第74回帝国議会　衆議院　支那事変特別税法中改正法律案外二件委員会　第3号　昭和14年2月27日

1. 会議録本文

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• 000・会議録情報

  　　　　會議
  昭和十四年二月二十七日（月曜日）午前十時二十三分開議
  　出席委員左の如し
  　　委員長　川崎克君
  　　理事　小山倉之助君　理事　森田福市君
  　　理事　宇賀四郎君　理事　鶴惣市君
  　　理事　最上政三君　理事　藤本捨助君
  　　理事　河野密君
  　　　　中島彌團次君　　　一松定吉君
  　　　　松永東君　　　川崎末五郎君
  　　　　田村秀吉君　　　愛野時一郎君
  　　　　小畑虎之助君　　　渡邊玉三郎君
  　　　　津倉亀作君　　　瀧澤七郎君
  　　　　高橋熊次郎君　　　武田徳三郎君
  　　　　森田政義君　　　江羅直三郎君
  　　　　坂田道男君　　　大口喜六君
  　　　　岸田正記君　　　森肇君
  　　　　片山哲君　　　松永義雄君
  　　　　道家齊一郎君　　　青木作雄君
  　出席國務大臣左の如し
  　　　商工大臣兼拓務大臣　八田嘉明君
  　　　　　　　　大藏大臣　石渡莊太郎君
  　出席政府委員左の如し
  　　　　　内務省地方局長　坂千秋君
  　　　　　　大藏政務次官　松村光三君
  　　　　　　　大藏參與官　矢野庄太郎君
  　　　　　大藏省主税局長　大矢半次郎君
  　　　　　　　大藏書記官　田中豐君
  　　　　　商工省鑛山局長　小金義照君
  本日の會議に上りたる議案左の如し
  　支那事變特別税法中改正法律案（政府提出）
  　臨時利得税法中改正法律案（政府提出）
  　臨時租税措置法中改正法律案（政府提出）

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• 001・川崎克

  ○川崎委員長　ソレデハ開會致シマス

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• 002・津倉亀作

  ○津倉委員　資料ヲ御願致シマス、一ガ法
  人租稅ノ負擔額ノ調課稅資本金百万圓トシ
  テ前年モ御聽キ致シマシタ普通所得十万圓
  ノ場合、二十万圓ノ場合、三十万圓ノ場合、
  五十万圓ノ場合、七十万圓ノ場合、百万圓
  ノ場合ノ負擔額ノ御調ヲ願ヒタイ、法第四
  條ノ平均利益率ノ四、五、六ヲ七%トシテ、
  九、+、十一ヲ十%トシテ、稅種別ニ願ヒ
  タイ、現行法ノ負擔稅額ト改正後ノ負擔
  稅額、ソレカラ地方附加稅モ併セテ推定ノ
  寄セタ計ヲ出シテ戴キタイ、ソレカラモウ
  一ツハ法人ノ所得稅額ヲ制限スル場合ノ計
  莫其ノ說明ヲ明細ニ出シテ貰ヒタイ、分
  リマシタカ

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• 003・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　分リマシタ

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• 004・津倉亀作

  ○津倉委員　細カク出シテ下サイ、殊ニ第
  二ノ所得額制限ヲスル場合ノ五十、六十ヲ
  改正ニナリマセヌガ、其ノ場合ニ於テソレ
  トノ引ツ掛リヲ調ベテ貰ヒタイト思フノデ
  ス、今度改正ニナリマシタ其ノ點モ明ニ願
  ヒョ 大

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• 005・渡邊玉三郎

  ○渡邊委員　私モ一寸關聯シテ津倉君ノ御
  要求ニモウ一ツ附ケ加ヘテ同ジヤウナ調査ヲ
  願ヒタイ、卽チ昨年ノ御說明ニ依リマスト、
  百万圓ノ會社ガ七十万圓ヲ儲ケルト、三万
  何千圓ヲ寄附スルコトニナツテ居リマスガ、
  結局ドレダケ以上ハ利益ガアツテモ同ジコ
  トデアルカ、其ノ點ヲ法人ト個人ニ於テ御
  示シヲ願ヒタイ-私ノ言ツタコトガ分リ
  マシタカ

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• 006・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　一寸分リ兼ネマシタ、モ
  ウ一遍願ヒマス

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• 007・渡邊玉三郎

  ○渡邊委員　分ラナケレバモウ一遍申上ゲ
  さく、昨年ノ率ニ依リマシテモ、百万圓ノ
  會社ガ七十万圓儲ケマス時ハ、其ノ七十万
  圓ノ百分ノ五十、所謂三十五圓ヲ超過スル
  モノハ二万六千七十五圓ト云フコトニナル
  カラ、之ヲ免除スルコトニナツテ居ルト云
  フ御說明デアリマシタ、今度ハ總テノ稅率
  ガ上リマシタカラ、同ジ金額デモ免除スル
  モノガ多イト思ヒマス、隨テ昨年デモ七十
  万圓儲ケル人モ、八十万圓儲ケル人モ稅ヲ
  出スコトハ同ジノ結果ニナリマス、隨テ儲
  ノドノ點以上ハ、ソレヲ切捨テラレルト云
  フコトデアルカ、數字的ニ現ハシテ戴キタ
  イ、斯ウ云フコトデアリマス

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• 008・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　分リマシタ

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• 009・川崎克

  ○川崎委員長　渡邊君、ソレハ本稅ニ付テ
  デアリマスカ、附加稅ニ付テノ御要求ハナ
  イノデスカ

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• 010・渡邊玉三郎

  ○渡邊委員　勿論其ノ所得稅附加稅ノ東京
  市ノ例ヲ御取リ下サイマシテ、ソレカラ營
  業收益稅、同附加稅法人資本稅等ヲ加ヘタ
  モノニ御願シマス、尙ホ同族會社ノ場合ト
  兩方御願致シマス

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• 011・川崎克

  ○川崎委員長　質疑ニ入リマス-中島君

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• 012・中島彌團次

  ○中島委員　大臣ガ見エマセヌガ

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• 013・川崎克

  ○川崎委員長　今請求致シテ居リマスカラ
  モウ直キニ見エルダラウト思ヒマスガ、主
  稅局長ニ御尋下サル分ヲ先ニ御願シマス

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• 014・中島彌團次

  ○中島委員　小サイ問題デスガ、支那事變
  特別稅法ノ第二條ノ末項ニ「普通所得ノ百分
  ノ五十五ニ相當スル金額ヨリ普通所得中留
  保シタル金額ノ百分ノ十五ニ相當スル金額
  ヲ控除シタル殘額」ト斯ウナツテ居リマシテ、
  第二條ノ緩和規定ガ今度出來ルコトニナ
  ツタノデアリマスガ、之ニ依リマスト大
  藏大臣ガ支那事變特別稅法ノ末項ヲ此ノ
  委員會ノ當初ニ於テ御說明ニナリマシタ
  所ニ依リマスト、大臣ノ說明ノ中ニハ、
  法人ノ最高課稅限度ヲ改メテ、其ノ所得中
  留保シタル金額ノ割合ガ多クナルニ從
  ヒ、之ヲ自動的ニ引下ゲル仕組ニナツテ居
  リマスト、斯ウ云フヤウナ御說明ガアリマ
  シテ、留保ガ多クナルニ從ヒ、最高課稅限
  度ガ自動的ニ引下ゲラレルヤウナコトニナ
  ルト解釋サレルノデアリマス、サウシマ
  スルト、此ノ留保所得ガドノ程度ニナレバ
  最高課稅限度ガ引下ツテ來ルノデアルカ、
  卽チ此ノ支那事變特別稅法第二條ノ末項ノ
  規定ヲ之ヲ表ニ示シテ戴カナケレバ、例へ
  バ百ナラ百ダケ保留ガアレバ最高限度ハ幾
  ラニナツテ來ルカ、又是ガ九十ニナレバ幾
  ラニナルカ、ソレカラ八十ニナレバドレ位
  ニナツテ來ルカ、ソレカラ、七十、六十、
  五十、四十、三十、二十、十ト云フヤウナ
  風ニ致シマシテ、表ニ示シテ戴クカ、口頭
  デモ宜シウゴザイマスガ、此ノ規定ガ設ケ
  ラレテ保留所得ガ增加セラレルニ從ツテ「オ
  ートマチツク」ニ最高課稅限度ガ低クナツ
  テ來ル、所謂緩和規定ヲ設ケラレタ主ナ內
  容及ビ之ニ對スル所ノ關係ハドウ云フヤウ
  ナ關係ニナツテ來ルノデアリマスカ、細カ
  イ問題デアリマスカラ、之ヲ主稅局長カラ
  說明シテ戴キタイ

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• 015・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　御答致シマス、只今ノ御
  質問ノ點ハ留保割合ガ一〇〇%ノ場合ニハ
  最高課稅限度ハ四〇%ニナリマス、八〇%
  ノトキハ四三%デアリマス、七〇%ノトキ
  ハ四四·五%、六〇%ノトキハ四六%、五〇
  %ノトキハ四七·五%、四〇%ノトキハ四
  九%、三〇%ノトキハ五〇%五、二〇%ノ
  トキハ五二%、一〇%ノトキハ五三%五、
  全然留保ノナイ場合ハ五五%ニナリマス、
  何レ是ハ後デ表ニ致シマシテ資料トシテ差
  上ゲマス

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• 016・中島彌團次

  ○中島委員　サウスルト今主稅局長カラ御
  答辯ガアリマシタガ、百カラ「ゼロ」ニ於キ
  マシテノ階段ヲ付ケラレタノデアリマスガ、
  此ノ第二條ノ末項ノ「金額ノ百分ノ十五ニ相
  當スル金額」ト云フノハ何處カラ出テ來タ
  ノデスカ

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• 017・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　是ハ大體留保割合ノ多イ
  法人ニ對シテ緩和ノ幅ヲ廣クシヨウト致
  シマシテ、色々考究シタ結果、此ノ程度ナ
  ラ最モ妥當ダト云フ所カラ持ツテ來タノデ
  アリマス、彼此勘考シマシテ、結局斯ウ云
  フ數字ヲ基礎ニシテ斯ウ云フ算出ノ仕方ヲ
  シタノガ適當ト斯ウ存ジタ次第デアリマス

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• 018・中島彌團次

  ○中島委員　ドウモ算出ノ基礎ガ漠然トシ
  テ居リマスノデ、何カ其處ニ此ノ程度マデ
  下ゲタラ是ダケノモノガ保留ニ便宜ヲ與ヘ
  ラレルト云フ基礎ガナカラネバナラヌト思
  フノデアリマスガ、稅法及ビ經濟的若クハ
  會社經濟ニ於ケル法理論ト云フカ、寧ロ稅
  法論カラ御說明ヲ願ヒタイ、唯腰ダスニ行
  ツタモノデアリマスレバ、ソレハ又別デア
  リマスケレドモ

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• 019・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　現在最高課稅限度ガ、普
  通所得ノ五〇%ニナツテ居リマス、最近各
  會社ノ留保率ヲ調ベテ見マスト御手許ニ配
  付シテアリマス表ニ依ツテモ分リマス通
  リ、最近ハ大體四〇%程度留保シテ居ルヤ
  ウデアリマス、隨テ此ノ平均留保率ノ程度
  留保シテ居ル會社ニ對シマシテハ、現狀ノ
  通リ最高課稅限度ヲ五〇%ニシテ置カウ、
  ソレヨリ留保ノ割合ノ低イモノニ對シテ
  ハ、臨時利得稅ノ增率スル際デモアリマス
  カラ、多少高クナツテモ宜カラウ、ソレカ
  ラ四割ヲ超過シテ多ク留保スル會社ニ對シ
  マシテハ、其ノ留保スル程度ノ高クナルニ
  從ツテ最高課稅限度ヲ緩和シテ行カウ、併
  シ緩和スルニモ自ラ程度ガアリマスカラ、
  先ヅ四〇%デ押ヘテ行カウ、斯ウ考ヘタ次
  第ゴザイマス

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• 020・中島彌團次

  ○中島委員　法人ノ最近ニ於ケル平均保留
  率ト云フモノヲ中心トシテ作ラレタ、斯ウ
  解釋シテ宜イノデアリマスカ

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• 021・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　左樣デアリマス

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• 022・中島彌團次

  ○中島委員　是デ見マスルト、支那事變特別
  稅法ノ第二條ノ末項ノ緩和規定ノ所ニ「普通
  所得ノ百分ノ五十ニ相當スル金額ヨリ普通
  所得及超過所得ニ對スル所得稅額ト臨時利
  得稅額トノ合計金額ヲ控除シタル殘額ヲ超
  ユルコトヲ得ズ」トアリマス精神カラシマ
  シテモ、大體百分ノ五十ニ止メテアルヤウ
  デアリマスガ、此ノ規定ヲ設ケラレタ爲
  ニ、詰リ此ノ四〇%ヲ中心トシテ留保シタ
  場合ニ於テハ四九%ニ最高課稅限度ガ下ツ
  テ來ルト云フコトヲ局長ハ申サレマシタ
  ガ、サウスルト、ソレカラ段々保留步合ガ
  下ツテ來ルニ從ヒマシテハ、五十五ニナツ
  テ來ルト「ゼロ」ニナル、詰リ少シモ保留シ
  ナイコトニナツテ來ルト增稅ニナルト思
  フ、此ノ規定ハ一方ニ於テ增稅ニナリ、
  方ニ於テ減稅ニナツテ居ル、保留シタカラ
  減稅シテアルト云フコトガ含マレテ居ルバ
  カリデナク、一方ニ於テ增稅ヲ含マレテ居
  ルト解釋シテ宜イノデスカ、表カラ見マス
  トサウ云フコトニ見ラレルノデスガ··

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• 023・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　此ノ度臨時利得稅ヲ增徵
  致シマス、隨ヒマシテ理論的ニ申シマシテ
  臨時利得稅ト所得稅トノ合計額ヲ以テ課稅
  最高限度ヲ規定シテ居ル現在ノ制限緩和ノ
  規定ニ對シテハ、ヤハリ臨時利得稅ノ增徵
  ニ伴ツテ相當改正ヲ要スベキダト思フノデ
  アリマス、隨ヒマシテ留保率ノ少イ會社ニ
  對シマシテハ、或ル程度此ノ緩和規定ガ嚴
  重ニナツテ行クト云フノガ當然カト存ジテ
  居リマス

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• 024・中島彌團次

  ○中島委員　留保率ノ少イ會社ニ對シテハ
  緩和規定ガ少クナツテ行クバカリデナク、
  最高課稅限度ガズツト增加シテ行クカラ、
  百分ノ五十五ヲ越エルト、或ル意味ニ於テ
  留保率ノ少イノハ是ハ無論非常ナ減稅ニナ
  ツテ來マスケレドモ、多イノハ此ノ規定ヲ
  設ケタ結果增稅ニナリハシマセヌカ、ドウ
  モナルヤウニ思ハレル

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• 025・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　臨時利得稅ヲ增徵致シマ
  シテ、ソレカラ今ノ最高課稅限度緩和ノ規
  定ヲ其ノ儘ニシテ置イタト假定致シマスル
  ト、仰セノ通リ增稅ニナリマス、併シ此ノ
  最高課稅限度ノ緩和ノ規定ノ適用ヲ受クル
  ヤウナ法人ハ、運用資本ニ對シテ收益率ガ
  非常ニ高イ法人デアリマシテ、斯ウ云フ法
  人ガ殆ド全額ヲ配當賞與ニ向ケルトカ、或
  ハ平均留保率ニ達シナイヤウナ留保ノ仕方
  ヲスルト云フ場合ハ割合ニ少イノデハナカ
  ラウカ、實際ニ於キマシテハ增稅ニナルト
  云フ場合ハ、稀有ノコトダラウト存ジテ居
  リマス

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• 026・中島彌團次

  ○中島委員　臨時措置法ノ第二十二條二ノ
  農作物ノ生產擴充ノ問題ニ付テ、耕地ノ交
  換ニ關シマシテ登錄稅ヲ免除スルト云フ、
  是ハ宜イ規定デアリマシテ、今度ノ生產擴
  充ノ上ニ非常ニ必要ナルコトデアラウト考
  ヘマスガ、不動產取得稅ハドウナルノデス
  カ、不動產取得稅ハ取ルノデスカ取ラヌノ
  デスカ、ソレカラ又外ノ遊興稅デアツテモ
  建築稅デアツテモ皆附加稅ハ課スルコトヲ
  得ズト書イテアルガ、是ハ登錄稅ヲ免除ス
  ルト云フダケデ、不動產取得稅ニ付テハ-
  寧ロ附加稅ミタイナモノデアリマスガ、此
  ノ附加稅ニ付テハ、何等謳ツテナイノデス
  ガ、是ハドウスルノデスカ、不動產取得稅ヲ
  見テミマシテモ、大體千分ノ二十カラ三十
  ト云フヤウナモノヲ取ラレテ居ル、折角斯
  ウ云フヤウナ農作物ノ生產擴充ニ關スル立
  派ナ立法ガ出來タニ拘ラズ、登錄稅ヲ免除
  スルト規定シテアレバ、附加稅ヲ課スルコ
  トヲ得ズトカ或ハ不動產取得稅ヲ取ルコト
  ヲ得ズトカ、何トカ致シマシテ、法ノ出來
  タ精神ヲ活カス必要ガアルト思フノデアリ
  マスガ、此ノ點ハドウ云フヤウニナツテ居
  リマスカ

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• 027・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　土地ノ交換ノ場合ニハ當
  然二ツノ移動ガ同時ニ行ハレル譯デアリマ
  シテ、今登錄稅ハ昨年ノ改正ニ依リマシテ
  價格ノ千分ノ三十ト云フ風ニナツテ居リマ
  ス、隨テ同價格ノ土地ガ交換セラレル場合
  ニハ千分ノ三十ノ登錄稅ガ課カル、ソレダ
  ケヲ免除ショウト云フノガ今度ノ趣旨デア
  リマシテ、不動產取得稅ハ地方稅デアリマ
  シテモ、稅ノ性質カラ言ツテ必ズシモ登錄
  稅ト同ジモノデハナイ、登錄稅ハ土地ガ移
  動シテソレヲ登記スル場合ニ課カル、登記
  ヲシナケレバ登錄稅ハソコニナイノデアリ
  マスガ、不動產取得稅ハ不動產ヲ取得シタ
  場合ニ課稅スルト云フヤウニナツテ居リマ
  シテ、兩方ノ課稅ノ計數モ違ツテ居リマス、
  隨テ附加稅ノヤウニ御考ニナルノハ少シ性
  質上ドウカト考ヘテ居リマス、尙ホ不動產
  取得稅ハ地方稅デゴザイマシテ、地方ノ財
  源ノ關係モアリ地方團體ノ財政上ノ關係モ
  考慮シナケレバナリマセヌカラ、此ノ度ハ
  ソコマデ行カナカツタ次第デゴザイマス

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• 028・中島彌團次

  ○中島委員　是ハ大事ナ問題デアリマシ
  テ、登錄稅ハ國稅デアリマスケレドモ、不
  動產取得稅ハ地方稅デアリマスカラ、ソコ
  マデ行ツテ居ナイト云フダケデハ說明ハ
  足ラナイ、不動產取得稅トシテ相當ニ地
  方稅トシテ課カルノデアリマスカラ、他
  ノ附加稅ト云フ譯デモナケイレドモ、兎
  ニ角不動產ノ異動ガアツタ時ニ於テ登錄
  稅モ取ラレレバ取得稅モ取ラレル、家ヲ
  買ウテモ不動產取得稅モ取ラレル、或ハ
  登錄稅モ取ラレルト云フコトニナツテ居
  ルノデ、或ル意味デ附加稅ノ形ヲ成シテ
  居ル、ソレカラ一方-是ハ內務省ノ人ニ伺
  フベキコトデアリマスガ、地方稅ノ中ニ、公益
  上必要ナル場合ニハ地方稅ヲ免ズルト云フ
  規定ガアリマスルガ、此ノ生產擴充ト云フヤウ
  ナ場合ニ於テ、土地ノ交換ニ付テ登錄稅
  ノ免除シテアルト云フヤウナ場合ハ、此ノ
  公益上必要ナル場合ニ地方稅ヲ免ズル規定
  ノ中ニ入ルモノト解釋シテ、不動產取得稅
  モ是デ免ジテヤルノダト云フヤウナ關係ニ
  ナツテ來ルノデアリマセウカ、此ノ點ニ付
  テ登錄稅ダケ謳ツテ居ツテ、不動產取得稅
  ヲ謳ツテ居ナイ所ニ疑問ガアル、是ハ大臣
  ニ訊クベキ問題デアリマスケレドモ、大臣
  ガオ居デニナラヌカラアナタニ伺フノデス
  ガ、斯ウ云フヤウナ、中央地方ヲ通ジテノ一
  ツノ統制ノ取レタ稅ヲ布クコトニ付テ、統
  一的ニ此ノ精神ガ一貫シテ出來ルト御考デ
  アリマスカ、如何デアリマセウカ

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• 029・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　本件ノ場合ニ於キマシテ
  ハ、公益上云々ト云フノニ當嵌ラナイモノ
  デハナカラウト存ジテ居リマスケレドモ、
  正確ナコトハ後程內務省ノ者カラ御答シタ
  方ガ宜シイカト思ヒマス

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• 030・川崎克

  ○川崎委員長　今ノ中島君ノ御發言ハ質疑
  ノ性質上ヤハリ大藏大臣、內務大臣ノ來ラ
  レタ時ノ方ガ宜シイカト思ヒマスカラ、サ
  ウ云フコトニ御願シマシテ、外ニ主稅局長
  ニ對スル御質問ハゴザイマセヌカ

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• 031・中島彌團次

  ○中島委員　ソレハ澤山アリマス、併シ建
  築稅モ遊興稅モ中央地方關聯シテ行カナケ
  レバナラヌノデ、ヤハリ大臣ニ來テ戴カナ
  イト······大藏大臣ハマダ見エマセヌカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=31

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• 032・川崎克

  ○川崎委員長　モウ五六分デ見エルト云フ
  コトニナツテ居リマスガ··

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=32

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• 033・江羅直三郎

  ○江羅委員　此ノ委員會ハ大臣ガ誰モ來テ
  居リマセヌヤウデ、執務事務ダケノ打合セ
  モスルヤウナ氣持ニナツテ居ルノデハ困リ
  マス、國務大臣ガ一人モ來ナイト云フノハ、
  一寸甞メラレテ居ルヤウニ思ヒマス、ドウ
  カ委員長カラ御請求願ヒマス、又國務大臣
  ガ一人モ出席シナイヤウナラバ、會議ハ休
  憩シテ戴キタイト思ヒマス

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• 034・川崎克

  ○川崎委員長　江羅君カラノ議事進行ニ對
  スル御發言ニ對シテ、私カラ御答致シマス
  ガ、實ハ今朝來此ノ會議ヲ開ク前カラ、大
  藏大臣ノ都合ヲ聞イテ、催促ヲ致シテ居ル
  ノデス、所ガ貴族院デ何デモ採決ヲセナケ
  レバナラナイノデ五六分ト云フコトニナ
  ツテ、今待ツテ居ル譯デアリマス、ソレカ
  ラ中島君ノ御發議中ニ、關聯事項トシテ内
  務大臣ノ出席ヲ要求サレテ居ルノデス、是
  モ內務大臣ガ今貴族院ニ居ラレマシテ、今
  直グニハ來ラレヌガ、後デ參ルト云フコト
  ニナツテ居ルノデアリマシテ、只今御發言
  ノヤウニ全ク甞メラレテ居ル譯デハナイノ
  デアリマス、ドウゾ今暫ク御猶豫ヲ願ヒマ
  ス

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• 035・中島彌團次

  ○中島委員　マダ追加豫算モ出マセズ、臨
  時軍事費モ出マセヌシ、是ハ其ノ財源ニ當
  テル一部分デアリマスカラ、サウ何モ急グ
  必要ハナイヂヤアリマセヌカ

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• 036・川崎克

  ○川崎委員長　若シ大臣ノ出席ガ遲レルヤ
  ウナラ休憩シマスガ、政府ノ方ハドウデス
  カ-ソレデハ休憩致シマシテ、午後一時
  カラ開會ヲ致シマス
  午前十時五十三分休憩
  午後一時十分開議

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• 037・川崎克

  ○川崎委員長　ソレデハ開會致シマス、午
  前ニ引續キマシテ質疑ヲ續行致シマス

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• 038・石渡莊太郎

  ○石渡國務大臣　此ノ前中島サンノ御尋ニ
  對シテ御答ガ漏レテ居ツタト思フノデア
  リマスガ、遊興稅ハ何ノ爲ニ此ノ際國稅ニ
  引上ゲルノデアルカ、斯ウ云フ御尋デアツ
  タノデゴザイマスガ、ソレハ衣食住ニ付テ、
  奢侈的消費ト云フヤウナモノヲ一纏メニ致
  シマシテ、國稅トシテ此ノ際課稅シタイ、
  斯ウ存ジタモノデアリマスカラ遊興稅ヲ移
  管シタ次第デアリマス、左樣御諒承願ヒマ
  ス

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• 039・中島彌團次

  ○中島委員　私ノ御尋申上ゲタ點ハ遊興稅
  ヲ何故國稅ニ移管スルカト云フ一點ニ局限
  シタ問題デアリマセヌノデ、個別的ニ去年
  ハ入場稅ヲ地方カラ移管致シ、本年ハ又遊
  興稅ヲ取上ゲル、斯ウ云フヤウニボツ〓〓
  地方ノ財源ヲ剝ギ取ツテ行クト云フコトニ
  付テ方針ガナイ、ソコデ一般ノ中央地方ヲ
  通ズル稅制ノ整理ヲヤル場合ハ勿論方針ガ
  ナケレバナラヌノデアリマスガ、個別的ニ
  個々ノ稅ヲ國稅ニ移管シテ行ク上ニ於テ
  モ、一定ノ方針ガナケレバナラヌノデハナ
  イカ、其ノ原則的ナ考察ガ玆ニ必要デアル
  ト私ハ考ヘル、此ノ意味カラ致シマシテ地
  方稅タルベキモノ性質ハドウ云フモノデ
  アリ、國稅ニ移スコトガ適スルモノハドウ
  云フモノデアルカ、ソレカラ國モ課セバ
  地方モ課シ得ルモノニ付テ、是ハ附加稅ガ
  取レルノデアリマスガ、附加稅ヲ付ケルモ
  ノハドウ云フモノデアルカト云フヤウナ、
  原則的ナ一定ノ茲ニ内務大藏兩省ノ間ニ於
  テ方針ガアツテコソ、地方稅ヲ國稅ニ移シ
  テ行ケルノデアリマス、其ノ目安ハ何處ニ
  認メテ居ルノデアルカ、國稅地方稅ヲ通ジ
  テヤル時ハ無論ソレガナクテハイカヌト思
  ヒマスガ斯ウ云フモノハ地方稅トシテ將來
  育テテ行キタイ、斯ウ云フモノハ國稅トシ
  テ是非取上ゲテ行キタイ、斯ウ云フモノハ
  地方稅トシテ殘シテ置カナケレバナラヌト
  云フヤウナ限界ガ國稅ト地方稅ノ間ニナケ
  レバイカヌデハナイカ、其ノ一定ノ方針ノ
  下ニ、個別的ニ色々ナ入場稅ナリ遊興稅ナ
  リヲ取上ゲテ行クナラバ、是ハ意味ガ分ル、
  サウシテ大臣ガ辯明サレマシタ來年ノ中央
  地方ヲ通ズル稅制ノ大整理計畫ニ當ツテモ
  此ノ方針ヲ決メテ進ンデ行カナケレバ大キ
  ナ支障ヲ來スト私ハ思フノデスガ、其ノ點
  ヲ御伺ヒシテ居ルノデアリマシテ、其ノ原則
  論ヲ御聽カセ願ヒタイ、是ハ非常ニ大事ナコ
  トデアリマシテ、地方ト致シマシテモ去年
  ハ入場稅ヲ取ラレ、今年ハ遊興稅ヲ取ラ
  レ、來年ハ自動車稅カ雜種稅ヲ取ラレルカ
  知ラン、不動產取得稅ヲ取ラレルカ知ラン
  ト云フ心配ヲ持ツテ居ルノデアリマシテ、
  地方ノ歲入ハ非常ニ動搖スル、ソレニ伴ツ
  テ歲出ガ動搖スルカラ經常財源ヲ地方カラ
  奪フト云フコトニナリマスト、社會政策的
  施設其ノ他ガ出來ナイコトニナル、殊ニ戰
  時ニナリマシテ銃後ノ施設ガ地方ニハ多イ
  ノデアルガ、サウ云フモノヲヤレヌト云フ
  コトニナツテ來マスノデ、非常ニ地方ト中
  央トノ間ニ摩擦ガ起ツテ來ル、總親和ヲ標
  榜スル此ノ內閣ノ趣旨ト致シマシテハ、成
  ベク摩擦ヲ起サナイヤウナ方針ヲ執ツテ行
  カナケレバナラヌノニ、此ノ遊興稅ヲ中央
  ニ移管スルコトニ依ツテ非常ニ摩擦ガ起ツ
  テ居ル、殊ニ此ノ遊興稅ノ問題ハ各地方共
  ニ豫算ニ組ンデ現ニ審議シツツアル、之二
  對シテ拔打的ニ取上ゲルト云フノダカラ、
  地方ニハ一千六百万圓程ノソコニ缺陷ガ出
  來テ來ルサウデアリマス、東京市ダケデモ
  三百八十万圓缺陷ガ出來ル、斯ウ云フコト
  ニナツテ來マシテ、私ハ內務大臣ニモ來テ
  戴キタイノデスガ、是ハ重大問題デアリマ
  スカラ、委員長カラモ內務大臣ノ御出席ヲ
  要求セラレルヤウニ願ヒマス、旣ニ豫算ニ
  組ンデ居ルモノヲ取上ゲラレルノデアリマ
  シテ、若シ此ノ國稅ニ移管スルト云フコト
  ガ明カナラバ、ソレハ前カラ知ラシテヤツ
  テモ宜カラウト思フ、斯ウ云フモノハ取ル
  カラ豫算カラ控ヘテ置ケト云フコトヲ言ツ
  テヤツタラ宜カラウ、ソレヲヤラズニ取上
  ゲラレルノデスカラ、地方ガ非常ニ困ツテ
  居ル、是等ノ大局的ナ御意見ヲ一ツ伺ヒタ
  イト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=39

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• 040・石渡莊太郎

  ○石渡國務大臣　昨年ノ興行稅ノ問題、本
  年ノ遊興稅ノ問題、是ハ一ツノヤハリ奢侈
  的ナ消費-奢侈的ト云フ言葉ハ多少語弊
  ガアルカモ知レマセヌガ、兎ニ角一ツノ奢
  侈的ノ消費ニ對スル課稅トシテ、國ニ於テ
  物品稅トシテ生活上ノ比較的第二義的ナ品
  物ニ對シテ課稅スルト云フ場合ニ、入場稅
  ト遊興稅トヲ國稅ニ移管シマシテ、茲ニ全
  國等シキ稅率ヲ以テ課稅シタイ、玆ニ奢侈
  稅ノ體系ヲ整ヘル上カラ行キマシテ、此ノ
  二ツノモノヲ移管致シタラ宜カラウ、斯ウ
  考ヘタ次第デゴザイマシテ、昨年興行稅ヲ
  移管シマシタ、本年遊興稅ヲ移管致シマシ
  タガ、其ノ考ヘ方ニ無連絡ト云フ御非難ガ
  ゴザイマスガ、是ハ相當連絡ノアル考デア
  ルト私共考ヘテ居ルノデアリマス、又稅ヲ
  取上ゲタト云フ仰セガアルノデアリマス
  ガ、ソレハ稅源ノ委讓ハ受ケタノデア
  リマスガ、ソレニ相當スル金額ノ交付ガ
  アリマスノデ、此ノ點ハ全然金額ヲ交
  付シナイデ取上ゲタ、斯ウ云フ譯ノモノ
  ~
  デハゴザイマセヌ、要スルニ稅源デアル
  カ、金額デアルカ、斯ウ云フ問題デアル
  ト思フノデアリマス、ソレカラ如何ナル
  モノガ地方稅ニ適シテ、如何ナル稅ガ國
  稅ニ向イテ居ルノデアルカ、斯ウ云フ御
  尋デゴザイマスガ、是ハ其ノ時々ノ國ノ財
  政ノ都合、地方ノ財政ノ都合、又其ノ時ノ
  情勢等ニ依ツテ、變ルモノデアルト思ツテ
  居ルノデゴザイマス、能ク言ハレテ居リマ
  スコトハ、負擔能力ニ應ズル所ノ課稅、卽
  チ應能課稅ト云フモノハ、國稅トシテ適ス
  ルモノデアル、地方稅トシテハ應益課稅、
  卽チ益ヲ受ケテ居ル人ガ、其ノ益ニ從ツテ
  負擔シテ行ク、此ノ應能課稅、應益課稅ト
  云フコトガ能ク言ハレテ居ルノデゴザイマ
  シテ、隨テ營業稅、地租、家屋稅ノ如キモ
  ノハ、國稅トシテヨリモ寧ロ地方稅トシテ
  適スル、斯ウ云フコトガ言ハレテ居ツタノ
  デゴザイマスルガ、併シナガラ是ハ國ノ財
  政ノ都合モアルコトデアリマス、財政ノ狀
  態モアルコトデアリマス、又地方トノ仕事
  ノ分擔ノ關係モアルコトデゴザイマシテ、
  一〓ニサウ云フ譯ニモ行カヌノデハアルマ
  イカト考ヘテ居ルノデアリマス、何レニ致
  シマシテモ是等ノ課稅稅源ノ分配ト云フコ
  トニ付キマシテハ、餘程考ヘル必要ガアル
  ト思フノデアリマス、唯稅率ガ餘リ區々デ
  ゴザイマシテ、相當大キナ收入ヲ示スモノ
  ニ付テハ、此ノ稅率ノ區々ト云フコトガ、
  餘程問題ニ相成ルト思フノデアリマス、是
  等ノ點ニ付テハ地方稅ガ適當デアルカ、國
  稅ガ適當デアルカ、餘程考ヘテ見ル必要ガ
  アルト思フノデアリマシテ、一〓ニ斯ウ云
  フ稅金ガ地方財源トシテ適當デアル、斯ウ
  云フコトヲ具體的ニ申上ゲ兼ネルト思ヒマ
  スガ、ヤハリ應能課稅ハ國ヘ、應益課稅ハ
  地方ヘト云フ、一ツノ原則ハアルト存ズル
  ノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=40

