1. 会議録本文
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000・会議録情報
會議
昭和十六年二月五日（水曜日）午前十時二十六分開議
出席委員左の如し
委員長 倉元要一君
理事 小畑虎之助君 理事 瀧澤七郎君
理事 山本粂吉君
芦田均君 池田清秋君
岩瀬亮君 北勝太郎君
小平重吉君 野口喜一君
則元卯太郎君 片岡恒一君
渡邊玉三郎君
二月四日
相續税法中改正法律案（政府提出）及臨時利得税法中改正法律案（政府提出）の審査を本委員に付託せられたり
出席國務大臣左の如し
商工大臣 小林一三君
出席政府委員左の如し
大藏次官 廣瀬豐作君
大藏省主税局長 松隈秀雄君
大藏書記官 秋元順朝君
海軍大佐 高木惣吉君
農林省食品局長 辻謹吾君
商工省總務局長 椎名悦三郎君
商工省鐵鋼局長 小金義照君
委員長の許可を得て出席したる者左の如し
議員 松尾四郎君
陸軍少佐 上田嬪治君
海軍機關中佐 松本總雄君
本日の會議に上りたる議案左の如し
關税定率法中改正法律案（政府提出）
昭和十二年法律第五十七號改正法律案（鐵の輸入税免除に關する件）（政府提出）
相續税法中改正法律案（政府提出）
臨時利得税法中改正法律案（政府提出）発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=0
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001・倉元要一
○倉元委員長 是ヨリ會議ヲ開キマス-
瀧澤君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=1
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002・瀧澤七郎
○瀧澤委員 斯ウ云フコトヲ御聽キシタリ
御註文申上ゲタイト思ツテ居リマス、先般
ノ祕密會デ、增產計畫竝ニ本年度ノ生產計
畫ニ付テノ御話ガアリマシタケレドモ、尙
ホ詳シク其ノ點ニ付テ御話ヲ承リタイ、サ
ウシテ私共ハ此ノ時局ニ卽シテ〓行キタイ、
斯ウ考ヘテ居リマス、モウ一ツハ斯ウ云フ
ヤウナコトヲドンナ風ニ措置サレテ居ラレ
ルカト云フコトデアリマス、ソレハ今マデ、
例ヘバ鐵鋼ガ何百万「トン」出來ル、サウ
シテ其ノ何百万「トン」出來タモノヲ、鐵鋼
ヲ取扱ツテ居ツタ人達ノ申告ニ基イテ、消
費者ニ適當ナル按配ヲシ、配給サレテ居ツ
タモノデアリマスケレドモ、其ノ後ノ狀態
ヲ實際ニ見テ參リマスト、要求スル鐵ノ種
類ガ思フヤウニナラナイ、卽チ消費ノ方ノ
統制ニ付テハ、相當ニ按配サレテ今日マデ
參リマシタケレドモ、生產ノ方ノ統制ノエ
合ガ如何カト思ハレル點ガアルモノデス
カラ、其ノ材質ニ依リ、要求スル其ノ品物
ガ非常ニチグハグニナツテ、凹凸ガ多イト
云フコトニナツテ居リマシテ、製造スルノ
ニ非常ニ困難ヲ感ジテ居ル、一例ヲ申シマス
ト、例ヘバ大キナ會社ナラ會社ハ、購買ノ
方ハ略〓サウ云フヤウナコトヲ知ツテ居ルケ
レドモ、軍需會社デアリマスト、技術者ノ
方ハ、何時デモ註文シタ品質ノ材料ガアル
ヤウニ思ツテ、殊ニ今日マデ無限ニ供給サ
レテ居タノデ、鐵不足ト云フモノヲ感ジナ
イデ居ツタヤウナ技術者ガ往々アルノデア
リマス、ソレデ購買ト技術者ノ間ニ非常ニ
連絡ガ取レナイ、サウシテ鐵鋼モ十分アル
ガ如クニ考ヘテ事業ヲ進メテ居ツテ、サウ
シテ今日ニナリマシテカラ、急ニサウ云フ
コトデハナカツタト云フヤウニ感ジテ、技
術者ナドガ初メテ目覺メタ、是デハナラヌ
ト考ヘタト云フヤウナ風デアリマスカラ、
生產統制ノ方カラ見テ、ソレガ完全ニナイ
ナラ、ナイ割合デ以テ、平均ニ其ノ品物ガ
行クヤウニ考ヘテ戴カナケレバナラナイト
思フノデアリマス、勿論鐵鋼局デハサウ云
フ風ナ御考ヘヲ以テヤツテイラツシヤルダ
ラウト思ヒマスケレドモ、當業者ナドノ實
情ヲ見マスト、其ノ生產ノ統制ノ方ガ消費
ノ統制ヨリモ實ハ後レテ居ルヤウニ感ジテ
居ルモノデアリマスカラ、殊ニ製造業者ヲ
整理シナケレバナラナイヤウニナツテ居リ
マスル場合、此ノ點ニ對シテ十分ノ御考慮
ヲ拂ツテ戴キタイ、斯ウ云フコトヲ先ヅ以
テ御尋不申上ゲマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=2
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003・小金義照
○小金政府委員 鐵鋼ノ增產計畫ニ付キマ
シテハ、後程祕密會ニシテ戴キマシテ御說明
ヲ申上ゲタイト存ジマス、第二ノ御質問ノ
鐵鋼ノ消費者ガ要求スル品種ノ鐵材ガ中々
入手困難ヲ感ズル、寧ロ生產ノ統制ヲ消費
ニ合ハセテ、モツト强化シタラドウカト云
フ御趣旨ノ御質問デアリマスガ、其ノ點ニ
付キマシテハ、私共モ業者ト協力シテ、必要
ナ方面ニ出來ルダケ必要ナ品種ノ鋼材
ガ-數量的ニハ不足勝チデアツタトシテモ、
兎ニ角ソチラニ圓滿ニ流レテ行クヤウニ色
色骨ヲ折ツテ居リマス、所ガ御承知ノ通リ
鋼材ノ品種ハ、消費ノ方カラノ註文ニ應ジ
マスルト、其ノ種類ハ殆ド無限ノ數ニ達ス
ルノデアリマス、ソコデ勢ヒ規格ノ統一ト
カ、色々ナ手段ヲ講ジマシテ、鋼材ノ製品
ノ種類ヲ或ル程度マデ整理致シマシタガ、
ソレデモマダ非常ニ多イノデアリマス、消
費ノ方カラ見テ、是レ〓〓ノ品種ノ鋼材ガ
必要デアルカラ、之ヲ生產セシメル、卽
チ消〓費カラ見タ計畫生產ヲ實行スルト云
フコトハ、洵ニ望マシイコトデアリマシテ
今日ニ於テハ大體計畫生產ヲ實行致シツツ
アルノデアリマス、例ヘバ棒鋼幾ラ、形鋼
幾ラトカ、而モ其ノ內棒鋼ノ中ニ、ドウ云
フ「サイズ」ノモノヲ大體ドノ位必要トスル
カ、形鋼ノ中デモ、ドウ云フ形鋼ヲドレダケ
第一四半期ナリ第二四半期ナリニ必要トスル
カト云フヤウナ、大體ノ見當ヲ付ケテ生產ヲサ
セテ居リマス、併シナガラ瀧澤サンノ仰セノ
通リ、從來ノ鋼材ノ「マーケット」ハ相當「スト
ツク」モ澤山アルシ、各品種ヲ保有シテ居リマ
シタカラ、需要者ノ方ノ要求ニ基イテ、ソレ
ゾレノ品種ヲ需要者ノ方ニ送付ケテ居ツタノデ
アリマスガ、御案內ノ通リ鐵ノ消費ガ非常
ニ多クナリ、生產ノ方ハ又色々ナ關係カラ
之ニ伴ハナイ、又生產ハ增加シテモ、他ノ
重要ナル用途ニ向ケテシマフ爲ニ、一般消
費者或ハ機械製造業者ト云フヤウナ方面カ
ラノ御註文ニ應ズルヤウナ品物ハ、「マーケッ
トレ卽チ市場ニサウ澤山--サウ澤山デハ
ナイ、今日デハフラツイテ居ラヌ筈ニナツ
テ居リマス、サウ云フヤウナ關係デ、只今
仰セノヤウナ消費者カラ見ルト、生產ガ消
費ニ適合スルヤウニ行ハレテ居ラヌノデハ
ナイカ、斯ウ云フ感ガ起ルノデアラウト思
ヒマス、此ノ點ニ付キマシテハ、尙ホ吾々
ノ方デモ生產ト消費トノ關聯ニ於テ能ク打
合セヲシテ、成ベクサウ云フコトノ起ラヌ
ヤウニ、卽チ絕對數量ハ是ハ殖ヤスニ由ナ
イト致シマシテモ、不足勝チノ資材ヲ如何
ニシテ有效適切ニ之ヲ利用スルカト云フコ
トニ付テ、萬全ノ考慮ヲ拂ヒタイト思ヒマ
ス、尙ホ此ノ點ニ付キマシテクハ先般第二
鋼材販賣會社其ノ他、或ハ日本鋼材販賣株
式會社、サウ云フヤウナモノト、日本鐵鋼
製品工業組合聯合會デスカ、是等ガ中心ト
ナリマシテ、鐵鋼統制協力會議ト云フヤウ
ナモノヲ、非公式デハアリマスガ作リマシ
テ、ソレ等ノ活動ニ依ツテ、御趣旨ノ點ヲ出
來ルダケ圓滑ニ解決シテ行キタイト存ジマ
ス、尙ホ鋼材ノ品種間ノ價格ノ點ガ稍〓不均
衡デアリマスルノデ、ソレ等モ幾ラカ瀧澤
サンノ御指摘ニナリマシタヤウナ弊害ト申
シマスカ、サウ云フ點ヲ釀ス原因ニナツテ
居ルノデハナイカト思ハルマスノデ、此ノ
鋼材ノ品種間ノ價格ノ不均衡ヲ、至急是正致
シタイト存ジマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=3
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004・瀧澤七郎
○瀧澤委員 ソレヲ今御聽キシタイト思ツ
テ居ツタ所、御話ガアリマシタガ、ドウモ
此ノ品種デ、製造業者ハ出來ルダケ價格ノ
算盤ノ取レル方ヲ幾ラカ餘分ニ拵ヘテ、取
レナイ方ハ拵ヘナイ、其ノ說明ガ只今ア
リマシタノデ、非常ニ結構ダト思ツテ
居リマス、ソレカラモウ一ツ、只今ノハ
形ノ上ニ現ハレタ、或ハ棒鋼トカ形鋼ト
カ云フモノデアリマスケレドモ、高級機
械或ハ自動車ナドヲ拵ヘル場合ニ於ケル
所ノ材質ノ點ニ付テ、或ハ「カーボン」ノ量
デアルトカ、或ハ性分ニ於テノ製造、ソレ
等ノモノニ付テモ形ト同樣ニ、一ツ材質ニ
付テ同ジ考ヘヲ以テ、平均ニ製造出來ルヤ
ウニ御願ヒヲ致シタイト思ヒマス、ソレカ
ラモウ一ツ、先般モ地方ヘ行ツテ見マスト、
獻鐵運動ナドヲ致シマシテ、學校ナドニ古
鋼材ガ集マツテ居リマスケレドモ、是ガ停
車場マデ出ス運送運、賃ナドノ關係デ、集メ
タダケデ之ヲ持出スコトガ出來ナクナツテ
居リマス、此ノ間モ數十万「トン」ノ古イモノ
ヲ、全國カラ諸官廳ヲ基礎トシテ集メルト
云フ御話ガアリマシタガ、サウ云フ場合ニ
於キマシテ、此ノ地方ニ於ケル運賃關係ヲ、
ドウ云フ風ニ御考ヘニナツテイラツシヤル
カ、此ノ山ノ中デ集メタ運賃關係ヲ見マセ
ヌト、ソレガ非常ニ安イモノニナツテシマ
ツテ、金ヲ拂フ場合ニ御困リニナル場合ガ
アリハシナイカ、サウスルトソレ等ヲ補助
シナケレバナラナイノヂヤナイカ、私ガ此
ノ間見タ山ノ中デモ、僅カ五六百戶ノ村デ
二「トン」カ三「トン」ノモノガ集マツテ居
ル、私ガ想像致シマスト、ドンナ山ノ中
ヘ行ツテモ廢品ヲ見ルカラ、一戶最小限一
貫トシテモ、四十万「トン」位ノ鐵ハ日本デ
出ルヤウニ思ツテ居ツタノデスケレドモ、
停車場マデ出スニ付テ、其ノ獻鐵運動ナド
ヲシタ場合ノ運賃其ノ他ニ付テハ、ドンナ
ヤウニ援助セラレルカ、サウ云フ考ヘガア
リマシタラ、伺ツテ置キタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=4
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005・小金義照
○小金政府委員 只今御注意ノアリマシタ
鐵鋼材ノ材質ノ向上ニ付キマシテハ、十分
注意致シテ參リタイト存ジマス、是ハ只今
非公式デハアリマスガ、鐵鋼局ガ中心ニナ
リマシテ、技術ノ公開等ニ依リマシテ、材
質ノ向上、又之ニ關スル技術ノ進步發達ヲ
圖ルト云フコトヲヤツテ居リマスカラ、出
來ルダケ御趣旨ニ副フヤウニ更ニ一層努力
致シマス、ソレカラ獻鐵運動ニ付テ御話ガ
ゴザイマシタガ、是ハ「アメリカ」カラ「スク
ラップ」ガ一「トン」モ來ナクナツタ、ソレハ
見樣ニ依ルト非常ニ大キナ問題デアリマスル
ガ、之ニ對シテ吾々ハ狼狽シテハイカヌ、
又多少ノ減產ヲ見ルト致シマシテモ、而モ
其ノ減產ハ昭和十六年度ダケデアツテ、ヤ
リ方如何ニ依ツテハ、モツト從來ヨリモ健
全ナ基礎ノ下ニ、我ガ國ノ鐵工業ヲ擴大强
化スルコトガ出來ルト云フ見地カラ、其ノ
對應策ヲ講ジタノデアリマシテ、其ノ方策
ノ一部分ト致シマシテ、或ル程度ノ屑鐵ノ
特別囘收ト申シマスカ、サウ云フコトヲ行
フコトニ相成ツテ居リマス、是ハ大體ニ於
テ企畫院ガ中心ニナリマシテ、諸般ノ對策
ヲ考究シテ、着々其ノ具體策ヲ練ツテ居ル
ノデアリマスガ、商工省ノ方デハ之ヲ利用
スル方面、卽チ原材料ヲ獲得スルト云フ見地
カラ、相當積極的ニ只今各方面ニ働キ掛ケ
テ居リマス、其ノ空氣ガ地方ニモ銳敏ニ反
映致シマシテ、只今御話ニナリマシタヤウ
十、地方ニ於ケル獻鐵運動ト云フヤウナ洵
ニ美ハシイ、吾々トシテハ又有難イ運動ガ
行ハレテ居ルノダラウト存ジマス、御說ノ
通リ如何ニ鐵ヲ出サウト考ヘマシテモ、運
賃トカ人件費トカ、サウ云フヤウナモノデ
ドウモ鐵ガ出セナイ、折角製鐵材料トシテ
出サウト思ツテモ出シ得ナイト云フヤウナ
話モ、屢〓、私共承ツテリ居マス、只今御指摘ニ
ナツタヤウニ、洵ニ其ノ點ハ吾々トシテハ
折角立派ナ利用スベキ材料、原料ガアリ
ナガラ、之ヲ右カラ左ニ利用スルコトガ出
來ナイト云フノデハ殘念デアリマスノデ、
是ハ何ヲ特別ノ措置ヲ講ジテ、サウ、シテ是
等ノ美ハシイ獻鐵運動ノ實ヲ結バセテ、同
時ニ鐵鋼ノ生產ヲ殖ヤスト云フ、此ノ效果
ヲ收メタイト存ジマス、是ハ一應企畫院ガ
中心トナツテヤツテ居ラレマスノデ、企畫
院ニ連絡シテ出來ルダケノ特別ノ措置ト申
シマスカ、何等カノ方法ヲ講ジタイト、只
今考ヘテ居ル次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=5
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006・瀧澤七郎
○瀧澤委員 非常ニ御注意ヲ拂ハレテ、サ
ウシテ今ノ鐵不足ニ對處セラレテ行カレル
御心持ハ能ク諒解致シマシタ、ソレデ尙ホ
御伺ヒシテ見タイコトハ、斯ウ云フヤウナ
コトハ、ドンナヤウニ御考ヘニナツテイラ
ツシヤルカト云フコトデアリマス、ソレハ
日本ニ於ケル數十万臺ノ機械類ト云フモノ
ハ、民間ニアル多クノモノハ非常ニ古イモ
ノ若シクハ戰時ニナツテ、形サヘアレバ
宜イト云フヤウナ工合デ作リマシタ機械類
ガ、頗ル多イノデアリマシテ、ドナタカ-
機械局ノ人達ナドモ、機械ノ形ヲシテ居ル屑
鐵ダナドト惡口ヲ言ハレルト云フコトモ耳
ニシテ居リマス、ソレト共ニ鐵工業者ノ失
業救濟ト云フヤウナ方面カラモ考ヘテ見テ、
此ノ日本ニ於ケル所ノ極メテ古イ惡イ機械、
竝ニ新シクテモ能率ノ惡イモノナドヲ、コ
コデ一ツ整理ヲシテ、屑鐵ニシテシマツテ、
例ヘバ五臺アルモノヲ三臺ニ減ラシ、從業
者モ二人位減ラシテモ、良イ機械ニシマス
ト、其ノ能率ハ少クトモ倍ノ働キヲスルト
云フコトニナリマスナラバ、其ノ「スクラッ
プ」ニ依ツテ製鐵材料モ出、鑄物材料モ出ル、
殊ニ又商工省ニ標準ノ型ナドハアリマスケ
レドモ、今マデ日本デハ機械類ニ對シテ、其
ノ材質ト云フコトヲ餘リヤカマシク申サナ
カツタノデ、機械屋任セ、鑄物屋任セデ、
此ノ鑄物ノ規格ナドモ、中ニハ實ニオ恥ヅ
カシイヤウナモノモアル譯デアリマス、サ
ウ云フモノデ出來テ居ルモノヲ捨テテ、其
ノ規格ヲ改メ、力ノ强イ鑄物ニシマシタナ
ラバ、少クトモ二割ノ目方ハ減ラシテ行ク
コトガ出來ハシナイカ、サウスレバ品質ノ
向上ガ出來ルト同時ニ、不要ノモノヲ捨テ
ルコトニ依ツテ、ソコニ鑄物屋ニモ仕事ヲ
與ヘ得マスシ、機械屋ニモ仕事ヲ與ヘ得マ
スシ、又出來タ機械ハ非常ニ能率ノ良イモ
ノニナルト云フ風ニ、私ハ素人考ヘデ考ヘ
テ居ルノデアリマス、例ヘバ日本標準規格
デ十五「キロ」以内ノモノハ機械類ニハ適シナ
イ、斯ウナツテ居リマスケレドモ、今日マ
デ出來テ居ルモノデハ、實際ノ抗張力ナド
ハサウナイモノノ方ガ多イノデアリマス、
ソレハモウ御承知ノコトト存ジマスケレド
モ、今マデ良イ銑鐵ト良イ「スクラップ」ヲ使
ヘバ、良イ鑄物ガ出來ルノダト云フ風ニノミ
考ヘテヤツテ居リマシタカラ、ソコデ先般
ノ展覽會ナドデモ、大キナ一貫作業ノ工場
ノ品物ハ中位デアル、買入レタモノハ良イ
物モアルシ、反對ニ惡イ物モアルト云フヤ
ウナコトデアツタ、良イ物ヲ拵ヘルト云フ
コトニ付テハ、御得意ヲ得ンガ爲ニ非常ニ努
力シテ居ルケレドモ、一貫作業ノ所デハ其
ノ努力ガナイカラ、是ハ中位ヨリ外進マナ
イト私ハ感ジテ居ツタノデアリマス、良イ
材料ヲ使ヘバ良イ物ガ出來ルト云フ、今マ
デノ考ヘ方ハ間違ツテ居ルノデ、ソコニ各種
ノ配合ニ依ツテ實際五「キロ」位餘分ニ出テ
居ル、是ハ私共商工省ノ御援助ニ依ツテ訓
育所ヲ作リ、訓育所デヤツタ實驗ニ依リマ
スト、今マデ良イ物ガ出來テ居ルモノダト
思ツテヤツタ、其ノ材料デハ十五「キロ」以
下ノモノシカ、ドウシテモ出來マセヌデシ
ク、ソコデ僅カバカリノ鑛石ヲ加ヘ、若ク
ハ鋼屑ヲ加ヘルコトニ依ツテ、五「キロ」ハ
增スコトガ出來ルヤウニナツタ、何囘ノ實
驗モサウデアツタノデアリマスノデ、コン
ナコトヲ申上ゲテ、サウシテ機械類ノ型ノ規
格ヲ御定メニナル場合ニモ、材質如何ト云
フコトヲ御考慮下サツテ、ソレヲヤカマシ
ク願ヘバ、今ヨリ材料ハ二割減ジテ良イ物
ガ出來ルヤウニ考ヘテ居リマス、私ハ今ノ
古イ機械ヲ何等カノ方法ヲシテ戴イテ、新
シイ機械ニ替ヘルコトニ依ツテ、失業者ヲ
防グコトニモナリ、機械ノ抗張ノ力ヲ非常
ニ增スコトニモナルト云フ風ニ考ヘテ居ル
ノデアリマスケレドモ、之ニ對シテノ御考
ヘ方ヲ御伺ヒ出來レバ結構ト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=6
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007・小金義照
○小金政府委員 機械工業ハ他ノ工業ト同
樣デアリマスルガ、特ニ日進月步ノモノデ
アリマシテ、戰時中ニ於ケル「ドイツ」トカ
「アメリカ」ニ於ケル機械工業ノ進步ハ、相
當著シイヤウニ承ツテ居リマス、隨ヒマシ
テ我國ニ於キマシテモ、鐵材其ノ他ノ資材
ガ苦シイト致シマシテモ、此ノ諸般ノ機械
數ノ更新ヲ此ノ際圖ツテ行クト云フコトハ、
極メテ大切ナコトト存ジマス、此ノ點ニ付
テハ洵ニ御同感デアリマス、唯之ヲ實行ス
ルノニ、機械工業ノ或ル部門ニ於テ、古イ
機械ヲ「スクラップ」シテ、其ノ代リ「スク
ラップ」シタ量ノ何割カヲ必ズ新シイ鋼材
ヲ與ヘテ行ク、所謂「リンク」制ヲ採リマス
ト又弊害ヲ生ジマスノデ、特定ノ個々ノ
場合ニ付テハ、必要ニ應ジテ具體的ニ考慮
スルト云フ考ヘデ今日進ンデ居リマス、御
說ノ通リ機械類ノ更新ニ付テハ、機械局ノ
方ニモ能ク通ジマシテ、御趣旨ヲ御傳ヘ致
シマス、殊ニ又工業品規格統一委員會等モ
アリマスノデ、是等ノ運用ニ付テモ、御注
意ノ點ハ十分考慮ヲ拂ヒタイト存ジマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=7
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008・瀧澤七郎
○瀧澤委員 サウ云フ御考ヘヲ戴クコトデ
結構デアリマス、私ハコンナ機會ニ申上ゲ
マシテ、サウシテ是非トモ機械ノ更新ニハ
御力ヲ盡シテ戴キタイト思ヒマスコトハ、
何處ノ進步セル工業國ヲ見マシテモ、實際
日本程古イ機械ヲ使ツテ居ル國ハナイノ
デ、切ニソレヲ御願ヒ致シタイト思ヒマ
ス-ソレデ鑛產局長ハ來ラレマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=8
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009・小金義照
○小金政府委員 居リマセヌガ、大體ノコ
トハ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=9
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010・瀧澤七郎
○瀧澤委員 アナタハ鑛產局長ダツタカラ
能ク御分リト思ヒマス、鈴木局長ニ御伺ヒ
シナクテモ、唯平素考ヘテ居ルコトヲ申上
ゲテ置キマス、コンナ場合ニ申上ゲテ置ク
コトガ、適當ト考ヘテ申上ゲルノデスガ、
昨年モ局長サンニ御話ヲ申上ゲテ、地方ノ
鑛山署ノ吏員ナドノ餘リニ頻繁ニ迭ハルコ
a
トガ非常ニ困ルコトト、優遇セラレザルコ
トガ非常ニ困ルト云フヤウナコトヲ申上ゲ
タノデスガ、鐵鑛或ハ非鐵金屬ノ增產ナド
ニ付キマシテモ、例ヘバ岩手縣ノ「アルミ
ニウム」ノ採掘ノ如キ、何等之ヲ本當ニ力
强ク掘ル人ガヤツテ行クコトガ出來ナイコ
トニナツテ居ル、ソレヲ監督セラレル方デ
ハ局長ガチヨイ〓〓迭ツテシマフモノダ
カラ、ヤカマシイ問題ハ其ノ儘ニシテ解決
シナイデ置ク、後ノ人ガ何トカヤルダラウ
ト思ツテ居ルト、又後ノ人ガヤラナイカラ、
何時マデ經ツテモ解決ガ出來ナイヤウナ風
ニモナツテ、「アルミニウム」ノ原料ノコト
ニ付テ、餘程ヤル人ハ不安ナ念ニ驅ラレツ
ツヤツテ行カナケレバナラヌト云フコトガ
アルヤウデアリマス、ソレバカリデハナク、
此處へ御見エニナツテ居ル方ハ、隨分古ク
カラヤツテ居リマスケレドモ、直接仕事ヲ
ナサル方ハ、本當ニ頻繁ニ迭ツテ行クノデ
困ルノデスガ、現地ニ於テ地位ガ上ツテ、
月給ガ上ツテ、其ノ仕事ヲ三、四年位ハナ
サツテ下サルヤウニ願フト、非常ニ宜イノ
デスケレドモ、少シ上ガレバ皆他ヘ迭ツテ
シマフ、ソレデ課長サンハ何年經ツテモ課
長サンデヤツテイラツシテ下サツテ、サウ
シテ何ヲ御話申上ゲテモ直グ分ツテ、サウ
シテ話ヲ再ビ繰返サナクテモ宜イヤウニ、
何トカ其ノ現地位デ上ツテ行カレルヤウ
ニ、長ク其ノ職ヲ盡シテ、三年ヤ四年ハヤ
ツテ貫ヒタイト思ヒマス、ソレハ當業者ガ非
常ニ困ツテ居ル、又御監督下サル方デモ、
實ハ御困リダラウト思ツテ居リマス、ソレカ
ラモウーツハ、私ハ度々申上ゲタノデスガ、
此ノ間モ日本鋼管會社ノ重役ノ方ニ御目ニ
掛ツテ、鑛石ノ御話ナドアリマシタケレドモ、
