1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十六年二月八日(土曜日)
午後一時十七分開議
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議事日程 第十一號
昭和十六年二月八日
午後一時開議
第一 外國爲替管理法改正法律案(政府提出) 第一讀會
第二 國税徴收法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第三 關税法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第四 不動産融資及損失補償法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第五 臨時資金調整法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第六 重要機械製造事業法案(政府提出) 第一讀會
第七 兌換銀行券條例の臨時特例に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第八 朝鮮銀行法及臺灣銀行法の臨時特例に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第九 朝鮮銀行法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第十 臺灣銀行法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第十一 工作機械製造事業法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第十二 日本製鐵株式會社法中改正法律案(政府提出) 第一讀會
第十三 民事訴訟法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第十四 陪審法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第十五 無盡業法中改正法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
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〔左の報告は朗讀を經さるも參照の爲茲に掲載す〕
一政府より提出せられたる議案左の如し
勞働者年金保險法案
(以上二月六日提出)
(第二號)昭和十五年度歳入歳出總豫算追加案
(特第二號)昭和十五年度各特別會計歳入歳出豫算追加案
昭和十二年法律第九十號中改正法律案(米穀の應急措置に關する件)
産業組合中央金庫特別融通及損失補償法中改正法律案
輸出補償法中改正法律案
治安維持法改正法律案
蠶絲業統制法案
(以上二月七日提出)
一昨七日貴族院に於て本院の送付に係る左の政府提出案を可決したる旨同院より通牒を受領せり
昭和十二年法律第八十四號中改正法律案(支那事變に關する臨時軍事費支瓣の爲公債發行に關する件)
一去六日近衞内閣總理大臣より左の通發令ありたる旨の通牒を受領せり
大藏書記官 山際正道
第七十六囘帝國議會大藏省所管事務政府委員被仰付
一去六日常任委員補闕選擧の結果左の如し
第五部選出
豫算委員 米窪滿亮君(冨吉榮二君補闕)
第六部選出
豫算委員 松本治一郎君(西尾末廣君補闕)
一去六日議長に於て選定したる委員左の如し
貸家組合法案(政府提出)外二件委員
添田敬一郎君 小畑虎之助君
野方次郎君 野口喜一君
原玉重君 青木作雄君
池崎忠孝君 大内竹之助君
大島寅吉君 川崎巳之太郎君
喜多壯一郎君 北浦圭太郎君
工藤鐵男君 塩川正藏君
高見之通君 瀧澤七郎君
塚本重藏君 土屋清三郎君
冨吉榮二君 中山福藏君
西村茂生君 一松定吉君
眞鍋儀十君 三浦虎雄君
宮澤裕君 山川頼三郎君
行吉角治君
恩給法中改正法律案(政府提出)委員
林平馬君 坂田道男君
宮本雄一郎君 森田重次郎君
木村正義君 熊谷五右衞門君
椎尾辨匡君 庄司一郎君
杉山元治郎君 曾和義弌君
仲井間宗一君 則元卯太郎君
服部岩吉君 福田悌夫君
古田喜三太君 本田英作君
村瀬武男君 吉植庄亮君
一去六日に於ける特別委員の異動左の如し
樺太開發株式會社法案(政府提出)委員
辭任中野寅吉君 補闕岩瀬亮君
昭和十二年法律第九十二號中改正法律案(輸出入品等に關する臨時措置に關する件)(政府提出)委員
辭任鈴木英雄君 補闕森田福市君
一昨七日近衞内閣總理大臣より左の通發令ありたる旨の通牒を受領せり
厚生書記官 高橋敏雄
同 中島賢藏
同 吉武惠市
第七十六囘帝國議會厚生省所管事務政府委員被仰付
一昨七日議長に於て辭任を許可したる常任委員左の如し
第五部選出豫算委員 堤康次郎君
一昨七日委員長及理事互選の結果左の如し
貸家組合法案(政府提出)外二件委員
委員長 添田敬一郎君
理事
小畑虎之助君 野方次郎君
野口喜一君 原玉重君
恩給法中改正法律案(政府提出)委員
委員長 林平馬君
理事
坂田道男君 宮本雄一郎君
森田重次郎君
一昨七日特別委員理事補闕選擧の結果左の如し
健康保險法中改正法律案(政府提出)委員
理事 伊東岩男君(理事林讓治君去五日委員辭任に付其の補闕)
一昨七日に於ける特別委員の異動左の如し
恩給法中改正法律案(政府提出)委員
辭任木村正義君 補闕樋口善右衞門君
昭和十二年法律第九十二號中改正法律案(輸出入品等に關する臨時措置に關する件)(政府提出)委員
辭任作田高太郎君 補闕長野高一君
健康保險法中改正法律案(政府提出)委員
辭任木原七郎君 補闕長井源君
貸家組合法案(政府提出)外二件委員
辭任工藤鐵男君 補闕内藤正剛君
辭任高見之通君 補闕田代正治君
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=0
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001・小山松壽
○議長(小山松壽君) 是ヨリ會議ヲ開キマ
ス、日程第一、外國爲替管理法改正法律案
ノ第一讀會ヲ開キマス-廣瀨大藏次官
第外國爲替管理法改正法律案(政
府提出)第一讀會
外國爲替管理法改正法律案
外國爲替管理法
第一條政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ左
ニ揭グル取引又ハ行爲ヲ禁止又ハ制限
スルコトヲ得
外國通貨又ハ外國爲替ノ取得又ハ
處分
二通貨若ハ外國通貨ノ輸出若ハ輸入、
金地金、金ノ合金若ハ金ヲ主タル材
料トスル物ノ輸出又ハ金貨幣ノ鑄潰
若ハ毀傷
三外國ヘノ送金ニシテ前一一號ニ包含
スル方法ニ依ラザルモノ
四外國ニ於テ爲シタル委託ニ基キ又
ハ外國居住者(法人ノ外國ニ在ル支
店其ノ他ノ營業所ヲ含ム以下同ジ)
ノ爲ニスル本邦內ニ於テ爲ス支拂又
ハ其ノ受領
五外國ニ於テ爲ス支拂ノ本邦内ニ於
ケル委託
六本邦居住者(法人ノ本邦內ニ在ル
支店其ノ他ノ營業所ヲ含ム)ノ爲ニ
スル外國ニ於テ爲ス支拂又ハ其ノ受
領
七外國居住者ニ對スル債權ノ取立又
ハ取立ノ依賴若ハ引受
八外國居住者ノ爲ニスル債權ノ取立
又ハ取立ノ依賴若ハ引受
九外國居住者、本邦內ニ居住スル外
國人(外國法人ノ本邦內ニ在ル支店
其ノ他ノ營業所ヲ含ム)又ハ命令ノ
定ムル本邦法人ノ本邦內ニ於テ爲ス
財產(事業若ハ營業又ハ之ニ對スル
出資ヲ含ム以下同ジ)ノ取得若ハ處
分、預ヶ金ノ引出又ハ貸出金ノ囘收
十前號ニ揭グル者ノ爲又ハ之ヲ相手
方トスル本邦內ニ於テ爲ス前號ニ揭
グル取引又ハ行爲
十一外國爲替相場ノ取極
十二外國通貨ヲ以テ表示スル證劵(財
產權ヲ證スル證書及帳簿ヲ含ム以下
同ジ)、債權又ハ債務ノ取得又ハ處分
十三本邦通貨ヲ以テ表示スル外國居
住者ニ對スル債權又ハ債務ノ取得又
ハ處分
十四信用狀ノ發行又ハ取得
十五外國居住者ニ信用ヲ與フル行爲
十六證劵ノ輸出又ハ輸入
十七價額ノ全部又ハ一部ニ付外國爲
替ヲ取組マザル貨物ノ輸出又ハ輸入
十八外國ニ在ル財產ニシテ第一號、
第十二號又ハ第十三號ニ揭ゲザルモ
ノノ取得又ハ處分
第二條政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ外
國爲替ニ關スル取引ヲ日本銀行其ノ他
政府ノ指定スル者ヲ相手方トスル場合
ニ限定スルコトヲ得
第三條政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ左
ニ揭グル財產ニ關シ日本銀行其ノ他政
府ノ指定スル者ニ對スル賣却其ノ他必
要ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
一外國通貨又ハ外國爲替
二外國通貨ヲ以テ表示スル證劵若ハ
債權又ハ本邦通貨ヲ以テ表示スル外
國居住者ニ對スル債權
三外國ニ在ル財產ニシテ前二號ニ揭
ゲザルモノ
前項ノ規定ニ依リ政府ノ指定スル者ニ
賣却スベキコトヲ命ジタル場合ノ賣却
價額ハ政府之ヲ定ム
第四條政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ外
國ヘノ送金、外國ヨリノ送金ノ受領其
ノ他外國トノ間ニ於ケル債權債務ノ決
濟又ハ外國ヨリ外國ヘノ送金其ノ他外
國間ニ於ケル債權債務ノ決濟ニ關シ其
ノ方法、條件其ノ他必要ナル事項ヲ命
ズルコトヲ得
第五條政府ハ必要アルトキハ命令ノ定
ムル所ニ依リ報〓ヲ徵シ、帳簿書類ノ
備付ヲ命ジ、帳簿書類ノ記載方ヲ指定
シ又ハ當該官吏ヲシテ必要ナル場所ニ
臨檢シ業務狀況若ハ帳簿書類其ノ他ノ
物件ヲ檢査セシムルコトヲ得
關稅法第八十四條乃至第九十三條ノ規
定ハ本法ニ基キテ發スル命令ノ違反事
件ニ付之ヲ準用ス但シ同法ニ定ムル職
務ヲ行フ官吏ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第六條政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ本
法ノ施行ニ關スル事務ノ一部ヲ日本銀
行其ノ他政府ノ指定スル者ヲシテ取扱
ハシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ事務ノ一部ヲ日本銀
行ヲシテ取扱ハシメタル場合ニ於テ當
該事務ノ取扱ニ要スル經費ハ日本銀行
ノ負擔トス
第一項ノ場合ニ於テ當該事務ニ從事ス
ル日本銀行其ノ他政府ノ指定スル者ノ
職員ハ之ヲ法令ニ依リ公務ニ從事スル
職員ト看做ス
第七條第一條又ハ第二條ノ規定ニ基キ
テ發スル命令ヲ以テ規定スル取引又ハ
行爲ノ禁止又ハ制限ニ違反シタル者ハ
三年以下ノ懲役若ハ禁錮又ハ一萬圓以
下ノ罰金ニ處ス但シ當該取引又ハ行爲
ノ目的物ノ價額ノ三倍ガ一萬圓ヲ超ユ
ルトキハ罰金ハ當該價額ノ三倍以下ト
ス
第一條ノ規定ニ基キテ發スル命令ニ違
反シ金貨幣、金地金、金ノ合金若ハ金
ヲ主タル材料トスル物ヲ輸出スル目的
ヲ以テ收得シ若ハ輸出セントシタル者
又ハ通貨、外國通貨若ハ證劵ヲ輸出若
ハ輸入セントシタル者亦前項ニ同ジ
第八條第三條ノ規定ニ基キテ發スル命
令又ハ當該命令ニ依ル外國通貨其ノ他
ニ關シ必要ナル事項ヲ爲スベキ旨ノ政
府ノ命ニ從ハザル者ハ一年以下ノ禁錮
又ハ當該外國通貨其ノ他ノ價額ノ二倍
以下ノ罰金ニ處ス
第九條第四條ノ規定ニ基キテ發スル命
令又ハ當該命令ニ依ル政府ノ命ニ從ハ
ザル者ハ一年以下ノ禁錮又ハ五千圓以
下ノ罰金ニ處ス
第十條第五條ノ規定ニ基キテ發スル命
令又ハ當該命令ニ依ル政府ノ命ニ違反
シ報告ヲ爲サズ、虛僞ノ報告ヲ爲シ、
帳簿書類ノ備付ヲ爲サズ、之ニ記載ス
ベキ事項ヲ記載セズ、之ニ虚僞ノ記載
ヲ爲シ、之ノ記載方ノ指定ニ從ハズ、
業務狀況若ハ帳簿書類其ノ他ノ物件ノ
檢査ヲ拒ミ又ハ帳簿書類ノ隱蔽不實ノ
申立其ノ他ノ方法ニ依リ檢査ヲ妨ゲタ
ル者ハ六月以下ノ禁錮又ハ五千圓以下
ノ罰金ニ處ス本法ニ基キテ發スル命令
ニ依リ提出スル許可ノ申請書其ノ他ノ
書類ニ虚僞ノ記載ヲ爲シタル者亦同ジ
第十一條本法ニ基キテ發スル命令ニ依
リテ爲ス處分ニ附シタル條件ニ違反シ
タル者ハ一年以下ノ禁錮又ハ五千圓以
下ノ罰金ニ處ス
第十二條法人ノ代表者又ハ法人若ハ人
ノ代理人、使用人其ノ他ノ從業者ガ其
ノ法人又ハ人ノ業務ニ關シテ第七條乃
至前條ノ違反行爲ヲ爲シタルトキハ行
爲者ヲ罰スルノ外其ノ法人又ハ人ニ對
シ亦第七條乃至前條ノ罰金刑ヲ科ス
第十三條本法ノ罰則ハ本法施行地ニ本
店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ノ代
表者、代理人、使用人其ノ他ノ從業者ガ
本法施行地外ニ於テ爲シタル行爲ニモ
之ヲ適用ス本法施行地ニ住所ヲ有スル
人又ハ其ノ代理人、使用人其ノ他ノ從
業者ガ本法施行地外ニ於テ爲シタル行
爲ニ付亦同ジ
第十四條當該官吏、外國爲替管理委員
會ノ會長委員幹事若ハ第六條ニ規定ス
ル日本銀行其ノ他政府ノ指定スル者ノ
職員又ハ其ノ職ニ在リタル者本法ニ依
ル職務執行ニ關シ知得タル法人又ハ人
ノ業務上ノ祕密ヲ漏洩シ又ハ竊用シタ
ルトキハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第十五條第三條ノ財產ノ賣却價額其ノ
他本法ノ施行ニ關スル重要事項ニ付主
務大臣ノ諮問ニ應ズル爲外國爲替管理
委員會ヲ置ク
外國爲替管理委員會ノ組織及權限ハ勅
令ヲ以テ之ヲ定ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔政府委員廣瀨豐作君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=1
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002・廣瀬豐作
○政府委員(廣瀨豐作君) 只今議題トナリ
マシタ外國爲替管理法中改正法律案ニ付テ
提案ノ理由ヲ說明致シマス
現行外國爲替管理法ハ、昭和八年五月施
行以來、數次ノ改正ニ依リマシテ之ヲ補整
シテ參リマシタノデ、現在デハ主トシテ國
際收支ノ均衡ヲ目途トスル平時的爲替管理
ノ形態ト致シマシテハ、略、く、完備致シタノデ
アリマスガ、歐洲戰爭ノ勃發竝ニ三國條約ノ
締結條約等、世界政局ノ變動ニ伴フ複雜ナル
情勢ニ應ジ、本邦ノ對外經濟力ノ維持仲張
ヲ圖リマス爲ニハ尙ホ不十分ナ點ガ少ク
ナイノデアリマシテ更ニ之ヲ補强スルノ
必要ヲ生ズルニ至ツタノデアリマス、卽チ
交戰國ハ申スマデモナク、其ノ他ノ諸國モ
國防ノ强化、國力ノ充實ヲ圖ル爲メ、ソレ
ゾレ貿易若シクハ爲替ニ關シ强度ノ統制措
置ヲ實施シ、全ク自國本位ノ政策ニ專念シ
テ居ル狀況デアリマス、斯カル情勢ニ對處
致シマスルニハ本邦側ニ於キマシテモ亦
對外決濟方法ニ關スル統制範圍ヲ擴充致シ、
外貨、資產等ニ付キ其ノ保全的措置又ハ活
用方法ヲ講ジマシテ、或ハ又我ガ對外權益
擁護ノ爲メ、有效適切ナル措置ヲ執ル等ノ
必要ガ增大シテ參ツタノデアリマス、然ル
ニ現行法ニハ是等ニ關スル規定ヲ缺イテ居リ
マスルノデ、今囘之ヲ追加致シマスルト共
ニ、從來ニ於ケル運用ノ經驗ニ徵シマシテ、
追加補整ヲ必要ト認メマシタ事項ヲモ、此
ノ際併セテ改正致シ、以テ其ノ內容ノ整備
强化ヲ圖ラントスルモノデアリマス
以上ノ理由ニ依リマシテ玆ニ本改正法律
案ヲ提出シタ次第デアリマス、何卒御審議
ノ上協贊ヲ與ヘラレンコトヲ希望致シマス
(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=2
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003・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=3
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004・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ議長指名十八名ノ委
員ニ付託サレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=4
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005・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=5
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006・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
二及ビ第三ハ、便宜上一括議題トナスニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=6
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007・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程第二、國稅徵收法中改正法律
案、日程第三、關稅法中改正法律案、右兩
案ヲ一括シテ第一讀會ヲ開キマス-廣瀨
大藏次官
第二國稅徵收法中改正法律案(政府
提出)第一讀會
第三關稅法中改正法律案(政府提出)
第一讀會
國稅徵收法中改正法律案
國稅徴收法中左ノ通改正ス
第二十四條ニ左ノ一項ヲ加フ
公益上必要アル場合ニ於テハ隨意契約
ヲ以テ第一項ノ公賣ニ代フルコトヲ得
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
關稅法中改正法律案
關稅法中左ノ通改正ス
第五十條ニ左ノ一項ヲ加フ
公益上必要アル場合ニ於テハ隨意契約
ヲ以テ前項ノ公賣ニ代フルコトヲ得
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔政府委員廣瀨豐作君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=7
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008・廣瀬豐作
○政府委員(廣瀨豐作君) 只今議題トナリ
マシタ國稅徵收法中改正法律案竝ニ關稅法
中改正法律案ニ付キ、一括シテ改正ノ理由
ヲ說明致シマス
國稅徴收法ニ基ク滯納處分ニ依リマシテ
差押ヘタル物件、竝ニ關稅法ニ依リ收容シタ
ル貨物ノ分ニ付マシテハ、現行法上ソレ/
公賣ニ依ツテ之ヲ賣却スルコトト相成ツテ
居ルノデアリマス然ルニ是等ノ物件ノ處
分ヲ公賣ノ方法ノミニ限ツテ置キマスルコ
トハ、國家總動員法ニ基ク價格等統制令又
ハ輸出入品等ノ臨時措置ニ關スル法律ニ基
ク物資配給統制規則等ノ施行上適當デナイ
場合ヲ生ズルコトガアリマスルノデ、斯カ
ル不都合ヲ避ケマスル爲ニ、公益上必要ア
ル場合ニ於キマシテハ國稅徵收法ニ依ル
差押物件、竝ニ關稅法ニ依ル收容貨物ノ處
分ハ、必ズシモ公賣ニ依ラズ、隨意契約ニ
依ツテモ之ニ賣却シ得ルコトニ、ソレ〓
法律ヲ改正致シマシテ、價格等統制令其ノ
他ノ統制法規トノ調和ヲ圖ラントスルモノ
デアリマス、何卒御審議ノ上速カニ御協賛
ヲ與ヘラレンコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=8
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009・小山松壽
○議長(小山松壽君) 各案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=9
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010・服部崎市
○服部崎市君 日程第二及ビ第三ノ兩案ハ
一括シテ政府提出、關稅定率法中改正法律案
外一件委員ニ併セ付託サレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=10
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011・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=11
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012・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
四及ビ第五ハ便宜上一括議題トナスニ御
異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=12
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013・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、日程第四、不動產融資及損失補償法中
改正法律案、日程第五、臨時資金調整法中
改正法律案、右兩案ヲ一括シテ第一讀會ヲ
開キマス-廣瀨大藏次官
第四不動產融資及損失補償法中改正
法律案(政府提出)第一讀會
第五臨時資金調整法中改正法律案
(政府提出)第一讀會
不動產融資及損失補償法中改正法律案
不動產融資及損失補償法中左ノ通改正ス
第二條中「九年」ヲ「十二年」ニ、「十八年」
ヲ「二十一年」ニ改ム
第七條第二項ヲ削リ同條第一項中「不動
產融資損失審査會」ヲ「日本銀行特別融通
及損失補償法第五條ノ特別融通損失審査
會」ニ改ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本法施行前不動產融資損失審査會ノ決定
シタル融資銀行ノ受ケタル損失及其ノ額
ハ第七條ノ改正規定ニ依ル特別融通損失
審査會ノ決定シタルモノト看做ス
臨時資金調整法中改正法律案
臨時資金調整法中左ノ通改正ス
第六條中「十億圓」ヲ「二十億圓」ニ改ム
第十三條中「五億圓」ヲ「十億圓」ニ改ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔政府委員廣瀨豐作君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=13
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014・廣瀬豐作
○政府委員(廣瀨豐作君) 只今議題トナリ
マシタ不動產融資及損失補償法中改正法律
案外一件ニ付キマシテ、其ノ提案ノ理由ヲ
說明致シマス
先ズ不動產融資及損失補償法中改正法律
案ニ付テ申上ゲマス、不動產融資及損失補
償法ハ、昭和七年、當時ニ於ケル金融梗塞
ノ情勢ニ鑑ミ、銀行ノ有スル不動產固定資
產ヲ流動化セシムル目的ヲ以テ制定セラレ
タノデアリマスルガ、本法ノ融通期間ニ付
キマシテハ當初本法施行ノ日ヨリ三年ト
アリマシタノヲ、昭和十年及ビ同十三年ノ
兩度ニ亙リ、ソレ〓〓三年ヅツ延長致シマ
シテ、又本法ニ依ル融通期限ニ付キマシテ
ハ當初本法施行ノ日ヨリ十五年トアリマ
シタノヲ、昭和十三年ニ於テ三年ノ延長ヲ
致シタノデアリマス
〔議長退席、副議長着席)
然ルニ最近ニ於ケル經濟界ノ情勢ニ鑑ミマ
スル時ハ、本法利用ノ餘地ハ尙ホ少クナイ
モノト認メラレマスルノミナラズ、事變ノ
際デモアリマスルノデ、右融通期間及ビ融
通期限ヲ、更ニソレ〓〓三年ヅツ延長スル
ヲ適當ト認メタノデアリマス、尙ホ不動產
融資損失審査會ニ付キマシテハ、之ヲ日本
銀行特別融通及損失補償法ニ依ル特別融通
損失審査會ト合併スルヲ適當ト認メマシテ、
是等ノ爲ニ本案ヲ提出致シタ次第デアリマ
ス
次ニ臨時資金調整法中改正法律案ニ付テ
說明致シマス、支那事變ノ進展ニ伴ヒマ
シテ生產力擴充資金其ノ他時局ニ緊要ナ
ル資金ノ中、日本興業銀行ニ於テ供給スベ
キ金額ハ、今後一層增加スルモノト認メラ
レマスルノデ、同行ノ資金調達力ヲ增大シ、
以テ極力時局金融ノ疏通ヲ圖ラシメンガ爲
二、興業債劵ノ發行限度竝ニ其ノ元利金ノ
支拂ニ付テ、政府ニ於テ保證シ得ル限度ヲ
擴張スル必要ガアリマスルト共ニ、現下ノ
國內經濟事情ニ顧ミマスル時ハ、國民貯蓄ノ
增加ノ必要ハ今後益〓。要要ナルモノガアリマ
スルガ、現在貯蓄債劵ノ發行餘力ハ少額ト
ナリマシタノデ、其ノ發行限度ヲ擴張スル
必要ガアルト認メマシテ、本法律案ヲ提出
致シマシタ次第デアリマス、何卒御審議ノ
上速カニ協賛ヲ與ヘラレンコトヲ希望致シ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=14
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015・田子一民
○副議長(子田一民君) 各案ノ審査ヲ付託
スベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=15
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016・服部崎市
○服部崎市君 日程第四及ビ第五ノ兩案ハ、
一括シテ政府提出、外國爲替管理法改正法
律案委員ニ併セ付託サレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=16
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017・田子一民
○副議長(田子一民君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=17
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018・田子一民
○副議長(田子一民君) 御異議ナシト認メ
やって、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程
第六、重要機械製造事業法案ノ第一讀會ヲ
開キマス-小林商工大臣
第六重要機械製造事業法案(政府提
川第一讀會
重要機械製造事業法案
重要機械製造事業法
第一條本法ニ於テ重要機械ト稱スルハ
勅令ヲ以テ定ムル機械、機械部分品(部
分品ノ半成品ヲ含ム)及器具ヲ謂ヒ重
要機械製造專業ト稱スルハ重要機械ノ
製造又ハ組立ヲ爲ス事業ヲ謂フ
第二條重要機械製造事業ヲ營マントス
ル者ハ政府ノ許可ヲ受クベシ但シ命令
ヲ以テ定ムル重要機械製造事業ニ付テ
ハ此ノ限ニ在ラズ
本法ニ定ムルモノノ外前項ノ許可ニ關
シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第三條前條ノ許可ヲ受ケタル者(重要
機械製造事業者)ハ政府ノ指定スル期
間內ニ其ノ事業ヲ開始スベシ
政府ハ正當ノ事由アリト認ムル場合ニ
限リ前項ノ期間ノ延長ヲ許可スルコト
ヲ得
重要機械製造事業者前一一項ノ期間內ニ
其ノ事業ヲ開始セザルトキハ前條ノ許
可ハ其ノ效力ヲ失フ
第四條勅令ヲ以テ指定スル重要機械製
造事業(指定重要機械製造事業)ヲ營ム
重要機械製造事業者政府ノ認可ヲ受ケ
本法施行後五年以內ニ於テ政府ノ指定
スル期間內ニ命令ノ定ムル規模以上ノ
設備ヲ新設シ又ハ增設シタルトキハ命
令ノ定ムル所ニ依リ設備完成ノ年及其
ノ翌年ヨリ五年間其ノ新設シ又ハ增設
シタル設備ヲ以テ營ム指定重要機械製
造事業ニ付所得稅又ハ所得ニ對スル法
人稅及營業稅ヲ免除ス
前項ノ事業ヨリ生ズル所得又ハ純益ガ
法人ニ在リテハ各事業年度、個人ニ在
リテハ各年ノ資本金額ニ對シ年百分ノ
十ノ割合ヲ以テ算出シタル金額ヲ超ユ
ルトキハ其ノ超過額ニ相當スル所得又
ハ純益ニ付テハ前項ノ規定ヲ適用セズ
但シ設備完成ノ年及其ノ翌年ヨリ三年
間其ノ新設シ又ハ增設シタル設備ヲ以
テ營ム指定重要機械製造事業ニ付テハ
此ノ限ニ在ラズ
前項ノ資本金額ノ計算方法ハ命令ヲ以
テ之ヲ定ム
第一項ノ重要機械製造事業者其ノ設備
完成前其ノ一部ヲ以テ指定重要機械製
造事業ヲ營ム場合ニ於テモ其ノ事業ニ
付所得稅又ハ所得ニ對スル法人稅及營
業稅ヲ免除ス但シ同項ノ規定ニ依ル期
間內ニ設備ヲ完成セザルトキハ此ノ限
ニ在ラズ
第五條北海道、府縣及市町村其ノ他之
ニ凖ズベキモノハ前條ノ規定ニ依リ所
得稅又ハ所得ニ對スル法人稅及營業稅
ヲ免除セラレタル重要機械製造事業者
ニハ同條第二項ノ規定ニ依リ賦課セラ
レタル營業稅ノ附加稅ヲ除クノ外其ノ免
除セラレタル事業ニ對シ課稅スルコト
ヲ得ズ但シ特別ノ事情ニ基キ政府ノ認
可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第六條第四條ノ規定ニ依リ所得稅又ハ
所得ニ對スル法人稅及營業稅ノ免除ヲ
受クベキ事業ヲ繼續スル者又ハ其ノ事業
ヲ繼續スルモノト認ムベキ事實アル者
ハ前事業者ガ同條ノ規定ニ依ル所得稅
又ハ所得ニ對スル法人稅及營業稅免除
期間內ニ在ルトキハ其ノ期間ヲ承繼ス
第七條指定重要機械製造事業ヲ營ム重
要機械製造事業者其ノ事業ノ爲必要ナ
ル機械又ハ器具ヲ政府ノ認可ヲ受ケ輸
入スルトキハ本法施行ノ日ヨリ五年間
命令ノ定ムル所ニ依リ輸入稅ヲ免除ス
第八條重要機械製造事業者ノ營ム重要
機械製造事業ニシテ勅令ヲ以テ定ムル
モノハ土地收用法第二條ノ土地ヲ收用
又ハ使用スルコトヲ得ル事業トシ同法
ヲ適用ス
第九條重要機械製造事業者タル株式會
社ハ政府ノ認可ヲ受ケ其ノ事業ニ屬ス
ル設備ノ費用ニ充ツル爲商法第二百九
十七條ノ規定ニ依ル制限ヲ超エテ社債
ヲ募集スルコトヲ得但シ社債ノ總額ハ
拂込ミタル株金額ノ二倍ヲ超ユルコト
ヲ得ズ
最終ノ貸借對照表ニ依リ會社ニ現存ス
ル純財產額ガ拂込ミタル株金額ニ滿タ
ザルトキハ前項ノ規定ヲ適用セズ
第一項ノ規定ニ依リ募集スル社債ニ付
テハ工場抵當法ニ依リ會社ノ事業ニ屬
スルモノヲ抵當ト爲スコトヲ要ス但シ
特別ノ事情アル場合ニ於テ政府其ノ必
要ナシト認メタルトキハ此ノ限ニ在ラ
ズ
第十條重要機械又ハ其ノ部分品ノ輸入
ガ重要機械製造事業ノ確立ヲ妨グルノ
虞アルトキハ政府ハ命令ノ定ムル所ニ
依リ期間ヲ定メ重要機械又ハ其ノ部分
品ノ輸入ヲ制限スルコトヲ得
第十一條重要機械又ハ其ノ部分品ノ輸
入ニ因リ重要機械ノ市價ノ低落ヲ來シ
重要機械製造事業ノ確立ヲ妨グルノ虞
アルトキハ政府ハ勅令ノ定ムル所ニ依
リ關稅調査委員會ノ議ヲ經テ期間ヲ定
メ重要機械又ハ其ノ部分品ニ對シ關稅
定率法別表輸入稅表ニ定ムル輸入稅ノ
