1. 会議録本文
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000・会議録情報
會議
昭和十七年二月二日(月曜日)午前十時二十分開議
出席委員左の如し
委員長 三善信房君
理事 岩瀬亮君 理事 古田喜三太君
理事 森田重次郎君 理事 森幸太郎君
理事 松本治一郎君
安倍寛君 石井徳久次君
岡田喜久治君 北勝太郎君
高田耘平君 坪山徳彌君
東郷實君 成島勇君
松浦周太郎君 松田喜三郎君
村上國吉君 大島寅吉君
山田六郎君 山川頼三郎君
田代正治君 吉田賢一君
林讓治君 淺沼稻次郎君
野溝勝君 平野力三君
一月三十日委員由谷義治君辭任に付其の補闕として土屋清三郎君を議長に於て選任せり
二月二日委員淺沼稻次郎君及村松久義君辭任に付其の補闕として須永好君及大島寅吉君を議長に於て選定せり
出席國務大臣左の如し
農林大臣兼拓務大臣 井野碩哉君
出席政府委員左の如し
農林次官 三浦一雄君
農林省農政局長 岸良一君
農林省山林局長 井出正孝君
農林省食品局長 辻謹吾君
農林省資材部長 岡本直人君
農林書記官 笹山茂太郎君
食糧管理局長官 湯河元威君
本日の會議に上りたる議案左の如し
米穀需給調節特別會計法中改正法律案(政府提出)
木炭需給調節特別會計据置運轉資本臨時補足に關する法律案(政府提出)
食糧管理法案(政府提出)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00819420202&spkNum=0
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001・三善信房
○三善委員長 只今ヨリ開會致シマス-
高田耘平君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00819420202&spkNum=1
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002・高田耘平
○高田委員 私大體委員諸君ノ質疑デ了解
致シマシタガ、了解セラレナイ點ト思フモ
ノヲ伺ヒタイト思ヒマス、或ハ重複ニナリ
マシタナラバ、誰サンノ質問ニ答ヘタカラ
速記錄ヲ見ヨト仰シヤツテ戴イタラ結構デ、
長イコトハ要リマセヌ
第一ニ伺ヒタイコトハ販賣價格ノ問題デ
アリマス、多分今デモ農林商工兩省カラ出
テ居ル省令カ何カデ米ノ販賣價格ニ等級ガ
アルト思ヒマスケレドモ、實際ヲ見ルト、
其ノ最高ト云ヒマスカ一等米ト云ヒマスカ
各方面共全部ガ一等米ニナツテ居ルデハナ
イカト私ハ思フ、ドウナンデスカ、若シ一
等米デアルトスレバドウモ甚ダ不合理ノ話
デゴザイマスシ、私ハ實ハ實行シ得ベキ等
級ヲ附ケテ貰ヒタイト思フ、卽チ成程オ米
ハ生活必需品デスカラ安イ方ガ宜イガ、併
シナガラ相當ニ富裕ナ人ハ米ガ一升デ五錢
八錢高イタツテ、ドウモソレガ爲ニ一般物
價ノ向上ヲ來ス原因ニナルトハ思ヘナイノ
デ、農民カラ買フ方ハ相當ニ整理シマシタ
ケレドモソレニシテモヤハリ等級ガアル、
サウスレバ賣ル方モヤハリ等級ヲ付ケテ、
サウシテ一等米ハ幾ラ、二等米ハ幾ラ、三
等米ハ幾ラト云ツテ賣ル方ガ宜イト思フノ
デスケレドモ、其ノ點ハドウ云フ御考ヘナ
ンデスカ、今マデモ等級ハアリマスケレド
モ、實際ハ行ハレナクテ、皆ナ一等米デア
ル、隨テ其ノ間ニドウ云フコトガ行ハレル
カト云フト商業組合ノ幹部トカ、或ハ親
戚トカ、或ハ雇員トカ云フ者ハ常ニ一等米
ノ給供ヲ受ケテ居ル、何モ關係ノナイ人ハ
同ジ金ヲ出シテモ旨クナイ米ヲ食ベルト云
フコトガ、實際ニアル、ドウモ是ハ已ムヲ
得ナイ、是ハアナタ方ノ事務上カラ云ヘバ
手數ガ掛リマセウケレドモ、ソレデナイト
非常ニ不合理デアリマスカラ、是ハ實行シ
得ベキ等級ヲ付ケテ、營團ガ賣ル場合ニ於
テハ良イ米ハ良イ、少シ値段ガ高イケレド
モ、良イ米ハ良イト云フ風ニ出來ナイモノ
デセウカ、出來レバサウ云フコトガ公平ナ
政治ニナルト思ヒマスガ、如何デスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00819420202&spkNum=2
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003・湯河元威
○湯河政府委員 白米ノ小賣價格ノ等級ノ
問題デゴザイマスガ、是ハ沿革的ニ申シマ
スト、從來ヤハリ小賣ニハ一等米、二等米
ノ區別ガゴザイマシタノデ、ソレヲ受ケマ
シテ最高販賣價格ヲ斯ウ云フ風ニ決メマシ.
タ所ガ實際ノ取引ハ非常ニ食糧事情ガ窮
屈ニナリマシタ爲ニ、品物ガ少クナルト、
隨ヒ.マシテ斯ウ云フ時ニ起リ勝チノ多數品
質上ノ混亂モアルカト思ヒマス、實際配給
サレテ居リマスモノハ、吾々ノ經驗ニ於キ
マシテモ、只今高田委員ノ仰セノ通リニ、
皆一等米ノ値段ニナツテ居リマス、此ノ事
ハ嚴格ニ申シマシテ、若シ其ノ間ニ區別ガ
アリ、良イ物、惡イ者ガゴザイマスレバ、
品質上ノ闇ニナル、是ハ何處マデモ經濟警
察デハツキリサセテ行カナケレバナラヌコ
トダト思ヒマス、然ラバ將來ノ問題ト致シ
マシテ、小賣等級ヲ廢メテシマフト云フコ
トニナリマスト、是ハ只今高田委員ノ仰セ
ノ如ク、ヤハリ消費者ノ氣持カラ申シマシ
テモ、經濟ノ實體カラ申シマシテモ、ソ
レハ却テ宜クナイ、ヤハリ政府ガ管理致シ
テ居ル米デ申シマシテモ、良シ惡シハ付ケ
得ル限リ付ケタ方ガ宜イト思フノデアリマ
ス、餘リニ是ガ無用ニ複雜ニナルコトハ無
論避ケナケレバナリマセヌガ、或ル程度、
社會ノ實情ニ卽應スルヤウニ致シタイト思
ヒマス、唯之ヲヤリマスニハ、何分ニモ只今
ノヤウナ非常ニ米ノ足リマセヌ時デスト、
一等米、二等米、三等米トソレ〓〓店先ニ
準備シテ置クト云フ餘裕モゴザイマセヌ、
此ノ點ハ將來少シ緩和サレタ時デナイト實
現ノ難カシサガアルノヂヤナイカト思ヒマス
モウ一ツハ只今白米ノ檢査制度ヲ完全ニ
ヤツテ居リマセヌ、隨ヒマシテ果シテ是ガ
本當ニ規格ニ合ツテ居ルカドウカト云フコ
トニ付キマシテ、制度ガ十分出來テ居リマ
セヌ、是等ハ今後管理食糧ノ配給上、消費
者ノ方面ニ重大ナ關係ノアルコトデアリマ
スカラ、私達ト致シマシテハ只今申上ゲマ
シタヤウナ考ヘ方デ、將來改善シテ參リタ
イト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00819420202&spkNum=3
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004・高田耘平
○高田委員 ドウゾサウ云フ風ニ願ヒマス、
是ハ事務的ニ見レバ手數ガ要リマセウケレ
ドモ、サウスル方ガ合理的デ公平デアリマ
スカラ、多少ノ事務的ニ面倒ナコトハソレ
ハナントカ考ヘテ、人手モ餘計要リマス、
費用モ餘計ニ要リマスケレドモ、サウ云フ
コトニ御願ヒ致シタイト思ヒマス
ソレカラ第二ハ東北方面ニ於ケル貯穀制
度ノ問題、是ハ從前ノ大凶作ノ時カラ東北
方面ニ於テ〓倉ヲ造ラシテ豐作ノ年ニ之ヲ
貯藏シテ置イテ、凶作ノ時ニ之ヲ地方民ニ
配給ト云フ言葉ハ宜イカドウカ分リマセヌ
ガ、兎ニ角ヤル斯ウ云フ制度ガアツタノ
デス、ソレガ一昨年カラ殆ド形ガアツテモ
實質ハナクナツタ、勿論全部ノ米ヲ政府ガ
買上ゲテ之ヲ配給スルト云フコトニナツタ
今日ニ於テハ、全然必要ガナイヤウニモ思
ヒマスケレドモ、併シ御手許金マデ仰イデ
各農村ニ倉庫モ出來テ居ルコトデゴザイマ
スカラシテ、豐作ノヤウナ時ニ、ドウ云フ
形式ガ宜イカ分リマセヌガ、兎ニ角五年カ
六年ノ內ニ大凶作ガアルト云フコトハ今日
デハ分ルノデアリマスカラ、凶作ニ備ヘル
爲ニ貯穀制度ヲ實行サレルト云フコトハ此
ノ地方ノ民心ノ安定ヲ得セシムル上カラヤ
ツタ方ガ宜イト思フノデスケレドモ、ドウ
云フコトニ御考ヘデアルカ、若シヤルトス
レバ今度ノ法令ノ儘デソレガ實行シ得ル見
込デゴザイマスカ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00819420202&spkNum=4
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005・井野碩哉
○井野國務大臣 〓倉制度ノ問題ハ高田委
員ノ仰セノ通リ種々ノ沿革ヲ以テ進ンデ參
リマシタノガ、最近販賣米ニ付キマシテ全
部國家管理ニナリマシタノデ、今御述ベノ
ヤウナ狀態ニナツタノデアリマス、是ハ農
林省トシマシテモ是非此ノ制度自體ハ殘シ
テ參リタイト考ヘマス、現在ニ於キマシテ
ハ民間ノ保有米ガナイ譯デアリマスカラ、
