1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
軍事救護法中改正法律案（政府提出）
北海道舊土人保護法中改正法律案（政府提出）
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會議
昭和十二年二月二十七日（土曜日）午後一時三十八分開議
出席委員左の如し
委員長 川島正次郎君
理事 手代木隆吉君 理事 八角三郎君
堀内良平君 岡田喜久治君
升田憲元君 中村又一君
石坂豐一君 齋藤直橘君
南條徳男君 林路一君
松本治一郎君 前田幸作君
同日委員武知勇記君、添田敬一郎君、中崎俊秀君、寺島權藏君、青木亮貫君及北勝太郎君辭任に付其の補闕として升田憲元君、堀内良平君、齋藤直橘君、古藤増治郎君、高木粂太郎君及前田幸作君を議長に於て選定せり
出席政府委員左の如し
法制局參事官兼内閣恩給局長 樋貝詮三君
社會局長官 廣瀬久忠君
社會局部長 山崎巖君
北海道廳長官 池田清君
陸軍次官 梅津美治郎君
陸軍少將 山脇正隆君
陸軍騎兵大佐 石本寅三君
海軍次官 山本五十六君
海軍主計大佐 山本丑之助君
本日の會議に上りたる議案左の如し
軍事救護法中改正法律案（政府提出）
北海道舊土人保護法中改正法律案（政府提出）発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=0
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001・川島正次郎
○川島委員長 是ヨリ會議ヲ開キマス、昨
日ニ引續キマシテ北海道舊土人保護法中改
正法律案ニ關スル質疑ヲ繼續致シマス-
林路一君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=1
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002・林路一
○林委員 今囘ノ改正案ハ大體從來要望セ
ラレテ居リマシタ所ノ、大部分ヲ取入レテ
アルノデアリマスカラ、其趣旨ハ適當ナモ
ノデアラウト考ヘテ居リマス、唯私ハ本法
ノ第四條乃至第七條ノ救護施設ヲ致シマス
ル、其費用ノ財源ニ供セラレル舊土人ノ共
有財產管理ニ付テ、二三御伺ヲ致シタイノ
デアリマス、共有財產ハ多ク土地デアラウ
ト思フノデアリマスガ、土地ノ管理及ビ其
收益ヲ圖リマスルコトハ、單ニ貸主ノ立場
デアリマスル共有財產管理者側ノミノ關係
ヲ考ヘルバカリデナク、其相手方デアル賃
借人ノ利益ヲモ、保護シナケレバナラヌ事
情ガアルノデアリマスカラ、此土地ノ管理
ト云フコトハ中々容易ナコトデハナイト思
フノデアリマス、ソコデ先ヅ御伺シタイコ
トハ、現在ノ共有地ノ中デ都市ノ區域ニア
ルモノ、又ハ都市ノ近郊ニアリマスルモノ
デ、相當之ヲ金ニ換ヘルナラバ、巨額ナ金
ニ換へ得ルモノハ、之ヲ賣却致シマシテ、
有價證劵等ニ換へテ管理スルコトガ簡便デ
ハナイカト思フノデアリマス、又其方ガ共
有財產ト致シマシテモ、利益デハナイカト
思フノデアリマスルガ、此點ニ付テハドウ
云フ工合ニ御考ニナッテ居ルノデアリマセ
ウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=2
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003・池田清
○池田政府委員 現ニ都市ニアル共有地ト
シマシテハ旭川ニ約八十町步ノ田畑、宅地
等ガアリマスルガ、之ヲ金ニ換ヘ、或ハ有
價證劵ニスルナリ、若クハ金ヲ銀行ニ預ケ
ルナリスルコトハドウカト云フ御意見デア
リマスルガ、都會地ニ於ケル斯樣ナ共有地
竝ニ都會ノ近郊ニアル共有地ノ如キハ、其
都市ノ發展ニ從ッテ段々地價ガ騰ッテ參リマ
ス、時ニ依ッテハ或ハ之ヲ賣却シテ寧ロ現
金ナリ、或ハ有價證劵ニスル方ガ、有利ヂ
ヤナイカト思ハレルヤウナ時モアリマスル
ガ、併シ又其都市ノ發展ノ狀況ニ依ッテハ、
ドノ位地價ガ騰ッテ行クカ、將來ハ相當値上
リガアリサウダト云フヤウナ場合モアルノ
デアリマシテ、之ヲ一〓ニ賣却シテ有價證
劵ナリ現金ニスル方ガ宜イト云フ風ニハ論
ゼラレヌノデアリマスガ、唯旭川ノ今ノ八
十町步ノ土地ニ付キマシテハ、管理ニ付テ
モ相當面倒デアリマスルシ、行ク〓〓ハ土
地ノ狀況ヲ見テ是ガ換價シタ方ガ宜イ、又
土人保護ノ爲ニ結局此方ガ宜イト云フコト
ニナレバ、サウ云フ風ニ致シテ見タイト、
斯樣ナ考ヘデ居ルノデアリマス、是モ將來
ノコトデアリマシテ、只今左樣ナ考ヲ持ッテ
居ルヤウナ次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=3
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004・林路一
○林委員 旭川市ニアリマスル八十町步ノ
共有地ニ付テハ、只今モ北海道長官ノ仰セ
ノ通リニ、賃借人トノ關係ガ大分厄介ノヤ
ウデアリマス、隨テ此賃借人トノ關係ニ付
テ當局ノ今日御考ヘニナッテ居ル點ヲ伺ヒ
タイノデアリマスルガ、第一ニアノ共有地
ハ、元現在賃借致シテ居リマスル者ガ、未
開草莽ノ地ヲ開拓シテ來タノデアリマス、
然ラザレバ開拓サレタモノヲ、相當巨額ノ
權利金ヲ支拂ッテ、賃借權ヲ得テ居ルノデア
リマス、隨テ現在ノ賃借人ハ、其權利ヲ相
當ニ認メテヤラナケレバナラヌ、茲ニ一方
ニ於テハ地價ノ値上リニ依ル利益ヲ收メヨ
ウトスル爲ニモ、亦年々收益ヲ增加セシム
ル爲ニモ、當局トシテハ非常ナ御苦心ガア
ラウト思フノデアリマス、固ヨリ舊土人保
護ノ目的ノ爲ノ共有地デアリマスルカラ、
之ヲ有利ニ處分シ、有利ニ使用收益スルト
云フコトガ、其主ナル目的デアリマスケレ
ドモ、其目的ヲ達スルコトニ急ナルガ爲ニ、
相手方デアル現在ノ賃借人ニ對シテ、大ナ
ル不安ヲ與ヘルト云フコトデアッテハナラ
ヌノデアリマス、隨テ此農耕地トシテ賃貸
致シテ居リマスル此關係ハ舊土人保護ナル
ガ故ニ、特ニ賃借人ノ立場ヲ不利ナラシメ
ルヤウナ管理ノ方法ヲ執ラレタノデハ、其
賃借人ハ洵ニ窮境ニ立ツノデアリマスルカ
ラ、此點ノ調和ヲ十分御考ヲ願ヒタイノデ
アリマス、ソコデ伺ヒタイコトハ、アノ八
十町步ノ共有地ノ賃借權ト云フモノガ、今
日迄相當ノ價格デ賣買取引セラレテ居ッタ
ト云フ其事實ヲ御認メニナッテ居リマスル
カドウカ、此點ヲ御伺シタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=4
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005・池田清
○池田政府委員 御答致シマス、御話ノ通
リアノ旭川ノ八十町步ノ賃借人ハ、未開ノ
土地ヲ開イタ者モアリマスルシ、又開イタ
土地ヲ高ク讓受ケテ借リタ者モアリマスル
シ、之ニ付テハ右樣ノ次第デアリマスカラ、
管理者タル道廳ニ於テモ其賃借人ノ立場利
益ニ付テハ十分ニ考ヘテ居ル次第デアリマ
ス、其爲ニアノ八十町步ノ畑ナリ、或ハ田
ナリ宅地ナリ、是等ノ貸賃ハ周圍ノ土地ニ
較ベテ餘程安ク致シテアリマス、是ハ全ク
賃借人ノ今迄ノ事態ヲ考慮シタ結果デアリ
マシテ、最後ニ御話ノ權利ノ賣買ガ行ハレ
タト云フコトハ認メテ居リマス、隨テ之ニ
關シテハ將來是等ノ土地ニ付テ處置ヲスル
際ニ同樣考慮シテ行キタイ、斯樣ニ考ヘテ
居ルヤウナ次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=5
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006・林路一
○林委員 最近此共有地ノ賃貸料ヲ三割値
上ヲセラレタサウデアリマス、其値上ヲス
ルコトノ適否ハ私知ル所デアリマセヌガ、
凡ソ農耕地ノ賃貸料ヲ値上スル場合ニ、單
ニ一方的ノ見地カラ之ヲ斷行シマスルト、
ソコニ色々ノ紛爭ガ起ルノデアリマス、適
當ノ機關ヲ設ケ或ハ耕作者ノ意見ヲ聽ク等
ノ方法ニ依リマシテ、圓滿ニ値上ヲ遂行ス
ルト云フ途ガアラウト思ヒマスルガ、唯道
廳當局ノ御認定ニ依ッテ、サウシテ常ニ賃貸
料ハ値上ヲセラルヽ虞ガアル、殊ニ旭川市
ノ發達ニ連レテ、其區域內ニアリマスル農
業地ハ、一般ニ値上ノ傾向ニ置カレルノデ
アリマスカラ、此共有地ハ先ヅ其運命ヲ脫
スル譯ニ參リマセヌガ、併シ其値上ニ於キ
マシテハ、耕作者ノ大ナル怨嗟ノ聲ヲ聞カ
ヌヤウニシテ戴キタイト思フノデス、此値
上ガ如何ニモ一方的ノ認定ニ基クモノデア
ルト云フ一例トシテ申上ゲタイノデアリマ
スガ、聞ク所ニ依ルト、農耕地ノ中ニ農業
上必要ナル建物ヲ建テヽ居ル、及ビ其住宅
ヲ建テヽ居ル、卽チ農家ノ住宅及ビ其附屬
建物、サウ云フ建物ノ存在致シテ居リマス
ル所ヲ宅地トシテ、恰モ市街宅地ノ如ク月
賃卽チ每月坪ニ付テ幾ラト云フヤウナ計
算デ賃料ノ更正ヲセラレタト云フコトデア
リマスガ、斯樣ナヤリ方ト云フモノハ、殆
ド農業地ノ小作料ヲ下ゲマス場合ニ其例ヲ
見ナイ所デアリマシテ、多クハ農業用ノ建
物及ビ住宅ノ建ッテ居リマス所デハ、北海道
ニ於テハ畑ト同樣ナ賃料ヲ取ル、是ガ一般
ノ慣習デアリマス、然ルニ特ニ此處ダケハ
宅地ノ賃料ヲ取ラレテ居ル、是ハ北海道ノ
農地ノ賃貸ノ慣習カラ離レテ居ルモノデア
リマシテ、特ニ目立ツノデアリマス、又見
樣ニ依ッテハ如何ニモソレハ小作者ニ對シ
テ苛酷デハナイカ、斯樣ニ考ヘラレルノデ
アリマス、此點ニ付テモ十分御考慮願ヒタ
イノデアリマスガ、之ニ付テハ別段御答辯
ヲ求メマセヌ
次ニ伺ヒタイコトハ、道路其他公益上ノ
必要ニ依ッテ賃貸地ノ引上ヲ致シマス場合
ニ、無償ヲ以テ引上ゲテ居ラレル、無論其
公益事業ガ地元ノ市ニ於テ費用ヲ負擔致シ
マスル仕事デアルナラバ、其市ガ費用卽チ
土地引上ノ補償ヲ致シマセヌ爲ニ、貸主デ
アリマス所ノ共有財產管理者トシテハ、無
論補償ノ財源ガナイト云フコトニナルノデ
アリマセウガ、併ナガラ農民ガ其耕作地ヲ
假令公益上ノ必要ニ依ルトハ言へ、無償ヲ
以テ引上ゲラレル、何時デモ引上ゲラレル
ト云フ所ニ非常ナ不安ガアルノデアリマ
ス、隨テ公益上ノ必要ガアル場合ト雖モ、
其公益事業ヲ營ミマスルモノガ、斯樣ナ場
合ニアッテハ、相當ノ費用ヲ負擔ヲサセテ、
ソレヲ以テ卽チ耕作者ニ補償ヲシテヤルト
云フコトガ適當デハナイカト思フノデアリ
マス、是ハ此法案トハ直接ノ關係ハゴザイ
マセヌガ、政府ヨリ本議會ニ提出サレテア
リマスル農地法案、此法案ガ通過シ成立ス
ルカドウカト云フコトハマダ分リマセヌ
ガ、此農地法案ガ成立致シマシタ曉ニ於テ
ハ、舊土人保護法ニ依ル共有財產ト雖モ、
ヤハリ此農地法ノ支配ヲ受ケルコトニナル
ト思フノデアリマス、農地法ニハ明ニ土地
ノ引上ヲ爲ス場合ニ於テハ其地上權或ハ作
株ト申シマスカ、其權利ニ對シテ相當ノ補
償ヲシナケレバナラヌト云フコトガ明ニ規
定サレテアルノデアリマス、隨テ今日以後
假令公益上ノ必要ニ依ッテ引上ヲ致シマス
場合ニ於テモ、相當ノ補償ヲ爲スベキモノ
デアルト云フ工合ニ、此共有財產ニ付テモ
御考ニナルコトガ適當デハナイカト思フノ
デアリマスルガ、之ニ付テノ御考ヲ承ッテ置
キタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=6
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007・池田清
○池田政府委員 借地ノ値上ヲ一方的ニス
ルト云フコトハ、怨嗟ノ聲ガ起ルノデ、左
樣ナコトハ困ルト云フヤウナ意味ノ御話デ
アリマス、是ハ愼重ニ協議ヲシテ決メタノ
デアリマス、御承知ノ通リアノ共有財產ノ
管理ニ付キマシテハ、道長官ガ責任ヲ以テ
ヤッテ居ルノデアリマスガ、此管理ノ方法ト
致シマシテハ、重要ナ事項ニ付テハ旭川市
長、稅務監督局長、方面委員、ソレカラ「アイ
ヌ」ノ學者、ソレカラ共有地ノ地主、ソレ
カラ土人ノ代表者デ以テ委員會ヲ組織シ、
之ニ重要ナ事項ヲ諮問ヲシテ決メルト云フ
コトニナッテ居ルノデアリマス、此度ノ値上
ニ付テモ、ヤハリ此委員會ニ諮問ヲシテ、
是ガ適當デアルト云フコトデ決定致シタコ
トヲ通知ヲ致シタヤウナ次第デアリマシ
テ、普通ノ意味ノ一方的ニ決定ヲスルト云
フノデハアリマセヌ、斯樣ナ色々ナ方面ノ
人ノ意見ヲ聽イテ、而モ關係方面ノ人達ノ
意見モ聽イテ居ルヤウナ次第デアリマス、
若シ怨嗟ノ聲ガアルトスルナラバ、ソレハ
考へ違ヒヲシテ居ル向デハナイカト、斯樣
ニ思フノデアリマス、併ナガラ實行ニ當ッテ
ハ、出來ルダケ左樣ナ聲ノナイヤウニ致シ
タイト存ジテ居ル次第デアリマス
次ニ道路ノヤウナ公共ノ用ニ供スル爲ノ
施設ヲスル場合ニ、借地ヲ無償デ引上ゲル
ト云フコトハ、其借地人ヲ不安ニ陷ラシメ
ルカラ、洵ニ困ルト云フヤウナ御話デアリ
マスルガ、是ハ從來モ屢行ハレ、北海道ノ
特殊事情トシテ實施致シテ來タヤウナ次第
デアリマス、殊ニ此土地ハ共有地デアリマ
スルカラ、其土地竝ニ附近ノ者ノ用ニ供サ
レ、所謂公共ノ用ニ供サレル道路ヲ造ルニ
當ッテハ、無償デモ亦是レ已ムヲ得ナイカト
モ思フノデアリマス、唯是ガ財源ノ餘裕ガ
アッテ、補償ガ出來レバ洵ニ結構ト思フノデ
アリマスガ、御承知ノヤウナ狀態デアリマ
シテ、到底補償ヲ致スト云フコトハ出來ナ
イカト考ヘテ居ルヤウナ次第デアリマス、
御承知ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=7
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008・林路一
○林委員 只今ノ御答ノ中ノ賃貸料ヲ値上
セラレマシタ其方法、手續ニ付テハ、其通
リデアリトスルナラバ、之ニ對シテ怨嗟ノ
聲ヲ放ツト云フコトガ間違ッテ居ルト思フ
ノデアリマスガ、併シ今申上ゲマシタヤウ
二、農家ノ宅地ノ賃貸料ヲ市街ノ宅地ノ如
ク、坪幾ラデ取立テルト云フヤウナコトハ
是ハ都市ノ區域內ニアリマスルカラ左樣ナ
査定ヲセラレルノデアリマセウケレドモ、
是等一般ノ農業地ニ對スル考ヘ方ト非常ニ
懸ケ離レテ居ルノデアリマスルカラ、今後
是等ノ點ニ付テハ相當御考慮ヲ願ヒタイノ
デアリマス、公益上ノ必要ニ依ッテ賃貸地ノ
引上ヲ致ス場合ノ補償ニ付テハ、從來ノ北
海道ノヤリ方ハ無償ト云フコトガ殆ド原則
ニナッテ居リマス、併ナガラ今日ノ時代ハ、
農地法ト云フモノヽ施行ヲ必要トスル時代
ニ相成ッテ居リマスルカラシテ隨テ無償ヲ
以テ耕作地ヲ取上ゲルト云フヤウナコトハ
一番農家ニ取ッテ不安ナコトデアリマスル
カラ、之ニ付テハ今日迄ノ經過ハ如何ニア
リマセウトモ、今後ハ特ニ一ツ御考慮ヲ願ッ
テ置キタイト思フノデアリマス、私ノ質問
ハ是デ終リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=8
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009・川島正次郎
○川島委員長 北海道舊土人保護法中改正
法律案ニ關シマシテハ別ニ質疑ノ御通告ガ
アリマセヌカラ此程度デ之ヲ打切ルコトニ
御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=9
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010・川島正次郎
○川島委員長 質問ハ終了シタモノト認メ
マス
次ハ軍事救護法中改正法律案ニ關スル質
疑ニ移リマス-中村君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=10
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011・中村又一
○中村委員 極ク簡單ニ陸軍當局ニ御尋致
シタイト思ヒマス、此軍事救護法ト云フノ
ガ今囘扶助法ト云フ名稱ニ御訂正ヲナサッ
テ居ルヤウデゴザイマスガ、根本問題ノ見
解ニ關スル御尋ト致シマシテ、此軍事扶助
法ナルモノハ、恩給ノ性質ヲ持ッテ居ルモノ
デアルカドウカ、普通社會局ガ取扱ッテ居ラ
レルヤウナ、單ナル社會政策的ノ意味合ニ
於ケル卽チ救護事業ノ性質ヲ持ツモノデア
ルカドウカ、此根本問題ヲ先ヅ御伺致シマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=11
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012・廣瀬久忠
○廣瀨政府委員 社會局カラ一應御答辯申
上ゲマス、只今ノ扶助ト云フ文字ヲ用ヒタ
ニ付テ、此軍事扶助法ニ依ル支出ガ恩給ノ
性質ヲ持ツカドウカト云フ御質問デゴザイ
マスガ、此軍事扶助法ニ依リマス支出ハ、
恩給ノ性質ハ持チマセヌ、ヤハリ社會政策
的ノ扶助ト申シマスカ、或ハ從來ノ所謂救
護ノ性質ヲ持ッテ居リマシテ、恩給ノ性質ハ
持タナイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=12
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013・中村又一
○中村委員 サウ致シマスト、救護ト云フ
文字ヲ扶助ト云フ日本ノ恩給法ノ文字ヲ借
用シタヤウナ文字ニ御訂正ニナッタ意味ガ、
私ニハ理解出來ナイノデアリマスガ、此案
ノ內容的事實ヲ觀察致シテ見マシテモ、又
