、財政當局ダケノ見地カラ言ヘバ
米穀自治管理案ニドウシテモ贊成セザルヲ
得ナイ次第デアリマス、」中ヲ略シマス、
「私共トシテハ米穀自治管理案ノ方ガ現行
制度ノ方ヨリモ兎ニ角見込的ニ幾ラカ經費
ガ少クテ濟ムカ、損ガ少クテ濟ムカト云フ
コトガ明カニナッタナラバドウシテモ贊成
シナケレバナラヌ、斯ウ云フ建前デ今進ン
デ居リマスガ」云々ト云フコトガ出テ居リ
マス、此ノ御答ニ依リマシテモ、此ノ米穀
自治管理法案ノ實施ニ伴ッテ、國庫ノ負擔ガ
少シデモ增スト云フヤウナコトデアリマス
ナラバ、斯ク言ハレル馬場大藏大臣ガ眞先
キカケテ政府部內ニ於テ反對ヲ爲サルベキ
筈ノモノデアリマス、此ノ財政ノ當局者ガ
之ヲ認容シテ居ラレ、承認シテ居ラレルト
云フコトハ、確カニ國庫ノ負擔ガ輕減ヲス
ルト云フコトヲ意味サレテ居ルモノダラウ
ト私ハ信ズルノデアリマス、斯樣ナ次第デ
アリマシテ、此ノ米穀自治管理法案ノ摩擦
ノ部分ト云フ點ニ付キマシテハ、十分衆議
院ノ方ニ於テモ御論究ノ結果、ソレニ對シ
テ御守札ト申シマスヤウナモノヲ附ケラレ
マシタガ、貴族院ノ方ニ於キマシテモ矢張
リ同樣ナ見地カラ致シマシテ、法ノ運用ノ
上ニ於テ周密ナル調査ヲバ政府ニ行ッテ貰
フベク、十分ニ楔ヲ入レテアルノデアリマ
ス、早ク言ヘバ、衆議院ガ當初カラシテ此
ノ反對側ノ意見ヲバ十分ニ織込ンダ所ノ此
ノ修正ヲ爲シ、而シテ今囘ハ其ノ修正ヲ爲
シタ法案ニ則リマシテ、出直シタ所ノ法律
案ニ對シマシテ、更ニ〓〓附帶希望決議ヲ
附ケラレ、註文ヲ受ケテ拵ヘタ所ノ桶ニ、
多年鐵ノ箍ヲカケラレタモノヲ貴族院ヘ持
込マレタノデアリマスガ、貴族院ハ更ニ其
ノ上ニ〓ノ箍ヲバ嵌メラレマシテ、更ニ農
林大臣ニ、此ノ希望決議ニ付テノ趣旨ニ御
贊同デアルカドウカト云フコトヲ問ヒマシ
タ所ガ、其ノ趣旨ニハ副フベク努力スルト
云フコトノ御答ガアッタノデアリマス、詰リ
此ノ鋼ノ箍ニ農林大臣ハ御自身カラ堅ク封
印ヲ付ケラレタノデアリマス、斯樣ニシテ
アリマスルカラシテ、私ハ此ノ反對ノ氣勢
ト云フモノハ、十分ニ緩和ガ出來ルト思フ
ノデアリマスシ、又反對ノ說ヲ唱ヘラレル
方ハ、是等米穀自治管理法案ノ內容ニ付テ
今少シク御檢討ニナリ、貴衆兩院ノ希望決
議ニ付キマシテ靜カニ御讀ミニナリマシタ
ナラバ、御自分達ノ御心配ガ多ク杞憂デア
ルト云フコトガオ分リデアルノデアラウト
思フノデアリマス、ドウカ私達ハ此ノ米穀業
諸君ガ靜カニ考ヘラレマシテ、餘リ御心配
過ギナイヤウニ御願ヲ致シタイト思フノデ
アリマス、兎ニ角モ米穀自治管理法案ハ前申
上ゲマシタ通リニ、此ノ議政壇上ニ出マシ
テカラ三年越シデアリマスケレドモ、其
ノ胚胎スル所ハ大正ノ中期ノ米穀委員會ニ
其ノ端ヲ發シテ居ルノデアリマシテ、永イ
間各方面ノ重鎭ノ方々ガ寄ッテタカッテ論議
ニ論議ヲ重ネテ、サウシテ玆ニ惶チ上ッタノ
ガ此ノ法案デアルノデアリマシテ、現在ニ
於キマシテ實行シ得ル法律案ノ中ニ於キマ
シテハ、此ノ法案ヨリモ良キ法案ハ見當ラ
ナイノデアリマス、絕對ニ恆久的ニ、國策
トシテ立派ナル所ノ米穀對策ガ出テ來レバ
格別デアリマスガ、サウ云フコトハ餘程是
ハムヅカシイコトデアリマス、申上ゲル迄
モナク、天下ノ如何ナル品物ノ中ニ於キマ
シテモ、此ノ米ホドムヅカシイモノハナイ
ト思フノデアリマス、御承知ノ通リニ、國民
總テノ者ノ命ノ糧ハ、此ノ米ニ仰イデ居ル
ノデアリマシテ、國民ノ各層ハ此ノ米ト云
フモノトハ絡ミ付イテ居ルノデアリマス、
米ヲ作ル人アリ、米ヲ賣ル人アリ、米ヲ消
費スル人アリ、而シテ又米ニハ內地米ア
リ、朝鮮米アリ、臺灣米アリ、外米アリ、又
作柄ニ於キマシテハ、年ニ豐年アリ、饑饉
年アリ、豐年作アリ、天候ニ依ッテ是ハ左
右サレルノデアリマス、而モ亦一面ニハ、
日本ノ人口ハ年々數十萬ヅツ增殖シテ參ル
ノデアリマス、斯樣ナ次第デアリマスカ
ラ、人口食糧ノ問題ノ上カラ考ヘマシテ
モ、餘程先キ迄見通シヲ付ケマシタモノデ
ゴザイマセヌケレバ、絕對恆久的ノ米穀對
策ト云フモノハ出來上ラナイコトデアラウ、
是ハナカ〓〓至難ナ事柄デアラウト思フノ
デアリマス、甚ダ卑俗ノ例ヲ申述べテ相濟
ミマセヌガ、コチラヲ立テレバアチラガ立
タズ、アチラヲ立テレバコチラガ立タズ、
コチラアチラト云フヤウナ單ナル數デハナ
イノデアリマシテ、此ノ米穀ニ絡ッテ居ル所
ノ全國民ノ各利害ト云フモノハ、立體的デ
アリ多角的デアリマス、如何ナル政府
ガ立タレマシテモ、米ノ對策ニ於キマ
シテ全國民總テノ者ニ滿足ヲ與ヘルヤウナ
恆久絕對ノ米穀對策ト云フモノハ、是ハナ
カナカ不可能ニ近イ仕事デアラウト私ハ想
察スルノデアリマス、デアリマスルカラシ
テ出來ナイ相談ノコトヲ考ヘテモ致方ガナ
イ、實行ノ出來得ル範圍內ニ於テノ最善ノ
對策ヲバ我々ハ取上ゲナケレバナラナイ、
サウ云フ點カラ申シマシテ、米穀自治管理
法ハ米穀統制法ノ缺陷ヲバ是正シタ所ノ、
所謂補强工作ヲ施シタ所ノ法律案デアリ、
而モソレニハ衆議院ノ諸君ガ非常ナル御勉
强ニ依リマシテ、附帶希望決議ト云フヤウ
十、ソコニ格別ナル註文ヲ附ケラレ、其註
文ニ對シテハ政府ハ快ク受ケ容レラレテア
ルノデアリマス、又貴族院ニ於カレマシテ
モ、特別委員會ニ於テハ、先刻委員長カラ
御報〓ノ通リ、更ニ又コヽニ固イ所ノ繩ヲ
紮ゲタ次第デアリマス、而シテソレニ對シ
マシテハ農林大臣ハ、此ノ希望附帶ノ決議
ノ御趣旨ニ副フヤウニ努メルト云フコトヲ
申サレテ居ルノデアリマスルカラ、是レ以
上我々ハ最善ノ法ノ手段ト云フモノハナイ
ノデアリマス、如何ニ神樣ト賴マレマシテ
〓、小父サント賴マレマシテモ、此レ以上
ハ何トモ致方ガナイト思フノデアリマス、
年來長ク衆議院ノ諸君ガ御苦勞ニナッテ是
迄揑ッチ上ゲラレタ此ノ今日ニ於キマシテ
ハ、米ノ根本策トモ申シテ宜シイヤウナ此
ノ法案ガ折角向フカラ可決サレテ通ッテ來
タノデアリマスルカラ、我々モ此ノ法案ヨ
リ今日差向キ良キ法律案ガナイノデアリマ
スルカラ、先ヅ以テ之ヲ實施致シマシテ、
サウシテ農村ノ救濟ヲ早クシ、又國庫ノ負
擔ヲ輕減シ、又此ノ米穀對策ニ依リマシ
テ、需給調節、價格ノ調節ノ上ニ、共存共
榮ノ途ノ開カレテ參リマスヤウニ、サウ云
フ心持ヲ以チマシテ本法案ヲ贊成スル次第
デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=31
-
032・松平頼壽
○副議長(伯爵松平賴壽君) 他ニ御發言モ
ナケレバ三案ノ採決ヲ致シマス、三案ノ第
二讀會ヲ開クコトニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=32
-
033・松平頼壽
○副議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=33
-
034・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ各案ノ第二讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=34
-
035・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=35
-
036・松平頼壽
○副議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ
動議ニ御異議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=36
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037・松平頼壽
○副議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=37
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038・松平頼壽
○副議長(伯爵松平賴壽君) 三案ノ第二讀
會ヲ開キマス、御異議ガナケレバ全部ヲ問
題ニ供シマス、三案全部、委員長ノ報〓通
リデ御異議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=38
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039・松平頼壽
○副議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=39
-
040・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ各案ノ第三讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=40
-
041・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=41
-
042・松平頼壽
○副議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ
動議ニ御異議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=42
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043・松平頼壽
○副議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=43
-
044・松平頼壽
○副議長(伯爵松平賴壽君) 三案ノ第三讀
會ヲ開キマス、三案全部、二讀會ノ決議通
リデ御異議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=44
-
045・松平頼壽
○副議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=45
-
046・松平頼壽
○副議長(伯爵松平賴壽君) 日程第九、關
稅定率法中改正法律案、政府提出、衆議院
送付、第一讀會ノ續、委員長報告佐佐木委
員長
關稅定率法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十一年五月二十二日
委員長侯爵佐佐木行忠
貴族院議長公爵近衞文麿殿
〔侯爵佐佐木行忠君演壇ニ登、ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=46
-
047・佐佐木行忠
○侯爵佐佐木行忠君 只今上程ニ相成リマ
シタル關稅定率法中改正法律案ノ、特別委
員會ノ經過竝ニ結果ヲ御報〓申上ゲマス、
本案ノ提案ハ鑛油、「アルミニウム」等十一品
ニ關スルモノデアリマシテ、其ノ稅率ガ本
邦ノ生產需給ノ現況、其ノ他ノ事情ニ副ハ
ナイモノガアリマスルノデ、之ヲ改正セム
