1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十二年八月三日(火曜日)午前十時八分開議
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議事日程 第七號
昭和十二年八月三日
午前十時開議
第一 請願委員長報告
第二 船員法改正法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第三 人造石油製造事業法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第四 帝國燃料興業株式會社法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第五 農村負債整理資金特別融通及損失補償法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第六 島原鐵道買收の請願 會議
第七 靜岡縣榛原郡下川根村に登記所設置の請願 會議
第八 瀬棚線瀬棚、岩内線岩内の兩驛間鐵道敷設の請願 會議
第九 姫津東線播磨新宮、若櫻線若櫻の兩驛間鐵道敷設の請願 會議
第十 都市美審査委員會設置に關する請願 會議
第十一 街路照明統制に關する請願 會議
第十二 廣告物取締に關する法令改正の請願 會議
第十三 喀痰の取締に關する請願 會議
第十四 利根川治水工事施行の請願 會議
第十五 林道網計畫樹立實施に關する請願 會議
第十六 造林國策樹立に關する請願 會議
第十七 災害防止の林業施設計畫樹立に關する請願 會議
第十八 町村特別税段別割に關する法律改正の請願 會議
第十九 土讚線阿波池田、豫讚本線川之江の兩驛間鐵道敷設の請願 會議
第二十 豫定線三明、能登三井間鐵道速成の請願 會議
第二十一 豫定線佐用、智頭間鐵道速成の請願 會議
第二十二 青森縣弘前市に國立氣象觀測所設置の請願 會議
第二十三 總武本線千葉、銚子の兩驛間電化促進の請願 會議
第二十四 豫定線穴水、飯田間鐵道速成の請願 會議
第二十五 北陸本線花園信號場を停車場に變更の請願 會議
第二十六 山陽本線麻里布、山陰本線萩の兩驛間鐵道敷設の請願 會議
第二十七 靜岡縣牛淵川上流改修に關する請願 會議
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X00719370803&spkNum=0
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001・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 報〓ヲ致サセマ
ス
〔角倉書記官朗讀〕
去月三十一日本院ニ於テ可決シタル左ノ政
府提出案ハ卽日之ヲ衆議院ニ送付セリ
貿易及關係產業ノ調整ニ關スル法律案
貿易組合法案
工業組合法中改正法律案
百貨店法案
酒造組合法中改正法律案
同日委員長ヨリ左ノ報〓書ヲ提出セリ
請願委員會特別報告第一號
昨二日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ヲ受領セ
リ
船員法改正法律案
人造石油製造事業法案
帝國燃料興業株式會社法案
農村負債整理資金特別融通及損失補償法
案
同日委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
請願文書表(第二囘報告)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X00719370803&spkNum=1
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002・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 是ヨリ會議ヲ開
キマス、日程ニ移リマス、日程第一、請願
委員長報告、委員長酒井伯爵
〔伯爵酒井忠克君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X00719370803&spkNum=2
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003・酒井忠克
○伯爵酒井忠克君 請願委員會ノ第一囘報
告ヲ致シマス、去ル七月二十七日ニ正副委
員長ノ互選ヲ行ヒマシテ、引續キ會議ヲ開
キ、次ノ諸事項ニ付テ議決致シマシタ、其
ノ主ナルモノヲ申述ベマスト、今期ノ議會
ハ會期ガ短イ爲ニ、請願書ノ審査ハ先例ニ
從ヒマシテ分科審査ヲ省略致シ、直チニ委
員會ニ於テ審査致スコトトシテ、從ッテ分
科ノ決定、擔當委員ノ選定等ハ致サナイコ
トニ決シタノデアリマス、尙委員會ハ七月
三十一日ト八月五日ノ一一囘開會致スコトニ
決メマシタ、其ノ他二三ゴザイマスルガ、
詳細ハ速記錄ニ依ッテ御諒承ヲ願ヒタイト
存ジマス、請願文書表ノ報〓ハ七月二十八
日、八月二日ノ二囘報〓致シマシタ、請願委
員會特別報告ハ七月三十一日ニ一囘提出致
シテアリマス、請願書ノ受領件數ハ五十一
件デ、之ガ連署人數ガ四萬一千四百五十七
名、此ノ中文書表揭載ノモノガ、四十九件、
連署人數四萬一千四百一一十四名、文書表未
揭載ノモノ二件、連署人數ガ三十三名デゴ
ザイマス、去ル七月三十一日ニ委員會ヲ開
キマシテ、第一囘文書表揭載ノ二十五件ニ
付キマシテ愼重審議致シマシタ結果トシテ、
議院ノ會議ニ付スベシトスルモノ、卽チ採
擇ニ決シマシタモノガ一一十二件ゴザイマス、
以上ノ件ノ審査ニ當リマシテ、詳細ノコト
ハ速記錄ニ依ッテドウゾ御承知ヲ願ヒタイト
存ジマスガ、此ノ中ノ一件ニ付テ一二ノ委員
ヨリ大分御質疑、御意見等モ出マシタカラ、
之ニ付テ簡單ニ申上ゲテ置カウト思ヒマス、
ソレハ第十七號ノ靑森縣弘前市ニ國立氣象
觀測所設置ノ件デゴザイマス、此ノ請願ハ東
北地方ノ根本的振作計畫樹立ニ當ッテ、氣象
觀測機關ノ完備ヲ期シ、旣ニ表日本ニハ數箇
所觀測所設置セラレタルモ、氣象ノ特異性
ヲ有スル裏日本ヲ閑却セラルヽ嫌アルハ甚
ダ遺憾デアルカラ、速カニ弘前市ニ氣象觀
測所ヲ設置セラレタイト云フノデアリマス、
一委員ヨリハ、今迄政府ガ計畫セラレテ居
ル觀測所ハ、大體表日本ヲ主トシテ考ヘラ
レテ居ラレルヤウデアルガ、此ノ請願ハ裏
日本ニ關スルモノデアルガ、之ニ對スル根
本ノ考ハドウカ、之ニ付テ政府ノ御答ハ、
國費ノ許ス限リ成ルベク速カニ、今後必要
性ノ多イ所カラ著々トヤッテ行キタイト思ッ
テ居ル、只今ノ御意見十分考慮致シテ、其
ノ備ヲ致シテ置キタイト思フト云フ御答デア
リマシタ、又去ル七十議會ニ靑森縣鰺ケ澤
ニ國立氣象觀測所設置ノ請願ガ出タガ、是
ハ本院委員會ニ於テ採擇シテアルノデアル、
然ルニ又同縣下ノ弘前ニ同一請願ガ今度出
テ居ルノデアル、文部當局トシテハ之ニ對
シテドウ考ヘテ居ルカ、ドッチガ宜イト思フ
カト云フ御問デアリマス、デ答ハ、鰺ケ澤
ノ測候所ハ昭和十三年度ノ豫算ニ其ノ費用
ヲ計上シテ要求シタイト思ッテ居ル、併シ他
ノ地方デモ必要ト認メテ災害豫防ノ策、航
空軍事等ノ爲ニ供シタイト思ッテ居ル、又
一委員ヨリ靑森ニ本年度新設セラルヽ觀測
所ト、來年度新設セムトシテ居ル鰺ケ澤ト、
此ノ二ツハ非常ニ必要ナ所デアルヤウニ申
サレルガ、又玆ニ同一縣下ニ一ツノ觀測所
設置ノ請願ガ出テ居ルガ、是等三ツヲ圖上ニ
於テ見ルト、非常ニ僅カナ距離シカ隔ッテ
居ナイガ、前二者ヲ最モ必要トシテ政府ハ
認メテ居ルノニ拘ラズ、今度ノ此ノ請願ニ
付テ實際ニ之ヲ作ル意思ガアルノカ、無イ
ノカ、無ケレバナイト率直ニ言ッテ貰ヒタ
イト云フ御問デアリマス、之ニ對シマシテ、
弘前地方ニモ斯ウ云フモノヲ設ケルノハ適
當デハナイカト考へマシテ、本請願ニ付テ
ハ極メテ結構ト存ジテ居ル次第デゴザイマ
スト云フ御答デアリマシタ、以上ノ如キ質
疑應答ガゴザイマシテ、討論ニ入リマシテ
カラモ色々ト御意見モ出マシタガ、採決ノ
結果、是ハ大多數ヲ以テ採擇ト決シタノデ
アリマス、デ以上ハ八月二日午後四時締切
迄ノ御報告デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X00719370803&spkNum=3
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004・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 陸軍大臣ヨリ發
言ヲ求メラレマシタ、之ヲ許可スルコトニ
御異議ハゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X00719370803&spkNum=4
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005・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 直チニ之ヲ許可
致シマス、杉山陸軍大臣
〔國務大臣杉山元君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X00719370803&spkNum=5
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006・杉山元
○國務大臣(杉山元君) 今般通州ニ勃發致
シマシタル事件ニ付テ申上ゲマス、御承知
ノ如ク通州ハ冀東防共自治政府ノ所在地デ
アリマシテ、治安維持ニハ同政府ノ保安隊
ガ任ジテ居ッタノデアリマス、元來此ノ保安
隊ハ我ガ方ニ好意ヲ有ッテ居リマシテ、七月
二十七日、通州城外駐屯ノ第二十九軍ノ部
隊ノ武裝解除ヲ致シマスル際ニ於キマシテ
モ、我ガ軍ニ協力ヲ致シテ居リマス、又塘
沽ノ對岸大沽ニアル支那軍攻擊ノ時ニモ我
ガ軍ト協同動作ヲシタノデアリマス、我ガ
居留民ハ平時內地人約百十名、鮮人約百八
十名デアリマシテ、我ガ駐屯軍ハ常ニ一小
部隊ヲ守備ニ任ゼシメテ居ッタノデアリマス
ルガ、此ノ事件ガ勃發ヲ致シマシタ當時ハ、
居留民ハ約三百八十名ニ增加ヲ致シマシテ、
我ガ軍ハ守備隊其ノ他ヲ合シマシテ約百名
ニナッテ居ッタノデアリマス、七月二十九日
午前三時過ギニ、我ガ通州守備隊ハ突如叛
亂セル冀東保安隊ノ襲撃ヲ受ケマシタノデ、
直チニ之ニ應戰致シマシタ、敵ハ其ノ兵力少
クモ二千名デアリマシテ、守備隊ノ四周カラ
攻擊シテ來マシテ、我ガ有線電信ハ敵ノ爲ニ
破壞セラレ、無線通信モ其ノ用ヲ爲サヾルニ
至ッタノデアリマス、我ガ守備隊ハ各兵舍及倉
庫ヲ頑强ニ守備致シマスルト共ニ、ニング
出擊ヲ行ヒマシテ、侵入致シマシタル敵ヲ
擊退シタノデアリマスルガ、敵ハ午前十時
頃ヨリ兵營周圍ノ土壁ニ據リマシテ、砲兵、
迫擊砲等ヲ增加ヲシテ、射擊ハ愈〓、猛烈ト
ナリマシタ、兵舍ノ一部ハ破壞セラルヽニ
至ッタノデアリマス、併シナガラ我ガ守備隊
ハ之ニ屈スルコトナク、愈〓士氣旺盛ニ抗
戰ヲ續ケマシテ、傭人マデ銃ヲ執ッテ應戰シ
タノデアリマス、正午稍、過ギ構內ニ集積
ヲシテアリマシタ「ガソリン」ニ火ヲ發シ、
又第一線ニ送ルベキ銃砲彈ヲ積載致シテ居
リマシタ自動車モ敵ノ砲彈ガ命中致シマシ
テ、十七輛ヲ全部燒失致シマシテ、銃砲彈
ノ自爆ハ約三時間ニモ亙ッテ居ッタノデアリ
さく、當日我ガ駐屯軍ノ主力ハ北平周邊ニ
アリマスル支那軍掃蕩ヲ實施ヲシテ居ッタ
ノデアリマスルガ、通州ノ守備隊ガ襲撃ヲ
受ケテ苦戰ニ陷ッテ居ルト報告ガアリマシ
タノデ、軍司令官ハ直チニ飛行隊ヲ救援ニ
出動セシメマシテ、通州附近ノ情況偵察竝
ニ支那軍ノ爆擊ニ任ゼシメタノデアリマス、
敵ハ此ノ爆擊ニ依リマシテ一時沈默シタノ
デアリマスルガ、夜ニ入リマシテ依然兵營
周圍ノ土堤ニ據リマシテ攻擊ヲ繼續ヲシテ、
我ガ守備隊ハ之ニ應戰シツヽ夜ヲ徹シタノ
デアリマス、三十日ニ至リマシテ軍司令官
ハ通州ノ襲撃ハ冀東保安隊ノ叛亂デアルト
云フコトヲ承知ヲ致シマシテ、直チニ南苑
ノ敵ヲ追擊中デアリマシタ河邊部隊ヨリ萱
島部隊ヲ引拔イテ通州ノ救援ニ急行セシメ
タノデアリマス、我ガ守備隊ハ萱島部隊增
