第79回帝国議会　衆議院　米穀需給調節特別会計法中改正法律案委員会　第6号　昭和17年1月29日

1. 会議録本文

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• 000・会議録情報

  　　　　會議
  昭和十七年一月二十九日（木曜日）午前十時二十三分開議
  　出席委員左の如し
  　　委員長　三善信房君
  　　理事　岩瀬亮君　理事　古田喜三太君
  　　理事　濱地文平君　理事　森田重次郎君
  　　理事　森幸太郎君　理事　前川正一君
  　　理事　松本治一郎君
  　　　　安倍寛君　　　石井徳久次君
  　　　　今成留之助君　　　馬岡次郎君
  　　　　小串清一君　　　岡田喜久治君
  　　　　川島正次郎君　　　北勝太郎君
  　　　北原阿智之助君　　　坂下仙一郎君
  　　　　高橋圓三郎君　　　高田耘平君
  　　　　成島勇君　　　西方利馬君
  　　　　西川貞一君　　　服部崎市君
  　　　　松浦周太郎君　　　松田喜三郎君
  　　　　村上國吉君　　　山田六郎君
  　　　　山川頼三郎君　　　田代正治君
  　　　　吉田賢一君　　　林讓治君
  　　　　淺沼稻次郎君　　　野溝勝君
  　　　　由谷義治君　　　大石大君
  　　　　平野力三君
  同日委員馬岡次郎君辭任に付其の補闕として小笠原八十美君を議長に於て選定せり
  同日獸醫師法第二條の臨時特例に關する法律案（政府提出、貴族院送付）及明治四十五年法律第二十一號中改正法律案（臘虎膃肭獸獵獲禁止に關する件）（政府提出、貴族院送付）の審査を本委員に付託せられたり
  　出席國務大臣左の如し
  　　　　　　　農林大臣兼拓務大臣　井野碩哉君
  　出席政府委員左の如し
  　　　　　　　　農林次官　三浦一雄君
  　　　　　農林省總務局長　重政誠之君
  　　　　　農林省農政局長　岸良一君
  　　　　　農林省山林局長　井出正孝君
  　　　　　農林省水産局長　平岡梓君
  　　　　　農林省食品局長　辻謹吾君
  　　　　　農林省資材部長　岡本直人君
  　　　　　　　農林書記官　笹山茂太郎君
  　　　　　食糧管理局長官　湯河元威君
  　　　　　鐵道省運輸局長　堀木鎌三君
  　　　　　　　樺太廳長官　小河正儀君
  本日の會議に上りたる議案左の如し
  　米穀需給調節特別會計法中改正法律案（政府提出）
  　木炭需給調節特別會計据置運轉資本臨時補足に關する法律案（政府提出）
  　食糧管理法案（政府提出）

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• 001・三善信房

  ○三善委員長　只今ヨリ開會致シマス-
  野溝勝君

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• 002・野溝勝

  ○野溝委員　質問ノ順位ハ少シ違ヒマスガ、
  政府委員ノ關係デ木炭需給調節特別會計法
  律案ニ關シマシテ少シク質問ヲシテ見タイ
  ト存ジマス、政府ハ今囘木炭需給調節特別
  會計ノ据置運轉資本トシテ九百万圓ノ借入
  金ヲナシ、臨時之ヲ補足スルコトヲ得ル爲
  ニ法律案ヲ出サレタノデアリマスガ、勿論
  此ノ需給調節特別會計ハ木炭ノ需給調節ト云
  フコトガ主ナルコトニナツテ居ルノデアリ
  マス、昨年以來此ノ木炭ノ需給調節ニ關ス
  ル問題ニ付キマシテハ議會ニ於テモ相當論
  議サレ、又國民ト致シマシテモ、木炭ノ需
  給調節ノ點ニ付キマシテハ非常ナ關心ヲ拂
  ハレテ來タノデアリマス、然ルニ此ノ木炭
  需給調節ノ問題ガ二年越ニ亙ツテ指導ヲナ
  サレテ來タニ拘ラズ、本年ノ此ノ時期ニ至
  リマシテモ未ダ木炭ノ需給ノ圓滑ガ保タレ
  テ居ナイト云フコトハ洵ニ遺憾トスルモノ
  デアリマス、特ニ最近ハ近年ニナイ寒サデ
  アリマシテ、此ノ寒サヲ凌グノニハドウシ
  テモ木炭ガナクテハナラナイノデアリマス、
  勿論戰時下デアリマスガ故ニ、平時ノ如キ
  豐富ナル木炭ノ供給ヲ望ムト云フヤウナ不
  心得ナ國民ハナイノデアリマス、併シサリ
  トテ切符制、通帳制ニ依ル所ノ配給量位ハ
  必要ノ時期ニ自分ノ手許ヘ來ルト云フコト
  ニナルノデナクテハ、國民ト致シマシテモ
  全ク安心ハ出來マセヌ、特ニ生產地ニアル
  所ノ國民ナラバドンナ融通モ付クノデアリ
  マスガ、六大都市ヲ中心トシタ消費地ニ於
  ケル國民大衆ハ、生產地ニ於ケル國民トハ
  違ツテ非常ナル不安ヲ招イデ居ル特ニ最
  近ノ東京方面ノ出廻リ狀況ヲ見マスルト、
  餘程圓滑ニハナツテ居リマスケレドモ、東京
  ノ如キハ每日三十車ノ不足ヲ來シテ居ル狀
  態デアリマス、是ハ一ツノ實例デアリマス
  ガ、ナゼ斯ウ云フ不足ヲ來スノカ私共ハ見
  當ガ付カヌ、我ガ長野縣ノ如キハ生產縣デ
  ハアリマスケレドモ、國民全體ノ綜合生活
  ノ見地カラ-特ニ長野縣ノ如キハ中部地
  方デハ一番寒イ縣デアリマスガ、サウ云フ
  寒イ縣デアツテモ我慢シテ月々百万貫近ク
  ノ木炭ヲ消費地ニ送ツテ居ルニモ拘ラズ、
  其ノ消費地ニ於キマシテハ依然トシテ不足
  ヲ來シテ居ル、斯ウ云フ風デハ甚ダ情ケナ
  イト私共考ヘルノデアリマス、此ノ點ニ關
  シマシテ政府ハ此ノ木炭需給ノ調節ガ今日
  ヲ以テ最高ノ體制ヲ整ヘテ居ルト思ハレテ
  居ルノカ、或ハマダ〓〓改善ヲシテ其ノ需
  給調節ヲ圖ラナケレバナラヌト考ヘテ居ラ
  レルノカ、此ノ點ヲ御伺ヒ致シテ置キタイ
  ト存ジマス

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• 003・井出正孝

  ○井出政府委員　最近ノ木炭ノ主要消費地
  方面ニ對スル配給狀況ニ付キマシテ色々御
  心配ノ狀況ヲ伺ツタノデゴザイマス、此ノ
  點ニ付キマシテハ、多少私共モ懸念致シテ
  居ルノデアリマスガ、大體木炭ノ只今ノ需
  要最盛期ニ於キマスル主要消費地方ニ對ス
  ル需給關係ハ、先ヅ當初豫定ヲ致シマシタ
  所ニ比スレバ色々障碍ガアリマシタノデ、
  ソレヨリ十分ニ行ツテハ居リマセヌガ、最
  小限度消費地ニ於テ需要セラレルモノニ對
  スル配給ハ先ヅ大シタ障碍ナシニ配給ヲセ
  ラレテ居ルモノト考へテ居リマス、ト申シ
  マスノハ、一箇年ヲ通ジマシテ、大體六大
  都市ヲ含ム所謂六大府縣ノ外ニ福岡ヲ加ヘ
  タ七大消費府縣ニ對シマシテハ、特ニ十分
  ナ計畫ヲ立テマシテ、一年ヲ通ジテノ配給
  量ヲ考へ、更ニソレヲ每月ノ配給量ヲ定メ
  テ配給ヲ致シテ居ルノデアリマス、全體的
  ニ申シマスニ最近マデノ狀況ハ、先ヅ其ノ
  月ニ配給セラルベキモノヲ寧ロ事前ニ配給
  シテ、更ニ翌月分ヲモ繰上ゲ配給シテ居ル
  ト云フ風ナ狀況デ參ツタノデアリマスガ、
  昨年ノ十二月頃カラ地方ニ依リマシテハ多
  少輸送等ノ關係ニ障碍ガアリマスノデ、其
  ノ月ニ配給スル豫定デアリマシタモノガ、
  翌月ノ十日或ハ十五日位マデ遲レルト云フ
  風ナ事態モアルノデアリマス、併シ同時ニ
  是等ノ地方ニハ相當政府木炭ヲ不需要期
  ニ貯藏致シテ居リマスノデ、此ノ「ストッ
  ク」ト相俟チマシテ第一線ノ配給ヲシテ居
  ルノデアリマシテ、只今マデノ所豫定ノ配
  給量ヲ先ヅ賄フコトガ出來テ居ルノデアリ
  マス、唯最近十一月、本月等ニ入リマシテ
  豫定ノ入荷ガ稍、御話ノヤウニ不足シテ
  居ル部面ガゴザイマス、併シ是ハ一時的現
  象トモ考ヘラレマスノデ、各方面ト十
  分ニ連絡ヲ執リマシテ、產地方面ニ於キマ
  シテハ驛マデノ小運送ニ付キマシテ、ソレ
  カラ消費地ニ對シマシテハ鐵道輸送或
  ハ機帆船等ニ依ル輸送ニ付キマシテ、ソ
  レゾレノ方面ト十分ナ連絡ヲ執リマシテ其
  ノ輸送ノ圓滑ヲ圖ツテ、都市方面へノ入荷
  ヲ只今督勵シテ居リマシテ、最近非常ニ好
  調ヲ呈シテ參リ、續々ト入荷ヲ增加シテ居
  ルヤウニ見テ居リマス、此ノ分デ進ミマス
  しやく固ヨリ此ノ需要最盛期ヲ切拔ケルコ
  トモ出來ルト思フノデアリマス、唯御話
  ニアリマシタヤウニ、木炭ノ需給ノ問題ハ
  一年間ヲ通ジテ配給ヲシ、又輸送モ平均的
  ニ行フト云フコトヲ致シマシテ、三月或ハ
  四月以降九月、十月ト云フ時期マデノ、所
  謂木炭ノ比較的需要ノ少イ時期ニ於キマシ
  テ需要ノ最盛期デアリマス十一月以降二
  月頃マデノ木炭ノ需要量ヲ、ソレ〓〓ノ需
  要者、或ハ需要者ニ至ルマデノ或ル配給過
  程等ニ於キマシテ、成ベク早目ニ之ヲ貯藏
  ト申シマスカ、手當ヲシテ置クト云フ風ニ
  木-炭ノ配給ヲ調節シテ參ル必要ガアラウト
  思ヒマシテ、左樣ナ點ニ付キマシテ今後此
  ノ木炭需給特別會計ヲ中心ニシマシテ十分
  ニヤツテ參ル必要ガアル、斯ウ云フ風ニ考
  ヘテ居リマス、旣ニ昨年ニ於キマシテモ左
  樣ナ意味ニ於キマシテ、約八月、九月頃マ
  デハソレデ進ンダノデアリマスガ、其ノ後
  御承知ノヤウナ色々ナ特殊事情ガ勃發致シ
  マシタ關係デ、此ノ木炭年度ニ於キマシテ
  ハ其ノ點ニ付テハ稍〓マダ理想ニ達シナイ憾
  ミガ多分ニアツタノデアリマスガ、今後ノ
  木炭年度ニ於キマシテハ、只今申シマシタ
  ヤウナ操作ヲ一年ヲ通ジテ行ヒマシテ、此
  ノ需要ノ最盛期ニ至リマシテ各種ノ物資ガ
  消費地ニ色々輸送サレナケレバナラナイ時
  三、出來ルナラバ木炭ノ消費地ニ對スル
  輸送量ハ少シデモ輕クシテ、此ノ配給ノ圓
  滑ヲ圖リタイ、斯樣ニ考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=3

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• 004・野溝勝

  ○野溝委員　非常ニザツクバランニ正直ナ
  所ヲ御話シ下サイマシテ私モ納得出來マシ
  ク、今山林局長モ御認メニナツテ居ラレル
  通リ、出〓リノ惡カツタト云フコトハ、主
  產地ノ輸送關係ノ問題ト、ソレカラ生產者
  ニ對スル施設ト云フヤウナ點ヲ今少シク何
  トカシタイト云フ御話デアツタヤウニ私ハ
  聽キ取ツタノデアリマスガ、ソレハ御尤モ
  ト思ヒマス、ソコデ私特ニ質問ヲ繼續スル
  ノデアリマスガ、生產地ノ輸送關係ヲ痛切
  ニ感ジテ居リマス、私共ノ方ノ郡ハ長野縣
  デモ特ニ生產郡デアリマスガ、郡ノ山間部
  ノ山村ニ對シマシテ、時局柄大イニ木炭增
  產ヲヤツテ吳レト云フ譯デ私共盛ンニ御願
  ヒシテ居ル、所ガ、アナタ方ハ何ヲ寢ボケテ
  居ル、增產シロ〓〓ト言フノデ、折角一生
  懸命汗水垂ラシテ增產シテ山ノヤウニ炭ヲ
  積ンデ置イテモ、何時マデ經ツテモ持ツテ
  行ツテ吳レナイデハナイカ、其ノ不樣デ以
  テ木炭ノ需給調節ガ聞イテ呆レル、斯ウ云
  フヤウナコトヲ私共耳ニスルノデ、冗談デ
  ハナイカト思ツテ行ツテ見ルト豈ニ圖ラ
  ンヤ弟然ランヤデアリマシテ、實際山ノ如
  ク積ンデアル、百姓ノ言フコトニ噓ハナイ
  ト私ハ思フ、斯ウ云フ實情ヲ見テ成程百姓
  ノ言フコトニハ眞理ガアル、斯ウ云フコト
  デハ政府ノ指導者階級モ、吾々ソレニ關聯
  ヲ持ツテ居ル一聯ノ政治家モ申譯ナイト云
  フ譯デ、私共ハ長野縣ノ木炭生產者ノ陳情
  員ト共ニ、今ノ長崎鐵道次官ガ運輸局長時
  代ニ、ニ輸送關係ニ付テ何トカ圓滑ニシテ貰
  ヒタイト縷々陳情ニ參ツタノデアリマス、
  所ガ、イヤ御無理御尤モ、ソレニ付テハ、ド
  ウモ農林省ノ方ト相談シナケレバナラヌト
  カ、企畫院ト相談シナケレバナラヌトカ何
  トカ言ツテ、狐ニ鼻ヲ摘マレタヤウナ譯デ、
  一體ドウ云フ風ニシタラ宜イノカト云フ結
  論ヲ與ヘテ吳レナイ、ソコデ縷々陳情ニ陳
  情ヲ重ネ、輸送關係ニ付テ具體的ニ、交通
  ノ問題トシテハ自動車ノ問題ダラウト思フ
  ガ、省營自動車或ハ貨物自動車ト云フヤウ
  ナ問題ニ付テ何トカ便ヲ與ヘテ貰ヒタイト
  云フ話ヲシタ、所ガソレニ付テモ色々ノ關
  係ガアツテ中々思フヤウニ行カヌ、デアル
  カラ此ノ次ニサウ云フ問題ガ起ツタ時ニハ
  第一ニ考ヘルコトニ致シマセウ、何ヲ一體
  第一ニ考ヘルノカ知リマセヌガ、サウ云フ
  譯デス、斯ウ云フダラシノナイコトデハ、
  木炭ノ增產ヲ致シマシテモ、需給調節ノ圓
  滑ヲ期スルト云フコトヲ山林局長ガ幾ラ言
  ツテモ駄目ダ、今山林局長ハ輸送關係ニ付
  テ萬全ヲ期スルト言ヒマスケレドモ、斯ウ
  云フ問題ガ起ツタ時ニハ一體ドウ云フ處置
  ヲ講ズルカ、此處ニ鐵道省ノ運輸局長モ參
  ツテ居ラレマスカラ、一ツ御相談シテ明確
  ナル囘答ヲ與ヘテ貰ハヌト、私共歸ツテ精
  動ノ推進班トシテ〓導スルコトガ出來ナイ
  ノデスカラ、一ツ御〓示願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=4

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• 005・堀木鎌三

  ○堀木政府委員　今木炭ノ生產ニ關シマシ
  テ輸送問題ガ一體吊合ツテ居ルノカドウ
  カ、增產ヲスルノハ宜イガ、輸送ガ伴ハナ
  ケレバ大小、ノ運送ヲ通ジテ需給ノ調整ヲ圖
  リニクイ、洵ニ仰シヤル通リデゴザイマス、
  私共ト致シマシテハ實ハ農林當局ト木炭ノ
  需給ニ關シマシテハ每月要輸送量ト申シマ
  スカ、一年ノ計畫、四半期別フ計畫ハ無論、
  每月ノ實施計畫ニ付キマシテ、本當ニ全部
  ノ資料ヲ御互ヒニ出シ合ツテ、木炭ノ輸送
  ノ確保ヲ圖ルト云フ風ナ狀態ニナツテ居ル
  ノデゴザイマス、此ノ點ニ付キマシテハ、
  或ハ各種ノ物資ニ付キマシテ色々ノ問題ガ
  ゴザイマスガ、恐ラク木炭ノ輸送關係ガ一
  番緊密ニ-サウ云フ配給機構ノ整備ト相
  俟チマシテ輸送ノ方ニ付キマシテモ一番緊
  密ナ連繫ガ出來テ居ル、場合ニ依ツテハ一
  番模範的ナモノデハナイカ、無論ソレガ今
  仰シヤイマスヤウニ國民生活ニ最モ重要デ
  アルダケニ當然ノ處置デハゴザイマスガ、
  サウ云フ風ナ狀態ニナツテ居リマス、先程
  山林局長カラ申サレマシタヤウニ、成程最
  近ハ發送ガ稍〓落チテ居リマスガ、十六年ノ
  年計ヲ見テ參リマスト木炭ニ付キマシテハ
  前年ニ比ベマシテ四割八分五厘ノ增送ヲ致
  シテ居リマス、斯ウ云フ貨物ハ全體ヲ通ジ
  テゴザイマセヌ、私共自身モ農林當局ト緊
  密ナル連繫ヲ取リマシテ輸送ノ萬全ヲ期シ
  テ居リマス、消費地ニ付キマシテモ一昨年
  ノ冬以來殊ニ特殊ノ處置ヲ講ジテ居ルノデ
  ゴザイマスガ、只今仰シヤイマスヤウニ生
  產地ノ方ノ關係デゴザイマス
  生產地ノ方ノ關係ハ御承知ノ通リニ交通
  ノ比較的不便ナ所ガ多イノデゴザイマス、
  又國有鐵道ト地方鐵道ヲ相通ジマストカ、
  或ハ「トラツク」ニ依リマストカ、色々ナ他
  ノ方法ヲ講ジテ、國有鐵道ニ流レテ參ルト
  云フ風ナ事情ガ非常ニ多イノデアリマス、
  私共省營ノ自動車ヲ運轉シテ居リマス所ハ、
  木炭ノ關係ニ付ギマシテハ、出來ルダケノ
  輸送ヲ致シテ居ルノデゴザイマスガ、省營
  自動車ノ路線網ハ全國ニ限ラレタ數デゴザ
  イマス、ドウシテモ一般ノ民間ノ「トラツ
  ク」輸送ニ依ル、或ハ其ノ他ノ運送ニ依ルト
  云フ場合ガ多イノデゴザイマス、最近ハ政
  府全體ト致シマシテモ、此ノ木炭關係ノ
  ㄱトラツク」ニ關シマシテハ、油ノ特配スラ
  圖リマシテ、特ニ優先的ナ施策ヲ致シテ居
  リマスコトニ徵シマシテモ、出來ルダケ御
  意思ニ政府自體ガ副フヤウニ努力致シテ居
  リマスコトヲ御諒承願ヒタイト思フノデア
  リマス、全體トシテノ今執ツテ居リマス方
  策ヲ申上ゲタノデゴザイマスガ、多クノ物
  資ニ付キマシテ間々實際上豫想通リニ參リ
  マセヌコトハ、私共今後尙ホ十分努力ヲ致
  シマシテ、完璧ヲ期シタイ、斯ウ決心致シテ
  居ル次第デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=5

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• 006・野溝勝

  ○野溝委員　私ハ長イ答辯ハ要求シテ居
  ナイノデス、私ノ質問ノ要點ヲ捉ヘテ、ア
  ナタノ方デモハツキリ答ヘテ吳レレバソレ
  デ結構ナンデス、此ノ山間僻地ノ者ガ、一生
  懸命木炭增產ヲヤツテ居ルガ、輸送ガ出來
  ヌノデ、折角增產シタモノヲ活スコトガ出
  來ナイ、サウ云フ現實ノ問題ヲドウスルカ、
  サウ云フ問題ニ對シテハ、斯ウ云フ風ニシ
  マスト云フ御答辯ヲ下サレバ宜イノデス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=6

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• 007・井出正孝

  ○井出政府委員　御話ノヤウニ最近木炭ノ
  出〓リニ支障ヲ來シ、一方又ソレガ次ノ生
  產ニ多少障碍ニナツテ居ルト云フ原因ハ、
  今御話ノヤウニ主要木炭ノ產地ニ於キマシ
  テ山元ニハ炭ガ非常ニ溜ルガ、ソレヲ鐵道
  輸送ノ驛マデ運輸スル此ノ途中ノ小運送ノ
  機關ガ不十分デアル爲ニ左樣ナ結果ニナツ
  テ居ル次第デアリマス、鐵道輸送其ノモノ
  ハ今運輸局長ノ御話ノヤウニ非常ニ十分ニ
  行ツテ居リマシテ、場所ニ依リマシテハ滯
  貨ガナイト云フ位ノ狀態デアリマス、隨ヒ
  マシテ此ノ問題ハ御話ノヤウニ山元カラ鐵
  道マデノ運輸ノ障碍デアリマス、此ノ障碍ノ
  原因ハ御承知ノヤウニ昨年八月頃以降極端
  ニ「ガソリン」或ハ自動車ノ數ガ少ク相成ツ
  タコトニ原因シテ居ルノデアリマス、ソコデ是
  ノ對策ニ付キマシテハ、之ニ代ルベキ各種ノ
  輸送ノ方法、綜合的ニ補給スベキ方法ヲ講ジ
  テ居ル次第デアリマシテ、是モ鐵道省其ノ他
  ノ方面ト御連絡ヲ願ヒマシテ木炭自動車、
  或ハ薪自動車等ニ「トラツク」ヲ改造スルト
  云フヤウナ問題、又不足ナガラ使ヒ得ル「ガ
  ソリン」ヲ季節的ニハ此ノ木炭ノ滯貨ヲ一
  掃スル爲ニ相當優先的ニ利用ヲ願フト云フ
  コト、或ハ牛馬車等ノ利用ヲ促進スルト云
  フコト、又場所ニ依リマシテハ各種ノ勤勞
  奉仕的ナ勞力ニ依リマシテ應急ノ運ビ出シ
  ヲスルト云フ風ナコトヲ講ジマスシ、又更
  ニ相當滯貨ノアリマス地方ハ、何ト致シマ
  シテモ「ガソリン」ニ依ル自動車ヲ動カサナ
  ケレバ、中々巧ク行カナイコトハ明瞭デア
  リマス、ソレ等ニ付キマシテハ最近「ガソ
  リン」ノ相當增配ヲ願フコトニ致シマシテ、
  之ニ付キマシテモ米麥等ノ主要食糧ト相竝
  ンデ優先的ニ是等ヲ運搬スルコトニ手配ヲ
  致シマシテ、之ニ依ツテ着々ト山ノ滯貨ヲ
  一掃シ次ノ木炭ノ生產ヲ十分ニ刺戟スルヤ
  ウニ施策ヲ講ジツツアリマシテ、其ノ效果
  ガ順次只今現ハレテ、東京其ノ他ノ消費地
  ニ最近非常ニ炭ノ入荷ガ多クアルノハ其ノ
  一ツノ現ハレト存ズル次第デアリマス、又
  一方ニ於テ應急的ニ「トラツク」殊ニ木炭自
  動車等ノ通過シ得ルヤウニ或ル程度林道其
  ノ他ノ道ヲ修理スルト云フ風ナコトモ講ジ
  得ル部分ハ講ズルト云フ風ナコトヲ致シテ、
  實ハ此ノ輸送ニ全力ヲ注イデ居リ、又斯ウ
  云フ方策ヲ以テ今後モ施策ヲ致シテ行クト
  云フコトニ考ヘテ居ル次第デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=7

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• 008・野溝勝

  ○野溝委員　後ニ食糧問題ガアリマスノデ、
  此ノ問題ヲ論議スル時間ガナイノデスケレ
  ドモ、ドウカアト二ツダケ聽キマスカラ、
  要點ダケ御答辯ヲ願ヒタイト思ヒマス、シ
  テ見ルト結局輸送ノ問題ニ付テハ所謂牛馬
  利用デアルトカ、或ハ「ガソリン」ノ特配ト
  カ、或ハ勤勞奉仕ト云フヤウナ意味ニ於テ
  輸送ノ圓滑ヲ期スルト云フコトデアリマス
  ガ、之ヲ掘下ゲテ行クト牛馬ヲ利用スル場
  合ニ牛馬ガドウ云フ風ニ使ハレルカ、體
  飼料ハドウナルカ云フコトニナリマスト、
  其ノ結論ハ得ラレナイ、「ガソリン」ヲ特配
  スルト云フガ、「トラツク」ノ利用ヲドウ云
  フ風ニスルカト云フ具體的質疑ニナルト又
  有耶無耶トナツテ分ラナイコトニナル、併
  シ少イ物資デ少イ勞力デ目的ヲ達シヤウト
  云フノデアリマスカラ、戰時下ノ心構ヘト
  シテハ最善ノ工夫ヲシテ參ラナケレバナラ
  ヌト思ヒマスカラ、私ハ是以上掘下ゲテ質
  問致シマセヌ、唯此ノ問題ハ斯ウ云フヤウ
  ニシテ戴キタイト思ヒマス、例ヘバ生產地
  交通網ノ確立スルコトデス、省營自動車ト
  カ或ハ乘合自動車デアルトカ、斯ウ云フ施
  設ヲ擴充强化シ炭ヲ積出サセルトカ、扱 人
  セルト云フコトニシ、生產地域ト停車場ト
  ノ距離ヲ短クスルコト、從來省營自動車ガ
  運轉シテ居ツタト云フヤウナ場合ニハ又
  其ノ省營自動車ヲ動カシテ、人的輸送ト同
  時ニ、生活物資デアル木炭輸送トヲ兼備輸
  送サセルヤウナ方法ヲ講ズルトカ、ソレカ
  ラ一面生增產ヲ多クサレルニハ、現在ノ生
  產費ノ問題ニ付テモ再檢討ヲスル必要ガア
  ルト思フ、例ヘバ楢ハ一等ガ一圓八十一錢デ
  アル、松ノ上等ガ一圓六十六錢、是ガ御承
  知ノ通リ小賣最終値ニ持ツテ行クト上値ガ
  四十錢、卸ノ方ガ十錢計五十錢上〓ルガ、
  實際ハ一等格デ五十錢足シタ二圓三十錢ニ
  ハ商ヒサレテ居ラヌ、二圓五、六十錢位デ
  商ヒサレテ居ル、サウ云フコトニナルノデ、
  生產者ノ方デハモツト値ヲ上ゲテ吳レタラ
  宜イデハナイカト言ツテ居ル、此ノ點ニ付
  テハドウ云フ程度マデ調整シタラ宜イカ調
  査ヲ要スルト思ヒマスガ、少クトモ生產費
  ヲ割ラナイ程度ニ一ツ價格制度ヲ改メルコ
  トヲ考へ、新ラシク更改スル必要ガアリハ
  セヌカ
  ソレカラモウ一ツ是ハ需給ニ關係シタ點
  デアリマスガ、今度ハ之ヲ合理的ニ配給スル
  고ト云フ部面ニ於キマシテハ、六大都市ノ外ニ
  百五十箇小都市ガ通帳制ヲ施行シテ居ル、
  サウ云フ所ハ需給モ比較的旨ク行ツテ居リ
  マスガ、是ハ全國的ニ均一化サレテ居ナイ、
  此ノ點ハ山林局長カラ御話ガアリマシタガ、
  サウ云フ點デ六大都市ハ圓滑ニ行ツテ居ル、
  或ハ岡山トカ何々ト云フ消費縣ハ圓滑ニ行
  ツテ居ル、サウ云フ所ハ通帳制ヲ布イテ居ル
  ト言ハレマスケレドモ、今後計畫經濟ヲ遂行
  スルニ生活物資ニ對スル物資別統制デナク
  テ、全體統制ヲヤツテ行カウト云フ場合ニハ、
  ヤハリ生產ト配給消費ノ一貫的ナ計畫統制
  經濟ヲ立テテ行カナケレバナラヌノデアリ
  マスカラ、切符制ナドニ於キマシテモ、私
  ハ全體的ナ切符制ヲ實施シテ行ツタ方ガ宜
  イト思ヒマス、生產縣ハ非常ニ損デアルト
  カ言フガ、サウ云フ從來ノ個人的「ブロッ
  ク」主義的ナ考ヘ方デハイカナイ、吾々ハ
  國防經濟主義ニ立ツテノ意見デナクテハイ
  カヌト思ヒマス、サウ云フ點ガ例ヘバ生產
  縣ガ少シ抑ヘラレテモ、實際ニ於テハソレ
  ハ屑ト云フモノガデアリマスカラ、鹽原多
  助デハナイケレドモ、少シヅツ屑ガアル、
  其ノ屑ハ利用スルコトモ出來ルカラ、兎上
  角此ノ際全國民ヲシテ其ノ燃料ニ不平ナカ
  ラシメヌト云フコトニナラナケレバナラ
  ヌ、サウ云フ點デ綜合切符制ト云ヒマスカ、
  通帳制デモ宜シイ、此ノ際實施シテ貰ヒタ
  イト思フガ、當局ノ御考ヘ竝ニ將來ノ御方
  針ヲ御示シ願ヒタイト思ヒマス

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• 009・井出正孝

  ○井出政府委員　一番初メノ御話ノ木炭ノ
  小運送ニ付キマシテノ綜合的ナ計畫ヲモツ
  ト立テテ行カナケレバナラヌト云フコトニ
  付テノ御氣付ハ洵ニ私共貴重ナ御話ト承ツ
  六、更ニ十分考慮シテ參リタイト思ツテ居
  リマス
  ソレカラ木炭ノ價格ノ問題ニ付キマシテ
  ハ、昨年秋ニ規格ノ改訂ニ伴ヒマシテ、比
  較的中等以上ノ良イ炭ヲ生產セシメル必要
  ガアルノデ、ソレニ伴ヒマシテ多少價格ノ
  異動ヲ致シマシタ、更ニ今後此ノ點ヲドウ
  スルカト云フ問題ニ付キマシテハ、私共ノ
  大體ノ見方ハ現在ノ木炭ノ價格ハ大體所
  ヲ得タ妥當ナモノト考ヘテ居リマス、唯地
  方的ニ特殊ナ銘柄ニ付テ、他ノ銘柄ノ品
  物等トノ關係或ハ他ノ地方トノ關係等ニ於
  テ、或ハ部分的ニ修正シナケレバナラヌモ
  ノガアルカモ知レナイ、是等ハ十分考究ノ
  上、全體トノ調和ノ上デ調整スベキモノハ
  考ヘテ行ク必要ガアラウト思ツテ居リマス
  ソレカラ最後ノ御尋ネノ木炭ノ消費地方
  ニ付キマシテハ、主要ナル消費地方ノミナ
  ラズ、ヤハリ同樣ニ消費ニ付テハ通帳制或
  ハ割當切符制ヲ極力實行スル必要ガナイカ
  ト云フ點ハ同感デゴザイマス、此ノ點ニ付
  テハ既ニ實ハ昨年以來各消費府縣、生產縣
  總テニ對シマシテ、其ノ一年間ノ消費量、
  且ツソレヲ家庭用ノ木炭或ハ事務用或ハ工
  鑛業用或ハ農林漁業用ト云フヤウナ用途別
  ニ割當ヲ致シマシテ、更ニ家庭用ノ木炭ニ
  付テハ、其ノ府縣內ノ主要ナル市町村等ニ
  付テ出來得ル限リ公平ニ配給ノ出來マスル
  ヤウニ割當或ハ切符制ヲ實施セシメルヤ
  ウニ指導致シテ居ルノデアリマシテ、其
  ノ結果ト致シマシテ、大體昨年ノ十一月現
  在ニ依リマシテ調ベマシタ所ヲ見マスレバ、
  家庭用木炭ニ付テ切符制或ハ通帳制ヲ採ツ
  テ、之ニ依ツテ配給ヲ致シテ居リマスル市
  町村ノ數ガ二千六百六十二市町村ト云フコ
  トニナツテ居リマス、是ノ關係致シマスル
  世帶ノ數ガ七百五十万世帶程ニナツテ居リ
  マス、大體斯樣ナ工合ニナツテ居リマシテ、
  更ニ今後モソレ〓〓地方ノ事情ニ依リマシ
  テ、此ノ家庭用木炭ニ關スル割當ヲ斯樣ナ
  制度ニ依ツテ擴張致シテ參ル必要ノアルコ
  トハ左樣ニ考ヘテ居リマス、ソレ等ハソレ
  〓地方廳ヲシテ十分ニ善處セシメテ參リ
  タイ積リデ居リマス

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• 010・野溝勝

  ○野溝委員　私ハ山林局長ガ通帳制ヲ實施
  シヨウト云フ熱意ヲ披瀝サレタコトニ付キ
  マシテ滿足スルモノデアリマス、近イ機會
  ニ一ツ實施シテ戴キタイト思ヒマス、尙ホ
  此ノ際運輸局長ニ特ニ御願ヒ致シテ置キマ
  スガ、ドウカ先程御願ヒ致シマシタ通リ山
  間僻地ノ生產縣デハ先ヅ交通ニ困ツテ居リ
  マシテ、寶ノ持腐レニナツテ居ツテ、是デ
  ハ國家トシテモ大キナ損デアリマスカラ、
  至急輸送ノ點ニ付キマシテハ、農林當局ト
  御相談ヲ下サイマシテ、優先的ニ輸送ニ對ス
  ル御考慮ヲ願ヒタイト思ヒマス、之ヲ以テ
  木炭需給ニ關スル質問ハ打切リマシテ、農
  林大臣ガ見エマシタヤウデスカラ、質問ノ
  本論ニ入リタイト思ヒマス
  先輩同僚諸賢ガ數日來ニ亙リマシテ本法
  案ニ對シテ種々御檢討ヲ下サイマシテ、大
  體ニ於キマシテ本法案ノ目的、內容、其
  ノ性格ノ全貌ヲ知ルコトガ出來マシタ、併
  シ私ハ其ノ目的及ビ性格トシテノ政府ノ答
  辯ヲ伺ヒマスルト、大體質問スル觀點ガ部
  分的「ブロック」主義デアリ國民經濟主義ニ
  立籠ツタ質疑デアリマス、私ハ此ノ食糧管
  理法案ガ、少クトモ國防經濟的ナ觀點ニ立
  ツテ立案サレ提案サレタモノト云フ風ニ
  考ヘテ居リマスカラ、左樣ナ觀點ニ立ツテ
  私ハ質疑ヲ交ハサウト存ジマスノデ、當局
  ニ於キマシテモ、左樣ニ私ノ意圖ヲ諒承下
  サイマシテ御答辯ヲ願ヒタイノデアリマス
  先ヅ此ノ管理法案ノ目的ヲ見マスト「本
  法ハ國民食糧ノ確保及國民經濟ノ安定ヲ圖
  ル爲食糧ヲ管理シ其ノ需給及價格ノ調整竝
  ニ配給ノ統制ヲ行フコトヲ目的トス」ト云
  フコトニナツテ居リマス、洵ニ結構ナ目
  的デアリマシテ、之ニ對シテハ寸分ト雖モ
  反對スルモノデハアリマセヌケレドモ、此
  ノ目的通リ果シテ本法案ニ依ツテヤツテ行
  ケルカドウカト云フコトニ對シマシテハ多
  分ノ深憂ヲ持ツモノデアリマス、ナゼカト
  云フナラバ、此ノ食糧管理法案ハ從來ノ計
  畫生產、ソレカラ從來ノ物資別配給統制ヲ
  綜合化シテ、之ヲ一ツノモノニ配給ノ指導
  ヲスル、統一スルト云フ點マデハ非常ニ精
  巧ナ内容ヲ持タレテ居ルノデアリマスガ、
  消費部面ニ至リマシテハ蟬ノ脫殼ミタイ
  ニナツテ居ルノデアリマス、ソレハ成年一
  日ノ割當ガ二合三勺ガドウノ斯ウノト昨日
  アタリモ色々言ツテ居リマスケレドモ、二
  合三勺ガドウノ斯ウノト言ツテ見タ所デソ
  レハ何等强制力ヲ持ツテ居ラナイ、所謂任
  意組合主義的ナモノデアル、サウ云フモノオ
  デハ此ノ目的ヲ達スルコトハ中々不可能ダ
  ト思フ、サウシタ點ニ付テ、當局ハ之ニ依ツ
  テ本當ニ日本ノ國民ノ食糧確保ガ完全ニ出
  來ル、又國民經濟ノ安定ヲ期シ得ルト云フ
  風ニ御考ヘニナツテ居ルカドウカ、今日ノ
  場合ハ此ノ程度デアツテ、將來ハ是レ以上
  一步統制ヲ擴大スル意思ヲ持ツテ居ラレル
  カドウカ、之ニ對スル御所見ヲ農林大臣カ
  ラ御伺ヒ致シタイト存ジマス

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• 011・井野碩哉

  ○井野國務大臣　食糧管理法案ガ生產者カ
  ラ配給部門マデノ體制ハ能ク出來テ居ル
  ガ、消費部門トノ結付キニ於テ缺クル所ガ
  アリハシナイカト云フ御說デアリマス、是
  ハ私モサウ思ツテ居リマス、消費部門ニ付
  テノ精細ナル規定ハ管理法案ニハ入ツテ居
  リマセヌ、是ハ現在ノ過程ニ於キマシテハ
  事實消費部門ニ對スル整備シタル機構ガマ
  ダナイノデアリマス、現在ハ隣組其ノ他ノ
  機關ヲ使ツテ色々ヤツテ居リマス-嘗テ
  ハ消費組合ナリ其ノ他ノ機關ニ依ツテ動イ
  テ居リマシタモノガ、切符制度ニナリマス
  下、其ノ機構ハ十分ニ動カヌト云フコトカ
  ラ、隣組ノ制度ヲ利用シテ居ルノデアリマ
  スガ、果シテ此ノ制度デ宜イカドウカト云
  フコトニ付キマシテハ色々ノ實驗ヲ經タ
  後ニ於テ政府トシテモ考ヘテ行カナケレバ
  ナラヌ、デアリマスカラ今消費部門ノ機構
  ヲハツキリドウスルト云フ風ニマダ決メ得
  ラレナイ事情ニアリマスノデ、此ノ法案モ
  其ノ點マデハ觸レテ居リマセヌ、デアリマ
  スカラ御說ノ通リ其ノ點ニハ慊ラナイコト
  ハ、私モ慊ラナイノデアリマシテ、其ノ點
  ハ將來十分考慮シテ參リタイト考ヘテ居リ
  マス

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• 012・野溝勝

  ○野溝委員　ドウモ私ノ信賴スル井野農林
  大臣カラ實ニ明確ニ答辯サレマシタノデ、
  私氣持ヲ好クシタ譯デアリマスガ、僞ハラ
  ザル御答辯洵ニ感謝致シマス、願ハクハ近
  イ機會ニ消費部門ノ統制ヲ徹底スルヤウニ
  シテ戴キタイト思ヒマス
  ソコデ第二條ノ點ヲ一寸御聽キスルノデ
  アリマス、是ハ條文ニ入リマスガ、本法第
  二條ニ於テ主要食糧トハ米穀、大麥、稞麥、
  小麥其ノ他勅令ヲ以テ定ムル食糧ヲ謂フト
  アリマスガ、本法第三條ニ於テ主要食糧ト
  ハト直グ打突ケテシマツタノデハ何ガ何ダ.
  カ分ラナイ、本法第三條ニ於テ國民食糧ト
  ハ主要食糧デアル米穀、大麥、稞麥、小麥
  ト云フヤウナ工合ニ修正スルナラ明確ニナ
  ルガソウ修正スル意志アリヤ是デ差支ナイ
  ノデスカ、ドウデス、一寸立案者ニ御聽キ
  致シマス

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• 013・井野碩哉

  ○井野國務大臣　其ノ點ハ一向差支ナイノ
  デアリマス、「本法ニ於テ主要食糧トハ」ト云
  フ主要食糧ノ文句ガ本法ノ中ニ方々ニ出テ
  來マス、其ノ出テ來ル主要食糧ノ意味ヲ第
  二條デ現ハシテ居ルノデアリマス、是ハ專
  門家ガ見レバ直グ分リマス

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• 014・野溝勝

  ○野津委員　質疑ヲ進メテ行ク上ニ於テ
  寸御伺ヒシタイノデアリマスガ、只今大臣
  ノ御答辯ニ依リマスト、消費部門ニ付テハ
  マダ〓〓拙イ點ガアルカラ、將來考ヘルト
  云フコトデアリマス、私ハ考ヘルト云フ以
  上ハ英斷果敢ナ農林大臣ハ必ズ實行スルモ
  ノダト云フ前提ノ下ニ、此ノ程度ニ打切リ
  マシテ次ニ進ミマス
  大臣ハ先般豫算委員會ニ於ケル大臣ノ答
  辯及ビ本委員會ニ於ケル答辯ニ於テモ、食
  糧ノ需給推算ニ關シマシテハ前年度ノ七千
  百餘万石ヲ踏襲シ行ク方針デアルト云フコ
  トデアリマスガ、其ノ希望ト計畫ハ是ハ大
  キク持タナケレバナラヌカラ結構デアリマ
  ス、結構デアリマスガ、豫想通リニハ行カヌ、
  是ハ天候ノ關係モアリマスシ、色々ナコト
  モアリマスノデサウ簡單ニ參リマセヌガ、
  少クトモ昨年ノ如キ氣候ノ自然的惡條件ニ
  ヤラレマシテ苦イ經驗ヲ得テ居ル譯デアリ
  マス、農林大臣ハ死物狂ヒニナツテ北陸東
  北ニ向ツテ大イニ鞭撻行脚サレタ、其ノ效
  果ハ現ハレテ居リマスガ、幾ラ農林大臣ガ
  行脚シ激勵サレテモヤハリ足リナイモノハ
  足リナイ、結局五千五百万石ト云フコトデ
  最低豫想ノ六千三四百万石ヲ大割レニ割ツ
  タノデアリマスガ、是ハ天候ノ關係デ致シ
  方アリマセヌ、尤モ日本米作ハ二三年來、
  豫想ヲ裏切ラレタ米作狀態ヲ續ケテ居ルノ
  デアリマスガ、私ハ又恐ラク今年度モ七千
  百万石ト云フヤウナ豫想ハ中々至難デハナ
  イカト思フノデアリマス、シテ見ルト此ノ
  七千百万石ヲ踏襲スルト云フ言葉デナク
  テ、七千百万石ヲ豫想シテヤルト云フヤウ
  ナ考ヘ方ナラ、是ハ吾々モ諒解出來マスガ、
  七千百万石ヲ踏襲スルト云フコトハドウ云
  フ御見解デ以テ御主張ナサレテ居ルノデア
  リマスカ、其ノ御意圖ヲ御伺ヒ致シタイノ
  デアリマス

