第79回帝国議会　衆議院　米穀需給調節特別会計法中改正法律案委員会　第7号　昭和17年1月30日

1. 会議録本文

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• 000・会議録情報

  　　　　會議
  昭和十七年一月三十日（金曜日）午前十時二十分開議
  　出席委員左の如し
  　　委員長　三善信房君
  　　理事　岩瀬亮君　理事　古田喜三太君
  　　理事　濱地文平君　理事　森田重次郎君
  　　理事　森幸太郎君　理事　前川正一君
  　　理事　松本治一郎君
  　　　　石井徳久次君　　　小串清一君
  　　　　岡田喜久治君　　　川島正次郎君
  　　　　北勝太郎君　　　北原阿智之助君
  　　　　坂下仙一郎君　　　高田耘平君
  　　　　坪山徳彌君　　　東郷實君
  　　　　西川貞一君　　　服部崎市君
  　　　　松浦周太郎君　　　松田喜三郎君
  　　　　村上國吉君　　　山田六郎君
  　　　　山川頼三郎君　　　吉田賢一君
  　　　　林讓治君　　　淺沼稻次郎君
  　　　　野溝勝君　　　平野力三君
  　　　　田代正治君　　　土屋清三郎君
  　　　　冨吉榮二君
  同日委員由谷義治君辭任に付其の補闕として土屋清三郎君を議長に於て選定せり
  　出席國務大臣左の如し
  　　　農林大臣兼拓務大臣　井野碩哉君
  　出席政府委員左の如し
  　　　　　　　　内務次官　湯澤三千男君
  　　　　　内務省地方局長　成田一郎君
  　　　　　　　　農林次官　三浦一雄君
  　　　　　農林省總務局長　重政誠之君
  　　　　　農林省農政局長　岸良一君
  　　　　　農林省山林局長　井出正孝君
  　　　　　農林省水産局長　平岡梓君
  　　　　　農林省食品局長　辻謹吾君
  　　　　　農林省資材部長　岡本直人君
  　　　　　　　農林書記官　笹山茂太郎君
  　　　　　食糧管理局長官　湯河元威君
  　　　　　商工省纖維局長　梶原茂嘉君
  　　　　　　　樺太廳長官　小河正儀君
  　　　　　厚生省生活局長　川村秀文君
  　委員長の許可を得て出席したる者左の如し
  　　議員　大島寅吉君
  本日の會議に上りたる議案左の如し
  　米穀需給調節特別會計法中改正法律案（政府提出）
  　木炭需給調節特別會計据置運轉資本臨時補足に關する法律案（政府提出）
  　食糧管理法案（政府提出）

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• 001・濱地文平

  ○濱地委員長代理　是ヨリ委員會ヲ開キマ
  ス、順位ノ質問者ガ居リマセヌカラ、便宜
  坪山君ニ質問ヲ許シマス

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• 002・北勝太郎

  ○北(勝)委員　一寸議事進行ニ付テ-委
  員會モ終末ニ近イノデスガ、先日御願ヒシテ置
  キマシタ衣料切符ノ問題ニ付テ、商工省ト
  御交涉ノ上御答辯ヲ願フコトニナツテ居リ
  マシタガ、ドウカ成ベク早ク此ノ委員會中
  ニ御答辯願ヒタイト思ヒマス

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• 003・湯河元威

  ○湯河政府委員　能ク關係ノ當局ト御相談
  致シマシテ御返事申上ゲルヤウニ致シマス

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• 004・濱地文平

  ○濱地委員長代理　坪山君

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• 005・坪山徳彌

  ○坪山委員　簡單ニ御尋ネ致シタイト思ヒ
  やつ、此ノ食糧營團ガ出來マシタ結果、謂
  ハバ本法施行ノ結果失業者ガ相當出來ヨウ
  ト思ヒマスガ、其ノ率デモ結構デスガ、大
  體ドノ程度位失業スルモノデアルト云フ其
  ノ人數ノ御發表ヲ願ヒタイ、ソレカラ從來
  使用シタ工場或ハ機械機具等、是等モ相當
  整理サレル御積リデスカ、ソレ等モ相當不
  必要ナモノガアラウト思ヒマスガ、ソレ等
  ノ點ニ付テ御發表ヲ願ヒタイト思ヒマス

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• 006・湯河元威

  ○河河河府委員　食糧營團ノ成立ニ伴ヒマ
  シテ、從來ノ配給業者ニ轉失業ノ問題ガ起
  ルト云フコトハ豫想致シテ居リマスガ、之
  ニ付キマシテハ私ノ方ト致シマシテハ意識
  的ニドレダケ減ラスノダト云フヤウナ考ヘ
  デ計畫的ニヤツテ參ルト云フコトデハナク、
  實ハ此ノ一兩年既ニ各地方デソレ〓〓企業
  合同ナリ統制共販ナリガ進行シテ居リマス
  ノデ、是ハ大體吾々ノ方ト致シマシテモ地
  方廳當局ト能ク御相談ヲ致シマシテ、實情
  ニ適スルヤウニ措置ヲ執ツテ來タ積リデアリ
  マス、今後ト雖モ決シテ或ル目途ヲ立テテ
  ソコマデ整理スレバ宜イト云フ問題デナク、
  此ノ配給徑路ノ合理化ト云フコトニ付キマ
  シテハ出來ルダケヤツテ參ル積リデゴザイ
  マス、具體的ニ一々ノ場合ニソレ〓〓ノ處
  置ヲ執リマスルヤウニ、例ヘバ更生金庫ノ
  當局ト御相談致シマシタリ、或ハ農林省ノ
  方ニ於キマシテモ中小工業者ノ轉失業ノ助
  成ノ施設モ持ツテ居リマスノデ、是等ヲ十
  分活用致シマシテ、落チノナイヤウニシテ
  參リタイト考ヘテ居リマス、尙ホ一番初メ
  ニ申上ゲマシタヤウニ、此ノ營團ニ吸收サ
  レマシテ、又營團ニ依ツテ働クコトノ出來
  ル人達ノ所謂共助施設ヲ能ク指導致シマシ
  テ、此ノ營團ノ設立ノ際ニ失業狀態ニ陷ツ
  タ人達ヲ彼等自身ノ間デ共濟シ合フト云フ
  風ナ施設モ講ゼシメタイ、斯ウ考ヘテ居ル
  ノデアリマス、其ノ失業者ガドノ位現ハレ
  ルデアラウカ、或ハ設備ガドノ位過剩ニナ
  ルダラウカト云フコトハ、一寸申上ゲニク
  イノデアリマス

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• 007・坪山徳彌

  ○坪山委員　米穀ハ國營檢査ニナリマス結
  果、從來地方費ヲ以テ、例ヘバ縣費其ノ他
  手數料等ヲ以テヤツテ居リマシタガ、今度
  國營ニナリマス結果、地方費ハ餘程輕減サ
  レルモノト考ヘテ宜ウゴザイマスカ

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• 008・湯河元威

  ○湯河政府委員　其ノ點ハ吾々ノ考ヘハ、
  地方費負擔ヲ輕減サセナイ積リデゴザイマ
  ス、無論國費ヲ以チマシテ檢査職員ヲ設置
  致シマスカラ、其ノ部分ハ地方費ノ負擔ハ
  減ルコトニモナリマスガ、一方手數料ノ收
  入ヲ國ニ納メルコトニナリマスノデ、地方
  廳ト致シマシテハ其ノ點ニ於キマシテハ得
  ル所アリ失フ所アリ、斯ウ云フコトニナリ
  マス、尙ホ此ノ米麥ノ檢査ニ付キマシテパ、
  其ノ差引ニ加ヘマシテ相當ノ金額ヲ國費ヨ
  リ出ス考ヘヲ持ツテ居リマスノデ、其ノ點
  ニ付キマシテハ從來ノ檢査ノ費用ガ寧ロ「プ
  ラス」サレルコトニナリマス、ソレカラ此
  ノ間申上ゲマシタヤウニ、米麥以外ノ檢査
  ニ付キマシテハ、是ハ從來通リ地方費ニ於
  キマシテ負擔ヲ致シ、又手數料收入ハ地方
  經濟ニ收入スルト云フ考ヘヲ持ツテ居ルノ
  デゴザイマス、地方廳ニ對シマシテハ檢査
  ノ費用、檢査設備ヲ米麥ニ付キマシテハ國
  デ持チ、更ニ從來ヨリ其ノ點金額ヲ增スヤ
  ウニスルケレドモ、地方廳ニ於テ之ヲ目當
  ニシテ從來ノ地方機關ヲ減ラシテ其ノ金ヲ
  外ニ廻ハスト云フ風ナコトハ嚴ニ止メテ貰
  ヒタイ、詰リ中央地方協力シテ國家管理ヲ
  ヤツテ貰ヒタイト云フコトデ、地方廳ヲ指導
  シテ居ルヤウナ次第デアリマス

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• 009・坪山徳彌

  ○坪山委員　勿論米穀ノ檢査ニ付キマシテ
  ハ貯藏トカ、運搬、或ハ搬出、俵裝等ノ
  コトニ付テハ十分考慮ニ入レネバナリマセ
  ヌケレドモ、ドウカ非常ニ農村モ勞力ノ不
  足ヲ來シテ居ル場合デアリマスカラ、成ベ
  ク生產者ノ手數ノ掛ラヌヤウニ是非御配慮
  ヲ願ヒタイト思フノデスガ、サウ云フ點ニ
  付キマシテノ政府ノ御考ヘヲ伺ヒタイ

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• 010・湯河元威

  ○湯河政府委員　其ノ點ハ坪山サンノ御考
  ヘ御尤モダト存ズルノデアリマス、從來檢
  査ノヤリ方ガ往々ニシテ商人ノ要求等ヲ相
  當ニ考ヘマシテ、實ハ必要以上ニ手ノ込ン
  ダ部分ガアツタカト存ジマス、國家管理ニ
  ナリマシテカラ、米麥等ハ國民經濟的ニ見
  テ必要ナ性質ヲ備ヘテ居レバ宜イノデアリ
  マスカラ、サウ從來ノヤウニ喧シイコトヲ
  色々申ス必要ハナカラウト思ヒマスガ、併
  シ一方ニ於キマシテ國家管理ニナル米麥デ
  ゴザイマスカラ、必要ナ所ハ嚴重ニ檢査ス
  ル積リデゴザイマス、不必要ニ從來ノ複雜
  ナ手間ハ出來ルダケ省キタイト考ヘテ居リ
  マス、色々ノ檢査ノ規格等ハ今後中央ニ於
  キマシテ地方ヲ指導シテ、出來ルダケ改善
  シテ御趣旨ニ副フヤウニ致シタイト考ヘマ
  ス

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• 011・坪山徳彌

  ○坪山委員　過般來馬事團體ノ統合問題ニ
  付キマシテ、總動員法ニ依リマシテ馬事團
  體ガ統合セラレマシテ相當强力ナ統制ガ行
  いち其ノ爲ニ移動ト云フヤウナ問題モ統
  制サレルト思フノデアリマスガ、一方ニ於
  テハ町村農會關係デヤハリ役畜ノ移動等ニ
  付キマシテハ或ル點ノ統制ヲ行フ、一久八
  サウ云フ農會、一方ハ馬事團體、ソレガ時
  ニ依ツテ衝突ヲ來スヤウナ虞ガ實際問題ト
  シテアルノデハナイカト思ヒマスガ、サウ
  云フ點ニ付キマシテノ御考ヘハ如何デゴザ
  イマスカ

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• 012・岸田正記

  ○岸政府委員　馬事團體ノ馬ノ移動統制
  下、ソレカラ生產統制令ニ基ク農會ノ役畜
  ノ移動統制トノノ關係ハ、勿論御指摘ノヤウ
  ナ懸念ガアリマスノデ、ソレ等ニ付テハ十
  分連絡ヲ執ルヤウニ機會ヲ捉ヘテ指示シテ
  居リマス、此ノ問ノ農會ノ集リニ於キマシ
  テモ其ノ點ヲ注意シテ置キマシタ

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• 013・坪山徳彌

  ○坪山委員　次ニハ薪炭ノ問題デ御尋ネ致
  シタイト思ヒマスガ、食糧ト同樣、ヤハリ
  國民ノ生活上必要ナノハ薪炭デアリマス
  寧ロ〓糧問題ヨリモ至難ナ問題デナカラウ
  カト思ヒマス、正確ナ數字ハ或ハ御示シガ
  困難カト思ヒマスケレドモ、內地、外地ヲ
  含ンデ結構ダト思ヒマスガ、日本ニ於テ現
  在薪炭用材ハ大體ドレ位ノ材積ガアルノデ
  ゴザイマセウカ、更ニ又一箇年ドレ位ノ材
  積ヲ薪炭用材トシテ使用出來ルカ、更ニ又
  一箇年ドレ位成長スル材積ヲ持ツテ居ル
  カ、大體ノ所ヲ御示シ願ヒタイト思ヒマス

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• 014・岡本實太郎

  ○岡本政府委員　只今御尋ネノ、大體我ガ
  國ノ薪炭資源ガドレ位アルカト云フ點デア
  リマスガ、此ノ點ニ付キマシテハ外地方面ハ
  私共ニ於テ餘リ內容ヲ詳カニ致シテ居リマセ
  ヌガ、大體木炭、薪炭材等ニ最モ多ク消費
  致シ、又生產致シテ居リマスノハ、何ト申
  シマシテモ北海道ヲ含ム內地デアリマス、
  此ノ森林蓄積中ノ薪炭資源ガドノ位アルカ
  ト云フコトニ付キマシテハ、非常ニ算定ガ
  困難デアリマスガ、御承知ノヤウニ大體薪
  炭ノ主ナルモノハ濶葉樹デアリマスカラ、
  ソコデ是等ノ區域内ニ於キマス濶葉樹ノ蓄
  積ヲ以テ大體之ヲ計ル尺度ト致シテ居ル譯
  デアリマス、ソレガ現在大體三十五億石ト
  云フコトニ推定サレテ居ル譯デアリマス、
  之ニ對シマシテ最近ノ薪炭材トシテノ伐採
  量其ノ中ニハ木炭トシテソレガ生產サ
  V、或ハ薪トシテ生產サレルモノヲ含メマ
  シテ、年ニ約一億二千七百万石程度ヲ使ツ
  テ居ル、斯樣ニ考ヘテ居リマス、唯御承知
  ノヤウニ兩三年來殊ニ木炭ノ需要ガ增加致
  シマシテ、過般御手許ヘ御配リ申上ゲテア
  リマス木炭ノ昭和十年頃カラノ生產消費量
  ノ資料デ御覽戴イテ御分リ戴ケルコトト思
  ツテ居リマスガ、最近相當增シテ居リマス、
  ソレ等ノ增伐量ヲ大體加ヘマシテ、昭和十
  六年度ニ於キマスル薪炭ノ生產豫定數量ヲ
  私共トシテハ一億五千万石程度、斯樣ニ抑
  ヘテ居ル次第デアリマス、ソレカラ最後ノ
  御尋ネノ成長量、是ハ中々難カシイ問題デ
  アリマシテ、其ノ點ニ付テハ餘リハツキリ
  シタコトハ一寸申上ゲラレナイノデゴザイ
  マス、唯場所ニ依ツテ違ヒマスガ、薪炭林ノ
  大體ノ伐期ヲ三十五年乃至早イ所デ十年ト
  云フ風ナ程度ニナル譯デアリマス

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• 015・坪山徳彌

  ○坪山委員　燃料ガ十分デアルカ、不十分
  デアルカト云フコトハ、石炭ノ產出ノ狀態
  ニ依ルモノデスガ、石炭ノ產出ノ現況ハド
  ンナ風ニナツテ居リマスカ

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• 016・湯河元威

  ○湯河政府委員　石炭ノコトハ一寸今關係
  政府委員ガ居リマセヌカラ、他ノ適當ナ機
  會ニ御答ヘスルコトニシテ勘辨シテ戴キタ
  イト思ヒマス

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• 017・坪山徳彌

  ○坪山委員　各府縣デ別々ノ木炭ノ檢査ヲ
  施行シテ、謂ハバ粗製濫造ト云ヒマセウカ、
  ソンナ非難ガ大分アルガ、ヤハリ米穀同樣
  ニ木炭ノ檢査ヲ統一スルヤウナ御考ヘハア
  リマセウカ

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• 018・岡本實太郎

  ○岡本政府委員　木炭檢査ノ統一ニ付キマ
  シテノ御尋ネデゴザイマスガ、木炭檢査ニ
  付キマシテハ、御承知ノヤウニ只今各道府縣
  ノ檢査ニ之ヲ依ラシメテ居ルノデアリマス
  ガ、併シナガラ此ノ檢査ノ基準ニ付キマシ
  テハ、全國一率ノ檢査標準ヲ示シマシテ、
  ソレニ依ツテ各府縣デ檢査標準ヲ定メサ
  セ、極ク稀ニ地方ノ特殊規格ヲ許スト云フ
  風ナ程度ニ致シマシテ、木炭ノ檢査基準、
  之ニ對スル等級區分等ハ全國一率ニ實ハ致
  シテ居リマシテ、更ニ其ノ檢査ノ實行方法
  モ、檢査員ノ檢査方法及ビ監識眼ト云フ風
  ナモノニ付キマシテモ、共通ニ是ガ出來マ
  スヤウニ適當ナ「ブロック」ニ分ケマシテ檢
  査員ノ打合セ等モ致サセ、極力檢査ノ實行
  ノ統一モ圖ツテ居ルノデアリマシテ、大體
  之ニ依ツテ各府縣ヲ通ジテ檢査ノ統一的ノ
  實行ガ期セラレテ居ルヤウニ考ヘテ居リマ
  スガ、更ニ之ヲ進メマシテ米穀ノ如キヤウ
  ナ國營檢査ニマデ移ス必要ガアルカナイカ
  ト云フコトハ、今後愼重ニ者究ヲ致スベキ
  問題デアラウカト考ヘテ居リマス

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• 019・坪山徳彌

  ○坪山委員　或ハ是モ商工省ノ關係ニナル
  カモ知レマセヌガ、代用燃料ノ點ニ付テノ
  何カ新シイ御〓究デモテリマセヌカ

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• 020・岡本實太郎

  ○岡本政府委員　御尋ネノ代用燃料、殊
  家庭用ノ燃料ニ付テノ新シイ代用品ノ〓究
  ノ問題デゴザイマスガ、之ニ付テハ、主ト
  シテ木炭ヲ中心ト致シマス從來ノ家庭ノ燃
  料ニ對シテハ、各般ノ事情カラ、又一方ニ
  於テ國內ノ木炭ノ生產資源ノ關係カラ、需
  要ニ對シテ中々應ジ切レナイ部分ガアリマ
  スノデ、當然他ノ資材ニ依ル代用燃料ノ〓
  究ヲシ、之ヲ木炭ト合セテ消費セシメ配給
  セシメルト云フコトガ必要デアリ、左樣ナ
  點ニ付テハ農林省ニ於テモ商工省ト十分連
  絡ヲ取リマシテ、例ヘバ石炭系統、煉炭、
  豆炭等ノ生產配給ノ問題、其ノ他ヲ十分ニ
  考究シテ居ル次第デアリマス、今後モサウ
  云フ點ニ付テハ十分ニ商工省方面トモ御相
  談連絡ヲ致シテ遺憾ナキヲ期シテ參リタ
  イト考ヘテ居ル次第デアリマス

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• 021・坪山徳彌

  ○坪山委員　現在農村ニ於テハ自分ノ家ノ
  前ニ林ヲ見ツツ燃料ニ困ツテ居ルヤウナ狀
  況デアリマス、農村デハ元來脫穀シタ籾殼
  ラ可ナリ燃料トシテ使ツテ居リマスガ、此
  ノ頃デハ此ノ籾殼ヲ燃ス所ノ器具ニ困ツテ
  居ル、是モ一部分金物ヲ使ツテ居ル關係デ
  非常ニ困ツテ居ル、現ニ籾殼ヲ持チツツ、
  ソレヲ燃料トシテ使用出來ナイ、是等モ何
  カ器具ノ御〓究デモ願ツタナラバ、餘程莫
  大ナ燃料資源ヲ得ラレルノヂヤナイカト思
  フノデスガ、斯ウ云フ點ニ付テモ何カ御考
  ヘガアリマスカ

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• 022・岡本實太郎

  ○岡本政府委員　洵ニ農村方面等ニ於ケル
  自給燃料ニ關スル有益ナ御氣付ト考ヘマス、
  農村方面ガ大體自給セラレル籾殼等ヲ燃料
  ニ使フト云フコトニ付テ、更ニ其ノ器具ヲ
  鐵其ノ他ノ適當ナル資材ニ依ツテ之ヲ作ツ
  テ行クト云フ風ナコトノ〓究モ今後各方面
  ト連絡ヲ取ツテ進メテ參リタイ、斯樣ニ考
  ヘテ居リマス

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• 023・濱地文平

  ○濱地委員長代理　小串君

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• 024・小串清一

  ○小串委員　食糧管理法ガ愈、實施サレルコ
  トニナリマスト、物資ノ集散貯藏若シクハ
  價格ノ決定等ハ、總テ當局者ノ意ノ如クナ
  ル譯デアリマスガ、物資ノ集散或ハ貯藏ハ
  價格ノ決定ニ依ツテ非常ニ變化ガ多イ、詰
  リ成功シタリ失敗シタリスルコトガアルヤ
  ウニ考ヘラレルノデアリマス、先般來此處
  デ色々御議論モアツテ、今囘ノ大東亞戰爭
  ノ結果ニ依リ南方方面ヲモ加ヘテ全「アジ
  ア」ノ一ツノ物資計畫ヲ立テルコトハドウ
  カト云フヤウナ御議論ガアリマシタガ、是
  ハ私ハマダサウ中々簡單ニ行カナイノデ、
  ヤハリ當局者ノ御考ヘノ通リ、內地及ビ外
  地、滿洲等ノ間ニ於テ、〓糧其ノ他ノ需給
  調整ヲ圖ラナケレバナラヌコトト考ヘテ居
  リマス、所デ今申シタヤウニ、物價ガ非
  常ニ總テラ支配シテ居ルニモ拘ラズ、內外
  地若シクハ滿洲、北支ト云フヤウナ方面ニ
  於テ、價格ノ差ガ非常ニアルノデアリマス、
  卽チ同ジ品物デモ、內地ヨリモ朝鮮滿洲ガ
  高イ、朝鮮、滿洲ヨリモ北支ガ又高イ、ソ
  レモ甚ダシイ差ノアルモノガアル、現ニ一
  例ヲ申上ゲルト、昨年私ハ滿洲ニ參ツテ色
  色聞イテ來タノデアリマスガ、大豆ノ如キ
  ハ滿洲カラコチラヘ豫定ノ如ク入ツテ來
  ナイ、是ハ向フノ政策ガ、一昨年丁度內地
  ノ米ノヤウナ重要物資デアル大豆ノ價格ヲ
  低物價デ抑ヘテ、他ノモノヲ抑ヘナカツタ
  爲ニ、幾ラカ大豆ヲ作ルモノガ少クナツタ
  ト云フヤウナコトモアリマセウガ、大體ニ
  於テ大豆モ相當量出來タノデアリマスガ、
  內地ニ持ツテ來ルノガ十分デナカツタ、滿
  洲國デ計畫ヲ立テテ、內地ヘ幾ラ、「ドイツ」
  ヘ幾ラ、支那へ幾ラト云フコトニナツテ居
  ツタガ、支那ダケハ稅關ヤ通關ノ關係デハ
  大體ノ豫定量ガアツタノデアリマセウケレ
  ドモ、實際ハ其ノ何倍ト云フモノガ北支ヘ
  流レテ行ツタ、是ハ地續キデアリマスカ
  ラ、多少ノ取締ヲ致シマシテモ、支那人ガ
  色々ナ機關ヲ以テ運ブ、牛馬ノ背ニ載セル
  モノモアレバ、或ハ「ジャンク」ニ載セタリ
  シテ持ツテ行ツタモノモアリマセウ、現
  昨年內地デ豆ガ不足シタ場合ニ、慥カ上海
  カラ滿洲大豆ヲ內地ニ持ツテ來ラレタヤウ
  ナ例ヲ聞イテ居リマスガ、上海ニ滿洲ノ大
  豆ガ行ク譯ハナイノデアリマス、是ハ卽チ
  價格ノ關係カラサウ云フ風ニ流レテ行クノ
  ヂヤナイカ、私ノ考ヘデハ最早今日ノ如
  キ秩序ガ立ツタ以上ハ、少クトモ內外地ノ
  價格ハ、運賃トカ多少ノ狀況ヲ參酌スル必
  要ハアリマセウケレドモ、現在ノヤウナ差
  ヲ付ケルコトヲ速カニ止メナケレバイカ
  又、酷イ例ヲ擧ゲマスト「ビール」ノ如キハ
  滿洲國デハ公定價格ガ一本六十錢デ、山海
  關ヲ通リ越スト一本一圓五十錢デアル、斯
  樣ナ狀態デアルカラ、滿洲ノ「ビール」ガ
  ドン〓〓北支ニ流レテ居ル是ハ「ビール」
  ダケノ例デアリマスガ、凡ユル物資ニ付テ
  サウ云フ疑ヒガ非常ニアルト思ヒマス、斯
  ウ云フヤウナ物價ノ凸凹ヲ地方ニ依ツテ、
  卽チ內地、外地、盟邦ニ付テノ關係ヲ政府
  ハドウ云フ風ニ考ヘテ居ラレマスカ、一ツ
  御伺ヒシタイ

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• 025・湯河元威

  ○湯河政府委員　只今ノ小串サンノ御質問
  ノ點ハ、獨リ食糧ノミナラズ、其ノ他一般
  ノ物資ニ付キマシテノ價格差ノ調整ノ問題
  ダト思フノデアリマスガ、是ハ尙ホ商工省
  或ハ大藏省ノ御當局ニモ能ク御考ヘヲ願フ
  必要ガアルコトデアルト存ジマス、此ノ〓
  糧管理法ニ關スル限リニ於テハノ實ハ價格
  ノ違ヒノアルモノハ米麥、殊ニ米ニ付テ考
  ヘテ見マシテモ、內地ト外地トノ間ノ價格
  ノ違ヒモアリマスガ、是ハ全部政府ガ買フ
  コトコナツテ居リマス
  〔濱地委員長代理退席、委員長着席〕
  內外地間ニ於ケル物資ノ移動ハ、價格ニ依
  ツテ自然ニ流レル、丁度支那ト滿洲トノ間
  ニ價格ニ依リ雜穀ガ移動ヲ起ス如キ餘地ノ
  ナイヤウニスルノガ此ノ本旨デアリマス、
  內外地間ニ於ケル主要食糧ノ移動ハ、之ヲ
  政府ノ手ニ依ツテヤル、現ニ朝鮮ノ米ヲ內
  地ニ移入スルニ付テハ、相當アチラノ經濟
  事情モゴザイマシテ、政府デ負擔シテコチ
  ラニ移入スル、サウシテ內地ニ配給スルト
  云フヤウナコトモ致シテ居ルノデアリマス、
  是ハ〓糧管理ノ建前上價格ニ依ツテ自由ニ
  物ガ流レルト云フコトヲナカラシメテ居ル
  ノデアリマス、是等ノ價格ニ付テハ、第十
  條ニ於テ政府ハ價格ヲ勅令デ以テ色々公定
  スル權能ヲ持ツテ居リマス、米麥ニ付テハ
  特ニ其ノ買入、賣渡ノ價格ヲ勅令ノ定ムル
  所ニ依ツテ定ムルコトニナツテ居リマス、
  尙ホ十一條ニ依リマシテ外地或ハ滿洲ナ
  ドノ〓糧價格ノ高イ所ニ輸出スル場合ニ於
  キマシテ、政府ハ特ニ之ヲ內地ノ安イ價格
  デ賣ルト云フコトヲセズニ高ク賣ルコトヲ
  考ヘラレルヤウナ處置ヲ、價格ニ於テハ色々
  考慮致シテ居ルノデアリマス、併シ全般的
  ニ申上ゲマシテ、價格ガ凸凹シテ居ルガ故
  ニ物資ガ偏在スルト云フヤウデハ、食糧
  管理ノ建前カラ言フト最モ避ケナケレバナ
  リマセヌ、ソレハ或ハ輸出入ノ統制デアル
  トカ、或ハ政府ノ買上、賣渡シト云フヤウ
  ナ管理ノ作用ニ依リマシテ、サウ云フ風ナ
  コトハ御心配ガナイヤウニシテ參リタイト
  思ツテ居リマス

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• 026・小串清一

  ○小串委員　只今ノ御答辯ハ其ノ通リデア
  リ又內地トノ關係ハソレデ行クト思フノ
  デスガ、滿洲國ト北支ノ方ハ左樣ナ考ヘデ
  取締ツテ居ルコトハ事實デアリマス、併シ
  ナガラ實際ハ是ハ地續キデアリ、到ル處ニ
  垣ヲ結ツテアル譯デハナイノデスカラ、詰
  リ所謂密輸出ガ盛ンニ行ハレテ居ルト考ヘ
  ルソレガ爲ニ當然內地へ來ベキ數量ガ來
  ナイ、去年アタリデモ大豆ハモウ少シコツ
  チヘ送ル筈デアツタノガ來ナカツタ、サウ
  云フ點ヲ將來滿洲國トノ間ニ十分話合ヒヲ
  シテ戴キタイト云フ意味カラ、先刻ノヤウ
  ナ御尋ネヲシタノデアリマスガ、尙ホ昨年
  ハ滿洲國デ聽キマスト、一昨年失敗シタコ
  トカラ、大豆ニ付テハヤハリ今囘ノ內地ノ
  米ノ生產奬勵金ノヤウナ奬勵ヲ加ヘテ、十
  分豆ノ生產ヲ圖リ、內地ノ一番必要ナ資源、
  卽チ代表的ノ食糧品デアル大豆ニ付テハ困
  ラナイヤウニスルト云フコトデアリマシタ
  ガ、昨年ノ作柄及ビ內地輸入ノ數量ハ、別
  ニ量ハ伺ハヌデモ宜イノデスガ、食糧管理
  局トシテ卽チ此ノ間カラ盛ンニ議論ニナツ
  テ居リマス味噌、醤油、其ノ他大事ナ食糧
  資源ノ大豆デアリマスガ、是ガ相當ナ量ガ
  得ラレル御見込デアリマスカ、ドウデスカ
  伺ヒタイト思ヒマス

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• 027・湯河元威

  ○湯河政府委員　先程小串サンノ仰シヤイ
  マシタ滿洲糧穀ヲ此方ニ取ルニ付テ滿支間
  ノ密輸取締ガ徹底シテ居ナイデハナイカト
  云フ御話ハ、是ハ何分ニモ滿洲國ノ廣イ地
  帶デスカラサウ云フ事實ガナイトモ限リマ
  セヌ、是ハ併シ滿洲國當局ニモ亦北支那方
  面ノ當局ニモ十分賴ミマシテ、斯ウ云フ詰
  ラナイコトノ起ラナイヤウニ、〓後モ十分
  取締ツテ貰ヒ、仍テ以テコチラニ入ツテ來
  ル物資ガ橫流レスルヤウナコトガナイヤウ
  ニ致シタイ、斯ウ考ヘテ居リマス

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• 028・小串清一

  ○小串委員　次ニ、內地ニ於ケル物價ノコト
  ヲ伺ヒマシタカラ、モウ少シ價格ノ點ヲ伺
  ヒマスガ、米ニ付キマシテハ政府ノ取扱
  方ガ非常ニオ宜シカツタト存ジマスガ、先
  般モ大臣カラ麥ノ價格ハ幾ラカ低イヤウダ
  カラ、ソレニ付テハ考慮スルト云フコトデア
  リマシタガ、更ニ細カイ考ヘカラ行クト、
  米ニ付キマシテモ白米ト玄米トノ價格ノ開
  キハ適當デナイ、玄米食ヲヤレト云フ議論
  モアリマスガ、又現在ノ習慣ナリ、其ノ他
  ノモノノ原料ヲ得ル爲ニ精白スルト云フコ
  トガ是ハ普通ノ日本ノ狀態デアリマスガ、
  精白シテ小賣スル其ノ價格ガマダ少シ利潤
  ガ多過ギルヤウニ考ヘル、其ノ他米以外ノ
  品物ニ付テ、是ハ物價審議會トカ、價格形
  成委員會デ決メラレタ公定價格デアリマセ
  ウガ、ドウモ價格ガ實情ニ卽セザルモノガ
  非常ニアル、ソレガ爲ニ增產ヲ妨ゲルヤウ
  ナ實例ガチヨイ〓〓アルヤウニ思フノデア
  リマスガ、殊ニ最高價格ヲ決メルト云フヤ
  リ方ハ狡イヤリ方デ、是ハ高イモノガ非常
  ニアルカラ最高價格ヲ決メルガ宜イト云フ
  ノデ、無暗ニ物價ノ最高價格ヲ決メラレテ
  居リマスガ、私ハ最高價格ヲ決メルト云フ
  コトハ高イモノニ對シテ行ハルベキモノデ
  アツテ、而モ價格ノ決定ハ實情ニ卽シテ、
  同ジ物資デモ非常ニ優劣ガアルモノデアリ
  マスカラ、ソレ等ヲ見透シテ現在ノ價格ノ
  甚ダシク變化ノアルモノニ對シテハ、之ヲ
  均ラス必要ガアルケレドモ、サモナケレバ
  現在行ハレテ居ル其ノ儘ニ對シテ或ル程度
  ノ割合ニ下ゲルト云フヤウナ公定ノ決メ方
  ガ本筋デハナイカ、無論生產費ニ對シテ計
  算スル、或ハ地方ニ依ツテ運賃ヤラ、其モ
  ノノ偏在ヤラ色々ナコトガ考慮ノ中ニ置カ
  レマスケレドモ、大體此ノ最高價格ト云フ
  モノヲ決メテ、ソレデ低物價政策ノ目的ヲ
  達セリト考ヘルノハ、大抵ノ場合高物價政
  策ヲ誘致シテ居ルコトハ事實ダト思フノデ
  アリマス、例ヘバ或ルモノニ一番高イモノ
  ガアルカラト云フガ、高イモノハ僅カシカ
  ナイ、然ルニ其ノ高イモノヲ低クシタト云
  フコトノ爲ニ、無論是ハ物資ガ足ラナイカ
  ラデハアリマスケレドモ、下ノ方ニ居ル低
  イモノガ皆便乘シテ高値ニ上ゲテシマフ、
  ダカラ若シ假ニ或ル品物ノ最高價格ヲ決メ
  テ下ゲタト思フト、焉ンゾ知ラン內地全體
  ノ品物ニ其ノ價格ヲ乘ジテ見ルト、從來取
  引シテ居ツタヨリモ總量ハ値ガ上ツテ居ルト
  云フ事實ガアル、觀念的ニ申スト何デスガ、
  實例ヲ見ルト澤山アルト思フノデアリマス、
  ソコデ私ハ成ベク最高價格ト云フヤウナ考
  ヘデナシニ、無論高イモノヲ抑ヘルコトモ
  必要デアリマスシ、又甚ダシク低イモノハ
  實際增產ノ爲ニ之ヲ直スト云フコトモ必要
  デアリマセウシ、又重點主義ニ依ツテドウ
  シテモ增產ヲヤリタイト云フ上カラモ、幾
  分其ノ最高價格ノ昂騰ト云フコトヲ導イテ
  行ク、斯ウシナケレバヤハリ增產ト云フモ
  ノハ望メナイモノガ澤山ニアルト思フノデ
  アリマス、兎ニ角物價ノ公定其ノ他ノ方法ガ
  增產ノ上ニ非常ニ影響ノアルト云フ考ヘヲ
  私ハ持ツテ居ルノデアリマシテ、此ノ點ニ
  付テノ政府ノ決定ノ方針ハ一體ドウ云フ點
  デアルカ、尤モ澤山ノ種類ノ物資デアリマ
  スカラ、之ヲ一々細カナ決メ方ヲスルコト
  ハ困難デアリマセウケレドモ、私ハサウ云
  フ最高價格ト言ツタヤウナ決メ方デナク、
  其ノ實際ノ事情ヲ參酌シテ、サウシテ其ノ
  品物ニ付テ場合ニ依レバ高クテモ放ツテ置
  イテ宜イモノモアルガ低物價政策デサウ云
  フヤウナ實情ニ卽シタ物價決定ノ方針ガア
  ルノデハナイカ、物價決定ノ御方針ガ從來
  ドンナ風デアリマシタカ、私共外部カラ見
  ルト、サウ云フノガ非常ニアツテ、其ノ爲
  ニドウカト思フヤウナ點モアルシ、又ソレ
  ヲ決メラレテ宜カツタ例モ無論アリマスケ
  レドモ、是ハ實際ニハ最高價格ガ決マツタ
  爲ニ、品質ノ惡イモノガ便乘シテ皆高クナ
  ツテ却テ高物價ヲ誘致シタト云フ實例ヲ見
  テ居リマスガ、物價決定ノサウ云フ方針ニ
  付テ御考ヘヲ承リタイト思ツテ居リマス

