1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十五年三月二十四日(日曜日)午後一時三十六分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=0
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001・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郞君) 只今ヨリ所得
稅法改正法律案外三十六件ノ特別委員會ヲ
開會致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=1
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002・櫻内幸雄
○國務大臣(櫻内幸雄君) 先日八條子爵カ
ラ本稅法案ニ關スル修正ガ通過シマシタ場
合ニ於テ、ソレガ爲ニ生ジマスル歲入ノ缺
陷ニ付、段々ト御質問ガアリマシテ、應
御答ヘ致シマシタケレドモ、此ノ際茲ニ重
ネテ御答ヘ致シタイト存ジマス、此ノ缺陷
ニ付キマシテハ、御說ノ如ク直チニ其ノ補
塡ノ途ヲ講ズベキガ當然デアリマスガ、政
府ハ昭和十五年度豫算審議ノ際、貴衆兩院
ニ於テ種々御意見ノアリマシタ點ヲ尊重致
シマシテ豫算ノ實行ニ當リマシテハ、施設
ノ緩急要否ニ付十分ナル再檢討ヲ遂ゲ、極
力冗費ヲ節スルニ努ス、殊ニ情勢ノ變化ニ
伴ヒマシテ、不必要トナルヤウナ經費ニ付
キマシテハ、釐毫ノ末ニ至ル迄是ガ使用ヲ
避クルコトトシ、以テ出來得ル限リ經費ノ
不用額ヲ生ゼシムルヤウ努力致シ、此ノ節
約不用額ニ依リマシテ、大體支障ナク豫算
ヲ遂行スル考デゴザイマス、此ノ段御了承
ヲ願ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=2
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003・八條隆正
○子爵八條隆正君 過日私ノ質問致シマシ
タコトニ付キマシテ、只今大藏大臣ヨリ御
答辯ヲ得マシテ、大體政府ノ御所信ノ程ハ
了解致シマシタ、唯事ガ極メテ重大ナコト
デアリマスノデ、愚念デハアリマスルガ、
尙一應御確メ致シテ置キタイト思ヒマス、
只今ノ御答辯ニ依リマスルト、歲入缺陷六
千萬圓ノ問題ニ付キマシテハ、極力十五年
度豫算ノ實行ニ當リマシテ、節約ヲ加ヘラ
レマシテ、又不急ノモノト認メラレルモノ
ニ付テハ緩急ヲ圖ッテ不用額ヲ生ズルヤウ
ニシテ、之ニ依ッテ六千萬圓ノ歲入缺陷ハ
差支ナク運用出來ルヤウニスルト云フ御答
辯ノヤウニ拜承致シマシタ、而シテ左樣デ
アリマスレバ、此ノ歲入缺陷ノ爲ニ次期議
會ニ於テ追加豫算ヲ出スト云フヤウナコト
ハ絕對ニナイモノデアル、斯樣ニ了解致シ
マシテ宜シウゴザイマセウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=3
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004・櫻内幸雄
○國務大臣(櫻內幸雄君) 御答へ申上ゲマ
ス、他ノ理由ニ依リマス場合ハ別デアリマ
スガ、此ノ稅制修正ニ依ル缺陷ニ關シマシ
テハ、追加豫算ヲ出サヌ覺悟ヲ以テ處理致
ス積リデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=4
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005・八條隆正
○子爵八條隆正君 大藏大臣ノ御言明ハ能
ク了解致シマシタ、就キマシテハ此ノ豫算
實行ニ當ツテ歲出ノ節約ト云フコトハ、各
省ノ豫算ニ亙ルコトト考ヘマスノデ、各大
臣ニ於テモ既ニ御了解ニナッタコトト存ジ
マス、又內閣ノ首班ニ在ラセラレル處ノ總
理大臣ニ於テモ、必ズ此ノ大藏大臣ノ只今
ノ御言明ノ通リニ御實行ニ相成ルト云フコ
トニ承知致シテ宜シウゴザイマスカ、總理
大臣ノ御言明ヲ御願ヒ致シタイト存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=5
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006・米内光政
○國務大臣(米內光政君) 只今大藏大臣カ
ラ言明致シマシタ通リ、政府ト致シマシ
テ、御質疑ノ點ハ愼重ニ考慮シテ其ノ實行
ニ當リタイト考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=6
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007・八條隆正
○子爵八條隆正君 大藏大臣竝ニ只今ノ總
理大臣兩大臣ノ御言明ニ依リマシテ、政府
ノ御所見ハ能ク了解致シマシタ、ドウカ御
言明通リニ御實行ニ相成ルヤウニ希望致シ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=7
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008・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 私ハ相續稅ノ問題ニ
付キマシテ大藏大臣ニ伺ヒタイノデアリマ
ス、相續稅ノ物納ニ付キマシテハ、委員會
ヲ設ケテ速カニ審議ヲスルト云フコトニ衆
議院デ御言明ニナリマシタノデスガ、我々
此處デ質問應答ノ結果、相續稅ノ物納ノミ
ナラズ、其ノ評價ニ爭ノアッタ場合ニ納稅者
ニ買上請求權ヲ與ヘルト云フコトモ是非必
要デアル、之ニ付キマシテハ政府トシテハ
速カニ委員會ヲ作リ、其ノ委員會ハ官吏バ
カリデナク、民間ノ委員モ其ノ中ニ加へ、
サウシテ愼重ニ審議セラレ、又成ルベク速
カニ審議ヲサレテ、少クモ此ノ次ノ議會迄
ニハ相當成案ヲ得ラレテ、議會ヘ提出サレ
ルヤウナ運ビニ致シタイト斯ウ云フ積リデ
居リマスガ、大藏大臣ノ御考ハ如何デゴザ
イマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=8
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009・櫻内幸雄
○國務大臣(櫻內幸雄君) 只今質問ニ相成
リマシタ相續稅ニ關スル物納ノ問題ニ關シ
マシテハ、是ハ同時ニ課稅物件ノ買上等ノ
件ニ付キマシテ至急ニ官民合同ノ調査會ヲ
設置致シマシテ、本年中ニ其ノ調査ヲ終了
致ス方針ヲ以テ是非進行致シタイト斯樣ニ
考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=9
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010・二荒芳徳
○伯爵二荒芳德君 私ハ相續稅ノコトニ付
キマシテ一言伺ヒタイト思ヒマスガ、近時
相續稅ハ非常ナ高イ稅率ヲ課セラレテ居ル
譯デアリマスガ、斯クノ如キ非常時ノ際ニ
於キマシテ、稅率ノ高マルト云フコトハ勿
論已ムヲ得ナイコトデゴザイマスシ、又同
時ニ擔稅力ノアル者ガ之ヲ負擔致スト云フ
コトニ付テハ當然ノコトト思フノデアリマ
ス、併シナガラ此處デ最モ考ヘナケレバナ
ラヌト存ジマスノハ、此ノ家ト云フモノニ
對スル我ガ國ニ於ケル特殊ノ性質ト云フモ
ノガ十分ニ考究サレナイデ、徒ニ「ヨーロツ
パ」ノ個人主義思想ト云フモノニ立脚シテ
課稅セラレルト云フコトニナリマスト、非
常ナ誤リヲ生ズルノデハナイカト思フノデ
アリマス、一體我ガ國ニ於ケル財ノ觀念ハ
マダ眞ニ我ガ國ノ國體觀念ニ立脚シテハ考
ヘラレテ居ラヌト少クモ私ハ思フノデアリ
マス、是ハ今日ノ如キ國體明徵ノ〓究ノ盛
ノ時ニ於テハ、大藏當局ニ於テハ特ニ財ト云フ
モノニ付テ國體的〓究ハ御進メニハナッテ
居ルト存ジテ居リマスガ、未ダ議會其ノ他
ニ於テ御發表ニナッタト云フコトハ聽イテ居
ラヌノデアリマス、我ガ國ニ於テハ勿論「ヨー
ロッパ」ニ於ケルガ如キ私有財產ト云フモ
ノハ、第一義ニ於テハ認メテ居ラヌト云フコ
トハ、是ハ古イ日本ノ思想ヲ言ヒ傳ヘタ所
ノ古事記、日本書紀等ニ考ヘマスレバ明白
ナコトデアリマス、例ヘバ今日私有財產ノ
制度ヲ勿論認メテ居リマスガ、是ハ第二義
ノ意味デアリマス、例ヘバ我々ガ土地ヲ私
有スルコトヲ許サレテ居ルノハ、法律上、
民法上許サレタニ過ギナイノデアリマシテ、
國家ノ土地ハ固ヨリ天皇ノ總攬シ給フ所デ
アリ、普天ノ下王土ニ非ザルハ莫ク、率土
ノ濱王臣ニ非ザルハ莫シト云フコトハ言フ
迄モナイノデアリマス、從ッテ各個人ノ家ニ
屬スル財產ト云フモノハ、第一義ニ於テハ
天皇、國家ノ所有スル所ヲ、假ニ家ガ保有
スルコトヲ許サレテ居ルノニ過ギナイノデ
アリマス、從ッテ其ノ財ノ使用ハ各個人ノ臣
民的良心ニ從ッテ、最モ適正デアルト思ハレ
ル使用ノ標準ニ從ッテ用ヒラルベキモノデ
ショット個人ノ恣ニナル、自由ナル判斷ニ
依ッテノミ使用サルベキモノデハナイト思
フノデアリ、マス、從ヒマシテ我ガ國ノ家ト
云フモノノ觀念カラ見マスレバ、其ノ財產
ハ歐米ノ個人主義ノ思想カラ來ル財產所有
ノ觀念トハ勿論違ヒマスシ、又近時流行致
シマス所ノ全體主義ノ財產所有觀念トモ異
ルノデアリマス、强ヒテ言フナラバ、我ガ