政府米ヲ成ベク此ノ倉ニ入レテ置イテ、サ
ウシテ其ノ地方ニ保存シテ置ク、豐年ガ參
リマシタナラバ又色々民間米ニ付テモ數量
的ニモ考慮ヲ加ヘマシテ、〓倉制度ハ殘シ
テ置クト云フ方針デ今折角〓究シテ居リマ
ス、隨テ法律ヲ廢止致シマシテモ勅令ノ上
ニソレガハツキリ書ケルヤウニ致シテゴザ
イマス、其ノ點ハ御安心ヲ願ヒタイト思ヒ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00819420202&spkNum=5
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006・高田耘平
○高田委員 分リマシタ、ドウゾサウ云フ
風ニ御願ヒ致シマス、ソレカラ第三ハ營團
ノ役員選任問題ノ、是ハ重複ニナツタラド
ウゾ先程申上ゲタヤウニ誰某ニ御答ヘニナ
ツタカラト仰シヤツテ戴ケバ結構デス、中
央食糧營〓ハ大臣ガ大體役員ヲ任命スルコ
トニナツテ居リマス、地方ノ營團ノ役員ハ
地方長官ガ任命スルコトニナツテ居ルヤウ
デゴザイマス、是ハ近頃總テ斯ウ云フ方向
ニ向ツテ居ツタノデスカラ、私ハ敢テ異議
ハ申シマセヌ、而シテ中央營團ノ役員ニ付
テハ、是ハ大臣ガ相當ニ公平ニ有力ナル德
望ノ高イ人ヲ御選任ニナルコトト信ジマス、
併シナガラ若シソレヲ誤ルト營團其ノモノ
ノ信用ヲ害スルノミナラズ、消費者ニ對シテ
モ少カラザル迷惑ヲ掛ケルヤウニナルト思
ヒマスカラシテ、其ノ點ヲ能ク御注意ヲ願
ヒタイト思ヒマス、今日本米穀會社ハ松村
君ガ理事長デアルト思ヒマス、其ノ下ニ專
務ヤ何カガ居ルヤウデスケレドモ、名前ハ
申シマセヌガ、ドウモ相當ニ非難ノアル人
ガアル、故ニ餘リエライ働キ手トカ辣腕家
ト云フヤウナ人ハ成ベク避ケテ、實直ナ人
ヲ選ンデ戴キタイト私ハ思フ、名前ハ言ヒ
マセヌケレドモ、實際ドウモ吾々ノ方ニ對
シテ或ル人ノ各種ノ非難ガ盛ンニ參ル、私
ハソンナコトハ信ジマセヌガ、兎モ角何等
カノ缺陷ガアルノデハナイカト思フ、中央
營團ノ役員ハ大臣閣下ガ主トシテ御選任ニ
ナルコトト存ジマスカラ、今日マデノヤウ
ナ間違ヒハナイト思ヒマスケレドモ、努メ
テ公平ニ有力ナル而モ德望ノアル人ヲ御選
任願ヒタイト思ヒマス、殊ニ地方ノ問題、
是ハ中々容易デゴザイマセヌ、大體ニ於テ
各府縣ニ現在ハ縣ノ米穀商業組合聯合會ト
カ云フモノガアリマシテ、此ノ理事長ガ配
給ノ中心ニナツテ居ルト思ハナケレバナラ
ヌ、ソコガ餘程難カシイノデアリマシテ、
少シノ、實際ノ經驗ノナイ人デモ困リマス
ケレドモ、純然ナル商賣人上リデ公益心ノ
少イ人ガ理事長ニナツテ居ルト餘リ良イコ
トヲセヌヤウデアリマス、私ノ縣ナドノ實
例ヲ言フト、菓子工業組合ノ理事長、砂糖ノ
配給組合ノ理事長ハ皆相當ニ惡イコトヲシ
テ居ツテ、今裁判所ニ引張リ出サレタリナ
ドシテ居ルノガ多イノデアリマス、理事長
トナルト何カ自分ノ利益ヲ得ル爲ニ理事長
ニナルカノ如キ考ヘヲ實際商賣人ノ人達ハ
持ツテナツテ居リマス、若シサウ云ツタヤ
ウナ人格ノ人ヲ此ノ純然タル公益機關ノ理
事長ト致シマシタナラバエライ弊害ヲ釀ス
ト存ジマスカラ、此ノ點ニ付テ餘程御注意
ガ願ヒタイガドウ云フモノヲ標準トシテ理
事長ノ選任等ヲナサレルカ、是ハ頗ル重大
問題デアリマスカラ、此ノ點ニ付テノ御心
持ヲ伺ツテ置キタイト存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00819420202&spkNum=6
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007・井野碩哉
○井野國務大臣 食糧營團ノ首腦部ノ人事
ニ付キマシテハ、今高田委員ノ御述べノ通
リ中央ト云ハズ、地方ト云ハズ、極メテ
愼重ニ考慮シテ行カナケレバナラヌト思フ
ノデアリマス、中央營團ニ付キマシテハ今
御述ベノ通リ其ノ首腦部ニナル人ノ人格手
腕共ニ私トシマシテモ十分注意シテ人選ヲ
致シテ參リマス、又重役陣ニ付キマシテモ
現在ノ制度ニ缺陷ガアリマスレバ其ノ點ハ
一ツ能ク考慮シテ參リタイト思ヒマス、又
地方ノ營團ニ付キマシテモ、是ハ衆議院等
ノ御意見デモ成ベク斯ウ云ツタヤウナ公益
機關ノ首腦部ハ、民間カラ選ベト云フ御希望
e
ガ强ク、官吏等ノ古手ヲ持ツテ來テハイカ
ヌト云フノデアリマスカラ、無論サウ云ツ
タヤウナ氣持デ選ブノデアリマスガ、又民
間業者ノ中ニハ今御述べノヤウニ公的觀念
ニ乏シク、私利ヲ其ノ間ニ得ルト云フモノ
モアリマスカラ、ソレ等ハ府縣知事ト能ク
相談致シマシテ、人格ノ成ベク高潔ナ而モ
手腕ノアル-サウ云フ人ヲ得ルコトハ中
中難カシイト思ヒマスガ、併シソレニ努力
致シタイト考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00819420202&spkNum=7
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008・高田耘平
○高田委員 能ク衆議院デ附帶決議ヲスル
所ノ役人上リガイケナイト云フ點ニ付テハ
私モ大抵贊成デスケレドモ、役人デモ良イ
人ナラ宜イノデス、私個人トシテハ寧ロ地
方營團ナドニアツテハ商買人上リノ營利追
求デ終始シテ居ツタ人ヨリモ、役人上リガ
宜イトハ言ハヌケレドモ、其ノ方ガ寧ロ眞
面目デアルカモ知レマセヌ、實際カウ言ツ
タラ是ハ逆ナコトデスガ、中々商買人ト云
フモノハ油斷ノナラヌモノデ、商買人ノ取
ツタ統計ヲ基礎ニシテ算盤ヲ彈イテ見テ、
色々ナ設計トカ或ハ配給計畫ヲ立テラレテ
相當誤マラレテ居ルノデハナイカト思フ點
モアルノデスカラ、私ハ能ク附帶決議ナド
デ、役人ノ古手ハイカヌナドト云フコトハ
申シマセヌ、役人ノ古手デモ役ニ立ツ良イ
人ナラ私ハ寧ロ其ノ方ガ宜イト思ツテ居リ
マス、其ノ方ガ間違ヒナイト思ヒマス、是
ハ御參考ノ爲ニ私ノ考へヲ申上ゲテ置キマ
ス、但シ餘リ澤山ノ俸給ヲ取ラナイヤウニ
御注意願ヒタイ、是ハ宜シクアリマセヌ、
誰モ知ラヌカラマダ宜イガ、局長上リノ人
ガ一万圓モ二万圓モ取ツテ居ル、アナタ方
モ知ラナイ方法デ取ツテ居ルカラ新聞ニモ
出マセヌガ、是ハ局長級位ノ人ガ辭メテ恩
給ヲ戴イテ、サウシテ一万五千圓、何ンダ
彼ンダデ二万圓モ取ツテ居ルト云フコトガ
國民ニ知レルト國民ハ餘リ好イ氣持ハシマ
セヌ、企業ノ統制トカ云ツテ在來ノ商賣ヲ
皆捨テナケレバナラヌ時代ニ、役人ノ古手
ガ出ルト直グ現職ニ在ル三倍モノ俸給ヲ取
ルト云フコトハ、私ハドウシテモ許セナイト
思フ、ケレドモソレモ仕方ガナイ、ソレハ諸
君ガヤツテ居ルノデアルカラ、斯樣ナコトニ
餘リ高イ給料ナドノ欲シクナイヤウナ人間、
卽チ人格高潔、公益優先ノ頭ヲ持ツテ居ル
人ニ、是非是ハ中央ノ方モ地方ノ方モ、サ
ウ云フ方針デ、大體御進ミ願ヒタイト云フ
コトヲ私ノ希望トシテ申上ゲテ置キマス、
今日ノ新聞ヲ拜見スルト、昨日カ一昨日デ
シタカ、豫算分科會デデモアリマセウカ、
食糧ノ配給問題ニ付テ、大臣ガ御說明ニナ
ツタト稱スルモノガ新聞ニ散見サレテ居リ
マス、ソレヲ拜見スルト、軍需工業或ハ其
ノ他生產擴充事業ニ從事シテ居ル勞働者、
或ハ自由勞働者ニ對シテハ、今後相當ニ配
給ヲ增スト云フヤウナ意味ノ御話ガ載ツテ
居ツタヤウニ考ヘル、或ハ新聞ガ違ツテ居
ルカ、私ノ見方ガ違ツテ居ルカ知リマセヌ
ガ、併シ是ハ當然ノコトダト思ヒマス、ソ
コデ一ツ是ハ農林省ノ方々ハ大都市ハ兎モ
角モ、農村ノ間ニアル小サナ町々ノ人々、
或ハ勞働者ハ、ドウシテアノ配給量デ食ベテ
居ルカト云フコトヲ、ドウ云フ風ニ御覽ニ
ナツテ居ルカ、實際申スト、農民ノ保有量ト
云フモノハ確カニ相當ノ餘裕ヲ持ツテ居ル
ト私ハ思ヒマス、其ノ餘裕ノアル所デ、小
都會ノ勞働者共ハ到底アレデハ足ラヌノデ、
闇取引トハ申シマセヌガ、或ハ値段ノ高イモ
ノモアリ、安イモノモアルデセウケレドモ、兎
ニ角農家ノ保有米ヲ各種ノ方法ニ依ツテ、
勞働者ハ自分ノ手許ニ之ヲ買取リ、ソシテ之
ヲ食ツテ居ルト云フコトハ事實デゴザイマス、
是ガナケレバ到底凌ギハ付キマセヌ、ソコ
デ是モ非常ニ事務的ノ問題ニナリマセウガ、
實際ニ於テドウ考ヘテモ勞働ニ堪ヘルダケ
ノ食糧ヲ得ラレナイ現狀ト、モウ一ツハ靑
壯年期ト申シマスカ、更ニ具體的ニ言ヘバ、
學生生徒ト云フヤウナモノガ果シテ自分ガ
必要ナル食糧ヲ完全ニ得テ居ルカドウカト
云フコトニナルト、ドウモ二三人學生ノア
ル家庭ニ行ツテ見マスト足リナイト云フコ
トガ本當ヂヤナイカト思フノデス、ソコデ
私ハ、此ノ間モ伺ツタノデスガ、縣ニ依ツ
テ非常ニ勞働者ニ對スル配給量モ違フ、是
デヤイカヌカラ成ベク公平ニヤツテ貰ヒタ
イト思ツテ、各府縣ニ對スル割當量ニ付テ