此軍事救護法中改正法律案要綱ト云フ、卽
チ此說明書ヲ一覽サセテ戴キマシテモ、此
救護ト云フモノガ-扶助ト云フモノガ、
私ニハドウシテモ社會局長官ノ御說明ノヤ
ウニ、一般ノ社會政策的見解ニ基ク救護ノ
性質ヲ持っテ居ルト云フコトヲ全體的ニ御
認メガ出來ナイ感ジガ致スノデアリマス、
ソコデ軍當局ニ御伺ヲ致シマスガ、斯ル軍
事的關係ニ於テ救護ト申シマスカ、扶助ト
申シマスカ、卽チ此救護ヲ爲サナケレバナ
ラヌト云フ事實ニ對シマシテ、一社會局ノ
管轄ニ之ヲ委ネテ、唯普通ノ貧困者トデモ申
シマスカ、社會一般ノ生活無能力者ニ對ス
ル所ノ救濟方法ヲ講ズルト云フガ如キ取扱
ニ一任セラレテ、此軍ノ爲ニ救濟ヲ受ケナ
ケレバナラヌト云フ事情ニ立至ッタ人間ノ
取扱ニ對スル立場ニ對シテ妥當ト云フ御見
解デアリマスカドウカ、此點ヲ御伺致シタ
イト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=13
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014・梅津美治郎
○海津政府委員 軍事上特ニ扶助ヲ要スベ
キ所ノ事業ヲ一社會局ノ管掌ニ委ネルト云
フ、只今御言葉デゴザイマシタガ、是ハ決
シテ一社會局ノ管掌ニ委ネルト云フ積リデ
ハナイノデゴザイマスガ、此扶助事業ハ一
般ノ救濟事業ト同ジヤウニ當然是ハ內務省
ノ所管ニ屬スベキモノデアルノデゴザイマ
シテ、軍トシテモ是等ニ對シテハ多大ノ關
心ヲ持ッテ居リマスカラ、軍事當局トシテ
ハ、內務當局ト緊密ニ連絡ヲ致シマシテ、
此扶助ノ實績ヲ十分ニ擧ゲルヤウニ、又完
壁ヲ期スルヤウニ努メテ居ルノデゴザイマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=14
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015・中村又一
○中村委員 サウ致シマスルト、此說明書
)
ノ要項中イノ途中ヨリ「應召中ニ傷痍ヲ受
(
ケ若ハ疾病ニ罹リ一種以上ノ兵役ヲ免除セ
ラレタル者及其ノ家族、遺族ヲモ扶助ス
ルコト」ト云フ此文句ノ上カラ考ヘテ見マ
シテモ、恩給法ノ受恩給資格者ノ立場ト、
此文言ニ現レテ居ル所ノ資格トノ立場ト云
フモノガ、殆ド紙一重ノヤウナ感ジヲ致ス
ノデアリマスガ、其紙一重ノ相違ノ爲ニ、
一人ハ國家ノ恩給事業ノ立場ヲ獲得シ、
人ハ內務省所管ニ基ク所ノ社會政策的ナ貧
困救濟ノ取扱ヲ受クルト云フガ如キ事實ニ
立到ルト思ヒマスガ、所謂此性質ハドウ云
フ區別ニ於テ軍當局トシテハッキリト其觀
念ガ-內務省所管ニスルト云フ其立場ト、
恩給-云フ立場ニ於テ參ラナケレバナラヌ
ト云フ一方ノ考ヘ方トノ間ニ、其區別ノ截
然タル所ヲ御說明願ヒタイモノダト思フノ
デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=15
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016・廣瀬久忠
○廣瀨政府委員 此社會局所管ノ軍事扶助
法ニ依リマスル扶助ニ付キマシテハ、恩給
ト違ヒマシテ、恩給ノ方ハ軍人ノ權利ト云
フコトニナル譯デアリマスガ、此扶助法ニ
依ル方ハ、國家ノ扶助ノ一ツノ義務ニハ見
テ居リマスガ、此扶助ヲ受クルノ權利ト云
フヤウナ工合ニ見テ居ラヌノデアリマス、
其處ニ違ヒガアルト思ヒマス、從來救護法
時代ニ於テモ、ソレト同ジヤウニ取扱ッテ
居ッタノデアリマシテ、今囘名前ヲ扶助ト改
メマシタケレドモ、其處ニハ何等ノ前カラ
ノ差別ハアリマセヌ、扶助ト云フ文字ヲ用
ヒタニ付キマシテ、尙ホ私共ノ說明ガ或ハ
不十分デアルカモ知レマセヌカラ、モウ一
度此機會ニ申上ゲテ御諒解ヲ願ヒタイト思
ヒマス、從來ハ御承知ノヤウニ、救護ト云
フ文字ヲ用ヒテ居ッタノデアリマスガ、御承
知ノヤウニ一般ノ救護法ト云フモノガゴザ
イマス、ソレデ軍事救護法ト云フ文字ヲ用
ヒマスト、ドウモ貧民救濟ト云フヤウナ意
味ガ非常ニ强クナッテ、適當デナイ、ヤハリ
軍事救護ト申シテ居リマシテモ、從來ヤハ
リ其軍事救護法ノ趣旨ハ貧民ノ救濟ト云フ
コトデハナクシテ、軍人ヲシテ後顧ノ憂ヒ
ナク軍務ニ服セシムル爲ニ、此支出ヲスル
ト云フノデアリマシテ、貧民ノ救護ト云フ
ヤウナ意味デハナカッタノデアリマス、然ル
ニ一般救護法ト同ジ文字ヲ用ヒテ居リマス
ノデ、ドウモソレハ適當デナイ、此點ニ付
キマシテハ、從來議會等ニ於テモ屢〓御意見
ガアリマシタ、救護ト云フ文字ハ適當デナ
イト云フ御意見ガアッタノデアリマス、ソコ
デ當局ト致シマシテモ、ドウモ救護ト云フ
文字ハ適當デナイカラ、何トカ改メヨウト
云フノデ、色々〓究ヲ致シテ居リマシタ、
所ガ從來此軍事ニ關スル色々ナ後援團體ナ
ドガヤハリ一緒ニナリマシテ、軍事扶助團
體ト云フヤウナ名前ヲ用ヒタリ、又軍事扶
助事業ト云フヤウナ文字ヲ用ヒルヤウナ慣
例モ相當アリマスノデ、此扶助ト云フ文字
ハドウカト云フコトデ、攻究ヲ致シマシタ、
サウシテ昨年內務省ニ社會事業調査會ト云
フモノヲ內務大臣ノ下ニ開キマシテ、此社
會事業調査會ニハ軍當局ノ方々ニモ御出席
ヲ願ヒ、サウシテ色々〓究シタ結果、或人
保護ト云フ文字ハドウカト云フ御意見モア
リマシタ、併シ保護ト云フ文字ハドウモ軍
機保護法ナドト混雜ニモナリマスシ、ヤハ
リ扶助ト云フ文字ガ適當デアラウト云フ社
會事業調査會ノ御意見ヲモ得マシタノデ、
ソコデ扶助ト云フ文字ヲ用ヒタノデアリマ
ス,根本精神ハ何處マデモ此軍務ニ服スル
軍人ヲシテ後顧ノ憂ヒナカラシムルヤウニ
スル、其爲ノ支出デアル、斯ウ云フコトデ
アリマス、此點ヲ一ツ御諒知ヲ願ヒタイト
思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=16
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017・中村又一
○中村委員 諄イヤウデアリマスガ、此恩
給法ノ規定カラ眺メテミマシテモ、例ヘバ
恩給法ノ四十八條等ニ公務員ト云フモノニ
付テ規定シマシテ、「公務員左ノ各號ノ一ニ
該當スルトキハ公務ノ爲傷痍ヲ受ケ又ハ疾
病ニ罹リタルモノト看做ス、一、勅令ヲ以
テ指定スル地域ニ在勤中其ノ地ニ於テ流行
病ニ罹リタルトキ、二戰地ニ於テ又ハ公
務旅行中流行病ニ罹リタルトキ」ト云フト
ウナ規定ガアルノデアリマスガ、此軍事救
護法中ノ先程讀ミマシタ「應召中ニ傷痍ヲ
受ケ若ハ疾病ニ罹リ一種以上ノ兵役ヲ免除
セラレタル者及其ノ家族、遺族ヲモ扶助ス
ルコト」ト云フヤウナ文字ヲ對照シテ見マ
スルト、一方ニ於テ、只今ノ政府委員ノ御
說明ノ言葉ヲ拜借致シマスルト、此恩給
ニ該當スルモノハ、恩給ト云フ權利ヲ
生ズルノデアル、併シ此扶助法ニ基ク所
ノ資格ト云フモノハ、國家ガ之ヲ扶助
スルノ義務ヲ負フコトヽちょう い權利ト
云フモノトハ立場ガ違フト云フヤウナ御
說明デアリマシタガ、唯此文字ノ對照カ
ラ見マスルト云フト、殆ド恩給ヲ貰フ資
格者トナル所ノ條件ト、此扶助法ニ基カナ
ケレバナラヌト云フ資格者ノ立場ト云フモ
ノガ、殆ド紙一枚ノヤウニ考ヘラレルノデ
ゴザイマスルガ、是デモ軍當局ニ於カレテ
ハ此軍事救護法ニ適用サルヽ所ノ、茲ニ說
明サレテ居リマスル所ノ此「イ」ノ場合ニ於
ケル人逹ニ對シマシテ、何處迄デモ恩給ト
云フ有難イ國家ノ恩惠制度ノ適用ヲ受ケサ
スルト云フ御〓究ハ御持チデナイノデアリ
マセウカ、此軍事救護法ト云フ從來ノ御取
扱ニ於テ何處マデモオヤリニナル御方針デ
アリマセウカ、一寸御尋致シテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=17
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018・梅津美治郎
○梅津政府委員 恩給ヲ受ケル資格ノアル
者ハ、何處マデモ是ハ恩給法ノ權利ヲ得サ
セルト云フコトニ行カナケレバナラヌト思
フノデゴザイマスルガ、結局恩給ノ資格ノ
アル者ト、資格ノナイ者デソレニ近イ者ト
ノ差ト云フモノハ、所謂紙一重ナノデアリ
マヽ、御說ノ通リ是ハ結局紙一重ノ所ガ出
來ルノハ仕方ガナイト思フ、是ハ何等カ出
來ル限リ國家デ扶助シテ行カナケレバナラ
ヌ、兵役義務者等ヲ出來ルダケ保護スルト
云フ趣旨ヲ此扶助法デ、詰リ恩給法デ救助
シ得ナイ所ノ者ヲ救フト云フ意味合デ出來
テ居ルノデゴザイマスカラ、其精神ヲ十分
御諒察ヲ願ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=18
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019・中村又一
○中村委員 只今軍部ノ政府委員ハ紙一重
ト云フ御言葉ヲ御使ヒニナリマシタガ、
般恩給ノ如キニ於キマシテハ、一定年限ノ
到達ニ依リマシテ恩給ト云フモノガ出來上
ルノデアリマス、例へ最近ニ於キマシ
テ、新聞紙ナドデ御記憶ニ新タデアリマス
ルヤウニ、廣田內閣ガ二月一日マデ續ケ
バ廣田サンハ總理大臣ノ恩給ガ取レタノ
デアルト云フガ如ク、一定ノ年限奉公ニ依ツ
テ、其日ニチガ來ルト云フト、總理大臣ノ
恩給モ取レルト云フ仕組ニナッテ居ル、然ル
ニ本件ノ軍事救護法ノ適用範圍ノ說明ノ
「イ」ナドデ見マスルト、而モ其コトハ應召
中ニ行ハレタル傷痍、或ハ應召中ニ不幸ニ
シテ罹ッタ所ノ病ニ依ッテ、兵役ヲ免除セラ
レルノ立場ニナッタト云フ其人ニ對シマシ
テ、一方ニ此軍事救護法ノ手ヲ以テ之ヲ救
濟スルト云フヤウナ方法ガ、根本ニ於テ私
ハ適切デアルカドウカト云フコトヲ、今
度軍當局ニ御伺ヲ致シテ置キタイト思フノ
デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=19
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020・梅津美治郎
○梅津政府委員 只今ノ、先刻カラノ御尋
ノ件ハ是ハ公務ニ基因シテ起ッタ者ニ付テ
ハ恩給法ノ適用ガ出來ル、恩給法ノ適用ノ
出來ナイ所ノ者ヲ何トカシテ助ケテ行クト
云フ意味合デゴザイマスノデ、適用ノ出來
ル者ハ恩給法ニ依ッテ當然是ハ權利ヲ得サ
セルト云フ趣旨ニハ變リハナイノデアリマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=20
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021・中村又一
○中村委員 サウ致シマスト云フト、一方
ニ於テ恩給ヲ受ケ得ル資格ノアル者ニ於テ
ハ恩給ヲ給與スルト同時ニ、其恩給ヲ受給
シテ居ル所ノ人ガ尙且自己ノ貧困ヨリ家族
ヲ養フノ實力ナシト云フヤウナ場合ニ於テ
ハ、其恩給ヲ受ケツヽ其家族ノ生活ヲ此扶
助法ニ基イテ救濟シテ行クト云フ其趣旨ト
承ッテ宜シウゴザイマスカ、又更ニ此文字ニ
現ハレテ居リマス所ノ家族及ビ遺族ト云フ
範圍、「イ」ノ場合ヲオ尋致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=21
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022・廣瀬久忠
○廣瀨政府委員 御質問ノ第一點ニ付テ御
答申シマスガ、軍事扶助法ニ於テハ、恩給
法ノ恩給ヲ受ケテ居ル者デモ其者ガ生活ニ
困リマスレバ、之ヲ扶助スルト云フ立前デ
アリマス、モウ一度申上ゲマスガ、軍事扶
助法ハ恩給法ノ規定ニ依リマシテ恩給ヲ
貰ッテ居ル者デアリマシテモ、其者ガ生活ニ
困リマスレバ、ソレハ軍事扶助法ニ依ッテ扶
助ヲスルト云フ立前ニナッテ居ルノデアリ
やしろ、ソレカラ家族、遺族ノ範圍ニ付テノ
御尋デアリマシタガ、是ハ從來ハ傷病兵ノ
同一ノ家、同ジ戶籍ニ屬シテ居ラナケレバ
イケナカッタノデアリマスガ、今囘ハ其範圍
ヲ擴メマシテ、同ジ戶籍ニ屬シテ居リマセ
ヌデモ、同ジ世帶ニ住ンデ居リマスル者、
直系血族、兄弟姉妹ト云フヤウナ者ニマデ
及ボスト云フ範圍ヲ擴メタノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=22
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023・中村又一
○中村委員 サウ致シマスルト云フト、此
家族、遺族ト云フ者ガ擴張セラレタトノ御
說明デアリマス、又此要項ヲ眺メテ見マス
下、擴張セラレタト云フノガ直系血族又ハ
兄弟姉妹、斯ウナッテ居ルノデゴザイマスル
ガ、此恩給法アタリノ家族ト申シマスカ、
遺族ノ範圍ト云フヤウナモノハ、妻、未成年
ノ子、夫-夫ハ此場合ハ必要デハアリマ
セヌ、是ハ兵隊ノ場合デスカラ、女ハ兵隊ニ
ハ參リマセヌカラ······ソレカラ法律ノ恩給
的ノ扶助料ノ場合デハアリマセヌカラ、未
成年ト云フ文字モ必要デアリマスマイ、妻、
子、父、母祖父、祖母、是ダケハドウシテ
モ御入レニナラナケレバ、私ハ擴張ノ意義
ハ達セヌト思ヒマス、此案ヲ見テミマス
ト、擴張セラレタノガ直系血族又ハ兄弟姉
妹トナッテ居ルノデアリマスガ、妻ハ第一直
系血族デハナイノデアリマス、ソレカラ祖
父、祖母ハ直系尊屬デハアリマスケレドモ、
直系血族ト云フモノニ直チニ包含サレテ居
ルカドウカト云フコトハ、甚ダ疑問デアル
ノデアリマス、世ノ中ノ多クニ於キマシテ
ハ兄弟姉妹ニ擴張セラレテ居リマスガ、
兄弟姉妹モ段々ニアルノデゴザイマシテ、
法律ガソコマデモ手ヲ延バサナケレバナラ
ヌカドウカ、一般法ノ〓念カラ考ヘマシテ
果テシガナイト私ハ思フノデアリマス、是
ハドウシテモ救濟スル所ノ擴張ヲシナケレ
バナラヌト云フ此本法ノ本質ヲ極メマス
ル時ニ於キマシテハ、先ヅ第一ニ父、母
祖父、祖母、斯ノ如キモノガ窮迫シタル所
ノ事情ニ於テ、其兵役者ノ關係カラシテ生
活ニ惱ミ、實ニ慘澹タル所ノ悲慘ノ境涯ニ
アルト致シマスレバ之ヲ先ヅ救濟スル所ノ
擴張ヲシナケレバ、本法ノ意義ハ達セヌト
思フノデアリマスガ、此點ニ對シテ〓究セ
ラレテ居ルカドウカ、之ヲ御伺致シタイト
思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=23
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024・廣瀬久忠
○廣瀨政府委員 御質問ノ點ニ付キマシテ
ハ、此要項ノ方ニ書イテゴザイマセヌノ
デ、一寸法律ノ方ヲ御覽ヲ願フト云フト、
配偶者竝ニ子ニ付キマシテハ、改正前カラ
入ッテ居ルノデアリマス、第三條ノ一ト云フ
所ヲ御覽下サイマスト、配偶者及子供ノコ
トハ書イテゴザイマス、ソレカラ祖母、祖父
等ハヤハリ三條ノ二號ノ方ニ「下士官兵又
ハ傷病兵ニ依リ扶養ヲ受クヘキ者」ト云フ
文字ノ中ニ、ヤハリ直系尊族トシテ入ッテ
居ルモノト斯ウ解釋致シテ居ルノデアリマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=24
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025・中村又一
○中村委員 解釋シテ居ル條文ハドレデゴ
ザイマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=25
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026・廣瀬久忠
○廣瀨政府委員 第三條ノ二項デゴザイマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=26
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027・中村又一
○中村委員 此場合恩給局ノ方ハ······発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=27
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028・川島正次郎
○川島委員長 恩給局長ガ見エテ居リマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=28
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029・中村又一
○中村委員 是ハ無論本法ノ適用ノ運用上
ノ御解釋ニ對シテモ不當ト思ハレマスカ
ラ、此處デ御質問ヲ致シタイト思フノデア
リマスルガ、是ハ實例デアルノデアリマ
ス、二個ノ實例ヲ以テ御答辯ヲ願ヒタイト
思フノデアリマスルガ、一人ハ實際ノ事件
トシテ私ノ手許ニ到著致シテ居ル所ノ問題
デアルノデアリマスルガ、日〓戰役ノ時ニ
於キマシテ、二十六歲ヲ以テ未亡人トナリ
マシテ、其夫ハ日〓戰役ニ於テ戰死ヲ致シ
タ所ノ所謂配偶者デアルノデアリマス、其
戰死者ヲ乙ト致シマスルト云フト、甲ト云
フ兄貴ガ居ッタノデアリマシテ其甲ト云フ
兄貴ノ同一戶籍內ニ其乙ト云フ者ガ現在ノ
未亡人トナッテ、七十幾歲ヲ以テ今尙ホ生キ
テ居リマス所ノ、卽チ戰死シタ所ノ夫ノ
乙、ソレガ戰爭當時同一戶籍ニアッタノデ
アリマス、ソレガ戰爭ニ出征スル當時、學