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• 015・井野碩哉

  ○井野國務大臣　七千百万石ヲ目標ト致シ
  マシテ本年ノ米作ニ當ラウト思ツテ居ルノ
  デアリマスガ、是ハ單ナル目標デハアリマ
  セヌ、各農家ニ此ノ數字ニ基キマシテ割當
  テマシテ、ソレダケ作ツテ貰ヒタイト云フ
  コトヲ申ス譯デアリマス、只今御話ノ通リ、
  昨年ハ此ノ目標ニ對シマシテ相當ノ減收ヲ
  見マシタガ、是ハ主トシテ天候、病害蟲ノ
  爲メデアリマス、私ガ過般地方ヲ廻ハツテ
  見テ、現在ノ農民ノアノ熱心ナ增產熱ヲ以
  テシマスレバ、天候ガ順調デアレバ、必ズ
  ヤ七千百万石ハ穫レルト云フ確信ヲ持ツテ
  居リマス

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• 016・野溝勝

  ○野溝委員　農家ノ報告ト言ヒマスガ、農
  家ノ報〓ハ決定デハアリマセヌ豫想報〓ト
  云フノデアリマス、報〓ヲ得テ居テモ其ノ
  報告ハ自然的惡條件其ノ他デ何時デモ覆ヘ
  サレルト云フコトニナル、私ハ此ノ豫想報
  告ニ對シテモ非常ニ不安ノ點ガアルノデア
  リマス、先般來各議員ニ依リマシテ其ノ不
  安ノ實情ヲ申上ゲマシタ私ハ特ニ其ノ不安
  ナ實情ノ一ツトシテ、農林大臣ガ盛ンニ絕
  叫サレテ居ル農地開發營團ノ問題デアリマ
  ス、同施設ハ十二箇年ニ田畑五十万町步ノ
  開發アト百二十有餘万町步ノ改良ニ依ツテ
  云々ト言ハレテ居リマス、ソレモ着々實行
  ニ入ツテ居ルト云フコトヲ言ハレテ居リマ
  スガ、例ヘバ是ガ十箇年ニ致シマシテ五十
  万町步全部水田ト致シマスト、一箇年五方
  町步ト云フコトニナリマス、併シ是ガ大體
  ニ於テ一反步カラ二石穫レルト致シマシテ
  モ百万石、一方一箇年ニ美田、熟田ガ三万
  五千町步位ヅツ潰サレテ行ク、所ガ美田、
  熱田ノ米ノ收穫、例ヘバ一反步ニ於テ三石ト
  スレバ一年約百万石減トナル然ラバ開發生產
  收穫ト減收トハ、トン〓〓デアル、新田デ三
  石內外ノ收穫ヲ得ルト云フコトハ出來ナイ、
  新田ハ三年經タネバ美田ノ價値ヲ持タナ
  イ、是ハ尤モダト思フ、桃栗三年柿八年、石
  ノ上ニモ三年ト云フコトガアリマスガ、新田
  ヲ美田、熟田ニスルニハ三年掛ル、ヤハリ桃
  栗三年ト同ジデアル、ダカラ三年ノ年月ヲ
  閱シナケレバ美田、熟田ダケノ成果ヲ擧ゲ
  ルコトハ出來ナイ、サウスルト一方デハ一年
  ニ三万五千町步乃至四万町步ノ潰地ガアル、
  最近ノハ分リマセヌガ、東京附近ノ潰地ハ
  相當面積ニナツテ居ヨウト思フ、例ヘバ軍
  需工場地、宅地ニナラウトモ、道路ニシヨウ
  トモ、兎ニ角潰サレル美田ガ非常ニ多クナ
  ツテ居ル、一箇年四万町步ト云フト十箇年
  ニハ潰地四十万町步トナル、五十万町步ノ
  開田計畫ト差引十一万町步ノ差ガアルト云
  フダケデアリマシテ、大シタ成果ヲ擧ゲル
  譯ニ行カヌ、片一方デ開發計畫ニ依ツテ新
  田ヲ造ツテモ、片一方デ美田、熟田ヲ潰シ
  テ居ルト云フコトニナルト、中々農地開發
  營團ダケデハ、目的ヲ達シラレナイト思ヒ
  きつく、私ハソレガ惡イト言フノデハアリマ
  セヌケレドモ、之ニ依ツテ七千百餘万石ノ
  計劃生產ヲ達スルト云フコトハ到底出來ナ
  イト思ヒマス
  尙ホ問題ハ勞力、肥料等々ノ不足ノ問
  題デアリマス、勞力不足ノ問題ハ御承知
  ノ通リ、肥料ナドノ問題ニ付キマシテモ、
  農林大臣ガ御話ニナリマシタ通リ、硫安
  ニ於テ八〇%、燐酸ニ於テハ五〇%、加里
  ニ於テハ)無「パーセント」、零ㄱパーセ
  ント」ト云フコトデアルラシイノデアリ
  マスケレドモ、ソレハ此ノ場合仕方ガナイ、
  偖テサウナリマスルト)此ノ次ニ增產ヲス
  ルノニ一體何ヲヤルカト云フコトニナリマ
  スト、農林大臣ガ一生懸命デ草鞋穿デ步イ
  テモ迚モ駄目ダ、ソレデハ吾々ガヤラウト
  云フノデヤツテモ勿論駄目デアル、指導階
  級デアリマス所ノ政府ノ激勵ハ洵ニ結構デ
  アリマス、是ハ御願ヒシナクチヤナラヌコ
  トデアリマスレケドモ、是ノミニ依ツテハ
  不可能、又個人的ナ氣魄ダケデモ駄目、ヤ
  ラヌヨリハヤル方ガ宜イコトハ當然デアリ
  マスケレドモ、是デモ駄目、一體ドウスレ
  バ肥料ナリ勞力ナリヲ補ツテ行クコトガ出
  來テ、此ノ戰時下ニ於ケル所ノ增產ノ目的
  ヲ達スルコトガ出來ルカト云フト、マア工
  夫ト云フコトデアル、其ノ工夫ハドウ云フ
  工夫ヲヤラナケレバナラヌカト云フト、殘
  サレタ問題ト致シマシテハ、土地制度ノ改
  革ト有畜農業ノ普及ニ依ル以外ハ絕對ニナ
  イト私ハ信ズル、ソレハ耕種改善モ必要デ
  アリマス、又病蟲害驅除モ絕對必要デアリ
  マンク、是ハ大イニヤラナケレバナラヌノデ
  アリマスガ、私ハ本當ニ農民ヲ感激戰慄セ
  シメテ起チ上ラシメ、本當ニ協力シテ政府ノ
  方針ニ眞一文字ニ挺身シ行クヤウニセシム
  ルニハ、先ヅ戰時下ニ於テハ土地制度ノ改
  革ト有畜農業ニ依ル施策ニ依ツテ此ノ目的
  ヲ達スルト云フ以外ニハナイト思フ、ソレ
  ニハ只今話シマシタ通リ、指導當局デアリ
  マスル農林大臣以下次官カラ全部ガ、要ス
  ルニ各推進班ヲ組織シ地方ニ行脚シ增產ヲ
  指導奬勵スルト云フコトガ必要デアル、吾
  吾モ所謂農林當局ノ先達トナツテ、一生懸
  命國策ヲ下部組織マデ浸透シテ草鞋穿デヤ
  ルト云フコトニシテヤラナケレバナラヌガ、
  取敢ズ此ノ一ツツ問題ヲ實行ニ移シテ貰フ
  ノデナケレバ、七千百万石ノ增產目的ヲ達
  スルコトハ、到底不可能ト思ヒマスガ、此ノ
  點ニ對スル農林大臣ノ御所見ハ如何デアリ
  マスカ、御伺ヒシテ置キタイト思ヒマス

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• 017・井野碩哉

  ○井野國務大臣　野溝君ノ御述べノ有畜農
  業問題或ハ土地問題、農地問題、重大ナ問
  題デアリマスコトハ、是ハ私モ能ク了承シ
  テ居リマス、併シ前提セラレタ五十万町步
  ノ開墾ト、潰地トノ關係、是ハ野溝君ノ獨
  斷ノ御計算デスカラ其ノ通リニハ行カナイ
  ノデアリマス、農林省ハモツト立派ナ計畫
  ヲ持ツテ居リマス、ト云フノハ、五十万町
  步ノ開墾ハ、潰地以外ニ新シク作ル目標デ
  アリマス、潰地ニ對シテノ對策ハ別ニ立ツ
  テ居リマス、詰リ潰地ニ對シテハ農地管理
  令ニ依リマシテ、無闇ニ工場デアルトカ、
  或ハ其ノ他デ農地ヲ潰サナイヤウニ、防止
  スル方法ヲ一面ニ於テ講ジマスト共ニ、潰
  地ニ對スル小開墾ナリ其ノ他ノ開墾ハ五十
  万町步ノ開墾以外ニ農林省デ考ヘテアルノ
  デアリマス、デアリマスカラ五十万町步ノ
  方ハ、潰地以外ニ新シク出來ル開墾地デアリ
  マス、隨テ五十万町步出來テ片方ニ四十万
  町步減ルト云フ計算ハ野溝君ノ計算デ、農
  林省ノ計算デハナイノデアリマス、ソレハ
  決シテ御心配ハ要ラナイ、斯ウ云フコトニ
  ナツテ來ルノデアリマス、併シ後段ノ御意
  見ニ付キマシテハ-野溝君ノ農地問題
  或ハ有畜農業問題、是ハ私共モ色々〓究ヲ
  致シ、又殊ニ有畜問題ニ付テハ農林省トシ
  テモ全力ヲ擧ゲテ之ニ邁進シテ居ルノデア
  リマス

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• 018・野溝勝

  ○野溝委員　ソレデハ美田、熟田ノ問題、
  農地ノ問題ト潰地ノ問題ニ付キマシテハ意
  見ノ相違デアルト云フコトデアリマスルカ
  ラ、之ヲ論議シテ居リマスルト時間ガ相當
  掛リマスカラ、私ハ之ニ對シテ餘リ論議ハ
  致シマセヌ、唯私ノ後段ノ問題ニ付キマシテ
  ハ農林大臣モ篤ト贊成ヲシテ下サルト言
  ヒマスカラ、非常ニ有難ウゴザイマス、特
  ニ有畜農業ト、土地制度ノ改革ニ對シマシ
  テ、農林大臣ガ積極的ニ熱意ヲ拂ハレテ贊
  成サレルト云フコトナラバ、私ハ是レ以上
  ノ滿足ハナイノデアリマス
  就キマシテ農林大臣ハ拓務大臣ヲ兼攝サ
  レテ居ルノデアリマスガ、此ノ增產計
  畫ニ對シ關係ガアリマスカラ、一寸關聯シ
  テ御伺ヒシテ置キマスガ、滿洲ニ於キマシ
  テハ二十箇年百万戶ノ移民計畫ヲヤツテ居
  ルノデアリマスガ、此ノ二十箇年間百万戶
  ノ移民計畫ノ第一期五箇年計畫ハ終了シ
  マシタ、併シ其ノ計畫ノ移民戶數トハマダ
  マダ餘程ノ開キガアリマス、滿洲ニ於ケル
  開拓モ中々容易デナイト私ハ思ヒマス、國
  防上重大ナ據點デアリ、尙ホ國防上カラ見
  テモ移民送出ヲヤラナケレバナラヌノデア
  リマスガ、最近ニ於キマシテ、滿洲ニ於テ
  ハ比較的農產物ノ成果ガ擧ラナクナツテ來
  タト云フコトヲ私ハ耳ニスルノデアリマス、
  ソレハ色々土壤ノ關係、地域ノ關係等ニ依
  ツテ擧ル所モアリ擧ラヌ所モアルデアリマ
  セウケレドモ、特ニ滿洲ニ於ケル農村ノ重
  要指導者ガサウ云フ意見ヲ吐イテ居リマス、
  特ニ南滿ノ方面ニ於テハ、每年百分ノ二位
  ヅツ減收シテ行ク、生產高ニ於テ一分ノ
  トナツテ來タト云フコトヲ堂々ト發表サレ
  テ居リマス、苟クモ當局ト云ヒマセウカ、
  特ニ其ノ指導階層デアル人々カラサウ云フ
  意見ガ出ルト云フコトニナリマスト、純朴
  デアリ半知半解、農民トシテハ、半分信ジ半
  分疑ハザルヲ得ナイノデアリマス、サウナ
  ツテ來ルト、先程モ言ヒマシタ通リ、開拓
  移民五箇年計畫實施ノ成果ヲ見マシテ、第
  一期年度八万一千九百戶ノ計畫ガ、四万六
  千戶ト云フコトニナツテ居リマスカラ、益、く
  以テ不安ガ伴ツテ來ル譯デアリマス、斯ウ
  云フ點ニ付テ意見ヲ統一シテ置カヌトサ
  ウデナクテモ、南方へ行ケ「バナナ」ガア
  リ、椰子ノ木ガアルナドト云フコトデ、埒モナ
  イ話デスガ、裸一貫デ南ノ方ヘ行ケバドン
  ナ生活デモ出來ルト云フヤウナ氣分ヲ與ヘ
  マス爲ニ、私共ハ百姓ノ北方移民ノ指導ニ
  困ツテ居ル、殊ニ長野縣ニ於テハ開拓民送
  出ニ於テ又生絲ニ於テ木炭生產ニ於テモ第
  一等全國的ニ見テ何モ彼モ第一等、唯政
  治家ハ別問題トシテ、サウ云フ譯デ實際我
  ガ長野縣ト致シマシテハ、此ノ北方移民
  ニ對シテモ優秀ナル成果ヲ擧ゲテ居ル此ノ
  際ニ、斯ウ云フヤウナ指導部面ノ不統一ト云
  ヒマスカ、サウ云フヤウナコトデハ全ク困
  ル、又是ガ事實トスレバハツキリ事實ダト
  言ツテ貰ヒタイ、然ラバ之ニ對スル對策ヲ
  ドウスルカ、ソレヲ斯ウ云フ機會ヲ通シテ
  其ノ所見ヲ發表サレルナラバ、非常ニ吾々
  トシテモ今後ノ指導モシ宜イシ、色々ノ點
  ニ於テ移民計畫ニ對スル指導モヤリ宜イト
  存ズルノデアリマスカラ、此ノ機會ニ農業
  移民ノ實情ニ付テ簡單デ宜シイカラ御話ヲ
  願ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=18

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• 019・井野碩哉

  ○井野國務大臣　滿洲開拓移民ニ付キマシ
  テハ、現在ノ方針トシテハ、主トシテ北滿
  ニ於ケル移民計畫ヲ實施シテ居ルノデアリ
  マス、只今御話ノ南滿地方ハ從來カラモ相
  當長イ間耕作ヲシテ居リマスカラ、多少地
  味モ減退シ、肥料等モ十分使ハナケレバ增
  產モ期待出來ナイヤウナ事情ニアルト云フ
  コトハ、是ハ實ハ或ル程度アリマス、併シ
  北滿ノ地ハマダ殆ド未開墾地デアリマシテ、
  肥料モ要ラズ、耕作ヲシマスレバ、非常ニ
  有利ナ條件デ農作物ガ生產セラレルト云フ
  狀態デアリマス、加藤完治氏等ノ御話ニ依
  リマシテモ、內地ヲ一トスレバ滿洲ハ十位
  ノ能力ヲ持ツト云フ位ノ地味豐饒ノ地點ガ
  北滿ニアルノデアリマスカラ、我ガ國ノ北
  滿開拓移民ニ對シテ生產力減退ト云フコト
  カラ、其ノ士氣ヲ阻喪セシメルト云フヤウ
  ナコトハ有リ得ナイト考ヘテ居リマス

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• 020・野溝勝

  ○野溝委員　ドウモ南滿ダ北滿ダト言ツテ
  見タ所デ、滿洲ト云ヘバ送出移民ハ滿洲全
  體ヲ考ヘテ居ルノデアリマシテ、大臣ノ言
  ハレルヤウニ南滿ハ昔カラヤツテ居ルカラ
  地力ハ弱ツテ居ツテ駄目ダ、北滿ハ未開墾
  地デ將來宜イト云フヤウナコトニナルト、
  オ互ヒハ分ルガ、一般ノ農民ニハ分ラナイ、
  特ニ最近長野縣邊リデモ移民ヲ勸メルニ當
  リマシテ、無肥料デ宜イト言ヒマスカラ行
  ツタ所ガ、迚モ「アルカリ」土壤デドウニモナ
  ラナカツタト云フコトデ、場所ヲ變ヘルニ
  相當困難ヲシタデアリマスガ、サウ云フコ
  トデハ、吾々モ指導スルニ困ル、併シ困ル
  ト云ツテドウスルカト云フコトニナリマス
  ト、指導スル政府ニ於キマシテ、南滿方面
  ハ斯ウ〓〓云フ土壤デアルカラ斯ウデアル、
  北滿方面ハ斯ウ〓〓云フ土壤デアルカラド
  ウデアルト云フコトヲ豫メ能ク示シテ、サ
  ウシテ移民計畫ヲ樹立シ、指導サレタ方ガ
  宜イト思ヒマスガ、此ノ點ニ對スル大臣ノ
  御所見ヲ伺ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=20

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• 021・井野碩哉

  ○井野國務大臣　其ノ點十分滿洲開拓移民
  ヲ指導シマス者モ、亦指導ヲ受ケマス者モ
  能ク分ツテ居ルノデアリマス、南滿地帶ハ
  殆ド大キナ移民ヲ持ツテ行ク餘地ガナイノ
  デアリマス、滿洲移民ト云ヘバ北滿ノ移民
  ト云フコトハ、是ハ常識的ニ分ツテ居ルノ
  デアリマス、サウ云ツタヤウナ御心配ハナ
  イト思ヒマス

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• 022・野溝勝

  ○野溝委員　御心配ガナケレバ結構デス
  ガ、マア一ツサウ云フ點モ吾々ノ接スル農
  民ハ心配シテ居ル者モアリマスカラ、金會
  ハ念ヲ入レヨデアリマス、ヨリ一層政府ノ
  目的ヲ達スルヤウニ、徹底的ニ御指導ヲ願
  ヒタイト思ヒマス
  次ニ今囘ノ法案中其ノ內容ヲ檢討シテ見
  マスト、內地米ニ對シテハ食糧管理局デ扱
  フシ、外地米ニ對シテハ〓糧營團デ扱フト
  云フ二元的機構ニナツテ居リマスガ、麥ノ
  出荷ニ付テハ又一ツ彈力ヲ持タシテアルヤ
  ウニ思フノデアリマス、サウナルト先程農
  林大臣ガ御答辯ヲサレタ目的、精神トハ少
  シ違ツテ居ルヤウニ思フノデアリマスガ、
  此ノ點食糧管理局長官ニハドウ考ヘラレテ
  居リマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=22

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• 023・湯河元威

  ○湯河政府委員　此ノ點ハ能ク御說明ヲ申
  上ゲテ置キタイト存ジマス、此ノ管理法ノ
  建前ト致シマシテ、玆ニ米麥トゴザイマス
  ノハ、寧ロ內地ニ於テ生產サレタ米麥デ、
  是ハ三條、四條ノ規定ニ依リマシテ政府ガ
  謂ハバ專賣的ニ之ヲ買入賣渡ヲ致シマス、
  此ノ政府ノ取扱ヒマシタ米麥ガ營團ニ渡サ
  レマス、營團ヲ介シテ之ヲ配給スルニ付キ
  マシテハ、四條ノ規定ニ依リマシテ政府ハ
  米麥ヲ營團ニ賣渡スト云フコトガ書イテゴ
  ザイマスガ、內地米ニ付キマシテハ政府ハ
  中央營團ニハ賣渡シマセズニ、地方營團ニ
  賣渡スト云フコトニ決メテ居リマス、此ノ
  所以ハ何ト申シマシテモ米ノ取扱量ト云フ
  モノハ莫大ナモノデアリマシテ、之ヲ扱ツ
  テ參リマスノニ實ハ食糧管理局ニ特別會計
  ガアルノデアリマス、更ニ之ヲ中央營團デ
  扱ハセルト云フコトハ必要ガナイデハナイ
  カ、農林省ガシツカリ抑へテ居ルカラ、之
  ヲ地方營團ニ計畫的ニ渡シマシテモ、ソコ
  ニ配給上ノ些カノ不安モナイ、斯ウ思フノ
  デアリマス、寧ロ斯ウ云フ行キ方デ中央營
  團ガ出來タカラト申シマシテモ中央營團ニ
  ヤラセルト云フコトハ、中央營團ニ無用ノ
  手數料ヲ取ラセルコトニシカナラヌノデハ
  ナイカト云フヤウニ思ヒマス
  外米ニ付テノ扱ヒハ、是ハドウナツテ居
  ルカト申シマスト、南方ノ米ヲ買ツテ參リ
  マス時ニ政府ガ之ヲ買フノデアリマスガ、
  政府ハ之ヲ現在此ノ事業ヲ扱ツテ居リマス
  商社ニ嚴重ナル條件ノ下ニ委託ヲ致シマシ
  テ、其ノ米ヲ輸入シタ後ニ內地ニ於テ政府
  ガ之ヲ買フノデアリマス、是ガ配給ニ當リ
  マシテハ一方ニ麻袋ノ囘收、是ガ現下非常
  ニ大事ナ物ニモナツテ居リマス等ノ必要モ
  考ヘマシテ、政府ガ直接賣渡ス場合モアリ、
  又從來ノ日本米穀會社ヲシテ扱ハシメルヤ
  ウナ必要ノアル場合ニ於キマシテハ、中央
  營團ヲシテ扱ハシタイト思ツテ居リマス、
  是ハ斯ウ云フヤウナ特殊ノ事情ガゴザイマ
  スカラ中央營團ニ扱ハセルノデアリマスガ、
  內地米ニ付キマシテハ、サウ云フ必要ガゴ
  ザイマセヌカラ、政府ガ貯藏致シマス、ソ
  レカラ麥ノ方ニ付キマシテハ、是ハ大麥、
  稞麥モ食糧ニナリマスルモノハ、何レモ精
  麥ト云フ過程ガ必要デゴザイマスルシ、又
  小麥ニ付キマシテハ製粉ト云フ加工過程ガ
  アルノデアリマス、是等ノ點ニ付キマシテ
  ハ從來カラソレ〓〓相當ノ設備ヲシテアル
  ノデアリマス、其ノ設備ノ全國的ノ配置ノ
  狀況等カラ考ヘマシテ、政府ガ米ト同ジヤ
  ウニ中央營團ニ直接大麥、小麥、稞麥ト云
  フヤウナ原料ヲ配給シテシマヒマスト、更
  ニ地方營團ガ又偏在シテ居リマス設備ノ所
  有者ニ對シテ精麥或ハ製粉ヲ賴ムト云フコ
  トニナリマシテ、非常ニ複雜ニナリマスカ
  ラ、是ハ從來トテモ政府ニ於キマシテハ、
  小麥ハ全國ノ配給會社ニ一手ニ拂下ゲマシ
  テ、ソコデ然ルベク製粉過程ヲ經マシテ、
  其ノ製粉ヲ地方營團ニ相當スル從來ノ地方
  配給機構ニ拂下ゲテ居リマス、ソレカラ大
  麥、稞麥ノ食糧ニナリマスモノ、精麥過程
  ノ必要ナルモノハ、只今デハ日本米穀會社
  ニ扱ハシメマシテ、サウシテ全國カラ見マ
  スト偏在シテ居リマスル精麥工場ニ於テ精
  麥シタモノヲ地方ノ配給機構ニ拂下ゲテ
  居ルノデアリマス、是等加工設備ノ散在シ
  テ居リマスル事情等カラ考ヘマシテ、又是
  非加工ト云フ過程ガ必要ダト云フコトカラ
  致シマシテ、從來カラ是ハ日本米穀會社ナ
  リ或ハ全國製粉會社ナリニ扱ハシテ居ルノ
  デアリマシテ、大體ソレデ從來此ノ一兩年
  ノ經驗上支障ナク動イテ居リマスカラ、今
  度ノ營團ヲ作リマスニ付キマシテモ其ノ從
  來ノ經驗ヲ生カシマシテ、斯ウ云フ風ナ扱ヒ
  ガ決メラレテ居ルノデアリマス、無論從來
  ト申シマシテモ、麥類ニ付キマシテ地方ノ消
  費縣內ノ生產シタモノヲ縣內ニ於テ消費ス
  ルト云フヤウナ場合ニ於キマシテハ、必ズシ
  モ中央ニマデ持ツテ來ルト云フコトニ致シ
  マセヌ實情ガゴザイマス、是等ノ點ハ今後
  此ノ中央地方ノ營團ノ運營上ニ於キマシテ
  モ、十分過去ノ經驗ト地方ノ實情トヲ能ク
  勘案致シマシテヤツテ參リタイト思ヒマス、
  俳シナガラ中央營團ガ何ダカ中途半端ノ仕
  事ヲヤツテ居ルヤウニ御氣付キノヤウデゴザ
  イマスガ、何ト申シマシテモ食糧管理局ノ特別
  會計ノ大キナ經濟上ノ動キニ卽應シテ、中央
  營團ハ働イテ貰ヒタイト云フ考ヘヲ持ツテ居
  ノデアリマシテ、其ノ外又中央營團ガ出來
  マスレバ、之ニ貯藏シテ貰フ吾々ト致シマ
  シテハ、中央營團ト農林省トガ一體トナツ
  テ働イテ行キマスレバ、配給ハ是デ行クト
  云フ考ヘヲ持ツテ居リマス

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• 024・野溝勝

  ○野溝委員　詳細ノ內容ニ付テ御答辯ニナ
  リマシテ有難ウゴザイマシタ、漸クハツキ
  リシマシタ、何ダカドウモ此ノ間ガ非常ニ
  曖昧模糊トシテ居リマシテ、靄ヲ被ツタヤ
  ウデ分ラナカツタノデス、ソコデ一ツ警告
  ト申シテハ失禮デアリマスガ、希望ヲ申上
  ゲテ置キマス、此ノ實施ニ當リマシテ、私
  ハ〓糧管理局長官ガ考へテ居ラレルヤウニ
  圓滑ニハ中々行カヌト思ヒマスカラ、相當
  面倒ダラウト思ヒマス、デアリマスカラ今
  後ハ此ノ物資ガヤハリ偏在スルコトノナイ
  ヤウニ、或ハ人的方面ニ於キマシテモ、食
  糧營團ト食糧管理局トガ仕事ノ上ニ於キマ
  シテ、相剋ト言ツテハ失禮デアリマスケレ
  ドモ、色々支障ヲ來サナイヤウニ特ニ希望
  ヲ申上ゲテ置キマス
  尙ホ本法案中雜穀モ結局ハ扱フコトニナ
  ルデアラウト思フノデアリマスガ、勿論勅
  令デ扱ヘルコトニナツテ居ルノデスカラ、
  行ク〓〓ハ當然扱フコトト思ヒマス、其ノ
  場合是ハ大臣ニ特ニ御伺ヒシテ置キタイノ
  デアリマスガ、包米トカ或ハ高粱ト云フ重
  要飼料デアリマスガ、此ノ飼料ガ一應勅令
  ニ依ツテ食糧トシテ扱フ場合ニ於キマシテ
  ハ、ソレガ價格ノ上ニ於テ、食糧トシテ買
  入レル場合ハ、時價價格ニ依ツテ之ヲ買上
  ゲルノデ相當ノ價格ニナルシ、次ニ飼料ト
  シテ流ス場合ニハ、食糧ノ價格ニ依ツテ飼
  料ノ方ニ廻ハスト云フコトニナルト、是ハ
  有畜農業ガ大キナ暗礁ニ乘上ゲルコトデア
  ルト思フ、此ノ點ニ對シテ農林大臣ノ御考
  ヘヲ特ニ聽イテ置キタイト思フノデアリマ
  ス

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• 025・井野碩哉

  ○井野國務大臣　現在飼料ハ滿洲及ビ佛印
  等カラ輸入シテ居リマスガ、飼料トシテ輸
  入シテ居リマスモノヲ食糧ニ〓ハス場合、
  又飼料ニ廻ハス場合、價格ノ上ニ於テ大シ
  タ違ヒハナイノデアリマス、從來滿洲佛印
  カラ飼料トシテ大體ノ計算デ買ツテ居リマ
  ス、其ノ點ハ御心配ナイト思ヒマス

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• 026・野溝勝

  ○野溝委員　食糧管理局ガ出來タ後ニ於テ
  モ其ノ方針デヤツテ行カレルノデアリマス
  カ

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• 027・井野碩哉

  ○井野國務大臣　其ノ通リデアリマス

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• 028・野溝勝

  ○野溝委員　次ニ私ハ時間ノ關係上一括シ
  テ二、三質問ヲ致シタイト思フノデアリマ
  ス、第三條第二項デスガ、「前項ノ場合ニ於
  ケル政府ノ買入ノ價格ハ勅令ノ定ムル所ニ
  依リ生產費及物價其ノ他ノ經濟事情ヲ參酌
  シテ之ヲ定ム」ト云フコトニナツテ居リマス、
  先般モ先輩同僚ノドナタデアリマシタカ、
  此ノ點ニ關シテ質問サレマシタ、特ニ同僚
  平野君カラハ此ノ點ニ對シマシテ質問ヲサ
  レタノデアリマスガ、其ノ時ノ答辯ガドウ
  モ曖昧デハツキリシマセヌデシタ、勿論此
  ノ生產費ヲ規定スルト云フコトニ付キマシ
  テハ、相當色々ナ意見モアルコトト存ジマ
  スガ、特ニ先程來申上ゲマシタ通リ、土地
  制度ノ改革ト有畜農業ヲヤラナケレバ、生
  增產目的ヲ達スルコトガ出來ナイト云フコ
  トヲ私主張シタコトニ對シマシテ、農林大臣
  ハ尤モデアルト云フ答辯ヲサレタ以上ハ
  此ノ問題ハ特ニ重要ナ間題デアリマスガ故
  ニ、當局ノ生產費ニ對スル御所見ヲ御聽キ
  シタイト思ヒマス、特ニ御所見ト言ヒマシ
  テモ、私ハドウ云フヤウナ基準算定ヲ以テ
  ヤラウトスルカト云フ御所見ヲ御伺ヒシタ
  イト思ヒマス、ソレニ對シマスル質疑ヲ又
  交換シテ居リマスト時間ガ掛リマスカラ、
  ココデハ意見ダケヲ御聽キシマシテ、此處
  ニ私ハ私トシテノ私案ヲ持ツテ居リマスカ
  ラ、其ノ私案ヲ御示シ致シタイト思ヒマス

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• 029・湯河元威

  ○湯河政府委員　第三條第二項ノ規定ニ依
  リマシテ、生產費ヲ參酌シテ買入價格ヲ決
  メルト云フコトニナツテ居リマス、此ノ生
  產費ノ問題ハ、是ハ此ノ法律ノ中デモ非常
  ニ重要ナ點デアルト思フノデアリマスガ、
  是ハ色々御議論ガオアリカト存ジマスル
  ガ、吾々ト致シマシテハ兎ニ角米穀法、米
  穀統制法以來ノ經驗ヲ持ツテ居リマスノ
  デ、大體從來ノ生產費調査ノ方式、是ハ隨
  分練リニ練ツタモノデゴザイマスノデ、之
  ヲ土臺ト致シマシテ、然ルベキ必要ナル改
  善ヲ加ヘテヤツテ參リタイト云フ風ニ考ヘ
  テ居ルノデアリマス、唯此ノ間モ申上ゲマ
  シタヤウニ、從來ノ生產費ヲ參酌シテ決メ
  マス場合ニ於テハ、所謂米穀統制法上ノ最
  低價格ヲ決メルノデアリマス、是レ以上ニ
  米ノ値ガ下ツテハ農家トシテハ絕對ニ困ル
  ト云フ所ヲ決メル、其ノ價格ヲ決メマスニ
  必要ナル生產費-可ナリ生產費ガソレガ
  爲ニ何ト言ヒマスカ辛イト言ヒマスカ、今
  度ノハサウ云フ意味デハゴザイマセズニ、
  〓糧管理ヲスル場合ニ政府ガ買フ價格ノ決
  メ方デゴザイマスカラ、此ノ間モ御說明致
  シマシタヤウニ、從來ノ買入價格ノ決メ方
  ニ若干ノ是正ハ加ヘテ行ク必要ガアル、唯
  如何セン只今吾々ノ手許ニゴザイマス生產
  費ハ從來ノ生產費調査ノ方式ニ依リマシテ
  調ベタモノデアリ、是カラ色々方式ヲ改メ
  マシタモノニ依リマシテ調査ヲシテ行キマ
  セヌコトニハ此ノ管理法上ノ適切ナル生
  產費ハ出ナイト思ツテ居リマス、其ノ整備
  致シマスマデノ間ハ取敢ズ從來ノ生產費等
  ヲ十分ニ考慮致シマシテ、サウシテ此ノ法
  規ノ運用ニ當リタイ、斯ウ云フ考ヘヲ持ツ
  テ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=29

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• 030・野溝勝

  ○野溝委員　其ノ點ニ關シマシテ一寸疑義
  ガアリ異見ガアリマスケレドモ、質疑ノ時
  間ヲ許サレマセヌノデ私案ヲ速記ノ方ニ載
  セテ置キマスカラ、農林當局ト私案ヲハ參考
  ニシテ戴イテ適正生產費ヲ正當ニ算定シテ
  戴キタイト思ヒマス、此ノ私案ハ後デ速記
  ニ載セテ戴クヤウニ委員長ニ御願ヒ致シマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=30

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• 031・三善信房

  ○三善委員長　宜シウゴザイマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=31

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• 032・野溝勝

  ○野灌委員　次ニ本法中主要〓糧、米麥芋
  等々ガ入ツテ居ルノデアリマスガ、一體主
  要食糧ト云フモノハ、米麥ハ勿論主要食糧
  ニハ違ヒアリマセヌ、芋モサウデアリマセ
  ウケレドモ、ソレ以上必要ナモノハ蛋白給
  源デアリマス動物性蛋白質、肉類ガ、絕對
  重要食糧デアリ、主要食糧デアルト思フノ
  デアリマスガ、ドウシテ此ノ主要食糧ノ中
  ヘ織込マナカツタノデスカ、此ノ點ヲ一ツ
  御伺ヒシテ置キタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=32

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• 033・湯河元威

  ○湯河政府委員　此ノ點ハ昨日モ川島サン
  デゴザイマシタカノ御尋ネニ御答ヘ致シタ
  ノデゴザイマスガ、肉類、生鮮〓料品等ハ
  米麥其ノ他此處ニ豫定シテ居リマス物資
  ト其ノ取扱ヒノ方式等ハ可ナリ違フモノ
  ノヤウニ思ハレマス、同一ノ方式ヲ以テ取
  扱ヒ管理シテ參ルコトガ適當デナイト思ヒ
  マスノデ、是ハ尙ホ能ク檢討致シマシテ、營
  團ナリ或ハ管理法ナリデ扱フコトガ出來ル
  ト云フ結論ガ出マスレバ別デゴザイマスケ
  レドモ、只今デノ吾々ノ考ヘデハドウモ是
  等ヲヤルノニハ別ノ方式ヲ以テスベキデハ
  ナイカト思ヒマシテ、此ノ間申シマシタヤ
  ウニ、主要食糧ノ中ニハソレ等ノモノヲ入
  レテ居リマセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=33

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• 034・野溝勝

  ○野溝委員　此ノ點ハ私非常ニ遺憾ダト思
  フノデアリマス、一體食糧管理法ノ精神ト
  云フモノハ國民食糧ノ確保ト云フコトデア
  リマス、國民食糧ノ確保ト言ヒマシテモ、平
  年作以上、朝鮮ガ二千五百万石、內地ガ六
  千五六百万石カラ七千万石、或ハ臺灣ガ一
  千万石カラ一千二百万石穫レル事情ニアル
  ナラバ、國民食糧ノ自給ハ圓滑トナル其フ
  トキハ此ノ食糧管理法ト云フモノハ要ラナ
  イ、又食糧營團ト云フモノモ要ラナイト思
  フ、併シ客觀情勢ハ段々ト食糧ニ對スル色
  色ナ支障ガ派生シテ來マシタ結果ハ最低食
  糧確保ト云フコトニナツタ本〓糧管理法
  ハ最低食糧確保ヲ推進セン爲メニ生レタ
  モノデアルト思ヒマス、實際此ノ法律ノ精
  神ト云フモノハサウデナケレバナラヌト思
  フ、ソコガ國防經濟ノ觀點ダ、私ハサウ見
  ルノガ正シイト思フ、ケレドモ本管理法
  ノ內容トシテハ不備ノ點ガ相當アル最低食
  糧ノ確保ト云フコトニナリマスルト、最後
  ハ榮養價ノ問題ニナツテ來ルト思フ、結局
  ハ蛋白質ハ八十「グラム」熱量ガ二千四百
  「カロリー」ガ成年標準榮養價デアル、此ノ
  榮養價問題ヲ睨合セテ國民食糧ヲ確保スル
  ト云フノガ最モ正シイノデアル、要スルニ
  榮養價ノ問題ガソコニ重要ナル問題トシテ
  登場シテ來ルノデアリマス、特ニ農林大臣
  及ビ食糧管理局長官ガ考ヘテ居ラレルヤウ
  ニ、是ハ本當ニ空襲ノ場合ニ於ケル用意ノ
  貯藏ヲモ考ヘテ居ル點ハ周到ナル心構ト存
  ジマス、今デコソ空襲ハアリマセヌケレド
  モ、戰爭政府トシテハ、當然ノ施策デアリ
  マスガ、其ノ空襲ニ對スル貯藏マデモ考ヘ
  テ居ラレルナラバ、此ノ榮養價ノ問題ヲ無
  視シタ所ニ本法ノ缺陷ガアル、動物性蛋白質
  トシテノ肉トカ或ハ生鮮魚ト云フモノモ此
  ノ食糧管理法ノ中ニ、食糧營團ノ中ニ之ヲ
  吸收シナクテハ意義ヲナサヌト思フ、併シ
  今囘ハ非常ニ取急イデ居ツタカラ取敢ズ應
  急立法トシテ提出シタト云フクデシタラ特
  ニ勅令ニ依ツテドウデモ扱ヘルコトニナツ
  テ居ルカラ、何レ考ヘテソレニ卽應スルヤ
  ウニシテ貰ヒタイ、私ハ此ノ問題ニ對スル
  質問ハ是デ打切リタイト思ヒマスガ、之ニ
  對スル御所見ヲ承リタイ

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• 035・井野碩哉

  ○井野國務大臣　只今野溝委員ノ御述べノ
  通リ、〓糧對策トシテハ單ニ澱粉質ノ食
  糧ノミナラズ、蛋白給源ノ食糧ニ付キマシ
  テモ極メテ重大デアルト云フコトハ御說ノ
  通リデアリマス、隨テ政府トシテノ最近閣
  議デ決定シマシタ緊急食糧對策ト云フモノ
  ハ澱粉質給源、蛋白質給源、或ハ脂肪質給
  源ノ三方面カラ國民ノ食糧ノ最低限度ヲ確
  保スルト云フコトノ目標ノ下ニ現在施策ヲ
  致シテ居ルノデアリマス、食糧管理法ハ其
  ノ一端デアリマス、全部ノ食糧問題ヲ此ノ
  法案ニ依ツテ解決シヨウト云フノデハナイ
  ノデアリマス、農林大臣ガ其ノ三ツノ方面
  ノ責任ヲ持チマシテ、色々ノ施策ヲスル、
  其ノ一端トシテ此ノ食糧管理法ヲモ運用シ
  テ參リタイ、斯ウ云フ次第デアリマスカラ、
  決シテ御說ノ通リ肉ヲ粗末ニスルト云フ氣
  持ハチツトモゴザイマセヌ、勿論十分ニサ
  ウ云フ點モ增產ヲ圖ツテ參リタイト考ヘテ
  居リマス

