1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十一年五月二十三日（土曜日）
午後一時十二分開議
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議事日程 第十四號
昭和十一年五月二十三日
午後一時開議
第一 航空法中改正法律案（政府提出、貴族院送付）第一讀會の續（委員長報告）
第二 衆議院議員選擧法中改正法律案（杉山元治郎君提出） 第一讀會
第三 恩給法中改正法律案（山下谷次君外一名提出） 第一讀會
第四 市制中改正法律案（坂東幸太郎君外一名提出） 第一讀會
第五 町村制中改正法律案（坂東幸太郎君外一名提出） 第一讀會
第六 北海道會法中改正法律案（坂東幸太郎君外一名提出） 第一讀會
第七 軍事救護法中改正法律案（升田憲元君提出） 第一讀會
第八 決議案（戒嚴解止の件）（清瀬一郎君外五名提出）
第九 決議案（臨時議會召集奏請の件）（田万清臣君外二名提出）
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〔左の報告は朗讀を經さるも參照の爲茲に掲載す〕
一議員より提出せられたる議案左の如し
紀元二千六百年記念日本萬國博覽會助成に關する建議案
提出者
小泉又次郎君 一宮房治郎君
加藤鯛一君 工藤鐵男君
八並武治君 松村謙三君
木檜三四郎君 櫻内幸雄君
齋藤隆夫君 一松定吉君
永井柳太郎君 太田信治郎君
武知勇記君 田島勝太郎君
松田竹千代君 小山松壽君
小山邦太郎君 手代木隆吉君
青木亮貫君 比佐昌平君
安藤正純君 堀切善兵衞君
大口喜六君 森田政義君
生田和平君 金光庸夫君
東郷實君 松野鶴平君
今井健彦君 山崎猛君
東武君 西方利馬君
石坂豐一君 牧野良三君
岩本武助君 宮澤裕君
河上哲太君 清瀬規矩雄君
西岡竹次郎君 田川大吉郎君
江藤源九郎君 中野正剛君
笠井重治君 松方幸次郎君
青木精一君 安部磯雄君
野中徹也君
議會制度革正に關する決議案
提出者
町田忠治君 永井柳太郎君
俵孫一君 大麻唯男君
西村丹治郎君 野村嘉六君
一宮房治郎君 加藤鯛一君
工藤鐵男君 八並武治君
松村謙三君 木檜三四郎君
櫻内幸雄君 齋藤隆夫君
一松定吉君 太田信治郎君
武知勇記君 田島勝太郎君
松田竹千代君 小泉又次郎君
小山松壽君 小山邦太郎君
手代木隆吉君 青木亮貫君
比佐昌平君 末松偕一郎君
松野鶴平君 安藤正純君
堀切善兵衞君 大口喜六君
生田和平君 金光庸夫君
東郷實君 森田政義君
今井健彦君 山崎猛君
東武君 西方利馬君
石坂豐一君 牧野良三君
岩本武助君 河上哲太君
宮澤裕君 清瀬規矩雄君
西岡竹次郎君 尾崎行雄君
江藤源九郎君 望月圭介君
山崎達之輔君 内田信也君
安部磯雄君 大竹貫一君
清瀬一郎君
衆議院議員選擧法改正に關する決議案
提出者
町田忠治君 永井柳太郎君
俵孫一君 大麻唯男君
西村丹治郎君 野村嘉六君
一宮房治郎君 加藤鯛一君
工藤鐵男君 八並武治君
松村謙三君 木檜三四郎君
櫻内幸雄君 齋藤隆夫君
一松定吉君 太田信治郎君
武知勇記君 田島勝太郎君
松田竹千代君 小泉又次郎君
小山松壽君 小山邦太郎君
手代木隆吉君 青木亮貫君
比佐昌平君 末松偕一郎君
松野鶴平君 安藤正純君
堀切善兵衞君 大口喜六君
生田和平君 金光庸夫君
東郷實君 森田政義君
今井健彦君 山崎猛君
東武君 西方利馬君
石坂豐一君 牧野良三君
岩本武助君 河上哲太君
宮澤裕君 清瀬規矩雄君
西岡竹次郎君 尾崎行雄君
江藤源九郎君 望月圭介君
山崎達之輔君 内田信也君
大竹貫一君 清瀬一郎君
（以上五月二十二日提出）
一議員より提出せられたる質問主意書左の如し
國民健康保險法制定に關する質問主意書
提出者
三宅正一君 佐藤謙之輔君
法律事務取扱の取締に關する質問主意書
提出者 枡谷寅吉君
（五月二十二日提出）
一昨二十二日貴族院に於て本院の送付に係る左の議案に對し承諾することを議決したる旨同院より通牒を受領せり
昭和十一年勅令第七號（承諾を求むる件）又同日貴族院に於て本院の送付に係る左の政府提出案を可決したる旨同院より通牒を受領せり
職業紹介法中改正法律案
昭和十一年度一般會計歳出の財源に充つる爲公債發行に關する法律案
昭和十一年度一般會計歳出の財源に充つる爲特別會計に屬する資金の繰替使用等に關する法律案
昭和七年法律第一號中改正法律案
昭和九年法律第七號中改正法律案
對支文化事業特別會計法中改正法律案
土地賃貸價格改訂法案
土地賃貸價格改訂法施行に伴ふ耕地整理法の特例に關する法律案
一昨二十二日特別委員理事補闕選擧の結果左の如し
不穩文書等取締法案（政府提出）委員
理事 益谷秀次君（理事益谷秀次君本月十八日委員辭任の爲理事闕員中の處昨二十二日委員に選定せられ再ひ理事に當選）
一昨二十二日議長に於て選定したる委員左の如し
百貨店法案（枡谷寅吉君外七名提出）外一件委員
斯波貞吉君 枡谷寅吉君
眞鍋儀十君 野田文一郎君
服部崎市君 古田喜三太君
川橋豊治郎君 小高長三郎君
牧野賤男君 立川太郎君
瀬川嘉助君 神保重吉君
中井一夫君 高良宗七君
前田幸作君 岸田正記君
水谷長三郎君 石坂繁君
一昨二十二日に於ける特別委員の異動左の如し
不穩文書等取締法案（政府提出）委員
辭任 松村光三君 補闕 益谷秀次君
辭任 本多貞次郎君 補闕 芦田均君
土地賃貸價格改訂法案（政府提出）委員
辭任 淺川浩君 補闕 篠原陸朗君
辭任 吉植庄亮君 補闕 佐々木家壽治君
大正十二年法律第五十二號中改正法律案（政府提出）委員
辭任 藤井達二君 補闕 宮澤清作君
━━━━━━━━━━━━━発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=0
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001・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 是ヨリ會議ヲ開キ
マス、御諮リ致シマス、土地賃貸價格改訂
法案、百貨店法案外一件、及ビ不穩文書等
取締法案ノ各委員長ヨリ、本日本會議中委
員會ヲ開キタイトノ申出ガアリマシタ、之
ヲ許可スルニ御異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=1
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002・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 御異議ナシト認メ
許可スルニ決シマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=2
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003・松永東
○松永東君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ提
出致シマス、卽チ此際町田忠治君外五十二
名提出、議會制度革正ニ關スル決議案、及
ビ町田忠治君外五十一名提出、衆議院議員
選擧法改正ニ關スル決議案ヲ逐次議題ト爲
シ、其審議ヲ進メラレンコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=3
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004・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 松永君ノ動議ニ御
異議ハアリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=4
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005・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 御異議ナシト認メ
マス-政府ハ此日程變更ニ同意致サレマ
シタ、仍テ日程ハ變更セラレマシタ、議會
制度革正ニ關スル決議案ヲ議題ト致シマス、
提出者ノ趣旨辯明ヲ許シマス-提出者俵
孫一君
議會制度革正ニ關スル決議案(町田忠
治君外五十二名提出)
議會制度革正ニ關スル決議案
議會制度革正ニ關スル決議
時勢ノ推移ニ鑑ミ衆議院ノ機能ヲ一層發
揮シ其ノ能率ノ增進ヲ圖ルハ方ニ緊要ナ
リト認ム仍テ政府ハ速ニ議會制度ニ關ス
ル調査會ヲ設ケ之カ改正案ヲ次期議會ニ
提出スヘシ
右決議ス
〔俵孫一君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=5
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006・俵孫一
○俵孫一君 只今上程ニ相成リマシタ議會
制度革正ニ關スル決議案ニ付テ、提出ノ理
由ヲ說明致シマス、我國ノ立憲政治ハ千古
不磨ノ大典タル帝國憲法ノ條章ニ依リテ確
立シタル制度デアリマシテ、一君萬民ノ我
ガ國體ヲ擁護シ、國民ノ福社ノ增進ヲ圖ル
二、民意ノ暢達ヲ基調トスル憲法政治ヲ
永遠ニ遵行シナケレバナリマセヌ、隨テ立
憲政治ハ、議會ト政府ト能ク協調融和シテ、
以テ憲政運用ノ圓滑ヲ期スベキデアリマス、
卽チ議會ハ今後益〓自省自戒、院內ノ規律ヲ
嚴正ニシ、益〓能率ノ增進ヲ圖リ、以テ議
會ノ機能發揮ニ努ムルト共ニ、政府モ亦之
ニ順應シテ、誠意ヲ披瀝シテ、兩者ノ間ニ
少シノ意思疎隔ナキヲ期スルコトガ肝要デ
アルト思フノデアリマス
此意義ニ於テ現在ノ議會制度ヲ檢討スル
ト議院法ハ明治二十三年帝國憲法ト共ニ
實施セラレ、憲政ノ運用ニ多大ノ貢獻ヲ爲
シテ居ルコトハ申ス迄モアリマセヌガ、其
規定中ニハ往々時代ノ要求ニ副ハザルモノ
ガアリマス、何分議院法ノ實施以來、實一
五十年ニ近キ歲月ヲ經過シテ居リマシテ、
此間我ガ國土ハ擴大シ、人口ハ激增シ、民
度ノ向上、國力ノ伸展、洵ニ驚クベキモノ
ガアルノデアリマス、卽チ政治、經濟、社
會、有ユル方面ニ亙リテ、人事ハ益〓複雜
トナリ、議會ノ用務ハ著シク增大致シマシ
テ、豫算ノ如キモ第一囘帝國議會開會當時
ニ比スレバ約三十倍ノ多キニ達シ、政府
竝ニ議員提出ノ法律案、又其數實ニ數十倍
ニ及ビ、其他多數ノ建議案及ビ請願ハ每議
會ニ山積シテ、中ニハ往々審議未了ニ終ル
モノモ少クアリマセヌ、是等ノ狀態ヨリ推
シテ考ヘマスレバ憲法所定ノ三箇月ノ會
期ヲ以テシテハ、到底十分ナル審議ヲ盡ス
能ハザルコトハ明白ナル事實デアリマス
(拍手)斯ノ如キハ決シテ民意暢達ヲ期スル
所以デハアリマセヌ、殊ニ今囘ノ特別議會
ニ付テ之ヲ見マスレバ、解散後ノ議會トシ
テ、政府ガ時局ノ重大性ニ鑑ミ、厖大ナル
豫算案竝ニ多數ノ重要法案ヲ提出致サレタ
コトハ、固ヨリ巳ムヲ得ザル次第デアリマ
セウ、之ニ對シテ議會ハ兩院共日夜誠意ヲ
傾ケ、心力ヲ盡シテ是ガ協贊ニ努力致シテ
居リマスルコトハ、國民一般ノ齊シク認ム
ル所デアルト信ジマス、併ナガラ是等重要
法案ノ審議ニ當リ、會期短少ノ爲メ十分ナ
ル論議ヲ盡シ得ザルノ憾ガ多分ニア
ルコトハ、否定スルコトノ出來ナイ
事實デアリマス(拍手)此點ハ政府ニ於テモ
十分御認ニナッテ居ルト思ヒマス、之ニ加フ
ルニ現下ノ複雜ナル國際關係竝ニ國民生活
ノ實情ニ卽シテ、內外諸般ノ行政監督竝ニ
多數ノ法律案等、審議案件ガ益〓、增增シ來
ルノ傾向ヨリ見マスレバ、議會ト政府トガ
圓滿ナル折衝ヲ遂ゲ、和協一致國策ノ遂行
ニ當リテ、議會ノ機能ヲ完全ニ發揮セシム
ルニハ僅々三箇月ノ會期ヲ以テシテハ、
實際上到底不可能ナルコトヲ痛感スル次第
デアリマス(拍手)然ルニ議會ノ會期三箇月
ハ帝國憲法ノ規定スル所デアリマシテ、
是ガ變更ハ全ク不可能ノコトデアリマス、
故ニ吾々ハ三箇月ノ會期ヲ如何ニ有效ニ活
用スルカ、其效果的方法如何ガ當然問題ニ
ナッテ來ルノデアリマス、其方法ハ種々ノ方
面ヨリ論究スベキデアリマセウ、併シ此處
ニハ其最モ重要ナリト信ズル四ツノ案件ヲ
提示シテ、御〓聽ヲ煩ハシタイト思フノデ
アリマス
先ヅ第一ハ議會開會期ノ變更デアリマ
ス、從來ノ例ニ依リマスト、議會ハ每年十
二月末ニ召集セラレ、年內ハ議會ノ成立手
續ヲ以テ終リ、眞ノ議會ハ一月二十一日頃
ヨリ開會セラルヽノデアリマス、斯ノ如ク
議會成立後約一箇月間ヲ空費スルノガ從來
ノ慣例デアリマス、申ス迄モナク議會政治
ハ輿論政治デアリ、言論政治デアリマシ
テ、問ハント欲スル所ヲ問ヒ言ハント欲
スル所ヲ言ヒ、互ニ論議ヲ鬪ハシテ歸一ヲ
求ムル所ニ眞詰ガアルノデアリマス(拍手)
三箇月ノ會期スラ旣ニ不十分デアルト唱フ
ルニ拘ラズ、開會劈頭約一箇月ニ近キ會期
ヲ漫然ト空費スルガ如キハ、議會政治ノ使
命ニ顧ミテ、頗ル遺憾ノ意ヲ表セザルヲ得
ナイ次第デアリマス(拍手)而モ從來早キ時
代ニ於テハ、議會ノ召集ヲ十一月トシタ先
例モアリマス、又一月ノ体會ヲ短縮シタ先
例モアルト思フノデアリマス、併ナガラ更
ニ大イニ考慮スベキコトハ、會計年度ノ變
更デアルノデアリマス、之ヲ每年七月ヨリ
起算シテ翌年六月マデトシ、議會ノ召集ヲ
三月ニ改ムルコトハ、三箇月ノ會期ヲ全部
有效ニ活用スル、最モ適當ナル方法デアル
ト信ジマス、而モ斯クスルコトハ獨リ會
期ノ全部ヲ效果的ナラシムルノミナラズ、
議會ト政府ト屢〓意見ノ喰違ニ依リ、議會
ガ解散セラレ、全國的ニ總選擧ヲ擧行セラ
ルヽ場合ニ於キマシテモ、雪國地方ニ起ル
風雪ノ大障碍ヲ避ケルコトガ出來マシテ、
國民ノ總意ヲ遺憾ナク選擧ニ反映セシムル
爲ニモ、亦頗ル有效適切ナル方法デアルト
信ジマス(拍手)思フニ會計年度變更ノ問題
ハ、事務的ニハ實ニ容易ナラザル案件デア
ルト思ハレマス、併ナガラ憲政運用ノ實際
ニ鑑ミ、其障碍ヲ除去スルガ爲ニ、是非共
其改正ヲ必要トスル以上ハ、假令多年來ノ
慣行ナリト雖モ、斷ジテ之ヲ決行スルニ躊
躇スル所ガアッテハナリマセヌ(拍手)
第二ニハ議事法ノ改善デアリマス、議事
ノ進捗ニ付テハ、從來ニ於ケル議會能率ノ
實蹟ニ徵シ、政府モ議會モ共ニ一層ノ誠意
ヲ以テ事ニ當ル必要ガアルノデアリマスカ
ラ、其有效適切ナル方法トシマシテハ、法
規又ハ運用ノ手續ヲ改正スベキモノガ多々
アルト思ハレマス、一例ヲ擧グレバ國務大
臣ニ對スル質疑ノ如キモ、豫メ質疑要項ヲ
示シ、當局者ニ十分ナル調査〓究ノ機會ヲ
與ヘルコトト致シマスナラバ、從來ノ如キ
形式的ナ其場逃レノ答辯ヲシテ、時ヲ糊塗
スルガ如キ陋習ヲ一掃スルコトガ出來ルノ
ミナラズ、由テ以テ議會ノ機能遂行ノ上ニ
一段ノ進境ヲ示シ得ルモノト信ジマス
第三ハ常置委員制度ノ設置ノ問題デアリ
やく、議會ノ會期三箇月ハ之ヲ變更スルコ
ト能ハズ、臨時議會ハ臨時緊急ノ必要アル
場合ニノミ召集ヲセラルヽコトニ限定セラ
レアル以上、議會閉會中ト雖モ、重要案
件ニ付テハ議會ト政府ト常ニ能ク折衝ヲ
遂ゲ、相互ニ十分ナル諒解ヲ保チテ、國策
ノ圓滿ナル遂行ヲ圖ルコトヲ考慮シナケレ
バナリマセヌ、而シテ是ガ爲ニハ常置委員
ヲ設置シテ、閉會中停止狀態ニアル議會ノ
機能ノ活動ヲ爲スコトガ、最モ良策デアル
ト思ハレマス、固ヨリ常置委員ノ組織ハ、
院內各黨各派ノ代表者ヲ以テ之ヲ構成シ、
政府ト議會ト平素能タ意思ノ疏通ヲ圖リ、
一旦議會開會ニ際シテハ、其平素〓究折衝
ノ結果ヲ齎シテ、更ニ愼重ナル審議ヲ爲ス
コトガ出來マシテ、之ヲ能率增進ノ點ヨリ見
ルモ、將又審議權行使ノ點ヨリ見ルモ、最モ
有效適切ナル方法デアルト信ジマス、(拍手)
之ニ依ッテ議會短期ノ缺陷ヲ補ヒ、議會政治
ノ運行ヲ圓滑ナラシムルナラバ、我ガ憲政
ノ向上發展ニ寄與スル所頗ル大ナリト信ジ
やっ、世上或ハ常置委員制度ヲ以テ憲法違
反ニアラズヤトノ疑ヲ持ッテ居ル者ガアル
サウデアリマス、是洵ニ謂レナキ僻論デア
リマス(拍手)如何トナレバ議會ノ委員ガ議
會閉會中政府當路者ト折衝シテ國策ノ檢討
ニ當ルコトガ、何故ニ憲法違反デアルノデ
アリマスカ、若シ議會閉會中ハ議會ガ有權
的ニ國策ノ調査ヲ爲スベカラズトセバ、其
論者ハ議院法第二十五條ノ繼續委員制ヲモ
亦憲法違反ナリト斷ズルノ勇氣アリヤヲ反
問セナケレバナラヌノデアリマス
第四ハ議院內ノ調査設備ノ完備デアリマ
ス、議員ノ能率增進ト機能遂行ノ爲ニ、議
院內ニ於テ各議員ヲシテ內外ノ政治、經濟、
社會等、有ユル方面ニ亙リテ十分ナル調査
〓究ヲ爲サシムルノ設備ガナクテハナリマ
セヌ(「ヒヤ〓〓」拍手)是レ議員ノ職責遂行