伺ツタ所ガ、是ハ祕密ト稱シテ伺フコトガ
出來マセヌデシタガ、唯基準ダケヲ御示シ
ニナツタ、所ガ其ノ基準モ、能ク見レバ少
シ頭ガ惡クテモ分リマスガ、ドウモ湯河サ
ン中々話ガ早イノデ、アノ話ヲ聽イテ判斷
スルト云フコトハ私ニハ出來マセヌデシタ
ガ、無論アナタ方ガ不公平ナコトヲ好ンデ
ヤツテ居ルトハ思ヒマセヌ、公平ニヤツテ
居ルニハ違ヒナイケレドモ、現狀ハ縣ニ依
ツテ非常ニ配給ノ量ガ違ツテ居ル、又勞働
者ニハ大體ニ於テ不足ト云フコトモ分ツテ
居ル、又壯靑年ノ二三人アル家庭モ足リナ
イト云フコトモ分ツテ居ルノデアリマスカ
ラ、ドウシテモ消費ノ壓縮-私ハ規正ト
云フヨリモ寧ロ壓縮ト云フ言葉ノ方ガ今日
當ツテ居ルト思フ、規正ヂヤナイ壓縮ダ、
其ノ壓縮ノ程度ヲ考ヘテヤラナケレバナラ
又、ソコデ大臣モ再々申サレ、食糧管理局
長モ申サレテ居ルガ、今年ハ成ベク外米ヲ
買ツテモ是ハ貯藏スルト言ハレル、其ノ御
考ヘハ結構デス、麥ヤ芋ガ豫定通リ穫レレ
バ、外米ヲ食ハセナイデモ大體ニ於テ宜イ
ノダト云フ御說明デスガ、私ハ是ハ實行出
來ルカドウカ信ジマセヌケレドモ、此ノ御
考ヘハ宜イニハ違ヒナイガ、實際ハドウモ
勞働スルノニ足リナイ、壯靑年ノ盛リノ人
ガ足リナイト云フ狀況デアル、サウ云フコ
トガナイナラバ結構デスガ、アリト致シマ
シタナラバ、假令外米ノ二三百万石位ハ其
ノ方面ニ振向ケテモ、食ヒ物ガ足リナイト
云フ聲ヲ絕ツ方ガ政策トシテ宜シイモノデ
ハナイカト思ヒマス、此ノ點ニ付テ、無論
サウ云フ方針ニ出デラレルコトトハ存ジマ
スガ、極メテ緊要ナ問題ト思ヒマスカラ、
大臣ノ御答辯ヲ新聞ヲ見マシタダケデハ、
一寸了解シ兼ネマスノデ、モウ一度御意見
ヲ伺ヒタイト存ジマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00819420202&spkNum=8
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009・井野碩哉
○井野國務大臣 現在ノ米ノ配給量ニ付キ
マシテハ實施マダ一年弱デアリマシテ、
色々其ノ間ニ改善ヲシナケレバナラヌモノ
モアルト考ヘテ居リマス、唯勞働者、學生
等ニ對シマスル配給量ニ付キマシテハ、農
林當局トシテモ色々熟慮ノ上アア云ツタ數
量ヲ決メタノデアリマスガ、是ハ又勿論國
內ニ十分ナ米ガアリマスレバモツト殖ヤシ
テ行キタイトモ考ヘテ居リマス、併シ現在
ノ諸種ノ事情カラノ供給量ニ依リマスト、
アノ程度デ個人的ナ割當ハ決メテ參リマシ
テ、勞働者ニ對シテハ其ノ外ニ工場給食モ
認メテ居リマス、是ハ配給量以外ニ特別配
給ヲ致シテ居リマス、又學生ノ寄宿舍等ニ
對シマシテハ、警察ニ特別ノ保有米ヲ置キ
マシテ、サウ云ツタモノニ對シマシテハア
ノ數量以外ニ配給モ致シテ居リマス、マア
色々數量上ノ缺點ニ付キマシテハ他ノ手段
デ補ツテハ居ルノデアリマス、併シ十分デ
ナイ點モアルコトハ私モ能ク承知致シテ居
リマスカラ、成ベクサウ云ツタ方面ニハ、
十分トハ參リマセヌデモ、〓ニ缺クルト云
フコトノナイヤウニ配慮ハ致シテ參ラナケ
レバナラヌト考ヘテ居リマス、外米ヲ輸入
シマシタモノハ全部貯藏スルト申スノデハ
ナイノデアリマス、出來ルダケ船舶ノ都合
ノ付キ次第外米ヲ入レマシテ、サウシテ不
足ノ部分ニ對シテハ外米ヲ以テ補ヒ、尙
ホ餘リアレバ貯藏ニ充ツルト云フ方針デ進
ミタイト考ヘテ居リマス、隨テ、先般モ豫
算總會其ノ他デモ色々御尋ネガアリマシテ
御答ヘシタヤウニ、勞働階級ニ對シテハ
特ニ鑛山、山林其ノ他ノ勞働者ニ對スル
特別配給ニ付キマシテ、食糧管理局等ニ
於テ色々地方廳トモ相談ヲ致シ、最近ハサ
ウ云ツタ方面ニハ、十分デハアリマセヌガ、
多少殖ヤシテ配給致シテ居リマス、サウ云
ツタヤウナ考慮ヲ今後モ十分加ヘテ參リマ
シテ、今高田委員ノ御述ベニナリマシタヤ
ウナ趣旨ニ副ツテ參リタイト考ヘテ居リマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00819420202&spkNum=9
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010・高田耘平
○高田委員 ドウゾ一ツ、先ヅ勞働者ト靑
壯年ニハ相當ニ配給量ヲ增スコトノ御計ラ
ヒヲ願ヒタイト存ジマス、是ハ非常ニ事務的
ニ言フト面倒ダト思ヒマス、各戶々々ノ家族
ノ年齡カラ何カラズツト調ベテ行カナケレ
バナラヌノデスカラ非常ニ面倒デスケレド
モ、併シ出來ナイコトハナイト思ヒマス、
是ガ二年カ三年デ今ノヤウナ消費ノ壓縮ヲ
ヤメルコトガ出來ルナラ兎モ角、此ノ間伺
ツタ〓糧需給對策ノ具體案カラ拜見スル
トドウモ中々サウ自由ニハ行キサウモア
リマセヌカラ、是ハ五年十年此ノ方針ヲ繼
續スル外ハナイデセウ、サウスレバ、少シ
手數ガ掛ツテモ、年齡ニ應ジテ食糧ノ增減ヲ
スルト云フヤウナコトマデモ進ンデ御調査
ヲ願ツテオヤリニナツタ方ガ宜カラウト思
ヒマスカラ、御參考ニ申上ゲテ置キマス、
其ノ次ハ、此ノ間モ一寸伺ヒマシタガ、味
噌ノ問題デス、詳シイコトハ申シマセヌガ、
先ヅ以テ東京、神奈川、愛知ヲ一團トシ、
大阪、京都、兵庫ヲ二團トシテ、二割程度ノ
味噌ノ生產減ニ依ル消費減ヲ政府ガ國民ニ
要求シタト云フヤウナ譯デアリマス、關東
ト關西ニ相當ノ差ガアルコトハ、是ハ又現
在ノ實情ガサウデアルノデスカラ仕方ガナ
イデセウガ、兎モ角モ、私共ノ見ル所デハ、
生活必需品トシテハ、見ヤウニ依ツテハ味
噌ハ米麥以上デアルトモ言ヒ得ルト思フノ
デアリマス、所ガ戴イタ資料ヲ見ルト、大
豆ガ不足シタカラ已ムヲ得ズ味噌ノ消費ヲ
減ラスノデアルト云フコトデアリマス、然ラ
バ何程ノ大豆ガ足リナイカト云ヘバ、滿洲
カラハ豫定ノ通リ來ナイ、朝鮮カラモ來ナ
イ、殊ニ昨年ハ、北海道、東北ガ日本ノ大
豆ノ產地デアルノニ、是ガ又非常ナル減收
デアル、斯ウ云フコトノ爲ニ少クナツタ、
斯ウ云フコトデ成程已ムヲ得ナイコトデア
ルト思ヒマス、併シ如何ニモ殘念デス、コ
コマデヤラナケレバナラヌノハ洵ニ情ケナ
イ日本ダト思フ、然ラバ幾ラ大豆ガアレバ
宜イノダ、是ハ各種ノ味噌ガアリマシテ、
大豆ヲ少ク使フノモアリ、多ク使フノモア
リマスケレドモ、政府ノ私ニ說明シタ所ニ
依ルト、大豆一石デ味噌九十五貫出來ル、
斯ウ云フ御說明デアリマス、私共ノ地方デ
ハソンナニ大豆ハ要ラスノデアリマスケレ
ドモ、政府ガ公平ニ作ツタ御調ベガ大豆一
石ニ付テ味噌九十五貫、サウ云フ所カラ算
出シテ、味噌ヲ買ツテ使フ人口ヲ假ニ五千
万ト見ル、七千三百万ノ中デ五千万ノ人間
ガ味噌ヲ買ツテ食フモノト見ル、サウスル
トソレカラ二割減ラシタモノヲ算出シテ行
クト、約二十七万石アレバ二割減ラサヌデ
モ濟ムト云フ數字ガ出マス、二十七万石ト
云フモノヲ日本デ增產スルトシテドレダケ
ノ畑ヲ要スルカト云ヘバ、一段步一石ト見
テ二万七千町步大豆ノ段別ヲ殖ヤセバ味噌
ハ減ラサヌデ濟ム、斯ウ云フ數字ガ出マス、
更ニ之ヲ「トン」數ニスレバ幾ラニナルカト云
ヘバ二十七万石デゴザイマスカラ、之ヲ七
デ割レバ宜イ、兎ニ角二十七万石バカリヲ
滿洲カラ買フコトガ出來レバ宜イ、何トカ
其ノ方面ノ方法ハナイノデセウカ、旣ニ斯
ウ云フコトヲ省令カ、物資統制カ何カデ出
シタノデアルカラ、是ハ今引込メル譯ニハ行
カヌデセウガ、併シナガラ方法ガ立テバ成
ベク早ク味噌位ハ思フ通リニ供給シタイト
云フ私ハ念願ヲ持ツテ居リマス、是ハ栃木
縣ノ例ヲ申上ゲテアナタ方ノオ笑ヒヲ受ケ
ルカモ知レマセヌケレドモ、栃木縣警察部
衞生課ノ刷物ニ、戰爭ハ如何ニスレバ勝
ツカト云フ題目デ、生活ニ關スル色々ナ
コトヲ書イテアル、一般ニ日本人ハ味噌汁
デ榮養ヲ攝レ、味噌汁ニハ成ベク二種類以
上ノ野菜ヲタツプリ入レテ一日必ズ二椀
以上ヲ食ベルコト、味噌汁ニハ魚粉ヲ入レ
ルコトニ心懸ケヨ-是ハ併シ栃木縣ノ衞
生課デ考ヘ出シタノデハナカラウト思フ、
相當ニ厚生省アタリカラ指導方針ガ出テ居
ルノデハナイカト思フノデスガドウデセウ
カ、兎ニ角斯ウ云フコトガ書イテアル、
所ガ一人一日六匁デハ一椀ト少シシカナ
イ、大キナモノデハ一椀ニ達シナイ、是デ
ハ戰爭ニ勝テナクナル譯ダ、戰爭ハ如何ニ
スレバ勝ツカト云フ題目ニ味噌汁ハ二杯食
ベルトアルカラ、一杯ニスレバ戰爭ニ負
ケルト云フコトニナル、少シ極端ナ議論
デアルケレドモサウ云フコトニナルデ
スカラ豫算總會カ何カデドナタカノ質問
ニ對シテ大臣ノ方ハ二割位消費規正ヲシ
タト仰シヤツタガ厚生大臣ノ所見如何ト
聽イタラ、マア其ノ程度ナラ宜カラウト
云フ答辯ヲ次官ガ仰シヤツタ、大臣ノ二
割規正ガ宜イト云フコトニナルト、是ハ
