1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十三年二月二十六日(土曜日)
午後一時十九分開議
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議事日程 第十八號
昭和十三年二月二十六日
午後一時開議
第一 商法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第二 商法中改正法律施行法案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第三 有限會社法案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第四 社會事業法案(政府提出) 第一讀會
第五 商店法案(政府提出) 第一讀會
第六 石油資源開發法案(政府提出) 第一讀會
第七 樺太地方鐵道補助法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第八 昭和十二年法律第九十二號中改正法律案(輸出入品等に關する臨時措置に關する件)(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第九 日滿司法事務共助法案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第十 民法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第十一 民事訴訟法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第十二 外國裁判所の囑託に因る共助法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第十三 簡易生命保險法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第十四 不動産融資及損失補償法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第十五 産業組合中央金庫法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第十六 漁業法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第十七 産業組合中央金庫特別融通及損失補償法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第十八 産業組合自治監査法案(政府提出) 第一讀會
第十九 特許法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十 商標法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十一 不正競爭防止法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
第二十二 辨理士法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
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〔左の報告は朗讀を經さるも參照の爲茲に掲載す〕
一議員より提出せられたる議案左の如し
公證人法中改正法律案
提出者
野村嘉六君 一松定吉君
原夫次郎君 野田文一郎君
濱野徹太郎君 作田高太郎君
平川松太郎君 岡本實太郎君
手代木隆吉君 高橋義次君
田村秀吉君 中山福藏君
内藤正剛君 山本粂吉君
原玉重君
建築士法案
提出者
野村嘉六君 増田義一君
多田滿長君 手代木隆吉君
熊谷直太君 志賀和多利君
岡田忠彦君 倉元要一君
星島二郎君
武道審議會設置に關する建議案
提出者
大麻唯男君 中井川浩君
信太儀右衞門君 堤康次郎君
漢那憲和君 高橋壽太郎君
種牡馬國有竝放牧地用國有林野解放に關する建議案
提出者
伊藤五郎君 森田重次郎君
山田六郎君
(以上二月二十五日提出)
一昨二十五日近衞内閣總理大臣より左の通發令ありたる旨の通牒を受領せり
農林書記官 石黒武重
第七十三囘帝國議會農林省所管事務政府委員被仰付
一昨二十五日常任委員補闕選擧の結果左の如し
第四部選出
豫算委員 野中徹也君(清瀬一郎君補闕)
一昨二十五日議長に於て選定したる委員左の如し
國家總動員法案(政府提出)委員
小川郷太郎君 中村不二男君
豐田豐吉君 中山福藏君
山道襄一君 齋藤隆夫君
櫻井兵五郎君 古屋慶隆君
増田義一君 山本厚三君
林平馬君 眞鍋儀十君
眞鍋勝君 池田秀雄君
宮澤胤勇君 高橋壽太郎君
川崎末五郎君 長井源君
西岡竹次郎君 宮脇長吉君
篠原義政君 河野一郎君
小高長三郎君 泉國三郎君
羽田武嗣郎君 濱田國松君
板野友造君 河上哲太君
熊谷直太君 植原悦二郎君
猪野毛利榮君 牧野良三君
若宮貞夫君 岩元榮次郎君
坂田道男君 井阪豐光君
藤本捨助君 山崎常吉君
清瀬一郎君 守屋榮夫君
三輪壽壯君 淺沼稻次郎君
西尾末廣君 今井新造君
三田村武夫君
一昨二十五日に於ける特別委員の異動左の如し
重要鑛物増産法案(政府提出)外一件委員
辭任 砂田重政君 補闕 土倉宗明君
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=0
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001・小山松壽
○議長(小山松壽君) 是ヨリ會議ヲ開キマ
ス、御報告申上ゲルコトガアリマス、朝香
宮殿下ニ於カセラレマシテハ、本日目出度
ク御凱旋遊バサレマシタノデ、議長ハ本院
ヲ代表致シマシテ、午前十時十五分宮邸ニ
參殿、御祝詞ヲ言上致シマシタ
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=1
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002・小山松壽
○議長(小山松壽君) 山階宮故菊麿王妃常
子殿下ニハ今朝薨去遊バサレマシタノデ、
議長ハ午前十一時參內皇后陛下ノ御機嫌
ヲ奉伺致シマシタ、尙ホ山階宮邸竝ニ久通
宮邸ニ參殿、御弔詞ヲ申上ゲマシタ、此段
謹ンデ御報告申上ゲマス
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=2
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003・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此際日程第十九乃至第
二十二ノ四案ヲ繰上ゲ一括上程シ、其審議
ヲ進メラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=3
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004・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=4
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005・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ變更致サレマシタ、日程第
十九、特許法中改正法律案、日程第二十、
商標法中改正法律案、日程第二十一、不正
競爭防止法中改正法律案、日程第二十二、
辨理士法中改正法律案、右四案ヲ一括シテ
第一讀會ノ續ヲ開キマス、委員長ノ報〓ヲ
求メマス-委員長一松定吉君
第十九特許法中改正法律案(政府提
出、貴族院送付)
第一讀會ノ續(委員長報告)
第二十商標法中改正法律案(政府提
出、貴族院送付)
第一讀會ノ續(委員長報告)
第二十一不正競爭防止法中改正法律
案(政府提出、貴族院送付)
第一讀會ノ續(委員長報告)
第二十二辨理士法中改正法律案政
府提出、貴族院送付)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報告書
一特許法中改正法律案(政府提出、貴族院
送付)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十三年二月二十四日
委員長松定吉
衆議院議長小山松壽殿
報〓書
一商標法中改正法律案(政府提出、貴族院
送付)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十三年二月二十四日
委員長松定吉
衆議院議長小山松壽殿
報〓書
一不正競爭防止法中改正法律案(政府提
出、貴族院送付)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十三年二月二十四日
委員長松定吉
衆議院議長小山松壽殿
報〓書
一辨理士法中改正法律案(政府提出、貴族
院送付)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十三年二月二十四日
委員長松定吉
衆議院議長小山松壽殿
〔一松定吉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=5
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006・一松定吉
○一松定吉君 只今議題トナリマシタ特許
法中改正法律案、商標法中改正法律案、不
正競爭防止法中改正法律案、辨理士法中改
正法律案ハ、貴族院ヲ通過シ、本院ニ送付
セラレタル法案デアリマス、以下各案ニ對
シマシテ委員會ニ於ケル審議ノ經過及ビ結
果ヲ御報告申上ゲマス、說明ノ便宜上先ヅ
改正案提出ノ理由、次ニ改正スベキ法案ノ
內容、次ニ委員會審議ノ經過及ビ結果ノ三
段ニ分ッテ申上ゲルコトニ致シマス
先ヅ特許法、商標法、不正競爭防止法ノ
三案ニ對シマスル本案提出理由ヲ〓括シテ
申上ゲマスルナラバ國際條約ノ關係ニ端
ヲ發スルノデアリマス、諸君、御承知ノ如
ク明治十六年佛國巴里ニ於キマシテ工業所
有權保護同盟候約ガ縮結セラレマシタ、我
國ハ明治三十二年之ニ加盟致シタノデアリ
きく、爾來數囘ノ改正ガ行ハレマシタガ、
其中デモ昭和九年英國倫敦ニ於テ工業所有
權制度ノ充實ニ關スル點、及ビ不正競爭防
止ニ關スル條項等ガ改正セラレタノデアリ
マス、此改正條約ハ本年七月一日迄ニ、倫敦
ニ於テ批准書ヲ寄託スベキコトニナッテ居
ルノデアリマス、ソコデ是ガ御批准ヲ奏請
致シマスル爲ニ、右改正條約ノ範圍內ニ於
テ特許法、商標法、不正競爭防止法中ノ一
部ヲ改正セシガ爲ニ本法案ヲ提出セラレタ
ノデアリマス、今其改正スベキ要點ヲ申上
ゲマスルナラバ、特許法ニ於テ二點、商標
法ニ於テ一點、不正競爭防止法ニ於テ二點
アルノデアリマス
特許法ニ於テ改正ヲ要シマスル第一點ハ、
現行法ニ於キマシテハ特許權ヲ有シテ居
リナガラ、三箇年以上正當ノ理由ナク特許
權ヲ實施シナイ者ニ對シマシテハ、特許局
長官ニ於テ其特許權ヲ取消スコトガ出來ル
ト云フコトニナッテ居リマスガ、最近經濟界
ノ進步發展ニ伴ヒマシテ、一國ニ於テ發明
シタル者ガ、更ニ他ノ國ニ於テ特許權ヲ取
得スル場合ガ漸時增加シテ參ッタノデアリ
せく、斯ノ如キ場合ニ於キマシテ、特許權
者ガソレ等外國ニ於キマシテ、三箇年以內
ニ其特許權ヲ實施シナケレバナラヌト云フ
コトハ發明家ニ取リ過重ノ責任ヲ課スル
コトニナリマシテ、却テ國際間ニ於ケル工
業所有權ノ發達ヲ妨グル結果トナリマス、
ソコデ曩ノ倫敦條約ニ於キマシテハ、斯ノ
如キ場合ニ於テハ、先以テ其特許權ヲ實施
セントスル希望者ニ對シマシテ、其特許權
實施ノ權利ヲ許與シ、其後二年以上此實施
權ヲ得タル者ガ、尙ホ特許權ノ適切ナル實
施ヲ爲サザル場合ニ於テ、初メテ特許權ノ
取消ヲ爲シ得ルコトニ改正致シタノデアリ
やく、故ニ我國ニ於キマシテモ此改正ニ基
キマシテ、特許法第四十一條ノ規定ヲ改正
セントスルモノデアリマス、特許法ニ於テ
改正ヲ要スル第二點ハ、現行法ニ於キマシ
テハ、特許權ヲ有スル者ハ、特許標記ヲ特
許品ニ附ケルコトヲ義務付ケラレテ居リマ
スケレドモ、品物ニ依リマシテハ、完全ニ
特許標記ヲ附ケルコトノ出來ナイモノモゴ
ザイマス、殊ニ外國ニ於テ特許權ヲ取リマ
シタ有ユル場合ニ於テ、完全ニ此標記ヲ附
ケルコトヲ强制スルハ、是亦特許權者ニ對
シマシテ過重ノ責任ヲ課スルコトニナルノ
デアリマス、ソコデ倫敦條約ニ於キマシテ
ハ特許標記ヲ附ケナカッタト云フコトノ
爲ニ、特許權者ニ對シテ不利益ヲ負ハシム
ルコトハ出來ナイト云フ規定ヲ設ケタノデ
ゴザイマス仍テ我國モ特許法ノ第六十四
條中ノ第三項、卽チ特許標記ヲ附セザル爲
ニ特許權者ニ不利益ヲ與フルノ規定ヲ削除
セントスルノデアリマス
次ニ商標法中改正ヲ爲サントスル點ハ、
外國登錄商標制度ニ關スルモノデアリマス、
外國登錄商標ト申シマスルモノハ本國ニ
於ケル登錄商標ヲ、其儘外國ニ於テ登錄ヲ
認メラレタル商標デアリマス、隨テ外國登
錄商標ハ本國ニ於ケル其登錄商標ト運命ヲ
共ニスルコトニナッテ居ルノデアリマス、故
ニ本國ノ登錄商標ガ消滅致シマスレバ、外
國登錄商標モ隨テ消滅スルト云フコトニナッ
テ居ルノデアリマス、併ナガラ最近ニ於ケ
ル國際間ノ通商取引ノ進展ニ伴ヒマシテ、
外國ニ於テ取引ヲ行フ者ノ多クハ、其外國
ノ事情ニ適應スルガ如キ獨特ノ商標ヲ使用
スルコトトナッタノデアリマス、サレバ其商
標ト本國ニ於ケル登錄商標トノ間ニ於キマ
シテ、特別ノ從屬關係ヲ存續セシムルト云
フコトハ、全ク無意味デアルバカリデナク、
本國ニ於ケル登錄商標ノ運命ガ、外國ニ於
テ使用スル商標ニ影響ヲ及ボスト云フガ如
キコトハ却テ國際取引ヲ阻碍スルノ結果
トナル場合ガ起リ得ルノデアリマス、サレ
バ倫敦條約ニ於テハ、外國登錄商標ノ獨立
性ヲ認メマシテ、本國ニ於ケル登錄商標ト
無關係ニ存續シ得ルト云フコトニ規定ヲ改
正致シタノデアリマス、故ニ我國現行法ノ
商標法第十三條第二項ノ外國ノ登錄商標
トシテ登錄ヲ受ケマシタル商標ノ商標權ハ、
其本國ニ於ケル商標權消滅シタル場合ニ於
テハ消滅スト規定シテアリマスル法文ヲ削
除スルト云フノガ、此改正ノ趣旨デアリマ
ス、是ト同ジ意味ニ於キマシテ、外國ノ登
錄商標トシテ登錄ヲ受ケマシタル商標ニ付
テハ其本國タル外國ニ於テ存續シテ居ル
以上ハ、從屬的ニ我國ニ於テモ之ヲ存續セ
シムルト云フ規定ヲ削除致シマシテ、本國
タル外國ニ於テ商標權ガ存續シテ居ッテモ、
我ガ帝國ニ於テ登錄ノ日ヨリ一箇年間其商
標ヲ使用シナイ時、又ハ引續キ三年間其商
標ヲ使用スルコトヲ中止シテ居ッタ時ハ、審
判ニ依リマシテ商標ノ登錄ヲ取消スベシト
云フコトニ改メントスルモノデアリマス
次ニ不正競爭防止法中改正ノ第一點ハ、
我國ノ現行法ニ依リマスレバ不正競爭ノ
目的ヲ以テ他人ノ商品ト混同ヲ生ゼシムル
ガ如キ方法ノ差止、及ビ之ニ對スル損害賠
償此二ツダケヲ認メテ居ッタノデアリマ
スルガ、斯ノ如キハ商取引ノ圓滿ナル遂行、
ヲ確保スルニハ不十分ノ嫌ガアリマスノデ
更ニ進ンデ不正競爭ノ目的ヲ以テ他人ノ營
業上ノ施設、又ハ他人ノ營業上ノ活動ト混
同ヲ生ゼシムルガ如キ行爲ヲ爲ス者ニ對シ
マシテモ、損害賠償其他ノ義務ヲ負ハシム
ルノ規定ヲ設ケントスルノデアリマス、第
二點ハ、前段ト同樣ノ趣旨ニ依リマシテ、
現行法ハ他人ノ商品ノ信用ヲ毀損スル行爲
ニ付テノミ救濟手段ヲ認メテ居ッタノデア
リマスガ、改正ノ倫敦條約ニ於キマシテ、
是亦其範圍ヲ擴張致シマシテ、苟モ他人ノ
營業上ノ信用ヲ害スルガ如キ虛僞ノ表示ヲ
爲シタル者ニ對シマシテモ、被害者カラ損
害賠償其他ノ救濟手段ヲ行フコトヲ認ムル
コトニ致シタノデゴザイマス、此趣旨ニ從
ヒマシテ不正競爭防止法第一條、第二條
第六條中、ソレ〓〓改正セントスルモノデ
アリマス
次ニ辨理士法中改正法律案ノ要旨ヲ申上
ゲマスナラバ改正案ノ第一ハ、辨理士ノ
業務範圍ヲ明確ニ致スト云フ規定デアリマ
ス、現行法ニ於キマシテハ、辨理士ハ特許、
實用新案、意匠又ハ商標ニ關シ、特許局ニ
對シテ爲スベキ事項ノ代理ヲ爲スコトヲ以
テ、其業務ト爲ス旨ノ規定ガアリマスケレ
ドモ、辨理士ノ實際ノ業務範圍ハ、啻ニ是
バカリデハゴザイマセヌ、工業所有權ニ關
スル事柄ニ付テノ鑑定、或ハ各種書類ノ作
成或ハソレニ牽聯致シマスル事柄ニ及ブ
モノデアリマスルカラ、此實際ノ事情ニ適
應セシムル爲ニ、規定ヲ改正スルト云フノ
デアリマス、其第二ハ辨理士ノ資格ヲ高メ、
地位ノ向上ヲ圖リ、以テ一般依賴者ノ信用
ヲ深カラシムル趣旨ニ出デタ改正デアリマ
ス是マデ一定ノ學業ヲ修メタ者ニ對シテ
ハ、特別ニ無試驗デ辨理士ノ資格ヲ與ヘテ
居ッタノヲ改メマシテ、國家試驗ヲ經タ者デ
ナケレバ辨理士タルノ資格ヲ與ヘナイト云
フノガ一ツ、今一ツハ刑罰其他ノ制裁ヲ
受ケマシタ者ニハ辨理士タル資格ヲ與ヘナ
イト云フコト、其次ニハ辨理士ノ業務ヲ行
フニハ、辨理士組合ニ入ラナケレバナラヌ
ト云フコトニ改メタノデアリマス、更ニ進
ミマシテ其人格ノ陶冶、品性ノ向上、業務
ノ統制等ニ付キマシテモ、自治的ニ自肅自
戒シテ、其向上發展ニ遺漏ナキヲ期セント
スルノデアリマス、辨理士法改正ノ第三ハ、
辨理士ニアラザル者ガ辨理士類似ノ行爲ヲ
スルト云フコトヲ取締ル規定ヲ設クルノデ
アリマス、是等ノ僞辨理士ハ動モスレバ善
良ナル發明家ヲシテ、其苦心ノ結果ヲ徒勞
ニ歸セシメ、間接ニハ辨理士ノ信用ヲ失墜
セシメ、其統制ヲ紊ス虞アル現狀ニ鑑ミマ
シテ、是等不正業者ヲ根絕セシメテ、以テ
其弊害ヲ芟除セントスルノデアリマス
以上ハ各法案ノ大體ノ要領ヲ申上ゲタノ
デアリマスルガ、委員會ハ會議ヲ開キマスル
コト五囘、各委員諸君ハ熱誠且ツ適切ナル
質疑ヲ致サレマシタ、之ニ對シマシテ政府
當局ヨリ詳細且ツ懇切ナル答辯ガアッタノ
デアリマス、其細カイコトハ速記錄ニ就テ
御覽ヲ願ヒタイノデアリマスガ、今其主ナ
モノニ付テ一二ダケヲ御報告申上ゲマスル
ナラバ、委員櫻井兵五郎君、星一君、稻田
直道君、山崎常吉君、川崎巳之太郞君等カ
ラ、目下ノ時局ニ鑑ミ、特ニ發明奬勵ノ施
設ヲ擴充スベキ必要アル旨ノ、適切ナル
質問ガアッタノデアリマス、政府當局ハ
之ニ對シマシテ、十分御趣旨ニ副フヤウ
努力スル旨ノ答辯ガアリマシタ、尙ホ委
員今成留之助君ヨリ、辨理士法中改正法
律案ノ第五條第一號ニ禁鋼以上ノ刑ニ處
セラレタル者ハ辨理士タルコトヲ得ザル
コトニナッテ居ルノヲ、實情ニ照シテ穩
當ヲ缺ク嫌ガナイカト云フ適切ナル質問
ガアリマシタガ、之ニ對シマシテ政府當局
ヨリ、辯護士法トノ關係ガアリマスカラ、
將來篤ト〓究ノ上善處致シマスト云フ答辯
ガアッタノデアリマス、討論ニ入リマシテ
今成留之助君ハ民政黨ヲ代表シ、星一君ハ
政友會ヲ代表シ藤本捨助君ハ第一議員倶樂
部ヲ代表シ、野溝勝君ハ社會大衆黨ヲ代表
致シマシテ、各〓發明、特許、審査等ニ對シ
テハ丁寧迅速ナル取扱ヲ爲スコト、發明
家優遇ノ途ヲ講ズルコト是等ノ諸點ヲ希
望致シマシタ、尙ホ今成留之助君ハ、辨理
士ノ缺格條項ニ對シテハ辯護士法改正ノ
際ニ均衡ヲ保ツヤウニ留意セラレタシト述
ベラレマシテ、本案ニ對シテ贊成ノ意見ヲ
唱ヘラレタノデアリマス、討論ニ移リマシ
テ、ソレ〓〓其主張ヲ明ニ致シマシテ、採
決ノ結果總員起立、滿場一致ヲ以テ之ヲ可
決致シタノデアリマス
以上ハ委員會ニ於ケル審議ノ經過竝ニ結
果ノ大要デアリマス、何卒委員會ノ熱心ナ
ル審議ノ結果ヲ尊重セラレマシテ、委員長
報告通リ議決セラレンコトヲ切望致シマ
ス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=6
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007・小山松壽
○議長(小山松壽君) 四案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=7
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008・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ四案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=8
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009・服部崎市
○服部崎市君 直チニ四案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長ノ報告通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=9
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010・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=10
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011・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス仍テ直チニ四案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
特許法中改正法律案第二讀會(確定議)
商標法中改正法律案第二讀會(確定議)
不正競爭防止法中改正法律案
第二讀會(確定議)
辨理士法中改正法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=11
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012・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、四案トモ委員
長報告通リ可決確定致シマシタ(拍手)日程
第一乃至第三ハ便宜上一括シテ議題ト爲ス
ニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=12
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013・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程第一、商法中改正法律案、日
程第二、商法中改正法律施行法案、日程第
三、有限會社法案、右三案ヲ一括シテ第一
讀會ヲ開キマス-鹽野司法大臣
第商法中改正法律案(政府提出、貴
族院送付)第一讀會
第二商法中改正法律施行法案(政府
提出、貴族院送付)第一讀會
第三有限會社法案(政府提出、貴族院
送付)第一讀會
商法中改正法律案
商法中左ノ通改正ス
目次第一編及第二編ヲ左ノ如ク改メ第四
編ヲ削リ第五編ヲ第四編トス
第一編總則
第一章法例
第二章商人
第三章商業登記
第四章商號
第五章商業帳簿
第六章商業使用人
第七章代理商
第二編會社
第一章總則
第二章合名會社
第一節設立
第二節會社ノ內部ノ關係
第三節會社ノ外部ノ關係
第四節社員ノ退社
第五節解散
第六節〓算
第三章合資會社
第四章株式會社
第一節設立
第二節株式
第三節會社ノ機關
第一款株主總會
第二款取締役
第三款監査役
第四節會社ノ計算
第五節社債
第一款總則
第二款社債權者集會
第六節定款ノ變更
第七節會社ノ整理
第八節解散
第九節〓算
第一款總則
第二款特別〓算
第五章株式合資會社
第六章外國會社
第七章罰則
第一編及第二編(第一條乃至第二百六十
二條ノ三)ヲ左ノ如ク改メ第四編ヲ削リ
第五編ヲ第四編トス
第一編總則
第一章法例
第一條商事ニ關シ本法ニ規定ナキモノ
ニ付テハ商慣習法ヲ適用シ商慣習法ナ
キトキハ民法ヲ適用ス
第二條公法人ノ商行爲ニ付テハ法令ニ
別段ノ定ナキトキニ限リ本法ヲ適用ス
第三條當事者ノ一方ノ爲ニ商行爲タル
行爲ニ付テハ本法ヲ雙方ニ適用ス
當事者ノ一方ガ數人アル場合ニ於テ其
ノ一人ノ爲ニ商行爲タル行爲ニ付テハ
本法ヲ其ノ全員ニ適用ス
第二章商人
第四條本法ニ於テ商人トハ自己ノ名ヲ
以テ商行爲ヲ爲スヲ業トスル者ヲ謂フ
店舗其ノ他之ニ類似スル設備ニ依リテ
物品ノ販賣ヲ爲スヲ業トスル者又ハ鑛
業若ハ砂鑛業ヲ營ム者ハ商行爲ヲ爲ス
ヲ業トセザルモ之ヲ商人ト看做ス第五
十二條第二項ノ會社亦同ジ
第五條未成年者又ハ妻ガ前條ノ營業ヲ
爲ストキハ登記ヲ爲スコトヲ要ス
第六條會社ノ無限責任社員ト爲ルコト
ヲ許サレタル未成年者又ハ妻ハ社員タ
ル資格ニ基ク行爲ニ關シテハ之ヲ能力
者ト看做ス
第七條法定代理人ガ親族會ノ同意ヲ得
テ無能力者ノ爲ニ第四條ノ營業ヲ爲ス
トキハ登記ヲ爲スコトヲ要ス
法定代理人ノ代理權ニ加ヘタル制限ハ
之ヲ以テ善意ノ第三者ニ對抗スルコト
ヲ得ズ
第八條本法中商業登記、商號及商業帳
簿ニ關スル規定ハ小商人ニハ之ヲ適用
セズ
第三章商業登記
第九條本法ニ依リ登記スベキ事項ハ當
事者ノ請求ニ依リ其ノ營業所ノ所在地
ヲ管轄スル裁判所ニ備へタル商業登記
簿ニ之ヲ登記ス
第十條本店ノ所在地ニ於テ登記スベキ
事項ハ本法ニ別段ノ定ナキトキハ支店
ノ所在地ニ於テモ亦之ヲ登記スルコト
ヲル、
第十一條登記シタル事項ハ裁判所ニ於
テ遲滯ナク之ヲ公〓スルコトヲ要ス
公〓ガ登記ト相違スルトキハ公〓ナカ
リシモノト看做ス
第十二條登記スベキ事項ハ登記及公〓
ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ善意ノ第三者
ニ對抗スルコトヲ得ズ登記及公〓ノ後
ト雖モ第三者ガ正當ノ事由ニ因リテ之
ヲ知ラザリシトキ亦同ジ
第十三條支店ノ所在地ニ於テ登記スベ
キ事項ヲ登記セザリシトキハ前條ノ規
定ハ其ノ支店ニ於テ爲シタル取引ニ付
テノミ之ヲ適用ス
第十四條故意又ハ過失ニ因リ不實ノ事
項ヲ登記シタル者ハ其ノ事項ノ不實ナ
ルコトヲ以テ善意ノ第三者ニ對抗スル
コトヲ得ズ
第十五條登記シタル事項ニ變更ヲ生ジ
又ハ其ノ事項ガ消滅シタルトキハ當事
者ハ遲滯ナク變更又ハ消滅ノ登記ヲ爲
スコトヲ要ス
第四章商號
第十六條商人ハ其ノ氏、氏名其ノ他ノ
名稱ヲ以テ商號ト爲スコトヲ得
第十七條會社ノ商號中ニハ其ノ種類ニ
從ヒ合名會社、合資會社、株式會社又
ハ株式合資會社ナル文字ヲ用フルコト
ヲル、
第十八條會社ニ非ズシテ商號中ニ會社
タルコトヲ示スベキ文字ヲ用フルコト
ヲ得ズ會社ノ營業ヲ讓受ケタルトキト
雖モ亦同ジ
前項ノ規定ニ違反シタル者ハ千圓以下
ノ過料ニ處ス
第十九條他人ガ登記シタル商號ハ同市
町村內ニ於テ同一ノ營業ノ爲ニ之ヲ登
記スルコトヲ得ズ
第二十條商號ノ登記ヲ爲シタル者ハ不
正ノ競爭ノ目的ヲ以テ同一又ハ類似ノ
商號ヲ使用スル者ニ對シテ其ノ使用ヲ
止ムベキコトヲ請求スルコトヲ得但シ
損害賠償ノ請求ヲ妨ゲズ
同市町村內ニ於テ同一ノ營業ノ爲ニ他
人ノ登記シタル商號ヲ使用スル者ハ不
正ノ競爭ノ目的ヲ以テ之ヲ使用スルモ
ノト推定ス
第二十一條何人ト雖モ不正ノ目的ヲ以
テ他人ノ營業ナリト誤認セシムベキ商
號ヲ使用スルコトヲ得ズ
前項ノ規定ニ違反シテ商號ヲ使用スル
者アルトキハ之ニ因リテ利益ヲ害セラ
ルル虞アル者ハ其ノ使用ヲ止ムベキコ
トヲ請求スルコトヲ得但シ損害賠償ノ
請求ヲ妨ゲズ
第二十二條不正ノ競爭ノ目的ヲ以テ第
二十條第一項ノ商號ヲ使用シタル者ハ
千圓以下ノ過料ニ處ス前條第一項ノ規
定ニ違反シタル者亦同ジ
第二十三條自己ノ氏、氏名又ハ商號ヲ
使用シテ營業ヲ爲スコトヲ他人ニ許諾
シタル者ハ自己ヲ營業主ナリト誤認シ
テ取引ヲ爲シタル者ニ對シ其ノ取引ニ
因リテ生ジタル債務ニ付其ノ他人ト連
帶シテ辨濟ノ責ニ任ズ
第二十四條商號ハ營業ト共ニスル場合
又ハ營業ヲ廢止スル場合ニ限リ之ヲ讓
渡スコトヲ得
商號ノ讓渡ハ其ノ登記ヲ爲スニ非ザレバ
之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ズ
第二十五條營業ヲ讓渡シタル場合ニ於
テ當事者ガ別段ノ意思ヲ表示セザリシ
トキハ讓渡人ハ同市町村及隣接市町村
內ニ於テ二十年間同一ノ營業ヲ爲スコ
トヲ得ズ
讓渡人ガ同一ノ營業ヲ爲サザル特約ヲ
爲シタルトキハ其ノ特約ハ同府縣及隣
接府縣內且三十年ヲ超エザル範圍內ニ
於テノミ其ノ效力ヲ有ス
讓渡人ハ前二項ノ規定ニ拘ラズ不正ノ
競爭ノ目的ヲ以テ同一ノ營業ヲ爲スコ
トヲ得ズ
第二十六條營業ノ讓受人ガ讓渡人ノ商
號ヲ續用スル場合ニ於テハ讓渡人ノ營
業ニ因リテ生ジタル債務ニ付テハ讓受
人モ亦其ノ辨濟ノ責ニ任ズ
前項ノ規定ハ營業ノ讓渡後遲滯ナク讓
受人ガ讓渡人ノ債務ニ付責ニ任ゼザル
旨ヲ登記シタル場合ニハ之ヲ適用セズ
營業ノ讓渡後遲滯ナク譲渡人及讓受人
ヨリ第三者ニ對シ其ノ旨ノ通知ヲ爲シ
タル場合ニ於テ其ノ通知ヲ受ケタル第
三者ニ付亦同ジ
第二十七條前條第一項ノ場合ニ於テ讓
渡人ノ營業ニ因リテ生ジタル債權ニ付
讓受人ニ爲シタル辨濟ハ辨濟者ガ善意
ニシテ且重大ナル過失ナカリシトキニ
限リ其ノ效力ヲ有ス
第二十八條營業ノ讓受人ガ讓渡人ノ商
號ヲ續用セザル場合ニ於テモ讓渡人ノ
營業ニ因リテ生ジタル債務ヲ引受クル
旨ヲ廣〓シタルトキハ債權者ハ其ノ讓
受人ニ對シテ辨濟ノ請求ヲ爲スコトヲ
得
第二十九條營業ノ讓受人ガ第二十六條
第一項又ハ前條ノ規定ニ依リ讓渡人ノ
債務ニ付責ニ任ズル場合ニ於テハ讓渡
人ノ責任ハ營業ノ讓渡又ハ前條ノ廣〓
ノ後二年內ニ請求又ハ請求ノ豫〓ヲ爲
サザル債權者ニ對シテハ二年ヲ經過シ
タルトキ消滅ス
第三十條商號ノ登記ヲ爲シタル者ガ正
當ノ事由ナクシテ二年間其ノ商號ヲ使
用セザルトキハ商號ヲ廢止シタルモノ
ト看做ス
第三十一條商號ノ廢止又ハ變更アリタ
ル場合ニ於テ其ノ商號ノ登記ヲ爲シタ
ル者ガ廢止又ハ變更ノ登記ヲ爲サザル
トキハ利害關係人ハ其ノ登記ノ抹消ヲ
裁判所ニ請求スルコトヲ得
第五章商業帳簿
第三十二條商人ハ帳簿ヲ備へ之ニ日日
ノ取引其ノ他財產ニ影響ヲ及ボスベキ
一切ノ事項ヲ整然且明瞭ニ記載スルコ
トヲ要ス但シ家事費用ハ一月每ニ其ノ
總額ヲ記載スルヲ以テ足ル
小賣ノ取引ハ現金賣ト掛賣トヲ分チ日
日ノ賣上總額ノミヲ記載スルコトヲ得
第三十三條商人ハ開業ノ時及每年一囘
一定ノ時期ニ於テ動產、不動產、債權、
債務其ノ他ノ財產ノ總目錄及貸方借方
ノ對照表ヲ作ルコトヲ要ス
會社ニ在リテハ成立ノ時及每決算期ニ
前項ノ書類ヲ作ルコトヲ要ス
財產目錄及貸借對照表ハ之ヲ編綴シ又
ハ特ニ設ケタル帳簿ニ之ヲ記載スルコ
トヲ要ス
財產目錄及貸借對照表ニハ作成者之ニ
署名スルコトヲ要ス
第三十四條財產目錄ニハ動產、不動產、
債權其ノ他ノ財產ニ價額ヲ附シテ之ヲ
記載スルコトヲ要ス其ノ價額ハ財產目
錄調製ノ時ニ於ケル價格ヲ超ユルコト
名媛
營業用ノ固定財產ニ付テハ前項ノ規定
ニ拘ラズ其ノ取得價額又ハ製作價額ヨ
リ相當ノ減損額ヲ控除シタル價額ヲ附
スルコトヲ得
第三十五條裁判所ハ申立ニ依リ又ハ職
權ヲ以テ訴訟ノ當事者ニ商業帳簿又ハ
其ノ一部分ノ提出ヲ命ズルコトヲ得
第三十六條商人ハ十年間其ノ商業帳簿
及其ノ營業ニ關スル重要書類ヲ保存ス
ルコトヲ要ス
前項ノ期間ハ商業帳簿ニ付テハ其ノ帳
簿閉鎖ノ時ヨリ之ヲ起算ス
第六章商業使用人
第三十七條商人ハ支配人ヲ選任シ本店
又ハ支店ニ於テ其ノ營業ヲ爲サシムル
コトヲ得
第三十八條支配人ハ營業主ニ代リテ其
ノ營業ニ關スル一切ノ裁判上又ハ裁判
外ノ行爲ヲ爲ス權限ヲ有ス
支配人ハ番頭、手代其ノ他ノ使用人ヲ
選任又ハ解任スルコトヲ得
支配人ノ代理權ニ加ヘタル制限ハ之ヲ
以テ善意ノ第三者ニ對抗スルコトヲ得
ズ
第三十九條商人ハ數人ノ支配人ガ共同
シテ代理權ヲ行使スベキ旨ヲ定ムルコ
トヲ得
前項ノ場合ニ於テ支配人ノ一人ニ對シ
テ爲シタル意思表示ハ營業主ニ對シテ
其ノ效力ヲ生ズ
第四十條支配人ノ選任及其ノ代理權ノ
消滅ハ之ヲ置キタル本店又ハ支店ノ所
在地ニ於テ營業主之ヲ登記スルコトヲ
要ス前條第一項ニ定ムル事項及其ノ變
更亦同ジ
第四十一條支配人ハ營業主ノ許諾アル
ニ非ザレバ營業ヲ爲シ、自己若ハ第三
者ノ爲ニ營業主ノ營業ノ部類ニ屬スル
取引ヲ爲シ又ハ會社ノ無限責任社員、
取締役若ハ他ノ商人ノ使用人ト爲ルコ
トヲ得ズ
支配人ガ前項ノ規定ニ違反シテ自己ノ
爲ニ取引ヲ爲シタルトキハ營業主ハ之
ヲ以テ自己ノ爲ニ爲シタルモノト看做
スコトヲ得
前項ニ定ムル權利ハ營業主ガ其ノ取引
ヲ知リタル時ヨリ二週間之ヲ行使セザ
ルトキハ消滅ス取引ノ時ヨリ一年ヲ經
過シタルトキ亦同ジ
第四十二條本店又ハ支店ノ營業ノ主任
者タルコトヲ示スベキ名稱ヲ附シタル
使用人ハ之ヲ其ノ本店又ハ支店ノ支配
人ト同一ノ權限ヲ有スルモノト看做ス
但シ裁判上ノ行爲ニ付テハ此ノ限ニ在
ラズ
前項ノ規定ハ相手方ガ惡意ナリシ場合
ニハ之ヲ適用セズ
第四十三條番頭、手代其ノ他營業ニ關
スル或種類又ハ特定ノ事項ノ委任ヲ受
ケタル使用人ハ其ノ事項ニ關シ一切ノ
裁判外ノ行爲ヲ爲ス權限ヲ有ス
第三十八條第三項ノ規定ハ前項ノ場合
ニ之ヲ準用ス
第四十四條物品ノ販賣ヲ目的トスル店
舖ノ使用人ハ其ノ店舖ニ在ル物品ノ販
賣ニ關スル權限ヲ有スルモノト看做ス
第四十二條第二項ノ規定ハ前項ノ場合
ニ之ヲ準用ス
第四十五條本章ノ規定ハ營業主ト商業
使用人トノ間ノ履傭關係ニ付民法ヲ適
用スルコトヲ妨ゲズ
第七章代理商
第四十六條代理商トハ使用人ニ非ズシ
テ一定ノ商人ノ爲ニ平常其ノ營業ノ部
類ニ屬スル取引ノ代理又ハ媒介ヲ爲ス
者ヲ謂フ
第四十七條代理商ガ取引ノ代理又ハ媒
介ヲ爲シタルトキハ遲滯ナク本人ニ對
シテ其ノ通知ヲ發スルコトヲ要ス
第四十八條代理商ハ本人ノ許諾アルニ
非ザレバ自己若ハ第三者ノ爲ニ本人ノ
營業ノ部類ニ屬スル取引ヲ爲シ又ハ同
種ノ營業ヲ目的トスル會社ノ無限責任
社員若ハ取締役ト爲ルコトヲ得ズ
第四十一條第二項及第三項ノ規定ハ代
理商ガ前項ノ規定ニ違反シタル場合ニ
之ヲ準用ス
第四十九條物品ノ販賣又ハ其ノ媒介ノ
委託ヲ受ケクル代理商ハ賣買ノ目的物
ノ瑕疵又ハ數量ノ不足其ノ他賣買ノ履
行ニ關スル通知ヲ受クル權限ヲ有ス
第五十條當事者ガ契約ノ期間ヲ定メザ
リシトキハ各當事者ハ一一月前ニ豫〓ヲ
爲シテ其ノ契約ノ解除ヲ爲スコトヲ得
當事者ガ契約ノ期間ヲ定メタルト否ト
ヲ問ハズ已ムコトヲ得ザル事由アルト
キハ各當事者ハ何時ニテモ其ノ契約ノ
解除ヲ爲スコトヲ得
第五十一條代理商ハ取引ノ代理又ハ媒
介ヲ爲シタルニ因リテ生ジタル債權ガ
辨濟期ニ在ルトキハ其ノ辨濟ヲ受クル
迄本人ノ爲ニ占有スル物又ハ有價證劵
ヲ留置スルコトヲ得但シ別段ノ意思表
示アリタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第二編會社
第一章總則
第五十二條本法ニ於テ會社トハ商行爲
ヲ爲スヲ業トスル目的ヲ以テ設立シタ
ル社團ヲ謂フ
營利ヲ目的トスル社團ニシテ本編ノ規
定ニ依リ設立シタルモノハ商行爲ヲ爲
スヲ業トセザルモ之ヲ會社ト看做ス
第五十三條會社ハ合名會社、合資會社、
株式會社及株式合資會社ノ四種トス
第五十四條會社ハ之ヲ法人トス
會社ノ住所ハ其ノ本店ノ所在地ニ在ル
モノトス
第五十五條會社ハ他ノ會社ノ無限責任
社員ト爲ルコトヲ得ズ
第五十六條會社ハ合併ヲ爲スコトヲ得
合併ヲ爲ス會社ノ一方又ハ雙方ガ株式
會社又ハ株式合資會社ナルトキハ合併
後存續スル會社又ハ合併ニ因リテ設立
スル會社ハ株式會社又ハ株式合資會社
ナルコトヲ要ス
合併ニ因リテ會社ヲ設立スル場合ニ於
テハ定款ノ作成其ノ他設立ニ關スル行
爲ハ各會社ニ於テ選任シタル設立委員
共同シテ之ヲ爲スコトヲ要ス
第九十八條第一項、第三百四十三條及
第四百六十七條ノ規定ハ前項ノ選任ニ
之ヲ準用ス
第五十七條會社ハ本店ノ所在地ニ於テ
設立ノ登記ヲ爲スニ因リテ成立ス
第五十八條會社ガ正當ノ事由ナクシテ
其ノ成立後一年內ニ開業ヲ爲サズ又ハ
一年以上營業ヲ休止シタルトキハ裁判
所ハ利害關係人若ハ檢事ノ請求ニ依リ
又ハ職權ヲ以テ其ノ解散ヲ命ズルコト
ヲ得
會社ノ業務ヲ執行スル社員、取締役又
ハ監査役ガ法令又ハ公ノ秩序若ハ善良
ノ風俗ニ反スル行爲ヲ爲シタル場合ニ
於テ會社ノ存立ヲ許スベカラザル事由
アルトキ亦前項ニ同ジ
前二項ノ場合ニ於テハ裁判所ハ解散ノ
命令前ト雖モ利害關係人若ハ檢事ノ請
求ニ依リ又ハ職權ヲ以テ管理人ノ選任
其ノ他會社財產ノ保全ニ必要ナル處分
ヲ爲スコトヲ得
第五十九條利害關係人ガ前條第一項又
ハ第二項ノ請求ヲ爲シタルトキハ會社
ノ請求ニ依リ相當ノ擔保ヲ供スルコト
ヲ要ス
第六十條利害關係人ノ爲シタル第五十
八條第一項又ハ第二項ノ請求ガ却下セ
ラレタル場合ニ於テ其ノ者ニ惡意又ハ
重大ナル過失アリタルトキハ會社ニ對
シ連帶シテ損害賠償ノ責ニ任ズ
第六十一條本編ノ規定ニ依リ登記スベ
キ事項ニシテ官廳ノ許可ヲ要スルモノ
ハ其ノ許可書ノ到達シタル時ヨリ登記
ノ期間ヲ起算ス
第二章合名會社
第一節設立
第六十二條合名會社ヲ設立スルニハ定
款ヲ作ルコトヲ要ス
第六十三條合名會社ノ定款ニハ左ノ事
項ヲ記載シ各社員之ニ署名スルコトヲ
要ス
一目的
二商號
三社員ノ氏名及住所
四本店及支店ノ所在地
五社員ノ出資ノ目的及其ノ價格又ハ
評價ノ標準
第六十四條合名會社ノ設立ノ登記ニ在リ
テハ左ノ事項ヲ登記スルコトヲ要ス
一前條第一號乃至第三號ニ揭グル事
項
二本店及支店
三存立時期又ハ解散ノ事由ヲ定メタ
ルトキハ其ノ時期又ハ事由
四社員ノ出資ノ目的、財產ヲ目的ト
スル出資ニ付テハ其ノ價格及履行ヲ
爲シタル部分
五社員ニシテ會社ヲ代表セザル者ア
ルトキハ會社ヲ代表スベキ者ノ氏名
六數人ノ社員ガ共同シ又ハ社員ガ支
配人ト共同シテ會社ヲ代表スベキコ
トヲ定メタルトキハ其ノ規定
會社ハ設立ノ登記ヲ爲シタル後二週間
內ニ支店ノ所在地ニ於テ前項ニ揭グル
事項ヲ登記スルコトヲ要ス
第六十五條會社ノ成立後支店ヲ設ケタ
ルトキハ本店ノ所在地ニ於テハ二週間內
ニ支店ヲ設ケタルコトヲ登記シ其ノ支
店ノ所在地ニ於テハ三週間內ニ前條第
一項ニ揭グル事項ヲ登記シ他ノ支店ノ
所在地ニ於テハ同期間內ニ其ノ支店ヲ
設ケタルコトヲ登記スルコトヲ要ス
本店又ハ支店ノ所在地ヲ管轄スル登記
所ノ管轄區域內ニ於テ新ニ支店ヲ設ケ
タルトキハ其ノ支店ヲ設ケタルコトヲ
登記スルヲ以テ足ル
第六十六條會社ガ其ノ本店ヲ移轉シタ
ルトキハ舊所在地ニ於テハ二週間內ニ
移轉ノ登記ヲ爲シ新所在地ニ於テハ三
週間內ニ第六十四條第一項ニ揭グル事
項ヲ登記シ其ノ支店ヲ移轉シタルトキ
ハ舊所在地ニ於テハ三週間內ニ移轉ノ
登記ヲ爲シ新所在地ニ於テハ四週間內
ニ第六十四條第一項ニ揭グル事項ヲ登
記スルコトヲ要ス
同一ノ登記所ノ管轄區域內ニ於テ本店
又ハ支店ヲ移轉シタルトキハ其ノ移轉
ノ登記ヲ爲スヲ以テ足ル
第六十七條第六十四條第一項ニ揭グル
事項中ニ變更ヲ生ジタルトキハ本店ノ
所在地ニ於テハ二週間、支店ノ所在地
ニ於テハ三週間內ニ變更ノ登記ヲ爲ス
コトヲ要ス
第二節會社ノ內部ノ關係
第六十八條會社ノ內部ノ關係ニ付テハ
定款又ハ本法ニ別段ノ定ナキトキハ組
合ニ關スル民法ノ規定ヲ準用ス
第六十九條社員ガ債權ヲ以テ出資ノ目
的ト爲シタル場合ニ於テ債務者ガ辨濟
期ニ辨濟ヲ爲サザリシトキハ社員ハ其
ノ辨濟ノ責ニ任ズ此ノ場合ニ於テハ其
ノ利息ヲ支拂フ外尙損害ノ賠償ヲ爲ス
コトヲ要ス
第七十條各社員ハ定款ニ別段ノ定ナキ
トキハ會社ノ業務ヲ執行スル權利ヲ有
シ義務ヲ負フ
第七十一條支配人ノ選任及解任ハ特ニ
業務執行社員ヲ定メタルトキト雖モ社
員ノ過半數ヲ以テ之ヲ決ス
第七十二條定款ノ變更其ノ他會社ノ目
的ノ範圍內ニ在ラザル行爲ヲ爲スニハ
總社員ノ同意アルコトヲ要ス
第七十三條社員ハ他ノ社員ノ承諾アル
ニ非ザレバ其ノ持分ノ全部又ハ一部ヲ
他人ニ讓渡スコトヲ得ズ
第七十四條社員ハ他ノ社員ノ承諾アル
ニ非ザレバ自己若ハ第三者ノ爲ニ會社
ノ營業ノ部類ニ屬スル取引ヲ爲シ又ハ
同種ノ營業ヲ目的トスル他ノ會社ノ無
限責任社員若ハ取締役ト爲ルコトヲ得
ズ
社員ガ前項ノ規定ニ違反シテ自己ノ爲
ニ取引ヲ爲シタルトキハ他ノ社員ハ過
半數ノ決議ニ依リ之ヲ以テ會社ノ爲ニ
爲シタルモノト看做スコトヲ得
前項ニ定ムル權利ハ他ノ社員ノ一人ガ
其ノ取引ヲ知リタル時ヨリ二週間之ヲ
行使セザルトキハ消滅ス取引ノ時ヨリ
一年ヲ經過シタルトキ亦同ジ
第七十五條社員ハ他ノ社員ノ過半數ノ
決議アリタルトキニ限リ自己又ハ第三
者ノ爲ニ會社ト取引ヲ爲スコトヲ得此
ノ場合ニ於テハ民法第百八條ノ規定ヲ
適用セズ
第三節會社ノ外部ノ關係
第七十六條業務ヲ執行スル社員ハ各自
會社ヲ代表ス但シ定款又ハ總社員ノ同
意ヲ以テ業務執行社員中特ニ會社ヲ代
表スベキ者ヲ定ムルコトヲ妨ゲズ
第七十七條會社ハ定款又ハ總社員ノ同
意ヲ以テ數人ノ社員ガ共同シ又ハ社員
ガ支配人ト共同シテ會社ヲ代表スベキ
旨ヲ定ムルコトヲ得
第三十九條第二項ノ規定ハ前項ノ場合
ニ之ヲ準用ス
第七十八條會社ヲ代表スベキ社員ハ會
社ノ營業ニ關スル一切ノ裁判上又ハ裁
判外ノ行爲ヲ爲ス權限ヲ有ス
民法第四十四條第一項及第五十四條ノ
規定ハ合名會社ニ之ヲ準用ス
第七十九條會社ガ社員ニ對シ又ハ社員
ガ會社ニ對シ訴ヲ提起スル場合ニ於テ
其ノ訴ニ付會社ヲ代表スベキ社員ナキ
トキハ他ノ社員ノ過半數ノ決議ヲ以テ
之ヲ定ムルコトヲ要ス
第八十條會社財產ヲ以テ會社ノ債務ヲ
完濟スルコト能ハザルトキハ各社員連
帶シテ其ノ辨濟ノ責ニ任ズ
會社財產ニ對スル强制執行ガ其ノ效ヲ
奏セザルトキ亦前項ニ同ジ
前項ノ規定ハ社員ガ會社ニ辨濟ノ資力
アリ且執行ノ容易ナルコトヲ證明シタ
ルトキハ之ヲ適用セズ
第八十一條社員ハ會社ニ屬スル抗辯ヲ
以テ會社ノ債權者ニ對抗スルコトヲ得
會社ガ其ノ債權者ニ對シ相殺權、取消
權又ハ解除權ヲ有スル場合ニ於テハ社
員ハ其ノ者ニ對シ債務ノ履行ヲ拒ムコ
トヲ得
第八十二條會社ノ成立後加入シタル社
員ハ其ノ加入前ニ生ジタル會社ノ債務
ニ付テモ亦責任ヲ負フ
第八十三條社員ニ非ザル者ニ自己ヲ社
員ナリト誤認セシムベキ行爲アリタル
トキハ其ノ者ハ誤認ニ基キテ會社ト取
引ヲ爲シタル者ニ對シ社員ト同一ノ責
任ヲ負フ
第四節社員ノ退社
第八十四條定款ヲ以テ會社ノ存立時期
ヲ定メザリシトキ又ハ或社員ノ終身間
會社ノ存續スベキコトヲ定メタルトキ
ハ各社員ハ營業年度ノ終ニ於テ退社ヲ
爲スコトヲ得但シ六月前ニ其ノ豫〓ヲ
爲スコトヲ要ス
會社ノ存立時期ヲ定メタルト否トヲ問ハ
ズ已ムコトヲ得ザル事由アルトキハ各社
員ハ何時ニテモ退社ヲ爲スコトヲ得
第八十五條前條及第九十一條第一項ニ
定ムル場合ノ外社員ハ左ノ事由ニ因リ
テ退社ス
一定款ニ定メタル事由ノ發生
二總社員ノ同意
三死亡
四破產
五禁治產
六除名
第八十六條社員ニ付左ノ事由アルトキ
ハ會社ハ他ノ社員ノ過半數ノ決議ヲ以
テ其ノ社員ノ除名又ハ業務執行權若ハ
代表權ノ喪失ノ宣〓ヲ裁判所ニ請求ス
ルコトヲ得
-出資ノ義務ヲ履行セザルコト
二第七十四條第一項ノ規定ニ違反シ
タルコト
三業務ヲ執行スルニ當リ不正ノ行爲
ヲ爲シ又ハ權利ナクシテ業務ノ執行
ニ干與シタルコト
四會社ヲ代表スルニ當リ不正ノ行爲
ヲ爲シ又ハ權利ナクシテ會社ヲ代表
シタルコト
五其ノ他重要ナル義務ヲ盡サザルコ
社員ガ業務ヲ執行シ又ハ會社ヲ代表ス
ルニ著シク不適任ナルトキハ會社ハ前
項ノ規定ニ從ヒ其ノ社員ノ業務執行權
又ハ代表權ノ喪失ノ宣〓ヲ請求スルコ
トヲ得
社員ノ除名又ハ業務執行權若ハ代表權
ノ喪失ノ判決確定シタルトキハ本店及
支店ノ所在地ニ於テ其ノ登記ヲ爲スコ
トヲ要ス
第八十七條除名セラレタル社員ト會社
トノ間ノ計算ハ除名ノ訴ヲ提起シタル
時ニ於ケル會社財產ノ狀況ニ從ヒテ之
ヲ爲シ且其ノ時ヨリ法定利息ヲ附スル
コトヲ要ス
第八十八條第八十六條ノ訴ハ本店ノ所
在地ノ地方裁判所ノ管轄ニ專屬ス
第八十九條退社員ハ勞務又ハ信用ヲ以
テ出資ノ目的ト爲シタルトキト雖モ其
ノ持分ノ拂戾ヲ受クルコトヲ得但シ定
款ニ別段ノ定アルトキハ此ノ限ニ在ラ
ズ
第九十條社員ノ持分ノ差押ハ社員ガ將
來利益ノ配當及持分ノ拂戾ヲ請求スル
權利ニ對シテモ亦其ノ效力ヲ有ス
第九十一條社員ノ持分ヲ差押へタル債
權者ハ營業年度ノ終ニ於テ其ノ社員ヲ
退社セシムルコトヲ得但シ會社及其ノ
社員ニ對シ六月前ニ其ノ豫〓ヲ爲スコ
トヲ要ス
前項但書ノ豫〓ハ社員ガ辨濟ヲ爲シ又
ハ相當ノ擔保ヲ供シタルトキハ其ノ效
力ヲ失フ
第九十二條會社ノ商號中ニ退社員ノ氏
又ハ氏名ヲ用ヒタルトキハ退社員ハ其
ノ氏又ハ氏名ノ使用ヲ止ムベキコトヲ
請求スルコトヲ得
第九十三條退社員ハ本店ノ所在地ニ於
テ退社ノ登記ヲ爲ス前ニ生ジタル會社
ノ債務ニ付責任ヲ負フ
前項ノ責任ハ前項ノ登記後二年內ニ請
求又ハ請求ノ豫〓ヲ爲サザル會社ノ債
權者ニ對シテハ登記後二年ヲ經過シタ
ルトキ消滅ス
前二項ノ規定ハ持分ヲ讓渡シタル社員
ニ之ヲ準用ス
第五節解散
第九十四條會社ハ左ノ事由ニ因リテ解
散ス
存立時期ノ滿了其ノ他定款ニ定メ
タル事由ノ發生
二總社員ノ同意
三會社ノ合併
四社員ガ一人ト爲リタルコト
五會社ノ破產
六解散ヲ命ズル裁判
第九十五條前條第一號又ハ第二號ノ場
合ニ於テハ社員ノ全部又ハ一部ノ同意
ヲ以テ會社ヲ繼續スルコトヲ得但シ同
意ヲ爲サザリシ社員ハ退社シタルモノ
ト看做ス
前條第四號ノ場合ニ於テハ新ニ社員ヲ
加入セシメテ會社ヲ繼續スルコトヲ得
第九十六條會社ガ解散シタルトキハ合
併及破產ノ場合ヲ除クノ外本店ノ所在
地ニ於テハ二週間、支店ノ所在地ニ於
テハ三週間內ニ解散ノ登記ヲ爲スコト
ヲル、
第九十七條會社ハ本店ノ所在地ニ於テ
解散ノ登記ヲ爲シタル後ト雖モ第九十
五條ノ規定ニ從ヒテ會社ヲ繼續スルコ
トヲ妨ゲズ此ノ場合ニ於テハ本店ノ所
在地ニ於テハ二週間、支店ノ所在地ニ
於テハ三週間內ニ繼續ノ登記ヲ爲スコ
トヲ要ス
第九十八條會社ガ合併ヲ爲スニハ總社
員ノ同意アルコトヲ要ス
解散後ノ會社ハ存立中ノ會社ヲ存續ス
ル會社トスル場合ニ限リ合併ヲ爲スコ
トヲ得
第九十九條會社ガ合併ノ決議ヲ爲シタ
ルトキハ其ノ決議ノ日ヨリ二週間內ニ
財產目錄及貸借對照表ヲ作ルコトヲ要
ス
第百條會社ハ前條ノ期間內ニ其ノ債權
者ニ對シ合併ニ異議アラバ一定ノ期間
內ニ之ヲ述ブベキ旨ヲ公告シ且知レタ
ル債權者ニハ各別ニ之ヲ催告スルコト
ヲ要ス但シ其ノ期間ハ二月ヲ下ルコト
ヲ得ズ
債權者ガ前項ノ期間內ニ異議ヲ述ベザリ
シトキハ合併ヲ承認シタルモノト看做ス
債權者ガ異議ヲ述ベタルトキハ會社ハ
辨濟ヲ爲シ若ハ相當ノ擔保ヲ供シ又ハ
債權者ニ辨濟ヲ受ケシムルコトヲ目的
トシテ信託會社ニ相當ノ財產ヲ信託ス
ルコトヲ要ス
第百一條會社ガ合併ヲ爲シタルトキハ
本店ノ所在地ニ於テハ二週間、支店ノ
所在地ニ於テハ三週間內ニ合併後存續
スル會社ニ付テハ變更ノ登記、合併ニ
因リテ消滅スル會社ニ付テハ解散ノ登
記合併ニ因リテ設立シタル會社ニ付
テハ第六十四條ニ定ムル登記ヲ爲スコ
トヲ要ス
第百二條會社ノ合併ハ合併後存續スル
會社又ハ合併ニ因リテ設立シタル會社
ガ其ノ本店ノ所在地ニ於テ前條ノ登記
ヲ爲スニ因リテ其ノ效力ヲ生ズ
第百三條合併後存續スル會社又ハ合併
ニ因リテ設立シタル會社ハ合併ニ因リ
テ消滅シタル會社ノ權利義務ヲ承繼ス
第百四條會社ノ合併ノ無效ハ訴ヲ以テ
ノミ之ヲ主張スルコトヲ得
前項ノ訴ハ各會社ノ社員、〓算人、破
產管財人又ハ合併ヲ承認セザル債權者
ニ限リ之ヲ提起スルコトヲ得
第八十八條ノ規定ハ第一項ノ訴ニ之ヲ
準用ス
第百五條前條第一項ノ訴ハ合併ノ日ヨ
リ六月內ニ之ヲ提起スルコトヲ要ス
口頭辯論ハ前項ノ期間ヲ經過シタル後
ニ非ザレバ之ヲ開始スルコトヲ得ズ
數個ノ訴ガ同時ニ繫屬スルトキハ辯論
及裁判ハ併合シテ之ヲ爲スコトヲ要ス
訴ノ提起アリタルトキハ會社ハ遲滯ナ
ク其ノ旨ヲ公〓スルコトヲ要ス
第百六條債權者ガ第百四條第一項ノ訴
ヲ提起シタルトキハ會社ノ請求ニ依リ
相當ノ擔保ヲ供スルコトヲ要ス
第百七條第百四條第一項ノ訴ノ提起ア
リタル場合ニ於テ合併ノ無效ノ原因タ
ル瑕疵ガ補完セラレタルトキ又ハ會社
ノ現況其ノ他一切ノ事情ヲ斟酌シテ合
併ヲ無效トスルコトヲ不適當ト認ムル
トキハ裁判所ハ請求ヲ棄却スルコトヲ
得
第百八條合併ヲ無效トスル判決ガ確定
シタルトキハ本店及支店ノ所在地ニ於
テ合併後存續スル會社ニ付テハ變更ノ
登記、合併ニ因リテ設立シタル會社ニ
付テハ解散ノ登記、合併ニ因リテ消滅
シタル會社ニ付テハ囘復ノ登記ヲ爲ス
コトヲ要ス
第百九條合併ヲ無效トスル判決ハ第三
者ニ對シテモ其ノ效力ヲ有ス
原告ガ敗訴シタル場合ニ於テ惡意又ハ
重大ナル過失アリタルトキハ會社ニ對
シ連帶シテ損害賠償ノ責ニ任ズ
第百十條合併ヲ無效トスル判決ハ合併
後存續スル會社又ハ合併ニ因リテ設立
シタル會社、其ノ社員及第三者ノ間ニ
生ジタル權利義務ニ影響ヲ及ボサズ
第百十一條合併ヲ無效トスル判決ガ確定
シタルトキハ合併ヲ爲シタル會社ハ合
併後存續スル會社又ハ合併ニ因リテ設
立シタル會社ガ合併後負擔シタル債務
ニ付連帶シテ辨濟ノ責ニ任ズ
合併後存續スル會社又ハ合併ニ因リテ
設立シタル會社ガ合併後取得シクル財
產ハ合併ヲ爲シタル會社ノ共有ニ屬ス
前二項ノ場合ニ於テハ各會社ノ負擔部
分又ハ持分ハ其ノ協議ヲ以テ之ヲ定ム
協議調ハザルトキハ裁判所ハ請求ニ依
リ合併ノ時ニ於ケル各會社ノ財產ノ額
其ノ他一切ノ事情ヲ斟酌シテ之ヲ定ム
第百十二條已ムコトヲ得ザル事由アル
トキハ各社員ハ會社ノ解散ヲ裁判所ニ
請求スルコトヲ得
第八十八條及第百九條第二項ノ規定ハ
前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第百十三條合名會社ハ總社員ノ同意ヲ
以テ或社員ヲ有限責任社員ト爲シ又ハ
新ニ有限責任社員ヲ加入セシメテ之ヲ
合資會社ト爲スコトヲ得
前項ノ規定ハ第九十五條第二項ノ規定
ニ依リ會社ヲ繼續スル場合ニ之ヲ準用
ス
第百十四條合名會社ガ前條ノ規定ニ依
リ其ノ組織ヲ變更シタルトキハ本店ノ
所在地ニ於テハ二週間、支店ノ所在地
ニ於テハ三週間內ニ合名會社ニ付テハ
解散ノ登記、合資會社ニ付テハ第百四
十九條第一項ニ定ムル登記ヲ爲スコト
マヨナ、
第百十五條第百十三條第一項ノ場合ニ
於テ從前ノ社員ニシテ有限責任社員ト
爲リタルモノハ本店ノ所在地ニ於テ前
條ノ登記ヲ爲ス前ニ生ジタル會社ノ債
務ニ付テハ無限責任社員ノ責任ヲ免ル
ルコトナシ
第九十三條第二項ノ規定ハ前項ノ場合
ニ之ヲ準用ス
第六節〓算
第百十六條會社ハ解散ノ後ト雖モ〓算
ノ目的ノ範圍內ニ於テハ仍存續スルモ
ノト看做ス
第百十七條解散ノ場合ニ於ケル會社財
產ノ處分方法ハ定款又ハ總社員ノ同意
ヲ以テ之ヲ定ムルコトヲ得此ノ場合ニ
於テハ解散ノ日ヨリ二週間內ニ財產目
錄及貸借對照表ヲ作ルコトヲ要ス
前項ノ規定ハ會社ガ第九十四條第四號
又ハ第六號ノ事由ニ因リテ解散シタル
場合ニハ之ヲ適用セズ
第百條ノ規定ハ第一項ノ場合ニ之ヲ準
用ス
第一項ノ場合ニ於テ社員ノ持分ヲ差押
ヘタル者アルトキハ其ノ者ノ同意ヲ得
ルコトヲ要ス
第百十八條會社ガ前條第三項ノ規定ニ
違反シテ其ノ財產ヲ處分シタルトキハ
會社ノ債權者ハ其ノ處分ノ取消ヲ裁判
所ニ請求スルコトヲ得但シ其ノ處分ガ
會社ノ債權者ヲ害セザルモノナルトキ
ハ此ノ限ニ在ラズ
民法第四百二十四條第一項但書、第四
百二十五條及第四百二十六條ノ規定ハ
前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第百十九條會社ガ第百十七條第四項ノ
規定ニ違反シテ其ノ財產ヲ處分シタル
トキハ社員ノ持分ヲ差押ヘタル者ハ會
社ニ對シ其ノ持分ニ相當スル金額ノ支
拂ヲ請求スルコトヲ得此ノ場合ニ於テ
ハ前條ノ規定ヲ準用ス
第百二十條第百十七條第一項ノ規定ニ
依リテ會社財產ノ處分方法ヲ定メザリ
シトキハ合併及破產ノ場合ヲ除クノ外
第百二十一條乃至第百三十五條ノ規定
ニ從ヒテ〓算ヲ爲スコトヲ要ス
第百二十一條〓算ハ業務執行社員之ヲ
爲ス但シ社員ノ過半數ヲ以テ別ニ〓算
人ヲ選任シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第百二十二條會社ガ第九十四條第四號
又ハ第六號ノ事由ニ因リテ解散シタル
トキハ裁判所ハ利害關係人若ハ檢事ノ
請求ニ依リ又ハ職權ヲ以テ〓算人ヲ選
任ス
第百二十三條業務執行社員ガ〓算人ト
爲リタルトキハ解散ノ日ヨリ本店ノ所
在地ニ於テハ三週間、支店ノ所在地ニ
於テハ四週間內ニ左ノ事項ヲ登記スル
コトヲ要ス
〓算人ノ氏名及住所
二〓算人ニシテ會社ヲ代表セザル者
アルトキハ會社ヲ代表スベキ者ノ氏
名
三數人ノ〓算人ガ共同シテ會社ヲ代
表スベキ定アルトキハ其ノ規定
〓算人ノ選任アリタルトキハ其ノ〓算
人ハ本店ノ所在地ニ於テハ二週間、支
店ノ所在地ニ於テハ三週間內ニ前項ニ
揭グル事項ヲ登記スルコトヲ要ス
第六十七條ノ規定ハ前二項ノ登記ニ之
ヲ準用ス
第百二十四條清算人ノ職務左ノ如シ
一現務ノ結了
二債權ノ取立及債務ノ辨濟
三殘餘財產ノ分配
會社ヲ代表スベキ〓算人ハ前項ノ職務
ニ關スル一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行
爲ヲ爲ス權限ヲ有ス
民法第八十一條ノ規定ハ合名會社ニ之
ヲ準用ス
第百二十五條會社ハ辨濟期ニ至ラザル
債權ト雖モ之ヲ辨濟スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ無利息債權ニ付テ
ハ辨濟期ニ至ル迄ノ法定利息ヲ加算シ
テ其ノ債權額ニ達スベキ金額ヲ辨濟ス
ルコトヲ要ス
前項ノ規定ハ利息附債權ニシテ其ノ利
率ガ法定利率ニ達セザルモノニ之ヲ準
用ス
第一項ノ場合ニ於テハ條件附債權、存
續期間ノ不確定ナル債權其ノ他價額ノ
不確定ナル債權ニ付テハ裁判所ノ選任
シタル鑑定人ノ評價ニ從ヒテ之ヲ辨濟
スルコトヲ要ス
第百二十六條會社ニ現存スル財產ガ其
ノ債務ヲ完濟スルニ不足ナルトキハ〓
算人ハ辨濟期ニ拘ラズ社員ヲシテ出資
ヲ爲サシムルコトヲ得
第百二十七條〓算人ガ會社ノ營業ノ全
部又ハ一部ヲ讓渡スニハ社員ノ過半數
ノ決議アルコトヲ要ス
第百二十八條〓算人數人アルトキハ〓
算ニ關スル行爲ハ其ノ過半數ヲ以テ之
可止之.