國ノ家ノ有スル財產所有觀念ト云フモノハ、
古キ個人主義ニ立脚シタ所ノ私有財產觀念
ノ缺陷ヲ補フト同時ニ、近事流行スル所
ノ全體主義ノ財產所有觀念ノ兩弊ヲ是
正シテ、玆ニ一番ニ新シイ所ノ財產所有
觀念ト云フモノヲ造リ出シ得ル將來性ヲ
持ッテ居ル重大ナ意義ガアルト思フノデ
アリマス、卽チ或意味ニ於キマシテハ物ノ
觀念ノ是正、所有觀念ノ是正ト云フ所ニ立
到ルト思フノデアリマス、處ガ今日ノ如ク
相續稅ノ累進遞增ト云フコトハ、先達テ來
伺ヒマスノニ、寧ロコヽ十數年ト申シマス
カ、二三十年前ノ歐米ノ個人主義思想ト云
フモノカラ發足シテ行ク一種ノ社會政策論
ト云フモノニ立脚シテ居ルヤノ觀ガアルノ
デアリマス、或バ然ラザルトスルモ、近時
ノ全體主義國家ノ顰ニ倣ッテ居ルヤニ見ラ
レル節ガアルノデアリマスガ、斯クノ如キ
事柄ハ動モスレバ日本ノ掛ケ換へノナイ特
殊性質デアル家ノ觀念ト云フモノヲ破壞
シ、又家ト云フモノニ對スル道義的觀念ヲ
モ傷付ケル虞ガナイトモ言ヘナイノデアリ
マシテ、所謂八紘ヲ以テ宇ト爲スト云フ、此
ノ民族的理想モ、過去ノ民族的信念ノ上ニ於
ケル家ト云フモノト、一脈相通ズル深イ信
念ニ存スル譯ダト私共ハ考ヘテ居ルノデア
リマス、此ノ點ニ付キマシテハ、ドウゾ當
局ニ於キマシテ深イ民族的信念ノ上ニ御〓
究ヲ戴キマシテ、愼重ナルガ上ニモ愼重ニ、
且日本獨得ノ財ノ觀念、又所有觀念ト云フ
モノヲ早ク確立セラレマシテ誤リナイコト
ヲ期セラレムコトヲ切ニ望ンデ已マナイ次
第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=10
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011・櫻内幸雄
○國務大臣(櫻內幸雄君) 只今二荒伯爵カ
ラ、日本ノ家族制度ノ特有性竝ニ日本ノ財
產所有觀念ニ關スル所ノ御意見ヲ拜聽致シ
マシテ、全然私共ハ同感デゴザイマス、日
本帝國ハ全ク世界無比ノ國體デアッテ、世界
何レノ國民トモ自ラ異ッタル所ガアルノデ
アリマシテ、其ノ點ニ付キマシテハ如何ナ
ル方面ノ政治ニ付キマシテモ深ク之ヲ頭ニ
置イテ行ハナケレバナラヌコトハ申ス迄モ
ナイコトデアリマス、殊ニ稅制等ニ於キマ
シテハ想ヲ玆ニ致シマシテ、是等ノ日本獨
得ノ國民的信念ニ對シマシテ誤リナキヲ期
セナケレバナラヌト思ッテ居リマス、御話ノ
如ク歐米個人主義、或ハ全體主義的傾向ガ
日本ノ或部分ニ於テ相當論ゼラレテ居リマ
スノデ、ソレ等ノ事柄ガ往々ニシテ色々ナ
方面ニ入ッテ參リマスケレドモ、日本ノ團
體ハ全然是ト異ッテ居リマシテ、所謂皇道精
神ニ基イテ日本ノ國體ヲ守ッテ行カナケリ
ヤナラヌノデアリマシテ、御注意ニナリマ
ス點ニ付キマシテハ十分ニ服膺シテ參リタ
イト、斯樣ニ考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=11
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012・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郞君) 此ノ邊デ質問
ハ大體打切リマシテ····発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=12
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013・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 チヨット簡單デゴザ
イマスカラ昨日ノ······昨日地方財政ト國ノ
財政トノ關係ニ付キマシテ、東京市ヲ例ニ
致シマシテ內務省ニ伺ヒマシタガ、計數ガ
ナイカラト云フ御話デソレキリニナッテ居
リマシタガ、此ノ際計數ヲ戴キマシタノデ、
尙ソレニ付テ伺ヒタイト存ジマス、御示ノ
材料ニ依リマスト、東京市ニ於キマシテハ
改正前六千九百萬圓、改正後ニ於テハ七千
四百萬圓、卽チ五百萬圓バカリ增稅ニナル
ヤウナ形ニナッテ居リマス、併シ是ハ六千九
百萬圓ハ十三年度ノ時ノダサウデ、七千四
百萬ハ今度ノ御見積ダサウデ、基本額ガ變ツ
テ居リマスカラ比較ニハナラナイ、サウス
ルト基本額ヲ今度ノニ御直シニナリマスト
ドウ云フ結果ニナルノデスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=13
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014・三好重夫
○政府委員(三好重夫君) 此ノ數字ハ、基
本額ニ付キマシテハ大體現在ノ儘ノ基本ガ
アルデアラウト云フ見込デ立テテ居ル數字
デゴザイマス、尤モ此ノ六千九百餘萬圓ト
云フ改正前ノ稅額ニ付キマシテハ、若シ東
京市ガ現在ノ附加稅ノ賦課率ヲ其ノ儘維持
致シマシテ昭和十五年度ニ及ブト云フ假定
ヲ置キマスレバ、是ヨリモ相當多額ノ增收
ニナルノデハナイカト想像ヲ致シテ居ルノ
デアリマス、若シサウ云フ想像ノ數字ヲ假
定致シマスナラバ、改正後ノ稅收入見込額
ニ比較致シマスレバ、或ハ若干ノ減收ト云
フ形ニ現レルカトモ存ズルノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=14
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015・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 サウ致シマスト、兩
方課稅標準ヲ同ジニ致シマスレバ改正後ノ
方ガ減ルンダト、斯ウ云フ風ニ考ヘテ宜シ
イノデスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=15
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016・三好重夫
○政府委員(三好重夫君) 其ノ點ニ付キマ
シテハ、現行制度ノ稅種ガ異ッテ居リマスノ
デ、稍〓仰セニナリマシタ通リデゴザイマ
スト云フ御答モ出來兼ネマスガ、大體ノ考
ヘ方ト致シマシテハ、仰セニナリマシタヤ
ウナ趣旨ニ相成ルカト思フノデゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=16
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017・西野元
○西野元君 私ハ極メテ事務的ノ問題ニ
付、簡單ニ御伺ヲ致シタイノデアリマスカ
ラ、大藏大臣ノ御答辯ヲ要スル譯デモゴザ
イマセヌ、若シ私ノ只今伺ヒマスコトガ旣
ニドナタカカラ御質問ガアリマシタコトデ
ゴザイマスレバ、其ノ點ヲ御話ヲ願ヒマス
レバ、重ネテ御說明ヲ煩シマセヌデ、
私個人的ニ又後デ〓究致シマスガ、伺ヒタ
イト思ヒマスノハ、此ノ個人ノ所得稅ノ稅
法改正ニ伴ッテノ附則ノ間題デアリマスガ、
此ノ附則ノ百十條ヲ見マスト、個人ノ所得申
告書ノ提出期限ガ現行法デ三月十五日ト
ナッテ居リ、又此ノ改正法案ニ付テモ三月
十五日トナッテ居リマスガ、昭和十五年ニ
限ッテ之ヲ四月三十日ニスルト云フコトニ
ナッテ居リマシテ、今年ニ限リマシテ旣ニ我
我ノ三月十五日ニ申〓致シテ居ルモノニ付
改メテ四月三十日ニ申〓ヲスルコトヲ必要
トスルト云フ趣旨カト思ヒマスガ、今年ニ
對スル今日ノ言葉デ申セバ第三種所得、此
ノ個人ノ所得ニ對スル課稅方法ガドウ云フ
風ニナリマスノカ、簡單ニチヨット條文ニ付
御說明ヲ願ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=17
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018・大矢半次郎
○政府委員(大矢半次郞君) 此ノ法律案ガ
成立致シマスルト云フト、大體四月一日カ
ラ施行致サレルコトト存ズルノデアリマス、
從ヒマシテ從來ノ第三種所得稅ト改正法
ノ所得稅トヲ較ベマスルト云フト、課稅標
準ノ計算方法トカ、稅率トカ、其ノ他色々
ノ點デ變更ガ加ヘラレテ居ルノデアリマス
カラシテ、從ヒマシテ現行法ノ下ニ於キマ
シテ三月十五日限リニ申告致シマシタモノ
ハ一應御破算トナリマシテ、新シク四月三
十日迄ニ申〓シテ戴クコトニナルノデゴザ
イマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=18
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019・西野元
○西野元君 サウ致シマスト此ノ附則ノ第
九十八條ノ規定ハドウ云フ風ニ讀ンデ宜シ
イノカ、チヨットソレヲ御說明願ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=19
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020・大矢半次郎
○政府委員(大矢半次郞君) 第九十八條ニ
「不動產所得、乙種ノ配當利子所得、事業所
得、乙種ノ勤勞所得、山林ノ所得及乙種ノ
退職所得ニ付テハ昭和十五年分分類所得稅
ヨリ、個人ノ總所得ニ付テハ昭和十五年分
綜合所得稅ヨリ本法ヲ適用ス」ト、斯ウアリ
マシテ、是ハ何レモ稅務署ノ調査ニ依リマ
