1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
絲價安定施設法案（政府提出）
絲價安定施設特別會計法案（政府提出）
漁船保險法案（政府提出）
漁船再保險特別會計法案（政府提出）
森林火災國營保險法案（政府提出）
森林火災保險特別會計法案（政府提出）
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會議
昭和十二年三月九日（火曜日）午前十時十五分開議
出席委員左の如し
委員長 紫安新九郎君
理事 小山邦太郎君 理事 飯田助夫君
理事 横川重次君
野田文一郎君 百瀬渡君
最上政三君 粟山博君
篠原義政君 助川啓四郎君
森幸太郎君 田中彌助君
山崎釼二君 青木精一君
同日委員小高長三郎君辭任に付其の補闕として篠原義政君を議長に於て選定せり
出席政府委員左の如し
農林省蠶絲局長 井野碩哉君
本日の會議に上りたる議案左の如し
絲價安定施設法案（政府提出）
絲價安定施設特別會計法案（政府提出）発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=0
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001・紫安新九郎
○紫安委員長 是ヨリ開會致シマス-山
崎君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=1
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002・山崎釼二
○山崎委員 前會ニ引續キマシテ、同ジ事
ヲ成ベク繰返サヌヤウニ御伺ヒシタイト
思ッテ居リマスルガ、若シ重複致シマシタ所
ハ簡單ニ御答願ッテ置キマス、前會ニハ「ス
トック」政策ニ依ル市場ノ調節ニ依ッテ、
絲價ノ安定ヲ圖ルト云フコトニ付テノ質問
デゴザイマシタガ、今日ハ少シ觀點ヲ變ヘ
マシテ、販賣ノ統制ヲ伴ハナクテ、絲價ノ
安定ガ出來得ルカト云フ點ニ付テノ御見解
ヲ、先ニ一ツ御答願ッテ置キタイト思ヒマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=2
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003・井野碩哉
○井野政府委員 販賣ノ統制ト申シマシテ
モ、生絲ニ付キマシテハ大體今日輸出方面
ニ於キマシテハ、輸出商ノ數モ極メテ少イ
ノデアリマスカラ、其方面デ統制ヲ數量的
ニ取リマスコトハ、サウムヅカシイ問題デ
ハナイノデアリマスケレドモ、ソレダケデ
絲價ハ無論安定致シマセヌノデ、今日此絲
價ガ變動シマス原因ガ、販賣上ノ所謂統制
ヲ亂スト云フコトニ原因シテ居リマスレ
バ、今御話ノヤウナ販賣統制ト云フコトガ、
相當ニ絲價安定ノ效果ニナリマスガ、今日
絲價變動ノ原因ハ、他ノ貿易品ノ輸出トハ
少シ事情ガ違ッテ居リマスノデ、其原因ガ奈
邊ニアリヤト云フコトヲ、吾々ハ探究致シ
マシタ結果、今囘ノ制度ニ依ルコトノ方ガ
絲價ノ暴騰、暴落ヲ阻止スルノニ適切デア
ル、斯ウ考ヘテ此制度ヲ取ッタ譯デアリマス
ガ、尙此制度ニ於キマシテモ、製絲業者ヲ以
テ組織スル絲價安定施設組合、之ニ輸出商
モ、問屋モ加入シ得ルコトニナッテ居リマス
ルカラ、販賣上ノ色々ノ統制ヲ此組合ヲ通
ジテモ、自治的ニ相當ニ取リ得ルヤウニナッ
テ居リマスカラ、從來ノ單ナル業者ノ自治
團體デ販賣統制ヲスルト云フ考ヘ方ニ、更
ニ國家ノ力ニ依リマシテ暴騰、暴落ヲ防止
スル一ツノ制度ヲ加ヘタノデアリマスカ
ラ、相當ニ絲價安定施設トシテハ强力ナモ
ノデアル、斯ウ考ヘテ居ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=3
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004・山崎釼二
○山崎委員 輸出業者ト問屋業者ヲ自由加
入制度ノ下ニ置イテ置キマスト云フト、最
高ト最低ノ値段ノ開キヲ相當ニ廣ク私ハ取
ルト考ヘラレルノデアリマス、サウナルト
主ニ販賣ノ方面ヲヤッテ居ルノハ、問屋竝ニ
輸出業者ト考ヘルノデアリマス、其問屋竝
ニ輸出業者ヲ自由ナ加入制度ノ下ニ埒外ニ
置クト云フコトニナルト、當然可ナリ廣イ
値幅ノ率ヲ、相場ヲ中心ニ絲價ノ不安定ナ
原因ヲ作ラセル餘地ガ非常ニ殘ッテ居ルノ
デハナイカト、斯樣ニ素人考ナガラ考ヘル
ノデアリマス、サウナルト依然トシテ暴騰
ノ方ヲ抑ヘ、或ハ暴落ノ方ヲ抑ヘルコトガ
出來ルカモ知レマセヌケレドモ、其間ノ販
賣關係ハ、ヤハリ可ナリナ波ヲ打ッテ相當行
ハレルト云フ風ニ考ヘラレルノデアリマ
スカ、其點ハ如何ナ御見解デアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=4
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005・井野碩哉
○井野政府委員 絲價安定ノ理想カラ申シ
マスルト、人絹ノ如ク一定ニ釘付ケシタ安
定ヲ得ラレマスレバ、或ハ一ツノ理想カモ
知レマセヌ、併シ是ハ生絲ガ海外貿易口四デ
アリ、殊ニ國民ノ必需品ト云フ譯デモナク、
又人絹ト云フ强敵モゴザイマスカラ、隨テ
輸出業者ヲ通ジテ出來ルダケ海外ニ多ク數
量ヲ賣擴メマス爲ニハ、商機ノ餘地ヲ相當
ニ殘シテ置キマセヌト、中々人絹其他ノ競
爭纖維ニ對抗シテ賣擴メテ行ク譯ニハ參ラ
ナイノデアリマス、デアリマスカラ餘リ此
値幅ノ狭イモノニ致シテシマヒマスト、却
テ生絲ノ需要ヲ減退セシムルト云フ結果ニ
ナリマスノデ、今囘ノ案モサウ狹イ値幅ニ
安定セシメルト云フ目的ヲ持ッテ居ラナイノ
デアリマス、併シ今日人絹其他ノ競爭纖維
ニ對シマシテ、餘リ生絲ガ高値ニナリ過ギ
ルト人絹ガ進出致シテ參リマスシ、又餘リ
安クナリマスルト、農家經濟ニモ影響スル
所ガ多イノデアリマスルカラ、是等ノ弊害
ヲ除クコトニ依リマシテ、大體其値幅ニ安
定セシムルコトヲ目的トスルコトガ、一番
剴切デアル、斯ウ認メテ此制度ヲ採ッタ譯デ
アリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=5
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006・山崎釼二
○山崎委員 貿易業者ノ海外市場ニ於ケル
販賣ヲ、適切ニ調節スルト云フ方法ハナイ
ノデアリマスルカ、又ソレヲシナイ方ガ宜
イト云フ御見解ニナッテ居ルヤウデアリマ
スルケレドモ、先方ノ機業者ナドハ二一二千
ノ工場ヲ散在セシメテ居リ、非常ニ小規模
ノモノガ多イト云フ風ニ聞イテ居ルノデア
ル、ソレニ對シテ日本ノ三井物產或ハ三菱
商事、郡是、片倉ナドガ非常ナル豫約賣買
ヲ競爭シテ見タリ、或ハ其御得意サンノ爭
奪ニ猛烈ナ競爭ヲシテ居ルト思フノデアリ
マス、其結果カラ來ル惡イ影響ト云フモノ
ハ、私ハ相當ナモノヂヤナイカト斯樣ニ思
ヒマスルガ、是ハ將來モ人絹其他ニ見習ツ
テ-ト言フト語弊ガアルカモ知レマセヌ
ガ、工業資本家ガ完全ニヤッテ居ル人絹ノ
販賣ト天然絹絲ノ販賣トガ、全クサウ云フ
方面ニ於テ、向フガ統制ガ出來テ、此方ガ
統制出來ナイト云フコトハアリ得ナイコト
ヂヤナイカ、斯樣ニ思ッテ居ルノデアリマ
ス、デアリマスルカラ海外ノ販路ニ於ケル
販賣ノ統制ト云フコトモ、是ハ伴ハナケレ
バドウモ十分ニ行カヌヂヤナイカ、斯樣ニ
考ヘテ居リマス、其點ハ如何デアリマス
カ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=6
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007・井野碩哉
○井野政府委員 海外ノ輸出業者間ニ於キ
マシテハ、先日モ申上ゲマシタヤウニ、任
意ノ會デアリマスガ、ソレヲ設ケマシテ、
サウシテ御互ニ今日デハ自治的ノ統制ヲ致
シテ居ルノデアリマス、之ヲ法制的ニ統制
シタラドウカト云フコトニナリマスト、海
外ノ商人ニ對シマシテ、國力ヲ及ボスト云
フコトハ、是ハ中々困難ナ問題デアリマ
ス、一部業者ノ間デハ、亞米利加ト日本ト
ノ間ニ値ノ取極メヲヤッタラドウカ、何カ絲
價協定委員會見タヤウナモノヲ、兩國間ニ
作ッテ取極メヲヤッタラドウカト云フヤウナ
議論モアッタノデアリマス、併シ是モ何分今
御述べノヤウニ、向フノ織物業者ハ三千有餘
モ小サナ工場ガアリマスノデ、是等ヲ集メ
テ絲價ノ協定ヲ致スト云フコトハ、中々是
ハ言フニ易クシテ行ヒ難イノデアリマスカ
ラ、今日ノ情勢デハ、海外ニ於キマスル我
國ノ輸入商ノ間デ、出來ルダケ統制ヲ自治
的ニヤラシテ行クト云フヨリ外、其方面ニ
於ケル販賣統制ノ手段ハナイト、私共ハ考
ヘテ居ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=7
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008・山崎釼二
○山崎委員 內地ノ物價ト紐育ノ物價ト爲
替相場ガ非常ニ關係シテ來テ居ルニモ拘ラ
ズ、是等ニ對スル對策ヲ殆ド御持合セテ居
ラナイ、「ストック」政策ニ依ル絲價安定策
ト云フモノハ、今マデ御伺シタ限リニ於テ
ハ、ドウシテモ私ハ繭價ノ安値ヲ維持セシ
メ、或ハ絹絲ノ安値ヲ維持セシメテ、結局
大貿易業者ノ安心シタ取引ノ下ニ、此蠶絲
業ト云フモノヲ隸屬セシメタヤウナ結果
ガ、必ズ招來シテ來ルノデハナイカト云フ
コトヲ惧レテ居ルノデアリマス、其第一ノ
段階トシテ、ヤハリ產繭處理統制法ニ依ッテ
養蠶農民ヲ縛リ、今度ハ此絲價安定政策ニ
依ッテ最高ノ方ヘ上ッテ行ク絲價ト云フモノ
ヲ抑ヘテ置イテ、サウシテ低落スル方面ヲ
防止スルニ付テハ、十万俵位ノ買上ヲスレ
バ防止出來得ルト云フ御見込ダケデアッ
テ、實際關係ニ於テハ、私ハ準戰時體制ニ向ッ
テ居ル今日ノ世界的ナ情勢ニ於テハ、萬ガ
一國際情勢ガ變轉スル場合ヲ考ヘマスルト
云フト、到底左樣ナコトデ防止出來得ル情勢
ニナイ所ノ、私ハ國際關係ニアルノデハナ
イカ、斯ウ云フコトヲ思フノデアリマス、
サウナレバ結局ハ繭ノ生產費補償竝ニ絹絲
ノ生產費補償ト云フモノヲ基準ニ立テヽ居
ナイ此絲價安定政策ト云フモノハ、製絲家
ニモ養蠶家ニモ先ヅ利益ヲ與ヘナイデ、其
逆轉シタ結果、大貿易業者ト金融業者ノ安
全ナ營業ノ成立ッテ行クヤウニ、一ツ高イ所
ヘ度盛リヲシテヤルヤウナ結果ニナルヂヤ
ナイカ、斯樣ニ考ヘテ居ルノデアリマス、
是ハ端的ナ私ノ考デアリマスガ、當局ハサ
ウハ御考ニナリマセヌカ、ドウデスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=8
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009・井野碩哉
○井野政府委員 十万俵ノ生絲買入資金ヲ
以テ安値ヲ維持出來ナイト云フ御見込、卽
チ今日ノ世界經濟界ノ實情カラ見テ、到底
サウ云フコトハ困難デアルト云フ御見込デ
アリマスガ、過去ノ歷史ヲ見マシテモ、大
體市場カラ十万俵ノ生絲ト云フモノヲ、國
家ノ力デ取リ得マスレバ、絲價ハ安定ヲ致
シ、而モ囘復ヲ致シテ居ルノデアリマス、
殊ニ人造絹絲ノ進出、爲替相場ノ關係カラ、
昭和四年以來暴落致シテ參リマシタ絲價ニ
對シテスラ、十万俵ノ生絲ノ國家一括買收
ニ依リマシテ、又今日ノ絲價ニ囘復致シテ
居ルノデアリマス、今後ハ爲替相場モサウ
酷ク變動致スト云フコトモ、私共ハ考ヘテ
居リマセヌシ、人造絹絲ノ進出モ、從來ホ
ド生絲ニ對シテ脅威ヲ與ヘルトモ考ヘテ居
リマセヌカラ、今日ノ情勢ニ於キマシテハ、
寧ロ生絲トシテハ比較的過去ニ比ベテ、順
良ナル狀態ニアルノデアリマス、玆ニ十万
俵ノ生絲ノ買入資金ヲ持チマスレバ、十分
效果ヲ發揮シ得ル、ソレハ養蠶農民ニ取リ
マシテ、或ル下値ノ補償ヲ與ヘルコトニナ
リマスカラ、今日何等ノ制度ノナイ時代ニ
比ベマシテ、此制度ハ一ツノ進步デアル、
斯ウ考ヘテ居ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=9
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010・山崎釼二
○山崎委員 只今ノ御說明ノ中ニ、過去ノ
十万俵程度ノ買上ニ依ッテ、相當絲價ヲ維持
サレタト云フ御話デアリマスケレドモ、昭
和五年以來ノ絲價安定融資補償法發動以來
ノ絲價ハ、千圓臺ヲ越シテ居リマセヌ、ソ
レハ非常ニ人絹ノ進出ガ原因シテ居ルト云
フ風ナ、先日來ノ御說明デアリマシタケレ
ドモ、併シソレダケデナクテ、マダ滯貨ニ
依ル原因ガ非常ニ强イノヂヤナイカ、私達
ハサウ思ッテ居ルノデアリマス、ソレニ對シ
マシテハ當局ハ全然人絹ダケノ影響デアッ
テ、滯貨ニ因ル絲價ガ千圓臺ヲ突破スルコ
トガナイト考ヘラレテ居リマスルカ、其點
ヲ一ツ重ネテ是ハ伺ッテ置キタイト思ヒマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=10
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011・井野碩哉
○井野政府委員 昭和五年以來絲價ガ低落
致シマシタ原因ハ、私共ハ主トシテ人絹、
ソレニ爲替相場ノ關係モ影響シテ居ッタト
思ヒマス、ソレガ主タル原因デアラウト思
ヒマス、唯絲價安定融資補償法ヲ發動シマ
シテ、ナゼ絲價ガ維持出來ナカッタカト云フ
點ニナリマスト、私ハ山崎委員ト大體考ヲ
同ジウシテ居ルノデアリマシテ、唯市場ニ
滯貨ヲ保管スルト云フダケデハ、私ハ絲價
ハ囘復セズ、寧ロ壓迫ヲスルモノデハナイ
カト思フノデアリマス、併シ國家ガ之ヲ取
リマシテ或ル一定ノ高値デナケレバ賣ラ
又、其間ハ市場ヘ全然放出セヌト云フコト
ニナリマスト、市場ヲ壓迫スル程度ハ非常
ニ輕クナルノデアリマス、現ニ十万俵ノ生
絲ヲ國ガ一括買入ヲ致シマシテ、サウシテ
新規用途、新規販路以外ニハ絕對ニ市場ヘ
出サヌト云フコトヲ法律デ明記致シマシテ
以來、市場デハ十万俵ノ生絲ニ對シテ、絲
價ヲ壓迫スルモノトハ考ヘテ居ラナイノデ
アリマス、是ハ米穀統制法ニ於キマシテモ、
政府ガ多年〓究、經驗ヲ致シテ居ル點デア
リマスカラ、唯民間デ持ッテ居ルト云フコト
ガ「ストック」政策トシテハ、或ハ絲價ニ壓
迫スルト云フコトモ私共ハ認メザルヲ得ナ
イノデハナイカト思ッテ居ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=11
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012・山崎釼二
○山崎委員 私ハ一應只今ノ御說明デ、私
ノ伺ハントスル所ノ當局ノ考モ、其點デハ
分ッタノデアリマスガ、ソコデモウ一步進ミ
マシテ、天然絹絲ノ暴落シテ來ル原因ガ、
色々ノ方面カラアルト思ヒマス、其場合ニ
ハ世界ノ纖維界ニ於テモ、或ハ變動ヲ伴ッテ
居ルトモ考ヘナケレバナラヌ、天然絹絲ダ
ケガ玆デ相當ノ低落維持ヲ致シタト致シマ
シテモ、却テ其結果競爭纖維ヲ逆ニ非常ニ
進出セシメテ、寧ロ其機會ニ、却テコッチガ
ヤッ付ケラレルヤウナ結果ニナリハセヌカ
ト云フコトヲ惧レルノデアリマス、ダカラ
私達ヲシテモット端的ニ言ハシメレバ、サウ
云フ暴落シテ來ル原因ハ仕方ガナケレバ人
爲的ニ之ヲ「ストック」ニ依ッテ喰止メタリ
セズニ、寧ロ養蠶農民ニ繭一貫目作ッテド
ノ位ノ損失ニナレバ、ソレヲドンドン國デ
補償シテヤッテ、値ガ割ッテ來レバ仕方ガナ
イカラ、ソレヲ以テ世界ノ市場ニ對シテ、
人絹ニ對スル不當賣出ト考ヘラレテモ、亦
「ダンピング」ト思ハレテモ仕方ガナイカ
ラ、ドンドン之ヲ安ク賣出シテ、サウシテ
市場ヲ確保スルト同時ニ、ソレヲ禍ヲ轉ジ
テ福ト爲スヤウニ、新ナル市場獲得ノ方法
ヘ却テ逆襲シテ行ッタ方ガ宜イノヂヤナイ
カ、斯樣ニ考ヘテ居ルノデアリマス、此前
ノ絲價安定施設法案ノ時ナドデモ、養蠶家
ヲ救フト云フコトヲ言ッテ、遂ニ金融資本家
ト問屋ト製絲家ヲ救ッタニ過ギズ、產繭處理
統制法案ニ於テモ、必ズ其結果ガ來テ、今
度ノ法案ニ於テモ、ヤハリ農民ガ救ハレル
ト云フ名前ダケデ、其結果トシテハ逆ニ一
番弱イ立場デ以テ抑ヘ付ケラレルコトニナ
ル、ソレナラバ仕方ガナイカラ養蠶農民ノ
立場トシテ望ムモノハ、直接生產費補償ノ
途ヲ開イテ貰ッテ、斯樣ナ「ストック」政策ニ
依ル絲價ノ安定政策ニ對シテハ贊同シ兼ネ
ル、斯ウ云フ意見ガ出テ來ルノデアリマス、
是ハ私達農民ノ立場トスレバ、非常ニ心配
スル所デアリマス、デアリマスカラ政府ガ
低落ヲ維持シタ結果、競爭纖維ニ逆ニヤラ
レナイト云フ御確信ガアリマスルナラバ、
其點ハドウ云フ譯デヤラレナクナルカ、
ツ此際見解ヲ伺ハシテ戴キタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=12
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013・井野碩哉
○井野政府委員 只今御述べニナリマシタ
生產費ヲ補償スル限度ニ於テ、絲價ナリ繭
價ナリガ下ッタナラバ、政府ガ養蠶農民ニ金
ヲ補償スルコトニ依ッテ、救濟シタラ宜イヂ
ヤナイカト云フ御議論デアリマスガ、サウ
ナリマスト非常ニ是ハ又國帑ヲ多大ニ要シ
マスノト、又養蠶農民トシテモ生產費ヲ割
レく、何時デモソレニ相當スル金ノ補助ヲ
受ケルト云フコトニナリマスト、生產ニ對
スル努力モ非常ニ鈍クナッテ參リマス、又今
日ノ情勢カラ見レバ、必ズヤ私ハ增產ヲ誘
發スルト思フノデアリマス、デアリマスカ
ラ餘リ養蠶農民ガ國家ニ賴ルト云フ氣持
ハ、出來ルダケ避ケサシテ行カナケレバ、
人絹ニ對抗シテ我國ノ蠶絲業ヲ維持更生シ
テ行ク上ニ於テ、却テ弊害ガ多イノデハナ
イカ、是ガ私共ハ養蠶農民ヲ思フ餘リニ、
强ク憂ヘル點デアルノデアリマス、只今御
述べノ他ノ競爭纎維トノ關係ニ於テ、餘リ
價格ヲ補償スルト云フコトニナリマスト、
却テ他ノ競爭纖維ノ進出ヲ誘發シハセヌ
カ、其點ヲ私共モ非常ニ心配シマス爲ニ、
買入價格ト云フモノヲ、生產費補償ヲ目標
トシテ置カナカッタノデアリマス、大體今日
ノ此生絲ト人絹トノ關係ヲ見テミマスル
ト、內地ニ於テハ生絲ハ國民ニ對シテ特異
性ヲ持ッテ居リマスカラ、必シモ人絹ノ三
倍、四倍ト云フ價格以上デアリマシテモ、
賣捌イテ參ルノデアリマスガ、亞米利加デ
ハ人絹ト生絲トノ價格關係ト云フモノヲ、
餘程能ク考慮ヲ加ヘテ參リマセヌト、總テ
ノ對策ノ上ニ於テ過チヲ生ズルノデアリマ
スガ、先日來申上ゲテ居リマスヤウニ、生
絲ガ人絹ノ三倍以上ニナッテ參リマスト、兎