校ノ小使ヲ致シテ居リマシタガ、從軍シマ
シテ戰死ヲ致シマシタ、其後此戰死者ニ對
スル所ノ遺族トシテノ恩給ガ下ッタノデア
リマス、所ガ何時ノ間ニカ此甲ト云フ戰死
シタ乙ノ兄貴ガ、未亡人ニナッテ居ル人間ノ
戶籍ヲ外ヘ動カシテシマッタ爲ニ、戶籍上ノ
「同一戶籍ト云フコト」ヲ失ッタト云フノデ、
最近ニナリマシテカラ、此恩給身分調査ト
申シマスカ、恩給調査ト申シマスカ、アレガ
始リマシテ-一昨年カ一昨々年カ、最近
ニ始マルヤウニナリマシテカラ、突如トシテ
オ前ハ十幾年分カ二十幾年カ恩給ヲ拂ッテ
貰ッテ居ルケレドモ、オ前ハ資格ガ無カッタ
ノデアル、ソレヲ返還シロト云フコトヲ遞
信省ノ恩給課カラ通知ガアリマシテビック
リ致シマシタ結果、自分ノ夫ハ日〓戰爭ニ
戰死シタニ相違ナイ、ソレト同時ニ自分ハ
二十六歲カラ七十歲ノ今日マデ未亡人ヲ續
ケテ、地方ニ於テモ戰死者未亡人ノ鑑トシ
テ自分ハ今日マデ生活ヲシテ來テ居ルノデ
アル、ソレ故ニ恩給局カラ今日オ前ハ思給
ガ實ハ無カッタノダト云フヤウニ指令ヲ受
ケテ、今日金幾千圓トカノ返還マデモ迫ラ
レルヤウナ通知ガ來テ居ルガ、如何ナルノ
デアラウカト云フ事件ニ對スル依賴ガアッ
テ調査致シマシタ所ガ、只今此處デ述べマ
シタ通リノ事實デアルノデアリマス、サウ
致シマスルト實際乙ト云フ者ノ妻デアリ、
其夫ガ戰死シタ場合ニ於テ、或ル一ツノ戶
籍ニ居ッタト云フヤウナ場合ニ於テ其後甲
ト云フ兄貴ガ勝手ニ乙ト云フ者ノ女房、可
哀相ニ未亡人ニナッタ女房ノ其戶籍ヲ奪ッタ
場合ニ於テ、恩給ハ剝奪サレテ居ルト云フ
事實、之ヲ扶助料ノ場合ニ於テモ同一戶籍
トカ、或ハ之ヲ擴張シテ同一世帶ニシタト
カ仰シヤルノデアリマスガ、斯ウ云フ場合
ニ於テノ御取扱ハ如何ニナサル方針デアリ
マセウカ、是ハ本件ノ場合ニ於キマシテ
モ、恩給局ノ御當局ガ居ラレマスレバ-
現實ノ問題ト致シマシテ、最近恩給局ニ私
出頭シテ居ッタコトガアリマスガ、此重大
ナル問題ニ對シテ、ドウ云フ御見解ト對策
ヲ御〓究ニナッテ居ルカ、双方ヨリ私ハ御答
辯ヲ承ッテ見タイト思フノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=29
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030・樋貝詮三
○樋貝政府委員 恩給ニ關シマシテノ御質
問ノ部分ニ付テ御答致シマスガ、今中村君
ガ御擧ゲニナリマシタヤウナ事例ハ、實ハ
昭和八年カラ以後相當數ガアリマス、今御
擧ゲニナッタコトモ、今日恐ラク解決シテ居
ルダラウト存ジマスガ、其點ドウナッテ居ル
カ存ジマセヌガ、サウ云フヤウナ事例ハ餘
程アリマス、能クサウ云フコトガアリマシ
テ、軍人ノ未亡人ダトカ、或ハ舅ガ之ヲイ
ヂメルトカ云フヤウナコトガアリマシテ、
知ラヌ間ニ、或ハ知ラヌ間デナクテモ、半
バ强制的ニ籍ヲ取ッテシマフト云フヤウナ
コトガ能クアリマシタ、ソレハ御承知ノヤ
ウニ、大正十二年マデハ理由ノ如何ヲ問ハ
ズニ、苟モ離籍シタリ、或ハ分家ヲ致シマ
スルト、恩給權ハ喪失スル、扶助料ハ貰へ
ナイト云フコトニナッテ居ッタ、大正十二年
ニ嫁イヂメヲスルトカ、未亡人イヂメヲヤ
ルコトハ宜シクナイト云フコトヲ認メマシ
テ、是ハ中村君能ク御承知デアラウト思ヒ
マスガ、法律ヲ改正致シマシテ、未亡人ガ分
家シタヤウナ場合、子供ヲ連レ或ハ連レズ
シテ、或ハ子供ニ附イテ分家シタヤウナ場
合ニハ、失權シナイト云フコトニ法律ヲ改
正致シマシタ、所ガソレ以前ノハ事情如何
ヲ問ハナカッタ、何レモ失權シテ、本來カラ
言ヘバ、其當時ノ法ヲ属行スルトスルナラ
バ、失權スレバ直チニ支給ハ止メテシマフ
ト云フコトニナルベキデアッタ、所ガ受給
權ノ調査モ間違ヒマシテ、給與ヲシテ續
ケテ居タノガ隨分アル、サウ云フノデ昭和
八年ニ恩給法ヲ改正シタ時ニ、幾分ノ經費
ヲ要求致シマシテ、一年置キニ受給權ヲ調
査スルコトニシテ、知ラズニ貰フ方モ善意
ニ、又給與スル方モ調査ガ付カヌ爲ニ知ラ
ズニ給與シテ居タト云フヤウナコトガアッ
テ、双方ノ爲ニ良クナイト云フノデ、年
置キニ調査スルコトニシタ、每年ヤレバ結
構デアリマスケレドモ、ソレダケ費用ガ認
メラレナカッタ爲ニ、一年置キニヤッテ居リ
やく、ソレデ最近ニ多クソレヲ發見シタト
云フコトニナリマシタ、成程將來ノ給與ハ
其點デ止メラレルト云フコトハ疑ナイノデ
スガ、過去ノ分ガ是ハ恩給局ノ方ノ直接ノ
關係デナク支給廳デアル遞信方面ノコトデ
アリマスガ、今マデ無權利デヤッテ居ッタノ
ヲドウスルカト云フヤウナコトガ問題ニ
ナッテ、今中村君ノ御擧ゲニナッタヤウナ、
本人ノ意思ニ依ラズシ分家シタトカ、離籍
シタトカ、而シテ其離籍ガ法律上當然正當
ニ離籍セラルベクシテ離籍シタノハ別デス
ケレドモ、本人ノ知ラヌ間ニ離籍ヲセラレ
タ、或ハ原籍へ返サレタト云フヤウナノ
ハ、是ハ元々御承知ノヤウニ、中村君ハ法
律家デスカラ、十分御承知ノコトヽ存ジマ
スガ、元々サウ云フヤウナ分家ナドハ無效
デゴザイマスカラ、ソコデ裁判所へ無效ノ訴
ヲ起シマスト云フト、裁判所ハ無效ノ判決
ヲ致シマス、其無效ノ判決ニ依ッテ戶籍ヲ訂
正致シマシテ、サウシテ初メヨリ分家ナカ
リシモノ、初メヨリ離籍ナカリシモノト云
フコトニナリマス爲ニ、恩給權ハ初メカラ
失ハレナカッタト云フコトデ、ズット今マデ
給與ヲ受ケテ居ッタノモ適法ニナルシ、又サ
ウ云フヤウナコトデ疑ノ爲ニ止メテ居リマ
シタノモ、是モ止メズニ將來モ失權ナシト
シテ給與ヲ續ケルト云フコトニシテ居リマ
ス、而シテ行政ノ方ノ傾向トシマシテハ、
サウ云フヤウナ本人ガ知ラズニ分家シタト
カ、或ハ離籍シタトカ云フヤウナ-强制
的ニ離籍シタトカ云フヤウナサウ云フ疑ノ
アル場合ニハ、遞信省ノ方、卽チ支給廳ノ
方トモ連絡ヲ取リマシテ、無權利時代ニ給
與シタノヲ急イデ取立テルヤウナコトハセ
ヌヤウニト云フコトデ、恩給局ノ方カラ遞
信省ノ方ヘモ交渉致シマシテ、裁判ナドノ
片付クノヲ待ッテ居ルヤウニシテ居リマス
實際本當ニ離籍セラルベクシテ離籍セラ
レ、或ハ分家スル積リデ分家シタノハ、是
ハ失權モ仕方ガナイノデアリマスケレド
モ、サウデナイノハサウ云フヤウナ方法デ
救濟シテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=30
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031・中村又一
○中村委員 軍事扶助法ガ恩給ノ問答ノヤ
ウニナッテ相濟ミマセヌガ、是ハ非常ニ重要
ナ點デアリマスルカラ、モウ一二點質問ヲ
許シテ戴キタイト思ヒマス、只今恩給局ノ
政府委員ハ不知ノ間ノ分家ガ相當ノ理由ガ
ナカッタ場合ニ於テハ、分家無效ノ訴訟ヲ先
ヅ提起シテ、ソレデ其判決ノ結果ニ依ッテ復
籍-元ノ籍ニ原狀ヲ囘復ヲスル、其上ニ
於テ恩給ハ元ニ分家ナカリシト同一ノ立場
ニ於テ囘復ヲ致シ、恩給喪失ノ事實ナカリ
シモノトナルカラ、ソレデ宜イジヤナイカ
ト云フ御話デアリマスルガ、只今說明ヲ致
シマシタ事實ノ上ニ於テハ、事ハ日〓戰爭
當時ヨリノ未亡人デアル、旣ニ齡七十有餘
歲ニナル所ノ現存ノ事實デアルノデアリマ
ス、ソコデ此七十有餘歲ノ此老人ニ分家無
效ノ判決ヲスルト申上ゲマシテモ、事實是
ハ佐賀縣ノ出來事デアルノデアリマスガ、
此間私ガ歸リマシタ時ニモ態〓私ノ旅館ヲ:
其老人ガ町ノ有志ニ連レラレテ訪ネテ來マ
シテ、半年モ前ニ御賴ミシタ事件ハドウナ
リマシタデセウカト尋ネラレタ時ニ、實ハ
私ハ說明ノ仕樣ガナカッタノデアリマス、私
ハ引受ケタモノヽ、只今恩給局ノ政府委員
ノ御說明ノヤウナ事實ノコトハ、法律ガマ
ルデ机上ノ遊〓ノヤウニナッテ居ル關係上、
一寸六箇月ヤ七箇月デハ手ノ下シ樣ガナ
イ、所ガ其老人、明日ノ生命モ分ラヌヤウ
ナアノ七十餘歲ノ未亡人ノ顏ヲ見ルト云フ
ト、私ハ何ニモ言フコトガ出來ナカッタ、併
シ急速ニ運ブヤウニ御賴ミシテ居ルカラ、
一寸待ッテ吳レト言ッテ、ソレデ恩給局モ訪
問シ、多分局長閣下トモ一度御會ヒシタカ
ト思ッテ居リマスガ、未ダ其詳シイコトハ私
モ亦多忙デ實ハ御訴ヘスル機會モナカッタ
ノデアリマスガ、斯ウ云フ公ノ機會ニ於
テ、只今御話ノヤウナ無效ノ訴訟カラ始メ
テ、サウシテ其判決ノ結果斯ノ如キ手續ニ
進ンデ行ケト云フヤウナコトハ、是レ卽チ
私ハ眞ニ法律ノ要求スル--恩給法ノ要求
スル所ノ其立前ガ死法ニナッテ居ル結果ニ
基ク所ノ無駄ナ手數デハナイカト考ヘルノ
デアリマス、此點ヲ私ハ御說明ヲ願ヒタイ
ト思ヒマス、卽チ此未亡人ガ二十六歲ノ時
ニ自分ノ夫ヲ戰場ニ於テ戰死セシメタ、戰
死セシメタ其瞬間ニ於テ、成程一方ハ戰死
シテシマヒマシタカラ、夫婦關係ハナク
ナッテ居リマスケレドモ、戰死者ガ夫デアツ
タニ違ヒアリマセヌカラ、此夫デアッタ所
ノ乙ナラ乙ト云フ人ノ此戰死ニ依ッテ恩給
權ノ扶助料トシテ發生スル者ハ、只今七十
有餘歲ノ未亡人ヨリ外ナイ、其未亡人ガ、
例ヘバ其戰死者ノ兄貴ノ同一戶籍內ニアラ
ウト、或ハ此戶籍ニ於テ分家スル立場ニ置
カレヤウト、此所謂夫婦關係ト云フモノハ
他ニ嫁セナイ限リ、法律ハドウナッテ居ル
カ、其點ハ辨ヘテ居リマセヌガ、不品行、
不行跡、殆ド此戰死者ノ遺族トシテ法律ガ
保護スル資格ガナイト云フコトデアリマシ
タナラバ、是ハ社會常識上考慮ノ餘地ガナ
イト云フコトニナルカモ知レマセヌケレド
モ、所謂戰死者ノ未亡人ノ鑑トシテ、七十
餘歲ノ今日マデ續イテ來テ居ル此人ガ、兄
貴ノ甲ト云フ人ノ弟乙ト、戰死シタ當時ハ
夫婦關係ガアッタノデアル、其後戰死ト同時
ニ其戰死シタ乙ノ細君ハ分家シテ他ニ追ッ
拂ハレテシマッテ居ッタト云フ場合ニ於テ、
其夫デアッタ乙トノ關係ニ於テ此乙ノ未亡
人ノ身分ハ變リハナイト思フ、是ニ於キマ
シテ之ヲ根本的ニ整調シ訂正サレル所ノ御
方針ハ御〓究ニナッテ居ナイカ、之ヲ先ヅ
私ハ伺ッテ見タイト思フ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=31
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032・樋貝詮三
○樋貝政府委員 今ノ未亡人ノ例ヲ取リマ
スト、サウ云フ場合ニ恩給法ニ於キマシテ
ハ、其夫ノ屬シテ居ッタ家ニ居ラナケレバ
イカヌト云フ主義ヲ執ッテ居リマス、是ハ大
正十二年ノ恩給法改正前ニ於キマシテ今日
ニ於テモ同樣デアリマスガ、他ノ家ニ行ッタ
場合ニデモ、其行ッタト云フコトガ其元ノ
家ニ居タト殆ド同一視出來ルヤウナ場合ガ
アルヂヤナイカト云フコトガ考ヘラレマス
ノデ、ソレデ大正十二年ニ分家シタ場合ダ
ケヲ-未亡人ガ或ハ子供ヲ連レ、或ハ連
レズシテ、或ハ又子供ノ方ヲ戶主ニシテ分
家シテ、未亡人ガ家族トシテ附イテ居ルト
云フヤウナ場合、ソレダケニ付テハ、殆ド
元ノ家ニ居ルノト差等ナシニ取扱ハウト云
フコトデ、大正十二年ニ其場合ニハ失權シ
ナイコトニシマシタ、ソレヲドウ云フ限度
ニ認メルベキカト云フコトハ、立法ノ上ニ
於テ色々議論ガアラウト思ヒマスケレド
モ、今日ニ於テハ其當時ト變ラズニ、先ヅ
其程度デ宜イ、斯ウ云フ風ニ考ヘテ居リマ
ス、ソコデ離籍ノ場合ニ於キマシテモ、是
ハ形式上ノ離籍ガアリマシテモ、實質的ニ
本當ニ離籍スベクシテ離籍シタ場合モアリ
マセウシ、今中村君ノ御擧ゲニナッタヤウ
ナ場合モアルダラウト思フ、ソレハ何レモ
同一戶籍ニ在ルト云フヤウナコトヲ標準ニ
致シテ恩給ノ給與ヲ決メテ置キマス立場
トシテハ、一應ハ同ジニ取扱ハネバナラヌ
ノデアリマスケレドモ、併ナガラ實質的ニ
本當ニ離籍スベクシテ離籍サレタノデナイ
場合ニハ、之ヲ救濟シナケレバイケナイノ
デアルカラ、其救濟方法ハ、是ハ今日デハ
戶籍ヲ訂正スルヨリ外仕方ガナイ、戶籍訂
正ガ單純ナ訂正申請ダケデハ出來ナイコト
ニナッテ居リマスカラ、ソコデ判決ヲ貰ッテ
戶籍ヲ訂正スル、ソコデ戶籍訂正サレテ同
一家ニ在ッタト云フコトガ立證サレマスレ
バ恩給當局ノ方ハ其事實ニ基キ、サウシ
テ恩給權ヲ失ハナカッタモノト云フ認定ヲ
スルト云フコトデアリマスカラ、今ノ所ド
ウモ之ヲ變ヘルト云フ風ニマデ必要ハナイ
ト思ッテ居リマス、サウ云フヤウナ風ニナツ
テ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=32
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033・中村委員
○中村委員 只今政府委員ノ御說明ハ、成
程今日日露戰爭ノ如キ、日〓戰役ノ如キ問
題ガ事實上ニ於テ起ッテ來ナイカラソレデ
モ宜イカモ分リマセヌガ、モウ一ツ實例ヲ
以テ、是ハ成ベク簡單ニ御說明ヲ願ヒタイ
コトデアリマスルガ、是ハ昭和八年、最近ノ
出來事デアルノデアリマス、是モ事件トシ
テ私ノ手許ニ入ッテ居リマス、是モ私ノ
方ノ佐賀縣ノ出來事デアリマスガ、丁度
滿洲事變デアラウト思ヒマス、昭和年間
ノ事件デアリマスルカラ、恐ラク滿洲事
變カ上海事變ノコトデアッタト考ヘテ居
ルノデアリマスガ、佐賀郡ノ嘉瀨村ト云
フ所ニ、乙ト云フ者ガ甲ト云フ者ノ家ニ戶
籍ヲ同ジウシテ居ッタノデアリマス、サウ
致シマスルト、此乙ハ甲ト同ジ戶籍內ニ
居ッタノデアリマスルガ、乙ノ伜ガ滿洲事
變ニ出征致シタノデアリマス、而シテ不幸
ニシテ戰死ヲ致シタノデアリマス、是ハ極
ク最近ノ出來事デアリマス、サウシテ此親
父サンニ、直チニ戰死ノ御取扱ヲ受ケマシ
テ恩給ガ下ッテ參ッタノデアリマス、所ガ僅
カ一箇年カ二箇年恩給ヲ貰ッタト云フ程度
デ、此親父サンガ其甲ナル者ノ戶籍ヲ引上
ゲテ、自分ノ妻ヤ子供ヲ悉ク連レテ、熊本
ニ分家ヲシタ、縣モ違ヒマス、佐賀カラ熊
本ニ移動ヲシタノデアリマス、サウシテ分
家致シタノデアリマス、サウスルト恩給ガ
ズット止ッテシマッタノデアリマス、併シ恩
給ガ一ツノ空論デナイ限リニ於キマシテ
ハ、自分ノ可愛イ伜ガ滿洲ノ野ニ戰ッテ而
シテ戰死ヲ致シテ、而モソレノ親父サンデ
アリマス、其子ノ戰死ノ爲ニ一人ノ親父サ
ンガ貰ッタ恩給ガ、其甲ト云フ人間ノ戶籍
カラ離レテ行ッタカラ、其恩給ハズット打切ッ
テシマフノダト云フ理窟ガ、恩給ノ根本精
神カラ考ヘテアリ得ルカドウカト云フコト
ヲ私ハ考ヘマシテ、此恩給ノ根本ノ所謂成
文ノ上カラ考ヘマシテ、政府委員ハドウ云
フ御考ヲ持フテ居ラレマスルカ、所謂此實
例ニ對シマシテ御方針ヲ承ッテ見タイト私
ハ考ヘルノデアリマス
O樋貝政府委員今ノヤウナ場合ニ付テ、
ドウ處置スルカト云フ譯デアリマスガ、恩
給殊ニ扶助料ヲ給與致シマス時ニ、ドノ
程度マデ、サウ云フ今ノ起リマシタヤウナ
事件ニ付テ權利ヲ認メテ行クカ、給與ヲ續
ケテ行クカト云フコトノ境目ノ問題ダラウ
ト思ヒマス、是ハ人工的ニ切リマスレバ、
何處ニカ其境目ニハ多少ノ無理ガ來ザルヲ
得ナイ、ソレデハ之ヲ無制限ニ、ドウ云フ
ヤウニ家ノ移リ變リガアッテモ給與ヲ續ケ
テ行ケルカト申シマスルト、ソレハ出來ナ
イ、ドウ云フ風ニ家ヲ轉々シテ行キマシテ
モ、尙ホ之ニ恩給ヲ給與スル、扶助料ヲ給
與スルト云フコトハ、是ハ爲シ得ナイト思
フ、又サウ云フコトハ爲スベキデナイト
思ッテ居ル、大體ニ於キマシテ、恩給ノ制
度ガ家族主義ト云フモノヲ維持シテ居リマ
スノデ、純然タル個人主義デ出來テ居リマ
セヌ、サウ云フ立場カラ言ッテ、家ト云フ
モノヲ無視シテ此關係ヲ認メル譯ニハ參ラ
又、ソコデ家ト云フモノヲ離レタノハ、ド
ウ云フ程度ノ時ニ之ヲ認メテ宜シイカト云
フコトニ結局ハナル譯デアリマス、只今法
ニ於テ規定シテ居リマス所ハ、先程モ申シ
マシタヤウニ、分家致シマシタ場合ニハ、
弊害ノ一番アリマス所ノ未亡人追出シ、能
ク未亡人ヲ何トカシテ分家サセルナリ、或
ハ實家ヘ歸スナリシテ、又分家シタイト言
<ハ、ソレヲ邪魔シマシテ、不當ナル居所
指定ナドヲヤッテ離籍ヲスルト云フヤウナ
方法ニ依ッテ、亡クナッタ軍人ノ親達ガ醜ク
モ扶助料ヲ取ラウト云フヤウナノガ、以前
幾ツカ例ガアッタノデス、具體的ニ今記憶
シテ居リマセヌガ、大正十二年ノ改正頃マ
デニ幾ツモサウ云フコトガアリマシタ、ソ
コデ未亡人ガ分家シテ、後家ヲ通シテ行ク
ト云フノナラバ、其節操ヲ保護シタイ、サ
ウ云フ立場カラ言ヘバ、其家ニ居ルト同ジ
コトダト云フ風ニ考ヘテ宜カラウ、又其軍
人ノ子供ヲ戶主ニシテ分家シヨウ、ソレヘ
母親ガ付イテ行ク、未亡人ガ付イテ行ク、
是ハ一體ノ家トシテ考ヘテ宜シイト云フ譯
デ、其限度マデ認メタ譯ナノデアリマス、
總テノ分家ノ場合ヲ認ムルノガ適當デアル
カドウカト言ヘバ、今日必シモサウハ言ヘ
ナイト思ヒマス、今ノ具體例ニシマスト、
丁度境目ニ當ルヤウナモノト考ヘテ居ルノ
デアリマスガ、私ノ考ヘマス所ニ依ッテハ、
マダソコ迄認メナクテモ宜シイト云フ位ニ
考ヘルノデアリマス、丁度境目位ノ問題デ
アリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=33
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034・中村又一
○中村委員 只今ノ政府委員ノ御說明ヲ聽
キマスト、マア私ハ日本デ恩給法ノ大家ノ
一人ダト思ッテ一番尊敬ヲ拂ッテ居ル方デア
ルノデアリマスガ、餘リニ御說明ガ學問的
トデモ申シマセウカ、吾々ミタヤウナ、法
律ハ實社會デアリ、實生活ヲ離レテハ法律
ト云フモノヽ意義ガナイト云フヤウニ實際
主義ヲ奉ジテ居ル側カラ見テ見マスルト、
餘リニ緣ノ遠イ御說ノヤウニ思フノデアリ
マスガ、モウ一ツ繰返シテ只今ノ此點ヲ重