第百二十九條第七十六條及第七十七條
ノ規定ハ〓算人ニ之ヲ準用ス
業務執行社員ガ〓算人ト爲リタル場合
ニ於テハ從前ノ定ニ從ヒテ會社ヲ代表
ス
裁判所ガ數人ノ〓算人ヲ選任スル場合
ニ於テハ會社ヲ代表スベキ者ヲ定メ又
ハ數人ガ共同シテ會社ヲ代表スベキ旨
ヲ定ムルコトヲ得
第百三十條〓算人ハ就職ノ後遲滯ナク
會社財產ノ現況ヲ調査シ財產目錄及貸
借對照表ヲ作リ之ヲ社員ニ交付スルコ
トヲ要ス
〓算人ハ社員ノ請求ニ依リ每月〓算ノ
狀況ヲ報〓スルコトヲ要ス
第百三十一條〓算人ハ會社ノ債務ヲヲ
濟シタル後ニ非ザレバ會社財產ヲ社員
ニ分配スルコトヲ得ズ但シ爭アル債務
ニ付其ノ辨濟ニ必要ト認ムル財產ヲ留
保シテ殘餘ノ財產ヲ分配スルコトヲ妨
ゲズ
第百三十二條社員ガ選任シタル〓算人
ハ何時ニテモ之ヲ解任スルコトヲ得此
ノ解任ハ社員ノ過半數ヲ以テ之ヲ決ス
重要ナル事由アルトキハ裁判所ハ利害
關係人ノ請求ニ依リ〓算人ヲ解任スル
コトヲ得
第百三十三條〓算人ノ任務ガ終了シタ
ルトキハ〓算人ハ遲滯ナク計算ヲ爲シ
テ各社員ノ承認ヲ求ムルコトヲ要ス
前項ノ計算ニ對シ社員ガ一月內ニ異議
ヲ述ベザリシトキハ之ヲ承認シタルモ
ノト看做ス但シ〓算人ニ不正ノ行爲ア
リタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第百三十四條〓算ガ結了シタルトキハ
〓算人ハ前條ノ承認アリタル後本店ノ
所在地ニ於テハ二週間、支店ノ所在地
ニ於テハ三週間內ニ〓算結了ノ登記ヲ
爲スコトヲ要ス
第百三十五條第七十五條、第七十八條
第二項、第二百五十四條第二項及第二
百六十六條ノ規定ハ〓算人ニ之ヲ準用
ス
第百三十六條會社ノ設立ノ無效ハ其ノ
成立ノ日ヨリ二年內ニ訴ヲ以テノミ之
ヲ主張スルコトヲ得
前項ノ訴ハ社員ニ限リ之ヲ提記スルコ
トヲ得
第八十八條、第百五條第三項第四項、
第百七條、第百九條及第百十條ノ規定
ハ第一項ノ訴ニ之ヲ準用ス
第百三十七條設立ヲ無效トスル判決ガ
確定シタルトキハ本店及支店ノ所在地
ニ於テ其ノ登記ヲ爲スコトヲ要ス
第百三十八條設立ヲ無效トスル判決ガ
確定シタルトキハ解散ノ場合ニ準ジテ
〓算ヲ爲スコトヲ要ス此ノ場合ニ於テ
ハ裁判所ハ利害關係人ノ請求ニ依リ〓
算人ヲ選任ス
第百三十九條設立ヲ無效トスル判決ガ
確定シタル場合ニ於テ其ノ無效ノ原因
ガ或社員ノミニ付存スルトキハ前條ノ
規定ニ拘ラズ他ノ社員ノ一致ヲ以テ會
社ヲ繼續スルコトヲ得此ノ場合ニ於テ
ハ無效ノ原因ノ存スル社員ハ退社ヲ爲
シタルモノト看做ス
第九十五條第二項及第九十七條ノ規定
ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第百四十條會社ノ設立ノ取消ハ訴ヲ以
テノミ之ヲ請求スルコトヲ得
第百四十一條社員ガ其ノ債權者ヲ害ス
ルコトヲ知リテ會社ヲ設立シタルトキ
ハ債權者ハ其ノ社員及會社ニ對スル訴
ヲ以テ會社ノ設立ノ取消ヲ請求スルコ
トヲ得
第百四十二條第八十八條、第百五條第
三項第四項、第百九條、第百十條、第
百三十六條第一項及第百三十七條乃至
第百三十九條ノ規定ハ前二條ノ場合ニ
之ヲ準用ス
第百四十三條會社ノ帳簿竝ニ其ノ營業
及〓算ニ關スル重要書類ハ第百十七條
ノ場合ニ在リテハ本店ノ所在地ニ於テ
解散ノ登記ヲ爲シタル後、其ノ他ノ場
合ニ在リテハ〓算結了ノ登記ヲ爲シタ
ル後十年間之ヲ保存スルコトヲ要ス其
ノ保存者ハ社員ノ過半數ヲ以テ之ヲ定
ム
第百四十四條社員ガ死亡シタル場合ニ
於テ其ノ相續人數人アルトキハ〓算ニ
關シテ社員ノ權利ヲ行使スベキ者一人
ヲ定ムルコトヲ要ス
第百四十五條第八十條ニ定ムル社員ノ
責任ハ本店ノ所在地ニ於テ解散ノ登記
ヲ爲シタル後五年內ニ訓求又請求ノ
豫〓ヲ爲サザル會社ノ債權者ニ對シテ
ハ登記後五年ヲ經過シタルトキ消滅ス
前項ノ期間經過ノ後ト雖モ分配セザル
殘餘財產仍存スルトキハ會社ノ債權者
ハ之ニ對シテ辨濟ヲ請求スルコトヲ得
第三章合資會社
第百四十六條合資會社ハ有限責任社員
ト無限責任社員トヲ以テ之ヲ組織ス
第百四十七條合資會社ニハ本章ニ別段
ノ定アル場合ヲ除クノ外合名會社ニ關
スル規定ヲ準用ス
第百四十八條合資會社ノ定款ニハ第六
十三條ニ揭グル事項ノ外各社員ノ責任
ノ有限又ハ無限ナルコトヲ記載スルコ
トヲ要ス
第百四十九條合資會社ノ設立ノ登記ニ
在リテハ第六十四條第一項ニ揭グル事
項ノ外各社員ノ責任ノ有限又ハ無限ナ
ルコトヲ登記スルコトヲ要ス
有限責任社員ニ付テハ登記シタル事項
ノ公告ニハ其ノ員數及出資ノ總額ヲ揭
グルヲ以テ足ル變更ノ登記アリタルト
キ亦同ジ
第百五十條有限責任社員ハ金錢其ノ他
ノ財產ノミヲ以テ其ノ出資ノ目的ト爲
スコトヲ得
第百五十一條各無限責任社員ハ定款ニ
別段ノ定ナキトキハ會社ノ業務ヲ執行
スル權利ヲ有シ義務ヲ負フ
無限責任社員數人アルトキハ會社ノ業
務執行ハ其ノ過半數ヲ以テ之ヲ決ス
第百五十二條支配人ノ選任及解任ハ特
ニ業務執行社員ヲ定メタルトキト雖モ
無限責任社員ノ過半數ヲ以テ之ヲ決ス
第百五十三條有限責任社員ハ營業年度
ノ終ニ於テ營業時間內ニ限リ會社ノ財
產目錄及貸借對照表ノ閱覽ヲ求メ且會
社ノ業務及財產ノ狀況ヲ檢査スルコト
ヲ得
重要ナル事由アルトキハ有限責任社員
ハ何時ニテモ裁判所ノ許可ヲ得テ會社
ノ業務及財產ノ狀況ヲ檢査スルコトヲ得
第百五十四條有限責任社員ハ無限責任
社員全員ノ承諾アルトキハ其ノ持分ノ
全部又ハ一部ヲ他人ニ讓渡スコトヲ得
持分ノ讓渡ニ伴ヒ定款ノ變更ヲ生ズル
トキト雖モ亦同ジ
第百五十五條有限責任社員ガ自己若ハ
第三者ノ爲ニ會社ノ營業ノ部類ニ屬ス
ル取引ヲ爲シ又ハ同種ノ營業ヲ目的ト
スル他ノ會社ノ無限責任社員若ハ取締
役ト爲ルニハ他ノ社員ノ承諾アルコト
ヲ要セズ
第百五十六條有限責任社員ハ會社ノ業
務ヲ執行シ又ハ會社ヲ代表スルコトヲ
得ズ
第百五十七條有限責任社員ハ其ノ出資
ノ價額ヲ限度トシテ會社ノ債務ヲ辨濟
スル責ニ任ズ但シ旣ニ會社ニ對シ履行
ヲ爲シタル出資ノ價額ニ付テハ此ノ限
ニ在ラズ
前項但書ノ規定ノ適用ニ付テハ會社ニ
利益ナキニ拘ラズ配當ヲ受ケタル金額
ハ之ヲ控除シテ其ノ出資ノ價額ヲ定ム
第百五十八條有限責任社員ハ出資ノ減
少後ト雖モ本店ノ所在地ニ於テ其ノ登
記ヲ爲ス前ニ生ジタル會社ノ債務ニ付
テハ從前ノ責任ヲ免ルルコトナシ
第九十三條第二項ノ規定ハ前項ノ場合
ニ之ヲ準用ス
第百五十九條有限責任社員ニ自己ヲ無
限責任社員ナリト誤認セシムベキ行爲
アリタルトキハ其ノ社員ハ誤認ニ基キ
テ會社ト取引ヲ爲シタル者ニ對シ無限
責任社員ト同一ノ責任ヲ負フ
前項ノ規定ハ有限責任社員ニ其ノ責任
ノ限度ヲ誤認セシムベキ行爲アリタル
場合ニ之ヲ準用ス
第百六十條第八十二條ノ規定ハ有限責
任社員ガ無限責任社員ト爲リタル場
合第九十三條ノ規定ハ無限責任社員
ガ有限責任社員ト爲リタル場合ニ之ヲ
準用ス
第百六十一條有限責任社員ガ死亡シタ
ルトキハ其ノ相續人之ニ代リテ社員ト
爲ル
第二百三條ノ規定ハ死亡シタル有限責
任社員ノ相續人數人アル場合ニ之ヲ準
用ス
有限責任社員ハ禁治產ノ宣告ヲ受クル
モ之ニ因リテ退社セズ
第百六十二條合資會社ハ無限責任社員
又ハ有限責任社員ノ全員ガ退社シタル
トキハ解散ス但シ殘存スル社員ノ一致
ヲ以テ新ニ無限責任社員又ハ有限責任
社員ヲ加入セシメテ會社ヲ繼續スルコ
トヲ妨ゲズ
有限責任社員ノ全員ガ退社シタル場合
ニ於テハ無限責任社員ノ一致ヲ以テ合
名會社トシテ會社ヲ繼續スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ本店ノ所在地ニ於
テハ二週間、支店ノ所在地ニ於テハ三週
間內ニ合資會社ニ付テハ解散ノ登記、
合名會社ニ付テハ第六十四條ニ定ムル
登記ヲ爲スコトヲ要ス
第百六十三條合資會社ハ總社員ノ同意
ヲ以テ其ノ組織ヲ變更シテ之ヲ合名會
社ト爲スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ前
條第三項ノ規定ヲ準用ス
第百六十四條〓算ハ業務執行社員之ヲ
爲ス但シ無限責任社員ノ過半數ヲ以テ
別ニ〓算人ヲ選任シタルトキハ此ノ限
ニ在ラズ
第四章株式會社
第一節設立
第百六十五條株式會社ノ設立ニハ七人
以上ノ發起人アルコトヲ要ス
第百六十六條發起人ハ定款ヲ作リ之ニ
左ノ事項ヲ記載シテ署名スルコトヲ要ス
一目的
二商號
三資本ノ總額
四一株ノ金額
五本店及支店ノ所在地
六會社ガ公告ヲ爲ス方法
七發起人ノ氏名及住所
會社ノ公〓ハ官報又ハ時事ニ關スル事
項ヲ揭載スル日刊新聞紙ニ揭ゲテ之ヲ
爲スコトヲ要ス
第百六十七條定款ハ公證人ノ認證ヲ受
クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ有セズ
第百六十八條左ノ事項ハ之ヲ定款ニ記
載スルニ非ザレバ其ノ效力ヲ有セズ
一存立時期又ハ解散ノ事由
二數種ノ株式ノ發行竝ニ其ノ各種ノ
株式ノ內容及數
三株式ノ額面以上ノ發行
四發起人ガ受クベキ特別ノ利益及之
ヲ受クベキ者ノ氏名
五現物出資ヲ爲ス者ノ氏名、出資ノ
目的タル財產、其ノ價格竝ニ之ニ對
シテ與フル株式ノ種類及數
六會社ノ成立後ニ讓受クルコトヲ約
シタル財產、其ノ價格及讓渡人ノ氏名
七會社ノ負擔ニ歸スベキ設立費用及
發起人ガ受クベキ報酬ノ額
現物出資ハ發起人ニ限リ之ヲ爲スコト
ヲ得
第百六十九條各發起人ハ書面ニ依リテ
株式ノ引受ヲ爲スコトヲ要ス
第百七十條發起人ガ株式ノ總數ヲ引受
ケタルトキハ遲滯ナク各株ニ付第一囘
ノ拂込ヲ爲シ且取締役及監査役ヲ選任
スルコトヲ要ス
前項ノ選任ハ發起人ノ議決權ノ過半數
ヲ以テ之ヲ決ス此ノ場合ニ於テハ第二
百四十一條第一項ノ規定ヲ準用ス
第百七十一條株式發行ノ價額ハ劵面額
ヲ下ルコトヲ得ズ
第一囘拂込ノ金額ハ株金ノ四分ノ一ヲ
下ルコトヲ得ズ
額面以上ノ價額ヲ以テ株式ヲ發行シタ
ルトキハ其ノ額面ヲ超ユル金額ハ第一
囘ノ拂込ト同時ニ之ヲ拂込ムコトヲ要ス
第百七十二條現物出資者ハ第一囘ノ拂
込ノ期日ニ出資ノ目的タル財產ノ全部
ヲ給付スルコトヲ要ス但シ登記、登錄
其ノ他權利ノ設定又ハ移轉ヲ以テ第三
者ニ對抗スル爲必要ナル行爲ハ會社成
立後ニ之ヲ爲スコトヲ妨ゲズ
第百七十三條取締役ハ其ノ選任後遲滯
ナク第百六十八條第一項第四號乃至第
七號ニ揭グル事項竝ニ前三條ノ規定ニ
依ル拂込及現物出資ノ給付アリタルヤ
否ヤヲ調査セシムル爲檢査役ノ選任ヲ
裁判所ニ請求スルコトヲ要ス
裁判所ハ檢査役ノ報〓ヲ聽キ第百六十
八條第一項第四號乃至第七號ニ揭グル
事項ヲ不當ト認メタルトキハ之ニ變更
ヲ加ヘテ各發起人ニ通告スルコトヲ得
前項ノ變更ニ服セザル發起人ハ其ノ株
式ノ引受ヲ取消スコトヲ得此ノ場合ニ
於テハ定款ヲ變更シテ設立ニ關スル手
續ヲ續行スルコトヲ妨ゲズ
通〓後二週間內ニ株式ノ引受ヲ取消シ
タル者ナキトキハ定款ハ通告ニ從ヒ變
更セラレタルモノト看做ス
第百七十四條發起人ガ株式ノ總數ヲ引
受ケザルトキハ株主ヲ募集スルコトヲ
要ス
第百七十五條株式ノ申込ヲ爲サントス
ル者ハ株式申込證二通ニ其ノ引受クベ
キ株式ノ數及住所ヲ記載シ之ニ署名ス
ルコトヲ要ス
株式申込證ハ發起人之ヲ作リ之ニ左ノ
事項ヲ記載スルコトヲ要ス
定款ノ認證ノ年月日及其ノ認證ヲ
爲シタル公證人ノ氏名
二第百六十六條第一項及第百六十八
條第一項ニ揭グル事項
三各發起人ガ引受ケタル株式ノ數
四第一囘拂込ノ金額
五株式ノ讓渡ノ制限、株劵ノ裏書ノ
禁止又ハ株主ノ議決權ノ制限ヲ定メ
タルトキハ其ノ規定
六株金ノ拂込ヲ取扱フベキ銀行又ハ
信託會社及其ノ取扱ノ場所
七一定ノ時期迄ニ創立總會ガ終結セ
ザルトキハ株式ノ申込ヲ取消スコト
ヲ得ベキコト
數種ノ株式ヲ發行スル場合ニ於テハ株
式申込人ハ株式申込證ニ其ノ引受クベ
キ株式ノ種類ヲ記載シ額面以上ノ價額
ヲ以テ株式ヲ發行スル場合ニ於テハ其
ノ引受價額ヲ記載スルコトヲ要ス
民法第九十三條但書ノ規定ハ株式ノ申
込ニハ之ヲ適用セズ
第百七十六條株式ノ申込ヲ爲シタル者
ハ發起人ノ割當テタル株式ノ數ニ應ジ
テ拂込ヲ爲ス義務ヲ負フ
第百七十七條株式總數ノ引受アリタル
トキハ發起人ハ遲滯ナク各株ニ付第一
囘ノ拂込ヲ爲サシムルコトヲ要ス
前項ノ拂込ハ株式申込證ニ記載シタル
株金拂込ノ取扱場所ニ於テ之ヲ爲スコ
トヲ要ス
第百七十一條及第百七十二條ノ規定ハ
第一項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第百七十八條株金ノ拂込ヲ取扱フ銀行
若ハ信託會社ヲ變更シ又ハ拂込金ノ保
管替ヲ爲スニハ裁判所ノ許可ヲ得ルコ
トヲ要ス
第百七十九條株式引受人ガ第百七十七
條ノ規定ニ依ル拂込ヲ爲サザルトキハ
發起人ハ期日ヲ定メ其ノ期日迄ニ拂込
ヲ爲サザルトキハ其ノ權利ヲ失フベキ
旨ヲ其ノ株式引受人ニ通知スルコトヲ
得但シ其ノ通知ハ期日ノ二週間前ニ之
ヲ爲スコトヲ要ス
發起人ガ前項ノ通知ヲ爲シタルモ株式
引受人ガ拂込ヲ爲サザルトキハ其ノ權
利ヲ失フ此ノ場合ニ於テ發起人ハ其ノ
者ガ引受ケタル株式ニ付更ニ株主ヲ募
集スルコトヲ得
前二項ノ規定ハ株式引受人ニ對スル損
害賠償ノ請求ヲ妨ゲズ
第百八十條第百七十七條ノ規定ニ依ル
拂込及現物出資ノ給付アリタルトキハ
發起人ハ遲滯ナク創立總會ヲ招集スル
コトヲ要ス
創立總會ニハ株式引受人ノ半數以上ニ
シテ資本ノ半額以上ヲ引受ケタル者出
席シ其ノ議決權ノ過半數ヲ以テ一切ノ
決議ヲ爲ス
第二百三十二條第一項第二項、第二百
三十三條、第二百三十九條第三項第四
項、第二百四十條、第二百四十一條第
一頂、第二百四十三條、第二百四十四
條、第二百四十七條乃至第二百五十三
條及第三百四十五條ノ規定ハ創立總會
ニ之ヲ準用ス
第百八十一條定款ヲ以テ第百六十八條
第一項第四號乃至第七號ニ揭グル事項
ヲ定メタルトキハ發起人ハ之ニ關スル
調査ヲ爲サシムル爲檢査役ノ選任ヲ裁
判所ニ請求スルコトヲ要ス
前項ノ檢査役ノ報〓書ハ之ヲ創立總會
ニ提出スルコトヲ要ス
第百八十二條發起人ハ會社ノ創立ニ關
スル事項ヲ創立總會ニ報告スルコトヲ
要ス
第百八十三條創立總會ニ於テハ取締役
及監査役ヲ選任スルコトヲ要ス
第百八十四條取締役及監査役ハ左ノ事
項ヲ調査シ之ヲ創立總會ニ報〓スルコ
トヲ要ス
株式總數ノ引受アリタルヤ否ヤ
二第百七十七條ノ規定ニ依ル拂込及
現物出資ノ給付アリタルヤ否ヤ
取締役及監査役ハ第百八十一條第二項
ノ報告書ヲ調査シ創立總會ニ其ノ意見
ヲ報告スルコトヲ要ス
取締役及監査役中發起人ヨリ選任セラ
レタル者アルトキハ創立總會ハ特ニ檢
査役ヲ選任シ前二項ノ調査及報〓ヲ爲
サシムルコトヲ得
第百八十五條創立總會ニ於テ第百六十
八條第一項第四號乃至第七號ニ揭グル
事項ヲ不當ト認メタルトキハ之ヲ變更
スルコトヲ得
第百七十三條第三項及第四項ノ規定ハ
前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第百八十六條前條ノ規定ハ發起人ニ對
スル損害賠償ノ請求ヲ妨ゲズ
第百八十七條創立總會ニ於テハ定款ノ
變更又ハ設立ノ廢止ノ決議ヲモ爲スコ
トヲ得
前項ノ決議ハ招集ノ通知ニ其ノ旨ノ記載
ナカリシトキト雖モ之ヲ爲スコトヲ妨ゲズ
第百八十八條株式會社ノ設立ノ登記ハ
發起人ガ株式ノ總數ヲ引受ケタルトキ
ハ第百七十三條ノ手續終了ノ日、發起人
ガ株式ノ總數ヲ引受ケザリシトキハ創
立總會終結ノ日又ハ第百八十五條ノ手
續終了ノ日ヨリ二週間內ニ之ヲ爲スコ
トヲ要ス
前項ノ登記ニ在リテハ左ノ事項ヲ登記
スルコトヲ要ス
第百六十六條第一項第一號乃至第
四號及第六號ニ揭グル事項
二本店及支店
三存立時期又ハ解散ノ事由ヲ定メタ
ルトキハ其ノ時期又ハ事由
四數種ノ株式ヲ發行シタルトキハ其
ノ各種ノ株式ノ內容及數
五各株ニ付拂込ミタル株金額
六株式ノ讓渡ノ制限又ハ株劵ノ裏書
ノ禁止ヲ定メタルトキハ其ノ規定
七開業前ニ利息ヲ配當スベキコトヲ
定メタルトキハ其ノ規定
八株主ニ配當スベキ利益ヲ以テ株式ヲ
消却スベキコトヲ定メタルトキハ其
ノ規定
九取締役及監査役ノ氏名及住所
十取締役ニシテ會社ヲ代表セザル者
アルトキハ會社ヲ代表スベキ者ノ氏
名
十一數人ノ取締役ガ共同シ又ハ取締
役ガ支配人ト共同シテ會社ヲ代表スベ
キコトヲ定メタルトキハ其ノ規定
第六十四條第二項及第六十五條乃至第
六十七條ノ規定ハ株式會社ニ之ヲ準用
ス
第百八十九條株金ノ拂込ヲ取扱ヒタル
銀行又ハ信託會社ハ發起人又ハ取締役
ノ請求ニ依リ拂込金ノ保管ニ關シ證明
ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ銀行又ハ信託會社ハ其ノ證明シ
タル拂込金額ニ付拂込ナカリシコト又
ハ其ノ返還ニ關スル制限ヲ以テ會社ニ
對抗スルコトヲ得ズ
第百九十條株式ノ引受ニ因ル權利ノ讓
渡ハ會社ニ對シ其ノ效力ヲ生ゼズ
發起人ハ前項ノ權利ヲ讓渡スコトヲ得
ズ
第百九十一條株式ヲ引受ケタル者ハ會
社ノ成立後ハ錯誤若ハ株式申込證ノ要
件ノ欠缺ヲ理由トシテ其ノ引受ノ無效
ヲ主張シ又ハ詐欺若ハ强迫ヲ理由トシ
テ其ノ引受ヲ取消スコトヲ得ズ創立總
會ニ出席シテ其ノ權利ヲ行使シタルト
キ亦同ジ
第百九十二條引受ナキ株式又ハ第百七
十條、第百七十一條若ハ第百七十七條
ノ規定ニ依ル拂込ノ未濟ナル株式アル
トキハ發起人ハ連帶シテ其ノ株式ノ引
受又ハ拂込ヲ爲ス義務ヲ負フ株式ノ申
込ガ取消サレタルトキ亦同ジ
第百八十六條ノ規定ハ前項ノ場合ニ之
ヲ準用ス
第百九十三條發起人ガ會社ノ設立ニ關
シ其ノ任務ヲ怠リタルトキハ其ノ發起
人ハ會社ニ對シ連帶シテ損害賠償ノ責
ニ任ズ
發起人ニ惡意又ハ重大ナル過失アリタ
ルトキハ其ノ發起人ハ第三者ニ對シテ
モ亦連帶シテ損害賠償ノ責ニ任ズ
第百九十四條會社ガ成立セザル場合ニ
於テハ發起人ハ會社ノ設立ニ關シテ爲
シタル行爲ニ付連帶シテ其ノ責ニ任ズ
前項ノ場合ニ於テ會社ノ設立ニ關シテ
支出シタル費用ハ發起人ノ負擔トス
第百九十五條取締役又ハ監査役ガ第百
八十四條第一項及第二項ニ定ムル任務
ヲ怠リタルニ因リ會社又ハ第三者ニ對
シテ損害賠償ノ責ニ任ズベキ場合ニ於
テ發起人モ亦其ノ責ニ任ズベキトキハ
其ノ取締役、監査役及發起人ハ之ヲ連
帶債務者トス
第百九十六條發起人、取締役又ハ監査
役ガ會社ノ設立ニ關シ會社ニ對シテ損
害賠償ノ責ニ任ズベキ場合ニ於テハ其
ノ責任ハ會社成立ノ日ヨリ三年ヲ經過
シタル後ニ於テ第三百四十三條ニ定ム
ル決議ニ依ルニ非ザレバ之ヲ免除スル
コトヲ得ズ
第百九十七條株主總會ニ於テ發起人ニ
對シテ訴ヲ提起スルコトヲ決議シタル
トキ又ハ之ヲ否決シタル場合ニ於テ會
日ノ三月前ヨリ引續キ資本ノ十分ノ一
以上ニ當ル株式ヲ有スル株主ガ訴ノ提
起ヲ取締役ニ請求シタルトキハ會社ハ
決議又ハ請求ノ日ヨリ一月內ニ之ヲ提
起スルコトヲ要ス
第二百六十七條第二項、第二百六十八
條第二項乃至第五項及第二百七十七條
第一項但書第二項ノ規定ハ前項ノ場今
ニ之ヲ準用ス
第百九十八條發起人ニ非ズシテ株式申
込證、目論見書、株式募集ノ廣〓其ノ
他株式募集ニ關スル文書ニ自己ノ氏名
及會社ノ設立ヲ贊助スル旨ノ記載ヲ爲
スコトヲ承諾シタル者ハ自己ヲ發起人
ナリト誤認シテ株式ノ申込ヲ爲シタル
者ニ對シ發起人ト同一ノ責任ヲ負フ
第二節株式
第百九十九條株式會社ノ資本ハ之ヲ株
式ニ分ツコトヲ要ス
第二百條株主ノ責任ハ其ノ引受ケ又ハ
讓受ケタル株式ノ金額、額面以上ノ價
額ヲ以テ株式ヲ發行シタル場合ニ於テ
ハ引受價額ヲ限度トス
株主ハ株金ノ拂込ニ付相殺ヲ以テ會社
ニ對抗スルコトヲ得ズ
第二百一條假設人ノ名義ヲ以テ株式ヲ
引受ケ又ハ讓受ケタル者ハ株式引受人
又ハ株主タル責任ヲ負フ他人ノ承諾ヲ
得ズシテ其ノ名義ヲ以テ株式ヲ引受ケ
又ハ讓受ケタル者亦同ジ
他人ト通ジテ其ノ名義ヲ以テ株式ヲ引
受ケ又ハ讓受ケタル者ハ其ノ他人ト連
帶シテ株金ノ拂込ヲ爲ス義務ヲ負フ
第二百二條株式ノ金額ハ均一ナルコト
ヲ要ス
株式ノ金額ハ五十圓ヲ下ルコトヲ得ズ
但シ一時ニ株金ノ全額ヲ拂込ムベキ場
合ニ限リ之ヲ二十圓迄ニ下スコトヲ得
第二百三條株式ガ數人ノ共有ニ屬スル
トキハ共有者ハ株主ノ權利ヲ行使スベ
キ者一人ヲ定ムルコトヲ要ス
株主ノ權利ヲ行使スベキ者ナキトキハ
共有者ニ對スル會社ノ通知又ハ催〓ハ
其ノ一人ニ對シテ之ヲ爲スヲ以テ足ル
共有者ハ會社ニ對シ連帶シテ株金ノ拂
込ヲ爲ス義務ヲ負フ
第二百四條株式ハ之ヲ他人ニ讓渡スコ
トヲ得但シ定款ヲ以テ其ノ讓渡ノ制限
ヲ定ムルコトヲ妨ゲズ
株劵ノ發行前ニ爲シタル株式ノ讓渡ハ
會社ニ對シ其ノ效力ヲ生ゼズ
第二百五條記名株式ノ讓渡ハ株劵ノ裏
書ニ依リテ之ヲ爲スコトヲ得但シ定款
ニ別段ノ定アルトキハ此ノ限ニ在ラズ
手形法第十二條、第十三條及第十四條
第二項ノ規定ハ株劵ノ裏書ニ之ヲ準用ス
第二百六條株劵ノ裏書ニ依ル記名株式
ノ移轉ハ取得者ノ氏名及住所ヲ株主名
簿ニ記載スルニ非ザレバ之ヲ以テ會社
ニ對抗スルコトヲ得ズ
前項ノ場合ヲ除クノ外記名株式ノ移轉
ハ取得者ノ氏名及住所ヲ株主名簿ニ記
載シ且其ノ氏名ヲ株劵ニ記載スルニ非
ザレバ之ヲ以テ會社其ノ他ノ第三者ニ
對抗スルコトヲ得ズ
株金ノ滯納アル株式ニ付テハ會社ハ前
二項ノ名義書換ヲ拒ムコトヲ得
第二百七條記名株式ヲ以テ質權ノ目的
ト爲スニハ株劵ヲ交付スルコトヲ要ス
質權者ハ繼續シテ株劵ヲ占有スルニ非
ザレバ其ノ質權ヲ以テ第三者ニ對抗ス
ルコトヲ得ズ
第二百八條株式ノ消却、併合又ハ轉換ア
リタルトキハ從前ノ株式ヲ目的トスル
質權ハ消却、併合又ハ轉換ニ因リテ株主
ガ受クベキ金錢又ハ株式ノ上ニ存在ス
第二百十四條第一項又ハ第二百十五條
第二項ノ規定ニ依ル株式ノ處分アリタ
ルトキハ其ノ株式ヲ目的トスル質權ハ
從前ノ株主ガ第二百十四條第二項ノ規
定ニ依リテ拂戾ヲ受クベキ金錢ノ上ニ
存在ス
第二百九條記名株式ヲ以テ質權ノ目的
ト爲シタル場合ニ於テ會社ガ質權設定
者ノ請求ニ依リ質權者ノ氏名及住所ヲ
株主名簿ニ記載シ且其ノ氏名ヲ株劵ニ
記載シタルトキハ質權者ハ會社ヨリ利
益若ハ利息ノ配當、殘餘財產ノ分配又
ハ前條ノ金錢ノ支拂ヲ受ケ他ノ債權者
ニ先チテ自己ノ債權ノ辨濟ニ充ツルコ
トヲ得
民法第三百六十七條第三項ノ規定ハ前
項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第一項ノ質權者ハ會社ニ對シ前條第一
項ノ株主ノ受クベキ株劵ノ引渡ヲ請求
スルコトヲ得
第二百十條會社ハ左ノ場合ヲ除クノ外
自己ノ株式ヲ取得シ又ハ質權ノ目的ト
シテ之ヲ受クルコトヲ得ズ
株式ノ消却ノ爲ニスルトキ
二合併又ハ他ノ會社ノ營業全部ノ讓
受ニ因ルトキ
三會社ノ權利ノ實行ニ當リ其ノ目的
ヲ達スル爲必要ナルトキ
第二百十一條前條第一號ノ場合ニ於テ
ハ會社ハ遲滯ナク株式失效ノ手續ヲ爲
シ第二號及第三號ノ場合ニ於テハ相當
ノ時期ニ株式又ハ質權ノ處分ヲ爲スコ
トヲ要ス
第二百十二條株式ハ資本減少ノ規定ニ
從フニ非ザレバ之ヲ消却スルコトヲ得
ズ但シ定款ノ規定ニ基キ株主ニ配當ス
ベキ利益ヲ以テスル場合ハ此ノ限ニ在
ラズ
第三百七十七條ノ規定ハ株式ヲ消却ス
ル場合ニ之ヲ準用ス
第二百十三條株金ノ拂込ハ其ノ期日ノ
二週間前ニ之ヲ各株主ニ催告スルコト
ヲカ大、
株主ガ拂込ヲ爲サザルトキハ會社ハ更
ニ期日ヲ定メ其ノ期日迄ニ拂込ヲ爲サ
ザルトキハ會社ニ於テ株式ヲ處分スベ
キ旨ヲ其ノ株主及株主名簿ニ記載アル
質權者ニ通知スルコトヲ得但シ其ノ通
知ハ期日ノ二週間前ニ之ヲ爲スコトヲ
要ス
前項ノ場合ニ於テハ會社ハ其ノ株主ノ
氏名及住所、株劵ノ番號竝ニ通知事項
ヲ公〓スルコトヲ要ス
第二百十四條會社ガ前條第一項及第二
項ニ定ムル手續ヲ踐ミタルモ株主ガ拂
込ヲ爲サザルトキハ會社ハ株式ヲ競賣
スルコトヲ要ス但シ裁判所ノ許可ヲ得
テ他ノ方法ニ依リ之ヲ賣却スルコトヲ
妨ゲズ
會社ハ株式ノ處分ニ依リテ得タル金額
ヨリ滯納金額及定款ヲ以テ定メタル違
約金ノ額ヲ控除シタル金額ヲ從前ノ株
主ニ拂戾スコトヲ要ス
株式ノ處分ニ依リテ得タル金額ガ滯納
金額ニ滿タザル場合ニ於テハ會社ハ從
前ノ株主ニ對シ不足額ノ辨濟ヲ請求シ
若シ從前ノ株主ガ二週間內ニ之ヲ辨濟
セザルトキハ讓渡人ニ對シテ其ノ辨濟
ヲ請求スルコトヲ得
第二百十五條會社ハ前條第一項ノ處分
ニ著手スル日ノ二週間前ニ株式ノ讓渡
人ニシテ第二百十九條ノ規定ニ依リテ
責任ヲ負フ者ニ對シ其ノ處分ヲ爲スベ
キ旨ノ通知ヲ發スルコトヲ要ス
讓渡人ガ株式ノ處分ニ先チ滯納金額及
定款ヲ以テ定メタル違約金ノ額以上ノ
金額ヲ提供シテ株式ノ買受ヲ申出デタ
ルトキハ會社ハ其ノ讓渡人ニ對シ申出
價額ヲ以テ株式ヲ讓渡スコトヲ要ス
前條第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ
準用ス
第二百十六條第二百十四條第一項ノ規
定ニ依リ株式ノ競賣ヲ爲シタルモ其ノ
結果ヲ得ザルトキハ會社ハ資本減少ノ
規定ニ從ヒテ其ノ株式ヲ消却スルコト
ヲ得此ノ場合ニ於テハ第二百十四條第
三項ノ規定ヲ準用ス
第二百十七條前三條ノ規定ハ會社ガ損
害賠償及定款ヲ以テ定メタル違約金ノ
請求ヲ爲スコトヲ妨ゲズ
第二百十八條株主ガ第二百十三條第二
項ノ期日迄ニ株金ノ拂込ヲ爲サザルト
キハ會社ハ其ノ株主及株主名簿ニ記載
アル質權者ニ對シ二週間內ニ株劵ヲ會
社ニ提出スベキ旨ヲ通知スルコトヲ要
ス此ノ場合ニ於テ提出ナキ株劵ハ其ノ
效力ヲ失フ
前項ノ場合ニ於テハ會社ハ遲滯ナク失
效シタル株劵ノ番號竝ニ其ノ株主ノ氏
名及住所ヲ公〓スルコトヲ要ス
第二百十九條第二百十四條第三項ニ定
ムル讓渡人ノ責任ハ株式ノ讓渡ヲ株主
名簿ニ記載シタル後二年內ニ會社ガ第
二百十三條第一項ノ規定ニ依リ拂込ノ
催告ヲ發シタル株金ニ關スルモノニ限
ル
發起人ガ會社ノ設立ニ際シテ引受ケタ
ル株式ニ付會社ノ成立後五年內ニ拂込
ノ催告ヲ發シタル株金ニ關シテハ發起
人ハ前項ノ規定ニ拘ラズ第二百十四條
第三項ニ定ムル讓渡人ノ責任ヲ負フ
第二百二十條株式ノ讓渡人ガ第二百十
四條第三項ノ不足額ヲ辨濟シタルトキ
ハ株劵又ハ株主名簿ニ記載アル後者全
員ニ對シ償還ノ請求ヲ爲スコトヲ得
發起人ガ前條第二項ノ規定ニ依リテ不
足額ヲ辨濟シタルトキハ其ノ後者中前
條第一項ノ規定ニ依リテ責任ヲ負フ者
及其ノ後者全員ニ對シテノミ前項ノ請
求ヲ爲スコトヲ得
償還ヲ爲シタル讓渡人ハ更ニ自己ノ後
者全員ニ對シ償還ノ請求ヲ爲スコトヲ
得
第二百二十一條株金ノ拂込期日後ニ株
式ヲ讓渡シタル者ハ會社ニ對シ株主ト
連帶シテ其ノ株金ノ拂込ヲ爲ス義務ヲ
負フ
第二百二十二條會社ガ數種ノ株式ヲ發
行スル場合ニ於テハ利益若ハ利息ノ配
當又ハ殘餘財產ノ分配ニ付株式ノ種類
ニ從ヒ格別ノ定ヲ爲スコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ定款ニ定ナキトキ
ト雖モ資本ノ增加若ハ減少又ハ會社ノ
合併ノ決議ニ於テ新株ノ引受、株式ノ
併合若ハ消却又ハ合併ニ因ル株式ノ割
當ニ關シ株式ノ種類ニ從ヒ格別ノ定ヲ
爲スコトヲ得
第二百二十三條株主名簿ニハ左ノ事項
ヲ記載スルコトヲ要ス
一株主ノ氏名及住所
二各株主ノ有スル株式ノ種類及數竝
ニ株劵ノ番號
三各株ニ付拂込ミタル株金額及拂込
ノ年月日
四各株式ノ取得ノ年月日
五無記名式ノ株劵ヲ發行シタルトキ
ハ其ノ數、番號及發行ノ年月日
第二百二十四條會社ノ株主ニ對スル通
知又ハ催告ハ株主名簿ニ記載シタル株
主ノ住所又ハ其ノ者ガ會社ニ通知シタ
ル住所ニ宛ツルヲ以テ足ル
前項ノ通知又ハ催〓ハ通常其ノ到達ス
ベカリシ時ニ到達シタルモノト看做ス
前二項ノ規定ハ株式申込人、株式引受
人從前ノ株主、株式ノ讓渡人又ハ質
權者ニ對スル通知又ハ催告ニ之ヲ準用ス
第二百二十五條株劵ニハ左ノ事項及番
號ヲ記載シ取締役之ニ署名スルコトヲ
要ス
一會社ノ商號
二會社成立ノ年月日
三資本ノ總額
四一株ノ金額
五數種ノ株式アルトキハ其ノ株式ノ
內容
六株式ノ讓渡ノ制限又ハ株劵ノ裏書
ノ禁止ヲ定メタルトキハ其ノ規定
一時ニ株金ノ全額ヲ拂込マシメザル場
合ニ於テハ拂込アル每ニ其ノ金額ヲ株
劵ニ記載スルコトヲ要ス
第二百二十六條株劵ハ會社ノ成立後ニ
非ザレバ之ヲ發行スルコトヲ得ズ
前項ノ規定ニ違反シテ發行シタル株劵
ハ無效トス但シ株劵ヲ發行シタル者ニ
對スル損害賠償ノ請求ヲ妨ゲズ
第二百二十七條無記名式ノ株劵ハ定款
ニ定アル場合ニ限リ株金全額ノ拂込ア
リタル株式ニ付之ヲ發行スルコトヲ得
株主ハ何時ニテモ其ノ無記名式ノ株劵
ヲ記名式ト爲スコトヲ請求スルコトヲ
得
第二百二十八條無記名式ノ株劵ヲ有ス
ル者ハ株劵ヲ會社ニ供託スルニ非ザレ
バ株主ノ權利ヲ行使スルコトヲ得ズ
第二百二十九條小切手法第二十一條ノ
規定ハ株劵ニ之ヲ準用ス
株主名簿ニ記載アル株主ノ爲シタル裏
書ガ眞正ナラザル場合ニ於テ會社ニ就
キ調査ヲ爲サバ其ノ眞僞ヲ判別スルコ
トヲ得ベカリシモノナルトキハ前項ノ
規定ヲ適用セズ
第二百三十條株劵ハ公示催告ノ手續ニ
依リテ之ヲ無效ト爲スコトヲ得
株劵ヲ喪失シタル者ハ除權判決ヲ得ル
ニ非ザレバ其ノ再發行ヲ請求スルコト
ヨヨナ
第三節會社ノ機關
第一款株主總會
第二百三十一條總會ハ本法ニ別段ノ定
アル場合ヲ除クノ外取締役之ヲ招集ス
第二百三十二條總會ヲ招集スルニハ會
日ヨリ二週間前ニ各株主ニ對シテ其ノ
通知ヲ發スルコトヲ要ス
前項ノ通知ニハ會議ノ目的タル事項ヲ
記載スルコトヲ要ス
會社ガ無記名式ノ株劵ヲ發行シタル場
合ニ於テハ會日ヨリ三週間前ニ總會ヲ
開クベキ旨及會議ノ目的タル事項ヲ公
告スルコトヲ要ス
前三項ノ規定ハ議決權ナキ株主ニ付テ
ハ之ヲ適用セズ
第二百三十三條總會ハ定款ニ別段ノ定
アル場合ヲ除クノ外本店ノ所在地又ハ
之ニ隣接スル地ニ之ヲ招集スルコトヲ
要ス
第二百三十四條定時總會ハ每年一囘一
定ノ時期ニ之ヲ招集スルコトヲ要ス
年二囘以上利益ノ配當ヲ爲ス會社ニ在
リテハ每決算期ニ總會ヲ招集スルコト
乙酸
第二百三十五條臨時總會ハ必要アル場
合ニ隨時之ヲ招集ス
臨時總會ハ監査役モ亦之ヲ招集スルコ
トヲ得此ノ總會ニ於テハ會社ノ業務及
財產ノ狀況ヲ調査セシムル爲特ニ檢査
役ヲ選任スルコトヲ得
第二百三十六條取締役又ハ監査役ガ總
會ヲ招集スルニハ各其ノ過半數ノ決議
アルコトヲ要ス
第二百三十七條資本ノ十分ノ一以上ニ
當ル株主ハ會議ノ目的タル事項及招集
ノ理由ヲ記載シタル書面ヲ取締役ニ提
出シテ總會ノ招集ヲ請求スルコトヲ得
前項ノ請求アリタル後二週間內ニ取締
役ガ總會招集ノ手續ヲ爲サザルトキハ
請求ヲ爲シタル株主ハ裁判所ノ許可ヲ
得テ其ノ招集ヲ爲スコトヲ得
前二項ノ規定ニ依リテ招集シタル總會
ニ於テハ招集ノ費用ハ請求ヲ爲シタ
ル株主ノ負擔トスル旨ヲ定ムルコトヲ
得
第二百三十八條總會ハ取締役ノ提出シ
タル書類及監査役ノ報〓聿ヲ調査セシム
ル爲特ニ檢査役ヲ選任スルコトヲ得
第二百三十九條總會ノ決議ハ本法又ハ
定款ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外出
席シタル株主ノ議決權ノ過半數ヲ以テ
之ヲ爲ス
無記名式ノ株劵ヲ有スル者ハ會日ヨリ
一週間前ニ株劵ヲ會社ニ供託スルコト
フルガ
株主ハ代理人ヲ以テ其ノ議決權ヲ行使
スルコトヲ得但シ代理人ハ代理權ヲ證
スル書面ヲ會社ニ差出ダスコトヲ要ス
總會ノ決議ニ付特別ノ利害關係ヲ有ス
ル者ハ議決權ヲ行使スルコトヲ得ズ
第二百四十條前條第四項ノ規定ニ依リ
テ行使スルコトヲ得ザル議決權ノ數ハ
同條第一項ノ議決權ノ數ニ之ヲ算入セ
ズ
第二百四十一條各株主ハ一株ニ付一個
ノ議決權ヲ有ス但シ定款ヲ以テ十一株
以上ヲ有スル株主ノ議決權ヲ制限シ又
ハ株式ノ讓受ヲ株主名簿ニ記載シタル
後六月ヲ超エザル株主ニ議決權ナキモ
ノトスルコトヲ得
會社ハ其ノ有スル自己ノ株式ニ付テハ
議決權ヲ有セズ
第二百四十二條會社ガ數種ノ株式ヲ發
行スル場合ニ於テハ定款ヲ以テ其ノ或
種類ノ株式ニ付株主ニ議決權ナキモ
ノトスルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ定
款ヲ以テ其ノ種類ノ株式ヲ有スル株主
ニ第百九十七條第一項、第二百三十七
條第一項第二項、第二百四十五條第二
項、第二百六十八條第一項、第二百七
十九條第一項、第二百九十四條第一項、
第四百二十六條第二項及第四百三十條
第二項ノ權利ナキモノトスルコトヲ妨
ゲズ
前項ノ株式ノ株金總額ハ資本ノ四分ノ
一ヲ超ユルコトヲ得ズ
第二百四十三條總會ニ於テハ延期又ハ
續行ノ決議ヲ爲スコトヲ得此ノ場合ニ
於テハ第二百三十二條ノ規定ヲ適用セ
ズ
第二百四十四條總會ノ議事ニ付テハ議
事錄ヲ作ルコトヲ要ス
議事錄ニハ議事ノ經過ノ要領及其ノ結
果ヲ記載シ議長竝ニ出席シタル取締役
及監査役之ニ署名スルコトヲ要ス
第二百四十五條會社ガ左ノ行爲ヲ爲ス
ニハ第三百四十三條ニ定ムル決議ニ依
ルコトヲ要ス
一營業ノ全部又ハ一部ノ讓渡
二營業全部ノ賃貸、其ノ經營ノ委任、
他人ト營業上ノ損益全部ヲ共通ニス
ル契約其ノ他之ニ準ズル契約ノ締結、
變更又ハ解約
三他ノ會社ノ營業全部ノ讓受
四第二百六十六條又ハ第一一百八十條
ノ規定ニ依ル取締役又ハ監査役ノ責
任ノ免除
第二百六十八條又ハ第二百七十九條ノ
規定ハ前項第四號ノ決議アリタル場合
ニ之ヲ準用ス
第二百四十六條前條第一項ノ規定ハ會
社ガ其ノ成立後二年內ニ其ノ成立前ヨ
リ存在スル財產ニシテ營業ノ爲ニ繼續
シテ使用スベキモノヲ資本ノ二十分ノ
一以上ニ當ル對價ヲ以テ取得スル契約
ヲ爲ス場合ニ之ヲ準用ス
第二百四十七條總會招集ノ手續又ハ其
ノ決議ノ方法ガ法令若ハ定款ニ違反シ
又ハ著シク不公正ナルトキハ株主、取締
役又ハ監査役ハ訴ヲ以テ決議ノ取消ヲ
請求スルコトヲ得決議ガ第三百四十三條
ノ規定ニ違反シテ爲サレタルトキ亦同ジ
第八十八條、第百五條第三項第四項及
第百九條ノ規定ハ前項ノ訴ニ之ヲ準用ス
第二百四十八條決議取消ノ訴ハ決議ノ
日ヨリ一月內ニ之ヲ提起スルコトヲ要
ス
口頭辯論ハ前項ノ期間ヲ經過シタル後
ニ非ザレバ之ヲ開始スルコトヲ得ズ
第二百四十九條株主ガ決議取消ノ訴ヲ
提起シタルトキハ會社ノ請求ニ依リ相
當ノ擔保ヲ供スルコトヲ要ス但シ其ノ
株主ガ取締役又ハ監査役ナルトキハ此
ノ限ニ在ラズ
第二百五十條決議シタル事項ノ登記ア
リタル場合ニ於テ決議取消ノ判決ガ確
定シタルトキハ本店及支店ノ所在地ニ
於テ其ノ登記ヲ爲スコトヲ要ス
第二百五十一條。決議取消ノ訴ノ提起ア
リタル場合ニ於テ決議ノ內容、會社ノ
現況其ノ他一切ノ事情ヲ斟酌シテ其ノ
取消ヲ不適當ト認ムルトキハ裁判所ハ
請求ヲ棄却スルコトヲ得
第二百五十二條第八十八條、第百五條
第三項第四項、第百九條、第二百四十
九條及第二百五十條ノ規定ハ總會ノ決
議ノ内容ガ法令又ハ定款ニ違反スルコ
トヲ理由トシテ決議ノ無效ノ確認ヲ請
求スル訴ニ之ヲ準用ス
第二百五十三條株主ガ第二百三十九條
第四項ノ規定ニ依リ議決權ヲ行使スル
コトヲ得ザリシ場合ニ於テ決議ガ著シ
ク不當ニシテ其ノ株主ガ議決權ヲ行使
シタルトキハ之ヲ阻止スルコトヲ得ベ
カリシモノナルニ於テハ其ノ株主ハ訴
ヲ以テ決議ノ取消又ハ變更ヲ請求スル
コトヲ得
第八十八條、第百五條第三項第四項、第
百九條及第二百四十八條乃至第二百五
十條ノ規定ハ前項ノ訴ニ之ヲ準用ス
第二款取締役
第二百五十四條取締役ハ株主總會ニ於
テ之ヲ選任ス
會社ト取締役トノ間ノ關係ハ委任ニ關
スル規定ニ從フ
第二百五十五條取締役ハ三人以上タル
コトヲ要ス
第二百五十六條取締役ノ任期ハ三年ヲ
超ユルコトヲ得ズ但シ定款ヲ以テ任期
中ノ最終ノ決算期ニ關スル定時總會ノ
終結ニ至ル迄其ノ任期ヲ伸長スルコト
ヲ妨ゲズ
第二百五十七條取締役ハ何時ニテモ株
主總會ノ決議ヲ以テ之ヲ解任スルコト
ヲ得但シ任期ノ定アル場合ニ於テ正當
ノ事由ナクシテ其ノ任期ノ滿了前ニ之
ヲ解任シタルトキハ其ノ取締役ハ會社
ニ對シ解任ニ因リテ生ジタル損害ノ賠
償ヲ請求スルコトヲ得
第二百五十八條法律又ハ定款ニ定メタ
ル取締役ノ員數ヲ缺クニ至リタル場合
ニ於テハ任期ノ滿了又ハ辭任ニ因リテ
退任シタル取締役ハ新ニ選任セラレタ
ル取締役ノ就職スル迄仍取締役ノ權利
義務ヲ有ス
前項ノ場合ニ於テ必要アリト認ムルト
キハ裁判所ハ監査役其ノ他利害關係人
ノ請求ニ依リ一時取締役ノ職務ヲ行フ
ベキ者ヲ選任スルコトヲ得此ノ場合ニ
於テハ本店及支店ノ所在地ニ於テ其ノ
登記ヲ爲スコトヲ要ス
第二百五十九條定款ヲ以テ取締役ノ有
スベキ株式ノ數ヲ定メタル場合ニ於テ
別段ノ定ナキトキハ取締役ハ其ノ員數
ノ株劵ヲ監査役ニ供託スルコトヲ要ス
第二百六十條會社ノ業務執行ハ定款ニ
別段ノ定ナキトキハ取締役ノ過半數ヲ
以テ之ヲ決ス支配人ノ選任及解任亦同
ジ
第二百六十一條取締役ハ各自會社ヲ代
表ス
前項ノ規定ハ定款若ハ株主總會ノ決議
ヲ以テ會社ヲ代表スベキ取締役ヲ定メ、
數人ノ取締役ガ共同シ若ハ取締役ガ支
配人ト共同シテ會社ヲ代表スベキコト
ヲ定メ又ハ定款ノ規定ニ基キ取締役ノ
互選ヲ以テ會社ヲ代表スベキ取締役ヲ
定ムルコトヲ妨ゲズ
第三十九條第二項及第七十八條ノ規定
ハ取締役ニ之ヲ準用ス
第二百六十二條社長、副社長、專務取
締役、常務取締役其ノ他會社ヲ代表ス
ル權限ヲ有スルモノト認ムベキ名稱ヲ
附シタル取締役ノ爲シタル行爲ニ付テ
ハ會社ハ其ノ者ガ代表權ヲ有セザル場
合ト雖モ善意ノ第三者ニ對シテ其ノ責
二代五
第二百六十三條取締役ハ定款及總會ノ
議事錄ヲ本店及支店ニ、株主名簿及社
債原簿ヲ本店ニ備置クコトヲ要ス
株主及會社ノ債權者ハ營業時間內何時
ニテモ前項ニ揭グル書類ノ閱覽ヲ求ム
ルコトヲ得
第二百六十四條取締役ハ株主總會ノ認
許アルニ非ザレバ自己若ハ第三者ノ爲
ニ會社ノ營業ノ部類ニ屬スル取引ヲ爲
シ又ハ同種ノ營業ヲ目的トスル他ノ會
社ノ無限責任社員若ハ取締役ト爲ルコ
トヲ得ズ
取締役ガ前項ノ規定ニ違反シテ自己ノ
爲ニ取引ヲ爲シタルトキハ株主總會ハ
之ヲ以テ會社ノ爲ニ爲シタルモノト看
做スコトヲ得
前項ニ定ムル權利ハ監査役ノ一人ガ其
ノ取引ヲ知リタル時ヨリ二月間之ヲ行
使セザルトキハ消滅ス取引ノ時ヨリ一
年ヲ經過シタルトキ亦同ジ
第二百六十五條取締役ハ監査役ノ承認
ヲ得タルトキニ限リ自己又ハ第三者ノ
爲ニ會社ト取引ヲ爲スコトヲ得此ノ場
合ニ於テハ民法第百八條ノ規定ヲ適用
セズ
第二百六十六條取締役ガ其ノ任務ヲ怠
リタルトキハ其ノ取締役ハ會社ニ對シ
連帶シテ損害賠償ノ責ニ任ズ
取締役ガ法令又ハ定款ニ違反スル行爲
ヲ爲シタルトキハ株主總會ノ決議ニ依
リタル場合ト雖モ其ノ取締役ハ第三者
ニ對シ連帶シテ損害賠償ノ責ニ任ズ
第二百六十七條株主總會ニ於テ取締役
ニ對シテ訴ヲ提起スルコトヲ決議シタ
ルトキハ會社ハ決議ノ日ヨリ一月內ニ
之ヲ提起スルコトヲ要ス
前項ノ訴ニ付テハ株主總會ノ決議ニ依
ルニ非ザレバ取下、和解又ハ請求ノ抛
棄ヲ爲スコトヲ得ズ
第二百六十八條株主總會ニ於テ取締役
ニ對シテ訴ヲ提起スルコトヲ否決シタ
ル場合ニ於テ會日ノ三月前ヨリ引續キ
資本ノ十分ノ一以上ニ當ル株式ヲ有ス
ル株主ガ訴ノ提起ヲ監査役ニ請求シタ
ルトキハ會社ハ請求ノ日ヨリ一月內ニ
之ヲ提起スルコトヲ要ス
前項ノ請求ハ總會終結ノ日ヨリ三月內
ニ之ヲ爲スコトヲ要ス
第一項ノ訴ニ付テハ訴提起ノ請求ヲ爲
シタル株主ノ議決權ノ過半數ノ同意ア
ルニ非ザレバ取下、和解又ハ請求ノ抛
棄ヲ爲スコトヲ得ズ
第一項ノ請求ヲ爲シタル株主ハ監査役
ノ請求ニ依リ相當ノ擔保ヲ供スルコト
ヲルハ
會社ガ敗訴シタルトキハ請求ヲ爲シタ
ル株主ハ會社ニ對シテノミ損害賠償ノ
責ニ任ズ
第二百六十九條取締役ガ受クベキ報酬
ハ定款ニ其ノ額ヲ定メザリシトキハ株
主總會ノ決議ヲ以テ之ヲ定ム
第二百七十條取締役ノ選任決議ノ無效
又ハ取消ノ訴ノ提起アリタル場合ニ於
テハ本案ノ管轄裁判所ハ當事者ノ申立
ニ依リ假處分ヲ以テ取締役ノ職務ノ執
行ヲ停止シ又ハ之ヲ代行スル者ヲ選任
スルコトヲ得本案ノ繫屬前ト雖モ急迫
ナル事情アルトキ亦同ジ
裁判所ハ當事者ノ申立ニ依リ前項ノ假
處分ヲ變更シ又ハ之ヲ取消スコトヲ得
前二項ノ處分アリタルトキハ本店及支
店ノ所在地ニ於テ其ノ登記ヲ爲スコト
am sec
第二百七十一條前條ノ職務代行者ハ假
處分命令ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ
外會社ノ常務ニ屬セザル行爲ヲ爲スコ
トヲ得ズ但シ特ニ本案ノ管轄裁判所ノ
許可ヲ得タル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
職務代行者前項ノ規定ニ違反シタルト
キト雖モ會社ハ善意ノ第三者ニ對シテ
其ノ責ニ任ズ
第二百七十二條急迫ナル事情アルトキ
ハ第二百三十七條ノ規定ニ依リテ取締
役ノ解任ヲ目的トスル總會ノ招集ヲ請
求シタル者ハ其ノ取締役ノ職務ノ執行
ノ停止又ハ職務代行者ノ選任ヲ裁判所
ニ請求スルコトヲ得取締役ノ解任ヲ目
的トスル總會ヲ招集シタル取締役又ハ
監査役亦同ジ
第二百七十條第二項第三項及前條ノ規
定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第三款監査役
第二百七十三條監査役ノ任期ハ二年ヲ
超ユルコトヲ得ズ
第二百七十四條監査役ハ何時ニテモ取
締役ニ對シテ營業ノ報告ヲ求メ又ハ會
社ノ業務及財產ノ狀況ヲ調査スルコト
ヲ得
第二百七十五條監査役ハ取締役ガ株主
總會ニ提出セントスル書類ヲ調査シ株主
總會ニ其ノ意見ヲ報〓スルコトヲ要ス
第二百七十六條監査役ハ取締役又ハ支
配人ヲ兼ヌルコトヲ得ズ但シ取締役中
ニ缺員アルトキハ取締役及監査役ノ協
議ヲ以テ監査役中ヨリ一時取締役ノ職
務ヲ行フベキ者ヲ定ムルコトヲ得
前項但書ノ場合ニ於テハ其ノ定ヲ爲シ
タル日ヨリ本店ノ所在地ニ於テハ二週
間、支店ノ所在地ニ於テハ三週間內ニ
其ノ登記ヲ爲スコトヲ要ス
第一項ノ規定ニ依リテ取締役ノ職務ヲ
行フ監査役ハ第二百八十三條第一項ノ
規定ニ從ヒ株主總會ノ承認ヲ得ル迄ハ
監査役ノ職務ヲ行フコトヲ得ズ
第二百七十七條會社ガ取締役ニ對シ又
ハ取締役ガ會社ニ對シ訴ヲ提起スル場
合ニ於テハ其ノ訴ニ付テハ監査役會社
ヲ代表ス但シ株主總會ハ他人ヲシテ之
ヲ代表セシムルコトヲ得
第二百六十八條第一項ノ規定ニ依リ株
主ガ取締役ニ對シテ訴ヲ提起スルコト
ヲ請求シタルトキハ特ニ代表者ヲ指定
スルコトヲ得
第二百七十八條監査役ガ會社又ハ第三
者ニ對シテ損害賠償ノ責ニ任ズベキ場
合ニ於テ取締役モ亦其ノ責ニ任ズベキ
トキハ其ノ監査役及取締役ハ之ヲ連帶
債務者トス
第二百七十九條株主總會ニ於テ監査役
ニ對シテ訴ヲ提起スルコトヲ決議シタ
ルトキ又ハ之ヲ否決シタル場合ニ於テ
會日ノ三月前ヨリ引續キ資本ノ十分ノ
一以上ニ當ル株式ヲ有スル株主ガ訴ノ
提起ヲ取締役ニ請求シタルトキハ會社
ハ決議又ハ請求ノ日ヨリ一月內ニ之ヲ
提起スルコトヲ要ス
第二百六十七條第二項、第二百六十八
條第二項乃至第五項及第二百七十七條
第一項但書第二項ノ規定ハ前項ノ場合
ニ之ヲ準用ス
第二百八十條第二百五十四條、第二百
五十六條但書、第二百五十七條、第二
百五十八條、第二百六十六條、第二百
六十九條、第二百七十條及第二百七十
二條ノ規定ハ監査役ニ之ヲ準用ス
第四節會社ノ計算
第二百八十一條取締役ハ定時總會ノ會
日ヨリ二週間前ニ左ノ書類ヲ監査役ニ
提出スルコトヲ要ス
-財產目錄
二貸借對照表
三營業報告書
四損益計算書
五準備金及利益又ハ利息ノ配當ニ關
スル議案
第二百八十二條取締役ハ定時總會ノ會
日ノ一週間前ヨリ前條ニ揭グル書類及
監査役ノ報告書ヲ本店ニ備置クコトヲ
要ス
株主及會社ノ債權者ハ營業時間內何時
ニテモ前項ニ揭グル書類ノ閱覽ヲ求メ又
ハ會社ノ定メタル費用ヲ支拂ヒテ其ノ謄
本若ハ抄本ノ交付ヲ求ムルコトヲ得
第二百八十三條取締役ハ第二百八十一
條ニ揭グル書類ヲ定時總會ニ提出シテ
其ノ承認ヲ求ムルコトヲ要ス
取締役ハ前項ノ承認ヲ得タル後遲滯ナ
ク貸借對照表ヲ公〓スルコトヲ要ス
第二百八十四條定時總會ニ於テ前條第
一項ノ承認ヲ爲シタル後一一年內ニ別段
ノ決議ナキトキハ會社ハ取締役又ハ監
査役ニ對シテ其ノ責任ヲ解除シタルモ
ノト看做ス但シ取締役又ハ監査役ニ不
正ノ行爲アリタルトキハ此ノ限ニ在ラ
ズ
第二百八十五條財產目錄ニ記載スル營
業用ノ固定財產ニ付テハ其ノ取得價額
又ハ製作價額ヲ超ユル價額、取引所ノ
相場アル有價證劵ニ付テハ其ノ決算期
前一月ノ平均價格ヲ超ユル價額ヲ附ス
ルコトヲ得ズ
第二百八十六條第百六十八條第一項第
七號ノ規定ニ依リ支出シタル金額及設
立登記ノ爲ニ支出シタル稅額ハ之ヲ貸
借對照表ノ資產ノ部ニ計上スルコトヲ
得此ノ場合ニ於テハ會社成立ノ後、若
シ開業前ニ利息ヲ配當スベキコトヲ定
メタルトキハ其ノ配當ヲ止メタル後五
年內ニ每決算期ニ於テ均等額以上ノ償
却ヲ爲スコトヲ要ス
第二百八十七條社債權者ニ償還スベキ
金額ノ總額ガ社債ノ募集ニ依リテ得タ
ル實額ヲ超ユルトキハ其ノ差額ハ之ヲ
貸借對照表ノ資產ノ部ニ計上スルコト
ヲ得此ノ場合ニ於テハ社債償還ノ期限
內ニ每決算期ニ於テ均等額以上ノ償却
ヲ爲スコトヲ要ス
第二百八十八條會社ハ其ノ資本ノ四分
ノ一ニ達スル迄ハ每決算期ノ利益ノ二
十分ノ一以上ヲ準備金トシテ積立ツル
コトヲ要ス
額面以上ノ價額ヲ以テ株式ヲ發行シタ
ルトキハ其ノ額面ヲ超ユル金額ヨリ發
行ノ爲ニ必要ナル費用ヲ控除シタル金
額ハ前項ノ額ニ達スル迄之ヲ準備金ニ
組入ルルコトヲ要ス
第二百八十九條前條ノ準備金ハ資本ノ
缺損ノ塡補ニ充ツル場合ヲ除クノ外之
ヲ使用スルコトヲ得ズ
第二百九十條會社ハ損失ヲ塡補シ且第
二百八十八條第一項ノ準備金ヲ控除シ
タル後ニ非ザレバ利益ノ配當ヲ爲スコ
トヲ得ズ
前項ノ規定ニ違反シテ配當ヲ爲シタル
トキハ會社ノ債權者ハ之ヲ返還セシム
ルコトヲ得
第二百九十一條會社ノ目的タル事業ノ
性質ニ依リ會社ノ成立後二年以上其ノ
營業全部ノ開業ヲ爲スコト能ハザルモ
ノト認ムルトキハ會社ハ定款ヲ以テ其ノ
開業前一定ノ期間内一定ノ利息ヲ株主
ニ配當スベキ旨ヲ定ムルコトヲ得但シ
其ノ利率ハ年五分ヲ超ユルコトヲ得ズ
前項ノ定款ノ規定ハ裁判所ノ認可ヲ得
ルコトヲ要ス
第一項ノ規定ニ依リテ配當シタル金額
ハ之ヲ貸借對照表ノ資產ノ部ニ計上ス
ルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ年六分ヲ
超ユル利益ヲ配當スル每ニ其ノ超過額
ト同額以上ノ金額ヲ償却スルコトヲ要
ス
第二百九十二條前條第一項ノ規定ニ依
リテ利息ヲ配當スル會社ガ其ノ資本ヲ
增加スル場合ニ於テハ新株ニ對シテモ
亦利息ヲ配當スルコトヲ要ス但シ定款
ニ別段ノ定アルトキハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ配當ヲ爲ス場合ニ於テハ配當期
間ヲ伸長スルコトヲ得
前條ノ規定ハ前二項ノ場合ニ之ヲ準用
ス
第二百九十三條利益又ハ利息ノ配當ハ
定款ニ依リテ拂込ミタル株金額ノ割合
ニ應ジテ之ヲ爲ス但シ第二百二十二條
第一項ノ規定ノ適用ヲ妨ゲズ
第二百九十四條會社ノ業務ノ執行ニ關
シ不正ノ行爲又ハ法令若ハ定款ニ違反
スル重大ナル事實アルコトヲ疑フベキ
事由アルトキハ三月前ヨリ引續キ資本
ノ十分ノ一以上ニ當ル株式ヲ有スル株
主ハ會社ノ業務及財產ノ狀況ヲ調査セ
シムル爲裁判所ニ檢査役ノ選任ヲ請求
スルコトヲ得
檢査役ハ其ノ調査ノ結果ヲ裁判所ニ報
告スルコトヲ要ス
前項ノ場合ニ於テ必要アリト認ムルト
キハ裁判所ハ監査役ヲシテ株主總會ヲ
招集セシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テ
ハ第百八十一條第二項及第百八十四條
第二項ノ規定ヲ準用ス
第二百九十五條身元保證金ノ返還ヲ目
的トスル債權其ノ他會社ト使用人トノ
間ノ雇傭關係ニ基キ生ジタル債權ヲ有
スル者ハ會社ノ總財產ノ上ニ先取特權
ヲ有ス
前項ノ先取特權ノ順位ハ民法第三百六
條第一號ニ揭グル先取特權ニ次グ
第五節社債
第一款總則
第二百九十六條社債ハ第三百四十三條
ニ定ムル決議ニ依ルニ非ザレバ之ヲ募
集スルコトヲ得ズ
第二百九十七條社債ノ總額ハ拂込ミタ
ル株金額ヲ超ユルコトヲ得ズ
最終ノ貸借對照表ニ依リ會社ニ現存ス
ル純財產額ガ拂込ミタル株金額ニ滿タ
ザルトキハ社債ノ總額ハ其ノ財產額ヲ
超ユルコトヲ得ズ
舊社債償還ノ爲ニスル社債ノ募集ニ付
テハ其ノ舊社債ノ額ハ社債ノ總額中ニ
之ヲ算入セズ此ノ場合ニ於テハ拂込ノ
期日、若シ數囘ニ分チテ拂込ヲ爲サシ
ムルトキハ第一囘拂込ノ期日ヨリ六月
內ニ舊社債ヲ償還スルコトヲ要ス
第二百九十八條會社ハ前ニ募集シタル
社債總額ノ拂込ヲ爲サシメタル後ニ非
ザレバ更ニ社債ヲ募集スルコトヲ得ズ
第二百九十九條各社債ノ金額ハ二十圓
ヲ下ルコトヲ得ズ
同一種類ノ社債ニ在リテハ各社債ノ金
額ハ均一ナルカ又ハ最低額ヲ以テ整除
シ得ベキモノナルコトヲ要ス
第三百條社債權者ニ償還スベキ金額ガ
劵面額ヲ超ユベキコトヲ定メタルトキ
ハ其ノ超過額ハ各社債ニ付同率ナルコ
トヲ要ス
第三百一條社債ノ募集ニ應ゼントスル
者ハ社債申込證二通ニ其ノ引受クベキ
社債ノ數及住所ヲ記載シ之ニ署名スル
コトヲ要ス
社債申込證ハ取締役之ヲ作リ之ニ左ノ
事項ヲ記載スルコトヲ要ス
-會社ノ商號
二社債ノ總額
三各社債ノ金額
四社債ノ利率
五社債償還ノ方法及期限
六利息支拂ノ方法及期限
七數囘ニ分チテ社債ノ拂込ヲ爲サ
シムルトキハ其ノ拂込ノ金額及時
期
八社債發行ノ價額又ハ其ノ最低價額
九債劵ヲ記名式又ハ無記名式ニ限リ
タルトキハ其ノ旨
十會社ノ資本及拂込ミタル株金ノ總
額
十一最終ノ貸借對照表ニ依リ會社ニ
現存スル純財產額
十二舊社債ノ償還ノ爲第二百九十七
條第一項及第二項ノ制限ヲ超エテ社
債ヲ募集スルトキハ其ノ旨
十三前ニ社債ヲ募集シタルトキハ其
ノ償還ヲ了ヘザル總額
十四社債募集ノ委託ヲ受ケタル會社
アルトキハ其ノ商號
十五社債ノ應募額ガ總額ニ達セザル
場合ニ於テ前號ノ會社ガ其ノ殘額ヲ
引受クベキコトヲ約シタルトキハ其
ノ旨
社債發行ノ最低價額ヲ定メタル場合ニ
於テハ社債應募者ハ社債申込證ニ應募
價額ヲ記載スルコトヲ要ス
第三百二條前條ノ規定ハ契約ニ依リ社
債ノ總額ヲ引受クル場合ニハ之ヲ適用
セズ社債募集ノ委託ヲ受ケタル會社ガ
自ラ社債ノ一部ヲ引受クル場合ニ於テ
其ノ一部ニ付亦同ジ
第三百三條社債ノ募集ガ完了シタルト
キハ取締役ハ遲滯ナク各社債ニ付其ノ
全額又ハ第一囘ノ拂込ヲ爲サシムルコ
トヲ要ス
第三百四條社債募集ノ委託ヲ受ケタル
會社ハ自己ノ名ヲ以テ會社ノ爲ニ第三
百一條第二項及前條ニ定ムル行爲ヲ爲
スコトヲ得
第三百五條會社ハ第三百三條ノ拂込ア
リタル日ヨリ本店ノ所在地ニ於テハ二
週間、支店ノ所在地ニ於テハ三週間內
ニ社債ノ登記ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ登記ニ在リテハ左ノ事項ヲ登記
スルコトヲ要ス
一第三百一條第二項第二號乃至第六
號及第十四號ニ揭グル事項
二各社債ニ付拂込ミタル金額
第六十七條ノ規定ハ第一項ノ登記ニ之
ヲ準用ス
外國ニ於テ社債ヲ募集シタル場合ニ於
テ登記スベキ事項ガ外國ニ於テ生ジタ
ルトキハ登記ノ期間ハ其ノ通知ノ到達
シタル時ヨリ之ヲ起算ス
第三百六條債劵ハ社債全額ノ拂込アリ
タル後ニ非ザレバ之ヲ發行スルコトヲ
得ズ
債劵ニハ第三百一條第二項第一號乃至
第六號、第九號及第十四號ニ揭グル事
項竝ニ番號ヲ記載シ取締役之ニ署名ス
ルコトヲ要ス
第三百七條記名社債ノ移轉ハ取得者ノ
氏名及住所ヲ社債原簿ニ記載シ且其ノ
氏名ヲ債劵ニ記載スルニ非ザレバ之ヲ
以テ會社其ノ他ノ第三者ニ對抗スルコ
トヲ得ズ
第三百八條社債權者ハ何時ニテモ其ノ
記名式ノ債劵ヲ無記名式ト爲シ又ハ其
ノ無記名式ノ債劵ヲ記名式ト爲スコト
ヲ請求スルコトヲ得但シ債劵ヲ記名式
又ハ無記名式ニ限ル旨ノ定アルトキハ
此ノ限ニ在ラズ
第三百九條社債募集ノ委託ヲ受ケタル
會社ハ社債權者ノ爲ニ社債ノ償還ヲ受
クルニ必要ナル一切ノ裁判上又ハ裁判
外ノ行爲ヲ爲ス權限ヲ有ス
前項ノ會社ガ社債ノ償還ヲ受ケタルト
キハ遲滯ナク其ノ旨ヲ公告シ且知レタ
ル社債權者ニハ各別ニ之ヲ通知スルコ
トヲ要ス
前項ノ場合ニ於テ社債權者ハ債劵ト引
換ニ償還額ノ支拂ヲ請求スルコトヲ得
第三百十條社債募集ノ委託ヲ受ケタル
會社二以上アルトキハ其ノ權限ニ屬ス
ル行爲ハ共同シテ之ヲ爲スコトヲ要ス
第三百十一條社債募集ノ委託ヲ受ケタ
ル會社二以上アルトキハ社債權者ニ對
シ連帶シテ償還額ノ支拂ヲ爲ス義務ヲ
負フ
第三百十二條社債募集ノ委託ヲ受ケタ
ル會社ハ社債ヲ發行シタル會社及社債
權者集會ノ同意ヲ得テ辭任スルコトヲ
得已ムコトヲ得ザル事由アル場合ニ於
テ裁判所ノ許可ヲ得タルトキ亦同ジ
第三百十三條社債募集ノ委託ヲ受ケタ
ル會社ガ其ノ事務ヲ處理スルニ不適任
ナルトキ其ノ他正當ノ事由アルトキハ
裁判所ハ社債ヲ發行シタル會社又ハ社
債權者集會ノ請求ニ依リ之ヲ解任スル
コトヲ得
第三百十四條前二條ノ場合ニ於テ社債
募集ノ委託ヲ受ケタル會社ナキニ至リ
タルトキハ社債ヲ發行シタル會社及社
倩權者集會ノ一致ヲ以テ其ノ事務ノ承
繼者ヲ定ムルコトヲ得
已ムコトヲ得ザル事由アルトキハ利害
關係人ハ事務承繼者ノ選任ヲ裁判所ニ
請求スルコトヲ得
第三百十五條無記名社債ヲ償還スル場
合ニ於テ欠缺セル利札アルトキハ之ニ
相當スル金額ヲ償還額ヨリ控除ス但シ
旣ニ支拂期ノ到來シタル利札ニ付テハ
此ノ限ニ在ラズ
前項ノ利札ノ所持人ハ何時ニテモ之ト
引換ニ控除金額ノ支拂ヲ請求スルコト
ヲ得
第三百十六條社債ノ償還請求權ハ十年
ヲ經過シタルトキハ時效ニ因リテ消滅
ス
第三百九條第三項ノ請求權亦前項ニ
同ジ
利息及前條第二項ノ請求權ハ五年ヲ經
過シタルトキハ時效ニ因リテ消滅ス
第三百十七條社債原簿ニハ左ノ事項ヲ
記載スルコトヲ要ス
-社債權者ノ氏名及住所
二債劵ノ番號
三第三百一條第二項第二號乃至第七
號及第十四號ニ揭グル事項
四各社債ニ付拂込ミタル金額及拂込
ノ年月日
五債劵發行ノ年月日
六各社債ノ取得ノ年月日
七無記名式ノ債劵ヲ發行シタルトキ
ハ其ノ數、番號及發行ノ年月日
第三百十八條第二百二十四條第一項及
第二項ノ規定ハ社債應募者又ハ社債權