シテ所得調査委員會ニ附議シテ決定スル種
類ノモノデゴザイマス、是等ニ付キマシテ
ハ十五年分カラ本法ヲ適用サレマスガ、此
ノ申告等ニ付キマシテハ此ノ百十條ノ規定
ニ依リマシテ四月三十日限リ、斯ウ云フ風
ニナッテ居ル次第デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=20
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021・西野元
○西野元君 チヨット素人ニハ分リニクイ
ノデスガ、一言ニシテ申セバ、前半ハ昭和
十五年分分類所得稅、個人ノ分ハ又昭和十
五年分綜合所得税ト書イテアリマスガ、兩
方書キ分ケテドチラモ昭和十五年分ヲ適用
サレル、其ノ區分ガハッキリ分リマセヌガ、
若シ旣ニ御說明ニデモナッテ居リマスレバ、
此ノ際別ニ皆サンヲ煩シテ伺フニモ當リマ
セヌカラ、私自身デ能ク法文ヲ〓究致シマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=21
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022・大矢半次郎
○政府委員(大矢半次郞君) 是ハ源泉課稅
ノ點ニ付キマシテハ、四月一日以降支拂ハ
レルモノニ付テ課稅ニナルノデアリマシテ、
是ハ附則ノ第九十七條ノ「本法ハ昭和十五年
四月一日ヨリ之ヲ施行ス」、是デ總テ解決ス
スルノデアリマス、併シナガラ此ノ第九十
七條ダケト致シマスルト、稅務署ノ調査デ
賦課決定スル分ニ付キマシテハ、昭和十五
年四月一日以降ノ所得ニ付テノミ課稅スル
ヤノ疑ガアルノデアリマシテ、ソコデ第九
十八條ヲ設ケテ、是等ノ所得ニ付キマシテ
ハ、昭和十五年分ヨリ課稅スルノダト斯ウ
規定シタ次第デアリマス、更ニ分類所得稅
ト綜合所得稅ト書キ分ケタノハドウカト云
フコトデアリマスガ、是ハ分類所得稅ノ中、
甲種ノモノニ付キマシテモ同樣ニ昭和十五
年分ヨリ課稅スルコトニナレバ、書キ分ケ
ル必要ガナカッタノデアリマスケレドモ、甲
種ノ源泉課稅ヲスルモノニ付キマシテハ別
ニ規定致サナケレバナラヌ關係上、條文ノ
體裁ト致シマシテ、斯クノ如ク分類所得稅
ト綜合所得税ト書キ分ケルコトニナッタ次
第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=22
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023・西野元
○西野元君 サウ致シマスト、九十八條ノ
規定ノ半面カラシテ、甲種ノ配當利子所得
ハ九十七條ノ「本法ハ昭和十五年四月一日ヨ
リ之ヲ施行ス」ト云フ條文ノ適用ニ依ッテ自
ラ分ッテ居ルト云フ御趣旨デ甲種ノ方ハ書
イテナイト云フ意味ニ解釋シテ宜シウゴザ
イマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=23
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024・大矢半次郎
○政府委員(大矢半次郞君) 左樣デゴザイ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=24
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025・西野元
○西野元君 サウ致シマスト、先刻私ノ伺
ヒマシタ九十八條ニ之ヲ二ツ書キ分ケテア
リマスノハ、分類所得稅ノ分ニ付テハ、詰
リ昭和十五年四月一日ヨリ新タニ支拂フ分
ニ課稅スルノデアル、ソレガ個人ノ總所得
トナッテ課稅サレル場合ニハ、前年ニ支給ヲ
受ケタモノニ課稅スル、斯ウ云フコトヲ書
キ分ケタモノト解釋シテ宜シウゴザイマス
カ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=25
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026・大矢半次郎
○政府委員(大矢半次郞君) 分類所得稅ノ
中、甲種ニ屬スルモノニ付キマシテハ、九
十七條ノ適用ガアリ、乙種ノモノ及甲乙ノ
區分ナクシテ稅務署ノ賦課決定ニ依ル種類
ノモノニ付キマシテハ九十八條ノ適用ガア
ル、斯ウ云フ次第デゴザイマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=26
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027・西野元
○西野元君 大體了承致シマシタ、私ノ質
問ハ是デ終リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=27
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028・橋本辰二郎
○橋本辰二郞君 申ス.迄モナク新法ハ四月
一日カラ御實施ニナルノデゴザイマセウガ、
二月ノ月末迄ニ受取リマシタル配當所得ニ
付キマシテハ、今度ハ新稅法ニ依リマシテ
ドウ云フ風ニ御取扱ニナルノデアリマセウ
カ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=28
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029・大矢半次郎
○政府委員(大矢半次郞君) 本法施行地ニ
於テ支拂ヲ受ケル配當ニ付キマシテハ、分
類所得稅ハ昭和十五年四月一日以降支拂ヲ
受ケルモノニ付テ適用ガアルノデアリマス、
綜合所得稅ニ付キマシテハ從來通リデゴザ
イマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=29
-
030・橋本辰二郎
○橋本辰二郞君 其ノ點ハ分リマシタガ、
サウ致シマスト、此ノ改正ニ依リマシテ綜
合所得ノ課稅ヲ受ケル者ハ二割控除ノ特典
ヲ失ッタト云フコトニナリマスガ、之ニハ負
債ノ控除ガ出來ルト云フコトデハアリマス
ケレドモ、我々ハソレニハ重キヲ置イテ居
リマセヌ、結局茲ニ矢張リ是迄二割ノ控除
ヲ受ケテ居ッタ特典ヲ奪ハレルト云フコト
ニ考ヘマスガ、之ニ反シマシテ綜合課稅ヲ
受ケザル人々、卽チ五千圓以下ノ所得者ハ、
結局衆議院ノ修正ニ依リマシテ一割ノ控除
ト云フ恩典ヲ受ケルコトニナルト同時ニ、
又考ヘマスト、是迄ハ五千圓以下ノ人モ千
二百圓以上ノ者ハ配當所得ニ付テ相當ノ課
稅ヲ受ケテ居リマシタガ、今度法律ガ改正
ノ結果ト致シマシテ、千二百圓カラ五千圓
迄ノ人々ハ配當金ヲ受取ッテモソレニ付テ
ハ何等課稅ヲ受ケナイヤウニ思ハレマスガ、
サウ云フコトニナリマセウカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=30
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031・大矢半次郎
○政府委員(大矢半次郞君) 其ノ點ハ單リ
五千圓以下ノ所得ダケノ問題デハナク、五
千圓ヲ超ユル所得者ニ付テモ分類所得稅ノ
課稅ニ付テハ同樣デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=31
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032・橋本辰二郎
○橋本辰二郞君 分リマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=32
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033・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郞君) 此ノ際討論ニ
移ルコトニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=33
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034・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郞君) 御異議ナイト
認メマス、是ヨリ討論ニ入リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=34
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035・八條隆正
○子爵八條隆正君 私ハ此ノ特別委員會ニ
付託ニナリマシタ租稅法諸案ニ對シマシテ
贊成ノ意見ヲ持ッテ居リマス、之ヲ少シク
陳述致シマス、今囘ノ稅制整理ト云フモノ
ハ國竝ニ地方ヲ通ジテノ稅制整理デアリ、
且又租稅ノ體系ニ著シキ變革ヲ加ヘラレタ
モノデアリマシテ、實ニ日本ノ租稅史上ニ
於テ畫期的ノ大改革デアルト云フコトハ言
フ迄モナイト存ジマス、併シナガラ此ノ稅
制整理ト云フモノハ普通ノ場合ニ於キマシ
テハ、平時經濟界ノ安定致シテ居ル時ニ行
フノガ最モ適當ナ時期デアルト存ズルノデ
アリマス、從ッテソレガ爲ニ一度企テラレマ
シタ稅制整理ノ計畫モコヽ兩三年延期ニナ
リマシテ、今日ニ至ッテ居ッタノデアリマス、