角人絹ノ進出ヲ誘發スル憂ガアル、併シ二
倍以下ニ下ルト云フコトハ、餘リ今後モ有
リ得ナイダラウ、是ハ生絲ト人絹トガ一方
ハ動物纖維デアリ、一方ハ植物纖維デアリ
マスル關係上、性情ノ相違カラ二倍ノ價格
ハ維持出來ルノデハナカラウカ、其點ヲ目
標トシテ居リマスレバ買入價格モ其範圍
內ニ置キマスレバ、大體ニ於テ買入價格ニ
依ッテ生絲ノ價格ヲ維持シマシテモ、人絹ノ
進出ヲ誘發スルコトハナイ、斯ウ考ヘテ居
ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=13
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014・山崎釼二
○山崎委員 最低値段ノ妥當ナル點ハ、現
在ノ狀態ニ於テドノ位デアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=14
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015・井野碩哉
○井野政府委員 是ハ絲價安定委員會等ニ
於テ、具體的ノ値段ヲ決メルノデゴザイマ
スカラ、具體的ノ値段ヲ申上ゲルコトハ困
難デアリマスガ、買入値段ト云フモノハ、
大體養蠶農家ノ已ムヲ得ザル經營狀態ヲ救
濟シヨウ、斯ウ云フコトニアルノデアリマ
スカラ、隨テ先日來申上ゲテ居リマスヤウ
ニ、養蠶農民トシテハ現金支出ハ少クトモ
補償シテヤル、ソレニ自給費ノ中ノ或ル部
分ヲ補償スルト云フコトニナリマスレバ、
養蠶農民トシテモ所謂蠶絲業ノ非常時ニ於
テスラ、或ル値段ニ於テ國家補償ヲ得ルコ
トニナリマスカラ、マア非常ニ經營ニ安定
性ヲ持ッテ來ルト云フコトカラ出發シテ居
リマス、隨テ買入値段ト云フモノハ、其方
面カラ決メテ參ルノデアリマスカラ、大體
其當時ノ物價事情其他カラモ無論考慮ヲ加
ヘマスガ、主タルモノハ現金支出ニ自給費
ノ一定割合ヲ加ヘタモノヲ以テ、買入値段
ヲ決メテ行ク、斯ウ云フ風ニ御諒解ヲ願ヒ
タイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=15
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016・山崎釼二
○山崎委員 最低價格ノ物價値段ヤ生產費
ノ現金支出ト云フヤウナコトガ、重要視サ
レテ居ルヤウデアリマスルケレドモ、私ノ
番惧レル所ハ、之ヲ買入レナケレバナラヌ
ヤウナ事情ガ出來タ場合ニ於テハ、此値段
ト云フモノハ何處ニ行ッテ行詰ルカ分ラヌ
ヤウナ狀態ニナルコトガ多イノデハナイカ
ト思フノデアリマス、ダカラ之ヲ維持スル
方法ガ旨ク行カヌト云フト、是ハ際限ノナ
イ政策ニナルノデ、唯十万俵内外ノ買入デ
之ヲ維持出來ルト言ヒマスケレドモ、其背
後ニハ强力ナル生產ノ統制ガ行ハレテ居ナ
ケレバ駄目ダト思ヒマス、生產統制ニ依ッテ
今マデ桑園或ハ其他ノ計畫ヲ立ッテ來タ農
民ニ、直接其生產制限ヲ及ボサナケレバナ
ラヌ、此生產制限ニ依リ直接受ケテ來ル農
民ノ損害ニ對シテハ、桑園ヲ廢メサセルト
カ、或ハ掃立ヲ制限スルコトニ依ッテ、種屋
ガ其種ノ計畫ヲ一部抛棄スル、ソレニ依ッテ
來ル損害ヲドウスルトカ云フ問題ガ、必ズ
ソコニ殘サレテ來ルト思ヒマス、左樣ナ場
合ニハ政府ハソレニ對シテハ、今度ハ目ニ
見エテ居ルノデアリマスカラ、直接掃立制
限或ハ製造制限、或ハ桑園ノ廢止ニ依ル
損害ト云フモノハ、ドウサレルノデアルカ、
放任サレルノデアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=16
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017・井野碩哉
○井野政府委員 本施設ガ生產統制ヲ伴フ
必要ノアリマスコトハ、吾々モ認メテ居ル
ノデアリマス、總テノ販賣統制ト云フモノ
ハ、ヤハリ生產統制ガ完全ニ伴ハナケレバ、
十分ノ效果ヲ發揮シ得ナイコトハ御說ノ通
リデアリマス、唯御承知ノヤウニ養蠶業、
蠶種製造業、製絲業ニ付キマシテハ、非常
ニ其業態ガ複雜デアリマシテ、養蠶業ノ如
キハ二百万戶ノ養蠶農民ヲ以テ經營致シテ
居ルノデアリマスカラ、是ガ生產統制ト云
フコトハ非常ニ難シイ問題デアルコトハ、
山崎委員モ御承知ノ通リデアリマス、隨テ
之ヲ國家權力ヲ以テ强制的ニ生產調節ヲ致
スト云フコトハ、非常ニ其事自體ガ無理デ
アリマスルバカリデナク、又中々實行ガ困
難ナノデアリマス、隨テヤハリ業者自體ノ
自治的統制ニ依リマシテ、或ル程度ノ生產
統制ヲ加ヘテ行クヨリ外、今日ノ實情ニ於
テハ吾々ハ適當ナル方法ヲ考ヘ得ラレナイ
ノデアリマス、隨テ本案ニ於キマシテモ、
業者ノ自治團體ガ統制決議ヲ致シマシタ時
ニ、之ニ對シテ國家ガ其決議ニ從フベキ統
制命令ヲ出シ得ル權限ヲ、權限トシテハ留
保シテ居ルダケデアリマスガ、是ハ唯權限
上ノ問題デアリマスカラ、今山崎委員ノ御
質問ノヤウニ、其場合ニ於テ假ニ桑園ヲ減
ラストカ、蠶種ヲ減ラシタ時ニ、國家ガソ
レニ補償スルカドウカト云フコトニナリマ
スト、其決議自體ニ依ッテ、減ラシタモノニ
對シテ國家ガ補償ヲスルト云フ譯ニハ參リ
マセヌガ、サウ云フ時代ニナリマスレバ、又
勢ヒ桑園ノ整理モ致サナケレバナラヌト思
フノデアリマス、ソレニ對シテハ現在ヤッテ
ヤリマスヤウナ桑園整理ノ助成ノ途モ、併
セテ考慮シテ行カナケレバナラヌ、又蠶種
ノ問題ニ付キマシテモ、是ハ豫メ原蠶種ノ
國家管理モ實施ニナッテ參リマスルシ、相當
ニ蠶種ノ數量統制ニ付テハ、色々今後モ業
者ノ自治團體ト相諮ッテ、國トシテハ統制シ
得ルト思ッテ居リマスカラ、今マデノヤウニ
何等制度ノナイ時ニ行ヒマスル自治的統制
ヨリハ、相當ニ總テノ方面カラ力ヲ用ヒテ
參リマスレバ、適切ナル效果ヲ擧ゲ得ルモ
ノト信ジテ居ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=17
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018・山崎釼二
○山崎委員 自治的統制トハ、蠶絲業ノ各
方面ノ團體ニ向ッテ臨ンデ居ルノデアリマ
セウカラ、其各產業別ニ自治的統制トハ、
ドウ云フコトヲ意味シテ、ドウ云フコトヲ
サセルノカ、ソレヲモット具體的ニ御述ベヲ
願ヒタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=18
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019・井野碩哉
○井野政府委員 自治的統制ト申シマスノ
ハ、例ヘバ製絲業者ノ方面ニ於キマシテ
ハ、全國製絲業組合聯合會デアリマストカ、
或ハ今囘設立セラレマスル絲價安定施設組
合ニ於キマシテ釜數ノ制限デアルトカ、出
荷制限デアルトカ云フコトヲ、自治的ニ決
議致シマシタ時ニハ、ソレハ自治的統制ノ
一ツノ生產統制ニナラウト思フノデアリマ
ス、又養蠶業者ノ方面ニ於キマシテハ、政
府ガ非常ニ生絲ヲ買入レナケレバナラヌト
云フ實情、卽チ我國ノ生絲ノ供給方面カラ
見テ、非常ニ過剩ヲ生ズルト云フ場合デア
リマスカラ、養蠶農家モ掃立ノ制限ヲシナ
ケレバナラヌト云フコトヲ痛感スル時期デ
アラウト思フノデアリマス、サウ云フ場合
ニ於テ、養蠶業者ノ自治的〓體デアル全國養
蠶業組合聯合會等ニ於キマシテ、一定ノ掃
立制限ノ決議ヲスルト云フコトハ、養蠶方
面ニ於ケル一ツノ生產統制ニナラウト思ヒ
マス、又蠶種製造業者ノ方面カラ見マシテ
モ、養蠶業者ガ掃立制限ヲスルヤウナ場合
ニハ蠶種ノ製造ノ制限モシナケレバナリ
マセヌノデ、全國蠶種業組合聯合會アタリ
デ、蠶種製造ニ付テノ數量統制ヲ致シマス
レバ、ソレハ一ツノ自治的統制ニナル、斯
ウ云フ風ニ御考ヲ願ヒタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=19
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020・山崎釼二
○山崎委員 蠶種ノ點カラ先ヅ伺ッテ見タ
イト思ヒマス、蠶種業者ニ今日普通蠶種ノ
價格ト云フモノニ對スル儼然タル決定ガナ
イト云フ狀態ニ於キマシテハ、假ニ此自治
的統制ガ發動シナケレバナラヌヤウナ狀態
ニナッタ時ニ於テ、養蠶農家ガ此蠶種ヲ買フ
ト云フヤウナ場合ニ、蠶種製造ニ制限ガ加
ヘラレテ、限度ノアルモノニ對シテ、養蠶
農家ガ成程直グニ桑ヲ扱キ、或ハ掃立ヲ制
限スレバ宜シイノデゴザイマスケレドモ、
左樣ナ場合ニハ當然非常ナル値下リヲ、ヤ
ハリ考ヘテ居ル譯デアリマスカラ、養蠶農
家ハ一貫目何ボデ賣ルト云フコトヲ目標ト
セズニ、今年ノ春蠶カラハドノ位ノ收穫ヲ
得ヨウ、夏秋蠶カラドノ位得ヨウ、晩秋蠶、
晩々秋蠶カラハドノ位ト云フコトヲ、一年
ヲ通ジテ現金收入ノ現金ノ額ニ依テ豫定ヲ
シテ、農業經營ニ當ルノガ大抵常デアリマ
ス、サウ云フ場合ニハドウシテモ、如何ニ
法律ヲ以テシテモ、泥棒ヲ防ゲヌト同ジヤ
ウニ、自ラ丹精シテ作ッテ居ル桑園ヲ持チ、
蠶具ヲ持チ、家屋設備ヲ持チ、勞働力ヲ持フ
テ居レバ、ドウシテモソコデ以テ隱レテモ
蠶種ヲ餘計ニ掃立テヽ、サウシテ何トカ豫
定ノ現金收入ヲ得ナイト云フト、兎ニ角養
蠶農家ト致シマスト、早イ話ガ農業ヲヤル
場合ニ於テハ三宅正一君ガ米穀自治管理
法案ノ下ニ於テ述ベタヤウニ、白田賣マデ
ヤルト云フヤウナコトヲ言ッテ居リマスケ
レドモ、養蠶家ノ場合ニ於テモ、ヤハリサ
ウダト思ヒマス、今日ノ養蠶家ノ收入ノ多
クハ、田ノ方面デアリマスト、春ノ金肥肥
料ノ支拂ニ充テテ居ルヤウデアリマス、ソ
レカラ又無盡金ノ如キノ支拂ナドハ、大抵
其暮ノ支拂ニ對シマシテモ、來年ノ春蠶デ
以テ拂フトカ、或ハ夏秋蠶デ以テ拂フト云
フヤウナコトガ、大抵約束サレテ金融ヲ付
ケテ居ルノガ現狀デアリマス、左樣ニナッテ
來ルカラ、ドウシテモ是ハ制限シヨウト思ッ
テモ、制限出來ナイト云フ結果ガ現レテ來
ル、ト云フノハ、是ハ蠶種ガ內證ノ値段デモ
非常ニ値上リヲ來シテ來テ、養蠶農家ハ高
イ蠶種ヲ買ハナケレバナラヌト云フ結論
ガ、實際問題トシテ必ズ出テ來ルノデアリ
マス、左様ナ場合ニ、玆ニ之ヲ防グ途ハ普
通蠶種ノ價格ノ儼然タル公定ヲセラレルヨ
リ外ニハナイノデアリマス、是ハ〓種ノ專
賣制度ニナッテ居ラナイ限リニ於テハ、今日
中々ムヅカシイ問題デアラウト思ヒマス
ガ、左樣ナコトニナッタ場合ニ、蠶種ノ値段
ヲ-是ハ自治的ニ値段ヲ引上ゲサセナイ
ト云フコトヲ、其團體ニ命令シテ見タ所ガ、
是ハ限リアル蠶種ヲ、限リナク需要ヲ言ッテ
來ル農民ニ對シテハ、ドウシテモ値ヲ高ク
スル結果ニナッテ來ルト思ヒマス、殊ニ國家
權力ガ加ッテ居ナイ限リニ於テハ、自治的統
制デハ價格ノ協定ナンカハ必ズ出來マセ
ヌ、左樣ナ點ニ付テ當局ニ何カ宜イ方策ガ
ゴザイマスルカ、ソレヲ一ツ伺ヒタイト思
ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=20
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021・井野碩哉
○井野政府委員 最近ニ於ケル蠶絲非常時
ニ臨ミマシテ、養蠶農民ハ掃立數量ノ加減
ニ付キマシテ、相當ニ宜キ訓練ヲ經タノデ
アリマス、卽チ過去ニ於キマシテハ、非常
ニ蠶絲事情ニ離レテ、徒ラニ增產ニ依ッテ現
金收入ノ不足ヲ補ハウト云フ傾向ガゴザイ
マシタケレドモ、近年ハ養蠶農家モ段々ト
蠶絲事情ガ分ッテ參リマシテ、非常ナ生絲ノ
過剩ナ時ニ高イ種ヲ買ッテマデ、無理ヲシテ
モ掃立ヲスルト云フ者ハ少クナッテ參ッタノ
デアリマス、殊ニ養蠶實行組合ノ指導員ノ
配置ガ段々ト完備シテ參リマシテ、指導員
ガ能ク府縣ノ指導方針ト相俟ッテ、養蠶農家
ヲ指導シテ居リマスノデ、近年モ別段權力
的ナ行爲ヲ用ヒズシテ、吾々ノ方カラ本年
ハ掃立ヲ或ル程度減ラセ、又之ヲ殖スナ、
斯ウ云フ通牒ヲ出シマスト、ソレニ基イテ
府縣デハ指導員ヲ通ジテ、養蠶實行組合ヲ
指導致シマシテ、實際ニ於テノ掃立モ減ッテ
參リマス、又收繭額モ減ッテ來テ居ル、今日
一時非常ナ過剩デアリマシタ生絲ヲ總テ
掃サセテ、需給關係ノ改善ヲ見テ參リマシ
ク、此原因モ吾々當局ノ指導ヲ、養蠶農民
ガ能ク呑込ンデヤッテ吳レテ居ルカラデア
リマス、假ニ蠶種ガ非常ニ高クナッテ來タ
ト云フ場合ニ、生絲事情ガ惡イ時ニ、高イ
蠶種ヲ買ッテ迄モ養蠶ニ行クト云フ養蠶農
民ハ、殆ドナイ實情ニナッテ來テ居リマス、
此實情ヲ能ク御覽ニナリマスレバ、御心配
ノヤウナコトハナカラウト思ッテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=21
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022・山崎釼二
○山崎委員 只今大變ニ養蠶ノ指導員ノ御
利益ヲ御述ベノヤウデアリマスルケレド
モ、實際ニ於テ農村ニ就イテ見マスト、指
導員ノ多クハ養蠶業ニ對スル無能力者ノヤ
ウナ者ガ、非常ニ多イヤウデアリマス、是
ハ語弊ガアルカモ知レマセヌケレドモ、學
校ヲ出タテノ靑年ヲ指導員ニ使用シテ居リ
マス關係上、熟練シタル農民ヨリモ、學理
ハ通ジテ居ルカモ知レマセヌケレドモ、實
際ニ非常ニ疎イシ、殊ニ起掛ヲタ蠶カ、眠リ
掛ッテ居ル蠶デアルカ分ラヌヤウナ者ガ、非
常ニ多イヤウニ見受ケラレマス、唯彼等ハ
オ上風ヲ吹カセ、或ハ又上カラ派遣サレタ
風ヲ吹カセテ、農民ニ無理押付ケヲスル者
ガ非常ニ多イヤウデアリマス、此點ハ將來
尙ホ府縣ニ於テモ團體ニ於テモ、考ヘナケ
レバナラヌ是ハ指導上ノ實際問題ダト思
ヒマス、併ナガラソレニ依ッテ生產ガ少ク
ナッテ來ルト云フコトハ、農民ノ犠牲ニ依ッ
テ、仕方ガナシニ抑付ケラレテ納得シテ、成
程仕方ガナイト云フ譯デアッテ、決シテ滿足
シテソレニ從ッテ居ル譯デハナイノデアリ
やく、農民ノ事大思想カラ、上カラ抑付ケ
ラレテ來ルヤウナ命令ニ對シテハ、嫌々ナ
ガラモソレヲシテ、收入ノ足ラナイ所ハ又
借金ヲ倍加スルナリ、或ハ娘ヤ子供達ノ外
ノ働キニ依ッテ埋合セルヤウナ方法ヲ立テ
ルナリ、自分ノ生活程度ヲ縮メテ行クヨリ
外ニ、今日方法ガナイノデアリマス、今日
捌ケロガナイノデアリマス、其點ニ付キマ
シテハ當局ハ今ノ所デハ、其點デ仕方ガナ
イト思ッテ居ラレルカモ知レナイケレドモ、
ドウシテモ是ハ生絲ノ値段ガ相當ニ下ッテ
來テモ宜イヤウナ經營方法ヲ立テサセテ、
サウシテ生絲ノ消費量ノ增大ヲ圖ッテヤル
ヨリ外ニ、私ハ之ニ對スル捌ケ口ハナイト
思フノデアリマス、殊ニ短期間ニ於テ現金
收入ガ得ラレテ、サウシテ餘程苦勞ヲシテ
モ、相當ノ成果ヲ擧ゲマスカラ、養蠶ニ代
ル好イ副業ハ我國ニハナイノデアリマス、
而シテ是ハ依然トシテ養蠶ニ基礎ヲ置イテ
ヤラウトスル所ニ-短期間ニ農民ガ望ン
デ得ラレナイ現金ノ收入ガアルト云フコト
ヲ、非常ナ賴ミニシテ居ル、此點ハ私ガ有
ユル機會ニ强調シテ居リマスヤウニ、世界
ニ向ッテ生絲ノ消費ノ擴大ニ盡シテ貰ヒタ
イ、所謂生產制限ノ基礎ノ上ニ立ッタル統
制、或ハ安定策ト云フモノヲ抛棄シテ、ヤ
ハリ生產擴大ノ準備ノ爲ニ、一切ガ費サレ
ナイト云フト却テ退嬰的ニナル、進ンデ擊
ツナラバ自己ヲ守ルコトガ出來ルト思ヒマ
スカ、退イテ守ルト云フコトハ中々難シイ
ノデアリマスカラ、極力年々歲々蠶絲業ニ
對スル退却命令ヲ、政府ガ中心ニナッテ下シ
テ居ルヤウデアリマスガ、是ハ孫子ノ兵法
ヲ以テシテモ、今日ハ決シテ自己ヲ守リ得
ル餘地ハナイト、私達ハ考ヘルノデアリマ
ス、デスカラ繰返シテ申上ゲルノデアリマ
ス、是レ以上ハ意見ニナリマスカラ差控ヘ
マスガ、將來ノ蠶絲業ハドウシテモ其基礎
ノ上ニ立テテ貰ヒタイ、ソコデ問題ニナリ
マスノハ最低價格ニ付テ、製絲過程ト養蠶
過程ニ對シ、生產費ヲ補償シナイガ、ソレ
ハ仕方ガナイカラ諦メロト云フコトデアリ
マス、併ナガラ諦メルニシテモ、合理性ガ
ナイト諦メラレナイノデアリマス、ソコデ
サウ云フ風ナ工合ニナッタラ製絲過程ト養
蠶過程トノ、ドノ部面ガ十分ニ我慢シテ切
詰メラレル生產費デアルカ、ドノ部面ヲ切
詰メタラ宜イカ、ドウ云フ部面ニドウ云フ
政策ヲ施シ、養蠶農民ナリ製絲家ナリガ工
夫シタラ、生產方面ガ切下ッテ行クカ、此點
ニ付テ政府ノ御見解ガナクテハナラヌノデ
アリマスガ、其點ヲ御伺致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=22
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023・井野碩哉
○井野政府委員 蠶絲對策ノ根本指導原理
ト致シマシテ、唯徒ニ退嬰的ニ赴カズニ、積
極的ニ行カナケレバナラヌコトハ御說ノ通
リデアリマス、隨テ私共モ此需要增進ニ向ッ
テハ、出來ルダケ色々ノ政策ヲ盡シツツア
リマスガ、中々其方面ガ思フヤウニ行キマ
セヌノデ、今日ノ蠶絲業ノ安定ノ爲ニハ多
少退嬰的ト申シマスカ、消極的方面モ考ヘ
テ行カナケレバナラヌ、斯ウ云フ風ニ存ジ
テ居ルノデアリマス、隨テ人絹等ニ競爭シ
テ行キマス爲ニハ、生產費ヲ下ゲナケレバ
ナラヌ、ソレニハ如何ナル部面ニ於テ下ゲ
得ルヤウナ指導ヲ致シテ居ルカト申シマス
ト、是ハ無論製絲過程ニ於キマシテモ、養
蠶過程ニ於キマシテモ、マダ相當ニ下ゲ得
ル餘地ガアルト思ヒマス、製絲過程ニ於キ
マシテモ機械ノ改善、能率ノ增進等ニ付キ
マシテ、色々當局トシテモ今後〓究ヲシテ
行キタイト云フ所カラ、昨年ノ議會ニ製絲
試驗場ノ併置ノ豫算ガ認メラレマシテ、明
年度カラ其仕事ガ始マルノデアリマスガ、
從來ノ蠶業試驗場ヲ擴張致シマシテ、蠶絲
試驗場トシテ製絲部ノ擴張ヲ致シマシテ、
製絲技術ノ改善ニ資シテ行キタイ、是ハ所
謂製絲過程ノ生產費引下ニ付テノ、一ツノ
〓究機關ヲ設ケタ譯デアリマス、之ニ基イ
テ色々ノ仕事ヲヤッテ參リマスト共ニ、又養
蠶家方面ニ付キマシテモ、或ハ桑園ノ改良
ニ依リマシテ生產費ガ下ガリマス、又肥料
問題等ニ於キマシテ、自給肥料ノ奬勵デア
ルトカ、或ハ金肥ノ價格統制ノ問題等ニ依
リマシテ、生產費ヲ下ゲ得ル餘地モアリマ
ス、其他飼育方法ノ改善等ニ依ッテ、相當ノ
生產費ヲ下ゲル餘地モゴザイマス、又原蠶
種ノ國家管理ガ完全ニ施行サレマスレバ、
此方面ニ於テモ飼量ノ增大ニ依リマシテ、
生產費低下ガ行ハレテ參リマスカラ、有ユ
ル生產過程ノ方面ニ於テ技術上ノ改善、經
濟上ノ改革ニ依リマシテ、生產費ノ低下ニ
努力シテ參リタイ、斯ウ考ヘテ居ルノデア
リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=23
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024・山崎釼二
