1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案(審査終了のものを除く)
漁船保險法案(政府提出)
漁船再保險特別會計法案(政府提出)
森林火災國營保險法案(政府提出)
森林火災保險特別會計法案(政府提出)
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會議
昭和十二年三月十六日(火曜日)午前十時三十分開議
出席委員左の如し
委員長 紫安新九郎君
理事 小山邦太郎君 理事 飯田助夫君
理事 横川重次君
日比野民平君 高木粂太郎君
松尾四郎君 多田滿長君
登坂良作君 小林かなえ君
森幸太郎君 東條貞君
今給黎誠吾君 山崎釼二君
三月十五日委員百瀬渡君辭任に付其の補闕として多田滿長君を議長に於て選定せり
出席政府委員左の如し
農林省山林局長 村上龍太郎君
農林省水産局長 原辰二君
委員長の許可を得て出席したる者左の如し
農林書記官 寺田省一君
本日の會議に上りたる議案左の如し
漁船保險法案(政府提出)
漁船再保險特別會計法案(政府提出)
森林火災國營保險法案(政府提出)
森林火災保險特別會計法案(政府提出)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=0
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001・紫安新九郎
○紫安委員長 開會致シマス-東條君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=1
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002・東條貞
○東條委員 底曳ノ整理ノコトデ少シ伺ッ
テ置キタイト思フノデアリマスガ、前提ト
シテ申上ゲテ置キタイコトハ、整理スベカ
ラズト云フ意味ニ於テ、御伺スルノデハナ
イノデアリマス、無論整理ヲセネバナラヌ
ト云フコトハ私モ認メテ居ルノデアリマス
ガ、豫算總會或ハ分科會等デ當局ノ御答辯
ヲ拜聽致シマスト、其整理ニ付テハ政府ト
シテハ奬勵シタコトハナイト云フ意味ノ御
答辯ガアリマシタガ、政府カラ地方廳へ如
何樣ナ御逹シガアッタカナカッタカハ存ジマ
セヌケレドモ、地方廳デハ補助金ナドヲ交
付致シマシテ、サウシテ奬勵ヲシタコトハ
事實ナノデアリマス、サウシテ長年ヤッテ居
リマスル職業ヲ廢メサセルノデアリマスカ
ラ、相當理由ガナケレバナラヌト同時ニ、
又整理ハ已ムヲ得ナイ範圍ノ整理ニ止メナ
ケレバナラヌト考ヘルノデアリマス、整理
ノ案ハ實施上ノ御都合モアリマセウガ、豫
算ノ分科會等デモ御答辯ヲ伺ヒマスルト云
フト、成ベク御公表ニナラナイ御方針ノヤ
ウデアリマスケレドモ、實際ト致シマシテ
ハ、整理ノ御方針ガ當業者方面ニ漏レテ居
ルヤウニ思フノデアリマス、北海道ノ實
情カラ見マシテモ、此整理ヲサレルト云フ
コトガ、一般ニ擴マリマシタ其當時ニ於キ
マシテハ、全道ノ底曳網業者ガ吾々ノ所ニ
モ來テ、色々ト衷情ヲ訴ヘテ居リマス、
面全廢論ノ沿岸漁業者ノ方カラモ、色々ナ
事情ヲ聽イテ居リマス、所ガ最近ニナリマ
シテ、或ル地方ノ底曳網業者ハ全然サウ云
フ話ヲシテ來ナクナリ、又陳情ナドニ出テ
來テ居リマスル顏觸レヲ見マシテモ、或ル
地方ノ人ハ一向出テ來ナイ、ドウ云フ譯デ
アルカト聽キ質シテ見マスト、北海道ノ中
「オホーツク」海ノ沿岸ノ一部ノ地方、ソ
レカラ根室、釧路方面、此區域ハ整理ヲサ
レナイノデアリマス、沿岸漁業者トノ摩擦
ガナイカラシテ、整理ヲサレナイト云フコ
トニ農林省ノ御方針ガ決ッテ居ルノデアル、
ソレガ爲ニ最早陳情運動ナドヲスル必要ガ
ナイト云フヤウナ意味デ、出テ來ナイノデ
アルト云フコトガ分ッタノデアリマス、ソレ
カラ小樽方面ヲ中心トシタ地方、或ハ函館
方面、斯ウ云フ方面ハ一隻モ殘サズ整理ヲ
サレルト云フヤウナ話ガ、當業者ノ方ニ傳ッ
テ居ルヤウデアリマシテ、一方ノ者ハ非常
ニ樂觀ヲシ、一方ノ者ハ非常ニ悲觀ヲシテ
居ルト云フヤウナ情勢ニアルノデアリマス
ルガ、整理ノ御方針ガ決ッテ居リマスルナ
ラバ、或ハ豫算分科會デ、或ハ豫算總會デ御
答辯ニナリマシタヤウナ本當ノ大綱ダケデ
ナク、モウ少シ內容ニ亙ッテ承ルコトガ出來
マシタナラバ、其方ガ却テ當業者ヲ安心セ
シメル上ニ於テ宜イノデハナイカト考ヘル
ノデアリマスルガ、モウ少シ具體的ナ御方
針ヲ伺フコトガ出來ナイノデアリマセウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=2
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003・原辰二
○原政府委員 只今御尋ノ底曳ノ整理ノ具
體案ヲ發表シタラドウカト云フ御尋ハ、洵
ニ御尤ト思ヒマス、併ナガラ實ハ底曳ノ整
理ニ付キマシテハ、農林省ト致シマシテ整
理シタイト云フ考ヲ持ッテ居ルコトモ事實デ
アリマスシ、又成ベク早イ機會ニ於テ實現
ヲスルノガ適當デアルト云フ風ニ考ヘテ居
ル譯デアリマスガ、唯當業者ガ非常ニ脅威
ヲ感ジタト申シマスカ、聞付ケテ騒イデ居
リマシテ、彼等底曳業者トソレカラ又反對
ノ立場ニアル沿岸漁業者ガ、整理斷行ヲ迫
ル意味ニ於テ騒イデ參ッテ居リマスノハ、偶〓
昭和十二年度ノ豫算ニ底曳ノ轉業ノ資金
ヲ、沿岸漁業振興費ノ中ニ若干計上ヲ致シ
タノデアリマス、其十二年度ノ所謂底曳ノ
轉業資金ノ補助費ト云フモノハ、是ハ全ク
指導奬勵ニ依リマシテ、自發的ニ底曳漁業
者ガ轉業ヲスル場合ニ資金ノ補助ヲシヨ
ウ、斯ウ云フコトデアリマシテ、强制的ナ
考ハ、全然十二年度ノ豫算ニ付キマシテハ、
實ハ其考デハナイノデゴザイマスガ、當業
者ノ方カラ見マスト云フト、サウ云フ事情
ガ分ラヌ爲ニ、十二年度カラ何等カ非常ナ
强硬ナ整理ノ方針ヲ立テテ、サウシテ其整
理ニ著手スルノデアル、當業者トシテハ否
デモ應デモ、或數ハ强制的ニモ減ラサレル
ノデアル、强制的ニ減ラス代リニ其減ラス
ベキ者ニハ、轉業資金ヲ是ダケ補助ヲスル
カラ、オ前廢メテシマヘト云ッタヤウナ調子
デヤラレルノデハナカラウカ、斯樣ニ考ヘ
マシテ、サウナッテハ大變ダト云フノデ非常
ニ心配ヲシテ、陳情ニ各方面カラ參ッタト
云フヤウナ實情デゴザイマス、所ガ私共ノ
方ノ管內ハソレトハ趣ヲ異ニシマシテ、豫
算分科會デモ申上ゲマシタヤウニ、十二年
度ノ豫算ヲ使ッテノ整理ト云フモノハ、直チ
ニ强制的ニ廢メサスト云フ方針ノ下ニ、實
ハ立ッテ居ル譯ヂヤナイノデゴザイマス、併
ナガラ最初ニモ申上ゲマシタヤウニ、ソレ
ヂヤ全然廢メタイ者ハ御廢メナサイト云フ
程度ニシカ考ヘテ居ナイカト言ヘバ、將來
ハ一定ノ所謂整理ノ方針ト云フモノヲ立テ
テ、其實行ニ伴ッテ必要トスル所ノ轉業資金
ノ補助費ト云フモノヲ、サウ云フ趣旨ニ變
ヘテ計上ヲシタイト云フ考ハ持ッテ居ルノ
デアリマス、只今サウ云フ程度ノ考デアリ
マスカラ、隨テ方針トシテ申上ゲ得ルノハ、
大體整理ハ免レザル所デアル、而シテ其目
標トスル所ハ、現在許可ヲ受ケテ居リマス
底曳漁業ノ船ノ數ガ約二千六百、其中半數、
少クトモ千艘位ハ轉業ヲサセナケレバナラ
ヌダラウ、而シテ轉業サセルニ付キマシテ
モ、沿岸漁業者ノ極端ナ人ガ言ッテ居ルヤ
ウニ、之ヲ卽時ニ全滅スベシトカ、撲滅ス
ベシトカ云フヤウナコトヲ申シテ居リマス
ガ、サウ云フ荒ッポイヤリ方ハ是ハ行政トシ
テ考ヘナケレバナラヌヤリ方デアリマスカ
ラ、御話ノヤウニ又底曳業者ノ側ニ立ッテ見
レバ、政府トシテハ過去ニ於テ特ニ奬勵ヲ
シタコトガナイニ致シマシテモ、多少其心
持ヲ持ッテ居ッタコトモアルカモ分リマセズ、
又地方々々デハ御話ノヤウニ府縣費デ以テ
奬勵金モ出サレタト云フ地方モアルヤウニ
伺ッテ居リマス、言ッテ見レバ役所ノ方デ曾
テ奬勵シテ置イテ、今日ニナッテモウ邪魔
ニナルカラ廢メサセルト言ハレルコトハ、
甚ダ迷惑ダト云フ感ジヲ持ツコトモ、ソレ
ハ一面ニ於テ無理カラヌ點モアル、斯樣ニ
モ思ヒマスシ、又サウ云フ沿革ハ別ト致シ
マシテモ、成ベク無理ナクシテ轉業ヲサセル
ニハ、ヤハリ準備ノ期間モ見テヤラナケレ
バ無理ナコトデアリマスカラ、ソレデ現在
ノ許可ノ期間ガ切レマシタ際ニハ、モウ一
期卽チ四五年ハ轉業ノ準備ノ期間ト致シマ
シテ、繼續シテ許可ヲスルト云フコトモ巳
ムヲ得ナイダラウ、サウ云フ風ニ考ヘテ居
ル譯デアリマス、尙ホ轉業資金ヲ出スノミ
ナラズ、親切ニ指導ヲシテヤル必要ガアル
カラ、サウ云フ意味ニ於テ地方々々ニ指導
ノ職員モ置クト云フ風ニ、成ベク親切ニ取
扱ッテヤル必要ガアル、斯樣ニ考ヘテ居リマ
ス、サウ云フ趣旨ノコトヲ分科會デモ御話
ヲ申上ゲタ譯デアリマシテ、而シテ本當ノ
實行方針、實行ノ方法ト云フ風ナモノハ、
是カラ地方ノ實情ヲ能ク見マシテ、抽象的
ニ申上ゲレバ、沿岸漁業者トノ摩擦ノナ
イ、又底曳デナケレバヤレナイト云フヤウ
ナ漁業ハ、是ハ其部分デヤリマス底曳ヲ廢
メサセルト云フ理由ハアリマセヌカラ、
サウ云フモノハ延バス、ソレ以外ノモノハ
廢メテ貰フト云フコトニナル譯デアリマス
ガ、サウ云フ事情ガ地方々々ニ依ッテ多少
違ヒマスノデ、能ク地方ノ事情モ調査ヲ致
シマシテ、サウシテ實行計畫ヲ立テタイ、
斯樣ニ考ヘテ居ルノデゴザイマシテ、今直
グ實行ヲスル案ガ立ッテ居ッテ、ソレニ從ッ
テ十二年度ノ初頭カラ直グ其方針ヲ强行
スル、當業者ガ心配ヲシテ居ルヤウナサ
ウ云フヤウナ點ハナイノデアリマス、隨
テ最近陳情者ガ餘リ出テ來ナクナッタト云
フ御話ガアリマスガ、私ノ所ヘモ最初大變
各地カラ心配ヲシテ業者ガ事情ヲ聞キニ來
ラレマス、其際ニ能ク只今申上ゲマシタ
ヤウナ趣旨ヲ御話致シマシタ所ガ、サウ云
フコトデアレバ安心ガ行ッタト云ッテ、今ハ
大多數ガ納得ヲシテ居ラレマスカラ、隨テ
此陳情ノ爲ニ態々出テ來ラレルト云フ人
ガ、段々少クナッタノモ當然ヂヤナイカト
思ヒマス、サウ云フ事情デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=3
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004・東條貞
○東條委員 サウ致シマスト整理ノ御方針
ハ、今ノ所ハ大體ノ目安ダケガ立ッテ居ル
ノデアッテ、實際ノ整理ハ尙ホ地方々々ノ實
情ヲ調査ヲシテ、ソレニ基イテ實行ヲサレ
ルノデアル、斯樣ニ伺ッタノデアリマス、尙
ホ今御話ノ陳情ニ出テ來ナクナッタ者ガア
ルト云フコトヲ申上ゲタノハ、全般的ニ來
ナクナッタト云フノデナク、先程御話致シタ
ヤウニ、或ル地方ハ整理ヲサレナイノデア
ルカラト云フ意味デ、或ル地方ダケノ者ガ
出テ來ナクナッタ、詰リ整理ノ御方針ガ斯ウ
デアルト云フコトガ同業者ノ一部ニ何處カ
ラ漏レタカ知リマセヌガ漏レタ、ソレデア
ルカラ俺達ノ所ハ整理サレナイカラト云フ
ノデ、其地域ノ者ダケハ來ナクナッタ、其他
ノ部分ハヤハリ非常ニ心配シテ居ルノデア
リマス、實ハナゼサウ云フコトヲ伺ヒマス
カト云フト、北海道デハ當業者モ、或ル程度
ノ整理ハ免レナイモノト覺悟致シマシテ、
ソレニ因ル損害ヲ出來ルナラバ同業者全體
ガ負擔ヲスルヤウナ方法ニシテ行キタイト
云フ考、詰リ政府ノ整理方針ニ一致シテ、
オ互ノ損害ヲ成ベク少クシ、自分等ノ生活
ヲ成ベクオ互ニ助ケ合ッテト云フ意味デ、法
人組織トマデハ行カヌカモ分リマセヌケレ
ドモ、兎モ角整理ニ因ル損害ヲ共同デ負擔
シヨウト云フ意味カラ、今ノ組合ヲモット强
化ヲシ、出來ルナラバ場合ニ依ッテハ法人
組織ニシテモ宜シイ、サウシテ減船サレタ
モノヲ全部ノモノガ、オ互ノ職業上ノ災難
トシテ之ヲ分擔ヲスルコトニシヨウト云フ
申合セガ最初出來テ居ッタ、所ガ最前申上ゲ
タ太平洋ノ沿岸東半分、「オホーツク」海方
面ハ整理區域以外デアルト云フコトヲ、オ
役所ノ中カラ聞キマシタ爲ニ、其方面ノ者
ハ俺達ハ整理ヲ當然サレナイ區域ニ入ッテ
居ルカラ、サウ云フ仲間ニ入ルノハ御免ヲ
蒙ルト云フ態度ノ者ガ出來テ、全島ノ同業
者ガ連帶ヲシテ、減船ノ苦痛ヲ分擔ヲシテ
行カウト云フ大變美シイ、サウシテ整理ヲ
サレル場合ニ於テモ役所トシテモ非常ニ都
合ノ好イ計畫ガ、ソレガ爲ニオジヤンニナッ
タト云フ實情ガアル、左樣ナコトガアリマ
スルコトハ、整理ヲ行ヒマスル上カラ言ッ
テ、オ役所ノ方カラ言ッテモ大變都合ノ惡イ
コトデアル、又同業者仲間カラ言ヒマシテ
モ、大變都合ノ惡イコトデアル、左樣ナ事
實ガアリマシタカラ、若シサウ云フ風ニ此
區域ハ整理ヲスル、此區域ハ整理ヲシナイ
ト云フ風ニ具體的ニ御方針ガ定マッテ居リ
マスルナラバ、一ツ之ヲ御公表ニナリマシ
タ方ガ、却テ宜イノヂヤナイカト云フコト
ヲ伺ッタノデアリマス
ソレカラ地方々々ノ實情ヲ調査シタ上デ
整理ヲスルノデアルト云フコトデアリマス
カラ、今マデニ御調査ニナッテ居リマスル資
料ノミニ依ラズ、今後ノ御調査ニ依ッテ具體
的方針ヲ御決定ニナルモノト諒承スルヨリ
外ナイト思ヒマスガ、此場所ニ依リマシテ
是ハ大變違ヒガアル、今ノ整理ノ御方針ヲ
伺ッテ見マスルト云フト非常ニ消極的デ、詰
リ整理ヲスルト云フコトハ決メタ、又地方
ノ實情ニ依ッテ、沿岸漁業トノ摩擦其他ヲ調
査シテ整理ヲスルノデアルト云フ御話デハ
アリマスルケレドモ、之ヲ速ニ斷行スルト
云フノヂヤナイ、マア半分ニスルトカ、
千艘ニスルトカ、詰リ許可年限ガ五箇年、
之ニ最長五年位ノ猶豫期間ヲ與ヘテ、年限
ガ切レルト整理シテ行カウト云フヤウナ御
方針ノヤウデアリマスルガ、私共カラ考ヘ
マスルト、此問題ハ底曳業者ヲ安定セシメ
ル上カラ申シマシテモ、又沿岸漁業者ノ利
益ヲ擁護スル上カラ致シマシテモ、モウ少
シ本當ニ公正ナ、サウシテ當ヲ得タ御調査
ヲ進メラレテ、モウ少シ積極的ニ御臨ミニ
ナルコトガ必要デハナイカト思フノデアリ
マス、詰リ地方ニ依リマシテハ、ソレコソ
年デモ速ニ整理ヲシナケレバ、沿岸漁業ガ
立行カヌト云フヤウナ情勢ノ地方モアルノ
デアリマス、斯樣ナ所ハソレコソ一日モ早
ク整理スベキモノヲ整理シテ、サウシテ沿
岸漁業者ヲ安定セシメルト云フコトガ、必
要ナンデス、北海道方面ニ於キマシテモ、
例ヘバ噴火灣ノ沿岸地方ト云フヤウナ所
ハ、ヤハリ速ニ整理ヲシテヤラヌケレバ、
沿岸漁業者ノ方ガ立行カヌノデアリマス、
又地方ニ依リマシテハ整理ノ必要ノナイ所
モアル、斯樣ナ所ハ整理ヲシナイノデアル
ト云フコトヲ速ニ御決定ニナリマスルコト
ガ、底曳網業者ヲ安定セシメルコトニナル
ノデアリマス、ソレカラ又小樽方面カラ宗
谷方面ニ到ル日本海ノ西海岸ノ沿岸、此地
方ナドハ非常ニ難カシイ所デアリマシテ、
無論現在ノヤウナ狀態デアレバ、相當ニ整
理ヲシナケレバナラヌ區域ニ入ルカモ知レ
マセヌケレドモ、モウ少シ大キナ目デ見マ
スルト云フト、今ノ禁止區域ヲモット御擴張
ニナリマシテ、積丹岬カラ天賣島、ソレカ
ラ利尻島ト云フヤウナ方面ニ、眞直グニ禁
止區域ヲ擴張サレマシテモ、其外側ニ例ノ
武藏堆ノ大キナ漁區ガアルノデアリマス、
小樽ヲ根據ト致シマシテ此方面ニ出テヤル
ト云フコトデアリマスレバ、沿岸漁業者ト
全然摩擦ハナイ、ソレカラ又場所ニ依リマ
シテハ區域ノ關係デハナク、時期ノ關係ト
云フ風ニ實情ヲ調査サレマスルナラバ、新
シキ漁場ヲ見付ケテヤルコトモ出來マセウ
シ、又沿岸漁業トノ摩擦ヲ、整理ヲ行ハズ
シテナクスルト云フ方法モアルト考ヘル、
斯ウ云フ點ニ付テノ御調査ヲ單ニ一二ノ技
術者ノミノ力ニ依ラズ、廣ク實際ノ漁業ニ
當ッテ居リマスル、人ノ知識、經驗モ集メテ、
適當ナ整理案ヲ立テルト云フコトガ必要ヂ
ヤナイカト思フ、斯ウ云フヤウナ點ニ付キ
マシテ、何カ御考ガアリマスルカドウカ伺
ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=4
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005・原辰二
○原政府委員 整理案ノ具體的ノ案ノ樹立
實行等ニ付テ、私ノ先刻申上ゲマシタ趣旨
ガ、大變氣長ニ考ヘテ居ルカノ如クニ御聽
取リニナッタヤウデアリマスケレドモ、先刻
申上ゲマシタノハ、只今ノ所ハサウ云フ程
度ニ考ヘテ居ルト云フコトヲ申上ゲタノデ
アリマシテ、段々御意見ノ如クニ、兎ニ角
業界ニ「センセーション」ト申シマスカ、非
常ニ影響ヲ現ニ與ヘテ居ル問題デアリマス
ルカラ、サウ云フ點カラ見マシテモ、-日
モ早ク是ハシッカリ方針ヲ立テテ、五年ノ準
備期間ト申シマシテモ、是ハ出來得ル限リ、
早ク轉業ニスベキモノハ轉業ニ導イテ行ク
ヤウニ、努力ヲスル必要ガアルト思フノデ
アリマス、サウ云フ風ニ考ヘテ居リマス、
又此方針ノ樹立ニ付テハ、漁業ニ當ッテ居
ル專門ノ方等ニ十分ニ聽イタラ宜イデハナ
イカト云フ御說モ、大體同樣ニ考ヘテ居リ
マシテ、マア私ノ考デハヤハリ地方廳ノ人
デアリマスルトカ、或ハ漁業組合ノ人デア
リマストカ、水產會ノ人デアリマストカ、
地方ニ所謂何處ノ漁場ハドウ云フ風デアッ
テ、ドウ云フモノガ居ルカト言ッタヤウナ
コトニ非常ニ明ルイ人ガ大抵ハ居ルヤウデ
アリマスカラ、サウ云フ方面ノ方トモ能ク
相談ヲシテ行クコトガ適當ダト左樣ニ考ヘ
テ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=5
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006・東條貞
○東條委員 此整理ノ方針ヲ御立テニナリ
マス上ニ付テ、御參考マデニ申上ゲテ置キ
タイト思ヒマス、地方ニ依ッテハ全然整理ト
云フコトヲ念願ニ置カズニヤッテ居ル地方
ガドチラカト云フト多イ、大部分ガサウダ
ト言ッテ宜シイカト思ヒマスガ、地方ニ依ッ
テハ沿岸漁業トノ摩擦ト云フ方面、及ビ魚
族保護ト云フヤウナ關係カラ整理ヲセネバ
ナラヌ、ソレデ案ヲ地方廳ガ立テマシテ、
サウシテズット整理ヲシテ參ッテ居ル地方モ
アルノデアリマス、北海道ノ如キハ昭和元
年ニハ二百八十一艘、ソレガ段々ト整理ヲ
シテ參リマシテ、色ンナ規定ヲ設ケテ、例へ
バ船ヲ改裝致シマス場合ニ、噸數ヲ減ゼシ
ムルトカト云フヤウナ方法デ段々ト減ジマ
シテ、昭和十年ニハ百九十七艘トナリ、八十
四艘ト云フモノヲ、北海道廳ノ手デ整理シ
テ居ルノデアリマス、ソレカラ他ノ地方ヲ
見マスルト云フト、全國的ニ殆ド殖エテ居
リマス所ガ多クテ、茨城、三重、香川、大分
ソレカラ鹿兒島、此五縣ハ多少ヅツ減ッテ
居リマスガ、餘ハ非常ニ殖エテ居リマス、
斯ウ云フ風ニ旣ニ地方廳ガ沿岸漁業トノ關
係ヲ考ヘテ、出來ルダケ整理ヲシテ參リマ
シタ地方ニ於キマシテハ、旣ニ農林省ガ御
考ニナッテ居リマスル整理ト云フコトヲ、今
マデニ或程度行ッテ來テ居ル、ソレカラ多少
ノ摩擦ガアリマスル方面ニ於キマシテモ、
出來ルダケ紛爭ヲ起サシメナイヤウニ、沿
岸漁業者ノ組合ト底曳網ノ組合トガ協定ヲ
致シマシテ、サウシテ禁止區域ノ境界ニハ
浮標ヲ入レテ之ヲ明ニシ、サウシテ此區域
ヲ侵サヌヤウニスルト云フヤウナコトヲ、地
方廳ノ斡旋ニ依ッテズットヤッテ來テ居ルノ
デアリマス、現在デハ北海道ノ太平洋沿岸
ノ一部ノ如キハ、機船底曳網ト沿岸漁業者
ノ間ニ、色々ナ問題ノ起リマスルノハ、北
海道自體ノ船デナクシテ、靑森縣デアリマ
スルトカ、或ハ宮城縣デアリマスルトカ云
フヤウナ、他ノ方面デ許可ヲ受ケテ居リマ
スル船ガ此地方へ參リマシテ、サウシテ禁
止區域ヲ犯ス、ソレガ爲ニ問題ヲ起ス、中
中捕マラヌノデアリマスガ、偶ニ捕マヘテ
見ルト、北海道ノ船デナクシテ、內地ノ方
カラ來タ船デアルト云フヤウナ事實ガア
ル、昨日モ伺ヒマシタガ、詰リ底曳ノ仕事
ヲシテ居ル無許可ノモノガ、全國デハ六七
千モアル、許可ヲ得テ營業ヲ致シテ居リマ
スルモノガ約二千六百、船ノ大キサナドハ
違フカモ知レマセヌガ、無許可ノモノガ其
倍以上モアルト云フヤウナ狀態デアリマ
ス、此底曳ト沿岸漁業トノ摩擦ト云フモノ
ハ、全體的ニ見マスルト云フト、先ヅ無許
可デヤッテ居リマスルモノヲ絕滅ヲスルト
云フコトガ先決問題デアッテ、之ヲ絕滅シテ
了ヒマスルナラバ、或ハ當然許可ヲ受ケテ
公々然トヤッテ居リマスルモノハ、殆ド整理