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• 036・三善信房

  ○三善委員長　野溝君、マダアリマスカ

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• 037・野溝勝

  ○野溝委員　モウ二三點アリマス、マダ五
  分アリマスカラ··

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• 038・三善信房

  ○三善委員長　纏メテ下サイ、唯一點ダケ
  御許シシマス

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• 039・野溝勝

  ○野溝委員　ソレデハ時間ノ關係デ質問ヲ
  注意セラレマシタノデ、遺憾ナガラ私ハ食
  糧增產ニ關スル建設意見ダケ申上ゲテ置キ
  マスカラ、ドウカ一ツ農林當局ハ、私ノ建
  設的意見ヲ御檢討御考慮願ヒタイト思フ、
  私ハ外米依存ガ宜イトカイカヌトカ、或ハ
  內地自給ガ宜イトカイカヌトカ、盛ンニ議
  論サレテ居ルガ、ソンナモノハ外米依存デ
  アラウト內地自給デアラウト、議論ノ必要
  ハナイ、私ハ東亞共榮圈ヲ如何ニシテ經濟
  的ニ政治的ニ推進シテ行クカト云フコトガ
  吾々ニ與ヘラレタ所ノ使命デアルト思フ、
  サウ云フ觀點カラ一切ノ政策ヲ私ハ立案シ
  ナケレバナラヌト思ヒマス、デアリマスカ
  ラ東亞共榮圈ノ國土計畫ト云フ觀點カラ、
  私ハ左ノ見解ヲ持ツテ居リマス、特ニ〓糧
  問題ニ對シマシテハ、大東亞食糧政策ト致
  シマシテ、先ヅ日滿支南方ヲ含メタ東亞協
  力經濟ヲ基調トスル國防經濟ノ編成、是ガ
  一デアリマス、二ガ〓糧一切ノ生產、配給、
  消費ノ交流調整、三、綜合食糧ノ自給方策
  ノ確立、右ヲ基本方針トシテ次ノヤウナ實
  踐ヲヤツテ貰ヒタイ、其ノ實踐要綱ト致シ
  マシテハ、先ヅ計畫生產ノ目標ヲ立テル、
  內地ト致シマシテハ〓糧及ビ原料作物ノ多
  收穫品種ヲ奬勵スルコト、ソレカラ是ハ大體
  農林省デモヤラレテ居リマスガ、部落協同
  組合ヲ單位トスル共同耕作、利用ニ依ル生
  產命令等ニ依リ七千百万石確保、次ニ臺
  灣ト致シマシテハ、最近砂糖船ガドン〓〓
  來ルト云フヤウナ馬鹿ナコトヲ新聞デ言ツ
  テ仕樣ガナイガ、米ノ增產ニ重點ヲ置クト
  云フコトニシテ貰ヒタイト思ヒマス、千三
  百万確保、朝鮮ハ農業經營ノ改良ト計畫ノ
  更新ニ依リ增產ヲ圖ル二千八百万石確保、滿
  洲ハ開拓ヲ奬勵シテ國防前線基地トシテ滿
  洲移民ヲ徹底スル、特ニ二十箇年間百万戶
  ノ送出ニ付キマシテハマダ〓〓內容ヲ改善
  シナイト、高度國防上ノ危險性ガアル、其
  ノ內容ト致シマシテハ水田ノ許可性ト云フ
  ヤウナ面倒ナコトヲ言ハズドン〓〓許スト
  云フヤウナコトニシテ行カナケレバナラヌ
  ト思ヒマス、特ニ滿洲ニ於キマシテハ四百
  万石位シカ出來ナイサウデアリマスカラ、
  是等ニ對シマシテハ徹底的ニ自給ノ出來ル
  ヤウナ增產奬勵ヲシテ貰ヒタイ、ソレト貯
  藏設備ヲ完備スルト云フコトガ必要デアリ
  きくら、支那ニ於キマシテハヤハリ土地制度
  ノ改革ヲスルコトガ必要デハナイカ、併シ
  是ハ支那ノ領土デアルカラサウ簡單ニ行キ
  マセヌ、先ヅ取敢ズヤラナケレバナラヌコ
  トハ、〓〓工作ノ確立、技術ノ指導、品種
  改善、水利灌漑事業ノ實施等々、南方ニ於
  キマシテハ佛印、「タイ」ハ米二千二百万石、
  雜穀七十万「トン」ト云フ程度デ滿足セズ、此
  ノ方面モ東亞共榮圈的建前ヲ持ツテ居ルノ
  デアリマスカラ、日本ガ指導シテ、特ニ米
  ノ增產及ビ雜穀ノ大增產ヲ積極的ニ推進シ
  共榮圈食糧供給基地トシテ戴キタイト考ヘ
  テ居リマス、當面ノ實踐要綱ト致シマシテ
  ハ、先程私ガ此處デ申上ゲマシタ通リ、土
  地問題、有畜農業ノ普及徹底、農業團體ノ
  統合、此ノ三ツヲ捉ヘタイト思ヒマス、特
  ニ土地制度ノ問題ニ付キマシテハ旣ニ前囘
  平野君ヨリ申サレマシタ通リ、吾々ハ絕エ
  ズ農林當局ノ御出席ヲ願ヒマシテ、農地制度
  改革同盟ノ意見ト致シマシテ、種々農林省
  ニ陳情シ意見ノ交換ラナシ瑞穗ノ國日本ノ
  建設ヲ申上ゲテ居リマスカラ、此處デハ申
  上ゲマセヌ、ドウカ我々ノ熱意生產農民ノ
  眞情御酌取リ願ヒマシテ、一日モ早ク立案
  サレ本議會ニ土地制度ノ改革ニ對スル法案
  ナリ或ハ何等カ之ニ代ルベキモノヲ此ノ機
  會ニ一ツ實踐シテ戴キタイト思ヒマス、又
  農業團體ノ統合ハ先般來御意見ガアリマシ
  タガ、何ト言ツテモ增產ニハ國民組織ガ必
  要デアルト思ヒマス、此處ニ馬ガ來タ、牛
  ガ來タ、イヤ是ハ十人デ一馬力ノモノヲ馬
  ハ二頭デ馬力ノ能力ヲ發揮スル脫穀機ハ
  人ガ一時間ニ一石八斗ノ所ヲ是ハ六石ヤル
  ト言ツテ見テモ、ヤハリソレガ部分的デアツ
  テハ效果モ少ナイ、人的ニシテモ、只今ノヤ
  ウナ畜產ト云フ物的ニシテモ限界アル效力
  シカナイ、斯ウシタ部分的ナ效力ヲ有機的
  ニ操作スルニハ組織ノ力デナケレバナラヌ、
  ヤハリ下部組織、國民組織、此ノ組織ガナケ
  レバナラヌ、組織ト云フモノハ人ガ組織ヲ
  動カス、組織ハ人ヲ鍊成スルノデアリマス
  カラ、ドウシテモ戰時下物資ノ不足ノ時ニ
  於キマシテハ、此ノ組織ニ依ツテ此ノ物資
  不足、勞力不足ヲ補足シテ行クト云フ方針
  ヲ玆ニ確立シナケレバ、私ハ增產目的ヲ達
  成スルコトハ出來ナイト思ヒマス、以上
  當面ノ實踐要綱ト致シマシテ有畜農業ノ普
  及徹底、土地制度ノ改革、農業團體ノ統合
  ト云フコトヲ私ハ深刻ニ考ヘテ居ルモノデ
  ゴザイマスカラ玆デハ「アウトライン」ダケ申
  上ゲマシテ、內容ニ付テハ甚ダ空疎デアリ
  マスガ意ノアル所ヲ諒トシテ戴キタイ、後
  刻時間ガアリマシテ質問ヲ許シテ戴ケレバ
  此ノ點ニ付テモ當局ト意見ヲ交換シテ見タ
  イト思フノデゴザイマス、若シ時間ガナカ
  ツタナラバ只今ノ意見ハ、私ノ試案デアリ
  マスケレドモ農林當局ニ於カレマシテ御批
  判願ツテ、取ツテ以テ施策ノ上ニ取上ゲテ
  戴クナラバ幸甚ト考へル次第デアリマス、
  以上ヲ以テ私ノ質問ヲ終リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=39

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• 040・三善信房

  ○三善委員長　午後ハ一時カラ會議ヲ開キ
  やって、午前ハ是デ休憩致シマス
  正午休憩
  午後一時十九分開議

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=40

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• 041・森幸太郎

  ○森委員長代理　午前ニ引續イテ開會致シ
  マス-松本治一郞君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=41

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• 042・松本治一郎

  ○松本(治)委員　數日間ニ亙リマシテ、本
  委員會ニ於テ多數ノ同僚議員カラ凡ユル角
  度、凡ユル方面カラ質問ガナサレテ居リマ
  ス、其ノ中ニ私ノ御尋ネシヨウトスルコト
  モ多ク質サレテ居リマスカラ、私ハ簡單ニ
  重複ヲ避ケマシテ、私ガ農村ニ於キマシテ
  農村ノ人達ガ、是非是ダケハ政府ノ人ニ言
  ツテ吳レ、斯ウ言ハレタコトニ付テ一寸御
  尋ネラシ、私ノ氣持モ述べ、政府ノ意ノア
  ル所ヲ聽キタイノデアリマス、其ノ一ツハ
  農業所得ニ依リ農民ノ生活ガ出來ルヤウニ
  シテ吳レ、今一ツハ働クノハ何ボデモ働ク
  カラ生產ニ必要ナル肥料ト器具資材ヲ吳レ、
  サウシテ强イ純綿ノ綿布ト地下足袋ヲ吳レ、
  吳レルナラバ早ク呉レ、今一ツハ食糧生產
  ニ働クタメニ必要量ノ米ヲ保有サシテ吳
  V、斯ウ言フノデアリマス、食糧ノ問題
  ハ平素ノ場合ニ於テモ重大關心事デアリマ
  スガ、今日ノヤウナ戰時非常時下ニ於キマ
  シテハ尙更重·大ナ問題デアルコトハ、私ガ
  申上ゲルマデモナク御分リノコトト思フノ
  デアリマス、併シ我ガ國ハ大東亞共榮圈確
  立ノ爲ニ、延イテハ世界新秩序建設ノ爲ニ
  大東亞戰爭ヲ敢行シ、〓戰ニ於テ世界戰史
  上未曾有ノ輝カシイ戰果ヲ收メツツ、長期
  戰對應ノ態勢デ完勝ニ向ツテ邁進シテ居ル
  ノデアリマス、其ノ國家ノ大目的完遂ニハ
  國民食糧ノ確保ガ絕對必要條件デアリマ
  ス、就中國内ノ食糧ハ國內ニ於テ需給ヲ圖
  ルコトガ又絕對的ニ必要デアルノデアリマ
  ス、然ルニ我ガ國現下ノ食糧生產事情ト云
  フモノハ、勞力、肥料ノ不足其ノ他ノ資材
  ノ窮屈化等ノ惡條件ニ置カレマシテ、搗テ
  テ加ヘテ消費ハ增大ノ一路ヲ進ンデ居ルノ
  デアリマス、此ノ望マシカラザル食糧生產
  關係ヲ克服致シマシテ、大東亞戰爭完遂
  ノ爲ニ〓糧問題ノ解決ヲ圖ル必要カラ本案
  ガ出サレタカト思フノデアリマス、此ノ事
  ニ付キマシテハ、何人モ些カモ異論ハナイ
  コトト思フノデアリマス、此ノ食糧問題ヲ
  解決スルニハ、農業所得ニ於テ農民ガ生活
  シ得ルヤウニスベキデアルト思フメデアリ
  w 〓 〓然ルニ今日マデ我ガ國ノ農業政策ハ
  唯彌縫的デアリマシテ、何等根本的解決ノ
  本道ヲ行ツテ居ナイヤウデアリマス、統計
  ノ示スガヤウニ、農村人口ノ移動狀態ヲ見、
  又土地ノ荒廢振リテ考ヘマシテモ、國民食
  糧生產ノ源泉デアル、農村ノ現狀ハ、實ハニ
  心細イ氣ガ致スノデアリマス、農村人ノ離
  農防止ヲヤル爲ニ、政府ハ本年ノ一月十日、
  農林省令ニ依ツテ農業生產統制令ヲ施行セ
  ラレマシタ、斯ノ如キ消極的對策ダケデハ
  本質的解決ハ不可能デアルト思ヒマス、根
  本的ニハ農民ノ農業所得ガ少イ爲ニ起ル現
  象デアルト考ヘナケレバナラナイノデアリ
  マス、帝國農會ノ調査ニ基イテ計算シタ農
  民ノ自家勞賃ヲ見テモ分リマスヤウニ、例
  ヘバ一町二反ノ小耕作者、中農ノ自作農デ
  米價四十三圓ノ時、自家勞賃一日二圓五十
  錢ニ當ル、同ジ時小作農デハ日當七十錢ニ
  シカ當ツテ居ナイノデアリマス、洵ニ氣ノ
  毒ナ位ニ思ヒマス、何ト政府ノ人ガ申シマ
  シテモ、今日ノ物價高カラ見マス時ニ、引
  合ハナイノガ本當デアラウト思ヒマス、ダ
  カラ離農者ガ多クナルノデアリマシテ、大
  切ナ食糧增產ニ支障ヲ來シテ居ルト思フノ
  デアリマス
  〔森委員長代理退席、委員長着席〕
  僅カナ奬勵金ヲヤリ、補助金ヲヤリ、助成
  金ヲヤルヤウナ消極的ナ、恩惠的ナ對策デ
  ハ駄目ダト私ハ思ヒマス、要ハ小作料ノ適
  正化ヲ圖リ、自ラ土地ヲ耕ス者ニ土地ヲ持
  タセルコトダト私ハ思フノデアリマス、卽
  チ二十六日本會議西川貞一君ノ質問ニ對シ
  テ農林大臣ハ「農村ハ單ニ食糧ノ生產場所
  デアルト云フ使命ヲ持ツバカリデナク、日
  本精神ニ燃ユル健全ナル人的資源ノ培養地
  デアリ、今囘赫々タル戰果ノ裏ニハ平素
  農民ガ土ニ育ミ、風雨ト鬪ツテ參リマシタ
  辛苦ノ結果ガ、戰場勇士ノ義勇奉公ノ精神
  トナツテ居リマスコトハ、明カナ事實デア
  ル」斯樣ニ御答ヘニナツテ居ルノデアリマ
  ス、農民ニ對シテ限リナキ感謝ノ御言葉ヲ
  送ツテ貰ツテ居ル、此ノ建前カラ見マシテ
  モ、大臣ハ農村ガ農業所得一本建ニ依ツテ
  安心シテ〓糧生產ニ從事シ得ルヤウナ溫カ
  イ根本的農業政策ヲ講ゼラレル責任ガアル
  ト思フノデアリマス、以上述ベマシタ事柄
  ニ付テドウ云フ御考ヘヲ以テ居ラレルカ、
  ソレヲ御尋ネシタイノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=42

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• 043・井野碩哉

  ○井野國務大臣　只今松本委員ガ御述べノ
  通リ、今日食糧ノ增產ト云フコトハ最モ大
  切デアル、是ハ農民ノミガ此ノ主要食糧ノ
  增產ニ當ツテ居ラレルノデアリマスカラ、
  此ノ農民ニ對シテ出來ルダケ多クノ肥料ナ
  リ、或ハ其ノ他ノ資材ヲ與ヘテ、而モ尙ホ經
  營ノ上ニ於キマシテモ、採算上有利ナル條
  件ニシテ增產ヲ御願ヒスルト云フヤウナ、
  政府トシテモ一番溫カイ心デ臨マナケレバ
  ナラヌコトハ仰セノ通リデアリマス、併シ
  今日ハ大東亞戰爭ヲ遂行シテ居ル國家非常
  時デアリマス、此ノ時ニ資材ナリ、或ハ肥
  料ナリガ、色々ノ已ムヲ得ザル事情カラ手
  ニ入ラナイ是ハ吾々トシテモ出來ルダケ
  農村ニ送リタイガ送レナイト云フ事情ノ下
  ニ、吾々ハ增產ヲ農民ニ御願ヒスル以上、
  農民ニ對シテハ與ヘラレタモノニ於テ出來
  ルダケ一ツ增產シテ貰ヒタイ、戰爭ニ於テ
  彈丸ガナクナツタカラ戰爭ヲ止メルト云フ
  コトデハイケナイノデ、兵士ト雖モ彈丸ガ
  ナケレバ肉彈ヲ以テ敵ニ突貫シテ行クノダ、
  其ノ氣持ヲ以テ一ツ增產ヲヤツテ貰ヒタイ
  ト云フコトヲ農民ニ御願ヒシテ居ルノデア
  リマス、又經營上ノ問題ニシマシテ、政府
  トシテハ出來ルダケ農村ノ經營ヲ有利ナラ
  シメルヤウニ凡ユル角度カラ今マデ根本的
  對策ヲ講ジテ來テ居リマス、現ニ昨年米ガ
  非常ニ安イト云フ點ニ鑑ミマシテ、國家ト
  シテハ數億ノ國帑ヲ米穀生產奬勵金トシテ
  出シマシタ、兎ニ角今日ノ米價ヲ五十圓見
  當ニ置イテ農民ノ生產費ヲ償フト云フコト
  ニ付キマシテモ、國家トシテハ非常ナ考慮
  ヲ拂ツテ居ルノデアリマス、デアリマスカ
  ラ農村ニ於テ今日非常ニ引合ハナイカラ農
  業ヲ止メテ外ニ行クト云フモノデハナイノ
  デアリマス、農民自身モ今日ハ能ク時局ヲ
  認識シテ、多少不利不便ガアツテモ、其ノ
  困難ヲ克服シテ國家ノ要請ニ應ヘルト云フ
  氣持デ喜ンデ今日ハ增產ニ邁進シテ吳レテ
  居ルノデアリマス、デアリマスカラ全體ノ
  農民トシテ之ヲ考ヘル時ニ、今松本委員ノ
  言ハレタヤウナ氣持ハ私ハナイト思フ、個
  個ノ農民ニハ多少アルカモ知レマセヌガ、
  全體ノ農民ハ全ク政府ノ氣持ト一體トナツ
  テ增產ニ邁進シテ吳レテ居ルノデアリマス
  カラ、此ノ點ニ付テハ出來ルダケ政府トシ
  テノ親心ヲ今後モ盡シテ參リタイ、斯ウ考
  ヘテ居ル次第デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=43

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• 044・松本治一郎

  ○松本(治)委員　大臣ノ答辯ハ豫想シタヤ
  ウナ答辯デアリマシタ、大臣ノ各委員會、
  各場所ニ於テノ答辯ヲ聽イテ居リマスルト
  同ジ筋合ノ答辯デアリマス、ヤリマス、分
  ツテ居リマス、斯ウ云フコトナノデス、農
  林大臣ニハ本當ニ農民ノ辛サガ分ツテ居ル
  ノデアラウカ、私ハ之ヲ疑フノデアリマス、
  決シテ農民ハ革ノ足袋ヲ穿カシテ吳レ、絹
  布デ作ツタ着物ヲ着セテ吳レ、絹デ作ツタ
  手拭ヲ呉レト云フノデハナイ、二、三囘使
  ヘバ汗ノ爲ニ汚レル、サウシテ洗ヘバ破レ
  ルヤウナ「ス·フ」製ノ作業服ヂヤイケナイ、
  手拭デハイケナイ、働クノハ何ボデモ働ク
  カラ、働カルルヤウナ物ヲ吳レ、汗ニ强イ、
  洗濯ノ利ク作業着ト手拭ヲ呉レト斯ウ云
  フ、地下足袋ヲ吳レト言フ、所ガ物ガナイ、
  ソレハアルトモナイトモ私ハハツキリ分ラ
  ナイ、所ガオ偉イ人達ハ何ト言ツテ居ル「ラ
  ジオ」ヲ通ジテ國民ニ呼掛ケテ居ル、其ノ
  人ノ話ヲ聽クト決シテ物ガ不足シテ居ルノ
  ヂヤナイ、アルノハアルンダ、アルケレド
  モ出サナイ者ガ居ルカラ惡インダ、又賣惜
  ミヲシテ居ル者ガ居ル爲ニ物ノ不足ヲ告ゲ
  テ居ル、決シテ足リナイノヂヤナイ、アル
  ノハアルンダ、斯ウオ偉イ人達ガ「ラジオ」デ
  s,
  言ツテ聽カシテ居ルカラ、農民ノ人達ハソ
  レヲ信ジテ居ル、吾々ハ働カウト思フケレ
  ドモ、働カレナイ、此ノ非常時ニ於テ自分
  ガ買溜ヲヤリ賣惜ミヲシテ居ル、サウ云フ
  人達ガアルコトハ吾々ハドウモ腑ニ落チナ
  イ斯ウ云フコトヲ農民ハ考ヘテ居ルノデ
  アリマス、アルト云フ證據ヲ一ツ擧ゲテ見
  マセウ、先日私ガ大阪ニ立寄リマシテ、或
  ル人ノ所ニ行ツテ話ヲ聞クト、元ノ某商工
  大臣ノ家ニ泥棒ガ入ツタ、其ノ泥棒ガ其處
  デハ捕ヘラレナイデ、他ノ所デ捕ヘラレタ、
  サウシテ警察デ訊問ヲ受ケタ際ニ、元ノ某
  商工大臣ノ家ニ泥棒ニ入ツタ時ニ八疊ノ間
  一パイ純綿ノ物ガアリマシタト云フ供述ヲ
  シテ居ルト云フコトヲ聞イテ居ル、是ガ買
  溜デアリマセウ、賣惜ミハ倉庫ノ中ニ澤山
  アルト聞イテ居ル、農林大臣ハオ偉イ人デ
  アル、此ノ賣惜ミヲシ買溜ヲシテ居ル人達
  ニ出サセテ、食糧增產報國ノ念ニ燃エテ、
  力一杯働キタイト待ツテ居ル農民ニ其ノ純
  綿ノ物ヲ〓サレルヤウニ努力シテ貰ヒタイ
  ト思フガ、農林大臣ノ其ノ氣持ヲ一寸聽キ
  タイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=44

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• 045・井野碩哉

  ○井野國務大臣　政府トシマシテモ、農民
  ニ對シテ增產ヲ要請致シマス以上、アルモ
  ノデアリマスレバ、勿論之ヲ配給シテ行ク
  ト云フコトニ付テ吝カデアル筈ハナイノデ
  アリマス、純綿ニシマシテモ「ゴム」足袋ニ
  シマシテモ、實際其ノ原料デアル所ノ物ガ
  今日國家的ニ不足シテ居ルト云フ實情カ
  ラ、其ノ限度ニ於テ配給致シテ居ルノデ
  アリマシテ、物ノ關係ニ付キマシテハ企畫
  院ガ中心ニナリマシテ物動計畫ト云フモノ
  ヲ立テマシテ、內地ニ於ケル所ノ在庫品竝
  ニ海外カラ來ル輸入品、ソレ等ノモノヲ勘
  案シマシテ、サウシテ現實ニ配給シ得ルモ
  ノヲ現在配給致シテ居ルノデアリマス、偶、≧
  一人ガ買占ヲシ賣惜ミヲシテ居ルト云フ事
  實モ絕對ニナイトハ私ハ申シマセヌ、併シ
  ソレ等ノ材料ハ是ハ全部政府ガサウ云フモ
  ノヲ能ク調ベ上ゲテ、サウシテソコニ遺憾
  ノナイヤウニシナケレバナラヌコトモ當然
  デアリマスケレドモ、併シ現在ノ實情ニ於
  テ大體サウ云フ種類ノモノガナイト云フコ
  トデ吾々ハ色々ノ施策ヲ致シテ居ルノデア
  リマス、併シ商工省ニ於キマシテモ、最近
  色々ノ物ノ在庫調ベト云フコトヲ司法省ト
  ノ連絡ニ依ツテ徹底的ニ致サウト云フコト
  モ考ヘテ居ラレルヤウデアリマス、若シサ
  ウ云ツタモノガ出テ參リマスレバ、是ハ勿
  論其ノ材料ニ依リマシテ、出來ルダケ農村
  ナリ鑛山ナリニ必需品ヲ配給シテ行クト云
  フコトニ努力致ス積リデアリマス、現ニ先
  日モ豫算總會デ申上ゲマシタ通リ、南方カ
  ラ來ル「ゴム」ニ付キマシテモ、若シモ戰果
  ニ依ツテ相當量ガ船ノ都合デ來レバ、先ヅ
  ソレヲ勞働者ナリ農村ノ地下足袋ニ製作シ
  テ、サウシテ之ヲ優先配給ヲシヨウト云フ
  氣持マデ政府ハ持ツテ居ルノデアリマス、
  デアリマスカラ苦心ヲ致シテ居ル點ニ付キ
  マシテハ、十分一ツ御諒承ヲ願ヒタイト思
  フノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=45

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• 046・松本治一郎

  ○松本(治)委員　大臣ノ答辯ヲ聽キマシテ
  幾ラカ安心ヲシマシタ、一生懸命待ツテ居
  ル農民ニ與ヘテ貰ヒタイ、ソレガ食糧增產
  ノ唯一ノ途デアルト私ハ思フノデアリマス、
  又御尋ネ致シタイノハ、〓糧營團ノ人事ニ
  關スルコトデアリマス、此ノ食糧管理法ノ
  第十八條ヲ見マスト「中央營團ニ總裁、副總
  裁各一人、理事五人以上、監事三人以上及
  評議員若干人ヲ置キ政府之ヲ命ズ」トアル
  ノデアリマス、此ノ事變以來多クノ所謂國
  策會社ナルモノガ出來テ居ルヤウデアリマ
  ス、此ノ所謂國策會社ノ人事ニ付テハ相當
  評判ガ宜シクナイヤウニ聞イテ居ルノデア
  リマス、此ノ國策會社ト云フモノハ今國家
  ガヤツテ居リマスル大東亞共榮圈確立、此
  ノ國家ノ大目的完遂ノ爲メノ必要上斯ウ云
  フ國策會社ガ作ラレテ居ルト思フノデアリ
  マスガ、其ノ裏ニハ、其ノ蔭ニハ多クノ人
  ガ泣イテ居ルノデアリマス、所謂企業合同、
  整理統合、其ノ爲ニ轉廢業ヲシテ泣イテ居
  ル人達ガ澤山居ル、其ノ人達ハ泣キナガラ
  モヤハリ國家ガ命ズル方面ニ轉出シテ居
  ル、所ガ玆ニ考ヘナケレバナラヌコトハ、
  國策ノ爲ニ犧牲ニナツタ轉廢業者、此ノ人
  達ヲ見ナガラ、此ノ國策會社ノ總裁及ビ副
  總裁其ノ他ノ高級役員連中ハ何ヲ考ヘテ居
  ルカ、私ハ此ノ一事デアルト思フ、明日ノ
  生活費モ心配シナケレバナラヌ立場ノ人ス
  ラ、國策ノ爲ニハ轉廢業ヲシテ居ル、所ガ
  一方ニハ國家カラ多額ノ生活ノ保證ヲ受ケ
  ナガラ、又一方ノ關係シタ會社カラ報酬ヲ
  受ケテ居ル、其ノ人ガ其ノ報酬ヲ受ケナケ
  レバ生活ガ出來ナイト云フナラバ、ソレハ
  要ルダケ出サナケレバナラヌ、所ガ一方ニ
  ハ多額ノ恩給ヲ取リ收入ガアル、而モ少ナ
  カラヌ財產ガアリナガラ平氣デ其ノ報酬ヲ
  受ケテ居ルト云フ其ノ人達ノ氣持ガ分ラナ
  イ、人ニハ滅私奉公、公益優先、此ノ非常
  時ヲ認識シロト言ヒナガラ、自分ノ受ケル
  ダケハ平氣デ受ケテ居ル、此ノ營團ノ人事
  ニ關シテハ一ツ注意シテ貰ヒタイト思ヒマ
  ス、玆ニ小サイ「サンプル」ガアル、ソレハ
  此ノ松本デアル、私ハ昨年七月二十四日附
  ヲ以テ認可セラレマシタ日本新興革統制株
  式會社ノ社長デアル、是ハマダ小サイ統制
  會社デアルケレドモ、ソレニ集ツテ來ル人、
  ソレニ關係シテ居ル人達ヲ見マス時、淚ナ
  クテハ見ラレナカツタ、淚ナクテハ聞カレ
  ナカツタ悲話ガアルノデアリマス、國家ノ
  行ハウトスル統制、此ノ爲ニ幾代カ幾十年
  カノ長イ間此ノ商賣ニ依ツテ生活シテ居ツ
  タノガ、自分ノ資本ガ少イ爲ニ、自分ノヤ
  ツテ來タ實績ガ少イ爲ニ、泣ク〓〓廢業シ
  ナケレバナラナイ、斯ウ云フコトヲ見テ、
  斯ウ云フコトガ分ツタノデアリマス、是モ
  國策ノ爲ニサウ云フ不幸ナ立場ニナル人達
  デアル、ソコデ私ハサウ云フ人達ノコトヲ
  考ヘテ、後ニ殘ツテ其ノ會社ニ關係スル人
  達ニ對シテ斯ウ言ツタ、諸君ハ財產ガアル
  ヂヤナイカ、今マデ儲カツタ金ガアルヂヤ
  ナイカ、アノ人達ノコトヲ考ヘテ眞面目ニ
  ヤツテ吳レ-是モ承知シテ吳レマシタ、
  所ガ私ノ報酬ト云フモノガ問題ニナツタノ
  デアリマス、ソコデ私ハ報酬ハ要ラナイ、
  是ハ自家宣傳ノヤウニナリマスカラ言ヒタ
  クナイケレドモ、事實ダカラ仕樣ガナイ、
  私ハ此ノ會社ニ關係ヲシテモ、此ノ會社カ
  ラ報酬ヲ貰ハナクトモ十年ヤ二十年〓フコ
  トニ難儀ハナイ、ソレヨリモ此ノ爲ニ轉失
  業轉廢業トシテ行ク人達ノ方ガ氣ノ毒ダ
  カラ、若シ僕ニ呉レル金ガアルナラバ其ノ
  方ニ向ケナケレバナラヌト言ツタ、自分ノ
  財產トカ外ノ收入ニ依ツテ生活ガ出來ル人
  ハ-此ノ食糧營團ニ關係スル人ハ其ノ報
  酬ヲ遠慮サレルヤウナ人ヲ選ンデ貰ヒタイ
  ト私ハ希望スルノデアリマス、サウ云フコ
  トニ付テドウ云フ御考ヘヲ持ツテ居ラレル
  カ御尋ネ致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=46

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• 047・井野碩哉

  ○井野國務大臣　國策會社ノ人事ニ付キマ
  シテ、農林省關係ノ國策會社ニ於キマシテ、
  私ハ今マデ人事ノ不當ナコトガアツタト云
  フコトハ聞イテ居リマセヌ、適當ナル人事
  ヲ致シテ居ルト考ヘテ居リマス、今御述べ
  ニナリマシタ國策會社ノ社長ナリ、其ノ他
  役員ガ報酬ヲ餘リ多ク取ラヌガ宜イト云フ
  コトニ付キマシテモ、サウ多額ノ報酬ヲ取
  ルコトハ私ハ宜クナイト思ツテ居リマス、
  又企業合同ノ裏ニ色々ノ悲話ノアリマスコ
  トモ能ク私承知シテ居リマス、ソレ等ノ社
  會情勢ヲ考ヘマシテ、人事ナリ報酬ヲ決定
  スルニ當リマシテハ、適正ヲ期サナケレバ
  ナラヌト思ヒマスルガ、唯今國策會社ノ重
  役ニ俸給ヲ辭退スルヤウナ人ヲ持ツテ來イ
  ト云フ御話デゴザイマス、財產ヲ非常ニ持
  ツテ居ル人デ自ラ辭退サレル人ハ是ハ別デ
  アリマスガ、制度トシテ報酬ノ要ラヌヤウ
  ナ人ヲ選ブコトニナリマスト、ソレガ必ズ
  シモ良イ人材ヲ得ルト云フ譯ニハ參ラヌ、
  財產必ズシモ人材デハナイノデアリマスカ
  テ、隨テ財產ノナイ立派ナ人ヲ持ツテ來テ
  充テナケレバナラヌ場合モアリマス、其ノ
  爲ニ役人ヲ辭メテ來ル人ガアルノデ、恩給
  等ニ依ツテ生活出來ルニ拘ラズ、サウ云フ
  モノヲ貰フノハ怪シカラヌト云フ御議論モ
  アリマシタガ、ソレハ國家ノ制度トシテ會
  社收入ガ多イ場合ニハ恩給ヲ或ル限度ニ於
  テ停止スルト云フ制度マデ出來テ居ルノデ
  アリマシテ、財產ヲ持ツテ居ル者ハ他ノ收
  入ヲ皆辭退シナケレバナラヌト云フ制度ニ
  ナツテ居ナイ今日ニ於キマシテ、國策會社
  ノ重役ダケガサウ云ツタコトヲシナケレバ
  ナラヌト云フコトモ私ハナイカト思フノデ
  アリマス、要ハ其ノ會社ヲ運營シテ行キマ
  スノニ適當ナル人材ヲ得ル其ノ爲ニ、多少
  ノ報酬ヲ出サナケレバナラヌト云フナラ、
  是ハ已ムヲ得ナイ、斯ウ考ヘテ居ル次第デ
  アリマス
  〔委員長退席、森委員長代理著席〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=47

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• 048・松本治一郎

  ○松本(治)委員　財產必ズシモ人材デナイコ
  トハ私モ能ク辨ヘテ居ルノデアリマス、私
  ハサツキ質問ノ中ニ其ノ報酬ガナケレバ生
  活出來ナイ人デアレバ、其ノ人ニハ與ヘナ
  ケレバナラナイ、斯ウ云フコトヲ言ツテ居
  ルーノデアリマス、決シテ全部ヲ只デ働カセ
  ルト云フノデハナイ、其ノ人ノ勞力ニ對シ、
  其ノ力ニ對シテ報酬ヲヤルノハ當然ノコト
  デアル、ソレハ能ク辨へテ居ルノデアリマ
  ス、所ガ今ハ非常時デアル、大東亞共榮圈
  ヲ確立シ、世界新秋序ノ確立ヲ目指シテ行
  ツテ居ル我ガ國ハ、今非常時中ノ非常時デ
  アルカラ、此ノ戰時中ダケハ遠慮シテ貰ヒ
  タイト私ハ言フノデアリマス、遠慮スルヤ
  ウナ人デナケレバ本當ノ働キハ出來ナイト
  思フ、尤モ人材ハ財產カラ離レテアルデア
  ラウ、併シサウ云フコトヲサウ云フ立場ノ
  人ガヤラレルト云フコトハ金ノ高ノ問題デ
  ハナイ、國民ノ精神上ニ及ボス影響ガ大ナ
  リト私ハ考ヘルノデアリマス、是カラ生ズ
  ル國民思想ノ關係モ亦大イニアルト思フノ
  デアリマス、其ノ國民ノ精神上ニ及ボス影
  響ヲ考ヘテ私ハ申シテ居ルノデアリマス、
  物ノ問題ハ第二義デアツテ、第一ハ精神デ
  アル、ソレヲ中心ニ私ハ話ヲシタノデアリ
  マスカラ、其ノ點能ク御諒承願ヒタイト思
  ヒマス、私ノ質問ハ是デ終リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=48

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• 049・森幸太郎

  ○森委員長代理　馬岡次郞君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=49

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• 050・馬岡次郎

  ○馬岡委員　旣ニ色々ト質問サレテ居リマ
  スノデ、大體御尋ネスルコトハ盡キテ居ルノ
  デアリマスガ、併シドノ御答ヲ承ツテ見マ
  シテモ、マダ私共地方デ眞ニ田ノ中ニ立ツ
  テ居ル者ノ考ヘト當局ノ方ノ考ヘトハ幾分
  變ツテ居ナイカト思ハレマスルノデ、二、
  三御尋ネ致シタイト思ヒマス、第一ニ御斷
  リ致シテ置キマスガ、私共ハ現在デハ二重
  人格ヲ使ハナケレバナラナイ立場ニアルノ
  デアリマス、地方ヘ戾リマスト、農民ニ向
  ツテハ、國策ニ從へ、政府ハ決シテ惡ク取
  計ラハナイ、斯樣ニ常ニ喋ラナケレバナラ
  ナイ立場ニアリマス、然ルニ農民ノ言葉ヲ
  聽キマシテ、其ノ儘抑ヘテ置クコトガ是デ
  アルカ非デアルカト云フ此ノ立場ニ立ツテ私
  共ハ政府ニ御尋ネシナケレバナラナイ事情
  ガ起ツテ來ルノデアリマス、先ヅ增產方面
  カラ御尋ネ致シタイノデアリマス、現在政
  府ハ此ノ增產ニ付テ凡ユル角度カラ御心配
  下サツテ居ルコトハ能ク分ツテ居リマスル
  ガ、動トモ致シマスルト此ノ獎勵ガ技術技
  術ノ立場ニ立ツテ一貫サレテハ居リマスル
  ガ、綜合的ニ缺ケテ居ル點ハナイノデアラウ
  カ此ノ點ヲ私共ガ往々ニシテ田舍ノ農民
  カラ聽カサレルノデアリマス、茲ニ最モ端
  的ナ一例ヲ申上ゲマスルナラバ、米ヲ增產
  シナケレバナラナイコトハ分ツテ居リマス、
  ソコデ田ノ畦ニ豆ヲ植ヱルト反當リ五升乃
  至八升ノ米ガ減ズル、ダカラ豆ヲ止メル
  ノダ、サウシテ米ヲ增產セヨト云フ指導ヲ
  サレマス、然ルニ今度一年經チマスト、米
  ハ或ル程度出來タガ、農民ノ家庭ニ豆ガナ
  イ豆ガナイ爲ニ味噌ガ造レナイ、ソコデ
  食糧ノ上カラ一方デ增產サレタガ一方デ減
  ツテシマツテ非常ニ困ル、斯ウ云フコトニ
  ナリマスルト、政府ノサレルコトガ何ヲシ
  テ吳レルカ分ラナイ、ソコデ豆ヲ多ク貰ハ
  ウトシテ滿洲大豆ノ輸入ヲ御願ヒマシテモ、
  現在或ル時ニハ思フニ任セヌ事情ガアリマ
  ス、斯ウ云フコトニナリマスルト、折角指
  導サレマスルコトガ農民ニピント來ナイ、
  又昨年色々ト御心配ヲ掛ケマシテ私共ガ御
  願ヒシテ石當リ五圓ノ奬勵金ヲ頂戴致シマ
  シタ、然ル所是ガ米ヲ植付ケテカラニナリ
  マシタ爲ニ農民ノ感謝ノ念ガドウモ薄イコ
  トハナカラウカ、延イテ十八米穀年度ニ屬
  スベキ今年ノ植付ニハ、是ハ當然權利デ貰
  ヘルノダト云フヤウナ調子デ、農民ノ感謝
  ノ念ガ去リハシナイデアラウカ、斯樣ニ考
  ヘラレマス、之ヲ考ヘマスルト結局是ハ一
  方ニ偏シナイデ綜合的ニ今少シ御考ヘヲ願
  ツテ、一貫シタ奬勵ヲ御願ヒシナケレバ
  眞ノ增產ハ出來ナイノデハナカラウカ、斯
  樣ニ考ヘルノデアリマス、此ノ點ニ付テ政
  府ニ於テハ現在ノ儘デ宜イト云フ御方針デ
  アルカ、御尋ネ申上ゲタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=50

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• 051・井野碩哉

  ○井野國務大臣　馬岡委員ハ地方ニ居ラレ
  テ農村ノ爲ニ非常ニ御盡瘁願ツテ居ルノデ
  アリマスガ、只今二重人格デ苦シムト言ハ
  レマシタガ、其ノ御苦シミヲ持タレル必要
  ハナイ、政府ト一體ニナツテ參リマスレバ
  一寸モ二重人格ノ必要ハナイノデ、政府ノ
  趣旨ヲ能ク御理解願ハナイ點ガ其處ニアル
  カラ農民ニ對シテ十分ノ氣持ヲ御傳ヘ願ヘ
  ナイノデハナイカト思フノデアリマス、ソ
  コデ政府ニモ惡イ所ガアレバ、ヨク一ツ馬岡
  委員ノ御疑問ノ點ハ話合ツテ、サウシテア
  ナタガ二重人格デナシニ政府ト一體トナツ
  テ働イテ戴クコトニシナケレバナラヌト思
  フノデアリマス、ソコデ今御尋ネノ色々ノ
  點モアリマスガ、一々ノ御疑問ニ對シテ此
  處デ一々ソレヲ明カニスルト云フコトモ困
  難カト思ヒマスガ、今一例ヲ取ツテ御話ニ
  ナリマシタカラ、其ノ點ニ付テ申上ゲマス
  ガ、例ヘバ米ヲ作ル爲ニ畦ニ豆ヲ作ツテ貰ヒ
  タクナイト云フコトヲ指導シタ、其ノ通リノ
  指導ヲ致シマシタデセウ、然ルニ農民ハ豆ガ
  穫レナイ爲ニ味噌醬油ガ十分ニ得ラレナカ
  ツタ、斯ウ云フ御話デアリマスガ、農民モ
  ヤハリ一國民デアリマス、國全體ガ味噌醬
  油デ苦シム時ニハ農民モ苦シマシテ宜イヂ
  ヤナイカト思フノデアリマス、內地ニ於キ
  マシテ是ダケノ人口ヲ養フ爲ニハ農村トシ
  テ政府ガ割當テタ計畫ダケノモノハ作ツテ
  戴カナケレバナラヌ、味噌醤油ノ原料デア
  ル大豆ハ滿洲デモ出來ルノデアリマス、十
  分ハ得ラレマセヌガ、兎モ角滿洲デ出來ル
  モノデアリマスカラ、其ノ點ハ滿洲ノ方ニ
  或ル程度委任シテ、サウシテ米ハ內地外地
  ヨリ外十分ノ作ガ出來ナイノデアリマスカ
  ラ、ソレニ全力ヲ注イデ貰ヒタイ、是ガ其
  ノ技術者ガ農村ニ要請シタ一ツノ點デアラ
  ウト思フノデアリマス、デアリマスカラ、
  豆ガ穫レナクテモ農村ハ政府ガ配給シタ大
  豆ニ依リマシテ味噌醤油ヲ我慢シテ貰フト
  云フノデナケレバ-皆ガ自分ノ所デ出來
  ル物ハ勝手ニ自分デ作ツテ、自分ダケガ自分
  ノ物ヲ得ルト云フコトデハ、却テ此ノ戰爭ヲ
  シテ居ル國民全體ノ氣構ヘノ上ニ於テ缺ク
  ル所ガアルト思フノデアリマス、ソレガ一
  ツノ點デアリマス、又米ノ奬勵金ニ付キマ
  シテモ段々ト感謝ノ念ガナクナルト云フ御
  話ガアリマスガ、私共別ニ感謝ト云フコト
  ヲ期待シテヤツテ居ルノデハナイノデアリ
  マシテ、現在ノ實情ニ於テ米ガ現在ノ價格
  デハ農村ニモ氣ノ毒デアル、一方ニ於テ肥
  料モヤラズ資材モ十分ニ供給シナイデ米ヲ
  作ツテ吳レト云フコトヲ要望スル以上ハ、
  出來ルダケ經營モ引合フヤウニシタイト云
  フ氣持カラシテ居ルノデアリマスカラ、隨
  ツテ其ノ金ニ依ツテ增產ヲ誘致シヨウト云
  フ譯デハナイノデアリマス、デアリマスカ
  ラ本年ノ作付ニ付キマシテモ、是アルガ故
  ニ農民ノ增產ヲ刺戟スルト云フコトハ考ヘ
  テ居リマセヌ、農民ハ金ノ問題ニ拘ラズ、
  今日國家要請ノコトヲ能ク理解シテ增產ニ
  邁進シテ吳レルト思フノデアリマス、其ノ
  氣持ガ御分リニナリマスレバ、二重人格ノ
  必要ハナイト思フノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=51