○山崎委員 甚ダ漢トシタ希望ノヤウナ御
意見デアリマスケレドモ、是ハ中々私ハ旨
ク行カヌノヂヤナイカト思ヒマス、殊ニ競
爭纎維デアル人絹ニ比較シテ、其生產費切下
ノ餘地ト云フモノハ非常ニ少イシ、同時ニ
ソレガ一貫作業ニナッテ居リマセヌシ、又色
色ノ中間搾取ヲ伴ッテ居リマスカラ、非常ニ
ムヅカシクナッテ來ルト思ヒマス、是ノ經營
ノ合理化ハ組織ノ合理化カラ來ルヨリ外ニ
仕方ガアリマセヌ、是ハ冒頭ニ色々申上ゲ
マシタヤウニ、組合製絲ノ方向ニ行クヨリ
外方法ハナイト思ヒマス、唯組合製絲ハ賃
銀ガ少シ高イトカ、或ハ他ノ搾取率ガ少イ
トカ云フ爲ニ、生產費ガ多少擴大致シマシ
テモ、ソレハ人類文化ノ線ニ沿ッテノ生產費
ノ擴大デアリマスカラ、ソンナコトハ私ハ
何等問題ニナラヌト思フ、人類文化ヲ逆轉
サセル方法ニ於テ、生產費ヲ切下ゲヨウト
云フ方法コソ、吾々ハ非常ニ警戒シナケレ
バナラヌ、ダカラ決シテソレハ組合製絲ノ
爲ニ悲觀スベキ傾向ヂヤナイ、ソコデ少シ
細カクナリマスガ、農林省統計ニ依リマス
ト、生絲ニ於ケル生產費ガ百七十一圓三十
九錢トナッテ居ルヤウデアリマス、其中殖エ
テ居ルモノト、減ッテ居ルモノトヲ私能ク調
ベマシテ、非常ニ興味ヲ持ッタノガ玆ニ出テ
居リマス、參考ノ爲ニ私ハ此處デ述ベテ見
マス、將來ノ生絲ノ生產工程ニ於ケル是ハ
可ナリ參考ニナル一ツノ生產費切下ゲノ方
面ヂヤナイカト、斯樣ニ思ッテ居リマス、百
斤當リノ加工費ガ、役職員ノ俸給、手當、賞
與共ニ九圓十九錢、是ガ前年度カラ七十一
錢殖エテ居ルヤウデアリマス、職工賃銀五
十一圓六錢ガ、前年度ヨリハ一圓四十三錢
殖エテ居リマス、是ハ職工賃銀ノ殖エテ居
ル率ト、役職員ノ手當等ガ殖エル率等ガ約
倍ニシカナッテ居リマセヌノハ、要スルニ職
工其他ニ對スル賃銀ノ增加率ガ、人數ノ割
合カラ少イト云フコトヲ意味シテ居リマ
ス、ソレカラ燃料費ガ十八圓五十八錢ニナッ
テ居ル、一圓二十六錢ノ値上リデアリマ
ス、電力及ビ電燈費ノ三圓三錢ガ二十二錢
値上リデアリマス、賄材料費ノ十五圓九十
三錢ガ一圓六十錢ノ値上リデアリマス、是
ハ諸物價ノ暴騰其他カラ來ルモノト考ヘマ
ス、ソレカラ保險料ガ一圓三十八錢、是ガ
減額十九錢デアリマス、荷造費ノ一圓七十
八錢ガ減額十四錢、生絲販賣手數料ガ五圓
八十七錢、減額ガ七十錢、委託乾繭費ガ三
圓二十五錢、是ガ減額七十八錢、購繭手數
料ガ三圓九十二錢、是ガ減額六十六錢、職
工募集費ガ二十九錢、是ガ增額五錢、倉敷
料ガ一圓十五錢、是ガ減額二十三錢、運搬
費ガ六圓五十錢、減額ガ三十一錢、通信費
ガ九十一錢、減額四錢、旅費二圓四十一一錢、
是ガ一錢ノ增加ニナッテ居リマス、諸稅諸掛
二圓二十七錢、是ガ減額七十六錢、利子ガ
十六圓三十一錢、是ガ減額四圓八十四錢、
消耗品費ガ二圓二十八錢、是ガ十七錢增加、
借家借地料ガ八十五錢、是ガ增額十七錢、
從業員福利費、三圓四十六錢、是ガ三十
錢ノ增額、修繕費ガ五圓十三錢、是ガ一圓
十二錢ノ增額、雜費十五圓八十三錢、是ガ
增額二圓二十五錢、斯ウ云フコトヲ見テ參
リマスト云フト、大體ニ於テ物價暴騰ニ依ッ
テ來ル所ノ增額ト、ソレカラモウ一ツ組織
ヲ大企業ノ下ニ集中シテ行ク爲ニ、却テ色
色ノ中間搾取サレル部分ガ少クナッテ來テ
居ル、減額ニナッテ居ル所ト、モウ一ツ大キ
ナ購繭費ノ利子ガ非常ニ少クナッテ居ル點
デアリマス、是ハ產繭處理統制法案ニナッテ
來ルト、餘計ニ此率ガ下ッテ來テ、其購繭費
ニ依ル一時ニ多額ノ金ヲ出サナケレバナラ
ヌト云フ製絲家ノ負擔ガ、養蠶家ニ轉嫁サ
レテ、其點製絲家ガ非常ニ助カル結果ニナ
ルノヂヤナイカト、斯樣ニ私ハ解釋ヲ致シ
テ居リマス、斯ウシテ見マスト云フト、將
來一ツノ產繭處理統制法案ナドヲ作ッテ見
テ、ソレガ完璧ヲ期シテ來タ場合ニ於キマ
シテモ、其購繭費ノ農民轉換ト云フコトハ、
農民ノ負擔トナッテ、製絲家ガ助カル結果
ト相成ルノヂヤナイカト、斯樣ニ思ッテ居リ
マス、同時ニモウ一ツ今度ノ絲價安定法案
ニ依ッテ絲價ノ暴騰、暴落ヲ防グト言ヒナ
ガラ、値上リヲ抑ヘテ置イテ、絲價ノ安値
維持政策ヲ執ッテ來レバ、製絲家ハ必ズソレ
ニ對シテ購繭費ヲ少クシテ、購繭ノ部門ニ
於ケル費用ヲ少クシヨウト思ヘバ、繭ヲ安
ク買フ方法ヲ執ルシ、同時ニ製絲家ハ、製
絲ノ機關ヲ持ッテ居ル製絲家ハ釜數ノ整理
ヲシテ、可ナリ多量ノ製絲ガ-片倉製絲
ナドガ獨占シテ居リマスカラ、片倉、郡是
ヲ中心トスル大製絲家ノ製絲ガ成立ッテ來
マスカラ、勢ヒ中小製絲業者ト云フモノハ、
大抵百五十釜以下ニナッテ來ルノハ昭和十
五年位デアリマスガ、其結果トシマシテ、
中小製絲家ノ存在スル餘地モナクナッテ參
リマセウシ、結果ハ委託製絲ヲシテソレヲ
賣ルト云フ途ガ、農民ニ開ケテ居ルカラ宜
イト云フ當局ノ御考デアリマスケレドモ、
結局サウ云フコトハサウアリタイト云フ希
望ダケデ、實際ノ問題ニ於テハ、中々サウハ
行カヌト思フノデアリマス、結論トシマシ
テハ、製絲家ガ、輸出業者、或ハ問屋業ニ
イヂメラレ、製絲家ノイヂメラレタ所ハ養
蠶農民ニ來ルト云フ結果ニナッテ、生產費、
蠶竝ニ絹絲ノ生產費ノ損失ノ一切ガ、番
下部ノ農民層ニ來ル傾向ヲ持ッテ居ルノデ
アリマス、此點ニ付キマシテハ、將來生產
費ノ切詰メト云フコトニ考ガ及ブト云フ
ト、ドウシテモ此弱イ部分ヲ、モウ少シ保
護シテヤル所ノ政策ヲ伴ッテ來ナケレバナ
ラヌト思フノデアリマス······
〔委員長退席、小山委員長代理著席〕
ソレハ平野委員ガ繰返シ論ジテ居ルヤウデ
アリマスケレドモ、第一段ニ於テハ勿論土
地制度ノ改革デアリマセウシ、同時ニ只今
局長ノ言ハレマシタヤウナ肥料ノ政策デア
ルトカ、或ハ技術上ノ政策デアルト云フヤ
ウナコトモ考ヘラレマセウケレドモ、ソレ
ハ部分々々ノ切詰デアッテ全體ノ合理的ナ
ル、組織上ノ合理化ニ依ル所ノ私ハ切詰メ
ニナラヌト思ッテ居リマス、此點ニ付テハ十
分ニ將來農民自身ニ組織ヲ持タセル方法ニ
考へ及ンデ、此生產費ノ合理的引下ゲヲシ
テ貰ヒタイト思ヒマス、同時ニ是ハ-時
間ガナイカラ簡單ニ申シマスガ、國家機關
ニ依ルモウ少シ經營ヲ合理化ノ方面、科學
的ノ〓究ニ依ル蠶絲ノ改善ト云フコトニ付
テハ、モウ少シ政府デハ金ヲ注ギ込ム必要
ガアルト考ヘマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=24
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025・小山邦太郎
○小山委員長代理 時間ハ十分御使ヒ下
サッテ宜シイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=25
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026・山崎釼二
○山崎委員 此點ニ付キマシテハ、未ダ十
分ナル本會議ニ於テモ、當委員會ニ於テモ
答辯ガナイヤウデアリマスカラ、今マデノ
改良機關ニ依ッテ十分ト云フ此御考デアリ
マスルカ、マダモウ少シ擴大シテ此經營ノ
合理化ト、蠶絲業ノ科學的ナ〓究ノ度ヲ進
メテ行クト云フコトニ付テ、現在ノ機關ヲ
モット擴充シタイト云フ希望ヲ、當局デハ
御持チニナッテ居ルカ、希望ヲ御持チニナッ
テ居ルトスレバ、ドウ云フ部門ヲ、ドウ云
フ風ニ擴張シテ行カレルト云フ御方針デア
リマスカ、之ヲ伺ヒタイト思ヒマス、意見
ガ大變ニ分レマシタノデ、甚ダ恐縮デゴザ
イマスガ伺ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=26
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027・井野碩哉
○井野政府委員 生產費ヲ低下シテ參リマ
ス爲ニ、經營上ノ合理化方面ニ於テ、國家
トシテ力ヲ盡サナケレバナラヌ、又科學的
學理的方面ニ於テ力ヲ盡サナケレバナラ
又、此二ツノ方面ニ向ッテドウ云フ考ヲ持ッ
テ居ルカト云フ御尋デアリマスガ、經營ノ合
理化ニ付キマシテハ、先般御協贊ヲ得マシ
タ產繭處理統制法ノ施行ガ、私共ハ其一ツ
ノ具體策デアルト考へテ居リマス、卽チ從
來養蠶農民ガ生繭販賣ヲ致シテ居リマシタ
爲ニ、出廻リ期ニ於テ兎角此製絲家方面カ
ラ、繭ヲ絲價ニ比ベテ安ク買ハレル、隨テ此
生產費低下ノ方面ニ於キマシテモ、養蠶農
民ノ方ガ多ク負擔シナケレバナラヌト云フ
ヤウナ、所謂弱イ立場ニ在リマシタモノヲ、
組織上强ク致シマシテ、サウシテ公平ナル
繭ノ取引ヲ行ハシメルコトヲ目的ト致シタ、
卽チ組織上ノ改善ガ其一ツノ策デアリマ
ス、其他ニ尙ホ養蠶實行組合ノ强化ト云フ
コトヲ圖リマシテ、サウシテ規格統一ヲ致
サセマシテ、經營ノ改善ト相俟ッテ、販賣組
織モ統一シテ强力ナルモノニ致スト云フコ
トニ、今日力ヲ盡シテ居リマス、尙ホ其他
ニモ色々ゴザイマスガ、主タルモノハサウ
云ッタヤウナ方面ニ於テ經營ノ合理化ニ依
リマシテ、生產費低下ノ途ニ資スト云フコ
トニ致シテ居ルノデアリマス、又科學、學
理方面ニ於ケル所ノ改善ニ付キマシテハ、
現在ノ蠶業試驗場ノ擴張ヲ圖ッテ居ルノデ
アリマス、昭和八年以來此蠶業試驗場方面
ノ擴充ハ、農林省ノ他ノ試驗機關ノ擴充ニ
比ベマシテ、非常ニ吾々ハ力ヲ盡シテ居リ
マスコトハ、能ク豫算面等ニ於テ御覽ニナ
リマスト、御分リニナルト思フノデアリマ
スガ、從來四五十万圓ノ經費デアリマシタ
モノガ、今日ハ百數十万ノ經費ニナッテ居リ
マス、其方面ニ向ッテ吾々ハ、是ハ養蠶、製
絲有ユル方面ニ蠶業試驗場ト云フモノノ擴
大ヲ圖リマシテ、サウシテ學理上ノ〓究致
シテ參リタイ、斯ウ考ヘテ居ルノデアリマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=27
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028・山崎釼二
○山崎委員 全國生絲共同施設組合ニ所屬
シテ居ル二百四十工場ノ、中小製絲工場ノ
將來ニ對スル指導方向ハ、農林當局トシテハ
ドウ云フ方向ニ持ッテ行クノデアリマスカ、
之ヲ合併セシメテ、一ツノ會社ニデモサセ
ル方向ニ持ッテ行カレルノデアリマスカ、此
儘ニシテ置イテ、安利ノ金デモ十分ニ流通
致シマシテ、之ヲ大製絲ニ合併サセタリシ
テ、征服サレテシマハナイヤウニヤッテ行
カレル積リデアリマスカ、此方向ト云フモ
ノハナクテハナラヌト思ヒマス、ソレニ對
スル政策ヲ伺ヒタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=28
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029・井野碩哉
○井野政府委員 中小製絲ニ對シマスル指
導精神ト致シマシテハ、製絲業法ヲ制定致
シマシタ時ニハ、初メハ百五十釜未滿ノ製
絲工場ハ、十箇年間デ整理ヲ致シテシマフ
豫定デアッタノデアリマスケレドモ、衆議院
ニ於テ其點ハ削除サレマシテ、今日デハ指
導精神ニ依ッテ、出來ルダケ百五十釜以下ノ
製絲工場ノ合理化ヲ圖ッテ行クト云フコト
ニ力ヲ入レテ居ルノデアリマス、隨テ今囘
製絲業者ニ自治的ニ行ハシメマシタ釜數ノ
整理モ、唯數ヲ減ラスト云フコトダケデハ
ナクシテ、不健全ナル中小製絲業者ヲ、補
償金ヲ與フルコトニ依ッテ淘汰致シマシテ、
健全ナル中小製絲業者ヲ殘スコトニ依ッテ、
製絲經營ヲヤハリ今後モ大、中、小ト此三
ツノ形ニ於テ存續セシメテ行キタイ、此事
ガ寧ロ吾々トシマシテモ、養蠶農民ニ對シ
マシテ、餘リ大キナ製絲家ニ集中セシメナ
イ方ガ、產繭處理ノ上ニ於テ有利デアル、
斯ウ認メマシテ其指導精神ヲ採ッテ居ルノ
デアリマス、デアリマスカラ小ナルガ故ニ
全部整理シテシマハウトカト云フヤウナコ
トハ考ヘテ居リマセヌノデ、其經營ノ合理
化ニ依ッテ健全ナルモノニ致シタイ、其手段
トシマシテハ、生絲ノ共同施設組合ノ如キ
ハ一ツノ現レデアリマスケレドモ、是モマ
ダ今日其數ガ十分行渡ッテ居リマセヌカラ、
是ダケデ私共ハ威張ッテ中小製絲ノ經營ノ
改善ニナルト云フコトヲ考ヘテ居リマセ
ヌ、一ツノ手段デアリマス、其上ニ製絲金
融ノ問題モ今後ハ考ヘテ參リマシテ、サウ
シテ中小製絲業者ノ更生ト云フコトニ向ツ
テハ、相當ニ力ヲ盡シテ參リタイ、斯ウ考
ヘテ居ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=29
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030・山崎釼二
○山崎委員 私ハ製絲ノコトニ付テハ極ク
素人デ全ク分ラヌノデアリマスケレドモ、
一ツノ多條製絲ノ機械ヲ獨占シテ居ル會社
ガ存在シテ、資本ノ力ト組織ノ力トヲ以テ
スレバ、私ハ中々中小製絲ガ是ト太刀打ハ
出來ヌト思フノデアリマス、此點ニ付キマ
シテハ私ハ素人デスカラ、率直ニ御〓ヲ乞
フノデアリマスケレドモ、資本ガナクシテ、
優秀ナル機械ガナクシテ、優秀ナル組織ナ
クシテ、現在ノ自己デ行キ得ル力ナクシテ、
私ハ之ヲ中々育成シテ存在セシメテ行カウ
ト思ッテモ、ソレハ全ク描ケル餅以上ノ空想
デハナイカト思ヒマス、之ヲ私ハ片倉製絲
ト他ノ中小製絲ノ現狀ニ見ルノデアリマ
ス、片倉製絲ヤ其他ノ大製絲ガ、ドン〓〓
制覇ヲ强メテ行キマスルコトハ、今度ノ釜
數ノ整理デ餘計私ハサウナッタト思フ、サウ
云フコトニナッテ來ルト云フト、只今ノ中小
製絲ヲヤハリ何トカ存在セシメテ行キタイ
ト云フ念願ハ、念願トシテ受取レマスルケ
レドモ、合理的ニ之ヲ存在セシムル所ノ原
因ガ、漸次大製絲ニ取ラレテ行クト云フ狀
態ニ放ッテ置イテハイケナイト思ヒマス、專
賣權ヲ持ツ所ノ一ツノ多條製絲ノ機械ヲ、
大製絲ガ獨占シテ居ッテハ、到底ソレハ不可
能ト思ヒマス、其點ニ付テノ現在ノ狀態ハ
ドウナッテ居リマスカ、中小製絲ガ殆ド其大
製絲家ノ獨占シテ居ルヤウナ多條製絲ノ機
械ヲ、皆備付ケテ居ルノデアリマスカ、或
ハソレニ對シテハ缺クル所ガアリマスカ、
又缺クル所ガアレバ、サウ云フ生產上ノ適
ハヌ點ハ、ドウシテヤラウト云フ御希望ガ
アルノデアリマスカ、ソレヲ伺ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=30
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031・井野碩哉
○井野政府委員 生絲ノ需要方面ガ限ラレ
テ居リマスレバ、今御議論ノヤウナ御懸念
ガアリマスケレドモ、生絲ノ需要方面ヲ見
マスルト、輸出生絲トシマシテモ、非常ニ
優秀ナ「スリー·エー」格ナルモノヲ要求ス
ル向モアレバ、或ハ「ビー」格、ソレ以下ノ
モノヲヤハリ要求スル向モアリ、又生絲ノ
品質優良デナイモノモ相當需要サレテ居リ
マス、然ルニ多條製絲機械ヲ持チマシテ、
大製絲ヲヤッテ居リマス工場ハ、主トシテ
優良ナル絲ヲ挽クコトヲ目標トシテ居リマ
ス、デアリマスカラ優良デナイモノヲ挽キ
マスト、經營上生產費ガ高クナリ、不利ニ
ナッテ參リマスカラ、ドウシテモサウ云フ會
社デハ輸出向ノ優秀ナル生產ニ目標ヲ置イ
テ居リマス、然ルニ中小製絲業者ノ方ハ、
業主自體ガ勞力ヲ提供致シマシテ、一家擧ッ
テ製絲ニ從事シテ居リマス爲ニ、非常ニ安
イモノデ、而シテソンナニ優秀デナイモノ
ヲ作リ得テ居リマス、デアリマスカラ國用
生絲ヲ作リマス上ニ於テハ、生產費ノ上ニ
於テ却テ多條製絲機械ヲ持ッテヤッテ居リマ
スヨリハ、小サナ家內工業的ノ方ガ、優秀
ナ成績ヲ擧ゲテ居リマス、其爲ニ地方的ニ
ハ豐橋デモ前橋デモ、サウ云フ方面ニ於ケ
ル中小製絲業者ト云フモノハ、當然必要ナ
存在デアリマシテ、此方面ニ向ッテハ大キナ
機械工業-多條製絲機械ヲ持ッテ居リマ
ス工場モ及バナイヤウナ實情デアリマスカ
ラ、生絲ノ消費方面ノ分野ニ從ッテ、私共ハ
現在ノ製絲業態ノ存在ハ必要デアル、斯ウ
認メテ居ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=31
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032・山崎釼二
○山崎委員 優秀ナモノガ惡イモノヲ追フ
ト云フコトハ原則デアリマスシ、同時ニ人
絹ニ對抗スル爲ニ、良質ナモノヲ廉價デ提
供スルト云フコトガ原則ニナッテ來ル以上、
只今ノ御議論ハ現在ノ儘ニ於テハ受取レマ
スケレドモ、將來ヲ約束スル見解デハナイ
ト思ヒマス、ソレハ意見ニナリマスガ、然
ラバ國内消費竝ニサウ云フ特殊ノ方面ニモ
向クヤウナ特色ヲ持ッテ居ルカラト云フ御
話デアリマス、ソコデ私達ガ考ヘナケレバ
ナラヌコトハ、人絹トノ交織割合ヲ一見シ
テ分ルヤウナ政策ヲ、日本デ何故速ク採用
シナイカト云フ點デアリマス、長イ事可ナ
リ衆議院ノ各場合ニ於テ論ゼラレタヤウデ
アリマスケレドモ、今日ソレガ行ハレテ居
ナイノデアリマス、私ノ知ッテ居ル限リニ於
テハマダ行ハレテ居ナイ、之ヲ何故行ハナ
イカノ理由ヲ伺ヒタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=32
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033・井野碩哉
○井野政府委員 生絲ト其他ノ纖維トノ步
合標示ノ問題ニ付キマシテハ、實ハ商工省
ノ所管デアリマスノデ、農林省トシマシテ
ハ、或ル具體案ヲ提示シマシテ、商工當局
ト段々相談致シマシタ結果、兩省ノ意見ノ
一致致シマシタ案ガ、大體出來上ガリツツ
アッタノデアリマス、唯業者ニ色々相談ヲシ
ナケレバナラヌノデ、商工省方面ニ於テ、
ソレ等ノ業者ト相談ヲ致シテ居ッタノデア
リマスガ、御承知ノヤウニ商工省デハ當局
者ガ最近ニ於テ色々迭リマシタノデ、又其
議ヲ練リ直シテ居ルヤウナ譯デ、大體商工
省トシテモ近イ機會ニサウ云ッタ省令ヲ出
シタイト云フコトハ、略意見ノ一致ヲ見テ
居リマスカラ、不日御希望ノヤウナ規則ハ
出得ル、斯ウ御諒承願ヒタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=33
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034・山崎釼二
○山崎委員 ソレハ海外ニ於ケル問題ニハ何
等觸レヌコトニナリマスカ、其點ヲ一ツ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=34
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035・井野碩哉
○井野政府委員 海外ニ對スル問題トシマ
シテハ、其省令ハ直接ハ及ビマセヌ、併シ
例ヘバ亞米利加ニ於テハ、然ラバドウ云フ