從ッテ此ノ稅制整理ハ左樣ナ意味デ、單ニ財
政稅制ノ理論ニ基イタ稅制整理ヲシヨウ
ト云フダケノ目的デアリマスナラバ、必ズ
シモ今日ノ時期ヲ選ブ必要ハナカッタラウ
ト思フノデアリマス、併シナガラ今日ニ於
テ此ノ稅制整理ヲ提案セラレタト云フコト
ハ、是ハ稅制ヲ整理スルト云フ······制度ヲ
立テルト云フコトヨリモ、寧ロ增稅ガ目的
デアルト云フコトハ勿論デアルト存ジマス、
卽チ今日ノ時局ニ際シマシテ、此ノ戰費其
ノ他時局ニ要スル巨額ノ經費、厖大ナ豫算
ノ財源トシテ公債ヲ增發スル一方デ行ク、
或ハ多クヲ公債ニ賴ルト云フコトハ、財政
ノ堅實ト云フコトカラ言ヒマシテ甚ダ面白
クナイコトデアル、之ヲ相當額公債ト相俟ッ
テ租稅ニ財源ヲ求ムルト云フコトガ財政上
執ルベキ手段デアルト云フ御考カラ致シマ
シテ、玆ニ增稅ノ計畫ヲ樹テラレタ、是ガ卽
チ今日ニ於テ稅制改革ヲセラレル主タ
ル動機デアリ、又。同時ニ目的デアッタ
ト存ジマス、卽チ增稅ガ目的デアッテ、其ノ
增稅ヲ致サムガ爲ニ現在ニ於ケル租稅制度
ニ於テハ十分ナル增稅ノ目的ガ達セラレナ
イ、仍テ其ノ增稅ヲスルニ適當ナ稅制ヲ立
テテ行カウト云フノガ、從來ノ租稅制度ニ
對シテ根本的トモ言ッテ宜イ改革ヲ企テラ
レタモノデアルト私ハ了解致スノデアリマ
ス、此ノ增稅ハ實ニ私モ政府ノ御計畫通リ
ニ御同感デアルノデアリマシテ、往々各委
員諸君ヨリモ御意見モ出マシタシ、豫算討
議ニ當ッテモ意見ノ出タコトデアリマスガ、
公債ニ多クヲ賴ルト云フコトハ結局國債費
ヲ增加シタリ、或ハ又通貨ノ膨脹ヲ來シ、
從ッテ物價ノ騰貴ヲ招キ、是ガ財政ヲ膨脹セ
シムル所以デアリマシテ、何レノ點カラ見
マシテモ、公債ニ多ク財源ヲ求ムルト云フ
コトハ厖大ナル財政ヲシテ益、〓厖大ニセシメル
ト云フ傾向ガアリマスノデ、公債ノ外ニ尙國
民ノ負擔力ニ堪ヘ得ル限リニ於テ增稅ニ、租
稅ニ財源ヲ求メルト云フコトハ私ハ最モ適
當ナル處置ト思フノデアリマス、增稅ハ能ク
國債ノ利拂、或ハ戰時ニ於ケル年金、恩給
ノ增加ノ程度ニ於テトカ何トカ云フヤウナ
增稅ノ程度ニ付テノ意見ガアリマスガ、必
ズシモサウ云フ程度ト云フコトヲ考慮スル
必要ハナイノデ、國民ノ負擔ニ堪へ得ル程
度ニ於テハ相當ノ增稅ヲ爲シテ、戰時財政
ノ運行ニ付テ堅實ヲ期スルト云フコトハ最
モ必要ナコトト思フノデアリマス、此ノ意
味ニ於テ增稅ト云フコトニ對シテハ、誠
ソレハ國民ト致シマシテハ相當苦痛デハア
リマスガ、併シ今日ノ時局ヲ乘リ切ッテ行
ク、聖戰ノ大業ヲ完遂スル爲ニハ國民ハ
飽ク迄モ如何ナル方面ニ於テモ苦痛ヲ堪ヘ
忍ンデ參ラナケレバナラヌコトデアリマス
カラシテ、今日ノ增稅ハ相當大キナル增稅
デアリマシテ、國民ノ負擔トシテハ誠ニ重
イ荷ヲ負フ譯デアリマスケレドモ、ソレハ
今日ト致シマシテハ、國民トシテハ之ヲ堪
ヘ忍ンデ行カヌケレバナラヌ、斯樣ニ存ジ
マスノデ此ノ增稅ト云フコトニ對シマシテ
ハ私ハ賛意ヲ表スル者デアリマス、ノミナ
ラズソレニ伴フ所ノ稅制改革ノ此ノ案ガ此
ノ增稅ノ目的ヲ達スルニ都合ノ好イヤウナ
制度ノ立テ方デアリマシテ、今迄ノ所得稅
或ハ收益稅ヲ以テ直接稅ノ體系トセラレタ
ノヲ、收益稅ハ地方ノ財源トシテ之ヲ事實
ニ於テ地方ニ委讓シテ、國稅トシテハ所得
稅ヲ以テ根幹トシテ一般所得稅、卽チ綜合
所得稅ニ於テハ、相當ノ又高給者ニ對シテ稅
率ヲ盛リ、又分類所得稅ニ於キマシテハ、
少額所得者ヲモ國稅ヲ負擔セシムルト云フ
ヤウナ手段ヲ執ラレ、サウシテ之ニ彈力性
ヲ持タセラレタト云フコトハ、是ハ將來ノ
更ニ增稅ヲ爲スベキ場合ニ於ケル處置トシ
テ、適當ナル改正案ト思フノデアリマス、
言フ迄モナク此ノ分類所得稅ハ英國ノ稅制
ヲ基本トセラレタノデアリマセウガ、英國
ハ每年々々其ノ歲出ノ必要ニ應ジテ稅率ヲ
上ゲ下ゲヲシテ、サウシテ財政ノ事情ニ應
ジテ行クト云フ極メテ彈力性ノアル租稅デ
アリマシテ、之ヲ眞似ラレタモノト思フノ
デアリマス、サウシテ此ノ增稅ト云フコト
ハ單ニ財政ノ需要ニ應ジテ參ルト云フノミ
ナラズ、今日ノ如キ國民生活ノ上ニ於キマ
シテモ、購賣力ヲ吸收シテ努メテ通貨膨脹ニ
依ル所ノ物價ノ騰貴ヲ抑制シヨウト云フコ
トニ相成ルノデアリマシテ、殊ニ此ノ少額
所得者ニ對シテノ稅、或ハ又生活必需品ハ
別デアリマスガ、其ノ他ノ物品ニ對スル間
接消費稅ノ增徵ノ如キハ購買力抑制ノ上ニ
於テ大イニ役立ツノデアラウト存ジマス、
又納稅者ノ範圍ヲ擴張スルヤウニ致シテ參
ルト云フコトハ、國民ヲシテ國家ニ對スル
觀念ヲ深メル譯デアリマシテ、此ノ點カラ
言ウテモ納稅者ノ範圍ヲ小所得者ノ範圍ニ
及ンデ、大衆課稅ニ相成ルト云フコトハ至
極適當ナルコトト存ジマス、一面ニ於テ時
局ノ產業ニ關係致シマスル方面ニ於テハ、
卽チ殷賑產業ニ付キマシテハ普通ノ事業、
平和事業ニ對シテヨリモ多大ノ收益ヲ擧ゲ
テ居ル狀態デアリマスカラシテ、是ハ國内
ニ於テ平和事業關係者ト、時局產業關係者
トノ間ニ、著シク不權衡ヲ生ジテ居ルノデ
アリマシテ、之ニ對シマシテ戰時利得稅ニ
相當スル臨時利得稅ヲ重課サレタト云フコ
トハ單ニ收入ヲ增加スルト云フ意味ノミナ
ラズ、國民的感情カラ申シマシテモ適當ナ
ルコトト存ジマスノデ、左樣ナ意味ニ於キ
マシテ增稅ヲ目的トシ、而シテ之ニ伴ウテ
立テラレマシタル今囘ノ稅制整理案ト云フ
モノハ、大體ニ於テ今日ノ場合ニ於テ適當
ナ制度ト存ズルノデアリマス、而シテ此ノ
增稅ノ程度デアリマスガ、今囘ノ增稅ノ程
度ト云フモノハ相當巨額ナル增稅デアリマ
シテ、國民トシテハ正ニ增加スル苦痛ハ相
當大キナモノデアルノデアリマス、併シナ
ガラ是以上ノ負擔ガ出來ナイカト申セバ未
ダ未ダ餘裕モアリ、而シテ國民トシテハ一
層ノ今後時局ノ推移ニ從ッテ負擔ノ重イコト
ヲ忍ブノ覺悟ガナクテハナラヌト思フノデ
アリマス、現ニ英國ノ如キハ最近ノ事情ヲ
聽キマスト此ノ分類所得稅ニ於テ、從來ノ
五志六片デアリマシタカ、ソレニ對シテ歐
洲戰爭ニ入リマスルヤ、今日ハ「ポンド」ニ
付テ七志六片ト云フ風ニ急ニ增稅ヲ致シテ
居ルノデアリマシテ、過去ニ於テハ二割七
分五厘ノ割合デアッタモノガ今日デハ三割七
分五厘ノ割合ノ稅ヲ分類所得稅ニ於テ負擔
ヲ致シテ居ル、是ハ第一次世界大戰ニ於ケ
ル當時ノ稅率ヨリモ高イ稅率デアルノデア
リマシテ、當時ヨリモ今囘ノ增稅ノ方ハ六
片半上廻リニナッテ居ルト云フヤウナコトヲ
聞イテ居リマス、卽チ第一次ノ大戰ヨリモ
今囘ノ歐洲戰爭ニ對スル方ガ英國ハ一層ヨ
リ以上ノ增稅ヲ致シテ居ル、又同時ニ英國
ノ一般所得稅ニ於キマシテモ稅率ヲ引上ゲ
テ、我ガ國ノ三萬圓程度ノモノヲ負擔スル
稅率ヲ以テ最低稅率ト致シテ居ル、斯樣ナ
風デ、英國ノ一例ヲ以テ見マシテモ、戰時
ニ於ケル覺悟ガ知ラレルノデアリマス、今
日我ガ國ノ時局ニ鑑ミマシテ、非常ナル大
キナ仕事ヲ成シ遂ゲヨウト云フ時ニ於テ、
又前途尙遼遠、事變處理ノ解決ノ時期ガ遼
遠デアルト云フ時ニ於キマシテハ、今後一
層ノ負擔ヲ覺悟シナケレーバ、其ノ完遂ニ到
ル迄ニハ相當ノ苦痛ヲ忍バナケレバナラヌ
ト云フコトヲ覺悟セヌケレバナラヌ、斯樣
ニ存ズルノデアリマシテ、恐ラク租稅ト公
債トノ關係ニ於テ、今少シク政府トシテハ
ヨリ以上ノ增稅ガセラレタノデアッタカト
モ存ジマスルガ、改革ノ段階ニ於テ急激ナ
ル增加ヲ避ケテ、今囘ハ先ヅ此ノ程度ト云
フコトニ考ヘラレタノデハナイカト思ヒマ
ス、堪へ得ラレナイ所ノ負擔ニ迄ハ持ッテ
行クコトハ出來マセヌガ、堪ヘ得ル範圍ニ
於テハ國民トシテハ一面覺悟セヌケレバナ
ラヌ、又財政ノ膨脹ヲ防グト云フコトノ結
果ヲモ考ヘマスルト云フト、其ノ堅實性ヲ
增ス爲ニハ、將來トテモ今日以上ノ重稅ハ
負擔出來ナイト云フヤウナ弱イ考ヲ持ッテ
ハ時局ヲ乘切ルコトハ出來ナイデアラウト
思ヒマス、斯樣ナ考ヘ方ヲ致シマスルト云
フト、今囘ノ稅制改革案ト云フモノハ先
ヅ大體ニ於テ適當ナル改革デアラウ、勿
論部分的ニ見マスレバ色々議論ノ餘地ハア
ルコトト存ジマスルガ、大體論トシテ稅制
改革、今囘ノ御提案ニナッタモノハ是ハ適當
ナルモノデアラウト存ズルノデアリマス
而シテ衆議院ニ於キマシテ修正ヲ加ヘマシ
タガ、此ノ衆議院ノ修正案モ一ツ〓〓拾ッテ
見マスレバ、是亦議論ノ餘地ハアルノデア
リマスルガ、衆議院ノ修正ノ大體ノ趣旨ハ
矢張リ此ノ際急激ナル增稅ヲ避ケテ其ノ
急激ナル變革ニ依ッテ生ズル苦痛ヲ幾
ラカ緩和シヨウト斯ウ云フ趣旨カラ出テ
居ルモノト存ジマスノデ、此ノ趣旨ハ又
必ズシモ不適當ナルコトデハナイト存ジ
やく、要スルニ漸進主義デ行カウト云フ
所ニアルモノト思ハレルノデアリマス、デ
アリマスルカラシテ、私ハ此ノ場合衆議院
ノ修正案ニ贊成致シテ宜カラウト存ジマス、
唯問題ニナリマスノハ其ノ修正ノ結果生ズ
ル所ノ六千萬圓餘ノ歲入ノ不足デアリマス
ガ、此ノ點ニ付キマシテハ、只今大藏大臣
ナリ、又總理大臣ガ裏書セラレマシテ御言
明ノアリマシタル來年ノ歲出ノ節約ニ依ッテ、
此ノ點ハ調整シテ行カウ、斯ウ云フ御所信
デアリマスルノデ、責任アル御言明ノコト
デアリマスルカラ、之ヲ信賴致シマシテ、
左樣ナ處置ヲ執ラルヽ以上ハ是亦差支ナイ
コトト存ズルノデアリマス、唯甚ダ遺憾
ト致シマスノハ、貴族院ノ近頃ノ先例ガ、
豫算法律案分割ト云フコトノ爲ニ、豫算
ハ先キニ本院ヲ通過致シテシマッタノデアリ
やっ、若シ豫算ガ尙貴族院ノ方ニアリマス
ナラバ、衆議院ノ修正ニ依ッテ起ツタ所ノ歲
入ノ缺陷ハ如何ニスルカト云フ處置ニ付キ
マシテ政府ノ御所信ヲ伺ヒ、政府ガ節約ニ
依ッテヤッテ行クト云フ御考デアリマスナラ