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• 052・馬岡次郎

  ○馬岡委員　御說明ヲ伺ヒマスルト御尤モ
  デアリマス、併シ農民ハ感謝ノ生活デナケ
  レバ現在働カナイノデナカラウカ、又感謝
  ノ生活ヲサセナケレバ現在ノ農民ハ國家ノ
  爲ノ御奉公ハ出來ナイノデナカラウカ、私
  ハ左樣ニ考ヘル、ナゼナラバ、他ノ物資物
  價カラ考ヘテ見マシテ、農民ハ現在國家ノ
  爲ニ御奉公シテ居ル、自分ハ日本國民デア
  ルカラ、農民トシテ此ノ日ヲ暮シ得ラレル
  ト云フ感謝ノ念カラ來ルデアラウ、サモナ
  ケレバ今少シ步廻リノ宜イ方面ニ行クノデ
  ナカラウカ、私ハ常ニ之ヲ心配スルノデア
  リマス、此ノ點ニ付キマシテ私ハ二重人格
  ダト申上ゲマシタ、是ハ第一私ハ物動其ノ
  他ノ關係カラ農民ノ心配シテ居ル點ヲ安心
  サセルコトガ出來ナイノデアリマス、大臣
  ノ御答辯ニモアリマス通リ第二囘豫想ヲ
  發表サレテ居リマス、實收ハ大體分ツテ居
  ルダラウト思ハレマス、併シ是モ物動其ノ
  他ノ關係カラ數字ヲ明カニサレルコトモ出
  來ナイダラウト思フノデアリマス、左樣ナ
  時ニ米ニ不安ガナイカト言ヘバ、政府ヲ信
  賴セヨ君達ヲ食ハセナイデ置カナイカラ
  安心セヨト度々申シマス、併シ或ル時ガ來
  レバ今ニモ自覺サセナケレバナラヌ、此ノ
  時ニ於キマシテハモウ少シ全國民ニ知ラシ
  メテ、協力セヨト云フ根柢ヲ或ル程度マデ
  〓ヘテヤツタ方ガ宜イノデナカラウカト思
  ハレル點モアリマス、併シ〓ヘタクテモ〓
  ヘラレナイ場合モアル爲ニ、玆ニ私共ノ立
  場ト致シマシテハ二重人格ナラザルヲ得ヌ
  コトガ多イノデアリマス、又一面ニ考ヘマ
  スルナラバ、米ノ增產ノ上カラ全部トハ申
  シマセヌガ、或ル一部ニハ勞働賃金ノ問題
  ガ崇ツテ居ル例ヲ私共ハ端的ニ認メマス、
  一例ヲ申上ゲマスナラバ、米ヲ作ツテ居ル
  農民ト、木炭及ビ其ノ他ノ山村ニ林業的ニ
  活動シテ居ル人間トノ勞働賃金デアリマス
  ガ、之ヲ比ベマスルト相當ノ差額ガアルノ
  デアリマス、一方ハ單位請負賃金其ノ他ニ
  依ツテ、協定率ヲ越シテモ、是ハ自己ガ
  働イテ取ルノダト言ヘバソレデシマヒデ
  アリマス、サウシテ喜ンデ居ル、米作農
  民ニ對シテハ、俺達ハ一日働クナラバ米
  一俵貰ヘルノダ、暑イ時ニ君達ハ田ノ中
  デ汗水垂ラシテ米ヲ作ツテ居ルガ、俺ハ一
  日働クト米一俵貰ヘルノダ、斯樣ナコトヲ
  心安ダテニ言フノデアリマセウガ、米作農
  民ハ彼ノ人達ニ食ハス米ヲ俺ハ作ルノハ厭
  ヤダ、吾々ハ斯樣ニシテ苦シンデ居ツテ
  モ、其ノ心理ハ認メテ貰ヘナイノカ、假リ
  ニ警察ニ引張出サレテモ俺達ハアンナ人
  ニ米ヲ食ハスノナラ、止メテ置キタイト云
  フヤウナ言葉ヲ山村デ時々聞クノデアリマ
  ス、色々ト實情ヲ聞ケバ淚ナキ能ハザル
  點モアリマス、併シ是等ノ點ノ根本ハ、今
  少シク勞働賃金ノ問題ヲ正確ニシテ貰フナ
  ラバ、片付ク問題ダラウト思ハレマス、又
  小作問題ニ付キマシテモ、本年ハ全國各地
  デ適正小作料ガ崇ツテ、私ハドウモ米ノ出
  廻リモ一部分惡イヤウニ考ヘラレマス、此
  ノ問題モ或ル所デハ極端カラ極端ニ走ツ
  テ、サウシテ地主ハ惡イ者ナリ、高イ者ナ
  リ、小作料ヲ下ゲレバソレデ米ノ增產ガ出
  來ルト云フヤウナ御指導ヲナサツテ居リマ
  ス、併シ私共ガ實際目ニ見マシタ體驗シタ
  結果ニ依リマスト、强チ小作料ヲ下ゲテ
  モ、米ノ增產ガ出來ナイ地方モ多イノデア
  リマス、之ヲ自作ニスレバ必ズ增產ガ出來
  マスガ、小作料ヲ下ゲレバ、作ツテ收支相
  償ハナケレバ負ケテ貰ヘルト云フ別個ノ精
  神ガ起ルノデアリマス、其ノ實情カラ自ラ
  土地ノ値段ガ下リ、土地ヲ愛スル氣持ガナ
  クナツテ來ル地方モ私共ハ見受ケマス、是
  ハ豫算委員會デ、絕對的ニサウ云フコトハ
  自作農創定資金デ一時片付ケラレル問題デ
  ハナイト大臣ハ仰セラレマシタガ、私ガ考
  ヘマスノニ、斯カル問題ハ此ノ際ニ一遍ニ
  片付ケラレル問題デハナカラウカ、或ル程
  度以下ヲ全部自作農ニシテ戴ク爲ニハ地
  主ト云フモノハ喜ンデ政府ノ命令ニ應ズル
  ダラウト思ハレマス、而モ之ヲ國策ヲ以テ
  オヤリ下サルナラバ、別ニ貨幣制度ノ上カ
  ラモ、通貨ノ上カラモ左程ニ問題ガ起ルモ
  ノデハナカラウト思フ、而モ是位償還財源
  ノ確實ナ公債ハナイヤウニ考ヘラレマス、
  此ノ際是等ノ問題ヲ一擧ニシテ御片付願フ
  コトハ米ノ增產ニ最モ良イコトデハナカ
  ラウカ、斯樣ニ考ヘルノデアリマス、又勞
  働賃金ノ問題ナリ、是等ノ點ニ御考ヘガア
  レバ承リタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=52

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• 053・井野碩哉

  ○井野國務大臣　農村ニ於キマスル勞働賃
  金ノ問題ニ付キマシテハ、色々他ノ產業ノ
  勞賃ト比較シマシテ差違ノアリマスコトハ、
  御說ノ通リデアリマス、隨テ厚生省ガ中心
  トナリマシテ、各地方ニ於ケル勞銀ノ適正
  ト云フコトノ爲ニ色々ノ苦慮ヲ致シテ居リ
  マス、基準勞賃ヲ定メマシテ、サウシテ其
  ノ間ノ適正ヲ圖ルヤウニ致シテ居リマス、
  併シ事實勞働力ノ不足ナ現狀ニ於キマシテ
  ハ實際ノ場合ニ於テ違ツタ勞銀デ働キ得
  ル場合モアリマスノデ、サウ云ツタヤウナ
  農村カラ見レバ非常ニ美マシイ場合モアラ
  ウト思ヒマス、併シ私ハ現在ノ農民ハ一時
  的ノ勞賃ノ問題ニ迷フコトナク、自ラ土地
  ヲ愛シ、土地ニ親シム氣持カラズツト耕作
  ヲヤツテ居ルノデアリマスカラ、サウ云ツ
  タ部分ガ假リニアリマシテモ、ソレハ全農
  村ノ一小部分デ、極メテ僅カノモノデアル、
  農村全體トシテハサウ云ツタ憂ヒナク、ヤ
  ハリ增產ニ邁進シテ吳レルモノト信ジテ居
  ルノデアリマス、又自作農創定ノ問題ニ付
  キマシテモ、今御話ノヤウニ交付公債カ何
  カデ一時的ニ片付ケルト云フコトモ一ツノ
  手段デアリマス、併シ今日地主全體ニ對シ
  テ、或ル一定ノ價格デ以テ土地ヲ手放セト
  云フコトガ、果シテ社會情勢ニ適當デアル
  カト云フコトモ考慮シナケレバナリマセ
  又。現在ハ兎モ角大東亞戰爭ヲ遂行スルト
  云フコトガ一番大事ナコトデアリマシテ、
  其ノ爲ニ色々ナ社會情勢ノ上ニ於テ、大キ
  ナ變化ヲサウ云ツタ問題ノ爲ニ生ズルト云
  フコトニ付テモ、十分考慮ヲシナケレバナ
  ラヌト思フノデアリマス、隨テ自作農創定
  ノ方向ニ對シマシテハ私モ同ジ所感ヲ持ツ
  ノデアリマスケレドモ、手段ニ於テハ十分
  ニ〓究シテ參リタイト考へテ居ルノデアリ
  マス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=53

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• 054・馬岡次郎

  ○馬岡委員　見解ノ相違デアリマスカラ、
  是以上御尋ネ致シマセヌ
  次ニ今度〓糧管理法ニ依ツテ、米ノ國營
  檢査ガ行ハレマス、此ノ檢査手數料ノ問題
  ニ付キマシテ、是ハ前年來カラノ問題ニナ
  ツテ居リマスルガ、此ノ際此ノ檢査手數料
  ハ御徵リニナルノデアリマスカ、全免サレ
  ルノデアリマスカ、之ヲ御尋ネ致シタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=54

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• 055・井野碩哉

  ○井野國務大臣　先般〓糧管理局長官カラ
  其ノ問題ハ御答致シマシタヤウニ、全廢致
  シマセヌ、手數料トシテ、各地方ニ均衡ヲ
  得タ手數料ハ徵ル積リデアリマス

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• 056・馬岡次郎

  ○馬岡委員　今一ツ御尋ネ致シタイノハ、
  〓糧國家管理ノ上カラ、農村ノ地方々々ニ、
  今マデ備荒貯蓄トシテ積立テタリ、若シ
  クハ共同米ガ相當アルダラウト思ヒマス、
  或ル地方ニハ部落ノ共同米ガアリ、或ル地
  方ニハ地主、小作ノ共同米ガ、相當作付飯
  米トカ、サウ云フ形ニ於テ積マレタ米ガア
  ルコトデアリマス、是ガ今度ノ管理法ニ依
  ツテ、今マデノ形デ行カナイトスレバ、是
  等ニ對シテ之ヲ全部處分サセルコトハ、或
  ル意味ニ於テ私共ハ宜イコトデモナイヤウ
  ニ思ハレマス、併シ此ノ際ノ國家ノ事情カ
  ラ見テ已ムヲ得ナイトスレバ、ソレマデデ
  アリマスガ、是等ニ對シテハ何カノ存置方
  法、若シクハ奬勵方法ヲ御考ヘニナツテ居
  ラレマスカ、此ノ點ヲ承リタイト思ヒマス

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• 057・井野碩哉

  ○井野國務大臣　各地方ニアリマスル共同
  貯藏米、殊ニ東北方面ニ於キマスル〓倉倉ノ
  制度等ニ付キマシテハ、從來カラモ政府ト
  シテハ奬勵ヲ致シテ參ツテ居ルモノデアリ
  やっ、唯米ガ國家管理ニナリマシタ關係上、
  數量ノ上カラ、之ヲ共同米トシテ保管シテ
  置ク譯ニハ行カヌト云フ事態ニナツテ參リ
  マシタノデ、ソレ等ノ點ニ付キマシテハ其
  ノ米ニ代ル代金ノ問題、色々ノ問題ガアリ
  マス、結局〓倉其ノモノノ制度自體ハ或ル
  程度保存致シタイト考へテ居リマズ、隨テ
  其ノ倉ニ對シテ各部落ナリ或ハ町村ノ共同
  米トシテデナシニ、政府米トシテ或ルモノ
  ヲ保管シテ置クト云フコトモ考ヘテ參リタ
  イト存ジテ居リマス、隨テ今〓倉制度ヲ如
  何ニスベキカト云フコトニ付キマシテハ、
  此ノ法案ノ成立ト相俟ツテ、十分ニ〓究シ
  テ參リタイト考ヘテ居リマス

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• 058・馬岡次郎

  ○馬岡委員　ソレカラ食糧割當ノ問題、之
  ニ付キマシテハ大分色々ト御心配ヲ掛ケテ、
  相當緩和サレマシタ、又其ノ狀態ニ於テ增
  配ヲ願ツタリ致シテ居リマス、併シドウモ
  一番困リマス問題ハ、動モ致シマスルト農
  民ニハ割當米ガ少イ、事實是以上呉レナケ
  レバオ米ガ作レナイトカ云フコトハ好ムベ
  キコトデナシ、如何ニ之ヲ〓ヘマシテモ、
  又是ガアル爲ニ供出米ガ幾分變ツテ來ルト
  申シマスカ、幾分サウ云フ方面ニ缺點ガア
  ルヤウニ思ハレルノデアリマス、就キマシ
  テハ私共考ヘマスノニ、今少シ農民ニ米ヲ
  滿足行クヤウニ食ハシテ、一方ニ於テ他ノ
  方法デ節米ヲナサシメテ、餘ツタモノヲ出
  サセルヤウニ御考ヘニナツタ方ガ、事實ノ
  結果トシテハ宜クハナカラウカ、此ノ儘ノ
  情勢デ行キマスト、自然ニ農民ハ收穫ヲ隱
  シテ、噓ヲ言ツテ來ル、其ノ地方ハ非常ニ
  苦ンデ、闇取引ガ農民間ニ行ハレハシナイ
  ダラウカト云フ心配ヲスルノデアリマス、
  是等ノ點ニ付テ何トカ今少シ御考ヘノ點ガ
  ナイノデアルカ、此ノ點ニ付テ御尋ネ致シ
  タイ

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• 059・井野碩哉

  ○井野國務大臣　農家ノ自家用保有米ノ量
  ノ問題ニ付キマシテハ昨年カラ初メテ實
  施シタ制度デアリマシテ、私共モ之ヲ決メ
  マスニハ隨分苦慮致シタノデアリマス、併
  シ現在ノ米ノ事情カラ考ヘマシテ、農村ニ
  保有シ消費スル米ノ量ト、都會ニ於テ消費
  スル量トノ色々ナ數量上ノ關係モ考慮致シ
  テ、先ヅ現在ニ於テハ此ノ程度ヲ以テ農村
  ハ滿足ヲシテ貰ハナケレバ困ル、米ノ足リ
  ナイ者ハ他ノ芋ナリ其ノ他ノ物ニ依ツテ補
  ツテ行クト云フコトデ、現在ノ數量ヲ定メ
  タノデアリマス、隨テ一年ノ實績ニ依リマ
  シテ多少不合理ノアリマス點ハ今囘モ改正
  ヲ致シ、徐々ニ兎モ角モ適正ナル量ニ定メ
  テ參リタイト考ヘテ居リマスケレドモ、昨
  年ノ米作事情カラ致シマスレバ、此ノ程度
  デヤハリ本年モ農村トシテハ保有米ノ量ヲ
  考ヘテ戴キタイ、、併シ米作事情ガ色々變ツ
  テ參リマスレバ、又ソレニ卽應シテ保有量
  ヲ考慮シテ行クコトハ是ハ當然デアリマス、
  ソレデアリマスカラ、現在ニ於テハ此ノ保
  有米ヲ以テ滿足シ、更ニ尙ホ農村ニ對シテ
  ハ、此ノ保有米ノ中デモ他ノ代用食等ニ依
  ツテ之ヲ補ヒ、其ノ分量ノ中カラモ更ニ供
  出シテ貰ヒタイト云フコトヲ御願ヒシテ居
  ル次第デアリマス

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• 060・馬岡次郎

  ○馬岡委員　御尤モデアリマスガ、併シ是ハ
  一律ニ割當テマス結果、大臣モ定メシ御承
  知ダラウト思ヒマスガ、以前米ヲ食ハナカ
  ツタ者ガ米ヲ食ヒ出シテ來マシタ、之ヲ自
  治的ニ直サウト致シマシテモ、割當テラレ
  タカラト云フヤウナ譯デ中々直サナイノデ
  アリマス、之ヲ永久ニ〓ヘマスナラバ、其ノ
  地方ハ、今ハ兎モ角、是ガ平常ニ復シタ場合ニ
  於テハ、相當困ラナケレバナラナイヤウナ
  地方事情モ起ルノデアリマセウ成ベクナ
  ラバ以前麥六割、米四割デアツタナラバ
  其ノ形體ヲ續ケサセタイト思ヒマシテモ、
  割當テラレタノダカラト云フノデドウモ難
  カシイノデアリマス、ソコデ何カ方法ヲ考
  ヘ·ハー今少シ農村ノ保有米ハ多クシテヤル
  ガ、一方ニ於テ奬勵的ニ節米ヲセヨト云フ
  ノデ抑ヘタナラバ巧ク行クノデナカラウ
  カ、斯ウ云フ風ニ考ヘラレル爲ニ御尋ネ申
  上ゲルノデアリマスガ、是ハ私共モ良イ方
  法ガ分ラナイノデアリマス、又是ハ何トカ
  精神的ノ考ヘトシテ他ニ御考ヘヲ願ハナイ
  ト、終ヒニハ色々ノ關係上牛ガ米ヲ食ツタ
  リ)馬ガ米ヲ食ツタリスルヤウナコトハ已
  ムヲ得ナイト云フヤウナ事實ガ形ノ上ニ現
  ハレテ參リマシテ、非常ニ窮屈ナ米ガ尙ホ
  窮屈ニナルト云フヤウナ事情ニナルノデア
  リマス、僅カノ一地方デアルトシテ考ヘレ
  バ一地方デアリマスガ、是ガ國家全體ノ十
  分ノ一デアレバ一割違ツテ參參ママカラ、
  此ノ點ニ付テハ尙ホ他ノ方法ヲ御考ヘ願ヒ
  タイト思ブノデアリマス、大臣ニ對シテノ
  御尋ネハ是デ終リマス
  ソレカラ檢査員ニ付テハ前年カラ問題ニ
  ナツテ居リマスガ、私モ檢査員ノ資格及ビ
  檢査員ノ一人ノ負擔率、是等ニ付テ御尋
  ネ申上ゲタイノデアリマス、卽チ前ノ縣營
  檢査ノ時ニハ傭員デアツタト云フヤウナ御
  話デアリマシタガ、今囘ハドウ云フ風ナ資
  格ニ於テ檢査員ヲ置カレルノカ、又地方ニ
  依ツテハ他ノ事業ヲ擔當サセタリ何カシタ
  關係上、地方々々ニ人ガ居リマシタガ、今
  度國營ニナリマスナラバ一八擔當量
  ヲ御決メニナツテ、サウシテ數箇町村ヲ受
  持タサセルノデアルカ、是等ノ點ニ付テ御尋
  ネ申上ゲタイト思ヒマス

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• 061・湯河元威

  ○湯河政府委員　檢査員ノ任用ノ點デアリ
  マスガ、是ハ技術雇員トシテ任用スル考ヘ
  デゴザイマス、唯其ノ任用ノ資格等ニ付キ
  マシテハ、實行ノ上ニ色々技術ナリ經驗ナ
  リヲ要件トシテ任用シテ參リタイト考ヘテ
  居リマスガ、資格ハ傭員ト云フコトデナク、
  雇員ト云フ形ニ考ヘテ居リマス、ソレカラ
  其ノ一檢査員ノ負擔スベキ檢査ノ分量ノ問
  題デアリマスガ、此ノ點ニ付キマシテハ、
  實ハ檢査員ノ全體ノ數ヲ現狀カラ見マスト
  少シ減ラシテ居ルノデアリマス、是ハハツ
  キリ申上ゲテ置キマス、併シ其ノ趣旨ハ從
  來ノ檢査ト申シマスト、色々ノ檢査ヲ引受
  ケテ一年中ヤツテ居ル檢査員モゴザイマス
  シ、又忙シイ時ダケ手傳ヒニ來ル檢査員、
  其ノ時ニダケ任用サレル檢査員モアルノデ
  アリマス、之ヲ引括メマシタ人數ニ比ベマ
  スト今度ハ減リマシタガ、吾々ノ見ル所ニ
  依リマスト、大體只今豫定シテ居リマス人
  數デ、米麥ノ檢査ハ少クトモ完全ニヤレル
  ト云フ見込ヲ立テテ、人數ヲ決メテ居ルノデ
  アリマス、無論地方ノ事情ニ依リマシテ、
  米麥以外ノ檢査ガ忙シカツタ時ニハ、國費
  デ以テ設置致シマシタ檢査員ガ手傳ヒヲス
  ルト云フコトハ宜イト思ツテ居リマスシ、
  尙ホ數日前カラ御話ノゴザイマシタ他ノ仕
  事ヲ、或ハ指導員デアルトカ、農會ノ技術
  員デアルトカ云フモノガ從來檢査員ヲ相互
  ニ兼ネテ居タ、今後サウ云フコトハドウナ
  ルカト云フ御話デアリマスガ、國費デ設置
  サレマシタ雇員デアリマスカラ、之ヲ兼務
  サセルト云フコトハ、形式上多少如何カト
  存ジマスガ、實質的ニハ囑託等ノ形式ニ依
  ツテ、サウ云フ仕事ニモ從來ト變リノナイ
  ヤウニスル必要ガアルト思ツテ居リマス

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• 062・馬岡次郎

  ○馬岡委員　大體分ツタノデアリマス、併
  シ米麥以外ハ偖テ措キマシテモ、米麥ハ季
  節的ノモノデアリマスケレドモ、現在ノモ
  ノカラ人ヲ減スナラバ、御承知ノ通リ地方
  地方ニ於キマシテハ、季節的ノ檢査員マデ
  作ツテ補助ヲシテ居ツタカノヤウニ思ハレ
  ルノデアリマス、併シソレハ主ニ一時的ノ
  モノデアツテ、又一時的ノ供出其ノ他ノ關
  係カラ是ハ事實必要デアツテ、季節的ノモ
  ノトシテ設置シタノデアルト思ヒマス、ソ
  レヲ今度減スコトニ於テ、非常ニ農民ガ迷
  惑ヲ感ズルヤウニナリハシナイデアラウ
  カ、檢査ヲ受ケタクテモ日ガ掛カルトカ、
  色々ノ-御承知ノ通リサウ澤山一緒ニ貯
  藏シテ置イテ、サウシテソコデ檢査ヲ受ケ
  ルト云フコトモ中々困難デアリマス、サウ
  云フ爲ニ其ノ都度檢査ヲ受ケル倉庫ニ依ツ
  テ檢査ヲ受ケルト云フコトニ致シマシテモ、
  中々季節的ニ人ガ要ルノデアリマス、又モ
  ウ一ツ此ノ人間ハ大體技術的ニ考ヘマシテ、
  各地方ノ縣營檢査員ガ御引繼ギニナルデア
  ラウト思ハレマスガ、雇員ノ所デアリマス
  ナラバ、引繼ギノ方モ雇員デ宜イノデアリ
  マス、然ルニ縣吏員其ノ他ノ恩給制度ニ據
  ツテ居ルモノガ、之ヲ國家ニ雇員トシテ引
  繼ガレマスト、其ノ人間ノ爲ニ非常ナ幸不
  幸ガ起ツテ來ルコトガアリマス、又或ル意
  味ニ於テ全部處理スルトスレバ、地方ニ於
  テハ恩給年限ニ近イヤウナ者ガ國家ニ引繼
  ガレタ爲ニ、縣吏員ノ資格ガ消滅スルナラ
  バ、一時恩給トカ相當ノ金額モ要ルノデア
  リマス、是ハ地方經濟ノ上カラ相當ノ問題
  デアラウト思ヒマス、是等ニ對シテハ何カ
  ノ御考ヘヲ御持チニナツテ居ラレマスカ、
  承リタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=62

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• 063・湯河元威

  ○湯河政府委員　先程申上ゲマシタコトガ
  不足シテ居ツタヤウデアリマス、ソレハ檢
  査員ノ問題デ申上ゲタモノデアリマスカラ
  人數ガ減ツタノデアリマスガ、私ハ今此處
  ニ豫算ノ方デ正確ナ數字ヲ持ツテ居リマセ
  ヌガ、大シテ減ツタノデハナイ、無論忙シ
  イ時ノ爲ニハ囑託檢査員ト云フヤウナ制度
  ヲ以テソコハ補ツテ參ル考ヘヲ持ツテ居ル
  ノデアリマス、色々〓究致シマシテ-大
  體豫算ハ總額一千二百數十万圓トナツテ居
  リマス、是デ設置致シマス檢査員デ米麥ノ
  檢査ヲヤツテ參リマシテ、最盛期ニ於テモ
  支障ノナイト云フ見込ヲ立テテ居リマス、
  尙ホ囑託檢査員制度等ヲ用ヒテ參リマス、
  ソレカラ現在ノ檢査員ノ地位ニ在ル人ガ恩
  給ヲ持ツテ居ル、其ノ他縣吏員ノソレ〓〓
  ノ資格ヲ持ツテ居ル、之ヲ只今申上ゲマシ
  タ雇員タル檢査員ニ引直スコトニ付テノ支
  障ノアル場合ニハドウスルカト云フ御尋ネ
  デアリマスガ、是ハ檢査員ノ相當多數ノ人
  ニ重大ナ關係ノアル問題ダト思ツテ居リマ
  ス、私達ノ考ヘデハ色々細カク〓究スル必
  要ガアラウト存ジマスルガ、差掛リマシテ
  ノ問題トナリマスル恩給ノ問題ニ付キマシ
  テハ、モウ近ク恩給年限ニ達スルヤウナ檢
  査員ノ人ハ、ヤハリ縣吏員ニ殘ツテ居ツテ
  貰ツタ方ガ宜イノデハナイカ、ドウセ檢査
  ハ米麥以外ニ縣ノ檢査ガゴザイマスカラ、
  其ノ人ガ縣ノ檢査員トシテ殘ツテ、サウシ
  テ其ノ人ガヤハリ國ノ檢査ノ仕事ヲ手傳ヒ
  ニ來タラドウカ、斯ウモ思フノデアリマス、
  國ノ檢査員ニ引直シマス際ニ一時恩給ヲ出
  ストカナントカ云フヤウナコトガ考ヘ得レ
  バ結構デゴザイマスガ、サウデナイ時ニハ
  今申シマシタ手續ニデモ依リマシテ、ソレ
  等ノ人々ノ立場ト云フモノヲ十分ニ考ヘテ
  上ゲタイ、斯ウモ考ヘテ居リマス

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• 064・馬岡次郎

  ○馬岡委員　前年國營檢査ノ際ニハ斯カル
  場合ニハ其ノ人間ヲ縣吏員トシテ殘シテ置
  イテ、國ガ一人分ノ費用ヲ縣ニ助成シテ、
  サウシテ恩給ヲ取リ得ルヤウニシ、國カラ
  縣吏員ニ囑託シテ之ヲ爲サシメルト云フヤ
  ウナ御答辯モアツタノデアリマスガ、斯樣ニ
  今度モ御願ヒ出來得ルノデアリマセウカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=64

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• 065・湯河元威

  ○湯河政府委員　此ノ前ノ國營檢査ト今度
  ノ檢査トガ少シ事情ガ違ツテ居リマスノ
  デ、實ハ此ノ前ノ法律ニ依リマスルト檢査
  ハ全部國ノ檢査ニナルノデアリマス、地方ノ
  檢査ハ國ニ委託ヲシテ檢査ヲスルト云フ建
  前ヲ執ツテ居ツタノデゴザイマスカラ、サ
  ウ云フヤリ繰リガ必要ニナツテ來ルカト思
  フノデアリマス、今度ノ檢査ノ建前ハサウ
  デハゴザイマセズニ、米麥ノ檢査ハ、是八、
  サウ云フ檢査ニ必要ナ設備ハ國費ヲ以テヤ
  ル、併シ其ノ他ノ檢査ハ從來通リ地方費ノ
  負擔ニ於テ之ヲヤラセルト云フ建前ヲ執ツ
  テ居リマスルノデ、前ノヤウニ檢査ガ全部
  國ノモノニナツテシマフナラバ、只今御話
  ノゴザイマシタヤウナ處置ガ必要ダト云フ
  コトヲ此ノ前ノ機會ニ御答辯シタノダラウ
  ト存ジマスガ、今度ノ場合ハサウデハゴザ
  イマセヌノデ、米麥以外ノ檢査ハ地方費デ
  ヤルノデゴザイマスカラ、其ノ人ハ國費ニ
  アラズトモ、地方費トシテ支辨シテ貰ツテ
  置イテ恩給ノ期間ガ過ギテカラデモ、或
  國ニ替ルナラ替ツテモ宜イノデハナイカト
  思ツテ居リマス、違ツテ居リマスカ

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• 066・馬岡次郎

  ○馬岡委員　能ク分リマシタ、御尤モナ御
  答辯ダト思ハレマス、併シ是ハ私一人ノ杞
  憂カモ知レマセヌ、人的資源ガ缺ケテ居ル
  際ニ、米麥ダケハ國デスルノダ、雜穀其ノ
  他ノモノハ縣デスルノダ、斯ウ云フヤウニ
  ナリマスト、二手ニ分レテ、此ノ人手ノ足
  リナイ時ニヨリ以上ノ人ヲ使ハナケレバナ
  ラナイ、而モソレガ半端ノ仕事ガ殘サレテ
  非常ニ是等ノ人々ハ迷惑サレルコトダラウ
  ト思ハレマス、ソレハ實際ニ付テ御考ヘ願
  フト相當地方ノ人事ノヤリ繰リ其ノ他ニ付
  テモ迷惑スルダラウト思ハレマス、是等ノ
  點ニ付キマシテハドウカ能ク御考ヘ下サイ
  マシテ、出來得ルダケ囑託其ノ他ノ方法ニ
  依ツテ人的ノ資源ノ差繰リヲ御願ヒスルコ
  トヲ希望致シテ置キマス
  其ノ次ニ是ハ極ク小サナ問題デアリマス
  ルガ、一ツ此ノ際ニ私今遭遇シタ例ヲ申上
  ゲマシテ、ナントカ御考へ願フ方ガ宜ク
  ハナイカ、所謂徹底サシテ戴ク方ガ宜クハ
  ナイカト思ハレマスモノガ玆ニアルノデア
  リマス、ソレハ外デモアリマセヌ、私東京
  ヘ參リマシテ宿ニ泊ツテ居リマス、然ル所
  業務用米ノ割當ガ非常ニ減額サレタト云フ
  譯デ、宿ハ飯ヲ食ハサナイト云フコトガ起
  ツテ參ツタノデアリマス、ソレハ已ムヲ得
  ナイ實狀ダト思ヒマス、併シ私共斯ウ言フ
  トヲカシイデスガ、私共ナラバナントカヤ
  リ繰リ付ケテ外デ食ベテ行キマセウ、併シ
  僅カノ旅費ヲ頂戴シテ色々ナ問題デ出掛ケ
  テ來タ方ナンカハ、斯ウ云フ制度ニ置カレ
  マスルト非常ニ迷惑ヲシハシナイカ、斯樣
  ニ思ハレルノデアリマス、又私ノ泊ツテ居
  リマスル宿ニハ、オ隣リニ或ル官署デアリ
  マシテ、其ノ方面ノ判任官ノ方ガ御出張ニ
  ナリマシテ、相當滯在サレテ居ラレル方ヲ
  見受ケマス、是等ニ對シテモ業務用ノ割當
  ハ相當減額シナケレバナリマセヌガ、旅館
  ト料理屋ノ區別ヲ付ケテ何トカシテヤツテ
  戴カナイト、充ガヒ扶持ノ旅費ヲ貰ツテ來
  ル官吏ノ方ナドハ非常ニ御迷惑ヂヤナイカ
  ト思ハレルノデアリマス、是等ニ付テモ何
  トカ御考ヘヲ煩ハシテ、區別ヲ付ケテ徹底
  サセテ戴イタ方ガ宜クハナイカト考ヘマス、
  是ハ御希望ヲ申上ゲテ置キマス
  次ニ今食糧ノ增產ノ爲ニ有畜農業ガヤカ
  マシク問題ニサレテ居ル場合ニ、牛馬商ノ
  統合問題ガ主務省ノ方針ダト云フノデ地方
  デ非常ニヤカマシイ問題ニナツテ居ル、又
  試驗制度ガヤカマシイ問題ニナツテ居ル、
  地方々々デ色々其ノ實情ヲ異ニ致シテ居リ
  マスルガ、例ヘバ千葉縣デハ五分ノ一ダ、
  其ノ他ノ縣デハ五分ノ一デモナイト云フ風
  ニ統合率ガ幾分カ地方ニ依ツテ變ツテ居ル
  カノヤウニモ思ハレマス、又試驗制度ノ問
  題ニ對シマシテモ、是ハ御尤モナ御意見ダ
  ト思ハレマスガ、今此ノ過渡期ニ於テ牛馬
  商ノ試驗ヲシテ、牛ノ衞生ヲドウダト言ツ
  テ見タ所デ、是ハ出來得ル問題デアラウカ、
  之ニ合格スル人デアルナラバ、若イ新進氣
  銳ノ人デアリマセウ、併シ此ノ問題ハ動モ
  スルト若イ方デハ出來ナイ問題デアツテ、
  實際ハ相當熟練シタ年寄ノ馬喰ヲ存續シタ
  方ガ圓滑ニ行クノデナカラウカ、實際上左
  樣ニ私共ハ考ヘルノデアリマス、是ハ一例
  デアリマスガ、現在私ノ縣ニ是デ困ツテ居
  ル問題ガアルノデアリマス、ソレハ相當牛
  ヲ入レタイ、然ル所色々ノ統制デ人ガ限定
  サレテ居ル、畜產組合ハ是等ノ人ヲ囑託シ
  テ或ル地方ハ牛ヲ買ヒニヤツタ、所ガ最高
  價格デナケレバ手ニ入ラナイカラ、最高價
  格デ買ツテ來タ、之ニ運賃ヲ加ヘタ、ソレ
  ガ統制經濟違反ダト云フノデ、是等ノ人ガ
  皆今引張ラレテ居ル、引張ラレタ爲ニ牛ノ
  肉ノ賣買ガ出來ナクナツタト云フヤウナコ
  トモ起ツテ今困ツテ居ルノデアリマス、サ
  ウ云フ關係カラ見マシテ、兎角牛ノ統制ガ
  利キ過ギマシタ結果、是ハ前ノ特別議會ニ
  樋口代議士カラ當局ニ申上ゲタ實例ガアリ
  マスカラ私申上ゲマセヌガ、農村ノ者ガ
  牛ヲ賣ルコトヲ止メテシマフヤウナ傾向ガ
  アル、是ガ肉牛ノ缺陷デアルト云フヤウナ
  問題モアルノデアリマス、牛馬商ヲ統合ス
  ルト云フコトモ結構デアリマスガ、餘リ
  時ニ五分ノ一ナンカニシテシマツテ、事實
  出來ナイヤウナ關係モアリマス、此ノ點ニ
  付テ當局ハ如何ニ御考ヘニナツテ居ルカ承
  リタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=66

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• 067・岸田正記

  ○岸政府委員　牛馬商ノ資格審査ノ問題デ
  ゴザイマスガ、是ハ多年ノ畜產界ノ要求デ
  アリマシテ、從來ノヤウナ牛馬商ヲ置イテ
  オイタノデハ一方ニ宜イコトモアルケレド
  モ、一方ニ於テ又弊害モアル、ドウシテモ
  或ル程度ノ資格ヲ持ツタ者ヲシナケレバ困ル
  カラ、試驗制度ヲ設ケテ嚴選ヲシテ吳レ、
  斯ウ云フヤウナ話デ長ク要求サレテ居ツタ
  ノデアリマス、併シ實際上直グソレニ入ツ
  テ宜イカドウカト云フコトヲ考ヘテ居ツタ
  ノデアリマスガ、此ノ時局下ニ於ケル取引
  ノ問題等ヲ考ヘマスト、是ハヤツタ方ガ宜
  イダラウト云フコトニナリマシテ、ソレデ
  其ノ規則ヲ改正シテ資格ヲ得ル爲ニ或ル一
  定度ノ試驗ヲスル、尙ホ之ニ付テハ地方ノ
  實情モ考慮シテ畜產關係者ノ意見モ聽クト
  云フ風ニシテ銓衡シテ漸次素質ヲ直シテ行
  カウト云フ考ヘデ居ルノデアリマシテ、勿
  論色々差支ヘノアルヤウナ點ニ付テハ直シ
  テ行クヤウニシナケレバナリマセヌガ、方
  針トシテハサウ云フコトデ進マナケレバイ
  カヌト思ツテ居リマス

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• 068・馬岡次郎

  ○馬岡委員　能ク分リマシタ、左樣ニ致シ
  マスト、或ル程度試驗制度、審査考査ハ地
  方實情ニ依ツテ御考ヘ願ヘルノデアリマス
  カ

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• 069・岸田正記

  ○岸政府委員　試驗ハ地方廳ニ任シテ居リ
  マスカラ、無論サウ云フ點ハ考慮シテ居リ
  マス

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• 070・馬岡次郎

  ○馬岡委員　私ノ質問ハ是デ終リマシタ

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• 071・森幸太郎

  ○森委員長代理　田代君

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• 072・田代正治

  ○田代委員　私ノ質問ハ魚ノ問題デアリマ
  スガ、是ハ國民ノ食糧問題ニ重大ナル關係
  ガアルト思ヒマスカラ質問致シマス、無論
  魚ノ不足ハ生產ノ減退ニアリマスケレドモ、
  生產ヲ增加サセルト云フコトニ付キマシテ
  ハ、御承知ノ通リ資材ノ關係等ニ於キマシ
  テ、マダ〓〓困難ナル點ガ澤山アルノデア
  リマス、ソコデ不足ヲ補ナフコトニ付キマシ
  テ、私ハ沿岸漁業ト云フモノハ、非常ニ重
  大ナ役割ヲ持ツテ居ルト思フノデアリマス、
  過般農林省ニ於カレマシテ所謂水產新體
  制ナルモノニ於テ、遠洋漁業ノ統制ヲ行フ
  豫定ニナツテ居ルト聞キマシタ、然ル所沿
  岸漁業ニ付キマシテハ、マダ何等ノ方針モ
  御示シニナラナイノデアリマス、我ガ國ノ
  漁穫高ハ近海漁業ガ大半ヲ占メテ居ルノデ
  アリマス、ソレデスカラ國民ノ健康ヲ保持
  スル點ニ於テモ、沿岸漁業ノ統制コソ最初
  ニ行ハネバナラヌコトト思ツテ居リマス、
  無論沿岸漁業ヲ統制スルト致シマシテモ、
  其ノ內容ニ至リマシテハ、色々ニ細カイ點
  ト或ハ社會經濟的ノ關係カラ致シマシテ、
  中々複雜多岐ヲ極メテ居リマシテ、之ヲ統
  合スルノ困難ナルコトハ想像スルニ難クア
  リマセヌ、併シナガラソレカト云ツテ之ヲ
  等閑視スルト云フコトハ、是ハ國民ニ對シ
  テ甚ダ申譯ガナイコトデアリマス、殊ニ現
  下魚ノ不足ノ時ニ當リマシテ、責任上ノ問
  題ダラウト思ヒマス、付キマシテハ、沿岸
  漁業統制ト云フコトニ付キマシテ、最早方
  針モ立ツタト思ヒマスガ、其ノ點ヲ御示シ
  ヲ願ヒマス

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• 073・三浦一雄

  ○三浦(一)政府委員　今田代委員ノ御尋ネ
  ノ我ガ國ノ水產中沿岸漁業ノ占ムル重大ナ
  ル事情ニ鑑ミテ、其ノ時局ノ推移ニ伴ツテ
  適當ナ統制ヲ加ヘテ
  〔森委員長代理退席、委員長着席〕
  水產ノ振興ニ寄與スルヤウニ考ヘテテルト
  共ニ、又其ノ根本方針ナリ或ハ方策等ニ付
  テノ意見ハドウカト云フ御尋ネデアリマシ
  タガ、其ノ御趣旨ハ政府トシテモ既ニ痛感
  シテ居リマスノデ、段々ノ準備ヲ整ヘテ參
  ツタノデアリマス、御說明ニアリマス通リ
  沿岸漁業ハ其ノ地域別ニ見マシテモ、非常
  ニ複雜多岐ナ事情モアリマス、殊ニ又企業
  形體ハ大小トリ〓〓ノ問題ガアリ、是等ニ
  付キマシテハ周到ナル用意ヲシナケレバナ
  ラヌト思フノデアリマス、隨ヒマシテ沿岸
  漁業ニ對スル適切ナル統制ヲ加ヘルト云フ
  方針ハ旣ニ決定シテ居リマス、隨ツテ此ノ
  統制方策ヲドウスルカト云フ問題ニ付キマ
  シテハ、只今地方ノ事情等モ十分勘案シテ
  居リマシテ、マダ其ノ具體的ナル方針ヲ御
  示シスル時期ニ到達シテ居リマセヌ、ト云
  フノハ、急角度ニ變ツテ參リマシタ物資事
  情等ハ、現代ノ漁業自體ノ再編成ニ先ヅ重
  點ヲ置イテ、其ノ問題ヲ解決スルト云フ點
  ト、ソレカラ御承知ノ通リ遠洋海洋漁業等
  ノ體制ヲ整ヘルト云フコトニ、具體的ニ着
  手シテ居ツタ關係上、多少此ノ方面ノ關係
  ガ、難カシイ問題ガ伏存シテ居ルヤウナ事
  情上遲レテ居リマスケレドモ、是ハ速カナ
  機會ニ具體的施策ニ進ミタイト考ヘテ居リ
  マス

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• 074・田代正治

  ○田代委員　沿岸ノ漁業ノ統制ニ付テハ、
  大體ノ「プラン」ガ出來テ居ル、併シソレヲ運
  營スル上ニ於テノ方針ガマダ立ツテ居ナイ
  ト云フ御答辯ダラウト思ヒマスガ、大體ノ
  要綱ハ、御承知ノ通リ沿岸漁業ハ漁村ガ主體
  トナツテ居ル、漁村ノ主體ハ漁業組合デア之
  ル、斯ウ云フ風ニナリマスレバ、其ノ漁業
  組合ヲ沿岸漁業ノ主體トシテ、運營ノ主體
  トシテ御取扱ニナルト云フ御方針デアリマ
  スカ

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• 075・三浦一雄

  ○三浦(一)政府委員　漁業組合ヲ中心ニシ
  テト云フ風ナ具體的ニハマダサウハ考ヘテ
  居リマセヌ、漁業組合モ勿論整備シテ參ラ
  ナケレバナリマセヌ、又漁業組合ニ依ラザ
  ル各種ノ漁業モアリマスカラ、是等ハ沿
  岸漁業ノ特性ニ鑑ミテ適當ナル方法ヲ執リ
  タイト斯ウ考ヘテ居リマス

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• 076・田代正治

  ○田代委員　其ノ點モウ少シ、大體デモ宜
  シイカラ御聽カセ願ヒタイ、例ヘバ沿岸漁
  業ニハ定置漁業ガアリ、或ハ小形船デ家庭
  的ニ漁ヲヤルトカ洵ニ複雜多岐ヲ極メテ居
  リマスカラ、マダシツカリシタ「プラン」ガ立
  タナイト云フコトモ御無理デハアリマセヌ
  ガ、大體其ノ主體トナルモノハ何デアルカ
  ト云フヤウナ、大體デ宜シイカラソレヲ御
  洩ラシニナルコトハ出來マセヌカ