私ハアナタノ所ハ國策ノ會社デハアツテ
モ、兎ニ角ドウシテモ株主本位デヤツテ居
ラレルカラ、金ヲ儲ケルト云フヤウナコト
ガ先ニ立ツテ居ルノデ、已ムヲ得ナイケレ
ドモ、日鐵ハ全クノ國策會社ダカラ、內地
ニ於ケル所ノ鐵鑛山ヲ開發スルニ付テハ、
モウ一層努力シナケレバナラヌノデハナイ
カ、是ハ昨年モ御願ヒヲ致シテ見テ居ツタ
ノデスケレドモ、實際問題トシテ私共素人
考ヘデ、外國ノ六十ノモノヲ輸入シタラ、
日本ノ四十ノモノヲ混ゼレバ宜イヂヤナイ
カ、ソレハイカヌト云フケレドモ、素人考
ヘガ宜イト云フコトハ必ズ宜イ、若シイケ
ナイト云フナラバ、其ノ會社ノ技術者ノ〓
究ガ私ハ足リナイト思フノデアリマス、ソ
レハ何百万「トン」モ外國ノ六十ノモノヲ入
レルナラバ、其ノ中ニ四十ノモノヲ半々ニ
致シマシテモ五十ニナル、況ヤ日本ノモノヲ
一割位シカ使ハナイトシタナラバ、六十ノ
モノヘ三十ノモノヲ混ゼテモ、ソレガ出來
ナイ筈ハナイ、私ハ斯ウ思フ、所ガ製鐵所
デハドウシテモソレヲ行ハナイ、ナゼ行ハ
ナイカ、私ハ其ノ理由ヲ判斷スルノニ全ク
苦シムノデス、ソコデ御參考ニ申シマスケ
レドモ、鑄物ニ屑鐵ヲ使フト品質ガ良クナル
ト云フコトハ、是ハ日本デ發見シタコトダ
サウデアリマスケレドモ、外國ノ方デ盛
ンニ應用サレテ、日本デハ應用サレルコトガ
少カツタノデス、此ノ戰時ニナリマシテカ
ラ、鐵デサヘアレバ何トカナルダラウカラ
鑄物ハ全部使ヘ、斯ウ云フ考ヘヲ私ガ持ツ
テ居ツタ爲ニ、一割ト云フコトヲ主張致シ
マシテ、今日ハ鐵鑄物ヲ造ルニハ新銑六割、
古銑三割、古鋼一割ト云フコトガ、ーツノ
標準規格ニナツテ參ツタノデアリマス、ソ
レカラ又私ハ砂鐵ヲ鑄物ニ應用スルコトヲ
奬勵致シマシタガ、〓究シテ居ル人ハ、之ニ
依ツテ立派ナモノヲ造リマス、ソレカラ鑛
石ヲ一割混ゼルコトニ依ツテ、非常ニ良イ
品物ヲ造ルコトヲ奬勵シテ參ツテ、實際ニ
於テソレヲ行ツテ居ル人ハ、良イ規格品ヲ
出シテ居ル、サウ云フ風デアリマスルノニ、
製鐵所ノ方デハ、是ハ貧鋼デ駄目ダ、是ハ
ナンデ駄目ダト言ツテ見向キモシナイデ居
ル今日ノ狀態ニナツテ參リマスレバ、兎
ニ角假ニ十万「トン」ナラ十万「トン」ノ古鐵
ヲ出スト云フコトノ爲ニハ非常ニ力ヲ注
ガナケレバナラナイノデスガ、製鐵所ガ日
本ノ貧鋼ヲ今マデニ奬勵シテ居ツタナラバ、
十万「トン」ヤ二十万「トン」ノモノハ、其ノ開
發ニ依ツテ出來テ居ルト素人考ヘデハ考ヘラ
レルノデアリマスルガ、ドウカ其ノ點ニ付テ、
是ハ鐵鑛當局トシテモ何トカ御心配ヲ戴カ
ナケレバナラヌ、實ハ是ハ鋼產局長ニ申上
ゲタイト思ツタ事柄ダガ、アナタカラ御考
ヘヲ承ハレバ、殆ド鈴木局長サンカラ御聽
キシタコトト同ジコトダト思ツテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=10
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011・小金義照
○小金政府委員 第一ノ御質問ノ鑛山ノ監
贅卽チ我ガ國ノ地下資源開發ノ第一線ニ
於テ監督的、指導的地位ニ立ツ鑛山監督局
長以下其ノ他ノ職員ノ更迭ガ頻繁デ困ル、
是ハ洵ニ御尤モナ御說デアリマス、此ノ點
ニ付キマシテハ、私ガ鑛山局長或ハ鑛產局
長トシテ此ノ議會ニ臨ム度ニ、有ユル委員
會カラ最モ痛烈ニ御指摘ニナツタ點デアリ
マス、併シナガラ是ハ商工大臣ノ人事ノ權
限ニ屬スルコトデアリマシテ、是ハ其ノ都
度時ノ商工大臣ニ御申達申上ゲテ居リマス、
併シナガラ人繰リノ關係其ノ他デ、只今
御指摘ニナツタヤウナ、頻々タル局長其ノ
他ノ更迭ガ行ハレタト思フノデアリマス、
幸ヒ商工大臣閣下モ只今御見エニナリマシ
タシ、鋼產局長ハ居リマセヌガ、課長其ノ
他ノ關係官モ、只今ノコトハ能ク拜承致シ
タコトト存ジマスカラ、私ハソレダケ申上
ゲテ置キマス、ソレカラ國內ノ鐵鑛石ノ開
發ニ付キマシテノ御發言デアリマスガ、是
ハ日本製鐵株式會社ガ、モウ少シ此ノ方面
ニ力ヲ注グベキデハナカラウカ、斯ウ云フ
御說ノヤウニ拜聽致シマシタ、元來日本製
鐵株式會社ノ設立ニ關聯致シマシテ、其ノ
設立ノ使命ハ、日本製鐵株式會社法第一條
デ闡明シテ居リマスル通リ、我ガ國ノ鐵工
業ヲ確立スル、我ガ國ノ製鐵事業ノ確立ヲ
圖ル、是ガ日本製鐵株式會社ノ使命デアリ
やく、隨ヒマシテ國內ノ製鐵資源ノ開發ヲ
スルト云フコトモ、勿論此ノ中ニ含ンデ居
ルコトト存ジマスガ、元來ガ色々ノ使命ヲ持
タサレテ居ル中ニ、一番重イモノト、比較
的輕イモノトノ順序ハゴザイマセウ、日本
製鐵株式會社トシテハ、本來我ガ國ノ製鐵
事業ノ確立ヲ圖ルノダ、斯ウ云フ見地カラ
色々ノ計畫ヲ立テマスノデ、內地ノ小サイ
鑛山ノ開發ト云フコトモサルコトナガラ、
大量的ニ材料ヲ要スル製鐵事業デアリマス
ノデ、一纒メニ大キク材料供給ヲ受ケルト
云フヤウナ方法ヲ執ツテ來タノハ、是ハ從
來ノ關係上已ムヲ得ナカツタト思ヒマス、併
シナガラ事變勃發後間モナク日鐵ノ使命ト
シテ、内地ノ鐵鑛山ノ開發ヲセヨト云フコ
トヲ、時ノ商工大臣カラ命令サレテ居リマ
ス、卽チ附加的デアルカモ知レマセヌガ、
日鐵ノ使命ハ又玆ニ一ツ明ニナツテ居ルノ
デアリマス、隨ヒマシテ其ノ方ニ付テハ、
日鐵工業株式會社ト云フヤウナモノヲ作リ
マシテ、色々努力シテ居ルヤウデアリマス
ガ、何分ニモ良イ技術者ガサウ澤山集マラ
ナイ、ソレカラ又埋藏量、運賃其ノ他ノ關
係カラ、急激ニ國內ノ鐵鋼山ノ開發ニ見ル
ベキ著シイ成績ヲ擧ゲ得ナイト云フコトハ
洵ニ遺憾デアリマスガ、之ニ付キマシテハ、
日鐵工業株式會社ヲシテ、更ニ一層ノ努力
ヲ致サセタイト、色々考ヘテ居ル次第デア
リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=11
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012・瀧澤七郎
○瀧澤委員 御話能ク分リマシタ、金ノ增
產ト共ニ、今日デハ鐵バカリデハナク、非
鐵金屬モサウデアリマスケレドモ、開發ス
ル爲ニ輸送ガ非常ニ困難致シテ居リマスル
場合ニハ、何トカ一ツ鐵鋼局、若クハ鑛山
局カラ、此ノ輸送ニ必要ナル「ガソリン」資
材其ノ他ニ付キマシテ、特別ナル御考慮ヲ
以テ援助サレルコトヲ御願致シタイト思ヒ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=12
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013・小金義照
○小金政府委員 出來ルダケ努力致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=13
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014・瀧澤七郎
○瀧澤委員 大臣ガオ見エニナリマシタノ
デ、唯一ツダケ大臣カラ御示シヲ戴キタイ
ト存ジマス、私共ハ多年ニ亙ツテ中小工業
維持ト云フコトヲ申シテ參リマシタガ、幸
ニ政府ノ方針ガ中小工業者ヲ維持育成セラ
レルト云フコトニナリマシテ、非常ニ私共
ハ安心ヲ致シマシタ、ノミナラズ中小商人ニ
對シマシテモ、之ヲ保護スルト云フヤウニ、
政府ノ方針ガ定マツタモノデスカラ、國內
ノ中小商業者ハ今日ハ非常ニ安心シテ居リ
マス、併シ資材ガナイ、販賣品ガナイト云
フ不安ニ襲ハレルノハ當然デアリマセウガ、
私共ノ考ヘヲ申上ゲマスト、今マデ商工省
或ハ其ノ他デ何カ立案サレル場合ニ資材ノ
配給ガ少クナルノダ、ダカラオ前等ノ仕事
ガナクナツテシマフノダ、ダカラ轉業スル
ノダ、失業スルノダ、斯ウ云フコトガ前提
ニナツテ居リマス、ソレガ爲ニ轉業シテ、
更ニ轉業ヲ餘儀ナクセラレルヤウナ風ニナ
ツテ居リマスガ、私共中小工業者竝ニ中小商
人ノ實情ハ、大臣ハ元實業家ノ御出身デア
ルカラ、御承知ノコトダト思ツテ居リマス
ガ、申上ゲテ見タイ、例ヘバ私ハ鑄物屋デ
アリ、或ハ機械屋デアル、ソコデ滿洲事變
前ノ私共ノ執ツタ方針ヲ申上ゲテ見ルト能
ク御分リニナル、滿洲事變ガ始マル前ノ不
景氣ト云フモノハ、非常ニ重大ナル失業問
題ヲ惹起シタノデアリマスケレドモ、物ガ
餘ツテ不景氣デ損ヲシテ商賣ヲシテ居ル時
モ、資材ガ少クナリマシテ仕事ガ少クナツ
テ困ツテ居ルノモ、困ルト云フ結論ハ同ジ
コトデアリマス、然ルニ何カ資材ガ少クナ
ルト、皆明日カラ食フニ困ルヤウニ思ハレ
テ、失業對策ノ聲ヲ大キクセラレル、私共
ガ考ヘテ見テモ、滿洲事變ガ始マル前ノ三
年乃至四年ニ亙ル不景氣ト云フモノハ、商
賣ヲスレバ必ズ損ガ行クノデス、何故損ガ
行クカト云フト、此ノ品物ヲヤレト言ハレ
テ、ドウ見積ツテモ出來ナイ、手間ダケヲ
只ニシタラドウカト言フ、手間ダケ只ニス
ルト鑄物ガ出來ル、何トナレバ仕事ヲシナ
クトモ職工ノ日給ハ拂ハナケレバナラヌ、
仕事ヲシテモ日給ヲ拂フノダカラ、同ジ日
給ヲ拂フノナラ、仕事ヲシテ日給ヲ拂ヘト
云フ風ニヤツテ居リマシタカラ、仕事ヲス
レバ必ズ損ガ行キマス、併シソレデモ三年、
四年耐ヘテ來テ居ルノデス、ダカラ吾々中
小工業者ヲ資材ガナカツタラ明日カラデモ
困ルダラウト言フガ、滿洲事變ニ引續イテ
此ノ事變ガ始マツテ參リマシタカラ、相當
ニ力ヲ持ツテ居リマス、デスカラ是等ニ對
スル指導方針モ、直グ明日カラ困ルノダト
云フ考へ方ヲ以テ臨マレナイデ、オ前等ハ
資材ガ少クナツテモ働カセテヤルノダ、出
來ルダケ商賣ヲ成立タセテヤルノダト、今
度ノヤウニナツテ參リマスルト、民心ガ治
ツテ、慌テナイデ轉業シ、或ハ小組合ヲ作
リ、或ハ有限會社法ヲ應用スルトカ云フ風
ニナツテ參リマス、ソレトモウ一ツ申
上ゲテ置キタイコトハ一昨年ハ小組合
法ヲ作ツタ、其ノ時ニ吉田課長ガ骨ヲ折
ツテ作リマシタ、所ガ其ノ課長ガ外ヘ
轉任サレルト、人ノヤツタコトノヤウ
ニ思ハレテ、之ニ中々力ヲ注ガレナイ、
ソレカラ今度有限會社法ガ通過致シマス
下失業救濟ニ是ガ宜イト云フヤウナ風
ニナツテ、之ニ力ヲ注ガレタ、注ガレタ
其ノ課長サンガ外ニ迭ツテシマフト今度後
ノ方ハ人ガヤツタヤウニ思ハレルモノダカ
ラハ之ニ力ヲ注ガレヌ、デスカラ小組合法
ト云フモノヲ吾々利用スレバ宜イケレド
モ、アレハ駄目ダナント云フ風ニナツテシ
マツテ、小組合ノ維持育成ガ巧ク出來ナイ
ノデス、折角議會デ反對ガアツテモ)ソレ
ヲ通過スルヤウニ努メテ出來テシマツテ、
其ノ立案擔當サレタ方ガ外ニ行カレルト、、
ソレガ何ダカ妙ナ風ニナツテ行クヤウナコ
トガ、今マデ二議會ヲ通ジテ見タ私ノ考ヘデ
アリマス、ドウカ一ツ大臣閣下ハ、商工省ト
シテ此ノ議案ヲ御出シニナツテ通過スルノ
デスカラ、其ノ課長、其ノ係官ガ轉任シテモ、
何デモソレガ宜イト云フ考ヘヲ以テ議會ヲ
通過セシメタノダカラ、後ノ方ニ之ヲ十分
ニ活用スルヤウニ力ヲ注イデ戴カナケレバ
ナラヌ唯議會ダケ通過シテ見タケレドモ、
後ハ其ノ課長サンガ何處カニ行ツテシマヘ
バ、チンプンカンプンニナツテシマフ、是
ハ本當ナンデスヨ、殊ニ有限會社法ヲ非常
ニ說カレテ、有限會社法デ人ヲ集メテ見レ
バ、何時デモ集マラナイ、百人カ百五十人
シカ集マラナイノガ、千三百人位集マル、
ソレガ事變ガ始マツテ、九月二十七日ノ三
國同盟ガ出來上ツテシマフト、又ソレガ根
本的ニ違ツタヤウニ考ヘラレテ、ソレガ下
火ニナルヤウナ氣ガスル、私共サウデナイ
ト思フ、斯ウ云フヤウナ事柄ヲ局長カラモ
申サレマシタガ、餘リニ商工省ガ膨脹シ過
ギルモノデスカラ、下ノ人ガドン〓〓迭ツ
テ行ツテシマツテ、一ツ所ニ落著イテ仕事
ヲヤツテ戴ク方ガナクテ、ソレデ統制事務
等ノ運用ニ付テモ、非常ニ困ル場合ヲ私共
見受ケテ居リマスルカラ、此ノ點ニ付テ商
工大臣ハ、モウ省內ノ御事情モ能ク御分リ
ダラウト思ヒマスカラ、御所見ヲ承リタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=14
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015・小林一三
○小林國務大臣 中小工業ニ對スル瀧澤サ
ンノ色々ノ御注意、洵ニ御尤モダト思ツテ
居リマス、役人ノ迭ルコトハ再々各方面
デ御注意ヲ受ケテ居リマスノデ、ドナタモ
御同感ダト思ヒマスガ、斯ウ云フヤウニ發
展シテ仕事ガ大キクナツテ行ク場合ニハ
已ムヲ得ズ新進ノ人ヲ拔擢シテ進メテ行カ
ナクチヤナラヌ情勢ニアリマスカラ、ツイ
御非難ノヤウナコトガ起リマスケレドモ、
大體トシテハ、是ハ商工省ニ限ラズ、各方
面ニ於テ成ベク長ク安定シテ仕事ニ慣レ、
オ亙ニ宜イヤウニシヨウト云フ方針デ進ミ
ツツアルト云フコトダケハ、御承知ヲ願ヒ
タイト思ヒマス、中小工業ヲ維持育成スル
ト云フコトハ、今度ハ是ハ經濟新體制要綱
ニハツキリ揭ゲテ、國民ノ前ニ御知ラセ申
シテ、無暗ニ問屋ヲ潰ストカ、小賣ヲ潰ス
ノデナイト云フコトヲ、事アル每ニ御說明
申上ゲテアル次第デ、殊ニ瀧澤サンノ仰シ
ヤツタヤウニ、事變以來相當ニ皆懷ロ工合
モ宜イカラ、今物資ガナイ、直グニ轉業セ
ヨ廢業セヨト云フヤウナコトハシナクテ
モ、自然ニ又今ノ有限會社或ハ小組合ト云
フヤウナモノヲ本當ニ今度ハ利用シテ、斯
ウ云フヤウニスレバ、良ク行クノダト云フ
風ニナツテ、ユツクリ落著イテ整理統合ノ
出來ルコトヲ、政府トシテモ非常ニ希望シ
テ居ル譯デアリマス、尙ホ物資ノ足ラナイ
ト云フ點ヲ、非常ニ各方面デ御心配ニナツ
テ居ル、又事實其ノ通リデアリマスルガ、
物資ノ方面ト一口ニ申シマシテモ、外國ノ
輸入品、或ハ軍需工業ニ對スル生產擴充ノ
方面ノモノハ、是ハ中々今樂觀ハ出來マセ
又、相當ニ必要ダト思ヒマスケレドモ、苟
クモ自給自足ヲスルト云フ方針デ、國內ノ
產業ヲ立直シツツアルノデアリマスカラ、
物ヲ殖ヤスト云フコトガ政府ノ方針デアリ、
ドウシテ物ヲ殖ヤシ得ルカト云フコトニ付
テ、只今各方面デ〓究シテ居リマスルカラ、
特殊ノ物資ナラ是ハ已ムヲ得マセヌガ、
般ノ物資ハドウシテモ殖ヤシテ中小工業者
ヲ滿足セシメ、物資ノ行渡ルヤウニシナケ
レバナラナイト考ヘテ居リマス、一二年食
ヒ繫イデ居ル內ニハ、又局面モ變ルダラウ
ト云フ風ニ、實ハ私ハ餘リ聲ノ大キイノモ
ドウカト思ヒマシテ、大體ニ於テハ瀧澤サ
ント同ジヤウナ心持デ、氣强ク考ヘテ居ル
コトヲ御承知願ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=15
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016・瀧澤七郎
○瀧澤委員 只今大臣ヨリ御話ヲ承リマシ
テ、吾々ノ平素考ヘテ居ルコトト同ジ考へ
ヲ以テ御處置下サルト云フノデ、洵ニ吾々
ハ安心ヲ致シマス、ソレト共ニ只今物價ノ
定メ方、詰リ公定價格ヲ各方面ニ亙ツテ色
色定メラレテアリマスルガ、一寸私共ノ考
ヘ方ヲ申上ゲテ、總テニ斯ウ云フコトヲ一
ツ考ヘテ戴キタイト思フ、低物價政策、卽
チ公定價格ト云フモノハ、出來ルダケ安ク、
併シ相當利益ヲ與ヘナケレバナラヌ、ケレ
ドモ、低物價政策ハ、大衆ヲ對象ニシタモ
ノデナケレバナラヌト思フ、然ルニ例ヘバ
蜜柑ノ公定價格ガ決マル、一昨年マデハ七
十錢、八十錢デ小箱ガ買ヘタモノガ、今年ハ
二圓以下デハ買ヘナイデセウ、三圓デアリ
マセウ、サウスルト大衆ハ一昨年ノ蜜柑ハ
七十錢、八十錢デ〓ベラレタガ、今年ハ二圓
以上デナケレバ食ベラレナイト云フコト
ニナル、然ルニ一昨年ヤ一昨々年ハ三圓、
五圓ノ蜜柑ヲ食ベテ居ツタ人ハ少數デス
ガ、是等ノ人ハヤハリ安イ一一圓位ノ蜜柑ヲ
食ベテ居ルコトニナツテ居ル、然ルニ一昨
年マデ七十錢、八十錢ノ蜜柑ヲ食ベテ居ツ
タ大衆ハ、二圓位ノ高イ蜜柑ヲ食ベナ
ケレバナラヌ、サウスルト大衆ヲ相手
トシテ定メラレル低物價政策ト云フモノ
ハ、一體何處ヘ行ツタカト私ハ考ヘル、
例ヘバオ酒ニシテモ、本所、深川デ勞働
者ガ晩ニ十錢持ツテ行ケバ、一杯「コップ」
デ飮メタ、然ルニ今度ハ二十三錢カ二十
五錢持ツテ行カナケレバ一杯飮メナイデセ
ウ、然ルニ此ノ間マデ日本盛トカ何トカ云
フヤウナモノハ、一升五圓モ六圓モ取ツテ
居リマシタ、斯ウ云フモノハ大衆ハ今マデデ
モ飮メナカツタモノダ、斯ウ云フ良イモノ
飮ンデ居ツタ者ガ、今ハドウカト云フト、
ヤハリ二圓五十錢カ三圓位ノモノヲ飮ンデ
居ル、然ルニ大衆ハ十錢ダツタモノヲ倍以
上出サナケレバ飮メナイ、斯ウ云フ物價ノ
定メ方ハ、大衆ヲ相手トシテ定メラレル公
定物價トシテハ實ニ缺點ノアルモノデハ
ナイカト私ハ思フ、良イオ酒ヲ飮ム人ニハ
高イ値段ヲ拂ハセテ利益ヲ與ヘテモ宜イデ
セウ、五圓五十錢デ賣ルカラ、必ズシモ三
圓儲カルト云フモノデハナイデセウ、二圓
五十錢デ賣ル酒ヲ五圓五十錢デ賣ツタノデ
ハナイ、高イ良イ酒ヲ五圓五十錢デ賣ツタ
ノデス、又日用品ノ醬油ニシテモヤハリ私
ハサウ思フ、ダカラ高イモノハ高イ値段デ
御定メニナツタラドウカ、高イモノヲ食フ
奴ハ贅澤ダト云フヤウナ考へ方ハ、私ハ間
違ツテ居ルト思フ、贅澤ノ解釋ハ人ニ依ツ
テ自ラ異ツテ居ル譯デスカラ、高イモノヲ
消費スル階級ニハ高イモノヲ消費サセテ
宜イデハアリマセヌカ、大衆ヲ對象ト見タ
低物價政策デナケレバ、私ハ政府トシテハ本
當ノ低物價政策ヲ堅持サレル所以デナイト
考ヘテ居リマスガ、其ノ點ニ付テコンナ機
會ニ一寸御伺ヒ致シタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=16
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017・小林一三
○小林國務大臣 低物價政策ハ、政府ノ方
針トシテ何處マデモ堅持スルト云フコトハ
御諒承願ヘテ居ルコトト信ジテ居リマス、
唯蜜柑ガ一昨年ハ七十錢デアツタモノガ今
年ハ三圓スル、或ハ元高イ五圓ノ酒ガアツ
タモノヲ、ソレヲヤメテ安イ酒ニシタ、寧
ロ高イ酒ヲ飮ム人ハ、高イ酒ニシテモ宜イ
デハナイカト云フ御意見デアリマシタガ、
大體斯ウ云フ際デアリマスカラ、無理ニ贅
澤ハサセタクナイ、オ互ヒガ自重シテ物ノ
足ラナイ時デアルカラ、マア贅澤ニ走ル者
モ注意シテ行ク方ガ、世道人心ノ上ニモ穩
カデハナイダラウカト云フ點ガ加味サレテ、
公定價格ヲ作ツテ居ル點モアリマセウ、隨
分澤山何万點ノモノデアリ且ツ此ノ配給ガ
思フヤウニ行カナイ點モアリマスノデ、サ
ウ云フ御非難ヲ受ケル點ガアラウト思ヒマ
スケレドモ、政府トシテハヤハリ大衆本位
ニ大體良イ物、安イ物ヲ能ク差上ゲル、サ
ウ云フ風ニ決メルト云フ心持ダケハ、十分
皆持ツテ一生懸命ニヤツテ居ルノデアリマ
ス、殊ニ酒ノ如キハ、良イ酒ヲ拵ヘルト云フ
コトヨリモ、惡イ酒ヲ澤山拵ヘタ方ガ宜イ
ト云フ意見ガ、相當强カツタヤウニモ聞イ
テ居リマスノデ、自然五圓ノ酒ガナクナツ
テ二圓何十錢カノ酒ニナル、サウスルト又
種類ヲ減ラセバ、下ノ方ノ十錢デ飮メタ酒
ガナクナルト云フヤウナ不便モアリマセウ
ガ、非常ナ贅澤ナ酒モナクナツタ代リニ、
惡イ酒モナクナツテ、「レベル」ガ大體平均
シタト云フノモ、是モ又見方ニ依ツテハサ
ウシナケレバイケナイト云フヤウナ、公定
價格ヲ決メル方ノ意見モアリマス、御意
見ニ依ツテ萬遺憾ナキヲ期シタイト思ヒマ
スノデ、大體サウ云フ點デ御諒承願ヒタイ
ト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=17
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018・瀧澤七郎
○瀧澤委員 只今ノ公定價格ノコトハ、隨
分御苦心ノ點ハ承知シテ居リマスガ、ドウ
カ大衆ヲ先ニシテ、贅澤ヲスル人達ノ方ヲ
後ニシテ考ヘテ戴キタイト思フ、十錢デ飮
メタ酒ガ二十五錢ト云フコトハドウモ少
シ······是ハ唯東京ノ勞働者バカリデハアリ
マセヌ、地方全體ノ勞働者階級皆サウデス
是ガ卽チ賃金モ上ゲナケレバナラナイ所以
ニナツテ參リマス、賃金ハ上ラナイヤウニ、
サウシテ物價ハ安クト云フヤツガ、酒ハウ
ント高クナツタデハ困ル、勞働者ト云フモ
ノハ何ガ樂シミダト云フノニ、ヤハリアレ
デスヨ、鑛山デ勞働者ガ不足スルト云フヤ
ウナ所以モ、酒ガ少クナツタコトニ基因シ
テ居ルトモ言ハレテ居ル、斯ウ云フ點モド
ウゾ御留意シテ戴キタイト思フノデアリマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=18
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019・倉元要一
○倉元委員長 北勝太郞君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=19
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020・北勝太郎
○北(勝)委員 一寸輸出增進竝ニ一般生產
ノ擴充ニ關シテ、商工大臣ニ二、三ノ點ヲ
伺ツテ置キタイト思フノデアリマス、眞良い.