ニ最モ重要ナル案件デアルト思フノデアリ
マス
第五ハ議會ノ品位ト威信ノ向上デアリマ
ス、是ガ爲ニハ先ヅ議長ノ權限ヲ擴張シ、
院內ノ規律節制ヲ保持セシムルト同時ニ議
長、副議長、竝ニ議員ノ待遇ヲ改善スルノ
必要ガアルト思フノデアリマス(拍手)思フ
ニ議員ハ立憲制度ノ下ニ於テ國民ヲ代表シ
テ國策ノ審議ニ當ルベキ重大ナル任務ヲ有
スルト共ニ、是ガ遂行ニ當リマシテハ能
ク政府當路者ノ施政ヲ監視スルト云フ重大
ナル責務ヲ有スルモノデアリマス、故ニ議
員ヲシテ一意專心此重大ナル使命ヲ果シ、
其職責ヲ全ウセシムルガ爲ニハ、是等待遇
改善ノ問題モ決シテ等閑ニ付スベキモノデ
ハナイト思ヒマス(拍手)
以上申述ベタル諸問題ノ中ニハ、未ダ確
定的ノ主張ト申ス譯ニハ行カナイモノモア
リマスガ、其大部分ニ付テハ、我ガ衆議院
ハ數年來議長主唱ノ下ニ議會振肅委員會ヲ
設ケ、院內各派ノ代表者ヲ網羅シテ、議院
法ヲ檢討シ、旣ニ一ツノ成案ヲ得テ居ルノ
デアリマス、卽チ過グル第六十四議會ヨリ
第六十五議會、第六十七議會ノ三囘ニ亙ツ
テ、其成案ハ滿場一致ヲ以テ之ヲ可決確定
シテ居ルノデアリマスガ、不幸ニシテ貴族
院ニ於テ常ニ未議了トナリ、未ダ其成立ヲ
見ルニ至ラナイコトハ、吾々ノ衷心遺憾ニ
堪ヘザル所デアリマス(拍手)然ルニ今囘貴
族院ガ時局ノ趨向ニ鑑ミ、院議ヲ決シテ貴
族院ノ構成ニ關シ、政府ヲシテ調査〓究ニ
當ラシメントスルノ熱意ヲ示シ來ッタノデ
アリマス、我ガ衆議院ニ於テモ亦此機ヲ逸
セズ、政府ヲシテ速ニ調査會ヲ設ケシメ、
以テ吾々多年ノ宿望デアル議會制度革正ノ
實ヲ擧ゲシムルコトハ、最モ其時期ヲ得タ
ルモノト思フノデアリマス(拍手)尙ホ一言
申上ゲタイコトガアリマス、從來政府ニ於
ケル調査會ノ構成ハ、學識經驗アル所謂練
達堪能ノ士、竝ニ各省官吏ヲ主トスルニ傾
キ、實際問題ノ運用ニ當ル知識竝ニ經驗ヲ
有スル者ハ、動モスレバ輕視セラルヽノ憾
ガナイデハアリマセヌ(拍手)隨テ其當然ノ
結果トシテ、會議ノ趣旨目的ニ副ハザル結
果ヲ招來シタルコトハ、其事實決シテ少ク
ナイト思フノデアリマス、斯ルガ故ニ政府
ハ今囘ノ調査會ヲ設クルニ當ッテハ、旣往ノ
成績ニ稽ヘ實際ノ知識·經驗アル者ヲ主體ト
シ、之ヲ構成シテ以テ會議ノ實績ヲ擧グル
コトニ留意セラレンコトヲ望ム次第デアリ
マス(拍手)政府ハ如上ノ趣意ニ依リマシテ
速ニ調査會ヲ組織シ、其成案ヲ次期議會ニ
提出セラレンコトヲ待望致シマス
現內閣ハ組閣以來屢〓庶政一新ヲ聲明シテ
居ラレマスガ、今期議會ヲ通ジテ未ダ其具
體的ノ方策ヲ示サヾルコトハ、諸君ト共ニ
私ノ最モ遺憾トスル所デアルノデアリマス
(拍手)政府ハ宜シク庶政一新ノ聲明ニ顧ミ、
且ツ議會政治尊重ノ施政方針ニ則リ、本決
議ノ趣旨ヲ實現セラレンコトヲ切望シテ已
マザル次第デアリマス(拍手)以上本案提出
ノ理由ノ〓略ヲ說明致シマシテ、玆ニ滿場
諸君ノ贊成ヲ求ムル次第デアリマス(拍手)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=6
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007・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 採決致シマス、本
案ニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
〔贊成者起立〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=7
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008・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 一名ヲ除クノ外、
全會一致可決セラレマシタ
〔拍手起リ「ドウシタ」ト呼ヒ、其他發言
スル者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=8
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009・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 衆議院議員選擧法
改正ニ關スル決議案ヲ議題ト致シマス、提
出者ノ趣旨辯明ヲ許シマス-提出者牧野
良三君
衆議院議員選擧法改正ニ關スル決議案
(町田忠治君外五十一名提出)
衆議院議員選擧法改正ニ關スル決議案
衆議院議員選擧法改正ニ關スル決議
衆議院議員選擧法實施ノ成績ハ立法ノ趣
旨ニ反シ社會ノ實情ニ副ハサルモノ甚タ
多キヲ認ム仍テ政府ハ速ニ衆議院議員選
學法改正委員會ヲ組織シ本法竝附屬法規
ノ全般ニ亙リ審議ヲ盡シ之カ改正案ヲ次
期議會ニ提出スヘシ
右決議ス
〔牧野良三君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=9
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010・牧野良三
○牧野良三君 私ハ只今上程セラレマシタ
ル決議案ニ對シ、玆ニ提出ノ理由ヲ申述
ベ切ニ政府當局ノ御考慮ヲ煩シタイト思
ヒマス、蓋シ現行衆議院議員選擧法ガ實施
セラレ、選擧ノ肅正ガ叫バレマシテ以來、
意外ニモ我國ノ選擧界ガ急ニ暗クナッタノ
デアリマス、ト同時ニ選擧ト云フモノニ對
シテ國民ガ頗ル無氣味ナモノデアルト云フ
ガ如キ感ジヲ懷クニ至リマシタルコトハ、
爭フコトノ出來ナイ顯著ナル事實デアルト
存ジマス(拍手)政府ハ此重大ナル事實ニ對
シテ深ク注意スル所ガナケレバナラナイト
信ジマス、是レ本案提出ノ根本理由デアリ
マス、以下少シク內容ニ亙ッテ申述ベタイト
存ジマス
抑現行衆議院議員選擧法ハ、幾多ノ重要
ナル內容ヲ有シテ居リマスル、就中選擧肅
正ガ各方面ニ重大ナル好影響ヲ齎ラセルコ
トモ之ヲ認メマスル、先ヅ選擧費ヲ著シク
減少セシムルコトノ出來タ事實ノ如キ、又
所謂常習違反者ヲ選擧界ヨリ掃滅スルコト
ノ出來マシタル事實ノ如キ、又選擧運動ヲ
一般ニ簡易ニスルコトヲ得マシタル如キ、
是等我ガ選擧界ヲ肅正スル上ニ幾多重要ナ
ル貢獻ヲ爲セルコトニ付キマシテハ、吾々
ハ齊シク之ヲ認メテ多トスル者デゴザイマ
ス(拍手)然ルニ此重大ナル長所ノ蔭ニ、吾
吾ノ從來全ク豫期シナカッタ弊害ガ、公然且
ツ頗ル大膽ニ國民ノ善良ナル社會生活ヲ紊
リ、此間ニ乘ジテ官憲ガ名ヲ選擧肅正ニ藉
リテ、甚シキ濫用專恣ヲ致シマシタルコト
ハ、選擧界ヲ陰暗不公正ニスルニ至ッタル重
大ナル原因デアルト斷ゼザルヲ得マセヌ(拍
手)衆議院ハ今ニシテ速ニ對策ヲ講ジ、此
弊風害毒ノ一掃ニ努メナケレバナラナイト
存ジマスル、是レ本決議案ヲ提出スルニ至
リマシタル理由ノ第一デアリマス
理由ノ第二、新選擧法ハ其規定煩瑣ニシ
テ社會ノ實情ニ反スル
抑〓現行衆議院議員選擧法ガ、今申スガ如
ク當初豫期シナカッタ弊害ヲ齎スニ至リマ
シタル根本原因ハ、卽チ其手續ノ煩瑣ナル
ト、他面ニ社會ノ實情ニ副ハザルモノアル
トニ由ルノデアリマス、新選擧法ノ眼目
ト致シマスル所ハ、從來廣汎ニ亙ッテ認メラ
レテ來タ選擧運動ニ對シ、新タニ一大制限
ヲ加ヘテ、此選擧運動ヲ統制スルコトニ依ッ
テ、選擧界ノ弊風ヲ一掃センコトヲ期シタ
點ニアリマス、然ルニ政府當局者ハ此新選擧
法ノ趣旨徹底ニ努メントスルノ餘リ、取締
ノ規定ヲ煩瑣ニ致シタノデアリマス、又法
ヲ守ルニ急ナラント欲シテ、違反ノ摘發ニ
沒頭致シタノデアリマス、遂ニ其爲ニ重大
ナル人權蹂躪ヲ、大膽ニ、無謀ニ、敢行ス
ルニ至ッタト云フコトヲ、殘念ニ思ハザルヲ
得ナイノデアリマス(拍手)是レ正ニ國民
ニ對シ、選擧權ニ對スル重大ナル干涉デア
ルノデアリマシテ、此場合政府當局ハ、此
點ニ深キ注意ヲ向ケナケレバナラナイト存
ジマス、旣ニ述ベタヤウニ新選擧法ハ從來
永キニ互ッテ許サレタル運動ニ對シ、新タニ
制限ヲ加ヘタルモノデアルト同時ニ、其取
締ノ規定ニハ疑義ガ多イ、各派ノ幹部ト政
府當路トガ、衆議院議長ノ斡旋ニ依ッテ、議
會內ニ於テ數日ニ亙リ打合セ、懇談、調査
ヲ遂ゲテモ、尙ホ決スルコト能ハザルモノ
數十件ノ多キニ上ッタル程ニ、ソレ程ノ疑義
ヲ包藏シテ居ル、サレバ苟モ取締ノ任ニア
ル人々ハ、廣ク國民大衆ニ對シ懇切ニ注意
ヲ與ヘ、指導誘掖、苟モ疑ハシキ行爲ニ對
シテハ、〓へ、戒メテ、一人タリトモ違反
者ヲ出スコトナカラシムルヤウニ努メルコ
トガ、是レ新選擧法實施ノ任ニ當ル者ノ責
任ニシテ、又選擧肅正ノ本旨デナケレバナ
ラナイト存ジマス(拍手)然ルニ取締官憲ハ
日夜違反摘發ノ網ヲ廣々ト張ッテ、善良ナル
國民ノ來リ之ニ掛カランコトヲ期待シテ居
ル(拍手)加之、之ニ近寄ル者ガアレバ、却テ
誘ヒ陷レテ、違反者ノ數ノ一人デモ多カラ
ンコトヲ期スルト云フガ如キ事例ニ、吾々
ハ接シタノデアリマス、私ハ、政府當局ハ部
下ニ對シテ特ニ選擧肅正ヲ嚴達セラレテ居
リマス以上、一人ト雖モ違反者ノ少ナキコト
ヲ期シ、殘念ニモ多數ノ違反者ヲ肅正ノ本
旨ニ反シテ出スト云フガ如キ場合ヲ生ジタ
ル者ニ付テハ、斷然懲戒免黜、以テ其責任
ヲ明カスル底ノ決心ガナケレバナラヌト思
ヒマス(拍手)然ルニ事實ハ却テ之ヲ推賞
シ、違反者ヲ多ク出シタル官憲ヲ榮轉セシ
メルガ如キ事例ニ接スルコトハ、吾々ノ洵
ニ意外トスル所デアリマス(拍手)是レ選擧
法ヲ改正シテ、國民ヲシテ、苟クモ違反者
無カラシメルコトニ徹底努力スルノ方策ヲ
講ジナケレバナラヌ所以ニシテ、本案提出
ノ理由ノ第二デアリマス
理由ノ第三、違反ノ摘發ト人權蹂躪
私ハ玆ニ抽象的言辭ヲ止メ、少シク具體
的事實ニ付キ論旨ヲ進メ、以テ本案提出ノ
內容ヲ擴充致シタイト存ジマス(拍手)私ガ
先ヅ新選擧法ヲ通ジテ政府當局ノ注意ヲ喚
起セント欲スルモノハ、近來權力ノ濫用ニ
依ル官憲「テロ」ノ橫行ノ甚シキモノアル事
實デゴザイマス(拍手)殊ニ選擧肅正、若ク
ハ國政一新ト云フヤウナコトハ、官憲ガ其
權力ヲ極度ニ行使スルモノデアルト云フガ
如キ誤解ヲ懷カシムルニ至ッテ居リマス、警
察官憲ト檢察當局トガ無遠慮ニ國民ヲ召喚
シ、留置シ、拘禁シ、而シテ責メ折檻ヲ行
ウテ居ル事實ハ、諸君其材料ノ餘リニ多キ
ニ苦シンデ居ラレルコトデアラウト存ジマ
ス(拍手)新選擧法ノ實施ト共ニ此禍ヲ受ケ
マシタ者、一府縣ヲ通ジテ五千人ヲ超エテ
居リマス、之ヲ全國ニ通算スレバ約二三十
万ノ國民ガ、新選擧法ノ實施ト選擧肅正ノ
名ノ下ニ、人權蹂躪ノ責苦ヲ受ケタノデゴ
ザイマス、其結果ガ如何ナル狀態ニ現レテ
來ルカト云フコトハ、思ヒ半バニ過ギルモ
ノガゴザイマス、一體國民ニ取ッテハ、警察
ヤ檢事局ニ喚出シヲ受ケルト云フコト、其
事自身ガ、旣ニ恐怖デゴザイマス、然ルニ
今ヤ此恐怖ハフンダンニ行ハレテ居ル茶飯
事デアリマス、而モ喚出サレヽバ必ズ留置セ
ラレルト云フコトガ通常デアリマス、留置
期間數日トナリ、十數日トナリ、甚シキハ
數十日ヲ重ネテ居ルト云フコトモ、諸君御
承知ノ事實デアル、選擧違反ノ嫌疑ニ
シテ留置ノナイ取調デ事件ノ濟ンダ事例
ハ、恐ラク全國ニ唯ノ一件モナカラウト存
ジマス(拍手)甚シキニ至リマスルト、數名
ノ警官ガ事務所、若クハ候補者ノ居宅ニ侵
入致シマシテ、其處ニアル帳簿、信書、
諸種ノモノヲ手當リ次第ニ押收シ、其處ニ
居合セタル選擧委員其他ノ者ヲ拉致シテ、
偖テ押收シ拉致シ來ッタ其人ト材料トニ依ッ
テ、玆ニ初メテ選擧違反ノ有無ヲ調べ掛ル
ト云フガ如キ、恐ルベキ事實モ頻々トアッ
タ、諸君斯ノ如キ行爲ハ我ガ法律ノ如何ナ
ル正條ニ依ッテ行ハルベキモノデアルカ、國
民ハ之ヲ訴フルニ所ナク、復讐行爲ニ恐レ
テ物ヲ言ハズシテ居ルガ、其結果ヲ思ハナ
ケレバナリマセヌ(拍手)今ヤ選擧法實施ニ
依リマシテ、各地方ニ我ガ國家ハ法治國ノ
域ヲ脫シタ事例ガ甚ダ多イコトヲ述ベテ、
注意ヲ喚起セザルヲ得ナイノデゴザイマス
以上卽チ選擧ト選擧運動ニ關シ國民ヲ人
權蹂躪ヨリ救ハントスルコト、是レ本決議
案ヲ提出スル理由ノ第三デアリマス
理由ノ第四、司法權ノ威信擁護ノ爲メ、
自白强要主義ノ徹底的一掃
今日我國ノ司法判決ノ現狀ニ於テ最モ遺
憾ヲ感ジマスコトハ、被〓ニ對シ自白ノ强
要主義ガ橫行サレテ居ルコトデアリマス、
別ケテモ此弊害ノ著シキモノガ、選擧ニ於
ケル官憲ノ干涉壓迫トシテ現レテ居ルコト
デアリマス
抑〓〓日取締官憲ノ最モ喜ブモノハ犯罪
ニ關スル無名ノ投書デアル、政府ハ今此無
名ノ投書ヲ、不穩文書ノ名ニ於テ新ニ法律
案ヲ議會ニ提出シテ、日夜是ノ通過ニ腐心
シテ居ラレマスガ、諸君、何ゾ知ラン此怪
文書ナルモノハ、政府自ラガ奬勳勸誘シツ
ツアルモノデアルト云フ一大事實ヲ見ナケ
レバナラヌ(「ソンナ内閣ヲ何故支持スルン
ダ」ト呼フ者アリ)卽チ官憲ハ此耻ヅベキ無
名ノ投書ニ興味ヲ集メ、之ヲ唯一ノ信賴ト
シテ續々關係者ノ召喚、取調ヲ行ヒ、以テ
一面ニハ國民ノ間ニ犯罪剔抉ノ投書熱ヲ唆
ルト共ニ、他面ニハ此投書ニ現レマシタル
事實ヲ確實ナル事實ト信ジ、此事實ニ合ス
ヲ自白供述ヲ爲スニアラザレバ歸宅ヲ許サ
ズ、保釋ヲ許サヾルト云フノガ今日ノ現狀
デアリマス(拍手)是レ恐ルベキ自白ノ强要
デアリマス、抑〓事態今日ニ於テ、警察署ノ
留置、刑務所ノ拘禁、取調ニ於ケル凌辱、
而シテ此自白ノ强要、此四ツノモノノ一ツ
以上ノ伴ハナイ違反事件、刑事事件ガ何處
ニアリマスカ(拍手)自白ハ採證學上證據ト
ナルベキモノデハゴザイマセヌ、罪ヲ犯ス
トナス所ノ嫌疑者ニ對シテ、苦シミヲ以テ
自白ヲ强要シ、ソレヲ以テ罪ヲ斷ズルノ資
料トスルコトハ、採證學上絕對ニ許サルベ
キモノデナイニ拘ラズ、今日是ガ殆ド選擧
違反事件ニ於ケル唯一ノ證據トセラルヽニ
至ッタコトニ、政府當局者ノ深キ注意ヲ喚起
シナケレバナラヌ、此恐ルベキ自白强要主
義ヲ、我ガ警察行政ト、司法行政トヨリ一
掃スル爲ニ、選擧法ニ一大規定ヲ加フルコ
トハ、正ニ人權ノ擁護、司法權ノ尊重、其
實ヲ擧グル上ニ於ケル一大貢獻デアルト確
信致シマス(拍手)吾々ハ此貢獻ヲ選擧法ノ
上ニ明ニセントスルモノデアリマシテ、是レ
卽チ本案提出ノ理由ノ第四デアリマス
理由ノ第五、良風美俗ノ尊重ト政黨政派
ノ團體的行動ノ法律化
更ニ新選擧法ハ、而シテ之ニ伴フ肅正運
動ハ、法規ノ厲行ヲ名トシテ社會ノ良風美
俗ヲ蹂躪シ、事每ニ違反檢擧ノ好題目トセラ
レタ事例ガ又甚ダ豐富ナノデアリマス、卽
チ新選擧法ノ名ヲ以テ一切ノ社交ニ干渉
シ、種々ナル儀禮ニ刑罰ヲ科シ、殊ニ甚シ
キニ至ッテハ、個々面接ナリト稱シテ、路上
友人ニ會ッテ挨拶ヲシタコトニ對シ、體刑ヲ
付セラレタ事例スラアルノデアリマス、殊
ニ選擧委員若クハ選擧運動者等ノ間ニ於テ
スラ、金錢ノ授受アルモノハ、必ズ之ヲ一
應違反事件ナリトシテ先ヅ之ヲ檢擧スル、
先ヅ之ヲ留置スル、然ル後ニ自白ヲ强要シ、
以テ重大違反ノ犯罪ナリトセラレル事例ガ
亦頗ル多イ、何ガ故ニ左樣ナ非常識ナ事實
ガ司法官憲ノ手ニ於テスラ、尙ホセラレル
カト云フ事實ヲ尋ネテ見マスルト、殘念ナ
ガラ其蔭ニハ前內閣ノ司法大臣ガアリマシ
ク、前內閣ノ內務大臣ガアリマシタ、而シ
テ檢事總長ガ居ラレタノデアリマス、諸君、
是等ノ人々ハ、部下ヲ集メ、選擧法ノ徹底
ヲ期センガ爲ニ、無暗ト嚴罰主義ヲ〓へ、
且又非常事變ノ責任ヲスラ、唯一ツ選擧界
ノ腐敗ニ歸セシメントスルガ如キ淺ハカナ
ル言辭ヲ爲シテ、遂ニ其言辭ガ選擧ノ取締
官憲ヲ誤リ、遂ニハ獨立ナルベキ司法當局
ヲスラ、禍ヒスルニ至ッテ居ルノデアリマス
(拍手)其結果ノ現レガ我國ノ司法制度ニ
現レテ居ル、卽チ選擧法違反事犯ガ大審院
ニ上〓セラレルヤ、受理審理セラレルモノ
ハ殆ド絕無デアリマス、諸君、如何ニ法律上
ノ解釋ニ誤リガアリ、如何ニ重大ナル事實
ノ誤認ガアリ、如何ニ刑罰ガ不當ニ重シト
致シマシテモ、大審院ハ、選擧法違反事犯
ニ限ッテハ、斷ジテ門戶ヲ閉鎖シテ受理
致シマセヌ、何ヲ語ルカ、一ニハ下級裁判
所ノ裁判判決其モノガ餘リニ多キニ惱ムト
共ニ、刑事裁判ニ對シテ一々之ヲ是正シ
テ居ッテハ、今日ノ大審院ハ定員數十名ヲ增
ストモ、尙ホ足ラズト嘆ゼシメルノガ、今
日ノ現狀ニアルト云フコトヲ知ルナラバ
此點司法當局ハ、而シテ内閣總理大臣ハ、
深ク思ヲ致サナケレバナラナイト存ジマス、
之ニ關聯シテ注意ヲ喚起スベキハ、政黨政
派ニ對スル當局ノ正シキ理解ヲ要求シタイ
コトデアリマス、蓋シ新選擧法ノ名ノ下ニ
政黨政社ノ團體的行動ガ非常ニ多方面ニ干
涉ヲ受ケマシテ、公然タル政治行動ヲ阻止
セントスル事實ガ少クナカッタノデアリマ
ス、公黨ノ政治行動ヲ阻止シテ、我國ノ立
