1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十三年三月四日（金曜日）
午後一時二十一分開議
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議事日程 第二十一號
昭和十三年三月四日
午後一時開議
第一 職業紹介法改正法律案（政府提出） 第一讀會
第二 商業組合法中改正法律案（政府提出、貴族院送付） 第一讀會
第三 陸上交通事業調整法案（政府提出） 第一讀會
第四 重要鑛物増産法案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
第五 日本産金振興株式會社法案（政府提出） 第一讀會の續（委員長報告）
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〔左の報告は朗讀を經さるも參照の爲茲に掲載す〕
一議員より提出せられたる議案左の如し
那賀川改修工事促進に關する建議案
提出者 田村秀吉君
支那各地に日本語學校設置に關する建議案
提出者
田村秀吉君 山道襄一君
青木亮貫君 岡野龍一君
菊池良一君 牧山耕藏君
漢那憲和君 岡本實太郎君
支那要地に日本國立病院建設に關する建議案
提出者
田村秀吉君 山道襄一君
青木亮貫君 岡野龍一君
牧山耕藏君 菊池良一君
岡本實太郎君 愛野時一郎君
漢那憲和君
津大阪兩市間道路を國道に編入に關する建議案
提出者
川崎克君 一松定吉君
松尾四郎君 池本甚四郎君
海部川改修に關する建議案
提出者 田村秀吉君
牟岐室戸間鐵道敷設に關する建議案
提出者
田村秀吉君 富田幸次郎君
長野長廣君
武道教師養成機關擴充竝新設に關する建議案
提出者
堤康次郎君 大麻唯男君
中井川浩君 信太儀右衞門君
漢那憲和君 高橋壽太郎君
武道督學官設置に關する建議案
提出者
堤康次郎君 大麻唯男君
中井川浩君 信太儀右衞門君
漢那憲和君 高橋壽太郎君
全國に市町村立武道殿建設に關する建議案
提出者
堤康次郎君 大麻唯男君
中井川浩君 信太儀右衞門君
漢那憲和君 高橋壽太郎君
武道教師優遇に關する建議案
提出者
堤康次郎君 大麻唯男君
中井川浩君 信太儀右衞門君
漢那憲和君 高橋壽太郎君
教化團體奬勵助成に關する建議案
提出者 林平馬君
東海道線電化促進に關する建議案
提出者 山田順策君
安倍川沿岸堤防改修工事延長に關する建議案
提出者
山田順策君 坂下仙一郎君
津倉亀作君
大杉驛より別子を經て新居濱に至る鐵道敷設に關する建議案
提出者
長野長廣君 小野寅吉君
府縣に厚生部設置に關する建議案
提出者 井上良次君
小學校に於ける精神薄弱兒童の爲特別教育施設に關する建議案
提出者
田万清臣君 河上丈太郎君
全國に市町村立武道殿建設に關する建議案
提出者
田原春次君 三輪壽壯君
三宅正一君
武道教師養成機關擴充竝新設に關する建議案
提出者
田原春次君 三輪壽壯君
三宅正一君
武道教師優遇に關する建議案
提出者
田原春次君 三輪壽壯君
三宅正一君
武道督學官設置に關する建議案
提出者
田原春次君 三輪壽壯君
三宅正一君
（以上三月三日提出）
一議員より提出せられたる緊急質問左の如し
帝都治安維持に關する緊急質問
提出者
河上丈太郎君 麻生久君
（以上三月三日提出）
一昨三日近衞内閣總理大臣より左の通發令ありたる旨の通牒を受領せり
厚生書記官 近藤壤太郎
第七十三囘帝國議會厚生省所管事務政府委員被仰付
一昨三日常任委員補闕選擧の結果左の如し
第二部選出
豫算委員 添田敬一郎君（小川郷太郎君補闕）
一昨三日議長に於て辭任を許可したる常任委員左の如し
第一部選出決算委員 西方利馬君
一昨三日特別委員理事補闕選擧の結果左の如し
商法中改正法律案（政府提出、貴族院送付）外二件委員
理事 木村作次郎君（理事立川平君三月一日委員辭任に付其の補闕）
一昨三日議長に於て選定したる委員左の如し
昭和十二年法律第九十二號中改正法律案（輸出入品等に關する臨時措置に關する件）（政府提出、貴族院送付）委員
津原武君 寺島權藏君
高橋義次君 岡崎久次郎君
手代木隆吉君 西村金三郎君
渡邊玉三郎君 木村淺七君
津倉亀作君 小林房之助君
鈴木英雄君 松村光三君
大内竹之助君 菅野善右衞門君
池田七郎兵衞君 山口忠五郎君
江羅直三郎君 行吉角治君
田中源三郎君 伊東岩男君
北勝太郎君 玉野知義君
安倍寛君 岡崎憲君
松永義雄君 田中耕君
大石大君
日滿司法事務共助法案（政府提出、貴族院送付）外三件委員
松永東君 内藤正剛君
原玉重君 原夫次郎君
南雲正朔君 今成留之助君
伊藤五郎君 田中亮一君
小林絹治君 江原三郎君
松川昌藏君 高見之通君
匹田鋭吉君 稻田直道君
飯村五郎君 長谷長次君
中村高一君 小山亮君
一昨三日に於ける特別委員の異動左の如し
臨時租税増徴法中改正法律案（政府提出）外七件委員
辭任 宇賀四郎君 補闕 堀内良平君
社會事業法案（政府提出）外二件委員
辭任 松尾孝之君 補闕 伊東岩男君
重要鑛物増産法案（政府提出）外一件委員
辭任 高橋壽太郎君 補闕 山本粂吉君
農地調整法案（政府提出）委員
辭任 高岡大輔君 補闕 北勝太郎君
恩給金庫法案（政府提出）外一件委員
辭任 服部英明君 補闕 齋藤直橘君
━━━━━━━━━━━━━発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/0
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001・小山松壽
○議長(小山松壽君) 是ヨリ會議ヲ開キマ
ス、御諮リ致シマス、安部磯雄君ヨリ本日ヨ
リ十二日マデ請暇ノ申出ガアリマス、之ヲ
許可スルニ御異議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/1
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002・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ許可スルコトニ決シマシク発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/2
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003・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此際日程第四及ビ第五
ノ兩案ヲ繰上ゲ一括上程シ、其審議ヲ進メ
ラレンコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/3
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004・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/4
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005・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、日程ノ順序ハ變更セラレマシタ、
日程第四、重要鑛物增產法案、日程第五、
日本產金振興株式會社法案、右兩案ヲ一括
シテ第一讀會ノ續ヲ開キマス、委員長ノ報
〓ヲ求メマス-委員長森田福市君
第四重要鑛物增產法案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
第五日本產金振興株式會社法案(政
府提出)第一讀會ノ續(委員長報告)
報〓書
一重要鑛物增產法案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十三年三月三日
委員長森田福市
衆議院議長小山松壽殿
附帶決議
一從來ノ買鑛ニ當リ弊害頗ル多キヲ以
テ政府ハ之カ監督ヲ嚴重ニスヘシ
一政府ハ本法ヲ活用シ睡眠鑛區ノ開發
ニ努力スヘシ
一低品位ノ金鑛石ヲ處理スルニハ現在
ノ價格ニテハ增產ノ見込少キヲ以テ政
府ハ相當額ノ補助金ヲ交付スヘシ
報〓書
一日本產金振興株式會社法案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十三年三月三日
委員長森田福市
衆議院議長小山松壽殿
附帶決議
一日本產金振興株式會社ノ設立ニ當リ
役員ノ選任ニ關シテハ監督官廳ノ官吏
ヲ選任スヘカラス
-日本產金振興株式會社ノ事業開始後
ノ融資ニ關シテハ成ヘク一般ノ鑛業者
ノ便宜ヲ圖ルヘシ
-日本產金振興株式會社ノ事業開始後
ニ於テ製鍊場竝ニ選鑛場ノ設置ニ關シ
テハ中小鑛業ノ開發ニ適當ナル場所ヲ
選ヒ成ヘク多數設置スヘシ
〔森田福市君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/5
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006・森田福市
○森田福市君 重要鑛物增產法案竝ニ日本
產金振興株式會社ノ兩法案ニ對シマスル委
員會ノ經過竝ニ結果ヲ簡單ニ御報告申上ゲ
やく、委員會ハ前後八囘開キマシテ、委員
長及ビ理事ノ互選後、質問ニ當リマシテハ、
各委員ヨリ熱心ナル質問ガアリマシテ、政
府ハ之ニ對シテ懇切ナル御答ガアッタノデ
アリマス、サウシテ附帶決議ヲ附ケテ、本
案ハ原案ヲ可決スルコトニ相成ッタノデア
リマス、簡單ニ質疑ノ內容ノ一一一點ヲ申上
ゲタイト存ジマス、政府ハ此重要鑛物增產
法案ヲ提案シテ居ラルヽガ、金ノ增產ニ對
シテハ、昨年ノ如キハ增產ヲシテ居ルト言
ウテ居ルガ、本當ニソレハ增產ニナッタノニ
ハ非ズシテ、金ノ買入價格ヲ引上ゲタカラ、
密輸出ガ無クナッタカラ增產シタノデハナ
イカト云フヤウナ質問ガアリマシタ、之二
對シテ政府ハ、其點モ多少アラウケレドモ、
大體ハヤハリ增產シテ居ルト云フコトデアリ
マシタ、又今度ノ金ノ增產ヲスルノニ付キ
マシテ、現在ノ百万分ノ六乃至七ガ引合フ
點ニナッテ居ルガ、此低品位ノモノヲ取ッテ
行カナケレバ、增產ノ目的ヲ達セラレヌ、
ソレニ對シテハ、ドノ程度マデ品位ヲ下ゲ
テ引合フヤウニ、政府ハヤル積リデアルカ
ト云フノニ對シテ、當局ハ百万分ノ四乃至五
マデハ引合フヤウニ致シタイモノデアル、
斯ウ云フ御答ガアッタノデアリマスガ、委員
ハソレデハ物足レリトセズ、ヤハリ百万分
ノ一ニ迄位ハ引合フヤウニ、政府ハ補助政
策ヲ執ッテヤラレタイ、サウシテ汽車賃ノ如
キモノモ、ヤハリ金ヲ含ンデ居ルモノニ對
シテハ、五割以上割引スルヤウニサセル考
ハナイカ、政府ハ之ニ答ヘテ、五割以上割
引スル程ナラバ無賃ニシテモ宜イカ、考慮
ヲシナケレバナラヌト云フヤウナ答辯ガアッ
タノデアリマス、又鐵ニ對シテモ今日不自
由ヲ感ジテ居ルノニ、現狀デ放任シテ置ク
コトハ宜シクナイ、必ズ金バカリニ限ッタノ
デハ困ル、鐵ノ增產ノ事ニ關シテ、又適切
ナル質問ガアリ、之ニ對シテ答辯ガアッタノ
デアリマス、殊ニ最近石炭飢饉ガ大變甚シ
イ、是等ニ對シテ政府ハ此法案ヲ活用シテ、
サウシテ本當ノ睡眠鑛區ヲ活カシテ、此增
產ヲ圖ルコトノ目的ガ達セラレルカ、恐ラ
ク此法律ダケデ、是等ノ不足シテ居ル鑛物
ガ十分ニ增產ガ出來ルトモ思ハレヌト云フ
ヤウナ點ニ關シマシテ、相當突込ンダ御質
問ガアリ、政府ハ御答ニナッタノデアリマ
ス、此事ハ委細ハ速記錄ニ依ッテ御了承ガ
願ヒタイト存ジマス、サウシテ昨日質問ヲ
終了シテ、討論採決ニ入リマシテ、民政黨
ノ寺島權藏君カラ、各派ノ共同提案ニ成
ル附帶決議ヲ附シテ贊成ヲ表セラレ、政
友會ノ板谷君カラ、此附帶決議ニ關スル希
望ノ趣旨ヲ徹底的ニ御述ニナリマシタ、又
社會民衆黨ノ加藤君カラ······(「社會大衆黨
ヂヤワ、社會民衆黨ナドアルマイゼ」ト呼
フ者アリ)社會大衆黨デアリマス、訂正シ
テ置キマス(「其通リ」ト呼フ者アリ)重要鑛
物增產法案ニ對シテ希望トシテ述ベラレタ
點ハ、重要鑛物ハ之ヲ國策的ノ見地ヨリ開
發增產スルト共ニ、特ニ鐵、石炭ニ付テハ、
國營又ハ國家管理ニ依ル豐富低廉ナル供
給ヲ確保サス方針ニ關スル法律案ヲ次期ノ
議會ニ提案セラレタイ、又今後鑛山監督行
政ヲ嚴正ニシ、且ツ各般ノ鑛山災害竝ニ鑛
毒物ニ因ル農產物、水產物被害ニ對スル十
分ナル賠償ヲセラレルヤウニ善處セラレタ
イ、商工省ハ大藏省ト協力シテ、勞働力ノ
保護增進ノ見地カラ、保護職工ニ關スル旣存
法規ヲ遵守セシムルヤウ善處セラレタイ、
本法ノ目的達成ノ爲ニハ、重要鑛物ノ配給
ヲ圓滑ナラシムル必要アリ、仍テ政府ハ種々
ノ公益法規ヲ活用シテ、一部大鑛業者ノ
不當ナル價格吊上ヲ是正シ、且ツ石炭ノ如
キハ、速ニ內地移入增加ニ依ッテ滿支資源ノ
開發ヲ促進セラレタイ、政府ハ鑛業權國有
化ノ原則ヲ確定シテ、是等ニ關スル法案ヲ
次囘ニ提案セラレタイト云フヤウナ希望ヲ
述ベテ原案ニ贊成セラレマシク、最後ニ附
帶決議ヲ朗讀サセテ戴キマス
重要鑛物增產法案ニ對スル附帶
決議
一從來ノ買鑛ニ當リ弊害頗ル多キヲ以
テ政府ハ之カ監督ヲ嚴重ニスヘシ
-政府ハ本法ヲ活用シ睡眠鑛區ノ開發
ニ努力スヘシ
一低品位ノ金鑛石ヲ處理スルニハ現在
ノ價格ニテハ增產ノ見込少キヲ以テ政
府ハ相當額ノ補助金ヲ交付スヘシ
日本產金振興株式會社法案ニ對
スル附帶決議
日本產金振興株式會社ノ設立ニ當リ
役員ノ選任ニ對シテハ監督官廳ノ官吏
ヲ選任スヘカラス
日本產金振興株式會社ノ事業開始後
ノ融資ニ關シテハ成ヘク一般ノ鑛業者
ノ便宜ヲ圖ルヘシ
一日本產金振興株式會社ノ事業開始後
ニ於テ製鍊場竝ニ選鑛場ノ設置ニ關シ
テハ中小鑛業ノ開發ニ適當ナル場所ヲ
選ヒ成ヘク多數設置スヘシ
採決ノ結果ハ、以上ノ附帶決議ヲ附シテ原
案ヲ滿場一致デ可決セラレマシタ、此段御
報〓申上ゲマス(拍手)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/6
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007・小山松壽
○議長(小山松壽君) 兩案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/7
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008・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ兩案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/8
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009・服部崎市
○服部崎市君 直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長ノ報〓ノ
通リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/9
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010・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/10
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011・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
重要鑛物增產法案第二讀會(確定議)
日本產金振興株式會社法案
第二讀會(確定議)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/11
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012・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、兩案トモ委員
長報告通リ可決確定致シマシタ(拍手)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/12
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013・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此際日程第二ヲ繰上ゲ
