1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和十七年一月二十九日(木曜日)
午後一時二十二分開議
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議事日程 第六號
昭和十七年一月二十九日
午後一時開議
第一 恩給法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第二 兵役法及共通法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第三 退役將校の豫備役復歸に關する法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第四 國家總動員法第十八條の規定に依る法人等をして行政官廳の職權を行はしむることに關する法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第五 北支那開發株式會社法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第六 中支那振興株式會社法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第七 日本勸業銀行法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第八 農工銀行法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第九 北海道拓殖銀行法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第十 國民貯蓄組合法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第十一 税務代理士法案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第十二 社債等登録法案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第十三 簡易生命保險法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第十四 陸軍刑法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第十五 陸軍軍法會議法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第十六 海軍刑法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第十七 海軍軍法會議法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第十八 船舶保護法中改正法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第十九 小形船舶乘組員手帳法案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第二十 獸醫師法第二條の臨時特例に關する法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
第二十一 明治四十五年法律第二十一號中改正法律案(臘虎膃肭獸獵獲禁止に關する件)(政府提出、貴族院送付) 第一讀會
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〔左の報告は朗讀を經さるも參照の爲茲に掲載す〕
一議員より提出せられたる議案左の如し
治水利水政策の確立に關する建議案
提出者
俵孫一君 小泉又次郎君
岡田忠彦君 小山谷藏君
植原悦二郎君 木檜三四郎君
中井一夫君 堀内良平君
田中好君
(以上一月二十七日提出)
一去二十七日議長に於て辭任を許可したる常任委員左の如し
第二部選出豫算委員 大本貞太郎君
第八部選出豫算委員 平川松太郎君
第六部選出決算委員 則元卯太郎君
第七部選出決算委員 福井甚三君
第三部選出請願委員 小野寅吉君
一去二十七日特別委員理事補闕選擧の結果左の如し
米穀需給調節特別會計法中改正法律案(政府提出)委員
理事 古田喜三太君(委員 岡田喜久治君去二十六日理事辭任に付其の補闕)
一去二十七日に於ける特別委員の異動左の如し
米穀需給調節特別會計法中改正法律案(政府提出)委員
辭任山口忠五郎君 補闕田代正治君
南方開發金庫法案(政府提出)委員
辭任大野伴睦君 補闕服部岩吉君
日本銀行法案(政府提出)外二件委員
辭任 大本貞太郎君 補闕 横川重次君
辭任 崎山嗣朝君 補闕 簡牛凡夫君
辭任 手代木隆吉君 補闕 喜多壯一郎君
所得税法中改正法律案(政府提出)外十七件委員
辭任 眞鍋儀十君 補闕 豐田豐吉君
兵器等製造事業特別助成法案(政府提出)委員
辭任 高橋壽太郎君 補闕 眞鍋儀十君
郵便法中改正法律案(政府提出)外三件委員
辭任 則元卯太郎君 補闕 山田六郎君
一昨二十八日常任委員補闕選擧の結果左の如し
第二部選出
豫算委員 山本芳治君(大本貞太郎君補闕)
第三部選出
請願委員 高橋義次君(小野寅吉君補闕)
第六部選出
決算委員 山田六郎君(則元卯太郎君補闕)
第七部選出
決算委員 井上知治君(福井甚三君補闕)
第八部選出
豫算委員 齋藤直橘君(平川松太郎君補闕)
一昨二十八日議長に於て辭任を許可したる常任委員左の如し
第八部選出豫算委員 名川 侃市君
一咋二十八日特別委員理事補闕選擧の結果左の如し
南方開發金庫法案(政府提出)委員
理事 服部岩吉君(理事 大野伴睦君去二十七日委員辭任に付其の補闕)
日本銀行法案(政府提出)外二件委員
理事 横川重次君(理事 大本貞太郎君去二十七日委員辭任に付其の補闕)
一昨二十八日に於ける特別委員の異動左の如し
國民體力法中改正法律案(政府提出)外四件委員
辭任 土屋清三郎君 補闕 三宅正一君
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=0
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001・田子一民
○議長(田子一民君) 是ヨリ會議ヲ開キマ
ス、御諮リ致シマス、昭和十五年法律第六
十九號中改正法律案外三件委員長、米穀需
給調節特別會計法中改正法律案委員長、所
得稅法中改正法律案外十七件委員長、國民
更生金庫法中改正法律案外四件委員長、郵
便法中改正法律案外三件委員長、及ビ國民
體力法中改正法律案外四件委員長ヨリ、本
日本會議中委員會ヲ開キタイトノ申出ガア
リマス、何レモ之ヲ許可スルニ御異議アリ
マセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=1
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002・田子一民
○議長(田子一民君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ之ヲ許可致シマス