ネテ御伺ヲ致シテ置キタイノデアリマス、
境目ト申サレルノデアリマスルガ、此實例
ノ場合、其恩給原因ト云フモノハ戰死ニ出
發シテ居リマスゾ、能ク御考ヲ願ヒタイ、
自分ノ子供ノ戰死ニ基イテ出發シタ所ノ恩
給、卽チ其恩給原因ハ、一定年限ノ奉公ニ
非ズシテ、戰死ト云フ重大ナル所ノ事實ニ
係フテ居ルノデアリマス、之ヲ先ヅ第一ニ
御考ヲ願ハナケレバナラヌノデアリマス、
ソレカラ、家ト云フモノヲ重ク見ルト云フ
御說明デアルノデアリマスルガ、ソレハ無
論私共日本ノ醇風美俗、家族制度ノ上カラ
見マシテ、勿論家ト云フモノヽ尊敬スベキ
コトハ同感デアルノデアリマス、併シ民法
ノ精神ヲ酌ンデ見マシテモ、只今ノ說明ノ
場合、「エイ」ト云フ人ノ家ノ中ニ「ビー」
ト云フ兄弟ガ居ッタ、「ビー」ノ所謂子供及
ビ細君ガ何人モ居フタト云フ場合ニ於テ、
「エイ」ト云フ同ジ戶籍ノ中ニ、同ジ家ノ中
ニ居ル場合ニ於キマシテモ、其「ビー」ト
云フ人ノ子供ガ或ハ就職ヲスルトカ、或ハ
兎ニ角何カ法律行爲ヲスルト云フヤウナ場
合ニ於テ、然ラバ何人ガ後見人トナリ、何
人ガソレニ向ッテ親權者ニナルカト云フ此
民法理論カラ御考ニナルト、如何ニ所謂家
ト云フモノヽ價値重シト雖モ、日本ノ民法
ニ於キマシテパ「エイ」ト云フ戶主ニハ權
利ハナイ、「ビー」ト云フモノガ、卽チ父ガ
親權者トナッテ-實際ハ戶主ハ「エイ」デ
アリマスルケレドモ、其家族ノ「ビー」ト
云フモノヽ伜ニ關スル限リニ於キマシテ
ハ、民法ハ、「ビー」ヲ其「ビー」ノ子供ニ
對スル所ノ-同一戶籍內ノ「エイ」ノ家
ニ居ル場合ト雖モ、其子供ニ對シテ親權ノ
義務ヲ負ハセテ居ルノデアリマス、斯ノ如
キ間柄ノ親子デアルノデアリマス、其親子
ガ、子供ノ戰死ニ依ッテ得タ所ノ此國家ノ
恩給ト云フモノガ、此「エイ」ト云フ家カ
ラ離レマシテ、サウシテ其獨立ノ分家ヲ拵
ヘタト云フ場合ニ於テ、「エイ」ノ家ニ居ル
間ハオ前ニ恩給ハ吳レルケレドモ、「エイ」
ノ戶籍カラ離脫シテ分家ヲ致シタカラ其恩
給ハ取ッテシマウト云ッテ、緣モユカリモナ
イ所ノ其ノ「エイ」ノ家ニ恩給ヲ置キザリ
ニシテ行ッタヤウナ形デアルノデアリマス
ガ、其「エイ」ト云フ者モ此場合恩給ヲ
貰ッテ居ラナイ、然ラバ其恩給ノ行方ハ何
處ヘヤリマスカ、然ラバ恩給ハ其戰死シタ
所ノ家ニ呉レルト云フ觀念デアリマスルナ
ラバ、此親父ノ「ビー」ガ外ノ家ニ分離ス
ルト云フナラバ、其「エイ」ガ其家ノ戶主
タルノ資格ニ於テ恩給權ト云フモノハ「エ
イ」ガヤハリ恩給權ヲ獲得シナケレバナラ
ヌコトニ相成ルノデアリマスガ、之ヲ實際
問題トシテ考慮スル時ニ於キマシテ、此「エ
イ」ト云フ者ガ私ハ恩給權ヲ貰フモノヂヤ
ナイト思フ、是ハ恩給法ニモアリマスル通
リ、第一ノ順序ハ妻、子、或ハ父ト云フヤ
ウナ順序ニナッテ居ルノデアリマスルガ、
恩給ノ所謂受給ノ資格ノ中ニ於テモ父ハ其
資格ノ重要ナル地位ヲ占メテ居ルノデアリ
マス、恩給法ニハ戶主トハ書イテナイ、斯
ウ云フ事實カラ見マシテモ、私ハ恩給局長
ノ御說明ハ餘リニ此戰死者遺族ノ、其戰死
者ノ父ニ對スル所ノ給與資格ニ對スル法律
ノ缺陷ヲ包マントセラレル所ノ一種ノ强辯
デアルト私ハ考ヘナケレバナラヌト思フノ
デアリマスガ、是ノ根本對策ニ對シマシ
テ、御〓究ノ御意思ガアラレルカドウカ、
モウ一度伺ッテ置キタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=34
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035・樋貝詮三
○樋貝政府委員 ドウモ恩給法ノコトニ付
テヤルヤウデ甚ダ恐縮デアリマスガ(中村
委員「之ニモヤハリ關聯致シマス」ト呼フ)
固ヨリ恩給ハ家ニナイコトハ疑ナイ、家本
居ル所ノ或ル資格ヲ持ッタ者ト云フ二ツノ
條件ヲ標準ニシテ居ルノデ、ドチラガ缺ケ
テモイケナイ、サウ云フ所カラ分家シテ家
ヲ去ッタト云フ時ニハ恩給ヲヤラナクナル
ト云フ譯デアッテ、家ニヤラネバナラヌ譯
デハナイ、又家ニ今日ヤッテ居ル譯デモ無
論ナイ譯デアリマス、ソレカラ先程此恩給
ハ子供ノ戰死シタ爲ニ生ジタ恩給デアルカ
ラト云フコトヲ御話ニナリマシタガ、正ニ
今ノ引例ハサウダト思ヒマスケレドモ、併
シ事柄ハ分家スル方ガ假ニ-サウ云フコ
トハアリマセヌケレドモ、分家スル方ガ戰
爭ノ爲ニ分家シタト云フコトニナレバ、ソ
レハ戰爭ノ特異性ト云フモノヲ共處ニ持。ツ
テ來レルノデス、起ッタ事柄ガ戰爭デアル
ト戰爭デナイトデハ其意味ハ違ヒマス、今
ノハ問題ハ失權スル方ノ問題デアッテ、分
家ハ本人ノ任意ニ無論ヤッタト思ハレルノ
デアリマス、ソレハ偶然デモナケレバ或ハ
餘儀ナキ戰爭ト云フヤウナ原則デ分家シタ
譯デモナイ、本人ノ意思ニ依ッテ分家シタ
コトハ疑ナイダラウト思フ、其任意ニ分家
シタモノヲドノ程度ニ取扱フカト云フ問題
デスカラ、其恩給ノ發生原因ガ戰爭ニ因ッ
タカ因ラヌカト云フコトハ、此處ニハ餘リ
關係ナイヤウニ私ハ考ヘテ居ルノデ、今御
擧ゲニナッタダケノ例デハ說明出來ナイノ
デアリマスガ、其限度ニ於キマシテハ現行
法ヲマダ改正スルノ必要ハナイト云フ風ニ
考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=35
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036・中村又一
○中村委員 サウ致シマスト云フト面倒ナ
訴訟デヤッテ來イト云フヤウナ唯單ナル實
務ノ運用上ノ解釋程度デ、斯ノ如キ缺陷ヲ
補ウテ行カレルト云フ御方針デアルカドウ
カ、私ナドハ幾多鹿兒島縣カラモ問合セガ
來テ居ルト云フヤウナ實例ガアリマシテ、
幾ラモ此實例ニ惱ンデ居ル多クノ者ガ居ル
ノデアリマスルガ、ソレヲ承ッテ置キタイ
ト思フノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=36
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037・樋貝詮三
○樋貝政府委員 取扱ガ不便デアルカラト
云フコトヲ申ス譯デハナイノデアリマシ
テ、分家致サナケレバ卽チ家ヲ去ラナケレ
バ-先程御擧ゲニナッタ例ハ大正十二年
前ノコトデアリマシタガ、サウ云フ風ニ家
ヲ去ラズニ家ニ在レバ、家ニ在ルト云フコ
トヽ、死ンダ者ニ對シテ或ル身分ヲ持ッテ
居ルト云フコトヽ此二ツノ事柄ガ條件ト
シテ必要デアリマスカラ、其兩方サヘ保ッ
テ置イテ吳レヽバ、取扱ノ便否ノ爲ニ失權
サセルト云フヤウナモノデハ無論アリマセ
又、法ノ結果トシテ當然ニ失權シテ居ルノ
デスカラ、ソレヲ剝權スルカシナイカト云
フ問題デアル、剝權シテ惡イト云フコトハ
無論ナイダラウト思フノデス、剝權スル時
ニドウ取扱ヲスルカト云フコトニ付テハ、
法ノ許ス限度ニ於テ出來ルダケサウ云フ善
意的ナ間違デアルナラバ、ソレハ寛大ナ結
果ニナルヤウニスル、ソレ以上ニハ行政官
廳トシテハ考フベキモノデハナイヂヤナイ
カト云フ風ニ考ヘテ居ル譯デス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=37
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038・中村又一
○中村委員 今一點甚ダ時間ノ都合上御迷
惑デセウガ、恩給當局ノ實際上ノ御立場ニ
對シマシテ、ドウシテモ其事實ノ矛盾カラ
質問ヲ繰返サナケレバナラヌ立場ニ私ハ居
ルノデアリマス、ト云フノハ此同一戶籍ト
カ家ト云フヤウナ、サウ云フ立場ヲ土臺ニ
シテ言ッテ居ラレルノデアリマスルケレド
モ、恩給ト云フモノヽ元々ノ觀念ハ身分ニ
依ッテ考ヘナケレバナラヌト思フ、身分ニ
依ッテ其所謂夫ノ妻デアルカ或ハ其子ノ父
デアルカ、此處ガ恩給ノ最モ有難イ所ナン
ダ、之ヲ御忘レニナッテハ私ハ恩給ノ有難
味ト云フモノガ薄レテ行クト思フ、ソコデ
此身分ト云フモノヲ根本ニシテ考ヘマスレ
バコソ御伺致ス所以デアリマス、モハン
ツノ實例ヲ擧ゲルト、淀橋ノ最近ノ事件デ
アルノデアリマスルガ、或人ノ細君ガ未亡
人トナッタノデアリマス、是ハ大分恩給局
ニモ手古摺ラセマシタ、私ハ大分陳情ニモ
行キマシタ、此人ハ千五百圓バカリノ恩給
ガ付イテ居ッタガ、借金ガ一二萬圓アッタノ
デアリマス、ソレデ債權者ハ此人ニ政府カ
ラ渡ルコトニナッテ居ル僅カ千五六百圓ノ
恩給金ヲ目懸ケテ殺到致シタノデアリマ
ス、ケレドモ恩給ノ有難味ト云フモノガ其
處ニアッタノデアリマス、ソレハ何カト申
シマスト、此細君ハ子供モナケレバ何ニモ
ナカッタ、亭主ニ死ナレテシマヒマシテ、
只一人殘ッタノガ其細君ダッタノデアリマ
ス、所ガ日本ノ民法ノ是モ一ツノ缺陷トデ
モ申シマセウカ、一人殘ッタ此細君デハ戶
主ニナレナイノデアリマス、一寸素人考シ
マスト、一人殘ッタカラ-其家ニタッタ夫
婦居ッタモノガ亭主ガ死ンデシマッタカラ、
一人殘ッタ妻ハ直ニ其家ノ戶主ノヤウニ見
エルノデアリマスガ、日本ノ民法デハ當然
ノ戶主デハナイ、故ニ殘ッタ此細君ヲ目懸
ケテ訴訟ヲヤリマシテモ、此家ノ亭主ノ借
金ハドウスルコトモ出來ナイノデアリマ
ス、是ニ於テ此恩給ト云フモノハドウ云フ
風ニ動イタカト申シマスト、死ンダ當時ニ
於テ妻デアッタニ相違ナイノデ、千五六百圓
ノ恩給ハポカット其人ニ下ッタノデアリマ
ス、細君ハ千五六百圓ノ恩給ト更ニ五百圓
ノ扶助料ヲ懷中ニ突込ミマシタ、是ガ家督
相續ノ爲ニ親族會議ヲ開キ家督相續ノ手續
ヲ執リマセヌカラ、今日此事件ニ付テハ甚
ダ困ッテ居ルノデアリマスガ、此妻ハ如何ナ
ル立場ヲ執ルノデアリマセウカ、唯併ナガ
ラ恩給ト云フモノニ付テハ、人ノ妻デアッ
タト云フ此一ツノ身分ニ對シテ有難イ恩給
ト云フ國家ノ恩典ガ與ヘラレテ居ルト云フ
コトヲ考ヘナケレバナラヌノデアリマス、
借金ハドウデアラウト斯ウデアラウト、戶
籍ヲ退ケラレタ細君ガ、親族會議ヲ開イテ
此家ヲ相續シナイ限リニ於テハ、此家ノ先
代ノ亭主ノ債權者ハ何人ヲ相手ニスルコト
モ出來ナイ、暖簾ニ腕押シト云フヤウナ實
例ガアルノデアリマス、此實例カラ見マシ
テモ、此所謂戰死者ノ父デアリ、子デアル
ト云フ身分ガ恩給權ヲ獲得スル所ノ唯一ノ
條件デアリ、唯一ノ有難イ所ノ資格デアル
ト申上ゲナケレバナラヌノデアリマス、其
家ガ何處ニ動カウト、此觀念ニ基イテ、政
府當局ハ恩給ノ有難味ヲ實行サレル點ニ於
テ、將來左樣ナ御方針ヲ執ラレル御親切ガ
アルノデアリマセウカ、其〓究ノ御態度ダ
ケヲ此際ニ承ッテ置キタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=38
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039・樋貝詮三
○樋貝政府委員 今中村君ハ非常ニ珍ラシ
イ例ヲ御擧ゲニナリマシタガ、私ハ初メテ
其例ヲ承ッタノデアリマス、併シ只今ノ場
合ハ家ヲ去リマセヌノデ、一般ノ原則ト少
シモ變ッタ所ハナイノデアリマス、戶主ガ
ナイト云フコトダケデアッテ、其未亡人ガ
家ヲ去ッタト云フ觀念デハナイノデアリマ
ス、サウ云フ譯デアリマスカラ、是ハアナ
タノ御主張ニナル所ノ適例ニナルカドウカ
疑問デアラウト思ヒマスガ、ソレ等ノ點ヲ
〓究シテ見ルカドウカト云フ今中村議員ノ
御話デスケレドモ、是ハモウ〓究シテ見ル
積リデアリマス、恩給制度ノコトニ付キマ
シテハ、私ハ色々ナ方面カラ現行制度ノ善
イカ惡イカ、又殊ニ財政ナドノ方面ニ關シ
マシテモ非常ニ重要ナ關係ニナッテ居リマ
ス、斯ウ云フヤウナ點カラモ又諸種ノ點カ
ラモ〓究ハシテ見ヨウトm心ヲテ居リマス、
尙ホ今ノ御話モアリマスカラ、ソレ等ノ點
モ無論〓究シテ見タイト私ハ考ヘテ居リ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=39
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040・中村又一
○中村委員 元ノ軍事扶助法ノ問題ニ戾リ
マシテ、是ハモウ御尋スル程ノ問題デモア
リマセヌガ-是ハ御提案ニナッテ居ナイ
部分デアリマスガ、此扶助ノ恩典ニ浴スベ
キ範圍ヲ擴張シタト云フ御精神デアリマシ
タナラバ、現行法ノ第八條、第九條ノ如キ、
「六年ノ懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレ
タル者ナル場合ニ於テハ、其ノ者竝其ノ家
族及遺族ニ對シ救護ヲ爲サズ」ト云フ規定
ガアルノデアリマス、是ハ救護スル範圍ヲ
擴メルト云フ精神カラ申シマスト、傷病兵
ニシテ生活困難ノ結果事情已ムヲ得ズ、曾
テハ國家ノ爲ニ盡シタ人達ガ、此條文ニ該
當スルヤウナ不幸ナ立場ニ立ッタト致シマ
シテモ、刑ハ一身ニ於テ責任ヲ負フベキモ
ノデアッテ、家族迄モソレニ全責任ヲ負ハ
ナケレバナラヌト云フコトハアリ得マイト
思ヒマス、是ハ今少シク御擴張ニナリマシ
テ、本人ノ場合ハ是デ結構ダト思ヒマスケ
レドモ、家族ヲ救濟スル必要ノ生ジタト云
フ場合ニ於テハ、豫テ國家ノ爲ニ盡シタ氣
ノ毒ナ人々デアリマスカラ、其家族ニ對シ
テハモウ少シ擴張ヲナサッテ、恩典ノ御取
扱ニ浴セシムルト云フ御精神ハナイノデア
リマセウカ、ソレヲ御尋致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=40
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041・山崎巖
○山崎政府委員 軍事救護法ハ先程カラ段
段御話ガゴザイマシタヤウニ、現役兵竝ニ
家族遺族ノ扶助ヲスルノデアリマシテ、
般救護法ト異ッテ、軍人ノ家族遺族ノ生活ヲ
或ル程度、一般救護以上ニ見ルト云フ點ニ
在ルノデアリマス、隨ヒマシテ軍人ガ第八
條ニゴザイマスヤウニ、六年ノ懲役又ハ禁
鋼以上ノ刑ニ處セラレタヤウナ場合ニハ、
此軍事救護法ノ適用ヲ止メマシテ、尙ホ其
家族遺族ニ於テ非常ニ困窮ノ狀態ニ在リマ
スレバ、一般救護法ニ依ッテ救護ヲスルト云
フ立前ヲ取ッテ行キタイト考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=41
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042・川島正次郎
○川島委員長 松本君
〔委員長退席、八角委員長代理著席〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=42
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043・松本治一郎
○松本委員 國家最高ノ犠牲デアリマスル
下士官兵竝ニ其家族ニ對シマシテ、國家ハ
是等ニ對シ最高ノ保障ノ義務ヲ負フベキハ
當然ノコトデアリマスルガ、ソレハサウ理
想的ニハ行カナイラシクト思ヒマス、何故
カト申シマスト、先日本會議ニ於テ私ガ質
問致シマシタコトニ對スル御答辯ヲ聽キマ
シテモ、ドウモ怪シク思フノデアリマス、
併シ今囘御提案ニナッテ居リマスル改正案
ヲ見マスルト、軍事救護法ハ現在ノ社會情
勢ニ鑑ミ、適用範圍ノ擴張其他ノ點ニ改正
ヲ加ヘテ、軍事扶助ノ徹底ヲ期スルト云フ
立前カラ、私ハモウ少シ進ンダ改正ノヤリ
方ヲヤッテ戴一イテハドウデアラウカ、斯ウ
云フ立場カラ質問スル者デアリマス、第
ニ御尋シタイノハ、第二條デアリマスガ、
「本法ニ於テ傷病兵ト稱スルハ左ノ各號ノ
ニ該當スル者ヲ謂フ、一、陸海軍下士官
兵ニシテ戰鬪又ハ公務ノ爲傷痍ヲ受ケ又ハ
疾病ニ罹リ之カ爲一種以上ノ兵役ヲ免ゼラ
レタル者」トアリマス、此一種以上ノ兵役
ヲ免ゼラレタル者トハドンナ者デアリマス
カ、ソレヲ一ツ聽キタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=43
-
044・山崎巖
○山崎政府委員 御承知ノ通リ兵役免除ニ
ハ、色々ナ種類ガアリマシテ、現役ヲ免除
サレマス場合、或ハ豫備役ヲ免除サレマス
場合、其他色々病氣ノ程度ニ依リマシテ、
免除ノ程度ガ違フノデアリマス、茲ニ一種
以上ノ兵役ヲ免ゼラレタル者ト申シマスノ
ハ、現役兵ダケヲ免除サレマシテモ、此範
圍ニ入ルト云フコトニ相成ル譯デアリマ
ス、苟モ兵役免除ノ事ガゴザイマスレバ、
全部此中ニ入リ得ルト云フ解釋ヲ執ッテ居
ル譯デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=44
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045・松本治一郎
○松本委員 現役免除ト兵役免除ハ同一デ
スカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=45
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046・山崎巖
○山崎政府委員 兵役免除ノ中ニハ、現役
兵ダケヲ免除サレル場合モアリマスシ、先
程申上ゲマシタヤウニ現役兵ダケデナク
テ、豫備役モ免除サレル場合モアリマス
シ、色々ノ場合ガアル譯デアリマス、隨ヒ
マシテ兵役免除ト現役免除トハ同一デハナ
イノデアリマシテ、一種以上ノ兵役ヲ免ゼ
ラレタル者ト云フノハ、範圍ガズット廣ク
ナル譯デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=46