上程シ、其審議ヲ進メラレンコトヲ望ミマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/13
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014・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/14
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015・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ノ順序ハ變更セラレマシタ、
日程第二、商業組合法中改正法律案、第
讀會ヲ開キマス-吉野商工大臣
第二商業組合法中改正法律案(政府
提出、貴族院送付)第一讀會
商業組合法中改正法律案
商業組合法中左ノ通改正ス
第三條第二項中「資金ノ貸付」ノ下ニ「、組
合員ノ爲ニスル其ノ營業上ノ債務ノ保證」
アノタリ
第三條ノ二商業組合ハ命令ノ定ムル所
ニ依リ行政官廳ノ許可ヲ受ケ其ノ組合
員ノ取扱商品ニ付商品劵ヲ發行スルコ
トヲ得
第三條ノ三商業組合商品劵ヲ發行シタ
ルトキハ組合員ハ之ニ對シ其ノ取扱商
品ニ付引換ノ義務ヲ負フ
第三條ノ四商業組合商品劵ヲ發行シタ
ル場合ニ於テ其ノ組合員商品劵ノ引換
ヲ爲スコト能ハザルトキ又ハ其ノ引換
ヲ停止シタルトキハ其ノ商業組合ハ商
品劵ノ所有者ニ對シ劵面ニ表示シタル
金額ヲ限度トシテ辨濟ノ責ヲ負フ
第三條ノ五商品劵ヲ發行シタル商業組
合自ラ商品ヲ販賣スル場合ニ於テハ前三
條中組合員トアルハ組合及組合員トス
第三條ノ六保管事業ヲ行フ商業組合ハ
行政官廳ノ許可ヲ受ケ組合員ノ寄託物
ニ付倉荷證劵ヲ發行スルコトヲ得
前項ノ許可ヲ受ケタル商業組合ハ組合
員タル寄託者ノ請求ニ因リ寄託物ノ倉
荷證劵ヲ交付スルコトヲ要ス
商法第三百八十三條ノ二第二項及第三
百八十三條ノ三ノ規定ハ第一項ノ倉荷
證劵ニ之ヲ準用ス
第三條ノ七前條第一項ノ許可ヲ受ケタ
ル商業組合ノ作成スル倉荷證劵ニハ商
業組合倉庫證劵ナル文字ヲ記載スルコ
トヲ要ス
商業組合ニ非ザル者ノ作成スル預證劵
及質入證劵又ハ倉荷證劵ニハ商業組合
倉庫證劵ナル文字ヲ記載スルコトヲ得
ズ
第三條ノ八商業組合倉庫證劵ノ發行ア
リタル寄託物ノ保管期間ハ寄託ノ日ヨ
リ六月以內トス
前項ノ寄託物ノ保管期間ハ六月ヲ限度
トシ之ヲ更新スルコトヲ得但シ更新ノ
際ニ於ケル證劵ノ所持人組合員ニ非ザ
ルトキハ組合員ノ利用ニ支障ナキ場合
一九九
第三條ノ九商法第三百七十五條乃至第
三百七十八條及第三百八十一條乃至第
三百八十三條ノ規定ハ商業組合ガ商業
組合倉庫證劵ヲ發行シタル場合ニ之ヲ
準用ス
第五條中「ノ一部」ヲ削ル
第七條中「行フ場合ニ於テハ」ノ下ニ「總
會ノ議決ヲ經テ」ヲ加フ
第七條ノ二商業組合前條ノ規程ニ基キ
販賣價格、販賣數量其ノ他命令ノ定ム
ル事項ニ付決定ヲ爲シタルトキハ遲滯
ナク之ヲ行政官廳ニ屆出ヅベシ
行政官廳必要アリト認ムルトキハ前項
ノ決定ノ變更又ハ取消ヲ爲スコトヲ得
第八條中「又ハ矯正スル爲」ヲ「若ハ矯正
スル爲又ハ商業ノ健全ナル發達ヲ圖ル
爲」ニ改ム
第九條中「又ハ矯正スル爲」ヲ「若ハ矯正
スル爲又ハ商業ノ健全ナル發達ヲ圖ル
爲」ニ改ム
第九條ノ二前條ノ規定ニ依ル命令アリ
タル場合ニ於テ行政官廳取締上必要ア
リト認ムルトキハ當該官吏ヲシテ店舗、
倉庫其ノ他ノ場所ニ臨檢シ物品、帳
簿共ノ他ノ物件ヲ檢査セシムルコトヲ
得
前項ノ場合ニ於テ當該官吏前條ノ規定
ニ依ル命令ニ違反シタル者アリト認ム
ルトキハ被疑者若ハ參考人ヲ尋問シ
又ハ犯罪ノ事實ヲ證明スベキ物件ヲ搜
索シ若ハ之ガ差押ヲ爲スコトヲ得
臨檢、尋問、搜索及差押ニ關シテハ間
接國稅犯則者處分法ヲ準用ス
第九條ノ三第九條ノ規定ニ依ル命令ア
リタル場合ニ於テ特ニ必要アリト認ム
ルトキハ其ノ命令ノ效力ヲ有スル期間
ヲ限リ當該商業組合ノ地區內ニ於テ新
ニ當該商業ヲ營マントスル者ヲシテ命
令ノ定ムル所ニ依リ行政官廳ノ許可ヲ
受ケシムルコトヲ得
第十二條第一項但書中「二以上アルトキ
ハ」ノ下ニ「命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除ク
ノ外」ヲ加フ
第十三條但書中「二以上アルトキハ」ノ下
ニ「命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除クノ外」ヲ
加フ
第十四條第一項但書ヲ削リ同項ノ次ニ左
ノ一項ヲ加フ
前項ノ代理人ハ設立同意者タルコトヲ
要ス但シ法人タル設立同意者ハ其ノ業
務ヲ執行スル役員又ハ支配人ヲ代理人
ト爲スコトヲ得
第十五條ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ第十七條ノ二ノ規定ニ依ル商業組
合ニ在リテハ第七號乃至第九號、第二
十七號ノ二ノ規定ニ依ル商業組合ニ在
リテハ第六號乃至第九號及第十五號ニ
揭ゲタル事項ハ之ヲ記載スルコトヲ要
セズ
第十五條ノ二商業組合ハ設立ノ認可ア
リタル時又ハ第二十七條ノ二第二項ノ規
定ニ依リ定款ノ作成アリタル時成立ス
第十六條商業組合ハ出資ノ第一囘ノ拂
込アリタル後二週間以內ニ各事務所ノ
所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ爲スベシ但
シ第十七條ノ二ノ規定ニ依ル商業組合
又ハ第二十七條ノ二ノ規定ニ依ル商業
組合ニ在リテハ其ノ成立後二週間以內
ニ之ヲ爲スベシ
登記スベキ事項左ノ如シ但シ第十七條
ノ二ノ規定ニ依ル商業組合ニ在リテハ
第三號及第四號ニ揭ゲタル事項竝ニ第
十五條第七號ニ揭ゲタル事項、第二十
七條ノ二ノ規定ニ依ル商業組合ニ在リ
テハ第三號及第四號ニ揭ゲタル事項竝
ニ第十五條第七號及第十五號ニ揭ゲタ
ル事項ハ之ヲ登記スルコトヲ要セズ
-第十五條第一號乃至第三號、第七
號及第十五號ニ揭ゲタル事項
二事務所
三出資ノ總口數及拂込ミタル出資ノ
總額
四第十九條ノ規定ニ依ル商業組合ニ
在リテハ各組合員ノ氏名又ハ名稱、
住所及保證金額
五成立ノ年月日
六理事及監事ノ氏名及住所
前項ニ揭ゲタル事項中ニ變更ヲ生ジタ
ルトキハ其ノ登記ヲ爲スベシ但シ前項
第三號ニ揭ゲタル事項ニ付テハ每事業
年度末日ノ現在ニ依リ事業年度終了後
一月以內ニ登記ヲ爲スコトヲ得
第十七條ノ二第三條第一項第一號及第
二項竝ニ第三條ノ二ノ事業ヲ行ハザル
商業組合ニ在リテハ定款ノ定ムル所ニ
依リ組合員ヲシテ出資ヲ爲サシメザル
モノト爲スコトヲ得
第十七條ノ三行政官廳當該商業ノ統制
ヲ圖ル爲特ニ必要アリト認ムルトキハ
前條ノ規定ニ依ル商業組合ノ地區內ニ
於テ其ノ組合ノ組合員ニ非ズシテ組合
員タル資格ヲ有スル者ニ對シ其ノ組合
ニ加入スベキコトヲ命ズルコトヲ得但
シ其ノ組合ノ組合員數ガ其ノ組合ノ地
區內ニ於テ組合員タル資格ヲ有スル者
ノ數ノ三分ノ二以上ナル場合ニ限ル
前項ノ規定ニ依ル命令アリタルトキハ
其ノ組合ノ地區內ニ於テ組合員タル資
格ヲ有スル者ハ總テ其ノ組合ノ組合員
トス
第一項ノ規定ニ依ル命令アリタル商業
組合ハ合併ヲ爲スコトヲ得ズ
第二十一條第二項及第三項ヲ左ノ如ク改
ム
理事及監事ハ總會ニ於テ組合員又ハ組
合員タル法人ノ業務ヲ執行スル役員ノ
中ヨリ之ヲ選任ス但シ組合設立當時ノ
理事及監事ハ創立總會ニ於テ第十二條
第一項ノ場合ニ在リテハ設立同意者又
ハ設立同意者タル法人ノ業務ヲ執行ス
ル役員ノ中ヨリ、第二十七條ノ三第一
項ノ場合ニ在リテハ組合員タル資格ヲ
有スル者又ハ組合員タル資格ヲ有スル
法人ノ業務ヲ執行スル役員ノ中ヨリ之
ヲ選任スベシ
特別ノ事由アルトキハ理事又ハ監事ハ
前項ニ該當セザル者ヨリ之ヲ選任スル
コトヲ得此ノ場合ニ於ケル選任ハ行政
官廳ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效
力ヲ生ゼズ
第二十一條ノ二第三條第一項第二號ノ
事業ヲ行フ商業組合ニシテ全國ヲ地區
トスルモノ、第九條若ハ第十七條ノ三
第一項ノ規定ニ依ル命令アリタル商業
組合又ハ第二十七條ノ二ノ規定ニ依ル
商業組合ノ理事ノ選任及解任ハ行政官
廳ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力
ヲ生ゼズ
組合ガ前項ノ規定ノ適用ヲ受クルニ至
リタル場合ニ於テ現ニ其ノ職ニ在ル理
事ハ其ノ選任ニ付前項ノ規定ニ依ル認
可ヲ受ケタルモノト看做ス
第一項ニ揭ゲタル組合ノ理事ノ選任ニ
付テハ前條第三項ノ規定ニ依ル認可ヲ
受クルコトヲ要セズ
第二十二條ノ二組合員ハ代理人ヲ以テ
議決權ヲ行フコトヲ得此ノ場合ニ於テ
ハ之ヲ出席ト看做ス
前項ノ代理人ハ組合員タルコトヲ要ス
但シ法人タル組合員ハ其ノ業務ヲ執行
スル役員又ハ支配人ヲ代理人ト爲スコ
トヲ得
代理人ハ代理權ヲ證スル書面ヲ組合ニ
差出スベシ
第二十三條第一項中「ノ一部」ヲ削ル
第二十六條中「又ハ定款」ヲ「、定款又ハ
第七條ノ規程」三菱八
第二十七條第四號ヲ第五號トシ同條第三
號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
四第三條ノ二又ハ第三條ノ六第一項
ノ許可ノ取消
第二十七條ノ二行政官廳當該商業ノ統
制ヲ圖リ國民經濟ノ健全ナル發達ヲ期
スル爲特ニ必要アリト認ムルトキハ命
令ノ定ムル所ニ依リ地區及組合員タル
資格ヲ定メ其ノ地區內ニ於テ組合員ク
ル資格ヲ有スル者ニ對シ商業組合ノ設
立ヲ命ズルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ設立ヲ命ゼラレタル
者行政官廳ノ指定スル期限迄ニ設立ノ
認可ヲ申請セザルトキハ行政官廳ハ定
款ノ作成其ノ他設立ニ關シ必要ナル處
分ヲ爲スコトヲ得
第二十七條ノ三前條第一項ノ規定ニ依
リ商業組合ノ設立ヲ命ゼラレタルトキ
ハ創立總會ヲ開キ定款其ノ他必要ナル
事項ヲ定メ役員ヲ選任シ設立ノ認可ヲ
申請スベシ
前項ノ創立總會ニ於ケル議決及役員ノ
選任ハ出席者ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ
以テ之ヲ爲ス
第二十七條ノ四行政官廳第二十七條ノ
二第二項ノ規定ニ依リ定款ヲ作成シタ
ルトキハ商業組合ノ理事及監事ヲ命ズ
前項ノ理事ハ遲滯ナク總會ヲ招集スベ
シ
前項ノ總會ニ於テハ組合設立當時ノ經
費ノ收支豫算及分賦收入方法ヲ議決ス
ベシ
第二十三條第二項ノ規定ハ前項ノ議決
ニ之ヲ準用ス
第二十七條ノ五第二十七條ノ二ノ規定
ニ依ル商業組合ハ第三條第一項第一號
及第二項竝ニ第三條ノ二ノ事業ヲ行フ
コトヲ得ズ
第二十七條ノ六第二十七條ノ二ノ規定
ニ依ル商業組合成立シタルトキハ其ノ
組合ノ地區內ニ於テ組合員タル資格ヲ
有スル者ハ其ノ組合ノ組合員トス
第二十七條ノ七第二十七條ノ二ノ規定
ニ依ル商業組合ハ其ノ組合員ヲシテ出
資ヲ爲サシムルコトヲ得ズ
第二十七條ノ八第二十七條ノ二ノ規定
ニ依ル商業組合ハ合併ヲ爲スコトヲ得
ズ
第二十九條中「設立セントスルトキ」ノ下
ニ「又ハ第三十二條ノ規定ニ依リ準用シ
タル第二十七條ノ二ノ規定ニ依リ其ノ設
立ヲ命ゼラレタルトキ」ヲ加フ
第三十條ニ左ノ一項ヲ加フ
前二項ノ規定ハ第三十二條ノ規定ニ依
リ準用シタル第二十七條ノ二ノ規定ニ
依ル商業組合聯合會ニ付テハ之ヲ適用
セズ
第三十一條第二項中「受クベシ」ヲ「受ク
ルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ」ニ改
ム
第三十二條中「商業組合ニ關スル規定ハ」
ノ·トニ「第三條ノ二乃至第三條ノ五、第
九條ノ三及」ヲ加ヘ同條但書ヲ左ノ如ク
改ム
但シ第三條、第三條ノ六及第三條ノ八
中組合員トアルハ所屬ノ組合、聯合會
及組合員トシ第二十一條ノ二中全國ト
アルハ道府縣ノ區域ヲ超ユル區域トス
第三十三條第二項中「、總會又ハ創立委員
會ノ決議錄」ヲ「又ハ總會ノ決議錄ノ謄
本、組合ノ設立アリタルコトヲ證スル書
面」ニ改メ同項ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ第二十七條ノ二ノ規定ニ依ル商業
組合ニシテ行政官廳ノ處分ニ因リテ成
立シタルモノニ在リテハ創立總會又ハ
總會ノ決議錄ノ謄本、出資ノ總口數ヲ
證スル書面及出資ノ第一囘ノ拂込アリ
タルコトヲ證スル書面、第二十七條ノ
二ノ規定ニ依ル商業組合ニシテ行政官
廳ノ處分ニ因ラズシテ成立シタルモノ
又ハ第十七條ノ二ノ規定ニ依ル商業組
合ニ在リテハ出資ノ總口數ヲ證スル書
面及出資ノ第一囘ノ拂込アリタルコト
ヲ證スル書面ハ之ヲ添附スルコトヲ要
セズ
第三十七條中「第三十五條乃至第三十七
條」ヲ「第三十五條、第三十六條」三枚六.
「第百四條ノ規定」ノ下ニ「(第十七條ノ二
ノ規定ニ依ル商業組合ニシテ第十七條ノ
三第一項ノ規定ニ依ル命令アリタルモノ
ニ付テハ產業組合法第十條、第十一條第
一貫、第十二條、第十八條乃至第二十二
條第四十條乃至第四十三條、第四十四
條第二項、第四十五條、第四十六條、第
四十八條、第五十一條第三號乃至第五
號第五十二條乃至第五十八條、第六十
二條第一項第三號、第六十三條ノ二、第
六十四條、第六十六條第一項、第六十七
條、第六十八條及第七十七條第三項ノ規
定ヲ、其ノ他ノモノニ付テハ產業組合法
第十一條第一項、第十二條、第十八條乃至
第二十二條、第四十條乃至第四十三條、第
四十四條第二項、第四十五條、第四十六
條、第四十八條、第五十三條乃至第五十
八條、第六十二條第二項但書、第六十
八條及第七十七條第三項ノ規定ヲ、第二
十七條ノ二ノ規定ニ依ル商業組合ニ付テ
ハ產業組合法第十條、第十一條第一項、
第十二條、第十八條乃至第二十一一條、
第四十條乃至第四十三條、第四十四條
第二項、第四十五條、第四十六條、第
四十八條、第五十一條第三號乃至第五
號第五十二條乃至第五十八條、第六十
二條第一項第一號第三號、第六十三條ノ
ニ、第六十四條、第六十六條第一項、第
六十七條、第六十八條及第七十七條第三
項ノ規定ヲ除ク)」ヲ加フ
第三十七條ノ二左ノ場合ニ於テハ商業
組合ノ理事、監事又ハ〓算人ヲ十圓以
上千圓以下ノ過料ニ處ス
一第三條ノ二ノ規定ニ違反シ行政官
廳ノ許可ヲ受ケズシテ又ハ第二十七
條第四號ノ規定ニ依ル處分ニ違反シ
テ商品劵ヲ發行シタルトキ
二第三條ノ六ノ規定ニ違反シ行政官
廳ノ許可ヲ受ケズシテ又ハ第二十七
條第四號ノ規定ニ依ル處分ニ違反シ
テ商業組合倉庫證劵ヲ發行シタルト
キ
第三十八條第三號ヲ第四號トシ以下順次
繰下ゲ同條第二號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
三本法ニ依ル屆出ヲ爲スコトヲ怠リ
又ハ不正ノ屆出ヲ爲シタルトキ
第三十九條中「第四條第一一項」ノ下ニ「(第
三十二條ノ規定ニ依リ準用スル場合ヲ含
ム)」ヲ加フ
第四十條中「前二條」ヲ「前三條」ニ改ム
第四十一條左ノ各號ノ一ニ該當スル者
ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
一第九條ノ規定(第三十二條ノ規定
ニ依リ準用スル場合ヲ含ム)二九八
行政官廳ノ命令ニ違反シタル者
二第九條ノ三ノ規定ニ依ル行政官廳
ノ命令ニ違反シ許可ヲ受ケズシテ商
業ヲ營ミタル者
商業者ハ其ノ代理人、戶主、家族、同
居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ營業
ニ關シ前項ノ罪ヲ犯シタルトキハ自己
ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰
ヲ免ルルコトヲ得ズ
第四十二條ノ二正當ノ理由ナクシテ第
九條ノ二ノ規定(第三十二條ノ規定ニ
依リ準用スル場合ヲ含ム)ニ依ル當該
官吏ノ臨檢、檢査、搜索又ハ差押ヲ拒
ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者ハ五百圓以
下ノ罰金ニ處ス
第四十三條中「五百圓」ヲ「千圓」ニ改ム
第四十七條商業組合中央會ハ商業組合
及商業組合聯合會ノ普及、發達及聯絡
ヲ圖ル目的ヲ以テ之ヲ設立スルコト
ヲ得
商業組合中央會ハ法人トス
第四十八條商業組合中央會ハ其ノ名稱
中ニ商業組合中央會ナル文字ヲ用フベ
シ
第四十九條商業組合中央會ハ全國ヲ通
ジテ一箇トシ其ノ設立ハ行政官廳ノ認
可ヲ受クベシ