議員砂田重政君ヨリ辭表ガ提出セラレマ
シタ、之ニ付キ御諮リ致シタイト思ヒマス、
先ヅ其ノ辭表ヲ朗讀致サセマス
〔書記官朗讀〕
議員辭職願
私儀
一身上ノ都合ニ依リ衆議院議員辭職仕リ
度候間此段及御願候也
昭和十七年一月二十七日
衆議院議員砂田重政
衆議院議長田子一民殿発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=2
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003・田子一民
○議長(田子一民君) 議員辭職願ノ許否
ハ、衆議院規則第百六十八條ニ依リマシテ、
討論ヲ用ヒズシテ決スルノデアリマス、採
決致シマス、砂田重政君ノ辭職ヲ許可スル
ニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=3
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004・田子一民
○議長(田子一民君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ許可スルニ決シマシタ-日程第
一、恩給法中改正法律案ノ第一讀會ヲ開キマ
ス-森山法制局長官
第恩給法中改正法律案(政府提出、
貴族院送付)第一讀會
恩給法中改正法律案
恩給法中左ノ通改正ス
第二十三條第二號中「看守、」ノ下ニ「〓
導、」ヲ加ヘ同條第三號ヲ左ノ如ク改ム
三消防士補、消防機關士補及判任官
ノ待遇ヲ受クル消防手
第二十五條第四號但書ヲ左ノ如ク改ム
但シ左ノ場合ニ於テハ之ヲ轉任ト看做
ス
(イ)巡査又ハ判任官ノ待遇ヲ受クル
消防手警部補、消防士補又ハ消防
機關士補ニ任シタルトキ
(ロ)警部補、消防士補又ハ消防機關
士補巡査又ハ判任官ノ待遇ヲ受ク
ル消防手ニ就職スルトキ
(ハ)看守又ハ〓導副看守長ニ任シタ
ルトキ
(ニ)副看守長看守又ハ〓導ニ就職ス
ルトキ
第二十六條第四號但書ヲ左ノ如ク改ム
但シ警部補、消防士補、消防機關士補
若ハ副看守長他ノ官ニ轉シ又ハ他ノ官
ヨリ警部補、消防士補、消防機關士補
若ハ副看守長ニ轉シタルトキハ之ヲ退
職ト看做ス
第三十二條戰爭又ハ戰爭ニ準スヘキ事
變ニ際シ公務員其ノ職務ヲ以テ戰務ニ
服シタルトキハ其ノ期間ノ一月ニ付三
月以內ヲ加算ス
戰爭又ハ戰爭ニ準スヘキ事變、加算ノ
程度、加算ノ認メラルヘキ期間及地域
竝戰務ノ範圍ハ勅裁ヲ以テ之ヲ定ム
第四十八條第一項第二號中「戰地ニ於テ」
ヲ「勅令ヲ以テ指定スル地域ニ於テ」ニ改
ム
第五十九條ノ二第一項第二號ヲ左ノ如ク
改ム
二前號ニ規定スル場合以外ノ場合ニ
於テ退職前一年內ニ昇給アリタルト
キハ其ノ昇給ノ直前ノ昇給ノ時ヨリ
退職ノ時迄ニ二年以上ヲ經過シタル
場合ニ限リ前號ノ規定ヲ準用ス
第七十二條ニ左ノ一項ヲ加フ
公務員又ハ之ニ準スヘキ者ノ死亡後認
知ノ裁判アリテ公務員又ハ之ニ準スヘ
キ者ノ子トシテ認知セラレタル者ハ第
一項ノ規定ノ適用ニ付テハ公務員又ハ
之ニ準スヘキ者ノ死亡ノ時ヨリ之ト同
一戸籍內ニ在リタルモノト看做ス
第七十四條ノ二第一項ヲ左ノ如ク改ム
第七十二條第三項ノ規定ニ依リ公務員
又ハ之ニ準スヘキ者ノ遺族ト看做サレ
タル者ニ給スル扶助料ハ委託又ハ郵便
ニ依ル戶籍屆出ノ受理ノ日ヨリ、同條
第四項ノ規定ニ依リ公務員又ハ之ニ準
スヘキ者ノ遺族ト看做サレタル者ニ給
スル扶助料ハ認知屆出ノ受理ノ日ヨリ
之ヲ給ス
第七十五條第二項中「前項」ヲ「第一項」ニ
改メ同條第一項ノ次ニ左ノ一項ヲ加フ
公務員カ死亡ノ際二級以上昇級シタル
場合ニ於テ前項第二號又ハ第三號ノ規
定ニ依リ別表第五號表又ハ第六號表ノ
率ヲ乘スヘキトキハ當該公務員ノ死亡
ノ際一級昇級シタルトキ〓スヘキ率ヲ
乘ス
同條ニ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ規定ニ依リ別表第八號表ノ率ヲ
乘シタル金額ヲ加給シタル扶助料年額
カ在職年數及死亡ノ原因同一ニシテ上
位ノ階等ノ公務員又ハ之ニ準スヘキ者
ノ遺族ニ給スヘキ扶助料年額ニ遺族ノ
員數同一ナル場合ノ同表ノ率ヲ乗シタ
ル金額ヲ加給シタル金額ヲ超ユルトキ
ハ其ノ超過額ヲ減シタル金額ヲ以テ其
ノ扶助料年額トス
第九十一條第二項中「關東局職員」ヲ「關
東局部內ノ職員」ニ改ム
別表第五號表ヲ左ノ如ク改ム
第五號表
將官佐官大尉中尉少尉准士官曹長一車曹二伍長三
階等兵曹等兵曹等兵曹陸軍兵陸軍上陸軍一陸軍二
任長等兵等兵等兵
親任奏任判
勅任三等乃六等七等八等一等二等三等四等
至五等九等海軍一海軍二海軍三海軍四
等勅任奏任待遇判任待遇等兵等兵等兵等兵
待遇
割割割割割割割割割割割割割
率三四二六六元三壹元四巨只三三三
別表第六號表ヲ左ノ如ク改ム
第六號表
:-官大尉中尉少尉准士官曹長一軍曹二伍長三
階將官佐等兵曹等等曹等等曹陸軍兵陸軍上陸軍一陸軍二
任長等兵等兵等兵
親任奏任判
勅任三等乃六等七等八等-等二等三等四等
至五等九等海軍一海軍二海軍三海軍四
等勅任奏任待遇判任待遇等兵等兵等兵等兵
待遇
割割割割割割割割割割割割割
率一九·二三〇八三三四二三、三一〇三四八元六四三一·二三三人三四四三六百四三人四八八四·九·
別表第八號表ヲ左ノ如ク改ム
第八號表
階親任奏任判任
遺勅任三等乃至五等六等乃至九等一等二等等四等
三
族等
ノ勅任待遇奏任待遇判任待遇
員
數將官佐官尉官准士官下士官兵
割割割割割割
三人〇·五一·一〇一一〇二·〇二·五二·五
遺族ノ員數三人ヲ超ユル場合ノ率ハ三人ノ場合ノ率ニ三人ヲ超ユル一人ニ付親任勅任ノ
者勅任待遇者及將官ノ者ノ遺族ニ給スヘキ扶助料ニ在リテハ〇·五割、高等官三等乃至五
等ノ者、同待遇者及佐官ノ者ノ遺族ニ給スヘキ扶助料ニ在リテハ〇·七五割、高等官六等以
下ノ者、同待遇考及尉官以下ノ者ノ遺族ニ給スヘキ扶助料ニ在リテハ一·〇割ヲ加ヘタル
率トス
附則計算スル場合ニ於テ其ノ加算年ニ付テ
第一條本法施行ノ期日ハ各規定ニ付勅ハ仍從前ノ例ニ依ル
令ヲ以テ之ヲ定ム本法施行前從前ノ規定ニ依ル戰地ニ於
第二條本法施行前ノ在職ニ付在職年ヲテ流行病ニ罹リタル公務員ニ付テハ仍
從前ノ例ニ依ル
第三條本法施行前給與事由ノ生ジタル
恩給ニ付退職前一年內ノ俸給ノ總額ヲ
計算スル場合ニ於テハ仍從前ノ例ニ依
ル
第四條本法施行ノ際現ニ從前ノ規定ニ
依リ扶助料ヲ受ケ又ハ受クベキ者ニシ
テ本法所定ノ金額ヲ受ケザルモノニハ
當該金額ニ其ノ金額ト本法所定ノ扶助
料ノ金額トノ差額ヲ勅令ノ定ムル所ニ
依リ增給ス
〔政府委員森山銳一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=4
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005・森山鋭一
○政府委員(森山銳一君) 只今議題トナリ
マシタ恩給法中改正法律案ニ付テ提案ノ理
由ヲ御說明申上ゲマス、今囘ノ改正ハ數點
ニ亙ツテ居リマスガ、其ノ第一ノ點ハ、從軍
加算年ノ規定ノ改正デアリマス、現行法ニ於
テハ、戰地ト戰地外トヲ區別シテ、戰地ノ戰
務ノ場合ニアリマシテハ、戰務期間一月ニ付
三月ヲ加算シ、戰地外ノ戰務ノ場合ニアリマ
シテハ、戰務期間一月ニ付一月ヲ加算スルコ
トトナツテ居ルノデアリマスガ、今次大東
亞戰爭ノ實情カラ考ヘマスト、斯カル區別
ヲナス制度ハ必ズシモ適當デハアリマセヌ