トスルモノデアリマス、委員會ニ於キマシ
テハ政府ヨリ詳細ナル說明ガアッタノデア
リマスガ、是ハ餘リニ長キニ亙ッテ居リマス
ルカラ、此ノ席ニ於テハ省略サセテ戴キマ
ス、次イデ主ナル質問應答ノ二三ヲ御紹介申
上ゲマス、其ノ一ツハ「アルミニウム」ノ關稅
ニ關スルモノデアリマシテ、「アルミニウムㄴ
ノ關稅ヲ今囘ノ程度ニ改正スルナラバ、
其ノ輸入ハ全然之ヲ杜絕スルコトガ出來ル
カ、斯樣ナ問ニ對シテ「アルミニウム」ノ需
給額、生產額ヲ擧ゲテ政府ハ說明ヲ致シ、
自給自足ヲ爲シ得ル見込デアルニ依ッテ、將
來ハ其ノ目的ヲ達シ得ベキ考デアル、斯樣
ナ答辯デアッタノデアリマス、又「アルミ
ニウム」ノ生產ハ、多大ノ努力ヲ爲シテ居ル
ニ拘ラズ、其ノ品質上ニ於テハ缺點ガアルヤ
ウニ聞イテ居ルガ、政府ノ之ニ對スル指導
方針ハドウ云フ風デアルカト云フ質問ニ對
シマシテ、政府ハ商工省ノ工業試驗所等ニ
於テ〓究ノ結果、又目下ノ工業ノ現況等ヲ
說明セラレマシテ、漸次是ハ向上シツヽア
ルノデアル、從來困難トセラレテ居ッタ問題
千、之ヲ克服シ得ルト斯樣ニ信ズルトノ答
辯ガアッタノデアリマス、次ハ鑛油ノ關稅ニ
付テデアリマスルガ、商工省ハ液體燃料ニ
關スル諸施設ニ對シテ經費ヲ要求計上サレ
テ居ルガ、片方ニ鑛油ノ關稅ヲ引上ゲテ增
收ヲ圖ッテ居ラルヽガ、此ノ兩者ノ間ニハ何
カ因果關係ガアルノカ、斯樣ナ質問ガアッタ
ノデアリマスルガ、政府ハ此ノ兩者ハ關稅
ハ關稅、石油ニ對スル經費ハ經費、是ハ別
個ノモノデアルト考ヘテ居ル、斯樣ナ答辯
デアッタノデアリマス、又石油ノ稅率ヲ引下
ゲヨウト云フヤウナ意見ガアルヤウデアル
ガ、今囘ノ此ノ改正案程度ニ止メテ置カナ
ケレバナラナイカ、斯樣ナ質問ガアリマシ
テ、政府ハ之ニ對シマシテ、鑛油ニ對スル
現行關稅デハ燈油ト揮發油トノ間ノ稅率ガ
權衡ヲ失ッテ居ル、燈油ヲ其ノ儘ニ据置イ
テ、揮發油ノ稅率ヲ引上ゲタノデアル、斯
樣ナ答辯デアッタノデアリマス、尙政府ハ權
衡上カラ言フナラバ、燈油ノ方ノ稅率ヲ引
下ゲテモ宜イデハナイカト云フヤウナ御懸
念モアルカモ知ラヌガ、ソレハ目下ノ情勢
ニ於テハ適當デナイト、斯樣ニ見テ居ルト
云フ答辯デアッタノデアリマス、又揮發油ノ
稅率變更ニ對スル政府ノ說明ヲ聽クト、何
等ノ政策ハ之ニ加味シテ居ラナイヤウデア
ルガ、左樣ナノデアルカト云フ質問ガアリ
マシテ、之ニ對シマシテハ、揮發油ニ關シ
テハ保護ヲ加ヘルコトハ是ハ當然ナコトデ
アッテ、今日ノ改正モ亦其ノ保護ニナルノデ
アル、油ニ關シテハ今日ハ我ガ國ノ供給デハ
ヤッテ行ケナイノデアル、此ノ點カラ油ノ國
策ニ付テハ十分檢討シナケレバナラヌ、サ
ウシテ今囘ノ改正ハ、是ハ暫定的ノモノデ
アルト云フ風ニ見ラルヽナラバ、ソレモ致
方ナイ、尙將來ノ燃料國策ニ關シテハ十分
努力スル積リデアル、斯樣ナ答辯デアッタノ
デアリマス、其ノ次ハ銑鐵ノコトデアリマ
スルガ、銑鐵ノ關稅ハ今囘ノ提案ニナイノ
デアルガ、是ハドウナッテ居ルノデアルカト
云フ御質問ガアリマシタ、政府ハ鐵鋼國策
モ是亦甚ダムヅカシイ問題デアル、矢張リ
是ニモ保護シナケレバナラナイ、此ノ鐵鋼
國策モ亦見直シテ見タイノデアッテ、其ノ見
直スモノノ中ニハ關稅モ含マレテ居ルノデ
アル、斯樣ナ答辯デアッタノデアリマス、尙
其ノ他詳細種々ナル御質問ガアリ、愼重審
議致シタノデアリマスルガ、ソレハ此ノ際
ハ略シテ置キマス、次イデ討論ニ入リマシ
テ、何等異議ナク可決セラレマシタ、右御
報告申上ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=47
-
048・松平頼壽
○副議長(伯爵松平賴壽君) 別ニ御發言モ
ナケレバ本案ノ採決ヲ致シマス、本案ノ第
二讀會ヲ開クコトニ御異議ハゴザイマセヌ
カ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=48
-
049・松平頼壽
○副議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=49
-
050・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第二讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=50
-
051・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=51
-
052・松平頼壽
○副議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ
動議ニ御異議ハゴザイマゼヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=52
-
053・松平頼壽
○副議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=53
-
054・松平頼壽
○副議長(伯爵松平賴壽君) 本案ノ第二讀
會ヲ開キマス、御異議ガナケレバ全部ヲ問
題ニ供シマス、本案全部、委員長ノ報告通
リデ御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=54
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055・松平頼壽
○副議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイモ
ノト認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=55
-
056・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第三讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=56
-
057・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=57
-
058・松平頼壽
○副議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ
動議ニ御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=58
-
059・松平頼壽
○副議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=59
-
060・松平頼壽
○副議長(伯爵松平賴壽君) 本案ノ第三讀
會ヲ開キマス、本案全部二讀會ノ決議通リ
デ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=60
-
061・松平頼壽
○副議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=61
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062・松平頼壽
○副議長(伯爵松平賴壽君) 本日委員長ヨ
リ報告書ノ提出ガアリマシタ重要肥料業統
制法案ヲ、此ノ際議事日程ニ追加シテ議題
トスルコトニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=62
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063・松平頼壽
○副議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=63
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064・松平頼壽
○副議長(伯爵松平賴壽君) 重要肥料業統
制法案、政府提出、衆議院送付、第一讀會
ノ續、委員長ノ報告ヲ願ヒマス、〓岡子爵
重要肥料業統制法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十一年五月二十三日
委員長公爵鷹司信輔
貴族院議長公爵近衞文麿殿
〔子爵〓岡長言君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=64
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065・清岡長言
○子爵〓岡長言君 只今議題ト相成リマシ
タ重要肥料業統制法案ノ委員會ニ於ケル審
議ノ經過竝ニ其ノ結果ヲ、鷹司委員長ニ代
リマシテ私カラ御報告申上ゲマス、本委員
會ハ二十一日ヨリ三日間ニ亙リ開會致シマ
シタ、先ヅ政府ノ懇切詳細ナル說明ヲバ聽
取ヲ致シマシテ、議事ニ入リマシタ、本法
律案ノ骨子ヲ申上ゲマス、肥料ハ農家ノ必
需品デアリ、農業經營上至大ノ關係ヲ有スル
モノデアリマシテ、就中化學肥料ハ肥料ト
シテ最モ重要ナル地位ヲ占メテ居ルモノデ
アリマス、而シテ是等ノ肥料供給ノ源ヲ爲
ス化學肥料工業ハ、化學工業ノ基礎工業ト
シテ、將又軍需工業トシテ重大ナル意義ヲ有
スル工業デアリマスルカラ、之ガ合理的ナ
ル改善發達ヲ期スルト同時ニ、農業經營ノ
改善發達ニ資スル爲ニ、國家的見地ヨリ必
要ナル統制ヲ行ヒ、是等肥料ノ需給ノ圓滑
ト、價格ノ公正ヲ圖ラムトスルノ趣旨ヲ以
チマシテ、化學肥料中重要ナル種類ノ肥料
製造業者ヲシテ、各一個ノ肥料製造業組合
ヲ組織セシメ、業者ハ法律上當然其ノ組合
ノ組合員タラシムルコトトナシ、此ノ組合
ヲシテ先ヅ自治的ニ生產及販賣ニ關スル統
制事業ヲ行ハシメ、政府ハ之ニ對シ十分ナ
ル監督ヲ行フ仕組ト致シ、更ニ需給調節上
ノ必要ニ應ジテ、政府ハ輸出入ノ制限ヲ行
ヒ得ルノ途ヲ開イテ居ルノデアリマス、委
員諸君ヨリハ種々御熱心ナル質疑ガアリ、
政府ニ於カレマシテモ、懇切町嚀ナル答辯
ガアッタノデアリマス、其ノ中主要ナルモノ
ニ付キマシテ、簡單ニ申上ゲマスレバ、次
ノ通リデゴザイマス、第一ニ此ノ法案ハ第
六十七議會ニ提案セラレタ肥料業統制法案
ニ比シ、費消者ノ利益ヲ擁護スル點ニ於テ
不十分ナリトノ世間ノ批評ガアルガ、本案ハ
曩ニ提案セラレタ法案ニ比較シ、其ノ趣旨
ニ於テ異ル點ナキヤ、又本案ニ於テハ許可
制其ノ他ノ條項ヲ削除シタガ、費消者ノ保
護上遺憾ノ點ハナイカトノ質問ガゴザイマ
シタ、之ニ對シ政府カラ、本案ノ立法趣旨
ハ曩ニ提案セラレタ法案ト大體同趣旨デアッ
テ、當業者ノ自治的統制ヲ主體トシ、之二
對シ政府ガ公益的見地ヨリ適當ナル統制
ヲ加フル仕組ニ依リ、肥料ノ豐富且低廉ナ
ル供給ヲ確保セムトスルモノデアリマシテ、
本案ノ立法ニ當リマシテハ、曩ノ議會ニ於
ケル各種ノ論議ノ外、更ニ當業者及費消者
ノ園體ノ意見ヲモ參酌シ、現下ノ情勢ニ照
シ、最モ適切妥當ナル方策ヲ考究シタル結
