1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和十七年二月四日（水曜日）午後一時四十二分開會発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=0
-
001・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 是ヨリ委員會
ヲ開會致シマス、昨日ニ引續イテ御質疑ヲ
願ヒタイト思上マスガ、大體ノ御質疑ハモ
ウ濟ンダモノト了承致シマス、尙各案ニ付
テ漏レタ質問ガ澤山アリマスルト思ヒマス
カラ各案ニ御指摘ヲ願ヒマシテ、サウシ
テ質疑ノ殘リヲ皆ヤリタイト思ヒマス、三
橋君、何カ御質疑ガアリマシタラ御質疑ヲ願
ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=1
-
002・三橋四郎次
○三橋四郞次君 臺灣ノコトデチヨット御
伺ヒヲシタイト思ヒマス、丁度此處ニ長官
ガ居ラレマスカラ、長官ニ簡單ナ點ヲ二三
御伺ヲ致シタイト思ヒマス、臺灣ノ糖業ニ
關スル將來ノ方策ニ付テハ、先達テ長官ヨ
う
リ何カ案ヲ具シテ近ク政府ニ具申スルト云
フヤウニ承ッテ居リマスガ、臺灣ノ茶ニ付テ
モソレト同樣ノ御用意ガアリヤ否ヤト云フ
コトヲ御尋ネシタイト思フノデアリマス、
臺灣ノ現在ノオ茶ハ糖業ニ較ベマスト、其
ノ生產額ガ金ニシテ少イモノデアリマスル
ケレドモ併シ其ノ輸出額ノ方面カラ見
マシテモ、十四年度ニ一千九百萬圓ノ輸出
ヲ致シテ居リマス、現在ノ臺灣ノ計畫トシ
テハ新シク茶園ヲ興シテ、サウシテ新品種
ヲ入レテ增產計畫ヲ立テテ居ルヤニ承知シ
テ居リマス、併シナガラ是ガ「ジヤヴア」ヽ「ス
マトラ」、佛印等ガ大東亞圈內ヘ若シ入ルト
シマスルト、糖業ノ場合ト同ジヤウニ、第
三國ヘノ輸出ガ杜絕シテ居ルト云フ場合ニ
ハ、其處ニ茶ガ餘ッテ來ルノデアリマス、
之ヲドウスルカト云フ問題ハ、砂糖ノ場合
ト同ジヤウナ問題ガ起ルノデアリマス、砂
糖ハ內地ニハ生產的ニハ關係ハアリマセヌ
ケレドモ、茶ハ內地ニ於テモ考へニヤナラ
又、文之ヲ考ヘル時ニハ支那モ考ヘニヤナ
ラヌト云フト實ニ厄介ナ問題ニナルノデ
アリマス、併シ大東亞建設ガ出來夕場合ヲ
考ヘマスルト、現在「ロンドン」、、「アムステ
ルダム」ノ茶ノ「マーケット」ト云フモノヲ自
然日本へ持ッテ來ルト云フコトニナリマス、
若シ「セイロン」ガ大東亞圈內ニ入ルトスレ
バ、世界ノ茶ガ全部日本ノ本土ノ地帶ニ來
ルト云フコトニナリマスト、約一箇年ニ十
億7つパウンド」ノ茶ヲ動カスコトニナリマス、
ソレ等ヲ頭ニ入レテ考ヘルト、是ハ非常ニ
大キイ問題ニナルノデアリマス、此ノ點ニ
關シテ臺灣當局トシテハ大キイ構想ノ下ニ、
是等ノコトニ付テ御考ヲ何カ著ケテ居ラレ
ルヤ否ヤト云フコトヲ伺ッテ見タイト思フノ
デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=2
-
003・齋藤樹
○政府委員(齋藤樹君) 御答ヲ致シマス、
茶ニ付テモ臺灣總督府ニ於テ用意アリヤト
云フ御尋デゴザイマスガ、然リト御答ヲ申
上ゲタイノデアリマス、臺灣ノ產業ハ從來
熱帶的ノ產業ヲ特色ト致シマシテ、日本ノ
產業經濟ノ上ニ、其ノ點ニ於テ特異性ヲ持ッ
テ立チ來ッテ居ルノデアリマス、南方圏ガ帝
國ノ勢力下ニ入リマスル今後ニ於テハ、南
方產業、謂ハヾ本場ノ熱帶產業ト臺灣ノ
從來特色トシテ育テ上ゲテ參リマシタル產
業トノ間ノ調整ヲ必要ト致シマスルコトハ
申ス迄モナイノデアリマシテ、此ノ點ニ付
キマシテノ下調査、〓究ニ總督府トシテ着
手致シマシタノハ、既ニ昨年盛夏ノ候デアル
ノデアリマス、是ハ先日糖業ニ關シテノ御
答ヲ申上ゲマシタ際ニハ、其ノ點ニ觸レナ
カッタノデアリマスガ、臺灣ト致シマシテ目
下產業調整上、或ハ臺灣ニ於ケル熱帶的產
業ノ轉換ノ關聯カラ考ヘテ居リマスル根本
方針ハ、大體ニ於キマシテ十數項目ニナツ
テ居リマスルガ、先ヅ第一ニハ臺灣ノ工業
化ノ促進、之ニ依ッテ南方圈ノ物資ヲ消化
吸收シ得マスルヤウニ生產設備ヲ擴張スル
コト、例ヘバ製鐵事業或ハ冶金、精煉ノ施
設若シクハ油ノ精製工業、是等ノ方面ニ對
シテ臺灣トシテハ新タナル進展ヲ畫サ
ナケレバナラヌト云フ考カラ、昨年十
月臨時臺灣經濟審議會ヲ開催致シマシ
テ、內地カラモ多數ノ「エキスパート」ニ出
席ヲシテ戴キマシテ、臺灣ノ工業振興ニ關
スル根本方策ヲ定メタノデアリマス、爾來
其ノ臺灣經濟審議會ノ決定ニ基キマシテ、
關係方面トモ交涉ヲ進メテ居ルノデアリマ
スルガ、御審議ヲ願ッテ居リマスル大甲溪開
發事業ノ如キモ、謂ハバ其ノ第一ノ準備ニ
外ナラヌノデアリマス、第二ニハ、單リ臺灣
ノミデハアリマセヌケレドモ、內地モ固ヨ
リ重大ナル關係ヲ持ツノデアリマスルガ、
臺灣ガ熱帶的ノ產業ヲ或程度調整スル必要
アリト致シマス場合ノ、其ノ餘力ヲ如何ニ
利用スルカノ點カラ、南方民族ノ生活物資
ノ生產、例ヘバ雜貨類デアリマスルトカ
或ハ又製紙、紡績、罐詰工業竝ニ機械、器
具ノ工業ト云フヤウナ方面ニ第一項ノ重工
業ト竝ビマシテ、所謂輕工業、就中家內工
業的ノ方面ニ新天地ヲ開拓スル必要アリト
云フ方針ノ下ニ準備ヲ致シテ居ルノデアリ
マス、又第三ニ、南方圈ニ於テ生產セラレ
マスル物資ト競合スル各種ノ物資ノ中、生
產費ノ高イモノニ付テハ、出來得ル限リ之
ヲ抑制シテ行クコトガ總テノ方面ニ互ッテ
必要デアルノデアリマス、其ノ次ニ第四ノ
問題ト致シマシテ、島内產業ノ抑制スベキ
モノハ之ヲ抑制スルコトガ自然デアリマス
ルケレドモ、出來得ルナラバ南方ニ於ケル
同種產業ノ指導權ヲ握リ、之ニ依ッテ自主的
ニ共榮圈全般ニ亙ッテノ調整ヲ遂ゲテ行ク
ト云フ方針ヲ採リタイ、斯樣ナ考ノ下ニ糖
業政策ニ付キマシテ先達テ申上ゲマシタノ
ハ其ノ方針ノ一ツノ結論デアルノデアリ
マス、尙是ハ南方圏各地域ヲ帝國ガ統治致
シマスル際ニ當ッテ、民心把握ノ點ヨリ考
慮致シマシテモ、南方圈ノ過剩物資ノ生產
抑制ニ當リマシテモ、土著民ノ生產ハ成ル
ベク抑制圏外ニ置クト云フ、他ノ一ツノ制
限ヲ考慮シナケレバナラヌト云フコトヲ第
五ニ考ヘテ居ルノデアリマス、是等幾他ノ
標準ノ下ニ考ヘテハ居ルノデアリマスルガ、
特ニ農業ノ如クニ多數ノ從業者ヲ包容スル
產業ニ付キマシテハ、或ハ農產物價格ノ統
制ニ依リ、若シクハ又關稅政策ノ維持ニ依
リマシテ島內ニアリマシテモ、急激ナル轉
換ヲ避ケナケレバナラヌ、斯樣ナ方針ヲ持ッ
テ居ルノデアリマス、尙一面又他ノ國防的
ノ立場カラ、南方圈生產物ト競合スル生產
物デアリマシテモ、場合ニ依リマシテハ島
內ノ生產ヲ或程度保護助長致シマシテ、其
ノ生產ヲ維持シナケレバナラヌト云フヤウ
ナコトヲ考ヘテ居ルノデアリマス、デ尙、
數ノ基本方針ナルモノヲ立テテ居リマスル
ガ、是等ノ基本方針ニ基キマシテ、或ハ「バ
ナナ」、그パイナップル」ノ如キモノヲ初メ
ト致シマシテ、茶ニ致シマシテモ、若シク
ハ「ゴム」、、「キナ」其ノ他ノ植物ノ栽植ニ致
シマシテモ、大體ノ方策ヲ總督意見トシテ
政府ニ上申スル考ヲ以テ目下準備中ナノデ
アリマス、先達テ御答辯ヲ申土ゲマシタ際
ニハ糖業ノミニ關聯シテ申上ゲマシタノ
デアリマスルガ、臺灣ト致シマシテ考慮ヲ
必要トスルコトハ臺灣ニ於ケル特ニ熱帶的
產業ノ全般ニ亙ッテノ轉換ヲ考ヘナケレバ
ナリマセヌシ、考ヘヤウニ依リマシテハ
臺灣產業ノ再編成ト云フ立場ニ於テ考ヘナ
ケレバナラヌ今場合ニ直面致シテ居リマス
ノデ、臺灣產業ノ全般ニ百ッテノ總督意見ヲ
政府ニ上申致シマシテ、臺灣限リニ於テ決
定シ、臺灣限リニ於テ遂行シ得ベキ問題ハ
別ト致シマシテ、中央政府ニ於テ決定シ、
中央政府ノ力ニ依ッテ遂行スルコトヲ必要
トスルヤウナ大キナ問題ニ付キマシテハ、
中央政府ノ決定ニ當ッテ臺灣總督ノ意見ヲ
汲ミ入レテ貰フコトヲ考ヘツヽ只今準備ヲ
シテ居ルノデアリマス、其ノ最モ著シキモ
ノハ砂糖、茶竝ニコパイナップル」、此ノ三
ツノ生產加工ノ事業デアルノデアリマス、
デ茶ニ付キマシテハ只今御示シノ如クニ印
度、「セイロン」ヲ加ヘマスレバ、帝國ノ考
ヘテ居リマスル共榮圈內ニ於テ世界生產額
ノ九十七「パーセント」ヲ生產シテ居ルノデ
アリマスノデ、臺灣ト致シマシテハ特ニ其
ノ點ハ重大ナ影響ヲ豫想シナケレバナラヌ
ノデアリマス、臺灣ニ於ケル重要產業ノ中、
最モ困難ヲ感ジマスルモノハ茶ニ關スル問
題デアルノデアリマス、茶ガ嗜好品デアッ
テヘ而モ從來臺灣ノ產茶ハ輸出貿易品デア
リマシタ關係上、世界ノ情勢ノ變化ニ因ッテ
受ケマスル打撃ガ數年來極メテ著シカッタ
ノデアリマス、サウシテ今度ハ輸出ガ止ツ
テ居ルト云フ數年來ノ現象ノ上ニ、更ニ南
方圏ヲ勢力下ニ收メマシテ、其ノ生產力
ガ非常ニ增大シタ、斯ウ云フ二ツノ條件ガ
備ッタノデアリマスノデ、極メテ困難ノ多、
イ問題デアリマス、殊ニ茶ニ付キマシテハ、
產地ヲ異ニ致シマスル各種ノ茶ヲ配合スル
コトニ依ッテ、特質ヲ現スモノデアルト承ツ
テ居リマスルシ、又同時ニ各生產地ノ茶ハ
各其ノ特色ヲ持ツテ居リマシテ、其ノ特色
ニ從ッテ仕向先ガ各異ッテ居ルト云フ複雜ナル
關係モゴザイマスルシ、茶ニ關シテノ情
勢ハ幾多困難ナル問題ヲ包含シテ居ルノデ
アリマス、此ノ茶ニ關スル共榮圈トシテノ
根本方策ヲ決定致シマスルニ當リマシテハ、
消費者ノ關係カラ見マシテモ、、「インド」ノ
セイロン」ハ勿論、日本內地、中華民國竝
ニ今日ノ觀念ニ於ケル南方圈、是等ノモノ
ヲ包含致シマシテノ需給調整ノ根本策ヲ決
定スルコトガ必要デアルト存ジマスルノデ
アリマス、是等ハ臺灣ニ於テ能クシ得ベキ
事柄デハナイト考ヘテ居リマス、自然內地
ニ於ケル當業者ノ權威アル團體等ガ中心ト
ナッテ全地域ニ亙ッテノ根本策ヲ決定セラレ
ルコトガ當然デハナイカト、斯樣ニ考ヘテ
總督ノ意見ヲ上申スベク只今準備中ナノデ
アリマス、尙臺灣ト致シマシテ、臺灣自體
ト致シマシテハ島內ニ於テノ生產制限モ
或程度ハ必要ニナルト存ジマスルシ、又茶
ノ種類ニ付キマシテモ、御承知ノ如ク包種
茶ノ如キハ、昭和元年ニ於キマシテハ主ト
シテ蘭領印度ニ輸出シタノデアリマスルガ、
昭和元年ノ輸出量ハ五千「トン」ニ上ッテ居リ
マス、是ガ昭和十年ニ於キマシテ千九百「ト
ン」ニ減ジテ居ルノデアリマスルガ、サウシ