ノデ、戰地、戰務ト戰地外戰務トノ區別ヲ
撤廢シ、戰地ト戰地外トヲ問ハズ、戰務ノ
內容ニ應ジテ戰務期間一月ニ付三月以內デ
適當ナル加算ヲ附ケルコトガ出來ルコトト
致シマシタ
改正ノ第二ノ點ハ遺族扶助料ノ增額デア
リマス、戰死者ノ遺族及ビ公務死亡者ノ遺
族ニ給スル扶助料ハ、既ニ昭和十三年ニ增
額ヲナシタノデアリマスガ、現下ノ情勢ニ
鑑ミマスレバ、是等遺族ノ援護ハ更ニ一層
之ヲ厚クスル必要ガアルト認メラレマスノ
デ、一定額以下ノ扶助料ヲ最高約四割程度
增額スルコトト致シマスト共ニ、遺族扶助
料ノ遺族ノ員數ニ因ル加給額ハ、現行法デ
ハ三人以上五人マデハ順次累增シ、六人以
上ハ五人ノ場合ト同額トナツテ居リマスガ、
今囘ハ人口政策ヲモ考慮シマシテ、六人以
上ノ場合ニモ其ノ員數ニ應ジテ扶助料ヲ累
增スルコトト致シマシタ、次ニ別途御協贊
ヲ御願ヒ致シテ居リマス民法中改正法律案
ニ依リマスレバ、父母ガ死亡シタ後デモ、
其ノ子ハ訴ニ依ツテ認知ヲ求メルコトガ出
來ルヤウニナリマスノデ、恩給法モ亦之ニ
照應シテ、公務員ノ死亡後ニ認知ノ裁判ニ
依ツテ其ノ子トシテ認知セラレタル者ヲ遺
族ノ範圍ニ加ヘテ、之ニ扶助料ヲ給スルコ
トガ出來ルヤウニ致シ、又昨年新タニ設ケ
ラレマシタ豫防拘禁所ノ〓導竝ニ消防關係
ノ消防士補及ビ消防機關士補ヲ警察監獄職
員ニ指定スルナドノ爲ニ、二三點改正ヲ要
スルコトトナツタノデアリマス
以上ガ本法律案ヲ提出スルニ至リマシタ
理由デアリマス、何卒御審議ノ上速カニ協
贊ヲ與ヘラレンコトヲ切望致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=5
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006・田子一民
○議長(田子一民君) 質疑ノ通告ガアリマ
ス、之ヲ許シマス-最上政三君
〔最上政三君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=6
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007・最上政三
○最上政三君 私ハ只今上程サレタ政府提
出。恩給法中改正法律案ニ對シテ、數點ノ質
疑ヲ試ミタイト存ズルノデアリマス、先ヅ
第一ハ增加恩給竝ニ傷病年金ニ對シテ、政
府ハ何等カノ考慮ヲ拂ハナカツタカト云フ
點デアリマス、今囘政府ガ提案サレタル恩
給法改正ノ中ニハ、只今說明ノ如ク種々ア
リマス、其ノ主要點ハ、先ヅ戰地竝ニ戰地
外ノ地域ヲ撤廢シタコトデアリマス、ソレ
ニ戰鬪ニ依ツテ亡クナラレタ方ノ遺家族竝
ニ公務ニ依ツテ亡クナラレタ方ノ遺家族ニ
對シ、而モ少額支給者-千圓以下ト記憶
シテ居リマスガ、其ノ少額支給者ノ扶助料
ヲソレ〓〓增額シタコトデアリマス、之三
付テハ現時ノ物價騰貴ニ因ル生活費ノ〓騰
ノ今日、最モ機宜ヲ得タ處置デアルト私ハ
考ヘルノデアリマス、然ラバ更ニ進ンデ政
府ハ戰鬪其ノ他公務ニ依ツテ負傷シテ、不
自由ノ身ニ生活ニ困ツテ居ル所ノ人々ニ支
給スル增加恩給竝ニ傷病年金ニ對シテ、何
等カ考慮ヲ拂ハレナカツタデアリマセウカ、
御承知ノ如ク增加恩給竝ニ傷病年金受給者
ノ中ニハ、他ニ勤務ノ傍ラ是等恩給竝ニ年
金ヲ支給サレテ居ル人モアルノデアリマス、
ソレ等ノ人々ノ生活ハ多少緩和ガ出來マセ
ウガ、最モ身ノ自由ヲ缺ク所ノ受給者ニ於
テハ、サウ云フヤウナ他ニ職ヲ求メテ生活
ノ糧ヲ得ルコトハ出來ナイノデアリマス、
是等ノ人々ニ對スル何等カ政府ハ御考慮ガ
アツタカドウカ、私ハ此ノ點ニ付テ政府ニ
御伺ヒシタイノデアリマス
第二點ハ軍更扶助料ノ問題デアリマス、
日支專變開始以來、我ガ國ニ於ケル軍事保
護事業ハ、各國ノ保護事業ニ比シ、更ニ進
ンデ各種ノ施設ヲ施サレテ居ルコトハ、私
此處デ申上ゲテモ差支ヘナイ點デアルノデ
アリマス、又出征軍人家族ノ軍專扶助料ニ
付テモ、各地方ニ於テ萬遍ナク是ガ支給ヲ
サレテ居ルコトハ、私共大イニ多トスルノ
デアリマス、唯其ノ支給方法ニ付テ、或ハ
地方ニ依ツテハマダ十分デナイカト云フ傾
キモアリマス、又不公平デナイカト云フ虞
モアリマス、併シナガラ私ハ斯ウ云フコト
ヲ此處デ論ジヨウトスル者デハナイ、以上
ノ如ク是等遺家族ニ於テモ、今日生活費ノ
〓騰ニ依ツテ非常ニ困ツテ居ルコトハ事實
デアル、政府ニ於テハ先頃一般官公吏ニ對
シテ、家族手當ヲソレ〓〓增額シタノデア
リマス、從來高等官級ニハ支給サレナカツ
タノヲ、今度改正シテ支給サレルコトニナ
ツタ、又其ノ額モ二圓ガ三圓ニ改正サレタ
コトハ既ニ御承知デアリマセウ、斯ウ云フ
時デアルカラ軍事扶助料ニ對シテモ、何等
カ政府ハ考慮ヲシナイノデアリマセウカ、
更ニ扶助料ノ支給ニ付テモ、各地方ノ狀況
ヲ見ルト、其ノ支給ノ時日ガ遲イヤウデア
リマス、早クテ一箇月、遲キ時ハ本籍地其
ノ他へ照會スルトスレバ、三箇月位ヲ要ス
ルノデアリマス、其ノ間出征家族ハ其ノ生
活ニ非常ナル困難ヲ生ジテ居ルト云フコト
ハ、本員ガ屢〓、耳ニスル所デアルノデアリマ
ス、政府ハ近來各種ノ事業經營ニ對シ、
金庫法案等ヲ制定シテ、各種ノ金融機關ヲ
作ラレテ居ルヤウデアリマスガ、此ノ際進
ンデ軍事扶助料ノ支給ニ對シテ、何等カ金
融機關ノ設置ヲスル御考ヘハナイカ否カニ
付テ御聽キ致シタイノデアリマス、更ニ昨
今事變ノ進展ト共ニ、各地方ニ於テハ白紙
應召者ノ數ガ非常ニ多クナツタノデアリマ
ス、隨テ政府ニ於テハ是等徵用令ニ依ツテ
應召シタ者ノ家族ニシテ生活困難ナル者ニ
對シテハ、本年一月カラ私ハ記憶シテ居リ
マスガ、其ノ生活困難ナル家族ニ、軍事扶
助料ト同ジ方法ヲ以テ扶助スルヤウニ聞及
ンデ居ルノデアリマス、若シ然リトセバ是
等白紙ニ依ル所ノ應召者ノ家族扶助料ノ額
ハドノ位デアルカ、又最近實施セラレテ居
ル狀況等ガ御分リデアツタナラバ、之ニ付
テ詳シク御說明願ヒタイノデアリマス
第三點トシテハ金鵄勳章ノ年金令廢止ノ
問題デアリマス、政府ハ昨年六月勅令七百
二十五號ヲ以テ、從來ノ金鵄勳章年金制度
ヲ廢止致シマシタ、其ノ趣旨ハ畏多イコト
アリマスガ、從來ノ物質的ヨリ離レテ、精神的
ニ是等動功者ヲ御優遇遊バサルル意味ニ於
テ改正サレタカノ如ク、內閣デハ發表サレ
テ居リマス、私ハ恐ラクサウ云フコトト推察
致シマス、之ニ依ツテ、金鵄勳章年金制度ハ廢
止サレタノデアリマスガ、玆ニ御聽キシタ
イノハ、其ノ實施ハ昭和十五年四月二十九
日以後トシテアルノデアリマス、然ラバソレ
以前ニ支給サレ敍動サレタ所ノ金鵄勳章拜
受者ハ、從來ノヤウニ戰死者ハ五年間下賜
サレ、又生存者ハ永久ニ金鵄動章ノ年金ガ
下賜サレルノデアリマセウカ、之ニ付テ御辯
明ヲ願ヒタイノデアリマス、同時ニ聞ク所ニ
依ルト今囘金鵄勳章ノ年金制度ガ廢止サレ
タ結果トシテ、政府ニ於テハ是等敍勳者ニ
對シテハ、一時賜金ヲ下賜サレルヤニ承ル
ノデアリマス、私ハ是等ニ付テ詳シク聽キ
タイトハ申シマセヌ、若シ政府ヨリ差支ヘ
ナイ範圍ニ於テ、行賞ノ範圍等ニ付テ御話
下サレバ御聽キシタイノデアリマス、又此
ノ金鵄勳章ニ依ル一時賜金ハ、一般行賞ニ
依ル一時賜金トハ、別個ノモノト解釋シテ
差支ヘナイノデアリマセウカ、此ノ點ニ付
テ御辯明ヲ願ヒタイノデアリマス
第四點トシテハ恩給制度ノ改革デアルノ
デアリマス、近來世間デハ色々ナル噂ヲ致
シテ居リマス、ソレハ昨年金鵄勳章ノ年金