援ノ通報ヲ受ケマシテ士氣遽カニ揚リマシ
テ防戰是レ努メマシタノト、次イデ實施ヲ
サレマシタル我ガ飛行隊ノ爆擊ノ甚大ナル
效果トニ依リマシテ、兵營四周ノ敵ハ漸次
退却ヲ始メタノデアリマス、增援ニ派遣サ
レマシタ我ガ萱島部隊ハ三十日ノ午後四時
二十分ニ到著致シマシテ、直チニ殘敵ヲ攻
擊シテ市內ノ掃蕩ヲ行ヒ、漸クニシテ各城
門ヲ占領スルコトガ出來タノデアリマス、
爾來私共ハ居留民ノ安否ニ付テ非常ニ憂慮
ヲ致シテ居ッタノデアリマスルガ、電信電
話線ハ悉ク切斷ヲセラレ、無線通信モ何等
ノ應答ナク、飛行機モ亦天候及敵兵ニ阻マ
レテ利用スルコトガ出來マセヌ、加フルニ
北平、通州間ニハ敗殘兵ガ出沒致シマシテ
連絡スルコトガ出來ナカッタ爲ニ、情況不明
デ焦燥ト憂慮ノ中ニ經過ヲシテ居ッタノデ
アリマスルガ、三十一日ノ夕方ニナリマシテ、
漸ク居留民六十名ヲ收容シ得タケレドモ、
他ハ不明デアルト云フコトダケヲ知リ得タ
ノデアリマス、爾後種々眞相ノ調査ニ努メ
マシタノデアリマスルガ、現地ニ於キマシ
テハ敵ノ行動、天候、地形等ニ妨ゲラレマ
シテ、人ヲ派遣スルコトモ出來ズ、銳意努
力ノ結果、漸ク昨二日飛行機ニテ通州ニ赴
キマシタル軍司令部ノ幕僚ノ報〓ニ依リマ
シテ、〓ネ其ノ眞相ガ判明致シマシタ次第
デアリマス、之ニ依リマスルト、我ガ居留
民ハ市內各所ニ散在シテ居リマシテ、事件
ノ勃發シマスル迄ハ何等其ノ徵候ヲ認メマ
セヌデ居リマシタノデ、各〓自宅ニ居リマ
シタル爲ニ敵ノ恣ニ襲擊スル所トナリマシ
テ、多數ハ殺害セラレタモノノヤウデアリ
マスルガ、中ニハ能ク敵ノ手ヲ遁レテ守備
隊へ辿リ著イタ者モアリマシタ、敵ハ我ガ
居留民ニ對シマシテ、言語ニ絕スル暴逆ナ
ル行動ヲ敢テ致シマシテ、其ノ大部分ヲ城
門外ニ拉致致シマシテ、之ヲ慘殺ヲシ、其ノ
殘忍ナル行爲ハ誠ニ耳目ヲ掩ハシムルモノ
ガアリマス、昨二日衆議院ニ於キマシテ
我ガ守備隊ニ收容セラレマシタル居留民ハ、
約百八十名ト申シタノデアリマスルガ、昨
日ノ調査ノ結果ニ依リマスルト、二日ノタ
刻迄ニ收容シ得マシタモノハ內地人ガ男四
十名、女二十名、子供十一、鮮人ガ男十四
名、女二十一名、子供十八名、合計百二十
四名デアリマシタ、其ノ時迄ニ發見收容致
シマシタル屍體ノ數ハ約百三十デアリマス、
尙殘餘ノ者ノ行衞ハ未ダ不明デアリマス、
我ガ特務機關ハ二十九日午前三時頃敵ノ襲
擊ヲ受ケマシタノデ、細木機關長ハ冀東保
安隊ヲ自ラ慰撫鎭壓セムト致シマシテ、冀
東政廳ニ赴キマスル途中ニ、政廳前ニ於テ
悲壯ナル戰死ヲ遂ゲタノデアリマス、又機
關員一同ハ甲斐少佐ノ指揮ノ下ニ防戰ニ努
メマシタガ衆寡敵セズ其ノ大部ハ遂ニ壯烈
ナル戰死ヲ遂ゲタノデアリマス、尙守備隊
其ノ他ノ死傷ハ、戰死十八名、負傷十九名
デアリマス、目下通州ニ於キマシテハ治安
ノ維持モ略〓確實トナリマシテ、引續キ行
衞不明ノ居留民ヲ搜索中デアリマス、本事
件ハ殷汝耕ノ最モ信賴ヲシテ居リマスル〓
導總隊ガ支那軍ノ煽動ニ幻惑セラレマシテ、
第一、第二總隊ノ一部ヲモ誘ヒ込ミマシテ
惹起ヲシタ兵變デアリマシテ、全ク豫想ヲ
セナカッタ所デアリマス、此ノ事件ガ二十八
日ノ夜ノ天津ニ於ケル夜襲ト同ジ日ニ起ツ
テ居ルコトニ徵シマシテモ、第二十九軍ノ
計畫的暴擧デアルコトハ明瞭デアルノデア
リマス、叛亂ノ保安隊ハ三十日北平北方ニ
逃走致シマシテ、第二十九軍ニ合セムト致
シタノデアリマスルガ、我ガ軍ハ之ヲ北平
北方ニ於キマシテ攻擊シテ、約一千名ヲ武
裝解除ヲ致シマシタ、併シナガラ無辜ナル
多數ノ同胞ガ暴戾殘虐ナル支那兵ノ手ニ掛
リマシテ、悲慘ナル最後ヲ遂ゲルニ至リマ
シタコトハ誠ニ殘念至極デ、私ノ最モ遺憾
トスル所デアリマシテ、此ノ度犧牲トナラ
レタ方々ニ對シテ、衷心ヨリ哀悼ノ意ヲ表
スルモノデアリマス、之ヲ以テ終リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X00719370803&spkNum=6
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007・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第二、船員
法改正法律案、政府提出、衆議院送付、第一
讀會、田島政務次官
〔左ノ通牒文及法律案ハ朗讀ヲ經
サルモ參照ノタメ玆ニ載錄ス以下
之ニ倣フ〕
船員法改正法律案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
員法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十二年八月二日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
船員法改正法律案
船員法
第一章總則
第一條本法ニ於テ船員トハ日本船舶ニ
シテ左ニ揭グル船舶以外ノモノニ乘組
ム船長及海員ヲ謂フ
-船舶法第二十條ニ規定スル船舶
二平水區域ヲ航行スル船舶
三總噸數三十噸未滿ノ漁船
前項ノ海員トハ左ニ揭グル者以外ノ乘
組員ヲ謂フ
-船舶所有者以外ノ者ニ雇傭セラル
ル者
二何人ニモ雇傭セラレズシテ業務ヲ
營ム者
三其ノ他勅令ヲ以テ定ムル者
第二條船員、船員タラントスル者、船
舶所有者又ハ船長ハ船員又ハ船員タラ
ントスル者ノ戶籍ニ關シ戶籍事務ヲ管
掌スル者又ハ其ノ代理者ニ對シ無償ニ
テ證明ヲ求ムルコトヲ得
第三條未成年者ガ船員ト爲ルニハ其ノ
法定代理人ノ許可ヲ得ルコトヲ要ス
前項ノ許可ヲ得タル者ハ雇入契約ニ關
シテハ成年者ト同一ノ能力ヲ有ス
第四條十五歲未滿ノ者ハ船員トシテ、
十八歲未滿ノ者ハ石炭夫又ハ火夫トシ
テ之ヲ使用スルコトヲ得ズ但シ勅令ヲ
以テ定ムル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第五條十八歲未滿ノ者ハ勅令ヲ以テ定
ムル場合ヲ除クノ外船內勞働ニ適スル
コトヲ證明シ且署名シタル醫師ノ健康
證明書ヲ有スル場合ニ非ザレバ船員ト
シテ之ヲ使用スルコトヲ得ズ
第六條船員ハ船員手帳ヲ受有スルコト
フルズ
船員手帳ノ交付、訂正、書換、保管及
返還ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ
之ヲ定ム
第二章船長
第七條船長ハ海員ヲ指揮監督シ且船內
ニ在ル者ニ對シ其ノ職務ヲ行フニ必要
ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第八條船長ハ船舶ガ港ヲ出入スルトキ、
狹隘ナル水路ヲ通過スルトキ其ノ他船
舶ニ危險ノ虞アルトキハ甲板ニ在リテ
自ラ船舶ヲ指揮スルコトヲ要ス
第九條船舶ニ急迫ノ危險アルトキハ船
長ハ人命、船舶及積荷ノ救助ニ必要ナ
ル手段ヲ盡シ且旅客、海員其ノ他船內
ニ在ル者ヲ去ラシメタル後ニ非ザレバ
船舶ヲ去ルコトヲ得ズ
第十條船舶ガ衝突シタルトキハ船長ハ
互ニ人命及船舶ノ救助ニ必要ナル手段
ヲ盡シ且船舶ノ名稱、所有者、船籍港、
發航港及到達港ヲ〓グルコトヲ要ス但
シ自己ノ指揮スル船舶ニ急迫ノ危險ア
ルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第十一條船長ハ他ノ船舶ノ遭難ヲ知リ
タルトキハ人命ノ救助ニ必要ナル手段
ヲ盡スコトヲ要ス但シ自己ノ指揮スル
船舶ニ急迫ノ危險アル場合及勅令ヲ以
テ定ムル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第十二條船舶航行中船內ニ在ル者死亡
シタルトキハ船長ハ命令ノ定ムル所ニ
依リ之ヲ水葬ニ付スルコトヲ得
第十三條船內ニ在ル者死亡シ又ハ行方
不明ト爲リタルトキハ法令ニ別段ノ定
アル場合ヲ除クノ外船長ハ船內ニ在ル
遺留品ヲ保管スルコトヲ要ス
第十四條外國ニ駐在スル帝國ノ外交官、
領事官又ハ貿易事務官ガ法令ノ定ムル
所ニ依リ帝國臣民ノ送還ヲ命ジタルト
キハ船長ハ正當ノ事由アルニ非ザレバ
之ヲ拒ムコトヲ得ズ
送還費用ノ償還ニ關シ必要ナル事項ハ
勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十五條左ノ各號ノ一ニ該當スル場合
ニ於テハ船長ハ命令ノ定ムル所ニ依リ
管海官廳ニ其ノ旨ヲ報告スルコトヲ要
ス
一衝突、乘揚、滅失、沈沒、火災、機關
ノ損傷其ノ他ノ海難發生シタルトキ
二入命若ハ船舶ノ救助ニ從事シ又ハ
航行中他ノ船舶ノ遭難ヲ知リタルトキ
三船內ニ在ル者死亡シ又ハ行方不明
ト爲リタルトキ
四豫定ノ航路ヲ變更シタルトキ
五船舶ガ抑留又ハ捕獲セラレタルト
キ其ノ他船舶ニ關シ著シキ事故アリ
タルトキ
第十六條船長ガ死亡シタルトキ、船舶
ヲ去リタルトキ又ハ之ヲ指揮スルコト
能ハザル場合ニ於テ他人ヲ選任セザル
トキハ運航ニ從事スル海員ハ其ノ職掌
ノ順位ニ從ヒ船長ノ職務ヲ行フ
第十七條第二十一條、第二十三條、第
二十九條、第三十條及第三十二條ノ規
定ハ船長ニ之ヲ準用ス
第三章海員
第十八條海員ノ雇入契約ノ成立、終了、
更新又ハ變更アリタルトキハ船長及海
員ハ遲滯ナク管海官廳ニ出頭シテ其ノ
公認ヲ受クルコトヲ要ス
前項ノ場合ニ於テ船長ガ公認ヲ受クル
コト能ハザルトキハ船舶所有者之ヲ受
クルコトヲ得
前二項ノ場合ニ於テ正當ノ事由アルト
キハ代理人ヲシテ公認ヲ受ケシムルコ
トヲ得
第十九條海員ハ疾病ニ罹リ又ハ傷痍ヲ
受ケタル爲職務ニ從事セザル期間ニ付
テモ給料ノ請求ヲ爲スコトヲ得但シ疾
病又ハ傷痍ニ付海員ニ過失アルトキハ
此ノ限ニ在ラズ
海員ハ其ノ職務ヲ行フニ因リテ疾病ニ
罹リ又ハ傷痍ヲ受ケタル場合ニ於テハ
前項但書ノ規定ニ拘ラズ疾病又ハ傷痍
ニ付海員ニ故意又ハ重大ナル過失ナキ
限リ同項ニ規定スル給料ノ請求ヲ爲ス
コトヲ得
第二十條海員ノ給料及手當ノ支拂方法
ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十一條船舶所有者ハ海員ノ乘船中
勅令ノ定ムル所ニ依リ之ニ食料ヲ支給
スルコトヲ要ス
第二十二條船舶所有者ハ勅令ノ定ムル
所ニ依リ船舶ニ醫師ヲ乘組マシメ又ハ
醫療設備ヲ爲スコトヲ要ス
第二十三條船舶ガ左ノ各號ノ一ニ該當
スル場合ニ於テハ海員ノ雇入契約ハ終
了ス
一滅失又ハ沈沒シタルトキ
二全ク運航ニ堪ヘザルニ至リタルト
キ
船舶ノ存否ガ一月間分明ナラザルトキ
ハ船舶ハ滅失シタルモノト推定ス
第一項ノ規定ニ依リ雇入契約終了シタ
ル場合ト雖モ海員ハ人命、船舶又ハ積
荷ノ應急救助ノ爲必要ナル勞務ニ服ス
ルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テハ雇入契
約ハ仍存續スルモノト看做ス
第二十四條海員ガ左ノ各號ノ一ニ該當
スル場合其ノ他已ムコトヲ得ザル事由
アル場合ニ於テハ船長ハ海員ヲ雇止ム
ルコトヲ得
一著シク職務ニ不適任ナルトキ
二著シク職務ヲ怠リ又ハ職務ニ關シ
重大ナル過失アリタルトキ
三疾病ニ罹リ又ハ傷痍ヲ受ケ職務ニ
堪ヘザルトキ
四船長ノ指定スル時迄ニ船舶ニ乘込
マザルトキ
第二十五條左ノ各號ノ一ニ該當スル場
合ニ於テハ海員ハ雇止ヲ請求スルコト
ヲ得
-船舶ガ國籍ヲ喪失シタルトキ
二海員ガ疾病ニ罹リ又ハ傷痍ヲ受ケ
職務ニ堪ヘザルトキ
三海員ガ船長ヨリ虐待ヲ受ケタルト
キ
前項ニ揭グル場合ノ外海員ハ船長ノ適
當ト認ムル後任者ヲ提供シテ雇止ヲ請
求スルコトヲ得
第二十六條期間ノ定ナキ海員ノ雇入契
約ハ船長又ハ海員ヨリ書面ヲ以テ二十
四時間ヲ下ラザル期間ヲ定メ豫〓ヲ爲
ストキハ該期間ガ滿了シタル時ニ於テ
終了ス
前項ノ期間ガ滿了シタル時ニ於テ船舶
ガ積荷ノ陸揚ヲ爲シ又ハ旅客ガ上陸ス
ベキ港ニ碇泊中ニシテ其ノ港ニ於ケル
積荷ノ陸揚及旅客ノ上陸ガ終ラザルト
キハ前項ノ規定ニ拘ラズ其ノ終リタル
時ニ於テ雇入契約ハ終了ス
第一項ノ期間ガ滿了シタル時ニ於テ船
舶ガ航行中ナルトキ又ハ前項ノ港以外
ノ港ニ碇泊中ナルトキハ第一項ノ規定
ニ拘ラズ船舶ガ積荷ノ陸揚ヲ爲シ又ハ
旅客ガ上陸スベキ次ノ港ニ到著シテ其
ノ港ニ於ケル積荷ノ陸揚及旅客ノ上陸
ガ終リタル時ニ於テ雇入契約ハ終了ス
前二項ノ規定ハ期間ノ定アル海員ノ雇
入契約ガ期間ノ滿了ニ因リ終了スル場
合ニ之ヲ準用ス
第三項ノ規定ハ第二十四條及前條第一
