1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
土地賃貸價格改訂法案(政府提出)
競馬法中改正法律案(政府提出)
土地賃貸價格改訂法施行に伴う耕地整理法の特例に關する法律案(政府提出)
國税徴收法中改正法律案(政府提出、貴族院送付)
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會議
昭和十一年五月十五日(金曜日)午前九時三十分開議
出席委員左の如し
委員長 八田宗吉君
理事 飯田助夫君 理事 佐藤謙之輔君
理事 蔭山貞吉君
高田耘平君 西村金三郎君
本多眞喜雄君 植村嘉三郎君
西田郁平君 吉植庄亮君
古河和一郎君 瀬川嘉助君
大石倫治君 西川貞一君
陣軍吉君 黒田寿男君
五月十四日國税徴收法中改正法律案(政府提出、貴族院送付)の審査を本委員に付託せられたり
出席國務大臣左の如し
大藏大臣 馬場えい一君
内務大臣 潮惠之輔君
農林大臣 島田俊雄君
出席政府委員左の如し
内務省地方局長 大村清一君
大藏政務次官 中島彌團次君
大藏參與官 丹下茂十郎君
大藏省主税局長 山田龍雄君
大藏書記官 松隈秀雄君
陸軍少將 磯谷廉介君
農林政務次官 田邊七六君
農林省農務局長 戸田保忠君
農林省畜産局長 田淵敬治君
本日の會議に上りたる議案左の如し
土地賃貸價格改訂法案(政府提出)
競馬法中改正法律案(政府提出)
土地賃貸價格改訂法施行に伴う耕地整理法の特例に關する法律案(政府提出)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=0
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001・八田宗吉
○八田委員長 是ヨリ開會致シマス、當委
員會ニ付託サレタル議案ハ土地賃貸價格改
訂法案、競馬法中改正法律案、土地賃貸價
格改訂法施行ニ伴フ耕地整理法ノ特例ニ關
スル法律案、國稅徵收法中改正法律案、以
上四案デアリマスルガ、先ヅ競馬法中改正
法律案ニ付キマシテ審議致シマシテ、政府
ノ提案ノ說明ヲ御聽致シ、サウシテ質疑ニ
入リタイト存ジマス、先ヅ競馬法中改正法
律案ヲ審議致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=1
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002・島田俊雄
○島田國務大臣 只今議題トナリマシタ競
馬法中改正法律案提出ノ理由ヲ說明致シテ
置キタイト思ヒマス、競馬法ガ實施サレマ
シテ以來、競馬ハ逐年非常ニ隆盛ニ相成リ
マシテ、現在ニ於キマシテハ競馬施行ニ關
スル諸般ノ情勢ハ、競馬法制定當時トハ著
シイ變化ヲ示シテ參ッタノデアリマス、隨ヒ
マシテ從來ノ制度ハ此變化シタル情勢ニ處
シテ、競馬ノ使命ヲ達成スルニ遺憾ナキヲ
期スルコトガ困難トナッテ參ッタノデアリマ
シテ、競馬施行ノ當事者トシテモ、之ガ改
善刷新ノ必要ヲ唱フルヤウニ相成ッタノデ
アリマス、又一面ニ於キマシテ今年度ヨリ
開始セラレマシタ馬政第一一次計畫ヲ遂行致
シテ參ル關係ヨリ致シマシテモ、競馬ノ機
能ヲ充實セシムルノ必要ガ緊切ヲ加ヘマシ
タノデ、昨年馬政調査會ニ對シマシテ競馬
ノ統制改善ニ關スル方策ニ付キ諮問致シマ
シタ、同調査會ニ於テハ、愼重審議ノ結果
本年一月全會一致ヲ以テ答申ヲ決議セラレ
タノデアリマス、本案ハ右ノ答申ニ基イテ
立案致シタモノデアリマシテ、大要左ノ諸
點ニ付テ改正ヲ致サントスルモノデアリマ
ス、策一ハ競馬施行機關ニ關スル事項デア
リマス、競馬ハ馬政上ノ重要ナル使命ヲ以
テ施行セラルヽ事業デアリマスノデ、其施
行ハ權威アル强力ナル機關ニ於テ、全國ヲ
通ジテ統制アル施行ヲ爲スノ要アルコトハ
申ス迄モナイ所デアリマスガ、現在ニ於テ
ハ十一ノ競馬倶樂部ガ各々獨立シテ、ソレ
ゾレ其施行ノ任ニ當ッテ居ルノデアリマシ
テ、各自其倶樂部ノ事業ノミヲ念トシテ競
馬ヲ施行スルコトニナッテ居リマスノデ、ソ
レガ爲ニ其間ノ連絡統制ヲ期スルコトハ困
難ナル實情デアリマス、又一面ニ於テ競馬
事情ノ著シク變化シマシタ現在トシマシテ
ハ)民法ノ社團法人タル競馬倶樂部ガ、競
馬施行機關タルコトハ制度上適當ナリト申
シ難イノミナラズ、實際問題トシテモ、種
種弊害ヲ生ズル原因ヲ成シテ居ルノデアリ
マス、仍テ競馬法ニ依ル競馬ハ全國ヲ通ジ
マシテ、日本競馬會ト稱スル一個ノ法人ニ
之ヲ施行セシムルコトト致シマシテ、現在
ノ各競馬倶樂部ハ日本競馬會ノ競馬ノ開催
ニ協力援助スル團體トシテ存在スルコトト
致シタノデアリマス、是ガ本改正案ノ第一
ノ點デアリマス、第二ハ取締ニ關スル事項
デアリマス、競馬ノ隆盛ニ赴クニ伴ヒマシ
テ、之ガ取締ヲ徹底セシムルコトノ必要ナ
ルコトハ改メテ申ス迄モアリマセヌ、本案
ニ於キマシテハ競馬ノ公正ヲ期スル意味ニ
於テ、調〓師及ビ騎手ニ對シマシテ、其取
締ニ必要ナル規則ヲ設ケ得ルコトトスルト
共ニ、開催執務委員ノ職務執行ヲ妨害スル
者ニ對スル制裁ヲ嚴重ニ致シマシテ、且ツ
開催執務委員、調〓師、騎手等ガ所謂呑屋
ノ相手方トナッタ場合ノ制裁ヲ嚴重ニスル
コトト致シタノデアリマス、第三ハ政府納
付金ニ關スル事項デアリマス、從來勝馬投
票劵賣得金ニ關スル政府納付金ハ、賣得金
額ノ百分ノ六以內デアリマシタノヲ、今囘
百分ノ八以內ニ改ムルコトト致シマスルト
共ニ、將來日本競馬會ノ業務執行ノ實情ニ
卽シマシテ、同會ノ保有スベキ準備資金ノ
總額ヲ定メ、其額ヲ超エル金額ハ、之ヲ政
府ニ納付セシメ得ルノ制度ヲ設クルコトト
致シタ次第デアリマス、改正ノ要點ハ大體
右ノ通リデアリマス、向ホ詳細ノコトニ付
キマシテハ御質問ニ應ジテ說明申上グル考
デアリマス、何卒御審議ノ上速ニ御可決ア
ランコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=2
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003・八田宗吉
○八田委員長 此際陸軍當局ヨリ此法案ニ
對シテ御意見ノアル所ヲ發表サレンコトヲ
望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=3
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004・磯谷廉介
○磯谷政府委員 只今ノ競馬法ノ改正ニ付
キマシテ、陸軍當局トシテノ意見ヲ申上ゲ
やく、過去三十年間ニ亙リマスル第一次馬
政計畫遂行ノ成果ヲ大觀シテ見マスルニ、
之ヲ日露戰役當時ニ比較致シマスルニ、該
戰役程度ノ所要馬數、ソレガ約十九萬頭デ
アリマス、之ニ對シマシテハ優ニ內地產馬
ヲ以テ軍ノ所要ヲ充足シ得マスルノミナラ
ズ、其資質ノ能力モ亦軍馬トシテ略〓遺憾ナ
イ程度ニ改善向上セラレテ居リマス、斯ノ
如キハ關係官民努力ノ結果ニ依ッタモノデア
リマシテ、軍當局ト致シマシテ洵ニ感謝ニ
堪ヘナイ所デゴザイマス、併ナガラ爾來國
軍戰時兵力ハ著シク增大致シマシテ、戰用
資材モ亦益〓增加ヲシテ參リマス、勿論一面
ニ於テ軍機械化ノ實現ヲ見ツヽアリマスル
ガ、併ナガラ戰時所要ノ馬數ト云フモノハ、
益ニ增加ノ一路ヲ迪ッテ居ル次第デアリマ
ス、今ヤ其豫想頭數ハ日露戰役當時ノ約五
倍ニ達シテ居ルノデゴザイマス、今後更ニ
此數ハ格段ノ增加ヲ見セルモノト豫想致シ
テ居ル次第デゴザイマス、馬匹ノ能力ニ對
シマスル要求モ亦益〓向上セントスル趨勢
ニアリマシテ、隨テ既往ニ於ケル馬匹ノ改
良功程ハ遺憾ナガラ軍備ノ擴充ニ追隨スル
コトガ出來ナイ、是ハ國防上洵ニ遺憾ト致
シテ居ル所デゴザイマス、然ルニ輓近科學
ノ發達ニ伴ヒマシテ、機械力ノ廣汎ナル利
用ハ益〓平時產業上ニ於キマスル馬ノ用途
ヲ減縮致シテ參リマシテ、馬數ノ增加竝ニ
其資質ノ向上ハ愈〓困難ノ度ヲ加ヘントス
ルモノガアルノデアリマス、デアリマスカ
ラ國防上我國ノ馬政ハ既往ニ比較致シマシ
テ、更ニ格段ノ努力ヲ要スルモノト存ジテ
居リマス
而シテ競馬ハ馬政上緊要ナル施設デゴザ
イマシテ、軍馬資源ノ保持增殖上競馬ニ期
待シナケレバナラナイモノガ頗ル多イノデ
アリマス、隨テ軍ニ於キマシテハ常ニ多大
ノ關心ヲ有シテ居リマシテ、是ガ堅實ナル
發展ヲ希望スルコト切ナルモノガゴザイマ
ス、而シテ昨今競馬ノ隆昌ニ伴ヒマシテ、
一般馬產ニ及ボス影響モ亦頓ニ强烈ナ度ヲ
加ヘテ來タノデアリマシテ、是ガ施行ヲ適
正ナラシメルデナカッタナラバ、遂ニ競馬ノ
健全ナル發達ヲ阻碍致シマシテ、延イテハ
軍馬資源ヲ荒廢セシムルノ虞ガ大ナルモ
ノガゴザイマス、デアリマスカラ此際競馬
ノ施行ヲ公正適切ニ致サレマスル爲ニ、競
馬施行機關ヲ統制强化スル等、現行競馬法
ニ所要ノ改正ヲ加ヘラレマスコトハ、極メ
テ必要ノ措置ト考ヘテ居リマス、隨テ此趣
旨ニ基キマシテ改正セラレマシタ所ノ本案
ニ付キマシテハ、陸軍ニ於キマシテモ全然
同意ヲ表スル所デゴザイマシテ、農林當局
トモ既ニ完全ナ意見ノ一致ヲ見テ居ル次第
デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=4
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005・八田宗吉
○八田委員長 是ヨリ質問ニ入リマス、先
ヅ黑田壽男君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=5
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006・黒田壽男
○黑田委員 一寸一點ダケ御尋致シマス、
改正法律案ノ內容ノ第二ノ政府納付金ニ關
スル事項ニ付テヾアリマスガ、政府納付金
ノ率ガ勝馬投票劵ノ賣得金額ノ百分ノ六以
內ト云フ所カラ、百分ノ八以內ニ今度改正
ニナルノデアリマスガ、之ニ依ッテ實際上政
府ノ方ニ入ル金額ハドノ位ノ見當デアリマ
スカ、ソレカラ更ニ御尋シタイ一番ノ要點
ハ、其項ノ第三デゴザイマシテ、政府納付
金ヲ馬ノ改良增殖及ビ馬事思想ノ普及ノ爲
ニ必要ナル經費ニ充當シ得ル割合ヲ、政府
納付金ノ四分ノ三ヲ下ルコトヲ得ザルコト