者ニ對スル通知及催告ニ之ヲ準用ス
第二百三條ノ規定ハ社債ガ數人ノ共有
ニ屬スル場合ニ之ヲ準用ス
第二款社債權者集會
第三百十九條社〓權者集會ハ本法ニ規
定アル場合ヲ除クノ外裁判所ノ許可ヲ
得テ社債權者ノ利害ニ重大ナル關係ヲ
有スル事項ニ付決議ヲ爲スコトヲ得
第三百二十條社〓權者集會ハ社債ヲ發
行シタル會社又ハ社債募集ノ委託ヲ受
ケタル會社之ヲ招集ス
社債總額ノ十分ノ一以上ニ當ル社債權
者ハ會議ノ目的タル事項及招集ノ理由
ヲ記載シタル書面ヲ前項ノ會社ニ提出
シテ社債權者集會ノ招集ヲ請求スルコ
トヲ得
第二百三十七條第二項ノ規定ハ前項ノ
場合ニ之ヲ準用ス
無記名式ノ債劵ヲ有スル者ハ其ノ債劵
ヲ供託スルニ非ザレバ前二項ノ權利ヲ
行使スルコトヲ得ズ
第三百二十一條各社債權者ハ社債ノ最
低額每ニ一個ノ議決權ヲ有ス
無記名式ノ債劵ヲ有スル者ハ會日ヨリ
一週間前ニ債劵ヲ供託スルニ非ザレバ
其ノ議決權ヲ行使スルコトヲ得ズ
第三百二十二條社債ヲ發行シタル會社
又ハ社債募集ノ委託ヲ受ケタル會社ハ
其ノ代表者ヲ社債權者集會ニ出席セシ
メ又ハ書面ヲ以テ意見ヲ述ブルコトヲ
得
社債權者集會ノ招集ハ前項ノ會社ニ之
ヲ通知スルコトヲ要ス
第二百三十二條第一項及第二項ノ規定
ハ前項ノ通知ニ之ヲ準用ス
第三百二十三條社債權者集會又ハ其ノ
招集者ハ必要アリト認ムルトキハ社債
ヲ發行シタル會社ニ對シ其ノ代表者ノ
出席ヲ求ムルコトヲ得
第三百二十四條第三百四十三條第一項
乃至第三項及第三百四十四條第二項第
三項ノ規定ハ社債權者集會ノ決議ニ之
ヲ準用ス
第三百十二條乃至第三百十四條及前條
ノ同意又ハ請求ハ前項ノ規定ニ拘ラズ
出席シタル社債權者ノ議決權ノ過半數
ヲ以テ之ヲ決スルコトヲ得
第三百二十五條社債權者集會ノ招集者
ハ決議ノ日ヨリ一週間內ニ決議ノ認可
ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ要ス
第三百二十六條裁判所ハ左ノ場合ニ於
テハ社債權者集會ノ決議ヲ認可スルコ
トヲ得ズ
社債權者集會招集ノ手續又ハ其ノ
決議ノ方法ガ法令又ハ社債募集ノ目
論見書ノ記載ニ違反スルトキ
二決議ガ不當ノ方法ニ依リテ成立ス
ルニ至リタルトキ
三決議ガ著シク不公正ナルトキ
四決議ガ社債權者ノ一般ノ利益ニ反
スルトキ
前項第一號及第二號ノ場合ニ於テハ裁
判所ハ決議ノ內容其ノ他一切ノ事情ヲ
斟酌シテ決議ヲ認可スルコトヲ妨ゲズ
第三百二十七條社債權者集會ノ決議ハ
裁判所ノ認可ニ因リテ其ノ效力ヲ生ズ
社債權者集會ノ決議ハ總社債權者ニ對
シ其ノ效力ヲ有ス
第三百二十八條社債權者集會ノ決議ニ
對シ認可又ハ不認可ノ決定アリタルト
キハ社債ヲ發行シタル會社ハ遲滯ナク
其ノ旨ヲ公〓スルコトヲ要ス
第三百二十九條社債權者集會ハ社債總
額ノ五百分ノ一以上ヲ有スル社債權者
ノ中ヨリ一人又ハ數人ノ代表者ヲ選任
シ其ノ決議スベキ事項ノ決定ヲ之ニ委
任スルコトヲ得
代表者數人アルトキハ前項ノ決定ハ其
ノ過半數ヲ以テ之ヲ爲ス
第三百三十條社債權者集會ノ決議ハ社
債募集ノ委託ヲ受ケタル會社、若シ社
債募集ノ委託ヲ受ケタル會社ナキトキ
ハ前條ノ代表者之ヲ執行ス但シ社債權
者集會ノ決議ヲ以テ別ニ執行者ヲ定メ
タルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第三百三十一條第三百十條ノ規定ハ代
表者又ハ執行者數人アル場合ニ之ヲ準
用ス
第三百三十二條第三百九條、第三百十
一條及第三百十六條第二項ノ規定ハ代
表者又ハ執行者ガ社債ノ償還ニ關スル
決議ヲ執行スル場合ニ之ヲ準用ス
第三百三十三條社債權者集會ハ何時ニ
テモ代表者若ハ執行者ヲ解任シ又ハ委
任シタル事項ヲ變更スルコトヲ得
第三百三十四條會社ガ社債ノ利息ノ支
拂ヲ怠リタルトキ又ハ定期ニ社債ノ一
部ヲ償還スベキ場合ニ於テ其ノ償還ヲ
怠リタルトキハ社債權者集會ノ決議ニ
依リ會社ニ對シ一定ノ期間內ニ其ノ辨
濟ヲ爲スベキ旨及其ノ期間內ニ之ヲ爲
サザルトキハ社債ノ總額ニ付期限ノ利
益ヲ失フベキ旨ヲ通知スルコトヲ得但
シ其ノ期間ハ二月ヲ下ルコトヲ得ズ
前項ノ通知ハ書面ニ依リテ之ヲ爲スコ
トヲ要ス
會社ガ第一項ノ期間内ニ辨濟ヲ爲サザ
ルトキハ社債ノ總額ニ付期限ノ利益ヲ
失フ
第三百三十五條前條ノ規定ニ依リ會社
ガ期限ノ利益ヲ失ヒタルトキハ前條第
一項ノ決議ヲ執行スル者ハ遲滯ナク其
ノ旨ヲ公〓シ且知レタル社債權者ニハ
各別ニ之ヲ通知スルコトヲ要ス
第三百三十六條社債募集ノ委託ヲ受ケ
タル會社、代表者又ハ執行者ニ對シテ與
フベキ報酬及其ノ事務處理ノ爲ニ要ス
ル費用ハ社債ヲ發行シタル會社トノ契
約ニ其ノ定アル場合ヲ除クノ外裁判所
ノ許可ヲ得テ會社ヲシテ之ヲ負擔セシ
ムルコトヲ得
社債募集ノ委託ヲ受ケタル會社、代表
者又ハ執行者ハ償還ヲ受ケタル金額ヨ
リ社債權者ニ先チテ前項ノ報酬及費用
ノ辨濟ヲ受クルコトヲ得
第三百三十七條社債權者集會ニ關スル
費用ハ社債ヲ發行シタル會社ノ負擔トス
第二百三十七條第三項ノ規定ハ第三百
二十條第二項又ハ第三項ノ規定ニ依リ
テ社債權者集會ヲ招集シタル場合ニ之
ヲ準用ス
第三百二十五條ノ請求ニ關スル費用ハ
會社ノ負擔トス但シ裁判所ハ利害關係
人ノ申立ニ依リ又ハ職權ヲ以テ其ノ全
部又ハ一部ニ付別ニ負擔者ヲ定ムルコ
トヲ得
第三百三十八條數種ノ社債ヲ發行シタ
ル場合ニ於テハ社債權者集會ハ各種類
ノ社債ニ付之ヲ招集スルコトヲ要ス
第三百三十九條第二百三十二條、第二
百三十九條第三項第四項、第二百四十
條、第二百四十一條第二項、第二百四
十三條及第二百四十四條ノ規定ハ社債
權者集會ニ之ヲ準用ス
社債權者集會ノ議事錄ハ社債ヲ發行シ
タル會社其ノ本店ニ之ヲ備置クコトヲ
要ス
社債募集ノ委託ヲ受ケタル會社及社債
權者ハ營業時間內何時ニテモ前項ノ議
事錄ノ閱覽ヲ求ムルコトヲ得
第三百四十條會社ガ或社債權者ニ對シ
テ爲シタル辨濟、和解其ノ他ノ行爲ガ
著シク不公正ナルトキハ社債募集ノ委
託ヲ受ケタル會社ハ訴ヲ以テ其ノ行爲
ノ取消ヲ請求スルコトヲ得
前項ノ訴ハ社債募集ノ委託ヲ受ケタル
會社ガ取消ノ原因タル事實ヲ知リタル
時ヨリ六月、行爲ノ時ヨリ一年內ニ之
ヲ提起スルコトヲ要ス
第八十八條竝ニ民法第四百二十四條第
一項但書及第四百二十五條ノ規定ハ第
一項ノ訴ニ之ヲ準用ス
第三百四十一條社債權者集會ノ決議ア
ルトキハ代表者又ハ執行者モ亦前條第
一項ノ訴ヲ提起スルコトヲ得但シ行爲
ノ時ヨリ一年內ニ限ル
第六節定款ノ變更
第三百四十二條定款ノ變更ヲ爲スニハ
株主總會ノ決議アルコトヲ要ス
定款ノ變更ニ關スル議案ノ要領ハ第二
百三十二條ニ定ムル通知及公〓ニ之ヲ
記載スルコトヲ要ス
第三百四十三條前條第一項ノ決議ハ總
株主ノ半數以上ニシテ資本ノ半額以上
ニ當ル株主出席シ其ノ議決權ノ過半數
ヲ以テ之ヲ爲ス
前項ニ定ムル員數ノ株主ガ出席セザル
トキハ出席シタル株主ノ議決權ノ過半
數ヲ以テ假決議ヲ爲スコトヲ得此ノ場
合ニ於テハ各株主ニ對シテ其ノ假決議
ノ趣旨ノ通知ヲ發シ且無記名式ノ株劵
ヲ發行シタルトキハ其ノ趣旨ヲ公〓シ
更ニ一月內ニ第二囘ノ株主總會ヲ招集
スルコトヲ要ス
第二囘ノ株主總會ニ於テハ出席シタル
株主ノ議決權ノ過半數ヲ以テ假決議ノ
認否ヲ決ス
前二項ノ規定ハ會社ノ目的タル事業ヲ
變更スル場合ニハ之ヲ適用セズ
第三百四十四條前條第一項ノ規定ノ適
用ニ付テハ議決權ナキ株主ハ之ヲ總株
主ノ員數ニ其ノ有スル株式ノ金額ハ
之ヲ資本ノ額ニ算入セズ
第二百三十九條第二項ノ規定ニ依リテ
株劵ヲ供託セザル者ハ之ヲ總株主ノ員
數ニ算入セズ
第二百四十條ノ規定ハ前條第一項乃至
第三項ノ議決權ニ之ヲ準用ス
第三百四十五條會社ガ數種ノ株式ヲ發
行シタル場合ニ於テ定款ノ變更ガ或種
類ノ株主ニ損害ヲ及ボスベキトキハ株
主總會ノ決議ノ外其ノ種類ノ株主ノ總
會ノ決議アルコトヲ要ス
或種類ノ株主ノ總會ノ決議ハ其ノ種類
ノ株主ノ半數以上ニシテ株金總額ノ半
額以上ニ當ル株主出席シ其ノ議決權ノ
三分ノ二以上ノ多數ヲ以テ之ヲ爲ス
株主總會ニ關スル規定ハ議決權ナキ種
類ノ株式ニ關スルモノヲ除クノ外第一
項ノ總會ニ之ヲ準用ス
第三百四十六條前條ノ規定ハ第二百二
十二條第二項ノ決議ヲ爲ス場合及會社
ノ合併ニ因リテ或種類ノ株主ニ損害ヲ
及ボスベキ場合ニ之ヲ準用ス
第三百四十七條第二百二十二條第二項
及前二條ノ規定ハ同種類ノ株式中ニ拂
込額ヲ異ニスル二種以上ノモノアル場
合ニ之ヲ準用ス
第三百四十八條左ノ事項ハ定款ニ定ナ
キトキト雖モ資本增加ノ決議ニ於テ之
ヲ定ムルコトヲ得
-新株ノ額面以上ノ發行
二現物出資ヲ爲ス者ノ氏名、出資ノ
目的タル財產、其ノ價格竝ニ之ニ對
シテ與フル株式ノ種類及數
三資本ノ增加後ニ讓受クルコトヲ約
シタル財產、其ノ價格及讓渡人ノ氏
名
四新株ノ引受權ヲ與フベキ者及其ノ
權利ノ內容
第三百四十九條會社ガ特定ノ者ニ對シ
將來其ノ資本ヲ增加スル場合ニ於テ新
株ノ引受權ヲ與フベキコトヲ約スルニ
ハ第三百四十三條ニ定ムル決議ニ依ル
コトヲ要ス
第三百五十條株式申込證ハ取締役之ヲ
作リ之ニ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要
ス
一會社ノ商號
二增加スベキ資本ノ額
三資本增加ノ決議ノ年月日
四第一囘拂込ノ金額
五第百七十五條第二項第五號第六號
及第三百四十八條第一號乃至第三號
ニ揭グル事項
六數種ノ株式アルトキ又ハ異種類ノ
株式ヲ發行スルトキハ新ニ發行スル
株式ノ內容及數
七一定ノ時期迄ニ第三百五十一條ノ
總會ガ終結セザルトキハ株式ノ申込
ヲ取消スコトヲ得べキコト
第三百五十一條資本增加ノ場合ニ於テ
各新株ニ付第百七十七條ノ規定ニ依ル
拂込及現物出資ノ給付アリタルトキハ
取締役ハ遲滯ナク株主總會ヲ招集シテ
之ニ新株ノ募集ニ關スル事項ヲ報告ス
ルコトヲ要ス
新株ノ引受人ハ前項ノ總會ニ於テ株主
ト同一ノ權利ヲ有ス
第三百五十二條新株ノ引受人ハ株金ノ
拂込期日ヨリ利益又ハ利息ノ配當ニ付
株主ト同一ノ權利ヲ有ス
第三百五十三條會社ノ成立後二年內ニ
其ノ資本ヲ增加スル決議ヲ爲シ又ハ資
本ヲ倍額以上ニ增加スル場合ニ於テ第
三百四十八條第二號又ハ第三號ニ揭グ
ル事項ヲ定メタルトキハ取締役ハ之ニ
關スル調査ヲ爲サシムル爲檢査役ノ選
任ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ要ス
第百八十一條第二項ノ規定ハ前項ノ場
合ニ之ヲ準用ス
第三百五十四條監査役ハ左ノ事項ヲ調
査シ之ヲ株主總會ニ報〓スルコトヲ要
ス
一新株總數ノ引受アリタルヤ否ヤ
二第百七十七條ノ規定ニ依ル拂込及
現物出資ノ給付アリタルヤ否ヤ
監査役ハ前條第一項ノ檢査役ノ報〓書
ヲ調査シ株主總會ニ其ノ意見ヲ報告ス
ルコトヲ要ス
株主總會ハ第一項ノ調査及報告ヲ爲サ
シムル爲特ニ檢査役ヲ選任スルコトヲ
得
第三百五十五條第三百五十三條第一項
ノ場合ニ於テハ第三百五十一條ノ株主
總會ノ決議ハ第三百四十三條ノ規定ニ
依ルニ非ザレバ之ヲ爲スコトヲ得ズ
第百八十五條及第百八十六條ノ規定ハ
前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第三百五十六條引受ナキ株式又ハ第百
七十七條ノ規定ニ依ル拂込ノ未濟ナル
株式アルトキハ取締役ハ連帶シテ其ノ
株式ノ引受又ハ拂込ヲ爲ス義務ヲ負フ
株式ノ申込ガ取消サレタルトキ亦同ジ
第百九十二條第二項ノ規定ハ前項ノ場
合ニ之ヲ準用ス
第三百五十七條會社ハ第三百五十一條
ノ株主總會終結ノ日又ハ第三百五十五
條第二項ノ手續終了ノ日ヨリ本店ノ所
在地ニ於テハ二週間、支店ノ所在地ニ
於テハ三週間內ニ資本增加ノ登記ヲ爲
スコトヲ要ス
前項ノ登記ニ在リテハ左ノ事項ヲ登記
スルコトヲ要ス
一增加シタル資本ノ額
二資本增加ノ決議ノ年月日
三各新株ニ付拂込ミタル株金額
四數種ノ株式アルトキ又ハ異種類ノ
株式ヲ發行スルトキハ新ニ發行スル
株式ノ內容及數
第六十七條ノ規定ハ第一項ノ登記ニ之
ヲ準用ス
第三百五十八條資本ノ增加ハ本店ノ所
在地ニ於テ前條第一項ノ登記ヲ爲スニ
因リテ其ノ效力ヲ生ズ
資本增加ノ年月日ハ之ヲ新株劵ニ記載
スルコトヲ要ス
第三百五十九條資本增加ノ場合ニ於テ
ハ定款ヲ以テ株主ガ其ノ引受ケタル新
株ヲ他ノ種類ノ株式ニ轉換スルコトヲ
請求シ得ベキ旨ヲ定ムルコトヲ得此ノ
場合ニ於テハ轉換ヲ請求シ得ベキ期間
及轉換ニ因リテ受クベキ株式ノ內容ヲ
定ムルコトヲ要ス
第三百六十條前條ノ場合ニ於テハ株式
申込證、株劵及株主名簿ニ左ノ事項ヲ
記載スルコトヲ要ス
-株式ヲ他ノ種類ノ株式ニ轉換スル
コトヲ得ベキコト
二轉換ニ因リテ發行スベキ株式ノ內
容
三轉換ノ請求ヲ爲スコトヲ得ベキ期
間
資本增加ノ登記ニ在リテハ前項ニ揭グ
ル事項ヲ登記スルコトヲ要ス
第三百六十一條轉換ヲ請求スル者ハ請
求書二通ニ株劵ヲ添附シテ之ヲ會社ニ
提出スルコトヲ要ス
前項ノ請求書ニハ轉換セントスル株式
ノ數及請求ノ年月日ヲ記載シ之ニ署名
スルコトヲ要ス
第三百六十二條轉換ハ其ノ請求ヲ爲シ
タル時ノ屬スル營業年度ノ終ニ於テ其
ノ效力ヲ生ズ
第三百六十三條轉換ニ因リテ生ジタル
各種類ノ株式ノ數ノ增減ハ每營業年度
ノ終ヨリ一月內ニ本店ノ所在地ニ於テ
之ヲ登記スルコトヲ要ス
第六十四條第二項ノ規定ハ前項ノ登記
ニ之ヲ準用ス
第三百六十四條社債募集ノ場合ニ於テ
ハ社債權者ガ社債ヲ株式ニ轉換スルコ
トヲ請求シ得ベキ旨且轉換ノ限度ニ於
テ資本ヲ增加スベキ旨ヲ決議スルコト
ヲ得
前項ノ決議ニ於テハ轉換ノ條件、轉換
ニ因リテ發行スベキ株式ノ內容及轉換
ヲ請求シ得ベキ期間ヲ定ムルコトヲ要
ス
第三百六十五條轉換ニ因リテ發行スベ
キ株式ハ全額拂込濟ノモノトス
轉換ニ因リテ發行スベキ株式ノ金額ハ
轉換スベキ社債ノ發行價額ヲ超ユルコ
トヲ得ズ
第二百八十八條第二項ノ規定ハ社債ノ
轉換ノ場合ニ之ヲ準用ス
第三百六十六條轉換社債ニ付テハ社債
申込證、債劵及社債原簿ニ左ノ事項ヲ
記載スルコトヲ要ス
-社債ヲ株式ニ轉換スルコトヲ得ベ
キコト
二轉換ノ條件
三轉換ニ因リテ發行スベキ株式ノ內
容
四轉換ノ請求ヲ爲スコトヲ得ベキ期
間
社債ノ登記ニ在リテハ前項ニ揭グル事
項ヲ登記スルコトヲ要ス
第三百六十七條轉換ヲ請求スル者ハ請
求書二通ニ債劵ヲ添附シテ之ヲ會社ニ
提出スルコトヲ要ス
前項ノ請求書ニハ轉換セントスル社債
ヲ表示シ請求ノ年月日ヲ記載シテ之ニ
署名スルコトヲ要ス
第三百六十八條第二百八條第一項及第
三百六十二條ノ規定ハ社債ノ轉換ノ場
合ニ之ヲ準用ス
第三百六十九條轉換ニ因リテ生ジタル
資本ノ增加及社債ノ減少ハ每營業年度
ノ終ヨリ一月內ニ本店ノ所在地ニ於テ
之ヲ登記スルコトヲ要ス
第六十四條第二項ノ規定ハ前項ノ登記
ニ之ヲ準用ス
第三百七十條第百七十五條第一項第三
項第四項、第百七十六條乃至第百七十
九條、第百八十九條、第百九十條第一項
及第百九十一條ノ規定ハ資本增加ノ場
合ニ之ヲ準用ス
第百九十條第二項ノ規定ハ取締役及監
査役ニ之ヲ準用ス
第二百二十六條ノ規定ハ新株ノ發行ニ
之ヲ準用ス
第三百七十一條資本增加ノ無效ハ第三
百五十七條又ハ第三百六十九條ノ規定
ニ依リ本店ノ所在地ニ於テ登記ヲ爲シ
タル日ヨリ六月內ニ訴ヲ以テノミ之ヲ
主張スルコトヲ得
前項ノ訴ハ株主、取締役又ハ監査役ニ
限リ之ヲ提起スルコトヲ得
第三百七十二條第八十八條、第百五條
第二項乃至第四項、第百七條、第百九
條、第百三十七條及第二百四十九條ノ
規定ハ前條ノ訴ニ之ヲ準用ス
第三百七十三條資本ノ增加ヲ無效トス
ル判決ガ確定シタルトキハ資本ノ增加
ニ因リテ發行シタル新株ハ將來ニ向テ
其ノ效力ヲ失フ
前項ノ場合ニ於テハ會社ハ遲滯ナク其
ノ旨及一定ノ期間內ニ株劵ヲ會社ニ提
出スベキ旨ヲ公告シ且株主及株主名簿
ニ記載アル質權者ニハ各別ニ之ヲ通知
スルコトヲ要ス但シ其ノ期間ハ三月ヲ
下ルコトヲ得ズ
第三百七十四條前條第一項ノ場合ニ於
テハ會社ハ新株ノ株主ニ對シ其ノ拂込
ミタル株金ニ相當スル金額ノ支拂ヲ爲
スコトヲ要ス
前項ノ金額ガ前條第一項ノ判決確定ノ
時ニ於ケル會社財產ノ狀況ニ照シ著シ
ク不相當ナルトキハ裁判所ハ會社又ハ
前項ノ株主ノ請求ニ依リ前項ノ金額ノ
增減又ハ未拂込株金額ノ拂込ヲ命ズル
コトヲ得
第二百八條第一項及第二百九條第一項
第二項ノ規定ハ第一項ノ場合ニ之ヲ準
用ス
第三百七十五條第二百四十五條第一項
ノ規定ハ會社ガ資本ノ增加後二年內ニ
其ノ增加前ヨリ存在スル財產ニシテ營
業ノ爲ニ繼續シテ使用スベキモノヲ增
加資本ノ二十分ノ一以上ニ當ル對價ヲ
以テ取得スル契約ヲ爲ス場合ニ之ヲ準
用ス
第三百七十六條資本減少ノ場合ニ於テ
ハ其ノ決議ニ於テ減少ノ方法ヲ定ムル
コトヲ要ス
第九十九條及第百條ノ規定ハ資本減少
ノ場合ニ之ヲ準用ス
社債權者ガ異議ヲ述ブルニハ社債權者
集會ノ決議ニ依ルコトヲ要ス此ノ場合
ニ於テハ裁判所ハ利害關係人ノ請求ニ
依リ社債權者ノ爲ニ異議ノ期間ヲ仲長
スルコトヲ得
第三百七十七條株式ノ併合ヲ爲サント
スルトキハ會社ハ其ノ旨及一定ノ期間
內ニ株劵ヲ會社ニ提出スベキ旨ヲ公〓
シ且株主及株主名簿ニ記載アル質權者
ニハ各別ニ之ヲ通知スルコトヲ要ス但
シ其ノ期間ハ三月ヲ下ルコトヲ得ズ
株式ノ併合ハ前項ノ期間滿了ノ時、若
シ第百條ノ手續ガ未ダ終了セザルトキ
ハ其ノ終了ノ時ニ於テ其ノ效力ヲ生ズ
第三百七十八條株式ノ併合アリタル場
合ニ於テ舊株劵ヲ提出スルコト能ハザ
ル者アルトキハ會社ハ其ノ者ノ請求ニ
依リ利害關係人ニ對シ異議アラバ一定
ノ期間內ニ之ヲ述ブベキ旨ヲ公〓シ其
ノ期間經過後ニ於テ新株劵ヲ交付スル
コトヲ得但シ其ノ期間ハ三月ヲ下ルコ
トヲ得ズ
前項ノ公〓ノ費用ハ之ヲ請求者ノ負擔
トス
第三百七十九條併合ニ適セザル數ノ株
式アルトキハ其ノ併合ニ適セザル部分
ニ付新ニ發行シタル株式ヲ競賣シ且株
數ニ應ジテ其ノ代金ヲ從前ノ株主ニ交
付スルコトヲ要ス
第二百十四條第一項但書及前條ノ規定
ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
前二項ノ規定ハ無記名式ノ株劵ニシテ
第三百七十七條第一項ノ規定ニ依ル提
出ナカリシモノニ之ヲ準用ス
第三百八十條資本減少ノ無效ハ本店ノ
所在地ニ於テ資本減少ノ登記ヲ爲シタ
ル日ヨリ六月內ニ訴ヲ以テノミ之ヲ主
張スルコトヲ得
前項ノ訴ハ株主、取締役、監査役、〓
算人、破產管財人又ハ資本ノ減少ヲ承
認セザル債權者ニ限リ之ヲ提起スルコ
トヲ得
第八十八條、第百五條第二項乃至第四
項、第百六條、第百七條、第百九條、
第百三十七條及第二百四十九條ノ規定
ハ第一項ノ訴ニ之ヲ準用ス
第七節會社ノ整理
第三百八十一條會社ノ現況其ノ他ノ事
情ニ依リ支拂不能又ハ債務超過ニ陷ル
ノ處アリト認ムルトキハ裁判所ハ取締
役、監査役、三月前ヨリ引續キ資本ノ
十分ノ一以上ニ當ル株式ヲ有スル株主
又ハ拂込株金額ノ十分ノ一以上ニ當ル
債權者ノ申立ニ依リ會社ニ對シ整理ノ
開始ヲ命ズルコトヲ得會社ニ支拂不能
又ハ債務超過ノ疑アリト認ムルトキ亦
同ジ
會社ノ業務ヲ監督スル官廳ハ會社ニ前
項ニ揭グル事由アリト認ムルトキハ裁
判所ニ其ノ旨ヲ通〓スルコトヲ得此ノ
場合ニ於テハ裁判所ハ職權ヲ以テ整理
ノ開始ヲ命ズルコトヲ得
整理開始ノ申立ガ權利ノ濫用其ノ他不
當ノ目的ニ出ヅルモノト認ムルトキハ
裁判所ハ其ノ申立ヲ却下スルコトヲ
得
第三百八十二條裁判所整理ノ開始ヲ命
ジタルトキハ直ニ會社ノ本店及支店ノ
所在地ノ登記所ニ整理開始ノ登記ヲ囑
託スルコトヲ要ス
第三百八十三條整理開始ノ申立又ハ通
告アリタル場合ニ於テ必要アリト認ム
ルトキハ裁判所ハ破產手續及和議手續
ノ中止ヲ命ズルコトヲ得
整理開始ノ命令アリタルトキハ破產若
ハ和議ノ中-立又ハ會社財產ニ對スル强
制執行、假差押若ハ假處分ヲ爲スコト
ヲ得ズ破產手續、和議手續竝ニ既ニ爲
シタル强制執行、假差押及假處分ハ之
ヲ中止ス
整理開始ノ命令ガ確定シタルトキハ前
二項ノ規定ニ依リテ中止シタル手續ハ
整理ノ關係ニ於テハ其ノ效力ヲ失フ
第三百八十四條整理開始ノ命令アリタ
ル場合ニ於テ債權者ノ一般ノ利益ニ適
應シ且競賣申立人ニ不當ノ損害ヲ及ボ
スノ虞ナキモノト認ムルトキハ裁判所
ハ相當ノ期間ヲ定メ競賣法ニ依ル競賣
手續ノ中止ヲ命ズルコトヲ得
第三百八十五條整理開始ノ命令アリタ
ルトキハ會社ノ債權者ノ債權ニ付テハ
整理開始ノ取消ノ登記又ハ整理終結ノ
登記ノ日ヨリ二月內ハ時效完成セズ
第三百八十六條整理開始ノ命令アリタ
ル場合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ
裁判所ハ左ノ處分ヲ爲スコトヲ得
會社ノ業務ノ制限其ノ他會社財產
ノ保全處分
二株主ノ名義書換ノ禁止
三會社ノ業務及財產ニ對スル檢査ノ
命令
四整理又ハ和議ニ關スル立案及實行
ノ命令
五取締役又ハ監査役ノ解任
六發起人、取締役又ハ監査役ノ責任
ノ免除ノ禁止
七發起人、取締役又ハ監査役ノ責任
ノ免除ノ取消但シ整理ノ開始ヨリ一
年前ニ爲シタル免除ニ付テハ不正ノ
目的ニ出デタルモノニ限ル
八發起人、取締役又ハ監査役ノ責任
ニ基ク損害賠償請求權ノ査定
九前號ノ損害賠償請求權ニ付發起
人取締役又ハ監査役ノ財產ニ對シ
テ爲ス保全處分
十會社ノ業務及財產ニ關スル監督ノ
命令
十一會社ノ業務及財產ニ關スル管理
ノ命令
整理開始ノ申立又ハ通〓アリタルトキ
ハ裁判所ハ其ノ開始前ト雖モ第三百八
十一條第一項ニ揭グル者ノ申立ニ依リ
又ハ職權ヲ以テ前項第一號乃至第三
號第九號又ハ第十號ノ處分ヲ爲スコ
トヲ得
第三百八十七條裁判所前條第一項第五
號、第十號又ハ第十一號ノ處分ヲ爲シ
タルトキハ直ニ會社ノ本店及支店ノ所
在地ノ登記所ニ其ノ登記ヲ囑託スルコ
トヲ要ス前條第一項第一號ノ業務ノ制
限ノ處分ヲ爲シタルトキ亦同ジ
前條第一項第一號又ハ第九號ノ處分ニ
シテ登記又ハ登錄ヲ爲スベキ財產ニ關
スルモノニ付テハ裁判所ハ直ニ其ノ登
記又ハ登錄ヲ囑託スルコトヲ要ス
第三百八十八條第三百八十六條第一項
第三號ノ檢査ハ會社ノ業務及財產ノ狀
況其ノ他會社ノ整理ニ必要ナル事項ニ
付裁判所ノ選任シタル檢査役之ヲ爲ス
檢査役ハ會社ノ業績ガ不良ト爲リタル
事情及發起人、取締役又ハ監査役ニ不
正又ハ懈怠ナカリシヤ否ヤヲモ調査ス
ルコトヲ要ス
第三百八十九條檢査役ハ調査ノ結果殊
ニ左ノ事項ヲ裁判所ニ報〓スルコトヲ
要ス
-整理ノ見込アルヤ否ヤ
二發起人、取締役又ハ監査役ニ第百
九十二條、第百九十三條、第二百六
十六條、第二百八十條又ハ第三百五
十六條ノ規定ニ依リテ責ニ任ズベキ
事實アルヤ否ヤ
三會社ノ業務及財產ニ付監督又ハ管
理ヲ爲ス必要アルヤ否ヤ
四會社財產ノ保全處分ヲ爲ス必要ア
ルヤ否ヤ
五會社ノ損害賠償請求權ニ付發起人、
取締役又ハ監査役ノ財產ニ對シ保全
處分ヲ爲ス必要アルヤ否ヤ
第三百九十條檢査役ハ發起人、取締役、
監査役及支配人其ノ他ノ使用人ニ對シ
會社ノ業務及財產ノ狀況ニ付報〓ヲ求
メ會社ノ帳簿、書類、金錢其ノ他ノ物
件ヲ檢査スルコトヲ得
檢査役ハ其ノ調査ヲ爲スニ當リ裁判所
ノ許可ヲ得テ執達吏又ハ警察官吏ノ援
助ヲ求ムルコトヲ得
第三百九十一條第三百八十六條第一項
第四號ノ處分ヲ爲シタル場合ニ於テ必
要アリト認ムルトキハ裁判所ハ整理委
員ヲ選任スルコトヲ得
整理委員ハ整理又ハ和議ニ關スル立案
ノ任ニ當リ且取締役ガ其ノ實行ヲ爲ス
ニ付之ト協力ス
前條第一項ノ規定ハ整理委員ニ之ヲ準
用ス
第三百九十二條整理ノ實行上又ハ和議
ノ爲株金ノ拂込ヲ爲サシムル必要アリ
ト認ムルトキハ取締役ハ各株主ニ對シ
其ノ有スル株式ノ數及未拂込株金額ヲ
通知シ異議アラバ一定ノ期間內ニ之ヲ
述ブベキ旨ヲ催告スルコトヲ得但シ其
ノ期間ハ一月ヲ下ルコトヲ得ズ
株主ガ前項ノ期間內ニ異議ヲ述ベザリ
シトキハ通知シタル事項ヲ承認シタル
モノト看做ス
株主ガ異議ヲ述ベタルトキハ取締役ハ
其ノ確定ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ要
ス
第三百九十三條取締役ハ前條ノ承認又
ハ確定アリタル事項ニ基キ株主表ヲ作
ルコトヲ要ス
取締役株金ノ拂込ヲ爲サシメントスル
トキハ其ノ拂込金額ニ付裁判所ノ認可
ヲ得ルコトヲ要ス
會社ハ株主ニ對シ前項ノ認可ノ記載ア
ル株主表ノ抄本ニ基キテ强制執行ヲ爲
スコトヲ得
第三百九十四條第三百八十六條第一項
第八號ノ査定ニ不服アル者ハ査定ノ〓
知ヲ受ケタル日ヨリ一月內ニ異議ノ訴
ヲ提起スルコトヲ得
査定ヲ認可シ又ハ之ヲ變更シタル判決
ハ强制執行ニ關シテハ給付ヲ命ズル判
決ト同一ノ效力ヲ有ス
第八十八條及第百五條第二項第三項ノ
規定ハ第一項ノ訴ニ之ヲ準用ス
第三百九十五條前條第一項ノ期間內ニ
訴ノ提起ナキトキハ査定ハ給付ヲ命ズ
ル確定判決ト同一ノ效力ヲ有ス訴ガ却
下セラレタルトキ亦同ジ
第三百九十六條査定ノ申立ハ時效ノ中
斷ニ關シテハ之ヲ裁判上ノ請求ト看做
ス職權ニ依ル査定手續ノ開始亦同ジ
第三百九十七條第三百八十六條第一項
第十號ノ監督ハ裁判所ノ選任シタル監
督員之ヲ爲ス
取締役ガ裁判所ノ指定シタル行爲ヲ爲
スニハ監督員ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス
第三百九十條第一項ノ規定ハ監督員ニ
之ヲ準用ス
第三百九十八條第三百八十六條第一項
第十一號ノ管理ハ裁判所ノ選任シタル
管理人之ヲ爲ス
會社ノ代表、業務ノ執行竝ニ財產ノ管
理及處分ヲ爲ス權利ハ管理人ニ專屬ス
第二百四十七條、第三百七十一條、第
三百八十條、第四百十五條及第四百二
十八條ノ規定ニ依ル取締役ノ權利亦同
第三百九十條ノ規定ハ管理人ニ之ヲ準
用ス
第三百九十九條整理ガ結了シ又ハ整理
ノ必要ナキニ至リタルトキハ裁判所ハ
第三百八十一條第一項ニ揭グル者、檢
査役、整理委員、監督員又ハ管理人ノ
申立ニ依リ整理終結ノ決定ヲ爲スコト
ヲ得
第四百條第三百八十二條及第三百八十
七條ノ規定ハ整理終結ノ決定又ハ整理
開始ノ命令ヲ取消ス決定ガ確定シタル
場合ニ之ヲ準用ス
第四百一條整理開始ノ命令アリタル場
合ニ於テ債權者ノ一般ノ利益ノ爲必要
アリト認ムルトキハ裁判所ハ和議ノ申
立ヲ爲スコトヲ認可スルコトヲ得
裁判所前項ノ認可ヲ爲シタルトキハ和
議法ニ從ヒ和議手續ヲ爲スコトヲ要ス
第四百二條整理開始ノ命令アリタル場
合ニ於テ整理ノ見込ナキトキハ裁判所
ハ職權ヲ以テ破產法ニ從ヒ破產ノ宣〓
ヲ爲スコトヲ要ス
第四百三條破產法第百四條ノ規定ハ整
理ノ場合ニ之ヲ準用ス
破產法第百六十三條乃至第百六十六條
ノ規定ハ檢査役、整理委員、監督員及管
理人ニ之ヲ準用ス
第八節解散
第四百四條會社ハ左ノ事由ニ因リテ解
散ス
-第九十四條第一號、第三號、第五號
及第六號ニ揭グル事由
二株主總會ノ決議
三營業全部ノ讓渡
第四百五條解散ノ決議ハ第三百四十三
條ノ規定ニ依ルニ非ザレバ之ヲ爲スコ
トヲ得ズ
第四百六條會社ガ存立時期ノ滿了其ノ
他定款ニ定メタル事由ノ發生又ハ株主
總會ノ決議ニ因リテ解散シタル場合ニ
於テハ第三百四十三條ニ定ムル決議ニ
依リテ會社ヲ繼續スルコトヲ得
第四百七條會社ガ解散シタルトキハ破
產ノ場合ヲ除クノ外取締役ハ遲滯ナク
株主ニ對シテ其ノ旨ノ通知ヲ發シ且無
記名式ノ株劵ヲ發行シタル場合ニ於テ
ハ之ヲ公〓スルコトヲ要ス
第四百八條會社ガ合併ヲ爲スニハ合併
契約書ヲ作リ株主總會ノ承認ヲ得ルコ
トヲ要ス
合併契約書ノ要領ハ第二百三十二條ニ
定ムル通知及公〓ニ之ヲ記載スルコト
ヲ要ス
第一項ノ決議ハ第三百四十三條ノ規定
ニ依ルニ非ザレバ之ヲ爲スコトヲ得ズ
第四百九條合併ヲ爲ス會社ノ一方ガ合
併後存續スル場合ニ於テハ合併契約書
ニ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
存續スル會社ノ增加スベキ資本ノ
額
二存續スル會社ノ發行スベキ新株ノ
種類、數及拂込金額竝ニ合併ニ因リ
テ消滅スル會社ノ株主ニ對スル新株
ノ割當ニ關スル事項
三合併ニ因リテ消滅スル會社ノ株主
ニ支拂ヲ爲スベキ金額ヲ定メタルト
キハ其ノ規定
四各會社ニ於テ前條第一項ノ決議ヲ
爲スベキ株主總會ノ期日
五合併ヲ爲スベキ時期ヲ定メタルト
キハ其ノ規定
第四百十條合併ニ因リテ會社ヲ設立ス
ル場合ニ於テハ合併契約書ニ左ノ事項
ヲ記載スルコトヲ要ス
合併ニ因リテ設立スル會社ノ目的、
商號、資本ノ總額、一株ノ金額及本
店ノ所在地
二合併ニ因リテ設立スル會社ノ發行
スベキ株式ノ種類、數及拂込金額竝
ニ各會社ノ株主ニ對スル株式ノ割當
ニ關スル事項
三各會社ノ株主ニ支拂ヲ爲スベキ金
額ヲ定メタルトキハ其ノ規定
四前條第四號及第五號ニ揭グル事項
第四百十一條合併後存續スル會社又ハ
合併ニ因リテ設立スル會社ガ株式會社
ナル場合ニ於テ合併ヲ爲ス會社ノ一方
又ハ雙方ガ合名會社又ハ合資會社ナル
トキハ總社員ノ同意ヲ得テ合併契約書
ヲ作ルコトヲ要ス
前二條ノ規定ハ前項ノ合併契約書ニ之
ヲ準用ス
第四百十二條合併ヲ爲ス會社ノ一方ガ
合併後存續スル場合ニ於テハ其ノ取締
役ハ第百條ノ手續ノ終了後、合併ニ因
ル株式ノ併合アリタルトキハ其ノ效力
ヲ生ジタル後、併合ニ適セザル株式ア
リタルトキハ合併後存續スル會社ニ於
テ第三百七十九條ノ處分ヲ爲シタル後
遲滯ナク株主總會ヲ招集シテ之ニ合併
ニ關スル事項ヲ報告スルコトヲ要ス
第三百五十一條第二項ノ規定ハ前項ノ
株主總會ニ關シ之ヲ準用ス
第四百十三條合併ニ因リテ會社ヲ設立
スル場合ニ於テハ設立委員ハ第百條ノ
手續ノ終了後、合併ニ因ル株式ノ併合
アリタルトキハ其ノ效力ヲ生ジタル後、
併合ニ適セザル株式アリタルトキハ第
三百七十九條ノ處分ヲ爲シタル後遲滯
ナク創立總會ヲ招集スルコトヲ要ス
創立總會ニ於テハ定款變更ノ決議ヲモ
爲スコトヲ得但シ合併契約ノ趣旨ニ反
スルコトヲ得ズ
第百八十條第二項第三項、第百八十二
候、第百八十三條及第百八十七條第二
項ノ規定ハ第一項ノ創立總會ニ之ヲ準
用ス
第四百十四條會社ガ合併ヲ爲シタルト
キハ第四百十二條ノ株主總會又ハ前條
ノ創立總會ノ終結ノ日ヨリ本店ノ所在
地ニ於テハ二週間、支店ノ所在地ニ於テ
ハ三週間內ニ合併後存續スル會社ニ付
テハ變更ノ登記、合併ニ因リテ消滅ス
ル會社ニ付テハ解散ノ登記、合併ニ因
リテ設立シタル會社ニ付テハ第百八十
八條ニ定ムル登記ヲ爲スコトヲ要ス
合併後存續スル會社又ハ合併ニ因リテ
設立シタル會社ガ合併ニ因リテ社債ヲ
承繼シタルトキハ前項ノ登記ト同時ニ
社債ノ登記ヲ爲スコトヲ要ス
第四百十五條合併ノ無效ノ訴ハ各會社
ノ株主、取締役、監査役、〓算人、破
產管財人又ハ合併ヲ承認セザル債權者
ニ限リ之ヲ提起スルコトヲ得
第四百十六條第九十六條、第九十七條、
第九十八條第二項、第九十九條、第百
條、第百二條、第百三條、第百四條第
一項第三項及第百五條乃至第百十一條
ノ規定ハ株式會社ニ之ヲ準用ス
第三百七十六條第三項ノ規定ハ合併ノ
場合ニ之ヲ準用ス
第三百七十七條乃至第三百七十九條ノ
規定ハ會社ノ合併ニ因ル株式併合ノ場
合ニ之ヲ準用ス
第二百八條第一項及第二百九條第三項
ノ規定ハ株式ヲ併合セザル場合ニ於テ
合併ニ因リテ消滅スル會社ノ株式ヲ目
的トスル質權ニ之ヲ準用ス
第九節〓算
第一款總則
第四百十七條會社ガ解散シタルトキハ
合併及破產ノ場合ヲ除クノ外取締役其
ノ〓算人ト爲ル但シ定款ニ別段ノ定ア
ルトキ又ハ株主總會ニ於テ他人ヲ選任
シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ規定ニ依リテ〓算人タル者ナキ
トキハ裁判所ハ利害關係人ノ請求ニ依
リ〓算人ヲ選任ス
第四百十八條〓算人ハ其ノ就職ノ日ヨ
リ二週間內ニ左ノ事項ヲ裁判所ニ屆出
ヅルコトヲ要ス
→解散ノ事由及其ノ年月日
二〓算人ノ氏名及住所
第四百十九條〓算人ハ就職ノ後遲滯ナ
ク會社財產ノ現況ヲ調査シ財產目錄及
貸借對照表ヲ作リ之ヲ株主總會ニ提出
シテ其ノ承認ヲ求ムルコトヲ要ス
〓算人ハ前項ノ承認ヲ得タル後遲滯ナ
ク財產目錄及貸借對照表ヲ裁判所ニ提
出スルコトヲ要ス
第四百二十條〓算人ハ財產目錄、貸借
對照表及事務報告書ヲ作リ定時總會ノ
會日ヨリ二週間前ニ之ヲ監査役ニ提出
スルコトヲ要ス
第四百二十一條〓算人ハ其ノ就職ノ日
ヨリ二月內ニ少クトモ三囘ノ公〓ヲ以
テ債權者ニ對シ一定ノ期間內ニ其ノ債
權ヲ申出ヅベキ旨ヲ催告スルコトヲ要
ス但シ其ノ期間ハ二月ヲ下ルコトヲ得
ズ
前項ノ公〓ニハ債權者ガ期間內ニ申出
ヲ爲サザルトキハ〓算ヨリ除斥セラル
ベキ旨ヲ附記スルコトヲ要ス
第四百二十二條〓算人ハ知レタル債權
者ニハ各別ニ其ノ債權ノ申出ヲ催告ス
ルコトヲ要ス
知レタル債權者ハ之ヲ〓算ヨリ除斥ス
ルコトヲ得ズ
第四百二十三條〓算人ハ第四百二十一
條第一項ノ債權申出ノ期間內ハ債權者
ニ對シテ辨濟ヲ爲スコトヲ得ズ但シ會
社ハ之ガ爲ニ遲延ニ因ル損害賠償ノ責
任ヲ免ルルコトナシ
〓算人ハ前項ノ規定ニ拘ラズ裁判所ノ
許可ヲ得テ少額ノ債權及擔保アル債權
其ノ他之ヲ辨濟スルモ他ノ債權者ヲ害
スルノ虞ナキ信權ニ付辨濟ヲ爲スコト
ヲ得
第四百二十四條〓算ヨリ除斥セラレタ
ル債權者ハ未ダ分配セザル殘餘財產ニ
對シテノミ辨濟ヲ請求スルコトヲ得
一部ノ株主ニ對シ旣ニ分配ヲ爲シタル
場合ニ於テハ他ノ株主ニ對シ之ト同一
ノ割合ヲ以テ分配ヲ爲スニ要スル財產
ハ之ヲ前項ノ殘餘財產ヨリ控除ス
第四百二十五條殘餘財產ハ定款ニ依リ
テ拂込ミタル株金額ノ割合ニ應ジテ之
ヲ株主ニ分配スルコトヲ要ス但シ第二
百二十二條第一項ノ規定ノ適用ヲ妨ゲ
ズ
第四百二十六條〓算人ハ裁判所ノ選任
シタルモノヲ除クノ外何時ニテモ株主
總會ノ決議ヲ以テ之ヲ解任スルコトヲ
得
重要ナル事由アルトキハ裁判所ハ監査
役又ハ三月前ヨリ引續キ資本ノ十分ノ
一以上ニ當ル株式ヲ有スル株主ノ請求
ニ依リ〓算人ヲ解任スルコトヲ得
第四百二十七條〓算事務ガ終リタルト
キハ〓算人ハ遲滯ナク決算報告書ヲ作
リ之ヲ株主總會ニ提出シテ其ノ承認ヲ
求ムルコトヲ要ス
前項ノ承認アリタルトキハ會社ハ〓算
人ニ對シテ其ノ責任ヲ解除シタルモノ
ト看做ス但シ〓算人ニ不正ノ行爲アリ
タルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第四百二十八條會社ノ設立ノ無效ハ其
ノ成立ノ日ヨリ二年內ニ訴ヲ以テノミ
之ヲ主張スルコトヲ得
前項ノ訴ハ株主、取締役又ハ監査役ニ
限リ之ヲ提起スルコトヲ得
第百三十六條第三項、第百三十七條及
第百三十八條ノ規定ハ第一項ノ訴ニ之
ヲ準用ス
第四百二十九條會社ノ帳簿竝ニ其ノ營
業及〓算ニ關スル重要書類ハ本店ノ所
在地ニ於テ〓算結了ノ登記ヲ爲シタル
後十年間之ヲ保存スルコトヲ要ス其ノ
保存者ハ〓算人其ノ他ノ利害關係人ノ
請求ニ依リ裁判所之ヲ選任ス
第四百三十條第百十六條、第百二十二
條乃至第百二十六條、第百二十八條、
第百二十九條第二項第三項、第百三十
一條及第百三十四條ノ規定ハ株式會社
ニ之ヲ準用ス
第二百三十一條、第二百三十六條乃至
第二百三十八條、第二百四十四條第二
項、第二百四十五條第一項第四號第二
項第二百四十七條、第二百四十九條、
第二百五十四條第二項、第二百五十八
條、第二百六十一條、第二百六十三條、
第二百六十五條乃至第一一百七十二條、
第二百七十四條乃至第二百七十九條及
第二百八十二條乃至第二百八十四條ノ
規定ハ〓算人ニ之ヲ準用ス
第二款特別〓算
第四百三十一條〓算ノ遂行ニ著シキ支
障ヲ來スベキ事情アリト認ムルトキハ
裁判所ハ債權者、〓算人、監査役若ハ
株主ノ申立ニ依リ又ハ職權ヲ以テ會社
ニ對シ特別〓算ノ開始ヲ命ズルコトヲ
得會社ニ債務超過ノ疑アリト認ムルト
キ亦同ジ
會社ニ債務超過ノ疑アルトキハ〓算人
ハ前項ノ申立ヲ爲スコトヲ要ス
第三百八十一條第二項及第三項ノ規定
ハ第一項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第四百三十二條特別〓算開始ノ申立又
ハ通告アリタルトキハ裁判所ハ其ノ開始
前ト雖モ前條第一項ニ揭グル者ノ申立
ニ依リ又ハ職權ヲ以テ第四百五十四條
第一項第一號、第二號又ハ第六號ノ處
分ヲ爲スコトヲ得
第四百三十三條第三百八十二條乃至第
三百八十五條ノ規定ハ特別〓算ノ場合
ニ之ヲ準用ス
第四百三十四條特別〓算ノ場合ニ於テ
ハ〓算人ハ會社、株主及債權者ニ對シ
公平且誠實ニ〓算事務ヲ處理スル義務
ヲ負フ
第四百三十五條重要ナル事由アルトキ
ハ裁判所ハ〓算人ヲ解任スルコトヲ得
〓算人ガ缺ケタルトキ又ハ其ノ增員ノ
必要アルトキハ裁判所之ヲ選任ス
第四百三十六條裁判所ハ何時ニテモ〓
算事務及財產ノ狀況ノ報告ヲ命ジ其ノ
他〓算ノ監督上必要ナル調査ヲ爲スコ
トヲ得
第四百三十七條〓算ノ監督上必要アリ
ト認ムルトキハ裁判所ハ第四百五十四
條第一項第一號、第二號又ハ第六號ノ
處分ヲ爲スコトヲ得
第四百三十八條會社ノ債務ハ其ノ債權
額ノ割合ニ應ジテ之ヲ辨濟スルコトヲ
要ス
第四百二十三條第二項ノ規定ハ前項ノ
場合ニ之ヲ準用ス
第四百三十九條〓算ノ實行上必要アリ
ト認ムルトキハ〓算人ハ債權者集會ヲ
招集スルコトヲ得
申出ヲ爲シタル債權者其ノ他會社ニ知
レタル債權者ノ總債權ノ十分ノ一以上
ニ當ル債權ヲ有スル者ハ會議ノ目的タ
ル事項及招集ノ理由ヲ記載シタル書面
ヲ〓算人ニ提出シテ債權者集會ノ招集
ヲ請求スルコトヲ得
第二百三十七條第二項ノ規定ハ前項ノ
場合ニ之ヲ準用ス
破產ノ場合ニ於テ別除權ヲ行使スルコ
トヲ得ベキ債權者ガ其ノ行使ニ依リテ
辨濟ヲ受クルコトヲ得ベキ債權額ハ第
二項ノ債權額ニ之ヲ算入セズ
第四百四十條前條第四項ノ債權者ハ別
除權ノ行使ニ依リテ辨濟ヲ受クルコト
ヲ得ベキ債權額ニ付テハ債權者集會ニ
於テ議決權ヲ行使スルコトヲ得ズ
債權者集會ノ招集ハ前項ノ債權者ニ之
ヲ通知スルコトヲ要ス
債權者集會又ハ其ノ招集者ハ第一項ノ
債權者ノ出席ヲ求メテ其ノ意見ヲ徵ス
ルコトヲ得
第四百四十一條債權者集會ニ於テ議決
權ヲ行使セシムベキヤ否ヤ及如何ナル
金額ニ付之ヲ行使セシムベキヤハ各債
權ニ付〓算人之ヲ定ム
前項ノ定ニ付異議アルトキハ裁判所之
る よし
第四百四十二條第二百三十二條第一項
第二項、第二百三十九條第三項、第二
百四十三條、第二百四十四條、第三百
二十一條第二項及破產法第百七十九條
ノ規定ハ債權者集會ニ之ヲ準用ス
第二百三十二條第一項及第二項ノ規定
ハ第四百四十條第二項ノ通知ニ之ヲ準
用ス
第四百四十三條〓算人ハ會社ノ業務及
財產ノ狀況ノ調査書、財產目錄竝ニ貸
借對照表ヲ債權者集會ニ提出シ且〓算
ノ實行ノ方針及見込ニ關シ意見ヲ述ブ
ルコトヲ要ス
第四百四十四條債權者集會ハ監査委員
ヲ選任スルコトヲ得
監査委員ハ何時ニテモ債權者集會ノ決
議ヲ以テ之ヲ解任スルコトヲ得
前二項ノ決議ハ裁判所ノ認可ヲ得ルコ
トヲ要ス
第二百五十五條、第三百九十條第一項
及第四百三條第二項ノ規定ハ監査委員
ニ之ヲ準用ス
第四百四十五條〓算人左ノ行爲ヲ爲ス
ニハ監査委員ノ同意、若シ監査委員ナ
キトキハ債權者集會ノ決議アルコトヲ
要ス但シ三千圓以上ノ價額ヲ有スルモ
ノニ關セザルトキハ此ノ限ニ在ラズ
一會社財產ノ處分
二借財
三訴ノ提起
四和解及仲裁契約
五權利ノ抛棄
債權者集會ノ決議ヲ要スル場合ニ於テ
急迫ナル事情アルトキハ〓算人ハ裁判
所ノ許可ヲ得テ前項ニ揭グル行爲ヲ爲
スコトヲ得
〓算入前二項ノ規定ニ違反シタルトキ
ト雖モ會社ハ善意ノ第三者ニ對シテ其
ノ責ニ任ズ
第二百四十五條ノ規定ハ特別〓算ノ場
合ニハ之ヲ適用セズ
第四百四十六條〓算人ハ競賣ニ依リテ
財產ヲ換價スルコトヲ得此ノ場合ニ於
テハ前條第一項ノ規定ヲ適用セズ
第四百四十七條〓算人ハ監査委員ノ意
見ヲ聽キ債權者集會ニ對シテ協定ノ申
出ヲ爲スコトヲ得
第四百四十八條協定ノ條件ハ各債權者
ノ間ニ平等ナルコトヲ要ス但シ少額ノ
債權ニ付別段ノ定ヲ爲シ其ノ他債權者
間ニ差等ヲ設クルモ衡平ヲ害セザル場
合ハ此ノ限ニ在ラズ
一般ノ先取特權其ノ他一般ノ優先權ハ
前項ノ條件ヲ定ムルニ付之ヲ斟酌スル
コトヲ要ス
第四百四十九條協定案ノ作成ニ當リ必
要アリト認ムルトキハ〓算人ハ第四百
三十九條第四項ノ債權者ノ參加ヲ求ム
ルコトヲ得
第四百五十條協定ヲ可決スルニハ議決
權ヲ行使スルコトヲ得ベキ出席債權者
ノ過半數ニシテ議決權ヲ行使スルコト
ヲ得ベキ債權者ノ總債權ノ四分ノ三以
上ニ當ル債權ヲ有スルモノノ同意アル
コトヲ要ス
前項ノ決議ハ裁判所ノ認可ヲ得ルコト
ヲム ス
破產法第三百二十一條及第三百二十六
條ノ規定ハ協定ニ之ヲ準用ス
第四百五十一條協定ノ實行上必要アル
トキハ協定ノ條件ヲ變更スルコトヲ得
此ノ場合ニ於テハ前四條ノ規定ヲ準用
ス
第四百五十二條會社財產ノ狀況ニ依リ
必要アリト認ムルトキハ裁判所ハ〓算
人監査役、監査委員、三月前ヨリ引
續キ資本ノ十分ノ一以上ニ當ル株式ヲ
有スル株主若ハ申出ヲ爲シタル債權者
其ノ他會社ニ知レタル債權者ノ總債權
ノ十分ノ一以上ニ當ル債權ヲ有スル者
ノ申立ニ依リ又ハ職權ヲ以テ會社ノ業
務及財產ノ檢査ヲ命ズルコトヲ得
第三百八十八條、第三百九十條及第四
百三十九條第四項ノ規定ハ前項ノ場合
ニ之ヲ準用ス
第四百五十三條檢査役ハ調査ノ結果殊
ニ左ノ事項ヲ裁判所ニ報告スルコトヲ
要ス
發起人、取締役、監査役又ハ〓算
人ニ第百九十二條、第百九十三條、
第二百六十六條、第二百八十條、第
三百五十六條又ハ第四百三十條第二
項ノ規定ニ依リテ責ニ任ズベキ事實
アルヤ否ヤ
二會社財產ノ保全處分ヲ爲ス必要ア
ルヤ否ヤ
三會社ノ損害賠償請求權ニ付發起人、
取締役、監査役又ハ〓算人ノ財產ニ
對シ保全處分ヲ爲ス必要アルヤ否ヤ
第四百五十四條前條ノ報〓ヲ受ケタル
場合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ裁
判所ハ左ノ處分ヲ爲スコトヲ得
一會社財產ノ保全處分
二株主ノ名義書換ノ禁止
三發起人、取締役、監査役又ハ〓算
人ノ責任ノ免除ノ禁止
四發起人、取締役、監査役又ハ〓算
人ノ責任ノ免除ノ取消但シ特別清算
ノ開始ヨリ一年前ニ爲シタル免除ニ
付テハ不正ノ目的ニ出デタルモノニ
限ル
五發起人、取締役、監査役又ハ〓算
人ノ責任ニ基ク損害賠償請求權ノ査
定
六前號ノ損害賠償請求權ニ付發起
人取締役、監査役又ハ〓算人ノ財
產ニ對シテ爲ス保全處分
第三百八十七條第二項ノ規定ハ前項第
一號又ハ第六號ノ處分アリタル場合ニ
之ヲ準用ス
第三百九十四條乃至第三百九十六條ノ
規定ハ第一項第五號ノ査定アリタル場
合ニ之ヲ準用ス
第四百五十五條特別〓算開始ノ命令ア
リタル場合ニ於テ協定ノ見込ナキトキ
ハ裁判所ハ職權ヲ以テ破產法ニ從ヒ破
產ノ宣〓ヲ爲スコトヲ要ス協定ノ實行
ノ見込ナキトキ亦同ジ
第四百五十六條第三百九十二條、第三
百九十三條、第三百九十九條及第四百
條竝ニ破產法第百四條、第二百三條及
第二百四條ノ規定ハ特別〓算ノ場合ニ
之ヲ準用ス
破產法第百六十五條及第百六十六條ノ
規定ハ〓算人ニ之ヲ準用ス
第五章株式合資會社
第四百五十七條株式合資會社ハ無限責
任社員ト株主トヲ以テ之ヲ組織ス
第四百五十八條左ノ事項ニ付テハ合資
會社ニ關スル規定ヲ準用ス
無限責任社員相互間ノ關係
二無限責任社員ト會社、株主及第三
者トノ關係
三無限責任社員ノ退社
此ノ他株式合資會社ニハ本章ニ別段ノ
定アル場合ヲ除クノ外株式會社ニ關ス
ル規定ヲ準用ス
第四百五十九條無限責任社員ハ發起人
ト爲リテ定款ヲ作リ之ニ左ノ事項ヲ記
載シテ署名スルコトヲ要ス
-第百六十六條第一項第一號、第二
號及第四號乃至第六號ニ揭グル事項
二株金ノ總額
三無限責任社員ノ氏名及住所
四無限責任社員ノ株金以外ノ出資ノ
目的及其ノ價格又ハ評價ノ標準
第四百六十條無限責任社員ハ株主ヲ募
集スルコトヲ要ス
株式申込證ニハ左ノ事項ヲ記載スルコ
トヲ要ス
ー第百六十八條第一項、第百七十五
條第二項第一號第四號乃至第七號及
前條ニ揭グル事項
二無限責任社員ガ株式ヲ引受ケタル
トキハ其ノ各自ガ引受ケタル株式ノ
種類及數
第四百六十一條創立總會ニ於テハ監査
役ヲ選任スルコトヲ要ス
無限責任社員ハ監査役ト爲ルコトヲ得
ズ
第四百六十二條無限責任社員ハ創立總
會ニ出席シテ其ノ意見ヲ述ブルコトヲ
得但シ株式ヲ引受ケタルトキト雖モ議
決權ヲ有セズ
前項ノ規定ハ株主總會ニ之ヲ準用ス
第四百六十三條監査役ハ第百八十四條
第一項及第四百五十九條第四號ニ揭グ
ル事項竝ニ第百八十一條第二項ノ報告
書ヲ調査シ之ヲ創立總會ニ報〓スルコ
トヲ要ス
第四百六十四條創立總會ガ定款ノ變更
ヲ決議シタル場合ニ於テ其ノ決議ノ日ヨ
リ一週間內ニ無限責任社員ノ一致ナキ
トキハ設立ノ廢止ヲ決議シタルモノト
看做ス
第四百六十五條株式合資會社ノ設立ノ
登記ニ在リテハ左ノ事項ヲ登記スルコトヲ
要ス
第百六十六條第一項第一號第二號
第四號第六號及第百八十八條第二項
第二號乃至第八號ニ揭グル事項
二株金ノ總額
三無限責任社員ノ氏名及住所
四監査役ノ氏名及住所
五無限責任社員ノ株金以外ノ出資ノ
目的、財產ヲ目的トスル出資ニ付テ
ハ其ノ價格及履行ヲ爲シタル部分
六無限責任社員ニシテ會社ヲ代表セ
ザル者アルトキハ會社ヲ代表スベキ
者ノ氏名
七數人ノ無限責任社員ガ共同シ又ハ
無限責任社員ガ支配人ト共同シテ會
社ヲ代表スベキコトヲ定メタルトキ
ハ其ノ規定
第四百六十六條會社ヲ代表スベキ無限
責任社員ニハ株式會社ノ取締役ニ關ス
ル規定ヲ準用ス但シ第二百五十四條乃
至第二百五十九條、第二百六十四條及
第二百六十九條乃至第二百七十二條ノ
規定ハ此ノ限ニ在ラズ
第四百六十七條株式會社ニ於テ第三百
四十三條ニ定ムル決議ヲ要スル事項又
ハ合資會社ニ於テ總社員ノ同意ヲ要ス
ル事項ニ付テハ株主總會ノ決議ノ外無
限責任社員ノ一致アルコトヲ要ス
第三百四十三條ノ規定ハ前項ノ決議ニ
之ヲ準用ス
第四百六十八條監査役ハ無限責任社員
ヲシテ株主總會ノ決議ヲ執行セシムル
責ニ任ズ
第四百六十九條株式合資會社ハ合資會
社ト同一ノ事由ニ因リテ解散ス營業全
部ノ讓渡アリタルトキ亦同ジ
第百十二條ノ規定ハ株式合資會社ニハ
之ヲ適用セズ
第四百七十條無限責任社員ノ全員ガ退
社シタル場合ニ於テハ株主ハ第三百四
十三條ニ定ムル決議ニ依リ株式會社ト
シテ會社ヲ繼續スルコトヲ得此ノ場合
ニ於テハ株式會社ノ組織ニ必要ナル事
項ヲ決議スルコトヲ要ス
第百十四條ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ
準用ス
第四百七十一條無限責任社員ガ株式ノ
全部ヲ取得シタル場合ニ於テハ其ノ一
致ヲ以テ合名會社トシテ會社ヲ繼續ス
ルコトヲ得株式全部ノ消却アリタル場
合亦同ジ
前條第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ
準用ス
第四百七十二條會社ガ解散シタルトキ
ハ合併、破產又ハ裁判所ノ命令ニ因リ
テ解散シタル場合ヲ除クノ外〓算ハ業
務執行社員ノ全員又ハ無限責任社員ノ
選任シタル者及株主總會ニ於テ選任シ
タル者之ヲ爲ス但シ定款ニ別段ノ定ア
ルトキハ此ノ限ニ在ラズ
無限責任社員ガ〓算人ヲ選任スルトキ
ハ其ノ過半數ヲ以テ之ヲ決ス
株主總會ニ於テ選任スル〓算人ハ業務
執行社員ノ全員又ハ無限責任社員ノ選
任スル者ト同數ナルコトヲ要ス
第四百七十三條無限責任社員ハ何時ニ
テモ其ノ選任シタル〓算人ヲ解任スル
コトヲ得
前條第二項ノ規定ハ〓算人ノ解任ニ之
ヲ準用ス
第四百七十四條第百四十四條ノ規定ハ
株式合資會社ノ無限責任社員ニ之ヲ準
用ス
第四百七十五條〓算人ハ第四百十九
條第四百二十條及第四百二十七條ニ
定ムル計算ニ付株主總會ノ承認ノ外無
限責任社員全員ノ承認ヲ得ルコトヲ要
ス
第四百七十六條株式合資會社ハ第四百
六十七條ノ規定ニ從ヒ其ノ組織ヲ變更
シテ之ヲ株式會社ト爲スコトヲ得
第四百七十七條前條ノ場合ニ於テハ株
主總會ハ直ニ株式會社ノ組織ニ必要ナ
ル事項ヲ決議スルコトヲ要ス此ノ總會
ニ於テハ無限責任社員モ亦其ノ引受ク
ベキ株式ノ數ニ應ジテ議決權ヲ行使ス
ルコトヲ得
第百十四條及第百十五條ノ規定ハ前項
ノ場合ニ之ヲ準用ス
第四百七十八條第四章第七節及第九節
第二款ノ規定ハ株式合資會社ニハ之ヲ
適用セズ
第六章外國會社
第四百七十九條外國會社ガ日本ニ支店
ヲ設ケタルトキハ日本ニ成立スル同種
ノモノ又ハ最モ之ニ類似スルモノト同
一ノ登記及公告ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ外國會社ハ其ノ日本ニ於ケル代
表者ヲ定メ且支店設置ノ登記ト同時ニ
其ノ氏名及住所ヲ登記スルコトヲ要ス
第七十八條ノ規定ハ外國會社ノ代表者
ニ之ヲ準用ス
第四百八十條前條第一項及第二項ノ規
定ニ依リび豆記スベキ事項ガ外國ニ於テ
生ジタルトキハ登記ノ期間ハ其ノ通知
ノ到達シタル時ヨリ之ヲ起算ス
第四百八十一條外國會社ガ始メテ日本
ニ支店ヲ設ケタルトキハ其ノ支店ノ所
在地ニ於テ登記ヲ爲ス迄ハ第三者ハ其
ノ會社ノ成立ヲ否認スルコトヲ得
第四百八十二條日本ニ本店ヲ設ケ又ハ
日本ニ於テ營業ヲ爲スヲ以テ主タル目
的トスル會社ハ外國ニ於テ設立スルモ
ノト雖モ日本ニ於テ設立スル會社ト同
一ノ規定ニ從フコトヲ要ス
第四百八十三條第二百四條乃至第二百
七條、第二百九條第一項、第二百二十六
條、第二百二十七條第一項、第三百六
條第一項、第三百七條、第三百八條及
第三百七十條第三項ノ規定ハ日本ニ於
テスル外國會社ノ株劵又ハ債劵ノ發行
及其ノ株式ノ移轉若ハ質入又ハ社債ノ
移轉ニ之ヲ準用ス此ノ場合ニ於テハ始
メテ日本ニ設ケタル支店ヲ以テ本店ト
看做ス
第四百八十四條外國會社ガ日本ニ支店
ヲ設ケタル場合ニ於テ正當ノ事由ナク
シテ支店設置ノ登記ヲ爲シタル後一年
內ニ營業ヲ開始セズ若ハ一年以上營業
ヲ休止シタルトキ又ハ支拂ヲ停止シタ
ルトキハ裁判所ハ利害關係人若ハ檢事
ノ請求ニ依リ又ハ職權ヲ以テ其ノ支店
ノ閉鎖ヲ命ズルコトヲ得
外國會社ノ代表者其ノ他支店ニ於テ業
務ヲ執行スル者ガ法令又ハ公ノ秩序若
ハ善良ノ風俗ニ反スル行爲ヲ爲シタル
トキ亦前項ニ同ジ
第五十八條第三項、第五十九條及第六
十條ノ規定ハ前二項ノ場合ニ之ヲ準用
ス
第四百八十五條前條第一項又ハ第二項
ノ場合ニ於テハ裁判所ハ利害關係人ノ
申立ニ依リ又ハ職權ヲ以テ日本ニ在ル
會社財產ノ全部ニ付〓算ノ開始ヲ命ズ
ルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ〓算人ハ
裁判所之ヲ選任ス
第四百二十一條乃至第四百二十四條及
第四百三十條乃至第四百五十六條ノ規
定ハ其ノ性質ノ許サザルモノヲ除クノ
外前項ノ〓算ニ之ヲ準用ス
前二項ノ規定ハ外國會社ガ其ノ支店ヲ
閉鎖シタル場合ニ之ヲ準用ス
第七章罰則
第四百八十六條發起人、取締役、株式合
資會社ノ業務ヲ執行スル無限責任社員、
監査役又ハ株式會社若ハ株式合資會社
ノ第二百五十八條第二項、第二百七十
條第一項、第二百七十二條第一項若ハ
第二百八十條ノ職務代行者若ハ支配人
其ノ他營業ニ關スル或種類若ハ特定ノ
事項ノ委任ヲ受ケタル使用人自己若ハ
第三者ヲ利シ又ハ會社ヲ害センコトヲ
圖リテ其ノ任務ニ背キ會社ニ財產上ノ
損害ヲ加ヘタルトキハ七年以下ノ懲役
又ハ一萬圓以下ノ罰金ニ處ス
整理委員、監督員、第三百九十八條第
一項ノ管理人又ハ株式會社若ハ株式合
資會社ノ〓算人若ハ第四百三十條第二
項ノ職務代行者前項ニ揭グル行爲ヲ爲
シタルトキ亦前項ニ同ジ
第四百八十七條社債權者集會ノ代表者
又ハ其ノ決議ヲ執行スル者自己若ハ第
三者ヲ利シ又ハ社債權者ヲ害センコト
ヲ圖リテ其ノ任務ニ背キ社債權者ニ財
產上ノ損害ヲ加ヘタルトキハ五年以下
ノ懲役又ハ五千圓以下ノ罰金ニ處ス
第四百八十八條前二條ノ未遂罪ハ之ヲ
罰ス
第四百八十九條第四百八十六條第一項
ニ揭グル者又ハ檢査役ハ左ノ場合ニ於
テハ五年以下ノ懲役又ハ五千圓以下ノ
罰金ニ處ス
會社ノ設立又ハ資本增加ノ場合ニ
於テ株式總數ノ引受、株金ノ拂込若
ハ現物出資ノ給付ニ付又ハ第百六十
八條第一項第四號乃至第七號若ハ第
三百四十八條第二號第三號ニ揭グル
事項ニ付裁判所又ハ總會ニ對シ不實
ノ申述ヲ爲シ又ハ事實ヲ隱蔽シタル
トキ
二何人ノ名義ヲ以テスルヲ問ハズ會
社ノ計算ニ於テ不正ニ其ノ株式ヲ取
得シ又ハ質權ノ目的トシテ之ヲ受ケ
タルトキ
三法令又ハ定款ノ規定ニ違反シテ利
益又ハ利息ノ配當ヲ爲シタルトキ
四會社ノ營業ノ範圍外ニ於テ投機取
引ノ爲ニ會社財產ヲ處分シタルトキ
第四百九十條第四百八十六條第一項ニ
揭グル者、外國會社ノ代表者又ハ株式若
ハ社債ノ募集ノ委託ヲ受ケタル者株式
又ハ社債ノ募集ニ當リ重要ナル事項ニ
付不實ノ記載アル株式申込證、社債申
込證、目論見書、株式又ハ社債ノ募集ノ
廣〓其ノ他株式又ハ社債ノ募集ニ關ス
ル文書ヲ行使シタルトキハ五年以下ノ
懲役又ハ五千圓以下ノ罰金ニ處ス
株式又ハ社債ノ賣出ヲ爲ス者其ノ賣出
ニ關スル文書ニシテ重要ナル事項ニ付
不實ノ記載アルモノヲ行使シタルトキ
亦前項ニ同ジ
第四百九十一條第四百八十六條第一項
ニ揭グル者株金ノ拂込ヲ假裝スル爲預
合ヲ爲シタルトキハ五年以下ノ懲役又
ハ五千圓以下ノ罰金ニ處ス預合ニ應ジ
タル者亦同ジ
第四百九十二條前六條ノ罪ヲ犯シタル
者ニハ情狀ニ因リ懲役及罰金ヲ併科ス
ルコトヲ得
第四百九十三條第四百八十六條若ハ第
四百八十七條ニ揭グル者、檢査役又ハ
監査委員其ノ職務ニ關シ不正ノ請託ヲ
受ケ財產上ノ利益ヲ收受シ、要求シ又
ハ約束シタルトキハ三年以下ノ懲役又
ハ三千圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ利益ヲ供與シ又ハ其ノ申込若ハ
約束ヲ爲シタル者亦前項ニ同ジ
第四百九十四條左ニ揭グル事項ニ關シ
不正ノ請託ヲ受ケ財產上ノ利益ヲ收受
シ、要求シ又ハ約束シタル者ハ一年以
下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
創立總會、株主總會、社債權者集
會又ハ債權者集會ニ於ケル發言又ハ
議決權ノ行使
二第四章及第五章ニ定ムル訴ノ提起
又ハ資本ノ十分ノ一以上ニ當ル株主
若ハ社債總額ノ十分ノ一以上ニ當ル