椀デモ宜イト云フコトニナル、サウスルト
二椀ト云フコトハ栃木縣ノ警察部ガ餘計ナ
味噌汁ヲ吸ヘト言ウタコトニナル斯フ云フ
譯デ私ハ常識カラ見テ一一椀以上要スルト存
ジマス、デアリマスルカラシテ何トカ一ツ
大豆ノ增產ヲシテ貰ヒタイ、何カ此ノ間農
政局長ノ話ニ依レバ增產ノ計畫ガアツタヤ
ウニ存ジマスガ、正確ノ數字ハ私共ニハ分
リマセヌ、是カラハ農業生產統制令モ出來
タコトデスカラ、若シ滿洲カラ持ツテ來ル
コトガ出來ナケレバ二万七千町步大豆畑ヲ
殖ヤセバ二割減ラサヌデ濟ム、數字ハ多少
不完全カモ知レナイガ、兎ニ角サウ云フ數
字ガ出ル、今カラデモ間ニ合ヒマス、是八
麥ノ中ヘ蒔クノデスカラ······アレヲ何トカ
思ヒ切ツテオヤリニナツテハドウデスカ、
二万七千町歩昨年ヨリモ大豆ノ段別ヲ殖ヤ
ス私ノ考ヘデハ大豆ト油ノ原料ニナル菜種
ダケハモウ少シ積極的ニ農林省ガ御奬勵ニ
ナルコトガ宜イノデハナイカト思ツテ居ル
ノデアリマスケレドモ、モウ數年前カラ大
豆ハ足リナクナル、滿洲カラモ來ナクナル、
隨テ味噌ガ出來ナクナル、國民ノ健康ガ惡
クナルト云フコトニ注意ヲ拂ヘバ、此處マ
デ押詰メラレナイデモ濟ンダノデハナイカ
ト思フ、併シ大臣モ次官モ局長モ一年カ一
年半デ御迭リニナルノデアルカラ、マア是
ハ無理モナイケレドモ、又コンナコトヲ言
ツテモ後二、三年經テバスツカリ迭ツテシマ
フ、一年カ一年半デチョイ〓〓御迭リニナ
ルノダカラ仕方ガナイカモ知レナイケレド
モ、兎ニ角殘念ダ、味噌マデ思フヤウニ國
民ニ與フルコトガ出來ナイト云フ所マデ行
詰ツタ狀態ニ陷レラレタコトハ私ハ吳々モ
殘念デス、殘念ダツテ出來タコトハ仕方ガ
ナイ、何トカ直ス方法ヲ講ジナケレバナラ
又、卽チ滿洲ヨリ二十七万石ノ大豆ヲ輸入
スルノ方法ヲ何トカシテヤルカ、若シソレ
ガ不可能デアレバ二万七千町步ノ畑作ニ大
豆ヲ生產スルコトヲ統制令ニ依ツテ命令ス
ルカ、此ノ二ツノ途ヲ採ル外ナイ、一時的
ニハマア仕方ガアリマセヌケレドモ、此ノ
方法ヲ採レバ今年ノ秋アタリカラ或ハ來年
ノ春アタリカラハコンナケチナコトヲセズ
ニ濟ムヤウニナルト確信スルノデアリマス
ガ、如何デアリマスカ御答ヘヲ願ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00819420202&spkNum=10
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011・井野碩哉
○井野國務大臣 高田委員ノ今御述べニナ
リマシタ味噌ニ付キマシテハ、農林省トシ
マシテモ出來ルダケ斯ウ云ツタモノハ餘リ
統制的ナコトヲシナイデ過シテ參リタイト
考ヘテ居ツタノデアリマス、而シテ滿洲カ
ラノ大豆ガ十分ニ入ツテ來ナイ、內地ノ大
豆ハ不作ダト云フコトカラ、兎ニ角國民ニ
或ル最低限度ノ味噌ハ供給シタイ、之ヲ統
制セズニ放ツテ置キマスト、非常ニ食ベル
者ハ澤山食ベマスガ、食ベナイ者ハ殆ド食
ベナイト云フ狀態ニナツテ來ルノデアリマ
ス、昨年ヨリ大豆ノ滿洲カラノ輸入計畫ハ
全體數量ニ於テハ殖エテ居リマセヌガ、味
噌ニ於テハ本年ハ昨年ヨリ重點的ニ多ク配
給スルト云フコトニシテ居リマス、シテ居
リマスガ各個人ニ最低限度ノ味噌ヲ與ヘタイ
ト云フ氣持カラ統制致シタノデアリマス、
デアリマスカラソレ以上食ベサスコト
ニ努力スルコトハ當然デアリマス、今御
話ノ二割減ヲ二十五万石トカ云フ御計算デ
アリマシタガ、其ノ計算ハ假ニ其ノ通リデ
ナイト致シマシテモ、本年其ノ爲ニモ五万
町步ノ大豆ヲ增產致ス計畫ヲ立テタノデ
アリマス、出來テ來次第、又滿洲カラ船ノ
都合デ入リ次第、此ノ最低限度ヲ殖ヤシテ
行クコトニハ努力致シマス、併シ各個人ニ
是ダケノモノハ少クトモ渡ルノダト云フ安
心ヲ與ヘル方ガ國民食糧ノ上ニ於テ適當デ
アルト考ヘテ、此ノ配給統制規則ヲ作ツタ
ノデアリマス、デアリマスカラ此ノ規則ヲ
作ラナイデ放ツテ置ケバ、或ハ人ニ依ツテ
ハ非常ニ澤山食ベマセウガ、マルデ食ベラ
レナイト云フ者モ出來テ來テ、不公平ニナ
ルト云フ所カラ是ハ非常ニ手續モ面倒デア
リマスケレドモ、配給統制規則ニ依ツテ最
低限度ノ公正ナル分配ヲ考ヘタ譯デアリマ
ス、併シ味噌ハ國民ノ食糧トシマシテハ、
米麥ニ次グ大事ナ物デアリマスカラ農林省
トシテモ一粒デモ多クノ大豆ヲ滿洲カラ取
ルコトニ今後モ努力致シマス、今大體滿洲
ト話シテ居リマスル限度デ總テノ計畫ヲ致
シテ居リマスケレドモ、船等ノ關係ノ付キ
次第モツト殖ヤスコトニモ努力致シマス、
又內地ニ於ケル增產モ今申シタ通リ努力ヲ
致シマシテ、サウシテ段々此ノ量ヲ殖ヤシ
テ行クト云フ方向ニハ努力致シタイト考ヘ
テ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00819420202&spkNum=11
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012・高田耘平
○高田委員 私ハ配給統制ガ惡イト言フノ
ヂヤナインデス、斯ウ云フ場合ニハ宜イト
思ヒマスケレドモ、二割減ニシタノガ惡イ
ト言フンデス、一方ニハ澤山食ツテ居ル者
ガアリ、一方ニハ全然食ハナイ者ガアルト
云フ實情デスカラ、配給統制ハ宜イノデス
ケレドモ、二割減ラシタコトガイカヌヂヤ
ナイカ、斯ウ考ヘルノデス、デスカラ今ノ
問題ハ五万町步ヲドウ云フ方法デ增產ナサ
ルノカ、之ヲ此ノ際伺ツテ置キタイト思フ
コトト只今大臣ノ御言明ノコトハ無論サ
ウナケレバナラヌト思ヒマスケレドモ、味
噌ガココマデ追詰メラレタト云フコトハ慘
メヂヤアリマセヌカ、何トカ斯ウ云フコト
ガナイヤウニ先へ〓〓トヤツテ戴キタイ、是
ヂヤイケマセヌ、先ニ各種ノ政策ヲ御立テ
ニナルヤウニ御願ヒシタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00819420202&spkNum=12
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013・岸田正記
○岸政府委員 數量約四十万石、面積ハ五
万町步一寸餘ニナリマス、面積ノ擴張ハ一
ツハ森林ノ伐採ノ跡地ガ東北地方ナドニハ
澤山アル、ソレデ次ノ森林ガ出來ルマデ之
ヲ利用シテ行ク、其ノ間ニ間作ヲヤルカ、
或ハ直接跡地ニ種子ヲ播クカ致シタイ、ソ
レカラ昨年ノ秋ヤツタ作付轉換ノ芋、其ノ
他ヲ植ヱルノヲ一部大豆ニ振向ケル、ソレ
カラ一ツハ先程御話ガアリマシタ他作物ノ
一部ヲ轉換スルト云フヤウナコトヲヤラウ
ト思ツテ居リマス、ソレデ五万町步ヲ擴張
スルノデアリマス、是以上ノコトハ色々調
ベテヤツタノデスガ、中々今是以上擴張ス
ルコトハ困難ダト思ヒマシテ、此ノ程度デ
增產ニ努メタイト、斯ウ考ヘテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00819420202&spkNum=13
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014・高田耘平
○高田委員 其ノ點ハ又後デユツクリ伺ヒ
マスガ、兎ニ角其ノ政策ヲ去年執ツテ戴カ
ナカツタコトヲ極メテ遺憾トスル、問題ガ
起ツテカラ後デヤルカラ何時デモ足リナク
ナルノデス、足リナクナルヤウナモノハ豫
見シテ前ニ政策ヲ立テテ戴キタイト思フ
モウ一ツ時間ガアリマスカラ食糧管理局
長ニ伺フノデスガ、此ノ間二、三同僚ガ集
マツタ時ニ、一石五圓ノ奬勵金ト云フモノ
ハナクナル時期ガ來ルンヂヤナイカト云フ
コトヲ心配スル人ガアル、速記錄ヲ見ルト
本會議デ平野君デシタカノ質問ニ、農林大
臣ハ今年モ來年モ出スト答辯シテ居ラレル、
是ハ無論出サナケレバナリマセヌ、ドウ云
フ點カラ疑問ガ起ルカト云フト、今度ノ法
律ハ買入價格ハ生產費物價其ノ他ノ經濟事
情ヲ斟酌シテ決メル、斯ウアルノデス、ソ
コデ生產費ト各種ノ事情ト云フコトデスガ、
昭和十七年ニハ幾ラニナルカ知ラヌガ、昭
和十六年ニハ五十圓近クナツタノヂヤナイ
カト私ハ推定スル、サウスルト是ハ法律上
ノ買入價格ニナルノデス、今ノ米穀統制法
ハ昨年、一昨年ノ米價ヲ決定スル場合ニハ
殆ド死法デス、所ガ今度ハ活キタ法律ヲ作
ラントシツツアル、買入價格ト云フモノハ
生產費「プラス」當時ノ經濟事情ト云フコトニ
ナリマスケレドモ、其ノ內ノ五圓ト云フモ
ノハ生產奬勵金ト云フ名前デ農林省ノ一般
會計カラ出テ、四十五圓ト云フモノガ買入
價格ニナル、何カ法律ノ書キ方ト豫算ノ作
リ方ガシツクリ合ハナイカラ、生產奬勵金
ハ何時カ減ラサレルダラウト云フヤウナ疑
問ガ出ルンヂヤナイカト思フノデスケレド