商工省デハ配給機構整備要綱ナルモノヲ、
府縣ノ經濟部長會議ニ指示サレタサウデア
リマスガ、是ハ商業者ヲ維持育成セントス
ル御熱意カラ出タモノト考ヘルノデアリマ
スガ併シナガラソレニ急ナルノ餘リ、統制
經濟ノ運行ニ非常ニ努力シテ、而モ非營利
的ニ國家民生ノ爲ニ忠實ニ盡シテ來タ所ノ
機關產業組合ラ、配給部面カラ排除セントス
ル目的ニ出タモノデアルト云フコトハ、蔽フコト
ノ出來ナイ事實デアリマス、是ハ新體制ニ逆行
スルモノダト私ハ信ズル、コンナコトヲ實施
シタナラバ、ソレコソ農村ノ實情ヲ全ク無
視シタ行キ方デアリマスカラ、消費者竝ニ
生產者ニ非常ニ迷惑ヲ掛ケルノデアリマス
シ
〔委員長退席、瀧澤委員長代理着席〕
特ニ生產者タル農民心理ニ非常ナ惡影響ガ
起ル、是ガ爲ニ生產ノ擴充ノ一大障碍ニナ
ルモノト私ハ思フ、此ノ點ニ對シテ商工大
臣ハドウ云フ工合ニ見テ居ラレルカ、ソレ
ヲ一ツ承リタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=20
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021・小林一三
○小林國務大臣 配給統制要綱ノ實施ニ伴
ウテ、農村ノ方面ニ惡影響ヲ及ボスト云フ
御注意デアリマスガ、是ハ丁度此處ニ當務
ノ政府委員ガ居リマスカラ、詳シク其ノ邊
ノ內容、將來ノコトニ付テ、御說明申上ゲ
タイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=21
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022・椎名悦三郎
○椎名政府委員 產業組合ガ農產物ノ配給
部面ニ亙リマシテ、從來極メテ有效ナル機
能ヲ示シテ居ルコトハ、御說ノ通リデアリ
マスガ、併シ一面ニ商業部面ノ配給業者、
是ノ存在モ亦否定スルコトハ出來ナイ、從
來國民經濟ニ寄與シタ機能ト云フモノハ、
ヤハリ之ヲ否定スル譯ニハ行カヌダラウト
思ヒマス、問題ハ其ノ間ノ調整ヲ如何ニス
ルカト云フコトガ、實際ノ問題デアラウト
思フノデアリマス、從來ノヤウニ唯商人ガ
利潤追求デ、例ヘバ仕入レタ物ハ何處ニ賣
ラウト、兎ニ角高クサヘ賣レバ宜イノダト
云フヤウナ、自由經濟主義ノ儘デヤルト云
フコトハ、今日ニ於テハ許サレナイ狀況ニ
ナツテ居リマシテ、商人ノ階級モ時局ニ目
覺メマシテ、大體國ノ方針ニ從ツテ、自分ノ
取扱フ商品ヲ國ノ意思、目的ニ副ウテ配給
スルト云フコトニ目覺メテ、着々實行シテ
居ルヤウナ譯デアリマス、サウ云フヤウナ
狀況デアリマスカラ、從來ノ經驗、機能ト
云フモノヲ十分ニ此ノ際活カシテ、サウシ
テ新シイ商人道德ニ基イタヤリ方ト云フモ
ノヲ、助長スルト云フ方針ヲ執ラナケレバ
ナラヌ、斯ウ思フノデアリマスガ、問題ハ
其ノ際產業組合ノ配給機能ト云フモノト、
如何ナル調和ヲスルカト云フコトニナルノデ
アリマスガ、是ハ御承知ノ如ク主要食糧品
其ノ他ノ農產物ノ配給ニ關シマシテ、商工、
農林ノ事務調整ノ際ニモ、極メテ愼重ナル
審議ヲ致シマシタ結果、大體農村ノ生產物
ノ集荷ハ農業者ノ團體、之ヲ需要者ニ配給
スル部面ハ配給業者ノ團體ニ任カシテ行カ
ウ、勿論其ノ際配給業者ノ方面ニ於キマシ
テハ、唯儲カリサヘスレバ宜イト云フヤウ
ナ考ヘ方ハ、是ハ許サレナイノデアリマシ
テ、組織的ニ國家ノ意思、目的ヲ體シテ、
所謂職域奉公ヲ實踐スルト云フコトハ、勿
論前提トシテ必要ナコトデアリマスガ、サ
ウ云ツタヤウナコトニ兩省ノ意見モ決定シ
テ居ルヤウナ譯デアリマス、左樣ナ考ノ下
ニ、商工省ノ所管ノ問題ニ付テモヤツテ居
ルヤウナ始末デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=22
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023・北勝太郎
○北(勝)委員 是ハ新聞ニ傳フル所ニ依リ
マスカラ、事實カドウカ分ラヌノデスガ、
石黑農林大臣ハ此ノ事ヲ聞イテ、是ハ非常
ニ重大ナル問題デアル、少クトモ農林省ニ
相談ガアルベキ筈ナンダ、一向聽イテ居ラ
ヌガ云々ト云フコトガ、新聞ニ出テ居ルノ
デアリマス、農林省ト打合セテ云々ト言ハ
レルガ、ソンナ打合セハ此ノ問題ニ關スル
限リ出來テ居ラヌノデハナイカ、斯ウ云フ
風ニ思ハレルノデアリマスガ、農林大臣ノ
新聞ニ出シテ居ラレル口吻ト、今言ハレル
コトト隨分開キガアルト思ヒマス、果シテ
農林大臣ガサウ云フ工合ニ承知シテ居ラレ
ルカ、新聞ニ傳フル所デハ、商工大臣ニ對
シテ質問シナケレバナラヌ、ドウモアレデ
ハ分ラヌ、アンナ筈デハナイ、是ハ重大問
題ダト、斯ウ言ツテ居ルノデアリマス、サ
ウスルト政府部內ニ、此ノ問題ヲ繞ツテ意
見ノ對立ガ出來テ居ルトシカ、吾々ハ見ラ
レナイノデアリマスガ、其ノ間ノ事情ヲ知
ラシテ戴キタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=23
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024・椎名悦三郎
○椎名政府委員 今御指摘ノ事實ハドウ云
フコトナノカ、私モ實ハ能ク了解シ兼ネル
ノデアリマス、少クトモ農產物ノ問題ニ關
スルコトニ付キマシテハ、商工農林ノ事務
調整ノ際ニ、愼重審議ノ結果、只今申上ゲ
タヤウナ取極メガアルノデアリマス、其ノ
他ニ勿論商工省ノ所管ノ範圍ニ於キマシテ、
所管物資ノ範圍ニ於テ、配給機構ノ整備ヲ
ドウ云フ風ニスルカト云フヤウナコトニ付
キマシテハ、是ハ方針ハアルノデアリマス、
事農林省ニ關スル問題トシテハ、農林商工
事務調整ノ際ニ、是ハ十分詳細ニ亙ツテ、
只今申上ゲタヤウナ原則ヲ取極メテ居ルノ
デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=24
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025・北勝太郎
○北(勝)委員 配給機構整備要綱ト云フモ
ノニ揭ゲラレテ居ルモノハ、決シテ農產物
ダケニ限ツテ居ラヌ、寧ロ農產物デナイ方
面ガ、私ハ多イノデハナイカト思フ位ニ、思
ツテ居ルノデアリマスガ、產業組合ガ今マデ
取扱ツテ居ル仕事ハ、農產物ト限ツテ居リ
マセヌ、產業組合ハ一面ニ於テ生產方面ノ
立場ノ仕事ヲシマスト同時ニ、又消費方面
ノ仕事ヲヤツテ居ルノデアリマス、卽チ購買、
販賣ト云フ仕事ヲヤツテ居ルノデアリマス、
隨テ消費方面卽チ農業者、或ハ他ノ生產者、
或ハ一般ノ消費者ノ生活方面ノ仕事ヲヤツ
テ居ルノデアリマシテ、サウ云フヤウナ關
係カラシマスト、今御話ノコトハ洵ニ當ツ
テ居ラヌト思フ、配給機構整備要綱ト云フ
モノハ、先刻申シマシタヤウニ、サウ云フヤ
ウナ生產、消費兩面ニ於ケル農村ノ物資配
給問題等ニ付テ、產業組合ヲ除外シヨウトシ
テ居ルノハケシカラヌト云フコトガ、農林
大臣ノ指摘シテ居ルコトデアルト思フノデ
アリマス、其ノ點ニ關シテモウ少シハツキ
リシタ御答辯ヲ願ヒタイ.発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=25
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026・椎名悦三郎
○椎名政府委員 別ニ產業組合ト云フ限定
ヲセヌデモ、其ノ外ニ都市等ニ於キマシテ
モ、消費經濟ノ立場カラ各種ノ購買組合、
購買會等ゴザイマシテ、是ガ或ハ其ノ會社
ヲ中心ニシテ、會社ノ社員、職工ニ付テハ
特別ノ購買上ノ便宜ヲ實行シテ居ルト云フ
ヤウナノガアルノデアリマス、是ハ例ヘバ
砂糖デアルトカ、或ハ「マッチ」デアルトカ、
其ノ他國民生活必需物資ノ配給機構ガ、着
着整備シテ參ルト云フコトニナルト、食違
ヒヲ生ズル、是ハ隣組デアルトカ、或ハ町
內會デアルトカ、地域的ナ消費者ノ結成ト
云フモノニ配給部面ガ結ビ付イテ、サウシ
テ初メテ完全ナ配給ガ行ハレルノデアリマ
ス、サウ云フ傾向ニナツテ參リマスト、必
ズシモ從來ノ購買會、消費者ノ團體デ、地
域ヲ超越シタ購買ノ仕方ト云フモノハ、是
ハ面白クナイノミナラズ、サウ云フ部面ニ
於テハ從來ノ機能ヲ段々減殺シナケレバナ
ラヌト云フ情勢ニアルカト思ヒマス、又
面カラ考ヘマシテ、消費者ノ團體ガ商人ノ
領域ニドン〓〓進出シテ參ルト云フ結果、
サナキダニ商人階級ガ靑息吐息、取扱商品
ガ非常ニ少クナリマシテ、色々ナ對策ヲ講
ジテ切拔ケテ居ルヤウナ譯デアリマスガ、
サウ云フ部面ニ進出ノ結果、益〓サウ云フ狀
況ガ激成サレルト云フヤウナコトモアリマ
スノデ、急激ニ斯樣ナ「シヨック」ヲ與ヘルト
云フコトハ宜シクナイ、斯ウ云フ見地カラ
消費者團體ノ配給部面ニ進出スルコトニ付
テハ、是ハ自省シテ貰ヒタイト云フ方針ノ下
ニ、只今實行シテ居ルヤウナ譯デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=26
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027・北勝太郎
○北(勝)委員 私ハ先程前提トシテ申上ゲ
タノデスガ、主トシテ生產擴充ノ見地カラ申
上ゲテ居ルノデアリマシテ、都會ノ消費組
合、購買組合等ニ對シテ私ハ聽イテ居ラヌ
ノデス、其ノ方面ニ付テ異議ヲ申シテ居ル
ノデハナイノデアリマス
〔瀧澤委員長代理退席、委員長着席〕
農村ノ配給統制ニ付テ申上ゲテ居ルノデ
アリマスガ、農村デハモウ部落會ト實行組
合ハ既ニ一致シテ居ルノデス、隣組ガ出來
ヤウガ、或ハ部落會ガ出來ヤウガ、ソレハ
農事實行組合ト全ク一致サシテアルノデア
リマシテ、決シテ重複致シテ居ラヌ其ノ點
ハ地域的ニハ食違ヒガ出來ナイ、寧ロ地域
云々ト云フ理由ノ爲ニ產業組合ノ領域ニ商
人ヲ食込マシテ居ルガ、其方ガ却ツテ逆ナ
ンデス、今マデズツトヤツテ來タコトト逆
デ、サウ云フ行キ方ヲシテ居ルノダ、ソレ
ガ果シテ生產者ノ心理狀態ニドウ響クノカ、
又生產者ノ實際生活ノ上ニドンナ工合ニ困
ルノカ、ソレヲ御存ジデアルカ、生產者ガ
ドンナニ困ツテ居ラウガ、心理狀態ニドウ
影響シヨウガ、商業者ノ維持育成ガ大事
ナンダカラ、生產ハ第二ダ、商業者ノ維持
育成ヲ第一ニ農村デヤラサネバナラヌト云
フノデアルカドウカ、之ヲ聽イテ居ルノデ
アリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=27
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028・椎名悦三郎
○椎名政府委員 農村ノ生產ヲ促進スル爲
ニ必要ナル各種ノ物資、例ヘバ肥料デアル
トカ、或ハ漁業者ノ團體デアルナラバ、漁網
漁具トカ云ツタヤウナモノノ配給、サウ云フ
モノヲ團體ニ取扱ハセル、是ガ生產擴充ノ
手段デアル、ソレヲ商人ノ唯儲ケ仕事ノ道
具ニ使ハレテハヤリ切レヌ、斯ウ云フ農村
カラノ御意見ハ非常ニ熾烈ナモノデアリマ
シテ、私モ其ノ衝ニ當ツテ度々サウ云フ意
見ヲ伺ツテ居リマス、ソレハヤハリ商人ノ
方ニモ從來惡イ所ガアツタノデアリマシテ、
例ヘバ燈輕油デアルトカ、石油類ノ配給ニ
シマシテモ、最寄リノ町ニ行ツテモ中々農
村デハ手ニ入ラナイ、ソコマデハ來テ居ル
ケレドモ、纒メテ「タクシー」デアルトカ、
其ノ他ノ都會經濟ノ方ニ吸收サレテシマフ、
折角農村ニ振當テラレタモノデアツテモ、
中々手ニ入ラヌト云フヤウナ事柄ガアリマ
シテ、是ハ事實ダラウト思フノデアリマス、
ソレハ商人ガ其處ニ介入スルト云フコトガ、
全部的ニ惡イト云フコトデハナクテ、其ノ
配給ノ仕方ガ所謂職域奉公ヂヤナイ、サウ
云フヤリ方ガイカヌ、其ノヤリ方サヘ變ヘ
レバ、必ズシモ消費者ノ團體ガ自分等ノ使
フ物ヲ何デモカンデモ自ラ取扱フ、サウシ
ナケレバ生產擴充ガ出來ナイ、斯ウ云フモ
ノデハナカラウト思フノデアリマス、サウ
云フ趣旨ニ於キマシテ、農林省トモ度々折
衝審議ヲ重ネタ結果、或ハ從來ノ實績ニ從ツ
テ產業組合ニ取扱ハセル、又商人ノ方ノ取扱
實績ト云フモノヲ尊重シテ、但シヤリ方ハ
モウ少シ整備シナケレバイカヌ、農村ニ振
當テラレルモノニ付テハ、確實ニ圓滑ニ農
村ノ方面ノ手ニ入レルヤウニト云フコトヲ
眼目ト致シマシテ、各品種ニ付テ詳細慣重ナ
ル考究ヲ遂ゲテ、大體ソレハ話ガ付イテ居
リマス、ソレデ其ノ通リ實行シテ居ルヤウ
ナ狀況デアリマスカラ、御諒承ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=28
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029・北勝太郎
○北(勝)委員 實績ニ依ツテ云々ト言ハレ
ルノデアリマスガ、サウデハナイ、實績ヲ寧
ロ侵シテ居ルカラ、斯ウ云フ問題ガ起ルノ
デアリマス、商工省側ハ兎角此ノ問題ヲ利潤
問題ダケニ考ヘテ居ラレル、價格ノ問題ダ
ケニ考ヘテ居ラレルヤウデアリマスガ、サ
ウデハナイ、價格ノ問題ハ勿論アルガ、ソ
レ以上ニ配給ノ理想形態ヲ具ヘテ居ラヌ、
是ガ非常ニ邪魔ニナルノデアリマス、此ノ
點ニ付テ申上ゲテ見タイノデアリマスガ、
是ハ私共モ昨年旣ニ石油其ノ他一、二ノ點
デ實驗濟ナンデス、勿論石油ハ非常ニ大切
ナモノデアルカラ、此ノ配給統制ニ付テハ、
最モ適切ナ行キ方デナケレバナラヌノハ當
然デアル、併シナガラ既ニアル統制經濟ノ
運行ノ爲ニ立派ナ機關-私ハ自認シテ申
上ゲルノデスガ、立派ナ機關デアル產業組
合ヲ利用スル、斯ウ云フコトヲ考ヘサヘス
レバ、譯ナシニ此ノ問題ハヤツテ行ケルノ
デス、殊更ニ之ヲ除イテ商人ダケニ行ハシ
テ見タ、石油ヲ商人ダケニ行ハシテ見タ所
ガ、ドウナツタカト云フト、第一斯ウナン
デス、商人ノ利益關係カラ云ヒマスト、小
賣値ト卸値、或ハ一升賣ト一罐賣以上ノ一
斗罐、或ハ「ドラム」罐、斯ウ云フモノデ賣ル
ノトハ價格ガ違フ、自然一升賣リガ有利デ
アル、ソコデ記名式配給劵ヲ幾ツカ持ツテ行
ツテ、合計一斗以上ノモノニシテ渡シテ貰
ハウトスルト、ソレハ出來ナイ、一人々々
ガ來テ吳レナケレバヤレナイト、其ノ品物
ガアツテモ品物ガナイ、一升デ買ヒニ行ケ
バ品物ヲ渡シテ吳レルガ、サウデナイト、
アルコトガ分ツテ居ツテモ、今日ハ品物ガ
ナイト云ツテ斷ツテシマフト云フコトガ起
ツテ來ルノデアリマス、更ニ一升ヅツシカ
賣ラナイカラ遠距離ノ農村カラワザ〓〓何
囘モ何囘モ、何人モノ人ガ、此ノ勞力ノ不足ノ
時ニ石油ヲ買ヒニ行カナケレバナラヌ、
オ負ケニ遠距離ニナリマスト、汽車ニ積ン
デ歸ラウト思ツテモ、是ハ危險物デ絕對ニ
積マセナイ、實ニ農民ニハ迷惑千萬ナコト
ヲヤツテ居ル、是ハ値段ノ問題ダケヂヤナ
イ、配給ヲ受ケル爲ノ困難ヲモ申シテ居ル
ノデアリマス、殊ニ昨年非常ニ困ツタ問
題生產擴充ニ非常ニ妨害ニナツタ問題ハ
何デアルカト云フト、害蟲驅除豫防ノ時
ニ、サツパリ石油ノ用意ガシテナイ、先ニ用
意シテ置ケバ商人ガ利子ガ掛ルシ、損ヲ
シテ困ルカラト云フノデ、サツパリ用意シ
テ居ナイ、サア害蟲ガ出タト云フ際ニ、サ
ウ云フ問題ニ對シテ親切サヲ缺クガ爲ニ、
遂ニ時期ヲ失シタカラ、所謂六菖十菊ニ陷
ツテシマフ、後ニナツテ澤山ノ石油ヲ使
ツテモ效果ガナカツタト云フヤウナ問題ガ
起ツテ居ルノデアリマス、更ニ肥料ノ問題
ガサウデアリマス、肥料ハ產業組合ト商人
ノ兩方ニ別々ニ分ケテ居リマスガ、實際ノ
實績デナシニ妙ナヤリ方ヲサレテ、商人側
ニ多ク渡シテ居ル、所ガ肥料ハ多ク農家ハ
秋拂ヒデ買ハナケレバナラヌノデスカラ、
貧弱ナ農家ハ借ルコトガ出來ナイ、品物ハ
アルケレドモ、ミス〓〓渡シテ貰フコトガ
出來ナイ、斯樣ナコトニナツテ、現ニ昨年
ナドハ、アレダケ肥料ガ足ラヌト言ヒナガ
ラ、商人ノ手持チノ肥料ハ餘シテシマツテ
居ル、斯ウ云フ實情デアリマス、ソコデ已
ムヲ得ヌカラ、產業組合ノ手ヲ經テ纒メテ
買ヒ、實行組合デ分ケヨウトスルト、商人
ハ小賣値デナケレバ應ジナイ、何モ勞セズシ
テ値段ハ小賣價格デ取ラレテシマフ、サウ
スルト扱ツタモノハ扱ツタダケ損ダト云フ
コトニナツテ、產業組合ノ決算ノ時ニナル
ト、無手數料ノモノヲ澤山扱ツテ居ルカラ、
年末ニ赤字ガ出テ來ル、組合員カラ赤字ガ
出テ來タ原因ハ何處ニアルカ說明ヲ求メラ
レルト云フ始末デアリマス、商人ノ方ハ小
賣値段デナケレバ產業組合ニ渡サヌ、ダ
カラ組合ノ側ハ損ニナルノダト言フコト
ガ分ツテ、農民ノ心理ヲ非常ニ害シテ居
ルコトハ事實ナノデアリマス、縱シンバ
商人ガ貸賣ヲシテ吳レテモ、產業組合デ
借リルノト大分違フ、產業組合デ借リル
ノデスト、農家ノ人達ハ自分等ノ組織團體
ノ金ヲ借リル、決シテ個人ノ金ヲ借リル
ノデナイカラ、卑屈ナ考ヘヲ持タナイ、
頰被リシタ儘、肥料ヲ掛買ニサシテ吳レヨ
ト言フコトガ出來ル、所ガ商人ノ方デ借リル
ト、サウハ行カナイ、丁度昔カラ言フヤウ
ニ、高利貸カラ金ヲ借リル時ニハ先ヅ其
處ヘ行ツテ猫カラ褒メテ掛ラナケレバナラ
ヌト云フヤウナ狀況デス、實ニ農民ノ自尊
心ヲ傷ケテ居ル、斯ウ云フヤウナコトデハ、
如何ニ生產擴充ノ聲ヲ掛ケラレテモ、農民
ハ、政府ハアンナコトバカリ言ツテ居ルガ
本當ニ生產擴充ハ必要ナノカ、政府ガ本當
ニ必要ナラバ生產第一主義デ行カナケレバ
ナラヌ、働ク者ノ力ヲ尊重シテ行クト云フ
行キ方デナケレバナラヌ、吾々ニ頻リニ生
產擴充ヲセイト言ヒナガラ、アンナ不都合
ナ行キ方ガ何處ニアルカ、斯ウ云フコトガ
隨分ヤカマシイ聲ニナツテ居ル、若シ農民
ガ尻ヲ向ケテシマツタナラバドウナル、是
ハ由々シイ問題デス、ソレハ生產擴充上重
大ナル障碍ニナルト思フ、更ニモウ一ツ最近
福島縣デ縣令ヲ出シタ、ソレハヤハリ先ノ
配給機構整備要綱ニ基イテ鹽乾魚ハ商人ノ
方ノミニ扱ハセルコトニ致シタ、御承知ノ
ヤウニ鹽乾魚ハ農村榮養上唯一ノ大事ナモ
ノダ、何處ノ產業組合ガ出來テモ、何處ノ
購買組合ガ出來テモ先ヅ之ヲ扱フ、ナゼカ
ト言フト、從來ノ弊ハ、鹽乾魚ノ如キハ定
價ハアツテモ之ニ濕氣ガ含マセル、濕氣ヲ
含メルト實質上非常ニ値段ガ高イモノニナ
ルト云フノデ、特ニ濕氣ヲ含メル、斯ウ云
フヤウナ行キ方ヲサレテ實ニ困リ拔イテ居
ツタノデアリマス、ソコデ農村ノ購買組合
ガ出來レバ、先ヅ第一ニサウ云フロ物カラ
扱ツテ行ツタ、ソレヲ福島縣デハ產業組合
カラ取上ゲテシマツタ、近頃ハ此品物ガ段
段少クナツテ來タノデアリマス、サウスル
トドウナルカト云フト、農業者ガ產業組合
デ纒メテ買ハナイ限リハ、鹽乾魚類ハ手ニ
入ラナイ、商人ハ近イ所バカリデ賣ツテシ
マフ、或ハ現金ノ入リ易イ所デ賣ツテシマフ、
賣レ殘リガアツタ時デナケレバ農村ノ遠イ
所ヘ持ツテ行ツテヤラヌ、遠距離ヘ運ブノ
ハ能率ガ擧ラヌノデ、サウ云フコトニナツ
テ來ルノデアリマス、斯ウ云フコトニナツ
テ來マスト、農民ハ非常ニ怨嗟ノ聲ヲ放ツ
ノデアル、私ハ昨日モ犬養君ノ支那事情ノ
話ヲ聽イテ、實ハ是ハ考ヘナケレバナラヌ
ト思ツタ、支那ノ共產黨ハ大變農民ニ對シ
テ親切ニシテヤツテ居ル爲ニ、農民ハ皆共
產黨ニ入ツテシマフト云フコトデアル、
方サウデナイ方ハ、農民ニ對シ經濟上非常
ナ窮屈ヲサセテ居ル、ソレガ爲ニ蔣介石ハ
寧ロ日本ト講和シタ後ニ於テ、共產黨ニ自
分ノ地盤ヲ奪ハレテシマフト困ルト云フコ
トヲ、心配シテ居ルヤウダト言ツテ居ルノ
デアリマスガ、日本人ニハソンナコトハナイ
ケレドモ、併シナガラ此ノ不平不滿ヲ欝積
サセテ置クト云フコトハ、是ハ大イニ考ヘ
モノダ、殊ニ生產擴充、職域奉公デ鼓ヲ打
ツテヤツテ居ルノデアリマスガ、其ノ場合
ニ於テオ前達ソンナコトヲ言フケレドモ、
農村ヲコンナニ窘メテ居ツテハ、吾々ハ
出來ヌヂヤナイカト云フ怨嗟ノ聲ガ出タ時
ニ、吾々ハソレヲ宥メル方法ガナイ、ソコ
デ斯ウ云フ配給機構整備要綱ト云フヤウナ
モノデ、農民ガ今マデ一遍味ヲ占メテ居ル
產業組合ノ合理的ナ方法、便利ナ方法デ且
又何處へ行ツテモ頭下ゲズニ、無イモノモ
相互扶助ノ精神デ都合好クヤツテ貰ツテ居
ルノダト云フ考ヘ、スツカリ是ガ合理的ナ
モノダト云フノデ其味ヲ占メテ居ル者カ
ラ、之ヲ取上ゲテシマフ、サウシテ不合理
ナ、先程言フヤウナ、假令値段ガ同ジデア
ラウトモ、最モ合理的ナ方法デ渡ラナイヤ
ウナ行キ方ヲサセラレテ居ツテハ、農民ハ
承知シナイダラウ、斯ウ云フコトヲ吾々ハ
惧レル、ソコデドウシテモ農村ニ對シテハ、
ヤハリ、產業組合其ノモノヲ國家ノ統制機
關トシテ、立派ニ使ツテ行カナケレバナラ
又、斯ウスベキモノデアルト信ズル、何故
ニ現在サウ云フモノヲ止メサシテ、サウシ
テ商業者ノ領域ニヤラサセナケレバナラヌ
ノデアルノカ、新體制々々々ト言ヒナガラ、
政府ノヤリ方ハマルデ逆デアル、個人的利
益ガ先デ、多數ノ利益ガ後ナノデアル、ソ
ンナ行キ方ヲシテ新體制ガ出來ルカト云フ
問題ガ必ズ起ツテ來ル、現ニ起ツテ來ツツ
アルト思フノデアリマス、斯ウ云フヤナウナ
場合ニ處シテ、斯ノ如ク農民心理ニ非常ナ
影響ガアル、生產擴充ノ上ニ於テモ、精神
上ニ於テモ、非常ナ惡影響ガアルノダト云
フコトヲ、當局ハ御分リニナラナケレバナ
ラヌ筈デアル、ソンナコトハナイト言フナ
ラバソレヲ承リタイシ、若シソレガ尤モダ、
ト云フヤウナ御考ヘガアルナラバ、是ハ早
速改メテ貰ヒタイ、非ヲ改メルニ決シテ憚
ツテハナラヌト思フノデアリマス、之ニ對
シテ商工大臣ガ折角來テ居ラレルノデスカ
ラ、願ハクハ商工大臣ノ御意見ヲ承リタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=29
-
030・小林一三
○小林國務大臣 北サンノ御注意、サウ云
フヤウニ商人ノヤリ方ニ不便ガアリ、又產業
組合デ行ケバ非常ニ巧ク行ク、ソレヲナゼ
利用シナイカト云フ、色々ノ實情ヲ御示シ
ニナツテノ御話、能ク篤ト〓究シマシテ、
只今此處デドウト申上ゲルコトモ出來マセ
ヌガ、是ハ農林省ト商工省ト長イ間ノ懸案
ヲオ互ヒニ話合ツテ、是ダケノモノハ商人
ノ仕事ニシヨウ、是ダケハ產業組合ノ方ノ
仕事ニシヨウト云フヤウニ、話合ガ出來タ
結果デアラウト思ヒマス、唯御承知ノ如ク、
商人モ只今デハ隨分苦シイ立場ニアルノデ、
商人ニ對スル其ノ立場モ考ヘ是モ亦維持
育成スルト云フヤウナ親心ヲ以テシナケレ
バナラヌ點モアラウト思ヒマスガ、サリト
テ農村ノ今ノ鹽乾魚デスガ、サウ云フヤウ
ナモノノ行渡ラナイト云フヤウナコトモ、
是亦容易ナラヌコトデアルト思ヒマスカ
ラ、篤ト御希望ノ點ハ〓究ヲサセテ戴キタ
イト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=30
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031・倉元要一