制度ガ廢止サレタ結果トシテ、又近時豫算
面ヲ見マスト、恩給豫算額ガ非常ニ多クナ
ツタノデアリマス、此ノ儘デハ將來ドウ云
フ風ニナルカ分ラナイト云フ懸念ヲシテ居
ル學者モアルノデアリマス、斯ウ云フ時ニ
偶〓政府ニ於テ昨年末本衆議院調査會ニ發
表サレタ文書ニ付テ見マスト、何等カ之
ニ付テ政府ハ考慮シテ居ルノデハナカラウ
カト云フヤウニモ解釋サレルノデス、衆議
院調査會ニ發表サレタ其ノ說明ノ內容ヲ見
マスト、恩給豫算額ノ累增ニ關スル對策ニ
付テハ、戰爭進捗ノ階段ヲ考慮シテ追ツテ
考慮スル云々ト書イテアルノデアリマス、
唯サヘ世人ハ恩給法ノ大改正ヲスルノデハ
ナカラウカト云フ懸念ノアル今日、政府自
ラサウ云フ意味ノコトヲ衆議院ニ發表シテ
居ラレル以上、恐ラク政府ニ於テハ何等カ
御〓究デモアルト相像スルノデアリマス、然
ラバ政府ノ考究シテ居ル對策ハドウ云フ意
味ノモノデアルカ、私ハ之ニ付テ特ニ明快
ナル御答辯ヲ願ヒタイト思フノデアリマス、
ソレハナゼカト申シマスト、先ニ申ス如ク
恩給廢止ト云フヤウナ聲ガアル今日デアル
カラデス、故ニ政府ノ考ヘテ居ル恩給法改
正ハ、現行恩給法ニ付テ根本的大改正ヲ行
フノカドウカ、又ソレデナクシテ現行法第
五十八條ニ依ル如キ或ル種ノ制限、卽チ年
齡ニ於ケル所ノ停止ノ制限デアルトカ、或
ハ退職後ノ收入如何ニ依ル所ノ停止ノ制限
デアルトカ云フ緩和サレタ改正案デアルカ、
此ノ點ニ付テ御答辯ヲ願ヒタイノデアリマ
ス
第五點トシテハ、私ハ兵役免除後ニ於ケ
ル病死者竝ニ訓練中ニ殉職セル人々ニ對ス
ル優遇案ニ付テデアリマス、實ハ私ハ是等
ノ點ニ付テハ、特ニ最後トシテ詳シク政府
當局ニ御聽キシタイト考ヘタノデアリマス
ガ、偶〓此ノ問題ニ付テハ、他日本議場ニ於
テ吾々同僚カラ改メテ政府ニ質問ヲスルカ、
或ハ政府ニ何等カノ形式ヲ以テ御答ヘヲ願
ヘル機會ガアルト考へマスノデ、是ハ是以
上申上ゲマセヌ、ドウカ以上五點ニ對シテ、
政府ハ出來ルダケ明快ナル御答辯ヲ與ヘラ
レンコトヲ切ニ希望シテ私ノ質疑ヲ終ルノ
デアリマス(拍手)
〔國務大臣東條英機君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=7
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008・東條英機
○國務大臣(真條革機君) 最上君ノ只今ノ
御質問ニ對シテ御答ヘヲ致シマス、尤モ私
ハ細カイ部分ニ付テハ十分記憶シテ居リマ
セヌカラ、私ノ記憶シテ居ル範圍ニ於テ御
答ヘヲ致シマス
增加恩給及ビ傷病恩給ニ何等カノ顧慮ヲ
拂フ意思ナキヤト云フ點デアリマスガ、是
ヨリ先ニ私ハ御禮ヲ申上ゲマス、斯クノ如
ク遺族或ハ傷痍軍人等ニ付キマシテ、非常
ナ御同情ノ下ニ御心配ヲ賜ハリマスルコト
ニ付キマシテハ、洵ニ有難ウゴザイマス、
御禮ヲ申上ゲマス、今ノ點デアリマスガ、
勿論是等ノ點ニ付キマシテモ〓究ハ致シテ
居リマス、併シナガラ今日何ヲ申シマシテ
モ戰爭ニ於テ生命ヲ犧牲ニシタ戰死者、之
ニ重點ヲ置カナケレバナラヌノデアリマス、
今囘ハ本議會ニ於キマシテハ特ニ重點ヲ明
確ニ決メテ、ソレニ對シテ總テノ施策ヲ集
中シテ參リマシタ、此ノ恩給法ノ改正ニ於
キマシテモ取敢ズ戰死者、少クモ是等ノ人
人ニ對シマシテハ、政府ハ十分ナル同情ヲ
持ツテ困ラヌヤウニシテ行キタイト云フ觀
點ニ立ツテ、今囘ノ恩給ノ改正ヲ法律案ト
シテ御願ヒシテ居ルノデアリマス、勿論傷
ツイタ者、隨テ增加恩給ヲ受ケル者ト云フ
點ニ付キマシテモ、政府ハ多大ナル同情ヲ持
ツテ居リマス、隨ヒマシテ是等ノ點ニ付キマ
シテ能ク是等ノ人々ノ狀態ヲ調査致シマシテ、
之ニ對スル對策ハ必要ガアレバ他日講ジテ
行クコトニナラウカト思ヒマス、目下〓究
中デアリマス、尙ホ此際附加ヘテ置キマス
ガ、是等ノ傷病者ノ病氣ニ對スル手當、或
ハ是ノ更生ノ爲ノ色々ノ處置ト云フ點ニ付
キマシテハ、政府ト致シマシテハ遺憾ナイ
處置ヲ目下講ジツツアリマス
次ハ軍事扶助料ノ支給ニ付テ政府ハ考ヘ
ヲ持ツテ居ラヌノカト云フ風ナ御尋ネノヤ
ウニ狂聽致シマシタ、軍事扶助料ノ色々支
給方法等ニ付キマシテ、十分行屆カヌ點モ
アルコトハ私承知シテ居リマス、是等ノ
點ニ付キマシテハ將來注意致シマシテ、
折角ノ是等ノ人々ニ對シマスル陛下ノ
御恩典ヲ、取扱ノ拙イ爲ニ無ニナルト云
フコトノナイヤウニ、十分注意シテ參リ
タイト思ツテ居リマス、又軍事扶助料ノ
支給ノ對象トナルベキ人ノ救助ト云フコト
ニ付キマシテモ、軍事扶助料以外ノ各種ノ
方法ニ於テ、是モ萬違算ナキヲ期シテ處置
シテ居ル次第デアリマス
恩給ノ點ノ御質問ガアリマシタガ、第
ニ私ハ明確ニ申シテ置キタイノハ、恩給ヲ
廢スト云フヤウナ意思ハ毛頭アリマセヌ、
サウ云フ風ナ考ハ此ノ政府ニ於テハ持ツテ
居リマセヌ、尙ホ御示シノヤウナ點、恩給
ニ於テ不合理ノアルヤウナ點ニ付キマシテ
ハ、今後〓究ヲシテ或ハ改正ヲ御願ヒスル
ト云フ場合モ起ツテ來ルカト思ヒマス、如
何ナル點ヲドウ改正スルカト云フ事柄ニ付
キマシテハ、本日マダ御答ヘスル程度ニ達
シテ居リマセヌ
ソレカラ金鵄勳章ノ年金廢止ト云フ問題
ニ關聯シマシテノ御尋ネデアリマスルガ、
今囘金鵄勳章ノ年金廢止ガ制定セラレマシ
タ、是ハ今仰セノ如ク、金鵄勳章ヲ賜ハル
三·人吾々軍人トシマシテノ最大ノ名譽
デアリマス、何ガ名譽カ、金デハナクシテ
何處マデモ精神的ニ之ヲ考ヘテ行クノデア
リマス、隨ヒマシテ此ノ金鵄勳章ノ年金ヲ
廢止シタト云フコトモ、動モスレバ物質的
ノモノヲ對象トシタガルト云フ風ナ點ガ過
去ニモアリマシタノデ、之ヲ今囘金鵄勳章
御制定ノ本旨ニ合スル如ク、精神的ニ更ニ
重點ヲ置イテ之ヲ取扱ツテ行キタイト云フ
點ニ趣旨ガアルノデアリマス、而シテ既取
得者ニ付キマシテハ、今囘ノ金鵄勳章ノ年
金改正ニ於テハ觸レテ居リマセヌ、是ハ旣
ニ金鵄勳章竝ニ其ノ年金ト云フコトニ對シ
テ陛下カラ其ノ恩典ニ接シタ人デアリマ
ス、旣ニサウ云フ大キナ恩典ヲ頂戴シテ居
ル人ニ對シマシテ觸レルト云フコトハ私
ハ適當デナイト解釋シテ、此ノ問題ニハ觸
レナカツタノデアリマス、尙ホ細カイ點ガ
アリマスガ、今ドレダケノ金ヲ渡シテ居ル
カト云フ風ナ點ニ付キマシテハ、一時賜金
等ノ點ニ付キマシテハ、私玆ニ記憶シテ居
リマセヌ、大體ノ大筋ダケヲ御答ヘシテ置
キマス(拍手)
〔政府委員森山銳一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=8
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009・森山鋭一
○政府委員(森山銳一君) 恩給法中改正法
律案ニ關係シマシテ最上君カラ御質疑ガア
リ之ニ對シテハ總理大臣ヨリ御答辯ヲセ
ラレマシテ、大體御諒承願ヘタト思フノデ
アリマスガ、私カラ稍〓事務的ニナリマスガ
御答ヘヲ申上ゲタイト存ジマス
第一ノ御質疑ハ、增加恩給傷病年金ノ增
額ニ付テ、此ノ際考慮ヲ拂ツタカト云フ御
質疑デアリマスガ、傷病者ニ對スル恩給ハ、
旣ニ昭和十三年ノ改正ニ於テ增額ヲ致シ、
特ニ高度ノ不具癈疾者ヲ優遇シマシテ之ニ
對スル增額割合ヲ高クセラレテ居ルノデア
リマシテ、傷病者ノ恩給ハ現在ノ額ヲ以テ
適當デアルト考ヘテ居ルノデアリマス、之
ヲ今增額スル考ヘハ持ツテ居ラヌノデアリ
やく、戰死者ノ扶助料モ、ヤハリ昭和十三