トシタ、是ガ前ハ三分ノ二デアッタノデア
リマシテ、唯表面ノ率カラダケ申シマス
ト、此度ノ方ガ下ッテ居ルト思ヒマス、三分
ノ二カラ四分ノ三ニ下ッテ居ル、是ガ下リマ
シテ社會事業ノ方ニ此必要ナ經費ガ出ル方
ノ額ノ率ガ前ヨリカ下ルコトニナッテ居ル
ト思フノデアリマスガ、斯ウ云フヤウニ改
正セラレタ理由ハドウデアリマスカ、ソレ
カラ社會事業ノ必要ナル經費ニ充テルト云
フノハ、從來ドウ云フヤウナ方面ニ充テヽ
居ラレタノデアリマスカ、此點ヲ御質問シ
タイト思ヒマス、要スルニ社會事業ニ充テ
ル方ノ金ガ率カラダケ言ヘバ兎ニ角下ッテ
居ル譯ニナルノデアリマス、全體カラ申シ
マスレバ、或ハ納付金ノ額ガ殖エマスカ
ラ、其點ハドウカ分リマセヌガ、率カラ言
ヘバ下ッテ居ル発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=6
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007・島田俊雄
○島田國務大臣 納付金ノ率ヲ上ゲマシタ
結果、政府トシテ見込ンデ居リマス增收ノ
見込額ハ一年ヲ通ジテ百三十萬圓餘ト見テ
居リマス、サウシテ納付金ノ中現行法ニ於
テ三分ノ二トナッテ居リマスノヲ四分ノ三
以上ト改メマシタ結果、社會事業其他ニ對
シテ使フ金額ニ付キマシテハ、率ノ形カラ
申シマスト少クナッタヤウデアリマスガ、全
體ニ於テ收入增加ヲ見マス爲ニ、只今ノヤ
ウナ改正案ニ致シマシテモ、社會事業方面
ニ使フ所ノ金トシテ豫定サレルモノハ、實
際ノ數額ニ於テハ多クナル見込デアリマ
入.而シテ此三分ノ二ヲ四分ノ三ニ改メマ
スコトハ、第二次ノ馬政計畫ノ遂行實行ト
云フモノニ伴ヒマシテ、此方面ニ對シテ使
用スル金額ヲ成ルベク多クシタイ、斯ウ云
フ意味ノ趣旨ニ外ナラヌノデアリマス、但
シ其結果、社會事業其他ニ使フ所ノ金ガ少
クナルト云フコトヲシナイヤウニト云フコ
トヲ其間ニ於テ考ヘタノデアリマシテ、是
ハ馬政委員會ニ於キマシテ、特ニ其點ニ注
意ヲシテ、特別ナル事項トシテ希望ヲ述べ
テ答申案中ニ揭ゲラレタ譯デアリマシテ、
其點ヲ適當ニ考ヘテ提案シタ次第デアリマ
ス、尙ホ細カイ數字ノ點ニ付キマシテハ、
政府委員ヨリ御答致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=7
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008・黒田壽男
○黑田委員 其點ヲ一ツ、社會事業ノ方ニ
廻フテ行ク金デアリマス、今度ノ改正ニ依
ル變化ニ付テ細カイ數字ガ分リマシタラ
-細カイト申シテモ大體デ宜シウゴザイ
マスガ此機會ニ伺ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=8
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009・田淵敬治
○田淵政府委員 御說明申上ゲマス、今囘
ノ改正ニ依ッテ增加致シマス金ハ、昭和十一
年度ニ於テハ百三十一萬圓、ソレガ昭和十
二年ニナリマスト、春秋ノ競馬ニ兩方トモ
改正率ガ適用ニナリマスノデ、更ニソレニ
七十五萬圓バカリノ收入增加ガアリマス
ガ、本年度ハ御承知ノヤウニ春ノ競馬ニハ
此增加率ヲ適用出來マセヌノデ、十一年度
ニ於テハ七十五萬圓バカリ增加ニナル譯デ
アリマス、サウシテ從來社會事業ノ方ニ廻
シテ居ル金ハ百萬圓バカリデアリマスガ、
此改正ニ依ッテ增加スル二百五萬圓バカリ
ノ金ガ、年額トシテ增加致スコトニナリマ
スガ、ソレガ增加スル關係上、計數カラ申
シテ四分ノ一ガ社會事業ニ廻ル、三分ノ一
ガ從來ハ社會事業ニ廻ルト云フコトニナッ
テ居リマシタガ、併シ三分ノ一ノ額デハ元
金ガ非常ニ殖エマスノデ、四分ノ一ニナリ
マシテモ其金額ノ總額ニ付テハ殆ド動キガ
ナイ譯デアリマスノデ、實際ニ是マデ社會
事業ニ廻ス金ハ百萬圓ト云フコトニ前回ノ
改正ノ時カラ事實ハナッテ居ルノデアリマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=9
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010・黒田壽男
○黑田委員 今度ノ四分ノ一ニナリマシタ
總額ニ付テモウ少シ御見込ガ付キマセヌデ
セウカ、其後變化ニナッタケレドモ納付金
ノ率ノ方ガ却テ上ルノデ、結局從來一百萬
圓デアッタノガ今後ドノ位ニナルカ、其額
ヲ御示シ下サイ、少クナラナイト云フ御話
テアリマスガ、ドノ位殖エルカト云フコト
ガ分ッテ居レバ御聽シタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=10
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011・島田俊雄
○島田國務大臣 黑田君ニ申上ゲマスガ、
納付金ノ率ヲ擧ゲマシタガ、納付金ノ主タ
ル目的トシテハ馬政ノ關係ニ使フト云フ趣
意デ納付金ノ制度ハ出來テ居リマスガ、斯
樣ナ性質ノ收入デアリマスカラ、是モ社會
事業ノ方面ニモ使フコトガ適當デアルト云
フ譯デ、現行法ニ依リ三分ノ一程度ノモノ
ヲ使フ、ソコデ此點ニ付テ凡ソ從來ノヤリ
方ト致シマシテ百萬圓ヲ下ラザル限度ニ於
テ其方面ニ使フト云フコトニナッテ居ルノ
デアリマス、ソレデ此改正案ハ此財源ヲ社
會事業方面ニ向ケルト云フ目的ヲ擴張スル
意味デハナクシテ、馬政計畫ガ第二次ニ入
リマシタ關係カラ、其方ノ財源ニ主トシテ
充テル意味ニ於テ收入ノ增加ヲ圖ル、無論
只今說明中ニ申シマシタヤウニ、競馬ノヤ
リ方等ニ付テ制度ニ變更ヲ加ヘルト云フヤ
ウナ事情モアリマスケレドモ、收入ノ點ニ
付テハ左樣ナ次第デアリマスカラ、今囘ノ
改正ニ依ッテ政府ノ希望スル點ハ馬政ノ方
面ニ充ガフ金ヲ殖ヤシタイ、斯ウ云フコト
デアリマスノデ、社會事業ニ向ケル方面ノ
額ハ從來既ニ百萬圓ヲ下ラザルモノデアツ
タノデ、ソレ以下ニナルコトハ遺憾デアリ
マスカラ、其下ラザル範圍內ニ於テヤルト
云フコトニ付テハ、其趣意ヲ體シテヤハリ
改正案ニ於テモ其點ヲ覺悟シテ置ク必要ガ
アルト思フノデアリマス、其意味ニ於テ四
分ノ一ニシテモ總體ガ增額致シマスカラ、
百萬圓ヲ下ラザル限度ニ從來ノ如ク使フト
云フコトニ付テハ何等變リハナイノデアリ
マス、或ハ收入ガ多クナリマスレバ四分ノ
三ニ依ッテ取リマシテモ、殘リノ四分ノ一ト
云フモノガ百萬圓以上ニナラウトモ百萬圓
以下ニ下ルヤウナコトハナイ、サウ云フヤ
ウニ御了解願ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=11
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012・佐藤謙之輔
○佐藤委員 今囘ノ競馬法ノ改正ハ洵ニ競
馬法ニ取ッテハ劃期的ノ大改正デアルト思
ヒマス、御承知ノヤウニ競馬ガ既ニ十數年
施行セラレテ參ッタ結果トシテ、土地ノ狀況
其他ノ關係ヨリシテ所々改正センケレバナ
ラヌト云フコトハ、數年前カラ申サレテ居ッ
タノデアリマスガ、ソレガ今囘ハ此樣ニ大
改正ニナッタコトニ依リマシテ、公認競馬ト
シテハ將來此方法ニ依ッテ立派ニ其機能ヲ
發揮シテ行クダラウト確信ヲ致シテ、洵
同慶ニ堪ヘヌ所デアリマス、此機會ニ尙ホ
御言明ヲ得テ置キタイト思ヒマスコトハ、
公認競馬ハ之ニ依ッテ理想的ニ行ハレルデ
アラウト云フコトヲ察知スルコトガ出來マ
スガ、公認競馬以外ニ尙ホ非常ニ澤山ナ地
方競馬ガ日本ニハ分布散在シテ居リマス、
其中ノ或ルモノハ發展ト申シマスカ、發達
ト申シマスカ、之ヲ賣上ニ見マシテモ、僅
ニ三日間ニ於テ百萬圓以上アルノデアリマ
ス、又一方ニ於テハ特ニ馬產地方面ニ於テ
ハ、地方的ノ關係、財力ノ關係等カラデモ
アリマセウガ、殆ド收支ガ償ハヌヤウナ狀
態ニ在ル所ガ澤山アル、非常ニ跛行的ナ狀
態デアリマス、隨テ之ニ依ッテ種々ノ弊害
ガ起キテ居ルコトハ御承知ノ通リダト思ヒ
やく、此問題ニ付テハ世間デモ種々論議サ
レテ居リマスシ、又其改正等ニ付テモ多分
當局ノ御耳ニ入ッテ居ルコトガ非常ニ多イ
ト思ヒマス、將來之ヲ此儘ニ御放置ナサッテ
置キマスト、公認競馬ダケガ立派ニ統制セ
ラレマシテモ、其弊害ノ波及スル所極メテ
少クナイト思ハレマス、之ニ對シテ政府ノ
御所見ヲ伺ッテ置キタイト思ヒマス無論相
當改正シヨウト云フ御意見ハ何レアルニ違
ヒナイト思ヒマスガ、若シサウ云フ御意思
ガアリマシタナラバ、ドウ云フ點ニ付テ改
正ヲシタイト云フヤウナコトヲ、是ハ御無
理ナ註文カモ知レマセヌガ、多少ナリトモ
御漏シヲ願ヘレバ之ニ越シタコトハナイト
考ヘマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=12
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013・島田俊雄
○島田國務大臣 公認競馬ノ統一ヲシマシ
テ、本案ノ成立ニ依ッテ此方面ガ統一出來
ルヤウニ相成リマス結果トシテ、自然地方
競馬ノコトニ付テ只今御話ノヤウナ事柄ノ
アルコトハ承知致シテ居リマス、此點ニ付
テハ本案ノ成立實施ニ伴ヒマシテ、更ニ馬
政調査會ニ於テ諮問ヲ致シテ十分〓究ヲ
シ、遺憾ノナイヤウニ致シタイト考ヘマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=13
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014・陣軍吉
○陣委員 一寸伺ヒタイト思ヒマスガ、本
案ノ改正ニ付テハ無論統制ヲ圖ルト云フ上
カラ言ッテ、是ニハ洵ニ贊意ヲ表スル次第デ
アリマス、唯茲ニ一寸伺ヒタイノハ、是迄
十一箇所ノ競馬場ニ於テ、阪神地方、京都
ニ於テハ非常ニ競馬ガ盛デアッテ、收入ガ澤
山アル處デアル、然ルニ私ノ宮崎縣ノ如キ、
其他二三箇所アリマセウガ、競馬ガ餘リニ
振ハナクテ、隨テ收入モ少イ譯デアル、ソ
コデ收入ガ澤山アル處ト少イ處トアルトス
レバ、之ヲ統一スルニ於テハ、其收入ノ上
ニ非常ニ大關係ヲ生ジテ來ハシナイカト思
フ、卽チ之ヲ統制サレタ爲ニ阪神地方竝