果本案ヲ得タルモノデアッテ、許可制其ノ
他ノ條項ハ之ヲ削除シタガ、本案ノ適正ナ
ル運用ニ依リ、費消者ノ利益ハ十分擁護セ
ラレルモノト信ズル旨ノ答辯ガアリマシタ、
第二ニ現在生產不足ノ肥料ニ付キ、政府ハ
如何ニシテ其ノ供給ヲ曲豆富ナラシメムトス
ルモノデアルカ、此ノ質問ニ對シマシテ政
府ヨリ、本案ニ依リ適當ナル統制ヲ行ヒ、
事業ノ基礎ヲ安定セシメ得ルヲ以テ、業者
ハ安ンジテ生產能力ヲ發揮シ、增產ヲナシ、
又事業ノ新設擴張等ヲナスニ至リ、肥料ノ
供給ヲ豐富ナラシムルコトヲ得ル旨ノ答辯
ガアリマシタ、第三ニ、本案ハ肥料ノ價格
ノ公正ヲ圖ルコトヲ目的トシテ居ルガ、公
正ナル價格トハ如何ナルモノヲ言フノデア
ルカ、此ノ質問ニ對シマシテハ政府ハ、公
正ナル價格トハ生產者ニモ遍セズ、費消者
ニモ偏セザル中庸ヲ得タル價格ノコトデアッ
テ、之ガ認定ニ付テ肥料ノ生產費ノ外、農
村事情、肥料工業ノ收支ノ情況、一般會社
ノ收支ノ情況、物價指數ト各般ノ經濟事情
ヲ參酌シテ、之ヲ決スルモノデアル旨ノ答
辯ガアリマシタ、第四ニ、重要肥料業委員
會ハ、本法運用上最モ重要ナル使命ヲ有ス
ルモノデアルガ、其ノ公正ヲ如何ニスルカ、
此ノ質問ニ對シマシテ政府ハ、大體ノ腹案ト
シマシテハ、關係各廳ノ高等官凡ソ八名位、
學識經驗アル者凡ソ十二名位ヲ考ヘテ居ル
ガ、學識經驗アル者ノ中ニハ、貴衆兩院議
員生產者及費消者ヲ代表スベキ者等ヲ考
慮中ニ入レテ居ル云々ノ答辯ガアリマシタ、
尙又之ニ對シマシテ、委員ニハ業界ノ實情
ニ精通シタル人ヲ任命シ、本法運用上遺憾
ナキコトヲ期セムトスルノ希望ガアリマシ
タ、第五ニ、政府ハ本法施行ニ當リ、朝鮮、
臺灣及滿洲ニ對スル關係ヲ如何ニ取扱フ意
嚮ナリヤ、此ノ質問ニ對シマシテ政府ハ、本
法ハ之ヲ外地ニ直接ニ施行シナイケレドモ、
肥料ノ生產又ハ販賣ニ關スル統制ハ、內外
地ヲ通ジテ行ハヌケレバ、其ノ完璧ヲ期ス
ルコトガ出來ナイカラ、外地ニ於テモ本法
ト同趣旨ノ法制ヲ實施シ、之ガ運用ニ關シ
テハ、重要事項ニ付テ雙方打合セヲ行ヒ、
常ニ同一ノ方針ヲ執ルコトニ、外地關係官
廳ト協議濟デアリ、尙滿洲ニ付テモ、內地
ノ統制方針ト協調ヲ保クシムル方針デアル
旨ノ答辯ガアリマシタ、第六ニ、本案ニ對ス
ル衆議院ノ附帶決議ニ付テハ、政府ハ如何
ニ之ヲ考ヘテ居ルカ、此質問ニ對シマシテ
政府ハ附帶決議ニ付テハ、政府ニ於テモ其
ノ趣旨ニ副フヤウ努メタイト考ヘテ居ルガ、
個々ノ具體的ナ方法ニ付テハ、財政上ノ關
係モアリ、且肥料ノ生產配給等ノ事情モ考
慮シテ、善處シタイト考ヘテ居ル旨ノ答辯ガ
アリマシタ、尙此ノ外ニ種々ノ質問應答ガ
アリマシタガ、詳細ノコトハ速記錄ニ讓リ
タイト思フノデアリマス、斯ク致シマシテ
愼重審議ノ結果、委員會ニ於テハ全會一致、
本法案ヲ原案通リ可決スベキモノト議決致
シマシタ次第デゴザリマス、右御報〓申上
ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=65
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066・松平頼壽
○副議長(伯爵松平賴壽君) 別ニ御發言モ
ゴザイマセヌケレバ採決ヲ致シマス、本案
ノ第二讀會ヲ開クコトニ御異議ゴザイマセ
カヌ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=66
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067・松平頼壽
○副議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=67
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068・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第二讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=68
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069・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=69
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070・松平頼壽
○副議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ
動議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=70
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071・松平頼壽
○副議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=71
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072・松平頼壽
○副議長(伯爵松平賴壽君) 本案ノ第二讀
會ヲ開キマス、全部ヲ問題ニ供シマス、本
案全部、委員長報告通り御異議ゴザイマセ
ヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=72
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073・松平頼壽
○副議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=73
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074・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第三讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=74
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075・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=75
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076・松平頼壽
○副議長(伯爵松平賴壽君) 西大路子爵ノ
動議ニ御異議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=76
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077・松平頼壽
○副議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト
認メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=77
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078・松平頼壽
○副議長(伯爵松平賴壽君) 本案ノ第三讀
會ヲ開キマス、本案全部、第二讀會ノ決議
通リデ御異議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=78
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079・松平頼壽
○副議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト
認メマス、是ニテ休憩ヲ致シマス、午後八
時ヨリ再會致シマス
午後五時三分休憩
午後八時十八分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=79
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080・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 報〓ヲ致サセマ
ス
〔角倉書記官朗讀〕
本日委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
航路統制法案可決報告書
思想犯保護觀察法案可決報告書
臺灣拓殖株式會社法案修正報告書
臺灣私設鐵道補助法中改正法律案可決報
告書発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=80
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081・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 休憩前ニ引續キ
會議ヲ開キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=81
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082・池田政時
○子爵池田政時君 此ノ際日程ヲ追加サレ、
臺灣拓殖株式會社法案、臺灣私設鐵道補助
法中改正法律案、製鐵業奬勵法中改正法律
案〓此ノ三案ヲ逐次上程サレ、委員長ノ報
告ヲ求メラレムコトノ動議ヲ提出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=82
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083・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=83
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084・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 池田子爵ノ動議
ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=84
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085・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=85