テ而モ此ノ現象ハ蘭印ノ關稅障壁ノ結果、
斯樣ナ不況ヲ示スニ至ッタノデアリマスルケ
レドモ、是ハ今後ノ又開拓如何ニ依ッテ、包
種茶ノ如キハ輸出量ヲ增大スルコトガ出來
得ルト云フ見込ヲ持ッテ居リマス、最モ打撃
ノ大キイノハ紅茶デアルト云フ考ヲ以チマ
シテ、紅茶ニ付キマシテハ、今後ハ「アッサムL
種ニ限定致シマシテ、其ノ他ノ種類ハ栽培
ヲ寧ロ抑止スル方針ガ採ラレルコトガ必要
デハナイカト云フヤウナコトモ考ヘテ居リ
マスルシ、又現在臺灣島內ニ於ケル茶圃ハ
四万七千甲步デアリマスガ、其ノ若干ノ作付
T
轉換或ハ臺苅ト云フヤウナコトヲ實施致シ
マスルコトモ、此ノ際ニ於テ考慮スベキ事
柄デアルト存ジマシテ、十七年度ノ豫算ニ
於キマシテ若干ソレ等ノ經費ヲ計上致シテ
居ルヤウナ狀態デアリマス、細カイコトヲ
申上ゲマスルト、現在考ヘテ居リマスル事
柄ニ付テモ色々ノ點ガゴザイマスルガ、若
シ又尙不十分ノ點ガアリマスレバ更ニ御質
問ヲ戴キマシテ、之ニ御答ヘスルヤウニ致
シタイト存ジマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=3
-
004・三橋四郎次
○三橋四郞次君 今ノ說明デ大體ノ方針ガ
分リマシタガ、今御話ノヤウニ包種茶等ハ
南方圏內ノ華僑ニ對スル消費ハ非常ニ多イ
ノデアリマスルカラ、是ハ殖エルコトガ可
能ダト思ヒマス、今御話ノ紅茶ノ部分ニ付
テ非常ニ矢張リ考ヘラレルトスレバ、現在
總督府ノ方針トシテ魚池ヲ中心トシテアノ
「エレヴェーション」ノ高イ所ヲ紅茶適地トシテ
今奬勵策ヲ採ッテ居ラレマスルガ、此ノ方針
ハ今御話ノ「ジャヴァ」ト見合シテ考ヘラレル
時ニ、アノ方面ニ「アッサム」種デアレバ尙奬勵
シテ行クト云フ方針ヲ持續スルノデアリマ
スカ、或ハアノ邊モ尙多少奬勵ノコトモ考
ヘ直ス中ニ入ッテ居リマスカ、細カイコトハ
勿論私モ能ク知リマセヌシ、長官モサウ餘
リ細カイコトハ御存ジナイト思ヒマスガ、
方針トシテドンナ風ニ其處ヲ御考ニナッテ居
リマスカ、是ハ後デモ宜シウゴザイマスガ、
伺ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=4
-
005・齋藤樹
○政府委員(齋藤樹君) 只今御尋ノ魚池ヲ
中心ト致シマスル「アッサム」種栽培ノ奬勵
ノ方針ヲ其ノ儘持續スルカ、相當ノ抑制ヲ
加ヘルカト云フ點ニ付キマシテノ大體ノ考
ヘ方ト致シマシテハ、或程度ノ抑止ハ免レ
ナイト云フ考ヲ持ッテ居リマス、併シナガラ
是ハ矢張リ相當數字的ノ根據ニ基キマシテ、
サウシタ奬勵方針ニ對スル若干ノ「ブレー
キㄴモ、ドノ程度ノ抑止ヲ適當トスルカト
云フコトガ考ヘラレナケレバナラヌノデア
リマスノデ、マダ其處迄ノ具體的ナ所ニ立
至ッテハ居ラヌノデアリマス、唯是ハ臺灣總
督府自體ガ欲スルト欲セザルトニ拘ラズ、
紅茶ノ生產ニ付キマシテハ、或程度ノ生產
制限ハ勿論、「アッサム」種栽植ノ奬勵等ニ付
キマシテモ相當ノ何ト申シマスカ、「ブレー
キ」ノ掛ルコトハ免レ難キ事柄デアラウト、
斯樣ナ見透シヲ持ッテ居ルノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=5
-
006・三橋四郎次
○三橋四郞次君 能ク分リマシタガ、將來
紅茶カラ寧ロ包種茶ニ重點ガ行クノデハナ
イカト思ヒマス、サウシマスト矢張リ、臺
灣ハ、茶ノ栽培ハ輸出ヲ目的トスルノデア
リマスルカラ、貿易ニ關シマシテハ只今申
上ゲマシタ通リ、若シ「セイロン」ヘ手ガ伸
ビレバ殆ド全世界ノ茶ガ我々ノ「コント
ロール」下ニ入ル、ソレカラ「セイロン」ガ入
ラヌニシテモ「ジャヴァ」ト「スマトラ」ヲ考
ヘマスルト、從來「ロンドン·マーケット」及
ビ「アムステルダム·マーケット」ノ半分以上
ガアソコニ落チルコトニナリマス、其ノ方面
ニ關シマシテ、內臺茶業ガ最近輸出ニ關シ
テ緊密ナル握手ノ下ニ進ミカケテ居リマス、
況ヤ是ガ南方ニ伸ビルコトニナリマスルト、
事ハ更ニ面倒ニナリマス、ドウカ一ツ內地方
面ノ茶ノ方トノ連絡ヲ、ヨリ以上ニ御考慮
ニ入レラレムコトヲ希望シテ置キマス、ソ
レカラ序デニモウ一ツチヨット伺ッテ見タイ
ト思フノデスガ、先達テ是ハ茶ノコトデハ
アリマセヌガ、他ノ委員カラ御話ガアッタヤ
ウデアリマスガ、砂糖ノ「コスとん3F
ヴァLト臺灣トノ差ガ、長官ハ十ト六ト
斯ウ云フヤウニ御話ガアッタヤウニ聞キマ
シタガ、サウ云フ風デアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=6
-
007・齋藤樹
○政府委員(齋藤樹君) 砂糖ノ生產費ニ付
キマシテハ、私ノ聞イテ居リマス所デハ
臺灣ニ於ケル平均生產費ト「ジャヴァ」ノ平均
生產費ハ十ト六ノ割合デアルト云フコトニ
承ッテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=7
-
008・三橋四郎次
○三橋四郞次君 私ガ或「エキスパート」ニ
聽キマシタラバ、臺灣ノ方ガ「ジャヴァㄴニ較
ベテ約三倍、一對三位デハナイカト云フコト
ヲ言ッタサウデアリマス、若シ是ハ私ノ聞キ
違ヒカモ知レマセヌガ、サウダトスルト、
臺灣ノ方ノ砂糖ハ此ノ間御示シニナッタヤ
ウニ、是ハ早急ニ轉換スルコトガ出來ヌト
スレバ、消費者側ノ我々カラ言ヒマスルト、
是ハ相當考ヘヌケレバナラヌ問題デアリマ
ス、モウ一ツハ又話ガアリマシタ共榮圈內
ニ一ツノ砂糖製品トシテ捌カスト云フ場合
こい、此ノ「コスト」ノ關係ガ非常ニ關係ヲ
及スノデ、現在臺灣ノ砂糖會社ノ內容ハ御
承知ノ通リデアリマス、是ガ將來統一ト云
フノデ一ツノ會社ニナリマスルト、尙其處
ニ色々ノ今迄ノダブッタモノガ減ルコトニ
ナリマシテ、更ニ「コスト」ガ其處ニ減ルコ
トニナリマス、サウスルト其處ニ糖業其ノ
他ヲ考ヘマスル時ニハ、消費者側ノ立場ヲ
考慮シ、或ハ圈內ニ一ツノ製品トシテ「コス
ト」ヲ下ゲテ出スト云フ、兩樣ノ觀點カラ考
ヘル餘地ガアルノデハナイカト云フ氣ガシ
マス、此ノ邊ニ付テ御氣付ノ點ガ若シアッタ
トスレバ、チヨット伺ヒタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=8
-
009・齋藤樹
○政府委員(齋藤樹君) 只今ノ御意見ハ御
尤モナ御意見ト存ジマスガ、先日東〓男爵
ノ最後ノ御質問ニ對シマシテ、我々ノ只今
ノ草案トシテ考ヘテ居リマスル臺灣ノ六製
糖會社ノ力ノ結集ニ依ッテ、或ハ政府機關ト
シテノ强力ナル統制會社ノ如キモノヲ作リ
タイト云フ考ヲ持ッテ居リマスル所以ノモ
ノハ、一ツニハ此ノ生產竝ニ配給ノ統制ノ
圓滑ヲ期シマスルコトト、同時ニ又一面ニ於
キマシテハ、比較的生產費ノ高イ臺灣竝ニ
「フィリッピン」ノ砂糖ト、比較的廉價ナル
「ジャヴァㄴノ砂糖トヲ突ッ込ミニ致シマシ
テノ計算ニ依ッテ、臺灣糖業ノ受ケル打撃ヲ
最小限度ニ止メ、同時ニ消費者ノ受ケル利
益ヲ最大限度ニ迄擴張シタイト云フ、其ノ
狙ヒヲ持ッテ考ヘテ居ルノデアルト云フコ
トヲ御答ヲ申上ゲタノデアリマス、只今ノ
御質問モ大體同樣ノ御趣旨ノヤウニ承リマ
シタ、其ノ點ニ付キマシテモ十分拔リナク
方針ヲ立テテ行キタイト云フ考ヲ持ツテ居
リマス、尙島内ノ製糖事業ニ付キマシテモ、
或程度ノ生產制限ガ免レ得ザルモノデアル
ト致シマスレバ、同時ニ或ハ經營ノ合理化
ニ依リ、若シクハ採算ノ極メテ困難ナル甘
蔗栽培地ノ整理ニ依リマシテ、其ノ他ノ方
法ヲモ講ジマシテ、生產費ノ低下ヲ圖ルト
云フコトモ一面ニ於キマシテハ〓究ヲ致シ
テ居リマス、是等ノ點ニ付キマシテハ、凡
ソ斯樣ナ考ヲ持ツテ居ルト云フ程度ニ御了
承ヲ戴キタイト存ジマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=9
-
010・三橋四郎次
○三橋四郞次君 モウ一ツ御許シヲ願ヒマ
ス、臺灣デ仕事ラスル者ガ今非常ニ困ルノ
ハ、內地モサウデアリマスガ、勞働デゴザ
イマス、又政府ニ於テ、今度大キナ大甲溪
ノヤウナ仕事ガ始ルト云フト、愈〓勞働力ガ
必要ニナルノデアリマス、又現在臺灣デヤツ
テ居ル道路其ノ他ノ開發ニ、非常ニ手ガ
足ラヌヤウニ御見受ケスルノデアリマス、
他ノ事業ニ關スルモノモ同樣デアリマス、
何カ臺灣トシテハ此ノ勞力ヲ、或ハ福建ノ
方カラ人ヲ持ツテ來ルトカ、或ハ支那ニア
ル此ノ福建關係ノ、是ハ素人デ或ハオ笑ヒ話
ニナルカモ知レマセヌガ、支那ノ捕虜ヲ連
レテ來ルトカ言ッタヤウナコトデ、勞力補給
ノコトヲ將來臺灣トシテハ事業遂行上ニ、
何カ今御考ヲ持ッテ居ルヤ否ヤト云フコト
ヲチヨット御伺ヒシタイノデアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=10
-
011・齋藤樹
○政府委員(齋藤樹君) 臺灣ニ於ケル勞力
ノ不足ノ狀況ハ御說ノ通リデアリマス、所
在勞力ノ不足ヲ訴ヘテ居リマス、ノミナラ
ズ其ノ不足トシテ居リマスル勞力ノ中カラ、
作戰上必要ナ勞力ノ提供ハ尙萬難ヲ排シテ
之ヲ充足セナケレバナリマセヌノデ、今日
ノ處臺灣ト致シマシテハ、相當勞力ノ不足
ニ惱ンデ居リマス、御參考ノ爲ニチヨット數
字ヲ申上ゲマス、恐レ入リマスガ、此ノ數
字ヲ·発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=11
-
012・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 速記ヲ止メテ
〔速記中止〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=12
-
013・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 速記始メ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=13
-
014・齋藤樹
○政府委員(齋藤樹君) 尙又勞力ノ絕對量
ヲ增加致シマスル方策トシテハ御示シノ
如キ對岸カラト云フ意見モ考ヘラレルノデ
アリマスルガ、各種ノ關係上マダ其ノ域ニ
達シテ居リマセス、唯島內ニ於キマシテハ
御承知ノ如ク住民ノ大部分ヲ占メテ居リマ
スル福建族ハ、婦人ト云フ者ハ全ク勞働ヲ
致シマセヌ、サウシタ古イ慣習ガアルト聞