商業組合中央會ノ設立ニ關シ必要ナル
事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五十條商業組合及商業組合聯合會ハ
商業組合中央會ノ會員ト爲ルコトヲ得
前項以外ノ者ト雖モ定款ノ定ムル所ニ
依リ商業組合中央會ノ會員ト爲ルコト
ヲ得
第五十一條商業組合中央會ノ定款ニハ
左ノ事項ヲ記載スベシ
一目的
二名稱
三事務所ノ所在地
四會員ノ加入及脫退ニ關スル規定
五會員ノ權利義務ニ關スル規定
六資產ニ關スル規定
七事業及其ノ執行ニ關スル規定
八役員ニ關スル規定
九會議ニ關スル規定
十存立ノ時期又ハ解散ノ事由ヲ定メ
タルトキハ其ノ時期又ハ事由
第五十二條商業組合中央會設立ノ認可
アリタルトキハ主タル事務所ノ所在地
ニ於テ設立ノ登記ヲ爲スベシ
登記スベキ事項左ノ如シ
-前條第一號、第二號及第十號ニ揭
ゲタル事項
二事務所
三資產ノ總額
四設立認可ノ年月日
五理事及監事ノ氏名及住所
前項ニ揭ゲタル事項中ニ變更ヲ生ジタ
ルトキハ其ノ登記ヲ爲スベシ但シ前項
第三號ニ揭ゲタル事項ニ付テハ每事業
年度末日ノ現在ニ依リ事業年度終了後
二月以内ニ登記ヲ爲スコトヲ得
第五十三條商業組合中央會ニハ理事及
監事ヲ置クベシ
第五十四條商業組合中央會ノ理事及監
事ハ總會ニ於テ會員タル商業組合若ハ
商業組合聯合會ノ理事若ハ監事又ハ第
五十條第二項ノ會員ノ中ヨリ之ヲ選任
ス但シ中央會設立當時ノ理事及監事ノ
選任方法ハ勅令ノ定ムル所ニ依ル
第五十五條第四條第二項、第二十條、
第二十二條、第二十四條、第二十六條、
第二十七條及第三十三條乃至第四十條
ノ規定ハ商業組合中央會ニ之ヲ準用ス
但シ第三十七條ノ規定ニ依リ準用シタ
ル非訟事件手續法第百四十一條竝ニ產
業組合法第十一條第一項、第十二條、
第十八條乃至第二十二條、第四十條乃
至第四十六條、第四十八條、第五十一
條乃至第五十八條、第六十三條ノ二、
第六十四條、第六十六條第一項、第六
十七條、第六十八條、第七十七條第三
項及第七十八條ノ規定ヲ除ク
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム、
第二十一條ノ二第一項(第三十二條ノ規
定ニ依リ準用スル場合ヲ含ム)ニ該當ス
ル商業組合又ハ商業組合聯合會ノ理事ニ
シテ本法施行ノ際現ニ其ノ職ニ在ル者ハ
其ノ選任ニ付同條ニ依リ認可ヲ受ケタル
モノト看做ス
登錄稅法第十九條第七號中「商業組合聯
合會、」ノ下ニ「商業組合中央會、」ヲ加
フ
〔國務大臣吉野信次君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/15
-
016・吉野信次
○國務大臣(吉野信次君) 只今議題トナリ
マシタ商業組合法中改正法律案ノ提案理由
ヲ御說明申上ゲマス、我國ノ中小商業者ノ
疲弊困憊ノ由ッテ來ル原因ハ色々アラウト
思ヒマスガ、業者自身ノ經營ノ不合理、業
界ノ無統制ニ因ルコトモ少クナイノデアリ
マシテ、是等ニ基ク諸般ノ弊害ハ、商業組
合制度ノ發達ニ依リマシテ、漸次改善セラ
レツヽアルノデアリマス、併ナガラ現行制
度ハ尙ホ其事業活動ノ範圍竝ニ統制確保ノ
方法ニ付キマシテ、遺憾ノ點ガ少クナイノ
デアリマシテ、是ガ整備ヲ圖ル必要ガアリ
マス、殊ニ第七十一議會ニ於キマシテ、ソ
レゾレ御協贊ヲ經マシテ、貿易組合法ヲ制
定シ、工業組合法ヲ改正シ、以テ貿易統制
ノ確立ト、之ニ對應スル關係工業者方面ノ
統制確保ヲ圖ッタノデアリマス、ソコデ右ニ
關聯致シマシテ、配給業者タル商業者ノ方
面ニ於キマシテモ、綜合的ノ統制ヲ圖ルニ
適當ナル組織ヲ必要ト致スノデアリマス、
仍テ此際商業組合法中一部ノ改正ヲ行ヒマ
シテ、右ノ色々ナ事情ニ鑑ミマシテ、商業
組合ノ事業範圍竝ニ其ノ統制機能ヲ擴充致
シマスト共ニ、統制確保ノ方法ヲ講ジ、之
ニ伴ッテ商業組合ニ對スル〓血督規定ヲ補充
致シマス外、商業組合ノ中樞的指導機關デ
アリマスル商業組合中央會ノ制度ヲ法制上
認メル等、商業組合制度ヲ整備致シタイト
存ズルノデアリマス、何卒十分御審議ノ上
御協賛ヲ與ヘラレンコトヲ希望致シマス
(拍手)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/16
-
017・小山松壽
○議長(小山松壽君) 質疑ノ通〓ガアリマ
ス、順次之ヲ許シマス-原玉重君
〔原玉重君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/17
-
018・原玉重
○原玉重君 只今上程サレマシタ商業組合
法中改正法律案ニ付キマシテ、二三ノ項目
ニ亙ッテ商工大臣ニ御尋致シタイト存ジマ
ス、最近特ニ電力國家管理案等ノ上程セラ
レマスルニ從ッテ、事業ヲ爲シ、或ハ資本家
トモ謂ハルヽ方ノ向キニ於テ、斯ノ如キ事
情デハ一體將來ドウナルデアラウカ、此電力
國家管理案ヲ目シテ自由經濟ノ最後ノ防
波堤ナリトシ、其一角ノ崩ルヽ場合ニ於テ
ハ、一體何處マデ此國家管理ノ手、又ハ統制
ナドノ手ガ伸ビルノデアラウカ、中ニハ斯ノ
如キ狀態デハ、我國ハ當ニ社會主義ノ國家ト
相成ルモノデハナイカナドト、頗ル憂慮ヲシ
テ居ル向キモアルノデアリマス、又最近或ハ輸
入統制ヲセラレ、其他事業ノ統制ヲ加ヘラ
レルニ付キマシテハ、諸物價ハ騰貴スル、中ニ
ハ日常必需品マデモ購入スルコトガ、頗ル困
難ナ狀態ニ相成リマシタノデ、一般大衆ト
致シマシテモ、將來日本ノ經濟政策ガドンナ
ニ行ハレルノデアラウカ、吾々ノ生活ノ安
定ガ果シテ得ラレルデアラウカト憂慮スル
向キモアルノデアリマス、私ハ是ニ於テカ
商工大臣ニ於キマシテ、此現在ノ狀態ニ於
テ、經濟政策ヲ一體ドウ行ッテ行カウト
セラレルノデアルカ、行ハレル所ノ經濟政
策ノ根本方針ヲ、此處ニ於テ丁寧親切ニ國
民ニ向ッテ發表セラレテ、以テ總テノ疑心暗
鬼ヲ除イテ戴キタイト思フ次第デアリマス
先般ノ當議場ニ於キマシテモ、自由主義ヲ
飽迄モ守ルノダト云フコトヲ、言明シタラ
宜イダラウト云フヤウナ說ヲ言ハレル人モ
アリマシタガ、果シテ此自由主義ヲ飽迄モ
守ルベキデアルカドウカ、共產主義ヤ社會
主義ノ宜シクナイコトハ別ト致シマシテ
モ、此自由主義、自由經濟ヲ何處マデドウ
云フ程度ニ守ッテ行クノカ、ソレトモドウ云
フ點ニ於テ宜シクナイ點ガアルカラ、之ヲ
如何ナル方法デ如何ナル程度ニ是正シヨウ
トスルノデアルカ、所謂全體主義ナドト言
ハレテ居ル向キモアリマスルガ、此全體主
義ニ依ッテ將來經濟政策ヲ行ッテ行カント欲
スルノデアルカ、此點ニ付テノ經濟政策ノ
根本方針ニ付テ、至極丁寧親切ニ、速記錄
ヲ一讀致シマシタナラバ、國民ノ何人ニモ
了解出來マスルヤウナ、商工大臣ノ御說明
ヲ御願致シタイト思フ次第デアリマス(拍
手)
第二ニハ、之ニ關聯シテ組合ニ關スル政
策デアリマス、私ハ此前ノ議會ニ於テモ申
述ベタコトガアルト思ヒマスルガ、大體日
本ノ現在ノ組合ニ對スル法規ト云フモノ
ハ、殆ド目茶苦茶デアル、或人曰ク、現在
ノ農林省、商工省ナドニ於ケル此組合ニ對
スル觀念ハ、所謂膏藥貼リデアル、其日暮
シデアル、ドウ云フ方針ヲ以テ、此組合ニ
關スル制度ヲ運用シテ行カウトスルノデア
ルカト云フヤウナ風ニ言フ向キモアリマス
ルガ、政府ハ此際或ハ產業組合、或ハ輸入
組合、商業組合、工業組合、重要物產同業
組合、是等總テノ組合ニ通ズル根本ノ精神
ヲ立直シテ、オ互ニ摩擦相剋ノナイヤウナ
工合ニ、根本的ニ法規ノ改正ヲ行フ御用意
ナキヤ、是等組合ニ對スル政策ノ指導精神
ヲ御持チデアリマシタナラバ、此處ニ於テ
發表シテ戴キタイシ、若シ左樣ナ指導精神
ガナイト致シマシタナラバ、是カラ直チニ
此方面ニ向ッテ指導精神ヲ御作リニナッテ、
一貫セル所ノ組合政策ヲオヤリニナル御考
ガナイカドウカ、之ヲ御尋致シタイト思フ
次第デアリマス(拍手)
第三ハ重要物產同業組合法ニ付テデアリ
マスルガ、先程御答辯ヲ御願致シマシタ現
在ノ經濟政策ヲ、如何ヤウナ指導精神ヲ以
テヤルカト云フコトニ付キマシテ、自由經
濟ヲ相當是正スルトカ、全體主義的ニヤツ
テ行カウトカ云フヤウナ御方針デアリマシ
タナラバ此重要物產同業組合法ヲ御利用ナ
サルコトガ、一番適當デハナイカト思フノ
デアリマス、重要物產同業組合法ハ三十有餘
年ノ歷史ヲ持ッテ居ル、何百万人ノ組合員ヲ
持ッテ居ル、殆ド之ニ關聯スル職業ヲ營ム總テ
ノ國民ガ組合ニ加入シテ居ルノデアリマシ
テ、十分今迄ニ經驗モ積ンデ居リマス、是
ニ於テカ此組合法ニハ勿論相當イケナイ所
モアリマセウカラ、法規ヲ改正致シマシテ、
之ヲ十分活動致サセマシタナラバ、只今ノ
經濟政策ノ是正ト云フヤウナ點ニ付キマシ
テ、相當ナ働キヲ爲スコトガ出來ルノデア
リマセウシ、又他ノ組合ハソレ〓〓ニ特徵
ガアルト致シマシテモ、斯樣ナ意味ニ於キ
マシテ、將來ノ日本ノ經濟政策ヲ行フ上ニ
於テハ、將ニ此重要物產同業組合法ノ根本
精神ニ立歸ッテ、幾分ノ改正ヲ致シマスト致
シマシテモ、此組合ヲ利用スル所ニ於テ、
始メテ全體主義的ナ、或ハ自由主義的ナ經
濟ヲ相當是正スルコトノ出來ル、理想的ノ
經濟機構ガ出來上ルノデハナイカト思フノ
デアリマス、卽チ重要物產同業組合法ヲ改
正爲サル御意思ハナイカ、之ニ土臺ヲ置イ
テ我國ノ經濟機構ノ改革ヲ御計畫ニナル御
意思ハナイカドウカヲ御伺致シタイト思ヒ
マス
第四ニ、只今上程ニナリマシタ商業組合
法ノ改正ハ、組合員ニ全然出資ヲセナクテ
モ宜イトカ、又ハ統制ヲ爲サシムルトカ、
或ハ强制加入權モ與ヘルト云フヤウナ點
デ、殆ド重要物產同業組合ト何等變ハルコ
トノナイモノヲ、玆ニ御作リニナルヤウナ
風ニ見エルノデアリマス、卽チ商業組合ト
カ輸出組合トカ云フ方ハ營利ヲ目的トシ
テ、自分ノ共同施設ニ付テ各種ノ事業ヲ爲
スト云フ方面ニ於テハ、成程必要デアラウ
ト思ヒマスルカラ、其方面ニ向ッテ益〓組合ノ
威力ヲ發揮スルヤウナ風ニ改正爲サルコト
ハ適當デアラウト思ヒマス、自分ノ組合內
ノ統制ヲ圖ルトカ、製品ノ檢査ヲ爲ストカ
云フヤウナ方面ニ付キマシテハ、重要物產
同業組合法ト云フモノガアリマスルカラ、
此方面ニ一切ヲ任セテ、之ニ依ッテヤッテ行
クノガ一番適當デハナイカト思フノデアリ
マス、商業組合、工業組合ハ主トシテ營利
方面ニ向ッテドン〓〓發展セシメル、同業組
合ノ方ニハ檢査トカ統制トカ云フヤウナコ
トヲヤラセルト云フ工合ニシタ方ガ宜イト
考ヘマスルガ、現在ノ改正ノ案ト致シマシ
テハ、ドチラガドウカ分ラナイヤウナ工合
ニ、同ジヤウナモノヲ玆ニ作ッテシマハウト
爲サルヤウナ風ニ見エルノデアリマス、重
要物產同業組合ノ方ハ、モウ三十何年ノ歷
史ヲ持ッテ居ル、俗ニ一般ノ人ガ言ッテ居ル
ノニハ、重要物產同業組合ニ對シテハ、先
妻ノ子供ミタヤウニ、一向何等ノ考慮ヲ拂
ハレナイ、最近出來タ後妻ノ若イ方ノ、自
分ノ手デ作ッタ商業組合、工業組合ニ付テ
ハ、色々ニ助成ヲシ、法律ヲ改正シ、其發
達ヲ期セラレルヤウナ風ニセラレル(拍手)
ト云フヤウナ非難ヲ爲ス人モアリマスルガ、
何等ノ理由ノナイ改正ヲシテ、サウシテ同
業組合法ト同ジヤウナモノヲ作ラウト爲サ
ル場合ニ於テハ、斯樣ナ風ニ一ツノ感情ニ
依り、或ハ自分ノ方ノ手デ作ッタ組合デア
リマスカラ、成ベク發達サセテヤラウト云
フヤウナ風ノ感情的ノ御考ダケデ、ドン〓〓
オヤリニナルト云フョリ外ニ、何等理由ガ
ナイヤウニ見受ケザルヲ得ナイノデアリマ
ス、詰リ左様ナ意味ニ於テ、折角同業組合
ガアルノニ、此商業組合ヤ工業組合ヲ改正
シナクテハナラナイ根本ノ理由ヲ、御說明
願ヒタイト思フノデアリマス
第五ト致シマシテハ、只今上程ニナリマ
シタ商業組合法ノ第十七條ノ三トカ、二十
七條ノ二トカ云フヤウナ改正ガ行ハレマシ
テ、强制加入ヲ許サレルトカ、或ハ新シイ
組合ノ設立ヲ命ゼラレルトカ云フヤウナ工
合ニ相成ルノデアリマスルガ、此條文ノ適
用如何ニ依リマシテ、今迄現ニアル同業組
合ノ其地域內ニ、ドシ〓〓ト强制加入ヲ必
要トスル商業組合ガ設立セラレ、或ハ左樣
ナ政府ノ命令ガ出サレルト云フコトニ相成
リマスレバ、必ズヤソコニ種々ノ摩擦相剋
ガ起ルニ違ヒナイト思フノデアリマス、現
ニ昨年改正サレマシタ工業組合法ナドニ付
キマシテモ、相當摩擦相剋ヲ生ジテ居ル、
或ハ二重三重ノ負擔ヲ命ゼラレテ、組合員
ノ迷惑ヲ蒙ッテ居ル方モ現實ニアルノデア
リマス、商業組合ガ斯樣ナ點ニ於テ改正セ
ラレマシテ、同業組合ガアル地域ニドンド
ンタ此十七條ノ三ヤ二十七條ノ二ガ適用
セラレルヤウナ場合ニ於キマシテハ、必ズ
相剋摩擦ヲ生ズルコトデアラウト思ヒマス
ガ、是等ノ適用ニ付テ何等カ政府ニ於テハ
御考ガアリマスルカ、如何ナル範圍、如何
ナル制限ノ下ニオヤリニナラウトセラレル
デアルカ、ソレヲ併セテ御說明ヲ願ヒタイ
ト考ヘル次第デアリマス
以上五項ニ對シテ簡單ナ質問ヲ致シマシ
タガ、御答辯ハドウカ十分丁寧親切ニ、私
ノ方ノ大體ノ意ノアル所ヲ酌取ッテ、詳細ニ
一ツ御願致シタイト思ヒマス(拍手)
〔國務大臣吉野信次君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/18
-
019・吉野信次
○國務大臣(吉野信次君) 只今ノ御質問ニ
御答致シマス、第一ノ點ハ經濟政策ノ根本
ニ關スル御尋デゴザイマスルガ、私ハヤハ
リ民間當業者ノ自由活潑ナル發意ニ基クト
云フコトガ、產業經濟ヲ發達セシムル上ニ
於キマシテ、最モ效果ガアルト云フコトヲ
平素固ク信ジテ居ル者デアリマス、隨ヒマ
シテ所謂經濟上ノ自由主義ト云フモノニ對
シマシテハ、多分ノ眞理ヲ含ンデ居ル、又
現在ノ產業經濟ハ之ニ依ッテ今日ノ發達ヲ
來シタノデアリ、又將來モ之ニ依ッテ大イニ
發達ヲ來サナケレバナラナイモノダト、斯
ウ云フ信念ヲ持ッテ居ルノデアリマス、唯所
謂自由主義ニハ又自由主義ニ伴フ弊害ア
ルコトハ、是ハ御承知ノ通リデアリマス、
過當ナル競爭ヲスル、過當ナル競爭ノ結果
業界ノ秩序ヲ紊ル、サウ云フヤウナコトニ
付キマシテハ、此弊害匡正ノ爲ニ、ヤハリ
國家ノ權力ガ之ニ介入スルト云フコトモ已
ムヲ得ナイト云フコトハ、詳シク述ブル必
要モナイダラウト存ズルノデアリマス、ソ
レカラ又最近ノ-何ト申シマスカ、事變
下、或ハ最近ノ國際情勢ト申シマスカ、國
防ノ見地カラ國家ノ產業經濟ノ體系ヲ整ヘ
ナケレバナラナイ、斯ウ云フヤウナ見地カ
ラ考ヘマスルト、從來ノ自由主義ト云フモ
ノノ基礎ノ下ニ發達致シマシタ現在ノ產業
經濟ノ體制デハ、國防ノ目的ヲ貫徹スルニ
遺憾デアル、斯ウ云フ點ガ中々少クナイノ
デアリマスカラ、サウ云フ見地ニ於キマシ
テ、サウ云フ角地カラ此經濟上ノ自由主義
ニ對シマシテ、國防ニ非常ニ緣ノ深イ重要
ナル產業ニ付キマシテハ、ヤハリ又國家ガ
之ニ介入シ、或ハ干渉シ、或ハ管理スル、
サウ云フヤウナ方面ノ必要モ段々生ジテ參
ルダラウト思フノデアリマス、要スルニ國
家ノ統制ト云フコトト經濟上ノ自由主義ト
云フコトハ、私ハ其間ニ調節ハ付ク、又調
節ヲ付カシテ我國ノ產業經濟ノ發達ヲ圖ラ
ナケレバナラナイ、斯樣ニ考ヘテ居ルノデ
アリマス
第二ノ御尋ハ組合ノコトデゴザイマシタ
ガ、御話ノ通リ組合ハ產業組合ガアリ、商
業組合ガアリ、工業組合ガアリ、同業組合
ガアル、色々複雜デゴザイマス、併ナガラ
一貫シタル其指導精神ト申シマスカ方針
ハ、要スルニ此社會ノ中產階級ト云フモノ
ノ維持發展、是ガ一貫シタル方針デゴザイ
マス、唯部分的ニ、仰セニモナリマシタ通
リニ、組合ノ間ノ相剋ト申シマスカ、色々
ナ目先ノ利害ノ衝突ト云フコトモアルヤウ
デアリマスルカラ、此點ニ付キマシテハ十
分連絡協調ヲ取ルコトニ努メタイト思ヒマ
スルシ、又組合法制ガ少シク複雜ニ過ギル
ト云フ點モ、當局ニ於テモ考ヘテ居リマス
ルカラ、是ハ成ベク組合法制ト云フモノモ
簡單ニ整理致シタイ、斯樣ニ考ヘテ居リマ
ス
第三ニ同業組合ニ關スル御所見ガゴザイ
マシタガ、私共ト致シマシテモ同業組合
ト云フモノノ本質、又機能、又今日マデノ
日本ノ經濟ノ發達ニ盡シマシタ功績ニ付キ
マシテハ、十分認識ヲシテ居ル積リデゴザイ
マス、唯時勢ノ進運ニ伴ヒマシテ、現在ノ
同業組合ノ制度ハ、御承知ノ通リニ非常ニ
舊イノデアリマシテ、今日ノ時勢ノ進運ニ
副ハナイ憾ヲ持ッテ居ル點モゴザイマスル
カラ、此點ハ十分ニ將來ノ立法改正ノ問題
トシテ考慮ヲ致シタイト考ヘテ居リマス、
其節ニ御示ニナリマシタヤウナ點モ十分考
慮ニ入レタイト考ヘテ居リマス、決シテ當
局ト致シマシテハ同業組合ト云フモノヲ輕
視スル、新シク作ッタ組合ダケニ對シテ、故ラ
ニ保護助成ノ方法ヲ用ヒルト云フヤウナ考
ハナイノデアリマス、而シテ今度ノ改正案
ノ商業組合ト同業組合トノ統制ノ御尋ニ付