年ニ一應增額シタノデアリマスガ、戰死者
ノ遺族ノ待遇ハ、現下ノ諸般ノ情勢ヨリ考
ヘテ見マスト、尙ホ薄イト云フ感ジガアリ
マスノデ、國費多端ノ折柄デハアリマスガ、
此ノ際之ヲ增額スルコトガ必要デアルト認
メマシテ、今度ノ增額ノ法律案ヲ提出シタ
次第デアリマス
第二ハ恩給法ノ改正ニ伴ツテ軍事扶助料
ヲ引上グル必要ハナイカドウカ、其ノ支給ヲ
早クスル爲ニ金融機關ヲ設置スルノ意ガア
ルカドウカト云フ御質疑デアリマスガ、軍
事扶助法ニ依ル扶助費ノ限度ニ付キマシテ
ハ、經濟事情ノ推移ニ伴ヒマシテ、昭和十
三年ノ一月ニ之ヲ若干引上ゲ、更ニ其ノ後
ノ情勢ニ鑑ミマシテ、昭和十六年ノ一月ニ
約二割程度ノ引上ヲ致シテ、遺族家族等ノ
援護ニ遺憾ナキヲ期シツツアル次第デアリ
マス、而シテ今囘恩給法ガ改正ニ相成リマ
シテ、遺族扶助料ガ增額サレルコトニナリ
マシテモ、現行ノ軍事扶助法ニ依ル限度額
ハ、權衡ヲ失スルヤウナコトニハ相成ラヌ
ノデアリマシテ、特ニ此ノ際軍事扶助料ノ
限度額ヲ引上ゲナクトモ支障ナイモノト考
ヘタノデアリマス、扶助料ノ支給事務ノ敏
活適正等ニ付テ、政府トシテ考慮スベキ點
ノアルコトハ、十分政府ハ意ヲ用ヒテ改善
ニ努メタイト思ヒマス、金融機關ノ設置等
ニ付テハ、今具體的ニ考究ハシテ居リマセ
ヌガ、此ノ點モ將來ノ〓究問題ト致シタイ
ト思ヒマス、ソレカラ被徵用者ノ扶助ノコ
トヲ御尋ネニナリマシタガ、被徵用者ガ後
顧ノ憂ナク就業シ得ル方途ヲ講ズルノ必要
ガアルト認メテ、先般國民徵用令ヲ改正シ
マシテ、此ノ方面ノ施設ヲスルコトニ致シ
タコトハ、最上サンノ仰セノ通リデアリマ
ス、其ノ內容ノ細カイコトハ一々ココニ申
上ゲルニモ及バヌト思ヒマスガ、大體軍事
扶助ト同ジヤウナ扱ヒヲスルト云フ風ニ御
承知ヲ願ヒマス、其ノ他ノ恩給制度ノ問題、
金鵄勳章年金ノ問題ニ付テハ總理大臣ヨリ
御答辯ガアリマシテ、私ヨリ申上ゲルコト
ハ何等アリマセヌ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=9
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010・田子一民
○議長(田子一民君) 是ニテ質疑ハ終了致
シマシタ、本案ノ審査ヲ付託スベキ委員ノ
選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=10
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011・依光好秋
○依光好秋君 本案ハ議長指名二十七名ノ
委員ニ付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=11
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012・田子一民
○議長(田子一民君) 依光君ノ動議ニ御異
議ハアリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=12
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013・田子一民
○議長(田子一民君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
二及ビ第三ハ便宜上一括議題トナスニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=13
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014・田子一民
○議長(田子一民君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程第二、兵役法及共通法中改正
法律案、日程第三、退役將校ノ豫備役復歸
ニ關スル法律案、右兩案ヲ一括シテ第一讀
會ヲ開キマス-東條陸軍大臣
第二兵役法及共通法中改正法律案
(政府提出、貴族院送付)第一讀會
第三退役將校ノ豫備役復歸ニ關スル
法律案(政府提出、貴族院送付)
第一讀會
兵役法及共通法中改正法律案
第一條兵役法中左ノ通改正ス
第八條第一補充兵役ハ十七年四月ト
シ現役ニ適スル者ニシテ其ノ年所要
ノ現役兵員ニ超過スル者ノ中所要ノ
人員之ニ服ス
第二補充兵役ハ十七年四月トシ現役
ニ適スル者ノ中現役兵又ハ第一補充
兵トシテ徴集セラレザル者之ニ服ス
第二十一條ニ左ノ一項ヲ加フ
國民兵ニシテ疾病其ノ他身體又ハ精
神ノ異常ニ因リ當該兵役ニ服シ難キ
者ニ對シテハ兵役ヲ免除ス
第二十四條ノ二前二條ニ規定スル年
齡及時期ハ戰時又ハ事變ノ際其ノ他
特ニ必要アル場合ニ於テハ勅令ノ定
ムル所ニ依リ之ヲ變更スルコトヲ得
第三十九條第一項ニ左ノ一號ヲ加フ
七治安維持法ノ定ムル所ニ依リ豫
防拘禁中又ハ假收容中ナルトキ
第六十條中「及補充兵」ヲ「、補充兵及國
民兵」ニ改ム
第六十一條中「又ハ補充兵」ヲ「、補充兵
又ハ國民兵」ニ改ム
第六十九條第一項中「兵役(第二國民兵
役ヲ除ク)ニ在ル者」ヲ「兵役ニ在ル者
(第二國民兵ニシテ未ダ徵兵檢査ヲ受
ケザル者ヲ除ク)」ニ改ム
第二條共通法中左ノ通改正ス
第三條第三項ヲ左ノ如ク改ム
戶籍法ノ適用ヲ受クル者ハ兵役ニ服
スルノ義務ナキニ至リタル者ニ非サ
レハ他ノ地域ノ家ニ入ルコトヲ得ス
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
退役將校ノ豫備役復歸ニ關スル法律案
一年志願兵又ハ一年現役兵ヨリ豫備役ノ
將校ト爲リタル者ニシテ本法施行ノ際現
ニ退役ノ將校タルモノハ傷痍疾病ノ爲永
久服役ニ堪ヘザルニ因リ退役ヲ命ゼラレ
タル者及年齡五十年ニ滿ツル年ノ三月三
十一日ヲ過ギタル者ヲ除クフ外之ヲ豫備
役ニ復セシム
前項ノ規定ニ依リ豫備役ニ復シタル者ノ
服役ニ關シテハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔國務大臣東條英機君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=14
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015・東條英機
○國務大臣(東條英機君) 只今議題ニ相成
リマシタ兵役法及共通法中改正法律案ノ提
出理由ニ付キマシテ御說明ヲ申上ゲマス、
尙ホ海軍關係ノ事項モゴザイマスルガ、併
セテ申述ベマス
改正ノ第一ハ、海軍ノ第一補充兵役期間
ノ延長デゴザイマス、現在海軍ノ第一補充
兵役ハ一年デアリマスルガ、戰時要員補充上
シノ要要ニ依リマシテ、之ヲ陸軍同樣十七年
四箇月ニ延長致サウトスルモノデアリマス
第二ハ、徵兵適齡又ハ徵兵適齡屆差出期
日ノ臨時變更ニ關スルモノデアリマス、支
那事變勃發以來、出戰兵力ハ逐次增加致シ
テ居ルノデアリマス、幸ヒニシテ戰局ハ極
メテ有利ニ進展ヲ致シ、兵員ノ損耗モ亦豫
想以上ニ僅少デアリマスルガ、政府ト致シ
マシテハ最惡ノ事態ニ對處シ得ベキ萬全
ノ方策ヲ常ニ考究シ、而モ準備シテ置カナ
な
ケレバナラヌコトハ申スマデモナイノデゴ
ザイマシテ、豫想セラルル最惡ノ事態ヲ設
想致シマスルニ、兵員資源ノ現況ハ必ズシ
モ樂觀ヲ許サヌモノガアルノデアリマス、