イテ居リマスルガ、婦人ノ勞働力ヲ利用致
シマスル爲ニ、婦人ニ對スル勞働觀念ノ植
付ト云フ仕事ニ關係各方面ニ於キマシテ
協力シテ只今大童ニナッテ居ル、或ハ若イ娘
ノ連中ヲ、今年ハ困難ト存ジマスルガ、昨
年ノ如キハ內地ノ各農村ニ旅行致サセマシ
テ、農村ニ於テ田植其ノ他ノ勞働ニ內地ノ
娘ガ働イテ居ル狀態ヲ見セテ、實物〓育ノ
一助ニ致シマシタコトモゴザイマスシ、又
島內ニ於テモ有ラユル機會ニ於キマシテ其
ノ〓育ヲ施シテ居ルノデアリマス、今年ノ
春本島人ノ娘達ノ田植ノ競作會ト言ヒマス
カ、大勢ノ娘達ヲ集メテ、速サトカ上手サ
トカ云フモノヲ競爭サセタコトガゴザイマ
ス、私モ一遍其ノ所ヲ見ニ參ッタノデアリ
やべり。是ハ總督モ一遍ハ視察致シテ居リマ
ス、サウシタ場合ニハ矢張リチヤントシタ
娘ガ相當出テ來テ、田植ナドニ從事スル氣
分ヲ漸次表スヤウナ樣子ガ見エルノデアリ
マス、今日ノ所デハ色々ナ複雜ナル關係カ
ラ、殊ニマダ南方作戰ノ中途ニアリマスル
今日ニ於キマシテハ、對岸カラ勞働者ヲ持ッ
テ來ルト云フコトニ相當ノ困難ガゴザイマ
マスルノデ、島內ニ於ケル調節ノ組織ノ力
ト、竝ニ婦人勞働力ノ利用ト、大體ニ於キ
マシテ此ノ二ツノ方策ニ依ッテ勞働力ノ確
保ト云フコトニ努力ヲ致シテ居ルヤウナ狀
態デゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=14
-
015・三橋四郎次
○三橋四郞次君 ドウモ有難ウゴザイマシ
タ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=15
-
016・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 皆樣ニ申上ゲ
マスガ、マダ此ノ臺灣ノ事業公債ニ付テ二
三質問ガアルノデアリマスガ、長官ガ丁度
外ノ委員會ノ方ヘ行カレマシテ、直キ歸ラ
レルサウデアリマスカラ、ソレ迄此ノ問題
ヲ保留致シテ置キマス、次ニ柳澤サン、何
カ.発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=16
-
017・柳澤保承
○伯爵柳澤保承君 私ハ實ハ此ノ前ノ委員
會ニ晝カラ差支ガゴザイマシタノデ、出ル
コトガ出來ナカッタノデアリマス、或ハ其ノ
間ニ御質問ガアッタカト思マヒスガ、簡單ニ
申上ゲマス、私ハ此ノ勞働者年金保險特別
會計法デゴザイマス、之ニ付キマシテ本法
適用ノ人員ダノ、掛金ノ豫想、積立金ノ額
ガドレ位ト云フ大體ノ御豫想ヲ伺ヒタイノ
デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=17
-
018・歌田千勝
○政府委員(歌田千勝君) 勞働者年金保險
ノ被保險者トナリマスル勞働者ノ數ニ付キ
マシテハ、本年ノ六月一日ニ實施施行サレ
ルノデアリマシテ、卽チ六月一日ノ現在ノ
推算ト致シマシテ、一般被保險者ガ三百八
萬餘人デゴザイマス、坑內夫、鑛山等ニ於
ケル坑内ニ於ケル勞働者デアリマスガ、是
ガ三十三萬九千、兩方合シマシテ三百四十
二萬ト云フモノガ〓數デアリマス、尙保險
料等ノ計算ヲ申上ゲタイト思マヒスガ、此
ノ被保險者タル勞働者ヨリ徵收致シマス保
險料ハ、率トシマシテ坑內夫ハ〇·〇八ト云
フ率デゴザイマス、卽チ十圓ニ付テ八十錢、
一般被保險者ハ〇·〇六四、卽チ十圓ニ付キ
マシテ六十四錢ト云フコトニナリマシテ、
此ノ保險料ヲ事業主ト勞働者ト折半致シマ
シテ出スコトニナルノデゴザイマス、次ヘ
收入保險料ノ推算ヲ申上ゲタイト思ヒマス
ガ、一昭和十七年度ハ六月一日ヨリ施行サレ
マス關係上、今年度ニ於キマシテハ九箇月
分ノ保險料ヲ徵收スルコトニナリマス、大
體一億二千二百萬圓ト云フモノガ保險料本
年度ノ推算デゴザイマス、尙昭和十八年
度以降ニナリマスルト云フト只今申上ゲ
タヤウニ保險料ヲ一年ニ亙ッテ徵收スル譯
デアリマシテ、其ノ金額ハ凡ソ一億五千萬
圓前後ニ相成ルコトニナリマス、是ガ年々
蓄積サレテ來マシテ、其ノ間ニ保險給付ガ
アリマスレバ、是ハ費用トシテ支出スルノ
デアリマスガ、御承知ノ如ク一般勞働者ニ
於キマシテハ、二十年ノ後ニ年金タル給付
ヲ受ケルコトニナリマス、坑內夫ニ於キマ
シテハ十五年後ニ年金タル給付ヲ受ケルコ
トニナリマス、其ノ間或ハ脫退手當金ノ如
キ、或ハ廢疾手當金ト云フ保險給付モアリ
マスガ、此ノ長年月ノ間、保險料トシテ取
立テタモノヲ積立テマシテ、其ノ積立金ニ
依ッテ後年ニ於ケル保險給付ヲ爲シ、或ハ積
立金ノ運用ノ利用ニ依リマシテ、出來ルダ
ケ餘裕ヲ見テ、サウシテ勞働者ノ爲、福祉
施設ヲ致シテ居ルト云フヤウナ建前ニナッテ
居ルノデアリマス、大體積立金ノ推算ヲ申
上ゲマスレバ、十箇年致シマシテ二十億三
千四百萬圓、二十箇年致シマシテ四十六億
五千二百萬圓、三十箇年ニ七十八億七千二
百萬圓、五十箇年ニナリマシテ百億七千萬
圓、斯ウ云フ數字ニナリマス是ハ大體年
三分五厘ノ計算デ其ノ複利計算ヲ致シタノ
デゴザイマス、斯ウ云フ積立金ニ依リマシ
テ、此ノ保險事業ノ運營遺憾ナキヲ期シテ
行キタイ、斯ウ云フヤウナ大體目論見デア
リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=18
-
019・柳澤保承
○伯爵柳澤保承君 ソコデ之ヲ拜見致シマ
スルト、第五條ニ「本會計ノ積立金ハ國債ヲ
以テ保有シ又ハ大藏省預金部ニ預入レ之ヲ
運用スルコトヲ得」トアリ、非常ニ此ノ運用
如何ガ大事ト思ヒマスガ、ソレニ對スル當
局ノ現在ノ御考ハドウカ、今ノ福利施設ト
云フコトモアリマシタガ、全體トシテドウ
云フ風ニ運用ヲシテ居ラレマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=19
-
020・樋貝詮三
○政府委員(樋貝詮三君) 實ハ運用ニ關シ
マシテハ內實ヲ申上ゲマスト、大藏當局ノ
方トソレカラ保險院ノ方トデ具體的ノコト
ヲ交涉中ナモノデアリマスカラ、ハッキリト
シタコトヲマダ申上ゲルコトガ出來兼ネテ
居ルヤウナ事情デアリマスガ、法律ノ原案
ヲ見マスト是ハ大藏省預金部ヘ預ケテ、預
金部デ運用スルト云フコトニナルノデアリ
マスガ、ドウ云フ風ナ運用ニ行キマスカ、
是ハ現在色々ナ會計デ色々ナ形ガアリマシ
テ、預金部デ單純ニ外ノ預金、例ヘバ郵便
貯金ナドニ於キマスルヤウニ單純ニ計畫ヲ
シテ運用シテ行クモノモアリ、又簡易保險特
別會計、私ノ方デヤッテ居リマスガ、ソレ等
ノ運用ハ全部特別會計ニ屬スル仕事ヲヤッ
テ居ル、卽チ保險院デアリマスガ、ソレデ
ヤッテ行ク、併シソレニ付キマシテモ金融ナ
ンカノ方面カラ金融統制ト申シマセウカ、
連絡ト申シマセウカ、サウ云フヤウナ委員
會ナンカ出來マシテ、其ノ方ノ注文モ受ケ
マシテ、ソレニ應ジテ運用シテ居リ、非常
ニ「スムーズ」ニ參ッテ居リマス、併シ形式ハ簡
易保險一手デヤッテ居ルト云フ形デアリマ
ス實際ハ大藏省ト連絡ヲ執リマシテ、國
策ノ目的ニ合フヤウニヤッテ居リマス、サウ
云フコトニ付テ色々ナ形ハアリマス、例へ
バ朝鮮ノ簡易保險ト云フヤウナモノハ全部
ヲ預金部ニ預ケ入レテ、サウシテ其ノ代リ
又大體包括的ニ、全體ヲ朝鮮ノ特殊事情ニ
應ズルヤウニ運用スルヤウナコトヲヤッテ居
リマス、色々ナ形ガアリマスルガ、只今申
上ゲタヤウニ大藏當局トドウ云フ形式デヤ
ルカト云フコトヲ打合セ中ニ屬ジマスノデ、
具體的ニ今斯ウ云フヤウナ形式デト云フコ
トヲチヨット申上ゲ兼ネルヤウナ立場ニナッ
テ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=20
-
021・柳澤保承
○伯爵柳澤保承君 兎モ角是ハ大藏省ヨリ
寧ロ厚生省カラ出來タモノデアリマスカラ、
大イニ厚生省側ノ意見ヲ容レルト云フコト
ガ同時ニ事業主竝ニ勞働者ノ意思モ尊重ス
ル譯ニナリマスカラ、大イニサウ云フ方面
ヲ御考ニナル必要ガアルト思ヒマスガ、如
何デアリマスカ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=21
-
022・樋貝詮三
○政府委員(樋貝詮三君) 實ハ昨年勞働年
金ノ制度ヲヤリマス當時ニ於キマシテ專門
ノ人々ヲ委員トシテ各方面カラ、社會保險
制度調査會ト云フモノガアリマスガ、此ノ
中ニ入レマシテ御審議願ッタノデアリマス、
當時希望決議トシテ此ノ金ハ一方勞働者ノ
方ニ還元シテ貰ヒタイト云フヤウナ强イ希
望モアッタノデアリマスガ、サウ云フ風ニ運
用ノ方法ヲ考ヘテ行クト云フヤウナコトヲ
申サレタノモアリマシタシ、大變勞働年金
ニ付テ一方反對ノヤウナ、反對下云フ程デ
モアリマセヌガ、懸念スル方面カラ色々話
ガアッテ、サウ云フコトデ鳧ガ付イタノデ
アリマスガ、サウ云フ風ニ御審議ヲ願ッタ
ヤウナ事情モアリマシタ、經緯ハ其ノ外
色々內部デモ細カイ色々ナ話モ進メマシ
タヤウナ譯デスガ、厚生當局ノ方ト致シ
マシテハ、是ハ無論サウ云フヤウナ經緯
カラ勞働者ノ方へ出來ルダケ多ク還元シタ
イト云フ希望ハ持ッテ居リマスガ、一方今
日ノ情勢カラ言ッテ金融ノ統制ト申シマセ
ウカ、一手ニ集メテ、國策ニ副フヤウニ運
用シタラ宜イト云フヤウナコトノ必要モ
アルダラウト思ヒマシテ、ソレ等ノ點ヲ兩
方考慮シテ決定スル外ハナイモノト思ッテ
居リマスガ、若シ私ノ方ノ立場ダケヲ考へ
レバ、勞働者ノ方へ還元ヲ多クシタイ、、勞
働者ト云フト語弊ガアリマズケレドモ、產業
ノ方面ニ多ク還元シタイト云フ考ヲ持ッテ
居リマスガ、併シ又一方今日ノ國策ニ副フ
ヤウナ方面ヲモ考ヘナケレバナラヌモノデ
スカラ、私等ノ方ノ今迄ノ希望通リニヤル
ト云フコトモ如何カト云フ風ニ考ヘテ居ル
ヤウナ次第デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=22
-
023・柳澤保承
○伯爵柳澤保承君 出來ルダケ勞働者ガ、
自分達ガ掛ケタト云フ氣分デスネ、ソレヲ
大イニ尊重サレテ善處サレムコトヲ希望致
シマシテ、私ノ質問ヲ終リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=23
-
024・樋貝詮三
○政府委員(樋貝詮三君) 能ク大藏當局ノ