キマシテハ、御話ノ通リニ統制本位ノ商業
組合ニナリマスト、同業組合ト餘程近イモ
ノニナッテ參リマス、唯從來ノ同業組合ト云
フモノハ、立法ノ精神、規定、或ハ沿革上、
弊害矯正ト云フ消極的ノコトニ限ラレテ居
ルノデアリマシテ、今度ノ統制ハ全國的ニ
亙ッテ物ノ配給ヲスルト云フヤウナ積極的
ノコトヲ爲サナケレバナラヌノデアリマス
ルカラ、サウ云フ仕事ヲヤリマスル爲ニハ、
現在ノ制度ノ下ニ於キマシテハ、同業組合
制度ヨリモ、統制本位ノ商業組合ヲ認メル
方ガ適切デアル、斯樣ニ考ヘマシタ次第デ
ゴザイマス、而シテサウ云フ譯デアリマス
ルカラ、統制的ノ商業組合ヲ作リマス場合
ハ、全國ヲ區域トスルト云フヤウナコト
ガ多イノデアリマス、隨ヒマシテ御心配ニ
ナッタヤウナ數條ノ規定ニ依ッテ、同業組合
トノ間ニ摩擦ヲ生ズルト云フヤウナコトハ
アリマセヌヤウニ極力注意致シテ之ヲ避ケ
マシテ、此法律ヲ運用致シタイト考ヘマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/19
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020・小山松壽
○議長(小山松壽君) 北勝太郞君
〔北勝太郞君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/20
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021・北勝太郎
○北勝太郞君 商業組合法ノ改正ニ當リマ
シテ政府ハ產業組合ヲ其統制下ニ置カレル
ト云フヤウナ御考ハ、從來ノ經緯カラ見マ
シテ萬々ナカラウト信ズルノデアリマス
ガ、法案第十七條ノ三ノ一項ニ「商業組合ノ
地區內ニ於テ其ノ組合ノ組合員ニ非ズシテ
組合員タル資格ヲ有スル者ニ對シ其ノ組合
ニ加入スベキコトヲ命ズルコトヲ得」又其第
二項ニハ「前項ノ規定ニ依ル命令アリタル
トキハ其ノ組合ノ地區內ニ於テ組合員タル
資格ヲ有スル者ハ總テ其ノ組合ノ組合員ト
ス」トアルノデアリマス、此條項ニ依リマ
スルト、產業組合モ加入シナケレバナラヌ
ノデナイカト云フヤウナ疑ガ生ズルノデア
リマスカラ、特ニ念ノ爲ニ質疑ヲ致シマシ
テ、之ヲ明ニシテ置キタイト存ズルノデア
リマス、產業組合ト商業組合トハ互ニ相提
携シテ行クコトハ好マシイコトデアリマス
ルガ、併シ是ハ何レノ場合ニ於キマシテ
干、飽迄モ對等ノ位置ニ立チ、自由ノ立場
ニ於テ爲サレナケレバナラヌノデアリマ
ス、御承知ノ如ク同一地區內ニ於ケル商業
組合ト產業組合トハ、常ニ利害相反ノ關係
ニ立ツ性質ノモノデアリマスルガ故ニ、萬
一ニモ本法ニ依リマシテ產業組合ヲ商業組
合ノ統制下ニ服セシムルヤウナコトガアッテ
ハ、產業組合ハ爲ニ其事業ノ遂行ガ不可能
ノ結果ニ陷ルコトハ、火ヲ睹ルヨリ明カナ
ノデアリマス、一寸考ヘルトソンナコトハ
無ササウニ考ヘラレルデアリマセウガ、產
業組合ハ其構成スル組合員ハ頗ル數ガ多イ
ノデアリマスルノニ拘ラズ、タッタ一ツノ機
關ニ統一サレテ居ルノデアリマスルガ爲
ニ、唯一人ノ業者ト同一ニ取扱ハレルノデ
アリマス、之ニ反シマシテ商業組合ノ側ノ
業者ト云フモノハ、常ニ比較ニナラヌ程數
ガ多イノデアリマス、隨テ此形態ニ於テ前
ニ申述ベマシタヤウナ利害相反ノ事項ヲ取
扱ハセマスルナラバ、產業組合ノ立場ト云
フモノハ、恰モ彼ノ國際聯盟ニ於ケル日本
ノ立場ト同ジ運命ニ立至ルノデアリマス、
デアリマスルカラコンナ所デ公正ナコトガ
出來ヤウ筈ガナイト云フコトハ、何人モ肯
定セラルヽコトデアラウト思フノデアリマ
ス、卽チ其處デハ產業組合ノ主張ガ假令如
何ニ公正ナ事柄デアッテモ常ニ取上ゲラレ
ナイ、又是ガ通ラナイノデアリマス、隨テ
其處デ議決サレル所ノ割當數量ニハ當然服
從ガ出來ナイデアリマセウ、又價格ノ點ニ
付キマシテモ、商人側ノ營利的採算主義ノ
價格ト、產業組合ノ非營利的ノ配給價格ト
ニハ、根本的ニ相違點ガアルノデアリマス、
本質的ニ之ニ服從スルコトガ出來ナイト云
フコトモ、是亦必然ノ結果トシテ起ルノデ
アリマス、產業組合ガ斯ウ云フ所デ其事業
上ノ生命トモ言フベキ割當數量ノ決定ヤ、
價格ノ統制ヲ受クルナラバ、其結果ヤ知ル
ベキモノガアルト思ヒマス、產業組合ハ
之ニ依ッテ事業ノ制限ヲ受ケ、運營ノ機能ヲ
妨ゲラレ、遂ニ破滅ノ一途ヲ迪ルヨリ外ナ
キコトニナルノデアリマス、卽チ斯ノ如ク
本質的ニ利害ノ相反スル所ノ此氷炭相容レ
ザルモノヲ一〓クタニ取扱フト云フコト
ハ、ソレ自體ガ旣ニ大キナ誤リデアリ、非
常ニ無理ガアルノデアリマス、故ニ產業組
合ハ斷ジテ商業組合ノ統制下ニ入レルベキ
筋合ノモノデナイト思フノデアリマスガ、
ソコデ私ハ御尋致シタイコトハ、從來ヨリ產
業組合ハ商業組合ノ範圍ヨリ全ク別ナモノ
トシテ承知シテ居ッタノデアリマスガ、本改
正法案ニ於キマシテモ同樣ニ考ヘテ宜シイ
カドウカ、此點ヲ當局カラ明瞭ナル御說明
ヲ承ッテ置キタイノデアリマス、而シテ產業
組合ヲ商業組合ノ統制下ニ置カヌト云フノ
デアリマスナラバ、曾テ本問題ニ對シマシ
テ商工省ガ農林省トノ間ニ約束セラレマシ
タヤウニ勅令ヲ出サレルカ、サモナクバ何
等カ別ノ方途ヲ講ジマシテ之ヲ明ニシテ戴
キタイノデアリマス、然ラザレバ中央ニ於
テ縱シンバ斯樣ナコトガ諒解ガ出來テ居リ
マシテモ、動モスルト地方ニ於テハ往々ニ
シテ此考ト副ハナイ、徹底ヲ缺ク場合ガ多
イノデ、既ニ地方デハ此問題ガ現實ニ起ッテ
居ルノデアリマス、卽チ產業組合ハ商業組
合ニ加入セヨ、然ラザレバ割當ヲ爲サズ、
斯ウ云フコトハ屢〓、起ッテ居居ノノデアリマ
ス、速ニ何等カノ方途ヲ講ジテ戴カナケレ
バナラヌノデアリマスガ、之ニ付テ當局ノ
御考ヲ承ッテ置キクイノデアリマス
次ニ現在巷ニ行ハレテ居リマス所ノ物資
ノ買占、或ハ思惑、斯ウ云フヤウナコトニ
依リマシテ、物價ヲ不自然ニ騰貴サセテ、
國民ノ生活ヲ惱シテ居ル此現況ニ於キマシ
テ、時局ガ進メバ進ム程益、、此現象ガ深刻ニミ
ナリマスルコトニ對シマシテ、言換ヘマスト、
此物價騰貴抑制ニ關シマシテ、本改正法案
ハ如何ナル考ヲ織込ンデ居ラレルカ、之ヲ
承リタイ、若シ織込ンデ居ラレヌトスルナ
ラバ、政府ハ此點ニ對シ如何ナル御考ヲ持ッ
テ居ラレルカ、此點ヲ承ッテ置キタイノデア
リマス、又政府ハ營利目的ノ商業組合ヲ主
體トシテ物資ノ配給統制ヲシヨウトシテ居
ラレルヤウニモ受取レルノデアリマスガ、
本改正法案ニ依ッテ物資ノ偏在ヲ矯メテ、公
平ナル分配ヲ爲シ得ルト考ヘラレルノデア
リマスカ、政府ハ今一步進ンデ消費統制ヲ
モ併セ行ハレル所ノ御考ハナイカ、ソコマ
デ行キマセヌト、金ノ有ル者ハ買溜ヲシテ、
餘分ノ物マデモ持ツノデアリマスガ、金ノ
無イ者ハ是非必要ナ物デモ買フコトガ出來
ズニ、跣足デ働カナケレバナラヌト云フヤ
ウナ事態ガ生ジテ來ルノデアリマス、此國
民生活上最モ大切ナ、公平ナル物ノ分配ヲ、
全般的ニ又全國的ニ實際ニドウシテ行ハレ
ル積リデアルカ、以上ノ諸點ニ付キマシテ
詳細ナル御答辯ヲ得タイト思フノデアリマ
ス(拍手)
〔國務大臣吉野信次君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/21
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022・吉野信次
○國務大臣(吉野信次君) 御尋ハ此改正案
ノ第十七條ノ三デアリマス、之ヲ御引キニ
ナッテ產業組合トノ關係デゴザイマスガ、先
程モ原サンノ御尋ニ對シマシテ御答ヲ致シ
マシタ如ク、產業組合ト商業組合トノ關係
ニ付キマシテハ、將來トモ相剋摩擦ガナイ
ヤウニ、十分關係省トモ連絡ヲ取ッテ參リ
タイト存ジマスガ、此商業組合ノ適用ニ關
シマシテハ、十七條ノ三ハ一應ハ商業組合
ノ地區內ニ於テ其組合ノ組合員ニ非ラズシ
テ組合員タル資格ヲ有スル者ニハ組合ニ加
入スルコトヲ命ズルコトガ出來ル、其命令
ガアッタ時ニハ當然組合員ニナル、斯ウ云フ
規定ニハナッテ居リマスケレドモ、產業組合
ニ關シマシテハ、此商業組合法改正法律ト
云フモノハ適用シナイ積リデゴザイマス、
是ハ從來ノ通リト御承知ヲ願ッテ宜シウゴ
ザイマス
ソレカラ物價ノ問題ニ付キマシテハ、此
法律自體ハ必シモ物價抑制ト云フモノヲ
直接ニ目的トハ致シテ居リマセヌケレド
モ、全國的ノ配給統制ノ見地カラ配給統
制ノ商業組合ヲ作ルト云フコトハ、是ハ物價
問題ト云フモノニ資スルコトガ甚ダ多イト
存ジマス、併シ物價ノ問題ニ付キマシテハ、
無論是ノミデハ足リナイノデアリマシテ、
色々ナコトヲ考ヘテ居リマスカラ、何レ委員
會等ニ於キマシテ、其詳細ナコトヲ申上ゲル
機會ガアラウト存ジマス
ソレカラ消費統制ニ付テノ御話モゴザイ
マシタガ、是モ物ニ依ッテハ現在旣ニ實施ヲ致
シテ居リマスシ、又將來ニ於キマシテモ物ニ
依リマシテ更ニ消費統制ト云フモノヲ考ヘ
ナケレバナラナイト考へテ居リマス(拍手)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/22
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023・北勝太郎
○北勝太郞君 只今ノ御說明デハマダ釋然
タラザルモノガアルノデアリマスガ、何レ
委員會ニ讓ルコトニ致シマシテ私ノ質問ハ
是デ打切リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/23
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024・小山松壽
○議長(小山松壽君) 是ニテ質疑ハ終了致
シマシタ、本案ノ審査ヲ付託スベキ委員ノ
選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/24
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025・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ政府提出昭和十二年
法律第九十二號中改正法律案委員ニ併セ付
託サレンコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/25
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026・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/26
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027・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/27
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028・服部崎市
○服部崎市君 此際暫時休憩セラレンコト
ヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/28
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029・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/29
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030・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、暫時休憩致シマス
午後二時六分休憩
午後三時五十七分開議発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/30
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031・小山松壽
○議長(小山松壽君) 休憩前ニ引續キ會議
ヲ開キマス、武知勇記君ヨリ防共護國團事
件ノ處置ニ付キ議事進行ニ關スル發言ヲ求
メラレテ居リマス、此際之ヲ許シマス-
武智勇記君
〔武智勇記君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/31
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032・武知勇記
○武智勇記君 御承知ノ如ク去ル二月十九
日ノ本會議ニ於キマシテ、末次內務大臣ヨ
リ政民兩政黨本部占據事件ニ關スル報〓ノ
アリマシタ際ニ、松田竹千代君ハ帝都ノ治
安維持ニ付キ嚴重ナル警告ヲ發スルト共ニ、
事件ノ資金關係及ビ背後關係ノ調査報〓ヲ
要求セラレタノデアリマス、其時內務大臣
ハ「只今詳細嚴重ニ調査中デアル」ト答辯セラ
レテ居リマス、其後十四日ヲ經過スル今日
ニ至ルマデ、未ダ是ガ調査御報告ニ接シテ
居ラナイノデアリマス、就キマシテハ此際
議長ヲ通ジ內務大臣ヨリ其後ノ處置ニ關シ
御報告ヲ煩ハシタイト思フノデアリマス
只今モ申シマシタ通リ當日大臣ハ特ニ「只
今」ト云フ言葉ヲ前置キシテ「只今詳細嚴重
ニ調査中デアル」ト言明セラレタノデアリ
マスルカラ、私共ハ其翌日ニモ此議場ニ御
報〓アルモノト期待ヲ致シマシタ、又內務
大臣ハ帝都ノ治安確保ニ付テハ全力ヲ盡シ
萬全ヲ期スルト言明セラレタノデ、實蹟ハ
著々擧ガルモノト信賴ヲシテ居ッタノデア
リマス、然ルニ背後關係ノ調査報〓ニモ接
シナイ、所謂事件未解決ノ途上ニ於テ、社
大黨首安部代議士ノ遭難事件ヲ見ルニ至リ
マシタコトハ、日本帝國ノ名譽ノ爲メ洵ニ
國民痛憤ノ情ニ堪ヘナイモノガアルノデア
リマス(拍手)昨日近衞總理ハ此席デ「安部
君ノ遭難ヲ聞キ驚愕致シマシタ」ト仰セラ
レマシタ、內務大臣ハ近衞總理大臣ヲシテ
驚愕セシムルヤウナ事件ヲ起シタコトニ對
シ、果シテ責任ヲ感ゼラレルノデアルカ、
而モ安部社會大衆黨首ノ襲擊事件ノ突發致
シマシタ昨三日ハ、畏クモ山階宮大妃殿下
ノ御葬儀ノ當日デアリマス、私共國民ハ憂
ヒニ沈ミ悲ミニ泣イテ、謹ンデ敬悼ノ意ヲ
表シ奉ッテ居ッタノデアリマス、其日、時ヲ
稍〓同ジウシテ、御葬場豐島岡ヲ相距ル遠カ
ラザル地域ニ於テ、斯ノ如キ不謹愼極マル
暴擧ヲ見ルニ至ッタノデアリマスルカラ、國
民トシテハ衷心恐懼ノ念ニ堪ヘマセヌ拍
手)吾々下々ノ國民デスラ斯ノ如ク恐懼ニ
堪ヘナイノニ、直接ニ其御警衞ノ任ニ當リ
マシタル警視總監ハ、全ク恐懼措ク能ハザ
ル所ノモノガナケレバナラヌト思フノデア
リマス(「ヒヤ〓〓」拍手)若シ斯ノ如キ狀態
ニ於キマシテ、何等ノ責任ヲ感ゼザルニ於
キマシテハ、失禮ナガラ忠誠ノ念ヲ疑フト
申上ゲテモ、斷ジテ過言デハナイノデアリ
マス(拍手)又安部氏ノ事件其モノハ、總理
大臣ノ言ハレマシタ通リ、驚愕ニ値スル事
件デアッテ、決シテ一瑣事デハナイノデアリ
マツ、一例ヲ申上ゲマスルガ、昨日河上君
ノ御演說ニ依リマスルト、安部代議士ノ御
負傷ハ全治二週間ニ及ブト云フコトデアリ
やく、私共議員ガ三日ヤ四日ノ請暇ハ、議
長限リニ於テ許可セラレルノデアリマスルケ
レドモ、一週間以上ノ議會缺席ハ、議長ト
雖モ許可ヲ爲ス權能ハナイノデアリマス、
一週間以上ノ請暇申出ニ對シマシテハ、本
會議ノ決議、卽チ院議ヲ以テスルニアラザ
レバ、許可スルコトガ出來ナイコトニナッテ
居ル、ソレ程議員ガ七日以上ノ請暇ヲ致シ
マスルコトハ、容易ナラザルモノデアッテ、
言葉ヲ換ヘテ申シマスレバ、議員ノ二三日
ノ缺席ハ兎モ角、一週間以上ノ缺席ハ院議
ニ依ルベキ程ノモノデアリマスルガ故ニ、
自ラ長期ニ亙ル請暇ハ遠慮シ、議事ニ精勵
シナケレバナラヌ立前ニナッテ居リマス、
然ルニ取締當局怠慢ノ爲ニ、二週間ニ及ブ
請暇ノ餘儀ナキニ至ラシメ、議員トシテノ
職務遂行ヲ不可能ナラシメマシタ此事實ハ、
斷ジテ輕々ニ看做スコトハ出來ナイノデア
リマス(拍手)本件ハ議員ノ身邊擁護ニ關ス
ル重大問題デアリマスルト同時ニ、帝都ノ
治安維持ニモ關係スル問題デアッテ、斷ジテ
不問ニ付スベキ性質ノモノデハゴザイマセ
ヌ、今日帝都ニ頻發シ、今後モ頻發スルデ
アラウ所ノ不祥事件ヲ、今ニシテ根絕スル
ニアラザレバ、一議員ノ身邊ハ何ニ依ッテ保
障セラレルノデアルカ、內務大臣ノ答辯ヲ
求メマス(拍手)私共ハ決シテ一身ノ危險ヲ
恐ルヽ者デハゴザイマセヌ、併ナガラ政府
ガ從來ノ如ク通リ一遍、オ座ナリノ、今後