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• 041・中島彌團次

  ○中島委員　非常ニ原則的ナ御答辯ヲ得マ
  シテ結構デアリマスルガ、應能的課稅ノモ
  ノハ中央ヘ、地方的利益ヲ受ケルモノハ地
  方ヘト云フコトニナツテ居リマスルガ、其
  ノ他ニマダ地方稅タルベキモノハ課稅物件
  ト云フモノガ普遍的デナイ、其ノ地方ニ固
  マツテ居ル、國稅ハ之ニ反シテ課稅物件ガ
  大體普遍的デアル、地方ニ依ツテ課稅スル
  コトガ適當デナイ事情ガアルモノデナケレ
  バナラヌ、或ハ地方デ賦課徵收スルコトガ
  徹底シナイ、國デ取ツテヤツタ方ガ得デア
  ルト云フカ、寧ロ稅ノ取リ方ガ徹底スル、
  其ノ外ニ地方デヤラスト不公平ニ行ハレ易
  イ、或ハ割合ニヤリ易イト云フヤウナ點カ
  ラ考ヘマスト、本質的ニハ地方稅ニハ適シ
  マスケレドモ、國ガ賦課徵收シテヤツテ、
  之ヲ全國的ニ權衡ヲ得サスト云フヤウナコ
  トニシテ、地方ニ依ツテ事情ノ異ル所ヲ參
  酌シテ行ク、詰リ全國的ナ權衡ハ國ガ見テ
  行ツテ、個別的ナモノハ地方ニ依ツテ徵稅
  サシテ行クト云フヤウナコトデヤツテ、國
  稅ニ移シテ、國ガ取ツテヤツテ、限地へ還
  付シテヤルト云フヤウナ場合モ出テ來ルト
  思フノデアリマス、ソコデ大臣ノ仰セラレ
  マシク原則ヤラ、私ガ今申上ゲマシタ原則
  ナドニ依ツテ、自ラ地方ニ依ツテ發達セシム
  ベキモノト、國ヘ取ツテ發達セシムベキモ
  ノトノ限界ガ、ハツキリシテ參ツテ來ルダ
  ラウト思ヒマス、此ノ原則ヲ適用シテ見マ
  スト、遊興稅ナドハ地方々々ノ事情ニ依ツ
  テ非常ニ違ツテ居ル、課稅物件モ違ヒ、ヤ
  リ方モ違ツテ居ル、ソレカラ建築稅ノ如キ
  モ或ル意味ニ於テ私ハ地方的ノモノデハナイ
  カト考ヘル、都會的ノモノデアツテ、田舍デ
  ハ家ヲ建テルコトハ少イ、斯ウ云フヤウニ
  建築稅、遊興稅、入場稅ト云フヤウナコト
  カラ考ヘマシテ、ドウモ趣旨ガ一貫セラレテ
  居ナイヤウニ思フノデアリマス、將來地方
  稅制ヲドウシテ行クカト云フコトニ付テモ
  大キナ問題ニナツテ參リマスノデ、此
  ノ點ニ付テハ次ノ稅制ヲ整理スル上ニ於
  キマシテモ、非常ニ重大ナル關係ヲ持
  ツテ來ルノデアリマシテ、先ヅ十三年度ニ
  於キマシテハ一億三千万ニ地方財政補給金
  ヲ增加致シマシテ、戶數割ヲ半減致シ、地
  租附加稅雜種稅等ノ輕減ヲ盛ラレマシタコ
  トハ御承知ノ通リデアリマス、ソコデ大臣
  ノ今言ハレタ原則ヲ當箝メテ見マスルト、
  中央ト地方トノ關係ニ付テヤハリ地方財政
  ノ補給金制度ト云フモノヲ是カラ地方
  ニ對スル財政ノ補給トシテ發達セシメテ
  行ツテ、之ニ經常財源ヲ發見シテ、戶數割
  ノ全廢デアルトカ、家屋稅ノ地方稅移管デ
  アルトカ、或ハ地租及ビ營業收益稅ヲ國家
  デ徵收シテ限地ニ還附シテヤル主義ヲ執ル
  トカ、或ハ義務〓育費全額國庫負擔ト云フ
  ヤウナ、ヤハリ斯ウ云フヤウナ方針ニ出ラ
  レル御考デアリマセウカ、地方ニ對シテ中
  央カラ、財源ヲ補給シ、又地方稅ヲ取上ゲ
  テ行ク、中央ト地方トノ稅制ヲ整理シテ行
  クト云フ所ニ一定ノ目安ガナケレバ、來年
  度ニ於キマシテモ、現ニ整理セラレルト言
  フケレドモ、去年カラ今年ト段々トヤツテ
  行クノダカラ、是等ノ大キナ問題ニ付キマ
  シテモ、大臣ノ御考ヲ御伺申シテ置カナケ
  レバ此ノ案ヲ審議スル上ニ於キマシテモ、
  將來ノ目途ガ付イテ來ナイト云フ點デアリ
  マスガ、地方財源ヲドウシテ行クカ、中央ト
  ノ關係ヲドウシテ行クカ、又地方財政ニ對
  シマシテハ大體ニ於テ使用料、手數料、或
  ハ雜收入ト云フモノニ依リ地方財政ヲ圖ラ
  シテ行ツテ、稅收入ト云フモノハ段々中央
  ニ取上ゲテ來ルト云フヤウナ考ヲ持ツテ居
  ルノデアルカ、是等ノ點ガ重大ナル點ヂヤ
  ナイカト思フ、來年度マデ待ツテ質問ヲシ
  タイト思ヒマシタケレドモ、去年ト今年ト
  段々ト取上ゲテ行ツテ居ル、其ノ點カラ考
  ヘマシタナラバ、此ノ點ヲ是非御伺申シテ
  置カナケレバ、中央ト地方トノ稅制ノ喰違
  ヒ、稅制ノ所謂限界及ビ地方稅カラ中央ニ
  持ツテ來ル方針、或ハ逆ニ中央カラ地方ニ
  移スコトモアリマセウガ、斯ウ云フヤウナ
  點ニ付キマシテモ、今日ノヤウニ非常ニ分
  割的ニバラ〓〓ニ每年ヤラレテ行ツテ居リ
  マスルト、先ニ申シマシタヤウナ地方團體
  ト中央トノ間ニ於テ非常ナ摩擦ガ起ツテ來
  そう、此ノ點ニ付キマシテ、大臣ノ抱負經
  綸ヲ一ツ御伺致シタイノデアリマス--委
  員長、內務大臣及ビ其ノ屬僚一切ヲ此處ニ
  御呼ビ下サイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=41

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• 042・川崎克

  ○川崎委員長　中島君ニ申シマスガ、先程
  開會前カラ屢〓内務省ノ方面ニハ催促ヲ致シ
  テ居リマス、所ガ內務大臣ハドウシテモ出
  ラレヌト云フノデアリマスカラ、仕方ガナ
  イカラ地方局長ニ出テ呉レト云フ要求ヲ致
  シテ居リマスガ、更ニ使ヲヤリマシテ重ネ
  テ內務大臣ヲ要求シテ居ル譯デアリマス、
  ドウゾ左樣御承知ヲ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=42

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• 043・石渡莊太郎

  ○石渡國務大臣　國稅ト地方稅トノ限界ノ
  問題デゴザイマスルガ、此ノ限界ノ問題ハ
  是ハ今日ノ場合具體的ニドウ云フヤウナ限
  界ヲ定ムベキモノデアルカト云フコトニ付
  テ申上ゲ兼ネルト思フノデアリマスガ、地
  方財政調整交付金ト申シマスカ、今日ノ補
  給金ト申シマスカ、斯ウ云フヤウナ制度ハ
  是ハ必要デアルト存ジマス、詰リ斯ウ云フ
  ヤウナ制度ハ比較的財源ノ餘計ニアル市町
  村ト財源ノ少イ所ノ市町村、斯ウ云フモノ
  トノ間ノ補給ト言ヒマスカ、御互ノ間ノ融
  通ヲ付ケ合フト云フコトニ付テ、確ニ一ツ
  ノ大キナ特長ヲ持ツテ居ルノデアリマシテ、
  其ノ間ニ國ガ介在シテ、一方ノ團體カラ一
  方ノ團體へ金ヲ渡ス、斯ウ云フコトニ相成
  ルコトト思フノデアリマス、斯ウ云フ制度
  モ勿論必要デアルト存ジマスガ、併シナガ
  ラ勿論此ノ制度ダケデ行ク譯ノモノデモゴ
  ザイマセヌカラ、是ハ一ツノ補給作用トシ
  マシテ、一面ニ於テハヤハリ地方ニ於キマ
  シテモ、相當ナル財源稅源ヲ持ツ所ノ必要
  ガアルト存ジテ居ルノデアリマス、今日ノ
  各種ノ附加稅デゴザイマスルガ、殊ニ此ノ
  收益稅ノ附加稅ノ如キハ、附加稅ノ方ガ餘
  計ニ相成ツテ居ルノデアリマスカラ、其ノ
  課稅標準ヲ國デ決定致シマスガ、實ハ地方
  ニ委讓シテ居ルヤウナモノデアリマス、收
  入カラ言ヘバ地方ニ委讓シテ居ルヤウナモ
  ノガ少クアリマセヌ、ソレデ斯ウ云フヤウ
  ナコトモ成程稅源ハ國ニアリマスガ、收
  入ノ大部分ハ地方ノ財政ニ入ツテ居ル、
  斯ウ云フモノモアルノデゴザイマス、是
  等ノ點ニ付キマシテハ餘程檢討ヲ致シテ見
  ル必要ガアルカト存ジマス、唯今御尋ノ
  國ノ財政ガ膨脹スル、隨ツテ財源ガ或ル程
  度國ニ集メラレル虞ガアリハシナイカ、斯
  ウ云フ御考デゴザイマスルガ、是ハ國ノ財
  政ガ膨脹シ、擴大スル場合ニ於キマシテハ、
  或ル程度ノ財源ト云フモノガ實質上、ソレ
  ガ形式ノ如何ヲ問ハズ一應國ノ方ノ財源ニ
  振向ケラレルト云フコトハ、是ハ己ムヲ得
  ナイ點デアルト思フノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=43

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• 044・中島彌團次

  ○中島委員　サウスルト中央稅ト地方稅ノ
  間ニ於ケル限界ト云フモノハ是カラ考究ス
  ル、ソレカラ國ノ財政ガ段々膨脹シテ來ル
  時ニ當ツテハ、玆ニ地方稅ヲ取上ゲテ行ク
  コトハ已ムヲ得ナイ、大體斯ウ云フヤウナ
  御言葉デアリマシタガ、今度ノ稅制整理ノ
  大改革ニ當リマシテ、今ノ戶數割ノ全廢デ
  アルトカ、地租及ビ營業收益稅ノ國家徵收
  原地還附主義デアルトカ、或ハ義務〓育費
  ノ國庫全額負擔デアルトカ云フヤウナ點ニ
  付キマシテハ、ドウ云フ御考ヲ持ツテ居ル
  ノデアリマセウカ、是等ハ此ノ獨立財源ト
  云フモノヲ作ツテ、經常財源ヲ作ツテ行カ
  ナケレバ、每年議會デ要求サレテ一億三千
  万圓アルモノヲ又四千万圓ニ增シテ見タ
  リ、五千万圓ニ增シテ見タリト云フコトヲ
  續ケテ行クト云フヤウナコトデハ、是ハ地
  方ノ歲入ニ付テモ動搖ヲ來スカラ、是等ア
  タリモ一定ノ方針ヲ立テテ天下ニ聲明シテ
  其ノ方針ノ下ニ進ンデ行カナケレバナラヌ
  ト思ヒマスガ、其ノ點ハ御答ガナカツタノ
  デアリマスガ、ソコハドウ云フ風ニ御考ニ
  ナツテ居リマセウカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=44

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• 045・石渡莊太郎

  ○石渡國務大臣　戶數割全廢ノ問題、又地
  租附加稅ヲ原地ニ還付スルヤ否ヤノ問題、
  義務〓育費全額國庫負擔等ノ問題ハ何レモ
  是ハ地方財政、地方稅制ニ通ズル根本的ノ
  問題デアツテ、是等ノ點ニ關シマシテハ篤
  ト考究シタイト存ジテ居リマス、今日ノ場
  合ソレヲ何レニ致スカト云フコトニ付テハ
  茲ニ申上ゲ兼ネルト存ジマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=45

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• 046・中島彌團次

  ○中島委員　ソレヂヤサツキ大臣ガ申サレ
  マシタ所ノ中央地方ヲ通ジテノ國稅地方稅
  ノ限界ノ原則ヲ適用致シマシテ、建築稅モ
  檢討シテ行キマスルガ、此ノ建築稅ト云フ
  モノヲ作ツタ目的及ビ其ノ性質ハ何處ニア
  リマスカ、ドウ云フ性質ヲ持ツテ、ドウ云
  フ目的デ作ラレタノデアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=46

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• 047・石渡莊太郎

  ○石渡國務大臣　建築稅ハ一万圓以上ノ建
  築價格ノ家屋ニ對シテ課稅シタイト存ジテ
  居ルノデアリマス、今日ノ場合各種ノ方面ニ
  於マキシテ、木材ノ必要ガアルノデアリマシ
  テ、是ガ一万圓以上ノ建築ヲ致スト云フコ
  トハ、今日ノ場合ニ於マキシテハ、サウ云
  フ大キナ家ヲ建築スルノニ其ノ木材ヲ節
  約シテ欲シイト云フ感ジモゴザイマス、隨
  テ是等ノ部面ニ對シテ相當ナ課稅ヲシテモ
  差支アルマイ、斯ウ考ヘタ次第デアリマシ
  テ、結局衣〓住ヲ通ジマスル住ノ方面ニ對
  スル奢侈的ノ家屋ノ建築ヲ幾分デモ之ニ依
  ツテ抑ヘタイ、斯ウ考ヘタ次第デゴザイマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=47

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• 048・中島彌團次

  ○中島委員　木材ガ拂底シテ居ルカラ、建
  築稅ニ依ツテ建築ヲ抑ヘル、一万圓以上ハ
  奢侈デアル、斯ウ仰セラレタノデアリマス
  ガ、一万圓デハ今五十坪ノ家ヲ造ルニシテ
  モ、坪二百圓デ一万圓ニナリマス、坪二百
  圓デハ今極ク粗末ナ家ヨリ出來マセヌ、之
  ヲ以テ奢侈ト云フコトハ非常ニ疑問ダラウ
  ト私共考ヘマスガ、此ノ點モ十分考ヘテ戴
  キタイノデゴザイマス、サウシテ本稅ニ付
  テ私共非常ニ疑問ニ思ウテ居ルノハ、奢侈ヲ
  抑ヘルト仰シヤイマスガ、一方ノ臨時資金
  調整法ト本稅トノ關係ガドウナルデアリマ
  セウカ、政府ハ本議會ニ臨時資金調整法ノ
  改正案ヲ出サレタ、サウシテ今マデハ法人
  ダケデアツタガ、個人ノ固定的ナモノニ對
  スル支出モ制限スルヤウナ、所謂政府ノ許
  可ヲ受ケルヤウナコトニスル考ラシイ、今マ
  デハ五万圓ガ最低限デアツタガ、今度ハ三
  万圓ニスルト云フコトヲ言ツテ居リマスガ
  サウシマスト、是ハ命令ニ依ツテ定メルコト
  ニナツテ居リマスカラ、一一万圓以上ノモノハ
  臨時資金調整法デヤレルヂヤアリマセヌカ、
  結局一万圓カラ三万圓ノ間ダケガ抑ヘル範圍
  外ニナツテ來ルト云フダケノ話デアル、一万
  圓マデハ造ツテモ構ハナイノデスカラ、臨
  時資金調整法ノ規定ニ依ツテ三万圓ト云フ
  モノヲ抑ヘテ行ケバ、三万圓ノ家ヲ建テタ
  イカラト言ツテ銀行ニ金ヲ借リニ來タリ、
  或ハ許可ヲ受ケニ來ルナリシタラ、ソレハ
  イカヌト言ツタラ宜イ、此ノ稅ハ見積カラ
  言ヘバ僅カ二百万圓ノ稅收入ヲ見テアルガ、
  吾々トシテハ非常ニ彈力性ニ乏シイモノデ
  アルト考ヘルガ、サウスルト極限サレタ範
  圍內ノモノデアツテ、三万圓以上ハ臨時資
  金調整法デ抑ヘテ行ケル、大臣ノ今仰シヤ
  ラレタ木材節約、奢侈ヲ禁ズル目的ハ達セ
  ラレル、ソレニナゼ斯ウ云フ稅ヲ作ツテ、僅
  カニ一万圓カラ三万圓ノ間ノモノガ政府ノ
  支配圈內ヘ行ツテシマツテ、ソレデ行ツテ
  居ルダケノ話、モウ一步進ンデ、住宅ニ付
  テハ一万圓マデハ臨時資金調整法ノ勅令ヲ
  改正シテ-勅令ダカラ直グ政府ノ自由ニ
  出來マスカラ、政府ノ許可ヲ受ケナケレバ
  是ガ造レナイト言ヘバ、大臣ガ先程仰シヤ
  ラレタ木材ノ節約、奢侈的ナコトハ止メル
  コトガ出來ル、ドウモ是ハヲカシイ、臨時
  資金調整法デ是ハヤレヌコトハナイ、態々
  建築稅ト云フモノヲ玆ニ持ツテ來ル理由ト
  云フモノガ私共ニハ諒解出來ナイノデアル、
  ソコヲモウ一遍御答辯願ヒタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=48

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• 049・石渡莊太郎

  ○石渡國務大臣　臨時資金調整法ニ於キマ
  シテ、今囘改正ヲシマシタ結果、今日ニ於
  キマシテハ大體三万圓ト考ヘテ居ルノデア
  リマスガ、三万圓程度ノ個人ノ支出ハ許可
  ヲ受ケルト云フコトニシタイト思ツテ居リ
  やく、今仰セニナツタヤウナコトハ、是ハ
  昨年御審議ヲ願ツタ例へバ皮製ノ品物、靴、
  革鞄ト云フヤウナモノニモアリマス、一方
  商工省方面ニ於テハ靴ハ此ノ程度ノモノハ
  モウ造ラセナイ、革鞄モ皮デハイケナイ、斯
  ウ云フモノモアルノデアリマスガ、併シナ
  ガラ是ハ此ノ臨時資金調整法ニ依ツテ制限
  スルモノモアリマスシ、又其ノ中ニハ許可
  セザルヲ得ナクナルヤウナモノモアリマス、
  又既ニ建築中デアツテ之ヲ制限シ得ナイモ
  ノモアルノデアリマス、サウ云フヤウナモ
  ノニ付テモ、サウ云フ家ヲ造ル場合ニハ一
  割ダケノ稅金ハ實行シタイト考ヘテ居ル次
  第デアリマシテ、此ノ一面ニ於テハサウ云
  フヤウナ製造ト云フモノヲ出來ルダケ壓迫
  スル、一面ニ於テハ又必要上サウ云フモノ
  カラ稅金ヲ徵收スル、此ノコトハ獨リ家屋
  ノ建築バカリデゴザイマセズ、其ノ他ノ物
  品ニ付テモゴザイマス、隨テ一面ニ於テ
  サウ云フヤウナ制限モシタイト思ツテ居ル
  ノデゴザイマシテ、ソレ等ノ點モ考ヘマシ
  テ、收入等ニ付テモ相當低イ見積ヲシテ居
  ル次第デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=49

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• 050・森田福市

  ○森田(福)委員　中島サンノ質問ニ關聯シ
  テ一寸聽キ漏シタノデ一言御聽キシタイノ
  デスガ、資金調整法ニ依ツテ今度個人モ三
  万圓以上ノ事業ハ許可ヲ要スルヤウニナル
  コトハ承知致シテ居リマスガ、今ノハ事業
  ノ新設ダト思ヒマスガ、住居モヤハリ入リ
  マスカ、住居ナドハ事業ノ中ニ入ラヌト思
  ヒマスガ、一寸今ノ點ヲ明瞭ニ願ヒタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=50

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• 051・石渡莊太郎

  ○石渡國務大臣　住宅ノ點ニ付キマシテハ
  一ツ能ク調ベテ御答シタイト思ヒマス、此
  ノ建築稅ノ中ニハ其ノ他ヤハリ活動寫眞館
  デアリマストカ、貸席デアリマストカ、料
  理店デアリマストカ、含マレテ居ルノデア
  リマシテ、ソレ等ノ點ニ付テハ今御答シタ
  通リデアリマス、住宅ノ點ニ付テハ後デ調
  ベマシテ御答致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=51

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• 052・中島彌團次

  ○中島委員　大臣ノ御答辯ガ極メテ漠然タ
  ル答デアリマシテ、木材ノ節約ヲシ、奢侈
  ヲ禁ズルト云フコトデアレバ、今ノ方法デ
  ヤレルト思ヒマス、ソレカラ臨時資金調整法
  ニ住宅ガ入ルカ入ラヌカト云フ點ニ付キマ
  シテハ、ハツキリ御答ガナカツタノデアリ
  マスガ、アノ法文カラ見マシテモ、亦アノ
  立法ノ趣旨カラ見マシテモ、或ル會社ノ如
  キハ大キナ建物ヲ社長ガ建テテ、サウシテ
  之ヲ個人ノ名前ニシテ會社ヘ貸シテ居ルト云
  フヤウナコトヲヤツテ居リ、又職工ノ住宅ヤ
  ラ社員ノ住宅ヲ個人ノ名前デ何百万圓モ掛ケ
  テ建テテ置イテ、サウシテ會社ニ貸シテアル
  ト云フヤウナコトヲヤツテ居ル、サウスル
  ト住宅モヤハリ取締ツテ行カナケレバ、今度
  ノ臨時資金調整法ノ改正ノ目的ハ達セラレ
  ナイト思フ、先ヅ此ノ點ヲ能ク取調ベテ戴
  キマシテ、住宅ハ入ルカ入ラヌカ一ツ決定
  シテ戴キタイ、入ルトスレバ今私ガ言ツタ
  ヤウナ結論ニナツテ來ル、三万圓以上ト云フ
  モノハソレデヤレル、ソレニナゼ斯ウ云フ
  稅ヲ作ルカト云フ其ノ根據ガ薄弱ニナツテ
  來ルト私ハ考ヘル、況ヤ此ノ住宅稅ハ御承
  知ノ通リニ國民ノ住宅政策ノ見地カラ見マ
  シテモ、今日ハ生產擴充ト云フコトニ非常
  ニ力ヲ致サナケレバナラヌ時デアリマシ
  テ、生產擴充ヲ十三年カラ十六年マデ四箇
  年計畫デヤラレルト云フ政府ノ計畫デアリ
  マスルナラバ、其ノ半面ハ卽チ人口ノ都會
  集中、換言スレバ人口ノ工場地帶集中デア
  ル、ソコデ長屋ハ免稅ニナツテ居リマスケ
  レドモ、技師ノ住ム家モ必要デアルシ、長
  屋ニハ入レナイヤウナ人ノ住ム家ガヤハリ
  必要デアル、現ニ東京市邊リデモ住宅ガ非
  常ニ拂底シテ居ル、家ヲ持ツテ居ツテモ中
  々貸サナイ、サウシテ間借シテ居タ人ガ一
  軒ノ家ニ入リ出シテ來タ、是ハ好景氣ノ結
  果サウナツテ來タ、住宅ハ段々家賃ガ高ク
  ナリツツアル、此ノ場合ニ斯ウ云フ稅ヲ作
  ツテヤルト云フコトハ、私ハ生產擴充ニモ
  衝突シハセヌカト思フ、斯ウシテ稅ヲ上ゲ
  テ木材ヲ使ハセヌヤウニト云フノカモ知レ
  ナイガ、長屋ダケハ免稅シテヤツテモ、普
  通ノ三十坪五十坪位ノ家ハ直グ一万圓掛
  ル、之ニ持ツテ行ツテ一割モ稅金ガ課カル
  ト云フコトニナルト、此ノ程度ノ住宅ガ非
  常ニ拂底シテ來テ、ソレハ結局長屋ニモ影
  響シテ來ル、普通ノ住宅ニ住ム人ガ長屋ニ
  住マナケレバナラナイ、長屋モ足ラナクナ
  ツテ勞働者ノ住ム家ガナイト云フ結果ニナ
  リマス、斯ウ云フ稅ヲ作ツテヤルコトハ餘
  リドウモ藝ガ細カ過ギルノデアリマス、斯
  ウ云フ稅ヲ二百万圓取ツテ見テモ知レタモ
  ノデ、建テル段ニナレバ木材ノ消費ヲ防グ
  ト云フコトニモナラヌデスヨ、其ノ力モナ
  ケレバ、彈力モナイト云フヤウナ稅ヲナゼ
  作ルカ、私共ドウシテモ此ノ住宅稅ニハ
  感心シマセヌ、是ハ又臨時資金調整ノ點カ
  ラモ論ジテ來ラレル、將來都會ニ於テ住宅
  ガ拂底シ出スト云フコトハ是ハ考ヘモノデ
  アル、殊ニ住家ガナイト云フコトハ一番人
  間ノ苦痛デス、笠置ヲ出テ指シテ行ク先ニ
  ハ、天ガ下ニハ隱レ家モナシト云フコトニ
  ナツテ來ルト、是ハ一番問題デス、身ノ置キ
  所ガナイト云フコトニナツテ來ルト是ハ重
  大問題デアル、衣類ハ吾々ハ是マデモ相當
  制限セラレテ居リマス、「ステープル·ファイ
  バー」ノヤウナ、一遍雨ニ濡レレバ直グ破
  レテシマフモノデモ著ナケレバナラナクナ
  ツタ、食物ハ皆高クナツテ居ル、而モ木材
  ガ高クナツテ居ル上ニ、更ニ斯ウ云フ稅ガ
  出來テ住宅ヲ制限セラレルヤウニナレバ、
  全ク國民ハ天ガ下ニハ隱レ家モナシト云フ
  コトニナツテシマフ、非常時ダカラ仕方ガ
  ナイトシテモ、斯樣ナ點カラ見ルト私共ハ
  ドウシテモ此ノ建築稅ト云フモノヲ作ツタ
  論據ガ薄弱ナヤウニ考ヘラレル、其ノ點ヲ
  十分ニ御考ニナツテ戴キタイ、住宅政策カ
  ラ考ヘテモ、生產擴充ノ見地カラ考ヘテ
  モ、重大ナル關係ヲ持ツコトデアルト考ヘ
  マス、ソレカラ住宅ニ付キマシテ、建築價
  格ガ課稅標準ニナツテ居ルコトハ明カデア
  リマスガ、地方稅トシテ不動產取得稅ト云
  フモノガアリ、是モ亦建築價格ガ課稅標準
  ニナツテ居ル、是ハドウセラレルノデアリ
  マスカ、是ハ二重デスヨ、家ヲ造ル時ニ建
  築稅ヲ取ツテ、家ガ出來タナラバ直グ地方
  カラ不動產取得稅ヲ取リニ來ル、又一方建
  築稅ノ規定ヲ見マスト、附加稅ヲ課スルコ
  トヲ得ナイト書イテアル、無論不動產取得
  稅ハ是ハ住宅ダケデハアリマセヌ、土地其
  ノ他ノ取得稅モアリマセウガ、少クトモ住
  宅ノ點ニ付テハ建築稅ト云フ本稅ガ出來レ
  バ、不動產取得稅ハ附加稅ニナル、、而モ此
  ノ中ニハ附加稅ヲ課スルコトヲ得ナイト云
  フ規定ガアル、是カラ考ヘマシテモヤハリ
  中央地方ヲ通ジテノ稅制ガ、私ガ初メニ言
  ツタ通リ體系ガ整ツテ居ナイ、時ニ附加稅
  的ナモノヲ取ラセ、時ニ附加稅的ナモノヲ
  取ラサヌ、斯ウ云フ結果ニナツテ居リマス
  ガ、此ノ點ハドウ云フ風ニ御考ニナルデア
  リマセウカ

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• 053・石渡莊太郎

  ○石渡國務大臣　此ノ建築稅ニ付キマシテ
  ハ、御承知ノ通リ免稅點ガ置イテアルノデ
  アリマシテ、御話ノヤウナ家ハ何レモ一万
  圓以下ノ金額ニ於テ出來マス、長屋「アパー
  ト」等以外ノ家デモ出來ルト思フノデア
  リマスガ、一万圓ト云フ所ニ限度ヲ置キマ
  シテ、ソレ以上ノ家ヲ拵ヘタ者ニハ課稅ヲ
  スルト云フノデアリマス、ソレニ是ハ一ツ
  ノ餘裕ノアル人達ニ對スル課稅デアルノデ
  アリマスカラ、此ノ稅金ノ爲ニ住家ガ拂底
  スルト云フヤウナコトハナイト思ツテ居リ
  そう、只今御尋ノ不動產取得稅トノ重複ノ
  點デアリマスガ、是ハ今日ニ於キマシテモ
  家ノ出來マシタ場合ニハ、其ノ保存登記ヲ
  致セバ登記稅ノ賦課ヲ受ケマス、其ノ登錄
  稅ノ賦課ノ外ニ不動產取得稅ノ賦課ヲ受ケ
  ル所モアルト思ヒマス、賦課ハ受ケルノデ
  アリマスガ、併シ是ハ一万圓以上ノ住宅、
  其ノ他サウ云フヤウナ今日ノ場合比較的不
  必要ダト認メラルル所ノ住宅ニ重課スル意
  味デアリマスカラ、今日マデノ稅金ノ外ニ、
  此ノ建築稅ノ賦課ヲシタイ、斯ウ存ジテ居
  ルノデアリマシテ、其ノ點ハ是デ差支ヘナ
  イト思ツテ居ル次第デアリマス

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• 054・中島彌團次

  ○中島委員　一万圓位ノ家ハ今日ハ木材ガ
  高イカラ粗末ナ家デスヨ、其ノ家ヲ叩イテ
  行ケバ勢ヒ長屋ニモ影響シテ來マス、其ノ
  家ニ住マレナイ人ハ長屋ニ住ム外ナイカラ、
  長屋ガ拂底シテ來ルト云フ譯デ、ヤハリ順
  送リニナツテ來マス、今日ハ五割、六割、
  甚シキハ十割モ騰貴シテ居リマスカラ、三
  十坪ヤ四十坪位ノ家ヲ造ツテモ、直グ一万
  圓位掛ツテシマフ、是ガ奢侈ダト云フノハ、
  今日ノ狀況デハ大藏大臣ハ餘程御考ニナツ
  テ戴カナケレバ、下手ヲスルト住宅拂底ノ
  根本原因ニナツテ來ルト思ヒマス、其ノ點
  ハ意見ノ相違デアリマスガ、ソレカラ一方
  ニハ不動產取得稅ヲ取ツテ重課スルト云フ
  コトニナルト、一万圓前後ノ家ニ對シテハ
  非常ニ重ク掛ツテ來ルノデアリマス、ソレ
  ガ五万圓、十万圓ト云フ住宅ニナツテ來レ
  バ、ソレハソレデ二重ニ掛ツテ來テモソレ
  程デモナイノデアリマセウガ、此ノ免稅規
  定ノ境ヲ一寸上ニ出タ所ノ家ヲ建テルコト
  ガ多イダラウト思フ、此ノ位ノ家ハ木材
  騰貴ノ折柄、是ハ中產階級「サラリーマン」
  ノ住ム家デアル、ソレニ對シテ建築稅モ
  課ケレバ、不動產取得稅モ取ルト云フコト
  デヤツテ行キマスト、又出來上ツタ上ニ家
  屋稅モ取ラレルト云フコトニナツテ來ル、
  其ノ點ニ付キマシテハ餘程御考へ下サラナ
  イト、此ノ住宅ト云フモノヲ餘リ稅デ縛リ
  付ケテシマフト、不動產ニ對シテ課稅ノ均
  衡モ取レナイト云フ結果ニナルト思フ、ド
  ウモ是ハ精神ガ一貫シナイト考ヘル、是デ
  ハ附加稅ミタイナモノヲ禁ジテアル、サウ
  シテ不動產取得稅ニハ附加稅ヲ許スト云フ
  コトニナツテ居ル、是ハ非常ニ此ノ點ガ不
  揃ヒデアリ、立法ノ精神ガ統一シテ居ナイ、
  是ハ押問答シテモ仕樣ガアリマセヌガ、此
  ノ點ニ付キマシテ十分ニ御考慮シテ戴キタ
  イ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=54

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• 055・石渡莊太郎

  ○石渡國務大臣　一万圓以上ノ住宅等ニ付
  テハ課稅ハ致シマスガ、是ハ其ノ條文ニモ
  書イテアリマス通リ五千圓控除スルノデア
  リマスカラ、稅率トシマスト百分ノ五ト云
  フコトニナツテ居リ、段々家ガ大キクナツテ
  來ルト此ノ五千圓ヲ控除スルト云フコトガ
  一面ニ於テ累進課稅ノ働キヲ致シテ居ルノ
  デアリマシテ、家ガ大キクナツテ來ルト隨
  テ課稅率モ上ツテ來ル、斯ウ云フ風ナ實際
  上ノ働キヲシテ居ルト思フノデアリマス、
  ソレカラ附加稅ノ問題デアリマスルガ、是
  ハ登錄稅ニモ、附加稅ヲ課スルコトヲ得ズ、
  斯ウ云フ規定ガゴザイマス、家屋ヲ新築シ
  タ場合ニ保存登記ヲスル、サウスルト之ニ
  對シテ稅金ガ課カル、又不動產ノ取得稅ガ課
  カル、斯ウ云フコトニナツテ不動產取得稅ト登
  錄稅ガ課カルノデアリマスガ、併シナガラ是
  ハ登錄稅ノ附加稅デハアリマセヌ、一九、
  登錄稅デアツテ、一方ハ不動產取得稅デアル
  ノデアリマス、今度ノ此ノ建築稅モ、先程ア
  ナタモ仰セノ通リ、不動產取得稅ト今度ノ
  建築稅トノ間ニハ課稅ノ對象ニ差ガアルノ
  デゴザイマス、今度ノ建築稅ヲ課ケルモノ
  ハ比較的少イ家屋デアリマス、不動產取得
  稅ヲ賦課スル家屋ハ非常ニ廣イ範圍ノモノ
  デアル、一ツ家ヲ拵ヘタ場合ニ、ソレハ重
  複課稅デアルト斯ウ云フナラバ、今日ノ登
  錄稅モ重複課稅ト相成ツテ來ルト思フノデ
  アリマスガ、登錄稅ニハ附加稅ヲ課スルヲ
  得ズトシマシテ、不動產取得稅ハ附加稅デ
  ハナイト斯ウ見テ居ルノデゴザイマス、隨
  テ其ノ不動產取得稅ト建築稅トハ是亦別個
  ノ稅金デアリマシテ、是ハ附加稅ト云フ譯
  ニ行カヌ、斯ウ存ジテ居ル譯デアリマス