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• 029・湯河元威

  ○湯河政府委員　只今ノ問題ハ獨リ食糧バ
  カリデアリマセヌノデ、私カラ申上ゲルコ
  トハ或ハ適當デナイカト存ジマスガ、併シ
  食糧ニ付キマシテモ色々價格ノ決定ヲ現ニ
  ヤツテ居リマス、其ノ氣持カラ御答ヘ申上
  ゲマス、或ハ御質問トシツクリシナイカモ
  知レマセヌガ、其ノ時ニハ更ニ申上ゲマス
  ガ、實ハ最高價格ト云フ行キ方ヲ執ツテ居
  リマス、所謂米ニ付キマシテモハツキリ其
  ノ行キ方ヲ執ツテ居リマシテ、最高販賣價
  格制度ト云フモノヲ執ツテ居リマス、是ハ
  ヤハリ一本値ノ公定價格デ上モ下モナイト
  云フモノデナク、ヤバリ價格ト云フモノハ
  今ノ時代ニ於テ非常ニ値ガ上ルノガ困ルノ
  デアリマスカラ、一應上ヲ抑ヘルト云フ形
  ニナツテ最高價格制度ニナツテ居ルノデゴ
  ザイマス、併シ最高價格制度ヲ立テマスニ
  付キマシテハ、無論愼重ニ考慮致シマシテ、
  御說ノヤウニ何モカモ最高價格ヲ決メタラ
  ソレニ皆ガ便乘シテ來ルト云フヤウナコト
  ノゴザイマセヌヤウニ致シマス爲ニ、規格
  卽チ銘柄等級等ハ是ハ相當嚴正ニ檢査モ致
  シマスシ、又ソレノ値段付ケト云フコトニ
  付キマシテモ十分ニ考慮ヲ拂ツテヤツタ積
  リナノデアリマス、唯米ニ付キマシテハ
  御承知ノ通リニ二重價格ヲ採ツテ居リマス、
  一方ニ生產ヲ維持シ增產ヲ圖ル爲ニハ生產
  費ヲ一パイニ見ナケレバナラヌケレドモ、
  ソレニ依ツテハ消費者ノ生活ニ響ク所ガ大
  キイカラ、低物價政策ノ見地カラ所謂二重
  價格ト云フモノヲ採ツテ來テ居ルノデアリ
  マス、國民經濟上非常ニ重要ナ位置ヲ占メ
  テ居リマス米デゴザイマスカラ、サウ云フ
  考慮ヲ拂ツテ居ル次第デアリマス、何物ニ
  付キマシテモ、斯ウ云フ風ニヤルト言フコ
  トモ出來ナイカト思フノデアリマスガ、食
  糧米麥ニ付キマシテダケハ只今申シマシ
  タヤウナ趣旨デ此ノ度ノ法規ニ於キマシテ
  第三條、第四條ニ價格決定ノ方針ヲ示シテ、
  之ニ依ツテヤツテ參リタイト云フ考ヘヲ持
  ツテ居リマス

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• 030・小串清一

  ○小串委員　仰セノ通リ米麥、其ノ他ニ付
  テハ今ノ方針デサウ不都合ハナイノデス
  ガ、其ノ他ノ日用ノ蔬菜デアルトカ水產物
  デアルトカ畜產物デアルトカ云フヤウナモ
  ノハ此ノ最高價格ト云フコトニ禍ヒサレル
  爲ニ、實際ニハ適シテ居ナイ事實ガ私ハ澤
  山アルト思フ、殊ニ今仰セノヤウニ最高價
  格ヲ定メテ其ノ規格、其ノ他ニ依ツテ段階
  ヲ付ケルト云フコトガ當然デアリマスノニ、
  例ヘバ是ハ畜產ノ問題デスガ、畜肉-牛
  馬ノ生キテ居ルモノノ方モアリマスガ玆ハ
  食糧問題デスカラソレニ付テハ申シマセヌ
  ガ、牛ノ如キハ旣ニ四段階ニ分レテ居リマ
  スケレドモ、豚ノ方ハ一段階ニナツテ居ル、
  殊ニ私ガ不審ニ思ツテ居ルノハ、今一番豚
  ヲ增產シナケレバナラナイ、此ノ間モ此處
  デ大臣カラ大イニ豚ヲ殖ヤスト云フ御話ガ
  アリマシタガ、實際ハ又此ノ頃豚ガ減リツ
  ツ、アルヤウナ形ニナツテシマツタ、ト云フ
  ノハ公定價格ニ依ツテコロノ値段ガヤハリ
  今ノ最高價格的ニ抑ヘラレタ、是ハコロノ
  血統ノ良イト惡イノトデ値段ガ違ツテ居リ
  いく、二貫五百匁以上ト以下ト色々アリマ
  スガ、實際取引ハ此ノ發表サレタ公定價格
  ヨリモズツト高カツタ、ソレガ今度下ゲラ
  レタ、例ヘバ生後二箇月ノ血統正シキ豚ニ
  付テ申シマスト、コロガ八圓、二箇月以上
  ノモノガ二十圓、若シクハ二貫五百匁以上
  ノモノガ二十圓、三貫目以上ノモノガ二十
  五圓、普通ノ品種デアレバ六圓ニ七圓ニ十
  三圓ト云ツタヤウニ決メラレタノデアリマ
  スガ、實際豚ヲ飼フ者ガ只今ノ豚ノ公定價
  格、卽チ成豚ノ價格カラ考へテ此ノ價格デ
  アリマスルト、子供ヲ殖ヤス方ガ割ニ當ラ
  ナイ、是ハ豚バカリデハナク一般農作物デ
  モサウデアリマスガ、私ハ斯ウ云フ種ニ屬
  スルモノハ寧ロソレヲ殖ヤサウト思フ時ニ
  ハ値段ヲ上ゲテモ宜イト思フ、種ト云フモ
  ノハ上ゲテモソレハ「インフレーション」ノ
  原因ニナルト云フコトハナイノデス、其ノ
  量ト云フモノハ分ツテ居ルノデアリマシテ、
  現ニ豚ナドハ此ノ間ノ愛知縣ノ例ヲ申上ゲ
  マスルト、迚テモ子供ヲ作ルコトヲ厭ガツ
  テ皆潰シニ出シテシマフ、子供ヲ作ルコト
  ハ勘定ニ合ハヌト云フコトデアリマシタガ、
  私ノ縣ナドモサウ云フ傾向ガアル、一番生
  產ノ多イ神奈川縣デモサウ云フ傾向ガアル、
  斯ウ云フ公定價格ヲ種ニ付テハ、ドウシテ
  モ幾分カ殖ヤサウト思フトカ、增產ヲ圖ラ
  ウト思フ時ニハ、寧ロ値段ヲ吊上ゲテ宜イ
  ノヂヤナイカト云フヤウテ考ヘヲ私ハ持ツ
  テ居ルノデアリマス、ソレカラ斯ウ云ツタ
  價格ノ變動ニ依ツテ物資ガ減リツツアリ、
  或ハ殖エ方ガ非常ニ鈍イト云フヤウナ時
  ニ、之ヲ直サナケレバナラヌト云フ場合ガ
  アツタラ、成ベク早ク、一旦決メタモノデ
  モ審議會ヲ開クトカ或ハ當業者ノ意見等そ
  御參酌ナサツテ成ルベク早ク直ス、斯ウ云フ
  ヤウナ傾向デ減リツツアルト云フ事實ヲ認
  メタナラバ、アア云フモノハ一定ノ期間ガ
  ナケレバ殖エナイモノナンデスカラ、サウ
  云ツタ考ヘ方ヲスル必要ガナイカト云フコ
  トヲ尙ホ參考ニ伺ツテ置キタイ

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• 031・三浦一雄

  ○三浦(一)政府委員　小串委員ノ御質問ニ
  ナリマシタ價格ノ統制ノ問題デアリマスガ、
  御說ノ通リ不合理ナコトヂヤ中々動キマセ
  ヌモノデスカラ、能ク寳情ヲ調ベマシテ適
  切ナモノニシナケレバナラヌト考ベマス、
  今御指摘ニナツタ豚ノ價格等ニ付キマシテ
  モ、專門委員等ノ意向モ聽キ相當練ツテハ
  居ル譯デアリマスガ、尙ホ實情ニソグハヌ
  點ガアレバ決シテ之ヲ釘付ニシテ動カサナ
  イト云フモノデハアリマセヌカラ、十分考
  慮シテ參リタイト思ツテ居リマス、ソレカ
  ラ種ニ付テハ御說ノ通リ若干奬勵的ノ意味
  ガアルノデアリマスカラ、一般的ノモノハ
  考慮シテ居ルノデアリマシテ、具體的ノ實
  情ニ卽シマシテ考究シタイト考ヘテ居リマ
  ス

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• 032・小串清一

  ○小串委員　御答辯ニ依ツテ滿足シマシタ
  ガ、實際ニ種ノ奬勵ハ餘程御考慮願ヒタイ
  ト思ピマス、是ダケ希望シテ物價ノ問題ハ
  打切リマス次ニ農地竝ニ小作料關係ニ付テ
  質シテ置キタイト思ヒマスガ、近來小作爭
  議ト云フモノハ私共關東方面ニハ殆ドアリ
  マセヌガ、マダ東北其ノ他ニハサウ云フ所
  ガアルヤウデアリマス、一體小作料ト云フ
  モノハ彈力性ノアルモノデ凶作ノ場合ニハ
  相當ニ割引シ得ルノデアリマス、小作料ノ
  引下ノコトハ餘程考ヘナケレバナラヌト思
  フノハ、此ノ席デモ大分皆サンカラ議論ガ
  アリマシタガ、私ノ知ツテ居ル範圍デハ小
  作關係其ノ他モアルノデアリマセウガ、自
  作農ヲ創設シヨウトシテモ自作農ヲ實際ニ
  餘リ欲シナイ者ガアル、小作ヲシテ居ル方
  ガ都合ガ好イト云フ計算的ノ卽チ功利的ノ
  者ガ大分アル、今度ハ地主ノ方ハ土地ヲ國
  家管理ニシテ貫ヒタイ、現ニ私共ノ方へ是
  ハ宮城縣ノ方ノ地主ノ人デスガ、此ノ議會
  ニ國家管理ノ請願ヲ出シテ吳レト言ツテ文
  書ヲ持ツテ參リマシタガ、今ノ場合ソンナ
  モノハ出シテモ駄目デアラウト私ハ申シタ
  ノデス、其ノ人ノ言フ所ニ依ツテモ、私共
  ノ方ハ寧ロ土地ハ自分ノ作ル以上ノモノハ
  成ベク國家トカ、公共團體ノ管理ニ移シテ
  シマヒタイ、君、ソレデ値ヲ良ク賣ル考ヘ
  ダラウ、イヤ、ソンナコトハアリマセヌ、
  政府ノ決メタ公定價格ナラ上等デス、ソレ
  デ公債デモ何デモ貰ツタ方ガ宜イフダト云
  フヤウナ地主ガ大分アルノデス、ソレデ非
  常ニ國家ノ期待スル、自作農ヲ作ラウト云
  フヤウナ、增產ヲ奬勵スル爲ニ農業ヲ勵マ
  サウト云フ考ヘ方ト皆端カラサウヂヤ
  ナイデセウケレドモ-反對ノヤウナ地方
  ガ大分アルト云フ點ハ、是ハ餘程爲政者ト
  シテハ考ヘナクチヤナラヌ、今ノ空氣ハ逆
  ニ行ツテ居ツテ、小作料サヘ下ゲレバソレ
  デ增產ガ出來ルト云フ譯ヂヤナイト考ヘラ
  レマス、小作料ノ適性化ト云フモノハ非常
  ニ難カシイモノデアリマシテ、今私ノ申ス
  通リ、年ノ豐凶ニ依ツテ十分彈力性ヲ持ツ
  テ居ルモノデアルカラ、之ヲ統制令ヲ實行
  スルニ當ツテ、引下本位デ行クト云フコト
  ハ非常ニ却テ面倒デハナイカ、小作統制令
  ノ實行ニ付テノ政府ノ大方針ハドウ云フモ
  ノデアリマスカ

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• 033・岸政府委員

  ○岸政府委員　小作料ノ統制令ハ、時局下
  ニ於テ小作料ガ動モスルト上ガルト云フヤ
  ウナ傾向ガアル、若シソレガ上ガルト云フ
  コトニナルト、米ノ生產費ニ影響シテ來ル、
  食糧ノ問題トシテモ非常ニ大キナ問題ニナ
  ル、斯ウ云フヤウナコトデ一方ニ於テ低物
  價ノ線ニ沿フ所ノ食糧問題ニ寄與スル、
  方ニ於テ農業經營上耕作者ガ〓糧ノ增產ニ
  安心シテ邁進出來ルヤウニト云フ考ヘデヤ
  ツテ居ルノデアリマス、一面ニ於テサウ云
  フ風ニヤツテ居リマスガ、地域的ニ小作料
  ニ凸凹ノアルヤウナ地方ニ付テハ、此ノ際
  調整シ得ルヤウナ途ヲ開ク、斯ウ云フヤウ
  ナコトニナツテ居リマス、勿論今ノ小作料
  ハ地域的ニモ特殊ノ事情ガアルカラ、ソレ
  ハ下ゲルバカリガ能デモナイノデアリマス、
  又調整ヲシテ居ル場合ニ於テ、小作料ノ或
  ル部分ニハ、平均サレテ上ツテ居ル部分モ
  アリマス、デアリマスルカラ、單ニ之ヲ簡
  單ニ、唯下ゲレバ宜イノダト云フヤウナ考
  ヘノミニ於テ運行サレテ居ルト云フ譯デハ
  ゴザイマセヌ
  小串委員大體御意見ハ分リマシタ、實
  ハ私共モ、非常ニ田地ノ少イ爲ニ、小作人
  ニ强要シテ、地主ガ誅求ヲヤツテ居ルト云
  フ者ニ對シテハ、相當引下ゲルコトガ穩當
  デアル、又安イモノニ對シテハ、格段ニ安
  クテモ、上ゲルト云フコトハ無理ダト私ハ
  思ツテ居リマス、現ニ私ノ神奈川縣地方ハ、
  昔旗本ガ持ツテ居ツタ、旗本領デアルガ故
  ニ、一郡ハ大抵二三ノ領主ガアル、隨テ領
  主ガ富裕ナ、懷ロノ樂ナ人ハ小作料ヲ非常
  ニ安クシテ居ツタ、ソレカラ財政ノ困難ナ
  殿樣ハ非常ニ小作料ヲ高クシテ居ツタ、所
  ガ農家ノ小作ナント云フモノハ、今日デモ
  其ノ昔ノ習慣ヲ守ツテ居ルノデアリマス、
  私共ノ方デ、甲部落ノ方デハ、例ヘバ畑ノ
  小作料ガ一反歩十圓デアル、乙部落デハ米
  二俵ト云フ所ガアル、今日米二俵ノ小作料
  ヲ取ツタ日ニハ之ヲ金ニ換ヘマスト三四
  倍ニモ當ル、サウ云ツタヤウナ例ガ澤山ア
  リマスケレドモ、之ヲ今小作統制令ガ出タ
  カラ一ツ直サウト云ツテモ、中々難カシイ、
  第一安イ方ノ地主ハ一ツ之ヲ上ゲテ貰ハウ、
  ソレカラ又恐シク高イ、割ヲ食ツテ居ル小
  作人ハ之ヲ下ゲテ貰ハウト云フコトヲ言ヒ
  出シタナラバ、中々是ハ喧シイコトガ起ル、
  私ハ農會長トシテ時々サウ云フ意見ヲ聞
  ク、ドウモ餘リ低過ギルカラ少シ上ゲルヤ
  ウニ出來マセヌカ、ト言ツテ來ル地主サン
  モアレバ、冬私ノ方ハドウモ高過ギテ酷
  イ小作料デアル、今申上ゲタ通リ、畑デ玄
  米六斗乃至八斗、二俵モ取ツテ居ル、全ク
  亂暴ニ高イ、斯ウ言ツテ來ル小作人モアル、
  ソレデ私ハ地主ニ勸〓ヲシテ、ソレハ下ゲ
  ナサイ、ソレハ畑ガ少イカラ高イノダラウ、
  ト云フヤウナコトデヤツタ例モアリマス、是
  ハ中々難カシイ問題デアリマスケレドモ、
  イヂルナラバ、ヤハリ其ノ地域々々ノサウ
  云ツタ實情ヲ調査シ、又公租公課ヤ、水利
  ノ關係ヤ、色々ノモノヲ調ベテヤラヌト云
  フト、之ヲ輕率ニ、小作料ノ輕減卽チ增產
  ノ所以ナリト云ツタヤウナ考ヘ方デヤル
  ト、私ハ非常ニ難カシイノデハナイカト考
  ヘマス、此ノ點ニ付テノ御意見ヲ尙ホ一應
  承リタイ、サウシテ、料率ノ方針ハ大體今
  伺ヒマシタガ、斯ウ云フヤウナコトハ本省
  デモ餘程御調ベニナツテ居ルモノデセウカ
  ラ、斯ウ云フ考ヘ方ニ付テ尙ホ一應伺ツテ
  見タイト思ヒマスe

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=33

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• 034・岸政府委員

  ○岸政府委員　先程申上ゲマシタ統制令デ
  是レ以上騰貴サセナイト言ツタノハ、要ス
  ルニ是ハ九·一八ノ物價停止ニ伴ツタ措置
  デアリマス、其ノ點御了承願ツテ置キマス、
  デアリマスカラ、現狀デ止メルト云フコト
  ガ眼目デアリマス、ソレニ應ジテ凸凹ヲ直シ
  テ行クト云フヤウナコトヲ併セ考ヘテ居ル、
  是等ノコトハ其ノ運用ニ當ツテ十分注意シ
  テ考ヘテ行ク、今ノ御話ノヤウナ點モ將來
  アルダラウト思ヒマスカラ、ソレハ地方的
  ニ、町村ノ農地委員會ナドデ〓究シテヤツ
  テ行クト云フ考ヘデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=34

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• 035・小串委員

  ○小串委員　實ハ昨日カ一昨日、實際ニ色
  色事情ヲ聽イテ、サウ云フコトガ實際行ハ
  レテ居ツタノカト思ツタノハ、秋田縣ノ實
  例デアリマス、私ノ聞イタ所ニ依ルト、秋
  田縣デハ、昨年ノ十月デスカ、小作統制令
  ニ依ツテ小作料ノ基準ヲ定メタ、最高ヲ一
  石二斗トシ、順次其ノ割デ繰下ゲタ、實際
  ハ一石三斗、若シクハ一石五斗ノモアルサ
  ウデアリマス、之ヲ縣令ニ依ツテ縣全體
  ヲサウ云フ風ニ下ゲタ、所ガ其ノ結果ハ、
  サウ云フ風ニ劃一的ニヤラレタ爲ニ、良イ田
  ヲ持ツテ居ル人ハ小作料ハ從來カラ高イノ
  ダガ、ソレヲ一石二斗ニ下ゲラレルト非常ニ
  有利ニナル、不良ノ田ノ持主ハ、二割ヤ一
  割引カサレテモ餘リ利益ハナイ、ソコデ小
  作人間ニ今度ハ非常ナ喧嘩ガ起ツテ來ル、
  詰リ良イ田ヲ取ラウトスル、小作料ハ安ク
  テモ今作ツテ居ル田ハ厭ヤダ、又其ノ間ノ
  收益ニ非常ナ差ガ起ツテ來ルト云フコト
  デ、現ニ大分ゴタ〓〓シテ居ルサウデアリ
  マス、是ハ縣ノ當局ガ、斯ウ云ツタヤウニ
  劃一的ニ縣全體ヲ決メタト云フ所ニ誤謬ガ
  アルノヂヤナイカ、縣ドコロデハナイ、町
  村每ニ、若シクハ部落每ニ其ノ實情ヤ、先
  刻伺ツタヤウナコトヲ調ベテ、サウシテ凸
  凹ヲ直ス、高イモノヲ下ゲテ、低イモノハ
  現狀ニ置クト云フコトナラバ實情ニ卽スル
  ケレドモ、今ノヤウナコトデハ相當喧シイ
  コトニナルノデハナイカ、大分ソレガ爲ニ
  爭議ト云フカ、爭ヒガ起ツテ居ルヤウニ伺
  ヒマス、之ニ付テハ農林省デ尙ホ十分實情
  ヲ御調ベヲ願ヒタイト思ヒマシテ、希望ヲ
  付ケテ、御意見ヲ伺ツテ置キマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=35

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• 036・岸田正記

  ○岸政府委員　只今御話ノアリマシタ秋田
  縣ノ小作料ノ問題デアリマスガ、是ハ秋田
  縣ニ於キマシテ、現在ノ實情ニ鑑ミテ小作
  料ヲ是正シヨウト云フヤウナ考ヘガ各方面
  ニ瀰漫シテ、サウシテ是ハ正式ニ集マル時
  間ガナカツタト云フヤウナ話デ、各地方每
  ニ農地委員會ノ人々、或ハ町村長ナンカガ
  集マツテ協議ヲシ、サウシテ縣農地委員會
  ニ於テ話シ合ヲシテ、一石二斗ト云フモノ
  ガ決マツタサウデアリマス、是等ノ事情ハ
  大體縣ニ任セテアリマスカラ、地方ノ事情
  事情ニ應ジテ、ヤハリ色々ノ措置ヲ執ツタ
  モノト思フノデアリマス、一部ニ色々不平
  ガアツテ、議會等ニ於テモ其ノ點色々御質
  問ガアツタヤウデアリマス、之ニ付テハ當
  時大臣カラ詳細御話シ中上ゲテ居ルト思ヒ
  マス、ソレノ措置ニ付テハ、ソレハ縣ニ於
  テハ最高ガ決マツタノデアル、ソレハ大體秋
  田縣ノ實納小作料ノ實情ニ應ジテ決メタノ
  デアツテ、隨テ後ノモノヲ是正シテ行クト
  云フ方針ノ下ニ非常ニ愼重ニ今進行シテ居
  ルノデアリマス、最近ニ於テ色々報〓ガ參
  ツテ居リマスガ、何レモ町村ノ農地委員會
  ノ申請ヲ俟ツテ縣ノ農地委員會ノ議ニ掛ケ
  マシテ、町村每ノ料率ノ是正ヲヤツテ居リ
  マス、是等ニ付キマシテハ前議會ノ後能ク
  縣廳ノ人ニモ、成ベク順序ヲ履ンデ地域的
  ニ定メテ行クヤウニト云フ注意ヲ致シテ居
  リマスノデ、大體其ノ順序デ進ンデ居ルト
  考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=36

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• 037・森田重次郎

  ○森田(重)委員　一寸今ノ問題ニ關聯シテ
  二ツダケ御伺ヒ致シタイト思ヒマス、今ノ
  ヤウニ一番上ヲ一石二斗ニ定メテアル、隨
  テ順次田ノ良否ニ依ツテ決定シテ行クト、
  最モ惡イ田ハ殆ド小作料ガ取レナイト云ツ
  タヤウナコトニナル、是ハ極端ナ場合デス
  ガ、ソコデ地主ト小作人トノ間ニ非常ナ縺
  レガ生ジデ居ルト云フノハ、是ハ實際大キ
  イ問題デアリマス、所ガソレニ關聯シマシ
  テドウ云フコトニナツタカト云フト、其ノ
  小作料ガ定マラナイ間ハ小作料ヲ納メナイ
  ト云フ事柄ガ起ツテ來テ調停ナドニ訴ヘ、
  一年デモ二年デモ小作料ヲ納メナイデヤツ
  テ行カウト云フ非常ニ戰時下ニ於テ思ハシ
  クナイ實情ガ實際發生シマシテ、裁判所ア
  タリデモサウ云フコトハ餘リ能ク分ラナイ
  デ漫然ト調停ヲ受付ケル、所ガ御承知ノ通
  リ調停ヲ受付ケマスト、執行ガ其ノ間停止サ
  レルト云ツタヤウナコトニナル、サウ云フ
  ヤウナコトデ此ノ儘放置シテ置イタノデハ
  是ハ秋田縣ノ農村ノ問題トシテ非常ニ心配
  ニ堪ヘナイモノガアルト私ハ思フ、現ニ此
  ノ何日間來之ヲ非常ニ心配シテ上京シテア
  ツチコツチニ其ノ實情ヲ愬ヘテ居ルト云フ
  ヤウナコトモアルノデアリマシテ、是ハ決
  シテ小サイ問題デナイト思フノデアリマス、
  隨ヒマシテ今ノ最高ガサウ決マツタカラト
  云ウテ劃一的ニ後ハ順次ニ下ツテ行クモノ
  ダト云フ彈力性ノナイヤウナ決メ方デソレ
  ヲ決メル農地委員會ノ中ニモ餘リ思ハシク
  ナイヤウナ模樣ガ盛込マレテ居ルト云ツタ
  ヤウナコト等ヲ考ヘマスト、之ニ付テハ農
  林省デハ調査官ヲ派遣スルナリ、何ナリデ
  具體的ニ此ノ實情ヲ能ク御調査ヲシテ戴カ
  ナイト生產增强ノ爲ニモ非常ニ大キイ影響
  ヲ持ツト思ヒマスルノデ、此ノ點ハ特ニ念
  ヲ押シテモウ一遍伺ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=37

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• 038・三浦一雄

  ○三浦(一)政府委員　先程農政局長カラモ
  申上ゲタヤウニ、實納小作料ハ最高ヲ取ツ
  テ居ルノデアリマス、唯ソコニ契約小作料
  ノ問題ガアルダラウト思ヒマス、一面小作
  人側カラ言フト、是ハ秋田縣ト云ハズ、東
  北方面ニ能クアルノデスガ、實際ハ土地ノ
  面積ガ大キイノデス、所ガ耕地整理等ニナ
  ツテ來ルト、ソレガ變ツテ來ルト云フ風ナ
  モノガアツタリシテ、必ズシモ契約小作料
  ダケデ判定出來ナイト云フ實情ガアルヤウ
  デアリマスガ、ソレ等ニモ牽聯スルト思フ
  ノデス、隨テ利害ガ結局一致シナイコトガ
  アリ得ルノデス、詰リ地主側デハ從來ノ實
  納小作料ヲ損サセテモヤハリ文句ガアル、
  小作人ノ方トシテハ從來ノ實際ノ耕作反別
  ガ臺帳面積ヨリ多イト云フヤウナ場合ガア
  リ得ル、ソコデ利害上相互ノ主張ガ違ツテ
  來ルト云フコトガアリ得ルノデスガ、是尺、
  マア具體的ニ個々ニ調ベナイト、善イトカ
  惡イトカ言ヘマセヌケレドモ、サウ云フ實
  情モアルヤウデアリマス、唯此ノ一石二斗
  ニ決メラレマシタノハ、先程農政局長カラ
  モ申上ゲタヤウナ次第デ、實納小作料ノ實
  體ハ取ツテアリマスカラ、縣廳デ最高ヲ取
  リマシタ一石二斗ト云フノハサウ實情ヲ無
  視シタコトダトハ考ヘテ居リマセヌ、相當
  ソレハ實情ニ卽シテ居ルヤウデアリマス、
  ソコデ一石二斗ガ最高ト決マツタトシテモ、
  後ノ土地ニ應ジテ段々調整サセテ行ク問題
  ガ起キテ居ルコトハ御說ノ通リデアリマス、
  之ニ付キマシテハ固ヨリ縣廳ニハ愼重ナル
  取扱ヲスルヤウニ明示致シテ居リマス、同
  時ニ又經濟部長モ迭ラレタノデスカラ、特
  ニ上京ノ際ニ私モ面會シマシテ、サウ云フ
  問題ニ付テ能ク愼重ニ實情ニ卽シタヤウニ
  御指導願ヒタイ、斯ウ云フ風ニシテヤツテ
  居リマス、決シテ怠ツテ居ル譯デハゴザイ
  マセヌ、唯中ニハ農村側ニ於キマシテモ必
  ズシモ時局ヲ認識シテ協調的ナ態度ニ出ナ
  イト云フ人モアルヤニ今御說ガアリマシタ
  ガ、是等ハヤハリ十分ニ指導シテ行クト云
  フコトニシテ、同時ニ扱ヒニ付テハ先程農
  政局長モ申上ゲタ通リ、町村モ本當ニ能ク
  話シ合ツテ進メルト云フ農地委員會ヲ十分
  活用シテ居リマスシ、今後モサウ云フ運營
  ヲサセテ參リタイト考ヘテ居リマス、デス
  カラ尙ホ今後トモ十分實情ヲ調ベテ苟クモ
  戰時下ノ農村ニ於テ餘リ騷ギガナイヤウニ
  致シタイト考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=38

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• 039・小串清一

  ○小串委員　只今ノ森田サンノ牽聯質問ニ
  對スル御答辯デ、大體政府デモ御考ヘニナ
  ツテ居ルヤウデスカラ、其ノ點ハ止メマス
  ガ、更ニ私ハ肥料ノコトニ付テ自分ノ調ベ
  タコトヲ申上ゲテ御考ヘヲ拜聽シタイト思
  ヒマス、農產物增產ノ一大資源デアル所ノ
  肥料ガドウモ十分ニ行カヌコトハ洵ニ遺憾
  ナコトデアリマスガ、先般大臣ノ御話ノ通
  リニ、本年ハ昨年ニ對シテ硫安ガ八〇%、燐
  酸ガ五〇%、加里ハ皆無、是ハ無論金肥ニ
  付テト云フコトデアリマスガ、增產ニ對ス
  ル肥料資源ハ自給肥料ノ增强ニ依ル外ハナ
  イト云フノガ實際デアリマス、ソコデ私ハ
  數年自分ノ關係シテ居ル農會デ取扱ツテ居
  ツタ都市ノ屎尿及ビ塵芥ノ利用ニ付テ申上
  ゲテ見タイト思ヒマス、是ハ差當リトシテ
  自治團體デ今ヤツテ居リマスケレドモ、國
  トシテ大イニ御考ヘニナツテ、此ノ利用
  ヲヤツテ戴イタラドウカ大都市ニ於ケル
  屎尿ノ搬出ハ素晴シイモノデ、東京ガ一日
  二万七千石、橫濱ガ四千三百石、名·古屋ガ
  二千四百石、大阪ガ一万六千石、神戶ガ四
  千七百石、京都ハ調ベテ居リマセヌガ、
  是ガ三年前ニ屎尿ニ付テ市役所デ調査
  シタモノデアリマス、水掃便所ヤ其ノ他ニ
  依ツテ大分屎尿ノ始末ヲ付ケテ居リマスケ
  レドモ、只今東京アタリハ現ニ市ガ之ヲ〓
  掃事業トシテ扱ツテ居ルモノハ一日ニ
  大體三万石アルノデアリマス、此ノ不潔
  物ガドウ云フ風ニ扱ハレテ居ルカト云フト、
  都市附近ノ農村ニ利用サレテ居ル分ガ相當
  アリマス、東京デ申上ゲマスト東京府及ビ
  埼玉、千葉、神奈川等ニ搬出サレテ居ルノ
  デアリマスガ、近來輸送ノ不便ヤ勞銀ノ高
  イ爲ニ市ガ金ヲ使フノヲ苦シガツテ之ヲ海
  洋投棄ヲシテ居ル、東京ナドハ一日ニ大體
  私共ノ計算シタノデハ四千五百石位ヲ每日
  海へ棄テテ居リマス、是ハ實ニ恐ルベキデ
  アリマスガ、横濱ヤ横須賀モ此ノ頃ハ仕方
  ナシニヤハリ觀音崎沖ヲ通リ越シタアノ邊ニ
  持ツテ行ツテ棄テル、是ハ衞生其ノ他カラ
  言ツテモ非常ニ困ルコトデアリマスケレド
  〓、サウ云フ風ニナツテ居リマシテ、私共
  ノ農會デハ之ヲ何トカ利用シヨウト云フノ
  デ色々協力ヲシテ市カラモ金ヲ出サシテヤ
  ツテ居リマスガ、ドウモ十分デナイ、)今申
  ス程度ノモノヲドン〓〓每日海へ棄テテ居
  ルノデアリマス、私ハ一寸之ヲ調ベテ見タ
  ノデスガ、假ニ橫濱ト川崎トノ屎尿ノ肥料
  成分ヲ本年神奈川縣ニ割當ラレタ肥料ト比
  較シテ見ルト面白イ形ガ出ル、一寸細カイ
  コトヲ申スヤウデスガ、本年度ノ一月カラ
  七月マデノ御割當ニナツタ肥料ガ、有機肥料
  ガ窒素千九百「トン」、燐酸八百九十「トン」、
  無機肥料ガ窒素五百六十「トン」、燐酸百四
  十「トン」、加里ガ百十二「トン」ト云フコトニ
  ナツテ居ツテ、卽チ神奈川縣下ノ農村ニ配
  ラレル配給肥料ヲ有機、無機合計致シマシ
  テ窒素ガ二千五百「トン」、燐酸ガ千「トン」、
  加里ガ百十二「トン」、多少細カイコトハ違
  ツテ居リマスガ、之ヲ前年同期ノ一月カラ
  配給サレタ肥料ニ比ベテ見ルト、「パーセン
  テージ」ハ窒素二四%、燐酸五四%、加里八
  二%ノ激減ニナル、是デ以テ昨年以上ノ增
  產ヲ圖レト云フコトハ農家トシテハ苦痛
  デアルト考ヘテ居リマス、斯ウ云フヤウナ
  譯デ私ノ縣デモ縣廳及ビ縣農會ハ政府ノ方
  針ニ從ツテ自給肥料ノ增產ヲ極力實行スル
  考ヘデアリマスケレドモ、今申ス通リノ實
  情デアツテ、洵ニ困ツタコトデアルト思フ、
  是モ今申シタ屎尿ヲ利用スルコトヲ十分ニ
  完全ニセラレタナラバドウナルカ、之ヲ一
  寸調ベテ見マスト、丁度橫濱、川崎、橫須
  賀ノ屎尿ノ一箇年分ヲ假ニ積算シテ見ルト、
  二百八十三万八千石ト云フ厖大ナ不潔物ノ
  數字ガ出ル、之ヲ肥料ノ成分ニ換算シテ見
  マスト、窒素ガ三千「トン」、燐酸ガ七百
  「トン」加里ガ千四百「トン」デアツテ、殊
  ニ屎尿ノ中ニ加里ガ非常ニ多イノデアリマ
  ス、是ハ屎尿檢査所デ計算サシタノデアリ
  マスガ、是等ヲ今年度ニ割當ラレタ肥料ニ
  對シテ比ベテ見ルト、窒素ガ六〇%、燐酸ガ
  二〇%、加里ガ逆ニ一七〇%割當ラレタヤ
  ウニ澤山ノモノガ出來テ來ル勘定ニナル譯
  デアリマス、デアルカラ此ノ屎尿ノ利用ト
  云フコトハ容易ナラザル問題デアルノデア
  リマス、殊ニ都市ノ衞生保持ノ爲ニ、又健
  康增進ノ爲ニ非常ナ問題デアリマス、是ハ
  農林省ノ考ヘト云フヨリハ寧ロ私ハ內務
  省ヤ厚生省ガ斯ウ云フコトヲ放ツテ置イテ、
  市民ノ健康ナドヲ言ツテ居ルノガヲカシ
  イ、是ハ餘談デスガ、此ノ間「ロンドン」カラ
  昨年ノ春歸ツテ來タ人ノ話ニ、空襲下ノ「ロ
  ンドン」デ一番困ルノハアノ始末デ、屎尿ガ
  堆積スル爲ニ非常ニ防空壕ノ中ガ臭氣紛々
  デ不潔デドウニモ仕方ガナイト言ハレマシ
  タガ、全ク都市ノ惱ミデアリマス、之ヲ適
  當ニ利用シテ、金ヲ少シ掛ケレバ一石二鳥
  卽チ農產資源ニ還元スルコトガ出來ルノデ
  アリマス、單ニ屎尿ダケノコトヲ申シマシ
  タガ、下水設備トカ、塵芥處分トカ云フコ
  トニナツテ來ルト、中々大キナ問題デアル
  ト思ヒマス、塵芥ノ如キモ神奈川縣デ縣農會
  ガ扱ツテ居ルノハ、横濱市ダケデ塵芥ヲ無
  茶苦茶ニ燒イテ、其ノ灰ヲ中ノ危險ナ物ヲ
  取除イテ、俵ニ入レテ農村ニ賣ツテ居ルノ
  デアリマスケレドモ、是ナドモ一年ニ横濱
  市ダケデ十三貫俵ニシテ四万八千八百餘俵
  ヲ昨年扱ツテ居ル、是ノ肥料成分ヲ見ルト、
  燐酸ガ八千四百貫、加里ガ十八万六千貫ノ
  內容ヲ持ツテ居ルト云フコトガ分ツテ居
  ル、此ノ塵芥處分ニ付テ今私ハ橫濱市ニ
  向ツテ色々要求シテ居リマスガ、是ダケノ實
  情ニ對シマシテ目下本省ニ於テハ、此ノコ
  トトシテデハナク、多少ノ助成ヲ戴イテ居
  リマスガ、サウシテヤルニハドウシテモ貯
  溜槽ヲ農村ニ作ツテ、ソレヲ巧ク持ツテ來
  ル、ソレカラ配給ノ設備機關ヲ適當ニ助成
  スルコトガ必要デアリマスガ、都市デモ相
  當ニ困ツテ居ツテ、或ル程度マデ金ヲ出ス
  覺悟ヲシテ居ルノデスカラ、是ハ一ツ農林
  省デ-是ハ農林省ノ專門ノコトデナク、
  寧ロ厚生省ヤ商工省ノ關係デアリマスガ、
  適當ニ各三省ニ於テ速カニ御協議ニナツテ、
  今肥料ノ足ラナイ最中ニ斯ウ云ツタ大キナ
  資源ヲ放置シテ、一方ニハ健康上、衞生上
  ノ凡ユル損害ヲ受ケテ居ルト云フコトヲ御
  考慮願ヒタイ、是等ニ付テノ御考ヘヲ拜聽
  致シタイト思フノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=39