憲政治ノ進步ト發達トヲ所期セントスルガ
如キハ、洵ニ難シト言ハナケレバナリマセ
又、其原因、法ノ不備ニアリト雖モ、亦當
局ノ無理解ガ根本ノ因ヲ成シテ居ルト云フ
點ニ付テモ、之ヲ否定スルコトガ出來マセ
ヌ、要スルニ現行選擧法ハ、以上是等ノ方面
ニ向ッテ本法竝ニ附屬法規ノ全般ニ亙リ、能
ク時代ニ徹シ、能ク國情ニ副フベキ改正ヲ
斷行セラレナケレバナラナイト信ジマス、
是レ本決議案ヲ提出スルニ至リマシタ理由
ノ五デアリマス
理由ノ第六、選擧法ノ實體ニ關スル重要
ナル諸點
以上私ハ主トシテ法規ノ解釋、適用、其
運用ノ方面ヨリ述ベテ來マシタガ、同時ニ
更ニ又大イニ考慮セラレナケレバナラナイ
コトハ、第一、選擧區制ニ關スル重要ナル
問題デアリマス、第二ハ比例代表制度ノ再
檢討ニ關スル問題デアリマス、又第三ハ公營
制度ヲ改正シ、其內容ヲ擴充シ、若クハ其範
圍ヲ擴張スル點ニ付テ、又多ク調査〓究ヲ
要スベキモノガアルト信ジマス、是等ノ諸
問題ハ立憲政治ノ進步、發達、而シテ向上、
發展ヲ期スルニ上ニ於キマシテハ、弊害除
去ノ諸問題ト相竝ンデ、更ニ大イニ〓究考
慮ヲ要スベキ重要ナル事案デアルト信ジマ
ス(拍手)仍テ政府ハ、宜シク此特別議會ノ
閉會後、速ニ本決議案ノ趣旨トスル所ニ依ッ
テ委員會ヲ組織シ、其委員會ノ內容ニ付テ
ハ、只今議會制度革正ニ關スル決議案ニ於
テ、提出者ノ代表俵孫一氏ヨリ述ベラレマ
シタト同一ノ注意ヲ以テ、主トシテ選擧ニ
經驗アル各方面ノ人々ヲ委員トシ、實際的
方面ノ調査ニ力ヲ致スト共ニ、只今述べ來
リシ重要ナル諸點ニ關シマシテハ、關係官
廳ノ長官ハ直チニ訓令ヲ發シ、目前重大ナ
ル惡弊ニ對シ、懇ロニ之ヲ說キ、警告ヲ發
シテ、過去ノ態度ヲ改メ、徒ニ國民ヲ重刑
ニ處スルコトノ、決シテ叡慮ニ副ヒ奉ル所
以ニアラザルコトヲ知ラシメナケレバナラ
ナイト信ジマス(拍手)
以上私ハ、本決議案提出ノ理由ヲ述べ終
リマシタ、選擧界ノ明朗化、是卽チ其第一
デアリマスル、取締規定ヲ改メテ社會ノ實
情ニ副ハシメ、國民ヲシテ徒ニ前科者タラ
シメザルコトヲ期スルコト、是レ其二デア
リマス、人權ノ蹂躙ヲ絕對ニ根絕シ、民衆
ヲシテ選擧ニ關シ嫌惡恐怖ノ念ヲ懷カシム
ルガ如キコトナキヲ期スルコト、是レ其三
デアリマス、國民ヲシテ司法權ニ絕對ノ信
賴ヲ置カシムル爲メ、自白强要主義ヲ一掃
シ、無名投書ニ依ル搜索取調ハ、官權濫用
ノ重大ナルモノトシテ、今後嚴罰ニ處スベ
キコト、是卽チ其四デアリマス、良風美俗
ヲ尊重スルト共ニ、選擧法上政黨政社ノ團
體的行動ヲ確認スルコト、是レ其五デアリ
マス、選擧區制ノ問題、比例代表制度ノ再
檢討ニ關スル問題、竝ニ選擧公營制度ノ改
正、內容ノ擴充等ニ關スル諸問題、是レ其
六デアリマス
以上ハ本決議案提出ノ理由トシテ、各派
ノ意向ヲ尊重シ、其重ナル項目ヲ擧示致シ
タルニ過ギマセヌ、算ヘ來レバ內閣ノ彈効
ニスル價スル問題ガ少クナイコトヲ憶ヒマ
スガ、而モ本員等ガ敢テ其擧ニ出デザル所
以ノモノハ、政府ト國民トガ相共ニ力ヲ協
セテ庶政ノ一新ニ努メ、以テ本員等ガ、開
院式ノ當日、感激感泣セル聖旨ニ副ヒ奉ラ
ンコトヲ期シタルガ爲デアリマス
〔「ソレハイカヌ」ト呼ヒ其他發言スル
者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=10
-
011・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 靜肅ニ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=11
-
012・牧野良三
○牧野良三君(續) 本員等ノ誠意ヲ體シ、
速ニ本案ノ趣旨ノ實行ニ努メラレタイト思
フ、以上ヲ以テ本案提出ノ理由ト致シマス
(拍手)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=12
-
013・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 質疑ノ通〓ガアリ
マシ、之ヲ許シマス
〔川俣〓音君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=13
-
014・川俣清音
○川俣〓音君 私ハ只今上程ニナッテ居リ
マスル此議題ニ付テ、簡單ニ其要旨ヲ述ベ
テ質疑ニ致シタイソデアリマス、而シテ此
質疑ニ付テハ提案者竝ニ政府當局ノ御意見
ヲ承リタイト存ズルノデアリマス、只今提
案者ノ說明ヲ御聽キ致ス所ニ依リマスレバ、
提案ノ趣旨ハ取締ガ惡イト云フノデアルカ、
選擧法ヲ改ヘナケレバナラナイト云フノデ
アルカ、其眞意洵ニ不明デアルト云フコト
ヲ遺憾ニ堪ヘナイノデアリマス(拍手)恰モ
昔ノ夢ヲ追フ如キ醜態ノ物語デアッタト云
フコトハ、洵ニ遺憾ニ堪ヘナイノデアリマ
ス、選擧違反ノコトヲ主ト致シマシテ、今
日ノ國民生活ヲ考ヘマスルガ故ニ、國民生活
ヲ明朗化シナケレバナラナライガ故ニ、此
案ヲ提出サレタト云フ御說明デアリマスル
ガ、今日ノ國民ハ斯ル選擧問題ヨリモ、選
擧違反ニ關スルコトヨリモ、モット切實ナル
國民生活ノ問題ヲ諸君ニ要求シテ居ルト云
フコトヲ私ハ知ルノデアリマス、然ラバ議員
諸君ノ持ッテ居ル發案權ハ、最モ國民ノ生活
ニ密接ナ關係ヲ有スル所ノ決議案ヲ第一ニ
爲サズシテ、諸君ノ最モ議員ニ直接關係ア
ルモノヲ先ニ出サレタト云フノハ、何處ニ
アルカト云フコトヲ第一ニ御聽キシタイ、
第二ハ、人權蹂躪問題ヲ縷々述ベラレタノ
デアリマスガ、私カラ見マスレバ今日行ハ
レマシタル所ノ人權蹂躪問題ハ、過去ノ人
權蹂躪問題ト其性質ヲ異ニスルト云フコト
ヲ感ズルノデアリマス、卽チ過去ノ人權蹂
躪問題ハ情實ノ泥沼ノ中ニ於テ、或ル勢力
ニ阿附追隨ニ心中立テヲ爲シタルガ爲ニ行
ハレタル所ノ人權蹂躙問題デアリマス、今
日ノ人權蹂躪問題ハ所謂吏道刷新、或ハ綱
紀肅正ノ悲シキ犧牲ノ下ニ行ハレタル所ノ
人權蹂躙問題デアルト信ズルノデアリマス、
隨テ今日ニ於ケル人權蹂躪問題ヲ正シク認
識シナケレバナラナイ、卽チ此問題ニ對シ
テ有ユル視野カラ見タ所ノモノヲ以テ、其
上ニ立ッタ所ノ改正デナケレバナラヌト思
フノデアル、然ルニ此人權蹂躪問題ニ對ス
ル司法大臣竝ニ內務大臣ノ答辯ハ、徒ニ多
數議員ニ阿附追隨スルガ如キ答辯ヲ以テ、
之ニ應答サレテ居ルヤウニ見受ケルノデア
リマスガ、斯ルコトデアッテハ、將來法治國
トシテノ日本ノ法律ヲ施行セラレル所ノ、
行政長官トシテノ大臣ノ眞意ヲ御尋シナケ
レバナラヌト思フノデアリマス
次ニハ、諸君ガソレ程切望サレル所ノ法
律案デアリマスナラバ、態々政府ノ手ヲ煩
ハス迄モナク、諸君ノ手ニ依ッテ何ガ故ニ
此法律案ヲ上程サレナイノデアルカ(拍手)
諸君ガ僅ニ持ッテ居ル所ノ發案權ヲ政府ヘ
獻上スル必要ハナイト思フノデアル
〔發言スル者多ク議場騷然〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=14
-
015・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 靜肅ニ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=15
-
016・川俣清音
○川俣〓音君(續) 眞ニ諸君ガ此議案ヲ各
黨ノ有力ナル人ニ依ッテ提案サレルナラバ、
而シテ其熱意ト云フモノヲ先ヅ示サントス
ルナラバ、先ヅ諸君ノ中ニ於ケル所ノ汚點
ヲ除イテカラ後、此議案ガ眞實ニ考ヘラレ
ルノデアル、自ラノ缺陷ヲ補フコトデナク
シテ、相手ニ之ヲ强要スルガ如キハ、大政
黨トシテ洵ニ卑屈デアルト云フコトヲ考ヘ
ザルヲ得ナイト思フ(拍手)
次ニハ私共ニ最モ遺憾ニ感ゼラレテ居リ
マスル選擧地盤ノコトデアリマス、私此議
場ニ於テ、或ハ委員會ニ於テ承ル所ヲ以テ
見マスレバ、所謂相當ナル政治家ガ、有力
ナル政治家ガ、選擧地盤ガ可愛イト云フ、
地盤擁護ノ爲ニ常ニ叫ンデ居ラレル所ノ、
國策ノ上ニ立タレタル所ノ主張ヲ抛擲サレ
テ、選擧地盤擁護ノ爲ニ縷々述ベラレテ居
リマスル醜態ヲ、洵ニ御氣ノ毒ニ堪ヘナク
拜承致シテ居ルノデアリマス(拍手)然ラバ
私ハ此國策ヲ論ズル政治家ノ立場ヲ考ヘマ
スナラバ、斯ル小選擧區ノ下ニ於ケル所ノ
缺陷ヲ除カント、自ラ圖ラナケレバナラヌ
ノデアルガ、斯ル點ヲ考ヘラレズシテ、眞
ニ選擧法ノ改正ヲ達成スルト云フコトガ出
來ルデアラウカドウカト云フコトヲ、提案者
竝ニ政府ニ聽キタイ、明治維新ハ所謂永イ
間德川時代ニ於テ地盤ヲ作ラレタ所ノ各藩
ノ大名ガ、領土ヲ奉還シテ明治ノ維新ヲ築
イタノデアルケレドモ、今日ノ議員諸君ハ、
長年ノ間築カレタル所ノ諸君ノ地盤ヲ、選
擧革正ノ爲ニ奉還スルノ意思アリヤ否ヤ、
斯ル方途ニ出デル所ノ法案ヲ作ル意思ヲ有
セラルヽヤ否ヤヲ、提案者竝ニ之ニ對スル
對策ヲ政府ニ御聽シタイノデアリマス僕
聲)次ニ斯ル弊害ハ比例代表ニ依ッテ革正出
來ルト云フコトヲ私共ハ考ヘルノデアルガ、
ソレニ對スル熱意ヲ以テ之ニ當ラントスル
ノデアルカ····
〔「ソレダカラ比例代表ト言ッタヂヤナ
イカ」「各派交涉會デ贊成スルト言ッタ
ノハ誰ダ」「ソンナ話ハナイ」其他發言
スル者多ク議場騒然〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=16
-
017・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=17
-
018・川俣清音
○川俣清音君(續) 次ハ最モ今日ノ革新的
ナ方面ニ導イテ居ルノハ勢ニ燃ユル〓新
ノ、靑年議員ノ進出ニ依ルト云フコトヲ考
ヘザルヲ得ナイ、然ルガ故ニ年齡ノ低下、
婦人參政權或ハ軍人ノ參政權等モ、選擧權
擴大ノ中ニ加ヘル必要ヲ認メルノデアリマ
ス、今日ノ法治國ヲシテ最モ危殆ニ陷レタ
ルモノハ、過去ノ選擧ニ於テ政府ノ主要ナ
ル部分或ハ爲政者ガ、自ラ選擧法ヲ犯サシ
ムルノ方途ニ出デタルガ爲ニ、日本ノ法治
ヲ危機ナラシメタト云フコトハ··
〔「議長、議長-コンナコトデ議場ノ
整理ガ出來ルカ」其他發言スル者、離
席スル者多ク議場騷然〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=18
-
019・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 靜肅ニ願ヒマ
ス-御著席ヲ願ヒマス-御著席ヲ願ヒ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=19
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020・川俣清音
○川俣〓音君(續) 所謂今迄申上ゲマシタ
選擧權ノ擴張ノ如キヲ、此法律ニ盛ラズシ
テ、選擧法ノ革正ハ出來得ナイト考ヘルガ、
提案者竝ニ政府當局ノ此選擧權ニ對スル考
ヲ御伺致シタイ
〔發言スル者多ク議場騷然〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=20
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021・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 私語ヲ禁ジマ
ス-靜肅ニ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=21
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022・川俣清音
○川俣〓音君(續) 複制ノ選擧制度ト云フ
ヤウナモノヲ論ゼラレテ居ルヤウデアリマ
スルガ、是ハ時代ニ對スル逆行シタモノデ
アルト云フコトヲ考ヘザルヲ得ナイノデア
リマス、所謂庶政一新ノ眞ノ目的ヲ達成セ
ントスルノデアルナラバ、其革新ノ生レ出ヅ
ル所ノ議員ノ選出サレルヤウナ方法ノ下ニ
選擧法ガ改正サレナケレバナラナイト思フ
ノデアリマス、然ルニ今日只今上程サレテ
居リマスル案件ハ、徒ニ人權蹂躪問題ヲ論
ジ·
〔發言スル者多シ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=22
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023・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=23
-
024・川俣清音
○川俣〓音君(續) 政府當局ノ非違ヲ裁ク
ノミデアッテ、眞ニ選擧法ヲ改正シテ、庶政
一新ノ實ヲ擧ゲヨウトスルノデアルカドウ
カト云フコトヲ甚ダ危ブムノデアル
(「何ヲ言ッテ居ルノカサッパリ分ラヌヂ
ヤナイカ」「モウ少シ高聲ニヤレ」其他
發言スル者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=24
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025・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 川俣君大聲ニ願ヒ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=25
-
026・川俣清音
○川俣〓音君(續) 今日職能代表制ト云フ
ヤウナコトヲヤカマシク論ゼラレテ居リマ
スノハ、所謂今日ノ國民ノ多數ノ意思ヲ如
何ニ議會ニ反映セシムルカト云フコトガ、
此職能代表制ノ叫バルヽ所以デアルト考ヘ
ルノデアルガ、國民ノ意思ヲ代表セントス
ルヤウナ方途ノ下ニ、改正選擧法ヲ考慮セ
ズシテ、何ヲ目的ノ選擧法改正デアルカト
云フコトヲ考ヘザルヲ得ナイ、所謂今日ノ
選擧法ヲシテ、其法文ヲ非常ニ煩雜化セシメ
タト云フノハ、法文ノ責任デハ勿論アルケ
レドモ、多年選擧ノ醜惡ナル場面ヲ作ッテ
來タ者ノ責任デアルコトガ、第一デアルト
考ヘルノデアル(拍手)政府ハ之ニ對スル考
ヲ如何樣ニ持ッテ居ルカ、斯ル醜惡ナル點ヲ
第一ニ除去シナケレバナラヌノデアルガ、
斯ル點ニ寧ロ反對ノ意向ヲ以テ提案サレタ
ル此議案ニ對シ、政府ノ御意見ヲ承リタイ、
尙ホ日本ノ所謂法治國ト云フ名前ニ依ッテ、
提案者ガ說明サレタノデアリマスルガ、日
本ノ法律ニ於テ最モ多クノ違反者ヲ出シタ
ノハ此選擧違反事件デアル、所謂此法律
ヲシテ最モ多ク違反者ヲ出サシメタ所ノ道
德的責任ハ、選擧ノ場合ニ立候補サレタ所
ノ過去ノ議員デアルト私共思フノデアリマ
スル、斯ル醜惡ナル議員ガ今日僅ニ一掃サ
レテ面目ヲ一新シタノデアルガ、此點ヲ更
ニ强調スルコト出來ズシテ、庶政一新ガ達
成サレルヤ否ヤ、此點ヲモ併セテ御所見ヲ
承リタイノデアリマス(拍手)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=26
-
027・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 提案者答辯ガアリ
マスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=27
-
028・牧野良三
○牧野良三君 此席ヨリ御許ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=28
-
029・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 許可致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=29
-
030・牧野良三
○牧野良三君 御演說ノ內容、理解スルコ
トヲ得マセヌデシタ、速記錄ヲ熟讀致シマ
シテ、適當ノ機會ニ御答致シマス
〔「採決々々」ト呼フ者アリ〕
〔國務大臣潮惠之輔君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=30
-
031・潮惠之輔
○國務大臣(潮惠之輔君) 政府モ御話ガ十
分ニ聽取レマセヌデゴザイマシタ(笑聲)能
ク速記錄ヲ拜見シテ、適當ノ機會ヲ得マス
レバ答辯致シマス(拍手)
〔「議長々々」「議事進行ニ付テ」ト呼フ
者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=31