ヲシナクテモ宜イ、或ル特別ノ沿岸漁業ト
ノ摩擦ノ激シイ地方ダケヲ幾分ノ整理ヲス
しく、其他ハ殆ド整理ヲシナクテモ濟ムト
云フ狀態ニナルノデハナイカト思フノデア
リマス、何シロ許可ヲ得テ居ルモノノ倍以
上モ、無許可ノ底曳ヲヤッテ居ルモノガアル
ト致シマスルナラバ、詰リ許可ヲ受ケテ居
ルモノヲ整理スル前ニ、此無許可ノモノノ
取締ガ完全ニ行ハレナケレバナラヌト考ヘ
ルノデアリマスガ、此點ハ如何樣ニ御考ニ
ナッテ居リマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=6
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007・原辰二
○原政府委員 其點モ分科會デ色々御質問
ガアリマシテ申上ゲタコトデアリマスガ、
御話ノ如ク無許可ノモノガドレダケアルカ
ト云フ數ガ、第一ハッキリシナイノデアリ
マスガ、相當アルコトハドウモ事實ラシイ
ノデアリマス、ソレヲ打捨テテ置イテ、正當
ニ許可ヲ受ケタ底曳バカリ減ラスコトヲ考
ヘルノハ、順序ガ轉倒シテ居ルヂヤナイカ
ト云フ御話ハ御尤モダト思フ、私自身モサ
ウ云フ風ニ考ヘルノデアリマスガ、併ナガ
ラ此無許可ノモノヲ先ヅ無イヤウニシテシ
マッテカラデナケレバ、底曳ニハ手ガ著ケラ
レナイト云フコトデハ暇モ掛リマセウシ、
必シモサウ云フ風ニ順序ヲ追ハナクテモ宜
イノデハナイカト云フ風ニ考ヘマス、言ヒ
換ヘマスト、底曳ノ整理ト云フコトハ、同
時ニ此無許可ノ取締属行ト云フコトヲ、不
可分ノ關係ニ於テ考ヘル必要ガアルト云フ
風ニ考ヘマシテ、ソレデ斯ウ云フ無許可ノ
取締、又許可ヲ受ケタ者デモ禁止區域ノ侵
犯デアリマストカ、禁止期間ノ違反トカ云
フヤウナ違反事件ガ、マダ〓〓少ナクナイ
ノデアリマスカラ、サウ云フ問題モ一〓ニ
取締ル意味ニ於テ、取締方面ノ强化ヲ圖ル
ト云フコトハ、是ハ絕對的ニ必要デアル、
斯樣ニ考ヘテ、サウ云フ方針モ整理方針ノ
一ツト致シマシテ、具體案モ進メテ參リタ
イ、左樣ニ考ヘテ居ル次第デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=7
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008・東條貞
○東條委員 此取締ニ關シテ整理ヲスルト
同時ニ、取締ヲ大ニ嚴重ニスルト云フ御話
デアリマスガ、是ハ實際中々困難ナコトデ
アリマシテ、農林省ニ多數ノ優秀ナ取締船
ガアル譯デモナケレバ、地方廳ニ於キマシ
テモ速力ノ速イ取締船ヲ多數ニ造ルト云フ
コトハ、先ツ絕對ニ困難ト言ッテ宜イト思
フノデアリマス、ソコデ私斯ウ云フコトヲ
考ヘルノデアリマス、詰リ今日所謂準戰時
時代ト云フ意味ニ於キマシテ、國民ハ非常
ナ犠牲ヲ拂ッテモ軍備ノ充實ヲ圖リ、又軍部
モ國民生活ノ實際ニ對シテ非常ニ心配ヲサ
レマシテ、殊ニ農漁村ナドノコトニ付キマ
シテハ非常ニ同情モ持チ、心配モシテ居ラ
レル、海軍ニハ御承知ノ小サナ非常ニ速力
ノ速イ水雷艇ノヤウナモノガアル、是ハ皆
各〓相當ナ任務ヲ持チ、相當ナ仕事ヲシテ
居ラレルノデアリマスケレドモ、場合ニ依ッ
テ多少其力ヲ割イテ、斯樣ナ產業上ノ重要
問題ニ付テハ、幾分カ手傳ヲシテ吳レル位
ノ好意ハ持ッテ居ラレルノデハナイカト私
考ヘマス、若シ法規ニ反シタ、國法ヲ犯シテ
ヤリマスル所ノ、要スルニ非合法ナ漁業ヲ
ヤッテ居ルモノニ對シテ、國ガ取締ノ必要上、
海軍ニ御賴ミヲシテ其船ヲ借リテ、或ル時
期監視ヲスルト云フコトニナリマスト、御承
知ノ如ク非常ニ速力ガ速イノデ、密漁ヲヤッ
テ居ルモノガ逃ゲル暇ガナイ、ソレカラ國
民ノ軍隊ニ對シマスル特別ノ觀念ト云フヤ
ウナ上カラ、サウ頻々トヤリマセヌデモ、今
度ハ水雷艇ガ時々監視ニ來ルノダト云フコ
トガ、一般ノ間ニ知レマシタダケデモ、餘
程法規ヲ犯スモノノ數ガ減ルデアラウト思
フ、何處カノ海面ニ豫知サレナイ時期ニ、
不意ニ年ニ一二囘デモ三囘デモ水雷艇ガ
行ッテ、之ニ取締官憲ガ乘ッテ法規ヲ犯シテ
居ルモノヲ捕ヘテ、處罰スルト云フヤウナ
事實ガ、世ノ中ニ知ラレルヤウナコトニナ
リマスト、非常ニ取締ノ上ニ效果ガアルト
考ヘルノデアリマスガ、サウ云フコトヲ御
考ニナッタコトガアリマスマイカ、又海軍ノ
方デドウ云フコトヲ言ハレルカ分リマセヌ
ケレドモ、農林省ノ方カラ海軍ニ懇請サレ
ル御考ハアリマスマイカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=8
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009・原辰二
○原政府委員 取締ニ付テ色々ノ御注意的
ナ御意見ガアリマシタガ、能ク〓究シテ見
タイト思ヒマス、御承知ノ通リニ現在デ
モ、海軍ノ艦艇乘組ノ將校ニ限ッテ居リマ
シタガ、同時ニ漁業ノ取締官吏ノ資格モ持ッ
テ居ルヤウニ、法制上制度ハ出來テ居ルノ
デス、ソレデアリマスカラ、從來其漁業法
ノ規定ヲ活用致シマシテ、海軍ノ軍人サ
ンニ漁業ノ取締ノ手傳ヲシテ貰ッテ居ルノ
ハ、現ニ露領漁業ノ場合ニハ、每年出動シ
テ協力シテ貰ッテ居ルノデアリマス、サウ
言フ露領以外ノ關係ニ付キマシテモ、色々
ト協力シテ戴クノモ或ハ一案カトモ考ヘマ
スノデ、其點ハ能ク〓究シテ見タイト思ヒ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=9
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010・東條貞
○東條委員 サウ致シマスルト、要スルニ
大體ノ方針ハ、先程伺ヒマシタ、詰リマア
五箇年程度ノ猶豫期間ヲ與ヘル、ソレカラ
大體マア半數乃至少クトモ一千艘位ハ整理
スル、ソレカラ適當ノ轉業ノ指導ヲシテヤ
ルト云フヤウナ御方針デ、サウシテ今後ニ
於テ其地方々々ノ實際ノ狀況ヲ能ク御調査
ニナリ、又其地方ノ地方廳デアリマストカ、
水產關係ノ團體等ノ意見モ聽キ、其上デ實
行案ヲ定メテ、今申シタ大體方針ニ基イテ
整理ヲサレテ行クノデアルト、斯樣ニ了承
致シマシテ宜シウゴザイマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=10
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011・原辰二
○原政府委員 其通リ御諒承ヲ戴キタイト
思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=11
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012・東條貞
○東條委員 大體分リマシタガ、轉業ニ付
キマシテ機船底曳ニ使ッテ居リマス船ヲ、沿
岸漁業ニ使フト云フコトニナリマスト、少
シ船ガ大キ過ギル、沿岸漁業ニ轉業スルト
云フ場合ニハ、船ヲ取換ヘナケレバナラヌ
ト云フ必要ガ生ズル、ソレニ對シテマア建
造費ノ二割位ノ補助ヲナサルト云フコト
ヲ、分科會カ何カデ御答辯ニナッテ居リマス
ルガ、今日ノ水產業者、殊ニ底曳網業者ノ
實情カラ致シテ、今持ッテ居ル船ヲ何トカ
處分シナケレバナラヌ、整理ノ爲ニ處分ヲ
スルト云フコトニナリマスレバ、中々サウ
好イ値ニハ賣レマセヌ、サウシテ一方新シ
イ船ヲ造ラナケレバナラヌ、ソレニ僅カ二
割位ノ補助ヲ貰ヒマシタノデハ、假ニ沿岸
漁業ニ轉業致シマスル積リデアルト致シマ
シテモ、中々實行不可能ナコトダト思フノ
デアリマス、此轉業指導ト云フコトニ付テ
ハ、多少地方的ノ事情モアリマセウケレド
千、大體ドウ云フ風ニ御指導ニナリマス御
方針デアリマスカ、ソレヲ伺ッテ置キタイト
思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=12
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013・原辰二
○原政府委員 轉業ノ指導ニ付キマシテ
ハ、是モヤハリ地方々々ノ事情ニ依リマシ
テ、ドウ云フ他ノ漁業ニ移ッタラ宜イカト云
フコトガ、ソレ〓〓違フダラウト思ヒマス、
大體ノ見當ト致シマシテハ、底曳ヲ廢メテ
沿岸漁業者ト一〓ニ、所謂底曳以外ノ漁業
ヲ沿岸デ營ムノト、ソレカラ寧ロ大型船ト
申シマスカ、所謂遠洋ノ漁業ニ進出スル向
キニハ、ソッチノ方ニモ指導ガ出來ルヤウニ
考ヘテ居ルヤウナ次第デアリマシテ、是ハ
又廢メテ轉業スル人ノ希望モゴザイマセウ
シ致シマスカラ、其邊ヲ能ク實情ニ適應シ
タヤウニ指導致シテ參リタイ、左樣ニ考ヘ
テ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=13
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014・東條貞
○東條委員 遠洋ノ方面ニ付テノ御話デア
リマスルガ、其遠洋ノ方面トハドウ云フ意
味ヲ含ンデ居ラレマスカ、ソレヲ御伺致シ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=14
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015・原辰二
○原政府委員 十二年度ノ豫算ニ計上シテ
居ル轉業資金ノ說明ニナル譯デスガ、大體
遠洋ト申シマシテモ、船ノ大キサニシマシ
テ五六十噸位ナ船デ出得ル範圍ノモノガ、
比較的取付キ易イノヂヤナカラウカ、鮪、鰹
漁業ノ如キ、サウ云フモノヲ一應考へテ居
リマスガ、ソレハ又實情ニ依リマシテモッ
ト遠クヘ乘出シテ、南洋方面デアリマスト
カ、印度洋方面デアリマストカ云フ方面へ
-ドウセ轉業スルナラ一ツソッチノ方ニ
方向轉換シテ見タイト云フ人ガアレバ、サ
ウ云フ方面モ成ベク指導ヲシテ向イテ行ケ
ルヤウニ考ヘテヤリタイ、斯樣ニ考ヘテ居
リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=15
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016・東條貞
○東條委員 サウ云フコトニナリマスルト
云フト、尙更、現在漸ク經營致シテ居リマ
ス底曳業ヲ廢メテ、サウシテ比較的大キナ
完全ナ設備ヲシタ船ヲ造ッテ、サウシテ大キ
ナ資本ヲ要スル漁業ニ從ハネバナラヌノデ
アリマスガ、ソレガ僅ニ二割位ノ補助デ出
來得ルト御考ヘニナッテ居リマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=16
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017・原辰二
○原政府委員 サウ云フ大型-ト申シマ
スカ、大キナ船ニナリマスト云フト、御說
ノヤウニ相當巨額ナ建造費ガ要ル譯デアリ
マスガ、ソレニ對シテ二割デ宜イカト云フ
點ハ、正直ニ申セバ私自身トシマシテモ、
實ハ自信ハ持ッテ居リマセヌ、是ハ大藏省ノ
方ト又ヨク相談モシ、當業者ノ實情モ亦ヨ
ク見マシテ、將來ハ考慮シテ參リタイト思
ヒマス、是モ御參考ニ一寸申上ゲマスガ、
遠洋漁業奬勵法ト云フノハ古クカラゴザイ
マシテ、其法律ニ依ッテ每年豫算ノ範圍內
ニ於テ、百噸以上ノ船ヲ建造シテ、遠洋漁
業ニ從事スル者ニハ、建造費ノ二割ヲ補助
スル、最高二割ト云フコトニナッテ居リマ
スカ、此豫算モ實ハ此底曳ノ轉業ニ使フコ
トモ一案ダラウト思フ、此豫算ニ付キマシ
テモ、現在ノ所僅ニ二隻分シカ豫算ガ認メ
テ吳レマセヌノデ、此漁業ノ發展ノ趨勢ニ
應ジマシテ、底曳ノ問題ガナクテモ此遠洋
漁業奬勵金ハ、私共ノ考トシテハモットモッ
ト數モ割合モ殖ヤス必要ガアルヤウニ考ヘ
テ居リマス、況ヤ玆ニ底曳ノ整理ト云フ問
題ト關聯シテ、之ヲ考ヘテ見マスト云フト、
御說ノ通リ是位デハドウモ少シ少イノヂヤ
ナカラウカト云フ氣持ハ、實ハ持ッテ居ル譯
デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=17
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018・東條貞
○東條委員 此轉業ニ付キマシテハ、私共
考ヘマスルト、南ノ方ノ船ハ鬢長鮪ニ轉業
ヲサセル、北ノ方ノ船ハ「ベーリング」方面
ノ沖取ニ轉業サセル、此二ツノ案ヨリ無イ
ヂヤナイカト思フ、農林省ハ三箇年ノ豫定
デ「ベーリング」方面ノ試驗ヲサレテ居ルヤ
ウデアリマスガ、其成績ノ具體的ノコトハ
承リマセヌケレドモ、アチラヘヤリマスナ
ラバ無論立派ニ生活ガ立ッテ行キ得ルコト
ガ分リ切ッテ居ル、ソレカラ又鬢長鮪ニ轉業
サセマシテモ、寧ロ場合ニ依ッテハ底曳網ヲ
ヤッテ居ルヨリモ、好イ結果ガ得ラレルヂヤ
ナイカト思フ、サウシテ何レモ日本ノ產業
ノ一大躍進ト申シマスカ、非常ナ產業ノ發
展ニナル譯デス、唯亞米利加ノ神經ヲ刺戟
スルト云フ意味ニ於テ外務省、農林省共ニ
多少愼重ナル態度ヲ執ッテ居ラレルヤウデ
アリマスガ、斯樣ナコトハ遠慮ヲ致シテ居ッ
タカラト言ッテドウモソレガ爲ニ-日本
ガ遠慮シテ吳レルカラト言ッテ大シタ利益
ガアル譯デモナカラウシ、又之ヲヤリマシ
タカラト言ッテ、ソレガ爲ニ日米ノ國交ガ紛
糾スルコトモナイト考ヘマス、此方面ニ轉
業セシメルト云フコトデアリマスナラバ、
マアアノ邊マデ出テ行クト云フコトニナリ
マスレバ幾ラカ大型ノ船ヲ要スルノデアリ
マセウケレドモ、マア母船ガ附イテ行クコ
トデアリマスカラ、慣レテ居リマスモノハ、
詰リ現在北千島、太平洋アタリデヤッテ居
リマス實績ニ見マシテモ、船ノ改造ヲセヌ
デ今ノ船ヲ其儘持ッテ行ッテ、何處ヘデモ所
謂出漁スルコトガ出來ルト云フコトニナリ
マスガ、之ニ對シテノ御考ハ如何デゴザイ
マスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=18
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019・原辰二
○原政府委員 御說ノ通リニ沿岸以外ノ所
謂遠洋漁業ト申シマスト、マア大體ニ於テ
南カ北ニ行クカ、然ラザレバ最近多少手ハ
著ケテ居リマスガ、南米方面デアリマスト
カ、外國ノ領海へ行ッテヤル漁業デアリマス
ガ、マア大雜把ニ申セバサウ云フ所ヘ伸ビ
テ行クヨリ實ハ餘地ガナイ譯デアリマス、
「ベーリング」「アラスカ」方面ノ漁場ヲ、ド
ウ云フ風ニ將來利用スルカト云フコトハ、
マダ何トモ申上ゲ兼ネマス、ト申シマスノ
ハ外務省、農林省ガ非常ニ亞米利加ニ氣兼
ネシテ、消極方針デアルカノ如クニ御話デ
ゴザイマスガ、マア農林省トシマシテハ
日モ速ク、アソコヲ日本人ノ手ニ依ッテ開發
スル必要ガアルト云フ風ニ考ヘマシテ、寧
ロ積極的ナ考ヲ持ッテ居ルノデス、唯其遠隔
ナ所デアルダケニ無方針ニ許可スル譯ニハ
行キマセズ、現ニ昨年初メテデアリマシタ
ガ、農林省デ調査ヲシテ見マスト、此邊ヘ
行ケバキット澤山居ルダラウト思ハレタ所
ニ案外居ナカッタリ、斯ウ云フ所ニハ餘リ居
ラナイダラウト思ッタ所ニ案外居タリスル
ヤウナ結果モ、唯一年ノ模樣デアリマスカ
ラ、モウ少シ繼續シナクテハハッキリ申上
ゲラレナイト思ヒマスケレドモ、サウ云フ
ヤウナ事情モゴザイマシテ、ドウモ是ハ或
ル程度調査ヲシテ見當ヲ付ケテ、サウシテ
又許可ノ方針ヲ立テマシテソレカラト云フ
順序ヲ履マザルヲ得ナイト思ッテ、今其順序
ニ從ッテヤッテ居ルヤウナ譯デゴザイマシ
テ、決シテアスコハ亞米利加ガ喧シイコト
ヲ云フカラソレニ氣兼ヲシテ、行キタイノ
ダケレドモ行カナイト云フヤウニ消極的ニ
考ヘテ居ル譯デハ決シテゴザイマセヌ、其
事情ヲ御諒承願ッテ置キタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=19
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020・東條貞
○東條委員 サウ致シマスルト、調査ガモ
ウ少シ進ンデ、大體ニドノ方面ニ行ケバ獲
レルノデアルト云フ見當ガ付クヤウニナッ
タナラバ、積極的ニ日本人ノ手ニ依ッテ「ア
ラスカ」「ベーリング」方面ノ海田ノ開發ヲ
ヤラナケレバナラヌト云フ方針デ居ラレル
ト云フコトハ、大變國家ノ爲ニ結構ナコト
デアリマス、若シサウ云フ御方針デ進マレ
ルト致シマスレバ、モウ無論魚ノ多イコト
ハ分リ切ッテ居ルノデアリマスカラ、本年直
チニトハ行キマセヌデモ、近イ將來ニ其實
現ノ機會ガアルト考ヘルノデアリマス、サ
ウ云フ場合ニハ此汽船底曳網ノ整理ナドハ
此方面へ御向ケニナルト云フコトデアレバ
寧ロ喜ンデ行クシ、又樂ニ行クダラウ、又
日魯漁業ノ如キモ「カムチヤッカ」ニ於ケル
仕事ガ、露西亞トノ關係ガ中々面倒ニナリ、
サウシテ色々ト困難ナ事情ガアルヤウデア
リマス、又一面ニハ漁獲ノ保護ト云フヤウ
ナ上カラ、漁獲ヲ自制シナケレバナラヌヤ
ウナ情勢モ追々出來テ來ルノデ、斯ウ云フ
モノニハアチラノ方面ニ進出ノ機會ヲ與ヘ
ラレルナラバ、非常ニ宜イノヂヤナイカト
云フ考ヲ持ッテ居リマスルノデ、或ル程度ノ
御調査ガ進ミマシタナラバ、成ベク急速ニ
向フノ方ニ對シテ日本人ノ進出ヲ寧ロ役所
ガ手ヲ引イテ指導サレルト云フヤウニヤッ
テ戴キタイト考ヘルノデアリマス、此點ニ
付テモウ少シ御考ヲハッキリ伺ヘバ大變結
構デアリマス
ソレカラ次ニハ私共ノ知識ハ地方的デア
リマシテ、全般ノコトハ分カラヌノデアリ
マスガ、機船底曳網ノ整理ヲ行ヒマシタナ
ラバ、漁獲高ト云フモノハ非常ニ減ルノヂ
ヤナイカ、沿岸漁業デト云フコトヲ申シマ
スルシ、摩擦ト云フ上カラ考ヘレバ、底曳
網ガ獲ラナケレバ沿岸漁業民ガ獲ルノダト
考ヘラレマスルカ知リマセヌガ、私ハサウ
單純ニハ行カヌト思フ、殊ニ比較的ニ安イ
魚所謂大衆向ノ魚ハ、機船底曳網ノ漁獲
物ガ多イノデアリマスルガ、此數ヲ殆ド半
分ニスルトカ三分ノ一ニスルトカ云フコト
ニ相成リマシタナラバ、地方的ニハ大衆向
ノ魚ト云フモノハ、非常ニ減リマシテ價格
モ高クナリ、細民階級モ非常ニ困ルヤウナ
狀態ニナリハセヌカト考ヘマス、此需給關
係ニ付テノ御見込ハドウデアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=20
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021・原辰二
○原政府委員 底曳ヲ整理スル結果、大衆
向ノ魚ノ供給ガ非常ニ少クナリハシナイカ
ト云フコトハ、時々伺フ問題デアリマスガ、
私共ハ底曳ヲ先程申シマシタヤウニ、或ル
程度整理ヲ致スコトニナリマスト、魚族ノ
生產力ト云フモノガ非常ニ增加ヲスルト云
フ風ニ考ヘルコトガ一ツ、隨テ底曳デ獲ッテ
居ル位ナ分量ハ底曳以外ノ、言ヒ換レバ沿
岸漁業トシテ十分ニ獲レルヤウニナルデア
ラウ、サウ云フ風ナ見込ヲ持ッテ居リマスコ
トト、ソレカラ又底曳デナケレバ、ドウシテ
モ獲レナイト云フ風ナ魚類ハ、是ハ沿岸漁
業者トモ磨擦ナク、又資源ノ維持上差支ナ
イ程度ニ於テハ、底曳デヤハリ獲ラセルト
云フ考デ居リマスカラ、極ク極端ニ申セバ
整理ヲ一時ニヤリマスト、其結果ト致シマ
シテ、一時的ニハ一寸漁獲高ノ減少ト云フ
コトガナイトモ限リマセヌケレドモ、只今
申シマシタヤウニ相當期間ヲ掛ケマシテ、
其間ニボツ〓〓轉業ヲ指導ニ依ッテヤラセ
ルト云フ風ニ考ヘテ居リマスカラ、大衆向
ノ魚ガ非常ニ減ルト云フコトハ、私共ハ考
ヘテ居ラヌノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=21
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022・東條貞
○東條委員 是モ外國トノ契約關係ニ關係
ヲ持ッテ居リマスガ、海獸ノ保護ニ關シマシ
テハ、亞米利加ト露西亞トノ條約ガアリマ
スノデ、アレノ爲ニ中部千島ガ殆ド拘束サ
レテ居リマスノミナラズ、北千島「カムチ
ヤッカ」方面全體ニ亙リマシテモ、魚族ノ保