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047・松本治一郎
○松本委員 二種以上ノモノトハドンナモ
ノデスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=47
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048・山崎巖
○山崎政府委員 只今申上ゲマシタヤウ
ニ、現役兵ヲ免除サレ、且ツ豫備役ヲモ免
除サレタ場合ニハ、二種以上ノ兵役ヲ免除
サレタト云フコトニ相成ルト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=48
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049・松本治一郎
○松本委員 先刻中村君カラモ質問ガアリ
マシタ、第八條、第九條、第十條ノ六年ノ
懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタ者ナル
場合ニ於テハ、其者竝ニ其ノ家族及遺族ニ
對シ扶助ヲ爲サズ、是ハ政府委員ノ御答辯
ニ依リマスルト、サウ云フ場合ハ一般ノ救
護法ヲ適用スル、斯ウ云フ御答辯ノヤウニ
聞イタノデアリマスガ、其犯罪ノ原因ナル
モノガ、此傷病兵ニナッタ爲ニ生活困難ニ
ナッタト云フヤウナ場合ハ、ドウ御取扱ニ
ナルカト云フコトヲ御尋スルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=49
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050・山崎巖
○山崎政府委員 第八條、第九條ノ六年ノ
懲役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタト云フ
ヤウナ場合ハ、其原因ノ如何ヲ問ハズ、其
者及ビ家族遺族ノ救護ハ爲サナイ立前ニ
ナッテ居リマス、先程モ申上ゲマシタヤウ
ニ、軍事救護法ハ現在ノ一般救護法ト異リ
マシテ、軍人ノ家族遺族ノ名譽ヲ尊重シテ、
其生活ヲ或ル程度能ク見テ行クト云フ點
二、根本趣旨ガゴザイマスノデ、斯ウ云フ
風ナ不名譽ノ事故ガ起リマシタ場合ニハ、
其者竝ニ家族遺族ニ付テハ、此法律ニ依リ
マシテハ救護ヲ止メマシテ、必要ガゴザイ
マスレバ一般救護法ニ依ッテ救護スルト云
フ立前ヲ執ッテ居ル譯デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=50
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051・松本治一郎
○松本委員 私ノ御尋スルノハ其原因デア
リマス、傷病兵ニナッタ爲ニ生活ニ困ッテ、其
苦シサノ爲ニヤッタト云フ、ソレガ名譽カ
不名譽カハ別問題ト致シマシテ、其取扱方
ヲ重ネテ御尋スルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=51
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052・廣瀬久忠
○廣瀨政府委員 今ノ御話ノヤウナ場合、
傷病兵ニナッタ爲ニ遂ニ犯罪ヲ犯スニ至ッタ
ト云フコトニナッタラバドウスルカト云フ
ヤウニ伺ッタノデアリマスガ、傷病兵ニナ
リマシテ生活ニ困リマスレバ、ヤハリ軍事
扶助法ニ依ッテ扶助ヲ受ケルノデアリマス
カラ、サウ困ルコトハナイノデハナイカト
思ヒマス、併シ萬一傷病兵ニナッテ困ッテ軍
事扶助ヲ受ケテ居ッタ際ニ、遂ニ犯罪ヲ犯
シタト云フヤウナ場合ニハ、名譽ヲ重ンズ
ル軍人ノ立前カラ申シマシテ、ヤハリサウ
云フ場合ニ扶助ヲシナイト云フノハ已ムヲ
得ナイノデハナイカ、唯併シ先程來申上ゲ
テ居ルヤウニ、其家族、遺族等ニ付テハ、
ソレハ軍事救護法以外ニ一般救護法ガアリ
マスカラ、ソチラノ方デ救護スルト云フ精
神デ行キマス積リデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=52
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053・松本治一郎
○松本委員 次ニ御尋シタイノハ、第六條
ノ扶助ノ種類ノ中ニ醫療ト云フノガアリマ
ス、之ニ付テ御尋シタイノデアリマス、昭
和十年度ノ調査ニ依リマスト、海軍患者ノ
總數ハ七萬五千七百十七人デアリマシテ、
其中死亡セルモノ四百四十三人、除役トナツ
タモノ千百十七人ト云フ數字ヲ示シテ居
ル、陸軍ノ方ハ所謂軍機ノ機密ヲ守ル爲
カ、陸軍患者ノ實數ヲ知ル統計ガ發表サレ
テ居ラナイノデアリマスカラ、正確ナ事ハ
分リマセヌガ、海軍ヨリ推シテ考ヘマスレ
バ想像ハ付クト思フノデアリマス、陸海軍
ヲ通ジマシテ結核、肋膜ノ疾患ニ依ル患者
ハ非常ニ多ク、昭和十年度ニ於ケル海軍患
者總數ノ約二十分ノ一ニ相當スル三千三百
五十五人ト云フモノガ結核、肋膜ノ患者デ
アリマス、而モ海軍病院ニ於ケル結核病床
ハ僅ニ二百四十ニ過ギナイ、陸軍ニ於テハ
結核病床ハ特別ニ設置セラレルコトナク、
普通病室又ハ傳染病患者ノ病室ヲ使用シツ
ツアルト云フ現狀デアリマス、此病氣ノ患
者ハ他ノ病氣ニ比ベテ死亡率ガ高イト云フ
コトハ言フ迄モナイ、除役サレタモノヽ殆
ド大部分ハ遲カレ速カレ死亡スルノデアリ
マス、斯樣ニ多數ノ軍人ガ現役中ニ疾病ニ
冐サレ、死ノ一步手前ト云フ所デ兵役免除
トナリマシテ、貧困ナル家庭ハ彼等ニ十分
ナル醫療ヲ施スコトガ出來ナイ、遂ニアタ
ラ生命ヲ失フ者ガ少クナイノデアリマス、
或ハ兵役免除トナッタ病人ヲ抱ヘテ、其醫療
費ヲ稼グ爲ニ一家全體ガ非常ニ生活ヲ脅サ
レテ居リマス、陸海軍ヲ通ジテ年々凡ソ二
千名ヲ越エル結核、肋膜ニ依ル除役者ガア
ルト言ハレテ居リマス、然ルニ國家ハ是等
多數ノ除役者ヲ收容スル結核療養所ヲ一箇
所モ持ッテ居ナイ、內務省ノ所謂結核豫防五
箇年計畫ノ中ニハ、結核ニ依ル除役者ノ療
養ヲ目的トスル國立結核療養所ノ設置ガ計
畫サレテ居ルケレドモ、五箇年後デナケレ
バソレハ完成シナイノデアル、其完成マデ
ノ五箇年間ニ每年二千人ヅヽ除役トナル結
核、肋膜患者ヲ一體ドウスル積リカ、サウ
シテ五箇年後ニ完成シタ頃ハ再ビ病床ノ不
足ヲ來シハシナイカ、而モ提出豫算ニ於テ
ハ二百四十五萬二千六百二十八圓トナッテ
居タガ、結核豫防施設ノ擴充ニ關スル經費
結城大藏大臣ニ依リ三十六萬八千五百
七十八圓ヲ削ラレテ居ル、其削減ハ國立療
養所設置ノ經費ヲ削ルノデアルカ、ソレヲ
一寸聽キタイ、更ニ兵士ノ除役サレル疾病
ハ結核、肋膜ダケデナク、他ノ疾病モ亦非
常ニ多イノデアルガ、結核以外ノ疾病ニ依
ル除役者ノ醫療救護ヲ政府ハ考ヘテ居ルカ
ドウカ、ソレヲ御尋スルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=53
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054・廣瀬久忠
○廣瀨政府委員 御質問ノヤウニ每年軍人
ニシテ結核、或ハ肋膜炎、胸膜炎等ノ爲ニ
除役セラレル者ガ相當ニ多イ、此點ニ對シ
マシテハ軍當局ニ於テモ非常ニ心配セラレ
マシテ、內務省ト色々打合ヲ致シテ、サウ
シテ內務省ト致シマシテハ、昨年來此方面
ニ付テ色々考究ヲ致シマシタ、ソレニ基キ
マシテ此除役軍人ニ對シマシテ、今御話ノ
ヤウニ約三千床ノ結核病床ヲ作ル、ソレハ
五箇年掛リマス、併ナガラ兎ニ角三千床ヲ
作ル計畫ヲ立テマシテ、ソレヲ進行致スコ
トニナッテ居リマス、併シ只今御話ノヤウニ
每年二千内外ノ結核關係ノ除役者ガアル譯
デ、是等ニ對シテ今後五年經テバ宜シイノ
デアリマスガ、御話ノ通リ今ハ困ル譯デア
リマス、併シ之ニ對シマシテハ、現在アリ
マスル所ノ公立ノ療養所、是ノ收容能力ノ
アル病院ガ相當アリマス、ソレカラ其外私
立ノモノ等モアリマシテ、結核患者ヲ收容
シ得ル所ノ病床ハ、約一万五千人位ハ收容
シ得ルヤウニナッテ居リマス、勿論是ハ全部
一般人ニモ使ハレテ居ル部分モアリマスケ
レドモ、併シヤハリ此方面ニモ流用ヲ致シ
マシテ、軍人ノ困ッテ居ル除役者ニモ之ヲ
使フヤウニ致シマシテ、是非何トカ致シテ
行キタイ、將來ニ付テハ先程申上ゲマシタ
ヤウナ五箇年計畫ヲ完成シマシテ、サウシ
テ除役者ニ對スル施設ヲ完全ニ致シテ行キ
タイト、斯ウ云フ風ニ考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=54
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055・松本治一郎
○松本委員 其次ニ御尋シタイノハ、本法
改正ニ伴ヒマシテ施行令ノ改正ノ意思ガア
ルカナイカ、ソレヲ聽イテ見タイト思フノ
デアリマス、現行軍事救護法施行令ノ規定
ニ依リマスレバ、生活扶助ノ爲ニ支給スル
金額ハ一人一日三十錢以內トナッテ居ル、本
施行令ノ發布セラレタ大正六年ト今日トヲ
比ベマスルト、社會ノ狀態ガ違フ、サウシ
テ其時ト今日トノ總テノ物價等カラ見マス
ルト、約二三割ノ隔リガアルノデ、大正六
年ニ定メラレマシタ一人一日三十錢以內デ
ハ、今日ノ實際ノ價値カラ言ヒマスト二十
二三錢ニシカ相當シナイト思フノデアリマ
ス、而モ此生活扶助ノ實際ハ驚クベキ程貧
弱ナ狀態デアリマシテ、一例ヲ擧ゲマスレ
バ、本年ノ一月ノ福岡市ニ於ケル軍人救護
施行狀況ヲ見マスニ、扶助ヲ受ケタ戶數ガ
四十三戶、其人員ガ百六十人デアリマシテ、
金額ハ五百九十四圓、一人一日平均十二錢
弱ト云フ有樣デアリマス、是ハ獨リ福岡市ノ
ミデナクシテ、全國的ニサウ云フ風ニナッテ
居ヤシナイカト斯ウ思フノデアリマス、試
ミニ最近十箇年間ノ軍事救護ノ實績ヲ調ベ
テ見マスト、昭和元年度ニ於ケル總額ヲ救
護人員デ割リマスレバ、一人當リ平均額ハ
三十四圓二十五錢デアリマシテ、滿洲事件
ノ爲メ急激ニ被救護者ノ增加シタル昭和七
年度ニ於テハ、一人當リ平均二十四圓五十
一錢ニ低下シテ居ルノデアリマス、昭和十年
度ニハ二十六圓ニ達セズ、元年度ニ比ベマ
スルト一人當リ八圓三十錢ノ減少ヲ示シテ
居ルノデアリマス、是ハ實ニ二割三分ニ相
當スル減少デアリマス、今日ニ於テハ益〓
被救護者ノ數ハ增加スル一方デアリマシ
テ、國庫支出ガ之ニ伴ハナイ爲ニ、前ニ述
ベマシタヤウナ貧弱ナ有樣トナルノデアリ
マス、「生活スルコト能ハザル者」ニ一日十
二錢ヤ十三錢ヲ吳レテヤルト云フノデア
ル。ソレヲ今度ノ改正案デハ「生活困難ナ
ル者」ト改メヨウト云フノデアルガ、生活
困難ナ者ニ對シマシテ一日十二錢ヤ十三錢
ノ扶助デハ、ドウスルコトモ出來ナイト思
フノデアリマス、斯樣ナ施行狀況ノ實際ヨ
リ見マシテ、軍事救護費ノ國庫支出ガ餘リ
ニモ僅少過ギルコトニ、寧ロ奇異ノ感ヲ起
サザルヲ得ナイノデアリマス、本年度ノ豫
算ヲ見マスルト僅カ百三十萬七千餘圓ノ增
加デアリマシテ、本法改正ニ依ル適用範圍
ノ擴張ニ依ッテ新ニ增加スル被救護者ト、年
年殖エル數トヲ考慮ニ入レマスル時ニ、是
レ位ノ經費ヲ以テ本案提出理由書ニ謳ハレ
タル軍事扶助ノ徹底充實ハ、斷ジテ期待出
來ナイト思フノデアリマス、現ニ軍事救護
法適用以外ノ者ノ救護ノ爲ニ、全國ニ約二
百七十ノ民間軍人援護團體ガアリマシテ、
昭和七年度末ノ調査ニ依リマスレバ、同年
度中ノ救護人員ハ四萬人ヲ超エ、一箇年經
費ハ九十萬三千五百圓ニ達シテ居ルノデア
リマス、是ハ政府ノ軍事扶助ガ足ラナイ爲
ニ、救護ヲ受クベキ狀態ニ在リナガラ、本
法ノ適用ヲ受ケ得ナイ者ガ斯樣ニ多數存在
シテ居ルト云フコトヲ示シテ居ルノデアリ
マス、要スルニ本改正案ハ適用範圍ヲ擴張
セントスルモノデアリマスガ故ニ、之ニ必
要ナル豫算ノ大增加ヲ伴ハナケレバ、一片
ノ空文ニ過ギナイト云フコトニナルノデア
リマス、政府ハ現在ノ施行實況ニ見ラレル
如ク、一日十二三錢ノ生活扶助デ結構ナリ
ト考ヘラレルカ、本法適用範圍ノ擴張ニ依ッ
テ被救護者ハ激增スルガ、其結果ソレ等ノ
狀態ガ惡化サレテ、或ハ一人一日十錢程度
ニ減少サレルカモ知レナイト云フコトヲ惧
レナケレバナラナイト思フノデアリマス、
斯ル事態ヲ來サナイ爲ニ此際本法施行令ヲ
モ改正シテ「一人一日三十錢以內」トアルヲ
「一人一日五十錢」ノ確定額トスル意思ガア
ルカナイカ、又施行令中ノ手續ガ面倒ナ爲
ニ途中ニ時日ヲ費シマシテ、平時ニモ救護
ガ遲延シテ被救護者ニ迷惑ヲ與ヘルコトガ
甚ダ多イノデアリマス、殊ニ急場ニハ一層
其缺點ガアリ、先頃上海事變ノ際出兵ノ時
ノ如キハ、申請シテ許可ノ指令ガ下ッタ時
二、本人ハ既ニ戰地カラ還ッタ後デアツ
タ、サウ云フ實例ガアルノデアリマス斯樣
ナ煩瑣ナ手續ヲ除イテ簡單ナモノトスルヨ
ウ、現行施行令ヲ改正スル意思ガオアリデ
アルカドウカ、現行施行令中改正ヲ望ム要
點ヲ指摘シマスナラバ、第一ニ扶助ノ事務
ヲ掌ラシムル爲ニ、市町村ニ軍事扶助委員
會ヲ設ケ、地方長官ノ補助機關トスル、二、
扶助ノ急ヲ要スル場合ハ、市町村長ハ假處
分ヲ以テ之ヲ行ヒ、市町村費ヲ以テ一時經
費ヲ繰換支辨シ、然ル後府縣知事ニ申告シ
テ裁定ヲ求ムルコトヲ得セシメル、三、市
町村長ノ爲シタル假處分ヲ不當ナリト認ム
ル場合ハ、府縣知事ハ之ヲ取消スコトヲ得
ル、又其府縣知事ノ爲シタル裁定ニ不服ナ
ル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得ルコ
トヽスル、四.生活扶助ノ爲メ支出スル費
用ハ一人一日五十錢以內トシ、三十錢ヲ下
ルコトヲ得ズトスル、現行施行令デハ三十
錢以內、五、助產ノ爲メ支出スル費用ハ二
十圓トスル、現行施行令デハ十二圓以內、
六、埋葬ノ爲メ支出スル費用ハ二十圓トス
ル、現行規程ハ十二圓以內、七、災害ニ因
リ必要アル場合ノ生活扶助ハ、一家族總額
百圓ヲ限リ給與スルコトヽ爲ス、八、一旦
給與シタル金品ハ之ヲ返還セシメナイコト
トスル、九、扶助ノ廢止停止等ヲ受ケタル
者ハ、行政裁判所ニ出訴シテ再ビ裁定ヲ求
ムルコトヲ得ルコトヽスル、主ニ斯ウ云フ
風ニ爲サル意思ハナキヤ否ヤ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=55
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056・廣瀬久忠
○廣瀨政府委員 只今扶助法ヲ改正致シマ
シタ後ニ於テ、此施行ニ關スル規定ヲドウ
スルカト云フ御尋デアリマスガ、施行ノ勅
令等ニ付キマシテモ、改メナケレバナラヌ
點ガアルト思ヒマス、尙ホソレニ付テ色々
御注意モアリ、此手續等ガ遲レルト云フコ
トニ付キマシテハ、行政ノ運用トシテ御迷
惑ヲ掛ケナイヤウニ、地方廳ヲ督勵シテ、
間違ノナイヤウニ致シタイト思ヒマス、ソ
レカラ尙ホ扶助ノ金額ノ問題デアリマス
ガ、是等ニ付テモ、決シテ今迄ヨリモ之ヲ
低クスルト云フヤウナコトハナイヤウニ致
ス積リデアリマス、併シ只今色々御話ニナ
リマシタ一々ノ項目、色々假處分ノ問題デ
アルトカ、或ハ扶助委員會ノ問題デアルト
カ、其他ノ問題色々御示ノ點ニ付キマシテ
ハ、是ハ御意見ヲ伺ヒマシテ、十分ニ〓究
ヲ致サナケレバ、何トモ申上ゲ兼ネマス、
唯全體ト致シマシテ、今囘ノ改正ノ趣旨ガ
扶助ノ範圍ヲ擴メ、サウシテ扶助ノ程度ヲ
寛ニスルト云フ趣旨デアリマスカラ、此趣
旨ニ悖ルヤウナコトノナイヤウニ致ス積リ
デ居ルノデゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=56
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057・松本治一郎
○松本委員 私ハ今日ハ是デ宜シウゴザイ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=57
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058・八角三郎
○八角委員長代理 次ニハ前田幸作君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=58
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059・前田幸作
○前田委員 本員ハ陸軍大臣ノ御答辯ヲ煩
ハシタイト存ジマスガ·····
〔八角委員長代理退席、委員長著席〕
色々他ニ御繁多ト見エマシテ此席ニ見エテ
居リマセヌ、他ノ適當ナ御方カラ御答辯ヲ
煩ハスコトニ致シマス、但シ其御答辯ハ陸
軍大臣ノ御言葉トシテ拜聽致スコトニ致シ
やく、左樣御諒承ヲ願フテ置キマス
御提案ニナリマシタ軍事扶助法案ハ現內
閣ガ祭政一致ノ大旆ヲ振翳シマシテ、其庶
政改革ノ一ツトシテ、最モ時宜ニ適シマシ
タ所ノ改正法律案デアルト思料スルノデ
ゴザイマスガ、併ナガラ率直ニ申上ゲ
マスト、洵ニ微溫的デゴザイマシテ、
甚ダ遺憾ニ堪ヘヌ點モ多々アルノデゴ
ザイマス、併シ要ハ財源ノ問題デアリ
マシテ、爲シタクモ財源ハ無シト云フ
結論ニナリマスレバ已ムヲ得ナイコト
デアラウト思フノデゴザイマスガ、併
シ總テヲサウ論ジテシマヒマスルト、モ
ウ何事モ申上ゲルコトモ出來ナイコトニ
ナリマスノデ、ソコニ多少他ノ方ヲ緊縮ヲ