隨ヒマシテ兵目補充上ノ必要ニ依リ、或ハ
徵兵檢査ノ實施ヲ早メ、又ハ更ニ進ミマシ
テ、徵兵適齡ヲ低下シナケレバナラヌト云
フ事態モ起ルコトモ豫想セラレマスノデ、
斯ノ如キ必要アル場合ニ於キマシテハ、隨
時敏速ニ徵兵適齡又ハ徵兵適齢屆ノ差出期
日ヲ變更シ得ルノ途ヲ開キ置カウトスルモ
ノデアリマス
第三ハ、國民兵ノ取扱ニ關スルモノデア
リマス、國民兵ノ戰時ニ於ケル必要性ハ、
從來ニ比シマシテ頗ル增大致シテ參リマシ
タノデ、其ノ召集準備等ニ遺憾ナカラシム
ル爲ニ、國民兵ニ對シマシテモ、平時簡閱
點呼ヲ行ヒ得ル如ク致シマスルト共ニ、第
二國民兵役ニ在ル者ニ付キマシテモ、戶籍
ニ兵役ノ略符號ヲ附サウト致スノデアリマ
ス
尙ホ戶籍法ノ適用ヲ受ケテ居ル者ハ、兵
役ニ服スル義務ノ無クナツタ後デナケレ
バ、他ノ地域ノ家ニ入ルコトハ出來ナイコ
トニナツテ居リマスルガ、徵兵終決處分ヲ
經マシテ第二國民兵役ニ在ル者ハ、齊シク
兵役義務者デアルニ拘ラズ、特ニ其ノ制限
カラ除外セラレテ居ルノデアリマス、然ル
ニ第二國民兵ト雖モ、戰時其ノ必要性ハ著
シク增加シテ參リマシタノデ、今後ハ假令
第二國民兵ト雖モ、他ノ兵役義務者同樣、
兵役ニ服スルノ義務ナキニ至ツタ後デナケ
しくう、他ノ地域ノ家ニ入ルコトハ出來ナイ
ヤウニ致ス必要ガアルノデアリマス
第四ハ治安維持法ノ改正ニ伴フ改正デア
リマシテ、昨春治安維持法ヲ改正セラレ、
新タニ豫防拘禁ニ關スル規定ガ加ヘラレタ
ノデアリマスルガ、此ノ治安維持法ニ依ル
豫防拘禁中ハ、徵集ノ延期ヲナシ得ルコト
ト致サントスルノデアリマス、本法律案提
出メ理由ハ〓要以上ノ通リデゴザイマス
次ニ退役將校ノ豫備役復歸ニ關スル法律
案ノ提案理由ニ付テ御說明申上ゲマス、支
那事變勃發以來陸軍ノ出戰兵力ハ逐次增大
致シ、之ニ袢ヒマシテ軍隊幹部ノ所要數ハ
著シク增加致シマシタ、其ノ在〓資源モ漸
次減少シツツアル狀況デアリマス、是ガ爲
ニ軍隊幹部ノ增加養成等ニ關シマシテハ
凡ユル手段方法ヲ盡シテ居ル次第デアリマ
シテ、曩ニ大學學部、專門學校等ノ在學年
限又ハ修業年限ヲ短縮致シマスルト共ニ、
臨時徵兵檢査ヲ行ツテ、速カニ入營セシム
ルノ措置ヲ執リマシタノモ、全ク幹部急速、
補充ノ必要ニ基イタノデアリマス、而シ
テ現在幹部候補生出身將校ノ服役ハ、年齡
五十年ニ滿ツル年ノ三月三十一日迄ト定メ
ラレテ居リマスルガ、是ト本質全ク同一デ
アル所ノ從前ノ一年志願兵又ハ一年現役兵
出身將校ノ服役期間ハ十七年四箇月デアリ
マシテ、幹部候補生出身將校ノ服役ニ比シ
マシテ、可ナリ短カカツタノデアリマス、
然ルニ以上申述ベマシタヤウニ、國軍ノ現
況ハ幹部ノ補充ニ特別ノ手段ヲ要スル狀況
デアリマスルノデ、一年六願兵又ハ一年現
殺兵出身將校ノ中、旣ニ退役トナツテ居ル
者ヲ豫備役ニ復歸セシメマシテ、幹部佐補
生出身將校ト同程度ノ服役ニ服セシメント
スルノデアリマス、本法律案提出ノ理由ハ以
上ノ通リデゴザイマス、何卒御審議ノ上速カニ
御協賛アランコトヲ御願ヒ致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=15
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016・田子一民
○議長(田子一民君) 各業ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=16
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017・依光好秋
○依光好秋君 目程第一及ビ第三ノ兩案ハ、
一括シテ政府提出、兵器等製造事業特別助
成法案委員ニ併セ付託セラレンコトヲ望ミ
マス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=17
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018・田子一民
○議長(田子一民君) 依光君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=18
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019・田子一民
○議長(田子一民君) 御界議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
四、國家總動員法第十八條ノ規定ニ依ル法
人等ヲシテ行政官廳ノ職權ヲ行ハシムル
コトニ關スル法律案ノ第一讀會ヲ開キマ
ス-鈴木國務大臣
第四國家總動員法第十八條ノ規定ニ
依ル法人等ヲシテ行政官廳ノ職權ヲ
行ハシムルコトニ關スル法律案(政
府提出、靑族院送付)第一讀會
國家總耐冐法第十八條ノ規定ニ依ル法
人等ヲシテ行政官廳ノ職權ヲ行ハシム
ルコトニ關スル法律案
法令ニ定ムル行政官廳ノ職權ハ勅令ノ定
ムル所ニ依リ之ヲ國家總動員法第十八條
ノ規定ニ依ル法人其ノ他ノ法人ヲシテ行
ハシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ同項ノ法人ガ行政官廳
ノ職權ヲ行フ場合ニ於テハ當該職權ニ係
ル罰則ノ適用ニ付テハ同項ノ法人ハ之ヲ
當該聯權ヲ行フ行政官廳ト看做シ同項ノ
法人ノ役員又ハ使用人ニシテ同項ノ職權
ニ屬スル事務ニ從事スルモノハ之ヲ當該
事務ニ從事スル官吏ト看做ス
前項ニ定ムルモノノ外第一項ノ規定ニ依
リ同項ノ法人ガ行政官廳ノ職權ヲ行フ場
合ニ於ケル必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之
ヲ定ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔國務大臣鈴木貞一君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=19
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020・鈴木貞一
○國務大臣(鈴木貞一君) 只今議題トナツ
テ居リマスル國家總動員法第十八條ノ規定
ニ依ル法人等ヲシテ行政官廳ノ職權ヲ行ハ
シムルコトニ關スル法律案提出ノ理由ヲ說
期致シマス、政府ハ先般國家總動員法ニ基
キ重要產業團體令ヲ制定公布シ、之ニ依リ
產業經濟ニ關シ絲制力アル團體ヲ組織敷備
シ、其ノ團體ヲシテ政府ノ施策ノ立案及ビ
遂行ニ緊密ニ協力セシムルト共ニ、右ノ施
策大綱ニ基キ、自律的ニ當該業界ノ結制運
營ニ當ラシムルコトト致シタノデアリマス、
敍上ノ趣旨ニ鑑ミマシテ、現在各種締制法
規ニ於テ行政官廳ノ職權ト定メラレテ居リ
マス專項中ノ、政府ノ施策方針ニ關スルモ
ノハ別トシ、爾餘ノ實施ニ關スル職權事項
ニ村テハ、實情ニ卽シ本法案ニ依リ之ヲ當
該締制團體ヲシテ執リ行ハシメルコトガ、
生產配給等其ノ業界内部ノ統制事務ヲ、時
局ニ適スル如ク圓滑且ツ敏速ニ運營スル所
以デアルト存ズルノデアリマス、以上ガ本
案ヲ提出致シマシタ理由デアリマス、何卒
御容議ノ上御協賛アランコトヲ無幾フ次第
デアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=20