方トモ懇談致シマシテ、御趣旨ニ副フヤウ
ニ致シタイト考ヘテ居リマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=24
-
025・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 他ニ本案ニ付
テノ御質疑ゴザイマセヌカ-、尙本案ノミ
ナラズ、十五法案ノ内何レデモ宜シウゴザイ
マス、質問ガアル方ハ御發議ヲ顯ヒマス、
朝鮮事業公債法ニ付テ一ツ保留シテアッタ
問題ガアルト思ヒマスガ、公債ノ色々ナ種
類ガ發行サレルノデスガ、其ノ內ニ少額ノ債
劵ガ矢張リ朝鮮ニ於テモ同樣ニ發行サレテ
居ルト思ヒマスガ、噂ニ依リマスト成績甚
ダ芳シクナイト云フヤウナコトヲ聞イテ居
リマスガ、實際ノ實情ハドンナ風ニナッテ居
リマスカ、御說明ヲ願ヒタイ発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=25
-
026・水田直昌
○政府委員(水田直昌君) 朝鮮ニ於キマシ
テ國債、貯蓄債劵等ノ時局ニ伴ヒマスル債
劵ノ賣行ハ餘リ面白クナイヤノ噂ガアル
ガ、實情ハドウカトノ御尋デアリマスガ
每年中央ノ當局カラ朝鮮ニ於テ國債ハ凡ソ
ドレダケ、貯蓄債劵ハドレダケ、報國債券
ハドレダケト云フ賣捌ノ割當ヲ受ケルノデ
アリマスガ、其ノ實績ニ付キマシテ數字ヲ
申上ゲテ御了解ヲ得タイト存ジマス、昨年
ノ十一月末迄ノ計數デアリマスルガ、中央
當局ヨリ割當ヲ受ケマシタノガ、總テ〓數
ニ付テ申上ゲマスガ、國債ガ三千二百五十
萬圓デアリマス、賣上ノ實績ガ四千二百二
十萬圓、貯蓄債劵ハ千四百三十萬圓、ソレ
ニ對スル實績ガ千五百八十萬圓、報國債劵
ノ割當ガ極ク小額ナ一圓劵モ含メマシテ、
千六十萬圓ノ割當ニ對シマシテ、實績ガ千
百七十五萬圓ト云フコトニ相成ッテ居リマ
ス、全部合計致シマスルト割當ヲ受ケマシ
タノガ約五千七百四十萬圓、ソレニ對シマ
シテ賣上ノ實績ハ約六千九百七十萬圓、大
體割當ニ對シマシテ二割程度ノ增加ノ賣上
ヲ示シテ居ル次第デアリマシテ、計數ト致
シマシテ總額ハ甚ダ少クアリマスルガ、大
體中央當局ヨリ割當ヲ受ケマシタモノニ對
シマシテハ、若干ソレ以上消化ヲ致シテ居
ルト云フ實績ニ相成ッテ居リマス、唯、只今
御指摘ノヤウナ御意見ガ出マスルノハドウ
云フ點ニアルカトフ云コトヲ、私實績ニ依ッ
テ忖度致シマスルト貯蓄債劵、報國債劵ナ
ドハ割增金ガ附キマスノデ、朝鮮人トシマ
シテハ割合ニ喜ンデ購入ヲ致スノデアリマ
スガ、國債ハ御承知ノヤウニ利率ガ、純利
廻リガ三分六厘前後ト云フコトデアリマシ
テ、別ニ割增金ガ附キマセス、國債ガ三千
二百五十萬圓ニ對シ寳績ガ四千二百二十萬
圓、割當ニ對シマシテ三割程度增加致シテ
居リマスガ、實ハ此ノ國債ノ賣行實績ノ過
半數ハ內地人ノ購入ニ係ッテ居ルモノデア
リマス、國債ノ朝鮮人方面ニ對スル賣上ガ
芳シクナイ、此ノ點ガ只今御質疑ノ出タ一
ツノ因ヂヤナカラウカト、斯ウ忖度致スノ
デアリマスガ、國債ニ付キマシテ朝鮮人側
ノ賣行ガ比較的鈍化スル、宜シクナイト云
フノハ色々原因ガアリマスガ、考ヘマスル
ニ大體朝鮮ニ於キマシテハ、資產ヲ蓄積ス
ル手段ト致シマシテ、土地ト云フモノニ古
來カラ非常ニ重キヲ置イテ居リマス、從ヒ
マシテ此ノ金ナドノ形ニ於テ資產ヲ蓄積ス
ルト云フコトガ、臺灣人ナドニ較ベテ非常
ニ其ノ點ガ相違致シテ居リマシテ、詰リ土
地ニ對スル投資ト云フコトノ考ヘ方ガ古來
カラノ習慣トシマシテ非常ニ强イト云フ點
ガ一ツデアリマス、尙經濟ガマダ比較的一
般トシマシテ進ンデ居リマセヌ、從ヒマシ
テ國債ヲ含ミマシタ有價證劵、株劵トカ、
社債トカ云フ有價證劵ト云フモノニ對
スル何ト申シマスカ、訓練ト申シマス
カ、理解ト申シマスカ、是ガマダナカノ
我々內地人ノ考ヘマスヤウニ十分ニ屆イテ
居リマセヌト云フノガ大體ノ原因デアラウ
ト思ヒマス、尙公債ノ利廻リト云フ點、是
ハモウ私益ダケノ考へ方デアリマスガ、利
廻リガ割合ニ低イ、採算上現實的ニ割合ニ
有利ナ方面ニ金ガアレバ向ケヨウト云フ、
是ハ無論免レ難イ個人的利害ノ問題デアリ
マス、朝鮮ノ利廻リハ何ト申シマシテモ
マダ資本ガ甚ダ貧弱デアリマスノデ、例
バ預金ノ利子ナドニ致シマシテモ、內地デ
ハ東京デ銀行ノ六箇月以上ノ定期預金ガ年
三分三厘ト云フコトニ相成ッテ居リマスガ、
ソレニ對シマシテ朝鮮ハ最近ドン〓〓金利
ヲ下ゲテ居ル方向ニ進ンデ居リマスケレド
モ、尙定期預金ノ三分三厘ニ對シマシテ、
京城ノ所謂甲種銀行······朝鮮銀行トカ殖產
銀行トカ云フ一流ノ銀行ニ於キマシテハ、
一厘高ノ三分四厘、二流銀行ハ三分七厘ト
云フ定期預金ノ利子ヲ附シテ居ルト云フ狀
況デアリマス、政府デ扱ヒマスル郵便貯金
ニ致シマシテモ、內地ハ二分七厘六毛デゴ
ザイマスルガ、ソレニ對シマシテ朝鮮ハ三
厘六毛高ク三分一厘二毛ト云フ風ノ利子ヲ
附ケテ居ルノデアリマス、要シマスルニ、
資金ノ蓄積ガ比較的尙貧弱デアリマスルノ
デ、他ノ全般ノ利廻リガ比較的高イト云フ
コトモ、此ノ國債ト云フモノニ對スル朝鮮
人ノ消化率ガ比較的宜シクナイト云フ一ツ
ノ原因デアラウト存ズルノデアリマス、何
レニ致シマシテモ國債、貯蓄債劵、報國債
劵ナドノ消化ハ時局柄必要ナコトデアリマ
ズルノデ、理由ノ如何ニ拘ラズ總督府ノ當
局ト致シマジテハ、此ノ全鮮ノ內ニ時局認
識ヲ深メル總力運動ト云フモノヲ展開シテ
居リマスルガ、總督府ハ勿論デアリマスル
ガ、其ノ總力運動ヲ通ジマシテ時局ノ認識
及ビ公債トカ、斯ウ云フモノニ付テノ認識
ヲ徹底セシメマシテ、尙將來ノ消化ニ付キ
マシテ十全ヲ期スルヤウニ致シタイト存ズ
ル所デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=26
-
027・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 皆サンニ御諮
リ致シタイノデスガ、此ノ臺灣事業公債ニ
マダ質問ガ一ツ保留シテアリマスガ、少シ
時間ガアルヤウデアリマスカラ、是ハ是ト
シテ、之ヲ除キマシテ、其ノ外ノ十四法案
ニ對シマシテハ全部質問ハ終了シタト云フ
コトニ心得テ御異議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=27
-
028・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 御異議ナイト
認メマス、質問モ大體終了致シマシタカラ、
今度ハ討論ニ入リ採決ヲ致シタイト思ヒマ
ス、先ヅ各案ニ付テ一々討論ヲ願ヒ且採決
致シテ參リマス、第一ニ昭和十五年法律第
六十九號中改正法律案、之ヲ議題ニ供シ討
論ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=28
-
029・村上恭一
○村上恭一君 此ノ法律案ハ支那事變ニ關
スル一時賜金トシテ交付スル公債發行ノ法
律デゴザイマス、此ノ公債發行金額ヲ增加
スルト云フノガ改正案ノ內容デゴザイマス、
此ノ改正ハ、數量ニ於キマシテハ固ヨリ當然
ナコトト思ヒマス、唯金額デアリマス、是
ハ御承知ノ通リ交付公債デアリマスノデ、
此ノ公債發行ノコトハ歲入歲出豫算ニハ現
レナイコトト存ジマス、此處ニ付託サレテ
居リマスル澤山ノ案件ノ中ニ、他ニモ公債
發行ノ分ガゴザイマスガ、アノ赤字公債デ
アリマストカ、或ハ軍事費公債デアリマス
トカ云フヤウナノハ、金額ハ頗ル多クナッテ
居リマス、併シ是ハ歲入ノ缺陷ヲ補塡スル
爲ノ公債發行デゴザイマス、旣ニ其ノ歲入
歲出ノ豫算ガ承認セラレマシテ、サウシテ
他ニ財源ガナイ以上ハ、其ノ歲入ノ缺陷ヲ
補塡スル爲ニ公債ヲ發行スル外ハナイノデ
アリマス、私共ガ此ノ委員會ニ於キマシテ
赤字公債トカ、軍事費公債トカノ增加案ヲ
議決シマズルコトモ何トナク肩ガ輕イヤウ
ニ感ジマス、然ルニ此ノ交付公債ノ分ハ歲
入歲出ノ豫算ニハ關係ガアリマセヌノデ、
此ノ金額ヲ承認スルニ付キマシテ、吾々此
ノ委員會ノ責任ハ一層重キヲ感ズルヤウニ
私ハ思ヒマス、併シナガラ此ノ金額ガ多過
ギルト云フヤウナコトヲ斷定スル資料ハ吾
吾持合セテ居リマセヌノデアリマスカラ、
政府當局ニ於キマシテ相當ノ見越シヲ立テ
テ、此ノ金額ノ算出ヲナサッタ以上ハ吾々
モ是ヲ承認スル外ナイト思ヒマスガ、唯此
ノ交付公債ヲ以テ行賞ヲ行ビマスル際、其
ノ行賞ノ範圍ニ付キマシテハ、政府當局ニ
於テ深甚ナル考慮ヲ加へラレタイト私ハ認
ムノデアリマス、ソレモ陸海軍ノ軍人軍屬
ニ付キマシテハ、此ノ際申上ゲルコトハゴ
ザイマセヌガ、又軍部ノ官吏以外ノ民間人
ニ付キマシテモ、敢テ申添ヘルコトハゴザ
イマセヌ、私ガ特ニ申添へタイト思ヒマス
ノハ文官ノ行賞ノ範圍デゴザイマス、之ヲ
不當ニ擴ゲナイヤウニ、是ガ爲ニ濫賞ト
云フヤウナ弊ニ陷ルコトガナイヤウニト
云フコトヲ、私ハ此ノ場合ニ於テ力說シタ
イノデゴザイマス、文官ニ對スル行賞ノ範
圍、ソレハ要スルニ戰爭ニ關スル事務ニ從
事シタモノト云フコトデアリマセウガ、之
ノ戰爭ニ關スル事務ト云フコトハ、見方ニ
依リマシテハドンナニデモ廣ク解スルコト
ガ出來ルト思ヒマス、殊ニ今度ノ戰爭ノ如
ク、國家ノ總力戰ヲ以テ之ニ當ルト云フ場
合ニ於キマシテハ、或ハ總テノ文官、各
行政廳ノ文官ハ皆大ナリ小ナリ戰爭ニ關ス
ル事務ニ從事シテ居ルモノト言ヘナイコト
モナイト云フヤウニモ思ハレル次第デアリ
ママ、文官ニ對シマシテモ或範圍ニ於テ此
ノ行賞ノ行ハルベキハ當然デアリマスガ、
ドウカ其ノ範圍ヲ不當ニ擴張シナイヤウ
二、政府當局ニ於テ深甚ナル御考慮ヲ煩ハ
シタイト思フノデアリマス、從來ノ實績ヲ
見マシテモ其ノ點ハ或ハ少シドウデアラウ
カ、文官ニ對スル行賞ノ範圍ガ少シ廣キニ
過ギルノデハナカラウカト云フヤウナ感ジ
ヲ持ツコトガナイデモアリマセス、自分一
個ニ屬スルコトヲ申上ゲマシテ甚ダ恐縮デ
ゴザイマスルガ、私嘗テ樞密院ニ在職シテ
居リマスル頃ニ、戰爭ノ時ニ當リマシテ、
其ノ後デ矢張リ論功行賞ヲ受ケタノデアリ
マス、其ノ行賞ハ誠ニ有難イ御沙汰デハア
リマスルガ、果シテ私共迄其ノヤウナ行賞
ニ與ッテ宜シイノデアラウカト云フコトヲ、
自ラ顧ミマシテ何トナク氣恥カシイヤウナ
心持ガシタコトモアルノデゴザイマス、兎