項ノ規定ニ依リ海員ノ雇入契約ガ終了
スル場合ニ之ヲ準用ス
第二十七條前條第一項乃至第四項ノ規
定ニ依リ海員ノ雇入契約ガ適當ナル海
員ヲ補充シ得ル港以外ノ港ニ於テ終了
スルトキハ船長ハ船舶ガ適當ナル海員
ヲ補充シ得ル港ニ到著シ積荷ノ陸揚及
旅客ノ上陸ガ終ル時迄雇入契約ヲ存續
セシムルコトヲ得
第二十八條相續其ノ他ノ包括承繼ノ場
合ヲ除クノ外船舶所有者ノ變更アリタ
ルトキハ海員ノ雇入契約ハ終了ス
前項ノ場合ニ於テハ雇入契約終了ノ時
ヨリ海員ト新所有者トノ間ニ從前ノ雇
入契約ト同一條件ノ雇入契約存スルモ
ノト看做ス此ノ場合ニ於テハ海員ハ第
二十六條第一項乃至第三項ノ規定ニ從
ヒ雇入契約ヲ終了セシムルコトヲ得
前條ノ規定ハ前項ノ規定ニ依ル雇入契
約終了ノ場合ニ之ヲ準用ス
第二十九條船舶所有者ハ海員ガ疾病ニ
罹リ若ハ傷痍ヲ受ケタルトキ、雇入契
約終了シタルトキ又ハ死亡シタルトキ
ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ扶助シ、
之ニ手當ヲ支給シ又ハ之ガ葬祭ノ費用
ヲ負擔スルコトヲ要ス
第三十條船舶所有者ハ雇入契約終了シ
タル海員ヲ勅令ノ定ムル所ニ依リ雇入
港又ハ其ノ希望スル地迄送還スルコト
ヲヨハ
前項ノ場合ニ於テ海員ハ送還ニ代ヘテ
其ノ費用ヲ請求スルコトヲ得
第三十一條海員ハ船長ニ對シ其ノ勤務
ノ成績ニ關スル證明書ノ交付ヲ請求ス
ルコトヲ得
第三十二條海員ノ船舶所有者ニ對スル
債權ハ二年ヲ經過シタルトキハ時效ニ
因リテ消滅ス
船舶所有者ニ對スル葬祭ニ關スル債權
亦同ジ
第三十三條第二十九條ノ規定ニ依リ海
員ガ扶助又ハ手當ヲ受クルノ權利ハ之
ヲ讓渡シ又ハ差押フルコトヲ得ズ葬祭
ノ費用ヲ受クルノ權利亦同ジ
第四章紀律
第三十四條海員ガ左ノ各號ノ一ニ該當
スル場合ニ於テハ船長ハ之ヲ懲戒スル
コトヲ得
一上長ニ對シテ尊敬又ハ從順ノ道ヲ
失ヒタルトキ
二職務ヲ怠リ又ハ他ノ乘組員ノ職務
ヲ妨ゲタルトキ
三船長ノ指定スル時迄ニ船舶ニ乘込
マズ又ハ船長ノ許可ヲ得ズシテ之ヲ
去リタルトキ
四船長ノ許可ヲ得ズシテ點火若ハ焚
火シ又ハ端艇其ノ他ノ重要ナル屬具
ヲ使用シタルトキ
五食料又ハ淡水ヲ濫費シタルトキ
六喧爭シタルトキ、酩酊シテ事理ヲ
辨ゼザルトキ又ハ禁止セラレタル場
所ニ於テ喫煙シタルトキ
七其ノ他船內ノ秩序ニ反スル行爲ヲ
爲シタルトキ
第三十五條懲戒ハ左ノ四種トシ勅令ノ
定ムル所ニ依リ船長之ヲ行フ
一監禁三日以下トシ船內ノ一室ニ
拘置ス
二上陸禁止七日以下トシ此ノ期間
ニハ船舶ノ碇泊日數ノミヲ算入ス
三減給給料月額十分ノ一以下ヲ減
ズ但シ三月ヲ超ユルコトヲ得ズ
四譴責
前項第一號及第二號ノ期間ニハ初日ヲ
算入ス
第三十六條海員ガ兇器、爆發若ハ發火
シ易キ物、劇藥其ノ他ノ危險物又ハ酒
類ヲ所持スルトキハ船長ハ其ノ物ヲ保
管又ハ放棄スルコトヲ得
第三十七條海員ガ船內ニ在ル者ノ生命
若ハ身體又ハ船舶ニ危害ヲ及ボスベキ
行爲ヲ爲サントスルトキハ船長ハ必要
ノ期間其ノ者ノ身體ヲ拘束スルコトヲ
得
第三十八條船長ハ必要アルトキハ旅客
其ノ他船內ニ在ル者ニ對シテモ前二條
ニ規定スル處分ヲ爲スコトヲ得
第三十九條海員ガ雇入契約成立ノ公認
アリタル後船長ノ指定スル時迄ニ船舶
ニ乘込マズ又ハ船長ノ許可ヲ得ズシテ
之ヲ去リタルトキハ船長ハ之ヲ强制シ
テ船舶ニ乘込マシムルコトヲ得
海員ガ雇入契約終了ノ公認アリタル後
遲滯ナク船舶ヲ去ラザルトキハ船長ハ
之ヲ强制シテ船舶ヲ去ラシムルコトヲ
得
第四十條船長ハ其ノ命令ニ服從セザル
者アル場合ニ於テ必要アリト認ムルト
キハ管海官廳、地方官廳又ハ海軍艦船
ニ援助ヲ求ムルコトヲ得
第五章雜則
第四十一條管海官廳ハ職權ヲ以テ又ハ
申請ニ依リ第三章ニ規定スル事項ニ關
シ船舶所有者、船長及海員ノ間ニ生ジタ
ル事件ノ解決ニ付斡旋ヲ爲スコトヲ得
第四十二條管海官廳ハ必要アリト認ム
ルトキハ船舶所有者又ハ乘組員ヲシテ
書類帳簿ヲ提出セシメ若ハ報〓ヲ爲サ
シメ、之ヲ呼出シテ質問ヲ爲シ又ハ當
該官吏ヲシテ船舶ニ臨檢セシムルコト
ヲ得此ノ場合ニ於テハ當該官吏ハ其ノ
身分ヲ證明スベキ證票ヲ携帶スベシ
管海官廳ハ本法又ハ本法ニ基キテ發ス
ル命令ニ違反スル事實アリト認ムルト
キハ船舶所有者又ハ船長ニ對シ必要ナ
ル處分ヲ爲スコトヲ得
管海官廳ハ必要アリト認ムルトキハ旅
客其ノ他船內ニ在ル者ニ就キ質問ヲ爲
スコトヲ得
第四十三條本法及本法ニ基キテ發スル
命令中船舶所有者ニ關スル規定ハ船舶
共有ノ場合ニ在リテハ船舶管理人ニ、
船舶貸借ノ場合ニ在リテハ船舶借入人
ニ之ヲ適用ス
第四十四條本法ニ依リ管海官廳ノ行フ
ベキ事務ハ外國ニ在リテハ勅令ノ定ム
ル所ニ依リ帝國ノ領事官又ハ貿易事務
官之ヲ行フ
第四十五條本法ニ依リ管海官廳ノ行フ
ベキ事務ニ付テハ主務大臣ハ市町村長、
町村制ヲ施行セザル地ニ在リテハ之ニ
準ズル者ヲシテ之ヲ行ハシムルコトヲ得
第四十六條左ニ揭グル船舶ノ乘組員ニ
付テハ勅令ヲ以テ別段ノ定ヲ爲スコト
ヲ得
一國又ハ北海道、府縣、市町村其ノ
他ノ公共團體ノ所有ニ屬スル船舶
二其ノ他勅令ヲ以テ定ムル船舶
第四十七條本法ハ勅令ノ定ムル所ニ依
リ第一條第二項各號ニ揭グル者ニ之ヲ
準用ス
第四十八條地方長官ハ第一條第一項各
號ニ掲グル船舶ノ乘組員ノ監督ニ關シ
主務大臣ノ認可ヲ受ケ必要ナル規則ヲ
設クルコトヲ得
第六章罰則
第四十九條船舶所有者又ハ船長ガ第四
條ノ規定ニ違反シ十五歲未滿ノ者ヲ船
員トシテ、十八歲未滿ノ者ヲ石炭夫若
ハ火夫トシテ使用シタルトキ又ハ第五
條ノ規定ニ違反シ健康證明書ヲ有セザ
ル者ヲ船員トシテ使用シタルトキハ千
圓以下ノ罰金ニ處ス
第五十條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ六
月以下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ
處ス
-詐僞其ノ他ノ不正行爲ヲ以テ船員
手帳ノ交付、訂正又ハ書換ヲ受ケタ
ル者
二詐僞其ノ他ノ不正行爲ヲ以テ海員
ノ雇入契約ニ關スル公認ヲ受ケタル
者
三他人ノ船員手帳ヲ行使シタル者
第五十一條船長ガ船內ニ在ル者ニ對シ
其ノ職權ヲ濫用シ又ハ虐待ヲ爲シタル
トキハ六月以下ノ懲役又ハ五百圓以下
ノ罰金ニ處ス
第五十二條船長ガ第九條ノ規定ニ違反
シ船舶ヲ去リタルトキハ五年以下ノ懲
役ニ處ス
第五十三條船長ガ第十條ノ規定ニ違反
シ人命及船舶ノ救助ニ必要ナル手段ヲ
盡サザルトキハ三年以下ノ懲役又ハ二
千圓以下ノ罰金ニ處ス
第五十四條船長ガ左ノ各號ノ一ニ該當
スル場合ニ於テハ二年以下ノ懲役又ハ
千圓以下ノ罰金ニ處ス
第十一條ノ規定ニ違反シ人命ノ救
助ニ必要ナル手段ヲ盡サザルトキ
二正當ノ事由ナクシテ船舶ヲ遺棄シ
タルトキ
三正當ノ事由ナクシテ外國ニ於テ海
員ヲ遺棄シタルトキ
第五十五條船長ガ左ノ各號ノ一ニ該當
スル場合ニ於テハ五百圓以下ノ罰金ニ
處ス
-第八條ノ規定ニ違反シ自ラ船舶ヲ
指揮セザルトキ
二第十條ノ規定ニ違反シ告知ヲ爲サ
ザルトキ
三第十四條第一項ノ規定ニ違反シ送
還命令ヲ拒ミタルトキ
四第十五條ノ規定ニ違反シ報〓ヲ爲
サズ又ハ虚僞ノ報〓ヲ爲シタルトキ
五第十八條ノ規定ニ違反シ公認ヲ受
ケザルトキ
六商法第五百六十一條ノ規定ニ違反
シ檢査ヲ爲サザルトキ
七商法第五百六十二條第一項ノ規定
ニ違反シ書類ヲ備置カズ又ハ同條同
項第二號乃至第五號ニ揭グル書類ニ
記載スベキ事項ヲ記載セズ若ハ虚僞
ノ記載ヲ爲シタルトキ
八商法第五百六十三條ノ規定ニ違反
シ船舶ヲ去リタルトキ
九商法第五百六十四條ノ規定ニ違反
シ豫定ノ航路ヲ變更シタルトキ
第五十六條船長ガ左ノ各號ノ一ニ該當
スル場合ニ於テハ二百圓以下ノ罰金ニ
處ス
一第十二條ノ規定ニ基キテ發スル命
令ニ違反シ水葬ニ付シタルトキ
二第十三條ノ規定ニ違反シ遺留品ノ
保管ヲ爲サザルトキ
第五十七條海員ガ左ノ各號ノ一ニ該當
スル場合ニ於テハ二年以下ノ懲役ニ處
ス
-船舶ニ急迫ノ危險アル場合ニ於テ
船長ノ許可ヲ得ズシテ之ヲ去リタル
トキ
二第九條乃至第十一條ニ規定スル場
合ニ於テ船長ガ人命、船舶又ハ積荷
ノ救助ニ必要ナル手段ヲ爲スニ當リ
上長ノ命令ニ服從セザルトキ
三第二十三條第三項ニ規定スル場合
ニ於テ人命、船舶又ハ積荷ノ應急救
助ノ爲必要ナル勞務ニ服セザルトキ
第五十八條海員ガ上長ニ對シ暴行又ハ
脅迫ヲ爲シタルトキハ二年以下ノ懲役
又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第五十九條海員ガ脫船シタルトキハ
年以下ノ懲役ニ處ス
第六十條左ノ各號ノ一ニ該當スル場合
ニ於テ船員ガ勞働爭議ニ關シ團結シテ
勞務ヲ中止シ又ハ作業ノ進行ヲ阻害
シタルトキハ一年以下ノ懲役又ハ五百
圓以下ノ罰金ニ處ス
一船舶ガ外國ノ港ニ在ルトキ
二人命又ハ船舶ニ直接ノ危險ヲ及ボ
ス虞アルトキ
三船員又ハ其ノ代表者ガ相手方ニ對
シ爭議事項ニ關シ交涉ヲ開始シタル
後一週間ヲ經過シ且二十四時間前ニ
豫〓ヲ爲シタルニ非ザルトキ
第六十一條船舶所有者ガ第二十條乃至
第二十二條、第二十九條又ハ第三十條
ノ規定ニ基キテ發スル勅令ニ違反シタ
ルトキハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第六十二條船舶所有者又ハ乘組員ガ左
ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ五
百圓以下ノ罰金ニ處ス
-管海官廳ノ命令ニ違反シ書類帳簿
ノ提出ヲ爲サズ又ハ報告ヲ爲サズ若
ハ虛僞ノ報〓ヲ爲シタルトキ
二管海官廳ノ呼出ニ應ゼズ又ハ管海
官廳若ハ當該官吏ノ質問ニ對シ答辯
ヲ爲サズ若ハ虚僞ノ陳述ヲ爲シタル
トキ
三當該官吏ノ臨檢ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ
忌避シタルトキ
四第四十二條第二項ニ規定スル管海
官廳ノ處分ニ違反シタルトキ
第六十三條本章中船長ニ適用スベキ規
定ハ船長ニ代リテ其ノ職務ヲ行フ者ア
ル場合ニ於テハ其ノ者ニ之ヲ適用ス
第六十四條船舶所有者ハ其ノ代理人、
雇人其ノ他ノ從業者ニ第二十條乃至第
二十二條、第二十九條又ハ第三十條ノ
規定ニ基キテ發スル勅令ニ違反スル所
爲アリタルトキハ自己ノ指揮ニ出デザ
ルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ
得ズ
第六十五條船舶所有者ガ未成年者若ハ
禁治產者ナル場合又ハ法人ナル場合ニ
在リテハ本法又ハ本法ニ基キテ發スル
命令ニ依リ其ノ者ニ適用スベキ罰則ハ
其ノ法定代理人又ハ法令ニ依リ法人ヲ
代表スル者ニ之ヲ適用ス
前項ノ場合ニ於テハ懲役ノ刑ニ處スル
コトヲ得ズ
第六十六條本法及本法ニ基キテ發スル
命令中船舶所有者ニ適用スベキ罰則ハ
國又ハ北海道、府縣、市町村其ノ他ノ
公共團體ニハ之ヲ適用セズ
附則
第六十七條本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以
テ之ヲ定ム
第六十八條船員最低年齡法ハ之ヲ廢止
ス
船舶安全法第二十八條中「遭難者救
助、」ヲ削ル
商法第五百七十五條及第五編第二章第
二節ハ之ヲ削除ス但シ商法其ノ他ノ法
令ノ規定ノ適用上之ニ依ルベキ場合ニ
於テハ仍其ノ效力ヲ有ス
第六十九條本法施行前ニ生ジタル事項
ニ付テハ仍從前ノ例ニ依ル但シ刑法第
六條ノ規定ノ適用ヲ妨ゲズ
第七十條本法施行ノ際現ニ船員トシテ
使用セラルル十四歲以上十五歲未滿ノ
者ヲ本法施行後引續キ使用スル場合ニ
於テハ第四條ノ規定ヲ適用セズ
第七十一條第一條第一項各號ニ揭グル
船舶ノ乘組員ノ監督ニ關シ地方長官ノ
設ケタル規則ニシテ本法施行ノ際現ニ
存スルモノハ本法ニ依リテ主務大臣ノ
認可ヲ受ケタルモノト看做ス
〔政府委員田島勝太郞君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X00719370803&spkNum=7
-
008・田島勝太郎
○政府委員(田島勝太郞君) 只今上程サレ
マシタ船員法改正法律案ノ提出ノ理由ヲ御
說明申上ゲマス、近時我ガ海運ハ長足ノ進
步發展ヲ遂ゲマシテ、社會情勢モ亦著シイ
變遷推移ヲ見ツヽアルニモ拘リマセズ、現在
船員ノ保護監督ヲ規律致シマスル船員法及