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086・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 臺灣拓殖株式會
社法案、臺灣私設鐵道補助法中改正法律案、
政府提出、衆議院送付、第一讀會ノ續、委
員長報〓、是等ノ兩案ヲ一括シテ議題トナ
スコトニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=86
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087・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス、委員長伯爵柳原義光君
臺灣拓殖株式會社法案
右別册ノ通修正議決セリ依テ及報〓候也
昭和十一年五月二十三日
委員長伯爵柳原義光
貴族院議長公爵近衞文麿殿
一特別委員ノ修正ニ係ル條ノミヲ印刷シ其)
ノ他ハ之ヲ略ス小字及-ハ修正ナリ
第六條臺灣拓殖株式會社ニ社長副社長
各一人、理事三人以上及監事二人以上
、任命選任ノ方法
ヲ置キ其ノ職務、權限〓及任期ハ勅令ヲ
以テ之ヲ定ム
社長副社長及理事ハ勅令ノ定ムル所ニ
依リ主務大臣ノ認可ヲ經テ臺灣總督之
ヲ命ズ
監事ハ株主總會ニ於テ之ヲ選任ス
〓政府ハヲ監
第十條〓禀灣拓殖株式會社ノ業務ハ第
督ス
次ニ於テ臺灣總督之ヲ監督シ第二次
ニ於テ主務大臣之ヲ監督ス
臺灣私設鐵道補助法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報告候也
昭和十一年五月二十三日
委員長伯爵柳原義光
貴族院議長公爵近衞文麿殿
〔伯爵柳原義光君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=87
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088・柳原義光
○伯爵柳原義光君 只今日程ニ追加セラレ
マシテ上程ニ相成リマシタ臺灣拓殖株式會
社法案、竝ニ臺灣私設鐵道補助法中改正法
律案ノ兩案ノ委員會ノ經過竝ニ結果ヲ極メ
テ簡單ニ御報告申上ゲタイト存ジマスル、
兩案ノ委員會ハ本日午前及午後ノ兩囘ニ亙
リマシテ開イタノデゴザリスル、最初正副
委員長ノ選擧ヲ行ヒマシテ、ソレカラ後ニ
政府當局ノ兩案ニ對スル懇切ナル說明ヲ得
タノデアリマスル、而シテ第一ニ臺灣拓殖
株式會社法案ヲ議題ニ供シテ論議ヲ致シタ
ノデアリマスル、此ノ案ニ付キマシテハ委
員カラ政府ニ幾多ノ質疑ガアリマシテ、質
疑應答ガ澤山アッタノデアリマスル、勿論此
ノ案ハ諸君モ御存ジノ如ク政府提出ノ案ニ
衆議院ガ修正ヲ加ヘテ當院ニ、ソレガ原案
トナッテ修正案ガ原案トナッテ送付致サレタ
ノデアリマスル、卽チ其ノ第六條ト十條ニ
衆議院ガ修正ヲ加ヘテ、而シテ衆議院ニ於
テ之ヲ可決シテ、當院ニ送付シテ參ッタノ
デ、之ヲ原案トシテ審議ヲ進メタノデアリ
マス、委員ハ全體ニ於キマシテ此ノ本案ノ
提出ノ主眼タル、卽チ臺灣開發促進ヲ致シ、
而シテ南支、南洋トノ經濟的提携ヲ最モ緊
密ニシ、而シテ相互ノ慶福ヲ增進シ云々ト
云フ此ノ政府提案ノ趣旨ノアル所ニハ總テ
是ハ贊成致シタノデアリマス、唯衆議院ノ
此ノ修正ノ箇所卽チ此ノ六條ト十條ニ亙リ
マシテ、幾多ノ質疑ヲ致シタノデアリマス
ルガ、結局誠ニ此ノ說明ガ······說明ニ對シ
テ此ノ修正ノ文意ガ明瞭ヲ缺ク點ガアリマ
シテ、此ノ點ニ付キマシテ幾多ノ疑義ヲ生
ジタノデアリマスル、例ヘバ此ノ監督權ヲ
行フ者ノ點ニ付テモ疑義ガアッタノデアリ
マシテ、或ハ臺灣總督デアルトカ、或ハ拓
務大臣デアルトカ、或ハ兩者ニ在ルトカ云
フヤウナコトデ此ノ法文ノ記載スルコト
ガ稍〓明瞭ヲ缺イタノデゴザイマスル、
勿論私ハ素人デアリマスルカラ、此ノ立
法技術ハ極メテ分ラヌコトデアリマスル
ケレドモ、併シ此ノ立法技術ニ堪能ナル
御方ノ說ヲ承リマスルト、誠ニ不完全デ
アルヤウニ承ッタノデアリマスル、併シ
ナガラ前申上ゲマスル如ク此ノ提案ノ趣旨
ハ誠ニ必要緊切ナルモノデアリマスルガ故
ニ、寧ロ是ハ政府ノ原案ニ戾シタ方ガ宜イ
デハナイカト云フ意見ヲ一員ガ吐カレマシ
テ、而シテ滿場一致之ヲ可決シタノデアリ
マスル、卽チ修正ニ更ニ修正ヲ加ヘテ、元
ノ如ク政府ノ原案ニ戾スト云フコトニ相成
リマシテ、滿場一致ヲ以テ可決致シタ次第
デアリマス、簡單ニ此ノ段ヲ御報〓致シテ
置キマス、次ニ臺灣私設鐵道補助法中改正
法律案ヲ議題ニ供シテ審議ヲ進メタノデゴ
ザイマスル、此ノ案ハ極メテ簡單デアリマ
シテ、臺北鐵道ト臺中輕鐵ト兩方ノ二ツノ
鐵道ハ臺灣ノ開發上最モ必要ナモノデアリ
マスガ、併シ尙當分政府ヨリ補助金ヲ支給
スル必要ガアリマスルノデ、是ハ恰モ朝鮮
鐵道ノ例ニ傚シテ、更ニ五年以內補助金ヲ與
ヘル期間ヲ延長シタ方ガ宜カラウト云フコ
トデアリマスルノデ、卽チ此ノ原案提出ノ
理由ノ如ク、委員會ニ於テハ之ヲ是ナリト
シテ、滿場一致ヲ以テ臺灣私設鐵道補助法
中改正法律案ハ可決相成ッタ次第デアリマ
スル、簡單ニ此ノ段ヲ御報〓申上ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=88
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089・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 大河內子爵
〔子爵大河內輝耕君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=89
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090・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 本案ニ關聯致シマシ
テ政府ニ御尋ヲ致シマス、先日豫算委員會
デゴザイマシタカ、曾我子爵カラ熱誠ヲ極
メタ御質問ガアッタ、卽チ是等ノ會社ガ澤山
出來ルガ、是ハ退職官吏ノ隱退所ニナルト
云フコトガアッテハ折角ノ立法モ無意味ニ
ナルカラシテ、斯ウ云フコトハ嚴ニ避ケテ
貰ヒタイト云フ質問デアッタ、私ハ今日此ノ
機會ヲ利用致シマシテ拓務大臣ニ其ノコト
ヲ伺ヒタイ、是ハ無論當局ノ退職官吏ノ隱
居所デモナケレバ、又其ノ緣故者ヲ祭リ込
ム所デモナイ、何モサウ云フコトハ少シモ
御ヤリニナルマイト思ヒマス、又現當局者
ハ勿論ノコト、將來後ヲ繼ガレル當局者ニ
於テモ、斯カルコトヲ爲サルコトハ無カラ
ウト存ジマスルガ、先ヅ其ノ點ヲ愚念ヲ押
シテ置キタイノデアリマス、又第二ニ於キ
マシテハ、此ノ法案ハ政府折角御提出ニナ
リマシタ、今日ニ至ルマデ審議ヲ致シテ居
リマスルガ、政府ノ御意見トシテハ一日モ
早ク此ノ成立ヲ望マルヽヤ否ヤ、是非トモ
此ノ議會ニ於テ成立ヲ望マルヽヤ否ヤ、此
ノ點ヲ伺ヒタイ、其ノ御答ニ依リマシテ更
ニ質問ヲ續行致シマス
〔國務大臣永田秀次郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=90
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091・永田秀次郎
○國務大臣(永田秀次郞君) 大河內子爵ノ
御尋ニ對シテ御答ヲ申上ゲマス、此ノ會社
ノ役員ノ選定ニ當リマシテ、或ハ退職官吏
ノ隱居所ニナルトカ、或ハ緣故者ヲ救濟ス
ル場所ニナルトカ云フヤウナ虞ガナイカト
云フ御話デゴザイマシタガ、此ノ臺灣拓殖
株式會社ガ其ノ成立ノ趣旨ヲ十分ニ發揮ス
ルコトノ出來ルカ出來ナイカト云フコトハ、
一ニ懸ッテ其ノ役員トナルベキ人ノ技倆如
何ニ存スルモノト考ヘテ居ルノデアリマス、
從ッテ役員ノ選定ニ付テハ特ニ愼重ナル考
慮ヲ加ヘテ十分ニ適材ヲ求メタイ、斯ウ云
フ考ヲ持ッテ居リマスルノデ、決シテ或有能
デナイ者ヲ緣故ノ關係デ救濟ヲスルヤウナ
意味デ其ノ役ニ任ズルト云フヤウナコト
ハ、決シテゴザイマセヌ、此ノ點ニ付テハ
特ニ十分ノ上ニモ十分ノ注意ヲ加ヘタイト
考ヘテ居リマス、第二ニ御尋ニナリマシタ
一日モ早ク此ノ會社ノ成立ヲ希望スルカ、
ト云フ御尋デゴザイマシタガ、日本ノ現狀
ニ鑑ミ、ドウシテモ國策上此ノ會社ノ成立
ガ一日モ早ク成ラムコトヲ熱望シテ居ル次
第デアリマス、簡單ナガラ御答へ申上ゲテ
置キマス
〔子爵大河內輝耕君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=91
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092・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 明快ナル御答ヲ得マ
シテ感謝致シマス、次ニ此ノ原案六條竝ニ
十條ノ意味ニ付テ政府ノ御所見ヲ質シタイ
ト存ジマス、六條ニ依リマスルト云フト、
臺灣拓殖株式會社ニ是々ノ役員ヲ置イテ、
其ノ任命選任ノ方法ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
トアル、衆議院ノ修正ハ、「社長副社長及理
事ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ認可
ヲ經テ臺灣總督之ヲ命ズ」、三項ニ「監事ハ
株主總會ニ於テ之ヲ選任ス」、私ノチヨット
考ヘマスル所デハ、是ハ同ジコトデアルト
私ハ思フ、任命選任ノ方法ハ勅令ヲ以テ之
ヲ定ムトアル以上ハ、當局ニ於カレテ勅令
案ニ、「社長副社長及理事ハ勅令ノ定ムル所
ニ依リ主務大臣ノ認可ヲ經テ臺灣總督之ヲ
命ズ」、「監事ハ株主總會ニ於テ之ヲ選任ス」
ト書カレヽバソレデ宜イノデ、之ヲ修正シ
テ見タッテ修正シナイデモ同ジヤウニ私ハ
取レル、政府ハ此ノ私ノ解釋ガ誤ツテ居ル
カ居ラナイカ先ヅ伺ヒタイノト、政府ハ此
ノ「勅令ヲ以テ之ヲ定ム」ト書カレタ原案ヲ
作ラレタ際ニ、如何ナル勅令ヲ御出シニナ
ル御積リデアルカ、定メシ此ノ衆議院ノ修
正ニナッタヤウナモノヲ、サウ云フ趣旨ノコ
トヲ此ノ勅令ニ書カレル御積リデ之ヲ御出
シニナッタノデアラウト思ヒマスガ、此ノ點
ヲ明カニシテ戴キクイ、第二ハ第十條、「政
府ハ······業務ヲ監督ス」トアル、ソレヲ衆議
院ガ直シテ、「業務ハ第一次ニ於テ臺灣總
督之ヲ監督シ第二次ニ於テ主務大臣之ヲ監
督ス」ト斯ウアル、是ハデスネ、「政府ハ」ト
アルカラ、矢張リ原案ノ通リニ依リマシテ
モ、臺灣總督ガ第一次ニ監督シテ、第二次
ニ於テ主務大臣ガ監督デアル、原案ノ儘デ
モ其ノ通リニ私ハ解シテ居ル、唯是ハ從來
ト少シ變リマシタノハ、是ガ當該卽チ從來
ノ臺灣總督府ノ管轄區域ノ外ニ、此ノ會社
ニ關スル限ニ於テハ、臺灣總督ノ權限ガ、
監督權ガ及ブ、ソレダケガ違フノデ、ソレ
ハ條文ノ修正ニ依ッテハ何モ違ヒハシナイ、
衆議院ノ修正ニ依ッテモチットモ違ヒハナイ