バ、如何ナル點ニ付テ御節約ニ相成ルカ、
各款項ニ付テノ削減ノ場所ヲ伺ヒ、ソレニ
付テ審議スル餘地ガアッタ譯デアリマスガ、
遺憾ナガラ今日ニ於テハ既ニ其ノコトモ出
來ナイヤウナ狀態ニアリマスノデ、今日
ノ場合ト致シマシテハ、政府ノ御言明ノ如
ク、政府ニ其ノ節減ハ御任セスルヨリ致シ
方ナイ情況ニ立至ッタト云フコトハ、是ハ貴
族院ト致シマシテ甚ダ遺憾トスル所デアリ
マスガ、是ハモウ已ムヲ得ヌコトデアリマ
ス、是ハ貴族院自身ガ豫算案ノ審議取扱ニ
付キマシテ、自ラ考慮スベキ點ガ多々アル
ト存ジマス、尙此ノ際本諸案ヲ贊成致シマ
スニ付キマシテ、政府ニ對シテ希望ヲ申上
ゲテ置キタイト存ジマス、私ハ此ノ增稅ハ
今日ノ場合必要ナコトデアル、相當ノ增稅ハ
是ハ國民トシテ忍バナケレバナラヌト云フ
コトヲ申上ゲマシタガ、是ハ國民側ノ覺悟
ヲ申上ゲタノデアリマシテ、同時ニ政府ト
致シマシテハ、國民ニ是ダケノ增稅ニ依ル
苦痛ヲ忍バセルト云フ以上ハ、政府自ラニ
於キマシテモ財政ノ膨脹ヲ極力避ケテ、今
日ノ場合、急ヲ要シナイ事業ノ如キハ努メ
テ之ヲ延期シテ、又政府ノ行政機構ヲ簡易
ニシテ、サウシテ之ヲ能率的ナラシメテ、
努メテ冗費ヲ省イテ、合理的ニ節約ヲ努メ
ラレ、サウシテ國民ト共ニ政府ニ於テモ自
ラ率先シテ、此ノ難局ヲ乘切ルト云フコト
ニ付テ一層ノ御考ヲ希望スルノデアリマス、
次ニ今囘ノ稅制改革ハ先程モ申述ベマシタ
通リニ、日本ノ租稅史始ッテ以來ノ大變革デ
アリマスルカラ、此ノ新シキ制度ヲ運用ス
ルニ付キマシテハ、政府ト言ヒマスカ、或
ハ又更ニ政府ハ廣イ意味デアリマシテ、稅
務常局迄モ含ンデ居ル意味デアリマスガ、
取扱ニ付キマシテハ非常ナル注意ヲ御願ヒ
セヌケレバナラヌ、財政學ノ入門ニ舊稅ハ
良稅デアルト云フヤウナコトガアッタト思ヒ
マスガ、惡稅トテモ是ガ長キニナリマスルト、
自然ニ自ラ取扱ニモ慣熟シ、又納稅者ニ於
キマシテモ自然ニ其ノ間ニ調整ガ取レテ參ッ
テ工合好ク行クモノデアリマスガ、如何
ニ良イ制度デアリマシテモ、新シキ制度
デアッテ、當局モ之ニ慣レズ、納稅者ノ方モ
ソレニ親シマナイト云フ時期ニ於キマシテ
ハ、兎角色々ナ摩擦ガ起ッタリ、或ハ不平ガ
起ッタリスルモノデアリマスルカラシテ、稅
務行政ノ執行ノ上ニ於キマシテハ十分ナル
注意ヲ加ヘラレマシテ、都合好ク此ノ重稅
ヲ國民ニ不平ナク摩擦ナク執行サレルヤウ
ニ十分ナル注意ヲ希望スル譯デアリマス、
尙又今囘ノ稅制整理ハ極メテ新シイ根本的
ノ改革デアリマスルカラシテ、是ガ果シテ
實際ノ運用ニ當リマシテ、將來今日我々ガ
考へ、政府ガ考ヘテ居ラルヽヤウニ、理論
カラ申シマシテモ、又實際カラ申シマシテ
モ果シテ最モ良イ制度デアッタカナカッタカ
ト云フコトハ今後ノ狀況ニ依ッテ判斷セナ
ケレバナラヌト存ジマスノデ、今後實施ノ
狀況ニ鑑ミラレマシテ、若シ斯樣々々ノ點
ガ面白クナイト云フヤウナ缺點ヲ發見セラ
レマシタ時ニハ、怠ラズ速カニ再ビ左樣ノ
點ヲ改正、是正スルヤウニ御努メアラムコ
トヲ希望スルノデアリマス、尙最後ニ先日
モ質問中ニ申上ゲタノデアリマスガ、從來
此ノ時局ニ對スル、支那事變ニ對スル臨時
稅トナッテ居ッタモノデアリマシテ、今囘ノ
改革ニ依リマシテ恆久稅トセラレタモノガ
數種ノ稅ニ付テアルノデアリマスガ、例ヘ
バ過日申上ゲタ遊興飮食稅デアルトカ、入
場稅デアルトカ云フヤウナモノハ、成ル程
今日ト致シマシテハ稅收入ガ相當多額ニ相
成ッテ居ルノデアリマスルカラシテ、之ヲ今
直チニ國稅ヨリ落スト云フコトハ財政上許
サレナイモノデアルト云フコトハ、是ハ私
共モ承知致シテ居ルノデアリマス、併シナ
ガラ元來斯樣ナ稅ヲ初メテ起サレタ時ハ地
方稅デアッタモノヲ、事變關係ニ依ッテ一應
國稅トヤッテ見ヨウト云フヤウナコトデナッ
タモノデアリマシテ、從ッテ事件ニ關スルモ
ノト云フ考カラ致シテ、「當分ノ內」ト云フコ
トニナッテ居ッタノデアリマス、從ッテ時局終
了後ハ自ラ是ハ元ノ地方稅ニデモ戾サレル
ト云フヤウナ風ニ考ヘテ居ッタノデアリマ
スガ、今日ハ此ノ「當分ノ內」ガナクナリマシ
テ、國家ノ恆久稅トシテ存置サレルト云フ
コトニ相成ッタノデアリマス、併シナガラ遊
興飮食稅トカ、入場稅トカ云フヤウナモノ
ハ國稅トシテ他ノ租稅ト肩ヲ竝ベテ置クト
云フコトガ誠ニ面白クナイト思フノデアリマ
ス、ノミナラズ斯樣ナ稅ハ元々地方稅ニアッ
タモノデアリマシテ、地方稅的ノ性質ヲ持ッ
タモノデアリマス、地方稅トシテモ道府縣
ノ稅トシテモ甚ダ不似合ナモノデアル、寧
ロ市町村ノ如キ小サナ公共團體ニ於テノ稅
トシテ漸クニシテ認メラレルヤウナ稅デア
リマス、稅收入トシテハ多クアリマセウガ、
稅種ガ甚ダ面白クナイト思フノデアリマス、
ソレデ今後何時ノコトニ相成ルカ分リマセ
ヌガ、財政ニ餘裕ヲ生ジテ再ビ減稅等ノ餘
地ノアル場合ニ於キマシテハ、先ヅ第一ニ
斯クノ如キ、國家ノ稅トシテハ面白カラヌ
稅種ハ國稅ヨリ之ヲ落シマシテ地方ニ還元
スルト云フヤウナ處置ヲ執ラレムコトヲ希
望スルノデアリマス、尙他ノ委員各位ヨリ
色々御希望モアリマセウガ、昨日懇談會ノ
席ニ於テ左樣ナ御希望ニ付テノ御意見ガ出
マシタガ、何レモ皆私ノ結構ニ思フ所ノ御
意見デアリマス、併シ是ハ委員各位ヨリソ
レゾレ御述ニ相成ルコト存ジマスカラシテ
他ノ委員諸君ニ讓リマシテ、私ハ只今申上
ゲタヤウナ各案ノ希望ヲ申述ベテ、此ノ希
望ヲ以テ稅法諸案ニ對シテ贊成ヲ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=35
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036・河田烈
○河田烈君 私モ只今八條子爵ノ申サレマ
シタ通リ本稅制改正案ニ付キマシテ贊成ノ
意見ヲ申述べタイト思フノデアリマス、內
容ニ付キマシテハ旣ニ述ベラレマシタト略く
同樣デアリマスケレドモ、一言理由ヲ附
加ヘテ置キタイト思ヒマス、只今御意見モ
ゴザイマシタ通リ、今囘ノ改正案ハ屢〓、皆
樣カラノ御意見モ出マシタ通リ正ニ劃期的
ノ改正ト稱セラレテ居ルノデアリマス、私
モ左樣一應ハ考ヘマスケレドモ、更ニ此ノ
內容ニ付テ檢討致シテ見マスルト、劃期的
デアルコトハ寧ロ方法形式デアッテ、內容ソレ
自體ニ付キマシテハ必ズシモサウデナキヤ
ニモ取レル所ガ多々アルノデアリマス、又內
容ソレ自體ニ付キマシテ、悉ク是ガ完全無缺
ナモノトモ思へナイ節ガアルノデアリマス、具體
的ニ一々申上ゲル必要モゴザイマセヌガ、所
得稅ヲ分類所得稅ト綜合所得稅ニ分ケラレマ
シテ、從來第一種所得稅ニ屬スルモノハ法人稅
ト云フ風ニ變ッテ參リマシタケレドモ、其ノ內
容ニ觸レテ見マスルト、是ハ現行ノ稅法ノ
整理ヲセラレタト云フニ止マルノデハナイ
カ、個人ノ所得、法人ノ本質等ニ付キマシ
テ、ソコ迄尙一層檢討セラレテ實質ニ亙ッテ
ノ改正デナクシテ、今日非常ニ複雜多岐ニ
ナッテ居ル所ノ稅法ヲ整理セラレタト云フ
痕跡ガ多々殘ッテ居ルヤウデアリマス、又假
ニ之ヲ消費稅ノ方面ニ付キマシテモ、酒稅
ノ如キハ庫出稅ヲ加味セラレル、併シナガ
ラ是ハ造石稅ヲ庫出稅ニ全然變ヘラレタ譯
デモアリマセヌ、今囘ノ酒稅ノ課徵ノ仕方
ニ付キマシテモ、其ノ部分全部トハ申上ゲ
兼ネマスルガ、蒸餾酒ニ對スル課稅方法ノ
如キハ、全部庫出稅ニシテモ宜クハナイカ
ト思ハレル節モアルノデアリマス、ソレ等ノ
點ハ先ヅ觸レラレナイデ、造石稅ニ對シマシ
テ物品稅トシテ課セラレテ居ル所ノモノヲ
庫出稅ノ方ニ移スト云フ······加味セラレタ
ト云フ程度ニ止ッテ居ル點ガアルノハ、是ハ
主トシテ劃期的ナノハ形態デアッテ、稅ノ內
容其ノモノニ付テハソレ程迄マダ割期的デ
ハナイノデハナイカ、形態ヲ整理セラレ、
而シテ之ニ多少ノ擴張ヲセラレル、增稅ヲ
セラレルト云フコトデアッテ、實質、ソレ自
身ニ非常ニ劃期的デアルヤ否ヤト云フ點ニ
付テハマダ違ヒガアルノヂヤナイカト思ハ
レル節ガアルノデアリマス、併シナガラ今
モ御話ガアリマシタ通リ舊稅ハ良稅ナリト
云フ諺モゴザイマス通リ、稅ノ如キハサウ
內容、實質ニ亙ッテ飛躍的ノ改正ト云フコト
ハ又考フベキコトデアリマス、從ヒマシテ
其ノ內容、實體ニ付テ非常ナ飛躍的ナ改正
ハナクシテモ、形態ヲ整理セラレルト云フ
コトハ非常ニ結構ナコトデアリマシテ、從
來ノ稅ハ內容ソレ自身ハ餘リ變ラナクテモ
形態ニ於テ之ヲ整理セラレルト云フコトハ
ソレハ自身既ニ十分結構ト思ヒマス偶〓之ヲ
以テ斯ウ云フ整理ヲセラレルト云フコト
ハ、此ノ稅制ノ根本的ノ改正ト云フコトハ
今日マダ時期デナイト云フ御議論モアリマ
シタガ、此ノ平時ニアラズシテ今日ノ場合
ニ於テ此ノ程度ノ改正ヲセラレルト云フコ
トハ、要スルニ餘リ內容ノ飛躍的ノ變化ヲ
生ゼズシテ、今日ノ複雜多岐ナル稅制ヲ改
正セラレ、同時ニ增稅ヲスルト云フ目的ニ
出ラレタコトデアラウト、其ノ意味ヲ反映
シテ居ルノヂヤナイカト思ヒマス、之ヲ私
ハ非難スルノデハアリマセヌ、今日ノ場合
其ノ程度ガ極メテ適當ダト思フノデアリマ
ス、從ヒマシテ今日ノ形式的ノ劃期的ノ改
正、ソレ自身ニ於テモ十分意義ガアルト思
フノデアリマス、之ニ依リマシテ從來ノ種
種ナル稅法ノ複雜セルモノヲ整理セラレル
ト云フコトノ一點ニ付キマシテモ十分贊成
ノ餘地ガアルト思フノデアリマス、次ニ衆
議院ニ於ケル修正ノ問題デアリマスガ、其
ノ修正ノ內容ヲ承ッテ見マスルト、必シモ修
正ハ改善デアッタカ否ヤト云フコトニ對シ
テハ然ラズト存ズル所ガ多々アルノデアリ
きい、併シナガラ今日之ヲ又更ニ修正スル