護ト云フ上カラ、非常ナ被害ヲ蒙ッテ居ルコ
トヲ考ヘル、アレヲ御取止メニナッテ中部千
島ヲ開放サレル御考ハアリマセヌカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=22
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023・原辰二
○原政府委員 中部千島開放ニ付キマシテ
ハ、只今ノ所具體的ニハ考ヘテ居リマセヌ、
唯理想ト致シマシテハ、是非サウ云フ風ニ
シナクチヤナラヌモノデアラウト云フ風ニ
考ヘテ居リマス、隨ヒマシテ御話ノ獵虎、
膃肭臍ノ保護條約ノ取扱ニ付キマシテモ、
成ベク速ク條約締約國トノ間ニ話ヲ付ケタ
イト、斯ウ云フ意味ニ於テ外務省トモ色々
相談ヲシ交渉ヲ進メテ居ル譯デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=23
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024・東條貞
○東條委員 豫算分科會デアリマシタカ、
政府委員ノ御答辯ニ依リマスルト、北千島
ノ整理ハ主トシテ魚族保護ト云フ點カラ必
要デアルト云フヤウニ考ヘテ居ラレルヤウ
デアリマスルガ、北千島ノ統制ト云フコト
ニ付テ、統制ノ必要デアル理由トシテ、ド
ウ云フ點ヲ御考ニナッテ居リマスカ、ハッキ
リ伺ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=24
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025・原辰二
○原政府委員 北千島ノ漁業統制ノ狙ヒ所
ト申シマスカ、御話ノ如ク魚族ノ資源維持
ト云フコトガ第一デアルト、斯樣ニ考ヘテ
居リマス、ト申シマスノハ御承知ノ通リニ、
北洋ニ於ケル鮭鱒ト云フ最モ貴重ナル魚類
ノ回游狀況ト云フモノハ、「カムチヤッカ」ノ
東ノ方面カラ廻ッテ來マシテ、サウシテ「カ
ムチヤッカ」ノ東側ノ「クロノッキー」岬ノ方
面ニ打突カッテ來テ、ソレガ南下ヲシテ北千
島ノ幌莚島ノ、アノ海峽ヲ橫切ッテ「カムチ
ヤッカ」ノ西側ニ出ルト云フコトガ、從來ノ
農林省ナリ又北海道廳ノ調査ニ依ッテ、大體
見當ガ付イテ居ルノデアリマス、所ガ其鮭
鱒ノ囘游ノ「コース」ノ間デ、丁度幌莚ノ南
及ビ北ノ兩側、卽チ其兩側ノ海峽ノ比較的
狹イ場所ニ、一時魚ガ停滯スル時期ガアル
ノダサウデ、其時期ヲ目蒐ケテ北千島ノ所
謂流シ網ト云フモノデ漁撈ヲスルト云フコ
トガ、魚ノ資源維持上非常ニ困ル、斯ウ云
フ問題カラ幌莚海峽ノアノ狭イ所デ、二百
艘モ操業ヲサセルト云フコトハ、ドウモ資
源維持上面白クナイ、二百艘ノ許可ト云フ
モノハ、是ハ直チニ整理ハムヅカシイニ致
シマシテモ、モウ少シ操業ノ方法ヲ變ヘサ
セテ許可ヲスルトカ、或ハ漸次出來得レバ
流シ網ノ數ヲ減ラス、或ハ船ノ數ヲ減ラス
以外ニ、操業ノ期間モモウ少シ調整ヲスル
必要ガアラウ、サウ云フ風ナ色々ナ點ヲ考
ヘテ居ル譯デアリマシテ、能ク北千島ノ漁
業ニ關スル行政事務ヲ、農林省ニ所謂移管
ヲスルト云フコトヲ、移管其モノガ農林省
ノ目的デアルカノ如クニ傳ヘラレテ居リマ
スケレドモ、農林省ノ主タル狙ヒ所ハ、移
管其モノデハゴザイマセヌデ、今申シマシ
夕魚族ノ資源維持ノ爲ニ統制ヲ取ルト云フ
コト、其モノガ主眼デゴザイマスカラ、其
處ハ誤解ノナイヤウニ御諒承ヲ願ヒタイト
思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=25
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026・東條貞
○東條委員 北千島ヘ來テ魚ノ停滯致シマ
スル時期ハ、何時頃デゴザイマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=26
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027・原辰二
○原政府委員 ソレガ丁度六月ノ下旬カラ
七月ニ掛ケテ、所謂北千島ノ流シ網漁業ト
云フモノガ操業ヲシテ居ル其時期ナンデス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=27
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028・東條貞
○東條委員 御話ニ依リマスト、狹イ區域
ニ二百艘モ船ガ居ッテ、其處デ獲ルコトハ濫
獲ニ陷リ、隨テ魚族ノ蕃殖保護ノ上カラ面
白クナイト云フ御見解ノヤウデアリマス
ガ、太平洋ノ沖取ノ方ハ、其實際ノ狀況ヲ
見マスト、四艘ノ母船ガ殆ド十浬位ナ距離
ノ間ニ居リマシテ、ソレガ魚ノ囘游ト一〓
ニズット下ッテ來ルノデアリマス、一方ハ六
十浬位ノ間ニ二百艘モ居ル、一方ハ僅カ十
浬位ノ距離デ魚ト一〓ニ南下シテ行ク魚族
ニ對シテ、獲リマスル關係ヲ見マスルト、
必シモ北千島ノ方ガ多イト云フ判斷ヲ下ス
コトハ、間違ッテ居ハセヌカト考ヘマスガ、
此點如何樣ニ御考ニナリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=28
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029・原辰二
○原政府委員 御話ノ太平洋ノ沖取モ、是
ハ魚族資源ノ爲ニ善イカ惡イカト云フ點ニ
ナリマスト、勿論ヤラヌ方ガ宜イニハ相違
ナカラウト思ヒマス、但シ現在許可ヲ致シ
テ居リマス母船四隻ニ、獨航船ガ百五六十
隻カト思ヒマシタガ、其程度デヤッテ居ル
ノナラバ、資源維持上左程心配ハナイ、サ
ウ云フ見込デヤッテ居ルノデゴザイマシテ、
何故サウ云フコトガ言ヘルカト申シマス
ト、先程一寸申シマシタ「クロノッキー」ヘ目
蒐ケテ囘游シマス魚ガ、相當廣イ幅ヲ以テ
ヤッテ來ルノデスカラ-ソレガ後ハ狭イ
幌筵ノ水道ヘカタマッテ入ルト云フノデア
リマスカラ、要スルニ廣イ海面デ散ラバッテ
獲ルカラ、母船四隻ト獨航船ガ百五六十杯
デアリマシテモ、ソレガ北千島ノ幌筵ノ水
道デ獲ル時ニ較ベテ影響ノ大小ヲ論ジマス
ト、寧ロ北千島ノ流シ網ノ方ガ魚ガカタマッ
テ居ル所ヲ狹イ區域デ掬上ゲルト云フコト
ガ、要スルニ資源ヲ枯ラス所以トシテ、重キ
ヲナスヤウニ考ヘラレル譯ナンデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=29
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030・東條貞
○東條委員 サウ御考ニナリマスコトハ、實
際ヲ御覽ニナラナイ卓上カラ御覽ニナッタ
見方デアリマシテ、成程太平洋デヤッテ居リ
マス區域ハ一千浬カラアリマスケレドモ、
私ガ御尋致シタノハサウ云フ意味デハナイ、
假ニ一千浬カラアル長イ距離デアリマシテ
モ、其全體ニ四艘ノ母船ニ百七十ノ漁船ガ
散ラカッテ居ルノデハナクシテ、魚ハ所謂集
團シテ來ルノデアリマス、此囘游スルノニ附
イテ此四隻ノ母船ガ、結局十浬位ナ間隔デ
居リマシテ、サウシテソレカラ漁船ガ出テ
獲ッテ居ル、魚ガ南下スルノト一〓ニ長イ距
離ヲ南下スルノデアリマスカラ、距離ハ成
程非常ニ廣イケレドモ其集團シテ居ル魚ノ
側ニ附イテ居ッテ、魚ト一〓ニ南下シテ來ル
ノデアリマスカラ、魚ノ集團シテ居ルノニ
對シテ、漁船ガ散バリマス區域ノ上カラ見
マスト、北千島ヨリ餘程密度ガ細カイ、北
千島ハ六十浬バカリノ所ニ二百艘ト言ヒマ
スケレドモ、是ハ六十浬ヨリ外ニハ出ラレ
ナイ、向フカラ魚族ガ來ルト言ッテ追駈ケテ
行ク譯ニハ行カナイ、「カムチャッカ」ニ追ッテ
行ケナイ、其區域內ニ魚ガ來タトキニ獲ルダ
ケデアリマスガ、一方ハ魚ノ移動ト共ニ船
ガ南下シテ居ルノデアリマス、此點ヲハッキ
リ御考ニナラナイト、太平洋ハ廣イ區域ニ
百七十艘、北千島ハ狹イ區域ニ二百艘ト云
フ風ニ單純ニ御考ニナルト、事實トハ全ク
合ヒマセヌ、此點ニ付テノ御調査ハドンナ
風ニナッテ居リマスカ、サウ云フコトハ御調
査ニナッテ居リマセヌカ、詰リ魚ノ移動ト漁
船ノ移動トノ關係ヲ伺ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=30
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031・原辰二
○原政府委員 先程申シマシタヤウニ、大
體「ケーソン」ノ囘游狀況其他ハ、農林省ノ
北洋漁業ノ取締船等ニ依リマシテ、每年出
來ルダケ繼續ヲシテ調べ、又北海道廳ノ監
視船、調査船等ニ於テモ御調ベニナッテ居リ
マスガ、大體最前申シマシタヤウナ結果ヲ
判斷シ得ル材料ガ出テ居ルノデアリマス、
此點ハ東條サンノ御申シノ材料ト能ク後デ
〓究ヲセラレヽバ、御分リニナルノヂヤナ
イカト思ヒマスガ、私ノ方ノ見當ヲ付ケテ
居ル材料ハ、サウ云フ調査ニ基イタ材料デ
ゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=31
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032・東條貞
○東條委員 簡單ニハッキリサセタイト思
フノハ、詰リ四艘ノ母船、百七十艘ノ漁船
ト云フモノハ、魚ノ移動ト共ニ移動シテ居
ルカ、或ハ移動セズ此漁期中一所ニ動カナ
イデ漁業ヲヤッテ居ルカ、此點ダケハッキリ
シテ置キタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=32
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033・原辰二
○原政府委員 御話ノヤウニ魚群ト多少速
度ノ違ヒハアリマセウガ、移動ヲシテ南下
シテ居ルコトハ事實ノヤウデゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=33
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034・東條貞
○東條委員 魚族ノ蕃殖保護ト云フ上カラ
申シマスナラバ、無論一ツモ獲ラナイト云
フコトガ、一番宜イコトハ申ス迄モナイ、併
シ獲ラヌヂヤ居ラレナイカラ、獲リナガラ
出來ルダケ繁殖保護ヲシナケレバナラヌト
云フコトニナルノデアリマス、是ハモウ私
ハ申上ゲル必要ハナイコトデアリマスガ、
是ガ繁殖致シマスルノハ河デアリマス、ソ
レガ單純ナ國內產業デアリマスト、御承知
ノ河デ魚ヲ獲ラセヌ、或ハ人工孵化ヲヤリ
マス所デハ、必要ナダケノ人工孵化ヲ計畫
ヲシテ參ルト云フヤウナコトヲヤッテ居ル
ノデアリマスケレドモ、何シロ露西亞トノ
關係モアリマスノデ、純然タル國內ノ產業
ヲ統制ヲシテ行クヤウナ譯ニハ行カヌノデ
アリマスガ、本來カラ言ヘバ「カムチャツ
カ」ノ河川ノ河口ノ左右ニ、相當ナ距離漁獲
ヲ禁止スル、ソレカラ河ヲ禁漁スルト云フ
ヤウナコトニ致シマスコトガ、一番宜イ方
法デアリマスガ、是ハ中々不可能ナコトデ
アリマス、併シ要スルニ保護繁殖ニ一番ノ
關係ノアリマスノハ、「カムチャッカ」ノ沿岸
ニ於ケル漁獲ガ一番影響スルノデアリマ
ス、ソレカラ今一ツハ北千島ハ純然タル國
內產業デアリマスカラ、外務省方面デ伺ヒ
マスト、北千島ヲ統制ヲシテ置クト云フコ
ト、サウシテ之ヲ將棋ノ駒ヲ扱フヤウニ自
由自在ニ扱フト云フコトハ、露西亞トノ漁
業條約ヲスルノニ非常ニ都合ガ好イ、斯ウ
云フ意味ノコトヲ外務省ノ當局ガ言ッテ居
ラレル、露西亞トノ交涉ノ爲ニ、國內產業ヲ
抑壓スルト云フコトハ、是ハ殊ニ今日ノ場
合餘程考ヘナケレバナラヌコトト私共ハ見
テ居ル、農林省ニ於キマシテモ外務省ト同
ジヤウニ、日露漁業交渉トノ關係カラ、北
千島ノ國內ニ於ケル產業ヲ、制限ヲセンケ
レバナラヌト云フヤウナコトヲ御考ニナッ
テ居リマセウカドウカ、其點ヲ伺ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=34
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035・原辰二
○原政府委員 左樣ナ考ハ農林省トシテハ
持ッテ居リマセヌ、露西亞ノ爲ニ日本ノ國內
產業ヲ掣肘シテ、遠慮スルト云フヤウナ考
デハナイノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=35
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036・東條貞
○東條委員 此北千島ノ統制ト云フ問題ニ
付キマシテハ、是ハ非常ニ難カシイ影響ヲ
及ボスコトダト思ヒマス、何シロ歷史的ニ
見マスト、此處ヲ開發致シマシタ者ハ、「カ
ムチャッカ」カラ追ハレ、太平洋カラ追ハレ
テ、最後ノ場所トシテ此開發ヲ致シマシテ、
相當苦心ヲシテ、昨年邊リ三百万圓近イ收
獲ヲ擧ゲル狀態ニ迄ナッテ來タノデアリマ
ス、之ヲ適當ニ整理嚴選ヲシテ、魚族ノ繁
殖保護ヲ圖ラナケレバナラヌト云フコトヲ
考ヘテ居ラレルガ、私共カラ考ヘマスト、
寧ロ北千島ニ於テ制限ヲシ、嚴選ヲスルト
云フヤウナコトハ、國策ト云フ見地カラシ
テモ執ルベキコトデハナイノヂヤナイカト
考ヘテ居リマス、ソレカラ又日露關係カラ
致シマシテ、若シ「カムチャッカ」ノ沿岸ニ
於ケル漁業ヲ保護スルト云フ上カラ、此處
ノ統制ガ必要デアルトカ、嚴選ガ必要デア
ルトカ言フコトデアルナラバ、何モサウ云
フコトマデシテ、國內產業ヲ抑壓致シマセ
ヌデモ、最前申シタ「アラスカ」「ベーリン
グ」方面ニ向ッテ、「カムチャッカ」ニ於ケル
減收ヲ補フベキ新ナ資源ヲ與ヘテ、サッカル
テ何處マデモ國內產業ノ進展ヲ圖リ、又日
本人ノ斯業ノ飛躍ヲ奬勵スルト云フ行キ方
ニ行クコトガ、國策上必要デナイカ、卽チ
「カムチャッカ」ニ於ケル漁業ヲ保護スル爲
ニハ、北千島ヲ抑壓スルト云フコトヨリモ、
「カムチャッカ」ニ於ケル漁業ガ、十分ナ成
績ヲ擧ゲ得ナイトシマスルナラバ、外ニナ
ケレバ仕方ガナイガ、「アラスカ」、「ベーリ
ング」方面ニ於テ進出スベキ餘地ガアルノ
ダカラ、此代ルベキモノヲ與ヘテ、サウシ
テ「カムチャッカ」デ失フ所ヲ補ハシメル、
サウシテ北千島ノ產業ハヤハリ純然タル國
內產業トシテ、現在ヨリモ之ヲ縮減スルト
云フヤウナコトハ、シナイ方ガ當然デナイ
カ、斯樣ニ考ヘルノデアリマスガ、之ニ對
シテ當局ノ考ハ如何デアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=36
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037・原辰二
○原政府委員 東條サント私共ト根本的ニ
考ハチットモ變ッテ居ラヌヤウデゴザイマス
ガ、唯其方法ニ於キマシテ、少シ意見ガ違
フヤウデゴザイマス、北千島ノ統制問題ハ、
是ハ北千島ニ於ケル鮭鱒漁業ト云フモノヲ
無クシテシマハウトカ、遠慮サセヨウトカ
云フ趣旨デハナイノデゴザイマシテ、北洋
ノ漁業資源ト云フモノハ、モウ「カムチャッ
カ」モ北千島モ、オ互ニ共通ノモノデゴ
ザイマスカラ、共存共榮ニ之ヲ利用スルヤ
ウニ考ヘル、而シテ其方法トシマシテハ先
程申上ゲマシタヤウニ、アノ狹イ水道デ操
業ヲスルト云フコトガ適當デアル、(六)ノ
統制ガ取レマスレバ、北千島ノ漁業其モノ
ノ健全ナル發達モ出來ル、斯樣ニ考ヘテ居
リマスノデ、根本ノ考ニ於キマシテハ、東
條サンノ御說ト私共ノ見ル所ト、大ナル喰
ヒ違ハナイヤウニ考ヘマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=37
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038・東條貞
○東條委員 根本ノ考ハ大ナル違ハナイト
云フ御話ヲ伺ヒマシタノデ、大變結構ナコ
トト思ヒマスルガ、先ヅ北千島ヲ出來ルダ
ケ縮減ヲシナイ方針デ行カナケレバナラヌ
ト考ヘルコトハ、御承知ノコトト思ヒマス
ルケレドモ、實際ニ漁業ニ從事シテ居リマ
スル者カラ見マスルト、北千島ト沖取トハ
大變ナ違ガアルノデス、漁獲致シマシタモ
ノノ値段デモ、御承知ノ通リ五割モ違フ、
此五割ト云フモノガ、要スルニ實際ニアノ
荒海ニ於テ命懸デ漁業致シマスル者ノ純益
ニナル、沖取モ北千島デ致シマスルノモ、
費用カラ言ヘバ大シタ違ハナイ、サウシテ
獲ッタモノノ値段カラ言ヘバ五割カラ違フ、
斯ウ云フ點ヲ能ク御考ヲ願ヒタイト思ヒマ
ス、ソレカラ是モ十分御分リノコトト思ヒ
マスケレドモ、海獸ノ爲ニ澤山ノ魚ガ喰ハ
レテ居ルノデアリマスガ、斯ウ云フ方面ニ
付キマシテモ、何カ適當ナ方法ヲ以テ、海
獸ヲウント獲ラセル、サウシテ例ノ保護條
約ナンカ撤廢ヲシテシマッテ、ドン〓〓海獸
ヲ獲ラセルト云フコトニナリマスレバ、是
モ魚族ノ繁殖ヲ助ケルト云フ上カラ、非常
ニ效果ガアルト思フ、大體ニ於テノ御方針ハ
略〓分ッタヤウデアリマスカラ、細カイコト
ハ此場合申シマセヌ、昨日デシタカ申上ゲテ
置キマシタガ、アノ沿岸漁業ト底曳網ノ摩擦
ニ關スル御調ト、ソレカラ北千島ニ關スル
色々ナ御調ガアリマシタナラバ、是ハ後デ
モ宜シウゴザイマスカラ、モウ少シ詳シク
御話ヲ伺ヒタイシ、資料モ拜見致シタイ、他
ノ委員ノ方ニ對シテモ餘リ長イ時間掛リマ
ストドウカト思ヒマスカラ、此場合ハ此程
度デ止メテ置キマシテ、尙ホ豫算總會及ビ
分科會デ、大臣及ビ次官ガ御答辯ニナッテ居
リマスコトト關聯致シテ居リマスノデ、若
シ大臣ガ御出席ニナル機會ガアリマシタナ
ラバ、其時ニ更ニ簡單ニ質問ヲ致シタイト
思ヒマス、其點ヲ留保シマシテ本日ハ私ノ
質疑ハ是デ一時打切リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=38
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039・紫安新九郎
○紫安委員長 休憩ヲ致シマス、午後一時
ヨリ開會致シマス
午後零時一分休憩
午後一時四十分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=39
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040・紫安新九郎
○紫安委員長 開會致シマス、多田君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=40
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041・多田滿長
○多田委員 私ハ最初ニ簡單ニ總括的ニ質
問ヲシテ見タイト思ヒマス、昨日ノ委員會
デモ質問ガアリマシタガ、我國ノ漁業對策
ニ付テ當局ノ答辯ヲ伺ヒマスト、水產資源
ノ涵養、或ハ增殖上ノ問題ニ付テハ積極的
ニ機船底曳網ノ如キモノニ付テ十分ニ考慮
ヲシテ、稚魚ノ濫獲ヲ防止スル、又他方消
極的ニハ、幼稚ナ漁民ノ知識ヲ啓發スル爲
ニ、指導者ヲ置クト云フヤウナ御話ガアリ
マシタ、固ヨリ日本ノ國情カラ申シマシテ
モ、亦我國ノ漁村ノ疲弊困憊セル狀況カラ
考ヘマシテモ、特ニ積極的ナ方針ヲ講ジテ、
漁村ノ振興ヲ圖ッテ行カナケレバナラヌト
云フコトハ、是ハ申ス迄モナイノデアリマ
ス、所デ只今申サレタヤウナ程度デハ、ド
ウモマダ私共ハ十分滿足スルコトガ出來ナ
イノデアリマス、政府ノ方デハ時局ニ鑑
ミテ水產國策ヲ樹立シタ、併シ財政上ノ見
地カラ是ガ實現ヲ見ルコトガ出來ナカッタ
ト云フ御說明ガアリマシタ、併シ農村ノ疲
弊ニ付テハ、可ナリ適當ナ方策ヲ講ジテ參
リマシタシ、又中小商工業者ニ對シテモ、
相當ノ方法ヲ講ジテ居ルノデアリマスカ
ラ、漁業者ノ疲弊ニ付テハ、特ニ一段ノ力
ヲ盡サナケレバナラヌ時代デアルト、私共
ハ考ヘテ居ルノデアリマス、此時ニ當ッテ實
現ハ見ナカッタケレドモ、水產國策ヲ定メタ