ハ十分取締ニ注意致シマス程度ノ答辯ヲ
以テ致シマシタノデハ、確ニ議員ノ身邊ノ
危險ハ除去サレルモノデハナイノデアル、
思ウテ玆ニ至リマスレバ、窓外ニ春訪レド
肌寒シノ感アル者ハ、豈啻ニ私一人デハナ
イ(拍手)私共ハ我身ノ危險ヲ恐レルノデハ
ナイ、斯ノ如ク議員ガ一樣ニ抱ク此感情ト
社會不安ノ空氣トハ、議會ニ於ケル審議ノ
上ニ影響スル所多キヲ恐レテ居ル、昨日近
衞總理カラ、帝都ノ治安維持ハ議會開會中
ニ於テ、特ニ其重要性ヲ認メルト言明セラ
レタノモ、畢竟スルニ時局重大ノ折柄、帝
國議會ノ審議ノ狀態如何ハ、廣ク國家國民
ニ影響スル所大ナルモノアルヲ思ハレタ結
果デアラウト思ヒマス、然ルニ不幸ニシテ
帝都ノ治安ハ依然トシテ不安ノ中ニアルノ
デアリマス、擧國一致ノ强調セラレマスル
時ニ、帝都ノ治安ガ今日ノ如ク紊レマシタ
コトハ、實ニ一大痛恨事デアッテ(拍手)內務
當局ノ責任モ亦大ナルモノアルコトヲ、御
自覺願ヒタイノデアリマス(「ヒヤ〓〓」拍
手)是ニ於テ、曩ノ政黨本部占據事件ノ調
査報告ヲ要求シテ居ル吾々ト致シマシテハ、
此際其御報〓ヲ求メマシテ、內務大臣ノ報
告ノ內容ト誠意ノ如何ニ依ッテハ、第二段ノ
決意ヲ具體化シ、飽マデモ其責任ヲ糺明シ
ナケレバナラナイト思ヒマスルガ故ニ拍
手)玆ニ議事進行ノ發言ヲ求メテ、議長ヲ
通ジ、次ノ諸項ニ對スル內相ノ答辯ヲ求メ
ントスル者デアリマス
卽チ第一ハ、防共護國團事件ノ背後關係、
資金關係ニ付テ調査ガ出來テ居ラレルカ否
カヲ先ヅ質シマス(拍手)內相ハ先月十九日、
旣ニ只今詳細嚴重ニ調査中デアルト答ヘラ
レタノデアルカラ、最早十分御調査ガ出來
テ居ルコトト存ジマスルガ、此際此席デ率直
ニ御報告ガ願ヒタイ、私等ハ市井ノ一介ノ
暴力團ヲ相手ニスルノデハナイ、其暴力團
ノ背後ノ力、之ヲ糺明セントスル者デアリ
マス(「ヒヤ〓〓」拍手)實ハ、今私ニ請求セ
ラレテ初メテ御答辯ニナルト云フコトハ、
旣ニ時遲シノ憾ガアル(拍手)ケレドモ尙ホ
爲サヾルニ優ルト思ヒマスルガ故ニ、ドウ
カ此際御報告ガ願ヒタイ、若シ萬々一ニモ
今尙ホ調査中デアッテ、報告出來難シト言ハ
レルナラバ、其理由ヲ明瞭ニシテ戴キタイ
ノデアリマス、聞ク所ニ依リマスルト、防
共護國團ノ首魁中溝多摩吉ナル者ハ遁走中
デアッテ、逮捕ニ至ラヌト云フコトデス、是
ガ爲ニ資金關係ノ調査モ困難ダト承ッテ居リ
マスルガ、或ハ然ラン、現在世上ニ於キマシ
テハ、公開ノ席デ之ヲ發表致シテ居ル人モ
アリマス、新聞ニ發表シテ居ル者モアル、
此防共護國團ニ對シテ、政界ニ既ニ相當ノ
地位ヲ占メラレタ前ノ總理大臣林銑十郞、
現在ノ參議松岡洋右、或ハ昔ノ政治家秋山
定輔氏ナドノ名ガ出テ、サウシテ援助シテ
居ルト云フ噂ガ專ラデアル、更ニ藥屋「ワカ
モト」ヨリ一條實孝公ノ仲立ニ依ッテ、數万圓
ノ大金ヲ取ックト云フ噂モ專ラデアル、其外
實業家カラセシメタ金ハ、彼此レ二十万圓
ニ及ブト云フ專ラノ取沙汰デアルケレドモ、
受取ッタ中溝ガ今ヤ遁走シテ居ラナイノデア
リマスカラ、調査困難ニ陷ルト云フコトハ
當然デアル、ケレドモ我ガ警視廳ノ搜査網
ハ世界第一ト稱セラレ、其檢擧逮捕ノ鮮カ
ナル手際ニ至リマシテハ世間旣ニ定評ガア
ル、一中溝ヲ逮捕セントスルノ熱意ガ警視
廳ニアルナラバ、内務當局ニアルナラバ、
一擧手一投足ノ勞ニ過ギマセヌ(拍手)其易
易トシテ逮捕シ得ラレル筈ノ中溝ヲ、今ニ
至ルモ逮捕シ得ザルト云フ所ニ、世間ノ大
ナル疑惑ガ存シテ居ルノデアル(「ヒヤ〓〓
拍手)現ニ中溝多摩吉ナル者ハ、最初某溫泉
ヘ逃ゲタ、サウシテ一タビ東京ニ歸リ、再
ビ某溫泉ニ逃ゲタト云フ足取リハ、民間ノ
或ル連中スラ之ヲ知ッテ居ル、私ハ其以上ノ
コトヲ聞イテ居ルガ、警視廳ニ敬意ヲ表ス
ル意味ニ於テ發表致シマセヌ、ソコデ世間デ
ハ保護逃走トカ、保護檢擧トカ云フヤウナ噂
ガ、各方面デ立ッテ居ルノデアリマスルガ、內務
大臣ニハ斯ウ云フ噂ガ、モウ御耳ニ入ッテ居
ルデアラウト思フ、一體今尙ホ捕ヘル力ガ
アッテ中溝ヲ逮捕シナイト云フノハ、資金關
係背後關係ガ明瞭ニナッテ、ソレ故ニ議會
閉會後マデ捕ヘナイノデアルカ(拍手)ソレト
モ警視廳ガ腕前ガナクテ、一生懸命ニナッテ
居ルガ捕ヘラレナイノデアルカ、此何レニ
屬スルカ、私ハ凡ソ內務大臣ノ良心ニ御尋
ニナッタナラバ、此何レカノ二點ノ一ヲ御指
シニナルデアラウト思フノデアリマス
尙ホ事苟モ治安維持ニ關シマシテハ、內
務大臣ノ手トナル者ハ富田警保局長デアリ、
足トナル者ハ安倍警視總監デアリマス、
此手足タル治安維持ノ直接ノ責任者トモ云
フベキ警保局長、警視總監ハ、所謂右翼ト
稱セラルヽ連中ガ小親分ト仰イデ居ル人デ
アリマス、大親分ガ自ラ別ニ存シテ居ルコ
トハ固ヨリ申スニ及ビマセヌ(拍手)此警保
局長及ビ安倍警視總監モ好イ氣ニナッテ、是
等暴力團ノ連中ヲ近ヅケテ狎々シクヤッテ
居ル、小人閑居シテ不善ヲ爲スト云フガ、
閑居シテ不善ヲ爲スノミデハナイ、出デテ
又不善ヲ爲ス、斯ウシタ連中ハ斯ル偉イ人
ニ近ヅキマスルト、直グ狎々シクナリマシ
テ、少々ノ惡イコトヲシテモ大目ニ見テ吳
レルノダト、偉イ人ニ對スル依賴心ガ起ッテ
來テ、其本人ノ惡イ心持ヲ增長セシムル、
是ハアノ政民兩黨占據當日ニ、防共護國團
ノ團員ガ警視廳ノ官房主事ニ向ッテ、只今政
民兩黨本部ヲ占據致シマシタト、電話デ通
知シタ事實ニ依ッテ御想像願ヒタイ、論ヨリ
證據、更ニ大キナ問題ガアル、政黨本部占據
ノ連中四百數十人ハ、其晩政民兩黨ノ幹事
長ノ强談ニ會ウテ、內務大臣ハ警視總監ニ
之ヲ命ジ、四百數十名ト云フモノヲ檢擧セ
ラレタ、然ルニ百三十二名ヲ殘シテ殘餘ノ
者ハ其場デ釋放シタ、只今デハ十名ニ足ル
ヤ足ラズノ者ガ檢擧セラレテ居ルト云フ狀
態況ヤ參謀格デアル中溝多摩吉ハ遁走シ
テ居ルト云フ、是ダケノ事件ヲ起シテ、コ
ンナ輕イ制裁デアリマスカラ、「カーキ」色
ノ團服ヲ貰ヒ、二三圓モスル宿屋ニ泊込ミ、
一圓五十錢ノ日當デ、自動車ヲ乘廻スノハ
面白イト云フノデ、志願者ガ日々夜々ニ殖
エルノハ當然ノコトデアリマス、斯ル惡風
ヲ助長シテ居リ、內務大臣ハ平氣デ斯ウ云
フ狀態ヲ見テ居ラレルノデアリマセウカ、
防共トカ、皇道トカ、愛國ダトカ云フ、洵
ニ美シイ名ヲ被セマスルト、立派ナ團體ノ
ヤウニ見エマスルガ、併シ構成「メンバーL
ノ如何ニ依リマシテハ、冠セラレタ其美シ
イ〓體名トハ、凡ソ似テモ似ツカヌ連中ガ
アルノデアリマス、今後ニ於キマシテモ、是
等ノ團體ノ實質ニ付テハ內務大臣ハ十分御
檢討セラレテ、取締ヲ嚴ニセラレンコトヲ
望ム、私等ハ民間側デアッテ、大臣ノヤウニ
調査捜査ノ機關ヲ持ッテ居ラヌケレドモ、背
後關係ヤ資金關係ニ付テハ、或ル程度マデ
旣ニ存ジテ居ル、然ルニ其搜査、調査ノ機
關ヲ持ッテ居ル內務大臣ガ、今ヲ去ル十四日
以前、本院ノ此席上ニ於テ只今詳細調査
中デアリマスト言ッテ置キナガラ、今ニ至ル
マデ御報告ガナイノハ如何ナル理由デアル
カ、今日マデ遷延致シマシタ理由如何、何
シロ只今調査シテ居リマスト言フ以上ハ、
翌日ニデモ、翌々日ニデモ、御報告ガ出來
ル筈デアル、然ルニ十四日後ノ今日ニ至ル
やさ、而モ本院ノ請求ニ依ルマデ御報〓ニ
ナラナイト云フ理由ハ何處ニ存シテ居ル
カ、之ヲ承リタイノデアリマス、私等ハ斯
樣ナコトヲ承リマスルノニハ、先刻モ申上
ゲマシタ通リ、內務大臣ノ御報告ガ私共ノ
第二段ノ決意、卽チ議事ノ進行上ニ重大ナ
ル關係ヲ持ッテ居ルノデアリマスルカラ、御
尋ヲ致シテ居ルノデアリマス
最後ニ一言致シタイコトハ、警察當局ハ常ニ
公正デナケレバナラヌ、右翼ニ嚴デアッテ左翼
ニ寛、或ハ左翼ニ嚴デアッテ右翼ニ寛ナルガ如
キ態度ヲ以テ臨ムベキデハナイノデアリマス、然
ルニ現時內務當局ノ態度ハ、右翼ヲ擁護シ、暴
力團ノ「バック」ナルガ如キ感ジヲ國民ニ懷カシ
メラレテ居ル、斯樣ナ感ジヲ懷カシメラル
ル所ノ國民ノ不安ハ、是ヨリ大ナルモノハ
ナイノデアリマス、政黨ノ本部占據問題ノ
如キモ、一朝ノ突發事件ナラバ、敢テ私ハ
之ヲ是マデニ追究シヨウトハ思ハナイ、是
ハ內務當局ニ流レル一貫シタ流レノ現レデ
アッテ、斯ウシタ大問題ハ其日ニ起ルモノデ
ハナイ、此前松田君ガ質問セラレマシタ通
リニ、隨分長イ間豫備工作ガシテアッテ、
ソレヲ平氣デ默認ヲシテ居リマシテ、詰リ
右翼曲庇ノ結果斯樣ナ事件ガ起キタノデア
リマスガ故ニ、此問題ハ一犯人ヤ、或ル團
員ヲ捕ヘタ位デハ、斷ジテ解決ノ出來ルモ
ノデハナイノデアル、宜シク取締當局ガ自
責ノ實ヲ示サレルコトガ、本問題解決ノ重
點デアルト思フノデアリマス(拍手)內務大
臣ハ之ニ對シテ如何ナル御所信ヲ持タレル
カ御答ヲ願ヒタイ
私等ハ今日ノ戰時體制下ノ日本ニ於テ、
擧國一致ヲ强調シ、又擧國一致ニ協力ヲ致
シテ居ルノデアリマス、其時ニ帝都ノ治安
ガ紊レマシテ、國民ニ不安ヲ懷カシムルヤ
ウナコトノアリマスコトハ、決シテ國家ノ
爲ニ欣バシイコトデハナイノデアリマス、
又議會ハ何時ノ時代ニ於テモ洵ニ大切ナル
モノデアッテ、近衞總理ガ昨日此處デ御言明
ニナッタヤウニ、洵ニ議會ヲ尊重セラレル
御意思ハアルガ、何時モ大切ナル議會デハ
アリマスケレドモ、今日ノ議會程大切ナモ
ノハナイト思フ、ソレハドウ云フ譯デアル
カト申シマスト、私ノ見ル所ニ依レバ、南
京陷落ヲ契機ト致シマシテ、段階トシテ、
日本ノ政界モ、或ハ經濟界モ、思想界モ、有
ユル方面ニ於テ、迚モ今迄ニ見ルコトノ出
來ナイヤウナ重大ナ時ガ來テ居ルノデアリ
マス、斯樣ナ重大ナ段階ヲ來シマシタノハ、
卽チ南京陷落ヲ契機ト致シタ、ソレハ一體
誰ノ力デアルカ、ソレハ無論政府諸公ノ御
力モアリマセウケレドモ、最モ簡單ニ申上
ゲルナラバ、斯ル段階コソハ、第一線將兵
ノ肉彈ト銃後國民ノ骨肉ノ犠牲ニ依ッテ贏
チ得タ段階デアリマスガ故ニ(拍手)今日ノ
國民的理解ニ關スル諸問題ハ、一政府ノ人々
ヤ、或ハ一部ノ偉イ人ニ依ッテ事ヲ決ス
ベキモノデハナイ、苟モ國民的利害ニ關係
ヲ有スルコトハ、國民ニ向ッテ其所信ヲ聞カ
ナケレバナラヌ、何處ニ聞クカ、ソレハ帝
國議會デアル、ソレ程此議會ノ機能ヲ最モ
發揮セネバナラヌ時ニ當リマシテ、議員ノ
身邊ガ危シ、更ニ色々ナ「パンフレット」ヤ、立
看板ヤ、又色々ノ方法ニ依ッテ、間接直接ニ
議員ノ審議權ヲ威壓掣肘ヲ加ヘントスルガ
如キ行動ヲ執ル者ガアルノデアル、實ニ容
易ナラヌコトデアルト思ヒマスガ、斯樣ナ
不安ヲ一掃シ、而シテ帝都ノ治安ノ完璧ヲ
期スル爲ニハ、內務大臣ハ非常ナ大決心ヲ
以テ臨マナケレバナラヌノデアルガ、之二
對シテ如何ナル御見解ヲ持タレテ居ルカ、
以上議長ヲ通ジテ內務大臣ノ御所信ヲ承リ
タイト存ズルノデアリマス(拍手)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/32
-
033・小山松壽
○議長(小山松壽君) 只今末次內務大臣ヨ
リ發言ヲ求メラレテ居リマス、之ヲ許シマ
ス-內務大臣
〔國務大臣末次信正君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/33
-
034・末次信正
○國務大臣(末次信正君) 武知君ノ御尋ニ
對シテ御答致シマス、防共護國團事件ニ關
シマシテハ、先般本議場ニ於キマシテ御說
明申上ゲマシタ通リデゴザイマスガ、其後
引續キ檢察當局ト緊密ナ連繫ノ下ニ、極力
取調ヲ致シテ居リマス、今日マデノ所未ダ
發表スル程度ニ至ッテ居ナイノデアリマス
〔發言スル者多シ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/34
-
035・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/35
-
036・末次信正
○國務大臣(末次信正君)(續) 背後關係、
資金關係等ニ付キマシテモ、遺憾ナガラマダ報
告致シ得ル狀態ニ至ッテ居リマセヌ、併ナガ
ラ取調ノ終了次第、速ニ御報告申上ゲタイ
ト存ジマス、尙ホ背後關係等ニ付キマシテ、
内務當局ト何等カノ關係ガアルヤノ噂ヲ爲
ス者モアリマスガ、左樣ナコトハ一切ゴザ
リマセヌ
〔發言スル者多シ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/36
-
037・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/37
-
038・末次信正
○國務大臣(末次信正君)(續) 此機會ニ言
明致シテ置キマス
次ニ安部氏ニ對スル暴行ニ付キマシテ、
昨日モ申述ベマシタ通リ、洵ニ遺憾ナル出
來事デアリマシテ、犯人ニ付キマシテハ、
目下警視廳ノ有ユル機關ヲ動員致シマシテ、
調査ヲ進メテ居ルノデアリマスカラ、遠カ
ラズ犯人ヲ逮捕シ、事件ノ眞相ヲ明ニスル
コトガ出來ルト存ジテ居リマス、尙ホ先般
來ノ事件ニ鑑ミマシテ、治安ノ維持ノ萬全
ヲ期スルガ爲メ、徒ニ人心ヲ刺戟スル虞ノ
アリマスル立看板ノ類ニ付キマシテハ·····
〔發言スル者多シ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/38
-
039・小山松壽
○議長(小山松壽君) 靜肅ニ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/39
-
040・末次信正
○國務大臣(末次信正君)(續) 旣ニ是ガ撤
去ヲ命ジ、又集團シテ面會訪問スルガ如キ
行爲ハ、之ヲ禁ジマシタ、尙ホ議員ノ身邊
警護ニ付キマシテハ、今後更ニ一段ノ注意
ヲ加ヘマシテ、護衞ヲ增加致シマスル等、
適切ナル方法ヲ執ルコトト致シテ居リマス、
何レニ致シマシテモ洵ニ遺憾ノコトデアリ
マシテ、今後此種事件ノ發生ヲ見ザルヤ
ウ、一層努力致シタイ存念デゴザイマス、
尙ホ警察ト致シマシテハ、冷靜公平ナル判
斷ヲ以テ治安ノ維持ニ專念シ、民衆ノ厚キ
信賴協力ヲ得テ、其機能ヲ十分ニ發揮致シ
タイ、斯ウ云フ趣意デ折角努力ヲ致シテ居
ルノデゴザイマス、以上簡單ナガラ御報告
ヲ申上ゲマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/40
-
041・服部崎市
○服部崎市君 議事日程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此際日程第三ヲ繰上ゲ
上程シ、其審議ヲ進メラレンコトヲ望ミマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/41
-
042・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/42
-
043・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ノ順序ハ變更セラレマシタ、
日程第三、陸上交通事業調整法案、第一讀
會ヲ開キマス-中島鐵道大臣
第三陸上交通事業調整法案(政府提
出)第一讀會
陸上交通事業調整法案
陸上交通事業調整法
第一條本法ニ於テ陸上交通事業トハ地
方鐵道事業、軌道事業、自動車運輸事
業其ノ他勅令ヲ以テ指定スル事業ヲ謂
フ
第二條主務大臣公益ノ增進ヲ圖リ陸上
交通事業ノ健全ナル發達ニ資スル爲陸
上交通事業ノ調整ヲ爲サントスルトキ
ハ交通事業調整委員會ノ意見ヲ徵シ調
整ノ區域、調整スベキ事業ノ種類及範
圍竝ニ左ノ各號ニ依ル調整ノ方法ヲ決
定スベシ
一會社ノ合併又ハ設立
二事業ノ讓受又ハ讓渡
三事業ノ共同經營
四事業ノ管理ノ委託又ハ受託
五連絡上必要ナル線路其ノ他ノ設備
ノ新設、變更又ハ共用
六運賃又ハ料金ノ制定、變更又ハ協
定
七連絡運輸、直通運輸其ノ他運輸上
ノ協定
八用品其ノ他ノ共同購入、共同修繕
其ノ他調整上必要ト認ムル方法
主務大臣ハ前項ノ決定ニ依リ陸上交通
事業經營者ニ對シ前項第一號ノ事項ノ
實施ヲ勸〓シ又ハ同項第一一號乃至第八
號ノ事項ノ實施ヲ命ズベシ
第三條陸上交通事業經營者前條第二項
ノ勸告ニ依リ主務大臣ノ指定スル期間
內ニ協定ヲ爲シタルトキハ之ガ認可ヲ
申請スベシ
陸上交通事業經營者前條第二項ノ命令
ヲ受ケタルトキハ主務大臣ノ指定スル
期間內ニ協定ヲ爲シ之カ認可ヲ申請ス
ベシ協定成立セザルトキハ主務大臣ハ
命令ノ定ムル所ニ依リ協議調ハザル事
項ヲ裁定ス
主務大臣前項ノ裁定ヲ爲サントスルト
キハ交通事業調整委員會ノ意見ヲ徵ス
ベシ但シ重要ナラザルモノニ付テハ此
ノ限ニ在ラズ
主務大臣第二項ノ裁定ヲ爲シタルトキ
ハ關係陸上交通事業經營者ニ之ヲ通知
スベシ
第四條交通事業調整委員會ニ關スル規