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• 056・中島彌團次

  ○中島委員　名前ガ變ツタダケデ、實體ハ建
  築價格ト云フモノヲ標準トシテ行クノデス
  カラ、ヤハリ附加稅的ナ性質ヲ持ツテ居ル、
  サウシテ、登錄稅ト云フモノハ御承知ノ通
  リニ千分ノ五十デアリマシタカ、之ニ對シ
  テヤハリ千分ノ二十ナリ三十ノ不動產取得
  稅ヲ取レバヤハリ性質トシテハ附加稅的ナ
  モノナノデアリマス、名前ガ變ツテ居ルダ
  ケノ話デアル、建築稅ト云フモノハ建築價
  格ト云フモノガ課稅ノ標準デアツテ、之二
  對シテ稅金ヲ取ルノデアルカラ、ソレト同
  ジヤウナ建築價格ニ對シテ千分ノ二十トカ
  三十課ケル不動產取得稅ヲ取ラレルトス
  レバ、ヤハリ是ハ附加稅デアル、名前ハ不
  動產取得稅トシテ取ラレルケレドモ、附加
  稅的ナモノデアル、片一方ハ國稅、片一方
  ハ地方稅デ取ツテアルカラ、名前ガ變ツテ
  居ルダケデアル、ソレニモ拘ラズ、此ノ法
  律ニハ附加稅ヲ課スルコトヲ得ズト書イテ
  アレバ、不動產取得稅ニ付テモ法律的處置
  ヲシテ行クト云フコトガ當リ前デハナイカ
  ト考ヘル、是ハ意見ノ相違デアリマスガ、能
  ク此點ヲ考ヘテ戴ケバ宜シイノデアリマス
  其次ニ遊興稅ニ付テ、地方カラ移管シタ
  理由ハ、斯ウ云フ遊興的ナ奢侈ヲ矯メルト
  云フコトヲ仰セラレタノデアリマスガ、藏相
  ハ本會議ノ御說明デ彈力性ニ付テモ補給金
  其ノ他ノ問題ニ付テ十分ニ考ヘルト言ハレ
  タガ、是ハ卽チ地方カラ取ルモノヲ-一
  千六百万圓ト云フ數字ハ稅制整理委員會等
  ニ於テモ出テ居リマスガ、是ハ現地ニ全額還
  付シテヤルト云フ御趣旨デゴザイマセウカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=56

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• 057・石渡莊太郎

  ○石渡國務大臣　前ニ先程ノ御尋ニ對シテ
  御答致シマス、個人ノ自己住宅ノ場合ニハ、
  臨時資金調整法適用ゴザイマセヌ、ソレカ
  ラ只今ノ御尋ノ遊興稅ノ收入ノ問題デゴザ
  イマスガ、遊興稅ノ收入ニ付キマシテハ、
  地方團體ニ於テ收入シテ居リマシタ其ノ額
  ハ國カラハ還付シタイト思ツテ居ル次第デ
  アリマス、還付ト言ヒマスカ、ソレダケノ
  金ハ地方團體ニ交付シタイト存ジテ居リマ
  ス

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• 058・中島彌團次

  ○中島委員　其ノ還付シタイト云フノハ全
  額完全還付ノ意味デアリマセウカ、千六百
  万圓ト云フ數字ハ十二年度ノ地方ノ決算カ
  ラ出テ來テ居ルノデアリマスカ、十三年度
  ノ豫算ヲ見タノデアリマセウカ、十四年度
  ノ現ニ地方ガ組ンデ居ル所ノ豫算ノ數字ヲ
  言フノデアリマセウカ、其ノ數字ノ根據ハ
  何處ニアルノデアリマスカ

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• 059・石渡莊太郎

  ○石渡國務大臣　十二年度ノ決算デス、十
  三年度ノ豫算ハ十二年度ノ決算ヨリ少イヤ
  ウデス、十三年度ノ決算ハ勿論分リヤウガ
  アリマセヌ、今日マダ會計年度ノ進行中デ
  ゴザイマスカラ、ソレカラ十四年度ノ豫算
  モ今日ノ所マダ全部集マツテ居リマセヌ、
  是ハマダ決ツテ居ナイ所モアルヤウデアリ
  マスガ、是ハ十四年度ノ豫算ヲ此ノ際各府
  縣ニ跨ツテ集メルコトハ困難デアルト存ジ
  マス、隨テ玆ニ數字トシテ考ヘラレルベキ
  數字ハ昭和十二年度ノ決算額カ昭和十三年
  度ノ豫算額デアル、斯ウ思ヒマスガ、昭和
  十三年度ノ豫算額ト云フモノハ昭和十二年
  度ノ決算額ニ比較致シマスト大分少ウゴザ
  イマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=59

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• 060・中島彌團次

  ○中島委員　サウスルト十二年度ノ決算カ
  十三年度ノ豫算カ、千六百万圓ト云フ數字
  ヲ現地ニ還付シテヤルト云フコトヲ仰セラ
  レテ居ルガ、ソレハドチラナンデスカ、其
  ノ千六百万圓ハ何處カラ出テ來タノデスカ、
  ソレガ頗ル瞹昧ナノデス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=60

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• 061・石渡莊太郎

  ○石渡國務大臣　ソレハ十二年度ノ決算ノ
  數字デゴザイマス、十三年度ノ豫算ノ數字
  ハ千六百万圓アルカナイカト思ツテ居リマ
  ス、唯今其ノ額ハマダ幾ラ其ノ方ニ提供ス
  ルカト云フコトハハツキリマダ決メテ居リ
  マセヌ、目下大藏、內務兩省ニ於テ折衝中
  デゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=61

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• 062・中島彌團次

  ○中島委員　其ノ現地ニ對シテハ完全還付
  主義デスカ、或ハ現地カラ取ツタモノヲ他
  ノ方ヘ〓シテヤルト云フヤウナ主義ヲ採ツ
  テ居ルノデスカ、其ノ主義ハ何處ニアルノ
  デスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=62

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• 063・石渡莊太郎

  ○石渡國務大臣　是モ目下內務、大藏兩省
  ニ於テ協議中デゴザイマスガ、此ノ問題ハ
  寧ロ大藏省ヨリモ內務省ノ方ニ關係スル問
  題ガ多イト思ヒマスノデ、是ハ内務當局カ
  ラ御答シタ方ガ宜イノデハアルマイカト思
  ツテ居リマス

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• 064・中島彌團次

  ○中島委員　此ノ點ニ付キマシテハ私保留
  シテ置キマシテ、內務當局ガオ出デニナツ
  タナラバ伺フコトニ致シマス、ソレカラ藏
  相ハ、擔稅力ニ付テモ補給金其ノ他ノ問題
  ニ付テハ十分ニ考ヘルト言ハレタガ、是ハ定
  額交付ニアラズ將來實收額ヲ課率ノ割合ニ
  應ジテ交付スルモノト解釋シテ宜シウゴザ
  イマセウカ、擔稅力ニ付テモ考ヘルト云フ
  コトヲ本會議デ言ハレタ、橫川君ノ御質問
  ニ對シテ御答ニナツテ、擔稅力ニ付テモ自
  分ハ考ヘテ居ル、擔稅力ニ付テ補給金其ノ
  他ノモノヲ者ヘテヤルト云フコトヲ仰シヤ
  ラレタノハ、是ハ定額交付スルコトノ意味
  ヂヤナイト私ハ考ヘマス、卽チ實收額ヲ課
  率ノ割合ニ應ジテ、多クナツテ來レバ多ク
  ナル程其ノ割合ニ應ジテヤル、詰リ今年千
  六百万圓ヤツタラ來年モズツト千六百万圓
  ヤルノデハナイ、千八百万圓ニ殖エテ來レ
  バ千八百万圓、或ハ千九百万圓、斯ウ云フ
  風ナ意味ニ於テ擔稅力ニ付テモ十分ニ考究
  シテ居ル、內務大臣モ地方ノ收入缺陷ガナ
  イヤウニシテヤル、斯ウ仰セラレタノデア
  リマスガ、今私ノ申シマシタ定額交付ニア
  ラズシテ其ノ實收額ノ課率ノ割合ニ應ジテ
  交付スル、斯ウ解釋シテ宜イデセウカ

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• 065・石渡莊太郎

  ○石渡國務大臣　橫川サンカラ先般本會議
  ニ於テ御尋ノコトハ、彈力性ト云フコトヲ
  考ヘテ還付スルカドウカト、斯ウ云フ御尋
  デアツタカト思フノデアリマス、ソレデ私
  ハ彈力性ノコトモ考ヘテ行カナケレバナラ
  ヌト思フ、併シナガラ其ノ次ニ私ハ斯ウ云
  フコトヲ申上ゲテアルト思フノデアリマス、
  此ノ稅ハ從來ノ實績カラ考ヘマスルト、サ
  ウ彈力性ヲ認メル譯ニハ行キマセヌト、斯
  ウ御答シテアルト思ツテ居リマス、ソレハ
  サウ速記錄ニモ載ツテ居ルト思フノデゴザ
  イマスルガ、結局其ノ問題ハ、昭和十三年
  度ノ實績ハ勿論今日分リマセヌガ、昭和十
  三年度ノ實績等ヲ考慮シテ、其ノ千六百万
  圓ト云フモノ、或ハ千六百五十万圓ニ考ヘ
  ルカ、千七百万圓ニ考ヘルカ、兎ニ角今年
  交付スル所ノ額ヲ昭和十二年度ノ實績カラ
  推知シテ、昭和十三年度ノ實績等ヲ考慮ニ
  入レテ、還付スルカドウカト云フ所ニ、私
  ハ橫川サンノ御尋ガアツタト思フノデアリ
  そう、ソレデサウ云フコトヲ頭ニ入レマシ
  テ、私ハ左樣ニ御答致シタト思ツテ居リマ
  ス、ソレハ彈力性ヲ考ヘナケレバイケマス
  ティ、併シナガラ彈力性ノコトハ、從來ノ
  實績カラ見テサウ彈力性ノモノヂヤゴザイ
  マセヌト、斯ウ御答シテ居ルト思ツテ居リ
  やっ、今アナタノ御尋ノ將來ノ實收入ヲ賦
  課率ニ依ツテ還付スルカ、斯ウ云フ御尋デ
  ゴザイマスレバ、サウハ致サナイ豫定デゴ
  ザイマス、尤モ是ハ昭和十四年度ノコトヲ
  申上ゲテ居ルノデゴザイマシテ、將來ノ何
  ト申シマスカ、彈力性ト云ヒマスカ、彈力
  性ノコトニ付テハ、昭和十五年度以降ニ於
  キマシテハ、是ハ相當ノ考究ヲスル必要ガ
  アルト存ジマス

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• 066・中島彌團次

  ○中島委員　昭和十四年度ニハ、千六百万
  圓ガ假リニ十二年度ノ決算トスレバ、ソレ
  ダケホカヤラナイノダ、昭和十五年カラ先
  ハ私ガ今言ツタヤウナ工合ニ、定額ヲヤル
  ニアラズシテ實收額ヲ課率ノ割合ニ應ジテ
  交付シテ行ツテ、彈力性ノコトヲ考ヘテヤ
  ル、斯ウ考ヘテ宜イデスカ

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• 067・石渡莊太郎

  ○石渡國務大臣　少シ違フノデス、昭和十
  四度ニ於テ交付スルノハ、昭和十二年度ノ
  實績ニ依ツテ交付スルトハ申シマセヌ、是
  ハ昭和十三年度ノ豫想致サルベキ實績等
  モ考ヘノ中ニ入レテ、昭和十四年度ニ付テ
  ハ考慮シタイト思ツテ居ルノデゴザイマ
  ス、ソレヲ幾ラニ致スカ、多少ソコニ彈
  力性ト云フモノヲ認メルト云フコトニ相
  成ルト思フノデゴザイマス、ソレガ幾ラ
  ニ相成ルカト云フコトニ付キマシテハ、
  目下大藏內務兩當局ニ於テ協議致シテ居
  ル次第デゴザイマス、ソレカラ昭和十五年
  度ニ付テハ如何ニ之ヲ交付スルカト云フコ
  トハ、是ハ今日ドウモハツキリ申上ゲ兼ネ
  ルノデアリマスルガ、此ノ國稅トシマシテ
  ハ相當收入ガ增加シテ行クト云フコトデ
  アルナラバ、是等ノ點ニ付テハ將來交付ス
  ルト云フヤウナ場合ニ於テハ、ソレ等ノ點
  ハ考慮ニ入レテ考ヘテ行カナケレバイカナ
  イダラウ、サウ云フヤウナコトヲ考ヘテ行
  ク必要ガアルデアラウ、斯ウ云フコトヲ申
  上ゲテ居ル次第デアリマス

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• 068・中島彌團次

  ○中島委員　能ク分リマシタ、十五年度以
  降ニ付テハ彈力性ヲ考ヘテ行ツテクレル、
  十四年度ニ付キマシテモ、地方團體ハ豫算
  ニ組ンデ居リマスカラ、此ノ點ハ十分考慮
  下サイマシテ、內務大藏當局ニ於テ十分事
  務ニ支障ガナイヤウニ考ヘテ戴キタイ、是
  ハ希望ヲ申上ゲテ置キマス
  ソレカラ急ギマスガ、場面ガ一轉致シマ
  シテ臨時利得稅ノ此ノ改正ニ付テ甲種ハド
  ウ云フ譯デ廢止シナカツタカ、同僚小山君
  カラノ御質問ニ藏相ガ答エテ居ル所ニ依ル
  ト、四、五、六年ヨリ所得ガ增加シナイ者モア
  レバ、却テ惡クナツテ居ル者モアルカラ、多
  少ノ增徵ハ是ハ已ムヲ得ナイ、斯ウ云フ答辯
  デアルガ、ソコガ分ラヌ、私ガ讀ンデ見マ
  シテモ四、五、六年度ヨリ所得ノ增加シナ
  イ者モアレバ却テ惡クナツテ居ル者モアル
  カラ多少ノ增徵ハ已ムヲ得ナイ、是ダケデ
  ハドウモハツキリ致シマセヌ、此ノ甲種ハ御
  承知ノ通リニ四、五、六年ト云フヤウナモノ
  ガ基準年度ニナツテ居ルガ、是ハ世界的ニ
  極ク不景氣ノドン底デ「アブノーマル」ノ狀
  態ノ時デアリマス、而モ十年モ前ノモノヲ標
  準トシテ、玆ニ臨時利得稅ヲ取立テテ行ク
  ト云フコトニ付キマシテハ、玆ニ一ツノ大
  キナ理由ガナケレバナラヌト思フノデアリ
  マスガ、此ノ理由ニ付テ、私ハ速記錄ヲ讀
  上ゲタダケデアリマスガ、是ダケホカ御答
  シテナイ、惡クナツテ居ル者モアルシ、善
  クナツタ者モアルカラ、多少ノ增徵ハ已ム
  ヲ得ナイ、斯ウ云フヤウニ藏相ハ御答ニナ
  リマシタガ、根本ノ此ノ臨時利得稅ノ甲種
  ハ何故廢止シナイカ、モウ十年モ前ノモノ
  ヲ標準トシテヤツテ行クコトニ付テハ、ド
  ウ云フ御考ヲ御持チニナツテ居ルノデアリ
  マスカ、此ノ藏相ノ答辯ガハツキリ致シマ
  セヌカラ、私ハ此處デ之ヲ確メテ置キマシ
  テ、政府ハドウ云フ決心ヲ持ツテ此ノ臨時
  利得稅ノ改正ニ臨ンデ居ラレルカト云フ點
  ヲ御尋シテ置キマス

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• 069・石渡莊太郎

  ○石渡國務大臣　臨時利得稅ノ甲種乙種デ
  ゴザイマスガ、乙種ハ昨年設ケマシタ事變
  利得稅ト云フベキモノデアリマス、之ニ付
  キマシテハ今囘モ相當ノ增徵ヲ加ヘテ居ル
  ノデゴザイマス、甲種利得稅ニ付キマシテ
  ハ、比較的微弱ナ、殊ニ個人ニ付テハ微弱
  ナ增率シカ加ヘテ居リマセヌ、本會議デ小
  山サンノ御尋ニ對シテ御答シタコトモ、要
  スルニ此ノ昭和四、五、六年ト比較致シテ、
  サウシテ今日ノ方ガ餘程善クナツテ居ルト、
  斯ウ云フモノニ付テ課稅致スノデアツテ、
  今日國民全體トシテ考ヘレバ、其ノ中ニハ
  却テ昭和四、五、六年當時ヨリモ惡クナツテ
  居ル產業モアリ、又收入ノ一向增加シナイ
  人達モアルノデアリマスカラ、其ノ當時ト
  比較致シマシテ、此ノ際收入ガ增加致シテ
  居ルノデアリマスカラ、ソレ等ニ對シマシ
  テ相當ナ增率ヲ致スコトモ、此ノ際ノ問題
  トシテ已ムヲ得ナイノデアラウ、斯ウ申
  上ゲマシタ次第デアリマス

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• 070・中島彌團次

  ○中島委員　藏相ノ今ノ御答デハ廢止シナ
  カツタ理由ガハツキリシマセヌ、此ノ甲種
  ノ方ノ重要ナル大キナ會社ハ、此ノ四、五、
  六年ニ比較シテ、ドレ位殖エテ居ルノデアリ
  マセウカ、又乙種ノ方ハ、九、+、十一デ
  アツタカニ對シマシテ、ドレ位ナ程度ノ差
  額ガ出來テ來テ居ルノデアリマセウカ、其
  ノ主ナルモノデモ擧ゲテ戴ケバ能ク分リマ
  スガ、ソレガドウナツテ居ルノデセウカ

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• 071・石渡莊太郎

  ○石渡國務大臣　今度ノ乙種ノ方ノ臨時利
  得稅ハ九、+、十一ト云フ比較的好調ニ向
  ツテ居リマスル間ノ年限ヲ取ツテ居リマス
  關係上、此ノ方ハ臨時利得額ノ利得者ガ
  大會社デアリマシテ比較的少イノデゴザイ
  やく、隨テ若シ此ノ際甲種利得稅ヲ止メテ
  シマヒマシテ、サウシテ乙種利得稅ダケデ
  行クト云フコトニナリマスト、所謂今日人
  ノ目シテ居リマスル大會社ガ-相當收益
  ヲ上ゲテ居リマスル大會社ガ(中島委員「乙
  種ダケト云フ意味デスネ」ト呼ブ)左樣デス、乙
  種ダケデ行クトスルト臨時利得稅ノ課稅カ
  ラ落チテシマフ、斯ウ云フモノガ相當アル
  ヤウニ思ヒマス

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• 072・中島彌團次

  ○中島委員　能ク分リマシタ、ソレカラ臨
  時利得稅法ノ第三條ニ船舶及鑛業權ノ讓渡
  ニ因ル個人ノ利得ヲ入レタ理由ハ何處ニア
  リマスカ、大正七八年當時ノ如ク船舶或ハ
  鑛山權ノ大キナ賣買ト云フ現象ガ今日起ツ
  テ居ルノデアリマセウカ、船ガ拂底シテ輸
  送ニモ困ツテ居ルヤウナ狀況ニ在ルニモ拘
  ラズ之ヲ入レルト云フコトガ、果シテ宜イ
  デアラウカ、又鑛物資源ノ生產擴充ノ緊要
  ナル今日、斯ウ云フ規定ヲ設ケルコトガ果
  シテ適當デアリマセウカ、其ノ點ハドウ御
  考ニナツテ居リマスカ

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• 073・石渡莊太郎

  ○石渡國務大臣　船舶、鑛業權ノ讓渡ニ付
  キマシテ、大正七八年當時個人ノ利得稅ト
  シテ、戰時利得稅トシテ課稅致シマシタコ
  トハ御承知ノ通リデアリマス、今日ニ於キ
  マシテモ會社ニ付キマシテハ會社ガ斯ウ
  云フヤウナ物件ニ付テノ賣買ヲシタ場合ニ
  ハ課稅致シテ居ルノデアリマス、其ノ利得
  ニ付テハ課稅致シテ居ルノデゴザイマス、
  併シ個人ノ船舶、鑛業權ノ賣買ニ付キマシ
  テハ、今日所得稅モ課稅シテ居ラズ、利得
  稅モ課稅致サナイト云フコトデハ實際ノ問
  題ト致シマシテ色々事業家ノ間ニ、又ハ課
  稅ノ面ニ於キマシテ大分不權衡ガ起ル、斯ウ
  云フモノニハ課稅スル方ガ今日ノ社會情勢
  カラ考ヘテモ宜シイト云フコトノ情報ガ頻
  リニアツタモノデゴザイマスカラ、是ハヤ
  ハリ此ノ際船舶、鑛業等ニ付テハ、是等ヲ
  賣リマシテ相當儲ケテ居ル者ガアルノデア
  リマスカラ、是等ニ對シテハ或ル程度ノ課
  稅ヲシタイト思ツテ斯ウ云フコトニ決メタ
  譯デゴザイマス

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• 074・中島彌團次

  ○中島委員　斯ウ云フ物件ノ賣買ガ非常ニ
  多イヤウニ認メテ居ルノデアリマセウカ、
  又此ノ歲入ノ見積ニ於テハ此ノ物件數ヲ豫
  算ノ根據トシテドウ云フヤウニ見積ツテ居
  ルノデアリマセウカ

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• 075・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　此ノ歲入ノ見積ノ基礎ニ
  ナツテ居ル件數ハ船舶ニ於テ百二十八件、
  鑛業權ニ於テ百二十六件、課稅利得金額ハ
  船舶ニ於テ三百万圓餘、鑛業權ニ於テ九百
  万圓餘、是ハ昭和十三年十月以前一ケ年ノ
  賣却實績デゴザイマス、之ヲ基礎ト致シマ
  シテ見積ツタノデゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=75

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• 076・中島彌團次

  ○中島委員　サウ云フヤウナ工合デ、第三
  條ニアルガ如ク、個人ガ賣買シタカラ直グ
  ソレヲヤルトスレバ、之ニ匹敵スル問題ト
  シテ今日私共考ヘナケレバナラヌ重大ナル
  問題ハ重役ノ賞與デアルト私ハ考ヘル、法
  人ノ利益デ社外ニ流出スルモノハ利益配當
  ト重役ノ賞與デアリマス、所ガ利益配當ニ
  對シテハ利益配當稅ガ課セラレテ居ルケレ
  ドモ、重役ノ賞與ニハ何等賞與稅ト云フヤ
  ウナモノハ課セラレナイ、是ハ船舶、鑛業
  權ナンカヲ入レタ立法上ノ精神カラモオカ
  シイデハナイカト思フ、ノミナラズ法人ノ
  社外流出ハ、利益配當ト重役賞與ノ一一ツダ
  ケデアル、アトハ皆經費デ損金ニ立チ、使
  用人及ビ勞働者ニ對スル給與竝ニ勞銀ト云
  フモノハ經費ニ立チ、ソレカラ法定ノ特別
  積立金トカ減價償却費トカ云フヤウナモノ
  モ問題ニナツテ參リマスケレドモ、社外流
  出ハ前ノ二ツダケデアル、而モ其ノ中ノ一
  ツハ叩カレテ、アトノ一ツハ叩カレナイト
  云フノハドウ云フ譯デアルカ、是ガ取扱方
  ニ付テモ色々ノ方法ガアリマセウ、臨時利
  得稅式ニ取ル方法モアルデアリマセウ、是
  モ亦一ツノ考ヘ方ヂヤナイカト私ハ考ヘル、
  兎ニ角九、+、十一ニ比ベマシテ非常ニ重
  役賞與ガ殖エテ來テ居ル、今マデ一万五六
  千圓貰ツテ居ツタ者ガ五万圓モ貰ツテ居ル
  人ガ澤山出來テ居ル、五六万圓貰ツテ居ツ
  タ人ガ七八万圓モ貰ツテ居ル人ガアル、賞
  與ノ額ニ非常ニ差額ガ出來テ居ル、殊ニ軍需
  工業方面ノ仕事ニ從事シテ居ル者ニ於テ然
  リデアル、此ノ點ヲナゼ立法上玆ニ見逃シタ
  ノデアルカ、ソレカラ又是ガ取リ方ハ、モウ一
  ツハ退職給與金ノ如クニ、所得稅法ト違ツタ
  別個ノ累進稅率デ取ルコトモ一ツノ方法デア
  リマセウ、此ノ二ツノ方法ガ見出サレル、固
  ヨリ此ノ重役ノ賞與ト云フモノハ所得稅ニ
  於テ綜合課稅ガサレマスカラ、サウ大キナ
  稅率ハ課セラレナイデセウガ、少クトモ退
  聽給與金ノ如クニ別ノ稅率デ取ツテ行ク
  カ、何等カノ方法ヲ以テ課稅スル必要ガア
  ルト思フ、一方ニ於テハ物品稅ヲ增加致シ
  マシテ、段々ト奢侈的商品カラ生活ノ必要
  品ニマデ喰ヒ入ツテ來ル此ノ際ニ於テハ、
  重役賞與稅ト云フヤウナモノヲ設クベキデ
  ハナイカ、是ハ大キナ賞與ト云フモノハド
  ノ位アルカ私ニハ分ラヌガ、此ノ數字ニ付
  テ政府委員ノ方ニ於テハ御調ガアルト思ヒ
  マスガ、全國ノ會社ノ重役ノ賞與ト云フモ
  ノハ幾ラ位アリマスカ、臨時利得稅ト同ジ
  ヤウナ立場ニ於テ、四、五、六、若クハ九、
  +、十一ニ對シテドレダケ重役賞與ト云フ
  モノガ殖エテ居ルカ、此ノ數字ノ根據ヲ明
  ニシテ戴キタイ、サウシテ之ニ對シテ、何
  故ニ法人ノ社外流出ニ付テ此ノ點ダケヲ御
  見逃シニナツタノデアルカ、無論所得稅ヲ
  課ケレバ、累進稅率モ適用スルカラト云フ
  意味デモアリマセウガ、ソシ以上ニ是ハ非
  常ニ課稅物件トシテ宜イモノヂヤナイカト
  考ヘル、又社會正義ノ觀念カラ言ヒマシテ
  千、一面ニ於テハ大衆課稅トシテ砂糖ナリ
  酒ナリニ至ルマデ課稅ヲシテ居ル、勞働者ノ
  飮ム玉「ラムネ」モ今度ハ〓凉飮料トシテ增
  稅サレテ居ルノニ、重役ノ賞與ダケニ於テ
  玆ニ增稅サレナイ所ノ理由ハ何處ニアル
  カ、是ハ社會正義ノ觀念カラ考ヘマシテモ
  重大ナル社會問題デアルト考ヘマスカラ、
  此ノ點ニ付キマシテ大藏大臣ノ御答辯ヲ煩
  シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=76

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• 077・石渡莊太郎

  ○石渡國務大臣　今日ノ臨時利得稅ノ課稅
  ノ仕方ト云フモノハ、會社ト、ソレカラ營
  業收益稅ノ賦課ヲ受ケテ居ル營業ヲ此處ニ
  出シテ考ヘテ居ルノデアリマシテ、其ノ他
  ノ部面ニハ及ンデ居リマセヌ、今仰セノア
  リマシタ會社ノ重役賞與ノ問題デアリマス
  ガ、是ハ今モ中島サンノ御尋ノ通リ、益〓金ノ
  處分デアリマスカラ、是等ノ會社ノ重役賞與
  ニ該當致シマス部分ハ、會社ノ益金トシテ
  會社ニ於テ臨時利得稅ノ賦課ヲ受ケル、サ
  ウ云フ儲カツテ居ツテ多額ノ賞與デモ出サ
  ウト云フ會社ハ、其ノ重役ノ賞與ニ該當ス
  ル部分マデ會社ノ益金トシテ臨時利得稅ノ
  課稅ヲ受クベキ性質ノモノニ相成ツテ居ル
  ノデアリマス、ソレヲ再ビ會社ノ重役ト云
  フモノヲ玆ニ拔キ出シテ、其ノ人ノ受取ル
  賞與ニ課稅スルト云フコトデアルナラバ、
  此ノ點ニ於テハ臨時利得稅ハ二重ニ課稅サ
  レルコトニナルノデアリマス、ソコマデヤ
  ツテハドウカト云フコトデアルナラバ、其
  ノ前ニマダ幾多ノ階段ガアルト存ジマス、
  卽チ配當ノ增加シタ分-先ヅ賞與ハ勤勞
  所得デアルトシタナラバ、配當ノ增加シタ
  分デアルトカ、又ハ今囘ノ臨時利得稅ハ大
  正七、八年ノ戰時利得稅ト違ヒマシテ、農業
  ヲ一切除外シテゴザイマス、是モ米價十七、八
  圓ノ當時ト、今日ノ米價デ米ヲ賣ル場合ト
  ヲ考ヘレバ、相當ノ利益ガアルカモ知レマセ
  ヌガ、斯ウ云フヤウナモノハ此ノ際一切除
  外致シテ考ヘテ居ルノデゴザイマシテ、此
  ノ際斯ウ云フ風ニ儲カルモノハ主トシテ營
  業行爲デアル、其ノ營業ト云フモノヲ對象
  トシテ考ヘテ、玆ニ臨時利得稅ガ出來テ居
  ルノデゴザイマス、隨テ儲ケノ顯著ナモノ
  ヲ押ヘテ居ル譯デゴザイマス、今囘之ニ船
  舶鑛業權ト云フモノヲ加ヘタノハ、サウ
  云フヤウナ物件ノ賣買ニ付テ此ノ際相當ノ
  儲ケガアルノニ、一方ニ於テハ非課稅デア
  リマシテ、所得稅モ徵收シテ居ナイヤウナ
  狀況デアリマス、ソレデ此ノ際サウ云フモ
  ノニハ臨時利得稅ノ賦課ヲシタイ、斯ウ考
  ヘタ次第デゴザイマス、重役ノ賞與ニ付キ
  マシテハ、今日旣ニ所得稅ヲ負擔致シマシ
  テ、其ノ增加シタ部分ニ付テハ高率ノ累進
  稅率ノ適用ヲ受ケテ居ル、會社ノ所得トシ
  テ臨時利得稅ノ賦課ヲ受ケ、其ノ上ニモウ
  一度個人ノ臨時利得稅ヲ賦課スルカドウ
  カ、斯ウ云フ問題デアルト存ジマス、
  私共モ感觸ト致シマシテハ、多少御說ノ
  ヤウニ感觸ガ動カナイモノデハナカツ
  タノデゴザイマスガ、是ハ今日ノ場合カラ
  考ヘマシテ、ソコマデ行クニハマダ外
  ノ所得ニ付テモ餘程檢討スル必要ガアルト
  思ヒマシタノデ、重役ノ賞與ニ付テノ利得
  稅ノ課稅ト云フコトハ考ヘナカツタ次第デ
  ゴザイマス、但シ重役ノ賞與等ガ增加スル
  コトハ此ノ際トシテ特ニ感服致シマセヌ、
  之ニ付テハ大藏省所管ノ各種ノ事業會社ニ
  於キマシテハ、御說ノヤウナ賞與ノ增加シ
  テ居ルモノハ殆ドナイト考ヘテ居ルノデア
  リマス、併シナガラ重役ノ賞與ノ餘計ニ相
  成ルコトハ歡迎スル譯ニハ行カヌノデ、是
  等ノ點ニ付テハ總動員法第十一條等ノ關係
  ニ於テモ、相當監視シテ參ル必要ガアルト
  存ジテ居リマズ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=77

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• 078・川崎克

  ○川崎委員長　一寸中島君ニ申上ゲマス
  ガ、內務省ノ地方局長ガ見エマシタノデ、
  時間ノ關係上、御質疑ニナルナラバ··

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=78

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• 079・中島彌團次

  ○中島委員　モウ直グ濟ミマスカラ、大藏
  大臣ニザツト問ウテ、ソレカラ内務省ノ方
  ニ移リマス、私ノ考デハ、臨時利得稅式ニ
  徵ルノモ一ツノ方法ダト言ウタダケデアツ
  テ、退職給與金ノ如ク別個ノ率デ、所得稅
  ノ累進稅ト全然違ツタ方法デ徵ルノモ一ツ
  ノ方法デアルト申上ゲタノデアリマス、何
  レニシテモ此ノ階級カラ徵ツタラドウカト
  云フコトヲ申上ゲタノデアリマシテ、大臣
  モ感想ニ於テハ御同感ダト云フコトヲ言ハ
  レマシタガ、斯ウ云フヤウナ時節デアルカ
  ラ、此ノ方面ニ向ツテノ稅法モ完備セラレ
  ンコトヲ希望致シマス
  モウ一點大藏大臣ニ伺ツテ、ソレカラ成
  ベク內務大臣ニ御問ヒ申上ゲテ、其ノ後デ
  地方局長ニ御伺シタイト思ヒマスガ···

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• 080・川崎克

  ○川崎委員長　一寸申上ゲマスガ、內務大
  臣ニ對シテハ今朝來屢〓出席ヲ要求シタノデ
  アリマス、所ガ貴族院ノ分科會ニ出テ居ツ
  テ、ドウシテモ今日ハ出ラレナイト云フコ
  トデアリマス、ソレデ折角ノ御要求デハア
  リマスガ、其ノ方ハ··

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• 081・中島彌團次

  ○中島委員　ソレデハソレハ出ラレタ時ニ
  致シマセウ、重役ノ賞與ハドレ位アルノデ
  スカ、最近調ベタモノヲ一ツ出シテ戴キタ
  イ

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• 082・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　詳シイ調ハ致シテ居リマ
  セヌガ、後刻能ク調査致シテ申上ゲタイト
  思ヒマス

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• 083・中島彌團次

  ○中島委員　是ハ二億圓以上アルノデハナ
  イカト思ヒマス、其ノ一割ヲ徵ツテモ二千
  万圓、五分徵ツテモ非常ニ大キナモノニナ
  ルカラ調ベテ出シテ戴キタイ、是ハ單ニ惡
  性「インフレ」ヲ防グバカリデナク、ドンチ
  ヤン騷ギヲ止メルコトニモ關係スル重大問
  題デアルカラ、ナケレバ能ク調査シテ出シ
  テ戴キタイ
  ソレカラ最後ニ一點臨時措置法ニ付テ御
  伺申上ゲマス、生產擴充ノ恩典トシテ今度
  臨時租稅措置法ヲ改正セラレマシタコトハ
  洵ニ結構ナコトデアリマシテ、大體ニ於テ
  私共ハ此ノ問題ニ付テハ大イニ贊意ヲ表ス
  ル次第デアリマスガ、少シク內容ニ立入ツ
  テ御伺申上ゲタイノハ、第一條ノ二ノ留保
  所得ニ關スル恩典デアリマスガ、此ノ四割
  ト云フノハ、ドウ云フ意味デ四割ト決メタ、
  ノデアリマスカ、四割以上ノ超過部分ニ對
  シテ免稅シテヤルト云フ規定ガ第一條ノ二
  ニアリマスガ、此ノ四割標準ト云フコトハ
  從來ノ實績ニ依ツテヤツタコトデアリマス
  カ、又生產力擴充ニ對スル臨時措置法ノ規
  定ノ結果一千四百九十万圓減稅ニナルコト
  ニナツテ居ルガ、此ノ一千四百九十万圓ノ
  內容ハ、減價償却ノ分モ入ツテ來ルデアラ
  ウト思フシ、其ノ他第一條ノ四ノ國庫補助
  金ノ場合モ、或ハ〓究費ノ場合モ入ツテ來
  ルノデアリマセウガ、其ノ內譯ヲ一ツ知ラ
  セテ戴キマシテ、四割ト云フノハ何ヲ標準
  トシテ斯ウ云フヤウニ決メタノデアルカト
  云フ其ノ點ヲ先ヅ御伺申シマス