モスレバ範圍ガ擴ガリ過ギルヤウナ嫌ヒガ
ナイデモナイヤウニ思ヒマス、其ノコトニ
付キマシテ又思ヒ合セルノデアリマスルガ、
何レノ行政廳ニ於キマシテモ其ノ部內ニ行
賞ヲ受ケル人ガアリマス、其ノ部內ノ文官
ニ對スル行賞ノ事務ヲ取扱フ係員ガ又アル
ニ違ヒナイノデアリマス、其ノ行賞ノ事務
ヲ取扱フ係員迄、矢張リ戰爭ニ關スル事務ニ
從事シタト云フノデ、行賞ヲ受ケルト云フ
ヤウナコトモアルヤウデアリマス、此ノコト
ニ付キマシテ、或陸軍ノ將官ガ大層憤慨
シテ、他人ガ勳章ヲ戴クコトノ事務ヲ取扱ッ
タカラト言ッテ、自分迄行賞ヲ戴クトハ何事
デアルカト言ッテ、或陸軍ノ將官ガ憤慨サレ
タト云フ噂話ヲ聞イタコトガアリマスルガ、
其ノ憤慨ハ大イニ理由ガアルヤウニ思フノ
デアリマス、サウ云フコトカラ思ヒ合セマ
シテモ、文官ニ對スル行賞ノ範圍ガ、動モ
スレバ不當ニ擴ガル虞ガナイデモナイヤウ
ニ思ヒマス、就キマシテハ此ノ交付公債ニ
依ツテ行ハレル行賞、文官ニ對スル行賞ニ
付キマシテハ、其ノ範圍ヲ劃定スルコトニ、
關係當局ニ於テ十分ナル注意ヲ施サレタイ
ト思フノデゴザイマス、是ハ此處ニオイデ
ノ大藏省ノ當局ノ御方ノ考バカリデナク、
關係各省全部、殊ニ其ノ事務ヲ總括スル內
閣ノ賞動局ト云フヤウナ所ニ於キマシテ、
又結局ハ內閣總理大臣、サウ云フ所デ痛切
ニ御考慮ヲ願フベキコトデアルト思ヒマス、
私ハ其ノヤウナ希望的ノ意見ヲ以チマシテ、
此ノ案ニ贊成スルト云フコトヲ申上ゲマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=29
-
030・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 他ニ御發言ゴ
ザイマセヌカ、ナケレバ討論ハ終結シタモ
ノト認メマス、是ヨリ採決ニ入リマス、本
案ハ原案通リ可決スルト云フコトニ御異議
ハゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=30
-
031・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 御異議ナイト
認メマス、仍テ全會一致原案通リ本案ハ
可決ニ相成リマシタ、先程チヨット申上ゲマ
シタガ、臺灣事業公債法中改正法律案ニ一
點質疑ガ殘ッテ居リマス、此ノ點ヲ此ノ間ニ
挿ミマシテ質疑ヲ續行シタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=31
-
032・齋藤樹
○政府委員(齋藤樹君) 先達テノ東〓男爵
ノ御質問ニ對シマシテ御答ヲ申上ゲマス、
臺灣總督府ガ設ケラレマシタ當時、又我ガ
國ト致シマシテハ相當先覺者ト目セラルル
人々ガ臺灣ヲ根據トシテ或ハ福建省ヲ考
ヘ若シクハ臺灣ヲ根據トシテ南洋方面ヲ
考ヘタト云フ程度デアリマシテ國ノ政治
ノ內容トシテ、若シクハ又國民ノ多數ガ南
方ニ著目スルト云フヤウナ情勢ガナカッタ
ノデアリマスガ、臺灣總督府ト致シマシテ
ハ臺灣統治ノ使命ガ謂ハバ臺灣ヲ根據ト
シテ南支、南洋ニ我ガ國ノ文化或ハ經濟ニ
關スル力ヲ伸バスベキ立場ニ置カレテ居ル
ト云フ其ノ自覺ニ基キマシテ、南進ニ付キ
マシテノ、臺灣トシテノ御奉公ニ付テハ努
力ヲ繼續シ來ッテ居ル、今日臺灣總督府ノ豫
算ノ中ニ南支南洋施設費ト云フ科目ガゴザ
イマスルガ、此ノ南支南洋施設費ノ濫觴
ハ明治三十三年デアリマス、其ノ後累年
此ノ南支南洋施設費ノ支辨ニ依リマシテ、
或ハ學校ノ設立ニ依リマシテ南支南洋ニ
於ケル在留邦人、臺灣籍民及支那人ナドノ
〓育若シクハ又病院ノ經營、或ハ新聞ノ
經營、更ニ進ミマシテハ邦人企業ノ助成
ト云フヤウナ各方面ニ努力ヲ續ケ來ッテ居
リマス、昭和十六年度ニ於キマシテノ南支
南洋施設費ハ八百萬圓、昭和十七年度ニ於
キマシテモ稍〓ソレニ增額ヲ見テ居ルヤウナ
狀態デアリマス、勿論我ガ國ノ、國家トシ
テ若シクハ又民間企業者トシテ、南方ニ對
スル投資ノ總額ガ、或ハ英國、「オランダ」
等ノソレニ比較致シマスレバ、極メテ僅カ
デアルコトハ已ムヲ得ナイノデアリマスケ
レドモ、併シ今日ニ於キマシテ南支方面或
ハ南洋方面ニ相當ノ邦人ノ投資ガ行ハレ、
邦人ノ企業ガ進出致シマシテ、今日アルヲ
得テ居ル一ツノ原因ハ、未ダ中央ニ於テ太
ナル關心ノ拂ハレナカッタ時代カラ臺灣總
督府トシテ其ノ方面ニ隱レタル努力ヲ拂ヒ
來ックコトモ一ツノ原因ニナッテ居ルノデハ
ナイカト、我々ト致シマシテハ考ヘテ居ル
ノデアリマス、勿論色々國際關係カラ臺灣
總督府ト致シマシテハ、中央政府カラモ相
當オ小言ヲ頂戴シ、若シクハ相當程度ノ制
限ヲ受ケタ事實モ再々アッタノデアリマス
ルガ、何レニ致シマシテモ明治三十三年以
來臺灣總督府ノ南支南洋施設費ガ年ヲ逐
フ每ニ其ノ數字ヲ增シテ參リマシタコトハ
隱レノナイ事實デアルノデアリマス、併シ
ナガラ此ノ明治時代ニ於キマシテモ、臺灣
ガ南支竝ニ南洋各地ニ對シテ其ノ手ヲ延バ
シマシタコトハ、南支南洋施設費ダケニ依ッ
テ賄ヒマスル事業費ダケデハナイノデアリ
マシテ、謂ハバ臺灣コソハ日本ノ前衞隊ト
シテ、南方ニ延ビ行ク一ツノ踏石デアルト
云フ立場ニ於キマシテ、他ノ費目ニ於キマ
シテモ或ハ航路補助、或ハ通商振興、若シ
クハ企業進出等ニ付テハ有ラユル方法ニ依
ル政策ヲ講ジ來ッテ居ッタノデアリマス、殊
ニ臺灣人ハ漢民族デアリマスノデ、此ノ漢
民族ガ眞ニ心カラ我々大和民族ト一體トナッ
テ活動ヲ致シマスル爲ニハ、ドウシテモ其
ノ狙ヒハ狹イ立場ニ於テハ期待シ得ラレナ
イノデアリマシテ、大東亞共榮圈ノ確立ト
云フヤウナ文字コソ使ハレテ居リマセヌケ
レドモ、其ノ當時既ニサウシタ思想ニ基イ
テノ幾多ノ施策ガ行ハレテ居ッタノデアリ
マス、從ツテ臺灣統治ノ上カラ見マシテモ、
南支、南洋ニ對スル臺灣總督府ノ施設ハ極
メテ必要デアリ、サウシテ又同時ニ臺灣ニ
於ケル統治上デモ好影響ヲ及シテ居ッタト
考ヘラレルノデアリマス、デ今囘ノ支那事
變ガ勃發致シマシテ、其ノ戰火ガ南支ニ波
及致シマシタ當時、臺灣ト致シマシテハ總
督府ト言ハズ、民間ト言ハズ、南支各占領地
ノ經營ニ付キマシテハ、軍ト協力ヲシテ經
濟建設或ハ治安確保、有ラユル方面ニ遺憾
ナキヲ期シテ居ッタノデアリマス、勿論其ノ
間ニ色々ナ經過ヲ辿ッテ參ッテ居ルノデハア
リマスルケレド干、只今其ノ經過ヲ申上
ゲマスルコトハ煩鎖デアリマスルカラ、現
在南支及南洋ニ於テヤッテ居リマスル事柄
ヲ、極ク搔摘ンデ事項ダケヲ竝ベテ申上ゲ
ル程度デ御諒承ヲ願ヒタイト思ヒマス、先
ヅ南支各地ニ對スル施策デアリマスルガ、
昭和十三年五月厦門ガ攻略セラレマシテ、
其ノ後、廣東、海南島、油頭等ガ相次イデ
占領セラルニ從ヒマシテ、臺灣總督府
ハ從前カラノ施設デアリマシタ所ノ學校、
病院、新聞ノ如キ事業ヲ直チニ復舊擴充致
シマスルト共ニ、郵便事業、電信事業、鐵
道事業等ノ復興ニ付キマシテハ、殆ド軍ノ
要求ノマニ〓〓物ト人トヲ提供致シマシテ
其ノ局ニ當リ、更ニ其ノ後ニ於ケル運營ニ
付キマシテモ、相當ノ職員ヲ派遣シテ之ヲ
引受ケ來ッテ居ルノデアリマス、或ハ電氣、
水道等ノ施設ニ付キマシテハ臺灣拓殖株式
會社、臺灣電力株式會社ナドガ其ノ衝ニ當
リマシテ、又其ノ後ニ於ケル維持經營ニ付キ
マシテモ、或程度之ヲ御引受ケシテ今日ニ
至ッテ居ルヤウナ狀態デアリマス、是等ノ事
業ガ多種多樣ニ亙リ、事業地域ガ廣汎ニナ
リマスルニ連レテ、總督府トシテモ是等事
務ヲ總括致シマスル爲ノ必要ヲ感ジマシタ
ノデ、總督府內ニハ外事部ヲ設ケ、又現地
ニハ各地ニ事務官ヲ主班トスル出張所ヲ設
ケタヤウナ次第デアリマス、總督府ノ代行
機關デアリマスル財團法人博愛會ガ事變前
カラ經營シテ居リマシタ厦門、廣東、油頭
ノ病院ヲ復舊擴充致シマスルト共ニ、廣東
附近ニ於キマシテハ佛山及中山縣、又油頭
近クノ潮州、是等ノ土地ニ病院ヲ開設致シ
マシテ、在留邦人ノ診療ハ固ヨリ、一般支
那人ニ對シテモ診療ヲ行ッタノデアリマス、
又軍ノ要請ニ基キマシテハ南寧、欽縣ナド
ヲ初メト致シマシテ、各地ニ診療班ヲ派遣
致シマシテ、若シクハ防疫事業ニ從事致シ
マシテ、相當ノ功績ヲ擧ゲテ參ッテ居リマ
ス、海南島ノ攻略成リマスルヤ、其ノ北部
ノ海口及南部ノ三亞、此ノ二箇所ニ病院ヲ
開設致シマシテ、其ノ他ノ地方ニモ診療班
ヲ派遣致シマスル等、軍ノ行動ニ從ヒマシ
テ第一線的ノ働キヲ爲シ來ッテ居ルノデアリ
マス、廣東地方ハ數十年來「コレラ」ノ患者ノ
絕エタコトノナイ土地デアリマスケレドモ、
一昨十五年ニ於キマシテハ遂ニ「コレラ」ヲ
絕滅スルコトガ出來タノデアリマス、昨十
六年ニ於キマシテハ再ビ「コレラ」ノ發生ヲ見
マシタケレドモ、是等衞生狀態ノ改善ニ付
キマシテ博愛會ガ貢獻致シマシタ所ハ尠ク
ナカッタト感ジテ居リマス、昭和十六年度ノ
博愛會ノ豫算ハ二百餘萬圓デアリマシテ、
最近ニ於ケル南支地方ニ派遣致シテ居リマ
ス幹部職員ノ數ガ百十九人ト云フ數ニナッ
テ居リマス、尙總督府ハ事變前カラ厦門、
福州其ノ他ノ各地、ニ日本人ノ小學校竝ニ臺
灣籍民ノ〓育ノ爲ニ必要ナル〓員ヲ派遣致
シマシテ、同時ニ學校經營費ノ補助ヲ支出
シテ參ッテ居リマスガ、是等ノ土地ハ占領直
後直チニ是等ノ學校ヲ復舊致シマスト共ニ、
在留邦人ノ增加ニ伴ッテ其ノ學校ヲモ擴充
致シタノデアリマス、昭和十六年度ニ於キ
マシテハ、厦門、汕頭、廣東ニ合計八十四
人ノ小學校〓員ヲ派遣致シテ居リマス、其
ノ小學校兒童數ハ三千人餘リニ上ッテ居リ
マス、十七年度ニ於キマシテハ更ニ之ヲ擴
充致シマシテ、海南島ノ海口ニ國民學校ヲ
開設致シマスルノト、又厦門ノ商業學校ニ
モ臺灣カラ〓員ヲ派遣致シマスル等ノ計畫
ヲ持ッテ居リマスルノデ、派遣〓員ノ總數ハ
百三名ニ上ル豫定デアリマス、新聞事業ニ
付キマシテハ、古ク臺灣ニ善隣協會ト云フ
財團ヲ設立致シマシテ、福州竝ニ厦門デ新
聞ノ發行ヲシテ來テ居ッタノデアリマスル
ガ、事變後ニ先ヅ第一ニ廈門ノ全閩新日報
ヲ復興致シマシタノガ手初メト致シマシテ、
廣東ニ廣東迅報、油頭ニ粤東報ヲ復興致シマシ
テ、何レモ其ノ地唯一ノ漢字新聞トシテ相當。
ノ效果ヲ擧ゲテ居ルノデアリマス、是等ノ新
聞ハ昨年度カラ興亞院ノ監督ヲ受ケルコト
トナリマシタケレドモ、經營ハ依然トシテ
臺灣ノ善隣協會ガ之ニ當ッテ居ル次第デアリ