外其ノ物品ノ價格ノ五割ニ相當スル金
額以下ノ輸入稅ヲ課スルコトヲ得
第十二條重要機械製造事業者其ノ設備
ヲ增設シ又ハ變更セントスルトキハ命
令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ許可ヲ受ク
ベシ
第十三條重要機械製造事業者其ノ事業
ノ全部又ハ一部ヲ讓渡シ、廢止シ又ハ
休止セントスルトキハ命令ノ定ムル所
ニ依リ政府ノ許可ヲ受クベシ
重要機械製造事業者タル法人ノ合併又
ハ解散ノ決議ハ命令ノ定ムル所ニ依リ
政府ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效
力ヲ生ゼズ
第十四條重要機械製造事業者ハ命令ノ
定ムル所ニ依リ事業計畫ヲ定メ政府ニ
之ヲ屆出デ又ハ政府ノ認可ヲ受クベシ
之ヲ變更セントスルトキ亦同ジ
政府必要アリト認ムルトキハ事業計畫
ノ變更ヲ命ズルコトヲ得
第十五條重要機械製造事業者ト他ノ重
要機械製造事業者又ハ第二條第一項但
書ノ規定ニ該當スル重要機械製造事業
ヲ營ム者トノ間ニ重要機械ノ製造又ハ
販賣ニ關シ命令ノ定ムル協定成立シタ
ルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ政
府ニ屆出ヅベシ其ノ變更又ハ廢止アリ
タルトキ亦同ジ
政府公益上必要アリト認ムルトキハ前
項ノ協定ノ變更又ハ取消ヲ命ズルコト
ヲ得
第十六條政府ハ重要機械製造事業者ニ
對シ業務及財產ノ狀況ニ關シ報〓ヲ爲
サシムルコトヲ得
政府ハ重要機械製造事業者ニ對シ業務
及會計ニ關シ監督上必要ナル命令ヲ發
シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
政府監督上必要アリト認ムルトキハ當
該官吏ヲシテ重要機械製造事業者ノ事
務所、營業所、工場、倉庫其ノ他ノ場
所ニ臨檢シ業務若ハ財產ノ狀況又ハ帳
簿書類其ノ他ノ物件ヲ檢査セシムルコ
トヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示
ス證票ヲ携帶セシムベシ
第十七條政府公益上必要アリト認ムル
トキハ重要機械製造事業者ニ對シ重要
機械ノ販賣價格若ハ販賣條件ノ變更ヲ
命ジ又ハ重要機械ノ需要供給ヲ調節ス
ル爲必要ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
第十八條政府重要機械製造事業ノ發達
ヲ圖ル爲又ハ軍事上特ニ必要アリト認
ムルトキハ重要機械製造事業者ニ對シ
重要機械又ハ其ノ部分品ニ付〓究、試
作其ノ他製造ニ關スル命令ヲ爲シ又ハ
設備ノ擴張、改良、變更若ハ工場ノ移
轉ヲ命ズルコトヲ得
第十九條政府軍事上必要アリト認ムル
トキハ重要機械製造事業者ニ對シ特殊
設備ノ施設其ノ他軍事上必要ナル事項
ヲ命ズルコトヲ得
第二十條前二條ノ規定ニ依リ爲シタル
命令ニ因リ生ジタル損失ハ勅令ノ定ム
ル所ニ依リ政府之ヲ補償ス
前項ノ補償ヲ伴フベキ命令ハ之ニ因リ
要スベキ補償金ノ總額ガ帝國議會ノ協
贊ヲ經タル金額ヲ超エザル範圍內ニ於
テ之ヲ爲スコトヲ要ス
第二十一條政府重要機械製造事業ノ發
達ヲ圖ル爲特ニ必要アリト認ムルトキ
ハ命令ノ定ムル所ニ依リ重要機械製造
事業者ニ對シ重要機械ノ製造若ハ販賣
ニ關シ協定ノ設定ヲ命ジ又ハ協定ノ加
盟者若ハ其ノ協定ニ加盟セザル重要機
械製造事業者ニ對シ其ノ協定ノ全部若
ハ一部ニ依ルベキコトヲ命ズルコトヲ
得
第二十二條政府重要機械製造事業ノ發
達ヲ圖ル爲特ニ必要アリト認ムルトキ
ハ重要機械製造事業者ニ對シ重要機械
ノ製造ニ關スル技術又ハ〓究ニ付他ノ
重要機械製造事業者ニ對スル協力ヲ爲
シ又ハ他ノ重要機械製造事業者ヨリ協
力ヲ受クルコトヲ命ズルコトヲ得
第二十三條政府重要機械製造事業ノ發
達ヲ圖ル爲特ニ必要アリト認ムルトキ
ハ重要機械ノ製造ニ必要ナル見本機械
若ハ圖面ヲ所有シ若ハ所持スル者ニ對
シ重要機械製造事業者ニ之ヲ利用セシ
メ又ハ重要機械製造事業者ニ對シ之ヲ
利用スルコトヲ命ズルコトヲ得但シ特
許又ハ登錄實用新案ニ係ルモノニ付テ
ハ此ノ限ニ在ラズ
第二十四條前二條ノ規定ニ依ル命令ア
リタル場合ニ於テ費用ノ負擔又ハ對價
ニ付關係者間ニ於テ協議ヲ爲スコト能
ハズ又ハ協議調ハザルトキハ政府之ヲ
裁定ス
第二十五條政府重要機械製造事業ノ發
達ヲ圖ル爲特ニ必要アリト認ムルトキ
ハ重要機械製造事業者ニ對シ他ノ重要
機械製造事業者ニ事業ヲ讓渡シ又ハ他
ノ重要機械製造事業者ヨリ事業ヲ讓受
クベキコトヲ命ズルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル命令アリタル場合ニ
於テ讓渡ノ條件ニ付關係者間ニ於テ協
議ヲ爲スコト能ハズ又ハ協議調ハザル
トキハ政府之ヲ裁定ス
第二十六條政府重要機械製造事業ノ發
達ヲ圖ル爲特ニ必要アリト認ムルトキ
ハ重要機械ノ製造ニ必要ナル機械又ハ
器具ヲ所有シ又ハ所持スル者ニ對シ其
ノ讓渡又ハ賃貸ニ付命令ノ定ムル所ニ
依リ重要機械製造事業者ト協議ヲ爲ス
ベキコトヲ命ズルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル命令アリタル場合ニ
於テ關係者間ニ於テ協議ヲ爲サズ若ハ
爲スコト能ハズ又ハ協議調ハザルトキ
ハ政府ハ當該事項ニ付必要ナル決定ヲ
爲スコトヲ得
第二十七條重要機械製造事業者ハ前條
ノ規定ニ依リ讓受ケ又ハ借受ケタル機
械又ハ器具ヲ政府ノ指定スル重要機械
ノ製造以外ノ用途ニ使用スルコトヲ得
ズ但シ政府ノ許可ヲ受ケタル場合ハ此
ノ限ニ在ラズ
第二十八條第二十四條若ハ第二十五條
ノ規定ニ依ル裁定又ハ第二十六條ノ規
定ニ依ル決定アリタル場合ニ於テ費用
ノ負擔、對價、讓渡價格又ハ賃貸料ニ
付不服アル者ハ其ノ裁定又ハ決定ノ通
知ヲ受ケタル日(裁定又ハ決定ノ通知
ヲ受ケザル者ニ付テハ其ノ公示ノ日)
ヨリ。三十日以內ニ通常裁判所ニ出訴ス
ルコトヲ得
第二十九條第二十二條乃至前條ニ定ム
ルモノノ外裁定及決定、重要機械ノ製
造ニ關スル技術又ハ〓究ノ協力、重要
機械ノ製造ニ必要ナル見本機械又ハ圖
面ノ利用、重要機械製造事業者間ノ事
業ノ讓渡又ハ讓受竝ニ重要機械ノ製造
ニ必要ナル機械又ハ器具ノ讓渡又ハ賃
貸ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之
フルエツ
第三十條政府重要機械製造事業ノ發達
ヲ圖ル爲特ニ必要アリト認ムルトキハ
重要機械製造事業者ニ對シ其ノ供給ヲ
受クル部分品ノ種類若ハ數量又ハ供給
者ニ付必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第三十一條政府ハ重要機械製造事業者
ニ對シ重要機械ノ製造ニ政府ノ指定ス
ル設計、原料若ハ材料又ハ部分品若ハ
附屬品ヲ使用スベキコトヲ命ジ又ハ其
ノ使用ヲ制限スルコトヲ得
第三十二條政府ハ重要機械又ハ其ノ部
分品若ハ附屬品ニ付其ノ規格ヲ定ムル
コトヲ得
重要機械製造事業者ハ前項ノ規定ニ依
リ規格ノ定マリタルモノニ付テハ命令
ヲ以テ定ムル場合ヲ除クノ外規格ニ適
合スルモノニ非ザレバ之ヲ製造シ又ハ
重要機械ノ製造ニ使用スルコトヲ得ズ
第三十三條政府ハ命令ノ定ムル所ニ依
リ重要機械製造事業者ニ對シ其ノ事業
ニ屬スル設備ノ償却ヲ爲スベキコトヲ
命ジ又ハ試驗若ハ〓究ノ目的其ノ他命
令ヲ以テ定ムル目的ニ充ツル爲特別ノ
積立金ノ積立ヲ命ズルコトヲ得
第三十四條政府ハ命令ノ定ムル所ニ依
リ重要機械ノ試驗、〓究又ハ試作ヲ爲
ス者ニ對シ豫算ノ範圍內ニ於テ奬勵金
ヲ交付スルコトヲ得
第三十五條重要機械製造事業者本法若
ハ本法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ基
キテ爲ス處分ニ違反シ又ハ公益ヲ害ス
ル行爲ヲ爲シタルトキハ政府ハ其ノ業
務ヲ停止シ若ハ制限シ、第二條ノ許可
ヲ取消シ又ハ法人ノ役員ノ解任ヲ爲ス
コトヲ得
第三十六條第十五條乃至第十七條、第
三十一條、第三十二條及前條ノ規定ハ
第二條第一項但書ノ規定ニ該當スル重
要機械製造事業ヲ營ム者ニ之ヲ準用ス
第二十五條、第二十八條及第二十九條
ノ規定ハ第二條第一項但書ノ規定ニ該
當スル重要機械製造事業ヲ營ム者ト他
ノ重要機械製造事業者又ハ第二條第一
項但書ノ規定ニ該當スル重要機械製造
事業ヲ營ム者トノ間ニ於ケル事業ノ讓
渡又ハ讓受ニ之ヲ準用ス
第三十七條左ノ各號ノ一ニ該當スル者
ハ五千圓以下ノ罰金ニ處ス
第二條ノ規定ニ違反シ許可ヲ受ケ
ズシテ重要機械製造事業ヲ營ミタル
者
二第十條ノ規定ニ依ル制限ニ違反シ
テ重要機械又ハ其ノ部分品ノ輸入ヲ
爲シタル者
三附則第二項又ハ第三項ニ揭グル者
ニシテ同項ノ規定ニ依ル範圍ヲ超ェ
テ重要機械製造事業ヲ營ミタルモノ
第三十八條左ノ各號ノ一ニ該當スル者
ハ三千圓以下ノ罰金ニ處ス
第十二條ノ規定ニ違反シテ設備ヲ
增設シ又ハ變更シタル者
二第十三條第一項ノ規定ニ違反シテ
事業ヲ讓渡シ、廢止シ又ハ休止シタ
ル者
三第十四條第一項ノ規定ニ違反シテ
認可ヲ受ケザル事業計畫ヲ實施シ又
ハ事業計畫ノ屆出ヲ爲サズ若ハ屆出
デタル事業計畫ヲ實施セザル者
四第十四條第二項ノ規定ニ依ル變更
命令ニ違反シテ事業計畫ヲ實施シタ
ル者
五第十五條第二項(第三十六條ノ規
定ニ依リ準用スル場合ヲ含ム)、第十
七條(第三十六條ノ規定ニ依リ準用
スル場合ヲ含ム)、第十八條、第十九
條、第二十一條乃至第二十三條又ハ
第三十條ノ規定ニ依ル命令ニ違反シ
タル者
六第二十七條ノ規定ニ違反シテ機械
又ハ器具ヲ使用シタル者
七第三十一條(第三十六條ノ規定ニ
依リ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ
依ル命令又ハ制限ニ違反シタル者
八第三十二條第二項(第三十六條ノ
規定ニ依リ準用スル場合ヲ含ム)j
規定ニ違反シテ規格ニ適合セザルモ
ノヲ製造シ又ハ重要機械ノ製造ニ使
用シタル者
第三十九條第十六條第二項(第三十六
條ノ規定ニ依リ準用スル場合ヲ含ム)
ノ命令又ハ處分ニ違反シタル者ハ千圓
以下ノ罰金ニ處ス
第四十條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ
五百圓以下ノ罰金ニ處ス
第十六條第一項(第三十六條ノ規
定ニ依リ準用スル場合ヲ含ム)ノ規
定ニ依ル報告ヲ爲サズ又ハ虚僞ノ報
告ヲ爲シタル者
二第十六條第三項(第三十六條ノ規
定ニ依リ準用スル場合ヲ含ム)ノ規
定ニ依ル當該官吏ノ臨檢檢査ヲ拒ミ、
妨ゲ若ハ忌避シ又ハ其ノ質問ニ對シ
答辯ヲ爲サズ若ハ虛僞ノ陳述ヲ爲シ
タル者
第四十一條營業者ハ其ノ代理人、戶主、
家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ
其ノ業務ニ關シ第三十七條乃至第三十
九條又ハ前條第一號ノ違反行爲ヲ爲シ
タルトキハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故
ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第四十二條第三十七條乃至第三十九條
及第四十條第一號ノ罰則ハ其ノ者ガ法
人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法
人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者
又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定代理
人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年者
ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テ
ハ此ノ限ニ在ラズ
第四十三條左ノ各號ノ一ニ該當スル者
ハ五百圓以下ノ過料ニ處ス
一第十五條第一項(第三十六條ノ規
定ニ依リ準用スル場合ヲ含ム)ノ規
ま定ニ違反シテ命令ノ定ムル協定又ハ
其ノ變更若ハ廢止ニ付屆出ヲ爲サザ
ル者
二第三十三條ノ規定ニ依ル命令ニ違
反シテ積立ヲ爲サザル者
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際現ニ第二條ノ規定ニ依リ許
可ヲ受クベキ重要機械製造事業ヲ營ム者
又ハ其ノ事業ヲ承繼シタル者ハ命令ノ定
ムル所ニ依リ勅令ヲ以テ定ムル期間ヲ限
リ同條ノ規定ニ拘ラズ本法公布ノ日以前
ニ於テ營メル事業ノ範圍(本法施行ノ際
現ニ建設工事中ノ設備アル事業ニ付テハ
當該設備ニ係ル事業ノ範圍ニシテ命令ヲ
以テ定ムルモノヲ含ム)內ニ於テ其ノ事
業ヲ營ムコトヲ得
第二條ノ規定ニ依リ許可ヲ受クベキ重要
機械製造事業ヲ營ム爲本法施行ノ際現ニ
其ノ設備ノ建設工事中ニ在ル者又ハ其ノ
設備ヲ承繼シタル者ハ命令ノ定ムル所ニ
依リ前項ノ勅令ヲ以テ定ムル期間ヲ限リ
同條ノ規定ニ拘ラズ命令ヲ以テ定ムル範
圍內ニ於テ其ノ事業ヲ營ムコトヲ得
前二項ノ規定ニ依リ重要機械製造事業ヲ
營ム者ハ第二條ノ許可ヲ受クル迄之ヲ同
條第一項但書ノ規定ニ該當スル重要機械
製造事業ヲ營ム者ト看做ス
〔國務大臣小林一三君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=18
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019・小林一三
○國務大臣(小林一三君) 只今議題ト相成
リマシタ重要機械製造事業法案ニ付テ提案
ノ理由ヲ御說明申上ゲマス
申スマデモナク機械工業ハ、國防上緊要
缺クベカラザル事業デアリマスト共ニ、
般產業ノ生產手段ヲ供給スル事業トシテ、
產業上モ極メテ重要ナル地位ヲ占メ、是ガ
發達ノ如何ハ我ガ國防上及ビ產業上重大
ナル意義ヲ有スル次第デアリマシテ、機械
工業ノ劃期的發展ヲ圖ルコトハ高度國防
國家ヲ完成スル上ニ於キマシテ、最モ緊要
ト存ズルノデアリマス、本邦ニ於ケル機械
工業ハ今次事變以來急激ナル發展ヲ遂ゲテ
來タノデアリマスガ、時局上緊要ナル重要
機械ニ付キマシテハ、其ノ製造技術ニ於テ、
將又其ノ製造能力ニ於テ、未ダ遺憾ト認メ
ラレル點ガ少クナイノデアリマス、卽チ重
要機械類ニシテ、未ダ國內ニ於テ自給困難
ナルモノガアリマスルノミナラズ、一般的
ニ國產機械ノ性能ハ、世界ノ最高水準ニ比
シ、尙ホ遜色ガアリマスコトハ、否定出來
ナイ事實デアリマシテ、未ダ重要機械ニ付
キ海外依存ノ狀態ヲ完全ニ脫却スルノ域ニ
達シテ居ラナイノデアリマス、斯カルガ故
ニ斯業振興ノ必要ハ從來ヨリ痛感セラレテ
居リマシテ、自動車及ビ工作機械ノ製造事
業ニ付テハ、旣ニソレ〓〓單行ノ事業法ヲ
制定シテ其ノ目的達成ニ努メツツアルノ
デアリマスガ、特ニ現下ノ時局ニ際シマシ
テハ、其ノ他ノ重要機械ノ製造事業ニ付テ
モ其ノ根本的確立ヲ圖ルコトハ國家最
大ノ急務ト存ズル次第デアリマス、而シテ
重要機械製造事業確立ノ方策ト致シマシテ
ハ其ノ特質ニ卽應シテ適切ナル各種ノ助
長方策ヲ講ジ、以テ其ノ國產化ヲ促進スル
ト共ニ、他面適當ナル指導監督ニ依リ、其
ノ製造技術ノ向上ヲ圖ルコトガ、緊要デア
ラウト考ヘルノデアリマス、本法案ハ此ノ
目的ヲ達スルコトヲ期スルノデアリマス
何卒十分御審議ノ上御協贊アランコトヲ希
望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=19
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020・田子一民
○副議長(田子一民君) 本案ノ審査ヲ付託
スベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=20
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021・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ政府提出、昭和十二
年法律第九十二號中改正法律案委員ニ併セ
付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=21
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022・田子一民
○副議長(田子一民君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=22
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023・田子一民
○副議長(田子一民君) 御異議ナシト認メ
やっ、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程
第七乃至第十ハ、便宜上一括議題トナスニ
御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=23
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024・田子一民
○副議長(田子一民君) 御異議ナシト認メ
やく、仍テ日程第七、兌換銀行劵條例ノ臨
時特例ニ關スル法律案、日程第八、朝鮮銀
行法及臺灣銀行法ノ臨時特例ニ關スル法律
案、日程第九、朝鮮銀行法中改正法律案、
日程第十、臺灣銀行法中改正法律案、右四
案ヲ一括シテ第一讀會ヲ開キマス-廣瀨
大藏次官
第七兌換銀行劵條例ノ臨時特例ニ關
スル法律案(政府提出)第一讀會
第八朝鮮銀行法及臺灣銀行法ノ臨時
特例ニ關スル法律案(政府提出)
第一讀會
第九朝鮮銀行法中改正法律案(政府
提出)第一讀會
第十臺灣銀行法中改正法律案(政府
提出)第一讀會
兌換銀行劵條例ノ臨時特例ニ關スル法
律案
第一條日本銀行ハ大藏大臣ノ定ムル金
額ヲ限リ兌換銀行劵ヲ發行スルコトヲ
得
日本銀行ハ必要アリト認ムルトキハ大
藏大臣ノ認可ヲ受ケ前項ノ金額ヲ超エ
テ兌換銀行劵ヲ發行スルコトヲ得此ノ
場合ニ於テ日本銀行ハ前項ノ金額ヲ超
過スル發行高ニ對シ大藏大臣ノ定ムル
割合ヲ以テ發行稅ヲ納ムベシ但シ其ノ
割合ハ年三分ヲ下ルコトヲ得ズ
大藏大臣第一項ノ金額ヲ定メタルトキ
ハ之ヲ公示スベシ
第二條日本銀行ハ兌換銀行劵發行高ニ
對シ保證トシテ同額ノ金銀貨、地金銀、
政府發行ノ公債證書、大藏省證劵其ノ
他確實ナル證劵又ハ商業手形ヲ保有ス
ルコトヲ要ス
第三條兌換銀行劵ノ種類ハ兌換銀行劵
條例第三條ニ規定スルモノノ外大藏大
臣之ヲ定ム
第四條日本銀行ハ大藏大臣ノ定ムル所
ニ依リ兌換銀行劵發行高ヲ官報ニ廣〓
スベシ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
昭和十三年法律第六十四號ハ之ヲ廢止ス
本法ハ支那事變終了後一年內ニ之ヲ廢止
スルモノトス
兌換銀行劵條例第二條及第八條ノ規定ハ
當分ノ內之ヲ適用セズ
朝鮮銀行法及臺灣銀行法ノ臨時特例ニ
關スル法律案
第一條朝鮮銀行及臺灣銀行ハ大藏大臣
ノ定ムル金額ヲ限リ銀行劵ヲ發行スル
コトヲ得
朝鮮銀行及臺灣銀行ハ必要アリト認ム
ルトキハ大藏大臣ノ認可ヲ受ケ前項ノ
金額ヲ超エテ銀行劵ヲ發行スルコトヲ
得此ノ場合ニ於テ朝鮮銀行及臺灣銀行
ハ前項ノ金額ヲ超過スル發行高ニ對シ
大藏大臣ノ定ムル割合ヲ以テ發行稅ヲ
納ムベシ但シ其ノ割合ハ年三分ヲ下ル
コトヲ得ズ
大藏大臣第一項ノ金額ヲ定メタルトキ
ハ之ヲ公示スベシ
第二條朝鮮銀行及臺灣銀行ハ銀行劵發
行高ニ對シ保證トシテ同額ノ金貨、地
金銀、兌換銀行劵、日本銀行ニ對スル
預ケ金、國債證劵其ノ他確實ナル證劵
又ハ商業手形ヲ保有スルコトヲ要ス
大藏大臣必要アリト認ムルトキハ朝鮮
銀行及臺灣銀行ニ對シ前項ノ規定ニ依
リ保有スル金貨、地金銀、兌換銀行劵
及日本銀行ニ對スル當座預ケ金ノ總額
ノ銀行劵發行高ニ對スル割合ニ關シ必
要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第三條朝鮮銀行及臺灣銀行ハ大藏大臣
ノ定ムル所ニ依リ銀行劵發行高ヲ官報
ニ公告スベシ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
昭和十四年法律第五十九號ハ之ヲ廢止ス
本法ハ支那事變終了後一年內ニ之ヲ廢止
スルモノトス
朝鮮銀行法第二十二條及第二十四條竝ニ
臺灣銀行法第九條及第二十五條第二項ノ
規定ハ當分ノ內之ヲ適用セズ
朝鮮銀行法中改正法律案
朝鮮銀行法中左ノ通改正ス
第二十七條朝鮮銀行ハ每營業年度ニ於
テ利益金ヨリ左ニ揭クル金額ヲ控除シ
タル殘額ノ四分ノ一ヲ政府ニ納付スヘ
シ
-拂込資本金額ニ對スル年六分ニ相
當スル金額
二前條ノ規定ニ依リ積立ツヘキ金額
ノ最少額ニ相當スル金額
利益金ヨリ前項第一號及第二號ノ金額
竝ニ前項ノ規定ニ依ル納付金額ヲ控除
シタル殘額カ利益金ノ十分ノ一ヲ超過
スルトキハ其ノ超過額ノ三分ノ一ヲ更
ニ政府ニ納付スヘシ
附則
本法ハ昭和十六年七月一日ヨリ之ヲ施行
ス但シ同日前ニ終了スル營業年度ノ納付
金ニ關シテハ仍從前ノ規定ニ依ル
臺灣銀行法中改正法律案
臺灣銀行法中左ノ通改正ス
第二十條中「每年」ヲ「每營業年度ニ於テ」
二 人
第二十條ノ二臺灣銀行ハ每營業年度ニ
於テ利益金ヨリ左ニ揭クル金額ヲ控除
シタル殘額ノ四分ノ一ヲ政府ニ納付ス
ヘシ
一拂込資本金額ニ對スル年六分ニ相
當スル金額
二前條ノ規定ニ依リ積立ツヘキ金額
ノ最少額ニ相當スル金額
利益金ヨリ前項第一條及第二號ノ金額
竝ニ前項ノ規定ニ依ル納付金額ヲ控除
シタル殘額カ利益金ノ十分ノ一ヲ超過
スルトキハ其ノ超過額ノ三分ノ一ヲ更
ニ政府ニ納付スヘシ
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス但シ第二
十條ノ二ノ改正規定ハ昭和十六年七月一
日ヨリ之ヲ施行ス
〔政府委員廣瀨豐作君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=24
-
025・廣瀬豐作
○政府委員(廣瀨豐作君) 只今議題トナリ
マシタ兌換銀行劵條例ノ臨時特例ニ關スル
法律案外三件ニ付テ說明致シマス
先ヅ兌換銀行劵條例ノ臨時特例ニ關スル
法律案ニ付テ說明致シマス、現行ノ兌換銀
行劵發行制度ニ依リマスレバ兌換銀行劵
ノ發行ハ、之ヲ正貨準備ニ依ル發行ト保證
ニ依ル發行トニ區分スル建前デアリマスガ、
斯カル發行制度ハ現在ニ於テハ旣ニ其ノ意
義ヲ失ヒマシテ、之ヲ其ノ儘放置スルコト
ハ啻ニ兌換銀行劵發行ノ實情ニ副ハナイ
バカリデハナク却テ今後ニ於ケル通貨政
策遂行上障碍トナルモノト認メラレマスノ
デ、此ノ際正貨準備發行ト保證發行トノ區
分ヲ停止致シマスルト共ニ、兌換銀行劵ノ
發行限度ハ政府諸般ノ經濟金融政策ト睨
合ハセマシテ大藏大臣ガ之ヲ決定スルコ
トト致ジ、以テ事態ノ推移ニ應ジ得ル、彈
力性アル制度タラシムルヲ適當ト認メタノ
デアリマス次ニ兌換銀行劵ノ種類及ビ發
行高ニ關スル公〓ノ方法ハ、今後事態ノ推
移ニ應ジマシテ、適宜之ヲ變更シ得ルコト
トスルノ必要ガアリマスノデ、大藏大臣ニ
於テ其ノ種類ヲ必要ニ應ジテ追加シ、又ハ
其ノ公〓ノ方法ヲ定ムルコトトスルノヲ適
當ト認メタノデアリマス、而シテ右ノ諸點
ニ關スル改正ヲ恆久的立法ニ依ツテ行ヒマ
スルコトハ、未ダ時機熟セザルモノト認メラ
レマスノデ、此ノ際ト致シマシテハ本案
ノ如ク臨時的措置トシテ之ヲ行ハントスル
モノデアリマス
次ニ朝鮮銀行法及臺灣銀行法ノ臨時特例
ニ關スル法律案ニ付テ說明致シマス、現行
ノ朝鮮銀行劵及ビ臺銀行劵ノ發行制度ハ
現行兌換銀行劵發行制度ト大體同樣デアリ
マシテ、銀行劵ノ發行ヲ、仕拂準備ニ依ル發
行ト保證ニ依ル發行トニ區分スル建前デア
リマスルガ、兌換銀行劵發行制度ヲ前述ノ
如ク改正スルニ伴ヒマシテ、是ト同樣ノ理
由ニ依リ、此ノ際兩銀行劵ノ仕拂準備發行
ト保證發行トノ區分ハ、之ヲ停止致シマス
ルト共ニ、兩銀行劵ノ發行限度內及ビ其ノ
發行高ニ關スル公〓ノ方法ハ、大藏大臣ガ
之ヲ定メルコトトスルヲ適當ト認メタ次第
デアリマス、唯現在兩銀行劵ハ兌換銀行劵
ニ對シ特殊ノ依存關係ニアリマスルカラ
シテ、兩銀行劵ノ兌換銀行劵ニ對スル兌換
性ヲ確保スル爲ニ、大藏大臣ハ必要ニ應ジ
兩銀行ガ銀行券發行高ニ對シ一定割合ノ兌
換銀行劵、又ハ是ト經濟上同視スベキ物件ヲ
保有スベキコトヲ命ジ得ルコトトスルノ必
要ガアルト認メラレルノデアリマス、次ヘ
日本銀行ニ對スル預ケ金ハ之ヲ經濟上ヨ
リ見マスレバ、兌換銀行劵ト實質的ニ何等
異ナル所ガナイノデアリマスカラシテ、之ヲ
兩銀行劵ノ保證物件中ニ加フルコトト致シ
タノデアリマス、而シテ右ノ諸點ニ關スル
改正モ、兌換銀行劵發行制度ノ改正ト同樣、
臨時的措置トシテ之ヲ行フヲ適當ト認メタ
ノデアリマス
次ニ朝鮮銀行法中改正法律案及ビ臺灣銀
行法中改正法律案ニ付テ、一括シテ御說明
致シマス、朝鮮銀行ノ現行納付金制度ハ、
朝鮮銀行創立當初ニ設置セラレタモノデア
リマシテ、今日ノ事態ニ適應セザルモノガ
アルノデアリマス、殊ニ同行ノ銀行劵發行
限度ハ屢〓擴張セラレ、今囘亦同銀行劵發行
制度ノ臨時改正ヲ必要トスル狀況デアリ
マシテ、同行ガ銀行劵發行ノ特權ニ基キ
收得スル利益ハ、益〓增大スルモノト認メラ
レルノデアリマス、斯カル事態ニ對シマシ
テハ、現行ノ納付金制度ハ不備デアリマシ
テ、同行ノ負擔ハ其ノ特權ニ基ク利益ト調
和ヲ得ザルモノト認メラレルノデアリマス、
次ニ臺灣銀行ニ於キマシテモ、其ノ銀行劵
發行ノ特權ニ基キ、同行ノ收得スル利益ハ
少カラザルモノガアルノデアリマス)殊
同行ガ斯カル特權ニ基キ收得スル利益ハ
朝鮮銀行ニ於ケルト同樣ノ理由ニ依リマシテ
益〓增大スルモノト認メラレマスルノデ、此ノ特
權ニ對スル報償トシテ、臺灣銀行ノ利益ノ一定
部分ヲ政府ニ納付セシムルコトガ必要ト認メ
ラレルノデアリマス、然ルニ朝鮮銀行及ビ臺灣
銀行ハ、共ニ大正末期以來、業況ノ不振ニ
陷リマシテ、爾來長ク內容ノ整理ニ專念シ
來ツタノデアリマスルガ、近年兩銀行ノ業
況ハ大イニ立直リマシテ、每期相當多額ノ
利益ヲ擧ゲルニ至リマシタノデ、此ノ際朝
鮮銀行納付金制度ヲ整備致シマスルト共ニ、
臺灣銀行ニモ是ト同樣ノ納付金制度ヲ新設
スルノヲ適當ト認メタ次第デアリマス、
以上說明致シマシタ各法律案ニ付キマシ
テハ、何卒御審議ノ上速カニ御協賛アラン
コトヲ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=25
-
026・田子一民
○副議長(田子一民君) 各案ノ審査ヲ付託
スベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=26
-
027・服部崎市
○服部崎市君 日程第七乃至第十ノ四案
ハ一括シテ政府提出、外國爲替管理法改
正法律案委員ニ併セ付託サレンコトヲ望ミ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=27
-
028・田子一民
○副議長(田子一民君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=28
-
029・田子一民
○副議長(田子一民君) 御異議ナシト認メ
やくろ仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程
第十一及ビ第十二ハ、便宜上一括議題トナ
スニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=29
-
030・田子一民
○副議長(田子一民君) 御異議ナシト認メ
そく、仍テ日程第十一、工作機械製造事業
法中改正法律案、日程第十二、日本製鐵株
式會社法中改正法律案、右兩案ヲ一括シテ
第一讀會ヲ開キマス-小林商工大臣
第十一工作機械製造事業法中改正法
律案(政府提出)第一讀會
第十二日本製鐵株式會社法中改正法
律案(政府提出)第一讀會
工作機械製造事業法中改正法律案
工作機械製造事業法中左ノ通改正ス
第三條第一項但書ヲ削ル
第四條第一項中「前條ノ許可ヲ受クルコ
トヲ得ベキ者ハ」ヲ「前條ノ許可ヲ受クル
コトヲ得ベキ者ニシテ其ノ設備ガ命令ノ
定ムル規模以上ナルモノハ」ニ改メ同條
第三項中「前條ノ許可ヲ受ケタル者」ノ下
ニ「ニシテ第一項ニ揭グルモノ」ヲ加ヘ同
項ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ其ノ設備ガ第一項ノ命令ノ定ムル
規模ニ達セザル場合ニ於テハ此ノ限ニ
在ラズ
第五條第一項中「第三條ノ許可ヲ受ケタ
ル會社(工作機械製造會社)」ヲ「第三條ノ
許可ヲ受ケタル者(工作機械製造事業
者)」ニ、同條第三項中「工作機械製造會
社」ヲ「工作機械製造事業者」ニ改ム
第六條、第十二條、第十八條、第二十條
及第二十五條中「工作機械製造會社」ヲ
「工作機械製造事業者」ニ改ム
第七條第一項及第四項竝ニ第八條中「工
作機械製造會社」ヲ「工作機械製造事業
者」ニ、「所得ニ對スル法人稅」ヲ「所得稅
又ハ所得ニ對スル法人稅」ニ改ム
第七條第二項中「各事業年度ノ資本金額」
ヲ「法人ニ在リテハ各事業年度、個人ニ在
リテハ各年ノ資本金額」ニ改ム
第九條中「所得ニ對スル法人稅」ヲ「所得
稅又ハ所得ニ對スル法人稅」ニ改ム
第十條第一項中「工作機械製造會社」ヲ
「命令ヲ以テ定ムル工作機械製造事業者
タル株式會社」ニ改ム
第十三條工作機械製造事業者ノ營ム工
作機械製造事業ニシテ勅令ヲ以テ定ム
ルモノハ土地收用法第二條ノ土地ヲ收
用又ハ使用スルコトヲ得ル事業トシ同
法ヲ適用ス
第十四條第一項及第十七條中「工作機械
製造會社」ヲ「工作機械製造事業者タル株
式會社」ニ改ム
第十五條第一項中「工作機械製造會社」
ヲ「工作機械製造事業者」ニ、同條第二項
中「工作機械製造會社」ヲ「工作機械製造
事業者タル法人」ニ改ム
第十六條第一項ヲ左ノ如ク改ム
工作機械製造事業者ハ命令ノ定ムル所
ニ依リ事業計晝ヲ定メ政府ニ之ヲ屆出
デ又ハ政府ノ認可ヲ受クベシ之ヲ變更
セントスルトキ亦同ジ
第十六條ノ二工作機械製造事業者ト他
ノ工作機械製造事業者トノ間ニ工作機
械ノ製造又ハ販賣ニ關シ命令ノ定ムル
協定成立シタルトキハ命令ノ定ムル所
ニ依リ之ヲ政府ニ屆出ヅベシ其ノ變更
シ又ハ廢止アリタルトキ亦同ジ
政府公益上必要アリト認ムルトキハ前
項ノ協定ノ變更又ハ取消ヲ命ズルコト
ヲ得
第十九條第一項中「工作機械製造會社」ヲ
「工作機械製造事業者」ニ改メ同條第二項
ヲ削ル
第十九條ノ二政府工作機械製造事業ノ
發達ヲ圖ル爲特ニ必要アリト認ムルト