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• 084・石渡莊太郎

  ○石渡國務大臣　最初ニ私ハ重役賞與稅ニ
  同意シタト云フ譯ノモノデハゴザイマセ
  ヌ、ソレハ一應サウ云フヤウナ關心モ持ツ
  テ色々調ベテ見タケレドモ、不適當ト思ツ
  ク、斯ウ云フコトヲ申上ゲタノデアリマス
  カラ左樣御諒解ヲ願ヒタイト思ヒマス
  ソレカラ留保所得ノ四割ノ問題デゴザイ
  マスガ、此ノ四割ニ付キマシテハ、是ハ我
  國ノ會社ノ總所得ノ中、社外分配金、社内
  留保金トノ割合ヲ勘定シテ見マスト、四割
  弱留保サレテ居ルノデゴザイマシテ、隨テ
  ソコニ四割ト云フ標準ヲ一ツノ目安トシテ
  置イタノデゴザイマス、ソレデゴザイマス
  カラ、會社ノ所得ノ四割ト云フノハ、總會
  社ノ平均ト言ヒマスカ、マアサウ云フ風ニ
  考ヘタノデゴザイマス、ソレカラ千四百九
  十万圓ノ減稅額ハ減價償却ノ分モ無論含ン
  デ居ルノデゴザイマス、其ノ數字ノ內譯ニ
  付キマシテハ政府委員カラ御答シタイト思
  ヒマス

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• 085・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　臨時租稅措置法改正ニ依
  ル減收ノ內譯ヲ申シマス、超過留保運用免
  稅ニ依リマシテ所得稅三百万圓、ソレカラ
  最高課稅限度變更ニ依リマシテ所得稅二百
  十万圓、重要物產製造業免稅ノ擴張ニ依リ
  マシテ、所得稅及ビ營業收益稅ニ於テ百四
  十万圓、國庫補助金ノ免稅、所得稅、營業
  收益稅、臨時利得稅ニ於キマシテ百十万圓、
  〓究費ノ控除ハ所得稅、營業收益稅、臨時
  利得稅ニ於キマシテ三十万圓、減價償却ニ
  依ルモノハ所得稅、營業收益稅臨時利得稅
  ニ於キマシテ六百万圓、織物消費稅ノ減ハ
  三十万圓、登錄稅ノ減ハ四十万圓、計千四
  百九十万圓デアリマス、端數ヲ申上ゲマセ
  ヌ內譯デゴザイマスカラ、多少計ト相違ハ
  ゴザイマス

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• 086・中島彌團次

  ○中島委員　留保所得ノ場合ニ於キマシテ
  ハ僅ニ三百万圓デアリマスガ、モウ少シ之
  ヲ進メラレテ全部ノ留保所得ヲ一定ノ條件
  ヲ附シテ、例ヘバ公債或ハ興業債劵ヲ買ハ
  ストカ、又ハ生產擴充ヲヤラストカ、特別
  勘定ヲ設ケラレテ、全部ノモノヲ免稅セラ
  レルヤウナ方法ヲ執ツタラ如何デスカ、是
  ガ今日非常ニ留保所得ヲイヂメルノデ、其
  ノ弊害ハ極點ニ達シテ居リマシテ、御承知
  ノ通リ寄附ガ非常ニ會社ニ多イ、最近ニド
  ウ云フヤウナ大キナ寄附ヲヤツテ居ルノデ
  ゴザイマセウカ、調ベガアレバ知ラセテ戴
  キタイ、法人ノ接待費デアルトカ、廣告費
  デアルトカ、職工ノ勞銀、旅費デモ三等デ
  ヤルノヲ二等デヤルトカ云フ風ニ殖ヤシテ
  居ル、斯ウ云フ工合ニ法人ノ浪費ガ近年顯
  著ニ現ハレテ來テ居リマス、是ハ留保所得
  ヲ稅法ニ依ツテイヂメル一ツノ結果デアル
  ト私ハ考ヘルノデアリマスカラ、留保所得
  ニ對スル所ノ所謂重稅ヲ輕メテ行クト云フ
  コトガ生產擴充、公債消化ノ上ニ於テモ重
  大ナル影響ガアルバカリデハナク、ヤハリ
  惡性「インフレ」ヲ止メル端〓トナツテ來ル
  コトト考ヘルシ、又通貨ノ餘計ナ氾濫ヲ防
  グコトニナツテ來ルト考ヘルノデアリマ
  スガ、全部ノ留保所得ニ一定ノ條件ヲ附シ
  テ-一定ノ條件ト云フノハ公債トカ、興業
  債劵ヲ買ハストカ、生產擴充ヲヤラストカ
  云フコトデ、全部免稅スルト云フコトニシ
  タナラバ、ドレ位ノ減稅ニナツテ來ルデア
  リマセウカ、又サウ云フ方針ヲ御持チニナ
  ラヌデアリマセウカ、モウ少シ是ハ百尺
  竿頭一歩ヲ進メラレテ、留保所得ニ對スル
  所ノ恩典ノ途ヲ與ヘテヤツテ、生產擴充、
  公債消化ニ向ツテ力ヲ入レル所ノ方法ヲ講
  ジタラ宜シイト思ヒマス、第一條ノ二ノ四
  割以上ノ超過分ニ付テ減稅ニナルコトモ洵
  ニ結構ナ御話デアリマスケレドモ、モウ少
  シ此ノ點ヲ一ツ御考慮ヲ戴ク御考ハナイノ
  デアリマセウカ、此ノ點ニ付キマシテハ善
  政ノ上ニモ一步善政ヲ進メラレンコトヲ希
  望致シマスガ、大臣ノ御考ハドウデアリマ
  スカ、減稅程度ハドレ位ニナツテ來ルノデ
  アリマスカ

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• 087・石渡莊太郎

  ○石渡國務大臣　四割等ノ制限ヲ撤廢シテ、
  モツト留保スルヤウニ向ケラレマシテ、預
  金ヲサセルトカ、又ハ公債ヲ持タセルヤウ
  ニ致シ、ソレヲ免稅シテヤレバ宜イデハナ
  イカ、斯ウ云フ御尋ガ主デアルヤウデアリ
  マス、此ノ點ニ付キマシテハ實ハ餘程私共ト
  致シマシテモ考究致シタ點デアリマスガ、
  是ハ中々實際問題トシテ、預金トカ、ソレカ
  ラ公債ヲ買フト云フコトニ依ツテ免稅致ス
  ト云フコトヲ餘リ廣ク行ヒマスコトハ、是
  ハ實行上非常ナ困難ヲ感ズルト共ニ、却テ
  弊害ガ出來ル因デハナイカト考ヘタノデゴ
  ザイマス、是ハ色々細カイ點ハゴザイマス
  ガ、要スルニ預金ヲシタト云ツテ預金ヲシ
  ナイデ預金ヲシタカノ如クニシテ、此ノ金
  ヲ別ニ廻スト云フコトモ可能ノ問題デアル
  ト考ヘルノデアリマス、又公債ヲ買フニシ
  テモ其ノ買ツタ公債ノ行方ト云フコトニ付
  テモ、稅務署ト致シマシテ相當監視ヲ要ス
  ル點ガアルノデハナイカト思フノデゴザイ
  マス、ソレデゴザイマスノデ、之ヲ限定致シ
  マシテ、比較的狹イ範圍ニ於テ之ヲヤツテ見マ
  シテ、其ノ後デ效果ガ相當アリマシテ、是
  ハ更ニ擴張ヲシテ行ケルト云フ確信ガアル
  ナラバ、或ハサウ云フコトモ必要デアルカ
  ト存ジテ居ルノデゴザイマスガ、今日ノ所
  ハ此ノ程度ノ免稅ヲヤツテ見マシテ、應
  效果ヲ見タイト思ツテ居ル次第デゴザイマ
  ス、隨テ此ノ範圍ヲ今日ノ所更ニ擴張致ス
  ト云フコトハ如何カト思ツテ居ル次第デゴ
  ザイマス、又今モ御說ガゴザイマシタヤウ
  ニ、留保シナイデ無駄使ヲスル、色々ノ金
  ニ於テ撒キ散ラスト云フコトハ非常ニ困ツ
  タ問題デアルノデアリマス、サウ云フ弊ガ
  多數ニ世ノ中ニアルトモ考ヘラレマセヌガ、
  併シナガラ少數デアツテモサウ云フ傾向ノ
  アリマスコトハ、是ハ頗ル寒心ニ堪ヘナイ
  所デゴザイマス、此ノ點カラ出發致シマシ
  テ、一面ニ於キマシテハ總動員法第十一條
  ノ發動ニ依ツテ是等ノ浪費ヲ抑ヘタイト考
  ヘテ居ルノデゴザイマスガ、一面ニ於キマ
  シテハ、稅法ニ於キマシテモ、職工等ニ與
  ヘル賞與ニ付テモ、餘リ多額ノ賞與ヲ與ヘ
  ルト云フヤウナモノニ付キマシテハ、從來
  會社ノ損金トシテ是等ノモノヲ一切認メテ
  居ツタノデゴザイマスガ、今後ニ於キマシ
  テ普段ヨリハ餘程多額ノ賞與ヲ與ヘルト云
  フヤウナモノ、其ノ額ニ付テハ是ハ損金ト
  認メナイデ、或ル程度是等ノモノハ益金ト
  シテ會社ノ所得トシテヤハリ課稅シテ行カ
  ウカト考ヘテ居ルノデゴザイマス、是ハ大
  正七八年ノ當時ニ於キマシテモ是等ノ職工、
  從業者等ニ拂ヒマス所ノ賞與ノ急激ニ增加
  致シマシタ一部ニ付テハ益金トシテ課稅
  シタコトガゴザイマス、是ハ行政裁判所ノ
  判決ニ於キマシテモ私ノ記憶トシテハ官廳
  側ガ勝ツテ居ルト思フノデゴザイマシテ、
  サウ云フヤウナ手段ヲ執ツテ益金トシテ多
  額ノモノヲ會社ノ社外ニ分配シテ行クト云
  フコトノ弊害ヲ防ギタイ、交際費、接待費
  等、サウ云フヤウナモノモ勿論、使用人等
  ニ對スル所ノ給與ノ一部、サウ云フヤウナ
  モノモ益金トシテ課稅ヲシテ行ク、サウ云
  フ無駄使ニ屬スル部分ハ、是ハ會社ノ損金
  ト認メテ行カナイ、斯ウ云フヤウナ扱ニ致
  シテ行キタイモノト考ヘテ居ル次第デゴザ
  イマス

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• 088・中島彌團次

  ○中島委員　總動員法第十一條ノ適用ニ依
  ツテ完璧ヲ期スルト大臣ハ仰シヤラレタノ
  デアリマスガ、ソレハ實際此ノ點ニ付テソ
  レダケニヤルノデアリマセウカ、是ハ今日
  殊ニ小法人ニ於テ多イノデス、小法人ノミ
  ナラズ浪費ノ弊ハ全般的ニ互ツテ殆ド「マキ
  シマム」ニ達シテ居ルト思フノデアリマスル
  ガ、ソコラノ點ニ付キマシテモ、十分ニ御
  決心ヲ以テヤラレマセヌト、重大ナル問題
  ダト私ハ思ヒマスカラ、ヤハリ一ツノ點カ
  ラ試シニ四割デヤツテ見タト云フダケデナ
  クシテ、直グ一步進ンデ全額免稅スル、ソレ
  カラ公債ノ行方ノ如キ、預金ノ行方ノ如キ
  ト云フモノハ、十分監督出來ル方法モアラ
  ウト思ヒマスルカラ、其ノ方法デ御進ミニ
  ルナコトヲ希望致シマス
  ソレカラ第一條ノ三ニ付テハ、是ハ洵ニ
  結構ナ規定デアリマシテ、現在ノ式デヤリ
  マシテモ、新式ノ場合ニ依ツテモ是ハ設備
  ヲ增設シタラ免稅スルト云フノデアリマス
  カラ、是ハ洵ニ結構デアリマスルガ、第一
  條ノ四ノ國庫補助金ハ今マデ利益ト見テ居
  ツタノヲ今度ハ損ト見テヤルノデアツテ、
  配當保證金ハ見テヤラナイノデセウカ

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• 089・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　配當保證ハ之ニ入レナイ
  見込デアリマス

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• 090・中島彌團次

  ○中島委員　ソレカラ其ノ次ハ〓究費デア
  リマスルガ、第一條ノ四ハ中々分リニクイ
  ノッ、タツタ一箇條ニ四ツモ命令ガアリマ
  スガ、第一條ノ四ノ二ノ「命令ヲ以テ指定ス
  ル事業ニ關シ〓究ヲ爲スニ要シタル支出」
  ト斯ウアル、其ノ〓究費ト云フモノノ範圍
  ガドウナツテ居ルノデアリマセウカ、所謂
  「ラボラトリー」アタリカラ、科學室カラ一步
  出テマア所謂中間試驗ト云フコトヲヤル、
  ソレカラ會社經營ニ移ル、ソレカラ又好
  カツタラ大會社ニ移ルト云フヤウナ工合
  ニ行ツテ居ルノデアリマスルガ、生產擴
  充ノ必要カラ考ヘマスルト「ラボラト
  リー」ダケノモノ、建物トカ或ハ機械
  トカ圖書トカ器具トカ或ハ材料トカ
  云フヤウナモノダケニ付テ是ハ資本支出ニ
  ナルノデアルカ、之ヲ經費トシテ片一方ヲ
  落シテ片一方ヲ資產トシテ利益トシテヤル
  ト云フノハ何處マデ經費トシテ見テヤルト
  云フヤウナ趣旨デアリマセウカ、何處ノ範
  圍デ打切ルノデアリマスカ、商工省ノ豫算
  ヲ見テミマスルト、中間ノ試驗ニ付テモ補
  助金マデ與ヘテヤル方法ヲ執ツテ居ル、ソ
  コデ〓究費ト云フモノニ付キマシテモ單ニ
  「ラボラトリー」ダケニ要シタ費用ナラバ今
  申サレマシタ內容カラ申シマシテモ、〓究
  費ノ所ハタツタ三十七万圓ノ減稅ニナツテ
  居ル、タツタ三十七万圓ダカラ多分此ノ三
  十七万圓ト云フノハ今主稅局長ノ仰セラレ
  タ點カラ考ヘマスト、「ラボラトリー」卽チ
  科學〓究室內ノモノダケニ限ルト云フヤウ
  ニモ想像サレルノデアリマスルガ、中間試
  驗-小經營タル中間試驗ノ方モ此ノ〓究
  費ノ中ニ入ルノデアリマセウカ、此ノ點ヲ
  一ツ明ニシテ戴キタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=90

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• 091・石渡莊太郎

  ○石渡國務大臣　〓究的ノ施設ニ付キマシ
  テハ、是ハ經費トシテ拂出サレタモノデア
  リマスレバ、今日ニ於キマシテモ經費トシ
  テ認メラレルノデアリマス、唯經費トシテ
  支出シナイデソレガ機械ノ形ニ於テ殘リ、
  建物ノ形ニ於テ殘ツテ居リマス場合ニ於テ
  是等ガ課稅ヲ受ケル、斯ウ云フコトニ相成
  ル譯デアリマシテ、隨テ〓究費ニ金ヲ出シ
  ニクイト云フノモ生ズルノデゴザイマカラ、
  會社ガ餘ツタ金ヲ〓究費トシテ社內ニ相當
  ノ建築物機械等ヲ置クコトヲ認メタイ、斯
  ウ云フ考カラ發シタ改正デゴザイマスノデ、
  今ノ御言葉ノ點カラ考ヘマスレバ結局ハ
  「ラボラトリー」ニ於ケル〓究、斯ウ云フコ
  トガ主トナルト思ツテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=91

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• 092・中島彌團次

  ○中島委員　ヤハリ中間試驗ノ所マデ擴張
  シテヤラナケレバ實際ニ良イ仕事モ發明發
  見モ出來ナイシ、生產擴充モ起ツテ來ナイ
  ト思ヒマスガ、其ノ點マデ擴張サレルコト
  ヲ私ハ希望致マシス其ノ次ハ減價償却ノ問
  題デアリマスガ、第三ノ「命令ヲ以テ指定ス
  ル事業ノ用ニ供スル建物、機械其ノ他ノ設
  備及船舶ノ價格ノ償却」初メテ玆ニ減價償
  却ト云フ文字ガ法令ニ現ハレテ來マシタノ
  デ法的根據ハ非常ナ······所得稅法第十四條、
  營業收益稅法第六條ノ收入ヲ得ルニ必要ナ
  ル經費ト云フ解釋上カラ來テ居ルヤウデア
  ツテ、主稅局長ノ通牒デ堪久年數表ト云フモ
  ノヲ作ラレテ之ニ依ツテ段々ヤラレテ居ル
  ヤウナ工合デゴザイマスガ、此ノ點ニ付テ
  ハ私共考ヘテ、此ノ法文ガ大分大キナ問題
  デアルト思フ、減價償却年限短縮問題ハ是
  ハ單ニ解釋上カラ來テ居ツテ、主稅局長ノ
  勝手デ-勝手ト云フコトハ失禮デアリマ
  スケレドモ、考ヘテ計算ノ根據ヲ作ルト云
  フコトハ、國民ノ負擔ニ關スル重大ナ問題
  デアツテ、立法權ノ侵害トハ申シマセヌケ
  ルドモ、多年ノ習慣デアルカラ國民ガ默ツ
  テ居リマスルケレドモ、相當會社ニ對シテ
  ハ此ノ減價償却ノ問題ガ重大ナル問題デア
  ツテ、此ノ時局ニ關シマシテハ早ク減價償
  却ヲヤラシテ、產業ノ基礎ニ彈力性ヲ置イ
  テ、サウシテ平和ニナツテモ倒レヌヤウナ
  コトニスル、生產擴充ニ付キマシテモ亦此
  ノ問題ニ付テ十分ニ見テヤラナケレバナラ
  ヌト云フヤウナコトカラ考ヘマシテ、一三
  稅局內ノ仕事トシテヤルベキモノデナクシ
  テ、之ヲ法律的ニ一ツ根據ヲ置イタラドウカ
  ト私ハ考ヘル、其ノ根據ヲ置イテ單ニ解釋
  上カラシテ所得ヲ得ルニ必要ナ經費トカ、
  或ハ收入ヲ得ルニ必要ナ經費トカ云フヤウ
  ナ意味ノ點カラ來ズシテ、法律的ニ一ツノ
  根據ヲ與ヘテ、更ニ一步進ンデ言ヘバ堪久
  年數表ノ如キモノハ機械トカ工作機械トカ、
  船舶トカ何トカ云フモノニ付キマシテモ、
  是カラ非常ニ壽命モ狂ツテ來ル、時代ノ急激
  ナ變化ニ依ツテ經濟上ノ色々ナ變化モ是カ
  ラ起ツテ來マス、機械ノ發明發見ニ於テモ
  非常ニ是カラ頻繁ニナツテ來マスシ、機械
  モ去年使ヘタモノガ今年ハ廢レルト云フコ
  トニナリマス、ソレカラ科學ノ發明ヤ發見ニ
  依ツテ今マデ腐蝕サレナイモノガ腐蝕サレ
  ルヤウニナツテ來ル、ソレデ從來ノヤウニ酷
  使致シマシテモ船舶ハ二十年デアルトカ、輸
  送船ガ十六年デアルトカ、木船ガ十五年、機械
  ノ適正壽命ガ大體ニ十五年トナツテ居リマ
  ス、斯ウ云フヤウナコトダケニ依ツテ守レ
  ナイ、一ツニ定メテ置イテモ時代ニ適應性
  ガナクナツテ來ル、サウダト云フト之ヲ又
  います
  始終變ヘテ行カナケレバナラヌト云フコト
  ガ起ツテ來ルカモ知レヌ、昔ノ時代ノ考デ
  以テ今日ヲ律スルコトハ私ハ出來ナイト思
  フ、サウ云フヤウナ時代ノ變遷ガ甚シイ時
  デアツテ、殊ニ生產擴充ト云フモノヲー
  十三年カラ十六年マデト云フモノハ日滿支
  ヲ通ジテ非常ナ大キナ生產擴充ヲヤラネバ
  イカヌ時デアリマスカラ、「オーバーワー
  ク」ト云フコトガ機械ニ對シテモ起キマス、
  勞働者ノ方ニ於テ二交替制度ヲ以テ來レバ、
  機械ニ對シテモ非常ニ重壓ガ加ヘラレテ來
  ル、サウスルト減價償却年限ヲ益〓短縮スル
  必要ガ起ツテ來ルト私ハ考ヘル、斯ウ云フ
  ヤウナコトカラ、今マデモ改正ハサレマシ
  タノデアリマスルガ、玆ニ法律的ノ一ツノ
  根據ヲ與ヘテ、立法事項ニ致シマシテ、或
  ハ議會ニ提出スルカ、セナクトモ少クトモ
  之ヲ法律的ニ記載シテ命令ニ依ツテヤルト
  云フヤウナ工合ニシテ、內容デモ議會ニ示
  シテ戴イテ、玆ニ論議ヲ盡サレルト云フコ
  トノ方法ヲ講ジテ吳レルト云フコトガ、是
  ガ卽チ立憲的ノヤリ方デアル、是ハ又非常ニ
  國民ノ負擔ニ重大ナル影響ガ掛ツテ來ルノ
  デス、殊ニ工作機械製造事業法ノ第十條ノ
  如キハ、六割マデ五箇年間ニ償却サセテ、
  其ノ間ニ償却ガ終ラヌ時ニハ政府ガ補償シ
  テヤルト云フマデモ工作機械ニ付テハ百尺
  竿頭一歩ヲ進メテ居ル、斯ウ云フ時デアリマ
  スルカラ、私ハサウ云フヤウナ方法ヲ採ラレ
  タ方ガ宜イト考ヘルガ、藏相ノ御考ハ如何
  デアリマセウカ、ソレカラ今マデノ御說明
  ニ依リマスルト、三年間ニ三分ノ一ヲ償却
  サセマシテ、ソレガ均等ノ償却ニナツテ居
  ル、是ハ洵ニ趣旨ニ於キマシテハ宜イ試ミ
  デアリマスルガ、モウ一層生產ノ擴充又ハ
  產業ニ彈力性ヲ持タセマスル上カラ申上ゲ
  マシタナラバ、今申上ゲマシタヤウナ工作
  機械製造事業法ノ第十條ノ如キ精神ヲ參酌
  セラレマシテ、モウ少シ此ノ程度ヲ進メテ、
  三分ノ一ヲ二分ノ一ニスルトカ、或ハ全額
  ニスルトカ、或ハ此處ニ付ケマシテ時局ノ
  重大性ト生產擴充ノ重大ナル點カラ考ヘマ
  シテ、工作機械製造事業法第十條ノヤウナ
  精神ニ依ツテ、全部ノ品物トハ行キマセヌ
  ケレドモ、少クトモ此ノ生產擴充ニ必要ナ
  ル化學工業及ビ重工業ノ大キナモノニ付キ
  マシテハ品目ヲ擧ゲテ此ノ精神デ減價償
  却ト云フモノニ付テ寛大ニ見テヤルト云フ
  御方針ヲ御採リニナル所ノ御考ハナイノデ
  アリマセウカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=92

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• 093・石渡莊太郎

  ○石渡國務大臣　減價償却ノ問題ヲ今少シ
  ク法的ノ根據ヲ與ヘタラドウカ、斯ウ云フ
  御尋デゴザイマス、是ハドウモ色々調ベテ
  見タノデアリマスルガ、要スルニ或ル物ガ
  幾年ノ間ニ減ツテ價値ガ消滅スルカ、斯ウ
  云フ問題デアリマシテ、是ハ實際問題事實
  問題デアツテ、法律問題デハゴザイマセヌ、
  隨テ各國ノ色々ナル立法ヲ見テミマシテ
  モ、減價償却ノ年限率ニ付テ決メタモノハ
  殆ドゴザイマセヌ、私ノ知ル限リニ於テモ
  殆ドゴザイマセヌガ、何レモ是ハ實行上ノ
  問題トシテハ各國トモ相當ナモノヲ持ツテ
  居ルノデゴザイマス、我國ノ減價償却ニ付
  キマシテモ、之ヲ別ニ祕密ニシテ居ル譯デハ
  ゴザイマセヌデ、一方官廳側ニ於テ祕密ニ扱
  ツテ居ル點モゴザイマスガ、旣ニ世ノ中ニ幾
  多公表サレテ居ルノデアリマシテ、今日官廳
  側ニ於テモ別ニ此ノ問題ニ付テサウ祕密ニ
  致シタイト考ヘテ居ル點ハゴザイマセヌ、
  ソレデ此ノ一兩年前カラ、旣ニ二囘ニ亙ツ
  テ此ノ改正ヲ行ツタ點モ世ノ中ニ之ヲ示シ
  テ居ルノデゴザイマス、只今ノ御話ハ減價償
  却ヲ更ニ法令ニ依ツテ之ヲ認メルト云フコ
  トニ致シタラバドウデアルカ、斯ウ云フ御
  尋デゴザイマスルガ、是ハ大藏省令等ニ依ツ
  テ或ハ決メテモ宜イカモ分リマセヌ、世ノ
  中ニ公表スル必要モアルト思フノデアリマ
  スガ、此ノ點ニ付キマシテハ一ツ更ニ此ノ
  形式ニ付テハ考ヘテ見タイト存ジテ居リマ
  ス、ソレカラ内容實質ニ付テ御尋ガゴザイ
  マシタガ、今度ノ此ノ法律ノ改正ノ結果ト
  云フモノハ相當思ヒ切ツタコトデアルト思
  フノデアリマシテ、只今御話ノアリマシタ工
  作機械製造事業法ヨリ或ハ一步進ンデ居ル
  カモ分リマセヌ、進ンデ居ルト云フコトハ
  ソレヨリモ減價償却ノ率ガ宜イノデハナイ
  カト思ツテ居リマスガ、併シ何レニ致シマ
  シテモ是等ノ減價償却ニ付キマシテハ、只
  今御話ノアリマシタヤウナ點ニ付キマシテ
  ハ、十分考ヘマシテ無理ノ行カナイヤウニ
  致シタイト存ジテ居ルノデアリマス、斯ウ
  云フヤウナ減價償却ノ行キ方ト云フコト
  ハ、是ハ普段ノ行キ方デハゴザイマセヌ、
  是ハ戰時非常時ニ於ケル思ヒ切ツタ減價償
  却ノ行キ方ト思フノデアリマスガ、之ヲ餘リ
  行過ギマスト又一面ニ於キマシテハ弊害ガ
  ゴザイマス、脫稅等ニ用ヒラレル弊害ガア
  ルノデゴザイマシテ、其ノ點モ併セ考ヘル
  必要ガアルト存ジテ居ルノデゴザイマス、
  今日ノ所ハ先ヅ此ノ程度ノ減價償却ノ擴張
  ノ仕方デ滿足致シタ方ガ宜クハナイカト、
  斯ウ考ヘテ居ル次第デゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=93

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• 094・中島彌團次

  ○中島委員　私バカリ長クヤツテモイケマ
  セヌカラ··私ガ最後ニ大藏大臣ニ對シ
  テ申上ゲタイコトハ、吾々ハ總親和、興亞
  議會デアリマスル故ニ、出來ルダケ隱忍自
  重致シマシテ、餘リ追究的ニハヤリマセヌ
  ノデ、ムヅカシイコトハ申上ゲマセヌデ協
  力的ニヤツテ居ルノデアリマス、併シ會期
  ガ旣ニ三十八日モ經チマシテ殘リ僅ニ二十
  六日ニナツテ居ルヤウナ狀態デアツテ、半
  バ以上過去ルコト十日ニナツテ居リマス、
  而シテ此ノ臨時軍事費ノ一部デアル所ノ本
  稅ヲ吾々ハ今議シツツアルノデアル、然ル
  ニ臨事軍事費ト云フモノハ出テ來ナイ、サ
  ウシテ公債ノ發行モ大體不明デアツテ、昭
  和十四年度ニドノ位發行スルカト云フコト
  ガ全然吾々ハ議シツツ分ラナイ、新國防計
  畫ハ全額公債デ賄フモノト思ヒマスルガ、
  ソレモマダ片鱗サヘモ吾々ニ分ラヌ、吾々
  國民代表ハ會期ノ半バヲ過ギテ尙且ツ十四
  年度ノ公債發行ノ全貌ヲ知ルコトヲ得ナ
  イ、隨テ公債ノ租稅全體トノ權衡ヲモ吾々
  ハ知ルコトヲ得ナイ、況ヤ是ガ惡性「インフ
  レ」防止ニ付テドレダケ效果ガアルカニ付テ
  モ之ヲ知ルコトガ出來ナイ、殊ニ又公債ガ
  財界及ビ國民生活ニ及ボス影響ヲモ考察ス
  ル材料モ持タナクテ本院ハ空シク會期ノ半
  バヲ過ギツツアルノデアリマス、急イデ杜
  撰ナモノヲ出セトハ言ヒマセヌケレドモ、
  會期ノ半バヲ過ギテ居ルニ拘ラズ第七十四
  議會ニ提出サルベキ豫算ノ全貌ヲ私共ハ知
  リ得ナイノデアリマスルカラ、此ノ中ノ
  部分デアル臨時軍事費ノ一翼ヲ議シツツア
  ル次第デアリマスカラ、ココデ私ノ質問ヲ
  終ラザルヲ得ナイト云フコトハ洵ニ遺憾デ
  アリマスカラ、出來ルダケ速ニ全體ノモノ
  ヲ出サシメテ、私ノ後ニ續イテ來ル同僚諸
  君ノ質問應答ノ間ニ於テ、全局ヲ知レルダ
  ケノ臨時軍事費其ノ他ニ付テ十分ニ早ク御
  提出致サレンコトヲ希望スル、而シテ十四
  年度ニ於ケル公債ノ全貌、十四年度ニ於ケル
  所ノ租稅ト公債ヲ合セテ、是ガ財界ニドレ
  ダケ重大影響ヲ生ジテ來ルカ、是等ニ付テ
  私ハ論ジタイケレドモ質問スル資料ヲ持
  タヌ、新國防計畫、臨時軍事費或ハ十四年
  度ノ追加豫算是モ出テ來ルダラウト思ヒマ
  ス、是等ニ付キマシテモ速ニ提出サレマシ
  テ是ガ審議ノ進捗及ビ參考ニ供サレンコト
  ヲ私ハ玆ニ特ニ警〓ヲ與ヘテ、私ノ質問ヲ
  終了スル所以デアリマス

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• 095・川崎克

  ○川崎委員長　中島君ニ御諮リ致シマスガ、
  アナタノ內務省ニ對スル御質問ハ何等カノ
  機會ニ關聯質問トシテデモ御質問ニナリマ
  スカ、モウ是デ宜シウゴザイマスカ

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• 096・中島彌團次

  ○中島委員　私ハ內務大臣ニ御質問申上ゲ
  マシテ、其ノ內務大臣ノ御答辯ノ結果ニ依
  リマシテ地方局長ノ御答辯ヲ得タイ、斯ウ
  云フ作戰計畫デアリマス

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• 097・川崎克

  ○川崎委員長　ソレデハ內務大臣ニ對スル
  質問ヲ留保セラレマシテ打切ルト云フコト
  ニナル譯デスネ

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• 098・中島彌團次

  ○中島委員　サウデス、甚ダ長ラク御〓聽
  ヲ煩ハシマシタコトヲ謹ンデ御禮申上ゲマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=98

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• 099・川崎克

  ○川崎委員長　此ノ際一寸私カラ政府委員
  ノ方ニ一言致シタイノデアリマス、今朝ハ
  委員ハ早クカラ出テ參ツテ居リマシタガ、
  大藏大臣ハ全ク巳ムヲ得ナイ御差支ノ爲ニ
  御出席ナク、丁度此處ヲ終ツタ時ハ廊下マ
  デ來テ居ラレタガ、此處ヲ休ンダ後デ洵ニ
  遺憾ナコトデアリマシテ、是ハ政府側ノ怠
  慢ト云フ譯デモナカツタト思ヒマス、然ル
  ニ私ハ內務省ノ政府委員ノ方ニ希望ナリ、
  要求ナリヲ致シテ置カナケレバナラヌノハ、
  甚ダ遺憾トスルノデアリマスガ、此ノ委員
  會ガ開カレテ以來內務省ノ政府委員ハ來ラ
  レナイ、尤モ是ハ大藏省カラ提出セラレテ
  居ル案デアリマスカラ、主トシテ大藏省ノ
  方ガオ見エニナルノハ當然デアリマスケレ
  ドモ、此ノ稅ノ中ニハ地方稅ト密接ナ關係
  ノアル稅モアレバ、又將來ノ財政計畫ノ上
  ニ於テ中央·地方ヲ通ジテノ稅政改革ヲセナ
  ケレバナラヌト云フコトガアツテ、ソレニ
  關聯シタ色々ナ質疑應答ガ繰返サレル大事
  ナ委員會デアリマス、其ノ大事ナ委員會ニ內
  務省ノ方ガ出席セラレナイ、是ハ私甚ダ遺
  憾ニ思フ、委員課ヲ通ジテ屢〓催促ニ參リマ
  スケレドモ、中々來テ貰ヘナイ、斯ウ云フ
  コトデハ議事ノ進行ヲ滑カニスル譯ニハ行
  カナイコトガ起ツテ來ルコトヲ私ハ豫メ申
  上ゲテ置カナケレバナラヌ、ソレデアリマ
  スカラ、今後少クトモ此ノ會議中ハ內務省
  ノ政府委員ハ誰デモ此處ニ一人來テ居ラレ
  テ、質疑ヲ聽イテ居ラレルコトヲ要求致ス
  ト同時ニ、內務大臣ニモ、大藏大臣出席ノ
  時ハ、此ノ稅ノ基本ニ付テ質疑應答ノ行ハ
  レルヤウナ場合ニ成タケ繰合セテ御出席ヲ
  願ヒタイコトヲ希望致シテ置キマス

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• 100・中島彌團次

  ○中島委員　臨時軍事費ノ追加豫算、新國
  防計畫ノ追加豫算、ソレカラ十四年度ノ追
  加豫算ハ何時出サレマスカ、其ノ點ニ付テ
  ノ御答辯ヲマダシテ戴カナイノデスガ······

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• 101・石渡莊太郎

  ○石渡國務大臣　昭和十四年度ノ追加豫算
  ハ、是ハ少シ後レルト存ジマス、昨年提出
  致シマシタノガ三月十六日カト思ツテ居
  リマス、昨年三月十六日ニ提出致シマシタ
  カラ、今年モ三月十六日ト云フ譯デハ決シ
  テゴザイマセヌ、是ハ急イデ居リマスガ、
  ドウシテモ三月ノ十日過ギルノデハアルマ
  イカト思ツテ居リマス、ソレカラ臨時軍事
  費ノ追加豫算、及ビ陸海軍ノ一般會計追加
  豫算ハ、是モ急イデ居リマス、出來マスナ
  ラバ、兩三日中ニ其ノ全貌ヲ明ニシ得ルヤ
  ウナ狀態ニ達シタイト存ジテ居リマス、此
  ノ方ハ間モナク提案出來ルコトト思ツテ居
  リマス、普通ノ追加豫算ノ方ハ暫ク後レル
  ト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=101