○倉元委員長 北君、マダゴザイマスカ、
後ニ渡邊君ノ質問モアリマスシ、折角商工
大臣ガ御見エニナツテ居リマスカラ、午前
中ニ終リタイト思ヒマスノデ、簡單ニ願ヒ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=31
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032・北勝太郎
○北(勝)委員 只今ノ大臣ノ御答辯ハ私ハ滿
足シマス、ドウカ一ツ御〓究ヲ願ツテ、非
ガアツタラ早速改メテ戴キタイ、但シ吾々
ハ決シテ生產者ダケ、農民ダケガ助カレバ
宜シイ、商人ハドウデモ宜シイノダト云フ
ヤウナ考ヘハ、斷ジテ持ツテ居ラヌノデス、
商人ノ領域ニ新シク食ヒ込マウト云フ考へ
ハ持ツテ居ラナイ、併シ旣得ノ-今マデ
ヤツテ居ツタコトダケハ、今マデ通リヤラ
セナケレバナラヌト云フノデ、決シテ商人ヲ
困ラサウト云フノデハナイ、產業組合或ハ漁
業組合等ノ人達モ、成ベク商人ノ方ニ讓ラ
レルコトハ、自發的ニ讓ル氣持デ居ル、官
デ抑ヘ付ケラレテヤルノデハナシニ、成ベ
クサウ云フ工合ニ仕向ケテ行カウト云フ、
自主的ナヤリ方ニ進ンデ行カウト云フ考ヘ
ヲ持ツテ居ルコトハ事實ナノデアリマス、
何デモ彼デモ生產者ダケ宜ケレバ宜イト云
フコトデナイト云フコトヲ、一言申シテ置
キマス、ソレカラ更ニモウ一ツ承ツテ置キ
タイコトハ現在低物價政策ノ下ニ、生產
者ハ色々ナ生產ニ從事シテ居ルノデアリマ
スガ、併シナガラソレガ低物價政策デアル
ガ爲ニ、價格ガ往々生產費ニ達シナイ、斯ウ
云フコトガ生ジテ居ルノデアリマス、此ノ
場合ニ於テハ、生產者ハ原始生產ノ儘デヤ
レバ價格ガ生產費ニ達シナイガ、併シナガ
ラモウ一段進メテ加工ヲスレバ、幾ラカ引
合フト云フヤウナ場合ガアリ得ルノデアリ
マス、斯ウ云フ場合ニ於テ、農業者自ラガ
自分ノモノハ自分デ始末スル、サウシテ生
產ガ增スヤウニ加工部門ニ入リ込マウト云
フコトハ、是ハ當然ナコトデアルノデアリ
マス、所ガ往々ニシテ加工ハ加工業者ニ、
生產者ハ生產部門ダケニ押込ンデシマフト
云フヤウナ風ガ、政府部內ニサウ云フ考ガ
アルノヂヤナカラウカト思ハレルノデアリ
マン、卽チ近來生產者及ビ其ノ生產者ノ團
體ヲ狹義ノ生產部門ダケニ押込マウ、斯ウ
云フコトニナルト、勢ヒ生產費ニ達シマセ
ヌカラ、生產費ニ達シナイモノハ、如何ニ
何デモ出來ナイ、一時ハヤルケレドモ、長
續キハシナイ、職域奉公ヲシヨウト思ツテ
モ、實際ニ職域奉公ヲヤラウニモ、職域奉
公ノ爲ノ場所モ、道具モ、總テヲ失ツテシ
マフト云フヤウナコトニナルノデアリマス、
ソコデ生產費ニ達セシムル新タナル過程ニ
進ンデ行カナケレバナラヌト云フコトニナ
ルノデアリマス、所ガ極メテ簡單ナ農產加
エ、卽チ精米或ハ製飴、飴ハ澱粉カラ製造
スル、或ハ屑米カラ製造スル、サウ云フコ
トマデモ、モウ是レ以上ニヤラセヌト云フ
ヤウナ工合ニサレテ居ルノデアリマス、此
ノ爲ニ生產者ハ全ク萎縮シテ居ルノデアリ
やっ、是ハ農民心理ヲ辨ヘナイ行キ方デア
ルノデアリマシテ、啻ニ經濟上ノミナラ
ズ、精神的ニモ生產者ヲ萎縮セシメテ居ル
ノデスガ、是ハ生產擴充上非常ナ禁物デア
ルト思フ、モツト前途ニ光明ヲ持チ、サウ
シテ元氣潑刺トシテ生產ニ從事サセルノデ
ナケレバ能率ガ擧ラナイ、隨テ更ニ生產費
ニ達シナイト云フコトニナルノデアリマシ
テ、此ノ生產擴充ノ時代ニ洵ニ遺憾千萬デ
アル、例ヘバ米ノ精米ノ如キハ、農村デヤ
ラセルト一割米ノ量ガ減ル譯デス、卽チ輸
送力ガ一割助カル、ソレバカリデナシニ農
村ニ殘滓物ガ殘ル、此ノ殘滓物ガ家畜ノ飼
料トナリ、養豚ノ飼料トナル、サウシテ是
ハ堆肥ノ元トナルト云フコトデ、農民ノ引
合ハヌ農業ヲ、副業デ引合ハスト云フコト
ニナツテ行クノデアリマスガ、其ノ殘滓物
ヲ農村ニ殘スト云フコトサヘ忘レテ居ル、
斯ウ云フヤウナコトデハ、洵ニ私ハ遺憾千
萬デアルト思フ、ソコデ生產者若シクハ生
產者ノ團體ダカラト云ツテ、原始生產ダケニ
押込ムベキダト云フ考ヘデ進ムベキデハ斷
ジテナイ、斯ウ云フ風ニ考ヘルノデアリマ
ス、ソコデ斯ウ云フ點ヲモツト重視シテ、
低物價政策デ引合ハヌ時ダカラサウ云フ
仕事マデ生產者ニヤラシテ行カウト云フ方
針ヲ、商工省ガ御執リニナル考ヘデアルカ、
或ハ加工品ニナルト商工省ガ關係スル、サ
ウシテ加工シタモノヲ更ニ販賣シナケレバ
ナラヌ、自分ノ作ツタモノヲ其ノ儘賣レヌ
ト云フコトデハ駄目ナノデアリマシテ、自
分自ラ販路ヲ求メテ販賣シナケレバナラヌ、
加工販賣ト云フ方面ニナリマスト、先ニ言
ハレタヤウニ、商工省ノ範圍ダト云フコト
ニナルノデアリマシテ、サウ云フ點ニ付テ
モ農村ノ事情ヲ能ク御考ヘニナツテ、商工
省ダカラ商人サヘ助カレバ宜イ、農民ハド
ウデモ宜イト云フコトニナレバ、生產擴充
第一主義デ行カナケレバナラヌ時ニ、全ク
逆行スル、斯ウ思フノデアリマシテ、此ノ
點ニ對スル御考ヘヲ伺ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=32
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033・小林一三
○小林國務大臣 農村ノ生產物ニ對シテ加
エヲ禁ジテ居ルト云フコトハナイノデアリ
さつ、精米ヲスルノモ、或ハ飴ヲ拵ヘルノ
モ、サウ云フコトヲ禁ジテ居ルノデハナイ
ノデアリマス、唯斯ウ云フ點ガ何處カニ食
ヒ違ヒガアルデハナイデセウカ、ヤハリ加
工ヲ商賣トシテ居ル人ニ、非常ニ其ノ人ノ
立場ガ苦シクナルト云フ場合ガアレバ、ソ
レニ對シテ何等カ考慮ヲ加ヘテ、便宜ナ方
法ヲ執ツテ居ルコトハナイトモ限ラナイト
思ヒマスガ、大體政府ノ方針ト致シマシテ
ハヤハリ自分デ米ヲ搗イテ、ソレカラ糠
ヲ殘シテ置クトカ、或ハ飴ヲ拵ヘルト云フ
ヤウナモノニ對シテマデ、禁ジテ居ルトハ
存ジテ居リマセヌ、サウ御承知ヲ願ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=33
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034・北勝太郎
○北(勝)委員 產業組合等ハ實ハサウ云
フ加工業者ガ困ルト云フナラバ、自分ノ組織
ノ中ニ融ケ込マシテ行カウト云フ考ヘヲ持
ツテ居ル、サウスルト極メテ旨ク行クノデ
アリマスガ、政府ノ方針ガサウ云フ風ニナ
ツテ居ラヌトスレバ、生產者ノ方ヲ抑ヘテ、
サウシテ加工業者ノ立場ヲ考ヘテ行クノダ
ト云フコトニナルト、其ノ仕事ハ旨ク行カ
ヌカラ、到ル處ニ相剋ヲ生ズルノデアリマ
スカラ、其ノ點ニ對スル御意見ヲ承ツテ置
キタイ、ソレカラ一番最後ニ承ツテ置キタ
イコトハ、農村ノ勞銀ト、ソレカラ工業其
ノ他ノ方面ノ勞銀トハ一致シテ居ラヌ、農
村ノ勞銀ヲ非常ニ安クシテ居ル、事實上半
分ニシテ居ル、實際半分ニ勞銀ヲ決メテ居
ルノデハナイケレドモ、一方デハ此ノ時間
ノ繰延ベ、夜業等ノ名目デ、此ノ賃銀ヲ出
シテ居ル、隨テ殆ド半分ニ達シテ居ナイ、實
際斯ウ云フヤウナ開キガアルノデハ、農業
方面ニ勞力ノ足ラヌノハ當然デアリマス、
實ハ內地方面ノコトヲ、私ハ北海道ノ人間
デ多クヲ存ジテ居マセヌガ、私ノ村ノ狀況
ヲ見マスト、此ノ勞力不足ノ爲ニ土地ガ澤
山空イテ居ツテ、農民ノ意氣ガ沮喪シテシ
マツテ居ル、幾ラ勤勉ニヤツテモ駄目ダ、
寧ロ炭山ニ行ツタ方ガ宜イ、或ハ製鋼所ヘ
行ツタ方ガ宜イト云フヤウナコトデ、其ノ
方へ出テ行ツテシマフノデアリマシテ、統
計ニハドウ現ハレテ居ルカ知ラヌケレドモ
專實上大キナ土地ガ空イテ居ル、自分ノ小
作者ナドハ土地ヲ戾シテ來テ居リマスガ、
ソレニ先ダツテ私ハ昨年議會カラ歸ルト、
直グ村ノ地主全部ヲ集メテ、サウシテ是ハ
小作者ノ立場ガ工合ガ惡クナツテ居ル、何
トカシテ工合ヲ好クシナケレバナラヌカラ
オ互ヒガ自發的ニ小作料ヲ一ツ滅ジヨウヂ
ヤナイカト云フ譯デ、二割減ズル相談ヲシ
テ、直グニ皆纒マリマシタカラ、村內ノ小
作者ニソレヲ示シタ、ソンナ工合ニマデシ
テ居リマスケレドモ、遂ニ米作ハ赤字ガ出
ルノト、ソレカラ先ニ言フ通リ、他ニ好イ儲
ケガアル爲ニ百姓ヲ止メテ、其ノ方ヘ行ツ
テシマフ、前途ノ光明ヲ失ツタ百姓ニハ、
幾ラ物ヲ言ツテ聽カシテモ分ラナイ、ソン
ナ關係ニナツテ居リマシテ、此ノ問題ニ付
テ双方ノ勞銀ガ調節ガ取レルヤウニシナケ
レバ、食糧品ハ益〓減ズルバカリデアツテ、
殖エハセヌ、斯ウ云フヤウニ考ヘテ居ルノ
デアリマスカラ、此ノ點ニ關スル大臣ノ御
考ヘヲ承ツテ置キタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=34
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035・小林一三
○小林國務大臣 農村勞銀ハ比較的他ノ賃
銀ヨリモ安クテ、ソレガ爲ニ小作ガ空クト
云フヤウナ御話デアリマスガ、是ハ私ノ
存デ御返事申上ゲル前ニ、一遍厚生大臣ト
モ會ヒ、實際ノ農村ノ情勢ガ斯ウデアルト、
或ハ農林大臣ニモ會ヒマシテ、アナタノ御
注意ノ點ヲ申上ゲマセウ、賃銀ハ單リ商工
省デドウシヨウト云フモノデナク、各省ニ
亙ル問題デアリマス、殊ニ厚生省ガ非常ニ
ソレヲ統轄〓究シテ居リマスカラ、其ノ御
趣意ノ點ヲ能ク申上ゲルコトニ致シタイト
思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=35
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036・渡邊玉三郎
○渡邊(玉)委員 時間ガアリマセヌカラ、
極メテ簡單ニ質問シテ見タイト思ヒマス、
商工大臣ノ中小工業ノ維持育成ト云フコト
ハ結局中小工業ハ濫リニ現狀ヲ急激ニ變
更セザル御方針デアリマスカ、其ノ點ヲ一
ツ承リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=36
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037・小林一三
○小林國務大臣 是ハ隨分各方面カラ御檢
討ニナツテ居ル問題デ、結局ハ日本ノ中小
工業ハ非常ニ雜多デ多過ギル、內職ノヤウ
ナ中小工業ガ相當ニ多イ、當然合理的ニ整
理サレテ行カナケレバナラナイト云フコト
ハ日本ガ東亞共榮圈ト云フヤウナ大キイ
方面ニ將來進出シテ行ク場合ニハ、國民ノ
各能率ヲ發揮シ得ルヤウナ行ク途ノ、何ト
申シマスカ、分布ト云フヤウナモノニモ大
影響ガアルノデ、此ノ儘舊來ノ式バカリニ
コダハル譯ニハ行カナイ、結局ハ行クベキ
途ヲ指示シナケレバナラヌト云フ大勢ニハ、
誰モ異議ガナイト信ジテ居リマス、併シナ
ガラソレハ一ツノ理想デアツテ、今日トシ
テハ其ノ理想ノ爲ニ國民ヲ混雜セシメルト
云フコトハ宜クナイ、出來ルダケ現狀ヲ維
持シテ徐ロニ行クベキ途ヲ指示スルト云フ
ヤウニ考ヘルノガ、一番適當デハナイダラ
ウカ、斯ウ私ハ考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=37
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038・渡邊玉三郎
○渡邊(玉)委員 只今ノ小林商相ノ御答辯
ニ依リマスト、家族勞働力ヲ利用シテ、家
內工業的ノ工業ニハ濫リニ現狀ヲ急激ニ變
更シナイケレドモ、更ニ將來ハ考ヘナケレ
バナラヌ、卽チソレニ及ビマスト企業合同
ニナルノデアリマス、企業合同ト云フコト
ハ此ノ緊迫セル時局下ニ於キマシテ、資
材、勞力ノ有效適切ナル利用ヲナスノ趣旨
ヲ以テ、合理化ヲ圖ルコトハ必要ガアルト
認メテ居リマス、更ニ物動計畫ニ卽應シテ
計畫生產ヲシテ、消費者ニ對シテ最モ必要
トスル方面ニ流スヤウニスル、隨テ中小工
業ノ統合ガ必要デアル、ソレニ付テハ先刻
御尋ネガアリマシタケレドモ、工業小組合
法ヲ改正シテ、〓ネ十人內外ト云フヤウナ
少イ數デハイケナイノデハナイカ、之ヲ五
十名位ニ改正スルノ御意思ガアルカドウカ
ト云フコトガ一點ト、今一ツハ、其ノ企業
合同ニ付テハ、人的融和ヲ圖ル趣旨ヲ以テ、
業者ノ希望ヲ尊重サレテ行クノカドウカ、
此ノ點ヲ承リタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=38
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039・小林一三
○小林國務大臣 企業合同ヲスルニ付テ
ハ、無理ナコトヲシナクテ、オ互ヒニ極ク
自治的ニ整理シテ、一〓ニナル方ガ宜ケレ
バ一緒ニナリ、一緒ニナツテソレ程利益ノ
ナイモノハ、無理ニ一緒ニナラナクテモ宜
イト云フヤウニ、私ハ自然ニ解決スルコト
ヲ考ヘテ居リマス、尙ホ前段ノ十人ヲ單位
ニシナケレバナラヌトカ、或ハ五十人單位
ノ工場ニ整理シヨウト云フヤウナ考ヘハ
一ツノ考ヘデアルカモ知レマセヌガ、今日
トシテハ是モ自然ニ六人デ宜ケレバ六人デ
宜シ、二人デヤツテ居ラレタナラバ、無理
ニ潰ス必要モナイ、併シナガラ五十人ニス
ルコトニ皆ノ利益ガ一致シテ、五十人デヤ
ラウヂヤナイカト云フコトニナレバ、ソレ
ヲ奬勵ヲスル、現狀ニ卽シテ、今日時局多
難ナ時ニ、人心ヲ動搖セシメナイヤウニ、
徐ロニ各自ノ希望ニ副ウテ善導シテ行クノ
ガ、一番實際ニ卽シタ政治ダト信ジテ居リ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=39
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040・渡邊玉三郎
○渡邊(玉)委員 私ノ工業小組合ト言ヒマ
シタコトニ付テ、大臣ノ御答ヘハ一寸違
フ、私ノ言ヒ方ガ足ラナカツタト思ヒマス
ガ、工業小組合法デハ十人內外ト決マツテ
居リマスカラ、サウ云フヤウナ結合體ヲ作
ルトキニ、之ヲモツト大キク人員ヲ殖ヤス
コトガ、アナタノ目的ニ副ツテ行クノデハ
ナイカ、隨テ工業小組合法ノ改正案ヲ御出
シニナル御意圖ガアルカドウカ、斯ウ云フ
コトヲ御尋ネ致シマシタノガ一點ト、ソレ
カラモウ一ツハ、アナタノ御趣旨ト違ツ
テ、地方廳等ニ於キマシテハ、色々ナ企業
合同ノ案ヲ立テテ、ソレヲ强制シヨウト云
フヤウナ行キ方ガ、アリハシナイカト思フ
ノデアリマスガ、サウ云フ點ハ十分地
方廳ノ方ヘアナタノ御意思ガ徹底スルヤウ
ニ御願ヒシテ置キタイ、ソレカラモウ一ツ
ハ、他ノ機會ニ御伺ヒシテモ宜シイト思ヒ
マスガ、御參考マデニ-今御答辯ガ
出來レバ宜イガ、御答辯ガ出來ナカツタ
ナラバ、他ノ機會ニ御答辯願ヒマス、ソレ
ハドウシテモ企業合同ヲシナケレバナラヌ
ト私ハ思ヒマスガ、ドウ云フ形式ニ於テモ、
合同ト云フ形式ガ本當ニ法人デアラウガ、
或ハ「ブロツク」デアラウガ、申合セ組合デ
アラウガ、其ノ形式ノ如何ヲ問ハズ、物資ノ
缺乏シタル時、生產配給ヲ適正ニスル、消
費ヲ規正スル爲ニハ必要デアリマスケレド
モ、其ノ時ニ商工省トシテ最モ御考ヘニナ
ラナケレバナラヌ點ニ付テ、五點ホド私ノ
疑問ヲ申上ゲマシテ、サウシテ然ルベキ機
會ニ御答辯ヲ願ヒタイト思ヒマス、先ヅ稅
金ノ關係デアリマスガ、所謂小サイ會社、個
人會社、十万圓位ノ會社ト個人トガ合併致シ
マス時ニ、工業デアレバ固定資本ガアリマス
カラ、固定資本ヲ水膨レシテ高價ニ見ナケ
レバ、配當ガ六朱トシテ生活ノ出來ルヤウ
高ク見タイコトヲ希望致シマス、併シナガ
ラ法人ニナツテ居ル中小工業ハ、大藏省ノ
方デ減價償印ヲシテ、或ル程度マデ償却ヲ
旣ニ認メテ居ル、ソレガ高クナル爲ニ企業
合同ノ固定等ノ設備ヲ、同ジ金額デ査定致
シマスト、ドチラカガヤリ切レナイト云フ
ヤウナ問題ガアリマス、サウ云フ點ノ關係
ニ付テ、大藏省ト十分御折衝ニナツテ、何
レ私ハ他ノ委員會デ承リタイト存ジマスガ、
御答辯ヲ願フコトニシテ置キマス、第二點
ハ改正措置法ガ出マシタガ、此ノ措置法
ノ關係デアリマス、色々合同致シマスト、
ドンナ善人デモ結局今ハ資材ガ足リマセヌ
カラ、鐵工業ニシテモ、或ハ織物纖維業ニ
シテモ、幾多散在シテ居ル工場ヲ、散在ノ
儘一元的經營ヲ致シマスト、ソコニ合同體
ノ代表者、社長ガ、陸軍ノ戰陣訓ノ本訓ノ
通リノ「敬神神靈上ニ在リテ照覽シ給フ心ヲ
正シ身ヲ修メ篤ク敬神ノ誠ヲ捧ゲ常ニ忠孝
ヲ心ニ念ジ仰イデ神明ノ加護ニ恥ヂザルベ
シ」ト云フ心境ヲ持ツテヤツテ居リマシテモ
措置法ノ處罰ハ、其ノ社長ニ處罰ガアルノ
デアリマス、卽チ如何ニ善人デモ刑法上ノ
罪人ニナラナケレバナラナイ、併シナガラ
同ジ所へ資本ヲ集メルコトハ出來マシテモ、
工場ヲ集メルコトハ資材ガナイカラ出來ナ
イノデアリマスカラ、サウ云フ點ニ付テハ
事實知ラザル社長ニ罪ナキヤウ御取扱ニナ
ルヤウ、或ハ司法省其ノ他ノ關係ノ方面ニ
十分御調査、御〓究ヲ願ツテ置キタイ第三
點ハ現在ノ電力統制-アナタノ係リデナ
イカ知レマセヌ、遞信省ノ係リデアリマセ
ウケレドモ、電力ノ統制ガアツテ、小サイ
工場ニハ電力ノ統制ガ解放サレテ居ルガ、
大キイ工場ニハ統制ガアル、斯ウ云フモノ
ヲ同ジヤウナ設備ニ於テ合同シヨウト思ツ
テモ、玆ニ無理ガアル、ソレハドウ云フ風
ニシタラ宜イカ、其ノ次ニ第四點トシテ、
纖維工業等カラ見マスト、絲ノ配給量ガ違
フノデアリマス、例ヘバ十臺ノ工場ナラバ、
其ノ通リ十臺ト見テ、其ノ外ニ定メヲ設ケ
テ、十臺以下ノ人ハ三臺トカ、二臺トカ保
護率ヲ設ケ、十臺以上ハ反對ニ遞減率ガア
リマシテ、二十臺ノ人ハ十五臺トカ、十六
臺トカデ設備ヲ少ク見積ル、之ヲ絲ノ配給
ノ對象トセラレテ居ルノデス、利潤ノ對象ト
ナルベキ絲ノ配給ガ、サウ云フ狀態ニナツ
テ居リマスカラ、アナタ方ガ企業合同ヲ促
進シヨウト思フ時ニ、之ヲ此儘デ合同ノ出
來ル方法ヲ一ツ御考ヘヲ願ツテ置キタイ、
更ニ簡單ニ言ヒマスレバ、化學スル心ト言ヒ
マスカ、大臣ノ始終仰シヤル創意ヲ尊重ス
ルト申シマスカ、サウ云フモノヲ失ハシメ
ルコトノナイヤウナ企業合同ノ方法ヲ御考ヘ
ニナラナケレバナラナイ、斯ウ云フ五點ヲ他
ノ機會デ御答辯願フコトニシテ置キタイト
思ヒマス、唯今ハ企業合同ニ付テノ工業小
組合ノ問題ニ付テノ御囘答ヲ願ヒ、アト一
點ダケ又御尋ネシタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=40
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041・小林一三
○小林國務大臣 工業小組合ノ改正ト云フ
コトハ、只今ハ考ヘテ居リマセヌ、御注意
ノ點ハ十分〓究シテ見ヨウト思ツテ居リマ
ス、ソレカラ地方廳ノ方ガ色々コチラノ本
省ノ指示ニ反シテ、企業ノ無理ナ合同ヲ强
制スルト云フ御話デスケレドモ、サウ云フ
ヤウナコトヲ、實情ニ卽シテ無理ヲシナイ
ヤウニト能ク先方ニハ言ツテ居ルノデアリ
マスカラ、御承知置キヲ願ヒタイト思ヒマ
ス、只今稅金ノコト、措置法ノコト、電力
統制ニ關スルコト、纖維工業ノ絲ノ配給ニ
付テ、上ノ方ハ減ツテ下ノ方ガ殖エテ居ル
ト云フコト、第五ノ創意ヲ尊重スルヤウニ
シナケレバ企業ノ合同ハ難カシイデハナイ
カト云フコトニ付テハ、御指圖通リ能ク調
ベタ上デ御答辯申上ゲマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=41
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042・渡邊玉三郎
○渡邊(玉)委員 其ノ次ニ物價問題ニ付テ、
今此處デ御囘答ヲ得ヨウトハ思ヒマセヌガ、
御參考ニ申上ゲマス、「プール」平準價格、政
策價格、採算主義カラ出タ價格ト云フヤウ
ナコトデ、物價ヲ三原則ニ依リ御定メニナ
ツテ居リマスガ、米價ノ如キハ、各縣下デ、
庭先渡シトカ「レール」渡シトカデ、縣ニ依ツ
テ取扱ガ違ツテ居リマスガ、斯ウ云フ點ニ
付テ、食糧確保ノ上カラ跛行ノナイヤウ改
メラレタイ、モウ一ツハ前ニ申シマシタ「プー
ル」平準價格ノ無暗ニ御使用ニナリマス
下、弊害ガアル、ソレハ織物關係ノ絲屑デ
アリマスケレドモ、絲屑ニハ絹ヤ毛ヤ、人
絹「スフ」等色々アル、ソレヲ一括シテ、是
ハ毛ガ何「パーセント」入ツテ居ルカラ幾ラ
ト、打ツテ一丸トシテ公定値段ヲ御決メニ
ナツテ居ルカラ、昨年ノ六七月頃カラ全國
デ絲屑ハ少シモ賣レテ居ナイ、ナゼカト云
フト、集荷シタモノヲ絹紡績トカ、綿紡績
トカ、各〓適當ナ所へ賣ラナケレバナラヌ、
所ガ買ツタノハ價格ガ決マツテ居ルノデ、
片方デ賣レ殘ツタモノハ、値打ガナクナル
ノデアリマス、例ヘバアナタガ毛ノ紡績會
社デ毛ノ屑ヲ御買ヒニナル、アトノモノハ
椎名總務局長ガ綿紡績デアルトスレバ、ア
ナタ方ノ方ニハ公定價格ガアリマスカラ、ソ
レデ先ニ買ツタ其ノ殘リハ價格ガナクナリ
マシテ、必ズ商人ハ損ヲスルニ決マツテ居
リマス、商人ガ損スルニ決マツテ居リマス
カラ、昨年ノ夏以來今日マデ絲屑ト云フモ
ノハ全國的ニ一切動イテ居リマセヌ、斯ウ
云フ資材ノ足ラヌ時ニ左樣ナ物價政策ハ、
是ハ御氣ガ付カナカツタコトト思ヒマスケ
レドモ、絲屑ノ一元的配給ノ考ヲ改メラレ
ルコトヲ望ムノデス、是ハ十分御注意ヲ願
ツテ置キタイ、ソレカラ今一ツハ、是ハアナ
タト緣ガ遠イカモ知レマセヌガ、鐵ノ囘收
ノコトデアリマス、巷間傳フル所ニ依レバ、
本當カドウカ知リマセヌガ、鐵道省關係デ
二億万圓位ノ鐵屑ガ川ノ中ニ落チテ居ルサ
ウデアリマス、斯ウ云フ物ノ囘收ニ付テ、
若シ鐵道關係ノ人ガ見エタラ御伺ヒシタイ
ト思ツテ居リマシタガ、兎ニ角本年ハ私ハ
鐵ノ囘收運動ガアルト思ヒマス、囘收運動
ハ商工省ノ御關係デアリ、鐵道關係ノ川ノ
中ニ落チテ居ルノハ、鐵道省關係ノモノデ
アリマセウケレドモ、サウ云フ點ニ付テド
ウ云フヤウナ御考ヘヲ御持チニナツテ居ル
カ、詰リ鐵ノ囘收運動ノ一點ニ付テ鐵道省
ガ本當ニ調査スルヤウ御傳ヘヲ願ヒ、商工
省ノ御答辯ヲ願ツテ、アトハ時間ガアリマ
セヌカラ、私ノ申シマシタコトヲアナタガ
御考ヘニナツテ戴ケバ宜シイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=42
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043・小林一三
○小林國務大臣 鐵ノ囘收ハ必ズ御察シノ
通リ起ル問題ト思ヒマスガ、川ノ中ニ落チ
テ居ルト云フノハ、何處ニアルノデアリマ
スカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=43
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044・渡邊玉三郎
○渡邊(玉)委員 是ハ流失軌條引揚許可願