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032・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 是ニテ質疑ハ終局
致シマシタ-採決致シマス、本案ニ贊成
ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
〔贊成者起立〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=32
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033・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 起立多數、仍テ本
案ハ可決サレマシタ(拍手)此際政府ヨリ發
言ヲ求メラレテ居リマスカラ之ヲ許シマ
ス-內閣總理大臣廣田弘毅君
〔國務大臣廣田弘毅君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=33
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034・廣田弘毅
○國務大臣(廣田弘毅君) 只今御決議ニ相
成リマシタ兩決議ノ趣旨ハ、政府ニ於テモ
同感デアリマス(拍手)政府ハ其趣旨ノ在ル
所ヲ體シテ善處スル考デアリマス(拍手)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=34
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035・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 日程第一、航空法
中改正法律案ノ第一讀會ノ續ヲ開キマス、
委員長ノ報〓ヲ求メマス-委員長戶澤民
十郞君
第一航空法中改正法律案(政府提出、
貴族院送付)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
報告書
一航空法中改正法律案(政府提出、貴族院
送付)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十一年五月二十二日
委員長戶澤民十郞
衆議院議長富田幸次郞殿
〔戶澤民十郞君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=35
-
036・戸澤民十郎
○戸澤民十郞君 只今上程ニナリマシタ航
空法中改正法律案ノ委員會ノ經過竝ニ結果
ヲ申上ゲマス二十一日ヨリ二十二日ニ亙
リマシチ、委員諸君ヨリ我國民間航空ノ發
達ニ關シマシテ熱心ナル希望ヲ以テ、或ハ
飛行場ノ設置增設、或ハ又航空路ノ新設發
展其他民間飛行士ノ養成ヲ希望スルノ心
持ヲ以テ、政府ト委員諸君トノ間ニ熱心ナ
ル質問應答ガアリマシタガ、詳細ナコトハ
速記錄ヲ御覽ヲ願ヒマス、委員會ハ滿場一
致原案ヲ可決致シマシタ、此段御報〓ヲ申
上ゲマス(拍手)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=36
-
037・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 本案ノ第二讀會ヲ
開クニ御異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=37
-
038・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 御異議ナシト認メ
やく、仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマ
シタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=38
-
039・松永東
○松永東君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、
第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通リ可決
セラレンコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=39
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040・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 松永君ノ動議ニ御
異議ハアリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=40
-
041・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ直チニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、
議案全部ヲ議題ト致シマス
航空法中改正法律案第二讀會(確定議)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=41
-
042・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 別ニ御發議モアリ
マセヌ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告
通リ可決確定致シマシタ(拍手)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=42
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043・松永東
○松永東君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ提
出致シマス、卽チ此際昭和十一年勅令第十
八號、承諾ヲ求ムル件、及ビ昭和十一年勅
令第二十一號、承諾ヲ求ムル件ノ兩件ヲ一
括議題ト爲シ、委員長ノ報告ヲ求メ、其審
議ヲ進メラレンコトヲ望ミマス
〔「贊成」「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=43
-
044・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 松永君ノ動議ニ御
異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=44
-
045・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 御異議ナシト認メ
ママ、仍テ日程ハ變更セラレマシタ、昭和
十一年勅令第十八號、承諾ヲ求ムル件、昭
和十一年勅令第二十一號、承諾ヲ求ムル件、
右兩件ヲ一括シテ議題ト致シマス、委員長
ノ報告ヲ求メマス-委員長岩崎幸治郞君
昭和十一年勅令第十八號(一定ノ地域
ニ戒嚴令中必要ノ規定ヲ適用スルノ件)
(承諾ヲ求ムル件)(貴族院送付)
(委員長報告)
昭和十一年勅令第二十一號(東京陸軍
軍法會議ニ關スル件)(承諾ヲ求ムル件)
(貴族院送付)(委員長報告)
報〓書
一昭和十一年勅令第十八號(一定ノ地域
ニ戒嚴令中必要ノ規定ヲ適用スルノ
件(承諾ヲ求ムル件)(貴族院送付)
右ハ本院ニ於テ承諾ヲ與フヘキモノト議
決致候此段及報告候也
昭和十一年五月二十三日
委員長岩崎幸治郞
衆議院議長富田幸次郞殿
報告書
一昭和十一年勅令第二十一號(東京陸軍
軍法會議ニ關スル件)(承諾ヲ求ムル
件(貴族院送付)
右ハ本院ニ於テ承諾ヲ與フヘキモノト議
決致候此段及報〓候也
昭和、十一年五月二十三日
委員長岩崎幸治郞
衆議院議長富田幸次郞殿発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=45
-
046・岩崎幸治郎
○岩崎幸治郞君 委員會ノ結果ハ頗ル簡單
デゴザイマスカラ、自席ヨリ御許ヲ願ヒマ
ス
〔「登壇々々」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=46
-
047・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 許可致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=47
-
048・岩崎幸治郎
○岩崎幸治郞君 昭和十一年勅令第十八號
及ビ第二十一號ノ承諾ヲ求ムル件ニ付キマ
シテハ、一二ノ質問應答ガアリマシテ、採決
ニ入リマシテ、全會一致承諾ヲ與フルコト
ニ決シマシタ、此段御報告致シマス(拍手)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=48
-
049・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 討論ノ通〓ガアリ
マス-〓瀨一郞君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=49
-
050・清瀬一郎
○〓瀨一郞君 此席ヨリ御許ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=50
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051・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 許可致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=51
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052・清瀬一郎
○〓瀨一郞君 吾々ハ勅令第十八號、卽チ
一定ノ地域ニ戒嚴令中必要ノ規定ヲ適用ス
ルコトニ付テハ異議ハアリマセヌ、本年二
月二十六日、七日ノ形勢ニ於テハ、戒嚴ヲ
必要トシタコトト思ヒマス、是ニハ承諾ヲ
與ヘマス、唯、今議題トナッテ居リマスル案
中ノ勅令第二十一號、卽チ東京軍法會議ノ
一件デアリマス、此緊急勅令ニ依レバ、東
京軍法會議ハ特設軍法會議ト看做サレテ、
軍法會議法第九十三條ノ結果、事件ハ一審
限リノ裁判トナリ、一切傍聽ハ禁止サレル
ノデアリマス、是モ亦已ムヲ得マスマイ、
一審モ宜カラウ、傍聽禁止モ宜カラウ、唯
私共人道ノ上ニ於テ如何ニモ遺憾ニ堪ヘマ
セヌノハ、是等ノ被告ニ對シ一切辯護ヲ禁
止セラレタコトデアリマス、特別辯護人ヲ
附セズ、一般辯護人ヲ附セズ、何等辯護ノ
機會ナクシテ暗黑裡ニ二十數名ノ將校ヲ處
罰スルト云フコトハ、憲法ノ理窟デナク、
法律ノ理窟デモナイ、人道ノ上ニ於テ洵ニ
淚ナクシテ默過スルコトハ出來ナイノデア
リマス(拍手)未開ノ國ニ於テ犯人ヲ「リン
チ」ニ處スルト云フナラバ兎モ角デアリマ
ス、世界第一等國ノ東京ニ於テ、今日ハ治
安ガ維持サレテ居リマス、何等平常ト異狀
ハナイ、然ルニ獨リ此軍法會議ニノミ辯護
ヲ禁ジテ處罰スルノハ如何デアルカ、訴訟
法ノ精神ニ於テハ、罪ガ重大デアレバアル
ホド辯護ヲ必要トスル、一般刑事訴訟法ニ
於テモ、重大事件ハ官選辯護人ヲ附スル、
軍法會議ニ於テモ、重大ナル事件ハ官選ヲ以
テ辯護人ヲ附スルコトニナッテ居ル、嘗テ吾
吾ノ憂慮致シマシタ彼ノ幸德事件デモ、難
波大助事件デモ、傍聽ハ禁ジタガ辯護ハ許
シテ居ルニ拘ラズ、樞密院諸君、何ヲ周章
狼狽シタカ、辯護ヲ附セズシテ二十數名ノ
靑年將校ヲ處罰スルト云フコトハ、如何ニ
考ヘテモ吾々ノ同意ヲ與フベカラザル件デ
アリマス(「ヒヤ〓〓」拍手)此議院內ニモ其
意見ノアルト云フコトヲ、セメテハ議會ノ
記錄ニ殘シタイト思ヒマシテ、私共ハ敢然
是ニハ同意ヲ與ヘナイコトニ決シテ居リマ
ス(拍手)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=52
-
053・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 採決ニ入リマス、
先ヅ昭和十一年勅令第十八號、承諾ヲ求ム
ル件ニ付キ採決致シマス、本件ニ承諾ヲ與
フルニ御異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=53
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054・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ本件ハ承諾ヲ與フルニ決シマシ
タ-次ニ昭和十一年勅令第二十一號、承
諾ヲ求ムル件ニ付テ採決致シマス、本件ニ
付キ承諾ヲ與フルニ贊成ノ諸君ノ起立ヲ求
メマス
〔贊成者起立〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=54
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055・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 起立多數、仍テ本
件ハ承諾ヲ與フルニ決シマシタ、是ニテ兩
件トモ承諾ヲ與フルニ決シマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=55
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056・松永東
○松永東君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ提
出致シマス、卽チ此際政府提出、農村負債
整理組合法中改正法律案ヲ議題ト爲シ、委
員長ノ報告ヲ求メ、其審議ヲ進メラレンコ
トヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=56
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057・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 松永君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=57
-
058・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 御異議ナシト認メ
ママ、仍テ日程ハ變更セラレマシタ、農村
負債整理組合法中改正法律案ノ第一讀會ノ
續ヲ開キマス、委員長ノ報〓ヲ求メマ
ス-委員長八田宗吉君
農村負債整理組合法中改正法律案政
府提出、貴族院送付)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報〓書
一農村負債整理組合法中改正法律案政
府提出、貴族院送付)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十一年五月二十三日
委員長八田宗吉
衆議院議長富田幸次郞殿
附帶決議
農村ノ負債ヲ整理シ其ノ經濟ヲ更生セシ
ムルニハ現行負債整理法ノ運用ヲ以テシ
テハ所期ノ目的ヲ達成スルコト難シ政府
ハ速ニ負債整理事業ニ關スル再檢討ヲ盡
シテ徹底セル方策ヲ樹立シ之ヲ第七十囘
議會ニ提案スベシ
〔八田宗吉君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=58
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059・八田宗吉
○八田宗吉君 本法律案ノ委員會ノ經過竝
ニ結果ヲ御報告致シマス、本委員會ハ去ル
二十日開會シ、二十三日マデ四日間ニ亙リ
愼重審議ヲ重ネマシタ、劈頭政府ヨリ本案
提出ノ理由ニ付キ說明ガアリマシタ、本案
改正ノ內容ヲ申上ゲマスト、負債整理組合
ノ設立申請期間ヲ三箇年延長シ、之ニ伴ヒ
マシテ資金融通期間及ビ資金融通期限ヲソ
レゾレ二箇年延長スルコトデアリマス、政