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• 102・川崎克

  ○川崎委員長　森田君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=102

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• 103・森田福市

  ○森田(福)委員　大藏大臣ニ御尋スルノデ
  アリマスガ、今度提案ニナリマシタ增稅ノ全
  般ニ亙ツテ詳細ニ御尋致シタイト存ジマス
  ルガ、其ノ前提ニ於テ私ハ一ツ大藏大臣ニ
  御相談申上ゲタイト思ヒマスノハ、御承知
  ノ昭和九年ノ春ノ議會ダツタカト思ヒマス
  ガ、臨時利得稅法ト云フモノヲ制定セラレ
  マシテ以來、今日マデ每議會ニ稅制ノ改正
  案ヲ御出シニナルノデアリマス、來年ハ又
  中央、地方ヲ通ジタ稅制ノ根本的改正ヲ行
  フ爲ニ又此ノ法案ガイヂラレルコトニナル
  ノデアリマス、サウ每年々々改正シテ行カ
  レテハ第一ニ徴稅當局ハ勿論ノコト、納稅
  義務者モ此ノ法律ノ趣旨スラ十分ニ分ラズ
  ニ私ハ終ツテシマフノデハナイカト思フノ
  デアリマス、殊ニ屢〓豫算總會ナリ、本會
  ノ席上デ承ツテ居リマスト、今囘ノ增稅ノ
  目的ト云フモノガサウ明瞭ニナツテ居リマ
  セヌ
  〔委員長退席、鶴委員長代理著席〕
  唯收入ノ一端トシテ足シニスルト云フ程度
  ノコトナノデアリマスガ、私ガ御相談申上
  ゲテ見タイト思フコトハ、收入ノ一端ニス
  ル爲ニ斯樣ナ稅制ヲ每議會御提案ニナルヨ
  リモ、來年ニ根本的ノ改正ヲセラレルナラ
  バ、僅カニ二億圓ヤソコ等ノ增收ヲ圖ル目
  的ヲ以テ茲ニ是ダケノ稅制ノ改正ヲスル必
  要ガナイノヂヤナイカ、而モ一番考ヘラレ
  ルコトハ、大藏大臣ハ此ノ增稅ニ依ツテ凡
  ソ二億圓ノ增收ガアルト仰シヤルノデアリ
  マスガ、其ノ二億圓ノ增收ヲ得ル爲ニ政府
  ガ昭和十四年度ノ豫算ヲ遂行シテ行ク上ニ
  非常ナ支障ヲ來スノデハナイカ、卽チ物價
  ト云フモノガ增稅ラスレバ騰ルコトハ昨年
  ノ例ニ依ツテモ是ハ明瞭デアル、昨年石
  渡サンハ政府委員デ出テ居ラレナカツタガ、
  當時ノ賀屋大藏大臣、其處ニ居ラツシヤイ
  マスル主稅局長サン、何レモ去年ノ此ノ增
  稅ノ委員會デハ物價ハ增稅ヲシテモサウ騰
  ラヌト云フコトヲ屢〓仰シヤツタ、騰ゲサ
  セナイヤウニ政府ノ政策ヲ以テ抑ヘテ行ク
  カラ、此ノ增稅ヲシタ爲ニ物價ガ騰ツテモ
  昭和十三年度ノ豫算ヲ遂行シテ行ク上ニハ
  何ノ支障ヲ來サナイヤウニスルト云フコト
  ヲ明言シテ居ラレルノデアリマス、然ルニ
  物價ハドウデスカ、昨年ノ議會當時ト今囘
  ノ物價トヲ比較致シマスレバ、昨年ノ春ノ
  物價指數ヲ百ト抑ヘテ見マスレバ、今年ハ
  如何ニナリマスカ、恐ラク三十乃至五十ノ
  物價高ニナツテ居ルコトハ明カデアリマス、
  サウスルト物價ト增稅トハ不可分ノモノデ
  アリマスカラ、今年モ僅カ二億圓ノ增稅ヲス
  ル爲ニ物價ガ高クナルヤウナ政策ヲ執ルコ
  トハ、消費ノ本家本元デアル政府ノ一番不
  利益トスル所デアルト私ハ考ヘルノデアリ
  マス、昭和十四年度ノ豫算モ、恐ラクハ豫算
  編成當時ノ物價ヲ基準ニシテオ立テニナツ
  テ居ルモノデアルト私等ハ考ヘルノデアリ
  そう、サウスルト昭和十四年度ノ豫算ヲ遂
  行シテ行ク上ニ於テ非常ナ支障ヲ來シテ、
  遂ニハ政府ノ目的トシテ居ル所ノ事業計畫
  ノ全貌ヲ遂行爲シ得ナイ、若シソレヲ爲シ
  遂ゲヨウトスルナラバ、ドウシテモ追加豫
  算ヲ要求スルカ、何レカニ依ラナケレバナ
  ラヌヤウニナルデハナイカ、又一面ニ於テ
  ハ政府ハ斯ウ言ハレルカモ知レヌ、ソレハ
  闇相場モ取締ツテ、權力ヲ以テ物價ヲ騰ゲ
  サセナイヤウニ之ヲ行ウテ行カウト云フ風
  ニ御話ニナルカモ知レマセヌガ、サウスル
  ト私ハ斯ウ云フ支障ガ起ルト思フノデアリ
  さっ、假ニ今日十圓デ賣ツテ居ル物ニ物品
  稅ナリ、色々ナ稅ガ課セラレテ行ク、勿論
  此ノ一ツノ物品稅ナリ其ノ他ノ稅ヲ課セラ
  レナイモノデモ課セラレタモノノ物價ト竝
  行シテ行クノデアリマス、世ノ習ハ、一ツ
  ノ店デ甲ノ品ニハ物品稅ヲ課セラレタラ是
  ハ値ヲ上ゲルガ、乙ノ品ニハ稅ヲ課ケラレ
  テ居ラヌカラ上ゲヌト云フヤウニシテ行ケ
  バ宜イガ、從來ノ例ニ徵シテモ、決シテ左
  樣ニ參ツテ居リマセヌ、サウスルト此ノ消
  費稅ヲ課ケラレタ爲ニ一ツノ物價ガ上ツテ
  行クト、他ノ消費稅ヲ課ケナイモノモ悉ク
  上ツテ行クノハ、昨年ノ例ニ徵シテ明カデ
  ス、之ヲ遠キ例ニ御取リナサイト言フノデハ
  アリマセヌ、近イココ一年、二年ノ例ニ取
  ツテモ明カデアリマス、ソレヲシモ政府ガ無
  理ニ抑ヘテ行カウ、一割ノ稅ヲ增徵スルガ、
  價格ハ依然トシテ今ノ價格、若クハソレ以
  下ニ抑ヘテ行カウト云フナラバ、商工業者
  ハ利益ガナクナルカ、損ヲスルカラ、生產
  ヲ控ヘテ行クヨリ外ニ途ガアリマセヌ、生
  產ヲ控ヘテ行クト、物資ノ缺乏ヲ致シテ居
  ル今日、生產擴充ニ反スルコトニナルノデ
  アリマス、ソコデ何レノ點カラ論ジテモ、
  僅ニ二億圓ノ增收ヲ圖ル爲ニ、政府ガ使フ
  金ダケニデモ將來五億、十億ノ增加ヲ來シサ
  ウナ案ハドウダラウカト思フ、昭和十五年
  度ニ中央地方ヲ通ジテ稅制ノ根本的整理ヲ
  スルト大藏大臣ハ豫算總會ノ席上デ仰シヤ
  ツタ、此ノ增稅ノ案ヲ練ラレタノハ昨年ノ
  冬ノコトデス、ソコデ其ノ間ニ相當時日ノ
  喰違ヒガアルノダカラ、十三年ノ十二月此
  ノ案ヲオ立テニナル時代ニハ、十五年度ニ
  中央地方ヲ通ジテ稅制ノ根本的改正ヲ行フ
  意思ハナカツタモノト見ナケレバナラヌ、
  ソレヲ此ノ豫算總會ノ席上デ突如大藏大臣
  ガ聲明サレタノデアリマスカラ、後カラ考
  ヘタコトニナリマス、ソコデサウ云フ風
  ナ考ガ初メカラ付イテ居レバ、此ノ案ヲ出
  サズニ、政府ハ百億カラノ消費ヲヤルノデ
  アルカラ、物價ヲ上ゲズニ、其ノ中五分節約
  シタモノヲ調達シテモ五億圓、一割上手ニ
  調達スレバ十億圓ト云フ金ガ助カルノデア
  リマス、國民カラ稅トシテ二億ノ金ヲ取上
  ゲテ物價ヲ上ゲルナラバ、第一ノ消費者ノ
  政府モ困ルシ、又一般國民ノ生活ノ上ニモ
  非常ナ害ヲ與ヘルノデアリマス、デアルカ
  ラ大藏省トシテハ增收ヲ目的トシテナラバ
  ヤラナイ方ガ宜イ、ソレデアルカラ此ノ案
  ハ一ツ大藏大臣ハ引込メテシマウテハドウ
  カ、撤囘シテハドウカ、大藏省トシテハサ
  ウ云フ考ハナイ、出シタ以上ハ面目ニ關ス
  ルカラト云フヤウナ考ガアルカモ知レヌガ、
  面目論ナドハ支那人ノヤルコトデ、日本人
  ハソンナコトヲ言フ必要ハナイ、來年本當
  ニヤル、今年ハ寧ロソレヨリ物價ヲ上ゲズ
  ニ、二億圓以上ノモノヲ安ク調達シテ行カ
  ウ、其ノ方ガ面倒デナクテ宜イ、斯ウ云フ
  風ニ考ヲ及ボサナケレバナラヌト思フノデ
  アリマスガ、大藏大臣ニ其ノ人ガナカツタ
  トハ私ハ敢テ申上ゲヌガ、其處ニ氣ガ付カ
  ヌ點ハ私ハ甚ダ遺憾ニ思フ、此ノ點ニ對シ
  テ大藏大臣ハドウ云フ風ニ考ヘテ居ラレル
  カ、御尋致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=103

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• 104・石渡莊太郎

  ○石渡國務大臣　增稅ト物價ノ問題デアリ
  マスガ、是ハ先般來モ本議場及ビ委員會等
  ニ於テ屢〓御議論ノアツタ點デアリマシテ、
  購買力ヲ奪フト云フコトデアルナラバ、相
  當ノ增稅額ガ必要デアル、又增稅ト云フモ
  ノハ國民ノ購買力ヲ奪フ、斯ウ云フコトカ
  ラ言ツテ、今アナタノ仰セト反對ノ物價引
  下策トシテノ、詰リ國民購買力ヲ奪フ物價
  ヲ引下策トシテノ增稅ガ考ヘラレル場面ガ
  アルト思フノデアリマス、ソレデ今アナタ
  ノ仰セノアル通リニ或ル物品ニ對シテ課稅
  スルト其ノ物ノ値段ハ上ルデハナイカ、其
  ノ通リデアルト思ヒマス、ソレデスカラ結
  局百圓ノ物ニ對シテ一割ノ課稅ヲ致スカラ
  其ノ値段ハ百十圓ニ相成ル、百十圓ニ相成
  リマスガ、其ノ十圓ト云フモノハ是ハ國ニ
  納メテ貰フト云フコトニ相成ル譯デアリマ
  ス、ソレデアリマスカラ其ノ點カラ行キマス
  レバ、增稅ト云フコトハ物價騰貴ヲ抑制ス
  ルト云フ所ノ效果ガアル、卽チ貯蓄奬勵、貯
  蓄ヲスルト云フコトト增稅ト云フコトガ同
  ジヤウナ效果ガアルノデアリマス、ソレデ
  アリマスカラ私ハ斯ウ考ヘテ居ルノデアリ
  マス、生活ノ必需品等ニ對シテ課稅ヲ致シ
  テ、サウシテ生活上絕對ニ必要ダト云フ物
  ノ値段ヲ上ゲルコトハ、是ハ此ノ際ノ問題
  トシテハ私ハ避ケルノガ本當ダト思ヒマス、
  併シ比較的奢侈的ナ物品-殊ニ典型的ナ
  モノハ奢侈的ナ物品デアリマスガ、奢侈的
  ナ物品ニ對シテ或ル程度ノ課稅ヲ行ツテ其
  ノ購買力ヲ奪フ、奪フト云フコトハ詰リ世
  ノ中ニ兎モスレバ氾濫セントスル所ノ札ノ
  囘收ニ一方デハ當ルノデアリマスカラ、サ
  ウ云フモノニ課稅ヲシテ、或ル一部ノ奢侈
  的ナ物品ノ値段ヲ上ゲルト云フコト、其ノ
  方面カラ增稅ヲシテ札ヲ引揚ゲルト云フコ
  トハソレダケ市中ニ氾濫スル所ノ札ヲ少
  クスル、少クスルト云フコトハ卽チ一般生
  活必需品ノ課稅ヲ受ケナイ所ノ物品ノ値段
  ヲソレダケ安クシテ居ルト斯ウ云フコトニ
  相成ツテ來ルト思フノデゴザイマシテ、今
  アナタノ仰セノ通リ、總テノ物價騰貴ノ原
  因ガ昨年ノ增稅デアル、其ノ增稅ニ端ヲ發
  シテ物價ガ騰貴シテ居ルノダト云フ說ニ
  ハ、ドウモ是ハ服スル譯ニハイカヌト思フ
  ノデアリマス、隨テ今囘ノ增稅モ其ノ點
  ニ於テハヤハリ私ハ購買力ヲ奪フ一面ト云
  フモノガ存スルト思ヒマシテ、此ノ增稅案
  ト云フモノヲ此ノ際財政上經濟上カラ考ヘ
  マシテ撤囘スルト云フ考ハゴザイマセヌ신心

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=104

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• 105・森田福市

  ○森田(福)委員　撤囘スル意思ガナケラネ
  バ已ムヲ得ヌカラ、是カラ微ニ入リ細ニ入
  ツテ尋ネテ見タイト思フ、唯質問スル前ニ
  モウ一ツ大藏大臣ニ御願シテ置キタイノ
  ハ、此ノ間ノ豫算總會ノ時ニハ、道義論ヲ
  御出シニナツタノダガ、アレハ此ノ委員會
  ニハ御出シニナラヌガ宜イ、ナゼナラバ、
  法律ヲ以テ取締ツテ行カウト云フ場合ニ、
  德義ヤ道義ヲ、此ノ非常時デアルカラ-
  大藏大臣ノロヲ藉リテ言ヘバ、非常時デア
  ルカラ脫法行爲ヲヤツタリ、法律ヤ命令ヤ
  省令ニ國民ガ相反スルヤウナコトヲヤツテ
  ハ相成ラヌト云フ答辯ガアツタ、私ハ其ノ
  當時時間ガナカツタカラ追究シナカツタ
  ガ、非常時デアラウト平時デアラウト、
  旦法律トシテ公布ニナツタモノハ、何時ノ
  時代ニデモ守ラナケレバナラヌモノデア
  ル、非常時デアラウトアルマイトト云フ考
  ヲ私ハ持ツテ居ルノデアル、同時ニ又大藏
  大臣ガ言ハレルヤウニ非常時ダカラ違反者
  ガ一ツモナイヤウニナルト、一方ニハ大
  變ナ失業者ガ出來テ來ルノデアル、司法省
  ハ要ラナクナツテシマフ、サウスルト判事
  モ檢事モ書記モ看守モ何ニモ要ラヌヤウニ
  ナツテシマフ、內務省ノ方デモ警察關係ノ
  方ハ一人モ要ラナイコトニナツテ、又茲ニ
  問題ガ起ルノダカラ、事情ハ色々アラウケ
  レドモガ、違反者ノアルト云フコトモ亦已
  ムヲ得ヌコトデアリ、是等ノ方面ノ人カラ
  言フナラバ、一種ノオ客サンニ相當スルノ
  デアルカラ、餘リ私ハ此ノ議論ハヤリタク
  ナイ、デアルカラ今囘ノ質問ニ對シテハ、
  道義論ヤ德義論ハ此ノ席上デハ避ケテ答辯
  ヲヤツテ貰ヒタイト云フコトヲ前以テ言ウ
  テ置カヌト、都合ノ惡イ所ニナルト德義論
  ヤ道義論ヲ持出シテ其處ヲ旨ク「カムフ
  ラージュㄴシテ行カウト云フ嫌ヒガアルカ
  ラ、サウ云フコトヲヤラナイヤウニ、是八、
  先ニ私ガ申上ゲテ置ク、アナタノ今ノ御話
  ヲ聽イテ居ルト、增稅ヲヤルト云フコトハ
  物價騰貴抑制策ノ一端デアル、紙幣ノ膨脹
  ヲ抑ヘ、收縮スル一ツノ手段デアル、隨テ
  物價ノ上リモソレニ依ツテ喰止メ得ルノダ
  ト云フ、私ハ其ノ事ニ付テ昨年ノ此ノ委員
  會ノ席上デ屢〓議論シテアル、去年ハ三億圓
  ノ增稅ヲヤツタ、前ノ臨時議會ノ時ノ一億、
  通常議會ノ時ノ二億、合セテ三億圓ノ增稅
  ヲ大體行フ骨子ノ下ニヤツタコトハ御承知
  ノ通リデアリマス、サウスルト私ハサウ云
  フコトヲアナタガ御考ニナツテ居ルナラ
  バ、少クモ通貨ノ收縮ヲ圖ツテ行カウ、通
  貨ノ膨脹ヲ防イデ行カウト云フナラバ、ソ
  ンナ二億ヤ三億デハ足ラヌト云フコトヲ當
  時申上ゲタ、サウシタラ時ノ大藏大臣賀屋
  氏ハ、大體ソンナ程度ニヤツテ行ケバ行ケ
  ルヤウナ意味ノ答辯ヲナサツタ、ドウデア
  リマスカ、昨年ノ議會當時ハ通貨、日本銀
  行ノ兌換劵ハ、御承知ノ通リ十八億圓內外
  デアツタ、今日ハ恐ラクソレニ十億ヲ增シ
  テ居ルト私ハ考ヘル、詳シイコトハ昨今新
  聞ヲ見ナイカラ分ラナイケレドモ、兎ニ角
  二十八億内外ノモノヂヤナイカト思ウテ居
  ル、又來年ノ此ノ頃ニナレバ、幾ラ政府ガ
  貯蓄ヲ奬勵シ、此ノ二億ノ增稅ヲヤツテ
  モ、少クモ十億ヤソコラノ兌換劵ハ膨脹ス
  ルノデアリマス、若シ大藏大臣ガ言ハレル
  ヤウニ、一般民間、市場ニ通貨ヲ少クシテ、
  物價ノ購買力ヲ抑ヘテ行ク足シニシヨウト
  云フナラバ、ソレハ二億圓ノ增稅デハ到底
  不可能デアリマス、十億殖エル紙幣ニ對シ
  テ、二億ノ稅トシテノ囘收ヲ行ウテ見タ所
  デ、恐ラクソレハ購買力ノ減退ニハナリハ
  シナイ、デアルカラ其ノ良イ證據ハ、昨年サ
  ウ云フ意味デヤラレタガ、其ノ昨年ノ增稅委
  員會當時ノ物價ニ比シテ、今日アノ當時ノ現
  狀維持デモシテ居レバ、洵ニ結構デアルガ、
  恐ラク倍、三倍、四倍ニ何デモ總テガ上ツ
  テ居ルデハアリマセヌカ、サウスルトアナ
  タノ言ハレルコトハ一ツモ事實ノ上ニ於テ
  ハ現ハレテ來ナイ、增稅ヲヤルコトニ依ツ
  テ物價ノ昂騰ヲ防ゲルナドト本氣デ思ツテ
  居ラレルナラ、今少シクシヤントシタ、ウ
  ント金額ノ增シタモノデナケレバ、到底抑
  ヘ切レルモノデハナイ、物價ト云フモノハ
  物資ガ少イカラ、要スルニ需要ヨリモ供給
  ガ足ラナイカラ上ツテ行ク、其處ニ紙幣ガ
  ダブツイテ居ルコトモ一ツノ原因デアル、
  私ハドウシテモ、意見ノ相違ニナツテ來レバ
  已ムヲ得ヌガ、兎モ角モアナタノ言フ物價ノ
  騰貴ヲ防グ意味ノ增稅ナラ、是デハ足シニ
  モ足リニモナラヌ、ソレカラ收入、所謂政府
  歲入ノ足シニシヨウト云フナラ、歲入ノ方
  ガ、二億圓增ス爲ニ、歲出ガ五億モ十億モ
  殖エテ來ルカラ、ヤラナイ方ガ宜イ經濟
  ノ關係カラ言フノナラバ、ヤラヌ方ガ宜シ
  イ、物價ヲ抑ヘテ行クカラト云フ意味デヤ
  ルナラバ、斯樣ナ蚤ノ睾丸ノ程度ノ增稅ヲ
  ヤツタ所デ、ソレハ到底足シニモ足リニモ
  ナラナイ、物價ノ上ルノヲ防グ足シニハナ
  ラナイ、斯ウ云フ考デアルガ、大藏大臣ハ、
  今アナタニ責任ヲ負ヒナサイトハ言ハナイ
  ガ、來年ノ此ノ頃ニナレバ、物價ハ上ラズ
  ニ此ノ程度デ抑へラレルト云フ見當ヲ、本
  氣デ付ケテ居ラレルノデアリマスカ

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• 106・石渡莊太郎

  ○石渡國務大臣　ドウモ森田サンノ御話
  ハ、一寸承服致シ難イ點ヲ多々含ンデ居ル
  ト思フノデゴザイマス、今アナタノ仰セノ
  通リ、今日ノ通貨ガ二十八億モ通貨トシテ
  流通致シテ居ルト云フコトデアルナラバ、
  是ハ仰セノ通リ中々大シタコトデアリマス、
  私共ハ安閑トシテ此ノ邊デ御說明シテ居ル
  譯ニハ行カヌ、今日ノ通貨ノ問題ハ二十一
  二億ノ邊ノ程度ノモノデゴザイマス、是八
  一面ニ於テハ貯蓄ノ奬勵ヲ非常ニ致シテ居
  リマスル、其ノ效果ノ一端デアルト存ジマ
  ス、又一面ニ於テハ一昨年來、本事變ガ始
  マリマシテ以來、相當增稅ヲヤツテ居ツテ、
  購買力ヲ或ル程度收縮シテ居ル、其ノ關係
  モ含ンデ居ルト思フノデゴザイマス、サウ
  云フ貯蓄奬勵モ致サズ、增稅モ致サズ、其
  ノ儘デ經過シテ居ツタナラバ、或ハ今日ノ
  通貨ハ二十八億位ニナツテ居ルカモ分リマ
  セヌ、サウシテアナタノ今仰シヤツタヤウ
  ニ、物價ハ總テ三倍、四倍ニ騰貴致シテ居
  ルカモ知レマセヌ、併シサウ云フ關係ハ今
  日ノ場合ニ於キマシテハ、總テノ物價ガ三
  倍、四倍ニ騰貴シテ居ルトモ考ヘマセヌシ、
  又通貨ノ狀況ニ於キマシテハ、非常ニ順調
  ニ行ツテ居ルト考ヘテ居ルノデゴザイマス、
  是ダケノ戰爭ヲシマシテ、サウシテ今日ノ
  通貨ノ流通ノ狀況ニ於キマシテハ、私ハサウ
  御心配ニ相成ル必要ハアルマイカト云フコ
  トヲ申上ゲテ居ル次第デゴザイマス、ソレデ
  アリマスノデ如何ニモ今日是ダケノ稅額デ
  ハ少イデハアルマイカ、斯ウ云フ御感ガア
  ルト思フノデアリマスガ、是ハ一兩日前ニ
  モ申上ゲマシタ通リ、一面ニ於マキシテハ
  今年ハ相當多額ノ自然增收ヲ見込ンデ居ル
  ノデゴザイマス、此ノ自然增收ノ額ト今年
  ノ增稅致シマシタ額、斯ウ云フモノヲ考ヘ
  テ見マスルト、四億五千万圓カラノ增收ガ
  見込メルト思フノデゴザイマシテ、先ヅ今
  年ノ財政經濟ノ狀況ニ於キマシテ、此ノ程
  度ノ增收ガ見込メルノデアルナラバ、是一
  相當ナ購買力ノ收縮ニ相成ル、斯ウ考ヘテ
  居ルノデアリマシテ、私ハ此ノ二億圓ノ增
  稅ガ、今日ノ購買力ノ收縮ト云フコトニ關
  係ガナイ、餘リ額ガ少クテ、サウ云フモノ
  デハ一向關係ヲ持タヌ、斯ウ云フ風ニハ考
  ヘテ居リマセヌ、併シナガラ此ノ增稅ダケ
  デ購買力ノ收縮ト云フコトガ十分デアルカ、
  斯ウ云ヘバ私モ決シテ十分ダトハ考ヘテ居
  リマセヌ、ソレハ增稅ノ他ニ今年ハ昨年ヨ
  リモ更ニ一層ノ貯蓄奬勵ノ運動ヲヤリマシ
  テ、モツト徹底的ニ購買力ヲ收縮スルコト
  ヲ考ヘル必要ガアルト思ツテ居ルノデゴザ
  イマス、物價ノ騰貴ノ問題ニ於キマシテモ
  ソレハ至大ノ關係ガアルノデゴザイマスカ
  ラ、此ノ方面ニ付キマシテハ更ニ一層ノ努
  力ヲ致シタイ、斯ウ考ヘテ居ル次第デアリ
  マス

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• 107・森田福市

  ○森田(福)委員　水掛論ヲヤルノデハアリ
  マセヌガ、今大藏大臣ハ通貨ガ二十一二億ニ
  ナツテ居ルト言ハレタ、ソレハ昨今ノ少イ
  時デセウ、ダカラ私ハ前段ニ問フ時ニ昨今
  ノ新聞ヲ見テ居ナイカラ知ラナイガト言ツ
  タノデ、一月ニハ二十八億乃至三十億ニナ
  ツテ居ル、一月ノ中程デアツタカ、末頃デ
  アツタカ、二十八億圓位マデ出シテ居ル時
  ガアル、サウスルト昨年ノ例ヲ取ツテ言フ
  ナラバ、昨年私ガ言フタノハ十八億ノ所ヲ
  押ヘテ居ルガ、若シ少イ所ヲ押ヘルナラバ
  十二三億ヲ押ヘタラ宜イ、十三億乃至十四
  億ノ昨年ノ春頃ヲ押ヘテ行ケバ、結局約
  七八億カラ十億位ノ開キガアルコトヲ例ニ
  擧ゲテ話シタノデアルカラ、アナタノヤウ
  ニ少イ時ノ例ダケヲ取ルナラバ、私ノ言ウ
  タ昨年ノ例ヲ取ラナイ、答辯ノ時ニハ少イ
  例ヲ取リ、片一方ニ於テハ前ノ方ニ言フタ
  ノヲ持ツテ來タノデハ、其處ニ喰違ヒガ出
  來ル、其處ハ知ツテ居ル人ニハ分ルガ、分
  ラナイ人ガ聞クト妙ナコトヲ問ウタリ答ヘ
  タリスルコトニナルカラ、私ハ此ノ點ヲ明
  ニシテ置ク、ソレカラ今ノ物價ノ問題デ、
  增稅二億圓ノ外ニ今後相當ノ貯蓄奬勵ナリ、
  有ユル手段方法ヲ執ツテ、通貨ノ收縮ヲ圖
  ルヤウニ、通貨ノ膨脹ヲ防グヤウニヤツテ
  行クカラ云々ト云フ御答デアツタノデアリ
  そう、私ハ物價論ヲ此處デ又繰返シマセヌ
  ガ、豫算總會デモ申上ゲテ置イタ通リ、ド
  ウシテモ物價ヲ下ゲテ行カウ、少クモ現狀
  維持、若クハソレ以下ニシテ行カウト云フ
  ニ、需要ニ對スル供給ガ過剩ニナル程度
  ノ生產ヲ行ハナケレバ物價ハ下ラナイ
  〔鶴委員長代理退席、委員長著席〕
  政府ガ人爲的ニドンナ手段方法ヲ講ジテ見
  テモ、需要ニ對スル供給ガ不足シテ居ル間
  ハ、ドンナ拔道ヲ考ヘテモ物價ハソレニ依
  ツテ上ツテ行クシ、ソレヲ政府ガ無理ニ抑
  ヘヨウトスレバ、ドウシテモ生產ノ擴充ハ
  出來マセヌ、生產ハ萎縮減少ヲ來スノミデ
  アリマス、アナタ、ノ今ノ話ノヤウニ增稅ヲ
  ヤツテモ、物價ハ上ゲナイ、サウシテ需要
  ガアツテ供給ガ足ラナクテモ物價ヲ抑ヘテ
  行カウト云フノニハ無理ガ出來テ、結局商
  工業者ハ引合ハナイヤウニナルカラ生產ヲ
  手控ヘテ行クノデ物價ハ一層高クナル、其
  ノ高クナルノヲ防イデ-モウ一層良ク言
  フト金融界ノ金融ヲ惡クシテ、サウシテ國
  民ニ金ヲ持タセナイヤウニシテ、其ノ方面
  デ一ツ效果ヲ擧ゲテ行カウト仰シヤルノデ
  アリマス、私ハ是ハ意見ガ違フカラ是以上
  申シマセヌ、ソレハ大キナ違ヒガアル、ソ
  ンナコトヲスルヨリアナタノ所デ斯ウ云フ
  風ニ一ツ考ヘ直サレタラ宜イト思フ、從來
  大藏大臣ハ金融資本家若クハ大藏事務當局
  ガ、代ル〓〓大藏大臣ニオナリニナツテ居
  ル、ダカラ本當ノ財界ノコトニハ、サウ精
  通シテ居ラヌト云フト御立腹ニナルカモ知
  レマセヌガ、少クトモ現大藏大臣デモ稅ヲ
  取ルコトハ洵ニ詳シイケレドモ、納メルコ
  トニ付テハサウ私ハ深イ經驗ハナイト思フ、
  デアルカラ兎モ角モ相當ナ財界ノ經驗アル
  人ナラバ、私ハ今ノ大藏省ノヤツテ居ルヤ
  ウナ行道ハ取ラヌト思フ、一體大藏省ハ-
  私ハ商工大臣ガオ出マシニナツテカラ話
  ス積リデアリマスガ、產金ノ奬勵若クハ正
  貨ノ獲得等ニ付テハ非常ニ力ヲ入レ、一方
  此ノ正貨ノ流失ニ付テハ又全力ヲ入レテ防
  イデ居ラレル、其ノ努力ハ認メマスケレドモ
  ガ、私ハコンナ方法ヲ執ラズ、原料ナドノ
  輸入ハ本當ニ十分ニ入レサシテ行ケバ、物價
  モ勢ヒ下ツテ來ル、物價ガ下ツテ來ルコト
  ニ依ツテ、生產ハ一層擴充スル、ト云フノハ
  原料ガ入ル、若クハ製作機械ガ入ル、サウ
  云フ方面ノ輸入ヲ潤澤ニヤラセレバ一時
  ハ困リマセウケレドモ、サウスルコトハ輸
  入超過ノ防止ニ困ルト云フコトハ、應
  私ハソレヲ肯定致シマス、併シソレハ僅カ
  デアル、三月カ四月カ長クテ半年ノ間
  辛棒シ我慢スルナラバ、其ノ正貨ハ順々ニ
  私ハ囘收出來ルト思フ、輸出品トシテ囘收
  ガ出來テ行ケルト思フノデアリマスカラ、
  此ノ點ヲ大藏省ハ考ヘテ、物價ノ上ルノヲ
  抑ヘテ行クノニハ、現在ノ輸入ヲアアマデ
  抑ヘズ、原料ヤ製作機械ハドシノ〓輸入シ
  テ行クナラバ-木綿ノ時デモサウデスガ、
  政府ガアア云フ風ニ抑ヘテ、モウ棉花ヲ輸
  入サセヌト言フタカラ-大變ナ暴騰ヲ致
  シタノデアリマスガ、今後國民ノ必要ナ綿
  類ニ對スル棉花ノ輸入ハ十分ヤラスト云フ
  タラ、アンナニ暴騰モセヌ、モウ輸入サセ
  ヌト云フモノダカラ商人ノ所デハ買溜ヲヤ
  リ賣惜ミヲヤツタ、サウシテ儲ケタト云フ
  者モアル、此ノ次ハサウ云フ物資ガ何ボニ
  ナルカラ大切ニ保存シヨウト云フノデ、賣
  惜ミ買溜ガ出來タカラ、三倍カラ四倍ニモ
  ナツタ、アレヲ大藏省ガソンナコトヲセヌ
  デモ國民ノ必要ナ綿類ニ對スル棉花ノ輸入
  ヲ許ス、斯ウ云フ風ニ聲明セラレタナラバ、
  アンナコトハナク進ンデ居ツタ、ダカラ兎
  モ角モ必要ナ物ハ何時デモ輸入スルト云フ
  態度ヲ執レバ、物價ハサウ上リハシマセヌ、
  私ハ物價ノ問題ハ、政府ガ本當ニ心カラ物
  價ノ暴騰ヲ防イデ行カウトスレバ-今國
  民ノ收入ト物價トガ駈ツコシテ居ル、何處
  デ停止スルカ分リマセヌ、勞働者ノ賃銀ヲ
  上ゲテ行ク、賃銀ヲ上ゲテ行クコトニ依ツ
  テ自分ノ所ノ製品ノ價格ヲ上ゲテ行ク、製
  品ノ價格ガ上ツテ利益ガ多イカラ、配當ナ
  リ賞與ナリヲ增シテ行ク、國民ノ所得トソ
  レカラ今ノ物價トハ競爭デ駈ツコシテ居ル、
  何處デ停止スルカ中々見當ガ付カヌ、付カ
  ヌノデアルガ、今言フヤウナ方法ヲ執ツテ
  行クナラバ、物價ノ暴騰ヲ止メルコトハイ
  ト易イコトデアルト考ヘテ居ルノデアリマ
  ス、前ノ賀屋サンハ一志二片ノ爲替相場ノ
  維特ニ無理ヲシテ居ツタガ、其ノ結果爲替
  相場ノ維持ハ行ハレテ居ラヌ、是ハ私ガ言
  ハヌデモ大藏當局ハ能ク知ツテ居ラレルト
  思ヒマス、今ノ方針ヲ變更シテ、要スルニ
  大藏省ノ傳統方針ヲ變ヘテモ、國家ノ爲ニ
  ナルナラ一向大藏省ノ面目ニモ關セヌト思
  ヒマスガ、大藏大臣ハソレデモ固執サレマ
  スカ