程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五條第二條第一項ノ規定ニ依リ決定
シタル調整ノ區域內ニ於ケル陸上交通
事業經營ノ免許又ハ特許ニシテ重要ナ
ルモノハ主務大臣交通事業調整委員會
ノ意見ヲ徵シ之ヲ爲スベシ
第六條第二條ノ規定ニ依ル調整ノ實施
ニ因リ調整ノ區域內ニ於ケル主要ナル
陸上交通事業ヲ包括シ經營スルニ至リ
タル會社ニシテ勅令ニ依リ指定スルモ
ノノ定款ノ變更、社債ノ募集、合併及解
散ノ決議ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ
非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第七條北海道、府縣及市町村其ノ他之
ニ準ズベキモノ第二條ノ規定ニ依ル調
整ノ實施ニ因リ陸上交通事業ヲ經營ス
ル會社ノ株主若ハ債權者ト爲リ又ハ其
ノ會社ニ事業ノ管理ヲ委託シタル場合
ニ於テハ北海道廳長官、府縣知事又ハ
市町村長其ノ他之ニ準ズベキ者ハ其ノ
指名スル吏員ヲシテ商法ノ定ムル選任
方法ニ依リ其ノ會社ノ取締役又ハ監査
役タラシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テ
ハ市制第七十七條及第七十八條又ハ町
村制第六十五條及第六十六條若ハ之ヲ
準用スル北海道一級町村制第一條ノ規
定ヲ適用セズ
前項ノ規定ニ依リ會社ノ取締役又ハ監
査役ト爲リタル者吏員タル身分ヲ失ヒ
タルトキハ取締役又ハ監査役ノ職ヲ失
フ
第八條第二條ノ規定ニ依ル調整ノ實施
ニ因リ左ノ事項ニ付登記ヲ受クル場合
ニ於テハ其ノ登錄稅ノ額ハ左ノ額トス
但シ登錄稅法ニ依リ算出シタル登錄稅
ガ左ノ額ヨリ少キトキハ其ノ額ニ依ル
-會社ノ設立又ハ資本增加
金錢出資ニ依ル拂込株金額又ハ
增資拂込株金額ノ千分ノ五ト金
錢以外ノ財產ノ出資ニ依ル拂込
株金額又ハ增資拂込株金額ノ千
分ノ一トノ合計額
二會社ノ設立若ハ資本增加又ハ陸上
交通事業ノ讓受ノ場合ニ於ケル不動
產ニ關スル權利ノ取得
不動產ノ價格ノ千分ノ三
北海道、府縣及市町村其ノ他之ニ準ズ
ベキモノハ前項ニ規定スル不動產ニ關
スル權利ノ取得ニ關シ地方稅ヲ課スル
コトヲ得ズ
第九條地方鐵道法、軌道法、自動車交
通事業法又ハ之ニ基キテ發スル命令ニ
依リ免許、特許、許可又ハ認可ヲ受ク
ルコトヲ要スルモノニ付テハ第三條又
ハ第六條ノ規定ニ依リ認可ヲ受ケタル
トキハ命令ノ定ムル所ニ依リ當該法令
ノ規定ニ依ル免許、特許、許可又ハ認
可ヲ受ケタルモノト看做ス
第十條第三條第二項ノ裁定アリタル場
合ニ於テ第二條第一項第二號ノ讓受ノ
價額、同項第三號ノ共同經營ニ於ケル
收得若ハ負擔ノ金額ノ割合又ハ同項第
四號ノ管理ノ報酬金額ニ付不服アル者
ハ協定ノ相手方ヲ被告トシ裁定ノ通知
ヲ受ケタル日ヨリ三月內ニ通常裁判所
ニ出訴スルコトヲ得
前項ノ訴訟ハ第二條第二項ノ命令及第
三條第二項ノ裁定ノ效力ヲ停止セズ
第十一條第二條第二項ノ規定ニ依リ事
業ヲ讓受ケタル者前條ノ規定ニ依リ出
訴シクル場合ニ於テハ裁定ニ基ク讓受
價額ト自己ノ見積價額トノ差額ニ相當
スル金錢ヲ供託スルコトヲ得
第十二條陸上交通事業經營者本法若ハ
本法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ基キ
テ爲ス處分ニ違反シタルトキハ主務大
臣ハ左ノ處分ヲ爲スコトヲ得
一取締役其ノ他ノ役員ヲ解任スルコ
ト
二他人ヲシテ事業經營者ノ計算ニ於
テ事業ノ管理ヲ爲サシムルコト
三事業ノ全部又ハ一部ノ停止ヲ爲サ
シムルコト
四免許又ハ特許ノ全部又ハ一部ヲ取
消スコト
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔國務大臣中島知久平君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/43
-
044・中島知久平
○國務大臣(中島知久平君) 只今上程サレ
マシタ陸上交通事業調整法案ノ提案理由ヲ
御說明申上ゲマス、陸上交通事業ハ我ガ國
力ノ發展ニ伴ヒマシテ、近年著シク發達シ
テ參ッタノデアリマスガ、其半面ニ於キマシ
テハ、動モスレバ事業相互間ノ連絡統一ヲ
缺キ、併立競爭ノ弊ヲ生ズルニ至ッタノデア
リマス、其結果ハ國家的ニ見マシテ、洵
不經濟、不合理ト申スベキデアリマシテ、
啻ニ事業者ニ取リ資本ノ浪費トナリ、延イ
テハ經營ヲ困難ナラシメルバカリデナク、
一般公衆ニ對シマシテモ、交通機關ノ利用
上遺憾トスル點ガ少クナイト云フ狀態ニ立
至ッタノデアリマス、隨テ是等交通事業ヲ調
整致シマシテ、國家的ノ不經濟ヲ除キ、公
衆ノ便益ヲ增進スルト共ニ、事業ノ健全ナ
ル發達ニ資スルノ要極メテ緊切ナルヲ認
メ、玆ニ本法案ヲ提出シタ次第デアリマ
ス
今其內容ノ主ナルモノヲ申上ゲマスレ
バ、主務大臣ガ公益ノ增進ヲ圖リ、事業ノ
健全ナル發逹ニ資スル爲メ、陸上交通事業
ノ調整ヲ爲サントスル場合ニハ、之ヲ交通
事業調整委員會ニ諮リ、其意見ヲ徴シマシテ、
調整ノ區域、調整スベキ事業ノ種類及ビ範
圍、竝ニ調整ノ方法ヲ決定致スノデアリマ
ス、此決定ニ依リ主務大臣ハ陸上交通事業
經營者ニ對シ、一定ノ事項ヲ勸告又ハ命令
シ、其勸告又ハ命令ニ基キ、事業者ガ協定ヲ
シテ調整ガ行ハレルノデアリマス、若シ命
令ヲ受ケタ事業者間ニ協議ノ纏マラナイ場
合ニハ、主務大臣ガ裁定スルコトニ相成ッテ
居リマス、此裁定ニ關シマシテモ、交通
事業調整委員會ノ意見ヲ徵シテ爲スノミナ
ラズ、裁定ノ價額ニ不服ナ者ニハ、通常裁
判所ニ出訴スル途モ開カレテ居ル次第デア
リマス、何卒御審議ノ上御協贊アランコト
ヲ切望致シマス(拍手)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/44
-
045・小山松壽
○議長(小山松壽君) 質疑ノ通告ガアリマ
ス、順次之ヲ許シマス-坂下仙一郞君
〔坂下仙一郞君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/45
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046・坂下仙一郎
○坂下仙一郞君 只今上程ニナリマシタ陸
上交通事業調整法案ニ付キマシテ、簡單ニ
二三質問ヲシテ見タイト存ジマス
只今中島鐵道大臣ノ御說明ニナリマシタ
ヤウニ、近距離ノ陸上交通ハ現在地方鐵道、
軌道、乘合自動車、此三ツノ事業ニ依ッテ大
體ヲ支配サレテ居ルノデアリマス、而シテ
乘合自動車ハ最近飛躍的ノ進步發達ヲ遂ゲ
タモノデアリマシテ、殊ニ數年前マデ此許
可權ガ地方長官ニ委ネラレテアリマシタ結
果、ソレヲ許可スル場合ニ於キマシテ、
貫シタ方針ガナク、又樣々ナ情弊ガ伴ヒマ
シテ、無統制ニ許可サレテ居リマス結果ト
シテ、種々ナル弊害ガ生ジ、中ニハ一路線
ニ數會社ノ乘合自動車ガ走リ、惡辣ナ競爭
ヲスルモノモ隨所ニ出來タノデアリマス、
又大都市ニ於キマシテ、殊ニ東京ナドニ於
キマシテハ、電車、乘合自動車、是等ガ無
統制ニ走ッテ居リマスノデ、利用者ハ何ヲ利
用スルコトガ最モ都合ガ好イカト云フコト
ヲ、判別スルノニ迷フト云フヤウナ狀態デ
アリマス、又二十町カ二十五町ノ近距離ニ
行ク場合ニ於テモ、自動車ニ乘リ、電車ニ
乘換へ、又自動車ニ乘換ヘナケレバナラナ
イト云フヤウナ不便モアリマスノデ、本法
案ニ依リマシテ是等ノ弊害ヲ除去シ、利用
者ニ便益ヲ與ヘ、而シテ二重投資ヤ經費ノ
無駄ヲ排除シ、一面「ガソリン」、自動車附屬
品、部分品ノヤウナモノノ輸入ヲ減少致シ
マシテ、國際收支ノ調節ヲシタイ、所謂
一石三鳥ノ計畫デアリマシテ、其趣旨目
的ハ洵ニ結構ナモノデアリマス、斯ル法案
ニ依リマシテ、此目的ガ圓滿ニ遂行シ得ラ
レルナラバ、斯ノ如キ法案ハ寧ロ數年前ニ
提出スベカリシモノデアッテ、今日提出致シ
マシタコトハ、非常ニ遲レテ居ルカノ感ジガ
アルノデアリマス(「ヒヤ〓〓」)併ナガラ近
頃ハ調整トカ統制トカ云フヤウナコトガ、
所謂流行時代デアッテ、一ニモ統制、二ニモ
調整、統制、調整ナラデハ夜モ日モ明ケヌ
ト云フ時代デアリマス、所デ此種類似ノ法
律ハ數多ク實施セラレテ居リマスルケレド
モ、極メテ成功シテ居ルモノガ少イ、寧ロ
統制セラレナイ前ノ方ガ非常ニ宜カッタト
云フモノヽ數ガ多イノデアリマス、多クハ
統制調整ニ依ッテ、資本家、大企業家ヲ
擁護シ、中小企業者ヲ壓迫シ、利用者、消
費者ニ迷惑ヲ掛ケルト云フコトガ、結局多
イト思フノデアリマス、最近ノ例カラ見マ
シテ、最モ顯著ナ事例ハ、重要肥料ノ統制
ニ依ッテ硫安ノ價格ヲ倍加セシメテ、國民
否農民ノ生活ヲ脅シテ居リマス、又綿絲ノ
配給統制ニ依リマシテ製品ノ値ヲ倍加セシ
メ、而モ中小機業家ヲ死地ニ陷レ、利用、
消費大衆ヲ犧牲ニシテ居ルト云フコトハ、
皆サン御承知ノ通リデアリマス、此陸上交
通事業調整法案モ、サウ云フ轍ヲ履ムノデ
ハナイカト云フコトヲ私共ハ案ズルノデア
リマス、結論ト致シマシテ中小業者ヲ壓迫
シ、大資本家ヲ擁護スルコトニナルデハナイ
カ、斯ウ云フコトガ案ジラレルノデアリマ
ス、卽チ本法案ニ依ッテ合同或ハ會社ノ新
設等ヲ勸〓シ、或ハ讓受、讓渡、共同經營
等ヲ命令スル、其命令シタ事項ガ圓滿ニ協
議ガ調ハナイ時ニハ、主務大臣ガ裁定ス
ル、斯ウ云フコトニナッテ居ルノデアリマ
ス、其結果ハ最前申上ゲマシタヤウニ、此
種類似ノ法案ト同樣ニ中小業者ヲ壓迫シ、
獨占事業タラシメ、遂ニハ賃金ノ値上ヲ
シ、市民大衆ヲ犠牲ニスルト云フヤウナコ
トニナリハシナイカ、斯ウ云フ虞ガ多分ニ
アルノデアリマス、趣旨目的ハ至極結構デ
アリマシテモ、統制、調整ト云フモノノ實
績ガ擧ラナイ原因ハ何處ニアルカ、斯ウ云
フコトヲ考ヘテ見マスルト、其原因ハ多種
多樣デアリマセウ、併ナガラ私共ノ考ヘマ
スル所ニ依リマスレバ、何レモ是ニハ委員
會ト云フモノヲ設ケテ、其委員會ニ諮問
シ、委員會ノ意見ヲ聽イテ色々スルコトニ
ナッテ居リマスガ、是迄ノ例ヲ見マスト、委
員會ハ殆ド形式デアリマス、形式的ノ委員
會デアリマス、露骨ニ言ヘバ、官僚獨善ヲ
「カムフラージュㄴスル爲ニ作ック委員會ノ
ヤウニ、私共ハ見ルノデアリマス(「ヒヤ
ヒヤ」)モット極端ニ言ヒマスレバ、官僚獨
善デヤッタ仕事ガ失敗シタ時ニ、其責任ヲ
轉嫁スル爲ニ設ケタノデハナイカトマデ疑
ハレルノデアリマス、若シモ政府ノ言ハ
ルヽヤウニ、眞ニ委員會ノ意見ヲ聽キ、サ
ウシテ本法ノ效果ヲ期待スルナラバ、委員
會ノ構成ニ十分ナ注意ヲ拂フベキモノデア
リマス、是マデノ委員會ノ委員ヲ選任スル
ニ當リマシテ、官僚ガ官僚獨善デヤルト云
フ非難ヲ防グ爲ニ、申譯ニ作ル意味ニ於
テ、先ヅ學識經驗アリト云フ方面カラノ委
員ヲ選任スルニ當リマシテハ、學識ハア
リ、經驗モアルベキ地位ニ在ッテ、實際ナ
イ人ヲ選任シテ居ル、ソレカラ貴衆兩院議
員此中カラ選任スル時ニナリマスト、成
ベク國務、黨務ニ忙シクテ、小サイ事ニハ
餘リ頓著ノ出來ナイ地位ニ在ル幹部級ノ人
ヲ選任スル、業務ニ精通シ、或ハ地方事情
ニ精通シタ方面カラ選ブニ當リマシテハ、成
ベク溫厚デ、ロヲ利カナイ人ヲ極度ニ少數
選任スル、サウシテアトハ關係各省ノ官吏
ヲ多數選任スル、斯ウ云フコトデ行キマス
カラ、結局效果ガ擧ラナクテ失敗ヲスルノ
デアリマス、中島鐵道大臣ハ企業家デアル、
商賣ノ經驗ヲ多分ニ持ッテ居ラレル方デア
ルカラ、マサカコンナコトデ委員ノ選任ヲ
ナサリモシマイシ、又鐵道省ハ殆ド營利會
社ノヤウナ仕事ヲ現在シテ居リマスカラ、官
僚獨善ト云フヤウナコトハナカラウト存ジ
マス、故ニ委員會ノ構成、委員ノ選任ニ付
キマシテハ、十分ナル注意ヲ拂ッテ、サウシテ
委員會ノ公正ナル意見ヲ徵シ、其意見ヲ如
實ニ此法律ノ實行ニ當ッテ行フ、斯ウ云フ誠
意ガナケレバナラヌト思フノデアリマス、
殊ニ此委員會ニハ業務ニ精通シタ者、地方
事情ニ精通シタ者ト云フ部門カラ、半數位
ノ委員ヲ任命シナケレバ、斯ウ云フ複雜ナ事
業ヲ調整スルコトハ困難ダト思フノデアリ
マスガ、當局ハドンナ御意思ヲ持ッテ居ラレ
ルカ、此點ヲ御聽シタイノデアリマス
第二點デ御伺申シタイノハ、會社ノ合併、
會社ノ新設、之ニ對シテハ勸〓スルコトニ
ナッテ居リマス、政府ガ甲ノ會社ト乙ノ會社
トノ合併ヲ勸〓スル、所ガ相當複雜ナ事情
ガアリマスノデ、政府ノ一片ノ勸〓デハ中々
纏マラナイト思フノデアリマス、其場合
ニ政府ハドウスルカ、本案ノ規定ニ依リマス
ト、命令スルコトニハナッテハ居ナイ、唯勸告
スルト云フコトダケニナッテ居ルガ、此勸〓
ダケデハ私ハ目的ハ達成出來ナイト思フ、其
場合ニ政府ハドウスル積リカ、是ガ伺ヒタイ
第三點、讓受、讓渡ヲ命令シタ場合、營
業者同士デ話合ヒガ出來ナカッタトキ、協
調ガ出來ナカッタトキニハ、調整委員會ノ意
見ヲ徴シ主務大臣之ヲ裁定スル、斯ウ云フ
コトニナッテ居リマスルガ、唯主務大臣ガ裁
定スルト云フダケデハ、業者トシテハ甚ダ
危險デアル、ドンナ裁定ヲセラレルノカ殆
ド見當ガ付カナイ、私ハ業者ガ心配スルバ
カリデナク、大臣モ裁定スル場合ニ、何ト
カ玆ニ基準ガナケレバ御困リデアラウト思
フ、又委員會トシテモ恐ラク困ル問題ダト
思ヒマス、デアルカラ此裁定ノ基準ト致シ
マシチ、會社ガ現在營業シテ居ル資本金、
ソレカラ現在ノ利益、過去ニ於ケル犠牲、
損失、將來ニ於ケル利益ノ增大率、斯ウシ
タヤウナモノヲ拾ヒ上ゲテ、サウシテソレ
ニハドウ云フ風ナモノヲ計算スルカ、ドウ
云フ風ニ計算スルカト云フヤウナ、大體基
準ヲ設ケル必要ガアルト思ヒマス、之ヲ當
局ハドウ云フ風ニシテ計算ヲシ、ドウ云フ
風ニシテ評價スルト云フ考デ居ルカ、其點
ヲ詳細ニ聽キタイノデアリマス
其次ハ省營「バス」ト乘合自動車トノ關係デ
アリマス、本法ハ不當ノ競爭ヲ避ケシメ、
運轉系統ヲ正シクスルト云フコトガ目的デ
アリマスガ、鐵道省自身ニ經營シテ居ラレ
ル省營「バス」ト民間業者ノ乗合「バス」ト一
路線ヲ競爭シテ居ル所ガ隨所ニアリマス、
是ハ一體ドウスルカ、此法案ヲ提出致シマ
シタ限リニハ、恐ラク鐵道省ハ省營「バス」
ノ方ヲ遠慮シテ止メテシマフダラウ、斯ウ
私ハ考ヘマスケレドモ、ドウシテモソレヲ鐵
道省ガ遠慮シテ止メナイト云フトキニハ、一
體是ハドウ云フ風ニ處理スルノカ、鐵道大臣
ガ命令ヲ出シテヤッテ居ル省營「バス」ニ對シテ、
民營會社ヲ買收セヨト云フ命令モマサカ出ス
マイト思フ、御自身ガ御自身ニ命令ヲ出スト云
フコトハ出來マイト思フ、又民營會社ノ方
へ省營「バス」ヲ買收セヨト云フ命令モ出セ
ヌト思フノデアリマス、斯ウ云フ場合ハ一
體ドウ云フ風ニスル積リデアルカ、ハッキリ
シタ方針ヲ承リタイノデアリマス、甚ダ簡
單デアリマスガ、私ノ質問ハ是デ打切リマ
ス、ドウカ懇切丁寧ニ、而モハッキリシタ御
答辯ガ願ヒタイト存ジマス(拍手)
〔國務大臣中島知久平君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/46
-
047・中島知久平
○國務大臣(中島知久平君) 坂下君ノ御質
問ニ御答致シマス、第一問ハ、此調整法ノ
實施ニ依ッテ、中小企業者ヲ壓迫スルコトニ
ナラヌカト云フコトト、賃銀値上ヲ誘發シ
ヤセヌカト云フコトト、委員會ノ構成運用
ニ付テデアリマシタガ、此調整法ハ成ベク
自治的ニ調整ヲ行ハシムルコトヲ、本旨ト
致シテ居ルノデアリマシテ、已ムヲ得ザル
場合ニ限リ調整委員會ノ議ヲ經テ、主務大
臣ガ裁定スルコトトナルノデアリマシテ、
調整法ノ中ニハ、合併ノ場合モアルシ、又
買收ノ場合モアリマセウガ、共同經營ト云
フヤウナコトモ含マレテ居ルノデアリマシ
テ、成ベク中小業者ヲ壓迫セナイヤウニ氣
ヲ付ケテ行ク方法モアリ、氣ヲ付ケテ行ク
考デアリマス、尙ホ是ガ爲ニ賃銀値上ヲ誘
發シヤセヌカト云フコトニ付キマシテハ、
只今坂下君ガ述ベラレタ通リ、現在ノ業者
間ニ於キマシテハ、可ナリ資本ノ浪費、又
激シキ競爭等ノ爲ニ苦シンデ居ルノデアリ
マスカラシテ、是等ノ弊害ヲ除去スルコト
ニ依リ、各業者ハ今ヨリモ寧ロ樂ニナッテ行
クノデアリマシテ、其結果賃銀ハ値上リヨ
リモ、下ゲ得ル餘地ノ生ズルモノト考ヘル
ノデアリマス、此賃銀ニ關シマシテハ、ヤ
ハリ調整法ニ於テ主務大臣ガ監督スルコト
ニナッテ居リマスカラ、此爲ニ賃銀ノ値上ヲ
誘發スルト云フコトハナイヤウニ致シタイ
ト考ヘマス、委員會ノ構成、運用ニ關シテ
ハ、色々御尤ナル御說ヲ拜聽致シマシタガ、
此委員會ノ權能ハ中々重大ナルモノデアリ
マスカラシテ、只今坂下君ノ御述ニナッタヤ
ウナ弊害ノナイヤウニ十分注意ヲシテ、構