ニ京都方面ノ競馬倶樂部ノ方ハ非常ナ損失
ヲ招キ、又今迄收入ノ少カッタ方面デハ非
常ナ利得ヲ得ルト云フ結果ニナリハセヌカ
ト思ヒマスガ、此邊ノコトハ御承知ノ上デ、
法律ヲ制定スル前ニ妥協ガ出來テ居ルノデ
アルカ、又將來損失ヲ招ク處ニ對シテハ何
カ補助デモサレル御考デアルカ、其點ヲ伺
ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=14
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015・島田俊雄
○島田國務大臣 是ハ獨立シテ居ル場合ニ
於テハ左樣ナコトガアルノデアリマスガ、
一ツノ法人トシテヤルコトニナリマスカ
ラ、十一競馬ノ各場所デヤリマシタ其收入
ノ總額ガ收入トナリ、支出ノ總額ガ支出ニ
ナル譯デアリマスカラシテ、其點ニ於テハ
或ル競馬ハ損ヲシ、或ル競馬ハ得ヲスルト
云フヤウナコトハナクナル譯デアリマス、
唯全體トシテ、十一競馬ガ獨立シテヤル時
ニハ銘々勝手ニヤッテ居リマスカラシテ、自
分ノ倶樂部ノ競馬ヲ盛ニシヨウト思ッテ努
力スル結果、或處ハ非常ニ盛デアル、然ル
ニ是ガ統一シテ一ツニナリマスト、其熱心
ノ度合ガ減少スルト云フヤウナ虞ガアル爲
ニ、是マデ非常ニ盛デアッタ處ガ、或ハソレ
程盛デナイヤウニナル、ソレカラ統一シタ
爲ニ盛デナカッタ處ハ或ハ多少盛ニナルカ
モ知レヌガ、總體ヲ通ズレバ馬劵ノ賣上高
ガ減リハシナイカ、斯ウ云フヤウナ議論ナ
リ心配ヲサレル向ガアルト思ヒマス、又聞
イテ居リマス、併シ是ハ當局トシマシテモ、
又實際此競馬ニ從事シテ居ル十一競馬ノ幹
部ノ人達ノ集會ニ於テモ、度々其點ニ付テ
交換ヲサレタ意見ノ結果ヲ綜合シテ見マス
ト、競馬ノ全體ノ趨向ト云フモノハ非常ニ
盛ニナッテ行クト云フ情勢ニアリ、馬事思想
ガ普及スルニ從ッテ隆盛ニ赴クト云フ形勢
ニアリマス爲ニ、此統一ヲシタガ爲ニ收入
總額ニ於テ見込ヲ割ルヤウナ結果ニナルコ
トハナカラウ、斯ウ云フヤウニ考ヘテ居リ
マス、何レニ致シマシテモ此十一ノ獨立シ
タルモノヲ、銘々ノ勘定ニナッテ居ルモノ
ヲ統一シテ、サウシテ此馬ニ關スル國策ヲ
遂行スル目的ヲ達スルト云フコトガ、此際
最モ適當デアル、又其爲ニ收入ノ減ヲ來ス
ト云フコトハナイ、斯ウ云フ見込デ行ッテ居
ル次第デアリマス、故ニ陣君ノ御話ノヤウ
ナ、或處ハ損ヲシ、或處ハ損ヲ見ナイ、或
處ハ缺損ヲ生ズルト云フヤウナ憂ハナイ譯
ダト考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=15
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016・植村嘉三郎
○植村委員 私ハ少シ御尋シタイト思ヒマ
スガ、非常ニ御急ギノヤウデアリマスシ、
殊ニ明日モ續イテアルサウデアリマスカ
ラ、細カイ點ハ後デ御伺シタイト思ヒマス
先ヅ大臣ニ御伺シタイノハ、此第四條ニア
リマスル馬劵ノ一人一枚ヲ限ルト云フコト
ガゴザイマスガ、是ハ從來一人一枚ヲヤッ
テ居リマス、之ヲ改正ナサル御意思ガアリ
マスカドウデアリマスカト云フコトヲ伺ッ
テ置キタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=16
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017・島田俊雄
○島田國務大臣 是ハ屢〓問題ニナルコト
デアリマスガ、法人トシテ日本競馬會ガ本
案ノ結果トシテ出來マシタ場合ニハ、左樣
ナ點ニ付テモ考究サレルコトヽ思ヒマス
ガ、只今政府トシテ之ニ對シテ今ノ御質問
ニ「イエス」トカ「ノー」トカ云フコトヲ御答
スル程度ニハ考ヘテ居リマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=17
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018・植村嘉三郎
○植村委員 私ハ今直グニ御改正ノ意思ガ
アルカドウカヲ伺ッタノデハナク、將來ニ於
テ之ヲ御考ヘニナッテ居ルカドウカト云フ
コトヲ伺ッタノデアリマスカラ、只今ノ御答
辯デ大體結構デアリマス、大體只今競馬會
ニ於テ色々問題ガ起リマスノハ、要スルニ
一人一枚ト云フコトガ總テノ因ヲ成シテ居
ルト思ヒマスカラ、此點ヲ十分御考究願ヒ
タイ、枚數ノ制限ヲ撤廢シテ戴キマスト、
賣上率及ビ利益率、總テノコトガ全部緩和
出來ルト思ヒマスノデ、此點至急御改正ニ
ナル御考ガアルカドウカヲ伺ヒタイ、ソレ
カラ尙ホ百分ノ八ハドウモ高率ダト思ヒマ
ス、ソレト政府ガ賣上ニ對シテ百分ノ十五、
卽チ一割五分ノ步合金ヲ收得サレル、是モ
非常ニ高率ダト思ヒマスノデ、之ヲモット御
下ゲニナル餘地ハナイカドウカ伺ヒタイト
思ヒマス、ソレカラ又當分ノ內十一箇所ト
云フコトニナッテ居リマスガ、此當分ノ內ト
云フノハドウ云フ意味デアリマスカ、一寸
伺ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=18
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019・島田俊雄
○島田國務大臣 本會議デモ御質問ガアリ
マシタガ、競馬會ガ一ツノ法人ニ依ッテ本
案ノ結果トシテ經營セラレルヤウニナリマ
シタ結果、此點ニ付テハ或ハ競馬會トシテ
更ニ〓究スル必要ガアルダラウト思フ、岡
本君ノ本會議ニ於ケル質問ノ際ニ、當分ノ
內ト云フ文字ハ不用ヂヤナイカト云フコト
デアリマシタガ、法律ノ用語トシテ當分ノ
內ト云フヤウナ文字ヲ使フコトハ面白クナ
イコトデアルコトハ、是ハ當然ダト考ヘマ
ス、併ナガラ刑事法規等ノモノデナイ、斯
樣ナ性質ノ產業經濟ニ關スルヤウナ事柄ニ
付テ法ノ制定ヲスル場合ニハ、無用ノヤウ
ニ見エル言葉ガ非常ニ有意義ニ考ヘラレル
コトガアリマス、是ハ却テアナタハ私共ヨ
リ御承知デアラウト思ヒマス、ソレデ此當
分ノ內ト云フヤウナ無用ニ見エルヤウナ文
字ヲ、ヤハリ斯樣ナ改正ヲ行ヒマス場合ニ
加ヘテ置クコトガ意義ガアル、斯樣ニ當局
トシテハ考ヘテ居ルノデアリマス、隨テ今
アナタノ御尋ニナリマス十一ヲ殖ヤスカ減
ラスカ、現在ノ場所ヲ動カスカト云フコト
ニ付テ、此處デ此改正案ノ際ニ政府ノ當局
トシテ言明スルコトハ避ケタイト思フノデ
ス、ヤハリ大キナ全國ヲ通ジタ一ツノ方針
ガ出來ルノデアリマス、又其首腦ノ機關モ
出來ルシシマスカラ、是等ノ機關ニ於テ此
點ハ十分ニ〓究ヲ加ヘ、ソレニ對シテ政府
ハ監督ヲ行ッテ行クト云フ立前デ行クヤウ
ニ致シタイ、其場合ニ餘地ヲ存シ、或ハ運
動ノ餘地ガアルトカ、サウ云フ考慮ノ餘地
ヲ存スル爲ニ、當分ト云フ文字ヲ置イタト
云フ風ニ、杓子定規的ニ解釋サレマスト又
困リマスガ、其間ニ非常ニ微妙ナ、何ト言
ヒマスカ、一種ノ意味ガ此「當分ノ內」ト云
フコトニ含マレテ居ルト云フコトニ御諒解
ヲ願ヒタイト思フ、少シ難カシイヤウデス
ガ、サウ云フヤウニ御諒解ヲ願ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=19
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020・植村嘉三郎
○植村委員 大變御親切ナ御答辯デアリマ
シテ、尙ホ此點ニ付テモウ少シ御聽シタイ
ト思ヒマスケレドモ、時間モアリマセヌカ
ラ之ヲ次ノ機會ニ讓リマス、ソレカラ次ニ
御尋シタイト思ヒマスノハ、今度出來マス
法人ノ理事長及ビ副理事長ハ俸給ガアルノ
デゴザイマスカ、名譽職デゴザイマスカ、
俸給ガアリマスレバ其俸給ノ額ハドノ位デ
ゴザイマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=20
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021・田淵敬治
○田淵政府委員 理事長、副理事長ハ有給
ト考ヘテ居リマス、ソレデハ俸給額ヲドウ
スルカト云フ點ハ、此法律ガ御協賛ヲ得マ
スレバ、設立委員會ト云フモノヲ農林大臣
ノ任命ニ依ッテ設ケマシテ、其設立委員會ニ
於テ此法人ノ業務規則其他ヲ作成致シマシ
テ、成立ニ相成ル時分ニ十分〓究ノ上適當
ナ金額ガ決定サレルモノト考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=21
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022・植村嘉三郎
○植村委員 大分御急ギノヤウデスカラ是
ハ此位デ次ノ機會ニ讓ルト致シマシテ、横
濱ノ日本「レース」倶樂部ノコトニ付キマシ
テ少シ御尋シタイト思ヒマス、是ハ甚ダ小
サイ問題デ、大臣ノ御耳ニ入レルノハ恐縮
デスガ、農林省カラオ出デニナル監督官ガ
非常ニ喧シク、總テ競馬ノコトニ立入リ過
ギヤシナイカ、細カイ事ヲ喧シタ言ハレル
ノヲ往々見受ケマス、私ハ競馬ガ好キナモ
ノデスカラ能ク參リマスガ、競馬當事者カ
ラ聽イテ見マシテモ、書記一人雇入レルニ
モ喧シク言ハレル、又審判ニマデロヲオ出
シニナル、其他悉ク監督官ガ喧シク言ハレ
テ競馬倶樂部ノ方デハマルッキリ監督官ト
シテ取扱ッテ居ナイ、何ト申シテ宜イカ、腫
物ニデモ觸ルヤウニシテ、ソットシテ居ルト
云フコト私ヲ能クハ見受ケマス、是ハ十分
ニ御注意ヲ願ヒマセヌト、當事者ノ方デモ
ヤリ惡イダラウシ、「フアン」ノ方デモ勝負ニ
一々口ヲ出サレルコトハ-尤モヤヽコシ
イ勝負ニ口ヲ出サレルコトハ當然デアルト
思ヒマスガ、餘リニ時間ヲ取ッタリ、自分ノ
主張ガ假令違ッテ居ッテモヤラレルモノデス
カラ、勝フタ者ガ失格シテ大騒ギヲ起シタリ
スル、能クサウ云フコトガアリマスカラ、
是ハ特ニ御注意ヲ願ヒタイ、爾餘ノ事ハ此
次ニ讓リマシテ私ハ此位デ打切リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=22
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023・大石倫治
○大石委員 私ハ本案ニ關聯致シマシテ御
尋致シタイト思ヒマスガ、ソレハ此短期ノ