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• 108・石渡莊太郎

  ○石渡國務大臣　森田サンノ御話ハ、ソレ
  ハ經濟ノ筋道トシテハ、アナタノ仰セノ通
  リデアルトハ私モ存ジマス、外國カラ輸入
  ヲシテ物資ヲ裕ニスル、是ハ全ク經濟ノ筋
  道デゴザイマス、ソレニ私ハ別ニ反對スル
  譯デゴザイマセヌ、併シナガラ戰爭ノ始リ
  マシテカラ今日マデノ狀況ハ、中々サウ云
  フコトデ物價ヲ抑ヘテ行ク譯ニ行キマセヌ、
  今日ヤツテ居リマスルコトハ經濟界ノ實勢
  自然ノ狀況カラ行キマスト、無理ノアリマ
  スコトハ是ハ私共ト致シマシテモ十分存ジ
  テ居リマス、サウ云フヤウナ無理ヲシテモ、
  此ノ際ヤツテ行クコトノ必要ガアリマスカ
  ラ、自然ノ經濟狀態、卽チ普通ノ場合ノ經
  濟ノ建前ニ反シマシテモ、卽チ物ガ少クナ
  ツテモ、物ノ價ヲ上ゲナイヤウニト圖ツテ
  居ルノデアリマシテ、詰リサウ云フヤウナ
  無理ヲシテ抑ヘテ行ク所ガヤハリ一ツノ戰
  時經濟ノ大キナ特徴デアルト思ツテ居ルノ
  デアリマス、隨テ今アナタノ色々ナ御說ヲ
  伺ツテ、アナタノ仰シヤルコトハ私モ尤モ
  ダト存ジマス、存ジマスガ之ヲ實行スル譯ニ
  參リマセヌ、之ヲ實行シテ行クナラバ、更ニ
  他面ニ於テ大キナ缺陷ガ現ハレルト思フノ
  デアリマシテ、ドウシテモ今日ノ場合ハ、
  斯ウ云フ戰爭ノ始マリマシテカラ執ツテ來
  マシタヤウナ無理ハ、或ル程度マデ之ヲ忍
  ンデ戴クト云フ政策デ進ンデ行クヨリ仕方
  ガナイト思ツテ居ル次第デアリマス、今
  志二片ト云フ話ガアリマシタガ、是ハ上海
  方面ニ於ケル問題ガゴザイマス、其ノ他ハ
  總テ一志二片デ商賣ヲシテ居ルノデアリマ
  シテ、今日輸入致シテ居リマスル多額ノ軍
  需品又ハ輸出ノ原料品ニ付テハ、總テ一志
  二片デ安イノヲ輸入シテ居ルト云フ狀態ニ
  ナツテ居ル次第デアリマス、大藏省ノ面目
  トカ傳統トカ云フヤウナコトハ私共トシテ
  ハ一ツモ考ヘテ居リマセヌ、國家ノ爲メト
  アラバ、大藏省ノ面目デアラウト、傳統デ
  アラウトサウ云フモノハ捨テマシテ無論
  差支ゴザイマセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=108

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• 109・森田福市

  ○森田(福)委員　傳統的方針ト云フカ、面
  目ナドハ構ハナイガ、實際ニ於テヤラウト思
  ヘバ大キナ缺陷ガアルト仰シヤル、私ノ言フ
  ノハ其ノ缺陷ヲ補フ爲ニ申上ゲテ居ルノデ
  アリマス、其ノ缺陷ハ正貨ノ問題デアリマ
  スガ、ソレヲ取ル爲ニ先ヅ出シテ取ツテハ
  ドウカ、私ノ議論ハ前カラ其ノ議論デアリ
  さく、一應ソレダケノ物ヲ入レテ、ソレニ
  補助材料ヲ如ヘ、加工ヲシテ、ソレヲ輸出
  ニ振向ケテ行ツテ、今假ニ十ノモノヲ出シ
  テ行ケバ十五ニナツテ戾ツテ來ル方法ヲ執
  ツテ行ク方ガ樂デハナイカ、今ノヤウナヂ
  リ貧ノ政策ヲ執ラズニ、サウ云フ方法ヲ執
  ツテ行ク方ガ樂デハナイカ、一時ノ、延取引
  ヲ斷行シテモ、サウ云フ方法ヲ執ツタ方ガ
  宜イト屢〓申上ゲテ居ルノデアリマスガ、
  是ハ政府ガ肯定サレナケレバ、時間ヲ費ス
  バカリデアリマスカラ、先ヅ今後實際ニ當
  ツテ御實行ニナル場合ニ、一層ノ御〓究ヲ
  願ヒタイト思ヒマス、從來ノ大藏省ノ執リ
  來ツタ方針デ行ツテ是ガ乘リ切レルカドウ
  カト云フコトニ、吾々ハ非常ナ疑問ヲ持ツ
  テ居ル、ソコデヤハリ吾々ガ前カラ言ツテ
  居ル所ノ方針ヲ執ツタ方ガ宜カツタノデハ
  ナイカト云フ頭デ、現在吾々ハガツチリ來
  テ居ル、吾々ノ言ツテ居ツタ方法ヲ執ルナ
  ラバ、今日マデ窮屈ニナラズニ濟ンデ居ツ
  タダラウ、大藏省ハ一志二片ヲ維持シヨウ
  トシタ爲ニ、其ノ都度正貨ヲ出シテ來タカ
  ラ正貨ト云フモノガ非常ニ減ツテ來タ、是
  ハ吾々ノ常ニ言フ方針ヲ執ツテ居レバ、ソ
  ンナコトハセズニ濟ンデ居ツタ、是ハ今マ
  デ屢〓歷史ヲ繰返シテ來タノデアルカラ、其
  ノ方針ヲ一變シテ吾々ノ言フ積極政策ニ行
  ツタ方ガ經濟ノ線ヲ細メズ、正貨ノ獲得ガ
  多ク出來テ、此ノ難局ヲ切拔ケルニ宜イデ
  ハナイカト云フコトハ每議會ニ申上ゲテ、
  大藏大臣ニ是非共サウ云フ方法ヲヤラレテ
  ハドウカト云フ考カラ御尋ヲ申上ゲタノデ
  アリマスガ、其ノ大キナ缺陷ヲ認メルコト
  ハ吾々モ認メテ居ル、其ノ大キナ缺陷ヲ補
  フ手段方法ガ、アナタノ仰ツシヤルコトト
  吾々ノ申上ゲルコトトハ、意見ノ相違ニナ
  ツテ來テ居ルノデアツテ、アナタノ言フコ
  トハヤツテ見テ成功シテ居ナイノデアル
  カラ、吾々ノ言フ方ヲヤツタラ宜イデハナ
  イカト云フコトヲ私ハ繰返シテ居ルコトヲ、
  御承知置キ願ヒタイ、ソレニ對シテ尙ホ御
  意見ガアレバ私ノ質問ニ對シテ御答下サル
  コトヲ希望シマス、ソレカラ具體的ニ一ツ
  御尋申上ゲタイト思ヒマスガ、今度モ亦色
  色ナ臨時利得稅デアルトカ、支那事變特別
  稅等ノ增稅ガ出テ居ル、其ノ反面ニハ減免
  稅ガ澤山出テ居ル、是モ屢〓繰返スコトデア
  リマスガ、如何ニモ此ノ稅率ガ他ノ色々ナ
  機會ニ承ツテ居ルト、マダ稅ノ取リ方ガ少
  イノデハナイカト云フヤウナ意味ノ質問モ
  アリマスガ、稅ノ種類ニ依ツテハ恐ラク是
  レ以上取ルニハドウ云フ方法デ御取リニナ
  ルカ知ラヌガ、今日稅制ノ技術デ云フト、
  儲ケヲ皆納メテ尙且資本ニ食込ムヤウナ所
  ガ澤山アルノデハアリマセヌカ、是ハ大藏
  當局モ認メテ居ラレルダラウト思フ、非常
  ニ政府ノ稅率ノ缺陷ノ爲ニ、純益ヲ皆納メ
  テソレデ足ラヌデ、資本金ノ總額マデ納メ
  ナケレバナラヌヤウナコトマデニ至ツテ居
  ルモノガ澤山アルノデ、稅ノ種類ニ依ツテ
  ハ是レ以上稅率ヲ上ゲテ行クコトハ恐ラク
  困難デアル、寧ロ稅率ヲ上ゲルヨリモ、私
  ハ稅額ノ收入ノ方ニ政府ハ重キヲ置クヤウ
  ニスレバ、アノ減稅、免稅ヲヤラナイデモ
  濟ムノデハナイカ、詰リ增稅ガ行過ギタカ
  ラ、一方ニハ減稅ヤ免稅ヲドン〓〓ヤツテ
  行カナケレバ、生產擴充ノ目的ガ達セラレ
  ヌヤウニナツテ來タ、少クトモ減稅ヤ免稅
  ヲヤラズニ維持シテ行カウト云フニハ、
  餘リニモ高率ナ稅率ヲ課シテ行クト、遂
  ニ產業ノ全部門ニ對シテ減稅若クハ免稅ヲ
  行ハナケレバナラヌヤウニナツテ來ハシナ
  イカ、左樣ナコトヲヤルヨリモ中庸ヲ取ツ
  テ一番減稅ヤ免稅ノナイ程度ノ水準ニ
  稅率ヲ置イテ行ク、サウヤツテ行クコトニ
  依ツテ稅額ガ却テ殖エテ行クノデハナイカ、
  而モ今日殷賑產業ト稱へラレテ居ル事業ノ
  大部分ハ、御承知ノ通リニ減免稅ニナツテ
  居ルデハアリマセヌカ、何ト言ウテモ重工
  業會社、工作機械ヲ造ツテ居ル會社ガ一番
  儲ケテ居リマセウ、一番儲ケテハ居ルガソ
  レハ悉ク免稅ニナツテ居リマス、產金デア
  ラウト、何デアラウト總ベテ殷賑產業ト稱
  ヘラレテ居ル所ノモノニハ、殆ド減免稅ガ
  行ハレテ居ルノニ、平和產業、若クハ平素
  ドウナリ斯ウナリヤツテ行ツテ居ル程度ノ
  產業ハ、何レモ增稅ノ憂目ニ遭ハサレテ、
  今日困ツテ居ル、殊ニ平和產業ノ如キハ私
  ハヤハリ斯ウ云フ時代デモ必要ダト思フ、
  斯ウ云フ場合ニデモ平和產業ト云フモノハ、
  ヤハリ必要デアツテ、一方ニ正貨ヲ取ツテ
  戾ルト云フコトニハ、ヤハリ平和產業モ相
  當-相當デハナイ、寧ロヨリ以上ニ生產
  ノ擴充ヲ圖ツテ、是等ノ會社ガ造ツタ物ヲ
  輸出ニ向ケテ、正貨ヲ取ツテ戾ル政策ガ必
  要缺クベカラザルモノデアル、玆ニ軍需工
  業ト平和產業トヲ別ケ隔テヲシテ、資金調
  整法デヤツテ居ルヤウナ待遇ハ寧ロシナイ
  方ガ宜イ、平和產業ニハ極力働カシテ正貨
  ヲ取ツテ戾ルヤウニシヨウシ、軍需工業ニ
  對シテモ減免稅ヲ行ハヌ程度ノ稅率ヲ設ケ
  テ行クコトガ、複雜多岐ニ亙ラザルノミナ
  ラズ、徵稅當局、納稅義務者、共ニ非常ニ
  簡易ニ行クト思フ、今ノヤウニ稅率ヲ高メ
  高メテ行キ居ルト、遂ニ反面ニハ減稅々々
  若クハ免稅々々ト殖シテ行クカラ、稅ノ總
  收入ニ於テハ大シタ變リガナイヤウニナル
  ノデハナイカ、自然增收以外ニハナクナル
  ノデハナイカト考ヘルガ、大藏大臣ハ左樣
  ナ御考ハ御附キニナラヌデアリマセウカ

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• 110・石渡莊太郎

  ○石渡國務大臣　最初ノ森田サンノ御意見
  ニ付キマシテハ、是ハドウ云フコトデアリ
  マスカ、私ニハツキリ分リマセヌ、一志二
  片ヲ引下ゲテ、サウシテヤツタラ宜イヂヤ
  ナイカ、斯ウ云フ御說デアルカトモ思フノ
  デゴザイマス、是等ニ付キマシテハ一二年
  來色々論議ノアル所デゴザイマスガ、私ト
  シテハ今日ノ場合從來ノ政策ヲ執ツテヤリ
  マシタ方ガ、此ノ場合ノ問題トシテハ一番
  妥當デアルト考ヘテ居ル次第デアリマス、
  ソレカラ其ノ次ノ問題デゴザイマスガ、是
  ハ色々御說ガゴザイマシタガ、免稅、減稅
  ヲ致スカラト云ツテ、ソレデ收入ガ無クナ
  ルト云フヤウナモノデハアリマセヌ、減免
  稅ノ額ト云フモノハ比較的少ウゴザイマシ
  テ、納稅ノ額ガ餘計デゴザイマス、ソレハ
  增稅ヲ致ス場合ニ於キマシテ、或ル程度ノ
  「フリクシヨン」ヲ避ケル、最モ銳角ニナツテ
  居ル所ノ頭ヲ一部切落スト云フコトハ、增
  稅ノ場合ニ於ケル課稅技術ノ問題カラ行キ
  マシテモ、私ハ必要デアルト存ジマシテ、
  例ヘバ所得稅法ヲ改正シマシテ所得稅率ヲ
  上ゲル、サウスルト同居ノ家族ガ多イ人間
  ト少イ人間ト同ジ稅額ヲ負擔シテ居ツタモ
  ノハ、稅額ガ上リマスカラ、是ハ其ノ間ニ
  子供ヲ引ク-扶養家族ヲ控除スル所ノ率
  ヲ上ゲルト云フコトハ、負擔ノ上カラ行キ
  マシテモ、私ハ是ハ或ル程度當然デアルト
  思フノデアリマス、今御尋ノ今囘ノ增稅等
  ニ伴ツテ、一面ニ於テハ減稅ヲ行ツテ居ル
  ノハイカヌデハナイカ、是ハ御尋ノ通リデ
  アリマス、ソレハ今日ノ場合理窟カラ行キ
  マスレバ、如何カト思フ點ガアルノデアリ
  マスガ、是ハ一面ニ於キマシテ今日ノ生產
  擴充ト云フヤウナ見地カラシマシテ、此ノ
  程度ノコトガ必要デハアルマイカト云フ考
  デ、御答シタ次第デゴザイマシテ、減免稅
  ヲヤツテハイカヌ、增稅バカリヤルカラ斯
  ウ云フコトモ起ルノダ、今ニ收入減ツテシ
  マフデハナイカ、斯ウ仰シヤルガ、ソレハ決
  シテサウ云フコトニハ相成ル次第ノモノデハ
  ゴザイマセヌ、唯一方增稅ヲ行ヒマス際ニ
  於テ、一方必要ナル減稅ダケハ行ヒタイ、
  斯ウ考ヘテ居ル次第デアリマス

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• 111・川崎克

  ○川崎委員長　森田サン、一寸御發言前御
  注意申上ゲマスガ、御要求ノ商工大臣ガ見エ
  マシタ、商工大臣ガ何カ外ノ委員會ガアツ
  テ出テ居ラレルノヲ、差繰ツテ來ラレタヤ
  ウデアリマスカラ、商工大臣ニ對スル御質
  疑ハ、此ノ際出來ルダケ簡單ニ御濟マセヲ
  願ツテ、商工大臣ガ他ノ委員會ニ行カレル
  ヤウ御都合ヲ願ヒタイト思ヒマスカラ、其
  ノ積リデ御發言ヲ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=111

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• 112・森田福市

  ○森田(福)委員　一寸申上ゲマスガ、マダ商
  工大臣ニ關聯シタ所ヘ行カヌノデアリマス、
  ソレハ船舶ト鑛業權トノ所デ大藏大臣ト商
  工大臣ト一〓ニ御問シテ見タイノデアリマ
  スガ、マダソコマデ行カヌノデアリマス

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• 113・川崎克

  ○川崎委員長　アナタノヤウナ練達堪能ノ
  士ハ、眞中ノ所カラ抽出シテ一ツオヤリ願
  ヒタイ、折角御要求ニナツテ無理ニ差繰ツ
  テオ出デヲ願ツテ居ルノヲ、又他ノ委員會
  ヘ行カナケレバナラスト云フト困リマスカ
  ラ

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• 114・森田福市

  ○森田(福)委員　ソレデハ一寸要點ダケ詳
  シイコトハヤハリ大藏大臣トヤルコトニシ
  マシテ、商工大臣トノ關係ノアル所ヲ一二
  點極ク簡單ニ御尋申上ゲ、御答辯ヲ願ヒマ
  セウ、此ノ商工省ト大藏省ノ兩大臣ハ、マ
  ダドチラモ當局大臣ニナラレテ日ガ深クナ
  イノデアルカラ、一向其ノ間ニ彼此レ考ヘ
  ラレヌガ、私ハ事務當局ノ間ハ多少距リガ
  アルノデハナイカト思フ點ヲ二三點感付イ
  テ居ル、サウ云フコトガアルトハ恐ラク答
  辯ナサルマイガ、ナイヤウニシテ貰ハヌト
  國家ノ爲ニモ國民ノ爲ニモイカヌ、サウ云
  フ點ヲ切ニ感ジテ居ル點ガ一二アルノデア
  リマス、ソレハ大藏省ハ產金ニカケテハ洵
  ニ力ヲ入レル、サウシテ先程申上ゲタヤウ
  ニ、金ノ流出ニ付テハ流出ヲ防グコトニ洵
  ニ努力セラレテ居ルガ、金ノコトニナルト
  商工省ノ方ハドウカト言フト、力ヲ入レヌ
  ト言ヘバサウヂヤナイト仰シヤルデアラウ
  ガ、多少其ノ點ニ違フ點ガアル、稅ノ點ニ
  於テモ商工省ハ同樣ノコトガアリ、又大藏
  省ハ商工省ノヤルコトニ對シテ一向考慮ヲ
  拂ツテヤラヌ點ガアル、ソレ等國策ノ生產
  擴充ニ全然副ハヌ點ヲ私ハ一二具體的ニ問
  ウテ見タイト思フ、ソレハ交互ニ答辯セラ
  レテ宜イカラ、ドチラノ答辯ト言ハズニ、
  兩者一緒ニ問フカラ其ノ積リデ御答願ヘバ
  宜イノデアリマス
  此ノ金ノ問題ニ對シテモ、大藏省ガ全力
  ヲ擧ゲテ產金ノ奬勵ヲシテ居ルガ、商工省
  ハ一向ソレニ力ヲ與ヘヌ-トハ申シマセ
  ヌガ、力ノ入レヤウガ少シ足ラナイヤウニ
  思フ、ト云フノハ、今度ノ鑛業法ノ改正ニ
  當ツテモ、現在ノ問題ハ多年ノ問題デス、
  アレヲ解決ナサルコトニ吾々ハ異論ハアリ
  マセヌ、併シナガラ產金ヲ得ル爲ニ、アノ
  砂鑛法ノ改正ト云フモノハドウシテモ急グ
  問題デアル、豫算委員會ノ席上ニ於テ、商
  工省ノ政府委員ハ便法ヲ講ズルト言ツタガ、
  現在ノ砂鑛法ガアツテハ、幾ラ便法ヲ講ジ
  テモ河川以外ノ所ニアル金ノ試堀ヲ許可ス
  ルコトモ出來ヌコトハ明デアルト思フノデ
  アリマス、此ノ點ハ國策カラ言ツテモ、現
  在鑛業法ノ改正ニナツテ居ルヤウナ點ヨリ
  モ一層急グ問題デアルト、私ハ切實ニ感ジ
  テ居リマス、此ノ點ナドモ事務當局同士ガ
  圓滑ニ行ツタノカ行カナカツタノカ私ハ知
  リマセヌガ、ソコヘ思ヒヲ致シテ見ルコトハ
  出來ル、今出シテ居ルヤウナ案ヨリモ、金ヲ
  得ル爲ニハマダ〓〓緊急差措キ難キ改正ヲ
  行ハナケレバナラヌ點ガアル、其ノ點ハ
  向之ヲ考慮ニ加ヘテ居ラヌヤニ見受ケラレ
  ルコトヲ遺憾ニ思フノデアルガ、今後ハ努
  メテサウ云フコトノナイヤウニ、私ハ國家
  ノ爲ニナルコトナラバ、双方トモ力ヲ入レ
  合ツテヤル方ガ宜イノデハナイカト考ヘマ
  スガ、此ノ點ガドウデアカルト云フ點ガ
  ツ、モウ一ツハ大藏當局ニ尋ネタイノデア
  リマスガ、コレハ商工當局ハ骨折ツタコト
  ハ私ハ關係ガアルカラ知ツテ居ル、然ルニ
  大藏當局ガ肯カナイ、具體的ニハ餘リ言ハ
  ヌデモ宜イカモ知レヌガ、商工省ガ今度鑛
  業法ノ改正ヲ提案シテ居ルノニ、石炭業者
  ハ一瓲ニ付テ幾ラト云フモノヲ、命令ノ定
  ムル所ニ依ツテ供託スルヤウニナツテ居ル、
  ソレハ十年先デ〓算スルカ五十年先デヤル
  カ、百年先デヤルカ、ソレハ被害ノ有無ガ決
  定シタ後ニ計算ヲスルノデアルカラ、相當長
  イ年ニナツテ行クノデアリマス、サウ云フ場合
  ニ、之ニ對シテハ營業費ト看做シテ、當然經
  費トシテ支出シテ置イテ、ソレガ何十年カ
  後デ戾ツテ來タナラバ、ソレハ雜收入ニ繰
  入レテ其ノ時ニ初メテ營業收益稅ナリ所得
  稅ヲ課スルレ宜イヂヤナイカ、サウセヌコ
  トニハ、是ハ私有財產デハナイカラ使ヘナ
  イ金デアル、自分ノ自由ニ使ヘナイ金ヲ積
  立テ-法律ヤ勅令ノ定ムル所ニ依ツテ經
  費同樣ナモノヲ積立テサシテ置イテ、ソシ
  ヲ收益デアル所得ト言ウテ行クコトニハ非
  常ニ無理ガアル、ノミナラズ斯ウ云フ所ニ
  困ルデハナイカ、十年先、三十年先、五十
  年先ニ、其被害金額ノ調定ガ出來テ、〓等
  ニ何十万圓何百万圓ノ支出ヲシタトキニ
  ハ當該營業者ハ其ノ期ニ於テ相當ナ純益
  ヲ擧ゲナガラ配當ガ出來ヌヤウナコトニナ
  ツテ來ルシ、又損失金ヲ計上スルトキニ於
  テハ、大藏省ノ監督シテ居ル興業銀行ナド
  ハ、之ニ貸金セザルノミナラズ、損失ヲヤ
  ルヤウナ場合ニハ、其ノ貸金ヲ取上ゲルト
  云フヤウナ約束マデシナケレバ近來ハ貸シ
  テ吳レナイト云フヤウナ無理ガ行クノデア
  ルカラ、是ハ商工省ノ要求ヲ大藏省ハ容レ
  ルベキ筈デアツタ、マダ併シ法律ガ通過シ
  テ居ルノデハナイカラ、私ハサウ確定的ニ
  ハ言ハヌガ、本當ハ大藏省モ之ニハ耳ヲ藉
  シテ、商工省ノ要求ヲ容レルベキデアル、
  大藏大臣ニハマダ此ノ事ハ耳ニ入ツテ居ラ
  ヌダラウト御察シスルノデアルガ、アナタ
  ガ御考ニナツテモ此ノ點ハ明瞭ニ分ル、斯
  ウ云フ點ガ圓滑ニ行ツテ居ラヌト云フコト
  ヲ私ハ申上ゲル
  玆ニ二點申上ゲマシタ、モウ一點アル
  ノハ、此ノ法案ニ提案ヲシテアル船舶及
  ビ鑛業權ノ賣買ニ對スル課稅ノ問題デア
  リマス、商工大臣ハナゼ之ニ同意ヲ與ヘ
  タカト云フコトヲ私ハアナタニ御尋ス
  ル、大藏省ハ何トカシテ收入ヲ得タイト云
  フノデヤツタノト、モウ一ツハ大藏省ハ斯
  ウ云フ考デヤツタノデハナイカト思フ、鑛業
  權ヲ高ク見積ツテ、資本金ヲ水膨レヲサシ
  テ超過所得ヲヤル、臨時利得稅ノ取レヌヤ
  ウナ虞ガアルト思ウテヤツタノデハナイカ
  ト考ヘラレルガ、ソレヨリモ大キナ問題
  ハ、若シ此ノ鑛業權ノ賣買ニ對シテ百分ノ
  二十五-四分ノ一ト云フ高率ナ稅ヲ取ツ
  テ行クコトデ、果シテ今日ノ必要ナ鑛物ノ
  採掘若クハ其ノ擴充增產ガ出來マセウカ、
  私ハ商工大臣ハ斯ウ云フ案ニハ斷然反對セ
  ラレヌト、金ハ今度ノモノデ除カレルヤニ
  勅令ヲ見ルト出テ居ルガ、金其ノ他ト書イ
  テアリマスカラ、金ノ方ニハ大藏省モ力ヲ
  入レテ居ルガ、金鑛業ノ場合ニ於テハ何カ
  手加減ガアルト思フガ、其ノ他ノモノニ對
  シテハ明瞭ニナツテ居ナイ、ヤハリ此ノ點
  モ商工大臣ノ方デモ此ノ鑛產物ノ增產擴充
  ニハ力ヲ入レテ居ラレルノデアルカラ、此
  ノ法律ガ此ノ儘通ルトモ私ハ思ハヌガ、若
  シ通ツタ場合ハ、鑛業權ヲ發見スル者ハ御
  承知ノ通リニ資本ノナイ者デアツテ、ソレ
  ガ轉々何人何十人ト云フ人ノ手ヲ經テ實際
  ニ投資ヲスル人ノ手ニ入ツテ行クノデアリ
  やく、發見シタ人ガ決シテ直接ニ現金ヲ持
  ツテ居ル資本家ヘ行クノデハアリマセヌ、
  サウスルト其ノ間ニハ何十人ノ手ヲ經テ本
  當ノ試掘、採掘ヲ行ヒ、現金ヲ出ス資本家
  ノ手ニ入ルノデアリマスガ、ソレマデニハ〓
  ノヤウナ人ガナケレバイカヌ、今ノヤウナ
  見テ來ル人、是ガ仲介ヲスル人等々ガアツ
  テ、今日ノ如ク可ナリ盛ニナツテ來テ居ルノ
  デアルガ、今ノヤウナ鑛業權見積價格ノ四分ノ
  一ノ稅ヲ取ラウトスルト、本當ハ何人モ現
  金ヲ貰フノヂヤナイノニ、現金ヲ貰ウタト同
  樣ニソレニ課稅ヲ爲シテ行クコトニ依ツテ
  賣買ハ無クナル、無クナル結果ハ生產ノ擴
  充トカ、鑛物ノ增產ヲ圖ルト云フコトハ思
  ヒモ寄ラヌコトニ結果カラナツテ來ル、僅
  カノ稅ヲ取ラウト思ウテ、斯ウ云フ大キナ
  問題ヲ起シテ、遂ニハ增產ノ計畫ナドハペ
  チヤンコニナツテシマフ、之ニ對シテ商工
  大臣ハ何レ事務當局ト打合セノ上ニ閣議ニ
  掛ケラレタノデアラウガ、ナゼ此ノ大キナ
  問題ニ敢然トシテ反對シテオヤリニナラナ
  カツタノデアラウカ、或ハ商工大臣ハサウ
  デハナイ、此ノ稅ヲ取ツテモ何ノ支障モナ
  ク行ケルト思ハレルナラバ、其ノ點ヲ具體
  的ニ吾々ノ得心ノ行クヤウニ話シテ貰ウタ
  ラ宜シイノデアリマスガ、私ハ稅ニ關スル
  コトニ付テハ別途ノ意見ガアリマスガ、
  是ハ順序ガ來タ時ニ大藏大臣ニ問ヒマス
  ガ、今ノ〓念的ノ問題トシテ、要スルニ商
  工大臣ハドウ云フ風ニ此ノ點ヲ考ヘテアレ
  ニ贊成シタノカ、此ノ三點ヲ兩大臣ヨリ各〓
  御答辯ヲ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=114

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• 115・八田嘉明

  ○八田國務大臣　第一點ノ金ノ增產ノ問題
  ニ付キマシテハ、無論大藏省ニ於テモ努メ
  テ居ラレマスルガ、商工省ニ於キマシテモ資
  金其ノ他ノ點ニ付キマシテハ、大藏省ト十
  分協調ヲ遂ゲマシテ、實際的ニ金ノ增產ト
  云フコトニ付テハ努メテ居ル積リデアリマ
  ス、砂鑛法ガ今囘ノ鑛業法改正ニハ入ツテ
  居ラヌト云フコトデアリマスガ、此ノ點ハ
  今囘ノ鑛業法改正ハ、主トシテ賠償ノ問題
  ヲ解決スルコトニ努メタ譯デアリマシテ、
  只今商工省ト致シマシテモ砂鑛法其ノ他ノ
  鑛業ニ關スル點ニ付キマシテハ專ラ〓究
  ヲ急イデ居リマスノデ、出來ルダケ早ク此
  ノ問題ノ解決致シマスルヤウニ努メタイト
  思フノデアリマス、其ノ他一般ノ問題ニ付
  キマシテハ、事務的ニ或ル問題ガ解決シマ
  スルマデニハ、相當各省トノ間ニ事務上ノ
  〓究、交渉ト云フモノガアリマスルケレドモ、
  ソレガ決定シタ以上十分是ガ實行ニ付キマ
  シテハ隔リナイ考デ居リマス、又今囘ノ稅
  ニ付テ鑛業權ノ點ニ付キマシテハ、無論商
  工省ニ於キマシテモ、大藏省ノ原案ニ付テ
  十分彼此交涉ヲ致シマシタル結果、アノ決定
  致シマシタル程度ニ於テハ、敢テ支障ナキ
  モノト考ヘテ、同意ヲ致シタヤウナ次第デ
  アリマス、只今御指摘ニナリマシタ鑛業權
  ニ對シテ移轉ノ稅ガ付クト云フコト、或ル場
  合ニ於テハ結局鑛業開發ニ支障アルヤニ御
  述ニナリマシタガ、御話ノ點ハ一應私モ御
  尤ニ伺フノデアリマスケレドモ、過去ニ於
  テハ是ハ非常ニ大キナ問題デアルカト思ヒ
  マスルガ、今日ハ資本ノ足リマセヌ鑛業權
  者ニシテモ、之ヲ開發スルト云フコトニ付
  キマシテハ、政府トシテ一方十分ニ之ヲ助
  成スル方法ヲ講ジテ居リマスノデ、或ル程
  度ノ稅ニ依リマシテ鑛業開發ガ遲レルト云
  フコトハ考ヘテ居ラヌノデアリマス、併シ
  ナイ方ガソレハ尙ホ結構ダト思ヒマスガ、
  彼此レノ色々ナ比較檢討ノ結果、均衡等カ
  ラ致シマシテ左樣ニ決定致シタ次第デアリ
  そう、勿論一方ニ於テ鑛業開發ニ付テハ、
  今後トモ十分助成ニ付テ力ヲ致ス積リデア
  リマスノデ、彼此相照シ合セマシテ、敢テ
  鑛業ノ開發ニ支障アリトハ考ヘテ居ラヌノ
  デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=115

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• 116・石渡莊太郎

  ○石渡國務大臣　商工省ト大藏省トハ別ニ
  仲ノ惡イ譯デハゴザイマセヌ、極メテ仲良
  クヤツテ居リマス、第一ノ御尋ハ鑛業會
  社ノ所得稅ノ問題デゴザイマスガ、是ハ私
  先達テ一寸話ハ聞イテ居ルノデアリマスガ、
  ドウモ稅ノ理窟カラ言ヘバ、ソレハ課稅ス
  ベキデアルト云フコトヲ指摘シテ答ヘテ置
  キマシタ、是ハ多少解釋ノ餘地ハアルカト
  思フノデアリマスガ、併シヤハリ社內ニ置
  カレル金デアリマスカラ、是ハ課稅サレル
  ト解釋スル方ガ本當デアルト思ヒマス、ソレ
  ヲ法律ヲ改正シテ免稅スルニハ、サウ大シ
  タ大キナ問題デハナイ、比較的小サイ問題
  デアツテ、態〓立法スルマデノコトモ要ラナ
  イノデハアルマイカ、斯ウ云フ考デアリマ
  ス
  ソレカラ第二點ノ御尋デアリマスルガ、
  此ノ問題ハ森田サンニモ多少ノ誤解ガアル
  ノデハナイカト思フノデアリマスルガ、此
  ノ鑛業權ノ賣買ハ、是ハ鑛業權ノ價値ニ對
  シテ課稅スルノデハゴザイマセヌ、詰リ儲
  ケニ對シテ課稅致スノデアリマス、ソレモ
  相當程度ノ免稅點モゴザイマスシ、或ル程
  度以下ノ儲ケデアルナラバ、ソレハ課稅シマ
  セヌ、賣買シタカラト言ツテ必ズ課稅スル
  ト云フノデハゴザイマセヌ、今アナタガ例
  ヲ御擧ゲニナツタヤウナ、數十人ノ間ヲ轉々
  トシテ行ツテ、サウシテ最後ニ經營者ニ
  收マル、サウ云フ場合モアルダラウト思ヒ
  さく、ソレガ比較的短期間ノ間ニ動イタ、
  斯ウ云フ問題デアリマスレバ、一人ノ人ガ
  二千圓以上ノ儲ケヲシテ居ツタノデハ、ソ
  レハ非常ニ高イモノニナツテシマフカト思
  フノデアリマスガ、儲ケガナクテ僅バカリ
  ノ口錢デサウ云フモノヲ賣買シテ居ル者ニ
  ハ是ハ課稅シナイ、ソレカラ損ヲシテ賣ツ
  タヤウナ場合ニモ、是モ課稅シマセヌ、
  ソレデスカラ、鑛業權ノ移轉稅ト云フ譯ノ
  モノデハゴザイマセヌデ、ドコマデモ利得
  稅デアリマスカラ、其ノ點ハ御心配ニ相成
  ルヤウナ弊害ハナイト或ヘテ居ルヤウナ次
  第デアリマス

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• 117・森田福市

  ○森田(福)委員　只今ノ兩大臣ノ答辯ハ私
  ハ滿足セザルノミナラズ、一點モ肯定スル
  所ハアリマセヌ、先ヅ第一ニ商工大臣ハ、
  砂鑛法ノ改正ニ付テハ考慮〓究シテ居ルト
  仰シヤルガ、考慮〓究ヲシテ此ノ議會ニ間
  ニ合フト云フ意味デスカ、臨時議會ヲ開ク
  ト云フノデアリマスカ、來年マデ一年延バ
  サウト云フノデアリマスカ、此ノ間鑛山局
  長ハ適當ナ方法ガアルト言ハレタガ、適當
  ナル方法トハ如何ナル手段方法ヲ言フノデ
  アルカ、先ヅ其ノ點ヲ承リタイノデアリマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=117