成運用シテ行キタイト考へテ居リマス
第二點ハ、合併、設立ヲ勸告デハイケナ
イデハナイカト云フコトデアリマシタガ、
合併、設立ハ法制上之ヲ命令ヲ以テスルト
云フ例ハ、今日マデ無イノデアリマス、又
現行法律ノ上カラハ、之ヲ命令ヲ以テスル
ト云フコトハ、種々ノ困難ガアルノデアリ
マシテ、勸〓ト云フコトニスルコトヲ至當ナ
リト考ヘテ、斯ウ致シタノデアリマス、勸
告デハ少シ目的ヲ達スルノニ足ラナイデハ
ナイカト云フ御意見デアリマシタガ、成ベ
ク業者ト協調シ、又委員會ノ意見モ徵シ、
勸〓ヲ以テシテモ十分ニ其目的ヲ達シ得ル
ヤウニ努力スル考デアリマス
第三點ハ、買收、讓渡ノ價格ノ基準ヲ定
メテハドウカト云フ御問デアリマシタガ、
此調整法ハ只今申上ゲマシタ通リ、成ベク
自治的ニ業者ガヤッテ行クト云フコトヲ、本
旨トスルノデアリマスルカラ、其地方々々
ノ業者々々ノ色々ノ都合モアラウト思フノ
デ、價格ノ基準ヲ豫メ法律ヲ以テ決定シテ
ハ、相當ノ無理ガ出來ルノデハナイカ、隨
テ是ハ能ク協調シ、又民間利用者、業者等
ノ入ル委員會ニ於テ、公正妥當ナル標準
ヲ決定スルコトガ穩當デアルト考ヘマシ
テ、價格ノ基準ハ玆ニ揭ゲナイノデアリマ
ス
第四ハ、省營「バス」ト民營「バス」ノ調整ハ如
何ニスルカト云フ御問デアリマシタガ、省
營「バス」ト雖モ、此調整法ヲ出シタル以上
ハ、鐵道省トシテハ熱意ヲ以テ此調整ニ參
加シテ行ク考ヲ持ッテ居ルノデアリマシテ、
ヤハリ此調整委員會等ノ意見ニ依ッテ進ミ
タイト考ヘテ居ル次第デアリマス(拍手)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/47
-
048・坂下仙一郎
○坂下仙一郞君 マダ私納得ノ出來得ル迄
ノ答辯ヲ得マセヌノデアリマスケレドモ、又
他ノ機會ニ於キマシテ質問スルコトト致シ
マシテ、只今ハ是デ打切ルコトニ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/48
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049・小山松壽
○議長(小山松壽君) 紅露昭君
〔紅露昭君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/49
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050・紅露昭
○紅露昭君 只今上程セラレマシタル陸上
交通事業調整法案ニ付キマシテ、鐵道、內
務海軍、陸軍及ビ遞信大臣ニ、簡單ニ政
府トシテノ所見ヲ質シテ置キタイト思フノ
デアリマス、私ガ諄々シク申上ゲル迄モナ
〃、交通機關ハ社會生活ノ支柱デアリ、文
化ノ要素デアルノデアリマス、此重大使命
ヲ持ツ交通事業ガ、現今ノ如ク不健全ナル
所ノ狀態ニ在ルコトハ、社會正義ノ見地カ
ラモ、是ハ許サルベキコトデハアリマセヌ、
私共モ政府ト同ジク我國交通事業ノ現狀ニ
鑑ミマシテ、統制ノ必要アルコトハ之ヲ認
メマス、殊ニ大都市ノ朝夕「ラッシュ·アワー」
ニ於ケル電車、「バス」、「タクシー」等ノ混
雜ハ、到底名狀スベカラザルモノガアリマ
シテ、利用者ハ痛切ニ是ガ調整ノ必要ヲ感
ジテ居ルノデゴザイマス、併ナガラ法案其
モノノ內容ニハ、私共トシテ今俄ニ贊同シ
難キモノガアルノデアリマス、又幾多ノ矛
盾撞著ヲ吾々ハ發見シテ居ルノデゴザイマ
ス、同僚坂下君ヨリ質問ガゴザイマシタカ
ラ、私ハ重複ヲ避ケテ、極メテ簡單ニ各相
ノ御意見ヲ伺ヒタイト思フノデアリマス
先ヅ第一ニ、本法ノ眼目トモ稱スベキ第
二條ノ合併又ハ設立ノ點デアリマスガ、私
ハ同僚坂下君ノ質問ト觀點ヲ異ニ致シマシ
テ、內務、鐵道兩主管大臣ノ御所見ヲ伺ヒ
タイト思ヒマスガ、本案ハ先程坂下君ヨリ
モ申シマシタル如ク、又鐵道大臣ノ御答辯
ニアリマシタル如ク、合併、新設ヲ命令事
項ト致シマセヌデ、之ヲ勸告ト致シマシタ
ル爲ニ、本法ハ殆ド骨拔ト相成ッタノデアリ
マス、無力化シタノデアリマス、兩大臣ハ
之ニ對シテ如何ナル成算ト對策ヲ有シテ居
ラレルノデアリマセウカ、私ハ玆ニ本案ガ
空文化シタリト斷定致シマスナラバ、先ヅ
其前提トシテ、政府ハ本法ニ依ッテ如何ナ
ル統制ヲ爲スノデアルカト云フコトヲ、見
ナケレバナラヌト思フノデアリマス、卽チ
法文第二條ニ依リマスト、斯樣ナ重大ナコ
トガ規定サレテ居ルノデアリマス「主務大
臣公益ノ增進ヲ圖リ陸上交通事業ノ健全ナ
ル發達ニ資スル爲陸上交通事業ノ調整ヲ爲
サントスルトキハ交通事業調整委員會ノ意
見ヲ徴シ調整ノ區域、調整スベキ事業ノ種
類及範圍竝ニ左ノ各號ニ依ル調整ノ方法ヲ
決定スベシ」ト云フコトガ第一項ニ書カレ
テ居リマス、而シテ其調整スベキ內容ハ實
ニ斯ノ如キモノデアリマス、「會社ノ合併又
ハ設立」、「事業ノ讓受又ハ讓渡」、「事業ノ共
同經營」、「事業ノ管理ノ委託又ハ受託」、「連
絡上必要ナル線路其ノ他ノ設備ノ新設、變
更又ハ共用」、「運賃又ハ料金ノ制定、變更又
ハ協定」、「連絡運輸、直通運輸其ノ他運輸上
ノ協定」、「用品其ノ他ノ共同購入、共同修繕
其ノ他調整上必要ト認ムル方法」等一切ガ、
此法律一本ニ依ッテ、主務大臣ノ行政命令一
本ニ依ッテ行ハレルト云フ、重大ナル所ノ法
案ナノデアリマス、彼ノ電力國家管理案ニ
數倍スル所ノ重大法案デアルト私ハ思フノ
デアリマス、併ナガラ此重大ナル所ノ法案
モ、先程鐵道大臣ノ御說明ノ如ク、第二項
ニ斯樣ナコトガ書カレテ居ルノデアリマス、
卽チ主務大臣ハ前項ノ決定ニ依リ陸上交通
事業經營者ニ對シ前項第一號ノ事項ノ實施
ヲ勸〓セヨト云フコトニナッテ居ル、勸告ト
ハ何ゾヤ、卽チ合併及ビ新設デアリマス、
合併及ビ新設ハ命令事項ト相成ッテ居ラナ
イノデアリマス、デアルカラシテ私共考ヘ
マスルノニ、此法律ニ依リマシテハ到底調
整ノ目的ヲ達スルコトハ不可能デアルト、
斯樣ナ前提ヲ致シタノデアリマス、而モ此
勸〓ニ付テ私共ノ最モ不可思議ト致シマス
ルコトハ、最初鐵道省ノ所謂原案ニ依リマ
スルト、此合併及ビ新設モ大臣ノ行政命令
一本デ自由ニ相成ッテ居ッタノデアリマスル
ガ、司法省ノ橫槍ニ依リマシテ、遂ニ斯ノ
如キ骨拔キノ法案ニナッタト云フヤウナコ
トモ、私共ハ伺ッテ居ルノデアリマス、果シ
テ真カ僞カ知リマセヌガ、唯此法案ヲ斯ノ
如キ情勢ニ置イタナラバ、到底私ハ本案ニ
依ッテハ、政府ノ企圖シテ居ル所ノ目的ハ達
シ得ラレナイト思フノデアリマスルガ、
此點ニ對シテ鐵道及ビ內務兩大臣ハ、如
何ナル政策ト對策ヲ有シテ居ルノデアル
カト云フコトヲ、御尋申上ゲタイノデア
リマス、併ナガラ斯ク申シマスルト、政
府ハ斯樣ニ言ハレルダラウト思フノデア
リマス、勸〓ニ依ッテモ、或ル程度マデ
實績ハ擧ルノデアルト、併ナガラ私共ハ
實ニ最近ニ於テ斯樣ナ例ヲ知ッテ居ルノデ
アリマス、卽チ三土忠造氏ガ齋藤內閣ノ鐵
道大臣トシテ御就任當時ニ、我國ノ陸上交
通運送ノ無統制ヲ憂ヘラレマシテ、東京ノ
京王電車、京成電車及ビ王子電車ノ、三電
鐵會社ノ責任者ヲ官邸ニ招致セラレマシ
テ、之ニ勸〓ヲ加ヘマシタケレドモ、不幸
遂ニ不成功ニ終ッテ居ルノデアリマス、ソコ
デ先程鐵道大臣ハ、委員會ノ意見ヲ徵シ、
相當協力シテヤルカラ、效果ガ擧ルデアラ
ウトノ御答辯デアリマスルガ、私ノ憂ヘマ
スル所ハ、鐵道當局ノ企圖シテ居ラレマス
ル所ハ、或ハ勸〓ニ應ゼザル場合ニ於テ或
種ノ强制手段ヲ用ヒ、或ル程度ノ威壓ト壓
迫ヲ加ヘテ、尙且ツ之ヲ强要シタナラバ、
業者ハ營業上ノ壓迫ニ堪ヘ兼ネテ、玆ニ應
諾スルデアラウト云フヤウナ意味カモ知レ
マセヌガ、若シ然リトスルナラバ、ソレハ
決シテ本法ノ效果デハアリマセヌ、全ク非
合法的デアリ、陋劣極マル手段デアリマシ
テ、行政當局トシテ執ルベキ態度デハナイ
ト私ハ考ヘルノデアリマス、我等ハ若シ內
務及ビ鐵道兩當局ガ左樣ナ御考デアリト致
シマスルナラバ、絕對ニ之ヲ排擊シナケレ
バナラナイト思フノデアリマスルガ、內務、
鐵道兩大臣ハ、果シテ如何ナル御決心ヲ以
テ、此法案ヲ此議場ニ御出シニナッタカヲ
伺ヒタイノデアリマス
尙ホ私ガ此點ニ關聯シマシテ、鐵道當局
ニ極メテ簡單ニ一言申上ゲテ置キタイコト
ハ、鐵道當局ハ斯樣ニ仰セラレルノデアリ
マス、本案ニ付テハ幾多ノ陳情ガ出テ居ル、
本案ハ業者ガ贊成致シテ居ル斯樣ニ言フ
ノデアリマス、併ナガラ業者ノ同意、業者
ノ贊成、業者ノ陳情、必シモ信ズベキモノ
ニアラズト云フコトヲ、私ハ簡單ニ申上ゲ
タイノデアリマスルガ、一體此法律ハ辯護
士法、小運送法、百貨店法ト殆ド同一形態
ヲ成シテ居ルノデアリマス、卽チ辯護士ト
非辯護士トノ抗爭ヲ防グベク辯護士法ガ制
定サレマシテ、指定、非指定ノ運送人、或へ
公認、非公認ノ運送人ノ摩擦抗爭ヲ防グベ
ク小運送法ガ制定サレタノデアリマス、又
百貨店業者ト中小ノ小賣業者ガ摩擦抗爭ヲ
起スカラ、之ヲ防止スベク百貨店法ガ昨年
制定セラレマシタコトハ、各位ノ御承知ノ
通リデアリマス、併ナガラ此法案ガ一タビ
議會ニ現レマシタ際ニハ、各業者ハ全部之
ヲ歡迎致シテ居ルノデアリマス、卽チ私ハ是
等ノ各法案ニ付テ、每囘審議ニ當ッテ參リマ
シタガ、業者ハ法案ノ熱心ナ支持者デアリ
マス、併ナガラ一タビ法案ガ通過致シマス
ルト、是等ノ人々ハ法案ノ不備缺點ヲ痛感
シテ、現ニ此七十三議會ニ於キマシテモ、
辯護士法改正案ノ如キハ、旣ニ數件ノ多キ
ニ亙ッテ提出致サレテ居ルヤウナ現狀デア
リマス、又昨年十月漸ク實施ヲ見マシタ所
ノ百貨店法、及ビ小運送法ノ如キモノニ付
キマシテモ、改正ノ要アリトノ聲ヲ私共ハ
聞クノデアリマス、是果シテ何ノ爲メデア
リマセウカ、私熟〓考へマスルニ、業者ノ陳
情、業者ノ贊成ト云フモノハ、自己ノ利益
ノミニ眩惑致シマシテ、國家百年ノ大計ヲ
樹ツルノ考ガ少ク致シテ、他面又主務官廳
ノ事務當局ハ功ヲ急グノ餘リ、自己ノ在職
中ニ法案ヲ成立セシメントノ念ガ急ナルモ
ノガアリマシテ、斯ノ如キ結果ヲ生ムノデ
ハナイカト私ハ考ヘルノデアリマス、私ノ
觀察ニシテ果シテ誤リナシト致シマスルナ
ラバ、我等議員タルベキ者ハ、愼重審議、
本案ナカリセバ吾々一般國民大衆ハ如何ニ
不便ヲ感ズルカ、此法案ガ通過シタナラ
バ、吾々國民一般大衆ガ如何ニ利セラレル
カト云フコトヲ、常ニ大乘的見地ニ立ッテ
愼重ニ考慮致シマシテ、信念ニ基キ、情實
ニ囚ハレルコトナク、大膽率直ニ、贊成、
不贊成ノ意ヲ決スベキモノト、私ハ確信致
シテ居ルノデアリマスルガ、本法案ニ付テ
內務大臣及ビ鐵道大臣ハ、如何ナル信念、
如何ナル成算ト對策ヲ御持チニナッテ御提
案ニ相成ッタカ、是ガ私ノ御伺スル第一點デ
アリマス
更ニ第二點ト致シマシテ鐵道大臣ニ御尋
致シタイノハ、調整ノ方法ガ其當ヲ得ザルト
云フコトデアリマス、所謂全面的統制ヲ避
ケテ、省營「バス」ニ付キマシテハ、今鐵道
大臣ヨリ、將來之ヲ參加セシメル積リデア
ルト云フ御說明ガアリマシタカラ省略致シ
マスルガ、少クトモ國有鐵道ハ御言明ガナ
イノデアリマス、我國ノ國有鐵道總延長一
万六千「キロ」、直營自動車路線一千三百「キ
ロ」、關釜或ハ靑函其他連絡航路ハ二百八十
浬ト云フコトニ相成ッテ居リマス、此投資價
格實ニ三十八億ト稱セラレ、或ハ四十二億
ト稱セラレテ居リマス、之ニ從事スル所ノ
人員亦三十万ト言ハレテ居ルノデアリマス
ルガ、全ク我國鐵道ノ代表的存在デアリマ
ス、私ハ此大國有鐵道全部ヲ、今直チニ此
交通調整法ニ依ッテ、他ノ地方鐵道、或ハ軌
道乘合自動車事業全部ト合同セヨトハ申
シマセヌ、又合同セント致シマシテモ、政
治的ニ、或ハ經濟的ニ、社會的ニ、將タ技術
的ニ、實際ノ運用ニ當ッテハ幾多ノ困難ガ伴
フコトハ之ヲ認メマス、ケレドモ政府ハ自
己ノ經營ニ係ル所ノ一切ノモノヲ提供セズ、
民間ノモノノミヲ以テ之ヲ合同セヨ、合併
セヨ、而シテ其成績ヲ擧ゲヨト指導勸告セ
ラレマシテモ、私ハソレハ不可能デナイカ
ト虞レルノデアリマス、若シ不可能デナイ
ト致シマシテモ、少クトモ統制ノ效果ヲ十
分ニ擧ゲ得ナイノデハナイカト云フコトヲ
信ズル者デアリマス、デ私ハ此交通統制ニ
付キマシテ、學者及ビ實際家ガ幾多ノ方法
ヲ〓究致シテ居リマス、簡單ニ之ヲ申シマ
スルナラバ、所謂交通網ノ統制、交通機能
ノ統制、企業ノ統制、經營ノ統制、運輸ノ
統制、或ハ强制任意ノ統制等ト、種々樣々
ノ議論ハアリマスケレドモ、少クトモ今日
ノ情勢ニ於テ、各國ノ例ニ於キマシテ、國
有鐵道、國有電車、國有ノ「バス」ヲ絕對ニ參
加セシメズシテ、其成績ヲ擧ゲヨウト云フ
コトノ不可能デアルト云フコトハ、各國ノ
學者モ、實際家モ之ヲ認メテ居ルノデアリマ
ス、又之ヲ我國ノ實際ノ例ニ徵シマシテモ、
昭和十年十月以來、交通問題〓究會ヲ開催
致シマシテ、各種ノ協會ガ交通統制案要綱
ト云フモノヲ發表致シテ居リマスルガ、ソ
レニモ國有鐵道及ビ國有電線、及ビ「バス」
ノ參加ヲ要望シテ居リマス、現ニ去ル二月
ニ鐵道省カラ業者全般ニ對シマシテ、此法
案ノ原稿ヲ發表致シマシタ際ニモ、業者ハ
是非共國有鐵道、或ハ省營「バス」モ、省營電
車モ、之ニ參加シテ貰ヒタイト云フ決議ヲ
致シテ居ルノデアリマス、又茲ニ極メテ簡
單ニ世界列國ノ重要ナル都市ニ於ケル實例
ニ徵シマシテモ、彼等ハ多年〓究努力致シ
マシタル結果、伯林ニ於キマシテモ、西暦
千九百二十九年ニ路面電車、高速度鐵道、
乘合自動車ノ全部ヲ統制致シテ、伯林運輸
株式會社ニ經營致サセマシテ、國有鐵道モ
參加致シテ居リマス、又倫敦ニ於キマシテ
モ、倫敦旅容運輸法ガ實施サレマシテ、倫
敦市內ノ各交通機關ハ、國有鐵道其他一切
ヲ擧ゲテ、倫敦旅客運輸局ノ統制經營ノ下
ニ委ネラレテ居ルノデアリマス、又米國モ
聯邦交通統制官ヲ新設致シマシテ、統制ニ
邁進シツヽアルノデアリマス、其他「ボス
トン」、紐育、「フィラデルフィヤ」ノ交通
統制ハ、理想ニ近キ成績ヲ擧ゲテ居ルノデ
アリマス、而モ最近鐵道大臣ハ七十三議會
ニ於テ、電力國家管理案ノ委員會ニ於テ、
鐵道省所有ニ係ル發電所ハ、其工事ガ完成
シマスレバ、之ヲ特殊會社ニ提供シテモ宜
シイト云フヤウナ意味ノ御答辯ガアッタト、
私ハ記憶致シテ居ルノデアリマスガ、是等
ノ諸點カラ考ヘマシテ、又世界ノ大勢ヨリ
勘考致シマシテ、ドウシテモ私ハ省營電車
ノ一部、或ハ國有鐵道ノ一部、及ビ其他政
府ノ所有ニ係ル所ノ設備、之ヲ本統制法ニ
依ッテ統制サルヽ場合ニ、參加セシムルノ
必要アリト、斯樣ニ考ヘルノデアリマスル
ガ、主管大臣クル內務大臣及ビ鐵道大臣
ハ、此點ニ對シテ如何ナル御見解ヲ有シテ
居ラレルノデアルカ、御伺致シタイノガ私
ノ第二點ノ質問デアリマス
アトハ極メテ簡單デアリマス、暫ク御〓
聽ヲ願ヒマス、更ニ第三點トシテ海軍大臣、
鐵道大臣、遞信大臣、內務大臣ニ御伺致シ
タイコトハ、政府ハ此際寧ロ斯ノ如キ效力
ノ疑ハルヽ所ノ法案ノ撤囘ヲサレテ、此際
交通省ヲ設置スル所ノ意思ナキヤ否ヤノ點
デアリマス、私ガ申上ゲル迄モナク、我國
現在ノ交通事業ト致シマシテハ、陸上運送、
海上運送、航空輸送ノ三者ヲ擧ゲナケレバ
ナリマセヌ、更ニ又運輸事業ノ目的物ノ方面
ヨリ之ヲ見マスナラバ、通信、運輸ノ如キモ
此範疇ニ入ッテ參リマセウ、併ナガラ御承知
ノ如ク我國ノ現在ニ於キマシテハ、其事業ノ
性質ヨリ祕密ノ嚴守、運輸ノ迅速ト正確、
料金ノ低廉、及ビ手續ノ簡便ヲ期スル意味ニ
於テ、通信運輸ハ御承知ノ如ク遞信省ノ專屬
管轄トシテ、國家ノ獨占事業ト致シテ居リマ
スカラ、今姑ク是ハ論ジマセヌ、併ナガラ苟
モ政府ハ玆ニ此劃期的一大法案ヲ制定致シ
マシテ、世界ノ大勢ニ順應シテ將來ノ國策
ヲ樹立セント致シマスナラバ、少クトモ十
年、二十年先キノ將來ニ、是ガ見透シヲ付
ケナケレバナラヌト私ハ信ズルノデアリマ
ス、然ルニ本案ノ制定ニ當ッテ、海上運送、
航空輸送ト云フモノヲ看過致シマシタルコ
トハ、鐵道省及ビ內務省トシテ一大失態デア
ラウト思フノデアリマス(拍手)而モ今囘ノ
支那事變ニ際シマシテ、日本全國ニ斯ノ如
ク澎湃トシテ起ッテ來テ居リマスル所ノ此
航空熱、此航空輸送ノ問題ニ對シテ、政府
ガ一顧ダニ與ヘナカックト云フコトハ、全ク
私ハ遺憾ノ極ミデアルト云フコトヲ斷言セ
ザルヲ得ナイノデアリマス、由來鐵道當局
ハ二十年ノ長キ間、此統制問題ニ付テ〓究
ヲ重ネラレタト仰セラレテ居リマスルガ、
一體何ヲシテ居ラレタカ、吾々ニハ全ク解
スルコトガ出來ナイ、恐ラク鐵道當局ノ御
意向トシテハ、航空輸送トカ或ハ海上運輸
ト云フモノハ、現在ノ陸上運送ニ比較シテ、
殆ド摩擦相剋ヲ起ス程度ニ相成ッテ居ラナ
イト、斯樣ニ考ヘテ居ラルヽカモ知レマセ
ヌガ、ソレハ全ク認識不足デアリマス、今