手段ヲ執ッテ居ルカト申シマスト、是ハ「イ
ンターナショナル·シルク·ギルド」ト云フ團
體ガ出來テ居リマシテ、日本ノ中央蠶絲會
トモ協力致シテ、目下宣傳事業ヲ致シテ居
ルノデアリマスガ、此協會デ以テ一ツノ「マ
ーク」ヲ作リマシテ、サウシテ其「マーク」
ノ附イタ物ハ「ビュアシルク」ト云フコトニ
致シテ、人絹トノ區別ニ努力致シテ居リマ
ス、又織物トシテ出マス際ニハ、織物檢査
ノ方面カラ人絹ト然ラザル物トノ區別ヲ致
シテ居リマス、隨テ海外ニ對シマシテハ、
割合ニ能ク兩者ノ區別ヲ付ケ得ルコトニ
ナッテ居ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=35
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036・山崎釼二
○山崎委員 大體其方面ニ於ケル質問ハ、
大分時間モ取リマスノデ長クスル積リモア
リマセヌガ、多少分ッテ參リマシタ、今度ハ
繭ノ生產費ノ問題デアリマス、繭ノ生產費
ノ問題ニ付キマシテハ、他ノ委員カラモ繰
返シテ質問ガ出テ居ッタヤウデアリマス、私
モ其點ニ付キマシテハ、重複ヲ避ケマスル
ケレドモ、尙ホ一點伺ッテ見タイト思ヒマス
ルコトハ、春蠶ト夏秋蠶トデハ色々違ッテ
參ルト思ヒマスガ、其點ニ付テハ一率ニ御
考ニナリマスルカ、勿論別々ト思ヒマスル
ガ、ソレハ如何デゴザイマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=36
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037・井野碩哉
○井野政府委員 無論春蠶ノ場合ト夏秋蠶
ノ場合トガ違ヒマスコトハ、當局モ認メテ
居リマス、併シ生產費ノ調査ヲ致シマス時
ニ、一年ヲ通ジテノ平均ニ依リマシテ、
之ヲ出シテ居ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=37
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038・山崎釼二
○山崎委員 此最低値ト最高値トヲ測定シ
テ決メルニハ、一年ヲ通ジテ一囘ト思ヒマ
シタガ、左樣デゴザイマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=38
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039・井野碩哉
○井野政府委員 左樣デゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=39
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040・山崎釼二
○山崎委員 其時ニ豫メ前年度ノ例ニ依リ
マシテ、其年ノ夏秋蠶其他ハ、別々ニ決メ
テ置クノデアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=40
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041・井野碩哉
○井野政府委員 一年ニ一囘決メルノデア
リマスカラ、前年ノ養蠶農家ニ付キマシテ
ノ生產費ヲ平均致シマシテ、ソレヲ生產費
ノ基調ニ致シタイト思ッテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=41
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042・山崎釼二
○山崎委員 サウスルト全國比例デ來ルノ
デスカ、其縣比例デモナシ、結局全國平均
ノ生產費ト云フモノヲ見テ、ソレデ測定シ
テ來ル譯ニナル、サウナルト云フト當嵌ル
部分ガ非常ニ廣範圍ニ亙リ、或ハ當嵌ラヌ
部分ガ廣範圍ニ亙ル場合ガ、非常ニ多クナ
リハシナイカ、是ハ日本ノ色々ナ特殊狀勢
カラ來ル點デアリマセウガ、サウナルト非
常ニ或ル部分ニハ公平ニ、或ル部分ニハ不
公平ナ結果ヲ來ス虞レガアルト思ヒマス
ガ、其點ニ對スル御見解ハ如何デアリマス
カ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=42
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043・井野碩哉
○井野政府委員 生產費ヲ調ベマスル養蠶
農家ハ、養蠶農家ノ存在ノ濃度ニ依リマシ
テ、自ラ調査戶數モ違ッテ來ル譯デアリマ
ス、長野縣、群馬縣等非常ニ養蠶戶數ノ多
イ所ハ、多クノ養蠶農家ノ生產費ヲ調ベル
ト云フコトニナラウト思ヒマスカラ、全國
平均ト申シマシテモ、各縣各〓二戸トカ三
戶トカ云フヤウナ調べ方ハ致シマセヌ、隨
テ其調ベマシタ生產費ト云フモノモ、全國
養蠶農家ノ生產費ノ或ル標準ガ代表的ナモ
ノニナル、斯ウ云フ風ニ御了解ヲ願ヒタイ
ノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=43
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044・山崎釼二
○山崎委員 是ハ春蠶ト夏秋蠶トヲ通ジテ
調ベマスルト云フト、現金支出ト自給費ト
ノ割合ガ、私ハ非常ニ違ッテ來ルト思ヒマ
ス、サウスルト最低値段ヲ決メテ來ル場合
ニ於キマシテハ、ヤハリ現金支出ヲ中心ニ
考ヘテ來ルト云フト、各〓蠶ノ時期ニ依ッテ
是ハ違ハナケレバ工合ガ惡イト思ヒマス
ガ、其點ハ如何デアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=44
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045・井野碩哉
○井野政府委員 養蠶農家ノ經營狀態ヲ、
同ジ基準ニ置ク譯デアリマスカラ、夏秋蠶
ト春蠶トニ依ッテ一々區別シテ考ヘマセヌ
デ、農家一年ヲ通ジマシテ、一體現金支出
ハドレダケアッタカ、又自給費ガ其生產ノ爲
ニドレダケ掛ッタカト云フコトヲ見ルコト
ガ、寧ロ妥當デアルト思フノデアリマス、
デアリマスカラ一年ヲ通ジテノ現金支出ト
自給費トノ關係ヲ見マシテ、サウシテ本施
設ノ基礎材料ニ致シタイ、斯ウ考ヘテ居ル
ノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=45
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046・山崎釼二
○山崎委員 伺ッテ居リマスルト、結局サウ
ナルト細カイ調査ヤ何カハ假ニ一應シマシ
テモ、ソレハ唯參考ニ過ギナイデ、ソレヲ
基準ニシテ算盤ヲ立テルノデハナイ、結局
逆算的ニ最低絲價ヲ此位ニ定メルノダカ
ラ、マア繭ノ方ハ此位ノ所ニ見積ッタラ宜カ
ラウト云フヤウニ押付ケラレル、私達ノ心
配ガ其通リニナッテ來サウナノデアリマス、
此點ニ付テハ洵ニドウモ殘念デアリマスケ
レドモ、非常ニ日本ノ農業生產ノ複雜ナ點
ト、モウ一ツハ統一性ヲ缺イテ居ルト云フ
コトガ、ドウモサウスルヨリ外ニ途ハナイ
ト云フ結論ガ出テ來テ居ルト思フノデアリ
マス、是ハ當局モ率直ニ一ツ當嵌ッテモ當
嵌ラヌデモ仕方ガナイ、ソコラデ一ツ決メ
サセルノダト云フナラ、ソコヲザックバラン
ニ話シテ戴イタ方ガ宜イヂヤナイカ、斯樣
ニ思フノデアリマス、却テ斯ウ云フ方法ヲ
スルナラ、アレハアヽダ、是ハ斯ウダト云
フ細カイ說明ヲシテ、納得サセヨウト思ヒ
マシテモ、中々サウナレバ異論百出ニナル
ト思ヒマス、其點ハ如何デスカ、私ハ今ザツ
クバランニ-ト申上ゲルトナンデスケレ
ドモ、結局腰ダメデ農民ノ生產費ヲ見テシ
マフ、サウシテ當嵌ッテモ當嵌ラヌデモ、ソ
レデ我慢サセルンダト云フ方針デアリマス
カ、マア御答辯ハシニクイカモ知レマセヌ
ケレドモ、サウナラサウトハッキリ言ッテ貰
ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=46
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047・井野碩哉
○井野政府委員 私モザックバランニ申上
ゲテ居ルノデ、決シテ色々ナ點ヲ飾ッテ申
上ゲテハ居ラナイノデアリマスガ、繭ノ生
產費ダトカ、現在高ダトカノ調査ノ爲ニ、
今度ハ大體二十七八万圓ノ經費ガ取レマシ
タカラ、各府縣ノ養蠶農家ニ委託致シマシ
テ、中庸ノ養蠶農家ノ生產費ヲ取リマシテ、
サウシテ其中ノ現金支出ト自給費トノ割合
ヲ見マシテ、基礎ト致シタイト考ヘテ居リ
マスカラ、相當ニ私ハ正確ナモノガ出來テ
來テ、ソレガ基礎ニナッテ、買入價格ガ決マッ
テ來ルト、斯ウ思ッテ居ルノデアリマス、決
シテ逆算的ニ見テ、下ノ方ハ好イ加減ニ決
メテシマハウヂヤナイカト云フ考デナシ
ニ、是ハザックバランニ申シマスガ、立派ナ
調査ガ段々出來テ來テ、養蠶農家ノ爲ニ極
メテ適切ナル施設ガ爲シ得ルト信ジテ居ル
ノデアリマス
〔小山委員長代理退席、委員長著席〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=47
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048・山崎釼二
○山崎委員 ソコデ私ハ產繭處理統制法案
當時ノ、各縣ノ繭價協定委員會ト云フヤウ
ナモノノ强弱ガ、大變ニ影響シテ來テ居ル
ンヂヤナイカト考ヘラレル、アレハ現在各
縣ニ於テドノ位ノ實勢ヲ持ッテ居リマスカ、
參考ノ爲ニ伺ッテ置キタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=48
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049・井野碩哉
○井野政府委員 繭價協定委員會ト云フモ
ノハ、私共モアレガ非常ニ權力ヲ持ッテ參リ
マスレバ、絲價ニ基ク繭價ヲ決定シマス上
ニ於テ、有效ナモノデアルト考ヘテ居ルノ
デアリマス、隨テ今日奬勵金ヲ以チマシ
テ、各府縣ニ設置ヲ奬勵シテ居リマスガ、
現在デハマダ十數府縣シカ出來テ居リマセ
ヌガ、明年度ハ三十數府縣ニ出來ルノデハ
ナカラウカト思ッテ居リマス、今日出來テ居
リマスル繭價協定委員會ノ實績ヲ見マスル
ト、マダ吾々ガ考ヘテ居リマスル程、理想
的ノモノデハ勿論ゴザイマセヌガ、相當ノ
成績ハ收メテ居ルノデアリマス、假ニ此協
定繭價ガ決裂ニナリマシテモ、非常ニ或ル
近イ所マデハ纒ッテ居リマスカラ、其範圍內
デ取引ガ出來マスノデ、大體各縣共ニ總
タ縣モ隨分ゴザイマスシ、纒ラナイ縣デモ
製絲家ト養蠶家トガ、其委員會デ協定シ合
ヒマシタ其近値ニ決定シテ來ルト云フコト
ニナリマスノデ、效果ヲ擧ゲテ居ルト認メ
テ居ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=49
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050・山崎釼二
○山崎委員 大體ニ於テノ質問ハ其程度ニ
シテ置キマシテ、今度ハ法案ノ條文ニ亙ッテ
ノ質疑ヲ致シタイト思ヒマス、最初ニ御伺
ヒ致シタイト思ヒマスコトハ第九條デアリ
マス、「輸出生絲問屋及生絲輸出業者竝ニ本
法施行地域外ニ於ケル製絲業者ヲ組合員ト
爲スコトヲ得」ルト云フコトハ、要スルニ
得ルト云フ一ツノ自由制度デアリマスカ、
自由加入ノ點ヲ是ハ明ニシタモノダト思ッ
テ居リマス、ソコデ先程モ一寸質問シテ置
キマシタケレドモ、是ハ事前ニ色々當業者
關係ニ御諮問ニナッタト思ヒマスガ、輸出業
者ノ最大ナルモノハ三井物產デアリ、三菱
商事デアリ、或ハ郡是、片倉モサウデアリ
マセウシ、鐘紡モサウデアリマス、原ヤ旭
「シルク」モサウデアラウト思ヒマス、是等
ノ人達ガ之ニ入ラヌト云フコトガ假ニアッ
タト致シマスト、ドウ云フ結果ニナリマス
カ、私ハ入ラヌト是ハ中々ムヅカシイト思
ヒマスガ、自由制度ニシテ置イテ、自分ハ
都合ガ惡イカラ入ラヌト云フコトニナレ
バ、是ハ大變ナ不利益ダト思ッテ居リマス
ガ、其點ハ如何デゴザイマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=50
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051・井野碩哉
○井野政府委員 輸出業者、問屋業者ヲ任
意加入ノ制度ニ致シマシタノハ、此施設組
合ガ專ラ生絲ノ買入、賣渡ヲ致シマス組合デ
アリマスカラ、製絲業者ヲ中心トシテ設ケ、
而モ輸出販賣統制上ノ色々ノ施設ヲスルニ
ハ、斯ウ云フ輸出業者ナリ、問屋業者ヲ加
入セシムルコトノ方ガ便宜デアルト云フ所
カラ、任意加入ニ致シタノデアリマスガ、
今日ノ情勢デハ大體サウ云フ業者モ、實際
ニ於テハ加入スルノヂヤナカラウカト思ッ
テ居リマス、併シ法制上之ヲ强制加入ニシ
マス理窟ガゴザイマセヌデシタノデ、製絲
業者ダケノ公共團體ニ致シタノデアリマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=51
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052・山崎釼二
○山崎委員 是ハ前ノ輸出生絲販賣統制ヲ
行フト云フ時ニ、ソレ等ノ業者ノ反對空氣
ガ非常ニ强クテ、ソコニ手ヲ染メルコトガ
出來ズシテ、此製絲業者ノ「ストック」政策
ニ依ル市場ノ操縱デ、何トカシヨウト云フ
コトニ落チテ來タノヂヤナイカト私達考ヘ
ラレルノデアリマス、ソコデ一番此蠶絲對
策ニ對スル强イ部面ハ何處カト云ヘバ、私
ハ三井、三菱、或ハ原、旭、郡是、片倉ノ
部分デアルト思フ、是等ノ一番强イ部分ヲ
放任シテ置イテ、而モ最高最低ノ値幅ヲ置
イテソコニ相當彼等ニ儲ケル餘地ヲ十分ニ
與ヘテ置キ、尙ホ製絲業者ト養蠶農民トノ
「コスト」保障ヲセズニ、此絲價安定法ヲ作
ルト云フノハ、最モ畫龍點晴ヲ缺イテ居ル
部分デハナイカト考ヘラレルノデアルガ、
此點ヲ强制的ニ國內デ加入セシムルト云フ
コトハ、私ハ一面ニ於テ是等ノ輸出業者
ノ海外ノ市場ニ於ケル行動モ亦律スルコ
トガ出來テ來ル結果ニナルト思フ、所ガ之
ヲ自由ニシテ置キマスト、私ハ是等ノ業者
ノ海外ニ於ケル販賣關係ノ統制モ、非常ニ
難カシクナッテ來ルノヂヤナイカ、ソレデ結
局弱イ奴ヲ喰ッテ、强イ奴ガドシドシ伸ビテ
行クダケデス、三井、三菱ノオ手傳ヲシテ
居ルヨリ外ニ利益ハナイト云フ結果ニナッ
テ來ハセヌカ、斯樣ニ思フノデアリマス、
私ハ此點ニ付テハ、自由加入制度ニ對シテ
ノ御說明ガ、前ノ輸出生絲ノ販賣統制策
ガ、是等ノ方面カラ非常ニ反對ガアッテ葬
ラレタト云フ、是ハ道聽途說デアリマスカ
ラ、ハッキリ私ノ確信ヲ以テ申上ゲルコト
ハ出來マセヌケレドモ、併シサウ云フ原因
ガアッタノダラウト云フ一ツノ想像ハ出來
ルノデアリマス、而モ其一番强イ部分ヲ避
ケテ、弱イ部分カラ先ニズット縛ッテ行クト
云フ政策ガ絲價安定ニナラズニ、是等ノ輸
出業者安定ニハナッテモ、蠶絲業ノ一番大キ
ナ部面ノ安定ニハナッテ行カナイヤウニ考
ヘルノデアリマス、是ハ重ネテモウ一度伺ッ
テ置ク、若シ彼等ガ入ラナカッタ場合ニハ、
强制的ニデモ、法律ヲ直スナリ何カシテ、
之ヲ强制加入サセテ、何トカ縛ル方法ヲ一
ツ考ヘテ貰ヒタイト云フ吾々ハ希望ヲ持ツ
テ居ルノデアリマス、之ニ付テノ當局ノ將
來ニ亙ッテノ見透ト、同時ニ左樣ナ場合ニハ
ドウスルカト云フ點ヲ一ツ伺ヒタイノデア
リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=52
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053・井野碩哉
○井野政府委員 先般輸出生絲販賣統制調
査會デ立案致シマシタ所ノ初ノ案ニ、輸出
業者等モ强制加入ニ致シテ置キマシタガ、
ソレヲ今囘止メタノハ、輸出業者等ノ反對
ガアッタカラ止メタノデナイカト云フ御議
論デゴザイマスガ、アノ反對ハ別ニ輸出業
者、問屋業者ガ强制加入ニナルカラ反對ト
云フ議論デアリマセヌノデ、結局仲値ト云
フモノヲ其組合デ以テキッチリト決メテシ
マフト云フコトニナルト商機ガ非常ニ面白
クナイ、サウ致シマスト今日人絹ニ對抗シ
テ亞米利加ニ賣擴メテ居ル輸出業者ノ努力
ガ、非常ニ鈍クナルカラ、結局先物取引ナ
ドガ十分ニ出來ナクナッテ來テ、安定ハシタ
ヤウナモノノ、生絲ガ賣レナクナッテ來ル
ト云フヤウナコトカラ、輸出業者ナリ問屋
業者ガ反對シタノデアリマス、決シテ組織
上ノ問題デハナイノデアリマス、今囘ノ案
ハサウ言ッタヤウナ、仲値ヲ必ズ固定セシメ
テシマフト云フヤウナ案デハアリマセヌカ
ラ、輸出業者モ問屋業者モ、此案ニハ贊成
ヲ致シテ居ルノデゴザイマシテ、之ニ强制
加入ノ道ヲ設ケマセヌト云フノハ組合自
體ガ生絲ノ賣買ヲスルト云フダケノ組合デ
アリマスカラ、隨テ製絲業者ヲ中心ニシテ
行ク方ガ、業態ガ非常ニ固ッテ仕事モ纏ッテ
行ク、併シ色々連絡上ノ必要モアラウカラ、
他ノモノハ任意ニ加入セシメルト云フコト
ニ致シタノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=53
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054・山崎釼二
○山崎委員 私ハ前ノ案ガ、成程仲値ヲ確定
シテ置イテ、ソレニ從ハセルト云フコトデ
以テ反對シタト云フコトモ、一應聞イテ居ッ
タノデアリマスケレドモ、其點ハ私ハ仲値
ヲ決メテシマッタコトハ、成程斯ウ云フ資本
主義ノ原則ノ下ニ立ッテ居ル貿易關係デハ
或ハ無理デアッタカモ知レヌト思フノデア
リマス、併ナガラ此案ニ依リマスルト、輸
出ノ統制卽チ數量統制ト云フコトハ、全然
是ハ出來テ居ナイト思ッテ居リマス、同時ニ
サウナレバ豫約取引ヲシテ、相當ノ相場ヲ
見ルトカ、或ハ生產市場ノ色々ノ影響ト云
フモノヲ抑ヘル、早イ話ガ其相場ノ上ニ立
ツ所ノ絹絲ヲイヂリ〓サセルト云フ點ヲ、
ドノ程度マデ抑ヘルコトガ出來ルカト云フ
コトハ、甚ダ疑問ダト思ヒマス、サウナッ
テ來レバ、私ハ數量調節ナクシテ、絲價ノ
安定ハナイト云フ原則ノ下ニ立ッテ居リマ
スカラ、ドウモ數量其他ノ調節ガ、此法案
ニ於テ取レルト云フナラバドノ條文ニ於テ、
ソレガ取レルノデアリマスカ、若シ取レナ
イデ、ソレガ取レズトモ絲價ノ安定ガ出來
ルト云フナラバ、其見解ヲ一ツ承リタイノ
デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=54