モ、何カ旨イ方法デ分リ易クスルコトハ出
來ナイモノカ、其フ點ヲ伺ヒタイ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00819420202&spkNum=14
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015・湯河元威
○湯河政府委員 生產費ノ調査ヲ致スコト
ニナツテ居リマス、其ノ生產費ガ實ハ色々
ノ經濟事情ノ變遷デ高クナツテ參リマシテ、
現在約五十圓ガラミニナツテ居ルカト存ジ
マス、ソレデ此ノ規定ノ通リニ生產費デ買
ツテ參ルト致シマスレバ、政府ノ買入價格
ハ五十圓ニナル譯デアリマスガ、只今高田
委員ノ仰セノ通リニ現在一石ニ付キ五圓ノ
生產奬勵金ガ出テ居リマス、是等ノ生產奬
勵金ト云フモノハ生產費ノ計算ニ於キマシ
テハ、副收入ト同ジヤウニ生產費ノ計算ノ
中カラ差引クベキモノト信ズルノデアリマ
ス、隨ヒマシテ生產奬勵金ヲ今後續イテ政
府ガ支出スルヤウニナリマスレバ、生產費
ハ一石當リ四十五圓ト云フコトニ寧ロ計算ス
ル方ガ妥當ヂヤナイカト思フノデアリマス、
ソレデ高田委員ノ御心配ハ恐ラク生產奬勵
金ハ豫算デ組ンデアルカラ、是ハ豫算ガ不
成立トカ、或ハ將來落スヤウナ場合ガアリ
ハシナイカト云フ御懸念デアラウト思ヒマ
スガ、若シモ豫算上サウ云フ生產奬勵金ガナ
クナレバ生產費ガ五十圓ニナルノデアリマ
シテ、農家カラ買上ゲル價格ハ政府ガ五十
圓デ買ハナケレバナラヌト云フコトニナル
ノデアリマス、所ガ色々〓究シマシテ一一重
價格ノ制度ヲ執リ、五十圓ノ價格デ之ヲ買
ツテシマフコトハ實際只今ノ日本ノ小作事
情カラ申シマシテ適當デナイ、此ノ奬勵金
制度ト云フモノハサウ云フ小作地主間ノ關
係ヲ調節スル上ニ於テ意味ノアルコトデア
リマスカラ、是ハ一般會計ノ方デ是非斯ウ
云フ形デ當分存置シテ置イテ戴キタイト思
フノデアリマス、ソレデ一般會計ノ方ノ生
產獎勵金ニ付キマシテハ、政府ノ方ニ於テ
相當シツカリシタ財源ノ目當ガ付イテ居ル
コトヲ私共モ伺ツテ居ルノデアリマス、サ
ウ一朝一夕ニ消エテシマフモノデハナイト
思フノデアリマス、是ガ若シ變ルト致シマ
スレバ、或ハ特別會計ノ方デ負擔致シマシ
テデモ、ヤハリ奬勵金制度ヲ使フト云フコ
トガ現在ノ小作地主ノ關係カラシマシテ適
當ヂヤナイカト思フノデアリマス、何レニ
シマシテモ生產奬勵金ノ現狀ニ卽シマスル
ト生產費ハ寧ロ四十五圓ト見ル方ガ宜イト、
斯ウ思フノデアリマス、之ヲ法律ノ上ニド
ウ現ハスカト云フコトニナルト、是ハマア
此ノ形式デ御協賛ヲ願ヒ勅令等ノ制定、或
ハ實施ノ上ニ於キマシテ其ノ點ハ十分手落
ノナイヤウニ行ク、斯ウ云フ風ニ思フノデ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00819420202&spkNum=15
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016・高田耘平
○高田委員 大體ソンナ御說明ダト思ツテ
居マシタガ何ダカハツキリシナイ、要スル
ニ法律デハ買入價格デ決メテ置イテ、實際
ハ五圓引イタ價格ト云フノデスカラ、何ト
カ法律ト豫算ガ合體シテ分リ宜クナルヤウ
ニ方法ガアツタラシテ貰ヒタイト思ヒマス、
奬勵金ハ一石五圓ハ一般會計ニナツテ居ル
ノデナクナル時ガアツタラ本當ニ法律ガ發
動シテモ生產費通リデ買ハナケレバナラヌ
ト云フコトニナルノデスカラ其ノ點ハ出來
ルナラバ法律カ勅令デ書イタ方ガ疑問ガナ
クナルト思ヒマスカラ、此ノ點ヲ申上ゲテ
置キマス
最後ニ簡單ニ申上ゲマスガ、此ノ間平野
君カラ共同作業ノ問題ニ付テエライ議論ガ
アツタ、其ノ點モ私ハ御尤モニ思フ、ソレ
デモウ一ツ心配スルノハ共同作業ト云フノ
ハ帝國農會アタリハ頻リニ共同作業、共同
作業ト言ツテ居ルガ、私モ共同作業ハ種類
ニ依ツテハ宜イト思ヒマスヨ、脫穀スルト
カ、或ハ稻扱キヲスルトカ云フヤウナコト
ハ宜イケレドモ、其ノ外ノ田植ヲスルトカ、
草取リヲスルトカ云フ共同作業ヲ御奬勵ニ
ナルコトハ是ハ非常ニ考ヘ物ダ、唯仕事ハ
進ミマス、併シ大勢集マツテドツチカト云
ヘバ粗末ニ仕事ヲスル、三十人ノ人ガ草取
リヲスルト假定スレバ、一番草取ニ丁寧ナ
親切ナ人ノ眞似ヲスレバ宜イガ、成ベク人
ヨリ先ヘ行キタイ、隨テ仕事ガ粗末ニナル、
其ノ後ノ人ハ其ノ眞似ヲスルト云フコトニ
ナル、サウスルト共同作業ノ種類ニ依ツテ
ハ却テ逆ニ減收ヲ來スト思ヒマス、サウ云
フ實例ガアリマス、精農ハ大體共同作業ヲ
嫌ヒマス、自分ノ家族ダケデ草取リ田植ヲ
スル方ガ田ガ良ク出來ル、兎ニ角田植ノ作
業一ツニ依ツテ一割位違フノデアリマス、
ソレヲ田植ノ上手下手ガ一〓ニナツテヤツ
テ居ルノデアリマスカラ、其ノ結果ハ必ズ
收益ニ關係ヲ來シマス、草取リデモ其ノ通
リデス、之ニハエライ罰則ナドガ附イテ居
ルヤウデアリマスガ、是ハ再檢討ヲ願ヒタ
イト思ヒマス、共同作業ト云フト、アレヲ
書イタ人ハ何カ非常ニ良イコトノヤウニ思
ツテ居ラレルガ、是ハ間違ヒマスヨ、多分
是ハ何カノ考へ違ヒデハナイカト私ハ思
フ、共同作業ノ種類ニ依ツテハ良イガ、種
類ニ依ツテハ非常ニ減收ヲ來スカラ御注意
ヲ願ヒタイ
モウ一ツ申上ゲテ置キタイコトハ、大臣
ハ餘リ農民ノコトヲ褒メ過ギル、平野君モ
サウ仰シヤツタヤウニ思フガ、私モサウ云
フ感ジガスル、農民諸君、臨時諸君マデハ
宜イ、感謝ニ堪ヘナイマデハ宜イガ、非常
ニヨク働イテ居ルヤウニ仰シヤル、私共ハ
實ハ農民ノ組ダ、所ガ何モシマセヌヨ、コ
ンナコトヲアナタニ褒メラレルカラ、アナ
タノ話ヲ聽ク每ニ恐縮セザルヲ得ナイ私
モ田地ヲ作ルコトガ出來ナイデ、人ニ作ラ
シテ小作料ヲ貰ツテ食ツテ居ル、ソレモ政
府ガ一石五圓拂ツタモノヲ貰ツテ食ツテ居
ル、洵ニ濟マナイ話デ、農民證君、感謝ニ
堪ヘナイナドト言ハレルト益〓穴ニ入リタク
ナル、是ハ私デスケレドモ、併シ實際ヲ言
フト、本當ニ極メテ眞面目ニ農業ニ從事シ
テ居ル人ハ澤山居リマスケレドモ、一番怠
ツテ居ルノハ地主階級ダト思ヒマス、地主
階級ニモ理解者ガアツテ食糧增產ニ邁進シ
テ、田舍デ努メテ居ル人ハ相當アリマスケ
レドモ、併シナガラ土地ヲ離レテ東京ニ來
タリ、或ハ私ノ方ナラ宇都宮ニ來タリ、新
潟縣アタリニ豪壯ナ邸宅ヲ構ヘタリシテ居
ツテ、唯小作料ヲ取ルダケニ農村ニ歸ル、
或ハ管理人ヲ置イテ小作料ヲ取ツテ居ル、
是ハ少シモ增產ニハ協力シマセヌヨ、ソユ
ヘ持ツテ行ツテ農民諸君ト云フノハ、地主
ヲ言フノデハアリマスマイガ、大臣ノ言フ
ノハソレモ含マレテ居ルヤウニ思ヒマスカ
ラ、其ノ點ニ於テ、農民ノ中ニハ良イモノ
モアルガ、地主ノ中ニハ惡イモノモ居ルト
云フコトヲ知ツテ戴キタイ、ソレデ是カラ
ノ御演說ノ方針モ、感謝シテモ宜イガ、感
謝シナイデ宜イモノモ居ルト云フコトデ、
努メテ其ノ意味デ御話願ヲヒタイ是カラハ
サウ云フ風ニ御願ヒヲ致シマス、餘リ感謝
感謝ト怠ケ者マデ褒メルヤウナ言葉ハ控ヘ
テ戴キタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00819420202&spkNum=16
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017・三善信房
○三善委員 各委員カラモマダ質疑ガアル
ヤウデアリマスガ、便宜上私カラ政府ノ
御意見ヲ伺フコトニ致シタイト思ヒマス、
第一點ハ中央ニ食糧營團、地方ニ食糧營團
ガ設立サレルノデアリマスルガ、此ノ構成
員トシテ中央ニモ地方ニモソレ〓〓產業組
合ノ出資ヲ認メラレルカドウカ、ソレガ第
一デアリマス、次ニハ農村ニ於ケル米麥ノ
配給ハ、配給所ヲ設置セラルルヨリモ、寧
ロ產業組合ヲシテ配給セシムルコトガ便利
ト思ヒマスガ、之ニ對シマシテ政府ハ此ノ農
村配給ニ對シテドウ云フ所信ヲ持ツテ居ラ
レルノデアルカ、先ヅ其ノ點ヲ御伺ヒ致シ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00819420202&spkNum=17
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018・湯河元威
○湯河政府委員 營團ノ出資者ト致シマシ
テ產業組合ヲ認メルカドウカト云フ點デゴ
ザイマスガ、是ハ中央營團ニ於キマシテモ、
地方營團ニ於キマシテモ、ヤハリ產業組合
ノ關係ガ深イノデアリマシテ、是ハ出資ヲ
サセタ方ガ宜イト思ツテ居リマス、中央ニ
於キマシテハ現ニ日本米穀株式會社ノ資本
金ハ一部產業組合系統デ持ツテ居リマス、