ノデ、同ジ意味ト解スルノデスガ、其ノコ
トヲ、私ノ解釋ガ違ッテ居ルカ、違ッテ居ナ
イカ、其ノコトヲ更ニ政府ニ伺ヒタイ、ソ
レヲ御聽キシタ上デ更ニ質問ヲ續行致シマ
ス
〔國務大臣永田秀次郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=92
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093・永田秀次郎
○國務大臣(永田秀次郞君) 只今御尋ノ第
一點ハ、卽チ第六條ニ於テ「勅令ヲ以テ之
ヲ定ム」トアルコトノ內容ニ付テ御尋ニナ
リマシタガ、此ノ點ハ政府ト致シマシテハ、
勅令ヲ以テ定ムル場合ニハ、其ノ內容ニ於
キマシテハ、臺灣總督ノ地位ニ鑑ミ、又此
ノ會社設立ノ經過ニ鑑ミマシテ、「臺灣總督
之ヲ任命ス」ト勅令ノ中ニ規定スル積リデ
ゴザイマス、サウシテ內容ニ於キマシテハ、
事柄ガ社長以下副社長等ノ役員任命ハ非常
ニ重大關係ガアリマスカラ、內部ノ監督ノ
手段トシテ、豫メ拓務大臣ニ.指揮ヲ仰グヤ
ウニシタイ、ソレハ內部ノ監督ノ作用デサ
ウシタイ、モウ少シ進ンデ申シマスレバ、
拓務省ニ於テハ、十分是等ノ適任者ヲ得ル
爲ニハ、總督ト共ニ十分ニ骨折ルト云フヤ
ウニ行キタイト思ッテ居リマス、ソレデ「勅令
ヲ以テ定ム」ト書イテアリマスル內容ハ、明
文ニ······文法トシテハ、臺灣總督之ヲ任命
スト、之ヲ命ズト云フ風ニ書ク積リデゴザ
リマシタ、従ッテ此ノ通リニ、衆議院ノ修正
ノ通リニ修正サレマシテモ、實質ニ於テハ
別ニ政府ニ於テハ不都合トハ考ヘテ居リマ
セヌ、先ヅ同ジモノト心得テ居ルノデアリ
マス、第二點ニ付キマシテ、監督ノ方法ハ
「政府ハ臺灣拓殖株式會社ト業務ヲ監督ス」
トアリマス、デ此ノ政府ノ提出ノ原案ノ內
容ハ、大體主トシテ臺灣島內ノ事ハ、臺灣
總督ガ主トシテ其ノ監督ノ任ニ當ッタラ宜
イ、併シナガラ其ノ大キナ事柄ニ付テハ拓
務大臣ニ伺フト云フヤウナ內部ノ監督方法
ヲ採リタイト思ッテ居リマス、又島外
臺灣島外ノ事ハ外國關係ノコトデモアリマ
スカラシテ、是ハ臺灣總督ニ於テ第一次ノ
相談······會社ガ相談ヲ致スノデアリマスケ
レドモ、外國ノ關係モアリマスカラシテ、主
トシテ拓務大臣ガ之ヲ監督スル、斯ウ云フ
心持デ勅令ノ內容ヲ定メタイ、斯ウ云フ積
リデ居ッタノデアリマス、從ッテ衆議院ノ修
正ハ「臺灣拓殖株式會社ノ業務ハ第一次ニ
於テ臺灣總督之ヲ監督シ第二次ニ於テ主務
大臣之ヲ監督ス」ト、斯ウ云フ風ニ明カニ
規定致シマシテモ、其ノ實質ニ於テハ殆ド
變ル所ガナイ、監督ノ運用上此ノ規定ト同
ジヤウナ方法ニ依ッテヤルト云フ積リデゴ
ザイマス、從ッテ此ノ衆議院ノ修正ニ付テ
ハ、政府ト致シマシテハ格別異存ハナイノ
デアリマス、是ダケヲ御答辯致シテ置キマ
ス
〔子爵大河内輝耕君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=93
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094・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 第一點ハ能ク了解致
シマシタ、卽チ直サレテモ直サレナイデモ
同ジ事ダト云フ政府ノ解釋、第二點ハ如何デ
ゴザイマセウカ、是ハ私伺ヒ違ヒダトイケ
マセヌカラ、念ヲ押シテ置キマス、政府ハ、
十條ノ解釋ハ原案ニ依リマスルト云フト、
島内ノ事ハ臺灣總督ガヤル、島外ノ事ハ拓
務大臣ガ監督ヲスルト斯ウ云フ原案ナン
ダ、ソレヲ衆議院ガ直シタ爲ニ、島內ナル
ト島外ナルトヲ問ハズ、苟モ臺灣拓殖株式
會社ノ業務デアレバ、ソレガ廣東デアラウ
ガ、「ジャヴァ」デアラウガ、「スマトラ」デ
アラウガ、第一次ハ臺灣總督之ヲ監督シ、
第二次ハ主務大臣ガ之ヲ監督スト····サ
ウシマスト此ノ第十條ノ方ニ付キマシテ
ハ、修正案ノ爲ニ臺灣總督ノ權限ガ廣クナッ
チヤッタ、是ガ原案デハ狹クナッチヤッタ、斯
ウ云フ御解釋デゴザイマスカ、少シ斯ウヲ
カシク思ヒマスデスガ、私伺ヒ違ヒダトイ
ケマセヌ、重大ナコトニナリマスカラ伺ッテ
置キマス
〔國務大臣永田秀次郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=94
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095・永田秀次郎
○國務大臣(永田秀次郞君) 只今ノ御質問
ニ御答へ申上ゲマス、島內ノ事ハ主トシテ
臺灣總督ガ之ヲ監督シ、島外ノ事ハ臺灣總
督ヲ通ジテ主トシテ拓務大臣ガ之ヲ監督ス
ト云フ風ニ申上ゲテ置キマシタノデアリマ
スガ、是ハ法文ノ文字カラ申シマスレバ、
只今大河內子爵ノ仰セラレタ通リニ、臺灣
總督ハ、政府ノ言フ通リデアレバ、島外ノ
コトニ付テハ監督權ガナイノダ、然ルニ此
ノ通リニ第一次監督ト云フコトヲスレバ、
初メテソレニ依ッテ監督權ガ出來ルノダ、斯
ウ云フ風ニ仰セラレタノデアリマスガ、此
ノ明文ノ上ニハサウ云フ區別ガ付クカト思
ヒマスルガ、政府ノ考ト致シマシテハ、島
內ノコトト雖モ、矢張リ重要ナコトハ政府
ニ相談ヲスルヤウニ、內部的ノ監督ノ手段
ニ依ッテヤル積リデゴザイマス、又島外ノコ
トヲ主トシテ拓務大臣ガ監督スルト申シマ
シテモ、矢張リ臺灣總督ヲ通ジテ致ス考デ
ゴザイマスカラシテ、實質上ノ監督ノ方法
ニ於テハ大シタ差ガナイ、斯ウ云フ風ニ考
ヘテ居ルノデアリマス
〔子爵大河內輝耕君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=95
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096・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 ドウモ遲クナッテ誠
ニ恐縮ニ存ジマスガ、事實上ノ取扱ト法律
上ノ解釋トガ區別サレナクナッテ、分ラナク
ナッテ參リマシタノデ、明カニシテ置キタイ
ト思ヒマス、サウ致シマスト法律上ノ解釋
ト致シマシテハ、原案ニ依リマシテハ島內
ノコトハ臺灣總督ガ監督スル、サウシテ臺
灣總督ヲ監督ト云フカ何ト云フカ知リマセ
ヌガ、其ノ意味ニ於テ拓務大臣ガ又之ニ參
與スル、島外ノコトハ法律上ニ於テハ臺灣
總督ハ關係スルコトガ出來ナイノデアル、
斯ウ云フヤウニ解サレル、併シ事實上ノ取
扱トシテハドウカ、假令島內ノコトガ、臺
灣總督ノ權限內デアラウトモ、相談ヲシテ
一々ヤラウ、島外ノコトハ臺灣總督ノ權限
外デハアルケレドモ、臺灣ト密接ナ關係ガ
アルカラ、能ク相談ヲシテ、拓務大臣ガヤッ
テ行カウ、斯ウ云フコトニナリマスデスカ、
餘程是ハ臺灣總督ノ權限上重大ナコトデゴ
ザイマスカラ、法律ノ解釋ハ法律ノ解釋、
事實ノ取扱ハ事實ノ取扱、ハッキリ分ケテ御
答ヘ願ヒタイ
〔國務大臣永田秀次郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=96
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097・永田秀次郎
○國務大臣(永田秀次郞君) 只今ノ御問ニ
對シテ御答ヘ申上ゲマス、矢張リ島内ノコ
トモ、島外ノコトモ、島內ノコトハ主トシ
テ臺灣總督之ヲ監督シ、島外ノコトハ主ト
シテ拓務大臣之ヲ監督スト云フ風ニ申上ゲ
タコトニ付テ、ソレデハ法律的ニナッテ居ラ
又、斯ウ云フ御話デゴザイマシタガ、法文
ノ、勅令ノ內容ヲ規定致シマス際ニハ、矢
張リ臺灣總督ニ監督權ヲ持タス積リデゴザ
イマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=97
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098・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 只今ノハ政府ノ原案
ニ於キマシテモ、島外ノコトト雖モ臺灣總
督ニ監督ノ權限アリ、斯ウ云フ法律上ノ解
釋ナリト認メテ宜シウゴザイマスカ
〔國務大臣永田秀次郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=98
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099・永田秀次郎
○國務大臣(永田秀次郞君) 御答ヘ申シマ
ス、其ノ通リデゴザイマス
〔子爵大河內輝耕君演壇ニ登ル)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=99
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100・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 此ノ解釋ニ付キマシ
テ、委員ニ質問ヲ申上ゲタイ、此ノ度ノ委
員ハ非常ニ短期ノ所デアルノニ非常ニ御勵
精下サイマシテ、熟慮審議ノ結果、此ノ修
正ヲ出サレタ、サウシテ玆ニ論議サレルト
云フ迄ニ手數ヲ掛ケラレタコトニ付キマシ
テハ、實ニ我々感謝措ク能ハザル所デゴザ
イマス、唯、只今ノ說明ヲ伺ヒマスルト云フ
ト、少シク又委員ニ對シテモ、御質問ヲ致
サヌケリヤナラヌ事情ニ立至リマシタノ
デ、委員ノドナタデモ宜シウゴザイマスカ
ラ、一ツ此ノ點ヲ明瞭ニ致シテ置キタイ、
卽チ只今拓務大臣ノ解釋ハ委員ニ於テ之ヲ
認メラレルヤ否ヤ、アノ通リデ宜シイノデ
ゴザイマスカ、若シ認メラレナイトスレ
バ、何處ガ違ヒマスカ、御指摘ヲ願ヒマス、
ソレカラ若シ假ニ拓務大臣ノ解釋デアリト
スレバ、原案ニ依ラウガ、修正案ニ依ラウ
ガ、同ジコトデアリマス、ソレナノニ修正
ヲ又元ニ戾サレク其ノ理由如何、是ハ短期
議會ニ於キマシテ、貴族院ガ衆議院ノ修正
ヲ又元ニ戾スト云フヤウナ、重大ナルコト
ヲ致シマス以上、社會ニ對シテモット明瞭ニ
致シテ置カナケレバナラヌ點ト存ジマス
ルカラ、具體的ノ御說明ヲ御願ヒ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=100
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101・柳原義光
○伯爵柳原義光君 是ハ委員長トシテ答辯
致スヨリハ、寧ロ太田君ナリ、柴田善三郞
君ナリ、委員會ニ於テ之ニ關シテ意見ヲ細
カニ御述べニナッタ御方カラ仰セラレル方
ガ明瞭ニナルト存ジマスカラ、何卒左樣願
ヒタウゴザイマス
(子爵前田利定君「私語ハ禁ジテ戴キタ
イト思ヒマス」ト述フ〕
〔柴田善三郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=101