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055・井野碩哉
○井野政府委員 此案ガ一ツノ數量調節デ
アリマス、卽チ絲價ガ賣渡價格ニナッテ參リ
マスレバ、政府竝ニ組合ガ持ッテ居ル生絲
ヲ市場ニ賣出スコトニ依リマシテ、數量ヲ
緩和シテ絲價ヲ調節ヲスル、是ハ無論數量
ニ基ク絲價調節デアリマス、唯今御述ベノ
點ハ輸出業者ダケデ統制シテ、數量ヲ按排
シテ行クト云フ御質問デアリマセウガ、ソ
レハ寧ロ蠶絲業ニ付テハ非常ニ私ハ危險ガ
アルト思フノデアリマス、以前一ツノ數量
統制ノ案トシテ、會社案ト云フモノガ出來
マシタ、一ツノ大キナ會社ニ問屋業者ヲ全
部集メテシマヒマシテ、サウシテ其會社一
本カラ出テ來ル途デ、數量ノ統制ヲシヨウ
ト云フ案デアリマス、是ハ其會社ノ當事者
トナル者ノ强氣弱氣ニ依リマシテ、非常ナ
危險ガ伴フ案デアルト、私共ハ考ヘテ居ル
ノデアリマス、隨テ外ノ貿易品ノ如ク、徒
ニ業者ガ數量ヲ安賣スルコトニ依ッテ、價格
ヲ崩シテ行クト云フ爲ニ、此絲價ガ變動ス
ル貿易品デアリマシタナラバ、輸出組合ノ
ヤウナ制度モ必要デゴザイマスケレドモ、
生絲ニ付テハサウ云フコトハ寧ロナクシ
テ、他ノ競爭纎維ノ色々ナ壓迫ノ爲ニ絲價
ガ非常ニ困ッテ居ルノデアリマスカラ、所謂
原因ヲ能ク區別致シマシテ、制度ヲ立テル
コトノ方ガ適切デアルト考ヘマシテ、今囘
ノ施設ヲ執ッタ譯デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=55
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056・山崎釼二
○山崎委員 第二十八條、是ハ法文ヲ解釋
スルノニ、絲價安定施設組合デ買入ヲサセ
テ、直グニソレガ行詰レバ政府ガ買上ゲル
ト云フ、二段構ヘノ組織ナノデアリマスカ、
ソレトモ最初絲價安定施設組合ノ金ガナイ
間ハ、仕方ガナイカラ政府デ以テ絲價安定
施設組合ヲ通ジテ買上ゲルト云フ政策デア
ルカ、其點法文ニ對スル理解ガマダ乏シイ
ノデアリマス、ソレヲ伺ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=56
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057・井野碩哉
○井野政府委員 只今御質問ニナリマシタ
ヤウニ、此組合自體ニ金ガ非常ニ出來テ參
リマスレバ、組合ガ此仕事ニ直接當ッテ、政
府ガ必要アル時ニ援助シテ行クト云フコト
ニナリマスガ、金ノナイ間ハ政府ガ組合ヲ
通ジテ、此機能ヲ發揮シテ行クト云フヤウ
ニ、御了解願ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=57
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058・山崎釼二
○山崎委員 サウシマスト此絲價安定施設
組合ニ大貿易業者ガ入ッテ居ラナクテ、大貿
易業者ガ四五人デ相談ヲシテ、一寸買入レ
ヤ何カ手控ヘタリナンカスル時ニ、値段ガ
一遍ニ落チテ來ルヤウナ傾向モアル、ソコ
デ又買ッテ、ソレヲ又賣澁ッテ置イテ、人絹
ノ三倍位マデニ又ズット殘シテ置イテ賣ル
ト云フヤウナ、相場ヲ變動サセル爲ニ利用
スルヤウナ餘地モ十分アルト思フ、是ハ大
貿易業者ヲ仲間ニ入レテ置カナイト、餘計
其傾向ガアリハシナイカト心配致シマス
ガ、其點ハ如何デアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=58
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059・井野碩哉
○井野政府委員 サウ云フ御心配ハ今ノ事
情デハ私ハナイト思ヒマス、現在貿易業者
ガ、何モ斯ウ云フ制度ガゴザイマセヌ時代
デモ、今ノヤウナコトヲシヨウト思ヘバ出
來マスケレドモ、サウ云フ風ニ相談シ合ッ
テ、徒ニ絲價ヲ左右スルト云フコトハ致シ
テ居リマセヌ、サウ云フコトハ貿易業者ト
シテ非常ニ不利ニナリマスノデ、致サナイ
ト思ッテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=59
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060・山崎釼二
○山崎委員 第二十九條、是ハ政府ガ其組
合カラ今度買ッテヤルコトヲ規定シタモノ
デアリマスカ、「政府ハ勅令ノ定ムル所ニ依
リ所有生絲ノ貯藏、買換、交換、加工、整
理ノ爲ニスル賣渡及新規ノ用途又ハ販路ニ
向クル爲ニスル處分ヲ爲スコトヲ得」ト云
フノハ、其組合カラ買ッタモノヲ、斯ウ云フ
風ニスルト云フ譯デアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=60
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061・井野碩哉
○井野政府委員 組合カラ買ヒマシタモ
,竝ニ現在政府ガ持ッテ居リマス生絲ヲ、
此第二十九條ニ依リマシテ處分シテ行ク譯
デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=61
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062・山崎釼二
○山崎委員 是モ今マデ持ッテ居ル絹絲ノ
處分ノヤウニ、一販路、一營業者ニ任セテ
海外市場ヘ放出サレルノデアリマスルカ、
或ハ外ノ製造ニデモシテヤルコトニナルノ
デアリマスカ、此「販路ニ向クル爲ニスル
處分」ト云フノハ、是ハ從來通リノ方法デ
オヤリニナルノデアリマスカ、又新シイ方
法ヲ御考付キデアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=62
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063・井野碩哉
○井野政府委員 現在政府ノ持ッテ居リマ
ス生絲ヲ、從來ハ買換ト云フコトハ出來マ
セヌデシタガ、今度ハ買換ト云フコトモ出
來マス、又新規用途、新規販路ノ爲ニハ從
來通リノ處分ガ出來ルノデアリマスガ、其
方針ニ付キマシテハ今マデ通リノ方針ヲ執
ルカ、又少シ方針ヲ變ヘルカハ、自ラ今囘ハ
生絲ガ調節用ノ生絲ニナッテ參リマシテ、從
來ノヤウニ新規用途、新規販路ノ方ニ出來
ルダケ多ク處分シタイト云フ時代トハ、時
代ガ變ッテ居リマスカラ、其方針等モ勢ヒ變
更スルコトト考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=63
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064・山崎釼二
○山崎委員 是ハ要スルニ政府ガ手持シテ
居ル絹絲ト云フモノガ、安定ノ重心ニナル
ノデアリマスカ、ソレトモ其組合ノ持ッテ居
ル共同保管、或ハ其他ノモノガ重心ニナル
ノデアリマスカ、ドチラガ分銅ニナルノカ
ト思ッテ、一寸其理解ニ苦シムノデアリマ
スガ、其點ハドチラデアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=64
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065・井野碩哉
○井野政府委員 丁度米ノ自治管理案ト統
制法トノ關係ト同ジヤウニ、兩方ガ效力ヲ
持ッテ來ル譯デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=65
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066・山崎釼二
○山崎委員 サウシマスト、政府モ相當ノ
モノヲ持ッテ居リ、組合モ相當ノモノヲ持ッ
テ居ル、其組合ニ先ニ買上ゲサセ、ソレカ
ラ政府ガ又ソレヲ買ッテヤル、共同事業ノヤ
ウナ-共同事業ト言フト語弊ガアリマス
ガ、共同事業ノヤウナ形ヲ成サナケレバ效
力ハナイト、斯樣ナ解釋ニナリマスガ、左
樣デアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=66
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067・井野碩哉
○井野政府委員 組合ガ共同保管ヲ致シマ
セヌデモ、政府ガ第二段ニ買フト云フコト
ダケデ、私共ハ非常ニ强イ力ヲ持ツト思ッテ
居リマス、併シソレヲ補フノニ、又業者ガ
自治的ニ共同保管等ヲヤリマスレバ、ソレ
デ又或ル程度ノ效果ヲ收メル、何モ共同ニ
ナラナケレバ、此施設ガ完備シナイト云フ
モノデハナイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=67
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068・山崎釼二
○山崎委員 憂ヘマスノハ、私ハ市場ノ共
同保管ナドノ形ニ置カレテ居ルモノハ、要
スルニ一ツノ-早イ話ガ市場ニ溜ッテ居
ル惡イ意味ニ於ケル滯貨ニナルト思ッテ居
リマス、ソレデソレガ非常ニ增大シテ來レ
バ結局値ヲ安クスルコトハ分リ切ッタ話
デアリマスカラ、維持ヨリ寧ロ下落ノ方ニ
力ヲ致シハシナイカト思フノデ、左樣ナ質
問ヲシタノデアリマスガ、左樣ナ結果ニハ
ナリマセヌデセウカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=68
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069・井野碩哉
○井野政府委員 先日來山崎委員ガ「ストッ
ク」政策ヲ御述べニナッタ時ニ、私共ノ申上
ゲテ居リマスヤウニ、業者ガ持ッテ居リマス
ト、却テ市場ヲ壓迫スル憂ガ多イノデアリ
マス、ソコデ今度此法案ニ於キマシテモ、
共同保管ニ爲シ得ル場合ヲ、極メテ狹ク限
定シテシマヒマシタ、サウシテ買入價格
ノ、一定割合ノ價格以下デナケレバ、共同
保管ヲ認メナイト云フコトガ、十四條ニ書
イテアリマス、サウ云フヤウナ譯デ、共同
保管ト云フモノハ寧ロ制限的ニ認メル、又
假ニ共同保管ヲ致シマシテモ、認可ガナケ
レバ共同保管ノ解除ガ出來ナイヤウニナッ
テ居リマスカラ、從來ノヤウニ唯業者ノ自
治ダケデ共同保管ヲシタリ、解除シタリス
ル施設ヨリ、一步其點ニ付テハ監督ヲ嚴重
ニ加ヘタ積リデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=69
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070・山崎釼二
○山崎委員 第三十一條「主務大臣絲價安
定上必要アリト認ムルトキハ絲價安定施設
組合其ノ他命令ヲ以テ規定スル蠶絲業者ノ
團體ノ組織員ニ對シ蠶種、繭又ハ生絲ノ生
産、保管又ハ販賣ニ關スル其ノ團體ノ統制
ニ從フヘキコトヲ命ズルコトヲ得」此點ナ
ノデアリマス、此統制ニ從ハヌト云フコト
ニナレバ、勿論色々ナ罰則規定ガアルト思
ヒマスガ、罰則規定ヲ以テスル統制ニ依ッテ、
生產其他ノ統制ヲ命令スルコトニナレバ、
之ニ依ル安全保障ヲ與ヘテヤルノハ、是ハ
當然デハナイカ、斯樣ニ直グ考ヘ及ブノデ
アリマスガ、之ニ付キマシテハ先程モ質問
致シマシタケレドモ、ソレハ其場ニ行ッテ考
ヘテヤレルダラウト云フ不安ナ御答辯ダッ
タノデアリマスケレドモ、此點ハ此法案ガ
非常ニ生產費ヲ、「コスト」補償ヲシナイト
云フ上ニ立ッテ居リ、尙ホ生產制限ニ依ル損
害ヲ、補償シテヤラヌト云フ上ニ立ッテ居ル
ノデアリマスカラ、蠶絲業者ニ取ッテハ、非
常ニ不親切ナ部分デアルト私ハ考ヘテ居
ル、此統制ニ依ッテ、間接ニ蠶絲業者ガ利益
ヲ蒙ッテ來テ、統制ヲ紊シタリ色々ナ混亂ヲ
卷起サヌカラ宜イヂヤナイカト云フ御說モ
出テ來ルト思ヒマスガ、併シソレハドウ云
フ結果ニナッテ來ルカ分ラヌ點ガアリマス、
併シ分ッテ居ル所ハ、此統制ニ依ッテ、生產
制限其他ニ依ル所ノ損害ガ起キテ來ルノデ
アリマス、是ハモウ少シハッキリ、其場ニ行ッ
テト云フノデナクテ、此法案ノ中ニ何カ一
ツ、左樣ナ場合ニハ、第三十一條ノ命令ガ發
動シタコトニ依ッテ受クル損害ハ、一ツ補償
シテヤルト云フヤウナ條文ニデモシテ、今
カラデモ遲クハナイ譯デアリマスカラ、原
案ヲ修正ナリ訂正ナリサレテ、一ツ挿入シ
テ貰フト云フト、此法案ガ非常ニ生キテ來
ルノヂヤナイカ、斯樣ニ思ッテ居リマスガ、
當局ニハ其意思ハゴザイマセヌカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=70
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071・井野碩哉
○井野政府委員 自治的統制ヲ確保シマス
爲ニ、統制命令ヲ出シマスト云フ立法ハ、
現在ノ國ノ法律ニハ澤山ゴザイマス、輸出
組合、商業組合、其他產繭處理統制法ノ中
ニモゴザイマスガ、自治團體ノ統制施設ヲ
命令ヲ以テ强行ヲスル時ニ、其命令ニ從ハ
ナイ場合ニ罰則ガアルカラ、一面ニ於テ補
償ヲスルト云フ制度ハ一ツモナイノデアリ
マス、是ハ自治ノ行爲ヲ唯確保スルダケデ
アリマスカラ、ソレニ補償ヲスルト云フコ
トハ寧ロ制度トシテ、自治團體トシテ堕落
ヂヤナイカト思フノデアリマシテ、補償制
度ヲ伴フコトハ法制上寧ロオカシイノデ、
是ハ寧ロ省令方面デ適當ニ考ヘルベキ問題
デアル、斯ウ思ッテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=71
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072・山崎釼二
○山崎委員 大體私ノ質問ハ此程度デ打
切ッテ置キタイト思ヒマス、又若シ他ノ質問
者ガ出マシタ場合ニ於キマシテ關聯シテ居
レバ、其機會ニ又質問スルカモ知レマセヌ
ガ、只今ノ所ハ此程度ニ致シテ置キタイト
思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=72
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073・森幸太郎
○森委員 先程來山崎君ノ御質問ヲ承ッテ
居リマシタ中ニ、政府委員ノ御答辯ニ付テ
一言ハッキリト、政府ノ所信ヲ承ッテ置キタ
イ事ガアリマス、ソレハ山崎君ハ何處ノ例
ヲ御引キニナッタカ知リマセヌガ、今日蠶業
技術員ニ對シテ、非常ニ其效果ノ如何ヲ疑
ハレルヤウナ御質問ガアッタノデアリマス、
其場合ニ於テ政府委員ハ、何等此技術員ノ
問題ニ付テノ御答辯、御辯解式ナモノハナ
カッタ、今日吾々ハ蠶絲業ノ百般ノ施設ヲ徹
底シマス上ニ於テ、第一線ニ立ッテ居ル者
ハ指導者デアルノデ、此技術員ト云フモノ
ヲ普ク設置スルト云フコトガ、有ユル施設
ヲ實行スル上ニ於キマシテ、最モ必要デア
ルノデアリマシテ、此養蠶實行組合ノ指導
員ノ普及ト云フコトニ付テハ、隨分政府ニ
對シテ其增設方ヲ要求致シテ居ルノデアリ
マス、豫算關係上十分ナル施設ガ出來ヌコ
トヲ遺憾ニ思ッテ居ルノデアリマスルガ、山
崎君ハ技術員ト云フモノハ、殆ド形式的ナ
モノデアッテ、不徹底デアルト云フ御議論ヲ
ナスッタニ對シテ、政府委員ハ何等此問題ニ
御觸レニナッテ居ラナイ、是ハ今後技術員設
置ト云フコトヲ、吾々一般養蠶業者ガ要望
致シテ居リマスル時代ニ於テ、餘程重大ナ
ル關係ヲ持ッテ居ルト考ヘルノデアリマス
ルカラ、此機會ニ於テ政府委員カラ、技術
員ニ對シテノ御所信ヲ、ハッキリト承ッテ置
キタイト思フノデアリマス、其次ニ序デア
リマスルカラ伺ッテ置キマスル事ハ、今日繭
ノ生產ニ付キマシテ、吾々ハ現金支出ト云
フコトヲ成ベク控ヘルヤウニスル、今日養
蠶業者ガヤッテ行ケヌト云フコトハ、現金支
出ノ多イ結果デアル、ソレデアリマスルカ
ラ生產ノ合理化ト申シマスルカ、現金支出
ヲ出來ルダケ減ラシテ行ク、所謂自勞自桑
ノ方針ニ從ッテ行ク、桑ヲ栽培スルニ於キマ
シテモ、人ヲ雇ッテハイケナイ、或ハ有畜農
業ニ依ッテ桑園ノ自給肥料ヲ圖ッテ、出來ル
ダケ現金支出ヲシナイヤウニシテ行ク、サ
ウシテ桑ヲ栽培シ、養蠶ヲ經營スル上ニ於
キマシテモ自家ノ勞力ヲ考へ、自勞自桑ノ
主義ニ依ッテ、出來ルダケ現金支出ヲ省イテ
行カウ、是ヨリ今日養蠶經營ニ於テ生キル
途ハナイ、斯ウ云フ風ニ今日ハ奬勵シテ居
ルノデアリマス、又居ラレルノデアリマス、
所ガ絲價ヲ決定サレル上ニ於テ、此繭生產
費ノ現金支出ト云フコトヲ全部認メル、サ
ウシテ自給費ニ對シテハ其一部ヲ認メル、
斯ウ云フ御方針ヲ採ラレルト云フコトニシ
マスレバ、今日奬勵致シテ居リマスル現金
支出ヲ、出來ルダケ減ラスト云フ此方針ト、
行キ方ガ全ク違ッテ來ルヤウナ氣持ガシテ
來ル、デ養蠶農家ガ絲價ノ價格ヲ高クシタ
イト云フ意味ニナレバ、現金支出ヲ餘計ニ
スレバ、絲價ノ價格ヲ引上ゲルト云フコト
ノ幾ラカ助ケニナルト云フヤウナ氣持ニ
ナッテ來ヤシナイカ、吾々ガ此現金支出ト云
フモノヲ絕對ニ嫌ッテ、出來ルダケ減ラサウ
ト云フコトヲ、繭ノ生產ノ上ニ於テ考ヘテ
居ルノデアリマスルガ、之ヲ嫌ッテ出來ルダ
ケ將來繭ノ生產ガ合理化シテ行ケバ行ク
程此現金支出モ少クナッテ行ク譯デアリ
マス、此少クナッテ行ク現金支出ヲ全部認メ
ル、サウシテ努力セントシツツアル自給費
ニ對シテハ、其一部ヲ認メテ行ク、斯ウ云
フコトハ繭生產ノ奬勵ノ方針ト、絲價ヲ決
メテ行クト云フコトニ對シテノ根本原理ト
申シマスルカ、觀念ト多少其處ニ喰違ヒヲ
生ジハシナイカト云フコトヲ、私心配スル
ノデアリマス、此點ニ付テ御意見ヲ承ッテ
置キタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=73
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074・井野碩哉
○井野政府委員 養蠶實行ノ組合ノ指導員
ノ問題ニ付キマシテ、山崎委員ノ御質問ノ
中ニ、養蠶實行組合ノ指導員ノ中ニ、技術
上ノ能力ニ於キマシテ劣ル者モアルト云フ
御話デアリマシタガ、私共養蠶實行組合ノ
指導員ト云フモノガ、非常ニ必要デアルト
云フ見地カラ、今囘ノ豫算モ約三倍ニ致シ
マシテ、設置ノ助成ヲ致シテ居ルノデアリ
マス、是ハ養蠶經營ニ當ッテ居ル者ハ、誰モ
知ッテ居ル問題デアリマシテ、私共其養蠶實
行組合ノ指導員ヲ通ジテ、生產費ノ低下ニ
努力シテ參リタイト云フコトヲ、コチラカ