マンク、昭和十三年カラ香港ニ於キマシテ
香港日報ヲ經營シテ來テ居リマスルガ、抗
日ノ眞只中ニ於キマシテ絕エザル迫害ト鬪
ヒナガラ活躍ヲ續ケテ來テ居リマス、今囘
ノ大東亞戰爭勃發前、卽チ昨年六七月ノ頃
カラ殆ド香港日報ハ發行停止ニ近イ取扱ヲ
受ケテ參ッテ居ルノデアリマスガ、先頃香港
攻略ト共ニ、香港日報ハ直チニ再ビ其ノ
發行ヲ續ケテ來テ居リマス、サウシテ是等
ノ漢字新聞ガ南支各地ニ於テ發行セラレマ
スルノト前後致シマシテ、臺灣島內ニ於キ
マシテハ一齊ニ各新聞ガ漢字面ヲ廢止致シ
マシタノデアリマシテ、支那ニ於ケル是等
漢字新聞ノ編輯其ノ他ニ付キマシテハ多
數ノ本島人2活躍ヲ期待スルコトガ出來マ
シテ、新聞事業其ノモノノ爲ニハ固ヨリ、
臺灣統治上ニ於キマシテモ誠ニ好マシキ結
果ヲ呈シタヤウナ狀態デアリマス、尙厦門
攻略ノ直後、臺灣關係有識者ノ一ツノ力ニ
依リマシテ、日華ノ親善提携ヲ目的トスル
共榮會ト云フ團體ヲ組織致シタノデアリマ
スルガ、是ハ南支及海南島ノ各地ニ於テ共
榮會ガ日本語ノ講翌或ハ育英事業、施療事
業〓映畫館ノ經營、巡囘映寫、救護事業、
雜誌ノ發行ト云フヤウナ仕事ヲ尙活潑ニ今
日經營致シテ居リマス、又共榮印書館ト云
フ謂ハバ出版屋、本屋ヲ經營致シテ居ルノ
デアリマシテ、共榮會ノ十六年度豫算ハ百七
萬圓ニ上ッテ居リマス、共榮會ノ施設ハ廣
東油頭、厦門、海·南島ヲ主ナル土地ト致
シマシテ、其ノ他ノ占領地各地ニ散在致シ
テ居リマス、以上ノ外廓團體ニ實施セシメ
マスル事業ノ外ニ、臺灣總督府自身ト致シ
マシテモ或ハ留學生ノ招致デアルトカ、若
シクハ新聞記者、學生等ノ國際的ノ集リ、
各種フ競技會ノ開催、觀光團ノ誘致ト云フ
ヤウナ事業モ隨時實施致シテ居リマスルガ、
別ニ南方協會、大亞細亞協會ト云フヤウナ
「アッソシエーション」ノ仕事デアリマス所
ノ文化交驩、調査〓究、提携促進ト云フヤ
ウナコトヲ目的ト致シマスル事業ニ對シマ
シテハ、多年補助金ヲ交付致シマシテ今日
ニ至ッテ居ルノデアリマス、次ニ經濟的ノ施
設ト致シマシテ、臺灣總督府ハ臺灣銀行及
華南銀行ヲ通ジマシテ、各地ノ邦人企業及
ビ中小商工業者ノ組織スル金融組合ヲ助成
シテ參リマシタコトハ廣ク御承知ノ方ガ多
イト存ジマスルガ、昭和十年特ニ南支、南
洋ニ於ケル邦人拓殖事業ノ進展ニ拍車ヲ掛
マスル目的ヲ以テ、臺灣拓殖株式會社ヲ設
立致ジタノデアリマスルガ、事變以來臺灣
拓殖株式會社ガ南支ニ於テ實施致シマシタ
ル事業ハ相當多方面ニ亙ッテ居リマス、廣東
ニ於キマシテハ電氣水道ノ復舊ヲ爲シ、現
在ハ水道事業ノ委託經營ヲ受ケ、又別ニ農
林業、建築事業、鑛物ノ採掘及ビ買入ヲ經
營致シテ居リマス、油頭ニ於キマシテモ
電氣、水道ノ復舊ヲ引受ケ、現在ニ至ル迄水
道事業ノ委託經營ヲ受ケテ居リマス、海南
島ニ於キマシテハ更ニ自動車事業或ハ又廣
ク農林事業、畜產事業、建築事業等ニ亙リ
マシテ同島開發ノ爲ニ一臂ノ力ヲ注イデ
居ルヤウナ狀態デアリマス、是等ノ各地ニ
於ケル臺灣拓殖株式會社ノ現在迄ノ投資額
ハ六百八十萬圓デアリマスルガ、今後約五
箇年間ニ於キマシテ、更ニ此ノ上ニ約八百
萬餘圓ノ投資ヲ必要トスル豫定デ或事業ヲ
計畫致シテ居リマス、尙臺灣拓殖株式會社
ト竝ンデ申上ゲタイト存ジマスルノハ福
大公司ノコトデアリマスガ、福大公司ハ福
建省ヲ中心トシテ南支產業資源ノ開發促進
ヲ目的トシテ十四年ニ設立セラレタモノデ
アリマス、此ノ福大公司ガ厦門ニ於ケル電
氣水道及自動車事業復舊ニ協力シ、又現
在ニ於キマシテハ厦門ノ自動車、水產ヤ製
氷事業、倉庫事業等ノ事業ヲ經營致シテ居
リマス、廣東、汕頭ニ於キマシテモ自動
車交通事業、魚市場ノ經營ト云フヤウナ事
業ニモ特ニ當ッテ居リマス、此ノ外ニ各製糖
會社及臺灣銀行、革南銀行ナドガ海南島ノ
開發ノ爲ニハ相當相率ヰテ進出致シマシテ
協力ヲ致シテ居リマスノミナラズ、臺灣在
住ノ中小商工業者ニシテ、對岸及海南島ニ
進出致シマシタ數ハ相當多數ニ上ッテ居ル
ノデアリマス、デ是等ノ各種團體及民間諸
會社ノ進出ト對應致シマシテ、總督府ハ廣
東油頭、海口、三亞ニ出張所ヲ置キマシ
テ此處ニハ事務官以下ノ職員ヲ派遣致シ
マシテ、多方面ニ亙ル事業ノ助成竝ニ指導
監督ニ當ッテ居リマス、又南支各地ニ於ケル
軍ノ要員トシテ派遣セラレテ居リマスル職
員ノ數ヲ御參考迄ニ申上ゲマスレバ、鐵道
ノ關係ニ於キマシテ五百四十名、遞信關係
ニ於キマシテ二百七十名、警察、官三百九十
名ニ上ッテ居ルノデアリマス、此ノ外ニ此ノ
人員外デアリマスルガ、南支及海南島ニ於
ケル電信事業ハ一切總督府ノ遞信部ガ引受
ケマシテ、直接現在經營ヲ續ケテ來テ居リマ
ス、尙ホ南洋ト我ガ國トノ間ノ經濟
提携或ハ交化交驩等ヲ目的ト致シマスル各
種團體ニ對スル助成ハ年來繼續シテ居リマ
スルガ、昭和十五年度ニ於キマシテ新タニ
臺灣南方協會ヲ設立致シマシテ、南方圈ニ
於ケル各種ノ調査竝ニ南方進出ニ備ヘマス
ル人材ノ養成ニ當ラシメ來ッテ居リマス、又
民間ノ寄附金ニ依リマシテ財團法人南方資
料館ヲ設立致シタノデアリマスルガ、
南方資料館ハ臺灣總督府ヲ初メ、臺灣ニ存
スル南洋ニ關スル貴重ナル資料ヲ蒐集
整理致シマシテ、各方面ノ使用ニ供シテ居
ルノデアリマス、是等ノ施設ガ今後我
ガ國ノ南方經營ニ貢獻スルコトモ蓋シ尠カ
ラザルモノガアラウト存ジマス、以上申上
ゲマシタノハ何レモ現地ニ於ケル、又ハ現
地ニ對スル施設デアリマスルガ、臺灣總督
府ノ島內ニ於テ經營致シテ居リマスル
各種ノ試驗所、〓究所竝ニ臺北帝國大學其
ノ他ノ學校ハ何レモ其ノ對象ヲ南方ニ求メ
マシテ、帝國國力ノ南進ニ對シテ餘念ナキ
〓究ヲ續ケテ居ル狀態デアリマシテ、昭和
十七年度ニ於キマシテハ、新タニ臺北帝國
大學ニ南方文化〓究所及南方資源科學〓究
所ヲ設立致シマシテ、一層其ノ方面ノ〓究
ヲ促進スル考デ居ルノデアリマス、尙其ノ
他南洋各島々ニ對シテ、臺灣トシテ施設シ
來リマシタル幾多ノ事業ガゴザイマス、唯
此ノ方面ノ各島々ハ、現ニ尙作戰中デアリ
マスノデ、或ハ申上ゲマスコトヲ差控ヘタ
方ガ宜イノデハナイカト考ヘラレル點モゴ
ザイマス、若シ御要求ガアリマスレバ、或
ハ臺灣拓殖株式會社ガ其ノ子會社トシテ、
「フィリッピン」若シクハ「ジャヴァ」其ノ他
ノ地方ニ設立致シマシテ、經營致シテ居リ
マスヤウナ事業ニ付テハ、或程度迄申上ゲ
ルコトハ出來ルカト存ジマス、此ノ點ハ若
シ御要求ガナケレバ南方各島々ニ付テノ事
業ニ付テハ、或ハ御許シヲ願ッタ方ガ適當
デハナイカト存ジマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=32
-
033・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 他ニ御發議モ
ナイヤウデゴザイマスカラ、臺灣事業公債
法中改正法律案ノ質疑應答ハ終了シタモノ
ト認メテ差支ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=33
-
034・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 御異議ナイト
認メテ終了シタモノト認メマス、就キマシ
テハ只今御說明ノアリマシタ中、南洋ニ關
スル御說明ノ部分ニ付テハ速記カラ之ヲ削
除スルコトノ御話ガアリマシタカラ左樣取
計ラヒマス、臺灣事業公債法中改正法律案、
之ノ討論ニ入リタイト思ヒマス、御意見ノ
開陳ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=34
-
035・東郷安
○男爵東〓安君 私ハ此ノ法案ニ付テ特ニ
目立ツ總督府ノ新事業デアル大甲溪水力發
電事業ニ付テ一言申述べタイト思フノデア
リマスガ、先般御說明ヲ承リマシタ所ニ依
ルト、先年完成致シマシタ日月潭水力電氣
ノ出力ニ較ベテ、數倍ノ大規模ノモノヲ新
タニ計畫サレル、而シテ時勢ノ推移ハ斯カ
ル大規模ノモノモ、先年ノ議會其ノ他ニ於
テ現レタアノ經過ヲ顧ミテ、誠ニ感慨深キ
モノガアルノデアリマス、而シテ其ノ事業
ノ目的トスル出力ノ約三分ノ二ハ、目下最
モ緊要トスル高「オクタン」價ノ航空燃料ノ
產出ニアルト云フコトデアリマス、併シ此
ノ方法ハ如何ナル方法過程ヲ採ラレルノデ
アリマスルカ、先達テ御說明ノ天然瓦斯ノ
操作ニ依ルト云フコトダケデハ、實ハマダ
私共十分諒解シ得ナイノデアリマス、仄聞
スル所ニ依リマスレバ、今日ノ「ハイオクタ
ン」價殊ニ「イソオクタン」ヲ產出スル上ニ
於テハ種々ナ方法ガ考へラレ、瓦斯カラ「ア
セチレン」ニ誘導シテ更ニソレニ電力ヲ加
ハイト若シクハ酸酵法ニ依ル「ブタノー
ル」ノ生產等ノ方法ガアッテ、ソレハ專門家
ニ於テモマダ必ズシモ大規模ノ生產ニ全幅
ノ自信ガアルト云フ所迄ハ行ッテ居ラナイ
ヤニ承ルノデアリマス、併シ是ハソレ〓〓
ノ專門家ニ於テ十分御〓究ノ上デ將來トモ
善處セラレルコトデアリマスルカラ、暫ク
其ノ點ニ付テハ十分ナ信賴ヲ置イテ、將來
ノ完成ヲ待チタイト思ヒマス、併シ此ノ大
甲溪ノ莫大ナル發電水力事業ノ計畫ハ、今
囘ノ大東亞戰爭ノ勃發以前ニ於テ既ニ著々
計畫セラレ、其ノ目標トスル所ハ近年總督
府ニ於カレテ熱心ニ御〓究ノ結果、臺灣產
業ノ工業化、殊ニ目下進行中ノ新高港ヲ中
心トスル工業都市ノ出現、其ノ他先程モ御
話ガアリマシタガ、電力ノ消費ニ依ッテ南方
熱帶資源ノ消化吸收ヲ容易ナラシメルト云
フコトデアリマスカラ、其ノ點ニ付テハ先年日
月潭ガ問題ニナリマシタ時分ニ、其ノ電力ノ消
費ヲドウスルカト云フ時ノ一般官民ノ憂慮ト
ハ大分時勢ガ變ツテ、必ズヤ新シキ局面ニ對シ
テ十分安心シタ消化ノ方面ガ得ラレヤウト
ハ思ヒマスガ、先程申シマシタ航空燃料ノ生
產ニ付キマシテモ、特定地域卽チ臺灣ノ如
キモノノミニ囚ハレテ考ヘラレズ、須ラク綜
合的ニ資源ノ所在及ビ工業立地ノ大東亞圈
内ニ於ケル全般ノ地域ヲ見渡シテ、更ニ此
ノ際御檢討ヲ願フコトガ最モ安全著實ナル
方法デハナカラウカト思フノデアリマス、
固ヨリ先般總理ノ御演說ノ中ニアリマシタ
通リ、日滿支ヲ核心トスル國防資源ノ確保
及ビ之ガ國防產業ノ確立ト云フコトハ當然
ナコトデアリマスルケレドモ、ソレニシテ
モ尙此ノ電力消費ノ問題、殊ニ航空燃料ノ
生產ニ付キマシテハ尙十分ナル御檢討ヲ相