ト云フコトデアリマスナラバ、其大要ヲ
ツ具體的ニ伺ッテ參考ニスルト同時ニ、漁村
民ニ對シテモ安心ノ途ヲ與ヘテ行キタイ、
斯樣ニ思ヒマシテ、先ヅ第一ニ水產國策ノ
具體的方策ト云フヤウナコトヲ、伺ッテ見タ
イト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=41
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042・原辰二
○原政府委員 水產國策トシテ昨日私ノ
寸申上ゲマシタノハ、沿岸漁業ノ振興ト云
フ問題デアリマシテ、多田サンノ御話ノヤ
ウニ、漁村ノ現狀、漁民ノ現狀等カラ鑑ミ
マシテ、最モ重キヲ置クベキ問題ノ一ツデ
アル、斯樣ニ考ヘテ、昭和十二年度ノ豫算
編成ノ際ニ、國策ノ一ツトシテ提案ヲ致シ
タト云フ事情ヲ申上ゲタノデアリマシテ、
御話ノ如ク之ヲ以テ水產國策ノ全部ト考ヘ
テ居ル譯デハ勿論ゴザイマセヌ、而シテ水
產國策トシテ廣ク考ヘテ參リマスルト、色
色ナ施設ガ考ヘ得ルノデアリマス、沿岸漁
業ノ振興、其中デモ特ニ生產力ノ增進ヲ圖
ルト云フ施設ハ、昨日申上ゲタノデアリマ
スガ、此外ニ尙ホ經濟的ニ力ヲ養フ、例
バ漁業組合ノ强化ヲ圖ル、漁獲物ノ販賣ノ
施設、漁業用品ノ購入ノ施設、ソレ等ニ關
聯シテノ漁業ノ金融ノ改善デアリマストカ
〓育ノ刷新ノ問題デアリマストカ、マア數
ヘ擧ゲレバ色々申上ゲル事ハアルノデアリ
マスルガ、マア現下ノ情勢カラ見マシテ、
先ヅ主力ヲ何處ヲ目標ニシテ行ッタラ宜イ
カト云フ、多少緩急ヲ考ヘマシテ、私ノ考
ヘマシタノハ、沿岸漁業ノ振興ノ問題、ソ
レカラ、是ハ遂ニマダ物ニハナリマセヌガ、
金融問題ノ改善、漁業組合ヲ中心トスル漁
村ノ經濟活動ノ增進强化ト云フコトガ、目
下最モ急ヲ要シ、且ツ重要ナ問題デアラウ、
斯樣ニ考ヘテ居ルノデアリマス、主トシテ
是ハ沿岸ノ漁業者ト云フモノヲ對象ニシタ
問題デアリマスガ、又.一面方面ヲ變ヘマシ
テ、大イニ遠洋漁業ノ振興ヲ圖ルト云フ風
ナ施設モ、是レ又漸ヲ追ヒマシテ、出來得
ル限リ速ニ施設ヲスル必要ガアル、現在ノ
遠洋漁業奬勵法ノミヲ以テ、海外漁業ノ發
展ノ施設トスルニハ甚ダ貧弱ニ過ル、サウ
云フ風ニ考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=42
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043・多田滿長
○多田委員 今少シ國策ノ具體的ノコトヲ
實ハ伺ヒタイノデスケレドモ、マア大臣モ
居リマセヌシ、時間モ取リマスカラ、其點
ハ後日ニ讓リマス、此漁業對策ノ中心ヲ、
沿岸漁業ニ置イタト云フコトハ、是ハ洵ニ
結構デアリマス、私共モサウナケレバナラ
ヌト思ッテ居ルノデアリマス、所デ沿岸漁業
ヲ如何ニシテ振興セシムベキヤト云フコト
ハ、昨日來機船底曳網ニ付テノ御質問ガ大
分アリマシタカラ、此點ハ省略致シマスガ、
私ハ主トシテ内海ノ方ヲ中心トシテ考ヘマ
シテ、沿岸漁業ノ中デ、養殖事業ニ付テ今
後力ヲ盡シテ行ク必要ガアラウト存ジマ
ス、私ノ考ヘ方ニ依リマスト、今日ノヤウ
ニ總テノ方面ガ進步シテ參ッタ時代ニ於テ
ハ、魚類ノヤウナモノモ、之ヲ天然自然ニ
委シテ置カナイデ、大抵ノモノハ養殖シテ
行ッタラ宜カラウ、卽チ天然ニ委シテ置クト
云フコトニナリマスト、是ハ自然ニ限リガ
アルト云フコトデ、少シ位ノ保護ヲ加ヘテ
行キマシタ所デ、サウ長イ間ノ生命ヲ持タ
ナイト思ヒマス、隨テ人間ノ力デ盛ニ魚ヲ
作リ出スト云フ譯デハアリマセヌガ、養殖
ヲシテ行ク、譬ヘテ見マスト、淡水魚デハ
現在鰻トカ鯉ノヤウナモノガ盛ニ養殖サレ
テ居リマス、此內海邊リデハ蛤トカ、淺蜊
トカ云フ如キモノハ盛ニ養殖サレテ、非常
ニ多量ニ生產サレテ居リマス、是ト同ジヤ
ウニ總テノ魚ト云フト少シ大袈裟カモ知レ
マセヌガ、多クノ魚類、貝類ト云フモノハ
養殖ヲシテ行ク、サウシテ人間ノ力ニ依ッ
テ、無限ニ之ヲ增加セシメテ行クト云フヤ
ウナ方法ヲ講ジテ行ク必要ガアラウ、時代
ハモウ養殖時代ニ入ッテ居ルト思ヒマス、勿
論此點ニ付テ相當農林省邊リモ力ヲ盡シテ
居ルト云フコトハ、私共能ク承知致シテ居
リマスガ、更ニ一層進ンデ此方面ニ努力ス
ル必要ガアラウト考ヘル、又之ニ依ッテ相
當ノ〓究機關ヲ作ッテ、此點ニ付テハ經費ナ
ドハ惜シマズニ、ドン〓〓ヤッテ行ク必要
ガアラウト思ヒマスガ、此點ニ對スル政府
當局者ノ御見解ヲ、一ツ承ッテ置キタイト思
ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=43
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044・原辰二
○原政府委員 養殖ニ關スル多田サンノ御
考ハ、私共ノ考ト全ク同樣デゴザイマシテ、
御話ノ如ク養殖ト申シマシテモ、魚ノ居ナ
イ所ニ魚ヲ生ミ出ス譯デハゴザイマセヌ
デ、之ヲ自然ノ儘ニウッチヤッテ置カズニ、
要スルニ保護ヲシテ步留リヲ宜クスルト云
フコトニ歸着スル譯デアリマシテ、是ハ人
口ノ增加ト天然ノ儘ニウッチヤッテ置イテノ
魚類ノ增減トカト云フ風ナモノト、色々考
ヘ合セテ見テモ、ドウシテモ所謂人工ニ依ツ
テ保護ヲ加ヘル增殖事業ト云フモノデ、益〓
補ヒヲ付ケテ參ラナケレバ、人間ノ主要
ナ食糧ノ問題ト云フモノハ、解決シナイノ
デハナカラウカ、斯樣ナ考ヲ以テ從來モ出
來ルダケ施設ヲヤッテ居ル積リデアリマシ
テ、今後モ多田サンノ御話ノ通リ、其方面
ニハ國策トスルト否トニ拘ラズ、十分ニ力
ヲ入レテ參ラナケレバナラヌ、斯樣ニ考ヘ
テ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=44
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045・多田滿長
○多田委員 增殖ヲ益〓奬勵スルト云フコ
トハ洵ニ結構デアリマスガ、併シドノ程度
マデ〓究ガ積ンデ居ルカ、又ドレダケノ熱
意ガアルカト云フコトニ付テハ、私ハマダ
少シ疑ガアルノデアリマス、少シ細カイコ
トデスガ、內海デハ蝦ガ能ク獲レマス、近
來都會人ガ蝦ヲ非常ニ食用ニ供シテ、御承
知ノヤウニ靑島、或ハ「メキシコ」ト云フ
ヤウナ各方面カラ、蝦ガ輸入サレテ居ルノ
デアリマス、所ガ何ト致シマシテモ、內海
邊リデ獲レル蝦ハ其味ヒト言ヒ、風味ト言
ヒ、總テ是レニ超スモノハナイノデアリマ
ス、斯ウ云フ品物ハ一ツ何カ適當ナ方法デ
養殖スル途ガアルノデハナイカ、又蟹ノヤ
ウナモノハ、內海デ可ナリ在來獲レテ居リ
マシタケレドモ、都人士ガ非常ニ食ベルヤ
ウニナッテ、隨テ近頃蟹ノ供給ガ足ラズ、値
段モウント上ッテ居リマス、此蟹ノヤウナモ
ノモ養殖ノ途ガアルノデハナカラウカ、獨
リ蝦トカ蟹ト云フヤウナモノバカリデナク
例ヘバ海苔ナドガ此內海デ非常ニ採レル、
此海苔ニ對スル〓究ト云フモノヲ今少シ盛
ニシマシタナラバ、今ノ生產額ヲ二倍ニス
ル、三倍ニスルト云フヤウナコトモサウ困
難デハナカラウト思フノデアリマスガ、ド
ウモ私共寡聞ニシテ是等ノ養殖ガ出來ルト
云フコトヲ聞カヌノデアリマス、斯ウシタ
點ニ對スル〓究ガ十分屆イテ居ラヌノデハ
ナイカ、或ハ費用ガナイカラ、ソレハ出來
ヌノダト仰シヤレバ仕方ガアリマセヌケレ
ドモ、是ハ獨リ蝦ヤ蟹ヤ海苔ト云フヤウナ
問題デナク、全國的ニ考ヘマシテ、總テノ
魚貝ノ種類ニ向ッテ、今御話ノヤウナ保護ヲ
加ヘテ之ヲ繁殖セシムル、卽チモウ自然ノ
力デナイノダ、人ノ力デ總テ一切ヲ解決シ
テ行ッテ、所謂魚族ノ資源ヲ開發シテ行クト
云フコトニ努メナケレバナラヌト思ヒマス
ガ、此點ニ對シテドレダケノ御〓究ヲ爲サッ
テ居ルノカ、更ニ又將來〓究所デモ盛ニ增
設シ、費用モ相當出シテヤッテ行クト云フ
〓意ヲ持ッテ居ルノカ、ドウカ是モ併セテ
伺ッテ置キタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=45
-
046・原辰二
○原政府委員 此增殖ニ付キマシテハ御承
知カモ分リマセヌガ、從來政府ノ水產試驗
場、及ビ各地方ノ水產試驗場ニ於キマシテ、
色々調査ヲシテ參ッテ居ルノデアリマスガ、
其中デ大體斯ウ云フ風ニスレバ種ガ採レ
ル、採ッタ種ヲ斯ウ云フ風ニシテ保護スレ
バ、ソレヲ增殖サセルコトガ出來ル、斯ウ
云フ風ニスレバ此試驗場以外ニ於テモ、十
分養殖事業トシテ民間ニ移シ得ルダラウト
云フ風ナ見當ノ付イタモノカラ、之ヲ實行
ニ移スト云フ順序デヤッテ居ル譯デアリマ
スカ、只今御話ノゴザイマシタ蝦デアリマ
ストカ、蛤トカ、淺蜊、赤貝ト云フヤウナ
貝類、海苔トカ、若布、天草ト言ッタヤウナ海
藻類デアリマストカ、是等ハ大分〓究ガ進
ミマシテ、モウ事業トシテ民間ニ奬勵ヲシ
テヤラシテモ宜シイト云フ見當ガ付キマシ
テ、先程來申上ゲマシタ沿岸漁業振興トシ
テ增殖奬勵ヲ始メル、斯ウ云フ段取ニナッテ
居ルノデゴザイマス、此外ニ於キマシテモ、
例ヘバ蟹ノ如キモノモ、御話ノ如ク需要ガ
益〓殖エルニ拘ラズ、供給ガソレニ伴ハナイ
ト云フコトデ、値段バカリ非常ニ上ッタト云
フヤウナ點ニ鑑ミマシテ、是モ昨年カラデ
アリマスガ、瀨戶內海ノ沿岸ニ昔鹽ヲ採ッ
テ居リマシタ、詰リ鹽田ノ跡地ト云フノガ
ゴザイマス、其處デ養殖ヲスレバ好イ結果
ヲ得ルダラウト云フ見當ヲ付ケテ、只今水
產試驗場デ岡山縣ノ笠岡ト云フ所ニ分場ヲ
設ケマシテ、是ハ殆ド蟹ノ養殖ノ專門ノ試
驗ヲヤル分場ニナッテ居リマシテ、實行シテ
居リマスガ、サウ云フコトニ致シマシテ、
御話ノヤウニ爾餘ノ魚介類ニ付キマシテ
モ、出來ルダケ〓究ヲ進メテ參リタイ、斯
樣ニ考ヘテ居リマス、唯遺憾ナコトハ私共
ノヤッテ見タイ、ヤレバ相當效果ガアルダラ
ウト思ヒマシテモ、中々豫算ヲ取ルノニ思
フヤウニ行キマセスコトハ非常ニ殘念ニ思
ヒマスケレドモ、所謂御話ノ熱意ハ大ニ持ッ
テ居ル積リデゴザイマスカラ、ドウゾ宜シ
ク御願致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=46
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047・多田滿長
○多田委員 サウシマスト蝦ノ性能ト申シ
マスカ、是ハマダ十分〓究ガ屆イテ居ラヌ
ト云フヤウニ聞イテ居リマスケレドモ、モ
ウ蝦ハ人エデ-人工ト言フト何デスガ、
人ノ手ニ依ッテ十分養殖ガ出來ルト云フ程
度ニ至ッテ居ルノデアリマスカ、蟹モ併セテ
一ツ伺ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=47
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048・原辰二
○原政府委員 水產試驗場ノ試驗ノ結果、
蟹ハ今御話致シマシタガ、〓究中デゴザイ
マスガ、蝦ハ大體見當ガ付イタ、實際的ノ
指導ガ出來ルト云フ専門家ニ自信ガアルサ
ウデアリマスカラ、是ハ十二年度カラ民間
事業トシテ大ニヤラセヨウ、斯ウ云フ風ニ
考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=48
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049・多田滿長
○多田委員 洵ニ結構ナ話デアリマスガ、
サウシタ方針デドン〓〓〓究シテ、養殖時
代ヲ實現スルヤウニ御願ヒ致シタイノデア
リマス、同時ニ經費ノ問題ナドヲ今仰シヤ
ラレマシタガ、ドウモ事業ヲヤラレル上ニ
於テ經費ガ足リナイ、是ハ御尤ノコトデア
リマセウ、併シ前申シマシタヤウニ、漁業
對策ト云フコトガ、日本ノ重要ナル國策ト
云フコトヲ考ヘル時ニ方ッテハ、私ハ其熱意
ガアレバヤラレルモノダト思フ、サウ心配
ハナイ、私共モ亦及バズナガラ政府當局者
ト協力シテ、斯ウ云フ點ニハ出來ルダケノ
努力ヲ盡シタイト思ヒマスカラ、今後更ニ
一層其熱意ヲ出シテ、水產業發展ノ爲ニ御
盡力ヲ願ヒタイト思ヒマス、同時ニ沿岸漁
業發展ノ一ツノ方法ト致シマシテ、水質ガ
惡クナルコトハ、本會議デモ多分質問ガア
リマシタデセウ、昨日モ其質問ガアッタト
思ヒマス、工場地ガ段々發展シテ行ク、其
處ニ藥品毒物ガ流レテ行ク、或ハ機械船ガ
段々發展シテ行ク、ソレニ依ッテ汚物油類ガ
流レテ行ク、是ガ爲ニ漁類ノ棲息ヲ不可能
ナラシメルト云フヤウナ事實ガ、モウ既ニ
現ニアルノデアリマスガ、此水質ノ汚毒ヲ
防止スル方法、之ニ付テマダ政府當局カラ、
御答辯ヲ聽カヌノデアリマスガ、出來ルナ
ラバ一ツ水質汚毒ヲ防止スル法律ト云フヤ
ウナモノデモ作ッテ、之ヲ徹底的ニ防イデ、
將來ノ漁業ニ對シテ貢獻スルヤウニシテ行
キタイト、私共ハ考ヘテ居ルノデアリマス
ガ、政府トシテドウ云フ風ニ御考ニナッテ
居ルノカ、此防止法ヲ提案スル積リデアル
ノカ、或ハ又マダ調査中ト云フコトニナッ
テ居ルノカ、調査中デアルトスルナラバ、
ドンナ經過ニナッテ居ルカ、其筋道ダケデ
モ此處デ伺ッテ置キタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=49
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050・原辰二
○原政府委員 水質汚毒ノ防止ニ關スル法
制ヲ必要トスルト云フコトハ、是ハ最早議
論ノナイコトト思ヒマス、多クノ先進國ト
申シマスカ、諸外國デハ多ク既ニ法律モ出
シテ施行ヲ致シテ居ルサウデアリマス、我
國ニ於キマシテモ、一日モ速ク此法律制度
ヲ制定施行スルト云フコトガ、人絹デアリ
マストカ各種ノ工業勃興ニ伴ッテ、モ少シモ
ウ制度ガ遲過ギルト云フ風ニ吾々ハ考ヘテ
居リマシテ、從來モ漁業法、鑛業法、工場
法等ニ於キマシテ、所謂毒水濁水ト云フモ
ノノ流失漏泄ト云フモノヲ禁止スル規定ガ
アリ、又防止ニ付テ相當ノ設備ヲシナケレ
バ工場等モ許可ヲシナイト云フ風ニ一通
リノ筋道ハ立ッテ居リマスガ、實際問題ト致
シマシテハ、ドウ云フ惡水ヲドノ程度流セ
が、魚類ニドノ程度ノ被害ガ生ズルカト云
フ點ノ調査ガ、マダ今日ノ所十分ニ出來テ
居リマセヌノデ、ソレデアリマスカラ實際
問題ガ起リマスト、害ガアルトカナイトカ
言ッテ、議論倒レニ了ルト云フ事例ガ甚ダ多
イノデアリマス、是ハ甚ダ遺憾ナコトデ
アリマスノデ、水產當局ト致シマシテハ、
先ヅ技術的ニ調査ヲシテ、水質ト魚類ノ棲
息、又繁殖等ニドウ云フ關係ヲ持ツカ、影
響ヲ及ボスカト云フ點ヲ一ツハッキリ致シ
マシテ、ソレヲ土臺ニ致シマシテ、速ク法
律ヲ出ス所マデ漕付ケタイト、斯樣ニ考ヘ
テ居ルノデアリマスガ、遺憾ナガラ每年事
務當局ト致シマシテハ、之ニ要スル經費豫
算モ要求ハスルノデアリマスケレドモ、色
色ナ事情ニ依リマシテ、未ダニ其調査中デ
アルト云フコトスラ申上ゲルコトノ出來ナ
イヤウナ、甚ダ遺憾ナ狀態ニナッテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=50
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051・多田滿長
○多田委員 水質汚毒防止ト云フコトニ付
テハ、是ハ當然ヤラナケレバナラナイ、而
モ之ヲ法制化スル必要ガアルト云フコト
ハ當局モ御認メニナッテ居ルノデアリマス、
而モ唯豫算ガ取レナイノデ調査スルコトモ
出來ナイト云フ現狀ニ在ルノハ、甚ダ遺憾
ナコトデアルト云フコトデアリマスガ、私
共モ亦頗ル是ハ遺憾ニ思ヒマス、斯ウシタ
漁業家ニ對スル重要ナ事柄デアリマスカ
ラ、一日モ早ク豫算ヲ取ッテ、モウ既ニ遲イ
ノデアリマスケレドモ、併シヤラザルニ優
リマスカラ、早速一ツ調査ニ取掛ルヤウニ、
サウシテ我ガ漁業者ヲシテ安心セシムルヤ
ウナ處置ヲ講ジテ戴キタイト云フコトヲ希
望シテ置キマス、同時ニ漁船保險ニ關聯ヲ
致シマシテ、漁業勞働者ニ對シテ、社會保
險ヲ考ヘル意思ハナイカト云フコトヲ、此
際伺ッテ置キタイト思ヒマス、御承知ノヤウ
ニ旣ニ自由勞働者ノ大部分ニ對シテハ、相
當扶助ヲ受ケル爲ノ規定ハ出來テ居ルノデ
アリマス、是ハ勞働者災害扶助法、或ハ勞
働者災害扶助責任保險法ト云フヤウナモノ
ハ、既ニ實施サレテ居ルノデアリマス、所
ガ漁業者ダケハ此恩典ニ浴シテ居ラナイ、
數ニシマスレバ六十數万人ノ多キニ達シテ
居ルノデハナカラウカト思フ漁業勞働者、
又一箇年間ノ被災害者數カラ申シマスト、
古イ統計デ今日ノ狀態ハハッキリ致シマセ
ヌケレドモ、先ヅ五千人ヤ六千人ハ罹ッテ居
ルノデハナカラウカト思ヒマス、サウシタ
コトヲ考ヘテ見マスト、何トシテモ漁業者
ノ現狀ニ鑑ミテ、此點ニ付テ適當ナ方策ヲ
講ジテヤルト云フコトハ、私ハ緊急ナコト
ト思ッテ居リマス、漁船ノ保險法ガ出來ルト
云フコトハ、是ハ確ニ一進步デアル、私共
之ヲ歡迎シテ居リマスケレドモ、ソレト共
ニ漁業者ニ對スル社會保險ノ制度ガナイト
云フコトハ、是ハ全ク畫龍點晴ヲ缺クノ嫌
ヒガアリマス、此點ハ一ツ成ベク早急ニ實
施シテ戴キタイ、斯ウ考ヘテ居リマスケレ
ドモ當局ハ如何ニ御考ニナリマスカ伺ッテ
置キタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=51
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052・原辰二
○原政府委員 漁業勞働者ノ保險制度、是
モ實ハ今マデ斯ウ云フ制度ガナイノハ、私
共考ヘマシテモ不思議ナ位ニ思ヒマス、社
會保險ノ發達シタ今日ニ於キマシテ、當然
是モ考ヘナケレバナラヌ問題ダト思ッテ居
リマス、唯御承知ノ通リニ、陸上ノ勞働者
ト違ヒマシテ、海上勞働者ニ付テノ保險制
度ヲ實施スルト致シマシテモ、其保險ノ資
料ヲ調査スルノニ一通リナラヌ苦心ヲ要ス
ル點ガ多々アルノデアリマス、サウ云フ點
ハアリマスケレドモ、私共ノ考デハ、先ヅ
漁船ノ保險ト云フモノガ解決スレバ、其次
ニハ-順序ハ寧ロ〓倒スル位ニ考ヘマス
ケレドモ、漁業勞働者ノ扶助保險ト云フ風
ナ社會施設モ、是非試ミナケレバナラヌ、
斯樣ニ考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=52
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053・多田滿長
○多田委員 此點ニ對シテハ政府モ相當御
考慮ノヤウデアリマスカラ、出來ルダケ速
ク是ガ實現ノ運ビニ至ルヤウニ御盡力ヲ願
ヒタイト思ヒマス、今一ツ沿岸漁業ノコト
デ伺ヒタイコトハ、沿岸漁業者間ニ色々紛
爭ガ起ルコトガ屢〓アリマス、是ハ他ノ委員
カラモ御質問ニナッタヤウデアリマスガ、私
共千葉縣神奈川縣トノ間デ漁業者ガ始終喧
嘩ヲシタリ、爭ヲ起スト云フヤウナコトデ
實ハ迷惑ヲシテ居ルノデアリマスガ、此紛
議解決ノ對策ニ付テノ御考ヲ、一應承ッテ置
キタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=53
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054・原辰二
○原政府委員 現在漁業者ノ紛爭、御話ノ
如クニ各地方デ色々ナ事件ガ相當アルヤウ
デアリマス、是ガ解決ノ爲ニ如何ナル制度
ヲ採ッタラ、宜イカト云フコトハ、色々考究
ハシテ居リマスガ、大體斯ウ云フ風ニヤル
考ダト、御說明ヲ申上ゲル程度ニハマダ考
ヘテハ居リマセヌガ、一種ノ簡易ナ調停ノ
何等カ制度ヲ立テルノモ、一ツノ方法デア
ラウカト思ヒマスシ、其地方々々ニ於テ漁
業組合ナリ、水產會ナリト云フモノヲ中心
ニシテ、オ互ガ調停シ合フト云フ風ナ仕組
モ、如何ナモノデアラウカト云フ風ニ、色
色考ヘテハ居リマスケレドモ、只今申上ゲ
マシタヤウニ、マダ明確ニ御說明申上ゲル
程度マデ、實ハ考ハ練レテ居リマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=54
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055・多田滿長