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• 118・八田嘉明

  ○八田國務大臣　砂鑛法ノコトハ實ハ各方
  面カラ實際問題トシテ、要望セラレテ居ル
  ノデアリマス、併シ唯鑛山ノヤウニ地下ヲ
  掘鑿スルノト違ヒマシテ、相當諸般ノ關係
  ガアリマスノデ、此ノ點ニ付テハ專ラ今〓
  究致スト云フコトヲ申上ゲタノデアリマス
  ガ、私ノ考トシテハ此ノ議會ニハ間ニ合ハ
  ヌト思ヒマス、此ノ次ノ詰リ最近ノ議會ニ
  於テソレヲ提出スル積リデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=118

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• 119・森田福市

  ○森田(福)委員　此ノ法案ダケデハ臨時議
  會ハ開カレハシマイシ、先ヅ豫算モ吾々カ
  ラ見レバ去年ノ例カラ言ツテ、今年モ臨時議
  會ヲ開カナケレバナラヌヤウナ窮屈ナ豫算
  ハ政府ハ出シサウニモナイシ、サウスルト
  一箇年間延ビル、鑛山局長ハ此ノ間ノ豫算
  總會ニ於テ、出來ルダケノ便法ヲ圖ルト言
  ツタガ、何カ便法ハナイノデアリマスカ、
  ヤハリ一箇年間-此ノ法律ヲ改正スルマ
  デハ方法ガナイコトニナルノデアリマス
  カ、ソレナラバ私ガ今言フヤウニ、現在鑛
  業法ノ改正ガ出テ居ル、私ハソレハ否定シ
  ナイ、アレモ必要デアル、併シ砂鑛法ヲ改
  正シテ行クコトガ、ヨリ以上ニ大藏省ノ望
  ンデ居ル金貨、正貨ガ少シデモ早ク取レル
  デハナイカ、ソレガ國家ノ國策トシテ本當
  ニ必要ナモノデハナイカ、サウ云フコトヲ
  ヤラナイト云フコトハ、事務當局ノ間ニ多
  少色々ナ摩擦ガアルノデハナイカ、斯ウ言
  ウタラ、大藏大臣ハ頗ル圓滿ニヤツテ居ル
  ト言ハレタガ、私ハ此ノ席上デ內面ヲ暴露
  シヨウトハ思ハナイケレドモ、圓滑ニハ行ツ
  テ居ナイコトガ澤山アル、私ハ片端カラ御披
  露ニ及ンデモ宜イト思フガ、行ツテ居ラヌ
  コトガ澤山アル、是ハアナタノ監督ガ十分
  デハアリマセヌ、吾々ノヤウナ局外者デス
  ラ知ツテ居ルカラ、アナタ方當局ガ知ラ
  ヌデハイケナイ、十分兩大臣ハソレヲ知ツ
  テ其ノ摩擦ヲナカラシメテ行カナケレバ、
  本當ニ國策ノ線ニ沿ウタ政策ハ立ツテ行キ
  マセヌ、今私ガ、大藏大臣ノ其ノ場遁レノヤ
  ウナ答辯デハ滿足セヌト言ツタノハ、ソコ
  ノコトデアリマス、私ハ此ノ點ハ過去ノコ
  トハ責メヌガ、今後ハ一ツノ協調ヲ取ツテ
  行カナケレバ悉ク喰違ヒガ出來ルノデハナ
  イカト云フコトヲ言ウテ居ルノデス、今ノ
  商工大臣ノ答辯デモ便法ヲ講ズルト言ハレ
  マスガ、法律ヲ改正スル以外ニハ試掘ヲ許
  可スルコトハ出來ナイ、ソレガ爲ニ一ケ年
  此ノ試掘ヲ許可スルコトガ延ビルノデハナ
  イカ、ソレハ本當ニ國家ノ爲ニモ現在ノ產
  金奬勵ノ爲ニモ惜シマレルコトデアル、ソ
  コデ何トカ之ニ對シテ便法ハナイカト言ウ
  タラ、便法ガアルト言ハレルノダカラ、何
  カソコニアルノデハナイカト思フ、鑛山局
  長モ來テ居ラレルノダカラ、明瞭ニ一ツ伺
  ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=119

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• 120・小金義照

  ○小金政府委員　私ガ先般砂鑛法ノ問題ニ
  付キマシテハ便法ヲ講ズルト云フヤウナ意
  味ノコトヲ申上ゲマシタノハ、是ハ勿論仰
  セノ通リ脫法ヲ意味スルモノデハゴザイマ
  セヌ、適法ニ何等カノ方法ヲ講ズルト云フ
  意味デアリマシテ、其ノ主ナモノトシテ考
  ヘテ居リマスノハ、成ベク土地所有權者ニ
  承諾ヲ與ヘシメルヤウナ態度ヲ執ル、ソレ
  ハ土地所有權者ガ其ノ土地ヨリ非常ニ澤山
  砂鑛ヲ採取シタ場合、其ノ後ヲ荒サレ
  テ水ヲ無クナサレテシマフト云フヤウナ
  心配ガアルカラ、中々承知シナイ場合
  ガ多イノデアリマス、サウ云フ場合ニハ
  適當ノ條件ヲ附シテ、原狀囘復トカ、或
  ハ水ノ補給ト云フヤウナコトヲ考ヘテ居
  ル譯デアリマス、尙ホ關係官廳ノ間ニ於テ
  色々ナ交涉ヲシナケレバナリマセヌガ、其
  ノ際ニ成ベク早ク諒解ヲ得テ砂鑛權ノ設定
  ニ時日ヲ要サナイヤウニスル、斯ウ云フ意
  味デアリマス、唯恐ラク森田サンノ御心配
  ニナリマスノハ、サウ云フ土地所有權者ナ
  ラバ問題ハナイガ、砂鑛ノ邪魔ヲシテヤラ
  ウトカ、自分ノ所有地ヲ高ク賣付ケヨウト
  云フ土地所有權者ガ出テ來タナラバ困ルヂ
  ヤナイカ、斯ウ云フコトダラウト思ヒマス、
  ソレニ付キマシテハ現在ノ法規ノ範圍內デ
  ハ恐ラク如何トモスルコトガ出來ナイダラ
  ウト思ヒマス、サウ云フモノハ大體其ノ者
  ニ砂鑛權ノ出願ノ意思ガアルカナイカヲ確
  メテ處斷スルノデアリマスカラ法律ヲ改正
  スルノトハ少シ違ヒマシテ甚ダ不完全デハ
  アリマスガ、其ノ間ニ處シテ出來ルダケノ
  コトヲ致シタイ、斯ウ云フ意味デアリマス、
  鑛業法ノ改正調査委員會モアリマシテ、其
  ノ方デ〓究シテ、至急答申ヲスル問題ノ
  ツトナツテ取上ゲラレテ居リマスノデ、其
  ノ御意見モ十分承ツタ上デ法律化シタイ、
  斯ウ云フヤウナ積リデ御答辯申上ゲタ次第
  デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=120

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• 121・森田福市

  ○森田(福)委員　今ノ鑛山局長ノ答辯ハ其
  ノ通リデアリマセウ、デアルカラ私ハ間ニ合
  ハヌト言ウテ居ルノデス、便法ヲ講ズルト
  言ツテモ、サウ易々ト地主ガ承諾スルモノ
  デハナイシ、第一試掘ノ許可ガ出來ヌデハ
  アリマセヌカ、試掘ノ許可ヲ與ヘヨウニモ
  二分ノ一、三分ノ一ノ同意ヲ得テ試掘願ヲ
  出サナケレバイカヌヤウニナツテ居ルト私
  ハ思ウテ居ルガ、サウスルト先ヅ採掘ニ入
  ル前ニ試掘ノ許可ヲ得ルコトスラ困難デハ
  ナイカ、デアルカラ今ノ問題ハ結局一ケ年
  間是ガ延ビルノデアルガ、是ガ爲ニ議會ヲ
  開カヌト云フナラバ、緊急勅令デモ出シテ
  ヤラレテハドウカ、其ノ御意思ガアルカド
  ウカヲ伺ヒタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=121

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• 122・小金義照

  ○小金政府委員　今試掘ノ許可ハ出來ナイ、
  況ヤ採掘ヲヤト云フヤウナ御言葉ガアリマ
  シタガ、砂鑛ニハ試掘、採掘ノ區別ガゴザ
  イマセヌ、砂鑛採掘權ト云フモノ一本デゴ
  ザイマス、ソレヲ訂正致シテ置キマス、私
  ガ或ハサウ云フヤウニ取レルヤウニ申上ゲ
  タカモ知レマセヌガ、試掘ハゴザイマセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=122

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• 123・森田福市

  ○森田(福)委員　ソレデハ地主ノ承諾ナク
  シテモ採掘ノ許可ハ出來ルデハアリマセヌ
  カ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=123

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• 124・小金義照

  ○小金政府委員　地主ガ砂鑛出願ニ對シテ
  承諾ヲ與ヘナイ以上、地主ハ一定ノ期間內
  ニ自分デ出願シナケレバナラヌ義務ガアリ
  そう、其ノ出願ノ手續ヲ執ラナカツタナラ
  バ、承諾ノ有無ニ拘ハラズ、砂鑛權ヲ設定
  シテモ構ハヌト云フ法律ノ趣旨ニナツテ居
  リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=124

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• 125・森田福市

  ○森田(福)委員　アナタノ仰シヤルヤウナ
  ラバソレデ宜イ、サウ云フ風ナコトヲ來年
  ノ議會ノ改正ヲ待タズニ、ドシ〓〓商工省
  ハソレヲ奬メテ、試掘願ハ今各所隨所ニ出
  テ居ルノダカラ承諾書ガ出タモノニ對シテ
  ハ商工省ガ直接鑛山監督局ヲシテ地主ニ
  當ラセマスレバ、隨分澤山ノ地主デアリマ
  スカラ、御骨ガ折レルト思フガ、ソコマデ
  骨ヲ折ツテヤルト云フナラバ出來ヌコトハ
  ナイト思ヒマスガ、ソコマデオヤリニナレ
  マスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=125

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• 126・八田嘉明

  ○八田國務大臣　只今ノ砂鑛法ノ點ハ仰セ
  ノ如ク便法デアリマシテモ、當局ト致シマ
  シテハ最善ヲ盡ス積リデアリマス、サウシ
  テ成ベク早ク力アル法制化ヲ期待致ス次第
  デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=126

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• 127・森田福市

  ○森田(福)委員　是レ以上追究ハシマセヌ、
  答辯ノ模樣ヲ見テモ力ヲ入レテ居ラヌトハ
  決シテ申上ゲヌガ、入レヤウガ足ラヌト云
  フコトハ商工當局モ異論ハアルマイ、力ハ
  入ツテ居ルガ、少シ足ラナカツタト云フコ
  トヲ申上ゲテ之ヲ認メザルヲ得マイ、サウ
  デナケレバ一ケ年延ビル、最善ヲ盡スト云
  フコトモ今言フ通リ具體的ニハ最善トハ緊
  急勅令ヲ出スコトデアル、サウデナケレバ
  鑛山監督局ヲ總動員シテ一々地主ニ當ラセ
  テ之ヲ法律改正マデ間ニ合ハセルカ、其ノ
  二ツノドチラモ出來ヌ以上ハ、ヤハリ一ケ
  年間取レル金ヲ取ラズニ置イテ置クノテハ
  ナイカト思フ、斯ウ云フ點ガ國策ニ副ハヌ
  ト思フ、鑛業法改正ノ委員會ニモ大藏省カ
  ラ誰カ出テ居ル筈デアルカラ、主張ヲスレ
  バ宜イノニ默ツテ居ルカライカヌ、兎ニ角
  サウ云フコトハ能ク連絡ヲ取ツテ、國策ニ
  副フヤウニナサイト云フヨリ外ニナイ、是
  ハヤハリ一ケ年ノ間延ビル外ナイノデ其ノ
  點ハ私甚ダ遺憾ニ思ヒマス、併シ延ビズニ
  出來ル方ガ宜イノデアルカラ、事務的ノ啀
  合ヒナドハ廢シテ、ヨリ以上ニ〓究シテ、
  本當ニ兩當局ガ力ヲ入レラレンコトヲ私ハ
  此ノ問題ニ付テ希望致シテ置キマス
  ソレカラ先程ノ大藏大臣ノ御答辯ハ承服
  出來マセヌ、尙ホ終リノ分ニハ答辯ガナカ
  ツタガ、要スルニ鑛業法ノ改正委員會ヨリ
  モ、此ノ增稅ノ委員會デヤツタ方ガ私ハ時
  ト場所ヲ得テ居ルト思フカラ、此ノ席デ御尋
  ネ申上ゲルノデアリマス、供託金ハ自分ノ
  社內ニ留保スルノデハアリマセヌ、アナタ
  ノ今ノ答辯デハ會社ニ置クモノデアルカラ、
  稅金ヲ徵ツテモ宜イトカ仰シヤツタガ、供
  託局ニ供託スレバ自分ガ使ヒタクテモ、其
  ノ金ハ商工省ノ方デ調停ガ成立ツテ、モウ
  被害ガチイト云フコトヲ十年以後ニ於テ認
  定セザル限リ、使フコトガ出來ヌ、廿四五
  ルト今言フ供託金ト云フモノハ營業費デ支
  出セズニ、營業收益稅ヲ納メ、所得稅ヲ納
  メテ色々ノ課稅ヲサレテモ、ソレハ私有ノ
  財產トハ全然違フコトニナル、法律ニ依ツテ
  强制的ニ供託サセラレル金デアツテ自由ニ
  ナラヌ金デアル、而モ其ノ金ハ要ラヌ金デ
  ハナイ、商工省ノ方デ指定スルト云フノハ、
  凡ソ從來ノ被害ノ程度ヲ參酌シテ、一瓲當
  リ何程カノ金額ヲ供託サセルノデアリマス、
  從來步ンデ來タ跡ヲ見テ、一瓲當リノ單價
  ヲ決メルノデアルカラ大キナ違ヒハナイ、
  災害ガアルバ何レハ調停ニ掛ル、其ノ時ニ
  ハ供託シタ金以上ハ掛ルマイガ、大體供託
  シタ程度ノ金ハ要ルノデアル、其ノモノヲ
  年々支出ノ方ニセズニ置イテ、調停ガ成立
  ツタ時ニ、一時ニ之ヲ支出ノ部ニ計上ヲシ
  テ出損ニスルト云フコトハ、會社ヲ賄ウテ
  行ク上ニ於テモ、經理上非常ニ困ル問題デ
  アル、吾々ハ前々カラ其ノ事ニ氣付イテ居
  ツタ、サウ云フコトヲシテ順調ニ步ンデ居
  ル會社-會社ニハ限リマセヌ、個人デモ
  法人デモ、之ヲ困ラスヤウナコトヲセズ、
  其ノ都度年々供託シタ金ヲ支出トシテ、之
  ヲ營業費ニ計上セシメル、十年後、二十年
  後、五十年後ニ事故ニ對シテ調停ガ成立ツ
  テ、其ノ金額ガ決定シ、支出ヲシテ餘リガ
  アツテ戾ツタ場合ニハ、雜收入、雜益トシ
  テ、其ノ個人若クハ法人ノ所得ト看做サレ
  ルノデアリマス、サウスル時ニハ、可ナリ
  稅率ノ高イモノヲ納メナケレバナラヌヤウ
  ニナルカモ知レマセヌガ、高イモノヲ納メ
  テモ其ノ方ガ安全デアル、又事業家トシテ
  ハ金ヲ借リテヤル者ガ今日ハ多イノデアル
  ガ、其ノ金ノ借入先ニ對シテモ、私ガ前段
  述ベタ不都合ト不便ヲ感ゼズニ行カレルノ
  デアルカラ、僅カナ稅金額ノ爲ニ斯ウ云フ
  處置ヲ採ルコトハドウ考ヘテモ-今日
  鑛物ノ增產ヲ圖ツテ居ル建前カラ言ツテモ
  要領ガ惡イ、私ハ常ニ其ノ考ヲ持ツテ居ル
  ノデアル、大藏大臣モ個人ヤ法人ヲ困ラセ
  ヌヤウナ態度ヲ採ラウト思ヘバ、今ノ建前
  デ行クコトハ不合理デアリ、不都合デアル
  ト御氣付ニナルト思ヒマスガ如何デセウ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=127

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• 128・石渡莊太郎

  ○石渡國務大臣　私ハ此ノ問題ニ付テ觀念
  ガハツキリ致シテ居ラナイノデアリマシテ、
  先達テサウ云フ話ヲ聞キマシタカラ、應
  私ノ意見ダケハ申シテ置イタヤウナ次第デ
  ゴザイマス、此ノ供託シタ金ニ付キマシテモ、
  其ノ所有權ハ會社又ハ個人ニ在ルト思フノ
  デゴザイマス、ソレガ十年後ドウナル
  カト云フト、ヤハリ自分ノ會社ノ金デ
  アルト思フノデアリマシテ、ソレガ他
  人ノ所ヘ行ク譯デハナイノデアリマス、隨
  テ會社ノ支出トシテ之ヲ考ヘル譯ニハ行カ
  ナイノデハアルマイカト思フノデアリマス、
  今御話ノアリマシタヤウニ、一方デ金ヲ借
  リテ居ツテ、其ノ借リタ金デ供託ヲシテ居
  ルヤウナ關係ガアリマスナラバ、借リタ金
  ニ對シテ、一方ニ於テハ債務ノ利子トシテ
  引去ルト同時ニ、一方デハ債權ノ利子トシ
  テ入ツテ來ルノデハナイカト思フノデアリ
  そう、其ノ點カラ考ヘマシテモ、之ヲ支出
  金ト認メルト云フノハ如何カト思フノデア
  リマス、尙ホ詳細ハ政府委員カラ御答致シ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=128

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• 129・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　私カラ多少補足シテ御答
  致シタイト存ジマス、石炭業者ノ供託金ノ
  點ニ付キマシテハ、私モ相當考究ヲ致シタ
  ノデアリマスガ、此ノ建テ方ハ兎ニ角會社
  ノ所有ヲ離レナイデ供託ヲシテ置ク、サウ
  シテ或ル期間災害ガ發生シナケレバ供託ガ
  解除サレテ、ヤハリ元ノ鑛業權者ノ所ヘ歸
  ルト云フ機構ニナツテ居リマスカラ、其ノ
  機構ノ下ニ於テハ、所得稅法、營業收益稅
  法ノ適用上、經費トシテ見ルノハ行キ過ギ
  ノ感ガアル、例ヘバ他ノ保險料ノ支拂ノ如
  ク、其ノ會社ノ手ヲ全ク離レテシマフト云
  フ機構ヲ持タセルナラバ兎ニ角、會社ニ所
  有權ハ依然トシテアル、サウシテ事故ガ發
  生シテ賠償ノ責ニ任ジタ場合ニハ、供託金
  有價證劵ハ返サレル、斯ウ云フコトニナツ
  テ居ルノデゴザイマスカラ、唯供託シタ場
  合ニ、直チニソレヲ經費トシテ見ルノハド
  ウシテモ行過ギルト云フノデ、サウモ致シ
  兼ネタ次第デゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=129

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• 130・森田福市

  ○森田(福)委員　主稅局長モ遺憾ナガラ本
  問題ガ頭ニ入ツテ居ナイ、アナタモ委員會ニ
  出テ居ルト宜カツタノデアリマスガ、委員
  會ニ出テ居ラヌカラ肚ニ入ツテ居ラヌ答辯
  ヲシテ居ル、ソレハ斯ウナツテ居ル、供託
  金ト云フモノハ、ドウ云フ風ニシテヤルカ
  ト云フト、被害ノナイ所ニハサセナイ、被
  害ノアル所ニ對シテ、其ノ被害ノ程度ニ依
  ツテ、被害ノ多イ所ニハ一瓲當リノ供託金
  ヲ多クサセルダラウシ、被害ノ少イ所ニハ
  一瓲當リノ供託金ヲ少クサセルダラウ、從
  來被害ガ全然ナカツタ所ヤ、將來被害ノナ
  ササウナ所ニハ供託金ハサセナイト聞イテ
  居ル、サウスルト、今言フヤウニ十年先ニ
  ハ戾ツテ來ルトカ、二十年先ニハ戾ツテ來
  ルトカ云フコトヲ當テニスルコトハ-何
  程カ殘餘ガ戾ツテ來ルコトハアル、併シナ
  ガラ全額戾ツテ來ヌコトハ明カダ、被害ノ
  ナイ所ニハ積立テサセヌノデアル、ソレカ
  ラモウ一ツアナタガ考ヘナケレバナラヌコ
  トハ、會社ニ何時マデモ其ノ供託金ハ殘ツ
  テ居ナイノデアル、鑛業權ヲ賣レバ、供託
  金ハ附イテ來ルヤウニナル、今マデ積ンダ
  金ハ次ノ買ウタ人ニ行ク、ソレヲ買フ人ハ
  是ハ當然ノ義務トシテ積立テテ居ル金ダカ
  ラ、此ノ積立金ニ對シテハ支拂フ必要ガナ
  イト云フ位ノコトハ、事業ヲヤツタ者ハ直
  グニ分ル、相當ナ被害ガアレバコソ商工
  省ガ積マシタ金デアルカラ、之ヲ肩代リシ
  テモ其ノ金ヲ拂ハヌコトハ明カデアル、被
  害ガアルト認メテ、其ノ金額ヲ商工省ガ勅
  令ニ依ツテ積マシタノデアルガ-今主稅
  局長サンノ御答辯デハ、此ノ供託金ノ趣旨
  ガ肚ニ入ツテ居リマセヌヨ、玆デ御座ナリ
  ノ答辯デモ結構ダガ、內輪デ商工省ノ人ヲ
  入レテ〓究サレタラドウカ、私ハ此ノ委員
  會ガ濟ムマデニ答辯ヲ得レバ宜イノデスカ
  ラ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=130

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• 131・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　此ノ制度ヲ設ケマシタ理
  由、及ビ積立ノ程度ト云フコトハ、大體森
  田サンノ御述ベニナツタ通リカト存ジマス、
  併シソレナラバナゼ一旦供託シタモノヲ、
  何年カノ間ニ事故ガ發生シナカツタ場合ニ
  ハ元ノ鑛業權者ノ所ニ戾ツテ來ルコトヲ
  特ニ認メナケレバナラヌカ、茲ニ私ハ疑ガ
  アルト思フノデアリマス、ソレデ全的ニ之
  ヲ經費トシテ見ルコトハ、モウ少シ考究ヲ
  要スルノデハナイカ、アノ機構ノ下ニ於テ
  全部ヲ經費ニ見ルノハドウシテモ承服シ
  難イ、斯ウ云フ譯デゴザイマス
  第二點ノ鑛業權ヲ他ニ賣却シタ場合ニ、
  供託金モ一緒ニソチラノ方ニ行ク、是モ承
  知致シテ居リマス、此ノ場合ニ鑛業權ト供
  託金ノ兩方ヲ包括サレタ價格デ賣却サレテ
  居ルモノト見テ居リマス、隨テソコニ何等
  矛盾モ撞着モナイ、斯ウ考ヘル次第デゴザ
  イマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=131

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• 132・森田福市

  ○森田(福)委員　此ノ點ヲ押返シテハ時間
  ヲ長ク費スコトニナツテ恐縮デアリマス
  ガ、私ハ今ノ主稅局長ノ御答辯デハ全然承
  服スルコトガ出來ナイ、ナゼ承服ガ出來ナ
  イカト云フト、法律ノ一字一句ヲ摑ヘル官
  僚ノ是ハヤリサウナコトダ、理窟的ニ言ツ
  テ、被害ガナカツタナラバ戾スト書イテア
  ルト云フ、ソレハ成程書イテアルガ、併シ
  ソレハ被害ガ全部アルトモ、ナイトモ書イテ
  ナイ、而モ被害ノ程度ヲ參酌シテ積マセタ
  金ヲ、調停額ニ依ツテ取ツテ、餘ガアレバ戾
  スコトニナル、全然被害ガナイヤウナ所ハ
  アノ法律ノ建前カラ積マサヌ筈ナンデアル、
  北海道ノヤウナ陷落ハ全部ニモ起キマスマ
  イ、サウ云フ被害ノ關係ノナササウナ所ニ
  ハ之ヲ積マサヌモノダト聞イテ居ル、又ソ
  レガ本當デアリマス、サウスルト今アナタ
  ノ仰シヤツタヤウナコトニナルノヂヤナイ、
  ソレカラ供託金ハ會社ノモノデアルト云フ、
  名目上ハ會社ノモノデアルガ、實際論カラ
  言ヘバ自由ニナラヌモノデアル、主稅局長
  ノ大矢サンガ百万圓金ヲ持ツテ居ルト云フ
  テモ、何處カニ持ツテ行ツテ預ケテ、ソレ
  ヲ引出スコトモ擔保ニ入レルコトモ使フコ
  トモ出來ナケレバ、アナタハ持ツテ居ツテ稅
  金ヲ納メルノガ樂ミデスカ、サウ云フヤウナ
  議論ヲ立テズニ言ツテ貰ヒタイ、實際論ニ依
  ツテ議論ヲ立テテ、サウシテ本當ニ業界ニ
  迷惑ヲ掛ケナイヤウニ、誰ガ考ヘテモ當然
  ダト思ハレルヤウニ行カナケレバナラヌノ
  デアルカラ、ドウカ當局ハ一ツ實際ニ卽ス
  ル答辯ガ出來ルヤウニ、アナタ方ノ內輪デ
  商工省ノ人ヲ加ヘルナリシテ〓究ヲ願ヒタ
  イ、サウシテ成ベク早イ時ニ理論ノ立ツタ
  答辯ヲセラレタイ、今ノ主稅局長ノ答辯ナ
  ドハ、法律ニ斯ウ書イテアルカラト言フガ、
  書イテアルト云ツテモ實際論カラ言ヘバ、
  被害ノナイ所ニ戾スト云フノハ剩ツタ金ヲ
  戾スノデアル、被害ノナイ所ハ積立ヲサセ
  又、テンデ商工省ノ人カラ說明ヲ聽イテ居
  ナイ、商工當局モ私ガ聞イタ時ニハ相當說
  明シタケレドモ、尙ホ大藏當局ハ一向肯定
  セヌト言ツテ居ル、是デ見ルト說明ガ足ツ
  テ居ラヌ、能ク打合セヲシテ、誰ガ考ヘテ
  モ無理ガナイト云フ所デ答辯ヲナサルヤウ
  ニ私ハ希望シテ置ク

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=132

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• 133・大矢半次郎

  ○大矢政府委員　再三意見ニ亙ルヤウナコ
  トヲ申上ゲテ恐縮デアリマスケレドモ、尙
  ホ一遍御答致シタイト存ジマス、此ノ供託
  金ニ付キマシテハ、森田サンノ御述ニナリ
  マシタヤウナ特殊ノ事情ノアルコトハ私共
  認メテ居リマスケレドモ、是ガ爲ニアノ儘
  ノ機構デ全部之ヲ經費ニ見テ吳レト言フノ
  ハ行キ過ギダト先程カラ申上ゲテ居ルノ
  デアリマス、將來アノ機構ヲ變ヘルトカ、
  別ノ方途ヲ考ヘルヤウニナリマスルト、又
  自ラ私共ノ考モ變ツテ來ルカト存ジマス、
  少クトモアノ機構ノ儘ニ於テ總テヲ經費ニ
  見ルト云フノハ、他ノ一般ノ課稅ノ振合カ
  ラ考ヘマシテ、俄ニ同意スル譯ニ行カヌ、斯
  ウ云フ次第デゴゴイマス、ソレカラ供託シ
  タモノハ自分ノ自由ニナラナイ、サウ云フ
  モノニ課稅サレルノハ無理ダト仰シヤルノ
  ハ、是ハ言葉尻ヲ捉ヘルコトニ相成ルカモ
  知レマセヌガ、例ヘバ貯蓄銀行ノ如キモ、
  其ノ受入レタ貯蓄額ノ三分ノ一ハ有價證劵
  ヲ政府ヘ供託シロ、斯ウ云フヤウニナツテ
  供託シテ居リマシテ、而モ其ノ供託有價證
  劵ハ、供託シタ場合ニ決シテ貯蓄銀行ノ經
  費ニ見テ居ナイノデアリマシテ、貯蓄銀行
  ハ自由ニスル譯デアリマセヌ、多少言葉尻
  ヲ捉マヘタヤウチ形ハアリマスケレドモ、
  一言サウ云フコトヲ申上ゲテ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=133

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• 134・森田福市

  ○森田(福)委員　今ノ主稅局長ノ答辯ノ貯
  蓄銀行ナドガ供託スル金トカ、物件ノ契約
  ヲシテ、契約ノ保證金ヲ積ムノトハ違フノ
  ダ、ソレハ取付ニ遭ツタ時トカ、或ハ契約
  ヲ履行シナイ時トカ、サウ云フヤウナ時ノ
  爲ニ取ル意味ノ保證金デアル、是ハ被害ガ
  分ツテ居ル、被害ガ分ツテ居ルガ、唯金額ノ
  調停ガ至ラヌカラ、調停ガ濟ンダ時ニ鑛業主
  側ガ調停金額ヲ供託セヌ虞ガアルカラ年々
  積マシテ置ク、要ル金デアル、要ラヌ金ヂヤ
  ナイ、デアルカラ其ノ點デアナタノヤウナ貯
  蓄銀行ノ例ヲ引イタリ、他ノ契約保證金ノ
  例ヲ引イタリシタノデハ、ガツチリ吾々ガ
  肯定スル譯ニハイカヌカラ、何人モ肯定出
  來ルヤウ答辯ヲスルヤウニ調査〓究ヲナサ
  イ、時間ノ關係上面目ヤ議論ハヤル場合デ
  ハナイ、ト云フコトヲ私ハ申上ゲテ居ル、
  御分リデセウ、幸ニ稅ノ方面デハ便法ガ講
  ゼラレ、附則ノ中ニ免稅點ヤ何カ澤山ア
  ル、此ノ點デ考慮スルコトモ出來ル、又鑛
  業法ノ改正モ掛ツテ居ル、ドチラデモ宜イ
  カラ、アナタ方ガ國策ニ副フ生產擴充ヲ妨
  ゲナイ方法ヲヤリナサイ、モウ一ツ大藏大
  臣ノ答辯ハ、法人モ個人モ一緒デアリマス
  ガ、其ノモノガ何年カ先ニ調停ガ濟ンデ、
  ソレヲ一時ニ營業費トシテ支出シタ時ニ、
  其ノ會社ハ經理上困ルト云フコトヲ言フ、
  二十万圓ノ被害金額ノ調停ガ濟ンデ收メ
  ル、當期營業純益ハ十五万圓デアルト云フ
  場合ニ、損失ヲ五万圓計上シナケレバナラ
  ヌト云フコトニナツテ行クカラ、會社ノ經
  營ニシテモ、個人ノ經營ニシテモ、ソコニ
  行詰リヲ生ジテ、金融機關ナドノ拘束ヲ受
  ケルト云フコトニナル、借リテ供託スレバ
  金利ガ要ルト云フ馬鹿ナ質問ハ致シテ居リ
  マセヌ、金ヲ借リレバ利子ノ要ルコトハ質
  問者デアル私モ屢〓借リテ居ルカラ知ツテ居
  ル、サウ云フ愚論ハ致シマセヌ、是ハアナ
  タノ監督ナサツテ居ル興業銀行ニ借リニ行
  ツテモ、貸ス時ノ條件ニアルデハアリマセ
  ヌカ、儲ケテ居ルカ、儲ケテ居ラヌカ、配
  當ハドウ、損失ガ行ケバ貸サヌ、損失ガ行
  ツタリ、俄ニ經濟ニ激變ガアレバ一時ニ償
  還ヲ命ズルコトヲ得ト云フコトガアルヂヤ
  アリマセヌカ、サウ云フ所ニモ支障ヲ來シ
  テ居ル、今ノヤウナノハ年々出シテ置イ
  テ、被害金額ガ調停ニナツテ餘リガ出タ時
  ニ、之ヲ雜收入、雜益ニ振込ム、其ノ時ニ
  稅金ヲ取レバ、事業家ハ何モ彼此レ言フマ
  1、早ク取ルカ後デ取ルカノ違ヒダカラ、
  國家トシテノ經理ニ大キナ影響ヲスル金デ
  ナイ、無理シテヤラヌデ宜カラウト云フノ
  ガ私ノ質問ノ趣旨ナノデアリマス、能クア
  ナタ方ハ御考ニナツテ、成程ソレハドウモ
  取ランケレバナラヌダラウト肯定ノ出來ル
  ヤウナ答辯ヲ與ヘラレレバ、私ハ追求シマ
  セヌ、今ノ主稅局長ノヤウナ答辯デハ私ダ
  ケデハナイ、誰ガ聽イテ居ツテモ、成程御
  尤ダト云フモノハアルマイト思フ、能ク
  ツ御〓究ヲ願ツテ、此ノ法律デモ宜シイ、
  或ハ鑛業法ノ改正ノ時デモ宜シイ、其ノ
  結末ガ付クマデニ政府トシテノ案ヲ御示シ
  願フコトニ致シマス
  次ニ今ノ大藏大臣ノ答辯ニ鑛業權ノ-
  船舶ノ部ハ商工大臣ニ關係ガナイカラ
  私ハ申サズニ、鑛業權ノ賣買ノ四分ノ
  一ノ稅ハ私ガ心配スル程ノ問題ヂヤナイ
  ト云フヤウナ意味合ニ言ハレタガ、サウ
  スルト是ハ私ノ𣏌憂ノ質問カモ知レマセ
  又カ、今玆ニ提案サレテアル法律ニ依ル
  ト、船舶若クハ鑛業權ノ賣買ヲヤツテ、其
  ノ買ウタモノ、若シクハ昔ニ買ウタモノナ
  ラバ、昭和十一年ノ十二月三十一日ニ評價
  ヲシテ、サウシテ賣買シタ價額トノ差、色々
  ナ是ノ附帶經費ヲ引去ツタ殘リヲ臨時利得
  ト見テ、百分ノ二十五ノ課稅ヲヤルト書イ
  テアル、サウスルト假ニ鑛業權ナンカヲ見
  積リヲシテ、其ノ見積リニ依ツテ現物出資
  ニ依ツテ株劵ヲ交付シタモノニ對シテハ、
  此ノ利得稅ハ取ラナイノデアリマスカ、ツ
  レナラバ私ノ質問ノ角度ガ全然變ツテ來ル
  ノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=134

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• 135・石渡莊太郎

  ○石渡國務大臣　昭和十三年中ニ於テ賣買
  ガ行ハレタ、斯ウ云フモノニ對シテ課稅致
  スコトニ相成ルコトトナツテ居ル譯デゴザ
  イマス、今ノ御尋ノ點ハ鑛業權ノ賣買價額
  ト云フモノヲ標準ニシテ課稅致ス、所謂移轉
  稅ト云フヤウナモノデゴザイマセヌ、是一
  儲ケノアルモノニ課稅スルノデアリマスカ
  ラ、移轉稅ト同樣ニ御考ニナツテハ困リマ
  ス、斯ウ云フコトヲ申上ゲタ譯デゴザイマ
  ス、株式デ與ヘタモノニ付テハ其ノ株式ノ
  時價ヲ評價シテ相當ナ儲ケガアルナラバ是
  ハ課稅ヲ受ケル、斯ウ存ジマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=135