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• 040・三浦一雄

  ○三浦(一)政府委員　大都市ノ屎尿ノ處理
  問題ハ衞生上ノ觀點カラ見マシテモ)又肥
  料トシテ利用シマスル方面カラ見マシテモ
  重要デアリマスルコトハ小串サンノ仰シ
  ヤル通リデアリマシテ、實ハ私內閣ニ居リ
  マシタ際ニモ、此ノ都市ノ屎尿問題ニ付テ
  ハ關係省ト屢次會議ヲシタコトモゴザイマ
  シテ、能ク事情モ聞イテ居ルノデアリマス、
  是ハ他所ノコトデゴザイマスケレドモ、現
  在ノ設備デハ中々運ビ切レナイト云フノ
  デ、御說ノ通リ海洋投棄ヲシテ居ル譯デア
  リマス、船舶等モ足リマセヌモノデスカ
  ラ、船舶ノ手當ヲスルコトニモ御協力申上
  ゲタコトガアルノデアリマス、現在ノ屎
  尿處分デ一番難點ニナツテ居リマスノハ、
  結局輸送ノ關係デゴザイマス、卽チ「トラッ
  ク」ト之ヲ運轉スル油ガ足リナイ、是ハ實
  ニ苦シミ拔イテ居ルノデアリマスカラ、商
  工省、厚生省、農林省、內務省等ガ實ハ從前
  ニモ寄リマシテ、色々協議シタコトモゴザ
  イマスガ、尙ホ機會アル每ニ之ヲ促進シタ
  イト考ヘテ居リマス、同時ニ東京ノ例ヲ取
  リマスト、大體東京ノ都心カラ十一一哩ノ範
  圍マデ之ヲ運搬スルト云フ計畫ニ一應ナツ
  テ居ツタヤウデアリマス、其ノ地區內ニハ
  農林省トシマシテハ從前ノ經濟更生計畫ノ
  中ニ特別助成ノ仕事ガアツタノデスガ、ソ
  レニモ相當採入レマシテ、貯溜槽ヲ相當增
  設シタノデアリマス、ソレカラ現在モマダ
  若干ノ助成金ハ持ツテ居リマス、唯此ノ頃
  「セメント」ガナイノデアリマスカラ、從前
  ヨリハ非常ニ減ツテ參ツテ居リマス、サウ
  云フ風ナ資材ノ關係、交通、運輸ノ關係上
  カラ言ツテモ困難ガアリマスケレドモ、是
  非トモ其ノ困難ヲ排除シマシテ、此メ方面
  ノ肥料ヘノ利用ニ盡力シタイト思ヒマス
  尙ホ肥料事情ガ段々窮屈ニナツテ參ツタ
  モノデアリマスカラ、舊臘以來關係ノ團體
  ヲ總動員シマシテ、此ノ屎尿ノ利用、ソレ
  カラ塵芥等ノ利用ニ付キマシテモ、現在ハ
  各方面ノ協力ヲ借リテ今運動ヲ展開シテ居
  ル譯デアリマス、同ジ都市デアリマシテモ、
  名古屋ナドハ實ハ夜間ノ電車ノ利用等デ相
  當實績ヲ擧ゲテ居ル例モアリマス、唯東京
  トカ橫濱ナドニハ運ブ電車ガ實ハナイノデ
  アリマス、サウ云フヤウナ點ガアリマスカ
  ラ、急速ニハ行カナイト思ヒマスケレドモ、
  尙ホ農林省トシマシテハ、重要問題デアリ
  マスカラ、十分考究シテ努力シテ參リタイ、
  斯ウ考ヘマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=40

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• 041・小串清一

  ○小串委員　私ハ時間ヲ大分取リマシタカ
  ラ是デ止メマスガ、尙ホモウ一ツ希望ヲ
  申シテ置キタイノハ、大分本省デモ御注意
  ノヤウデアリマスガ、十三大都市トシテノ
  屎尿處分ヲ考ヘマス時ニ、是ハ可ナリノ肥
  料ニナルト思フノデアリマス、是ハ農林省
  ダケデハアリヤセヌカラ、寧ロ內務省及ビ
  厚生省ニ於テモ或ル程度マデ協力スルヤウ
  ニ御協議ヲシテ戴キタイト思ヒマス、以上
  ヲ以チマシテ質問ヲ打切リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=41

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• 042・三善信房

  ○三善委員長　此ノ際御諮リ致シマス、マ
  ダ質疑ノ通〓ハ大分アリマスケレドモ、大
  臣ノ御都合ガアツテ午前中ハ御出席ガアリ
  マセヌ、其ノ他政府委員ノ出席ヲ請求致シ
  テ居リマスケレドモ、マダ御見エニナツテ
  居リマセヌ、ダカラ其ノ政府委員及ビ大臣
  ガ來ラレタ際ニ質疑ヲ許スコトニ致シマシ
  テ、委員外大島寅吉君カラ質疑ヲ致シタイ
  ト云フ申出ガアリマスガ、之ヲ許シテ宜シ
  ウゴザイマスカ
  〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=42

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• 043・三善信房

  ○三善委員長　ソレデハ大島寅吉君ニ發言
  ヲ許シマス-大島君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=43

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• 044・大島寅吉

  ○大島寅吉君　私ハ農業藥品ニ付キマシテ
  最モ簡單ニ御伺ヒ致シタイト思ツテ居ルノ
  デアリマス、今日食糧問題ノ重要性ニ鑑ミ
  マシテ、米麥增產ノ凡ユル施設ニ對シテ農
  林省ガ御努力ニナツテ居ルコトハ能ク了承
  致シテ居ルノデアリマス、併シ今日金肥ノ
  不足等ヨリ見マシテ、肥料ニ依リ或ハ增反
  等ニ依リマシテ米麥ノ增產ヲ圖ルト云フコ
  トハ容易デナイノデアツテ、寧ロ減產スル
  コトヲ漸ク防止スルト云フ位ナ消極的施設
  ニ終ルノデハナカラウカト思フノデアリマ
  ス、此ノ時ニ於キマシテ私ハ農業藥品ヲ十
  分ニ使用致シマシテ、種子ノ消毒或ハ病蟲
  害ノ驅除ト云フヤウナコトニ御努力ナサレ
  レバ、私ガ考ヘマスト優ニ米麥ニ對シテ二
  割位ノ增收ヲ圖ルコトガ容易デナカラウカ
  ト思フノデアリマス、極ク少ク見マシテモ
  千万石位ノ增產ハ容易ナコトデアラウト思
  フノデアリマス、ソコデ御伺ヒ致シタイノ
  ハ只今オヤリニナツテハ居リマセウガ、
  ドンナ工合ニ農業藥品ヲ使用スルコトヲ指
  導サレテ居リマスルカ、之ニ付テ御伺ヒシ
  テ見タイト思フノデアリマス

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• 045・岡本實太郎

  ○岡本政府委員　御說ノ通リ農業藥品ノ供
  給量、殊ニ第三國ニ仰イデ居ツタ「デリス」根
  或ハ砒酸鉛、サウ云フモノニ付テハ窮屈ノ
  度ガ加ハツテ居リマス、仍テ此ノ際ニ處ス
  ル方法ト致シマシテハ、假令一匁ノモノト
  致シマシテモ節用ノ上ニ節用ニ努メル、又
  或ル場合ニハ展着劑ヲ之ニ加ヘテ用ヒテ多
  少稀薄ナル成分ヲ以テシテモ效果ガ相當ニ
  アルヤウニスルト云フ點ニ付キマシテ、各
  農村指導者等ニモ呼掛ケマシテ、此ノ節用
  ニ付テ專ラ努メテ參ツテ居リマス

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• 046・大島寅吉

  ○大島寅吉君　現在ノ道府縣其ノ他ニ於キ
  マスル使用狀況、之ヲ全部聽ク譯デハアリ
  マセヌガ、主ナル府縣ハドウ云フ所ガ多ク
  此ノ藥品ヲ用ヒテ居リマスカト云フヤウナ
  コトニ付テ其ノ現狀ヲ御伺ヒ致シタイト思
  ヒマス

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• 047・岡本實太郎

  ○岡本政府委員　御尋ネノ府縣別肥料實績
  ニ付キマシテハ生憎此處ニ其ノ資料ヲ持ツ
  テ居リマセヌデスガ、御希望トアレバ調査
  シテ後程申上ゲタイト存ジマス

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• 048・大島寅吉

  ○大島寅吉君　突然ノ御尋ネデアリマスカ
  ラ府縣別實績ナドニ付テ資料ヲ御持チニナ
  ラヌト云フコトハ御尤モデアリマス、私ハ
  別ニソレヲ追求スル譯デハアリマセヌガ、
  私ノ聞イテ居リマス所ニ依リマスト、大體
  靑森縣或ハ靜岡縣、和歌山縣乃至ハ北海道
  トカ新潟ト云ヤウナ所ガ大體餘計用ヒテ
  居ルヤウデアリマス、併シ是等ノ地方ニ於
  テ此ノ藥品ヲ多ク用ヒルト云フコトハ寧ロ
  果樹ニ對シテ用ヒルノデアツテ、大體林檎
  デアルトカ、蜜柑、梨ト云フヤウナモノガ
  出來ル爲ニ、斯ウ云フモノニ用ヒル方ガ多
  イノデアリマス、實際米麥ニ對シテ今日使
  用シテ居ルノハ僅カニ東京附近或ハ埼玉縣
  邊リ、或ハ宮城縣ガ稍〓奬勵シテ居ルト云フミ
  コトデ、事實ハ殆ド米麥ニハ用ヒラレテ居
  ラナイ果樹ニノミ多ク用ヒラレテ居ルノ
  デアツテ、甚ダシキハ多ク來ナイ爲ニ闇
  等ニ於テ果樹ノ方ニモ流レテ居ルト云フコ
  トマデ聞クノデアリマス、併シ別ニ今是ノ
  調査ガ分ツテ居ラヌト云フ御話デアリマス
  レバ、私ハソレ以上ハ追究致シマセヌガ、
  私ノ聞キマシタ範圍ニ於テハ左樣ニ聞イテ
  居ルノデアリマスルカラ、此ノ點モ十分ニ
  一ツ御〓究ヲ願ヒタイト思フノデアリマス、
  就キマシテハ尙ホ農業藥品ハ現在全國ニド
  ノ位ノ金額ガ用ヒラレテ居リマスルカ、是
  モ極ク大雜把ナ金額デ宜シイノデゴザイマ
  スルカラ、細カイ數字ハ宜シウゴザイマス
  ガ、ドノ位ニナリマスカ
  〔委員長退席、岩瀨委員長代理着席〕
  又農林省ノ本年ノ食糧、農產物增產ニ關ス
  ル經費ハ四千百万圓バカリデアリマスルガ、
  今ノ農業藥品ニ對シテモ相當金額ガ計上サ
  レテ居ルト云フコトモ聞キマスケレドモ、
  ドノ位ノ金額ガ明十七年度ニ於テハ計上サ
  レテ居リマスカ、又是ハドウ云フ方面ニ御
  使用ニナル御考ヘデアリマスルカ、此ノ點
  ニ付テ伺ヒタイト思ヒマス

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• 049・三浦一雄

  ○三浦(一)政府委員　農業藥劑ヲドウ云フ
  方面ニ使用サセルカト云フコトデアリマス
  ガ、是ハハツキリ致シテ居リマシテ、昨年
  ノ天候ガ非常ニ惡カツタノデ、稻熱病防除
  其ノ他ニ農林省トシテ非常ニ苦心ヲ拂ツタ
  ノデアリマス、卽チ所要ノ藥劑ガ資材ノ關
  係デ手ニ入ラナイ、ニモ拘ラズ商工省ニ話シ
  マシタ所、商工省デハ特ニ他ノ關係カラ此
  ノ方面ニ供給シテ吳レマシタ、又遞信省ニ
  於キマシテモ實ハ遞信省ノ業務用ノ分マデ
  割イテ食糧增產ノ爲ニ必要トアラバ出シテ
  ヤラウト考ヘテ吳レタ位ノ重要ノ資材デア
  ツタ譯デアリマス、之ヲ夏分ノ稻熱其ノ他
  ニ重點的ニ配給シテ居ル、是ハ私モ現ニ宮
  城縣デアルトカ、福島縣デアルトカ、其ノ
  他ノ地方ヲ見マシタガ、重點的ニ其ノ方面
  ニ向ケテ居リマス、其ノ指導方針ノ下ニヤ
  ツテ居リマス、今後モヤハリ主要食糧ノ增
  產ニ重點ヲ置イテ、斯樣ナ貴重ナ農業藥劑
  ハ使用サセタイ、同時ニ之ヲ確保シマスル
  爲ニ今囘農業生產統制令等モ制定致シマシ
  テ、或ル程度ノ團體ノ統制ノ下ニ寳施シ得
  ル途モ段々開ケテ參リマスシ、一層徹底ス
  ルコトト期待致シテ居リマス、ソレカラド
  レ位ノ金額ヲ計上シテ居ルカト云フ御話デ
  アリマスガ、是ハ增產奬勵金其ノ他相當ノ
  金額モアリマスシ、是モ御手許ニアリマス
  ル豫算書ニ仔細書イテアリマス、唯藥劑ト
  シテ幾ラト云フ風ニハ計上シテ居リマセ
  又、大體農林省ノ指導方針トシテハ重點的
  ニ此ノ增產奬勵金ヲ運用シテ參リタイ、隨
  ヒマシテ、外ノ仕事ハヤラナクテモ特ニ此
  ノ農業藥劑ニ十分使ヒタイ、斯ウ云フヤウ
  ナ場合ニハ、其ノ方面ニ重點的ニ之ヲ運用シ
  テ參リタイ、斯ウ考ヘテ居リマス、藥トシ
  テ何ボト云フヨリ農業增產對策トシテノ經
  費ガ相當額アリマスカラ、之ヲ運用シテ來
  年度ノ增產ニ對處シテ行キタイ、斯ウ考へ
  テ居リマス

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• 050・大島寅吉

  ○大島寅吉君　農藥ハ最近二、三年漸ク勃
  興シツツアリマスガ、農藥ノ製造ニ對シマシ
  テハ、特ニ何カ奬勵デモシテオヤリニナル
  御考ヘデアリマスカ、最近聽ク所ニ依リマ
  スト、何カ原料不足トカ云フヤウナコトデ、
  非常ナ統制ヲヤラレテ、寧ロ折角此ノ一、三
  年勃興シ掛ツテ來テ居ル農藥ノ製藥業者ヲ
  シテ萎縮セシムルヤウナコトヲ聽イタノデ
  アリマスガ、之ニ對シマシテ所謂製造業者
  ニ對シテ何カ特ニ奬勵デモサレルト云フヤ
  ウナ方法ヲ御執リニナツテ居リマスカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=50

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• 051・三浦一雄

  ○三浦(一)政府委員　藥ノ製產ニ付キマシ
  テハ、是ハ事變以來非常ニ力ヲ入レテ來テ
  居リマス、卽チ資材ノ供給ニ付キマシテハ
  最優先ト云フ權利ヲ與ヘテ居リマス、農業
  藥劑ニ付キマシテモ、一般藥劑ト同ジヤウ
  ニ非常ニ優待シテ、資材ノ供給ヲ圖ツテ居
  ル譯デアリマス、隨ヒマシテ資材ヲ確保ス
  ル場合ニハ、從前デゴザイマスト、國內デ
  生產スルモノト外國カラ入ルモノト二ツア
  ツタ、ソコデ國內デ生產シマスモノニ付キ
  マシテハ生產資材竝ニ原料ヲ確保スルト云
  フコトデ、是ハ實ハ物資動員計畫等ノ方針
  モサウ云フ風ニナツテ居リマス、ソレカ
  ラ外國カラ入リマスモノモ實ハ是ハタツプ
  リ入レヨウト云フコトデ從來ヤツテ來タ經
  過デアリマシテ、同時ニ此ノ農業藥劑ニ付
  キマシテモ、農林省ハ熱心ニ其ノ主張ヲ堅
  持シテ今マデヤツテ參リマシタ所ガ昨年來
  資產凍結等デ第三國、卽チ英米ノ地域デア
  ルトカ、或ハ獨「ソ」開戰ニ伴ヒマシテ歐洲
  等カラ來ナイモノガ出來テ參ツタモノデス
  カラ、此ノ第三國カラノ輸入ニ非常ニ困難
  シテ居ル、殆ド不可能ニナツテ居リマス、
  國內ノ方ニ付キマシテハ所謂物動計晝等ニ
  付キマシテハ資材ヲ優先的ニ配給スルト云
  フヤウナ方針ノ下ニ進ンデ居リマスカラ、
  相當是ハ他ノモノヨリ重ンゼラレテ保護助
  成シテ居ル、斯ウ云フ形ニナツテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=51

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• 052・大島寅吉

  ○大島寅吉君　製造業者ヲ何カ統制デモサ
  レタコトハアリマセヌカ、私共ノ聽イタノ
  ハサウ云フコトデアリマスガ、サウ云フコ
  トハアリマセヌカ

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• 053・岡本實太郎

  ○岡本政府委員　ソレハ大體斯ウ云フ狀況
  ニナツテ居リマス、御承知ノ砒酸鉛トカ或
  ハ硫黄合劑トカ云フヤウナ原料ノ供給量ノ
  激減致シマシタモノニ付テ、今後其ノ製
  造ヲヤツテ行キマス上ニ於テ、從來ノ在ル
  ガ儘ノ多數ノ散在シタ小規模ノ業者ヲ自治
  的申合セニ依ツテ又配給上ノ便宜ヲモ考へ
  マシテ、從來ノ實績モ考慮スルトカ致シマ
  シテ、之ヲ統合スルト云フコトデ、農藥整
  備委員會ト云フヤウナモノヲ關係業者ヲシ
  テ結成セシメマシテ、其ノ委員會ヲ中心ニ
  協議サシテ居リマス、大體砒酸鉛外五品目
  ニ付テハ先日意見ノ一致ヲ見タト承知シテ居
  リマス、今マデ統合上ニ付テハ大體サウ云
  フヤウナコトガ行ハレテ居ツタノデアリマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=53

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• 054・大島寅吉

  ○大島實吉君　私ハソレ以上製造家ノコト
  ニ對シテハ申シマセヌガ、私ノ聞ク所ニ依
  リマスト、銅ノ製劑デアルトカ、酸鉛ト云
  フヤウナモノニ對シテハ、原料ガ不足デア
  ルト云フ關係デ統制サレタ爲ニ、折角發展勃
  興セントシツツルアル此ノ二、三年ノ情勢ヲ
  全ク萎縮サセテシマフヤウナ狀態デアルト
  云フコトデアツテ、藥劑ノ使用等モ少ナイ
  ダラウト云フヤウナコトヲ申シテ居リマス
  ガ、先程私ガ申上ゲマシタ全國ニ於テドノ
  位御使用ニナツテ居リマスカ、伺ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=54

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• 055・岡本實太郎

  ○岡本政府委員　今ノ御尋ネガハツキリ致
  シマセヌデシタガ、數量ノ御尋ネデアリマ
  スレバ此ノ程度ノコトヲ申上ゲ得ルト思ヒ
  マス、「デリス」根ノ如キ「マレー」方面ノ第三
  國カラ輸入シテ居ツタモノデアリマスガ、
  大體今年ハ昨年ノ半分弱ト云フモノヲ配給
  シ得テ居ル或ハ併シ此ノ米作ニ主トシテ用
  ヒマス硫酸銅ノ如キモノデスト昨年ヨリハ
  今年ハ九%バカリ增配シタト云フヤウナコ
  トガ大體ノ狀況デアリマス、例ヲ以テ大體
  ノコトヲ申上ゲマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=55

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• 056・大島寅吉

  ○大島寅吉君　私ノ聽クノハ、一々何ガ幾
  ラト云フヤウナコトデナシニ、一體日本全
  國ニ對シテハ、肥料ハ何億圓位使用スルト
  云フコト位ハ、恐ラクハ農林省トシテ御卽
  答ガ出來ルデアラウト思フノデアリマス、隨
  テ私ハ農藥品ハドノ位ノ金額ヲ用ヒテ居ラ
  レルカ、極ク大雜把デ宜シイ『カラト云フ
  質問ニ對シテモ、今マダ明確ナ御答辯ガ出
  來得ナイコトハ、私ノ甚ダ遺憾トスル所デ
  アリマス、隨テ農藥ト云フコトニ對シマシ
  テハ、農林當局ハマダ左程深イ關心ヲ御持
  チニナツテ居ラヌト斯ク申上ゲテ見タイノ
  デアリマス、現ニ今ノ銅製劑ノ如キモノデ
  モ原料ガ不足デアルト言ハレマスケレドモ、
  是モ用ヒ方デ幾ラデモ原料ヲ節約スルコト
  ガ出來ル、現ニ米麥等ニ最モ必要ナ硫酸銅
  ノ如キモ六千「トン」一箇年ニ使フノデアリ
  マスガ、其ノ中ノ三分ノ一ハ色々ノ銅ノ製
  劑トシテ用ヒ、アトノ三分ノ二ノ四千「ト
  ンハ其ノ儘使フノデアリマシテ、寧口是
  ハ銅ノ成分ガ多過ギテ却テ藥害ヲ來ス虞ガ
  アルト云フコトデ、靑森縣ノ如キハ石灰ヲ
  多量ニ入レテ居ル、石灰ヲ多量ニ入レルト
  云フコトハ要スルニ銅ノ成分ヲ緩和シテ有
  效成分ヲ少クスルト云フコトニナルノデア
  リマスガ、斯ウ云フ工合ニシテ用ヒテ居ル
  ト云フ實情デアリマスカラ、御〓究ニナリ
  マシタナラバ、マダ〓〓幾多斯ウ云フ資材
  ニ對シテモ、節約モ出來、又良イモノモ出
  來ルト思フノデアリマス、是ガ私ガ先程申シ
  タ製造家ノ奬勵デモナサツテ居ラレルカ否
  ヤト云フコトニモ關聯シテ御伺ヒスルノデア
  リマスガ、今此處デ何ガ幾ラアル、カニガ幾ラ
  アルト云フヤウナ、一々ノ農藥肥料ニ對シテ申
  上ゲルコトハ時間ガアリマセヌカラ止メマス
  モウ一ツ伺ヒタイノハ、先程モ御說明ノ
  中ニモアリマシタガ、展着劑等ヲ使ツテ成
  ベク有效ニサセルヤウニスルト云フ御話デ
  アリマスガ、私ノ承知致シテ居リマスル所
  ニ依リマスト、大豆展着劑トシテ一万石以
  上ノモノヲ年々農林省ガ滿洲カラ輸入シテ
  御使用ニナツテ居ルコトハ分ツテ居ルノデ
  アリマス、然ルニ今食糧問題ノ喧シイ、殊
  ニ豆腐ナドハ東京バカリデナク、全國デモ
  殆ド食ベラレナイヤウナ場合ニ、展着劑ト
  致シマシテ大豆ナドヲ用ヒナクテモ、更ニ
  鑛物性ノモノデアツテ成績表カラ言フト寧
  ロ大豆ノ展着劑ヲ用ヒルヨリ以上ニ效力ガ
  アル、成分ノ分析表ナドモアルノデアリマ
  スルガ、先ヅ是ハ學者ノ議論ハ別ト致シマ
  シテモ、假ニ是ガ銅ヨリ以上ノ效力ガナイ
  ト致シマシテモ、斯樣ナモノニ對シマシテ
  ハ豆腐モ食ベラレナイヤウニ食糧不足ノ
  場合ニハ、食糧ノ方ニ一万數千石ノ大豆ヲ用
  ヒルヤウニシテ、サウシテ鑛物性ノモノヲ
  以テ展着劑ニ御使用ニナルコトガ適當ナリ
  ト思フノデアリマスルガ、斯樣ナ點ニ付テ
  モ多少御〓究ニナツテ居ルノデアリマスル
  カ、御分リニナツタラ御伺ヒ致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=56

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• 057・岡本實太郎

  ○岡本政府委員　鑛物性ノ展着劑ニ適當ナ
  ルモノガアルト云フ御話デアリマスルガ、
  斯樣ナ大豆需給ノ方面カラ見マシテモ、相
  當密接ナル關係ガアリマスノデ、折角技術
  的ニ其ノ方面ノ調査ハ致サセテ居リマス、
  今其ノ結論ヲ申上ゲル程ニナツテ居リマセ
  ヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=57

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• 058・大島寅吉

  ○大島寅吉君　私ハ質問ヲ致ス際ニ農藥ニ
  付テ質問ヲ致シタイト云フコトヲ豫メ申上
  ゲテ居ツタノデアリマスルカラ、モウ少シ
  農藥ノ專門的知識ヲ御持チニナル方、政府
  委員デナクモ說明委員トシテ御出席ニナ
  ツテ居ルモノト思ツタノデアリマスルガ、農
  藥ノコトヲ申上ゲルコトハ少シク次官ヤ局
  長サンニハ御無理カモ知レマセヌシ、私ハ
  是レ以上ハ中上ゲマセヌガ、斯ウ云フコト
  ヲ最後ニ一ツ御註文ヲ申上ゲテ置キタイト
  思フノデアリマス、是ハ農藥ハ現在用ヒ
  テ居ルモノハ數十種アリマスルガ、其ノ中
  デ昨年農林省ガ指定サレタ統制品目、統制
  ノ農藥ノ中ニモ原價ニ於テ殆ド損ニ近イヤ
  ウナモノモアルノデアリマス、又中ニハ一
  面カラ言フナラバ非常ナ暴利ニモナルヤウ
  ナモノモアルノデアリマス、隨テ私ハ此ノ
  點ヲ「メーカー」ノ言フコトノミヲ聽カズ
  ニ、十分〓究ナサツテ、サウシテ原價計算
  等モナサレテ、折角農家ノ必要ナモノモ、
  全ク損マデシテ奉仕ハ出來ナイカラ、ソコデ
  自然出來ナクナルト云フヤウナコトデハ、
  農家ノ必要ニ應ジナイコトニナリマスルカ
  ラ、斯ウ云フモノニ對シテハ、相當利潤ヲ
  與ヘルヤウニ願ヒタイ、又先程私ガ申上ゲ
  マシタヤウニ、暴利ニ近イヤウナモノガア
  ルノニ對シマシテハ、原價計算ニ依ツテ安
  ク之ヲ使ハセルト云フコトニ對シテ十分ナ
  ル御考ヘヲ御持チニナツテ戴キタイ、私ハ
  何ガドノ位儲カルモノデアリ、何ガ儲カラ
  ヌト云フヤウナコトモ大體知ツテ居リマス
  ルガ、私ハ今此處デ左樣ナコトハ申上ゲハ
  セヌ、ソレハアナタ方技術官ニ能ク御話ニ
  ナツテ御〓究ニナレバ分ルコトト思ヒマス
  ルカラ、私ハ此ノ點ヲ當局ニ御注文ヲ致シ
  マス、又甚ダ失禮ナ言ヒ方デアリマスルケレ
  ドモ、私ハ農藥ヲ全國ニ普及スルコトニ依
  ツテ、先程モ中シタ通リ一千万石位ノ米麥
  ニ對スル增收ハ易々タル問題デアル、私ハ
  二割ノ增收ハ容易デアルト考ヘルノデアリ
  マス、斯ウ云フ位ニ考ヘルノデアリマスカ
  ラ、モウ少シク農藥方面ニ對シテ御關心ヲ
  持ツテ御〓究ナサレンコトヲ私ハ希望致シ
  マシテ、私ノ質問ハ是デ止メマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=58

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• 059・三浦一雄

  ○三浦(一)政府委員　大島サンノ最後ノ御
  意見ノ中ニ農藥ノ代用ニシテ代用シ得ベキ
  モフハ〓究ノ上ニ之ヲ活用スルヤウニト云
  フコトデゴザイマシタガ、是ハモウ其ノ通
  リニ考ヘテ居リマス、隨ヒマシテ是ハ技術
  官ノ方ニ命ジマシテ能クヤリタイト思ヒマ
  ス、但シ具體的ニ御話ハゴザイマセヌガ、
  其ノ程度デ言付ケテモ向フデ分ルコトト思
  ヒマス、ソレカラ價格ノ問題ニ付キマシテ
  モ、尙ホ不合理ナモノガアルト云フコトデ
  アリマスルガ、是モ能ク取調ベテ〓究サセ
  マス、ソコデ代用ノ材料ノ問題、價格ノ問
  題デスガ、此處デハ一々大變デゴザイマセ
  ウカラ、若シモ御注意下サイマスト、具體
  的ナ問題トシテ又〓究モサセマスルシ、適
  切ナル處置ヲ執ラセルコトニ付テハ異存ハ
  ゴザイマセヌカラドウゾ······ソレカラ農藥
  ヲ普及サセルニ付テハ、御意見ノ通リ吾々
  トシテモ今後熱心ニ此ノ供給ノ確保ニ盡力
  シタイト思ヒマス、決シテ此ノ方面ニ無關
  心デアルト云フノデハゴザイマセヌカラ、
  此ノ點ハ御諒承ヲ願ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=59

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• 060・岩瀬亮

  ○岩瀨委員長代理　本日午後政府カラ祕密
  會ヲ要求サレテ居リマスカラ御承知置キヲ
  願ヒマス、一時半マデ休憩致シマス
  午後零時十分休憩
  午後一時三十九分開議

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=60

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• 061・三善信房

  ○三善委員長　只今ヨリ會議ヲ開キマス、
  政府ノ方カラ祕密會ノ要求ガアリマシタノ
  デ、此ノ際祕密會ニ致シタイト思ヒマス、
  議員及ビ政府關係以外ノ方ハ御退場ヲ願ヒ
  マス
  〔午後一時四十分祕密會ニ入ル〕
  〔午後二時五十九分祕密會ヲ終ル〕

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=61

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• 062・三善信房

  ○三善委員長　祕密會ラ解キマス、北君ノ
  先般留保シテ居ラレタ纖維局長ニ對スル質問
  ヲ局長ガ見エテ居リマスカラ此ノ際御願ヒ
  致シマス-北勝太郞君

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• 063・北勝太郎

  ○北(勝)委員　農村ノ衣類ノ點數ガ八十點
  デ都市ガ百點ト云フノハ、是ハ逆ヂヤナイ
  カト思フノデアリマシテ、其ノ理由ガドウ
  シテモ私ニハ分ラヌノデアリマス、ソシヲ
  一點承リタイ、ソレカラ特ニ樺太、北海道
  ノヤウナ酷寒地モ暖地モ畫一的ナ點數デア
  ルト云フコトハ、是モ分ラナイノデアリマ
  シテ、何カ手心ガアルノデアルカドウカ、
  モウ一ツハ現在農村ノ商人購買組合等デ持
  ツテ居リマスル衣類ハ、實ハ農村ノ經濟力
  ノ關係カラ非常ニ安イ粗惡品ヲ多ク持ツテ
  居ル、隨テ非常ニ傷ミ易イノデスガ、此
  ノ過渡期ニ於ケル何カ緩和サレル方法ガナ
  イカ、農村デハ斯ウ云フ點數ニナリマスト、
  値段ガ高クテモ宜イカラ、質ノ良イモノヲ
  買ハナケレバナラヌコトニナルノデスガ、
  仕入レタ商人ハ恐ラク元自分ノ手ニ入ツタ
  モノヲ賣ツテシマフマデハ次ノ仕入ヲシナ
  イ、足袋ガ一週間デ破レタト云フヤウナコ
  トヲヨク聞クヤウナ狀況デス、是等モ都會
  ノヤウニ勝手ニ良イ店ニ行ツテ買ツテ來ル
  コトガ出來ヌト云フヤウナ農村ノ狀況デ
  ハ、非常ニ困ルコトニナルノデハナイカト
  思ヒマス、此ノ三點ヲ承ツテ置キタイノデ
  アリマス