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• 077・三浦一雄

  ○三浦(一)政府委員　マダ具體的ニ御示シ
  スル時期ニハ到達致シテ居リマセヌ、追ツ
  テ其ノ案ガ出來次第御示シスル次第デアリ
  マス

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• 078・田代正治

  ○田代委員　其ノ次ニ御伺ヒシタイノハ生
  鮮魚介類ノ出荷配給問題デアリマス、此ノ
  生鮮魚介類ノ需給調節ノ困難ナルコトハ申
  上ゲルマデモアリマセヌ、政府トシテハ此
  ノ需給調節ヲ圖ル方針トシテ、一ハ配給統
  制規則、一ハ價格ノ公定ト云フ一一ツノ方法
  ニ依ツテ魚ノ需給調節ヲ圖ツテ居ラレタノ
  デアリマス、配給統制規則ハ昨年四月一日
  國家總動員法ニ依ツテ農林省令トシテ發布
  サレタ、價格ノ公定ハ一昨十五年九月ニ七十
  七品目デアツタカニ對シテ致シマシタガ、
  其ノ後ニ至リマシテ此ノ價格ノ公定ガ當ヲ
  得テ居ナイト云フノデ、昨十六年九月十
  日ニ百七十幾ツデアツタカ、此ノ品目ヲ增
  加シテ公定サレタノデアリマス、併シナガ
  ラ此ノ配給統制規則ト價格公定ト此ノ二本
  建デヤルト云フコトハ當リ前ノ話デアリマ
  スガ、此ノヤリ方ガ惡カツタ爲ニ、魚ガ依
  然トシテ不足デアリ、闇取引ガ行ハレテ、
  其ノ上ニ吾々ハ元ハ生キノイイ魚ガ喰ベラ
  レタガ、今ハ生キノ惡イモノヲ喰ベルト云
  フコトニナツタノデアリマス、是ハドコニ
  缺陷ガアルカト申シマスト、前申シマシタ
  生產ノ不足ト云フコトガ最大ノ原因デアリ
  マスガ、配給統制規則ト價格統制ノ技術的
  ナ點ニ於テ拙カツタト思ヒマス、ソコデ其
  ノ缺陷ヲ是カラ申上ゲマスガ、第一ニ配給
  統制規則ノ缺陷トスル所ヲ申上ゲ、次ニ價
  格ノ公定ノ缺陷トスル所ヲ申上ゲタイト思
  ヒマス
  此ノ配給規則ニ依リマシテ魚ガドウ云フ
  風ニ流レルカト申シマスト、農林大臣ノ指
  定スル地方ノ陸揚地ニ先ヅ以テ魚ガ揚ガ
  ル、又農林大臣ノ指定以外ノ詰リ地方長官
  ノ指定スル所ノ陸揚地ニモ魚ガ揚ガル、其
  ノ揚ガツタ魚ガ出荷統制組合ニ依ツテー
  私ハ中央ニ流レル順序ヲ申上ゲテ居ルノデ
  アリマスルガ、中央ノ配給統制協會ノ指圖
  ニ依リマシテ、ソコヘ出荷ノ手續ヲナス、
  其ノ手續ヲ受ケマシタ配給統制協會ハ農林
  大臣ノ許可ヲ受ケマシタ所ノ配分率ニ依リ
  マシテ、其ノ所屬ノ市場ニ流ス、此ノ手續
  ヲ受取リマシタ各市場ハ、茲ニ初メテ末端
  配給ニ其ノ魚ヲ流スト云フコトニ相成ルノ
  デアリマス、末端配給ト申シマスノハ、所
  謂小賣商トカ色々アリマスルガ、各市場ノ
  中ニハ業務用ノ組合ト、ソレカラ家庭用ノ
  組合トアリマシテ、魚ハ市場カラ此ノ二ツ
  ニ流レル、家庭用ノ組合ト申シマスノハ、
  詰リ小賣商業組合デアリマシテ、吾々ノ口
  ニ入ルノハ、此ノ小賣商業組合ノ手ヲ經テ
  吾々ノ口ニ入ルノデアリマス、業務用ノ組
  合ノ中ニハ、特殊業務用ト、ソレカラ加工
  用ト、ソレカラ業務用ト、斯ウ云フ三ツニ
  ナツテ居リマシテ、特殊業務ノ方ハ病院、
  學校ノ寄宿舍、加工用ハ蒲鉾トカ竹輪ヲ造
  ル爲メ、業務用ハ所謂料理屋デアル)ソコ
  デ業務用ノ組合ガ何處カラ魚ヲ取ルカト云
  ヒマスト、市場デアルガ、其ノ市場ノ中ニ
  特設賣場ト云フノガアリマシテ、其ノ特設
  賣場カラ取ルノデアリマス、市場ハ特設賣
  場ニ配給シマシタモノカラハ五分ノ手取料
  ヲ取リ得ル、併シ家庭用ノ組合ニ配給シタ
  モノカラハ五分ノ手數料ヲ取ルコトガ出來
  ナイ、斯ウ云フコトニナリマス、取リ得ル
  ト云フ理由ハ、料理屋ハ兎ニ角刺身一皿七
  十錢トカ付ケテ儲ケテ居ルカラ、手數料位
  取ツテモ宜イヂヤナイカ、斯ウ云フ理由ニ
  基クノデアリマス、巷間傳フル所ニ依リマ
  スレバ、市場ハサウ云フ理由カラ特設賣場
  カラ流ス品物ヲサウ云フ料理屋ノ方ニ餘計
  廻シテヤリタガル、斯ウ云フ話デアル、併
  シ私ハ其ノコトニ付テハサウハ思ヒマセ
  又、市場ノ運營ヲ掌ツテ居ル人達ハ、公益
  性ヲ十分ニ感得ヲシテ居ルノデアリマスカ
  ラ、私ハサウ云フコトハナカラウト思フ、
  然ラバドウ云フ譯デ魚ガ吾々ノ方ニ入ルノ
  ガ不足カト申シマスルト、配給規則ノ中ニ
  十貫目マデノモノハ何等ノ手數ヲ要セズ、
  其ノ御決メニナツタ配給「ルート」ヲ經ズニ
  之ヲ何處ヘデモ持ツテ行ケル、搬入スルコ
  トガ出來ル、サウシテ又五貫目マデハ之ヲ
  家庭ニ持ツテ行カウガ、料理屋ニ持ツテ行
  カウガ、何處ヘデモ持ツテ行ケル、此ノ規
  則ガ因ヲ成シマシテ、此處デ闇ガ行ハレ、
  コツチノ方ニドン〓〓魚ガ流レテ行クノダ
  ラウト思フノデアリマス、是ハドンナニ私
  ガ調ベマシテモ、皆サウデアル)何處デモ
  サウ言ツテ居リマス、所ガ此ノ事ニ付キマ
  シテ、地方ノ方デハ默ツテ居ル、何故默ツ
  テ居ルカト申シマスト、ソレヲ餘リ喧シク
  言フト、治安維持上困ル、ソレ位ハ見逃シ
  テ置カヌト云フト、中央ニ魚ガ流レズニ、
  其ノ縣內ニ止マツテ居ル、サウスルト魚ノ
  不足ノ所ニ、ソレダケノ餘裕ガアリマスカ
  ラ、不平ハ餘リ出ナイ、ソコデ農林省デハ
  喧シク言フケレドモ默ツテ居ヨウト云フ譯
  デ、地方官廳ハ見逃ス、斯ウ云フ話デアリ
  マス、此ノ十貫目ノ搬入、五貫目ノ搬出ト
  云フ問題ガ、私ハ闇取引ガ行ハレ、魚ガ偏
  在スル根幹ヲ成シテ居ルト思ヒマス、ソレ
  カラ先程申上ゲマシタ地方ノ出荷統制組合
  カラ流レテ來ルト云フコト、是ハ農林大臣
  ノ指定スル陸揚地ト、地方長官ノ指定スル
  陸揚地ト一一ツアル、此ノ一一ツノ間ニ橫ノ連
  絡ガアリマセヌ、ソレダカラ農林大臣ノ指
  定スル陸揚地ニ於ケル所ノ出荷統制組合
  ガ、命令ニ依リマシテ出荷ノ計畫ヲ立テネ
  バナラヌノデアリマスルガ、ドレ程魚ガ來
  ルカト云フコトガ分リマセヌカラ、ソコデ
  計畫ノ立テ樣ガナイ、斯ウ云フコトニナル、
  此ノ橫ノ連絡ガナイト云フコトガ、是亦魚
  ノ不足ノ原因ヲ成シテ居ルノデアリマス、
  サウシテ又此ノ陸揚地デスガ、是ハ五ヘト
  ン」以上ノモノハ申〓シナケレバナラヌ、又
  必ズ指定ノ陸揚地ニ持ツテ來ナナケレバナ
  ラヌ、斯ウナツテ居リマスケレドモ、氣ニ
  食ハナイ陸揚地デアルト、自分ハ其處ニ揚
  ゲルコトハ厭ダト云フノデ、別ノ所ニ持ツ
  テ行ク、ソレガ申告ニ依ツテナシ得ル、是
  ニ配給規則ノ弱體ガアルト思ヒマス、ドウ
  モ此處ニ持ツテ來ルト旨クナイカラト云フ
  ノデ、他ニ船ヲ〓シテ行ク、其ノ揚ゲル目
  的ハ闇デス、闇値デ高ク賣リタイカラ持ツ
  テ行クノデアリマシテ、闇デ賣ラナイト云
  フコトデアレバ、指定サレタ陸揚地ニ持ツ
  テ行クニ決ツテ居ル、闇ガ持ツテ來ル、此
  ノ事ガ一ツノ缺陷ヲ成シテ居ル、又モウ一
  ツハ、京濱ト、ソレカラ中京ト京阪ト、ソ
  レカラ關門、此ノ四ツニ大キナ配給「ブロツ
  ク」ガ形成サレテ居ルノデアリマスルガ、此
  ノ四ツノ一ツ〓〓ニ配給統制協會ト云フモ
  ノガアル、是ガ何ニモナラナイ、此ノ配給
  統制協會ガ農林大臣ノ指圖ヲ受ケマシテ配
  給ノ計畫ヲ立テ、サウシテ各市場ニ對シテ
  配給ノ指圖ヲスルト云フコトニナツテ、仕
  事ハ重大ナ仕事デアリマスケレドモ、何
  モナラナイ、ナゼ何ニモナラナイカト云フ
  ト其ノ首腦部ガ無能デアルトカ、或ハ我
  儘デアルトカ、橫暴ヲ極メテ居ルトカ、斯
  ウ云フ話ヲ承ツテ居リマス、サウシテ相變
  ラズ其ノ人達ハ素人ノ爲ニ、唯何カノ情實
  デ天降リニナリマシタカ、サウ云フ風ナ關
  係ガアル爲ニ、仕事ハチツトモ知ラナイ素
  人ノ癖ニ面倒ナ仕事ヲヤツテ居ル、是ガ配
  給ノ圓滑ヲ缺イテ居ル原因デアリマス、私
  ハソレヲ斷定スルコトガ出來マス、斯ウ云
  フ風ナ缺陷ガアルノデアリマスガ、是等ニ
  付テ政府ノ御考ヘハドウデアルカト云フコ
  トヲ御聽キシタイ
  先程申上ゲマシタ十貫目ノ搬入、五貫目
  ノ搬出、此ノ除外例ヲアノ配給規則ノ中ニ
  御設ケニナツタ趣意ハ、是ハ小サイ漁師ニ
  對スル非常ニ同情的ナ心持カラ生レテ來タ
  御處置ダト思ヒマス、ソレハ小サイ漁師ハ、
  亭主ハ船ニ乘ツテ沖ニ出テ行ク、持ツテ來
  タ物ハ今度家內ガソレヲ籠カ何カニ入レテ
  賣出ス、其ノヤウナコトガズツト行ハレテ
  居リマシタ、サウ云フコトニ同情サレテア
  ノ除外例ヲ御設ケニナツタコトデアラウト
  思ヒマスケレドモ、ソンナコトヲ考ヘテ居
  ツタラ、配給ノ統制、ソレカラ消費ノ規正
  ト云フコトハ絕對ニ行ハレマセヌ、消費ノ
  規正、配給統制ト云フコトガ主ナル使命デ
  アツタナラバ、サウ云フ拔道ヲ拵ヘル必要
  ハチツトモナイ、ソレヲ淚ヲ呑ンデ廢止シ
  ナケレバ、此ノ消費規正、配給統制ト云フ
  ノハ行ハレマセヌ、此ノ事ヲ一言申上ゲテ
  置キタイト思ヒマス、ソレカラ今度ハ、此
  ノ配給統制ノ缺陷ハ今申上ゲタノデアリマ
  スガ、然ラバ今度價格ノ公定ニ付テハ何ガ缺
  陷デアルカト申シマスト、十五年ニオ作リ
  ニナツタ價格ノ公定ハ、是ハ卸賣、小賣ト
  云フ一本建ノ複制ニナツテ居ル、所ガ今度
  昨年ノ九月ニ御決メニナツタ公定價格ノ取
  決メ方ハ陸揚地價格、是ガ一、二ハ指定消
  費地價格、三ハ指定外消費地價格、斯ウ云
  フコトニナツテ居ルノデアリマス、一番安イ
  ノガ陸揚地價格、一番高イノガ指定消費地
  價格、其ノ中間ガ指定外ノ消費地價格、斯
  ウ云フコトニナツテ居リマス、然ル所此ノ
  指定消費地價格ト云フノハ、コチラノ方デ
  言ヘバ東京デ、ココガ一番魚ガ高イ、ソヨ
  デ生產者ハ最高デアル指定消費價格地ノ東
  京ノ方ニ持ツテ來ルト云フ傾向ガダン〓〓
  顯著ニナツテ來タ、ソコデ是デハ堪ラヌト
  云フノデ、第三ノ指定外消費地ノ人達ガ今
  度運賃ヲ見、小賣代ヲ見、箱代ヲ見ルト云
  フヤウナコトヲ致シマシテ、指定消費地價
  格ヨリモウント高イ闇値デ買ツテ來マス、
  ソレガ爲ニ東京ノヤウナ所ヘ〓ツテ來ナ
  イ、是ガ價格ニ依ル所ノ魚ノ廻リ方ノ不圓
  滑ナ一ツノ原因デアリマス、是ガ公定價格
  ニ對スル一ツノ缺陷トシテ申上ゲタイ
  モウ一ツ是ハ配給ノ不圓滑ノ原因ニナル
  カナラナイカ分リマセヌガ、魚ノ鮮度ト云
  フコトニ付テ重大ナ問題ガ生ジテ來ル點デ
  ス、ソレハ目方賣デス、始終目方ニ掛ケテ
  居リマス爲ニ、段々生キガ惡クナル、モウ一
  ツハ目方賣ノ爲ニ品質ヲ度外視シテ居ル
  惡イ品物デ目方サヘモアレバ賣レルト云フ
  ヤウナコトノ爲ニ極メテ非衞生的ニナツテ
  來テ居ル、是ハ國民保健上重大ナ問題デア
  ラウト思フ、何度位目方ヲ掛ケルカト言ヒ
  マスト、漁師カラ產地ニ入ル時ニ一囘、產
  地カラ市場へ入ル時ニ一囘、市場ノ內ノ商
  業組合カラ商業組合ノ支部ニ入ル時ニ一
  囘、支部カラ小賣ノ方ニ入ル時ニ一囘、小
  賣カラ愈〓吾々ノ口ニ入ル時ニ又モウ一囘目
  方ヲ掛ケル、都合六囘掛ケルノデ、生キノ
  良イ魚デモ六囘モ目方ヲ掛ケラレテハ、大
  抵目ガ赤クナツテ來ルニ決マツテ居ル、左
  樣ナコトニハ國民ノ保健上實ニ重大ナルコ
  トデアル、此ノ目方賣ノ缺陷、之ヲ私ハ始
  終考ヘテ居ル、是等ノコトニ付テ政府ハド
  ウ云フヤウニ考ヘラレテ居ラレルカト云フ
  コトヲ御聽キシタイト思ヒマス

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• 079・辻太郎

  ○辻政府委員　鮮魚ノ配給ノコトニ關シマ
  シテ、詳細御意見、御質問ガアリマシタノ
  デ、昨年來政府ガ實行シテ居リマス鮮魚類
  ノ配給統制ノ內容ハ、只今詳細御話ニナリ
  マシタ所デ盡キテ居ルト思ヒマスガ、其ノ
  中ニ付キマシテ第一ニハ配給統制ノコトニ
  關シマス缺陷ヲ御指摘ナサイマシタ、第一
  ノ問題トシテ配給統制規則ニ於テ、搬入ニ
  付テハ大都市等ノ指定消費地ニ對スル鮮魚
  ノ搬入ノ場合ニ於テ、十貫曰、又小賣業者
  等ノ業務關係者ガ直接產地ニ買取ニ行クヤ
  ウナ場合ニ於テハ五貫目、此ノ範圍ノ數量
  ノモノヲ配給統制カラ除外例トシテ、認メ
  テ居ル、ソコニ大キナ統制上ノ缺陷ガアル
  ノデハナイカト云フ點ニ付キマシテハ、吾々
  モ配給統制ノ實行上一ツノ大キテ問題トシテ
  考慮致シテ居ルノデアリマス、十貫目、五貫目
  ニ付キマシテ一ツノ除外例ヲ設ケマシタ趣旨
  ハ、先程御指摘ニナリマシタヤウナ趣旨ニ
  基クノデアリマス、此ノ程度ノ數量ナラバ
  配給統制モ圓滑ニ運營サレ、多ク弊害モナ
  イデアラウト考ヘタノデアリマスケレドモ、
  最近ニ於ケル各地ノ狀況ヲ見マスト、當初
  吾々ガ豫想シテ居リマシタヨリ以上ノ、場
  所ニ依リマシテハ情弊モ起ツテ來テ居ルヤ
  ウニ感ゼラレルノデアリマス、其ノ結果、
  サナキダニ全體ノ數量ガ減ツテ居リマス鮮
  魚類ガ、家庭用ノ方ニ向キマセヌデ、主ト
  シテ多ク業務用ノ方ニ流レルト云フ傾向
  モーアルヤウニ考ヘラレルノデアリマス、
  唯之ヲ一時ニ徹底的ニ水モ洩ラサスヤウニ
  全部網ノ目ニ入レテシマフコトガ適當デア
  ルカドウカト云フ點ニ付キマシテモ、愼重
  考究スル必要ガアリマスノデ、目下ノ所、
  此ノ五貫目、十貫目ト云フ除外例ノ適否ニ
  付キマシテハ各地ノ情報モ參照致シマシ
  テ愼重考究致シテ居ル次第デアリマス
  第二ノ點ハ指定陸揚地ニ於ケル問題デア
  リマス、全國百二十數箇所ヲ配給統制ノ指
  定陸揚地トシテ居リマスガ、色々ナ關係カ
  ラ致シマシテ、漁獲物ガ指定陸揚地以外ニ
  流レル、隨テ出荷統制ヲ紊ルト云フ御話デ
  アリマスガ、多少サウ云フ點モナキニシモ
  アラズト考ヘマス、唯陸揚地トシテ指定シ
  テ居リマス場所ガ、船溜ノ關係、漁港ノ關
  係其ノ他カラ致シマシテ、其ノ場所ヲ避
  ケテ他ヘ陸揚ゲシヨウト致シマシテモ、色
  色ナ關係ニ於テ支障ガアルノデハナイカ、
  ソコデ一ツ百二十數箇所ヲ指定シテ置ケバ、
  一應大丈夫デアラウト云フ考ヘヲ以テ指定
  シテ居ルノデアリマスケレドモ、段々ト指
  定ノ陸揚地ヲ逃ゲマシテ他ノ方へ陸揚ゲサ
  レルト云フ傾向ガ助長セラレマスニ於テハ、
  更ニ此ノ陸揚地ノ指定ヲ增加スルトカ何ト
  カ致シマス措置ヲ講ズル必要ガアラウト考
  ヘルノデアリマス、又農林大臣ノ指定ノ陸
  揚地ニ於ケル出荷統問組合ト各地方ノ地方
  長官ガ指定致シマシタ陸揚地ニ於ケル出荷
  統制組合トノ間ノ連絡ガ十分デナイト云フ
  點ニ付キマシテハ、私共モ多少サウ云フ點
  ニ付キマシテ遺憾ナ點ガアルコトヲ感ジテ
  居リマス、此ノ點ニ付キマシテハ適當ニ連
  絡調整ヲ致サセマシテ、出荷統制組合ニ於
  ケル出荷計畫ノ樹立、其ノ實行等ニ付テ遺
  憾ノナイヤウニ運營サセタイト考ヘテ居リ
  マス
  第三ニ消費地ニ於ケル荷受人、詰リ配給
  統制協會ト云フ名前ヲ以テ呼ンデ居リマス
  ガ、是等ノ運營ナリ活動ガ十分デナイト云
  フ點ノ御注意デアリマス、此ノ點ニ付キマ
  シテハ色々配給統制協會ノ內部ノ構成員、
  協會其ノモノトノ關係等ニ付キマシテ、實
  際ノ協會ノ運營上色々ノ問題モアルヤウデ
  アリマスガ、是亦其ノ間十分ノ連絡ヲ圖ラ
  セマシテ、都會ニ於ケル魚類ノ荷受ノ統制、
  又各區ニ對スル配分ノ統制ニ付キマシテ遺
  憾ノナイヤウニ實行致シタイト考ヘテ居ル
  ノデアリマス
  次ニ價格ノ問題デアリスガ、昨年ノ九月
  從來ノ價格ヲ改訂致シマシテ、相常詳細ニ
  亙リ各魚種ニ應ジ、各地方ニ依リマシテ詳
  細ナ規定ヲ致シマシタ、ソレハ其ノ以前ニ
  於キマスル公定價格ノ決メ方ガ比較的簡單
  デアリマシタ爲ニ、中央ニ於テ決メマシタ
  價格ノ外ニ、各地方ハ地方ニ依リ、地方長
  官ガ之ヲ決メルト云フ定メニナツテ居リマ
  シテ、地方長官ノ定メマス價格ノ標準ガ必
  ズシモ中央ノ要求シタ所ノ標準ト合致シナ
  イト云フ點モアリマシテ、却テ全國的ノ魚
  ノ流レヲ不圓滑ナラシメルト云フ實情モゴ
  ザイマシタノデ、寧ロ煩ヲ厭ハズ詳細ナ決
  メ方ヲ致シタノデアリマス、一方配給統制
  ノ實行ト相俟ツテ價格ノ方カラモ計晝通リ
  ノ出荷、計畫通リノ配給ヲ促進スルト云フ
  建前ヲ以テ定メラレタモノナノデアリマス、
  唯具體的ノ內容ニ付キマシテハ魚種ニ依ツ
  テ多少實行上實情ニ副ハナイヤウナ點モア
  ツタカト思ヒマスガ、サウ云フ點ニ付キマ
  シテハ必要ニ應ジテ改訂ヲ見ル點モ少クナ
  イト考ヘルノデアリマス、尙ホ目方賣ノ點
  ニ付テノ御意見デアリマスガ、鮮魚ニ對シ
  テ公定價格ヲ決メル以上ハ、多數ノ鮮魚ニ
  付テハ特ニ鮮度ヲ重點トシナケレバナリマ
  セヌケレドモ、公定價格ノ制度ヲ執リマス
  以上ハ、ヤハリ自方ヲ基礎ニシテヤリマス外
  ニ是ハ技術的ニ手ハナイノデアリマシテ
  只今御指摘ニナリマシクヤウニ、凡ユル〓
  體ニ於テ度々目方ヲ掛ケナケレバナラナ
  イ、其ノ爲ニ鮮度ヲ著シク阻碍スルト云フ
  ヤウナ點ニ付キマシテハ實行上ノ取扱ノ
  問題トシテ十分考慮シナケレバナラヌ點デ
  アラウト思ヒマス、要スルニ現在ヤツテ居
  リマス配給統制ト申シ又價格統制ト申シ、
  何レモ元來技術的ニ無理ナ事柄ヲ實行シテ
  居ル次第デアリマシテ、段々情勢モ變化シ
  テ參リマスシ、實情ニ應ジテ適宜惡イ點ハ
  直シテ行クト云フ方針デ進ミタイト考ヘテ
  居リマス

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• 080・田代正治

  ○田代委員　今ノ御答辯ノ中デ最モ私ノ重
  大ナ關心ヲ持ツテ居ルノハ十貫目搬入五貫
  目搬出デアリマス、是ハ近イ所ノ漁村カラ
  來ルト云フヤウナ目標デ以テ御立テニナツ
  タ問題ダラウト思ヒマスガ、實際ハ遠イ所
  カラ持ツテ來テ居リマス、京都アタリカラ
  東京ニ持ツテ來テ居ルト云フ話モ聞イテ居
  リマス、ソレカラ十貫目ト云フ規定デアリ
  マスケレドモ、實ハ三十貫四十貫ニモナツ
  テ居ルノデアリマス、是ハ十貫目ト云ツテ
  規則デ「テーブル」ノ上デ御作リニナツタノ
  カモ知レマセヌガ、實際ハソンナモノデハ
  アリマセヌ、是ハモウ三十貫、四十貫ニモ
  ナツテ居リマス、是ハ是非禁止シテ貰ヒタ
  イソコデ是ハ水產局長ニ御尋ネ致シマス
  ガ、今ノ食品局長ノ御答辯ヲズツト忖度ヲ
  致シマスト、消費地ニ於テ之ヲ禁止シタイト
  云フ御意思デアラウト思ヒマスガ、無論是
  ハ配給ノ流制ヲオヤリニナル立場カラ申シ
  マスレバ、食品局長ハ其ノ方デナケレバイ
  ケナイ、然ルニ水產局長ノ方ハ是ハ一般ノ
  生產者ニ裨益シナケレバイケナイ、ソコデ何
  トナク其ノ間ノ御意見ニソグハナイ點ガ兩者
  ノ間ニアルヤウニ、私一人ノ考デスガ、サ
  ウ思ヘル、ソレニ付テハ水產局長ノ御意見
  ヲ伺ヒタイト思ヒマス

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• 081・三浦一雄

  ○三浦(一)政府委員　兩局ニ亙ル問題ハ次
  官ガ御答ヘスル方ガ適営〓カト思ヒマス、是ハ各
  自ノ立場ト云フモノガ各〓アル譯デアリマス
  ケレドモ、兩局ニ能ク相談シタ上ニ決定シ
  タコトデアリマスカラ、左樣ナ對立的ナ考
  ヘノナイコトヲハツキリ申上ゲテ置キマス、
  要スルニ五貫目、十貫目ト云フナニガ適
  當デアルカドウカノ問題ハ)各方面ノ意向
  モ聽キシマテ、地方ノ實情ニ卽シテサウ云
  フヤウナ事情モ緩和シテヤツタコトデゴザ
  イマスガ、先程食品局長カラ申上ゲタ通リ、
  實ハ世界各國デコンナ難カシイ統制ヲシテ
  居ル國ハナイノデアリマス、併シナガラ我
  ガ國ノ食生活カラ見テ放任ハ出來ナイ、ソ
  レハ如何樣ナル困難ガアツテモ、ヤハリ適切
  ナル統制ヲシテ國民生活ヲ安固ニシタイト
  云フ所カラヤツテ居ルノデアリマス、困難
  デハアリマスケレドモ其ノ困難ヲ排シ、同
  時ニ又其ノ間圓滑ニ行カス點ニ付キマシテ
  ハ固イ決心ヲ以テ之ヲ片ツ端カラ片付ケ
  テ行クヤウニスル、ト云フヤウニシテ參リ
  タイト考ヘテ居リマス

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• 082・田代正治

  ○田代委員　次ニ食品局長ノ御答辯カラ私
  ハ斯ウ云フコトヲ考ヘテ居ルノデアリマス
  ガ、政府ニ於キマシテハ今ノ中央市場法ト
  云フノト、生鮮魚介類配給規則、ソレカラ
  一月何日デアリマシタカ御出シニナリマシ
  タ鹽干魚ニ關スル水產物配給規則、此ノ三
  ツガ水產物ニ關スル所ノ配給ヲ掌ツテ居ル
  法律デアリマス、併シナガラ中央市場法ト
  云フモノハ統制經濟以前ニ出來タモノデア
  4bs
  リマシテ、ソレ以後ハ是ガ改正サレテ居リ
  マセヌ、併シナガラドノ法律ヨリモ先ンジ
  テ統制經濟ニ觸レテ居ル法律ダト思ヒマス、
  ソレト今ノ生鮮魚介類配給規則、鹽干魚ニ
  關スル水產物配給規則、此ノ二ツノ法律ハ
  總動員法ニ依ルト云フコトニナツテ居リマ
  スガ、此ノ三ツガ相錯綜シテ居リマシテ
  取締ヲ受ケル人ガ甚ダ迷惑デアル、中央市
  場法ニ依リマシテ取締ル方ハ農林省アリ、
  警視廳アリ、東京府アリ洵ニ煩雜ヲ極メテ
  居ル、サウ云フ風ニナツテ居リマスガ、此
  ノ中デ私之ヲ讀ンデ見ルト、水產物配給規
  則ガ何トナク進步シテ居ルヤウニ感ジマス、
  今ノ十貫目、五貫目ハアリマセヌ、併シ是
  ニモ今ノ食品局長ノ御意思ガ私ハ分ルヤウ
  ナ氣ガシマス、ソレデ闇取引ノ根源ヲナス
  所ノ拔ケ道ガナイ、ダカラソレダケ進步シ
  テ居リマス、此ノ三ツノ法律ノ各長所ヲ採
  ツテ之ヲ一本建ニスル御意思ガアルカドウ
  カト云フコトヲ承ツテ置キタイ

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• 083・三浦一雄

  ○三浦(一)政府委員　各種ノ經濟統制ガ段
  段進ムニ從ヒマシテ、從來カラアリマシタ
  法律制度等ニ付テ、適當ナル調整ヲ加ヘテ
  參ルト云フコトハ、是ハ農林省ノ他ノ部門
  ニ付キマシテモ從來寶施シ來ツタノデアリ
  マスガ、今囘ノ〓糧管理法ヲ出シマシタノ
  モ、其ノ問題解決ノ有力ナルモノデアルト
  云フコトハ御諒承ノ通リデアリマス、隨ヒ
  マシテ中央市場法トカ、其ノ他水產物配給
  規則、生鮮魚介類配給規則等ノ運用ノ實情
  ニ卽シマシテ考慮ヲ廻ラサナケレバナラヌ
  ト思ヒマスガ、今ノ所差當ツテ三者ヲ合同
  シタ案ヲ直チニ出スト云フ考ヘハ今ノ所持
  ツテ居リマセヌ

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• 084・田代正治

  ○田代委員　キツト近キ將來ニハ三者ヲ合
  併シテ一ツ考ヘ直サナケレバナラヌ時ガ來
  ルダラウト思ヒマス、併シソレハソレト致
  シマシテ、第二ニ斯ウ云フモノヲ御作リニ
  ナツタラ如何デスカ、先程モ中シマシタヤ
  ウニ各府縣ニ橫ノ連絡ガナイ、其ノ缺陷ヲ
  是正スル爲ニ各府縣ニ一ツ出荷統制組合ヲ
  作ル、統制團體ヲ作ル、ソレカラ各府縣
  ニ-今ノ四大「ブロック」デモ宜シイノデ
  スガ、其ノ中ノ各市場ノ企業合同ヲサセマ
  シテ、サウシテ各府縣ノ出荷統制團體ト主
  要都市ノ市場ノ合同ト、ソレヲ統轄スル所
  ノ全國的ノ統制團體ヲ作ルト云フ御意思ハ
  ナイノデアリマスルカ、私ハ不思議ニ思フ
  ノハ此ノ四大「ブロック」デス、政府ハ四ツ
  ノ大キナ京濱、中京、京阪、關門、是ハ人
  ロハ稠密デアリマシテ、政治的ニ見ルト如
  何ニモ重大ナ所デアルカラ、治安ノ上カラ
  考ヘテ重要視シナケレバナラヌ、其ノ結果
  此處ニ統制協會ヲ御作リニナルト云フコト
  デアリマスルケレドモ、併シ食糧問題ハ國
  民全體ノ重大ナル問題デアリマス、其ノ觀
  點カラ致シマスルト、全國的ノ統制機關ガ
  ナクチヤナラナイト思ヒマスガ、此ノ點ハ
  如何デスカ

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• 085・辻太郎

  ○辻政府委員　鮮魚ノ配給統制ニ付キマシ
  テハ、之ヲ制定實施致シマシタ當時ト、ソ
  レカラ現在ノ情勢ト、更ニ又今後ノ見透シ
  トヲ考へ合セマスルト、旣ニ規則制定當時
  ノ實情カラハ現在ハ相當情勢ノ變化シテ居
  ル點モアルヤウニ存ズルノデアリマシテ
  只今ノヤウニ出荷方面ハ出荷ノ方面デ全國
  的ニ纏マレバ宜カラウ、又消費ノ方面ハ消
  費ノ方面トシテ全國的ノ團體ヲ作ツタラ宜
  カラウト云フ點ニ付キマシテハ、今後ノ配
  給統制ノ進ミ方ニ付テノ貴重ナ御意見トシ
  テ十分私共考ヘテ見タイト思ヒマス、現在
  ノ所デハ各產地ニ於キマスル出荷統制組合
  ノ横ノ連絡ノ問題、ソレカラ又消費地ニ於
  キマスル配給統制協會、現在四大消費地ニ
  ゴサイマスガ、是ノ全體ノ聯合會ノ問題、
  是ハ現在旣ニゴザイマス、更ニ進ンデ出荷
  統制組合ト配給統制協會トノ間ノ相互ノ連
  絡ノ問題、其ノ程度ノ間題ニ付キマシテハ、
  現在ト雖モ具體的ニ考ヘマシテ、又配給統
  制協會ノ聯合會ヲ開催致シマスルト云フ程
  度ノ事柄ハ致シテ居リマスガ、更ニ今後間
  題ト致シマシテ、御意見ノヤウテ所モ十分
  斟酌致シマシテ、愼重ニ施策致シタイト考
  ヘテ居リマス

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• 086・田代正治

  ○田代委員　是非トモサウ云フコトハ實現
  スルヤウニ御取計ヲ願ヒマスゝソレデハ手
  近ナ所カラ申上ゲマスガ、東京ニハ五ツノ
  魚ノ市場ガアリマスガ、之ヲ其ノ儘ニ放ツ
  テ置イテ、合同スルト云フ御考ヘハナイデ
  スカ

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• 087・辻太郎

  ○辻政府委員　東京ニ於キマシテハ魚ノ市
  場ガ多數ゴザイマシテ、是ハ現在有ルガ儘
  ノ形ニ於テ其ノ儘京濱地區ノ配給統制協會
  ノ組成員トナツテ居リマシテ、)各市場聯合
  シテ一ツノ配給統制協會ノ下ニ共同荷受ヲ
  致シ、各地區別ニ入荷ノ數量ヲ配分致シテ
  居ルト云フコトヲ致シテ居ルノデアリマス
  ガ、更ニ百尺竿頭一歩ヲ進メマシテ各市場
  ノ合同ヲ圖ルト云フ點ニ付キマシテモ十分
  考究ヲ致シテ居リマスノミナラズ、業者ノ
  方面ニ於キマシテモ各種市場ノ合同問題ハ
  多年ノ懸案ト致シマシテ只今具體的ニ業者
  ノ方面ニ於キマシテ相談ヲ進メテ居ルヤウ
  ナ狀況デゴザイマス、御參考ニ申上ゲマス
  ガ京阪神ノ方面ニ於キマシテハ、大阪、神
  戶、京都ニ於テ從來中央卸賣市場ガゴザイ
  マシテ、各市場ニソレ〓〓別個ノ卸賣會社
  ガゴザイマシタガ、是ガ先般一ツニ相成リ
  マシテ三者ガ合同スルト云フコトニナツタ
  ノデアリマス、恐ラク京濱ノ方モ今後ノ方
  向ト致シマシテハ同ジヤウナ方向ヲ辿ルモ
  ノト考ヘマス

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• 088・田代正治

  ○田代委員　最後ニ伺ヒタイコトハ、本年
  ノ一月六日ニ鹽干魚介類藻類ノ配給統制ニ
  付テ農林省カラ要綱ヲ御示シニナツテ居ラ
  レル、此ノ中ニ於テ中央ノ指令トシテ統制
  スベキ海產物ノ種類ハ鹽鮭、鹽鱒、竹輪、
  天草、海苔、2〓菎布、觸鱈節類トナ
  ツテ居ツテ、是ガ中央ノ統制ニ服スベキモ
  ノダト云フコトニナツテ居ルノデ、私ハ此
  ノ通リニ行クモノト思ツテ居リマシタ、然
  ル所一月二十三日附デ以テ御出シニナリマ
  シタ食品局長ヨリ各地方長官宛ノ通牒ニ依
  リマスレバ、是ハ荷受機關ヲ結成セヨト云
  フ通牒デアリマスガ、其ノ荷受機關ノ取扱
  フ品目ハ大體菎布、〓節類、海苔トナツ
  テ居リマス、此ノ荷受機關ハ中央ノ統制ニ
  服スル爲メノ荷受機關デアル、サウスルト
  前ノ一月六日ノ統制要綱ニハ鱈モ鰯製品モ
  入ツテ居ツタノニ、今度ノ二十三日ノ地方
  長官宛ノ通牒ニハ是等ガ入ツテ居ナイ、是
  ハドウ云フ譯デアリマスカ

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• 089・辻太郎

  ○辻政府委員　一月ノ初メニ出テ居ルト仰
  ツシヤイマス配給統制要綱、是ハ色々各地
  ノ水產物ニ付キマシテ配給ノ統制ヲ致シテ
  參リタイ、其ノ方針ト致シマシテハ出來ル
  ダケ國民生活ニ直接關係ノアリマスル品目
  カラ順次實行シテ參リタイ、重要ナ品目別
  ニ實行シテ參リタイト云フ心組ヲ以チマシ
  テ各產地ノ業者ノ方々、又消費地ニ於ケル
  取扱業者ノ方々ノ御參集ヲ求メマシテ相談
  ヲ致シマシテ其ノ席上ニ於テ大體ノ私案ト
  シテ、御相談ノ基礎トシテ申上ゲタモノカ
  ト思フノデアリマス、水產物ト申シマシテ
  モ數ガ多ウゴザイマスル範圍ガ廣ウゴザイ
  マスルノデ、差當リ實行シ得ベキモノカラ
  順次實行シテ貰ヒタイ、其ノ當面ノ種類ト
  致シマシテハ先日通牒ヲ以テ各地方廳宛ニ
  申上ゲマシタモノニ付テ施行シテ參リタイ
  ト云フ趣旨デアルノデアリマス、御諒承ヲ
  願ヒタイト思ヒマス

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• 090・田代正治

  ○田代委員　今ノ御話ハ私ハ諒解致シ兼ネ
  マスケレドモ、時世ガ時世ナラバ默ツテ居
  リマセヌケレドモ、斯ウ云フ時世デスカラ
  致シ方アリマセヌガ、ドウモ前ノコトト後ノ
  コトト丸キリ違ツタ命令ガ出ルト云フコト
  ハ、私ハ困ツタ問題ダラウト思フノデス、
  何レ今度御會ヒヲ願ヒマシテ能ク御願ヒス
  ルカモ知レマセヌ、私ノ質問ハ是デ終リマ
  ス

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• 091・三善信房

  ○三善委員長　北原阿智之助君

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• 092・北原阿智之助

  ○北原委員　私モ少シ御質問致シタイト思
  ヒマス、是ハ簡單ナコトデアリマス、食糧
  管理法ノ第二條ニ「本法ニ於テ主要食糧トハ
  米穀、大麥、稞麥、小麥其ノ他勅令ヲ以テ
  定ムル食糧ヲ謂フ」ト云フコトガ出テ居リマ
  シテ、第三條ニ小作料トシテ受ケタル米麥
  ハ政府ニ賣渡スコト等ノ方法ガ出テ居リマ
  ス、昔カラ吾々ガ五穀ト云フコトヲ〓ハツ
  タノハ米ト麥ト稞麥ト小麥ト大豆トガ加ハ
  ツテ居ルト思ヒマス、此ノ食糧管理法ト云
  フ重要ナル法律ヲ御制定ニナル上ニ於テハ、
  大豆ヲ缺クト云フコトハ、少シ其ノ意ヲ得
  ザルモノデハアルマイカト私ハ信ズルノデ
  アリマス、ナゼサウ云フ風ニ申スカト云フ
  ト國民保健ノ上カラサウ云フ考ヘヲ起シ
  タノデアリマス、大豆ガ國民保健ニドウ云
  フ關係ガアルカト云フト、少シク不思議ニ
  思召スデアリマセウガ、曾テ明治四十年頃
  デアリマシタカ、米國ノ人ガ日本ノ觀光ニ
  來テ、其ノ觀光記ヲ或ル新聞ニ書イタ中ニ、
  斯ウ云フコトガ出テ居ツタノヲ覺エテ居リ
  マス、日本人ハ吾々ト違ツテ、平生ノ食物等
  ハ甚ダ粗食デアル、ケレドモ見タ所ニ依ルト、
  顏色モ良イシ中々壯健デアル、是ハドウ云フ
  譯デアルカト思ツテ之ヲ〓究シテ見ルト、ソ
  レハ大豆ヲ以テ作ツタ味噌汁ト云フ「スー
  プ」ヲ拵ヘテ每日之ヲ常食トスル爲ニ、日本
  人ハ吾々ト同ジヤウニ健康デアルノデアル、
  斯ウ云フ記事ヲ何カノ新聞デ見タコトガア
  リマス、ソレカラ私ガ考ヘタノデアリマ
  ス、ソレカラモウ一ツ例ヲ申シマスト私
  共ノ村カラ北支、南支ノ戰爭ニ行ツテ居
  ル兵士ノ還ツテ來タ色々陣中ノ話ヲ聽キマ
  スト、陣中ニ居ツテハ每日アアコンナ時ニ
  國ニ居ツテ味噌汁ヲ吸ヒタイナアト思フコ
  トガ度々アル、ケレドモ陣中デアルカラ
  容易ニ味噌汁ヲ吸フト云フヤウナコトハ出
  來ナカツタガ、兵舍ノ都合ニ依ツテ幸ヒニ
  味噌汁ガ出來テ其ノ配給ヲ受ケタ時ニハ、
  實ニ驚クベキ甘味ト思ツテ此ノ味噌汁ヲ吸
  ツタト云フ話ヲ村ノ兵隊共ガ還ツタ時ニ聞
  クノデアリマス、是ハドウ云フ譯デサウ云
  フ風ニ日本人ハ味噌汁ヲ好ムカト言ヘバ、
  是ハ祖先カラ味噌汁ト云フモノヲ常食ニス
  ル習慣カラ來テ居ルト共ニ、此ノ味噌汁ニ
  ハ西洋人ノ言フヤウナ特異ノ保健ニ效目ガ
  アルカラダト思ヒマス、日本人ニハ味噌汁
  ハ缺クベカラザルモノデアルト思フ、之ヲ
  若シ此ノ統制法ノ中ニ入レズニ置キマシテ、
  味噌汁ト云フモノガ除外サレテシマヘバ、
  味噌ハ從來ノ如ク味噌醬油ノ加工ヲ商ヒト
  スル人ガ造ルコトニナツテ、其ノ外ニ自家
  用ノ爲ニ大豆ノ配給ヲ受ケテ味噌汁ヲ造ラ
  ナケレバナラヌコトニナルノデアリマス、
  サウナツテ來ルト斯ウ云フ場合ガアルト思
  ヒマス、私ノ郡ナドハ山ノ中ノ小村バカリ。
  揃ツテ居ル所デ、其ノ耕地ハ田ハ少シバカ
  リデ、山畑ガ澤山ニアルノデアリマスガ、
  ソコデ皆小作人ニハ豆ヲ蒔カシテソレヲ小
  作料ニ取ルノデアリマスカラ、大キナ村ノ
  大地主ニナリマスト、豆ヲ十俵トカ、百俵ト
  カヲ小作ニ上ゲル人ガ澤山居ルノデアリマ
  ス、ソンナ譯デアルノガ、若シ此ノ統制ガ
  ナツタ場合ヲ考ヘテ見マスト、或ル商人ガ
  皆其ノ大豆ヲ買集メテシマフヤウナコトニ
  ナリマスト、味噌汁ト云フモノハ畢竟農村
  ノ人、山村ノ人達ニ之ヲヤルコトガ出來ナ
  クナツテシマフト、國民保健ノ上ニ大變ナ
  關係ヲ及ボスコトデアルト思フノデアリマ
  ス、東亞共榮圈ノ戰爭ハ陛下ノ御稜威ト陸
  海軍ノ勇武ニ依リマシテ、只今マデ大變ナ
  戰果ヲ擧ゲテ居ルノハ、吾々ノ御同慶ニ堪
  ヘヌ所デアリマス、、之ヲ能ク考ヘテ見ル
  下、米國ト言ヒ英國ト言ヒ、長期戰ノ企テ
  ヲシテ長イ間ニ日本ヲシテ屈服セシムルト
  云フ方法ヲ執ルコトニナルデアラウト云フ
  コトハ御承知ノ通リデアリマス、其ノ時ニ
  於テ國民ノ保健ガ以前ト違ツテ、常食ノ洵
  ニ世話ノナキ味噌汁ヲ食ベナイデ居ルト、
  保健ニ關係ヲ及ボシテ、國民ノ體力保健等
  ガ從來ノ如クデナイト云フト、是ハ重大事
  件デアルト思フノデアリマス、是ハ農林ニ
  關セザルコトデアリマスルガ、サウ云フ意
  味カラ昔五穀ト稱シタモノデアリマスカラ、
  米、麥、小麥、稞麥、大豆、斯ウ五種ニシ
  テ此ノ食糧管理法ノ中ニ加ヘテ御置キニナ
  ル方ガ適切デハナカラウカト私ハ思フノデ
  アリマス、私病氣デ缺席シテ居リマシテ、
  今日初メテ出テ來マシテ此ノ案ヲ拜見スル
  ト、ソレガ入ツテ居ナイノデアリマス、居
  ナケレバ何カ別ニ其ノ點ニ付テノ政府ノ御
  見解ガアリマシテ、之ヲ御入レニナラナカ
  ツタノデアルカドウカト云フコトヲ一ツ承
  リタイト思ツテ、此ノ味噌汁ノ效能ヲ會テ
  讀ンダ米人ノ觀光記ノ中、ソレカラ歸還軍
  人ノ味噌汁ヲ欲スル所ノ心持ト色々ノ事カ
  ラ、豆ト云フモノハ此ノ食糧管理ノ中ニ入
  レテ置イテモ差支ヘナイコトデハナカラウ
  カト、誰シモ考ヘルコトデアルト思フノデ
  アリマス、此ノ點ヲ御質問致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=92