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021・田子一民
○議長(田子一民君) 本案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=21
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022・依光好秋
○依光好秋君 本案ハ政府提出、恩給法中
改正法律案委員ニ併セ付託セラレンコトヲ
望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=22
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023・田子一民
○議長(田子一民君) 依光君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=23
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024・田子一民
○議長(田子一民君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
五及ビ第六ハ便宜上一括議題トナスニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=24
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025・田子一民
○議長(田子一民君) 御異議ナシト認メマ
ス仍テ日程第五、北支那開發株式會社法
中改正法律案、日程第六、中支那振興株式
會社法中改正法律案、右兩案ヲ一括シテ第
一讀會ヲ開キマス-及川興亞院部長
第五北支那開發株式會社法中改正法
律案(政府提出、貴族院送付)
第一讀會
第六中支那振興株式會社法中改正法
律案(政府提出、貴族院送付)
第一讀會
北支那開發株式會社法中改正法律案
北支那開發株式會社法中左ノ通改正ス
第三條第一項ヲ左ノ如ク改ム
政府ハ北支那開發株式會社ニ對シ資本
ノ半額以上ヲ出資スベシ
第四條ノ二政府第三條第二項ノ規定ニ
依リ金錢以外ノ財產ヲ以テ出資ノ目的
ト爲ス場合ニ於テハ其ノ財產ノ價格及
之ニ對シテ與フル株式ノ數ニ村、前條第
二項ノ規定ニ依リ金錢以外ノ財產ヲ以
テ其ノ所有スル株式ノ株金拂込ニ充ツ
ル場合ニ於テハ其ソ財產ノ價格ニ付政
府出資財產評價委員會ノ議ヲ經ベシ
政府出資財產評價委員會ニ關スル規程
ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五條政府ノ所有スル株式ノ數ガ政府
以外ノ者ノ所有スル株式ノ數ヲ超ユル
場合ニ於テハ政府ハ其ノ超ユル數ノ株
式ニ付議決權ヲ行使スルコトヲ得ズ
第八條ニ左ノ一項ヲ加フ
第五條ノ規定ニ依リテ行使スルコトヲ
得ザル議決權ノ數ハ前項ノ議決權ノ數
ニ之ヲ算入セズ
第十一條ニ左ノ一項ヲ加フ
理事又ハ監事ノ員數ガ其ノ任期ノ滿了
ニ因リ第九條ニ定ムル員數ヲ缺クニ至
リタルトキハ定款ノ定ムル所ニ從ヒ其
ノ任期ヲ伸長スルコトヲ得
第十四條ニ左ノ一項ヲ加フ
特殊ノ事情アル場合ニ於テハ北支那開
發株式會社ハ政府ノ認可ヲ受ケ前項各
號ニ揭グル事業ヲ自ラ經營スルコトヲ
得
第二十四條中「投資及融資」ノ下ニコンビー
自營事業」ヲ加フ
第二十九條第一項中「投資及融資ニ因ル
收入」ヲ「投資、融資及自營事業ニ因ル收
入」ニ、「投資及融資ノ總額」ヲ「投資、融
資及自營事業資金ノ總額」ニ、同條第三
項中「投資及融資ニ因ル收入」ヲ「投資
融資及自營事業ニ因ル收入」ニ、「投資及
融資ノ總額」ヲ「投資融資及自營事業資金
ノ總額」ニ改ム
第三十四條第二項及第三十七條第三項ヲ
削ル
第四十四條削除
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
中支那振興株式會社法中改正法律案
中支那振興株式會社法中左ノ通改正ス
第三條第一項ヲ左ノ如ク改ム
政府ハ中支那振興株式會社ニ對シ資本
ノ半額以上ヲ出資スベシ
第三條ノ三政府第三條第二項ノ規定ニ
依リ金錢以外ノ財產ヲ以テ出資ノ目的
ト爲ス場合ニ於テハ其ノ財產ノ價格及
之ニ對シテ與フル株式ノ數ニ付、前條
ノ規定ニ依リ金錢以外ノ財產ヲ以テ其
ノ所有スル株式ノ株金拂込ニ充ツル場
合ニ於テハ其ノ財產ノ價格ニ付政府出
資財產評價委員會ノ議ヲ經ベシ
第四條政府ノ所有スル株式ノ數ガ政府
以外ノ者ノ所有スル株式ノ數ヲ超ユル
場合ニ於テハ政府ハ其ノ超ユル數ノ株
式ニ付議決權ヲ行使スルコトヲ得ズ
第七條ニ左ノ一項ヲ加フ
第四條ノ規定ニ依リテ行使スルコトヲ
得ザル議決權ノ數ハ前項ノ議決權ノ數
ニ之ヲ算入セズ
第十條ニ左ノ一項ヲ加フ
理事又ハ監事ノ員數ガ其ノ任期ノ滿了
ニ因リ第八條ニ定ムル目數ヲ缺クニ至
リタルトキハ定款ノ定ムル所ニ從ヒ其
ノ任期ヲ伸長スルコトヲ得
第二十九條第二項、第三十二條第三項及
第三十八條ノ二ヲ削ル
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
〔政府委員及川源七君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=25
-
026・及川源七
○政府委員(及川源七君) 只今議題トナリ
マシタ北支那開發株式會社法中改正法律案
及ビ中支那振興株式會社法中改正法律案ノ
提案ノ理由ヲ一括シテ御說明申上ゲマス、
政府ガ支那現地ニ於キマシテ臨時軍事費特
別會計ヨリ支辨シタル鐵道用財產ハ、其ノ
整理ガ付キ次第、政府ノ北支那開發株式會
社又ハ中支那振興株式會社ニ對スル出資ニ
充當シテ參ツタノデアリマスガ、未ダ充當
未濟ノモノ及ビ將來充當豫定ノモノガ相當
ノ額ニ上リマスルニ拘ラズ、政府出資ノ限
度ガ法規デ限定セラレテ居リマスノデ、之
ヲ擴張致シ、是等物件ヲ右兩會社ニ對スル
政府出資ニ充當シ、企業資本トシテ合理的
ニ運用シ得ルヤウ致シタイト存ジマス、次
ニ右兩會社ハ、北支又ハ中支ニ於ケル經濟
開發ノ中樞的機關トモ謂フベキデアリマス
ガ、中支那振興株式會社ガ特殊ノ事情アル
場合ニ於テ、所定ノ自營事業ヲ爲スコトガ
出來ルコトニ法規上ナツテ居ルノニ反シ、
北支那開發株式會社ハサウ云フコトガ出來
ナイノデアリマシテ、此ノ爲メ北支經濟開
發促進上遺憾ナ點ガ往々ニシテ存シタノデ
アリマスカラ、此ノ際中支那振興株式會社
ノ如ク、所定ノ自營車業ヲ爲シ得ルヤウ致
シタイト存ジマス、又此ノ際商法ノ規定ト
步調ヲ合ハセテ、役員ノ任期ニ關スル特例
ヲ設ケタイト存ジマス
以上ガ本改正案ヲ今期議會ニ提出致シマ
シタ所以デアリマス、何卒十分御審議ノ上
速カニ御協贊ヲ與ヘラレンコトヲ希望致シ
マス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=26
-
027・田子一民
○議長(田子一民君) 質疑ノ通告ガアリマ
ス、之ヲ許シマス-野溝勝君
〔野溝勝君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=27
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028・野溝勝
○野漢勝君 只今上程ニナリマシタ北支開
發株式會社竝ニ中支振興株式會社法案ニ對