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102・柴田善三郎
○柴田善三郞君 委員長カラ御答辯申上グ
キベデアリマスガ、一應私カラ御答ヘ申上
ゲマス、成程見方ニ依リマスレバ、働キ方
ハ同ジヤウニナルカモ知レマセヌ、併シ幾
ラカ、私違ヒガアルト思ヒマス、卽チ衆議
院ノ修正案ニ依リマスレバ、何ト申シマス
カ、第一次監督ガ臺灣總督デアッテ、第二次
監督ガ主務大臣デアルト云フコトニナリマ
スルカラ、詰リ法制ノ上ニ明カニ監督關係
ヲ現スノデアリマス、所デ大體委員會ト致
シマシテハ、第六條ノ場合モサウデアリマ
スルケレドモ、是ノ働キ方ハ餘リ違ヒハナ
イカモ知レマセヌ、働キ方ノ上ニ於テハ餘
リ違ヒハナイカモ知レマセヌガ、大體臺灣
總督ト云フモノハ臺灣統治ノ重責ヲ負フ所
ノ重臣デアル、斯ウ云フ關係カラ致シマシ
テ、一般ノ監督權ヲ拓務大臣ハ持ッテ居ル
ケレドモ、個々ノ場合ニ付テ、法令ノ上
デ、明カニ臺灣總督ガ主務大臣ノ認可ヲ受
ケテ、サウシテ重役ヲ選任スルト云フコト
ノ如キハ、臺灣ニ關スル法制ニ於テ初メテ
開カレル新例デアル、無論大臣ト致シマシ
テハ非常ナ兩者ノ關係ヲ圓滿ニヤッテ行カ
ウト云フコトニ付テハ豐カナ氣持ヲ持ッテ
居ラレマス、併シナガラ法制ノ上ニ現レル
所デハ、此ノ豐カナ氣持ノ大臣ガ、初メテ
實際ニ於テハ臺灣總督ト云フ權限ヲ小サナ
モノニ法制ノ上デハシテシマフト云フコト
ニナルノデアリマスルカラ、ソレデ法制ノ
上ニハ唯臺灣總督、結局勅令ニ讓リマ
スル結果ハ、臺灣總督ト云フコトニ、形
式ノ上デハナリマセウ、サウシテ監督
權ノ發動トシテ主務大臣ハ關聯セラレ
ルト云フコトニ、斯ウ云フコトニナラウト
思ヒマス、是ハ卽チ初メテ斯ウ云フ制度
ノ上ニ於テ、斯樣ナ臺灣總督ノ如キ重責
ニアラレマスルモノ、卽チ臺灣ノ統治百般
ノコトヲ管掌セラレマスルヤウナモノガ、
今迄ヨリ表向キ法制ノ上デ權限ヲ縮小サレ
ルト云フヤウナコトハ、統治既ニ四十年ニ
相成リマシタトハ申シナガラ、所謂新附ノ
民デアリマスルカラ、臺灣ノ總督ノ威信上
ニモ如何アラウカト、斯ウ云フ考ヲ以チマ
シテ、是ト同ジヤウナ意味デアリマス、矢
張リ第一次、第二次ト云フ如キ言葉ヲ法制
ノ上ニ於テ現スト云フコトノ如キハ如何デ
アラウカ、斯ウ云フ氣持カラ致シタ譯デア
リマス、左樣ニ御承知ヲ願ヒマス
〔子爵大河內輝耕君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=102
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103・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 御氣持ハ能ク分リマ
シタガ、結果ハ同ジコトニナリマス、此ノ衆
議院ノ修正案通リヲ勅令デ出セバ矢張リ同
ジコトニナル、今サウ云フヤウナ勅令ヲ出
スノダト云フ、又少クモ之ヲ出シ得ル、サウ
云フ勅令ヲ出スコトヲ得ズト御書キニナレ
バ別デスガ、出セル修正デ、ソレデ拓務大
臣ノ氣持モサウ云フ勅令ヲ出サウト云フ、
同ジ譯ニナル、デ殊ニ在外ノ臺灣總督ガ第
一次ニ監督シ、第二次ニ主務大臣ガ監督ス
ル、何モ臺灣總督ヲ下ニ見タノデモ何デモ
ナイ、デ斯ウヤッテ書イテヤレバ、臺灣總督
ハ島ノ外マデカガ及ブ、力ガ及バナイノデナ
1、管轄以外ニモ仕事ヲ監督スルト云フコ
トガ明カニナリ、又臺灣總督ガ出先官憲デ
アル以上、主務大臣ノ認可ヲ受ケテ見タ所
デ當リ前ノ話デ、餘リ別ニ體面ニモ關シナ
イト思ヒマス、マアソレハサウ云フコトハ
別ト致シマシテ、ソレハソレデ別ト致シマ
シテ、斯ウ云フ勅令ハ御修正ニナッタッテ拓
務大臣ガ出シ得ルノデスカラ、其ノ點何モ
立法トシテハドッチニナッタッテ同ジ譯デ、變
ニ思フノデスガ、コンナニ時間ヲ潰シテ、サ
ウシテ修正スル必要ガドコニアルカト思
フ、今一應ドウゾ····
〔柴田善三郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=103
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104・柴田善三郎
○柴田善三郞君 成程同ジヤウニモ見ラレ
マスケレドモ、委員會ハ斯ウ見テ居リマス、
第一次監督、第二次監督ト云フコトニナレ
バ、上下ノ關係ヲ持ツ段階的ノモノデアル、
ソレデ今拓務大臣ガ仰シヤルヤウニ御定メ
ニナルト云フコトニナレバ、監督權ハ橫ノ
關係ニナル、ソレデアルカラ上下ノ關係ヲ
此ノ際初メテ斯ウ云フ法令ノ中ニ現スト云
フコトハ宜クナイ、特殊ノ法令ノ中ニ現スト
云フコトハ適當デアルマイ、成ルベク臺灣
總督ノ權限ヲ重ンジナケレバナラナイ、是ガ
前例ニナッテ將來幾多ノ法令ニ、何デモカン
デモ拓務大臣ガ、上ノ監督關係ニアルト云
フコトヲ、ソレゾレノ法令ニ明記スルヤウ
ナ前例ヲ作リタクナイト、斯ウ云フ意味デ
アリマスカラ、此ノ意味ニ於テハ違フト思
ヒマス、併シナガラ委員會トシテ只今ノ御
尋デハアリマセヌケレドモ、一應申上ゲテ
置カナケレバナラナイコトハ、實ハ拓務大
臣ガ臺灣內ノコト、ソレカラ島外ノコト、
之ニ依ッテ分界ヲ立テテ行キタイト云フコ
トハ仰シヤッテ居リマスケレドモ、サウシテ
此ノ事情ニ於テ只今御發言ニナッタコトヲ、
ソレハモウ間違ヒナイト取レバ格別デアリ
マスケレドモ、併シ是マデノ經過カラ申シ
マスルト、色々ノ機會ニ於テ極メテ理義ア
ル御答辯ニナッテ居ルノデアリマス、例ヘバ
或時ニ於キマシテハ、主トシテ臺灣ノ中ノ
コトハ臺灣總督ニヤラセタイ、主トシテ島
外ノコトハ主務大臣ガヤリタイ、斯ウ云フ
言葉ヲ以テ御現ハシニナッタコトモアリマ
スルシ、又或時ニハ大體サウ云フ法制的ノハッ
キリシタ分界ト云フモノヲ立テルヨリモ、
大體ノ氣持ノ上カラ言フナラバ、總督ノ功
績ハ卽チ自分ノ功績デアル、自分ノ功績ハ卽
チ總督ノ功績デアル、故ニ法制ノ上デハドウ
云フヤウニナッテモ、互ニ相談相手トナッテ
相扶ケ合ッテ進ミタイ、斯ウ云フヤウナ意朱
デ御答辯ニナッタコトモアルノデアリマス、
之ニ對シ委員會經過トシテ申上ゲマスルガ、
委員會ハ拓云大臣ノ御氣持ト云フモノハ、
ソレハ能ク了解ハ出來ル、併シナガラ只今ノ
大臣ヲ目標ニシテ法制ヲ作ルト云フコトハ、
是ハ出來ナイコトデアリマス、故ニ法制ノ上ニ
於テハ人ト云フモノヲ見ズ、大臣其ノ人ヲ見
ズニ、ドノ人ガ來テモ通用スルト云フ法制ヲ
作ラナケレバナラヌ、此ノ意味ニ於テ、實ハ委
員會カラハ、第十條ノ政府ト云フ文字ハ、
臺灣總督ト云フ意味デアルト云フコトヲ仰
シヤッテ戴ケナイカ、卽チ一般的ノ監督規定
ガアルノデアリマスルカラ、而シテ拓務大
臣ノ職責タルヤ、實ニ外地行政ニ對シマス
ル所ノ輔弼ノ責任ヲ負フ重要ナル地位ニ居
ラレルノデアルカラ、法制ノ上デハ臺灣總
督ト云フ解釋ヲ取ッテ、而シテ實際ノ上ニ於
キマシテハ其ノ御自身ノ重責ニ顧ミテ、事
ノ大小輕重ヲ計ッテ、而シテ適宜ニ御相談ニ
ナル、斯ウ云フコトニハ行キマセヌカト云
フコトヲ申上ゲタノデアリマスルガ、之二
對シテハ、今法制ノ上カラサウ云フコトニ
スルコトハムヅカシイト云フヤウナ御話デ
アリマシタ、併シナガラ是ハ批判ニナリマ
スルケレドモ、大體委員會トシテ言葉ヲクッ
キリ島内ノコトハ臺灣總督、島外ノコトハ
拓務大臣ト云フ意味デ、之ニ贊成致ス意味
ヲ以テ決シテ原案ヲ認メタ次第デハナイノ
デアリマス、恐ラク批判的ニ申上ゲマスル
ナラバ、一ツノ會社ノ監督ト云フモノヲ、
横ニ二分シテヤルト云フコトノ如キハ、蓋
シ、結局將來ニ於ケル紛亂ノ本ニナルノデ
ハナイカ、殊ニ人事ノ關係ト云フモノハ上
下ノ關係ガアッテスラモ、相當面倒ナモノデ
アル、况ヤ橫ノ關係ニ於テスルト云フコト
ナラバ、非常ナ混亂ガ起キヤシナイカト云
フヤウナコトモ申上ゲテ、御注意ハ申上ゲ
テアル次第デアリマス、ソレ故ニ只今ノ御
答辯ノヤウナ結果ニ或ハ勅令ハ出ルカモ知
レマセヌガ、私ハ恐ラク結果論トシテハソ
レゾレノ審議機關ニ御諮リニナッテ決メマ
ス場合ニ於テハ、サウ云フモノガ實際ニ於
テハ現レテ來ナイダラウト考ヘテ居リマス、
大體併シナガラ一面ニ於テ是ハ法制上ノコ
トデアッテ、サウシテドウナラレテモ、運用
ノ上ニ於テハ少クトモ現拓務大臣ハドッチ
カラ言ッテ、極メモテ圓滿ナル統治ノ趣旨ニ
副フ御執行ヲ爲サルモノト、斯ウ云フ風ニ
委員會ハ見テ、原案ニ戾リマシタ次第デア
リマス、左樣ニ御了承ヲ願ヒマス
〔子爵大河内輝耕君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=104
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105・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 大變詳シイ御說明ヲ
伺ヒマシテ、先ヅ大體其ノ意味ニ於テハ違
ヒガナイト云フコトガ能ク分ッタ、ソレデ斯
ウ云フ意味ニ於テ違ヒガナイノデ、臺灣總
督ヲ重ンズルコトニ於キマシテハ、チットモ
又是モ違ヒガナイ、サウ致シマスト此ノ修
正ハ、唯氣持ノ問題ト云フヤウナコトニナ
リマス、折角御直シニナリマシタモノデゴ
ザイマスカラ、是デ衆議院ヘ御送付ニナル
コトモ宜カラウト存ジマスガ、ドウカ私ノ
希望スル所ハデス、此ノ法案ハ是非成立シ
テ戴キタイ、此ノ位ノコトヲソンナニ方々
デ、兩方デヤカマシク爭ハナイデ、コッチハ
マアアッサリ扱ッテ、一ツ是非成立サシテ戴
キタイ、ドッチニナッタッテ結果ハ同ジナン
デス、少シモ違ヒマセヌ、其ノ事ハ今スッカ
リ明カニサレマシタ、此ノ希望ヲ述ベテ私
ノ質問ハコヽデ打切ッテ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=105
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106・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 兩案ノ第二讀會
ヲ開クコトニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=106
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107・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=107
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108・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ兩案ノ第二讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=108