海商法ハ、何レモ制定以來三十有餘年ノ歲月
ヲ經過致シマシテ、現下ノ實情ニ副ハザル點
ガ少クナイノデアリマス、從ヒマシテ船員法
改正ノ要望ハ漸ク熾烈トナッテ參ッタノデア
リマス、斯カル情勢ニ鑑ミマシテ遞信省ニ
於キマシテハ、先年臨時海事法令調査會ヲ
設ケマシテ船主及船員ノ團體ノ代表者ヲ初
メト致シ、關係各方面ノ官民相會シマシテ、
此ノ法律改正ノ審議ヲ行ヒ、其ノ結果改正
要綱ニ關スル決議ヲ得マシタノデ、今囘此
ノ決議ヲ骨子ト致シマシテ、現行船員法及
商法中海員ニ關スル規定、竝ニ船員最低年
齡法ヲ整理統一致シマシテ、之ニ適當ナル
改正ヲ加ヘ、他ノ方面ニ於キマシテ海運ノ
國際性ヲ考慮致シマシテ、曩ニ國際勞働總
會ニ於テ採擇セラレマシタ四箇ノ條約案卽
チ船舶ノ滅失又ハ沈沒ノ場合ニ於ケル失業
ノ補償ニ關スル條約案、海員ノ雇入契約ニ關
スル條約案、海員ノ送還ニ關スル條約案、或
ハ船員ノ最低年齡ニ關スル條約案ノ趣旨ヲ
採リ入レマシテ、是等ヲ綜合致シマシタル
單一ノ船員法ヲ制定致シマシテ、時代ノ要
求ニ應ジ、以テ海上勞働問題ヲ調整シマス
ルト同時ニ、船員ノ生活ノ安定ヲ圖リマシ
テ、海運界ノ平和ト其ノ健全ナル發展トヲ
圖リタイト存ジマス、是レ本案ヲ提出致シ
マシタ所以デゴザイマス、尙本法律案ハ御
承知ノ通リ前議會ニ提出セラレマシテ、
衆議院ヲ通過致シ本院ニ囘付ノ後議會ノ
解散ノ爲ニ審議未了ニナリマシタモノト
全ク同一ノモノデゴザイマス、何卒御審
議ノ上速ニ御協贊アラムコトヲ希望致シ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X00719370803&spkNum=8
-
009・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題ニナリマシタ
船員法改正法律案ハ重大ナル法案デアリマ
スガ故ニ、其ノ特別委員ノ數ヲ十五名トシ、
議長ニ於テ指名アラムコトノ動議ヲ提出致
シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X00719370803&spkNum=9
-
010・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X00719370803&spkNum=10
-
011・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X00719370803&spkNum=11
-
012・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 戶澤子爵ノ動議
ニ御異議ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X00719370803&spkNum=12
-
013・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、特別委員ノ氏名ヲ朗讀致サセマス
〔近藤書記官朗讀〕
船員法改正法律案特別委員
侯爵西〓從德君侯爵池田宣政君
伯爵後藤一藏君子爵伊集院兼知君
子爵松平保男君子爵秋元春朝君
男爵有地藤三郞君白根竹介君
今井田〓德君男爵井上〓純君
男爵深尾隆太郞君林平四郞君
橋本辰二郞君油井德藏君
岩田宙造君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X00719370803&spkNum=13
-
014・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第三、人造
石油製造事業法案、日程第四、帝國燃料興
業株式會社法案、政府提出、衆議院送付、第
一讀會、是等ノ二案ヲ一括シテ議題トスル
コトニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X00719370803&spkNum=14
-
015・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、吉野商工大臣
人造石油製造事業法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十二年八月二日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
人造石油製造事業法案
人造石油製造事業法
第一條本法ハ液體燃料ノ供給ヲ確保ス
ル爲人造石油製造事業ノ確立ヲ圖ルコ
トヲ目的トス
第二條人造石油製造事業ヲ營マントス
ル者ハ政府ノ許可ヲ受クベシ
前項ノ人造石油製造事業ノ範圍及許可
ニ關シ必要ナル事項ハ本法ニ定ムルモ
ノノ外勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三條前條ノ許可ヲ受クルコトヲ得べ
キ者ハ帝國法令ニ依リ設立シタル株式
會社ニシテ其ノ株主ノ半數以上、取締
役ノ半數以上、資本ノ半額以上及議決
權ノ過半數ガ帝國臣民又ハ帝國法令ニ
依リ設立シタル法人ニ屬スルモノニ限
ル
前項ノ法人ハ其ノ社員、株主若ハ業務
ヲ執行スル役員ノ半數以上又ハ資本ノ
半額以上若ハ議決權ノ過半數ガ外國人
又ハ外國法人ニ屬セザルモノナルコト
ヲ要ス
前條ノ許可ヲ受ケタル者前二項ノ規定
ニ該當セザルニ至リタルトキハ許可ハ
其ノ效力ヲ失フ
第四條第二條ノ許可ヲ受ケタル會社(人
造石油製造會社)ハ政府ノ指定スル期
間內ニ其ノ事業ヲ開始スベシ
政府ハ正當ノ事由アリト認ムル場合ニ
限リ前項ノ期間ノ延長ヲ許可スルコト
ヲ得
人造石油製造會社前二項ノ期間內ニ其
ノ事業ヲ開始セザルトキハ第二條ノ許
可ハ其ノ效力ヲ失フ
第五條人造石油製造會社ノ營ム人造石
油製造事業ハ土地收用法第二條ノ土地
ヲ收用又ハ使用スルコトヲ得ル事業ト
シ同法ヲ適用ス
第六條人造石油製造會社ニハ命令ノ定
ムル所ニ依リ本法施行ノ日ヨリ十年間
其ノ事業ニ付所得稅及營業收益稅ヲ免
除ス
第七條北海道、府縣及市町村其ノ他之
ニ準ズベキモノハ前條ノ期間人造石油
製造會社ニハ其ノ事業ニ對シ又ハ其ノ
事業ニ屬スル資本金額、從業者、製造
若ハ加工ノ用ニ供スル器具機械類、使
用動力又ハ收入ヲ標準トシテ課稅スル
コトヲ得ズ
第八條人造石油製造會社其ノ事業ノ爲
必要ナル器具、機械又ハ材料ヲ政府ノ
認可ヲ受ケ輸入スルトキハ本法施行ノ
日ヨリ七年間命令ノ定ムル所ニ依リ輸
入稅ヲ免除ス
第九條政府ハ人造石油製造會社ニ對シ
命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ製造シタル
人造石油ニ付奬勵金ヲ交付スルコトヲ
得
第十條詐欺ノ行爲ヲ以テ前條ノ奬勵金
ノ交付ヲ受ケタル者ニ對シテハ其ノ金
額ヲ返還セシム
前項ノ規定ニ依ル返還金ハ國稅滯納處
分ノ例ニ依リ之ヲ徵收スルコトヲ得但
シ先取特權ノ順位ハ國稅ニ次グモノト
ス
第十一條人造石油製造會社ハ事業擴張
ノ場合ニ於テ政府ノ認可ヲ受ケ其ノ事
業ニ屬スル設備ノ費用ニ充ツル爲株金
全額拂込前ト雖モ其ノ資本ヲ增加スル
コトヲ得
第十二條人造石油製造會社ハ政府ノ認
可ヲ受ケ其ノ事業ニ屬スル設備ノ費用
ニ充ツル爲商法第二百條ノ規定ニ依ル
制限ヲ超エテ社債ヲ募集スルコトヲ得
但シ社債ノ總額ハ拂込ミタル株金額ノ
二倍ヲ超ユルコトヲ得ズ
最終ノ貸借對照表ニ依リ會社ニ現存ス
ル財產ガ拂込ミタル株金額ニ滿タザル
トキハ前項ノ規定ヲ適用セズ
第一項ノ規定ニ依リ募集スル社債ニ付
テハ工場抵當法ニ依リ會社ノ事業ニ
屬スルモノヲ抵當ト爲スコトヲ要ス但
シ特別ノ事情アル場合ニ於テ政府其ノ
必要ナシト認メタルトキハ此ノ限ニ在
ラズ
第十三條人造石油製造會社ハ命令ノ定
ムル所ニ依リ事業計畫ヲ定メ政府ノ認
可ヲ受クベシ之ヲ變更セントスルトキ
亦同ジ
政府必要アリト認ムルトキハ事業計畫
ノ變更ヲ命ズルコトヲ得
第十四條人造石油製造會社其ノ事業ノ
全部又ハ一部ヲ讓渡シ、廢止シ又ハ休
止セントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ
依リ政府ノ許可ヲ受クベシ
人造石油製造會社ノ合併又ハ解散ノ決
議ハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ認可
ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第十五條政府ハ人造石油製造會社ニ對
シ其ノ業務及財產ノ狀況ニ關シ報〓ヲ
爲サシムルコトヲ得
政府ハ人造石油製造會社ニ對シ其ノ業
務及會計ニ關シ監督上必要ナル命令ヲ
發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
政府監督上必要アリト認ムルトキハ當
該官吏ヲシテ人造石油製造會社ノ事務
所營業所、工場、貯油所其ノ他ノ場
所ニ臨檢シ業務若ハ財產ノ狀況又ハ帳
簿書類其ノ他ノ物件ヲ檢查セシムルコ
トヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示
ス證票ヲ携帶セシムベシ
第十六條政府公益上必要アリト認ムル
トキハ人造石油製造會社ニ對シ人造石
油ノ販賣價格ノ變更其ノ他販賣ニ關シ
必要ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
政府公益上必要アリト認ムルトキハ人
造石油製造會社ニ對シ其ノ設備ノ擴張
若ハ改良又ハ製造方法ノ改善ヲ命ズル
コトヲ得
第十七條政府軍事上必要アリト認ムル
トキハ人造石油製造會社ニ對シ人造石
油ノ製造ニ關スル特殊設備ノ施設其ノ
他軍事上必要ナル事項ヲ命ズルコトヲ
得
第十八條人造石油製造會社ハ其ノ所有
スル人造石油ヲ政府ガ命令ノ定ムル所
ニ依リ時價ヲ標準トシテ購入セントス
ルトキハ之ヲ拒ムコトヲ得ズ
第十九條政府第二條ノ處分又ハ第十六
條ノ規定ニ依ル命令ヲ爲サントスルト
キハ液體燃料委員會ノ議ヲ經ベシ
液體燃料委員會ニ關スル規程ハ勅令ヲ
以テ之ヲ定ム
第二十條人造石油製造會社本法若ハ本
法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ基キテ
爲ス處分ニ違反シタルトキハ政府ハ其
ノ業務ヲ停止シ若ハ制限シ、第二條ノ
許可ヲ取消シ又ハ取締役若ハ其ノ職務
ヲ行フ監査役ノ解任ヲ爲スコトヲ得
第二十一條第二條ノ規定ニ違反シ許可
ヲ受ケズシテ人造石油製造事業ヲ營ミ
タル者ハ五千圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十二條人造石油製造會社第十六條
又ハ第十七條ノ規定ニ依ル命令ニ違反
シタルトキハ其ノ取締役又ハ其ノ職務
ヲ行フ監査役ヲ三千圓以下ノ罰金ニ處
ス
第二十三條人造石油製造會社左ノ各號
ノ一ニ該當スルトキハ其ノ取締役又ハ
其ノ職務ヲ行フ監査役ヲ千圓以下ノ罰
金ニ處ス
一第十三條第一項ノ規定ニ違反シ認
可ヲ受ケザル事業計畫ヲ實施シタル
トキ
二第十三條第二項ノ規定ニ依ル命令
ニ違反シ事業計畫ヲ變更セズシテ之
ヲ實施シタルトキ
三第十四條第一項ノ規定ニ依リ許可
ヲ受クベキ事項ヲ許可ヲ受ケズシテ
爲シタルトキ
四第十五條第二項ノ命令又ハ處分ニ
違反シタルトキ
第二十四條左ノ各號ノ一ニ該當スル者
ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
-第十五條第一項ノ規定ニ依ル報〓ヲ
爲サズ又ハ虚僞ノ報告ヲ爲シタル者
二第十五條第三項ノ規定ニ依ル當該
官吏ノ臨檢檢査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌
避シ又ハ其ノ質問ニ對シ答辯ヲ爲サ
ズ若ハ虚僞ノ陳述ヲ爲シタル者
第二十五條當該官吏又ハ其ノ職ニ在リ
タル者本法ニ依ル職務執行ニ關シ知得
シタル個人又ハ法人ノ業務上ノ祕密ヲ
漏洩シ又ハ之ヲ竊用シタルトキハ一年
以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十六條人造石油製造會社ハ其ノ代