シテ戴イテ、又一步モ二步モ進メル餘地ガ
アルト思フノデゴザイマス、前質問者ノ御
質問ナドモ蓋シ尤ナ點ガ多々アッタノデゴ
ザイマスガ、私ハ旣ニサウシタ點ヲバ質問
シ盡サレテ居リマスノデ、茲ニ其內容ニハ
觸レマセヌ、別段ノ項目ニ付テ御尋ヲシタ
イノデアリマス
本法ノ第八條ニ、傷病兵ガ六年未滿ノ懲
役又ハ禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者ナル
場合ニ於テハ其ノ者竝ニ其家族及ビ遺族ニ
對シ救護ヲ爲サス、斯樣ニアルノデゴザイ
マスガ、是ハ一面巳ムヲ得ナイ條文カトモ
思フノデゴザイマスガ、併シ千篇一律ニ禁
鋼以上ノ者、六年未滿ノ懲役ト、斯ウ餘リ
ニモハッキリト此處ニ現ハシマスコトハ如
何カト思フノデアリマス、例ヘバ一例ヲ申
シマスレバ、先般來ノ二·二六事件ノ處分
ノ爲ニ、其遺族ノ人々ハ社會方面カラ所謂
勅ニ抗シタル所ノ部隊、其指揮者トカ其幹
部ナリト云フヤウナ汚名ヲ受ケマシテ、可
哀相ニモ其持チ居リマシタ收入ノ途ハ遮斷
サレマシテ、更ニ又別ニ仕事ニアリ付カン
ト致シマシテモ、社會ハ之ヲバ顧ミナイ、
斯ウ云フ狀態デアリマシテ、洵ニ同情スベ
キモノガアルノデゴザイマスガ、先般政府
委員ノ同僚ニ對スル御答辯中ニ、犯罪者ノ
家族ニ對シテハ、別段ノ救護法ニ依ルコト
ニシヨウ、サウ云フ途モアルノデアル、斯
樣ニ御答辯ニナッタノデゴザイマスガ、未ダ
勅ニ抗シマシタル者ナリヤ否ヤト云フコト
ハ、幾多ノ疑問ガアルノデゴザイマス、私
ハ本件ニ付キマシテハ、別段ノ取扱ニ依リ
マシテ、大乘的見地ヨリ直接軍法會議ニ付
セラレマシテ、一囘ノ辯明モ上〓モ許サレ
テ居ラナイト云フ、此哀レナ人ニ對シマシ
テ、彼等ガ言ハント致シマス所ヲバ率直ニ
述ベテ陸軍當局ノ御意中ヲ承ッテ置キタイ
ト思フノデゴザイマスガ、併ナガラ斯ク申
シタカラト申シマシテモ、固ヨリ世ノ中ノ
一部ノ人ガ言ヒマスヤウナ反軍思想ト云フ
ヤウナ言葉サヘモ忌ハシイノデアリマシ
テ、左樣ナモノハ今日ハ大日本ニハアリ得
ナイノデアリマス、無論强ヒテ言フナラバ
親軍思想、當然ノコトデアリマス、親軍ナ
レバコソ私共ハ斯ク申スノデアリマスガ、
此點誤解ノナイヤウニ申上ゲテ置キタイノ
デアリマス、隨テ只今御尋致シマシタ要點
ハ此二·二六事件ノ家族ニ對シマシテハ、別
段ノ救護法ニ依ッテ御救護ナサル意思アリ
ヤ否ヤ、斯樣ニ先ヅ承リタイト存ジマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=59
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060・山脇正隆
○山脇政府委員 只今ノ御質問ニ對シマシ
テハ、私カラハ一寸御答辯申兼ネルノデア
リマスガ、今ノ要旨ヲ大臣ニ申シマシテ適
當ノ機會ニ御答辯致スコトニ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=60
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061・前田幸作
○前田委員 諒承致シマシタ、サラバ尙ホ
御答辯ヲ得ルナリ、又前段同樣ノ御扱デモ
結構デアリマスガ、續イテ御伺シタイノデ
ゴザイマス、本法ノ御提出ノ骨子ハ何處ニ
アルカト申シマスト、所謂「軍事扶助ノ徹
底充實ヲ期スルガ爲」ト云フ字句ガ使ッテア
リマスノデ、洵ニ結構ナコトデアリマス、
隨ヒマシテ現役ト言ハズ、傷病者ト言ハズ、
其家族ト言ハズ包含サレテ居ルノデゴザイ
マス、是ニ於キマシテ御尋ヲシタイノデゴ
ザイマスガ、先ヅ現役ヲ救濟シ、家族ヲ救濟
スルコトハ當然デアリマスガ、死ニマシタ
者戰死者ハ固ヨリデアリマスガ、刑死者
ト雖モ此本法ノ精神カラ云ヘバ無論物質的
ノ御救助ハ別トシテ、例ヘバ刑ニ付セラレ
マシタ者、其刑ガ死刑デアッタ、此場合ニ於
キマシテ無論其死刑ノ者ヲドウシテ救濟ス
ルト云フコトハ、アリ得ルコトデモアリマ
スマイシ、又本法ノ御提出ノ條文ニモアリ
マセヌガ、御精神ニ於キマシテハ、既ニ事
ヲ處シテシマッタ其後ノ者ニ對シマシテハ、
條文的ニハナクテモ、此氣持ヲ以テ御迎ヘ
ニナルノデアリマセウカ如何デアリマセウ
カ、此點ヲ御伺致シタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=61
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062・山脇正隆
○山脇政府委員 此問題モ前ノ御質問ト同
樣ニ御願シタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=62
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063・前田幸作
○前田委員 更ニ進ンデ御尋ヲシタイノデ
ゴザイマスガ、成ベク議事ノ進行上本日打
切リタイト思フノデゴザイマスガ、左樣ニ
參リマスルト一寸是以上ノ御質問ヲ致シ兼
ネマスノデ、當該大臣ノ御答辯ヲ得マス迄
暫ク保留ヲシタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=63
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064・升田憲元
○升田委員 便宜上此條文ノ順序ニ御伺致
シマス、此名稱ニ付キマシテハ先程社會局
長官ヨリ縷々御述ニナッテ居ッタヤウデアリ
マスガ、是ハ過日ノ本會議ニ於テ私ガ隨分
詳シク申述ベタ通リニ、此救護ト云フコト
ノ現行法ノ文字ハ餘程是ハ考慮ヲ要スルモ
ノデアリマス、本法制定當時ノ立法ニ從事
シタ者ハ、能ク詳シク知ッテ居ッテ、此點ニ
付テハ前內務大臣ノ潮氏ナドモヨク御承知
ナ筈デアッタト思ッテ居リマスガ、兎ニ角是
ハ一度政府案デナシニ、衆議院案トシテ出
タノデス、其時ニ隨分練フタ問題デアリマ
ス、其結果色々ノ議論ガアッタケレドモ結
局扶助トカ救助トカ云フヤウナ文字ヨリ
モ、先ヅ救護ト云フ方ガ宜カラウト云フコ
トデ救護ニナッタノデアリマスガ、其當時モ
保護法ト云フコトニ付テハ餘程議論ガアッ
テ、其方ガ宜カラウト云フコトデアリマシ
タケレドモ、過日內務大臣ガ御答辯ニナッタ
ヤウニ、軍機保護法ト混同サレ易イ虞レガ
アルカラト云フノデ、先ヅ此救護法ト云フ
コトニシタラ宜カラウト云フコトデ、議院
ノ方デモ通ッテ居ル、ソレガ今度政府案ニ
ナッテ出タ時ニモ同樣議論ガアリマシタガ、
結局同ジヤウナ意味デ先ヅ救護法ト云フコ
トニナッタ、ソレガ此度改正ノ結果扶助法ト
云フヤウナ一層惡イ意味ニ解セラレルヤウ
ニシタ、先程御答辯ノ中ニ折角今日デハ軍
事扶助事業統制ト云フヤウナ協定書ガ出來
テ、ソレニ關スル種々ノ規定モアルカラト
云フヤウナ御話モ社會局長官カラアリマシ
タシ、過日ノ內務大臣ノ答辯ニモサウ云フ
事ガアリマスケレドモ、ソレハ非常ナ間違
デス、ソレハ根本ノ誤デス、外ノ慈善團體
ガ軍事救護ニ付テ御〓心ニ色々御世話ヲナ
スッテ下サルノハ非常ニ有難イ、有難イケレ
ドモサウ云フ慈善團體ノ慈善事業ト混同サ
レテ、他ノ扶助事業ニ之ヲ打込ンデ、〓
ニ御〓究ニナルト云フコトハ、是ハ根本ノ
誤デアル、ソレガ軍事救護法ノ眞精神ヲ解
シテナイ所ノ證據デアル、殊ニ折角軍事救
護法ト云フモノガアッタノヲ、後カラ一般ノ
貧民救助ノ意味ニ於ケル救護法ト是トヲ同
ジヤウニ統制シテ、サウシテ救護法ト云フ
一般貧民救護ノ法律ガ出來タ爲ニ、折角軍
事救護法ト云フモノヲ追出シテ、更ニ一等
下ッテ軍事扶助法ニ直サナケレバナラヌノ
ハ、救護法ト混同シ易イ虞ガアルカラト云
フノデ、今度御改正ニナルトノコトガ其理由
ニ見エテ居リマスガ、是ハ非常ナ誤デスカ
ラ、此扶助法ト云フ名稱ハ潔ク御撤囘ニナッ
テ軍事保護法ト御直シニナッテ宜カラウト
思フ、軍機保護法ト云フノト少々語呂ガ似
テ居ル、ソンナコトハ微々タル問題デス、ソ
レガ爲ニ保護法ト云フ名稱ハ良イ案ダケレ
ドモ、一寸混同シ易イカラソレヲ附ケル譯
ニ行カヌト云フコトハ、何等ノ理由ニナラ
又、ケレドモドウシテモサウ云フ虞ガアル
トスレバ、軍事遺家族傷病兵保護法ト云フ
ヤウナ名前ニシテモ宜カラウ、或者ハ軍人
遺家族保護法ニシタラ宜イノヂヤナイカト
云フコトヲ、過日來色々代議士諸君ガ言ヒ
マスケレドモ、傷病兵ト云フモノハ既ニ兵
役ヲ免除サレテ軍人デナイカラ、軍人ト言
フ譯ニ行カヌト云フコトヲ大分說明シテ置
キマシタガ、ソレデハ軍事遺家族傷病兵保
護法ニシタラドウカト云フ人モ隨分アリマ
ス、此點ハ是非サウ云フヤウニ御改正ヲ願
ヒタイト思フ
ソレカラ此第二條ノ中ノ第二號ニ付テデ
スガ、傷病兵ノ範圍ノ增大ト云フコトニ付
テハ非常ニ私モ贊成ハシテ居リマスルガ、
過日モ本會議ニ於テ申述ベタ如ク、此豫算
關係ヲ見マスルト云フト、全ク是ハ殆ド形
式ダケヲ整ヘテ其實行ト云フモノニ至ッテ
ハ何等顧慮シナイ案ノヤウニ思フ、ソレデ
アリマスカラ此點ニ付キマシテ先ヅ御伺シ
タイノハ、第二條ノ第二號バカリデナク、
第三條ノ第三號、ソレカラ第四條ノ第三號
及ビ第五條ノ範圍ノ擴張ニ付テ豫算ヲ御作
リニナッタ時ニ此法律ノ改正ニ依ッテ增加ス
ベキ所ノ人員及ビ費用額ト云フモノヽ推算
ガ出來テ居ルト思ヒマスカラ、ソレヲ頂戴
シマシテカラ後ニ私ハ第二條第一項第二號
ノ賛否ヲ決シタイト思ヒマスガ、ソレガ今
出來テ居リマスカ、勿論アルト思ヒマスガ
若シ直グ戴ケナケレバ次會ニデモ戴キタ
イ、ソレカラ後ハ少シク立法技術ニ亙ルヤウ
デ、何カ小股デモ掬フヤウニ誤解ヲ受ケテ
モイケマセヌガ、サウデハナイ、是ハ實質上
餘程御考ニナラヌト、之ニ干與サレタ方ガ
十分御承知ニナラナイデ斯ウ云フ規定ガ出
來タト思ヒマスガ、先ヅ第三條ノ第二號ノ
件デス、先程松本君カラ御質問ガアッタ時ニ
御答ニナッタ兵役ヲ免ゼラレタト云フコト
デアリマスガ、第二條ノ第一號ニ於テ그
種以上ノ兵役ヲ免セラレタル者」ト書イテ
アル、然ルニ第三條ノ第二號ノ末尾ニハ「傷
病兵ノ兵役ヲ免セラレタル時」ト書イテア
ル、一種以上ト云フコトハ書イテナイ、然
ラバ若シ甲ナル者ガ初メニ現役ヲ免ゼラレ
テ、後更ニ兵役ヲ免ゼラレタ場合ニハ、是
ハ專門ノ用語トシテモ立派ニ現役免除豫後
備役免除、兵役免除ト云フコトニナッテ、明
確ナル分界ガアルカラ茲デモ實際ヲ言ウト
一種以上ノ兵役ヲ免ゼラレタ者ト書カナケ
レバナラヌト思フ、然ルニ唯兵役ヲ免ゼラ
レタル者ト云フ風ニ書イテアル、サウスル
ト此兵役免除ト云フノハ、一種以上ノ兵役
ヲ免ゼラレタ時モ兵役ヲ免ゼラレタコトニ
ナリ、更ニ二種ノ場合、更ニ全兵役ヲ免ゼ
ラレタ其場合ニ、ドレヲ「ポイント」トシテ
此法律ヲ適用スルカ、是ハ今日重大ナル問
題デアル、昭和六年ノ改正ノ時ニ一種以上
ノ兵役ヲ免ゼラレタ者ト云フヤウニ、第二
條ノ其點ダケヲ改メラレテ、第三條ノ方ハ
其儘ニシテ訂正シナカッタ、此時ニ既ニ缺陷
ガアリマス、ソレガ今日マデ放ッテアッタ、今
日ドウ云フ風ニシテ適用サレテ居ルカ私ニ
ハ分ラヌ、非常ニ疑問ニ思フ、初メニ此法律
ヲ制定シマシタ時ニハ、サウ云フヤウナ誤
ハナカッタ、チヤント立派ニ出來テ居ッタ、ソ
レガ不用意ニモ第三條第二號ダケハ其儘置
カレタノダガ、此點ハ此際改ムベキモノデ
ハナイカト思フ、ソレカラ第三條ノ第三號
デス、新ニ第三號ヲ御設ケニナッタ趣旨ガ
ハッキリ分ラヌ、第三條ノ第三號ト云フヤウ
ナ新シイ所ノ項ヲ設ケラレタ精神ト云フモ
ノハ家ニ在ル者、卽チ戶籍內ニ在ル者ト云
フノヲ、世帶ニ在ル者、斯ウ云フコトニ御
改メニナルノガ此立法ノ精神ダト思フノデ
アリマス、サウデアルトシマスレバ、態〓此
第三條ノ第三號ヲ使ハナイデモ、第二號ノ
終リニ、免ゼラレタ時ヨリ引續キ是ト同一
ノ世帶ニ在ル者ト直シテモ何等違ヒガナ
イ態、第三號ヲ設クル必要ハナイト私ハ
思ッテ居リマス、此點ニ對スル所ノ御答ガ願
ヒタイ、ドウデアリマセウカ、段々次々ト
言フト御答辯ガシニクヽナッテ來マスカラ
切ッテヤリマセウカ、マダ四ツ五ツアリマス
カラ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=64
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065・廣瀬久忠
○廣瀨政府委員 切ッテ願ヒマス、只今ノ御
質問ニ對シテ御答ヲ申上ゲマス、法ノ名稱
ノ問題デアリマスガ、是ハ私共ハ決シテ惡
クナッタト思ッテ居ラヌノデアリマスガ、之
ニ付テハ先程モ申上ゲマシタヤウニ、私共
ノ方デモ色々〓究ヲ重ネマシテ、社會事業
調査會等ニ於テモ之ヲ決メ、ソレカラ尙ホ
昭和十年ノ十月ノ全國ノ社會事業大會等ニ
於キマシテモ、扶助法ト云フノガ宜シイト
云フヤウナ決議ヲサレテ居ルノデアリマ
ス、此社會事業大會等ニ於キマシテモ、ヤ
ハリ特別委員ナドヲ設ケマシテ、サウシテ
特別委員ニハ軍部關係ノ方モ入ッテ居リ、
又色々ナ軍人後援團體ノ方モ入ラレマシ
テ、サウシテ御〓究ノ結果、扶助法ガ宜カ
ラウト云フ御決議ガアッタヤウナ次第デ
アリマス、內務省デモ色々〓究致シマシタ
ガ、ヤハリ救護ト云フ從來使ッテ居ッタ名前
ハ適當デナイ、何トカ之ヲ改メヨウト思ッテ
居ッタノデアリマスシ、又特ニ社會事業ノ
調査會ヲ開イテ之ニ付議致シマシテ、サウ
シテ意見ヲ徵シタノデアリマス、是モ扶助
法ト云フノガ適當デアラウト云フコトデア
リマシタ、內務省デモ色々〓究ヲ致シタ結
果。ヤハリ是ガ最モ適當デアルト云フノデ
扶助法ト云フ文字ヲ使ッタノデアリマス、私
共ハ決シテ惡クナッタト云フヤウニハ思ッテ
居ラヌノデアリマス、ソレカラ尙ホ只今調
査書類ノ御要求ガアリマシタガ、其點ニ付
キマシテハ改メマシテ御手許ニ差出スコト
ニ致シマス、尙ホ私カラ御答辯申上ゲテ居
ラナイ點ニ付キマシテハ、他ノ政府委員ヨ
リ御答致スコトニ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=65
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066・山崎巖
○山崎政府委員 御尋ノ第三點カト思ヒマ
スガ、第二條ノミニ「一種以上ノ兵役ヲ免
ゼラレタル者」ト書イテ、傷病兵ノ文句ノ
他ノ部分ニ付テハ、何等ノ兵役免除ノコト
ヲ書イテナイガ、ソレハヲカシイヂヤナイ
カト云フ御尋ダッタト思フノデアリマスガ、
御覽ノ通リニ第二條ニ於キマシテ、傷病兵
ノ定義ヲコヽニ明ニ致シテ居ルノデアリマ
ス、隨ヒマシテ第二條以下ニ於キマシテハ、
別段一種以上ノ兵役免除ト云フコトヲ書カ
ナクテモ、當然此傷病兵ノ範圍ト申スノハ、
第二條ニゴザイマス一種以上ノ兵役ヲ免ゼ
ラレタモノト云フ解釋ニナル譯デアリマ
ス,其點ニ於キマシテ第八條、第九條等ニ
モヤハリ傷病兵ト云フ言葉ヲ使ヒマシテ、
一種以上ノ兵役ヲ免ゼラレタルモノト云フ
コトニナッテ居ラナイノデアリマス、第二條
ニ明ニ定義ヲ書イテ居リマス以上ハ、以下
之ヲ同一ニ御解釋ヲ願ヘバ宜シイト思フノ
デアリマス、尙ホ第三條ニ付キマシテ、モ
ウ一點御尋ガアッタカト思ヒマスガ、第三條
ニ三ヲ入レタ以上ハ、第二號ハ殆ド要ラヌ
ヂヤナイカト云フヤウナ御問デアッタカト
思ヒマス···発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=66
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067・升田憲元
○升田委員 イヤ第二號ガ要ラヌヂヤナ
イ、第二號ヲ直シテモ宜イヂヤナイカト云
フノデス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=67
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068・山崎巖
○山崎政府委員 ト云フ御話デアッタト思
フノデアリマスガ、家ト世帶ト申シマスノ
ハ、場合ニ依ルト違フコトガアル譯デアリ
マシテ、世帶ガ同一デナクトモ家ガ同一デ
アレバ、救護ヲ要スルヤウナ場合モアルカ
ト思フノデアリマシテ、サウ云フ場合ニハ
二ト三ト書分ケマシテ、存置スルコトガ必
要デナイカト思フノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=68
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069・升田憲元
○升田委員 是ハ非常ニ質問ヲ誤解シテ居
ラレル、傷病兵ノ定義ハソレデ宜イ、傷病兵
ノ定義ヲ私ハ聽イテ居ルノヂヤナイ、傷病
兵ノ定義ハソレデ宜イカラ、以下各條ニ亙ツ
テ之ヲ直ス必要ハナイ、私ガ申シマシタノ
ハサウデナクテ、此第三條ノ第二號ノ兵役
免除ノ問題デアル、卽其救護ヲ開始スル所
ノ時期デアル、其時期ガ唯兵役ヲ免ゼラレ
タト云フコトヲ書イテアルナラバ、一種ダ
ケノ兵役ヲ免ゼラレタ時ト、更ニ全部ノ兵
役ヲ免ゼラレタ時ノ二ツノ點ガアル場合ニ
ハ、其時ハ何レヲ標準トシテ此法ヲ適用ス
ルカト云フノデアリマス、アナタノ御答ハ
全然違フ、ソレカラ現行法ノ第三條ノ第二
號ニ付テモ、家ニ在ル者ト云フコトハ、嚴
格ナル主義ニ於テ戶籍內ニナクチヤイカヌ
ト云フ者ヲ、此法ニ依ッテ緩和シマシテ、世
帶ガ同一デアレバ決シテ家ニ居ラナクト
モ、世帶ニアル者ナラバ助ケテヤルト、斯
ウ云フ譯デ今度ノ立法ノ趣意ガ能ク明カニ