デゴザイマスカラ是等ノモノハ中央營團ニ
其ノ儘吸收サレルコトニ相成ルノデアリマ
ス、地方ニ於キマシテハ是ハ地方營團ノ性
質上、寧ロ道府縣聯合會ガ之ニ出資スルコ
トガ適當デハナイカト思ツテ居リマス、尙
ホ此ノ點ニ付キマシテハ產業組合ノ關係者
ハ篤ト相談致シタイト思ヒマス、第二ハ農
村ノ米麥配給ノ關係ニ付キマシテハ配給
所ヲ設ケルヨリモ產業組合ヲシテ當ラシメタ
方ガ宜クハナイカト云フヤウナコトデゴザ
イマスガ、是ハ每々御答ヘヲ致シテ居リマ
スヤウニ、其ノ地方ノ實情ニ應ジマシテ產
業組合ヲシテ當ラシメルコトガ適當ノ場合
ニハ產業組合ヲシテ配給セシメタイト思ツ
テ居リマス、但シ農村ノ實情カラ致シマシ
テモヤハリ從來ノ配給擔當者ガソレ〓〓ア
ルモノモアリマスカラ是等ノ人達ノ從來ノ
業績ト云フカ、仕事振リ等モ十分考ヘ合ハ
セマシテ適當ナル措置ヲ執リタイト思ヒマ
ス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00819420202&spkNum=18
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019・三善信房
○三善委員長 モウ一點御尋ネ致シマス、
米穀檢査手數料ハ國庫ニテ負擔スベキデハ
ナイカト云フ、先般委員ノ質問ニ對シマシ
テ、政府ノ御答辯ハ檢査手數料ハ生產費ノ
中ニ含マツテ居ルノデアルカラ、此ノ際手
數料ヲ取ルコトハ別ニ矛盾ハナイト云フヤ
ウナ御意見ノヤウデアリマス、併シナガラ
檢査手數料ニ付テ考ヘテ見マスト、或ハ
米ニ對シテハ一俵五錢五厘、小麥、稞麥等
ニ對シマシテハ三錢五厘、大麥ガ三錢ト斯
ウ僅カノ手數料ヲ取リマスコトハ其ノ手
數料ヲ取ル上ニ付キマシテモ非常ニ煩瑣デ
アリマスノデ、是ハ今後生產費及ビ其ノ他
物價事情等ヲ參酌シテ、買入價格ヲ決メラ
レル場合ニ適當ニ考慮セラレテ、檢査手數
料ハ政府ニテ負擔セラレルト云フ方途ヲ講
ゼラレルコトガ、生產者トシテハ非常ニ便
利デモアルシ、其ノ方ガ適當デハナイカ、
斯ウ考ヘマスノデ、此ノ點ニ對シテ將來ノ
考ヘヲ御伺ヒ致シテ見タイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00819420202&spkNum=19
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020・湯河元威
○湯河政府委員 檢査手數料ノ問題ハ、此
ノ前ノ農產物檢査法ノ御審議ノ際以來色々
御議論ヲ承ツテ居リマス、又只今御指摘ノ
ゴザイマシタヤウニ、實際小額ノ金ヲ一々
手數料トシテ取リマスコトハ、可ナリ瑣瑣
デモゴザイマス、只今ノ買入價格ノ中ニハ此
ノ檢査手數料ハ認メテアリマスガ、將來此
ノ檢査手數料ノ處置ニ付キマシテハ、或ハ
生產費ノ計算等ノ問題ヲ十分考究致シマス
際ニ、更ニ國庫ニ於テ負擔スルコトガ出來
ルヤウナ方法ヲ考ヘルト云フコトニ付キマ
シテハ、私達ト致シマシテモ、出來ルダケ
十分〓究シテ見タイ、斯ウ思ツテ居リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00819420202&spkNum=20
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021・三善信房
○三善委員長 次ニ肥料ノ一元的配給ト云
フ問題デアリマスガ、現在肥料ノ配給ハ、
或ハ產業組合、或ハ商業組合ト二元的ニ配
給サレテ居リマスガ、農村ノ事情カラ申シ
マスト、二元的ニ配給サルルコトハ、勞力ノ
上カラ申シマシテモ、或ハ之ヲ配分スル點
カラ申シマシテモ、不便非常ニ少クナイノ
デアリマス、唯產業組合ト商業組合トガ從
來ノ配給ノ實績爭ヒカラ、五百六十万戶ノ
農村ニ不便ト不利トヲ來スヤウナコトハ絕
對ニ避ケナケレバナラヌト思ヒマスガ、此
ノ肥料ノ一元的配給ト云フコトニ付キマシ
テ、是ハ農民殆ド總テノ聲ダト思ヒマスカ
ラ、政府ニ於テ之ニ善處セラレタイト思ヒ
マスガ、政府ノ之ニ對スル決意ヲ御聽キシ
タイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00819420202&spkNum=21
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022・岡本實太郎
○岡本政府委員 肥料ノ一元配給ニ付キマ
シテ、其ノ必要ヲ認メルコトハ全然同感デ
アリマシテ、其ノ趣旨ニ於キマシテ從來モ
農林、商工兩次官ノ通牒等ニ依リマシテ指
導ニ努メテ參ツテ居リマス、最近ニ於キマ
シテハ全國ノ中二十五府縣ニ於キマシテ、
何等カノ形ニ於テノ產業組合及ビ商業組合
系統ノ一元配給ノ形ヲ旣ニ取ツテ居リマ
ス例ヘバ道府縣ヲ區域トスル兩團體間ノ
横流シノ方法、或ハ町村ヲ區域トスル兩團
體間ノ橫流シノ方法、或ハ共同配給所ノ設
置等、大體大別シテ四ツノ形ヲ取ツテ居ル
ヤウニ認メラレマスガ、ソレ等ノ形ニ於キ
マシテ、實質上一元配給ニ等シイヤウナ方
法ヲ執リツツアリマス、尙ホ左樣ナ府縣ハ
漸次增加シツツアル傾向ニアリマス、政府
ニ於キマシテモ道府縣ノ實情ニ卽シマシ
テ、一元配給ノ實ヲ擧ゲマスヤウニ、今後
トモ十分ナル努力ヲ致シテ參ル覺悟デゴザ
イマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00819420202&spkNum=22
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023・三善信房
○三善委員長 只今ノ點ニ付キマシテハ、
是ハ農村總テノ聲デアリマスカラ、各府縣
區々デナクシテ、モツト大筋ノ一元的配給
ト云フ根本方針ヲ御決メ下サツテ、其ノ方
針ノ下ニ配給セラレンコトヲ要望シタイト
思ヒマス
次ニハ甘藷、馬鈴薯ノ問題デアリマス
ガ、今囘ノ食糧營〓ハ現在ノ甘藷、馬鈴薯
統制株式會社ハ營團ニ吸收セナイト云フコ
トヲ言ツテ居ラレマス、然ルニ一面ニハ
營團ハ米麥其ノ他甘藷、馬鈴薯ヲ取扱フ、)
斯ウ云フコトヲモ言ハレマスノデ、サウ云フ
コトニナリマスト或ハ會社ハ必要デハナイ
デハナイカト云フコトヲ考ヘラレマスシ、
一面又吸收セナイトモ言ハレマスカラ、會
社ハ存置セラルルヤウニモ聞エルノデアリ
マスガ、此ノ點ハ明瞭ニサレタイト思ヒマ
ス、尙ホ甘藷、馬鈴薯等ノ業務用又ハ家庭
用ノ副食物トシテ食ベマスモノニ對シテ
ハ、現在ノ通リ市場ヲ通シテ行カレルノデ
アルカドウカト云フ點デアリマス、尙ホ政
府ガ買上ゲントスル所ノ鹽干魚類及ビ冷凍
魚類、或ハ漬物等、所謂貯藏ノ目的ヲ以テ
政府ガ買上グル場合ニハ中央市場ヲ通シテ
買ハレルノデアルカ、生產者カラ直接買ハ
レルノデアルカ、此ノ點ヲ一括シテ政府ノ
御答辯ヲ願ヒタイト思ヒマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00819420202&spkNum=23
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024・湯河元威
○湯河政府委員 日本甘藷馬鈴薯會社ノコ
トニ付キマシテハ、此ノ前申上ゲマシタヤ
ウニ、中央營團ニ統合シナイ考ヘヲ持ツテ
居リマス、日本甘藷馬鈴薯會社ハ甘藷ノ集
荷配給ノ方ニ於キマシテ、獨リ食用ノミナ
ラズ、其ノ他ノ工業用ノ用途ガアリマスル
甘藷、馬鈴薯ノ配給ノ任ニ當ル會社デアリ
マスノデ、中央營團ニ之ヲ吸收スルト云フ
コトヲシナイ方ガ適當ダト思ツテ居リマ
ス、隨テ營團ノ出來マシタ後ニ於テハ營團
ハ此ノ甘藷馬鈴薯會社カラ食用トシテノ配
給用ノ甘藷、馬鈴薯ヲ買フト云フ仕組ニナ
ルノデアリマス、甘藷馬鈴薯會社ノサウ云
フ立場ヲ能ク御諒解ヲ願ヒマシテ仕事ヲシ
テ參リタイト考ヘテ居ルノデアリマス、ソ
レカラ甘藷、馬鈴薯ノ配給ニ當リマシテ、
副食物用或ハ業務用ノモノヲ配給スル、之
ニ付テハ市場ヲ通スノカドウカト云フコ
トデゴザイマスガ、差當ツテ此ノ營團ノ扱
ヒマス甘藷、馬鈴薯、所謂食用トシテ綜合
配給スル甘藷、馬鈴薯、此ノ扱ヒニ付キマ
シテハ、現ニ東京デ取扱ツタ例ガゴザイマ
ス、甘藷馬鈴薯會社ヨリ營團ガ直接買ヒマ
シテ、之ヲ配給所ヲ通シテ配給スルコトニ
ナリマスカラ、市場ヲ通スト云フコトハナ
イノデゴザイマス、業務用其ノ他ノ甘藷、
馬鈴薯ノ取扱ニ付キマシテハ、實體ニ能ク
卽シマシテ處置ヲ〓究シテ行キタイト考ヘ
テ居リマス、差當リヤラウトシテ居リマス
綜合配給ノ甘藷、馬鈴薯ニ付キマシテハ、
市場ニ關係ハナイトハツキリ申上ゲマス、