理人、雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ業務
ニ關シ本法若ハ本法ニ基キテ發スル命
令又ハ之ニ基キテ爲ス處分ニ違反シタ
ルトキハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ
以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第二十七條本法又ハ本法ニ基キテ發ス
ル命令ニ依リ適用スベキ罰則ハ其ノ者
ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他
ノ法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成
年者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定
代理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成
年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ
付テハ此ノ限ニ在ラズ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際現ニ人造石油製造事業ヲ營
ム者ハ本法施行ノ日ヨリ二年ヲ限リ命令
ノ定ムル所ニ依リ第二條ノ規定ニ拘ラズ
其ノ事業ヲ營ムコトヲ得
第十五條第一項第三項、第二十四條、第
二十六條及第二十七條ノ規定ハ前項ノ規
定ニ依リ人造石油製造事業ヲ營ム者ニ之
ヲ準用ス
石油業法第八條第一項中「石油業委員會」
ヲ「液體燃料委員會」ニ改メ同條第二項ヲ
削ル
帝國燃料興業株式會社法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十二年八月二日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
帝國燃料興業株式會社法案
帝國燃料興業株式會社法
第一章總則
第一條帝國燃料興業株式會社ハ人造石
油製造事業ノ振興ヲ圖ル爲必要ナル事
業ヲ營ムコトヲ目的トスル株式會社ト
ス
第二條帝國燃料興業株式會社ノ資本ハ
一億圓トシ內五千萬圓ハ政府ノ出資ト
ス
帝國燃料興業株式會社ハ政府ノ認可ヲ
受ケ其ノ資本ヲ增加スルコトヲ得
第三條帝國燃料興業株式會社ハ株金全
額拂込前ト雖モ其ノ資本ヲ增加スルコ
トヲ得
第四條帝國燃料興業株式會社ノ株金ノ
第一囘拂込金額ハ株金ノ十分ノ一迄下
ルコトヲ得
第五條帝國燃料興業株式會社ノ株式ハ
記名式トシ政府、公共團體、帝國臣民
又ハ帝國法人ニシテ社員、株主若ハ業
務ヲ執行スル役員ノ半數以上又ハ資本
ノ半額以上若ハ議決權ノ過半數ガ外
國人又ハ外國法人ニ屬セザルモノニ限
リ之ヲ所有スルコトヲ得
第六條帝國燃料興業株式會社ノ存立期
間ハ設立登記ノ日ヨリ五十年トス但シ
政府ノ認可ヲ受ケ之ヲ延長スルコトヲ得
第七條帝國燃料興業株式會社ニ非ザル
モノハ帝國燃料興業株式會社又ハ之ニ
類似ノ名稱ヲ以テ其ノ商號ト爲スコト
ヲ得ズ
第二章役員
第八條帝國燃料興業株式會社ニ總裁副
總裁各一人、理事三人以上及監事一一人
以上ヲ置ク
第九條總裁ハ帝國燃料興業株式會社ヲ
代表シ其ノ業務ヲ總理ス
副總裁ハ總裁事故アルトキハ其ノ業務
ヲ代理シ總裁缺員ノトキハ其ノ職務ヲ
行フ
副總裁及理事ハ總裁ヲ補助シ帝國燃料
興業株式會社ノ業務ヲ分掌ス
監事ハ帝國燃料興業株式會社ノ業務ヲ
監査ス
第十條總裁及副總裁ハ政府之ヲ命ジ其
ノ任期ヲ五年トス
理事ハ株主中ヨリ株主總會ニ於テ二倍
ノ候補者ヲ選擧シ政府其ノ中ヨリ之ヲ
命ジ其ノ任期ハ四年トス
監事ハ株主中ヨリ株主總會ニ於テ之ヲ
選任シ其ノ任期ヲ三年トス
第十一條總裁、副總裁及理事ハ他ノ職
務又ハ商業ニ從事スルコトヲ得ズ但シ
政府ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ
在ラズ
第三章營業
第十二條帝國燃料興業株式會社ハ人造
石油製造事業ニ對スル投資ヲ爲スモノ
トス
帝國燃料興業株式會社ハ政府ノ認可ヲ
受ケ前項ノ事業ノ外人造石油ノ製造又
ハ販賣其ノ他本會社ノ目的達成上必要
ナル諸事業ヲ營ムコトヲ得
第四章燃料興業債劵
第十三條帝國燃料興業株式會社ハ拂込
ミタル株金額ノ三倍ヲ限リ燃料興業債
劵ヲ發行スルコトヲ得
燃料興業債劵ヲ發行スル場合ニ於テハ
商法第二百九條ニ定ムル決議ニ依ルコ
トヲ要セズ
第十四條燃料興業債劵ヲ發行セントス
ル場合ニ於テハ政府ノ認可ヲ受クベシ
第十五條政府ハ燃料興業債劵ノ元本ノ
償還及利息ノ支拂ニ付保證スルコトヲ
得
第十六條燃料興業債劵ハ無記名式トス
但シ應募者又ハ所有者ノ請求ニ因リ記
名式ト爲スコトヲ得
第十七條燃料興業債劵ノ所有者ハ帝國
燃料興業株式會社ノ財產ニ付他ノ債權
者ニ先チテ自己ノ債權ノ辨濟ヲ受クル
權利ヲ有ス
第十八條帝國燃料興業株式會社ハ社債
借換ノ爲一時第十三條ノ制限ニ依ラズ
燃料興業債劵ヲ發行スルコトヲ得此ノ
場合ニ於テハ發行後一月以内ニ其ノ社
債總額ニ相當スル舊燃料興業債劵ヲ償
還スベシ
第五章準備金
第十九條帝國燃料興業株式會社ハ每營
業年度ニ準備金トシテ資本ノ缺損ヲ補
フ爲利益金額ノ百分ノ八以上ヲ積立テ
且利益配當ノ平均ヲ得シムル爲利益金
額ノ百分ノ二以上ヲ積立ツベシ
第六章監督及助成
第二十條政府ハ帝國燃料興業株式會社
ノ業務ヲ監督ス
第二十一條帝國燃料興業株式會社借入
金ヲ爲サントスルトキハ政府ノ認可ヲ
受クベシ
第二十二條定款ノ變更、利益金ノ處分、
合併及解散ノ決議ハ政府ノ認可ヲ受ク
ルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第二十三條帝國燃料興業株式會社ハ每
營業年度ノ事業計畫ヲ定メ政府ノ認可
ヲ受クベシ之ヲ變更セントスルトキ亦
同ジ
第二十四條政府ハ帝國燃料興業株式會
社ノ業務ニ關シ監督上又ハ人造石油製
造事業ノ振興上其ノ他公益上必要ナル
命令ヲ爲スコトヲ得
第二十五條政府ハ帝國燃料興業株式會
社ノ業務ニ關シ軍事上必要ナル命令ヲ
爲スコトヲ得
第二十六條政府ハ帝國燃料興業株式會
社監理官ヲ置キ帝國燃料興業株式會社
ノ業務ヲ監視セシム
第二十七條帝國燃料興業株式會社監理
官ハ何時ニテモ帝國燃料興業株式會社
ノ金庫、帳簿及諸般ノ文書物件ヲ檢査
スルコトヲ得
帝國燃料興業株式會社監理官必要ト認
ムルトキハ何時ニテモ帝國燃料興業株
式會社ニ命ジ業務ニ關スル諸般ノ計算
及狀況ヲ報告セシムルコトヲ得
帝國燃料興業株式會社監理官ハ株主總
會其ノ他諸般ノ會議ニ出席シ意見ヲ陳
述スルコトヲ得
第二十八條政府帝國燃料興業株式會社
ノ決議又ハ役員ノ行爲ガ法令、法令ニ
基キテ爲ス處分若ハ定款ニ違反シ又ハ
公益ヲ害スト認ムルトキハ其ノ決議ヲ
取消シ又ハ役員ヲ解任スルコトヲ得
第二十九條帝國燃料興業株式會社ハ每
營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金
額ガ政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ拂
込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ六ノ割
合ニ達スル迄政府ノ所有スル株式ニ對
シ利益ノ配當ヲ爲スコトヲ要セズ
第三十條帝國燃料興業株式會社ノ每營
業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金額
ガ政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ拂込
ミタル株金額ニ對シ第三營業年度迄ニ
在リテハ年百分ノ四、第四營業年度以
降ニ在リテハ年百分ノ六ノ割合ニ達セ
ザルトキハ政府ハ第十營業年度迄之ニ
達セシムベキ金額ヲ補給スベシ但シ其
ノ額ハ第四營業年度以降每營業年度ニ
於テハ政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ
拂込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ六ノ
割合ニ相當スル額及當該營業年度ニ於
テ支拂ヒタル燃料興業債劵ノ利息額ノ
合計額ヲ超ユルコトヲ得ズ
每營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益
金額ガ政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ
拂込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ六ノ
割合ヲ超過スルトキハ其ノ超過額ハ先
ヅ之ヲ前項ノ規定ニ依ル補給金ノ償還
ニ充ツベシ
第十營業年度迄每營業年度ニ於ケル配
當シ得ベキ利益金額ガ政府以外ノ者ノ
所有スル株式ノ拂込ミタル株金額ニ對
シ年百分ノ六ノ割合ヲ超過スルトキハ
其ノ二分ノ一ヲ配當準備ノ爲別ニ積立
ツベシ
第二項ノ規定ニ依リ補給金ヲ償還シ尙
殘餘アリタルトキハ之ヲ前項ノ拂込ミ
タル株金額ニ對シ年百分ノ六ノ割合ヲ
超過シタル當該營業年度ノ利益金ト看
做ス
前二項ノ規定ニ依ル積立金ハ後營業年
度ニ於ケル第一項ノ規定ニ依ル補給金
ノ計算ニ付テハ之ヲ配當シ得ベキ利益
金ト看做ス
第三十一條帝國燃料興業株式會社ノ每
營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金
額ガ政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ拂
込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ六ノ割
合ヲ超過スル場合ニ於テ政府以外ノ者
ノ所有スル株式ニ對シ年百分ノ六ノ割
合ヲ超エ利益配當ヲ爲サントスルトキ
ハ其ノ超過スル利益金額ハ利益配當ガ
總株式ニ付拂込ミタル株金額ニ對シ均
一ノ割合ニ達スル迄政府以外ノ者ノ所
有スル株式ノ拂込ミタル株金額及政府
ノ所有スル株式ノ拂込ミタル株金額ニ對
シ一ト五トノ割合ヲ以テ之ヲ配當スベシ
第三十二條帝國燃料興業株式會社ニハ
開業ノ年及其ノ翌年ヨリ十年間所得稅
及營業收益稅ヲ免除ス
第三十三條北海道、府縣及市町村其ノ
他之ニ準ズベキモノハ前條ノ期間帝國
燃料興業株式會社ノ事業ニ對シ地方稅
ヲ課スルコトヲ得ズ但シ特別ノ事情ニ
基キ政府ノ認可ヲ受ケタル場合ハ此ノ
限ニ在ラズ
第七章罰則
第三十四條帝國燃料興業株式會社左ノ
各號ノ一ニ該當スルトキハ總裁又ハ總
裁ノ職務ヲ行ヒ若ハ代理スル副總裁ヲ
百圓以上二千圓以下ノ過料ニ處ス副總
裁又ハ理事ノ分掌業務ニ係ルトキハ副
總裁又ハ理事ヲ過料ニ處スルコト亦同
ジ
一本法ニ依リ認可ヲ受クベキ場合ニ
於テ其ノ認可ヲ受ケザルトキ
二第十二條ノ規定ニ依ラズシテ業務
ヲ營ミタルトキ
三第十三條ノ規定ニ違反シ燃料興業
債劵ヲ發行シタルトキ
四第十八條ノ規定ニ違反シ燃料興業
債劵ノ償還ヲ爲サザルトキ
五第二十四條又ハ第二十五條ノ規定
ニ基キテ爲シタル命令ニ違反シタル
トキ
第三十五條帝國燃料興業株式會社ノ總
裁副總裁及理事第十一條ノ規定ニ違
反シタルトキハ二十圓以上二百圓以下
ノ過料ニ處ス
第三十六條第七條ノ規定ニ違反シタル
者ハ十圓以上百圓以下ノ過料ニ處ス
第三十七條非訟事件手續法第二百六條
乃至第二百八條ノ規定ハ前三條ノ過料
ニ之ヲ準用ス
附則
第三十八條本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以
テ之ヲ定ム
第三十九條政府ハ設立委員ヲ命ジ帝國
燃料興業株式會社ノ設立ニ關スル一切
ノ事務ヲ處理セシム
第四十條設立委員ハ定款ヲ作成シ政府
ノ認可ヲ受クベシ
第四十一條前條ノ認可アリタルトキハ
設立委員ハ株式總數ヨリ政府ニ割當ツ
ベキ株式ヲ控除シタル殘餘ノ株式ニ付
株主ヲ募集スベシ
第四十二條株式申込證ニハ定款認可ノ
年月日竝ニ商法第百二十六條第二項第
二號、第四號及第五號ニ規定スル事項
ヲ記載スベシ
第四十三條設立委員株主ノ募集ヲ終リ
タルトキハ株式申込證ヲ政府ニ提出シ