キハ工作機械製造事業者ニ對シ工作機
械又ハ其ノ部分品ニ付〓究、試作其ノ
他製造ニ關スル命令ヲ爲シ又ハ設備ノ
擴張、改良、變更若ハ工場ノ移轉ヲ命
ズルコトヲ得
第二十一條第一項中「第十九條第二項又
ハ前條」ヲ「前二條」ニ改ム
第二十一條ノ二政府工作機械製造事業
ノ發達ヲ圖ル爲特ニ必要アリト認ムル
トキハ命令ノ定ムル所ニ依リ工作機械
製造事業者ニ對シ工作機械ノ製造若ハ
販賣ニ關シ協定ノ設定ヲ命ジ又ハ協定
ノ加盟者若ハ其ノ協定ニ加盟セザル工
作機械製造事業者ニ對シ其ノ協定ノ全
部若ハ一部ニ依ルベキコトヲ命ズルコ
トヲ得
第二十一條ノ三政府工作機械製造事業
ノ發達ヲ圖ル爲特ニ必要アリト認ムル
トキハ工作機械製造事業者ニ對シ工作
機械ノ製造ニ關スル技術又ハ〓究ニ付
他ノ工作機械製造事業者ニ對スル協力
ヲ爲シ又ハ他ノ工作機械製造事業者ヨ
リ協力ヲ受クルコトヲ命ズルコトヲ得
第二十一條ノ四政府工作機械製造事業
ノ發達ヲ圖ル爲特ニ必要アリト認ムル
トキハ工作機械ノ製造ニ必要ナル見本
機械若ハ圖面ヲ所有シ若ハ所持スル者
ニ對シ工作機械製造事業者ニ之ヲ利用
セシメ又ハ工作機械製造事業者ニ對シ
之ヲ利用スルコトヲ命ズルコトヲ得但
シ特許又ハ登錄實用新案ニ係ルモノニ
付テハ此ノ限ニ在ラズ
第二十一條ノ五前二條ノ規定ニ依ル命
令アリタル場合ニ於テ費用ノ負擔又ハ
對價ニ付關係者間ニ於テ協議ヲ爲スコ
ト能ハズ又ハ協議調ハザルトキハ政府
之ヲ裁定ス
第二十一條ノ六政府工作機械製造事業
ノ發達ヲ圖ル爲特ニ必要アリト認ムル
トキハ工作機械製造事業者ニ對シ他ノ
工作機械製造事業者ニ事業ヲ讓渡シ又
ハ他ノ工作機械製造事業者ヨリ事業ヲ
讓受クベキコトヲ命ズルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル命令アリタル場合ニ
於テ讓渡ノ條件ニ付關係者間ニ於テ協
議ヲ爲スコト能ハズ又ハ協議調ハザル
トキハ政府之ヲ裁定ス
第二十一條ノ七政府工作機械製造事業
ノ發達ヲ圖ル爲特ニ必要アリト認ムル
トキハ工作機械ノ製造ニ必要ナル器具
又ハ機械ヲ所有シ又ハ所持スル者ニ對
シ其ノ讓渡又ハ賃貸ニ付命令ノ定ムル
所ニ依リ工作機械製造事業者ト協議ヲ
爲スベキコトヲ命ズルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル命令アリタル場合ニ
於テ關係者間ニ於テ協議ヲ爲サズ若ハ
爲スコト能ハズ又ハ協議調ハザルトキ
ハ政府ハ當該事項ニ付必要ナル決定ヲ
爲スコトヲ得
第二十一條ノ八工作機械製造事業者ハ
前條ノ規定ニ依リ讓受ケ又ハ借受ケタ
ル器具又ハ機械ヲ政府ノ指定スル工作
機械ノ製造以外ノ用途ニ使用スルコト
ヲ得ズ但シ政府ノ許可ヲ受ケタル場合
ハ此ノ限ニ在ラズ
第二十一條ノ九第二十一條ノ五若ハ第
二十一條ノ六ノ規定ニ依ル裁定又ハ第
二十一條ノ七ノ規定ニ依ル決定アリタ
ル場合ニ於テ費用ノ負擔、對價、讓渡
價格又ハ賃貸料ニ付不服アル者ハ其ノ
裁定又ハ決定ノ通知ヲ受ケタル日(裁
定又ハ決定ノ通知ヲ受ケザル者ニ付テ
ハ其ノ公示ノ日)ヨリ三十日以内ニ通
當裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第二十一條ノ十第二十一條ノ三乃至前
條ニ定ムルモノノ外裁定及決定、工作
機械ノ製造ニ關スル技術又ハ〓究ノ協
力、工作機械ノ製造ニ必要ナル見本機
械又ハ圖面ノ利用、工作機械製造事業
者間ノ事業ノ讓渡又ハ讓受竝ニ工作機
械ノ製造ニ必要ナル器具又ハ機械ノ讓
渡又ハ賃貸ニ關シ必要ナル事項ハ勅令
ヲ以テ之ヲ定ム
第二十一條ノ十一政府工作機械製造事
業ノ發達ヲ圖ル爲特ニ必要アリト認ム
ルトキハ工作機械製造事業者ニ對シ其
ノ供給ヲ受クル部分品ノ種類若ハ數量
又ハ供給者ニ付必要ナル命令ヲ爲スコ
トヲ得
第二十一條ノ十二政府ハ工作機械製造
事業者ニ對シ工作機械ノ製造ニ政府ノ
指定スル設計、原料若ハ材料又ハ部分
品若ハ附屬品ヲ使用スベキコトヲ命ジ
又ハ其ノ使用ヲ制限スルコトヲ得
第二十一條ノ十三政府ハ工作機械又ハ
其ノ部分品若ハ附屬品ニ付其ノ規格ヲ
定ムルコトヲ得
工作機械製造事業者ハ前項ノ規定ニ依
リ規格ノ定マリタルモノニ付テハ命令
ヲ以テ定ムル場合ヲ除クノ外規格ニ適
合スルモノニ非ザレバ之ヲ製造シ又ハ
工作機械ノ製造ニ使用スルコトヲ得ズ
第二十一條ノ十四政府ハ命令ノ定ムル
所ニ依リ工作機械製造事業者ニ對シ其
ノ事業ニ屬スル設備ノ償却ヲ爲スベキ
コトヲ命ジ又ハ試驗若ハ〓究ノ目的其
ノ他命令ヲ以テ定ムル目的ニ充ツル爲
特別ノ積立金ノ積立ヲ命ズルコトヲ得
第二十六條第一項ヲ左ノ如ク改ム
政府第二十一條ノ補償金額ノ決定ヲ爲
サントスルトキハ工作機械製造事業委
員會ノ議ヲ經ベシ
第二十七條中「工作機械製造會社」ヲ「工
作機械製造事業者」ニ、「取締役若ハ其ノ
職務ヲ行フ監査役」ヲ「法人ノ役員」ニ改
ム
第二十八條ニ左ノ一號ヲ加フ
三附則第二項又ハ第三項ニ揭グル者
ニシテ同項ノ規定ニ依ル範圍ヲ超エ
テ工作機械製造事業ヲ營ミタルモノ
第二十九條左ノ各號ノ一ニ該當スル者
ハ三千圓以下ノ罰金ニ處ス
-第六條ノ規定ニ違反シテ設備ヲ增
設シ又ハ變更シタル者
二第十五條第一項ノ規定ニ違反シテ
事業ヲ讓渡シ、廢止シ又ハ休止シタ
ル者
三第十六條第一項ノ規定ニ違反シテ
認可ヲ受ケザル事業計畫ヲ實施シ又
ハ事業計畫ノ屆出ヲ爲サズ若ハ屆出
デタル事業計畫ヲ實施セザル者
四第十六條第二項ノ規定ニ依ル變更
命令ニ違反シテ事業計畫ヲ實施シタ
ル者
五第十六條ノ二第二項(附則第四項
ノ規定ニ依リ準用スル場合ヲ含ム)、
第十九條(附則第四項ノ規定ニ依リ
準用スル場合ヲ含ム)、第十九條ノ
二、第二十條、第二十一條ノ二乃至
第二十一條ノ四又ハ第一一十一條ノ十
一ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタル者
六第十七條ノ規定ニ違反シ認可ヲ受
ケズシテ利益金ノ處分ヲ爲シタル者
七第二十一條ノ八ノ規定ニ違反シテ
器具又ハ機械ヲ使用シタル者
八第二十一條ノ十二(附則第四項ノ
規定ニ依リ準用スル場合ロヲ含ム)ノ
規定ニ依ル命令又ハ制限ニ違反シタ
ル者
九第二十一條ノ十三第二項(附則第
四項ノ規定ニ依リ準用スル場合ヲ含
ム)ノ規定ニ違反シテ規格ニ適合セ
ザルモノヲ製造シ又ハ工作機械ノ製
造ニ使用シタル者
第三十條中「第十八條第一一項」ノ下ニ「(附
則第四項ノ規定ニ依リ準用スル場合ヲ含
ム)」ヲ加フ
第三十一條第一號中「第十八條第一項」ノ
下ニ「(附則第四項ノ規定ニ依リ準用スル
場合ヲ含ム)」ヲ、同條第二號中「第十八
條第三項」ノ下ニ「(附則第四項ノ規定ニ
依リ準用スル場合ヲ含ム)」ヲ加フ
第三十三條ノ二左ノ各號ノ一ニ該當ス
ル者ハ五百圓以下ノ過料ニ處ス
第十六條ノ二第一項(附則第四項
ノ規定ニ依リ準用スル場合ヲ含ム)
ノ規定ニ違反シテ命令ノ定ムル協定
又ハ其ノ變更若ハ廢止ニ付屆出ヲ爲
サザル者
二第二十一條ノ十四ノ規定ニ依ル命
令ニ違反シテ積立ヲ爲サザル者
第三十四條第二項ヲ削ル
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際現ニ從前ノ第三條第一項但
書ノ規定ニ該當スル工作機械製造事業ヲ
營ム者又ハ其ノ事業ヲ承繼シタル者ハ命
令ノ定ムル所ニ依リ勅令ヲ以テ定ムル期
間ヲ限リ同條ノ改正規定ニ拘ラズ本法公
布ノ日以前ニ於テ營メル事業ノ範圍本
法施行ノ際現ニ建設工事中ノ設備アル事
業ニ付テハ當該設備ニ係ル事業ノ範圍ニ
シテ命令ヲ以テ定ムルモノヲ含ム)内
於テ其ノ事業ヲ營ムコトヲ得
從前ノ第三條第一項但書ノ規定ニ該當ス
ル工作機械製造事業ヲ營ム爲本法施行ノ
際現ニ其ノ設備ノ建設工事中ニ在ル者又
ハ其ノ設備ヲ承繼シタル者ハ命令ノ定ム
ル所ニ依リ前項ノ勅令ヲ以テ定ムル期間
ヲ限リ同條ノ改正規定ニ拘ラズ命令ヲ以
テ定ムル範圍內ニ於テ其ノ事業ヲ營ムコ
トヲ得
第十六條ノ二、第十八條、第十九條、第
二十一條ノ十二、第二十一條ノ十三及第
二十七條ノ規定ハ前二項ノ規定ニ依リ工
作機械製造事業ヲ營ム者ニ之ヲ準用ス
第二十一條ノ六、第二十一條ノ九及第二
十一條ノ十ノ規定ハ第二項又ハ第三項ノ
規定ニ依リ工作機械製造事業ヲ營ム者ト
他ノ工作機械製造事業者又ハ第二項若ハ
第三項ノ規定ニ依リ工作機械製造事業ヲ
營ム者トノ間ニ於ケル事業ノ讓渡又ハ讓
受ニ之ヲ準用ス
日本製鐵株式會社法中改正法律案
日本製鐵株式會社法中左ノ通改正ス
第三條ニ左ノ一項ヲ加フ
勅令ノ定ムル法人ニシテ特ニ主務大臣
ノ許可ヲ受ケタルモノハ前項ノ規定ニ
拘ラズ日本製鐵株式會社ノ株主ト爲ル
コトヲ得
第五條ノ二日本製鐵株式會社ハ商法第
二百九十七條ノ規定ニ依ル制限ヲ超エ
テ社債ヲ募集スルコトヲ得但シ社債ノ
總額ハ拂込ミタル株金額ノ三倍ヲ超ユ
ルコトヲ得ズ
社債ヲ募集スル場合ニ於ケル株主總會
ノ決議ハ資本ノ半額以上ニ當ル株主出
席シ其ノ議決權ノ過半數ヲ以テ之ヲ爲
スコトヲ得
第五條ノ三日本製鐵株式會社ノ社債權
者ハ同會社ノ財產ニ付他ノ債權者ニ先
テテ自己ノ債權ノ辨濟ヲ受クル權利ラ
有ス
前項ノ規定ハ民法上ノ一般ノ先取特權
ノ行使ヲ妨グルコトナシ
第五條ノ四日本製鐵株式會社第二囘以
後ノ株金ノ拂込ヲ爲サシメ又ハ社債ヲ
募集セントスルトキハ主務大臣ノ許可
ヲ受クベシ
第十條中「社債ノ募集、」ヲ削ル
第二十二條中第一號ヲ第三號トシ第二號
ヲ第四號トシ第一號及第二號トシテ左ノ
二號ヲ加フ
-第五條ノ二ノ規定ニ違反シ社債ヲ
募集シタルトキ
二第五條ノ四ノ規定ニ違反シ許可ヲ
受ケズシテ株金ノ拂込ノ催告又ハ社
債ノ募集ヲ爲シタルトキ
第二十四條削除
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔國務大臣小林一三君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=30
-
031・小林一三
○國務大臣(小林一三君) 只今議題ト相成
リマシタ工作機械製造事業法中改正法律案
ニ付テ、提案ノ理由ヲ御說明申上ゲマス
工作機械製造事業ガ、國防上緊要缺クベ
カラザル事業デアリマスト共ニ、一般機械
工業ノ基礎タル工業トシテ、國防上竝ニ產
業上極メテ重要ナル意義ヲ有スルコトハヽ
言フヲ俟タナイ所デアリマシテ、現下ノ時
局ニ際シマシテ斯業ノ振興確立ハ、蓋シ
刻下ノ急務ト存ズル次第デアリマス
工作機械製造事業ニ付キマシテハ去ル
第七十二囘帝國議會ノ協賛ヲ經マシテ、、昭
和十三年七月ヨリ工作機械製造事業法ヲ施
行シ、斯業ノ急速ナル生產力ノ擴充、製造
技術ノ向上ニ努メテ參ツタノデアリマス、
然ルニ現行ノ工作機械製造事業法ニ於キマ
シテハ一定規模以上ノ設備ヲ以テ營ム工
作機械製造事業ニ付テ許可制ガ採ラレ是
等ノ事業ニ付テノミ助長監督ノ規定ガ適用
サレルコトニナツテ居ルノデアリマスガ、
其ノ後工作機械工場ガ大イニ增加致シマシ
テ、今日ニ於キマシテハ現行ノ工作機械
製造事業法ノ適用ヲ受ケル規模ニ達シナイ
程度ノ設備ヲ以テ營ム工作機械製造事業ガ
其ノ工場數ニ於テ、又生產額ニ於テ、相當
大ナル數字ニ上ツテ參リマシタノデ、本法
律案ニ於キマシテハ、此ノ許可ヲ受クベキ
限度ヲ撤廢致シマシテ、總テノ工作機械製
造事業ニ許可制ヲ採リマシテ、中小規模ノ
工場ニ付キマシテモ、是ガ健全ナル發達ヲ
圖ルコトト致シ、以テ工作機械製造事業ノ
整備發展ヲ圖ラントスルモノデアリマス
次ニ先程御說明致シマシタ重要機械製造
事業法案中ノ規定デ、工作機械製造事業ニ
付テモ必要ト認メラレマスルモノヲ現行
ノ工作機械製造事業法ニ追加スルコトニ致
シマシテ、經營ノ合理化、技術ノ向上ニ遺
憾ナキヲ期シテ居ルノデアリマス、右申述
ベマシタ事項ノ外ニ、本法案ニ於キマシテ
ハ罰則ヲ適當ニ改正スル外、尙ホ必要ナ
ル事項ニ付キ適當ナル改正ヲ加ヘテ居ルノ
デアリマス
以上ノ理由ニ依リマシテ玆ニ本法案ヲ提
出致シマシタ次第デアリマス、何卒十分御
審議ノ上御協賛アランコトヲ希望致シマス
(拍手)
次ニ日本製鐵株式會社法中改正法律案ノ
提案ノ理由ヲ御說明申上ゲマス
現下ノ時局ニ鑑ミマシテ、鐵鋼ノ生產力
ノ維持擴充ヲ圖リマスルコトハ、國防上及
ビ產業上緊要ノ急務ナルコトハ改メテ申上
ゲルマデモナイ所デアリマス、日本製鐵株
式會社ハ國策會社トシテ、我ガ國ニ於ケル
銑鐵ノ約八割、鋼材ノ約四割ヲ生產致シテ
居リマスガ、今後ノ鐵鋼生產力擴充計畫ノ
遂行ニ當リマシテモ、常ニ同社ヲ以テ是ガ
推進力タラシムルノ要ガアルト思料致シテ
居ル次第デアリマス、而シテ是ガ爲ニハ將
來莫大ナル資金ヲ要スベキコトハ明カデア
リマスノデ、本案ニ於キマシテハ右所要
資金ノ調達ヲ便ナラシムル如ク、日本製鐵
株式會社法ニ必要ナル改正ヲ加フルコトト
致シタ次第デアリマス
尙ホ鐵鋼政策ハ日滿支ヲ通ジ一貫セル
方針ニ基キ、强力ニ之ヲ遂行スルノ要ガア
ルノデアリマスガ、是ガ爲ニハ日滿支各地
ノ主要鐵鋼業者相互間ノ關係ヲ益〓〓緊密ナ
ラシメマシテ、以テ右ノ趣旨ノ達成ヲ期スル
必要ガアリマスノデ、併セテ此ノ點ニ關シ
マシテモ、所要ノ改正ヲ行フコトト致シタ
ノデアリマス、何卒十分御審議ノ上御協賛
アランコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=31
-
032・田子一民
○副議長(田子一民君) 各案ノ審査ヲ付託
スベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=32
-
033・服部崎市
○服部崎市君 日程第十一及ビ第十二ノ兩
案ヲ一括シテ政府提出、昭和十二年法律第
九十二號中改正法律案委員ニ併セ付託サレ
ンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=33
-
034・田子一民
○副議長(田子一民君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=34
-
035・田子一民
○副議長(田子一民君) 御異議ナシト認メ
やく、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程
第十三及ビ第十四ハ便宜上一括議題トナス
ニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=35
-
036・田子一民
○副議長(田子一民君) 御異議ナシト認メ
さく、仍テ日程第十三、民事訴訟法中改正
法律案、日程第十四、陪審法中改正法律案、
右兩案ヲ一括シテ第一讀會ヲ開キマスー
柳川司法大臣
第十三民事訴訟法中改正法律案政
府提出、貴族院送付)第一讀會
第十四陪審法中改正法律案(政府提
出、貴族院送付)第一讀會
民事訴訟法中改正法律案
民事訴訟法中左ノ通改正ス
第五百八十五條ノ二執行裁判所必要ア
リト認ムルトキハ職權ヲ以テ前條ノ裁
判ヲ爲スコトヲ得
右裁判ニ對シテハ不服ヲ申立ツルコト
ヲ得ス
第六百六十二條ノ二裁判所必要アリト
認ムルトキハ職權ヲ以テ本款ニ揭ケタ
ル賣却條件ヲ變更スルコトヲ得
右裁判ニ對シテ不服ヲ申立ツルコトヲ
得ス
第一項ノ場合ニ於テハ裁判所ハ執達吏
ヲシテ不動產ニ付キ必要ナル取調ヲ爲
サシムルコトヲ得
第六百八十八條第四項中「買入代金」ノ下
ニ「、代金支拂期日ヨリ代金支拂マテノ利
息」ヲ加へ同條第五項ヲ左ノ如ク改ム
再競賣ヲ爲ストキハ前ノ競落人ハ競買
ニ加ハルコトヲ許サス且競買ノ保證ノ
爲メ預ケタル金錢又ハ有價證劵ノ返還
ヲ求ムルコトヲ得ス
前ノ競落人ハ再度ノ競落代價カ最初ノ
競落代價ヨリ低キトキハ不足ノ額及ヒ
手續ノ費用ヲ負擔ス
第六百九十四條第二項ニ左ノ二號ヲ加フ
第三第六百八十八條第四項ノ場合
ニ於テハ代金支拂期日ヨリ代金支
拂マテノ利息
第四第六百八十八條第五項ノ場合
ニ於テハ前ノ競落人ヨリ競買ノ保
證ノ爲メ預リタル金額
同條第四項中「最高競買價額」ヲ「競買」ニ
改ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
陪審法中改正法律案
陪審法中左ノ通改正ス
第十七條第一項中「每年」ヲ「四年每ニ」
ニ、「九月一日」ヲ「其ノ年ノ九月一日」ニ
改ム
第二十二條中「每年九月一日迄ニ翌年所
要ノ」ヲ「陪審員資格者名簿ヲ調製スル年
ノ九月一日迄ニ其ノ翌年ヨリ四年間所要
ノ」三菱八
第二十八條中「其ノ年內」ヲ「其ノ陪審員
候補者名簿調製ノ年ノ翌年ヨリ四年間」
ニュース
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行後最初ノ陪審員資格者名簿及陪
審員候補者名簿ノ調製ハ昭和十九年ニ於
テ之ヲ行フ
本法施行ノ際現ニ效力ヲ有スル陪審員資
格者名簿及陪審員候補者名簿ハ引續キ昭
和十九年十二月三十一日迄其ノ效力ヲ有
ス
〔國務大臣柳川平助君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=36
-
037・柳川平助
○國務大臣(柳川平助君) 只今上程セラレ
マシタ民事訴訟法中改正法律案ノ提案理由
ヲ御說明申上ゲマス
今囘ノ改正ハ、强制執行ニ於ケル競賣ヲ
圓滑ニ行ハントスル目的ニ出ヅルモノデア
リマシテ平時ニ於テモ其ノ必要ヲ認メテ
居ツタノデアリマスガ、事變以來特ニ其ノ
必要性ヲ增大致シマシタノデ、玆ニ御審議
ヲ仰グヤウニ相成ツタ譯デアリマス
改正ノ要點ハ二點デアリマス、其ノ一ハ、
動產及ビ不動產ノ競賣ニ於テ、競賣ノ方法
又ハ其ノ條件ガ餘リニ劃一的デアリマス關
係上、當事者ノ立場カラ申シマシテモ、將
又廣ク國家的見地カラ申シマシテモ、妥當
ヲ缺ク場合ガ少クナイノデ、之ヲ適當ニ調
整セントスルノデアリマス、卽チ裁判所ガ
妥當ト認メタ場合ニハ、動產ノ競賣ニ付
テハ、所謂糶上競賣ノ方法ノ外ニ、入札拂
又ハ任意賣却等ノ適當ナル方法ヲ講ジ、又
不動產ノ競賣ニ於テハ、賣却條件ノ變更ヲ
命ズルコトトシ競賣手續ノ圓滑ヲ圖ルコ
トトシタノデアリマス
其ノ二ハ、再競賣ノ弊害ヲ排除シ、且ツ
時局柄事務ノ簡捷ニ資セントスルノデアリ
マス、從來ノ經驗ニ依リマスト、競落人ガ
代金ノ支拂ヲ遲延シ、又ハ全然其ノ支拂ヲ
ナサナイ爲メ、再競賣手續ニ入ルノデアリ
マスカラ、此ノ弊害ヲ防止スル爲メ、遲延
ノ場合ハ利息ヲ支拂ハシメ、再競賣實施ノ
場合ハ常ニ保證ヲ沒收シ、何レモ之ヲ賣却代
金中ニ繰入レルコトトシタノデアリマス
尙ホ以上ノ改正點ハ、競賣法ニ依ル競賣及
ビ船舶ノ競賣ニ準用セラレルノデアリマス
カラ、本改正ニ依リ裁判所ノ關係スル一切
ノ競賣ハ適當ニ是正セラレル譯デアリマス、
何卒愼重御審議ノ上此ノ法案ノ通過ニ御盡
力アランコトヲ希望スル次第デアリマス
次ニ議題トナリマシタ陪審法中改正法律
案ノ提案理由ヲ申述べマス、現行陪審法ノ
規定ニ依レバ陪審員資格者名簿及ビ陪審
員候補者名簿ハ何レモ市町村長ガ每年之
ヲ調製スルコトトナツテ居リマスガ、本案
ハ陪審法運用ノ實情ト、現下市町村ノ事務
ノ繁劇ナルコトトニ鑑ミマシテ、陪審法ノ
運用ニ支障ヲ生ゼザル範圍內ニ於テ、右ノ
名簿調製ノ手續ヲ簡易化スル爲メ、之ヲ四
年每ニ調製スルコトニ改正セントスルモノ
デアリマス、何卒愼重御審議ノ上御協賛ア
ランコトヲ切望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=37
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038・田子一民
○副議長(田子一民君) 各案ノ審査ヲ付託
スベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=38
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039・服部崎市
○服部崎市君 日程第十三及ビ第十四ノ兩
案ハ、一活シテ政府提出、民法中改正法律
案、外二件委員ニ併セ付託サレンコトヲ望
ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=39
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040・田子一民
○副議長(田子一民君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=40
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041・田子一民
○副議長(田子一民君) 御異議ナシト認メ
きく、仍テ動議ノ如ク決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=41
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042・武知勇記
○武知勇記君 議事目程變更ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、去ル一月二十二日本院ニ於
テ可決セラレマシタ戰時體制强化ニ關スル
決議ノ趣旨ニ鑑ミ、政府提出、治安維持法、
改正法律案、蠶絲業統制法案、昭和十二年
法律第九十號中改正法律案、產業組合中央
金庫特別融通及損失補償法中改正法律案、
勞働者年金保險法案、右五案ハ何レモ成規
ノ日時ヲ經ザル議案デハゴザイマスルガ、
此ノ際特ニ逐次之ヲ上程シ、其ノ審議ヲ進
メラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=42
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043・田子一民
○副議長(田子一民君) 武知君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=43
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044・田子一民
○副議長(田子一民君) 御異議ナシト認メ
やく、仍テ日程ハ變更セラレマシタ-治
安維持法改正法律案ノ第一讀會ヲ開キマ
ス-柳川司法大臣
治安維持法改正法律案(政府提出)
第一讀會
治安維持法改正法律案
治安維持法
第一章罪
第一條國體ヲ變革スルコトヲ目的トシ
テ結社ヲ組織シタル者又ハ結社ノ役員
其ノ他指導者タル任務ニ從事シタル者
ハ死刑又ハ無期若ハ七年以上ノ懲役ニ
處シ情ヲ知リテ結社ニ加入シタル者又
ハ結社ノ目的遂行ノ爲ニスル行爲ヲ爲
シタル者ハ三年以上ノ有期懲役ニ處ス
第二條前條ノ結社ヲ支援スルコトヲ目
的トシテ結社ヲ組織シタル者又ハ結社
ノ役員其ノ他指導者タル任務ニ從事シ
タル者ハ死刑又ハ無期若ハ五年以上ノ
懲役ニ處シ情ヲ知リテ結社ニ加入シタ
ル者又ハ結社ノ目的遂行ノ爲ニスル行
爲ヲ爲シタル者ハ二年以上ノ有期懲役
二段夫人
第三條第一條ノ結社ノ組織ヲ準備スル
コトヲ目的トシテ結社ヲ組織シタル者
又ハ結社ノ役員其ノ他指導者タル任務
ニ從事シタル者ハ死刑又ハ無期若ハ五
年以上ノ懲役ニ處シ情ヲ知リテ結社ニ加
入シタル者又ハ結社ノ目的遂行ノ爲ニ
スル行爲ヲ爲シタル者ハ二年以上ノ有
期懲役ニ處ス
第四條前三條ノ目的ヲ以テ集團ヲ結成
シタル者又ハ集團ヲ指導シタル者ハ無
期又ハ三年以上ノ懲役ニ處シ前三條ノ
目的ヲ以テ集團ニ參加シタル者又ハ集
團ニ關シ前三條ノ目的遂行ノ爲ニスル
行爲ヲ爲シタル者ハ一年以上ノ有期懲
役ニ處ス
第五條第一條乃至第三條ノ目的ヲ以テ
其ノ目的タル事項ノ實行ニ關シ協議若
ハ煽動ヲ爲シ又ハ其ノ目的タル事項ヲ
宣傳シ其ノ他其ノ目的遂行ノ爲ニスル
行爲ヲ爲シタル者ハ一年以上十年以下
ノ懲役ニ處ス
第六條第一條乃至第三條ノ目的ヲ以テ
騷擾、暴行其ノ他生命、身體又ハ財產
ニ害ヲ加フベキ犯罪ヲ煽動シタル者ハ
二年以上ノ有期懲役ニ處ス
第七條國體ヲ否定シ又ハ神宮若ハ皇室
ノ尊嚴ヲ冒瀆スベキ事項ヲ流布スルコ
トヲ目的トシテ結社ヲ組織シタル者又
ハ結社ノ役員其ノ他指導者タル任務ニ
從事シタル者ハ無期又ハ四年以上ノ懲
役ニ處シ情ヲ知リテ結社ニ加入シタル
者又ハ結社ノ目的遂行ノ爲ニスル行爲
ヲ爲シタル者ハ一年以上ノ有期黴役ニ
處ス
第八條前條ノ目的ヲ以テ集團ヲ結成シ
タル者又ハ集團ヲ指導シタル者ハ無期
又ハ三年以上ノ懲役ニ處シ前條ノ目的
ヲ以テ集團ニ參加シタル者又ハ集團ニ
關シ前條ノ目的遂行ノ爲ニスル行爲ヲ
爲シタル者ハ一年以上ノ有期懲役ニ處
ス
第九條前八條ノ罪ヲ犯サシムルコトヲ
目的トシテ金品其ノ他ノ財產上ノ利益
ヲ供與シ又ハ其ノ申込若ハ約束ヲ爲シ
タル者ハ十年以下ノ〓役ニ處ス情ヲ知
リテ供與ヲ受ケ又ハ其ノ要求若ハ約束
ヲ爲シタル者亦同ジ
第十條私有財產制度ヲ否認スルコトヲ
目的トシテ結社ヲ組織シタル者又ハ情
ヲ知リテ結社ニ加入シタル者若ハ結社
ノ目的遂行ノ爲ニスル行爲ヲ爲シタル
者ハ十年以下ノ徵役又ハ禁錮ニ處ス
第十一條前條ノ目的ヲ以テ其ノ目的タ
ル事項ノ實行ニ關シ協議ヲ爲シ又ハ其
ノ目的タル事項ノ實行ヲ煽動シタル者
ハ七年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ處ス
第十二條第十條ノ目的ヲ以テ騒擾、暴
行其ノ他生命、身體又ハ財產ニ害ヲ加
フベキ犯罪ヲ煽動シタル者ハ十年以下
ノ黴役又ハ禁錮ニ處ス
第十三條前三條ノ罪ヲ犯サシムルコト
ヲ目的トシテ金品其ノ他ノ財產上ノ利
益ヲ供與シ又ハ其ノ申込若ハ約束ヲ爲
シタル者ハ五年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ
處ス情ヲ知リテ供與ヲ受ケ又ハ其ノ要
求若ハ約束ヲ爲シタル者亦同ジ
第十四條第一條乃至第四條、第七條、
第八條及第十條ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス
第十五條本章ノ罪ヲ犯シタル者自首シ
タルトキハ其ノ刑ヲ減輕又ハ免除ス
第十六條本章ノ規定ハ何人ヲ問ハズ本
法施行地外ニ於テ罪ヲ犯シタル者ニ亦
之ヲ適用ス
第二章刑事手續
第十七條本章ノ規定ハ第一章ニ揭グル
罪ニ關スル事件ニ付之ヲ適用ス
第十八條檢事ハ被疑者ヲ召喚シ又ハ其
ノ召喚ヲ司法警察官ニ命令スルコトヲ
得
檢事ノ命令ニ因リ司法警察官ノ發スル
召喚狀ニハ命令ヲ爲シタル檢事ノ職、
氏名及其ノ命令ニ因リ之ヲ發スル旨ヲ
モ記載スベシ
召喚狀ノ送達ニ關スル裁判所書記及執
達吏ニ屬スル職務ハ司法警察官吏之ヲ
行フコトヲ得
第十九條被疑者正當ノ事由ナクシテ前
條ノ規定ニ依ル召喚ニ應ゼズ又ハ刑事
訴訟法第八十七條第一項各號ニ規定ス
ル事由アルトキハ檢事ハ被疑者ヲ勾引
シ又ハ其ノ勾引ヲ他ノ檢事ニ囑託シ若
ハ司法警察官ニ命令スルコトヲ得
前條第二項ノ規定ハ檢事ノ命令ニ因リ
司法警察官ノ發スル勾引狀ニ付之ヲ準
用ス
第二十條勾引シタル被疑者ハ指定セラ
レタル場所ニ引致シタル時ヨリ四十八
時間內ニ檢事又ハ司法警察官之ヲ訊問
スベシ其ノ時間內ニ勾留狀ヲヲセザル
トキハ檢事ハ被疑者ヲ釋放シ又ハ司法
警察官ヲシテ之ヲ釋放セシムベシ
第二十一條刑事訴訟法第八十七條第一
項各號ニ規定スル事由アルトキハ檢事
ハ被疑者ヲ勾留シ又ハ其ノ勾留ヲ司法
警察官ニ命令スルコトヲ得
第十八條第二項ノ規定ハ檢事ノ命令ニ
因リ司法警察官ノ發スル勾留狀ニ付之
ヲ準用ス
第二十二條勾留ニ付テハ警察官署又ハ
憲兵隊ノ留置場ヲ以テ監獄ニ代用スル
コトヲ得
第二十三條勾留ノ期間ハ二月トス特ニ
繼續ノ必要アルトキハ地方裁判所檢事
又ハ區裁判所檢事ハ檢事長ノ許可ヲ受
ケ一月每ニ勾留ノ期間ヲ更新スルコト
ヲ得但シ通ジテ一年ヲ超ユルコトヲ得
ズ
第二十四條勾留ノ事由消滅シ其ノ他勾
留ヲ繼續スルノ必要ナシト思料スルト
キハ檢事ハ速ニ被疑者ヲ釋放シ又ハ司
法警察官ヲシテ之ヲ釋放セシムベシ
第二十五條檢事ハ被疑者ノ住居ヲ制限
シテ勾留ノ執行ヲ停止スルコトヲ得
刑事訴訟法第百十九條第一項ニ規定ス
ル事由アル場合ニ於テハ檢事ハ勾留ノ
執行停止ヲ取消スコトヲ得
第二十六條檢事ハ被疑者ヲ訊問シ又ハ
其ノ訊問ヲ司法警察官ニ命令スルコト
ヲ得
檢事ハ公訴提起前ニ限リ證人ヲ訊問シ
又ハ其ノ訊問ヲ他ノ檢事ニ囑託シ若ハ
司法警察官ニ命令スルコト得
司法察警官檢事ノ命令ニ因リ被疑者又
ハ證人ヲ訊問シタルトキハ命令ヲ爲シ
タル檢事ノ職、氏名及其ノ命令ニ因リ
訊問シタル旨ヲ訊問調書ニ記載スベシ
第十八條第二項及第三項ノ規定ハ證人
訊問ニ付之ヲ準用ス
第二十七條檢事ハ公訴提起前ニ限リ押
收搜索若ハ檢證ヲ爲シ又ハ其ノ處分
ヲ他ノ檢事ニ囑託シ若ハ司法警察官ニ
命令スルコトヲ得
檢事ハ公訴提起前ニ限リ鑑定、通譯若
ハ翻譯ヲ命ジ又ハ其ノ處分ヲ他ノ檢事
ニ囑託シ若ハ司法警察官ニ命令スルコ
トヲ得
前條第三項ノ規定ハ押收、搜索又ハ檢
證ノ調書及鑑定人、通事又ハ翻譯人ノ
訊問調書ニ付之ヲ準用ス
第十八條第二項及第三項ノ規定ハ鑑定、
通譯及翻譯ニ付之ヲ準用ス
第二十八條刑事訴訟法中被〓人ノ召
喚、勾引及勾留、被〓人及證人ノ訊間、
押收、搜索、檢證、鑑定、通譯竝ニ翻譯
ニ關スル規定ハ別段ノ規定アル場合ヲ
除クノ外被疑事件ニ付之ヲ準用ス但シ
保釋及責付ニ關スル規定ハ此ノ限ニ在
ラズ
第二十九條辯護人ハ司法大臣ノ豫メ指
定シタル辯護士ノ中ヨリ之ヲ選任スベ
シ但シ刑事訴訟法第四十條第二項ノ規
定ノ適用ヲ妨ゲズ
第三十條辯護人ノ數ハ被〓人一人ニ付
二人ヲ超ユルコトヲ得ズ
辯護人ノ選任ハ最初ニ定メタル公判期
日ニ係ル召喚狀ノ送達ヲ受ケタル日ヨ
リ十日ヲ經過シタルトキハ之ヲ爲スコ
トヲ得ズ但シ已ムコトヲ得ザル事由ア
ル場合ニ於テ裁判所ノ許可ヲ受ケタル
トキハ此ノ限ニ在ラズ
第三十一條辯護人ハ訴訟ニ關スル書類
ノ謄寫ヲ爲サントスルトキハ裁判長又
ハ豫審判事ノ許可ヲ受クルコトヲ要ス
辯護人ノ訴訟ニ關スル書類ノ閲覽ハ裁
判長又ハ豫審判事ノ指定シタル場所ニ
於テ之ヲ爲スベシ
第三十二條被〓事件公判ニ付セラレタ
ル場合ニ於テ檢事必要アリト認ムルト
キハ管轄移轉ノ請求ヲ爲スコトヲ得但
シ第一囘公判期日ノ指定アリタル後ハ
此ノ限ニ在ラズ
前項ノ請求ハ事件ノ繫屬スル裁判所及
移轉先裁判所ニ共通スル直近上級裁判
所ニ之ヲ爲スベシ
第一項ノ請求アリタルトキハ決定アル
迄訴訟手續ヲ停止スベシ
第三十三條第一章ニ揭グル罪ヲ犯シタ
ルモノト認メタル第一審ノ判決ニ對シ
テハ控訴ヲ爲スコトヲ得ズ
前項ニ規定スル第一審ノ判決ニ對シテ
ハ直接上告ヲ爲スコトヲ得
上告ハ刑事訴訟法ニ於テ第二審ノ判決
ニ對シ上告ヲ爲スコトヲ得ル理由アル
場合ニ於テ之ヲ爲スコトヲ得
上告裁判所ハ第二審ノ判決ニ對スル上
告事件ニ關スル手續ニ依リ裁判ヲ爲ス
ベシ
第三十四條第一章ニ揭グル罪ヲ犯シタ
ルモノト認メタル第一審ノ判決ニ對シ
上告アリタル場合ニ於テ上〓裁判所同