試ミニ我國ノ海運事業ニ付テ之ヲ檢討致シ
マシテモ、御承知ノ如ク商船ノ總噸數ハ、
英米ニ次イデ我ガ日本ハ今第三位ニ居リマ
ス、所謂量ヨリ質ヘト轉換致シマシテ、益〓
其威力ヲ發揮シツヽアルノデアリマス、海
運界ニ於ケル所ノ競爭ノ激烈ナルコトハ、
或ル意味ニ於キマシテハ陸運以上ト稱セラ
レテ居ルノデアリマス、是ニ於テカ海運同
盟ハ是ガ競爭ノ防止ニ付テ、陸上運送ト同
ジク種々ノ對策ヲ講ジテハ居リマス、ケレ
ドモ中々ニ是ガ統制ハ困難ヲ感ジテ居ルノ
デアリマス、而モ海運界ニモ御承知ノ如ク
定期船主アリ、不定期船主ガアリマシテ、
其抗爭ハ中々ニ激化致シテ居リマス、幾多
ノ懸案山積シテ、決シテ此儘ニハ放任出來
ナイヤウナ情勢ニ相成ッテ居ルノデアリマス、
又一面航空事業ヲ見マシテモ、御承知ノ如ク
昭和十一年度ヲ契機ト致シマシテ、約一万
「キロ」ニ達シ、愈〓玆ニ實用時代ニ航空輸送ハ
入ッテ參ッテ居ルノデアリマス、鐵道省ニ於カ
レマシテモ、鐵道ト航空ノ連絡運輸ヲ計畫
セラレマシテ、昭和十一年ノ十月四日、國鐵
ト日本空輸、滿洲航空、是等ノ諸會社ノ提携
ガ結成セラレマシタコトハ、洵ニ喜バシイ
コトデアリマスルガ、以上述べマシタル如
クニ、我國交通界ノ全般ノ大勢ヨリ觀察致
シマスルニ、陸海空各種交通機關ノ競爭ハ、
將來益〓激化スルノ傾向ニアリト致シマス
ルナラバ、此際是等三者ヲ合併致シマシテ、
所謂交通省ヲ設置スル所ノ必要ガアルト、
斯樣ニ私ハ痛感スルノデアリマスルガ、現
在ノ如ク管轄權ガ或ル部分ニ於テハ鐵道省
ニ在リ、或ル部分ニ於テハ遞信省ガ之ヲ有
シテ居ル、或モノハ內務省ニ屬スルト云フ
ヤウナコトデハ、到底我國ノ將來ニ於ケル
所ノ陸上運送、海上運輸、航空運輸ト云フ
モノハ、發達ヲ期スルコトハ出來ナイト私
ハ信ズルノデアリマス、ソコデ私ハ先程來
列擧致シマシタ所ノ是等ノ點ニ付テ、各大
臣ノ御見解ヲ承リタイノデアリマスルガ、
尙ホ最後ニ一點御忠〓ヲ申上ゲテ置キタイ
ト思ヒマスルコトハ、若シ經費ノ都合上、交
通省設置ノ事業ガ直チニ實現シ得ラレナイ
トシマスルナラバ、寧ロ此際虛心坦懷ニ、
遞信省モ、內務省モ、自己ノ管轄權ヲ抛棄
シテ、何ガ故ニ鐵道省一大臣ニ其權限ヲ任
セナイカ、所謂監督權ヲ集中スルノ勇氣ト
雅量ナキヤヲ伺ッテ置キタイト思フノデア
リマス、是ガ私ノ第三點ノ質問デアリマ
ス
更ニ第四點ト致シマシテ、鐵道、內務兩
主管大臣ニ御尋ヲ致シタイコトハ、附帶事
業デアリマスルガ、地方鐵道又ハ軌道會社
ガ、現在交通事業ニ牽聯シテ經營致シテ居
リマスル所ノ百貨店、或ハ土地經營、電力、
電燈ト云フヤウナ、諸事業ニ對スル所ノ處
置デアリマスルガ、是等ノ事業ガ此統制法
ニ依リマシテ統制セラレマシタル後ニ於
テ、獨立シテ營業シ得ル場合ハ差支アリマ
セヌガ、例ヘバ大阪ニ於ケル所ノ阪急百貨
店、阪神ノ甲子園、或ハ東京方面ニ於キマ
シテモ、東横電軌ノ澁谷ニ於ケル所ノ百貨
店、或ハ京王電軌ノ京王閣ノ如キ、或ハ京
成電車ノ谷津遊園地ノ如キモノハ、相當ノ
打撃ヲ受ケルト云フヨリハ、寧ロ私ハ經營
不能ニ陷ルモノト信ジマスルガ、是等ニ對
シマシテハ法文ノ第二條ニ、主務大臣ハ調
整ノ必要アリト思フ時ニハ、調整スベキ事
業ノ種類及ビ範圍ヲ決定スベシトアリマス
ルカラ、此中ニ包含サレルコトトハ思ヒマ
スルガ、御承知ノ如ク交通事業調整委員會
ハ諮問機關デアリマス、何等ノ權限ヲ持ッテ
居リマセヌカラ、主務大臣ノ任意ニ是等ノ
事業ノ種類及ビ範圍ヲ決定スルコトガ出來
ルノデアリマスルカラ、何卒此點ニ對スル
所ノ主務大臣ノ確然タル御答辯ヲ伺ッテ置
キタイト思フノデアリマス、而モ最後ニ
點是亦御伺致シタイコトハ、倫敦ニ於ケル
倫敦旅客運輸局ノ如ク、或ハ米國ノ聯邦交
通統制官ノ如ク、或ル程度ノ權限ヲ此委員
會ニ持タセル所ノ意思ハナイカ、斯ウ云フ
點デアリマス(「簡單」「簡單」ト呼フ者アリ)
大分簡單ト云フ御聲ガアリマスルカラ、
モウ一點デ御終ヒニ致シマス、第五點トシ
テ鐵道、內務兩大臣ニ御尋致シタイコト
ハ、是ハ本法案ノ眼目トモ稱スベキ重大ナ
ル點デアリマスルガ、本法實施地域ノ順序
ノ問題デアリマス、換言致シマスレバ、先
ヅ何レノ地域ヨリ是ガ統制ヲ開始スルヤノ
點デアリマス、申ス迄モナク、今日我等ガ
最モ其必要ヲ痛感致シテ居リマスルモノ
ハ、東京市ヲ始メトシテ所謂六大都市デア
リマスルガ、假ニ一例ヲ東京市ノ新宿方面
ニ取リマスルナラバ、御承知ノ如ク同所
ニハ、實ニ十指ヲ屈スル所ノ交通機關ガ、
アノ狹イ地點ニ集中シテ居ルノデアリマス、
曰ク西武鐵道、曰ク東京市營自動車、東京
乘合自動車、京王電鐵、甲州街道乘合自動
車、省線電車、省營鐵道、曰ク東京市營路
面電車等、卽チ是デアリマス、而モ又近キ
將來ニ東京驛ヨリ、此方面ニ高速度地下鐵
道ガ建設サレント致シテ居ルノデアリマス、
此多數ノ交通機關ガ亂雜無統制ヲ極メテ居
リマスル其中ヲバ、更ニ二万數千臺ノ圓「タ
ク」或ハ「タクシー」、「トラック」ガ縦橫ニ
馳驅致シマシテ、其危險、其混雜、全ク我等ノ
想像以上デアリマシテ、サナガラノ交通地
獄ヲ現出致シテ居ルノデアリマス、鐵道大
臣ヲ始メ政府大官諸公ハ、出ルニ又入ルニ
高級自動車ガ待ッテ居リマス、迎フルニ國有鐵
道ガアリマス、吾々一般大衆ノ此苦痛、懊惱
ヲ、定メシ御經驗ガナイカモ知レマセヌガ、
願クハ一日暇ヲ割カレテ、此交通地獄ヲ體
驗サレタイノデアリマス、我等國民一般大
衆ハ、此交通混雜ノ外ニ、尙ホ交通事故ト
云フ一大悲慘事ニ脅カサレテ居ルノデアリ
マイ、最近ノ警視廳管下ニ於ケル交通事故
ノ統計ヲ檢シマシテモ、一箇年間ニ實ニ三
万二千件ノ多キニ達シテ居リマス、死傷シ
タル者二万人、一日平均五六·二人ト云フ、
夥シキ數ニ上ッテ居ルノデアリマス、更ニ又
之ヲ全國的ニ見マシテモ、七万四千件ノ多
キニ上リマシテ、此中負傷シタル者四万七
千人、死者二千九百九十人ノ多キニ達シテ
居ルノデアリマス、無論是等ノ中ニハ過失
ニ因ルモノモアリマセウガ、今少シク交通
機關ニ統制ガアリ、規律ガアリ、而シテ交
通量ガ適度ニ保持セラレマスルナラバ、或
ル程度マデ是等ノ事故ヲ防止シ得ルモノト
私ハ信ズルノデアリマス、論ズル迄モナク、
交通機關ハ唯單ニ正確デアリ、敏速デアリ、
快的デアリ、又其料金ガ低廉ナルノミデハ、
其目的ガ達成セラレタリトハ申サレヌト私
ハ思フノデアリマス、卽チ交通機關ハ其公
共性ニ鑑ミマシテ、ドウシテモ一般大衆ノ
便不便ト云フコトヲ主眼トシナケレバナラ
ナイト、私ハ斯樣ニ考ヘルノデアリマス、
此見地カラ致シマシテ、本統制法ガ今囘假
ニ本議會ヲ通過致シマシテ、法律ト相成リ
マシタル曉ニ於テ、先ヅ第一ニ我等ガ政府
ニ對シテ要望シマスル所ハ、實施地域ノ順
序ノ問題デアルト信ズルノデアリマス、然
ルニ之ニ付テハ何等法文化サレテ居リマセ
又、政府ハ此點ニ對シテ如何ナル御所見ヲ
御持チニナッテ居ルカ、之ヲ伺ヒタイノデ
アリマス
マダモウ一ツアリマスガ、此交通地獄ヲ
現出致シテ居リマスル所ノ圓「タク」、及ビ
「タクシー」、及ビ「トラック」ヲ、何故政府
ハ此交通統制法ニ入レナカッタカト云フ點
デアリマス、此點ニ付テハ各學者モ、實際
家モ、頭ヲ惱マシテ居リマス、政府ハ此點
ニ付テ斯樣ニ言フノデアリマス、東京ヲ始
メトシテ各都市ノ圓「タク」業者ヲ交通統制
スルコトハ必要デハアルケレドモ、併ナガ
ラ失業問題ト云フコトモ考ヘナケレバナラ
ヌト言フノデアリマス、併ナガラ私ハ之ヲ
否定シタイト思ヒマス、失業者ガ出來レバ、
政府ハ之ヲ轉職サセルガ宜シイ、又中古ノ
自動車ノ如キハ、政府ガ之ヲ買收スルガ宜
シイ、サウシテ折角此交通統制法ニ依ッテ交
通地獄ヲ救ヒ、又業者ヲ救ヒ、一般大衆ノ
便利ニ獻益セントスルナラバ、ドウシテモ
私ハ此圓「タク」業者、及ビ「タクシー」ヽ「ト
ラック」ト云フモノニ付テ、何等カノ對策ガ
講ゼラレナケレバナラナイト思フノデアリ
マスガ、內務大臣及ビ鐵道大臣ハ、將來此
點ニ對シテ如何ナル御見解ヲ有セラルヽカ
ヲ伺ヒマシテ、私ノ質問ヲ一應打切ル次第
デゴザイマス(拍手)
〔國務大臣中島知久平君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/50
-
051・中島知久平
○國務大臣(中島知久平君) 紅露君ニ御答
致シマス、質問ノ第一點ハ、合併、設立ヲ
勸〓ト致シタノデハ、其目的ハ達成セラレ
ナイデハナイカト云フコトデゴザイマシ
タガ、合併、設立ヲ勸告ト致シタノハ、先程
申上ゲタヤウナ理由ニ依ルノデアリマス、
此交通事業ノ調整ニ關シマシテハ、以前カ
ラ民間側ニ其希望ガ蘊釀シテ參リマシテ、
幾多ノ陳情、請願、建議等ニ現レテ參ッタノ
デアリマシテ、民間業者ハ肚ノ中デハ、現
在ノ競爭ニ堪ヘラレズシテ、合併ヲシタイ
ト云フ考ガアルノデアリマス、隨テ勸〓ヲ
以テシテモ、其機運ガ滿チテ來テ居ル際デ
アリマスルカラ、相當ノ效果ヲ擧ゲ得ルモ
ノデアルト信ジテ居ルノデアリマス、ソレ
カラ勸告ト云フ美名ニシテ置イテ、陋劣ナ
ル手段ヲ以テ强要スルト云フヤウナコトハ、
排擊スルト云フ御話デアリマシタガ、勿論
吾々ト致シマシテモ、陋劣ナル手段ヲ以テ
强要スルヤウナコトハ絕對ニ致サヌ考デア
リマス
第二點ハ、國有鐵道ト調整法トノ關係ハ
ドウナルノカト云フ御問デアリマシタガ、
國有鐵道モ幹線ヲ成ス部分、又ハ軍事上國
有トシテ置カナケレバナラヌヤウナ場所ヲ
除イタ地方的ノモノハ、進ンデ調整ニ參加
スル考デ居リマス
第三點ハ、交通省ヲ設置シテハドウカ、
又交通省設置マデ本案ヲ撤囘シテハドウカ
ト云フ御問デアリマシタガ、交通省ノ設置
ニ關シマシテハ、色々ノ事情、其利害等ヲ
愼重ニ考究スベキ大問題デアルト考ヘマス
ルノデ、現在政府ニ於キマシテハ、交通省設
置ニ關スル具體的意思ヲ發表スルノ程度ニ
至ッテ居ラヌノデアリマス、本案ハ交通省ガ
設置セラレテモ、セラレナクテモ、本案ニ
依ッテ調整ヲシテ置イテ、何等ソレニ支障ヲ
來スモノデナイノデアリマスルカラ、先ヅ
本案ヲ實行シテ行キタイト云フ考デアリマ
シテ、撤回スルノ意思ハ持ッテ居リマセヌ、
ソレカラ鐵道省ハ航空輸送ニ關シテ冷淡デ
ハナイカト云フヤウナ御話ガアリマシタガ、
今日ノ航空機ノ發達ノ程度ニ於キマシテハ、
之ヲ此交通事業調整ノ中ニ織込ムト云フコ
トハ、少シ早カラウト考ヘテ居ルノデアリ
マス、何レ航空機ガ更ニ一段ト發達致シマ
シテ、輸送力ガ更ニ增大シ、運行ノ經費等
ガモウ少シ割安トナリ、又發著場ニ於ケル
發著ガ、更ニ一層容易ニナッテ來ルヤウナ場
合ニハ、當然本案ノ中ニ包合サレテ行クベ
キモノト考ヘテ居ルノデアリマスルガ、今
日之ヲ爲スト云フコトハ、少シ尙早ナリト
考ヘテ居ル次第デアリマス
第四ハ、附帶事業ヲ調整ノ中ニドウ云フ
風ニ織込ムカト云フ御問デアリマシタガ、
現在ノ交通事業者ガ色々ノ附帶事業ヲ持ッテ
居ルコトハ御承知ノ通リデアリマスガ、其
附帶事業ノ中ニハ色々アルノデアリマシテ、
其附帶事業ガ交通事業者ノ本業ニ依存シテ
立ッテ居ルト云フヤウナモノハ、此調整法ノ
中ニ入レテ行キタイト云フ考ヲ持ッテ居ル
ノデアリマス
第五點ハ、委員會ニ大ナル權限ヲ持タセ
テハドウカト云フ御問デアリマシタガ、此
調整法ノ根本趣旨ハ、民間側ノ現在ノ狀態
ニ堪ヘラレナイト云フヤウナ機運ノ釀成ニ
順應シテ、此調整法ヲ出シタノデアリマシ
テ、其根本ハ成ベク自治的ニ調整ヲ行フヤ
ウニ仕向ケル、業者間ニ於テソレガ出來ナ
イヤウナ場合ニ限ッテ、政府ガ調整委員會ノ
意見ヲ徵シテ、世話ヲスルト云フコトデア
ルノデアリマスルカラ、委員會ノ權限ハ、
此法律ニ規定シタ程度デ十分デアルト考ヘ
ルノデアリマス
第六點ハ、調整ハ何レノ地域カラ始メル
カト云フ御問デアリマシタガ、是ハ其必要
度ノ大ナル處、又其地方々々ニ於テ、其機
運ガ十分ニ滿チテ來テ居ル處等カラ、順次
行ッテ行ク考デアリマスルガ、是等ニ付キマ
シテモ、十分調整委員會ノ意見ヲ徵シテ行
ヒタイト考ヘテ居リマス
第七點ハ、圓「タク」、「トラック」等ニ關シ
テ規定ガナイガ、是ハドウスルカト云フコト
デアリマシタガ、是等ハ個人々々ノ經營ニ
屬シテ居リマシテ、直チニ玆ニ規定スルト
云フコトハドウカト考へタノデアリマス、
隨テ將來必要ニ應ジテハ勅令ヲ以テ、是等
ノ中必要ナモノヲ摘出シテ行ヒ得ルヤウニ、
法律ニ規定シテアルノデアリマス(拍手)
〔國務大臣末次信正君登壇〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/51
-
052・末次信正
○國務大臣(末次信正君) 御答致シマス、
此法案ハ內務省、鐵道省、十分協議ノ上提
出致シマシタ案デアリマシテ、七項ニ亙ル
御質問ニ對シマシテ、內務省ト致シマシテ
ハ、鐵道大臣ノ御答辯ト何等變ック答辯ノ致
シヤウハナイノデアリマス、其中デ質問ノ
第一點、勸告ニ止メテ宜イノカト云フ點ニ付
キマシテハ、勸〓ヲ以テ十分ニ調整ノ目的
ヲ達シ得ルト、內務省デモ信ジテ居ルノデ
アリマス、交通省設置ノ件デアリマスガ、
是ハ御高見ノ通リニ、十分ニ〓究致シタイ
ト存ジテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/52
-
053・小山松壽
○議長(小山松壽君) 紅露君、宜シウゴザ
イマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/53
-
054・紅露昭
○紅露昭君 陸軍大臣ト海軍大臣ト遞信大
臣発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/54
-
055・小山松壽
○議長(小山松壽君) マダ何カ質問ガアリ
マスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/55
-
056・紅露昭
○紅露昭君 簡單デアリマスカラ自席カラ
御許ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/56
-
057・小山松壽
○議長(小山松壽君) 宜シウゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/57
-
058・紅露昭
○紅露昭君 遞信大臣、陸軍大臣及ビ海軍
大臣ハ御出席ガアリマセヌカラ、政務次官
カラ適當ノ機會ニ御答辯下サルヤウニ御願
致シテ置キマス(拍手)発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/58
-
059・小山松壽
○議長(小山松壽君) 是ニテ質疑ハ終了致
シマシタ、本案ノ審査ヲ付託スベキ委員ノ
選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/59
-
060・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ議長指名二十七名ノ
委員ニ付託サレンコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/60
-
061・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/61
-
062・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/62
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063・服部崎市
○服部崎市君 殘餘ノ日程ヲ延期シ、本日
ハ是ニテ散會セラレンコトヲ望ミマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/63
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064・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/64
-
065・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ、次會ノ議
事日程ハ公報ヲ以テ通知致シマス、本日ハ
是ニテ散會致シマス
午後五時四十一分散會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/txt/007313242X02219380304/65
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