特別議會ニ於テ競馬法中改正法律案ヲ御提
出ニナリマシタ理由ハ、本會議ニ上程サレ
マシタ際ニ大臣ノ御說明ニ依リマシテ、卽
チ豫算ノ伴フ關係デアル、ソレハ本年度ヨ
リ第二次馬政計畫ヲ實行セネバナラヌ時ニ
際會シテ居ルノデアリマス、故ニ其第二次
馬政計畫ニ伴フ所ノ豫算ヲ得ル一ツノ財源
デアルト云フヤウナ御話デアリマシタ、第
二次馬政計畫ノ實施ニ付キマシテハ、全國
ノ馬產地方、馬ノ生產ニ從事シテ居リマス
者ノ執望デアリマシテ、常ニ當局ニ向フテ其
繼續實現ヲ要望致シテ居フタノデアリマス、
第一次馬政計畫ハ本年三月三十一日ヲ以テ
旣ニ終了ヲ致シマシテ、四月一日ヨリ第二
次馬政計畫ノ實施ニ入ラネバナラヌ筈デ
アッタノデアリマスガ、議會解散ノ結果ト致
シマシテ、ソレニ伴フ所ノ豫算法律案等ガ
不成立ニナタリマシガ爲ニ、今日マデ第二
次馬政計畫ノ實施ガ遲レテ居ルノデアリマ
ス、故ニ此實施ハ一日モ速ニセラレナケレ
バ相成ラヌト云フコトハ、何レモ馬產地方
ノ心配致シテ居ルコトデアリマス、幸ニ特
別議會ニ對シテ是等實施ニ伴フ所ノ豫算ヲ
御提出ニ相成リ、ソレニ伴ッテ競馬法ノ改正
法律案モ御提出ニナラレタノデアリマシテ、
其成立ノ一日モ速カナランコトヲ希望致ス
ノデアリマス、唯第二次馬政計畫ノ實施ニ
件ヒマシテ、是モ全國ノ馬產地方ニ於ケル
生產ニ從事シテ居ル當業者ハ勿論、各種團
體ノ〓望デアリマス所ノ馬政局ノ外局トシ
テノ計畫デゴザイマス、由來馬產ニ關シマシ
テハ農林省ノ畜產局ニ於テ扱ハレテ居リマ
スルガ、近時第二次馬政計畫ノ實施ヲ思ヒ
マスル時、現在ノ機構ニ於テハ十分ナル馬
產ノ改良振興ヲ期待スルコトハ出來ナイ關
係ニアリマシテ、是非强力ナ馬政局ノ外局
トシテノ實現ヲ熱望シ、之ヲ陳情或ハ請願
等ニ於テ致シテ居ッタノデアリマス、此點ニ
付キマシテハ過般大臣ヨリヤハリ外局トシ
テ馬政局ヲ御設ケ下サルコトハ承ッタノデ
アリマスガ、茲ニ馬政局ノ實現ト共ニ心配
ヲ致シマスノハ馬政局ノ機構ニ關シテデゴ
ザイマス、吾々民間ニ於ケル一般ノ生產業
者ノ要望致シテ居リマスル所ノ馬政局ハ、
從來ノ畜產局ノ一部ニアル如キモノニアラ
ズシテ、最モ擴大强化セラタモノデナケレ
バナラヌト思フノデアリマス、其意味ニ於
キマシテ長官制度ヲ御採リヲ願ヒ、茲ニ强
力ナル馬政局ガ實現セラレタイト思ウテ居
ルノデアリマスガ、仄ニ承リマスルト、ヤ
ハリ是モ長官制度ヲ御採リ下サルヤウナ御
意嚮ノヤウニモ承ッテ居リマスルケレドモ、
豫算面ヨリ致シマスルト、聊カ不安ヲ感ゼ
ネバナラヌヤウナ次第デゴザリマスルカ
ラ、此點ニ付テ此機會ニ大臣ヨリ御說明ヲ
願ヒタイト存ズルノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=23
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024・島田俊雄
○島田國務大臣 本案實施ノ機會ニ於テ、
此馬政ノコトヲ特別ナ、所謂大石君ノ言ハ
レル强化シタ機關ニ依ッテ行ハセル意味ニ
於キマシテ、農林省ノ外局トシテ、ッ,
局ヲ設ケテ行キタイ、斯ウ云フ點ニ付テハ、
只今御話ノ通リノ考ヲ以テ進ンデ居リマ
ス,尙ホ外局トシテヤリマス場合ニ、自然
ニ之ニ伴ヒマシテ長官制ヲ採ッテ行クト云
フコトニ付キマシテモ、大體只今御述ニナ
リマシタヤウナ方針デ進ミタイト考ヘテ居
リマス、是ハ陸軍省ノ方トモ能ク協議ヲ致
シマシテサウ云フ方針デ實施シタイト思ツ
テ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=24
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025・大石倫治
○大石委員 外局ノ機構ニ付テ、只今大臣
ノ御言明ハ、洵ニ私共ノ意ヲ强フスル點デ
アリマス、尙ホ此機會ニ於キマシテ、陸軍
方面ノ御意嚮ヲ伺ッテ置キタイノデアリマ
スガ、ソレハ是モ本會議ニ於キマシテ三善
議員ヨリ陸軍大臣ニ御尋ヲ致シタノデアリ
マシタガ、陸軍大臣ハソレニ對シテ甚ダ意
味ノ異ッタ御答辯デアリマシテ、三善君モ再
質問ヲセヲレナカッタノデアリマス、ソレハ
國防上ノ見地ニ立ッテ、我國ノ馬產事業ヲ
見テ見マスルト、生產當局ト致シマシテハ、
軍馬生產ノ爲ニ、多大ノ犠牲ヲ拂ヒ、經濟
的不利益ヲ蒙ッテ居ルト云フコトハ、餘リニ
モ明瞭ナル事實デゴザリマス、我國ノ馬產
事業ガ競馬法ヲ制定シ、或ハ之ヲ改正シ、
或ハ第二次馬政計畫ヲ實施ヲセラレマスル
ノモ、要スルニ國防ナル重大使命ガ、此馬
產ノ上ニ負擔セラレテ居ルカラデゴザリマ
ス,唯單ナル產業トシテノミ之ヲ見ルコト
ハ出來ナイノデアリマス、隨テ生產ノ指導
ニ當リマシテモ、此國防ノ見地ヲ少シモ離
ルヽコトハ出來ナイノデゴザリマスルカ
ラ、今陸軍ノ要望シテ居ル所ノ馬匹ハ、如
何ナル體型、如何ナル能力、如何ナル性能
ヲ持ツモノデアルカト云フコトヲ常ニ知リ
マシテ、ソレニ伴フ所ノ生產ヲ指導致シ、
又當業者モソレニ努メテ居ルノデゴザリマ
ス、然ルニ全國軍馬生產ノ爲ニ年々生產致
シマスル所ノモノハ、殆ド數萬頭ニ達シテ
居リマスガ、年々ノ軍馬トシテ購買ヲ得マ
スルモノハ、其十分ノ一强位ニ過ギナイノ
デアリマス、或ハ五分ノ一程度ニ過ギナイ
ノデアリマス、大部分ハ大抵購買ヨリ外レ
テ居ルノデゴザリマスルガ、此軍馬ニ外レ
マシタ所ノ馬ノ用途ヲ見マスルト、大〓用
途不明ト云フコトニ相成ッテ居リマス、用途
不明デアリマスガ故ニ、或ハ是ハ馬車馬ト
モツカズ、農耕馬トモツカズ、又乘馬トモ
判然シナイ、或ハ又競馬馬ニモ相成ラヌト
云フヤウナ、洵ニ用途不明ノ馬ガ多ク出來
マシテ、是ガ爲ニ當業者ガ少カラザル打擊、
損失ヲ蒙リツヽアルノデアリマス、故ニ民
間當業者ニ於キマシテハ、常ニ軍馬資源ノ
涵養ニ付テ、屢〓陸軍當局ニ向ッテ陳情モシ、
嘆願モ致シテ居ルノデゴザリマスガ、遺憾
ナガラ今日迄軍馬資源ノ涵養ニ付キマシ
テ、適當ナル御施設ヲ見ルコトガ出來ナイ
ノデアリマス、私ハ一昨年林陸軍大臣ニ對
シマシテ、軍馬ノ必要性ヲ御尋ヲ致シタコ
トガゴザイマス、ソレハ兵器其他ノ改良進
步ニ件ヒマシテ、軍馬ノ國防上ニ於ケル使
命ガ或ハ低下致シタノデハナカラウカ、段
々其必要性ガ重大性ヲ減ジテ居ルノデハナ
カラウカト考ヘマシタノデ、林陸軍大臣ニ
對シテ御尋ヲ致シタノデアリマスルガ、決
シテ國防上軍馬ト云フモノノ使命ハ減ジテ
居ラナイ、却テ益〓其重キヲ加ヘテ來ルノ
デアル、斯樣ナオ話デアリマス、然ルニ吾
吾當業者カラ申シマスルト、近年軍事費ガ
著シク增額ヲ致シテ居リマシテ、隨テ航空
機デアリ、或ハ其他ノ兵器、軍器ガ多大ノ
豫算ヲ持ッテ造ラレテ居リマスルガ、此軍馬
ノ狀態ヲ見マスルト、最モ軍縮ノ極端デア
リマシタ時ノ頭數、或ハ購買價格ガ依然ト
シテ今日モ維持セラレテ居リマシテ、此軍
馬ノ必要性ト云フモノハ、何トナク他ノ兵
器ニ比ベテ閑却、或ハ其使命ヲ減ゼラレタ
ル如キ感ヲスルノデアル、斯ウ云フコトヲ
申シマシタル所、色々ノ都合上暫ク忍ンデ
貰ヒタイト云フヤウナ御答ガアッタノデア
リマス、斯樣ナ次第デアリマシテ、生產者
ハ若シ軍馬ヲ生產シナイト致シマシタナラ
バ.今日ノ如ク五尺或ハ五尺一寸ト云フヤ
フナ馬ヲ作ル必要ガナイ、自然ノ經濟的關
係ニ依ッテ生產ヲ致シマシタナラバ、今日程
馬產ガ經濟的ニ間ニ合ハナイヤウナコトハ
ナカラウカト思フノデアリマス、然ルニ國
防ト云フ重大使命ガアリマスルガ爲ニ、ソ
レニ應ズル所ノ體型性能ヲ備ヘタモノヲ作
ルベク、多大ノ犠牲ヲ拂ッテ居ルノデゴザ
イマス、故ニ第二次馬政計畫ニ於キマシテ
モ馬政局ノ外局トシテノ獨立ヲ望ミマスル
ノハ、此點ニ於テ陸軍省ノ御力ガ此局ヲ通
ジデ吾々民間ニ現レンコトヲ要望スルノデ
アリマスガ、之ニ對シテ陸軍側ニ於カレマ
シテハ知何ナル御意見ヲ御持チニナリマス
ルカ、伺ヒタイト存ズルノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=25
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026・植村嘉三郎
○植村委員 議事進行デ一寸伺ヒタイ、私
ハ委員長ニ少シ質問ヲ御願シタイト申シマ
シタラ、今日ハ十時時分迄デ止シタイ、明
日ヤルカラ止メテ吳レト云フコトデアリマ
シタ、ソレカラ引續イテ他ノ委員ノ方ガ當
局竝ニ陸軍ニ向ッテ御質問ニナッテ居リマス
ガ、ドウ云フ譯デゴザイマセウ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=26
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027・八田宗吉
○八田委員長 二三分間ト云フ註文デゴザ
イマスカラ、繼續シテ居ッタ譯デス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=27
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028・植村嘉三郎
○植村委員 二三分デナシニ十五分位掛ツ
テ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=28
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029・八田宗吉
○八田委員長 今蔭山君等ノ申込モアリマ
スガ、又明日ヤリマスカス······発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=29
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030・植村嘉三郎
○植村委員 私ハ今日無理ニヤリタクナイ
ガ、私ノ所デハ御止メニナッテ、後デ御許シ
ニナッテ居ル、ドウゾ公平ニ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=30
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031・磯谷廉介
○磯谷政府委員 只今ノ御質問ニ對シテ御