其ノ檢査ヲ受クベシ
第四十四條設立委員ハ前條ノ檢査ヲ受
ケタル後遲滯ナク各株ニ付第一囘ノ拂
込ヲ爲サシムベシ
前項ノ拂込アリタルトキハ設立委員ハ
遲滯ナク創立總會ヲ招集スベシ
第四十五條創立總會ニ於テハ第十條ノ
規定ニ準ジ理事候補者ノ選擧及監事ノ
選任ヲ行フベシ
第四十六條創立總會終結シタルトキハ
設立委員ハ其ノ事務ヲ帝國燃料興業株
式會社總裁ニ引渡スベシ
第四十七條登錄稅法第六條第一項第十
一號中「又ハ東北興業債劵」ヲ「、東北興
業債劵又ハ燃料興業債劵」三ツ人
〔國務大臣吉野信次君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X00719370803&spkNum=15
-
016・吉野信次
○國務大臣(吉野信次君) 只今議題トナッ
テ居リマスル二ツノ法案ニ付キマシテ、其
ノ提案ノ理由ヲ御說明申上ゲマス、液體燃
料ハ產業上竝ニ國防上必要缺クベカラザル
基礎的ノ資源デアリマスコトハ申上ゲル迄
モナイノデアリマシテ、我ガ國ニ於キマシテ
ハ遺憾ナガラ石油資源ニ乏シイ爲ニ、大部
分ハ諸外國カラ輸入スル狀態デアリマシテ、
此ノ爲ニ每年巨額ノ海外支拂ヲナシテ居ル
ノデアリマス、而モ逐年著シイ需要增加ノ
趨勢ニアリマスカラ、液體燃料ノ國內自給
ヲ促進致シマシテ、產業ノ發展ト國防ノ安
固ヲ期スルト共ニ、國際貸借ノ改善ヲ圖リ
マスコトハ、最モ現下ノ急務トスル所デア
リマス、是ニハ色々ノ施設ヲ爲スノ要アル
コトハ多言ヲ要シナイ所デアリマスルガ、
又天然石油以外ノ原料カラ人工的ニ液體燃
料ヲ製造致シマス所ノ、人造石油製造事業ト
云フモノノ確立ヲ圖リマスコトモ、有效適
切ナル方策デアルト考ヘルノデアリマス、
ソコデ液體燃料ノ中デ特ニ主要ナル揮發油
ト重油ノ生產ニ重點ヲ置キマシテ、幸ニ原料
タル石炭ハ我ガ國ニ於キマシテモ、亦滿洲國
ニ於キマシテモ相當豐富デアリマスカラ、
日滿兩國ヲ通ジマシテ、差當リ七箇年計畫
ヲ以チマシテ、各〓年產百萬「キロリットル」ヲ
生產セシメントスルモノデアリマス、申ス
迄モナク此ノ事業ハ全ク新規ノ事業デア
リマシテ、之ガ爲ニハ多大ノ努力ヲ要スル
ノデアリマスカラ、本事業ヲ政府ノ許可事
業ト致シマシテ、政府ノ指導監督ヲ加ヘ、
其ノ統制アル發達ヲ期スルコトト致シマシ
テ、一面奬勵金ノ交付、租稅ノ免除等ノ保
護助成ヲナシマシテ、斯ノ業ノ確立ヲ期ス
ル爲ニ、人造石油製造事業法ナル法律ヲ制
定スルコトト致シタイノデアリマス、更ニ
此ノ事業ヲ遂行致シマスル爲ニハ、巨額ノ
資金ヲ必要ト致シマシテ、其ノ圓滑ナル調
達ニ對シマシテモ、適當ナル援助ヲ與フル
ノ必要ガアルノデアリマス、ソコデ政府ニ
於キマシテハ半官半民ノ資本組織ニ依リマ
シテ、資本金一億圓ノ特殊會社ヲ設立致サ
セマシテ、政府ハ之ニ對シテ五千萬圓ヲ出
資致シマスルト共ニ、配當補給、社債ノ元
利支拂ノ保證、租稅ノ免除等、特別ノ保護
助成ヲ與ヘムトスルノデアリマス、之ガ爲
ニ帝國燃料興業株式會社法ヲ制定スルコト
ト致シマシタ次第デアリマス、以上ガ今般
此ノ二ツノ法案ヲ提出致シマシタ趣旨ノ大
要デアリマス、此ノ兩法案ハ御承知ノ通リ前
議會ニモ提出致シマシタノデアリマスガ、人
造石油製造事業法案ニ付キマシテハ、前議會
ニ提案致シマシタモノニ多少ノ修正ヲ加へ
マシタガ、帝國燃料興業株式會社法案ハ、
前議會ニ提案致シマシタモノヲ其ノ儘提案
致シマシタ次第デゴザイマス、何卒御審議
ノ上ニ御協贊ヲ與ヘラレムコトヲ御願ヒ致
シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X00719370803&spkNum=16
-
017・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今上程致サレマシタ
人造石油製造事業法案外一件ハ、重要ナル
法案デゴザイマスガ故ニ、其ノ特別委員ノ
數ヲ十八名トシ、議長ニ於テ指名アラムコ
トノ動議ヲ提出致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X00719370803&spkNum=17
-
018・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X00719370803&spkNum=18
-
019・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 戶澤子爵ノ動議
ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X00719370803&spkNum=19
-
020・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、特別委員ノ氏名ヲ朗讀致サセマス
〔近藤書記官朗讀〕
人造石油製造事業法案外一件特別委員
公爵一條實孝君公爵山縣有道君
伯爵堀田正恒君男爵坂本俊篤君
子爵大久保立君子爵井上匡四郞君
子爵保科正昭君中川健藏君
三井〓一郞君男爵岩倉道倶君
男爵肝付兼英君橋本圭三郞君
倉知鐵吉君下出民義君
磯村豐太郞君松本勝太郞君
濱口儀兵衞君上野喜左衞門君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X00719370803&spkNum=20
-
021・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第五、農村
負債整理資金特別融通及損失補償法案、政
府提出、衆議院送付、第一讀會、有馬農林
大臣
農村負債整理資金特別融通及損失補償
法案
右政府提出案本院ニ於テ可決セリ因テ議
院法第五十四條ニ依リ及送付候也
昭和十二年八月二日
衆議院議長小山松壽
貴族院議長伯爵松平賴壽殿
農村負債整理資金特別融通及損失補償
法案
農村負債整理資金特別融通及損失補
償法
第一條市町村又ハ產業組合中央金庫ハ
負債整理事業ヲ助成スル爲必要アリト
認ムルトキハ負債整理組合又ハ農村負
債整理組合法第八條ノ規定ニ依リ負債
整理事業ヲ行フ法人ニ對シ主務大臣ノ
定ムル所ニ依リ特別融通ヲ爲スコトヲ
得
產業組合中央金庫ノ爲ス前項ノ特別融
通ハ所屬信用組合ガ農村負債整理組合
法第八條ノ規定ニ依リ負債整理事業ヲ
行フ場合又ハ所屬信用組合ガ其ノ組合
員タル負債整理組合若ハ農村負債整理
組合法第八條ノ規定ニ依リ負債整理事
業ヲ行フ法人ニ對シ負債整理資金ヲ融
通スル場合ニ於テ命令ノ定ムル所ニ依
リ其ノ信用組合ニ對シ之ヲ爲スモノト
ス
日本勸業銀行、農工銀行又ハ北海道拓
殖銀行(以下融資銀行ト稱ス)ハ負債整
理組合ノ組合員、農村負債整理組合法
第八條ノ規定ニ依リ負債整理事業ヲ行フ
法人ノ組織者又ハ命令ノ定ムル所ニ依
リ負債ノ整理ヲ爲ス者ニ對シ主務大臣
ノ定ムル所ニ依リ特別融通ヲ爲スコト
ヲ得
第二條市町村、產業組合中央金庫又ハ
融資銀行ガ前條ノ規定ニ依リ特別融通
ヲ爲スコトヲ得ル期間ハ本法施行ノ日
ヨリ十年間トシ其ノ融通ノ期限ハ本法
施行ノ日ヨリ二十五年ヲ超ユルコトヲ
得ズ
第三條融資銀行ガ第一條ノ規定ニ依ル
特別融通ヲ爲ス場合ニ於ケル貸付金額
ハ日本勸業銀行法第十八條又ハ農工銀
行法第十條ノ規定ニ拘ラズ其ノ擔保タ
ル不動產ニ付鑑定シタル價格以內トス
第四條產業組合中央金庫特別融通及損
失補償法第三條及第四條ノ規定ハ產業
組合中央金庫ガ第一條ノ規定ニ依ル特
別融通ヲ爲ス場合ニ、不動產融資及損
失補償法第四條及第五條ノ規定ハ融資
銀行ガ第一條ノ規定ニ依ル特別融通ヲ
爲ス場合ニ之ヲ準用ス
第五條北海道府縣ハ第一條ノ規定ニ依
ル特別融通ヲ爲スニ因リ市町村ガ損失
ヲ受ケタルトキ之ニ對シ其ノ特別融通
總額ノ十分ノ三以內ノ金額(市町村ニ
對スル損失補償金)ヲ補償スルノ契約
ヲ爲スコトヲ得
政府ハ前項ノ損失補償ノ契約ニ基キ北
海道府縣ガ損失補償ヲ爲シタルトキ之
ニ對シ其ノ市町村ニ對スル損失補償金
ノ三分ノ二ニ相當スル金額ヲ補給スル
ノ契約ヲ爲スコトヲ得
第一項ノ規定ニ依リ北海道府縣ガ市町
村ニ對シテ爲ス損失補償ノ契約ニ於テ
ハ北海道府縣ノ市町村ニ對スル損失補
償金中其ノ六分ノ一ニ相當スル金額ヲ
當該市町村ニ於テ負擔スベキ旨ヲ定ム
ベシ但シ特別ノ事由アルトキハ命令ノ
定ムル所ニ依リ市町村ノ負擔スベキ金
額ノ割合ニ付別段ノ定ヲ爲シ又ハ市町
村ヲシテ負擔ヲ爲サシメザルコトヲ得
第六條政府ハ第一條ノ規定ニ依ル特別
融通ヲ爲スニ因リ產業組合中央金庫又
ハ融資銀行ガ損失ヲ受ケタルトキハ產
業組合中央金庫ニ對シテハ其ノ特別融
通總額ノ十分ノ三以內、融資銀行ニ對
シテハ其ノ特別融通總額ノ十分ノ二以
內ノ金額ヲ補償スルノ契約ヲ爲スコト
ヲ得
第七條第五條第一項及前條ノ損失ヲ決
定スル基準ハ主務大臣大藏大臣ニ協議
シテ之ヲ定ム
第八條第五條第二項及第六條ノ規定ニ
依ル政府ノ補給金及補償金ノ總額ハ
億二千萬圓ヲ超ユルコトヲ得ズ
第九條第一條ノ規定ニ依ル特別融通ヲ
爲シタルニ因リ市町村、產業組合中央
金庫又ハ融資銀行ノ受ケタル損失及其
ノ額ハ負債整理資金特別融通損失審査
會之ヲ決定ス
負債整理資金特別融通損失審査會ニ關
スル規程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十條第五條第二項及第六條ノ契約ニ
基キ政府ガ北海道府縣、產業組合中央
金庫及融資銀行ニ對シ支拂フベキ補給
金又ハ補償金ハ國債證劵ヲ以テ之ヲ交
付スルコトヲ得
第十一條政府ハ前條ノ規定ニ依リ交付
スル爲必要ナル額ヲ限度トシ公債ヲ發
行スルコトヲ得
第十二條本法ニ依リ交付スル國債證劵
ノ交付價格ハ時價ヲ參酌シテ大藏大臣
之ヲ定ム
第十三條本法中町村トアルハ町村制ヲ
施行セザル地ニ於テハ之ニ準ズベキモ
ノトス
附則
第十四條本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ
之ヲ定ム
第十五條農村負債整理組合法第三章ヲ
削ル
從前ノ農村負債整理組合法第二十六條
ノ規定ニ依ル特別融通ニ關シテハ仍從
前ノ例ニ依ル但シ同法第三十一條第一
項ノ規定ニ依ル決定ハ本法第九條ノ負
債整理資金特別融通損失審査會之ヲ行
フ
第十六條農村負債整理組合法第七條ニ
左ノ一項ヲ加フ
負債整理組合ガ命令ノ定ムル所ニ依リ
其ノ事業遂行ノ爲必要ナル土地ヲ取得
スル場合亦前項ニ同ジ
同法第八條第二項及同法第十六條中
「六年間」ヲ「十三年間」ニ改ム
第十七條登錄稅法第十九條但書中「第
十四號乃至第十六號」ヲ「第十四號乃至
第十七號」ニ改メ同條第十五號及第十
六號ヲ左ノ如ク改ム
十五市町村、產業組合中央金庫、信用
組合、日本勸業銀行、農工銀行、北海
道拓殖銀行、負債整理組合又ハ農村
負債整理組合法第八條ノ規定ニ依リ
負債整理事業ヲ行フ法人ノ負債整理
ノ爲ノ資金貸付ノ場合ニ於ケル抵當
權ノ取得ノ登記
十六市町村、產業組合中央金庫、信
用組合、負債整理組合又ハ農村負債
整理組合法第八條ノ規定ニ依リ負債
整理事業ヲ行フ法人ヨリ負債整理ノ
爲ノ資金ノ貸付ヲ受ケタル者ガ其ノ
貸付ノ條件ヲ具備セザルニ至リタル
場合ニ於ケル市町村、產業組合中央
金庫、信用組合、負債整理組合又ハ
農村負債整理組合法第八條ノ規定ニ
依リ負債整理事業ヲ行フ法人ノ所有
權ノ取得ノ登記
十七負債整理組合又ハ農村負債整理
組合法第八條ノ規定ニ依リ負債整理
事業ヲ行フ法人ノ同法第七條第二項
ニ規定スル場合ニ於ケル土地所有權
ノ取得ノ登記
〔國務大臣伯爵有馬賴寧君演壇ニ登ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X00719370803&spkNum=21
-
022・有馬頼寧
○國務大臣(伯爵有馬賴寧君) 只今上程サ
レマシク農村負債整理資金特別融通及損失
補償法案ノ提出ノ理由ヲ御說明申上ゲマ
ス、農村負債整理事業ハ昭和八年實施以來
旣ニ四年ヲ經過致シマシテ、相當ノ實績ヲ
擧ゲツヽアルノデアリマスガ、之ヲ全國的
ニ見マスト未ダ十分ナリト云フコトヲ得ナ
イノデアリマシテ、更ニ本事業ヲ擴大强化
スルノ必要ガ認メラレテ居ルノデゴザイマ
ス、農山漁村ニ於ケル中小產者ノ負債ハ約
四十一億ノ巨額ニ達シテ居リマシテ、此ノ