府ノ說明ニ依リマスト、其改正ノ理由ト致
シマスル所ハ、本法ハ昭和八年制定以來漸
次其成績ガ擧ッテ來タノデアリマスガ、現行
法ニ於テハ負債整理組合ノ設立期間ハ本年
七月末日ヲ以テ打切ラレルコトニナッテ居
リマシテ、今日ノ農山漁村ノ實情ニ於テハ、
尙ホ整理スベキ多額ノ負債ガ存在スルノ狀
態デアリマスノデ、今後尙ホ相當期間ニ亙ッ
テ此種組合ヲ設立セシメ、負債整理ノ促進
ヲ圖ルコトハ、農山漁村ノ經濟更生上極メ
テ緊要ナリト認メラルヽガ爲デアリマスト
云フコトデアリマシタ、續イテ各委員ヨリ
質問ニ入リマシタガ、委員諸君ヨリハ極メ
テ熱心ニ、農村疲弊ノ現狀ニ卽シタル、洵
ニ適切ナル質問、農村ニ對スル指導及ビ農
村經濟更生計畫ノ指導方針等ニ至ル迄、詳
細ナル質問ガアリマシタ、其主ナルモノヲ
申上ゲマスト、經濟更生ヲ徹底セシムル爲
三t、亦農村金融ノ疏通ヲ圖ル爲ニモ、農
家ノ負債整理ハ最モ緊要デアル、然ルニ現
行制度ニ於テハ小規模、不徹底ニシテ、十
分目的ヲ達シツヽアリト云フコトガ出來ナ
イ、政府ニ於テハ是ガ根本的改正ヲセラレ
タク、特ニ左ノ事項ヲ留意サレタイトノ質
問ヲ兼ネタル意見ガアリマシタ、卽チ特ニ
銀行等金融機關ニ對スル條件緩和ヲ合理的
ナラシムル方策ヲ講ズベシトカ、負債整理
組合ヲ產業組合ニ加入セシムベシトカ、負
債整理事業資金ノ一組員ニ對スル貸付最
高額千圓ヲ增額スルコトトカ、其他稅金滯
納町村ニ對シテモ可及的資金ヲ融通スルヤ
ウセラレタシトカ、負債整理事業資金ノ金
利ヲ出來ルダケ低下スルヤウニセラレタイ
トカ、零細農小農ノ負債整理ヲ徹底セシム
ルヤウ努力セラレタイ、又負債整理組合ト
密接ナル關係アル金錢債務調停ニ付テモ、
其取扱關係ヲ圓滿ナラシムルヤウニトノ意
見モアッタノデアリマス、右ノ外本制度ノ今
後ノ運用ニ付テモ、負債整理ノ爲メ小農ガ
土地ヲ剝奪セラルヽコトナキヤウニセラレ
タイ、又本制度ノ手續ノ簡易化、及ビ本制
度ト竝行シ、自作農創設維持資金ノ活用等
ヲ考慮シテ貰ヒタイトノ意見モアリマシタ、
之ニ對シ政府側ヨリ各質問ニ對シソレ〓
答辯ガアリマシタガ、其重ナルモノハ左ノ
通リデアリマス、第一ニ、本制度ノ根本的
改正ヲ爲スノ意圖アリヤトノ質問ニ對シテ
ハ、極力〓究ノ上次ノ議會ニ協贊ヲ願フヤ
ウ致シタイトノ答辯ガアリマシタ、第二ニ、
負債整理組合法ノ改正希望ノ各事項ニ對シ
テハ、現行制度ノ根本的改正ノ場合出來ル
ダケ考究スルトノ答辯デアリマシタ、第三ニ、負
債整理組合ノ產業組合加入ハ、出來ルダケ
速ニ是ガ實現ヲ見ルヤウ努力スルトノ答辯デ
アリマシタ、第四ニ、稅金滯納セル町村ノ負債
整理組合ニ對スル資金ノ融通ハ實際行ハレナ
イト云フ點ニ付キマシテハ、稅金或ハ政府資金
ノ滯納ヲ整理スル工作ヲ講ジタ上、極力本
資金モ貸付ケ得ルヤウニ努力シツヽアル旨
ノ答辯ガアリマシタ、第五ニ、特殊銀行ナ
ドガ負債整理ニ對シ善處スベキ點ニ付テハ、
政府ニ於テ篤ト調査〓究スル積リデアルト
ノ答辯ガアリマシタ、次デ討論ニ入リ、本案
ハ現下ノ農村經濟上極メテ必要ナルコトナ
リトシテ滿場一致可決セラレマシタ、而シ
テ現行法中ニハ尙ホ改正スベキ點モアリ、
負債整理ヲ徹底セシムル爲ニハ尙ホ〓究ス
ベキ點モアルノデ、政府ハ速ニ根本方策ヲ
立テラレタイ、特ニ資金融通系統ノ改正、
市町村ノ損失補償ノ廢止、指導奬勵ノ徹底、
尙ホ必要ニ應ジ負債整理ニ關スル中央金融
機關ヲ設置セラレタイトノ意思デアリマス、
尙ホ委員會ニ於キマシテハ此討論ニ入リマ
シテ、以上ノ趣意カラ致シマシテ、民政黨
ノ佐藤謙之輔君ヨリ致サレマシテ、本案ニ
贊成ノ意見又附帶決議ノ提議ガアッタノデ
アリマス、其附帶決議ノ理由ノ陳述ガアリ
マシタガ、理由等ハ速記錄ニ之ヲ讓ッテ置キ
やく、尙ホ政友會ノ佐々木家壽治君、昭和
會ノ陣軍吉君ヨリ之ニ對スル贊成ノ意見ガ
アリマシタ、尙ホ第一控室ノ黑田壽男君ヨ
リモ贊成ノ意見ヲ述べラレ、又希望ノ陳述
モアリマシタ、是ハ速記錄ニ讓ッテ其希望等
ノ條件ハ申述ベヌコトニ致シマスガ、滿場
一致本案ヲ可決シ、且ツ附帶決議ヲ附シマ
シタ、附帶決議ハ是デアリマス
附帶決議
農村ノ負債ヲ整理シ其ノ經濟ヲ更生セシ
ムルニハ現行負債整理法ノ運用ヲ以テシ
テハ所期ノ目的ヲ達成スルコト難シ政府
ハ速ニ負債整理事業ニ關スル再檢討ヲ盡
シテ徹底セル方策ヲ樹立シ之ヲ第七十囘
議會ニ提案スベシ
斯ウ云フノデアリマス、詳細ハ總テ速記錄
ニ讓ッテ御覽ヲ願フコトニ致シマシテ、御贊
成ヲ願フ爲ニ玆ニ御報告ヲ致シマス(拍手)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=59
-
060・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 本案ノ第二讀會ヲ
開クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=60
-
061・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマ
シタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=61
-
062・松永東
○松永東君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、
第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通リ可
決確定セラレンコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=62
-
063・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 松永君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=63
-
064・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 御異議ナシト認メ
やく、仍テ直チニ第二讀會ヲ開キ、議案全
部ヲ議題ト致シマス
農村負債整理組合法中改正法律案
第二讀會(確定議)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=64
-
065・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 別ニ御發議モアリ
マセヌ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告
ノ通リ可決確定致シマシタ(拍手起ル)日程
第二、衆議院議員選擧法中改正法律案ノ第
一讀會ヲ開キマス、提出者ノ趣旨辯明ヲ許
シマス-提出者杉山元治郞君
第二、衆議院議員選擧法中改正法律案
(杉山元治郞君提出)第一讀會
衆議院議員選擧法中改正法律案
衆議院議員選擧法中左ノ通改正ス
第五條第一項及第二項中「帝國臣民タル
男子ニシテ」ヲ「帝國臣民ニシテ」ニ改ム
〔杉山元治郞君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=65
-
066・杉山元治郎
○杉山元治郞君 只今上程ニナリマシタ衆
議院議員選擧法中改正法律案ニ付テ簡單ニ
說明致シタイト存ジマス、改正ノ趣旨ハ御
手許ニ配付サレテ居リマスル文書ニ依ッテ
明カデアリマスルヤウニ、衆議院議員選擧法
中ノ第五條第一項及第一一項中ノ「帝國臣民
タル男子ニシテ」トゴザイマスル點ヲ「帝
國臣民ニシテ」ト改メタイト云フノガ、此
改正案ノ趣旨デアリマス、言葉ヲ換ヘテ申
シマスルナラバ、男子ト同樣ニ婦人ニモ政
治ニ參與スル權利ヲ與ヘテ戴キタイト云フ
コトニナルノデアリマス、私共ガ選擧法ニ
對シマシテ持ッテ居リマスル理想ハ、色々ノ
場合ニ於テモ申述ベテ居リマスルヤウニ、
現在ノ選擧法ノ中カラ年齡ノ低下ヲセナケ
レバナラナイ、二十五歲ト云フヤウナ年齡
ヨリモ、モウ少シ低下セナケレバナラナイ、
吾々ノ理想カラ申シマスルナラバ、滿十八
歲ニマデ低下スル必要ガアル、少クトモ滿
二十一歲マデ低下スル必要ハナイカ、御承
知ノヤウニ軍人ガ滿二十一歲デ、卽チ國務
ニ從事シテ居リマスニ拘ラズ、參政權ヲ與
ヘラレナイコトニ付テハ甚ダ不當デアル、
斯ウ云フヤウナ意味合ニ於キマシテ、年齡
ノ點ニ於テモ、モウ少シ低下セナケレバナ
ラヌト云フ考ヲ持ッテ居リマス、又比例代表
制大選擧區ニ致シマシテ、比例代表ニ致
シマスルナラバ、今日色々ノ論議ガゴザイ
マシタヤウナ選擧上ノ、卽チ干涉トカ、或
ハ選擧法ニ於キマスル所ノ色々ノ問題ガ除
去セラレルデアラウト存ジテ居リマスルノ
デアリマスガ、斯ウシタ比例代表制モ私共
ガ得タイト考ヘテ居ル、併シ本案ニ出シタ
所ハ、其年齡ノ低下、或ハ比例代表制ノ問
題デハナクシテ、ドウカ婦人ニモ是非男子
同樣ニ參政ノ權利ヲ與ヘテ戴キタイト云フ
唯一點ダケナノデアリマス、今日マデ婦人
ト男子トガ色々違ッテ居ル、確ニ色々ノ方面
ニ於テ男子ト女子ノ特質ガゴザイマセウ、
併シ女子ガ男子ヨリモ劣ッテ居ルト云フ見
方ハ、封建的ナ遺風デアルト考ヘルノデア
リマス、卽チ今日ハ婦人モ男子ト同樣ニ各
種ノ方面ニ仲展シテ參ッテ居リマス、職業ニ
於キマシテモ、或ハ學問ニ於キマシテモ、
技術ニ於キマシテモ、男子ノ領域ニ進ンデ
參リマシテ、卽チ此領域ニ於テ能ク致シマ
スルナラバ、敢テ男子ニ劣ッテ居ラナイト云
フコトガ、能ク證明サレテ來テ參ッテ居ルノ
デアリマス、斯ウ云フ意味合カラ致シマシ
テ、何モ女子ヲ除外スルト云フ必要ハナイ、
否、寧ロ女子ヲシテ參政ニ致シマスルナラ
バ卽チ私共男子ガ致シテ居リマシタ所ヨ
リ、モットヨリ宜イ方面ガ助長サレルノデハ
ナイカ、言葉ヲ換ヘテ申シマスルナラバ
今日マデノ法律ナリ制度ナリト申シマスル
モノガ、卽チ有產階級ニ依ッテ爲サレテ居ツ
タガ故ニ、法律ナリ制度ト云フモノガ有產
階級的ナ傾向ガゴザイマシタヤウニ、又一
面男子ガ政治上ノ權利、之ヲ握ッテ居リマシ
タ關係カラ致シマシテ、男子的ニ偏シテ居
ルト云フ點ハ否ムコトハ出來ナイト考ヘル
ノデアリマス、ソコデ若シ婦人ガ參政ノ權
利ガ與ヘラレマスルナラバ、昨日片山君ガ
御提案ニナリマシタヤウナ母子扶助法ト云
フヤウナ問題等モ、或ハ簡單ニ片付クノデ
ハナイカト考ヘルノデアリマス、私共ガサ
ウシタ-卽チ法律制度ノ上ニ於テ今マデ
ヨリモ、尙ホヨリ宜イ點ガ出來マスルバカ
リデハナイ、卽チ選擧權ガ擴大サレタラ、色
色ノ御話モゴザイマシタ肅正ノ問題等モ、
尙ホ一層改善サレルノデハナイカト考ヘテ
居ルノデアリマス、婦人ニ參政權ノ與ヘラ
レテ居リマスル所ハ、卽チ歐米各國ニ於テ
ハ殆ド與ヘラレテ居ルノデアリマス、今簡
單ニ其年齡ト······(「歐米ノコトヲ言ッタッテ
仕樣ガナイヂヤナイカ」「眞面目ニ聽ケ」ト
呼フ者アリ)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=66
-
067・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 靜肅ニ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=67
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068・杉山元治郎
○杉山元治郞君(續) 其年齡ト年代トヲ申
上ゲマスルナラバ、「ニュージーランド」ハ
一千八百九十三年ニ二十一歲ノ婦人ニ選擧
權ガ與ヘラレテ居リマス、簡單ニ致シマス
爲ニ、其年代ト年齢ダケヲ朗讀致シマス、
濠太刺利ハ千九百二年ニ二十歲、「フインラ
ンド」ガ千九百六年ニ二十四歲、諾威ハ千九
百十三年ニ二十二歲、丁抹ハ千九百十五年ニ
二十五歲、和蘭ハ千九百十七年ニ二十三歲、
露西亞ハ千九百十七年ニ十八歲、英國ハ千
九百十八年ニ二十一歲、獨逸ハ千九百十八
年ニ二十歲、墺地利ハ千九百十八年二二十
歲、瑞典ハ千九百十九年ニ二十三歲、合
衆國ハ千九百二十年ニ二十一歲「チエッコ
スロバキヤ」ハ千九百二十年ニ二十一歲、
加奈陀ハ千九百二十五年ニ二十歲、「エ
ストニヤ」ハ千九百二十年ニ二十歲「ユー
ゴースラビヤ」ガ千九百二十一年ニ二
十一歲、「ポーランド」ガ千九百二十
一年ニ二十一歲、斯ウ云フ風ニ讀上ゲテ
參リマスルナラバ、何ボデモ歐米ノ各國ニ
於キマシテハ旣ニ與ヘラレテ居ルノデアリ
マス、卽チ支那、印度ニ於テスラモ婦人ニ
參政權ハ與ヘラレテ居ルノデアリマシテ、
敢テ吾々ハ眞似ヲシテ居ルノデハゴザイマ
セヌ、卽チ決シテ歐米ノ眞似ヲシロト言ウ
テ居ルノデハ斷ジテナイノデアル、卽チ日
本ノ古代ノ歷史ヲ見テ見ルガ宜イ、日本ノ
最初ハ母性ガ最初ノ權利デアッタデハナイ
カ、何モ吾々ハ決シテ歐米ノ轍ヲ履メト言
ウテ居ルノデハナイ、ソコデ歐米各國ニ於
テモ旣ニ今日ニ於テハ斯ウシタ權利ガ與ヘ
ラレテ居ル、日本ノ母性ニ於テモ若シ參政
ノ權利ガ與ヘラレルナラバ、一層國政ガ良
クナルデアラウト云フコトヲ考ヘテ居ルノ
デアルガ故ニ、私ハ之ヲ申上ゲテ居ルノデ
アル、斯ウ云フヤウナ意味合ニ於キマシテ、
皆サンモ婦人ニ參政ノ權利ヲ是非與ヘテ戴
キタイト云フコトヲ私ハ申述ベマシテ、簡
單デアリマスケレドモ趣旨ノ辯明ニ致シマ
ス(拍手)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=68
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069・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 質疑ノ通〓ハアリ
マセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=69
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070・松永東
○松永東君 本案ハ政府提出、大正十二年
法律第五十二號中改正法律案委員ニ併セ付
託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=70
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071・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 松永君ノ動議ニ御
異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=71
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072・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 御異議ナシト認メ
やく、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、日程第
三、恩給法中改正法律案ノ第一讀會ヲ開キ
マス、提出者ノ趣旨辯明ヲ許シマス-提
出者宮脇長吉君
第三恩給法中改正法律案(山下谷次
君外一名提出)第一讀會
恩給法中改正法律案
恩給法中左ノ通改正ス
第二條第一項中「傷病賜金、」及同條第二
項中、「傷病賜金」ヲ削ル
第四十六條ニ左ノ二項ヲ加フ
軍人公務ノ爲傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹
リ失格原因ナク且恩給ヲ受ケスシテ退
職シタル後其ノ程度增進シタルトキハ
務員
ラス
ム
傷
因原病
甲
號
乙
號
備
第二號表
階
務公キヘス準ニ鬪戰ハ又鬪戰
普
通
公
務
新ニ普通恩給及增加恩給ヲ給ス但シ重
大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在
前項ノ傷病ノ程度ハ勅令ヲ以テ之ヲ定
第四十六條ノ二第一項中「公務員」ヲ「公
(下士官以下ノ軍人ヲ除ク)」ニ、「又
等
症狀等差
特別項
第一項
第二項
第三項
第四項
第五項
第六項
第七項
第八項
第九項
第十項
特別項
第一項
第二項
第三項
第四項
第五項
第六項
第七項
第八項
第九項
第十項
考
親任
勅任
勅任待遇
將官
円
二、四〇〇
二、〇〇〇
一、六〇〇
一、二八〇
一〇〇〇
八〇〇
六四〇
五二〇
四一〇
三二〇
円
一、九二〇
一、六〇〇
一、二八〇
○二四
八〇〇
六四〇
五二〇