ラ積極的ニ申シテ居ルノデアリマス、唯山
崎委員ガ其中ニサウ云フ者ガアルト云フ
ツノ例デ御話ニナッタニ過ギナイノデ、全
體トシテ山崎委員モ、養蠶實行組合ノ指導
員ノ能力ノ否定ヲサレテハ居ラヌト云フ積
リデ、私共別段御答致サナカッタノデア
リマス、山崎委員ニハ蠶絲業ノコトハ御存
ジデスカラ、恐ラク今日ノ全體ノ養蠶實行
組合ノ指導員ト云フモノガ、ソンナニ價値
ノナイモノデアルト云フコトハ、殆ド御考
ニナッテ居ラヌ、是ハ寧ロ反駁申上ゲルコト
ガ失禮ダト思ッテ申上ゲナカッタノデアリマ
ス、又繭ノ生產費ノ問題ニ付テ、現金支出
ダケ補償シテ、自給費ノ方ヲ全部補償シナ
イト云フコトハ、今日蠶絲業ハ出來ルダケ
現金支出ヲ少クシテ、自給費ヲ多クシテ行
カウト云フ指導精神ト相反スルノデハナイ
カト云フ御質問デアリマス、是ハ此前モ篠
原サンカラ此問題ニ付テハ御觸レニナリマ
シタガ、極メテ私共モ適切ナル御質問ト思
フノデアリマスガ、唯玆ニ御考ヲ願ハナケ
レバナラヌ問題ハ、吾々トシテモ飽マデモ
現金支出ヲ少クシテ、自給費ヲ殖スコトハ、
是ハモウ考ヘテ居リマス、併シソレハ普段
ノ養蠶經營ノ上ニ於テサウ致スコトハ、養
蠶經營ノ爲ニ有利デアルカラ、ソレヲ指導
シテ行ク譯デアリマス、デアリマスカラ假
ニ今囘ノ法案ヲ以テ、現金支出ト云フモノ
ヲ全部補償シテ、自給費ヲ一部補償スルカ
ラ、現金支出ヲ止メテ、自給費ノ方ニ行カ
ウナント云フ養蠶家ハ私ハナイト思フ、何
故カナラバ是ハ非常ニ惡イ場合ニ於テ、最
後ニ補償スル時ノ問題デアリマスカラ、普
段ノ經營ニ於テ現金支出ヲ多クシテ、自給
費ヲ少クシマスレバ、普段ノ繭價ト云フモ
ノハ自然ノ經濟現象デ決ッテ來ルノデ、ソレ
ヲ國家ハ何等妨ゲルヤウナ政策ヲセズ、寧
ロ自給肥料ナリ其他ノ政策ヲ奬勵シテ居ル
ノデアリマス、唯非常ニ惡イ時ニセメテ養
蠶家ガ出シタ現金ダケハ之ヲ出シテヤラ
ウ、ソレニ自給費ノ一定部分ヲ加ヘタモノ
ヲ補償シテヤラウト云フ、最惡ノ場合ノ養
蠶家補償ノ一ツノ考ヘ方デアリマス、ダカ
ラ現金支出ヲ奬勵シナイデ、自給費ヲ奬勵
シテ居ルト云フ今日ノ奬勵方針ト、此點ハ
矛盾ハシナイ、奬勵方針ハ飽マデモ私共ソ
レデ行ク積リデアリマス、唯最惡ノ場合ニ
於テ、現在ノ狀態ニ於テ養蠶家ガ出シタ金
ダケハ、完全ニ補償シテヤラウ、ソレニ無
論ソレダケデハ先ヅ農家トシテ經營上困ル
ノデアルカラ、自給費ノ一定割合ヲ加ヘタ
モノヲ見テヤラウト云フノデアリマスカ
ラ、此點ハドウカ誤解ノナイヤウニ御願シ
タイ、又吾々モ其法案ヲ施行シマス際ニハ、
養蠶農家ニサウ云フヤウナ御考ノ起ッテ來
ルコトハ御尤モデアリマスカラ、十分サウ
云フ點ハ注意致シマシテ、誤解ノナイヤウ
ニ致シタイト考ヘマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=74
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075・森幸太郎
○森委員 只今ノ御說明デ能ク了解致シマ
シタガ、養蠶農家一般ト致シマシテハ、ヤ
ハリ私ノ疑問ヲ懷キマシタヤウニ、現金支
出ヲ絲價決定ニ際シテ重キヲ置カレルト云
フヤウニ誤解シ易イヤウニ私ハ考ヘルノデ
アリマス、一面ニ於テ現金支出ヲ絕對ニ排
斥シテ、繭生產ノ合理化ニ努力シテ居ル場
合デアリマスカラ、實現ノ上ニ於テハドウ
ゾ養蠶業者ガ迷ハナイヤウニ、十分ナ御指
導ヲ御願スル次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=75
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076・山崎釼二
○山崎委員 只今申述ベマシタ技術員ノ問
題ナドニ付テ、多少他ノ方カラモ御意見ガ
アッタヤウデアリマスガ、私ハ其制度ノ不必
要ヲ唱ヘタ譯デモナイシ、全體ノ能力ヲ否
定シタ譯デハアリマセヌガ、唯斯ウ云フコ
トハ私モ參考ニ當局ノ御考ヲ伺ッテ置カナ
ケレバナリマセヌ、日本ノ養蠶業ニ多クハ
種屋ガ大ナル努力ヲシタコトハ否定出來ナ
イ問題デ、自家ノ種ヲ或ル地方へ持ッテ行ッ
テ賣捌ク、其成績ヲ擧ゲンガ爲ニハ種屋ガ
寢食ヲ忘レテ催靑、掃立、或ハ上簇、繭ノ
販賣ニ至ルマデ、非常ナル努力ヲシテ養蠶
ヲ指導シタモノデアル、斯樣ニシテ其種屋
ハ非常ニ喜バレルト同時ニ自分ノ種ヲ餘計
賣込ミ、終ヒニハ旗ヲ立テ停車場ニ送ッテ
貰フト云フヤウニナリ、單ナル一遍ノ種賣
商人デナイト云フ精神ノ下ニ立ッテ居ッタ
ガ、是ハ全國ノ養蠶地帶ニ於ケル現象デア
ルト思フ、ソレガ漸次種サヘ賣レバ宜イト
云フ現象ニナッテ行キ、國家機關、或ハ組合
機關ガサウ云フ種ノ成績如何ニ關セズ、唯
養蠶業指導ト云フ一遍ノ給料取リダケヲ派
遣シテ來ル結果、粗製濫造ニ終リ、一方指
導員ノ派遣モアルガ、是モ或ハ組合首腦者
ノ緣故關係カラ來ル指導員採用トナリ、實
際ニ於テハ中々上ノ考ヘテ居ル程效果ヲ擧
ゲテ居ラヌシ、又養蠶農民カラ喜バレテモ
居ラヌ、寧ロ買ッテ居ル種屋カラ廻ッテ來ル
指導者ノ方ガ技術的ニ優レタモノデアリ、
且ツ精魂ヲ籠メテ〓ヘテ呉レル指導者デア
ルト、有難ガッテ居ルヤウナ傾向ガ養蠶地帶
ニ見エテ居ル、是ハ靜岡縣ノ主トシテ御殿
場地方ヲ例ニ取リマスガ、左場ナ場合ガ多
多アリマス、ソコデ靜岡縣御殿場地方ノ特
異ノ例トシテ-特異ナ例カドウカ知リ
マセヌガ、郡ノ養蠶業組合ノ製造ニ係ル種
ト營業者ノ製造ニ係ル種トガ交錯シテ入ッ
テ居ルコトデアル、郡養蠶業組合ノ種ト、
營業者ノ種トガ御互ニ非常ナ競爭ヲシテ、
兩方デ其成績ヲ擧ゲヨウト云フコトニ努力
シテ居リマスガ、蠶種業者ノ作ッテ居ル種
ニ付イテ來ル指導者ハ、多ク蠶種製造業者
自ラカ、或ハ其兄弟デ、其指導ニ當ッテハ
精魂ヲ打込ンデヤッテ居ル、所ガ一面養蠶業
組合カラ派遣サレル者ハ、學校ヲ出タ二十
歲前後ノ若イ者ガ多イ爲ニ、能力ニ於テ非
常ニ劣リヲ見セル、或ハ技術的ニ精魂ヲ打
込ンデ、其成績ヲヨリ良ク擧ゲテ行クト云
フヤウナ努力ガ不足シテ居ルノデハナイ
カ、斯樣ニ思ッテ居ル、是ハ將來ニ於ケル
蠶絲對策ニ關スル日本ノ國策上ヨリモ、餘
程考慮ヲ加フベキ點デアルト思フシ、同時
ニ今必要缺クベカラザル機關デアルガ、其
基礎タル所ノ能力ヲ擧ゲ得ナイ技術員制度
デアルトスレバ、之ニ對スル指導方法ヲモッ
ト擴充シテ行カナケレバナラヌト思ッテ居
リマス、同時ニモウ一ツハ今申上ゲタヤウニ
養蠶業組合自體ガ、蠶種製造ニ當ルト云フ
ヤウナ傾向ガ、將來ハ私ハ決シテナイノデ
ハナイト思ッテ居リマス、サウナッテ來レバ
其方向ヲ-蠶種製造過程ニ於ケル組合行
動ト云フモノヲ、政府ハドウ云フ風ニ見テ
居ラレルノデアルカ、是モ一ツ此機會ニ於
テ話ガ出マシタカラ伺ッテ置キタイノデア
リマス、殊ニ靜岡縣ニハサウ云フ例ガアル
コトハ、局長モ十分ニ御承知ト思ヒマス、
殊ニ農林省ニ於テモ其助成ノ方法ヲ立ッテ
居ルノデハナイカ、斯樣ニ思ッテ居リマス、
此點ニ付テ重ネテ御伺ヒシタイト思ヒマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=76
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077・井野碩哉
○井野政府委員 養蠶實行組合ノ指導員ト
シマシテ、蠶種ヲ作ル技術ノ上ニ於テ、專
門家ニ劣ルコトハ、或ハアルカモ知レマセ
ヌ、併シ養蠶業組合ガ蠶種ヲ作ルト云フノ
ハ稀ナ例デアリマス、靜岡縣ニハ御話ノヤ
ウニアリマスガ、國デハ別ニ補助金ヲ出シ
テ居リマセヌ、併シサウ云フモノモアリマ
スガ、サウ云フ特殊ノ技藝ガ、古イ蠶種製造
業者ニ比ベテ劣ルト云フコトハアルカモ知
レマセヌ、併シ指導員ノ能力ニ於テ缺クル
所ガアルト云フコトハナイ、是ハ山崎委員
モ御認メノヤウデアリマスカラ、唯其點ダ
ケヲ御答シテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=77
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078・紫安新九郎
○紫安委員長 休憩ヲ致シマス、午後二時
カラ開會致シマス
午後零時六分休憩
午後三時四分開議発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=78
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079・紫安新九郎
○紫安委員長 是ヨリ開會致シマス-篠
原君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=79
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080・篠原義政
○篠原委員 是マデノ政府ト吾々委員トノ
質疑應答ニ依リマシテ、本案ノ內容其目的
トスル所ハ大體了解ガ出來タノデアリマ
ス、尙ホ此際吾々トシマシテ、是非政府ニ
モウ一應確メテ見タイ點ガアルノデアリマ
ス、ソレハ本法案ハ私ガ申ス迄モナク、是
ハ農林大臣モ豫テ言ハレテ居ラレルノデア
リマスガ、養蠶家ヲ中心ニシタ對策ヲ講ゼ
ラレル、養蠶家ノ生活安定ヲ十分御考ニナ
ルト云フ立前カラ、此法案ガ提出サレテ居
ルコトト私ハ考ヘルノデアリマス、ソレニ
シマシテハ此法案ノ內容ニ於キマシテ、殊
ニ全部ノ養蠶家ニ取リマシテ、最モ重大ナ
關係ノアリマスル生絲ノ賣渡價格、及ビ買
入價格ノ決定ノ仕方、此內容ヲ考ヘマスル
ト、法文ニ現レタ所ヲ見マシテモ製絲業者
ヤ、問屋業者ヤ、輸出業者ト養蠶家トノ立
場ニ差ガアルヤウニ考ヘル、製絲業者ヤ、
問屋業者ヤ、輸出業者ノ關係シマスル、詰
リ生絲ノ製造販賣ニ關スル費用、是ハ費用
ヲ全部考慮ノ中ニ入レル、然ルニ養蠶家ノ
方ノ關係デアリマスル繭生產費ニ付キマシ
テハ、其現金支出額ダケハ考慮ニ入レマス
ガ、自給費ハ一定割合ノ金額ダケヲ考慮ス
ルト云フ風ニアリマシテ、非常ニ兩者ニ對
スル政府ノ取扱ニ差等ガアルヤウニ考ヘル
ノデアリマスガ、之ニ付キマシテモウ一應
政府ノ御意見ヲ承リタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=80
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081・井野碩哉
○井野政府委員 篠原委員ノ御述ノ通リ、
此法案ハ養蠶農家ノ爲ニモ、十分考慮ヲ加
ヘテ立案致シマシタ案デアリマスコトハ、
先日來農林大臣始メ吾々ガ申上ゲテ居ル通
リデアリマスガ、今御述ノ通リ養蠶農民ノ
立場カラシマスレバ、繭ノ生產ニ要シマス
ル費用ハ、假ニ利潤ハ見ラレナイトシテモ、
生產費自體ハ補償サレルヤウナ制度ノ立案
ヲ要望サレルノハ、是ハ當然ノコトト思フ
ノデアリマスガ、併シ其生產費自體ヲ「カ
バー」スル制度ガ、果シテ養蠶農民ノ爲ニ
利益ニナルカドウカト云フコトヲ、更ニ生
絲ノ本質カラ考ヘテ見マス時ニ、今日人
造絹絲ノ進出ガ非常ニ顯著デゴザイマス
シ、又生絲ガ海外商品デアリマス關係カラ、
却テ其制度自體ガ、養蠶農民ノ不利ヲ招ク
結果ニナルト云フヤウナ氣持カラ、實ハ生
產費ヲ全部補償スルニアラズシテ、少クト
モ養蠶農民トシテハ現金ヲ支出シタ部分、
ソレニ自給費ノ相當ノ割合ノモノヲ見ヨ
ウ、ソレダケヲ一ツ補償スルコトニ依ッテ、
今日我慢シテ貰フコトガ、軈テ養蠶經營ノ
安定ヲ來ス所以デアルト云フコトヲ申上ゲ
テ居ルノデアリマス、唯條文ノ書キ方ガ、
御述ノ如ク繭ノ生產費ノ方ハ一部分ヲ補償
スルヤウニ書キ、生絲ノ製造販賣ニ要スル
費用ノ方ハ、全部補償スルヤウニ書イテア
リマスノデ、サウ云フ御疑念ガアラウト思
フノデアリマスガ、是ハ結局生絲ノ價格ガ
買入價格ノ基準ニナルノデ、其生絲ノ價格
ヲ出シマス算出方法ヲ玆ニ現シマシテ、サ
ウシテ其算出方法ノ中ニ繭ノ生產費全部ヲ
補償スル、米ノ制度トハ違フノダト云フコ
トヲ、ハッキリ謳ヒマシタ、サウシテ養蠶農
民ニ惑ヲ生ゼシメナイ意味デ、規定致シマ
シタ爲ニ、サウ云フ誤解ガアルノデアリマ
シテ、若シモ假ニ之ニ生絲ノ製造販賣ニ要
スル費用ノ一部分ト云フ風ニ書キマスト、
結局計算ノ上ニ於キマシテ生絲價格ガ低ク
ナッテ來ル、デアリマスカラ當局トシテハ養
蠶農民ノ、只今申上ゲマシタヤウナ程度ノ
補償ヲ完全ニ致シマス爲ニハ、生絲ノ加工
費ト云フモノヲ全部加へマセヌトソレニ相
當スル生絲ノ價格ガ出テ參リマセヌカラ、
斯ノ如キ規定ヲ設ケタノデアリマシテ、此
規定自體ガ決シテ製絲家ノ方ニ厚ク、養蠶
家ニ薄イト云フ精神デゴザイマセヌコト
ハ、十分御諒承ヲ得タイト思フノデアリマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=81
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082・篠原義政
○篠原委員 政府ノ御說明デ、政府ノ御考
ニナル所ハ大體了解出來ルノデアリマス、
唯私共トシマシテハ實際經濟上ノ事情ニ於
キマシテ、動トモシマスレバ製絲業者ノ方
カラ壓迫ヲ受ケ、兎角抑ヘラレ勝チニナリ
マス養蠶家ノ立場ヲ、ドウカ製絲業者ト同
ジ立場ニ置キタイト云フコトガ念願デアリ
マス、其念願カラシマスルト、ドウシテモ
此法文ヲ其念願ヲ實現スルヤウニ直シタイ
ノデアリマス、全部直シマスルト又增產其
他ノ御心配ガアルト云フ御事情モ御尤デア
リマス、私共トシマシテハ此際政府ニ斯ウ
云フコトヲ强イ希望トシテ申上ゲテ置キタ
イト思フノデアリマス、繭ノ生產費ノ中自
給費ハ寧ロ養蠶家トシマシテハ、其經濟ノ
主體デアリマス、農村經濟ノ主體トシマシ
テハ、自給費デ行クノガ當然デアリマス、
其農村ニ取リマシテ、一番大切ナ自給費、
其一定割合ノ金額ヲ加へルト云フコトニナ
リマスナラバドウカ其一番大切ナ自給費
ヲ出來得ル限リノ程度加ヘマスル割合ヲ高
ク考ヘテ、成ベク割合ス高イヤウニスル、
農村經濟ノ中心デアリマスル自給費ヲ、成
タケ高イ割合ニ御考慮ガ願ヒタイノデアリ
マス、私共ノ卒直ノ希望トシマシテハ、利潤
ハ兎モ角繭ノ生產費ダケハ、是非考慮ノ中
ニ入レテ貰ヒタイノデアリマス、此際ソレ
ガ出來ナイトシマスレバ、私共ノ希望ニ成
ベク追付キマスヤウニ、出來ル限リ此自給
費ノ一定割合ヲ高ク考ヘテ戴キタイト思フ
ノデアリマス、ソレニ付キマシテノ政府ノ
御考ヲ承リタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=82
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083・井野碩哉
○井野政府委員 只今篠原委員ノ御希望ノ
點ハ、洵ニ御尤デアリマスガ、其一定割合
ハ政府自體ガ決メマセヌノデ、委員會ニ諮
問シテ決メルコトニナリマスガ、併シ其當
時ニ於キマシテモ、政府ガ相當指導的ニ出
テ參ルノデアリマス、其當時ノ競爭織維ノ
狀態、竝ニ繭ノ需給關係等ヲ十分ニ考慮致
シマシテ、其許ス範圍內ニ於テ、出來ルダ
ケ有利ニ、養蠶家ノ爲ニ考ヘテ行クコトハ
是ハ當然デアラウト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=83
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084・篠原義政
○篠原委員 モウ一點御伺ヒ申シタイノデ
アリマス、絲價安定委員會ノ委員ハ、是ハ
曩ニ旣ニ政府ノ御答辯ガアッタト思ヒマス
ルガ、此際モウ一度絲價安定委員會ノ委員
ノ御選ビ方ヲ御伺ヒシタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=84
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085・井野碩哉
○井野政府委員 絲價安定委員會ハ、各蠶
絲業者ノ、本案運用上極メテ重要ナ一要素
ヲ成スモノデゴザイマスカラ、其委員等ニ
付キマシテモ、政府トシテハ十分ニ考慮ヲ
加ヘマシテ、各關係業者ヲ網羅致シマシテ、
此委員會ヲ作リタイ、隨テ養蠶業者、蠶種
業者、組合製絲關係、營業製絲關係、問屋
輸出屋方面、竝ニ取引所方面モ加ヘマシテ、
サウシテ公正ナル組織ニ致シタイ、斯ウ考
ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=85
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086・篠原義政
○篠原委員 此養蠶關係ノ從來ノ例ヲ見マ
スルト、或ハ私共カラ見マシテ、實際此蠶
種業等、餘リ關係ノナイヤウナ方ガ、重大
ナル問題ニ參畫セラレテ居ル例モ、相當アッ
タヤウニ思フノデアリマス、ドウカ斯ウ云
フ重大ナ問題ノ委員會デアリマスルカラ、
政府ガ此委員ヲ選任ナサルニ付キマシテ
ハ蠶絲業ニ對シテ、十分ノ理解ヲ持ッテ
居ラレ、且ツ實力ヲ持ッテ居ラレル、本當ニ
蠶絲業ヲ指導シ、又ソレダケノ熱誠ヲ持ッ
テ居ラレ力ヲ持ッテ居ラレルヤウナ人ヲ、御
選ビニナルヤウニ切ニ希望申上ゲテ置キマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=86
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087・井野碩哉
○井野政府委員 只今御希望ノ點ハ、十分
ニ尊重致シマシテ、選定ヲ致シタイト思ヒ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=87
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088・篠原義政
○篠原委員 私共ノ方ノ質問ハ一應是デ終
リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=88
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089・紫安新九郎
○紫安委員長 御諮リ致シマスガ、此程度
デ質問ハ···発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=89
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090・小山邦太郎
○小山委員 一寸簡單ニ······數回ニ亙ル委
員會ニ於テ、ソレ〓〓本案ニ對スル質疑ハ
旣ニ盡サレテ居リマス、又本案直接ノ問題
デナクトモ、蠶絲業ノ將來ニ對スル政策動
向ヲ決定スルニ、重要ナル希望ヲ織込ンダ
質問等モ、各委員カラ御話ガアリマシテ、
最早私カラ重ネテ御尋ヲ申上ゲル事モナク