ナッテ居リマス、サウシテ見レバ家ト云フコ
トハアッテモナクテモ宜イヂヤナイカ、勿論
家ニ在ル者ガ世帶ニ在ル者ニナルノダカ
ラ、是ト同ジヤウナ意味デ世帶ガ同一デナ
クテモ、家ニ戶籍ガアッテソコカラ出テ居
ル場合ハドウスルカ、斯ウ云フヤウナコト
ハアルカモ知レマセヌガ、ソレハ假ニ餘所
ヘ奉公ニ行ッテ、家ニ衣食シテナクテモ、サ
ウ云フヤウナモノモ世帶ト云フコトニ解釋
シテ、世帶ヲ廣ク解釋スルノガ本員ハ必要
デナイカト思フ、ソレカラ更ニ只今社會局
長官ノ御話ニナッタ社會事業調査會トカ、或
ハ一般ノ社會團體ノ色々ノ會合ニ於テモ、
扶助ガ宜イト、斯ウ云フコトヲ言ッタトノ
御話デスガ、一體ドウ云フ理由デサウ云フ
コトヲ言ッタノカ、救護ヲ扶助ニ改メナケレ
バナラヌト云フノナラバ、何故ニ一般ノ救
護ヲ、〓態〓恤救規則ト云フモノヲ救護法ト
云フ名稱ニ數年前ニシタカ、救護ト云フ名
稱ガ宜イカラ救護トシタデハナイカ、所ガ
大體ガ軍事救護ト云フモノヲ、社會事業ヲ
ヤッテ居ル人々ハ實際ニ理解シテ居ナイノ
デス、ソレハ一般救助ト云フコトニ重キヲ
置キマシテ、此軍事要救護者ノ人々ヲ軍人
ノ遺家族及傷病兵ヲ助ケルト云フコトデ、
獨特ナル頭ヲ以テ此法律ヲ見テ居ナイノデ
ス、社會事業家ハ一般ニ唯慈善事業デアル、
社會事業デアルト云フコトノ頭バカリ持ツ
テ居リマスカラ、此軍事救護ト云フモノニ
對シテ、寧ロ扶助ト云フコトデ、一般ニ助
ケテヤル、オ助ケシテヤルノダト云フ考ガ
强イカラ、扶助法ト云フコトヲ言ッタノカ
モ知レナイ、所ガオ助ケト云フコトニ全然
軍事救護法ハ考ヘテハイケナイ、助ケデアッ
テハイケマセヌ、ソレハ過日私ガ縷々本會
議デ申シマシタヤウニ、ソレガ爲ニ此救護
ヲ願ヒ出ヌ者ガ隨分多イ、過日モ申シマシ
タヤウニ、ヤハリ軍人ハ色々ナ〓育ヲシテ
居リマス、ソコデ隊ニアル者デ自分ノ家庭
ガ非常ニ困ッテ居ッテモ、例バ其兵隊ガ貧
乏デ家カラ金ヲ送ルコトガ出來ナクテ、外
ノ者ガ酒保ヘ行ッテ旨イ物ヲ喰ッテ居ル、市
中へ出テ旨イ物ヲ喰ッテモ、決シテソレガ爲
ニサウ云フヤウナ慾望ニ誘惑サレテハイカ
又、武士ハ喰ハネド高楊枝、何處マデモサ
ウ云フコトヲ考ヘナクテハイケナイノダト
云フヤウナ〓育ヲシテ居ル、サウ云フヤウ
ナ考デ以テ、ヤハリ自分モ餓ジイ思ヒヲス
ルカラ家ノ者モ氣ノ毒ダガ我慢シテ、サウ
云フ救護ナド受ケヌヤウニシテ呉レト、斯
ウ云フ考ヲ起ス、ソレバカリデナイ、家本
殘ッテ居ル者ハ土ニ喰付イテモ石ニ嚙リ付
テモ助ケヲ願フ、救護ヲ願フコトハ斷ジテ
出サヌト、斯ウ言ッテ居ル、ソレハ私ガ過日
モ申シマシタヤウニ、昭和六年乃至九年ノ
事變ニ付テノ動員ノ時ニ、私ハ東京市中ニ
此軍事救護ヲ要スル者ヲ調ベテ、家庭ヲ訪
問シタコトガアル、ソレニ此法ノ理解ヲサ
セル爲ニ色々骨ヲ折ッタガ、喜ンデソレニ應
ズル者モアルケレドモ、ドウシテモ私ハオ
助ケト云フコトナラ要リマセヌ、愛國婦人
會トカ或ハ兵事義會ミタヤウニオ土產贈呈
ト云フヤウナ意味デ戴クナラ、ソレハ貰ッテ
モ宜イ、私ノ方カラオ助ケヲ願フト云フノ
ナラ、假令土ニ喰付イテモ石ニ嚙リ付テモ貰
ハヌト言ッテ之ヲ拒絕シテ居ル、デアルカラ
此名稱ヲ變ヘナケレバイケナイト云フノハ
多年ノコトデアル、ソレハ一般救護法ヲ曾
テハ恤救規則デアッタヤツヲ、救護法ト云フ
名稱ニサレタ爲ニ、愈〓軍事救護法ト云フモ
ノヲ、貧民救護ト云フヤウニ世人ガ認メル
ヤウニナッタ時以後ニ一層此名稱ヲ改メナ
ケレバイカヌト云フコトヲ、吾々ノ仲間デ
言ヒ出ス樣ニナッタ、ソレヲ社會事業家ナド
ハ知リマセヌカラ、寧ロ統一スル爲ニ扶助
ノ方ニシタラ宜カラウト云フヤウナコトモ
言ッテ居ッタカ知レマセヌ、殊ニ甚ダ失禮ナ
コトヲ言フヤウデシタケレドモ、私ハ此間
本會議デ少シ言過ギカト思ヒマシタケレド
モ、ドウモ此法律ヲ直ス時ニ社會事業調査
會ノ委員ノ諸君ハ、外ノコトデハ錚々タル
人カ知レナイケレドモ、此事ニ付テハ何モ
知ッテ居ナイ、私ガ本會議デ言ッタ通リデア
ル、サウ云フ者ガ是ハ統一シタラ宜カラウ
ト云フ考ナラバ、大分認識不足ダト思ヒマ
スカラ、是ハ是非共改メテ貰フ必要ガアル
ト思フノデス、ソレデ只今申シマシタコト
ヲ繰返シテ言ハナクトモ宜イノデスカラ、
何レ此會議ガ今日デ終ル譯デナイカラ、今
日申上ゲタコトハ十分御〓究ヲ願ヒタイト
思ヒマス
次ニ述ベマスコトハ第四條デスガ、之二
又缺陷ガアル、此二號ニアル所ノモノヲ、
更ニ第三號ニ御作リニナッタ、是ハ只今モ中
上ゲタ第三條ト同ジヤウナ意味デ、第三號
ハアッテモナクテモ、別ニ作ッタカラ惡イト
云フ譯デハナイガ、必要ガナイト思ヒマス、
假ニ第三號ヲ新シク設ケルノハソレデ宜イ
ト致シマシテモ、此中ニ何故ニ此第三號カ
ラ死亡者ノ死亡ノ時ト云フコトヲ取去ッタ
ノカ、此第三號ニ依ルト、死亡者ノ死亡ノ時
家ニ在ル者ハ、旣ニ第二號ニ依ッテ助カリ
マスケレドモ、世帶ニアル者デモ家ニナイ
者卽チ戶籍內ニナイ者ハ是デハ助カリマ
セヌ、此第三號デハドウシテ是ハ落シタノ
デスカ、誤リデ落シタノデスカ、ドウ云フ
立法ノ精神デ特ニソレヲ除ケラレタカ、現
在生キテ居ル者デハナイ、大事ナ死亡者ノ
遺族ナンダ、ソレヲ第一ニ助ケナケレバナ
ラヌ、其死亡當時ノ遺族デモ其下士官兵ノ
入營若クハ應召シタル時又ハ傷病兵ノ兵役
ヲ免ゼラレタ時ニ世帶ニ在ラナカッタラ救
護ハ受ケヌ、ソレデハ戰死シタリ、病死シタ
リシタ者ノ遺族ノ中デモ死亡ノ當時世帶ニ
ハ在ルケレドモ戶籍ニハ無イト云フ者ハ何
處デ助カルカ、之ヲ一ツ御答ヲ願ヒタイ、
先ヅ一ツヅツヤリマセウ、餘リ長クヤルト
イケマセヌカラ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=69
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070・山崎巖
○山崎政府委員 只今御質問ノ點ハ、第三
號ニ「前二號ニ揭グル者ヲ除クノ外戰死シ
タル陸海軍下士官兵又ハ第二條各號ノ傷痍
若ハ疾病ノ爲死歿シタル陸海軍下士官兵ニ
依リ扶養ヲ受クベキ者」ト斯ウ云フ風ニ讀
ンデ戴キマスレバ、死亡シタ場合モ當然入
ル、斯ウ云フ解釋ヲ取ッテ居ルノデアリマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=70
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071・升田憲元
○升田委員 是ハ又アナタガ誤解ヲシテ居
ル、ソレハアナタノ說明ハ「扶養ヲ受クベ
キ者」ノ定義デアル、「前二號ニ揭グル者ヲ
除クノ外戰死シタル陸海軍下士官兵又ハ第
二條各號ノ傷痍若ハ疾病ノ爲死歿シタル陸
海軍下士官兵若ハ傷病兵ニ依リ扶養ヲ受ク
ベキ者」ト云フ遺族ノ定義ヂヤアリマセヌ
カ、死亡シタ時ノ遺族ニ是ガ繫ッテ居ルト
云フコトガ言ヘマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=71
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072・山崎巖
○山崎政府委員 「扶養ヲ受クベキ者」ガ卽
チ遺族デアリマシテ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=72
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073・升田憲元
○升田委員 イヤ、「扶養ヲ受クベキ者」ト
云フ文字ニ其以下ニ書イテアルコトガ繋ル
ノヂヤアリマセヌカ、ソレハ死亡ノ時ト規
定シテアレバ其後ヲ書ク必要ハナイ、卽チ
入營云々ノ時、何々云々ノ時ト云フノハ必
要ガナイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=73
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074・山崎巖
○山崎政府委員 扶養ヲ受クベキ者ト云フ
ノハ遺族デアリマシテ、其遺族ヲ限定スル
爲ニ後ノ文句ガアル譯デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=74
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075・升田憲元
○升田委員 ソレハ、「者ニシテ」ト云フ文
字ガズット後ニ續イテ居リマスノデ、扶養ヲ
受クベキ者ノ下ニ死亡ノ時トアリテ、其處
ニ點ガアッテ切ッテアレバ、アナタガ仰シヤッ
タヤウニナリマスケレドモ、「者ニシテ下士
官兵」云々ト云フコトニナルト、死亡ノ時ト
云フコトヲ除イテノ解釋ノ文字トヨリ外ニ
ハ讀メマセヌ、之ヲ今直チニ彼此レ此時ニ
遍ニ御答ヲ願フト云フコトハ無理カモ知レ
マセヌカラ、次會マデニ御〓究ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=75
-
076・川島正次郎
○川島委員長 升田君、御諮リシマスガ、
海軍次官ガ御見エニナッテ居リマスガ、外ニ
用事ガアルサウデアリマスカラ、海軍ノ關
係ヲ先ニ御願出來マセヌカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=76
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077・升田憲元
○升田委員 ソレデハ一寸名稱ノ問題デス
ガ、マダアトノコトモ、場合ニ依レバ範圍
ナドモ陸海軍ノ當局ニ御伺シタイト思ヒマ
スガ、併シ名稱ノコトニ付テ、ヤハリ陸軍
及ビ海軍兩大臣ニ御伺シマスガ、此扶助法
ト云フ、扶ケルト云フ文字ガ適當デアリマ
スヤ否ヤ、其點ヲ一寸伺ヒマス、軍部兩大
臣又ハ陸軍、海軍、當局者ナレバドナタデ
モ宜ウゴザイマス、若シ然リトスレバ其理
由ヲ伺ヒタイ、先程社會局長官ノ御說明ニ
依リマスト、陸海軍ガ御出席ニナッテ、共同
ニ〓究シタ結果ト云フコトガアリマシタ
ガ、併シ共同ニ〓究ト云ッテ、ソコマデハ陸
海軍モ御〓究ニナッテ居ルカドウカ分ラヌ
ノデスガ、先程社會局長官カラノ御話モア
リマシタカラ、ソコヲ一ツ御伺シテ置キマ
ス、ソレデスガ、今直グ御答ガ出來ナケレ
バ次會デモ宜ウゴザイマス、御答ガ出來レ
バ直グ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=77
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078・川島正次郎
○川島委員長 陸海軍ニハソレダケデスカ
-何レ後デ〓究ノ上御答スルサウデスカ
ラ-松本君ハ海軍デスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=78
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079・松本治一郎
○松本委員 ナイデス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=79
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080・川島正次郎
○川島委員長 ソレヂヤ升田君、引續イテ
オヤリヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=80
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081・升田憲元
○升田委員 ソレカラ今度ハ、此第十三條
ノ二デスガ、新ニ入レラレタ十三條ノ一二ニ
二十日トアリマスルガ、是ハ如何ニモ日ガ
短イヤウニ思フ、兎ニ角漸ク現役カラ歸ッテ
來タ、或ハ召集解除ニナッテ歸ッテ來テ後ニ
就職口ヲ探サニヤナラヌト云フヤウナ場合
モアリマセウ、近頃ハ勿論職業紹介ナドデ、
餘程內務省ヤ陸海軍省ハ、斯ウ云フ者ニ非
常ナ同情ヲ與ヘテ戴イテ居リマスルガ、併
シソレデモ職業ニ就カヌ者モ大分アルヤウ
デアリマス、殊ニ永ラク現役ニ服シ、又ハ
應召ヲシテ居ル間ニ、多少體ノ疲レモ出テ
來ル譯デスガ、同ジ此新シイ法ヲ御設ケニ
ナレバ、二十日ト云フヤウナコトハ、餘リ
是ハケチ臭イコトデハナイカ、先ヅ少クト
モ一箇月位トシテ貰ヒタイ、マア私共ガ十
分ヲ言ヘバ三箇月位ニシテ貰ヒタイデス
ガ、少クトモ一箇月位ニシテ戴キタイト思
フノデスガ、其點ノ御考ハ如何デスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=81
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082・山崎巖
○山崎政府委員 退營又ハ召集解除ノ日カ
ラ二十日間ゴザイマスレバ、通常一應入營又
ハ應召前ニ於キマスルト大體同樣ノ狀態ニ
復スルモノト考ヘラレルノデアリマス、此
期間ヲドノ位ニ定メルカト云フコトニ付キ
マシテモ、先程色々御議論ハゴザイマシタ
ケレドモ、陸海軍トモ御打合ヲシ、又社會
事業調査會ニ於キマスル答申等モ參酌致シ
マシテ、斯ノ如ク決メタ譯デアリマス、此
期間ガ餘リ長クナリマスルト、濫給ト云フ
ヤウナ點モ考慮シナケレバナラヌト思ヒマ
スルシ、軍事扶助ノ精神カラ考ヘマシテ、
此程度ノ期間ガ最モ適當ヂヤナイカト云フ
コトデ斯ク定マッタ譯デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=82
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083・升田憲元
○升田委員 今度ハ少シ中間デ落シテ居リ
マシタカラ、第七條ニ關聯シタモノデアリ
マスルガ、「救護ノ程度及方法ニ關シ必要ナ
ル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム」詰リ命令デ
之ヲ定メルト云フコトニナッテ居リマスル
ガ、是ハ過日ノ本會議デモ私ガ申シマシタ
如ク、非常ニ救護ノ實際手續ガ煩瑣デアル
爲ニ延ビルノデス、中々速ク許可シテ貰へ
ナイ、ソレデ先程モ申シマシタヤウナ昭和
六年乃至九年事件ノ時ナドモ、私ナドハ市
役所、府廳ニ行キ、到頭社會局ニマデ行ッテ、
其當時、丹羽君ノ時デシタガ、ソレカラ富
田君モ居リマシテ、賴ンデ一ツ速ク何トカ
シテ府ノ方ヘヤカマシク言ッテ吳レ、區役所
アタリハ實ハ困ッテ居ルノダト云フヤウナ
コトヲ言ッテ、社會局カラ御話下サッタ關係
上市モ、府モ留メテ居ッタ書類ヲ急ニ運
ンデ、一遍ニ今マデ停滯シテ居ッタ-半年
モ、七八箇月モ停滯シテ居ッタヤツヲ、僅カ
一箇月、二箇月位前ノ分ト一緒ニ許可ニナッ
タ例モアル、併シ是ハ色々聽イテ見ルト、
役所ノ方デモ實際無理ノナイ所モアルノデ
ス、色々調査セナケレバナラヌカラデス、
今度ハ折角改正ヲシテ生活困難ノ者トシテ
戴イタカラ、大分宜イノデスケレドモ、前
ニハ絕對ニ生活不能ノ者デナクテハ助ケヌ
モノデスカラ、之ヲ調ベルニハ容易ナコト
デハナイ、今囘ノヤウニ生活困難ト言ヘバ、
一寸見テ直グ分リマスケレドモ、果シテ生
活スルコト能ハザルヤ否ヤト云フトニ付
テハ、是ハ餘程調査ヲセナケレバドウモ分
ラヌ、ソレガ爲ニ色々ノ方面デ御調査ニナッ
テ、手間ガ取レタ、〓里ヘモ紹介セナケレ
バナラヌ、例ヘテ見レバ國ニ財產ハ無イカ、
或ハ其親戚ニ相當ノ者ガアリハシナイカト
云フヤウナコト迄調ベテ居ッタノデスカラ、
是ハ已ムヲ得ナカッタ所デアリマスルガ、併
シ斯ウ云フヤウナ弊害ハ、將來デモ困難ナ
ル者ト云フコトニ付テモ、ヤハリサウ云フ
ヤウナ〓究ヲスルト云フト、相當ノ時日ヲ
要スルコトニナリハセヌカト思ヒマスル
ガ、ソコデ私ハ是ハマア軍人ノ遺家族ニ、
若クハ傷病兵ニ同情スルト云フコトデアリ
マスルカラ、假ニ地方長官ガ直接之ヲ行ハ
ナクテモ、何カ監督ヲ十分地方長官ニシテ
貰ヘバ、市町村長ニ之ヲ御任セニナッテモ、
市町村長ガ之ヲ實行スル、サウシテ出願ニ
依ラズニ、必要アリト認メル場合ニハ直グ
其救護ノ手續ヲ開始スル、是ガ市町村長ノ
職權デ出來ルト云フヤウナコトニ此法律ヲ
改正シテ貰ヒタイ、斯ウ云フ意見デアリマ
ス、併シソレニ付テハ餘リ濫給ニ流レルト
云フヤウナコトガアッテハイケマセヌカラ、
十分市町村長ト雖モ責任ヲ以テヤルヤウ
ナ。何カ多少之ヲ拘束スルヤウナ規定ヲ設
ケテ戴キタイ、勿論地方長官ノ監督下ニ於
テ之ヲ行フノデスガ、サウ云フヤウニシテ
戴イタラドウカ、勿論市町村長ト申シマシ
テモ、六大都市ノ如キ區長ト云フ者ガアル
處デハ、勿論其市長ノ職務ハ區長ガ行フト
云フヤウニシテ戴イタラ迅速デ且ツ簡單
二、調査ノ費用モ要セズニ、ミ態〓府縣廳カ
ラ田舍ノ村トカ或ハ島マデ行ッテ今日ハ調
ベテ居リマスガ、サウ云フ冗費モ省ケルコ
トデアルト思ヒマスガ、此點ニ關シテ當局
ハ如何ニ御考ニナッテ居リマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=83
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084・廣瀬久忠
○廣瀨政府委員 只今ノ問題ハ地方長官ノ
仕事ヲ市町村長ニ任シタラドウカト云フ御
意見デアリマスガ、是ハ御質問ノ中ニモア
リマシタヤウニ、餘程考ヘナケレバナラヌ
點ガアルト思ヒマス、御承知ノヤウニ、是