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• 136・森田福市

  ○森田(福)委員　サウスルト私ノ質問ノ通
  リニナル、一ツモ變ツテ居ルコトハナイ、
  問題ニスル程ノコトデモナイデモナイ、大
  キナ問題デアル、ソレデ私ガ商工大臣ト大
  藏大臣ト兩方ガ居ラナケレバイカヌト申上
  ゲタノハ、若シ是ガ此ノ儘此ノ議會ヲ通過
  シテ行ツタトスルナラバ、商工大臣ハ斯ウ
  云フ法律ヲ施行シテモ、助成ヲスルカラ鑛物
  ノ增產ニハ今後大シタ影響ハナイト言ハレ
  ルカツ、ドウ云フ助成ヲナサルノデアリマス
  カ、鑛業權ノ評價ヲシテ其ノ四分ノ一ヲ大
  藏省ガ稅ヲ取ルト云フガ、サウスルト其ノ
  四分ノ一ニ相當スル以上ノ額ヲ助成金トシ
  テ交付ナサルノデアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=136

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• 137・八田嘉明

  ○八田國務大臣　私ノ申上ゲタノハサウ云
  フ意味デハナイノデアリマス、稅ハ稅デ、
  稅ニ無關係ニ、利得ガアレバソレニ對シテ
  適當ナル稅ヲ取ルト云フコトハ、稅法ノ方
  カラ來ルノデアリマスガ、其ノ稅ヲ取ルガ
  爲ニ鑛業開發ガ發展シナイト云フコトハナ
  イト申上ゲタノデアリマス、而シテ鑛業ニ
  對シテハ既ニ金其ノ他ニ對シマシテモ開發
  ニ支援致シテ居リマス、又今後ニ於キマシ
  テモ總テノ必要ナル鑛產ニ對シマシテ政府
  ハ開發ノ出來マスヤウニ相當努力スル積リ
  デアルト云フ意味デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=137

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• 138・森田福市

  ○森田(福)委員　私ハ御經驗ノ薄イ商工大
  臣ヲ深ミニ追ヒ込マウト云フノデハナイ、
  誤ノナイヤウニ願ツテ置キタイノデアリマ
  ス、併シ今ノヤウナ答辯デハ何トシテモ肯
  定ハ出來ナイ、何故肯定ガ出來ヌカト云フ
  ト、ソレハ斯ウナンデアル、今大藏大臣ノ
  言ハレタコトハ肯定ガ出來マス、賣ツテ利
  得ノアツタ者カラ稅ヲ取ルト云フノハ洵ニ
  結構ナコトデアル、所ガ利得ガアルカナイ
  カノ算定ハ稅務當局デヤル、今大藏大臣ガ
  言ハレタガ、現物出資ニ依ツテ株式ニ換ヘ
  テアル、其ノ株式ノ相場ヲ參酌スルト言
  フ、所ガサウ云フ會社ノ株ハ公定價格ハア
  リマセヌ、モウ一ツ言ヘバ定期ニモ實物取
  引ノ市場ニモ出マセヌ、サウスルト十二圓
  五十錢トカ、二十圓トカ、五十圓トカ拂込
  ノ額ヲ標準ニ置クヨリ外ニ途ハナイ、賣買
  ヲヤラヌ株デアル、同族デス、此ノ鑛業權
  ヲ株式ニ評價シテ、現物出資ニ依ツテ株式
  會社ヲ組織シタノハ〓ネ同族カ、或ハ八人
  十人ト云フ小人數ノ會社デアリマス、隨テ
  株式ガ市場ニ出ヌノデアリマスカラ、此ノ
  評價ハ政府當局、卽チ稅務當局ガヤルノデ
  アリマス、稅務當局ハ從來ノ例ニ徵シテモ
  市場相場ノナイモノハ拂込額ニ據ツテ居ル
  デハアリマセヌカ、サウスルト大藏大臣ガ
  言ハレルヤウナコトハ出來ヌコトニナル、
  ソレカラ商工大臣ハ利得ノアツタ者カラ稅
  ヲ取ル建前デアルト仰シヤル、ソレハ其ノ
  通リデアル、利得ガアレバ私ハ此處デソン
  ナ質問ハ致シマセヌ、利得ノナイ場合ノ方
  ガ多イノデス、モウ一度能ク分ルヤウニ申
  上ゲルト、鑛業權ト云フモノハ何人カガ鑛
  山ヲ發見シテ來ル、併シ發見シタ者ガ鑛業
  權ノ願出ハセヌ、發見シタ者ハ願出ヲシヨ
  ウニモ五十圓ノ印紙代ガナイ、ソレデ印紙
  代ノアル程度ノ人ニ持ツテ行ツテ試掘願ヲ
  出願スル、サウシテ試掘ノ許可ガ來ルノニ
  何年掛ルカ、今日ハ忙ガシイト見エテ手間
  暇ガ要ツテ、中々間ニ合ウテ居リマセヌ
  ガ、兎ニ角何年カ經ツテ試掘ノ許可ガ來
  ル、サウシテ此ノ鑛業權ガ轉々スル、是ハ
  商工省ノ鑛山關係當局ガ御承知ノ通リデア
  ル、轉々スルガ、試掘ヲスルニハ相當ノ資
  金ヲ要スル、其ノ資金ハ現金ヲ支出シテ貰ハ
  ウト思ヘバ其ノ鑛業權ヲ五十万圓トカ、百
  万圓トカ、何百万圓トカ株式ニ評價シテ、
  謂ハバ空株ノヤウナモノヲ發行シテ、其ノ
  半分ナラ半分ヲ現物出資スル人ニ提供ス
  ル、是ダケノ株ヲ只上ゲルカラ、今後要
  スル五十万圓百万圓ノ金ヲアナタガ出シ
  テ試掘ヲシテ吳レ、採掘ヲシテ吳レ、斯
  ウ云フコトガドン〓〓行ハレテ居ルカ
  ラ、今日稍〓盛ニナツテ行ツテ居ルノ
  デアリマス、併シナガラ現金ヲ掛ケテ試
  掘採掘ヲシタモノガ悉ク當ツテ居ラウ筈ハ
  アリマセヌ、十ノ中デ一ツ當ルカ當ラヌカ
  ト云フ程度デアル、デアルカラ斯ウ云フ方
  面ノモノモ、其ノ評價カラ、賣買價格カラ、
  昭和十一年ノ十二月三十一日ヲ抑ヘテ行ケ
  バ、案外五十圓カ百圓位カモ分ラヌ、サウ
  云フモノカラ今度百万圓ノ鑛業權ガアツタ
  カラト云ツテ、二十五万圓取ラウトシテモ
  取レハセヌ、實際株式ヲ貰ツタ人ハ、株式
  ヲ抵當ニシタリ、擔保ニ入レテ居ルカラソ
  レガ轉々シテ居ツテ取レハスマイ、サウ云
  フコトガアル爲ニ、サウ云フ組織ノ會社ガ
  出來ナクナルカラ、勢ヒ此ノ試掘採掘ニ現
  金ヲ出シテ居ツタ資本家ガ出サナイヤウニ
  ナル、サウナルト鑛物ノ增產ナドハ思ヒモ
  寄ラヌ、增產ドコロデハナイ、非常ナ
  減退ヲ來シテ來ル、國策トハ反スル結果
  ニナツテ來ル、ソレニ對シテ商工大臣ハ助
  成ヲスルトカ、色々ナコトヲヤルヤウナ
  コトヲ言ハレルガ、具體的ニハアナタノ
  意見ハ一ツモ出テ居ナイ、ソレハヤリヤ
  ウガナイデハアリマセヌカ、私ガ言フヤ
  ウニサウ云フ稅金ヲ取ラレルナラバ、助成
  金トシテ商工省ガ金ヲ出シテヤルノモ一ツ
  ノ助成デアル、或ハサウデハナク、鑛業權
  ヲ見付ケテ來ルナラバ、商工省ガドン〓〓
  金ヲ掛ケテ開發スルカラ、サウ云フ資本家
  ノ手ヲ煩サヌト云フノモ一ツノ助成デア
  ル、併シナガラ單ニ助成ヲスルト言ツタダ
  ケデハ、吾々ハ安心シテ此ノ案ニ贊成スル
  コトハ出來ナイ、デアルカラ大藏省モ商工
  省モ餘程此ノ點ハ考ヘテヤラヌト、アナタ
  方ガ是非ヤルト言ツテ無理押シニ通スナラ
  バ、或ハ通ルカモ知レヌガ、私ハ無事ニ通
  ラウトモ思ハヌガ、併シ是ハ分リマセヌ、
  若シサウナツタ曉ニハ鑛物ノ增產ナドハ思
  ヒモ寄ラヌ、火ガ消エタヤウニナルト私ハ
  思フ、人間ハ慾ナモノデス、事業家ハ慾ガ
  アルカラ、サウ云フ者カラ株デモ貰ヘバ、
  二ツトナイ現金ヲ支出シテ採掘シテヤツテ
  居ルノガ今日ノ現實ノ狀態デアル、ソレヲ
  抑ヘテシマフト此ノ鑛業權ノ賣買ガナクナ
  ル、ナクナツタ結果ハ鑛物ノ增產ハ幾ラ商
  工大臣ガ踏ン張ツテ見テモ、ヤハリ國民ガ
  協力ヲ與ヘルノデナケレバ駄目ダト思フ、
  斯樣ニ考ヘテ居ルカラ、此ノ點ニ對シテハ
  明答ガ出來ナケレバ政府委員ノ方ニ伺ツテ
  見タイト思フガ、兩大臣ハ今ノヤウナ私ガ
  詳シク述ベタコトニ對シテモ、ソレデモ支
  障ナシト答ヘラレマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=138

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• 139・石渡莊太郎

  ○石渡國務大臣　鑛業權ノ賣買ニ付テ何處
  ニ儲ケガアルカドウカ、是ハ今日會社ノ場
  合ニ於テハ、會社ガ賣ツテ儲ケノアルモノ
  ニ付テハ既ニ課稅シテ居リマス、要スルニ
  問題ハ個人ノ場合ニ限ルノデアリマス、個
  人ガ鑛業權ヲ賣ツタ場合ニ、何處ニ儲ケガ
  アルカドウカ、斯ウ云フ問題デアルト思フ
  ノデアリマス、隨テ個人ガ鑛業權ヲ買ツ
  テ、サウシテソレヲ賣ツテ株式ヲ手ニ入レ
  タ、其ノ株式ヲ時價ニ依ツテ算定シマシ
  テ、其ノ差額ニ儲ケガアツタナラバ是ハ課
  稅出來ルノハ當リ前デアルト考ヘルノデア
  リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=139

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• 140・八田嘉明

  ○八田國務大臣　今大藏大臣ガ答ヘラレタ
  通リデアリマス、唯商工省トシテ實際生產
  力擴充ノ上ニ於テ今ノ問題ガドウ云フ風ニ
  關係ガアルカト云フコトハ、私モ各方面カ
  ラモウ少シ〓究シテ見マセヌト、アナタノ
  御滿足ニナルヤウナ答ハ出來ナイカト思ヒ
  マスガ、一言申シマスレバ、今森田サンノ
  御述ニナリマシタ說ガ實ハ私ハマダ頭ニピ
  ント入ツテ居リマセヌガ、多分斯ウ云フコト
  デハナイカト思フ、現在山ヲ持ツテ居ツテ、
  其ノ山ガ五万圓ナラ五万圓ト評價サレテ居
  ル、是ハ山ノコトデスカラ本當ニ採掘シテ
  見ナケレバ百万圓ノ値打ガアルカドウカ分
  ラナイノダガ、ソコガマアオ互ニ話合ツタ
  結果、百万圓ノ會社ナリ何ナリニナツタト
  スルト、其ノ差額ニ稅ガ課ル、斯ウ云フ點
  ヂヤナイカト思フノデスガ、若シサウデア
  リマストスレバ、ソレハ成ルベクナラバ實
  際出テ來ルモノニ對シテ、利益ノ相當上ル
  ト云フコトハ商工當局トシテ、詰リ鑛山ノ
  開發ヲ望ム方ノ側カラ言ヒマスト望マシ
  イコトデアリマスガ、豫メ餘リ能ク分ラナ
  イモノヲ、何ト申シマセウカ、投機的ノ氣
  持デ資本增加ヲスルト云フコトハ、是ハ果
  シテ生產擴充ノ上カラ言ツテ宜イコトデア
  ルカドウカト云フコトニ、私ハ疑問ヲ持ツ
  ノデアリマス、隨ヒマシテ、見方ニ依ツテ
  ハアナタノ仰シヤルヤウニモナルカト思フ
  ノデアリマスガ、又私ガ一寸觸レマシタ所
  ノ點カラ見マスト、必ズシモサウデナイ、
  斯ウ云フ風ニマア御答シテ尙ホ〓究致シテ
  見タイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=140

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• 141・森田福市

  ○森田(福)委員　商工大臣ハ-私ハ商工
  大臣ヲ攻擊スルノデハアリマセヌガ、閣議
  ニ是ガ掛ツタ時ニ贊成ナスツタノニ、是カ
  ラ〓究シタノデハ、間ニ合ハヌ、閣議ニ掛
  ル前ニ〓究ヲシテ、贊成ナリヤ修正ナリヤ、
  反對ナリヤヲ考慮〓究スベキデアツテ、閣
  議ニ之ヲ掛ケテ議會ニ提案シテカラ、是力
  ラ〓究シテ見ルト云フコトハドウゾ思ヒ止
  ツテ貰ヒタイ、ソレヨリモ此ノ案ヲ今度ハ
  ドウヤツテ活カシテ行クカト云フコトニ向
  ツテ頭ヲ使ツテ貰ツタ方ガ宜イ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=141

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• 142・八田嘉明

  ○八田國務大臣　今私ガ〓究スルト言ツタ
  ノハ、アナタノ御質問ニ對シテ如何ニ御答
  シタラアナタガ御諒解下サルカト云フコト
  ヲ〓究スルト云フノデアリマシテ、稅ノ問
  題ヲ〓究スルノヂヤナイノデアリマスカ
  ラ、其ノ點ハ誤解ナイヤウニ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=142

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• 143・森田福市

  ○森田(福)委員　商工大臣ノ今ノ答辯ハ益ゝ
  私ハ奇怪ニ思フ、私ニ對スル答辯ヲ〓究スル
  ト云フコトハ何事デスカ、答辯ガ明瞭ニ出
  來ナケレバイカヌヂヤアリマセヌカ、アナ
  タハ〓究シテ之ヲ提案シタ一人ノ責任者デ
  アル、ソレガ今度私ガ質問シタカラト云フ
  ノデ、之ヲ〓究シナケレバ答辯ガ出來ヌヤ
  ウデハヤツパリ肚ニ入ツテ居ラヌ、肯定シテ
  ハ居ナイ、ソレカラ今ノ問題デモ、今ノ五
  万圓ノモノヲ百万圓デ賣ツタナラバ、其ノ
  利得デアルカラ稅ヲ課ケルコトハ宜カラ
  ウ、是ガ開發ニハ云々ト仰シヤツタガ、ソ
  レハ其ノ通リ、私ハソレヲ問ウテハ居ラヌ、
  五万圓ノモノヲ百万圓ノ現金デ賣ツテ九十
  五万圓ノ臨時利益ヲ得夕者ニ、諸經費ヲ引
  イテ課稅ヲシヨウト云フノハ、假令現金ヲ
  手許ニ持ツテ居ラウト居ルマイト、是ハ納
  メテ納メラレヌコトハアルマイ、併ナガラ
  私ノ問ウテ居ルノハ、アナタハ斯ウ云フコ
  トヲ仰シヤツタガ、アナタハ斯ウ云フ考ヲ
  持ツテオ居デニナルト山ノ經營ト云フモノ
  ハ難シクナル、山ト云フモノハ十ガ十當ル
  モノデハナイ、今アナタガ言フヤウニ、此
  ノ鑛業權ト云フモノガ百万圓アルカナイカ
  ト云フコトヲ究メテ、アリサウニモナササ
  ウナモノニ百万圓ヲ評價スルト云フコトハ
  投機的ダト仰シヤルガ、今日投機的ニナラ
  ザルヲ得ヌ點ヲ申上ゲマセウ、何故ナラバ、
  調査スルニハ「ポーリング」ヲ入レナケレバ
  ナラヌ、ソンナコトハ本家本元デアルカラ
  分ツテ居ル、併シ「ボーリング」ヲスルニモ
  機械ノ供給ガナイヂヤアリマセヌカ、何處
  ヘ行ツテモ鐵管一ツ完全ニ手ニ入ルノデハ
  ナシ、「モーター」一ツ完全ニ手ニ入ルデハ
  ナシ、「ワイヤー」一ツ完全ニ手ニ入ラヌ、
  是デ〓究ガ十分ニヤレマスカ、商工省ノ本
  家本元ノアナタノ所ガサウ云フモノヲ扱ウ
  テ居ル、サウスルト調査シヨウニモ、〓究
  シヨウニモ其ノ物資ノ供給ガ出來ナイカ
  ラ、完全ナ調査〓究ナドハ出來ヌ、隨テ成
  程百万圓ト評價シテ、石炭ハ一千万瓲假ニ
  出ルトシタモノガ、實際ヤツテ五十万瓲出
  ルカ、百万瓲出ルカ、或ハ十万瓲カ、或ハ
  零ト云フヤウナコトニナルカ分ラヌ、併シ
  ナガラサウ云フコトガアツテモ掛ケタ金ハ
  モウ戾ツテ來ナイ、資本家ノ出シタ金ハモ
  ウ戾ツテ來ナイ、片一方ニ將來大キナ、百
  万圓デ鑛業權ヲ積ツテ半額テ與ヘル、半額
  デ五十万圓ノ株劵ヲ與ヘルカラ是カラ試掘
  採掘ヲヤル、二十万圓出シテ吳レト云フノ
  デ現ニヤツテ居ル、サウスルト、假ニ調査
  ガ不行屆デアツテ、其ノ山カラ物ガ出ヌデ
  モあソコデ試掘シテ見テ、採掘シテ見テ、
  鑛山監督局ハ、アスコニハ石炭ハナイ、銅
  ハナイト云フコトガ人ノ資本ニ依ツテ國家
  ハ究メテ行クノガ現在ノ狀態デアル、山師
  デアルトカ、サウ云フコトヲスルコトハ歡
  迎セヌトカ、サウ云フコトヲヤツテ行ツテ、
  山ト云フモノハ百ニ一ツ當ルカ、二ツ當ル
  カ、是ハアナタハ山ヲオヤリニナツテ居ラ
  ヌカラ分ラヌ、ソレハ悉ク當ルモノヂヤア
  リマセヌ、當ルモノヂヤナイガ、數多クヤ
  ラシテ居ツテ當ラシテ行クコトガ宜イノヂ
  ヤナイカ、アナタノヤウナコトヲ言フト鑛
  物ノ增產ナドハ思ヒモ寄ラヌコトニナル、
  是ハ考ヲ一ツ商工當局トシテ變ヘテ貰ハナ
  イト、國家ノ鑛物增產計畫ト云フモノハ行
  ハレヌ、調査スルニシテモ技術屋ガ少イ、
  調査スル道具ガ更ニナイ、ソコデ今私ガ言
  フヤウナ方法ヲ執ツテ行ク、此ノ位ノ實情
  ハ鑛山監督局ノ連中ハ知ツテ居ル筈ダ、又
  知ツテ居ラナケレバイカヌ、サウ云フアナ
  タノヤウナ頭デハ鑛物ノ增產ハ出來ナイ、
  山師的投機的ナ云々ト云フガ、ソレガアル
  カラ產業ガ發達スル、株劵デモ、其ノ拂込
  ガ十分出來ナケレバ增產ガ出來ヌヂヤアリ
  マセヌカ、此ノ點ハ吾々ハ多年〓究シテ、
  今日ノ國策ノ線ニ副ウテ來ルニハ斯ウガ宜
  イ、ドウガ惡イト云フヤウナコトハ多少知
  ツテ居ル、或ハ閣僚諸君ヨリモ私ノ方ガ詳
  シイカモ知レヌ、ダカラ今ノヤウナ答辯デ
  ハ私ハ全然滿足シマセヌ、ソレカラ今ノ大
  藏大臣ノ答辯デモ、株價ナドト云フモノ
  ハ立ツテハ居ラヌ、斯ウ云フヤウナモ
  ノヲ評價シタ株劵ニ課稅ヲシヨウト思へ
  バ無理ガアツテ、今日ノ鑛產物ノ增產
  ハ不可能ニ陷ツテシマウ、況ヤ私ハモウ一
  ツ大藏大臣ノ御明答ヲ願ヒタイノハ、所
  得稅法ノ第十八條ノ五ニハ何ト書イテアリ
  マスカ、個人ノ一時所得ニハ課稅シナイト
  書イテアル、臨時利得稅法ノ第三條ニハ何
  ト書イテアルカ、法人ト個人ノ營業ヲ營ム
  者ニ課稅スルト書イテアル、サウスルト、
  臨時利得稅法ノ第三條ニ、法人ト個人ノ營業
  ヲ爲ス者ニ臨時利得稅ヲ課スルモノデアル
  コトハ國民ハ承知シテ居ル、一方所得稅法
  ク第十八條ノ五項ニ依ツテ、營業ニアラザ
  ル一時所得ニ課稅セヌコトモ明瞭ニナツテ
  居ル、ソレヲ今度ノ稅法ニ依ツテ行クト、
  本法ノ施行ハ昭和十四年四月一日、卽チ本
  年四月一日カラ此ノ法律ヲ實施シテ行ク、
  屆出ハ四月十五日マデニ前年ノ實績ニ依テ
  テヤルト云フノデアリマス、遡及スルノデ
  アリマス、遊興稅ヤ建築稅ハ遡及シナイ、
  獨リ船舶ト鑛業權ノ賣買ハ昭和十三年一月
  一日ニ遡及シテ行ク、國民ハソレハ承知シ
  テ居リマセヌ、所得稅法ノ建前カラデモ、
  臨時利得稅法ノ建前カラデモ是ハ肯定ハ致
  シマセヌ、政府ハ斯ウ云フ法律ヲ改正シテ
  一箇年前ニ遡及シテ行クト云フコトハ、法
  ノ建前カラ申シテモ私ハ合理合法ナモノト
  ハ全然思ハレヌノデス、四月一日カラ實行
  スルナラバ、四月一日以後ニ行ハレタコト
  ニ對シテ此ノ稅ヲ取ラウト云フナラバ强イ
  テ肯定ノ出來ヌコトヂヤナイケレドモ、今
  囘ノ此ノ法律ノ如ク一箇年間遡及スルト云
  フ前例ハ私ハ知ラヌノデアリマス、營業收
  益稅、所得稅ハ、稅法ノ制定サレタ時ニ既
  ニ前年サウ云フ事業ガ行ハレテ居ツタノダ
  カラ宜シイ、是ハ取ラヌト云フコトヲ明ニ
  書イテアル、所得稅法ニモ臨時利得稅法ニ
  モ是ハ取ラヌト明瞭ニ書イテ置イテ、今度
  闇打的ニ去年ノ一月一日ニ遡ルト云フコト
  ハ法律的ノ方カラ考ヘテモ私ハ無理ガアル
  ト思フガ、若シ御當局ガ無理デナイト辯明
  スルナラバ、其ノ無理デナイ點ヲ明瞭ニ何
  人モ肯定出來ルヤウニ說明ヲシテ戴キタイ
  ノデアリマス

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• 144・石渡莊太郎

  ○石渡國務大臣　市場等ニ上場シテ居ナイ
  株式ヲ拂込ンダモノニ付テ、其ノ評價ヲド
  ウ云フ風ニ見テ居ルカト斯ウ申セバ、是八
  稅務署トシマシテハ所得稅ニ依ツテ從來見
  テ居ルノデアリマシテ、今囘ノ此ノ鑛業權、
  船舶ノ讓渡ニ依ル所ノ課稅ト云フモノハ先
  程申上ゲマシタ通リサウ數モ餘計ナモノデ
  ゴザイマセヌ、相續稅、所得稅ヨリハ餘程
  少イモノデ、兩方合セマシテモサウ數ノ餘
  計ナモノデハゴザイマセヌカラ、隨テ其ノ
  課稅ニ當リマシテ株式市場ニ掛ラナイ株ノ
  評價ト云フモノニ付テモ、相當程度是ハ調
  査出來ル問題ダラウト思ヒマス、旣ニ今日
  サウ云フモノニ付テ他ノ稅デヤツテ居ルノ
  デゴザイマスカラ、決シテ時價ヲ誤ルヤウ
  ナコトハアルマイト存ジテ居リマス、但シ
  時價ノ公定ニ付テハ相當ナ困難ガゴザイマ
  スルガ、併シナガラソレヲ誤ルヤウナコト
  ハ萬アルマイト思ツテ居リマス、ソレカラ
  今一ツノ御尋ハ遡及ノ問題デアリマスガ、
  是ハ森田サンノ御話ノ風ニ行クナラバ、前
  年ノ實績ニ依リ翌年ニ於テ課稅スルト云フ
  コトハ中々難カシイコトニ相成ル譯デゴザ
  イマスガ、旣ニ之ニ近イサウ云フ例ハアル
  ノデアリマシテ、之ヲ嚴密ニ申セバ卽チ所
  得稅ノ稅率ヲ本年引上ゲル、引上ゲルノデ
  アルガ、其ノ課稅ヲ受ケル對象ハ昨年度ノ
  實績デアル、サウスレバ昨年中ニハ自分ノ
  稅金ハ千圓デアルト思ツテ働イテ居ツタノ
  ダガ、本年ハ千五百圓ニ相成ツタ、斯ウ云フ
  コトガイカヌト-昨年ノ所得ニ對シテ其
  ノ當時實行中ノ稅率ガ千圓デアルナラバ、
  今年ハ千圓ノ稅金デナケレバイカヌト、斯
  ウ云フノト、私ハ法律論トシテハ同ジコト
  ダト思フノデアリマス(「違フ〓〓」ト呼フ
  者アリ」)其ノ前年ニ遡及スルト否トヲ問ハ
  ズ其ノ賣買ノ行ハレタ當時ノ法律ノ狀態ト
  云フモノト離レテ課稅シテ差支ナイト思フ
  ノデアリマス、ソレハ既ニ先例ハアルト私
  ハ思フノデアリマス

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• 145・森田福市

  ○森田(福)委員　時間ガ經ツテ居リマスカ
  ラ、今日ハ此ノ程度ニシテ置キタイト思ヒ
  マスガ、唯一點最後ニ大藏大臣ノ前段ニ述
  ベラレタ分ヲ私ハ肯定致シマセヌ、株價ハ
  稅務當局ガ適當ナ評價ヲスル、稅務當局ガ
  ヤツテ居ルノハ、獨善的ニコチラノ方ニ相
  談セズ、自分ガ勝手ニ、十二圓五十錢拂込
  ノモノナラ-市場ニ出テ居ナイモノハ大
  體額面ニ依ツテ或ハ八掛デアルトカ七掛デ
  アルトカ、自分一人デ決メル、決シテ一方
  ニ諒解ヲ求メルノデモ說明スルノデモナイ、
  サウ云フヤウニ範圍ヲ餘リ廣ク與ヘルノナ
  ラバ議會ト云フモノノ權能ハ何モナイ、悉
  ク行政官ニ其ノ一番大切ナ所ノ權限ハ全部
  委託シテシマフカラ今日マデ屢〓問題ガ起
  リ、國民ガ迷惑シテ居ル、況ヤ只今ノヤウナ
  問題ヲ稅務當局ニソツクリ其ノ儘委シテシ
  マフコトガ出來ルカ出來ヌカト云フコトハ、
  常識ヲ持ツ者ガ考ヘレバ委スコトノ出來ナ
  イコトハ明カデアリマス、此ノ點ハ私ハ將
  來之ヲ實現シテヤツテ行カウト云フニハ、
  今ノヤウナ大キナ手加減ヲ稅務當局ダケニ
  委スト云フ案ニハ俄ニ同意出來マセヌカラ、
  考慮シテ戴キタイ
  次ハアナタガ今仰シヤツタ營業收益稅ヤ
  所得稅ノ稅率ヲ今年ノ議會デ增スコトハ約
  束シテナカツタモノヲ增スト云フノト、今
  日取ラヌト云フノヲ取ルト云フノトハ同ジ
  コトダト仰シヤツタガ、同ジコトデハアリ
  マセヌ、營業收益稅ヤ所得稅ハ前年ノ實績
  ニ依ツテ個人ハ今年課稅スル、法人ハ本當
  ノ收支ノ計算書ニ依ル、ソレハ宜シイガ、
  其ノ分ニ對シテ增稅ヲスルト云フ約束ハナ
  カツタガ、取ラヌト云フ約束ハアリマセヌ
  ジ、宜シウゴザイマスカ、片一方此ノ稅法
  ニハ所得稅法ノ第十八條ニ、個人ノ一時所
  得ニ對シテハ所得稅ラ課ケヌトアリマス、
  臨時利得稅法ノ第一條ニ持ツテ行ツテ、營
  業ヲ營ム者カラデナケレバ利得稅ハ取ラヌ
  トアリマス、取ラヌトアルモノヲ取ルト云
  フノト、增スノトハ違フ、從來アルモノヲ
  增シタ例ハ澤山アルケレドモ、取ラヌト言
  ツテアルモノヲ取ルノハ今囘ガ始メテデア
  ル、遡及シテ行クノハ始メテデアル、
  此處ニ無理ガアルト云フコトヲ私ハ言
  フノデアリマスカラ、マダ私ノ質問ハ
  今日濟ミマセヌガ、時間ノ關係ガアルラ
  シイカラ今日ハ此ノ程度デ質問ヲ止メテ明
  日繼續シテ大藏大臣ニ御尋シマスカラ、ド
  ウゾ當局ノ答辯ハ簡單デ宜シイカラモウ少
  シ打合ヲ十分ニシテ、又明日入ツテ行ク所
  ニナルト中々是ハ政府ノ方デモ答辯ニ骨ガ
  折レルノデハナイカト思フカラ、十分ニ御
  〓究置キヲ願ヒマシテ、サウシテ得心ノ行
  クヤウナ答辯ヲサレンコトヲ御願シテ今日
  ハ是デ終リマス、明日繼續シテ質問ヲ致シ
  マス

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• 146・石渡莊太郎

  ○石渡國務大臣　森田サンニ御答致シマス
  ガ、詰リ稅金ハ法律ニ據ラザレバ之ヲ徴收
  シナイノデアリマスノデ、臨時利得稅ノ際
  ニモ私ハサウ云フ例ハアルト思フノデアリ
  マス、別ニ課稅ヲスルト云フコトガナケレ
  バ總テ課稅ハサレナイモノト、斯ウ相成ツ
  テ居ルノデアリマス、臨時利得稅ノ際ニ於
  マキシテモ、臨時利得稅ヲ課稅スルト云フ
  ノハ前年度ノ實績ニ依ツテ課稅シタト思ツ
  テ居リマス、尙ホ其ノ他ノ先例ニ付テハ十
  分取調ベマシテ御納得ノ行クヤウニ御說明
  シタイト存ジマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007411313X00319390227&spkNum=146

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• 147・川崎克

  ○川崎委員長　只今ノ森田サント大藏大臣
  商工大臣ノ質問應答ヲセラレテ居リマスノ
  ヲ委員長ハ此處デ拜聽致シテ居ツタノデア
  リマスガ、此ノ鑛業稅ノ問題ニ付テハ、大
  藏大臣ハ移轉稅ニアラズ、利得稅ダト云フ
  コトヲ明快ニ御話ニナリマシタガ、利得稅
  ソレ自體ニ付テモ無理ガアルト云フコトヲ
  屢〓御述ニナツタ、ソレニ對シテ明ニ無理ノ
  ナイト云フコトノ答辯ガナカツタヤウデア
  リマス、商工大臣ニ對シテハ、鑛物ノ增產
  計畫ヲヤツテ行クト云フ國策ノ線ニ沿ツテ
  行カネバナラヌ問題ニ對シテ、此ノ利得稅
  ヲ取ツテ行ツテハ其ノ鑛業ノ增產計畫ハ出
  來ヌデハナイカ、ソレニ對スル所ノ具體的
  ノ保護政策ト云フモノガアルベキ筈ダガ、
  ソイツガ明確デナイト云フコトヲ繰返シテ
  問ウテ居ラレタガ、ソレヲ答辯ニナツテ居
  ナイ、ソコハ速記錄ヲ御覽願ヒマシテ此ノ
  疑義ノアル所ヲ他日ノ機會ニ森田君ノ質問
  トシテ留保シテ置キマスカラ御答辯願ヒタ
  イ

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• 148・高橋熊次郎

  ○高橋委員　一寸議事進行デ一分間位申上
  ゲタイ、吾々ハ各方面デ一ツ或ハ二ツノ
  委員ヲ兼務シテ居リマス、ソレデ重要ナ議事
  ガ續行サレテ居リマシテモ離席スル
  ノ已ムヲ得ザルコトガアル、ソレデ
  再ビ席ニ戾ツタ時、其ノ間ノ質問應
  答ノ經過等ニ付テ熟知シナイガ爲ニ
  議事ノ進行ヲ妨ゲルコトガ多イト思フ、ソ
  レデ速記錄ガ非常ニ必要ニナルノデアリ
  マスガ、其ノ速記錄ガ從來ノ例ニ依ルト印
  刷能力ノ關係カ怠慢ノ結果カ何レカ分ラヌ
  ノデアリマスガ、近來頗ル遲延致スノデア
  リマス、以前ハサウデモナカツタノデアリ
  そう、近來ノヤウニ忙シイ議會ト云フモノ
  ハ以前ニモ多カツタ、殊ニ論議ハ却テ今日
  ヨリモ多カツタ時代ガアル、而モ斯ウ三日
  モ四日モ速記錄ガ遲レルナドト云フ例ハ五
  六年前マデハナカツタノデアリマス、ソレ
  ガ近頃ハ非常ニ能率ガ遲レテ來テ居ルノデ
  アリマスカラ、委員長カラ特ニ政府當局ニ
  申入レテ速記錄ノ遲レナイヤウニ少クモ本
  會議ノ速記錄ト同ジヤウナ能力ヲ發揮サレ
  ルヤウ、此ノ場合註文ヲシテ戴キタイト思
  フノデアリマス

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• 149・川崎克

  ○川崎委員長　諒承致シマシタ、其ノ旨政
  府ニ通達致シマス、明日ハ何時モ十時トナ
  ツテ居ルノデアリマスガ、何デモ貴族院デ
  十一時カラ豫算總會カ何カアリマシテ大臣
  ガ出ラレヌヤウデアリマスカラ、午後一時
  カラト云フコトニ御諒承ヲ願ヒマス、本日
  ハ是ニテ散會致シマス
  午後五時二十分散會

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