章ニ揭グル罪ヲ犯シタルモノニ非ザル
コトヲ疑フニ足ルベキ顯著ナル專由ア
ルモノト認ムルトキハ判決ヲ以テ原判
決ヲ破毀シ事件ヲ管轄控訴裁判所ニ移
送スベシ
第三十五條上告裁判所ハ公判期日ノ通
知ニ付テハ刑事訴訟法第四百二十二條
第一項ノ期間ニ依ラザルコトヲ得
第三十六條刑事手續ニ付テハ別段ノ規
定アル場合ヲ除クノ外一般ノ規定ノ適
用アルモノトス
第三十七條本章ノ規定ハ第二十二條、
第二十三條、第二十九條、第三十條
第一項、第三十二條、第三十三條及
第三十四條ノ規定ヲ除クノ外軍法會議
ノ刑事手續ニ付之ヲ準用ス此ノ場合ニ
於テ刑事訴訟法第八十七條第一項トア
ルハ陸軍軍法會議法第百四十三條又ハ
海軍軍法會議法第百四十三條、刑事訴
訟法第四百二十二條第一項トアルハ陸
軍軍法會議法第四百四十四條第一項又
ハ海軍軍法會議法第四百四十六條第一
項トシ第二十五條第二項中刑事訴訟法
第百十九條第一項ニ規定スル事由アル
場合ニ於テハトアルハ何時ニテモトス
第三十八條朝鮮ニ在リテハ本章中司法
大臣トアルハ朝鮮總督、檢事長トアル
ハ覆審法院檢事長、地方裁判所檢事又
ハ區裁判所檢事トアルハ地方法院檢事、
刑事訴訟法トアルハ朝鮮刑事令ニ於テ
依ルコトヲ定メタル刑事訴訟法トス但
シ刑事訴訟法第四百二十二條第一項ト
アルハ朝鮮刑事令第三十一條トス
第三章豫防拘禁
第三十九條第一章ニ揭グル罪ヲ犯シ刑
ニ處セラレタル者其ノ執行ヲ終リ釋放
セラルベキ場合ニ於テ釋放後ニ於テ更
ニ同章ニ揭グル罪ヲ犯スノ虞アルコト
顯著ナルトキハ裁判所ハ檢事ノ請求ニ
因リ本人ヲ豫防拘禁ニ付スル旨ヲ命ズ
ルコトヲ得
第一章ニ揭グル罪ヲ犯シ刑ニ處セラレ
其ノ執行ヲ終リタル者又ハ刑ノ執行猶
豫ノ言渡ヲ受ケタル者思想犯保護觀
法ニ依リ保護觀察ニ付セラレ居ル場合
ニ於テ保護觀察ニ依ルモ同章ニ揭グル
罪ヲ犯スノ危險ヲ防止スルコト困難ニ
シテ更ニ之ヲ犯スノ虞アルコト顯著ナ
ルトキ亦前項ニ同ジ
第四十條豫防拘禁ノ請求ハ本人ノ現在
地ヲ管轄スル地方裁判所ノ檢事其ノ裁
判所ニ之ヲ爲スベシ
前項ノ請求ハ保護觀察ニ付セラレ居ル
者ニ係ルトキハ其ノ保護觀察ヲ爲ス保
護觀察所ノ所在地ヲ管轄、スル地方裁判
所ノ檢事其ノ裁判所ニ之ヲ爲スコトヲ
得
豫防拘禁ノ請求ヲ爲スニハ豫メ豫防拘
禁委員會ノ意見ヲ求ムルコトヲ要ス
豫防拘禁委員會ニ關スル規定ハ勅令ヲ
以テ之ヲ定ム
第四十一條檢事ハ豫防拘禁ノ請求ヲ爲
スニ付テハ必要ナル取調ヲ爲シ又ハ公
務所ニ照會シテ必要ナル事項ノ報告ヲ
求ムルコトヲ得
前項ノ取調ヲ爲スニ付必要アル場合ニ
於テハ司法警察官吏ヲシテ本人ヲ同行
セシムルコトヲ得
第四十二條檢事ハ本人定リタル住居ヲ
有セザル場合又ハ逃亡シ若ハ逃亡スル
虞アル場合ニ於テ豫防拘禁ノ請求ヲ爲
スニ付必要アルトキハ本人ヲ豫防拘禁
所ニ假ニ收容スルコトヲ得但シ已ムコ
トヲ得ザル事由アル場合ニ於テハ監獄
ニ假ニ收容スルコトヲ妨ゲズ
前項ノ假收容ハ本人ノ陳述ヲ聽キタル
後ニ非ザレバ之ヲ爲スコトヲ得ズ但シ
本人陳述ヲ肯ゼズ又ハ逃亡シタル場合
ハ此ノ限ニ在ラズ
第四十三條前條ノ假收容ノ期間ハ十日
トス其ノ期間內ニ豫防拘禁ノ請求ヲ爲
サザルトキハ速ニ本人ヲ釋放スベシ
第四十四條豫防拘禁ノ請求アリタルト
キハ裁判所ハ本人ノ陳述ヲ聽キ決定ヲ
爲スベシ此ノ場合ニ於テハ裁判所ハ本
人ニ出頭ヲ命ズルコトヲ得
本人陳述ヲ肯ゼズ又ハ逃亡シタルトキ
ハ陳述ヲ聽カズシテ決定ヲ爲スコトヲ
得
刑ノ執行終了前豫防拘禁ノ請求アリタ
ルトキハ裁判所ハ刑ノ執行終了後ト雖
モ豫防拘禁ニ付スル旨ノ決定ヲ爲スコ
トヲ得
第四十五條裁判所ハ事實ノ取調ヲ爲ス
ニ付必要アル場合ニ於テハ參考人ニ出
頭ヲ命ジ事實ノ陳述又ハ鑑定ヲ爲サシ
ムルコトヲ得
裁判所ハ公務所ニ照會シテ必要ナル事
項ノ報〓ヲ求ムルコトヲ得
第四十六條檢事ハ裁判所ガ本人ヲシテ
陳述ヲ爲サシメ又ハ參者人ヲシテ事實
ノ陳述若ハ鑑定ヲ爲サシムル場合ニ立
會ヒ意見ヲ開陳スルコトヲ得
第四十七條本人ノ屬スル家ノ戶主、配
偶者又ハ四親等內ノ血族若ハ三親等內
ノ姻族ハ裁判所ノ許可ヲ受ケ輔佐人ト
爲ルコトヲ得
輔佐人ハ裁判所ガ本人ヲシテ陳述ヲ爲
サシメ若ハ參考人ヲシテ事實ノ陳述若
ハ鑑定ヲ爲サシムル場合ニ立會ヒ意見
ヲ開陳シ又ハ參考ト爲ルベキ資料ヲ提
出スルコトヲ得
第四十八條左ノ場合ニ於テハ裁判所ハ
本人ヲ勾引スルコトヲ得
一本人定リタル住居ヲ有セザルトキ
二本人逃亡シタルトキ又ハ逃亡スル
虞アルトキ
三本人正當ノ理由ナクシテ第四十四
條第一項ノ出頭命令ニ應ゼザルトキ
第四十九條前條第一號又ハ第二號ニ規
定スル事由アルトキハ裁判所ハ本人ヲ
豫防拘禁所ニ假ニ收容スルコトヲ得但
シ已ムコトヲ得ザル事由アル場合ニ於
テハ監獄ニ假ニ收容スルコトヲ妨ゲズ
本人監獄ニ在ルトキハ前項ノ事由ナシ
ト雖モ之ヲ假ニ收容スルコトヲ得
第四十二條第二項ノ規定ハ第一項ノ場
合ニ付之ヲ準用ス
第五十條別段ノ規定アル場合ヲ除クノ
外刑事訴訟法中勾引ニ關スル規定ハ第
四十八條ノ勾引ニ、勾留ニ關スル規定
ハ第四十二條及前條ノ假收容ニ付之ヲ
準用ス但シ保釋及責付ニ關スル規定ハ
此ノ限ニ在ラズ
第五十一條豫防拘禁ニ付セザル旨ノ決
定ニ對シテハ檢事ハ卽時抗〓ヲ爲スコ
トヲ得
豫防拘禁ニ付スル旨ノ決定ニ對シテハ
本人及輔佐人ハ卽時抗告ヲ爲スコトヲ
得
第五十二條別段ノ規定アル場合ヲ除ク
ノ外刑事訴訟法中決定ニ關スル規定ハ
第四十四條ノ決定ニ、卽時抗〓ニ關ス
ル規定ハ前條ノ卽時抗告ニ付之ヲ準用
ス
第五十三條豫防拘禁ニ付セラレタル者
ハ豫防拘禁所ニ之ヲ收容シ改悛セシム
ル爲必要ナル處置ヲ爲スベシ
豫防拘禁所ニ關スル規程ハ勅令ヲ以テ
之ヲ定ム
第五十四條豫防拘禁ニ付セラレタル者
ハ法令ノ範圍內ニ於テ他人ト接見シ又
ハ信書其ノ他ノ物ノ接受ヲ爲スコトヲ
得
豫防拘禁ニ付セラレタル者ニ對シテハ
信書其ノ他ノ物ノ檢閱、差押若ハ沒取ヲ
爲シ又ハ保安若ハ懲戒ノ爲必要ナル處置
ヲ爲スコトヲ得假ニ收容セラレタル者
及本章ノ規定ニ依リ勾引狀ノ執行ヲ受
ケ留置セラレタル者ニ付亦同ジ
第五十五條豫防拘禁ノ期間ハ二年トス
特ニ繼續ノ必要アル場合ニ於テハ裁判
所ハ決定ヲ以テ之ヲ更新スルコトヲ得
豫防〓禁ノ期間滿了前更新ノ請求アリ
タルトキハ裁判所ハ期間滿了後ト雖モ
更新ノ決定ヲ爲スコトヲ得
更新ノ決定ハ豫防拘禁ノ期間滿了後確
定シタルトキト雖モ之ヲ期間滿了ノ時
確定シタルモノト看做ス
第四十條、第四十一條及第四十四條乃
至第五十二條ノ規定ハ更新ノ場合ニ付
之ヲ準用ス此ノ場合ニ於テ第四十九條
第二項中監獄トアルハ豫防拘禁所トス
第五十六條豫防拘禁ノ期間ハ決定確定
ノ日ヨリ起算ス
拘禁セラレザル日數又ハ刑ノ執行ノ爲
拘禁セラレタル日數ハ決定確定後ト雖
モ前項ノ期間ニ算入セズ
第五十七條決定確定ノ際本人受刑者ナ
ルトキハ豫防拘禁ハ刑ノ執行終了後之
ヲ執行ス
監獄ニ在ル本人ニ對シ豫防拘禁ヲ執行
セントスル場合ニ於テ移送ノ準備其ノ
他ノ事由ノ爲特ニ必要アルトキハ一時
拘禁ヲ繼續スルコトヲ得
豫防拘禁ノ執行ハ本人ニ對スル犯罪ノ
搜査其ノ他ノ事由ノ爲特ニ必要アルト
キハ決定ヲ爲シタル裁判所ノ檢事又ハ
本人ノ現在地ヲ管轄スル地方裁判所ノ
檢事ノ指揮ニ因リ之ヲ停止スルコトヲ
得
刑事訴訟法第五百三十四條乃至第五百
三十六條及第五百四十四條乃至第五百
五十二條ノ規定ハ豫防拘禁ノ執行ニ付
之ヲ準用ス
第五十八條豫防拘禁ニ付セラレタル者
收容後其ノ必要ナキニ至リタルトキハ
第五十五條ニ規定スル期間滿了前ト雖
モ行政官廳ノ處分ヲ以テ之ヲ退所セシ
ムベシ
第四十條第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ
付之ヲ準用ス
第五十九條豫防拘禁ノ執行ヲ爲サザル
コト二年ニ及ビタルトキハ決定ヲ爲シ
タル裁判所ノ檢事又ハ本人ノ現在地ヲ
管轄スル地方裁判所ノ撿事ハ事情ニ因
リ其ノ執行ヲ免除スルコトヲ得
第四十條第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ
付之ヲ準用ス
第六十條天災事變ニ際シ豫防拘禁所內
ニ於テ避難ノ手段ナシト認ムルトキハ
收容セラレタル者ヲ他所ニ護送スベシ
若シ護送スルノ暇ナキトキハ一時之ヲ
解放スルコトヲ得
解放セラレタル者ハ解放後二十四時間
內ニ豫防拘禁所又ハ警察官署ニ出頭ス
ベシ
第六十一條本章ノ規定ニ依リ豫防拘禁
所若ハ監獄ニ收容セラレタル者又ハ勾
引狀若ハ逮捕狀ヲ執行セラレタル者逃
走シタルトキハ一年以下ノ懲役ニ處ス
前條第一項ノ規定ニ依リ解放セラレタ
ル者同條第二項ノ規定ニ違反シタルト
キ亦前項ニ同ジ
第六十二條收容設備若ハ械具ヲ損壞
シ、暴行若ハ脅迫ヲ爲シ又ハ二人以上
通謀シテ前條第一項ノ罪ヲ犯シタル者
ハ三月以上五年以下ノ懲役ニ處ス
第六十三條前二條ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス
第六十四條本法ニ規定スルモノノ外豫
防拘禁ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以
テ之ヲ定ム
第六十五條朝鮮ニ在リテハ豫防拘禁ニ
關シ地方裁判所ノ爲スベキ決定ハ地方
法院ノ合議部ニ於テ之ヲ爲ス
朝鮮ニ在リテハ本章中地方裁判所ノ檢
事トアルハ地方法院ノ檢事、思想犯保
護觀察法トアルハ朝鮮思想犯保護觀察
令、刑事訴訟法トアルハ朝鮮刑事令ニ
於テ依ルコトヲ定メタル刑事訴訟法ト
ス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第一章ノ改正規定ハ本法施行前從前ノ規
定ニ定メタル罪ヲ犯シタル者ニ亦之ヲ適
用ス但シ改正規定ニ定ムル刑ガ從前ノ規
定ニ定メタル刑ヨリ重キトキハ從前ノ規
定ニ定メタル刑ニ依リ處斷ス
第二章ノ改正規定ハ本法施行前公訴ヲ提
起シタル事件ニ付テハ之ヲ適用セズ
第三章ノ改正規定ハ從前ノ規定ニ定メタ
ル罪ニ付本法施行前刑ニ處セラレタル者
ニ亦之ヲ適用ス
本法施行前朝鮮刑事令第十二條乃至第十
五條ノ規定ニ依リ爲シタル搜査手續ハ本
法施行後ト雖モ仍其ノ效力ヲ有ス
前項ノ捜査手續ニシテ本法ニ之ニ相當ス
ル規定アルモノハ之ヲ本法ニ依リ爲シタ
ルモノト看做ス、
本法施行前朝鮮思想犯豫防拘禁令ニ依リ
爲シタル豫防拘禁ニ關スル手續ハ本法施
行後ト雖モ仍其ノ效力ヲ有ス
前項ノ豫防拘禁ニ關スル手續ニシテ本法
ニ之ニ相當スル規定アルモノハ之ヲ本法
ニ依リ爲シタルモノト看做ス
〔國務大臣柳川平助君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=44
-
045・柳川平助
○國務大臣(柳川平助君) 只今上程ニ相成
リマシタ治安維持法改正法律案ヲ提出スル
ニ至リマシタ理由ヲ御說明申上ゲマス
御承知ノ通リ我ガ國ハ今ヤ內外共ニ實ニ
重大ナル時局ニ際會シテ居ルノデアリマス、
此ノ重大時局ヲ乘切ル爲ニハ、官民共ニ益、と
肇國ノ精神ヲ發揚シ、一致協力シテ、國體
ヲ擁護シ、聖業翼贊ノ信念ヲ堅持シテ進マ
ナケレバナラヌコトハ申スマデモナイ所デ
アリマス、然ルニ永年ニ亙リ當局ガ銳意檢
擧ヲ續行致シタニモ拘ラズ、斯カル重大時
局下ニ於テ、共產主義其ノ他ノ詭激思想運
動ガ依然終熄致シマセヌノミナラズ、最近
ニ於キマシテハ、再ビ擡頭シツツアルヤニ
認メラレマスコトハ、洵ニ遺憾ノ次第デア
リマス現下ノ我ガ國情ハ官民一致ノ努力
ニモ拘ラズ、事變ノ長期化ト國際情勢ノ變
化ニ伴ヒ、各種ノ經濟現象ガ漸次複雜化シ
ツツアルノデアリマスガ、斯カル社會情勢
ハ、動モスレバ詭激思想ヲ助成シ、詭激思
想抱懷者ヲシテ乘ズルノ機會ヲ與フルコト
ト相成ルノデアリマス、隨ヒマシテ是等不
逞ノ思想運動ニ對シマシテ、現在程强力ナ
ル施策ヲ必要トスル時機ハナイノデアリマ
ス、而シテ是ガ對策ト致シマシテハ、〓育
其ノ他ノ方面ニ於ケル諸般ノ施設ヲ必要ト
致スコト勿論デアリマシテ、啻ニ刑罰ヲ以
テ是ガ根絕ヲ期スルコトハ、至難ノ業デア
リマスコトハ勿論デアリマスガ、苟クモ國
體ノ變革ヲ企圖スルガ如キ、不逞極マリナ
キ詭激思想ノ抱懷者ニ對シマシテハ、之ヲ
徹底的ニ檢擧處罰シ、彼等ヲシテ蠢動ノ餘
地ナカラシムルコト、必要缺クベカラザル
事柄デアリマス
現行治安維持法ハ、御承知ノ如ク大正十
四年ノ制定ニ係リ、其ノ後昭和三年緊急勅
令ヲ以テ、其ノ一部ニ改正ガ加ヘラレタニ
過ギナイノデアリマシテ、大正末期ヨリ昭
和初年ニ掛ケテノ思想運動情勢ヲ背景トシテ
規定セラレマシタル關係上、共產主義運動、
殊ニ日本共產黨ノ活動ヲ、主タル對象トシ
テ規定セラレテ居ルノデアリマス、然ルニ
運動情勢ノ變化ニ順應シ、治安維持ノ目的
ヲ達スルガ爲ニハ一面共產主義運動ノミ
ナラズ、無政府主義運動、民族獨立運動又
ハ類似宗〓運動等、各種ノ詭激思想運動ニモ、
亦之ヲ適用スル實際上ノ必要ガアリマスル
ト共ニ、他面共產主義運動ニ關シマシテモ、
情勢ノ變化、殊ニ所謂人民戰線方策ノ採用
ニ依リ、其ノ運動形態ハ本法制定當時ニ比
シ極メテ複雜化スルニ至リマシタノデ、現
行治安維持法ハ事案ヲ處理致ス上ニ於テ、
不備ノ點ガ多々存スルニ至ツタノデアリマ
ス、隨テ事態ノ變化ニ對應シテ、取締ノ完
璧ヲ期スル爲メ、現行法ノ罰則ヲ整備强化
スル必要ガアルノデアリマス
ソレト同時ニ、本法施行以來ノ實蹟ニ徵
シ、且ツ思想犯罪事件ノ特質ニ鑑ミマシテ、
搜査機關ノ搜査手段ヲ强化致シ、其ノ迅速
適正ヲ期スルト共ニ、裁判手續モ亦之ヲ極
メテ敏速化シ、且又過去ニ於テ此ノ種事件
ニ關シ屢〓行ハレタ、所謂法廷鬪爭ヲ防止ス
ル爲ノ制度ヲ設クル必要ガアルノデアリマ
ス、搜査及ビ審判ニ關スル現行刑事訴訟法
ノ規定ハ極メテ不備デアリマシテ、斯カル
現下ノ必要ヲ十分ニ充シ得マセヌノデ、其
ノ不備ヲ補ヒ、其ノ完璧ヲ期スルコトハ喫
緊ノ要務デアリマス
更ニ最近ノ共產主義運動ノ實情ヲ見マス
ルニ、活動ノ中心ヲ成スモノハ多ク非轉
向ノ刑餘者又ハ執行猶豫者デアリマスノミ
ナラズ、思想犯人ノ特質ヨリ致シマシテ、
一旦感染シタル詭激思想ハ容易ニ拂拭致シ
難ク、刑ノ執行ニ依ルモ改悛セザル者其ノ
數ニ乏シクアリマセヌ、此ノ實情ニ鑑ミ、
思想犯罪ノ鎭壓ト豫防ノ效果ヲ完璧ナラシ
ムル爲ニ、一定ノ條件ト手續ノ下ニ、所謂
非轉向分子ヲ社會ヨリ隔離シ、且ツ其ノ改
悛ヲ促スコトヲ目的トスル豫防拘禁制度ヲ
設クル必要ガアルノデアリマス(拍手)
之ヲ要シマスルニ、現行治安維持法ヲ全
般ニ亙ツテ改正シ、罰則ヲ整備强化シテ其
ノ完璧ヲ期シ、特別刑事手續ヲ創設シテ
檢擧ヨリ裁判ニ至ルマデ、其ノ手續ヲ迅速
適正化シ、豫防拘禁制度ヲ確立シ、非轉向
分子ヲシテ乘ズル所ナカラシムルコトハ
現下喫緊ノ要務デアリマシテ、國體ヲ擁護
シ、大義ヲ匡シ、以テ高度國防國家體制ノ完
璧ヲ期スル所以デアルト信ジ、玆ニ本案ヲ
提出スル次第デアリマス、何卒愼重御審議
ノ上速カニ御協賛アランコトヲ希望致ス次
第デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=45
-
046・田子一民
○副議長(田子一民君) 本案ノ審査ヲ付託
スベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=46
-
047・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ議長指名十八名ノ委
員ニ付託サレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=47
-
048・田子一民
○副議長(田子一民君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=48
-
049・田子一民
○副議長(田子一民君) 御異議ナシト認メ
マン、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-蠶絲
業統制法案ノ第一讀會ヲ開キマス-石黑
農林大臣
蠶絲業統制法案(政府提出)第一讀會
蠶絲業統制法案
蠶絲業統制法
第一條本法ハ〓絲ニ對スル內外ノ需要
ニ應ジ蠶絲業ノ統制ヲ行ヒ以テ其ノ安
定及發達ヲ圖ルト共ニ蠶絲業ニ對スル
國民經濟上ノ要求ヲ充足スルコトヲ目
的トス
第二條本法ニ於テ蠶絲トハ蠶種、繭
生絲其ノ他命令ヲ以テ定ムル蠶絲類ヲ
謂フ
第三條主務大臣ハ蠶絲委員會ニ諮問シ
命令ヲ以テ定ムル蠶絲ノ生產ニ關スル
計畫ヲ定ム
主務大臣ハ勅令ヲ以テ定ムル蠶絲業者
ノ團體ニ對シ命令ノ定ムル所ニ依リ其
ノ團體員(其ノ團體員ノ團體員ヲ含ム)
ニ對スル生產數量又ハ品種ノ指定其ノ
他前項ノ計畫ノ實施ニ關シ必要ナル統
制ヲ行フベキコトヲ命ズルコトヲ得
前項ノ團體員ハ同項ノ規定ニ依リ團體
ノ行フ指定其ノ他ノ統制ニ從フベシ
蠶絲委員會ニ關スル規程ハ勅令ヲ以テ
之ヲ定ム
第四條蠶種、繭又ハ生絲ノ生產、輸入
又ハ移入ヲ業トスル者ハ命令ノ定ムル
所ニ依リ其ノ生產、輸入又ハ移入ニ係
ル蠶種、繭又ハ生絲ヲ日本蠶絲統制株
式會社ニ賣渡スベシ但シ命令ヲ以テ定
ムル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
命令ヲ以テ定ムル蠶絲業者ハ其ノ生產
ノ用ニ供スル蠶種又ハ繭ヲ日本蠶絲統
制株式會社以外ノ者ヨリ買入ルルコト
ヲ得ズ但シ命令ヲ以テ定ムル場合ハ此
ノ限ニ在ラズ
第五條繭ノ生產數量ノ減少其ノ他ノ事
由ニ因リ特ニ必要アル場合ニ於テ日本
蠶絲益制株式會社ハ主務大臣ノ認可ヲ
受ケ生絲ノ生產ヲ業トスル者ニ對シ其
ノ所有スル繭ノ買取ノ申込ヲ爲スコト
ヲ得
前項ノ申込ヲ受ケタル者ハ其ノ申込ニ
應ジ繭ノ賣渡ヲ爲スコトヲ要ス但シ命
令ヲ以テ定ムル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第六條主務大臣繭又ハ生絲ノ價格ノ調
整上必要アリト認ムルトキハ日本蠶絲
統制株式會社ニ對シ其ノ行フ繭又ハ生
絲ノ買入又ハ賣渡ニ關シ必要ナル命令
ヲ爲スコトヲ得
第七條主務大臣ハ蠶絲委員會ニ諮問シ
前三條ノ規定ニ依リ日本蠶絲統制株式
會社ガ買入又ハ賣渡ヲ爲ス蠶種、繭及
生絲ノ標準買入價格及標準賣渡價格ヲ
定ム
前項ノ標準買入價格及標準賣渡價格ハ
夫々蠶種、繭又ハ生絲ノ生產費ヲ基準
トシ蠶絲ノ需給狀況、物價其ノ他ノ經
濟事情ヲ參酌シテ之ヲ定ム
第八條日本蠶絲統制株式會社ハ前條ノ
標準買入價格及標準賣渡價格ニ準據シ
テ蠶種、繭及生絲ノ買入價格及賣渡價
格ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
主務大臣前條ノ認可ヲ爲シタルトキハ
命令ノ定ムル所ニ依リ告示ス
第九條第四條乃至第六條ノ規定ニ依ル
蠶種、繭又ハ生絲ノ買入及賣渡ハ前條
ノ規定ニ依リ主務大臣ノ認可シタル價
格ニ依ルニ非ザレバ之ヲ爲スコトヲ得
ズ
第十條主務大臣ハ第八條ノ規定ニ依リ
其ノ認可シタル價格ヲ除クノ外蠶絲ノ
價格ノ指定ヲ爲スコトヲ得
主務大臣前項ノ指定ヲ爲シタルトキハ
命令ノ定ムル所ニ依リ告示ス
第十一條前條ノ場合ニ於テハ蠶絲ノ買
入及賣渡ハ同條ノ規定ニ依リ主務大臣
ノ指定シタル價格ニ依ルニ非ザレバ之
ヲ爲スコトヲ得ズ但シ命令ヲ以テ定ム
ル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第十二條主務大臣ハ蠶絲ノ需給ノ調整
又ハ輸出ノ振興上特ニ必要アリト認ム
ルトキハ蠶絲委員會ニ諮問シ蠶絲ノ生
產、加工、輸出、輸入、移出、移入若
ハ取扱ヲ業トスル者又ハ勅令ヲ以テ定
ムル纖維製品ノ製造ヲ業トスル者ニ對
シ勅令ノ定ムル所ニ依リ蠶絲ノ生產、
配給、消費、使用、輸出、輸入、移出
又ハ移入ノ統制ニ關シ必要ナル命令ヲ
爲スコトヲ得
第十三條政府ハ日本蠶絲統制株式會社
ノ所有スル生絲ガ命令ヲ以テ定ムル數量
ヲ超ユル場合ニ於テ生絲ノ價格又ハ數
量ノ調整ヲ圖ル爲必要アリト認ムルト
キハ日本蠶絲統制株式會社ノ所有スル
生絲ノ買入ヲ爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ政府ノ買入ルル生絲
ノ買入價格ハ其ノ時ニ於ケル日本蠶絲
統制株式會社ノ買入價格ニ準據シテ主
務大臣之ヲ定ム
第十四條政府ハ生絲ノ價格又ハ數量ノ
調整ヲ圖ル爲必要アリト認ムルトキハ
蠶絲委員會ニ諮問シ日本蠶絲統制株式
會社ニ對シ其ノ所有スル生絲ノ賣渡ヲ
爲スコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ政府ノ賣渡ス生絲ノ
賣渡價格ハ其ノ時ニ於ケル日本蠶絲統
制株式會社ノ賣渡價格ニ準據シテ主務
大臣之ヲ定ム
第十五條前二條ノ規定ニ依ル生絲ノ買
入及賣渡ニ關スル一切ノ歲入歲出ハ絲
價安定施設特別會計ニ屬セシム
第十六條生絲ハ命令ノ定ムル所ニ依リ
國ノ生絲檢査所ノ檢査ヲ受ケタルモノ
ニ非ザレバ之ヲ輸出スルコトヲ得ズ
生絲ハ前項ノ檢査又ハ命令ヲ以テ定ム
ル檢査ニ依ル正量及品位ニ依ルニ非ザ
レバ其ノ賣買取引ヲ爲スコトヲ得ズ
繭ハ命令ノ定ムル所ニ依リ道府縣ノ行
フ檢定ニ依ル品位ニ依ルニ非ザレバ其
ノ賣買取引ヲ爲スコトヲ得ズ
主務大臣前三項、ノ規定ヲ適用スル必要
ナシト認ムル場合ハ命令ヲ以テ其ノ適
用ヲ除外スルコトヲ得
第十七條主務大臣ノ指定スル生絲ノ生
產ヲ業トスル者ニ非ザレバ其ノ生產ニ
係ル生絲ニ付前條第一項ノ檢査ヲ受ク
ルコトヲ得ズ
前項ノ者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ主務
大臣ノ指定スル數量又ハ品種ノ生絲ニ
付前條第一項ノ檢査ヲ受クルコトヲ要
ス
第十八條主務大臣必要アリト認ムルト
キハ勅令ノ定ムル所ニ依リ蠶絲業ヲ營
マントスル者ニ對シ行政官廳ノ許可ヲ
受クベキコトヲ命ズルコトヲ得
行政官廳ハ前項ノ許可ヲ受ケタル者ノ
行爲ガ本法若ハ本法ニ基キテ發スル命
令又ハ之ニ基キテ爲ス處分ニ違反シ又
ハ公益ヲ害シ若ハ害スルノ虞アッリト認
ムルトキハ其ノ許可ヲ取消シ又ハ其ノ
業務ヲ制限シ若ハ停止スルコトヲ得
第十九條主務大臣必要アリト認ムルト
キハ勅令ノ定ムル所ニ依リ桑園ヲ新設
又ハ擴張セントスル者ニ對シ地方長官
ノ許可ヲ受クベキコトヲ命ズルコトヲ
得
第二十條主務大臣必要アリト認ムルト
キハ蠶種、繭又ハ生絲ノ生產又ハ取扱
ヲ業トスル者其ノ他命令ヲ以テ定ムル
者ニ對シ其ノ業務及財產ノ狀況ニ關シ
報告ヲ爲サシメ又ハ帳簿書類其ノ他ノ
物件ノ檢査ヲ爲スコトヲ得
第二十一條主務大臣ハ勅令ノ定ムル所
ニ依リ本法ニ規定シタル職權ノ一部ヲ
地方長官ニ委任スルコトヲ得
第二十二條日本蠶絲統制株式會社ハ蠶
絲ノ價格ノ安定又ハ需給ノ調整ヲ圖ル
爲必要ナル事業ヲ營ムコトヲ目的トス
ル株式會社トス
第二十三條日本蠶絲統制株式會社ノ資
本ハ八千萬圓トス但シ主務大臣ノ認可
ヲ受ケ之ヲ增加スルコトヲ得
第二十四條日本蠶絲統制株式會社ノ株
式ハ記名式トシ政府、公共團體、帝國
臣民又ハ帝國法人ニシテ社員、株主若
ハ業務ヲ執行スル役員ノ半數以上、資
本ノ半額以上若ハ議決權ノ過半數ガ外
國人若ハ外國法人ニ屬セザルモノニ限
リ之ヲ所有スルコトヲ得
第二十五條政府ハ四千萬圓ヲ限リ日本
蠶絲統制株式會社ニ出資スベシ
政府所有ノ株式ノ株金拂込ハ其ノ他ノ
株式ノ株金拂込ト之ヲ異ニスルコトヲ
得
第二十六條日本蠶絲統制株式會社ニ非
ザルモノハ日本蠶絲統制株式會社又ハ
之ニ類似ノ名稱ヲ以テ其ノ商號ト爲ス
コトヲ得ズ
第二十七條日本蠶絲統制株式會社ニ役
員トシテ社長副社長各一人、理事三人
以上及監事二人以上ヲ置ク
第二十八條社長ハ日本蠶絲統制株式會
社ヲ代表シ其ノ業務ヲ總理ス
副社長ハ社長事故アルトキハ其ノ職務
ヲ代理シ社長缺員ノトキハ其ノ職務ヲ
行フ
副社長及理事ハ社長ヲ輔佐シ定款ノ定
ムル所ニ依リ日本蠶絲統制株式會社ノ
業務ヲ分掌ス
監事ハ日本蠶絲統制株式會社ノ業務ヲ
監査ス
第二十九條社長及副社長ハ主務大臣之
ヲ命ジ其ノ任期ヲ四年トス
理事ハ株主總會ニ於テ之ヲ選任シ主務
大臣ノ認可ヲ受クルモノトシ其ノ任期
ヲ三年トス
監事ハ株主總會ニ於テ之ヲ選任シ其ノ
任期ヲ二年トス
第三十條社長、副社長及理事ハ他ノ職
務又ハ商業ニ從事スルコトヲ得ズ但シ
主務大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ
限ニ在ラズ
第三十一條日本蠶絲統制株式會社ハ蠶
種、繭及生絲ノ買入及賣渡ヲ爲スモノ
トス
日本蠶絲統制株式會社ハ主務大臣ノ認
可ヲ受ケ前項ノ事業ノ外本會社ノ目的
達成上必要ナル諸事業ヲ營ムコトヲ得
第三十二條日本蠶絲統制株式會社ハ每
營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益
金額ガ政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ
拂込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ四ノ
割合ニ達スル迄政府ノ所有スル株式ニ
對シ利益ノ配當ヲ爲スコトヲ要セズ
第三十三條日本蠶絲統制株式會社ノ每
營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金
額ガ政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ拂
込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ四ノ割
合ニ達セザルトキハ政府ハ初營業年度
及爾後五年間ヲ限リ之ニ達セシムベキ
金額ヲ補給スベシ但シ其ノ額ハ政府以
外ノ者ノ所有スル株式ノ拂込ミタル株
金額ニ對シ年百分ノ四ノ割合ニ相當ス
ル額及當該營業年度ニ於テ支拂ヒタル
借入金ノ利息額ノ合計額ヲ超ユルコト
ヲ得ズ
每營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益
金額ガ政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ
拂込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ四ノ
割合ヲ超過スルトキハ其ノ超過額ハ先
ヅ之ヲ前項ノ規定ニ依ル補給金ノ償還
ニ充ツベシ
初營業年度及爾後五年間ニ於ケル配當
シ得ベキ利益金額ガ政府以外ノ者ノ所
有スル株式ノ拂込ミタル株金額ニ對シ
年百分ノ四ノ割合ヲ超過スルトキハ其
ノ二分ノ一ヲ配當準備ノ爲別ニ積立ツ
ベシ
第二項ノ規定ニ依リ補給金ヲ償還シ尙
殘餘アリタルトキハ之ヲ前項ノ拂込ミ
タル株金額ニ對シ年百分ノ四ノ割合ヲ
超過シタル當該營業年度ノ利益金ト看
做ス
前二項ノ規定ニ依ル積立金ハ後營業年
度ニ於ケル第一項ノ規定ニ依ル補給金
ノ計算ニ付テハ之ヲ配當シ得ベキ利益
金ト看做ス
第三十四條日本蠶絲統制株式會社ハ每
營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金
額ガ政府以外ノ者ノ所有スル株式ノ拂
込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ四ノ割
合ヲ超過スル場合ニ於テ政府以外ノ者
ノ所有スル株式ニ對シ年百分ノ四ノ割
合ヲ超エ利益配當ヲ爲サントスルトキ
ハ其ノ超過スル利益金額ハ利益配當ガ
總株式ニ付拂込ミタル株金額ニ對シ均
一ノ割合ニ達スル迄政府以外ノ者ノ所
有スル株式ノ拂込ミタル株金額及政府
ノ所有スル株式ノ拂込ミタル株金額ニ
對シ一ト三トノ割合ヲ以テ之ヲ配當ス
ベシ
第三十五條主務大臣ハ日本蠶絲統制株
式會社ノ業務ヲ監督ス
第三十六條日本蠶絲統制株式會社借入
金ヲ爲サントスルトキハ主務大臣ノ認
可ヲ受クベシ
第三十七條日本蠶絲統制株式會社ノ定
款ノ變更、利益金ノ處分、合併及解散
ノ決議ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非
ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第三十八條日本蠶絲統制株式會社ハ每
營業年度ノ事業計畫ヲ定メ主務大臣ノ
認可ヲ受クベシ之ヲ變更セントスルト
キ亦同ジ
第三十九條主務大臣ハ日本蠶絲統制株
式會社ノ業務ニ關シ監督上必要ナル命
令ヲ爲スコトヲ得
第四十條主務大臣ハ日本蠶絲統制株式
會社監理官ヲ置キ日本蠶絲統制株式會
社ノ業務ヲ監視セシム
日本蠶絲統制株式會社五理官ハ何時ニ
テモ日本蠶絲統制株式會社ノ帳簿書類、
金庫其ノ他ノ物件ヲ檢査スルコトヲ得
日本蠶絲統制株式會社監理官必要ト認
ムルトキハ何時ニテモ日本蠶絲統制株
式會社ニ命ジ業務ニ關スル諸般ノ計算
及狀況ヲ報告セシムルコトヲ得
日本蠶絲統制株式會社監理官ハ株主總
會其ノ他諸般ノ會議ニ出席シ意見ヲ陳
述スルコトヲ得
第四十一條主務大臣ハ日本蠶絲統制株
式會社ノ決議又ハ役員ノ行爲ガ法令、
法令ニ基キテ爲ス處分若ハ定款ニ違反
シ又ハ公益ヲ害シ若ハ害スルノ虞アリ
ト認ムルトキハ其ノ決議ヲ取消シ又ハ
役員ヲ解任スルコトヲ得
第四十二條日本蠶絲統制株式會社ハ繭
及生絲ノ價格ノ安定ヲ圖ル爲命令ノ定
ムル所ニ依リ繭絲價格安定資金ヲ設定
スベシ
前項ノ規定ニ依リ繭絲價格安定資金ニ
繰入レタル金額ハ法人稅法ニ依ル所得、
營業稅法ニ依ル純益及臨時利得稅法ニ
依ル利益ノ計算上之ヲ損金ニ算入ス
第四十三條第四條、第九條若ハ第十一
條ノ規定又ハ第六條若ハ第十二條ノ規
定ニ依ル命令ニ違反シタル者ハ五千圓
以下ノ罰金ニ處ス
第四十四條第十六條第一項又ハ第一一項
ノ規定ニ違反シタル者ハ三千圓以下ノ
罰金ニ處ス
第四十五條第三條第三項、第五條第二
項若ハ第十六條第三項ノ規定又ハ第十
八條第一項ノ規定ニ依ル命令ニ違反シ
タル者ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第四十六條左ノ各號ノ一ニ該當スル者
ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
一第十七條ノ規定ニ違反シタル者
二第二十條ノ規定ニ依ル報〓ヲ爲サ
ズ又ハ虚僞ノ報告ヲ爲シタル者
三第二十條ノ規定ニ依ル檢査ヲ拒ミ、
妨ゲ又ハ忌避シタル者
第四十七條第十九條ノ規定ニ依ル命令
ニ違反シタル者ハ三百圓以下ノ罰金ニ
處ス
第四十八條日本蠶絲統制株式會社ノ役
員又ハ使用人其ノ職務ニ關シ賄賂ヲ收
受シ又ハ之ヲ要求シ若ハ約束シタルト
キハ二年以下ノ懲役又ハ三千圓以下ノ
罰金ニ處ス因テ不正ノ行爲ヲ爲シ又ハ
相當ノ行爲ヲ爲サザルトキハ五年以下
ノ懲役又ハ五千圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ場合ニ於テ收受シタル賄賂ハ之
ヲ沒收ス若シ其ノ全部又ハ一部ヲ沒收