四一〇
三二〇
二六〇
奏
三等乃至五等
奏
佐
一、八〇〇
一、五〇〇
一、二〇〇
九六〇
七五〇
六〇〇
四八〇
三九〇
三
二四〇
一、四四〇
一、二〇〇
九六〇
七六八
六〇〇
四八〇
三九〇
三一〇
二四〇
二〇〇
任
官
円
0
円
第六十六條
任
六等乃至九等
待遇
尉官
円
一、二〇〇
一、〇〇〇
八〇〇
六四〇
五〇〇
四〇〇
三二〇
二六〇
三0
一七〇
円
九六
八〇〇
六四〇
五一二
四〇〇
三二〇
二六〇
二一〇
一七·〇
' HTTP
ハ其ノ公務員カ下士官以下ノ軍人ニシテ
退職後一年內ニ」ヲ「又ハ下士官以下ノ軍
人公務ノ爲傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ別
ニ勅令ノ定ムル程度ニ達シ失格原因ナク
シテ之カ爲退職シ又ハ退職後」ニ改ム
削除
別表第二號表ヲ左ノ如ク改ム
判任
一等二等三等四等
判任待遇
准士官下士兵
円円円
一、〇八〇九九0九〇
九〇〇八二五七五〇
七二〇六六〇六〇〇
五七六五二八四八〇
四五〇四一三三七五
三六〇三三〇三〇〇
二九〇二六〇二四〇
二三〇二一〇二〇〇
一八〇一七〇一六〇
一五〇一四〇一三〇
円円円
八六四七九二七二〇
七二〇六六〇六〇〇
五七六五二八四八〇
四六一四二三三八四
三六〇三三〇三〇〇
二八八二六四二四〇
二三〇三0二〇〇
-八〇一七〇一〇〇
1六0ino.一三〇
一二〇一一 〇一〇〇
特別項ハ各號第一項ノ金額ニ其ノ十分ノ五以內ヲ加ヘタルモノトス
ス、
別表第三號表ヲ左ノ如ク改ム
第三號表
階親任奏
勅任三等乃至五等
等
原病傷勅任待遇奏
因症狀等差將官佐
第一款三五〇三〇〇
甲戰鬪三三〇二八〇
又、第二款
戰鬪第三款三一〇二六〇
二作,
スー第四款二九〇二四〇
號キ公第五款二七〇二二〇
務
第六款二五〇二〇〇
第一款三二〇二八〇
乙普二六〇
第二款三〇〇
通第三款二八〇二四〇
公第四款二六〇二二〇
號第五款二四〇二〇〇
務一八〇
第六款二二〇
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
軍人ニシテ從前ノ規定ニ依ル賑恤金、傷
病賜金、傷病年金又ハ之ニ準スヘキモノ
ヲ受ケタルモノニ對シテハ再診ヲ要セス
シテ本法施行ノ翌日ヨリ普通恩給及增加
恩給ヲ給ス
前項ノ普通恩給及增加恩給ノ年額ニ付テ
ハ第四十六條ノ規定ニ依ル普通恩給增加
思給ノ年額ニ關スル規定ヲ準用ス
〔宮脇長吉君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=72
-
073・宮脇長吉
○宮脇長吉君 只今議題トナリマシタ恩給
法中改正法律案ノ提案ノ趣旨竝ニ理由ヲ簡
單ニ說明致シマス、軍人ニシテ公務ノ爲メ
傷痍ヲ受ケ、又ハ疾病ニ罹リタル者ノ中、
恩給ヲ受ケズシテ退職シタル後、其程度增
進シタル時ハ、其程度ニ依リ新ニ恩給及ビ
增加恩給ヲ給ス、是ガ本案ノ骨子デアリマ
陸海軍ノ軍人デアリマシテ、公務ニ基
任判任
六等乃至九等一等二等三等四等
任待遇判任待遇
官尉官准士官下士兵
二六〇二四〇二二〇二〇〇
二四〇二二〇二〇〇一 〇
二二〇二〇〇一八〇一七〇
二〇〇一〇〇一七〇ine
一〇一六〇1 n 0.一二〇
一六〇i n.一二〇一、〇〇
二四〇二二〇二〇〇一六〇
二二〇二〇〇一六〇ing
一八〇一〇〇in 3一二〇
一七〇一六〇一二〇一〇〇
一二〇一二〇一〇〇八〇
一〇〇一〇〇八〇六〇
因スル傷痍、疾病ニ罹ッタ者ガ、恩給ヲ受ケ
ズシテ退職ヲシ、爾後其傷痍疾病ガ重症ト
ナリ、非常ニ困ッテ居ル者ガ多イノデアリマ
ス、實際ニ於キマシテハ、恩給ノ恩典ニ浴
シテ居ル者ヨリモ、却テ困ッテ居ル者ガアル
ト云フ狀況デアリマス、是等ノ者ニモ恩給
法ノ恩典ニ浴サセヨウト云フノガ本案提出
ノ理由デアリマス、ドウカ宜シク御審議ヲ
願ヒマス(拍手)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=73
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074・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 別ニ質疑ハアリマ
セヌカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=74
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075・松永東
○松永東君 本案ハ枡谷寅吉君外七名提
出、百貨店法案外一件委員ニ併セ付託セラ
レンコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=75
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076・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 松永君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=76
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077・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 御異議ナシト認メ
そく、仍テ動議ノ如ク決シマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=77
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078・松永東
○松永東君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ提
出致シマス、卽チ此際枡谷寅吉君外七名提
出、百貨店法案、及ビ伊禮肇君提出、百貨
店法案ヲ一括議題ト爲シ、委員長ノ報〓ヲ
求メ、其審議ヲ進メラレンコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=78
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079・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 松永君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=79
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080・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 御異議ナシト認メ
マい、仍テ日程ハ變更セラレマシタ、枡谷
寅吉君外七名提出、百貨店法案、伊禮肇君
提出、百貨店法案、右兩案ヲ一括シテ第一
讀會ノ續ヲ開キマス、委員長ノ報〓ヲ求メ
マス-委員長斯波貞吉君
百貨店法案(枡谷寅吉君外七名提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
百貨店法案(伊禮肇君提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
報〓書
一百貨店法案(枡谷寅吉君外七名提出)
一百貨店法案(伊禮肇君提出)
右ハ本院ニ於テ兩案ヲ併合シ別紙ノ通修
正スヘキモノト議決致候此段及報〓候也
昭和十一年五月二十三日
委員長斯波貞吉
衆議院議長富田幸次郞殿
〔別紙〕
百貨店法
第一條本法ニ於テ百貨店ト稱スルハ衣
食住ニ關スル多種類ノ商品ノ小賣業ヲ
營ム者ヲ謂フ
衣〓住ニ關セサル物品ヲ小賣スル場合
ト雖百貨店ノ營業所ニ於テ之ヲ爲スト
キハ之ヲ百貨店ノ營業ト看做ス
第二條百貨店ノ業務ヲ營マムトスル者
ハ事業方法其ノ他命令ノ定ムル事項ヲ
具シ主務大臣ニ申請シ免許ヲ受クヘシ
主務大臣前項ノ免許ヲ爲スニ當リテハ
特定ノ審議機關ノ審議ノ結果ヲ參酌ス
ルコトヲ得
前項ノ審議機關ハ命令ノ定ムル所ニ依
リ地區營業者ノ代表者、同業組合ノ代
表者及所管公吏ヲ以テ之ヲ組織ス
第三條百貨店ハ本店其ノ他ノ營業所ノ
位置ヲ變更シ又ハ店舗若ハ賣場ヲ新設
若ハ擴張セムトスルトキハ主務大臣ノ
認可ヲ受クヘシ
前項ノ認可ニ付テハ前條ノ規定ヲ準用
ス
第四條百貨店ハ支店、出張所若ハ代理
店ヲ設置シ又ハ出張販賣ヲ爲スコトヲ
得ス
第五條百貨店見切品、棚浚、殘品其ノ
他名義ノ何タルヲ問ハス相場外ノ價格
ヲ以テ廉賣ヲ爲サムトスルトキハ商品
ノ種類、品質、數量、仕入時價及原價、
賣價竝廉賣ノ事由ヲ具シ主務大臣ノ認
可ヲ受クヘシ
第六條主務大臣ハ百貨店ノ營業方法カ
公益ニ反シ又ハ一般小賣業者若ハ消費
者ノ公正ナル利益ヲ害スルモノト認ム
ルトキハ之ヲ制止スル爲必要ナル事項
ヲ命シ又ハ必要ナル處分ヲ爲スコトヲ
得
第七條主務大臣ハ百貨店ノ所爲ニシテ
本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ違
反シタリト認ムルトキハ其ノ業務ヲ停
止シ又ハ其ノ認可若ハ免許ヲ取消スコ
トヲ得
第八條百貨店ハ重要物產同業組合其ノ
他ノ同業組合ニ加入スヘシ
第九條百貨店ハ左ノ各號ノ時間外ニ於
テ營業ヲ爲スコトヲ得ス
一四月一日ヨリ九月三十日迄ハ午前
八時開店午後六時閉店
二十月一日ヨリ翌年三月三十一日迄
ハ午前九時開店午後五時閉店
第十條百貨店ハ每月一齊ニ三日以上ノ
休日ヲ設クヘシ
第十一條主務大臣必要アリト認ムルト
キハ百貨店ニ對シ其ノ營業若ハ財產ノ
狀況報〓ヲ爲サシメ又ハ營業若ハ財產
ノ狀況ヲ檢査スルコトヲ得
第十二條主務大臣ノ免許ヲ受ケスシテ
百貨店ノ業務ヲ營ミタル者ハ三千圓以
下ノ罰金ニ處ス
第十三條百貨店ニ非スシテ百貨店ノ支
店、出張所、代理店又ハ出張販賣ナル
カ如ク裝ヒテ營業ヲ爲シタル者ハ千圓
以下ノ罰金ニ處ス
第十四條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ
千圓以下ノ罰金ニ處ス
一第三條乃至第五條又ハ第八條乃至
第十條ノ規定ニ違反シタル者
二第六條ノ規定ニ依ル命令又ハ處分
ニ違反シタル者
三第七條ノ規定ニ依ル業務停止ノ處
分ニ違反シタル者
四正當ノ理由ナクシテ第十一條ノ規
定ニ依ル報〓ヲ爲サス若ハ虚僞ノ報
告ヲ爲シタル者又ハ同條ノ規定ニ依
ル檢査ヲ拒ミ若ハ之ヲ妨ケタル者
第十五條百貨店ノ業務ヲ營ム者ハ其ノ
代理人、戶主、家族、同居者、雇人其
ノ他ノ從業者カ本法又ハ本法ニ基キテ
發スル命令ニ違反シタルトキハ自己ノ
指揮ニ出テサルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ
免ルルコトヲ得ス
第十六條本法又ハ本法ニ基キテ發スル
命令ニ依リ百貨店ノ業務ヲ營ム者ニ適
用スヘキ罰則ハ其ノ者カ法人ナルトキ
ハ理事、取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ
執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治產
者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適
用ス但シ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能
力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ
在ラス
第十七條主務大臣ハ命令ノ定ムル所ニ
依リ本法ニ依ル職權ノ一部ヲ地方長官
ニ委任スルコトヲ得
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
重要物產同業組合法第四條但書ハ之ヲ廢
止ス
本法施行ノ期日ニ於テ現ニ營業ヲ爲ス百
貨店又ハ其ノ店舗若ハ賣場ハ本法ニ依リ
免許又ハ認可ヲ受ケタルモノト看做ス
本法施行ノ期日ニ於テ現ニ營業ヲ爲ス百
貨店ノ旣存ノ支店、出張所又ハ代理店ハ
第四條ノ規定ニ拘ラス其ノ營業ヲ繼續ス
ルコトヲ得
主務大臣ハ前二項ノ場合ニ於テ其ノ營業
繼續ニ付必要ナル處分ヲ爲スコトヲ得
本法施行ノ期日以前ニ於テ百貨店ノ本店
其ノ他ノ營業所ノ設置若ハ位置變更ニ著
手シ又ハ店舗若ハ賣場ノ新設若ハ擴張ニ
著手シタル者ハ本法ニ依リ免許又ハ認可
ノ申請ヲ爲スコトヲ要ス若シ免許又ハ認
可ヲ得ルコトヲ得サル場合ニ於テハ其レ
ニ因リテ生シタル損失ニ付政府ニ對シ補
償ヲ請求スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル補償額決定ノ方法ハ命
令ヲ以テ之ヲ定ム
〔斯波貞吉君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=80
-
081・斯波貞吉
○斯波貞吉君 百貨店法案ノ委員會ノ經過
竝ニ結果ヲ御報告申上ゲマス、此法案ハ前
ノ議會ニ於テ本院ヲ通過致シタモノト同一
ノ法案デアリマシテ、審議ノ結果可決ニ定
メラレタノデアリマスルガ、質問應答ノア
リマシタ中ニ、特ニ商品劵ノ問題ニ付キマ
シテ、商工省デ指定シテ居リマス百貨店ガ
十二ニ限ラレテ居リマスル爲ニ、其他ノ百
貨店デ此指定ヲ受ケナイモノハ、ヤハリ五
圓以下ノ商品劵ヲ賣買シテ居ルト云フコト
ニ對シテ、今後深イ注意ヲ拂ッテ貰ヒタイ
ト云フ質問ガアッタノハ、特ニ御報告申上ゲ
テ置ク必要ガアルト思ヒマス、百貨店法案
ハ二種ノ法案デアッタノデアリマスルガ、二
案ヲ修正併合致シマシテ、枡谷寅吉君ノ案
ヲ全員一致デ以テ可決シタ次第デアリマス、
御贊成ノ上速ニ可決セラレンコトヲ望ミマ
ス(拍手)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=81
-
082・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 委員長ノ報告ハ兩
案ヲ併合シテ一案ト爲シ、修正議決シタル
モノデアリマス、兩案ノ第二讀會ヲ開クニ
御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=82
-
083・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 御異議ナシト認メ
やく、仍テ兩案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマ
シタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=83
-
084・松永東
○松永東君 直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通リ
可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=84
-
085・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 松永君ノ動議ニ御
異議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=85
-
086・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 御異議ナシト認メ
やく、仍テ直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開キ、
議案全部ヲ議題ト致シマス
百貨店法案第二讀會(確定議)
百貨店法案第二讀會(確定議)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=86
-
087・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 別ニ御發議モアリ
マセヌ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告
通リ確定致シマシタ(拍手)日程第四乃至第
六ハ提出者同一ノ議案デアリマスカラ、
括議題ト爲スニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=87
-