願ヒタイト思フノデアリマス、尙從來行ハ
レマシタ此ノ種ノ土木事業ノ經過ニ鑑ミ
テ、今囘ノヤウナ大規模ノ工事ハ、須ラク
當局ニ於テハ大方針、根本方針ヲ示スニ止ッ
テ、詳細ニ付テハ思ヒ切ッテ一括シテ之ヲ適
當ナル工事者ニ御委託ニナルコトヲ、從來
ノ經驗ニ鑑ミテ私ハ特ニ希望致シテ置キマ
ス、此ノ意味ヲ附シテ本案ニ贊成致スモノ
デアリマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=35
-
036・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 他ニ御意見ガ
ナケレバ討論ハ終結シタモノト認メマス、
續イテ本案ノ採決ヲ致シマス、本案ハ原案
通リ可決ニ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=36
-
037・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 御異議ナイト
認メマス、仍テ本案ハ全會一致ヲ以テ可決
相成リマシタ、次ニ移リマス、朝鮮事業公
債法中改正法律案、之ノ討論ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=37
-
038・東郷安
○男爵東郷安君 本案ニ私ハ贊成致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=38
-
039・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 他ニ御意見モ
ナイヤウデアリマスカラ討論ハ是デ終結シ
タモノト認メマス、續イテ採決ヲ致シマス、
本案ハ原案通リ可決致シテ差支ゴザイマセ
ヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=39
-
040・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 御異議ナイト
認メマス、仍テ本案ハ全會一致ヲ以テ原案通
リ可決相成リマシタ、次ハ高等商船學校及
商船學校ノ移管ニ伴フ一般會計及學校及圖
書館特別會計ノ關涉ニ關スル法律案、之ノ
討論ヲ願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=40
-
041・村上恭一
○村上恭一君 是ハ前囘質問ノ際ニ私ガ少
シ强過ギル位ニ發言シタモノデゴザイマス
ガ、此ノ法律ハ高等商船學校及商船學校ノ
移管ニ伴ヒマシテ必要ナモノト思ヒマス、
又規定ノ内容モ是デ宜シイコトト思ヒマス、唯
法文ノ上デ「當分ノ內」ト云フ文字ノ置キ所
ガドウモ私ニハ十分滿足出來ナイノデアリ
マスルガ、併シ本案ノ趣旨ハ分ッテ居リマス
ルカラ、私ハ敢テ修正案ヲ提出スル次第デ
ハゴザイマセヌ、唯此ノ法律ハ當分ノ處置
デアルト言ヒマスルノハ、此ノ學校ノ移管
ガ當分デアル、尤モ其ノ「當分」ト申シマシテ
モ今後何年繼續スルカハ分リマセヌガ、兎
ニ角永久ノ處置デハナイ、當分ノ間ノ處置
デアリマス、其ノ當分ノ處置タル學校ノ移
管ニ伴フ此ノ法律デアリマスルカラ、自ラ
此ノ法律ノ壽命モ亦當分デアリ、其ノ當分
ガ過ギレバ此ノ法律ハ自ラ廢止サレマシテ、
サウシテ又此ノ法律ニ依ッテ變更サレタモ
ノハ元ニ還ルト云フ法律ヲ要スルノデアラ
ウカトモ思ヒマス、サウ云フ處置ガ軈テ執
ラルベキモノデアル、此ノ法律ハ當分ノ壽
命シカナイモノデアル、サウ云フ意味ニ於
キマシテ本案ニ贊成スルコトニ致シタイト
思ヒマス、特ニサウ申シマスルノハ、「當分
ノ內」ト云フコトガ第一項ニハ現レテ居リマ
シテ、第二項、第四項ニハ現レテ居リマセ
ヌガ、是亦矢張リ當分ノ內ノ規定デアルト
云フ趣旨ヲ以チマシテ、私ハ此ノ法律案ニ
贊成スルモノデゴザイマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=41
-
042・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) ·他ニ御發言ガ
ナイヤウデアリマスカラ討論ハ終結シタモ
ノト認メマス、從ッテ本案ノ採決ヲ致シマ
ス、本案全部原案通リ可決ト認メテ御異議
ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=42
-
043・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 御異議ナイト
認メマス、仍テ本案ハ全會一致ヲ以テ原案
通リ可決相成リマシタ、次ニ移リマス、作
業會計法中改正法律案、之ノ討論ヲ願ヒマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=43
-
044・柳澤保承
○伯爵柳澤保承君 本案ニ贊成致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=44
-
045・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 他ニ御意見モ
ナイヤウデアリマスカラ討論ハ終結シタモ
ノト認メマス、仍テ採決致シマス、本案ハ
原案通リ可決ト認メテ差支ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=45
-
046・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 御異議ナイト
認メマス、仍テ本案ハ原案通リ全會一致ヲ
以テ可決ト相成リマシタ、次ニ移リマス、
勞働者年金保險特別會計法案、討論ヲ御願
ヒ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=46
-
047・柳澤保承
○伯爵柳澤保承君 本案ニ贊成致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=47
-
048・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 他ニ御意見モ
ナイヤウデアリマスカラ討論ハ終結致シマ
シタ、仍テ本案ノ採決ヲ致シマス、本案ハ
原案通リ可決ト認メテ差支ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=48
-
049・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 御異議ナイト
認メ、仍テ本案ハ原案通リ全會一致、可決
ト相成リマシタ、其ノ次ニ移リマス、昭和十
七年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツル爲公債
發行ニ關スル法律案、討論ヲ御願ヒ致シマ
ス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=49
-
050・村上恭一
○村上恭一君 是ハ所謂赤字公債ノ案デゴ
ザイマスガ、先刻モ申述ベマシタヤウニ、
他ノ一般會計ノ歲入歳出ノ豫算ガ承認セラ
レマシタ以上、サウシテ他ニ財源ガナイ以
上此ノ公債發行ヲ承認スル外ハナイモノ
ト思ヒマス、唯其ノ金額ノ點デゴザイマス
ルガ、過日戴キマシタ資料ノ內、歲入補塡
公債發行豫定額發行濟額及發行豫定殘額調
ト云フモノガゴザイマス、之ヲ見マスト、
昭和十二年度以降五年度ノ狀況ヲ表ニ作ッ
テアリマスガ、發行豫定額ニ對シマシテ發
行濟額ハ可ナリ少イノデアリマス、差引發
行豫定殘額ガ可ナリ殘ッテ居リマス、ソレガ
發行豫定額ニ對シテドノ位ノ步合ニナッテ居
リマスカ、今直チニ計算スルコトハ出來マ
セヌガ、最初ノ昭和十二年度ヲ見マシテモ、
發行豫定額五億三千八百萬圓ニ對シマシテ
殘額ガ一億八千三百萬圓アリマシテ、約三
分ノ一殘ツテ居ルヤウニ思ヒマス、斯樣ナ
發行豫定殘額ヲ生ジマスルノハ、畢竟一面
ニ歲入ノ自然增加、剩餘金ガアル、ソレカラ
他面歲出ノ節約デ經費ヲ減額シタト云フコ
トノ結果デアラウト思ヒマシテ、誠ニ結構
ナコトト思ヒマスガ、此ノ實績ダケヲ見マ
スルト、昭和十七年度ノ赤字公債額トシマ
シテモ、最初カラ是程澤山豫定シナクテモ
宜イノデハナイカト云フヤウニモ思ハレマ
スガ、併シ是ハ歲入歲出ノ豫算ノ總額ヲ等
シクスル爲ニ已ムヲ得ザル數字デアラウト
思ヒマス、結局本案ヲ可決スル外ハゴザイ
マセヌガ、唯之ヲ實施ナサル上ニハ成ルベ
ク發行濟額ヲ少クシテ、殘額ヲ多クナサル
ヤウニ當局ニ希望シテ、十分御考慮ヲ願ヒ
タイト思ヒマス、是ハ申ス迄モナイコトデア
リマシテ、殆ド蛇足ニ等シイコトデアリマ
·スガ、ソレダケノ意味ヲ以チマシテ私ハ本
案ニ贊成致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=50
-
051・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 本案ノ討論ハ
終結致シタモノト認メマス、直チニ本案ノ
採決ヲ致シマス、本案ハ原案通リ可決ト認
メテ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=51
-
052・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 御異議ナイト
認メマス、仍テ本案ハ全會一致原案通リ可
決相成リマシタ、其ノ次ニ移リマス、昭和
十五年法律第七號中改正法律案、討論ヲ願
ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=52
-
053・柳澤保承
○伯爵柳澤保承君 本案ニ贊成致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=53
-
054・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 御發言ガナイ
ヤウデアリマスカラ、本案ノ討論ハ終結致
シマシタ、採決ニ入リマス、原案通リ可決