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• 093・三浦一雄

  ○三浦政府委員　只今北原サンカラ大豆ノ
  重要性ニ付テ縷〓、御意見ノ次第モアツタノデ
  アリマスガ、大豆ニ付キマシテハ實ハ非常
  ニ之ヲ重大ニ考ヘテ居リマシテ、國內ノ生
  產ハ御承知ノ通リ少イノデ其ノ大部分ハ滿
  洲カラ輸入ヲ仰イデ居ル狀況デアリマス、
  而モ事變當時ニ比ベマスルト段々經濟ノ事
  情モ變リマシテ、滿洲カラ入リマスモノモ
  豫想通リニハ入ツテ參リマセヌ、是ハ物資
  動員計畫デヤツテ居ルノデアリマスガ、其
  ノ需要量モ相當多クナツテ居ルモノデアリ
  マスカラ、ソレヲ要望シテ熱心ニ關係廳ト
  モ連絡致シマスルシ、一昨年ニハ現農林大
  臣モオイデニナリ、昨年ノ秋ハ私モ實ハ滿
  洲等ニ此ノ問題ヲ中心ニ色々御懇談ヲ申上
  ゲル爲ニ參ツタヤウナ狀況デアリマス、併
  シナガラ日本デ希望スルヤウナ大量ノモノ
  ヲ中々取得出來ナイト云フコトハ遺憾デゴ
  ザイマスルガ、併シ政府トシマシテハ、滿
  洲カラ大量ノ大豆ヲ取ルコトニ付テハ十二
  分ニ今盡力シテ居ル次第デアリマス、デア
  リマスルカラ、國內ノ大豆ト滿洲カラ輸入
  シマスル大豆ヲ合ハセマシテ味噌醬油ノ原
  料ニ充テ、更ニ油脂ノ原料ニモ充テル、更
  ニ又豆腐デアルトカ、其ノ他加工食糧ニ事
  缺カヌヤウニ致シタイト考ヘテ居ル譯デア
  リマス、此ノ大豆ヲ食糧管理法ノ主要食糧
  ニ入レルカドウカト云フ問題デアリマスル
  ガ、差當リ是ハ入レテ居リマセヌノデアリ
  マス、ト申シマスルノハ、大豆ニ付キマシテ
  ハ別ニ總動員法ノ規定ニ依リマシテ、大豆
  統制規則等モアリマスルシ、ソレカラ之ヲ
  管理統制致シマスル機構モ備ハツテ居リマ
  スノデ、ソレデ輸入スル大豆ヲ統制スルト
  同時ニ、又國內ノ大豆ニ付キマシテモ、其
  ノ統制機構ガ出來テ居リマスノデ、ソツチ
  ノ方面デ併セテ運營ノ十全ヲ期スルト云フ
  コトニ進ンデ居リマス、差當リコツチノ方
  ニハ入レテ居リマセヌ、併シナガラ大豆ニ
  付キマシテハ、決シテ輕視シテ居リマセヌ、
  大切ナ物資トシテ考ヘ且ツ此ノ方面ニ對ス
  ル施策ヲ十分致シテ居リマスコトハ、只今
  申上ゲタ通リデゴザイマスカラ、事情御諒
  承願ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=93

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• 094・北原阿智之助

  ○北原委員　統制法ニ依ルト云フノデナ
  ク、總動員法デ旣ニ出來テ居ルカラト云フ
  御話ハ御尤モデゴザイマスガ、併シ是ハ入
  レテ置イタ方ガ宜クハナイカト云フ御考ヘ
  ハアリマセヌカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=94

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• 095・三浦一雄

  ○三浦(一)政府委員　大豆ハ直接〓糧ニ供
  スルヨリモ先ヅ加工原料、卽チ油脂原料デ
  アルトカ、ソレカラ味噌、醤油、豆腐ト云
  フヤウナ加工原料ニナツテ居ルモノデアリ
  マス、現在ノ用途カラ見テモソンナ狀況デ
  アルシ、將又今申上ゲタ通リ別途ニモ統制
  シテ居リマスカラ暫ク現狀ノ統制ノ儘デ
  進ミタイト考ヘマス、但シ必要ガアレバイ
  ツ何時デモ擴大シ得ル法制ニハナツテ居リ
  マシテ、北原委員ノ御指摘ニナルヤウニ緊
  切ナ必要ガアレバ又考へ得ル餘地モアル譯
  デアリマス、只今ノ所運用方針トシテハ、
  私今說明シマシタヤウナコトデヤツテ參リ
  タイト考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=95

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• 096・北原阿智之助

  ○北原委員　御尤モニ伺ヒマス、是ハアナ
  タノ方ノ御領分デナク、厚生省アタリデ考
  ヘルベキコトト思ヒマスガ、將來長期戰ニ
  亙ツテ國民ガ一人デモ不健康ナモノノナイ
  ヤウニスルニハ、平常ノ食物ニアルト思ヒ
  マスカラ、斯ウ云フコトガ善イト思召シタ
  ヲ御考ヘガアツテ然ルベキダト思フノデア
  リマス、要スルニ長期戰ニ亙ル國家ノ大國
  難デアリマシテ、萬事萬端總テノ上ニ萬全
  ヲ盡サネバナラヌ時代デアルト思ツテ申上
  ゲタ譯デアリマスカラ、是ハ委員長ニ於テ
  モ能ク御考へ置キヲ願ヒタイト思ヒマス、
  私ハ是デ止メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=96

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• 097・三浦一雄

  ○三浦(一)政府委員　大豆ヲ非常ニ重大ニ
  考ヘテ居リマスコトハ御說ノ通リデアリマ
  ス、而シテ之ヲ確保スルニ付キマシテモ、
  一生懸命ニナツテ居リマシテ、決シテ農林
  省デハ之ヲ輕視シテハ居リマセヌ、國民ノ
  保健衞生上カラ見マシテモ、又其ノ他ノ加
  工原料トシテモ重大デアリマスカラ、其ノ
  點ハ決シテ異存ハナイノデアリマス、唯大
  豆ノ統制ニ付キマシテハ從前ノ施設モアル
  ノデ、ソレヲ强化シテ參リタイト云フ譯デ
  アリマスカラ、誤解ノナイヤウニ一ツ御諒
  承願ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=97

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• 098・高田耘平

  ○高田委員　一寸關聯シテ伺ヒマス、私モ
  實ハ北原君ト同ジヤウナ考ヘヲ持ツテ居ル
  ノデス、味噌、醬油ノ配給量ヲ減ラスコト
  ガ國民衞生上ドンナ影響ヲ及ボスカト云フ
  コトハ私ニハ分リマセヌガ、兎モ角北原君
  ガ說明サレタ通リ、味噌、醤油ガ國民保健
  ノ上ニ極メテ必要デアルト云フコトハ分リ
  やっく、私ガ要求シテ戴イタモノニ依リマス
  下、東京カラ愛知ヲ一地域ト見、大阪、京
  都兵庫ヲ一地域ト見テアツテ、大體二
  割程度減ラスト言フノデスガ、二割程度減
  ラシテソレガ爲ニ大豆ノ供給量ハドレダケ
  減ツタカト伺ツタラ、ソレハ答ヘガナイ、
  私共ナゼサウ云フコトヲ伺ツタカト云フ
  下、斯ウ云フ國民保健上必要ナ大豆ガ少ナ
  クテ味噌、醬油ノ分量ヲ減ラサナケレバナ
  ラヌト云フナラバ、何トカ內地デ大豆ヲ增
  ス方法ヲ考ヘタラドウカト私ハ考ヘルノデ
  ス、是ハ絕對出來ナイ問題デハナイノデス、
  ソレデ一體二割減ラサナイデ味噌、醤油ヲ
  從來通リ國民ノ必要ナダケ與ヘルニハ、現
  在大豆ガ何万石位アレバ宜イノカト伺ツタ
  ラ、是モ何ノコトダカ瞹昧デ分ラヌ、私モ
  ヤハリ北原サント同ジ考ヘ方ヲ持ツテ居ル
  ノデスガ、何モ味噌、醬油マデ減ラサヌデ
  モ宜イデハナイカト言フト、イヤ滿洲デモ
  思フ程買ヘナイト仰シヤル、然ラバ內地デ
  作ツタラ宜イ、ヨク規正々々ト言フケレド
  モ、規正ト云フコトハ一方ニ品物ガ偏在ス
  ルカラ、之ヲ萬遍ナク行渡ルヤウニスルノ
  ガ宜イト私ハ思フ、併シナガラ全般ヲ通ジ
  テ味噌醬油ヲ減ラシテ、ヽ國民ガ思フヤウニ
  味噌汁モ吸フコトガ出來ナイト云フノハ何
  トシテモ堪ヘ難イコトダト思フノニ、主要
  都市ハ二割減ラスコトヲオヤリニナツタ、
  此ノコトハ國民保健上差支ヘナイノデス
  カ、是ハ又明日厚生省ノ人ニ出テ貰ツテ、
  味噌、醤油ヲ此ノ程度減ラシテ國民保健上
  差支ヘナイト思ツテ居ラレルカドウカ伺ヒ
  タイノデス、ソレトモ農林省ハ厚生省ニ對
  シテ國民生活上必要ナ味噌、醤油ヲ減ラス
  コトニ付テ同意ヲ得ラレタノデアルカ、同
  意ヲ得ラレタノナラ厚生省ノ方ノ出席ハ求
  メマセヌガ、若シ同意ヲ得ナイト云フコト
  ナラバ、私ハ明日此處へ厚生省ノ人ニ出席
  シテ貰ツテ、二割程度ニ味噌醬油ノ分量ヲ
  減ラシテモ國民保健衞生上差支ヘナイト云
  フ理由ヲ伺ヒタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=98

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• 099・三浦一雄

  ○三浦(一)政府委員　今ノ高田サンノ御質
  問ハ、豫算總會デ大臣ニ御質問ガアリマシ
  テ、ソレニ對シテ大臣カラ御答ヘガアリマ
  シタ、同時ニ其ノ際、此ノ程度ノ規正デハ
  國民保健衞生上ドウカト云フコトニ付テ、
  厚生大臣モ農林大臣ノ答辯ノヤウニ、其ノ
  程度ナラバ差支ヘナイト思フト云フコトヲ
  御答ヘニナツテ居リマス、同時ニ又吾々ト
  シテモ、是ハ前年程度ノ供給量デゴザイマ
  スカラ、國民保健衞生上サシタル影響ハナ
  イト考ヘテ居リマス、問題ハ大豆デアリマ
  スガ、吾々ハ之ヲ二ツニ考ヘテ居リマス、
  第一點ハ何ト言ヒマシテモ滿洲カラ仰グ、
  第二點ハ國內ノ生產ヲ確保シテ參ル、斯ウ
  云フコトデ行ツテ居ル譯デアリマス、唯事
  變前ニハ七十万「トン」ガ輸入量トシテ一番
  大キカツタノデアリマス、所ガ吾々ハソレ
  ダケデハ滿足出來ナイト云フノデ、滿洲ニ
  色々話合ヲ進メテ、モツト輸入量ヲ確保シ
  タイト云フノデ努力シタノガ過去ノ經緯デ
  アリマス、所ガ中々コツチノ方ノ要望通リ
  ハ入ツテ來ナイ、寧ロ一昨年アタリカラハ、
  事變前ニ內地ニ輸入シタ程度ヲ切ルコトサ
  ヘアルモノデスカラ、非常ニ心配シテ、
  層輸入ノ確保ニ努力シテ居ル譯デアリマス、
  ソコデナゼ今度ノ規正ヲ致シタカト言ヒマ
  スト、一昨年來ノサウ云フ風ナ滿洲大豆ノ
  輸入ノ減退ガ生產ニ響イテ參ツタノデアリ
  マス、其ノ儘デ推移シマスト加工用、詰リ
  工業用トシテヤツテ居リマス方面ノ味噌醬
  油ノ事情カラ考ヘマシテ、物資ノ偏在ガア
  ツテハイカヌ、各方面ノ事情ヲ見マシテ、
  各〓、供給量ノ基準ヲ決メタノデアリマスガ、
  ソレサヘ確保シ得ナイヤウデハ尙ホイケナ
  イト云フコトデ、其ノ事態ノ生ジナイ前ニ
  配給統制ヲシテ參リタイ、斯ウ考ヘテ參ツ
  タノデアリマス、吾々ハ決シテ國民ニ食べ
  ルモノヲ食ベサセズ、飮ムモノヲ飮マセナ
  イト云フ風ナ心構ハナイ譯デアリマス、唯
  支那事變以來日本ノ產業經濟ニ及ボシタ影
  響ガ相當深刻ナモノデアリマスカラ、此ノ
  際經濟ノ統制ヲシテ凌イデ行クト云フコト
  ニセザルヲ得ナイ、デアリマスカラ御指摘
  ノ點洵ニ吾々トシテハ傾聽モ致シテ施策ニ
  ハ十全ヲ期シマスケレドモ、事情已ムヲ
  得ナイ點ハ御諒承ヲ願ハナケレバナラナイ
  ト思フノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=99

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• 100・高田耘平

  ○高田委員　只今ノ御話デハ、豫算總會カ
  何處カデ厚生大臣ガ差支ヘナイト云フコト
  ヲ言ツタサウデアリマスガ、ドウ云フ理由
  デ差支ヘナイノデアリマスカ、唯差支ヘナ
  イデハ私ハ安心出來ナイ、日本人ノ衞生ヲ
  保持スル上ニハ何ガ幾ラ、何ガ幾ラ要ルノ
  ダ、ダカラ二割減ラシテモ差支ヘナイト云
  フ根據ガナケレバナラヌ、唯厚生大臣ガ差
  支ヘナイト言フダケデハイケナイ、厚生大
  臣ダツテ神樣ヂヤナイカラ知ルモノヂヤナ
  イ、相當ノ學者、專門家ガ〓究シテ、日本
  人ノ生活ヲ維持スル上ニハ何ガ幾ラ、何ガ
  幾ラナケレバナラヌ、味噌醬油ハ餘計食ツ
  テ居ツタカラ減ラシテモ構ハヌト云フノナ
  ラ宜イガ、唯厚生大臣ガ差支ヘナイト言ウ
  タカラト云フノヂヤイケナイ、所デ私ハ生
  產ノ方面カラ考ヘル、統制ガ惡イトハ私ハ
  申シマセヌ、統制ハ宜イ、國民全般ニ對シ
  テ一率ニ味噌醬油ノ規正ヲヤルヤウニスル
  ノハ結構デアリマス、統制ハ宜イガ、配給
  量ヲ減ラサヌデモ宜イヂヤナイカ、從來味
  噌醬油ヲ食ツタダケハ食ハシタラ宜イヂヤ
  ナイカ、アナタハ大豆ガナイト言フガ、大
  豆ヲ作ラセタラ宜イヂヤナイカ、私ノ考ヘ
  デハ、成程ソレハ米麥モ必要デアルガ、見
  樣ニ依ツテハ寧ロ大豆、味噌醬油ノ方ガ必
  要ダト云フコトニナリハセヌカ、サウシタ
  ラ陸稻ヲ減ストカ、或ハ又甘藷ヲ減ラシテ
  モ宜イデハナイカ、東北ナラ馬鈴薯ヲ減ラ
  シテモ宜イ、サウシテ大豆ヲ作ラシタ方ガ、
  國民ノ保健衞生上宜イデハナイカ、理窟ハ
  簡單デス、申セバサウ云フコトニナル、私
  ハサウ思フ、之ヲ全般ニ及ボスナラバ別ダ
  ガ、六大都市ダケ二割減ラシタ、減スニ付
  テハ、內地デ大豆ヲドノ位增產スレバ、今
  日國民ニ必要ナル味噌醬油ガ確保出來ルト
  云フ調ベガナケレバナラヌ、ソレハ二十万
  石カ、三十万石カ、五十万石カ、假リニ一一
  十万石足リナイトスレバ、ドウスレバ宜イ
  カト云フコトニナルト、私ノ見樣ニ依ツテ
  ハ、馬鈴薯、甘藷モ減ラシテ宜イ、陸稻モ
  減ラシテ宜イ、サウシテ大豆ノ必要量ダケ
  ハ確保シテ、味噌醤油ダケハ必要ナダケ〓
  ハセル方ガ宜イデハナイカ、此ノ調ベニ依
  ルト、味噌醤油ヲ無駄ニスルト云フヤウナ
  コトモアツタガ、ソレハ多少棄テル人モア
  ルカモ知レヌガ、味噌醬油ハ餘リ無駄ニシ
  マセヌネ、兎ニ角ココマデ行ツテハ、厚生
  大臣ハ差支ヘナイト言ツタト云フケレド
  モ、私ニハ信ジラレナイ、私ハ六匁デハト
  テモ足リマセヌ、私ハ六匁ノ倍モ要ル、東
  京、大阪ノ都會人ハ味噌ナンカ食フノガ少
  イガ、田舎カラ出テ東京ニ居ル人ニハ是デ
  ハ足リマセヌ、私ハ斯ウ言フノデスヨ、大
  豆ガ何十万石アレバ宜イカ、ドウシテモ滿
  洲カラ來ナイナラ、仕方ガナイカラ他ノ作
  物ヲ犧牲ニシテモ今年ノ夏作ノ大豆ヲ殖ヤ
  シタラ宜イデハナイカ、サウスレバ出來ル
  デハナイカト思フ、寒イ方デハ馬鈴薯、暑
  イ所デハ甘藷、尙ホ陸稻ナドモ減ラシテ、
  此ノ必要ナ大豆ヲ供給シテ、味噌醤油ダケ
  ハ國民ノ食ヒタイダケ供給スルト云フコト
  ガ出來ナイモノデセウカ、ソレハ勿論御〓
  究ニナツタノデセウガ、御〓究ニナラヌデ、
  唯內地デ大豆ハ增產出來ナイト云フノデハ
  困ルノデス、內地デハモウドウシテモ大豆
  ノ增產ハ出來ナイノデスカ、之ヲ伺ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=100

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• 101・三浦一雄

  ○三浦(一)政府委員　大豆ノ問題ハ從前ハ
  結局內地デ生產スルモノト朝鮮、滿洲カラ
  入ツタモノトデ大體ノ需要ヲ立テテ居ツタ
  ノデアリマスカラ滿洲ニ對スル方策モ勿論
  考ヘナケレバナラヌ、國內ノ方ヲ〓究シナ
  イデ抛ツタラカシテ居ルノデハナイカト云
  フコトデアリマスガ、私達ハサウデハゴザ
  イマセヌ、昨年ノ增產對策ニ引續イテ、滿
  洲ニモサウ澤山ノ期待ハ出來ヌ、事變前ニ
  供給出來タモノ以上ニ欲シイト云ツテモ中
  中出來ナイ、サスレバ國內ニ於テ增產シナ
  ケレバナラヌカラ、今年度ノ豫算ニ於テモ
  大豆ノ增產計畫ハ立テテ居リマス、隨テ大
  豆ヲ原料トスル味噌醤油ヲ減ラシテ食ハセ
  ヨウト云フ考ヘハアリマセヌ、隨テ滿洲カ
  ラノ輸入期待額ガ增加シ、國內生產ガ高マ
  ツテ來レバ、御說ノ通リ從前ニ增シタ程食
  ハセタイト云フ念願ヲ持ツテ居リマス、隨
  テ此ノ原料關係、生產關係ハ相當ニ〓究シ
  テ對策ハ立テテ居リマスケレドモ、兎ニ角
  今年配ル味噌醬油ハ、前年ノ生產減退カラ來
  テ居ルノデアリマスカラ、其ノ方面モヤハ
  リ考ヘナケレバナラヌト云フノデアリマシ
  テ、唯單ニ消費規正バカリシテ、國民ニ食
  ハセナイト云フ方策バカリデハナク、一四
  ニ於テ增產對策ヲ立テテ居ルコトハ此ノ際
  ハツキリ申上ゲテ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=101

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• 102・高田耘平

  ○高田委員　增產對策ハ宜シイガ、二割程
  度規正シタト云フコトデアルガ、東京ガ六
  匁ト云フノハドウ云フ所カラ來テ居ルカ、
  ソコデ之ヲ元通リニ供給ヲ完ウセントスル
  ナラバ何石增產ヲスレバ宜シイカ、斯ウ云
  フコトヲ伺ヒタイ、何十万石大豆ガアレバ
  コンナコトヲセヌデ濟ムノデス、是等ガナ
  ケレバ十分ナ增產ハ出來ナイ、增產計畫ト
  云ツタツテ何程ノ增產計畫ヲスル考ヘデア
  ルカ、是ハ餘程思ヒ切ツタコトヲシナケレ
  バ出來ナイト思フ、私ハ此ノ場合ニ於テ甘
  藷ヤ馬鈴薯ヤ陸稻ハ減シテモ大豆ノ增產ヲ
  圖ツテ、味噌醬油ヲ多ク食ハセルコトガ宜
  イト思ヒマス、厚生大臣ガ宜イト言ツタト
  云フガ、一方デ減シテモ仕方ガナイカラ宜
  イト言フノデアルカ、ソレハ分リマセヌヨ、
  一方ノ大臣ガ減シタモノヲ他ノ大臣ガ國民
  衞生上差支ヘアルト云フコトハ言ヘナイカ
  ラ言ツタノデハナイカト思フガ、唯厚生大
  臣ガ何カ相當ナ根據ガアツテ、卽チ學者ニ
  〓究サシテ味噌醬油ハ二割減シテモ差支ヘ
  ナイト云フ根據ガアツテノ說明ナラ信ズル
  ガ、唯厚生大臣ガ宜シイト言ツタト言ツテ
  モソレハ信ジマセヌ、增產ニ必要ナモノハ
  何ヨリモ味噌醤油デアル、幾ラ大豆ヲ內地
  デ生產スレバ宜イカ、何カ他ノ作物ヲ犠牲
  ニシテデモ大豆ノ增產ヲ圖ル必要ガアルト
  思フカラ質問ヲシテ居ルノデス、幾ラ程大
  豆ガ內地デ生產出來レバ消費ノ規正ヲシナ
  イデ濟ムノデアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=102

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• 103・三浦一雄

  ○三浦(一)政府委員　此ノ點ハ實ハ資料ノ
  御提出モアツタノデスガ、此ノ資料ノ性質
  上出セヌモノデスカラ、明日適當ナ機會ニ
  說明申上ゲルコトダツタノデス、隨テ今日
  ハ全貌ニハ觸レテ申上ゲ兼ネマス、但シ現
  在ノ計畫デソレデハ何ボ位豆ガ是レ以上ア
  ツタラ、從前ノ自由經濟時代ノヤウニ、農
  家ノ方デモ自家用ヲタツプリ造リ、又業界ノ
  方デモタツプリ造ツタ程度ニナルカ、卽チ
  其ノ推定量ニ付テハ色々意見ガアリマスガ、
  大體從前ノ最大ノ生產量ト言ヒマスカ、供
  給量ヲ見タノデアリマスガ、其ノ程度マデ
  達スルニハドレ程豆ガアレバ宜イノカ、斯
  ウ云フコトデアリマス、今ノ所推定デハ大
  體十七万「トン」百二十万石程度デアリマス、
  隨テ十七万「トン」程度デ只今ノ所滿洲等ニ
  話シテ居ル物資動員計畫ノ外ニ、其ノ程度。
  ノ輸入ガ確保出來レバ、是ハ從前通リ何モ
  規正セズニ謂所腹一パイ食ベラレルト云フ
  コトニナリマスルケレドモ、併シ先程來申上
  ゲマシタ通リ、十四年、十五年、十六年ト
  逐次大豆ノ輸入減退ガ出テ參ツタノデアリ
  マシテ、ソレガ影響シテ來テ等閑ニ附セラ
  レナイト云フ關係カラ、一面ニハ增產對策
  ヲ立テマスルケレドモ、一面其ノ方ノ手ヲ
  打タナケレバ、却テ重要ナ味噌醤油ニ付テ
  混亂ヲ生ジテハイケナイト云フ見地カラヤ
  ツタ譯デアリマス、但シ其ノ十七万「トン」
  デアリマスガ、實ハ此ノ生產ノ計算デアリ
  マスガ、是ハ不確カダト言フト不確カデア
  リマス、ト言フノハ是ハ十全ノ調査デハア
  リマセヌ、全ク推定デアリマス、唯推定デ
  アリマスルカラ業界方面ノ意見、ソレカラ
  又自家用ノ製造ノ計算ハ是亦或ル推定ノ條
  件ヲ置イテ居リマスカラ、是ハ正シイト云
  フコトヲ言ヘト云フト實ハ是ハ正シイカド
  ウカ甚ダ自信ハ持テマセヌ、隨テ多過ギテ
  居ルカモ知レマセヌ、併シ計畫スル上ニハ
  少ク見ルヨリハタツプリ見テ居ル方ガ宜イ
  ト云フ關係カラ、其ノ程度ヲ抑ヘタノデア
  リマス、左様ナ事情デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=103

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• 104・高田耘平

  ○高田委員　成程是ハ實際言フト面倒ナコ
  トニハ違ヒナイガ、サウスルト十七万マ
  ン」ダケ滿洲カラ輸入スルカ、或ハ內地デ
  生產スレバ味噌醬油ノ消費ヲ壓縮シナイデ
  モ宜イ、斯ウ云フ意味デアリマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=104

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• 105・三浦一雄

  ○三浦(一)政府委員　マア左樣デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=105

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• 106・高田耘平

  ○高田委員　私モ數量ニ付テハ何處カラ割
  出シテ宜イカ分ラヌカラ、非常ニムヅカシ
  イケレドモ、去年アタリデシタカ味噌屋ノ
  連中ガ豆ガ足ラナイ足ラナイト言ウテ要求
  シタノデス、所ガアトデ聞クト皆掛値ヲシ
  タト云フコトデアル、ソレデ餘計出來テ居
  ルト云フコトサヘアルカラ、アナタ方商人
  ヲ相手ニヤツテ居ラレルカラ、其ノ點ハ御
  察シシマスガ、何カ併シ當テガナケレバ困
  ル、要スルニ私ノ言フノハ何デモカンデモ
  味噌醤油ノ消費規正ハ惡イト言フノデハナ
  イ、併シ六匁デハ足リマセヌヨ、アナタ方
  ハ澤山デスカ、私共麥飯ニ味噌汁ダケノ者
  ニハ足ラナイ、私ハ十五匁要リマス、所デ
  六匁デ間合ハセロト言フカラ中々安心出來
  ナイ、厚生大臣ハ豫算總會カ何處カデ六匁
  デ宜イト言ツタノデスカ、言ツタトスレバ
  ドウシテ宜イカ、理窟ヲ聽キマス、ソンナ
  コトヲ輕々シク言ツテハイカヌト思ヒマス、
  ソンナコトヲ言ツタノデスカ、速記錄ニア
  リマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=106

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• 107・三浦一雄

  ○三浦(一)政府委員　厚生大臣ノ御答ヘヲ
  私カラ代ツテ申上ゲル譯ニハ行キマセヌケ
  レドモ、是ハ速記錄デ御覽下サレバ宜イノ
  デスガ、此ノ程度ノ消費規正ハ已ムヲ得マ
  イト云フヤウナ御話デゴザイマシタ、隨テ
  其ノ六匁トカ九匁トカ云フモノハ一ツノ標
  準デアリマス、勿論標準ガ多イニ越シタコ
  トハナイノデアリマスカラ、ソレニ御意見
  ガアルト思ヒマス、ト同時ニ六匁九匁ト云
  フノハ地方別ノ一應ノ標準デアリマシテ、
  今後ノ大豆ノ輸入ノ狀況ニ依ツテハ是ハ緩
  和シ得ルト思ヒマス、ダカラ決シテ六匁、
  九匁ニ膠着シテ味噌モ舐メサセヌト云フコ
  トハナイ、是ハ先刻カラ繰返シテ居ル譯デ
  アリマス、ソレカラ又國民ノ保健衞生モ、
  何時デモ吾々ガ非難ヲ蒙ツテ居ルノデス
  ガ、水產物デアルトカ、鷄卵デアルトカ、
  或ハ肉デアルトカ、更ニ油ト云フモノヲ綜
  合シテ國民ノ榮養ト云フモノハ考ヘナケレ
  バナラヌト思ヒマス、ケレドモ思フ通リニ
  ナリマセヌモノデスカラ、皆樣カラ御指摘
  ニナツテ吾々改善ニ努力シテ居ル譯デス
  ガ、這般ノ事情モ考慮シタ上デ國民ノ榮養
  問題ハ解決シナケレバナラヌ、斯ウ考ヘテ
  居リマス、決シテ厚生省ニ責任ヲ轉嫁スル
  譯デハアリマセヌ、ノミナラズ吾々ガ之ヲ
  確保シテコソ國民ニ對スル責任ヲ果スモノ
  ト思ツテ居リマスコトハ信念上變リゴザイ
  マセヌカラ、其ノ點ハ一ツ誤解ナカランヤ
  ウニ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=107

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• 108・三善信房

  ○三善委員長　只今大分大豆ノ點デ質疑應
  答ガアリマシタガ、味噌醬油ノ原料トナル
  大豆ガ國民大衆ノ保健衞生ノ上ニ重大ナル
  影響ヲ持チマスコトハ申スマデモナイコト
  デアリマシテ、此ノ點ニ對シテ高田君ハ特
  ニ憂慮サレタ結果御質疑ガアツタト思ヒマ
  ス、只今農林次官ノ御說明ニ依リマスレバ、
  十七万「トン」程度滿洲カラ多ク入ツテ來レ
  バ前年同樣ノ味噌醬油ヲ確保スルコトガ
  出來ルト云フ御意見デアリマシタガ、高田
  君ノ先程ノ御質問ハ、從來通リニ味噌醬油
  ヲ確保スル爲ニハ大豆ガドレダケアツタラ
  宜シイカ、其ノ大豆ヲ或ハ生產或ハ輸入ト
  云フ方面カラ確保セナケレバナラヌノデア
  ルガ、其ノ數量ニ對シテドレダケガ必要デ
  アルカト云フコトヲ的確ニ御示シヲ願ヒタ
  イ、ソレニ依ツテ或ハ他作物ノ轉換等ニ依
  ツテ確保スル途モアルデハナイカ、斯ウ云
  フ御意見ノヤウデアリマシタ、只今デハ十
  七万「トン」多ク輸入スレバト云フ程度デ、
  其ノ全體ノ數量ニ付テノ御說明ガナカツタヤ
  ウデアリマスガ、是等ハ或ハ物動計畫ト關
  係ガアルカモ知レマセヌノデ、的確ナル數字
  ガアリマシタナラバ明日御說明ヲ願フコトニ
  致シマシテ、大體味噌、醬油ニ對スル御質問ハ
  本日ハ此ノ程度ニ止メテ置キタイト思ヒマス
  左樣御承知ヲ願ヒマス--次ハ山田六郞君、
  アナタノ御質疑ハ多少留保セラレテアツタ
  ノガアリマスカラ、其ノ御積リデ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=108

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• 109・山田六郎

  ○山田(六)委員　今味噌、醬油ノ話ガ出マシ
  タカラ、私モ一ツ御聽キシテ置キタイト思
  ヒマス、農村ノ自家用味噌ニ對シテハ制限
  ヲシナイト云フ御考ヘデアリマセウカ、ソ
  レヲ御伺ヒ致シタイ、若シ農村ノ自家用味
  噌ヲ制限スルコトニナツタラ是ハ容易ナラ
  ヌ問題デアリマス、是ハ私共ノ方バカリデ
  ナク、全國的ダト思ヒマスガ、朝モ晝モ晩
  モ味噌汁デ命ヲ繋イデ居ル、外ニ副食物ガ
  ナイ、若シモ晝間辭當ヲ持ツテ稼ギニ行ク
  時ニハ辨當ノ上ニ味噌ニオ新香ヲ添ヘテ持
  ツテ行ク、デスカラ六匁バカリノ味噌ハ一
  嘗メデス、コンナコトデハ百姓ハドウスル
  コトモ出來ナイト思ヒマス、月百八十匁デ
  スカラ一日六匁デスガ、若シ三度々々味噌
  汁ヲ食ツタラ一囘タツタ二匁デ、本當ニ藥
  ノヤウナモノデ、コンナコトデハ百姓ハ生
  キテ行カレヌノデスカラ、若シ田舍ノ自家
  用味噌ヲ制限スルトシタラ大騒動ガ起ルト
  思ヒマス
  モウ一ツハ此ノ間聽キ洩シタノデアリマ
  スガ、米ノ生產擴充ト云フ問題ニ付テ最モ
  必要ナモノハ農業保險ト自作農問題デアル
  ト云フコトハ、此ノ間中カラ屢〓問答セラレ
  マシタガ、是ハ其ノ通リデアルト思ヒマス、
  農業保險ニ付テハ是ハ十分御〓究下サイマ
  シテ、最モ近キ將來ニ於テ日本ヲ統一シタ
  大キナ計畫ノ上ニ農業保險ト言ヒマスカ、
  何ト言ヒマスカ、名前ハ分リマセヌガ、
  ツ損失補償ノヤウナ、安心シテ農業ヲヤレ
  ルヤウナ方策ヲ立テルコトニ付テ御配慮ヲ
  願ヒタイト云フコト、今一ツハ自作農ノ障
  碍ノ排除、ソレニ付テノ御配慮ヲ願ヒタイ、
  ソレハ近來自作農ガ少クナツタ最大ノ原因
  ハ、土地ノ價格ガ制限サレタ結果デアルト
  思ヒマス、コンナ物價ノ高イ時代ニコンナ
  制限サレタ價格デハ地主ハ自作農ノ爲ニ土
  地ヲ賣リタイケレドモ、ドウシテモ賣レナ
  イ、是ガ最近ニ於ケル自作農ノ申請ガ少ク
  ナツタ最大原因デアルト思フノデアリマス、
  故ニ此ノ點ニ付テ何等カノ御配慮ヲ御願ヒ
  シタイト云フコトガ一ツ、ソレカラ各町村
  ニ責任ヲ負ハシテ自作農ヲ作ル、元ハサウ
  デナカツタノデアリマスガ、近來サウ云フ
  制度ヲ執リマシテ、各町村ニ金ヲ貸シテ、
  町村ガ土地ヲ擔保ニ取ルト云フ形式ノ下ニ
  金ヲ貸スモンデスカラ、其ノ町村ガ厭ヤガ
  ル、是ハ斯ウ云フ世ノ中ニハ危ブナクテ適
  ハい、イツドンナコトヲ制定サレルカ分ラ
  ナイカラ、土地ナド擔保ニシテ金ヲ貸シテ、
  他日取レナクナツタラ大變ナコトニナル
  是ハ寧ロ寄付カヌ方ガ宜イト云フノデ、町
  村ガ責任ヲ負ハヌト云フコトガ最近方々ニ
  アリマス、デアリマスカラ、サウ云フ厭ヤガ
  ル町村ハ、町村ノ手ヲ經ズシテ自作農委員會
  ト云フカ、組合ト云フカ、何等カサウ云フ
  ヤウナ一ツノ團體ヲ相手ニ金ヲ貸スコトガ
  出來レバ自作農問題ノ爲ニ非常ニ宜シイト
  思ヒマス、私ノ縣ナドニモ數十町村ニ亙ツ
  テサウ云フ町村ガアルノデアリマス、責
  任ヲ負フノガ厭ヤダト云フコトデ、自作農
  問題ヲ取扱ハナイ、此ノ障碍ヲ一ツ排除ス
  ルコト、ソレカラ或ル地主ノ中ニハドウシ
  テモ値段デ折合ハナイトカ、色々ノ事由デ
  土地買收ニ折合ハナイ地主ガアル、例ヘバ
  不在地主ノ土地ヲ此ノ際整理シテ自作農ヲ
  作リタイト思ツテモ、一、二ノ人ノ諒解ヲ得
  ルコトガ出來ナイ爲ニ話ガ纏マラヌト云フ
  例ガ澤山アリマスカラ、之ニ對シテ强制力ヲ
  持タセル方法ガナイカト云フコトデアリマ
  ス、何等カノ方法ニ依ツテ强制力ヲ持タセ
  ルコトガ出來ナイカ、例ヘバ農地委員會等
  ニ何等カノ權力ヲ附與シテ、サウシテ是等
  ノ決議ニ依ツテ、出來レバ地主ハ買手ノ要
  求ニ應ジテ賣ルベシト云フヤウナ、何カソ
  コニ實行ニ移サレル方法ガナイカト云フ問
  題デアリマス、サウ云フ方法ニ付テ何カ御
  考慮ヲ願ヒタイト思ヒマスルガ、此ノ點ニ
  付テ御聽キ致シタイト思ヒマス
  ソレカラ今一ツハ、此ノ間カラ麥ノ價格
  ニ付テハ近キ將來ニ於テ考慮シテ見ルト云
  フコトヲ大臣ガ明言サレテ居ル、所ガ此ノ
  價格問題デスガ、一月ニ入リマシテカラ大
  藏省ノ專賣局ノ方カラ、煙草ノ耕作地ニ出
  掛ケテ參リマシテ、本年ハ三割乃至三割五
  分煙草ノ値段ヲ上ゲル積リダカラ、皆精ヲ
  出シテ煙草ヲ作ル準備ヲシテ貰ヒタイト觸
  レテ來タ、マダ種モ播カナイ前ニ前觸レシ
  テ來マシタガ、中々大藏省ハ早イ、ケレド
  モ今麥ヲ皆播イテ居ルカラ、成ベク急イデ
  之ヲ發表サレタイト云フコトガ一ツ、今一
  ツハ、大藏省ハ三割乃至四割ノ價格ヲ引上
  ゲル積リダカラト耕作地ヲ觸レ〓ハツテ居
  ル、斯ウ云フ價格ノ決メ方ト麥ノ價格ノ決メ
  方ノ釣合ヲ取ツテ戴キタイ、大藏省ハドン
  ナ標準ニ依ツテ三割、四割上ゲルカ分ラヌ
  ガ、一月中ニサウ云フ話ガアツタト云フコ
  トハ確實デアリマス、此ノ價格ヲドウ云フ
  標準デ決メラレルカ分ラヌガ、サウ云フ價
  格ノ決メ方ト麥ノ價格ノ決メ方モ成ベク釣
  合ヲ取ツテ、或ル役所ノ決メ方ト或ル役所
  ノ決メ方ト餘リ違フコトハ面白クナイト思
  ヒマスカラ、サウ云フコトノナイヤウニ、
  其ノ點モ一ツ御願ヒシテ置キマス
  ソレカラ今一ツハ、生產ノ割合少イ低位
  農家ヲ或ル程度引上ゲテ行ク、此ノ問題ヲ
  昨年中私共力ヲ入レマシテヤリマシタガ、
  ドウモ是ハ頭ガ低位ダカラ收穫モ低位ダト
  云フコトニナツテ來ル、色々世話シテ見テ
  モ中々成績ガ擧ガラヌ、或ルモノハ擧ガル
  ガ、或ルモノハ擧ガラヌ、其ノ時分ニ之ヲ
  何等カノ方法ニ依ツテ一方ノ精農者ニ耕作
  指揮權ヲ與ヘルト云フヤウナコトヲ今年ヤ
  ツテ見ヨウト云フ計畫ガ私共ノ方ニアル、
  之ニ對シテ半强制的ニヤリタイト云フノデ
  アリマスガ、現在ノ法規ノ下デサウ云フコ
  トヲ行フ方法ガアルカドウカ、何カ決議ニ
  依ルトカ、或ハ農會法ニデモ依ツテ農作物
  ノ種類ヲ命令スルヤウナコトガ出來ナイカ、
  耕作者其ノモノニ任シテ居ツタノデハ相
  變ラズ低位デ成績ガ擧ガラヌカラ、此ノ耕
  作權ヲコツチヘ任セロ、來テ働クノハオ前
  達ダ、此ノ畑、此ノ田、ソレハコチラノ
  指揮命令通リ悉ク、植ヱルコトモ除草ノ
  コトモ、整理ノコトモ、一切命令通リニ
  ヤレト云フコトニシテ、精農者ノ間ニ支
  配サシテソレヲ作ルト云フコトニシタナ
  ラバ、此ノ低位ノ連中ガ相當ノ成績ヲ見ル
  ノデハナイカト思フノデスガ、今ノ所、農會
  ノ方カラ種類ヲ命令スルコトガ出來ル、
  反別ニ付テモ命令スルコトガ出來ル、是
  ハ農會ノ決議デ出來マセウ、作付ノ統制
  モ出來ルト思フノデスガ、サウ云フコトガ
  出來ルカドウカト云フ問題デス、今一ツ御
  聽キシタイノハ米ノ價格ノ問題デスガ、今
  度ノハ買入ノ價格ト賣渡ノ價格ト違フ、買
  入ノ價格ハ生產費、物價指數、經濟情勢ニ
  依ツテ決メルト云フコトデアリマシタシ、
  賣渡ノ方ハソレニ家計費ガ入ツテ居ルト云
  フ違ヒガアルノデス、此ノ間ノ御說明デド
  ナタノ中ニデシカ、ソコニ利潤モ加ヘルノ
  ダ、斯ウ云フ御話モアリマシタガ、是ハ法
  規ニサウ云フコトガナクテモ此ノ利潤ナル
  モノガ加ヘラレルカト云フコトガ一ツ、ソ
  レカラ今一ツハ、勅令事項ノ、當分ハ從前
  ノ例ニ依ル、斯ウ云フコトデアリマスルガ、
  此ノ當分ト云フコトハ一體ドウ云フコトデ
  アリマセウカ、是ハ昭和十七年アタリハヤ
  ハリ是マデト同ジヤウナ現在ノ價格ヲ以テ
  ヤルト云フ意味ナノデセウカ、或ハマア五
  年ヤ三年ハ此ノ儘デ行クト云フ御意見デア
  リマセウカ、此ノ當分ト云フノト今度ノモ
  ノトノ違ヒデアリマス、サウシテ從前ノモ
  ノニ依ルト金利保管料等ヲ加ヘルト云フコ
  トニナツテ居リマスガ、今度ハ直接ニ政府
  ガ買入レテシマヒマスカラ保管料ハ要ラヌ
  コトハ當然デアリマスガ、今ノ米價政策デ
  ハ、買入レタ價格、ソレニ補助金ヲ與ヘル、
  是等ヲ計算スルト消費者ノ方ノ價格ヨリモ
  政府ガ多ク出シテ居ル、コンナコトハ今年
  ハヤルケレドモ後ハヤラナイト云フヤウナ
  コトガ、此ノ當分ハ從前ノ例ニ依ルト云フ
  中ニ入ツテ居ルカドウカト云フコト、サウ
  ナツテ來ルト、今年ハ此ノ儘ニシテ行ツテ
  モ來年カラハ農家カラノ買入價格ト消費者
  ニ賣ル價格ト云フモノニ對シテハ現行法ヲ
  執ツテ、例ヘバ四十五圓デ買ツタモノハ四
  十六圓トカ四十八圓ニ賣ルト云ツタ工合ニ
  ヤツテ行クカ、斯ウ云フ點ヲ政府ニ御尋ネ
  致シタイノデアリマス