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• 064・梶原茂嘉

  ○梶原政府委員　都市ト農村トデ衣料ノ切
  符ノ點數ヲ變ヘタノデアリマスガ、從來ノ
  色々ノ調査ヲ參考ニシ、一應百點ト八十點
  トノ相違ヲ付ケタノデアリマス、唯的確ナ
  ル資料ガ實ハナイノデアリマス、大體ノ常
  識-常識ト申スト言葉ハ當ラナイノデア
  リマスケレドモ、其ノ考ヘ方カラ見マシテ、
  金額ノ點デ言ヒマスト、都會地ノ纖維製品
  ノ購入價格ト地方ノモノヲ比ベテ見マスト、
  大體三分ノ一カラ半分位ニナツテ居リマス、
  又金額ダケデ數量ニ差等ヲ付ケルコトハ、
  是ハ實情ニ副ハナイノデ適當デハナイト考
  ヘテ居リマス、金額ハ三分ノ一程度デアリマ
  スケレドモ、數量ハソレ程ノ開キハナイト
  云フ風ナ點ヲ睨合セマシテ、先ヅ八割デ
  アレバサウ大キナ不自由ハナイデハナカラ
  ウカト云フノデ、都會ト其ノ他ノ區別ヲシ
  タ譯デアリマス、是ハ都會ニ於キマシテモ
  御承知ノヤウニ收入ノ點ナリ、或ハ職業ノ
  點等デ考ヘテ行キマスト、點數ニ於テ隨分
  差等ヲ付ケナクテハナラヌノガ寧ロ理窟ノ
  ヤウニ思ヒマスガ、ソレヲ一々ヤツテ行キ
  マスト、却テ是ハ切符制度全體ニ對シテ適
  當デハナイカト云フ風ナコトニ相成リマス
  ノデ、施行致シマシタ當初トシマシテハ、
  大體百ト八十見當ノ所デ實施スルコトニ致
  シタノデアリマス
  尙ホ農村ニ對シマシテハ農村ノ最モ
  重要ナ纖維製品トシテノ勞働作業衣等ニ
  付キマシテハ、是ハ點數カラ除外ヲシマ
  シテ特別ノ配給ニ依ツテ出シテ行ク、ソレ
  ヲ點數ニ換算シテ考ヘテ行キマスト、大
  分差ガ縮マルヤウナコトニナツテ行キマス、
  ソレカラ北海道ノ如キ、或ハ東北ノ如キ、
  氣象條件上、暖カイ方面ト比ベテ使用量等
  ニ相當差モアル、之ヲ如何ニスベキカト云
  フコトモ實ハ色々檢討ヲシテ見タノデアリ
  マス、相當ハツキリシタ所モアリマスケレ
  ドモ、其ノ區別ヲシテ行キマスト、其ノ外
  ノ地方ニ於テモ相當山寄リノ方デアリマス
  トカ、色々違ツテ參リマスト云フコトト
  ソレカラ今日ノ切符制度ガ全國ヲ地區ニシ
  テ考ヘテ居リマスノデ、地區的ニ區別ヲ付
  ケルト云フコトニ制度實施上一ツノ難點ガ
  アリマシテ、地區制度ヲ採ラナカツタト云フ
  ヤウナコトカラ、多少纖維ノ消費量ノ差ハ
  アルニシテモ、先ヅ一律ノ點數デ行ク方ガ
  却テ宜クハナカラウカ、唯寒冷地方ニ對シ
  テハ寧ロ點數ノ問題ヨリモ、其ノ方面ニ適
  シタ製品ヲ特別ニ廻シテ行クト云フ方面ノ
  工夫ヲ十分ニスル方ガ宜イノヂヤナイカト
  云フノデ、實質的ニ點數ニ於テハ差ハナイケ
  レドモ、寒冷地方ニハ出來ルダケ其ノ地方
  ニ適スルヤウナモノヲ今度ハ〓シテ行ク、
  從來ハサウ云フ方面ニ對スル配給ノ統制ガ
  整備サレテ居ラナカツタ譯デアリマスケレ
  ドモ、今囘ハ其ノ點ニ付キマシテモ相當サ
  ウ云フ段取ニ應ジテ物ヲ造リ流シテ行ク途
  ガ立ツテ來マシタカラ、サウ云フ工夫デ處
  理致シタイ、左樣ニ考ヘテ居ル譯デアリマ
  ス、ソレカラ購買組合等現ニ手持シテ居ル
  物ノ處置デアリマスガ、其ノ點ニ付キマシ
  テハ是ハ購買組合ダケデハナシニ、都會ニ
  於キマシテモ、例ヘバ極ク小サイ小賣店ナ
  ドニ於キマシテハ同ジヤウナ事情ガアラウ
  カト考ヘマスケレドモ、ソレヲ此ノ際ニ特
  別ニ處理ラシテ、新ラシク良イ品物ヲ廻シテ
  行クト云フ段取マデ實ハ致シテ居リマセヌ、
  若シ實施シマシテ相當顯著ニサウ云フ結果
  ニナツテ參リマスレバ、ソレ等ニ付テノ對
  策ヲ考ヘルト云フコトニ致シタイ、斯樣ニ
  現在考ヘテ居リマス
  尙ホ足袋デアリマストカ、靴下等ニ付キ
  マシテハドウシテモ點數デ制限致シマス
  ル反面ニ於テ、出來ル限リ品質ノ上ニ於テヤ
  ツテ行キ得ルヤウナ工夫ヲ致シマシテ、品
  質的ニ改善ヲシテ、先ヅアノ點數デヤツテ
  行キ得ルヤウニ致シタイト云フ考ヘノ下
  ニ、色々ノ對策ヲ簡單ニ講ジツツアル次第
  デアリマス

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• 065・北勝太郎

  ○北(勝)委員　作業服ト云フノハ今マデ常
  識的ニ言ツテ居ルノハ上着ダケデハナイト
  思ヒマス、「シャツ」「ズボン」下ガ其ノ中ニ
  入ルカ、之ヲ承リタイ
  ソレカラドウモ都市ト農村トノ點數ノ差
  ハ、從來ノ所謂實績ト云フモノニ重キヲ置
  イテ決メラレタヤウデスガ、最低限度サヘ
  モ賄ヘルカドウカト云フ配給ヲスル場合
  ニ、從來ノ實績ヲ考ヘラルベキヂヤナイ、
  玆ニ大キナ誤リガアルノヂヤナイカト考へ
  ルノデス、此ノ點如何デスカ
  モウ一ツハ地區別ノ差ヲ付ケ難イト言ハ
  レルノデアリマスガ、既ニ都市ト農村ノ地
  區別ノ差ヲ付ケテ居ル、ソレニ寒暖兩點ノ
  差モ付ケヨウトスレバ付ケ得ル譯デアルト
  思フ、此ノ點モドウ云フ譯デアルカ、之ヲ
  一ツ·

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• 066・梶原茂嘉

  ○梶原政府委員　「シャツ」ト「ズボン」ハ作
  業衣デアリマスト同時ニ、一般ノ消費生活
  部門衣料デモアルノデアリマシテ、勞働作
  業衣トシマシテ特別ニ點數カラ除外シテ配
  給致シマスモノニハ、「シャツ」等ハ含ンデ
  居ラナイ譯デアリマス
  ソレカラ點數ノ點デアリマスガ、最低限
  度トナリマスト、御說ノ通リニサウ差ガア
  ルベキモノデハナイ譯デアリマスケンドモ、
  ソレニシマシテモ先ヅ或ル程度ノ差ハアツ
  テ宜クハナカラウカ、ト申シマスノハ、結
  局全體ノ生產量ヲアフ百點ナリ八十點ノ點
  數ヲ基礎ニシマシテ生產計畫ヲ立テテ行ク、
  サウシマスルト若シ實際ニ地方ノ方ガ數量
  ガ少イトシマスト、ソコニ生產計畫上一ツ
  ノ相當大キナ齟齬ガ出テ來ルノデアリマス、
  ソレヲ實ハ懸念致シマシテ、先ヅ差ヲ付ケ
  テ實施シテ行ク、其ノ結果ソコニ實際上、非
  常ナ不合理ガ起ツテ來ルヤウデアレバ、是
  ハ一ツ是正シテ參リタイ、斯樣ニ考ヘテ居
  ルノデアリマス、寒冷地帶ノ點デ、地域ノ
  差ノコトデアリマスケレドモ、勿論都市ト
  地方ト分ケマシタヤウニ、寒冷地帶等ニ付
  テ特別ノ切符ヲ出ストカト云フ風ナコトハ、
  ヤレナイ譯デハナイ譯デアリマス、併シ切
  符制度トシテハ出來ルダケ單純ニ行キタイ、
  其ノ方ガ結局全體ニ分リモ宜イシ、慣レル
  マデハ出來ルダケ單純ニ行クト云フ考ヘ方
  ヲ採リマシタノデ、都會ト地方トヲ區別ス
  ル程度ニ止メテ、ソレ以上ハ年齡ニ依リマ
  ス差異、氣象ニ依リマス差異、或ハ職業ニ
  依リマス差異ト云フヤウナモノハ、此ノ制
  度實施ノ當初トシテハ、實施シナイト云フ
  考ヘ方デ參ツタ譯デアリマス

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• 067・冨吉榮二

  ○冨吉委員　之ニ關聯シテ私ハ御尋ネ致シ
  タイノデアリマスガ、今マデノ中ニ御聽キニ
  ナツタ方ガアツタカドウカ分リマセヌケレ
  ドモ、地方ニ於キマシテ私共ハ屢〓見聞致シ
  マスルコトハ、一般ニ配給品ハ品ガ良クテ
  値段ハ安イガ、自由販買品ハ品ガ惡クテ値
  ガ高イ、斯ウ云フコトニナツテ居ルヤウデ
  アリマス、ソコデ國民學校ノ兒童ノ通學服
  或ハ猿股、靴下、或ハ女子用ノ「スカート」
  ト云フヤウナモノハ、御承知ノ通リ腕白盛
  リノ者トシテハ、配給品デゴザイマスト相
  當持チガ宜シイノデアリマスガ、自由販賣
  品ト云フモノハ極メテ持チガ惡クテ、經濟
  上モ困リマスルシ、又點數ノ上カラ言ツテ
  モ、非常ナ矛盾ガ出テ來ルト云フノデアリ
  マスガ、私共一體サウ云フコトヲ能ク存ゼ
  ナイノデアリマスルガ、ドウ云フ譯デコン
  ナニ違フノデゴザイマスカ、其ノ點ヲ御說
  明願ヒマス

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• 068・梶原茂嘉

  ○梶原政府委員　一番大キナ理由ハ、特別
  ニ配給致シマスルモノノ原料關係デアリマ
  ス、御承知ノヤウニ比較的安クテ品質ノ良
  イモノハ綿デアリマス、隨テ特別ニ配給致
  シマスルモノハ、多ク特免品ト言ツテ居ル
  ノデアリマスケレドモ、木綿ニ適宜「ス·フ」
  等ヲ混ゼタモノヲ廻シテ居ル、田舍ニハ
  純綿ノモノモアルノデアリマス、サウ云フ
  モノハ中上ゲルマデモナク、原料關係ノ數
  量ノ十分デナイ點カラ、勢ヒ供給スル數量
  ヲ制約セザルヲ得ナイ、併シ數量ハ少イケ
  レドモ、今申上ゲマシタヤウナ理由デ、比
  較的物ハ良イシ、價格モ綿ノ價格カラ採算シ
  テ參リマスノデ、相當安イ價格ニ相成ツテ
  居ルノデアリマス、自由製品ノ方ハ、サウ
  云フ良イ品質ノモノヲ使ヒ得ナイ所カラ、
  勢ヒ物モ惡クナツテ、價格モ綿以外ノモノ
  ヲ使ヒマス關係上、比較的高クナツテ來ル
  ト云フヤウナ結果ニナツテ居ル譯デアリマ
  ス

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• 069・山田六郎

  ○山田(六)委員　一寸御聽キシマスガ、今
  囘ノ配給ノ總數ガドノ位ニナツテ居リマス
  カ、全國デ僅カニ三億反位アツタナラバ間
  ニ合フト云フヤウナ計算ニナルノデハナイ
  カト云フヤウニ想像サレルノデシテ、其ノ
  內地ノ生產高ハソンナモノデ利カナイ、モ
  ツトモツト多イト云フヤウニ考ヘラレルノ
  デスガ、現在ノ生產高ハ或ル程度壓縮スルト
  云フ御見込ニナツテ居ルノデセウカ、又切
  符ノ全體ヲ渡シテ、丁度今マデノ生產ト釣
  合ガ取レルト云フ御見込ニナツテ居ルノデ
  アリマセウカ

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• 070・梶原茂嘉

  ○梶原政府委員　具體的ノ數字ヲ申上ゲル
  コトヲ控ヘタイト思フノデアリマスガ、大
  體今囘ノ切符ニ對應シマスル需給ノ考ヘ方
  トシマシテハ、總點數ニ相應シマスル供給
  部門トシマシテハ、相當制約サレマシタ所
  ノ生產ノ豫定數量、ソレカラ現在相當減ツ
  テ參リマシタケレドモ、尙ホ相當數ノ製品
  ガ配給ノ段階ニ於テ手持ニナツテ居ル譯デ
  アリマス、此ノ數量ハ相當大キナ數量ガマ
  ダアルト考ヘテ居リマス、ソレカラ其ノ外
  ニ昨年來色々輸出杜絕等ノ關係デ、外地向
  キヂヤナシニ生產シマシタモノデ、手持ニ
  ナツテ居ルモノガアリマス、ソレノ一部等
  ヲアノ點數ニ對應シマスル供給力トシテ計
  算致シテ居ル譯デアリマス、隨ヒマシテ生
  產自體トシテハ、從來ヨリ相當程度壓縮シ
  テヤツテ行クト云フコトニナツテ居ル譯デ
  アリマス

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• 071・三善信房

  ○三善委員長　淺沼君、アナタノ質疑ノ中
  地方局長ニ對スル分ガ留保セラレテ居リマ
  シタガ、今地方局長ガ御見エニナツテ居リ
  マスガ··

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• 072・淺沼稻次郎

  ○淺沼委員　私ハ昨日生鮮〓料品ノ末端配
  給ノコトニ付テ農林常局ニ伺ツタノデアリ
  マスガ、此ノ際之ニ關聯シテ内務當局ノ御
  意見ヲ伺ツテ置キタイト思フノデアリマス、
  昨日モ申上ゲタノデアリマスガ、主要食糧
  デアリマス米ニ付キマシテノ配給機構ハ
  大體ニ於テ整備ヲシテ居ルト思フノデアリ
  マス、色々ノ議論モアルヤウデアリマスル
  ケレドモ、米屋ノ商業組合ガ單一的ニ出來上
  リマシテ、ソレヲ通シテノ末端配給機構ト云
  フモノハ、大體ニ完備シ整理シテ居ルト思フ
  ノデアリマスルガ、更ニ此ノ事ハ食糧營團
  法ガ制定サレマシテ實施サレマスルナラバ、
  今マデヤツテ居リマシタ商業組合ノ機構
  モ、此ノ中ニ吸收サレルト云フコトニナリ
  マシテ、更ニ整備ヲスル結果ニナラウト思
  フノデアリマス、所ガ〓糧營圍ノ對象ノ中
  二、主要〓糧デアリマス米麥ハ入ツテ居
  ルノデアリマスケレドモ、生鮮〓料品ハ入
  ツテ居リマセヌ、特ニ魚介類、肉類ノ配給
  機構等ヲ考ヘテ見マスルナラバ、整備ヲ要
  スベキモノガ非常ニアラウト思フノデアリ
  マス、殊ニ是ハ內務省ノ警保局トシテノ見
  地ニ立ツテ考ヘテ見マスナラバ、修正ヲ要
  スルモノガ多量ニアラウト私ハ考ヘルノデ
  アリマス、現在ニ於キマシテハ、大體ニ於
  テ單一ナ商業組合ヲ作ラレマシテ、其ノ商
  業組合ニ加入ヲシテ居リマスル小賣業者ヲ
  シテ登錄制ヲ採用セシメテ、所謂買フ方ノ
  人ヲ登錄セシメマシテ、ソレニ依ツテ配給
  ヲシテ居ルノデアリマス、併シナガラ米ノ
  場合ニ於キマスト、大體ニ於テ隣組、町內
  會更ニ交番モ之ニ密着シテ居リマシテ、
  非常ニ有機的ニ行ハレテ居ルノデアリマス、
  併シナガラ魚ノ登錄制ト云フモノハ、全然
  隣組及ビ町內會トノ密着ハゴザイマセヌ、
  更ニ販賣ニ付キマシテモ選擇ノ自由ガゴザ
  イマス、又自由販買ノ時間モアルノデアリ
  マス、サウ云フヤウナ所ヨリ致シマシテ、
  今マデノ御得意デアツタ者ヲ登錄シテアル、
  謂ハバ一番最下部ニアリマス所ノ隣組ト云
  ツタヤウナモノハ、隣保共助ノ精神ニ依ツ
  テ團結シテ居リマスケレドモ、ソレトハ離
  レテ昔カラノ因緣情實ニ依ツテ結バレテ居
  ル御得意關係ガ登錄制ニナツテ現ハレテ居
  ルノデアリマシテ、此ノコトガ非常ニ配給
  ノ工合ヲ惡クシテ居ルヤウナ結果ニナツテ
  居リハシナイカト思フノデアリマス、ソコ
  デ內務當局ト致シマシテハ、此ノ際消費者
  組織ト言ツテハ語弊ガアルカモ知レマセヌ
  ガ、隣組或ハ町內會ト云ツタヤウナモノヲ
  消費者ノ組織タラシメテ、其處ニ消費經濟
  部トデモ申シマセウカ、サウ云フヤウナ機
  關ヲ設ケテ、ソレニ依ツテ配給ヲ公平ナラ
  シメ、又共同購入ヲヤルト云フヤウナコト
  ヲ御考ヘニナラヌモノデアリマセウカ、謂
  ハバ末端配給ニ付テ消費者ノ組織ヲ如何樣
  ニ御考ヘニナツテ居ルカト云フ點ガ一點デ
  アリマス
  第二點ハ、町內會ト云ツタヤウナモノハ、
  隣保共助ノ精神ニ基イタ自治ノ組織デハア
  リマスケレドモ、最近デハ完全ニ行政ノ延
  長ニナツテ居ルノデアリマス、謂ハバ國策
  遂行ノ末端機關化シテ居ルノデアリマシテ、
  其ノヤツテ居ル仕事ニ致シマシテモ、從來
  ヤツテ居リマシタ冠婚葬祭ヲ中心トシテ結
  合サレテ居リマシタモノトハ違ヒマシテ、
  國策遂行ノ最末端ノ機構トシテ大キナ役割
  ヲ致シテ居ルト思フノデアリマス、而モ其
  ノ費用モ大分嵩ンデ來ルヤウニナツテ居リ
  マン、地方自治團體ヨリノ交付金等モ可ナ
  リアルノデアリマシテ、是ガ助成ニ努メテ
  居リマス、更ニ其ノ他軍事援護或ハ銃後奉
  公會等ニ要スル費用等ヲ加算スルナラバ、
  町內會デ扱ヒマス金額ハ相當額ニ上ルノデ
  アリマシテ、是ガ監督ガ必要モアラウト思
  フノデアリマス、ソコデ私ノ御伺ヒシタイ
  ト思ヒマスコトハ、町內會、隣組ト云ツタ
  ヤウナモノニ一ツノ法的根據ヲ與ヘル必要
  ガアリハシナイカ、少クトモ大都市ニ於キ
  マシテハ、自治ノ最下部組織トシテ、之二
  一ツノ法的根據ラ與ヘルコトガ必要ダト思
  フノデアリマス、現在ノヤウニ自治ニ任シ
  テ置クコトモ結構ダト思フノデアリマスガ、
  或ル程度法的根據ヲ與へテ規制シテ行ク必
  要ガアラウト思フノデアリマス、ソレニ付
  テノ内務當局ノ御意見ヲ伺ツテ置キタイト
  思フノデアリマス
  更ニモウ一點纏メテ申上ゲマスナラバ、
  ソレハ都市ノ公企業ニ關スル考ヘデアリマ
  ス、最近交通營團ノ成立ニ依リマシテ、都
  市デ經營シテ居リマシタ交通機關ノ或ル部
  分ハ交通營團ノ中ニ吸收サレテ參リマシ
  ク、更ニ住宅營團ガ組織サレマシテ、將來
  ハ都市ニ於テ住宅ヲ經營セントスルコトガ、
  不可能ナ狀態ニ置カレルヤウニナツテ參ツ
  タノデアリマス、更ニ配電統制株式會社ガ
  出來ルヤウニナリマシタカラ、都市デ經營
  シテ居リマシタ配電事業モ亦此ノ國策會社
  ノ中ニ統制サレテ行クト云フ傾向デアリマ
  ス、本議會ニ現ハレテ居ル法案ニ致シマシ
  テモ、醫療團ノ法案ガ現ハレテ居リマス、
  醫療團ノ法案ニ依リマスト、都市デ經營シ
  テ居リマス病院ハ、醫療營團ニ吸收サレン
  トシテ居リマス、是デ社會事業關係ノ病院
  ハ除クト云フコトデスガ、都市デ經營シテ
  居ルモノハ、ドノ病院ニ致シマシテモ、方
  面事業ト關聯ヲ持ツテ居リマスカラ、社會
  事業ト關係ガアルト思フノデアリマシテ、
  大部分ハ除外サレルカモ知レマセヌガ、都
  市デ經營シテ居リマス病院ノ或ル部分ハ、
  此ノ醫療團ノ中ニ吸收サレテ行クノデハナ
  カラウカト云フ杞憂ヲ私ハ持ツノデアリマ
  ス、又本委員會ニ於キマシテ現ニ成立セン
  トスル食糧營團ト中央卸賣市場ノ機構トノ
  關係ニ付テハ、何等關係ガナイ之ニ吸收
  サレルヤウナコトガナイト云フ言明ヲ得マ
  シタ、併シナガラ中央卸賣市場ト云フモノ
  ハ一ツノ機能ヲ果シテ、謂ハバ歷史的使命
  ガ終ツテ新タナル配給、更ニハ配給物資ヲ
  分化スル役割カラ致シマシテ新タナル發足
  ヲシヨウト致シマスナラバ、都市ガ之ヲ開
  設シテ居リマシテモ、中央卸賣市場ト云フ
  モノハ、何等カノ形態ニ依ツテ他ニ移行シ
  テ行クヤウニ考ヘラレルノデアリマス、以
  上考ヘテ見マスト、多ク都市デ經營シテ居
  リマシタ公益事業ト云フモノハ、漸次國策
  會社、營國若シクハ國營ノ方ニ吸收サレテ
  行クト云フ形ニナツテ參ルノデアリマス
  私ハ都市ノ公企業ノ分離的傾向ト云フモノ
  ヲ見逃ス譯ニハ參リマセヌ、サウナツテ參
  リマスト、私共ノ考ヘヲ以テ致シマスナラ
  バ、都市ニ經營ヲサセテ全體的ニ統制ヲ執
  ル、斯ウ云フヤウナコトモ考ヘ得ラレルノ
  デアリマス、公企業ノ主體ト云フモノヲ他
  ニ持ツテ行クニアラズシテ、都市ヲ主體ト
  シテ經營サセテ、ソレヲ全體的ニ監督スル
  ト云フ一ツノ行キ方モアラウト思フノデア
  リマス、最近ノヤウナ傾向ニ依リマシテ營
  團或ハ國策會社等ガ出來テ、更ニ都市ニ支
  部或ハ其ノ他ノ機構ガ設ケラレルト云フコ
  トニナリマスナラバ、之ヲ又統制スル一ツ
  ノ行政機構ガ必要ニナツテ來ルコトニナリ
  ハシナイカト思フノデアリマス、サウナリ
  マスト、必然的ニソレニ伴フ都市行政機構
  ノ改革ト云ツタヤウナコトモ考ヘラレテ來
  ナケレバナラヌヤウチ氣ガスルノデアリマ
  ス、サウ云フ都市公企業ガ今言ツタヤウナ
  方向ニ移行シテ參リマスコトニ對シテ、ドウ
  云フ風ナ御考ヘヲ持ツテ居ラレルノカ、此
  ノ際伺ヘレバ幸ヒダト思フノデアリマス
  更ニ之ニ關聯致シマシテ、切符制ガ施行
  セラレルヤウニナリマシテカラ、其ノ部分
  ニ關シマス國家ノ委任事務モ非常ニ厖大ニ
  ナツテ來テ居ルノデアリマス、現ニ之ニ關
  シマシテハ、ソレ〓〓ノ官廳ヨリ交付金其
  ノ他ガアツテヤツテ居ルヤウデアリマスガ、
  官廳ニ依リマシテハ全然支給ノナイモノモ
  アリマス、例ヘバ米穀其ノ他ノモノニ付キ
  マシテハ、大體都市ガ切符ラ發行シテ、ソ
  レデヤツテ居ルノデアリマスガ、其ノ費用
  ノ補助ト云フモノハ全然ナイト私ハ伺ツテ
  居リマス、サウ云フヤウナ意味合ヨリ致シ
  マシテ、是ハ唯一例デアリマス、ケレドモ、
  稅制改革ニ依ツテ自然財政ガ窮屈ニナツテ
  來テ居ル、更ニ都市デ以テヤツテ居リマス
  公企業ト云フモノハ他ニ移行シテ行ク、サ
  ウナツテ參リマスト、都市ヲ經營ヲスル場
  合ニ於キマシテ、何等カノ財源ト云フモノ
  ガ認メラレナケレバナラヌト思フノデアリ
  マス、政府ノ方ニ於テ或ル程度ノ補助ヲシ
  テ行クト云フコトニナリマスナラバ別デア
  リマスガ、サウ云フ委任事務ニ對シマス交
  付金ト云フヤウナモノモ、少額ト云フ現狀
  ニ置カレテ居ルト思フノデアリマシテ、サ
  ウ云フ點ハ相當考ヘテ然ルベキダト思フノ
  デアリマス、以上三點ニ付テ內務當局ノ御
  意見ヲ伺ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=72

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• 073・成田一郎

  ○成田政府委員　只今淺沼サンノ御尋ネニ
  順次御答ヘヲ致シタイト存ジマス、先ヅ第
  一ハ町內會或ハ隣組ト云フモノヲ消費者
  組織ニシテ行ツタラドウカト云フヤウナコ
  トニ付テノ御尋ネデアツタト思フノデアリ
  マス、御話ニアリマシタヤウニ、部落會、
  町內會、或ハ隣組ト云フモノガ、今日ノ時
  局ニ於キマシテ、色々切符制其ノ他ノ配給
  ノ仕事ニ付キマシテ、重要ナル役割ヲシテ
  居ルコトハ事實デアリマス、又今後一層斯
  ウ云フ經濟ノ統制或ハ切符制ノ施行ノ範圍
  ガ擴大サレルヤウナコトニナリマスト、是
  等ノ町內會或ハ隣組ノ活動ノ分野ト云フモ
  ノガ一層廣クナルコトデアリマセウシ、之ニ
  ニ對シテハ是等ノ町內會ナリ隣組ニ於キマ
  シテ、ソレ等ノ仕事ガ圓滿且ツ合理的ニ行
  クヤウニ、吾々トシテハ指導サレテ行カナケ
  レバナラヌト考ヘテ居ルノデアリマス、此
  ノ點ニ付キマシテハ、旣ニ町內會ニ消費ノ
  部門ヲ設ケテ、今申上ゲマシタヤウナ配給
  ヲ適正ニヤツテ行クヤウナ仕事ヲ持タセル
  ト云フコトガ宜イト考ヘマシテ、サウ云フ
  方向ニ向ツテ關係方面ト協議ヲ致シテ居リ
  マンク。唯誤解ノナイヤウニ御願ヒシタイト
  思ヒマスノハ、飽クマデソレハ配給ノ企畫
  或ハ計畫ヲ立テルト云フコトデアリマシテ、
  配給自體ヲ此ノ町內會デヤルト云フ意思デ
  ハゴザイマセヌ、配給自體ハ自ラソレヲ擔
  當スル他ノ方面ガアリマスカラ、ソレニハ
  觸レズニ、兎ニ角配給ト云フ仕事ガ適正ニ
  公平ニ行クヤウニ町內會トシテハ計畫ヲ立
  テル、又ソレニ付テハソレ相當ノ組織ラ持
  ツ必要ガアルノデハナイカト云フ意味デ〓
  究モシテ居リマスト云フコトヲ御答ヘ申上
  ゲテ置キタイト思ヒマス
  次ニ第二點トシマシテ、町內會、部落會
  ト云フモノガ、從來ノヤウナ冠婚葬祭ト云
  フ仕事ニ止マラズシテ、最近ニ於テハ市町
  村等ノ行政機構ノ更ニ其ノ最下部ノ組織ト
  シテ非常ニ働イテ居ルノデアルシ、又ソレ
  ニ伴ツテ色々金ノ出入リガアル、サウ云フ
  ヤウナコトガ間違ヒナク行ハレルヤウニ監
  督スルガ爲ニ、是等町內會或ハ部落會等ニ
  對シテ法的ノ根據ヲ與へル必要ガアルト思
  フガ、之ニ對シテ內務省ハ如何ニ考ヘテ居
  ルカト云フ御趣旨ノ御尋ネデアツタト思フ
  ノデアリマス、此ノ點ニ付キマシテハ私
  共ハ全然同ジヤウニ考へテ御同感ノ意ヲ表
  スル次第デアリマス、町內會、部落會ト云
  フモノハ內務省ト致シマシテハ一昨年
  ノ秋カラ之ニ對シテ訓令ヲ出シマシテ、町
  內會、部落會ノ整備擴充ト云フコトニ付テ
  行政的ノ指導ヲ加ヘテ居リマスルガ、未ダ
  法的根據ヲ加フル程度ニ至ツテ居リマセ
  ヌ、之ニ對シマシテハ適當ナル法的根據ヲ
  加ヘルコトガ宜シイト考ヘテ居リマス、唯
  此ノ點ニ付キマシテモ、市町村或ハ府縣ノヤ
  ウニ非常ニ堅イ嚴格ナ型ニ嵌メテ監督ヲス
  ルト云フヤウナ形テナク、ヤハリ自由ナ方
  面ヲ殘シテ置ク、部落會、町內會ト云フモ
  ノガ自然發生的ニ隣保共助ノ精神ヲ以テ出
  來上ツタト云フ其ノ精神、又其ノ働キト云
  フモノヲ壞サナイヤウニ、出來ルダケ是ハ
  緩ヤカナ法的根據ヲ與へルコトガ最モ適當
  デハナイカト考ヘテ、實ハ腹案モナイ譯デ
  ハゴザイマセヌガ、マダ之ヲ立法致シマシ
  テ議會ニ出スト云フ程度ニ至ツテ居リマセ
  ヌコトハ、寧ロ遺憾ト考ヘテ居ル次第デア
  リマス
  次ニ都市ノ公企業ノ問題ニ付キマシテ段々
  ト御話ガアリマシタ、是ハ洵ニ重大ナル問題
  デアルト思フノデアリマス、都市ノ市民ノ生活
  ト云フ方面カラ見マシテモ、又都市ノ財政ト
  云フ方面カラ見マシテモ、是ハ極メテ重大
  ナル問題デアルト存ジマス、御話ノヤウニ住
  宅ノ問題、或ハ配電ノ問題、東京ニ於ケル交
  通調整ノ問題等ニ付キマシテ、段々都市ノ公
  企業ガ國家的ノ國策會社ト申シマスカ、國
  策的ナ營團ニ吸收サレテ行ク傾向ガ一方ニ
  於テアルト思フノデアリマス、是ハソレダ
  ケノ理由ガアルノデアリマスルカラシテ、
  之ヲ一〓ニ都市ノ方ガ困ルト言ツテ抑ヘル
  譯ニハ參ラナイト存ジマス、唯公企業ガ總
  テサウ云フ傾向ニアルカト申シマスト、必
  ズシモサウデハナイノデアリマシテ、例
  バ配電ニ付キマシテモ、發電ノ場合或ハ
  配電ニ付テハサウ云フコトニナツテ居リマ
  スルガ、電車ハドウデアルカト申シマスト、
  是ガ全國的ニ統制サレル營團ガ出來ルト云
  フコトハ考ヘラレマセヌシ、或ハ水道ニ致
  シマシテモ同ジヤウニ考ヘテ居リマス、又
  2
  交通ニシマシテモ、東京ノ例ヲ御引キニナ
  ツタノデアリマスガ、東京ニ於ケル地下鐵
  ニ付キマシテハ、特ニ之ヲ急イデヤラナケ
  レバナラヌト云フヤウナ建前カラ、東京市
  ニヤツテ貰フヨリモ寧ロ特殊ノ營團ヲ作ツ
  テヤツタ方ガヨリ早ク出來ルデアラウト云
  フ意味デ地下鐵ガ切離サレタダケデアリマ
  シテ、寧ロ「バス」ニ付テハ東京市ニ統合サレ
  ルト云フヤウナコトニナツテ居ルコトハ
  是ハ淺沼サンノ御承知ノ通リデアリマス
  ノデ、此ノ問題ニ付キマシテハドウモハ
  ツキリシタ御答ヘニナラナイト思フノデア
  リマスルケレドモ、一面ニ於テ國家的ナ立
  場カラ營團ノ如キ組織ガ現ハレルコトハ、
  是ハ致シ方ガナイト申シマスカ、已ムヲ得
  ザル進行狀態デアラウト思ヒマスガ、都市
  ニ付キマシテハ、都市ノ公企業ノ性質ニ
  鑑ミ、又財政ト云フヤウナ立場カラ見マシ
  テモ、之ニ付テハ十分ナル考ヘヲ以テ是ガ
  適正ニ動クヤウニ考ヘテ行カナケレバナラ
  ヌト吾々ハ思ツテ居ルノデアリマス、
  又ソレニ關聯ヲシマシテ、切符制ノ施行其
  ノ他ノ關係カラ市町村ニ於ケル國家ノ委任
  事務ガ非常ニ殖エテ來テ居ル、然ルニモ拘
  ラズ此ノ委任事務ニ對スル國家ノ助成ト申
  シマスカ、其ノ費用ヲ吳レナイフデ困ルト
  云フ御話デアリマス、是ハ成程御尤モデア
  リマシテ、最近ニ於キマシテ色々國家ガヤ
  リマス仕事ヲ市町村ニ任セル、而シテ其ノ
  場合ニ於テ必ズシモ經費ガ十分ニ市町村ニ
  參ツテ居ラナイト吾々モ考ヘテ居リマス、
  此ノ點ハ甚ダ殘念ニ思ヒマスルガ、私共ト
  シマシテハ個々ノ都市ニ付テハ或ハドウ云
  フ風ニナツテ居ルカ分ラナイ場合モアリマ
  スガ、達觀論ト致シマシテハ此ノ時局ニ鑑
  ミテ市町村ノ事務或ハ經費ガ非常ニ增大ス
  ル、ソレヲ十分ニ考ヘマシテ之ニ對シテ出
  來ルダケノ財源ヲ附與シテ行クト云フコト
  ヲ考慮シテ居ル譯デアリマシテハ、御承知ノ
  ヤウニ分與稅配付稅等ニ於キマシテハ十六年
  度ノ三億二千万圓ガ十七年度ニハ四億五千
  万圓ニ上ルト云フコトユナツテ居リマス、
  詰リ本年ヨリモ來年ハ一億三千万圓ダケ配
  付稅ガ殖エル、是デアリマシテモ私共勿論
  十分デアルトハ申シマセヌ、併シナガラ吾
  吾ト致シマシテハ出來ルダケ地方廳ニ對シ
  マシテモ、地方團體ニ對シマシテモ財源ヲ
  附與致シマシテ、此ノ時局的ニ忙シイ、市
  町村ガドウシテモヤツテ行カナケレバナラ
  ナイ仕事ハヤハリヤツテ戴クヤウニ出來ル
  ダケノ考慮ヲシテ居ル積リデアリマス、但
  シ決シテ十分デナイト云フコトダケハ申上
  ゲザルヲ得ナイト考へテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=73