答申上ゲマス、只今ノ御質問ノ御趣旨ニ付
キマシテハ全然御同感デゴザイマシテ、農
村ノ產業上ノ必要ノ馬ト、軍馬トノ差ニ於
ヲ相容レナイ所ノアルコトハ十分承知致シ
テ居ルノデアリマス、此點ハ非常ニ苦心ヲ
拂ッテ居ル所デアリマス、是ハ卽チ軍馬ノ戰
時資源ト致シマシテハ、主トシテ馬政擔任
當局ノ任ズル所デゴザイマシテ、今囘農林
當局ニ於キマシテモ是ガ爲ニ豫算ヲ計上サ
レテ居ルト云フヤウナ次第デモゴザイマ
スシ、又將來只今御話ノ馬政局ガ設置サレ
マシタ上ニ於キマシテハ、其馬政局ニ對シ
マシテ軍部ノ方ト致シマシテモ十分協力ヲ
致シマシテ、此點ノ調節ニ出來得ル限リ努
力ヲスルト云フヤウニ只今考ヘテ居ル次第
デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=31
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032・大石倫治
○大石委員 私ハ是デ今日ノ質問ヲ打切リ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=32
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033・八田宗吉
○八田委員長 蔭山君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=33
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034・蔭山貞吉
○蔭山委員 御忙シイヤウデアリマスカラ
極ク簡單ニ申上ゲマス、又政府ノ方デ、細
カイコトハ後デ言フテ戴イテ宜シイト思ヒ
やく、先ヅ農林大臣ニ御伺致シタイト思ヒ
マスノハ、日本競馬會ノ資金關係、殊ニ現
在ノ資金及ビ其借金ノ程度、或ハ年々ドレ
位ノ收入ガアルノデアリマスカ、或ハ年々
ノ收入ガ數年前ヨリドウ云フ風ニ、各十一
競馬ノ色々ノ問題ガアリマセウカラ、簡單
ニ今御答辯ハ出來難イト思ヒマスガ、從來
ノ成來リカラ今日愈.。競馬會ヲ拵ヘルト云
フ段取リデゴザイマスノデ、サウ云フ事ニ
付テ、成ベク詳細ニ伺ヒタイ、直ダニ御答
辯ヲ願ヘル分ダケデ結構デゴザイマス、尙
ホ陸軍當局ニ對シマシテハ、從來ドレ位ノ
金ヲ競馬ノ方カラ御出シニナリ、又今日ド
レ位出シテ居ルカ、將來又更ニ是ガ步合ヲ
多クシテ、ドレ位出スカ、尙ホ二百萬圓ナ
リ、或ハ三百萬圓ナリ、或ハ四百萬圓ニナ
ル。サウスルト軍馬ノ徵發モ斯ウ云フ風ニ
ナルト云フ風ナ具體的ノ事例ヲ一ツ御伺シ
タイ、直チニ御答辯出來マスコトハ、今御
答辯願ッテ、後トハ次會ニ讓ッテ戴イテ結構
デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=34
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035・島田俊雄
○島田國務大臣 只今ノ蔭山君ノ御質問
ハ前ノ方ノ事ハ、〓略參考資料ノヤウナ意
味デ表シテ差上ゲルコトノ出來ルヤウニ
ヤッテ見タイト思ヒマス、ソレカラ後ノ事柄
モヤハリ大體數字關係ノ事デアリマスカ、
他ノ委員ノ御參考ニモナルト思ヒマスカ
ラ、陸軍ノ方ト相談シテ、質問ノ繼續中ニ
參考ニナルコトハ、書面ニシテ差上ゲタイ
ト思ヒマス左樣御承知願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=35
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036・八田宗吉
○八田委員長 此競馬法改正ニ關スル法律
案ニ付キマシテハ、明日更ニ開會致シマス、
本日ハ各黨ニ於キマシテモ豫算ニ對スル審
議ノ御都合上、會合ガアルヤウデアリマス
カラ、本日ハ本案ハ此程度デ止メマシテ、
明日質問ヲ續行スルコトニ致シマス、又午
後ハ一時カラ土地賃貸價格改訂法案ニ付キ
マシテ委員會ヲ開キマスガ、是亦午後二時
カラ各黨ニ代議士會ナドガアリマスカラ、
單ニ一時間ノ間土地賃貸價格改訂法案外一
法案ノ提案ノ說明、質問ヲ致スコトニナリ
マスガ、一人位ハ質問ガ出來ルダラウト思
フノデアリマス、其程度ヲ以テ今日ハ終了
シタイト思ヒマスカラ、午後ノ會合ニモ定
刻迄ニハ必ラズ御出席ヲ願ヒタイト思ヒマ
ス,之ヲ以テ午前中ハ打切ッテ置キマス
午前十時三十六分休憩
午後一時十分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=36
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037・八田宗吉
○八田委員長 是ヨリ開會致シマス、先ヅ
土地賃貸價格改訂法案ソレカラ之ニ關聯シ
マシテ土地賃貸價格改訂法施行ニ伴フ耕地
整理法ノ特例ニ關スル法律案、右二案ヲ付
議スルコトニ致シマス、先ヅ土地賃貸價格
改訂法案ニ付キマシテ、政府ノ御說明ヲ願ツ
テ置キタイト存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=37
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038・中島彌團次
○中島政府委員 土地賃貸價格改訂法案ニ
付キマシテ、大體ノ御說明ヲ申上ゲマス、御
承知ノ通リ本地租法ニ於キマシテハ、地租
ノ課稅標準タル賃貸價格ハ之ヲ十年每ニ改
訂シ、其第一囘ノ改訂ヲ昭和十三年ニ於テ
行フコトニ相成ッテ居ルノデアリマス、右ニ
依リマシテ昭和十三年ニハ、現行ノ賃貸價
格ヲ改訂スルノ必要ガアルノデアリマスル
ガ、是ガ調査改訂ニハ相當ノ日時ヲ必要
ト致シマスルノデ、本年度ヨリ着手スルコ
トトシ、士地賃貸價格改訂法ヲ制定スルト
共ニ、之ニ要スル經費ノ一部ヲ追加豫算ニ
計上スルコトト致シタ次第デアリマス
改訂賃貸價格ノ調査ノ方法ハ、大正十五年
ニ於ケル賃貸價格ノ調査方法ト同一デアリ
マシテ、卽チ昭和十一年四月一日ニ於テ各
地目每ニ土地ノ情況類似スル地域內ニ於ケ
ル標準賃貸價格ニ依ルノデアリマス、賃貸
價格ノ算定ハ前回ト同ジク、貸主ガ公課、
修繕費、其他土地ノ維持ニ必要ナル經費ヲ
負擔スル條件ヲ以テ賃貸スル場合ニ於テ、
貸主ノ收得スベキ金額ニ依リ、田畑及鹽田
ニ付テハ前五箇年ノ平均、其他ノ土地ニ付
テハ昭和十一年四月一日ノ現在ヲ以テ算定
スルノデアリマス、而シテ物納ニ係ル賃貸
料ヲ換算スベキ米穀等ノ價格ニ付テモ、前
五箇年ノ平均ヲ採ルノデアリマス、尙ホ是
等標準賃貸價格ノ算定ノ詳細ハ、命令ニ讓ッ
テ居ル次第デアリマス、標準賃貸價格及
適用區域ハ、前囘通リ、地租納稅者ノ選擧
シタル調査委員ヨリ成ル調査委員會ノ議ニ
付シ決定スルコトヽ致シ、調査委員ノ選出
ハ原則トシテ市郡ハ十人、町村ハ一人ト致
シマシタ、尙賃貸價格ノ改訂ニ依リ負擔ノ
激增ヲ來スモノニ付テハ、其負擔ヲ緩和ス
ルヲ必要ト認メマシテ、改訂賃貸價格ニ依
ル新地租額ガ、現在ノ地租額ノ四倍ヲ超ユ
ル土地ニ付テハ、其超過額ハ賃貸價格改訂
後三年間免除スルコトニ致シタ次第デアリ
ママ、以上ハ土地賃貸價格改訂法案ニ關ス
ル大體ノ說明デアリマス、何卒愼重審議ヲ
御願致ス次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=38
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039・戸田保忠
○戸田政府委員 土地賃貸價格改訂法施行
ニ伴フ耕地整理法ノ特例ニ關スル法律案ノ
提案ノ理由ヲ御說明申上ゲタイト存ジマ
ス、本法案ハ大體本會議ニ於テ農林大臣カ
ラ申述べマシタ通リ、別ニ大藏省カラ提案
ニナッテ居リマス、只今大藏政務次官ノ御說
明ノアリマシタ土地賃貸價格改訂法案ト關
聯スルモノデアリマス、卽チ耕地整理法中
ニハ賃貸價格及地租ニ關シ特別ノ規定ガ設
ケラレテ居リマシテ、整理施行地ノ賃貸價
格及ビ地租ニ付テハ、是等ノ規定ニ依ッテ處
理致シテ居リマスノデ、土地賃貸價格改訂法
ガ施行セラレ、一般ニ賃貸價格ガ改訂セラ
レルコトヽナリマスト、之ニ伴ヒマシテ耕
地整理法中賃貸價格及ビ地租ニ關スル規定
ニ付キマシテモ特例ヲ設クル必要ガアルノ
デアリマシテ、茲ニ本案ヲ提出シタ次第デ
アリマス
本法案ノ要綱ヲ申上ゲマスト、第一點ハ
昭和十一年四月一日カラ同十二年十二月三
十一日迄ノ間ニ於テ耕地整理法ニ依リ賃貸
價格ノ配賦ヲ致シマシタ耕地整理施行地區
ノ賃貸價格ノ改訂方法ヲ規定シタコトデア
リマス、御承知ノ如ク耕地整理法ニ於テハ
整理ヲ施行致シマシタ土地ノ賃貸價格ハ、
地區內從前ノ土地ノ賃貸價格ノ合計ヲ每筆
相當ニ配賦シテ之ヲ定ムルコトトシ、地租
法ノ規定ニ依リ一般ニ賃貸價格ヲ改訂スル
場合ハ、旣ニ賃貸價格配賦濟ノ土地ニ付テ
ハ整理施行後ノ土地ニ付テ定メラルベキ改
訂賃貸價格ニ特定ノ比率ヲ乘ジテ之ヲ定
メ、以テ相當期間內耕地整理ニ依リテ增進
シタル利益ニ相當スル賃貸價格ハ之ヲ增加
シナイコトニ致シテ居リマス、然ルニ昭和
十一年四月一日以後、同十二年十二月三十
一日迄ノ間ニ賃貸價格配賦ヲ致シマシタ整
理施行地ノ賃貸價格ハ、大正十五年ノ調査
ニ基キ定メタ從前ノ土地ノ賃貸價格ノ合計
額ヲ配賦シタモノデアリマシテ、今囘ノ改
訂賃貸價格ハ矢張從前ノ土地ニ付テ調査ス
ルモノデアリマスカラ、右耕地整理法ノ規
定ニ依リ、當該整理施行地ノ改訂賃貸價格
ニ相當スル賃貸價格ヲ定メルコトガ出來マ
セヌ、從テ特別ノ規定ヲ設ケマシテ、昭和
十一年四月一日ノ從前ノ土地ニ付テ調査シ
マシタ改訂賃貸價格ノ合計額ヲ、整理後ノ
土地ニ每筆配賦シテ、當該土地ノ賃貸價格
ヲ定ムル必要ガアルノデアリマス
第二點ハ地租負擔激增緩和ニ關スル規定
ヲ設クルコトデアリマス、土地賃貸價格改
訂法第四條ハ、今囘ノ改訂ニ依ル地租ノ急
激ナル增加ヲ緩和スル趣旨ノ規定デアリマ
スカ、同條ノ規定ハ整理施行地ニハ適用シ
得ラレナイ場合ガアリ、又之ヲ其儘適用致
シマスノハ不適當ナ場合モアリマスノデ、
特別ノ規定ヲ設ケル必要ガアルノデアリマ
ス
第三點ハ耕地整理法中ニハ同意、表決等
ノ要件トシテ賃貸價格ノ計算ヲ要スル規定
ガアリマスガ、賃貸價格改訂後卽時ニ改訂
賃貸價格ニ依ラシムルコトハ、事實上困難