社債權者ノ權利ノ行使
三第三百八十一條第一項、第四百三
十一條第一項、第四百三十九條第二
項第三項及第四百五十二條第一項ニ
定ムル權利ノ行使
前項ノ利益ヲ供與シ又ハ其ノ申込若ハ
約束ヲ爲シタル者亦前項ニ同ジ
第四百九十五條第四百九十三條第一項
又ハ前條第一項ノ場合ニ於テ犯人ノ收
受シタル利益ハ之ヲ沒收ス其ノ全部又
ハ一部ヲ沒收スルコト能ハザルトキハ
其ノ價額ヲ追徵ス
第四百九十六條第四百九十三條第二項
又ハ第四百九十四條第二項ノ罪ヲ犯シ
タル者自首シタルトキハ其ノ刑ヲ減輕
又ハ免除スルコトヲ得
第四百九十七條株金拂込ノ責任ヲ免ル
ル目的ヲ以テ他人又ハ假設人ノ名義ヲ
用ヒテ株式ヲ引受ケ若ハ讓受ケタル者
又ハ株式ノ讓渡ヲ假裝シタル者ハ一年
以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處
ス
第四百九十八條發起人、會社ノ業務ヲ
執行スル社員、取締役、外國會社ノ代
表者、監査役、檢查役、〓算人、整理
委員、監督員、第三百九十八條第一項
ノ管理人、監査委員、社債募集ノ委託
ヲ受ケタル會社、其ノ事務ノ承繼者、
社債權者集會ノ代表者、其ノ決議ヲ執
行スル者又ハ株式會社若ハ株式合資會
社ノ第二百五十八條第二項、第二百七
十條第一項、第二百七十一一條第一項、第
二百八十條若ハ第四百三十條第二項ノ
職務代行者若ハ支配人ハ左ノ場合ニ於
テハ五千圓以下ノ過料ニ處ス但シ其ノ
行爲ニ付刑ヲ科スベキトキハ此ノ限ニ
在ラズ
-本編ニ定ムル登記ヲ爲スコトヲ怠
リタルトキ
二本編ニ定ムル公〓若ハ通知ヲ爲ス
コトヲ怠リ又ハ不正ノ公〓若ハ通知
ヲ爲シタルトキ
三本編ノ規定ニ違反シ正當ノ事由ナ
クシテ書類ノ閱覽又ハ其ノ謄本若ハ
抄本ノ交付ヲ拒ミタルトキ
四本編ニ定ムル檢査又ハ調査ヲ妨ゲ
タルトキ
五官廳、總會、社債權者集會又ハ債
權者集會ニ對シ不實ノ申述ヲ爲シ又
ハ事實ヲ隱蔽シタルトキ
六第九十九條、第百條、第百十七條
第三項、第三百七十六條第二項又ハ
第四百十六條第一項ノ規定ニ違反シ
テ合併、會社財產ノ處分又ハ資本ノ
減少ヲ爲シタルトキ
七第百二十四條第三項若ハ第四百三
十條第一項ノ規定ニ違反シテ破產宣
〓ノ請求ヲ爲スコトヲ怠リ又ハ第四
百三十一條第二項ノ規定ニ違反シテ
特別〓算開始ノ申立ヲ爲スコトヲ怠
リタルトキ
八第百三十一條又ハ第四百三十條第
一項ノ規定ニ違反シテ會社財產ヲ分
配シタルトキ
九第百七十五條第二項、第三百一條
第二項、第三百五十條、第三百六十
條第一項、第三百六十六條第一項又
ハ第四百六十條第二項ノ規定ニ違反
シテ株式申込證又ハ社債申込證ヲ作
ラズ、之ニ記載スベキ事項ヲ記載セ
ズ又ハ不實ノ記載ヲ爲シタルトキ
十第百九十條第二項又ハ第三百七十
條第二項ノ規定ニ違反シテ株式ノ
引受ニ因ル權利ノ讓渡ヲ爲シタルト
キ
十一正當ノ事由ナクシテ株劵ノ名義
書換ヲ爲サザルトキ
十二第二百十一條ノ規定ニ違反シテ
株式失效ノ手續又ハ株式若ハ質權ノ
處分ヲ爲スコトヲ怠リタルトキ
十三第二百十二條第一項ノ規定ニ違
反シテ株式ノ消却ヲ爲シタルトキ
十四株劵又ハ債劵ニ記載スベキ事項
ヲ記載セズ又ハ不實ノ記載ヲ爲シタ
ルトキ
十五第二百二十六條第一項、第三百
七十條第三項又ハ第四百八十三條ノ
規定ニ違反シテ株劵ヲ發行シタルト
キ
十六第二百二十七條第一項ノ規定ニ
違反シテ株劵ヲ無記名式ト爲シタル
トキ
十七第二百三十四條ノ規定又ハ第二
百九十四條第三項ノ規定ニ依ル裁判
所ノ命令ニ違反シテ株主總會ヲ招集
セズ又ハ定款ニ定メタル地以外ノ地
ニ於テ若ハ第二百三十三條ノ規定
ニ違反シテ株主總會ヲ招集シタルト
キ
十八法律又ハ定款ニ定メタル取締役
又ハ監査役ノ員數ヲ缺クニ至リタル
場合ニ於テ其ノ選任手續ヲ爲スコト
ヲ怠リタルトキ
十九定款、株主名簿、社債原簿、議
事錄、財產目錄、貸借對照表、營業
報告書、事務報〓書、損益計算書、
準備金及利益若ハ利息ノ配當ニ關ス
ル議案、株主表、決算報告書、第三
十二條第一項ノ帳簿又ハ第四百四十
三條ノ調査書ニ記載スベキ事項ヲ記
載セズ又ハ不實ノ記載ヲ爲シタルト
キ
二十第二百六十三條第一項、第二百
八十二條第一項、第三百三十九條第
二項又ハ第四百三十條第二項ノ規定
ニ違反シテ帳簿又ハ書類ヲ備置カザ
ルトキ
二十一第二百八十八條又ハ第一一百八
十九條ノ規定ニ違反シテ準備金ヲ積
立テズ又ハ之ヲ使用シタルトキ
二十二第二百九十七條ノ規定ニ違反
シテ社債ヲ募集シ又ハ舊社債ノ償還
ヲ爲サザルトキ
二十三第三百六條第一項又ハ第四百
八十三條ノ規定ニ違反シテ債劵ヲ發
行シタルトキ
二十四第三百八十六條、第四百三十
二條、第四百三十七條又ハ第四百五
十四條第一項ノ規定ニ依ル裁判所ノ
財產保全ノ處分ニ違反シタルトキ
二十五裁判所ノ選任シタル管理人又
ハ〓算人ニ事務ノ引渡ヲ爲サザルト
キ
二十六〓算ノ結了ヲ遲延セシムル目
的ヲ以テ第百十七條第三項又ハ第四
百二十一條第一項ノ期間ヲ不當ニ定
メタルトキ
二十七第四百二十三條又ハ第四百三
十、八條ノ規定ニ違反シテ債務ノ辨濟
ヲ爲シタルトキ
二十八第四百四十五條第一項又ハ第
二項ノ規定ニ違反シタルトキ
二十九第四百八十四條第一項又ハ第
二項ノ規定ニ依ル裁判所ノ命令ニ違
反シタルトキ
第四百九十九條第四百八十六條、第四
百八十七條、第四百八十九條乃至第四
百九十一條又ハ第四百九十三條第一項
ニ揭グル者ガ法人ナルトキハ本章ノ罰
則ハ其ノ行爲ヲ爲シタル取締役其ノ他
業務ヲ執行スル役員又ハ支配人ニ之ヲ
適用ス
第五百條第五十六條第三項ノ設立委員
ハ本章ノ規定ノ適用ニ付テハ之ヲ發起
人ト看做ス
第二百六十三條ヲ第五百一條トシ以下第
二百七十九條迄順次二百三十八條宛繰下
グ
第二百八十條ヲ削リ第二百八十一條ヲ第
五百十八條トス
第二百八十二條ヲ第五百十九條トシ同條
中「第四百四十一條、第四百四十九條ノ
二、第四百五十七條、第四百六十一條及
ヒ第四百六十四條」ヲ「手形法第十二條乃
至第十四條第二項竝ニ小切手法第五條第
二項、第十九條及ヒ第二十一條」ニ改ム
第二百八十三條ヲ第五百二十條トシ以下
第二百八十五條迄順次二百三十七條宛繰
下グ
第二百八十五條ノ二ヲ第五百二十三條ト
シ同條中「第四十二條」ヲ「第五十二條」ニ
改ム
第二百八十六條ヲ第五百二十四條トシ以
下第三百三條迄順次二百三十八條宛繰下
グ
第三百四條ヲ第五百四十二條トシ同條中
「第百八條、第百十一條及ヒ第百十五條」
ヲ「第百五十條、第百五十三條及ヒ第百
五十六條」ニ改ム
第三百五條ヲ第五百四十三條トシ以下第
三百九條迄順次二百三十八條宛繰下グ
第三百十條ヲ第五百四十八條トシ同條中
「第三百八條」ヲ「第五百四十六條」ニ改
ム
第三百十一條ヲ第五百四十九條トス
第三百十二條ヲ第五百五十條トシ同條第
一項中「第三百八條」ヲ「第五百四十六條」
三八六
第三百十三條ヲ第五百五十一條トシ以下
第三百十七條迄順次二百三十八條宛繰下
グ
第三百十八條ヲ第五百五十六條トシ同條
中「第二百八十六條」ヲ「第五百二十四條」
三菱八
第三百十九條ヲ第五百五十七條トシ同條
中「第三十七條及ヒ第四十一條」ヲ「第四
十七條及ヒ第五十一條」ニ改ム
第三百二十條ヲ第五百五十八條トシ以下
第三百二十九條迄順次二百三十八條宛繰
下グ
第三百三十條ヲ第五百六十八條トシ同條
中「第三百三十八條及ヒ第三百四十三條」
ヲ「第五百七十八條及ヒ第五百八十三條」
三四人
第三百三十一條ヲ第五百六十九條トシ以
下第三百三十四條迄順次二百三十八條宛
繰下グ
第三百三十四條ノ二ヲ第五百七十三條ト
シ第三百三十四條ノ三ヲ第五百七十四條
トス
第三百三十五條ヲ第五百七十五條トシ以
下第三百四十六條迄順次二百四十條宛繰
下グ
第三百四十七條ヲ第五百八十七條トシ同
條中「第二百八十六條」ヲ「第五百二十四
條」三四八、
第三百四十八條ヲ第五百八十八條トス
第三百四十九條ヲ第五百八十九條トシ同
條中「第三百二十四條、第三百二十五條、
第三百二十八條及ヒ第二一百二十九條」ヲ
「第五百六十二條、第五百六十三條、第
五百六十六條及ヒ第五百六十七條」ニ改
ム
第三百五十條ヲ第五百九十條トス
第三百五十一條ヲ第五百九十一條トシ同
條第二項中「第二百八十六條」ヲ「第五百
二十四條」ニ改ム
第三百五十二條ヲ第五百九十二條トシ以
下第三百六十二條迄順次二百四十條宛繰
下グ
第三百六十三條ヲ削リ第三百六十四條ヲ
第六百三條トス
第三百六十五條ヲ第六百四條トシ同條中
「第三百三十四條ノ二及ヒ第三百三十五
條」ヲ「第五百七十三條及ヒ第五百七十五
條」ニ改ム
第三百六十六條ヲ第六百五條トシ第三百
六十七條ヲ第六百六條トス
第三百六十七條ノ二ヲ第六百七條トシ第
三百六十七條ノ三ヲ第六百八條トス
第三百六十八條ヲ第六百九條トシ以下第
三百七十一條迄順次二百四十一條宛繰下
グ
第三百七十二條ヲ第六百十三條トシ同條
第二項中「第四百八十七條ノ二乃至第四
百八十八條ノ四、第四百九十一條、第四
百九十二條及ヒ第四百九十五條」ヲ「手形
法第四十五條第一項第三項第五項第六
項、第四十八條第一項、第四十九條及ヒ
第五十條第一項」ニ改メ同條ニ左ノ一項
ヲ加フ
手形法第五十二條第三項ノ規定ハ不足
額ノ請求ヲ受クル者ノ營業所又ハ住所
ノ所在地カ其請求ヲ爲ス者ノ營業所又
ハ住所ノ所在地ト異ナル場合ニ於ケル
償還額ノ算定ニ付キ之ヲ準用ス
第三百七十三條ヲ第六百十四條トシ以下
第三百八十條迄順次二百四十一條宛繰下
グ
第三百八十條ノ二ヲ第六百二十二條トス
第三百八十條ノ三ヲ第六百二十三條トシ
同條第二項中「第三百七十一條」ヲ「第六
百十二條」三四人
第三百八十一條ヲ第六百二十四條トシ同
條第一項中「第二百八十六條」ヲ「第五百
二十四條」ニ、同條第二項中「第三百七
十條及ヒ第三百七十一條」ヲ「第六百十一
條及ヒ第六百十二條」三段人
第三百八十二條ヲ第六百二十五條トシ同
條中「第三百四十八條」ヲ「第五百八十八
條」三段人
第三百八十三條ヲ第六百二十六條トシ第
三百八十三條ノ二ヲ第六百二十七條トシ
第三百八十三條ノ三ヲ第六百二十八條ト
ス
第三百八十四條ヲ第六百二十九條トシ以
下第三百九十七條迄順次二百四十五條宛
繰下グ
第三百九十八條ヲ削リ第三百九十九條ヲ
第六百四十三條トシ第三百九十九條ノ二
ヲ第六百四十四條トシ第三百九十九條ノ
三ヲ第六百四十五條トス
第四百條ヲ第六百四十六條トシ以下第四
百十三條迄順次二百四十六條宛繰下グ
第四百十四條ヲ第六百六十條トシ同條第
二項中「第三百九十一條」ヲ「第六百三十
六條」ご依人
第四百十五條ヲ第六百六十一條トシ以下
第四百十八條迄順次二百四十六條宛繰下
グ
第四百十九條ヲ第六百六十五條トシ同條
中「第三百九十五條及ヒ第三百九十六條」
ヲ「第六百四十條及ヒ第六百四十一條」ニ
改ム
第四百二十條ヲ第六百六十六條トシ第四
百二十一條ヲ第六百六十七條トス
第四百二十二條ヲ第六百六十八條トシ同
條中「第四百三條」ヲ「第六百四十九條」ニ
改ム
第四百二十三條ヲ第六百六十九條トシ第
四百二十四條ヲ第六百七十條トス
第四百二十五條ヲ第六百七十一條トシ同
條中「第四百三條」ヲ「第六百四十九條」ニ
改ム
第四百二十六條ヲ第六百七十二條トシ以
下第四百二十八條迄順次一一百四十六條宛
繰下グ
第四百二十八條ノ二ヲ第六百七十五條ト
シ第四百二十八條ノ三ヲ第六百七十六條
トス
第四百二十八條ノ四ヲ第六百七十七條ト
シ同條第二項中「第四百一一十八條」ヲ「第
六百七十四條」三五五
第四百二十九條ヲ第六百七十八條トシ同
條第二項中「第三百九十九條ノ二第二項
及ヒ第三百九十九條ノ一一」ヲ「第六百四十
四條第二項及ヒ第六百四十五條」ニ改
ム
第四百三十條ヲ第六百七十九條トシ同條
中「第四百三條」ヲ「第六百四十九條」ニ改
ム
第四百三十一條ヲ第六百八十條トシ第四
百三十二條ヲ第六百八十一條トシ第四百
三十二條ノ二ヲ第六百八十二條トス
第四百三十三條ヲ第六百八十三條トシ同
條第一項中「第三百九十五條、第三百九
十七條、第三百九十九條、第四百條、
第四百一條、第四百三條第一項、
第四百五條乃至第四百七條、第四
百十條、第四百十一條、第四百十
七條及ヒ第四百十八條」ヲ「第六百
四十條、第六百四十二條、第六百四十三
條、第六百四十六條、第六百四十七條、
第六百四十九條第一項、第六百五十一條
乃至第六百五十三條、第六百五十六條、
第六百五十七條、第六百六十三條及ヒ第
六百六十四條」ニ、同條第二項中「第三百
九十五條、第四百五條、第四百七條、第
四百十條及ヒ第四百十一條」ヲ「第六百四
十條、第六百五十一條、第六百五十三條、
第六百五十六條及ヒ第六百五十七條」ニ
改ム
第五百三十八條ヲ第六百八十四條トシ以
下第五百四十四條迄順次百四十六條宛繰
下グ
第五百四十四條ノ二ヲ第六百九十一條ト
ス
第五百四十五條ヲ第六百九十二條トシ同
條中「第五百四十四條」ヲ「第六百九十條」
三六人
第五百四十六條ヲ第六百九十三條トシ以
下第五百六十七條迄順次百四十七條宛繰
下グ
第五百六十八條ヲ第七百十五條トシ同條
第一項第三號中「第五百六十五條」ヲ「第
七百十二條」三六八
第五百六十九條ヲ第七百十六條トシ同條
中「第五百四十四條」ヲ「第六百九十條」ニ
改ム
第五百七十條ヲ第七百十七條トシ第五百
七十一條ヲ第七百十八條トス
第五百七十二條ヲ第七百十九條トシ同條
中「第五百六十八條」ヲ「第七百十五條」ニ
改ム
第五百七十三條ヲ第七百二十條トシ以下
第五百八十八條迄順次百四十七條宛繰下
グ
第五百八十九條ヲ第七百三十六條トシ同
條中「第五百七十五條」ヲ「第七百二十二
條」ニ改ム
第五百九十條ヲ第七百三十七條トシ以下
第五百九十九條迄順次百四十七條宛繰下
第六百條ヲ第七百四十七條トシ同條中「第
六百六條」ヲ「第七百五十三條」ニ改ム
第六百一條ヲ第七百四十八條トシ第六百
二條ヲ第七百四十九條トス
第六百三條ヲ第七百五十條トシ同條中「第
六百一條」ヲ「第七百四十八條」ニ改ム
第六百四條ヲ第七百五十一條トシ以下第
六百八條迄順次百四十七條宛繰下グ
第六百九條ヲ第七百五十六條トシ同條中
「第五百九十四條第二項又ハ第六百五條
第二項」ヲ「第七百四十一條第二項又ハ第
七百五十二條第二項」ニ改ム
第六百十條ヲ第七百五十七條トシ同條第
一項中「第六百六條」ヲ「第七百五十三條」
三六人
第六百十一條ヲ第七百五十八條トス
第六百十二條ヲ第七百五十九條トシ同條
中「第五百四十四條」ヲ「第六百九十條」ニ
改ム
第六百十三條ヲ第七百六十條トシ同條第
一項第一號及第二項中「第五百八十七條」
ヲ「第七百三十四條」ニ改ム
第六百十四條ヲ第七百六十一條トス
第六百十五條ヲ第七百六十二條トシ同條
第一項中「第六百十三條」ヲ「第七百六十
條」ニ改ム
第六百十六條ヲ第七百六十三條トシ同條
中「第六百十三條」ヲ「第七百六十條」ニ
「第六百十四條」ヲ「第七百六十一條」ニ改
ム
第六百十七條ヲ第七百六十四條トシ同條
第一號中「第五百六十八條」ヲ「第七百十
五條」ニ、同條第二號中「第五百七十二條」
ヲ「第七百十九條」ニ、同條第三號中「第六
百四十一條」ヲ「第七百八十八條」ニ改ム
第六百十八條ヲ第七百六十五條トス
第六百十九條ヲ第七百六十六條トシ同條
中「第三百二十八條、第二一百三十六條乃至
第三百四十一條及ヒ第三百四十八條」ヲ
「第五百六十六條、第五百七十六條乃至第
五百八十一條及ヒ第五百八十八條」ニ改
ム
第六百二十條ヲ第七百六十七條トシ以下
第六百二十五條迄順次百四十七條宛繰下
グ
第六百二十六條ヲ第七百七十三條トシ同
條中「第六百二十四條」ヲ「第七百七十一
條」ニ改ム
第六百二十七條ヲ第七百七十四條トシ第
六百二十八條ヲ第七百七十五條トス
第六百二十九條ヲ第七百七十六條トシ同
條中「第三百三十四條乃至第三百三十五
條及ヒ第三百四十四條」ヲ「第五百七十二
條乃至第五百七十五條及ヒ第五百八十四
條」ニ改ム
第六百三十條ヲ第七百七十七條トシ以下
第六百三十六條迄順次百四十七條宛繰下
第六百三十七條ヲ第七百八十四條トシ同
條中「第五百八十七條」ヲ「第七百三十四
條」ニ改ム
第六百三十八條ヲ第七百八十五條トス
第六百三十九條ヲ第七百八十六條トシ同
條第一項中「第三百五十條、第三百五十一
條第一項、第三百五十二條、第五百九十
一條、第五百九十二條、第六百十四條及ヒ
第六百十八條」ヲ「第五百九十條、第五百
九十一條第一項、第五百九十二條、第七
百三十八條、第七百三十九條、第七百六
十一條及ヒ第七百六十五條」ニ、同條第二
項中「第五百九十三條及ヒ第六百十七條」
ヲ「第七百四十條及ヒ第七百六十四條」ニ
改ム
第六百四十條ヲ第七百八十七條トシ以下
第六百四十六條迄順次百四十七條宛繰下
第六百四十七條ヲ第七百九十四條トシ同
條第二項中「第三百三十八條」ヲ「第五百
七十八條」ニ改ム
第六百四十八條ヲ第七百九十五條トス
第六百四十九條ヲ第七百九十六條トシ同
條中「第六百四十二條」ヲ「第七百八十九
條」三四人
第六百五十條ヲ第七百九十七條トシ以下
第六百五十二條迄順次百四十七條宛繰下
グ
第六百五十二條ノ二ヲ第八百條トシ第六
百五十二條ノ三ヲ第八百一條トシ第六百
五十二條ノ四ヲ第八百一一條トシ第六百五
十二條ノ五ヲ第八百三條トス
第六百五十二條ノ六ヲ第八百四條トシ同
條第一項中「第六百五十二條ノ三」ヲ「第
八百一條」三郎八
第六百五十二條ノ七ヲ第八百五條トシ第
六百五十二條ノ八ヲ第八百六條トシ第六
百五十二條ノ九ヲ第八百七條トシ第六百
五十二條ノ十ヲ第八百八條トシ第六百五
十二條ノ十一ヲ第八百九條トシ第六百五
十二條ノ十二ヲ第八百十條トシ第六百五
十二條ノ十三ヲ第八百十一條トシ第六百
五十二條ノ十四ヲ第八百十二條トシ第六
百五十二條ノ十五ヲ第八百十三條トシ第六
百五十二條ノ十六ヲ第八百十四條トス
第六百五十三條ヲ第八百十五條トシ以下
第六百六十條迄順次百六十二條宛繰下
グ
第六百六十一條ヲ第八百二十三條トシ同
條中「第四百三條」ヲ「第六百四十九條」ニ
改ム
第六百六十二條ヲ第八百二十四條トシ以
下第六百六十九條迄順次百六十二條宛繰
下グ
第六百七十條ヲ第八百三十二條トシ同條
第一項中「第三百九十一條」ヲ「第六百三
十六條」三四人
第六百七十一條ヲ第八百三十三條トシ第
六百七十二條ヲ第八百三十四條トス
第六百七十三條ヲ第八百三十五條トシ同
條中「第六百七十一條」ヲ「第八百三十三
條」三段八、
第六百七十四條ヲ第八百三十六條トシ同
條第二項中「第六百七十一條」ヲ「第八百
三十三條」三郎人
第六百七十五條ヲ第八百三十七條トシ以
下第六百七十九條迄順次百六十二條宛繰
下グ
第六百八十條ヲ第八百四十二條トシ同條
第九號中「第五百四十四條」ヲ「第六百九
十條」ニ改ム
第六百八十一條ヲ第八百四十三條トス
第六百八十二條ヲ第八百四十四條トシ同
條第一項及第二項中「第六百八十條」ヲ
「第八百四十二條」ニ改ム
第六百八十三條ヲ第八百四十五條トシ第
六百八十四條ヲ第八百四十六條トス
第六百八十五條ヲ第八百四十七條トシ同
條第二項中「第六百八十條」ヲ「第八百四
十二條」ニ改ム
第六百八十六條ヲ第八百四十八條トシ以
下順次百六十二條宛繰下グ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令以テ之ヲ定ム
商法中改正法律施行法案
商法中改正法律施行法
第一條本法ニ於テ新法トハ昭和十三年
商法中改正法律ニ依ル改正規定ヲ謂ヒ
舊法トハ從前ノ規定ヲ謂フ
第二條新法ハ別段ノ規定アル場合ヲ除
クノ外新法施行前ニ生ジタル事項ニモ
亦之ヲ適用ス但シ舊法ニ依リテ生ジタ
ル效力ヲ妨ゲズ
第三條新法第八條ノ小商人トハ資本金
額二千圓ニ滿タザル商人ニシテ會社ニ
非ザル者ヲ謂フ
第四條新法第十一條第二項ノ規定ハ新
法施行前ニ登記シタル事項ニ付新法施
行後公〓ヲ爲ス場合ニモ亦之ヲ適用ス
第五條新法第十九條、第二十條第二項、
第二十五條第一項及第五百二十七條第
三項ニ揭グル市町村ハ市制又ハ町村制
ヲ施行セザル地方ニ在リテハ之ニ準ズ
ル區域トス
新法第十九條、第二十條第二項及第二
十五條第一項ニ揭グル市ハ東京市、京
都市、大阪市、横濱市、神戶市及名古
屋市ニ在リテハ其ノ各區トス
第六條新法第二十二條ノ規定ハ新法施
行前ニ商號ヲ使用シタル場合ニハ之ヲ
適用セズ
第七條新法第二十五條第二項ノ規定ノ
適用ニ付テハ北海道及樺太ハ各之ヲ
府縣ト看做ス
第八條新法第二十六條ノ規定ハ新法施
行前ニ營業ノ讓渡アリタル場合ニハ之
ヲ適用セズ
第九條新法第三十條ノ規定ハ商號ノ登
記ヲ爲シタル者ガ新法施行前ヨリ商號
ヲ使用セザル場合ニ於テハ新法施行ノ
前後ノ期間ヲ通算シテ之ヲ適用ス
第十條新法第五十八條第一項ノ規定ハ
會社ガ新法施行前ヨリ開業ヲ爲サズ又
ハ營業ヲ休止シタル場合ニ於テハ新法
施行ノ前後ノ期間ヲ通算シテ之ヲ適用
ス
第十一條會社ガ新法施行前ニ成立シタ
ル場合ニ於テハ其ノ設立ノ登記ニ付テ
ハ舊法ヲ適用ス
前項ノ規定ハ新法施行前ニ支店ノ設置、
本店若ハ支店ノ移轉、登記事項ノ變更
又ハ會社ノ解散アリタル場合ノ登記ニ
之ヲ準用ス
第十二條新法施行前ニ舊法ニ依リテ設
立ノ登記ヲ爲シタル會社ハ新法施行ノ
日ヨリ六月內ニ、新法施行後舊法ニ依
リテ設立ノ登記ヲ爲シタル會社ハ登記
ノ日ヨリ六月內ニ會社ノ設立ニ付新法
ニ依リ新ニ登記スベキモノト爲リタル
事項ヲ登記スルコトヲ要ス
前項ノ規定ニ違反シタルトキハ其ノ會
社ノ業務ヲ執行スル社員又ハ取締役ヲ
五百圓以下ノ過料ニ處ス
第十三條新法第八十六條乃至第八十八
條ノ規定ハ新法施行前ニ生ジタル事由
ニ基キ合名會社ノ社員ノ除名又ハ業務
執行權若ハ代表權ノ喪失ノ宣告ヲ請求
スル場合ニモ亦之ヲ適用ス
前項ノ規定ハ合資會社及株式合資會社
ニ之ヲ準用ス
第十四條新法第九十條及第九十一條ノ
規定ハ新法施行前ニ合名會社ノ社員ノ
持分ヲ差押ヘタル場合ニモ亦之ヲ適用
ス
前項ノ規定ハ合資會社及株式合資會社
ニ之ヲ準用ス
第十五條新法第九十五條又ハ第四百六
條ノ規定ハ合名會社又ハ株式會社ガ新
法施行前ニ解散シタル場合ニモ亦之ヲ
適用ス
前項ノ規定ハ合資會社及株式合資會社
ニ之ヲ準用ス
新法第九十七條ノ規定ハ合名會社ガ新
法施行前ニ解散ノ登記ヲ爲シタル場合
ニモ亦之ヲ適用ス
前項ノ規定ハ合資會社、株式會社及株
式合資會社ニ之ヲ準用ス
第十六條合併ヲ爲ス會社ノ全部ガ新法
施行前ニ合併ノ決議ヲ爲シタル場合ニ於
テハ其ノ合併ニ付テハ舊法ヲ適用ス
第十七條新法第百條第一項若ハ第四百
二十一條又ハ其ノ準用規定ニ依リ爲ス
ベキ公〓ハ裁判所ガ爲スベキ登記事項
ノ公〓ト同一ノ方法ヲ以テ之ヲ爲スコ
トヲ要ス
第十八條新法施行前ニ爲シタル合併ニ
付テハ新法施行ノ日ヨリ六月內ニ、新
法施行後舊法ニ依リテ爲シタル合併ニ
付テハ本店ノ所在地ニ於テ合併ニ關ス
ル登記ヲ爲シタル日ヨリ六月內ニ限リ
合併無效ノ訴ヲ提起スルコトヲ得
第十九條新法第百四條第三項、第百五
條第三項第四項及第百六條乃至第百十
一條ノ規定ハ新法第百四條第二項ニ揭
グル者ガ新法施行前ニ提起シタル合併
ノ無效確認ノ訴ニモ亦之ヲ適用ス但シ
其ノ訴ニ付爲シタル判決ガ新法施行前
ニ確定シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ規定ハ合資會社ニ之ヲ準用ス
第一項ノ規定ハ新法第四百十五條ニ揭
グル者ガ新法施行前ニ提起シタル合併
ノ無效確認ノ訴ニ之ヲ準用ス
前二項ノ規定ハ株式合資會社ニ之ヲ準
用ス
第二十條合名會社ノ社員ガ新法施行前
ニ會社ノ解散ヲ裁判所ニ請求シタル場
合ニ於テモ新法施行後ハ裁判所ハ舊法
ニ依リ會社ノ解散ニ代ヘテ或社員ヲ除
名スルコトヲ得ズ
前項ノ規定ハ合資會社ニ之ヲ準用ス
第二十一條合名會社、合資會社又ハ株
式合資會社ガ新法施行前ニ組織變更ノ
決議ヲ爲シタル場合ニ於テハ其ノ組織
變更ニ付テハ舊法ヲ適用ス
第二十二條會社ガ新法施行前ニ解散シ
タル場合ニ於テハ其ノ〓算ニ付テハ舊
法ヲ適用ス
株式會社ノ解散ノ場合ニ於テ債權申出
ノ期間ガ新法施行後ニ亙ルトキハ新法
施行前ニ舊法ニ依リテ爲シタル手續ヲ
除クノ外其ノ〓算ニ付テハ新法ヲ適用
ス此ノ場合ニ於テハ〓算人ハ新法施行
後遲滯ナク新法第四百十八條及第四百
十九條第二項ニ定ムル手續ヲ爲スコト
ヲ要ス
前項ノ規定ハ株式合資會社ニ之ヲ準用
ス
第二十三條前條第一項ノ場合ニ於テ業
務ヲ執行スル社員又ハ取締役ガ〓算人
ト爲リタルトキハ新法施行ノ日ヨリ本
店ノ所在地ニ於テハ二週間、支店ノ所在
地ニ於テハ三週間內ニ新法第百二十三
條第一項各號ニ揭グル事項ノ登記ヲ爲
スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ違反シタルトキハ其ノ會社
ノ業務ヲ執行スル社員又ハ取締役ヲ五
百圓以下ノ過料ニ處ス
第二十四條新法施行前ニ成立シタル會
社ニ付テハ新法施行ノ日ヨリ六月內ニ
限リ設立ノ無效又ハ取消ノ訴ヲ提起ス
ルコトヲ得但シ本店ノ所在地ニ於テ設
立ノ登記ヲ爲シタル日ヨリ二年ノ期間
ヲ經過セザルモノニ付テハ其ノ期間内
ハ之ヲ提起スルコトヲ妨ゲズ
新法施行後舊法ニ依リテ成立シタル會社
ニ付テハ本店ノ所在地ニ於テ設立ノ登
記ヲ爲シタル日ヨリ二年內ニ限リ設立
無效ノ訴ヲ提起スルコトヲ得
第二十五條新法第百七條ノ規定ハ新法
施行前ニ提起シタル合名會社ノ設立無
效ノ訴ニモ亦之ヲ準用ス
前項ノ規定ハ合資會社、株式會社及株
式合資會社ニ之ヲ準用ス
第二十六條新法第百三十九條ノ規定ハ
合名會社ノ設立ヲ無效トスル判決ガ新
法施行前ニ確定シタル場合ニモ亦之ヲ
適用ス
前項ノ規定ハ合資會社ニ之ヲ準用ス
第二十七條新法第百四十九條第二項ノ
規定ハ新法施行前ニ登記アリタル事
項ニ付新法施行後公〓ヲ爲ス場合ニモ
亦之ヲ適用ス
第二十八條新法第百六十二條第一項但
書ノ規定ハ合資會社ガ新法施行前ニ解
散シタル場合ニモ亦之ヲ適用ス
第二十九條株式會社ガ新法第百六十六
條第二項ニ定ムル公〓方法ト異ル定ヲ
爲シタル場合ニ於テハ新法施行前ニ成
立シタル會社ニ在リテハ新法施行ノ日
ヨリ六月內ニ、新法施行後舊法ニ依リ
テ成立シタル會社ニ在リテハ成立ノ日
ヨリ六月內ニ其ノ定款ヲ變更スルコト
ヲヨハ
前項ノ規定ニ違反シタルトキハ其ノ會
社ノ取締役ヲ五百圓以下ノ過料ニ處ス
第三十條新法施行前ニ發起人ガ株式ノ
總數ヲ引受ケ又ハ株式ノ募集ニ着手シ
タル場合ニ於テハ其ノ設立ニ付テハ舊
法ヲ適用ス
新法施行前ニ發起人ガ株式ノ總數ヲ引
受ケ又ハ株式ノ募集ニ着手シタルニ非
ザル場合ニ於テハ新ニ新法ニ依リ定款
ヲ作リ設立ノ手續ヲ爲スコトヲ要ス
第三十一條新法第百九十一條ノ規定ハ
株式會社ガ舊法ニ依リテ成立シタル場
合ニモ亦之ヲ適用ス但シ新法施行前ニ
株式ノ引受ノ無效ヲ主張シ又ハ其ノ引
受ヲ取消シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ規定ハ舊法ニ依リテ爲シタル資
本增加ノ場合ニ之ヲ準用ス
第三十二條新法第百九十六條ノ規定ハ
賠償責任ノ原因タル事實ガ新法施行前
ニ生ジタル場合ニモ亦之ヲ適用ス
第三十三條新法第百九十七條ノ規定ハ
訴ノ原因タル事實ガ新法施行前ニ生ジ
タル場合ニモ亦之ヲ適用ス但シ訴提起
ノ請求ハ新法施行ノ日ヨリ三月內ニ之
ヲ爲スコトヲ要ス
第四十三條ノ規定ハ新法施行前ニ發起
人ニ對シテ提起シタル訴ニ之ヲ準用ス
第三十四條新法第百九十八條ノ規定ハ
新法施行前ニ同條ノ承諾アリタル場合
ニハ之ヲ適用セズ
第三十五條新法第二百五條、第二百六
條及第二百二十九條ノ規定ハ新法施行
前ニ株劵ヲ發行シタル株式ニモ亦之ヲ
適用ス
第三十六條新法第二百八條及第二百九
條ノ規定ハ新法施行前ニ設定シタル質
權ニモ亦之ヲ適用ス
第三十七條新法施行前ニ自己ノ株式ヲ
取得シ又ハ質權ノ目的トシテ之ヲ受ケ
タル株式會社ハ新法施行後遲滯ナク又
ハ新法施行後相當ノ時期ニ於テ新法第
二百十一條ノ規定ニ依ル株式失效ノ手
續又ハ株式若ハ質權ノ處分ヲ爲スコト
ヲ要ス
前項ノ規定ニ違反シタルトキハ其ノ會
社ノ取締役又ハ〓算人ヲ千圓以下ノ過
料ニ處ス
第三十八條株式會社ガ新法施行前ニ株
金ノ拂込ヲ催告シタル場合ニ於テハ其
ノ拂込ニ關シテハ舊法第百五十二條第
二項第三項及第百五十三條乃至第百五
十四條ノ規定ヲ適用ス
前項ノ規定ハ新法第二百二十四條第三
項ノ規定ノ適用ヲ妨ゲズ
第三十九條新法第二百十九條第二項ノ
規定ハ新法施行前ニ株式ヲ引受ケタル
發起人ニハ之ヲ適用セズ
第四十條新法第二百三十條第二項ノ規
定ハ新法施行前ニ株劵ヲ喪失シタル場
合ニモ亦之ヲ適用ス
第四十一條新法第二百四十七條乃至第
二百五十三條ノ規定ハ訴ノ原因タル事
實ガ新法施行前ニ生ジタル場合ニモ亦
之ヲ適用ス但シ新法第二百五十三條ノ
訴ハ新法施行ノ日ヨリ一月內ニ之ヲ提
起スルコトヲ要ス
前項ノ規定ハ創立總會ニ之ヲ準用ス
第四十二條新法第二百五十一條又ハ第
二百五十二條ノ規定ハ新法施行前ニ提
起シタル決議無效又ハ決議無效確認ノ
訴ニモ亦之ヲ適用ス但シ其ノ訴ニ付爲
シタル判決ガ新法施行前ニ確定シタル
トキハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ規定ハ新法施行前ニ提起シタル
創立總會ノ決議無效又ハ決議無效確認
ノ訴ニ之ヲ準用ス
第四十三條新法第二百六十七條第二項
ノ規定ハ新法施行前ニ提起シタル訴ニ
モ亦之ヲ適用ス
第四十四條新法第二百六十八條第一項
ノ規定ハ新法施行前ニ株主總會ニ於テ
取締役ニ對シテ訴ヲ提起スルコトヲ否
決シタル場合ニモ亦之ヲ適用ス此ノ場
合ニ於テハ訴提起ノ請求ハ新法施行ノ
日ヨリ三月內ニ之ヲ爲スコトヲ要ス
新法第二百六十八條第三項ノ規定ハ新
法施行前ニ提起シタル訴ニモ亦之ヲ適
用ス
第四十五條前二條ノ規定ハ監査役又ハ
〓算人ニ對シテ提起スル訴ニ之ヲ準用
ス
第四十六條新法施行前ノ假處分ニ因リ
新法施行ノ際職務ノ執行ヲ停止セラル
ル取締役又ハ其ノ職務ヲ代行スル者ニ
付テハ新法第二百七十條第三項ノ規定
ニ依リ其ノ登記ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ規定ハ新法施行ノ際職務ノ執行
ヲ停止セラルル監査役若ハ〓算人又ハ
其ノ職務ヲ代行スル者ニ之ヲ準用ス
第四十七條新法第二百七十一條ノ規定
ハ新法施行前ニ選任シタル取締役ノ職
務代行者ニモ亦之ヲ適用ス
前項ノ規定ハ〓算人ノ職務代行者ニ之
ヲ準用ス
第四十八條新法施行ノ際舊法第百八十
四條第一項但書ノ規定ニ依リ取締役ノ
職務ヲ行フ監査役ニ付テハ新法施行ノ
日ヨリ本店ノ所在地ニ於テハ二週間、
支店ノ所在地ニ於テハ三週間內ニ新法
第二百七十六條第二項ノ規定ニ依リ其
ノ登記ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ規定ハ新法施行ノ際〓算人ノ職
務ヲ行フ監査役ニ之ヲ準用ス
第一項ノ規定ニ違反シタルトキハ其ノ
會社ノ取締役及其ノ職務ヲ行フ監査役
ヲ五百圓以下ノ過料ニ處ス第二項ノ規
定ニ違反シタルトキ其ノ會社ノ〓算
人及其ノ職務ヲ行フ監査役ニ付亦同ジ
第四十九條株式會社ノ財產目錄、貸借
對照表及損益計算書ノ記載方法其ノ他
ノ樣式ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第五十條新法第二百八十一條又ハ第四
百二十條ニ揭グル書類ハ新法施行前ニ
株主總會招集ノ通知ヲ發シタル場合ニ
於テハ舊法ニ依リ之ヲ提出スルヲ以テ
足ル
第五十一條新法第二百八十一條又ハ第
四百二十條ニ揭グル書類及監査役ノ報
告書ハ新法施行前ニ株主總會招集ノ通
知ヲ發シタル場合ニ於テハ舊法ニ依リ
之ヲ備置クヲ以テ足ル
第五十二條株式會社ガ新法施行前ニ新
法第二百八十六條ニ揭グル金額又ハ稅
額ヲ貸借對照表ノ資產ノ部ニ計上シタ
ル場合ニ於テハ新法施行ノ日ヨリ五年
內ニ、若シ新法施行後利息ノ配當ヲ止
メタルトキハ之ヲ止メタル後五年內ニ
同條ノ規定ニ依リ償却ヲ爲スコトヲ要
ス
第五十三條株式會社ガ新法施行前ニ新
法第二百八十七條ノ差額又ハ新法第二
百九十一條ノ配當金額ヲ貸借對照表ノ
資產ノ部ニ計上シタル場合ニ於テハ新
法第二百八十七條又ハ第二百九十一條
第三項ノ規定ニ依リ償却ヲ爲スコトヲ
要ス
第五十四條新法第二百九十五條ノ規定
ハ新法施行前ニ生ジタル債權ニモ亦之
ヲ適用ス
第五十五條株式會社ガ新法施行前ニ社
債募集ノ決議ヲ爲シタル場合ニ於テハ
其ノ社債ノ募集ニ付テハ舊法ヲ適用ス
第五十六條銀行又ハ信託會社ニ非ザレ
バ社債募集ノ委託ヲ受ケ又ハ新法第三
百十四條ノ事務承繼者ト爲ルコトヲ得
ズ
前項ノ規定ハ新法施行前ニ社債募集ノ
委託ヲ受ケタル場合ニハ之ヲ適用セズ
第五十七條新法第三百九條乃至第三百
十四條ノ規定ハ新法施行前ニ社債募集
ノ委託ヲ受ケタル場合ニハ之ヲ適用セ
ズ
第五十八條新法第三百十六條ノ規定ハ
新法施行前ニ生ジタル債權ニモ亦之ヲ
適用ス
第五十九條新法第二編第四章第五節第
二款ノ規定ハ社債募集ノ委託ヲ受ケタ
ル者ノ事務處理ニ關スルモノヲ除クノ
外舊法ニ依リテ募集シタル社債ニモ亦
之ヲ適用ス
第六十條新法第三百二十條第四項若ハ
第三百二十一條第二項又ハ其ノ準用規
定ニ依リ爲スベキ供託ハ供託局ニ之ヲ
爲サザル場合ニ於テハ司法大臣ノ指定
スル銀行又ハ信託會社ニ之ヲ爲スコト
ヲ要ス
第六十一條社債權者集會ノ招集、償還
額ノ支拂又ハ償還ニ關スル社債權者集
會ノ決議ノ執行ニ當リ爲スベキ公〓ハ
社債ヲ發行シタル會社ノ定款ニ定ムル
公告方法ニ依ルコトヲ要ス
第六十二條新法施行前ニ資本增加ノ爲
株式ノ募集ニ着手シタル場合ニ於テハ
其ノ資本增加ニ付テハ舊法ヲ適用ス
第六十三條株式會社ガ新法施行前ニ資
本減少ノ決議ヲ爲シタル場合ニ於テハ
其ノ資本減少ニ付テハ舊法ヲ適用ス
新法第三百七十六條第三項ノ規定ハ舊
法ニ依ル資本ノ減少ニ於テ債權者ノ異
議ヲ述ブベキ期間ガ新法施行後ニ亙ル
場合ニモ亦之ヲ適用ス
第六十四條新法施行前ニ爲シタル資本ノ
增加又ハ減少ニ付テハ新法施行ノ日ヨ
リ六月內ニ、新法施行後舊法ニ依リテ
爲シタル資本ノ增加又ハ減少ニ付テハ
本店ノ所在地ニ於テ資本ノ增加又ハ減
少ノ登記ヲ爲シタル日ヨリ六月內ニ限
リ其ノ無效ノ訴ヲ提起スルコトヲ得
第六十五條新法第三百七十二條乃至第
三百七十四條又ハ第三百八十條第三項
ノ規定ハ新法第三百七十一條第二項又
ハ第三百八十條第二項ニ揭グル者ガ新
法施行前ニ提起シタル資本ノ增加又ハ
減少ノ無效確認ノ訴ニモ亦之ヲ適用ス
但シ其ノ訴ニ付爲シタル判決ガ新法施
行前ニ確定シタルトキハ此ノ限ニ在ラ
ズ
第六十六條第六十三條第二項ノ規定ハ
株式會社ノ合併ノ場合ニ之ヲ準用ス
第六十七條合併後存續スル會社又ハ合
併ニ因リテ設立シタル會社ニ新法施行
ノ際合併ニ因リテ承繼シタル社債アル
トキハ新法施行ノ日ヨリ一月內ニ新法
第四百十四條第二項ノ規定ニ依リ社債
ノ登記ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ違反シタルトキハ其ノ會
社ノ取締役ヲ五百圓以下ノ過料ニ處ス
第六十八條第二十九條乃至前條ノ規定
ハ株式合資會社ニ之ヲ準用ス此ノ場合
ニ於テ取締役トアルハ業務ヲ執行スル
社員トス
第六十九條新法第四百七十一條ノ規定
ハ株式合資會社ガ新法施行前ニ解散シ
タル場合ニモ亦之ヲ適用ス
第七十條新法第四百八十四條第一項ノ
規定ハ外國會社ノ日本ニ於ケル支店ガ
新法施行前ヨリ開業ヲ爲サズ又ハ營業
ヲ休止シタル場合ニ於テハ新法施行ノ
前後ノ期間ヲ通算シテ之ヲ適用ス
第七十一條新法第四百八十五條ノ規定
ハ新法施行前ニ外國會社ノ支店ニ對シ
テ其ノ閉鎖ヲ命ジ又ハ外國會社ガ其ノ
支店ヲ閉鎖シタル場合ニモ亦之ヲ適用
ス
第七十二條新法施行前ニ舊法第十八條
第二項及第二編第七章ノ規定ヲ適用ス
ベキ行爲アリタルトキハ新法施行後ト
雖モ其ノ規定ヲ適用ス
新法施行後舊法ニ依ルベキ場合ニ於テ
舊法第二編第七章ノ規定ヲ適用スベキ
行爲アリタルトキハ新法第二編第七章
ノ規定ヲ適用ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
商法施行法第七條、第十四條、第十六條
及第三十三條ノ規定ハ之ヲ削除ス
有限會社法案
有限會社法目次
第一章總則
第二章設立
第三章社員ノ權利義務
第四章會社ノ管理
第五章定款ノ變更
第六章合併及組織變更
第七章解散
第八章外國會社
第九章罰則
第十章雜則
附則
有限會社法
第一章總則
第一條本法ニ於テ有限會社トハ商行爲
其ノ他ノ營利行爲ヲ爲スヲ業トスル目
的ヲ以テ本法ニ依リ設立シタル社團ヲ
謂フ
有限會社ハ之ヲ法人トス
第二條有限會社ハ商行爲ヲ爲スヲ業ト
セザルモ之ヲ商人ト看做ス
第三條有限會社ノ商號中ニハ有限會社
ナル文字ヲ用フルコトヲ要ス
有限會社ニ非ザル者ハ商號中ニ有限會
社タルコトヲ示スベキ文字ヲ用フルコ
トヲ得ズ有限會社ノ營業ヲ讓受ケタル
トキト雖モ亦同ジ
第四條商法第五十四條第二項、第五十
五條及第五十七條乃至第六十一條ノ規
定ハ有限會社ニ之ヲ準用ス
第二章設立
第五條有限會社ヲ設立スルニハ定款ヲ
作ルコトヲ要ス
商法第百六十七條ノ規定ハ有限會社ニ
之ヲ準用ス
第六條定款ニハ左ノ事項ヲ記載シ各社
員之ニ署名スルコトヲ要ス
一目的
二商號
三資本ノ總額
出資一口ノ金額
七六五四社員ノ氏名及住所
各社員ノ出資ノ口數
本店及支店ノ所在地
第七條左ノ事項ハ之ヲ定款ニ記載スル
ニ非ザレバ其ノ效力ヲ有セズ
-存立時期又ハ解散ノ事由
二現物出資ヲ爲ス者ノ氏名、出資ノ
目的タル財產、其ノ價格及之ニ對シ
テ與フル出資口數
三會社ノ成立後ニ讓受クルコトヲ約
シクル財產、其ノ價格及讓渡人ノ氏
名
四會社ノ負擔ニ歸スベキ設立費用
第八條社員ノ總數ハ五十人ヲ超ユルコ
トヲ得ズ但シ特別ノ事情アル場合ニ於
テ裁判所ノ認可ヲ得タルトキハ此ノ限
ニ在ラズ
前項ノ規定ハ遺產相續又ハ遺贈ニ因リ
社員ノ數ニ變更ヲ生ズル場合ニハ之ヲ
適用セズ
第九條資本ノ總額ハ一萬圓ヲ下ルコト
乙酸、
第十條出資一口ノ金額ハ均一トシ百圓
ヲ下ルコトヲ得ズ
第十一條定款ヲ以テ取締役ヲ定メザルト
キハ會社成立前社員總會ヲ開キ之ヲ選
任スルコトヲ要ス
前項ノ社員總會ハ各社員之ヲ招集スル
コトヲ得
第十二條取締役ハ社員ヲシテ出資全額
ノ拂込又ハ現物出資ノ目的タル財產全
部ノ給付ヲ爲サシムルコトヲ要ス
商法第百七十二條但書ノ規定ハ前項ノ
場合ニ之ヲ準用ス
第十三條有限會社ノ設立ノ登記ハ前條
ノ拂込又ハ給付アリタル日ヨリ二週間
內ニ之ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ登記ニ在リテハ左ノ事項ヲ登記
スルコトヲ要ス
-第六條第一號乃至第四號ニ揭グル
事項
二本店及支店
三存立時期又ハ解散ノ事由ヲ定メタ
ルトキハ其ノ時期又ハ事由
四取締役ノ氏名及住所
五取締役ニシテ會社ヲ代表セザル者
アルトキハ會社ヲ代表スベキ者ノ氏
名
六數人ノ取締役ガ共同シ又ハ取締役
ガ支配人ト共同シテ會社ヲ代表スベ
キコトヲ定メタルトキハ其ノ規定
七監査役アルトキハ其ノ氏名及住所
商法第九條乃至第十五條、第六十四條
第二項及第六十五條乃至第六十七條ノ
規定ハ有限會社ニ之ヲ準用ス
第十四條第七條第二號及第三號ノ財產
ノ會社成立當時ニ於ケル實價ガ定款ニ
定メタル價格ニ著シク不足スルトキハ
會社成立當時ノ社員ハ會社ニ對シ連帶
シテ其ノ不足額ヲ支拂フ義務ヲ負フ
第十五條第十二條第一項ノ規定ニ依ル
拂込又ハ給付ノ未濟ナル出資アルトキ
ハ會社成立當時ノ取締役、監査役及社
員ハ連帶シテ拂込ヲ爲シ又ハ給付未濟
財產ノ價額ノ支拂ヲ爲ス義務ヲ負フ
第十六條前二條ニ定ムル義務ハ會社成
立ノ日ヨリ五年ヲ經過シタル後ニ非ザ
レバ之ヲ免除スルコトヲ得ズ
第三章社員ノ權利義務
第十七條社員ノ責任ハ本法ニ別段ノ規
定アル場合ヲ除クノ外其ノ出資ノ金額
ヲ限度トス
第十八條各社員ハ其ノ出資ノ口數ニ應
ジテ持分ヲ有ス
第十九條社員ハ第四十八條ニ定ムル社
員總會ノ決議アルトキニ限リ其ノ持分
ノ全部又ハ一部ヲ他人ニ讓渡スコトヲ
得但シ定款ヲ以テ讓渡ノ制限ヲ加重ス
ルコトヲ妨ゲズ
讓渡ニ因リ社員ノ總數ガ第八條第一項
ノ規定ニ依ル制限ヲ超ユル場合ニ於テ
ハ遺贈ノ場合ヲ除クノ外其ノ讓渡ヲ無
效トス
社員相互間ノ持分ノ譲渡ニ付テハ第一
項ノ規定ニ拘ラズ定款ヲ以テ別段ノ定
ヲ爲スコトヲ得
第二十條持分ノ移轉ハ取得者ノ氏名及
住所竝ニ移轉スル出資口數ヲ社員名簿
ニ記載スルニ非ザレバ之ヲ以テ會社其
ノ他ノ第三者ニ對抗スルコトヲ得ズ
第二十一條有限會社ハ持分ニ付指圖式
又ハ無記名式ノ證劵ヲ發行スルコトヲ
得ズ
第二十二條商法第二百三條ノ規定ハ持
分ガ數人ノ共有ニ屬スル場合ニ之ヲ準
用ス
第二十三條持分ハ之ヲ以テ質權ノ目的
ト爲スコトヲ得
第十九條第一項及第二十條ノ規定ハ持
分ノ質入ニ之ヲ準用ス
第二十四條商法第二百八條第一項、第
二百九條第一項第二項、第二百十條、
第二百十一條及第二百十二條第一項ノ
規定ハ社員ノ持分ニ之ヲ準用ス
商法第二百二十四條第一項及第二項ノ
規定ハ社員ニ對スル通知又ハ催告ニ之
ヲ準用ス
第四章會社ノ管理
第二十五條有限會社ニハ一人又ハ數人
ノ取締役ヲ置クコトヲ要ス
第二十六條取締役數人アル場合ニ於テ
定款ニ別段ノ定ナキトキハ會社ノ業務
執行ハ取締役ノ過半數ヲ以テ之ヲ決ス
支配人ノ選任及解任亦同ジ
第二十七條取締役ハ會社ヲ代表ス
第二十八條取締役ハ定款及社員總會ノ
議事錄ヲ本店及支店ニ、社員名簿ヲ本
店ニ備置クコトヲ要ス
社員名簿ニハ社員ノ氏名及住所竝ニ其
ノ出資ノ口數ヲ記載スルコトヲ要ス
社員及會社ノ債權者ハ營業時間內何時
ニテモ第一項ニ揭グル書類ノ閱覽ヲ求
ムルコトヲ得
第二十九條取締役ハ社員總會ノ認許ア
ルニ非ザレバ自己若ハ第三者ノ爲ニ會
社ノ營業ノ部類ニ屬スル取引ヲ爲シ又
ハ同種ノ營業ヲ目的トスル他ノ會社ノ
無限責任社員若ハ取締役ト爲ルコトヲ
得ズ
取締役ガ前項ノ規定ニ違反シテ自己ノ
爲ニ取引ヲ爲シタルトキハ社員總會ハ
之ヲ以テ會社ノ爲ニ爲シタルモノト看
做スコトヲ得
前項ニ定ムル權利ハ監査役アルトキハ
監査役ノ一人、監査役ナキトキハ他ノ
取締役ノ一人ガ其ノ取引ヲ知リタル時
ヨリ二月間之ヲ行使セザルトキハ消滅
ス取引ノ時ヨリ一年ヲ經過シタルトキ
亦同ジ
第三十條取締役ハ監査役アルトキハ其
ノ承認、監査役ナキトキハ社員總會ノ
認許ヲ得タルトキニ限リ自己又ハ第三
者ノ爲ニ會社ト取引ヲ爲スコトヲ得此
ノ場合ニ於テハ民法第百八條ノ規定ヲ
適用セズ
第三十一條社員總會ニ於テ取締役ニ對
シテ訴ヲ提起スルコトヲ否決シタル場
合ニ於テ資本ノ十分ノ一以上ニ當ル出
資口數ヲ有スル社員ガ訴ノ提起ヲ會社
ニ請求シタルトキハ會社ハ請求ノ日ヨ
リ一月內ニ之ヲ提起スルコトヲ要ス
前項ノ規定ハ定款ヲ以テ別段ノ定ヲ爲
スコトヲ妨ゲズ
第三十二條商法第二百五十四條、第二
百五十七條、第二百五十八條、第二百
六十一條、第二百六十二條、第二百六
十六條、第二百六十七條、第二百六十
八條第二項乃至第五項及第二百六十九
條乃至第二百七十二條ノ規定ハ取締役
ニ之ヲ準用ス
第三十三條有限會社ハ定款ニ依リ一人
又ハ數人ノ監査役ヲ置クコトヲ得
第十一條ノ規定ハ定款ニ於テ監査役ヲ
置クコトヲ定メタル場合ニ之ヲ準用ス
第三十四條第三十一條竝ニ商法第一一百
五十四條、第二百五十七條、第二百五
十八條、第二百六十六條、第二百六十
七條、第二百六十八條第二項乃至第五
項、第二百六十九條、第二百七十條、
第二百七十二條及第二百七十四條乃至
第二百七十八條ノ規定ハ監査役ニ之ヲ
準用ス
第三十五條社員總會ハ本法ニ別段ノ定
アル場合ヲ除クノ外取締役之ヲ招集ス
第三十六條總會ヲ招集スルニハ會日ヨ
リ一週間前ニ各社員ニ對シテ其ノ通知
ヲ發スルコトヲ要ス但シ此ノ期間ハ定
款ヲ以テ之ヲ短縮スルコトヲ妨ゲズ
第三十七條資本ノ十分ノ一以上ニ當ル
出資口數ヲ有スル社員ハ會議ノ目的タ
ル事項及招集ノ理由ヲ記載シタル書面
ヲ取締役ニ提出シテ總會ノ招集ヲ請求
スルコトヲ得
第三十一條第二項及商法第二百三十七
條第二項第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ
之ヲ準用ス
第三十八條總會ハ總社員ノ同意アルト
キハ招集ノ手續ヲ經ズシテ之ヲ開クコ
トヲ得
第三十九條各社員ハ出資一口ニ付一個
ノ議決權ヲ有ス但シ定款ヲ以テ議決權
ノ數ニ付別段ノ定ヲ爲スコトヲ妨ゲズ
第四十條有限會社ガ左ノ行爲ヲ爲スニ
ハ第四十八條ニ定ムル決議ニ依ルコト
ヲ変
-營業ノ全部又ハ一部ノ讓渡
二營業全部ノ賃貸、其ノ經營ノ委任、
他人ト營業上ノ損益全部ヲ共通ニス
ル契約其ノ他之ニ準ズル契約ノ締結、
變更又ハ解約
三他ノ會社ノ營業全部ノ讓受
四取締役又ハ監査役ノ任務懈怠ニ因
ル責任ノ免除
第三十一條ノ規定ハ前項第四號ノ決議
アリタル場合ニ之ヲ準用ス
第一項ノ規定ハ有限會社ガ其ノ成立後
二年內ニ其ノ成立前ヨリ存在スル財產
ニシテ營業ノ爲ニ繼續シテ使用スベキ
モノヲ資本ノ二十分ノ一以上ニ當ル對
價ヲ以テ取得スル契約ヲ爲ス場合ニ之
ヲ準用ス
第四十一條商法第二百三十四條乃至第
二百三十六條、第二百三十八條、第二
百三十九條第一項第三項第四項、第二
百四十條、第二百四十一條第二項、第
二百四十三條、第二百四十四條及第二
百四十七條乃至第二百五十三條ノ規定
ハ社員總會ニ之ヲ準用ス
第四十二條總會ノ決議ヲ爲スベキ場合
ニ於テ總社員ノ同意アルトキハ書面ニ
依ル決議ヲ爲スコトヲ得
決議ノ目的タル事項ニ付總社員ガ書面
ヲ以テ同意ヲ表シタルトキハ書面ニ依
ル決議アリタルモノト看做ス
書面ニ依ル決議ハ總會ノ決議ト同一ノ
效力ヲ有ス
總會ニ關スル規定ハ書面ニ依ル決議ニ
之ヲ準用ス
第四十三條取締役ハ每決算期ニ左ノ書
類ヲ作ルコトヲ要ス
一財產目錄
二貸借對照表
三營業報〓書
四損益計算書
五準備金及利益ノ配當ニ關スル議案
監査役アルトキハ取締役ハ定時總會ノ
會日ヨリ二週間前ニ前項ノ書類ヲ監査
役ニ提出スルコトヲ要ス
第四十四條利益ノ配當ハ定款ニ別段ノ
定アル場合ヲ除クノ外出資ノ口數ニ應
ジテ之ヲ爲ス
第四十五條有限會社ノ業務ノ執行ニ關
シ不正ノ行爲又ハ法令若ハ定款ニ違反
スル重大ナル事實アルコトヲ疑フベキ
事由アルトキハ資本ノ十分ノ一以上ニ
當ル出資口數ヲ有スル社員ハ會社ノ業
務及財產ノ狀況ヲ調査セシムル爲裁判
所ニ檢査役ノ選任ヲ請求スルコトヲ得
檢査役ハ其ノ調査ノ結果ヲ裁判所ニ報
告スルコトヲ要ス
前項ノ場合ニ於テ必要アリト認ムルト
キハ裁判所ハ監査役アルトキハ監査役、
監査役ナキトキハ取締役ヲシテ社員
總會ヲ招集セシムルコトヲ得此ノ場合
ニ於テハ商法第百八十一條第二項及第
百八十四條第二項ノ規定ヲ準用ス
第四十六條商法第二百八十二條、第二
百八十三條第一項、第二百八十四條乃
至第二百八十六條、第二百八十八條第
一貫、第二百八十九條及第二百九十條
ノ規定ハ有限會社ノ計算ニ之ヲ準用ス
商法第二百九十五條ノ規定ハ有限會社
ト使用人トノ間ノ雇傭關係ニ基キ生ジ
タル債權ニ之ヲ準用ス
第五章定款ノ變更
第四十七條定款ノ變更ヲ爲スニハ社員
總會ノ決議アルコトヲ要ス
第四十八條前條ノ決議ハ總社員ノ半數
以上ニシテ總社員ノ議決權ノ四分ノ三
以上ヲ有スル者ノ同意ヲ以テ之ヲ爲ス
前項ノ規定ノ適用ニ付テハ議決權ヲ行
使スルコトヲ得ザル社員ハ之ヲ總社員
ノ數ニ、其ノ行使スルコトヲ得ザル議
決權ハ之ヲ議決權ノ數ニ算入セズ
第四十九條左ノ事項ハ定款ニ別段ノ定
ナキトキト雖モ資本增加ノ決議ニ於テ
之ヲ定ムルコトヲ得
現物出資ヲ爲ス者ノ氏名、出資ノ
目的タル財產、其ノ價格及之ニ對シ
テ與フル出資口數
二資本ノ增加後ニ讓受クルコトヲ約
シタル財產、其ノ價格及讓渡人ノ氏
名
三增加スル資本ニ付出資ノ引受ヲ爲
ス權利ヲ與フベキ者及其ノ權利ノ內
容
第五十條有限會社ガ特定ノ者ニ對シ將
來其ノ資本ヲ增加スル場合ニ於テ出資
ノ引受ヲ爲ス權利ヲ與フベキコトヲ約
スルニハ第四十八條ニ定ムル決議ニ依
ルコトヲ要ス
第五十一條社員ハ增加スル資本ニ付其
ノ持分ニ應ジテ出資ノ引受ヲ爲ス權利
ヲ有ス但シ前二條ノ決議ニ依リ別段ノ
定ヲ爲シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第五十二條資本增加ノ場合ニ於テ出資
ノ引受ヲ爲サントスル者ハ引受ヲ證ス
ル書面ニ其ノ引受クベキ出資ノ口數及
住所ヲ記載シ之ニ署名スルコトヲ要ス
有限會社ハ廣〓其ノ他ノ方法ニ依リ引
受人ヲ公募スルコトヲ得ズ
第五十三條有限會社ハ出資全額ノ拂込
又ハ現物出資ノ目的タル財產ノ給付ア
リタル日ヨリ本店ノ所在地ニ於テハ二
週間、支店ノ所在地ニ於テハ三週間內
ニ資本增加ノ登記ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ登記ニ在リテハ左ノ事項ヲ登記
スルコトヲ要ス
一增加シタル資本ノ額
二資本增加ノ決議ノ年月日
第五十四條第四十九條第一號及第一一號
ノ財產ノ資本增加當時ニ於ケル實價ガ
資本增加ノ決議ニ依リ定メタル價格ニ
著シク不足スルトキハ其ノ決議ニ同意
シタル社員ハ會社ニ對シ連帶シテ其ノ
不足額ヲ支拂フ義務ヲ負フ
第五十五條引受ナキ出資又ハ出資全額
ノ拂込若ハ現物出資ノ目的タル財產ノ
給付ノ未濟ナル出資アルトキハ取締役
及監査役ハ連帶シテ其ノ引受ヲ爲シ又
ハ拂込若ハ給付未濟財產ノ價格ノ支拂
ヲ爲ス義務ヲ負フ
第五十六條第十六條ノ規定ハ前二條ノ
場合ニ之ヲ準用ス
第五十七條第十二條及第四十條第三項
竝ニ商法第二百條第二項、第三百五十
二條、第三百五十八條第一項、第三百
七十一條、第三百七十二條、第三百七
十三條第一項及第三百七十四條ノ規定
ハ資本增加ノ場合ニ之ヲ準用ス
第五十八條商法第三百七十六條第一項
第二項、第三百七十九條第一項第二項
及第三百八十條ノ規定ハ資本減少ノ場
合ニ之ヲ準用ス
第六章合併及組織變更
第五十九條有限會社ハ他ノ有限會社ト
合併ヲ爲スコトヲ得但シ合併後存續ス
ル會社又ハ合併ニ因リテ設立スル會社
ハ有限會社ナルコトヲ要ス
會社ガ前項ノ規定ニ依リ合併ヲ爲スニ
ハ第四十八條ニ定ムル決議アルコトヲ
要ス
合併ニ因リテ會社ヲ設立スル場合ニ於
テハ定款ノ作成其ノ他設立ニ關スル行
爲ハ各會社ニ於テ選任シタル設立委員
共同シテ之ヲ爲スコトヲ要ス
第四十八條ノ規定ハ前項ノ選任ニ之ヲ
準用ス
第六十條有限會社ハ株式會社ト合併ヲ
爲スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ合併ヲ
爲ス株式會社又ハ合併ニ因リテ設立ス
ル株式會社ニ關シテハ商法ノ規定ニ從
フコトヲ要ス
前項ノ場合ニ於テ合併後存續スル會社
又ハ合併ニ因リテ設立スル會社ガ株式
會社ナルトキハ合併ハ裁判所ノ認可ヲ
受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ有セズ
合併ヲ爲ス會社ノ一方ガ社債ノ償還ヲ
完了セザル株式會社ナルトキハ合併後
存續スル會社又ハ合併ニ因リテ設立ス
ル會社ハ有限會社タルコトヲ得ズ
前條第二項乃至第四項ノ規定ハ第一項
ノ規定ニ依ル合併ノ場合ニ之ヲ準用ス
第六十一條前條第一項ノ場合ニ於テ合
併後存續スル會社又ハ合併ニ因リテ設
立スル會社ガ有限會社ナルトキハ商法
第二百八條第一項ノ規定ハ從前ノ株式
ヲ目的トスル質權ニ之ヲ準用ス
前項ノ場合ニ於テハ質權ノ目的タル持
分ニ付出資口數竝ニ質權者ノ氏名及住
所ヲ社員名簿ニ記載スルニ非ザレバ其
ノ質權ヲ以テ會社其ノ他ノ第三者ニ對
抗スルコトヲ得ズ
第六十二條有限會社ガ合併ヲ爲シタル
トキハ第六十三條ニ於テ準用スル商法
第四百十二條又ハ第四百十三條ノ規定
ニ依ル社員總會ノ終結ノ日ヨリ本店ノ
所在地ニ於テハ二週間、支店ノ所在地
ニ於テハ三週間內ニ合併後存續スル有
限會社ニ付テハ變更ノ登記、合併ニ因
リテ消滅スル有限會社ニ付テハ解散ノ
登記、合併ニ因リテ設立シタル有限會
社ニ付テハ第十三條第二項ニ定ムル登
記ヲ爲スコトヲ要ス
第六十三條商法第九十八條第二項、第
九十九條、第百條、第百二條乃至第百
十一條、第三百七十九條第一項第二項、
第四百八條乃至第四百十條、第四百十
二條、第四百十三條及第四百十五條ノ
規定ハ有限會社ニ之ヲ準用ス
第六十四條株式會社ハ總株主ノ一致ニ
依ル總會ノ決議ヲ以テ其ノ組織ヲ變更
シテ之ヲ有限會社ト爲スコトヲ得但シ
社債ノ償還ヲ完了セザル場合ニ於テハ
此ノ限ニ在ラズ
前項ノ組織變更ノ場合ニ於テハ會社ニ
現存スル純財產額ヨリ多キ金額ヲ以テ
資本ノ總額ト爲スコトヲ得ズ
第一項ノ決議ニ於テハ定款其ノ他組織
ノ變更ニ必要ナル事項ヲ定ムルコトヲ
要ス
第六十一條ノ規定ハ第一項ノ組織變更
ノ場合ニ之ヲ準用ス
第六十五條前條ノ組織變更ノ場合ニ於
テ會社ニ現存スル純財產額ガ資本ノ總
額ニ不足スルトキハ前條第一項ノ決議
當時ノ取締役、監査役及株主ハ會社ニ
對シ連帶シテ其ノ不足額ヲ支拂フ義務
ヲ負フ
第十六條ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準
用ス
第六十六條株式會社ガ第六十四條ノ規
定ニ依リ其ノ組織ヲ變更シタルトキハ
本店ノ所在地ニ於テハ二週間、支店ノ
所在地ニ於テハ三週間內ニ株式會社ニ
付テハ解散ノ登記、有限會社ニ付テハ
第十三條第二項ニ定ムル登記ヲ爲スコ
トヲ要ス
第六十七條有限會社ハ總社員ノ一致ニ
依ル總會ノ決議ヲ以テ其ノ組織ヲ變更
シテ之ヲ株式會社ト爲スコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ會社ニ現存スル純
財產額ヨリ多キ金額ヲ以テ拂込ミタル
株金額ト爲スコトヲ得ズ
第一項ノ組織變更ハ裁判所ノ認可ヲ受
クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ有セズ
第六十一條第一項、第六十四條第三項、
第六十五條及前條竝ニ商法第二百九條
第三項ノ規定ハ第一項ノ組織變更ノ場
合ニ之ヲ準用ス
第六十八條商法第九十九條及第百條ノ
規定ハ第六十四條及前條ノ組織變更ノ
場合ニ之ヲ準用ス
第七章解散
第六十九條有限會社ハ左ノ事由ニ因リ
テ解散ス
-存立時期ノ滿了其ノ他定款ニ定メ