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109・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=109
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110・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=110
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111・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=111
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112・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 先ヅ委員會ノ修
正ノアリマシタ臺灣拓殖株式會社法案、是
ノ第二讀會ヲ開キマス、全部委員長ノ報〓
通リデ御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=112
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113・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=113
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114・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第三讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=114
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115・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=115
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116・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=116
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117・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=117
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118・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 第三讀會、全部
第二讀會ノ決議通リデ御異議ハゴザイマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=118
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119・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=119
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120・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 次ニ臺灣私設鐵
道補助法中改正法律案、第二讀會ヲ開キマ
ス、全部委員長ノ報告通リデ御異議ハゴザ
イマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=120
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121・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=121
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122・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第三讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=122
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123・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=123
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124・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=124
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125・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=125
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126・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 第三讀會、全部
第二讀會ノ決議通リデ御異議ハゴザイマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=126
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127・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=127
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128・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 製鐵業奬勵法中
改正法律案、政府提出、衆議院送付、第
讀會ノ續、委員長報〓、委員長樺山伯爵
製鐵業奬勵法中改正法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及
報〓候也
昭和十一年五月二十三日
委員長伯爵樺山愛輔
貴族院議長公爵近衞文麿殿
〔伯爵樺山愛輔君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=128
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129・樺山愛輔
○伯爵樺山愛輔君 製鐵業奬勵法中改正法
律案ニ關スル委員會ノ經過竝ニ結果ニ付テ
御報告致シマス、審議ノ詳細ハ速記錄ニ付
ニ御覽ヲ願フコトニ致シマシテ、主要ナル
事項ニ付キ之ガ要領ヲ御報告申上ゲタイト
思ヒマス、先ヅ政府ノ本案提出ノ理由ヲ簡
單ニ申上ゲマスレバ、製鐵業ノ振興方策ノ
一ツトシテ、玆ニ製鐵業奬勵法ヲ制定シ、
製鐵事業者ニ對シテハ所得稅及營業收益稅
竝ニ地方稅ヲ免除スルコトト致シテアルノ
デアリマス、最近ノ本邦製鐵業ハ長足ノ進
步發達ヲ遂ゲタノデアリマシテ、從ッテ其ノ
事業收益ガ資本金額ニ對シ年一割ノ割合ヲ
超ユルガ如キ場合ニ於キマシテ、尙且之ニ
全然免稅ノ特典ヲ受ケシムルコトハ過當ナ
ル保護ニ失シマスルノデ、其一割ヲ越ユル
收益ニ對シマシテハ、所得稅及營業收益稅
竝ニ其ノ附加稅ヲ課シ得ルコトトセムトス
ルモノデアリマス、次ニ審議ノ要領ヲ申上
ゲマスルニ、主ナル質疑竝ニ之ニ對スル政
府ノ答辯ハ大體次ノ如キモノデアリマス、
第一點ハ本改正法案ガ製鐵國策ノ本義ヨリ
見テ適當ナルモノナリヤ、本案ハ單ニ歲入
ノ增加ヲ企圖シタルモノニアラザルヤノ點、
卽チ銑鐵、屑鐵等ノ大量輸入ヲ必要トスル
現狀ニ於テハ、製鐵會社ノ收益ニ對シ一部
ノ課稅ヲ行フヨリモ、其ノ收益ヲ設備充實
ニ資セシムルヤウ、政府ノ斯業ニ對スル指導
監督ノ途ヲ講ズルコトガ妥當ナリト認メラ
ルヽガ如何ト云フ點デアリマス、尙陸海軍
ノ立場カラ見テ本案ハ支障ナキモノナリヤ
否ヤノ點ヲ質シタノデアリマス、之ニ對シ
テ政府ヨリハ、鐵鋼ノ自給亡足ヲ圖ルベキ
鐵國策ノ根本ニ於テハ何等變リナク、今後
益〓、其ノ目的達成ノ爲ニ具體的方策ヲ考究シ
テ、目下關係各省協議會ヲ設置シ、熱心ニ
審議ヲ進メテ居ル次第デアッテ、本改正案ハ
何等右ノ鐵國策ニ背馳スルモノデナク、製
鐵會社ニ對スル過當ナル保護ノ弊ヲ是正シ、
其ノ自主的發展ヲ企圖シタモノデアリ、
又社會的公正ノ觀念カラ見テモ、此ノ程度
ノ改正ハ適當ナルモノト認メタノデアリマ
シテ、單ニ歲入增加ヲ目的トスルモノデハ
ナイトノ答辯ガアリマシク、而シテ本改正
案ハ今後ノ擴張計畫ノ進捗ニ格別ノ支障ヲ
與ヘル虞ナシト認メルトノ答辯ガアリマシ
ク、尙陸海軍國防ノ立場カラ見テ、本邦製
鐵業ノ現狀ハ未ダ自給自足ノ域ニ達シテ居
リマセヌカラ、今後各般ノ施設ニ付テ、折
角關係各省ト協議連絡ヲ取リツヽアリマス
ガ、本案ニ付テハ支障ナキモノト認メ、同
意シタル旨ノ答辯ガアリマシタ、第二ノ點
ハ、奬勵法ニ於テハ設備完成ノ年及其ノ翌
年ヨリ十五年間ハ免除スト規定シテ居リ、
民間ニ於テモ其ノ豫定ノ下ニ事業ヲ計畫シ
テ居ルニ拘ラズ、今囘免稅期間內ニアルモ
ノニ對シ、一部保稅ヲ爲スハ當ヲ缺ク虞ナ
キヤトノ點デアリマス、之ニ對シ政府ヨリ
ハ奬勵法ノ精神ハ、幼稚ナ産業ノ域ニア
リマシタ製鐵業ノ保護助長ヲ圖ルニアリマ
ス、我ガ製鐵業ガ相當發達致シ、諸稅免稅
ノ特典ヲ與フルコトガ過當ナル保護ニ失ス
ルト云フヤウナ現法制定當時ト著シク情勢
ヲ異ニスルニ至リマシタ今日ノ場合ニ、其
ノ發達ノ程度ニ應ジ之ガ保護ノ程度ヲ薄ク
スルコトハ、奬勵法ノ精神ニ鑑ミ、敢テ不
當ト認メ得ザルノデアリ、且今後新ニ認可
ヲ受ケテ製鐵設備ヲ爲ス事業者トノ權衡ヲ
モ考慮シ、一般ニ改正法ニ適應スルコトト
爲シタ旨ノ答辯ガゴザイマシク、尙鐵國策
ニ關シ、日本製鐵株式會社ハ設立趣旨ヲ十
分實現シ居ラザルヤウ認メラルヽガ、之ニ
對スル政府ノ所見ハ如何、製鐵不足ノ現狀
ニ於テ、銑鐵關稅引下法案ヲ提出セル理由
等ニ付キ質疑ガアリマシテ、之ニ對シ政府
ヨリハ、日本製鐵株式會社ハ設立以來、銳
意其ノ使命ヲ達成スベク設備改良擴張、事