デアリマスノデ、當分ノ間改訂賃貸價格ニ
依ルヲ要シナイ旨ノ規定ヲ設クルコトト致
シタ次第デアリマス、何卒御審議ノ上、御
可決アランコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=39
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040・八田宗吉
○八田委員長 質問ヲ許シマス-高田耘
平君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=40
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041・高田耘平
○高田委員 今日モ二時デシマフト云フコ
トデスカラ、成ベク簡單ニ質問致シマス、
第一今問題ニナッテ居ル土地賃貸價格改訂
法ニ直接觸レタ問題ニ付テ質問致シマス、
前五箇年平均ノ米價ヲ取ルト云フコトニナ
リマスレバ、相當ニ田畑ノ地租ニ於テ減收
ヲ來スヤウニ想像セラレル、ト云フノハ、
前囘ノ調査等ニ於ケル五箇年間ノ平均米價
ハ、約三十二三圓デナカッタカト思ヒマス、
所ガ今度昭和六年カラ十年迄ノ平均米價
ハ調ベヤウニ依ッテ多少ノ差ハアリマスガ、
二十二三圓ヂヤナイカト思フ、サウスルト
此賃貸價格決定ノ基礎トナルベキ米價ニ相
當ノ差ノアル以上ニハ、卽チ米價ノ下落ガ
現レマシタ以上ニハ、之ヲ基準ニシテ決定
スル賃貸價格ハ相當ノ金額ガ減少シナケレ
バナラヌト思フ、無論宅地ニ對スル賃貸價
格ハ多少增加スルノデハナイカト思ヒマ
ス、兎ニ角土地ニ對スル賃貸價格ハ減ル、
隨テ地租法ノ今日ノ百分ノ三·八デ行ケバ
相當金額ガ國庫ノ收入デ減リマス、其場合
ニ於テモ地租法ハ無論變更セズニ、百分ノ
三·八トシテ徵收シテ、賃貸價格ノ改訂ニ
依ッテ、國庫ノ收入ガ減ルトモ、敢テ地租法
ヲ改正シテ、又現在ノ地租額位ヲ國庫ノ收
入トスルト云フコトハナイト思フケレド
モ結局減レバ減ッタ儘ニシテ置クト云フ御
意見デアラウト思ヒマス、是ハ無論サウダ
ラウト思ヒマスケレドモ、簡單ニ此事ヲ一
應確メテ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=41
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042・馬場えい一
○馬場國務大臣 只今高田君ノ御述べニナ
リマシタ通リ、田畑ノ賃貸價格ノ改訂ノ結
果ハ、米價ガ六、七、八九、十ノ五年間
ノ平均ハ、其前ノ時トハ大分低イノデアリ
マスカラ、無論賃貸價格トシテハ減ルダラ
ウト思ヒマス、ソコデ地租法ヲ此儘ニシテ
置クカドウカ、此問題ハ全體ノ稅制整理ノ
上デ考ヘタイ、特ニ所謂田畑ノ負擔ヲ增ス
ト云フコトハ、今日デハ考ヘテ居リマセヌ
ガ、稅率其他ノ問題ニ付テハ全體ノ稅制整
理ヲ行フ時ニ考フベキ問題デアリマス、地
租法其モノニ付テノ改正ヲスルカドウカト
云フコトニナリマスト、或ハ改正ヲスルカ
モ知レマセヌガ、私共ハ田畑ニ付テハ成ベ
ク國稅トシテ、負擔ハ重カラシメタクナイ
ト云フ考ヲ、大體ニ於テ有ッテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=42
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043・高田耘平
○高田委員 只今ノ御答ノ末尾ノ方デ大藏
大臣ノ眞意ノ在ル所ガ分リマスケレドモ、
私ノ希望トシテ賃貸價格ノ改訂ニ依ッテ地
租ハ減ルトモ其儘ニシテ置イテ、地租法其
モノヲ改正シテ稅額ヲ更ニ又現在ノ徵收額
同等ニスルト云フヤウナコトノナイヤウ
ニ、成ベク農民ノ負擔ヲ減ルヤウニ御考慮
ヲ願ヒタイト思ヒマス、此場合此問題ニ付
テハ是レ以上申上ゲマセヌ
次ニ關聯事項ニ付テ申上ゲマス、現內閣
ガ國氏ノ負擔ヲ均衡ニスルト云フ政策ヲ御
聲明ニナリマシタコトハ洵ニ私共ノ、何ト
申シテ宜シイカ、數年來ノ主張ガ現内閣ニ
依ッテ達セラレル道程ニ進ミマシタ譯デ、洵
ニ慶ビニ堪ヘナイ次第デゴザイマス、殊
大藏大臣ハ勸銀ノ總裁トシテ長ク農村金融
ノ事ニ携ッテ居リマシタ、隨テ農家經濟ニ負
擔ノ重イコトガドウ云フ影響ヲ及ボシテ居
ルカト云フコトニ付テモ篤ト御諒知ノコト
ト存ジマスカラ、此際是非現在ノ農民ガ都
市ノソレヨリモ非常ニ重イ負擔ノ下ニアル
ト云フ情況ヲ能ク御考ヘ下スッテ、公平ナル
政策ヲ立テルコトモ御願シタイト思フノデ
アリマス、內務大臣モイラッシヤイマスカ
ラ、大變好都合デゴザイマスノデ、地方稅
制ニ關スル法律案等ニ觸レテ御考ヲ伺ヒタ
イト思フノデアリマス、國民負擔ノ不權衡、
殊ニ農村民ガ都市民ヨリモ非常ニ重イ負擔
ノ下ニアルコト、而シテ農業者ガ營業者ヨ
リモ重イ負擔ノ下ニアルコトハ各方面ノ調
ニ於テ現レテ居リマス、卽チ大都市ヲ包容
スル府縣ト、主トシテ農村ヲ包容スル府縣
トノ間ニ於テドウ云フヤウニ負擔ノ不均衡
ガ現レルカト申シマスレバ、是ハ昨年內務
省ガ發表シタ數字デゴザイマスケレドモ、
東京府ハ國稅一圓ニ付テ七十六錢四厘、而
シテ是ハ主トシテ大都市ヲ包擁シテ居ルノ
デゴザイマス、其對象トシテ岩手縣、是八
主トシテ農村デアリマシテ、都市ハ極メテ
僅カデアリマス、盛岡ダケ位デアリマス、
所ガ是ハ國稅一圓ニ付テ四圓四十一錢六厘
ノ負擔ヲ負ッテ居リマス、靜岡縣ハ相當ニ農
業モ商工業モ發達シテ居ル縣デアリマシ
テ、是ガ國稅一圓ニ付テ三圓五十二錢七厘、
斯ウ云フコトガ發表サレテ居リマス、殊ニ
沖繩縣ハ國稅一圓ニ付テ九圓五十一錢九
厘、卽チ靜岡縣或ハ靑森縣ハ、東京府ノ五
倍七分ノ負擔ヲ地方稅トシテ負ッテ居ル、靜
岡縣ハ東京府ノ四倍六分、沖繩縣ハ東京府
ノ十二倍以上ヲ地方稅トシテ負擔シテ居ル
ト云フコトガ、是ハ內務省ノ調査ノ發表デ
現ハレテ居ルノデアリマス、實ハ九月ニ朝
日新聞ガ發表シタモノニ付テ、果シテ新聞
ノ通リ間違ヒナイカドウカト云フコトヲ或
ル方面デ確メテ見マシタガ、大體違ヒナイ
ヤウデゴザイマス、斯ウ云フ方面ノ大都市
ヲ包擁スル府縣民ト、主トシテ農村ヲ包擁
スル府縣民トノ間ニ、國稅ニ付テ斯樣ニ大
キナ負擔ノ開キガアル、更ニ今度ハ廣イ意
味ニ於テ、都市ノ商工業者ト農村ノ農民ノ
所得ニ對スル負擔ノ比較ヲスルト云フト、
是ハ帝國農會ガ調査シタモノデゴザイマス
ケレドモ、大體ニ於テ二倍以上、甚ダシキ
ハ三倍、四倍ト云フ數字ガ出ルノデアリマ
ス、尙ホ又同一町村內デハ、商工業者ト農
業者ノ負擔ヲ比較スルト、是ハ私自身私ノ
選擧區ノ五六箇所ニ付テ調ベタモノモゴザ
イマスケレドモ、而シテ私ノ最モ信ズルニ
足ルベキ資料ニ依ッテ見マシテモ、同一町村
內デ營業ニ從事スル人ト農業ニ從事スル人
トノ間ニ於テ、是モ大體ニ於テ二倍以上ノ
負擔ヲ農民ガ負ッテ居リマス、是ハ私ハ其調
査シタ人ノ名前ハ申上ゲマセヌガ、私ハ信
ジ得ラレル、ソコマデ斯ウナル理由ハ、要
スルニ富ノ都市集中、他面ニ於テハ行政制
度ノ劃一的ナコト、是ガ斯ウ云フ結果ヲ來
スノデアラウト思ヒマス、此方面ノ解決ニ
付テハ、例ヘバ大都市ト農村トノ負擔ヲ均
衡ニスル爲ニハ、要スルニ地方財政調整交
付金制度ヲ確立シテ、サウシテ相當ノ金額
ヲ以テ國庫ノ收入ノ一部ヲ割イテ、財政ノ
薄弱ナル町村ニ配當スルト云フコトニ依ツ
テ、漸時救ハレヨウト思ヒマヌ、但シ二千
萬圓、三千萬圓ノ金デハ到底救ハレルコト
ハ出來マセヌ、事實是デハ到底行カナイノ
デアリマス、何故行カナイカト言ヘバ、先
程申上ゲマシタ同一町村內ニ於テ、農民ト
營業者ノ負擔ニ於テ、確ニ同一所得ニ付テ
二倍以上ノ負擔ヲ農業者ガ負ッテ居ルノデ
アリマス、是ナドハ地方財政調整交付金ノ
制度デハ、只今申上ゲマシタ同一町村內ニ
於テ、農民ト營業者トノ負擔ノ均衡ヲ圖ル
コトハ出來マセヌ、然ラバドウシテ斯ウ云
フ不公平ナコトガ出來ルノデアルカト云フ
コトヲ能ク調ベテ見マスト、サウナル、法
律ガサウ決メテアル、ト云フノハ地租法、
營業收益稅法及ビ地方稅制限ニ關スル法
律、此三ツノ法律ヲ地方稅ニ付テ其制限內
ノ課稅ノミヲ、各町村デ賦課致シタトミテ、
丁度倍以上ニナルト云フノハ例ヘバ同一町
村內デ地租賃貸價格千圓ノ人、營業收益稅
千圓ノ人、此個人々々ニ付テ地租法、營業收
益稅法及ビ地方稅制限ニ關スル法律ヲ、其
制限內ダケ適用賦課スルト假定致シマス、
制限內ノ所ハ殆ド少イ、制限內デ課稅スル
ト假定致シマストドウ云フコトニナルカト
申シマスト、地租法ニ付テ申シマスレバ、
賃貸價格千圓トスレバ、本稅ハ賃貸價格ノ
百分ノ三·八デアリマスカラ三十八圓ニナ
ル、之ニ對スル府縣稅附加稅ハ本稅、卽チ
三十八圓ノ百分ノ八十二デアリマスカラ、
府縣稅ノ附加稅ハ三十一圓十六錢ニナル、
更ニ町村稅附加稅ハ本稅ノ百分ノ六十六デ
ゴザイマスカラ、卽チ本稅三十八圓ニ對ス
ル百分ノ六十デゴザイマスカラ、二十五圓
八錢、此合計ハ九十四圓二十四錢トナル、所
ガ其同一町村ニ營業者ガアル、而シテ其人
ハ營業收益千圓ト假定致シマス、千圓マデ
ハ千分ノ二十二デアル、ソコデ千分ノ二十
二デアルカラ、營業收益千圓位ノ人ハ本稅
ガ二十二圓デアル、是ニ於テ府縣稅附加稅
デハドウナルコトカト云ヘバ、非常ニ此點
ガ違フ、地租ニ於テ百分ノ八十二デアルモ
ノガ、營業收益稅ノ附加稅ニナルト百分ノ
四十六·五デゴザイマスカラ、是ガ十圓二十
三錢、地租附加稅ノ半分ニナラナイ、町村稅
附加稅ハ是ハ地租ニ對スルト同ジ本稅ノ百
分ノ六十六デアリマスカラ十四圓五十二
錢此三者ヲ合計スルト四十六圓七十五錢
デアリマス、四十六圓七十五錢デ、·一カ,
九十四圓二十四錢デゴザイマスカラ、丁度
倍餘ニナルノデゴザイマス、斯ウ云フ數字
ガ出マス、是ハ法律ノ結果當然斯ウ現レ
ル、ソコデ私地租ト營業收益稅ノ本稅ノ
差卽チ一方ハ百分ノ三·八、一方ハ百分
ノ二ニ、勿論千圓以上ハ、其超過シタモノ
ニ付テハ百分ノ二·六ニナリマスケレドモ、
大體ニ於テ千圓程度以下ガ多イノデアリマ
ス,千圓程度デ比較スルコトガ相當ダト思
ヒマス、何故一方ハ百分ノ三·八、一カ、
百分ノ二·ニデアルカト云フコトニ付テ調
ベテ見マシタケレドモ、根據ガナイノデア
リマス、卽チ公平デアルト云フ根據ガナ
イ、唯地租法卽チ舊地租法ヲ改正シテ現行
法ニスル場合、營業稅法ヲ改正シテ營業收
益稅法トスル場合ニ於テ、其當時ノ課稅額