タル事由ノ發生
二社員總會ノ決議
會社ノ合併
營業全部ノ讓渡
七六五四三社員ガ一人ト爲リタルコト
會社ノ破產
解散ヲ命ズル裁判
前項第二號ノ決議ハ第四十八條ノ規定
ニ依ルニ非ザレバ之ヲ爲スコトヲ得ズ
第七十條前條第一項第一號又ハ第二號
ノ場合ニ於テハ第四十八條ニ定ムル決
議ニ依リテ會社ヲ繼續スルコトヲ得
前條第一項第五號ノ場合ニ於テハ新ニ
社員ヲ加入セシメテ會社ヲ繼續スルコ
トヲ得
第七十一條有限會社ハ本店ノ所在地ニ
於テ解散ノ登記ヲ爲シタル後ト雖モ前
條ノ規定ニ從ヒテ會社ヲ繼續スルコト
ヲ妨ゲズ此ノ場合ニ於テハ本店ノ所在
地ニ於テハ二週間、支店ノ所在地ニ於
テハ三週間內ニ繼續ノ登記ヲ爲スコト
弓ガ
第七十二條有限會社ガ解散シタルトキ
ハ合併及破產ノ場合ヲ除クノ外取締役
其ノ〓算人ト爲ル但シ定款ニ別段ノ定
アルトキ又ハ社員總會ニ於テ他人ヲ選
任シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ規定ニ依リテ〓算人タル者ナキ
トキハ裁判所ハ利害關係人ノ請求ニ依
リ〓算人ヲ選任ス
第七十三條殘餘財產ハ定款ニ別段ノ定
アル場合ヲ除クノ外出資ノ口數ニ應ジ
テ之ヲ社員ニ分配スルコトヲ要ス
第七十四條〓算人ハ裁判所ノ選任シタ
ルモノヲ除クノ外何時ニテモ社員總會
ノ決議ニ依リ之ヲ解任スルコトヲ得
重要ナル事由アルトキハ裁判所ハ監査
役又ハ社員ノ請求ニ依リ〓算人ヲ解任
スルコトヲ得
第七十五條商法第九十六條、第百十六
條、第百二十二條乃至第百二十五條、第
百二十八條、第百二十九條第二項第三
項、第百三十一條、第百三十四條、第百
四十條乃至第百四十二條、第四百十八
條乃至第四百二十四條及第四百二十七
條乃至第四百二十九條ノ規定ハ有限會
社ニ之ヲ準用ス
第二十八條、第三十條、第三十一條、第
三十五條及第四十條第一項第四號第二
項竝ニ商法第二百三十六條乃至第二百
三十八條、第二百四十四條第二項、第
二百四十七條、第二百四十九條、第二
百五十四條第二項、第二百五十八條、
第二百六十一條、第二百六十六條、第
二百六十七條、第二百六十八條第二項
乃至第五項、第二百六十九條乃至第二
百七十二條、第二百七十四條乃至第二
百七十八條、第二百八十二條、第二百
八十三條第一項及第二百八十四條ノ規
定ハ〓算人ニ之ヲ準用ス
第八章外國會社
第七十六條商法第四百七十九條乃至第
四百八十二條、第四百八十四條及第四
百八十五條ノ規定ハ有限會社ト同種ノ
又ハ之ニ類似スル外國會社ニ之ヲ準用
ス
第九章罰則
第七十七條取締役、監査役又ハ第三十
二條若ハ第三十四條ニ於テ準用スル商
法第二百五十八條第二項、第二百七十
條第一項若ハ第二百七十二條第一項ノ
職務代行者若ハ支配人其ノ他營業ニ關
スル或種類若ハ特定ノ事項ノ委任ヲ受
ケタル使用人自己若ハ第三者ヲ利シ又
ハ會社ヲ害センコトヲ圖リテ其ノ任務
ニ背キ會社ニ財產上ノ損害ヲ加ヘタル
トキハ五年以下ノ懲役又ハ五千圓以下
ノ罰金ニ處ス
第五十九條第三項若ハ第六十條第四項
ノ設立委員、第六十條第一項ノ規定ニ
依リ從フベキ商法第五十六條第三項ノ
設立委員、〓算人又ハ第七十五條第二
項ニ於テ準用スル商法第二百五十八條
第二項、第二百七十條第一項若ハ第二
百七十二條第一項ノ職務代行者前項ニ
揭グル行爲ヲ爲シタルトキ亦前項ニ同
ジ
前二項ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス
第七十八條前條第一項ニ揭グル者ハ左
ノ場合ニ於テハ三年以下ノ懲役又ハ三
千圓以下ノ罰金ニ處ス
會社ノ設立又ハ資本增加ノ場合ニ
於テ出資總口數ノ引受、出資ノ拂込
若ハ現物出資ノ給付ニ付又ハ第七條
第二號乃至第四號若ハ第四十九條第
一號第二號ニ揭グル事項ニ付裁判所
ニ對シ不實ノ申述ヲ爲シ又ハ事實ヲ
隱蔽シタルトキ
二何人ノ名義ヲ以テスルヲ間ハズ會
社ノ計算ニ於テ不正ニ其ノ持分ヲ取
得シ又ハ質權ノ目的トシテ之ヲ受ケ
タルトキ
三法令又ハ定款ノ規定ニ違反シテ利
益ノ配當ヲ爲シタルトキ
四會社ノ營業ノ範圍外ニ於テ投機取
引ノ爲ニ會社財產ヲ處分シタルトキ
有限會社ノ取締役、監査役若ハ第三十
二條若ハ第三十四條ニ於テ準用スル商
法第二百五十八條第二項、第二百七十
條第一項若ハ第二百七十二條第一項ノ
職務代行者又ハ株式會社ノ取締役、監
査役若ハ商法第二百五十八條第二項、
第二百七十條第一項、第二百七十二條
第一項若ハ第二百八十條ノ職務代行者
ガ第六十四條又ハ第六十七條ノ組織變
更ノ場合ニ於テ第六十四條第二項又ハ
第六十七條第二項ノ純財產額ニ付裁判
所又ハ總會ニ對シ不實ノ申述ヲ爲シ又
ハ事實ヲ隱蔽シタルトキ亦前項ニ同ジ
第七十九條第七十七條第一項ニ揭グル
者出資ノ拂込ヲ假裝スル爲預合ヲ爲シタ
ルトキハ三年以下ノ懲役又ハ三千圓以
下ノ罰金ニ處ス預合ニ應ジタル者亦同
ジ
第八十條前三條ノ罪ヲ犯シタル者ニハ
情狀ニ因リ懲役及罰金ヲ併科スルコト
ヲ得
第八十一條第七十七條第一項若ハ第二
項ニ揭グル者又ハ檢査役其ノ職務ニ關
シ不正ノ請託ヲ受ケ財產上ノ利益ヲ收
受シ、要求シ又ハ約束シタルトキハ三
年以下ノ懲役又ハ三千圓以下ノ罰金ニ
處ス
前項ノ利益ヲ供與シ又ハ其ノ申込若ハ
約束ヲ爲シタル者亦前項ニ同ジ
第八十二條左ニ揭グル事項ニ關シ不
正ノ請託ヲ受ケ財產上ノ利益ヲ收受
シ、要求シ又ハ約束シタル者ハ一年以
下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
社員總會ニ於ケル發言若ハ議決權
ノ行使、第四十二條第一項ノ規定ニ
依ル議決權ノ行使又ハ同條第二項ノ
規定ニ依ル同意ノ表示
二本法ニ定ムル訴ノ提起又ハ資本ノ
十分ノ一以上ニ當ル出資口數ヲ有ス
ル社員ノ權利ノ行使
前項ノ利益ヲ供與シ又ハ其ノ申込若ハ
約束ヲ爲シタル者亦前項ニ同ジ
第八十三條第八十一條第一項又ハ前條
第一項ノ場合ニ於テ犯人ノ收受シタル
利益ハ之ヲ沒收ス其ノ全部又ハ一部ヲ
沒收スルコト能ハザルトキハ其ノ價額
ヲ追徵ス
第八十四條第八十一條第二項又ハ第八
十二條第二項ノ罪ヲ犯シタル者自首シ
タルトキハ其ノ刑ヲ減輕又ハ免除スル
コトヲ得
第八十五條第七十七條第一項若ハ第二
項ニ揭グル者、外國會社ノ代表者、檢
査役又ハ支配人ハ左ノ場合ニ於テハ五
千圓以下ノ過料ニ處ス但シ其ノ行爲ニ
付刑ヲ科スベキトキハ此ノ限ニ在ラズ
一本法ニ定ムル登記ヲ爲スコトヲ怠
リタルトキ
二本法ニ定ムル公〓若ハ通知ヲ爲ス
コトヲ怠リ又ハ不正ノ公〓若ハ通知
ヲ爲シタルトキ
三本法ニ違反シ正當ノ事由ナクシテ
書類ノ閲覽又ハ其ノ謄本若ハ抄本ノ
交付ヲ拒ミタルトキ
四本法ニ定ムル調査ヲ妨ゲタルトキ
五官廳又ハ社員總會ニ對シ不實ノ申
述ヲ爲シ又ハ事實ヲ隱蔽シタルトキ
六第二十一條ノ規定ニ違反シテ持分
ニ付指圖式又ハ無記名式ノ證劵ヲ發
行シタルトキ
七第二十四條第一項ニ於テ準用スル
商法第二百十一條ノ規定ニ違反シテ
持分失效ノ手續又ハ持分若ハ質權ノ
處分ヲ爲スコトヲ怠リタルトキ
八第二十四條第一項ニ於テ準用スル
商法第二百十二條第一項ノ規定ニ違
反シテ出資ノ消却ヲ爲シタルトキ
九定款ニ定ムル取締役又ハ監査役ノ
員數ヲ缺クニ至リタル場合ニ於テ其
ノ選任手續ヲ爲スコトヲ怠リタルト
キ
十定款、社員名簿、議事錄、財產目
錄貸借對照表、營業報告書、事務
報〓書、損益計算書、準備金及利益ノ
配當ニ關スル議案、決算報〓書又ハ
商法第三十二條第一項ノ帳簿ニ記載
スベキ事項ヲ記載セズ又ハ不實ノ記
載ヲ爲シタルトキ
十一定款、社員名簿、議事錄、·財產
目錄、貸借對照表、營業報告書、事
務報告書、損益計算書、準備金及利
益ノ配當ニ關スル議案又ハ監査役ノ
報告書ヲ備置カザルトキ
十二第四十一條ニ於テ準用スル商法
第二百三十四條ノ規定又ハ第四十五
條第三項ノ規定ニ依ル裁判所ノ命令
ニ違反シテ社員總會ヲ招集セザルト
キ
十三第四十六條第一項ニ於テ準用ス
ル商法第二百八十八條第一項又ハ第
二百八十九條ノ規定ニ違反シテ準備
金ヲ積立テズ又ハ之ヲ使用シタルト
キ
十四第五十二條第二項ノ規定ニ違反
シテ出資ノ引受人ヲ公募シタルトキ
十五第五十八條、第六十三條又ハ第
六十八條ニ於テ準用スル商法第九十
九條又ハ第百條ノ規定ニ違反シテ資
本ノ減少、合併又ハ組織變更ヲ爲シ
タルトキ
十六第七十五條第一項ニ於テ準用ス
ル商法第百二十四條第三項ノ規定ニ
違反シテ破產宣告ノ請求ヲ爲スコト
ヲ怠リタルトキ
十七第七十五條第一項ニ於テ準用ス
ル商法第百三十一條ノ規定ニ違反シ
テ會社財產ヲ分配シタルトキ
十八裁判所ノ選任シタル管理人又ハ
〓算人ニ事務ノ引渡ヲ爲サザルトキ
十九〓算ノ結了ヲ遲延セシムル目的
ヲ以テ第七十五條第一項ニ於テ準用
スル商法第四百二十一條第一項ノ期
間ヲ不當ニ定メタルトキ
二十第七十五條第一項ニ於テ準用ス
ル商法第四百二十三條ノ規定ニ違反
シテ債務ノ辨濟ヲ爲シタルトキ
二十一第七十六條ニ於テ準用スル商
法第四百八十四條第一項又ハ第二項
ノ規定ニ依ル裁判所ノ命令ニ違反シ
タルトキ
株式會社ノ取締役、商法第二百五十八
條第二項、第二百七十條第一項若ハ第
二百七十二條第一項ノ職務代行者、〓
算人又ハ同法第四百三十條第二項ニ於
テ準用スル同法第二百五十八條第二
項、第二百七十條第一項若ハ第二百七
十二條第一項ノ職務代行者ガ第六十條
第一項ノ規定ニ依リ從フベキ又ハ第六
十八條ニ於テ準用スル商法第九十九條
又ハ第百條ノ規定ニ違反シテ合併又ハ
組織變更ヲ爲シタルトキ亦前項ニ同ジ
第八十六條第三條第二項ノ規定ニ違反
シタル者ハ千圓以下ノ過料ニ處ス
第十章雜則
第八十七條本法ニ依リ署名スベキ場合
ニ於テハ記名捺印ヲ以テ署名ニ代フル
コトヲ得
第八十八條第五十八條、第六十三條若
ハ第六十八條ニ於テ準用シ若ハ第六十
條第一項ノ規定ニ依リ從フベキ商法第
百條第一項ノ規定又ハ第七十五條第一
項ニ於テ準用スル商法第四百二十一條
第一項ノ規定ニ依リ爲スベキ公〓ハ裁
判所ガ爲スベキ登記事項ノ公〓ト同一
ノ方法ヲ以テ之ヲ爲スコトヲ要ス
第八十九條有限會社ハ商法ヲ除クノ外
他ノ法律ノ適用ニ付テハ之ヲ商法ノ會
社ト看做ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔國務大臣鹽野季彥君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=13
-
014・塩野季彦
○國務大臣(鹽野委彥君) 只今一括シテ議
題ニナリマシタ三ツノ法案ニ付テ御說明ヲ
申上ゲマス
先ヅ商法中改正法律案ニ付テ申述ベマス
ガ、現行商法ハ御承知ノ如ク明治三十二年
カラ實施致シテ居リマスガ、當時諸種ノ事
情ニ依リマシテ、急速ニ立法スルノ必要ニ
迫ラレマシタル關係上、其實施當初ニ於テ
旣ニ不備ヲ感ズル所ガアッタノデアリマス、
其後明治四十四年ニ一部分ノ改正ガ行ハレ
マシタガ、是ハ最小限度ノ補修ヲ加ヘタニ
過ギナカッタノデアリマス、然ルニ我國ノ社
會事情、殊ニ商事生活ハ爾後甚シク發展シ
テ參リマシテ、現行商法ノ不備缺陷ハ益、著
シクナッテ來タノデアリマス、就中商法中最
モ重要ナ地位ヲ占メマスル會社ニ關スル諸
規定ニ於テハ、其憾ヲ深クスルモノガアルノ
デアリマシテ、會社ト其構成員、及ビ第三
者トノ法律關係ニ明確ヲ缺クモノ多ク、又
會社ノ經營ガ蹉跌シ始メマシタ場合ニ對ス
ル對應策ガ、全ク講ゼラレテ居ナカッタノ
デアリマス、仍テ政府ハ昭和四年五月、內
閣ニ法制審議會ヲ設置シ、其第一ノ事業ト
シテ、同會ニ對シ商法全般ニ亙ル改正要綱
ヲ諮問致シマシタル所、同會ハ廣ク意見ヲ
朝野ニ徵シ、愼重審議ノ上、昭和六年七月、
商法中急速ニ改正ヲ要スルモノト認メラレ
マスル第一編總則、第二編會社ノ二編ニ付
キマシテ三百六項ニ亙ル改正要綱ヲ決定
シテ政府ニ答申セラレタノデアリマス、政
府ハ右改正要綱ヲ世間ニ公表シテ、之ニ對
スル批判ヲ求メマスル一方、昭和七年十月、
司法省ニ商法總川及ビ會社編改正調査委員
會ヲ設ケ、商法中第一編及ビ第二編ニ對ス
ル改正法律案ノ立案ノ任ニ當ラシメマシタ
ル所、同委員會ハ法制審議會ノ決定ニ係ル
改正案要綱ニ準據シ、且ツ其後各方面ヨリ徵
シマシタル意見ヲ參酌シツヽ銳意審議立
案致シマシタル結果、昭和十年十二月ニ至
リマシテ、改正法律案ノ立案ヲ完了致シマ
シタ、而シテ政府ハ取敢ズ右法律案ヲ世間
ニ公表シテ、之ニ對スル意見ヲ徵シ、其後
右法律案ニ若干ノ修正ヲ加ヘマシタルモノ
ヲ、去ル第七十回帝國議會ニ提案致シマシ
タル所、御承知ノ如ク貴族院ニ於テ一二ノ
修正ガアッテ可決セラレ、本院ノ委員會ニ於
テモ愼重御審議ヲ重ネテ戴イタノデアリマ
スガ、御承知ノ如キ事情ニ因リ、遂ニ成立
ヲ見ルニ至ラナカッタ次第デアリマス、仍テ
曩ニ提案致シマシタ法律案ニ、貴族院ニ於
ケル修正ト、本院ノ委員會ニ於ケル多數ノ
御意嚮トヲ尊重シテ、二三ノ改正ヲ加ヘマ
シタルモノヲ本案ト致シマシテ、今囘茲ニ
提案スルニ至ッタ次第デアリマス、本案ノ內
容ハ、現行商法中總則及ビ會社ノ二編ニ對
シテ、殆ド全般的ニ改正ヲ企テタモノデア
リマシテ、現行規定ヲ補充シ又ハ改正シタ
ルモノ、全ク新ナル制度ヲ立テマシタルモ
ノ、解釋上疑義アル點ヲ明確ニ致シマシタ
ルモノ等、相當複雜且ツ多岐ニ亙ッテ居リ
やく、詳細ノ點ハ他ノ機會ニ於テ十分ニ御
說明申上ゲル積リデアリマスルガ、會社編
ニ對スル改正、殊ニ株式會社ニ關スル部分
一付、十分ノ注意ヲ拂ヒマシタ點ガ、今囘
ノ改正中最モ重要ナルモノトナッテ居リマ
ス
次ニ商法中改正法律施行法案ハ、商法ノ改
正ニ伴ヒ、新舊法ノ調和ヲ圖ル爲メ、其他
改正商法施行上必要ナル事項ヲ規定致シタ
モノデアリマス
次ニ有限會社法案ニ付テ申述ベマスガ、
我ガ商法ニ於キマシテハ、御承知ノ如ク合
名會社、合資會社、株式會社、及ビ株式合
資會社ノ四種類ノ會社ヲ認メテ居リマシ
テ、各會社共ソレ〓〓其特色ヲ有シテ居
ルノデアリマスルガ、就中最モ重要ナ活
動ヲ致シテ居リマスノハ株式會社デアリ
マシテ、先程御說明致シマシタ商法中改
正法律案ニ於テモ、其改正ノ重點ヲ株式
會社ノ上ニ置イテ居ル次第デアリマス、而
シテ株式會社ハ通例之ヲ組織スル株主ノ數
ハ甚ダ多イノデアリマシテ、或ル株主ト他
ノ株主トノ間ニ連絡ノナイノガ普通デアリ
マスルシ、又廣ク株式ノ賣買ガ行ハレマシ
テ株主ノ移動ハ常ニ生ジテ居ルノデアリ
マス然ルニ株式會社ノ株主ト同ジク有限
責任デアリマスルケレドモ、相互ニ信賴關
係ノ厚イ少數者ニ依ッテノミ組織スル特殊
ノ法人ガ、營業上甚ダ適當ナ形態デアリマ
シテ、御承知ノ如ク英國ニ於テ先ヅ發達シ、
獨逸、佛蘭西等ノ諸國モ既ニ之ヲ是認シテ
居ルノデアリマス我國ニ於キマシテモ
實業界ニ於テ大分以前カラ其要望ガ强クナッ
テ居タノデアリマシテ、昭和六年七月法制
審議會ハ商法改正要綱ノ諮問ニ對スル答
申ノ一項目トシテ、外國法上ノ有限責任會
社又ハ英國法上ノ私會社ニ該當スル特別
ノ會社ヲ認メ、之ニ付キ特別法ヲ以テ規定
ヲ設クルコトヲ明ニセラレタノデアリマス、
之ニ基キマシテ司法省內ノ商法總則及會社
編改正調査委員會ニ於キマシテ、商法中改
正法律案ニ引續キ有限會社法案ノ立案審議
ヲ進メマシテ、今囘茲ニ提案スル運ビニ至ッ
タ次第デアリマス、本案ノ詳細ニ付キマシ
テハ他ノ機會ニ十分ニ御說明申上ゲル積リ
デアリマスガ、要スルニ先程申述べマシタ特
殊ノ營業組織ヲ是認シテ、之ニ適應スル法
規ヲ網羅シタモノデアリマス、之ニ依ッテ國
民經濟ノ發達ノ爲ニ大イニ裨益スルコトガ
出來ヤウカト存ジテ居ル次第デアリマス、
殊ニ今囘ノ支那事變ニ關聯シ、國民經濟ノ
健全ナル運行ヲ確保スル必要ガ日ニ〓〓其
度ヲ加ヘツヽアルコトハ、申ス迄モナイ所
デアリマスシ、支那事變後ノ事態ニ備ヘル
爲ニ、前ニ中述ベマシタ商法中改正法律案
ニ依ッテ、旣存ノ會社制度ノ堅實ヲ圖ルト
共ニ、會社關係法規ノ完備ヲ期スルコトハ、
今日ニ於テ全ク焦眉ノ急務トナッテ參ッタノ
デアリマス、各位ニ於カレマシテハ何卒
十分御審議ノ上、三法案ニ對シ御協贊ヲ與
ヘラレンコトヲ切望致ス次第デアリマス
(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=14
-
015・小山松壽
○議長(小山松壽君) 質疑ノ通〓ガアリマ
ス、之ヲ許シマス-內藤正剛君
〔內藤正剛君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=15
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016・内藤正剛
○内藤正剛君 只今商法中改正法律案外二
案ニ付キマシテ、司法大臣ヨリ大要ノ說明
ヲ伺ックノデアリマス、併ナガラ此說明ハ昨
年當議場ニ於テ御說明ニナッタノト大シタ
相違ハナイノデアリマス、併シ今日ノ世運
ニ鑑ミテ尙ホ一層檢討スベキ二三ノ重大ナ
モノヲ含ムノデハナイカト思ヒマスノデ、
特ニ私ハ委員會デ質問シテハナラナイ、本
會議ノミニ限ル點ヲ、大臣ヨリ、若クハ其
他ノ當局ヨリ伺ヒタイノデアリマス
商法ハ民法ト相竝ビマシテ吾々ノ生活ヲ
規律致シテ、取引ヲ保護スル二大法典ノ一
ツデアルコトハ當局ノ說明ヲ俟タズシテ明
カナ事實デアリマス、現行法ハ明治三十二
年ニ制定セラレ、四十四年ニ一部ノ改正ガ
アリ、爾來四十年ノ歲月ヲ經過致シマシテ、
社會事情ノ變化發達ハ著シキモノガアリ、
又商事生活ノ發展モ昔時ニ比シテ隔世ノ感
ノアル今日デアリマスノデ、現行法ノ不備
ガ甚シイト云フ朝野ノ聲モアリマスノミナ
ラズ、又幾多ノ事例ガアリマス爲ニ、裁判
例等ニ依ッテ解釋ヲソレ〓〓一定シテ、一時
ヲ糊塗致シタコトモ違ヒアリマセヌ、私ハ
一昨日來之ヲ見マシタ所ガ、法令ノ中ニハ
或ハ補充サレタモノモアリマス、改正サレ
タモノモアリマス、新設サレタモノモアリ
マスガ兎ニ角何故檢討ヲシナケレバナラ
ヌカト言ヒマスト、最近ノ事情トシテハ
國防問題ニ付テ相當論議ガサレテ居リマス
シ、日支事變ノ突發ニ依リマシテ、幾多
ノ資金統制ニ關シ、或ハ工場ノ管理等ニ
關シ、或ハ又輸出若クハ輸]入ノ統制ニ關
スル幾多ノ法規ガ出テ居リマシテ、從
來ノ如ク自由ニ何デモ爲シ得ル時代デハ
ナクナッタノデアリマス、ソレ〓〓特別法ヲ
以テ制限ヲ受ケテ居ル時代デアリマスガ、
此法案ハ當局ガ御說明ニナッテ居リマスルコ
トヲ只今伺ッテモ、今私ガ申上ゲタヤウニ幾
多ノ事變ヲ對象トシテ後ニ起 シングモノデナ
ク、其以前ニソレ〓〓〓究サレテ草案ガ出
來タヤウデアリマスルガ、當局トシテハ今
日ノ情勢ノ下ニ於テ、此商法ノ改正案ガ此
儘デ宜イト云フ御考デアリマセウカ
私ハ一二ノ例ヲ申上ゲマス、濱野氏ガ一
月二十五日此壇上ニ於テ近來大官連中ニシ
テ職ヲ去ッタ後、間モナク事業會社ニ入ラレ
ルノハ消極的瀆職ニアラズヤトノ議論ヲサ
レタ事柄モ御承知ノ通リデアリマス、寧ロ
俸給ト恩給トヲ取ルコトニ汲々トサルヽ方
ノ多イ今日、事例ヲ申上ゲマスルナラバ
今私共ノ知リ得タ範圍ニ於テモ、日本ニ於
ケル會社ノ重役ノ「ボーナス」ハ、驚ク勿レ
一億三千万圓ニ達シテ居ル、而モ其一割ノ
課稅ヲ以テシテモ、一千三百万圓ノ金額ハ
得ラレルノデアリマス、然ルニ大衆課稅ヲ
シテ、煙草マデ値上ヲシテ一千万圓ノ金ヲ
取上ゲヨウトサレル、高位高官ヲ辭メラレ
テ重役トナラレテ、取ラレタ金ノ一割ダケヲ
御遠慮シテ下サイト云フコトヲ、若シ政府
當局ガ仰シヤッタラ、其煙草ノ値上モセズニ
濟ムノデハアリマスマイカ、私ハ左樣ニ考へ
ル、大藏當局モサウ云フコトニ氣ガ付イテ
居ルノカ居ラヌノカ知リマセヌガ、若シ氣
氣ガ付イテ居ッタト致シマシテモ、何カニ御
遠慮ニナッテ、サウ云フ事柄モ能ク言ヘナイ
デ、今日若シ此儘商法ノ改正案ニ見逃スト
云フコトニナリマシタナラバドウ云フ結
果ガ起ルカ、私ハ指摘致シマス、アナタ方
ガ御出シニナッタ此商法ノ改正案ニハ、昔ハ
株主ニアラズンバ取締役ニナルコトヲ得ズ、
又監査役トナルコトヲ得ズト規定シテアッタ
ニモ拘ラズ、此改正案ニハソレガ拔ケテ居ル
デハアリマセヌカ、而モ昨年ノ御說明ニ依
レバ、サウ云フ株主デナケレバ重役トナル
コトガ出來ナイト云フ規定ヲシテ置イテモ、
餘所カラ株ヲ借リテ來テ、以テ重役ニナル
ヤウナ今日ノ世相ニ照シテ見テ、寧ロ是ハ
無クシテモ宜イデハナイカト云フコトヲ、
昨年民事局長デアル所ノ大森氏モ委員會デ
申サレタト思ヒマス、併ナガラ私ノ申上ゲ
マスヤウニ、役人ヲ辭メタラ直チニ會社ノ
重役ニナル、又會社ノ人モ何カノ便宜ヲ得
ントシテ、之ニ迎合スル忌ムベキ傾向ノア
ル今日ニ於テ、若シ株主タラズシテ重役ト
ナルト云フコトヲ許サルヽト致シマスルナ
ラバ、綱紀ノ肅正ハ何ニ依ッテ之ヲ求メルカ
ト云フコトヲ私ハ考ヘルノデアリマス(拍
手)曾テハ政治家ガ重役トナッテ相當ノ報酬
ヲ取ッタト言ッテ、官僚ノ方々ガ攻撃ノ矢ヲ
放チ、今日ハ官僚ガ其袖ニ隱レテ、以テ金
錢慾ニ馴染マントスル傾向アルコトヲ私ハ
深ク痛感スルノデアル、貴族院ニ於テノ御
說明、或ハ委員會ニ於テモ何等此點ニ議ガ
觸レナカッタコトヲ私ハ遺憾ト致シマス、政
府當局トシテハ、取締役、監査役ハ、ヤハリ
株主デナケレバナラヌトシナケレバナラヌ、
株主デアルト致シマスルナラバ、縱シ金ニ
困ッテ居テモ、借リテデモ危險負擔ヲ致シマ
スカラ宜カラウト思フ今ノヤウナ狀態デ
株主デナクテモ宜イト云フコトニナリマス
ナラバ、一層此弊ハ甚シイト思フノデアリ
マス、尙ホ一二ノ點ヲ伺ッテ見タイト思ヒマ
ス、アナタ方ハ理想ニ餘リ趨ッテ居ルノデハ
アリマスマイカ、株主總會ノ招集ノ通知ハ、
新設ノ初メノ時-創立總會ト云ヒマスカ、
其創立總會ノ時ニハ定款ノ變更モ、設立
廢止ト云フヤウナ重大事項ガアッテモ、之ヲ
通知シナクテモ宜イト、此規定ニ御書キニ
ナッテ居ル、併ナガラ其他ノ場合ニ於テハ通
知ヲ必要トサレテ居リマスルガ、若シ玆ニ事
例ヲ以テスレバ呉服屋ヲ經營スルト云フ
目的ノ爲ニ設立セラレタル會社ガ、今度ハ
鯨獲船ノ捕鯨ニ從事シタイト云フヤウナ、重
大ナル定款變更事項マデ通知セズシテ、株
主總會ヲ開クト云フコトニナリマシタナラ
バ其弊ヤ又正ニ恐ルベキモノガアラウト
思フノデアリマスガ、何ガ故ニ彼ト是トヲ
異ル意味ニ御書キニナッタカト云フ事柄ヲ
伺ヒタイト存ズルノデアリマス、昨年ハ株
主ノ株式ノ讓渡禁止ノ規定ヲ設ケラレテ
居ッタノデアリマス、併ナガラ隨分議論ガ
アリマシテ、此度ハ定款ヲ以テ讓渡ノ制
限ヲスルコトガ出來ル、斯ウ云フヤウナ
規定ヲ御設ケニナリマシテ、禁止ト云フ文
字ハ御拔キニナッタヤウデアリマス、併ナガ
ラ貴族院ニ於ケル說明ヲ拜見致シマスルト、
同ジ趣旨ダト云フコトデス、國民ノ所有權
マデ-昨日來問題ニナッテ居リマシタル
國民總動員、アレト是トハ違ヒマスルガ、動モ
スレバ官僚獨善ノ氣持ヲ以テ臨マントスル
傾向ノアル今日ニ於キマシテ、株式ノ讓渡
ヲ制限スルコトガ出來ルト云フコトデ、禁止
規定ヲ許スト云フコトニナリマスナラバ
縱シソレガ株主總會ノ議ヲ經ルト致シマシテ
モ、一部不正ナ株主ニ依リマシテ、融通性
ヲ害サレルヤウナコトニナッテ、所有權ノ
制限ヲ來スヤウナコトニナリマスカラ、斯
ウ云フ事柄ハ如何カト思フノデアリマスガ、
ドウ云フ譯デ此規定ハ出來タノデアルカト
云フコトヲ伺ヒタイト思フノデアリマス
次ニ伺ヒタイノハ、從來刑罰法規ニ付テ
ハ體刑竝ニ罰金刑ヲ併科致シマシタル場
合ガ、舊刑法ニハアリマシタガ、新刑法ニ
ハ僅ニ贓物收受ニ關スル規定ダケデアッタ、
然ルニ珍シクモ本案ノ四百九十二條ヲ見マ
スト、之ヲ併科致シテ居リマスルガ、之ニ
對シテハ如何ナル意味合カラ併科サレタノ
カ、之ヲ伺ヒタイト思フノデアリマス、又
モウ一ツノ點ハ四百九十七條ニ關シマシテ、
株金拂込ノ責任ヲ免ルヽ目的ヲ以テ、他人
又ハ假設人ノ名義ヲ用ヒ、株式ヲ引受ケ若
クハ讓受ケタル者、又ハ株式ノ讓渡ヲ假裝
シタル者ニ對シテハ、體刑若クハ罰金ヲ以
テ之ニ臨ンデ居リマス、只今伺ヒマスト、
院議ヲ尊重シテ、或ハ一部改正シタルモノ
アリ、或ハ又全然院議通リニ從ッタモノモア
ル、固ヨリ衆議院ハ可決ニ至リマセナンダ
ガ、貴族院ノ院議尊重ノコトハ伺ッタカラ宜
シイ、サウシテ先程申上ゲマシタ制限ニ關
スル文字ノ如キハ、衆議院ニ於ケル空氣ヲ
御覽ニナッタト云フノデアリマスガ、若シ左
樣ナ御話デアルト致シマスナラバ、衆議院
ニ於ケル委員會ノ空氣ハ、承諾ヲ得ザルト
云フ文字ヲ入レナケレバイケナイト云フコ
トヲ申上ゲテ、殆ド當局モ是ニハサウダナ
アトマデ仰シヤッタノデアリマス、然ルニ此
點ニ對シテ何故ニ衆議院ノ大體ノ意見ヲ御
容レニナラナカッタカト云フコトヲ伺ヒタイ
ノデアリマス、ソレト共ニ此犯罪ノ成立ノ
時期ト、時效ノ起算點ト云フコトニ付テ聽
ク譯デアリマス、普通刑法ノ規定ニ是ハ從
フノデアラウト思ヒマスガ、若シヤリ方如
何ニ依リマシテハ、是ハ相當ナ空文トナル
ベキ傾向ガアルト私ハ思ヒマス
一番最後ノ問題デアリマスガ、〓算ニ關
スル方法ニ付テ伺フノデアリマス、本法案
ニ依レバ、普通〓算ト特別〓算ノ一一ツガア
ルヤウデアリマス、特別〓算ニ關シマスル
規定ハ新シイモノデアリマス、是ニハ裁判
所ガ何時ニテモ〓算事務及ビ財產ノ狀況ノ
報告ヲ命ジ、其他監督上必要ナル調査ヲ爲
スコトガ出來ルト云フコトハ、法文炳トシ
テ明カデアリマス、併ナガラ普通〓算ニ付
テ此規定ガ缺如シテ居リマス、私ハ之ニ對
スル弊害ヲ申上ゲテ當局ノ御意見ヲ伺フ
ノデアリマス、玆ニ斯ウ云フ事例ガアッタラ
ドウ致シマスカ、例ヘバ一ツノ會社ガアル、
〓算ガ開始サレマシタ、配當ヲ致シマシタ、
併ナガラ例ヘバ稅務署カラ稅金ガ來タトカ、
〓算所得ト云ヒマスカ、サウ云フコトニ依ッ
テ先ノ〓算ハ、其一部ノ債權ヲ殘スコトニ
依ッテ、配當シタコトガ不都合ダト云フコト
ニナッタト致シマスナラバ此負債ノ償却ニ
ハ株主ニ對シテ、會社ハ株金ノ拂込ヲ請求
スルデセウ、拂込ンダ株式ノ配當ヲシタニ
拘ラズ、更ニ今度ハ取戾ス爲ニ、株金ノ拂
込ヲ要求シテ、拂込マザル者ニ對シテハ失
權手續ヲ致シマス、現行法モ改正案モ變リ
ハナイ、所ガ失權手續ヲ致シマシタ後ニ、
前ニ貰ッタ人ガ出セバ宜シイガ、出サナイ時
ハ五錢、錢若クハ二錢位ノ金デ、此株式
ガ競落サレルト思ヒマス、法律ノ善用ト云
ヒマスカ、惡用ト云ヒマスカ、之ニ依ッテ一
部ノ人ハ安イ金ヲ以テ株式ノ半分以上ヲ占
メルコトニナル、殘餘ノ株主ニ、假ニ五十万ノ
負債ガアル時ニ、配當シタルモノガ五百万
圓アッタナラバ、五十万圓取レバ宜イノニ
五百万圓モ拂戾ヲ請求致シマスコトハ、是ハ
合法的ニ許スベキモノデアリマセウカ、現
ニ今起ッテ居リマス大同土地株式會社ニ關
スル〓算事務ノ如キガ、其ノ一例デアリマ
ス、全國ニ此種ノ事件ハ澤山起ッテ居ルト思
ヒマスアナタ方ノ方デ商法ノ完璧ヲ期ス
ル爲メ、時代ノ進運ニ少シモ脅エヲ來サナ
イヤウニ、一生懸命ニヤッテ居ルノダト云フ
先程ノ御說明デモ、今私ガ申シマシタ二三
ノ點ニ於テ重大ナル缺陷アルヲ免レマセ
ヌ政府ハ斯ノ如キ場合ヲモ豫想シテ御決
メニナッテ居ルデセウカ、固ヨリ法文ノ中ニ
定款ノ定メル所ニ依リ拂込ミタル株主ニ對
シ殘餘財產ハ配當スベキモノナリトノ規
定ガアリマスガ、株主ハ定款ノ定ムル所ニ
依リト云フコトハ、第一囘以來ノ拂込ンダ株
主ヲ指スモノデアルカ現在ノ株主ヲ指ス
モノデアルカト云フ事柄ハ此機會ニ於テ
明ニシテ戴キタイト思フノデアリマス、要
スルニ此商法ハ私共ガ重大疑義ト致シテ居
リマス點ヲ解決セラレタル點ハ多々アリマ
ス、其點ニ對シテハ贊意ヲ表シマスガ今
申シマシタ政府ノ方針取締役又ハ監査役
ヲ株主ヨリ選擧セヌデモ宜イト云フ事柄
ハ延テハ綱紀肅正ト云フコトモ在朝ダケ
デハイケマセヌ進ンデハ退官後二年若シ
クハ三年ノ間ハ、特殊會社ノ重役トナルコ
トガ出來ナイト云フヤウナ規定等ヲ御設ケ
ニナッテハ如何デアリマセウカ、固ヨリ從來
ノ如キ街ノ紳士、會社ゴロト申シマスカ、
之ヲ取締ル爲ニ十分ナル御規定ヲ收賄罪ト
シテ御決メニナッタコトモ此法案中明カデ
アリマスガ、ソレ程御親切ガアルノデアル
ナラバ、延テハ以テ國民ヲ疑惑ノ中ニ陷
レルガ如キ-又動モスレバ司法部ガ社會
ノ覺醒ヲ促スノダト云フコトヲ不斷ニ御自慢
ニナッテ居ルノデアリト致シマスナラバ、其
事柄ガ間違ナイト致シマスナラバ、今私ガ
申上ゲタ點ニ付テ、政府ノ御決心ノ程ヲ伺ッ
テ置キマス、之ヲ伺フコトガ本法案ノ審議
ニ入ル一番初メノ重要ナル點ダト思ヒマス
ルカラ、若シ鹽野サンガ、是ハ自分ハ檢事
デアルカラ、大臣トナッテ居ルケレドモ、素
人ダカラ說明ガシ惡イト云フノデアリマス
ナラバ、大森民事局長ヲシテ此壇ニ立タシ
メラレ答辯アランコトヲ望ミマス
〔國務大臣鹽野季彥君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=16
-
017・塩野季彦
○國務大臣(鹽野季彥君) 內藤君ノ御質問
ニ御答ヲ致シマス、先ヅ最初ニ、商法ノ改
正ニ付テハ、多數ノ年月ヲ費シテ居ル、其
間出來上ッタ草案ノ後ニ於テ種々社會狀況
ガ變ッテ居ルガ、ソレニ對スル用意ガアリヤ
否ヤト云フ御質問デアリマシタガ、是ハ草
案ハ出來マシテモ、委員會ハ其草案ニ付テ
繰返シ〓〓討議ヲ致シテ居リマス、ツイ近
年ニ至ル迄ノ總テノ狀況ヲ參酌シテ出來
上ッテ居ルモノデアリマスルカラ、御心配ノ
ヤウナ點ハナイト考ヘテ居ル次第デアリマ
ス
次ニ株式會社ノ取締役ハ株主デナクテハ
ナラヌト云フノガ現行ノ規定デアリマスル
ガ、改正案ニ於キマシテハ株主デナクテモ
宜シイト云フ規定ニ改正ニナッテ居リマス、
此點ニ付テ、或ハ退職ノ官吏ヲ嵌メルコト
ガ出來ルデハナイカ、他ノ株主タラザル者
ヲ以テ重役ニスルコトハ危險デハナイカト
云フ趣意ノ御質問デアリマシタガ、是ハ寧
ロ反對ニ考ヘテ居ルノデアリマシテ、會社
ノ目的ヲ達スル企業能力ノ十分ナ人材ヲ會
社ニ持ッテ來ルト云フコトハ、其會社ノ爲ニ
非常ナル利益デアリマス、然ルニ株主デナ
ケレバナラヌト云フコトニ決メテアリマス
ルト、ソコニ非常ナ不便ガアリマシテ、之
ヲ實行致ス爲ニハ、株主ヲ假裝サセルト云
フ一ツノ手段ガ起ルヤウナコトガアリマス、
斯樣ナコトニナリマスルト、ソレガ爲ニ種々
紛爭ヲ生ズル事例ガ多々アルノデアリマ
シテ、却テ會社ノ爲ニ相成ラヌ結果ヲ生ズ
ルノデアリマス、隨テ有能ナル人ヲ企業ノ
主體タル重役ニスルト云フ規定ヲ設ケテ、
其途ヲ開イタノデアリマス、尤モ或ル會社
ニ取締役ヲ强制シテ入レルト云フヤウナコ
トハ望マシクナイコトデアリマスルガ、斯
ウ云フコトハ此法律案ノ規定トハ何等關係
ノナイ單ナル實際問題ニ過ギナイノデアリ
マ人
第三ノ創立總會ノ場合ニ定款ノ變更又ハ
目的ノ變更ヲ爲スニ當ッテハ、豫メ之ヲ株主
ニ通知スル必要ガナイト云フコトハ、現行
ノ商法ノ上ニ於キマシテモ解釋上一致致
シテ居ル所デアリマシテ、ソレヲ明ニ法文
上ニ現ハシタモノニ過ギナイノデアリマス
ルカラ、實際上ニ於テハ結果ハ同ジナノデ
ゴザイマス
第四ノ株式讓渡ノ制限ハ現行法ニ於キマ
シテモ之ヲ規定致シテ居ルノデアリマス、
解釋上禁止モ出來ルト云フコトニナッテ居
ルノデアリマス、唯制限ト云フ文字ヲ使ヒ
マシタノハ、衆議院ニ於ケル委員會ノ多數
ノ意向ヲ尊重シテ書イタモノデアリマス
第五番ノ刑罰、時效ニ關スル問題ニ付
キマシテハ、是ハ刑法ノ總則竝ニ刑事訴訟
法ニ依ッテ多年ノ解釋ガ決ッテ居ル所デアリ
マスルカラ、ソレニ讓リマス
最後ニ、具體的ノ事例ニ付テ申述ベルコ
トハ困難デアリマスルガ、現在ノ〓算手續
ノ規定ハ完全ナモノデハアリマセヌ、隨テ
種々ソレヲ改正致シタノデアリマス、尙ホ
失權シタル株主ハ配當請求權ガナイノデア
リマス、何レ詳細ハ委員會ニ於テ御說明ヲ
申上ゲタイト存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=17
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018・内藤正剛
○内藤正剛君 此席カラ御許ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=18
-
019・小山松壽
○議長(小山松壽君) 宜シウゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=19
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020・内藤正剛
○内藤正剛君 私ノ申上ゲタル質問ノ氣持
ガ大臣ニハ御分リニナッテ居ラヌノデハナ
イカト思フノデアリマス、私ノ申上ゲタノ
ハ、例ヘバ內地ニ於テ恩給ヲ取ル方ガ、滿
洲ヘ行ケバ金ガ入ッテモ是ハ稅カラ逃レテ
居ルノデアリマス、昨年初メテ少イ税ガ課
ケラレタノデアリマス、又今後支那ニ行ク
ト致シマスナラバ、恩給ヲ取ッタ方ガ支那デ
取ッテモソレニハ稅ヲ課サナイコトニナル
ト思ヒマス、今日我國ニ於ケル如何ナル商
工業者ト云ハズ、是ガ輸出スル人ト輸出セ
ザル人トヲ問ハズ、課稅ヲサレテ、可ナリ
大キナ稅金デモ國民ガ甘ンジテ納メテ居ル
際ニ於テ、動モスレバ官吏タリシ人ガ獨リ
之ヲ免レテ、恬トシテ顧ミザル弊風ノアル
今日ニ於テ、商法改正案中、取締役ハ株主
デナクテモ宜イト云フコトニシテ民間側
ハ何等カノ機會ニ於テ少シデモ註文ヲ貰ヒ
タク迎合スル氣風ニナルナラバ、此思想ノ
上ニ及ボス面白カラザル現象ヲ防止スルニ
ハ、先程大臣ハ說明ヲサレマシタガ、ヤハ
リ舊來ノ如キ規定ヲ置ク方ガ時弊ヲ救フノ
所以デアル、轉バヌ先ニ杖突イテ、先ニナッ
テ瀆職問題ヲ起シタリ何カスルヨリハ置
イテ置ク方ガ宜イヂヤナイカト私ハ申上ゲ
タノデアリマス、現ニ曾テ大臣デアッタ、或
ハ大臣タラザル人デモ宜シイガ、是ガ相當
ナ政府ノ事業會社ノ重役トナリ、又大臣タ
リシ人ハ直チニ重役トナリ、サウシテ半年
ニ二万五千圓、若クハ常務ハ一万五千圓ト
云フ「ボーナス」ヲ貰ッテ居ル、現ニ日本製鐵
ノ如キサウデアル政府ガ自ラ關係シタ會
社ニ於テモ、役人ハ-中華民國ハ笑ヘマ
セヌ、國民政府ハ笑フコトハ出來マセヌ、
一族擧ッテ盥廻シノ如キ事柄ヲヤラントス
ル今日ノ傾向ノアリマス際ニ於テハ、會社
法ニ付テハ十分愼重ナル考慮ヲ用ヒナケレ
バナラナイト云フコトヲ私ハ申上ゲタ、斯
ウ云フ事柄ガ大臣ニハ徹底シナクテ、有能
ナ人-ソンナ御話ハ聞カナクテモ私ハ宜
イノデス、有能ナル人ハ貧乏人デモアリマ
セウ、併ナガラ苟モ監督者ノ地位ニ居リシ
人ガ、辭メテ一箇月若クハ二箇月ノ後ニ、
被監督者ノ會社ニ入ル事柄ガ、國民思想ノ
上ニドウ云フ氣持ヲ起スカ、司法當局ハ玆
ニ思ヲ致サレテ、適當ナル期間ダケハ、少
クトモ御遠慮ナサルヤウナ規定ヲ御設ケニ
ハナリマセヌカト申上ゲタ、之ニ對シテ答
辯ガナイノデアリマス、答辯シテ戴キタイ
(拍手)
〔國務大臣鹽野季彥君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=20
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021・塩野季彦
○國務大臣(鹽野季彥君) 御尋ノ要點ハ退
AMENTION職業ニ於クノテ
ルガ、
アリマシテ、啻ニ會社ノミニ限ッタモノデモ
ナイノデアリマス御說ノヤウナ弊害モ亦
往々アルコトダト思ヒマスルガ、此點ニ付
キマシテハ退職官吏一般ニ關スル一ツノ
工夫ヲ爲スベキデアリマシテ會社法其モ
ノニ付キマシテ一ツノ規定ヲ設クルト云フ
ノハ、餘リニ一局部ニ過ギルモノデハナイ
カト考ヘルノデアリマス、全般的ニ之ヲ考
ヘテ、或ル制限ヲ設クルコトハ宜カラウカト
モ存ジマスルガ、商法ノ問題ト致シマシテ
ハ關係ガナイコトト考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=21
-
022・小山松壽
○議長(小山松壽君) 內藤君、宜シウゴザ
イマスカ-是ニテ質疑ハ終了致シマシタ、
各案ノ審査ヲ付託スベキ委員ノ選擧ニ付テ
御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=22
-
023・服部崎市
○服部崎市君 日程第一乃至第三ノ三案ヲ
一括シテ、議長指名二十七名ノ委員ニ付託
サレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=23
-
024・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=24
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025・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=25
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026・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此際日程第四及ビ第五
ノ兩案ト共ニ、日程第十三案ヲ一括議題ト
爲シ、其審議ヲ進メラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=26
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027・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=27
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028・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ノ順序ハ變更セラレマシタ、
日程第四、社會事業法案、日程第五、商店
法案、日程第十三、簡易生命保險法中改正
法律案、右三案ヲ一括シテ第一讀會ヲ開キ
マス-木戶厚生大臣
第四社會事業法案(政府提出)
第一讀會
第五商店法案(政府提出)第一讀會
第十三簡易生命保險法中改正法律案
(政府提出)第一讀會
社會事業法案
社會事業法
第一條本法ハ左ニ揭グル社會事業ニ之
ヲ適用ス但シ勅令ヲ以テ指定スルモノ
ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
-養老院、救護所其ノ他生活扶助ヲ
爲ス事業
二育兒院、託兒所其ノ他兒童保護ヲ
爲ス事業
三施療所、產院其ノ他施藥、救療又
ハ助產保護ヲ爲ス事業
四授產場、宿泊所其ノ他經濟保護ヲ
爲ス事業
五其ノ他勅令ヲ以テ指定スル事業
六前各號ニ揭グル事業ニ關スル指導、
聯絡又ハ助成ヲ爲ス事業
第二條社會事業ヲ經營スル者其ノ事業
ヲ開始シタルトキ又ハ之ヲ廢止セント
スルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ旨
事業經營地ノ地方長官ニ屆出ヅベシ
第三條地方長官ハ社會事業ヲ經營スル
者ニ對シ保護ヲ要スル者ノ收容ヲ委託
スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル委託アリタル場合ニ
於テ社會事業ヲ經營スル者ハ正當ノ事
由アルニ非ザレバ之ヲ拒ムコトヲ得ズ
第四條地方長官ハ社會事業ノ施設ニ收
容セラレタル者ノ處遇上必要アリト認
ムルトキハ社會事業ヲ經營スル者ニ對
シ其ノ施設ニ屬スル建物又ハ設備ノ改
良ヲ命ズルコトヲ得
社會事業ヲ經營スル者前項ノ規定ニ依
ル處分ニ從ハザルトキハ地方長官ハ當
該建物又ハ設備ノ使用ヲ禁止シ又ハ制
限スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル處分ハ豫メ戒〓スル
ニ非ザレバ之ヲ爲スコトヲ得ズ但シ急
迫ノ事情アル場合ニ於テハ此ノ限ニ在
ラズ
第五條社會事業ヲ經營シ又ハ經營セン
トスル者其ノ事業ノ經營ニ必要ナル資
金ヲ得ル爲寄附金ヲ募集セントスルト
キハ事業經營地ノ地方長官ノ許可ヲ受
クベシ
前項ノ場合ニ於テ事業經營地ガ二以上
ノ道府縣ノ區域ニ涉ルトキハ主務大臣
ノ許可ヲ受クベシ
前二項ノ規定ニ依ル許可ニハ條件ヲ附
スルコトヲ得
第一項又ハ第二項ノ規定ニ依リ寄附金
ヲ募集シタル者(當該事業ノ承繼者ヲ
含ム)ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ收
支ヲ寄附金募集ノ許可ヲ受ケタル官廳
ニ報〓スベシ
第一項又ハ第二項ノ規定ニ依リ寄附金
ヲ募集シタル者(當該事業ノ承繼者ヲ
含ム)ハ其ノ寄附金又ハ之ニ依リ得タ
ル財產ノ處分ニ付寄附金募集ノ許可ヲ
受ケタル官廳ノ許可ヲ受クベシ
第六條地方長官ハ監督上必要アリト認
ムルトキハ社會事業ヲ經營スル者ニ對
シ其ノ事業ニ關スル報〓ヲ爲サシメ、
書類帳簿ノ提出ヲ命ジ、實地ニ就キ業
務若ハ會計ノ狀況ヲ調査シ又ハ事業ノ
經營ニ關シ指示ヲ爲スコトヲ得
第七條社會事業ヲ經營スル者本法若ハ
本法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ基キ
テ爲ス處分ニ違反シタルトキ又ハ其ノ
事業ノ經營ニ關シ著シク不當ノ行爲ア
リタルトキハ主務大臣ハ中央社會事業
委員會ノ意見ヲ聞キ其ノ者ニ對シ本法
ノ適用ヲ受クル社會事業ヲ經營スルコ
トヲ禁止シ又ハ制限スルコトヲ得
第八條中央社會事業委員會ニ關スル規
程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第九條道府縣ハ命今ノ定ムル所ニ依リ
地方社會事業ニ關スル重要事項ヲ調査
審議セシムル爲地方社會事業委員會ヲ
設置スルコトヲ得
第十條社會事業ヲ經營スル者第二條ノ
規定ニ依ル事業開始ノ屆出ヲ爲シタル
トキハ道府縣、市町村其ノ他ノ公共團
體ハ其ノ社會事業ノ用ニ供スル土地又
ハ建物ニ對シテ租稅其ノ他ノ公課ヲ課
スルコトヲ得ズ但シ有料ニテ之ヲ使用
セシムル者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第十一條政府ハ社會事業ヲ經營スル者
ニ對シ豫算ノ範圍內ニ於テ補助スルコ
トヲ得
第十二條社會事業ヲ經營スル者左ノ各
號ノ一ニ該當スルトキハ前條ノ規定ニ
依ル補助ヲ取消シ又ハ既ニ交付シタル
補助金ノ全部若ハ一部ノ返還ヲ命ズル
コトヲ得
一事業ノ全部又ハ一部ヲ廢止シタル
トキ
二補助ノ條件ニ違反シタルトキ
三本法若ハ本法ニ基キテ發スル命令
又ハ之ニ基キテ爲ス處分ニ違反シタ
ルトキ
第十三條主務大臣地方ノ情況ニ依リ特
別ノ必要アリト認ムルトキハ中央社會
事業委員會ノ意見ヲ聞キ道府縣又ハ勅
令ヲ以テ指定スル市ニ對シ社會事業ノ
經營ヲ命ズルコトヲ得
第十四條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ
五百圓以下ノ罰金ニ處ス
一第五條第一項又ハ第二項ノ規定ニ
依ル許可ヲ受ケズシテ寄附金ヲ募集
シタル者
二第五條第三項ノ規定ニ依ル許可ノ
條件ニ違反シテ寄附金ヲ募集シタル
者
三第五條第五項ノ規定ニ依ル許可ヲ
受ケズシテ寄附金又ハ之ニ依リ得タ
ル財產ヲ處分シタル者
四第七條ノ規定ニ依ル禁止又ハ制限
ニ違反シテ社會事業ヲ經營シタル者
第十五條第五條第四項ノ規定ニ依ル報
告ヲ爲サズ又ハ虛僞ノ報告ヲ爲シタル
者ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス
第十六條社會事業ヲ經營シ又ハ經營セ
ントスル者ハ其ノ代理人、戶主、家族、同
居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ業
務ニ關シ本法ニ違反シタルトキハ自己
ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰
ヲ免ルルコトヲ得ズ
第十七條本法ノ罰則ハ社會事業ヲ經營
シ又ハ經營セントスル者ガ法人ナルト
キハ理事其ノ他ノ法人ノ業務ヲ執行ス
ル役員ニ、未成年者又ハ禁治產者ナル
トキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際現ニ社會事業ヲ經營スル者
ハ本法施行ノ日ヨリ三月以內ニ第二條ノ
規定ニ依ル屆出ヲ爲スベシ
第五條ノ規定ハ社會事業ヲ經營シ又ハ經
營セントスル者ニシテ本法施行ノ際現ニ
寄附金募集ニ付行政官廳ノ許可ヲ受ケ募
集中ノモノニ對シテハ之ヲ適用セズ
商店法案
商店法
第一條本法ハ市及主務大臣ノ指定スル
町村(町村ニ準ズベキモノヲ含ム)ニ於
テ物品販賣業又ハ理容業ヲ營ム店舗ニ
之ヲ適用ス
前項ノ物品販賣業及理容業ノ範圍ハ勅
令ヲ以テ之ヲ定ム
第二條店主ハ本法ニ定ムル閉店時刻以
後顧客ニ對シ前條ノ營業ヲ爲スコトヲ
得ズ但シ閉店時刻前ヨリ引續キ店舗ニ
在ル顧客ニ對シテハ此ノ限ニ在ラズ
店主ハ閉店時刻以後ト雖モ負傷、疾病、
災害其ノ他緊急ノ事由ヲ提示セル顧客
ニ對シ其ノ必要ニ應ズル物品ヲ販賣ス
ルコトヲ得
第三條閉店時刻ハ午後十時トス
行政官廳ハ命令ノ定ムル所ニ依リ地域
ヲ限リ前項ノ時刻ヲ午後十一時迄繰延
ブルコトヲ得
第四條業務ノ繁忙ナル時期ニ付行政官
廳必要アリト認ムルトキハ期間又ハ地
域ヲ限リ一年ヲ通ジ六十日以内前二條
ノ規定ヲ適用セズ又ハ前條ノ時刻ヲ繰
延ブルコトヲ得
前項ノ外行政官廳臨時必要アリト認ム
ルトキハ期間又ハ地域ヲ限リ前二條ノ
規定ヲ適用セズ又ハ前條ノ時刻ヲ繰延
ブルコトヲ得
第五條店主ハ使用人ニ每月少クトモ一
囘ノ休日ヲ與フベシ
第六條左ニ揭グル店舗ニシテ行政官廳
ノ許可ヲ受ケタルモノニ付テハ第二條
及第三條ノ規定ハ之ヲ適用セズ
ー興行場、觀覽場、遊技場其ノ他之
ニ類スル場所ニ於ケル店舗
二展覽會場、共進會場、博覽會場其
ノ他之ニ類スル場所ニ於ケル店舗
三停車場又ハ船舶發着所ニ於ケル店
舖
四其ノ他主務大臣ノ指定スル場所ニ
於ケル店舗
前項第二號ノ店舗ニシテ行政官廳ノ許
可ヲ受ケタルモノニ付テハ前條ノ規定
ハ之ヲ適用セズ
第七條常時五十人以上ノ使用人ヲ使用
スル店舗ニ在リテハ店主ハ十六歲未滿
ノ者及女子ヲシテ一日ニ付十一時間ヲ
超エテ就業セシムルコトヲ得ズ
前項ノ店舗ニ在リテハ店主ハ十六歲未
滿ノ者又ハ女子ノ就業時間ガ六時間ヲ
超ユルトキハ少クトモ三十分、十時間ヲ
超ユルトキハ少クトモ一時間ノ休憩時
間ヲ就業時間中ニ於テ之ニ與フベシ
業務ノ繁忙ナル時期ニ於テハ店主ハ行
政官廳ノ許可ヲ受ケ一年ヲ通ジ六十日
以內第一項ノ就業時間ヲ延長スルコト
ヲ得
前項ノ外臨時必要アル場合ニ於テハ店
主ハ行政官廳ノ許可ヲ受ケ第一項ノ就
業時間ヲ延長スルコトヲ得
第八條前條第一項ノ店舗ニ在リテハ店
主ハ十六歲未滿ノ者及女子ニ每月少ク
トモ二囘ノ休日ヲ與フベシ
業務ノ繁忙ナル時期其ノ他臨時必要ア
ル場合ニ於テ店主行政官廳ノ許可ヲ受
ケタルトキハ前項ノ休日ヲ一囘ト爲ス
コトヲ得
第九條行政官廳ハ命令ノ定ムル所ニ依
リ店舗又ハ其ノ附屬建設物ニ於ケル使
用人ノ危害ノ防止又ハ衞生ニ關シ必要
ナル事項ヲ店主ニ命ズルコトヲ得
第十條天災事變ノ爲又ハ事變ノ虞アル
爲必要アル場合ニ於テハ主務大臣ハ期
間又ハ地域ヲ限リ本法ノ全部又ハ一部
ヲ適用セザルコトヲ得
第十一條行政官廳監督上必要アリト認
ムルトキハ當該官吏ヲシテ店舗又ハ其
ノ附屬建設物ニ臨檢セシムルコトヲ得
但シ使用人以外ノ者ノ居室ハ此ノ限ニ
在ラズ
當該官吏前項ノ規定ニ依リ臨檢スル場
合ハ其ノ證票ヲ携帶スベシ
第十二條店主ハ店舗ノ管理ニ付一切ノ
權限ヲ有スル店舗管理人ヲ選任スルコ
トヲ得
店主本法施行地內ニ居住セザルトキハ
店舗管理人ヲ選任スルコトヲ要ス
店舗管理人ノ選任ハ行政官廳ノ認可ヲ
受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ但
シ法令ノ規定ニ依リ法人ヲ代表スル者
及支配人ノ中ヨリ選任スル場合ハ此ノ
限ニ在ラズ
第十三條前條ノ店舗管理人ハ本法及本
法ニ基キテ發スル命令ノ適用ニ付テハ
店主ニ代ルモノトス
店主營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ
有セザル未成年者若ハ禁治產者ナル場
合又ハ法人ナル場合ニ於テ店舗管理人
ナキトキハ其ノ法定代理人又ハ法令ノ
規定ニ依リ法人ヲ代表スル者ニ付亦前
項ニ同ジ
第十四條店主又ハ前條ノ規定ニ依リ店
主ニ代ル者第二條第一項、第五條、第
七條第一項第二項又ハ第八條第一項ノ
規定ニ違反シタルトキハ五百圓以下ノ
罰金又ハ科料ニ處ス
第十五條正當ノ理由ナクシテ當該官吏
ノ臨檢ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シ又ハ其
ノ尋問ニ對シ答辯ヲ爲サズ若ハ虛僞ノ
陳述ヲ爲シタル者ハ三百圓以下ノ罰金
又ハ科料ニ處ス
第十六條店主又ハ第十三條ノ規定ニ依
リ店主ニ代ル者ハ其ノ代理人、戶主、
家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ
其ノ業務ニ關シ本法又ハ本法ニ基キテ
發スル命令ニ違反シタルトキハ自己ノ
指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ
免ルルコトヲ得ズ
第十七條本法及本法ニ基キテ發スル命
令ハ營利ヲ目的トセザル物品販賣又ハ
理容ノ事業ヲ爲ス店舗ニ之ヲ準用ス但
シ國、道府縣、市町村其ノ他之ニ準ズ
ベキモノニ付テハ店舗管理人ニ關スル
規定及罰則ハ此ノ限ニ在ラズ
第十八條本法ハ汽車、汽船其ノ他ノ交
通機關內ニ於ケル店舗及露店ニ之ヲ適
用セズ
行政官廳ハ物品販賣業ヲ營ム露店ニ付
終業スベキ時刻ヲ定ムルコトヲ得
附則
本法施行ノ期日ハ各規定ニ付勅令ヲ以テ
之ヲ定ム
簡易生命保險法中改正法律案
簡易生命保險法中左ノ通改正ス
第四條中「四百五十圓」ヲ「七百圓」ニ改ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔國務大臣侯爵木戶幸一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=28
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029・木戸幸一
○國務大臣(侯爵木戸幸一君) 只今上程サ
レマシタ三法案ニ付テ御說明申上ゲマス
先ヅ第一ニ社會事業法案ニ付テ提案ノ理由
ヲ說明致シマス、現下時局ノ推移ニ伴ッテ
生ズルコトノアルベキ各種ノ社會問題ニ對シテ、
是ガ對策ノ必要ナルハ、想像スルニ難カラ
ヌノデアリマス、仍テ政府ニ於テハ、戰時
戰後ニ於ケル社會施設ヲ整備スルノ特ニ緊
要ナルヲ思ヒ、是ガ爲メ一面社會政策ノ擴
充ニ努ムルト共ニ、他面公私社會事業ノ發
展ヲ圖ルコトヲ期シテ居ルノデアリマス、
御承知ノ如ク社會事業ノ施設ハ、近時漸ク
增加發達ノ趨勢ニアリマシテ、其成績モ亦
比年向上ノ跡ヲ示シ、其國民生活ニ及ボス
效果モ極メテ重視スベキモノガアリマス、
而シテ從來本事業ニ對シマシテハ、皇室ノ
御思召ニ基ク御仁慈ハ申スモ畏キ極ミデア
リマスガ、國ニ於テモ、地方團體ニ於テモ、
年々相當ノ奬勵金ヲ交付シテ、其發達ヲ圖
リ來ッタノデアリマス、併ナガラ其助成監督
ノ方法ハ、救護施設、少年〓護院、職業紹
介所、公益質屋等、特別ニ法律ノ定メアル
モノヲ除クノ外、未ダ制度トシテ確立セラ
ルヽニ至ラナカッタノデアリマス、隨テ一般
ノ社會事業ニ付テモ、一層積極的ニ其振興
發達ヲ期スル爲ニ、是ガ助成及ビ監督ノ方
法ヲ制度化スルコトノ必要ナルコトハ、政
府ノ夙ニ痛感シタル所ナルノミナラズ、關
係方面カラモ、屢〓其要望ガアッタノデアリマ
ス、卽チ政府ニ於テハ是等ノ事情ニ鑑ミ、
又前段申上ゲマシタ如キ時世ノ要求ニ察シ
マシテ、今囘本法案ヲ提出スルニ至リマシ
タ次第デアリマス、而シテ本法案ニ於テハ、
斯業助成ノ方策トシテ、國庫補助及ビ租稅
免除ニ關シ規定シ、又指導監督ノ方法トシ
テ必要ナル諸規定ヲ設ケマシタ外、社會事業
ノ堅實適正ナル發達ニ資スル爲メ、社會事
業委員會設置ニ關スル規定ヲ設ケタノデア
リマス、尙ホ本法案施行ニ要スル經費ニ關
シテハ、本年度豫算案ニ計上セラレテアリ
ママ、何卒御審議ノ上速ニ御協贊ヲ與ヘラ
レンコトヲ希望致シマス
次ニ商店法案ニ付キマシテ提案ノ理由ヲ
御說明申上ゲマス、現在我國ニ於ケル商店
ノ營業時間ハ、〓シテ冗長不規律デアリマ
スノミナラズ、休日制ノ如キモ未ダ一般ニ
ハ普及シテ居ナイ狀態デアリマス、斯ル
實情ニアリマスコトハ商店ニ働イテ居ル
者ノ保健衞生上甚ダ遺憾トスル所デアリマ
ス、然ルニ從來我國ニ於ケル勞務者ノ保護
ニ關スル法律ト致シマシテハ、工場法トカ、
鑛業法トカ、主トシテ工場、鑛山等ニ働イ
テ居ル者ニ限ラレテ居リマシテ、商店ニ働
イテ居ル者ニ對シテハ、未ダ何等ノ保護法
規ガ及ンデ居ナイノデアリマス、當局ハ夙
ニ此點ニ鑑ミマシテ、是等商店ニ働イテ居
ル者ノ保護ヲ圖リタイト考ヘマシテ、調査
〓究ヲ續ケテ居ッタノデアリマスガ、此程成
案ヲ得マシタノデ、玆ニ提案致シマシタ次
第デアリマス、本法案ハ市及ビ主務大臣
ノ指定スル町村ニ於テ、物品販賣業又ハ
理容業ヲ營ム店舗ニ適用スルモノデアリマ
ス、而シテ一般ノ商店ニ對シテハ、閉店時
刻ヲ原則トシテ午後十時トシ、且ツ使用人
ニ對シテハ每月少クトモ一囘ノ休日ヲ與フ
ルコトト致シテ居リマス、尙ホ常時五十人
以上ノ使用人ヲ使用スル大商店ニ對シテ
ハ、女子及ビ年少者ノ就業時間ヲ一日十一
時間以內トシ、且ツ每月少クトモ二囘ノ休
日ヲ與フベキコトヲ規定シテ居リマス、
以上ハ本法案ノ〓要デアリマス、何卒愼重
御審議ノ上御協贊アランコトヲ望ミマス
最後ニ簡易生命保險法中改正法律案提出
ノ理由ヲ說明致シマス、本案ハ簡易生命保
險法第四條ノ保險金最高制限額ヲ、現在ノ
四百五十圓ヨリ七百圓ニ引上グル爲メ、簡
易生命保險法ヲ改正セントスルモノデアリ
マス現在ノ保險金最高制限額デアリマス
ル四百五十圓ハ大正十五年ニ改正增額セ
ラレマシタ次第デアリマスルガ、其後十數