ハ全額國庫ノ負擔デアリマシテ、他ノ救護
法ノ場合ト違ッテ居ルノデアリマス、救護法
ノ場合ニハ、一部分ハ市町村ガ負擔シテ居
リマスシ、軍人ノ場合ニハ全部國デ負擔ヲ
致シテ居ルト云フヤウナ關係カラ、矢張リ
國ノ機關デアル所ノ地方長官ヲシテ責任ヲ
負ッテヤラセタイ、斯ウ思ッテ居リマス、此
點ニ付テ御示シノ色々遲延ヲスル或ハ煩瑣
デアルト云フ點ニ付テハ、是ハ十分ニ吾々
トシテ注意ヲ致シ、其弊ノナイヤウニ致サ
ナケレバナラヌト思ヒマスガ、併シ仕事ハ
矢張リ國ノ機關デアル所ノ地方長官ヲシテ
致サセタイト斯ウ思ッテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=84
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085・齋藤直橘
○齋藤委員 一寸關聯シテ伺ヒタイ、第五
條ノ「生活スルコト困難ナル者」之ヲ御說明
願ヒタイト思ヒマス、尤モ吾々ハ此法ノ恩
惠ヲ受ケル人ガ一人デモ多イコトヲ望ミマ
スケレドモ、元來豫算ニハ制限ガアリマス
カラ、各地方長官ガ生活困難ト云フコトニ
付テ、大體ノ見當ガナケレバ取扱ガ區々ニ
ナリハセヌカト思ヒマス、取扱者ノ心理狀
態ハ、矢張リ一人デモ此法ノ保護ヲ受ケル
者ガ多カランコトヲ望ムノデアリマスカラ、
ドウモ豫算ガ濫費ニ流レル、ドウシテモ生
活困難デアルト云フコトト、生活不能ト云
フコトト、ハッキリ何カ一定ノ見當ヲ御示シ
ニナラナケレバ、此法ノ執行ガ困難デハナ
イカト思ハレマス、之ニ關聯致シマシテ、
先程社會局長官ガドナタヤラノ質問ニ御答
ニナリマシタ中ニ、此扶助ヲ爲スト云フコ
ト、或ハ扶助ヲ受ケルト云フコトハ權利ヂ
ヤナイ、國家ノ義務デアルト云フコトヲ御
答辯ニナッタ、私ハ能ク法律ノコトハ分リマ
セヌケレドモ、此法ノソレ〓〓ノ條件ニ該
當致シテ居リマスナラバ、私ハ扶助ヲ受ケ
ル權利ガアルト思フノデアリマス、況ヤ長
官ノ御話デハ國家ノ義務デアルト云フコト
デアリマスガ、其義務ニ對シテ權利者ガナ
クチヤナラヌ、私ハ斯樣ナモノハ權利トシ
テ國家ニ要求スルコトガ出來ル、斯ウ云フ
コトニナッテ初メテ、此法ノ精神ガ活キテ來
ルヤウニ思フノデアリマス、國家ガ恩惠ヲ
施、ス或ハ助ケテヤル、サウ云フ意味デハナ
イト思フ、本當ニ國家ノ義務デアリマスナ
ラ、ソレニ對シテ權利ヲ行フ者ガナケレバ
ナラヌト思ヒマス、此二點ヲ關聯質問トシ
テ御尋ヲ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=85
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086・山崎巖
○山崎政府委員 第一點ハ「生活スルコト
能ハサル者」ヲ「生活スルコト困難ナル者」
ニ改メマシタ結果、是ノ認定ガ非常ニ難カ
シクナルト云フ御疑念デアッタヤウニ思フ
ノデアリマス、生活困難ト改メマシタ結果
救護ノ範圍ガ相當擴張サレマスコトハ、只
今御話ノ通リダト考ヘルノデアリマス、此
認定ニ付キマシテハ結局此救護ヲ行ヒマス
ル地方長官ガ、其被救護者ニ付キマシテソ
レ〓〓調査ヲ致シマシテ、認定ヲスル外ハ
ナイト考ヘルノデアリマスガ、唯非常ニ抽
〓的ナ言葉ダケデハ只今御話ノヤウニ濫給
ノ心配モアルノデアリマシテ、其表示ニ付
キマシテハ施行令等ニ於キマシテ相當考究
ヲシテ見タイト考ヘテ居ル次第デアリマ
ス
尙ホ軍事救護法ノ立前ニ付キマシテ先程
社會局長官ヨリ本法ハ該當者ニ對シテ、權
利ヲ認メタモノデハナイト云フ御話ガアッ
タノデアリマスガ、此法律ノ何レノ條文ヲ
見マシテモ、又制定當時ノ沿革ヲ考ヘテ見
マシテモ、此法律ハ此法律ノ各條文ニ該當
スル者ニハ、直チニ本人ニ對シテ國家ニ對
スル請求ノ權利ヲ認メルト云フコトニハ相
成ッテ居ラヌヤウニ考へルノデアリマス、唯
併ナガラ先程長官カラモ申シマシタヤウ
二、是ハ軍人ノ遺家族ノ生活ヲ或ル程度見
テ行クト云フコトニ相成ッテ居ル關係上、國
家トシテハ是ガ救護ニ當ルニ付テハ義務ヲ
持ッテ居ルト云フ風ナ立前ニ從來カラ考ヘ
テ參ッテ居ルノデアリマス、法律ノ成文竝ニ
施行令ノ何レヲ見マシテモ、只今申シマシ
タヤウナ立前ニ解釋スルコトガ適當デアル
ヤウニ考ヘテ居ル次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=86
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087・齋藤直橘
○齋藤委員 第七條ニ「扶助ノ程度及方法
ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定
ム」トアリマス、只今ノ御答辯ニ依ルト、
ドウモ此勅令ヲ見ナケレバ吾々第五條ノ判
斷ガ付キマセヌ、勅令ノ案ヲ直グ御提出下
サルヤウニ委員長カラ政府ニ御要求ヲ願ヒ
マイク、第二ノ點ヲモチットハッキリシテ置キ
タイト思フノデアリマス、只今政府委員ノ
御答辯ニモ國家ノ義務デアルト斯ウ言ハレ
タ、是ハドウ云フ意味デ-或ハ法律語デ
ナク通俗的ノ社會常識ノ言葉デ御話ニナッ
テ居ルカモ知レマセヌケレドモ、苟クモ此
救護法ト云フ法律ヲ論ズルニ當ッテ、國家ノ
義務デアルト仰セニナル以上ハ、是ハ義務
ニ對シテ權利者ガナケレバナラヌノデアリ
きく、而モソレヲ權利者トハッキリ認メル
コトガ私ハ此救護法ノ精神ガ活キテ來ルヤ
ウニ思フ、能ク御〓究ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=87
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088・堀内良平
○堀內委員 一寸關聯シテ伺ヒタイ、只今
齋藤君カラ御質問ニナリマシタ其點ヲ私ハ
伺ッテ見タイト思ッテ居リマス、此軍事救護
法ノ改正法ノ重點ハ其處ニ在ルト思フノデ
アリマス、從來軍事救護法ガ不完全ナリト云
フコトヲ叫バレ、又救護ヲ受ケヨウトスル
者カラモ、面目上サウ云フ法律デハ救護ハ
受ケナイト云フヤウナコトデ遠慮シテ居ッ
タ向キモアルヤウデアリマス、是ハ前ノ方
ノ「生活スルコト能ハサル者」ト云フ言葉ハ
解釋ノ仕樣ニ依ッテハ生キテ行ケナイノダ、
假ニ米櫃ニ一升米ガ殘ヲテ居ルトスレバ、マ
ダ生キテ居ル、其米ヲ食ッテ居ル內ハ生命ガ
アルト云フノデ救助シナイトモ言ヘル、ソ
コハ洵ニハッキリシテ居ルヤウニ思フ、ソレ
デモ尙ホ困ッテ救助ヲ受ケタ者ガ今日マデ
アルノデアリマスガ、今度ハ「生活スルコ
ト困難ナル者」ト斯ウ直ッテ、困難ナル者
ト云フ解釋ガ非常ニ難シイ、ドノ程度マデ
ノモノデ、ドウ云フ者ヲ困難ナル者ト見テ
之ヲ救助スルカ、此處ガ法律ノ一番重點デ
アラウト思フ、他ノコトハ大〓是デ十分ノ
ヤウニ私共考ヘマス、要スルニ問題ハ兵役
ニ從事シテ居ル者ノ家族ノ困ッテ居ルト云
フ人ハ澤山アル、先日モ一寸私ハ本會議デ
申上ゲマシタガ、吾々ガ地方ノ狀況カラ考
ヘテ見マスト、全體ノ七割位ハ困難ナル者
ト看做シ得ルト私ハ思ヒマス、中々大變ナ
數ニモナルノデアリマスガ、此困難ナル者
ト云フコトハ地方長官ヲシテ扱ハシムルニ
シテモ、大體ドウ云フ程度ノ者デ、生活ノ
狀態ガドウ云フコトニナッテ居ルカ、餘裕ガ
ドノ位アッテ、ドウ云フ所ダト云フ標準ガ
決マラヌケレバ、是ハ中々地方長官ノ手心
ナンゾデ扱ハルベキモノデナイト思ヒマ
ス、況ヤ町村長ナドニ調ペサセルナント云
ウテ、一向調査ノ付クベキ筈ノモノデナ
イ、勅令ニ於テ能ク〓究スルト云フ今ノ御
答辯ノヤウデアリマシタガ、大體ドウ云フ
方法ニシテ困難ナル者ト、困難ナラザル者
トノ差別ヲ付ケルカト云フ、其處ノ分界ガ
大體ハッキリ致シマセヌケレバ、此法律ヲ拵
ヘテ却テ困ル、愈〓此法律ヲ適用スル時ニ
何處ガ困難デアルカ、一方ノ人ガ困難デア
ルト言ッテモ、イヤオ前ハ困難デナイト云
フ、程度ノ問題デ非常ニ爭ガ出來テ來ハシ
ナイカト思フ、徹底充實スルト云フコトデ
アレバ、常識カラ考ヘテ困ッテ居ルヤウナ
人ハ無論助ケテヤラナケレバナラヌト云フ
コトニナルカモ知レマセヌガ、ドウモ法律
デアルノデアリマスカラ、唯常識バカリデ
サウ考ヘル譯ニモ參リマセヌガ、勅令ニサ
ウ云フコトヲ御決定ニナルト云フナラバ、
大體ノ輪郭ダケデモ、此法律ヲ〓究スル時
ニ御示シヲ戴カヌト、茲ガ一番大切ナ所ダ
ラウト思ヒマス、只今ノ齋藤君ノ質問ニ關
聯シテ御尋ヲ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=88
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089・山崎巖
○山崎政府委員 只今ノ御質問ハ洵ニ適切
ナ御尋ダト存ズルノデアリマス、從來ニ於
キマシテモ御承知ノ通リニ軍事救護法ニ於
キマシテハ、一般救護法ト同ジク「生活スル
コト能ハサル者」ト云フコトニ、被救護者
ノ範圍ガ限定ヲサレテ居ッタノデアリマス、
併ナガラ救護ノ實際ニ當リマシテハ、一般
救護法ナドトハ非常ニ其趣旨ヲ異ニシマシ
テ、救護費用ノ限度ニ於キマシテモ亦救護
ヲ受ケマスル人ノ數ニ於キマシテモ、般
救護法トハ、非常ナ差異ガアッタ譯デアリ
やく、隨ヒマシテ現行法ニ於キマシテモ、
一般救護法ト比較シテ考ヘテ見マスレバ、
或ハ生活スルコト能ハズト云フコトガ適切
デナイノデハナイカト云フコトモ、一應言
ヘルヤウニモ思ハレルノデアリマス、併ナ
ガラ段々御話ヲ申上ゲマスルト現行法ハ非
常ニ足ラザル分モアルヤウニ思ハレマスノ
デ、今囘其足ラザル部分ヲ種々考究ノ結
果、改正案ヲ提出致シマシタ次第デアリマ
ス、只今御話ノ生活スルコト能ハズト云フ
ト、唯抽象的ニ申シテモ、ソレハ救護ノ實
際ニ當ッテ非常ニ困難ナ場合ガ多カラウト
云フ御話ハ洵ニ御尤ナ御話ダト考ヘルノデ
アリマス、先程齋藤サンノ御尋ニ申上ゲマ
シタヤウニ、是ハドウシテモ私共ト致シマ
シテモ、或程度標準ヲ示シマセヌト、地方
長官ガ救護ノ實際ニ當リマシテ、種々困難
ヲ來シマスルノデ勅令ニ依リマシテ費用ノ
限度ヲ定メマシテ、其範圍ノ被救護者ヲ救
護スルト云フ立前ニシタイト云フノデ、目
下政府部內ニ於キマシテ種々考究ヲ致シテ
居ル所デアリマス、費用ノ限度ヲ何處ニス
ルヤト云フコトニ付キマシテハ、今日明確
ニ數字ヲ申上ゲルマデニハ至ッテ居リマセ
ヌケレドモ、成ベク至急ニ相談ヲ纒メマシ
テ申上ゲルコトニ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=89
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090・川島正次郎
○川島委員長 堀內君、齋藤君、一寸申上
ゲマス、大體勅令ハ出來テ居ルヤウデアリ
マスガ、尙ホ〓究ノ結果次會マデニ示スト
云フコトデアリマスカラ、左樣御承知ヲ願
ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=90
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091・堀内良平
○堀內委員 ソレデハソレヲ拜見致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=91
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092・升田憲元
○升田委員 只今社會局長官カラ御話ガ
アッテ、私ハ續イテソレニ關聯シテ御伺スル
積リデアッタノデスガ、中絕シマシタガ、若
シサウ云フヤウナ社會局長官ノ御意見デア
リトスレバ、少クトモ臨機ノ處置トシテ何
カ市町村長ニ、或ル例外トシテ此權限ヲ與
ヘノ、更ニ先程松本君カラモ御話ガアッタ
ヤウニ其救護ノ施行ニ付テ缺點ガアレバ地
方長官ガ是正スルト云フヤウナコトニシテ
宜シイデスカラ、兎ニ角茲ニ例外規定ヲ設
ケテ、此規定中ニ一時的ニ此救護ヲ施行サ
セルヤウナ規定ヲ以テヤラレタラドウカト
思ヒマス、ソレニ付テハ又別ニ御答辯ハ要
リマセヌガ申上ゲテ置キマス
ソレカラ施行令ニ付テデスカ、先程私ノ
尋ネマシタコトニ付テハ御答辯ガナカッタ
ノデスガ、此出願主義ヲ改メテ、進ンデコ
チラカラ行ッテ此保護ヲスルト云フヤウナ
規定ニ改メル意思ハアリマセヌカ、詰リ願
出ト云フコトハ絕對ニ執ラヌデ願出ヲ俟タ
ズシテ必要アル場合ニハ現在ノ施行令ノ例
外規定ニナッテ居ルノヲ、本則トシテ救護
ヲ實行スル、出願ナキ場合ト雖モ地方長官
ガ之ヲ行フコトガ出來ルト云フノヲ立前ト
シタラドウカト云フ私ハ考ヲ持ッテ居リマ
ス、其點ニ關スル御考ヲ伺ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=92
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093・山崎巖
○山崎政府委員 救護ノ手續ヲ迅速ニシナ
ケレバナラヌコトハ只今御話ノ通リデゴザ
イマスルガ、其形式ト致シマシテ、出願ト、
ソレカラ地方長官ガ自ラ進ンデヤリマス手
續ト、兩方ヲ認メルコトガ此救護ヲ受ケマ
ス人ヲ漏ナク救護スルト云フ意味合ニ於キ
マシテモ必要ナコトノヤウニ考ヘルノデア
リマス、隨ヒマシテ今直チニ此手續ヲ一方
的ニ改メルト云フ考ハ持ッテ居リマセヌ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=93
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094・升田憲元
○升田委員 所ガ其例外ト云フモノハドレ
位アルカ、私ハ不幸ニシテ其例外ノ適用ト
云フモノハ殆ド聞イタコトガアリマセヌ
ガ、ソレニ付キマシテ次會マデニ其例外ニ
依ッテ救護サレタ所ノ人員及ビ其費用ノ點
ヲ御知ラセ願ヒタウゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=94
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095・山崎巖
○山崎政府委員 此施行令ノ第一條ニ據リ
マスル手續ノ區別ニ依リマスル人員竝ニ金
額ハ調査シタモノガナイヤウニ考ヘマスノ
デ、折角ノ御要求デゴザイマスルケレド
モ、次會マデニ提出スルコトハ困難ダラウ
ト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=95
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096・升田憲元
○升田委員 アヽサウデスカ、ソレデハ仕
方ガアリマセヌガ、此點ハ非常ナ大キナ問
題ト思ヒマスカラ、次會ニ又機會ヲ得テ質
問スルコトニ致シマス、サウスルト私ハ是
デ質問ヲ打切リマスガ、先程申シマシタ第
三條ノ二號ノ中ノ「兵役ヲ免セラレタル者」
ト云フ點、是ハ今ノアナタ方ハ其當時居
ラッシヤラナカッタカラ決シテアナタ方ノ
責任ヂヤナイ、其以前ノ方ノ責任デスカ
ラ、決シテソレヲ彼此レ咎メ立テヲスル譯
ヂヤナイガ、是ハ能ク〓究シテ戴キタイ、
是ハ一體單リ內務省バカリヂヤナイ、斯ウ
云フ兵役關係ノコトナンゾハ其處ハ素人デ
スカラ、實際露骨ニ中シマスト、是ハ陸軍
アタリガ當時參加サレル時ニハ餘程之ヲ詳
シク申シテ置カヌト、兵役免除ナント云フ
コトハ一寸專門外ノ人ニハ分ラナイ、種
以上ノ兵役デドウシテ兵役免除トナルノカ
ト云フ御尋ガアッタ如ク、是ハ實際現役免
除ニナッタ者デ、日露戰爭アタリニハ戰爭ノ
爲ニ召集サレタ者ガ澤山アル、サウシテ再
ビ兵役ヲ免除サレタモノガ澤山居ル、サウ
云フ場合ニドチラヲ採ルカト云フコトハ此
中ニハ何モ書イテ居ナイ、又一種以上兵役
ヲ免ゼラレタト云フコトガ書イテアレバ何
モ爭ハナイガ、ソレガナケレバドッチカ分
ラヌ、サウ云フコトモ將來戰爭ガ起レバ必
ズ問題ガ起ッテ來ル、ソレカラ第四條ノ三號
ハ十分御覽下サイ、ソレハ確カニ落チテ居
リマス、是ハ幾ラ繰返シテ何度讀ンデモ落
チテ居ル、是ダケ申上ゲテ置キマスカラ、
一ツ次會迄ニ御〓究ヲ願ヒタイト思ヒマ
ス,私ハ是デ打切リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=96
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097・川島正次郎
○川島委員長 御諮リ致シマスガ、兩案ノ
中北海道舊土人保護法中改正法律案ハ既ニ
質問ガ終結シタノデアリマスカラシテ、次
會ニ討論ト採決ヲ致シタイト思ヒマス、御
異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=97
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098・川島正次郎
○川島委員長 デハサウ云フ風ニ致シマ
ス、次會マデニ政府ニ於カレマシテモ勅令
案ノ大體ダケデモ御申出ガアルヤウニ御願
致シマス、本日ハ是デ散會致シマス
午後四時四十三分散會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007010599X00219370227&spkNum=98
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