スルコト能ハザルトキハ其ノ價額ヲ追
徵ス
第四十九條前條第一項ニ揭グル者ニ賄
賂ヲ交付シ又ハ之ヲ提供シ若ハ約束シ
タル者ハ二年以下ノ黴役又ハ五百圓以
下ノ罰金ニ處ス
前項ノ罪ヲ犯シタル者自首シタルトキ
ハ其ノ刑ヲ減輕シ又ハ免除スルコトヲ
得
第五十條人又ハ法人ノ代理人、戶主、
家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ
其ノ人又ハ法人ノ業務ニ關シ第四十三條
乃至第四十五條、第四十六條第一號若
ハ第二號又ハ第四十七條ノ違反行爲ヲ
爲シタルトキハ其ノ人又ハ法人ハ自己
ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰
ヲ免ルルコトヲ得ズ
第五十一條第四十三條乃至第四十五
條、第四十六條第一號及第一一號竝ニ第
四十七條ノ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルト
キハ理事、取締役其ノ他ノ法人ノ業務ヲ
執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治產者
ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用
ス但シ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力
ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在
ラズ
第五十二條日本蠶絲統制株式會社左ノ
各號ノ一ニ該當スルトキハ社長又ハ社
長ノ職務ヲ行ヒ若ハ代理スル副社長ヲ
五千圓以下ノ過料ニ處ス副社長又ハ理
事ノ分掌業務ニ係ルトキハ副社長又ハ
理事ヲ過料ニ處スルコト亦同ジ
本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令
ニ依リ許可ヲ受クベキ場合ニ於テ其
ノ認可ヲ受ケザルトキ
二第三十一條第一項ノ規定ニ依ラズ
シテ業務ヲ營ミタルトキ
三第三十九條ノ規定ニ依ル命令ニ違
反シタルトキ
第五十三條日本蠶絲統制株式會社ノ社
長、副社長又ハ理事第三十條ノ規定ニ違
反シタルトキハ千圓以下ノ過料ニ處ス
第五十四條第二十六條ノ規定ニ違反シ
タル者ハ千圓以下ノ過料ニ處ス
附則
第五十五條本法施行ノ期日ハ各規定ニ
付勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五十六條政府ハ設立委員ヲ命ジ日本
〓絲統制株式會社ノ設立ニ關スル事務
ヲ處理セシム
第五十七條設立委員ハ定款、ヲ作成シ主
務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第五十八條前條ノ認可アリタルトキハ
設立委員ハ株式總數ヨリ政府ニ割當ツ
ベキ株式ヲ控除シタル殘餘ノ株式ニ付
株主ヲ募集スベシ
第五十九條株式申込證ニハ定款認可ノ
年月日竝ニ商法第百七十五條第二項第
二號及第四號乃至第七號ニ規定スル事
項ヲ記載スベシ
第六十條設立委員株主ノ募集ヲ終リタ
ルトキハ株式申込證ヲ主務大臣ニ提出
シ其ノ檢査ヲ受クベシ
第六十一條設立委員ハ前條ノ檢査ヲ受
ケタル後遲滯ナク各株ニ付第一囘ノ拂
込ヲ爲サシムベシ
前項ノ拂込アリタルトキハ設立委員ハ
遲滯ナク創立總會ヲ招集スベシ
第六十二條創立總會ニ於テハ第二十九
條ノ規定ニ準ジ理事及監事ノ選任ヲ行
フベシ
第六十三條創立總會終結シタルトキハ
設立委員ハ其ノ事務ヲ日本蠶絲統制株
式會社社長ニ引渡スベシ
第六十四條商法第百六十七條、第百八
十一條及第百八十五條ノ規定ハ日本〓
絲統制株式會社ノ設立ニハ之ヲ適用セ
ズ
第六十五條第二十六條ノ規定施行ノ際
現ニ日本蠶絲統制株式會社又ハ之ニ類
似ノ名稱ヲ以テ商號ト爲ス會社ハ同條
ノ規定施行後六月以內ニ其ノ商號ヲ變
更スルコトヲ要ス
第二十六條ノ規定ハ前項ノ期間內同項
ニ揭グル者ニ之ヲ適用セズ
第六十六條產繭處理統制法ハ之ヲ廢止
ス
第六十七條輸出生絲檢査法ハ之ヲ廢止
ス
第六十八條絲價安定施設法中左ノ通改
正ス
第二條乃至第九條、第十三條乃至第二
十八條及第三十一條ヲ削除ス
第十條中「絲價安定施設組合」ヲ「政府」
三原八
第十二條第一項及第三十條中「絲價安
定委員會」ヲ「蠶絲委員會」ニ改ム
第十二條第二項及第三十三條乃至第四
十條ヲ削ル
第六十九條絲價安定施設組合ハ前條ノ
規定施行ノ日ニ於テ解散ス
絲價安定施設組合ノ〓算ニ關シ必要ナ
ル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第七十條絲價安定施設特別會計法中左
ノ通改正ス
第一條中「交付、」ヲ削ル
第六條中「七千萬圓」ヲ「一一億五千萬圓」
二段人
第八條中「交付」ヲ削ル
第七十一條第六十六條乃至第六十八條
ノ規定施行前產繭處理統制法、輸出生
絲檢査法又ハ絲價安定施設法ノ罰則ヲ
適用スベキ行爲アリタルトキハ第六十
六條乃至第六十八條ノ規定施行後ト雖
モ仍其ノ罰則ヲ適用ス
〔國務大臣石黑忠篤君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=49
-
050・石黒忠篤
○國務大臣(石黑忠篤君) 只今議題トナリ
マシタ蠶絲業統制法案ニ付キマシテ提出ノ
理由ヲ御說明致シマス
蠶絲業ハ我ガ國輸出產業ノ大宗トシテ、
時局下戰時經濟ノ目的ヲ遂行スル上ニ、多
大ノ頁獻ヲ致シテ居リマスコトハ申スマデ
モアリマセヌガ、現在竝ニ今後ニ於ケル國
際情勢ニ顧ミマスルト共ニ、大東亞共榮圈
內ニ於テ、自給自足ヲ基調トスル國防經濟
ノ完成ト云フ大方針ニ照シマシテ、從來輸
出ニ依存スルコトノ多カツタ蠶絲業ハ之
ヲ根本的ニ考ヘ直ス必要ガゴザイマス、固
ヨリ我ガ方カラ生絲ノ輸出ヲ斷念スルモノ
デハナク、否、今後ト雖モ出來得ル限リ輸
出ノ仲長ニ力ヲ致スコト勿論デアリマスガ、
同時ニ情勢ノ赴ク所、如何ナル事態ガ發生
スルカ豫斷ヲ許サザル事情ニ鑑ミマシテ
豫メ蠶絲トシテノ最惡ノ場合ヲ覺悟シ之
ニ備フルノ體制ヲ急速ニ樹テテ置ク必要ガ
アリマス、蠶絲業ハ、之ニ關係致シテ居リ
マス者ガ、養蠶農家ヲ初メ極メテ多數デア
リマス、是等ノ業者ヲシテ安ンジテ其ノ業
務ニ從事セシメマスルト共ニ、我ガ國トシ
テ繭、生絲ノ纖維資源ヲ國民ノ實生活ニ必
要ナル方面ニ、十分利用スルノ方途ヲ講ゼ
ネバナリマセヌ、斯ノ如ク蠶絲業ト致シマ
シテ、國內纖維資源ノ充足ニ重點ヲ移シテ、
其ノ根柢ヲ鞏固ニ致シマスト共ニ輸出ニ
力ヲ致シツツ、一朝事ガ起キマシタ場合ニ
ハ迅速圓滑ニ其ノ轉換ヲ遂ゲシメマスル
ヤウ、玆ニ蠶絲業全體ヲ通ジテ生產、消費、
輸出ノ計畫化ヲ行ヒマスト共ニ、綜合的統
制ノ下ニ之ヲ運營シ得ルノ機構ヲ確立スル
コトガ緊要デアリマス
本法案ハ、以上ノ目的ヲ以チマシテ、事
態ニ卽シタル一定ノ計畫ノ下ニ、蠶絲類ノ
計畫生產ヲナスト共ニ、日本蠶絲統制株式
會社ヲ設立シ、原則トシテ蠶絲類ノ一手買
入及ビ賣渡ヲ行ハシメ、以テ蠶絲業ヲ統制
運營スルノ制度ヲ樹テントスルモノデアリ
マスガ、同時ニ政府ノ絲價安定ニ對スル調
節力ヲ擴充致シマスル爲ニ、絲價安定施設
特別會計法ノ蠶絲證劵發行限度ヲ、現在ノ
七千万圓ヨリ之ヲ二億五千万圓ニ擴張シ、
相俟ツテ蠶絲業統制ノ萬全ヲ期スルコトト
致シタイノデアリマス、何卒愼重御審議ノ
上御協賛アランコトヲ希望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=50
-
051・田子一民
○副議長(田子一民君) 本案ノ審査ヲ付託
スベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=51
-
052・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ議長指名二十七名ノ
委員ニ付託サレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=52
-
053・田子一民
○副議長(田子一民君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=53
-
054・田子一民
○副議長(田子一民君) 御異議ナシト認メ
マス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-昭和
十二年法律第九十號中改正法律案ノ第一讀
會ヲ開キマス-石里農林大臣
昭和十二年法律第九十號中改正法律案
(米穀ノ應急措置ニ關スル件)(政府提
巴第一讀會
昭和十二年法律第九十號中改正法律案
昭和十二年法律第九十號中左ノ通改正ス
第二條第一項中「米穀統制委員會ニ諮問
シテ米穀竝ニ米穀以外ノ穀物及穀粉」ヲ
「米穀及米穀以外ノ食糧農產物竝ニ其ノ
加工品」ニ改ム
第三條中「米穀竝ニ米穀以外ノ穀物及穀
粉」ヲ「米穀及米穀以外ノ食糧農產物竝ニ
其ノ加工品」ニ改ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
米穀統制法第二條第一項ノ最低價格及最
高價格ハ勅令ヲ以テ定ムル場合ニ於テハ
之ヲ公定スルコトヲ要セズ
昭和九年法律第二十九號附則第二項中
「三億圓」ヲ「五億五千萬圓」ニ改ム
〔國務大臣石黑忠篤君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=54
-
055・石黒忠篤
○國務大臣(石黑忠篤君) 只今上程セラレ
マシタ昭和十二年法律第九十號、米穀ノ應
急措置ニ關スル法律中改正法律案ニ付キマ
シテ、其ノ提案理由ヲ御說明申上ゲマス
事變ノ進展ニ伴ヒ、戰時經濟ノ運營上、
食糧供給ノ確保ヲ圖リマスコトノ極メテ緊
要ナルニ鑑ミ、政府ニ於キマシテハ、米麥
其ノ他食糧農產物ノ增產ノ爲メ出來得ル限
リノ施設ヲ講ジ、生產者方面ニ於キマシテ
モ之ニ對應シ、種々不利ナル條件ヲ克服シ
テ極力是ガ增產ニ努力シテ參ツタノデア
リマス、然ル所昨年ノ米作ハ遺憾ナガラ内
地、朝鮮、臺灣、何レモ平年作ニ達セズ
特ニ內地ハ著シキ減收ヲ示シマシテ本年
度ノ米穀ノ需給關係ハ、前年度ヨリモ一層樂
觀ヲ許サザル情勢ニ立至ツタノデアリマス
右樣ノ事情デアリマスルガ故ニ、政府所
有米ノ增强ニ努メルコトハ勿論デアリマス
ガ、本年度ノ狀況ニ鑑ミル時ハ、單ニ米穀ノ
ミニ止マラズ、混食或ハ代用食トシテ必要
デアリマス所ノ、麥類其ノ他ノ〓糧農產物
及ビ其ノ加工品ニ付キマシテモ、米穀ト同
樣之ヲ買入レ、米穀ト併セテ配給スルコト
ガ、極メテ必要デアルト考ヘル次第デアリ
やく、現行法ニ於キマシテハ政府ハ米穀
ノ配給上特ニ必要アルトキハ、米穀竝ニ麥
類、豆類、小麥粉等ノ買入及ビ賣渡ヲ行ヒ
得ルノデアリマスガ今囘更ニ之ニ加フル
ニ、必要、ニ應ジ甘諸、馬鈴薯等ノ食糧農產
物及ビ麵類ノ如キ食糧農產物ノ加工品マ
デ、買入及ビ賣渡ノ出來ルヤウニ致シマシ
テ、現下ノ食糧事情ニ對應シ、食糧ノ配給
調整上必要ナル措置ヲ執リ得ルヤウ致シタ
イト存ズルノデアリマス、而シテ之ニ伴ヒ
マシテ、今後ノ事情ノ推移ニ應ジテハ、既
定計畫以上ニ買入ヲナサナケレバナラヌコ
トモ生ズルト存ゼラレマスノデ、米穀需給
調節特別會計ノ負擔ニ屬スル證劵、及ビ借入
金ヲ通ズル最高金額八億五千万圓ヲ、必要
ニ應ジマシテ勅令ヲ以テ五億五千万圓ノ
範圍內ニ於テ增額シ得ルコトト致シマシテ、
右ノ目的達成ニ遺憾ナキヲ期セントスルモ
ノデアリマス
本法律案ヲ提案致シマシタ理由ハ、大要
以上ノ通リデゴザイマスガ、本件ハ現下ノ
食糧事情ニ鑑ミテ急速ニ實施スル必要ガ
アリマスノデ、何卒十分御審議ノ上、速力
ニ御協贊アランコトヲ希望致ス次第デゴザ
イマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=55
-
056・田子一民
○副議長(田子一民君) 本案ノ審査ヲ付託
スベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=56
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057・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ議長指名二十七名ノ
委員ニ付託サレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=57
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058・田子一民
○副議長(田子一民君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=58
-
059・田子一民
○副議長(田子一民君) 御異議ナイト認メ
マス仍テ動議ノ如ク決シマシター產業
組合中央金庫特別融通及損失補償法中改正
法律案ノ第一讀會ヲ開キマス、石黑農
林大臣
產業組合中央金庫特別融通及損失補償
法中改正法律案(政府提出)第一讀會
產業組合中央金庫特別融通及損失補償
法中改正法律案
產業組合中央金庫特別融通及損失補償法
中左ノ通改正ス
第二條中「九年」ヲ「十二年」ニ、「十八年」
ヲ「二十一年」ニ改ム
第六條中「產業組合中央金庫特別融通損
失審査會」ヲ「農林金融改善特別融通損失
審査會」ニ改ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
本法施行前產業組合中央金庫特別融通損
失審査會ノ決定シタル產業組合中央金庫
ノ受ケタル損失及其ノ額ハ農林金融改善
特別融通損失審査會ノ決定シタルモノト
看做ス
〔國務大臣石黑忠篤君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=59
-
060・石黒忠篤
○國務大臣(石黑忠篤君) 只今上程セラレ
マシタ產業組合中央金庫特別融通及損失補
償法中改正法律案提出ノ理由ヲ申上ゲマス
本法ハ昭和七年當時ノ農山漁村ノ經濟事
情竝ニ一般金融情勢ニ鑑ミマシテ信用組
合及ビ信用組合聯合會ノ固定セル債權ヲ資
金化致シ、以テ產業組合金融ノ疏通ヲ圖ル
コトヲ目的トシテ制定セラレタモノデゴザ
イマス、而シテ本法ハ施行後融通期間ヲ延
長致シ、今日マデ相當ノ實績ヲ擧ゲテ參ツ
テ居ルノデゴザイマスガ、其ノ融通期間ガ
本年九月末日ヲ以テ終了スルコトニ相成ツ
テ居リマス、而シテ產業組合ノ現狀竝ニ現
在ノ經濟事情ニ鑑ミマスレバ、更ニ本制度
ヲ繼續シテ事變下ニ於ケル組合金融ノ圓滑
ヲ期スルコトガ必要ト存ゼラレマスカラ
諸般ノ事情ヲ考慮致シマシテ、特別融通資
金ノ融通期間及ビ融通期限ヲ三箇年延長ス
ルコトト致シタイノデゴザイマス、尙ホ農
林金融改善ニ關シ他ニモ特別融通ノ制度ガ
アリマスガ、是等ノ特別融通ノ損失審査會
ハ此ノ際之ヲ整理統合シテ、一ツニ致スコ
トヲ至當ト認メマシテ委員會ヲ改正スル
コトニ致シタ次第デアリマス、以上ガ本法
案ヲ提出セル理由ノ〓要デアリマス、何卒
御審議ノ上速カニ御協賛アランコトヲ御願
ヒ致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=60
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061・田子一民
○副議長(田子一民君) 本案ノ審査ヲ付託
スベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=61
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062・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ政府提出、外國爲替
管理法改正法律案委員ニ併セ付託サレンコ
トヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=62
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063・田子一民
○副議長(田子一民君) 服部君ノ動議ニ御
異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=63
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064・田子一民
○副議長(田子一民君) 御異議ナシト認メ
マン、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-勞働
者年金保險法案ノ第一讀會ヲ開キマス-金
光厚生大臣
勞働者年金保險法案(政府提出)
第一讀會
勞働者年金保險法案
勞働者年金保險法
第一章總則
第一條勞働者年金保險ニ於テハ被保險
者又ハ被保險者タリシ者ノ老齡、癈
疾、死亡又ハ脫退ニ關シ保險給付ヲ爲ス
モノトス
第二條勞働者年金保險ハ政府之ヲ管掌
ス
第三條本法ニ於テ報酬ト稱スルハ事業
ニ使用セラルル者ガ勞務ノ對償トシテ
事業主ヨリ受クル賃金又ハ給料及之ニ
準ズベキモノヲ謂フ
賃金又ハ給料ニ準ズベキモノノ範圍及
評價ニ關シテハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第四條報酬ノ額ニ基キ保險料又ハ保險
給付ノ額ヲ定ムル場合ニ於テハ標準報
酬ニ依リ之ヲ算定ス
標準報酬ニ關スル事項ハ勅令ヲ以テ之
ヲ定ム
第五條保險料其ノ他本法ニ依ル徵收金
ヲ徵收シ又ハ其ノ還付ヲ受クル權利及
癈疾手當金ヲ受クル權利ハ一年ヲ經過
シタルトキ、養老年金、癈疾年金、遺
族年金、脫退手當金又ハ第三十三條、第
三十四條、第三十八條、第三十九條、
第四十七條若ハ第五十一條ノ規定ニ依
ル一時金ヲ受クル權利ハ五年ヲ經過シ
タルトキハ時效ニ因リテ消滅ス
第六條本法又ハ本法ニ基キテ發スル命
令ニ規定スル期間ノ計算ニ付テハ本法
ニ別段ノ規定アルモノヲ除クノ外民法
ノ期間ノ計算ニ關スル規定ヲ準用ス
第七條勞働者年金保險ニ關スル書類ニ
ハ印紙稅ヲ課セズ
第八條行政官廳又ハ保險給付ヲ受クベ
キ者ハ被保險者又ハ被保險者タリシ者
ノ戶籍ニ關シ戶籍事務ヲ管掌スル者又
ハ其ノ代理者ニ對シ無償ニテ證明ヲ求
ムルコトヲ得
第九條行政官廳ハ命令ノ定ムル所ニ依
リ被保險者ヲ使用スル事業主ヲシテ其
ノ使用スル者ノ異動及報酬ニ關シ報〓
ヲ爲サシメ、文書ヲ提示セシメ其ノ他
ノ勞働者年金保險ノ施行ニ必要ナル事
務ヲ行ハシムルコトヲ得
第十條行政官廳ハ必要アリト認ムルト
キハ被保險者ノ異動及報酬竝ニ保險給
付ノ決定ニ關シ當該官吏ヲシテ被保險者
又ハ被保險者タリシ者ノ勤務場所ニ就
キ關係者ニ對シ質問ヲ爲シ又ハ帳簿書
類其ノ他ノ檢査ヲ爲サシムルコトヲ得
第十一條保險料ヲ滯納スル者アルトキ
ハ行政官廳ハ期限ヲ指定シテ之ヲ督促
スベシ
前項ノ規定ニ依リ督促ヲ爲シタル場合
ニ於テハ勅令ノ定ムル所ニ依リ督促手
數料及延滯金ヲ徵收ス
第一項ノ規定ニ依ル督促ヲ受ケタル者
其ノ指定ノ期限迄ニ保險料其ノ他本法
ニ依ル徵收金ヲ納付セザルトキハ行政
4官廳ハ國稅滯納處分ノ例ニ依リ之ヲ處
分シ又ハ滯納者若ハ其ノ者ノ財產ノ在
ル市町村ニ對シ之ガ處分ヲ請求スルコ
トヲ得
前項ノ規定ニ依リ市町村ニ對シ處分ノ
請求ヲ爲シタルトキハ市町村ハ市町村
稅ノ例ニ依リ之ヲ處分ス此ノ場合ニ於テ
ハ行政官廳ハ徵收金額ノ百分ノ四ニ相當
スル金額ヲ當該市町村ニ交付スベシ
第十二條保險料其ノ他本法ニ依ル徵收
金ノ先取特權ノ順位ハ市町村其ノ他之
ニ準ズベキモノノ徴收金ニ次ギ他ノ公
課ニ先ツモノトス
第十三條國稅徴收法第四條ノ七及第四
條ノ八ノ規定ハ保險料其ノ他本法ニ依
ル徴收金ニ關スル書類ノ送達ニ之ヲ準
用ス
第十四條政府ノ事業ニ使用セラルル者
及使用セラレタル者ニ關シテハ本法ノ
適用ニ付勅令ヲ以テ別段ノ定ヲ爲スコ
トヲ得
第十五條本法中町村トアルハ町村制ヲ
施行セザル地ニ在リテハ之ニ準ズベキ
モノトス
第二章被保險者
第十六條健康保險法第十三條ノ工場、
事業場又ハ事業ニ使用セラルル勞働者
ハ勞働者年金保險ノ被保險者トス但シ
左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ此ノ限ニ
在ラズ
一常時十人未滿ノ勞働者ヲ使用スル
工場、事業場又ハ事業ニ使用セラル
ル者
二勅令ヲ以テ指定スル工場、事業場
又ハ事業ニ使用セラルル者
三女子
四船員保險ノ被保險者
五帝國臣民ニ非ザル者
六前各號ニ揭グル者ノ外勅令ヲ以テ
指定スル者
第十七條左ノ各號ノ一ニ該當スル勞働
者ハ地方長官(東京府ニ在リテハ警視
總監以下同ジ)ノ認可ヲ受ケ勞働者年
金保險ノ被保險者ト爲ルコトヲ得
前條第一號、第二號又ハ第三號ノ
規定ニ該當スル者
二健康保險法第十四條第一項第二號
ノ事業ニ使用セラルル者
三前二號ニ揭グルモノノ外勅令ヲ以
テ指定スル事業ニ使用セラルル者
四前條ノ工場、事業場又ハ事業ニ附
屬スル事業及前二號ノ事業ニ附屬ス
ル事業ニ使用セラルル者
前條第四號乃至第六號ノ規定ハ前項ノ
場合ニ之ヲ準用ス
第一項ノ認可ヲ申請スルニハ事業主ノ
同意ヲ得ルコトヲ要ス
第十八條第十六條ノ工場、事業場又ハ
事業ガ左ノ各號ノ一ニ該當スルニ至リ
タルトキハ其ノ際同條ノ規定ニ依ル被
保險者トシテ其ノ工場、事業場又ハ事
業ニ使用セラルル者ニ付テハ前條ノ認
可アリタルモノト看做ス
ー第十六條ニ規定スル勞働者ヲ常時
十人未滿使用スル工場、事業場又ハ
事業ト爲ルニ至リタルトキ
二第十六條第二號ノ規定ニ依リ指定
スル工場、事業場又ハ事業ト爲ルニ
至リタルトキ
三前條第一項第二號、第三號又ハ第
四號ノ事業ト爲ルニ至リタルトキ
第十九條第十六條ノ規定ニ依ル被保險
者ハ其ノ業務ニ使用セラルルニ至リタ
ル日又ハ同條但書ノ規定ニ該當セザル
ニ至リタル日、第十七條ノ規定ニ依ル
被保險者ハ同條ノ認可アリタル日ヨリ
其ノ資格ヲ取得ス
第二十條第十六條及第十七條ノ規定ニ
依ル被保險者ハ死亡シタル日、其ノ業
務ニ使用セラレザルニ至リタル日又ハ
第十六條第四號乃至第六號若ハ第十七
條第二項ノ規定ニ該當スルニ至リタル
日ノ翌日(其ノ事實アリタル日ニ更ニ
前條ノ規定ニ該當スルニ至リタルトキ
ハ其ノ日)ヨリ其ノ資格ヲ喪失ス
第二十一條第十七條ノ規定ニ依ル被保
險者ハ地方長官ノ認可ヲ受ケ其ノ資格
ヲ喪失スルコトヲ得
前項ノ認可アリタルトキハ被保險者ハ
認可アリタル日ノ翌日ヨリ其ノ資格ヲ
喪失ス
第二十二條被保險者タリシ期間十四年
以上二十年未滿ナル者ガ被保險者タラ
ザルニ至リタル場合ニ於テハ勅令ノ定
ムル所ニ依リ繼續シテ被保險者ト爲ル
コトヲ得但シ其ノ者ガ日本ノ國籍ヲ失
ヒタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ規定ニ依ル被保險者ニ對シテハ
同項ノ規定ニ依ル被保險者ト爲リタル
日以後ニ新ニ發シタル疾病又ハ負傷ニ
因ル癈疾ニ關シテハ保險給付ヲ爲サズ
第二十三條前條ノ規定ニ依ル被保險者
ハ第十六條及第十七條ノ規定ニ依ル被
保險者タリシ期間ト前條ノ規定ニ依ル
被保險者タリシ期間トヲ合算シテ二十
年ニ達シタルトキ其ノ他勅令ヲ以テ定
ムル事由ニ該當スルニ至リタルトキハ
其ノ資格ヲ喪失ス
第二十條ノ規定ハ前條ノ規定ニ依ル被
保險者死亡シタル場合及日本ノ國籍ヲ
失ヒタル場合ニ之ヲ準用ス
第三章保險給付及福祉施設
第一節總則
第二十四條被保險者タリシ期間ノ計算
ハ被保險者ノ資格ヲ取得シタル月ヨリ
之ヲ起算シ其ノ資格ヲ喪失シタル月ノ
前月ヲ以テ之ヲ止ム但シ十六日以後ニ
於テ被保險者ノ資格ヲ取得シタルトキ
ハ其ノ月ハ半月トシテ之ヲ計算シ十六
日以後ニ於テ被保險者ノ資格ヲ喪失シ
タルトキハ其ノ月ハ半月トシテ之ヲ被
保險者タリシ期間ニ加算ス
前項ノ規定ニ拘ラズ被保險者ノ資格ヲ
取得シタル月ニ於テ其ノ資格ヲ喪失シ
タル場合ニ於テハ其ノ月ハ半月トシテ
之ヲ被保險者タリシ期間ニ加算ス
被保險者ノ資格ヲ喪失シタル後更ニ其
ノ資格ヲ取得シタル者ニ對シテ保險給
付ヲ爲ス場合ニ於テハ前後ノ被保險者
タリシ期間ハ之ヲ合算ス但シ左ニ揭グ
ル期間ハ之ヲ合算セズ
脫退手當金ノ支給ヲ受ケタルトキ
ハ其ノ計算ノ基礎ト爲リタル期間
二命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除クノ外
同一ノ事業主ノ工場、事業場若ハ事
業又ハ同一ノ工場、事業場若ハ事業
ニ被保險者トシテ引續キ使用セラレ
タル實期間六月未滿ナルトキハ其ノ
期間
前項但書ノ規定ハ第五十一條ノ規定ニ
依リ差額ノ支給ヲ受ケタル場合ニ之ヲ
準用ス
第二十五條鑛業法ノ適用ヲ受クル事業
ノ事業場ニ使用セラルル被保險者ニシ
テ常時坑內作業ニ從事スルモノ(以下
坑內夫タル被保險者ト稱ス)ノ坑內夫
タル被保險者トシテ使用セラレタル實
期間ニ付被保險者タリシ期間ヲ計算ス
ル場合ニ於テハ其ノ實期間ニ付前條ノ
規定ニ依リ計算シタル期間ニ三分ノ四
ヲ乘ジテ之ヲ計算ス但シ左ニ揭グル期
間ニ關シテハ前條ノ規定ニ依リ之ヲ計
算ス
一前條ノ規定ニ依リ計算シタル期間
三年未滿ナル者ノ坑内夫タル被保險
者トシテ使用セラレタル實期間
二坑內夫タル被保險者トシテ使用セ
ラレタル實期間ニ付前條ノ規定ニ依
リ計算シタル期間ガ十五年ヲ超ユル
場合ニ於テ十五年ヲ超ユル部分ノ實
期間
第二十六條遺族年金又ハ第三十三條、
第三十四條、第三十八條、第三十九條
若ハ第四十七條ノ規定ニ依ル一時金ヲ
受クベキ遺族ノ範圍及順位ハ勅令ヲ以
テ之ヲ定ム
第二十七條養老年金、癈疾年金及遺族
年金ノ支給ハ之ヲ支給スベキ事由ノ生
ジタル月ノ翌月ヨリ之ヲ始メ權利消滅
ノ月ヲ以テ終ル
第二十八條政府ハ事故ガ第三者ノ行爲
ニ因リテ生ジタル場合ニ於テ保險給付
ヲ爲シタルトキハ其ノ給付ノ價額ノ限
度ニ於テ保險給付ヲ受クベキ者ガ第三
者ニ對シテ有スル損害賠償請求ノ權利
ヲ取得ス
第二十九條保險給付トシテ支給ヲ受ク
ル金錢ヲ標準トシテ租稅其ノ他ノ公課
ヲ課セズ但シ養老年金ニ付テハ此ノ限
ニ在ラズ
第三十條保險給付ヲ受クル權利ハ之ヲ
讓渡シ又ハ差押フルコトヲ得ズ
第二節養老年金
第三十一條被保險者タリシ期間二十年
以上ナル者ガ其ノ資格ヲ喪失シタル後
五十五歲ヲ超エタルトキ又ハ五十五歲
ヲ超エ其ノ資格ヲ喪失シタルトキハ其
ノ者ノ死亡ニ至ル迄養老年金ヲ支給ス
坑內夫タル被保險者トシテ第二十四條
ノ規定ニ依ル計算ニ依リ十五年以上使
用セラレタル者ニ付テハ前項ノ規定ニ
拘ラズ其ノ者ガ被保險者ノ資格ヲ喪失
シタル後五十歲ヲ超エタルトキ又ハ五
十歲ヲ超エ其ノ資格ヲ喪失シタルトキ
ヨリ其ノ者ノ死亡ニ至ル迄養老年金ヲ
支給ス繼續シタル十五年間ニ於テ坑内
夫タル被保險者トシテ同條ノ規定ニ依
ル計算ニ依リ十二年以上使用セラレタ
ル者ニ付亦同ジ
第三十二條養老年金ノ額ハ被保險者タ
リシ全期間ノ平均報酬年額ノ百分ノ二
十五ニ相當スル金額トシ被保險者タリ
シ期間二十年以上一年ヲ增ス每ニ其ノ
一年ニ對シ被保險者タリシ全期間ノ平
均報酬年額ノ百分ノ一ニ相當スル金額
ヲ加ヘタル金額トス
同一ノ事業主ノ工場、事業場若ハ事業
又ハ同一ノ工場、事業場若ハ事業ニ於
テ引續キ被保險者タリシ期間十年以上
ナル者ニ關シテハ其ノ者ニ支給セラル
ル養老年金ノ額ハ前項ノ金額ニ其ノ期
間ノ每十年ニ對シ被保險者タリシ全期
間ノ平均報酬年額ノ百分ノ一ニ相當ス
ル金額ヲ加ヘタル金額トス
前二項ノ規定ニ拘ラズ養老年金ノ額ハ
被保險者タリシ全期間ノ平均報酬年金
ノ百分ノ五十ヲ超ユルコトヲ得ズ
第三十三條養老年金ノ支給ヲ受クル者
ガ死亡シタル際其ノ者ノ死亡ニ關シ遺族
年金ノ支給ヲ受クベキ者ナキ場合ハ於テ
旣ニ支給ヲ受ケタル養老年金ノ總額ガ
養老年金ノ五年分ニ相當スル金額ニ滿
タザルトキハ其ノ差額ヲ一時金トシテ
其ノ遺族ニ支給ス
第三十四條被保險者タリシ期間二十年
以上ナル者(第三十一條第二項後段ノ
規定ニ該當スル者ヲ含ム以下同ジ)ガ
養老年金ノ支給ヲ受クルコトナクシテ
死亡シタル際其ノ者ノ死亡ニ關シ遺族
年金ノ支給ヲ受クベキ者ナキ場合ニ於
テハ其ノ者ガ支給ヲ受クルコトヲ得ベ
カリシ養老年金ノ五年分ニ相當スル金
額ヲ一時金トシテ其ノ遺族ニ支給ス
前項ノ規定ハ第三十九條ノ規定ニ依ル
一時金ノ支給ヲ受クル場合ニ於テハ之
ヲ適用セズ
第三十五條養老年金ノ支給ヲ受クル者
ガ被保險者ト爲リタルトキハ其ノ月ヨ
リ養老年金ノ支給ヲ停止ス
前項ノ規定ニ依リ養老年金ノ支給ヲ停
止セラレタル被保險者ガ其ノ資格ヲ喪
失シタル場合ニ於テハ前後ノ被保險者
タリシ期間ヲ合算シテ養老年金ノ額ヲ
改定ス
前項ノ規定ニ依リ養老年金ノ額ヲ改定
スル場合ニ於テ其ノ額ガ從前ノ養老年
金ノ額ヨリ少キトキハ從前ノ養老年金
ノ額ヲ以テ改定養老年金ノ額トス
第三節癈疾年金及癈疾手當金
第三十六條被保險者ノ資格喪失前ニ發
シタル疾病又ハ負傷及之ニ因リ發シタ
ル疾病ガ勅令ノ定ムル期間內ニ治癒シ
タル場合又ハ治癒セザルモ其ノ期間ヲ
經過シタル場合ニ於テ勅令ノ定ムル程
度ノ癈疾ノ狀態ニ在ル者ニハ其ノ程度
ニ應ジ其ノ者ノ死亡ニ至ル迄癈疾年金
ヲ支給シ又ハ一時金トシテ癈疾手當金
ヲ支給ス
癈疾年金又ハ癈疾手當金ノ支給ヲ受ク
ルニハ癈疾ト爲リタル日前五年間ニ被
保險者タリシ期間三年以上ナル者タル
コトヲ要ス
第三十七條癈疾年金ノ額ハ被保險者タ
リシ全期間ノ平均報酬年額ノ百分ノ二
十五ニ相當スル金額トシ被保險者タリ
シ期間二十年以上一年ヲ增ス每ニ其ノ
一年ニ對シ被保險者タリシ全期間ノ平
均報酬年額ノ百分ノ一ニ相當スル金額
ヲ加ヘタル金額トス
同一ノ事業主ノ工場、事業場若ハ事業又
ハ同一ノ工場、事業場若ハ事業ニ於
テ引續キ被保險者タリシ期間十年以上
ナル者ニ關シテハ其ノ者ニ支給セラル
ル癈疾年金ノ額ハ前項ノ金額ニ其ノ期
間ノ每十年ニ對シ被保險者タリシ全期
間ノ平均報酬年額ノ百分ノ一ニ相當ス
ル金額ヲ加ヘタル金額トス
第三十二條第三項ノ規定ハ前二項ノ場
合ニ之ヲ準用ス
癈疾手當金ノ額ハ被保險者タリシ全期
間ノ平均報酬月額ノ七月分ニ相當スル
金額トス
第三十八條被保險者タリシ期間二十年
未滿ナル者ニシテ癈疾年金ノ支給ヲ受
クルモノガ死亡シタル場合ニ於テ既ニ
支給ヲ受ケタル癈疾年金ノ總額ガ被保
險者ノ資格喪失ノ際支給ヲ受クルコト
ヲ得ベカリシ脫退手當金及被保險者タ
リシ全期間ノ平均報酬月額ノ七月分ノ
合算額(被保險者タリシ全期間ノ平均
報酬月額ノ十三月分ヲ超ユルトキハ十
三月分ニ止ム)ニ相當スル金額ニ滿タ
ザルトキハ其ノ差額ヲ一時金トシテ其
ノ遺族ニ支給ス
前項ノ規定ハ第三十一條第二項後段ノ
規定ニ該當スル者ガ死亡シタル場合ニ
於テハ之ヲ適用セズ
第三十九條被保險者タリシ期間二十年
以上ナル者ニシテ癈疾年金ノ支給ヲ受