年間ハ一囘ノ改正モ行ハレテ居ナイノデア
リマシテ、隨ッテ其後ニ於ケル社會經濟事情
ノ變遷ニ鑑ミマスル時ハ本制度ハ一般庶
民ノ死後又ハ老後ノ保障トシテ、十分ノ效
果ヲ期待シ難イ情勢ト相成ッテ參ッタノデア
リマス、又一面民營死亡保險ノ契約狀況ヲ
見マスルニ、大部分ハ一千圓以上ノ契約デ
アリマシテ、千圓未滿ノ新契約ハ、之ヲ總
體ニ對比致シマスルトキハ、寔ニ微々タル
有様デアリマス、隨テ兩保險ノ中間ニハ極
メテ大幅ノ間隙ガ存スルノデアリマシテ
是ハ國民ニ對スル保險需要ノ充足上、甚ダ
遺憾ニ堪ヘナイ次第デゴザイマス
以上申述ベマシタ如ク、庶民生活ノ安定
上保險制度ノ缺陷ノ補整ハ、極メテ緊要ト
相成ッテ居リマスルガ、其方法トシテハ保險
料ノ月掛、集金、其他手續ノ簡便ナ簡易生
命保險制度ノ擴充ニ依ルノヲ、最モ適當ナ
方法ト確信致スノデアリマス、併ナガラ一
面民營死亡保險ニ對スル影響ト云フ見地ヨ
リ致シマスルトキハ、其引上限度ハ七百圓
ノ程度ヲ相當ト考ヘラレマスノデ、今囘改
正セントスル簡易生命保險ノ保險金最高制
限額ハ、之ヲ七百圓ト決定シタ次第デアリ
マス、而シテ此程度ノ保險金引上デアレバ、
民營生命保險事業ニハサシタル影響ハナイ
モノト確信致シテ居リマス
簡易生命保險事業ハ創始以來驚異的ナ發
展ヲ遂ゲ、現在總契約件數ハ二千八百万件
ヲ算シ、保險金總額ハ四十一億圓ヲ超エ、
又其積立金ハ十三億圓ニ達スル盛況デアリ
マシテ、之ニ依ッテ直接間接ニ國民生活上及
ビ國家財政上ニ多大ノ貢獻ヲ致シツヽアル
コトハ、顯著ナ事實デゴザイマス、幸ヒ今
囘ノ改正ガ實現致シマスレバ、是等ノ諸點
ニ於キマシテ、更ニ其效果ヲ發揮スルコト
トナルノデアリマシテ、現下ノ時局ニ鑑ミ
マシテモ、其意義ハ極メテ深イモノガアル
ト存ズルノデアリマス、以上ノ趣旨ニ依リ
簡易生合保險法中改正法律案ヲ提出致シマ
シタノデアリマスカラ、何卒十分御審議ノ上速
ニ御協贊アランコトヲ切望スル次第デアリ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=29
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030・小山松壽
○議長(小山松壽君) 質疑ノ通告ガアリマ
ス、之ヲ許シマス-古田喜三太君
〔古田喜三太君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=30
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031・古田喜三太
○古田喜三太君 只今上程セラレマシタル
事業法ニ付テ質疑ヲ致シ、厚生大臣及ビ司
法大臣、陸軍大臣ノ御所見ヲ承リタイノデ
アリマス
我國ノ社會事業ハ、世界各國ノ社會事
業トハ、其起原及ビ發達ノ徑路ガ全ク異
ナリ、畏多クモ、上古歷代ノ皇室ノ尊キ
思召ニ依ッテ興起シ、以テ今日ノ隆盛ヲ致
シタノデアリマス、近時歐米ニ於テ近世的
社會事業ト稱セラレル大部分ハ、旣ニ我國
ニ於テハ千三百年ノ昔ニ聖德太子及ビ光明
皇后ノ皇族ノ御手ニ依ンテ行ヒ給ヒ、此事實
ハ全ク各國社會事業ノ事業史ニ於テ見ルコ
トノ出來ナイ尊キ事績デアリマシテ、是レ
官民一體ノ世界無比ノ國體ニ生ヲ享ケタル
蒼生ノ餘澤デアリマシテ、洵ニ感激ニ堪ヘ
ザル次第デアリマス、過日紀元節ノ佳辰ニ
當リマシテ、畏クモ天皇陛下ニハ全國優
良社會事業團體ニ對シマシテ、多額ノ御內
帑金ヲ御下賜遊バサレ、不遇ノ赤子ヲ憐ミ
賜フト共ニ、一般國民トシテ此方面ニ努力ヲ
致スベキ〓ヲ賜フ、其御叡慮ノ程ヲ拜シ承リ
マシテ、恐懼感激ニ堪ヘザル次第デアリマス
今ヤ世界ハ富ノ偏在ニ依ッテ、重大ナル問
題ヲ起シテ居リマスト同樣ニ、我ガ國內ニ
於キマシテモ貧富ノ懸隔甚シク、是ニ於テ
社會政策ト云フモノガ生ジテ來ルノデア
リマス、國民中唯ノ一人ト雖モ飢ヱテ死ンダ
リ、泣イテ暮シタリ、不平不滿ヲ懷ク者ガアッ
タノデハ、眞ニ立憲治下ニ於ケル文明國トハ言
ヒ得ナイノデアリマス、然ルニ我國ノ今日ノ
社會情勢ヲ通觀スルナラバ、朝ニ親子心中、
タニ鐵道往生ト云フガ如キ、洵ニ哀レナル
悲慘事ガ頻々トシテ行ハレ、其數一箇年二
万六千ヲ算シテ居ルヤウナ狀況デアリマス、
是ニ於テ今囘新ニ出來マシタ所ノ厚生省ノ
手ニ依ッテ社會ノ缺陷ヲ補ヒ、明朗社會ラ建
設スルト云フコトハ、此社會政策ノ大使命
ニ依ッテ生レタコトト、固ク私共ハ期待致シ
テ居ッタ者デアリマス、然ルニ今囘御提案ニ
ナリマシタ所ノ事業法案ハ、保護助長ト云
フヨリモ、寧ロ監督ヲ嚴ニシタ嫌ガアルノ
デアリマス(拍手)凡ソ社會事業ト云フモノ
ハ地方ニ於ケル名望家、或ハ奇特家ノ手
ニ依ッテ行ハレ、而シテ淚ト誠心誠意ヲ以テ
行フ事業デアリマス、現ニ我國デハ公營私
營ヲ合セテ八千ト稱シテ居リマス、此經費
一箇年五千万圓以上ヲ使ッテ居ルヤウナ狀
況デアリマス、政府ハ是等ニ向ッテ今囘ノ增
額ヲ合シテ、僅ニ五千万圓ヲ保護助長ノ奬
勵金トシテ御入レニナルノデアリマスルガ、
洵ニ私共少額ニ驚カザルヲ得ヌノデアリマ
ス、殊ニ此種ノ事業ニ對シテ監督權ヲ及ボ
スニ當リマシテ、十四條カラ十七條ノ法文
ヲ見マスト、代理人、家族、同居人、從業者
マデガ此法規ニ違反シタ場合ニハ、經營者
ニ向ッテ罰スルト云フ法規デアリマスルガ、
是ガ大ナル私ハ誤ダト思フ、成程八千ト
稱スル此私立ノ社會事業經營者モ、色々ナ
者モアリマセウケレドモ之ヲ改正サス爲
ニ此法規ヲ徹底スルト云フコトハ、實ニ私
ハ驚クベキコトト思フ、現ニ一例ヲ申スナ
ラバ先年埼玉縣ニ於テ或ル會計課長ガ百
万圓ヲ消費シタ事件ガアリマシタガ、果シ
テ此事件ノ如キ、誰ガ上ノ者ガ責任ヲ負ウ
テ居リマスカ、負ッテ居リマセヌ、所ガ折角
自分ノ金ヲ出シテ社會事業ニ携ッテ居ル者
ニ、度々來テ檢査ヲサレ、度々來テ其家屋
ニ入ッテ、名ヲ奬勵ニ藉ッテ下ノ役人ノ方ガ
イヂメルガ如キ行動ガアッタナラバ、天下ノ
此篤志家ハ影ヲ潜メル狀況ニナッテ、保護助
長ドコロデハナイ、萎靡沈滯スルト云フコ
トニナリハシナイカト云フコトヲ、私ハ憂
ヘルノデアリマス、此點ニ關シテ厚生大臣
ノ御意見ヲ承リタイ
玆ニ餘談デハアリマスガ、一言御參考ニ
申上ゲタイコトハ、方面委員制度ト云フモ
ノハ、大正六年ニ京都ニ端ヲ發シマシテ、
大正七年ニ大阪ノ其當時ノ府知事林知事
ガ、丁度アノ歐洲大戰ノ黃金ノ成金ガ出來
タ當時デアリマスノデ、夕方ニ床屋ニ行ッテ
髮ヲ摘マレタガ、其時寒空ニ僅カ十二三ノ
子供ガ哀レナ姿ヲシテタ刊ヲ賣リ居ッタ、之
ヲ眺メタ所ノ府知事ハ、是程黃金ノ波ガ漂ツ
テ居ルノニ、社會ニハコンナ貧乏人ガ居ル
ノカト云フコトヲ不思議ニ感ゼラレテ、翌
日係ノ者ヲシテ之ヲ調査サセタ、所ガ社會
ニハ多數ノ哀レナ者ガ居ルト云フコトヲ御
氣付ニナリマシテ、ソレガ基ニナッテ出來タ
ノガ、今日ノ發達シタ所ノアノ方面委員制
度デアリマス、ソコデ私共思ヒマスノハ
厚生大臣ハ華族ノ御出身デアラセラレマス
ノデ、果シテ下々ノコトガ分ッテ居ルカ否ヤ
ト云フコトヲ疑フノデアリマス、幸ヒ下々
ノコトヲ知ッタ政務次官ノ工藤君ガオ居デ
ニナリマスカラ、稍、釣合ハ取レマスガ、ド
ウゾ厚生大臣ハ、公式ニオイデニナッタノデ
ハ歡迎攻メニ遭ヒマスカラ、忍ビデ以テ都
會ノ貧民窟ヲ一遍調査シテ貰ヒタイ、又農
村ニ行ッテ農村ノ哀レナ國民ノ狀況ヲ自ラ
會得シテ、サウシテ政治ヲ行フト云フコト
ガ眞ノ政治家デアルト私ハ思フノデアリ
マス(拍手)
此處デモウ一ツ伺ヒタイノハ、現在百万
ノ將兵ハ北支、南支、中支ニ活躍シテオイ
デニナリマス、其遺家族ニ對シマシテハ、目下
扶助法ニ依ッテ百万人內外ノ扶助ヲ致シテ、
至レリ盡セリノヤウデアリマスガ、マダモッ
ト手拔リノ所ガアリマス、一例ヲ申スナラバ
農村ニ參リマスト、農村ハ、アノ中心ノ人
物ガ出テ行ッタ其後ハ非常ニ手不足デアリマ
ス、手不足デアルニ拘ラズ、隣保相愛ノ
精神ヲ以テ、在〓軍人會ヲ先頭ニ、國防婦
人會、男女靑年團、有ユル團體ガ協力致シ
テ、村民、町只一致協力致シテ田ヲ耕シ、
或ハ麥ヲ播キ、稻ヲ刈リ、共同作業、共存共
榮ノ下ニ働イテ居リマス、而シテ今日御承
知ノ如ク此戰爭眞最中ニ、唯ノ一粒ノ食糧
ノ不足モ感ゼシメナイト云フコトハ、此農
民諸君ノ協力心ニ負フ所大ナリト思フノデ
アリマス、ソコデ戰爭ガ今濟メバ宜シイノ
デアリマスガ、長ク續クト云フコトニナレ
バ、非常ナ茲ニ弛ミガ出ハセヌカト云フコ
トヲ思フノデアリマスガ、厚生大臣ハ此物
心兩方面ニ付テ如何ニ御考ニナッテ居リマス
ルカ、此點ガ伺ヒタイ、又都會ニ於キマシ
テハ、此扶助法ニ依ッテ〓ハレザル一例ヲ申
セバ、小サナ店ヲ小資本デ經營シテ居ル、此
中心人物ガ出テ行ッタ後ト云フモノハ、扶助
料ハ貰ヘズ、非常ニ因ッテ居ル者ガ多數居ル
ノデアリマスガ、是等ニ對シテモウ一段ノ
御誠意ヲ以テ御調査アランコトヲ希望スル
者デアリマス、ソコデ此方面委員制度ハ
幸ニ七十議會デ法文化サレ、方面委員諸君
ハ銃後ノ第一線ニ立ッテ非常ニ活躍シテ居ツ
テ呉レマス、ソコデ大イニ斯ウ云フ方面ノ
扶助法ニ當嵌マラザルモノデモ、政府ハ之
ニ向ッテ援助セラレンコトヲ希望致シテ置キ
マス
ソレカラ次ニハ司法大臣ニ御伺シタイト
思フ、大臣ハオ居デニナラヌヤウデアリマ
スガ、司法保護ニ付テデアリマス、昨年末
ノ統計ニ依リマスレバ、今日我國ノ五十三
箇所ノ刑務所ニ四万八千九百三十九名ノ受
刑者ガ居リマス、此人々ト雖モ今囘ノ支那
事變ニ際シテ、非常ナル燃ユルガ如キ烈々
タル愛國心ノ發露ノ下ニ、曩ニ七万五千圓
ノ金ヲ納付シ、陸海兩省ニ向ッテ一臺ヅヽ飛
行機ヲ獻納シタコトハ、諸君ノ御承知ノ通
リデアリマス、併ナガラ此受刑者ノ人々ガ、
全部惡人カト云ヘバサウデナイ、是ハ十年
ノ統計デアリマスガ、有罪決定ガ十二万一
千六百六十二名、其中デ簡單ナ處分デ出タ
者ガ七万五千五人デアリマス、其殘リガ四
万六千六百五十七名、此內譯ハ利慾ノ爲ニ
罪ヲ犯シタ者ガ二万四千二百三十餘名、又
癖ガ惡クテ盜癖ノアル者ガ七千七百二十
六名、出來心デヤッタ者ガ四千百二十二名ア
リマス、貧困ノ爲ニ罪ヲ犯シタ者ガ千七百
九十九名、斯ノ如キヲ全部總括シテ見マス
ト、眞ニ惡イト云フ者ハ恐ラク十分ノ三、
四シカ居リマセヌ、其他ノ者ハ或ハ貧困、
或ハ出來心デヤッタ、ソレ等ノ人々ガ刑ニ掛
リマスト、一遍罪ヲ犯シマスト前科ガ附キ
マス、前科ガ附クト云フコトニナルト、罪
ヲ憎ンデ人ヲ憎マズトハ反對ニナル、退引
ナラヌ爲ニ惡イ事ヲシタ者マデ前科ガ附ク
ト云フコトハ、丁度此間ノ帝人事件、神奈
川事件ノ如キ、アノ極マデ行ッテ、檢事ノ意思
通リデアッタナラバ、是ハ罪人デアッタガ、玆ニ
名裁判長ガ居ラレタ爲ニ無罪放免ニナッタノ
デアリマス、ソコデ私刑務所ニ入ッタ初犯ノ
者ヲ〓究シテ見マスト、其八割マデハ改悛
致ス者デアリマス、此改悛ノ顯著ナル者ニ
向ッテハ、刑務所長ノ證明ニ依ッテ前科ヲ附
ケナイコトニスルト云フコトニ出來ルカド
ウカ、之ヲ司法大臣ニ御伺シタイ、又例
ヘバ決ッタ二年ナラ二年ト云フ刑ガ盡キテ、
今出サウトシタ時ニ、此人間ハ改悛ノ情ヲ
現ハシテ居リマセズ、出タナラバ又來マス
ト廣言ヲ吐イテ居ル、斯ウ云フ惡質ノ者ニ
ハ、年限ヲ附ケズ、或ル程度マデハ刑務所
ニ委スト云フ御決心ガアルカドウカ、又全
國ニ思想犯ノ取締ニ付テハ、昭和十一年十
瓦二十二箇所ニ保護審判所ト云フモノ
ヲ置イテ居リマス、又少年ノ分ニ付キマシ
テモ、是ハ全國デ東京、大阪、名古屋、福
岡ノ四箇所シカアリマセヌガ、是等ノ所轄
縣ハ十二、三デアリマスガ、昨年取扱ッタ所
ノ少年ノ數二万六千ト稱シテ居リマス、此
審判所ノアル所ハ非常ナ恩惠ヲ蒙ッテ、初メ
カラ少年ヲ刑務所ニ入レマセヌ、或ハ少年
〓護院、或ハ感化院ニ預ケ、非常ニ至レリ
盡セリデアリマスガ、全國ニハマダ置イテ
ナイ處ガ三十四縣程アリマス、之ニ向ッテ少
年審判所ヲ置ク必要ガナイカ、御伺致シマ
ス、其他ノ點ニ付テハ委員會デ御伺致シタ
イト思ヒマス
陸軍大臣ニ御伺致シタイコトハ、私共昨
年八月、皆樣ノオ蔭デ小泉團長ノ下ニ皇軍
慰問使トシテ、北支ノ第一線ニ參リマシタ、
此時ニ我ガ將兵諸士ノアノ勇猛果敢ナル行
動ヲ見タ時ニ、感謝、感激、感泣ヲ致シタ
者デアリマス、其時ニ又目ニ著イタノハ
新聞記者諸君ガ通信報道ノ爲ニ、アノ彈丸
雨霰ノ下ヲ、將兵諸士ト變ラザル活動ヲ致
シテ居ルコトデアリマシタ、一時モ早ク祖國
日本ニ此勇猛果敢ナル我ガ將兵ノ活動ヲ報
道シ、而シテ我ガ國民ハ之ヲ眺メテ、或ハ
「ニユース」ヲ眺メテ、非常ニ喜ンダノデア
リマス、此通信ヲ致ス所ノ新聞記者諸君
ノ-今日デハ大分戰死者ガアリマシテ、現
ニ只今モ同盟通信ノ記者ノ葬式トノコトデ
アリマスガ-是等ノ戰死者及ビ戰傷者、
或ハ遺家族ニ對シテ、陸軍大臣ハドウ云フ
御考ヲ持ッテオイデニナリマスカ、恐ラク出
征兵士同樣ニ取扱ッテ貰ヒタイト云フコト
ヲ希望シテ居ルノデアリマス(拍手)其他ノ
色々問ヒタイコトハ委員會ニ讓リマシテ、
之ヲ以テ私ノ質問ヲ打切リマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=31
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032・小山松壽
○議長(小山松壽君) 古田君ニ申シマス、
陸軍大臣ハ本日葉山ニ伺候中ニ付キ出席致
シ兼ネルトノコトデアリマス、陸軍省政府
委員ハ出席致シテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=32
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033・古田喜三太
○古田喜三太君 政府委員デ宜シウゴザイ
マ人
〔國務大臣侯爵木戶幸一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=33
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034・木戸幸一
○國務大臣(侯爵木戸幸一君) 古田サンニ
御答致シマス、第一ノ點ハ、我國ノ社會事業
ノ歷史發達カラ見テ、之ニ罰則ヲ以テ臨ム如
キハ、甚ダ不穩當デアルカラ、罰則等ノコ
トハ考ヘナイ方ガ宜イノデハナイカト云フ
ヤウナ意味ノ御質問ト存ジマス、厚生省ニ
於キマシテ、社會事業ノ法ヲ制定致シマス
ニ付キマシテハ、勿論只今古田サンノ御話
ニナリマシタヤウナ趣旨ニ於テ考ヘテ居ル
ノデアリマシテ、決シテ社會事業ヲ法律ニ
依リマシテ嚴格ナル監督等ヲ、主トシテヤ
ルト云フ考ハ持ッテ居ラヌノデアリマス、
社會事業ヲ助長誘導致シマシテ、現在ヨリ
モ向上サセ、サウシテ一層發展サセテ行ク
ト云フコトガ、其主タル目的デアリマス、
隨ヒマシテ本法ニ於キマス罰則モ主ト
シテ寄附金ノ募集ニ關スル義務違反デアル
トカ、特別ナ場合ニ於キマスル社會事
業經營ノ禁止又ハ制限ニ付テノミ罰
則ヲ適用スルコトト致シテ居ルノデアリマ
シテ、是等ノ事項ハ一面ニ於キマシテ、其
公益ニ關スル所ガ極メテ重大ナルモノデア
リマスカラ、此程度ノ罰則ヲ規定スルコト
ハ、眞ニ已ムヲ得ナイコトト考ヘテ居ルノ
デアリマス
ソレカラ第二ノ御尋ノ軍事援護事業ノコ
トデアリマスルガ、是ハ御話ノ通リ、農村等
ニ於キマスル隣保相扶ノ現在ノ狀況ハ、洵
ニ喜バシキ次第デアリマシテ、今日尙ホ少
シモ生產力ノ衰ヘテ居ラナイト云フコトハ、
吾々モ非常ニ感謝シテ居ル次第デアリマス、
而シテ長期ニ亙リマスニ付テ是等ニ付キ
マシテ弛ミノ出ナイヤウニト云フ御話デゴ
ザイマシタガ、吾々共モ全力ヲ擧ゲテ、其
點ニ付テハ對處シテ行キタイト考ヘテ居リ
マス
ソレカラ軍事扶助法以外ノ軍事援護事業
ニ付キマシテハ、此點モ昨年以來軍事援護
事業ノ助成費ト致シマシテ、本年度ニ於テ
ハ助成費ヲ百万圓取リマシテ、サウシテ厚
生省、陸海軍兩省ニ集リマシタ寄附金百万
圓ヲ以テ、ソレ〓〓地方ニ交付シテ、此軍
事扶助法ニ當ラザル方面ニ付テハ援助シテ
居リマスルシ、來年度ニ於キマシテハ、軍
事援護事業助成費ヲ一千万圓增額計上致シ
テ居リマシテ、是等ノ運用ニ依リマシテ、
尙又今後集リマス所ノ寄附金等ヲ運用致シ
マシテ、萬遺憾ナキヲ期シタイト考ヘテ居
ル次第デアリマス
〔國務大臣鹽野季彥君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=34
-
035・塩野季彦
○國務大臣(鹽野季彥君) 御答ヲ致シマス、
御質問ノ第一ハ、初犯ノ前科者ハ之ヲ前科
者タルコトヲ抹消スル要ハナイカドウカト
云フ御尋デアリマス、洵ニ初犯者ノ取扱ハ
愼重ニ致サナケレバ、折角ノ刑罰ノ效果ヲ
モ失フコトニナルノデアリマス、言換ヘマ
スト折角改悛致シマシタル者ヲモ、更ニ
罪ヲ犯スニ至ラシムルヤウナコトモ往々見
受ケルノデアリマス、隨テ初犯前科者ノ取
扱ニ付テハ、十分ニ考ヘナケレバナラナイ
ノデアリマス、御說ノヤウニ、先ヅ其者ノ
前科ヲ抹消スル方法モ一ツノ考案デアリマ
ス、又可ナリ重要ナル方法ト考ヘルノデア
リマス、ガ初犯者ノ或者ニ付テハ、可ナリ
嚴重ナル監視ヲモ必要トスル者モアリマス
ルカラ、ソレ等ノ甄別ヲ致ス點ガ是亦重要
ト考ヘラレマス、只今ノ所之ヲ如何ニ處置
スベキカ〓究中デゴザイマシテ、御說ノヤ
ウニ成ベク前科ヲ抹消サセテヤリタイト云
フ方針ノ下ニ〓究致シテ居ルノデアリマス
第二點ハ、司法保護事業ヲ擴充スル必要
ナキヤ否ヤト云フ御尋デアリマスガ、是ハ
勿論現在ノヤウナ狀態デハ、甚ダ不備デア
リマスルカラ、大イニ擴張スル必要ヲ感ジ
テ居ル次第デアリマシテ、ソレガ爲ニ司法
當局モ始終考究ヲ致シテ居リマス、現在ノ
所少年審判所ハ全國ニ四箇所デアリマシテ、
東京、大阪、名古屋、福岡ノ四箇所デアリ
マスガ、各地ニ於ケル不良少年ノ保護ニ付
キマシテハ洵ニ不完全ナ設備デアリマス
ルカラ、之ヲ全國ニ擴大スベク計畫ヲ樹テヽ
居リマス、遺憾ナガラ十三年度ニ於ケル
豫算ノ中ニ加ヘルコトガ出來マセヌデアリ
マシタ、思想犯ノ保護觀察所ニ付キマシテ
ハ全國二十二箇所ゴザイマスケレドモ、
其職員ノ多クハ他ノ職員ノ兼務デアリマシ
テ甚ダ內容ガ充實シテ居リマセヌ、隨テ
此點ニ付テモ豫算ノ請求ヲ致シテ居ルヤウ
ナ次第デアリマスルガ、是亦現下ノ財政狀
態ニ於テ削除サレタノデゴザイマス般
各種犯罪ニ對スル保護ニ付キマシテハ、各
府縣ニ聯合保護會ヲ置イテ、是ガ統制ニ當ッ
テ居リマスケレドモ、未ダ之ヲ法制化スル
マデノ運ビニナッテ居リマセヌ、目下之ヲ法
制化スベク立案ヲ致シテ居リマスガ、是ハ
全國ニ亙リマシテ多數ノ免囚其他ノ刑罰關
係ノ人々ヲ保護スルノデアリマスカラ、相
當大規模デアルコトガ必要デアルノデアリ
マシテ、此點ニ付キマシテハ財政ノ狀態
ヲ能ク考ヘテ貰ヒマシテ、成ベク近キ將來
ニ於テ實現ヲ圖リタイト存ジテ居ル次第デ
アリマス
〔政府委員加藤久米四郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=35
-
036・加藤久米四郎
○政府委員(加藤久米四郞君) 古田君ニ御
答致シマス、事變ガ突發致シマシテ以來、
新聞記者諸君ガ報道陣營ニ在ッテ奮闘致シテ
呉レマシタ其勞苦ニ對シマシテハ軍トシ
テ洵ニ感謝致シテ居リマス、陸軍從軍記者
ガ戰死ヲ致シマシタル場合ニ於キマシテハ、
大體ニ於テ陸軍軍屬トシテ待遇セラレマス
ルシ、且ツ靖國神社ニ合祀セラレマス、其
上ニ特別賜金ノ詮議ニ與ルコトニナッテ居
リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=36
-
037・小山松壽
○議長(小山松壽君) 古田君、宜シウゴザ
イマスカ-高畠龜太郞君
〔高畠龜太郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=37
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038・高畠亀太郎
○高畠龜太郞君 只今上程サレテ居リマス
ル三案ノ中デ、私ハ日程第五、商店法案ニ
付テ厚生大臣ニ御尋致シタイト思フノデア
リマス、從來商工業ニ於ケル從業者ニ關ス
ル社會立法ハ工場及ビ鑛山ニ關スルモノ
ノミデアリマシタガ、今囘初メテ商店ニ於
ケル從事員ニ對スル商店法ガ出來ル、卽チ
恐ラク勞働時間ニ關スル法規トシテハ商
店ニ對シテハ是ガ初メテデアルト思フノデ
アリマス是マデハ他ノ經濟界ノ各部門ニ
對シテ、商店ノ斯樣ナ種類ノ法規ノ比較ガ、
極メテ均衡ヲ失シテ居テ、商店ニ關シテハ
何等ノ法規ヲ設ケテ居ナカッタコトガ非常
ニ遲レタリト感ジテ居ルノデアリマスルカ
ラ、今遲レ馳セナガラモ此法規ノ出現セン
トスルコトハ、私ハ其點ニ於テ贊意ヲ吝ム
者デハナイノデアリマス、併ナガラ此法ノ內
容ヲ檢討致シテ見マスルト云フト、極メテ不
十分デアリ、極メテ微溫的デアッテ、法ノ適
用ニ依ッテ生ズル結果ガ現狀ノ商店界ニド
レダケノ影響ヲ及ボスコトデアルカ、共效
果ノ認ムベキモノガ殆ドナイノニ失望セザ
ルヲ得ヌノデアリマス、ソレ故ニ此法ハ徵
溫的ナル點ニ於テ、法ノ遲レタル點ニ於テ、
出現セザリシヨリハ稍ミ增シデアリ、法ノ有
ルハ無キニ幾分カ優ッテ居ルト云フ程度ノ
モノデアッテ、極メテ不十分デアルト信ズル
ノデアリマス、以下二三ノ點ニ付テ厚生大
臣ニ御尋シタイノデアリマス
元來此法ノ主タル目的ハ、商店使用人ノ
就業時間ヲ制限シテ、午後十時ニ限ルト云
フ所ニアルト思フノデアリマスルガ、併ナ
ガラ飜ッテ又法ノ各條ヲ檢討致シテ見マスル
ト此午後十時ニ限ルト云フ原則ガ行ハ
ルヽ範圍ガ是亦極メテ狹イノデアリマシテ、
到ル處ニ除外例ヲ設ケテ居ラルヽノデアリ
せく、到ル處ニ例外ガアルノデアリマス、
例ヘバ其第三條ニ於キマシテハ「行政官廳
ハ命令ノ定ムル所ニ依リ地域ヲ限リ前項
ノ時刻ヲ午後十一時迄繰延ブルコトヲ得」
又第四條ニ於キマシテハ「業務ノ繁忙ナル時
期ニ付行政官廳必要アリト認ムルトキハ期
間又ハ地區ヲ限リ一年ヲ通ジ六十日以內前
二條ノ規定ヲ適用セズ又ハ前條ノ時刻ヲ繰
延ブルコトヲ得」ト云ヒ、又二項ニ於テハ「臨
時必要アリト認ムルトキハ期間又ハ地域
ヲ限リ前二條ノ規定ヲ適用セズ又ハ前條ノ
時刻ヲ繰延ブルコトヲ得」ト、是程廣汎ナル
除外例ガ設ケラレテ居リマシテ、之ヲ又實
地ニ適用スル時ニ當ッテ、當業者ノ陳情或ハ
關係地區ノ事情ナドト云ッタヤウナコトカ
ラ、此例外ヲ到ル處ニ適用スルニ於テハ
殆ド原則ハ無視セラレテ午後十時ニ營業
時間ヲ限ルト云フコトハ、極メテ僅ナル部
分ニシカ適用サレヌ結果ヲ生ズルノデハナ
イカト云フコトヲ惧レルノデアリマス(拍
手當局ハ或ハ此法ガ初メテノ立法デアリ、
實施日淺キ間ハ假ニ斯樣ナ緩ナル法規ニ依ッ
テ、暫ク當業者ヲ法ニ慣レシムル爲デアル
ト言ハレルカモ知レナイ、從來工場立法ナ
くドニ於テモ、屢〓斯樣ナ見地ヨリ論ゼラレタ
コトガアルノデアリマスルガ、旣ニ此商店
法ハ、法ノ現ルヽコトガ工場法規ニ比ベテ
二十餘年遲レテ居ルノデアリマス、午後十
時ト云ヘバ大抵ノ店ハ店ヲ閉ヅル時間デ
アッチナ現在商店ニ從事シテ居ル店員カラ
言ヘバ、左程有難イ制限デハナイ、今デモ
殆ド大部分ハ與ヘラレ、得テ居ル所ノ制
限時間デアルガ、ソレニ尙ホ是程ノ除外例
ガアル、若シ法ノ實施日尙ホ淺ク、當業者
ヲシテ慣レシメル爲ノ猶豫期間ナリト云
フ意味ガ、今囘ノ立法ニ於テ裏ニ含マレ
テ居ルトスルナラバ本當ニ法ノ目的ヲ達
シ得ル時期ハ何時ニナッタラ來ルノデアリ
マスルカ、前途遼遠ノ感ナキヲ得ヌノデ
アリマス(拍手)工場法ハ大正五年ノ九月ニ
實施致サレマシテ、最初ハ勞働時間ノ制限
ガ現在ニ比ブレバ緩ナモノデアリマシタ
ガ、其後幾年ナラズシテ時間ヲ短縮シ、又
比年ナラズシテ法規ノ上ニ勞働時間ヲ制限
致シマシテ今日ニナッテ居ル、此商店法ガ今
ヨリ實施セラレルト致シマシテ、當局ハ何
時ニナレバ稍〓僅デモ此法ノ效果ニ依ッテ商
店從事員ガ恩惠ヲ蒙リ、商店法ガ出來タガ
爲ニ、幾分タリトモ生活上ニ改善セラル
コトヲ見出スコトノ出來ル時期ヲ、來ラシ
メル積リデアリマスルカ、近キ將來ニ於テ
此法ノ恩惠ヲ如實ニ從事員ニ知ラシメルダ
ケノ改正ヲ行フ、用意ガ有ルカ無イカト云
フコトヲ御尋シタイノデアリマス(拍手)
第一一、此法ガ比較的大規模ノ商店ト極
メテ小サキ商店トノ間ニ規定ノ上ニ於テ殆
ト等差ガナイコトデアリマス、是ハ大ナル
遺憾事デアルト思フ、實際ニ適用スル場合
ニ於テ、極メテ立法ノ精神ト相反シタ結果
ヲ生ジハシナイカト云フコトヲ惧レルノデ
アリマス、何トナレバ工場法ニ於テハ十
人未滿ノ職エヲ使用シテ居ルヤウナ小規模
ノ工場ハ其適用ヨリ免レテ居ル、此商店法
ハ、僅カ一人ノ店員ヲ使用シテ居ル商店ニ
於テモ、否使用シテ居ラヌ商店ニ於テモ、
直チニ適用ヲサレテ、五十人、百人、二百
人、乃至數百人ヲ使用シテ居ル大商店ト一
律ニ法規ノ拘束ヲ受クルニ至ルノデアリマ
ス、然ルニ大商店ニ於テハ現在ノ實際ニ於
テ、此法ニ定メテ居ル條件ヨリハ、稍〓良く
イ條件デ使用人ヲ遇シテ居ル、此法ニ於テ
ハ小規模ノモノト大規模ノモノトニ對スル
法規ノ相違ハ、五十人以上使用シテ居ル商
店ニ於テハ、一般ハ月ニ一囘ノ休日ヲ與ヘ
ルコトヲ條件トシテ居ル代リニ、大規模ノ
モノニ限ッテ月ニ二囘、而モソレガ十六歲未
滿ノ者及ビ女子ニ限ッテ與ヘネバナラヌト云
フコトノ相違ガ僅ニ殘ッテ居ルノミデアッテ、
其他ニ付テハ何等ノ變リガナイノデアル
是トテモ大商店ニ於テハ從來多ク三日ノ休
日ヲ與ヘテ居リ、勞務時間ニ於テモ午後十時
マデハ使用シテ居ナイノデアルカラ、大商
店カラ見ルナラバ、此法ノ出現ニ依ッテ何等
ノ苦痛ヲ受ケザルノミナラズ、動モスレバ
法規ノ許ス所デアルト云フコトヲ口實トシ
テ、現在ノ待遇ヲ低下セシムル危險スラ伴
ウテ居ルノデアリマス(拍手)私ハ大商店ノ
待遇ガ此法ノ出現ニ依ッテ直チニ低下スル
トハ申シマセヌケレドモ、從來ノ此種法規
ノ行ハレタ場合ノコトヲ考ヘマスト法デ
スラアレ迄ニシカ制限ヲシテ居ナイノデア
ルカラ、今ノ待遇、今ノ勤務時間ヲ良クス
ルニハ及バナイト云フ如キ誤ッタル考ヲ、多
數ノ商工業ノ店主ニ持タス虞ガ濃厚ニアル
ト云フコトヲ憂ヘルノデアリマス、ソコデ
當局ハドウ御考ニナルカ、大商店ハ今ノ法
規ニ依ッテ大手ヲ振ッテ步ムコトガ出來ル
ガ、僅カ一人ノ従業員サヘ有セザル小商店
ハ、直チニ法ノ適用ニ依ッテ苦痛ヲ嘗メテ、
大キナ商店ガ晝多數ノ顧客ヲ相手トシテ居
ルナラバセメテ夜ノ十時前後ダケデモ自
分ノ店へ客ヲ吸收シテ、僅ニ經營ノ餘喘ヲ
保ッテ居ル如キ小規模ノモノガ、立ドコロニ
法ニ依ッテ苦痛ヲ嘗メネバナラヌト云フコ
トハ、如何ニモ現狀ヲ無視シ、大小ノ均衡
ヲ失ッタル立法デアルト言ハザルヲ得ナイ
ノデアリマス(拍手)當局ハ是亦近キ將來ニ
於テ此法ノ內容ヲ改正シテ、工場法ニ於テ
ハ極ク小サナモノヲ除外シ、或ハ中間ニ色々
ナ規定ガアッテ、規模ノ大ナレバ大ナルダ
ケ、待遇ト設備ノ上ニ於テ向上セシメネバ
ナラヌ組織ニナッテ居ル如ク、此商店法モ亦
一名カ二名ノ使用人ヲ持ッテ居ル小商店ト、
數百名ノ從業員ヲ有シテ居ル大商店トハ、
法規ノ上ニ於テ或ル程度マデノ相違階段ヲ
置イテ、大ナレバ大ナルダケ、力ガ强ケレ
バ强イダケ、從業員ノ待遇ト其保健、福利
增進ノ設備ニ於テ增スコトヲ要スルト云フ
性質ノ規定ヲ、近キ將來ニ於テ置ク御考ガ
アルカナイカ(拍手)
次ニ質問ノ第三ハ、此法ノ性質上、是ハ
商業地域ニ限ッテ居ル法デアリマスルガ
故ニ、實際ニ適用シマスル場合ニ、施行區
域ト施行區域外トノ關係ガ極メテ困難デ
アッテ、何處マデヲ此法ノ施行區域トシ、
何處マデヲ其以外トスルカト云フ扱ヒ
方ハ、困ッタモノト思フノデアリマス、
取締上甚ダ困難ヲ感ジテ、場合ニ依レバ殆
ド法ノ威力ガ何處ニアルカヲ疑ハネバナラ
ヌ程、困難ナ事情ヲ惹起シハシナイカト思
フ、法ニ於テハ適用區域ハ「市及主務大臣ノ
指定スル町村(町村ニ準ズベキモノヲ含ム)」
トナッテ居ルノデアリマスガ、實際ニ於テハ
施行地ト其隣接地域トノ關係ガ甚ダ扱ヒ惡
イ、普通ノ行政區畫ニ依ッテ、市或ハ町村ノ
區別ニ依ッテ之ヲ扱フコトハ到底不可能デ
アリマス、何トナレバ市ト隣接ノ村或ハ町
トノ間ハ、殆ド溝一ツ隔テテ同ジ商業區域
ニナッテ居ル場合ガ多イ、甚シキニ至ッテハ、
其處ヲ步ム人スラモ、何處マデガ市デアリ
何處マデガ町村デアルカト云フ區域ガ分ラ
ナイ、行政官廳ノ吏員ト雖モ之ヲ詳シク知
ルコトハ困難ナ如キ事情ニ置カルヽコトガ
普通デアル、故ニ町村ノ區別ヲ以テ之ヲ律
スルコトハ出來ナイ、部落ノ區別ヲ以テ律
スルコトモ亦不十分デアリマス、町ニ接續
シテ居ル、卽チ此法ニ規定シテ居ル町村ニ
準ズベキモノトアル如キ事情ノ地區ニ於キ
マシテハ、一部落ノ一ツノ端ハ商業區域ト
シテ人家櫛比シ、盛ニ商店ガ殖エツヽアル
ニ拘ラズ、他ノ端ハ全然山間ノ僻地デアッ
テ、農村狀態ヲ一ツモ離レテ居ラヌト云フ
ヤウナ場合ガ多イノデアル、故ニ町村ノ部
落ヲ以テ分ケルコトモ出來ナイ、況ヤ法ノ
中ニ許シテ居ル所ノ、所謂盛リ場、興行物
ノアル場所、觀覽場、遊技場、其他之ニ類
スル場所ニ於ケル店舖ト云フモノト、然ラ
ザルモノトヲ區別スルノハ何ヲ以テ致シマ
スルカ、常識デ考ヘルナラバ、淺草、千日
前ト云フヤウナ處ハ盛リ場デアリ、然ラザ
ル處ハ之ニ屬セヌト一應考へ得マスルケレ
ドモ、其端々ガ何處ヲ區切ッテ認メルカト
云フコトハ、實際ニ適用スルニ於テ甚ダム
ツカシイノデアリマス、若シ假ニ一場所ヲ
局限シテ、此處マデガ盛リ場デアルトシテ、
他ハ此適用ヲ免レシメルナラバ、ソレニ接
續スル處ニハ直チニ類似ノ商店ガ增シテ來
テ、軈テ又其地區ヲ改正スル必要ガ出來、
又其接續シタ處ニ商店ガ出來テ、窮極スル
所ヲ知ラズ、甚ダ此法ノ效果ニ疑ハシイ
コトガ生ズルノデハナイカ、之ヲ行政官廳
ノ吏員ニ依ッテ、町村乃至市ノ吏員ニ依ッテ
本當ニ取締ルト云フコトハ、殆ド不可能ニ
類スルノデアル私ノ考ヘマスルノニハ
斯樣ナコトハ此法ノ適用ヲ受クル當業者ガ
公平ニ負擔ヲシ、公平ニ苦痛ヲ感ズルコト
ニ於テ、初メテ不足ナシニ完全ニ行ハレル
コトデアル、不均衡デアリ、不公平デアッ
テ、隣ノ家々デハ適用ヲ受ケ、其隣ノ家ハ
適用ヲ受ケヌト云フヤウナ事柄ガアレバ、
到底完全ニ出來ルモノデハナイ、吏員ニ委
セズ、商業者ノ團體、例ヘバ市ニ於ケル商
工會議所、町村ニ於ケル商工會乃至商業組
合ト云フモノヲシテ、或ル程度マデ自治的
ニ之ヲ治メシムル必要ガアリハシナイカ
卽チ斯ウ云フ團體ニ此法ノ適用ニ關シテ一
ツノ權限ヲ與ヘテ、圓滑ニ運用セシムルコ
トノ出來ルヤウニ致シテコソ、初メテ此商
店立法ハ實際ニ運用シテ遺憾ナキニ至ルト
思フノデアリマス(拍手)此方法以外ニハ私
ハ不幸ニシテ適當ナル手段ヲ見出シ得ヌノ
デアリマスガ、當局ハ斯樣ナ點ニ付テ、是
マデ考慮ヲ及ボサレタコトハナイカ、近キ
將來ニ於テ此權限ヲ商工會議所其他ノ商工
團體ニ與ヘテ、法ノ效果ヲ現ハシタイト云
フ御考ヲ持ッテ居ラレルカ否カト云フコト
ヲ御尋致シタイノデアリマス、以上ハ大體
厚生大臣ニ御尋ヲ致シマス
尙ホ此法ニ關聯ヲ致シマシテ、私ハ商店
法ノ行ハレルコトニ至ッタト云フコトニ付
テ、一言商工大臣ニ御尋シタイノデアリマ
スルガ、商工大臣ハ先刻チヨット見エテ居タ
ヤウデアリマスケレドモ、只今御離席ニ
ナッテ居リマスルカラ、政務次官ニ於テ能
ク御聽ヲ願ヒマシテ、他ノ機會ニ於テ御答
辯ヲ願ヒタイト思フノデアリマス、此法ハ
商店員ノ健康ヲ保持シ、福利ヲ增進セシム
ルコトガ目的デアルニ拘ラズ、其效果ハ極
メテ微溫的デアッテ、今ノ儘デハ殆ド實效
ガナイ、而シテ店員ヲ使ッテ居ル所ノ商店
キ、主トシテ小規模ノ、小組織ノ商店主
ガ打擊ヲ受ケ、拘束ヲ受ケテ、サラデダ
ニ大組織ノモノトノ間ガ不均衡ニナッテ
居ルノヲ、一層其勢ヲ助長シテ、小資本ノ
組織ノ小サイ中小商工業者ヲシテ、其立場
ヲ失ハシムルガ如キ結果ヲ招來シハシナイ
カ法ノ豫期シタ所ノ目的ハ達セラレズシ
テ、却テ之ニ反シタル結果ヲ到ル處ニ出現
シハシナイカト云フコトヲ虞レルノデアリ
マス(拍手)今申シマシタ通リ苦痛ヲ感ズ
ル窮屈ヲ感ズル者ハ、小組織ノ業者デア
ル、ソレニ付ケテモ思出サレルコトハ中
小商工業者ノ疲弊ノ現狀デアリマス是ハ
私ガ諄々シク申上ゲル迄モナイ、世間ノ注
目ヲ惹イテ居ル事實デアリマスルケレドモ
未ダ以テ當局ノ是等ノ階級ニ對スル施設
ト云フモノハ十分デナイノデアリマス、極
メテ不完全デアリ、極メテ微力デアリマシ
テ、本當ニ中小商工業者ニ對スル施設デ、
當人ニマデモ恩惠ガ確實ニ及ンデ居ルト云
フ例ヲ見出スコトガ出來ナイ、商業組合中
央金庫ガ出來テ居リマシテモ、端々ニハ何
ノ潤ヒモアリマセヌ、又中小商工業者ノ貸
金ニ對シテ、中小商工資金ノ半額ヲ國ガ負
擔スル-半額補償ヲスルト云フ法ガ出來
マシテモ、中間ニ於ケル金融業者ガ法ノ目
的ノ如ク動イテ呉レヌ爲ニ、實際ニ於ケル
中小商工業者ハ畫ケル餅ヲ見ルガ如ク、何
ノ恩惠モ受ケテ居ラヌト云フノガ實情デア
リマス、大都市ニ於ケル中小商工業者ノ不
景氣ノ聲モ久シイモノデアリマスガ、近頃
ハ又一步ヲ進ンデ、此時局ノ勃發以來ハ、大
規模ノ業者ハ所謂軍需工業ノ發展ニ依ッテ、
素晴シイ儲ケヲシ、恩惠ヲ受ケテ、好景氣
ノ實情ニアルケレドモ、小サナ組織ノモノ
ハ何等此霑ヒガナイ、數年前マデハ一樣ニ
不景氣々々々ト云フ聲デ悲鳴ヲ擧ゲテ居タ
ガ、今ハ表面カラ見ルナラバ好景氣デアル、
時局「インフレ」ノ波ニ乘ッテ大組織ノモノ
ハ工場ヲ擴張シ、商店ヲ殖ヤシテ、益〓業務
ノ發展ヲ致シテ居ルノデアルカラ、表面的
ニハ好景氣デアル、而モ其下ニ敷カレテ居
ル中小ノ業者ハ、依然トシテ數年前ニ劣ラ
ザル所ノ苦痛ヲ嘗メテ居リナガラ、不景氣
ノ聲スラモ出スコトヲ憚ッテ居ルト云フヤ
ウナ現狀ハ此儘見過スベキモノデハナイ
ト思フノデアリマス、私ハ農村ヲ救濟スル
コトノ必要ヲ論ズルコトニ於テ人後ニ落チ
ル者デハアリマセヌ、併ナガラソレト同ジ
ク中小商工業者ヲ顧ミナケレバナラヌト言
フノデアリマス、主人ガ出征致シマスルナ
ラバ、立ドコロニ其店ヲ閉メネバナラヌ狀
態ニアルノガ、小サナ中小商工業者ノ實情
デアル、農村デハ主人ガ召サレタ場合、老
人ガ或ル程度マデ代ッテ田ヲ耕スコトガ出
來ルカモ知レナイ、ソレモ出來ヌ場合ハ隣
保相助ケテ共同デ畑ヲ耕シテ吳レル場合モ
アル、食フ物ノナイ場合ハ、或ル程度マデ
親シミヲ以テ〓黨ガ之ヲ補助シテ吳レルコ
トモ出來ルカモ知レナイガ、市街地ニ於ケ
ル小組織ノ商店業者ハ、主人一人ヲ失フナ
ラバ何ノ賴リモナイ、店ヲ仕舞ハナケレバ
ナラヌト云フ事情ニ直面スルノデアル、斯
樣ナ事情ニアル者モ、數百名ノ從業員ヲ使ッ
テ好景氣ノ波ニ乘ッテ居ル大商店モ、共ニ此
商店法ノ拘束ヲ受ケテ、而モ其苦シミガ下
層階級ニノミ歸スルト云フ今日ノ立法ハ
私ハ長ク其儘デ置クベキモノデナイト思フ
ノデアリマス、況ヤ人口三万、五万乃至ハ
此法ニアリマス市以外ノ町村トシテ適用ヲ
受ケル地區ニ於テハ是ヨリ一層甚シキモ
ノガアルノデアリマス、大都會ノ商店ガ地
方ニ進出シテ、通信販賣或ハ出張販賣ヲ以
テ中小商工業者ニ壓迫ヲ加へ、一度足町外
ニ出デテ村ニ入ルナラバ各農村ニハ到ル
處ニ產業組合ガアッテ、政府ノ助長援助至ラ
ザル所ナク、自分ノモノハ自分デ需給關係
ヲ始末シテ居ルノデアルカラ、小サナ市街
地ニ於ケル商工業者ハ、上ハ大商店ヨリ、下
ハ村ニ於ケル產業組合ヨリ板挾ミノ狀態ニ
ナッテ居ルノガ今日ノ狀況デアリマス、斯樣
ナ事情ヲ無視シテ此法ヲ此儘ニ行フナラバ
測ルベカラザル事態ヲ生ジハシナイカト云
フコトヲ憂フルノデアリマス此際商工大
臣ハ宜シク思ヲ玆ニ致サレマシテ、此法ノ
趣旨ガ少クトモ從業者ノ福利ヲ增進セシム
ルニアリトスルナラバ、多少ナリトモ如實
ニ之ヲ實現シテ、從事員ガ安ンジテ業ニ就
クコトノ出來ルヤウニ、健康ヲ增進スルヤ
ウニシテ戴キタイト共ニ、測ラザル苦痛
ヲ受ケテ益〓苦シマネバナラヌ中小商工業者
ニ對シテハ宜シク其經營法ヲ近世商業組
織ニ適フヤウニ改善シテ與ニ倶ニ發達ス
ルコトノ出來ルヤウニ指導ト奬勵ヲ御願セ
ネバナラヌト思フノデアリマス(拍手)商工
大臣ハ此點ニ付テドレダケノ御用意ガアル
カ、此機會ニ於キマシテ御抱負ノ程ヲ伺ヒ
タイト思フノデアリマス(拍手)
〔國務大臣侯爵木戶幸一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=38
-
039・木戸幸一
○國務大臣(侯爵木戸幸一君) 高畠サンニ
御答ヲ申上ゲマス、第一ノ御尋ハ本法ノ
內容ヲ見ルト如何ニモ徵溫的デアリ、且ツ
不十分デアル殊ニ其中ニハ各種ノ例外規
定ガアッテ、此樣ナ法律デハ殆ド福利ノ增進
ニナラヌト云フヤウナ意味ノ御尋デアッタ
ト思ヒマス、此例外規定ハ所々ニゴザイマ
スガ、盛リ場デアルトカ、或ハ盆暮ノ極ク
忙シイ時トカ云フコトニ適用スル積リデア
リマシテ、之ヲ以テ折角決メマシタ法律ヲ
蹂躪スルガ如キ意味ニ於テハ使ハナイ積リ
デ居リマス、ソレカラ本法ハ元來商店ノ使
用人ノ保護ヲ目的トスルコトハ申ス迄モナ
イノデアリマスガ、同時ニ其半面ニ於テハ
消費者タル國民一般ノ社會生活ニ影響ヲ及
ボスコトモ考ヘナケレバナラヌノデアリマ
ス、隨テ我國ノ現狀ニ於キマシテハ此程
度ガ今日トシテハ適當デアルト考ヘテ居ル
次第デアリマス、併ナガラ將來ニ於キマシ
テハ一層其程度ヲ高ムル必要ハアルダラウ
ト考ヘテ居リマス
第二ノ御尋ハ本法ハ大規模ノ商店ト小商
店トヲ一律ニ規定スルガ故ニ、小商店ニ惡
イ影響ヲ與ヘルノデハナイカ、又現在此法
規ガ定メテ居リマスル以上ノ待遇ヲシテ居
ル所ガ、此法規ヲ定メマシタ爲ニ低下スル
虞ハナイカト云フ御尋デアリマス、本法ハ
閉店時間ヲ制限スルコトニ依リマシテ、間
接ニ商店ノ使用人ヲ保護シテ居リマス次第
デアリマスカラ、商店ノ大小ニ依ッテ之ヲ
適用不適用ヲ致シマスコトハ却テ宜シクナ
イト考ヘマシテ、工場法トハ異リマシテ、
之ヲ全體ニ適用スルコトニ致シタノデアリ
マス、併ナガラ商店ノ規模ノ大小ニ依リマ
シテ、使用人ノ勤勞ノ程度ガ違ヒマスコト
ハ勿論デアリマスノデ、本法ニ於テモ五十
人以上ノ使用人ヲ使用スル商店ニ付キマシ
テハ、特別ナ保護規定ヲ設ケテ居ルノデア
リマス、而シテ現在待遇ヲ好クシテ居ル所
ガ低下スル虞ガナイカト云フ點ハ、洵ニ御
尤ナ御心配デアリマスルガ、此種ノコトハ
勞働立法ヲ致シマス時ニハ常ニ考ヘラレテ
居ル點デアリマス、又心配サレタノデアリ
マスガ、大體ニ於キマシテ此點ハ杞憂ニ終ツ
テ居リマスル現狀デアリマス、隨ヒマシ
テ、殊ニ百貨店等ニ於キマシテハ、旣ニ百
貨店法ニ於キマシテ相當ニ嚴格ノ制限モア
リマスルコトデアリマス、斯樣ナ御心配ノ
點ハ萬々ナイヤウニシタイト考ヘテ居リマ
スルシ、十分注意シテヤルコトニ致シタイ
ト存ジテ居リマス
ソレカラ第三ノ御尋ノ適用地ト不適用地
ノ限界ガ不明瞭デアルカラ非常ニ混雜ヲ來
シハシナイカト云フ御尋デアリマス、此點
ハ洵ニ御尤デアリマス、法ハ市ニ適用シ、
其接續町村ヲ之ニ加ヘテ行ク立前ニナッテ
居リマスガ、現實ノ問題ト致シマシテハ
確ニ其點ハ不明瞭ナ點ガ出テ來ル虞ハアル
ノデアリマス、隨ヒマシテ厚生省ト致シマ
シテモ、之ヲ施行致シマスニ付テハ商工
會議所其他、是等商工團體等ノ意見ヲ十分
聽イタ上デ決定スルト云フ豫定デ居リマシ
テ、是ハ省令等デ規定スル考デ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=39
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040・高畠亀太郎
○高畠龜太郞君 簡單デスカラ自席ヨリ發
言ヲ御許ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=40
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041・小山松壽
○議長(小山松壽君) 宜シウゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=41
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042・高畠亀太郎
○高畠龜太郞君 只今ノ厚生大臣ノ御答辯
ニ對シテハ、尙ホ御尋致シタイコトガ多々
アルノデアリマスガ、他日ノ機會ニ讓ルコ
トニシテ一應此質問ヲ打切リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=42
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043・小山松壽
○議長(小山松壽君) 伊藤東一郞君
〔伊藤東一郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=43
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044・伊藤東一郎
○伊藤東一郞君 私ハ只今議題トナッテ居
リマスル社會事業法案ニ付キマシテ二三ノ
質疑ヲ試ミ、政府ノ所見ヲ伺ハントスル者
デゴザイマス
諸君、今日我國ニ於ケル社會事業團體
ハ、之ヲ中央社會事業協會〓究所發行ノ社
會事業銘鑑ニ依ッテ見マスレバ、事業ノ種別
ガ六十三、施設ノ數ガ一万一千ヲ超エテ居
ルノデアリマス、申上ゲル迄モナク社會事
業ノ目的ハ社會ノ低層ニ呻吟致シテ居リマ
スル所ノ薄幸者ノ保護救濟ニ當ルノミナラ
ズ、進ンデ國民生活ノ安定向上ヲ圖リ、以
テ國力ノ培養ニ裨益セントスルノデアリマ
シテ、是ガ隆替ハ啻ニ個人ノ利害ニ直接ノ
關係アルバカリデナク延イテハ國家ノ休
戚社會ノ安定ニ重大ナル關係ノアルモノ
ト申サネバナリマセヌ、殊ニ近年非常時局
ノ進展ニ伴レマシテ、國策遂行上ニ於ケル
犠牲者ガ、斯業ノ大ナル對象トナッテ參リマ
シタ實情ヲ見マスル時、私ハ一層其徹底ノ
必要サヲ痛感致ス者デゴザイマス斯ノ如
ク社會事業ガ國家國民ノ安危ニ至大ノ關係
ヲ有スル重大ナル事業デアリマスルガ故ニ、
之ニ對シ國家ガ積極的ニ助長振興ノ策ヲ講
ジマスルト同時ニ、尙ホ之ヲ依然民間ノ任
意的ナ施設經營ニ放任シテ置クコトナク、
全國的ニ又ハ地方的ニ助成竝ニ體系秩序ノ
下ニ統制シ、必要ナ監督指導ヲ加フルコト
ハ當然ノ要務デアラネバナラナイト斷言ス
ル者デゴザイマス(拍手)然ルニ斯業從來ノ
實情ヲ見マスルト、施設ノ數ト種類トハ年々
增加ノ勢ヲ示シ、今日デハ前申上ゲマシタ
如キ多數ニ上ッテ居リマス、而モ社會情勢ハ
頓ニ斯業ノ發展ヲ必要トスルノ切實ナルモ
ノガアリマスノニ拘ラズ、是等大部分ノモ
ノハ任意的ニ設立セラレ、無統制ニ經營セ
ラレ、或ハ其分布上不合理ニ墮シテ居ルモ
ノガアリマスルガ爲ニ、斯業ノ完全ナル職
能ヲ發揮スルコトガ出來ナイデ、其任務ノ
遂行上缺クル點ガ少クナイノハ洵ニ遺憾
トスル所デゴザイマス、斯樣ナ見地カラ致
シマシテ、多年斯業ニ對スル助成ヲ盛ニ
シ、施設ヲ擴大シ、經營ヲ合理化シ、立法
的規律ヲ設ケテ之ヲ整備シ、其健全ナル發
達ヲ圖ルコトノ必要ヲ痛感シテ參リマシタ
私ハ、玆ニ本案ノ提出ヲ見マシテ、其內容
ノ是非ハ別ト致シマシテ、兎ニモ角ニモ國
家ノ爲ニ慶祝致ス者デゴザイマス
諸君、我國ガ萬邦無比ノ國體デアリマス
ルコトハオ互ニ國民ト致シマシテ光榮トス
ル所デゴザイマスソレハ上ニ萬世一系ノ
皇室ヲ戴キ、下ハ國民總テガ皇室ノ赤子デ
アリ、同時ニ同胞デアルト云フコトデゴザ
イマス、隨ヒマシテ國民生活ヲ安定セシム
ルコト、竝ニ國民體位ヲ向上致シマスルコ
トハ、無論厚生省設置ノ目的デアリ、社會
事業ノ目指ス所デアルニハ相違ハゴザイマ
セヌカナレドモ、熟、我ガ國體ノ精神ニ鑑
ミテ見マシタナレバ優渥ナル皇室ノ御經
綸ヲ下萬民ニ行渡ラセル所ニ、厚生省ノ大
精神ガアリ、而シテ社會事業ノ大方針ガナ
ケレバナラナイト考フル者デゴザイマス(拍
手)陛下ノ赤子ニ致シマシテ、荀モ饑ヱ
テ〓ヲ得ザル者ナク、病ンデ醫藥ヲ給セザ
ル者ノナイノハ申ス迄モナク、同胞ノ一人
タリトモ其ノ處ヲ得ザル者ナカラシメ且
ツ人間トシテノ正常ナル生活ヲ營ミ、又發
達ヲ遂ゲルコトヲ得セシムルヤウ心掛クベ
キモノデアリマシテ、單ナル國民體位ノ向
上、民衆福社ノ增進ヲ圖ルコトニノミ止マ
ルベキモノデハナイト確信ヲ致シマス、此
點ニ付キマシテ厚生大臣ノ御所見ヲ先ヅ承
リタイノデアリマス
諸君、今本案ノ立法趣旨ヲ察シマスルノ
ニ、之ニ依ッテ斯業ニ對スル指導監督權ガ行
政官廳ニ確保サレマシテ、從來トモスレバ
非常ニ理解少キ警察官ガ、專ラ取締的立場
カラ斯業ノ施設經營ニ關與シ、爲ニ發達ス
ベキ社會事業ヲ却テ萎縮セシメタ如キ弊害
ヲ一掃スルコトヲ得マシタコトハ、先以テ
立法者ノ意ノ存スル所ヲ窺ヒ知ルコトガ出
來ルノデゴザイマス、併ナガラ翻ッテ今其內
容ヲ見マスルト、第一ハ、本案ハ社會事業
法ト云フ包括的ナ名稱デアリナガラモ、其
ノ適用ガ從來ノ社會事業ト稱セラレテ來マ
シタ多クノモノ、例ヘバ救護法、母子保
護法、公益質屋法、職業紹介所法、軍事扶
助法等、別箇ノ法律アルモノハ、其法律ノ
適用ヲ受ケ、本法ノ埒外ニシテ居リマスル
點デアリマス、玆ニ名實相伴ハザル憾ミガ
アルノデゴザイマス、更ニ又社會事業經營
ニ重要ナル所ノ人的要素或ハ組織、乃至ハ
設備等ニ關スル所ノ規定ガ、全ク缺除シテ
居リマスルコトニ思及ビマスレバ、益〓本法
案ノ內容ガ名稱ニ相伴ハナイコトヲ發見致
スノデアリマス、卽チ此程度ノモノデアリ
マシタナレバ、寧ロ社會事業助成法、若ク
ハ統制法ト稱スルコトガ、一入適切デハナ
イカト考ヘラレルノデアリマス、政府ハ社
會事業助成法或ハ統制法ト改稱スルノ意思
ハナイカ、サモナクバ更ニ內容ヲ整ヘテ、
名實相伴フ社會事業法トスルノ御意思ハナ
イカ
第二ニハ、本案ノ重要眼目ト致シマス
ル所ハ、助成規定ト統制規定トニアルト思
フノデアリマス、遺憾ナガラ其何レニ於キ
マシテモ、甚ダ不徹底ノ憾ミナキヲ得ナイ
ノデアリマス、卽チ助成ニ關シマシテハ
現在ト致シマシテ、社會事業ノ用ニ供スル
土地建物ニ對スル所ノ免稅ノ特典ト、國費
補助ノ規定ガアルノデアリマス、所ガ免稅
ニ對シマシテハ本案ガ從來ノ地方稅ノミ
ニ限ラレテ居リマスルコトハ、頗ル不徹底
此上モナキモノデアリマシテ、何故一步進
メテ政府ハ國稅ニ及ボサレナカッタカ、何ト
ナレバ現在〓育關係ノ法規デハ、學校ハ無
論ノコト、幼稚園ニ至ルマデ國稅ノ免除ヲシ
テ居ルコトヲ見マシタナレバ、國民生活ノ消
長ニ至大ノ關係ヲ有スル社會事業ニ、同樣
ノ特典ガ賦與サレナイ理由ハナイト思フノ
デアリマス、第五囘社會事業調査會ニ於キ
マシテモ、社會事業保護ノ目的ヲ以テ地
租、所得稅、登錄稅、不動產取得稅、家屋
税其他ノ公課ノ減免ヲ圖ルコトト云フ一
項ヲ議決サレマシタコトモ、蓋シ斯業ノ重
要性ヲ認メルカラデアルノデゴザイマス
又實際相應ノ月謝ヲ取ッテ、有產階級ノ子供
ヲ預ル幼稚園ニハ地租ヲ免ジ、月謝ヲ取ラズ
シテ無產階級ノ幼兒ヲ預ル所ノ託兒所ニハ、
之ヲ賦課スルガ如キコトハ、矛盾モ甚シク、
斯クテハ國民思想ノ上ニ好マシカラヌ結果
ヲ招來スルモノト思フノデアリマス政府
ハ重大ナル時局ニ鑑ミラレマシテ、折角本
法ノ如キ時代ニ卽シタ法律ヲ實施セラレン
ト致シマシタナレバ、何故此點ニ深甚ナル
御考慮ヲ拂ハレナカッタノデアルカ、政府ノ
所見ヲ伺ヒタイノデゴザイマス
更ニ國費補助ノ點デゴザイマスルガ、豫
算ノ範圍內ニ於テ補助スルコトヲ得ルト云
フ極メテ微溫的ノモノデアリマシテ、其
初年度豫算ハ僅ニ五十万圓ノ少額ヲ計上サ
レテ居ルノニ過ギマセヌ、而シテ此五十万圓
ハ現在ノ二十万圓ニ三十万圓ヲ加ヘタト
云フニ止ルノデアリマシテ、之ヲ以テシマシテ
今ノ低金利物價高ニ加フルニ、事變ノ發生
後ハ軍關係以外ニ寄附金募集不許可ノ三重
壓ニ依リマシテ、經營難ニ喘イデ居ル私
設社會事業ヲ救濟シ、更ニ之ヲ統制助長
シテ、大イニ其發達ヲ圖ラント致スニ至
リマシテハ私ハ餘リニ政府ノ心臟ノ强
サニ驚カザルヲ得ナイノデゴザイマス(拍
手ノ又每年ノ奬勵金ハ經常費ニ對スル補
助デアリマスルガ、若シ本法ニ依ル補助ガ
同樣デアリト致シマシタナラバ、ソコニモ
亦不十分ノ點ガアルト思フノデアリマス、
今日四百万ノ要救療者、一一百万ノ要救護者ノ
過半數ガ、斯業ノ恩惠ニ浴シ得ナイデ居ル
ト云フ現狀ヲ考ヘマシタナラバニヨフ
超ユル社會事業施設モ、決シテ多イト言ハ
レナイコトハ無論ノコト、其內容又何レモ不
十分デアル狀態デアリマシテ、今後モット
其擴充ヲ圖ラネバナラナイノデアリマス、
私ハ此意味カラ經常費ハ申ス迄モナク、
臨時費ニ對シマシテモ補助助成ノ途ヲ開キ、
少クトモ所要經費ノ二分ノ一位ノ補助ヲ爲
スコトヲ必要ト認ムル者デゴザイマス、政
府ハ國論ニ鑑ミラレマシテ、地方財政調整
交付金追加豫算ヲ御考慮ノ御意圖アルヤウ
確聞致シテ居リマスルガ、厚生大臣ハ是ト
同時ニ、國庫補助ノ追加增額ヲ圖ルノ御意
思ハナイカドウカ、大藏大臣竝ニ常ニ廣義
國防ヲ强調シテ居リマスル所ノ軍部兩大臣、
御不在デアリマスレバ、政務官ノ方デ結構
デアリマスガ、是等ノ方ノ此點ニ對スル所
ノ御所見ヲ承リタイノデアリマス(拍手)
更ニ統制ノ方面ニ屬スル規定ト致シマシ
テハ、比較的詳細ニ亙ッテ居リマスルガ、
尙ホ不審ニ思ハレル點ハ、第一ハ何故認可
制度ヲ採用シナカッタカ、第二ハ折角地方社
會事業委員會ノ制度ヲ採入レナガラ、是ガ
設置ヲ任意規定トシタカト云フ、二ツノ點
デゴザイマス、凡ソ社會事業ヲ統制整備ス
ルノ必要ノ叫バレテ居ル所以ヲ考ヘマスル
ノニ、不純ナ動機ニ依ル似テ非ナル社會事
業家ヲ驅逐スルト共ニ、假令善良ナル動機
ニ依ッテ行ハレル社會事業デアリマシテモ、
施設經營宜シキヲ得ズ、却テ經營者ノ意思
ニ反スル結果ヲ招ク虞ヲ防ギ、尙且ツ從來
私設社會事業家ニ依リマシテ多年叫バレテ
來タヤウニ、私設ノ濫立ヲ防ギ、公設ノ壓
迫ヲ阻止シ、以テ堅實ナル斯業ノ秩序アル
發達ヲ期スルニアルノデアリマス、言換ヘ
マスナラバ、社會事業施設ノ權威ト職能ト
ヲ確保シマシテ、ソレ〓〓ニ課セラレタル
使命ト任務ヲ遺憾ナク完ウセシメントスル
ニアリマス、斯樣ニ統制ノ重要ナル意義ヲ
考ヘマスルト、何ト言ッテモ屆出制ノミデ
ハ不十分デアリマシテ、經營者ノ人物、施
設ノ位置、建物、設備等ヲ考慮ニ入レテ、
認可制度ニ依ラナケレバ、其徹底ヲ期スル
コトハ斷ジテ期待出來マセヌ、本案ガソコ
迄進ンデ居ナイコトハ、或ル意味デハ往々
社會事業界ニ惹起致シマスル不祥事ニ對シ
マシテ國ガ責任ヲ囘避シテ居ルモノダト
言ハレマシテモ、何等抗辯ノ言葉ハナカラ
ウト私ハ思フノデアリマス、之ニ對スル政
府ノ所見如何
次ニ此地方社會事業委員會デアリマス
ルガ、ソレハ前申上ゲマシタ如キ統制ノ徹
底ヲ期スル上ニ、重要ナル役割ヲ持チマ
スルバカリデナク、地方社會事業ノ振興
ヲ圖ル上ニハ、頗ル緊要ナ機關デアルト
信ズル者デゴザイマス、本案ノ監督制裁
等ニ關スル規定ヲ適正圓滑ニ運用シ、或ハ
必要ナル社會事業ヲ圖ル爲ニ、之ヲ當該官
吏ノ手ニノミ委ネテ置キマスルコトハ甚ダ
不安デアリマシテ、必ズヤ其地方ニ於ケル、
事業ニ理解アル有識具眼ノ士ヲ以テ構成ス
ル委員會ノ協力ニ俟タネバ相成リマセヌ、
或ハ從來施設ノ乏シキ地方ニ於キマシテハ、
之ヲ設置スルノ必要ナシト云フ議論モアリ
マセウカナレドモ、實際ハ斯ル地方ニ於キマ
シテコソ社會事業委員會ヲ設ケ、地方ニ必
要ナル事業ヲ振興サスノ必要ガ大イニアル
ノデハナイカト思フノデゴザイマス(拍手)
此意味ニ於テ委員會ノ組織ハ、各府縣共ニ
之ヲ設置スルコトヲ原則トスベキデハナイ
カト信ズル者デアリマス、政府ハ各府縣ニ
地方委員會ヲ設置セシムルト云フコトヲ
立前トシ、由テ以テ斯業ノ完璧ヲ期スル
意思ハナイカドウカ、更ニ又社會事業ノ
機能ヲ十分發揮致シマスルガ爲ニ最モ必要
デアリマスルノハ、之ニ從事スル所ノ人
デアルト私ハ信ズルノデアリマス、殊ニ從
來ノ慈善的ナ事業ニ於キマシテハ、慈悲同
情ノ念ト事業ニ對スル熱意サヘアリマシ
タナラバソレデ十分デアッタト考ヘラレ
マシタノデアリマスルカナレドモ、今日高
度ニ發達セル社會事業ニ於キマシテハ斯
ル精神的要素ニ加フルニ、科學的ナ知識竝
ニ技術上ノ訓練ヲ要スルコトガ肝要トセラ
レテ居ルニモ拘ラズ、之ニ從事スル人物ノ
養成ガ、僅ニ中央社會事業協會ニ小規模ナ
ル〓究生制度ガアリマスル外ニ、一二ノ專
門學校ニ於キマシテ、極メテ少數ノ人ヲ養
成シテ居ルニ過ギナイト云フ狀態デアルノ
デアリマス、而モ是等ノ學校スラ屢〓其存立
ガ危ブマレテ居ルト傳ヘラレテ居リマスル
コトハ、甚ダ遺憾トスル所デアリマス、是
ガ爲ニ政府ハ斯樣ナ常置委員ノ一定ノ資格
條件ヲ定メ、又養成機關ヲ確立致シマシテ、
斯界ノ專門家ヲ養成スル意思ハナイカドウ
カ
最後ニ附加ヘテ御伺致シテ置キタイコト
ガアリマス、諸君、內務省衞生局ノ發表ニ
依リマスレバ病氣ノ場合自費ヲ以テシテ
ハ醫療ガ受ケラレナイ同胞ノ數ガ、全國ニ
約四百十六万人ニ達シテ居ルノデアリマ
ス、尤モ此中財團濟生會ヤ、救護法其他ニ
依リマシテ救護ヲ受ケテ居リマスル者ガ、
約二百万人アリマス、殘リノ約二百十六万
人ハ、今日此聖代ニ尙ホ病ンデ醫藥ノ途ヲ
得ザル不幸ノ狀態ニ置カレテ居ルノデア
リマス、其他多數ノ國民ガ何等生計ノ餘裕
モナク、漸クニシテ生キテ居ルニ過ギナイ
狀態デアリマシテ、絕エズ生活ノ不安ニ脅
カサレテ居リマスルコトハ、洵ニ憂慮ニ堪
ヘナイモノガゴザイマス、而シテ是ガ軈テ
ハ多數犯罪ノ原因ヲ成シ、又有ユル病ノ源
トナリ、且ツ其治療ヲ困難ナラシメ、彼ノ
婦人子供ノ賣買等、私共ノ周圍ニ存在スル
有ユル社會惡ヲ釀成シツヽアル所以デアリ
マシテ、最近資本家ト勞働者、地主ト小作
人トノ抗爭ガ、愈く深刻ニナッテ參リマシタ
コトモ斯ウシタ結果カラデハナイカト考
ヘサセラレルノデアリマス、諸君、從來都
會病ト稱サレテ居リマシタ所ノ肺結核ガ、
近時頓ニ農村ニ殖エテ參ッタノデアリマ
ス、其死亡原因ノ統計ガ其事實ヲ示シテ居
リマスガ、今日何レノ町村ニ參リマシテ