ナリマシタ、隨テ私ハ極メテ搔摘ンデ、重
ネテ尙ホ御質問ヲ申上ゲナケレバナラヌヤ
ウナ疑ヲ持ッテ居ル點、若クハ强イ希望ヲ
持ッテ居リマスル二三ノ問題ニ付テ、此機會
ヲ御借リシテ、當局ニ御尋致シタイト思ヒ
マス
ソレハ第一ハ先般來各委員ヨリ御話ノア
リマシタ本案第十一條ニ付テデアリマス、
只今モ篠原委員ヨリ御話ガアリ、曩ニハ山
崎君、平野君、其他何レノ委員カラモ、此問
題ニ言及セザル者ハアリマセヌ程ニ、本案
ハ誤解ヲ招キ易イ、其誤解ヲ招キ易イ理由
ハ二ツアリハシナイカト思ヒマス、其一ツ
ハ同ジク重要農產物デアリナガラ、米ノ方
ハ其生產費ノ全額ヲ、殆ド補償サレテ居ル
ノニ、繭ノ方ニ對シテハ補償サレテ居ラ
又、是ハ何トカ補償シテ貰ヒタイト云フコ
トカラ本案ヲ眺メタ時ニ、養蠶家ノ損害補
償ニ對シテ、如何ニモ政府ノ熱意ガ足リナ
イト云フ感ジデアル、是ハ政府ノ答辯ニ依ッ
テ生產費全額ヲ補償スルナラバ、却テ將來
ニ對シテ危險ヲ多ク胚胎セシムルモノデ
アッテ、卽チ米ト違ッテ國內商品デナイ、國
際商品デアリ、且又他ノ代用競爭纖維ノア
ルコトデアルカラ、到底ソレハ計畫スルコ
トガ出來ナイ、强ヒテ行ヘバ斯業ノ根本ヲ
危險ニ導クノ惧レ多分ニアリト云フ御話ガ
アリマシタ、吾々モ現下ノ事態ヨリ已ムヲ
得ナイコトナリト、一應ハ之ヲ納得致シマ
スガ、ソコデ殘ル所ノ第二ノ疑問ト誤解
ハ委員會ニ諮問シテ國家ガ制低價格ヲ決
定スルニ當リ、繭ノ生產費ノミハ現金支出
ハ全額ナルモ、自給費ハ之ヲ一定割合ニ止
メ、生絲ノ生產費ハ全額入レテ居ルト云フ
ノハ、ドウ云フ譯ダト云フコトガ殘ル疑問
ノ一ツデアリ、而モ其及ボス所ノ思想上ノ
影響ト云フモノハ、非常ニ困ッタコトニナル
ト私ハ思フノデアリマス、段々ノ御說明ニ
依リマシテ製絲業者ニ厚クシ、養蠶家ニ薄
クシテ居ルノデハナイ、最低價格算定ノ標
準ヲ斯ウシタノデアッテ製絲業者ノ生產費
ヲ政府ガ補償シテ居ルノデモナケレバ、製
絲業者ニハ何等直接ノ關係ガナイト云フコ
トハ、深ク檢討スレバ明瞭デアルガ實ハ私
モ左樣ナ誤解ニ陷ッタノデ、假ニ生絲ノ生產
費ノ全額補償スルコトヲ改メテ、養蠶業者
ト同ジヤウニ、一定割合ニシテシマッテハド
ウカト一應考ヘテ見タ、所ガ一定割合ニテ
全額ヲ入レナケレバ、最低價格ノ絕對額ト云
フモノガソレダケ減ッテシマフ、ソレダケ減
額シタダケ養蠶家ニ惡影響ヲ與ヘルノデア
ル、更ニ分リ易ク製絲業者ノミヲ保護スルヤ
ウニ見エルノハイカヌカラ、生絲ノ生產費ヲ
皆削ッテシマヘト云フコトニシタラバドウカ、
ソレデ養蠶家ハ喜ブベキデアルカト云フト、
却テ全然反對ノ結果トナリ養蠶家ヲソレダ
ケ苦シメルコトトナル、假ニ又製絲業者ノ
方ヲ更ニ保護シヨウトシテ、三倍ニ此生產
費ヲ計上シタトシタラドウカ、其結果ハ最
低價格ガソレダケ高クナッテ、高イ結果ハ製
絲業者ヲ三倍ダケ利益サセルコトトナラズ
シテ、養蠶者ノ繭代金ヲソレダケ高クスル
可能性ヲ增スコトニナル、卽チ制定價格算
定ノ規準ニ止マリ何等製絲業者ノ直接ノ關
係ノナイコトデアルニモ拘ラズ、サウ云フ
誤解ヲ招クト云フコトハ困ッタコトデハナ
イカ、此誤解ハ單ナル理窟デ解決ハ困難デ
アル、而モサウ云フ誤解ヲ招イテ、サウシ
テ後ニ此誤解ヲ解消スルコトニ骨ヲ折ルト
云フコトハ、如何ニモ馬鹿ラシイコトデア
リマスカラ、初カラ誤解ノナイヤウナ工夫
ハナイモノカト切ニ思フ者デアリマス、サ
ウ思フ時ニ、私ハ條文ノ中繭ノ生產費ト生
絲ノ生產費ヲ別々ニセズ、繭及ビ生絲ノ生
產竝ニ販賣ニ要スル費用ノ中、現金支出ノ
金額ト自給費ノ一定割合ト、斯ウヤレバ全
部ニ掛ッテ行クコトデアルカラ、其處ニハ生
絲家養蠶家ト云フ區別カラ來ル誤解ガナク
ナル、斯ウ思フノデアリマス、併ナガラサ
ウスルコトハ實際問題トシテ、生絲製造ノ
方ニハ悉クガ現金支出デアッテ、自給費ト云
フモノハナイ、サウスレバ寧ロ端的ニ全額
ヲ補償スレバ別物、若干割合ノ損失ハ、國
家出動ノ場合ニハ當業者ハ諦メネバナラヌ
ト云フノナラバ、養蠶業者ニ其覺悟ヲハッ
キリサセテ置イタ方ガ親切デアルト云フコ
トカラ、此原案ヲ其儘正シイモノトシテ御
說明ニナッテ居ルコトト思フノデアリマス、
此點ハ私共ハ政府ノ心懸ケラレテ居ル所ハ
能ク分リマス、又吾々ノ願フ所ノ全額補償
ヲシテ貰ヒタイト云フコトハ、今日ノ日本
ノ財政事情、又生絲其モノガ國際商品デア
リ、他ニ有力ナル競爭纖維ノアル限リ、是
ハ望ムモ得ラレザル所デアリ、今日デハ許
サレナイ所デアルカモ知レマセヌ、已ムヲ
得ナイノデアルガ、サウ云フ誤解ヲ此法文
ノ爲ニ惹起シマシテ、サウデナクテモ競爭
纖維ニ對シテ、此上日本ノ蠶絲業ヲ健全ニ
發達セシメテ行クニハ、內輪デ養蠶製絲ト
爭ッテ居ルヤウナ場合デナイ、全ク協調妥協
シテ、サウシテ内部抗爭ナドヲオ互ニ戒メ
テ進メナケレバナラナイノニ、法文ガサウ
云フヤウナ精神上ノ一ツノ反目ヲ招來スル
ヤウナコトニ組立テラレテ居ルヤウニ見受
ケラレルノハ、誤解デアッテモ甚ダ遺憾デ
アルノデアリマス、サレバ政府ハ出來ルダ
ケ其誤解ノナイヤウニ、誤解ヲ招イテソレ
ヲ解クト云フコトヨリモ、誤解ヲ招クニ先ッ
テ招カザルノ方法ヲ、十分ニ講ゼラレルコ
トガ、日本ノ蠶絲業全體ノ上ニ願ハシイコ
トデアルト思フノデアリマスガ、之ニ對シ
テ政府ハドウ云フ方法ヲ以テソレニ當ラレ
ルノデアルカ、之ヲ伺ヒタイ
今一ツハ私ノ一番心配ナノハ、誤解ヨリ
モ實際問題トシテ絲價ハ安定シタ、安定シ
タガ、絲價ノ安定ト同ジ割合デ繭價ガ安定シ
テ居レバ、假令ソレハ生產費ノ一定割合ヲ
削ラレタ場合デモ文句ヲ言ハヌ、我慢スル、
製絲業者モ損スル、養蠶者モ損スル、其時
ハ皆我慢スルケレドモ、絲價ハ安定シタガ
繭價ノ方ハ安定シナイト云フコトガ、將來
アリ得ハシナイカト云フコトヲ恐レル、何
故ナラバ製絲ノ方ハ、之ニ從事スル主宰者
モ經營者モ數ガ少イ、少イカラ統制ガ取レ
ル、養蠶ノ方ハ數ガ非常ニ多クテ統制ガ取
レナイ、製絲ノ方ハ生產ノ調節モ容易ク出
來ルガ、養蠶ノ方ハ生產調節ガ容易デナイ、
隨テ一方ハ濫造ガ起リ、亂賣ガ起ルト云フ
危險ガ多分ニアル、此場合ニ發動シテ、繭
價ト絲價トノ兩者ノ調整ヲ保ツ爲ニ活躍ス
ベキモノガ、昨年議會ヲ通過致シマシタ產
繭處理統制法デアッテ、是コソ其機能ヲ十分
發揮シナケレバナラヌ場合デアラウト思フ
ノニ、ソレヲ發揮スベキ機關ノ整備ヲ缺イ
テ居ラルヽ、卽チ養蠶家ノ利用シ得ベキ乾
繭設備ノ如キモノハ、今後相當整備シナケ
レバナラナイ、ソコデ政府モ五箇年計畫ヲ
以テ臨ンダノデアリマス、アノ五箇年計畫
ヲ以テ臨マレル時ハ、マダ今年ノ此絲價安
定法ガ出ルト、ハッキリシテ居ッタノデハア
リマセヌ、今年愈〓此法案ガ通過致シマシ
テ、其効能ヲ發揮スルト云フコトニナレバ、
併セテ產繭處理ノ方ノ機能ヲ十分行フコト
ガ大事デアルノニ、其機能ヲ發揮スルニ必
要ナル豫算ガ旣ニ減額サレテ居ル、寧ロ此
法案ガ今年通ル場合ニハ、アノ五箇年計畫
ハ三箇年計畫ニマデ繰上ゲテ行クコトガ當
然デアルノニ、事實ハ之ニ反シ却テ繰延ベ
ラレタ、此間本會議ニ於ケル大臣ノ御答辯
ヲ伺ヒマスト、ソレハ減額シタノデハナイ、
繰延ダ、其繰延ガイカヌ、繰上ゲル位必要
デアルノニ、繰延ベルト云フコトガ旣ニイ
カヌヂヤナイカ、此位必要ナモノガ繰延ベ
ラレルノダカラ、恐ラク來年更ニ繰延ベラ
レル危險ガアリハシナイカ、此點ハ十分御
留意下サイマシテ、繰延ベドコロデハナイ、
繰上ゲテ兩方ノ力ヲ併セ行フノデナケレ
バ絲價ハ安定シタガ、繭價ハ動搖シテ不
當ナ損害ヲ養蠶家ニノミ轉嫁スルト云フ危
險ガ十分アルト思ヒマスノデ、本會議ニ於
テ繰延ベタノデアルト云フヤウナ御答ニ
ハ、滿足ガ出來マセヌ、ノミナラズ此實情
カラ見テ繰上ゲテ早ク整備サシテ、此法ノ
活動ニ依ッテ絲價ガ安定スルト同時ニ、繭價
モ併セテ其調整ヲ保ッテ行クヤウナ方法ニ
セラレンコトヲ望ムノデアリマスガ、之二
對シテ政府ハドウ云フ御考ヲ持ッテ居ラレ
マスカ、ソレヲ御伺致シタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=90
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091・井野碩哉
○井野政府委員 只今小山委員ノ御尋ノ第
十一條ノ問題ハ、御趣旨ノ通リノ規定デア
リマスガ、先日來色々ノ議論ニ依リマシテ、
此條文ノ中ニモ相當ニ誤解ヲ生ジ易イ箇所
ノアルコトハ、政府トシテモ能ク分リマシ
タ、若シモ此條文ニ基イテ、サウ云フ誤解
ノ爲ニ養蠶者ガ不利ナ事情ニ立入リマシテ
ハ、是ハ政府トシテモ戒心シナケレバナラ
ヌ問題デゴザイマスカラ、其點ハ十分本法
ノ適用ニ當リマシテ、注意ヲ加ヘテ行キタ
イト思ッテ居リマス、第二段ノ絲價ト繭價ト
ノ關係ニ於キマシテ、不自然ナ低落ヲ防止
スル爲ニ、產繭處理統制施設ガ最モ適切ナ
施設デアルコトハ、只今御述べノ通リデア
リマスガ、之ニ關スル豫算ヲ明年度ニ於
テ、三十万圓程後年度ニ繰延ベマシタコト
ガ、仕事自體ヲ輕視スルヤウナ嫌ガアリハ
シナイカト云フヤウナ御叱正的ノ御質問デ
アリマスガ、是ハ吾々ノ方モ今ノ狀態デ參
リマシテ、大體現在ノ豫算ハ十分使ヒ得ル
ト思ッテ居ッタノデアリマスガ、何分ニモ國
家財政ノ見地カラ、農林省トシマシテモ、相
當額ハ繰延ヲシナケレバナラヌ實情ニゴザ
イマシテ、他ノ局ニ於テモソレ相應ニ苦シ
イ實情ヲ考慮シツツ、繰延或ハ節減ヲ致シ
テ居リマスノデ、蠶絲局トシマシテモ繰延
ヲシナケレバナラヌモノヲ求メマスレバ、
今日物價騰貴其他ノ關係カラ見マシテ、產
繭處理統制施設ノ建築費ノ部分ヲ、多少繰
延ベルコトガ最モ妥當デアルト、斯ウ思ヒ
マシテ實ハ繰延ベタノデゴザイマス、是モ
財政狀態等ノ改善ニ依リマシテ、無論又繰
上ゲルコトモ出來ルト思ッテ居リマス、御質
問ノ御趣旨ノ點ハ十分ニ一ツ今後モ尊重シ
テ考ヘテ行キタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=91
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092・小山邦太郎
○小山委員 一方ニ絲價ヲ安定セシムル方
策ヲ立テマシタ以上ハ、今度ハ當業者トシ
テハドウシテモ各部門ニ亙ッテ、生產「コス
ト」ヲ引下ゲテ、サウシテ優良品ヲ或ル程
度マデ廉價ニ生產スル方策ヲ立テナケレバ
ナラヌト思フノデアリマス、ソレガ爲ニハ
養蠶家ナドデハ、何トシテモ桑園一反步當
リノ桑葉ノ收穫量ヲ增ス爲ニ、桑園ノ改植
等ガ極メテ大切デアラウト思ヒマス、聞ク
所ニ依リマスルト、此桑園ノ改植ニ對スル
費用モ、若干減額サレテ居ルヤウデアリマ
スガ、之ニ對シテハ將來ハドウ云フ御計畫
デアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=92
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093・井野碩哉
○井野政府委員 桑園ノ整理改植助成費ニ
付キマシテモ、先程產繭處理統制施設費ノ
繰延ト同ジヤウナ實情ノ下ニ、繰延ヲ致シ
タノデアリマスガ、是ハ御承知ノ通リ昭和
九年ニ立テマシタ三箇年間ニ、約十二万町
步ノ桑園ノ整理改植ヲ致シマス計畫ノ最後
ノ金額デゴザイマシテ、百二十万圓ノ半額
ヲ翌年度ニ繰延ベタノデアリマス、隨テ是
ハ計畫ノ繰延デアリマシテ、ヤハリ節減デ
ゴザイマセヌコトハ、產繭處理統制施設ト
同ジデアリマスガ、是モ今日繭價ナリ、絲
價ノ囘復ノ實情カラ見マシテ、其程度繰延
致シマスコトハ、サウヒドク養蠶地方ニモ
迷惑ヲ掛ケルコトハナカラウト云フコトカ
ラ、已ムヲ得ズ繰延ヲ致シタノデゴザイマ
ス、無論今後ニ於キマシテ桑園ノ整理改善
ニ付キマシテハ、農林當局トシマシテハ地
方ノ實情ニ應ジテ、更ニ〓〓此事業ハ繼續
致シテ行キタイト考ヘテ居ル次第デアリマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=93
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094・小山邦太郎
○小山委員 桑園ヲ整備充實セシムルコト
ガ絲質ノ改善ノ上ニ、又養蠶「コスト」ノ
引上ゲノ上カラ大事デアルト同樣ニ、次ヘ
來ルモノハ普通蠶種ノ統制ニ依ッテ、不用ナ
蠶種ノ製造ヲ節約スルト云フコトガ、大切
デアラウト思フノデアリマス、其目的ヲ達
スル爲ニハ、今ヤ當業者ノ間ニ强力ナル輿
論トナッテ興リツツアリマス所ノ、普通蠶種
ノ國家管理ガ極メテ徹底シタ方法ノ一ツデ
アルト數ヘラレテ居リマス、之ニ付テノ政
府ノ御意嚮モ、他ノ同僚ヨリノ御質問ニ依ッ
テ、近ク之ヲ行ハウト〓究中デアルト云フ
御話デアリマスルガ、私ハ生產「コスト」ノ
引下ゲノ上カラ、不用ノ蠶種ノ製造ヲ見合
セルコトノ出來ルヤウニ、必要ナモノダケ
ヲ-其必要ナル數量ノ中ニハ、勿論氣候
ヤ色々ノ關係カラ二割位ノ過剩蠶種ト云フ
モノハ、常ニ持ッテ居ラナケレバナラヌダラ
ウト思ヒマスルガ、兎ニ角現在ハ四割以上
ニモナル不用蠶種ヲ製造シテ居ルト云フコ
トデアルカラ、之ヲ切下ゲル爲ニ統制ヲ
日モ速クサセルト云フコトガ大事デアラウ
ト思フ、更ニ私ハ普通蠶種製造統制ノ必要
ナル理由ハ、價格制定ノ爲ニ產繭數量ノ見
透ヲ的確ニ付ケ、其年ノ生產量ノ見極メヲ誤
マラナイコトガ大切デアル、其生產量推定
ハ一方桑畑カラモ當然考ヘナケレバナラナ
イガ、蠶種ノ掃立量デ比較的容易ニ又確實
ニ見當ガ付クデアラウト思ヒマスノニ、現
在ノ儘デ置キマスルト、殆ド當業者ノ申〓
ニ基ク蠶種ノ量ト云フモノハハッキリ分ラ
ナイ、同ジ五十瓦、百瓦ト云ッテ商ヒヲシテ
居ル者モ、オ負ケガアリマシテハッキリシ
マセヌ、是等ハ統制ヲ國家管理ノ下ニ置ク
ナラバ、ハッキリ其生產ノ基礎トナルベキ
蠶種ノ量ガ確定サレマシテ、統計ハ極メテ
確實性ヲ增スコトニナル、隨テ此絲價安定
委員會等ノ參考材料トシテ、確實有效ナル
基礎數字ヲ供給スル上カラモ、極メテ大切
ナコトデアラウト思フノデアリマス、是等
ノ意味カラ致シマシテ、私ハ普通蠶種ノ國
家管理ハ、一日モ早ク之ヲ行フヤウニ御願
致シタイト思フノデアリマス、政府ハ之ニ
對シテハ、原蠶種ノ國家管理ヲ行ッタ後デ
ナケレバ出來ナイト仰シヤッテ居リマス、原
〓種ノ國家管理ト、普通蠶種ノ國家管理ト
ハ、自ラ別個ノ目的ヲ持ッテ居ルノデアリ
マスカラ、必シモ原蠶種ノ國家管理完成ノ
後ニ行フト云フヤウナ囚ハレタ考デナシ
ニ、絲價統制ノ上ニ必要ナル手段ナリトシ
テ、十分ノ其效用ヲ認メ、一日モ速ク行ハ
レルヤウニ御〓究ヲ進メテ戴キタイト思ヒ
マスガ、之ニ對シテ政府ノ御考ハ如何デア
リマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=94
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095・井野碩哉
○井野政府委員 普通蠶種ノ國家管理ニ付
キマシテハ、先日來他ノ委員ノ方々カラモ
御希望ガゴザイマシテ、無論當局トシテモ
十分御議論ハ尊重シテ、今後モ〓究致シテ
參リタイト思フノデゴザイマスガ、唯業者
ノ間ニドウ云フ點ニ於テ普通〓種ノ國家管
理ヲスルカト云フコトガ、マダ實ハハッキリ
致シテ居ラナイノデゴザイマス、今後蠶種
方面ノ各〓體トモ、十分ニ一ツ共同的ニ〓
究ヲ致シマシテ、サウシテ奈邊ニ普通蠶種
ノ國家管理ヲ求ムベキカ、又如何ナル制度
ニ依ルベキカト云フコトヲ十分ニ〓究致シ
マシテ、無論必要ガアリマスレバ速ニ立案
ヲ致シタイ、斯ウ考ヘル次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=95
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096・小山邦太郎
○小山委員 是ハ私ダケノ考カモ知レマセ
ヌガ、普通蠶種ノ國家管理ヲ要望シテ居ル
當業者ノ中ニハ、其狙ヒ所、一ツトシテ、
現在ノ儘ニ放任サレテ居リマスナラバ、有
力ナル製絲業者ニ屬スル蠶種製造部ノ爲
ニ、獨立シテ居ル小規模ナル蠶種製造家ハ、
壓迫ヲ被ッテ自滅ノ外ハナイ、隨テ國家ノ統
制ニ依ッテ、ドウカ現有勢力ヲ保持シタイト
云フ所ニアルヤウデアリマス、寔ニ無理カ
ラヌ悲痛ノ叫ビデアリ、眞ニ又同情スベキ
モノデアリマス、ソコデ方法ニ依ッテハ其目
的ヲ達スルカモ知レマセヌガ、唯國家管理
ガ行ハレタカラト言ッテ、私ハ必シモ其目的
ヲ達スルカドウカ疑ハシイ、ソコデ私ノ御
願ハ、其目的ノ達シ得ルヤウ併セテ其方法
ヲ御考願ヒタイ、若シ此方法ヲ以テ其目的
ヲ達シ得ザル場合ハ、是非共別ノ問題トシ
テ、中小蠶種製造業者ノ立行クヤウニ、行政
監督官廳トシテ奬勵指導、或ハ助成ノ方法
ヲ講ジテ貰ヒタイ、是ハ獨リ蠶絲業ノ問題
バカリデハゴザイマセヌ、日本ノ現在ノ經
濟機構ガ、動モスレバ有力ナル大規模ナ資
本形態ヲ背景トシタ機構ト、一方ニハ之ニ
對スル勞働者ト、此二ツノ階級ニナッテシマ
フヤウナ虞ガアル、出來得レバ中小製造業
者ガ健全ナル發達ノ出來ルヤウニ、各種ノ
事業ニ於テサウアルコトヲ心ヨリ待チ望ム
ノデアリマス、今ハ蠶絲業ニ關スル問題デ
アリマスカラ、取敢ヘズ種屋ノコトダケヲ
御願スルノデアリマス、私ハ〓種製造家ニ
限ラズ各種ノ事業ガ、ヤハリ中小製造業者
ノ內容ガ充實シテ、國家全體ニ滿チテ、サ
ウシテ其人ガ經營者デアリ、資本家デアリ、
勞働者デアリ、家ヲ擧ゲテ其仕事ニ親シム
ト云フコトニナルナラバソコニ忌シキ階
級鬪爭モナクナリ、勞働問題モ起ラナイ、
是ガ私共ノ理想トスベキ所デハナイカト思
フ、然ルニ事實ハソレト背馳シテ進ンデ居
リマス、寔ニ國家ノ爲メ痛嘆ニ堪ヘマセヌ、
國家ハ斯ク云フ場合ニ特ニ力ヲ其方面ニ注
ギ、助成援助ノ方法ヲ執ッテ、自然ニ放置ス
ルナラバ潰レ行ク中小製造業者ガ、何トカ
立チ行クヤウニ考究セラレンコトヲ望ム者
デアリマス、政府ハ之ニ對スル御〓究ハ如
何デアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=96
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097・井野碩哉
○井野政府委員 其點ニ付キマシテハ、全
ク小山委員ト同ジ考ヲ持ッテ居ルノデアリ
マシテ、其爲ニ先般蠶絲業關係ノ法律案ヲ改
正致シマシテ、中產階級者ノ共同施設制度ヲ
設ケマスト共ニ、豫算ノ中ニ於キマシテモ、
蠶絲ノ共同施設組合ニ對シテ、助成ヲ致ス
ト言フコトモ致シタノデアリマシテ、是等
ハ無論經費ノ點等ニ於テ、十分其目的ヲ達シ
得ナイ憾ハアリマスケレドモ、少クトモ其方
面ニ向ッテ、政府トシテハ努力ヲ致シツツア
ルト云フコトハ、能ク御諒承ヲ願ヒタイト
思フノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=97