業ノ合理化ニ努メツヽアリマスガ、經濟界
ノ急激ナル變化ヲ生ジタ現狀ニ於テハ、未
ダ十分所期ノ效果ヲ擧ゲ得ザルモ、今後益〓
其ノ使命ヲ達成スベク努力シツヽアル旨ノ
答辯ガアリマシタ、又製鐵關稅引下ニ對シ
テハ、先年鐵鋼界ノ情勢ニ對スル臨時ノ應
急ノ措置トシテ、二箇年ヲ限リ關稅引下ノ
案ヲ考ヘマシタノデアリマスルガ、現在ハ
相當數量ノ外國銑ノ輸入ヲ必要トシテ居リ
マスルモノノ、日本製鐵其ノ他ノ增產計畫
モ近ク完成ニ赴キツヽアリマスルノデ、本
邦銑鐵ノ供給モ增加致シ、外國銑鐵ノ輸入
モ相當緩和セラルル見込ナルノミナラズ、
銑鐵ノ增產ヲ折角奬勵シツヽアル現狀ニ鑑
ミ、關稅引下ノ事業ニ對スル影響等モ考慮シ
テ、此ノ際提案致サナカッタノデアリマス
ガ、本問題ハ一般鐵國策ノ檢討ノ際、考究
スル旨ノ答辯ガアリマシタ、以上ハ當委員
會ノ大體ノ經過デアリマスガ、之ガ採決ニ
當リマシテハ、討論ノ結果全會一致ヲ以テ
本案ヲ可決致シタモノデアリマス、以上御
報告申上ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=129
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130・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 本案ニハ反對意
見ノ發言通〓ガゴザイマス、水野甚次郞君
〔水野甚次郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=130
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131・水野甚次郎
○水野甚次郞君 製鐵業奬勵法ハ大正六
年七月法律第二十七號ヲ以テ制定セラレタ
ルモノデアリマシテ、其ノ後數囘ノ改正ガ
アリマシタケレドモ、現在ノ國情ニ於テ全
ク之ニ卽セザル法律デアリマスカラ、其ノ
根本ヨリ改メザルベカラザル法律デアルコ
トハ議論ノ餘地ハゴザイマセヌ、例ヘバ一
箇年僅カニ三萬五千瓲ノ製銑能力及製鋼能
力ヲ有スル設備ヲ以テ營ム製鐵事業ハ云々
トアリマスガ如キ、全ク時宜ニ適セザルモ
ノデゴザイマス、今日ニ於テ法ノ精神ハ所
謂原料自給自足ノ製鐵業獎勵デアラネバナ
リマセヌ、屑鐵ヲ米國ヨリ輸入シ、銑鐵ヲ
印度、「ロシア」ヨリ仰ギ、以テ屑鐵製鋼ヲ
專ラトセル製鐵業ニ對スル奬勵法ニナッチン
ハ既ニ法ハ死物デアリマス、昨十年度輸入
ノ屑鐵百七十萬瓲、銑鐵六十萬瓲、合計二
百三十萬瓲、此ノ價額實ニ一億三千八百圓
デアリマス、然ルニ之ヲ鑛石ノ輸入ニ代ヘ
マスレバ、四百萬瓲ヲ以テ製銑シ得ラレマ
スカラ、一瓲當リ十圓ト致シマシテモ、輸
入額四千萬圓ニ過ギナイノデアリマス、而
シテ鑛石ハ一朝事變發生ノ場合ト雖モ、滿
鮮ニ於テ求メ得ベク、安全ニ製鐵國策ノ遂
行ガ出來マス、之ガ爲ニハ現商工大臣ノ活
眼ニ依ル高爐增設ガ急務デアリマス、現時
帝國官民ノ製鋼能力ハ年額實ニ五百萬瓲デ
アリマスルノニ對シテ、製銑能力ハ僅カニ
二百萬瓲ニ過ギマセヌ、故ニ當局ハ此ノ際
髙爐新設ヲ奬勵助長シ、之ガ平衡ヲ保タシ
ムルハ勿論、戰時ヲ慮リ豫備高爐ヲ增設奬
勵ニマデ躍進セザルベカラザルモノト確
信致シマス、小川商工大臣ハ、本案通過ト
自給自足ニ何等關係ナシト仰セラレマシタ
ガ、高爐建設ニハ巨大ナル資金ヲ要シマ
ス、今本案通過ノ曉、日鐵ノ如キ巨資ヲ有
スルモノハ別ト致シマシテ、中小事業家ニ
對シ慧眼ナル金融業者ハ、製鐵業ノ將來ニ
見極メヲ付ケ、資金融通ニ躊躇逡巡スルヤ
ニ至ルカモ知レマセヌ、本案ニ依ッテ得ル稅
收入ハ僅ニ二百萬圓ニ過ギマセヌガ、
露印ヘ屑鐵、銑鐵ノ代價ヲ昨年一箇年間
ニ支拂ヒタル額、約一億四千萬圓ヲ思フ
時、實ニ慄然タル感ガゴザイマス、而モ高
爐新設奬勵ニ基キ、滿鮮地方ヨリ輸入スル
鑛石代四千萬圓ヲ海外支拂ト假定致シマシ
テモ、尙一億圓ノ節約トナルノデアリマ
ス、加フルニ鑛石製鋼法ニ依ル副產物トシ
テ、石炭ノ國內ニ於ケル需要及硫安、「タイ
ル」、高爐「セメント」、骸炭、瓦斯等、幾多
ノ副生的利益ヲ得、國民生活安定ノ一助ト
モナリ、所謂一石二鳥ノ國益デアリマス、
然ルニ之ヲ害スル虞アル本案ノ如キハ早計
ト言ハザルヲ得マセヌ、政府ハ日本製鐵株
式會社ノ事業ヲシテ、其ノ發生當時ノ聲明
ニ基キ、良質安價ノ品ヲ供給スルト云フ原
則ヲ守ラシムルヤウ監督セラレムコトヲ望
ミマス、例ヘバ「レール」、「アイビーム」、
「チヤンネル」等、製作容易ナル物品ヲ、獨
占分野製品タル故ヲ以テ高價ニ賣付ケ、「ア
ウトサイダー」ト混合分野品ハ、却テ競爭
的安價ニ提供スルガ如キハ、恰モ「デパー
トレ業者ガ普通日用品ニ馬鹿氣タ安價ニテ
客ヲ引キ、高級品ハ時價ヨリ數割高價ニ賣
付ケテ恥ヂザル行爲ニ似テ、甚ダ不快ヲ感
ズル事多キモノガアリマス、「アウトサイ
ダー」ヲ全滅セシメテ鐵國策ハ求ムベカラズ、
寧ロ斯カル獨占物ヲ安價ニ提供シ、普通品
ノ時價ヲ定メ、「アウトサイダー」ヲシテ暴
利ヲ貪ラザラシムル暗示タラシムルヲ最モ
賢明ナル策ト信ジマス、航空、燃料、製鐵
ハ現下帝國ノ三大國策デ、一日モ忽セニス
ベカラザル問題ナリト存ジマシテ、敢テ苦
言ヲ呈シ政府ノ反省ヲ促シマシタ所以デゴ
ザイマス、資源タル鑛石ノ採集ニ就テハ萬
遺憾ナキ不斷ノ御努力ヲ政府當局ヘ希望致
シマス、本案ハ私一人ノ反對デゴザイマセ
ウト思ヒマス、私ハ假令一人ト雖モ玆ニ反
對ノ意ヲ聲明致シマシテ、政府當局ニ十分
ナル御反省ヲ戴キタイト切ニ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=131
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132・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 本案ノ第二讀會
ヲ開クコトニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=132
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133・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=133
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134・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第二讀
會ヲ開カレムコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=134
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135・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=135
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136・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=136
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137・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=137
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138・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 第二讀會、全部
ヲ問題ニ供シマス、全部委員長ノ報告通リ
デ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=138
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139・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=139
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140・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直チニ本案ノ第三讀
會ヲ開カレムコト希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=140
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141・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=141
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142・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 西大路子爵ノ動
議ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=142
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143・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=143
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144・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 第三讀會、本案
全部、第二讀會ノ決議通リデ御異議ハゴザ
イマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=144
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145・近衞文麿
○議長(公爵近衞文麿君) 御異議ナシト認
メマス、本日ノ議事ハ是ニテ終リマス、明
日午前十時ヨリ開會致シマス、日程ハ決定
次第彙報ヲ以テ御通知ニ及ビマス、是ニテ
散會致シマス
午後九時二十六分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006903242X01319360523&spkNum=145
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