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• 074・三善信房

  ○三善委員長　淺沼君ノ保留サレテ居ル中
  デ生活局長モオ見エニナツテ居リマスカ
  ラ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=74

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• 075・淺沼稻次郎

  ○淺沼委員　今ノ御答辯ニ依リマシテ能ク
  了承シタノデアリマス、私ノ申上ゲタノハ
  配給ノ仕事ヲ町內會デヤルトカ隣組デヤル
  トカ云フコトヲ申上ゲタノデハナイノデア
  リマシテ、謂ハバ隣組、町內會ト云フモノ
  ハ配給ヲ受ケル側ニ立ツノデアリマシテ、
  其ノ受ケル側ノ組織ヲ如何ニスルカト云フ
  コトヲ申上ゲタノデアリマス、所ガソレニ
  對シマシテハソレ〓〓ノ機構ヲ設ケテヤラ
  ウト云フヤウナ御話デアリマスルカラ、サ
  ウ云フヤウナ方向ニ進メテ戴キタイト思フ
  ノデアリマス、消費者ノ組織ト更ニ生鮮〓
  糧品ノ末端組織デアリマス所ノ小賣商、斯
  ウ云フモノトノ密着ガ出來マスナラバ、今
  アルヤウナ好マシカラヌ狀態ト云フモノハ
  ナクナツテ、本當ニ配給スル者、配給サレ
  ル者ガ一體トナツテ行ケルコトト思フノデ
  アリマスカラ、サウ云フ方向ニ進メテ戴キ
  タイト思フノデアリマス、町內會、部落會、
  隣組ニ對シテモ法的根據ヲ與ヘルト云フ御
  答辯デアリマシタガ、窮屈ナ法的根據ヲ與
  ヘルコトハ私モ如何カト思フノデアリマスガ、
  大體ニ於テヤハリ一ツノ法的根據ヲ持タセ
  テ之ヲ規制シテ行クト云フコトガ必要デア
  ルト思フノデアリマシテ、本會議ニ提出サ
  レナカツタコトハ遺憾デアリマスケレドモ、
  成ベク早イ機會ニ法的根據ヲ與ヘラレンコ
  トヲ切望シテ置キマス、都市ノ公企業ノ分
  離化ノ傾向ニ付キマシテハ、問題ソレ自體
  ガ非常ニ大キナ問題デアリマスシ、只今本
  委員會デ議題ニナツテ居リマス所ノ食糧管
  理トハ直接ノ關聯ガアルノハ中央市場ヲ通
  ジテアルノミデアリマシテ、ソレ以上ノコ
  トニ付キマシテハ自ラ本委員會デ論議スベ
  キ筋合デナイト私考へルノデアリマシテ、
  只今地方局長ヨリ承リマシタ答辯ヲ以テ滿
  足致シ、是レ以上議論ヲ進メル氣ハゴザイ
  マルス
  次ニ配給ニ關聯致シマシテ生活局長ニ御
  伺ヒヲシテ置キタイト思フノデアリマスル
  ガ、色々物ノ窟屈ニナリマシタコトニ付テ
  議論ガゴザイマス、足リナイト云フ議論モ
  サレルヤウデアリマスルガ、私ハ物ガ窮屈
  ニハナツテ居ルケレドモ、足リナイトハ考
  ヘナイノデアリマス、殊ニ生活必需品ニ於
  テハ、幾分窮屈ノ點ガアラウト思フノデア
  リマスガ、是ハ十分間ニ合ヒ得ル、唯問題ハ
  窮屈デアリマシテモ、ソレヲドウモ云フ工合
  ニ運用シテ、本當ニ國民ニ必要ナル榮養ヲ與
  ヘテ行クカト云フ所ニアラウト思フノデアリ
  マス、サウ云フ工合ニ考ヘテ見マスト、食
  習慣ニ致シマシテモ、地方々々ニ依ツテ違
  フノデアリマスカラ、之ヲ一律的ニドウス
  ルト云フコトハ出來ヌカモ知レマセヌケレ
  ドモ、是ダケ榮養ヲ攝レバヤツテ行ケルノ
  ダト云フ、謂ハバ標準國民榮養食ト申上ゲ
  マセウカ、國民食ニ一ツノ榮養標準ヲ與ヘ
  テ、ソレヲ全國的ニ敷衍シテ行クト云フヤ
  ウナコトモ考ヘラレテ然ルベキデハナカラ
  ウカト考ヘルノデアリマス、食糧問題ニ付キ
  マシテハ農林大臣カラ自信アル答ヲ伺ヒ
  マシテ、非常ニ私共ハ意ヲ强ウシテ居ルノ
  デアリマスシ、國民モ非常ニ安心シテ居ル
  ト思フノデアリマスガ、併シ又一面ニ於キ
  マシテハ、此ノ時局ニ於キマシテ、國民ハ
  自ラノ生活ヲ動員シテ、國家ノ戰爭目的遂
  行ニ協力スルト云フコトヲヤツテ行カナケ
  レバナラヌノデアリマシテ、色々議論ハア
  ラウトモ、消費ノ部門ニ於キマシテ規正ヲ
  シテ行ク、是亦已ムヲ得ナイト思フノデア
  リマス、サウ云フヤウナ狀況ニ置カレテ居
  ル今日、衣〓住ノ生活ニ付キマシテ、ーソ
  ノ標準ヲ作リマシテ、其ノ方ニ國民ヲ導イ
  テ行クト云フヤウナコトモ必要デハナカラ
  ウカ、例ヘバ分量ハ窮屈デアツテモ、榮養
  ハ十分アルノダト云フコトガ徹底シテ居リ
  マスルナラバ、國民ハ安心シテ吳レルト思
  フノデアリマス、是等ノ點ニ付テ生活局長
  ノ御答辯ヲ願ヒタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=75

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• 076・川村竹治

  ○川村政府委員　物資ノ缺乏ニ關係シテ、
  生活基準ヲ確立スベキデアルト云フ御話デ
  アリマスガ、洵ニ御尤モナ御意見ト存ジマ
  ス、就中食ノ問題ニ付テ、國民ノ標準食ト
  云フヤウナモノヲ考ヘヨト云フ御意見モ御
  尤モト存ジマス、唯〓ノ問題ニ付キマシテ
  ハ一方ニ於テ物資ノ生產ニ制約ヲ受ケマ
  スノト、今一ツ地方的ニ色々ノ特色ヲ持ツ
  テ居リマスノデ、全國一律ニ斯ウ云フモノ
  ヲ食ヘト云フヤウナコトハ、實際問題トシ
  テ中々難カシイノデアリマス、厚生省トシ
  テハ、色々指導ヲ致シテ居リマスガ、此ノ
  地方的ノ實情ハ成ベク尊重スルヤウニ、指
  導ヲ致シテ居リマシテ、各府縣ニモ榮養對
  策連絡協議會ト云フモノヲ設ケシメテ居リ
  マシテ、地方々々ノ實情ニ應ジテ榮養對策
  ヲ確立スルヤウニ指導致シテ居リマス、又
  本年度カラ各地方ニ榮養ニ關スル指導員ヲ
  配置致シマシテ、實際ニ國民ノ榮養上ノ指
  導モ致シテ居ルヤウナ次第デアリマス、食
  糧品ガ或ル程度不足シテ居ルコトハ事實デ
  アリマスガ、其ノ結果榮養上或ハ支障ガ起
  キテ居リハセヌカト思ツテ、色々調査ヲ致
  シテ見マシタノデアリマスガ、此ノ調査ハ
  中々困難デアリマシテ、簡單ニ正確ナ結論
  ヲ得ルコトハ難カシイノデアリマス、併シ
  ナガラ或ハ工場デアルトカ、或ハ學校デア
  ルトカ云フヤウナ所デ、健康低下ノ狀況ハ
  ナイカト云フコトヲ調ベサシテ見タノデア
  リマスガ、中ニハ多少胃膓病患者ガ殖エタ
  トカ云フ所モアリマスガ、ソレハ果シテ〓
  糧不足ノ爲メデアルノカ、或ハ又最近ノ勞働
  强化等ノ爲メデアルノカ、ドウモハツキリ
  致シマセヌ、又中ニハ〓糧ガ少シ減ツタ爲
  ニ、却テ從來ノ過食ノ弊害ガ除カレテ、健
  康狀態ガ良クナツタト云フヤウナ報〓ヲシ
  テ來タ所モアリマス、先達テ商店從業員ノ
  更生問題ニ對シマシテ、若干ノ商店經營者
  ニ集ツテ貰ヒマシテ、座談會ヲ催シタ時ニ
  モ、商店從業員ノ健康狀態ヲ色々承ツテ見
  マシタガ、大體餘リ健康ノ低下ヲ見テ居ラ
  又、寧ロ過食ノ弊ガ矯メラレ、且ツ間食ナ
  ドノ機會ガ非常ニ減ツタノデ、却テ健康狀
  態ハ良クナツテ居ルト云フコトヲ報〓シテ
  居リマス、勿論是ダケデ以テ安心ハ出來マセ
  ヌ、榮養ノ問題ハ極メテ重要デアリマスノデ、
  極力健康ニ影響ノナイヤウニ努力ヲ致ス積
  リデ居リマスケレドモ、一般ニ一部ニ言ハレ
  テ居ル程ノ影響ハナイヤウニ存ジテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=76

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• 077・淺沼稻次郎

  ○淺沼委員　御答辯ハ能ク諒承致シマシ
  タ、私ハ先程申上ゲタ通リ、色々議論ハ
  サレマスルケレドモ、ヤリヤウニ依リマ
  スナラバ、物ハ十分間ニ合フノダト云フ
  考ヘヲ强ク持ツノデアリマスルシ、更ニ將
  來國民ノ消費ヲ規正シテ行カナケレバナラ
  ヌコトハ當然ダト思フノデアリマス、斯ウ
  云フ場合ニ於キマシテモ、國民ノ生活ノ態
  樣ト云フモノニ、斯ウスレバ榮養ハ大丈夫
  ナンダト云フコトヲ呼ビ掛ケテ行クコトガ
  必要ダラウト思フノデアリマシテ、ドウカ
  厚生省當局ニ於キマシテハ、サウ云フ方面
  ニ一段ノ努力ヲ願ヒタイト云フ希望ヲ申上
  ゲテ置キマス、是デ私ノ質問ヲ大體終ルノ
  デアリマスガ、最後ニ一一、三點私ノ希望ヲ
  申上ゲ、ソレニ對スル農林大臣ノ意見ヲ伺
  ツテ置キタイト思ヒマス
  食糧管理法案ノ目標ハ、大體ニ於テ米麥
  ヲ中心トスル主要食糧ノ全面的管理ヲヤラ
  ウト云フコトニ置カレテ居ルト思フノデア
  リマス、此ノ點ハ米麥ニ付テハ今マデモ或
  ル程度-或ル程度ト言フヨリモ、殆ド國
  家管理ノ完成ニ近イ所デアリマシテ、配給
  ノ機構ニ致シマシテモ、大體ニ於テ非難ス
  ベキ點モナイ程ニ行ツテ居ラウト私ハ思フ
  ノデアリマス、隨テ本案ガ出來上リマスル
  ナラバ、更ニ此ノ上ニ非常ニ擴充ヲシテ參
  ルコトニナラウト思フノデアリマス、唯間
  題ハ、如何ニシテ生產ヲ確保スルカト云フ
  コトガ問題ニナラウト思フノデアリマス、
  此ノ點ニ付キマシテハ、先程來色々御議論
  モアツタヤウデアリマスガ、農村ニ於テ生
  產ヲ阻ンデ居ルモノハ一體ナンデアルカ、
  色々議論ガアリマス、肥料問題ト云ヒ、農
  地問題ト云ヒ、或ハ勞力ノ問題ト云ヒ、色
  色ナコトガ言ハレテ居ルノデアリマスガ、
  ナント言ツテモ私ハ根本ノ問題ハ、ヤハリ
  農地問題ノ解決デハナカラウカト思フノデ
  アリマス、一番此ノ問題ヲ解決スルコトガ
  必要ダト思フノデアリマシテ、耕ス者ト土
  地ト本當ニ密着サセルト云フコトガ、生產擴
  充ノ根本デアラウト思フノデアリマス、此ノ
  點ニ付キマシテハ、各委員カラ色々ノ意見
  ガ出テ居ルノデアリマシテ、善處セラレル
  コトヲ切望スルノデアリマス、更ニ肥料ノ問
  題ニ付キマシテモ、施策宜シキヲ得マスナ
  ラバ、是亦農村ニ於テ、所謂有畜農業ノ普
  及ニ依リマシテ、相當ノ補充ガ出來ルト思
  フノデアリマス、斯ウ云フ點ニ付テモ最大
  ノ努力ヲ願ヒタイト思フノデアリマス、唯
  今現實ノ問題トシテ解決ヲ要スベキモノハ
  何ト言ツテモ私ハ生鮮〓料品ノ確保ノ問題
  ダラウト思フノデアリマス、更ニ是ノ配給
  ノ問題デアラウト思フノデアリマス、所ガ
  本案ニ對シマシテハ、此ノ點ハ本案カラ除
  外ヲサレテ居ルノデアリマス、今マデノ委
  員會ニ現ハレタ點ニ付キマシテモ、マダ具
  體的ニ私共ハ此ノ配給ヲドウスルカト云フ
  點ニ付キマシテハハツキリシタモノヲ摑
  ム譯ニハ參ラヌノデアリマス、又大臣カラモ
  此ノ魚介類ノ配給統制ニ關シマシテハ、或
  ル程度惡ケレバ考ヘルト云フ答辯ハ伺ツテ
  居ルノデアリマスルガ、完全ニ今マデノ弊
  害ヲ止メル爲ニ、惡イト思ハレル點ヲ改正
  スルト云フ明答ヲ承ツテ居リマセヌ、卽チ
  昨日モ申上ゲタノデアリマスルガ、五「トンㄴ
  以下ノ船ヲ統制スルトカ、或ハ五貫匁ノモ
  ノモ買付ヲ止メサセルトカ、或ハ十貫匁ノ
  生產地自由販賣モ之ヲ許サナイトカ、斯ウ
  云フヤウナ點ニ付キマシテハ、止メルト云
  フ明言ヲ承ツテ居ラナイノデアリマス、併
  シナガラ私ハヤハリ是ハ統制ヲ强化致シマ
  シテ、出荷ノ統制モ强力ニヤリ、配給ノ方ニ
  於キマシテモ、又强力ニ之ヲ統制シテ行ク
  ト云フコトヲヤラナケレバナラヌト思フノ
  デアリマシテ、モウ一度是等配給統制ニ關
  シマシテ確タル御答辯ヲ願ヒタイト思フノ
  デアリマス
  次ニ蔬菜ノコトニ付キマシテハ、言及ス
  ル方ハアリマセヌデシタ、併シ平時デアリ
  マシテモ二月、三月ハ蔬菜ハ割合ニ出ナイ
  時デアリマス、隨テ此ノコトニ付テモ私ハ
  萬全ヲ期スルヤウナ方策ヲ執ツテ置カナケ
  レバナラヌト思フノデアリマス、此ノ事ニ付
  キマシテハ是レ以上言及ヲ致シマセヌケレド
  モ、魚モ蔬菜モ施策宜シキヲ得サヘスレバ、
  私ハ十分〓ツテ來ルト云フコトヲ信ジテ疑ヒ
  マセヌカラ、最善ノ努力ヲ願ヒタイト云フコ
  トヲ希望致シマシテ以上申上ゲタ點ニ對シテ
  御答辯ヲ願ツテ私ノ質問ハ打切リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=77

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• 078・井野碩哉

  ○井野國務大臣　農地問題ニ付キマシテハ、
  屢〓御答ヘ致シテ居リマスル通リ、關係シマ
  ス所ガ非常ニ重大デアリマスノデ、愼重ニ
  善處致シタイト考ヘテ居リマス、又配給機
  構ノ問題ニ付キマシテモ、色々生鮮食料品
  ノ配給ニ付キマシテハ、マダ實施シマシテ
  日モ淺イノデアリマス、隨テ缺陷ノアリマ
  INDI是ハ是正シテ參リタイト考ヘテ居
  リマス、肥料ノ點ニ付キマシモ、御說ノ通
  リ大事ナ問題デアリマスカラ、出來ルダケ
  增產ニ邁進致シタイト考ヘテ居リマス、又
  蔬菜類ニ付キマシテノ供給ノ問題デアリ
  マスガ、是ハ本年ハ特ニ豫算モ取リマシテ、
  相當ノ增產ヲ計畫致シテ居リマス、都市ヲ
  中心トシテノ蔬菜類自給圈ト云フヤウナモ
  ノヲ作ラセタイト考へテ居リマス、是等ハ
  段々ト改善シテ行クト云フ風ニ考ヘテ居リ
  マス、其ノ配給機構等ニ付キマシテモ、折
  角今〓究致シテ居リマス、段々ト改善サレ
  テ行クコトト御諒承ヲ願ヒタイノデアリマ
  ス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=78

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• 079・三善信房

  ○三善委員長　村上國吉君

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=79

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• 080・村上國吉

  ○村上(國)委員　私ハ管理〓糧ノ價格決定
  ノ問題、次ニ穀物檢査ノ問題、食糧營團ノ
  問題、特別會計ノ運營ニ關スル問題、農業
  團體統合ノ問題、農業保險ニ關スル問題、
  農業管理ノ內外地一元化ニ關スル問題、是
  等ニ付テ極ク簡單ニ御尋ネヲ致シテ疑ヲ質
  シテ置キタイト思フノデアリマスガ、最初
  ニ委員長ニ御斷リヲ申シ、御願ヒヲ申上ゲ
  テ置キマスガ、私過日二日間請暇ヲ得テ缺
  席致シテ居リマシタシ、又出席シテ居ツテ
  モヨク離席シテ居リマスノデ、外ノ委員諸
  君カラ十分御尋ネニナツタコトニ付テ、重
  ネテ私ガ御尋ネスルヤウナコトニナルカモ
  知レナイト思ヒマスカラ、サウ云フ時ニハ
  宜シク御注意シテ下サルヤウニ、豫メ委員長
  ニ御願ヒ致シテ置キマス、先ヅ管理〓糧ノ價
  格決定ノ問題デアリマス、是ハ此ノ法文ニ
  揭ゲラレテ居リマスガ、其ノ買入價格ノ問
  題ニナリマスト、第三條ノ第二項ニ生產費及
  物價其ノ他云々トアツテ、生產費ヲ價格決
  定ノ最モ重要ナル要素トサレテ居ルコトハ、
  是ハ十分ニ認メルコトガ出來マス、併シナ
  ガラ物價其ノ他ノ經濟事情如何ヲ參酌シテ、
  之ヲ決定スルト云フコトデアリマスト、物
  價其ノ他ノ經濟事情ノ如何ニ依ツテハ、此
  ノ生產費ヲ下廻ル決定ヲ見ルト云フ場合モ
  ナキニシモアラズ、是ハ物價其ノ他ノ經濟
  事情ノ取リ方如何ニ依ツテ、ドノヤウニデモ
  ナツテ行クト云フコトガ考ヘラレル、斯ウ
  シタコトハ極端ナ言ヒ方ニナルカモ知レマ
  セヌケレドモ、曾テ米穀統制委員會ニ於テ
  價格ヲ決定スル時ニモ、隨分危イ所ニマデ
  行ツテ居ツタコトモアルヤニ思ヒマスノデ、
  ソレデ私ハ此ノ法文ヲ眞正直ニ見ルト生產
  費ヲ割ルコトモアリ得ル、斯ウ云フコトニ
  見ルノデスガ、其ノ點ハドンナモノデアル
  カ、次ニ又販賣價格ハ家計費カラ出テ來
  ル、ソレニ物價其ノ他ノ經濟事情ヲ參酌シ
  テ決メルノダ、斯ウ言ハレテ居ルノデアリ
  マスガ、是モ亦見方ニ依ツテハ家計米價ヲ
  上〓ツタ高値ノ販賣モ出來ル、斯ウ云フコ
  トニナリ得ル場合ガ考ヘラレル、之ニ付テ
  御答辯ヲ願ツテ置キタイノデス、ソレカラ
  勅令案ニ依リマスト、法第四條第二項ノ關
  係ニ於キマシテ、麥ノ價格決定ハ差當リ米
  價トノ均衡ヲ考慮シテ決メル、斯ウ云フコ
  トニナツテ居ルガ、此ノ米價トノ均衡ト云
  フノハ、一體何處ヲ摑ヘテソレヲ決メデ行
  カウト言ハレルノカ、ドウモ玆ニ私ハ可ナ
  リ大キナ問題ガアルト思フ、殊ニ是ハ後程
  申上ゲテ見ヨウト思フノデアリマスガ、麥ノ
  生產費ノ調査ト云フモノハ、實際上ドウモ
  是ハ中々容易ナラヌ困難ナコトダト私ハ思
  フ、サウシテ其ノ上ニ米價トノ均衡ヲ考へ
  テ行クノダ、斯ウ言ハレルガ、私ガ米ノ價
  格ト大麥、稞麥、小麥ノ價格ノ割合ト言ヒマ
  スカ、其ノ均衡狀態ガドウ云フコトニナツテ
  居ルカト云フコトニ付テ調ベタ所ニ依リマス
  下、是ハ大正元年カラ昭和十五年マデト申
  シテモ宜シイシ、十六年マデト申シテモ宜
  シイガ、大麥ニ付テ見マスト、大麥ノ安イ
  時ニハ米ノ一〇〇ニ對シテ二五·八、高イ
  時ニハ四七·六、稞麥ニ付テ見マスト、安
  イ時ニハ米ノ一〇〇ニ對シテ四三·七、高
  イ時ニハ七六·九トナツテ居ル、小麥ニ至
  リマスト、安イ時ニハ四六·九デアルガ、
  高イ時ニハ九三·七ト云ツタヤウナ振合
  デアツテ、其ノ年々ニ依ツテ非當ナ大キナ
  凸凹ガ出來テ居ルノデアリマスカラ、何處
  ヲ摑マヘテ均衡ダト云フコトノ見定メガ付
  クカ、私ハ隨分此處ニ困難ナ問題ガアルト
  思フカラ、ドウシテ均衡ヲ考慮シテ麥ノ値
  段ヲ決メラレルノカト云フコトヲ確メテ置
  キタイノデス
  ソレカラ米麥以外ノ買上食糧ノ價格ハ一
  體何ニ依ツテ決メラレルカト云フコトヲ確
  メテ置キタイノデス、今年ノ甘藷ノ例ニ於
  テ見ルガ如クニ生產者ニアレダケノ不滿ヲ
  抱カセル、今度ノ統制ノヤリ方、其ノ値段
  ノ決メ方ノ問題カラ考ヘテ行キマスナラバ
  減產ニナル虞ハナイニ致シマシテモ、增產
  ナドト云フコトハ迚モ望マレナイコトニナ
  リハセヌダラウカ、此ノ資料ニ依リマスト、
  何デモ此ノ十七年ハ甘藷ニ於テ十六億七千
  二百万貫ヲ取ルノダ、實際去年ハ何程取レ
  テ居ルカト云フト十四億三千万貫ノ計畫
  ニ對シテ十一億三千万貫ダケシカ取レテ
  居ラナイ、ソレヲ今度十七億万貫ニ近イ所
  マデ行クノダト云フ計畫デアリマスケレド
  モ、ソレハ値段ノ決メ方ヤ統制ノ仕方ニ餘
  程御注意ナサラナケレバコンナ成績ハ迚モ
  望ミハ付ケラレナイ、斯ウ云フコトモ考ヘ
  テ行キマスト、米麥以外ノ買上食糧ノ價格
  ハ一體何ニ依ツテ決メルト云フ御方針デア
  ルカト云フコトヲ確メテ置キタイノデス
  ソレカラ價格決定ノ問題ノ其ノニデス、是
  ハ生產費ガ又價格決定ノ非常ニ重要ナ點ニ
  ナツテ居ルノデアリマスカラ、此ノ生產費
  ノ調査ト云フコトニ付テハ多大ナル注意ヲ
  拂ツテ戴カナケレバナラヌ、大體ハ今マデ
  ノ行キ方ノヤウナコトデ行カフト云フ御考
  ヘデアルト思ヒマス、併シナガラ現在ノ米
  ノ生產費調査ハ大體年々一一千人ノ農家ヲ選
  定シテヤツテ居ル筈デアリマスガ、今マデ
  トハ生產費ノ働ク重要性、又範圍ガ今度ハ
  非常ニ廣イモノニナツテ來マスカラ、今マ
  デ二千戶デドウカ斯ウカ調査ガ出來タカラ
  ト言ウテ、今後ハソンナコトデハ行クモノ
  ヂヤナイ、是カラハモツト〓〓多クノ資料
  ヲ集メル必要ガアリマスカラ、之ヲ二倍ニ
  スルナリ或ハ三倍ニスルナリセンケレバナ
  ラヌダラウト私ハ思フガ、如何ナモノデセ
  ウカ、ソレカラ調査員ノ選任ニモ格段ノ注
  意ヲ必要ト致シマス、ソレカラ調査上ノ指
  導ヤ監督デスガ、是ハ私ノ知レル範圍ガ餘
  リニ狹イカラ事實違ツテ居ルカモ知レマセ
  ヌケレドモ、內地ニ於テハ此ノ調査員ノ調
  査ニ關スル指導監督ガ外地ニ於ケルガ如ク
  ニ、周到ナコトニ中々ナツテ居ラヌト云フ感
  ジヲ私共トシテハ持ツテ居ルノデス、ダカ
  ラ斯ウ云フ點ニ付テモ格段ナ注意ヲ加ヘラ
  レナケレバナラナイ、ソレカラ此ノ調査員ニ
  對スル手當ノ問題デスガ、是ハ一體何程出
  サウト云フノデスカ、何程デナケレバナラ
  ヌト云フコトハ私ハ申シマセヌケレドモ、
  餘リニ貧弱ナコトデアツテハ到底適正ナル
  調査ガ上ツテ來ナイコトヲ慮リマスノデ、
  其ノ點ヲ確メテ置キタイ
  ソレカラ生產費決定ノ方法デス、是ハ勅
  令案ニ依リマスト、「命令ノ定ムル所ニ依リ
  平均シテ算出スルコト」トアル、此ノ平均
  ノ取リ方ガ今マデノ生產費ヲ決定サルル場
  合ニ採ラレテ居ル方法デアリマス、ソレハ
  承知致シテ居ルノデアルガ、アア云フ方法
  デ行カウト云フノカ、又ハ變ツタ考ヘノ下
  ニ平均ヲ算出スルト云フコトニナサルノデ
  アルカ、其ノ方法ヲ確メテ置キタイノデス、
  ソレカラ、曩ニ麥ノ生產費ノ調査ハ中々困
  難ダト言ヒマシタガ、今度此ノ管理令ヲ施
  行スルニ當ツテ、麥ノ生產費ノ調査ノ計畫
  ハドンナコトニナツテ居ルカ、ソレヲ能ク
  承ハリタイト思フノデアリマス、ソレカラ
  又同ジ生產費調査ト申シテモ、只今モ申ス
  通リデアツテ、米トハ非常ニ困難性ガ違
  フ、畑作ト水田ノ裏作トニ依ツテスツカリ
  其ノ狀態ガ違フ、又裏作ノ場合ニ於テモ高
  畝デナケレバ出來ナイト云フ地方ト、極ク
  低イ平畝デ立派ナ生產ガ出來ル地方トデハ
  生產費ノ上ニ非常ナ違ビガアル、前作トノ
  關係ニ於テスツカリ其ノ生產狀態ガ違ツテ
  來ル、肥料ノヤリ方ダケデモ收穫ノ上ニハ
  大キナ相違ガ起ツテ來ル、是ガ麥ノ特性デ
  アリマス、此ノ特性ヲ呑ミ込ンデ、サウシ
  テ以テ適正ナル生產費ヲ調ベ出スト云フコ
  トハ是ハ中々容易ナ業デハ出來ヌト云フ
  コトヲ考ヘマスノデ、之ニ對シテ一體ドウ
  云フ御用意ガアルノカ、其ノ計畫ノ程ヲ伺
  ヒタイノデアリマス、先ヅ此ノ價格決定ノ
  問題ニ付テハ、〓要以上ノ點ニ付テ御答辯
  ヲ御願ヒスルコトニ致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=80

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• 081・井野碩哉

  ○井野國務大臣　私カラ主ナ點ヲ申上ゲマ
  シテ、詳細ハ又食糧管理局長官カラ御答ヘ
  申上ゲマス、食糧管理法ニ基ク主要〓糧ノ
  買入價格、賣渡價格決定ニ付キマシテ、生
  產費ナリ或ハ家計米價ヲドウ扱フカト云フ
  御尋ネデアリマス、卽チ生產費ダケデナ
  ク、其ノ他經濟事情モ參酌スルト云フコト
  ニナルト、生產費ヲ下〓ハツテ買入レル場
  合モ起ツテ來ハシナイカト云フ御心配デア
  リマス、此ノ點ハ法文ノ立テ方カラ申シマ
  スト、生產費ヲ基準ト致シテ居リマセヌカ
  ラ、或ハ生產費ヲ下廻ハルト云フ經濟上特
  殊ノ事情モアリ得ル譯デアリマス、併シ此
  ノ條文ハ、曾テノ米穀統制法其ノ他ノ法制
  ニアリマシタト同ジ文句デアリマシテ、曾
  テ今マデ米穀生產費ヲ下〓ハツテ價格ヲ決
  定シタコトハ殆ドナイノデアリマス、是ハ
  法文ノ精神カラ考ヘテ見マシテモ、成ベク
  農家ノ增產ヲ期待シマス以上ハ、其ノ生產
  費ヲ償フト云フ建前デ買入レテ行カナケレ
  バナラヌト考ヘテ居ルノデアリマス、是等
  ノ點ニ付キマシテハ、此ノ食糧管理ノ施行
  ニ當リマシテハ、特ニヤハリ委員會ヲ設ケ
  マシテ、サウシテ十分ニ委員ノ意見モ伺ツ
  テ、サウ云フ點ヲ決定シテ參リタイト考へ
  テ居リマスカラ、御懸念ノヤウナ運用ハ今
  後モアリ得ナイト考ヘテ居ルノデアリマス
  マス、ソレカラ主要〓糧以外ノ買入價格ハ
  何ニ依ツテ決メルカト云フ御尋ネデアリマ
  スガ、是ハ法文ニモアリマス通リ、時價ニ
  準據シテ買ウト云フコトニナツテ居リマス、
  其ノ時價トハドウ云フモノカト言ヘバ、結
  局現在デハ最高價格ガ決定サレテ居リマスル
  カラ、其ノ最高價格ノ範圍內デ、其ノ當時
  ノ時價ニ依ツテ買フ、斯ウ云フ建前ニナツ
  テ居リマス、唯最高價格ノ決定ニ當リマシ
  テ、藷ノ問題、其ノ他雜穀ノ問題等ニ付キ
  マシテモ、價格決定ニ偶〓低過ギタト云フモ
  ノモアラウト思ヒマス、是等ハ其ノ事情ニ
  應ジテ漸次是正シテ行クト云フ方針ヲ執ツ
  テ居リマスルカラ、是ハ買入價格決定トハ
  別デアリマシテ、最高價格決定ノ仕方ニ付テ
  考慮シテ行クト云フコトニナル譯デアリマ
  ス
  ソレカラ生產費調査ニ付キマシテハ、是
  モ現在ノ米ノ生產費調査ニ付テ、現在行ツテ
  居ルモノガ必ズシモ妥當トモ考ヘマセヌ
  ガ、併シ是モ非常ナ澤山ノ數ヲ集メテ、果
  シテ正鵠ヲ得ルカドウカ、中々難カシイ問
  題デアリマス、現在ノ數ヲ以テ、其ノ調査
  方法等ニ付キマシテハ、今囘ノ決定ハ最低
  價格ノ決定デナクシテ、買入價格ノ決定デ
  アリマスルカラ相當ニ從來トハ違ツテ利
  潤ヲ見ナケレバナリマセヌシ、其ノ他色々
  ナモノヲ加ヘテ行クコトニナリマスルカ
  ラ、生產費ノ調査方法ニ付キマシテハ、更
  ニ委員會等ニ御諮リシテ決メテ參リタイト
  思ヒマス
  麥ノ生產費ノ問題ニ付キマシテハ、是ハ
  御說ノ通リ非常ニ難カシイ問題デアリマス
  ガ、是モヤハリ何トカ調査ヲシナケレバナ
  リマセヌノデ、此ノ點モ色々案ヲ持ツテ居
  リマスガ、御相談ヲ申上ゲマシテ決メテ參
  リタイト考ヘテ居リマス、唯麥ノ買入値段
  ヲ米ノ買入値段ノ何割ニスルカト云フヤウ
  ナコトニ付キマシテモ、現在デハマダ生產
  費ガハツキリ分ツテ居リマセヌノデ、先ヅ
  大體ノ所デ決メテ行クヨリ外仕方ガナイト
  云フ見地カラ、サウ云フ考ヘヲ持ツテ居ル
  ノデアリマス、是モ生產費ノ或ル程度ノモ
  ノガハツキリシテ來マスレバ、先ヅ大體ソ
  レヲ基トシテ考ヘテ行キタイ、斯ウ云フ風
  ニ思ツテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=81