鹽干魚其ノ他ノ貯藏物資ノ買入問題デアリ
マスガ、是ハ大體從來ノ配給機構カラ、之
ヲ買上ゲルト云フ考ヘヲ持ツテ居ルノデア
リマス、例ヘバ罐詰ニハ罐詰ノ共販會社
ガ、鹽干魚ナラ鹽干魚トシテノ公式ノ集荷
配給統制機關ガソレ〓〓ゴザイマスカラ、
ソレカラ中央營團ガ買フト云フ考ヘヲ持ツ
テ居ルノデアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00819420202&spkNum=24
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025・三善信房
○三善委員長 質疑ハ是ニテ全部終了致シ
マシタ、是ヨリ米穀需給調節特別會計法中
改正法律案、木炭需給調節特別會計据置運
轉資本臨時補足ニ關スル法律案、食糧管理
法案、右三案ヲ一括シテ議題トナシ討論ニ
入リマス-岩瀨亮君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00819420202&spkNum=25
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026・岩瀬亮
○岩瀨委員 私ハ翼贊議員同盟ヲ代表シ
テ、米穀管理法案外二件ニ付キ贊成致スモ
ノデゴザイマス、戰時下ニ於テ主要食糧ノ
國家管理制度ヲ整備强化シ、國民〓糧ノ確
保ト國民經濟ノ安定ヲ圖ラネバナリマセヌ
コトハ、申スマデモナイノデアリマス、
政府ハ〓糧營〓ヲ創設セシメ、主要食糧ノ
綜合配給ニ關スル事業ヲナサシメルコトニ
ナツテ居リマスルガ、是ガ機構、是ガ運營
ニ當リマシテハ萬遺憾ナキヲ期セネバナ
ラヌノデアリマス、尙ホ主要〓糧ハ內外地
ニ於テ自給自足ヲ原則トセラルル旨判明致
シマシタコトハ、大イニ意ヲ强ウスル次第
デアリマスガ、現行ノ米穀事情ヨリ稽ヘ、
生產ノ確保ニ對シ農家ニ於テ必要トスル生
產資材ニ付キマシテハ、出來得ル限リ是ガ
供給ニ努メ、生產ニ支障ナキヤウニ致スベ
キデアリマフ、又生產物ノ價格ニ付キマシ
テハ、絕對ニ生產費ヲ低下セシメザルノミ
ナラズ、十分ニ農民ノ勞ニ報イルダケノ價
格トシ、以テ農村ガ安ンジテ生產ニ從事シ
得ルヤウ致サネバナラヌノデアリマス、以
上希望ヲ申上ゲマシテ三案ニ贊成致スモノ
デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00819420202&spkNum=26
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027・三善信房
○三善委員長 森幸太郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00819420202&spkNum=27
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028・森幸太郎
○森(幸)委員 私ハ同交會ヲ代表致シマシ
テ、食糧管理法案外二法案ニ對シテ原案ニ
贊成ノ意ヲ表スルモノデアリマス、此ノ際
二、三ノ希望ヲ申上ゲタイト思フノデアリ
マンク。ソレハ先般來ノ委員ト政府トノ應答
ニ依リマシテ、政府ノ此ノ法案執行ニ對ス
ル處置ニ對シテ、大體ノ諒解ヲ得タノデア
リマスガ、其ノ政府ノ執行サレル上ニ於キ
マシテ、尙ホ一一、三希望ヲ附ケ加ヘタイト
存ジマス
第一ハ檢査ノ執行ニ當リマシテ、政府ノ
買上ゲノ趣旨ニ則リマシテ、其ノ檢査ノ方
法ヲ出來得ルダケ簡易化セシメ、サウシテ
妥當ナル檢査法デアラシメタイト思フノデ
アリマス、成ベク等級ノ如キモノモ之ヲ整
理セラレテ、簡單ニ檢査ヲ執行シ得ルヤウ
ニ致サレタイノデアリマス、尙ホ從來ノ地
方檢査員トノ相剋摩擦ノ起ラナイヤウ、又
檢査員ガ官僚化セナイヤウニ特ニ注意ヲセ
ラレタイト思フノデアリマス、又政府ノ御
方針トハ誤ツタ處置デハアリマスルガ、現
在地主ノ自家用保有米ニ對スル小作料ノ檢
査ガ成規ノ手續ニ依ル二重俵ノ檢査或ハ叺
入リノ檢査ヲ執行サレテ居ルノデアリマ
ス、是ハ物資ノ上カラ申シマシテモ、又生
產者ノ手數ノ上カラ見マシテモ、洵ニ迷惑
ナコトデアリマシテ、政府ノ方針ハ、此ノ
檢査ヲ簡略シ得ルノ途ヲ考ヘテ居ラレルニ
モ拘ラズ、地方ニ於キマシテハ、尙ホ其ノ
政府ノ趣旨ノ徹底ヲ缺イテ居ル向ガアリマ
ス、此ノ點ハ十分ニ地方ニ對シテ御注意ヲ
願ツテ、生產者ノ迷惑ノ掛カラナイヤウニ
シテ戴キタイコトヲ特ニ希望スル次第デア
リマス
次ニ外地米依存脫却ト云フ意味ニ於テ、
內外地ヲ通ジテ自給自足ノ方策ヲ政府ハ持
ツテ居ラレルノデアリマス、此ノ點ニ付キ
マシテハ過般政府ト其ノ所信ヲ異ニ致シマ
シテ意見ノ交換ヲ致シタノデアリマスガ、
政府ノ御計畫ヲ先般承リマシテ、洵ニ妥當
ナコトト考ヘルノデアリマス、唯私ハ政府
ノ此ノ御持チニナツテ居ル計畫ニ付テハ、
ドウカ一ツ責任ヲ持ツテ其ノ實現ヲ圖ラレ
タイコトヲ希望シテ已マナイノデアリマ
ス、又一方總テノ條件ノ惡イ下ニ生產ニ努
力シテ居ル立場カラ、特ニ地力ノ維持囘
復、寧ロ地力ノ減退致シテ居リマス今日ノ內
地ノ農地ニ對シテ、地力ヲ囘復スルト云フ
コトニ諸般ノ施設ヲシテ戴キタイト思フノ
デアリマス、此ノ地力囘復、維持ニ對シマ
シテハ色々ノ施策ガアリマスルガ、特ニ有
畜農業ノ奬勵或ハ堆肥ノ奬勵ト云フヤウナ
方面ニ特ニ力ヲ盡サレマシテ、折角此ノ增
產ノ一路ヲ辿ルヤウニ奬勵サレンコトヲ希
望致ス次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00819420202&spkNum=28
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029・三善信房
○三善委員長 野溝君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00819420202&spkNum=29
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030・野溝勝
○野溝委員 私ハ第一控室ヲ代表シマシテ
食糧管理法案外二件ノ案ニ對シマシテ贊成
ノ意思ヲ表スル者デゴザイマス、贊成ノ意
思ヲ表スルニ當リマシテ、二、三所見ヲ申
上ゲ、希望ヲ附シテ政府ノ一層ノ御配慮ヲ
願ヒタイト思フ者デアリマス、旣ニ米穀ニ
付テハ本法案ノ內容ヲ見マスルト、大體ニ
於テ專賣制ニ向ツテ居ルヤウニ思ヒマス、
又小麥、雜穀及ビ甘藷、馬鈴薯、干麵、干
ㄱパン」等ニ對シマシテハ、配給統制ノ强化
ガ裏付ケヲシテ居ルヤウニ思ヒマス、尙ホ
裏付ケテ居ルバカリデナク、之ヲ法文化シ
タヤウニ思ヒマス、今マデ物資別ニ行ツテ
來マシタ統制ヲ一元化シマシテ、之ヲ綜合
公平第一主義ニ依ラントスル所ニ狙ヒ所ガ
アルト思ヒマスノデ、其ノ內容ニ付テ私共ハ
贊成ヲシマス、具體的ニ之ヲ申上ゲマスト、
本法案ノ狙ヒ所ノ內容ハ、一、食糧管理ノ
强化、綜合配給制ノ確立ト消費規正、
次ニ、一、非常時用食糧ノ貯藏、米穀
關係法規ノ整備ト云フヤウナコトガ本案ノ
內容ト存ジマス、戰時下ノ緊急處理ト致シ
マシテハ洵ニ妥當性アルモノト思ヒマシテ
贊成ヲスルノデアリマスガ、併シ唯織込ン
ダト云フダケデハ、何等此ノ內容ヲ徹底シ、
ソレヲ生カシ其ノ目的完遂ト云フコトハ出
來ナイト思ヒマス、デアリマスカラ私ハ其
ノ精神內容ニハ贊成ヲスルノデアリマスガ、
其ノ內容ヲ愈〓貫貫スル場合ニ於テ、左ノ希
望意見ヲ申上ゲ以テ內容運營ノ際ニ能ク考
慮ヲ願ヒタイト思フノデアリマス
第一ハ同志諸君ニ依リマシテモ主張サ
レテ居リマス通リ、何ト致シマシテモ目的
ヲ達スルニハ物ガ對象トナルノデアリマス、
物ノナイ所ニ幾ラ案ヲ立テマシテモ、ソレ
コソ「デスク·プラン」デアリマシテ、其ノ
「プラン」ト云フモノハ何等生キテ來マセ
又、要ハ物デアリマス、其ノ物ノ存在ヲド
ウ云フヤウニスルカ、又物ノ存在ヲドノ程
度ニ殖ヤスカト云フコトニ依ツテ本案ガ生
キテ來ルト思フノデアリマス、デアリマス
カラ物ヲ存在セシムル、アラシメル、造ラ
シメルト云フコトガ主ナル「ポイント」デナ
クテハナラヌ、ソレニハドウモ、生產計畫
ニ付キマシテハ生產統制令ナド色々出來テ
居リマスガ、物ヲ作ル所ノ生產、農民ニ對
スル期待ト云ヒマセウカ關心ト云ヒマセウ
カ、其ノ點ガ非常ニ缺ケテ居ルヤウニ思フノ
デアリマス、特ニ米麥ノ生產費ノ問題ニ致シ
マシテモ、木炭ノ生產費ノ問題ニ致シマシテ
モ、或ハ甘薯ノ生產費ノ問題ニ致シマシテ
モ、依然トシテ戰爭前ノ物價指數生產費指
數ト云フモノヲ基本ニシテ居ルノデアリマ
シテ、其ノ後ニ於ケル物價ノ昂騰ニ依ル生