ト云フヤウナコトハ、今日ノ場合甚ダ適當
セズト思ヒマスノデ、是亦衆議院ノ修正案
通リニ改正セラレルコトハ已ムヲ得ナイト
思フノデアリマス、只今モ御意見ガゴザイ
マシタ通リ衆議院ノ修正ニ付キマシテモ多
少ノ疑義ガアリマスノミナラズ、又今日形
態ヲ整ヘラレマシタ所ノ稅ノ內容、國稅ノ
原案ノ內容ソレ自身ニ付キマシテモ、今御
話ガアリマシタ通リ、國稅トシテ果シテ適
當ナリヤ否ヤト云フヤウナ點ニ疑ノアルモ
ノガアリマスケレドモ、是ハ前段申述ベマ
シタ通リ、要スルニ形態ヲ整理シテ、而シ
テ增稅ヲ目的トシテ居ラレルト云フコトニ
出發セラレタ反映ト思ヒマスノデ、深クソ
レヲ以テ本稅制改正案ヲ非トスルハ當ラナ
イト思フノデアリマス、最後ニ殘リマシタ
所ノ今ノ衆議院ノ修正ニ依リマスル所ノ
歲入減、是ヲ如何ニシテ補塡スルカト云フ
點デアリマスガ、政府ハソレハ歲出ノ節約
ヲ以テ之ヲ補塡スルト云フ御言明ガアリ
マシタノデ、之ニ信賴致サウト思ヒマス
ガ、玆ニ一ツ考ヘテ見ナケレバナラヌト思
ヒマスコトハ貴族院ニ於ケル豫算ノ審
議ト稅法、歲入基因タルベキ所ノ法制ノ
審議ト手ヲ連ネルヤ否ヤノ問題ハ暫ク
離レマシテモ、政府ガ一旦提出シタ所ノ豫
算ニ付キマシテ尙歲出ノ餘地アリト云フ豫
算ヲ提出セラレルト云フコトハ是ハ如何ナ
モノト思フノデアリマス、デアルガ今日ノ
場合ニ於キマシテハ旣ニ事態ガ違フノデア
リマシテ、此ノ政府ガ提出セラレマシタ總
豫算ト云フモノハ、是ハ現內閣ガ編成セラ
レタ豫算デナイノデアリマス、是ヲ更ニ檢
討修正シテ提出セラルヽ餘地ナクシテ提出
シテ居ラレルノデアリマスカラ、若シ事實修
正シテ提出スベシト申シマシテモ、是ハ實際
出來ナカツタ狀態デアルト考ヘマス、從ヒマ
シテ八條サンノ御贊成ノ意見等ニ於キマシ
テモ、政府ハ十分此ノ歲出豫算ヲ認ムルケレ
ドモ、節約スベキモノハ十分節約スベシト
云フヤウナ御意見モアッタト思ヒマスカラ、
平時ノ場合ト違ヒマシテ今日ノ場合ニ於キ
マシテハ、政府ハ其ノ中カラ節約スルト云
フコトヲ言明ニナルノハ又ソレ相當ノ理由
ガアルト思ヒマスカラ、其ノ政府ノ御言明
ヲ信賴スル次第デアリマス、飜ッテ他ノ方面
カラ之ヲ見マスルト、何ト申シマシテモ稅
ノ負擔ト云フモノガ相當多額ニナッテ居ル、
國民ノ負擔ハ非常ニ增シテ居ルノデアリマ
スカラ、增シテ居ル此ノ際ニ於キマシテ、政
府ハ歲出ノ節約ト云フコトニ極力留意セラル
ルコトハ勿論デアリマス、從ヒマシテ、此
ノ修正ニ依ッテ生ジタル歲入缺陷ヲ歲出ノ
節約ヲ以テ之ニ充テルト云フ御覺悟ノアル
ト云フコトハ、此ノ多額ノ增稅ヲセラレル
此ノ場合ニ當ッテ又一點相照應スル所アリ
ト見テ宜シイト思フノデアリマス、第一番
ニ申上ゲマシタ本改正案ノ稅制ノ形態ヲ整
ヘラレタト云フコトハ、正ニ政府カラモ御
說明ガアッタノデアリマシテ、是ヲ以テ增稅
ノ目的ヲ達シ、又租稅ノ彈力性ヲ增スト云フ
コトニナルノデアリマスカラ、將來ノ稅收
入ヲ見積ラレル、若シクハ增收ヲ圖ラレル
ニ於テモ多大ノ便宜モアリ、國民モ多岐複
雜ナル所ノ稅制ノ下ニ增加セラレルヨリ遙
カニ安堵スル次第ト思ヒマス、若シ將來ニ
於キマシテ政府ニ於テハコヽ數年ハ特別ノ
變化ナキ限リハ增稅ハシナイト云フ御言明
ハ屢〓ゴザイマシタガ、萬一尙其ノ必要ガ
アッタ場各ニハ是ハ已ムヲ得ナイコトト思
ヒマス、只今八條委員カラモ國民ニ於テハ
負擔ニ堪ヘル程度ノ增稅ヲ又覺悟シテ居ナ
ケレバナラヌト云フ御話ガゴザイマシタ
ガ、是ハ勿論サウ覺悟シナケレバナリマセ
ヌト同時ニ、何ト申シマシテモ稅額ガ多ク
ナッテ參ルト、國民ノ負擔ガ殖エテ行クト云
フ狀態ニナル以上ハ、政府ハ只今御話ノゴ
ザイマシタ通リ、歲出ニ付キマシテ極力節
約ヲ厲行セラレルコトハ無論ノコトデアリ
マシテ、其ノ彈力性ヲ與ヘラレ、又其ノ形
態ガ整ヘラレタコトヲ、利用ト云ッテハ甚ダ
當ラヌカモ知レマセヌガハ利用スルヤウナ
コトガアッテ、濫リニ增稅ノ方ニ向フト云フ
ロトハナイヤウニ十分注意セラレムコトハ
勿論ノコト、多額ニナレバナルニ從ヒマシ
テ、徴稅ノ方法ノコトニ付キマシテ懇切丁
寧ニ、國民トノ摩擦ハ避ケラレルノハ勿論
ノコト、進ンデハ徵稅ノ方法ヲ納稅シ易イ
ヤウニ、有ラユル積極的ナ便宜ヲ圖ラレル
コトト云フコトニ深ク留意セラレマシテ、
折角今八條子爵カラモ申サレマシタヤウナ
國民ノ覺悟ヲシテ鈍ラシメナイヤウニ深
甚ノ御留意アラムコトヲ希望致シマシテ贊
成致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=36
-
037・安宅彌吉
○安宅彌吉君 既ニ會期モ切迫シ、衆議院
ニ於ケル修正案ニ對シマシテ政府ハ相當ニ
了解ヲ與ヘラレ、又此ノ席上ニ於キマシテ
モ有力ナル方々ガ今囘ノ稅制ニ御贊成ニ
ナッテ居ル、旣ニ大勢相決シマシタト申スヤ
ウナ情勢ニ於テ、私ガ希望ヲ申上ゲテモ其
ノ效果如何ヲ憂フルノデアリマス、併シ一
言希望ヲ述ベサシテ戴キマス、先ヅ御了承願
ヒタイノハ、商工業界ノ人達ハ增稅ヲ忌避
スルノダト云フコトハ斷ジテアリマセヌ、
國家非常時ニ於キマシテ政府ノ御入用ニナ
ル金額ヲ稅ニ依ッテ御取立ニナルト云フコト
ハ我等ハ喜ンデ之ヲ迎ヘルモノデアル、如何
ナル苦痛ガアリトモ之ヲ忍ブモノデアルノデ
アリマス、併シナガラ其ノ方法ニ付キマシ
テ考ヘ方ガ違フモノガアルノデアリマス、
先ヅ第一ニ、法人ノ所得ヲ決定サル、場合
ニ從來ニハ納稅シタモノヲ控除サレタ、今
囘ノ稅制ニ於キマシテハ之ヲ控除サレナイ
コトニナッタ、是ハ法人ト致シマシテ非常ニ
重大ナル變革デアリマス、負擔ヲ增スモノ
デアリマス、此ノ考ヘ方ニ付キマシテ稅ヲ
經費ナリトシタ從來ノ考ヘ方ガ大藏當局自
ラ多年誤ッテ居ラレタ、大藏當局ガ多年間
違ヘテ居ラレタノヲ今囘是正サレタ、斯ウ
云フ風ニモ見受ケラレルノデアリマス、又
個人トノ均衡ヲ失スルト云フ考ヘ方ト二ツ
ニ出デテ居ルト推察サレマス、私ハ從來ノ
大藏當局ノ控除サレタ多年ノオヤリニナッタ
コトヲ是ナリトシテ、若シ個人ノ方ニ均衡
ヲ失スルト云フコトナラバ、個人モ稅ヲ經
費トシテ認メラレタ方ガ本當ヂヤナイカト
思フノデアリマス、若シ之ニ依ッテ稅ノ收入
ガ減ルト云プコトナラバ稅率ヲ引上ゲテ戴
ケバ宜イノデアリマス、從來認メタモノヲ
認メナイヤウニシテ稅率ガ輕イヤウニ見エ
ルト云フヨリモ、經費ハ經費トシテ引キ、
殘ツタモノニ對シテ如何ナル重稅ヲ御掛ケ
ニナッテモ國民大衆ハ、產業界ノ人ハ斯ク重
稅ヲ負擔シテ居ルト云フコトガハッキリ分ル
ノデアリマス、稅ヲ引カナクナッタガ爲ニ稅
率ガ上ラナイ、サウスルト云フト大衆ハ、
商工業界ノ人ハ超過所得ノ最高ガ六十五
ㄱパーセント」ダ、マダ〓〓餘地ガアルンダ、
法人稅ハ十八「パーセント」デ、其ノ上六十
五つパーセント」ヲ加ヘラレル、マダ〓〓餘
地ガアルンダト云フヤウニ世間ノ大衆ハ考
ヘルカモ知レヌ、ソレヲ私ハ是正シテ貰ヒ
タイノデアル、世間ノ人ハ動モスルト云フ
ト、商工業者ト云フモノハ自利バカリヲ圖ッ
テ稅負擔ヲ避ケルト云フヤウニ思ハレテ殘
念デアリマス、故ニ私ハ引クベキモノハ引
イテ戴イテ、率ヲ引上ゲルモノハ引上ゲテ
戴ク、多クノ人ノ面前ニ八十五「パーセン
トレ九十「パーセント」拂ッテ居ルト云フコ
トヲ明ニシタ方ガ、私ハ商工業者ノ建前ヲ
日本全國民ニ知ラシムル所以デアルカラ、
此ノ意味ニ於テ稅ハ經費トシテ御差引ヲ願
ヒマシテ、稅率ヲ御上ゲニナルト云フコト
ナラバ御上ゲニナッテ之ヲ「カヴアー」シテ戴
ク、是ガ私ハ至當デアルト考ヘマス、國民
大衆ニ向ッテモ我々ノ面目ガ立ツノデアリマ
ス、併シナガラ承ル所ニ依レバ、是ハ二億
萬圓ノ收入ヲ直チニ減ズルノダ、ソレヲ此
ノ會期ノ切迫シタ今日私ガ是ノ修正ヲ叫ン
デモ困難デアル、併シ私共ハ商工業界ノ總
意ヲ茲ニ披瀝シマシテ將來是正シテ戴キタ
イ、私共ノ希望ノスル通リニ是正シテ戴キ
タイト云フコトヲ强ク私ハ希望シテ置キマ
ス、次ニ綜合所得ニ於キマシテ、配當所得
ノ二割控除ヲ撤廢サレマシテ、利息ヲ引ク、
斯ウ云フコトニ相成ッタノデアリマスガ、私
ハ全國ノ商工業者ノ聲ヲ常ニ聞イテ居ルノ
デアリマス、每年二囘位ハ全國カラ會議所
ノ總會ニハ集ッテ來ルノデアリマス、商工界
ノ總意ト云フモノガヨク分ルノデアリマス
ガ、ドコノ地方ニ於キマシテモ、此ノ利息
ノ計算ニ於テハ稅務當局ト納稅者ノ間ニ非
常ナ摩擦相剋ガ起ル、結局證明ノ途ガナケ
レバ推定ヲ以テ之ヲ決定サルヽ場合ガ多イ
カラシテ、或一部分ノ人ヲ除ク外ハ、利息
ヲ控除スルト云ッテモ、或ハ是ハ有名無實ニ
ナルカト云フ聲ガ大部分デアリマス、故
若シ政府ニ於カセラレテ產業資本ト云フモ
ノニ今一段ト重要性ヲ御考ヘニナルナラバ、
利息控除ニ代ヘルノニ二割控除ヲ以テセラ
レルコトヲ切ニ私ハ修正案トシテ切望スル
次第デアリマス、次ニ同族會社ノ加算稅率
ノ撤廢ノコトデアリマス、是モ今回商工業
者ノ聲デアリマス、御承知ノ通リ同族會社
ニハ二ツアル、私ガ申上ゲルノハ純事業會
社ノコトヲ申上ゲルノデアリマス、世ノ中ニ
ハ昔ハ暖簾ヲ分ケル、十年二十年勤メテ居
ル者ニハ暖簾ヲ分ケルト云フ仕來リガ何百
年來我ガ國ニハアッタノデアリマスガ、時
勢ガ變ッテ來マシテ暖簾ヲ分ケルト云フ制
度ハ殆ド困難ニ相成リマシタ、ソコデ社
員、店主相和シ、相援ケテ、此處二會社ヲ
組織スルト云フコトニ相成ッタノガ多イノデ
アリマス、決シテ保全會社トシテ財產ヲ保
全スル意味デナクシテ、社會政策上社員ニ
相當ノ利害關係ヲ持タサナクチヤイカヌト云
フノデ發達シタノガ同族事業會社デアリマ