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• 082・湯河元威

  ○湯河政府委員　只今大臣ノ御答ヘニナリ
  マシタコトデ漏レテ居ルモノハゴザイマセ
  ヌガ、調査農家ノ選定ノ問題デゴザイマス、
  之ニ付キマシテハ戶數ヲ殖ヤセト云フ御要
  求モゴザイマスルガ、吾々其ノ點モ必要ガ
  アレバ無論考ヘナケレバナラヌカトモ思ヒ
  マスルガ、ソレヨリモ寧ロ只今マデノ調査農
  家ノ分布ノ取リ方、之ヲ改メマシテ、モツ
  ト普遍的ニ各地ノ事情ヲ反映スルヤウナ農
  家ノ選定ノ仕方ヲシタラ宜カラウト云フコ
  トモ考ヘテ居リマス、併シ具體的ニ其ノ農
  家ノ選定ハ是ヨリスルノデアリマス、マダ
  若干時間ガアリマスノデ、十分其ノ間、良
  イ案ヲ得タイト考へテ居リマス
  ソレカラ調査ノ指導監督ノコトニ付キマ
  シテハ、是ハ從來トテモ實ハ生產費調査ノ
  專任職員ヲ各地方廳ニ配屬シテ居ルノデア
  リマス、植民地程ニ徹底シテナイト云フ御
  話モゴザイマシタガ、實ハ內地ノ農家ハソ
  レゾレ相當程度ノ低イ外地ノ人達ヨリハ
  斯ウ云フコトニ付テハ物慣レテ居ルノデハ
  ナイカド思ハレルノデアリマス、併シ一面
  カラ申シマシテ、生產費調査ト云フコトハ、
  非常ニ正確公正ニ行ハナクテハナリマセヌ
  ノデ、サウ云フ點ヲ確保スル意味カラ致シ
  マシテ、指導監督ハ今後一層嚴重ニシテ行ク
  必要ガアルノデアリマス、吾々ト致シマシ
  テモ十分ニ努メテ參リタイト思ツテ居リマ
  ス
  ソレカラ調査農家ニ對スル手當ノ問題デ
  ゴザイマスガ、是ハ每年實ハ考ヘテ居ルノ
  デゴザイマスガ、何分ニモ財政上ノ都合等
  モゴザイマシテ、大體現在ノ程度ニ止ツテ
  居リマス、是ハ今度モ豫算ヲ要求致シテ居
  リマセヌ
  ソレカラ生產費決定ノ平均方法ニ付キマ
  シテ、現在ヤツテ居ル方法ノ外ニ何カ方法
  ハナイカト云フ御話デゴザイマスルガ、此
  ノ點モ實ハ生產費ノ採リ方ニ付テ、地域別
  ノ採リ方トカ、或ハ全國的ニ採ルトカ云フ
  ヤウナコトニ付テ、色々考ヘガアルノデゴ
  ザイマスガ、是モ今確實ニドウト云フコト
  ヲ申上ゲニクイノデアリマス、併シ大體只
  今差掛リマシテハ少クトモ從來ノ資料ヲ活
  カシテ行ク、此ノ點ニ於キマシテハ從來通
  リ全國平均ヲスルコトニナラウト思ヒマス、
  併シ其ノ際ニ於キマシテハ、無論ノコト非
  常ニ異例ニ屬スルモノヲ省クベキコトハ
  是ハ平均方法ヲ採ツテ居リマス以上ハ當然
  ノコトダト思ツテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=82

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• 083・村上國吉

  ○村上(國)委員　此ノ決定サルベキ價格ニ
  付テ大臣ノ御答辯ハ米麥ニ付テ言ヘバ、生
  產費ヲ割ルナドト云フガ如キ決定ニハ決シ
  テナラナイヤウニスルノダ、斯ウ云フ御意
  思ト了承シテ宜イノデアリマセウカ、事ガ
  餘リ重要デアリマスカラ、重ネテ此ノ點ヲ
  確メテ置キタイノデス
  ソレカラ此ノ調査員ノ手當ハ現狀ノ通リ
  ト云フ、其ノ現狀ハ一體何程御拂ヒニナツ
  テ居ルノダカ、ソレヲ確メテ置キマス
  次ニ食糧管理委員會ノ構成ト云フ問題デ
  スガ、是ハ一體何人程ニスル積リナノカ、
  ソレカラ又ドウ云フ方面カラ人ヲ採ル積リ
  ナノカ、ソレヲ一應確メテ置キタイト思フ
  ノデス、是ハ私モ斯ウシタ委員會ナドニ何
  囘カ出タ經驗ガアルノデアリマスガ、ドウ
  モ私ノ感ジヲ申シマスト、何處ノ委員會デ
  モサウデナイカト思ハレルコトハ、政府カ
  ラ出テ居ル委員ガ餘リニ多過ギル、殊ニ農
  林省ニ關スル委員會ト云ツタラ、農林省ノ
  オ役人サンガ澤山出テ居ル、ドウシテアレ
  ダケ澤山ニ總動員デモスルガ如キ狀態デ、
  委員ヲ御出シニナル必要ガアルノダラウ
  カ、說明サヘシタラ、委員ノ數ヘハ、サウ
  シタ農林省ノオ役人サンハ御入リニナラナ
  クテモ宜イノデハナイカ知ラ、斯ウ云フコ
  トヲ今マデニモ感ジテ來タノデ、セメテ〓
  糧管理委員會ト云フモノハ、サウシタ構成
  ニナサラヌノガ宜イノデハナイカト云フ意
  思ヲ以テ、玆ニ此ノ御尋ネヲスルノデス
  ソレカラ今一ツハ、ドウモ委員會ヲ開イ
  テ見ルト、其ノ委員會ノ終了ヲ餘リニ御急
  ギナサル、大〓一日ニ片付ケテシマツテ貰
  ハネバナラヌト云フコトヲヤツテ居ル、サ
  ウシテ今日ドンナ問題ガアルノダカ、ドウ
  云フ案ガ出ルノダカ、委員ハ何ニモ知ラズ
  ニ出テ來テ、サウシテバタ〓〓ト其ノ日ニ
  片付ケテシマハナケレバナラヌト云フヤウ
  ナコトニ仕組マレテ居ルノデモナカラウケ
  レドモ、サウシタヤウナ狀態デアルガ爲ニ、
  本當ニ愼重ニ〓究スルナント云ツタヤウナ
  コトハ、練達堪能ノ士デアツテモ、中々是
  ハ容易ナコトデハナイ、殊ニ農林計畫委員
  會ノ如キヲ見マスト、此ノ計晝デ行ツタ時
  ニハ何處ガドウナルノダ、斯ウナルノダ、
  委員ナント云フモノハ、一人モ何ニモ知ラズ
  ニ濟マシテシマフト云フヤウナコトニナツテ
  居ルコトハ、是ハ餘リニ其ノ終了ヲ御急ギ
  ニナルカラデアルカラ、假令ソレガ三日掛
  カラウガ、五日掛カラウガ、重要ナコトナ
  ラバ十分ニ審議ヲ盡スト云フ方針デ御掛リ
  ニナル必要ガアルト思フ、殊ニ此ノ食糧管
  理委員會ト云フモノハ、餘リニ重大ナル任
  務ヲ持ツテ居ルノデアルカラシテ、斯ウシ
  タ感ジヲ一層深クシテ居ルノデアリマス、
  以上ノ點ニ付テ尙ホ御答ヘヲ願ヘレバ結構
  デアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=83

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• 084・井野碩哉

  ○井野國務大臣　米麥ノ買入價格決定ニ當
  リマシテ、生產費ヲ必ズ割ラナイヤウニス
  ルカドウカト云フ御尋ネデアリマスガ、是
  ハサウ云フ風ナ努力ハ無論致シマス、併シ
  例ヘバ低物價政策ハドウシテモ堅持シナケ
  レバナラヌ、國家財政ハ是レ以上ノ補助ハ出
  セナイ、併シ農民ニ或ル程度ノコトハ忍ン
  デ貰ハナケレバナラヌト云フ事態モ全然ナ
  イトハ言ヘマセヌ、デスカラ吾々ハサウ云
  フ場合ニ於テモ、農林大臣トシテハ出來ル
  ダケ生產費ヲ維持スルヤウニ努力スルト云
  フコトシカ此ノ際ハ申上ゲル譯ニハイカヌ
  ト思フノデアリマス、併シ今マデノ實績ヲ
  御覽願ヘバ、大體ニ於テ生產費ヲ割ルヤウ
  ナコトハ殆ドナク、價格決定ガ出來テ居リ
  マスカラ、其ノ點ハ御信賴ヲ願ヒタイト思
  フノデアリマス
  ソレカラ、委員會ノ構成等ニ付キマシテハ、
  度々此ノ委員會デモ御質問ガ出テ居リマス
  カラ、其ノ內容ハ速記錄デ御覽ヲ願ヒタイト
  思ヒマス、其ノ運用ニ當ツテノ御注意ニ付キマ
  シテハ私モ十分注意シテ參リマス、唯農林
  省ノ役人ガ多ク入リ過ギテ居ルト云フコト
  デアリマスガ、結局ヤハリ委員會ニハ委員
  トシテ入ツテ、サウシテ色々ノ御質問ニモ
  御答ヘシ、又自分ノ意見モ披瀝シテ行クト云
  フコトノ方ガ運用上巧グ行クト云フ意味デ
  入レテ居ルノデアリマス、其ノ爲ニ人數ヲ
  妨ゲタリナンカハ致シマセヌ、臨時委員デ
  モ何デモ宜イノデアリマスカラ、各局長ヲ
  成ベク多ク入レテ、皆樣ノ御質問ナリ、御
  希望ニ合フヤウニシテ行ツタ方ガ適當デア
  ルト私ハ考ヘテ居リマス、又其ノ取扱ニ付
  キマシテモ、一日デ出來ルダケ早ク終ヘタ
  イト云フ風ニ、ドウモ急ギ過ギルト云フ御
  話デアリマスガ、是ハ委員會ノ性質ニ依リマ
  ス、價格決定ノ如キモノハ、其ノ日ニ決メナ
  イト工合ガ惡イト云フモノモアリマス、サ
  ウ云フモノハ、豫メ委員等ニ於テモ御必要
  ガアレバ、又準備的ナ知識ハ御與ヘスルコ
  トハ出來ルト思ヒマスガ、サウ云ツタ性質
  ノモノハ或ハ一日モ終ヘルト云フコトハ御
  許シ願ハナケレバナラヌト思ヒマス、併シ計
  畫委員會ノ如キモノハ是ハ相當ニジツクリ
  〓究致サナケレバナラヌ問題モアリマスノ
  デ、現在農林省ノ農林部會トシテ開イデ居
  リマスル戰時食糧部會ノ如キハ、非常ニ念
  ヲ入レテヤツテ居リマス、決シテ一日デ終
  ヘルヤウナ仕組ニハ致シテ居リマセヌ、サ
  ウ云フヤウナ委員會ノ性質ニ依リマシテ自
  ラ取扱ガ違フト云フコトダケハ御諒承願ヒ
  タイノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=84

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• 085・湯河元威

  ○湯河政府委員　村上委員ニ先程御答ヘ致
  シマセヌデシタ手當ノ點ハ、今數字ヲ一寸
  覺ヘテ居リマセヌノデ、取調べマシテ後ニ
  御答ヘ致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=85

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• 086・村上國吉

  ○村上(國)委員　次ハ檢査ノ問題ニ付テ御
  尋ネスルコトニ致シマス、其ノ一ツハ、手
  數料ノ問題デス、手數料ハ取ルコトニナツ
  テ居ル、今日マデ各府縣デヤツテ居リマシ
  タ檢査ニ付テハ、皆手數料ヲ取ツテ居ル、
  併シ今度ノハ今マデノ檢査トハ餘程觀念的
  ニ違ヒガナケレバナラヌト思フ、從來ノハ
  檢査ヲ受ケルコトニ依ツテ、自己ノ生產シ
  販賣スル所ノモノハ必ズ市場ニ於テ有利ニ
  賣レルト云フ所ニ檢査ヲスルト云フ考ヘガ
  アリ、又サウシタ構ヘニナツテ居ル、所ガ
  今度ノハサウデナクシテ、國ガ管理上ノ必
  要カラシテ檢査スルノダ、ダカラシテソレ
  ニ付テ生產者ニ、受檢者ニ手數料ヲ負擔サ
  セテ檢査スルト云フコトハ、觀念的ニ見テ
  ドンナモノダラウカ、色々斯ウ云フコトニ
  ナツタト云フ事情ニ付テハ、多少聞イタコ
  トガナイデモアリマセヌケレドモ、ドウモ
  私ハ感心セヌ、又第七十七議會デ、農林大
  臣ハ土屋委員ノ質問ニ對シテ、ドウモ國家
  デ買取ル米デアリマスカラ、米ノ檢査ト云
  フコトニナリマスレバ、成ベク農村ニ負擔
  ヲ掛ケナイヤウニスルコトガ私ハ適當ダト
  思ヒマス、ト云フ所マデノ御答辯ハアツテ
  居ル、但シ財政上ノ云々ト、斯ウ云フ話デ
  逃ゲラレテ居ルケレドモ、ドウモココマデ
  大臣ガ適當ト思フト云フ御信念デアラセラ
  レタナラバ、是ガ手數料ハ要ラナイモノダ
  ト云フ結果ニナルヤウニ御努力ニナツテコ
  ソ然ルベキモノデハナカラウカト私ハ思フ
  ドウモ觀念的ニ見テ、此ノ手數料ヲ取ルト
  云フコトハ甚ダ感心シナイト私ハ思ヒマス
  ノデ、是ハモウ一ツ御考へ直シニナル-
  今ト云フ譯ニハ行キマセヌ、今年ト云フ譯
  ニハ行キマセヌカ-御考へ直シニナル餘
  地ハナイノデアルカドウカト云フコトヲ一
  ツ確メテ置キタイノデアリマス
  次ニ、此ノ檢査問題ニ付テ、曩ニ政府ノ方カ
  ラ示サレタ要綱ニ依リマスト、此ノ法案ハド
  ウモ要綱トハ少シ趣旨ガ違ツテ來テ居ルヤ
  ウニ思フ、米麥ハ行政官廳ノ檢査ヲ受ケタル
  モノニアラザレバ之ヲ受授スルコトヲ得ナ
  イ、斯ウ云フコトニナツテ居ル、受ケルコト
  モナラネバ渡スコトモナラヌ、斯ウナツテ居
  ル、所ガ今度ノハ、第三條第一項ノ者ハ·····
  其ノ者ガ政府ニ賣渡スベキ米麥ニ付勅令ノ
  定ムル所ニ依リ檢査ヲ受クベシ、此ノ法文
  ヲ此ノ通リニ解釋シテ行クト、地主ガ小作
  料デ受取ツタ米ヲ賣ルト云フ時ニハ、地主
  ガ檢査料ヲ出サナケレバナラヌ、檢査料ヲ
  出シテ檢査ヲ受ケテ、サウシテ政府ニ賣渡
  スノダ、斯ウ云フコトニナル、併シナガラ、
  前ニアル如ク、檢査ヲ受ケタモノデナケレ
  バ受渡シガ出來ヌト云フ規定デ行キマス時
  三、小作者ガ地主ノ所ニ米ヲ納メルト云
  フコトニ付テモ檢査ヲ受ケタモノデナケレ
  バナラヌ、斯ウ云フコトニナツテ來ルト思
  フ、是ハ此ノ要綱ニ示サレテ居ルノガ善イノ
  カ、此ノ法案ニ示サレテ居ル方ガ善イノカ、
  私ハ敢テ其ノ是非ヲ言ハウトハ思ヒマセヌ
  ケレドモ、併シ結果ニ於テハ是ガ大分ニ違
  フヤウニ思フ、此ノ要綱ト法案ノ違フト云
  フコトハ、ソレハ要綱ヲ斯ウ決メタノダケ
  レドモ、其ノ後ニ於テ色々〓究ヲシタ結果
  斯ウ云フヤウニ變ヘタト云フ譯ノモノデア
  ルカ、其ノ點ヲ私ハ確メテ置キタイノデア
  リマス、檢査ニ關スル問題ハ先ヅ此ノ二點
  デス

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• 087・井野碩哉

  ○井野國務大臣　此ノ度ノ〓糧國家管理ニ
  基キマシテ、檢査制度モ國營檢査ニ移スト
  云フコトニ致シマシタ結果、檢査手數料ニ
  付テ、只今村上委員ノ御述べニナリマシタ
  御意見ニ付テハ私モ同感デアリマス、成タ
  ケ檢査料ハ無手數料ニシタイト云フ氣持ヲ
  實ハ持ツテ居ツタノデアリマス、所ガ、獎
  勵金ノ制度ヲ見マスト云フト、檢査手數料ヲ
  チヤント織込ンデアルノデアリマス、五圓
  ノ奬勵金ヲ決メマシタ時ノ生產費ノ計算ノ
  中ニ、檢査手數料ガ現在拂ツテアリマス、
  ソレヲ織込ンデ出來テ居リマスカラ、隨テ
  國トシテハ、一方ニ於テ檢査手數料ヲ補助
  ヲシテ置キナガラ、又一方ニ於テ免除ヲ
  スルト云フコトニナリマスト、其ノ點ダ
  ケガ計算上ヲカシクナルノデアリマス
  デアリマスカラ、此ノ際ハ、奬勵金トシテ
  與ヘテアル以上ハ、ヤハリ檢査料ヲ取ルガ
  適當デアル、而モ其ノ手數料ハ、計算ノ中
  ニ入ツテ居ル手數料ヨリモ今度ノ方ハ安ク
  取ツテ居ル、デアリマスカラ、各府縣デ區
  區ナ手數料ヲ取ルヨリハ、一般ニ均一的ナ
  手數料ニ致シマシテ、サウシテ取ツテ行ク
  コトガ適當デアルト考ヘテ、今度ノ制度ヲ
  採ツタ譯デアリマス
  ソレカラ、檢査ノ方法ニ付キマシテ、今
  要綱ト條文トノ違ヒヲ御指摘ニナリマシタ
  ガ、是ハ同ジ意味デアリマス、法文ニサウ云
  フ風ニ現ハシマシタ爲ニ形ガ違ヒマシタケ
  レドモ、精神ハ同ジデアリマスカラ、チツ
  トモ要綱ト違ツテ居ナイト御諒承願ヒタイ
  ト思ヒマス

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• 088・湯河元威

  ○湯河政府委員　今大臣ガ仰セニナリマシ
  タ要綱ト法律トノ關係デアリマスガ、御說
  明申上ゲテ置キタイト思ヒマス、要綱ノ時
  ニハ元ノ農產物檢査法ノ字句ヲ其ノ儘取リ
  マシタノデアリマス、今度管理法ヲ制定ス
  ルニ付キマシテ法制局ト打合セヲシマシタ
  時ニ、寧ロ管理法ノ建前トスレバ、授受ス
  ルコトヲ得ズト云フ風ナ檢査本位ノ建前ヨ
  リモ、國家管理ノ食糧ハ檢査ヲスルノダト
  云フコトヲ明確ニシタ方ガ宜イデハナイカ
  ト云フコトデ、サウ云フ體裁ニ改メマシタ、
  併シ授受スルコトヲ得ズト云フヤウナ規定
  ハ、法律ノ第八條デゴザイマスカ、其ノ規
  定ニ依リマシテサウ云フ制限ヲナシ得ルコ
  トニナツテ居リマスノデ、ソレヲ以テヤハ
  リヤツテ參リタイ、斯ウ考ヘテ居リマス、
  唯御指摘ノゴザイマシタ小作人ノ小作米ニ
  付キマシテ、要綱ナラバ、小作米ハ授受ス
  ルコトヲ得ズ、斯ウナリマス、法律ノ方デ
  行クト其ノ方ガハツキリセヌデハナイカト
  云フ御話デゴザイマスガ、是ハヤハリ兩方
  トモ同ジデゴザイマス、唯小作米ノ檢査ニ
  付キマシテハ此ノ前申上ゲマシタガ、强制
  檢査ハ地主ト小作人トノ間ニ於キマシテ、
  檢査料ノ負擔ガ地主ニ歸屬スルト云フ建前
  ヲ執リマシタ時ニスルト云フ考ヘデゴザイ
  マス、此ノ點ハ大體農產物檢査法ト今度ノ
  法律ハ同ジ法式ニナツテ居ルノデアリマス

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• 089・村上國吉

  ○村上(國)委員　其ノ點ニ付テ尙ホ私疑義
  ガアルケレドモ、一寸急ギマスカラ是レ以
  上申シマセヌ、次ニ食糧營團ノ問題デス、是
  ハ政府ノ出資ト地方營團トノ關係ガドウナ
  ツテ來ルカト云フ問題デス、中央營〓ニ對
  シテハ政府ガ五千万圓マデ出資スル、中央
  營團ハ地方營團ニ對シテ出資ガ出來ル、斯
  ウ云フコトニナツテ居リマス、ソコデ中央
  營團ハ政府ノ出資金ノ一部ヲ以テ地方營團ニ
  出資サセルト云フ構ヘ方デハナイカ、斯ウ
  モ考ヘラレル、若シサウダトスルナラバ、
  政府ハ中央營團ニハ中央營團デ出資スル
  ガ、地方營團ニハ地方營團デ出資スル、斯
  ウシタ方ガ宜イデハナイカト私ハ思ヒマス、
  ソコガドウモ私ハ判斷ガ付カナイノデ、此
  ノ點ヲ一ツ御尋ネシテ置クノデアリマス
  ソレカラ次ニハ營團ノ役員ノ問題デス、
  是ハ農地開發營團ノ問題カラ來ルノデス、
  農地開發法ノ第二十一條ニ依リマスト「理事
  長、副理事長及業務ヲ分掌スル理事ハ他ノ
  職業ニ從事スルコトヲ得ズ」斯ウ云フコト
  ニ原則的ニ決メラレテ居ル、他ノ業務トハ
  ドウ云フ意味合ヲ言フノカ、例ヘバ玆ニ衆
  議院議員ガ居ル、其ノ衆議院議員ヲヤツテ
  居ル者ニ付テハ、是ハ他ノ職業ニ從事シテ
  居ルト云フ見解ヲ採ツテ、之ヲ兼ネルコト
  ハ出來ナイノカト云フコトヲ其ノ當時私ハ
  聽イタコトガアル、廣イ意味ニ於テハサウ
  デアリマスナ、必ズサウスルト云フ御答辯
  デハナカツタケレドモ、マアサウモナリマ
  スト云ツタヤウナ意味ノ御答ヘデアツタ、
  所ガ今度ノ此ノ食糧管理法ニ依リマスト、
  農地開發法ノ第二十一條ノ如キ制限ガ何モ
  設ケラレテ居ナイ、是ハドウ云フ譯ナノデ
  ス、同ジ農林省ノ所管デアツテ一方ハ斯
  ウシタ規定ガ設ケラレタシ、一方ハ斯ウ云
  フコトガナイ、ソコニハ相當ナ理由ガナク
  テハナラヌト思フ、又農地開發ノ如キハ理
  事ヤ何カガ外ノ職業ヲ兼ネタライケナイト
  云フコトカラ制限シタガ、食糧管理ノ方ハ
  サウ云フ制限ヲスル必要ハナイト云フコト
  カラ來テ居ルノデアルカ、此ノ點ヲ確メテ
  置キタイノデアリマス

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• 090・井野碩哉

  ○井野國務大臣　地方營圍ノ出資ノ問題ハ、
  政府ガ直接スルヨリハヤハリ中央トノ結付
  キノ上ニ、政府ガ中央ニ出資シテ、其ノ出
  資ヲ中央カラ地方ニシタ方ガ宜イト云フ意
  味デ、現在ノ制度ヲ採ツタノデアリマス、
  ソレカラ兼業ノ問題ハ農地開發法ヲ準用シ
  テ居リマス、從テ同ジデアリマス

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• 091・村上國吉

  ○村上(國)委員　農地開發法ヲ準用スルト
  仰シヤルト、實施ノ上ニ於テハアノ農地開
  發法ノ規定ト同ジヤウナ考ヘ方ニスルノ
  ダ、斯ウ云フ譯デスネ

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• 092・井野碩哉

  ○井野國務大臣　同ジ條文ヲ準用シテ居リ
  マスカラ、規定シタト同ジコトデアリマス、
  農地開發法ノ何條ヲ準用ストアリマスカ
  ラ,

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• 093・村上國吉

  ○村上(國)委員　ソレデハ私ノ〓究ガ足リ
  テ居リマセヌデシタ、ソレカラ特別會計ノ
  點ニ關スル問題ガ一ツアルノダケレド
  千、何ダカ將來ヲ案ジ過ギテ、夢ヲ見
  テ居ルヤウナ感ガアルカモ知レマセヌカ
  ラ、此ノ點ハ此ノ際差控へテ置キマス
  次ニ農業團體統合ノ問題、之ニ付テ先ヅ
  大臣ニ御伺ヒシタイノハ、此ノ議會ニ農業
  團體法ヲ御出シニナラナカツタト云フコト
  ハ、其ノ事情モ間接ナガラ私ハ承ツテ大體
  承知シテ居リマス、所ガ其ノ後ニナツテ必
  ズシモ法律ニ依ラナクテモ、別個ノ方法モ
  考ヘラレルト云フコトヲ御話ニナツテ云ル
  ヤウデアリマスガ、農林省ノ內部ニモ亦サ
  ウシタヤウナ考ヘ方モアルヤウニ聞イテ居
  リマス、大凡此ノ別個ノ方法ト云フノハド
  ンナコトヲ言フノカ、ソレヲ具體的ニ、例
  ヘバ斯ウ云フモノダト云フコトヲ御示シ願
  ヒタイ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=93

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• 094・井野碩哉

  ○井野國務大臣　別個ノ方法ト申上ゲタノ
  ハ結局現在ノ農業關係ニシテ見マスレバ
  中央農業協力會ト云フヤウナモノガ出來テ
  居リマス、之ヲ或ル程度法制化スルト云フ
  コトモ一ツノ方法デアリマス、其ノ他團體
  統制法ニ類似シマシタヤウナ立法ヲ總動員
  法デ〓究スルト云フコトモ一ツノ方法デア
  リマス、色々マダ〓究シテ居リマス、ドウ
  云フ案デ進ンダラ宜イカト云フコトニ付テ
  〓究ヲシテ居リマスカラ、別個ノ方法モ考
  慮出來ルト云フコトヲ申上ゲタノデアリマ
  スガ、必ズソレニ依ツテヤルト云フコトハ
  ハマダ申上ゲテ居リマセス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=94

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• 095・村上國吉

  ○村上(國)委員　其ノ程度ナラバ是レ以上此
  ノ問題ニ付テハモウ伺フ必要ハアリマセス、
  唯總動員法ヲ發動シテ、是デ行カウヂヤナ
  イカト云フガ如キ氣配ガチラホラ見エヌデ
  モナイ、ケレドモ此ノ團體統合ノ問題ノ今
  日ニ至ルマデノ經過ナリ、又沿革ナドヲ考
  ヘテ見タ時ニ、私ハ總動員法デヤルナドト
  云ツタ譯ノモノデハナイト思フ、若シサウ
  云フコトヲスルト云フノデアルナラバ、是
  ハ農林當局自ラガ、飛ンデモナイコトヲシ
  テシマフモノダ、今日マデ農林當局ノ十分
  ノ責任ニ於テ、是ハ斷行ナサレナケレバナ
  ラヌ筈ダカラ、ソレヲ法律デ決メラレヌカ
  ラト云ツテ、總動員ヘ持ツテ行ツタト云フ
  ニ至ツテハ論外ノ話、若シソンナコトナラ
  私ハ眞向カラ反對スルト云フ積リデ居ルノ
  デアリマス、ソレカラ今何カ外ニ名案ガア
  レバ或ハドウカモ知レナイケレドモ、協力
  會ノ如キヲ云々ト言ハレテ居リマスガ、ア
  アシタ協力會ヲ作ツテ見タガ、ドウニモ是
  デハ本當ノ時局ノ要請ニ應ズル働キガ付カ
  ヌト云フコトカラ、團體統合ノ問題ガ再燃
  シテ來タ、此ノ事實ヲ考ヘテ見マスナラバ、
  協力會ノ如キニ依ルト云フコトハ、是亦以
  テノ外ノコトダト私ハ思フノデアリマスガ、
  此ノ問題ハ今大臣ノ御答辯ノ如クナラバ、
  是レ以上私ハ申シマセス、唯ドウ致シマシ
  テモ、モウ旣ニ團體自身ハ何レモ覺悟ヲ十
  分ニシテ居ル譯デアル、又議會ノ如キモ前
  第七十七帝國議會ニアアシテ建議案マデ出
  シテ、政府ヲ大イニ鞭撻シタ積リデアリマ
  ス、此ノ團體統合法案ガ議會ニ出サレルト
  云フコトニ付テ誰一人トシテ反對シテ居ル
  者ハナイ、機ハ正ニ熟シテ居ル、政府ガ斷
  乎トシテ出サレサヘスレバ、私ハモウ今日
  マデニ成立シテシマウテ居ル法案デアルカ
  ノヤウニ思フ、デアルカラシテ切ニ政府ノ
  勇斷ヲ望ムコトニシテ、此ノ問題ニ付テ異
  議ヲ申スコトハ致シマセヌ
  次ニハ農業保險ニ關スル問題デアリマス
  ガ、此ノ保險法ノ改正案ガ此ノ議會ニ出サレ
  ルヤウニナルデアラウト云フコトヲオ互ヒ
  ハ期待シテ居ツタガ、是ハ到頭出ナイコト
  ニナリマシタ、サウシテ一時ノ方法トシテ
  或ハ冷害ニ對シテ斯ウスルト云ツタヤウナ
  措置ヲ講ゼラレタト云フコトハ承知致シテ
  居リマス、同時ニ又施行後數年經過シタノ
  デ、此ノ際保險料ヲ改正スルト云フコトデ
  其ノ計畫ガ立テラレテ居ルト云フコトモ承
  知ヲ致シテ居リマスガ、昨年來ノ經過ヲ見マ
  スルト、此ノ保險料ヲ改訂スルコトノ如キ
  ハ制度全體ヲ改メルト云フコトト同時ニ、ソ
  レハ考ヘラレルコトニナツテ居ツタト思ヒ
  マスガ、今日ニナツテ結果ヲ見マスト、法其
  ノモノハ先ヅ手ヲ着ケズニ其ノ儘ニ置イテ、
  保險料ダケ上ゲルト云フコトニナツテ來マ
  スト、色々ノ意味合、色々ノ關係カラ關係者
  ニモ隨分種々ノ感ジヲ持タセルコトニナル
  デアラウト思フ、此ノコトハ農業保險ヲ發達
  セシムル上ニ於テ決シテ結構ナコトデナク
  テ、却テ其ノ發達ヲ阻碍スル虞ナシトハ致
  シマセヌ、ソコデ此ノ際ドウセヨト云フコ
  トヲ私ハ要求スル譯デハアリマセヌガ、ソ
  レ等ノ多クノ關係者達ヲシテ、今年ノ場合
  ハ保險料ハ斯ウナルニシマシテモ、必ズ農
  業保險法ハ根本的ナ改善ガ行ハレルノダト
  云フ强イ期待ヲ持タセルゴトニ依ツテ、初
  メテ今日ノコトハ餘リ問題ニナラナイデ濟
  マシ得ルノデハナイカ、斯ウ云フコトニ考
  ヘマスノデ、此ノ際力一杯、極ク近イ機會
  ニ於テ是ハ改正スル積リデアルト云フコト
  ヲ此ノ機會ニ大臣ノ方カラ、ハツキリト御
  言明ヲ願フ譯ニハ行カナイモノデアルカ、
  此ノ點ヲ確メテ置キタイノデアリマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=95

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• 096・井野碩哉

  ○井野國務大臣　農業保險ノ問題ハ成立シ
  マスル時ニ十分調査モ致シ、保險ノ危險率
  ナリ、危險分散ヲ算定シテ制定致シタノ
  デアリマスガ、制定後異常ナル年ニ打ツカ
  リマシタノデ、非常ニ經營上苦シクナツテ
  來タト云フ次第デアリマス、デアリマスカ
  ラ已ムヲ得ズ保險料モ上ゲネバナラヌト云
  フ事態ニ當面シタノデアリマスガ、併シ是
  モモツト根本的ニ〓究シナケレバナラヌト
  私モ思ツテ居リマス、從來委員會等ニ於テ
  モ〓究シマシタガ、今ノ儘デハ經營上中々
  巧ク行カナイト思ヒマスノデ、出來ルダケ
  十分ニ又速カニ〓究シマシテ、適當ナル對
  策ヲ立テタイト考ヘテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=96

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• 097・村上國吉

  ○村上(國)委員　大分長クナリマシタカラ
  簡單ニ申上ゲマス、丁度農林大臣ガ拓務大臣
  ヲ御兼任ニナツテ居ラレルノデ至極便宜ヲ
  得ル譯デス、隨テ此ノ一點ハ農林大臣ニ對
  シテノ御尋ネデナク、拓務大臣ニ對シテノ
  御尋ネダト御諒解ヲ願ヒマス、ソレハ朝鮮
  竝ニ臺灣ニ於ケル食糧管理ノ方針トカ方法
  ト云ツタモノハドウ云フコトニナツテ居リ
  マスカ、既ニソレ〓〓定ツテ居ルモノガア
  ルト思ヒマス、嘗テ內地トハ甚ダシイ行キ
  方ガ違ツテ居ツタ筈デス、ソレヲ今マデ通
  リデ進ムト云フ御方針デアルカ、又ソレヲ
  改メルト云フ御方針デアルカ、ソコヲ一ツ
  第一ニ伺ツテ置キタイト思ヒマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=97

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• 098・井野碩哉

  ○井野國務大臣　食糧對策ニ付キマシテ、
  朝鮮臺灣共ニ勿論自ラ生產シマシタモノヲ以
  テ島內ノ需給ニ當テ、其ノ餘分ノモノハ內
  地ニ移出スルト云フ方針デ、現在モヤツテ
  居リマス、而モ現在ニ於テハ、此ノ大東亞
  戰爭遂行ノ道程ニアツテ內外地ヲ通ジテ國
  內ニ食糧不安ガアツテハナラヌノデアリマ
  スカラ、オ互ヒニ同ジヤウニ辛抱シ合ツ
  テ、サウシテ出來ルダケ食糧ト云フモノノ
  交流ヲ圓滿ニシテ行クト云フ方針ノ下ニ總
  テノ食糧對策ヲ執ツテ居リマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=98

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• 099・村上國吉

  ○村上(國)委員　ソレニ付テ內地ト外地ト
  ノ間ニ委員會ノ如キモノヲ組織シテ緊密ニ
  其ノ連絡ノ上ニ遺憾ノナイヤウニシヨウト
  云フ御考ヘガアツタカノヤウニ承知シテ居
  リマスガ、其ノ事實ハ如何デセウカ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=99

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• 100・井野碩哉

  ○井野國務大臣　內外地ニ亙リマス食糧ノ
  交流ニ付キマシテハ企畫院ヲ中心ニ物動計
  晝ヲ作ツテ居リマス、其ノ計畫ノ運用宜シ
  キヲ得レバ大體ニ於テ目的ヲ達スルノデア
  リマス、其ノ運用ハ私ガ農林大臣ト拓務大
  臣ヲ兼ネテ居リマスカラ、現在ニ於テハ適
  正ヲ得テ居ルノデアリマス、併シ制度トシ
  テ何カ是モ考ヘナケレバナラヌ、詰リ農林、
  拓務ノ大臣兼任ト云フ人的ノ結付キデナシ
  ニ、制度トシテモ何カ考ヘテ行ク必要ガア
  ルノデハナカラウト云フノデ、今御話ノ委
  員會等ニ付テ〓究ハシテ居リマス、併シマ
  ダ具體案ハ得テ居リマセヌ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=100