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• 110・三浦一雄

  ○三浦(一)政府委員　山田サンノ御尋ネノ
  第一點ノ農村ニ於ケル自家用ノ味噌醬油、
  是ハ別ニ規正スル對象ニハナリマセヌ、先
  程何匁ト言ヒマシタノハ、消費規正ヲ實施
  スル方面ニ對スル基準量デゴザイマスカラ
  左樣御承知ヲ願ヒマス、第二番目ハ農業保
  險制度ヲ改善スルヤウニト云フ御意見デア
  ラウト思ヒマス、具體的ニハゴザイマセヌ
  デシタガ各方面カラモ色々ノ御意見ガ出テ
  居リマス、隨ヒマシテ愼重ニ〓究シテ善處
  シタイト思ヒマス、ソレカラ第三番目ノ自
  作農創設ニ付キマシテハ、營團等モ活用シ
  テ開墾シテ居リマスルガ、是等モ自作農ヲ
  創定スルト云フコトニ寄與シタイト思ヒマ
  ス、ソレカラ自作農ヲ創定サセルニ付テ農
  地價格ガ低過ギルカラ是ガ障碍ニナツテ居
  ル、斯ウ云フ御話デアリマスルガ、是亦農
  地ヲ無暗ト高クスルノデハ健全ナル自作農
  ノ創定ニハ適合シナイ譯デアリマスルシ、
  唯單ニ農地ヲ上ゲルト云フダケノ考ヘデハ
  イカヌノデハナイカト考ヘマス、ソレカラ
  地主ニ對シテ農地ヲ賣レト云フヤウナコトハ、
  何カ農地委員會ガ權限ヲ持ツヤウナコトハ
  ドウカト云フコトデゴザイマスガ、是ハ權
  力デ以テ委員會ニ强制力ヲ持タセルト云フ
  ヤウナコトハ考究ノ餘地ガ多々アラウト思
  ヒマス、ソレカラ大麥等ノ價格改訂ニ際シ
  テハ、煙草ノ値段ナドノ振合等ヲ能ク見テ
  ヤルヤウニト云フコトデゴザイマスガ、大
  麥等ニ付テハ大臣カラモ御話ガアリマシタ
  ヤウナ線ニ沿ヒマシテ〓究致シマシタ譯デ
  アリマス、ソレカラ煙草ノ値段ヲドノ程度
  ニ上ゲルト云フコトヲ農民ニ示シテ居ルカ
  マダ具體的ニ聽イテ居リマセヌ、ソレ等モ
  十分ニ勘案シタイト考ヘマス
  其ノ次ニ低位收穫農家ト云ヒマスカ、之
  ヲ向上サセル爲ニ、耕作ヲ全部委任サシテ
  指導者ノ指揮權デヤツタラドウカト云フコ
  トゴザイマスガ、是モ所謂權利義務ト云フ
  風ナ方法デハ中々イカヌノデハナイカト思
  フノデアリマス、ト云フノハ、耕作者ヲ全
  部權力ヲ以テアアセイ、斯ウセイト云フ具
  體的ナコトニ付テ指導スルト云フノハドウ
  カト考ヘマスガ、地方ノ篤農家ナリ地方ノ
  指導者方ヲシテ能ク指導サセテ下スツタナ
  ラバ、今ノ山田サンノ仰シヤルヤウナ農家
  ノ向上ト云フコトハ期待出來ルノデハナイ
  カト考ヘマス

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• 111・湯河元威

  ○湯河政府委員　米價ノ問題デ、今度ノ食
  糧管理法ニ於キマシテ、買入價格ト賣出價
  格トガ違フト云フ御質問デ、第一利潤ヲ加
  ヘルト云フコトヲ法律ニ書イテナクトモ出
  來ルノデアルカト云フヤウナ御質問デゴザ
  イマシタガ、是ハ生產費ノ計算ノ方式ノ問
  題デアリマス、此ノ間ドナタカノ御質疑
  ニ對シマシテ其ノコトヲ御答ヘ申上ゲタノ
  ハ過般ノ五十圓ノ米價ハ、米穀生產費ヲ
  勘案致シマシテ五十圓ノ價格ガ大體適當ダ
  ト云フコトデ、米價是正ヲ致シマシタ時ニ、
  利潤ヲ加ヘタト云フコトヲ御說明シタノデ
  アリマシテ、今後ノ行キ方トシテモサウ云
  フ點ヲ考ヘテ行キタイト云フコトヲ申上ゲ
  タ次第デアリマス、是ハ別ニ法律ニ其ノコ
  トヲ書ク必要ハナイト思ツテ居リマス、尙
  ホ御手許ニ差上ゲマシタ勅令案要綱ノ中ニ、
  當分ハ從來ノ例ニ依ルト云フコトヲ書キ
  マシタ所以ハ、今朝程モ申上ゲマシタヤウ
  ニ、生產費ノ調査ハ、只今ノ生產費ハ實ハ
  將來豫想致シマスモノヨリモ辛イモノデ、
  之ヲ生產費トシテ取リマシテ經濟事情ヲ勘
  案スル等ノ處置ニ依リマシテヤツテ參ルト
  云フコトニナルノデアリマシテ、將來生產
  費調査等ヲ完成致シマシタ場合ニ正式ニ計
  算ヲスルト云フ積リデゴザイマス、ソレカ
  ラ尙ホ御話ノ中ニ出テ居リマシタ一石五圓
  ノ奬勵金ヲ出シテヤル今ノ二重價格制度ト
  云フモノ、之ヲ近クヤメルヤウナ積リデ斯
  ウ云フコトガ書イテ居ルノカト云フ風ナ御
  指摘モゴザイマシタガ、此ノ點ハ農林大臣
  モ色々ノ機會ニ御話ノゴザイマシタヤウニ、
  只今ヤツテ居リマスル一一重價格ハ、一カノー
  生產費ノ關係ガゴザイマスシ、他ノ一方ニ
  低物價政策ノ關係モゴザイマス、斯ウ云フ
  經濟事情ガ續キマス限リ輕々ニ動カスコト
  ノ出來ナイコトダト思ツテ居リマス、問題
  ハ將來經濟事情ノ變リマス時ニ、變ツテ來
  ルコトト思ヒマス、從前ノ例ニ依リマスト、
  色々價格決定ノ方式ガ備ハリマセヌ、是一
  兎ニ角今マデノ方法デヤツテ行クンダト云
  フ趣旨デアリマシテ、價格ヲ變ヘルカ變ヘ
  ナイカト云フト、是ハ變ヘナイノダト云フ
  趣旨デハアリマセヌ

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• 112・山田六郎

  ○山田(六)委員　只今御聽キシマシタヤウ
  ニ、自作農問題ニ付テ町村ハ責任ヲ負ハナ
  イト云フコトニ付テ根本ノ御答辯ガナカツ
  タガ、是ハ町村ニ責任ヲ負ハセナイデ貸ス
  方法ガゴザイマスレバ、大層自作農モ多ク
  ナリマス、斯樣ニ思ツテ居リマス、ソレカ
  ラ味噌ノ問題ハ農村ノ自家用味噌ニ付テ
  ハヤラヌ積リデアルト云フ御話デアリマス
  ガ、是ハ鹽ヲ制限セラレテシマウテハヤツ
  タト同ジ結果ニナル、味噌ヲ造ル鹽ハ十分
  供給スルト云フコトニナツテ居リマスカ、
  ソコノ所ヲ御伺ヒ致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=112

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• 113・三浦一雄

  ○三浦(一)政府委員　先ニ自作農ノコトヲ
  御答ヘシマスガ、現在ハ町村ヲ介シナイト
  イケナイ仕組ニナツテ居リマス、デスカラ
  此ノ仕組ヲ變ヘマスト、曾テ農林省ガ提案
  シタ自作農創設金庫ト云フモノヲ考ヘザル
  ヲ得ナクナリマス、是ハ直チニハ改正モシ
  兼ネルト思ヒマス、ソレカラ第二ノ鹽ノ問
  題デアリマスガ、何モ物資ハ、農村ト言ハ
  ズ、都會ト言ハズ、國民全般ニ所謂必要ナ
  ル限度ハ供給シテケレバナリマセヌ、ソレ
  ニ努力シテ居リマスガ、御承知ノ通リ鹽ハ內國
  ノ生產ダケデハ足リマセヌノデ、關東州、北
  支、昔ハソレデモ足リナクテ「ソマリーラン
  ぎトカ云フヤウナ所カラ持ツテ來テ居ツ
  タ、最近デハ佛印等カラモ輸入シテ居ツタ、
  所ガサウ云フヤウナ事情デアリマスケレ
  ドモ、一面鹽ト云フモノハ非常ニ用途ガ廣
  イ譯デアリマス、ソンナモノデスカラ片方
  デ入用ガ多イ、併シ戰爭ガ進ンデ來ルト、
  外國カラモ中々取リ難イト云フヤウナコト
  ニナツテ來、最近デハ北支方面カラ取リマ
  スモノモ、現地ニハ鹽ハアルケレドモ、直
  チニ船舶等ノ都合ガ付カチイト云フヤウナ
  コトガヤハリ一ツノ原因ダラウト思ヒマス、
  併シ大藏省カラ吾々ノ御聽キスル所デハ、
  決シテ食用鹽ニハ心配ヲ掛ケヌト云フヤウ
  ナ譯デ、吾々モ是ハ納得シテ居リマス、併
  シ斯ウ云フ時代デスカラ、總テノ物資ニ付
  テヤハリオ互ヒハ或ル程度マデ消費節約ヲ
  シ、我慢ヲシナケレバナラヌト云フコトハ、
  是ハモウ是非トモ吾々ハ納得シテ行カナケ
  レバナラヌダラウト思ヒマス、隨ヒマシテ、
  山田サンナドハ能ク農村ノ實情ヲ御覽ニナ
  リ且又多數ノ人達ヲ指導サレル譯デアリ
  マスガ、サウ云フヤウナ事情ヲ篤ト御考ヘ
  下サイマシテ、ヤハリ斯ウ云フ時ニハ總テ
  ノ物資ニ付テ節約シナケレバナラヌ、ソコ
  デ一層物ヲ大事ニスルト云フコトデ御理解
  ヲ願ヒ、又御指導ヲ願ヒタイト思フノデア
  リマス、吾々トシテハ、所謂米鹽ト云フノ
  デスガ、是ハ一番ノ基本的ナモノデアリマ
  シテ、決シテ事缺クヤウナコトハシタクナ
  イノデ、折衝ヲシテ居リマスノミナラズ、
  鹽ノ配給ニ付キマシテモ、農村ノ方面ガ多
  イコトハ大藏省ノ發表ニ依リマシテモ、ハ
  ツキリシテ居ルコトデゴザイマスカラ、其
  ノ邊ハ能ク御諒承願ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=113

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• 114・山田六郎

  ○山田(六)委員　鹽ノコトニ付テ今一ツ御
  願ヒシテ置キタイノデスガ、御話ノ通リド
  ンナニ困ツテモ寄越セト云フヤウナ、駄々
  ツ子ノヤウナ要求ヲシナイコトハ當然デア
  リマスガ、併シ家庭鹽ト云フモノト工業鹽
  ト云フモノトデハ、比較ニナラヌ程家庭鹽
  ノ消費ハ少イノデアリマスカラ、其ノ工業
  鹽ノ方ヲ減ラサウトモ、何ヲ措イテモ家庭
  鹽ノ方ニハ是ダケハ配給シテ戴カナケレバ
  ナラヌ、之ヲモ鹽ガ不足デアルカラト云ツ
  テ、此ノ家庭鹽ニ事缺カスト云フコトハ
  日本人ノ生命ニ切込ンデ來ルヤウテ結果ヲ
  起スノデハナイカト云フコトガ非常ニ心配
  サレルノデアリマスカラ、其ノ點ハ是非ト
  モ御配慮ヲ願ツテ、工業鹽ヲ減ラシテモ家
  庭鹽ハ減ラサヌト云フヤウナ御方針ノ下ニ
  御願ヒシタイト思ヒマス
  ソレカラ自作農ノ問題ニ付テ町村ニ責任
  ヲ負ハスト云フコトハ何カ間違ツテ居リマ
  セヌカ、是ハドウシテモ町村ニ責任ヲ持タ
  シテ、町村ガ自作農創設者ニ貸スヤウニナ
  ツテ居リマスガ、ソレハ何カノ間違ヒダト
  思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=114

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• 115・三浦一雄

  ○三浦(一)政府委員　ソレハ止メル譯ニ行
  カヌト云フ譯デス

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• 116・山田六郎

  ○山田(六)委員　ソレナラバ仕方ガアリマ
  セヌ、仕方ガナイカラ、イヤダト云フ町村ハ
  自作農ハ其ノ町村內ニハ出來ナイ、ソレハ
  仕方ガナイ、斯ウ云フコトニナリマスカ

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• 117・三浦一雄

  ○三浦(一)政府委員　是ハサウ云フヤウナ
  意味デ申上ゲタノデハアリマセヌ、今ノ建
  前上急ニハ改メラレナイ、隨テソレハ町村
  ガ起債等ヲシテ吳レナイト云フコトデハ困ル
  譯デス、ソコデ町村トシマシテハ、健全ナ
  ル農村ヲ建設スルニハヤハリ健全ナル自
  作農ガ必要デスカラ、ソレ等ハ一層全體ノ
  繁榮ヲ見ルヤウニ、ヤハリ相互ニ理解ヲ以
  テ進マナケレバナラヌ、斯ウ考ヘテ居リマ
  ス、ソレハ起債ハ町村デナケレバ出來ヌカ
  ラ、吾々ハソレヂヤヤラヌト云フコトデハ
  健全ナル農村ヲ生カス所以デナイ、農林省
  トシテハサウ考ヘテ居リマスカラ其ノ點ヲ
  御承知願ヒマス

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• 118・山田六郎

  ○山田(六)委員　ソレハ已ムヲ得マセヌ、
  ソレナラバ仕方ガナイノデスガ、現ニ三百
  町步、二百町步ト云フヤウナ集團耕地ガア
  リマシテ、ソレヲ自作農トシテ地主ニサ七
  タイ、又小作者モ自作者ニナリタイト云フ
  ノデスガ、其ノ町村ニ如何ニ交涉シテモ、
  面倒ダ、斯ウ云フ世ノ中デ土地テンカハド
  ウナツテシマフカ分ラナイ、此ノ町村ガ責
  任ヲ負ツタ借金バカリ殘ツテ、土地ハ値打
  ガナクナルカラトンダコトニナツテシマ
  フ、俺ノ村デハイケナイト云フ村ガ二ケ村
  アリマスカラ、サウ云フヤウナコトハ洵ニ
  困ツタコトデアルシ、是等ヲ自作農ニスルコ
  トニ依ツテ生產ノ上ニモ非常ナ影響ヲ及ボ
  スコトト思ツテ居リマスカラ、此ノ邊ヲ一
  ツ事實ニ付テ御配慮願ウテ、何トカ流通ノ途
  ヲ付ケテ戴キタイト云フノガ一ツデアリマス
  極ク簡單デアリマスカラ木炭ノコトニ
  付テ御聽キヲ致シタイノデアリマス、木
  炭ノ案ガ玆ニ出テ居リマスガ、此ノ木炭ハ
  今ノ所デ生產ト消費ト云フモノガ大體釣合
  ヒガ執レテ居ルト云フコトデアリマスカラ、
  ソレハ洵ニ宜シイコトダト思フノデアリ
  マスガ、此ノ儘ニ行ツテモ生產ト消費トノ
  釣合ヒガ執レルカドウカト云フコトハ、私
  共ハ非常ニ心配デス、是ハ生產ガ或ル程度
  減ルノデハナイカト云フコトヲ心配スルノ
  ガ一ツト、今一ツハ木炭ノ價格ヲ公定サレ
  テ居ツテ、原木ノ價格ヲ放任シテ置ク時ハ、
  此ノ生產ト云フモノガドウ云フ工合ニナル
  カト云フコトガ彼レ此レ心配サレルノデア
  リマス、此ノ木炭資材ノ協定委且會ト云ツ
  タヤウナモノガ出來テ居ルヤウデアリマス
  ガ、是等ハ名義バカリノ協定委日會デ、今
  日マデ何等ノ働キヲシタコトガナイト云フ
  ノデアリマスガ、此ノ際木炭ノ原木ノ基準
  價格ヲ決メテ、此ノ協定委日會ノヤウナモ
  ノヲ働カシテ、資材ノ圓滑ニ供給サレルヤ
  ウナ方法ヲ講ズル御考ヘガナイカ、今一ツ
  ハ木炭ノ生產ト配給ニ對スル方法デアリマ
  スガ、是ガ甚ダ多岐多樣デアル、之ヲ一元
  化スルコトガ出來ナイカ、例ヘバ集荷モ二
  元的ニヤツテ居ル、配給モ二元的ニヤツテ
  居リマスガ、是等ヲ統制サレル意思ガナイ
  カ、ソレヲ統制シナイコトカラ生ズル不利
  益ト云フモノハ、木材ノ投資家ガ非常ニ之
  ヲ危險ガルト云フコトデアリマス、若シ集
  荷配給ガ統制サレテ居リマスレバ、資金ヲ
  投ジマシテモ囘收ニ付テ心配ガナイ、併
  シ集荷ガ二元的ニナツテ居ル、配給モ二元
  ニナツテ居ルト云フコトヲ各府縣デヤツテ
  居リマシテハ、投資ハ危險ニテツテ來ル、
  デアリマスカラ之ヲ一元的ニ統制スル必要
  ガナイカト云フコトガ一ツデアリマス
  ソレカラモウ一ツハ瓦斯炭ト家庭炭ノ價
  格ガ非常ニ違ツテ居ル、瓦斯炭ヲ製造スル
  方ガ主ニナツテ居リマスガ、斯ウ云フヤウ
  ニ價格ニ餘リ差ヲ付ケテ、瓦斯炭ハ一々深
  山デ燒ク、ダカラ運搬シテ來ル經費モ掛リ
  マスカラ、此ノ方ニ行カナイコトハ當リ前
  デアル、事實ニ於キマシテハ深山デ拵ヘ
  ルコトハ困難デス、勞力モ困難、運搬モ困
  難デアル、事實ハ不可能デアルケレドモ、
  サウ云フ制度ヲ今執ツテ居ルガ、寧口之
  ヲ二重債格ヲ付ケル、例ヘバ里デ燒イタ瓦
  斯炭ハ幾ラ、深山デ作ツタラ幾ラト云フヤ
  ウニ、何トカ方法ガナイカ、今ノ儘デハ瓦
  斯炭ハ思フヤウニ出テ來ナイ、若シ之ヲ里
  デ燒クト云フコトヲ許スト家庭炭ハ皆ナク
  ナル、深山デ燒クコトニナレバ引合ハナク
  ナルト思ヒマス、時間ガアリマセスカラ此
  ノ位ニシテ置キマス

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• 119・三浦一雄

  ○三浦(一)政府委員　薪炭材ノ價格ヲ適正
  ナラシムル爲ニ委員會ノ如キモノデモ設ケ
  テ、强制的ニ價格ヲ統制シタナラバドウカ
  ト云フコトデアリマスガ、現在薪炭材需給
  調整規則ト云フモノガアリマシテ、是ハ總
  動目法ニ基ク規定デアリマスガ、ソレニ基
  キマシテ各地方廳ニハ之ニ關スル委員會ヲ
  設ケラレテ、ソコデ價格ナドヲ段々調整スル
  機能ヲ發揮シテ居リマス、必要ニ依リマシ
  テハ價格ヲ强制スル方法モ講ゼラレルコト
  ニナツテ居リマス、是等ノ運用ニ依リマシ
  テ、御說ノヤウニ段々改善シテ參リタイト
  考ヘル譯デアリマス
  ソレカラ生產ト配給ノ一元的統制ノ問題
  デアリマスガ、是ハ各地各樣ノ事情モアリ
  マスノデ、マダ畫一的ニ決メラレル譯ニハ
  イカヌトモ考ヘラレマス
  ソレカラ瓦斯用炭ノ生產ノコトデアリマ
  スガ、現在デハ御承知ノ通リ許可制度ヲ執
  ツテ居リマシテ、一定ノ地區ニ今限定シテ
  居リマス、成ベク里山ニハ家庭用ノ木炭ヲ
  作ラセ、奥地ノ方面ニ瓦斯用炭ヲ生產サセ
  ルト云フ方針デ進ンデ居リマシテ、大體調
  整シテ居ルノデアリマスガ、同時ニ又瓦斯
  用炭ガ奥地デアリマスカラ、各種ノ條件ノ
  惡イ點モアリマスガ、生產ニ對スル助成等
  モ致シテ居リマスカラ、段々調整ガ巧ク行
  クト考ヘテ居リマス

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• 120・三善信房

  ○三善委員長　淺沼稻次郞君

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• 121・淺沼稻次郎

  ○淺沼委員　三十人近クノ人ガ廣汎ニ亙リ、
  尙且ツ微細ノ點マデ質問サレタノデアリマ
  シテ、私多ク聽カウトハ考へテ居ラナイノ
  デアリマスガ、四五ノ點ニ付テ大臣竝ニ
  關係常局カラ御伺ヒシタイト思フノデアリ
  マス
  第一點ハ大東亞共榮圈ノ食糧及ビ纖維資
  源ヲ中心トスル農業政策ヲ如何ニ進メテ行
  クカト云フ、謂ハバ大東亞農業政策ノ基調
  ヲ何處ニ置クカト云フ點ニ付テ、大臣ノ所
  信ヲ承リタイト思フノデアリマス、豫算委
  員會其ノ他ソレ〓〓ノ委員會ニ於キマシテ
  大臣ノ御答辯等ヲ伺ヒマシテ、大體國內農
  業ニ關シマシテハ或ルモノヲ私共ハ摑ミ得
  テ居ルノデアリマス、政府ニ於キマシテハ
  曩ニ國土計畫ヲ、日滿支ヲ通ズル國土計畫
  要綱ヲ設定セラレマシテ、日滿支ノ間ニ於
  ケル農業ニ付テモ一ツノ方針ヲ樹テラレテ
  居ルヤウデアリマス、更ニ國土計畫ニ基ク
  農業ノ立場ヲ、大臣ノソレ〓〓ノ委員會等
  ニ於ケル答辯ヲ通ジテ窺ヒ知リマスナラバ、
  大體ニ於テ內外地ヲ通ズル人口ノ四割ハ農
  村ニ於テ之ヲ確保スル、農村ハ食糧ノ源泉
  デアリ、民族ノ血ノ源泉デアルカラ、農村
  ハ飽クマデモ之ヲ確保シテ參ラナケレバナ
  ラナイ、此ノ點ハ能ク諒承出來ルノデアリ
  マス、併シナガラ國土計畫ト云フモノハ日
  滿支ヲ通ジテ作ラレタモノデアリマスガ、
  南方ガ共榮圈ニ入ツタ以上ハ、更ニ日滿支、
  南洋ヲ含メタ國土計畫マデ擴大ヲサレテ行
  カナケレバナラヌト思フノデアリマス、其
  ノ場合ニ於テ大東亞ニ於ケル農業資源ニ付
  テ極ク簡略ニ考ヘテ見マスナラバ、米ハ大
  體自給ガ出來ル、大麥、高粱、粟等雜穀類ハ
  大體自給出來マス、砂糖ハ過剩デアル、「ゴ
  ム」ハ過剩デアル、小麥、棉花ハ幾分不足
  デアル、斯ウ云フヤウナコトニナリマスナ
  ラバ、大體食糧ノ點ニ付キマシテハ、一言
  ニシテ申上ゲマスナラバ地域的、「ブロッ
  ク」的ト申シマスカ、地域的自給主義ガ採
  用サレテ居ルト思フノデアリマス、併シ是
  ハ〓糧ニ於テハ常然斯クアツテ然ルベキダ
  ト思フノデアリマスガ、ヤハリ國土計畫ニ
  基キマシテ、他ノ農業資源ニ付キマシテハ
  適地適業ト云ツタヤウナコトガ適用サレテ
  然ルベキダト考ヘルノデアリマスガ、ソレ
  等南洋ヲ含メタ今日ニ於テ、大東亞ノ農業
  政策ノ基調ヲ何處ニ置クカ、農林省ニ於キ
  マシテハ南洋資源調査室、或ハ農林計畫委
  日會ニ諮問シテ具體案ヲ練ツテ居ルヤウデ
  アリマス、併シナガラ大臣トシテハ如何ナ
  ル御抱負ヲ持ツテ居ルカ、窺ヒ知ルコトガ
  出來マスレバ非常ニ仕合セダト思フノデア
  リマシテ、此ノ際御發表ヲ願ヒタイト思セ
  マス

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• 122・井野碩哉

  ○井野國務大臣　大東亞共榮圈內ニ於キマ
  スル食糧ノ根本對策ニ付キマシテハ、過般
  來度々申上ゲテ居ル通リ、一一ツノ方面カラ
  考ヘナケレバナラヌノデアリマシテ、ーソ
  ハ〓糧ノ交流ト云フ問題デアリ、一ツハ〓
  糧ト生產ト云フ問題デアルト云フコトヲ申
  上ゲテ居ルノデアリマス、國土計畫上之ヲ
  如何ニスルカト云フ問題ニ付キマシテハ
  是ハ單ニ食糧ダケノ問題デナシニ、工業等
  ノ問題モ合セテ考慮シテ參ラナケレバナリ
  マセヌ、先程御話ノ中ニ日滿支ニ亙ル國土
  計畫ハ出來テ居ルト云フ御話ガアリマシタ
  ガ、マダ政府デハ出來テ居リマセヌ、企畫
  院ヲ中心ニ致シマシテ計晝ヲ致シテ居ルノ
  デアリマシテ、マダ確固タル國土計畫ト云
  フモノハ出來上ツテ居リマセヌ、隨テ今後
  大東亞共榮圈ガ斯クナリマシタ以上ハ、之
  ヲヤハリ目標トシテ國土計畫ヲ進メテ參ラ
  ナケレバナラヌト思ヒマスガ、現在ニ於キ
  マシテハマダソコマデハ手ガ着イテ居リマ
  セヌノデ、農林省トシテハ差當リ食糧其ノ他
  農林關係ノ物資ニ付キマシテ、大體ノ目安
  ヲ立テテ種々ノ計畫ヲ立テテ居ルノデアリ
  マス、而モ其ノ目標ニ付キマシテハ先般來
  申上ゲテ居ル通リ、主要食糧ニ付テハ內外
  地ヲ通ジテ自給自足ヲシテ行ク、其ノ他ノ
  作物ニ付テハ成ベク適地適作ノ方策ヲ執ツ
  テ行ク、斯ウ云フ大體ノ根本理念ヲ持ツテ
  居リマス、併シ其ノ具體的ノ物資ニ付テ一
  一如何ニスルカト云フコトニ付テハ、目下
  折角農林省ニ於テハ農林計畫委員會ニ於
  テ、拓務省ニ於テハ農林調査委員會ニ於テ
  〓究ヲシテ居ルト云フコトヲ申上ゲテ置キ
  マス

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• 123・淺沼稻次郎

  ○淺沼委員　國土計畫ノ要綱ガ設定ヲサレ
  マシテマダ具體化サレテ居ラナイト云フ御
  答辯デアリマスガ、或ハサウカモ知レヌト
  思フノデアリマスガ、設定サレタ以上ハヤ
  ハリ具體化サレナケレバナラヌト思フノデ
  アリマシテ、其ノ具體化ヲスルニ當リマシ
  テ、日滿支ヲ貫クモノガ大東亞共榮圈ニ擴
  大サレタ譯デアリマスカラ、更ニ南洋ヲ含
  メタ國土計晝ヲ樹テラレンコトヲ切望シテ
  已ミマセヌ、更ニ具體的物資ニ付テハドウ
  スルカト云フ體制ヲ決メテ居ラナイト云フ
  御話デアリマスガ、小麥、棉花ガ足ラヌト
  云フコトニナリマスナラバ、北支ニ於キマ
  シテハ現在小麥ハ大イニ之ヲ作ラナケレバ
  ナラヌ立場ニ置カレテ居ルト思フノデアリ
  マスガ、此ノ地方ハ棉花ニ適シテ居ルノデ
  アリマシテ、北支ノ小麥ヲドウスルカ、棉
  花ヲドウスルカ、更ニ砂糖ノ點ニ付テ考ヘ
  テ見マスナラバ、砂糖ハ臺灣「フィリッピ
  ン」、更ニ「ジヤワ」ト考ヘテ、ソレノ生產
  ㄱコスト」ヲ考ヘマシタナラバ、南ニ行クニ從
  ツテ安クナツテ居ルト云フ傾向ニナツテ居
  ルト思フノデアリマス、加ヘテ臺灣ニ於キ
  マシテハ現在米ト砂糖ノ關係ヲドウスルカ
  ト云フコトニナリマスレバ、自ラ何等カノ
  考ヘガ出テ然ルベキダト思フノデアリマス
  ガ、立案スルニ當リマシテハサウ云フ點ニ
  付テ篤ト御考慮アランコトヲ切望シテ置キ
  マス
  次ニ昨日ノ日日新聞ノ夕刊ヲ見マスト、
  非常ニ愉快ナ記事ガ出テ居ルノデアリマシ
  テ、國民ハ朗カニナツテ居ルノデアリマス、
  「豚ハ豐富ニ出マス、魚ノ不足モ暫クノ辛抱、
  味噌、豆腐ニモ滿洲カラ援兵」、更ニ農林大
  臣ハ、其ノ中ニ砂糖ノ特配ノ用意アリト、嬉
  シイ答辯ヲシタト云フコトヲ書イテ居ルノ
  デアリマシテ、是ハ私ハ非常ニ國民ヲ朗カ
  ニサセテ居ルト思フノデアリマス、私ノ考
  ヘヲ申上ゲマスナラバ、戰爭ト云フモノハ
  國家ト民族ノ躍進スル姿デアリマシテ、國
  家ト民族ガ躍進スル時ニハ苦痛ハナイ筈ダ
  ト思ヒマス、全部ガ朗カニナツテ、本當ニ
  國民總進軍ト云フ形ヲ整ヘテ參ルコトガ、
  一番戰時下ニ於ケル相應シイ姿ダト思フノ
  デアリマス、今日ノ苦シミハアツテモ、明
  日ノ樂シミガアレバ國民ハ我慢スルノデア
  リマス、サウ云フ意味合カラ致シマシテ、
  農林省ノ資料ヲ中心トシテ豚モ出ル、魚ノ
  不足モ暫クノ辛抱デアル、更ニ砂糖ノ特配
  モアルト云フコトヲ伺ヒマスト、國民ハ非
  常ナ此ノ戰果ニ依ツテ吾々ノ生活ガ一層良
  クナルト云フコトヲ考ヘテ、朗カニナツテ
  來テ居ルト思フノデアリマス、隨テ私ハ資料
  ニ出サレテ居ルヤウナコトヲ、本當ニ實踐
  ニ移シテ戴キタイト思フノデアリマス、唯
  是ガ机上ノ議論デアリマシタ場合ニ於テハ
  何ニモナラナイノデアリマシテ、ヤハリ農
  林省デ計畫ヲ立テマシタ以上ハ、本當ニ豚
  モ出ルヤウニ、更ニ魚其ノ他ノモノニ付キ
  マシテモ、サウ窮屈ニナラヌヤウニ-私
  ハ是等ノモノガ足リナイトハ考ヘテ居リマ
  セヌ、窮屈ニナツテ居ルコトハ事實デアリ
  マスケレドモ、、全體ヲ通ジテ運用宜シキ
  ヲ得マスナラバ、最低生活ニ於ケル國民ガ
  必要ナル「カロリー」ヲ得ルダケノモノハ
  マダ日本ニハ十分アリ得ルト云フ考ヘヲ持
  ツテ居ルノデアリマシテ、窮屈ニハナツテ
  居リマスケレドモ、サウ足リナイト云フ考
  ヘハ持ツテ居ラナイノデアリマス、隨テ農
  林省ノ施策宜シキヲ得マスナラバ、アカノ
  ダ私ハ物ガ出テ來ル筈デアリ、增產モ出來
  ル筈デアルト考ヘルノデアリマス、此ノ觀
  點ニ立チマシテ少シク御尋ネシタイノデア
  リマスガ、第一點ハ水產業ニ對スル統制ニ
  付テデアリマス、政府ニ於キマシテハ曩ニ
  總動員審議會ノ議ヲ經マシテ、遠洋漁業
  ニ關スル統制ノ勅令要綱ヲ決定致シマシ
  タ、卽チ「農林大臣ハ命令ヲ以テ定ムル水產
  ニ關スル事業ヲ營ム者ニ對シ水產業ノ綜合
  的統制運營及其ノ統制ノ爲ニスル經營ヲ目
  的トスル日本水產統制株式會社ノ設立ヲ命
  ズルコトヲ得ルコト」斯ウ云フ要綱ヲ決定致
  シマシテ、之ニ依ツテ勅令ガ發布サレルコ
  トデアラウト私ハ思フノデアリマス、隨テ
  政府ニ於キマシテハ、遠洋漁業ニ對スル統
  制ノ方針ト云フモノハ、此ノ日本水產統制
  株式會社ヲ通ジテヤラレルト云フコトガ明
  確ニナツタノデアリマス、併シナガラ此ノ
  鮮魚介類ノコトヲ考ヘテ見マスナラバ、遠
  洋漁業ニ負フ所モ多イケレドモ、又半面ニ
  於キマシテハ沿岸漁業ガ此ノ鮮魚漁獲ニ努
  メテ居リマスコトモ可ナリ大キイモノガア
  ラウト思フノデアリマス、併シナガラソレ
  等ノモノニ付キマシテハ如何樣ニ生產ヲ統
  制シ、更ニ配給ヲ統制スルカト云フヤウナ
  點ニ付キマシテハ、何等具體的ナコトガ示
  サレテ居ラナイノデアリマス、隨テ此ノ際
  伺ツテ置キタイコトハ、中小漁業ニ對シテ
  ハ如何ナル統制ヲ政府ハ行ハントスルカ
  之ヲ伺ツテ置ケバ幸ヒダト思フノデアリマ
  ス、日本水產統制株式會社ノ中ニハ鮪、或
  ハ鰹業者ト云フヤウナモノハ除外サレテ居
  ルヤウデアリマス、加ヘテ小サナ船ヲ中心
  トシテ沿岸デヤツテ居ル者モ除外サレテ居
  ルガ、之ヲ如何樣ニ統制サレルノカ、御伺
  ヒ出來レバ幸ヒダト思ヒマス

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• 124・井野碩哉

  ○井野國務大臣　水產統制ニ關シマシテハ、
  勿論遠洋漁業ノミナラズ、沿岸漁業ニ付キ
  マシテモ其ノ統制ノ必要ヲ認メテ居リマス、
  併シ現在ノ狀態ニ於キマシテハ、先ヅ限ラ
  レタル資材デ能率的ニ漁獲ヲ多ク致シマス
  爲ニハ遠洋漁業ノ方面ニ期待スル所ガ多
  イノデアリマス、隨テ其ノ方面ノ統制ニ先
  ヅ第一段ニ手ヲ着ケタ譯デアリマシテ、第
  二段トシテ沿岸漁業統制ノ問題モ十分ニ考
  慮シテ行キタイト考ヘ、目下農林當局ニ於
  キマシテ色々案ヲ〓究致シテ居リマス、何
  レ其ノ內ニ具體案ヲ得マシタナラバ、又御
  協賛ヲ得ル機會ガアラウト思ヒマス、尙ホ
  今御述べノ中ニ、鰹鮪ノ業者ハ其ノ中カ
  ラ除カレテ居ルト云フ御話デアリマシタガ、
  統制ノ對象ニハナツテ居リマス、唯鰹、鮪
  ノ業者ヲ上ノ統制會社デナクテ、下ノ實際
  ノ漁業ヲヤル會社ニ統合スルカト云フト、
  ソレハ統合シナイ、斯ウ云フ意味デアリマ
  スカラ誤解ノナイヤウニ願ヒマス

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• 125・淺沼稻次郎

  ○淺沼委員　限ラレタル資材ヲ以テ多クノ
  魚獲ヲ擧ゲル爲ニ、遠洋漁業カラ手ヲ着ケ
  ル、斯ウ云フコトヲ言ハレルノデアリマス
  ガ、今ハ作戰進行中デアリマス、作戰進行
  中ト遠洋漁業ノ關係ヲ考ヘテ見マスナラバ、
  多クヲ申上ゲナクテモ御了解ガ行クト思フ
  ノデアリマス、隨テ斯カル際ニ於キマシテ
  ハ、ヤハリ少キ資材ヲ以テ間ニ合ハセルト
  致シマシテモ、沿岸漁業ノ助成ヲヤラナケ
  レバ魚ハ手ニ入ラヌト云フ結果ニナリハシ
  ナイカト思フノデアリマス、自然沿岸漁業
  ノ點ニ付キマシテ之ヲヤハリ統制助成シテ
  行クコトガ現下直面セル問題デハナカラウ
  カト思フノデアリマス、繰返シテ申上ゲマ
  スガ遠洋漁業ニ依リマシテ少キ資材ヲ以テ
  多クノ魚獲ヲ得ル、併シナガラ遠洋漁業ト
  云フモノハ、現在作戰進行中ニ於キマシテ
  ドノ程度ニヤレルカト云フコトニ付キマシ
  テハ、自ラ議論ノ餘地ガアラウト思フノデ
  アリマス、隨テ近海カラノ魚獲物ヲ增加セ
  シムルヤウニシテヤルコトガ必要ト思ヒマ
  ス、今魚ノ問題ガ窮屈ニナツテ來テ居リマ
  スケレドモ、是ハ農林省ガ遠洋漁業ニ中心
  ヲ置イテ、近海漁業ヲ割合ニ輕視シタコト
  ガ一ツ今ニナツテ現ハレテ來テ居リハセヌ
  カト考ヘルノデアリマス、隨テモウ一度近
  海漁業ノコトニ付テ大臣ノ答辯ヲ承リタイ
  ト思ヒマス

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• 126・井野碩哉

  ○井野國務大臣　農林省ト致シマシテハ、
  從來カラモ遠洋漁業ノ奬勵ヨリハ寧ロ近海
  漁業ノ奬勵ノ點ニ種々ノ考慮ヲ致シテ居リ
  マス、隨テ現在モ沿岸漁業ニ付キマシテハ
  其ノ重要性ヲ十分認メ、現在存在シテ居リ
  マス漁業組合其ノ他ノ制度ノ活用ヲ圖ツテ
  居リマス、之ヲ如何ニ統制スルカト云フコ
  トニナリマスト、沿岸漁業ノ方ハ現在色々
  ノ沿革ガアリマシテ、商人ノ介在シテ居ル
  所モアリ、又其ノ他色々ノ施設ガアリマシ
  テ急激ナル變革ヲ與ヘマスコトハ却テ漁
  業、集荷ノ上ニ於テ弊害ガアリマスノデ、ソ
  レ等ヲ勘案シテ適當ニ善處致シテ居ルノデ
  アリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=126