○多田委員 此點モ一ツ出來ルダケ御〓究
ニナッテ、適當ナ方針ヲ立テラレンコトヲ希
望致シテ置キマス、ソレカラ今一ツ沿岸漁
業者トシテ特ニ考ヘテ戴キタイコトハ、水
產加工品ノ海外輸出ノ點デアリマス、例
バ一例ヲ擧ゲテ見マスト、前申上ゲマシタ
ヤウニ外國カラ海老ノヤウナモノガドンド
ン入ッテ來ル、之ヲ一ツ反對ニ外國ニ押出ス
ヤウナ工夫ヲ講ジテ行クコトガ、日本ノ漁
業ヲ發展セシムル一ツノ途デハナカラウカ
ト思ヒマスガ、例ヘバ蛤ノヤウナモノハ、
近來内海デハ養殖事業トシテ成功シテ居ル
コトハ、御承知ノ通リデアリマス、而シテ
此加工品ハ亞米利加アタリデモ、大變需要
ガ多クナッテ居ルト聞イテ居リマス、併シ加
工費、或ハ運賃種々ナ關係カラ致シマシテ
マダ思フヤウニ輸出スルコトノ出來ナイヤ
ウナ狀況ニナッテ居ルノデアリマスガ、之ニ
對シテ在來或ハ幾ラカノ施設ヲ講ジテ居ル
トハ聞イテ居リマシタガ、何カ特殊ノ方法
デモ講ジテ、斯ウ云フモノヲドン〓〓外國
ニ出シテ行クト云フ方法ヲ、御考ヘ下サル
譯ニハ參リマスマイカ、此點ヲ伺ッテ置キ
タイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=55
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056・原辰二
○原政府委員 水產加工品ノ輸出奬勵ノ施
設ト致シマシテ、此數年前カラ豫算ニ多少
經費ヲ計上致シマシテ、出荷團體ニ宣傳試
賣ノ事業補助ト云フ形ニ於キマシテ、補助
ヲ致シテ居リマス、又粗製品ノ檢査ヲヤリ
マシテ、品位ノ向上、製品ノ改良ト云フコト
ヲ圖ラセル意味ニ於キマンテ、是モ必シモ
輸出ノミヲ目蒐ケテノモノデハアリマセヌ
ガ、輸出品ニハ特ニ氣ヲ付ケテ、多ク其方
面へ振向ケルヤウニヤッテ參ッテ居ッタノデ
アリマスガ、御話ノ如ク從來ノ金額ガ三四
万圓程度ノモノデアリマシテ、是モ甚ダ輕
少ニ過ギマスノデ、來年度ハ多少殖エルコ
トニナッタ次第デアリマシテ、輸出水產物ノ
販路擴張、宣傳試賣ト云フヤウナ事業ノ爲
ニ、補助金ヲ從來ヨリモ幾ラカ餘計廻サレ
ルヤウナコトニナル譯デアリマスガ、マア
吾々ノ理想ト致シマシテハ、是ガ豫算ノ御
協贊ヲ得テ、實行ガ出來ルト致シマシテ
モ、マダマダ其程度ヂヤ滿足スベキモノト
ハ決シテ考ヘテ居リマセヌ、將來益~斯ウ云
フ方面ニモ力ヲ加ヘル必要ガアル、斯樣ニ
考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=56
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057・多田滿長
○多田委員 此點一ツ更ニ一段ノ御盡力ヲ
御願致シタイト思ヒマス、ソレカラ此漁船
保險ノ保險料率ノ問題デゴザイマスガ、政
府デ發表シタ漁船保險法要旨ニ依ッテ見マ
スト、保險料ハ內地總漁船ノ平均ハ、動力
附漁船ニ付テハ、保險金百圓ニ對シテ二圓
三十九錢、其中純保險料ガ一圓六十三錢、
附加保險料約七十六錢云々、無動力漁船ニ
付テモ大體ノコトガ書イテアリマスガ、此
保險料ノ中デ附加保險料ト云フノハ、ドウ
云フモノデアリマスカ、之ヲ一寸伺ッテ置キ
タイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=57
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058・原辰二
○原政府委員 是ハ漁船保險組合ノ事務費
デアリマス、ソレヲ保險ヲ掛ケル人カラ、
保險料ノ一部ニ込メテ取ルノガ例デゴザイ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=58
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059・多田滿長
○多田委員 所デ此保險料金ヲ算出シマシ
タ基準、此點ヲ一ツ伺ッテ置キタイト思ヒマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=59
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060・原辰二
○原政府委員 保險料率ノ大體出シ方ハ、
所謂危險率ト云フモノヲ見テ置キマシテ、
ソレニ幾分ノ安全率ト云フモノヲ加ヘマシ
テ、サウシテ更ニ只今申上ゲマシタ組合ノ
事務費ヲ附加保險料トシマシテ、ソレヲ三
者加ヘタモノガ、普通保險料ト云フモノニ
ナルノデアリマス、其危險率ハ果シテドウ
云フ風ニシテ算出スルカ、安全率ハドウ云
フ風ニシテ算出スルカト云フコトハ、數學
的ニ中々厄介ナ計算法デアリマスカラ、私
ヨリモ或ハ專門ノ人ガ參ッテ居リマスカラ、
御許ヲ得マスレバ、說明員ヨリ御說明申上
ゲタ方ガ宜シイカト存ジマスガ、大體ノ大
摑ミノ計算ノ順序ハ、サウ云フ風ニシテ出
ス譯デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=60
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061・多田滿長
○多田委員 今ノ點ハ說明員カラデモ宜シ
ウゴザイマス、細カイ事ハ要リマセヌカラ、
大體ノ事ヲ御說明ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=61
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062・紫安新九郎
○紫安委員長 農林省海洋課長ニ說明員ト
シテ發言ヲ許シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=62
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063・寺田省一
○寺田農林書記官 只今ノ御尋ノゴザイマ
シタ保險料率算出ノ基礎ニ付テ申上ゲマ
ス、保險料率算出ニ付キマシテハ、危險率ノ
算定ニ付キマシテハ、全國ノ漁船ニ就キマ
シー、之ヲ漁區別ヲ九ツト致シマシテ、ソ
レカラ府縣別ニ、更ニ動力ノ有無ニ、ソレ
カラ漁業ノ種類別ニ、更ニモウ一ツ總噸數
別ニ、之ヲ八種類ト致シマシテ、ソレ〓〓
ノ種類ニ依ッテ之ヲ計算致シテ居リマス、其
計算ニ付キマシテ、更ニ安全率ニ相當スル
値ヲ算出致シマシテ、之ヲ加算シマシテ保
險料ノ基礎ト致シテ居リマス、ソレカラ附
加保險料ノ算出ノ基礎ニ付キマシテハ、各
區ノ經費ヲ平均致シマシテ、二千圓ト云フ
コトニ致シテ居リマス、其二千圓ノ出マシ
タノハ全國ノ平均デゴザイマス、其他ニ更
ニ附加再保險料ニ相當スル金額ヲモ加算致
シマシテ、全體ノ保險料ヲ算出シテ居リマ
ス、尙ホ此保險料ノ算出ニ付キマシテハ、
分損ノ場合ヲモ考慮致シマシテ、其點ヲモ
保險料率算定ノ場合ニ加算シテ居リマス、
大體以上デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=63
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064・多田滿長
○多田委員 私共素人デゴザイマスカラ、
サウ云フ技術的ノ方ノコトハ餘リ能ク分リ
マセヌガ、此漁船ノ保險料ハ出漁方面詰リ
魚ヲ獲リニ行ク方面ノコト、ソレカラ或ハ
此船ノ構造若クハ噸數ト云フヤウナモノナ
ドニ付テモ、考ヘテ行ク必要ガアラウト思
ヒマスガ、今ノ出漁ノ方面ノコトナドハ御
考ニナッテ居リマセヌデスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=64
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065・寺田省一
○寺田農林書記官 御答申上ゲマス、只今
ノ御尋デゴザイマスガ、出漁先ニ付キマシ
テハ、先程申上ゲマシタ海區ト云フ中デ考
慮致シテ居リマス、ソレカラ更ニ漁業ノ種
類ニ依リマシテ、大體ノ見當ヲ付ケルコト
ニ致シテ居リマス、更ニ漁船ノ構造ニ付キ
マシテハ、動力ノ有無ニ付キマシテ、之ヲ
區別シテ考ヘルコトニ致シテ居リマス外、
實施ノ場合ニ於キマシテハ木船、鋼船ノ區
別ニ付テモ之ヲ考ヘタイト思ッテ居リマス、
ソレカラ總噸數ノ種類ニ付キマシテハ、大
體之ヲ八種類位ニ分ケマシテ考ヘテ行キタ
イト思ッテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=65
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066・多田滿長
○多田委員 更ニ伺ヒマスガ此保險料ノ百
圓ニ對シテ二圓三十九錢ト云フ金額ハ少シ
高過ギルノヂヤナイカト云フ氣ガシマス、
成程算定ノ基準ヲ伺ッテ見マスト、ソレ〓〓
ノ理由ハアリマセウ、アリマセウガ、今日
ノ漁業者ヲ救濟スル意味ニ於テ、斯ウ云フ
法律ガ出ルト云フコトデアリマスナラバ、
斯ウシタ保險料ノ如キモノハ成ベク安クシ
テヤル、技術的ノ考慮ヨリハ、寧ロ政治的
ノ考慮ヲ加味シテ行クト云フコトガ必要デ
アラウト思フノデアリマシテ、是ガ爲ニ若
シ必要トアレバ、相當ノ金ヲ政府デ補助シ
テモ、低料金ニシテヤル必要ガアラウト思
フノデアリマスケレドモ、サウ云フ餘地ハ
ナイノデアリマスカ、又サウ云フコトヲ考
慮シタコトハゴザイマセヌノデスカ、ソレ
ヲ伺ッテ置キタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=66
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067・原辰二
○原政府委員 此保險料ノ點ハ、御話ノヤ
ウニ安ケレバ安イ程結構ト思ヒマス、ソレ
デ御尋ノ點ニ付キマシテハ、保險金額百圓
ニ付テ二圓三十何錢ト云フモノガ、高イカ
安イカト云フ點ノ見方デゴザイマスガ、是
ハ私共ノ方デハ民間ノ保險アタリト較ベル
ト、第一非常ニ安クナッテ居ル、割合ヲ比較
シテ見レバ、民間ノ保險ヨリモ三割乃至五
割ハ安クナッテ居ルノデス、ソレデ又現在地
方ニ依リマシテハ、斯ウ云フ保險ト云フガッ
チリシタ制度ハアリマセヌケレドモ、所謂
共濟施設トシマシテ、保險類似ノコトヲ多
少ヤッテ居ル地方ガゴザイマス、其邊ノ共濟
ノ積金ト云フ風ナモノヲ見マシテモ、此程
度ノモノハ大體皆自分々々デ積ンデ居ルヤ
ウナ所モアルノデアリマス、ソレデ保險料
ノ實際運用ノ場合ニハ、モウ少シ實際上ハ
幾分カ安ク出來ルカ、斯ウ思ッテ居リマス
ガ、假ニ此通リノ料率デヤルト致シマシテ
モ、是ガ爲ニ漁船ノ所有者ガ保險ヲ掛ケラ
レナイト云フ程ノ負擔デモナカラウ、マア
一應サウ考ヘテ居リマス、唯此保險料ト云
フモノヲ成ベク支拂ヒ易イヤウニ、納メ方
ニ付テ出來ルダケ便宜ノ方法ヲ講ジテヤ
ル、例ヘバ漁業組合等ト連絡ヲ執リマシテ、
漁獲物共同販賣ノ際ニ、賣上金カラ幾分ヅ
ツ天引ヲサシテ保險料ノ分納デモサセレ
バ、左程苦痛ガアルモノヂヤナカラウ、斯
樣ニ考ヘテ居リマス、御話ノ如ク是ハ安ケ
レバ安イ程漁民ノ爲ニナルト思ヒ、將來出
來ルダケ安ク實際運用ノ場合ニハ扱ッテヤ
リタイ、又扱ヘルダラウ、サウ云フヤウナ
希望モ持ッテ居ル譯デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=67
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068・多田滿長
○多田委員 私ト水產局長ノ間ニハ、少シ
認識ガ違ッテ居ルヤウニ思ヒマス、水產局長
ハ此程度ナラバ掛ケラレナイコトモナカラ
ウト仰シヤルノデスガ、ソレハ掛ケレバ掛
ケラレルデセウガ、私ハ漁業ノヤウナモノハ
將來日本ノ國策トシテ、大イニ發展シテ行
カナケレバナラナイ事業ダト思ヒマス、サ
ウシテ又漁業者ハ餘リ樂デハアリマセヌ、
大キナ漁業者ハドウカ知リマセヌケレドモ、
所謂小漁業者ト云フモノハ、相當困難ヲシ
テ居ルト思ッテ居リマス、サウ云フモノニ對
スル保險デアリマスカラ、掛ケレバ掛ケラ
レルト云フノデハナクシテ、成ベク之ヲ出
來ルダケ、安クシテヤル、少クトモ或ル程
度ノ補助ヲスルト云フ位ノ意氣込ミノアル
コトガ必要ダト思ヒマス、現ニ少シ性質ハ
違ヒマスケレドモ、對外貿易或ハ旅客輸送
ニ從事シテ居ル商船、客船ナドニ付テハ、政
府デ航路補助金モ出シテ居レバ、製造ニ付
テノ助成金ヲ出シテ居ル、低利資金モ融通
シテ居ルト云フ譯デ、非常ナ保護奬勵ヲ加
ヘテ居ルノデアリマス、漁業ニ向ッテハサウ
シタ設備ガナイノヲ、私ハ寧ロ遺憾ニ思フ
ノデアリマシテ、數億ノ金ヲ取入レル漁業、
而モ殆ド生命ヲ賭シテノ仕事デ、明日ヲモ
圖ラレヌト云フヤウナコトヲ考ヘツヽ此仕
事ニ從事シテ居ル、而モ相當國益ニハナッテ
居ル、斯ウ云フコトヲ考ヘテ見マスレバ、
漁船ノ建造アタリニ對シテモ、私ハ相當ノ
補助ヲシテヤッテモ宜シイト思フ、其位ノ意
氣込ミデ以テ漁業ヲ發展セシメテ行カナケ
レバ、ソレハ發展スルモノデハアリマセヌ、
デアルカラ、保險料金ノ如キモノモ、先ヅ
出來ルダケ下ゲルヤウナ方法ヲ講ジテ戴キ
タイト思ヒマス、ソコデ私ハ實地ニ卽シテ
伺フノデアリマスガ、玆ニ二圓三十九錢ト
云フ計數ガ出テ居リマス、假ニ之ヲ一圓五
十錢トシタ時ニドウ云フ缺陷ガ起ッテ、ドウ
シナケレバソレガ補充出來ナイカト云フコ
トダケヲ一ツ伺ッテ置キタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=68
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069・原辰二
○原政府委員 此保險料ノ二圓三十九錢ヲ
一圓五十錢ニスレバ、ドウ云フ結果ニナル
カト云フ細カナ計算ハ、卽席ニハ困難デゴ
ザイマスガ、結論トシマシテハ、サウ致シ
マスト恐ラク特別會計ヘノ繰入金ト云フヤ
ウナモノヲ、十二年度デ申セバ六万二千圓
程ニナッテ居ルノデスガ、ソレガウント殖エ
ルコトニモナリマセウシ、又サウ云フ風ニ
ナル結果、特別會計ノ獨立出來ルノガ十年
目デハナシニ、二十年目ヲ待タナケレバ獨
立ガ出來ヌト云フヤウナ結果ニナルノデハ
ナイカト思ヒマス、其結果ヲ避ケルニハ、
結局保險料ト云フモノノ一圓五十錢ト二圓
三十九錢トノ差額ヲ、國庫補助デモセザル
限リニ於テハ、此計算ト辻褄ノ合ッタ計理
ヲスルコトハ困難ニナル、サウ云フ結論ハ
免レヌト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=69
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070・多田滿長
○多田委員 私ガ一圓五十錢ト云フノハ假
定シタノデアリマシテ、必シモ一圓五十錢
デナケレバナラナイト云フノデハナイ、ダ
ケレドモ、一圓五十錢ニシタ場合ニハ、二
圓三十九錢ト一圓五十錢ノ差額ダケハ、結
局國庫デ補助シナケレバナラヌト云フコト
デアリマスレバ、假ニ之ヲ一圓八十錢ト致
シマシタ所デ五十九錢ニ相當スルモノヲ國
庫デ補助スレバ宜シイ、斯ウ云フコトニナ
ルト思ヒマスガ、サウシマスレバ國家ニ於
テハソレダケノ支出ヲスルノデアリマセウ
ケレドモ、前段カラ屢〓申シテ居ルヤウニ、
漁業者ヲ保護スルト云フ意味合カラ言ヘ
バ、私ハモウ少シ低下シテ、國庫デ以テ補
助デモスルト云フヤウナ一ツ御考ニナッテ
戴キタイト云フコトヲ申上ゲテ置クノデア
リマス、此點ニ對スル當局ノ意見ヲ伺ヒタ
イ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=70
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071・原辰二
○原政府委員 マア其點ハ私ノ方デモ、是
デ絕對ニ國庫補助ノ必要ナシト云フ風ニ、
將來ニ亙ッテ必ズシモ斷言ヲスルコトハ少
シ穩當デハナイカモ知レマセヌガ、一應之
ニ依ッテ實行性ガナイトハ考ヘマセヌノデ、
只今ノヤウナ御考ハ又實行ノ結果ニ徵シ
テ、十分ニ考ヘテ行キタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=71
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072・多田滿長
○多田委員 此保險料率ノ中デ保險金額百
圓ニ對シ純保險料一圓六十三錢、附加保險
料七十六錢ト、斯ウ書イテアリマシテ、附加
保險料ハ要スルニ之ヲ事務費ニ充當スルノ
デアルト云フ御答辯デアリマシタ、所ガ此
七十六錢ト云フモノハ一圓六十三錢ノ約半
額ニナッテ居ルノデアリマス、斯ンナニ事務
費ヲ出サナケレバ保險ノ運行ガ出來ナイノ
デアルカドウカ、此七十六錢ヲ更ニ二十錢
デモ三十錢デモ減ラシテ、成ベク事務費ヲ
節約シテ行ク途ガアルデハナイカト思フノ
デアリマス、之ヲ假ニ五十錢或ハ五十五錢
ト云フコトニ減ラシタラ運用ガモウ出來ナ
クナルノデアルカ、或ハ我慢ヲスレバヤレ
ルンダ、經費ヲ節約スレバ相當程度マデ行
ケサウナ見込デアルト云フ御考ナノカ、之
ヲモ一ツ併セテ伺ッテ置キタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=72
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073・原辰二
○原政府委員 其點ハ只今モ一寸申上ゲマ
シタ通リニ漁船保險組合一組合ノ事務費
ノ平均ヲ二千圓ト見マシテ割出シテ居ル
金額デゴザイマスガ、組合ノ平均二千圓ト
云フノハ、私共少シ是ハ節約スレバ、モウ
少シ安クテ濟ムノデハナカラウカトモ考ヘ
やく、漁船保險組合ハ漁船保險組合ト云フ
獨立シタ組合デアリマスカラ、ソレニ相當
シタ事務所モマア別ニ置カナケレバナルマ
イト云フ風ニ見テアルノデアリマスガ、實
際問題トシマシテハ、例ヘバ事務所ヲ漁業
組合ノ一部ニ同居シテ我慢スルト云フヤウ
ナコトニ依ッテモ、事務所費ノ節約ノ餘地モ
ゴザイマセウシ、實際問題トシマシテハ、
出來ルダケ多田サンノ御趣旨ノヤウニ指導
ヲ致シマスレバ、モウ少シ安ク賄ガ出來ル、
隨テ保險料ノ純保險料ノ方ヘソレヲ影響サ
セテ、純保險料ノ方モ其部分ダケ安クスル、
保險料全體トシテ二圓三十九錢ガ、二圓位
デ賄フコトモ場合ニ依レバ難カシイ事デモ
ナイノデハナカラウカ、斯樣ナ見當デ居ル
譯ナノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=73
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074・今給黎誠吾
○今給黎委員 一寸料率ノ問題デアリマス
ガ、發言ヲ御許シ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=74
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075・紫安新九郎
○紫安委員長 今給黎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=75
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076・今給黎誠吾
○今給黎委員 只今御質問ニナッテ居リマ
スル其保險料率ノ問題デゴザイマスガ、先
程御答ニナリマシタ一圓六十三錢、是ハ御
配付ヲ願ヒマシタ計畫表ニ付テ御伺ヲ致シ
マス、二圓三十九錢徴收サレマシタ中、純
保險料ガ一圓六十三錢ト云フコトニナリマ
シテ、組合ノ手取附加保險料ガ六十一錢、
ソレカラ附加再保險料ガ十五錢トナッテ居
リマス、所デ次ノ再保險料ノ料率表ヲ拜見
シマスルト、玆デ元受デ御取リニナリマシ
タ一圓六十三錢ハ、其儘再保險料ノ方ノ純
再保險料ニ移ッテ居ルヤウデアリマス、所デ
其次ノ附加再保險料ハ二十一錢トナッテ居