ス、然ルニ從來此ノ同族事業會社ニ對シマ
シテハ一般事業會社ト區別セラレテ、加算
稅率ヲ掛ケラレテ居ッタノデアリマス、併シ
ナガラ今日大藏當局ニ於カセラレテハ、餘
程此ノ條件ヲ緩和サレマシテ、今囘ノ改正
ニ於キマシテ、事業會社ニ對シマシテハ相
當ニ緩和サレマシタコトハ、私共ハ一面ニ
於テハ感謝致シマス、而カモ私申上ゲタイ
ノハ、超過利得稅ガ最高限六十五「パーセ
ント」ト云フコトデアリマス、其ノ上ニ同
族會社ハ如何ニ緩和セラレタリト雖モ、之
ニ加算稅率ヲ掛ケルト云フコトニ相成ルト
幾ラニナル、儲カラヌ會社ハ出サヌデ宜イ
ヂヤナイカト云フ御考ヘカ知レマセヌガ、
儲カル會社ハ出サナケレバナラヌコトニナ
ル、旣ニ超過所得率ガ非常ニ上リマシタ今
日、純企業會社ニ對シマシテ加算稅率ヲ掛
ケル理由ハ何處ニアル、私ノ當局ヨリ拜承
シタ所ニ依リマスト云フト、實際ニ於テハ
掛ケテ居ラナイ、純企業會社ニ於テハ殆ド
最近ニハ加算稅率ヲ掛ケテ居ラヌ、其ノ金
高ハ幾ラニ上リマスカト言ッテ伺ヒマスト、
マダハッキリ分ラヌト云フコトデアリマス、
極メテ少額ノモノダト存ズルノデアリマス、
若シ是ガ極メテ少額ノモノデアリ、政府モ
純企業會社ト云フモノハ一般企業會社ト殆
ド同樣ナモノデアリ、社會政策上モ、店員
ヲ社員ニ加ヘテ、之ヲ株式ノ所有者トシテ
發展セシメナケレバナラヌト云フ御考ガ旣
ニ出來テ居ル今日ニ於キマシテハ、今後尙
一層同族事業會社ト云フモノヲ奬勵セムガ
爲ニ、此ノ加算稅率ガ殆ド入ラヌモノナラ
バ、直チニ撤廢シテ戴キタイト私ハ願フノデ
アリマス、殊ニ私申上ゲタイノハ、私共從
事シテ居ル貿易業デアリマス、貿易業デ株
式會社デ以テ發達シタモノハ殆ドナイノデ
アリマス、皆ガ寄ッテタカッテ株式會社ニシ
テ貿易業ヲヤッタ者ハ皆潰レテ居リマス、殆
ド潰レテ居リマス、私共ノ四十五年間ノ貿
易業界ニ於テハ確カニサウデアリマス、皆
個人ノ事業ガ同族事業會社トナッテ、社員ヲ
包容シテ社會政策的ニヤッタモノガ今日殘ツ
テ居ルノデアリマス、サウ云フ點ヲ考ヘマ
スナラバ、同族事業會社ハ、大臣ニ於カセ
ラレテモ今後益〓、奬勵ニ相成ルベキコトダト
私ハ考ヘルノデアリマス、社會政策ノ上カ
ラモ、事業ノ堅實ノ上カラモ······、ソンナ
ラバ今日此ノ際直チニ同族會社ノ純企業會
社ニ對スル加算稅率ハ御撤廢アラムコトヲ
切望スル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=37
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038・岩倉道倶
○男爵岩倉道倶君 チヨット私速記ヲ止メ
テ戴イテ、安宅サンニ御懇談申上ゲタイト
思フノデスガ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=38
-
039・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郞君) 速記ヲ止メマ
ス
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=39
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040・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郞君) 速記ヲ始メマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=40
-
041・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 私モ之ニ贊成ヲ致シ
マスノデスガ、モウ皆樣色々御發言ガアッタ
ノデ、前置キハ一切拔キマシテ、贊成ハ致
シマス、併シドウモ無條件デ贊成スルトハ
申上ゲラレナイ、此ノ點ダケ申述ベサシテ
戴キタイ、第一ハ八條子爵カラ御話ノアッタ
例ノ歲入缺陷問題、是ハ繰リ返シマセヌ、
唯法律ト豫算トノ關係ニ付キマシテハ從來
見解ガ區々ニナリ、觀念ガ區々ニナリ、色
色ニナッテ誠ニ政府モ困レバ我々モ困ル、實
ハ今日ノ問題モ、寡聞ナ頭デズット審議シテ
來マシタナラバ、ナカ〓〓サウハ行カナイ
ヤウナ事情ガアリマシテ、ソレデ是ハドウ
カ重大ナ問題デアリマシテ、アッチヘ動イ
タリコッチヘ動イタリ··発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=41
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042・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郞君) チヨット速記
ヲ止メテ
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=42
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043・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郞君) 速記ヲ始メマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=43
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044・大河内輝耕
○子爵大河內輝耕君 此ノ問題ハ始終方針
ガグラ〓〓動キマシテ、サウシテ誠ニ審議
ニ困リマスノデ、ドウカ今後ハ、是ハ政府
ニ對シテ御註文スルノデハナイノデスガ、
委員各位ニ於カレテ然ルベキ方法ヲ以テ確
乎タル方針ヲ立テテ戴キタイ、ドッチガ宜イ
カト云フコトハ度々申シタコトデスカラ、
此ノ際繰返シマセヌ、ソレカラ次ニ申上ゲ
タカッタノハ、遊興稅ノ問題デシタガ、是ハ
八條子爵カラ御述ニナリマシタカラ、繰返
シマセヌ、唯河田君デゴザイマシタカ、御
述ニナッタ地租ハ國稅トシテノ性質ヲ持ッテ
居ルノデハナイカト云フコトナドモ、將來
政府トシテハ色々ナ場合ニ於テ御考ヲ願ッ
テ置キタイ、尙私モ地租ノミナラズ、外ノ
稅ニ付キマシテモ、多少ハ國稅ニ留メテ御
置キニナル方ガ宜クハナイカ、ソレハ將來
國家ノ歲出ガ膨脹スルヤウナコトガアリ、
何カ特別ノ稅ヲ要スルヤウナコトデモアル、
サウ云フ場合ニ外ノ稅ハ兎ニ角ダケレド
モ、營業稅ダケハ殖ヤシテ行キタイト云フ
ヤウナ特ニ、今ノ建前デハ、國家ノ方カラ
言フト、先ヅ一文ニモナラヌト云フノデス
カラ、サウ云フ場合ヲ想像シテ色々ナ稅ヲ
國稅トシテ留メテ御置キニナッタ方ガ租稅
政策上宜クハナイカト云フヤウニ私ハ考ヘ
やく、ソレカラ尙法人留保所得ノ問題モ出
タノデスガ、是モ多少ノ優遇ヲスルヤウニ
將來ハ御考ニナッテ戴キタイ、殊ニ此ノ問題
ニ付キマシテハ、課稅ノ仕方ニ付テ御註文
モアッタ、ドウカ政府ハ其ノ事ヲ能ク念頭ニ
置カレテ、サウシテ其ノ述ベラレタ趣旨ガ
十分徹底シマスヤウニ御扱ヲ願ヒタイ、尙
個人ノ寄附金ノ御取扱ニ至リマシテハ、是
ハ政府ノ見方ハ私ハ誤ッテ居ルト思フ、唯法
律一點張リデ以テ、是ハ稅デナイトカ何ト
カ言ハレマスケレドモ、實際ニ於テハ稅ト
少シモ性質ハ違ハヌ、拂ハナケレバナラヌコ
トニナッテ居リマスカラ、仕方ガゴザイマセ
ヌ、之ニ付テモ將來十分御〓究ヲ願ヒタイ、
止メラレルモノナラバ止メテ戴キタイガ、
止メルコトガ出來ヌモノナラバ、是ハ稅ト
シテ何處迄モ認メナケレバナラヌト思ヒマ
ス、尙相續稅ノ物納ナリ、或ハ物件買上請
求權ナリハ、先程問題モ起リマシテ、大藏
大臣ノ明言ヲ得テ、我々モ大變喜ンデ居リ
マスガ、之ガ御〓究ニナルニ付テモ只今納
付中ノモノニ付テモ亦矢張リ便宜ヲ與ヘテ
戴キタイト思フ、是モ委員會ノ際ニハ御〓
究ヲ願ヒタイト存ジマス、尙只今安宅君カ
ラ詳シク御申述ニナリマシタコトハ、誠
產業上重大ナコトデゴザイマシテ、決シテ
是ハ產業界ノ代表トシテノ御意見ト私ハ看
做サナイ、是ハ貴族院議員ト致シマシテ、
サウシテ普遍的ナ立場カラ、國家ヲ背後ニ
置イテノ御意見トシテ、多大ノ敬意ヲ表ス
ル者デアリマス、產業ト言ハズ、金融ト
言ハズ、刻下ノ此ノ非常時ニ於テ國家ニ盡
ス途ニ於テ何ノ異ル所モナイ、此ノ點ニ於
テ我々モ亦、農業家ト雖モ皆此ノ點ニ付
テ何等考ヲ異ニスル者ハナカラウト思ヒマ
ス、ソレデ能ク審議シ、又此ノ法律案ヲ審
議スルコトニ於キマシテ、今後ノ產業ノ發
展ヲ期スルコトハ國民ヲ擧ゲテ努力ヲ致サ
ナケレバナラヌ、支那ノ經營ニ對シテドレ
ダケノ金ガ要ルダラウカ、又支那ノ兵備ヲ
ヤルニ付テハドレダケノ金ガ要ルデアラウ
カ、唯金ダケ見タ所デ大變ノモノデス、之
ヲ資金或ハ物資其ノ他ノ關係ニ付キマシテ
ハ、之ヲ十分ニ供給セシメルコトニ付
テハ產業家ノ努力ニ俟ツコトハ非常
ナモノデス、ソレデ折角是ダケノ產業
家ノ權威者ガ集メラレテ、是ダケノ修
正案ヲ作ラレテ、之ヲ政府ニ進言サレタ時
ニ、不幸ニシテ是ガ容レラレナカッタト云
フコトハ、是ハ如何ニ贔負目ニ見テモ
政府ノ負籤ト申上ゲナケレバナラヌ、成ル
程理窟カラ申セバ惡イコトモゴザイマセ
ウ、今安宅君ノ述ベラレタコトニ付テ正直
ニ申上ゲレバ、理論ノ徹底シタ所モゴザイ
マセウシ、多ク徹底シナイ所モアル、是ガ
所謂學者ト或ハ我々ノヤウナ机デ以テ考
ヘテ居ルヤウナ人間ト、產業家ト云フコト