088・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 御異議ナシト認メ
マス仍テ日程第四、市制中改正法律案、
日程第五、町村制中改正法律案、日程第六、
北海道會法中改正法律案、右三案ヲ一括シ
テ第一讀會ヲ開キマス、提出者ノ趣旨辯明
ヲ許シマス-提出者坂東幸太郞君
第四市制中改正法律案(坂東幸太郞
君外一名提出)第一讀會
第五町村制中改正法律案(坂東幸太
郞君外一名提出)第一讀會
第六北海道會法中改正法律案(坂東
幸太郞君外一名提出)第一讀會
〔坂東幸太郞君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=88
-
089・坂東幸太郎
○坂東幸太郞君 市制中改正法律案、町村
制中改正法律案及ビ北海道會法中改正法律
案ニ付テ一括シテ提案ノ趣旨ヲ辯明致シマ
ス、此三案ハ婦人ニ公民權ヲ賦與セントス
ル法案デアリマス、而シテ府縣ノ婦人公民
權ハ、町村制ガ改正セラルレバ其公民權
ヲ有スル者ハ、當然府縣ノ公民權ヲ有スル
コトニナルコトハ御承知ノ通リデアリマス、
第二次若槻内閣ノ時代、地方制度ノ一大改
革ヲ斷行シタトキ、其改正案ノ內容中ニハ、
女子ニ市町村公民權ヲ賦與スル件モアッタ
ノデゴザイマス、卽チ昭和六年二月十日、
第五十九議會ニ於テ安達內務大臣ノ婦人公
民權賦與ニ付テノ說明ノ要點ハ左ノ通リデ
アリマシタ「公民權擴張ノ第一ハ、女子ニ
市町村公民權ヲ賦與スルコトトシタコトデ
アリマス言フマデモナク、女子ヲ政治ニ
參與セシムルコトハ、我ガ國家制度ニ於ケ
ル一大革新ニ屬シ、隨テ其適否ニ付キマシ
テハ、從來幾多ノ議論ノ存スル所デアリマ
ス、惟フニ女子ノ政治ニ參與ノ事タルヤ、其理
論的考察ニ於キマシテハ、之ヲ否認スベキ理由
ニ乏シキコトハ、恐ラク疑ノ存セザル所デアリ
マスケレドモ、之ヲ現實ニ制度トシテ認ム
ルノ當否ヲ決スルニ當リマシテハ、單ナル
理論ノ外、更ニ政治ノ實際乃至社會ノ
實情ニ關シマシテ、深キ精察ヲ遂グル所ガ
ナカラネバナリマセヌ、顧ミテ我國ニ於ケ
ル現下ノ情勢ニ見マスルニ、民衆ノ政治的
覺醒著シキモノアルニ加ヘテ、女子ノ政治
參與ノ要求亦逐年熱誠ノ度ヲ增スノ狀況ニ
アリマス、隨テ此機會ニ於テ女子ニ對シ或
ル程度ニ於ケル參政ノ途ヲ開クハ、正ニ機
宜ノ措置ナリト言ハネバナリマセヌ
斯クテ女子ニ市町村公民權賦與ノ件ハ、
衆議院ハ滿場一致ヲ以テ通過致シマシタ
ガ、貴族院ニ於テ殘念ナガラ削除セラレタ
ノデアリマシタ、諸君、議員提出案トシテ
此以前ニ數囘提出セラレタコトガアリマス
ガ、皆審議未了トナッテ居ルノデアリマス、
昭和六年ニ於テスラ安達內務大臣ハ時ノ政
府ヲ代表シテ、女子ノ政治ニ參與ノ事タル
ヤ、理論的考察ニ於テハ之ヲ否認スルノ理
由ニ乏シト喝破シ、此機會ニ於テ女子ニ對
シ或ル程度ニ於ケル參政ノ途ヲ開クハ、正
ニ機宜ノ措置ナリト斷定シ、而シテ公民權
賦與ノ規定ヲ設ケタノデアリマス、然ルニ
昭和六年秋ニ起レル滿洲事件以來、政治、
外交、財政、經濟等、社會ノ情勢一變シ、
隨テ女子ノ活動ニ於テモ之ヲ倍加セザルベ
カラザル實情トナッタノデアリマス、女子亦
能ク時勢ニ關心ヲ懷キテ、公私共ニ大活躍
ヲ爲シツヽアルコトハ、正ニ隱レモナイ事
實デアリマス、例ヘバ愛國婦人會、或ハ國
防婦人會等ガ、國家ノ爲メ、社會ノ爲メ、
同胞ノ爲メ、男子ニ劣ラヌ熱意ヲ以テ奉仕
シツヽアルコトヲ直視セザルヲ得ナイノデ
アリマス、是ニ於テ現在婦人ニシテ方面委
員ニ任命サレ居ル者一千餘名、選擧肅正委
員ニ任命セラレタ者九百餘名ニ達シテ居ル
ノデアリマス
試ミニ又女子ガ勤勞ニ活動シツヽアル方
面ノ二三ノ例ヲ申上ゲルナラバ、昭和七年
末小學校〓員二十三万八千五百十五人中、
女子ハ七万四千七百四十一人ヲ算スルノデ
アリマス、又昭和八年末職工五人以上ヲ有
スル工場數ハ七万一千九百四十デアリマス
ガ、其勞働者百九十万一千九十一人デアリ
マシテ、其內譯ハ男子九十六万七千六百五
十九人、女子九十三万三千四百三十二人デ
アッテ、卽チ約相半バシテ居ルノデアリマ
ス、其他ノ方面ニ於テモ男女ノ割合ニ餘リ
大差ガナイト思ヒマス、元來選擧權ノ賦與
ノ根本條件ハ、言フマデモナク國民〓育ノ
普及デアルト思ハレマス、現在我國ノ國民
〓育ハ男女共ニ普及セラレ、又現在社會ノ
實情ニ於キマシテモ、選擧ノ時ニ於ケル候
補者選定ノ能力ハ男女大差アルモノトハ思
ハレマセヌ、殊ニ市町村ノ事務及ビ府縣會、
道會ノ事務等ハ、直接國民生活其モノデア
リマスガ故ニ、之ニ對スル關心ハ男女決シ
テ差異アルベキモノトハ思ハレマセヌ、御
承知ノ通リ現在ニ於テモ旣ニ所得稅法、商工
會議所法、或ハ農會法、家屋賃貸價格調査
會令等ニ於テ、婦人ノ一部ニ選擧權及ビ被
選擧權ヲ賦與致シマシテ、成程棄權者ノ數
ハ相當アリマスガ、極メテ公正ナル選擧權
ノ行使ヲシテ居ルト私共ハ考ヘマス
之ヲ要スルニ現時我國ハ非常重大ナル時
局ニ際會シ、國民ノ總動員ヲ以テ之ヲ打開
シ、躍進日本ノ面目ヲ發揮シ、光輝アラシ
ムルニハ、永年婦人ニ對シテ封鎖セル政治
ノ關門ノ一部、卽チ公民權ノ關門ヲ開放
シ、男女共ニ協力シテ之ニ當ラナケレバナ
ラヌト私ハ確信スルノデアリマス、ドウカ
賢明ナル諸君ニ於カレマシテハ、卽チ現在
世界各國ノ實情ニ鑑ミマシテ、又婦人ノ思
想、婦人ノ地位、婦人ノ能力ニ對シマシ
テ、男子ハ婦人ヨリ優越デアルト云フヤウ
ナ獨斷的ノ見解ヲ去リマシテ、國家ノ爲ニ
此案ニ對シマシテ愼重審議御贊成アランコ
トヲ切望致ス次第デアリマス(拍手)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=89
-
090・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 質疑ノ通〓ガアリ
やっ、之ヲ許可致シマス-宮本雄一郞君
〔宮本雄一郞君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=90
-
091・宮本雄一郎
○宮本雄一郞君 只今上程ニ相成リマシタ
地方制度改正案ニ對シマシテ二三ノ質問ヲ
致シマス、內務大臣ガ御見エニナリマセヌ
ガ、他ノ政府委員ヨリ御答辯ヲ願ヒタイト
存ジマス、尙ホ私ノ質問ハ御提案ノ方ニ對
シマシテモ一二ノ御答辯ヲ煩シタイト存ジ
マス、政府當局ニ對シマスル質問ノ事項ハ、
第一、自治體行政監督方針ノ件、第二ニハ
自治精神涵養ニ關スル件、此二ツノ問題デ
アリマス、尙ホ御提案ノ方ニ對シマシテハ、
公民權擴張ニ伴ヒ、婦人ノ公民トシテノ訓
練狀態ニ關シマシテ、此法ガ實施セラル、
場合、現在ノ町村長、其他名譽職ノ權限ノ
擴張ノ件デアリマス
先ヅ政府當局ニ御伺致シマスル質問事項
ヨリ簡單ニ其要旨ヲ申述ベマス、非常時局
ヲ打開致シマシテ、庶政一新ヲ期スルニ付キ
マシテハ、其實蹟ヲ擧グルニ、國家組織ノ
基礎團體タル自治體ニ對シテ之ヲ求ムルコ
トガ多々アラウト存ジマス、又自治體モ此
非常時ニ處スルニ大イニ負フ所ガナケレバ
ナラナイト信ズルノデアリマス、本案御提
出ノ御趣旨ヲ御伺致シマスニ、卽チ婦人ニ
公民權ヲ賦與シ、權限ノ擴張ヲ圖ルモノモ、
亦此意義ガアルト思フノデアリマス、明治
二十一年四月十七日、自治制ガ公布セラレ
マシテ以來既ニ四十九箇年、此間我ガ立憲
政治ノ眞ノ意義ガ未ダ國民ニ徹底セザルハ、
自治體監督ノ任ニ當ル歷代ノ政府當局モ、
亦若干ノ責任ガアルト信ズルノデアリマス、
自治ノ本義ハ自治制公布ノ御上諭ニ依ッテ
明カデアリマス、尙ホ其當時公表セラレマ
シタ自治制發布ノ理由書中ニ次ノ一節ガア
リマス、之ヲ申述ベマシテ、尙ホ私ノ質問
ノ趣旨ヲ少シク敷衍致シタイト存ジマス、
地方制度發布理由書ノ中ニ「今地方ノ制度
ヲ改ムルハ、卽チ政府ノ事務ヲ地方ニ分任
シ、又人民ヲシテ之ニ參與セシメ、以テ政
府ノ繁雜ヲ省キ、併セテ人民ノ本務ヲ盡サ
シメントスルニ在リ、而シテ政府ハ政治ノ
大綱ヲ握リ、方針ヲ授ケ、國家統御ノ實ヲ
擧グルヲ得ベク、人民ハ自己ノ責任ヲ分チ、
專ラ地方公益ヲ計ルノ心ヲ起スニ至ルベシ、
蓋シ人民參政ノ思想ノ發達スルニ從ッテ、之
ヲ利用シテ地方ノ公事ニ練習セシメ、施政
ノ難易ヲ知ラシメ、漸ク國事ニ任ズルノ實
力ヲ養成セントス、是レ將來憲法ノ制ニ於
テ國家百世ノ基礎ヲ立ツルノ根源タリ、故
ニ分權ノ主義ニ依リ行政事務ヲ地方ニ分任
シ、地方ノ國民ヲシテ共同ノ事務ヲ負擔セ
シメ、以テ自治ノ實ヲ全カラシムルニハ、
技術專門ノ書記若クハ常職トシテ任スベキ
職務ヲ除ク外、〓ネ地方ノ人民ヲシテ名譽
ノ爲メ無給ニシテ其職ヲ取ラシムルヲ要ス、
而シテ之ヲ擔任スルハ、其地方人民ノ義務
トナス、是レ國民タルモノ國ニ盡スノ本務ニ
シテ、丁壯ノ兵役ニ服スルト原則ヲ同フス」
トアリマス、此理由書ノ前段ニ於キマシテ
ハ、自治ハ人民ノ政治思想ノ發達スルニ從
ヒマシテ之ヲ練習セシメ、地方政治ノ難易
ヲ知ラシメ、以テ國家政治ニ從フノ實
力ヲ養ヒ、而シテ立憲政治ノ基礎ヲ作
ル次第デアリマス、自治政治ヲ發達セシ
メテ國家ノ政治ニ及ボスノ意義ハ、自
治政治ニ於テ立憲政治ノ訓練ヲ爲サシ
ムルニアルノ理由デアルト信ジマス、故
先ヅ自治精神ノ涵養ヲ圖ルコトハ、立憲政
治ノ第一要件デアリマス、憲法ヨリ一年早
ク自治制度ヲ實施致シマシタル理由ハ、其
意義ガ此點ニアルト信ズルノデアリマス、
然ルニ從來自治體ニ對スル監督官廳ノ監督
方針ハ、多ク形式ノミヲ重ンジラレマシテ、
自治精神ノ涵養ヲ圖ルコトガ甚ダ少ナカッ
タトコトヲ思フモノデアリマス、併ナガラ
往年政黨內閣當時ニ於キマシテ、政黨出身
ノ內務大臣ニ於キマシテハ、大イニ此點ニ
注意セラレマシテ、第一ニ事務ノ簡捷ヲ如
何ニ實現セシムルカト云フコトニ付キマシ
テハ考究努力セラレタノデアリマス、而シ
テ自治ノ訓練ニ重キヲ置キ、形式ノミノ監
督ガ緩和セラレントセラレタノデアリマス
ガ、前內閣ヨリ又從來ノ如キ監督方針ニ戾リ
マシタル感ガアルト思ハレルノデアリマス
私ハ自治精神ヲ涵養シ、且ツ向上セシム
ル訓練ヲ爲スニ於キマシテハ、自ラ選擧肅
正モ其實蹟ヲ擧グルコトヲ得ルト信ズルノ
デアリマス、之ニ付キマシテハ先刻決議案
モ可決セラレタノデアリマスカラ、多クヲ
申述ベナイノデアリマスガ、今囘ノ選擧ニ
關シマシテ行ハレタル肅正ハ、精神的政治
ノ訓練ヲナセシコトガ極メテ少カッタノデ
アリマシテ、形式ニ重キヲ置キマシタル結
果ガ、徒ニ違反ヲ多ク致シマシタル感ガア
ルノデアリマス、自治制發布理由書ノ後段
ニ依リマスル分權主義ハ、地方ニ責任ヲ分
チマシテ、國民ヲシテ自治ノ實ヲ行ハシメ、
而シテ其事務ヲ擔任スルニ、名譽職ヲ國民
ノ義務トシテ、兵役ニ服スル義務ト原則ヲ
同ウスルトアリマス、是レ地方ノ事業ヲ發
達セシムルハ、國家ニ盡スノ義務ナリトシ
テアリマシテ、自治ノ本義ハ此點ニアルト
信ズルノデアリマス、然ルニ自治體ノ實情
ハ、其一部ニ於キマシテ、名譽職ヲ擔任ス
ルコトヲ嫌フノ風ガアルノミナラズ、其自
治體ニ於キマシテ有力ナル公民ノ方ガ特ニ
住居ヲ轉ジ、名譽職ヲ負フコトヲ厭フノミ
ナラズ、納稅ノ義務モ其負擔額ヲ減ズベク、
輕減ヲ圖ルガ如キ擧ニ出ル者アルガ如キハ、
前途大イニ自治精神ノ涵養向上ヲ圖ルノ要
ヲ認ムルノデアリマス、之ニ關シテ政府當
局ハ大イニ考究スルコトヲ認メザルヤ否ヤ、
私ハ斯ノ如キ原因ニ付キマシテ、從來ノ監
督方針ニ於テ、名譽職ニ對シ精神的待遇ノ
少ナカリシコトヲ思フモノデアリマス、從
來町村長ニ對スル官憲ノ態度ガ之ヲ表明シ
テ居ルノデアリマス、現在町村長ハ滿二十七
箇年繼續就任ヲ致シマシテ動七等ニ敍セラ
ルヽノデアリマス、敍勳セラレマスコトハ
洵ニ有難キコトデアリマスガ、社會的ニ町
村長ノ重要ナル地位ヲ認メザル風ガアルノ
デアリマス、町村長ノ風俗ハ甚シク一般ノ文
化ニ遲レタル批評ヲ爲ス者モアルコトヲ伺ッ
テ居ルノデアリマス、町村長ノ職ニアル者
ハ別ニ精神的待遇ヲ求ムルコトヲ以テ望
ミト致シマシテ、其任ニ就イテ居ル者デハ
アリマセヌ、併シ斯ノ如ク社會的ニ町村長
ノ位地ヲ認メザルト云フコトニ付キマシテ、
之ヲ其待遇ヲ輕ンズルト云フコトハ、官憲
ガ自治體ヲ重視セザルニアルヤヲ疑フモノ
デアリマス、御提出ニ係ル地方制度改正法
律案ハ、婦人ノ方ニ對シマシテ男子同樣公
民權ヲ與フルモノデアリマシテ、自治體ノ
將來ノ監督方針竝ニ自治精神ノ涵養ヲ期ス
ルニ付キマシテ、尙ホ本改正案ニ對シ政府
當局ハ如何ナル御所見ヲ有セラルヽヤ、此
私ノ質問ノ要旨ニ對シマシテ御答辯ヲ願ヒ
タイト存ジマス
次ニ只今御提案ノ御說明ヲ伺ヒマシタ提
出者ノ方ニ御伺ヲ致シタイ、婦人ニ公民權ヲ
與ヘマシテ、大イニ自治體ノ進展ニ資セン
トスルニ付キマシテハ、全體ノ婦人ガ旣ニ
公民トシテ缺クル所ナキ訓練ヲ得テ居ルモ
ノト御認メニナッテ居ルトハ信ジマス、併シ
現在ノ實情ハ、全部ノ婦人ガ御提出ノ理由
ニ依ルガ如キコトハ、少シク疑ハザルヲ得
ナイノデアリマス、御提出ノ理由ノ中ニ、
婦人ニ參政權ヲ與ヘテアリマス所ノ現在ノ
制度ハ、多クハ之ニ納稅ノ義務ガ附帶ヲ致
シテ居ルノデアリマス、又方面委員、其他
選擧肅正委員ニ就任セラレマシタ婦人ハ、
知識程度ニ於キマシテ、一般的ニ之ヲ見ル
コトハ出來ナイノデハナイカト信ズルノデ
アリマス、之ニ對シテ御提案ノ方ノ御所見
ヲ御伺致シタイト存ジマス、尙ホ婦人ニ公
民權ヲ與ヘマシテ、自治權ノ擴張ヲ圖ルニ
付キマシテハ、一面町村長其他名譽職ノ權
限擴張ヲ圖ル事項ニ付キマシテ、改正ヲ爲
スノ要ヲ御認メニナラナカッタノデアルカ
ドウカ、此點ニ對シマシテ御提案ノ方ノ御
答辯ヲ願ヒタイト存ジマス、以上ヲ以チマ
シテ私ノ質問ノ要旨ヲ終リマス
〔政府委員男爵肝付兼英君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=91
-
092・肝付兼英
○政府委員(男爵肝付兼英君) 御答ヲ申上
ゲマス、近時市制、町村制ノ根本的改正ヲ
論ズル聲ガ漸ク高ク、曩ニ衆議院ニ於キマ
シテモ、此問題ニ付キマシテ希望意見ノ開
陳セラレタルモノガアッタノデゴザイマス、
只今御述べニナッタ町村長ノ權限擴張モ亦
改正ノ一項目デゴザイマス、思ヒマスノニ
地方自治ノ現狀ガ必シモ滿足ナモノデハナ
イコトハ、之ヲ認メナケレバナラヌヤウニ
思フノデアリマスガ、元來地方自治制ノ改
革ハ事極メテ重大デアリマスコトハ申ス迄
モナイコトデアリマシテ、又是ガ改革ヲ論
ズル者ノ間ニハ、其意見ガ相當區々ニ亙リ
必シモ一ニ歸シテ居ナイノデアリマス、故
ニ政府ト致シマシテハ、此問題ニ付キマシ
テハ十分ニ問題ノ所在ヲ究明致シマシテ、
制度ノ上ニ於テ改ムベキモノガアルナラバ
之ヲ改メ、運用ノ上ニ於テ正スベキモノガ
アルナラバ之ヲ正シタイト考ヘテ居リマス、
殊ニ地方自治ノ運營ニ付キマシテ相當指導
ノ方法ヲ講ジマシテ、地方民ノ公民的〓化、
自治的訓練ニ力ヲ致シマスナラバ、之ニ依リマ
シテ或ル程度ノ效果ヲ擧ゲ得ルモノデハナイ
カト考ヘルノデゴザイマス、是等ノ點ハ十分
ニ調査〓究致シマシテ、地方自治ノ刷新向上
ノ爲ニ最善ノ方法ヲ講ジタイト考ヘテ居リ
マス
次ニ市町村吏員ノ優遇方法ニ關シマシ
テノ御質問ニ御答ヲ致シマス、此點ニ付キ
マシテハ、議會ニ於キマシテモ建議セラ
V、又町村長會等カラモ屢,意見ノ提出
ガゴザイマシタ、當局ト致シマシテハ夙ニ
之ニ對シマシテ愼重考究ヲ怠リマセズ、漸
次是ガ實現ニ努メツヽアルノデゴザイマス、
更ニ適切有效ナル優遇方法ヲ得タイト、現
ニ關係當局トモ銳意協議ヲ致シテ居ルヤウ
ナ次第デゴザイマス、次ニ市町村制中選擧
權被選擧權及ビ公民權ニ關スル規定ヲ改
正シテ、先ヅ地方制度ヨリ女子ニ選擧權及
ビ被選擧權ヲ認ムベシトスルコトニ付キマ
シテハ從來ヨリ屢〓唱ヘラレテ居ル所デ
アリマシテ之ニ對シマシテハ固ヨリ贊成論
モゴザイマスルガ、又他面ニ於キマシテ或
ハ根本論トシテ、或ハ時期ノ問題等ニ付キ
マシテ、相當ニ議論ノ存シマスルコトハ旣
ニ皆樣御承知ノ通リデゴザイマス、隨ヒマ
シテ政府ト致シマシテハ、地方制度全般ノ
問題ノ一部門トシテ、尙ホ〓究ヲ要スル問
題ト考ヘマスルガ故ニ、今直チニ之ニ對シ
テ贊意ヲ表シ兼ネル次第デゴザイマス、以
上ヲ以テ御答ト致シマス(拍手)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=92
-
093・坂東幸太郎
○坂東幸太郞君 簡單デアリマスカラ、此
處デ答辯スルコトヲ御許願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=93
-