ト認メテ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=54
-
055・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 全會一致本案
ハ原案通リ可決相成リマシタ、其ノ次ニ移
リマス、昭和十三年法律第五十三號中改正
法律案、討論ヲ御願ヒシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=55
-
056・柳澤保承
○伯爵柳澤保承君 本案ニ贊成致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=56
-
057・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 討論ハ終結シ
タモノト認メマス、仍テ本案ノ採決ヲ致シ
マス、本案ハ原案通リ可決ト認メテ御異議
ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=57
-
058・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 御異議ナイト
認メマス、仍テ本案ハ原案通リ全會一致デ
可決相成リマシタ、其ノ次ニ移リマス昭和
十五年法律第七十九號改正法律案、討論ヲ
御願ヒシマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=58
-
059・柳澤保承
○伯爵柳澤保承君 本案ニ贊成致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=59
-
060・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 別ニ御發言モ
ナイヤウデスカラ討論ハ終結シタモノト認
メマス、直チニ採決ニ入リマス、本案ハ原
案通リ可決ト認メテ差支ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシト」呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=60
-
061・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 御異議ナイモ
ノト認メマス、仍テ本案ハ原案通リ全會一
致可決相成リマシタ、其ノ次ニ移リマス、
海軍工廠資金會計法中改正法律案、討論ヲ
願ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=61
-
062・柳澤保承
○伯爵柳澤保承君 本案ニ贊成致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=62
-
063・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 討論終結ト認
メマス、直チニ採決ヲ致シマス、本案ハ原
案通リ可決ト認メテ御異議ゴザイマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=63
-
064・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 御異議ナイト
認メマス、仍テ本案ハ原案通リ全會一致可決
相成リマシタ、次ハ帝國鐵道會計法中改正
法律案、討論ヲ御願ヒ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=64
-
065・柳澤保承
○伯爵柳澤保承君 本案ニ贊成致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=65
-
066・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 他ニ御發議ガ
ナイヤウデアリマスカラ討論ハ終結致シマ
シタ、直チニ採決ヲ致シマス、本案ハ原案
通リ可決ト認メテ差支ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=66
-
067・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 御異議ナイト
認メマス、本案ハ原案通リ全會一致可決相成
リマシタ、次ニ移リマス、昭和十三年法律
第二十三號中改正法律案発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=67
-
068・柳澤保承
○伯爵柳澤保承君 本案ニ贊成ヲ致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=68
-
069・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 討論終結ト認
メマス、直チニ採決ヲ致シマス、本案ハ原
案ノ通リ可決ト認メテ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=69
-
070・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 御異議ナイト
認メマス、本案ハ原案通リ全會一致可決ニ
ナリマシタ、次ハ昭和十二年法律第八十四
號中改正法律案発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=70
-
071・柳澤保承
○伯爵柳澤保承君 本案ニ贊成致シマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=71
-
072・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 他ニ御發言モ
ゴザイマセヌカラ討論ハ終結致シマシタ、
直チニ採決ニ入リマス、本案ハ原案通リ可
決ト認メテ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=72
-
073・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 本案ハ原案通
リ可決相成リマシタ、次ハ臨時軍事費特別
會計法中改正法律案発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=73
-
074・東郷安
○男爵京〓安君 私ハ此ノ機會ニ於テ附則
ノ第二項ノ戰地ニ在ル軍需品以外ノ物資ノ
取得及賣拂ヲ爲ス場合ニ於テノ規定ニ關シ
テ一言申述ベタイト思フノデアリマス、軍
需品ハ勅令其ノ他ニ依ッテ指定サレタル範
圍デアリマスルガ、軍需品以外ノ物資ノ取
得ト云フコトハ相當廣範圍ニ屬スルノデア
リマス、過去四箇年餘リニ亙ル支那事變ノ
經過ノ實績ニ徵シマシテモ、此ノ種ノ規定
ノ運用ニ付テハ深甚ノ注意ヲ要スル點ガア
リマス、又今囘新タニ開ケテ來マシタ南方
方面ニ於テ最近軍ガ發表セラレマシタル如
〃、軍ニ於テ軍需品以外ノ物資、卽チ南方
重要資源ヲ直接ニ取得シ、更ニ之ヲ賣拂ヒ、
場合ニ依ッテハ貯藏シ運送スルト云フヤウ
ナコトニ相成リマスルト云フト、其ノ間頗
ル複雜微妙ナル事情ガ起リ、過ッテ不慮ノ危
險ヲ生ズル虞ナシトセザルモノデアリマス、
極言スレバ甚ダ危險ナ場合ヲ想像シ得ルノ
デアリマス、ソコデ今日立法ノ當時ニ於キ
マシテモ斯カル取扱ハ特例中ノ特例デアル
ト云フノデ、當分ノ內ヲ限ッテ此ノ會計ニ所
屬セシメルト云フ條件ガ附イテ居ルノデア
リマスルガ、先程モ申シマシタ通リ過去ノ
實績、又色々ノ場合ヲ想像致シマスト云フ
下、是ハ出來ルダケ嚴格ナ意味ニ於テ此ノ
運用ヲ監視スルト同時ニ、又當分ノ內ト云
フコトハ出來ルダケ早イ機會ニ於テ適當ナ
ル、正常ナル方法ニ移サレルト云フコトヲ
十分ナル條件トシテ、私ハ此ノ規定ガ現在
軍政ノ布カルヽ場合ニ於テハ已ムヲ得ザル
モノデアルケレドモ、相成ルベクハ最モ速
カナル機會ニ於テ是ガ本則ニ戾ルヤウニ願
ヒタイト云フコトノ希望ヲ一言申述ベテ、
贊成ノ意ヲ表シテ置キタイト思ヒマス発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=74
-
075・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 他ニ御發言モ
ナイヤウデアリマスカラ、討論ハ終結致シ
マシタ、仍テ採決ヲ致シマス、本案原案通
リ可決ト認メテ御異議ゴザイマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼フ者アリ〕発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=75
-
076・秋元春朝
○委員長(子爵秋元春朝君) 御異議ナイト
認メマス、仍テ本案ハ全會一致ヲ以テ原案通
リ可決相成リマシタ、本委員會ニ付託サレ
マシタ法案ハ之ヲ以テ全部審議ヲ終了致シ
マシタ、此ノ際委員長カラ皆サンノ熱心ナ
ル御勉强ニ對シマシテ感謝ノ意ヲ表シ、玆
ニ本委員會ヲ散會致シマス
午後四時十六分散會
出席者左ノ如シ
委員長子爵秋元春朝君
副委員長男爵東〓安君
委員
公爵岩倉具榮君
侯爵佐竹義春君
伯爵柳澤保承君
子爵今城定政君
村上恭一君
男爵伊藤一郞君
村瀨直養君
男爵北大路信明君
黑田英雄君
三橋四郞次君
諸橋久太郞君
大藏次官谷口恒二君
大藏書記官中村建城君
鐵道省經理局長平山孝君
朝鮮總督府財務局長水田直昌君
臺灣總督府總務長官齋藤樹君
臺灣總督府財務局長中嶋一郞君
保險院長官樋貝詮三君
保險院總務局長,歌田千勝君発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007901706X00319420204&spkNum=76
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。