ヨリモ、成ベク增減ノナイヤウニト云フ理
由ニ依ッテ、課率ヲ決定シタノデアッテ、負擔
ノ均衡ト云フ方ニハ、更ニ意ヲ用ヒテ
ナカッタヤウニ承ルノデアリマス、更
ニ甚シイノハ地方稅制限ニ關スル法律
デアル、一方ハ本稅ノ百分ノ八十、
方ハ其半分トモ言ッテ宜シイ四十六·五
デアル、之ヲ調ベテ見マシタケレドモ、何
モ是ガ公平デアルト云フ根據ハナイヤウニ
思フノデアリマス、唯〓明治二十九年ニ地
方稅營業稅ヲ國稅營業稅ニシタ場合ニ於テ
成ベク地方稅ヲ輕クスルト云フ方針ニ行ッ
タガ、其位ノコトデ負擔ノ均衡ヲ得タモノ
デアルト信ジテ居ル者ハナイト思フ、所ガ
又市町村稅附加稅ニナルト、營業收益稅ニ
付テモ地租ニ付テモ、何レモ本稅ノ百分ノ
六十六デアルカラ同ジ率ニナッテ居ル、之ニ
付テ見ルト、益々附加稅ニ於テ一方ガ八十
二、一方ガ四十六·五ト云フコトハ何等意
味ガナイト思フ、斯ウ云フ風ニ法律其モノ
ニ於テ、農民ニ對スル負擔ガ營業者ニ對ス
ル負擔ヨリモ倍額ニナルノデゴザイマス、
但シソコデ考ヘナケレバナラヌコトハ、地
租法ト營業收益稅法ト何レモ收益稅デハア
リマスルガ、其本質ニ於テ果シテ絕對ニ同
ジデアルカドウカト云フコトニ付テハ、多
少〓究ノ餘地ガアルヤウニ思フ、何レモ大
體ニ於テ收益稅デゴザイマス、斯ウ考フル
時ニ私共ハ地方財政調整交付金ノ制度ニ
依ッテ、サウシテ農村ノ負擔ノ均衡ヲ圖ルコ
トハ、其一部デアルガ此地租法ト營業收益
稅法ト、而シテ地方稅制限ニ關スル法律案
ヲ、之ヲ根本的ニ改正シテサウシテ、同
所得ニ付テノ農民ト營業者トノ負擔ノ均衡
ヲ圖ルノ策ヲ取ルヨリ外ニナイト、私ハ固
ク信ジテ居ル此要望ハ私個人ノ考ヘデハゴ
ザイマセヌノデ、農民ヲ代表スル帝國農會
ハ、數年來此主張ヲ以テ進ンデ居ッタノデ
ゴザイマス、此際國民ノ負擔ノ均衡ヲ圖ル
コトヲ政策ノ一部トシテ進ンデ居ル現內閣
ニ於テ、此不均衡ヲ御認メニナリマシタナ
ラバ根本的ニ是正シ、農民ト營業者トノ負
擔ノ均衡ヲ圖ルノ方針ヲ執ラルルヤ否ヤト
云フコトヲ、御伺ヒ申シタイト思フノデア
リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=43
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044・馬場えい一
○馬場國務大臣 只今高田君ノ御話ハ數字
ノ細イ點ニ付テハ、一々私モ取調ベテ居リ
マセヌガ、大體ノ御話ハ其通リデアラウト
思ッテ居リマス、而シテ地租ト營業收益稅ノ
關係デアリマスガ、是ハ地租ハ今御話ノ如
ク、現在ハ眞ノ收益稅ト云フコトニナッテ
居リマスガ、營業收益稅ハ實ハ營業收益稅
トハ言ヒマスガ、地租ト同ジヤウナ實質的
ノ收益稅デアルカト云フト、實ハ收益稅ト
申スヨリモ、稍々特別所得稅ニ近イ形ヲ現
在ノ營業收益稅ハ却テ取ッテ居ルノデアリ
やくろ、ソレデ當初國稅ノ稅率ヲ定メマス時
ニ、營業收益稅ノ稅率ヲ地租ヨリモ輕クシ
タノハ、多少サウ云フ理由モアッタノデハ
ナイカト思ヒマスケレドモ、併シソレヨリ
モ高田君ノ御話ノ如キ沿革的ノ理由ノ方ガ
寧ロ重キヲ置カレテ稅率ガ變ッテ居ッタノデ
ハナイカ、隨テ國稅ニ對スル府縣稅ノ附加
稅率ナドモ、サウ云フ沿革上ノ理由ガ寧ロ
主デアッタノデハナイカト思フノデアリマ
ス、デアリマスルガ、只今御話ノ如クニ假
令町村ノ財政調整交付金制度ヲ立テマシテ
モ、稅制ノ上ニ於テ根本的ニ負擔ノ均衡ヲ
得セシムルト云フコトガ、本來非常ニ必要
ナノデアリマス、ソレガナクテ今ノヤウナ
儘ニ稅制ヲシテ置イテノ市町村財政調整交
付金デハ、御話ノ通リ負擔ノ均衡ハ得ラレ
ナイノデアリマス、ソコデ今囘私ノ考ヘマ
スル所デハ、國稅ニ付テモ地方稅ニ付テモ
全體的ニ見マシテ、負擔ノ均衡ヲ得ルヤウ
ニ直シテ行キタイト云フ考ヘヲ持ッテ居ル
譯デアリマス、隨テ今御話ノ如キ點ニ付テ
モ、稅制改革ヲ致シマス際ニ、篤ト考究シ
マシテ負擔ノ均衡ヲ得ルヤウニ努メタイト
云フコトヲ申上ゲテ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=44
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045・高田耘平
○高田委員 只今ノ御話ノ地租ト營業收益
稅トハ租稅ノ本質上多少ノ差ガアルヤウニ
思ヒマス、私ハソレデスカラ唯同一町村內
ノ所得ニ於テノ調ベヲ自分デシ、或ハ私ノ
信ズベキ人ニ調ベテ貰ッタ所ガ、同一町村內
ニ於テノ所得稅ノ方カラ言ッテモ、ヤハリ倍
ニナルノデアリマス、之ニ付テハ御調ガア
ルコトト思ヒマスケレドモ、ドウゾ尙ホ能
ク御調査願ヒタイト思ヒマスガ、大體私ノ
申上ゲタ意味モ御了解下サッタヤウデアリ
マスルカラ、稅制整理ノ際ニ此點ニ深ク御
注意願ヒタイト思フ、尙ホ地方稅制限ニ關
スル法律ノ方ノ市町村附加稅ハ營業收益稅
ニ付テモ或ハ、又地租ニ付テモ其通リデ、
主トシテ府縣稅ニ付テ非常ナ差ガアルト云
フコトハ、是モ知ッテ居ラレルコトト思ヒ
マス、私ハ敢テ之ニ付テハ、內務大臣ノ答辯
ヲ求メル迄モナイト思ヒマスガ、ヤハリ是
ハ徒ニ舊慣ニ囚ハレテ居ルニ過ギナイノデ
アリマスカラシテ、此點モ深ク御留意願ヒ
マシテサウシテ、地方稅ノ稅制ニ關スル改
革ニ付テモ營業者ト農民トノ此二ツニ付テ
統一セラレルコトヲ御願ヒ致シタイト思ヒ
マス、時間ガアリマセヌカラ、此點ハ此程
度ニ致シマス
更ニモウ一ツ私ガ常ニ主張シテ居ル國稅ノ
問題ニ付テ、私ノ考ヘヲ述ベテ大藏大臣ノ
御意見ヲ伺ヒタイト思ヒマス、ト云フノハ
登錄稅ノ問題デアリマス、登錄稅ノ金額ハ
相當今日國ノ收入カラ行ケバ、重要ナ位
置ヲ占メテ居リマス、所ガ此稅位不當ナ稅
ハイノデアリマス、ト云フノハ私申上ゲ
ル迄モナク、不動產登錄稅ハ元千分ノ十デ
アッタモノガ、日露戰役後ノ財政整理ノ時ニ
千分ノ三十五ニ增シ、其後千分ノ三十三ニ
變更シタノデアリマス、所ガ是ガ現在ドウ
云フ風ニナッテ居ルカト云フト、農村ノ實
情ヲ見レバ、是ハ大藏大臣能ク御承知ノ通
リデアルガ、土地ヲ進ンデ買フ人ナン
カナイノデアル、巳ヲ得ズ買フ-尤モ
土地ヲ進ンデ買フ場合ニ於テモデスケレ
ドモ、今日ニ於テハドウ云フコトニナッテ
居ルカト云フト、法律上ノ形ハ卽チ土地ノ
買受人ガ相當ノ收入印紙ヲ貼ルコトニナッ
テ居リマスケレドモ、實質ハサウヂヤア
リマセヌ、ドウデアルカト言ヘバ土地ヲ
買フ人ガ其土地ノ値段ヲ定メル場合ニ
於キマシテハ、先以テ此土地ヲ買ヘバ我ラノ
稅金ガ掛ルカ、地租ガ幾ラ之ニ對スル附加
稅ガ幾ラト云フコトヲ計算シテ、尙ホ買受
代金ノ利子等モ見、ソレニ不動產登錄稅ヲ加
算シタモノデ見テ居ル、內務省ガ認可シタ
所ノ府縣稅ノ中ニ於キマシテ、此不動產登
錄稅ト云フノハ、最モ極端ナル惡稅デアル、
登錄稅不動產取得稅及ビ之ニ對スル附加稅
ヲ合セルト、登錄稅ガ三十三、府縣稅ノ財
產取得稅及ビ之ニ對スル附加稅ガ府縣ニ
依ッテ多少ノ差ガアリマスケレドモ、先以テ
二十六七圓デゴザイマス、サウスレバ千圓
ノ土地ヲ賣ルト六十圓以上ノ國稅及ビ地方
稅ヲ拂ハナケレバナラヌト云フ狀態ニナッ
テ居リマス、ソレモ全ク土地買得者ガ支拂
フノデアレバ、是ハ多少ノ理由ハアリマス
併ナガラ其實際ニ於テハ土地ヲ賣ル方ニ、
賣買ト同時ニ轉嫁サレマシテ、先程申上ゲ
マシタヤウニ、土地ヲ買得スル人ハ、登錄稅
ガ幾ラ、財產收得稅ガ幾ラ、之ニ對スル附
加稅ガ幾ラト云フコトヲ見テ、算盤ニ一々
彈イテ土地ノ値段ヲ決定スルノデアリマ
ス、土地ヲ賣ル人ガ稅ヲ拂フコトニナッテ
居ルコトガ、農村ノ僞ラザル實情デアリマ
ス、然ラバ農村ナリ、或ハ都市ニ於ケル宅
地所有者ナリガ、其土地ヲ賣ルト云フコト
ハドウデアルカト言ヘバ、殊ニ農村ニ於テ
自分ノ祖先傳來ノ土地ヲ賣ルコトハ事容易
デナイノデアリマス、債鬼ニ追詰メラレテ
已ムヲ得ズ、賣ル其貧乏百姓ガ債鬼ニ追詰
メラレテ已ムヲ得ズ賣ル場合ニ於テ、國家
及ビ町村ガ、此貧乏百姓ニ千圓賣レバ六十
圓ノ稅ヲ命ズルト云フコトハ、私ハ此位不
當ナル課稅ハナイト思フ、言葉ハ當ラヌカ
モ知レヌケレドモ、コンナムゴタラシイ稅
ハナイト思フ、私外國ノ稅法ヤ何カ存ジマ
セヌガ、或ル大藏省ノ相當ノ位地ニ居ッタ
人ノ話ヲ聽クト成程土地ヲ取ル場合、多少
登錄稅ヲ取ッテ居ル國モアルガ、併シ獨逸ノ
如キ非常ニ財政ガ窮迫シテ各方面ノ各種階
級各職業ニ對シテ非常ナ重稅ヲ課シテ居
ル、獨逸デサヘモ僅ニ國稅トシテ千分ノ十
ダケデアッテ、其千分ノ十モ國稅トシテ取ル
ガ之ヲ直グニ地方ニ交付シテシマフ、斯ウ
云フ制度ニナッテ居ルト云フコトデアリマ
シテ、佛蘭西トカ英吉利トカ云フ國デハ幾
分カ登錄稅ヲ取ルガ、コンナ重イ課稅ヲ命
ズル國ハナイトノコトデアリマス、サモア
ルベキ事ト存ジマス、要スルニ是ハ唯日本
ノ經濟ガ進步セズ、課稅ノ對象物件ガ唯土
地デアル場合ニ於テ明治二十九年アタリニ
於テ出來タ法律デアリマシテ、其後明治三
十九年デゴザイマスカ、日露戰役ノ財政處
分ヲスルトキニ、三倍以上ニシタト云フコ
トデ、其當時ノ農村ノ狀況ハドウデアルカ
ト言ヘバ、今日ヨリモズット宜シイ、ダカラ
議會ニ於テモ左程ノ反對ノ意見モ現レナカ
タノデゴザイマセウガ、今日ノ如クドノ方
面ヨリ見マシテモ農村ハ救ハナケレバナラ
ヌ、殊ニ先程申上ゲマスヤウニ、地租法、營
業收益稅法及ビ地方稅制限ニ關スル法律等
ノ課稅ニ依ッテ、非常ニ重イ負擔ヲセシメテ
居ル場合デアルノニ、搗テヽ加ヘテ此國稅
トシテノ登錄稅及ビ府縣稅トシテ、財產收
得稅ト云フヤウナ、此ムゴタラシイ稅ハ是
ハ何トカシテ私ハ稅制整理ノ際ニ全然之ヲ
廢シテ戴キタイト思ヒマス、若シ廢スルコ
トガ出來ナイナラバ、此千分ノ三十三ト云
フヤウナ重イ課稅ハ、相當輕減スベキモノ
デアル、殊ニ此地方稅トシテノ財產收得稅
モ取ッテオ居デニナルノデ、內務省モ少シハ
農民ノ負擔ト云フコトニ考ヘ及ンダカモ知
レヌケレドモ、元ハサウデナカッタラシイ、
何デモ新シイ事業ヲ起スノニ、財源サヘ取
レバ宜イヤウナ考ヲ一時持ッテ居ッタ時代ガ
アッテ其時代ニ出來タノデアラウト思ヒマ
スケレドモ、過去ハ已ムヲ得マセヌ、國民負
擔ノ均衡ヲ政策ノ一ツトスル現內閣ニ於キ
マシテ、此不動產登錄稅及ビ地方稅トシテ
ノ財產收得稅ヲ是非此際廢シテ戴キタイ、
之ニ對スル內務大臣及ビ大藏大臣ノ御所見