負債ニ因ル重壓ヲ除クノデナケレバ、農山
漁村民ノ更生ハ到底望マレナイノデアリマ
シテ、此ノ際負債整理制度ヲ更ニ擴大シ、
今後一層其ノ普及促進ヲ圖リマスコトハ、
誠ニ急務トスル所デゴザイマス、仍テ政府
ハ玆ニ本案ヲ提出致シタ次第デアリマシ
テ、本案ノ要旨ト致シマス所ハ、政府ノ損
失補償ニ依リマシテ負債整理資金ヲ融通ス
ル機關トシテ、市町村ノ外產業組合中央金
庫日本勸業銀行、農工銀行及北海道拓殖
銀行ヲ認メマシテ、是ト同時ニ市町村ヲ經
由シテ、負債整理資金ヲ融通スル場合ノ政
府ノ損失補償ノ割合ヲ增加シ、是等ニ對ス
ル政府ノ損失補償金ノ總額ヲ一億二千萬圓
ト致シマシテ、相當多額ノ資金ヲ融通致シ
マシテ、負債整理事業ノ促進ノ徹底ヲ圖ル
コトト致シタノデアリマス、何卒愼重御審
議ノ上、御協贊アラムコトヲ希望致シマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X00719370803&spkNum=22
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023・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御質疑ガナケレ
バ本案ノ特別委員ノ氏名ヲ朗讀致サセマ
ス
〔石橋書記官朗讀〕
農村負債整理資金特別融通及損失補償法
案特別委員
侯爵久我通顯君子爵西大路吉光君
男爵足立豐君男爵岩村一木君
岡田文次君內藤久寛君
石川三郞君武井覺太郞君
金成通君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X00719370803&spkNum=23
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024・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 日程第六ヨリ第
二十七迄ノ請願、會議
〔左ノ意見書案ハ朗讀ヲ經サルモ
參照ノタメ玆ニ載錄ス以下之ニ倣
フ〕
意見書案
島原鐵道買收ノ件
長崎縣南高來郡島原町長松本義兼外
十五名呈出
右ノ請願ハ長崎本線諫早驛ヨリ島原湊驛
ニ至ル島原鐵道ハ創設以來沿線地方ニ於
ケル文化竝產業上寄與スル所大ナルモ今
ヤ豐肥本線ノ完通竝雲仙、阿蘇、霧島ノ
國立公園設定等ニ依リ三角、島原間ノ海
上連絡ト相俟テ九州橫斷國際觀光遊覽ノ
主要幹線ノ一部トナレリ仍テ同鐵道ヲ速
ニ國有ト爲ト之カ改善ヲ圖リ以テ運輸交
通ノ統制、觀光道ノ完成ニ資セラレタシ
トノ趣旨ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採
擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六
十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十二年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
靜岡縣榛原郡下川根村ニ登記所設置ノ
件
靜岡縣榛原郡下川根村長半田瀧藏外
二十九名呈出
右ノ請願ハ靜岡縣榛原郡下川根村、志太
郡伊久身村大字身成、笹間渡及笹間村大
字笹間下ハ各其ノ管轄登記所トノ距離遠
ク住民ノ不利不便尠カラサルハ遺憾ナル
ニ依リ經濟狀態、取引關係等ニ於テ相互
緊密ニシテ登記件數多キ之等隣接三地域
ヲ管轄區域トスル登記所ヲ下川根村地内
ニ設置セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院
ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致
候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送
付候也
昭和十二年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
瀨棚線瀨棚、岩內線岩內ノ兩驛間鐵道
敷設ノ件
北海道岩內郡岩內町長淺野目浦吉外
九名呈出
右ノ請願ハ瀨棚線瀨棚驛ヨリ壽都ヲ經テ
岩內線岩內驛ニ至ル鐵道ヲ敷設スルハ沿
線地方ニ於ケル豐富ナル海產及農、林、
鑛產ノ資源開發上裨益スル所多大ナルノ
ミナラス運輸交通竝國防上亦須要ナルニ
依リ速ニ之カ實現ヲ圖ラレタシトノ旨趣
ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキ
モノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ
依リ別册及送付候也
昭和十二年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
姫津東線播磨新宮、若櫻線若櫻ノ兩驛
間鐵道敷設ノ件
兵庫縣宍粟郡山崎町長前野修二外二
十二名呈出
右ノ請願ハ姬津東線播磨新宮驛ヨリ若櫻
線若櫻驛ニ至ル鐵道ヲ敷設スルハ沿線地
方就中兵庫縣宍粟郡ニ於ケル農、畜、林、
鑛各種產業ノ開發上貢獻スル所多大ナル
ノミナラス運輸交通竝軍事上亦緊要ナル
ニ依リ速ニ之ヲ實現セラレタシトノ旨趣
ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキ
モノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ
依リ別册及送付候也
昭和十二年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
都市美審査委員會設置ニ關スル件
東京市小石川區原町百一一十六番地男
爵阪谷芳郞呈出
右ノ請願ハ都市ノ交通、衞生、保安及經
濟ニ關スル重要施設ハ都市計畫委員會ニ
付議スルノ定ナルヲ以テ適切妥當ナル實
施ヲ見ルモ都市美增進ニ關シテハ特別ノ
法規ナキノミナラス之ヲ審査シ、指導統
制スル機關ナク動モスレハ都市ノ發展ニ
伴ヒ、亂雜、不快ノ風景出現スルハ都市
景觀上甚遺憾ナルニ依リ都市風致ノ維
持增進、建築物其ノ他工作物ノ美的統制
等都市美ニ關スル重要事項ヲ審議スル機
關トシテ都市美審査委員會設置ニ關スル
法令ヲ制定セラレタシトノ旨趣ニシテ貴
族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議
決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册
及送付候也
昭和十二年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
内閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
街路照明統制ニ關スル件
東京市小石川區原町百二十六番地男
爵阪谷芳郞呈出
右ノ請願ハ街路照明ハ都市ノ保安竝交通
上重要ナル設備ニシテ且都市美構成ノ一
要素ナルニ拘ラス之カ施設ハ私人其ノ他
團體ノ任意ニ委ネラルル爲照度、形狀、
樣式等區區ニシテ都市ノ美觀ヲ害スルノ
ミナラス往往危險ナル構造ヲ有スルモノ
ノ生スルハ甚遺憾ナルニ依リ道路法ヲ改
正シ之ヲ道路ノ附屬物ト爲シ一定ノ基準
ヲ設ケ以テ其ノ統制整備ヲ圖ラレタシト
ノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇
スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十
五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十二年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
内閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
廣告物取締ニ關スル法令改正ノ件
東京市小石川區原町百二十六番地男
爵阪谷芳郞呈出
右ノ請願ハ輓近都市ニ於ケル廣〓、看板
等ハ產業ノ發達ニ伴ヒ其ノ種類、表現方
法多樣トナリタルニ拘ラス廣告物取締法
ハ制定後旣ニ久シク現今ノ實情ニ副ハサ
ルノミナラス其ノ運用ニ關スル地方廳令
區區ナルハ遺憾ナルニ依リ之等法令ノ改
正ヲ行ヒ取締ノ基準ヲ確立シ以テ風致及
都市美ノ顯現竝廣〓文化ノ向上ヲ圖ラレ
タシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體
ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法
第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十二年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
喀痰ノ取締ニ關スル件
東京市小石川區原町百二十六番地男
爵阪谷芳郞呈出
右ノ請願ハ喀痰ハ結核傳染ノ媒介トシテ
危險極メテ大ナルノミナラス都市美ヲ害
シ人ヲシテ不快ノ念ヲ抱カシムルコト亦
大ニシテ之カ消滅ヲ期スルハ現下ノ喫緊
事ナルニ依リ速ニ法令ヲ以テ取締ヲ嚴ニ
シ路上其ノ他公共利用ノ場屋等ニ於ケル
喀痰ヲ嚴禁シ之ヲ犯シタル者ニハ相當ノ
制裁ヲ加へ以テ惡癖ヲ矯正シ衞生竝都市
美保持ニ資セラレタシトノ趣旨ニシテ貴
族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議
決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册
及送付候也
昭和十二年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
利根川治水工事施行ノ件
東京市長小橋一太外五百四名呈出
右ノ請願ハ利根川改修工事ハ曩ニ施行セ
ラレタルモ昭和十年九月大洪水ノ實情ニ
徵シ今尙破堤氾濫ノ危險尠カラサル爲沿
岸住民ノ不安多大ナルニ依リ速ニ本川及
枝流ノ根本治水工事ヲ政府ニ於テ直轄施
行セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願
意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因
テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候
也
昭和十二年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
林道網計畫樹立實施ニ關スル件
東京市赤坂區溜池町一番地全國山林
會聯合會會頭男爵小畑大太郞呈出
右ノ請願ハ林道ノ開設普及ハ森林資源ノ
開發、林利ノ增進就中林產物生產費ノ大
部分ヲ占ムル運搬費ノ輕減等林業振興上
有效適切ノ施設ナルニ拘ラス未其ノ完備
セル計畫ノ實現ナキハ甚遺憾ナルニ依リ
速ニ全國ニ亙ル綜合的林道網計畫ヲ樹立
實施シ以テ森林資源ノ利用厚生ヲ圖ルト
共ニ農山村經濟ノ更生ニ資セラレタシト
ノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇
スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十
五條ニ依リ別冊及送付候也
昭和十二年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文鷹殿
意見書案
造林國策樹立ニ關スル件
東京市赤坂區溜池町一番地全國山林
會聯合會會頭男爵小畑大太郞呈出
右ノ請願ハ我國ニ於ケル木材ハ近年產業
ノ振興特ニ纖維工業ノ發展ニ伴ヒ其ノ需
要年歲著シク增加セルニ拘ラス山村竝其
ノ關係業者多年ニ亙ル窮乏困憊ノ爲早伐
過伐ノ弊ニ陷リ甚シク植伐ノ均衡ヲ失シ
ツツアルハ木材需給調節上ノミナラス國
土保安上甚遺憾ナルニ依リ速ニ內外地及
滿洲國ヲ通シ綜合一貫セル造林國策ヲ樹
立實施シ以テ資源ノ培養充實ヲ期シ產業
ノ進展、國民生活ノ安定、福祉ノ增進ニ