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• 127・淺沼稻次郎

  ○淺沼委員　ソコデ其ノ次ニハ魚ノ配給統
  制ノコトニ付テ少シク伺ツテ見タイト思フ
  ノデアリマス、政府ハ曩ニ魚ノ配給統制ニ
  關シマシテ、國家總動員法ニ基ク生活必需
  物資統制令ガ發布セラレマシテカラ、ソレ
  ニ基イテ鮮魚介ニ對シマシテ鮮魚介配給統
  制規則ナルモノヲ制定シテ之ヲ發布サレマ
  シテ、ソレニ依ツテ計畫的出荷ト計畫的配
  給ヲヤツテ居ラレルノデアリマス、此ノ點
  ハ今マデ一ツモ計畫性ノナカツタ此ノモノ
  ニ對シテ計畫ヲ與ヘタト云フコトハ非常ニ
  結構ダト思フノデアリマスガ、是ニハ少シ
  拔ケ道ガアラウト思フノデアリマス、政府
  ニ於キマシテハ陸揚地ヲ指定シテ居リマス、
  併シナガラ全部ノ漁港ガ指定サレテ居ル譯
  デハアリマセヌ、更ニ消費地域ヲ指定シテ
  居リマス、併シ全部ガ消費地域トシテ指定
  サレテ居ル譯デハナイノデアリマス、雨ノ
  加ヘマシテ五貫目マデハ直接買ヒニ行ツテ
  モ宜イト云フ拔ケ穴ヲ拵ヘテ居ルノデアリ
  マス、是ガ魚ヲ餘所ニ不生產的方面ニ逃ガ
  シテ行ク、闇ニ逃スヤウナ傾向ニナツテ居
  リハシナイカト思フノデアリマスガ、少クト
  モ五貫目マデノ現地買付ト云ツタヤウナコ
  ト、更ニ指定漁港以前ニ魚ガ逃ゲテ行クヤウ
  ニナツテ居ルコト、又生產地ニ於キマシテモ、
  生產者ガ十貫目マデハ自由販賣ガ出來ルト
  云フコトニナツテ、居ルコトガ、魚ガ統制外ニ逃
  ゲテ行クノデアリマシテ、大體此ノヤウナ逃
  道ヲ辿ツテ參リマスト、魚ノ必要ナ部面ニ集
  ツテ來ナイデ、闇カラ闇ヲ縫ツテ、生產擴
  充ノ部面ニ働イテ居ル人達ノ方ニ流レテ來
  ナイデ、非生產的ナ方面ニ魚ガ逃ゲテ行ク
  ト云フヤウナコトニナリハシナイカト思フ
  ノデアリマス、隨テ政府ニ於カレマシテハ
  此ノ際配給統制規約ヲ改正致シマシテ、モ
  ツト出荷及ビ配給ニ關シテ統制ヲ强化スル
  御考ヘヲ持ツテ居ラナイカ、少クトモ陸揚
  地ヲ更ニ指定スルトカ、或ハ五貫目マデノ
  直接買付ハ之ヲ許サナイ、十貫目マデノ現
  地生產者ノ販賣モ之ヲ許サナイ、全部出荷
  統制組合ヲ通ジテヤルト云フ御考ヘヲ持タ
  ナイノデアリマセウカ、此ノ點ニ付テ伺ヒ
  タイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=127

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• 128・井野碩哉

  ○井野國務大臣　水產物ノ配給統制ニ關シ
  マシテハ、今御述べノ通リ、總動員法ニ基ク
  規則ニ依リマシテ統制ヲ致シタノデアリマ
  ス、陸揚地ノ問題等モ十分其ノ際檢討致シ
  マシテ、大體百數十箇所ノ現在指定シテ居
  リマス陸揚地ヲ以テシマスレバ大體宜イ
  ト云フ見透シヲ持ツテ居リマスシ、又例外
  的ノ規定ニ付キマシテモ、今御述べノ通リ
  ノモノハ適當デアラウト考ヘテ規定ヲ致シ
  タノデアリマス、大體物ノ配給ノ統制ニ於
  キマシテハ、固ヨリ統制ヲキツチリ作リ上
  ゲルト云フコトハ必要デアリマスケレド
  モ、併シ餘リニ嚴ニ過ギマスト、却ツテ物
  ノ動カヌ場合モアルノデアリマス、ソコハ
  多少緩急宜シキヲ得マセヌト、物ト云フモ
  ノハ却テ流レヌト云フ點ガアルノデアリマ
  スカラ、五貫目ノ例外モ認メタノデアリマ
  スケレドモ、併シソレガ根本ヲ覆ヘスヤウ
  ナ弊害ガアルト云フコトデアリマスレバ、
  是ハ又考ヘナケレバナリマセヌ、其ノ點ハ
  十分ニ能ク調ベマシテ、必要ガアレバ、規
  則ノ改正ハ少シモ躊躇シテ居ルノデハナイ
  デアリマシテ、惡イ所ハ直シテ參リマスケ
  レドモ、今マデハ別段ソレニ付テノ多クノ
  弊害ヲ考ヘテ居ラナカツタノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=128

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• 129・淺沼稻次郎

  ○淺沼委員　弊害ヲ考ヘテ居ラヌヤウデア
  リマスルガ、過日新聞ニ現ハレマシタ東京
  ニ於ケル大料理店ガ、統制價格違反デ可ナ
  リ罰金ヲ取ラレタ事實ヲ御存ジダラウト思
  フノデアリマス、其ノ魚ガドウ云フ工合ニ
  集ツテ來ルカト云フコトハ、魚ヲ扱ツテ居
  リマス農林當局ニ於テハ當然知ツテ居ル筈
  ダト私ハ思フノデアリマス、又東京市ヲ中
  心ト致シマシテ、現地買付ノ人ガドウ云フ
  具合ニヤツテ居ルカト云フコトハ、私ハ此
  ノ席上ニ於テ申上ゲル考ヘハゴザイマセヌ
  ケレドモ、要スルニ闇カラ闇ヲ縫ツテ公定
  違反ノ爲ニ業者ガ捕マツテ居ルト云フ事實
  ハ弊害ガアル證據ダト思フノデアリマス、
  大臣ハ今弊害ガナイト斯ウ言ハレマシタケ
  レドモ、現ニ弊害ガアツテ一万圓、二万圓
  ニ相當スル罰金ヲ取ラレテ居ルト云フ事實
  ガアルノデアリマス、ソレハ魚ガドウ云フ
  風ニ集ツタカト申シマスナラバ、中央市場
  ヲ通シタ魚デハアリマセヌ、現地買付ノ點
  ニ原因ガアツタト考へラレルノデアリマス、
  隨テサウ云フ點ニ於テ弊害ガアルノデアリ
  マシテ、是ハ〓品局長ハ能ク御存ジデアル
  ト思フノデアリマス、隨テ大體五貫目ノ問
  題ニ付テハ弊害ガナイノデハナク、弊害ハ
  現ニアルノデアリマスカラ、ヤラナイト云
  フ言明ヲ得ラレマスナラバ幸ヒデアルト思
  ヒマス、最近神奈川縣ノ三崎ヲ中心トシテ
  現地買出シノ人ガ買出シニ參ツタ時ニ、三
  崎警察署ノ執ツタ態度ヲ御調査ニナレバ分
  ル筈デアリマス、隨テ弊害ハアルノデアリ
  マスカラ、之ヲ廢スルト云フ御言明ガ得ラ
  レマスナラバ幸ヒデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=129

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• 130・井野碩哉

  ○井野國務大臣　規則ガ出來テ居リマシテ、
  ソレヲ潛ツテ違反ヲスルト云フコトハソ
  レハ規則ノ上ノ弊害デアルト云フ譯ニハ行
  カヌト思ヒマス、結局五貫目ト云フコトヲ
  許シテアル場合ニ、五貫目ノモノヲ買ヒニ
  行クナラバ犯罪ハ起ラナイ譯デアリマス、
  ソコニ尙ホ違ツタ行キ方ヲスルカラ犯罪ガ
  起ルノデアリマス、犯罪ヲ以テ弊害ナリト
  申上ゲタナラバ凡ユルモノニ弊害ガアル譯
  デアリマスケレドモ、サウ云フ點ハ五貫目
  ノ例外ガアルカラ色々ナ犯罪ガ誘發シ易イ
  ト云フコトデアリマスナラバ、ソレハ又吾
  吾トシテモ考ヘナケレバナラヌト云フコト
  ヲ申上ゲテ宜カラウト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=130

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• 131・淺沼稻次郎

  ○淺沼委員　私ハ必ズシモ五貫目ヲ許シテ
  居ルコトガ弊害ヲ生ムノデアツテ、犯罪ヲ
  以テ弊害ト申上ゲタ譯デハナイノデアリマ
  ス、大臣ガ申サレタ通リ誘發スル憂ヒガア
  ル、而モ五貫目ヲ限度トシテハ闇相場ガ非
  常ニ橫行シテ居ル形ニナツテ居リ、現ニ犯
  罪ヲ構成スルマデニ至ツテ居ルカラ弊害ガ
  アルデハナイカト云フコトヲ申シテ居ルノ
  デアリマスカラ、其ノ點御諒承ヲ願ツテ、
  出來マスナラバ早ク之ニ付テハ手ヲ着ケテ
  御改正ヲ願ヒタイト思フノデアリマス、同
  時ニ生產者ガ十貫目マデ自由販賣ガ出來ル
  ト云フ制度ニ付テモ、相當考ヘル餘地ガア
  ルト思フノデアリマス、現ニ出荷統制組合
  ナドノ話ヲ伺ヒマスト、サウ云フ方面ノコ
  トハ成ベク早ク止メルヤウニシテ貰ヒタイ
  ト言ツテ居ル、ソレカラモウ一ツハ五「ト
  ン」以下ノ船モ統制外ニナツテ居ルノデア
  リマス、之ニ付キマシテモヤハリ私ハ統制
  ヲ强化シテ行ク必要ガアルト思フノデアリ
  マシテ、今申上ゲタヤウナ弊害ノ點ニ付キ
  マシテハ篤ト御考慮ニナツテ、一日モ早ク
  弊害ヲ除クヤウニシテ戴キタイノデアリマ
  ス
  次ニハ中央市場ニ關スル事項デアリマス
  ガ、中央市場ノ機構ニ關聯シテ此ノ法案ニ
  付テ御伺ヒシタイト思ヒマスガ、法案ニ依
  リマスト、米麥ヲ中心トシテ〓糧營團ハ之
  ヲ管理スルコトニナツテ居ルノデアリマス、
  今マデノ質疑應答ニ依ツテ御伺ヒシテ見マ
  スト、馬鈴薯竝ニ甘藷ハ此ノ中ニ入ルト云
  フコトニナツテ居ルノデアリマスガ、ソレ
  以外ニ於キマシテハ生鮮〓料品ノ如キモノ
  ハ全然除外サレルト云フコトニナルノデア
  リマセウカ、更ニ現在中央市場ヲ通ジテ入
  ツテ來テ居リマス所ノ鹽干魚類、斯ウ云フモ
  ノハ一體是ノ對象ニナラナイノデアリマセ
  ウカ、第二條ニ依リマスレバ「其ノ他勅令
  ヲ以テ定ムル食糧ヲ謂フ」ト規定シテ居リ
  マシテ、第七條ニ參リマスト「政府ハ必要
  アリト認ムルトキハ主要食糧ノ貯藏、交
  換加工又ハ製造ヲ爲スコトヲ得」斯ウ云
  フ規定ガアルノデアリマス、此ノ主要食糧
  ノ中ニハ主要食糧デナク副食物デアルカモ
  知レマセヌガ、貯藏ノ上ニ必要デアルト思
  ハレマス所ノ鹽干魚デアルトカ、玉葱デア
  ルトカ、鰹節デアルトカ、斯ウ云フモノモ
  其ノ對象トシテ考ヘラレルヤウナ氣ガスル
  ノデアリマスガ、是ハ全然除外サレルノデ
  アリマセウカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=131

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• 132・湯河元威

  ○湯河政府委員　只今ノ點ハ度々繰返シテ
  申上ゲテ居ル所デアリマスガ、本案ノ第二
  條ニゴザイマス主要食糧ハ是ハ勅令案ノ要
  綱ニ御示シシタ範圍ニナツテ居リマス、ソ
  カラ法律ノ第七條ノ政府ノ扱ヒマス加
  エ、製造、貯藏等ノ主要食糧、是ハ第二條
  ノ主要食糧ヲ言フノデアリマシテ、只今御
  指摘ノヤウナ甘藷、馬鈴薯以外ノ靑果物ハ此
  ノ中ニ入ツテ居リマセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=132

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• 133・淺沼稻次郎

  ○淺沼委員　サウ致シマスト、營團ノ出來
  ルコトニ依ツテ中央市場トノ關係ハ何等其
  ノ業務上ニ於テ或ハ施設上ニ於テ關係ヲ持
  ツコトハナイト承ツテ置イテ宜シイデアリ
  マセウカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=133

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• 134・湯河元威

  ○湯河政府委員　原則トシテ何モゴザイマ
  セヌ、唯甘藷、馬鈴薯ノ扱ヒヲ政府或ハ營團
  デ致スコトニナリマスト、ソコニ若干ノ關
  係ガ生ズルカト思ヒマス、機構上ニハ關係
  ガゴザイマセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=134

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• 135・淺沼稻次郎

  ○淺沼委員　ソコデ伺ヒタイノデアリマス
  ガ、中央市場ト云フモノハ自由主義經濟ニ
  基キマシテ、生產ト消費ノ中間ニ立ツテ糶
  ニ依ツテ價格ノ決定ヲシテ參ツタノデアリ
  マシ、然ルニ是ガ統制經濟ニ入ツタ後ニ於
  キマシテ、而モ出荷ノ統制、配給ノ統制、
  價格ノ統制ガ行ハレタ場合ニ於キマシテ、
  中央市場ノ一ツノ機能ト云フモノハ現在ニ
  於キマシテハ、成立シタ當初ト現在ニ於キ
  マスル機能ノ關係ニ於キマシテハ、自然ナク
  ナツテ居ル形ニナラウト思フノデアリマス、
  隨テ中央市場ヲ含ム配給關係全體ニ付テ
  ハ一ツノ何等カノ新タナル考慮ガアツテ
  然ルベシト私ハ思フノデアリマスルガ、ソ
  レニ對シテ政府ハドウ云フヤウナ御考ヘヲ
  持ツテ居ルノデアリマセウカ、現ニ新聞ノ
  報ズル所ニ依リマスト、食品局長ガ中心ト
  ナリマシテ、警視廳、東京府、神奈川縣、
  或ハ千葉縣、更ニ東京市ノ代表學者等ヲ加
  ヘイ、配給機構ニ關スル特別ナル〓究ヲ進
  メテ居ルヤウナコトガ新聞ニ載ツテ居リマ
  シタガ、如何ナル方途ニ依ツテ配給ノ點ニ
  付テハ御考ヘヲ持ツテ居ラレルカ御聽キガ
  出來レバ幸ヒデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=135

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• 136・井野碩哉

  ○井野國務大臣　中央卸賣市場ニ對シマス
  ル政府ノ方針ト致シマシテハ、現在生鮮〓
  料品ニ付キマシテハヤハリ此ノ機構ヲ利用
  シテ參リタイト考ヘテ居リマス、卽チ中央
  卸賣市場ハ從來價格形成ノ作用ヲ持ツテ居
  リマシタガ、又分荷ノ作用モ持ツテ居ルノ
  デアリマス、今日集荷シテ參リマシタモノ
  ヲ各消費者ニ配給スルト云フ中間ニ立チマ
  シテ、ヤハリ中央卸賣市場トシテハ相當大
  ナル色々ノ機能ヲ發揮シテ居リマスカラ、
  是ハ支持シテ行ク積リデアリマス、唯其ノ
  機構等ニ付キマシテハ、現在ノ狀態ニ更ニ
  改善ヲ加ヘテ參リタイト考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=136

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• 137・淺沼稻次郎

  ○淺沼委員　中央市場ニ付キマシテハ過日
  來中央市場ノ機構ノ改革ガ行ハレマシテ、
  仲買人ガ廢サレマシタ、其ノ代リ特設市場
  ナルモノガ設ケラレタノデアリマス、特設
  市場ハ大體ニ於テ業務用ニ必要ナル魚ヲ扱
  ツテ居ルノデアリマスルガ、此ノ構成ヲ考
  ヘテ見マスルト、仲買人ヲ廢シナガラ仲買
  人ヲ存置シタ形ニナツテ、新タニ卸賣會社
  ノ中ニ、中間組織ガ出來タト云フ形ニナツテ
  居ラウト思フノデアリマス、形カラ申上ゲ
  マスルナラバ特設市場ヲ設ケルヤウナコ
  トデアリマスレバ、仲買人ヲ廢サナクテモ
  宜カツタノデハナカラウカト云フ逆說モ成
  立ツノデアリマシテ、私ハ必ズシモ仲買人
  ヲ廢止スルコトガ惡イト云フ考ヘハ毛頭持
  ツテ居ラナイノデアリマシテ、要スルニ凡
  ユル產業ノ部面ニ於テ遊休勞務ヲ動員シテ
  軍需產業ノ方ニ持ツテ行クト云フヤウナ考
  ヘカラ致シマシテ、商取引ノ部面ニ於テ成
  ベク簡略ナル機構シテ行クト云フコトニ付
  キマシテハ是ハ能ク分ルノデアリマス、併
  シナガラ出來上ツタ特設市場ヲ考ヘテ見マ
  スト、會社ニ於テ-今ハ配給統制協會デ
  アリマスルカ、ソコデ手數料ヲ取ル、更ニ
  ソレト同樣ニ特設市場ニ於テモ手數料ヲ五
  分以內ニ於テ取ル、サウスルト結果カラ申
  上ゲマスルナラバ、仲買人ガ存置サレタト
  同ジヤウナ形デアリマス、而モ之ニ使ハレ
  テ居ル人達ト云フモノノ多クハ、廢業セン
  トスル仲買人ガ之ニ吸收サレテ居ルト云フ
  形ニナツテ居リマシテ、此ノ點ニ付キマシ
  テハ機構ノ改革ハ行ハレマシタケレドモ、
  私共ニハ特設市場ヲ設ケラレタ點ノ納得ガ
  行カナイノデアリマス、特設市場ニ於キマ
  シテハ業務用ト致シマシテ軍關係、或ハ工
  場關係、更ニ一般料理屋ト申シマスルカ、
  業務用ノ中ニハ料理屋用ノモノガ入ツテ居
  ルト思フノデアリマスルガ、而モ家庭用ト業
  務用トニ配分サレル率ト云フモノガ、私ハ
  必ズシモ公平デアラウトハ思ハナイノデ
  アリマス、少クトモ魚ノ如キ榮養物ヲ配
  給スル場合ニ於キマシテハ重點主義ガ
  採用サレテ然ルベキ筈ダト思フノデアリ
  マシテ、其ノ點ニ付キマシテハ、米ノ點ニ
  於テハ重點主義ガ採用サレテ、配給ノ面ニ
  於キマシテハ色々窮屈ニナツテ居リマスケ
  レドモ、配給ヲ致シマス場合ニ於テ、受ケ
  ル方カラ申シマスナラバ、必ズ品物ガ來ル
  ノデアリマスシ、更ニ生產力擴充方面ニ働
  イテ居ル人達ニハ餘計來ルノデアリマスカ
  ラ、此ノ點ニ於テハ安心ヲシテ居ラレル譯
  デアリマス、併シナガラ魚ノ關係ニ於キマ
  シテハ、之ヲ家庭用ト業務用トニ分ケタ結
  果ト云フモノハ、業務用ニ餘計流レテ家庭
  用ニ少クナリ、業務用モ殊ニ不生產的部面
  ニ流レテ居ルト云フ傾向ガアリハシナイカ
  ト云フコトヲ考ヘルノデアリマス、此ノ特
  設市場ニ對スル考ヘ方ニ付テ農林省トシテ
  ハ如何樣ナル考ヘヲ持ツテ設定サレタノ
  カ、此ノ際承リタイト思フノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=137

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• 138・井野碩哉

  ○井野國務大臣　仲買人ノ制度ヲ廢シマシ
  タ問題ハ色々ノ理由カラ生ジタノデアリマ
  シテ、單ナル今御述べノ特設市場設置ノ問
  題トハ別デアリマス、特設設備ヲ設ケマシ
  タノハ、業務用ノ配給ノ爲ニ一般家庭トハ
  違ツテ特殊ノ色々ノ技能ヲ要スルノデアリ
  マス、隨テ其ノ配給ノ分荷ニ當リマシテ、
  市場自ラガ之ニ當ルヨリハ從來ノ仲買人ノ
  中ノ經驗者ヲ以テ特設ノモノヲ組織シテ、
  サウシテ、業務用ノ配給ノ適正ヲ期スルト云
  フ爲ニ設ケタノデアリマスカラ、全ク仲買
  人制度ノ廢止トハ別デアリマス、又業務用
  ト家庭用トノ割合ニ付キマシテハ、現在ニ
  於キマシテモ家庭用ノ方ヲ重點的ニ考ヘテ
  居リマス、業務用ノ中ニモ勿論病院ヤ或ハ
  軍需用色々アリマスカラ、サウ云フ方面ニ
  ハ相當ニ割當テテ居リマスケレドモ、-般
  ノ奢侈用、業務用ノモノハ相當ノ規正ヲ致
  シテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=138

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• 139・淺沼稻次郎

  ○淺沼委員　仲買人ノ廢止ト特設市場トハ
  是ハ關係ガアルトハ私モ考ヘテ居マセヌ、
  仲買人制度ガ廢止セラレテ特設市場ガ設ケ
  ラレタト云フコトヲ私ハ申上ゲタノデアリ
  マスガ、結果カラ見レバ仲買人ヲ廢サナク
  テモ宜カツタヤウナコトニナツテ居リハシ
  ナイカト思フノデアリマス、特設市場ノ存
  在ト云フモノハ、曾テ仲買人ガヤツテ居ツ
  タコトヲ會社ガ代理ヲシテ特設市場ニ於テ
  ヤツテ居ルト云フ結果トチツトモ變ラナイ
  ノデハナイカト思ヒマス、卽チ收容サレテ
  居リマス者ハ會社ノ使用人ニハナツテ居ル
  ケレドモ、大體ニ於テ仲買人、更ニ加ヘテ
  會社側ニ於キマシテ、統制協會ニ於テ手數
  料ヲ取ツタ上ニ、特設市場デ又手數料ヲ取
  ル、サウスルトヤハリ同ジ品物ニ付テ市場
  內ニ於テ二ツノ手數料ガ取ラレルト云フ形
  ニナツテ居ルノデアリマシテ、是ハチツト
  モ變リガナイト思フノデアリマス、サウ云
  フ點ニ付キマシテハ、私ノ考ヘヲ以テ致シ
  マスルナラバ、特設市場ニ付キマシテハ相
  當考慮ノ餘地ガアラウト思フノデアリマシ
  テ、特ニ特設市場ヲ中心トシテ魚ノ配給ヲ
  ナサル場合ニ於テ、軍需ハ固ヨリ、工場關
  係ト云ツタヤウナ生產力擴充ノ爲ニ働イテ
  居リマス勞務者中心ニ行ハレル場合ニ於テ
  ハ是ハ結構デアリマスケレドモ、魚ニモ種
  類ガアツテソツチノ方ニ向カナイ、或ハ高
  過ギテ困ルト云フ魚モアルカモ知レマセヌ
  ガ、併シナガラヤハリ重點ト云フモノハ魚
  ノ配給デモサウ云フ方面ニ置カナケレバナ
  ラヌト思フノデアリマシテ、率ハ是非トモ
  公平ニサレルヤウニ、更ニ特設市場ノ存在
  ニ付キマシテハ一層ノ者慮ヲ煩シタイト思
  フノデアリマス
  其ノ次ニ農林省ニ於キマシテハ、大體此
  ノ配給機構ノ企業整備ニ付キマシテ、中央
  市場ノ機構ヲ改革スルト共ニ、小賣業者ニ
  關シマシテハ、單一商業組合ヲ結成セシメ
  マシテ、魚商業組合ガ警察ヲ中心トシテ、
  支部ヲ作ツテ、ソレデ配給ヲシテ居ルノデ
  アリマス、併シナガラ今マデノ魚直配會社
  或ハ小賣商業組合ト云フモノガ、單一商業
  組合ニ代ツタノミデアリマシテ、其ノ間ノ
  企業合同、其ノ他ニ付キマシテハ何等指示
  スル所ガナイヤウデアリマス、業者ニ於テ
  ハ町內會其ノ他隣組トノ關係ヨリ致シマシ
  テ、自主的ニ二ツアツタ店ハ一ツノ所ニ統
  合致シマシテ商賣ヲヤツテ居ル人モアルヤ
  ニ承ツテ居リマスケレドモ、マダ企業合同
  ニ關スル一ツノ方針ガ示サレテ居ラナイヤ
  ウデアリマス、隨テ小賣業者ニ對スル企業
  合同ノ方針、企業整備ノ方針ト云ヒマスカ、
  是等ニ付テ御考ヘガアレバ伺ヒタイト思フ
  ノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=139

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• 140・辻太郎

  ○辻政府委員　鮮魚ノ小賣商人ノ企業合同
  ニ關スル御尋ネデアリマスガ、御話ノ通リ
  先般中央卸賣市場ノ機構ノ整備ト相前後致
  シマシテ、從來ノ小賣業者ガ全部打ツテ一
  丸トナリマシテ、東京市全市ヲ區域ト致シ
  マス小賣商業組合ヲ結成致シマシテ、各警
  察管區每ニ支部ヲ設ケ、中央卸賣市場ノ再
  編サレタル機構ト相竝行致シマシテ、鮮魚
  ノ配給統制ノ完璧ヲ期スル目的ヲ以テ活動
  致シテ居ルノデアリマス、唯其ノ後ノ實情
  ニ鑑ミマスルト、色々入荷ノ減少ト云フ事
  態ソレカラ各小賣店ト消費者トノ結付キ
  ト云フ關係等カラ致シマシテ、色々末端ノ
  鮮魚ノ配給ニ付テモ遺憾ノ點ガアルヤウニ
  考ヘラレルノデアリマス、此ノ點ハ單ニ鮮
  魚ニ限リマセヌデ、靑果ノ方面ニ付テモ、
  或ハ其ノ他ノ生活必需物資ノ配給ニ付テモ
  同樣ナ問題ナノデゴザイマシテ、末端ノ配
  給ノ機構ヲドウ致スカト云フ點ニ付キマシ
  テハ、非常ニ複雜ナ困難ナ問題ガアルト考
  ヘルノデアリマス、ソレ〓〓東京市、大阪
  市神戶市、京都市等ノ大都市ニ於キマシ
  テハ、何レモ各府縣當局、市當局ガ中心ト
  ナリマシテ、色々具體案ヲ練ツテ居ルヤウ
  ナ次第デアリマス、ソレ〓〓各都市トモ多
  少事情ガ異リマスノデ、必ズシモ一〓ニ固
  定的ナ標準ヲ示ス譯ニモ參ラナイカト思フ
  ノデアリマスルガ、政府ト致シマシテモ各都
  市ノ具體的ノ實情ニ卽應致シマシテ、必要
  ガアレバ出來ルダケ早イ機會ニ末端配給機
  構ノ整備ニ付テノ具體的ノ方針ヲ示スコト
  ヲ致シタイト考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=140

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• 141・淺沼稻次郎

  ○淺沼委員　マダ具體案ガ出來テ居ラナイ
  サウデアリマスカラ、是以上申上ゲテモ議
  論ニナルダケノ話デアリマシテ、或ハ意義
  ガナイカト思フノデアリマスルガ、私ハ少
  シ遲過ギル憾ミナキニシモアラズト云フ感
  ジヲ持ツノデアリマス、實際カラ申シマシ
  テ、物ヲ配給サレル場合ニ於テ、餘リ好マ
  シカラザル狀態ガ演ゼラレテ居ルノハ、農
  林省關係ノ物ガ多イト云フコトハヽ是ハ事
  實ダト思フノデアリマス、菓子ニ致シマシ
  テモ、魚ニ致シマシテモ、更ニ其ノ他ノ生
  活必需品的ナモノニ致シマシテモ、乾物屋
  等ニ於ケル狀態ニ致シマシテモ、大體農林
  省關係ノモノガ好マシカラザル狀態ニ置カ
  レテ居ルト云フコトハ事實ダラウト思フノ
  デアリマス、私共國民ノ立場カラ考ヘマス
  ルト、アア云フヤウナ好マシカラザル狀態
  ハ一日モ早ク解消ヲシテ貰ヒタイト云フ希
  望ヲ持ツノデアリマス、ソレニモ拘ラズマ
  ダ案ガ出來テ居ラヌト云フコトハ、甚ダ私
  ハ此ノ點遺憾ニ考ヘルノデアリマス、現
  ニ隣組及ビ町内會ヲ通ジテ魚ノ末端配給ニ
  登錄制ガ採用サレテ居リマスガ、此ノ登錄
  制ニ付キマシテモ、魚商ニ依リマシテ、百
  名、二百名、三百名ト云フヤウニ、非常ニ
  少イ部面モアリマスシ、多イ所ニナリマス
  ト、一千二百軒カラ一千五百軒位ノモノガ
  アルノデアリマス、大體東京市ダケノ現實
  ヲ申シマシテモ、百、二百、三百マデノ者
  デ登錄サレテ居ル業者ガ約三千、多イ所デ
  一千二百、或ハ一千五百ト云フモノガ業者
  中二千バカリヲ數ヘテ居ルヤウニ私共承ツ
  テ居ルノデアリマス、是ガ完全ニ隣組ト結
  付キ、或ハ町內會ト結付イテ居リマスルナ
  ラバ、此ノ登錄制ト云フモノハ私ハ宜イト
  思フノデアリマスガ、昔ノ情實、昔ノ得意
  關係ニ依ツテ結バレテ居ルト思フノデアリ
  マス、隨テ隣組トハ離レタ形ニ於テ登錄制
  ト云フモノハナサレテ居リマスカラ、此ノ
  點ニ非常ナ缺點ガアリハシナイカト云フコ
  トヲ考ヘルノデアリマス、假ニ米ニ付テ考
  ヘテ見マスナラバ、一町內ニハ配給所ガ大
  體一ツ若シク二ツデアリマシテ、ソレヲ中
  心トシテ配給サレテ居ル狀態ハ非常ニヨク
  行ツテ居ルノデアリマス、併シナガラ魚ニ
  ナリマスト、是ガヨク行カナイ、米ガヨク
  行ツテ魚ガヨク行カヌ筈ハナイト思フノデ
  アリマシテ、其ノ點ニ付テハ篤ト御考慮願
  ヒタイト思フノデアリマス、委員長ニ私要
  求ヲシテ置クノデアリマスガ、此ノコトニ
  關聯ヲ致シマシテハ、內務次官若シクハ地
  方局長ノ御出席ヲ私ハ要求シテ居ルノデア
  リマシテ、町內會、隣組ノ整備ト末端配給
  登錄制等ニ關シマシテハ、內務省ノ意見モ
  承ラナケレバイカヌト思フノデアリマシテ、
  是非內務省ノ方ガオイデニナルヤウ願ヒタ
  イト思ヒマス、若シ今日イカヌト云フコト
  ニナリマスナラバ、此フ點ハ留保サセテ戴
  キマシテ、明日デモ聽カシテ戴キタイト思
  フノデアリマス、モウ一遍念ノ爲メ伺ヒマ
  スルガ、農林省ニ於キマシテハマダ案ガナ
  イト云フ程度ノモノデアツテ、末端配給ヲ
  ドウスルカ、或ハ登錄制ヲドウスルカ、或ハ
  配給所ヲドウ云フ工合ニ設ケルカト云フコ
  トニ付テ、成案ハナイノデセウカ、考ヘヤ
  ウニ依リマスト、私ハ、一ツノ綜合配給所
  ト云フヤウナモノヲ副食物ニ對シテ設ケマ
  シテ、ソレヲ中心トシテヤルト云ツタヤウ
  ナ案モ考ヘラレルノデハナカラウカ、又反
  面ニ於キマシテハ、消費者ノ組織ヲ作ツテ、
  假ニ隣組カラ代表ガ出テ買ヒニ行クト云フ
  ヤウナ形ヲ取ツテ、共同購入ノ形ガ出來マス
  レバ、今アリマスルヤウナ好マシカラザル
  狀態ト云フモノハ解消スルノヂヤナイカト
  思フノデアリマス、サウ云フ點ニ付テ、マ
  ダ案ガナイト云フ以外ニハ申サレヌノカ
  モウ一遍念ノ爲ニ伺ヒタイト思ヒマス

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• 142・井野碩哉

  ○井野國務大臣　只今淺沼委員ハ、世間ニ
  於ケル色々ナ不都合ナ點ガ農林省ノ問題ニ
  限ラレテ居ルヤウニ御話ニナリマシタガ、
  農林省ハ〓糧問題ヲ全部御取扱ヒ致シテ居
  ルノデアリマスカラ、食糧ニ關スル責任ハ
  無論農林省ニアリマス、併シ配給機構ニ付
  キマシテハ、御承知ノ通リ昨年ノ春カラ農
  林省ノ所管ニナツタノデアリマス、而モ非
  常ニ物ガ不足ニナツテ來テ、公正ナル分配
  ヲスル爲ニ、或ハ切符制度、或ハ通帳制度
  ト云フモノヲ採ラナケレバナラヌ、ソレニ
  ハ配給機構ノ整備ヲシナケレバナラスト云
  フノデ、先ヅ米屋ノ配給機構ノ整備ヲ致ス、
  東京等ニ於テハ一万軒モアツタ米屋ヲ千數
  十軒ニシテ、而モ尙ホ適正ナル配給ヲ致シテ
  居ルト云フヤウナ次第デアリマシテ、扱ツテ
  居ル物資ハ、菓子モアリ、味噌モアリ豆
  腐モアリ、魚モアリ、野菜モアルト云フ狀態
  デアリマスカラ、此ノ一年ノ間食品局ハ全
  ク不眠不休デ色々ナ施設ヲシテ參ツタノデ
  アリマス、デアリマスカラ、直グサウ云フ
  モノガ出來ナイカラ怪シカラヌト云フコト
  ヲ言ハレマシテモ、中々是ハ難カシイ問題
  デアリマスガ、魚ニ付テハ今折角食品局デ案
  ヲ練ツテ居ルノデアリマス、隨テソレ等ノ
  點ハヨリ一ツ役所ノ方ノ立場モ御考へ下サ
  イマシテ、餘リ御不平ノナイヤウニ御願ヒ
  シタイト思ヒマス

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• 143・淺沼稻次郎

  ○淺沼委員　私ハ何モ農林省ノヤリ方ガ惡
  イト申上ゲタノデハナイノデアリマス、偶、〓
  好マシカラザル狀態ニ置カレテ居ルモノガ
  農林省デ扱ツテ居ルモノデアルト云フコト
  ヲ申上ゲテ居ルノデアリマシテ、其ノ點ハ
  必ズシモ農林省ノヤリ方ガ惡イト云ツテ攻
  擊ヲシテ居ルノデハナイノデアリマス、農
  林省ノ食品局ガ中心ニナリマシテ此ノ生活
  必需品ノ問題ニ付テソレ〓〓苦勞ヲサレテ
  居リマス、此ノ苦勞ノ點ニ付キマシテハ能
  ク存ジテ居ルノデアリマシテ、唯扱ツテ居
  リマス物ガ農林省關係ノモノガ多イ、ソコ
  ガ少シ······ト云フヤウナ議論ガアリマスカ
  ラ、其ノ通リニ申上ゲタノデアリマシテ、
  其ノ點ハ決シテ責メタノデハナイノデアリ
  マスカラ御諒承ヲ願ヒタイト思フノデアリ
  マス、況シテ不平ノ如キモノヲ私申上ゲル
  ノデハナイノデアリマシテ、其ノ點ハ、ヤハ
  リ早クヤツタ方ガ宜イノデハナカラウカト云
  フ考ヘガ强ク響クノデアリマシテ、其ノ督促
  ノ意味デ申上ゲタノデアリマスカラ、此ノ點モ
  一ツ御諒承ヲ願ヒタイト思フノデアリマス
  次ニ御伺ヒシテ置キタイト思ヒマスル
  コトハ、是ハ現實ノ問題デアリマスルガ、
  此ノ間鰛ノ漁ニ對シマシテ油ノ特配ヲヤ
  ラレマシテ、非常ニ效果ガ擧ツテ居ル
  ト思フノデアリマス、丁度今漁期デアリマ
  シテ、此ノ際鯖或ハ其ノ他ノモノニ付キマ
  シテモ特配ヲヤラレマスルナラバ相當漁ガア
  ルノデハナイカト云フコトヲ考ヘルノデア
  リマス、而モサウ云フ意味合カラ致シマシ
  テ、豫算ノ計畫ノ中ニモ油ノ特配等ヲ考ヘ
  テ居ルヤウデアリマスガ、現實今獲レル物
  ニ對シテハ特別ノ配給ヲ考慮スル、而モ其
  ノ油ノ關係ノ割當ト云フモノガ縣々ヲ通ジ
  テ行ハレテ居ルヤウデアリマスガ、是モ私
  ハ政府ノヤリ方トシテハ當然デアルト思フ
  ノデアリマス、併シナガラ縣ニ所屬シテ居
  リマスル船ニ致シマシテモ、三崎ヲ中心ト
  シ、或ハ浦賀ヲ中心トシテ、土佐ノ船ガ動
  キ、或ハ宮城ノ船ガ動キ、福島ノ船ガ動イ
  テ居ル譯デアリマスカラ、サウ云フ所デ品
  物ヲ出スコト、出荷スルコトト「リンク」ヲシ
  テ油ヲ出スト云フヤリ方ヲ致シマスルナラ
  バ、都會地ニハ割合ニ集マツテ來ルノデハ
  ナカラウカト云フ考ヘヲ持ツテ居ルノデア
  リマス、一ツ此ノ際割合ニ近海デ獲レルモ
  ノニ對シテ油ノ特配ヲヤル御考ヘハナイ
  カ、承ツテ置キタイト思ヒマス

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• 144・井野碩哉

  ○井野國務大臣　現在ノ水產事情カラ見マ
  シテ、油ガ或ル程度特配出來マスレバ相當
  ノ漁獲ヲ擧ゲ得ル狀態デアリマスノデ、是
  ハ海軍等ノ非常ナ御盡力ニ依リマシテ最近
  特配ヲ致シマシタ、而モソレハ重點的ナ特
  配ヲ致シマシテ、或ル限ツタ漁業ニ付キマ
  シテ所謂「リンク」的ナ配給ヲ致シタノデア
  リマス、此ノ點モ油ノ事情ガ更ニ改善サレテ
  參リマスレバモツトヤリタイト云フヤウナ
  意味デ、今御說ノヤウナコトヲヤツテ居ル
  譯デアリマスカラ、左樣御諒承ヲ願ヒタイ
  ト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=144

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• 145・淺沼稻次郎

  ○淺沼委員　今大臣ノ言ハレタコトハ鰮ニ
  對スル特配デゴザイマセウカ、ソレ以外ニ
  現在鯖、鬢長ト云ヒマスカ、サウ云フモノ
  ガ獲レル時期ニ至ツテ居リマスガ、サウ云
  フモノニモ特配サレルト云フ御話デアリマ
  スカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=145

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• 146・井野碩哉

  ○井野國務大臣　鰮ノ油モ入ツテ居リマス、
  其ノ他色々ノ漁業狀態モ考ヘテ今後モ適當
  ナ特配ヲヤリタイト考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=146

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• 147・淺沼稻次郎

  ○淺沼委員　鰮ノコトハ私モ非常ニ效果ガ
  擧ツテ居ルト云フコトヲ申シタノデアリマ
  シテ、現在鰮カラ鯖、鬢長ト云ヒマスカ、
  斯ウ云フ魚ガ獲レル時期ニ入ツテ來テ居ル
  ノデアリマシテ、斯ウ云フモノニ對シテノ
  特別ナ考慮ヲ拂ハレンコトヲ切望致シテ置
  キマス
  其ノ他ニ今中央市場ノ關係ニ付キマシテ
  ハ、大體ニ於テ中央市場ニ付テ〓糧管理法
  トノ關係ト云フモノハ、馬鈴薯、或ハ藷ガ
  中央市場ヲ通ルダケノ話ダト云フコトヲ伺
  ツタノデアリマスガ、併シ私ノ考ヘヲ以テ
  致シマスナラバ、一ツノ機能ヲ果シテ中央
  市場デアリマスカラ、中央市場カラ更ニ魚
  市場會社ト申シマスカ、卸賣會社ト申シマ
  スカ、卸賣會社其ノ他ノ小賣商人ノ末端ニ
  至ルマデ此ノ配給機構ニ付キマシテハ、當
  然何等カノ手段ガ講ゼラルベキ筈ダト思フ
  ノデアリマス、此ノ儘ニシテ唯繼合セダケ
  ヲヤルノデナクシテ、新タナル配給ノ機構
  ト云フモノガ當然考慮サレテ然ルベキモノ
  ダト思フノデアリマシテ、又之ヲ計畫サレ
  ルデアラウト思フノデアリマス、併シナガ
  ラ半面ニ於キマシテハソレヲヤルニ當リマ
  シテハ、市場ヲ開設シテ居ル所ノ開設者或
  ハソレト關係ヲ持ツテ居ルソレ〓〓ノ機關
  ノ間ニ連絡ナクシテヤリマスト、後ニ摩擦
  ヲ生ズルコトニナルト思フノデアリマシテ、
  必ズ私ハサウ云フ方向ニ移行シテ行クト思
  フノデアリマス、移行シテ行ク限リハ連絡
  ヲ緊密ニシテヤツテ戴キタイ、私ノ農林省
  ニ對スル質問ハ是デ終リマスケレドモ、更
  ニ內務省ニ對スル質問ハ內務省ノ方ガ出ラ
  レル時マデ留保致シマス

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• 148・三善信房

  ○三善委員長　淺沼君ノ內務省ニ對スル質
  問ニ對シマシテハ、今內務當局ノ方ニ請求
  致シマシタガ、明日出ルト云フコトデアリ
  マスノデ、明日ニシテ戴キタイト思ヒマス、
  其ノ點ハ留保致シマス、尙ホ明日ハ政府ノ
  方カラ祕密會ノ要求ガアリマスノデ祕密會
  ヲ開キタイト思ヒマス、時間ハ適當ナル時
  ニ開キタイト思ヒマス、祕密會ハ先般高田
  君ノ御質疑ノアリマシタ點、其ノ他ニ付キ
  マシテ特ニ要求シテ居ラレルノデアリマス
  カラ是非御出席ヲ願ヒタイト思ヒマス、明
  日ハ午前十時カラ開會致シマス、本日ハ是
  ニテ散會致シマス
  午後五時二十五分散會
  〔野溝委員發言參照〕
  適正小作料
  地主小作人
  公租公課一、肥料代
  二、一般勞働賃銀
  三、家族等同一水準勞力費
  四、農業經營費諸費
  五、公租公課
  右地主、小作人ノ支出ヲ確立支出トシテ
  全生產額ヨリコレヲ控除シソノ殘額ヲ地
  主ノ土地資本利子ト小作人ノ經營資本利
  子トヲ評價的支出トシテ比例的ニ按分ス
  ル卽チ收益按分法ニ依ル適正小作料ヲ基
  準トス
  衆議院米穀需給調節特別會計法中改
  正法律案委員會議錄第二囘中正誤
  頁段行誤正
  一二一三四食糖食糧

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00619420129&spkNum=148

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