ルヤウデアリマス、元受保險料率デ御取リ
ニナリマシタ十五錢デハ六錢足リナイコト
ニナッテ居リマス、此不足ノ分ハドウナルデ
アリマセウカ、元受保險料率ノ組合手取附
加保險料ノ六十一錢ノ中カラ補ハレルコト
ニナルノデアリマスカ、此點少シ分リマセ
ヌノデ、御尋致シマス
〔委員長退席、飯田委員長代理著席〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=76
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077・寺田省一
○寺田農林書記官 御答申シマス、只今御
覽戴キマシタ表デ、元受保險料率ト再保險
料率トノ數字ノ相違デゴザイマスガ、是ハ
再保險料率ハ、再保險金額ノ百圓ニ對シマ
シテノ料率ヲ出シテゴザイマス、元受保險
モ同樣元受保險金額百圓ニ對シテノ數字ヲ
擧ゲテゴザイマス、所デ再保險ノ方ニ付テ
申上ゲマスト、再保險ノ金額ガ元受保險金
額ノ七割ヲ標準ト致シテ居リマスノデ、再
保險料率モ自然再保險金額ガ元受保險金額
ノ七割ノ割デ計算サレナケレバナラヌノデ
ゴザイマス、ソレデ玆ニ擧ゲテアリマス數
字デ申上ゲマスト、純保險料率ハ元受保險、
再保險ヲ通ジテ率ハ同樣デゴザイマス、併
シ附加保險料ノ方ニナリマスト、再保險金
額モ、元受保險金額ニ對スル割合ガ掛ッテ
居リマスノデ、七割ダケ此數字ニ現ハレテ
居リマスノガ、ソレニ相當スル分ダケ加算
サレテ居ル譯デゴザイマス、此表ニアリマ
ス數字ハ元受保險ノ場合ト、再保險ノ場合
ト違ッテ居リマスケレドモ、實際ニ支拂フ金
額ハ同ジニナル譯デゴザイマス、以上御答
ヘ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=77
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078・今給黎誠吾
○今給黎委員 サウ致シマスト再保險ト云
フモノハ、元受保險デ御取リニナッタ金ノ
中カラ、其儘直チニ再保險ト云フコトガ成
立スルモノト承知致シテ居リマス、保險ヲ
掛ケマシタ者ノ出シマス方法ハドウナルノ
デゴザイマスカ、一遍保險組合デ御取リニ
ナッタ金ノ中カラ、ヤハリ只今算出ニナリマ
シタソレニ相當スル金ヲ御差引ニナルト云
フコトニナリマスカ、ソレガハッキリ致シマ
セヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=78
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079・寺田省一
○寺田農林書記官 御答申上ゲマス、保險
ニ付ケマス場合ニ保險料ノ納付ハ一纒メニ
シテ組合ニ拂ヒマス、組合ガ受ケタ中カラ、
更ニ再保險料ヲ政府ニ拂フ譯デゴザイマ
ス、ソレデ尙ホ其點ニ付テ申上ゲマスト、
此說明ニ書イテゴザイマス要旨ノ最初ノ十
二頁ノ方デ、元受保險金額ニ對スル再保險
料ノ額ト云フノガ、十二頁ノ眞中頃ニ書イ
テゴザイマスカラ、御覽ヲ戴ケバ尙ホ能ク
御分リ戴ケルカト思ヒマス、以上デゴザイ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=79
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080・今給黎誠吾
○今給黎委員 マダ能ク分リマセヌガ、私
ノ方ガ分ラヌノカ知レマセヌガ、兎ニ角或
船ヲ保險ニ付ケタ、サウ致シマスルト其船
主ガ百圓ニ對スル二圓三十九錢ノ保險料ヲ
保險組合ニ納メタ、ソレガ其儘再保險料ト
シテ移ッテ行ク、元受ヲシマシタ保險組合カ
ラハ一圓八十四錢ガ元受シタ組合カラ出テ
行クノデアリマス、サウスルト結局先程申
上ゲマシタ附加再保險料二十一錢ニ對シ
テ、元受ノ方デ十五錢取ッテ配當シテアリ
マスカラ、不足ノ分六錢ハ組合ノ手取附加
再保險料ガ減ズルコトニナル譯デアリマス
ガ、御分リニナリマシタカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=80
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081・寺田省一
○寺田農林書記官 數字ニ付テ申上ゲマス
ト、元受保險料ガ二圓三十九錢ノ場合ニ於
キマシテハ、其中純保險料ガ一圓六十三錢
附加保險料ガ約七十六錢、是ハ動力附漁船
デアリマスガ、ソレヲ例ニ取ッテ申シマスト
其中再保險料ニ相當シマス金額ハ、元受保
險金額百圓ニ付テノ數字ヲ申上ゲマスト、
動力附漁船ニ付キマシテハ一圓二十九錢、
卽チ純保險料ヲ一圓六十三錢組合ガ取リマ
シタ中、純再保險料ガ一圓十四錢、ソレカ
ラ附加保險料ノ方デ申シマスト、七十六錢
ノ中十五錢-先程申上ゲマシタ一圓二十
九錢ト申シマスノハ、二圓三十九錢ニ對ス
ルモノデアリマシテ、純再保險料ハ動力附
漁船ニ付テハ一圓十四錢、附加再保險料ガ
約十五錢デアリマス、サウ致シマスト其間
ニ相違ノゴザイマス一圓六十三錢ノ純保險
料ノ中カラ政府ニ納メル額一圓十四錢、之
ヲ引キマシタモノガ組合ノ手取純保險料ニ
ナル譯デアリマス、更ニ附加保險料ニ付テ申
上ゲマスト、七十六錢ノ中カラ政府ニ十五
錢納メマシタ殘リガ、組合ノ手取附加保險
料ニナル譯デアリマス、唯保險料率ヲ出ス
場合ニ於キマシテハ、元受保險ノ場合デモ
再保險ノ場合デモ保險金額ノ百圓ニ付テ幾
ラカ、斯ウ云フ風ニ料率ヲ定メマスノデ、
料率ノ上カラダケ申シマスト、純保險料ニ
付キマシテハ、元受ノ保險料モ、再保險料
モ同率デゴザイマス、併シ實際ノ金額百圓
ニ付テノ金額ハ、元受保險金額ニ對スル場
合ト、再保險金額ニ對スル場合トゴザイマ
スカラ、實際ノ金額ニ付テハ變ッテ參リマ
ス、ソレデ只今ノ今給黎サンノ御話ノ六錢
ノ行方ト云フコトニ付キマシテハ、ソレハ
數字ノ計算上ノ違ヒデアリマシテ、實質的
ニハサウ云ッタ相違ガ起ッテ來ナイノデアリ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=81
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082・今給黎誠吾
○今給絮委員 分リマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=82
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083・多田滿長
○多田委員 保險料率ニ付テハ水產局長カ
ラ、此點ハ尙ホ安クスルコトガ出來ル見込
ダト云フ御話ヲ伺ヒマシタ、一ツ此點ハ特
ニ御盡力ヲ願ヒタイト思ヒマス、私トシテ
モ更メテ御伺スル機會ガアルカモ分リマセ
ヌカラ、此點ハ此程度ニ止メマス、ソレカ
ラ保險料金ヲ一年每ニ掛ケルト云フコトニ
ナリマスガ、此掛ケタ金額ヲ、船ノ損傷滅
失ノナカッタ場合ニ、多少デモ宜シイカラ加
入者ニ割戾スト言ヒマスカ、返還スルト云
フヤウナ風ニ考ヘラレナイノデアリマス
カ、一寸之ヲ伺ッテ置キタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=83
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084・原辰二
○原政府委員 御尋ノ趣旨ハ一年一年保險
ヲ掛ケテ、保險料ヲ拂ッテ、何年カ經ッテモ
事故ガナカッタト云フ場合ニ割戾ヲスルカ
ドウカト云フコトダラウト思ヒマスガ、是
ハ割戾スト云フコトハ考ヘテ居リマセヌ
ガ、剩餘金ガ出レバ、剩餘金ノ分配ト云フ
形ニ於テ、從來拂込ンダ保險料ノ額ニ大體
應ジテ、按分的ニ分配ヲスルヤウニ指導シ
テ參ッタラ宜クハナイカ、斯樣ニ考ヘテ居リ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=84
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085・多田滿長
○多田委員 保險金額ノ算定方法デアリマ
スガ、此要旨ヲ見マスト、保險金額ハ原則
トシテ時價ノ七割ヲ標準トシ、時價ノ算定
ニ付テハ組合ニ於テ適當ナル評價方法ヲ講
ゼシムルコトトスルガ、大體ニ於キマシテ
時價ノ平均ハ、新造費ノ平均ノ七割ヲ標準
トシテ計算スル、斯ウ云フコトニナッテ居ル
ヤウデアリマスガ、保險金額ト云フモノハ、
サウシマスト時價ノ七割ニ對シテ、又何掛
カシラ決メルト云フコトニナッテ居ルノデ
アリマセウカ、之ヲ一寸伺ッテ置キタイト思
ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=85
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086・原辰二
○原政府委員 此時價ハ平均シマシテ、新
造費ヲ標準ニシテ、ソレノ七掛ヲ標準ニス
ル、其計算ニ依ッテ出マシタ時價ノ更ニ七割
ト云フモノヲ保險金額ニスル、斯ウ云フ目
安デ扱フ譯デアリマス、隨ヒマシテ其全額
ヲ保險ニ掛ケルト云フコトハ致サナイ、斯
樣ナコトニ仕組ンデ居ル譯デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=86
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087・多田滿長
○多田委員 サウシマスト、新造費ノ七割
ヲ時價ト見積ッテ、其時價ノ七掛ニ掛ケル、
斯ウ云フコトニナルノデアリマスネ、大體
分リマシタ、此點ヲモウ少シ考慮スル餘地
ハナカラウカト思ヒマス、新造費ノ平均七
割ト云フ行キ方ハ、少シ酷ニ失シヤセヌカ、
ソレカラ又七割ノ又七掛ト云フコトモ、是
亦酷ニ失シヤセヌカ、私共ノ考ヘ方カラ申
シマスト、先ヅ是ハ新造費ノ八掛位ヲ時價
ト認メテ、其又八掛位ヲ保險金額トシテ認
メテ行クト云フ位ニスル方ガ、寧ロ適切デ
ハナイカ、而モ元來此法案ト云フモノハ、
漁業者ノ漁船ニ依ル資金化ヲ圖ッテ行クト
云フコトデ、何處マデモ立前トシテ漁業者
救濟ノ見地ニ立ッテ居ルノデアリマスカラ、
斯ウシタ點モ一ツ保險料率ト共ニ御考慮ヲ
願ッテ、今少シ加入者ニ有利ナヤウニ考ヘル
御意思ハアリマセヌカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=87
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088・寺田省一
○寺田農林書記官 御說明申上ゲマス、只
今ノ保險金額ノ算出基礎ニ付テデゴザイマ
スガ、保險金額ニ付キマシテハ、時價ノ算
定ガ非常ニ難カシイ爲ニ豫算ノ編成ニ當
リマシテ、時價ノ算定ニ付テハドウシタラ
宜イカト云フノデ、新造費ノ七割ト云フ數
字ヲ採ッタノデゴザイマス、是ハ水產局ニ於
テノ實査ノ結果、時價ハ大體新造費ノ七割
ニナル、斯ウ云フ結論カラ新造費ノ七割ヲ
時價トシテ決メタノデゴザイマス、ソレカ
ラ更ニ時價ノ七割ヲ保險金額トシテ算定致
シマシタノハ、過大ニナルノヲ避ケマシテ、
時價ノ七割ト云フ風ニ致シテ居リマス、之
ニ付キマシテハ、現在海上保險ノ實例ニ就
イテ見マシテモ、何レモ時價ノ七割ヲ標準
ニシテ居リマス關係上、計算ノ基礎ニ時價
ノ七割ヲ採ッテ居ルノデゴザイマス、隨テ此
計畫ノ立案ノ基礎ト致シマシテハ、七四日
標準ト致シテ居リマスガ、實施ノ場合ニ於
キマシテハ、是ハ實情ニ合フヤウニ計算シ
ナケレバナラナイモノト考ヘテ居リマス、
以上デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=88
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089・多田滿長
○多田委員 今ノ御話ヲ伺ヒマスト、時價
ノ七割ハ海上保險ノ例ニ依ッテヤッタノダ、
斯ウ云フ御話デアリマスガ、海上保險ト今
度ノ保險トハ、餘程性質ガ違フト思ヒマス、
是ハ何處マデモ漁業者保護ト云フ立前ヲ原
則トシテ居ルノデアリマスカラ、民間デヤッ
テ居ル保險ノ規定ヲ直チニ之ニ移シテヤル
ト云フヤウナコトハ、贊成シ難イノデアリ
マス、其新造費ノ平均七割ヲ時價ニ見積ル
ト云フ此算定方法ガ、非常ニ困難デアル、
併シ是ハ私共敢テ言フ譯デハアリマセヌ、
アナタ方技術家ノ方デ適當ナル方法ガ見出
サレルヤウナラソレデ宜シイケレドモ、今
ノ御答辯ノヤウデハドウモ承服シ難イノデ
アッテ、此點ハ何カ考慮スル餘地ハナイカ、
時價ガ新造費ノ七割ト云フコトニナッテ居
リマスカラ、ソレノ八割位トシタ所デ、サ
ウ算定ノ基礎ヲ狂ハス惡イ影響ヲ與ヘルト
云フコトハナカラウト思ヒマスガ、是ハ
ツ局長ノ御答辯ヲ伺ッテ置キタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=89
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090・原辰二
○原政府委員 此保險金額ヲ時價ノ七割ニ
平均致シマシテ、之ヲ見込ンデ居ル事情ハ
只今說明員カラ申上ゲマシタヤウニ、民間
ノ海上保險ノ實際ノ取扱ニ於テモ、サウ致
シテ居ルト云フコトモ參考ニシマシタガ、
ソレハ民間保險デサウヤッテ居ルカラ、唯ソ
レヲ單純ニ眞似シテヤッタト云フ譯デハア
リマセヌノデ、狙ヒ所ハ所謂超過保險ニナ
ルコトヲ防グ趣旨ニ於テ、民間デモサウヤッ
テ居ルノデアリ、又此漁船保險ニ付キマシ
テモ、其點ヲ避ケル意味合ニ於テ、七割ガ
平均トシテハ適當ナ割合デアラウ、斯樣ニ
考ヘマシタノデ、時價ノ八割ハ絕對ニ保險
金額ト出來ナイカト云フ點ニナリマスト、
必シモソレハサウ考ヘテ居リマセヌノデ、
說明員ノ申上ゲマシタ通リ、是ハ漁船保險
組合ニ於テ、實際經理ノ出來ル限リハ七割
ヨリ割合ヲ高メテ、幾分デモ多ク保險金額
ニ加ヘタイ、保險金額ガ多クナリマスト云
フ一面ニ於テ、保險料モ高クナリマスカラ、
サウスルト船主ノ保險料ノ負擔トモ睨ミ合
セナケレバナリマセヌガ、サウ云フ風ニソ
レハ必シモ釘付ケノ割合トハ、私共ハ考ヘ
テ居リマセヌノデスカラ、唯其御趣旨ニ大
體合フヤウニ實際ハ運用シテ參リタイ、斯
樣ニ考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=90
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091・多田滿長
○多田委員 成ベクサウシタ方針デ運用シ
テ行クコトヲ希望シマス、ソレカラ一寸伺ッ
テ置クコトハ、動力船ト無動力船ノ遭難ノ
割合ハ、ドンナコトニナッテ居リマスカ、伺
ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=91
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092・寺田省一
○寺田農林書記官 動力船ト無動力船ノ遭
難率ノ點ニ付キマシテハ、大體動力船ノ方
ガ、遭難率ガ高イ譯デゴザイマス、隨ヒマ
シテ此保險料率ハ、遭難率ノ危險率ヲ基礎
ト致シマシテ、ソレニ安全率ヲ加算シテ居
リマスノデ、其相違ガ直チニ從來ノ實績ニ
依ル危險率ノ相違ト見テ戴イテ差支ナイト
考ヘマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=92
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093・多田滿長
○多田委員 此保險要綱ヲ見マスト、非常
ニ動力船ニ重キヲ置イテ、無動力船ヲ餘リ
構ハヌヤウニ見ラレル、併シ之ニ附加ヘテ
動力船ハ段々餘計ニナッテ來ル、無動力船ハ
段々減ッテ來ル現狀デアル、ダカラサウ構ハ
ヌノデアルト云フ風ニ現レテ居リマスケレ
ドモ、併シ時代ノ進運ニ依ッテ、動力船ガ多
クナルト云フコトハ當然デアリマスガ、併
シ小漁業者ニナリマスト、現在デモ可ナリ
無動力船ヲ使ッテ居リマス、減ルト云フコト
ハ必シモ時代ノ進運ニ伴ッテ減ルト云フコ
トバカリデモナカラウカト思フノデアリマ
ス、資力ノ關係モアラウト思フ、無動力船ヲ
使フ位ノ人ハ資力ノ少イ人ダト云フヤウナ
コトデ、資金難ノ關係カラデモ、ヤハリ原因
シテ居ルノデナカラウカト思フ、所デ此漁
業者救濟ノ立前カラ言ヒマスト云フト、斯
ウシタ小サイ漁業者、無動力船ヲ以テ活動
シテ居ル者ヲ、寧ロ餘計保護スルト云フヤ
ウナ立前デ、一ツ行ッテ戴イタ方ガ宜イデ
ハナイカト思ヒマスガ、之ニ依リマスト云
フトサウデハナクテ、寧ロ動力船ノ方ヲ主
トシテ考ヘテ居ルヤウニ見エマスガ、此點
ニ對シテ、モウ少シ無動力船方面ヲ保護シ
テ戴キタイト思ヒマスケレドモ、此點ニ對
シテ御意見ヲ伺ッテ置キタイト思フ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=93
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094・原辰二
○原政府委員 此要綱ノ實施ノ計畫デ、動
力船ハ何隻何噸、無動力船ハ何隻何噸ト云
フ風ナ加入ヲ豫想シテ居ルノハ、是ハ大體
動力船ノ增加傾向、無動力船ノ漸減ノ傾向
ト云フモノモ、多少考ヘマシテ決メタコト
ハ事實デアリマスガ、是ハ一寸御斷リ申上
ゲテ置キマスガ、是ダケノ船ガ保險ニ入レ
バ、此計算デハ保險ガ成立ツ最小限度ノ數
デアル、サウ云フ意味ノ數デゴザイマシ
テ、實際ノ保險ノ運用ニ當リマシテハ、多
田サンノ御話ノ如ク、是ハ主トシテ百噸以
下、其中デモ動力ノナイヤウナ船ガ澤山ア
ル所ハ、サウ云フモノヲ事實上主トシテ見
テ參ラナケレバナルマイ、斯樣ニ考ヘテ居
リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=94
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095・多田滿長
○多田委員 能ク分リマシタ、所デ此保險
ノ普及方法デアリマスガ、今マデ色々ナ法律
ガ出來マス、出來マスケレドモ中々旨ク行ッ
テ居リマセヌ、此處デ一々例ヲ擧ゲル必要
モアリマセヌケレドモ、自作農維持創定ニ
シテモ、負債整理ニシテモ、農民ヲ救濟ス
ルト云フ立前カラ行ッタ所デ、是ガ十分普及
シナイト云フノガ現狀デアリマス、此漁船
保險ヲ實施スルニ當ッテモ、私又ソレト同ジ
ヤウナ感ジヲ懷カザルヲ得ナイノデアリマ
ス、目的ハ極メテ宜イ、目的ハ宜イケレド
モ、是ガ普及ハ中々困難デハナイカ、玆ニ
適當ナ數ヲ豫想シテ、第一年度ノ昭和十二
年度カラ五年度、卽チ昭和十六年度マデノ
五箇年每年度三十組合、昭和十七年度カラ
五年度、卽チ昭和二十一年度マデノ五箇年
ニ每年度各十組合、隨テ二十一年度末マデ
ノ組合設立豫定數ハ總數二百組合デアル、
私共カラ見マストモウ少シ之ヲ餘計ニシテ
戴キタイノデアリマスケレドモ、我慢ガ出
來ヨウト思ヒマスガ、併ナガラ是ガ果シテ
實行出來ルカドウカト云フコトハ疑問デ
ス、私共ハ今マデノ各方面ノ行キ方カラ見
マスト、ドウモ少シ困難デハナカラウカト
失禮ナガラ考ヘテ居ルノデアリマス、隨テ
此點ニ對シテ、政府當局トシテハ十分ナ指
導ヲシテ行クト云フコトニシナケレバナラ
ヌト思ヒマスケレドモ、此漁船保險組合ノ
普及ニ付テ、ドウ云フ對策ヲ御持チニナッテ
居ルカ、之ヲ改メテ伺ッテ置キタイト思ヒマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=95
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096・原辰二
○原政府委員 御話ノ如ク漁業者ニ保險ノ
思想ヲ持タセルト云フコトハ、是ハ保險事
業ノ中デ一番困難ナ點ヂヤナイカト實ハ
思ッテ居リマス、ソレデアリマスカラ、此方
面ニ全力ヲ盡シテ、保險思想ノ涵養、普及、
又保險組合其モノノ指導ト云フ風ナコトニ
力ヲ盡サナケレバナラヌ、斯樣ニ考ヘテ居