ト云フモノガ出テ居リマスガ、專門家ノ言
フ所ニ依リマスト、鐵道ヲ敷設スル時ニ川ノ
中ニ落チタノダ、例ヘバ大正十一年二月頃
ニ茨城縣茨城郡上大野村吉沼附近省線ニテ、
常盤線那珂川橋梁新設工事中ニ相當落チ
ク、ソレガ百六十「トン」位アルト云フコト
デス、其ノ他全國各所ニアルト聞イテ居リ
マス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=44
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045・小林一三
○小林國務大臣 ソレデハ後デ承ルコトニ
致シマセウ、ソレカラ今ノ屑ノ商ヒガ昨年
六月以來殆ドナイト云フノハ、斯ウ〓〓斯
ウ云フ事情デアル、洵ニ御尤モデスカラ、
ドウシテサウ云フコトニナツタカト云フコ
トヲ能ク調ベヨウヂヤナイカト、今此處デ
話合ツテ居タノデスガ、能ク調ベテ御返事
申上ゲマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=45
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046・倉元要一
○倉元委員長 ソレデハ午前ハ是デ休憩致
シマスガ一寸午後ノ審議ノ順序ヲ申上ゲテ
置キマス、午後ハ一時半カラ開會致シマテ、
第一番ニ政府要求ノ祕密會ヲ約三十分、ソ
レガ終リマシテカラ付託ニナリマシタ二法
案ノ說明ヲ聽クコトニ致シマス、尙ホ申上ゲ
テ置キマスガ、關稅定率法中改正法律案ト、
昭和十二年法律第五十七號改正法律案ノ
質疑ハ、大體終ツタモノト私ハ認メマスカ
ラ、其ノオ積リデドウゾ、特殊ノモノダケ
ハ別デアリマス
午後零時四十分休憩
午後一時四十分開議発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=46
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047・倉元要一
○倉元委員長 休憩前ニ引續キ會議ヲ開キ
マス、政府カラ祕密事項ニ付キマシテ御說
明ガアリマスカラ、政府委員竝ニ關係ノ課
長ノミ御殘リ下サイマシテアトハ御退席ヲ
願ヒマス
〔午後一時四十一分祕密會ニ入ル〕
〔午後二時四十分祕密會ヲ終ル〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=47
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048・倉元要一
○倉元委員長 是ニテ祕密會ヲ閉ヂマシテ、
會議ヲ公開致シマス、此ノ際午前ニ申上ゲ
マシタヤウニ、關稅定率法中改正法律案ト、
昭和十二年法律第五十七號中改正法律案ノ
此ノ二案ノ質疑ニ付キマシテハ、大體終了
致シタモノヲ認メマスカラ、本委員會ニ併
託セラレテ居リマス相續稅法中改正法律案、
竝ニ臨時利得稅法中改正法律案、此ノ二案
ヲ一括シテ議題ト致シマシテ、政府ノ說明
ヲ求メマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=48
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049・廣瀬豐作
○廣瀨政府委員 相續稅法中改正法律案外
一件ニ付テ御說明ヲ申上ゲマス、先ヅ相續
稅法中改正法律案ニ付テ申上ゲマス、眞隆、
本會議ニ於テ申上ゲマシタ通リ、本案ハ相
續財產中不動產ノ占ムル割合ノ多イ者ノ、
納稅上ノ困難ヲ緩和スルノ趣旨ニ依リマシ
テ、相續稅ニ付テ物納ヲ認メル爲ニ、相續
稅法ヲ改正セントスルモノデアリマス、先
ヅ如何ナル場合ニ物納ヲ認ムルカガ問題デ
アリマスガ、御承知ノ通リニ相續稅ノ年賦
延納期間ハ、普通ハ七年以内デアリマスガ、
相續財產ノ價格中不動產ノ價格ガ五割以上
ヲ占メマス場合ニ於キマシテハ、此ノ期間
ヲ十年ニ延長スルコトニナツテ居ルノデア
リマス、相續稅ノ物納モ亦斯カル條件ヲ具
ヘル場合ニ、之ヲ認メルノヲ相當ト考ヘタ
ノデアリマス、尤モ相續財產ノ價格中不
動產ノ價格ガ五割以上ヲ占メテ居リマシテ
モ、相續稅額ガ比較的少額デアル場合ハ、
年賦延納ノ制度ダケデ十分デアルト存ゼラ
レマスノデ、相續稅額ガ千圓程度以上、卽チ
例ヘバ家督相續第一種ニ付テ見マスレバ、
課稅價格ガ約五万圓程度以上デアル場合ニ
限ツテ、物納ヲ認ムルコトト致シタノデア
リマス、尙ホ相續稅法施行地外ニ住所ヲ有
スル者ニ付テ開始致シマシタ相續、及ビ相
續稅法第二十三條ニ規定シテアリマス所ノ
贈與ニ付キマシテハ、其ノ性質上物納ヲ認
ムル必要ナキモノト考ヘラレマスノデ、之
ニ付テハ物納ヲ認メナイコトト致シタノデ
アリマス、次ニ物納ノ目的物デアリ
マスルガ、本制度創設ノ趣旨ニ鑑ミ
マシテ、物納ノ目的物ハ相續財產タ
ル不動產ニ限ルコトニ致シタノデア
リマス、不動產以外ニモ不動產上ノ權
利船舶等ノ如ク、換價ガ必ズシモ容易ナ
ラザルモノモアルカト思ヒマスルガ、受入
レマシタ後ノ管理處分ニ相當ノ困難ガアル
ト認メラレマスルシ、又實際問題トシテ、
ソコマデモ擴張スルノハ適當デナイト考ヘ
ラレマスノデ、不動產ニ限ルコトニ致シテ
居ルノデアリマス、而シテ物納ハ申請ヲ俟
ツテ許可スルノデアリマスルガ、其ノ申請
期限ハ課稅價格決定通知ヲ受ゲタル後、二
十日以內ト致シタノデアリマス、是ハ年賦
延期ノ申請期限ト同樣デアリマス、尙ホ連
帶納付ノ責アル納稅義務者ニアリマシテハ、
其ノ一人ヨリ申請スルヲ以テ足ルコトト致
シマシタ、是モ年賦延期ノ場合モ同樣デア
リマス、納付物件ハ先ニ申シマシタ通リ、
相續財產タル不動產タルヲ要スルノデアリ
マスガ、其ノ不動產中何レノ物件ヲ以テ納付
スルカハ、原則トシテ納稅義務者ノ申出デ
タルモノニ依ルコトト致シテ居ルノデアリ
マス、唯不動產ノ中ニハ、政府ニ於テ管理
又ハ處分ヲナスニ、不適當ナルモノガゴザ
イマスノデ、納稅義務者ガ斯クノ如キモノヲ
選擇シタル場合ハ)政府ニ於テ其ノ變換ヲ
命ジ、又ハ更ニ若シ相續財產タル不動產ガ
管理處分上不適當ナモノノミナル場合ハ、
物納ヲ許可セザルコトヲ得ルノ制度ト致シ
タノデアリマス、又他ノ條件ガ具備シテ居
リマスル場合ニ於キマシテモ、一方ニ於テ
現金、預金及ビ換價容易ナル有價證劵等ガ、
相續稅額ニ比シ遙カニ多額デアリマシテ、
稅金ノ納付ガ著シク容易ナル場合ハ、物納
ヲ認メマセヌデモ差支ナイト思ハレマスノ
デ、此ノ場合ニモ物納ヲ許可セザルコトヲ
得ルコトト致シタノデアリマス、唯是等ノ
場合ニ於キマシテハ、政府ノ處分ヲ公明ナ
ラシムル爲メ、相續稅審査委員會ニ諮問ス
ルヲ要スルコトト致シテ居ル次第デアリマ
ス、物納ヲ致シマス場合ニ於ケル納付物件
ノ受入價格ハ、原則トシテ相續稅課稅價格
計算ノ基礎トナツタ評價額ニ依ルコトト致
ス積リデアリマス、又物納ヲナシ得ル稅額
ハ當該相續財產タル不動產ノ價額ニ對ス
ル分ノ相續税額ニ限ルヲ相當ト考ヘルノデ
アリマスガ、是等ニ關スル詳細ナ規定ハ
命令ニ讓ツテアルノデアリマス、尙ホ本改
正法案ハ、昭和十六年四月一日以後ニ開始
シタル相續ヨリ適用致スコトニナツテ居リ
マスノデ、同日以後ニ開始シタ分ヨリ物納
ヲナシ得ルコトニナルノデアリマス、尙ホ
物納財產ノ管理又ハ處分ニ依リ生ジマシタ
收入金ハ、物納財產ノ成因ニ鑑ミ、直接一
般會計ノ收入トナスヲ適當ト考ヘラレマス
ノデ、附則ヲ以テ國有財產整理資金特別會
計法ヲ改正スルコトニ致シテ居ルノデアリ
マス、以上相續稅法中改正法律案ノ內容等
ニ付キ御說明致シタ次第デアリマス
次ニ臨時利得稅法中改正法律案ニ付キマ
シテ說明ヲ致シマス、關東州ニ於キマシテハ、
從來臨時利得稅ハ、法人ニ對シテノミ課稅サ
レ、個人ニ對シテハ課稅サレテ居ナカツタノデ
アリマスガ、今囘新タニ個人ニ對シテモ課
稅スルコトト相成リマシタ、是ガ爲メ關東
州ニ住所ヲ有シ、又ハ一年以上居所ヲ有ス
ル個人ガ、本法施行地ニ資產又ハ營業ヲ有
スル場合ニ於テハ、重複課稅ヲ生ズルコト
ニナリマスノデ、之ヲ避ケル爲ニ本案ヲ提
出シタ次第デアリマス、何卒御審議ノ上速
カニ御贊成アランコトヲ希望致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=49
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050・倉元要一
○倉元委員長 御諮リ致シマス、委員外ノ
質問ヲ許シタイト思ヒマス、松尾四郞君カ
ラ申出ガアリマスガ、之ヲ許可スルニ御異
議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=50
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051・倉元要一
○倉元委員長 御異議ナシト認メマスー
松尾四郞君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=51
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052・松尾四郎
○松尾四郞君 私ハ只今政府ノ御說明ニ相
成リマシタ相續稅法中改正法律案外一件ニ
付キマシテ、相續稅法中改正法律案ニ關シ
質疑ヲ致シタイト存ジマス、此ノ法案ハ昨
年ノ議會ニ相續稅ノ高率ノ引上ヲ行ハレマ
シタ結果トシテ、其ノ高率引上ノ租稅ノ納
稅者ニ對スル保護ノ意味ヲ以テ、御提案ニ
相成ラレタノデアリマスガ、昨年ノ議會ニ
於テ要求致シマシタ爲ニ、大藏當局ニ於テ
玆ニ御取計ヒヲ戴キマシタコトハ吾々其
ノ勞ニ對シテ感謝致ス次第デゴザイマス
ソコデ私ハ極ク簡單ニ此ノ條文ニ付テ御尋
ネ致シタイノデアリマス、今囘玆ニ御提案
ニナラレマシタ所ノ第十七條ノ二ノ中ノ「不動
產ノ價額」トアリマスル「不動產」ニ付テ、少
シ明瞭ニ致シテ置キタイノデアリマス、第一
ニ御尋ネヲ致シタイノハ、地上權ノ上ニ立
木ガ載ツテ居ルヤウナ山林デ、立木登記ヲ
致シテ居リマスモノヲ不動產トシテ取扱ツ
テ居リマスガ、斯ウ云フモノハ不動產トシ
テヤハリ此ノ中ニ入ルノデアリマスカ、ツ
レカラ地上權ト云フモノハ、不動產同樣登
記デ賣買ガ行ハレテ居ルノデアリマスガ、
是ハドウ云フヤウニ御取扱ニナルノカ、御
伺ヒ致シタイ、先ヅ其ノ不動產ノ項目ニ付
テ御答ヘヲ得テ、次ノコトヲ御尋ネ致シタ
イト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=52
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053・松隈秀雄
○松隈政府委員 只今ノ御尋ネハ不動產ノ
範圍ニ付テデアリマシテ、地上權ヲ持ツテ
居ル、サウシテ立木ヲ植栽致シマシテ、立
木ニ付テ登記シテ居ル場合ニ、其ノ立木ハ
不動產ニ入ルカドウカト云フ御尋ネデアリ
マスルガ、登記ヲ致シマシタ立木ハ不動產
ト見做シマス、隨ヒマシテ法文ニアリマス
ル不動產ノ價額ノ中ニハ包含サレル譯デア
リマス、唯實際問題ト致シマシテ、土地ヲ
持ツテ居ラナイデ、立木ダケガ相續財產デ
アル場合ニ於テ、土地ト離レタ立木ヲ、物納
ノ目的物トシテ受入レルコトガ適當デアル
カドウカト云フ問題ハ殘ルカト存ジマス、
ソレカラ地上權ハ不動產デアルカト云フコ
トニ付テ、御尋ネガアリマシタガ、地上權
ハ不動產上ノ權利デアリマシテ、此處ニ申
シマス不動產ノ中ニハ入ラナイト云フ解釋
デゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=53
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054・松尾四郎
○松尾四郞君 都會デハ此ノ土地ノ上ニ於
ケル地上權ト云フモノハ、相當ニ賣買モ行
ハレテ居リマスシ、又不動產同樣ニ取扱ツ
テ居ルノデアリマスカラ、地上權ハヤハリ
不動產ト認メルコトガ便利デハナイカト思
ヒマス、併シ是ハ私ハ强ヒテ御意見ヲ求メ
マセヌガ、都會ト農村、或ハ山村トハ少シ
事情ガ違ヒマスノデ、都會ノ方デハ、此ノ
地上權ヲ相當ニ考慮シテヤラナケレバナラ
ヌノデハナイカト思ヒマス、ソレカラ次ニ
伺ヒタイノハ、此ノ地域ノ關係ニ付テ御伺
ヒシタイノデスガ、外地ニアル財產ハ、ヤ
ハリ此ノ物納ヲ御認メ下サルノデアリマス
カ、卽チ朝鮮、臺灣、關東州ハ本法施行地
デアラウト思ヒマスガ、ソレガ一ツト、ソ
レカラ最近滿洲、支那方面ニ相當投資ト云
ヒマスカ、財產家ノ所有財產ガ段々流レテ
行クノデアリマスガ、ソレ等ニアルノハド
ウ云フ風ニ御取扱ヒニナリマスカ、其ノ點
ヲ御答ヘ願ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=54
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055・松隈秀雄
○松隈政府委員 物納トシテ受入レマス相
續財產中ノ不動產ニ付テハ、命令ヲ以テ制
限致シタイト考ヘテ居ルノデアリマシテ、
相續稅法施行地ニアリマスモノ、卽チ內地
ニアルモノニ限リタイ、斯樣ニ存ジテ居リ
マス、御承知ノ通リ相續稅法ハ、被相續人
ノ住所ガ相續稅法施行地、卽チ內地ニアリ
マスト、內地ニアリマス財產モ內地以外ニ
アリマス財產モ綜合致シマシテ、相續稅ヲ
課ケルノデアリマスガ、物納ト致シマシテ、
外地ニアル財產ヲ受入レルト云フコトニナ
リマスト、サウ云フ財產ノ管理ナリ處分ナ
リハ、現在所管ガ違ツテ居ルノデアリマス、
例ヘテ申シマスレバ、朝鮮ニアル雜種財產
ハ朝鮮總督府デ管理スルト云フヤウニナ
ツテ居リマス、況ヤ滿洲ニアル財產ノ如キ
モノハ、內地ニ於ケル官廳ノ管理處分ノ範
圍外ト云フコトニナリマスノデ、サウ云フ
モノヲ物納トシテ受入レルコトハ、後ノ管
理處分上困難ナ點ガゴザイマスノデ、除外
致シタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=55
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056・松尾四郎
○松尾四郞君 サウ致シマスト、本法施行
地ト申シマスノハ、內地ダケニ限ルノデゴ
ザイマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=56
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057・松隈秀雄
○松隈政府委員 御說ノ通リ內地ダケデゴ
ザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=57
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058・松尾四郎
○松尾四郞君 所ガ實際問題ニナリマスト、
財產ハ朝鮮、臺灣等外地ニアルモノモ、內
地ニアルモノモ、一ツニシテ相續財產ト云
フコトニナツテ、ソレニ對スル課稅ガ起ル
ノデアリマス、ソコデ問題ハ、相續財產ノ價
額ノ二分ノ一、之ヲドウ云フ風ニ見テ居リ
マセウカ、內地ノ不動產ノミノ二分ノ一ト
云フコトニナリマスカ、又外地ヲ合セタ相
續財產ノ中ノ二分ノ一、斯ウ云フコトニナ
ツテ居ルノデスカ、特ニ物納ハ內地ニアル
不動產ニ限ル、是ハ今政府委員ノ言ハレル
通リニ御考ヘニナツテ置カレテモ宜イト思
フガ、相續財產ヲ見テ、其ノ中ノ不動產ノ
分ガ二分ノ一アルノカ、三分ノ一アルノカ
ト云フコトヲ見ル時ハ、ヤハリ外地ノモノ
モ全部合セテ見ナケレバナラヌノデハナイ
カト思ヒマスガ、其ノ點ヲ伺ツテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=58
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059・松隈秀雄
○松隈政府委員 不動產ノ價額ガ相續財產
ノ二分ノ一ヲ超エル場合ト云フ時ニ、其ノ
不動產ト云フモノハ內地ニアルモノト、外
地ニアル不動產ヲ總括致シマシテ、其ノ相
續財產ノ中、サウ云フ不動產ガ二分ノ一デ
アルカドウカト云フコトヲ判定スルノデア
リマス、尙ホ先程私ノ申上ゲ方ガ少シ不十
分デアツタカモ知レマセヌガ、一應法文上
ハ外地ニアリマス不動產ト雖モ、物納ノ目
的物ニ入リ得ルコトニナツテ居ツテ、命令
ヲ以テ定メル、其ノ命令デ、外地ニアルモ
)、若シクハ滿洲、支那等ノ外國ニアルモ
ノハ除キタイ、斯樣ニ考ヘテ居ルノデアリ
マス、尙ホ外地ニ於テモ內地ノ相續稅法ニ
傚ツタ相續稅法ヲ施行シテ居リマスガ、內
地ガ物納制度ヲ採用致シマシタ場合ニ於テ
ハ、外地ニ於テモ同樣ノ制度ヲ採用スルカ
否カト云フコトハ、目下〓究中デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=59
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060・松尾四郎
○松尾四郞君 〓究中デアレバ、其ノ決定
ニナルマデノ間ニ起ル問題ハ、ドウ云フ風
ニ御取扱ニナルノデスカ、外地ニアルモノ
ダケハ、マダ此ノ物納制度ノ方ニハ入ラナ
イデ、內地ダケハ此ノ法案ガ通ツタナラバ、
施行サレタ日カラ是デ取ル、斯ウ云フコ
トニナル時ニ、外地ノ部分ニ對シテハ物納
ハ認メナイデ、內地ダケハ認メルト云フ場
合ニ、内地ト外地ヲ通ジタ總括シタル財產
ヲ一應認メテ、ソレカラ二分ノ一ト云フコ
トヲ考ヘル點ハ、前ニ御話ニナリマシタ命
令デ以テ、外地ニアルモノダケハ除外スル
ト云フコトノ取扱ニナルノデスカ、其處ヲ
少シハツキリシテ置イテ戴キタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=60
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061・松隈秀雄
○松隈政府委員 相續財產ノ價額ト申シマ
スノハ、先程モ申上ゲマシタ通リ、被相續
人ノ住所ガ內地ニアリマスルト、內地ニ持
ツテ居ル相續財產デアレバ勿論、外地、ソ
レカラ外國ニアル相續財產ヲ引括メテ課稅
致シマス、其ノ引括メタ相續財產ノ中ニ不
動產ガ二分ノ一以上アルカドウカト云フコ
トモ、一應ハ其ノ不動產ト云フ中ニ、內地
ノ不動產モ外地ノ不動產モ外國ノ不動產モ
入ツテ、物納シ得ル資格ノモノデアルカド
ウカト云フコトガ決マル建前ニハナツテ居
リマス、唯實際問題トシテ物納ニ當ツテ、
外地若シクハ外國ノ不動產ヲ出サレルト
管理處分上非常ニ困ル譯デアリマス、ソヨ
デ今囘ノ物納制度ノ建前ト致シマシテハ
物納ニ當テマスル不動產ハ、納稅義務者ガ
先ヅ選擇シテ申出デルコトニナツテ居リマ
スルケレドモ、其ノ場合ニ於キマシテ管理處
分ニ不適當ナ不動產デアレバ、之ヲ政府ガ
斷リ得ルト云フ建前ニシテ居ルノデゴザイ
やく、其ノ制限ノ中、內地ニアル不動產ヲ
以テ物納シ得ルト云フコトハ勅令ヲ以テ
規定致シタイ、斯樣ニ考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=61
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062・松尾四郎
○松尾四郞君 ソレハ管理處分ニ困難ダカ
ラ、外地ノモノハ認メナイト云フコトニナ
ルノデスカ、初メカラ外地ト云フモノハ認
メナイ、斯ウ云フ建前ニナルノデアリマス
カ、今ノ御話ノヤウデアリマスト管理處
分ニ困難ダカラト云フコトデアルガ、最近
ノ朝鮮ナドト云フモノハ、內地ト餘リ變ツ
タコトハナイ、總テノ規則其ノ他ノ關係ハ外
地ト云ツテモ朝鮮アタリハ殆ド內地ト同ジ
ヤウナ狀態ニナツテ居ルノデス、特ニ朝鮮ダ
カラ處分ガ困難ダト云フヤウナコトモナイ
ヤウニ考ヘマス、外地デアルカラ此ノ處分
ニ困ルト云フ點ハ、少シ當ラヌヤウニ思ヒ
マス、併シナガラ外地デアルカラ初メカラ
除イテ置クノダト云フノデアリマスカ、其
處ヲ伺ツテ置キタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=62
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063・松隈秀雄
○松隈政府委員 外地ニアリマスル不動產
ヲ物納トシテ受入レマスルト、ソレハ管理
處分ヲスル官廳ガ違ヒマス、今囘物納トシテ
受入レマシタ不動產ハ、雜種財產トシテ內地
ノ稅務監督局ニ於テ管理處分ヲ致シマシテ、
國有財產整理資金ニハ入レマセヌデ、-般
會計ニ直接受入レマスルノデ、是ガ外地ノ
不動產デアリマスルト、管理處分スル系統
モ違ヒマスシ、一般會計ニ繰入レルニ付テ
モ面倒ナ問題ガアリマス、又實際ノ場合ト
致シマシテ、內地ニ不動產ヲ殆ド持タズ、
外地ニ不動產ヲ澤山持ツテ居ルト云フ例ハ、
サウナイノデハナイカト思フノデアリマス、
況ヤ滿洲國ノヤウナ外國ニ於ケル不動產ヲ
提供サレマスルト云フト、內地ノ官吏ガ之
ヲ管理シテ處分シ、一般會計ニ代金ヲ受入
レルト云フコトガ非常ニ面倒ナノデ、大體
通常ノ場合ヲ豫想致シマシテ、物納トシテ
提供シ得ルモノハ內地ニ在ル不動產ニ限リ
タイト、斯樣ニ存ジマシテ「相續稅ノ物納
ニ充ツルコトヲ得ヘキ不動產ハ相續稅法施
行地ニ在ルモノニ限ル」ト云フコトヲ、勅
令ヲ以テ明カニシタイ、斯樣ニ考ヘルノデ
アリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=63
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064・松尾四郎
○松尾四郞君 其ノ點ハ能ク分リマシタ、
次ニ御尋ネ申上ゲタイノハ只今提案ノ理
由トシテ御說明ニ相成リマシタ中ニモアツ
タノデアリマスガ、玆ニ相續財產ノ狀況ニ
依ツテ、納稅者ガ納稅ガ容易デアル場合ニ
ハ物納ヲ許可スルノ必要ガナイト認メタ
時ニハ之ヲ許可シナイ、勿論相續稅審査
委員會ノ諮問ヲ經マスガ、許可シナイト云
フ方針ヲ示サレテ居ル條文モアリマス、所
ガ其ノ說明ノ中ニ、現金、預金或ハ換價處
分ノ容易ナルモノガ相當ナ部分ヲ占メテ居
ル場合ニハ之ヲ認メナイ、斯ウ云フ御說明
デアリマシタガ、此ノ考ヘ方ガ少シ違ツテ
居ル點ガアルヤウニ思フノデアリマス、ソ
レハ物納ヲ民間ガ要求致シテ居リマスル所
以ノモノハ、二ツノ見方ガアル、一ツハ相
續財產ガ不動產デアル場合ニハ、非常ニ處
分ガ困難ナ場合ガアツテ、納稅ノ期間ガ來
ルモノデスカラ之ヲ無理ニ處分ヲスルト云
フコトニナルト、非常ナ不利益ナ處分ヲシ
ナケレバナリマセヌノデ、相續財產ヲ評價