クルモノガ死亡シタル際其ノ者ノ死亡
ニ關シ遺族年金ノ支給ヲ受クベキ者ナ
キ場合ニ於テ旣ニ支給ヲ受ケタル癈疾
年金ノ總額ガ癈疾年金ノ五年分ニ相當
スル金額ニ滿タザルトキハ其ノ差額ヲ
一時金トシテ其ノ遺族ニ支給ス
第四十條養老年金及癈疾年金ヲ受クル
權利ヲ有スル者ニハ命令ノ定ムル所ニ
依リ其ノ一ヲ支給ス
第四十一條癈疾年金ヲ受クル權利ヲ有
スル者ガ癈疾年金ノ支給ヲ受クル程度
ノ癈疾ノ狀態ニ該當セザルニ至リタル
トキハ爾後癈疾年金ヲ支給セズ
第四十二條養老年金ヲ受クル權利ヲ有
スル者ニハ癈疾手當金ヲ支給セズ
第四十三條第三十五條ノ規定ハ癈疾年
金ノ支給ニ關シ之ヲ準用ス
第四節遺族年金
第四十四條被保險者タリシ期間二十年
以上ナル者ガ死亡シタルトキハ其ノ遺
族ニ對シ十年間遺族年金ヲ支給ス
第四十五條遺族年金ノ額ハ左ノ區別ニ
依ル金額トス
養老年金又ハ癈疾年金ノ支給ヲ受
クル者ガ死亡シタル場合ニ於テハ其
ノ者ニ支給セラルル養老年金又ハ癈
疾年金ノ額ノ二分ノ一ニ相當スル金
額
二被保險者タリシ期間二十年以上ナ
ル者ガ養老年金ノ支給ヲ受クルコト
ナクシテ死亡シタル場合ニ於テハ其
ノ者ガ支給ヲ受クルコトヲ得ベカリ
シ養老年金ノ額ノ二分ノ一ニ相當ス
ル金額
第四十六條遺族年金ノ支給ヲ受クル者
ガ死亡シタルトキ其ノ他勅令ヲ以テ定
ムル事由ニ該當スルニ至リタルトキハ遺
族年金ヲ受クル權利ヲ失フ此ノ場合ニ
於テ遺族年金ノ支給ヲ受クベキ後順位
者アルトキハ其ノ者ニ遺族年金ヲ支給
ス但シ其ノ者ガ遺族年金ノ支給ヲ受ク
ベキ期間ハ既ニ支給セラレタル期間ト
合算シテ十年ヲ超ユルコトヲ得ズ
第四十七條遺族年金ノ支給ヲ受クル者
ガ遺族年金ヲ受クル權利ヲ失ヒタル場
合ニ於テ遺族年金ノ支給ヲ受クベキ後
順位者ナキトキハ左ノ區別ニ依ル金額
ヲ一時金トシテ被保險者タリシ者ノ遺
族ニ支給ス
-養老年金又ハ癈疾年金ノ支給ヲ受
クル者ガ死亡シタルニ因リ遺族年金
ノ支給ヲ受ケタル場合ニ在リテハ旣
ニ支給ヲ受ケタル養老年金又ハ癈疾
年金ト其ノ遺族ガ其ノ者ノ死亡ニ關
シ支給ヲ受ケタル遺族年金トノ合算
額ガ養老年金又ハ癈疾年金ノ五年分
ニ相當スル金額ニ滿タザルトキハ其
ノ差額
二被保險者タリシ期間二十年以上ナ
ル者ガ養老年金ノ支給ヲ受クルコト
ナクシテ死亡シタルニ因リ遺族年金
ノ支給ヲ受ケタル場合ニ在リテハ其
ノ者ノ死亡ニ關シ旣ニ支給ヲ受ケタ
ル遺族年金ノ總額ガ其ノ者ノ支給ヲ
受クルコトヲ得ベカリシ養老年金ノ
五年分ニ相當スル金額ニ滿タザルト
キハ其ノ差額
第五節脫退手當金
第四十八條被保險者タリシ期間三年以
上二十年未滿ナル者ガ死亡シタルトキ
又ハ其ノ資格ヲ喪失シタル後更ニ被保
險者ト爲ルコトナクシテ一年ヲ經過シ
タルトキハ脫退手當金ヲ支給ス但シ其
ノ者ガ癈疾手當金ノ支給ヲ受クルトキ
ハ一年ヲ經過セザル場合ト雖モ之ヲ支
給ス
前項ノ規定ニ拘ラズ現ニ被保險者タル
者ニ對シテハ脫退手當金ハ之ヲ支給セ
ズ
第一項ノ規定ハ第三十一條第二項後段
ノ規定ニ該當スル者ニ對シテハ之ヲ適
用セズ
第四十九條脫退手當金ノ額ハ被保險者
タリシ全期間ノ平均報酬月額ノ三十分
ノ一ノ額ニ被保險者タリシ期間ニ依リ
別表ニ定ムル日數ヲ乘ジテ得タル金額
トス但シ癈疾手當金ノ支給ヲ受クル者
ニ支給スベキ額ハ癈疾手當金ノ額ト合
算シテ被保險者タリシ全期間ノ平均報
酬月額ノ十三月分ニ相當スル金額ヲ超
ユルコトヲ得ズ
第五十條癈疾年金ヲ受クル權利ヲ有ス
ル者ニハ脫退手當金ヲ支給セズ
第五十一條癈疾年金ヲ受クル權利ヲ有
スル者ガ第四十一條ノ規定ニ依リ癈疾
年金ノ支給ヲ受ケザルニ至リタル場合
ニ於テ既ニ支給ヲ受ケタル癈疾年金ノ
總額ガ其ノ者ガ被保險者ノ資格ヲ喪失
シタル際支給ヲ受クルコトヲ得ベカリ
シ脫退手當金ノ額ニ滿タザルトキハ其
ノ差額ヲ支給ス
第六節保險給付ノ制限
第五十二條被保險者又ハ被保險者タリ
シ者ガ自己ノ故意ノ犯罪行爲ニ因リ又
ハ故意ニ事故ヲ生ゼシメタルトキハ癈
疾年金、癈疾手當金又ハ遺族年金ヲ支
給セズ
第三十三條、第三十四條、第三十八條、
第三十九條若ハ第四十七條ノ規定ニ依
ル一時金又ハ遺族年金ノ支給ヲ受クベ
キ者ガ被保險者、被保險者タリシ者又
ハ遺族年金ノ支給ヲ受クル者ヲ故意ニ
死ニ致シタルトキハ其ノ者ニ對シテハ
支給セズ此ノ場合ニ於テ後順位者アル
トキハ其ノ者ニ支給ス
第五十三條被保險者又ハ被保險者タリ
シ者ガ重大ナル過失ニ因リ又ハ正當ノ
理由ナクシテ療養ニ關スル指揮ニ從ハ
ザルニ因リ事故ヲ生ゼシメタルトキハ
癈疾年金又ハ癈疾手當金ノ全部又ハ一
部ヲ支給セザルコトヲ得
第五十四條癈疾年金ノ支給ヲ受クル者
ニ付必要アリト認ムルトキハ診斷ヲ行
フコトヲ得
正當ノ理由ナクシテ前項ノ診斷ヲ受ケ
ザル者ニ對シテハ癈疾年金ノ全部又ハ
一部ヲ支給セザルコトヲ得
第五十五條養老年金、癈疾年金又ハ遺
族年金ノ支給ヲ受クル者ニ付必要アリ
ト認ムルトキハ其ノ身分關係ノ異動及
癈疾狀態ノ繼續ノ有無ニ關シ其ノ者ヲ
シテ必要ナル書類ヲ提出セシムルコト
ヲ得
前項ノ場合ニ於テ書類ヲ提出セザル者
ニ對シテハ養老年金、癈疾年金又ハ遺
族年金ノ支給ヲ一時差止ムルコトヲ得
第七節福社施設
第五十六條政府ハ被保險者、被保險者
タリシ者又ハ保險給付ヲ受クル者ノ福
社ヲ增進スル爲必要ナル施設ヲ爲スコ
トヲ得
第四章費用ノ負擔
第五十七條國庫ハ保險給付ニ要スル費
用ニ付勅令ノ定ムル所ニ依リ坑內夫タ
ル被保險者タリシ期間ニ係ル費用ニ關
シテハ其ノ十分ノ一一ヲ、其ノ他ノ被保
險者タリシ期間ニ係ル費用ニ關シテハ
其ノ十分ノ一ヲ負擔ス
國庫ハ前項ニ規定スル費用ノ外每年度
豫算ノ範圍內ニ於テ勞働者年金保險事
業ノ事務ノ執行ニ要スル費用ヲ負擔ス
第五十八條政府ハ勞働者年金保險事業
ニ要スル費用ニ充ツル爲保險料ヲ徵收
ス
保險料ノ算定ニ關スル事項ハ勅令ヲ以
テ之ヲ定ム
第五十九條被保險者及被保險者ヲ使用
スル事業主ハ各保險料額ノ二分ノ一ヲ
負擔ス但シ第二十二條ノ規定ニ依ル被
保險者ハ其ノ全額ヲ負擔ス
第六十條事業主ハ其ノ使用スル被保險
者ノ負擔スベキ保險料ヲ納付スル義務
ヲ負フ但シ第二十二條ノ規定ニ依ル被
保險者ノ負擔スル保險料ニ付テハ此ノ
限ニ在ラズ
第六十一條事業主ハ勅令ノ定ムル所ニ
依リ前條ノ規定ニ依リ納付スベキ保險
料ヲ被保險者ニ支拂フベキ報酬ヨリ控
除スルコトヲ得
第五章審査ノ請求、訴願及訴訟
第六十二條保險給付ニ關スル決定ニ不
服アル者ハ中央社會保險審査會ニ審査
ヲ請求シ其ノ決定ニ不服アルトキハ通
常裁判所ニ訴ヲ提起スルコトヲ得
前項ノ審査ノ請求ハ時效ノ中斷ニ關シ
テハ之ヲ裁判上ノ請求ト看做ス
第六十三條保險料其ノ他本法ニ依ル徵
收金ノ賦課若ハ徵收ノ處分又ハ第十一
條ノ規定ニ依ル處分ニ不服アル者ハ主
務大臣ニ訴願シ又ハ行政裁判所ニ出訴
スルコトヲ得
第六十四條保險料其ノ他本法ニ依ル徵
收金ノ賦課又ハ徵收ノ處分ニ關シ訴願
ノ提起アリタルトキハ主務大臣ハ中央
社會保險審査會ノ審査ヲ經テ裁決ヲ爲
天ぷ)
第六十五條本法ニ規定スルモノノ外中
央社會保險審査會ニ關シ必要ナル事項
ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第六十六條審査ノ請求、訴ノ提起又ハ
訴願若ハ行政訴訟ノ提起ハ處分ノ通知
又ハ決定書ノ交付ヲ受ケタル日ヨリ三
十日以內ニ之ヲ爲スベシ此ノ場合ニ於
テ審査ノ請求ニ付テハ訴願法第八條第
三項ノ規定ヲ、訴ノ提起ニ付テハ民事
訴訟法第百五十八條第二項及第百五十
九條ノ規定ヲ準用ス
第六章罰則
第六十七條正當ノ理由ナクシテ第十條
ノ規定ニ依ル當該官吏ノ質問ニ對シ答
辯ヲ爲サズ若ハ虛僞ノ答辯ヲ爲シ又ハ
其ノ檢査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シタル
者ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス
第六十八條第九條ノ規定ニ依ル命令ニ
違反シ報告ヲ爲サズ、虚僞ノ報〓ヲ爲
シ若ハ文書ノ提示ヲ爲サズ又ハ其ノ他
必要ナル事務ヲ行ハザル者ハ百圓以下
ノ罰金ニ處ス
第六十九條事業主ハ其ノ代理人、戶主、
家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ
其ノ業務ニ關シ前條ノ違反行爲ヲ爲シ
タルトキハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故
ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第七十條第六十八條ノ罰則ハ其ノ者ガ
法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ
法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年
者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定代
理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年
者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付
テハ此ノ限ニ在ラズ
附則
第七十一條本法施行ノ期日ハ保險給付
及費用ノ負擔ニ關スル規定竝ニ其ノ他
ノ規定ニ付各別ニ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第七十二條保險給付及費用ノ負擔ニ關
スル規定施行ノ日ニ於テ現ニ使用セラ
ルル事業主ノ工場、事業場若ハ事業又
ハ現ニ使用セラルル工場、事業場若ハ
事業ニ同日迄引續キ第十六條ノ規定ニ
依ル被保險者ト爲ルベキ資格ヲ有スル
者トシテ五年以上使用セラレタル者ニ
シテ同日ニ於テ同條ノ規定ニ依ル被保
險者ト爲リタルモノガ被保險者タリシ期
間二十年未滿ニシテ五十歲(鑛業法ノ適
用ヲ受クル事業ノ事業場ニ同日ニ於テ
常時坑內作業ニ從事スル者トシテ使用
セラルル者ニ在リテハ四十五歲)ヲ超
エ被保險者ノ資格ヲ喪失シタル場合ニ
於テハ其ノ者ニ對スル脫退手當金ノ支
給條件及其ノ額ニ付テハ第四十八條及
第四十九條ノ規定ニ拘ラズ勅令ヲ以テ
別段ノ定ヲ爲スコトヲ得但シ第三十一
條第二項後段ノ規定ニ該當スル者ニ付
テハ此ノ限ニ在ラズ
保險給付及費用ノ負擔ニ關スル規定施
行ノ日ニ於テ五十歲(鑛業法ノ適用ヲ
受クル事業ノ事業場ニ同日ニ於テ當時
坑內作業ニ從事スル者トシテ使用セラ
ルル者ニ在リテハ四十五歲)ヲ超エタ
ル者ニシテ同日ニ於テ第十六條ノ規定
ニ依ル被保險者ト爲リタルモノガ被保
險者タリシ期間六月以上三年未滿ニシ
テ被保險者ノ資格ヲ喪失シタル場合ニ
於テハ第四十八條ノ規定ニ拘ラズ勅令
ノ定ムル所ニ依リ之ニ脫退手當金ヲ支
給スルコトヲ得但シ前項ノ規定ニ依リ
脫退手當金ノ支給ヲ受クル場合ニ於テ
ハ此ノ限ニ在ラズ
第二十五條但書ノ規定ハ前二項ノ場合
ニ之ヲ適用セズ但シ第二十四條ノ規定
ニ依リ計算シタル期間六月未滿(第一項
ノ規定ニ該當スル者ニ在リテハ一年未
滿)ナル者ノ坑内夫タル被保險者トシ
テ使用セラレタル實期間ニ關シテハ第
二十四條ノ規定ニ依リ之ヲ計算ス
第七十三條保險給付及費用ノ負擔ニ關
スル規定施行ノ日前ニ於テ被保險者タ
リシ期間ハ第二十四條ノ規定ニ依ル被
別表
被保險者タリシ期間日數
三年以上四十日
四年以上五十日
五年以上六十日
六年以上七十五日
七年以上九十日
八年以上百五日
九年以上百二十日
十年以上百三十五日
十一年以上百五十日
保險者タリシ期間ニ之ヲ算入セズ
第七十四條保險給付及費用ノ負擔ニ關
スル規定施行ノ日ニ於テ勅令ヲ以テ定
ムル共濟組合ノ組合員タル者ニ關シテ
ハ本法ノ適用ニ付勅令ヲ以テ別段ノ定
ヲ爲スコトヲ得
第七十五條保險給付及費用ノ負擔ニ關
スル規定施行ノ日ニ於テ郵便年金契約
ノ年金受取人タル者ニ關シテハ其ノ契
約ガ郵便年金令第十四條ノ規定ノ適用
ヲ受クル場合ニ於テハ本法及郵便年金
法ノ適用ニ付勅令ヲ以テ別段ノ定ヲ爲
スコトヲ得
第七十六條退職積立金及退職手當法中
左ノ通改正ス
第十一條第一項ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ勞働者年金保險ノ被保險者タル勞
働者ニ付テハ其ノ二分ノ一以上ヨリ積
立ヲ爲サザルコトノ申出アリタル場合
ニ於テハ此ノ限ニ在ラズ
被保險者タリシ期間日數
十二年以上百六十五日
十三年以上百八十日
十四年以上二百日
十五年以上二百二十日
十六年以上二百四十日
十七年以上二百六十日
十八年以上二百八十日
十九年以上三百日
〔國務大臣金光庸夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=64
-
065・金光庸夫
○國務大臣(金光庸夫君) 只今議題トナリ
マシタ勞働者年金保險法案ノ提案理由ヲ說
明申上ゲマス
現下ノ情勢ニ鑑ミマスルニ、生產力ノ擴充
ハ時局下最大ノ急務デアリマシテ、隨テ其
ノ基本トナルベキ勞働力ノ保全增强ヲ圖リ、
產業能率ノ增進ヲ期シマスルコトハ、刻下
喫緊ノ要務ト存ズルノデアリマス、而シテ
是ガ爲メ施策スベキ事項ハ種々アルコト
トハ存ゼラレマスガ、就中生產擴充ノ第一
線ニ立ツテ、懸命ノ努力ヲ續ケテ居ル勞働
者ニ對シ、安ンジテ其ノ職務ニ精勵セシメ
マスル方策ヲ講ズルコトガ、最モ肝要デア
ルト存ズルノデアリマス
惟フニ勞働者ハ、自己ノ勞働能力ヲ以テ
生活維持ノ唯一ノ手段トシテ居ルノデアリ
マシテ、老齡、癈疾及ビ死亡等、其ノ勞働
能力ヲ減退又ハ喪失セシメマスル事故ハ
〔副議長退席、議長着席〕
勞働者ニ取リマシテハ其ノ生活ヲ不斷ニ
脅カスモノデアリマスガ、年金保險ノ制度
ハ是等ノ事故ニ際シテ勞働者ノ生活ヲ保
障シ、勞働者ノ明日ノ生活ニ對シ、安心ト
希望トヲ與フルモノデアリマシテ、本制度
實施ノ曉ハ勞働者ヲシテ專心職域ニ奉公
セシメ得ルモノト考へルノデアリマス、仍テ
玆ニ本法案ヲ提出致シタ次第デアリマス
國費多端ノ折柄ニモ拘ラズ、多額ノ國帑
ヲ投ジテ斯クノ如キ保護ヲ勞働者ニ與ヘ
ヨウト致シマスル所以ノモノハ畢竟スル
ニ生產擴充ノ爲メ懸命ノ努力ヲ續ケテ居ル
全勞働者ニ、國家トシテ其ノ生活保障ヲ與
へ一塊デモ多クノ石炭ヲ、一臺デモ多ク
ノ機械ヲ生產スルヤウ努力シテ貰ヒ、以テ
高度國防國家體制ノ確立ニ寄與セシメント
スルニアルノデアリマス何卒御審議ノ上
速カニ御協賛アランコトヲ切望致シマス(拍
手ノ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=65
-
066・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=66
-
067・服部崎市
○服部崎市君 本案ハ政府提出、健康保險
法中改正法律案委員ニ併セ付託サレンコト
ヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=67
-
068・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=68
-
069・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
十五、無盡業法中改正法律案ノ第一讀會ノ
續ヲ開キマス、委員長ノ報〓ヲ求メマス-
委員長大野伴睦君
第十五無盡業法中改正法律案(政府
提出)第一讀會ノ續(委員長報〓)
報〓書
一無盡業法中改正法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十六年二月六日
委員長大野伴睦
衆議院議長小山松壽君
〔大野伴陸君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=69
-
070・大野伴睦
○大野伴睦君 只今議題ト相成リマシタ無
盡業法中改正法律案ノ委員會ニ於ケル審議
ノ經過竝ニ結果ヲ極メテ簡單ニ御報告申上
ゲマス
本改正ノ趣旨ハ、時局下庶民金融ノ現狀
ニ鑑ミマシテ、無盡業ノ健全ナル發達ヲ圖
ルノガ主眼デアリマス、今其ノ改正案中主
ナル要點ヲ申述ベマス、其ノ第一ハ、無盡
會社ノ營業上ノ資金ノ運用ノ範圍ヲ擴張シ
タルコトデアリマス、第二ハ、營業ノ讓渡
ヲ主務大臣ノ認可制ト致シマシテ、尙ホ全
部讓渡ノ場合ノ手續ニ付キ、便法ヲ設ケタル
コトデアリマス、第三ハ無盡會社ト庶民
金庫トノ連繫ヲ圖リタル點デアリマス、第
四ハ無盡會社ガ他ノ無盡會社ノ事業及ビ
財產ノ管理ヲナスコトヲ認メタルコトデア
リマス第五ハ無盡業法ヲ金錢及ビ有價
證劵以外ノ財產ヲ給付スル無盡ヲ業トスル
モノニモ適用スルコトトシタノデアリマ
ス、是等ノ諸點デアリマス
而シテ委員會ハ前後三囘開催致シマシテ
愼重審議致シマシタ、其ノ間委員ヨリ住宅
無盡ニ對シ、本法ノ適用ニ關シマシテ、住
宅問題等ノ觀點ヨリ極メテ有益ナル質問ガ
アリマシタ、之ニ對シテ政府ハ)本法施行
ニ當ツテハ十分愼重ニ考慮スルトノ答辯ガ
アリマシタ、尙ホ他ノ委員ヨリ、總動員法
ノ改正案ノ會社ニ對スル命令事項ヲ、無盡
會社ニ及ボス意思ガアルカドウカト云フ質
問ガアリマシタ之ニ對シ政府ハ無盡會
社ノ合併ハ其ノ地方々々ノ實情ニ照シテ促
進ヲスル積リデアルケレドモソレハ無盡
會社等ニ當ツテハ必ズシモ總動員法ノ命令
事項ヲ發動スル積リハナイ、成ベク會社ニ
政府ノ意ノアル所ヲ能ク認識セシメ、諒解
セシメテサウシテ圓滿ノ裡ニ合併ヲ促ス
積リデアルカラ、總動員法等ヲ發動スル意
思ハ持ツテ居ナイ斯ウ云フ答辯デアリマ
シタサウシテ質疑ハ終了致シマシテ直
チニ討論ニ移リマシタ、委員仲西三良君ヨ
リ原案贊成ノ意見ガ開陳サレマシタ而シ
テ直チニ採決ニ移リマシタ、全員贊成、原
案ヲ可決致シマシタ、極メテ簡單ニ此ノ段
御報告申上ゲマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=70
-
071・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=71
-
072・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=72
-
073・服部崎市
○服部崎市君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=73
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074・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=74
-
075・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ本案ノ第一一讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
無盡業法中改正法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=75
-
076・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ第三讀會ヲ省略シテ委員長報告通
リ可決致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=76
-
077・服部崎市
○服部崎市君 議事日程追加ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此ノ際政府提出、國家
總動員法中改正法律案ヲ議題トナシ、委員
長ノ報告ヲ求メ、其ノ審議ヲ進メラレンコ
トヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=77
-
078・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=78
-
079・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ追加セラレマシタ-國家
總動員法中改正法律案、第一讀會ノ續ヲ開
キマス、委員長ノ報告ヲ求メマス-委員
長山崎達之輔君
國家總動員法中改正法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報告書
一國家總動員法中改正法律案(政府提
H1
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十六年二月八日
委員長山崎達之輔
衆議院議長小山松壽殿
〔山崎達之輔君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=79
-
080・山崎達之輔
○山崎達之輔君 只今議題トナリマシタル
國家總動員法中改正法律案ノ委員會ノ經過
ニ付キマシテ御報告ヲ申上ゲマス、委員會
ハ四日間ニ亙リマシテ愼重審議ヲ重ネタ次
第デアリマスガ、委員各位ハ、此ノ法案ガ
戰時體制ノ强化ニ重要ナル役割ヲ持ツテ居
リマシテ、更ニ國民經濟ニ至大ナル關係ヲ
有シテ居リマスルガ故ニ、極メテ眞摯ナル
態度ヲ以テ質疑應答ヲ行ハレマシテ、十分
ノ檢討ヲ重ネラレタノデアリマス
本案提案ノ理由ハ、現行法實施以來ノ經
驗ニ徵シマシテ、之ヲ補正シテ運用ニ遺憾
ナキヲ期スルト云フコトト現下ノ緊迫セ
ル情勢ニ應ジマシテ、國力ヲ最高度ニ動員
シテ、軍備ノ充實、經濟力ノ急速ナル增强
ヲ圖リ、併セテ如何ナル事態ノ發生ニモ對處
シ得ルコトラ期セントスルニアルノデアリマス
改正ノ要點ヲ搔摘ンデ申上ゲマスレバ、
第一ハ、勞力分配ノ適正ト其ノ能率ノ發揮
ヲ圖ル爲ニ、勞務統制ニ關スル規定ヲ强化
スルコトデアリマス、又現下ノ必要ニ鑑ミ
マシテ、統制物資ノ從來ノ範圍ヲ擴大致シ
マシテ、總動員物資ノミデナク、物資全般
ニ統制ヲ及ボシ得ルト云フヤウナ工合ニ改
正ヲスルト云フコトガ一點デアリマス、第
二ハ、重要產業ニ對スル資金供給ノ圓滑ヲ
圖リ又萬一ノ事態ニ備フル爲ニ金融統
制ニ關スル規定ヲ强化スルト云フコトデア
リマス、第三ハ、產業ノ能率ヲ發揮セシム
ル爲ニ、現有ノ技術及ビ設備、是等ヲ最モ
必要ナル方面ニ集中セシメル途ヲ開クト云
フコトデアリマス、第四ハ、重要產業ノ整
備ヲ圖リ其ノ能率ヲ向上セシメル爲ニ、
產業統制ニ關スル基本的條項ノ整備ヲナサ
ントスル點デアリマス、第五ハ物價統制
ニ關スル條項ヲ擴充致シマシテ、現在統制ノ
及バザルモノニモ、統制ヲ及ボシ得ル途ヲ
開カウト云フ點デアリマス、第六ハ惡質
ナル經濟締制違反ニ對處致シマス爲ニ、罰
則ノ規定ヲ改正シヨウト云フコトデアリマ
ス
以上ガ改正ノ要點デアリマスガ、委員會
ニ於テ交サレマシタル質疑應答ハ、何レモ
極メテ重要ナ點ニ觸レテ居ルノデアリマシ
テ、詳細ハ速記錄ニ依ツテ御諒承願ヒタイ
ト存ジマスガ、就中主ナルモノト認メマシ
タ點ニ付テ、若干御報告ヲ申上ゲテ置キタ
イト思ヒマス
先ヅ一般論ト致シマシテ、將來緊急ノ事
態ニ備ヘル爲ニ、豫算制度ニ根本的ノ改革
ヲ施スノ意思アリヤ否ヤ、又公債消化ノ爲
ニ强權ヲ發動スル場合ニ必要ナル規定ヲ設
クルノ意思アリヤ否ヤト云フ質問ニ對シマ
シテ、政府ハ將來戰時豫算執行權ノ擴大ヲ必
要トスルヤウナ時期ガナイトハ斷ジ難イノ
デアルケレドモ、現在ノ所其ノ必要ヲ認メ
ナイ、現行ノ豫算制度ノ下ニ於テ、豫備金
ノ增額ガ最モ適當デアルト認メルノデ近
ク追加豫算ニ相當豫備金ノ增加ヲ要求スル
積リデアルト云フ御答ヘガアツタノデアリ
やく、又現在程度ノ公債消化ハ必ズシモ强
制的ノ方法ヲ採ルノ必要ハナイ、國民ノ愛
國心ニ愬ヘル程度デ足リルモノト認ムルト
云フ答ヘデアツタノデアリマス、今囘ノ改
正ヲ實施スルニ當リマシテ、官廳ノ機構ニ
根本的ノ改革ヲ加ヘ、且ツ吏道ノ刷新ヲ
圖ルノ意圖ヲ有スルヤトノ質問ニ對シマ
シテ、總理大臣ヨリ、官廳制度ノ整備ノ必
要ヲ政府モ認メテ居ル、政府ハ官吏制度ノ
改革ヲ行ツタガ、其ノ活用ニ遺憾ナキヲ期
スルト共ニ、事務運行ノ簡易化ト能率化ヲ圖
ルベク努力中デアリ、吏道ノ刷新ノ緊要ナル
コトモ亦同感デアル、又行政官廳ノ機構ニ
付テハ、今日ノ事態ニ卽應シテ、實情ニ立脚
シタル整備ヲ行ツテ、苟クモ民間ヲシテ歸
趨ニ迷ハシメルヤウナコトノナイコトヲ期
シテ居ルノデアルト總理大臣ヨリ御答辯
ガアツタノデアリマス、又總動員審議會ノ
改組擴充、之ニ付キマシテモ政府ハ審議
會ノ任務ガ今囘ノ改正ニ伴ツテ愈〓重大ヲ
加ヘル譯デアルカラ、審議會ノ運用上一層
效果ヲ擧ゲルヤウニ十分ノ工夫ヲ致スト云
フコトノ言明ガアツタノデアリマス
次ニ此ノ改正案ニ關スル具體的ノ諸問題
ニ付キマシテ、活潑ナル質疑應答ガ行ハレ
マシタ、先ヅ經濟新體制ニ付キマシテ、今囘
ノ改正及ビ是ガ發動ニ依ル經濟統制ノ强化
ト云フコトト私有財產制度トノ關係、及
ビ個人企業ノ範圍ヲ狭メテ產業ノ社會化ヲ
招來スルノ虞ハナイカトノ質問ニ對シマシ
テ總理大臣ハ、政府ハ憲法ノ定ムル所ニ
依ツテ所有權ヲ尊重スルモノデアル經濟
統制ノ强化ハ時局克服ノ爲メ必要デアルケ
レドモ、政府ノ考ヘテ居ル所ハ民間ノ各
企業ガ、企業ノ公共性ノ自覺ノ下ニ其ノ
自主性ヲ保持シテ、積極的ニ其ノ創意ト努
力トヲ盡シテ、生產能率ヲ最大限ニ發揮ス
ルト共ニ、同種類ノ企業ガ有機的一體トナ
ツテ、生產力ヲ昂揚スル組織ヲ形成シテ、
政府ノ綜合的計畫ニ則ツテ、國家總力ノ發
揮ニ邁進スルヤウニシタイト云フノガ政府
ノ意圖スル所デアル決シテ漫リニ產業ノ
社會化ヲ圖ルト云フヤウナコトハ、政府ハ
全然考ヘテ居ナイト云フコトヲ答ヘラレタ
ノデアリマス、又企業利潤ノ問題ニ付キマ
シテ、等シク總理大臣ヨリ、決シテ利潤ヲ
否定シ、或ハ之ヲ抑制セントスルモノデハ
ナイ各企業ガ其ノ自主的ノ責任ニ於テ運
營セラレテ十分創意ト工夫トヲ盡シテ生
產ノ增强ニ努メ、之ニ依ツテ利潤ノ增加ヲ
期待シテ居ルノデアル、唯利益ノ追求ヲ以
テ最高至上ノ目的トナシ、之ニ專念シテ他
ヲ顧ミザルヤウナコトノナイコトヲ期スルモ
ノデアルト云フ答辯ガアツタノデアリマス
第十八條ノ改正デアリマスガ、恐ラク此
ノ條ガ今囘ノ改正ノ中ノ最モ重要ナ箇條デ
アルト存ジマスガ此ノ第十八條ノ改正規
定ノ運用ニ關シマシテ、政府ハ今議會ニ提
出ノ豫定デアツタ產業國體法等ノ提案ヲ見
合ハセタノデアルガ、經濟新體制ニ基ク經
濟團體組織ノ必要上及ビ農林漁業團體ノ統
制ノ必要、又配電管理ノ必要ト云フヤウナ
コトカラ、法案ノ提出ハ見合ハセラレタノ
デアルガ、此ノ總動員法第十八條ノ發動ヲ
見ル考ヘデアルカドウカト云フ質問ニ對シ
マシテ、政府ノ答辯ハ產業團體法等ノ法律
案ノ提出ヲ見合ハセタコトト此ノ總動員
法中改正法律案ヲ提出シタコトトハ、大體
ニ於テ別箇ノ問題デアル、經濟團體ノ組織
ニ付キマシテハ先ヅ鐵或ハ石炭ト云フヤ
ウナモノニ付テ、ソレ〓〓其ノ業種ニ適合
シテ居ル團體ノ組織ヲ現ニナサシメツツア
ルノデアル是ガ組成運用ニ當ツテ法規ノ
根據ヲ必要トスル如キ場合ガ生ズレバ、其
ノ必要ニ應ジテ第十八條ヲ適用スルト云フ
コトモ豫想シ得ルコトデアル配電管理ニ
付キマシテハ今囘法案ノ提出ハ見合ハセ
タノデアルガ、電力節約ノ上カラ配電統制
ノ强化ハ必要ト認メテ居ル、其ノ方法ニ付
テハ更ニ官民各方面ノ意見ヲ徵シテ決定ヲ
致シテ、法令ノ許ス範圍內ニ於テ實施致シ
タイト云フ考ヘデアル但シ必要已ムヲ得
ザル場合ニ於テハ、或ハ第十八條ヲ適用ス
ル場合モアリ得ルト思フト云フ答ヘデアツ
タノデアリマス、更ニ農林漁業團體ノ統合
ニ付キマシテハ、諸般ノ事情ニ鑑ミ、今囘
ハ法案ノ提出ヲ中止致シテ現在ノ機構ヲ
以テ切拔ケテ行ク考ヘデアルカラ農林漁
業團體統合ノ爲ニ此ノ十八條ヲ發動スル考
ヘハナイ斯ウ云フコトヲ農林大臣ヨリ答
辯ガアツタノデアリマス
次ニ政府ノ企圖致シテ居ル所ノ統制團
體ノ組織內容ハ如何ナルモノデアルカト
云フコトニ關シマシテ種々質疑ガ行ハ
レタノデアリマス、政府ノ考ヘテ居ル所
ハ民間業界ノ實情ニ通ジテ居ツテ、其
ノ業界ノ輿望ニ副ウテ選定セラレル所ノ
所謂指導者ヲ中心トスル統制機構ヲ政府
ハ考ヘテ居ルノデアルサウシテ其ノ指
導者ニ統制ニ必要ナル權限ヲ與ヘテ其
ノ指導者ノ創意ト責任ニ於テ團體員ノ指
導ニ任ゼシメテ、政府ハ其ノ大綱ニ付テ
ノミ團體ノ指導監督ヲナサントスルモノ
デアルト云フ答ヘデアツタノデアリマス
又統制會社ノ設立ニ關シマシテモ其ノ首
腦部ニハ成ベク民間ノ練達ノ士ヲ推薦スル
方針デアツテ、所謂官吏ノ天降リ的人選等
ハ避ケタイト云フコトデアツタノデアリマ
ス第十六條ノ三ノ企業合同ニ關スル方針
ニ關シマシテ、政府ノ說明ハ大體次ノ通リ
デアツタノデアリマス、卽チ企業合同ト
云フコトハ生產計畫又ハ技術上必要ア
ル場合ニ行フモノデアツテ、決シテ無暗
ト行ハントスルモノデハナイ、政府ハ中小
企業ニ對シテハ之ヲ維持育成スルコトヲ
根本方針トシテ居ルノデアルガ、軍需工業
等ノ重要產業ニ付テ)整理合同ノ必要ヲ生
ズルコトハ勿論、或ハ平和產業ニ付テモ
企業合同ノ避ケ難キ場合ガアルト考ヘル、
但シ斯樣ナ場合ニ於テハ極力其ノ圓滑ナ
ル進行ヲ助成スル方針デアルノデ、今囘事
業ノ讓渡合併等ノ場合ニ於ケル租稅ノ負擔
輕減ノ途ヲ開キ、又必要ニ應ジテ融資命令
ヲ發スルコトモ考慮致シテ居ルト云フコト
デアツタノデアリマス、第十一條ノ金融關
係ノ改正規定ニ關シマシテ當局ヨリ、今囘
新タニ補充シタル所ノ債務ノ引受又ハ債務
保證ノ命令ハ、銀行就中興業銀行等ニ對シ
テノミ發スルモノデアツテ之ニ依ツテ現
實ノ通貨ヲ動カサズシテ、從來ノ融資命令
ト同一ノ效果ヲ擧ゲテ資金供給ノ圓滑ヲ圖
リ、且又萬一ノ事態ニ備ヘントスル趣意デ
アルト云フコトノ說明ガアツタノデアリマ
ス、價格統制ノ關係ニ付キマシテ或ル委
員ヨリ、所謂九·一八停止制ノ實施期限ヲ
一箇年延長サレタコトハ遺憾デアル、速力
ニ全面的ニ公定價格制ヲ實施スルノ必要ガ
アルト云フコトヲ熱心ニ主張サレタコトニ
對シマシテ、政府ハ一年以內ニ能フ限リ公
定價格ヲ形成シテ、所謂九·一八價格停止制
ヲ廢止スベク折角努力中デアルト云フ御答
ヘデアツタノデアリマス
罰則ノ改正ニ關シマシテハ、多數ノ委員諸
君ヨリ、從來總動員法ニ基イテ發セラレル所
ノ勅令、其ノ他ノ法規ガ甚ダ一般ニ徹底ヲ
缺イテ居ル、是ガ爲ニ法規違反者ノ中ニハ
洵ニ氣ノ毒ナル善意ノ犯罪者モアルノデア
ルカラ諸法規ノ周知方ニ付テハ政府ハ
格段ノ工夫努力ガ必要デアルト云フコトヲ
力說セラレマシタコトニ對シテ、當局モ之
ヲ認メラレマシテ、將來法規ノ周知徹底方
ニ付テハ、凡ユル手段ヲ講ジテ極力ソレ
ノ行渡ルヤウニ努力ヲ惜シマナイ積リデア
ルト云フ言明ガアツタノデアリマス
最後ニ、此ノ法律案ハ申スマデモナク其
ノ內容ノ大部分ヲ勅令ニ委任ヲ致シテ居リ