リマス、ソレデ本省ニモ一般會計、特別會
計ノ方ニ所謂指導職員ト云フヤウナモノモ
多少置キマスガ、地方廳ニモ指導職員ヲ相
當數設置費ノ補助ヲ致シマシテ置カセル、
又是等ノ地方廳ノ宣傳、指導ノ外ニ、例へ
バ水產會デアリマストカ、漁業組合デアリ
マストカ、サウ云フヤウナ漁業者ノ各種ノ
團體等ニモ、先ヅ保險ノ知識ヲ持ッテ貰ッテ、
サウシテソレ等ノ人々ヲ通ジテモ、一人
人ノ漁業者ニ十分徹底スルヤウニ指導ヲス
ル必要モアル、斯樣ニ考ヘテ居リマス、只
今モ申上ゲマシタ府縣ノ指導職員ノ設置費
補助ノ外ニ、講習、宣傳、指導等ヲ水產會
等ニ委託ヲスル費用モ、十二年度ハ六千圓
バカリゴザイマスガ、サウ云フ經費モ見テ
居リマシテ、是等モ私共最モ其點ニ先ヅカ
ヲ入レナケレバ、唯「パンフレット」ヲ配
テ、ソレデアト續々加入スルト云フ風ニ、
高ヲ括ッテ居ル譯ニハ、到底參ラヌヤウニ考
ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=96
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097・多田滿長
○多田委員 其點ハ最モ重要ナルコトデア
リマスシ、又當局トシテモ其點ヲ御認メニ
ナッテ居ルヤウデアリマスカラ、更ニ又一段
ノ努力ヲ費サレマシテ、此保險組合ノ十分
普及シテ完全ニ運用サレンコトヲ希望致シ
テ置キマス
ソレカラ此漁船ノ滅失トカ損傷、或ハ行
衞不明トカ色々アリマセウ、詰リ保險ト關
聯シテ考ヘテ見マスト、其審判ヲスル機關
トデモ言ヒマスカ、凡ソ其損害、損傷ノ程
度ヲ定メル機關ハ、ドウ云フコトニナッテ居
ルノデアリマスカ、之ヲ伺ッテ置キタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=97
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098・原辰二
○原政府委員 損害ノ判定ニ付キマシテ
ハ、誰ガ決メルカト申セバ、元受ノ關係ニ
於キマシテハ、漁船保險組合ガ損害額ヲ決
メル譯デアリマスガ、組合ガソレヲ決メル
ニハドウ云フ人ガ、ドウ云フ風ニシテ決メ
ルカト云フコトヲ申上ゲマスト云フト、組
合ニ其損害ノ算定ノ一種ノ評價委員會ノヤ
ウナモノヲ拵ヘサセタイト思ッテ居リマス、
其委員會ニハ其組合ノ漁船ニ付テ明ルイ技
術者デアルトカ、或ハ組合員ノ中デモ、特
ニ其組合員ノ船ニ付テ能ク知ッタ人デアリ
マスルトカ、又組合外ニ於キマシテモ水產
會ナリ漁業組合ナリノ職員デ、能ク漁船ニ
付テ知識經驗ヲ持ッテ居ル人ガアレバ、サウ
云フ人モ加ヘルコトニ大體サセタイト思ッ
テ居リマス、唯漁船保險組合ハ、所謂漁船
ノ所有者デ御互ガ能ク知リ合ッテ居ル人同
志ノ綜合組織ノ組合デアリマスカラ、地方
ニ於キマシテ大體誰ソレノ何丸ハドウ云
フ船デアルカ、大體何時拵ヘテ今ドウ云フ
仕事ヲシテ、ドノ程度ニ古クナッテ居ルカト
云フヤウナコトヲ、比較的皆知合ッテ居ル人
デアリマスカラ、比較的其評價ガ簡單ニ出
來ヨウカト思ヒマスガ、又一面ニ於キマシ
テ氣ヲ付ケナケレバナリマセヌコトハ、每
日顏ヲ合セテ居ル人逹ノ寄合デアルダケ
ニ、御互ガ其損害ヲ多ク見積合フヤウナコ
トニナリマスト、是ハイケマセヌカラ、其
點ヲ半バ監督スル意味ニ於キマシテモ、亦
其損害ノ判定其モノニ付テ、相談ニ與カル
意味ニ於キマシテモ、先程申上ゲマシタ府
縣ノ職員ナンカモ是非參加ヲサセタイ、ソ
レカラ元受ノ關係ト同時ニ、再保險ノ關係
ガ生ズル譯デアリマシテ、是ハ結局ニ於テ
損害ガアレバ、政府ノ特別會計ニ負擔ヲ生
ズル關係ニナリマスカラ、農林省ノ職員モ
出來得ル限リハ損害ノ評價ニ、最初カラ立
會フヤウニ致シタイ、斯樣ニ考ヘテ居リマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=98
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099・多田滿長
○多田委員 此點モ中々重要ナ事デアリマ
スカラ、一ツ當局者トシテモ、特ニ御注意
ヲ願ハナケレバナラヌト思ヒマスガ、一體
今マデ漁業組合ナドデモ隨分色々ナ事件ガ
起ッテ居マス、隨テ當局ノ監督ナドニ付テ
モ、隨分御困リニナッテ居ルコトガアラウ
ト思ヒマスガ、斯ウシタ組合ナドデモ、必
ズヤ將來幾多ノ難カシイ事柄ガ起ッテ來ル
デアラウト云フコトハ、今カラ想像ニ難ク
ナイノデアリマスカラ、特ニ政府當局ニ於
テハ一面ニ於テ此組合ノ指導ヲ十分ニスル
トカ、而シテ監督ヲ嚴重ニスルト云フコト
ニシテ、萬誤リナイヤウニ今カラ御注意願
ヒマス、段々長クナリマシタシ、外ニ質問
サルル方モ居リマスノデ、是レ以上質問ヲ
差控ヘタイト思ヒマス、唯終リニ一ツ伺ッ
テ見タイト思ヒマスガ、此漁船保險ヲ制定
スルト云フコトハ、度々申シマスヤウニ結
構ナコトデアリマスガ、漁船保險ヲ作ラナ
イデモ、濟ムヤウナ方法ヲ執ルト云フコト
ガ、一番宜イコトデアラウト思フ、卽チ遭
難ヲ未然ニ防止スルコトガ必要ダト思ヒマ
ス、所デ此點ハ漁船保險ト密接ナ關係ガア
リマスカラ、政府ハドウ云フ御考ヲ持ッテ
居ルノカ、又ドンナ施設ヲ講ジヨウト致シ
テ居ルノカ、之ヲ一ツ伺ヒタイト思フノデ
ス、所デ私ノ意見ダケヲ此處デ申述ベテ御
批判ヲ仰ギタイノハ、先日來本會議デモ慥
カアリマシタ、委員會デモアッタト思ヒマス
ガ、マダ船溜或ハ漁港ガ十分完成シテ居ラ
ナイ、是ハ事實デアリマス、農林省ノ諸君
ガ此點ニ付テ、小漁港、船溜、是等ノ設備
ヲ完全ニシヨウトシテ御骨ヲ折ラレルコト
ハ、私共能ク承知致シテ居リマス、又相當
敬意ヲ拂ッテ居ルノデアリマスケレドモ、完
成シナイ部分ガ頗ル多イ、例ヘバ私共ノ〓
里ノ富津町ノ農業組合デ船溜ヲ造ッテ居ル、
所ガ是ガウマク參ッテ居ラナイ、折角ヤリ掛
ケタモノガ資金ガナイ、補助金ガナクテウ
マク行カナイノデ、寧ロヤラナカッタ方ガ宜
カッタト云フヤウナ感ジヲ懷ク場合ガアル、
全國デモ幾ラモアラウト思ヒマスガ、此漁
港。船溜ノ竣成ト云フコトハ、海難防止ノ
一ツノ有力ナル施設ニナルノデアリマスカ
ラ、是等ノ點モ十分完成スルヤウニ、政府
トシテモ努力ヲシテ戴キタイト、斯樣ニ私
ハ考ヘテ居ルノデアリマス、ソレカラ又船
ニ對シテ何等カ適當ナ施設ヲスル必要ガア
ルノデハナイカ、現在デハ百噸以上ノ船ニ
對シテハ、無線ノ施設ヲスルコトニナッテ
居リマスケレドモ、之ヲモウ少シ下ゲテ行ッ
テ三十噸、四十噸位ノ船ニデモ無線ノ施設
ヲスルヤウニシ、萬一ノ場合ニ當ッテハ、直
グソレニ依ッテ自分達ノ船ノ危險ニ陷ラヌ
ヤウニ努力ヲスルト云フヤウナコトモ考ヘ
テ行ク必要ガアラウ、斯ウシタコトモ考ヘ
ラレルノデアリマスガ、更ニ又船體ノ檢査
或ハ製作上ニ對スル監督、是等ニ付テモド
ウ御考ニナッテ居リマスカ、漁船保險ヲヤル
ト同時ニ、此二ツノ點ヲモ特ニ注意シテ行
ク必要ガアラウト存ジマス、私ハ一々後デ
御意見ヲ伺ヒタイト思ヒマスカラ、ズット箇
條書的ニ申上ゲテ見タイノデアリマス、ソ
レカラ又船員ニ對スル〓育指導方法、船員
ガドウモ餘リ宜シクナイト云フコトデアリ
マスレバ、斯ウシタ船員ニ依ッテ運行サレ
テ居ル漁船ガ、動トモスレバ遭難ノ率ガ多
クナルト云フコトハ、是ハ當然デアリマス
カラ、是等ニ對シテモ十分ノ〓育指導ヲヤッ
テ行ク、之ニ對シテドウ云フ設備ヲナサン
トシ、ドウ云フ方法ヲ講ゼントスルノデア
ルカ、是等モ伺ッテ置キタイト思ヒマス、又
私共ノ聞イテ居ル範圍デハ、帝國水難救濟
會ト云フモノガアリマス、慥カ松平サンガ
會長カト思ッテ居リマスケレドモ、其水難救
濟會ハ、モウ既ニ長イ間遭難救助ト云フコ
トニ付テ努力ヲシテ居ルノデアリマス、私
ノ調ベタ所ニ依リマシテモ、救難所ガ百八
十一箇所アリマス、ソレカラ創立以來今日
迄ノ救助囘數ガ、一万四千三百五十四囘、
隻數ニシテ西洋型六千百七十九隻、日本
型九千百隻、是等ノ船ノ見積價格ハ一億一
千二百三十四万圓、救助人員ダケデモ八千
人、斯ウ云フ莫大ナ數字ニ達シテ居ルノデ
アリマシテ、斯ウシタ施設ガ如何ニ我ガ日
本ノ海難ニ對シテ貢獻シテ居ルカト云フコ
トハ、明瞭ニナッテ居ルノデアリマス、隨テ
漁船保險ヲ設ケル、其禍ヲ未然ニ防グト云
フコトニナリマスレバ、斯ウシタヤウナコ
トニ付テモ一ツ考慮シテ行キ、出來ルコト
デアルナラバ、遞信省デモ水難救濟會ニ補
助ヲシテ居リマスガ、農林省ニ於テモ相當
關係ヲ持ッテ居リマスカラ、アア云フ機關ヲ
一ツ補助ナリ、助成ナリヲシテヤルト云フ
ヤウナコトガ適當ナコトデハナカラウカ、
斯樣ニモ思フノデアリマス、更ニ又出漁ニ
對シテ何カ適當ナ方法ヲ設ケナイカ、現在
デハ一隻ヲ以テ飛廻ッテ出漁スルト云フコ
トノ爲ニ、遭難ノアッタ場合ニ非常ニ困ルコ
トガ多イノデアリマスガ、二隻連合ッテ出
漁スル、例ヘバ一定ノ方向ヲ決メテ、此方
面ニ行クノハ一隻デハイカンノダ、二隻位
デナケレバイカナイト云フヤウナ、一ツ規
則デモ設ケルト云フヤウナ工夫ヲ立テル途
ハナイカト云フヤウニ考ヘルノデアリマス
ガ、又外國ニハサウ云フ例ガアルヤウデア
リマスガ、巡邏船ガアッテ是ガ始終遭難ヲ
見張ッテ居ル、或ハ又出先デ修繕モスルト云
フヤウナコトモ致シテ居ルノデアリマスカ
ラ、コンナヤウナ施設ニ對シテモ、政府デ
適當ナ方法ヲ講ジテ行キマスレバ、遭難ヲ
未然ニ防グト云フヤウナコトモ出來ヨウト
存ジマス、其他ニ全國ニ適當ナ見張所デモ
設ケテ、遭難ヲ防止スルコトニ努力ヲスル
ト云フヤウナコトモ考ヘラレテ居リマス
ガ、斯ウシタ海難防止施設、卽チ今申上ゲ
マシタヤウナ施設ニ對シテ、當局トシテハ
ドウ云フ御考ヲ持ッテ居ラレルノカ、一ツ御
意見ヲ伺ッテ置キタイト思ヒマス、私共ハ漁
船保險法ト遭難防止施設ト云フモノハ、兩
兩相俟ッテ離ルベカラザルモノデアッテ、ド
ウシテモサウ云フ施設ヲ設ケテ行カナケレ
バナラナイ、政府トシテモ出來ルダケ金ヲ
出スガ宜シイ、努力モスルガ宜シイト考へ
テ居ルノデアリマスカラ、此點ヲ伺ヒマシ
テ、私ノ質問ヲ終ルコトニ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=99
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100・原辰二
○原政府委員 只今ノ海難防止ニ付テノ御
意見ハモウ一々御尤モト思ヒマス、漁港、
船着場ニ致シマシテモ、御案内ノ如ク修築
ヲ要スル箇所ガ非常ニ澤山アルノデゴザイ
マスガ、每年修築補助ヲ決定シ得ルノハ、
モウ僅ニ數箇港ニ過ギナイト云フヤウナ狀
態デゴザイマシテ、是ハモウ是非共何等カ
ノ形ニ於テ、速ク解決ヲシナクチヤナラヌ
ト云フ風ニ考ヘテ、將來共出來ルダケノ努
力ヲスル考デアリマス、ソレカラ漁船ニ無
電ヲ設備スル點モ、御話ノ如ク是ハ海難防
止上、最モ有效ナ裝置ト考ヘマスノデ、現
在デモ遠洋漁業奬勵補助金ノ中デ、百噸以
上ノモノヲ大體原則的ニ見テ居リマスガ、
實際ノ扱ヒト致シマシテハ、百噸ニ滿タナ
イ船デモ、出來ルダケハ無電ヲ設備サセル
ヤウニシテ居リマスガ、是ハ何分元ノ豫算
ガ輕少ナモノデゴザイマスカラ、思フ樣ニ
ナラナイノハ遺憾デゴザイマスガ、海難防
止ノ意味ニ於テ、非常ニ必要ダト云フコト
ハ御同感ニ存ジテ居リマス、ソレカラ漁船
ノ檢査デゴザイマスガ、是ハ出來上ッタ船ノ
檢査ハ、御承知ノ通リニ大體遞信省關係デ
檢査ガアリマスガ、造船中ノ監督檢査ト云
フモノガ未ダ漁船方面ニハ、殊ニ備ッテ居リ
マセヌノデ、現在水產局ニ船ノ方ノ役人ガ
三四人居ラレマシテ、始終民間ノ船ヲ注文
スル人カラ、彼處ノ造船所へ賴ンダカラ見
〓ッテ監督ヲシテ貰ヒタイ、檢査ヲシテ貰ヒ
タイト云フ依賴ガアリマシテ、忙殺サレテ
居ルヤウナ狀態デゴザイマシテ、將來是ハ
或ル程度制度ヲ立テルヤウニ參リタイ、斯
樣ニ考ヘテ居リマス、ソレカラ船員ノ素質
改善ニ付キマシテモ、御話ノ通リデゴザイ
マシテ、如何ニ船其ノモノガ良クナリマシ
テモ、之ヲ運行スル-又無電ノ裝置ノ如
キモノニナリマスルト、殊ニ之ヲ扱フ所ノ
人ガ、未熟ナ人デハ何ノ役ニモ立タヌ譯デ
ゴザイマスカラ、從來漁船技術員ノ養成ノ
機關ガ民間ニアリマシテ、每年相當數ノ人
ヲ集メテ講習ヲヤッテ居リマスノデ、ソレ
等モ五六千圓ヅツ經費ヲ
〔飯田委員長代理退席委員長着席〕
補助致シマシテ激勵シテ居ル譯デアリマ
スガ、是モ今後モット擴充ヲ要スルコトト
考ヘテ居リマス、ソレカラ水難救濟會ノ御
話モ出マシタガ、是モ御話ノ如ク、水難救
濟會デ每年相當ノ救助ヲ致シテ居ルノデ
アリマシテ、大部分漁船ガ御厄介ニナッテ
居リマスコトハ、自分モ聞イテ居リマス、
斯ウ云フ風ナ海難ノ防止ノ團體等ノ活動促
進方モ、何等カモウ一段ト考方ヲ進メテ行
キタイ、斯樣ニ考ヘマシテ、遞信當局トモ時
時話合ヲシテ居ル譯デアリマス、ソレカラ
出漁ノ場合ニ、單獨ニサセナイデ隊ヲ作ッテ
出スヤウニ、規則デデモ決メル考ハナイカ
ト云フ點ハ、マダ規則デ以テ直グヤラウト云
フヤウナ考ハ、率直ニ申上ゲレバ、持ッテ居
リマセヌ、ト云フノハサウ云フコトガイカ
ヌカラヤラヌト云フ意味デハ決シテアリマ
セヌデ、千葉縣ニ於キマシテモアッタカモ知
ルマセヌガ、和歌山縣邊デハ漁船隊ヲ組織
シテ出漁シテ、大變好イ成績ヲ擧ゲテ居ル
ト云フコトデゴザイマスカラ、目下サウ云
フヤリ方ノ調査ヲサセテ居リマス、是ハ規
則デサセルト云フコトデハナクシテ、指導
奬勵ヲ方針トシテ取入レルト云フコトモ適
當デハナカラウカ、斯樣ナ考ヲ以テ調査中
デゴザイマス、大體ニ於キマシテ此海難防
止ニ付テノ御意見ハ、私共ノ方デモ今後十
分ニ考ヘテ參ル必要ガアルト思ッテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=100
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101・多田滿長
○多田委員 海難防止ニ付テ政府當局ガ十
分ノ考慮ヲ拂ハレル、又私ノ申上ゲタ所ニ
付テモ、大體御同意ノヤウデアルコトハ、
結構デアリマスカラ、更ニ一段ノ御助力ヲ
願ヒタイト思ヒマス、私ハ尙ホ伺ヒタイ點
ガアリマスガ、餘リ時間モ掛カリマスノ
デ、一應是デ質問ヲ止メテ置キタイト思ヒ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=101
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102・登坂良作
○登坂委員 午前中ニ原政府委員ト東條委
員トノ間ノ質問應答ニ關シマシテ、一點御
尋致シタイト思フノデアリマス、實ハ其際
直ニト思ヒマシタガ、遠慮致シタノデアリ
マス、其點ハ內國產業、外國產業ト云フヤ
ウナ御話合ノ下ニ、我國ノ北洋水產資源ノ
點ニ關シマシテ、如何ニモ現在ノ局面ノミ
ヲ御覽ニナッテノ政府委員ノ御說明ノヤウ
ニ、私ハ印象ヲ受ケタノデアリマス、此點
ハ非常ニ我國ノ水產資源ノ根本問題ニモ觸
レル重要ナ點デアルト思フノデ、改メテ原
政府委員ノ御話ヲ承リタイト思フノデアリ
マス、午前中ノ御話デスト、北千島ノ水產、
所謂內國水產漁業ヲ保護スル爲ニハ、從來
ノ露領沿岸漁業若クハ其沖合ノ沖取漁業ニ
從事致シテ居リマス太平洋漁業、是等ノ關
係者ヲ遠ク「アラスカ」方面ニ轉出セシメ
テモ調節爲シ得ルノデハナカラウカト云フ
ヤウナ、一寸私ハ印象ヲ感ジタノデアリマ
ス、是ハ由々シキ一ツノ推論ヲ生ンデ來ル
カト思フノデアリマシテ、サウ云フ意味合
デハ毛頭ナイト確信致シマスガ、特ニハッキ
リ致シテ戴キタイト思フノデアリマス、私
共承ッテ居リマスル所ニ依リマスト、卽チ沖
取漁業、太平洋漁業ト云フモノハ、日露漁業
條約ニ依ッテ、確保サレマシタ露領漁業、卽
チ陸上沿岸ノ露領漁業ヲ牽制スル爲ニ、此
沖取漁業ト云フモノガ「カムチャッカ」ノ沖
ニ生ジテ來マシテ、之ニ對シマシテ農林當
局モ其趣意ヲ贊シテ許可ニナリマシタガ、
漸次其隻數ガ非常ニ殖エタ、卽チ水產資源
ノ濫獲ト云フヤウナ話合ニナッタ爲ニ、其業
者ヲ慫慂シテ大合同ヲ爲サシメテ、サウシ
テ其會社モ立チ、又水產資源ノ確保モ出來
ルヤウニ、嚴選ノ方針ヲ農林當局ガ特ニ御
執リニナッテ指導ナサレタト承ッテ居リマ
ス、或ハ數百万圓ノ犠牲ヲ拂ッテ嚴選ヲ致
シテ、其損失ヲ同會社ガ漸次後年度ニ於テ
補塡セント、今日デモ努メツツアルト云フ
コトヲ聞イテ居リマス、是ハ卽チ最近我國
ノ水產國策ノ殆ド輿論トモナッテ居リマス
ル水產資源ノ涵養增殖ト云フコトノ、根本
國策ノ水產當局ガ實行ナサレタ一ツノ政策
ノ發露グト思ッテ居ルノデアリマス、是ハ旣
ニ沿革ヲ見マスレバ、露領ノ沿岸漁業ト云
フモノハ三十數年來、沖取漁業ト云フモノ
モ既ニ十年內外ノ經過ヲ以テ、非常ニ其間
苦心慘憺致シテ居リマス、今日コソ雙方合
セテ殆ド五千万圓ト云フヤウナ生產額ヲ示
シテ居リマスルガ、易々ト今日ノ產業ヲ確
立シタ譯デハナイ、當業者ハ非常ナル苦心
ヲ拂ッテ、此特典ヲ企業化シ、產業化シテ參ッ
タモノダト思フノデアリマス、然ルニ最近
北千島ニ流シ網ト云フモノガ、北海道廳ノ
許可ニ依ッテ發生シテ參ッタ、丁度午前中ノ
政府委員ノ御話ノ如ク、其魚族ノ囘游狀態
ガ非常ナ密接ナ關係ヲ持ッテ居ルノデアリ
マス、其爲ニ今日デハ非常ニ此問題ガ北海
方面ニハ錯綜致シテ參ッテ居リマシテ、農林
當局ニ於キマシテモ、非常ナ御心勞カトハ
拜察致シテ居リマス、併ナガラ之ニ對スル
對策ヲ餘程愼重ニ御考ヘ下サイマセヌト、
北洋若クハ北海方面ニ於ケル所ノ漁業ト云
フモノガ、雙方トモ引合ハナイト云フヤウ
ナ立場ニナルト云フコトヲ、私ハ憂ヘルノ
デアリマス、所謂根本問題トシテハ、北洋
漁業モ北千島漁業モ雙方トモ成立ッテ、本當
ニ企業化サレタル水產事業トナッテ、我國ノ
水產國策ヲ助ケルト云フ意味ニハ毛頭變リ
ハアリマセヌガ、唯午前中ノヤウナ極ク淡
白ナル御高見ヲ拜承致シマスルト、恐ラク
ハソレニ關聯ヲ致シテ居リマス所ノ多クノ
從業員ト云フモノハ、所謂信賴ヲ致シテ居
ル所ノ農林當局-政府ニ對シマシテ多少
ノ不安ヲ感ズルヤウナ嫌ガアルノデハナカ
ラウカト云フヤウナ感ジガ致スノデアリマ
ス、單ニ言葉デ外國產業、或ハ內國產業ト
云フヤウニ、今ノ北洋漁業ト北千島漁業ト
云フモノヲ片付ケラレマスケレドモ、北緯
五十一度デアリマスルカ、其線ヲ境ニシテ
北洋漁業、或ハ北千島漁業、一方ハ農林省
ノ管轄、一方ハ北海道廳ノ管轄ト云フコト
ニナッテ居リマスルガ、折角農林當局ガ國
策トシテ非常ナ犠牲ヲ拂ハレ慫慂ヲ致サレ
テ出來上リマシタ此太平洋漁業ト云フモノ
ノ基礎ヲ、地方廳タル北海道廳ノ水產政策
ニ依ッテソレヲ搔キ亂シ、或ハ不安ノ狀態ニ
陷レテ、双方トモ無駄ナ相刺關係ヲ生ジテ、
所期ノ目的ヲ逸スルト云フヤウナコトデ
ハ、非常ニ危險ナコトト考ヘマスルノデ此
點ハ所謂沿岸漁業ノ水產資源ヲ涵養增殖ス
ルト同樣ノ意味合ニ於テ、我國ノ北洋、北
海方面ニ於ケル所ノ水產資源ノ涵養增殖ト
云フコトニ、重大ナ關係ガアリマスルノデ、
篤ト當局ノ御所信ヲ承リタイ、內國、外國
ト言ヒマスルガ、卽チ此北洋漁業「カムチャツ
カ」ニ出動致シマスル所ノモノハ、北海
道、東北方面ノ漁民デアリマス、沿岸漁民
モ參リマスルガ、數万人ノ人ガ東北カラ、
或ハ北海道ニ掛ケテ年々親子諸共、殆ンド
定期ノ仕事ノ如クニシテ、每年參ッテ居ルト
聞イテ居リマス、太平洋漁業ニ於テモ同樣
デアリマスルシ、又物資ト雖モ全部我ガ國
內カラ持ッテ行クノデアリマス、名前ハ外國
ノ領域ニ於テヤルト申シマスルケレドモ、
實質ハ國內產業ト毫モ變リハナイ、サウシ
テ露領ニ於ケル所ノ、或ハ公海ニ於ケル所
ノ魚族ヲ漁獲致シマシテ、之ヲ罐詰製品ニ
シテ外國ニ輸出スル、本當ノ純益ト云フモ
ノノミ我國ガソレヲ受入レマシテ、サウシ
テ之ヲ廣ク東北、北海道或ハ總テノ我國ノ
水產業方面ニ長年貢獻致シテ居リマス、是
等ノ沿革ヲ、殆ド午前中ノ御話ヲ拜聽致シ
テ居リマスト云フト、固ヨリ腹中ニハ御持
合セデアリマセウケレドモ、私共多少同方
面ニ渡航致シテ、其實情等ヲ體驗致シマシ
タ者カラ見マスルト、餘リニ淡白ニ片付ケ
ラレルト思フ、其間ニ外國ニモ關係致シタ
コトデアリマスルカラ、或ハ「ソビエト」當