サレル時ヨリモ、ウント下ツタモノデ處分
ヲシテ居ルト云フコトナレバ、相續者ガ、
ソコニ其ノ家庭ガ破壞ヲスル、破滅ニ陷ル
ト云フヤウナ、極端ナ所マデ行クノデハナ
イカト云フ狀態デアリマスノデ、ソレヲ救
濟スルト云フノガ一ツ、モウ一ツハ、稅務
署ノオ役人ガ、相續財產タル不動產ヲ評價
スルニ當ツテ、苛酷ナ評價ノ鑑定價格ヲ付
ケタ場合ニ、納稅者ト意見ガ違ツタ時ニ、
物デ取ツテ吳レト言ツテ物納ヲスル、斯
フ云フ場合ヲ考ヘテアルノデアリマシテ、
單ニ現金、預金、換價容易ナルモノガアツ
テ、納稅ガ容易デアルカラト云フダケデ
ハ-其ノ爲ノミデハ物納ヲ不許可ニスル
ト云フコトハ理由ニナラヌノデアリマシテ、
假ニソレガ容易デアツテモ、或ル一部ノ不
動產ガ非常ニ高價ナル評價ヲセラレタ時ニ
ハ、之ヲ救濟スル爲ニ、此ノ制度ヲ設ケテ
置ク必要ガアルノデアリマスカラ、先刻ノ
次官ノ御說明ニ依リマスルト此ノ條文ノ
適用ヲスル場合ガ、少シ御考ヘガ違ツテ居
ルヤウニ考ヘマスルノデ、此ノ點ヲ此ノ機
會ニハツキリシテ置イテ貰ヒタイノデアリ
マス、私ハ此ノ條文デハ、餘リ政府ノ選擇
スル所ノ權力ガ强過ギルノデ、折角斯ウ云
フ制度ヲ認メテモ、ドウモオ前ノ方ハ納稅
ガ容易ダラウト言ハレレバ、普通ノ場合モ
許可セラレナイコトガ、度々起ルノデハナ
イカト思ハレマスルカラ、是ハ今囘ハ相續
納稅者ノ救濟ノ爲ニ設ケタ制度デアリマス
ルノデ、何カ其ノ點ニハツキリシタ書キ方
ヲ變ヘテ貰ヘナイモノカト思ヒマスガ、若
シナケレバ此ノ點ヲ此ノ機會ニ納稅者ガ何
處マデモ、不動產ガ二分ノ一デアツテ、其
ノ二分ノ一ノ不動產ニ對スル評價ガ、苛酷
ナル稅務署ノ鑑定デアツタ時ニハ、要求出
來ル途ヲ開ケテ置イテ戴キタイト考ヘルノ
デアリマスガ、之ニ對シ御答辯ヲ戴キタイ
ト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=64
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065・廣瀬豐作
○廣瀨政府委員 只今松尾サンノ御意見デ
ゴザイマスガ、政府ノ方デ今囘提案ヲ致シ
マシタノハ、昨年ノ議會ニ於テ色々御要望
モアツタト思フノデアリマスケレドモ、物
納制度ヲ認メルコトニ致シマシタノハ、主
トシテ相續財產ガ大部分不動產ニ集中シテ
居リマシテ、相續稅ヲ納メルガ爲ニ、特
急速ニ其ノ不動產ヲ處分ヲシナケレバナラ
又、サウ云ツタヤウナコトノ爲ニ、非常ナ
不利益ヲ被ルト云ツタヤウナ事情ヲ救濟ス
ルト云フコトガ主タル趣旨デ以テ、今度ノ
物納制度ト云フモノヲ提案致シタヤウナ譯
デアリマシテ、政府ノ決定致シマシタ相續
財產ノ評價ガ、納稅者ニ於テ不服デアリマ
スル場合ニ於テ、ソレヲ直チニ不服ナルコ
トノ意思表示ノ一手段トシテ、物納ノ方法
ニ依ラシメルト云フコトモ認メルト云フ趣
旨デ、此ノ法案ヲ提案シタ譯デハナイノデ
アリマス、隨ヒマシテ只今ノ仰セノヤウニ、
相當現金其ノ他換價容易ナルモノヲ持ツテ
居マシテ、相續稅ノ納程ニ十分ナ手段ヲ持
ツテ居ル場合ニ於テ、尙ホ其ノ上ニ物納ノ
方法ヲ執ラシメルト云フ必要ハナイダ
ラウ、サウ云フ趣旨カラ致シマシテ、先
程モ御說明致シマシタヤウニ、相當ノ現
金預金等ヲ持ツテ居リマス者ニ對シテ
ハ物納ハ認メナイ、斯ウ云フコトニ致シ
タ次第デアリマス、但シ斯ウ云ツタヤウ
ナ物納ノ制度ヲ設ケマシタ爲ニ、當該稅務
官署ニ於キマシテハ、何時此ノ財產ヲ納稅
者ノ方デ物納ヲ申出ルカモ知レナイト云フ考
ヘカラ致シマシテ、必ズヤ私ハ此ノ制度ガ出
來マシタ後ニ於キマシテハ、適正ナル、又政
府ガソレヲ引受ケマシテモ其ノ稅務署ニ於テ
評價致シマシタ値段デ、大體ニ於テ換價處
分サレルヤウナ値段ニ相續財產ヲ評價スル
デアラウ、サウ云フ間接的ナ效果ハ十分私
ハアルト思ツテ居リマス、唯ソレヲ逆ニ、
ソレガ目的デ此ノ制度ヲ置イタト云フ風ニ
ハ、政府ハ考ヘテ居リマセヌト云フコトヲ、
此ノ際申上ゲテ置キタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=65
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066・松尾四郎
○松尾四郞君 ドウモ少シ其處ハ、昨年ノ
此ノ稅制改革ノ時ノ議會ニ於テ要求ヲシマ
シタ趣旨ガ、少シ違ツテ居ル所ガアルノデ
スガ、相續稅改正ノ時ニ當リマシテ、不動
產ノ評價ヲ稅務官吏ガ、故意デハナイノデ
セウ、又難カシイ問題ナノデス、相當大キ
ナ不動產ノ價額ヲ、甚ダ失禮デスガ、稅務
署ノオ役人サンガザツト見テ通ツテ、是ハ
何十万圓ダ、何百万圓ダト云フ見分ケヲス
ルコトハ、非常ニ困難ナ問題デアル、ソコ
デ食違ヒガ出來ル、食違ヒト云フノハ、非
常ニ過當ナル見積リガ出來テ、ソレデソレ
ハ違フ、サウ高ク見テ貰ツテハ、此ノ頃ハ
高ク賣レマセヌト言ツテモ、不服ガアレバ
オ前ノ方ハ審査會ニ請求スレバ宜イデハナ
イカト云フコトニナル、勿論其ノ審査會ノ
委員ト云フモノハ、政府ノ任命デアリマシ
テ、勿論民間ノ相當ノ者ガ入ツテ居リマス
ケレドモ、中々ソレハ實際ニ不動產ノ價格
ヲ公正ニ導クコトモ困難デス、ソコデ勝負
ガ早イヤウニ、物ヲ出シテ、政府ガ高ク評
價スレバ物デ取ツテ吳レ、斯ウ云フ譯デ物
納ノ制度ヲ開ケテ置クト云フコトハ、納稅
者ヲ救濟スル所以デアツテ、其ノ救濟スル
ト云フコトハ、必ズシモ其ノ人ノ利益ノミ
ヲ保護シテ居ルノデハナイ、ソレガ一家ヲ
構成スル所ノ家格ヲ永久ニ存續セシメ、我
ガ國ノ美シイ家族制度ヲ殘シテ行クト云フ
精神カラニ外ナラヌノデアリマスカラ、是
ハ是非相當ニ家族制度保護ノ上カラ、サウ
云フ場合ニ於ケル救濟ノ途ヲ開ケルト云フ
コトデ、此ノ物納制度ヲ設ケマシタノハ、
二ツノ考ヘ方カラ議會ニ於テ要求ヲシテ、
大藏省ハ之ヲ御採用ニナツテ、今囘ノ提案
トナツタヤウニ思フノデスガ、只今ノヤウ
ニ、納稅ニ便利ナモノガアルカラ、換價容易
ナモノ、或ハ現金預金ヲ持ツテ居ル場合ハ
要求ハ出來ナイノダト云フヤウナ見方ハ、
折角ノ法案ガ救濟ニナラヌヤウナ感ジガシ
マスノデ、御考ヘヲ願ヒタイト思フノデス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=66
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067・芦田均
○芦田委員 一寸關聯シテ······相續稅ノ物
納ノ問題ハ、昨年ノ稅制改革委員會デ相當
最後マデ政府當局ト交渉ヲシタ經過ヲ、當
時關係シタ者トシテ私モ承知シテ居ルノデ
ス、私ノ諒解ハ今松尾君ノ言ハレタ點ト全
然同一デアリマシテ、現ニ「イギリス」ノ如
ク早クカラ物納相續稅制度ヲ認メテ居ル國
ニ於テハ、事實物納ニ依ル相續稅ノ納付ハ
殆ド實際ニ起ラナイ、ナゼ起ラナイカト言
へい、稅務官吏ノ認定シタル價格ガ、實際
ノ價値以上ニ多イ場合デナケレバ、物納ス
ル利益ハナイノデゴザイマスカラ、隨テ稅
務官吏ノ不動產ニ對スル認定ハ、常ニ極メ
テ適正ナ認定ヲスル結果、物納制度ガ設ケ
テアツテモ、事實起ツタ例ハ少イト云フ風
ニ聞イテ居ル、其ノ點ニ物納制度ノ妙味ガ
アルト思フノデスガ、今ノ大藏省ノ御說
明ニ依レバサウ云フ點ハ恐ラク稅務官吏
ガ頭ニ置イテ認定ヲスルダラウカラ、其
ノ方面カラ言ヘバ、道義上非常ニ效果ガア
ル、斯ウ云フ御說明デスケレドモ、併シ若
シサウ云フ認定ヲ誤ツタ官吏ガアツタ場合
ニ、救濟ノ途ガナイ、斯ウ云フコトニナル
ノデスカラ、吾々ガ昨年ノ稅制改革委員會
當時ニ要求シタ趣意トハ食違ヒガ生ジテ居
ルト思ヒマス、其ノ點ヲ附加ヘテ申上ゲテ
置キタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=67
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068・松隈秀雄
○松隈政府委員 物納制度ヲ設ケマス趣旨
ハ、先程モ御說明申上ゲマシタヤウニ、不
動產所有者ノ納稅上ノ困難ヲ緩和スルト云
フコトニアルノデアリマシテ、不動產ノ
評價ノ是正ヲ目的トスルト云フ點ハ考ヘテ
居ラナイノデアリマス、不動產ノ評價ガ
不適當デアルト云フコトデアリマスレバ、
ソレハ自然別ノ問題デアリマシテ、之ニ對
シテハ財產評價法ヲ設ケルトカ、或ハ審査
委員ノ制度ヲ改正スルトカ、別途ニ考慮ス
ベキモノデハナイカト思フノデアリマス、
ソレカラ不動產ノ評價ニ對シテ稅務署ト意
見ヲ異ニスルト云フ場合ニ於キマシテハ
別ニ救濟規定ガアルノデアリマシテ、隨テ
物納制度ハ物納制度ト致シマシテ、現金ヲ
以テ納付スルト云フ現行ノ租稅制度ニ對ス
ル特段ナ場合ノ例外規定トシテ、之ヲ解釋、
運用シテ參リタイト思フノデアリマス、尙
ホ實際問題ト致シマシテ、此ノ相續人ハ不
動產ノ價格ガ二分ノ一以上デアルカラ物納
ヲ申出ルコトガ出來ル、隨テ此ノ者ニ付テ
ハ不動產ヲ高ク評價シテ置クト政府ノ背負
込ミニナルゾ、是ハ注意シナケレバナラ
又、此ノ者ハ不動產ノ價格ガ相續財產ノ二
分ノ一ニ達シナイ、若シクハ其ノ條件ハ滿
タシテモ、先程御說明申上ゲマシタヤウニ、
現金、預金、換價容易ナ有價證劵等ヲ相當
澤山持ツテ居ルカラ物納ハ許可サレナイ、
是ハ安心シテ不動產ヲ高ク評價シテモ宜イ
ト云フ風ニハ、中々稅務署ハ行ヘルモノデナ
イト思フノデアリマス、御承知ノ方モアル
ト思ヒマスガ、稅務署ニ於ケル不動產ノ評
價ニ付キマシテハ、相續稅課稅標準率ト云
フモノ全國的ニ權衡ヲ得テ作ツテ居リマ
ス、其ノ中ドノ不動產ニ付テ實際相續ガ開
始スルカハ分リマセヌガ、全體ノ土地ニ付テ、
相續稅標準率ト云フモノヲ、各地間ノ權衡
ヲ執リツツ作ツテ置キ、具體的ノ場合ニ其
ノ標準率ヲ適用シ、尙ホ個々ノ土地ニ付テ
特殊ノ事情ガアリマスレバ、其ノ標準率ヲ
基礎ニシテ、斟酌增減ヲ加ヘテ行クト云フ
コトニ依ツテ、大體ノ權衡ガ執レテ居ルト
思フノデアリマスルカラ、御話ノ如ク物納
制度ヲ一般ニ認メナイトシテモ、之ニ依ツ
テ特ニ不動產ノ評價ヲ左右スルト云フヤウ
ナ弊害ハナイノデハナイカト思フノデアリ
マス、唯今マデト違ヒマシテ、今度ハ物納
制度ト云フモノガ出來マシタカラ、先程次
官ノ御話ニモアリマシタヤウニ、從來ヨリ
モヨリ一層評價ニ注意ヲ致スト云フ反射作
用ト申シマスカ、或ハ間接的效果ノ認メラ
レルコトハ仰シヤル通リデゴザイマス、尙
ホ只今芦田サンカラ「イギリス」ノ例ヲ御引
キニナリマシテ、「イギリス」ニ於テハ相續
稅ヲ土地ニ依ツテ納メル制度ガ設ケラレテ
居ルケレドモ、其ノ實際ノ適用ハ殆ドナイ
ト云フコトデアリマシタ、ソレハ恐ラク評
價ガ適當デアル爲ニ、實例ガナイノデアラウ
ト云フヤウナ御話デゴザイマシタガ、「イギ
リス」ニ於キマスル相續稅ノ土地ニ依ル代
納制度ハ、一九一〇年ノ財政法第五十六條
ニ依ツテ認メラレテ居リマス、此ノ制度ハ
納稅者カラ申告ガアリマシタ時ハ、六箇月
ノ期間ヲ附シマシテ、當該不動產ノ利用ニ
付キ適當ナリト認メラレル行政廳ニ對シ、
是ガ受納ヲ照會スルノデアリマス、卽チ納
稅者ガ此ノ不動產ハ此ノ官廳デ恐ラク必要デ
アラウト云フ官廳ニ對シテ、土地ニ依ル相
續稅ノ代納ヲシタイト云フコトヲ照會スル
ノデアリマシテ、行政廳ノ需要ガ全クナイ
ト云フ時ニハ、納稅者ノ申請ヲ却下スルト
云フコトニナツテ居リマス、斯ウ云フ官廳
ノ都合ガ好クテ取ツテモ宜イト云フ時ニノ
ミ認メルト云フ、極ク狹イ範圍ニ限ラレタ
制度デアリマスル爲ニ、實際問題トシテハ
却下セラレル場合ガ多イデアラウト存ズル
ノデアリマス、實例ト致シマシテハ、一九
一四年及ビ一九一五年ニ二囘アツタノミ
デ、實效ヲ擧ゲテ居ラナイヤウデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=68
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069・芦田均
○芦田委員 只今ノ局長ノ御話、私ハ餘リ
詳細ニ承知シナカツタ點ヲ御示シニナリマ
シテ、非常ニ益スル所ガ多カツタト思ヒマ
スガ、只今次官、局長カラノ不動產ノ評價
ニ付テハ、必ズヤ稅務官吏ニ於テ適正ナ評
價ヲスルコトト信ズルト云フ御話ハ、吾々モ
其ノ通リ信用致シタイノデアリマスガ、昨
今ノ民間ノ空氣ヲ能ク御調ベニナルト、吾
吾ノ承知シテ居ル限リ、所得稅ノ査定ニ於
テ、其ノ他臨時利得稅ノ査定ニ於テ、營業
稅ノ査定ニ於テ、可ナリ無理ガ多イ、ソレハ
地方ニ行ツテ御調ベニナルト、東京デ大藏省
ノ中デ御考ヘニナツテ居ルノトハ豫想外ノ
事實ガ多イノデアリマス、個々ノ事實ヲ申上ゲ
ル譯デハアリマセヌガ、例ヘバ養蠶收入ノ所
得ヲ査定スルノニ、昨年以來實際行ハレ
テ居ル所ヲ見マスト、繭ノ收入ノ六掛デ査
定ヲシテ居ラレル、養蠶業者トシテハ養
蠶收入ノ六掛デ査定ヲサレタノデハ、、肥料
代モ出ルモノデハアリマセヌ、又有畜農業
ヲヤツテ、牛ヲ飼ツテ居ル百姓ガ、一年牛
ヲ飼育シテ、之ヲ例ヘバ四百圓デ賣ル、其
ノ農家ハ一年前ニ買入レタ牛ノ爲ニ、少ク
トモ二百圓以上ノ原價ヲ拂ツテ居ル、四百
圓デ賣リマシテモ、其ノ代リノ牛ヲ買フノ
ニ、今日ノヤウニ値ノ高イ時ニハ、大體七
掛乃至八掛ノ金ヲ出サナケレバ代リノ牛ハ
買ヘナイ、ソレヲ吾々ノ方ノ稅務官吏ハ、
四百圓デ牛ヲ賣ツタト云ヘバ、其ノ儘農家
ノ收入トシテ所得稅ヲ課ケラレル、サウ云
ウタコトハ、東京デ御考ヘニナルト、ヨモ
ヤソンナ非常識ナコトハナイト御考ヘニナ
ルデアリマセウガ、御調ベニナレバ直グ分
ル、ソレガ爲ニ地方ニ於テ相當悶着ヲ起シ
タ例ガ多イ、一口デ申シマスト、大藏省デ
御考ヘニナツテ居ラレル程、民間ニ於テハ
稅務官吏ノ稅ノ評價ニ對シテ信賴ノ念ヲ持
ツテ居ナイ、ソレデアルカラ私ハ不動產ノ
價格ニ付テモ、將來必ズ稅務官吏ガ適正ナ
評價ヲスルデアラウト仰シヤツテモ、ソコ
ニ不安ノ念ヲ持ツト云フコトハ、過去ノ實
例ニ徵シテ必ズシモ無理デハナイト思ヒマ
ス、若シ稅務官吏ガ此ノ山ハ十万圓ナリト
云フ價格ヲ出シタ時ニ、實際其ノ地方ノ狀
況ニ於テ、山ヲ賣ツテ見レバ四万圓、五万
圓ニシカ今ハ賣レナイ、地方ノ山林ナドハ、
事實其ノ價格ガアツタカラト云ツテ、直グ
其ノ通リ賣レルモノデハナイ、一定ノ山林
ヲ買ハウト云フニハ、ヤハリ其ノ買ヒ手ヲ
探ス範圍ハ決マツテ居リマス、丹波ニ良イ
山ガアルカラト云ツテ、靜岡縣ヤ東京カラ
買ヒ手ガ行クモノデハアリマセヌ、非常ニ
限ラレタ範圍ニシカ買手ト云フモノハナイ
ノデアリマス、ソレデアルカラ、賣ラウト
ナレバ、十万圓ニ評價サレタ山ヲ四万圓、
五万圓ニシカ賣レナイト云フ例ハ澤山アル、
サウ云フ場合ニ、若シ大藏省ニ於テ稅務官
吏ガ、此ノ山ヲ十万圓ニ評價ナサルト云フ
ナラバ、宜シイ十万圓デ御取リ下サイ、私
ノ所デハ四万圓、五万圓ニシカ賣レマセヌ
ト云ツタヤウナ場合ニ、相續稅ヲ物納ニスル
ト云フコトノ相當ノ理由ガアル、ソレヲ認メ
ナイト仰シヤツタノデハ、物納制度ヲ設ケル
趣旨ノ半分ハ沒却サレテシマフ、サウ云フ
點ヲ今一應御考ヘヲ願ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=69
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070・松隈秀雄
○松隈政府委員 不動產ニ依ル物納ヲ非常
ニ狹ク解釋シタト云フコトデアリマスガ、
先程申シマシタ相續財產中不動產ノ價額ガ
二分ノ一以上デアツテモ、現金デアルトカ、
預金デアルトカ、換價容易ナル有價證劵ト
云フノハ、公債、社債、若シクハ取引所ニ
上場ノアル株劵ト云フヤウナモノデアリマ
シテ、斯ウ云フモノハ現金デアツタリ、若
シクハ右カラ左ニ現金化サレルモノデアリ
マス、ソレガ相續稅ノ倍以上モアルト云フ
ヤウナ場合ニ於キマシテハ、假令相續財產
中不動產ノ價額ガ二分ノ一以上アルト云フ
法律ノ要件ニ一應該當致シマシテモ、今申
上ゲマスヤウナ現金若シクハ現金類似ノモ
ノガ、相續稅ノ二倍以上モアルナラバ、ソ
レカラ拂ツテ戴キタイ、元來租稅ト云フモ
ノハ、今日ニ於テハ金納デアリマシテ、現
金デ拂ツテ戴イテ、國庫ノ歲入ノ迅速ナル
充實ヲ圖ラナケレバナラヌノデアリマスカ
ラシテ、サウ云フ場合ニ於テハ斷リ得ル、
而モ是ハ稅務署ノ認定ダケデナク、果シテ現
金若シクハ現金ニ類似スルモノヲ以テ、納
稅ガ容易デアルカドウカト云フコトニ付テ
ハ相續稅審査會ニモ諮問シテ決定スルノ
デアリマスカラ、斯ウ云フ程度ノ場合ニ於
テ、物納ヲ認メナイカラト云ウテ、特ニ他
ノ相續財產ヲ賣ツテ收メル、ソレガ爲ニ不
當ノ損害ヲ被ルト云フ場合トハ、餘程事情
ガ違フ、サウ云フ場合ニ於テ政府ハ物納ヲ
ナシ得ル資格ニ該當シテ居ツテモ、尙ホ物
納ヲ拒否シ得ル場合ガアル、斯ウ云フ次第
ナノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=70
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071・松尾四郎
○松尾四郞君 是ハ芦田君カラモ二囘ニ亙
ツテ、其ノ趣旨ヲ言フテ戴イテ居ルノデア
リマシテ、餘リクドクナルヤウデスケレド
モ、ドウモ今ノヤウナ局長ノ御話デアリマ
スト、實際問題トシテ、例ヘバ二十万圓ノ相
續財產ニ於テ十万圓ガ不動產デアル、十万
圓ガ換價容易ナ株劵、或ハ預金デアルト云
フ場合ニ、コチラニ容易イモノヲ持ツテ居
ルデハナイカト云フノデ、物納ヲ許サナイ
ト云フコトニナレバ、其ノ十万圓ノ不動產
ガ十五万圓ニ評價サレテモ、實際問題トシ
テ之ヲ救濟スル途ガナイト云フコトガ起
ル、是ハ局長ノヤウナ御考へノ方ガ稅務
署ノオ役人デアレバソレハモウ何ヲカ
言ハンヤデアリマス、立派ナ方バカリデ
アリマスカラ、サウ云フ間違ヒガ起ラナ
イ、殊ニ又稅務署ノ取扱ツテ居リマス
今日ノ租稅ノ方面ヲ考ヘテ見ルト、總テキ
チツトシタ數字カラ出テ居ル、所得稅、營
業稅、其ノ他ノ諸稅ハ、皆ハツキリシタ數
字ガ基礎ニナツテソレニ課稅スルノデスカ
ラ、大シタ何ハナイ、一番稅金ノ決定ノ難
カシイノハ營業稅、所得稅デス、是ハヤハ
リソレガ爲ニ稅務署ノ官吏ト結託シテ色々
ノ犯罪行爲モ屢〓起ル、所ガ不動產ノ價格ヲ
決メルト云フコトハ、實ニ是ハ漠然トシタ
モノデ、甚ダ決メニクイ問題デス、ダカラ
弊害モ起リ易イノデ、是ハ稅務署ノオ役人
ダケデ之ヲ決定スルト云フコトニナツテ居
リマスノデ、故意デナクテモ間違ヒカラモ
サウ云フコトガアリマスカラ、是ハ納稅ガ
容易デアルト云フ條件ダケデハ、私ハ此ノ
趣旨ガ徹底セヌト思フノデアリマシテ、何
カ此ノ點ニ對シテハ別ニ納稅者ノ方ニ此ノ
決定サレマシタ不動產ノ價額ノ評價ニ對シ
テ不服ガアル時ハ、納稅シ得ル途ヲ開ケテ
戴カナケレバナラヌト思フノデアリマスガ、
此ノ點ニ對シマシテ、クドクナルヤウデス
ケレドモ、此ノ法案ノ趣旨ヲ沒却スルコト
ニナリマスノデ、尙ホモウ少シハツキリシ
タ御答辯ヲ御願ヒシタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=71
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072・廣瀬豐作
○廣瀨政府委員 只今松尾サンノ度々ノ御
發言デゴザイマスガ、政府ト致シマシテハ、
物納ヲ許シマス場合ト致シマシテハ、只今
提案致シテ居リマスヤウナ要件ヲ備ヘタ場
合ニノミ之ヲ認メルコトニ致シマシテ、不
動產其ノモノニ付テ、相續稅ノ基本トテル
評價ニ付テ異議ノアリマス場合ニ於テハ
現行相續稅法第十四條ニ依ツテ、異議ノ申
立ガ出來ルコトニナツテ居リマスカラ、此
ノ第十四條ノ審査請求ト云フ方法ヲ利用シ
テ戴キマシテ、之ニ依ツテ只今ノ御懸念ノ
ヤウナ點ハ是正ヲシテ戴キタイ、斯ウ云フ
考ヘデ居ル次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=72
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073・倉元要一
○倉元委員長 ソレデハ渡邊君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=73
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074・渡邊玉三郎
○渡邊(玉)委員 先ヅ相續稅ノ問題ニ付キ
マシテ、今度總動員法デ企業合同ニ依リマ
ス時ニ、例ヘバ千圓ノ固定資產ノアルモノ
ヲ三千圓ニ見テモ、之ヲ千圓ト見ルト云フ
風ノ企業合同ニ對スル御考ヘ方ガアルト承
知シテ居リマス、違ツテ居レバ御正シヲ願
ヒマス、ソコデ其ノ營業者ガ三千圓ノ企業
合同ヲシテ、サウシテ其ノ人ガ死ンダ時、
子供ニ相續稅ガ課カリマスガ、其ノ時ノ相
續稅ノ見積リ方ハ、ソレヲ千圓ト見ルノカ
三千圓ト見ルノカ、斯ウ云フコトヲ甚ダ率
直ナ御尋ネデアリマスガ、御伺ヒヲ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=74
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075・松隈秀雄
○松隈政府委員 今囘提案ニナツテ居リマ
ス總動員法中改正法律案ノ第十八條ノ三ニ
依リマシテ、戰時ニ當リ國家總動員上必要
デアルト云フノデ、設備若シクハ權利ヲ出
資セシメラレマシタ場合ニ、其ノ者ガ個人
デアリマスレバ課稅ノ問題ハ起リマセヌガ、
法人デアリマスト、其ノ財產ガ低ク評價サ
レテ居ツテ、隨テソコニ貰ツタ株式ノ値段
ガ高ク、差益ガ出マスト、從來課稅ノ問題
ヲ惹キ起シテ居ツタノデアリマス、ソコデ
今囘其ノ點ヲ是正致シマシテ、强制的ナ設
備若シクハ權利ノ出資ヲ容易ナラシメマス
爲ニ、法人ガ只今御示シノヤウニ千圓ト記
帳シテ居ツタ機械ヲ締制會社ニ出資シテ、
時價千五百圓ノ株劵ヲ貰ツタト云フ場合ニ
於キマシテ、元ノ機械ノ記帳價額デアル所
ノ千圓ニマデ、其ノ株劵ノ評價減ヲシテ記
帳スルコトヲ認メマス、サウシテ其ノ場合
ニ於テハ、其ノ評價減ヲ是認シテ課稅計算
上益金ニ加算致サナイ、斯ウ云フ扱ヒニ致
シマスカラ、法人ノ課稅ノ問題モ是デ救濟
サレルカト思フノデアリマス、其ノ場合
ニ、同時ニ其ノ出資者ニ相續ガ開始致シマ
シテ相續財產ヲ決定スルニ當リマシテハ
相續開始當時ニ於キマス會社ノ株式ノ評價
ヲ致スノデナリマスガ、其ノ場合ニ於テ內
容ヲ成シテ居ル所ノ統制會社ノ株劵ヲ幾ラ
ニ評價スルカト云フト、千圓デアルト云フ
コトハ言ヒ切レナイト思フノデアリマス、
ソレハ其ノ時ニ於キマスル時價ニ依ツテ計
算スル、千五百圓ト云フ受入レタ當時ノ時
價ガ動カズニ居ル場合モアリマセウシ、或
ハ其ノ後ノ事情ニ依ツテ千五百圓ト云フモ