マシテ、可ナリ强大ナル權限ヲ政府ニ賦與
セントスルモノデアリマスルカラ、是ガ運
用ニ當リマシテハ最モ愼重ナル態度ガ必要
デアリマス、苟クモ法條ヲ濫用シテ、或ハ
統制ノ爲メノ統制ニ陷リ、或ハ民情ヲ無視
シテ國民ノ活力ヲ殺ギ、却テ國家總力發揮
ノ大目的ニ背馳スルガ如キ結果ニ陷ラザル
コトガ、最モ肝要ト存ズルノデアリマスル
ガ、委員會ニ於ケル本案審議ノ經過ニ於キ
マシテ、政府モ此ノ點ニ付キマシテハ十分
ノ注意ヲ拂ハレルノ意思アルコトガ明カニ
認メ得ラレタノデアリマス
斯クテ質疑ヲ終了致シマシテ、討論ニ入
リマシテ、小山倉之助君ヨリ本案ニ贊成ノ
意見ノ陳述ガアリマシタ、採決ノ結果全會
一致ヲ以テ原案通リ可決致シタル次第デア
リマス、以上御報告ヲ致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=80
-
081・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=81
-
082・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=82
-
083・服部崎市
○服部崎市君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ第三讀會ヲ省略シテ委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=83
-
084・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=84
-
085・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス仍テ直チニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
國家總動員法中改正法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=85
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086・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ第三讀會ヲ省略シテ委員長報告通
リ可決確定致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=86
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087・服部崎市
○服部崎市君 議事日程追加ノ緊急動議ヲ
提出致シマス卽チ此ノ際政府提出、衆議
院議員ノ任期延長ニ關スル法律案及ビ府縣
會議員、市町村會議員等ノ任期延長ニ關ス
ル法律案、右雨案ヲ一括議題トナシ、委員
長ノ報〓ヲ求メ、其ノ審議ヲ進メラレンコ
トヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=87
-
088・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=88
-
089・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ追加セラレマシタ衆議
員議員ノ任期延長ニ關スル法律案、府縣會
議員、市町村會議員等ノ任期延長ニ關スル
法律案、右兩案ヲ一括シテ第一讀會ノ續ヲ
開キマス、委員長ノ報〓ヲ求メマス-委
員長〓瀨一郞君
衆議院議員ノ任期延長ニ關スル法律案
(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
府縣會議員、市町村會議員等ノ任期延
長ニ關スル法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
報〓書
一衆議院議員ノ任期延長ニ關スル法律案
(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十六年二月八日
委員長〓瀨郎
衆議院議長小山松壽殿
報〓書
一府縣會議員、市町村會議員等ノ任期延
長ニ關スル法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十六年二月八日
委員長〓瀨郎
衆議院議長小山松壽殿
〔〓瀨一郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=89
-
090・清瀬一郎
○〓瀨一郞君 本委員會ノ經過及ビ結果ヲ
御報告申上ゲマス衆議院議員ノ任期延長
ニ關スル法律案ノ骨子ハ申スマデモナク
本年四月末日ニ滿了スベキ現任衆議院議員
ノ任期ヲ、明年四月末日マデ卽チ一箇年
間延長致シマシテ此ノ緊迫セル時局下ニ
國民ヲシテ總選擧ニ沒頭シ時局ニ關スル
注意ヲ其ノ方ニ逸散セシメルコトヲ避ケル
目的ノ法律デアリマス、此ノコトニ附隨シ
テ二、三ノコトガ規定セラレテアリマス
其ノ一ツハ此ノ一年間ハ衆議院議員ノ再選
擧及ビ補關選擧ハ是亦行ハナイト云フコ
トデアリマスサリナガラ若シモ衆議院ノ
員數ガ各選擧區ノ定員全部ヲ合シタ數、卽
チ四百六十六ノ三分ノ一一以下ニ下ルト云フ
事故ガアリマシタナラバ補充選擧ト云フ
モノヲ行フノデアリマス、補充選擧ハ本法
ニ認メタ新タナ制度デアリマシテ如何ナ
ル限度ニ於テ之ヲ行フカ、如何ナル方法ニ
依ツテ行フカハ勅令ニ委任セラレテ居リマ
ス、勅令案ノ內容ヲ聞キマスルニ斯ウ云フ
コトデアリマス、若シ今申ス缺員ガ出來マ
シテモ一ツノ選擧區デ二人以上ノ缺員ガ
生ジナイト補充選擧ハ行ハナイ二人以上
ノ缺員ガ出來タ場合ノ補充選擧ノヤリ方ハ
大體從前ノ補關選擧ノ機構デ行ク、斯ウ云
フ言明デアリマシタ
府縣會議員及ビ市町村會議員ノ任期延長
ノ法律ノ內容ハ、昭和十七年三月三十一日
マデニ任期ノ滿了スベキ府縣會議員、市町
村會議員、北海道一級二級ノ町村會議員、
全部事務ノ爲メノ町村組合ノ議員、是ノ任
期ヲ延長スルト云フ案デアリマス、此ノ法
案ノ適用ニナリマスル場合ハ、實際トシテ
縣ニ於テ三縣、市ニ於テ七十四市、町村ハ
九千五百ノ多キニ上リマス、此ノ地方議員
ノ選擧ノ場合ハ、一ツノ地方デ代議土選擧、
縣會議員選擧、市町村會議員ノ選擧ガ同時
ニ重ナルコトヲ避ケル爲ニ段階ヲ付ケテア
リマス、卽チ府縣會議員ノ選擧ト、六大都
市市制第六條ノ市ノ選擧、是ハ來年ノ四月
1日、其ノ外ノ選擧、卽チ九千五百ノ市町
村會議員ノ選擧ハ五月二十日、眞中ニ入リマ
スル代議士選擧ヲ寄セマスルト三段ニ選擧
ガアル筈デアリマス、地方議員ノ選擧ハ衆
議院議員ノ場合ト違ヒマシテ、補關選擧ト
再選擧ハ共ニ行フノデアリマス、其ノ譯ハ
地方議員ノ場合デアリマスルト選擧ノ規
模モ小デアルシ)競爭モ代議士選擧ノ場合
ノ如ク激烈デナカラウカラ、時局下ニ於テ
モ之ヲ行ツテ差支ヘナカラウト云フ理由ノ
趣キデアリマス
尙ホ本案ニ牽聯シテ起リマシタ質疑應答
ノ一ツ二ツダケヲ申ム一ゲマスルト衆議院
議員ノ任期ヲ延長スルコトハ實ニ重大ナコ
トダ、今囘ノコトガ前例ニナツテ斯樣ナ
コトガ、他年一日、濫用サルル虞ハナカラ
ウカト云フ疑ニ對シテ政府ハ今囘ニ於テ
モ實ニ愼重ナル考慮ヲ運ラシテ茲ニ提案ヲ
ナスニ至ツタ、後年是ガ濫用サルベキ性質
ノモノデハナイト云フ重要ナ御言明ガアリ
マシタ、次ニハ時局ノ狀態ガ來年モ亦此ノ
通リ續クサウ云フ場合ニハ再延長ハ考慮
サルルデアラウカト云フ御質疑デアリマス、
內務大臣ハ、ソレハ其ノ時ノ情勢ニ依ルノ
ダ、今カラ斷言ハ出來ナイ、併シナガラ情
勢ガ相當ニ緊迫シテモ追掛ケテ二度モ延長
スルコトハ考ヘナケレバナラヌカラ、大體
ハ左樣ナコトハナカラウト想像サレルト云
フコトデアリマス
委員會ハ簡單ナ文字ノ法案デハアリマス
ルガ非常ニ重大ナコトデアリマシタカラ
愼重ニ審議ヲ重ネマシタ、本日ノ委員會デ
兩案トモ熊谷五右衞門君ノ發案デ、可決ス
ベキ旨報告スベシトノ意見ガ發表サレマシ
テ、滿場一致其ノ通リ可決シタノデアリマ
ス、此ノ段御報〓申上ゲマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=90
-
091・小山松壽
○議長(小山松壽君) 兩案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=91
-
092・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス仍テ兩案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=92
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093・服部崎市
○服部崎市君 直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ委員長報告ノ通リ
可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=93
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094・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=94
-
095・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ兩案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
衆議院議員ノ任期延長ニ關スル法律案
第二讀會(確定議)
府縣會議員、市町村會議員等ノ任期延
長ニ關スル法律案第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=95
-
096・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ第三讀會ヲ省略シテ、兩案トモ委員
長報告通リ可決確定致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=96
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097・服部崎市
○服部崎市君 議事日程追加ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此ノ際政府提出、國防
保安法案ヲ議題トナシ、委員長ノ報〓ヲ求
メ、其ノ審議ヲ進メラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=97
-
098・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=98
-
099・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ追加セラレマシター國防
保安法案ノ第一讀會ノ續ヲ開キマス、委員
長ノ報告ヲ求メマス-委員長野村嘉六
君
國防保安法案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報〓書
一國防保安法案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十六年二月八日
委員長野村嘉六
衆議院議長小山松壽殿
〔野村嘉六君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=99
-
100・野村嘉六
○野村嘉六君 只今議題トナリマシタ國防
保安法案ノ委員會ノ經過竝ニ結果ニ付キ御
報告申上ゲマス
本案ハ戰時立法トシテ近代戰ノ、國家總
力戰ノ使命ヲ果ス重要ナル法案デアリマス、
其ノ運用ノ如何ニ依リマシテハ國民ノ利
害ニ及ボス影響ハ甚大デアリマス、之ヲ以
テ本案ハ國民注視ノ的トナツテ居ル次第デ
アリマス、我ガ國ノ作戰用兵等ノ軍事上ノ
祕密ハ軍機保護法ニ依ツテ保護サレテ居
リマス、併シ作戰用兵等以外ノ外交、財政、
經濟等ノ國家重要ノ祕密ニ對シマシテハ
何等保護ノ規定ハナイノデアリマスサウ
シテ近代戰ハ武力ノミデハ勝敗ハ決マリマ
セヌ外交、財政、經濟等ノ力ガ必要デア
ルノデアリマス故ニ近代戰ハ國家總力戰
ト言フ次第デアルノデアリマス、此ノ點ニ
關シマシテ、各國ガ如何ニ周密ナル諜報網
ヲ張リツツアルカハ、實ニ事實ヲ調ベマス
ルト驚クベキモノガアルノデアリマス、其
ノ方法ハ第一諜報戰デアリマス、諜報戰ト
云フノハ國家ノ樞要ナル內情ヲ探ルノデ
アリマス、第二ハ宣傳戰デアリマス、宣傳
戰ト云フノハ其ノ國民ヲ誤マラシメテ
然ル後謀略ヲ行フノデアリマス、謀略ト云
フノハ、政治的モ、軍事的モ、經濟的モア
ルノデアリマス、外國ノ是等ノ工作ニ對シ
絕對的ニ防止スルノガ本案ノ目的デ、若シ
是等ノ機密ガ外國ニ洩レタル場合ニハ、我
ガ國家ノ運命ニ係ル危險ヲ來スノデアリマ
ス、故ニ各國ノ法律ヲ見マシテモ、之ニ對
シテハ極刑ヲ以テ臨ンデ居リマス、實ニ國
家興亡ノ岐レル所デアリマス、併シナガラ
一面斯カル重要ナル國家機密トハ如何ナ
ルモノナリヤト云フコトヲ明カニセナケレ
バナラヌ、サウシナイト國民ハ實ニ薄氷
ヲ踏ム思ヒヲナスノデアル、何トナレバ本
法違反ハ重キハ各國同樣死刑ヲ以テ臨ン
デ居ル次第デアリマス仍テ是カラ本法案
ニ基キ各委員ヨリ疑義ヲ質サレタル點、竝
ニ質問應答ニ依ツテ明カニナツタ點ヲ申上
ゲマス
本法ハ二章ヨリ成ツテ居リマシテ、第
章ハ罪、第二章ハ刑事手續デアリマスサ
ウシテ第一條ニハ國家機密ノ定義竝ニ輪
郭ヲ示シテアリマス、「本法ニ於テ國家機密
トハ國防上外國ニ對シ祕匿スルコトヲ要ス
ル外交、財政、經濟其ノ他ニ關スル重要ナ
ル國務ニ係ル事項ニシテ左ノ各號ノ一ニ該
當スルモノ及之ヲ表示スル圖書物件ヲ謂フ」
トアリマス、サウシテ其ノ第一號ニハ「御前
會議、樞密院會議、閣議又ハ之ニ準ズベキ
會議ニ付セラレタル事項及其ノ會議ノ議事」
第二號ニハ「帝國議會ノ祕密會議ニ付セラレ
タル事項及其ノ會議ノ議事」、第三號ニハ「前
二號ノ會議ニ付スル爲準備シタル事項其ノ
他行政各部ノ重要ナル機密事項」是デアリマ
ス、ソコデ第一號ノ「之ニ準ズベキ會議」トハ
如何ナル會議ナリヤトノ質問ニ對シマシテ、
政府ハ、譬ヘテ見タナラバ、四相會議ノ如キ
モノデアルトノ答辯デアリマシタ、第一號ヨリ
第三號マデ全部國家祕密ナリヤトノ質問ニ
對シテ、其ノ中ニ國家祕密ナラザルモノガア
ル、仍テ國家祕密ノ部ニハ、其ノ旨特ニ表示
スルトノ答辯デアリマシタ、隨ヒマシテ若シ
モ表示以外ノ部分ガ外部ニ洩レマシテモ、ソ
レハ祕密漏泄デハアリマセヌ、ソレカラ其
ノ他行政各部ノ重要ナル機密事項トハ如何
ナルモノデアルカトノ質問ニ對シ、各省ニ於
ケル大臣ガ機密事項トシテ決裁シタヤウナ
モノヲ謂フト云フ答辯デアリマシタ、第二
ノ帝國議會ノ祕密會議ニ付セラレタル事項ヲ、
祕密會議ニテ知リ得タ議員ガ、他ノ同僚議
員ニ洩ラシタル場合ハ、ヤハリ機密漏泄デ
罰セラレルヤトノ質問ニ對シテ議員ガ他
ノ議員ニ洩ラシタル場合ニハ)別ニ機密漏
泄罪ハ成立セヌ、卽チ差支ヘナイトノ答辯
デアリマシタ、國家機密事項デ既ニ社會ニ
知ラレテ居ル公知ノ事實ヲ、祕密會デ機密
事項トシテ決定シタ場合ニ、ソレヲ洩ラシ
タ時ニハ機密漏泄罪ヲ構成スルカトノ質
問ニ對シテ、其ノ事柄ガ機密ノ性格ヲ保持
シツツアル場合、例ヲ擧ゲテ申シマスト、
物動計畫ノ一部ノ數字等ヲ洩ラシタ場合、
卽チ是ハ機密ナル事項トシテアツタ場合ニ、
ソレヲ洩ラシタ場合ニハ罪ヲ構成スル、併
シナガラ全部既ニ公知サレタル場合ハ、機
密性ヲ失ツテ居ルカラシテ、罪トナラヌト
ノ答辯デアリマシタ
更ニ第三條ヨリ第十條マデ熱心ニ質問ガ
アリマシタ第三條ノ「業務ニ因リ國家機
密ヲ知得シ又ハ領有シタル」トアル此ノ
業務ノ範圍竝ニ事例ヲ示サレタシトノ質問
ニ對シテ業務トハ職務ヨリハ廣イ意味ナ
リト答へ其ノ業務ノ中ニハ國家機密ニ
職務上關係シタル官吏又ハ議員··
〔田淵豐吉君「議長々々」ト呼ブ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=100
-
101・小山松壽
○議長(小山松壽君) 注意致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=101
-
102・野村嘉六
○野村嘉六君(續) 又ハ國家機密ヲ取扱フ
コトガ其ノ
〔田淵豐吉君頻リニ發言ス〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=102
-
103・小山松壽
○議長(小山松壽君) 不規則ノ發言ヲ禁ジ
マス
〔田淵豐吉君「反對デス、反對デス、今
飯食ヘト言フカラ食堂へ行ツテ居ツタ、
ソレガ何デス」ト呼ブ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=103
-
104・小山松壽
○議長(小山松壽君) 田淵君ニ退場ヲ命ジ
マス
此ノ際一言致シマス、議長ヨリ宣〓ヲ致
スコトガアリマス、時局ニ鑑ミ議員諸君ハ
極メテ眞劍ニ審議ニ當リツツアル際、田淵
君ハ議場ノ秩序ヲ紊シタルヲ以テ、去ル二
日及ビ六日、同君ニ退場ヲ命ジマシタガ、
而モ今日又退場ヲ命ズルノ已ムナキニ至ツ
タノデゴザイマス、議長ハ時局下ニ於ケ
ル同君ノ數次ニ亙ル此ノ言動ハ議院ノ
體面ヲ汚スモノトシテ徵罰委員ニ付シマス
(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=104
-
105・野村嘉六
○野村嘉六君(續) 職務ノ一部タル場合ヲ
云フトノコトデアリマシタ、然ラバ新聞記者
又ハ通信員ハドウデアルカトノ質問ニ對シ
テハ新聞記者トカ又ハ通信員、ソレカラ
實業家、是等ノ者ハ本來ノ職務デナイ、ヽ唯
知ツタト云フダケデアリマスカラシテ此
ノ中ニハ入ラヌト云フ答辯デアリマシタ、
然ラバ辯護士ノ場合ハドウデアルカ、此ノ
質問ニ對シテ、職務上卽チ辯護上知リ得タ
國家機密ヲ洩ラス時ニハ罪トナル併シ是
モ單ニ知ツタト云フダケデアツタナラバ、
罪トナラヌト云フ答辯デアリマシタ、同第
三條乃至第七條ハ、國家機密ヲ探知シ收集
セントスル所謂「スパイ」ヲ妨止セントス
ル規定デアリマス此處デ申上ゲテ置キマ
スガ公ニスル時トハ例ヘバ新聞雜誌ニ
公表シ、又ハ大衆ノ前デ演說スルヤウナコ
トヲ謂フノデアリマス、是ハ何人モ知リ得
ル狀態ニ置クコトデアツテ、此ノ害惡ハ直
接「スパイ」ニ知ラセルト少シモ變ツテ居リ
マセヌ、斯ウ云フ意味デアリマス、第八條
ハ、外國ニ日本ノ外交、財政、經濟ノ情報
ヲ賣込ム行爲ニ對スル規定デアリマス、從
來是等ノ行爲ヲナシタル者ガアリマシタガ、
處罰規定ガナカツタ爲ニ、遺憾ナガラ罰ス
ルコトガ出來ナカツタノデアリマス、今後
此ノ法案ガ成立チマシタナラバ、斯カル非
國民ハ決シテ逃ガスコトナシニ處罰スルト
云フ、政府ノ答辯デアリマシタ(拍手)第九
條ハ、敵性國家ノ我ガ國家ノ治安ヲ攪亂セ
ントスル謀略行爲ヲ防止セントスル規定デ
アリマス、第十條ハ、同ジク敵性國ガ我ガ
國ノ經濟攪亂ヲナサントスルヲ防止セント
スル規定デ、此ノ實際ノ例ト致シマシテハ、
先年「マッチ」ノ買占ニ依ツテ「マッチ」飢饉ヲ
來シタコトガアリマス、當時當局デ內容ヲ調
査致シマスト、影武者トシテ財界攪亂者ガ魔
手ヲ伸バシテ居タト云フ、悲シムベキ事實
ガアツタノデアリマス、今囘此ノ法案ガ成
立ヲ致シマシタナラバ、斯カル非國民ヲ片
ツ端カラフン縛ルト云フ、斯ウ云フ意味デ
アリマス(拍手)元來ガ國家機密ノ漏泄ヲ防
止スル法律デアリマスカラ、本人ガ未ダ發
覺セザル前ニ於テ、官ニ白首シタル場合ニ
ハ其ノ刑ヲ輕減シ又ハ免除スルコトヲ、
第十四條ニ定メタノデアリマス
第二章ニ移リマス、第一一章ノ刑事手續ハ、
以上ノ如キ戰時立法デ、我ガ國ノ國家機密
ガ外國ニ漏泄スルコトヲ防グ爲ノ立法デア
リマスカラ內地ニ於ケル詐欺トカ橫領等
ヲ取扱フノトハ異ツテ居ルノデアリマス
殊ニ此ノ種犯罪ハ組織的又ハ團體的ノ特質
ヲ有スルノト、外國ニ關スルノデ、敏捷ニ
搜査シ遺漏ナキヲ期スル爲ニ檢事總長ノ
指揮ノ下ニ、檢事ヲシテ直接捜査ノ任ニ當
ラシメ、司法警察官ハ其ノ命ヲ受ケテ活動
スルコトト致シマシテ、檢事モ選ンデ餘程事
務ニ堪能ナル人二十人ト致シマシテ、之ヲ大
都市ニ配置シテ、敵性國ノ諜報網ニ對シテ、
一擧ニシテ潰滅セシムル方針デアルトノコ
トデアリマス
質問ノ中ニ屢〓出マシタノハ、此ノ法案ヲ
內地ノ政略ニデモ使ツタナラバ、トンデモ
ナイコトニナルガ、此ノ點ニ對スル政府ノ
心構ヘハドウデアルカト聽キマスト政府
ハ自ラ進ンデ、此ノ案ハ外國目當テノ法律
デアツテ、決シテ內地ノ政略ニ利用スルコ
トハ斷ジテナイ、又從來屢、〓〓繰返サレテ居ル
人權蹂躙ノ如キモ斷ジテサセナイト云フ
コトヲ申サレマシタ、更ニ申上ゲマスガ
本法ハ戰時立法デアルカラ平和ニナレバ
當然廢止サレルデアラウトノ質問ニ對シ
將來狀態ニ變化ガアリマスレバ、ソレ〓〓
緩和スルトノ政府ノ答辯デアリマシタ、斯
クシテ連日ニ亙リ質問應答ヲ重ネマシタ
此ノ際私ノ感想ヲ述べルコトヲ御許シ願
ヒタイ、此ノ連日討議中一人ノ缺席者モアリ
マセヌデシタ、サウシテ眞劍ニ質疑應答ヲ
續ケラレマシタ、私ハ本年デ二十八年間議
會ニ議席ヲ持ツテ居リマスガ、併シナガラ
未ダ曾テ、斯カル眞劍ナ委員會ヲ見タコト
ハナイノデアリマス(拍手)時局ノ重大性ニ
鑑ミテ、眞ニ翼賛議會ノ性質ヲ發揮シタモ
ノナリト深ク感ジテ、委員諸君ニ感謝ノ意
ヲ表シマス斯クテ討論ニ入リマシタガ、
討論ヲ略シテ、眞鍋儀十君ノ動議ニ依ツテ、
直チニ採決ヲ致シマシタ、採決ノ結果、全
會一致ヲ以テ原案ガ可決サレマシタ、仍テ
此ノ段御報〓致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=105
-
106・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=106
-
107・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=107
-
108・服部崎市
○服部崎市君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=108
-
109・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=109
-
110・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ本案ノ第一一讀會ヲ開キ、議案
全部ヲ議題ト致シマス
國防保安法案第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=110
-
111・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通
リ可決確定致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=111
-
112・服部崎市
○服部崎市君 議事日程追加ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此ノ際政府提出、帝都
高速度交通營團法案ヲ議題トナシ、委員長ノ
報〓ヲ求メ其ノ審議ヲ進メラレンコトヲ
望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=112
-
113・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=113
-
114・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ追加セラレマシタ-帝都
高速度交通營團法案、第一讀會ノ續キヲ開
キマス、委昌長ノ報告ヲ求メマス-委員
長堤康次郞君
帝都高速度交通營團法案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
報〓書
一帝都高速度交通營團法案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十六年二月八日
委員長堤康次郞
衆議院議長小山松壽殿
〔堤康次郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=114
-
115・堤康次郎
○堤康次郞君 只今議題トナリマシタ帝都
高速度交通營團法案ニ關スル委員會ノ經過
竝ニ結果ヲ御報告致シマス
本法案ハ帝都ニ於ケル地下高速度交通事
業ノ整備擴充ガ、交通上及ビ防空上焦眉ノ
急務デアルニ鑑ミマシテ、特殊ノ法人タル
帝都高速度交通營團ヲ設立シテ、是ガ實施
ニ當ラシムル爲ニ提出セラレマシタ緊急重
要ナル法案デアリマシタノデ、委員會ニ於
キマシテハ三日間ニ亙リ、委員諸君ノ實ニ
熱心ナル愼重審議ガ行ハレマシタ、本法ノ
目的トスル所ハ一言ニシテ申シマスルナ
ラバ平時、戰時ニ於ケル交通上竝ニ防空
上、帝都ニ於ケル地下鐵道ヲ整備擴充スル
コトガ焦眉ノ急務デアル之ヲ達成スル爲
ニ、最モ適應スル有力ナル特殊ノ機關ヲ
設立シテ、之ニ現在ノ地下鐵道ノ全部ヲ買
收セシムルト同時ニ、每年資材ト資金ノ許
ス限リ、極力建設ヲ促進セシメマシテ、且
又政府ニ於テモ之ニ對シテ强力ナル監督助
成ヲナサントシテ居ルノデアリマス、本委
員會ニ於キマシテモ、本法制定ノ趣旨ニ付
キマシテハ、何レモ贊意ヲ表セラレタノデ
アリマスルガ、次ノ諸點ニ付キマシテ論議
ガアツタノデアリマス
先ヅ本營團ノ使命目的ハ、交通上及ビ防
空上、地下鐵道ノ整備擴充ヲ圖ルモノデアル
ト云フガ、防空上果シテ如何ナル效果ガア
ルノカト云フ質問ガアリマシタ、之ニ對シ
テ政府カラハ空襲下ニ於テハ地下鐵道ガ
唯一ノ交通機關トシテ重要地區ノ連絡ナド
ヲナス外ニ、一部ノ施設ヲ避難所トシテ使
用シ、又ハ輸送上支障ナキ部分ニ付テハ
之ヲ防空用トシテ利用スルコトガ出來ルカ
ラ、防空上重要ナル效果ヲ有スルモノデア
ルト云フ說明ガアリマシタ、本營團ニ對ス
ル政府以外ノ出資、卽チ東京市及ビ民間ノ
出資ニ對シテハナゼ配當ノ保證ヲシナイ
カト云フ質問ニ對シマシテハ本營團ノ公
益的使命ニ鑑ミテ、政府以外ノ出資ニ對シ
テハ大體六分ヲ限度トスル適當ナ配當ヲ
シテ行キタイト云フ答辯デアリマシタ
次ニ本營團ハ拂込資本金ノ十倍マデ、交
通債劵ヲ發行スルト云フガ、其ノ利率ヲ
ドノ位ニスル積リカトノ質問ニ對シマシ
テハ政府カラハ此ノ交通債劵ハ大體地
方債竝ミノ取扱ヒヲシテ居ルノデアツ
テ其ノ利率モ地方債同樣四分二、三重
位ニシタイト考ヘテ居ルト云フコトデアリ
マシタ、又役員ハ如何ナル資格ノ者ヲ任命スル
積リデアルカトノ質問ニ對シテ、營團ノ使
命ニ鑑ミ、又地下鐵道ノ建設竝ニ經營ト云
フ事業ヲ遂行スル爲ニ、之ニ最モ適スル如
キ人物、卽チ事業ニ經驗ガアリ、又社會ノ
信用モアリ、實力ノアル人物ヲ選任シタイ
考ヘデアルト云フ答辯ガアリマシタ
評議員ノ員數、其ノ資格、竝ニ評議員會
ニ諮ル事項如何トノ質問ニ對シマシテハ
政府ハ大體評議員ノ員數ハ二十人前後トシ、
評議員ハ東京市ノ關係者、關係電鐵事業者、
學識經驗者、關係各廳高等官ナド各方面
カラ適當ナル人ヲ選ビ任命シタイト考ヘテ
居ル、又評議員會ニ諮問スル事項ハ大體
株式會社ノ株主總會ニ諮ル事項ト、略、ミ同樣
デアルト云フ說明デアリマシタ、又地下鐵
道ノ建設ノ如キハ鐵道省自ラ之ヲスレバ
宜イデハナイカト云フ質間ニ對シマシテ
政府カラハ國有鐵道ガ幹線輸送力ノ增强ト
カ、水陸連絡施設ノ强化、東京、下關間廣
軌幹線ノ建設ナド、全國的ニ交通整備ニ當
ル重要ナル計畫ヲ樹テナケレバナラナイカ
ラ、寧ロ是ハ別箇ノ强力ナル機關ヲ設ケテ、
之ニ對シテ政府ハ極力助成ヲシテ此ノ機
關ヲシテ一意專心地下鐵道ノ建設ニ邁進セ
シムル方ガ、有效適切デアルト考ヘテ居ル
ト云フ答辯ガアリマシタ
其ノ他色々ノ質疑應答ガアリマシタガ、
根本的ノ質疑ト申シマスルノハ此ノ法案
デ防空ノ施設ハヤル併シナガラ交通調整
ト云フ目的ハ十分達成サレナイデハナイカ
卽チ地下鐵道ダケヲ統合シテモ、地上ハ東
京市ニヤラスノデハナイカ郊外ハ又四ツ
ノ「ブロック」ニヤラスノデハナイカヽ之ヲ
統制スルトシテモ、互ヒニ犬牙錯綜シテ中
中巧クハ行クマイ寧ロ理想的ニ大合同ヲ
シナケレバナラヌノデハナイカト云フ、
根本論ニ對シテ傾聽スベキ質疑ガアツタノ
デアリマス、此ノ點ハ交通調整委員會ニ於
キマシテモ、大變議論ノ焦點ニナツタノデ
アリマシテ、各〓出資ヲシテ一元的ノ大合同
ヲシタ方ガ宜イト云フ案モ出テ、相當檢討セ
ラレタノデアリマスガ、是ガ根本ニ於テ困難
デアリマシタノハ、帝都ノ交通ヲ一元的統
制ヲスルノニハ省線ヲドウスルカト云フ
問題ガ起ツテ來ルノデアリマス、卽チ山手
線東海道線、中央本線、東北本線、當磐
線是ガ皆帝都ニ頭ヲ出シテ居ル、ソコデ
其ノ頭ダケヲ切ツテシマツテ、現物出資ハ
出來ナイデハナイカト云フコトデアリマシ
タガ、鐵道省デハ一時之ヲ出サウト云フコ
トニナツタノデアリマス、然ラバドウシテ
之ヲ出スカト云ヘバ、出スコトハ出スケレ
ドモ運轉ト管理ハ又鐵道省ノ方ニ委託ヲ
受ケルト云フ、運轉ト管理ヲ鐵道カラ取ツ
タナラバ何ガ殘ルカ、ソレハ出スノデハナ
イ見セルノデハナイカト云フコトデアツ
テ、丁度改札ロデ「パス」ヲ見セルヤウナコ
トデソレハ意味ヲ成サナイト云フコトデ
此ノ案ハ立消エニナツタノデアリマス、ソ
コデ之ヲ實行シヨウトスレバ、ドウシテモ
一元的大合同ニ向フノニハ現物出資デハ不
可能デアル、サウスルト政府ガ公債ヲ發行
シテ、買收ヲスルヨリ外ニ方法ハナイノデ
アリマスルガ、併シ此ノ時局下ニ於テ、十
億前後ノ公債ヲ發行スルコトガ良イカ惡イ
カ又ソレ程必要ガアルカト云フコトハ
是ハ相當議論ガアリマスソコデ今是ガ出
來ナイトスレバ、今ノ政府提出ノ案デ行ク
ト云フコトガ、時局下ニ於ケル最善ノ案デ
アルト確信ヲスルノデアリマシテ交通調
整委員會ニ於キマシテモ、三十二囘議ヲ練
リマシテ、此ノ案ニ到達致シタノデアリマ
ス、其ノ間最モ鐵道當局ハ官僚獨善ニ陷
ルコトナク、能ク長ヲ採リ短ヲ捨テテ、此
ノ委員會ニ協調セラレマシテ、此ノ良イ案
ガ出來上ツタノデアリマス、又地下鐵道ノ
業者モ、能ク國家的見地ニ立ツテ協力ヲセ
ラレタノデアリマス、モウ長イ創業時代ノ
苦心ヲ經テ、段々事業ガ良クナツテ來タ今
日、之ヲ提供スルト云フコトハ相當愛着