局等ハドウ云フ作用ヲ施シテ參ルカ分ラ
ヌ、ドウカ此邊ハ北洋モ北海モ共ニ水產企
業トシテ、長ク成立致シマスルヤウニ御考
ヘヲ賜ッテ、サウシテ午前中ノ北洋漁業ガ、
更ニ北千島ニ追ハレテ「アラスカ」ナリ「ベ
ーリング」ノ方面ニ轉出シテモト云フヤウ
ナ質問ニ對シマシテ、同感ノヤウナ御趣意
デアッタコトヲ、私ハ私ノ聽違ヒダトハ思ヒ
マスケレドモ、左樣ナ印象ヲ受ケマシタガ
故ニ、更メテ其點ノ御高見ヲ拜聽致シタイ
ト思フノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=102
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103・原辰二
○原政府委員 午前中ニ東條委員ノ御質問
ニ對シテ、私ノ御答シタコトガ、登坂サン
ノ非常ナ御心配ヲ誘發シタトスレバ、洵
遺憾ニ存ジマスノデ、私ト致シマシテモ、
モウ一度ハッキリ申上ゲタイト思ヒマス、午
前中ニ東條サンノ御尋ハ色々ゴザイマシタ
ガ、「アラスカ」方面ノ漁場ヘ進出ノ關係ハ、
ドウ云フ風ニ考ヘルカ、彼處ハ亞米利加ガ
喧シイコトヲ言フサウダカラト云フノデ、
日本ハ進出シナイト云フ消極的ナ考ヲ外務
省、農林省ガ持ッテ居ルンヂヤナイカト云フ
風ナ御尋ト存ジマシテ、東條サンノ御尋ノ
趣旨ハサウ云フ消極的デハイカヌ、大ニ日
本人ノ開拓スベキ漁場デハナイト云フ意味
ノ御尋ト伺ッタモノデアリマスカラ、大體其
點ハ農林省トシテハ同感デアリマスト云フ
コトヲ御答ヲ申上ゲタ譯デアリマシテ、言
葉ガ多少足リナカッタカトモ思ヒマスガ、只
今登坂サンノ仰セノヤウニ、露領ノ漁業ヲ
ヤッテ居ル日魯トカ、或ハ太平洋ノ沖取ノ如
キモノヲ「アラスカ」ヘ廻シテ、其處ニ出來
タ隙間ニ、北千島ノ漁業者ヲウント伸バス
ト云フ點ニ付テ、御同感ヲ申上ゲタ趣旨デ
ハ決シテナイノデアリマシテ、「アラスカ」
ノ漁場ノ開發問題ハ、現在如何ニシテ開發
ヲスルカト云フ點ニ付キマシテハ、全然目
下ノ所マダ白紙ノ狀態デゴザイマシテ、調
査ヲ致シマシタ結果ニ依リマシテ、一七八
許可ノ方針ヲ早ク定メ、而シテ出來得ル限
リ適當ナ人ニ許可ヲスルト云フ段取デ進ミ
タイ、斯樣ニ考ヘテ居ルノデアリマシテ、
千島ノ漁業者ヲ出ストカ、或ハ太平洋ヲ出
ストカ、日魯漁業會社ヲ出ストカト云フ
風ニ、調査ノ結果ヲモ待タナイデ、只今カ
ラ豫定シテ居ルモノハ何モノモナイノデゴ
ザイマス、縷々登坂サンノ御述べニナリマ
シタヤウニ、實際ノ漁撈方針ヲ定メマス際
ニハ日魯漁業ナリ、太平洋漁業ナリ、又北洋
ニ於ケル長キ經驗ヲ持ッテ居ル事情モ考慮
致サナケレバナラヌト思ヒマスシ、千島ノ
漁業者ノ將來伸ビテ行ク方向ト云フモノモ
見極メナケレバナリマセヌシ、又場合ニ依
リマシテハ、ソレ以外ノモノモ考慮シナケ
レバナラヌ事情モアラウカト思ヒマスノ
デ、全然其點ハ白紙ノ狀態ニナッテ居ル譯デ
アリマシテ、私ノ申上ゲ樣ガ足リナカッタ爲
ニ登坂サンノ御心配ヲ惹起シタノヂヤナイ
カト思ヒマスカラ、更メマシテサウ云フ風
ニ御諒承ヲ願ッテ置キタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=103
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104・登坂良作
○登坂委員 能ク御趣意ハ分リマシタガ、
唯私ノ一寸憂ヒマシタノハ、內國產業デア
ルガ故ニ、外國產業ヲ輕クシテモ保護シナ
ケレバナラヌト云フヤウナ感ジニ、一寸取
ラレタモノデアリマスカラ、單純ニ北千島
ト北洋漁業ト云フモノ、又魚族ト云フモノ
ハ、海ノ中ヲ囘游致シテ居ルモノデアリマ
スカラ、陸ノヤウニキチント此處カラ外ハ
外國產業、或ハコッチカラ內ハ內國產業ト
云フヤウナ工合ニ區別ハ付ケ難イ、寧ロ同
ジ性質ヲ持ッテ居ル、根本ノ性質ヲ見マシタ
ナラバ、內國トカ外國トカ云フコトデナシ、
私ハ今日露西亞ハドウ思ヒマスカ知ランガ
「カムチャッカ」、沿海州ト云フヤウナモノハ、
我國ノ水產業ニ限ッテ經濟的領土ダト申シ
テモ宜イ位ニ思ッテ居ルノデアリマス、ソレ
ヲ單ニ外國水產業デアルカラト云フヤウナ、
今日日本精神主義ト云フヤウナモノニ因ハ
レルヤウナ感ジガアリマシテ、心構ヘガ若
シモ農林當局デ多少同意ヲナサル憂ガナイ
カト云フヤウナコトヲ、實ハ心配致シタモ
ノデアリマスカラ、ドウカ此北洋水產業ト
云フモノガ北海、北千島方面ト同一性質ノ
モノデアッテ、外國產業ダトカ、內國產業ダ
トカ云フ意味デ區別サレル性質ノモノデナ
イ、從業者モ全部日本ノ漁業者ガ從事致シ
テ居ルノデアリマシテ、物資モ日本ノ物資
デアルト云フコトヲ一ツ能ク御含ミ願ヒタ
イト思フノデアリマス、此點一寸申上ゲテ
私ノ質問ハ是デ終リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=104
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105・紫安新九郎
○紫安委員長 今給黎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=105
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106・今給黎誠吾
○今給黎委員 漁船保險法案ニ關シマシテ、
色々御尋シタイト思ッテ居リマシタケレド
モ、先刻來他ノ委員カラ詳細ニ御質問ニナ
リマシタシ、私ハ專ラ此法案ノ內容ト申シ
マスカ、出來マシタ後ノ實際ノ取扱上ニ關
シマシテ御尋ヲシタイト思ッテ居ッタノデア
リマスルガ、此事モ昨日高木君カラ詳細ニ
亙ッテ御尋ニナリマシテ、ソレ〓〓御答ニナ
リマシタカラ、殆ド私ノ尋ネルヤウナコト
ハ無クナッタノデアリマス、併シ一二質シテ
置キタイコトガアリマスカラ、ソレヲ御尋
致シマス、此組合ヲ設置シマス區域ノコト
千、昨日高木サンカラ御話ガアリマシテ、
或ル程度ノ御答ガアッタヤウデアリマスガ、
今少シハッキリ御方針ヲ承ッテ置イタ方ガ宜
イト思ヒマス、幸ニ此法案ノ趣旨ガ當業者
ニ徹底ヲ致シマシテ、實施ノ曉ニ彼方ニモ
此方ニモ設立サレルト云フコトニナレバ、
問題デナイカモ知レマセヌケレドモ、或ハ
最初ノ程ハ餘程御奬勵ニナラナケレバ、法
案ノ趣旨モ徹底シナイ、隨テ設立ガ鈍イ、
斯樣ナコトニナリマシテ、此普及ヲ焦ラル
ル結果、區域ハ小サクテモ宜シイ、組合員
ハ少クテモ宜シイ、兎ニ角速ク此組合ヲ設
置サセヨウト云フコトカラ致シマシテ、バ
ラ〓〓ニ割合小サイ組合ガ出來ルヤウナコ
トニナリマスト、其結果ガドウ云フコトニ
ナルカ、或ハ順當ナル發達ヲ遂ゲナイカモ
知レナイ、ソレニ付テハ自ラ役員ガ出來ナ
ケレバナラヌ、區域ガ狹クテ組合員ガ少ナ
ケレバ、適當ナル理事者ガ得ラレナイ、理
事者ガ得ラレナイ爲ニ好イ加減ナコトヲシ
テ、隨テ色々ナ間違ガ起ッテ適當ナ發達ヲ
遂ゲテ行カナイト言ッタヤウナ例ハ、往々外
ノ團體、組合ニ於テアルノデアリマス、餘リ
小サク出來ルト云フコトハ、是ハ御見合セ
ニナッタ方ガ宜カラウト私ハ考ヘマス、大體
ノ區域ノ見當ダケハ御付ケニナッテ、或ハ町
村ノ區域トカ、若クハ其他ノ區域ニ於テ、
大體限定ヲサレテ奬勵サレル方ガ宜イノヂ
ヤナイカト思ヒマス、家畜保險組合ノ如キ
ハ慥カ郡區域ニナッテ居ルヤウデアリマス
ガ、サウ云フ心配モナイカト思ヒマスガ、
若シ是ガ町村ニ致シマシテモ五六千戶モア
レバ二三百戶シカナイト云フ町村モアリ
マス、區域ニ大小ガアリマス、隨テ其中ニ
アリマス漁業組合等モ、大小區々ニナッテ居
リマスカラ、成ベク少クトモ町村ノ區域-
-若シ町村ガ狹小デ該當者ガ少イト云フヤ
ウナ地方ニ於テハ、數箇町村ヲ合併シマシ
テ、ソレデ一ツノ組合ヲ拵ヘサセルト云フ
コトニナラナケレバ、自ラ是ガ經營ニ關シ
マシテモ相當ナ費用モ掛ルコトデアリマス、
又政府ガ助成ヲサレマスル方針モ、一組合
保險設立補助ヲ二百圓、五箇年間ニ亙ッテ四
百圓宛ノ助成費ヲ出サレルト云フコトニ
ナッテ居リマスガ、既定ノ豫算デハ不足ヲ告
ゲルト云フコトニモナルダラウト思ヒマス、
旁〓大體此區域ダケハ、或ル目安ヲ御付ケニ
ナッテ奬勵サレル方ガ宜イダラウト思ヒマ
スガ、此點ニ關シマシテハ、ドウ云フ御考
デアリマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=106
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107・原辰二
○原政府委員 區域ノ點ニ付キマシテハ、
法律ノ上デハ劃一的デナクチヤナラヌトカ
云フ風ニ、區域ハ限定ヲシテ居リマセヌガ、
其實際ノ指導方針トシマシテハ、只今御話
ノヤウニ一定ノ目安ヲ大體付ケマシテ、サ
ウシテ適當ナ區域每ニ組合ヲ作ラシテ行ク
ト云フ風ニヤラナケレバナラヌ、ト斯樣ニ
考ヘテ居リマス、其適當ナ區域ト云フノガ
ドウ云フ風ニ見テ宜イカト云フ點ニナリマ
スト、御承知ノ通リニ此組合ノ出來マスノ
ハ、何レモ海岸ノ地方ダケノコトニナリマ
スノデ、一村ダケデ出來ル場合モゴザイマ
セウシ、二箇村ニ亙ル場合モゴザイマセウ
シ、更ニ三四箇町村ト云ッタ區域ニ亙ル場合
モアルダラウト思ヒマスガ、要スルニ組合
員ノ數モ相當纒メテ、船モ相當多イ、其組
合トシテ保險ノ經費モ立ッテ行キ、永續スル
可能性モアルト云フ其邊ノ事情モ能ク見マ
シテ、適當ナル區域々々ヲ決メテ參ルヨリ
外ナイト左樣ニ考ヘテ居リマス、凡ソノ目
安トシマシテハ、只今ノ所大體郡ノ區域位
ナ程度ニ纒マル場合ガ多イノヂヤナカラウ
カ、斯樣ニ考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=107
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108・今給黎誠吾
○今給黎委員 大體能ク分リマシタガ、今
ーハ、保險ノ目的ハ漁船若クハ漁具ト云フ
コトニナッテ居ルノデアリマスガ、先程モ御
話ガゴザイマシタヤウニ、近頃相當大型ノ
漁船ニ於キマシテ無電裝置ヲシテアルノデ
アリマス、是ハ漁業方面カラ考ヘマシテモ、
非常ニ有利ナ點ガ多々アルノデアリマス、
尙ホ此頃海軍方面カラ頻ニ無電裝置ノ漁船
ニ注目ヲサレマシテ、色々ノ取調若クハ指
導等ガアッテ居ルヤウデアリマス、多分軍事
方面カラ敵艦ヤ飛行機襲來等ニ關シマスル
用意ノ爲ダラウト思フノデアリマス、極力
關心ヲ持ッテ色々ナコトヲサレテ居ルヤウ
デアリマス、是ハ獨リ漁船ノ上カラノミナ
ラズ、國家ノ上カラ考ヘマシテモ、洵ニ奬
勵スベキ結構ナコトト思フノデアリマス、
多分今後是レ以上ニ無電裝置ガ發達ヲシテ
來ルダラウト私ハ思フノデアリマス、所デ
其設備ニ關シマシテハ、申ス迄モナク相當
ノ費用ガ掛ル、私詳細ノコトハ知リマセヌ
ガ、千何百圓、二千圓、サウ云ッタ設備費ガ
要ルノヂヤナイカト思ヒマス、隨テ漁船漁
具ノ外ニ、之ニ要シマスル設備費モ、ヤハ
リ保險ノ目的トシテ加へラレルコトガ當然
デハナイカト思ヒマス、ソレヲ希望スルノ
デアリマスガ、是ハドウ云フ風ニ御考ニナッ
テ居リマスカ、御尋致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=108
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109・原辰二
○原政府委員 只今ノ御話ノ無電ハ、船ニ
取付ケテアル場合ニハ、ソレハ所謂漁船ノ
一部トシマシテ當然保險ノ目的ニ考ヘテ居
リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=109
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110・山崎釼二
○山崎委員 關聯シマシテ資料ノ要求ヲシ
タイト思ヒマス、只今玆ニ戴イテ居リマス
ル漁船保險ノ資料デ、モウ少シ〓究致スノ
ニ戴キタイト思フモノガアルノデアリマ
ス、ソレハ漁業組合別ノ所屬船舶ノ船種噸
數等ノ統計ガ、若シゴザイマシタナラバ、
之ヲ戴キタイト思ヒマス、ソレカラ保險率
算定ノ基礎トナル全國漁船ノ海區別、先程
九海區ト云フヤウナコトノ御答辯ガアリマ
シタ、或ハ府縣別、動力ノ有無トカ、總噸
數別デアリマストカ、或ハ漁業種類別ノ色
色細カイモノ、是ハ保險率ノ算定ノ基礎ニ
ナルト思ヒマス、是ガ戴イテ居ル資料ノ中
ニハナイヤウデアリマス、之ヲ頂戴シタ
イ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=110
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111・松尾四郎
○松尾委員 私ハ森林火災國營保險法案ニ
付テ伺ヒタイ、此法案ノ運用ニ當リマシテ、
條文ノ疑義ノ點ガアリマスノデ簡單ニ伺ッ
テ見タイ、ソレハ此法案ノ第四條ニ「被保險
者ハ保險ノ目的ノ所有者ニ限ル」、斯ウ云
フコトガ規定ニ揭ゲラレテ居リマスガ、森
林ノ所有者ハ、所有權ト云フノハ中々明確ヲ
缺ク場合ガアッテ、第一區域ガ餘程判明シ難
イノデアリマス、其上ニ色々樹齡ヲ異ニシ
テ居ルモノガ重ナリ合ッテ居ル場合モアリ
マス、混植サレテ居ル場合モアリマス、ソ
レカラ所有權ト云フモノガハッキリシテ居
ルモノデナケレバナラヌト云フコトデアル
ト、登記ヲセズニ古來カラノ慣習上森林所
有者デアルト云フコトガ決ッテ居ル場合モ
相當アル、是等ハドウ云フ風ナコトニ御取
扱デアリマスカ、先ヅ其點ヲ伺ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=111
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112・村上龍太郎
○村上政府委員 御答ヘ申上ゲマス、色々
ナ樹齡ハ天然林ナドニハアルヤウナ場合モ
ゴザイマス、又仰セノ如ク色々ナ森林ガゴ
ザイマスガ、大體人工植栽デゴザイマスカ
ラ、大體樹齡ハ一定シテ居ルト考ヘテ居リ
マス、唯補植ナドヲ致シタ場合ニ、多少ノ
違ヒガアリマセウガ、大體同ジ樹齡デアリ
マスカラ、其點差支ナイト思ッテ居リマス、
ソレカラ仰セノ森林所有者ト申シマスノ
ハ、森林ノ立木ノ所有者ト云フコトニナリ
マス、隨テ土地ノ所有者デナクテ、借地ヲ
シテ植ヱタ人ガ、森林所有者ト云フコトニ
ナッテ參ルノデアリマス、所有ノ不明確ナ場
合ニハ、ドウモ保險ヲ附ケルノガ甚ダ困難
デアリマス、多クノ場合ハ人エデ以テ木ヲ
植ヱタ場所デゴザイマスカラ、大體ニ於テ
ハハッキリ致サウト考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=112
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113・松尾四郎
○松尾委員 私ノ疑問ニ考ヘマスルノハ、
森林ノ所有者ハ慣習上持ッテ居ルヤウナ場
合ガ多イノデアリマス、登記ハ三代モ前ノ
祖父サンノ名前ニナッテ居ル、現在ハソコノ
家ノ所有ラシイト云フノデ、地方ノ人モ言ッ
テ居ルシ、又其通リヤッテ居ルノデアリマス
ガ、サウスルト法律上デ行キマスト、三代
モ前ノモノデアリマスカラ、ソレハ遺產相
續ニナル場合モアリマシテ、嚴格ニ言ヘバ
ソレガ其人ノデナイカモ知レナイ、通俗的
ニ之ヲ所有者ト看做シテ居ルト云フ慣習ガ
地方ニアリマスガ、サウ云フ場合ハヤハリ
所有者トシテ取扱ッテ貰ヘルノデアリマセ
ウカ、其點ヲ伺ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=113
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114・村上龍太郎
○村上政府委員 御答申上ゲマス、左樣ナ
場合ニハ祖父サンノ名義デアルガ、登記ヲ
越し、孫ノ名ニナッテ居ナイ、現實社會的
ニ見レバ、孫ノモノデアルニ違ヒナイト云
フヤウナモノハ、是ハヤハリ孫ノ所有ノ森
林トシテ扱フコトニ考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=114
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115・松尾四郎
○松尾委員 モウ一點伺ッテ置キタイノデ
アリマスガ、第七條ニハ此保險證書ヲ作成
シタ翌日カラ效力ガ發生スルト云フ風ニ規
定サレテ居ルノデアリマスガ、保險證書ノ
作成ハ地方長官ニ委任サレテ、地方長官ニ
於テ爲サルヤウニ別ノ參考書ニ於テ是ハ諒
解出來ルノデアリマス、サウスルト地方長
官ノ方カラ保險證書ヲ作成シテ、本人ノ手
ニ屆イテ翌日カラト云フコトニナルト、可
ナリ申込ンデカラ日數ガ掛ル、ソレカラ今
日ノ地方廳ノ事務ノ扱方カラ見マスト、願
書ヲ出シマシテモ、ソレガ決定ニナルマデ、
實ニ長イ日數ヲ要シテ居ルノガ通例デアリ
マス、縣廳ノ受付ガ濟ンダ時ト云フヤウナ
コトニ決メテ置カレマセヌト、非常ニ問題
ガ起リハセヌカト私ハ考ヘルノデアリマス
ガ、民間ノ火災保險會社ニ於キマシテハ、
大抵代理店等ガ領收書ヲ發行シテ、其領收
書ヲ發行シタ代理店ガ、金ヲ本店ニ送ッタ
アタリカラ效力ヲ發生シテ居ル、火災保險
證書ハ餘程シテカラ、本人ノ手許ニ到著ス
ルト云フ場合ガ多イノデスカラ、此點ハ別
ノ方法ヲ御考ニナラヌデモ、是デ餘リ事件
ヲ紛糾セズシテ、將來ヤッテ行ケルト云フ御
見込デアリマスカ、伺ッテ置キタイノデス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=115
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116・村上龍太郎
○村上政府委員 御答致シマス、民間ノ保
險等ガ簡易敏速ニ、ソレ等ノ點ブ扱ッテ居
ルト云フコトモ吾々承知シテ居リマス、唯
成ベク農村ノコトハ事簡明ニシテ置キタイ
ト云フコトカラ、斯樣ニ致シテ居リマス、
併シ町村ナドノ扱ガ遲レマシタリ、縣廳ノ
扱ガ遲レタリスルト云フコトニナリマス
ト、折角保險ヲ受ケル趣旨ガ却テ手遲レノ
爲ニ、ソレヲ沒却サレルヤウナコトガアッテ
モナリマセヌノデ、ソレ等ノ點ハ當初ヨリ
色々考ハアリマシタガ、府縣ニモ此主任ヲ
置キマシテ、此事務ニ付テハ極力敏速ニ運
ブヤウニ、手遲レノナイヤウニ致シタイ、
ソレ等ノ缺陷ヲ生ゼシメナイヤウニ、保險
實施ノ當初カラ習慣付ケテ行キタイ、其方
ニ努力ヲシテ行キタイト考ヘテ居リマス、
斯樣致シマシタノハ-或ハ受付ノ時カラ
致シマスノモ、一ツノ方法デアリマセウシ、
又料金拂込ノ時トスルノモ一ツノ方法デセ
ウシ、色々ノ場合ヲ考ヘラレマセウガ、
番簡單デハッキリシテ居ルト云フコトヲ考
ヘタノデアリマス、ソレカラ起ッテ來ル事務
ノ手遲レ等ハナイヤウニ、初メカラ事務ニ
付テハ極力努力シテ、習慣付ケタイト考へ
テ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=116
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117・松尾四郎
○松尾委員 私ハマダ質問ガ相當殘ッテ居
リマスガ、今日ハ委員長ニ於テ御所用ノヤ
ウデスカラ、質問ヲ保留シテ置キマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=117
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118・紫安新九郎
○紫安委員長 松尾君ノ御質問ヲ留保致シ
そくろ本日ハ是ニテ散會致シマス
午後四時十六分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007011331X01119370316&spkNum=118
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