產費指數ト云フモノヲ見テ居ラヌヤウニ思
ヒマス、其ノ點ガ最モ私ノ遺憾トスル點デ
アリマシテ、斯フ云フ點ニ付キマシテハ十分
御配慮ヲ願ヒタイト思ヒマス
第二ノ希望意見ト致シマシテハ、農地制度
ノ改革デアリマス、色々ト食糧增產ニ對スル
御所見ヲ拜聽シタノデアリマスガ、科學的
經營ニ依ル所ノ增產計畫ト云フ點ニ付テ政
府當局ハ考ヘテ居ラヌヤウニ私ハ思ヒマス、
是ハ洵ニ遺憾デアリマス、病蟲害ノ驅除デ
アルトカ、或ハ耕種改善デアルトカ、色々
ナ施設、今囘ノ農林省豫算ヲ見マシテモ、
增產ニ關スル色々ナ施設ガ織込マレテ居リ
マスガ、モツト科學的デアリ集約的農業經
營ヲサセルコトガ絕對ニ必要デアリマス、其
ノ科學性ノ農業經營ニ依ツテ農村ノ勞力ハ
非常ニ減ラスコトガ出來マス、ソコデ其ノ
餘剩勞力ヲ以テ軍需工業ノ生產ノ方ヘ力ヲ
向ケルト云フコトガ宜イノデアリマシテ、
現在ノ制度內容ニ於テ農村勞力ノ餘剩ヲ餘
所ヘ向ケルコトハ中々困難デアリマス、サ
ウ云フ點デドウシテモ農地制度ヲ改革シテ、
農業ノ科學化ヲ圖ツテ、ソレニ依ツテ農
民ニ希望ヲ持タセテ增產運動ニ眞一文字ニ
邁進サセルト云フコトニ御配慮ヲ願ヒタイ
ト思ヒマス
第三點ハ有畜農業ノ普及徹底デアリマス、
金肥ニ付キマシテハ存分ニ行キマセヌ、ソ
レドコロカ加里肥料ニ付テハ數万「トン」位
デ、實際情ナイ狀態デアリマス、併シ是モ
致シ方アリマセヌ、シテ見ルト、金肥ニ代
ハルベキ肥料ハドウスルカト云フト、ドウ
シテモ有畜農業ニ依ル自給肥料ニ依ツテ之
ヲ補フ以外ニハナイノデアリマス、自給肥
料ハ特ニ地力ヲ維持スル上ニ於テ最モ宜イ
ノデアリマス、併シ此ノ自給肥料ヲ增產ス
ル上ニ於キマシテハドウシテモ有畜農業デ
ナケレバナラナイノデスガ、是ハ飼料トノ關
聯ニ於テ相當困難ナ問題ガソコニ生起シテ
來ルノデアリマス、併シ是モヤリヤウニ
依ツテハ私ハ解決スルコトガ出來ルト思フ、
過般農林大臣官邸ニ於テ生產農民ノ篤農家
懇談會ガ開催サレタ、其ノ當時ニ於ケル出
席者ノ意見ヲ聽キマスルト、殆ドロヲ揃ヘ
タヤウニ其ノ效果ヲ擧ゲタ原因ガ皆有畜
農業ニアルト云フコトハ、恐ラク大臣モ次
官モ御諒承ノコトト思ヒマス、如何ニ此ノ
有畜農業ガ戰時下ニ於ケル生產ニ大キナ役
割ヲ占メテ居ルカト云フコトハ、此ノ一點
ニ於テモ雄辯ニ物語ツテ居ルノデアリマス
カラ、是非此ノ點ハ徹底的ナル普及ト、サ
ウシテ此ノ施設ニ對シマシテハ十分ナル御
配慮ヲ願ヒタイト存ズルノデアリマス
第四點ニ於キマシテハ、先程三善委員長
カラ申サレマシタカラ省略致シマスガ、肥
料配給ニ對スル一元化ノ問題デアリマス、
此ノ問題ニ付キマシテハ、唯地方ノ產業組
合ト商業組合トガ旨クヤツテ居ルトカ云フ
コトデナイ、ソレハ旨クヤツテ居ルカモ知
レマセヌケレドモ、產業組合ガ商業組合ニ
讓ル場合ニハ手數料ノ天刎ネヲシテ居ル、
又商業組合ガ產業組合ニ讓ル場合ニハ是亦
手數料ヲ天刎ネシテ居ル、手數料ノ中間搾
取ヲヤラレタノデハ農民ハウダツガ上リマ
セヌ、デアリマスカラ幾ラ一元化ヲサレマ
シテモ、要ハ手數料ノ點ヲ無視シタ一元化
ト云フコトハ意味ヲ成サナイ、吾々ガ肥料
配給ノ一元化ヲ要求シマスルノハ、成ベク
肥料ガ速カニ手ニ屆クト云フコトヲ要求ス
ルト同時ニ、手數料ト云フヤウナモノモ成
ベク少クサシタイト云フ所ニ私ノ一元化精
神ガアルノデアリマスカラ、唯肥料配給ノ機
構ノ一元化ヲサレマシテモ「ナンセンス」デ
アリマス、要ハ唯其ノ二ツノ意味ヲ織込ン
デノ一元化ト云フコトヲ要望スルモノデア
リマス
第五點ニ於キマシテハ生鮮〓糧配給機構
ノ整備刷新ヲ期セラレタイ、是ハ昨日來同
僚淺沼君等々カラモ要望サレテ居リマシ
タ、ドウカ一ツ生鮮〓糧配給機構ニ付テハ
十分ナ御斡旋ヲ願ヒタイト思ヒマス、仲買
人ヲ廢メサセテ他ノ組合ヲ作ラシテ見タ所
デ、ヤハリ仲買人ト同ジヤウナ手數料ヲ取
リ、仲買人ガ其ノ機構ノ中ニ入ツテ行クヤ
ウデハ意味ヲナサヌ、此ノ點ハ私ハ近ク出
來ル所ノ木材統制會社ニ付テ見テモ、生鮮
食糧ト同ジヤウナ機構ガ出來ルヤウニ聞イ
テ居ル、斯ウ云フ點ハ十分ニ注意シテ戴キ
タイト思フノデアリマス
最後ニ米ノ配給ニ對シテ御願ヒシテ置キ
マスガ、是ハ重點主義ヲ强化シテ戴キタイ
ト思ヒマス、今日デモ吾々成人ニ對シテハ二
合三勺割當ヲ受ケテ居リマスガ、勞務者ニ
對シテハ少シ區別ヲサレテ居リマス、併シ
今ノヤウナ區別ノ程度デハ實際勞務者トシ
テハ增產ニ力ヲ注グコトハ無理デアリマス、
特ニ山間ニ於ケル木炭勞働者ノ生活狀況ナ
ドハ實ニ憐レデアリマス、木炭生產者ナド
ハ殆ド耕作シテ居リマセヌ、皆買食ヒデア
リマス、特ニ木炭ヲ生產スルヤウナ場所ハ
山地デアリマシテ、其ノ部落デハ殆ド水田
ヲ經營シテ居ラナイ、勢ヒ町ニ下ルトカ他
所ヘ行クトカ云フコトニ依ツテ其ノ不足分
ヲ補フ、勿論村ニ於ケル配給切符ハ戴キマ
スカラ、ソレハ一定數量ダケハ貰ヘマスケ
レドモ、迚モソレダケデハ腹ガ減ツテドウ
スルコトモ出來ナイノデアリマス、サウ云
フ人々ニ對シマシテハ此ノ際何トカ配給ノ
數量ニ對シテ今少シク割當テヲ增加シテ貫
フヤウニ重點的ニ配給ヲ强化シテ戴キタ
イ、私ハ以上ノ希望ヲ申上ゲマシテ三案ニ
對シテ贊成ノ意思ヲ表スル者デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00819420202&spkNum=30
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031・三善信房
○三善委員長 松本治一郞君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00819420202&spkNum=31
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032・松本治一郎
○松本(治)委員 私ハ興亞議員同盟ヲ代表
致シマシテ、政府提出ノ食糧管理法案外二案
ニ付テ希望意見ヲ簡單ニ述ベマシテ、右三
案ニ對シテ贊成ノ意ヲ表セントスルノデア
リマス、抑〓〓糧問題タルヤ、直チニ國民ノ
體力ニ關係ヲ持ツモノデアリ、國民ノ體力
ノ强弱ハ又各種ノ生產力ニ響クモノデアリ
マス、生產力ノ消長ハ國力及ビ戰力ニ至大
ナル關係ヲ有スルモノデアツテ、現下我ガ
國ハ大東亞戰爭ノ完遂ニ邁進シテ居ル、而
モ長期戰ヲ覺悟シナケレバナラナイ、其ノ
長期戰ニ對應スル時ニハ殊更ニ食糧ノ問題
ガ緊要事中ノ最大緊要事デアリマスコトハ
論ヲ俟タナイ所デアリマシテ、此ノ食糧問
題ノ運營ノ如何ハ大東亞戰爭ノ成否ニモ係
ハル重大事ナルガ故ニ、數日ノ長キニ亙ツ
テ各委員ヨリ熱心ナル質問竝ニ注意、要望
等モアツタノデアリマス、故ニ政府當局ハ
運營ノ上ニ十分ナル熱意ト周到ナル注意ヲ
拂ツテ、責任ヲ持ツテ善處セラレルコトト
思ヒマスカラ、時局柄賛意ヲ表スル者デア
リマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00819420202&spkNum=32
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033・三善信房
○三善委員長 討論ハ是ニテ終了致シマシ
タ、直チニ採決ヲ致シマス、右三案ニ付キ
贊成ノ諸君ノ起立ヲ求メマス
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00819420202&spkNum=33
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034・三善信房
○三善委員長 起立總員
〔拍手起ル〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00819420202&spkNum=34
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035・三善信房
○三善委員長 仍テ原案通リ可決サレマシ
タ-尙ホ此ノ際申上ゲテ置キマス、本委
bc員會ニ付託サレマシタ貴族院送付ノ獸醫師
法第二條ノ臨時特例ニ關スル法律案、明治
四十五年法律第二十一號中改正法律案、右
二案ノ審議ノ日程ハ公報ヲ以テ通知致シマ
ス、本日ハ是ニテ散會致シマス
午後零時三十分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913114X00819420202&spkNum=35
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