ノガ移動シテ居ルカモ知レマセヌガ、其ノ
時ノ時價ニ依ツテ見積ル外ナイト思フノデ
アリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=75
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076・渡邊玉三郎
○渡邊(玉)委員 實例ヲ申上ゲマスト、是
ハ大阪ノコトデアリマシテ、大藏省ハ御認
メニナラナイノデハナイカト思ヒマスガ、
例ヘバ織機ガ一臺千圓、暖簾料ガ三千圓、
暖簾料ハモツト大キイノデスガ、假ニ之ヲ
含メテ四千圓トシマス、個人トシテ之ヲ十
臺持ツタ人ガアルト、合同スル時ノ價値ハ
四万圓ノ物ヲ持ツテ居ル譯デス、サウシテ
是ガ合同シテ、其ノ人ガ死ンデ子供ガ相續
スル、其ノ合同シタ合同體ノ會社ハ四万圓
ノ出資トシテ見テ居ル、サウシテ今後モ四
万圓トシテ配當ガアルダラウト思ツテ居ル
其ノ場合ニ子供ハ四万圓ノモノトシテ相續
稅ヲ課セラレルカ、斯ウ云フコトデス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=76
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077・松隈秀雄
○松隈政府委員 只今御話ノヤウデアレバ、
四万圓トシテ相續財產ガ評價サレテモ致シ
方ナイノデハナイカト思ヒマス、千圓シカ
シテ居ラナイ機械デアルニ拘ラズ、ソレニ
營業權ヲ三千圓認メテ、四万圓ノ財產トシ
テ統制會社ガ評價シテ、時價四万圓ノ株ヲ
本人ニ渡シ、其ノ四万圓ノ株ヲ持ツタ本人
ガ死ンデ相續人ガ相續シタト云フ場合、四
万圓ト云フ價格ガ正シイモノデアレバ、四
万圓ニ評價セザルヲ得ナイカト思ヒマス
尤モ是ハ一應ノ理窟デアリマシテ、實際ノ問
題ト致シマシテハ、强制合併ニ當リマシテ
合併ヲ容易ナラシメル爲ニ、兎角水增ヲス
ルト云フヤウナ傾向ガアリマスノデ、其ノ
點ハ私共ト致シマシテハ、企業合同ノ堅實
化ノ爲ニ、出來ルダケ水增ヲスルト云フコ
トノナイヤウニ希望ハ致シテ居リマス、隨
テ明カニ水增ヲシテアルト云フヤウナコト
デアレバ、時價ノ算定ニ當ツテ考慮ガサレ
マスケレドモ、渡ス方ノ會社モ、貰フ方ノ
會社モソレガ時價ナリトシテ公正ニ取引サ
レタト云フコトデアレバ、相續稅ノ見積ノ
時モ、大體ソレニ近イ金額ヲ時價ナリト推
定セザルヲ得ナイカト存ジマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=77
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078・渡邊玉三郎
○渡邊(玉)委員 今申上ゲタ問題ハ主稅局
長ノ御說ノ通リデアラウト思ヒマスガ、所
ガ甲ト乙トノ工場ガアツテ、同ジ狀態デア
ル、所ガ片方ハ是マデノ稅務署ノ例カラ言
フト、十臺デアリマスト、之ヲ三千圓ニ見
片方ハ四万圓ト見ルコトハ、ドウモ仕方ガ
ナイノデハナイカ、斯ウ云フコトニナツテ
行クノデハナイカ、是ハアナタノ御係リデ
ハアリマセヌガ、サウスルト中小工業ノ維
持育成ノ爲ニ企業合同ヲスルト云フコトト
精神ガ違ツテ來ル、私ノ申ス甲ト乙ノ同ジ
工場ガアツテ、片方ハ三千圓、片方ハ四万
圓-是ハ假想ノモノデハアリセヌマ、事
實サウ云フ形ニナルト思フノデアリマス、
其ノ點ニ付テ重ネテ局長カラ御答辯ヲ願ヒ
タイト思ヒマス、時間ガアリマセヌカラ續
ケテ申シマスガ、其ノ次ハ利得稅ノ問題デ
アリマス、外地ニ營業ヲ持ツテ内地デ營業
シテ居ル者ハ、營業稅ハ內地ダケニ課セラ
レルモノト思ツテ居リマスガ、左樣ニ思ヒ
マシテ間違ヒハナイノデスカ、サウシテ外
地ニ營業ヲシテ居ル者ガ內地ノ營業ダケヲ
廢業スレバ、ソレハ廢業ト御認メニナル、
ソコデ利得稅ヲ營業稅ト同ジヤウニ合算シ
テオヤリニナル時ニ、一體外地ノ御調査ガ
十分ニ出來マセウカ、斯ウ云フコトヲ御尋
ネシタイト思フノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=78
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079・松隈秀雄
○松隈政府委員 只今ノ前段ノ御尋ネハ、
中小商工業者ノ經營合理化ノ爲ニ、各種ノ
企業合同ガ行ハレル、ソレニ當ツテ手廣ク
營業ヲシテ、例ヘバ織機デアレバ其ノ臺數
ノ多イ者ト、營業ガ手廣クナク臺數ノ少イ
者トノ間ニ、評價上ノ差ガ相當出來ル、隨
テ其處ニ評價上ノ不合理ガアルト云フヤウ
ナ御話デアリマスガ、是ハ企業合同ヲ主管
シテ居リマス商工省ノ所管ノコトデゴザイ
マスカラ、商工省カラ御答辯申上ゲルノガ
適當デアラウト存ズルノデアリマスガ、大藏
省ト致シマシテハ先程申上ゲマシタ通リ、企
業合同ニ當ツテハ出來ルダケ堅實ヲ旨トシ、
相互ノ間ニ無理ノナイ評價ヲシテ貰ヒタイ
ト云フコトヲ、希望シテ居ル次第デアリマス、
次ニ臨時利得稅ト營業稅トノ課稅問題デ、
玆ニ或ル人ガ內地外地ニ亙ツテ營業ヲシテ
居ルト云フ場合ニ、御示シノ通リ臨時利得
稅ハ內地ノ營業、外地ノ營業ヲ通ジマシテ、
其ノ利益ニ對シテ臨時利得稅ヲ課スル建前
ニナツテ居リマス、營業稅ノ方ハ、內地ニ
於キマス營業ニ對シテノミ課稅スルト云フ
コトニナツテ居ツテ、是ハ法制上建前ガ違
ツテ居リマス、ソコデ只今ノ御話ノヤウニ、
內地ニ於ケル營業ヲ廢止シタト、斯ウ云フ
コトデアリマスナラバ、內地ニ於ケル營業
稅ハ課稅ノ方法ガナイ譯デアリマス、併シ
臨時利得稅ト致シマシテハ、内地ニ住所ガア
ツテ外地デ營業ヲシテ居ルト云フコトデア
レバ、外地ノ分ノ課稅ハナシ得ルト云フコト
ニナツテ居リマス、其ノ際調査ガ困難デア
ルカドウカト云フコトハ、是ハ實際問題デ
アリマシテ、內地ト外地ト合ハセテヤツテ
居ツテモ、ヤハリ外地ノ分ノ調査ノ困難ノ程
度ハ、內地デヤラナイデ外地デ營業ダケシ
テ居ル場合ト大差ハナイノデハナイカト、
斯樣ニ存ジマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=79
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080・松尾四郎
○松尾四郞君 モウ一點伺ヒマス、先ノ御
答辯デハ能ク分リマセヌケレドモ、一應其
ノ程度ニ致シテ置キマシテ、次ノ質問ヲ申
上ゲタイト思フノデアリマス、ソレハ政府
ガ物納トシテ御採入レニナリマシタ所ノ物
納不動產ヲ今度處分スルニ當リマシテハ
國有財產整理資金特別會計ノ方ニ入ルノデ
アリマスカラ、國有財產ノ處分トシテ御取
扱ヒニナルダラウト思フノデアリマスガ、
此ノ不動產ハヤハリ家族制度保護ノ上カラ、
元ノ納稅者ニ返還ヲスル、政府ニ損ガ起ラ
ヌ場合ニハ、適當ナル價格ヲ以テ優先的ニ
物納ヲ致シタ納稅者ノ手ニ又渡ルヤウナ制
度ニシテ戴キタイト思フ、是ハ納稅スル者
ハ長イ間ノ祖先傳來ノ財產ヲ租稅ノ納稅ノ
爲ニ、國家ニ之ヲ納メタモノデアリマス、
併シナガラ其ノ納稅者ニ力ガ出來テ、更に
又其ノ財產ヲ元ノ家庭ニ連絡ヲ付ケテ行キ
タイト云フ場合ニハ、家庭ト財產ト云フモ
ノハ、是ハ離ルベカラザル狀態ニアルコト
ハ御承知ノ通リデアリマシテ、此ノ我ガ國
ノ美シイ家族制度ト云フモノヲ、何時マデ
モ續ケテ行クノニハ、ヤハリ祖先傳來ノ財
產ニ對スル執着ヲ持タシテ置ク、其ノ執着
ヲ持タシテ置カナケレバナラヌノデアリマ
スカラ、最モ簡易ナル方法ニ依ツテ、其ノ
納稅者ナラバ、優先的ニ此ノ財產ガ又元ノ
手ニ戾ルヤウナ制度ヲ、特ニ御考慮ヲ願ヒ
タイト思フノデアリマスガ、ドウ云フ風ニ
御考ヘニナツテ居ラレマスカ伺ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=80
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081・廣瀬豐作
○廣瀨政府委員 只今ノ松尾サンノ御發言
ノ中ニ、多少先程私ノ御說明申上ゲタコト
ニ對シテ誤解ガオアリニナルヤウデゴザイ
マスガ、此ノ物納ヲサレマシタ財產、不動
產ハ、一般會計ニ於テ管理ヲ致シ、處分ヲ
致スノデアリマス、國有財產整理資金ノ方
ニ特別ニ入レナイト云フ建前デアリマス、
其ノ點ハ御諒承ヲ願ヒタイト思フノデアリ
マス、ソコデ只今御質問ノ點デアリマスル
ガ、今ノ松尾サンノ御趣旨ニ依リマスルト、
不動產ヲ政府ガ引取リマシタ後ニ於テ、納
稅者ニ對シテ、何カ一種ノ買戾シノ特約デモ
結ブト云フヤウナコトデモシナケレバ、今
ノ御趣旨ハ達成出來ナイカト思フノデアリ
マス、サウ云フコトハ結局政府ガ其ノ受入
レマシタ所ノ不動產ノ處分ヲ制限サレル、
政府ガ制限ヲ受ケルト云フコトニナリマス
ノデ、餘リ適當デナイト云フ風ニ考ヘルノ
デアリマス、隨ヒマシテサウ云フ買戾シノ
特約ニ應ズルト云フ考ヘハゴザイマセス、
併シナガラ政府ガマダ處分スル前ニ於テ、納
稅者ノ方デ其ノ買受ケノ希望ヲ申出デラレ
マスレバ、隨意契約ト云フ方法ガアリマス
ノデ、其ノ隨意契約ニ依ツテ、優先的ニ納
稅者ニ賣却スルト云フ途ガゴザイマスノデ、
其ノ運用ニ依ツテ相當目的ヲ達シ得ラレルノ
デハナイカト思フノデアリマス、大體只今ノ
御質問ニ對シマシテノ御答ヘハ、ソレデ宜イ
譯デアリマスガ、御質問ニ關聯致シマシテ、
私ノ考ヘヲ若干申上ゲタイト思フノデアリ
マス、只今家族制度ノ維持ト云フ點カラ、斯ウ
云ツタヤウナ不動產、相續財產ト云フモノ
ハ成ベク相續者ノ手ニ殘スト云フ御趣旨
ニ付キマシテハ、私共モ此ノ制度ノ出來マス
ル時カラ考ヘテ居ツタコトデアリマス、ソレ
ニ付キマシテハ、多少本法律案トハ離レテ
居リマスルケレドモ、御承知ノヤウニ最近
ニ於キマシテ、農村ニ於キマシテハ、自作農
創設資金ト云フモノガ、相當活潑ニ出ルヤ
ウニナツテ居リマス、ソレデ從來ハ簡易保
險ノ方カラノミ出タノデアリマスガ、最近
ハ預金部カラモ出ルコトニナリマシテ、此
ノ預金部カラ出ルモノノ中ニ於テ、例ヘバ
或ル町村ガ一定ノ資金ヲ政府カラ借リマシ
テ、サウシテ計畫的ニ、其ノ村民ニ、例
ヘバ不在地主ニナリマシタ土地デアリマス
トカ、或ハ耕作ヲ抛棄シタ土地デアルトカ
云フヤウナモノヲ一手ニ引受ケテ、サウシ
テソレヲ殘ツテ居ル村民ニ配付スルト居ツ
タヤウナコトヲ計畫シテ居ルノガ段々ト出
テ來テ居リマス、ソコデ此ノ物納制度ガ一
方ニ出來マスルト同時ニ、此ノ自作農創設
ノ制度ヲ更ニ擴張致シマシテ、一方ニ於テ
ハ政府ガ物納トシテ受ケ、一方ニ於テ或ハ
個人デモ宜シウゴザイマス、或ハ其ノ町村
ニ對シテ低利資金ヲ貸シマシテ、サウシテ
納稅者ガ自作農創設ノ資金ヲ借受ケルト云
フコトニ依ツテ、此ノ地面ヲ讓受ケルコ
トガ出來ルノヂヤナイカ、今後本制度ガ成
立チマシタナラバ、サウ云ツタヤウナ方法
ヲ講ジタイト考ヘテ居リマス、是ハ農村ノ
問題デアリマスガ、都會ノ問題ニ付キマシ
テハ、都會地ノ不動產ヲ賣却スルト云ツタ
ヤウナ場合ニ付キマシテモ、是ハ少シ是ヨ
リ緣ガ遠クナリマスルケレドモ、恐ラク本
議會ニ於テ住宅營團ト云フモノガ出來ルダ
ラウト思ヒマス、御承知ノヤウニ住宅營團
ハ、全部ガサウデハアリマセヌガ、營團ノ
方デハ、或ル土地ニ於テ住宅ヲ經營致シマ
シテ、其ノ家ナリ不動產ナリヲ年賦デ本人
ニ貸與スルト云フ方法ヲ、全部デハナイノ
デスガ、一部ハ執ルダラウト思ヒマス、ソ
コデ物納サレマシタ財產ガ、直チニ住宅營
團ニ引繼ガレルカ否カハ別問題ト致シマシ
テ、或ル程度政府ト致シマシテハサウ云ツ
タヤウナモノガアリマシタナラバ、都會地
等ニ於ケル財產ハ、成ベク住宅營團ノ事業
ノ方へ引繼ガシメルコトヲ考ヘテ居リマス
ガ、其ノ曉ニ於テ住宅營團ガ、其ノ上ニ建
物ヲ建テマシテ、其ノ一部ナリトモ相續ヲ
シテ年賦デソレヲ買受ケ、或ハ居住セシメ
ルト云フコトニナリマシタナラバ、只今ノ
御趣旨ハ相當達シ得ルノヂヤナイカト云フ
コトヲ考ヘテ居ル次第デアリマス、御參考
ノ爲ニ是ダケ申上ゲテ置キマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=81
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082・松尾四郎
○松尾四郞君 ソレデハ宜シウゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=82
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083・山本粂吉
○山本(粂)委員 一丁一言關聯シテ伺ヒタ
イ、相續財產ノ二分ノ一以上ノ不動產ガアツ
テ物納ヲ認メラレル場合ノコトデスガ、其ノ
時ニ有價證劵或ハ處分極メテ容易ナル動產
ヲ持ツテ居ル場合ニハ、物納ヲ認メナイコ
トガ出來ルト云フ但書ガアルヤウデスガ、其
ノ場合モ先程ノ說明ヲ拜聽シマシテ能ク分
ツテ居リマスガ、其ノ時ニ其ノ有價證劵ヲ
手持チシテ居レバ、稅金ナンカ問題ヂヤナ
イガ、多ク借金ノ擔保ニ入ツテ居ル、事業
家ハ大抵手持チシテ居ル者ハアリマセヌ、
大〓擔保ニ入ツテ居ル、借金ヲ相續財產カ
ラ差引クコトハ當然デアリマスガ、-分分シ
ヨウトスルト、銀行ニ擔保ニ入ツテ居ルノ
デ、其ノ借金ヲ返サナケレバ、其ノ有價證
劵ヲ取出セヌ場合ガ非常ニ多カラウト思
フ、サウ云フ場合ニ、條件ハピシツト相續財
產ノ二分ノ一以上ニ當嵌ツテ居ル、而シテ
有價證劵ガ稅金ノ倍額以上アツテ、是モ條
件ニ當嵌ツテ居ルケレドモ、併シ其ノ有價
證劵ハ擔保ニ入ツテ居ツテ、ドウニモナラ
ヌ場合ガ、實際上起ツテ來ルヤウニ觀念上
想像サレルノデアリマス、斯ウ云フ場合ニ
ドウ云フ取扱ニナリマスカ、之ヲ參考ニ伺
ツテ置キタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=83
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084・松隈秀雄
○松隈政府委員 只今御話ノヤウニ、有價
證劵ハ持ツテ居ルケレドモ、一方ニ債務ガ
アル、其ノ債務ヲ相續財產カラ差引クコト
ハ御話ノ通リデアリマス、物納ヲ政府デ拒
絕シ得ル條件ノ一ツニ、現金、預金、換價容
易ナル有價證劵ガ、先程ノ說明ニアツタ相
續稅ノ二倍以上アレバ、物納ヲ認メナイト
云フコトデアルケレドモ、只今ノ例ノヤウ
ニ債務ガ相當アル爲ニ、有價證券ガ其ノ擔
保ニ入ツテ居ツテ、之ヲ處分シヨウニモ處
分ガ出來ナイト云フ場合ニ、ソレマデ加算
シテ現金又ハ現金ニ類似スルモノガ相續稅
ノ二倍アルトサレルコトハ非常ニ納稅者
ガ辛イト云フ御話デアリマス、斯ノ如キ場
合ニ於キマシテハ、有價證劵ガ擔保ニ入ツ
テ居ルカドウカト云フコトハ、相續稅ノ調
査ニ當ツテ能ク分ルコトデアリマスカラ
債務ノ擔保ニ入ツテ釘付ケサレテ居ルト云
フヤウナ有價證劵ハ、換價容易ナルモノト
見ナイ、斯ウ云フ風ニ致シタイト思ヒマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=84
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085・山本粂吉
○山本(粂)委員 諒承致シマシタ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=85
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086・瀧澤七郎
○瀧澤委員 一寸一點有價證劵ノコトデゴ
ザイマスガ、市場ニ上場セラレテ居ルヤウ
ナ、大キナ會社ノ有價證劵ハ宜シウゴザイ
マスガ、近來有限會社法ニ依ツテ會社ヲ設
ケルトカ、ソレカラ個人ノ者ガ中心トナツ
テ、三十万圓トカ五十万圓ト云フヤウナ會
社ヲ設ケタ場合ニ、其ノ主任者ガ亡クナツ
タ場合ニ於ケル株劵ノ評價ト云フモノガ、
餘程大キナ會社ト違ツテ居ルノデスガ、斯
ウ云フヤウナ小サイ會社ニ對スル有價證劵
ノ評價ト云フモノニ關シテハドンナ風ナ御
心持ヲ持ツテイラツシヤルカ、近來非常ニ
是ガ多クナツテ參リマシテ、失業救濟ノ爲
ニ設ケル小組合ノ出資金若クハ有限會社デ
アルトカ云フヤウナ小サイ場合ニ、評價ハシ
得ラレテモ、換價困難ナルモノガ相當アル
ヤウニ思ハレルノデスガ、ソレニ對スル考
ヘ方ヲ伺ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=86
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087・松隈秀雄
○松隈政府委員 御話ノヤウニ市場性ノ乏
シイ有價證劵、若クハ市場性ガ殆ンドナイ
ト認メラレマスヤウナ有價證劵ヲ、相續財
產トシテ評價スルト云フコトハ、中々困難
ナ問題デアリマス、稅務上ノ實際ト致シマ
シントハ其ノ場合ニ一ツノ目安ハ、其ノ會
社ノ純資產ヲ評價シ之ヲ株式ニ按分シテ純
資產カラ幾ラ位ノ資產ヲ代償シ居ルノデア
ラウカト云フコトヲ見ル見方ガゴザイマス、
卽チ言葉ヲ換ヘテ言フト、〓算價格ニ依ツ
テ株ノ値段ヲ推定スルト云フ譯デアリマス、
ソレカラ他ノ標準ト致シマシテハ、配當ヲ幾ラ
位シテ居ルカト云フコトモ、株式ノ値段ヲ
決メル一ツノ標準ニナルト思ヒマス、唯今
御話ノヤウナ同族的色彩ノ濃厚ナ會社ニ於
キマシテハ一般ノ會社ト違ツテ、配當シ
得ル狀態ニアツテモ、配當ノ必要ガナイ、
自分ノ社內ニ留保シテ居ツテモ、一向差支
ヘナイト云フヤウナ事柄カラシテ、配當率
ヲ高メテナイト云フヤウナ場合モゴザイマ
スノデ、配當率カラノミ株價ヲ評價スルト
云フコトハ困難ナ場合ガアリマス、ソカラ
其ノ他ノ場合ト致シマシテハ、類似ノ會社
デアツテ、其ノ例ハ稀ダト思ヒマスガ、賣
買セラレタト云フヤウナ場合ニ、ソレト比
準ヲ取ルト言ツタヤウナコトニ依リマシテ、
詰リ凡ユル角度カラ評價ヲスルコトニ努メ
テ居ルノデアリマスガ、普通ノ市場性アル
株式ノヤウニ、其ノ値ヲ聞イテ見マシテ宜
イト云フヤウニ簡單ニ行カナイ爲ニ、ソレ
ニ對シテハ非常ニ苦心ヲ致シマスルト共ニ、
其ノ評價ニ當ツテハ出來ルダケ無理ヲシナ
イト云フ方針ヲ執ツテ居ル次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=87
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088・瀧澤七郎
○瀧澤委員 御說明デ能ク分リマシタガ、
尙ホ其ノ價格ノ御認定ハ、今ノヤウニ親心
ヲ以テヤツテ戴ク、然レドモ尙且ツ換價ガ
困難ナ點ガアリマス、小サイ會社ニ於テハ、
同族的デナクテ、其ノ中ノ多數ノ株ハ他人
ニ持ツテ貰ツテ居ルノダガ、其ノ事業ノ中
心ハ、其ノ社長、其ノ主任者ガヤツテ居ル、
其ノ主任者ガ沒シマスト、其ノ事業ガ動搖
ヲ來タスト云フ虞ガ、小サイ會社ニ多クア
ル、サウスルト其ノ換價ガ非常ニ容易ニナ
ラナイト云フ場合ガアリマス、其ノ點ニ付
テハ十分御考ヘヲ願ハナケレバナラヌシ、
其ノ點承リタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=88
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089・松隈秀雄
○松隈政府委員 只今ノ御話ハ、換價ガ非
常ニ困難デアルト云フコトハ、洵ニ御說ノ通
リデアリマス、隨テサウ云フ財產ノミデア
ル相續ガ開始サレタト云フヤウナ場合ニ於
テハ相續稅ヲ納メルノニ或ル程度マデノ困
難ヲ感ゼラレルト思フノデアリマスガ
御承知ノ通リ相續稅ニ付キマシテハ年賦延
納ノ制度ガ設ケテアリマシテ、不動產ガ二
分ノ一以上アレバ十年、サウデナイ場合ニ
於テモ七箇年ノ年賦延納ヲ認メテ居リマス、
家督相續ノ第一種デアリマシテ、只今御話
ノヤウナ株劵ダケデ十万圓ノ相續財產ガア
ツタト致シマスト、其ノ相續稅ト云フモノ
ハ四千百圓ト云フコトニナル、之ヲ七箇年
賦ニ致シマスト、每年ノ年賦金ガ五百八十
五圓ト云フコトニナリマシテ、十万圓ト云
フ資產ニ對シマシテ五厘程ノ率ニナツテ居
リマス、隨テ其ノ程度デアリマスレバ、大
體收益ノ中カラ拂ツテ行ツテ、特ニ自分ノ
主宰シテ居ル會社ノ株ヲ賣ラナイデモ何ト
カ納メラレルノデハナカラウカ、斯樣ニ存
ジテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=89
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090・渡邊玉三郎
○渡邊(玉)委員 贈與ノ場合ニ物納ヲ認メ
ズト云フ次官ノ御說明ガアリマシタガ、其
ノ贈與ト云フノハ、相續人デアルケレドモ、
親ハ相續ヲサセズニ先ニ贈與シタ、斯ウ云
フ時ニモソレハ物納ヲ認メナイト云フ意味
デアリマスカ、斯ウ云フコトヲ一點御尋ネ
致シタイ
其ノ次ニ、昨年中ニ廢業スレバ昭和十六
年度ハ稅金ヲ出サナクテモ宜イ、斯ウ云フ
風ニナツテ居リマスガ、若シ今廢業スレバ、
今丁度二月デアリマスカラ、僅カ三十二、
三日營業シテ居レバ昭和十六年度モ稅金ヲ
拂ヒ、昭和十七年度モ所得稅ヲ拂ハナケレ
バナラナイ、斯ウ云フコトニナルノデアリ
マスガ、斯ウ云フ時局下ニ於テ、國家ガ企
業ノ合同トカ合理化ヲ奬勵シテ居ル今日ニ
於キマシテ、昨年ト本年ト違ツテ、昨年ハ
サウ云フ恩典ガアツタガ今年ハナイノダト
云フヤウナコトニ對シテ何カ御考ヘニナツ
タコトガアルカドウカ、若シ御考ヘニナツ
テ居ナケレバ、本年度ニ企業合同ヲ國家ノ
奬勵ニ依ツテシマシタ時ニモ、恩典ノアル
ヤウニ御考ヘガ願ヒタイト思フノデアリマ
ス
第三番目ニハ、營業者ガ內地デ廢業シ外
地デ盛ンニ營業ヲヤツテ居ル、併シナガラ
ソレハ廢業ト認メラレルト云フ恩典-恩
典ト言ヒマスカ、サウナツテ居リマスノニ、
內地ノ商業者同士ガ企業合同ヲ致シマシタ
時ニ、實際ハ企業合同ヲシテ、其ノ企業合
同ヲシタ者ハ實績ニ依ツテ配當ヲ貰フノダ、
斯ウ云フコトニナツテ居ルト、ソレハ廢業
ト認メナイノダ、斯ウ云フヤウナ大藏省ノ
方針ノヤウニ思ツテ居リマスガ、企業合同ヲ
シテ、其ノ合同體ガ一括シテ營業ヲシテ居
リ、實績ニ依ツテ配當ヲ受ケルト云フ時ニ、
ソレハ其ノ商業者ハ事實營業ハ合同體化シ
テ居ルケレドモ、利益ヲ貰フ意味カラ廢業ト
認メナイノダ、斯ウ云フヤウナ御取扱ヒノ
ヤウニ承知シテ居リマスガ、左樣デ間違ヒ
ガナイカ、間違ヒガナイトスルナラバ、是
ハ何トカ御考慮ヲ願ヒタイト思フノデアリ
マス、ソレダケ御尋ネ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=90
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091・松隈秀雄