資セラレタシトノ趣旨ニシテ貴族院ハ願
意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因
テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候
也
昭和十二年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
災害防止ノ林業施設計畫樹立ニ關スル
件
東京市赤坂區溜池町一番地全國山林
會聯合會會頭男爵小畑大太郞外一名
呈出
右ノ請願ハ本邦特異ノ暴風、冷風、頽雪、
津波、地辷等ニ因ル慘害ハ年歲多大ニシ
テ國民生活ノ基礎ヲ脅威シ產業ノ發達ヲ
阻害スルコト著シク爲ニ適切ナル之カ防
止施設ヲ講スルハ目下ノ急務ナルニ拘ラ
ス未其ノ完備セル計畫ノ實現ヲ見サルハ
甚遺憾ナルニ依リ全國ニ亙リ綜合擴充セ
ル之等災害防止ニ要スル林業施設計畫ヲ
速ニ樹立實施シ以テ國利民福ノ增進ニ資
セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意
ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ
議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十二年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
町村特別稅段別割ニ關スル法律改正ノ
件
東京市赤坂區溜池町一番地全國山林
會聯合會會頭男爵小畑大太郞呈出
右ノ請願ハ山林ニ對スル特別稅段別割ハ
賃貸價格及收益ニ於テ格段ノ等差アル宅
地田畑ト區別セスシテ課稅セラルル爲
其ノ負擔苛重ニシテ山林所有者ノ被ル打
擊甚大ナルモノアリ仍テ明治四十一年法
律第三十七號地方稅制限ニ關スル法律ハ
之ヲ改正シ本段別割制度ヲ廢止スルカ若
ハ各種地目ヲ區分シ其ノ地租附加稅ニ準
據セル賦課額ヲ規定制限スルヤウ速ニ改
正セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願
意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因
テ議院第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十二年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
土讚線阿波池田、豫讃本線川之江ノ兩
驛間鐵道敷設ノ件
德島市前川町字前川二十一番地公吏
藤岡眞兵衞外二十四名呈出
右ノ請願ハ土讚線阿波池田驛ヨリ豫讃本
線川之江驛ニ至ル鐵道ヲ敷設スルハ近ク
開始セラルル德島、和歌山兩港間直接航路
ト相俟テ地方產業ノ開發ニ資スル所大ナ
ルノミナラス目下企畫中ノ八幡濱港、九
州東部間直接航路實現ノ曉ハ四國縱貫九
州本土聯絡幹線ノ主要部分トシテ運輸交
通竝軍事上又須要ナルニ依リ之ヲ實現セ
,ラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ
大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議
院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十二年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
豫定線三明、能登三井間鐵道速成ノ件
石川縣羽咋郡富來町長柏谷貞治外十
七名呈出
右ノ請願ハ曩ニ能登外浦地方開發ノ爲設
立シタル能登鐵道株式會社ハ當初羽咋、
輪島間ノ鐵道敷設ヲ目的トシタルモ中途
財界ノ變動ニ遭遇シ三明驛以北ノ線路ハ
遂ニ敷設免許失效トナリタルニ依リ豫定
線三明、能登三井間鐵道ヲ速成シ以テ沿線
地方ニ於ケル水、林鑛產等ノ資源開發
ニ資セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ
願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候
因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付
候也
昭和十二年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
豫定線佐用、智頭間鐵道速成ノ件
兵庫縣佐用郡佐用町長錄井丈太郞外
六百四十一名呈出
右ノ請願ハ豫定線佐用、智頭間鐵道ハ沿
線地方ニ於ケル豐富ナル農、林產資源ノ
開發、沿線景趣ノ探勝等ニ寄與スル所多
大ナルノミナラス陰陽兩道ヲ結フ捷路ト
シテ軍事上竝運輸交通上亦緊要ノ線路ナ
ルニ依リ速ニ之ヲ敷設セラレタシトノ旨
趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘ
キモノト議決致候因テ議院法第六十五條
ニ依リ別册及送付候也
昭和十二年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
靑森縣弘前市ニ國立氣象觀測所設置ノ
件
靑森縣弘前市長石〓岡文吉呈出
右ノ請願ハ曩ニ東北地方ノ根本的振作計
畫樹立ニ當リ氣象觀測機關ノ完備ヲ期シ
旣ニ盛岡、岩手山、宮古、八戶等ノ氣象
觀測所設置セラレタルモ何レモ表日本ニ
ノミ偏シ氣象ノ特異性ヲ有スル裏日本方
面ヲ閑却セルノ嫌アルハ甚遺憾ナルニ依リ
速ニ恰當ノ地ナル靑森縣弘前市ニ國立氣
象觀測所(中央氣象臺支宣)ヲ設置セラレ
タシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體
ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法
第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十二年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
總武本線千葉、銚子ノ兩驛間電化促進
ノ件
千葉縣銚子市長川村芳次外十四名呈
出
右ノ請願ハ總武本線千葉、銚子兩驛間ノ
沿線地方ハ近年產業ノ發達ニ伴ヒ貨客ノ
發著來往頻繁ヲ極メ就中銚子市ハ產業竝
觀光ノ都市トシテノミナラス軍事上重要
ナル地位ヲ占ムルニ至リ運輸交通ノ圓滑
ヲ要望スルコト切ナルニ依リ速ニ千葉、
銚子間ノ電化ヲ實現シ以テ地方產業ノ開
發沿線住民ノ福利增進ヲ圖ラレタシト
ノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇
スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十
五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十二年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
豫定線穴水、飯田間鐵道速成ノ件
石川縣鳳至郡宇出津町長數馬伊平外
十八名呈出
右ノ請願ハ豫定線鐵道穴水、飯田間ハ現
ニ省營自動車ノ運行アルモ近時沿線地方
ニ於ケル林、鑛、海產物等ノ生產激增シ貨
客ノ發著來往頻繁ナルニ今尙輸送能力之
ニ伴ハサルハ軍事上竝運輸交通、產業上
遺憾ナルニ依リ速ニ同豫定線鐵道ヲ敷設
セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意
ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ
議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十二年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
北陸本線花園信號場ヲ停車場ニ變更ノ
件
石川縣河北郡花園村長崎田長門外十
名呈出
右ノ請願ハ北陸本線花園信號場附近ハ古
來農產物ノ產地トシテ聞エ米穀、野菜、
藁工品ノ外花卉栽培ノ樞要地ナルニ拘ラ
ス其ノ出荷ハ森本驛若ハ津幡驛ヲ利用ス
ルノ外ナク地方民ノ不利不便尠カラサル
ハ甚遺憾ナルニ依リ速ニ同信號場ヲ停車
場ニ變更セラレタク尙之カ所要ノ經費ハ
幾分地元村ニテ負擔スヘシトノ旨趣ニシ
テ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノ
ト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ
別冊及送付候也
昭和十二年月日
衆議院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衛文麿殿
意見書案
山陽本線麻里布、山陰本線萩ノ兩驛間
鐵道敷設ノ件
山口縣玖珂郡岩國町長永田新之允外
三十一名呈出
右ノ請願ハ山口線德佐驛ト山口縣玖珂郡
廣瀨村トノ區間ヲ鐵道豫定線ニ編入シテ
岩國、日原間中岩國、廣瀨間竝德佐、大
井間ノ豫定線鐵道ト連絡セシメ以テ麻里
布、萩ノ兩驛間鐵道ヲ開通スルハ啻ニ沿
線地方ノ資源開發ニ止マラス萩港ヨリ雄
基、羅津、釜山ノ諸港ヲ經テ滿蒙ニ至ル
捷徑トナリ日滿兩國交通ノ一大幹線トシ
テ產業上、運輸交通竝軍事上須要ナルニ
依リ速ニ之カ實現ヲ圖ラレタシトノ旨趣
ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキ
モノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ
依リ別册及送付候也
昭和十二年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閣總理大臣公爵近衞文麿殿
意見書案
靜岡縣牛淵川上流改修ニ關スル件
靜岡縣小笠郡中內田村下內田村組合
長栗田孫四郞外二十名呈出
右ノ請願ハ靜岡縣菊川ノ枝流牛淵川ノ改
修ハ曩ニ昭和十年度ヨリ十一箇年繼續事
業トシテ續行スルコトトナリタルモ牛淵川
ノ改修ハ平田、南山兩村境域ニ限定セラ
ル然ルニ之カ上流ハ河床高クシテ屈曲著
シク加之下流ノ改修ニ伴ヒ局部的水勢ノ
增强ハ延テ河床ノ低下ヲ來シ堤塘護岸崩
壞セル爲一朝洪水ニ際會セハ直ニ決潰氾
濫シテ被害激甚ヲ極メ沿岸住民ノ不安甚
シキニ依リ牛淵川ノ改修ハ其ノ區域ヲ擴
張シ速ニ菊川同樣ニ之カ工事ヲ企圖セラ
レタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大
體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院
法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和十二年月日
貴族院議長伯爵松平賴壽
內閉總理大臣公爵近衞文麿殿発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X00719370803&spkNum=24
-
025・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 是等ノ請願ハ請
願委員長ノ報告通リ、採擇スルコトニ御異
議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X00719370803&spkNum=25
-
026・松平頼壽
○議長(伯爵松平賴壽君) 御異議ナイト認
メマス、是ニテ全部日程ハ終了致シマシ
タ、次會ノ議事日程ハ決定次第彙報ヲ以テ
御通知ニ及ビマス、本日ハ是ニテ散會致シ
マス
午前十時四十四分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007103242X00719370803&spkNum=26
4. 会議録のPDFを表示
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