ニ付テ實際ノ算盤ヲ取ッテ荒浪ヲ乘切ッテ居
ル方ノ考トハ此ノ邊ニ於テ隨分違フ、是ガ
政府ガ御參照ニナラナカッタト云フコトハ、
是ハ何ト申シテモ政府ニ於テ多大ノ遺憾ナ
キヲ得ナイ、是ハ此ノ內閣ガ御ヤリニナッタ
ノデハナイノデ、外ノ方ガ御ヤリニナッタ
ノデスカラ、此ノ內閣ヲ彼此申スノデハナ
イガ、其處ノ點ハ此ノ內閣ハ十分御認メ願
ヒタイ將來ニ付テハ此ノ點ハ十分ニ御攻
究ニナッテ、決シテ是ハ商工會議所ノ代表者
ガ云ッタノデハナイ、貴族院議員ガ申シタノ
デアル、ヨク此ノ點ヲ十分ニ御了解下サツ
テ、サウシテモウ少シ產業ニ對シテ同情ヲ
持ッテヤッテ戴キタイ、私ハ度々今迄稅制改
正ノ度ニ、是ハ商工業者ノ意見ヲ聞イタカ、
農業家ノ意見ヲ聞イタカト云フコトハ、ソ
レヲ繰返ス度ニ申シテ居ルノデアリマスカ
ラ、此ノ點ハ特ニ此ノ際申上ゲテ置キマス、
ソレカラ次ニ私ハ最後ニ質問致シマシタ東
京市ノ財政ナンデス、何モ東京市ノヤウナ
小サナ問題デ申シタノデハナイノデ、實、
此ノ地方團體ノ財政ト國家ノ財政トノ關係
ニ於テ、ドウモ今度非常ニ色々ナ豫期スベ
カラザル事情ガ起ラウト思フ、例ヘバ警察
費連帶支辨金ナドハ東京大阪ハ殖エテ居ラ
又、何故殖エテ居ラヌカト聞イテ見タ所ガ
財政ガ豐カダカラト斯ウ仰シヤル、是ハ大
イナル間違ヒデアラウト思フ、是ハ無論內
務省ノ御方ニ申上ゲタ方ガ宜イカモ知レマ
セヌガ、大藏省ノ方デモ御承知ヲ願ヒタイ
ノデスガ、此ノ頃ノヤウニ警察ガ重大デア
ル、警察ガ必要デアルヤウナ場合ニ於キマ
シテハ、又召集其ノ他ノ爲ニ警察官ノ種ガ
落チテ居ル時ニダ、東京市ノ警察費ノ如キ
ハ最モ之ヲ增加シテ、モット良イ警官ヲ採
レ、其ノ代リ帝都ノ將來此ノ複雜怪奇ヲ極
メタ時局ニ於テ如何ナルコトガアッテモ十
分ノ責任ヲ執ラナケレバイカヌ、其ノ代リ
金ノ方ハ十分ニ殖ヤシテヤル、サウ仰シヤ
ルノガ當リ前ダノニ金ガ澤山アルノダカラ
ト云フノデ是ニ對シテ同情ヲ持タレナカツ
タト云フコトハ甚ダ遺憾デアル、併シ是ハ
餘計ナ問題デ、又政府ノ仰シヤル財政ニ餘
裕ガアルカラト仰シヤルノモ是ハ無理ハナ
イ、是ハ無理モナイカラ私ハ茲ニ一ツノ考
ヘ方ヲ見テ戴キタイ、只今ノ地方財政ノ狀
態ニ於キマシテハ非常ニ地方財政ガ收入ガ
多イ、此ノ收入ガ多イノハ何故カト云フト
政府デ澤山ノ赤字公債ヲ出シテ、サウシテ
非常ナ金ヲ使ッテ居レバコソ斯ウ云フコト
ニナッタ、ソレデサウ云フ場合ニ於キマシテ
ハ、赤字公債ヲ出シタ爲ニ、サウ云フ風ニ
ナッタモノニ付テハ將來ニ地方團體ノ歲入
ハソレダケニ增加シテ續ケテ行ケルヤ否ヤ
ハ是ハ保證ノ限リニ非ズ、國家ノ財政モサ
ウカ知レマセヌガ、殊ニ地方ノヤウナ小サ
イ所デハ政府ノ何ト云フカ「インフレ」政策
ト云ヒマスカ、赤字公債政策ト云ヒマスカ、
ソレガナクナッテシマッタ場合ニ於テハ、餘
程苦痛ヲ受ケヨウト思フ、今ハ樂ダ、是ハ
地方團體ノ努力ニ依ッテ樂ニナッタノデモナ
シニ政府ガサウ云フ風ナ政策ヲ執ッタカラ
樂ニナッタノデアリマスカラ、斯ウ云フ非常
時ニ於キマシテハ、或ハ鐵道會計ヤ遞信會
計ナリ、或ハ朝鮮ヤ臺灣ノ例ニ做ッテ地方稅
ノ豐カナ、警察費連帶支辨金ヲヤラナクテ
濟ムヤウナ豐カナ所カラハ相當ナ納付金ヲ
サセルコトモ宜カラウト思フ、是ハ地方ノ
自治ノ問題デゴザイマスカラ、私ハ決シテ政
府ガ進ンデソンナコトヲシロト申スノデハ
ナイノデスガ、是ハ一ツノ案トシテ地方團
體ニ於テモ、政府ニ於テモ御考ニナッテ宜イ
問題カト思ヒマシテ此ノコトヲ申添ヘテ置
キマス、殊ニ又將來ノ稅務ノ執行ノコトニ
付テハ色々御說モゴザイマシタガ、何シロ
劃期的ノ增稅ノコトデゴザイマスカラ、十
分愼重ナ御考慮ヲ願ヒタイト思ヒマス、ソ
レデ大體ヲ申上ゲマスレバ、今日ノ斯ウ云
フ風ニ增稅ヲシテ居テ、政府ハマダ餘裕ガ
アルナドト仰シヤルノハ、是ハ決シテ永久
的ノ言明ヂヤナイト私ハ思フ、今日ハ是ダ
ケノ赤字公債ヲ出シテ置キマスカラ、ソレ
ダカラ是ダケノ歲入ニ堪ヘテ行ケル、若シ
他日之ヲ整理シテ確乎タル基礎ノ上ニ財政
ヲ立テルト云フコトニナレバ、此ノ增稅ト
云フモノハ非常ニ重イ、是ハ先程八條子爵
ノ言ハレタヤウニ英國ノ例ニ做ウテ、或場
合ニハ殖ヤス、或場合ニハ減スト云フコト
ハアッテ然ルベキコトト思フ、之ヲ直グニ日
本ノ今迄ノヤリ方デ用ヒルト云フコトハ餘
程苦シイコトカト思ヒマスノデ、此ノ點ハ
御承知下サレ念頭ニ御置キニナッテ戴キタイ、
現ニ濱口內閣ノ緊縮政策ヲ執リマシタ時ニ、
アレダケノ稅デアッテモ、尙負擔力ガ負擔シ
切レナカッタト云フヤウナ狀態迄モ生ジタ
例モゴザイマス、一時ノ現象ヲ以テ餘裕ア
リナシト云フコトヲ言フコトハ、サウ云フ
御意見ナラバソレ迄デスガ、サウ云フ風ニ
御考ヘニナルノハ少シ行キ過ギデハアルマ
イカト存ジマス、尙全體ノ財政ヲ確立シ、
又進ンデハ社會ノ狀態ヲ改メルニ付キマシ
テモ大體カラ申セバ、政治ノ明朗化ヲ必要
トシ、國際關係ノ調整ヲ第一義トスルト云
フコトハ、是ハ申ス迄モナイコトデアリマ
ス、此ノ點ニ付キマシテハ政府モ御言明ノ
コトデゴザイマスカラ、十分ニ努力ヲシテ
戴キタイ、斯樣ニシテ私ノ希望ハ隨分多岐
ニ亙ッテ居リマス、中ニハ無論時間ノ餘裕ガ
アレバ是非共修正案ヲ提出致シマシテ、サ
ウシテ兩院協議會迄行ッテモ宜シウゴザイ
マスカラ、修正モ致シタイノデゴザイマス
ガ、今日ノ此ノ餘裕ノナイ日ニサウ云フコ
トヲヤルト云フコトモ餘リニ如何カト存ジ
マイ、此ノ希望ヲ附シテ此ノ案全部ニ贊成
ヲ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=44
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045・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郞君) マダ外ニ御發
言ハアリマセヌカ······別ニ御發言ガナケレ
バ採決ヲ致シタイト思ヒマスガ、御異議ア
リマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=45
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046・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郞君) 御異議ナイト
考ヘマス、然ラバ採決ヲ致シマス、衆議院
ノ送付ニ係ル所得稅法中改正法律案、法人
稅法案、特別法人稅法案、配當利子特別稅
法案、外貨債特別稅法中改正法律案、相續
稅法中改正法律案、建築稅法案、鑛區稅法
案、臨時利得稅法中改正法律案、營業稅法
案〓、地租法中改正法律案、酒稅法案、〓涼
飮料稅法中改正法律案、砂糖消費稅法中改
正法律案、織物消費稅法中改正法律案、揮
發油稅法中改正法律案、物品稅法案、遊興
飮食稅法案、取引所稅法中改正法律案、通行
稅法案、入場稅法案、印紙稅法中改正法律
案、骨牌稅法中改正法律案、狩獵法中改正
法律案、明治四十四年法律第四十五號中改
正法律案、大正九年法律第五十一號中改正
法律案、支那事變特別稅法及臨時租稅增徵
法廢止法律案、營業收益稅法廢止法律案、
資本利子稅法廢止法律案、法人資本稅法廢
止法律案、臨時租稅措置法中改正法律案、家
屋稅法案、所得稅法人稅內外地關涉法案、
昭和十二年法律第九十四號中改正法律案、
大正十三年法律第六號中改正法律案、アル
コール製造事業等ニ對スル所得稅等ノ免除
規定ノ改正ニ關スル法律案、租稅法規ノ改
正ニ伴フ恩給金庫法等ノ規定ノ整理ニ關ス
ル法律案、此ノ全部ヲ問題ト致シマシテ採
決ヲ致シマス、此ノ衆議院ノ送付ニ係ル所
得稅法改正法律案外三十六件ハ衆議院ノ修
正通リデ異議ナシトスル諸君ノ起立ヲ望ミ
マス
〔起立者多數〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=46
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047・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郞君) 多數デゴザイ
マス、是ニ依ツテ只今採決ヲ致シマシタ衆
議院ノ送付ニ係ル所得稅法改正法律案外三
十六件ト云フモノハ全部可決ニ相成リマシ
ク、是デ散會ヲシマス
午後三時二十三分散會
出席者左ノ如シ
委員長伯爵林博太郞君
副委員長男爵松岡均平君
委員
公爵島津忠重君
侯爵細川護立君
侯爵筑波藤麿君
伯爵二荒芳德君
子爵靑木信光君
子爵大河內輝耕君
子爵八條隆正君
子爵三島通陽君
中川健藏君
男爵赤松範一君
男爵岩倉道倶君
男爵伊江朝助君
坂野鐵次郞君
三浦新七君
河田烈君
西野元君
土方久徵君
澁澤金藏君
今井五介君
松本眞平君
磯野庸幸君
橋本辰二郞君
安宅彌吉君
野村德七君
國務大臣
內閣總理大臣光內光政君
大藏大臣櫻內幸雄君
政府委員
內務省地方局長挾間茂君
內務書記官三好重夫君
大藏省主計局長谷口恒二君
大藏省主稅局長大矢半次郞君
大藏書記官植木庚子郞君
同氏家武君
同田中豐君
同山田義見君
同池田勇人君
營繕管財局理事松隈秀雄君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007501586X00619400324&spkNum=47
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