○松隈政府委員 只今御尋ネノ第一點ハ、
先程ノ說明ニ依ルト、贈與ノ場合ニ於テハ
物納制度ヲ認メナイト云フ話デアツタケレ
ドモ、相續人デアル者ニ對シテ親ガ贈與ヲ
シタ、其ノ場合ニ於テ、其ノ贈與ヲ受ケタ
財產、卽チ相續財產デアリマスガ、ソレノ
中二分ノ一以上不動產デアツテモ物納ハ認
メナイカ、斯ウ云フ御尋ネダト思フノデア
リマスガ、其ノ場合ハ物納ヲ認メナイト云
フコトニ法律デ規定シテ居リマス、今囘提
案致シマシタ第二十三條ノ第四項ノ改正規
定ガソレニ當ル譯デアリマス、ソレナラバ、
贈與ヲシタ場合ニ相續稅ヲ課稅スルノデア
ルケレドモ、ナゼ此ノ場合ニ物納ヲ認メナ
イカト云フコトデアリマスガ、物納ヲ認メ
マスルコトハ金納ニ對シマスル例外ノ場合
ニ限ツタノデアリマス、所デ此ノ贈與ノ如
キモノハ隨時ニ起ルモノデアリマシテ、普
通ノ相續デアリマスレバ、隱居ハ稍〓例外デ
アリマスケレドモ、其ノ他、隱居デナク、
死亡ニ依ル相續ノ如キハ不意ニ起ル、隨テ
不動產ガ相續財產中二分ノ一以上モアツテ
納稅上困難ヲ感ズル、斯ウ云フ場合ガ起ツ
テ、ソレヲ救濟シナケレバナラヌノデアリ
マスガ、贈與ハ、此ノ財產ヲ贈與スレバ相
續稅ガ課カルト云フコトハ承知シテ居ル譯
デアリマス、隨テ不動產ダケ澤山ヤレバ相
續稅ヲ納メルノニ困難ヲスルト云フコトハ
前提ニナツテ居ルノデアリマス、ソレデア
ルカラ、サウ云フ親ガ子供ニ不動產ヲヤル
ト云フヤウナ場合ニ於テハ、不動產バカリ
デハ相續稅ヲ納メルコトガ困難デアラウト
云フコトデアレバ、相續稅納付ノ途モ考ヘ
テ贈與スル餘地ガアルト云フノデ、物納ノ
如キ現行租稅制度ニ對スル例外ノ場合ニハ、
ソコマデ範圍ヲ擴ゲナクテモ宜カラウヂヤ
ナイカ、斯ウ云フ譯デアリマス
ソレカラ第二ハ、昨年中ニ營業ヲ廢止致
シマシタモノハ昭和十六年分ノ課稅ヲ致サ
ナイト云フ規定ガゴザイマス、是ハ渡邊サン
ノ既ニ御承知ノ通リ、昨年ノ稅制改正ニ於
テ、從來ノ稅制ノ建前ハ、實蹟課稅ト一部
ノ豫算課稅ヲ含ンデ居ツタノデアリマスガ、
ソレヲ廢止致シマシテ、實蹟課稅一本ニ改メ
タノデアリマス、其ノ移リ變リノ際ニ於キマ
シテ、極端ナル場合ニ於テハ一年ノ所得ニ
對シテ二囘所得稅ガ課カルト云フヤウナ場
合ガ生ジマスルノデ、サウ云フ極端ナ場合
ニ於キマスル弊害ヲ防ギマスル爲ニ置イタ
特別ノ規定デアリマシテ、是ハ決シテ企業
ノ强制的合同ノ救濟的規定トシテ置イタ譯
デハアリマセヌ、唯實際問題トシマスルト
昨年中ニ廢業致シマシタモノハ、自由意思デ
廢業シタモノモアリマスルケレドモ、企業合
同ニ依ツテ廢業シタモノモアリマスノデ、ソレ
等ノモノニ付テハ、此ノ規定ガ恰モ恩典的
規定デアルガ如キ作用ヲ致シマシタケレド
モ、目的ハ飽クマデ稅制改正ニ依ル過渡的
ノ救濟規定デアリマスルノデ、昨年限リデ是
ハ止メルベキモノデアリマシテ、今年廢業
シタト云フ者ニハ適用スル考ヘハ今ノ所持
ツテ居リマセヌ、ソレカラ第三番目ハ、今マデ
各人ガ別々ニヤツテ居ツタ所ノ營業ヲ企業
ノ經營合理化ノ爲ニ合同體ヲ作ツテ合同體ガ
營業ヲヤツテ居ル、サウシテ各營業者ハ其ノ
合同體ニ營業ヲ任セテヤラシタ、各、〓ノ分
量ノ實績ニ應ジテ、利益ノ分配ヲ受ケルト
云フ場合ニ於テハ營業稅ヲ取ツテ居ルガ、
果シテ其ノ通リカ、斯ウ云フ御尋ネデアリ
マスガ、仰シヤル通リデアリマス、其ノ解
釋ト致シマシテハ、從來ハ個人ガ營業ヲシ
テ居ツタノデアルケレドモ、今度ハ個人ノ
營業ヲ合同體ニ移シテ、合同體ヲ通ジテ各
人ガ從來ト同樣ノ營業ヲヤツテ居リ、其ノ
營業シタ分量ニ從ツテ利益ガ分配サレテ來
ルノデアリマスカラ、唯個人デヤルカ合同
體ヲ通ジルカト云フ差ダケデアリマシテ、
各個人ニ對シテハ依然營業ヲヤツテ居ルモ
ノト認定セザルヲ得ナイノデアリマス、之
ニ反シテ合同體ニ營業ヲ移シテシマフト共
ニ各個人ガ全ク廢業ヲシテシマフ、サウシ
テ合同體ニ入ツテ給料生活者トシテ賞與ヤ
俸給ヲ受ケテ居ルト云フコトニナレバ、是
ハ申上ゲルマデモナク營業者トシテ營業稅
ノ課稅ヲスルコトハナイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=91
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092・渡邊玉三郎
○渡邊(玉)委員 御親切ナ御答辯デ能ク分
リマシタガ、唯第三點ノ時ニ合同體デ營業
ヲシテ事實實績ニ依ツテ配當ヲ受ケテ居ル、
併シナガラ其ノ人ハ家事上ノ都合ニ依ツテ
東京ニ居ツタ人ガ横濱ニ移轉シテ行カナケ
レバナラナイ狀態デアル、併シナガラ横濱
デ常ニ配當ハ受ケテ居ツタ、斯ウ云フ時ニ
廢業ト認メラレル、斯ウ云フヤウニ私ハ承
知シテ居リマスガ、間違ヒハナイカ、ソレ
カラモウ一ツ變ツタコトデアリマスガ、昨
年ノ一月一日ニ親ガ子供ニ、長男ノ相續人
ニ贈與シタ其ノ相續稅ト云フモノハ遺產相
續稅ヲ適用サレルト思ヒマス、其ノ相續稅
ハ第七十五議會ノ改正前ノ相續稅ノ率ニ依
ルモノト思ヒマスガ、間違ヒアリマセヌカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=92
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093・松隈秀雄
○松隈政府委員 只今ノ御尋ネノ第一點
ハ、合同體ニ依ツテ營業ヲスルヤウニナツ
タモノガ住所ヲ移シテ、從來例ヘバ東京ニ
居ツタモノガ橫濱ニ引越シタト云フヤウナ
場合ニ於テ尙ホ營業ヲヤツテ居ル、實績ニ
從ツテ利益ノ分配ヲ受ケテ居ルト云フコト
デアリマスト、其ノモノハ東京ニ於ケル營
業所ヲ橫濱ニ移シタト見ラレ易イノデアリ
マスガ、是ハ具體的ノ場合ニ付テ判斷ヲシ
ナイト困難デアルト思ヒマス、從來ハ營業
所ラシカツタノデアルケレドモ、引越シタ
ト同時ニ全クシモタ屋ニ入ツテシマツタガ、
標準ダケハ營業ヲシテ居ル、其ノ營業ノ分
量ニ應ジテ利益ノ配當ヲ受ケルト云フコト
ニナツタ場合ニ、其ノ住所ヲ尙ホ營業所ト
見テ詰リ營業所ノ移轉アツタモノ、隨テ營
業ヲ繼續シテ居ルモノト見ルカドウカト云
フコトニ付テハ、能ク個々ノモノニ付テ判
斷シテ行クヨリ仕方ガナイト思ヒマス
ソレカラ次ノ御尋ネハ昨年ノ一月ニ親ガ
子ニ財產ヲ贈與シタモノハ昨年ノ改正セラ
レタ相續稅法、卽チ新法デアリマスガ、新法ノ
適用ヲ受ケルモノデアルカ、或ハ其ノ改正
前ノ相續稅法ノ適用ヲ受ケルモノデアルカ
ト云フ御尋ネデアリマスガ、ソレハ新法ノ、
詰リ改正後ノ相續稅法ノ適用ガアル、斯ウ
云フコトニ附則デ規定シテアルノデアリマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=93
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094・渡邊玉三郎
○渡邊(玉)委員 十二月三十一日ナラバソ
レデ宜イノデアツテ、便宜上年ノ境ヒニヤ
ツタノダ、一月一日ニヤツタト云フモノニ
付テモ御尋ネヲシテ居ルノデアリマスカラ、
間違ヒガアルカナイカ存ジマセヌガ、今一
應御尋ネ致シタイ
ソレカラ東京カラ横濱ヘ替ツタト云フノ
ハ、アナタハ御分リニナラヌト言ハレマス
ガ、東京カラ横濱ノ裏長屋ヘ入レバ廢業ト認
メルノダ、良イ家ヲ構ヘテ居レバ營業繼續ト
見ルノダ、斯ウ云フコトニ解釋シテ宜イノ
カ、私ハ是デ打切リマスカラ、ドウゾハツ
キリ御答辯ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=94
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095・松隈秀雄
○松隈政府委員 前ノ相續稅ノ方ノ問題カ
ラ先ニ御答ヘ申上ゲマス、先程申上ゲマシ
タノハ、昭和十五年一月一日以後ノ開始ト
見ラレル相續稅ニ付キマシテハ新法ノ適用
ガアル譯デアリマスカラ、贈與ガ昭和十五
年一月一日以後デアレバ新法ノ適用ガアリ
やく、隨テ昭和十四年十二月三十一日マデ
ニナシタ贈與ハ改正前ノ稅法ノ適用、斯ウ
云フ譯デアリマス
ソレカラ二番目ノ營業所ノ移轉ノ問題、
私ガ先程申上ゲタノデアリマスガ、ソレハ
裏長屋ダカラ營業ヲ廢止シタモノ、立派ナ
家ダカラ營業ヲヤツテ居ルト見ルト云フノ
デハナクシテ、其ノ越シテ行ツタ先ガ營業
ヲヤツテ居ルト認メラレナイヤウナ狀態ノ
家デアルナラバ、ソレハモウ引越シト同時
ニ營業ヲ廢止シタモノト見ルノガ適當デア
ラウ、引越シテ行ツタ先ニ於テモ相當營業
ヲヤツテ居ルト認メラレ、而モ合同體ヲ通
ジテ營業ヲヤツタ分量ニ應ジテ利益ノ配當
ヲ受ケルト云フノデアレバ致シ方ガナイ譯
デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=95
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096・渡邊玉三郎
○渡邊(玉)委員 今ノ廢業ノ問題デスガ、
合同體ガ營業シテ居ツテ、合同體ノ實績ニ
依ツテ配當ハ貰ツテ居ル、貰ツテ居ルカラ、
貰ツテ居ル者ニ付テハ廢業ト繼續ト二ツノ
見方ガアルノダト云フコトダケハ、アナタ
ノ御說明デ能ク分ルト思ヒマス、私モ其ノ
通リニ思ツテ居リマスガ、其ノ合同體カラ
配當ハ貰ツテ居ル、併シナガラソレヲ營業
ト見、廢業ト見ルト云フ時ノ考ヘ方ハ何處
デ御決定ニナルカ、斯ウ云フコトヲ簡單ニ
承レバ結構デス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=96
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097・松隈秀雄
○松隈政府委員 ソレハ合同體ガ利益ヲ分
配ヲシテ居ルノデアルカ、ソレトモ合同體
ニ勤勞ヲ提供シタコトニ對スル報酬ヲ拂ツ
テ居ルノデアルカドウカト云フコトハソ
コニ自ラ差別ガアルト思ハレマス、事業ノ
分量ニ應ジテ利益ノ配當ヲシテ居ルト云フ
〓·〓事業分量ニ依ツテ每月ノ配當金ト
云フヤウナモノガ違ツテ參ルト思ヒマスケ
レドモ、俸給賞與ヲ出シテ居ルト云フコト
デアレバ、俸給ハ大體月幾ラト云フヤウナ
コトデ確定シテ參リマスルシ、賞與ヲ出ス
月等モ自然習慣的ニ判定ガ付キ得ルノデハ
ナイカ、斯樣ニ考ヘマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=97
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098・渡邊玉三郎
○渡邊(玉)委員 分ラヌガモウ結構デス、
後デ又ヤリマスカラ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=98
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099・倉元要一
○倉元委員長 岩瀨君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=99
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100・岩瀬亮
○岩瀨委員 私ハ關稅定率法ノコトニ關シ
テ極ク簡單ニ御伺ヒ致シタイト思フノデア
リマス、最初ニ陸海軍ノ政府委員ガオ見エ
デゴザイマスカラ、其ノ方ニ御質問ヲシテ、
ソレガ濟ンダ後デ主稅局長ニ御尋ネシタイ
コトガアリマスカラ、モウ暫ク殘ツテ居テ
戴キタイ、近時我ガ國ニ於テ飛行機ノ發達
ハ非常ニ著シイモノガアリマスガ、之ニ要
スル液體燃料ノ供給ハ、洵ニ容易デナイト
思ヒマス、特ニ我ガ國ノ如ク天然石油資源
ニ乏シイ國ニ於キマシテハ、是ハ輸入ニ負
フカ、人造石油ニ依ラナケレバナラヌコトハ
當然ト存ジマス、人造石油ハ從來石炭液化、
無水酒精等ニ依リマシテ、「ガソリン」代用
トシテ參ツタノデアリマスガ、最近「ブタノー
ル」ニ依ル「オクタン」價ノ高イ燃料ガ、最
モ必要トセラルルト聞イテ居リマス、之ニ對
スル陸海軍御當局ノ御所見ヲ、先ヅ御伺ヒ
致シタイト存ジマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=100
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101・上田嬪治
○上田說明員 今ノ御質問ニ付キマシテ陸
軍ノ所見ヲ申上ゲマス、陸軍ト致シマシテ
ハ、特ニ航空揮發油ノ品質向上ニ付キマシ
テハ、重大ナ關心ヲ持ツテ居ルノデアリマ
ス、隨テ其ノ品質ヲ向上致シマス一手段デ
ゴザイマス、點火劑ノ生產、竝ニ其ノ原料ノ
低廉豐富ナ供給ヲ希望シテ居ル次第デアリ
マス、隨テ此ノ方法ニハ色々アルト思ヒマ
スガ、例ヘバ釀造法デ行クト云フコトニ致
シマスレバ、其ノ原料デアリマス澱粉性ノ
モノノ低廉豐富ナ供給ヲ希望シタイト云フ
ノハ、自然ノ結果ニナツテ來ルト思ヒマス、
特ニ現情勢竝ニ國內資源ニ鑑ミマス時ニ於
テ、其ノ希望ノ特ニ深イモノガアル譯デア
リマス、以上ヲ以チマシテ御答ヘト致シマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=101
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102・松本總雄
○松本說明員 海軍ノ意見ヲ申上ゲマス、
大體陸軍側カラ申サレマシタ通リ、「イソ·
オクタン」ノ原料トシテハ、量ガ多ケレバ、
多々益々結構デアリマス、ソレニ付テ御質
問ノ御趣旨ニ對シマシテハ、洵ニ同感デア
ルト思ツテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=102
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103・岩瀬亮
○岩瀨委員 我ガ國ニ於キマシテハ、無水
酒精ノ資源トシテ、甘藷、玉蜀黍等ノ農產
物ガアリマスガ、目下動モ致シマスト、食
糧等ノ關係カラ致シマシテ、國內ニ於テ燃
料用原料トスルコトガ、サウ容易ナコトデ
ハナイノデアリマス、然ルニ是等ノ農產物
ハ、大東亞共榮圈ニ求メマスレバ相當ゴザ
イマス、今囘ノ關稅定率法改正ノ趣旨モ、
亦茲ニアルモノト考へテ居リマス、然ルニ
是等ノ原料ハ、獨リ酒精ノ製造ノミナラズ、
飛行機用燃料トシテ、只今陸海軍御當局ノ
說明モアリマシタ通リ、「ブタノール」原料
トシテ、最モ必要トスルノデアリマス、隨
ヒマシテ本改正案ガ、唯酒精ヲ加フト云フノ
ミナラズ、是ト同時ニ「ブタノール」製造ニ
モ適用スル、「ブタノール」原料用ノ農產物
ノ方モ、酒精原料同樣ニ關稅率ノ改正ヲ
ナスコトガ、只今陸海軍御當局ノ御意見カ
ラ致シマジデモ、當然ナコトダト思ヒマス
ガ、念ノ爲メモウ一應此ノ件ニ對シテ、陸
海軍ノ御意見ヲ承リタイト存ジマス、簡單
デ宜シウゴザイマスカラ··発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=103
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104・松本總雄
○松本說明員 海軍ノ意見ヲ申上ゲマス、
先程申シタ通リニ、航空燃料ノ原料トシテ、
其ノ原料ヲ多量ニ供給スルト云フ御趣旨ニ
對シテハ、全ク同感デアリマスガ、只今直
チニ關稅法ヲ改正シテ、是ガ實施ヲ圖ルト
云フコトニ付テハ、別途考慮ノ餘地ガアル
ト思ツテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=104
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105・上田嬪治
○上田說明員 今海軍側カラ申サレマシタ
所ト、陸軍側ノ意見ハ大體同ジデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=105
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106・岩瀬亮
○岩瀨委員 只今ノ陸海軍ノ御答辯デ、其
ノ趣旨ハ結構ダガ、今直チニ本法案ヲ修正
スルマデニシナイデモ、他ニ適當ナ方法ガ
アラウト云フヤウナ御意見ト承リマシタ、
私ガ大藏當局ニ御伺ヒ致シタイコトハ、「ブ
タノール」ニ關スル陸海軍ノ御意見ハ、只
今御聞キノ通リデアリマシテ、私ハ關稅定率
法ノ改正ノ機會ニ、『「命令ヲ以テ指定シタル」
ノ下ニ「酒精、」ヲ加フ』ト斯ウナツテ居リマ
スガ、私ハ「ブタノール」ノコトモ附加ヘテ置
イタ方ガ、目下ノ時局柄性度ノ高イ代用燃
料ヲ豐富低廉ニスル上ニ於テ、國家ノ爲ニ
非常ニ必要ナコトデハナイカ、斯樣ニ考ヘ
マスルガ、大藏當局ノ御意見ヲ承リタイト
存ジマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=106
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107・松隈秀雄
○松隈政府委員 只今ノ御質問ハ政府ガ提
案シテ居リマスル『第九條第二項中「命令ヲ
以テ指定シタル」ノ下ニ「酒精、」ヲ加フ』トア
リマスノヲ、酒精ノ外ニ「ブタノール」ヲ加
ヘテハ如何カト云フノデアリマス、「ブタ
ノール」ヲ加ヘタイト云フコトハ、結局「ブチ
ル·アルコール」ニ付テ、御考慮ニナツテ居
ルコトダト思ヒマス、酒精ト申シマスノハ
「エチル·アルコール」ヲ指稱致シマスコト
ハ、關稅定率法其ノ他各種ノ法律ニ於テ常
識的ニナツテ居リマスノデ、「ブチル·アル
コール」ヲ考慮スルト云フコトニナリマス
レバ、御說ノ通リ「ブタノール」ヲ加ヘルト
云フコトニナルノデアリマス、「ブタノー
ル」「ブチル·アルコール」等ノ液體燃料ノ原
料モ、酒精ノ原則ト同ジヤウニ安ク供給シ
タラ如何デアルカト云フ御趣旨ニ付テハ、
贊成デアリマスルケレドモ、只今陸海軍ノ御
話ニモアリマシタヤウニ、直チニ關稅定率
法第九條ノ規定ニ依ツテ、其ノ原料ノ免稅
ヲ致シマスコトハ、免稅ノ技術上カラ相當
複雜ナ點モアリマシテ、却テ實情ニ適シナ
イ關係ガアリマス、又詳シクハ此ノ場合申
上ゲルコトヲ差控ヘマスケレドモ、他ノ方
法ニ依ツテ「ブチル·アルコール」ノ原料ト
ナルモノノ輸入稅ニ付テ、考慮スルコトモ
出來ルノデアリマス、其ノ方法ニ付キマシ
テハ、外國トノ關係モアリマシテ、此ノ場
合ハツキリ申上ゲマスコトハ出來マセヌケ
レドモ、結果ニ於テ大體御趣旨ノ達成出來
ルヤウニ考慮致シタイト存ジテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=107
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108・岩瀬亮
○岩瀨委員 只今主稅局長ノ御話デ能ク諒
承致シマシタ、私ノ狙フ所ハ此ノ法律ヲド
ウ斯ウスルト云ツタヤウナコトデハナシ
ニ、新シイ代用燃料トシテ、而モ性度ノ
高イ代用燃料トシテノ「ブタノール」、卽チ
「アセトン」「ブチル·アルコール」等ニ對シテ、
十分ナル對策ヲ講ジテ戴キタイト云フノガ
主眼デアリマスノデ、只今ノ說明ニ依ツテ
十分了承致シマシタ、左樣適當ニ御處置ヲ
願ヒタイト存ジマス
次ニ是ハ只今申上ゲタノトハ多少違
ツタ質問デゴザイマスガ、實ハ此ノ酒
精ノ原料デアル甘藷、玉蜀黍等ニ付テ
デゴザイマス、曾テ玉蜀黍、高梁等ノ關
稅値上ヲ致シタノデアリマス、其ノ時ノ主
ナル理由ハ、低イ關稅ニ依ツテ內地ノ澱粉
業者ガ非常ナ影響ヲ蒙ツテ、其ノ存立ニモ
關係ガアル、隨テ同ジ原料デアル所ノ玉蜀
黍、高梁等ノ關稅ヲ値上スベシト云フコト
カラ、關稅ノ値上ガ出來タモノト思ヒマス、
併シ時代ハ當時ト大分違ツテ參リマシタノ
デ、今日斯クノ如キ改正法律案ガ出マシテモ
當然ト思ツテ居リマス、唯當時ノ値上ノ狀
況ニ鑑ミマシテ、其ノ結果ガ內地ノ澱粉業
者等ニ大イナル影響ヲ-現在ニ於テハゴ
ザイマセヌガ、及ボスヤウナコトガナイヤ
ウニ、特ニ施行ニ當ツテ大藏當局ノ御注意ヲ
喚起シテ置キタイト思ヒマス、御承知ノ如
ク澱粉ニ付キマシテハ、當時ト現在デハ其
ノ重要性ニ於テ非常ナ違ヒヲ來シマシテ、
現在澱粉ノ增產ニ付キマシテモ、農林、商工
兩省ヨリ非常ニ急ガレテ居ルヤウナ次第デ
ゴザイマス、隨テ此ノ改正ノ施行ニ當ツテ、
澱粉ニ影響ノナイヤウニ御留意ヲ願ヒタイ
ト云フコトヲ申上ゲテ、之ニ對スル大藏當
局ノ所見ヲ一應承リタイト存ジマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=108
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109・松隈秀雄
○松隈政府委員 只今御述ベニナツタ點ハ
御尤モデアリマス、御承知ノ通リ關稅率ヲ
動カシマスル際ニ於キマシテハ、關稅調査
委員會ニモ諮問致シマスルノミナラズ、ソ
レニ提案スル前後ニ於キマシテモ、關係省
トモ能ク連絡ヲ致シマシテ、內地ニ惡影響
ノナイヤウニ、從來モ努メツツアツタノデ
アリマスルガ、今後モ努メタイト存ジテ居
リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=109
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110・岩瀬亮
○岩瀨委員 私ノ質問ハ是デ結構デス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=110
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111・倉元要一
○倉元委員長 豫メ御諮リ申上ゲテ置キマ
スガ、明日午前中デ此ノ委員會ヲ終リタイ
ト思ツテ居リマス、隨テ相續稅法中改正法
律案ト臨時利得稅法中改正法律案ノ質問ハ
今日デ終了シタモノト認メマス、明日關稅
ノ關係ニ於ケル質問ハ芦田君ガ一點ダケ商
工省關係ニ於テ殘ツテ居リマス、此ノ質問
ガ終レバ全部終了致シマスカラ、明日ハ討
論ニ入ツテ、四案トモ採決ヲ致シタイト存
ジマス、ドウゾ其ノ點御含ミノ上ニ、明日
成ベク御誘ヒノ上、多數御出席ノ程ヲ願ヒ
マス、本日ハ是ニテ散會致シマス
午後四時四十二分散會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007610398X00319410205&spkNum=111
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