094・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 許可致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=94
-
095・坂東幸太郎
○坂東幸太郞君 先程提案ノ理由說明中ニ
申上ゲマシタ通リ、旣ニ昭和六年ニ於キマ
シテ衆議院ガ滿場一致ヲ以テ通シタ案デア
リマスカラシテ、時勢ノ進步變遷シマシタ
今日、當然其時期デアルト私ハ信ジテ居リ
やく、其他ノ點ニ付キマシテハ、今肝付內
務參與官ノ答辯シタノト同樣デアリマス、
之ヲ以テ答辯ト致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=95
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096・宮本雄一郎
○宮本雄一郞君 簡單デアリマスカラ、自
席カラ御許ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=96
-
097・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 許可致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=97
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098・宮本雄一郎
○宮本雄一郞君 自治制度ノ將來ニ對シマ
シテ、極メテ重要ナル法案ガ議題トナリマ
シタ際、内務大臣ノ御出席ノナイコトヲ私
ハ頗ル遺憾ト致シマス、私ノ質問ノ要旨ハ、
從來ノ政府ガ自治體ニ對スル監督方針ニ對
シテ、自治精神ヲ涵養スルコトガ少カッタノ
デハナイカト云フコトガ、質問ノ主ナル要
旨デアリマス、是ハ他ノ機會ニ於キマシテ内
務大臣ニ質問ヲ致スコトト致シマシテ、之
ヲ以チマシテ質問ヲ打切リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=98
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099・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 質疑ハ終局致シマ
シタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=99
-
100・松永東
○松永東君 日程第四乃至第六ノ三案ハ、
一括シテ政府提出、土地賃貸價格改訂法案
委員ニ併セ付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=100
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101・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 松永君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=101
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102・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程
第七、軍事救護法中改正法律案ノ第一讀會
ヲ開キマス、提出者ノ趣旨辯明ヲ許シマ
ス-提出者升田憲元君
第七軍事救護法中改正法律案(升田
憲元君提出)第一讀會
軍事救護法中改正法律案
軍事救護法中左ノ通改正ス
「軍事救護法」ヲ「軍事保護法」ニ改ム
第一條及第五條乃至第十八條中「救護」ヲ
「保護」ニ改ム
第一條乃至第五條、第九條乃至第十二條、
第十四條及第十五條中「下士兵卒」ヲ「下
士官兵」ニ改ム
第三條第一項第一號中「又ハ子」ヲ「、子、父
母又ハ兄弟姉妹」ニ、同項第二號中「引續
キ之ト同一ノ家ニ在ル者」ヲ「引續キ之ト
同一ノ家ニ居住セル者」ニ改ム
第四條第一號中「傷病兵ノ配偶者又ハ子
ニシテ」ヲ「傷病兵ノ配偶者、子、父母又
ハ兄弟姉妹ニシテ」ニ、同條第二號中「引
續キ之ト同一ノ家ニ在ル者」ヲ「引續キ之
ト同一ノ家ニ居住セル者」ニ改ム
第五條第一項中「生活スルコト能ハサル
者」ヲ「生活困難ナル者」ニ改ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ改ム
〔升田憲元君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=102
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103・升田憲元
○升田憲元君 軍事救護法ハ御承知ノ如ク
現役軍人及ビ應召軍人ガ、其家庭ノ妻子父
母弟妹等ガ貧困ノ爲ニ、如何ナル生活ヲシ
テ居ルカト云フコトヲ案ズルガ爲ニ、士氣
ヲ沮喪スルコトガ往々ニシテアリマスノデ、
之ヲ防イデ後顧ノ憂ナク、安ンジテ兵役ノ
義務ヲ盡サシムルト云フノガ第一ノ目的デ
アリマス、第二ノ目的ハ、此傷病兵及ビ其
傷病兵ノ家族ニシテ、貧困ノ爲ニ生活ノ維
持ガ出來ナイト云フヤウナ者ニ對シテ、之
ヲ救護シテヤル、サウシテ過去ノ戰役ニ於
ケル所ノ功績又ハ公務ニ對スル功勞ニ酬ユ
ルト云フコトデアリマス、更ニ第三ノ目的
ハ、從來兵役ノ義務ニ服スル者ニシテ、現
役軍人及ビ應召軍人ノ家族又ハ傷病兵、若
クハ其遺家族ノ悲慘ナル生活ノ現狀ヲ見マ
シテ、ソレガ爲ニ往々ニシテ兵役ヲ忌避ス
ル者ガ出テ來テ居リマスノデ、ソレヲ此法
律デ以テ防止シテ、寧ロ進ンデ兵役ノ義務
ニ就カシムルト云フヤウナ目的デ出來タノ
デアリマス
是ハ軍事上ノ救護問題ニ付テ大正四年カ
ラ五年ニ掛ケマシテ、院外ニ猛烈ナル運動
ガ起ッテ、衆議院ハ其院外ノ聲ヲ聞イテ大イ
ニ之ニ同情シ、各政黨ガ共同提案ヲシテ其
法律案ヲ第三十七議會ニ於テ通過サセタノ
デアリマス、其通過サセタ所ノ案ニ準ジテ此
改正案ヲ私ハ出シタノデアリマスガ、此法
律案ノ提出者ハ矢島八郞氏外十六名デアリ
マシテ、贊成者實ニ百十名ヲ算ヘテ居ッタ
所ノ軍事上及ビ社會政策上重大ナル法律案
デアッタノデアリマス、私モ其時ノ案ニ付テ
議員諸君ニ多少ノ參考意見ヲ述ベタ關係ガ
アリマス、續イテ其法案ガ衆議院ヲ通過シ
マシタケレドモ、貴族院ニ於テハ之ニ關聯
シク所ノ兵役稅法案ニ反對シタ爲ニ、此案
モ同一委員ニ付託セラレタノデ、案ノ内容ガ
稍〓同一ノ目的ヲ持ッテ居ルガ爲ニ、到頭之ヲ
二月二十六日ニ貴族院ヘ衆議院カラ囘付サ
レテ居タニ拘ラズ、全ク審議未了ニ終ラシ
テ此案ヲ葬ッタ所ノ沿革ガアルノデアリマ
ス、ソレハ此軍事救護法ニ反對シタノデナ
クシテ、兵役稅ト云フモノニ對シテ、アノ
案ノ內容ガ、貴族トカ、富豪トカニ對シテ
兵役ヲ免レタル者ニ對シテハ、相當ノ重キ
租稅ヲ課スルト云フコトニナッテ居タノデ、
之ニ反對シタ爲ニ、之ヲ一〓ニ握潰シタノデ
アリマス、所ガソレカラ院外ノ運動ハ益〓盛
ニナリマシテ、遂ニ第三十八議會ニ於キマシ
テハ、更ニ此議會ハ提案シマシタケレドモ、議
會ガ解散ノ爲ニ院議ニ上ラナカッタノデアリ
マスガ、第三十九議會、卽チ特別議會ニ於テ
政府ガ提案ヲスルノ餘儀ナキニ至ッタノデア
リマス、其提案ノ當時、私ガ內務省ニ居リマ
シタ爲ニ此立法ニ參與シテ、其當時大イニ議
論ヲ鬪ハシタノデアリマスガ、此傷病軍人
又ハ遺家族ヲ眞ニ軍人的立場カラ救護スル
ト云フ方ノ派ト、從來ノ關係上內務省ハ貧
民救助ヲヤッテ居ッタ所ノ慣習ガアリマスル
カラ、其頭ニ支配サレテ、之ヲ貧民救護ト同
ジヤウナ意味ニ取扱ハウト云フノト、二ツ
ノ對立ガアリマシテ、結局中庸案ニナッテ、
到頭此案ガ議會ヲ通過シタノデアリマス、
爾來約二十年間、其間大イニ之ヲ改正スベ
キ點ガ生ジテ來マシタニモ拘ラズ、何故カ
社會局ニ於キマシテモ之ヲ改正シナイ、肝
腎ナ軍部ノ方面デモ、常ニ財政ガ困難デア
ルカラト云フヤウナコトヲ言ッテ、今日マデ
之ヲ改正シナイノデアリマス、此事ニ付キ
マシテハ最近モ私ガ軍部ノ方面ニ迫ッタノ
デアリマスルガ、ヤハリ同樣ナコトヲ言ッ
テ、直チニ此改正ニ著手シヨウト云フコト
ヲ言ハナイノデアリマスルカラ、已ムヲ得
ズ本員ガ此案ヲ提案スルニ至ッタノデアリ
マス、是ハ實ニ軍事上及ビ社會政策上ノ重
大ナル法案デアリマシテ、所謂軍事上ノ社
會立法トモ申スベキ所ノモノデアリマスガ、
今日ノ此救護法ニ依ッテハ救ハルベクシテ
救ハレザル所ノ人間ガ非常ニ多數ニアル、
昭和九年度ニ於キマシテ全國ノ此軍事救護
法ニ依ッテ救ハレタ所ノ人々ハ、其數ガ實
ニ十万五千七百七十二人ト云フ所ノ多數ニ
及ンデ居ル、然ルニ此以外ニ於テ、私ガ只
今提案シテ居ル所ノ改正法ニ依リマスト、
此法律デ救ハレル所ノ者ハ、實ニ略〓是ト
同等ノ數ガアルノデアリマス、サウシテ是
等ノ者ハ當然悉ク救フベキ者デアルニ拘ラ
ズ、徒ニ此法律ヲ嚴重ニ制限シテ居ル爲ニ、
到頭斯ウ云フ缺陷ヲ生ジタノデアリマス、
ソコデ此ノ改正案ノ內容ニ付テ極メテ簡單
ニ申シマスルト云フト、第一ニ、此軍事救
護法ト云フ名稱ヲ、軍事保護法ニ改メナケ
レバナラヌト云フコトハ、此ノ救護ト云フ
文字ハ其當時カラ非常ニ反對ガアッタ、所ガ
又後ニ昭和四年ニ救護法ヲ制定シマシタガ、
此救護法ト云フモノハ御承知ノ如ク貧民救
助デアル、故ニ此救護ト云フ名前ガ惡イ爲
ニ、軍人ノ如キ軍隊〓育ヲ受ケタ者ハ、所
謂武士ハ食ハネド高楊枝ト云フコトヲ常ニ
〓ヘラレテ居ルノデ、サウ云フヤウナ關係
デ、何カ救護ヲサレルト云フコトヲ恥ヂテ、
如何ニ苦シクテモ此名稱ニ拘泥シテ、此救
護ヲ願出ナイ者ガ頗ル多數デアルノデアリ
マス、是ノ救護法ト云フコトハ、此立法
ノ當時カラ色々議論ガアッタノデアリマス
ルガ、適當ナ名前ガナイ爲ニ救護法ト云フ
コトニシマシタガ、是ハ宜シク軍事保護法
トスベキモノト本員ハ考ヘテ居ル次第デア
リマス、ソレカラ其他ノ細部ノコトハ省略
シマシテ、此被教護者ノ範圍ノ擴張ニ付テ
一寸申シマスルト云フト、此第三條ノ第一
項第一號ノ中ニ、配偶者ト子ダケヲ規定シ
テ居ッテ父母、兄弟、姉妹ト云フ者ハ忘レテ
居ル、此父母、兄弟、姉妹ト居フ者ヲ除ク
ト云フコトハ、其當時モ色々議論ガアリ
マシタケレドモ、結局財政上ノ理由デ
之ヲ省イタノデアリマスケレドモ、斯
ル救護ハ兄弟、姉妹ハ別トシマシデ
モ、父母ヲ除クト云フヤウナコトハ、家
族制度ヲ以テ立ツ所ノ我國ノ良風美俗ニモ
反スル所ノ缺陷ガアルノデアリマス、足以
是非トモ配偶者及ビ子ト同樣ニ救護スベキ
所ノ必要ガアルト思フ、ソレカラ更ニ其第
四條ノ第一號及ビ只今ノ第三條ニモアリマ
スルガ、「同一ノ家ニ在ル」ト云フコトヲ規
定シテアル點デアリマス、「同一ノ家ニ在
ル」ト云フコトハ、卽チ同一戶籍內ニアル
ト云フコトデアリマスルガ、是ハ色々ノ事
情デ內緣ノ妻トナッテ居ル者、或ハ實際ノ子
デアッテモ、私生子トシテ取扱ハレテ居ルト
云フヤウナ者ノ中ニ、此法ニ縛ラレテ實際
ニ救護ヲ受ケナイ者ハ非常ニ多數ニアル、
故ニ私ハ此「家ニ在ル」ト云フコトハ一〇〇六〇
居住セル者」ト云フヤウニ訂正シタイト思
フノデアリマス、ソレカラ更ニ第五條第一
項ニ「生活スルコト能ハサル者」トアリマス
ルノヲ「生活困難ナル者」ト云フコトニ改メ
タイ、是ハ理解ナキ所ノ官公吏ガ、此「生
活スルコト能ハサル者」ト云フコトヲ楯ニ
取ッテ、色々ノ理由ヲ言ウテ容易ニ此被救護
者ニ入レナイノデアリマス、例ヘバオ前ノ
所デハ親類ガ相當ニ幕シテ居ルヂヤナイ
カ、サウスレバ親類ノ方ノ援助ヲ得レバ食
フコトガ出來ル、或ハオ前ノ所ハヤハリマ
ダ家ヲ持ッテ居ル、多少田地ヲ持ッテ居ルヂ
ヤナイカ、大分借金ハ負ウテ居ルラシイケ
レドモ、併シソレヲ賣レバ又多少食ッテ行
ケルヂヤナイカ、ソレデハ「生活スルコト
能ハサル」ト云フコトニ入ラヌノダカラ救
護スルコトハ出來ナイト云フヤウナ非常識
ノコトヲ言フ者ガアルノデアリマスガ、斯
ウ云フヤウナコトヲ言フ例ハ他ニモザラニ
アル、東京ニ於キマシテモ二三年前多數ニ
動員セラレタ結果、應召サレタ所ノ在〓軍
人ノ家族ニモ、サウ云フコトデ救ハレナカッ
タノガ相當ニアッタコトヲ、私ハ芝區ノ在〓
將校團長ヲシテ居ル關係カラ承知シタノデ
アリマス、ソレデアリマスルカラ、是ハ「生
活困難ナル者」ト云フコトニ改メタイト思
フ、尙ホ細カイコトハ委員會ニ於テ說明致
シタイト思ヒマスルガ、兎ニ角此法案ニ對
スル當局ノ熱意ノ足ラザルコトヲ私ハ稍〓
遺憾トスルモノデアル、如何ニ軍備ヲ擴張
シテ精巧ナル兵器ヲ作ッテモ、是等人々ノ間
ニ士氣ヲ沮喪スル所ノ多數ノ兵隊ガ居リマ
シタナレバ、結局如何ニ精銳ナル武器デモ、
是ガ使用價値ヲ減ズルコトニナル、此點ヲ
今少シク考ヘテ戴イテ十分ニ改正ヲシテ貰
ヒタイト思フ、何卒此改正案ノ趣旨ヲ體シ
テ御贊成アランコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=103
-
104・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 質疑ノ通〓ハアリ
マセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=104
-
105・松永東
○松永東君 本案ハ政府提出、不穩文書等
取締法案委員ニ併セ付託セラレンコトヲ望
ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=105
-
106・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 松永君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=106
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107・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=107
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108・松永東
○松永東君 此際暫時休憩セラレンコトヲ
望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=108
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109・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 松永君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=109
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110・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ暫時休憩致シマス
午後三時五十分休憩
午後九時五十五分開議発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=110
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111・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 報〓ヲ致サセマス
〔書記官朗讀〕
一今二十三日貴族院ヨリ囘付アリタル政府
提出案左ノ如シ
臺灣拓殖株式會社法案発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=111
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112・富田幸次郎
○議長(富田幸次郞君) 休憩前ニ引續キ會
議ヲ開キマス、明二十四日ハ會期終了日デ
アリマスカラ、先例ニ依リマシテ午前十時
ヨリ本會議ヲ開キマス、議事日程ハ公報ヲ
以テ通知致シマス、本日ハ是ニテ散會致シ
マス
〔拍手起ル〕
午後九時五十六分散會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=006913242X01519360523&spkNum=112
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