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• 101・村上國吉

  ○村上(國)委員　ソレデ大體ノ行キ方ハ分
  ツテ來マシタガ、要スルニ今朝鮮ヤ臺灣ニ
  於ケル食糧管理ノ方向ハ今マデ通リニヤツ
  テ行クト云フ考ヘ方ニナルヤウニ思ヒマス、
  唯外地トノ交流ニ關シテサウシタ調整ヲ圖ル
  途ヲ採ルノダト云フ風ニ了解サレルヤウデ
  アリマス、ソコデ一體日本ノ食糧ハ大臣モ
  屢〓申サレテ居ル如クニ今後大東亞ノ共榮圈
  全體ヲ睨合ハシテ總テノ國策ヲ立テテ行ク
  ノダト致シマシテモ、食糧ニ關シテハ自給
  デ行クノダト云フコトハ屢〓、御言明ニナツ
  テ、恐ラク此ノ點ハ動カヌ所ダト思ツテ居
  リマス、サウスルト食糧自給ノ立場カラ行
  キマスナラバ、內地ト外地ト是ガ完全ニ抱
  合ツテ行カナケレバナラヌ、サウシタ所ニ
  需給ノ自ラナル調整ハ出來テ行クノダト云
  フコトニナリマス、所デ現在ノ狀態、現在
  ノ組織ヲ一瞥シタ時ニハ中々ソレハ容易ナ
  コトデハサウ云フヤウニ完全ナル調整ト云
  フコトニハ行カヌノデハナイカ、本日モア
  ノ祕密會ニ於テ內外地ニ於ケル食糧消費ノ
  狀況ニ付テモ御說明ヲ伺ツタノデアリマス
  ガ、アレヲ聽イタ時ニ、ドウモ外地ト內地
  トハ其ノ消費規正ト言ヒマスカ、ソレノ上
  ニ於テモ相當大キナ隔リガアルゾト云フコ
  トヲ私ハ感ジタノデアリマス、是ハ强イ言
  葉デハ言ヘナイカモ知レヌケレドモ、朝鮮
  ニハ朝鮮ノ一ツノ「ブロック」ガ出來テ居ル、
  臺灣ニハ臺灣ノ「ブロック」ガアリ、內地モ亦
  內地トシテノ「ブロック」ガアルガ如キ狀態
  デアツテ、向フハ外地ハ外地各〓十分ナル食
  糧ノ配給ノ上ニ遺憾ノナイヤウニ之ヲ確保ス
  ル、丁度今日ハ內地ニ於テハ斯ウシテ政府
  ガ積極的ニ强力ヲ以テ之ヲ管理スルト云フ
  コトニナツタノデ-今デモマダアリマス
  ガ、併シナガラ此ノ府縣「ブロック」ノ姿ハ
  段々消エテ行ク、恐ラク今度ノ此ノ管理法
  ノ施行ニ依ツテ綺麗ニナルコトデナイカト
  思ハレルガ、丁度內地ニ各府縣ノ「ブロッ
  ク」ガアツタノト同ジヤウナ感ジヲ持タサレ
  ルノデス、內地ニ於テ此ノ府縣「ブロック」ガ
  アツタガ爲ニ、國ノ全體ノ食糧ノ調整ノ上
  ニドレダケ困ツタカト云フコトハ、政府當
  局ガ一番能ク御承知ナノデス、內地ト外地
  ノ間ニ於テモマア何ダカ斯ウシタヤウナ
  「ブロック」的ナ考ヘ方ガ現存シテ居ル此
  ノ事實ハ言ヒ表ハシ方ガ間違ツテ居ルカモ
  知レヌケレドモ、斯ウシタ事實ハ私ハ爭ヘ
  ナイ事柄ノヤウニ思フ、ソレカラ又同ジ管
  理ヲスルト申シマシテモ、內地ニ於テハ其
  ノ管理ヲ徹底シナケレバナラヌト云フノ
  デ、斯ウシタ食糧管理法ノ如キモ玆ニ制定
  スル、サウシテソレノ運用ニ充テル資金ハ
  特別會計ヲ以テ二十一億圓ヲ備ヘテ居ル、
  ソレデ之ニ依ツテモウ遺憾ノナイ管理ガ出
  來テ行クヤウニシヨウト云フ時ニ、ソレナラ
  バ朝鮮ハドウ云フ構ヘ方ニナツテ居ルカト
  云ヘバ、其ノ點ニ於テハ全ク違フ、サウシ
  タヤウナ資金ノ用意ナド今尙ホナイデハナ
  イカト私ハ思フ、臺灣ニハアアシタ一ツノ
  管理法ガ施行サレテ居ル、併シ臺灣ノアノ
  管理ト云フモノハ、食糧ヲ管理センケレバ
  ナラヌト云フコトカラ出發シタモノデハナ
  イ臺灣產業上ノ調整ノ必要上カラ、アア
  シタ管理ヲ施行スルコトニ依ツテ、米トソレ
  カラ砂糖トノ適當ナル調整ガ出來得ルヤウ
  ニシヨウト云フコトカラ出發シテ居ル管理
  法デアリマスカラ、ソレデ內地ノ此ノ管理ト
  言ツテ居ルノトハ名ハ同ジデアリマシテモ、
  何トナクソコニハ一脈ノ相通ジ難イモノガ
  アル、是デハ私ハイカヌノデハナイカト思フ、
  ダカラ之ヲ完全ニ內外地ヲ通ジテ、食糧需
  給ノ完全ナル調整ノ圖レルヤウニスル爲ニ
  ハ、ドウシテモ玆ニ政府ノ方ニ於テ之ヲ一
  元的ニ統制シテ行クノダ、一元的ニ其ノ行
  政ヲヤツテ行クノダ、斯ウ云フ考ヘガナク
  テハ此ノ問題ハ何時マデ經ツテモ滑ラカニ
  ハナラヌノデハナイカ、少クトモ內地ト朝
  鮮ト臺灣トハ同ジ方向デ進ムノダ、斯ウ云フ
  コトニナラナケレバナラナイト思フノデア
  ルガ、是等ニ付テ農林大臣デアリ拓務大臣
  デアラセラレル大臣ノ御所見、ソレカラ之
  ニ付テノ御方針ヲ此ノ機會ニ於テ伺フコト
  ガ出來タナラバ、是ハ非常ナ仕合セデハナ
  イカト思ヒマスノデ、此ノ點ヲ御尋ネスル
  次第デアリマス

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• 102・井野碩哉

  ○井野國務大臣　內外地ヲ通ズル食糧行政
  ノ連絡調整ニ付キマシテハ、只今御答ヘ致
  シマシタ通リ、最近ニ於テハ非常ニ圓滿ニ
  行ツテ居リマス、村上委員ハ曾テ其ノ間ニ
  於テ色々支障ノアリマシタ時代ノコトヲ能
  ク御承知デアリマスカラ、御心配ニナルダ
  ラウト思ヒマスケレドモ、今日ニ於テハ非
  常ニ好ク行ツテ居リマス、殊ニ其ノ方向ニ
  至リマシテハモウ殆ド同ジ方向ニ向ツテ居
  リマス、朝鮮モ最近ハ特別會計ニ依ツテノ
  管理ハ致シテ居リマセヌガ、民間ノ特殊會
  社ニ依ツテノ內地ニ近イ管理ヲ最近致シテ
  居リマス、隨テ朝鮮ノ各道等ニ於キマシテ
  ハ、其ノ統制ハ殆ド完全ニ進ンデ居リマス、
  又臺灣モ立法ノ沿革ハ、是ハ色々御見方モ
  アラウト思ヒマスガ、今日デハヤハリ完全
  ナ管理ヲ致シテ居リマス、內地ト步調ヲ合
  ハセマシテ、米ニ付キマシテハ同ジ方向ノ
  管理ニ進ンデ居ルト思ヒマス、而モ內外地
  ヲ一體トシマスル行政運用ニ付キマシテハ、
  私ガ當ツテ居ルノデアリマス、是ハ從來ヨ
  リ餘程改善サレタル方向ニ進ミ得ルト信ズ
  ルノデアリマス

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• 103・村上國吉

  ○村上(國)委員　此ノ點ニ付テ尙ホ申シタ
  イコトモアリマスケレドモ、動モスルト意
  見ニナル傾キガアリマスカラ、只今ノ大臣
  ノ御答辯デ、サウデスカ、結構デスナト言
  ツテ下ル譯ニハ行キマセヌケレドモ、此ノ
  程度ニ於テ私ノ質問ヲ終了スルコトニ致シ
  マス

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• 104・三善信房

  ○三善委員長　松浦君ノ留保セラレタ質問
  ガマダアリマシタガ、今內務次官、地方局長
  ガ御見エニナツテ居リマスカラ、松浦君ニ
  許シマス

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• 105・松浦周太郎

  ○松浦(周)委員　簡單ニ御尋ネ致シマスガ、
  色々先輩カラ御尋ネノアリマシタ團體統合
  ノ問題デアリマスガ、此ノ團體統合ノ問題
  ニ付キマシテハ、只今モ大臣ガ仰セラレマ
  シタヤウニ、此ノ法ヲ制定スル手段方法ニ
  付テハ色々アリマセウガ、兎ニ角近イ內ニ
  是ガ實現スルコトニナツテ參リマシタコト
  ハ吾々多年叫ンデ參リマシタ者ト致シマ
  タンチ.一ツノ光明ガ見エタヤウナ感ジガ
  スルノデアリマス、之ニ對シマシテ過日農
  林次官ヨリ其ノ統合ニ對スル內容ヲ明カニ
  サレタノデアリマス、私ノ尋ネントスルノ
  ハ、農林次官ノ仰セラレタコトハ、町村及
  ビ其ノ他ノ產業團體トノ關係ハ、昭和二年
  ニ定メラレタコトニ依ツテ何等ノ摩擦ナク
  今日行ツテ居ルカラ、町村ト是等ノ團體ヲ
  一ツニスルノ必要ハナイ、是ハ町村ノ自治
  團體ト別ニ統合スベキデアルト云フ御見解
  ノヤウニ拜承致シマス、是ハ私ノ意見ヲ
  申上ゲルノデハアリマセヌ、質問ヲ申上ゲ
  ルノデアリマスガ、農林省ノ統裁セラレル
  所ノ各團體ノ意見ト、內務省ノ統裁セラレ
  ル各團體ノ意見トニ二ツノ流レガ、現在ノ
  日本ニアルカノヤウニ存ジマス、昨年末ニ
  吾々議員ノ手許ニ全國町村長會カラ一ツノ
  그パンフレット」ガ屆イテ居リマス、其ノ内
  容ハ時間ヲ要シマスカラ玆ニ讀ミ上ゲルコ
  トヲ止メマスガ、大體ニ於テ町村ハ町村長
  ヲ中心ニシテ、町村長ガ農會長、產業組合
  長、漁業組合長、森林組合長等ノ團體長ヲ
  兼任スルコト、サウシテ一體的ニ融合シテ、
  統合一體的ニナツテ其ノ活動ヲ促進シテ行
  クト云フコトガ中心ニナツテ居ルヤウデア
  リマス、更ニ本年ニナリマシテカラ「自治行
  政ト」云フ雜誌ノ卷頭ニ書イテ居リマスコト
  ハ、大體只今申上ゲマシタヤウナ理念ニ依
  ツテ相當細カシク微ニ入リ細ニ入ツテ其ノ
  コトガ現ハサレテ居ルノデアリマス、サウ
  致シマスト團體統合ヲ受ケヤウトスル所ノ
  人々ニハ、二ツノ指導ガ今日行ハレテ居ル
  ヤウデアリマス、斯カルコトデハ其ノ目的
  ヲ達成スルコトガ出來ナイト思ヒマスガ、
  內務次官ニ於カレマシテハ、斯ウ云フ方針
  デ進ンデ居ル所ノ町村會ト云フモノヲ此ノ
  儘ニ何處マデモ「スタート」サセテ、町村長會
  方面ノ意見ヲ通サレル御考ヘデアルカ、或ハ
  農林省トノ間ニ上ノ方デ話合ヲ付ケテ、サ
  ウシテ統合ノ實施ニ當ル前ニ於テ、全一體
  的ノ氣分ニナツタ時ニ於テ此ノ統合ニ手ヲ
  着ケラレル御考ヘデアルカ、若シ此ノ儘ニ
  放置シテ上ノ方ダケデ決メラレルコトニナ
  リマシタナラバ是ハ何處マデモ二ツニ流レ
  テ參ルノデアリマシテ、之ヲ統合スルト云フ
  コトニ依ツテ摩擦ガ一層激化スル、一ツノ町
  村內ニ公法人ガ二ツ出來マシテ、ソコニ非常
  ナ摩擦相剋ヲシテ、團體統合ノ最終ノ美ヲ飾ル
  コトガ出來ナイト思ヒマスガ、之ニ對シマスル
  內務次官ノ御見解及ビ今後御執、リニナル
  方針ヲ承ツテ置キタイト思フノデアリマス
  內務省ニ對シマシテモウ一點御伺ヒ致
  シマスコトハ、是ハ地方局長ニ對スル問
  題デアリマスガ、昨年ノ議會ノ終リニ
  於キマシテ突如トシテ現ハレマシタルモ
  ノハ森林ノ特別課稅デアリマス、所謂立木
  ノ伐採稅、流送稅、移出稅、斯ウ云フモ
  ノヲ拔打的ニ全國ノ知事ニ通牒致シマシ
  テ其ノ價格ノ千分ノ二十ノ特別稅ヲ課スル
  コトニナリマシタ、是ハ全國ニハ、相當
  此處ニ色々ナ続計ガアリマスガ、其ノ內容
  ヲ讀上ゲナクテモ既ニ地方局長ニ於キマシ
  テハ御分リノコトト存ジマス、相當各府縣
  各町村ニ於キマシテ此ノ特別稅ヲ課ケテ居
  ルノデアリマス、此ノ特別稅ヲ課ケルト云
  フコトハ、町村財政ノ窮迫カラ起ツテ來ル
  コトハ當然デアリマス、併シナガラ稅ヲ課
  ケラレル方面ノモノニ取ツテ見マスト、今
  年度ノ伐採稅ハ立木ヲ買ツタ材木屋ガ拂フ
  ノデアリマス、此材木屋ガ拂フト云フコト
  ハ其ノ利潤ノ中カラ拂ヘルト云フコトニ
  ナリマシテ、之ニ對スル負擔ニ應ゼラレル
  ノデアリマスガ、之ヲ每年取ツテ行クト云
  フコトニ目安ガ付キマスト、此ノ立木ノ價格
  ト云フモノハ逆算法ノ方法ニ依ツテ決メルモ
  ノデアリマシテ、其ノ千分ノ二十ト云フモノ
  ガ加算セラレレバ、結局立木ニ參リマシテ
  ハ千分ノ四十ト云フモノヲ取ラナケレバナ
  ラヌコトニナリマス、ソレダケ立木ガ安ク
  ナル、之ヲ全國的ニ計算シテ見マスト私ノ
  〓算デハ全國ノ立木價格ト云フモノハ八億
  圓ニ上ツテ居リマス、千分ノ二十ヲ取ルト
  千六百万圓ノ課稅ヲシナケレバナラヌ、然
  ルニ戰時下ニ於テ此ノ植伐ノ均衡ヲ失シテ
  荒廢林ノ續出スル今日、之ヲ防止シ之ヲ培
  養センガ爲ニハ、政府ニ於キマシテハ昨年
  度五千三百万圓ノ造林助成金ヲ十年開ノ繼
  續ニ於テ出ス、去年ハ三百九十四万圓バカ
  リノ助成金ヲ出シテ居リマス、三百九十四
  万圓ノ助成金ヲ出シテ、其ノ反面ニ千六百
  万圓ノ課稅ヲ取ラレルト云フコトニナツテ
  ハ、何處ニ森林ノ永遠性ガアルカ、サウ云
  フコトデ一體造林ヲスル氣分ニ造林業者ガ
  ナルデアラウカ、實ニ私ハ愚ダト思フノデ
  アリマス、併シ一方ヲ見レバ町村財政ノ窮
  迫カラ之ヲ助ケテ行カナケレバナラヌト云
  フコトモ是ハ理ノ當然ナンデアル、ソコデ
  今年分與稅制度ノ改正ヲ行ハレマシテ、相
  當多額ノ割戾金ヲ各町村ニヤラレルト云フ
  コトニ依ツテ、ソコデ町村財政ト云フモノ
  ハ確保サレルト云フコトニナレバ此ノ惡稅
  ハ將來、來年度カラ撤廢スル御考ヘハナイ
  カドウカ、此ノ二ツヲ先ヅ以テ御尋ネ致シ
  マシテ更ニ御尋ネシタイト思フノデアリマ
  ス

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• 106・湯澤三千男

  ○湯澤政府委員　私ハ最初ノ方ノ御尋ネノ
  コトニ付キマシテ御答ヘ申上ゲタイト思ヒ
  やく、農業團體法、詰リ農業諸國體ノ統合
  ノ問題ト、ソレカラ町村行政ノ統一性ト云
  フコトニ付テドウ之ヲ調整スルカ、斯ウ
  云フコトニ關スル御尋ネデゴザイマスガ、
  農業團體法ニ付キマシテ最モ內務省ノ立場
  カラ考ヘナケレバナリマセヌ點ハ、此ノ農
  業團體法ノ出來マスルコトニ依ツテ、町村
  ノ行政ガ綜合性ヲ失フカ失ハナイカ、斯ウ
  云フ點ダト思フノデアリマス、御承知ノヤ
  ウニ我ガ國ノ町村ノ現狀ヲ見マスルト、國
  家カラ與ヘラレマシタ委任事務ガ非常ニ多
  忙ニナツテ參リマシテ、殆ド其ノ固有ノ町
  村民ノ福利ヲ發達サスト云フヤウナ事務ノ
  方ニ十分ナル力ガ伸バセナイデ參ツテ居
  ル、是ハ昨今ニ始ツタコトデハアリマセヌ、
  ズツト前カラ町村ノ發達ヲ圖ル上ニ於テ十
  分ニ固有事務、町村民ノ福利ヲ增進スルト
  云フヤウナ方面ニ十分ナル能力ノ發揮ガ出
  來ナクナツテ居ル、斯ウ云フヤウナコトデ、
  町村ノ現狀ヲ見マスル者ガ色々心配ヲ致シ
  マシテ、其ノ發達ノ方法ニ付テ、或ハ國家
  的ナ監督ノ上カラモ、又地方民ノ自覺ノ上
  カラモ、色々ナ施策ヲ要求サレテ居ル現狀
  デアリマス、殊ニ此ノ時局下ニナリマシテ
  カラ非常ニ町村ニ對スル時局ノ事務、國家
  カラ要請サレタヤウナ事務ガ複雜ニナツテ
  參リマスルガ爲ニ、益〓固有事務ノ方ノ發達
  ガ出來ナイ、斯ウ云フヤウナ現狀デアリマ
  スノデ、何トカ此ノ町村ノ一ツハ財政上ノ
  負擔モ相當ニ輕減シ、又此ノ財政上ノ力モ
  十分伸展サシテヤリタイ、又國カラ課セラ
  レタ所ノ事務モ、成ベク之ヲ國家ノ負擔ニ
  依ツテ賄ツテ行クト云フヤウナ風ニ仕向ケ
  や 、サウシテ町村ノ固有ノ仕事ヲ出來ル
  ダケ町村民ガヤツテ行ケルヤウナ風ニ導キ
  タイ、斯ウ云フ風ニ考ヘテ居ル譯デアリマ
  ス、ソコデ吾々サウ云フヤウナ要望カラ見
  マシテ、町村內ニ於ケル別個ノ國家ノ要求
  カラ出テ居リマス產業ノ各種團體ヲ統合ス
  ル、斯ウ云フ又他面ノ要求ガアル譯デアリ
  マス、是ハ或ル意味カラ申シマスルト、町
  村內ノ福利ヲ增進スル方法トシテ、町村自
  體ノ發達ヲシテ之ヲ增進スル方ガ適當デア
  ル、或ハモウ既ニ明治三十年代カラ出來テ
  居リマスヤウニ、農會ト云フヤウナ團體ガ
  アツタリ、色々ナ團體ガ出來テ居リマスガ、
  サウ云フ團體ヲ結成シテ特殊ノ目的ノ爲ニ
  町村民ヲ働カセル、サウ云フヤウナ方法デ
  町村民ノ幸福ヲ圖ツテ行クコトガ適當デア
  ルカ、斯ウ云フヤウナ考ヘ方ガアリマシテ、
  實ハ是ガ十分ニ統合或ハ整理サレテ居ラナ
  イト云フノガ今日ノ現狀ダト思フノデア
  リマス、ソコデ自然ノ其ノ時〓〓ノ要求
  カラ、各種ノ法律ナリ施策ナリガ出テ參リ
  マシテ、町村內ニモ各種ノ團體ガ出來テ居
  ル、是ハ單リ產業團體バカリデハナク、〓
  育ノ方面ニ於キマシテモ色々ナ方面ニ於キマ
  シテ出來テ居ル譯デアリマス、獨リ產業ダ
  ケノコトニ付テ考ヘテ見マスト、町村内ニ幾
  多ノ小サイ團體ガアルノデス、ソレデハ十
  分ナ目的ガ達セラレナイカラ之ヲ一ツニ統
  合シテ國家ノ要求デアリマスル生產ノ增强
  ト云フヤウナコトニ付テ時局下ノ要求ニ應
  ジサセタイ、是ハ當然ノ要求ダト考ヘラレ
  ルノデアリマス、斯ウ云フ二ツノ矛盾シタ
  要求ガ玆ニ存在シテ居ル、是ハ現實ノ姿デ
  アリマス、一面ニ於テハ町村ノ行政ヲ綜合
  的ニ發達サセタイト云フ要求、又特殊ノ目
  的ノ爲ニハ特殊ノ團體ヲ强ク育成致シマシ
  テ、端的ニ其ノ目的ヲ達成スルヤウニ働カ
  シタラドウカ、斯ウ云フ二ツノ要求ガ存在
  シテ居ル、之ヲ調和綜合スルト云フコトニ
  付テハ、餘程ノ何ト申シマスカ、强力ヲ要
  スルト思フノデアリマシテ、現在ノ段階ニ
  於キマシテハ私ハ其ノ各種ノ產業ニ關係ア
  ル團體ヲ一ツニ統合シテ、サウシテ端的ニ
  國家ノ要求ヲ充シテ行クト云フ此ノ要求ガ
  已ムヲ得ナイ要求ダト思フノデアリマス、
  ソコデサウナレバ町村ノ綜合性トドウ云フ
  風ニ調和シタラ宜カラウカ、玆ニ政府部內
  ニ於キマシテモ種々苦心ヲ要スル點デアリ
  マシテ、此ノ點ガ農林當局ト內務當局ト重
  要產業團體法ヲ制定致スニ付キマシテモ、
  十分ナ打合セヲ致シマシテ、其ノ連絡ガ取
  レルヤウニ考ヘナケレバナルマイ、斯ウ云
  フ點ニ努力シテ居リマス、先程御述べニナ
  リマシタ地方町村長アタリガ、出來ルダケ
  此ノ產業上ノ方面ノ活動力ヲ町村ニ付與シ
  テ町村自體ノ活動力トシテヤツテ行キタイ
  ト云フ希望モ是ハ無理ノナイ希望ダト思ヒ
  RV、町村ノ現狀ヲ見マスト、殆ド昔ノ謂
  ハバ維新前ノ役場ト申シマスカ、國ノ仕事
  ヲスルダケノ機關ニナツテシマフヤウナ狀
  況ニナツテ參ツテ居リマス、之ヲ此ノ儘放
  任シテ參リマスト、結局ハ今御話ノアリマ
  シタヤウニ、町村內ニ二ツノ團體ガ出來テ
  來ル、出來テ來テ此ノ利害關係者ガオ互ヒ
  ニ相抗爭スル、町村ハ結局分裂ヲ免カレナ
  イト云フコトニナリハセヌカ、斯ウ云フ點
  ヲ憂ヘラレルノデアリマス、私ノ見解ヲ述
  ベロト云フ御話モアリマシタカラ、私ノ見
  解トシテ一部分申上ゲサシテ戴キタイノ
  ハ町村ノ發達ノ本當ノ理想カラ申シマス
  ト之ヲ町村ノ活動力トシテ總テノ產業ニ
  シロ〓育ニシロ、凡ユル活動ガ綜合サレルト
  云フコトニナルコトガ理想ダト思フノデアリ
  マス、之ニ達スルノニハ相當ノ段階ヲ經テ
  參ラナケレバナラヌト思フノデアリマス、
  今日ノ段階デハ一面ニ於テ時局下ニ於ケル
  生產ノ發揮ト云フ點カラ考ヘマシテモ、チ
  リヂリバラ〓〓ノ各種ノ團體ヲ一ツニ統合シ
  テ、力强イ活動ヲ要求スルト云フ要求ト、
  其ノ町村ノ綜合性トノ要求ヲ何トカシテ、
  之ヲ連絡アル統一ノアルヤウニシテ、二ツ
  ノ團體ガ相抗爭シナイヤウナ、人的ナリ或
  ハ組織ノ上ナリノ方法ガゴザイマスマイ
  カ、之ヲ農林當局トノ間ニ、私ノ方トシテ
  發見ヲ致シマシテ、兩方ノ要求ヲ、此ノ時
  局下ニ於テ矛盾ナク達成スルヤウナ工夫ヲ
  拂ヒタイ、斯ウ云フコトニ折角私共トシテ
  努力致シテ居ル次第デアリマス
  御尋ネノ事柄ニ對シテ御滿足ヲ申上ゲル答
  辯ニナラヌカモ知レマセヌガ、私ノ見解竝ニ現
  在執ツテ居リマスコトヲ申上ゲテ答辯ト致シ
  マス

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• 107・成田一郎

  ○成田政府委員　立木ノ伐採稅ニ關スル御
  尋ネニ付キマシテ私カラ御答ヘ致シタイト
  思ヒマス、立木伐採稅ニ付キマシテハ、今
  段々ト御話ガアツタノデアリマスガ、吾々
  ト致シマシテモ、此ノ稅ニ付テハ特別ナ扱ヒ
  ヲ致シテ居ル積リデアリマス、詰リ此ノ立
  木伐採稅ノ課稅ニ依リマシテ林業ノ經營ニ
  支障ヲ來サナイヤウナ十分ノ心構ヘヲ致シ
  ナガラ、監督ヲ致シテ居ル積リデアリマス、
  卽チ立木伐採稅ヲ新シク設ケマス場合ニ於
  キマシテハ、一一ツノ點カラ之ヲ嚴重ニ調査
  ヲシテ、認メテ居ルヤウナ譯デアリマシテ、
  先ヅ其ノ一ツハ其ノ町村ノ財政ノ事情ヲ十
  分ニ調査シテ居ルノデアリマシテ、此ノ立
  木伐採稅ヲ新シク設ケルコトヲ認メマスノ
  ハ、原則トシテ地租營業稅、家屋稅ノ三收
  益稅ノ附加稅ノ賦課率ガ、本稅ノ百分ノ三
  百ヲ超ユルノデアリマシテ、外ニ適當ノ財
  源ガナイ、財政上洵ニ巳ムヲ得ナイ事情ガ
  存ズルト云フヤウナ町村ニ於テ、初メテ此
  ノ立木伐採稅ノ新設ヲ認メルヤウニ致シテ
  居リマス、モウ一ツノ點ハ賦課ノ率ノ程度デ
  アリマス、之ニ付テハ今一寸御話モアリマ
  シタガ、此ノ點ニ付キマシテハ、從來此ノ
  立木伐採稅ヲ課稅シタ場合ノアリマス道府
  縣內ノ町村ニ於キマシテハ、其ノ道府縣ノ
  道府縣稅デアリマス雜種稅ノ額ト之ニ對ス
  ル附加稅ノ額トノ合算額ノ二分ノ一程度ト
  云フコトデ制限ヲスル、是ハ勿論原則デア
  リマシテ、特別ノ場合ハ又特別ノ扱ヒヲ致
  スノデアリマスガ、原則トシテハ二分ノ一
  程度ニ止メル、是ハ從來立木伐採稅ヲ課稅
  致シテ居リマス道府縣內ニ於ケル町村ノ扱
  ヒ方デアリマス、ソレカラ其ノ他ノ町村ニ
  付キマシテハ只今御述べニナリマシタヤウ
  ニ、立木價格ノ千分ノ二十以內ト云フ範圍
  デ認メル、此ノ二ツノ條件ヲ充タシマス場
  合ニ於テ初メテ此ノ稅ノ新設ヲ許スト云フ
  ヤウナ譯デ、内務省ト致シマシテモ愼重ニ取
  扱ツテ居ル積リナノデアリマス、ソコデ只
  今十七年度ニナレバ配付稅ナドモ相當殖エ
  ルヤウデアルカラ、斯樣ナ稅ハ止メサシタ
  ラドウダ、止メル意思ガアルカドウカト云
  フ御尋ネデアツタノデアリマス、此ノ點ニ
  付テハ御話ノ通リ昭和十七年度ニナリマス
  ト配付稅ハ相當殖エル見込ミヲ持ツテ居
  ルノデアリマス、併シナガラ是モ御承知ノ
  ヤウニ市町村ト致シマシテハ或ハ府縣ト致シマ
  シテハ、時局ニ鑑ミマシテ、非常ニ時局關係ノ支
  出ガ多クナツテ居ルノデアリマス、言葉ヲ換ヘ
  テ言ヒマスレバ、委任事務ト云フヤウナモ
  ノガ非常ニ殖エテ居リマシテ、非常ニ財源ノ
  涸渴シテ居ルヤウナ現狀デアリマスノデ、配
  付稅ガ來年殖エル或ハ還付稅ガ或ル程度殖
  エマス、或ハ三收益稅ノ附加稅ガ殖エルト
  云フコトガアリマシテモ、果シテ市町村ノ
  財政ガ十分ニ行クカドウカト云フコトニ付
  キマシテハ必ズシモ樂觀ガ出來ナイ、ドウ
  ニカ斯ウニカヤツテ行クノデハナイカト云
  フ程度ノヤウニ吾々ハ見テ居ル狀態デアリ
  やっく、隨ヒマシテ今日ノ狀況ヲ以テ致シマ
  スレバ、直チニ此ノ立木伐採稅ヲ廢止スル
  ト云フコトハ申上ゲ兼ネルト思フノデアリ
  マス、唯取扱ニ付キマシテハ今申上ゲマシ
  タヤウナ事情デアリマシテ、十分ニ注意ヲ
  致シマシテ扱ツテ參リタイ、斯樣ニ存ジテ
  居リマス

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• 108・松浦周太郎

  ○松浦(周)委員　前段ノ次官ノ御答辯デア
  リマスガ、大體ニ於テ一體體制ニナルヤウ
  ニ順次機構其ノ他ニ於テヤツテ行キタイト
  云フ御意向デアリマシテ、表現ノ方法ハ違
  ヒマスガ、町村長會其ノ他雜誌ニ出テ居ル
  ヤウナ意見ニ稍〓、一致スルモノデアルト私ハ
  思フノデアリマス、之ニ對シマシテ農林、
  次官ニ御問ヒ致シタイノデアリマスガ、私
  ノ御問ヒ致シマシタ時ノ御見解トヤハリ變
  ラズ、町村トドコマデモ切離シテヤツテ行
  クト云フ御考ヘデアリマスカ、之ヲ再度御
  尋ネ致シタイ

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• 109・三浦一雄

  ○三浦(一)政府委員　此ノ前御答辯申上ゲ
  タ際愼重ナ御答ヘヲ申上ゲタノデアリマス、
  本日モ私其ノ速記錄ヲ讀ミ返シテ私ノ答辯
  ノ誤ラザルコトヲ確信シテ居ルノデアリマ
  スガ、此ノ前申上ゲタヤウニ、松浦サンノ
  御尋ネノ印象ハ、町村ノ機能ノ發揮ト農業
  團體ノ機能ノ發揮ト分離シテ居ルノダト云
  フコトヲ豫斷シテ居ルカノ感ヲ私ハスルノ
  デス、私ハサウ云フ考ヘデハナイト前ニ申
  上ゲタ、ト云フノハ農業團體ハ沿革的ニ相
  當ナ發達ヲシテ參ツテ居ル、之ヲ而モ各種
  ノ團體ガ亂立シテ居ツテ、其ノ間ノ活動ニ
  齟齬ヲ來シテ居ル、而モ經費ノ點カラ云ツ
  テモ或ハ人的構成カラ云ツテモ之等ヲ整理
  セヨト云フコトハ多年ノ農政上ノ問題デア
  リマス、ノミナラズ事變勃發以來更ニ今日
  ノ大東亞戰爭ノ發展段階ニ於キマシテ、ド
  ウシテモ是デハ其ノ持ツテ居ル所ノ固有ノ
  機能サヘ十分ニ發揮ハ出來タヂヤナイカ、
  デアルカラ農業團體ノ關係者悉ク此ノ整理
  統合ヲ斷行セヨト云フコトニナツタノデア
  リマス、而シテ旣ニ町村制アリ、同時ニ團體法
  アリ、此ノ兩者ノ間ニ付キマシテハ調整ヲ取
  ツテ參ラナケレバナラナイ、其ノ調整ヲ取
  ツテ參リマス方針ニ付キマシテハ、嘗テ農業
  恐慌時代ニ、卽チ經濟更生運動ヲ展開シタ
  際ニモ、町村ノ機能ト同時ニ產業經濟ノ方
  面ヲ分擔シテ居ル農業團體ノ機能發揮ニ付
  テ十分ニ連絡調整ヲシツツ、所謂全村一體
  的發展ニ寄與スルヤウニ指導シテ參ツタ、
  此ノ根本精神ヲ私ハ申上ゲテ居ツタノデア
  リマス、而シテ町村制ニ全部統合スルト云
  フコトハ現段階ニ於テ到底考ヘラレヌト思
  フノデアリマス、而シテ現在ノ農會法ナリ
  產業組合法ナリ、或ハ畜產組合法等ニ依ツ
  テ居リマスル各種團體ヲ統合調整シマシテ、
  更ニ町村行政トノ機能ノ連絡調整ト云ヒマ
  スカ、所謂全村一體的ナ實ヲ發揮スルト云
  フコトニ付テハ、此ノ間ニ相當ノ工夫ヲ凝
  ラサナケレバナラヌト云フコトヲ申上ゲタ
  ノデアリマシテ、私ノ御答ヘ申上ゲタ根本
  ノ精神ト內務次官ノ御答ヘニナツタ點ハ變
  リハナイト思ヒマス、而シテ是等ハ先般來
  實ハ色々ノ折衝ヲシタ經緯モアルノデアリ
  マス、卽チ一村內ニ對立的關係ヲ以テ左樣
  テコトヲ考ヘテ居ルト云フ豫斷的ナ御質問
  ハ私ノ本意デナイ、斯ウ思フノデアリマス