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098・小山邦太郎
○小山委員 絲價安定ニ付テ亞米利加ノ事
情ヲ見逃ス譯ニハ勿論參リマセヌ、日本ノ
現在ノ生絲ノ得意ノ大部分ガ亞米利加デア
リマスルカラ、併ナガラ私ハ國內生產品ノ
殆ド七八割ニ當ルモノヲ外國ニ出ス、卽チ
亞米利加依存デアッテ、ソレデ絲價ヲ安定セ
シメテ行クト云フコトハ、可ナリ困難ナコ
トデハナイカ、今日マデ行ッタ總テノ方策ガ
素ヨリソレ〓〓生命ガアリ、必要デアリマ
セウ、ケレドモ更ニ必要ナルコトハ、國內
消費ヲモット盛ニシテ、少クトモ總生產額ノ
半分位ヲ、國內デ消費スルヤウニ導クナラ
バ、亞米利加ノ經濟事情ト、日本ノ經濟事
情トヲチヤンポンシテ行クダケ、其危險ト
云フモノハ少クナッテ行ク、斯ウ考ヘルノデ
アリマス、隨テ其方法トシテハ、ドウシテ
モ天然絹絲ト、人造絹絲ノ認識ヲ明ニスル
爲メ、織物ニ用ヒラレタル原料ノ步合表示
ヲスルト云フコトハ、先年來ノ主張デアリ
マス、今日山崎委員ノ質問ニ對シテ御答ニ
ナラレタ所ヲ伺ヒマスト、近ク之ヲ實行ニ
ナルトノコトデアル、洵ニ是ハ結構ナコト
ダト思フノデアリマス、サウスルト步合表
示ト云フモノハ、軈テ實現スルモノトシテ
吾々ハ安心致シマスルガ、今一ツ大切ナル
モノハ、更ニ國內消費ヲ盛ニスル、國內ノ
生絲ニ對スル需要ヲ盛ニスル爲ニ、取引ノ
圓滑、取引ノ公正ヲ圖ル必要ガアル、ソレ
ニハ現在ノ國內生絲ト云フモノニ對シテハ
洵ニ無統制デアル、檢査ト云フモノガ强制
サレテ居リマセヌ、隨テ量ニ於テ水分量等
ガ非常ニ不確定デアリマスルカラ、國內生
絲ノ量ニ對スル不安ガアリ、之ニ加ヘテ又
品位ニ對スル安心ガナイ、此點ガ、國內生
絲取引ノ圓滑ヲ缺クコトデアリ、其結果ハ
又製品ニ對シテ惡影響ヲ及ボシテ居ルコト
ハ疑ナキ事實デアル、今ヤ海外へ輸出スベ
キ生絲ニ對シテハ、國家ハ强制檢査ノ法ヲ
以テ臨マレテ居ル、國內生絲ニ對シテ此方
法ヲ用ヒナイノハ、ドウ云フ譯デアルカ、
吾々ハ國內生絲檢査所ガ今僅ニ石川、福井、
京都ニアッテ、其他ハ數フルニ足ラナイ、ド
ウカ此點ヲモット强化致シマシテ、各方面ニ
國家ノ力ヲ以テ國內生絲國家檢査所ヲ建設
スルカ、然ラザレバ其地方ノ計畫ニ對スル
十分ナル助成政策ヲ執ッテ、此機關ノ普及ヲ
圖ラレンコトヲ望ムノデアリマスルガ、政
府ハ之ニ對シテドウ云フ御用意ヲ持ッテ居
ラレマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=98
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099・井野碩哉
○井野政府委員 洵ニ御尤ナ御質問デアリ
マシテ、國用生絲ノ品質改善、取引ハ公正
上、是非檢査制度ノ擴充ヲ圖リタイト云フ
ノデ、現在御述ノヤウニ石川、福井、京都
デ縣ノ檢査ヲ致シテ居リマス、尙ホ奈良、
岐阜、愛知、山梨方面デハ組合ノ自治的檢
査ヲ致シテ居リマスケレドモ、其經費モ少
ク十分ノ檢査成績ヲ示シテ居リマセヌコト
ヲ遣憾ニ思ッテ居ルノデアリマス、今後當局
トシマシテハ、此方面ニ向ヒマシテ相當ノ
〓究モ致シ、又考慮モ拂ッテ參リタイト思ッ
テ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=99
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100・小山邦太郎
○小山委員 絲價安定委員會ノ組織ニ付テ
ハ、篠原君カラノ希望ガアリマシタ、同樣
デアリマスカラ是ハ省キマス、唯委員會ニ
於テ決定シマシタ制高制低ノ値段ヲ、先日
本會議ニ於ケル大臣ノ御說明ニ依リマス
ト、一月頃御發表ニナル、大體原則トシテ
年ニ一囘ト云フ御話デアリマスガ、人造絹
絲ナドハ亞米利加ニ於テハ、三箇月ニ一囘
位宛協定サレルヤウニ聞イテ居リマス、獨
リ日本ノ生絲ハ年ニ一囘ト云フコトハ、實
際ニ卽シナイデハナイカ、之ヲ强ヒテ行ヘ
バ勢ヒ其制高ト制低ノ差ヲ甚シク開カナケ
レバナラナイ、サウスルト其差ガ多ケレバ、
是ハ實際問題トシテ安定ニナラナイ、差ヲ
狭クスレバ屢〓之ヲ開カナケレバナラナク
ナル、ソレハ當然ダラウト思フ、寧ロ私ハ
年ニ一囘ト云フモノガ無理デハナイカト思
フ、少クトモ年ニ二三囘位ハ開クヤウナ方
針デ進マレルコトガ宜シイヂヤナイカト思
ヒマスガ、如何デアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=100
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101・井野碩哉
○井野政府委員 只今御話ノ人造絹絲ノ價
格ヲ決メマスノハ、是ハ御說ノ通リ三月ニ
一遍位宛決メテ居リマスガ、實際ノ賣値ヲ
決メルノデアリマシテ、今囘ノ制度ニ於キ
マシテハ、異常ノ高値ト異常ノ安値ヲ決メ
ルノデアリマスカラ、サウ云フ値ハ滅多ニ
出テ貰ヒタクナイ希望ノ値デアリマシテ、
隨テサウ云フ値段ヲ決メマスノハ原則トシ
テ年一囘ニスル、併シ御說ノ如ク經濟市場
ノ變化モアリマスシ、又競爭纎維ノ色々ノ
推移モアリマスカラ、一遍決メマシテモ、
尙ホ改定シ得ルコトハ爲シ得ル途ヲ開イテ
置キタイト思ッテ居リマス、大體米ニ於キマ
シテモ、同ジヤウナ制度ニナッテ居リマス
カラ、ソレト同ジヤウナ行キ方デ進ミタイ
ト考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=101
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102・小山邦太郎
○小山委員 御答ニ依ッテ異常ナ高値ト異
常ナ安値、隨テ出動スルヤウナ場合ガ餘リ
ナイカモ知レヌ、無イヤウナ所ヲ決メテ行
カウト云フ風ニ聞エマシタガ、サウヂヤア
リマセヌカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=102
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103・井野碩哉
○井野政府委員 無イコトヲ希望スル、無
イヤウナ所ニ決メテ行カウト云フノデハナ
イ、無論決メマシタ値段ニナリ得ルコトモ
アラウト思ヒマス、若モ其範圍內ニ安定シ
得マスレバ非常ニ結構、無イコトヲ希望ス
ル値ト云フコトヲ申シタノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=103
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104・小山邦太郎
○小山委員 是ハ私ノ希望デスガ、餘リ値
幅ガ廣ケレバ是ハ全ク安定ノ爲ニハ役立タ
ナイ、値幅ヲ狹クスルト屢〓此法ノ發動ヲ俟
タナケレバナラナイコトニナル、是ハ擧ゲ
テ絲價安定委員會ノ御決定ニ俟ツコトデア
リマスガ、或ハ杞憂ニ屬シマスカモ知レマ
セヌ、若シ絲價安定委員會ノ定メラレタ所
ガ、割合ニ値幅ガ少クテ、本當ニ日本ノ蠶
絲業ノ此絲價安定ニ、直接ノ利益ヲ與ヘル
ヤウナ所ヲ決メルトスル、サウスルト一方
ニハ〓算市場等ニ必ズ惡影響ガアルダラ
ウ、ソコデ問題ハ〓算市場ニ惡影響ガアレ
バ、〓算市場カラ反對ガ起キテ來ル、反對
ガ起キルカラ、ソチラニモ反對ヲ起サナイ
ヤウニシヨウトスル、サウスルトコチラノ
精神ハ失ッテシマフ、斯ウ云フコトニナル、
私ハ結局摑ムベキ目的ヲ確カリ摑ンデ、
反對ニハ又反對ノ理由ガアルノダカラ、反
對ノ人達ニモ又他ニ滿足ヲ得セシメル方策
ヲ講ジテ之ニ臨ミ、自分ノ行クベキ所ハ此
處ダト云フコトヲ、ハッキリ狙ハナイト云フ
ト、アッチノ反對モ緩和シヨウ、コッチノ方
モ何トカシヨウト云フコトデ、結局何ニモ
シナイト同ジヤウナ結果ニナリハシナイカ
ト思フ、ソコデ兎角近來ノ政治ノ困ッタコト
ハ、大勢ノ力ナラバ何デモ通ス、少數ノ人
ノ主張ハ正シクトモ蹈躪ラレルト云フ心配
ガ多分ニアル、ソレハイカヌ、假令少數デ
モ正シキ主張ハ伸ルノデナクテハ政治ハ力
ニ墮シ、正義ハ地ヲ拂フニ至ル、是ハ困ッタ
コトデス、多數ノ利益ヲ基礎トシテ政治ヲ
行フコトハ、勿論大事ダガ、少數ノ無力者
ト雖モ、正當ナ主張ハ之ヲ活カシテヤラナ
ケレバナラヌ、ソコデ若シ此法ガ〓算取引
市場等ニ惡影響ヲ與フル結果トナッタ場合
ハ、少數ナリトモ〓算市場ヲ唯踏付ケテ行
ケバ宜イト云フノデハ、是ハイカヌト思フ、
左樣ナ場合ニハ寧ロ〓算市場ヲ國家ガ買收
スルナリ、補償スルナリシテ、一方ノ反對
ヲ緩和シテ、サウシテ國家ノ新シキ計畫ハ
又斷乎トシテ行フベキヲ枉ゲナイ、枉ゲナ
イガ-一方モ無視ハシナイ、所ガ一方ヲ
無視シナイヤウニスル爲ニ、自分ノ進ムベ
キ途マデ誤ッテシマフト云フコトニナッテハ
相成ラヌト思ヒマスルノデ、ソレ等ノ場合
ニ於テ、政府ハ〓算市場ニ惡影響ヲ與ヘタ
ヤウナ時ニハ、之ヲ緩和スル爲ニ値幅ヲ廣
クスルト云フヤウナ途ヲ求メズ、寧ロ進ン
デ〓算市場ノ損失ヲ補償シテ、其被害ヲ除
去スルト云フコトニ方針ヲ定メラルルコト
ガ結構ヂヤナイカト思ヒマスルガ、政府ハ
之ニ對シテドウ云フヤウナ御考ヲ持ッテ居
ラレマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=104
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105・井野碩哉
○井野政府委員 生絲取引ノ上ニ於キマシ
テ、〓算市場ト云フモノノ機能ガ弱クナル
コトノ方ガ、有利デアルト云フ風ニ私共ハ
考ヘテ居ラナイノデアリマシテ、今日ノ生
絲取引ノ實情カラ見マスルト、〓算市場ト
云フモノハ相當ニ其機能ヲ發揮シテ、價格
安定ニモ資スル所ガ多イノデアリマス、唯
投機思惑ニ依リマスル所ノ暴騰暴落ハ、是
ハ相當ノ弊害ガアリマスルカラ、十分抑ヘ
テ行カナケレバナラヌト思ヒマスガ、ソレ
等ハ今囘ノ施設ニ依リマシテ、相當ニ抑制
シ得ルト云フコトニ考ヘテ居ルノデアリマ
ス、其値幅等ニ付キマシテモ、先日來申上
ゲテ居リマスヤウニ、生絲ガ海外商品デア
リ.而モ人絹ト云フ强敵ガアリマス以上、
之ヲ賣リ擴メテ參リマスニハ、相當商機ノ
上ニ於テ或ル程度ノ値幅ヲ設ケテ置キマセ
スト、却テ生絲自體ノ消費ヲ減退セシメル
ヤウニ、吾々ハ考ヘテ居ルノデアリマス、
デアリマスカラ、現在ノ考ヘ方カラ參リマ
スルト、〓算取引ニ對シテモ、非常ナ影響
ヲ與ヘルヤウナ、狭イ値幅ニ決定ハ致サナ
イ、斯ウ見テ居ルノデアリマス、併シ無論
全然制限ノナイ時代ニ比ベマスレバ、〓算
取引所ニ對シマシテモ影響ノアリマスコト
ハ、是ハ御說ノ通リデアリマス、ソレガ程
度ノ問題デアリマシテ、非常ニ大ナル影響
ヲ及ボスヤウナコトニデモナッテ來マスレ
バ、是ハ又別ニ考慮ヲ加ヘテ行カナケレバ
ナラヌト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=105
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106・小山邦太郎
○小山委員 種ニ付テ一ツ御尋致シマス、
原蠶種國家管理ヲスルコトハ、種ノ品種統
制ニ在ルヤウデアリマス、此種類ヲ少クシ
テ、隨テ生絲ノ品位ヲ劃一統制シテ行クト
云フコトハ宜イコトデアリマセウガ、一方
カラ考ヘテ見マスルト、一體生絲ト云フモ
ノモ、用途ガ時代々々ニ依ッテ色々ニ擴大サ
レテ來ルノデハナイカ、サウスレバ其本ヲ
爲ス所ノ種モ、用途ニ依ッテ決定シテ行カナ
ケレバイカヌデハナイカ、何デモ劃一ニ行
ケバ宜シイト云フノデハ、自分ノ歩ム世界
ヲ徒ニ狹クシハシナイカ、例ヘバ近頃生絲
デハアリマセヌガ、絹纎維トデモ申シマス
カ、生絲ノ屑物ナドハ原料不足デ、其方面
ノ需要ハ旺デアルニモ拘ラズ、供給ガ之ニ
伴ハナイト云フヤウナ情勢デアリマス、是
等ハ初メカラ優良生絲ヲ欲スルノデハナ
イ、絹纖維ヲ與ヘテ貰ヘバソレデ結構ダト
云フ方面ニハ、極メテ粗惡ナ物デモ、其代
リ生產「コスト」ヲウント引下ゲテ、安イ
物ヲドン〓〓造ッテヤル、隨テ種ナドハ優良
デハナクトモ强健ナモノガ宜イノダ、粗放
育ヲシテモ絹纖維ダケハ吐クンダ、節ハ多
イ、解舒ハ惡イ、生絲トシテハ役ニハ立タ
ナクテモ、絹纖維トシテハ十分役ニ立ツ、
而シテ其値段ハ安イケレドモ、生產「コス
ト」ヲ引下ゲテ居ルカラ養蠶經濟モ引合フ
ト云フコトニナル、必シモ一貫匁當リノ絕
對價格ナド問フ所デハナイ、勞シテ多少デ
モ惠マルル所ガアルナラ、養蠶家モ滿足ガ
出來ル場合モ必ズアル、隨テ此用途別ニ依
ル飼育ノ擴大ハ、今日極メテ大切ナル積極
的ノ問題デアル、政府ハ此用途別ニ依ル蠶
種ノ選定ト云フコトニ對シテ、ドノヤウナ
御〓究ヲ進メラレテ居リマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=106
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107・井野碩哉
○井野政府委員 其點ハ全ク當局トシマシ
テモ同ジ考ヲ以テ、蠶種ノ選定ニ當ッテ居ル
ノデアリマス、原蠶種ノ國家管理ニナリマ
シテモ、原蠶種ノ選ビ方トシマシテハ、現
在ニ於キマシテハ、亞米利加ノ需要方面ノ
色々ノ特徴ヲ採入レタ〓種ヲ選定致シテ居
リマスガ、今後ハ只今御述ニナリマシタヤ
ウナ方面ニ於テ必要ナル蠶種ノ選定モ致シ
テ參リタイト云フコトカラ、目下蠶業試驗
場ニ於テ色々其方面ノ〓究ヲ致シテ居リマ
ス、十分ノ〓究ガ出來マシタナラバ、サウ
云フ蠶種モ原蠶種トシテ配付ヲ致スコトニ
ナラウト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=107
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108・小山邦太郎
○小山委員 是デ私ノ質問ハ打切リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=108
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109・山崎釼二
○山崎委員 最後ニ一言、是ハ伺ッテ置キタ
イノデアリマスルガ、產繭處理統制法案ノ
時ニモ私御伺シマシタラ、左樣ナ場合ニハ
外ニ十分ナル途ガアルカラ、安心シテ宜イ
ト云フヤウナ、蠶絲局長ノ御答辯デアリマ
シタカラ、サウ云フヤウニ思ッテ居リマシ
タラ、ヤハリ左樣ナ場合ニハ新ニ「ステー
ブル·ファイバー」ノヤウナモノガ現レテ、
決シテ蠶絲ノ爲ニハ安心出來ナイト云フ杞
憂ヲ持チマシタカラ、重ネテ茲ニ御伺ヲシ
タイノデアリマス、生絲需要先關係トノ戰
爭ト云フヤウナコトヲ、假ニ豫定致サナケ
レバナラヌノガ、今日ノ國際情勢ダト思ヒ
マス、左樣ナ場合ニ輸出杜絕ノ場合ガ必ズ
出テ參リマス、斯ウナルト云フト、異常ナ
ル暴落ハ、今マデアリマシタ原因ヨリ、以
外ノモノニナッテ參ルノデアリマス、此場合
デモ尙ホ直チニ農民ガソレニ對スル對策ヲ
持合セテ居ラヌト云フコトニナレバ、絲價
ノ暴落ハモウ當然ダト思フノデアリマス、
之ニ對シテ此法ガドウ云フ働キヲスルカ、
或ハ政府ハソレニ對スル對策ヲ御持デアリ
マスルカ、改メテ其點ヲ一ツ伺ッテ置キタイ
ノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=109
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110・井野碩哉
○井野政府委員 此法案ハ大體ガ普通ノ經
濟狀態ニ於ケル事情ヲ基礎ニシマシテ、立
案致シテ居リマスカラ、戰時デアリマスト
カ、其他ノ場合ニ直チニ當嵌マルモノトハ
考ヘテ居リマセヌ、其場合ニハ又別ノ方策
ヲ必要トスルノデアリマスルガ、ソレ等ノ
方策ニ付キマシテハ、目下當局ニ於キマシ
テモ、資源局ト色々假想ノ場合ヲ豫想致シ
マシテ、〓究ヲ致シテ居リマス、併シ一時
的ノ方策ニ對シマシテハ、此法案ニ依リマ
シテ、或ル程度政府デ生絲ヲ買取リマスレ
バ、維持出來ルト云フ作用ハアラウト思ヒ
マス、併シソレハ一時ノ問題デアリマシテ、
戰時ニ於ケル恒久的ノ處置トシテハ、別途
ノ方法デ色々〓究ヲ致シテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=110
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111・山崎釼二
○山崎委員 只今ノ御答辯デ了解致シマシ
タガ、其資源局トノ話合ノ下ニ〓究ヲ進メ
テ居ルモノハ、不日具體的姿ニナッテ議會
ニ現レテ來ル豫定デゴザイマスカ、斯ウ云
フヤウナ國際情勢ノ下ニ置カレテ居ルノデ
アリマスルカラ、成ベク早ク御用意ナサッ
テ置ク方ガ農民ノ爲ニモ、製絲家ノ爲ニ
モ、機業家ノ爲ニモ私ハ宜イト思フノデア
リマス、其御豫定ヲ一ツ御伺致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=111
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112・井野碩哉
○井野政府委員 其點ハ議會ニ御提案スル
ト云フヤウナ問題デハナインデ、色々ノ假
想ノ場合ヲ豫想シテ、一ツノ計畫ヲ作ッテア
ルノデアリマス、併シ是ハ多ク軍機ニ屬ス
ルコトガ多イノデアリマスカラ、公表ハ致
シテ居リマセヌ、唯內部的ニ色々ナ場合ヲ
豫想シテ、〓究致シテ居ルト云フコトヲ申
上ゲテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=112
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113・紫安新九郎
○紫安委員長 此場合御諮致シマスルガ、
是ニテ質問ハ終局シタモノト認メマシテ、
御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=113
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114・紫安新九郎
○紫安委員長 御異議ナシト認メマス、質
問ハ終局致シマシタ、次會ハ公報ヲ以テ御
通知申上ゲマス、本日ハ是デ散會致シマス
午後四時一分散會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X00719370309&spkNum=114
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