忍ビ能ハザルモノガアルト思フノデアリマ
スガ、國家的見地ニ立ツテ、圓滿ニ之ヲヨ
ク提供セラレタコトニ敬意ヲ表シマスルト
同時ニ、此ノ業者ニ國家的見地ニ立ツテ之
ヲ提供セシメラレマシタ鐵相及ビ鐵道當局
ノ苦心ニ對シテモ敬意ヲ表セザルヲ得ナイ
ノデアリマス
斯クノ如クニシテ本案ハ官民一致總協力
ノ下ニ、最モ理想トスルモノデアルト確信
ヲ致シテ居ルノデアリマシテ、委員會ニ於
キマシテモ高橋義次君カラ、本案ハ討論ヲ
省略シテ贊成ヲシタイト云フ動議ニ依ツテ、
滿場一致可決確定致シタノデアリマス、此
ノ旨御報〓申上ゲマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=115
-
116・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=116
-
117・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=117
-
118・服部崎市
○服部崎市君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=118
-
119・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=119
-
120・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス仍テ直チニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
帝都高速度交通營團法案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=120
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121・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通
リ可決確定致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=121
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122・服部崎市
○服部崎市君 議事日程追加ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此ノ際政府提出、日本
發送電株式會社法中改正法律案ヲ議題トナ
シ委員長ノ報告ヲ求メ、其ノ審議ヲ進メ
ラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=122
-
123・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=123
-
124・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ追加セラレマシター日本
發送電株式會社法中改正法律案ノ第一讀會
ノ續ヲ開キマス、委員長ノ報告ヲ求メマ
ス-委員長田中万逸君
日本發送電株式會社法中改正法律案
(政府提出)第一讀會ノ續(委員長報告)
報〓書
一日本發送電株式會社法中改正法律案
(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十六年二月八日
委員長田中万逸
衆議院議長小山松壽殿
〔田中万逸君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=124
-
125・田中萬逸
○田中万逸君 只今議題トナリマシタ日本
發送電株式會社法中改正法律案ノ委員會ニ
於ケル經過竝ニ結果ヲ御報〓致シマス、本
案ハ現下ノ緊迫セル內外ノ情勢ニ鑑ミ、日
本發送電株式會社運營ノ基礎ヲ改善强化シ、
以テ國防產業ノ礎石トモ謂フベキ電力ノ生
產配給ヲ整備致シ、高度國防國家體制ニ卽
應スベキ時局下緊急ノ法案デアリマス、而
シテ法案ソレ自體ハ頗ル簡單ナモノデアリ
マシテ、其ノ改正ノ要旨ハ次ノ三點ニ盡キ
ルノデアリマス、其ノ第一ハ、從來行ヒ來ツ
タ四分ノ配當補給ヲ六分ニ引上ゲルコト
第二ハ基礎產業トシテノ電力原價ノ〓騰
ヲ抑止スルガ爲メ、新設發電設備ニ對スル
免稅ノ特典ヲ附與スルコト、第三ハヽ日本
發送電株式會社ニ出資シタル株式ノ價格ニ
關シ課稅上特別ノ措置ヲナシ出資ヲ圓滑ナ
ラシムルコト、以上ノ三點ガ本案改正ノ要
旨デアリマス、然ル所電力國家管理ノ中樞
實務機關デアル日本發送電株式會社其ノ後
ノ業績竝ニ樺太及ビ北海道ニ於ケル石炭礦
區ノ買收等、第七十五議會ニ於テ盛ンニ論
議致サレマシタ其ノ餘燼尙ホ未ダ冷メズ、
再ビ焰ヲ上ゲマシテ、眞摯熱誠ノ裡ニ相當
緊張セル質疑應答ヲ上下シ、更ニ時局ノ重
大性ニ鑑ミ祕密會ヲモ開キマシテ、最近ニ
於ケル電力開發ノ實情及ビ電力需給ノ模樣
等ヲ、政府當局ヨリ懇切ナル說明ヲ聽取致
シタノデアリマス、隨テ委員會ハ前後六日
間ニ亙リマシテ充實且ツハ熱心ノ間ニ審議
ヲ重ネタノデアリマス而シテソレ等質疑
應答ノ逐一ハ擧ゲテ之ヲ速記錄ニ讓リマシ
テ此處ニハ就中重要ナル四項目ニ亙レル
質疑應答竝ニ委員會ノ實情ニ付キマシテ御
報告ヲ申上ゲタイト存ジマス
其ノ第一ハ、發送電會社法ヲ改正シ政府ノ
保護ヲ厚クスル前ニ、會社自體ノ建直リヲ圖
ルベキガ當然デハナイカ、而シテ其ノ補給ノ
方法如何ト云フ質問ニ對シマシテ、政府ハ、
發送電會社ノ建直シノ必要ナコトハ、同會社
ノ特殊性竝ニ其ノ重要ノ使命ニ顧ミ固ヨリ
ノコトデアツテ、之ニ付テハ曩ニ決定シタ
ル經濟新體制要綱ニ則リ、新總裁ヲ全面的
ニ信賴シ、政府ニ於テモ出來得ル限リノ方
策ヲ講ジ內外呼應シテ會社ノ建直シヲ圖
ラネバナラズ、又現ニ圖リツツアル次第デア
ツテ、本案ヲ提出シタノモ亦其ノ方策ノ一ツ
デアル、又殘存水火力設備ヲ發送電會社ニ統
合シテ、發送電ノ綜合運營ヲ一層完全ナラシ
ムルト同時ニ、渴水、石炭〓騰ノ影響ガ獨リ
發送電會社ノ負擔トナルガ如キ制度モ改メ
テ行キタイト考ヘテ居ル、此ノ意味ニ於テ
配電會社ニ對スル卸賣料金ハ之ヲ調整スル
必要ガアル、併シ政府ハ直接消費者ニ對ス
ル電氣料金ニ對シテ原則トシテハ値上ヲ致
サナイ、但シ配電會社ニ對スル卸賣料金調
整ノ結果ガ、消費者ニ轉嫁セラレルヤウナ
コトガナイヤウ、配電會社自體ヲモ統合强
化スル必要ガアル、更ニ補給金ノ制度ハ本
會社ノ特殊性デアツテ、殊ニ其ノ設立ノ經
緯ニ照ラシ投資ノ安全ヲ保障スルノガ其
ノ趣旨デアル會社運營ノ上カラ言ヘバ
補給金ニ依ルコトナク一日モ速カニ自力
ヲ以テ豫定ノ配當ヲナシ得ルヤウ、凡ユル
改善ト努力ヲ拂ハネバナラズ、又現ニ左樣
致シツツアル次第デアルガ、併シ差向キノ
所ハ或ル程度ノ補給金ノ支出ヲ要スルモノ
ト認メルソレデ其ノ中十六年度上期分ニ
付テハ近ク追加豫算トシテ本議會ニ提出
致ス積リデアルトノ答辯ガアツタノデアリ
マス
次ニ配電ノ統合及ビ發送電ノ統合ニ付テ
ハ其ノ必要ヲ認ムルモ、此ノ緊迫セル戰
時中ニ於テ之ヲ實行スルコトハ)却テ混亂
ヲ招キ、延イテハ餘弊ヲ生ズルガ如キコト
ハナイカ又之ヲ實行スルトセバ如何ナ
ル法規ニ基キ如何ナル方法ニ依リ、又如
何ナル程度ト範圍ニ於テ行ハレントスルノ
デアルカトノ問ニ對シマシテ政府ハ高度
國防國家ノ體制ヲ整備スル爲メ、發送電及
ビ配電ヲ統合シ、電力動員、消費規正ヲ確
實ニ實施シ得ル組織ヲ整ヘルコトハ必須
ノ事柄デアルト考ヘテ居ル、又發送電設備。
ノ統合ニ付テハ、現行電力管理法ノ施行令
ヲ改正シ、出資設備ノ範圍ヲ擴ゲル考ヘデ
アルガ、統合ノ方法ニ付テハ關係法令ニ基
ク出資合併等ノ方法ガ考ヘラレル、統合ノ
範圍ハ主要發送電設備デアツテ,綜合運轉
上必要ナルモノヲ致スノデアルガ具體的
ニハ目下調査中デアル、次ニ配電ノ統合ニ
付テハ、單行法提出ノ場合ハ、其ノ法律ニ
基キ全國ヲ數「ブロック」ニ分ツテ、全配電事
業ヲ統合スル考ヘデアツタガ、單行法ノ提
出ヲ見合セタ今日ニ於テハ、電氣關係ノ法
律又ハ總動員法其ノ他ノ法令ヲ援用シ、全
國數箇所ノ地域ニ分ツテ統合スルコトトス
ル積リデアル、而シテ其ノ實現ニ付テハ是
又經濟新體制ノ趣旨ニ則リ、各地域每ニ指
導的ノ中心人物ヲ民間ヨリ選定致シ、其ノ
人ノ責任ニ於テ統合ヲ成就致シタイ、其ノ
具體的ノ方法等ハ關係官民ノ意見ヲ徴シ萬
全ヲ期シタイ所存デアルガ、相當大規模ノ
統合デアルガ故ニ、全部自主的ニ運バレル
モノトハ考ヘテ居ナイ、政府法令ノ許ス限
リハ之ニ力ヲ貸ス積リデアル、卽チ法ノ力
ヲ與ヘル必要ガアルモノト考ヘルトノ答辯
ヲ承ツタノデアリマス
第三ハ發送電建直シノ問題ニ關聯致シマ
シテ、特ニ一一、三ノ委員ヨリ樺太及北海道ニ
於ケル炭山買收ノ問題ニ付キ世上種々ノ惑
說ガ喧傳セラレ就中當時ノ要路ノ大官ニ
對シ洵ニ言フニ忍ビザル「デマ」ガ傳ヘラレ、
一年有餘ノ長年月ニ亙リ世人ヲ疑惑ノ雲ニ
包ミ去ツタ所謂炭山買收代金中、約數百万
圓ガ、是等要路ノ大官ノ間ニ撒布セラレタ
ト云フ浮說ニ付キマシテ司法當局ニ質サ
レマシタ、之ニ對シ司法當局ハ斯カル要路
ノ大官ニ對スル感說ハ今日マデ根據ノナキ
浮說ニ過ギナイ旨ヲ明言サレマシタ更ノ
日本發送電株式會社設立當時ノ遞信大臣鹽
野季彥氏、同ジク遞信大臣永井柳太郞氏、
前司法大臣風見章氏、大政翼贊會事務總長
伯爵有馬賴寧氏ノ四氏ハ此ノ樺太、北海
道ニ於ケル炭山買收問題ニ關シテ何等ノ嫌
疑ヲ受ケタルコトハナク、勿論取調ヲ受ケ
タル事實モナク更ニ又參考人トシテ取調
ヲ受ケタルコトモナイト云フ答辯ニ接シ
私ハ多年陰慘ナル妖雲ニ包マレツツアツタ
其ノ妖雲ガ、全ク雲散霧消シテ、其ノ內容
ノ全貌ガ明晰ニセラレタコトハ、帝國議會ノ
權威ノ上ヨリ見テ洵ニ愉快ノ至リデアルト存
ジマス(拍手)但シ樺太ニ於ケル炭山ノ買收
ニ付テハ、一、二下級ノ人々ノ間ニ問題ヲ惹起
致シタト云フ噂ガアリマスケレドモ要ハ
是レ市井ノ一些事ニ止マリ、何等政治的重
大ナル問題ノ介在致シテ居ラナイコトハ
國家行動ノ推進力タル我ガ政治界ノ品位ノ
上ヨリ見テ、是亦欣快ノ至リニ堪ヘザル次
第デアリマス
最後ニ本案竝ニ發送電ノ强化及ビ配電統
合ノ問題ニ付テ軍當局ノ意見ヲ質シタルニ
對シ、軍當局ハ電力不足ノ實情ニ鑑ミ、軍
需工業ノ生產ヲ確保スル爲メ不急方面ニ對
スル配電ヲ節シ、重要的供給ヲ實行致スコ
トヲ時局下最モ必要ナル事柄ナリト確認シ、
更ニ防空、就中燈火管制ヲ系統的ニ且ツハ
敏速ニ行フ必要上、本案ノ精神ニハ多大ノ
關心ト期待ヲ持チ居レルモノデアルトノ答
辯ニ接シタノデアリマス
斯クシテ委員森下國雄君ヨリ質疑打切ノ
動議ガ提出セラレタルニ對シテ、委員木檜
三四郞君ヨリ反對ヲ表セラレマシタノデ、玆
ニ森下君ノ動議ニ付テ採決致シマシタ所、
起立多數、仍テ森下君ノ動議ノ通リ質疑ハ
終局セラレヽ次イデ討論ニ入リ、委員森下
國雄君ヨリ政府原案贊成ノ意見開陳アリ、
次ニ委員木檜三四郞君ヨリ原案反對ノ意見
ヲ述ベラレ、續イテ委員塚本三君ヨリ原案
贊成ノ意見ヲ開陳セラレ、玆ニ討論終局ノ
後採決ニ入リ、政府原案ノ贊成ヲ起立ニ諮
ヒマシタ所、起立多數、仍テ本案ハ大多數
ヲ以テ政府原案ノ通リ可決致シマシタ、此
ノ段御報〓ヲ申上ゲマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=125
-
126・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=126
-
127・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=127
-
128・服部崎市
○服部崎市君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通リ
可決セラレンコトヲ王ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=128
-
129・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=129
-
130・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス仍テ直チニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
日本發送電株式會社法中改正法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=130
-
131・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通
リ可決確定致シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=131
-
132・服部崎市
○服部崎市君 議事日程追加ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此ノ際政府提出、關稅
定率法中改正法律案、昭和十二年法律第五
十七號改正法律案、相續稅法中改正法律案、
及ビ臨時利得稅法中改正法律案ノ四案ヲ一
括議題トナシ、委員長ノ報告ヲ求メ、其ノ
審議ヲ進メラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=132
-
133・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=133
-
134・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス仍テ日程ハ追加セラレマシター關稅
定率法中改正法律案、昭和十二年法律第五
十七號改正法律案、相續法中改正法律案、
臨時利得稅法中改正法律案、右四案ヲ一括
シテ第一讀會ノ續キヲ開キマス委員長ノ
報〓ヲ求メマス-委員長倉元要一君
關稅定率法中改正法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
昭和十二年法律第五十七號改正法律案
(鐵ノ輸入稅免除ニ關スル件)
(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
相續稅法中改正法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
臨時利得稅法中改正法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
報告書
一關稅定率法中改正法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十六年二月八日
委員長倉元要一
衆議院議長小山松壽殿
報〓書
一昭和十二年法律第五十七號改正法律案
(鐵ノ輸入稅免除ニ關スル件)(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十六年二月八日
委員長倉元要一
衆議院議長小山松壽殿
報〓書=
一相續稅法中改正法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十六年二月八日
委員長倉元要五、
衆議院議長小山松壽殿
報告書
一臨時利得稅法中改正法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十六年二月八日
委員長倉元要
衆議院議長小山松壽殿
〔倉元要一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=134
-
135・倉元要一
○倉元要一君 只今議題トナリマシタ關稅
定率法中改正法律案外三件委員會ノ經過竝
ニ結果ニ付テ報告致シマス一月三十一日
ニ本委員會ハ成立致シマシテ、去ル二月三
日ヨリ本日マデ審議ヲ遂ゲタノデゴザイマ
ス〓要ニ付キマシテ以下報告ヲ申上ゲタ
イト思ヒマス
關稅定率法中改正法律案中主ナル改正ノ
事項ハ第一ニ本邦ニ近接セル地域ノ生產
品ニ對シ、勅令ヲ以テ關稅ヲ低減又ハ免除
スルコトガ出來ルヤウニ致ス爲メ新タニ
條文ヲ設ケルコト、是ガ一ツデアリマス、
第二ニ砂糖ノ色相課稅ヲ糖度課稅ニ改メル
コト、是ガ第二デアリマス、其ノ次ニ礦油
ノ名稱ヲ炭化水素油ニ改メ、其ノ稅率ノ區分
等ヲ現下ノ諸情勢ニ適合スル如ク改メルコ
ト是ガ第三デアリマス、第四ニ酒精ノ原
料ノ輸入稅ヲ免除スルコト等デアリマシテ、
以上ノ改正事項ニ關シマシテハ、政府ヨリ
詳細ナル說明ヲ徵シタノデアリマスソレ
ゾレ委員諸君ヨリ熱心ナル質問ガアツタノ
デアリマスガ、其ノ主ナルモノヲ申上ゲタ
イト思ヒマス
先ヅ近接地域ニ對スル關稅ノ問題ニ付テ
ノ質問ニ對シマシテハ、卽チ近接地域トハ
接壤地域ヨリモ廣ク解釋スベキデアツテ、
斯カル地域ノ生產品ノ輸入ヲ圓滑ナラシム
ル爲メ、新タニ關稅ノ低減又ハ免除ヲナシ
得ル旨ノ規定ヲ設ケルモノデアルトノ政府
ノ答辯デアリマシタ、尙ホ此ノ點ニ關シテ
ハ特ニ祕密會ヲ開キマシテ、政府ヨリ詳細
ナル說明ヲ得タ次第デアリマス、其ノ外酒
精ノ原料ヲ免除スル趣旨竝ニ之ニ關聯致
シマシテ他ノ液體燃料ノ原料ニ對スル關
稅上ノ處置等ニ付テノ質問及ビ希望意見ノ
開陳ガアリマシタ、又砂糖ノ配給其ノ他ニ
關シマシテモ質問ガアツタノデアリマス
次ニ昭和十二年法律第五十七號ノ改正法
律案デアリマスガ、是ハ同法ニ依ツテ鐵ノ
輸入稅ハ、昭和十六年六月三十日マデ免除
サレルコトニナツテ居リマス所、之ヲ更ニ
當分ノ內延長セントスルモノデアリマシテ、
本案ハ本邦ニ於ケル鐵ノ生產輸入需給等ノ
現狀ニ顧ミテ之ヲ提出シタモノデアルト
ノ政府ノ說明ニ對シマシテ、鐵ノ生產輸入
配給等ノ諸點ニ關シ、詳細ニ質問ガアリマ
シテ、而モ是ガ爲ニハ祕密會ヲ開イテ、政
府ヨリ詳細ナル說明ヲ徵シタ次第デアリマ
ス
次ニ相續稅法中改正法律案ニ付テ御報告
致シタイト思ヒマス、本案ハ相續稅ニ付キ
不動產ニ依ル物納ノ制度ヲ認メントスルモ
ノデアリマス、昨年ノ第七十五囘帝國議會
ニ於テ、中央地方ヲ通ズル稅制ノ一般的改
正ノ一部トシテ、相續稅ノ增徵案ガ提出セ
ラレタノデアリマス、之ニ關シテ審議ガ行
ハレタ際、相續稅ニ付テハ物納ノ制度ヲ創
設スベキデアルト云フ議員側ノ强イ希望ガ
アリ、政府モ亦考究ヲ約サレタコトハ諸君
御承知ノ通リデアリマス其ノ後政府ニ於
テハ相續稅物納制度調査會ヲ設ケラレマシ
テ、銳意考究セラレタ結果、成案ヲ得テ今
囘此ノ提案ヲ見ルニ至ツタ次第デアリマス、
改正案ノ骨子ニ付テ申上ゲマスガ、相續財
產ノ價額中不動產ノ價額ガ五割以上ヲ占メ
ル場合ニ於テ、相續財產タル不動產ニ依リ
相續稅ヲ納付スルコトヲ認メヨウト云フノ
デアリマス、改正案ノ內容ニ付キマシテハ、政
府ヨリ詳細ナル說明ガアツタノデアリマス、
引續キ委員諸君ヨリ熱心ナル質問ガアリマ
シタ、其ノ主ナルモノヲ御報告申上ゲマス、
改正案ニ依リマスレバ相續財產ノ狀況ニ
依リ、稅金ノ納付ガ容易ニシテ、物納ヲ許
可スルノ必要ナシト認ムル時ハ政府ハ相
續稅審査委員會ノ諮問ヲ經テ、物納ヲ許可
セザルコトヲ得ルコトトナツテ居ルノデア
リマス、之ニ關聯シテ委員ヨリ相續稅ノ物納
ハ從來不動產ニ對スル稅務署ノ評價ニ無
理ガアツタモノヲ是正スル爲ニ必要ナモ
ノト考ヘテ居ツタノデアルガ、稅金ノ納付ガ
容易デアルカラト云フ理由デ、物納ヲ拒否
サレタノデハ其ノ目的ヲ達シ得ナイノデ
ハナイカトノ質問ガアツタノニ對シマシテ、
政府ヨリ假令相續財產中不動產ガ過半ヲ占
ムル場合デアツテモ、一面相續財產トシテ
現金、預金及ビ換價容易ナル有價證劵ノ如
キモノガ、相續稅額ノ例ヘバ二倍以上モア
ルト云フ場合ニ於テハ納稅上ノ困難アリ
ト認メラレナイカラ、相續稅審査委員會ノ
諮問ヲ經テ、物納ヲ許可セザルコトヲ得ル
コトニ致シタノデアル相續稅ニ付キ物納
ヲ認メタル目的ハ換價ノ困難ナ不動產ガ
相續財產中ニ比較的多クヲ占ムル場合ニ於
テ、納稅者ノ納稅上ノ困難ヲ緩和スルコト
ニアルノデアツテ、不動產ノ評價ノ是正ヲ
直接ノ目的トスルモノデナイノデアリマス
トノ答辯ガアツタノデアリマス、但シ本案
ノ實施後ニ於テハ稅務署トシテモ自然不
動產ノ評價ニ一層愼重ヲ期スルコトトナリ
マスカラ、本制度ノ反射的效果トシテ、自
然ニ穩健ナル評價ヲナスコトニナルモノト
考ヘルトノ答辯ガアリマシタ
次ニ臨時利得稅法中改正法律案ニ付テ申
上ゲマス今囘關東州ニ於テ新タニ個人ニ
對シ臨時利得稅ヲ賦課スルコトニナツタノ
ニ關聯シテ、重複課稅ヲ避クル爲ニ、臨時利
得稅法ヲ改正セントスルモノデアリマス
其ノ臨時利得稅法第三十一條ノ第三項デア
リマスガ、御參考ニ其ノ三項ヲ茲ニ申上ゲ
マス、「朝鮮、臺灣又ハ樺太ニ住所ヲ有シ又
ハ一年以上居所ヲ有スル個人ノ利得ニ付テ
ハ命令ノ定ムル所ニ依リ臨時利得稅ヲ課セ
ズ」此ノ「朝鮮、臺灣」ノ下ニ「關東州」ト云
フモノガ入ル次第デアリマス
斯クシテ審議ヲ終リマシテ、小畑虎之助
君ヨリ討論ヲ用ヒズシテ採擇ニ入ルコト
ノ動議ガ出マシテ、滿場一致之ニ贊成ガア
リマシテ直チニ採擇ニ入リ四案トモ政府
原案通リニ可決致シタ次第デアリマス、以
上報告致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=135
-
136・小山松壽
○議長(小山松壽君) 四案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセスカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=136
-
137・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス仍テ四案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=137
-
138・服部崎市
○服部崎市君 直チニ四案ノ第二讀會ヲ開
キ第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=138
-
139・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=139
-
140・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ四案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
關稅定率法中改正法律案
第二讀會(確定議)
昭和十二年法律第五十七號改正法律案
第二讀會(確定議)
相續稅法中改正法律案
第二讀會(確定議)
臨時利得稅法中改正法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=140
-
141・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ第三讀會ヲ省略シテ、四案トモ委員
長報告通リ可決確定致シマシタ(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=141
-
142・服部崎市
○服部崎市君 議事日程追加ノ緊急動議ヲ
提出致シマス、卽チ此ノ際政府提出、樺太
開發株式會社法案ヲ議題トナシ、委員長ノ
報〓ヲ求メ、其ノ審議ヲ進メラレンコトヲ
望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=142
-
143・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=143
-
144・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス仍テ日程ハ追加セラレマシタ-樺太
開發株式會社法案、第一讀會ノ續ヲ開キマ
ス、委員長ノ報〓ヲ求メマス-委員長沖
島鎌三君
樺太開發株式會社法案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
報告書
一樺太開發株式會社法案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十六年二月八日
委員長沖島鎌三
衆議院議長小山松壽殿
〔沖島鎌三君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=144
-
145・沖島鎌三
○沖島鎌三君 只今議題トナリマシタ樺太
開發株式會社法案ニ付キマシテ委員會ノ
經過竝ニ結果ヲ御報告致シマス、本案ハ樺
太島內ニ埋藏致シマスル所ノ良質多量ノ石
炭礦區ヲ開發シテ、現下ノ燃料國策ニ寄與
スルコト我ガ國鑛工業用木材ノ供給ノ圓
滿ヲ期スル爲メ、樺太ニ於ケル森林ノ開發、
及ビ其ノ合理的斫伐事業ノ經營、竝ニ樺太
特有ノ主畜機械化農場ノ經營等ノ事業ヲ行
ハンガ爲ニ、資本金五千万圓、其ノ半額政
府出資ノ國策會社ヲ設立セントスルモノデ
アリマスガ、委員會ニ於キマシテハ前後
五囘ニ亙リ會議ヲ開キ獨リ本案會社ノ內
容ノミニ止マラズ、樺太拓殖ノ全般ノ事項
ニ付テ、嚴重ナル檢討ヲ加ヘラレマシタ、今
其ノ質疑ノ主ナル二、三ノ點ヲ申上ゲマス
本會社創業ノ曉ニハ多量ノ資金、資材
及ビ勞力等ヲ必要トスル、是ガ爲ニ他ノ民
間事業ヲ壓迫スルノ虞ハナイカト云フ質問
ニ對シマシテ、石炭ノ採掘ハ時局下最モ重
要ナル事業デアツテ、資材ニ付テハ之ヲ重
點主義ニ依ツテ配給セラレルノデアル、本
會社ト他ノ民間事業トノ間ニ差別待遇ハシ
ナイノデアル、隨テ本會社設立ノ爲ニ民間
事業ヲ壓迫スルガ如キコトハ絕對ニナイ
ト云フ答辯ガアリマシタ、次ニ又内外地林
政ノ統一ヲナス考ヘハナイカトノ質問ニ對
シマシテハ開發途上ニアル樺太トシテハ
綜合行政ヲ必要トスル又幾多施設經營ス
ベキ事業ガアル際ニ、樺太財政上其ノ收入
ノ大宗ヲ占ムル所ノ林業ヲ、內地ノ行政下
ニ編入スル意思ハナイト云フ言明ガアリマ
シタ、次ニ又造林ヲ更ニ積極的ニ實行スル
必要ガアルデハナイカトノ質問ニ對シマシ
テハ樺太廳當局トシテハ從來之ニ對シ
テ銳意努力シツツアル所デ、現在過伐ヲ續
ケテ居ル際、木材ノ需要者タル所ノ「。パル
プ」會社、鑛業等ノ業者ニ對シマシテ、或ル
程度義務的ニ造林ニ協力セシメツツアル
又更ニ本會社ニモ之ヲ實施セシムル目的デ
アツテ、速カニ全未立木地帶ヲ綠化セシム
ル方針デアルト云フ答辯デアリマシタ、次
ニ農業ニ付テ、機械化農業經營ニ付テ經驗
ガアルカト云フ質問ニ對シテ農事試驗場
等ニ依ル一二ノ經驗ニ鑑ミ、相當ニ確信
ガアル、且又現下我ガ國ノ食糧事情ニ鑑ミ、
樺太ニ於テモ可及的食糧自給ヲ策スル爲ニ、
本事業ヲ急施スル必要ガアル旨ノ答辯ガア
リマシタ、又集團移民ノ不振ニ付テ、其ノ
理由ヲ質シタノデアリマスガ、此ノ質問ニ
對シテハ、最近ニ於ケル鑛山其ノ他殷賑產
業ノ勃興ガ、農家戶數ノ減少ヲ招來シタ主
タル原因デアル今後移住地ノ選定、耕作
面積、土地改良及ビ飼畜頭數等ニ付テ更ニ
檢討ヲ加ヘテ、資金的援助ノ外農民道ノ徹
底等ヲ圖リ、極力農家戶數ノ維持ヲ策スル
ト共ニ、我ガ國力北方發展ノ基礎確立ノ爲
二、今後更ニ積極的ニ開拓民誘致方策ニ付
テ考慮スルト云フ答辯ガアリマシタ其ノ
他本會社ハ電力、水產、交通等ノ事業ヲ經
營スルノ豫定ハナイカト云フ質問ニ對シマ
シテハ將來必要ニ應ジテ之ヲ經營スル意
思アル旨ノ答辯ガアリマシタ
以上ヲ以テ質疑ヲ終ヘマシテ、討論ニ入
リマシタ所、手代木委員、石坂委員ヨリ本
案ニ贊成ノ意見ノ御發表ガアリマシテ採
擇ニ入リ、全會一致、本案ハ政府提出原案
ノ通リ可決致サレマシタ、右御報〓致シマ
ス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=145
-
146・小山松壽
○議長(小山松壽君) 本案ノ第二讀會ヲ開
クニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=146
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147・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス仍テ本案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマシ
タ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=147
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148・服部崎市
○服部崎市君 直チニ本案ノ第二讀會ヲ開
キ第三讀會ヲ省略シテ委員長報〓ノ通
リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=148
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149・小山松壽
○議長(小山松壽君) 服部君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=149
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150・小山松壽
○議長(小山松壽君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ本案ノ第二讀會ヲ開キ、議
案全部ヲ議題ト致シマス
樺太開發株式會社法案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=150
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151・小山松壽
○議長(小山松壽君) 別ニ御發議モアリマ
セヌ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告通
リ可決確定致シマシタ(拍手)是ニテ議事日
程ハ議了致シマシタ、次會ノ議事日程ハ公
報ヲ以テ通知致シマス、本日ハ是ニテ散會
致シマス
午後四時五分散會
衆議院議事速記錄第十號中正誤
頁段行誤正
八三二一九一枚八ン付発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007613242X01219410208&spkNum=151
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