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• 110・松浦周太郎

  ○松浦(周)委員　只今ノ御答辯ニ依ルト大
  體御考ヘニナツテ居ル點ハ同ジヤウデアリ
  マス、御二人ガスツカリ手ヲ握リ合ツテ本
  當ニ一體態勢ニ上ノ方ノ指導ガナラナケレ
  バナラヌ、同ジヤウナ意味ガ今月號ノ一日
  治行政」ノ卷頭ニモ書イテアリマス、先月
  ハ斯ウ云フ「パンフレット」ヲ吾々ノ手許ニ
  送ツテ居リマス、ソコデ農林省ノ統制サレ
  ル農會方面ノ諸團體ノ方ハ之ニ反對ノ傾向
  ニ進ンデ居リマス、現ニ代議士ノ中ニ町村
  長ヲヤツテ居ル方ガアリマシテ、其ノ人々
  ノ御意見ヲ聽キマシテモ之ヲ立證スルコト
  ガ出來ルノデアリマス、サウ云フコトデハ
  本當ノ統合ハ出來ヌ、命令デ一遍ニヤツテ
  シマヒマシテモ斯ウ云フ一ツツ指導デ分レ
  テ居ツタノデハ國家ノ爲ニ面白クナイ、ソ
  コデ此ノ話ガスツカリ付クマデハ斯ウ云フ
  別々ノ運動ヲシナイヤウニ、ソシテソレニ
  皆ガ一體ニナツテ行ケルヤウナ氣持デ今後
  御指導ヲ下サルヤウ私ハ希望ヲ申上ゲテ置
  グノデアリマス
  モウ一點ハ此ノ法律ニ直接關係ノアル澱
  粉ノ問題デアリマス、北海道ノ馬鈴薯澱粉
  ノ機構ノ問題デアリマス、丁度此處ニ澱
  粉方面ノ社長サンモヰラツシヤルノデアリ
  マスカラ、私ハ實情ヲ申上ゲマシテ善處ヲ
  願ヒタイト思フ、北海道ノ馬鈴薯澱粉ノ問
  題ニ付キマシテハ、前ニ製粉工業組合ト云
  フモノガ出來テ居リマシテ、其ノ製粉工業
  組合ガ農村カラ未粉ヲ買入レテ、之ヲ製粉
  シ、移出致シテ居ツタノデアリマス、所ガ
  昨年ニ至リマシテ未粉業者ヲ統合スル未粉
  工業組合ト云フモノガ結成サレマシタ、其
  ノ未粉工業組合ハ農村ノ澱粉製造業者ヲ未
  粉製造業者トシテ出來上ツテ居ルノデアリ
  やく、所ガ此ノ運用ニ至リマシテ、澱粉業
  者ノ方面ニハ產業組合ノ資金ヲ流用致シテ
  居リマスガ、產業組合ノ資金ナント云フモ
  ノハ非常ニ少イ限度シカ與ヘラレテ居ラ
  又、所ガ未粉業者ニシマスト數千圓若シク
  ハ數万圓ノ資金ヲ必要トスル、之ヲ產業組
  合ニダケ依存シタノデハ完全ニ其ノ業務ヲ
  行フコトガ出來ナイ、ソコデ製粉工業組合
  ノ方ノ資金ヲ利用致シマシテ、或ハソレ
  ノ持ツテ居ル倉庫ヲ利用シ、或ハソレノ持
  ツテ居ル製粉工場ヲ利用致シマシテ是ガ完
  成ヘ向ツテ來テ居ツタノデアリマス、ソコ
  デ製粉工業組合ハ直接未粉工業組合ニ關係
  スルコトガ出來ナイヤウナコトニナリマシ
  テ、此ノ方ノ資金ガ打切ラレテシマツタ、
  ソコデ芋代金ヲ拂フコトモ出來ナケレバ、
  袋代金ヲ拂フコトモ出來ナイト云フノデ、
  昨年ノ年末ニ於ケル未粉業者ノ困憊ハ實ニ
  其ノ極ニ達シタノデアリマス、サウシテ雪
  ガ早ク來マシタ關係上、北見地方ニ於テハ
  摺リ殘シタ人モ少クナイノデアル、サウ云
  フコトハ非常ニ面白クナイト思フ、玆二一一
  ツノ方法ガアルヤウニ思ヒマスガ、產業組
  合ヲシテ未粉業者ニ對シテハ普通ノ限度ヂ
  ヤナシニ、何千何万圓カノ限度ヲ決メテ、
  其ノ間ニ金融ヲシテヤル方法ヲ採ル、若シ
  クハ此ノ二ツノ工業組合ヲ一體化シテ、一
  ツノ工業組合ニ合同サセ、ソレニ依ツテ此
  ノ資金ヲ利用シ、製粉業者ノ資金ヲ利用シ、
  同時ニ倉庫工場モ利用シ、完璧ヲ期スルヤ
  ウニ行動セシメテ行カレナケレバナラヌ、
  斯ウ云フ風ニ私ハ現在ノ實情カラ考ヘルノ
  デアリマスガ、御當局ハドウ御考ヘニナリ
  マセウカ
  モウ一點ハ農地營團ノ北海道ニ對スル現
  況デアリマス、是ハ相當各地ニ候補地モゴ
  ザイマシテ、昨年來着々進ンデ居リマス
  ガ、其ノ候補地ニナツテ居ル所ノ地方ノ人
  人ハ自分ノ持ツテ居ル所有地ヲ買上ゲテ貰
  ヘル計畫ニナツテ居ルガ、今以テソレニ對ス
  ル運ビガ付カスノデソレガ決定セラレナケ
  レバ今年ノ作付ニ至ルマデ賣レルモノデアル
  カ賣レナイモノデアルカ分ラヌ、隨テソレガ
  放置サレタ儘開墾サレナイト云フ結果ニナ
  ルノデアリマスガ、其ノ方面ニ對シテ現在
  オヤリニナツテヰラツシヤル所ヲ促進シテ
  行カレルカドウカ、御考ヘヲ御尋ネシテ置
  キタイト思ヒマス

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• 111・岸田正記

  ○岸政府委員　北海道ノ未粉工業組合ト澱
  粉工業組合ノ關係ハマダ私聞イテ居リマセ
  ヌガ、サウ云フヤウナコトガアツテハ甚ダ
  遺憾ノコトデアリマスルカラ、御注意ノ點
  ハ取調ベマシテ善處致シマス、ソレカラ農
  地開發營團ノ方ノ購入スル土地ノ決定ガ大
  分遲レマシテ、北海道ナドモ冬ニ掛ツテド
  ウニモナラヌ分ガアルノデアリマス、サウ
  云フヤウナ關係デ遲レテ居ルノダト思ヒマ
  スガ、是等ニ付キマシテモ成ベク取急イデ
  決定スルヤウニ致サセマス、內地方面ニ付
  テハ、是ハ來年ノ增產ヲ急グモノデスカ
  ラ、非常ニ取急イデ、面積等モ六千町步カ
  ラ七千町步購入サセテ居ルノデアリマスカ
  ラ、サウ云フヤウナ點デ行惱ンデ居ルノデ
  ハナイカト思ヒマス、是ハ善處致シマス

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• 112・三善信房

  ○三善委員長　山川君ノ質問ノ殘ツテ居ル
  部分ダケヲ此ノ際許シマス

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• 113・山川頼三郎

  ○山川委員　私ハ此處デ問題ダケヲズツト
  述ベテ置キマスノデ、答辯ハ明日ニ廻シテ
  貰ヘマシタラ其ノ方ガ宜イト思ヒマス、成
  ベク簡單ニ速カニヤリマスカラ、ドウゾ一
  ツ問題ダケヲ失ハヌヤウニ御願ヒ致シマ
  ス、私ノ御伺ヒ申シタイノハ、今日マデ年
  年唱ヘラレテ來マシタ增產計畫ナルモノガ
  每年齟齬シテ、其ノ成績ガ擧ゲラレテ居ラ
  又、其ノ擧ゲラレテ居ラヌト云フコトハ
  ドウ云フモノガドウ云フ原因デ此ノ結果ニ
  ナルカト云フコトヲ考ヘラレテ、ソレヲ次
  ノ增產計畫ニ盛リ込マレテ居ルカドウカ、
  又本年ノ七千百万石ノ計畫モ、其ノ中カラ
  災害ガアツタラ減ルノデアル、其ノ中カラ
  蟲害ガアツタラ減ルノデアル、斯ウ云フ計
  畫デアリマスカ、昔カラ災害モアリマス、
  蟲害モアリマス、總テノサウ云フ臨時的ノ
  モノハアリマシテモ、ソレヲ差引イテヤル
  ノデアルカ、災害ノコトハ豫期スルコトガ
  出來ヌカラソレハ別モノデアル、七千百万
  石ノ中カラ減ルモノデアルト云フ御計畫デ
  アリマスカ、其ノコトニ付テ御伺ヒ致シタ
  イノデアリマス、之ニ付テハ最モ大切ナ問
  題デアリマスカラ十分ノ御〓究ガ願ヒタイ
  ノデアリマス
  次ニ肥料國營無料給與ノ問題デアリマス、
  曾テ此ノコトハ唱ヘタコトガゴザイマスガ、
  今デモ南洋ニ參リマシテモ、佛領印度ニ參
  リマシテモ、作物ヲ作ルノニ肥料ヲヤツテ
  居リマセヌ、日本モ昔ハサウデアリマシタ、
  生產漸增ノ土地デアツタ、今ハ生產漸減ノ
  土地ニナツタノデアリマス、ソレニ對シテ
  肥料ヲヤラナケレバナラヌ、昔ハヤラナカツ
  ク、今ハ農民ガ自ラ肥料代ヲ負擔シテ、少
  數ノ農民ガ作ツテ多數ノ國民ヲ養ハナケレ
  バナラヌ、肥料ノ力ト技術ノ進步ニ依ツテ
  米ヲ作ル人ト作ラズニ食フ人トノ數ノ比例
  ガ年々ニ變ツテ來ル、其ノ責任ヲ農村ダケ
  ガ負ツテ來タ、斯ウ云フコトニナツテ居ル
  ノデアリマス、二ツノ責任ヲ農村ハ負ハサ
  レテ居ルノデアリマス、是ハ自然ノ間ニ其
  ノ差ガ擴ガツテ來タノデアリマスカラ、目立
  タナイデ今日マデ農村ハソレヲ忍ンデ努メテ
  來タノデアリマス、技術ノ進步ト肥料ノ力、
  其ノ肥料ノ力ハ何ボ肥料ガ上ツテモ何處マ
  デモ農村一人ガ之ヲ負擔スベキモノデハナ
  イト思フノデアリマス、ドウカ一ツ總テノ
  肥料ノ製造ハ國ニ於テ之ヲ行ヒ、輸入モ國
  ニ於テ之ヲ行ヒ、ソレヲ無料デ農村ニ公平
  ニ分配シテ、サウシテ肥料ト云フコトノ心
  配ノナイヤウニシテ農村ヲシテ眞ノ勤勞一
  途ニ出ヅル、斯ウ云フコトニシテ貰ヒタイ
  ノデアリマス、大變突飛ノヤウニ見エマス
  ケレドモ、決シテ突飛デハナイノデゴザイ
  マスカラ、之ニ對シテ十分御考ヘヲ願ヒタ
  イノデゴザイマス
  ソレカラ米麥ノ基準ノ引上ゲニ付キマシ
  テハ今村上サンカラ詳シク御話ガアリマシ
  タノデ、是ハ止メマスガ、此ノ中デ唯我國
  ノ開墾ノ地積ト潰地ノ地積ト比較シテ五十
  万町殖スト云フコトニ依ツテ今後ノ增產ヲ
  圖ツテ行カウト云フ御話ヲ承ツテ居ツタノ
  デアリマスガ、最モソレハ結構ナコトデア
  リマス、努メナケレバナラヌガ、玆ニ忘レラ
  レテ居ル所ノ冬ノ休閑地ノ問題ガアルノデ
  アリマス、夏ノ作物ハ各、≧甲ヲ作レバ乙ガ
  減ル、乙ヲ作レバ丙ガ減ル、面積的ニ相剋
  ガアル、ケレドモ冬ノ休閑地ヲ利用スルト
  云フコトニナリマシタラ其ノ相剋ハナイノ
  デアリマス、麥ニ於テ十分ノ增產計畫ヲ圖
  ラレタイ、是ハ麥價ノ引上、肥料ノ配給、
  之ニ一ツノ力ヲ盡サレナカツタナラバ、麥
  ノ增產ハドウシテモ行ハレナイノデアリマ
  ス、米ノコトハ村上サンニ對スル所ノ御答
  辯ニ依ツテ承知ヲ致シテ置クコトニ致シマ
  ス
  次ハ肥料ノ不足ト塵芥ノ處理ト應用デア
  リマス、是ハ明日又厚生省ノ役人サンニモ
  聽イテ戴イテ共ニ御答辯ヲ願ヒタイト思フ
  ノデアリマスガ、今日ノ肥料ノ不足ニ付テ
  ハ窒素ガ何ボ、加里ガ何ボ、過燐酸ガ幾ラ
  ト云フコトハ承リマシタ、但シ加里ハ皆無
  デアルト云フコトヲ御答辯ニナツタ切リデ、
  其ノ加里ヲソレナラドウスルノデアルカト
  云フコトノ御考ヘガ十分出來テ居ラヌ、十
  分ノ答辯ガ出來テ居ラヌ、加里ガナカツタ
  ナラバ昨年ノヤウニ第一囘ノ豫想ト第二囘
  ノ豫想ト第三囘ノ收穫豫想ト各〓、漸減シテ來
  テ居ル、是ハ卽チ秋ノ違作ト云フノデアリ
  マス、秋ノ思ハザル所ノ作物上ノ異變デア
  リマス、草ダケハ出來テ居ル、靑イ稻ガ出
  來テ居ル、靑イノハイカヌノデアリマス、
  黑イ稻ガ出來テ居ラナケレバナラヌ、濃厚
  ナル所ノ靑イ色ヲ帶ビタ所ノ稻ガ出來テ居
  ラナカツタナラバ、必ズ秋ニ違作ガアルノ
  デアリマス、是ガ爲ニ皆實際穫レルト思ツ
  テ居ツタノガ穫レナクナツテ、大ナル違作
  ノ石數ヲ現ハシタノデアリマス、是ハ加里
  ノ缺乏デアリマス、加里ハ稻ノ節、稻ノ葉、
  稻ノ幹、ソレノ構造分子デアリマス、其ノ
  構造分子ガ細イモノガ太イモノニ包藏サレ
  テ居ル、加里ヲ入レタナラバ其ノ構造分子
  ガ細カイモノガ太イモノニ出來ルヤウニナ
  ル此ノ加里ガ缺乏シタラ如何ニシテモ秋
  ノ違作ハ免レナイノデアリマス、昨年ノ思
  ハザル所ノ秋ノ違作ハ是ガ原因デアリマス、
  其ノ加里ニ付テドウシタラ宜イカ、是ハ素
  人考ヘデハ昔カラ灰ヲ以テヤツタノデアリ
  マスガ、今ハ外國カラ持ツテ來イト云ツタ
  トコロデソレハ方法ハ立タナイ、ソンナ無理
  ハ申シマセヌケレドモ、今現ニ六大都市、
  日本國中ノ町ニ於テ無用ニナツテ居ル所ノ
  塵芥、此ノ塵芥ノ處理如何ニ依リマシテハ十
  分此ノ加里ヲ求メルコトガ出來ルト思フノ
  デアリマス、此ノ方法ヲ昔ノ習慣ノ儘ノ唯燒
  イテ棄テテシマフト云フヤリ方デナシニ、
  玆ニ一ツノ立派ナ所ノ組合カ統制營團ノヤ
  ウナモノデモ作リ上ゲテ、一ツノ法律ヲ拵
  くつサウシテ日本全國ノ塵芥ヲ應用ナサ
  ツタナラバ、我國ノ肥料大ノ部分ヲ補充シ
  得ラレルト私ハ信ズル者デアリマス、殊
  加里ガ百分ノ六含ンデ居ル所ノ肥料ヲ取ル
  コトガ出來ルノデアリマス、其ノ外窒素モ
  含ンデ居リマス、斯ウ云フ結構ナモノガア
  ルノデアリマス、之ヲ忘レラレテ居ル、之ヲ
  甚ダ悲シム者デアリマス、尙ホ木灰デアリ
  マスガ、此ノ木灰ヲドウ云フ風ニ集メテ居
  ルカ、度々ヤカマシク言ウテ都會地デモ木灰
  ノ問題ガ起ツテ居ル、東京市ニ於テモ灰ヲ入
  レル所ノ箱ガ別ニ置イテアル、私ハソコラノ
  箱ヲ皆蓋ヲ開ケテ見テ步キマシタ、アレハ朝
  鮮人カシラト思ハレルカモ知レマセヌケレ
  ドモ、私ハ何遍モ開ケテ見テ步イタ、所ガ
  上ニ打ツテアル板ガ斯ウ云フ風ニ打ツテア
  ルノデス、オ日樣ガ常ツテ板ガ縮ンデ其ノ
  隙ガ二分程空イテ居ル、三枚ノ板ヲ打ツテ
  アル、上ノ所ニ溝ガ出來テ居ル、其處へ降
  ツタ雨ガトロ〓〓流レテ箱ノ上ニ落チテ、
  一番終ヒノ板ガ外ニ出テ居ル、デアリマス
  カラ灰ハ雨ノ爲ニ肝腎ナ肥料ニナル所ノ部
  分ハ皆流サレテシマツテ居ル、灰ハ濕ケタ
  ラ效カヌト云ハレテ居ル、濕ケタラ效カナ
  イト云フ位デスカラ、雨デ洗ハレテ居ルノ
  デスカラ其ノ後ニ殘ルモノハ本當ノ灰粕デ
  アリマス、アンナコトデハドウモナラヌ、
  三杯ノ飯ヲ戴イタラ一杯ノ灰ハ濕ラナイヤ
  ウニシテ大切ニシテ農村ノ人ニソレヲ返ス
  ト云フ觀念ガナクチヤナラヌ、米ハ唯出來
  テ居リハシナイ、此ノコトヲ考ヘマスノデ
  加里ト云フモノト塵芥ノ處理ト云フコトニ
  付テ十分ノ施設ガ肝腎ダト思フノデアリマ
  ス、是ハ厚生省ニ屬スル所ノ法律デハアリ
  マスケレドモ、厚生省ハ唯塵芥ノ處理ニ付
  テハ衞生上黴菌ヲ恐レルダケノ問題カラシ
  テ出テ來タ所ノ規則デアリマシテ、之ヲ應
  用スルト云フコトニ付テハ厚生省ノ仕事デ
  ハナイノデアリマス、規則ハ厚生省ノモノ
  デアリマスケレドモ、之ヲ應用ナサルト云
  フコトハ卽チ農林省ノ仕事デアル、斯ウ云
  フ風ニ考ヘルノデアリマスルカラ十分ノ御
  〓鑽ヲ願ヒタイノデアリマス
  ソレカラ其ノ次ニハ陰伐勵行ノ問題デア
  リマス、農村ノ山ノ谷間ニアリマス所ノ田
  地ニハ昔カラ蔭伐ト云フコトガアル、蔭伐
  トハ表ヲ五間蔭八間ト云フ習慣ガ昔カラア
  ル、下ニ田地ガアツテ其ノ上ニ山ガアル、
  山ハ田地ト別ノ所有デアリマス、同ジ人ガ
  持ツテ居ツテモ所有權ハ一一個ニナツテ居ル、
  此ノ上ニ木ガ翳シタラ、下ニアル稻ハ出來
  ナイノデアリマス、下ニアル麥ハ出來ナイ
  ノデアリマス、木ヲ伐ツテ蔭ガ稻ノ上ニ蔭
  ラナイヤウニスルノヲ蔭伐ト言フ、ソレデ表
  五間、裏ヘ八間、是ガ規則デアリマス、所ガ
  今ソレハ段々勵行シナイヤウニナツテ、木
  ヲ生ヤシタリ、又柿ノ木ナドノチト金ノ上
  ガリサウナモノハ殘シテ置クヤウナコトニ
  ナツテ來タ、ソレ以外ノ藪トカモ、溝ノ傍
  ニアル所ノ藪ノ如キハ、元ハ藪ガ生エテ居
  ラナカツタ所デモ、藪ガ段々生ヱテ來テ、
  大キナ藪ニナツテ來マシテ、藪蔭ノ田地ハ
  スツカリ物ガ出來ナイヤウニナツテ居ルノ
  デアリマス、溝ノ傍ナリ畑ノ端ナリニハ
  他所ノ樹ノ枝ガ出テ來、又自分ノ樹ノ枝モ
  出テ來ル、栗ノ木ナドハ此ノ木ヲ伐ツタラ
  惜シイ、柿ノ木ヲ伐ツタラ惜シイト云フノ
  デ、自分ノ作ツテ居ル田地ニモ拘ラズ陰伐
  ヲセヌガ爲ニ、非常ニ收穫ガ減ツテ居ル、
  而シテ此ノ陰伐ヲ完全ニ行ハレタナラバ
  一箇年恐ラク三百万石位ノ米ハ確カニ穫ル
  コトガ出來ルト信ジマス、私ガコンナコト
  ヲ言ヒマスレバ、オ前ハ日本全國皆山ト思
  ウテ居ルノダラウト皆サン仰シヤルカモ知
  レマセヌケレドモ、ソレハ實ニ大キナモノ
  デアリマス、ドウカ此ノ陰伐ヲ勵行シテ、-
  田地ニ陽ガ當ルヤウニシテ戴キタイト思フ
  ノデアリマス
  次ニ減反ニ對スル課稅ノ問題デアリマス
  ガ、所謂耕地ヲ潰ス者ニハ稅金ヲ課ケロ
  其ノ稅金ハ生產費カラ割出シテ、生產費ノ
  額ニ依ツテ大キナ稅金ヲ取リ、其ノ取ツタ
  稅金ヲ片方ノ開墾助成費ニ向ケテ百姓ニヤ
  ル、斯ウ云フ風ニシタナラバ非常ニ好イ、
  是ハ土地ヲ潰サウト思フ者ニハ御機嫌ガ惡
  イカモ知レマセヌケレドモ、現ニ一反歩カ
  ラ三石乃至三石五斗穫レル一番良イ中央ノ
  土地ヲ潰サレルカラ堪ラナイ、一方開墾シ
  テ居ル所ノ田地ハ氣候ガ惡イトカ、或ハ開
  墾シテモ十年モシナケレバ一人前ノ田地ニ
  ナラナイ、サウ云フモノヲ片方デ拵ヘテ、
  上等ナ所ヲ潰シテ行クト云フノデアリマス
  カラ、之ニ付テハ大キナ稅金ヲ取ラナケレ
  バナラヌ、罰則的ノ高額ナル所ノ課稅ヲス
  ル必要ガアルト思フノデアリマス、ドウカ
  御考案ヲ願ヒタイノデアリマス、大藏大臣ト
  御相談下サイマシタナラバ、大藏省ハ之ニ付
  テハ大變喜ブコトダラウト思フノデアリマ
  ス
  次ニ管理米ノ制度デアリマスガ、是モ曾
  テ言ツタコトデアリマスケレドモ、玄米ダ
  ケト云フコトニセズニ、玄米モ白米モ、農
  林省ノ命令ニ依ツテ是ハ白米ニシテ寄コ
  セ、斯ウ云フ風ニヤツテ貰ヒタイ、玄米ヲ
  何處へ送レト言ハズニ、白米ニシテ地元ニ
  糠ハ置イテ、飼料ト肥料ヲ其ノ村ニ殘シテ
  貰ハナケレバナラヌ、玄米デ糠ヲ持ツテ行
  カレテシマツテ、肥料ト飼料ノ持逃ゲヲ喰
  ツテハ、農村ハ是ガ爲ニ畜禽ヲ飼畜スル所
  ノモノモナケレバ、肥料ノ原料ヲモ失フ譯
  デアリマス、何卒此ノ制度ヲ設ケラレタイ
  ノデアリマス
  次ニ牛乳ノ販賣デアリマス、此ノ價格ガ
  統制サレタサウデアリマスガ、大變安イコ
  トニナツテ、四十七錢カニナツタサウデア
  リマスガ、元ハ七十五錢モ掛カルモノデア
  ル、是ハ山勘ガアルカドウカ知リマセヌガ、
  先ヅナイト思ヒマス、是ハヤカマシイコト
  ニナツテ居リマス、私ハ其ノ詳細ナル所ノ
  表ヲ持ツテ參ツテ居リマスガ、是ハ大變ナ
  問題デアリマス、又皆サンモヤカマシク言
  ハレテ居リマスアノ食牛ノ問題デアリマス
  ガ、此ノ問題ニ付キマシテモ、殆ド牛ヲ顧
  ミナイ、又豚ヲ顧ミナイ、斯ウ云フ風ナ政
  策ヲ御執リニナツテ居ルノデハアリマスマ
  イケレドモ、自然ニサウ云フ風ニナツテ居
  ルノデハナイカト思フノデアリマス、他ノ
  物價ハ隨分上ツテ居リマスガ、農產物ダケハ
  惡性「インフレ」ノ爲ニイツモカモ犧牲ニナ
  ツテ、低物價政策ノ中心ノ柱トナツテ、農
  產物ニ限ツテソコデ辛抱シテ居レト云フコト
  ニナツテ居リマス、是ハ洵ニ忍ビ難イコト
  デゴザイマスノデ、ドウカ引合フヤウニ御
  考ヘヲ願ヒタイノデアリマス、農業保險ノ
  問題ハ、是ハ村上サンカラ御話ガアリマシ
  タカラ止メマス、次ニハ統制ニ關スル組合ヤ
  ラ、統制會社ヤラ、營團ヤラノ其ノヤリ方
  ガ、今マデ御ヤリニナツテ居ルノガ成績ガ
  擧ツテ居ナイト云フコトハ、皆サンカラ
  言ハレテ居ルコトデアリマスカラ、今更申
  上ゲマセヌガ、此ノ組合ヤ營團ガ澤山上カ
  ラ下マデ出來テ來マシテ、四ツトカ五ツト
  カ云フ中間搾取ノモノガ出來タト云フコト
  ガ、此ノ統制ノ成績ヲ惡カラシメル本デア
  リマス、此ノ結果ハ所謂根本ノ生產地ニ戾
  ツテ來ルノデアリマスカラ、結局ハ農村ノ
  損失ニナルノデアリマス、サウシテ中央ニ
  於ケル營團トカ、或ハ縣ノ聯合ノ營團トカ、
  或ハ統制會社トカ云フモノガ、手數料ヲ五
  分以下ト云フ規定ヲ拵ヘテ居ルガ、是ハ實
  ハ組合ナドデ勝手ニ決メタノデアリマシテ、
  役員ナリ理事ガ寄ツテ決メタ、サウシテソ
  レ以下ナラ幾ラデモ宜イト云フヤウナコト
  ヲ言ウテ居ルケレドモ、コンナ大雜把ナヤ
  リ方デハ大變デアリマス、一箇所五分ヅツ
  取ラレタラ、五箇所デ二割五分ニナル、デ
  アリマスカラ、是ハ總テノ品物ノ種類ト等
  級ニ依ツテ、是ハドノ位ノ手數料ヲ許ス、
  是ハドノ位ノ手數料ヲ許スト云フ基準ヲ農
  林省デ作ツテ置ク、例ヘバ米、麥馬鈴
  著其ノ農產物ニ付テハ是ハ千分ノ三デ
  宜イ、是ハ千分ノ八デ宜イ、或ハ百分ノ
  五デ宜イト云フ風ニ、各、〓基準ヲ定メテ戴
  キタイ、木材デ申シマスト、精材ト粗材デ
  分ケル、杉ぐ檜等ハ各〓違フ、粗材デモ「パ
  ルプ」用材ト坑木用材トハ違フ、樹脂ニ付
  テモ松脂ト松ノ根ノ油、所謂「テレピン」油
  ニスルモノトハ違フ、ソレカラ雜木デモ、
  家庭木炭用ノ木ト、瓦斯用木炭ノ木、或ハ
  薪木ト云フヤウナモノハ各〓違フ、ソレデアリ
  マスカラ、是等ノモノノ中ニハ千分ノ三デ
  モ宜イモノガアルシ、百分ノ五デモ足ラナ
  イモノモアルノデアリマスカラ、ドウカ一
  ツ農林省デ基準ヲ定メテ、ソレニ依ツテ認
  可ヲ得サセルヤウニシテ戴キタイ、之ラ唯
  五分以下ト云フコトニ決メテ置イタノデ
  ハドンナコトニナルカ分ラナイ、其ノ他
  色々アリマスケレドモ、モウ最後ノ時間ニ
  ナリマシタシ、又皆樣モ大變御迷惑デアラ
  ウト思ヒマスノデ、是デ止メマス、ドウカ
  然ルベク御答辯アランコトヲ御願ヒ致シマ
  ス

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• 114・三浦一雄

  ○三浦(一)政府委員　山川サンノ御質問ノ
  點ニ付キマシテハ、農林省モ隨時御答へ申
  上ゲマシタ點モアリマスガ、此ノ際御答ヘ
  申上ゲテ置キマス、第一點ハ農產物ノ增產
  計畫ヲ立テテ居ルガ、年々色々計畫ノ齟齬
  ガアルヤウデアル、其ノ齟齬ノ原因ヲ檢討
  シテ、將來ノ增產對策ニ資シテ居ルカドウ
  カト云フコトガ第一點デアリマス、是ハモ
  ウ每年ノヤウニ各地方ノ計畫ノ實行ノ狀況
  ヲ見マシテ、昨年ノ如キハ特ニ冷害等モア
  ツタ譯デアリマスガ、是等ハ關係官ヲモ現
  地ニ派遣シマスルシ、更ニ又農林省ニハ中
  央技術本部ヲ置キマシテ、詳細ナル檢討ヲ
  致シテ居ルノデアリマス、地方ノ農事試驗
  場其ノ他ノ技術陣營ト相俟ツテ、齟齬シタ
  ル原因等ハ十分檢討シテ、增產對策ノ參考
  ニ資シ、其ノ計畫ノ齟齬ナキヲ期シテ居ル
  譯デアリマス、更ニ又七千百万石ノ增產目
  標ニ付テノ御意見ガアリマシタガ、是ハ前
  前カラ御說明申上ゲマシタ通リ、此ノ目標
  ヲ以テ豫算ヲ組ミ、或ハ增產對策ノ各般ノ
  施策ニ遺憾ナキヲ期スルノ態勢ニ進ンデ居
  ルコトヲ御諒解願ヒタイト存ジマス、第二
  點ノ凡ユル肥料ヲ國ニ於テ生產シテ、無料
  給與ヲスル意思ハナイカト云フコトデアリ
  マスガ、政府ニ於キマシテハ、肥料ノ對策
  ニ付キマシテハ特ニ力ヲ注イデ居リマス、
  卽チ肥料生產力擴充計畫ノ遂行デアルトカ、
  更ニ又肥料ノ輸入デアルトカ、更ニ又肥料
  ノ中化學肥料等ノ增產ニ付キマシテハ、多
  額ノ助成金等モ出シテ、其ノ確保ヲ期シテ
  居ルノデアリマス、更ニ又自給肥料等ニ付
  キマシテモ相當助成ヲ致シテ居リマシテ、
  今後尙ホ一層肥料對策ニ付キマシテハ、十
  全ヲ盡ス積リデアリマスケレドモ、國自ラ
  生產シテ之ヲ無料給與スルト云フ考ヘハゴ
  ザイマセヌ、ソレカラ第三ニ、休閑地ニ於
  ケル麥作ニ對スル肥料ノ手當ガナケレバ、
  到底所期ノ目的ハ達セラレナイト云フコト
  デアリマスガ、昨秋ノ麥ノ增產ニ付キマシ
  テハ、所要ノ手當ヲ致シテヤツタ譯デアリ
  マス、今秋ノモノニ付キマシテモ、我ガ國
  ノ南洋方面カラ取リマス過燐酸デアルトカ、
  其ノ方ニ十全ヲ盡シ、尙ホ一層ノ手當ヲ致
  シタイト考ヘマス、其ノ次ノ肥料對策ノ中
  塵芥處理ト加里ノ問題ニ付テノ御質疑デア
  リマシタ、塵芥ニ付キマシテハ、御指摘ノ
  ヤウニ、厚生省ノ援助モ借リマシテ、此ノ
  塵芥等ノ處理ニ付キマシテ相當便益ヲ圖ル
  ト云フコトニ致シテ居リマス、只今各地方ノ
  團體等ヲモ總動員致シマシテ、自給肥料ノ
  增產ニ付テハ、此ノ方面ニモ手ヲ加ヘテ進
  ンデ居リマス、同時ニ又木灰ノ利用ニ付キ
  マシテハ、帝國農會等ヲ總動員致シマシテ、
  相當ノ囘收利用ノ方法モ講ジテ居ル譯デア
  リマス、同時ニ、先程モ申上ゲマシタ通リ、
  自給肥料增產ノ施設ヲモ講ジテ居ルコトモ
  御承知ヲ願ヒタイト思ヒマス、加里ニ付キ
  マシテハ、零デハゴザイマセヌ、數「パーセ
  ント」ハ供給シテ居ルノデゴザイマスケレ
  ドモ、從前ト比ベマスト數量ノ減ツタコト
  ハ洵ニ遺憾デアリマスガ、何等放置シテ居
  ル譯デハアリマセヌノデ、苦汁加里等ハ努
  メテ增產ヲシテ居ル次第デアリマシテ、是
  ハ取得次第地方ニ配布シテ居ル次第デアリ
  マス、次ニ加里資源ノ開發ニ付キマシテハ、
  乏シイ資源デアリマスケレドモ、內地ノ資
  源、更ニ朝鮮等ノ外地ニ於ケル資源ノ開發等
  ニモ手ヲ盡シテ居リマス、加里資源ハ共榮
  圈ニハ乏シイノデアリマスケレドモ、尙ホ
  滿洲、支那等ニモ絕無デハアリマセヌノデ、
  此ノ方面ニモ相當遠大ナル計畫ヲ以テ資源
  ノ探究ヲシテ行カナケレバナラヌト考ヘテ
  居リマス、其ノ次ノ增產ノ障碍ニナル陰樹
  伐採ノ奬勵ニ付テノ御意見デアリマスガ、
  此ノ前ニモ大臣ガ御答辯ヲ申上ゲタ通リ
  ニ、奬勵ヲシテ參リタイト考ヘマス、ソレ
  カラ減反シタル者ニ對シテ高稅ヲ課スル考
  ヘハナイカト云フコトデアリマスガ、課稅ノ
  問題デアリマスカラ、農林省トシマシテハ尙
  ホ關係當局ト相談シナケレバナラヌ譯デア
  リマスガ、唯農業生產ヲ維持スルト云フ觀
  點カラ見マスルト、農地管理令等モアリマ
  スルシ、是等ニ依ツテ寧ロ農村ノ實情ニ適
  シタ指導方針ヲ以テ進ミタイト考ヘマス
  其ノ次ハ牛乳販賣價格ノ問題デアリマスガ、
  是ハ先程農政局長カラ御答辯申上ゲマシタ
  通リ、具體的ナ實情ヲ取調ベマシテ改善是
  正ニ努メテ參リタイト思ヒマス、最後ニ國
  策會社ノ手數料ノ問題デアリマスガ、是等
  ハ各事情ニ應ジマシテ手數料ヲ定メテ居ル
  譯デアリマスガ、勿論大臣モ度々申上ゲマ
  シタ通リ、業務ノ改善刷新ニ付キマシテハ、
  隨時其ノ實情ニ應ジテ改善シテ參リマスカ
  ラ、具體的ニ調査〓究ノ一ニ善處シタイト
  考ヘマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=114

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• 115・山川頼三郎

  ○山川委員　管理米ノ玄白併用ノ問題ハド
  ウデゴザイマスカ、ソレハ考ヘテ戴ケマス
  カ

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=115

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• 116・湯河元威

  ○湯河政府委員　政府米ヲ買上ゲマス時ニ、
  白米デ外へ持出スヤウナコトヲ致シマシテ、
  糠ヲ殘スト云フコトハ、此ノ間大臣カラモ
  御答ヘガアリマシタヤウニ、地方ノ實情ニ
  卽應致シマスヤウニ處置致シマス

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=116

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• 117・三善信房

  ○三善委員長　大體質疑ハ是ニテ終ルコト
  ニ致シマシテ、簡單ナ御質疑ニ對シマシテ
  ハ、或ハ討論ニ入ル前ニ御許シヲ致シタ
  イト思ヒマス、尙ホ綜合的ニ御聽キシタイ
  ト云フヤウナコトガアリマスレバ、委員長
  ニ於テ一括シテ御聽キスルコトニ致シマシ
  テ、大體ノ質疑ハ本日ヲ以テ終了スルコト
  ニ致シテ置キマス、左樣御承知ヲ願ヒマス、
  次囘ハ公報ヲ以テ御通知スルコトニ致シマ
  ス、本日ハ是ニテ散會スルコトニ致シマス
  午後六時散會

  発言のURL：https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00719420130&spkNum=117

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