ハ如何デアリマスカ伺ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=45
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046・馬場えい一
○馬場國務大臣 先般豫算委員會デモ申上
ゲタコトガアルト存ジマスガ、今高田君モ
御質問中ニ其點ニ觸レラレタ通リ、從來我
國デハ不動產ト云フモノガ、殊ニ土地デア
リマスガ、ソレガ主ナル資產デアッタガ爲
ニドウシテモ此方面ニ對スル課稅ガ非常ニ
進ンデ居ッテ、進ンダト云フ言葉ハ一面カラ
言ヘバ重カッタ、此事實ハ否定出來ナイ、今
ノ登錄稅關係バカリデハアリマセヌ、其他
營業收益稅關係ニ付テモ、御述ベノ通リド
ウモ此土地ト云フモノガ主タル財產デアツ
タ、時代ハ、ドウシテモソレニ皆財源ヲ賴ッ
タ斯ウ云フコトモ無理ノナイコトデアリマ
シテ、其爲ニサウ云フ方面ノ稅ガドウモ重
クナッテ居ルト云フコトハ、一般的デアルト
思フノデアリマス、私ハ今囘ノ稅制整理ニ
對シマシテハ、是ガ正シイカ、正シクナイ
カト云フコトハドウシテモ、考ヘテ見ナケ
レバナラヌト思ヒマス、卽チ言換ヘレバ、
動產ト不動產トノ間ノ課稅上ノ均衡トフ云
コトヲ十分ニ一ツ考ヘナケレバナラヌト思
フ、只今登錄稅ノ御話ガ出マシタガ、今日
ノ實際ノ情勢カラ申セバ、土地ヲ買フト云
フヨリハ、賣リタイ者ノ方ガ多イト云フ實
情デアリマス、殊ニ農村デハ御話ノ通リデ
ス、最近多少ノ變化ヲ見タトハ言ヒマシテ
モ一般的ニ申セバ、土地ヲ賣ッテ債務ノ整
理ヲシヨウト云フ者ガ多イ、サウ云フ點カ
ラ言ヘバ、買主ガ負擔スベキモノガ事實賣
主ガ負擔スル、是ハ又將來土地ニ對スル需
要ガモット殖エテ來レバ、買主ノ負擔ト云フ
コトニナリマセウガ、實際問題トシテ今日
ハサウ云フコトモアルノデアリマス、デア
リマスカラ、今登錄稅ヲ此處デ廢スルト云
フコトニ付テハ、殊ニ土地ノ所有權移轉ニ
對スル登錄稅ヲ廢スルト云フコトハ、是ハ
私ハ俄ニ御贊成ヲ致シ兼ネマス、併ナガラ
不動產移轉ノ登錄稅ト云フモノガ、今日適
當ナル稅デアルカドウカト、斯ウ言ハレレ
バ相當ニ考ヘ直シテ見ルベキ稅ノ一ツデア
ラウト私ハ考ヘテ居リマス、今囘稅制ノ整
理ヲ致ス際ニ付テハ、不動產、動產ノ課稅
均衡ヲ得マス見地カラ、此稅ニ付テモ、相
當ニ考慮致シテ、出來ルダケ不都合ナ負擔
ニナラヌト云フヤウナ風ニ、之ヲ直スベキ
デハナイカ、今考ヘテ居ルノデアリマス、
是モ稅制整理ノ際ノ〓究ニ御待ヲ戴キタイ
ト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=46
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047・潮惠之輔
○潮國務大臣 私ハ地方稅ノ不動產取得
稅、或ハ財產收得稅、此點ニ付テ御答ヲ申上
ゲマスガ、從來ハ追々ト府縣ガ斯樣ナ稅ヲ
取リ始メテ來タノデアリマスガ、其原因ハヤ
ハリ結局他ノ財源ノ不足ト云フヤウナコト
ニ追詰メラレマシテ、トドノ詰リガ不動產
ノ取得ニ關シテ先ヅ之ヲ取得スル人ニ對シ
テハ、負擔力モ相當ニアルト云フ見込ヲ付
ケテ取リ始メタモノト考ヘテ居リマス、併
シ大藏大臣ノ御話ノヤウニ、不動產ニ對ス
ル課稅ノ本質ト云フモノニ付テモ、考慮シ
テ見ナケレバナラヌ、隨テ稅制ノ調査ノ際
ニハ國稅地方稅ヲ通ジマシテ、不動產課稅
ガドウデアルト云フコトト關聯シテ、一ツ
解決シナケレバナラヌト考ヘテ居リマス、
大體只今考ヘテ居ル所ヲ申上ゲテ御了解ヲ
戴キタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=47
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048・高田耘平
○高田委員 尙ホ色々詳シク申上ゲタイコ
トモアリマス、ケレドモ時間ノ關係モアル
ヤウデアリマスカラ、極メテ簡單ニ申上ゲ
テ見タイト思ヒマス、不動產登錄稅ヲ廢ス
ルコトニ付テ、此處デ同意不同意ヲ表明ス
ルコトガ出來ナイコトハ、大藏大臣トシテ
御尤ノコトデアル、併ナガラ若モドウシテ
モ廢スルコトガ出來ナイトスレバ、相當減
額スベキモノデアルト、私ハ考ヘテ居リマ
ス、而シテ又不動產登録稅ヲ取ルナラバ、
有價證劵ノ移動ニ對シテモ、相當課稅スベ
キガ當然デアルト、私ハ思フ、無論ソレ等
ノ點ニ付テ、大藏大臣ハ御考ガアルコト
存ジマスルガ、有價證劵ノ移動ニ對シテ課
稅スルコトハ、頗ル面倒ナ點モアルヤウニ
察セラレマスガ、外國ニ於キマシテ有價證
劵ノ移動ニ對シテ、相當課稅ヲ命ジテ居ル
點モアルヤウニ承ッテ居リマス、不動產登錄
稅ヲ廢スルコトガ出來ナイナラバ、是ト均
衡ヲ得ル意味ニ於テ、有價證劵ニ對スル移
動稅ヲ課スルコトガ、國民トシテ公平ナル
負擔ノ分配デアルヤウニ存ジマスカラ、其點
等ニモドウゾ一ツ意ヲ用ヒ下サッテ、稅制整
理ノ實ヲ擧ゲテ戴キタイト思ッテ居リマス、
尙ホ此場合二三簡單ニ申上ゲマスガ、所
得稅法ニ於テ、配當所得ニ於テハ四割ヲ控
除シテ居ル、一方一般ノ第三種所得ニ於キ
マシテハ、營業者ニ對シテモ、農業者ニ對
シテモ控除ガナイ、所ガ法人ノ配當所得ニ
對シテダケ四割ヲ控除スルトハ何タルコト
デアルカ、是ハ大正九年ノ所得稅法改正ノ
時ニ端ヲ發シタモノデアル、私記憶スルニ
其當時ノ政府ハ二割控除デアッタト思ヒマ、
ス、衆議院ガ三割控除ニ修正シ、貴族院ガ
四割控除ニ修正シテ、ソレガ成案ニナッタヤ
ウニ私ハ記憶シテ居リマス、而シテ其理由
ハ何デアルカト云フト、是ハ私大藏大臣ノ
答ハ今デモ、耳ニ覺エテ居リマスガ、株ヲ
持ッテ居ル人ハ主ニ借金ニ依ッテ持ッテ居ル
カラシテ、借金ノ利子ヲ見テ四割控除スル
ノダ、斯ウ云フヤウニ承ッテ私其當時ヨリ此
稅法ガ法人配當所得ニ關シ、他ノ一般ノ所
得納稅者ニ非常ニ嚴ナルコトヲ不快ニ思ッ
テ居リマシタ、併ナガラ稅法ガ決定致シマ
シテ、大正九年カラ今日マデ非常ニ不公平
ナ負擔ニナッテ居ルノデゴザイマスカラ、是
モ一ツ稅制整理ノ際ニハ相當ニ公平ニスベ
ク御注意ヲ願ヒタイト存ジマス、尙ホ營業
收益稅ト地租ノ問題ニ付テ、地租ノ方ノ根
本ヲ變ヘレバ別デゴザイマスケレドモ、現
在ノ通リト致シマスルト、營業收益稅ニ付
テハ必要ナル經費ノ中ニ資本ノ利子ヲ控除
スルコトニナッテ居ルト思ヒマス、所ガ地租
ニ於キマシテハ、其土地ヲ買フニ必要ナル
資本ノ利子ヲ控除致シマセヌ、私ハ是モ極
メテ不公平ト存ジマス
尙ホ營業收益稅法ト地租法トノ免稅點ノ
點デアリマス、地租ニ付テハ二百圓、營業
收益ニ付テハ四百圓、此免稅點モ何ノコト
ヤラサッパリ分リマセヌ、斯樣ニ私ハ茲ニ心
付イタ不公平ノ事實ヲ申上ゲマシテ、稅制
整理ノ際ニハ今日マデノ負擔ノ不均衡ヲ思
ヒ切ッテ是正シテ戴キタイ、サウデナケレバ
困難ダ、例ヘバ地方稅制限ニ關スル法案ノ
中、營業者ト農業者ノ負擔ヲ同一ニスル爲
二、一方ノ土地ニ對スル所ノ府縣稅ノ本稅
ニ對スル百分ノ八十二、之ヲ營業者ノ負擔
スル營業收益稅ニ對スル附加稅ト同ジヤウ
ニ、四六·二ニ減ラスコトガ出來レバ、是
ハ極メテ簡單デアルガ、中々容易デナイ、
之ヲ均衡ヲ得セシメントスレバ、一方ハ殖
エマス、茲ニ於テ商工業者ノ利益ハ幾分減
リマスルカラ、茲ニ又反對ノ運動ガ起ル、地
租法、營業收益稅法ヲ之ヲ同一所得ニ對シ
テ同一ノ課稅ヲナサラウトスレバ、是モ中
中營業者ノ方ガ反對スルノデナイカト思ヒ
VX、但シ土地ニ對スル負擔ヲ營業者ニ對
スル負擔ト同ジヤウニスレバ宜イガ、之ヲ
減ラスト云フコトニナルト、一方ヲ殖ヤサ
ナケレバナラヌ、是モ中々容易ナコトデハ
アリマセヌ、併ナガラ私ハ考ヘマス、庶政
新、國政一新ト云フ以上ハ、今日ノ社會
制度、經濟制度、殊ニ租稅制度ノコトニ付
テハ思切ヲタル改革ヲ斷行スルダケノ確信
ヲ持ッテ戴キタイ、少シバカリ資本家ガ反對
スルカラ、之ヲ引込メル、少シバカリ營業
者ガ反對スルカラ、是ハ廢スト云フヤウナ
態度デハ、到底思切ッタ稅制ノ改革ハ出來
ナイト私ハ信ズル、勿論其場合ニ於キマ
シテ、吾々議員モダ、ヤハリ他ノ一方ノ利
益ヲ害シテモ、本當ニ國民負擔ノ均衡ヲ圖
ル爲ニ已ムヲ得ナイトシテ、斷乎トシテ進
マナケレバナリマセヌ、ケレドモ殊ニ政府
當局ガ其意氣ヲ以テ、ドンナコトガアッテモ
國民ノ負擔ハ均衡ニスルノデアル、資本家
階級何カアラント云フ意氣ヲ以テ邁進セラ
レテ、前私ガ申上ゲマシタ各種ノ不公平ナ
ル制度ヲ公平ニスルコトニ思切ッテ進マレ
ンコトヲ要望致シマス、尙ホ私ハ地租法其
モノニ付テノ意見モゴザイマスケレドモ、
時間ガゴザイマセヌカラ、此程度デ今日ハ
私ノ質問ヲ打切リマス次會ニ二一アアママ
カラ之ヲ保留致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=48
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049・八田宗吉
○八田委員長 時間ガアリマセヌカラ、今
日ハ此程度デ止メテ置キマス、各黨皆代議
士會デスカラ······発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=49
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050・西川貞一
○西川委員 次會ニ大藏大臣ハ御出席ニナ
リマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=50
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051・八田宗吉
○八田委員長 無論要求致シマス、本日ハ
是デ以テ散會致シマス、明日ハ午前中ハ豫
算ノ各分科會、總會等ガアリマシテ、何分
開會出來ナイ事情ニアリマスカラ午後一時
ニ競馬法案ヲ先ヅ審議スルコトニ致シマス
カラ、定時間マデニ御出席ヲ御願致シマス
午後二時十分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006912696X00219360515&spkNum=51
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