モ、結核患者ハ工場通ヒノ若イ男女カ、然
ラザレバ是等ノ若イ病人カラ傳染サセラレ
タト見ルベキモノガ多イノデアリマス(拍
手)此事實ヲ通ジテ工場ノ狀況ヲ親シク見
聞シ、或ハ都會ニ於ケル勤勞男女靑少年ノ
職場、若クハ勞働狀況ヲ調べマスルト、到
底此儘ニ放置シ置クベキデナイト云フコト
ヲ痛切ニ感ズルノデゴザイマス(拍手)諸
君、更ニ我國ノ憂フベキ三大疾患ノ一ツデ
アリマスル所ノ癩患者ニ付キマシテハ、曩
ニ有難キ思召ニ依リマシテ其事業〓ニ就キ、
政府ニ於キマシテモ來年度八万四千圓ノ豫
算ヲ計上サレテ居リマスルガ、患者ハマダ
全國ニウヨ〓〓トシテ居ルノデアリマス
結核患者ハ百二十万人ト稱シテ居リマスル
ガ、事實ハモットソレ以上多數ニ上ッテ居リ
マン、今其死亡率ヲ一割ト致シマシタナラ
バ少クモ每年十二万人以上ノ生靈ヲ奪ッ
テ居ルノデアリマス、政府ニ於キマシテ
ハ是モ亦來年度約十八万四千圓ヲ計上サ
レテ居リマスルガ、ソレデモ之ニ對スル
「ベッド」ハ全國ノ官公私立ヲ合セマシテ、
尙ホ其幾割カヲ收容シ得ルニ過ギナイノデ
アリマス、若シ夫レ精神病ニ付キマシテ
ハ、病人取扱ノ不備ヲ極メテ、先年廣島市
ノ救護所ニ收容保護サレテ居ル患者二十四
名ガ燒死ンダ慘事ニ考ヘマシテモ、一日(千
早ク何トカセネバナラナイ所ノ必要ガゴザ
イマス、更ニソレ等ノ家族ノ經濟的、精神
的苦痛ヲ考ヘマシタ時ニ、洵ニ同情ニ堪ヘ
ナイノデゴザイマス、尙更ニ花柳病ノ屆出
ヤ强制治療ヲ歐米諸國デハ早クカラ行ハレ
マシテ、之ニ依ッテ疾病率ハ低下シテ居リ
マスルガ、我國デハ獨リ賣笑婦ニノミ檢黴
ヲ行フト云フ、非人道的且ツ姑息ナル氣安
メ的方法ヲ以テ滿足シテ居リマシテ、更ニ
一般的豫防ヤ治療ヲ顧ミズ、其蔓延ヲ傍觀
シテ居ル實情デアルノデゴザイマス(拍手)
是ガ軈テ低能兒ヤ狂人ヤ犯罪人增加ノ一ツ
ノ原因トナッテ、社會ノ負擔ヲ加重致シテ
居ルノデアリマス(拍手)此遺傳黴毒ナド
干、花柳病ガ放置サレテ居リマス限リ、益〓、
暴威ヲ振フコトデアラウト存ズルノデアリ
マス
最後ニ、諸君、一國ノ興隆ハ其國民ガ德
性ニ於テ優レ、智力ニ於テ秀デ、體力ニ於
テ優リタル時、必然的ニ招來セラレルモノ
デアルノデアリマス、隨ヒマシテ國家將來
ノ進展ヲ希フ爲ニハ、次期ノ國家ヲ脊負ッテ
立ツベキ今日ノ兒童ニ對シマシテ、其心身
ノ完全ナル發育ヲ遂ゲシムル、有ユル方途
ヲ盡サネバナラナイト確信ヲ致ス者デアリ
マス(拍手)ソレガ爲ニハ兒童ニ對シ、又母
性ニ對シ、共同ノ法規ヲ設ケ、施設ヲ造リ、
其運用ノ適正ヲ期スルノ必要ガアルノデゴ
ザイマス、親ニ捨テラレタリ死ナレタリシタ
子供ヲ養育致シマスル施設ノ救護所ガ火ヲ
發シ、收容兒童六十一名ノ中十一名ヲ燒殺
シマシタ、ソレガ帝都卽チ輦穀ノ下ニ一昨
年起リマシタ一大悲慘事デアッタノデゴザ
イマス、是等ノ幼イ生命ハ、現代社會ノ缺
陷ニ對スル虐ゲラレタル血潮ヲ以テノ抗議
トシテ捧ゲラレタノデアリマス世ニ拾テ
ラレタル是等ノ子供達ハ、豚ノヤウナ不潔
ナ檻ノ中ニ飼ハレ、イザト云ヘバ燒殺サレ
ネバナラヌト思ヒマスト、心中ノ道速レニ
スル母親達ノ心持デスラ、無理デハナイト
云フコトニ相成ルノデゴザイマス(拍手)
諸君、斯樣ニ論ジテ參リマスルト、現ニ
貧困病苦ニ惱ミナガラモ、聖代ノ恩惠カラ
洩レテ居ル不幸ナ同胞、可憐ナ陛下ノ赤
子ハ幾百万ヲ算ヘテ居ルノデアリマス、是
等無辜ノ民ニ對シマシテ、保護救濟ノ手ヲ
伸ベルコトガ一層喫緊ノ要務デアリマシ
テ、救療法、勞働靑少年保護法、精神病者
保護法、優生法等、今後速ニ整備ヲ要スル
モノガ少クアリマセヌ、政府ハ本案ノ狙ッテ
居ル所以上ニ、斯樣ナ切實ナル對策ヲ如何
ニ考ヘテ居ラルヽカヲ伺ヒタイノデゴザイ
マス
以上赤心ヲ披瀝シマシテ、政府ノ御所見
ヲ伺ハント致シマスルノモ、結局ハ明日ノ
社會事業ニ期待致シマスルコト大キケレバ
大キイ程、本案ノ内容ニ遺憾ノ點ガ多々ア
ルカラデアルノデアリマス、何卒政府ノ率
直デ而モ御親切ナル御答辯ヲ御願ヲ致ス次
第デアリマス(拍手)
〔國務大臣侯爵木戶幸一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=44
-
045・木戸幸一
○國務大臣(侯爵木戸幸一君) 伊藤サンニ
御答ヲ申上ゲマス、第一ノ御尋ノ點ハ、厚
生省ガ設立致サレマシタ其使命如何ト云フ
御尋デゴザイマス、此點ハ伊藤サンガ御述
ニナリマシタ通リデアリマス、更ニ私カラ
之ニ付テ特別ニ申上ゲルコトハナイト存ジ
マスソレカラ社會事業法案ニ付キマシ
テ、本法案ノ內容ヲ見ルト、色々外ノ法規
デ決ッテ居リマスモノノ適用ヲ除外シテ居
リマスルシ、其規定等ガ不十分デアルカ
ラ、社會事業法ト云フ名ニ相應シクナイト
云フヤウナ御尋デゴザイマシタ、本法案ハ
現下ノ實情ニ鑑ミマシテ、從來特別ノ立法
ニ依ッテ規律セラレテ居リマスル各種社會
事業ハ之ヲ除キマシテソレ等ノ規定セラ
レテ居リマセヌ各種ノ社會事業一般ニ通ズ
ル、指導監督竝ニ助成ノ方途ヲ定ムル趣旨
ニ出タモノデアリマス、隨テ規定ノ內容ニ
於キマシテモ、各種社會事業ヲ總括シテ共
通的ノ規定ヲ設ケテ居リマスルシ、又本法
ハ一般社會事業ニ對スル指導、監督、助成
ノ方途ニ付テ、併セテ之ヲ內容トシテ居リ
マスルガ故ニ、其名稱ト致シマシテハ社會
事業法トスルヲ適當ト考ヘマシテ、此名稱
ヲ冠シタ次第デアリマス
ソレカラ第二ノ御質問ハ、社會事業ノ用
ニ供スル土地建物ニ對シテ、何故國稅ヲ免
除シナカッタカト云フコトデゴザイマス、
此點ハ御質問ノ御趣旨ハ洵ニ御尤デアリマ
スルガ政府ト致シマシテハ教護法、少年
〓護法等ノ社會事業立法ノ例ニ做ヒマシ
テ、地方稅ノ免除ヲ規定シタ次第デアリマ
ス
第三ノ點ハ「豫算ノ範圍內ニ於テ補助ス
ルコトヲ得」ト規定シテ居ッテ、而シテ豫
算ハ五十万圓デアル、是ハ非常ナル少額デ
アルカラ、豫算ヲ更ニ增額シテ、又所要經
費ノ二分ノ一程度ノ補助ヲ爲ス考ハナイカ
ト云フ御尋デアッタト存ジマス御述ニ
ナリマシタ通リ、來年度豫算ニ計上シテ
居リマス補助金額ハ五十万圓デアリマシ
テ、從來ノ奬勵金額ニ比シマスレバ相當
ノ增額ヲシテ居ルノデアリマス、併ナ
ガラ必シモ是デ十分ナリトハ言ヒ難イノ
デアリマスルガ、今日ノ財政狀態其他ヲ
考慮致シマシテ、此程度ニ政府ハ決メタノ
デアリマス、今後ハ必要ニ應ジマシテ、財
政ノ都合等モ考慮シテ、十分ニ增額ヲスル
コトニ致シタイト考へテ居リマス
而シテ其後デ御尋ニナリマシタ地方交付
金等ニ關聯シテノ御尋ノ國庫補助ノ增額
ハ只今ノ所ハ考慮致シテ居ラナイノデア
リマス
第四ノ御尋ノ何故認可制度ヲ採ラナカッ
タカト云フコトデアリマス、或ハ其制度ヲ
採リマスコトモ、事業ノ種類ニ依ッテハ有效
ナル方策ガアルト存ズルノデアリマス、併
ナガラ一面斯ウ云フ認可ト云フヤウナ制度
ヲ採リマスト、往々ニシテ社會事業ノ自由
活潑ナ活動ガ萎縮スル場合モアリマスル
シ、元來社會事業ハ有力ナル熱心家ノ獨創
的ノ考ヲ本ニ致シマシテ發達シテ參ルベキ
モノデアリマスノデ、其點モ考ヘマシテ、
之ヲ認可制度ト致シマセヌデ、屆出ノ制度
トシタ次第デアリマス
ソレカラ其次ノ御尋ハ、地方社會事業委
員會ヲ各府縣ニ一律ニ設ケル考ハナイカト
云フ御尋デアリマス、地方社會事業ノ助長
發達ニ付キマシテ、民間ノ協力ヲ求メマス
ルコトハ勿論非常ニ必要デアリマス、御趣
旨ハ洵ニ御同感デアリマスルガ、現狀ノ下
ニ於キマシテ各府縣ニ一律ニ之ヲ設置致シ
マスコトハ今日政府トシテハ考へテ居リ
マセヌノデ、本法ノ規定ノ運用ニ依リマシ
テ、必要ニ應ジテ成ベク府縣ニ本委員會ノ
設置ヲ見ルヤウニ勸奬シテ行キタイト考ヘ
テ居リマス
ソレカラ次ニ社會事業從事者ニ一定ノ資
格要件ヲ定メマシテ、又其養成機關ヲ確立
シテ專門家ヲ養成スル考ハナイカト云フ御
尋デアッタト存ジマスガ、此點ハ洵ニ結構ナ
コトデアリマシテ、社會事業從事者ノ素質
〓養ノ如何ガ、此事業ノ發達ニ關係スルコ
トガ多大デアリマスルコトハ、申ス迄モナ
イノデアリマシテ、一定ノ資格要件ヲ決メ
マスルコトハ一ツノ方法ト存ジマスルガ、
之ヲ法定致シマスコトハ尙ホ〓究ノ餘地
ガアルト考ヘテ居リマス、又專門家ノ養成
ニ付キマシテハ從來ヨリ直接又ハ間接ニ
努力シテ來タノデアリマスルガ是ガ爲ニ
特別ノ養成機關ヲ設置スルヤ否ヤニ付テ
ハ、將來十分考究シタイト考ヘテ居リマ
ス
ソレカラ我國ノ國民ノ中ニ於テ疾病ニ罹ツ
テモ、醫療ニ惠マレナイ多數ノ人々ガ居ラ
レル、又勞働靑少年ノ工場職場ニ於ケル狀
態等ヲ見テモ、洵ニ憂慮スベキ狀態ニアル
ノデ、今後トモ或ハ又肺結核デアルトカ、
精神病者デアルトカ、花柳病デアルト云フ
ヤウナモノノ蔓延ノ狀況カラ見テモ、洵
寒心スベキ狀態デアルト云フ御尋デアリマ
シタガ、是ハ當局ト致シテモ洵ニ憂慮致シ
テ、深甚ナル考慮ヲ拂ッテ居ル次第デアリマ
シテ、結核ニ付キマシテ申上ゲマスレバ、
昭和十二年度ヨリ結核病床三万床ノ增設計
畫ノ下ニ結核療養所ヲ建設致シテ居リマス、
尙ホ結核患者ノ早期發見ト其療養指導等ハ、
結核豫防上必要ト認メラレマスノデ、從來
ノ健康相談所ニ加フルニ、昨年制定致シマ
シタ保健所法ニ基キマシテ、保健所ノ施設
ヲ利用シテ、一層此方面ニ努力シテ行キタ
イト考ヘテ居リマス、尙ホ精神病、花柳病
等ノ點ニ付キマシテモ、十分旣存ノ法規等
ノ運用ニ依リマシテ、遺漏ナキヲ期シタイ
ト考ヘテ居リマスルシ、又他面厚生省ガ出
來マシタニ鑑ミマシテモ、此社會事業立法
ノ擴充、新立法ノ制定等ニ付キマシテハ
今後トモ十分〓究致シ、此實現ニ當ッテ行キ
タイト考ヘテ居リマス
〔政府委員加藤久米四郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=45
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046・加藤久米四郎
○政府委員(加藤久米四郞君) 伊藤君ニ御
答致シマス、中央地方ニ於キマスル負擔ノ
均衡ハ、國民生活ノ安定カラ之ヲ見マシテ、
又銃後施設ノ充實カラ之ヲ見マスルト、所
謂交付金ノ適當ナル增額ハ軍ト致シマシテ
ハ勿論贊成デアリマス、是等ノ具體的問題
ニ關シマシテハ、財政其他ノ點ニ關シマシ
テ、ソレ〓〓關係各省ニ於テ目下考慮中デ
アリマス
〔政府委員中村三之丞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=46
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047・中村三之丞
○政府委員(中村三之丞君) 社會事業ニ對
スル國稅トシテノ免稅ニ付キマシテハ厚
生大臣仰セラレマシタ通リデゴザイマス、
公益法人又ハ特殊法人等ニ於キマシテモ、
國トシテノ地租ハ免除致シテ居ラヌノデゴ
ザイマス、隨テ本法ニ於キマシテモ其先例
ニ據ッタモノト存ジマス、社會事業又ハ社會
事業團體ニ對スル國庫補助ノ問題ニ付キマ
シテハ現在ノ額ハ厚生省ト大藏省ガ適當
ナル話合ヒニ依ッテ決ッテ居ルモノデゴザイ
ママ、尙ホ此法律案ニ依リマシテ、社會事
業ノ基礎ガ堅實トナリ、一般ニ整備セラルヽ
ニ至リマスルナラバ、將來是等ニ對スル補
助モ、尙ホ一段ト考慮セナケレバナラナイ
ト思ッテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=47
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048・伊藤東一郎
○伊藤東一郞君 簡單デアリマスカラ、此
席カラ御許ヲ願ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=48
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049・小山松壽
○議長(小山松壽君) 宜シウゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=49
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050・伊藤東一郎
○伊藤東一郞君 只今厚生大臣竝ニ陸軍、
大藏政務官閣下ノ御答辯ハ稍〓疑義ノ點ガア
ルノデアリマスガ、尙ホ質問者モ多數アル
ヤウデアリマスルカラ、他日ノ機會ニ讓リ
マシテ、私ノ質問ハ是デ打切リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=50
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051・小山松壽
○議長(小山松壽君) 松本治一郞君
〔松本治一郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=51
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052・松本治一郎
○松本治一郞君 只今議題ニナッテ居リマス
ル社會事業法案ノ提案理由ノ說明ニ對シテ、
只今ヨリ質疑ヲ試ミントスル者デアリマス、
私ノ質問ハ政府ガ今囘社會事業補助費トシ
テ五十万圓ヲ豫算ニ計上シクル其算定根據、
其次ハ社會事業促進ニ關スル政府當局ノ根
本方針、又社會事業ノ對象トナルベキ一切
ノ諸條件防止ニ關スル根本對策等ニ關シテ
質問ヲ致サントスル者デアリマス
〔議長退席、副議長著席〕
世ノ中ニ貧ヨリ辛イモノハナイト云フコ
トデアリマス、四百四病ノ其病苦ヨリモマ
ダ辛イト云フ貧乏、其他種々ナル事情ノ爲
ニ苦ンデ居ル人々ニ、同胞相愛スル麗ハシ
イ溫カイ心ノ手ヲ差伸べテ御世話申上ゲル
ノガ社會事業ダト私ハ思ッテ居ル、元來我國
ノ社會事業ナルモノハ自然發生的ニ成長シ
テ來タモノト私ハ思ヒマス、其社會事業ニ
對シマシテ、政府ハ指導監督竝ニ保護助成ヲ
加ヘントスル爲ニ本案ヲ提出シタト云フヤウ
ナ御說明デアッタ、然ルニ本法案ノ內容
ヲ靜ニ檢討致シテ見マスルト、其特徵ハ社
會事業ヲ保護助成スルト云フヨリモ、寧ロ
監督ヲ嚴重化スルト云フ點ニアルノデアリ
やっ、保護助成ノ方ハ民間社會事業デ用ヒ
ル土地建物ニ對スル免稅ト、補助金ヲ二十
万圓カラ五十万圓ニ殖スト云フダケニ過ギ
ナイ、是ガ本法案ノ骨子デアル、所ガ元來
我國ノ社會事業ノ發達ト現狀ハドウカト云
フニ、其大部分ガ民間事業デ行ハレテ居ル
ト云フ狀態デアル事業ノ施設數デ言ヒマ
スルト、全國ニ六千四百餘中私設ハ公設ノ
約二倍デアル經費カラ言ヒマスト最近
ノ數年間ハ五千万圓中公設ハ三分ノ一カ乃
至五分ノ一ニ過ギナイ、此事實ハ廣ク社會
ノドン底ニ呻吟スル多クノ薄幸者ヲ對象ト
シテ行ハレル所ノ所謂社會事業ト云フ、實
ニ國家ノ休城、社會ノ安危ニ關スル重大ナ
事業ガ、大部分民間事業家ノ手デ行ハレテ
居つ、國家ハ寧ロ之ヲ怠リガチデアッタト
云フコトヲ裏書スルモノデアル、此事自體
私ハ國家トシテハ、社會事業ニ付テ餘リ大
キナ口ハ聞ケナイコトデハナイカト思フノ
デアリマス(拍手)
元來社會事業バカリデナク、一般社會政
策ニ付テ、所謂世界ノ一等國ト云フ顏ヲシ
ナガラ、日本程國家ガ之ニ力ヲ注イデ居ナ
イ國ハナイ、豫算ニ付テ見テモ社會政策
的ナ經費ト云フモノガ、日本程貧弱極マル
國ハナイ、此點ハ近代國家トシデ日本ハ決
シテ大キナ顏ハ出來ナイデアル、其國家ガ
今社會事業法ヲ作ルニ當ッテ、僅々五十万圓
ノ補助金ヲ出シテ、サウシテ監督者顏ダ
ケヲシヨウト云フノデアル、是ハ本案ノ立
前デアルト言ッテ差支ナイ、勿論現在ノ社會
事業ニハ如何ハシイモノガ澤山ニアル、イ
ンチキナモノガ非常ニ多イ、中ニハ此神聖
ナ仕事ヲ看板ニシテ、實ハ自分一家ノ生活
ノ爲ニヤッテ居ル者モアル、眞面目ナ人ガ
ヤッテ居ル事業程衰へ、インチキ性ノ多イモ
ノ程榮エルト云フ珍現象ヲ呈シテ居ルモノ
ガアル、サウシテ其多クハ世間ニ寄附ヲ仰
イデ居ルノデアルガ、其寄附ハ上層有產者
ガ出スト云フヨリハ、寧ロ中間階級ガ之ヲ
背負ヒ込ンデ居ルト云フ場合ガ非常ニ多イ
ノデアル又世間體ニハ所謂篤志家ト云フ
名稱ノ下ニ巨萬ノ金額ヲ社會事業基金ト
シテ寄附シ、事業助成ヲ行ヒ、或ハ自ラ其
事業ヲ進メテ居リマスガ、其中ニハ財團法
人組織トシテ、其基金ヨリ生ズル利子ノ範
圍內ニ於テ、之ヲ行フ種類ノモノガ相當ニ
多イノデアリマス、又其基金モ相當額ニ達
シテ居ルノデアリマス、私ノ調査致シマシ
タモノニ付テ見マシテモ、規模ノ大ナルモ
ノ十八團體ヲ合算致シマスルト、其基本金
ガ七千百九十三万四千圓、其他ノモノヲ合
セマスルト約九千万圓デアル、是等ノ財團
法人ハ、大抵規定サレタル定款ニ依ッテ解
散サレザル限リ、永久ニ其出資者ノ子々
孫々、又ハ近キ緣故者ガ、其理事者トナッテ
主宰スル仕組ノモノガ多ク、サウシテ多額
ノ報酬ヲ受ケルノデアリマス、又將來其財
團ガ解散致シマスル場合、其基本金ハ出資
者ニ還元サレル規定ヲ設ケラレテ居ルノデ
アリマス、斯樣ナモノヲ仔細ニ檢討致シマ
スレバ、住々社會事業ノ名ニ隱レマシテ、
自家財產ノ合法的脫稅、合法的私財安全保
管法トシテ、此企ヲ爲シテ居ルインチキ篤
志家モアルノデアリマス、賣名ト合法的脫
税合法的私財安全保管、實ニ一石三鳥ノ
狡イ手段ヲ講ジテ居ル者モアリマス斯ウ
云フ僞善的、欺瞞的社會事業ノ取締ヲ嚴重
ニスルコトハ勿論必要デアリマス、社會事
業ノ內容其モノヲ明朗ナラシムルノデナケ
しく、能率ハ擧ラナイ、此點ニ於テ今囘ノ
監督ヤ取締ノ嚴重化ハ、私ハ寧ロ結構ト言ッ
テ宜シイト思フ併シ年五千万圓ノ經費ヲ
注込ンデ居ル社會事業其モノノ規模ハ決
シテ是デ十分デアルトハ思ハナイ、一例ヲ
擧ゲマスレバ、今日病疾ノ爲ニ施療ヲ必要
トスル救療患者ノ數ハ全國デ約四百万
人其中救護法ノ適用ヲ受ケテ施療サレテ
居ル者ガ、僅ニ百分ノ一ノ四万人ニ過ギナ
イ、濟生會其他ノ社會事業ニ依ッテ施療ヲ
受ケテ居ル者ト雖モ、尙且ツ百九十万人ヲ
出デナイ、二百万人以上ト云フ者ハ施療ヲ
受クルコトガ出來ナイデ泣イテ居ルト云フ
悲慘ナ實情デアリマス、此一ツノ事實ニ照シ
マシテモ、我國ノ社會事業ノ規模ハマダ〓〓
幼稚デアル、諸外國ノソレニ比ベテモ實
ニ貧弱デアル、況ヤ其他ノ社會政策トシ
テ國家ガ行フ所極メテ貧弱ナル我國ニ於
テ、唯旣存ノ社會事業、民間委セデ成長シ
テ來タ社會事業其儘ノ規模デ之ヲ統制スル
ダケデハ、國家ノ顏ハ立タナイ、ソコデ本
案ノ精神デハ、何等國家ガ積極的ニ社會事
業ヲ進メヨウト云フ意氣込ミ、熱意ヲ示ス
モノトハ言ヘナイノデアル、唯他人ノ褌デ
相撲ヲ取ラウト云フ根性ヲ示スダケデ
アル、稅金ハ一年足ラズノ間ニ三度モ
上ゲル、物價ハ段々高クナル、國民ノ生活
ハ著シク苦シクナッテ行ク、國民ガ其苦
痛ヲ愬ヘナイノハ心カラ擧國一致ノ實
ヲ示サウト云フ隱忍持久ノ眞心カラデア
ル(拍手)戰地ニ於テ文字通リ血ヲ以テ
戰ッテ居ル同胞ヲ思フ眞心カラデアル、併
シ此國民ノ感情ニ對シ、國家ガ之ヲ十二分
ニ尊重シ、國家自身ガ國民ノ苦ミヲ十分ニ
酌取ルノデナカッタナラバ、到底心カラノ擧
國一致ノ實ヲ擧ゲルコトハ出來ナイノデア
ル(拍手)之ヲ唯單ニ上カラ色々ノ形デ威シ
付ケルダケデハ、消極的ニ文句ヲ言ハヌト
云フタケデ、到底旨ク行ク筈ハナイ、見た
ソ西洋流儀ノ獨裁デアリ、暴君「ネロ」ノ政治
デアッテ、君民一體ノ美シイ日本流儀デハ斷
ジテナイト思フノデアリマス(拍手)
私ハ社會事業ノ擴張ト明朗化ヲ齎ス爲ニ
ハ、其理想ヲ言ヘバ、國家自體ガ其總テヲ
經營スベキデアルト思フ、是ハ國家トシテ
ノ當然ノ義務デアル、恩惠的ナ顏ヲシテ行
ハルベキ仕事デハ斷ジテナイカラデアル、
其爲ニハ現在組織スル民間ノ施設ヲ、總テ
國家ノ手ニ移スコトガ理想デアラウ、サ
ウスレバ第一ニ事業ノインチキ性ガ整理サ
ルヽバカリデナク事業費トシテノ寄附ガ
遙ニ大キクナル、冗費ハ合理化サレ、官僚
臭味ヲ排シテ十分注意シテ行ヘバ、能率ハ
必ズ擧ルニ違ヒナイノデアル元々社會事
業ト云フモノハ、國家ガ之ヲヤルト云フヨ
リハ、寧ロ同胞相愛スルノ眞情ノ發露、社
會的ナ同情ト、同感ノ心ノ發露デ行ハレル
モノデアルト言ハレテ居ル、勿論ソレニ相
違ハナイノデアル、併シ飜ッテ顧レバ、サウ云
フ社會的ナ個人々々ノ同情心、慈愛心ト云フ
モノヲ組織的ニ組立テテ組織的ナ事業トシテ
行カネバナラヌト思フ、ト云フノハ實ハ社會
事業ヲ必要トスルト云フコト自體ガ、是ハ近
衞首相ノ過日豫算委員會ニ於テ答辯ニ用ヒ
ラレマシタ言葉ヲ以テスレバ、利益ヲ本位ト
スル所ノ機構ノ缺陷デアル、卽チ現在ノ國家
政策、殊ニ資本主義ノ下ニ於ケル社會生活ニ
重大ナ缺陷ガアル爲デアル、隨テ此社會生
活ノ缺陷ヲ補フ責任ト云フモノハ、本來言
ヘバ實ニ國家自身ニアル譯デアル、資本主
義ノ弊害ニ付キマシテハ、出來ルダケ此缺
陷ヲ是正シナケレバナラヌト云フコトモ、
亦近衞總理大臣自身ガ過日同僚議員ノ質問
ニ御答ニナッタ所デアル、併ナガラ同胞ガ相
愛スルト云フ心其モノハ、之ヲ摘取ッテハナ
ラナイ、殊ニ國家生活ノ缺陷ガ一朝一夕ニ
無クナラナイ以上、同胞相扶ケル心ノ根ヲ
刈取ルコトハ出來ナイ、現在國家ガ行ッテ居ル
社會事業ノ經費トシテ計算サレル額ハ、此
兩三年ニ付テ見ルト千數百万圓デアルガ、
此內純粹ニ國家社會事業費トシテ年々支出
シテ居ル金額ハ、甚ダ以テ僅カナモノデア
ル、國家ハ國民カラ取ルモノハ遠慮ナシニ
取ル、國民ノ生活ハ益〓苦境ニ陷ル、而モ
之ヲ救フ施設ハ國民委セデアルト云フ態度
デ以テ、果シテ國民ノ國家崇敬ノ思想ヲ養
ハシムルコトガ出來ルト思ハレルカ、鉦ヤ、
太鼓ヤ、歌デ國民精神總動員ト云フヤウナ、
淺薄ナ官僚ノ机上ノ「プラン」デハ、健全ナ
國民精神ハ到底出來ルモノデハナイ(拍手)
國民ヲ眞ニ愛スルノ心、ソレヲ以テピッタリ
ト足ヲ地ニ付ケテ立直サナケレバ、國民ノ
表向キハ兎モ角、腹ノ底カラ國家的精神ノ
健全ヲ圖ルコトハ出來ナイノデアル私ハ
此重大時局ニ際シマシテ、寧ロ此根本精神
ニ於ケル政府當局ノ自覺ヲ促シ、尙ホ社會
事業ノ對象トナル生活落伍者、不幸沈淪者
ナド、一切ノ條件ヲ少ナカラシムル爲ニ、
拔本塞源ノ根本對策トシテ、必要ナル諸種
ノ革新的社會立法ヲ速ニ制定セラレンコト
ヲ要望スルノデアリマス(拍手)
是カラガ私ノ答辯ヲ求ムルモノデアリマ
ス、現下ノ社會情勢ニ鑑ミ、此際社會事業
補助費ハ最小限度五千万圓程度ニ增額スル
必要ヲ感ゼザルヤ、全國民ノ生活ヲ保障ス
ル國家社會事業トシテノ、自己ノ故意ニ依
ラズシテ生活ニ窮シタル者、若クハ窮シ
タル場合ノ總テニ及ブ全國民生活保障法ト
シテ、被保護者ヲ對象トスル保護法案ヲ制
定スル意向ナキヤ、是ガ私ノ御尋スル點デ
アリマス(拍手)
〔國務大臣侯爵木戶幸一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=52
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053・木戸幸一
○國務大臣(侯爵木戸幸一君) 松本サンニ
御答ヲ申上ゲマス最初ニ補助金五十万圓
ノ根據ニ付テ御尋デアリマシタ、是ハ主ト
シテ私設社會事業ニ對スル補助トシテ、全
國三千餘ノ私設團體ノ中カラ千團體位ヲ選
ビマシテ、之ニ助成スル考デ居リマス、ソ
レカラ第二ニ御尋ニナリマシタ點ハ、政府
ガ此法案ヲ作リマシタ趣旨ハ指導監督ヲ
主眼トスルモノデアルカ、或ハ助長發達ヲ
圖ルモノデアルカト云フ意味ダッタト存ジ
マス此點ハ先程モ御答致シマシタヤウニ
社會事業ノ發達ノ歷史カラ見マシテモ、之
ヲ助長誘導スルコトガ、其精神デアルノデ
アリマシテ、而シテ是ト共ニ其弊害ノア
リマスルヤウナ、又成績ノ惡イヤウナモ
ノニ付キマシテハ、適當ナ必要ナル指導
監督ヲ致シマシテ、更ニ社會事業ノ向上發
達ヲ圖ルト云フノガ目的デアリマス法規
ニ書キマスルト、自然此助長誘導スル方面
ハ法律的事項ガナイ爲ニ、法規全般ガ如
何ニモ監督ト云フコトガ强ク現レテ居リマ
スルガ厚生省ニ於キマシテ此法律ヲ制定
致シマシタル精神、竝ニ將來是ガ運用ニ付
キマシテハ、只今申上ゲタヤウナ意味ニ於
テ運用シテ行ク積リデアリマス、ソレカラ
最後ニ御尋ニナリマシタ五千万圓ノ增額ト
云フヤウナ點ニ付キマシテハ、今日財政上
種々ノ按排ヲ致シテ居リマスル際ト致シマ
シテハ直チニ是ダケノ增額ヲ致スト云フ
決意ハ持ッテ居リマセヌ、又只今松本サンノ
言ハレマシタ、所謂被保護ト云フ御言葉デ
アッタト思ヒマスガ、サウ云フ方面ニ對シテ
如何ナル對策ヲ持ツカト云フ御話デゴザイ
マシタガ、其點ハ社會立法、又各種ノ年金
制度ト云フヤウナコトニ付キマシテ、從來
モ色々御尋ガアリマシタ、是等ハ厚生省ト
致シマシテ、將來十分〓究致シテ實施致シ
テ行キタイト考ヘテ居ル次第デアリマス
(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=53
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054・松本治一郎
○松本治一郞君 簡單デアリマスカラ、自
席カラ發言ノ御許ヲ願ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=54
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055・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 許可致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=55
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056・松本治一郎
○松本治一郞君 社會事業ノ對象トナル社
會生活ノ體驗者デアル私ノ質問ニ對シテ、體
驗者デナイ侯爵木戶大臣ヨリ滿足ナル答辯
ヲ聞カウトハ思ハナカッタ、併シ話セバ能ク
物ノ分リサウナ人デアリマスカラ、後日或
ル機會ニ又聞クコトニ致シマシテ、本日ノ
私ノ質問ハ之ヲ以テ終リマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=56
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057・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 中村高一君
〔中村高一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=57
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058・中村高一
○中村高一君 商店法ガ提案ヲセラレマシ
タノデ、多年吾々ハ商店從業員ノ保護ヲ叫
ビ、又主張ヲ致シテ參リマシタ立場カラ、
此際政府ニ向ヒマシテ、私達ノ希望ト意見
ヲ申上ゲマシテ、本法ノ實施ノ上ニ、夏ノ、
將來ノ改正ノ上ニ於キマシテ、吾々ノ聲ヲ
聞クコトハ政府ノ當然ノ務デアルト考ヘル
ノデゴザイマス、併シ詳シイコトニ付キマ
シテハ、前ニ高畠サンカラモ質問ガアリマ
シタノデ、私ハ二三ノ點ニ付キマシテ御尋
ヲ致シタイノデアリマス
今囘政府ノ提案ヲ致シテ居リマスル商店
法ノ內容ハ、先程指摘セラレマシタ通リニ、
極メテ不滿足ナモノデアリマス、言換ヘマ
スルナラバ、今囘ノ商店法ノ內容ハ、唯時
間ノ制限ヲ致シテ居ルダケデアリマシテ、
ソレ以上商店從業員ヲ如何ニ保護シテ行カ
ナケレバナラナイカト云フヤウナコトニ付
テハ、全ク規定ニナイ(拍手)唯單ニ時間ヲ
午後ノ十時限リニスルト云フコトガ本法案
ノ趣旨ナノデアリマシテ、是デハ商店從業
員ノ保護ニモ何ニモナラナイノハ明カデア
リマス、而モ午後十時マデヲ營業時間ニス
ルト云フノデアリマスルケレドモ、地方ノ
都會ニ參リマスルナラバ、午後ノ十時マデ
商買ヲヤッテ居ラヌ、或ハ八時、或ハ九時ニ
ナレバ地方デハ商賣ヲオ終ヒニシテ居ル、
東京ヤ大阪ノヤウナ六大都市デアリマスレ
バ或ハ十時、十一時マデヤッテ居ルカモ
知レマセヌケレドモ此法案ハ全國的ニ實
施ヲスルト云フコトニナッテ居ルノデアリ
マスルノニ、ヤッテモ居ナイ所ヘ向ッテ、午
後ノ十時限リトスルト云フヤウナ法律ヲ今
時出スト云フコトハ、甚ダ吾々ハ時代ニ後
レテ居ル法案デアルト思フ(拍手)而モ厚生
省ハ新シク店開キヲシタ新店デアリマシテ、
其新店カラコンナ古イ、殆ド言ヒ古サレテ
居ル所ノ役ニ立タナイモノガ、新店カラ賣
出サレルト云フヤウナコトハ、甚ダ吾々不
滿デゴザイマス(拍手)時間ノ點ナドニ付キ
マシテモ、是ハ全ク多クノ商店ニ取リマシテ
ハ問題ダト思ヒマス、午後ノ十時ニ一律ニス
ルト云フコトニ付テハ無論多クノ小商店
ナドカラハ反對ノ意見ナドモ出テ居ルコト
ヲ、私ハ承知シテ居ルノデアリマスルガ、
今日行詰ッテ居リマスル所ノ商人ヲ救フ爲
ニ、私ハ商店ノ經營方法ヲ變ヘルト云フ
コトモ一ツノ方法デアリマセウガ、其一ツハ
優秀ナル店員ヲ求メルト云フコトガ、行詰ッ
テ居ル所ノ商人ヲ救フ一ツノ途デアルト私
達ハ考ヘル(拍手)ケレドモ今日ノヤウナ儘
ニシテ置イタノデハ、優秀ナル所ノ店員ハ皆
逃ゲテシマヒマス、或ハ小學校ヲ出テ參リ
マシタ少年デモ、商店ノ丁稚ニナルトカ、
小僧ニナルノハ、俺ハ厭ダト云フヤウナコ
トヲ近來言出シテ參リマシテ、段々ト俺ハ
商店ノ從業員ニナルト云フ希望者ガ次第ニ
減少シテ居リマスル現狀ヲ、ドウカ一ツ政
府ニ於キマシテモ、能ク御注意ヲ願ヒタイ
ト思フノデアリマスルガ、ドウモ商店ニ對
スル從業員ノ志願者ガ段々少クナッテ、優良
ナル店員ガナクナルト云フ有樣デアリマス、
私ハ東京府ノ職業紹介所ニ就テ聞イテ見マ
シタ所ガ、統計ノ上ニ於キマシテモ、ハッキ
リ現レテ居ルノデアリマシテ、昨年尋常小
學校ヲ卒業致シマシタ少年デ、東京府ノ職
業紹介所ニ就職ヲ依賴致シテ參リマシタ少
年ノ志望ヲ聞イテ見マスルト、是ハ昨年ノ
統計デアリマスルガ、東京府ノ職業紹介所
ニ小學校ヲ出マシタ少年デ就職ヲ申込ンデ
來タ者ガ五千六百九十五人ゴザイマス、其
中デ商店デ宜シイト云フ人ハ千三百四十六
人僅ニ志望者ノ中ノ二割ニ過ギマセヌ、
更ニ本年ニナリマスルト、無論是ハ事變ノ
影響ナドモゴザイマスルケレドモ、本年小
學校ヲ卒業致シマス者デ申込ンデ居リマス
ル者ガ七千十名アリマス、所ガ商店デ宜シ
ウゴザイマスト云フ者ガ、其中僅ニ六百六
人シカナイノデアリマシテ、之ヲ見マシテ
モ商店ノ從業員ヲ志望スル者ガ少クナッテ
居リマシテ、優秀ナル少年ハ先ヅ軍需工場
ニ奪ハレ、次ニハ給仕サンニナリタガリ、
最後ニ殘ッタ者ガ商店ノ從業員ト云フコト
ニナリマシタノデハ、ドウシテモ商店ニ優
秀ナル店員ヲ求メルコトガ出來ナイト云フ
コトハ、之ニ依リマシテモ明ニ言ヘルト私
ハ考ヘルノデアリマス、ソレデアリマスル
カラ、若シ今日商店ノ中デ商店法ガ實施ヲ
セラレルナラバ、商店ノ經營ガ行詰ルト云フ
御考ヲ持タレテ、反對ヲシテ居ラレル方ガ
アルナラバ、私ハ寧ロ此際商店ニ優秀ナル
店員ヲ求メマシテ、商店ノ繁榮策ヲ講ズル
ト云フコトガ、今後ニ於ケル所ノ重大ナル
要件ダト考ヘルノデアリマス、隨テ商店從
業員ニ對シマシテモ、工場勞働者ト同ジク、
國家ハ當然ノ保護ヲ致シテ行カナケレバナ
ラナイト云フノガ私達ノ主張デアリマス
(拍手)ソレデアリマスカラ、本法ノ中心問
題ニナッテ居リマシテ、殆ド此法律ノ主ナ
ル點ハ、商店ノ終業時間ヲ午後十時ニス
ルト云フコトデアリマスカラ、此時間ニ付
テハ能ク地方ノ狀況ナドヲ考ヘラレマシ
テ寧ロ商店ノ終業時間ト云フモノハ、午
後八時ニシ、六大都市ノヤウナ場合ニハヽ
特別ニ之ヲ例外トシテ置クト云フコトノ方
ガ、今日ノ日本全國ニ之ヲ實施スルト云フ
ナラバ私ハ其方ガ適當デアラウト考ヘル
ノデアリマスガ(拍手)政府デハ此點ニ付キ
マシテハ如何ナル御考ヲ持ッテ居ラレマス
カ、御答ヲ願ヒタイノデアリマス
次ニ、是モ政府ハ何カ他ニ意圖ガアルノ
デアリマスナラバ、說明ヲシテ戴キタイト思
フノデアリマスガ、使用人五十人以上ヲ使ッ
テ居リマス所ノ大商店ニ向ッテハ、其處デ
働イテ居リマス所ノ婦人ト、十六歲未滿ノ
少年ニ對シマシテ、特ニ十一時間以上ハ働
カセナイト云フ特別ノ保護ノ規定ト、更ノ
休日ハ月ニ二囘置クトカ、或ハ休憩時間ヲ
置クトカ云フコトヲ、大商店ニ對シテハ規定
致シテ居ルノデアリマスケレドモ、使用人
五十人以下ノ小商店ニハ、此保護ノ規定ヲ
全然置カナイノデアリマシテ、私ハ是デハ
商店從業員ヲ時間ニ依ッテ保護スルト云フ目
的ハ斷ジテ達セラレナイト思フ、何故カ
ト申シマスナラバ商店ノ數ヲ見マスト、
使用人五十人以上ノ大商店ト云フモノハ、
日本ノ國ニ於テハ全國商店ノ中デ一割五分
デアリマス、アトノ八割五分ハ使用人五十
人以下ノ小商店ナノデアリマス、大商店ニ
勤メテ居ル人ニ對シテハ、特別ノ保護ヲス
ル規定ヲ置キナガラ、此最大多數ヲ擁スル
小商店ニ對シマシテ、特別ノ保護ノ規定ヲ
除イクト云フコトニ付テハ、私ハ甚ダ不可
解ニ考ヘルモノデアリマス(拍手)若シ政府
ノ御考ガ、ソレハイカヌ、小商店ニ向ッテ餘
リ嚴重ナ規定ヲ置イタノデハ、小商店ガ行
詰ルカラト云フ御考ト多分思フノデアリマ
スケレドモ、是ハ別問題デアリマス、小商
店ガ行詰ルカラ、其從業員ハドウデモ宜イ
ト云フヤウナ理窟ハ、何處カラモ出テ來ナ
イト思フ、小商店ガ駄目ダト云フナラバ、
小商店ヲ別ニ救濟スル案ヲ、商工省ナドニ
於テ御立テニナルノガ當然ダト思フ、ソレ
ヲヤラナイデ置イテ、小商店ガ苦シイカラ、
其處ニ勤メテ居ル從業員ハ犠牲ニナレト云
フ理窟ハ何處カラモ出テ來ナイノデアリ
マシテ明哲ナル厚生大臣ヨリ、何故小商
店ヲ別ニシナケレバナラナイカト云フコトニ
付テ、是非御答ヲ願ハナケレバナリマセヌ
更ニ私ハ此從業員ヲ保護スル爲ニ、年齡
ニ付テ御尋ヲ致シタイ、小商店ニ勤メテ居
リマシテモ、或ハ大商店デモサウデアリマ
スガ、最低ノ年齡ト云フモノニ對シテ少
シモ規定ガナイノデアリマスガ是モ私ハ
商店從業員ヲ保護スルト云フ上カラ行キマ
シタナラバ、是ハ缺點ダト思ヒマス、御承
知ノ通リニ、工場勞働者ニ對シテハ十四歲
以下ノ子供ハ使ッテハナラナイト云フ規定
ガチヤントアル、ソレナラバ何故商業ノ方
ニ於テ小サナ子供ヲ使ッテ宜イト云フコトガ
言ヘルノカ、丁稚ヤ小僧サンノ中デ、全ク
此年齡ニサヘ達シナイ者ヲ十一時マデモ
十二時マデモ店デ居眠ヲサセテ置イテ、ソ
レデ取締ラナイト云フコトハ甚ダ不都合ダ
ト思フ、工場勞働者ニ對シテ最低年齡法ガ
アルナラバ商業勞働者ニ對シテモ當然最
低年齡法ヲ置クコトコソ、私ハ幼年商業從
業員ヲ保護スル上ニ於テ最大ノ要件デアル
ト考ヘルノデアリマス、是ハ學者ノ意見デ
アリマスケレドモ、少年少女トモ十六歲ニ
ナラナカッタナラバ、安ンジテ外的勞働ノ爲
ニ「エネルギー」ヲ使用サセルコトハ出來ナ
イト述ベテ居リマス、更ニ人間ノ發育狀態
ニ付キマシテモ、最モ發育盛リナノハ十一
歲カラ十四歲マデヾアッテ、此期間ニ人間ヲ
イジケシメルト云フト生涯取返シノ付カ
ナイト云フ問題ガ起ルト學者ハ述ベテ居リ
マスガ、國家總動員法案モ出テ參リマシテ、
人的資源ノ徵用マデモ行ハレヤウト云フ今
日デアリマスカラ、私ハ人的資源ヲ溷渴セ
シメナイト云フ意味カラモ、此少年ニ對シ
マシテ國家ハ保護ヲ加ヘルノガ當然ナリト
思料致スノデアリマス(拍手)ソレデモ小サ
ナ子供ヲ使ッテ宜イト云フ御意見ナリヤ否ヤ
ト云フコトヲ承リタイノデアリマス
其次ハ保健衞生ノ點デアリマスガ、成程
規定ハアル、今度ノ商店法案ヲ見ルト「使
用人ノ危害ノ妨止又ハ衞生ニ關シ必要ナル
事項ヲ店主ニ命ズルコトヲ得」ト云ッテ
タッタ一行申譯的ニ書イテアル、是デ一體危
害ノ妨止、衞生ノ施設ガ出來ルカドウカ、
私ハ大キナ疑ヲ持ツ、若シコンナ條文ニ依ッ
テ店主ニ命令ヲシテ從業員ノ居ル所ヘハ痰
壺ヲ置ケトカ、或ハ消火器ヲ置ケトカ云フ
ヤウナ命令ヲ出サレテモ、從業員ノ保護ト
云フモノハ斷ジテ出來ナイ、政府ハモット積
極的ニ商店從業員ノ爲ニ施設ヲシテ行カナ
ケレバナラナイ、現ニ日本ノ國ニ於キマシ
テ、商店從業員ハ百五十万人カラアルト言
ハレテ居リマスカラ、此從業員ニ對シマシ
テ特別ナル施設ヲスルコトハ當リ前ダト思
フ是ハ獨逸ニ行ハレマシタ例デアリマス
ガ、極メテ參考ニナルト思ヒマスカラ、厚
生大臣ニ參考ノ爲ニ御聽取ヲ願ヒタイト思
ヒマスガ、獨逸ニ於キマシテハ軍備制限ニ
依ル國民ノ力ノ萎縮ヲ憂ヒマシタ時代ニ、
都會ニ於ケル人間ノ爲ニ體育運動ヲ以テシ
タ、軍備制限ヲサレタ當時ニ於テ體育運動
ヲ以テ之ニ代ヘルト云フ法律ヲ作リマシテ、
市民運動場ノ建設ニ關スル提案ヲ致シテ實
施セラレタノデアリマスガ、其內容ガ洵ニ
聽クベキモノアリト考ヘマスカラ申上ゲマ
ス、其一ツハ獨逸ノ自治體ハ市民運動場ヲ
必ズ持タナケレバナラヌ、更ニ市民一人ニ付
テ三米平方ノ運動場ヲ最小限度持タナケレ
バナラヌ、而モ是ハ市民ノ最モ便利ナ位置
ニ置カナケレバナラナイ、是ガ爲ニハ土地
收用法ヲ適用シテモ已ムヲ得ヌト云フコト
ヲ規定シ、其設備ハ一切國家ガ負擔スルト
云フコトデ商店從業員ヲ保護スル爲ニ、
或ハ國民保健ノ上カラ致シマシテ、徹底的
ナ積極政策ヲ行ックコトガアリマス、甚ダ參
考ニナルト思ヒマスカラ、此點ニ付テ厚生
大臣ノ御考慮ヲ仰ギタイト考ヘマス、私ノ
申上ゲタイ意見ハ大體此程度デ打切リマス
ガ、私ノ質問ノ要綱ダケヲ申上ゲマスルカ
ラ、一ツ厚生大臣カラ御答ヲ願ヒタイ、其
一ツハ時間ヲ午後十時マデト致シマシテ、
商店ノ營業時間ニ付キマシテハ閉店ノ時間
ハ決ッタケレドモ、開店ノ時間ニ付テ、又週
休制-一週間ニ一遍休ムト云フヤウナコト
ニ付テ御考ハナイカ、更ニ最低年齡ノ規定ヲ
置ク意思アリヤ否ヤ、第三ハ今日ノ商店從
業員ニ對シテ最モ私缺點デアルト思フ所ノ
給料制度ニ付テ、更ニ積立金及ビ退職手當
ニ付テ、又同樣ニ解雇手當ニ付テモ規定ヲ
シテヤラナカッタナラバ、商店從業員ノ保護
ニ付テハ甚ダ缺ケルト思フノデアリマス、
更ニ商店從業員ノ衞生竝ニ〓育ノ施設ニ付
テ、例ヘバ休息所ヲ造ルトカ、食堂其他ノ
設備ニ付テ、或ハ耐震耐火ノ設備、寄宿舍
ノ取締ト云フモノニ付キマシテ、如何ナル
御考ヲ持ッテ居リマスカ、是ハ實施ノ上ニ於
キマシテモ重大ナル關係アリ又將來ノ改
正ノ上ニ於キマシテモ私達政府ニ要求致ス
ノデアリマスカラ、此點ニ付テノ政府ノ御
覺悟ヲ示サレテ、商店從業員ノ爲ニ安心ヲ
與ヘラレルヤウ願ヒタイト思ヒマス、厚生
大臣ニ付テハソレダケデアリマスガ、商店
法實施ノ上ニ於キマシテ、私ハドウシテモ
商工大臣ノ意見モ聽カナケレバナラヌノデ
アリマス併シ若シオ居デガナケレバ政府
委員ノ方デモ已ムヲ得マセヌ、此商店法實
施ニ當リマシテ、若シ今日ノ行詰ッテ居リマ
ス所ノ商人ノ生活ヲ救濟シテ行カナカッタ
ナラバ、商店法ヲ實施シテモ目的ヲ達スル
コトハ斷ジテ出來マセヌ、商店ノ救濟ト此
商店法トハ竝行シテ行カナケレバ斷ジテ商
店從業員ハ保護サレヌト思フ(拍手)折角商
店法ガ出マシテモ、其爲ニ小店員ノコトバ
カリ考ヘテ居テハ商賣ニナラナイナドト
云フヤウナ意見ガアルカモ知レヌカラ、商工
大臣ハ商店法ガ實施ニナッタナラバ、ソレト
共ニ商店主ニ對シテ商店法ヲ十分ニ理解サ
セルダケノ御考ヲ持ッテ戴キタイ、サウデナ
イト折角是ガ實施ニナッテモ商店從業員ハ
保護サレナイト思ヒマスカラ、商工大臣ハ
商店法ノ實施ニ付テ商店主ヲシテ納得セシ
メルダケノ御意思ト、覺悟ヲ一ツ述ベテ貰
ハナケレバナラヌト思ヒマス、モウ一ツハ
陸軍ノ政府委員ニ御尋致シタイノデアリマ
スガ、今度ノ支那事變ニ於キマシテ、私達
直接聽イタノデアリマスガ、商店街カラ出
征致シテ居リマス所ノ兵隊サント農村カ
ラ出征ヲ致シマシタ兵隊サント、體力或ハ
持久力ヲ比較致シマスト、都會出身ノ兵隊
サンノ方ニ於テ、其體力、持久力等ニ於テ、
農村ノ人々ニ對シマシテ稍、、缺ケル所アリト
云フヤウナコトモ私ハ聞イタノデアリマス
ケレドモ、是ハ已ムヲ得ナイコトデアリマ
セウ、朝カラ晩マデ店ニ坐ッテ居リマス者
ガ、農村デ働イテ居リマス者ニ體力ノ及バ
ナイコトヲ私ハ責メヨウト致ス者デハゴザ
イマセヌ、當然デアルト思ヒマス、併ナガラ
私達ハ是デアッテハナラナイト思フ、同ジク
國民ト致シマシテ、國家總動員ノ上ニ於キマ
シテ、國民ノ保健ノ上カラ考ヘマスルナラバ
商店從業員ノ體力ヲ增大セシメルコトハ
日本ノ兵力ヲ强カラシメル上ニ於キマシテ
モ、絕對ニ必要デアルト思ヒマス、今囘ノ
事變ニ於キマシテ、若シ都會出身ノ兵隊サン
ノ戰鬪力ノ上ニ困難アリトシマスルナラバ、
政府ハ商店法ナドノ上ニ於テハ更ニ保護ヲ
加ヘマシテ、其兵隊ノ體力ヲ增大セシメナ
ケレバナラナイト考ヘマスノデ、私ハ軍部
ノ此點ニ付テノ御意見ガ聽キタイト思フノ
デアリマス、商店法ニ付キマシテハ是ダケ
デアリマス
私ハモウ一ツ簡易保險ノ點ニ付キマシテ、
是ハ時間ノ都合モアリマスカシ說明ハ致シ
マセヌ、條項ダケヲ申上ゲマスカラドウゾ
商工大臣カラ、或ハ商工省ノ政府委員カラ
御答辯ヲ願ヒタイト思フノデアリマス、其
一ツハ(「厚生省ダ」ト呼フ者アリ)ソレデハ
今ノハ厚生大臣カラ併セテ御答ヲ願ヒタイ
ト思フノデアリマス、今囘ノ簡易保險ノ改
正ハ、四百五十圓ガ七百圓ニナルト云フ改
正案デアリマスケレドモ、吾々ノ從來主張
ヲ致シテ居リマシタ千圓マデノ增額ニ付テ
如何ナル御所見ヲ持ッテ居ラレマスカ是ガ
ー、更ニ第二ニ私達ノ聽キタイト思ヒマ
スノハ長イ間簡易保險ニ入ッテ居リマシ
テ、最後ニ渡サレル所ノ給付金ノ率ガ、金
額ガ甚ダ少イト云フコトデアリマシテ、此
點ニ付テハ政府ハ最後ニ渡サレル所ノ保險
給付金ノ率ヲモット上ゲル御意思ガアルカ
ドウカ、此點ニ付キマシテ御尋ヲ致シマス
モウ一ツノ最後ノ質問ハ、簡易保險ノコ
トニ關聯ヲ致シマスガ、此點ハ商工省ノ御
意見ヲ聽カナケレバナラナイト思フノデア
リマス、保險事業ヲ全部國營ニ致シマシテ、
厚生省ニ統一ヲスルト云フヤウナ大キナ意
味カラノ、保險國策ノ上カラノ、商工省ノ
御意見ヲ一ツ拜承致シタイト思フノデアリ
マス、是ダケヲ以チマシテ、私ノ質問ヲ終
ル次第デゴザイマス(拍手)
〔國務大臣侯爵木戶幸一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=58
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059・木戸幸一
○國務大臣(侯爵木戸幸一君) 中村サンニ
御答申上ゲマス、第一ノ御尋ハ閉店時間ヲ
午後八時トシテ、六大都市ニ於テハ例外ヲ
認メテハドウカト云フ御尋デアッタト存ジ
マく、其點ハ本法ヲ制定致シマスニ付キマ
シテ、厚生省-以前ノ內務省時代ヨリ、
各地方ニ於キマシテ商工會議所其他ノ調査
ヲ十分取リマシテ、而シテ今日ノ實情ニ於
テハ十時ガ適當デアル、斯ウ云フ風ニ決定
致シタ次第ナノデアリマス
ソレカラ第二ノ點ハ、開店ノ時間ヲ決メ
ル意思ハナイカ、週休制ヲ認メナイカト云
フ御尋デアリマスガ、開店ノ方ハ大體ニ於
キマシテ都市ニ於テハ餘リ早クハナイノデ
アリマス今日直チニ之ヲ決定スル必要ハ
ナイト考ヘテ居リマス、又週休制度ニ付キ
マシテハ、御趣旨ハ御尤デアリマスルガ、
現下ノ商店ノ實情等カラ見マシテ、之ヲ直
チニ實施スルコトハ困難デアラウト思フノ
デアリマス、又最低年齡ノ制度、ソレカラ
商店從業員ノ給料制度、退職手當、或ハ保
健衞生ノ點等ニ付キマシテノ御質間ハ、御
趣旨ニ於テハ御尤デアリマシテ一ツモ私
共ノ方ト意見ノ相違ハナイデアリマスガ、
今日ノ商店ノ實際ノ狀況ヲ斟酌致シマシテ、
今囘提案致シマシタ程度ノモノヲ以テ此際
ハ適當ナリト考ヘテ、提案シタ次第デアリ
マシテ是等ノ點ハ將來十分〓究致シマシ
テ、漸次高度ニ上ゲテ行キタイト考ヘテ居
ル次第デアリマス
ソレカラ簡易保險ヲ、今囘七百圓ニ上ゲ
マシタノヲ、千圓マデ上ゲル意思ハナイカ
ト云フ御尋デアリマシタガ、此點ハ今囘簡
易保險ガ厚生省ニ參リマシテ、一般ノ國民
生活ノ安定其他ノ點ニ鑑ミマシテ、今囘提
案致シタ次第デアリマシテ、弱體ノ會社ノ
影響等ヲモ考慮致シマシテ、漸進主義ヲ採ッ
タ次第デアリマス、是ガ最高デアルト云フ
考ハ持ッテ居ラナイノデアリマス、ソレカラ
簡易保險ノ給付金ノ率ヲ上ゲマス點ニ付キ
マシテハ只今デモ保險金ノ支拂ヲ致シマ
ス場合ニ、保險金ノ外掛金月額ノ最高二百
六十餘倍ノ還附金ヲ致シテ居ルヤウナ狀態
デアリマシテ、直チニ今日此給付金ノ率ヲ
上ゲルト云フコトハ具體的ニ考ヘテ居リマ
セヌ
〔政府委員木暮武太夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=59
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060・木暮武太夫
○政府委員(木暮武太夫君) 只今ノ御質問
ニ御答ヲ致シマス、今囘ノ商店法ハ旣ニ御承
知ノ通リ休日制ヲ確立致シマスコトト、閉
店時刻ヲ決定スルト云フ此二ツノ點ニ於キ
マシテ、商店從業員ノ保健衞生ノ點カラ考
ヘマシテ洵ニ結構ナ望マシキコトデゴザイ
マく、商工省ト致シマシテハ、此休日制ト
閉店時刻ヲ定メマスルコトガ、事變下ニ於
ケル所ノ疲弊困憊シテ居ル中小商人ノ人達
ニ影響ナシトハ考ヘラレマセヌケレドモ
中小商業者ニ對スル惡イ影響ハ、能ク厚生
省トモ協調連絡ヲ執リ、此法律ノ適正ナル
運用ヲ考慮致シマスルコトト、加フルニ積
極的ニ中小小賣商人ノ救濟、更生ノ方法手
段ヲ擴充强化致シマシテ、萬遺憾ナキヲ期
スル考デゴザイマス、仍テ御質問ノ如ク、本
法案ニシテ成立致シマシタナラバ、商工省
ト致シマシテハ其適正ナル運用ニ全力ヲ
盡ス積リデゴザイマス
第二點ノ保險國營ノ問題ハ、民間ニ於テ
從來幾多ノ御議論ノアル所デゴザイマスケ
レドモ、唯我國ノ各種保險事業ガ今日ノ如
クニマデ發達致シマシタ傳統ヲ深ク考慮シ、
且ツ保險國策ガ根本的ニ變更サルヽコトガ
我國ノ經濟界、財界一般ニ及ボス特ニ深キ
影響アルコトニ鑑ミマシテ、商工省ト致シ
マシテハ、俄ニ只今ノ御意見ニ贊意ヲ表ス
ルコト能ハザルコトヲ遺憾ト致ス次第デゴ
ザイマス
〔政府委員加藤久米四郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=60
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061・加藤久米四郎
○政府委員(加藤久米四郞君) 中村君ニ御
答致シマス、戰場ニ於キマスル戰鬪ノ實際
カラ申上ゲマスルト、從來ト異リマシテ現
在ニ於キマシテハ戰鬪ノ態樣ガ多種多樣
ニナッテ居リマスコトハ申ス迄モゴザイマ
セヌ、デアリマスルカラ軍人トシテ必要ナ
ル諸能力ニ付キマシテモ極メテ複雜ト相成
リマシテ、一〓ニ都會出身者ガ地方農村出
身者ニ遲レテ居ル、或ハ優レテ居ルト云フ
所謂其優劣ヲ玆ニ明ニ申上ゲルコトハ中々
難カシイコトト存ジマス、併ナガラ一般ノ
壯丁ノ體位ノ低下ハ、軍トシテ非常ニ憂慮
致シテ居リマス、又此事ニ關シマシテハ
新設厚生省ニ於キマシテ體位ノ向上ト、體
力ノ充實トニ關シマシテ、ソレ〓〓施設サ
レツヽアルノデアリマス、又軍ト致シマシ
テハ、靑年學校ガ義務制ト相成リマシタ此
機會ヲ契機ト致シマシテ、今後靑少年ノ體
力ノ增進ト是ガ向上トニ十分注意シテ參リ
タイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=61
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062・中村高一
○中村高一君 細カイコトニ付キマシテハ
別ノ機會ニ讓ルコトト致シマシテ、私ノ質
問ヲ終リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=62
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063・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 是ニテ質疑ハ終局
致シマシタ、各案ノ審査ヲ付託スベキ委員
ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=63
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064・服部崎市
○服部崎市君 日程第四、第五及ビ第十三
ノ三案ヲ一括シテ議長指名二十七名ノ委員
ニ付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=64
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065・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=65
-
066・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
やく、仍テ動議ノ如ク決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=66
-
067・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此際日程第十四乃至第
十八ノ五案ヲ繰上ゲ一括上程シ、其審議ヲ
進メラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=67
-
068・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=68
-
069・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ日程ノ順序ハ變更セラレマシタ、
日程第十四、不動產融資及損失補償法中改
正法律案、日程第十五、產業組合中央金庫
法中改正法律案、日程第十六、漁業法中改
正法律案、日程第十七、產業組合中央金庫
特別融通及損失補償法中改正法律案、日程
第十八、產業組合自治監査法案、右五案ヲ
一括シテ第一讀會ヲ開キマス-大藏政務
次官太田正孝君
第十四不動產融資及損失補償法中改
正法律案(政府提出)第一讀會
第十五產業組合中央金庫法中改正法
律案(政府提出)第一讀會
第十六漁業法中改正法律案(政府提
〓第一讀會
第十七產業組合中央金庫特別融通及
損失補償法中改正法律案(政府提出)
第一讀會
第十八產業組合自治監査法案(政府
提出)第一讀會
不動產融資及損失補償法中改正法律案
不動產融資及損失補償法中左ノ通改正ス
第二條中「六年」ヲ「九年」ニ、「十五年」ヲ
「十八年」ニ改ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
產業組合中央金庫法中改正法律案
產業組合中央金庫法中左ノ通改正ス
第二條第三項中「產業組合聯合會」ノ下ニ
「及漁業組合聯合會」ヲ加フ
第四條ノ二產業組合中央金庫ノ資本金
ヲ五百萬圓增加シ之ヲ五萬口ニ分チ一
口ノ金額ヲ百圓トス
第五條第一項中「又ハ產業組合」ヲ「產業
組合、漁業組合聯合會又ハ漁業協同組合」
ニ改メ同條第二項中「產業組合聯合會」ノ
下ニ「又ハ漁業組合聯合會」ヲ、「產業組
合」ノ下ニ「又ハ漁業協同組合」ヲ加フ
第六條ノ二政府ハ第四條ノ二ノ規定ニ
依ル資本金ノ增加ノ爲二百五十萬圓ヲ
限リ產業組合中央金庫ニ出資スベシ政
府ハ其ノ出資ニ對シ出資スベキコトト
爲リタル當初ニ於テ五十萬圓ヲ拂込ミ
爾後四箇年間ニ其ノ殘餘ヲ拂込ムモノ
トス
第四條ノ二ノ規定ニ依ル增加資本金ニ
付テハ政府以外ノ出資者ハ其ノ出資ニ
對シ出資スベキコトト爲リタル當初ニ
於テ出資額ノ五分ノ一ヲ拂込ミ爾後十
箇年間ニ其ノ殘餘ヲ拂込ムモノトス
第十二條第一項中「二十名」ヲ「三十名」ニ
改メ「產業組合關係者」ノ下ニ「及漁業組
合關係者」ヲ加フ
第十三條中「又ハ所屬產業組合」ヲ「、所屬
產業組合、所屬漁業組合聯合會又ハ所屬
漁業協同組合」ニ改メ同條第五號中「產業
組合、」ノ下ニ「漁業組合聯合會、漁業組
合、」ヲ加フ
第十四條ノ二第十三條第二號但書ノ規
定及前條ニ規定スル第十三條第二號但
書ノ規定ハ產業組合中央金庫ガ政府資
金ノ融通ヲ爲ス場合ニハ之ヲ適用セズ
前項ノ融通金額及之ヲ爲ス爲發行スル
產業債劵ノ額ハ第十三條第二號但書及
前條ニ規定スル第十三條第二號但書ノ
制限ノ計算上之ヲ算入セズ
第十五條第一項第一號中「買入」ノ下ニ
「、應募又ハ引受」ヲ加へ同項第三號中「又
ハ產業組合」ヲ「、產業組合、漁業組合聯合
會又ハ漁業組合」ニ改メ同項ニ左ノ一號
アルプ
四產業組合聯合會、產業組合、漁業組
合聯合會又ハ漁業組合ノ發達ヲ圖ル爲
必要ナル施設ヲ行フ法人ニ對シ主務大
臣ノ認可ヲ受ケ短期貸付ヲ爲スコト
第二十三條削除
第三十條中「每事業年度ノ初ニ於テ」ヲ「事
業年度ニ從ヒ六箇月每ニ」ニ、「其ノ事業
年度內」ヲ「其ノ期間內」ニ改ム
第三十三條產業組合中央金庫ハ每事業
年度ニ於ケル出資ニ對シ配當シ得ベキ
剩餘金額ガ政府以外ノ者ノ拂込濟出資
額ニ對シ年百分ノ四ノ割合ニ達スル迄
政府ノ出資ニ對シ剩餘金ノ配當ヲ爲ス
コトヲ要セズ
產業組合中央金庫ノ每事業年度ニ於ケ
ル出資ニ對シ配當シ得ベキ剩餘金額ガ
政府以外ノ者ノ拂込濟出資額ニ對シ年
百分ノ四ノ割合ヲ超過スル場合ニ於テ
政府以外ノ者ニ對シ年百分ノ四ノ割合ヲ
超エ剩餘金配當ヲ爲サントスルトキハ其
ノ超過スル剰餘金額ハ剩餘金配當額ガ
總拂込濟出資額ニ對シ均一ノ割合ニ達
スル迄政府以外ノ者ノ拂込濟出資額及
政府ノ拂込濟出資額ニ對シ一ト三トノ
割合ヲ以テ之ヲ配當スベシ
附則
本法施行ノ期日ハ各規定ニ付勅令ヲ以テ
之ヲ定ム
漁業法中改正法律案
漁業法中左ノ通改正ス
第四十三條ノ二第一項第四號中「又ハ」ヲ
「若ハ」ニ改メ「資金ノ供給」ノ下ニ二八、
組合員ノ貯金ノ受入」ヲ加ヘ同項ニ左ノ
但書ヲ加フ
但シ組合員ニ出資ヲ爲サシメザル漁業
組合ハ組合員ノ貯金ノ受入ニ關スル施
設ヲ爲スコトヲ得ズ
同條第二項中「前項」ヲ「第一項」三枚入
「組合ノ施設ハ」ノ下ニ「組合員ノ貯金ノ
受入ニ關スルモノヲ除クノ外」ヲ加ヘ同
條第一項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
組合員ノ貯金ノ受入ニ關スル施設ヲ爲
ス漁業組合ハ組合員外ノ者ニシテ組合
加入ノ豫約ヲ爲シタルモノノ出資一口
ノ金額及出資一口ニ付規約ノ定ムル所
ニ依リ加入ニ關シ拂込ムベキ金額ノ合
計額ニ達スル迄ノ貯金又ハ組合員ト同
一ノ家ニ在ル者ノ貯金ノ受入ヲ爲スコ
トヲ得
第四十四條第五項中「第四十三條ノ二」ヲ
「第四十三條ノ二第一項第三項」ニ改メ同
項但書ヲ左ノ如ク改ム
但シ第四十三條ノ二第一項各號及第三
項中組合員トアルハ貯金ノ受入ニ關ス
ル場合ヲ除クノ外所屬ノ組合、聯合會
及組合員トス
第四十四條ノ二漁業組合聯合會ハ日本
勸業銀行、日本興業銀行、北海道拓殖
銀行、農工銀行又ハ產業組合中央金庫
ニ對シ所屬ノ組合又ハ聯合會ノ爲ニ債
務ノ保證ヲ爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ債務ノ保證ヲ爲シタ
ルトキハ漁業組合聯合會ハ銀行又ハ產
業組合中央金庫ノ委任ヲ受ケ其ノ債權
ノ取立ヲ爲スコトヲ得
第四十四條ノ三道府縣ヲ區域トスル漁
業組合聯合會ハ規約ノ定ムル所ニ依リ
所屬ノ組合又ハ聯合會ニ對シ手形ノ割
引ヲ爲スコトヲ得
附則
本法施行ノ期日ハ各規定ニ付勅令ヲ以テ
之ヲ定ム
產業組合中央金庫特別融通及損失補償
法中改正法律案
產業組合中央金庫特別融通及損失補償
法中左ノ通改正ス
第二條中「六年」ヲ「九年」ニ、「十五年」ヲ
「十八年」ニ改ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
產業組合自治監査法案
產業組合自治監査法
第一條產業組合ハ其ノ堅實ナル發達ヲ
圖ル爲自治監査ヲ行フ目的ヲ以テ產業
組合監査聯合會ヲ設立スルコトヲ得
產業組合聯合會ハ本法ノ適用ニ付テハ
之ヲ產業組合ト看做ス
第二條產業組合監査聯合會ハ法人トシ
テ全國ヲ通ジ一筒トス
產業組合監査聯合會ノ設立ハ主務大臣
ノ認可ヲ受クベシ
主務大臣必要アリト認ムルトキハ產業
組合ニ對シ產業組合監査聯合會ニ加入
スベキコトヲ命ズルコトヲ得
第三條產業組合監査聯合會ノ設立アリ
タルトキハ事務所ノ所在地ニ於テ設立
ノ登記ヲ爲スベシ登記シタル事項中ニ
變更ヲ生ジタルトキ亦同ジ
產業組合監査聯合會ノ設立又ハ登記シ
タル事項ノ變更ハ其ノ登記ヲ爲スニ非
ザレバ之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコト
ヲ得ズ
第四條產業組合監査聯合會ハ產業組合
監査員ヲ設置ス
產業組合監査員ノ選任及解任ハ主務大
臣ノ認可ヲ受クベシ
產業組合監査員ハ產業組合監査聯合會
ニ屬スル產業組合ノ事務所、倉庫、加工
場其ノ他ノ場所ニ臨ミ、金錢、物品、帳簿
其ノ他ノ物件ヲ調査シ當該產業組合ノ
事業及財產ノ狀況ヲ監査スルコトヲ得
產業組合監査員及其ノ行フ監査ニ關シ
必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第五條行政官廳ハ產業組合監査聯合會
又ハ產業組合監査員ニ對シ產業組合ノ
監査上必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第六條產業組合監査聯合會ニハ所得稅
ヲ課セズ
產業組合監査聯合會ガ本法ニ基キテ爲
ス登記ニ付テハ登錄稅ヲ課セズ
第七條本法ニ規定スルモノノ外產業組
合監査聯合會ノ設立、登記、管理、監
督解散、〓算其ノ他產業組合監査聯
合會ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ
之ヲ定ム
第八條產業組合中央會及產業組合中央
金庫ハ產業組合監査聯合會ニ加入スル
コトヲ得
第九條產業組合ノ役員產業組合監査員
ノ行フ監査ヲ拒ミタルトキハ三百圓以
下ノ過料ニ處ス
產業組合監査員第五條ノ規定ニ依ル命
令ニ違反シタルトキハ三百圓以下ノ過
料ニ處ス
產業組合監査聯合會ノ役員本法又ハ本
法ニ基キテ發スル命令ニ違反シタルト
キハ三百圓以下ノ過料ニ處ス
非訟事件手續法第二百六條乃至第二百
八條ノ規定ハ前三項ノ過料ニ之ヲ準用
ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔政府委員太田正孝君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=69
-
070・太田正孝
○政府委員(太田正孝君) 只今議題トナリ
マシタ不動產融資及損失補償法中改正法律
案ニ付テ御說明申上ゲマス、不動產融資及損
失補償法ハ、昭和七年ニ當時ノ金融情勢ニ顧
ミマシテ、銀行ノ持ッテ居リマス不動產固定
資產ヲ資金化致シマシテ、其活動ヲ圓滑ナラ
シメントスル趣旨ヲ以テ制定セラレタノデ
ゴザイマス、其不動產資金ノ融通期間ヲ三
年ト定メラレタノデゴザイマシタガ、其後
昭和十年ニ至リマシテ其期間ハ更ニ三年延
長セラレ、本年九月末日ヲ以テ滿了スルコ
トトナッテ居ルノデゴザイマス、然ルニ最近
ニ於ケル銀行ノ不動產固定資產ノ狀況ヲ觀
マスルト、近年ニ於ケル經濟界ノ好況ノ影
響ヲ受ケマシテ、是ガ整理モ段々進ンデ
參ッタノデゴザイマス、ケレドモ尙ホ之ヲ
一々個々ノ銀行ニ就テ觀マストキハ、此法
律利用ノ餘地ハ依然存スルモノト認メラレ
ルノデアリマス、ソレノミナラズ事變ノ際
デモゴザイマスノデ、此施設ハ尙ホ之ヲ續
ケテ行クノガ適當ト考へルノデアリマス
仍テ本法ノ不動產資金ノ融通期間ヲ更ニ三
年間延長致シマスト同時ニ、融通期限モ現
在本法施行ノ日カラ算ヘマシテ十五年以内
トナッテ居リマスノヲ三年間延バシマシテ、
之ヲ本法施行ノ日カラ十八年以内トスルノ
ヲ適當ト認メルノデアリマス、仍テ本案ヲ
提出シタノデゴザイマス、御審議ノ上御協
贊アランコトヲ御願申上ゲマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=70
-
071・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 農林政務次官高橋
守平君
〔政府委員高橋守平君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=71
-
072・高橋守平
○政府委員(高橋守平君) 先ヅ產業組合中
央金庫法中改正法律案ノ提出理由ヲ御說明
申上ゲマス產業組合中央金庫ハ產業組合
金融ノ中樞機關トシテ、農村金融ニハ相當
其機能ヲ發揮シツヽアルノデアリマスガ、
漁村ニ於キマシテハ金融上不十分ナ所ガア
リマシテ、漁村ノ經濟上ノ中心機關タル漁業
組合ハ、其中樞的金融機關ヲ持タヌ爲メ、其
活動上遺憾ナ所ガアリマスノデ、漁業組合ニ
對シ產業組合中央金庫ニ加入スルノ途ヲ開
キマスルト共ニ、刻下組合金融ノ實情ニ應
ジマシテ其活動ヲ一層促進シ且ツ適切ナラ
シメマスル爲ニ產業組合中央金庫法中不
便ノ點ヲ改正致シ、尙ホ又產業組合中央金
庫ニ對スル政府ノ出資ニ對シマシテハ、從
來剩餘金ノ配當ヲナスコトヲ要シナイコト
ニナッテ居リマスガ、其期間ハ近ク終了致シ
マスノデ同金庫ノ現狀及ビ漁業組合ノ新
規加入ノ事實ニ鑑ミマシテ、政府ノ出資ニ
對スル今後ノ配當ニ關スル規定ヲ定メル必
要ガアリマスルノデ本案ヲ提出致シタ次
第デアリマス、改正ノ主要ナル點ヲ申上ゲ
マスト
漁業組合聯合會及ビ漁業協同組合ノ
產業組合中央金庫ニ對スル加入ノ途ヲ拓ク
こ
二、漁業組合聯合會及ビ漁業協同組合ノ
產業組合中央金庫加入ニ伴ヒ同金庫ノ資本
金ヲ新ニ五百万圓增加シ、政府ハ其中二百
五十万圓ヲ限リ出資スルコト
三、評議員ノ定員二十名以內ヲ、三十名
以內ニ增加スルコト
四、年賦償還貸付額ノ制限ニ關スル現行
法ノ規定ヲ政府資金ヲ融通スル場合ニハ適
用セザルコトトスルコト
五、餘裕金運用ノ範圍ヲ擴張スルコト
六、事業年度ニ付テハ一般ノ產業組合及
ビ同聯合會ト同樣ノ規定ニ依ルコトトスル
ニト
七、政府以外ノ者ノ出資ニ對スル配當ガ
一定率以下ナル場合ニハ政府ノ出資ニ對ス
ル配當ヲ制限スルコト
ト致シタコトデアリマス
次ニ漁業法ノ改正ニ付キ御說明申上ゲタ
イト存ジマス、漁村金融ノ圓滑ヲ圖ル爲メ
先ニ御說明申上ゲマシタ通リ、漁業組合聯
合會及ビ漁業協同組合ヲ產業組合中央金庫
ニ加入セシムルト共ニ、漁村經濟ノ中樞機
關タル漁業組合聯合會及ビ漁業協同組合ニ
貯金ノ受入ニ關スル施設ヲ認ムル外、漁業
組合聯合會ノ活動促進ヲ圖ル爲メ、二三ノ
事項ニ關スル規定ヲ定メル必要ガアリマス
ノデ、本案ヲ提出シタ次第デアリマス、改
正ノ主ナル點ハ第一ニ漁業組合聯合會及
ビ漁業協同組合ニ貯金ノ受入ニ關スル施設
ヲ認ムルコト、第二ニ日本勸業銀行、日本
興業銀行、北海道拓殖銀行、農工銀行又ハ
產業組合中央金庫ガ、漁業組合聯合會及ビ
漁業組合ニ對シ、資金ノ供給ヲ爲スニ際シ、
漁業組合聯合會ヲシテ保證ヲ爲スコトヲ得
シムルコト、第三ニ道府縣ヲ區域トスル漁
業組合聯合會ガ、所屬ノ組合又ハ聯合會ニ
對シ、手形ノ割引ヲ爲スコトトシタノデア
リマス
次ニ產業組合中央金庫特別融通及損失補
償法中改正法律案ノ理由ヲ御說明申上ゲマ
ス、產業組合中央金庫特別融通及損失補償
法ハ昭和七年施行以來相當ノ成績ヲ擧ゲテ
居ルノデアリマスガ、御承知ノ通リ其融通期
間ハ本年九月末ヲ以テ終了スルコトトナッテ居
ルノデアリマス、然ルニ產業組合ノ現狀ニ
鑑ミマスレバ、尙ホ本制度ヲ繼續致シマシ
テ、事變下ニ於ケル組合金融ノ疏通ニ資ス
ルコトガ必要デアルト考ヘルノデアリマス、
仍テ組合金融ノ現況、整理更生ニ要スベキ
期間等ヲ考慮致シマシテ、特別融通資金ノ
融通期間及ビ融通期限ヲ、尙ホ三箇年延長
スルコトト致シタノデアリマス
最後ニ產業組合自治監査法案デアリマス
ガ、本法案ハ曩ニ第七十囘帝國議會ニ之ヲ
提出致シマシテ、貴族院ニ於キマシテハ可
決セラレ、衆議院ニ於キマシテハ委員會ニ
付託セラレタ儘、衆議院ノ解散ノ爲メ不成
立ニ終ッタノデアリマスガ、產業組合ノ現狀
ニ鑑ミマシテ、玆ニ本議會ニ重ネテ之ヲ提
案致シマシタ次第デアリマス、產業組合ノ
堅實ナル發達ヲ期スル上ニ於キマシテハ
是ガ指導監督ノ施設ヲ充實スルコトガ必要
デアリマス、是ガ爲ニハ中央及ビ地方ノ行
政官廳ノ監督施設ト相俟チ、產業組合自身
ノ自治的監督ノ制度ヲ確立シ、自治監査ノ
厲行ヲ期スルコトガ極メテ肝要ト存ズルノ
デアリマス、本案ハ右ノ趣旨ニ依リマシテ、
全國ノ產業組合ヲシテ產業組合監査聯合會
ヲ組織セシメ、官廳ノ監督ノ下ニ監査員ヲ
設置シテ、組合ノ監査ニ當ラシメ、以テ自
治監査ノ實ヲ擧グルコトヲ期セントスルモ
ノデアリマス
以上ガ四法案ヲ提出致シマシタ理由ノ〓
要デアリマス、何卒御審議ノ上御協贊アラ
ンコトヲ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=72
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073・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 質疑ノ通〓ガアリ
マく、順次之ヲ許シマス-高木条太郞君
〔高木条太郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=73
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074・高木粂太郎
○高木粂太郞君 此重大ナル現下ノ時局ニ
鑑ミマシテ、國力ノ充實向上ヲ期スル爲ニ
ハ、勿論產業ノ振興ヲ圖リ、以テ國民生活
ノ安定ニ資シ、且ツ國民思想ヲ善導スルコ
トガ現下ノ急務ナルハ申ス迄モナイノデア
リマス、四面環海ノ吾國ハ地理的環境カラ
見マシテモ、海洋萬里ノ富源ヲ開拓シ、以
テ國民ノ榮養食料ヲ豐富ニシ、進ンデ輸出
貿易ヲ伸張シ、國家ノ富强ヲ圖ルベキデア
ルト信ジマス(拍手)
政府ハ今囘產業組合中央金庫法竝ニ漁業
法ヲ改正シテ漁業組合卽チ漁村民ノ金融
改善ノ擧ニ出デラレタコトハ時局重大ノ
折柄極メテ意義ノ深イコトデアリマシテ、
本員ハ政府當局ノ考慮ト努力トニ對シマシ
テハ衷心ヨリ敬意ヲ拂フ者デアリマス、併
ナガラ本員ハ此漁村金融ノ改善ニ付テハ長
イ間要望モシ、又〓究モ致シタノデ、此際
本問題ニ對スル根本方針ト其他水產振興策
トシテ是非共此際實現ヲ圖ラナケレバナラ
ヌト信ジマスル所ノ重要ナル問題二三ニ付
〒、簡單ニ御尋ヲ致シクイト存ジマス
第一ニ御伺致シマスノハ、沿岸漁業ノ資
源培養、卽チ魚族ノ蕃殖ヲ圖ルノ必要ニ付
テデアリマス、元來昔カラ漁村ハ主トシテ
沿岸漁業ヲ營ミ生活ヲ爲シテ來タノデアリ
マシテ、沿岸漁業ノ漁村ノ基調ヲ成ス洵ニ
重要ナルモノデアリマスルガ、近來其沿岸
ノ魚族ガ減少致シテ、沿岸ノ小漁民ノ生活
ガ極度ニ不安トナリ、漁村ノ維持ハ甚ダ困
難ニナッタノデアリマス、ソレハ漁民ノ生活
ノ窮乏カラ、巳ムナク酷漁濫獲ニ陷ッタノモ
一ツノ原因カモ知レマセヌガ、併シ其主ナル
モノハ、近時工業ト鑛山等ノ事業ガ急速度ニ
發展シ、其汚水ヲ流出スルガ爲メ、魚族ノ蕃
殖ヲ害シ、且ツ囘遊魚ノ來游ヲモ妨ゲルガ爲
メ、沿岸漁業ガ衰頽致スヤウニ相成リマシタコ
トハ事實デアリマス(拍手)漁業法第三十四條
第五項ニハ、水產動植物ニ有害ナル物ノ遺
棄又ハ漏泄ニ關スル制限又ハ禁止ニ付テノ
法文モアリマスルガ、殆ド是ガ厲行サレテ
居ラナイコトヲ最モ遺憾トスル者デアリマ
ス、政府ハ此際汚水防止法ヲ制定シ、沿岸
魚族ノ蕃殖保護ヲ圖ル意思ナキヤ否ヤヲ伺
ヒタイノデアリマス
尙ホ前ニ戾リマスルガ、折角漁業法第三
十四條第五項ガアリマシテモ、各府縣ニ於
キマシテハ此汚水ノ取締ガ甚ダ緩漫ニ流レ
テ居ル、ソレハ水產課長ノ多クガ、商工課
長等ヲ兼ネテ居リマスルノデ、商工課ノ方
ハ大ナル會社トカ、銀行トカ、或ハ工業方
面ニ關係シテ居リマスルノデ、水產業者ノ
聲ガ水產課ニ徹底シナイコトヲ、私ハ常ニ
遺憾トシテ居ル者デアリマス、申ス迄モナ
ク我ガ大和民族ハ、元來魚食ノ民デアリマ
シテ、古來ヨリ魚〓ニ依リ榮養ヲ攝ッテ來タ
ノデアリマス、魚類ガ日本國民ノ保健上必
要ナルコトハ申上ゲル迄モナイノデアリマ
ス、魚介類ハ蛋白質ヲ主トシ、又脂肪ニ富
ミ、海藻ニハ沃度ヲ多量ニ含ンデ居ルコト
ハ世人ノ知ル通リデアリマス、現今ノヤウ
ニ戰時體制ニ於ケル國民保健ト云フ問題ヲ
考ヘル時、私ハ保健上魚ヲ食フコトト水
產業ノ振興ヲ國策トシテ提唱シタイノデア
リマス、(拍手)日本人ハ魚ヲ食ベルカラ强
イト云フコトモ此頃言ハレテ居ル位デアリ
マス(拍手)歐米諸國ニ於キマシテモ近來
非常ニ魚〓ノ宣傳ヲ爲シテ居リマス、然ルニ
日本デハ多量ノ肉類ヲ外國カラ輸入シテ居
ルヤウナ現狀ヲ、私ハ海國日本トシテ甚ダ
遺憾ニ思ッテ居ルヤウナ次第デアリマス(拍
手ノ
此度ノ事變ニ依ッテ想ヒ起シマス事ハ、歐
洲大戰中ニ於ケル獨逸ノコトデアリマス
獨逸ハ〓料ノ不足ヲ來シタ關係上、極度ニ
食料ノ制限ヲ爲シタル爲ニ、國民ハ甚シキ
榮養不良ニ陷リ、小兒ノ發育ハ停止スル、
民衆ノ病氣ニ對スル抵抗力ハ〓ヘル、國民
ノ元氣ハ甚シク沮喪スルト云フ結果ニ陷ツ
タノデアリマス、是ハ全ク蛋白質ヲ過度ニ
節約シタガ爲メ、斯ル恐シイ結果ヲ齎シタ
ノデアリマス、我國ハ幸ニ水產物ノ如キ榮
養食料ガ豐富ニアリマスノデ、其憂ハ先ヅ
無イト存ジマスガ、戰爭ハ如何程永ク續イ
テモ、國民ノ健康力ハ更ニ衰ヘズ、否益)、向
上スルヤウ心掛ケナケレバナラヌト思フノ
デアリマス、是ガ爲ニハ先程中村君カラ申
サレタ通リ、色々ト國民健康ト云フコトニ
付テハ、方策モアリマセウケレドモ、先ヅ蛋
白質及ビ脂肪質ヲ多ク攝ルト云フコトガ最
モ必要デアルヤウニ思フノデアリマス、幸
ニ我國ハ魚類ガ豐富デアリ、其年產額ハ五
億万圓以上デアリマシテ、國民ノ榮養食料
ヲ十分ニ供給シ、尙ホ一億五千万圓モ海外
ニ輸出シテ、國際經濟ノ一助トモナッテ居ル
現狀デアリマス、漁業者ハ板一枚下ハ地獄
ト云フ最モ危險ナル生活ニ甘ンジテ、是ダ
ケノ仕事ヲシテ居ルノデアリマス、然ルニ
我國ハ年四千六百万貫ノ獸肉類ヲ消費シテ
居リマシテ、外國ヨリモ相當多額ニ牛肉ヲ
輸入シテ居リマスガ、牛馬ハ農耕用トシテ
最モ必要デアリ、厩肥ノ自給カラ申シマシ
テモ必要缺クベカラザルモノデアリマス、
又我國ノ如ク土地ニ限リガアッテ、國民ノ增
加ニ限リナイ處デハ寸尺ノ土地デモ之ヲ
耕地トスル必要ガアリ、肉食ノ本源ハ常ニ
之ヲ海洋ニ求メルヤウニ、政府當局トシテ
ハ國策トシテ畫策シナケレバナラヌト私
ハ思フノデアリマス、之ニ對シマスル
農林大臣ノ水產國策トシテノ抱負經綸ヲ承リ
タイノデアリマス(拍手)遠洋漁業ハ近來政
府當局ノ御指導ト、漁民ノ努力トニ依リマ
シテ、稍こ順境ニ進展致シツヽアルコトハ事
實デアリマスガ、鰹釣漁業者ハ南洋產鰹節
ガ多量ニ移入シ、而モ安値ニモ拘ラズ、成
行賣ニ依ッテ、內地漁業者ハ是ガ爲ニ非常ニ
困ッテ居ル現狀デアリマス、昨年此事ニ付テ
私モ申シタコトモアルガ、他ノ方カラモ二
三此處デ申サレタノデアリマス、最近南拓
水產會社ハ南興水產株式會社ノ株式ヲ買收
シテ、事實合併セラレク形トナッテ居リマス
ガ、無統制ニ濫賣致シテ居リマシテハ南
拓會社ト致シマシテモ、將來ヲ考慮セネバ
ナラヌト思フノデアリマス近來總テ物價
ガ昂騰シテ居リマスケレドモ、獨リ鰹節ハ
非常ニ安イノデ、拓務省ト致シマシテモ
是ガ對策ヲ考ヘテ居ルト思ヒマスガ、適當
ニ統制シテ、適當ノ市價ヲ保タシムルノ意
思ガアルカナイカヲ伺ヒタイノデアリマ
え、是ハ拓務大臣ガ居ラレルヤウデスカ
ラ、拓務大臣カラ御答ヲ願ヒタイト思フノ
デアリマス
次ニ漁業組合中央金庫ヲ創設セザル理由
如何ヲ伺ヒタイノデアリマス、御承知ノ如
ク漁業組合中央金庫ヲ創設セヨトハ、我ガ水
產界多年ノ要望デアリマス、又本院ノ決議
ヲ以テ政府ニ屢、建議シタコトモアルノデア
リマス、由來天然資源ニ惠マレテ居ナイ我
國ト致シマシテハ、沿岸ノ資源ヲ開發シテ
國力ノ伸張ヲ圖ルコトガ急務デアリマス、
隨テ漁村ヲ保護助長スルコトハ、少クトモ
國策デナクテハナラヌト信ジテ居ルノデア
リマス(拍手)漁村ノ保護助長ヲ圖ル所以ノ
方策ハ、固ヨリ一二ニ止ラナイノデアリマ
スガ、就中其金融體系ヲ確立スルコトハ
急務中ノ急務デアリマス、今囘政府ハ本案
ヲ提出セラレタノモ其意ニ外ナラナイト考
ヘルモノデアリマス、然ルニ折角政府ガ出
資マデシテ漁村金融ノ改善ヲ斷行サレヨウ
トスル、謂ハヾ劃期的ノ施設ヲ行フニ方
リ、水產界多年ノ要望デアル所ノ、漁業組
合中央金庫ヲ何故創設スルノ英斷ニ出デナ
カッタカト云フ理由ヲ承リタイ、產業組合中
央金庫ヲシテ漁村金融ヲ兼務セシメヨウト
スル本案ノ趣旨ハ、確ニ一ツノ便法デハア
リマスガ、往年政府ガ水產銀行設立問題ニ
對シマシテ、勸業銀行等ヲシテ兼務セシム
ルノ措置ヲ執ッタト同樣ノ運命ニ陷ルノデ
ハナイカト云フ不安ヲ、禁ジ得ナイノデア
リマス、此點ニ對シ、政府ノ明確ナル所信
ヲ承リタイノデアリマス
最後ニ產業組合中央金庫ヲ改組スルノ意思
ナキヤヲ御伺シタイノデアリマス、ソレハ現
在ノ產業組合中央金庫ハ、必シモ農村ノ產業
組合ノミノ金融ノ目的トシテ成立シタモノデ
ナイトノ見解デアリマスガ、成程該金庫設立
當初ノ目的ハ、農山漁村ハ愚カ、中小商工業
者ニ對シテマデモ、廣ク產業組合ヲ通ジテ金
融ノ便ヲ與フルニ在ルコトハ事實デアリマス、
然ルニ其後ノ情勢ハ如何デアリマスカ、中
小商工業者ノ爲ニハ別ニ中央金庫ガ創設
セラレ產業組合中央金庫ハ漸次農村ノ金
融機關ト化シテシマッタコトハ明白ナ事實
デアリマス、今囘政府ガ漁業組合加入ノ爲
ニ、產業組合中央金庫法ヲ改正サルル位ナ
ラバ、寧ロ此際進ンデ該金庫ヲ改組シテ、
漁業組合ハ勿論、養魚組合、養鷄組合、畜
產組合等、廣ク包容シ、一大農林水產中央
金庫ノ如キモノト致シタイト云フ考ヲ持ッテ
居リ、ソレガ又至當ト信ズルモノデアリマ
スガ、之ニ對スル政府ノ所見如何ヲ伺ヒタ
イノデアリマス
以上甚ダ簡單デアリマスガ、何レ餘ノコ
トハ委員會ニ讓ルコトト致シマシテ、是ダ
ケ御尋申上ゲマス
〔政府委員高橋守平君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=74
-
075・高橋守平
○政府委員(高橋守平君) 高木君ノ御質問
ニ御答申上ゲマス、汚水ノ漏泄、若クハ水
產動植物ニ有害ナルモノノ遺棄ニ對シマシ
テハ只今御說ノ通リ昭和八年ニ漁業法ヲ
改正シテ、其禁止ヲ致スコトニシクノデア
リマス、併ナガラマダ其趣旨ガ徹底致シマ
セヌコトハ洵ニ殘念デゴザイマスガ、現
在ニ於キマシテ、旣ニ此法律ニ依リマシテ
茨城縣外十二府縣ニ於キマシテハ、ソレ〓
府縣令ヲ改正致シマシテ、此徹底的取締ニ
當ッテ居ルノデアリマスルガ、近時工業ノ發
達ニ伴レテ、汚水ノ流出スルコトガ相當殖
エテ參マシテ、御心配ニナッテ居ルヤウナ
事柄ノ多イコトヲ、耳ニスルノデアリマス
ガ、之ニ對シマシテハ銳意調査致シマシテ、
之ニ對處スル成案ヲ得タイト考ヘテ居ル次
第デアリマス
第二ノ御質問ハ、保健榮養上ニ於キマシ
テ、魚食ヲ奬勵スベキデハナイカト云フ意
味ノ御質問デアッタト存ズルノデアリマス
ルガ、洵ニ御尤デアリマシテ、政府ニ於キ
マシテモ、多產魚ノ利用增進ニ依リマシテ、
其生產額ヲ殖ヤシ、併セテ是等多產魚ノ凍
結冷藏若クハ鹽乾魚等ニ依リマシテ、相當
豐富ニ、又絕エズ之ヲ供給スルト云フ風ナ
コトニ、指導ヲ致シテ居ルノデアリマシテ、
之ニ依ッテ漁村ノ經濟更生ニ充テ、併セテ農
山漁村ノ保健榮養上ニ資シタイト努力シテ
居ル次第デアリマス
第三ノ御尋ハ、拓務大臣ヘノ御尋ノヤウ
ニ存ジマシタガ、是ハ拓務大臣カラ御答ニ
ナルト存ジマス
ソレカラ第四ノ御尋ハ、何故漁業組合
中央金庫ヲ設ケナイカ、斯ウ云フ御尋デ
アリマス、是ハ今囘產業組合中央金庫ニ、
漁業組合聯合會竝ニ漁業共同組合ガ加入
スルト云フコトニ依リマシテ、一應漁村
ニ對シマシテノ金融ノ途ガ開ケルト、斯
ウ考ヘテ居ルノデアリマス、成程御說ノ
通リ漁村ニ於キマシテノ事情ハ、色々各地
ニ依リマシテ特殊性ガアルノデアリマスカ
ラ、各地方ノ特殊性ノアル時ニ於キマシテ
ハ漁業組合ノ聯合會、是等ニ依ッテ產業組
合ト違ッタ團體ヲ結成サセテ、ソレ〓〓特
殊ニ應ジタ策ヲ考ヘルコトガ必要デハアリ
マスガ、中央ニ於キマシテハ同ジ產業組合
中央金庫ニ之ヲ一〓ニ致シマシテモ、差支
ハナイト云フ風ニ考ヘマシテ、今囘產業組
合中央金庫ノ中ニ包括スルコトニ致シタ次
第デアリマス
最後ニ產業組合中央金庫ト云フモノノ使
命ガ、最初ノ使命ト變ッテ來テ居ルデハナイ
カト云フ風ナ御話デアリマス、固ヨリ產業
組合中央金庫ハ、地方ニ分散シテ在リマス
ル產業組合、是ノ金融機關ノ中心ヲ成サセ
ルト云フノガ使命デアリマシテ、產業組合
法ニ示シテアリマス中小產業者ノ經濟更生
ノ上ニ十分ニ貢獻サセルコトガ、固ヨリ此
產業組合中央金庫ノ使命デゴザイマス、私
共ノ見ル所ニ於キマシテハ、現在ニ於キマ
シテモ、相當市街地信用組合等ニ依リマシ
テ、中小商工業者ニ對シマシテモ、金融ノ
途ハ此中央金庫ニ依ッテ開カレテ居ルト思
フノデアリマスガ、尙ホ御說ノヤウナ色々
ナ點ニ御心配ガアルト致シマスレバ十分
注意致シマシテ、此產業組合中央金庫ノ使
命達成ノ方法ニ付キマシテ、出來ル限リノ
善處ヲ圖リタイト存ズル次第デアリマス
(國務大臣大谷尊由君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=75
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076・大谷尊由
○國務大臣(大谷尊由君) 髙木君ニ御答致
シマス、鰹節ノ價格ノ下落ニ付テ、統制ヲ
セナイカト云フ御尋デアリマスガ、御說ノ
通リ、近時南洋ニ於キマシテハ、多數ノ鰹
ガ獲レルノデアリマシテ、五十万貫バカリ
ノ鰹節ガ出來テ居ルノデアリマス、隨テ是
ガ內地ノ鰹節ニ影響シテ居ルト存ジマスガ、
尙ホ其上ニ、此鰹節ノ消費ハ悉ク內地ノ嗜
好品デアリマスガ、近代文化ノ發明ハ、段々
各種ノ調味料ガ出來テ居リマスノデ隨
テ是モ價格ノ下ッテ居ル原因ノ一ツデハナ
イカト思フノデアリマス、勿論濫賣ト云フ
コトニ付テハ餘程戒メナケレバナラナイ
ト思ヒマス、又南洋ニ於キマスル鰹節ニ付
キマシテハ、十分統制ヲ行ヒタイト存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=76
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077・金光庸夫
○副議長(金光庸夫君) 西川貞一君
〔西川貞一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=77
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078・西川貞一
○西川貞一君 私ハ只今議題トナリマシタ
諸案ノ中、漁村金融ニ關シマス諸案ニ付キ
マシテ、質問ヲ致シタイノデゴザイマス、
現在ノ我國ノ時局ガ、水產物ノ豐富ナル供
給ヲ絕對的ニ要求致シテ居リマスト云フコ
トハ、只今高木議員カラ縷々御質問ニナッタ
通リデゴザイマス、然ルニ私ガ當局ノ御注
意ヲ願ヒ、國民ノ認識ヲ求メタイノハ此
時局ノ要求ニ逆行致シマシテ、水產界ノ前
途ガ甚シク悲觀スベキ狀況ニ在ルト云フコ
トデアリマス、卽チ我國ノ水產業ハ、之ヲ
現狀ノ儘ニ放任センカ、近キ將來ニ於テ非
常ナル危機ニ際會致シマシテ
〔副議長退席、議長著席〕
日本國民ニ取リマシテ、最モ重要ナ食料デ
アリマス所ノ水產物ノ供給ニ一大不安ガ生
ジ、國民生活ヲ壓迫スル所尠カラザルモノ
ガアルト云フコトデアリマス、卽チ我國ニ
於キマシテ、大衆ノ需要致シマス水產物ノ
主タル供給源泉デアリマス所ノ「トロール」
漁業ハ、全ク行詰リノ狀態ニ在リマシテ、
當局ハ之ヲ現狀維持ノ方針デヤッテ居ルノデ
アリマス、「トロール」漁業ヨリモ、更ニ我
國獨特ノ漁法ト致シマシテ、國情ニ適シ、非
常ナル勢力ヲ持ッテ居リマス所ノ機船底曳網
漁業ハ、現在二千六百隻ノ船ヲ操業シテ居
ルノデゴザイマスガ、當局ハ此二千六百隻
ヲ半減致シマシテ、近キ將來ニ於テ千三百
隻ニ之ヲ減少スルノ方針ノ下ニ、只今整理
ヲ行ヒツヽアルノデゴザイマス、此大衆ノ
需要致シマス所ノ水產物ヲ供給致シマス「ト
ロール」漁業ノ行詰リト、機船底曳網漁業
ノ半減方針ト云フモノハ、必ズ近キ將來ニ
於キマシテ、水產物ノ供給ニ非常ナル打擊
ヲ與ヘルモノデアルト云フコトヲ私ハ信ズ
ル、是ガ軈テハ魚價ノ暴騰ヲ來シ、一般國
民生活ヲ壓迫シ來ルト云フコトハ、何人モ
否認スルコトハ出來ナイノデアリマス、是
ハ國民生活上極メテ重大問題デアリマスル
ガ、農林省當局ハ如何ナル策ヲ以テ、此
局面ヲ打開セント致シテ居ルカ、是レ私ノ
第一ニ質問セントスルノ要點デアリマス
私ハ此局面打開ノ對策ト致シマシテ第一
ニ考ヘラレルノハ、現下時局ノ下ニ於キマ
シテ、支那ニ對シマスル作戰ノ進捗ト共ニ、
支那沿岸漁業ノ開拓ニ依リマシテ、內地ニ
於テ行詰ッテ居ル漁業ノ新生面ヲ打開スルト
云フコトデゴザイマス、然ルニ現在支那海
方面ニ於キマスル漁業ハ頗ル亂雜ヲ極メマ
シテ、機船底曳網漁業ガ關東州ヲ根據トシ
マシテ百三十五隻、朝鮮ヨリ百六七十隻、
內地ヨリ六百八十八隻、臺灣ヨリハ、是ハ
噸數ヲ以テ制限シテ居リマスノデ、八千五
百噸、是等ノ船ガ、或モノハ關東州ノ許可
ニ依リ、或モノハ朝鮮總督府ノ許可、或モ
ノハ臺灣總督府ノ許可ニ依リマシテ出漁ヲ
スルノミナラズ、更ニ靑島ニ於キマシテモ、
外務省ノ許可ノ下ニ機船底曳網ガ操業ヲ致
シテ居リマシテ、其間極メテ亂雜ヲ致シテ居
ルノデゴザイマス、特ニ靑島ニ根據ヲ置キ
マスル漁船ニ付テハ、外務省ニハ何等水產
專門ノ機關ヲ持ッテ居ナイヤウニ思フノデ
アリマス隨テ此間所謂利權屋ニ乘ゼラレ
ルノ間隙ガ頗ル大デアリマシテ、現ニ實際
漁業ニ當ッテ居ル者ハ、許可權ノ名義的保有
者ニ對シ、年々數万圓ノ權利料ヲ拂ッテ居ル
ガ如キ狀況ニ在ルノデゴザイマシテ、斯ノ
如キハ此際斷然改革整理ヲ致スト共ニ、是
等ノ許可權ヲ一ツニ統一致シマシテ、所謂
統一的、綜合的、合理的ノ指導監督助成ヲ
致シマシテ、支那海方面ニ於ケル所ノ、水
產政策ノ確立ヲ圖ル必要ガアルト思フノデ
ゴザイマスルガ、此點ニ關スル當局ノ所見
如何(拍手)是ハ農林當局ノ所見ノミナラ
ズ、所管ハ拓務省ノ方ガ多イノデゴザイマ
スルカラ、拓務省ト致シマシテハ、ドウ云
フ御考ヲ持ッテ居ラレマスルカ、植民地ノ行
政ハ特殊ノ事情ノ下ニ在リマスルカラ、ソ
レゾレ植民地ノ官廳ニ於テ致スノガ當然デ
アリマスケレドモ、水產行政ニ至リマシテ
ハ臺灣ニ於テ許可ヲ受ケマシテモ、朝鮮
ニ於テ許可ヲ受ケマシテモ、內地ニ於テ許
可ヲ受ケマシテモ、亦靑島其他支那ニ於テ
許可ヲ受ケマシテモ、ソレ等ノ活動スル部
面ハ同ジ處デ活動スルノデアリマス、隨テ
是ハ其根據地ニ於ケル所ノ官廳ガ許可權ヲ
持ツベキモノデナク、我ガ帝國ノ統一的政
策ノ下ニ是ガ調整ヲ圖リ、是ガ開發ヲ圖ル
ノガ理ノ當然デアルト私ハ信ズル(拍手)是等
ニ對シテ拓務省當局ハ相當ノ決心ヲサレマ
シテ、此際水產國策ノ確立ニ順應サルヽコ
トガ、必要デアルト信ズルノデアリマスル
ガ、拓務大臣ノ所見如何、此點ヲ御尋シタ
イノデゴザイマス
更ニ對支作戰ノ進捗ト共ニ、支那ニ於ケ
ル新政權ノ下ニ於キマシテ、是等ノ水產行
政ガ如何ニ取扱ハレルカト云フコトハ、少
クモ水產日本ノ前途ニ取リマシテハ、極メ
テ重大ナル問題デアリマス、此支那新政權
ノ下ニ、於ケル水產政策ニ對スル方針ニ付テ
モ、私ハ帝國政府トシテ又考フル所アリ、
方針ガナクテハナラヌト思フノデゴザイマ
ス、是ハ我國水產界ノ前途ニ極メテ重大ナ
ル問題デアリマスルカラ、之ニ對シテ陸軍
當局ヨリ所信ヲ披瀝サレタイト思フノデゴ
ザイマス、尙ホ新政權ノ確立以前ニ於キマ
シテ、現狀ニ於キマシテハ、取敢ズ陸軍當
局ハ靑島、上海等ヲ根據トシ、軍ノ需要ヲ
充足スル範圍內ニ於テ、漁業權ヲ許容サレ
テ居ルカノ如クニ聞イテ居ルノデゴザイマ
スガ、其方針ハ如何ナッテ居ルノデゴザイ
マスカ、其實情ハ如何ナッテ居ルノデゴザイ
マスルカ、此席ニ於テ明ニシテ戴キタイノ
デゴザイマス
更ニ海軍當局ニ御質問申上ゲタイノハ、
今囘ノ事變ニ關聯致シマシテ、支那海方面
ニ於ケル我ガ帝國臣民ノ持ッテ居リマスル
漁業權ノ行使ノ上ニハ作戰關係ト相關聯
致シマシテ、種々複雜ナル問題ガ生ジテ居
ルト思フノデゴザイマス、而シテ是等ハ作
戰ノ推移ニ伴ヒマシテ、漁業權ノ行使ガ如
何樣ニナリツヽアルノデゴザイマスルカ、
其前途ノ見透シ、將來ノ取扱ノ御方針ニ付
テ承リタイノデゴザイマス
次ニ私ハ農林當局ニ御伺致シタイコトハ、
水產ノコトハ茫洋タル大洋ニ於キマシテ操
業スルノデゴザイマスカラ、最モ愼重ナル
〓究調査ヲ要スルノデゴザイマス、而シテ
此〓究調査ハ、中央ニ於ケル國立試驗場ノ
〓究調査ト、地方府縣廳ニ於ケル〓究調査
ガ一ツノ統一的ノ方針ノ下ニ、有機的聯
關ノ下ニ行ハレナクテハナラヌト信ズルノ
デアリマスルガ、現在果シテ滿足スベキ狀
況ニ進ミツヽアリマスルヤ否ヤ、私ノ知ッテ
居リマスル範圍內ニ於キマシテハ、地方府
縣ノ試驗場ハ收入本位主義ヲ執ッテ居リマ
シテ、自分デ儲ケタ金ヲ以テ試驗ヲスルト
云フヤウナ、極メテ姑息ナル手段ヲ執ッテ居
リマスルガ爲ニ、毫モ國立試驗場ト各府縣
ノ試驗場トトノ間ニ、有機的連絡ガ出來テ
居ラナイノデアリマス、之ヲ根本的ニ改革
スルニアラズンバ我國水產業ノ發達ヲ圖
ルコトハ斷ジテ出來マセヌ(拍手)是等ニ對
シマシテ當局ハ如何ナル對策ヲ持ッテ臨ン
デ居ルノデゴザイマスカ
次ニ今申シマシタ「トロール」漁業、機船底
曳網漁業ノ局面ヲ打開致シマスルノニハ
最早今迄ノ漁場ノミニ賴ルコトハ出來マセ
又、是ニ於テ進取果敢ナル漁業者ハ、敢然
太平洋ノ沖合ニ乘出シ、深海ニ於ケルマ
ロール」漁業、機船底曳網漁業等ニ付テ、
多大ノ關心ヲ持ツニ至ッタノデアリマスガ、
之ヲ成功セシムル爲ニハ、當局ノ〓究指導
助成ノ力ニ俟タナクテハナリマセヌ、太平
洋ノ深海ヨリ我等ノ榮養ヲ補給スベク、豐
富ナル水產物ヲ獲得スルコトノ爲ニ、當局
ハドレダケノ熱意ヲ持ッテ、是ガ〓究調査、
指導助成ニ當ラントシテ居ルカ、所信ヲ承
リタイト思フノデゴザイマス
次ニ只今議題トナッテ居リマスル漁村金
融對策ニ關シマスル、此法ノ對象物デアリ
マスル所ノ漁業組合、此漁業組合ナルモノ
ハ一體如何ナル性質ノモノト當局ハ見テ
居ルカ是ハ極メテ「デリケート」ナ問題デ
アリマシテ、此處デ諄々申上ゲマスルト、
議員各位ノ御聽苦シイヤウナ問題ニナッテ
來ルト思ヒマスカラ、是ハ委員會ニ讓リマ
ス、唯私ガ此處デ强調シテ置キタイノハ
凡ソ一ツノ政策ヲ立テテ之ヲ遂行シヨウト
致シマスナラバ豫メ政策ノ對象ニ付キマ
シテ十分ナル〓究調査ガ遂ゲラレテ、其內
容ガ明ニサレテ居ナクテハナラヌノデアリ
マス、然ルニ我ガ水產當局ハ果シテ從來漁
村經濟ノ更生ニ關シ、水產經濟ノ內容ニ關
シマシテ、政策ノ根據トナルベキ〓究ヲ爲
サレタコトガアリヤ否ヤ、政策ノ根據トナ
ルベキ十分ナル調査ヲシテ、水產行政ノ根
柢ヲ樹立スベキ、漁村社會水產經濟ニ對シ
マスル所ノ御調査ヲシテ居ラレマスルカド
ウカ、水產問題ハ我國ニ於キマシテハ極メ
テ重大ナ問題デアルニモ拘ラズ、未ダ科學
的ニ價値ノアル水產經濟學ト云フモノハナ
イノデアリマス、水產行政ノ根本ヲ確立ス
ベキ據ルベキ標準ガ未ダナイノデゴザイ
やっ、之ヲ今日マデ放任サレテ置キマシタ
ト云フコトハ、水產當局トシテ私ハ相當ノ
責任問題デアルト思フノデゴザイマスルガ、
此際當局ハ相當ノ犠牲ヲ拂ヒ、漁村社會ノ
更生ニ關シ、水產經濟ノ本質ニ關シマシテ
〓究調査ヲ遂ゲ、政策ノ根據ヲ確立スルノ
用意アリヤ否ヤト云フコトヲ御伺シテ置キ
タイノデゴザイマス
而モ是等ノ調査〓究ガ出來テ居ナイト云
フコトハ、當局ヲシテ重大ナル過チニ陷ラ
シメツヽアル、詰リ當局ハ前ニハ所謂水產
政策ノ中心ト云フモノヲ、漁獲物ノ金額ノ
大キイ所ニ置キマシテ、漁獲物ノ水揚高ノ
增大スルコトヲ以テ、政策ノ目標トシテ來
マシタガ爲ニ、水產物ノ水揚高ハ非常ニ增
加シ來ッタノデアリマスガ、沿岸漁業民ノ生
活ハ年々苦シクナリ、所謂漁村疲弊ハ年ト
共ニ其度ヲ加へ來ッタノデアリマス、然ルニ
近年水產當局ハ又一大轉向ヲ試ミマシテ、
水產水揚高ヲ增加スル資本漁業ノ奬勵助長
ト云フコトハ、姑ク之ヲ等閑ニ付シ、漁村
ノ振興ヲ圖リ、沿岸漁業ノ振興ヲ圖ルト云フ
コトニ轉向サレ來ックノデアリマス、私ハ此
轉向ハ或ル意味ニ於テ當ッテ居リ、或ル意味
ニ於テハ誤ッテ居ルト思フノデアリマス、ト
申シマスノハ我國水產經濟ノ內容ヲ分析
シテ見マスナラバ沿岸漁業ト云フモノト
資本漁業ト云フモノハ、形ハ別デアリマスケ
レドモ、其實體ハ一ツデアリマス、詰リ沿
岸漁業ニ於キマシテハ如何ニ漁民ガ精勵
致シマシテモ、年々其漁場ハ荒廢シ、狹隘化
スルノミデアリマシテ、幾ラ當局ガ指導助
成ヲサレマシテモ、沿岸漁業ノミニ依ッテ生
活ヲ立テルコトハ絕對ニ出來マセヌ、沿岸
漁民ノ生活ト云フモノハ、一年間一戶ノ純
收入ハ百五十圓カラ二百圓足ラズデゴザイ
マシテ百五十圓ヤ二百圓足ラズノ金ヲ以
テシテハ、絕對ニ生活ヲ立テルコトハ出來
ナイノデアリマス、ソコデ沿岸漁業ハ年ヲ
取リマシタ者トカ、身體ノ弱イ者ガ沿岸ヲ
漁ッテ居リマシテ、靑壯年ハ資本漁業ノ勞働
者トナッテ、或ハ機船底曳網漁業ニ、或ハ「ト
ロール」漁業ニ、或ハ定置漁業其他ノ勞働者
トナッテ働イテ、其牧入ヲ以テ一家ノ生計ヲ
立テテ行クノデアリマス、然ルニ我國ノ漁
業經濟ノ內容ハ、資本漁業ニ於キマシテハ、
極メテ複雜ナ組織ニナッテ居リマシテ、多ク
ノ企業ニ於キマシテハ、總收入ノ中カラ先
ヅ漁船ノ諸經費ヲ防キ去リ、消耗品ノ經費
ヲ除キ去リ、更ニ乘組員ノ食糧ノ經費等ヲ
除キ去リ、殘ック金額ヲ勞働者ノ賃金トシテ
之ヲ分配スルノ制度ヲ採ッテ居リマスルガ
故ニ、資本漁業ノ經營費ハ、增大スルカ節
約ガ出來ルカト云フコトハ其資本家自身
ノ利害關係ヨリモ、之ニ從事シテ居リマス
ル所ノ勞働者ノ利害關係、卽チ沿岸ニ漁業
ヲシテ居リマスル沿岸漁民ノ靑壯年漁夫ノ收
入ガ多クナルカ少クナルカノ問題ニナッテ
來マシテ、資本漁業ノ盛衰ハ直チニ沿岸漁
業其モノニモ響イテ來ルノデアリマス、此問
題ニ對シマシテハ、農林當局ハ私ノ從來見
ル所ヲ以テスレバ、甚シク認識不足デアッ
テ、同ジ漁業ト云フテモ、沿岸漁業ト資本
漁業ハ別ナモノデアルト云フ風ナ考ヘ方ヲ
持ッテ居ラレル方ガ、農林當局ニハ相當ニアル
ヤウデアリマスルガ、是ハ農林當局ガ從來
眞劍ナル調査〓究ヲ怠ッテ居ラレタ爲ニ發
生シタル所ノ誤リデアリマス(拍手)昨年漁
業用ノ鑛油ノ免稅問題ガ喧シクナリマシタ
際ニモ、此免稅ニ於テ最モ多クノ利益ヲ受
ケルノハ、所謂資本家漁業デアルト云フヤ
ウナ口吻ノ下ニ、農林當局ノ態度甚シク冷
淡デアリマシタノハ、斯ル認識不足ニ基ク
モノデアリマシテ、私ハ此際此觀念ヲ大イ
ニ是正サレナケレバ、到底我ガ水產行政ノ
確立ハ出來ヌ、漁村民ノ生活ハ決シテ幸福
ニナラナイト信ズル者デアリマスルガ、改
メテ當局ノ所見ヲ御聽シタイノデゴザイマス
最後ニ私ハ水產業ハ何ガ故ニ行詰ッテ居
ルカ、漁村ハ何故ニ疲弊スルカ、漁民ハ何
故ニ貧乏スルカト云フ問題ニ付テ、私ハ當
局ノ注意ヲ促シタイ、現在ノ社會經濟ハ價
格經濟組織デアリマシテ、富ノ分配ハ、生
產セル物ノ價格ヲ通ジテノミ富ノ分配ガ行
ハレテ居ルノデアリマス、而シテ現在工業
生產物ノ多クハ獨占價格デアリマス、生產
機構ノ獨占ニ依ッテ、其生產物ノ價格ヲ支配
シテ居リマス、農產物ニ於キマシテハ獨占
的支配ハ出來ナイノデアリマスケレドモ、
農民ノ政治的自覺ニ依ッテ、統制價格ヲ以
テ、政治的統制ノ力ニ依ッテ米價ヲ吊上ゲ、
又肥料ノ値段ニ對スル一ツノ對策モ講ジテ
居ルノデアリマス、統制價格ト獨占價格ト
ノ爭ヒノ中ニ於キマシテモ、所謂價格ノ鋏
狀的價格差ノ問題ガ屢〓喧シク論ゼラレマく
シテ、農產物ガ不利ニ取扱ハレテ居ルト云
フコトハ、各位ノ御承知ノ通リデアリマ
ス、此獨占價格ト統制價格ノ中ニ伍シマシ
テ、獨リ水產物ハ自由放任主義ノ下ニ、其購
入者ノ意ノ儘ニ取扱ハレテ來テ居ルノデア
リマス、工業生產物ハ獨占機構ヲ以テ之ヲ
支配シ、農業生產物ハ政治的統制ノ力ヲ以
テ價格ヲ支配スル中ニ、獨リ何等ノ手段ヲ
講ゼラレナイノハ水產物ノ價格デアリマ
ス(拍手)是ガ爲ニ水產界ガ如何ニ不利益ヲ
忍バネバナラヌカト云フコトハ、資本漁業
ニ於キマシテハ、其資本力ノ强大ナルモノ
ハ、極端ナル產業合理化ヲ行ウテ辛ジテ存
立シ、中小漁業ハ水產界ノ好況不況ノ波ノ
中ニ甚シク資本ノ破壞ヲ續ケテ居ル、而モ
沿岸ニ居住致シテ居リマス所ノ零細漁民
ハ眞ニ飢餓線上ニ押付ケラレタ生活ヲ致
シテ居リマシテ、今日最モ悲慘ナル貧民窟
ハ東京ノ貧民窟ヨリモ、大阪ノ貧民窟ヨ
リモ、私ノ住ンデ居リマスル山口縣大島郡安
下庄ノ漁業地ガ、最モ悲慘ナル貧民窟ニナッ
テ居ルト云フコトハ、水產當局ハ能ク御承
知デアル、岡山縣ノ牛窓町ニ於テモサウデ
アリマスル、全國到ル處ノ沿岸ニ、彼ノ悲
慘極マル貧民窟トシテ漁村ノ存在シナクテ
ハナラヌト云フ、此悲シムベキ宿命ハ、斯
ノ如キ社會經濟ノ法則ガ齎シタル必然的事
實デアルト云フ認識ノ下ニ、之ニ對スル根
本的對策ニ付テ政府當局ハ考ヘテ居ラレマ
スルカ否カ、此點ヲ御伺シタイノデアリマ
スル(拍手)
最後ニ私ハ漁船ノ生命トモ申スベキ燃料
ノ問題ニ付キマシテ一言御伺ヲシテ置キタ
イ、昨年以來燃料ノ價格ハ非常ニ暴騰致シ
マシテ、其底止スル所ヲ知ラズ、今ヤ此燃
料用ノ重油ノ暴騰ノ爲ニ、全ク我國ノ漁業
界ハ瀬死ノ狀態ニ陷ッテ居ルノデアリマス
ル、而モ漁船ニ於キマスル燃料油ハ、農村
ニ於キマフル所ノ肥料ヨリモ、餘程重大ナ
ル關係ヲ持ッテ居ルノデアリマス、農村ニ於
キマシテハ、肥料ノ問題ハ極メテ重大デハ
アリマスルケレドモ、其肥料ノ價格ハ農業
生產費ノ中ノ、サウ大キイ「パーセント」ヲ
占メテ居リマセヌ、然ルニ燃料ノ方ハ水產
ノ經營費ノ中ノ、漁業經營費ノ中ノ、非常
ニ大キナ部分ヲ占メテ居ルノデアリマス
ル、而モ時局ノ下ニ肥料價格暴騰ノ危險ガ
迫リマスルヤ、農林當局ハ熱心ニ是ガ對策
ヲ講ゼラレマシテ、今日相當ニ價格ハ上ッテ
ハ居リマスルケレドモ、尙ホマア我慢ノ出
來ル程度ニアルノデアリマスルガ、是ヨリ
以上ノ重要性ヲ持ッテ居リマスル所ノ燃料
油ノ問題ニ對シマシテハ、當局ハ如何ナル
對策ヲ以テ臨マレタカ、少クトモ從來ハ漁
業用ノ燃料油ニ對シマシテハ、關稅免除
ノ恩典ガアッタノヲ、此燃料油暴騰ノ危險ヲ
前ニシテ、此特典ヲ取上ゲテシマッタノデゴ
ザイマス(拍手)而モ是ガ對策ノ豫算トシテ
計上サレマシタルモノハ決シテ其影響ヲ
償フベキ十分ノモノデハアリマセヌ、其對
策未ダ適當ナラズト吾々ハ信ジマシタルガ
故ニ、昨年ノ議會ニ於キマシテハ對策豫算
ノ增額ヲ要求シ、昭和十三年度豫算ニ於キマ
シテハ、從來ノ對策豫算二百万圓ヨリ三百
万圓ニ增額サレテ計上ハサレテ居ルノデゴ
ザイマスルガ、此增額サレタ百万圓ニ對シ
マシテ、我ガ衆議院ハ院議ヲ以テ附帶條件
ヲ附ケテ居リマスル、卽チ漁業經營費ノ補
助金ハ、之ヲ更ニ百万圓增額シテ三百万圓
トナシ、其中ノ百万圓ヲ下ラザル金額ヲ、
前ノ對策豫算ニ依ッテ其補助金ヲ未ダ受ケ
テ居ラナイ、從來ノ免稅受益者ノ燃料油ノ
購入費ノ補助金トシテ、中小漁業者ニ之ヲ
交付スベシト云フ、明カナル院議ヲ以テ、
百万圓ヲ下ラザル金額ヲト云フコトヲ、明
瞭ニ示シテ居ルノデゴザイマスガ、勿論當
局ハ此院議ヲ尊重サレマシテ、ソレ等ノ對
策ハ講ゼラレテ居ルト私ハ信ジマスガ、若
シ此院議ニ背クヤウナコトガアリマシタナ
ラバ、私ハ此席ニテ申上ゲテ置キマスガ、
三宅サン、アナタハ腹切モンデスゾ(拍手)
此豫算ノ行使ニ對シマシテハ、十分ナル責
任ヲ以チ、深甚ナル考慮ヲ以テ臨マレンコ
トヲ要求スル者デアリマス(拍手)只今述ベ
マシタルガ如キ問題ヲ解決スルニハ內地
外地ニ亙リマスル所ノ、從來複雜多岐ヲ極
メタ水產行政機關ハ、一大擴張ヲ要スルコ
トハ申ス迄モアリマセヌ、私ハ徒ニ新シイ
省ガポカ〓〓出來テ來ルコトヲ歡迎スル者
デハアリマセヌカラ、敢テ水產省ヲ獨立セ
シメヨト云フコトヲ申シマセヌケレドモ、
內外地ニ於ケル複雜多岐ヲ極メテ居ル水產
行政ヲ、一ツニ統一スベキ實質ヲ有スル水
產行政官廳ヲ確立スルト云フコトハ、私ハ
現下ノ時局上最モ必要デアルト信ズルノデ
アリマスガ、當局ノ之ニ對スル所信如何、
以上御伺致シマシテ私ノ質問ヲ終リマス
(拍手)私ハ敢テ再質問ハ致シマセヌガ、當
局ノ御答辯ヲ基礎ト致シマシテ、委員會デ
ハ質問ヲ致シマスカラ、其積リデ以テ御答
辯ヲ願ヒタイ(拍手)
〔國務大臣大谷尊由君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=78
-
079・大谷尊由
○國務大臣(大谷尊由君) 西川君ニ御答致
シマス、支那海ニ於キマスル漁業ニ付テノ
御說ヲ承リマシテ、洵ニ御尤ナルコトデ私
モ同感デゴザイマス、是ガ統制協調ハ極メ
テ必要ノコトト存ジマス、只今實ハ內地、
朝鮮、關東州、支那、臺灣ト、是等ノ事務
的折衝ヲ目下致シテ居リマス最中デゴザイ
やく、成ベク御期待ニ副フヤウニ、此協調
統制ヲ致シタイト存ジテ居リマス
〔政府委員高橋守平君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=79
-
080・高橋守平
○政府委員(高橋守平君) 西川君ノ御質問
ニ御答致シマス、機船底曳網ノ統制ニ依ッ
テ、漁獲物ガ相當滅ッテ來ルノデハナイカト
云フヤウナ御質問ガ第一點ダト存ジマス、
此機船底曳網ノ整理ニ付キマシテハ、御說
ノ通リデゴザイマシテ、政府ト致シマシテ
ハ成ベク之ヲ統制致シマシテ、魚族ノ保護
ノ爲ニ、又沿岸漁業ノ保護ノ爲ニ整理ヲシ
テ居ルノデアリマス、併ナガラ其整理ノ方
法ト致シマシテハ、成ベク極端ナ打擊ノ現
ハレナイヤウニト云フノデ、相當ノ期間ヲ
置キマシテ、逐次整理ヲシヨウト努メテ居
ルノデアリマス、此結果魚族ノ保護ガ出
來沿岸漁業ノ保護ガ出來ルト云フコト
ニナリマスレバ、其方面ニ於キマシテ相
當ナ漁獲ノ增加ガ考ヘラレルト同時ニ、
深海漁獲、若クハ遠洋漁業等ニ依リマシ
テ、機船底曳網ノ整理ニ依ッテ減少スル漁
獲物ガ、相當補ハレルノデハナイカト
思フノデアリマスソレカラ、水產行政ノ
統制ニ關スル御話ガゴザイマシタ、是ハ御
尤ナ御說デアリマシテ、關係各省ニ於キマ
シテ緊密ナル連絡ヲ取ッテ、結制アル下ニ水
產行政ヲ行ヒタイ、斯ウ考ヘテ居ルノデア
リマシテ、今二月ニ於キマシテモ關係官ヲ
集メマシテ協議會ヲ開キマシテ、此各省間
ニ於キマスル水產行政ニ對シマシテノ緊密
ナル連絡ヲ以チマシテ、其行政ノ統一ヲ圖ッ
テ居ル次第デアリマス
支那海ニ於キマシテノ漁業ノ問題ニ付キマ
シテハ陸海軍ノ方面トモ協議ヲシテ居ル
ノデアリマシテ、只今拓務大臣カラモ御答
辯ガアリマシタヤウニ、御說ノ通リ之ニ對
スル對策ヲ急イデ立テヨウトシテ居ルノデ
アリマス、國營試驗場ト地方試驗場トノ統
制連絡、之ニ對シマシテ御質問ガゴザイマ
シタガ、御說ノ通リ地方ノ試驗場ハ收入ヲ
求メテ、ソレニ依ッテ試驗〓究ヲスルト云
フ御指摘ノ通リノ傾向ヲ帶ビテ居リマス
ルノデ、中々國營試驗場ト地方試驗場トノ
連絡ガ、十分ニ行ッテ居ルトハ申上ゲラレナ
イノデゴザイマスルガ是モ豫算其他ノ關
係ヲ考慮致シマシテ、十分國營試驗場ト地
方試驗場トノ間ノ連絡ヲ緊密ニ致シマシ
テ、統制アル下ニ試驗〓究ヲ進メテ行キタ
イト存ズルノデアリマス、水產經濟ノ問題
ニ對シテ色々ト御意見ガアッタノデゴザイ
マスガ、之ニ對シマシテハ、政府ト致シマ
シテモ考慮致シマシテ本年度ニ於キマシ
テ帝國水產會ニ委託シテ漁家ノ經濟調査
ヲ始メテ居リマス又水產講習所ニ於キマ
シテハ水產經濟學講座ヲ開講致シマシ
テ、其體系ヲ確立シヨウト努メツヽアル次
第デアリマス
農林水產物價ガトモスルト他ノ物價ト鋏
狀價格差ヲ保ツ、殊ニ水產物ノ價格ガ一番
等閑ニサレテ居ルノデハナイカト云フ御話
デアリマスルガ此點ニ付キマシテモ色々
ト考慮ヲ致シマシテ共同販賣其他ノ方法
ニ依リマシテ、行政ノ運用ニ依リマシテ
是非共御指摘ノヤウナコトノ少シデモ少ク
ナルヤウニ致シタイト考ヘル次第デアリマ
ス、最後ニ漁業鑛油ノ御話デゴザイマスル
ガ、是ハ此前ノ議會ニ院議ヲ以テ御決議ニ
ナリマシタ御趣旨ニ依リマシテ十三年度
ノ豫算ニ組入レマシテ諸君ノ御協賛ヲ得
テ居ル次第デアリマシテ、是ノ運用ニ當リ
マシテハ、御決議ノ御趣旨ニ從ッテ十分其趣
旨ノ徹底ヲ圖リタイト思フ次第デアリマス
〔政府委員春名成章君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=80
-
081・春名成章
○政府委員(春名成章君) 西川君ニ御答申
上ゲマス、支那海ニ於キマス邦人漁業權ノ
確立ト其發展、竝ニ其統制ノ必要ナルコト
ハ御說ノ通リデアリマス但シ御存ジノ如
ク現下ノ事局ニ鑑ミマシテ、是等ノ問題ニ
對スル處置ノ如何ハ、內外ニ及ボス所ノ影
響モ相當微妙ナルモノガアリマスルガ故
ニ關係當局者ニ於テ、能ク是等ノ點ニ付
テハ熱議致シマシテ、善處センコトヲ期シ
テ居ル次第デアリマス
〔政府委員柴山兼四郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=81
-
082・柴山兼四郎
○政府委員(柴山兼四郞君) 只今ノ御質問
ニ御答致シマス、御質問ノ第一點ハ北支
那沿岸ニ於ケル漁業ニ關シテ、帝國ハ新政
權ニ對シ如何ナル方針ヲ以テ臨ム考カト云
フ御趣旨ノヤウニ承ッタノデアリマス、本件
ニ關シマシテハ、作戰ノ進捗ト北支政權ノ
確立ト相俟ッテ、日支共存共榮ノ精神ニ基
キ、我ガ漁業家ガ彼ノ地ニ於テ新ナル漁場
ヲ開拓シ、十分ニ其獨特ナル漁業ヲ營ミ得
ルヤウナ協定ヲ結ビタイト考ヘテ居リマス
第二點ノ上海及ビ靑島ニ於ケル我ガ漁業
ノ現狀ハドウデアルカ、竝ニ軍ハ目下取
敢ズノ處置トシテ、軍ノ需要ニ充ツルヲ本
旨トシテ、漁業家ニ漁業ヲ許可シアルトノ
コトデアルガ、之ニ對スル將來ノ方針如何
ト云フ御質問ノヤウニ承ッタノデアリマス
ガ、上海竝ニ靑島方面ニ於ケル漁業ノ現
狀ハ、上海方面ハ關係各廳トモ十分協議ノ
上二三ノ會社竝ニ組合ニ對シ漁業ヲ許
可致シマシテ、取敢ズ軍ノ需要ニ充ツルヤ
ウニ處置シテ居リマス、靑島方面ニ於キマ
シテハ未ダ統制アル漁業ニ從事セシム
ルノ域ニ達シテ居ラヌヤウニ聞イテ居リ
マン、此方面ハ成ベク早イ機會ニ、適當ナ
ル組合若クハ會社ニ漁業ヲ開始セシメタイ
ト考ヘテ居ル次第デアリマス、上海方面ニ
對シテ將來如何ニ考ヘテ居ルカト云フコト
ニ關シマシテハ、上海方面ハ未ダ支那方面
ノ政權ガ確立ヲ見ルニ至ッテ居リマセヌノ
デ、是等ノ諸情勢ガ進展致シマシタナラバ、
我ガ方ト致シマシテハ關係各廳ト是亦十
分協議ノ上、支那政權ニ對シ我ガ漁業家ガ
十分活動シ得ルヤウニ、善處シタイト考へ
テ居ル次第デアリマス、終リ(拍手)
〔政府委員岸田正記君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=82
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083・岸田正記
○政府委員(岸田正記君) 西川サンニ御答
致シマス、海軍ニ於キマシテハ現在航行
遮斷中デアリマスル支那沿海方面ニ於キマ
シテハ、何等邦人ノ漁業活動ニ付キマシテ、
制限ナド加ヘテ居ルヤウナコトハ致シテ居
リマセヌノミナラズ其活動ニ付キマシテ
ハ豫メ其場所等ニ付キマシテ通知ヲ受ケ
マシテ、十分ノ注意ヲ致シテ、萬遺憾ナク
活動セシムルヤウニ對策ヲ致シテ居ル次第
デアリマス、尙ホ將來ニ亙リマシテハ
層農林省トモ緊密ナル連絡ヲ取リマシテ
十分其活動竝ニ權益ニ付キマシテハ、保護
ヲ加ヘルヤウニ善處致シタイト考ヘテ居リ
マス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=83
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084・小山松壽
○議長(小山松壽君) 質疑ハ終局致シマシ
ク、各案ノ審査ヲ付託スベキ委員ノ選擧ニ
付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=84
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085・服部崎市
○服部崎市君 日程第十四乃至第十八ノ五
案ヲ一括シテ、議長指名十八名ノ委員ニ付
託セラレンコトヲ望ミマス
〔「贊成」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=85
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086・小山松壽
○議長(小山松妻君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=86
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087・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ
此際一言致シマス、議長ハ院內ノ秩序維
持ニ付キマシテハ、絕エズ注意ヲ拂ッテ居ル
所デアリマスルガ、去ル二月二十二日、電
力委員會ニ於キマシテ、一政黨事務員ガ議
員ノ身邊ニ迫リ、委員會ノ秩序ヲ紊シマシ
タコトハ、洵ニ遺憾ニ堪ヘザル次第デアリ
さく、議長ニ於テハ斯ノ如キ穩カナラザル
行動ヲ執リマシタ政黨事務員ニ對シマシテ
ハ議院出入ノ通章ヲ取上ゲルコトニ致シ
マシタ、尙ホ政黨事務員ノ委員會出入ハ、
其用務ヲ終リマシタル時ハ直チニ退去セ
ラルヽヤウ、ソレ〓〓御申渡シヲ願ヒマス、
議會振肅委員會ノ申合セモアリマスコト
故、何卒各自ニ於カレマシテモ此點御留意
アランコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=87
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088・服部崎市
○服部崎市君 殘餘ノ日程ヲ延期シ、本日
ハ是ニテ散會セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=88
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089・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=89
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090・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、次會ノ議
事日程ハ公報ヲ以テ御通知致シマス、本日
ハ是ニテ散會致シマス
午後六時三十一分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007313242X01919380226&spkNum=90
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