シマシテ、二、三ノ質疑ヲ試ミテ見タイト
存ジマス
支那事變勃發ノ後、治安ガ確立スルヤ、
經濟工作ヲ如何ニ行フカト云フコトハ、朝
野ヲ擧ゲテノ重大問題デアリマシタ、併シ
此ノ經濟工作ヲ行フニ當ツテハ、先ヅ其ノ
根本方針ヲ確立シナケレバナラヌト云フ譯
デ第七十三議會ニ於テ成立シタノガ右兩會
社デアルト存ジマス、所ガ兩會社ハ支那事
變ガ始ツテマダ間モナイ時ニ成立致シマシ
タノデ、一面戰爭遂行、一面經濟建設ト云
フヤウナ關係ニアリマシテ、其ノ發展モ其
ノ指導方針ノ實踐モ中々容易デナイト云フ
コトハ、吾々モ能ク諒承シテ居ルノデアリ
マス、併シ其ノ後ノ經緯ヲ見マスルト、幾
多遺憾ノ點ナキニシモアラズデアリマス、
特ニ其ノ遺憾ノ點ヲ修正スル爲ニ、今囘ノ
法律案ガ上程サレタモノト私モ信ジマス、
只今及川興亞院長官ノ提案理由ノ御說明
モ、其ノ間ノ消息ヲ物語ツテ居ルヤウニ受
取リマシタ、併シ只今上程ニナリマシタ法
案ニ對スル趣旨ノ御辯明ダケデハ、本會社
ノ指導精神、開發ニ對スル實踐方針ト致シ
マシテハ、少シク物足リナイ感ガアリマス、
仍テ私ハ左ノ二、三ニ對シ意見ヲ加へ質問
シ営局ノ御答辯ヲ求メントスル者デアリマ
ス
第一點ハ大東亞戰ト支那經濟開發ニ付テ
デアリマス、大東亞戰ガ發展セル現段階ニ
於テハ、皇軍ノ武威愈〓固ク勝利目睫ニア
ル日本ハ、東亞廣域經濟ノ指導ニ立タナケ
レバナラス段階ニ達シテ來タト思ヒマス、
此ノ場合支那ニ於ケル經濟事情ハ實ニ重大
性ヲ加ヘテ來テ居リマス、是等ヲ綜合的ニ
睨合ハセル時、政府ガ今日考ヘテ居リマス
ル所ノ北支開發株式會社、中支振興株式會
社ノ二ツノ會社ニ依ツテ、此ノ經濟指導ヲ、
スルト云フコトニ付キマシテハ、少シク弱
劣性ヲ持ツテ居リハセヌカト思フノデアリ
マス、仍テ此ノ際兩會社ノ統合ノ問題ハ勿
論デアリマスガ、ヨリ一步發展セシメタ大
東亞ノ經濟ヲ推進スル所ノ、强力ナル推進
機關ヲ作ル意思アリヤ否ヤト云フコトガ、
第一點ノ質問ノ要旨デアリマス
第二點ハ兩會社ヲ統合シテハドウカト云
フ具體的ノ問題デアリマス、北支開發株式
會社ハ事業ヲナスコトガ出來ナイ、投下ト
融資及ビ統合調整ダケニナツテ居ル、之ヲ
今一步發展セシメテ、事業ヲ自ラ行フコト
ノ出來ル機構ニ改メタト申サレテ居リマス、
ソレハ當然ナコトデアリマスガ、併シ今日
ニ於キマシテハ、モウ北支開發ノ機構ノ改
組ノ內容ト、中支振興會社ノ內容トハ、殆
ド同一デアリマス、此ノ兩會社ガ出來ル當
初ハ、蔣介石政權ノ策動顯著デアリマシタ、
又北支開發ハ其ノ當初ニ於テハ臨時政府、
中支振興會社ハ維新政府ノ諒解ノ下ニ出來
タ會社デアリマスガ、其ノ後統一政權デア
リマスル汪政權ガ出來テ以來、汪政權トノ
諒解ノ上ニ、本會社ノ遂行ガ出來テ居ルノ
デアリマス、ソコデ問題ハ今日ノ汪政權ハ
東亞共榮圈ノ日本ノ指導方針ニ贊成シ、且
ツ米英戰ニ對シマシテハ日本ニ協力致シマ
シテ、今日宣戰ヲ同樣ニ布告シテ居ル狀態
デアリマス、モウ今日日本トハ完全ナル唇
齒輔車ノ關係ニナツテ居ル譯デアリマス、
シテ見ルナラバ今日北支開發會社、中支振
興會社創設ノ當初トハ違ツテ居ルノデアリ
マスカラ此ノ際モウ北支經濟開發ガドウデ
アルトカ、中支經濟開發ガドウデアルトカ
云フヤウナコトデナク、融合一體化シタ所
ノ有機的ナ機關トシテ、經濟指導ヲスル必
要ガアルト思フノデアリマシテ、此ノ際寧
ロ百尺竿頭一步ヲ進メテ統合シタ方ガ宜イ
ト思ヒマスガ、此ノ點ニ對スル所見如何ト
云フコトガ第二點デアリマス
第三點ハ指導機構ノ一元化ニ付テ御伺ヒ
シタイト存ジマス、兩會社ハ中央政府ノ直
接監督指導ヲ受ケルコトニナツテ居リマス、
尙ホ現地ニ於キマシテハ興亞院ガ之ヲ監
督指導スルコトニナツテ居リマス、又子會
社ハ興亞院及ビ親會社、支那政府ノ三本カ
ラ監督サレルコトニナツテ居リマス、勢ヒ
錯雜ナル關係ニアル譯デアリマス、斯ウ云
フ錯綜セル關係ヲ此ノ儘遂行シテ行ク場合
ニ於キマシテハ、經濟運行ニ大キナ支障ヲ
來ス點ガアリハセヌカト存ズル者デアリマ
ス、尤モ北支ハ北支開發會社ノ子會社ガ三
ツ位シカアリマセヌノデ、興亞院ノ指導統
制ガ徹底シテ居ル關係カラ、非常ニ旨ク行
ツテ居ルヤウデアリマスガ、中支振興會社
ハ子會社ガ十幾ツモアリマスノデ、特ニ其
ノ子會社ハ中支振興會社ガ出來ル以前カラ
會社經營ヲシテ居ルモノガ相當アルノデア
リマス、又中支振興會社ハ設立當初ニ於キ
マシテハ米英ノ資本勢力、蔣介石ノ之ニ對
應スル所ノ經濟「マーケツト·オペレーシヨ
ン」斯ウ云フ關係デ、非常ニ經濟開發ガヤ
リニクカツタ關係モアツタデアリマセウケ
レドモ、兎ニ角興亞院ト中支振興親會社ト
ノ間ガ、北支程緊密ニ行ツテ居ナイト云フ
コトヲ、吾々ハ相像スル譯デアリマス、ソ
コデ其ノ緊密ニ行カナイト云フコトハ、經
濟的ニモ大イナル支障ヲ來スコトト思ヒマ
スノデ、此ノ際此ノ指導監督ノ機構ヲ改メ
テ戴キタイト思フノデアリマス、其ノ內容
ニ付キマシテハ、勿論中支方面ニ於キマシ
テハ、是ハ子會社ニ對シマシテ親會社ガ直
接指導スル、親會社ニ對シマシテハ興亞院
ガ之ヲ監督スルト云フ建前ニ置イタナラ
バ、非常ニ經濟活動ガ敏活ニ出來ハセヌカ
ト思ヒマシテ、以上ノ質問ヲシタ者デアリ
マス
最後ニ質問ノ第四點ハ、民族資本ノ活用
ニ付テデアリマス、昨年津島北支開發總裁
ハ、着任早々ドウ云フコトヲ現地ニ於テ聲
明サレタカト云フト、-民族資本ノ動員
ヲ行フト云フコトヲ勇猛果敢ニ聲明サレマ
シタ、洵ニ結構ナコトデアリマス、民族資
本ヲ動員スルト云フコトハ、支那事變ノ始
マツタ當初ニ於ケル我ガ國ノ基本方針デア
ルト思ヒマス、又民族資本ガ動員出來、完
遂出來ルト云フコトニナルナラバ、最早支
那事變ノ成果終レリト云フコトニナルト私
ハ思フノデアリマス、併シ是ガ中々容易デ
ハナカツタ、併シ今日ハ米英トノ戰爭ヲ實
踐中デアリマス、特ニ我ガ皇軍ノ勇猛果敢
ナル戰鬪ニ依リマシテ-緒戰ト云フ文字
ハ是ハ〓算シナケレバナラナイト思ヒマ
ス-軸戰ニ於キマシテモ大勝利ヲ博シテ
居ルフデアリマス、私ハ皇軍ノ勇猛果敢ナル
戰鬪行爲ニ對シテ感謝感激スル者デアリマ
ス、同時ニ今マデ支那ヲ支配シ、操作シテ
居リマシタ所ノ米英經濟支配力ハ、完全ニ敗
北ヲシテ居ルノデアリマス、仍テ今日マデ
ハ、此ノ日對米英戰ノ展開以前マデハ、支
那ニ於ケル抗日分子ハ勿論、南方香港ヲ中
心トシテ蟠居シテ居リマシタ所ノ華僑ノ經
濟支配分子、是等ノ連中モ今マデハ米英ヲ
信ジテ居リマシタケレドモ、此ノ日本ノ皇
軍ノ威力ニ依リマシテ、完全ニ彼等ハ英米
ニ對シ信ヲ置カナクナツタノデアリマス、
仍テ此ノ華僑ニ依ル所ノ支那ノ財力ト云フ
モノヲ動員致シマシテ、サウシテ此ノ經濟
開發ニ之ヲ向ケタナラバ、日本ノ考ヘテ居
リマス支那經濟開發ト云フコトハ、容易デ
アルト考ヘル者デアリマス、仍テ之ニ對ス
ル具體的ナル資本ノ動員方法ヲ、當局ハ考
ヘテ居ルカト云フコトヲ御伺ヒシタイノデ
アリマス、甚ダ簡單デアリマスガ、以上ヲ
以チマシテ私ノ質問ヲ終ルコトニ致シマス
(拍手)
〔政府委員及川源七君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=28
-
029・及川源七
○政府委員(及川源七君) 只今ノ御質問ニ
對シマシテ御答ヘ致シマス
第一點ノ支那經濟開發ヲ兩親會社デヤル
コトハ現在デハ弱體デアルカラ、大東亞ヲ
舞臺トスル一大開發機關ヲ作ルノ意思ガア
リヤ否ヤ、本件ハ興亞院ノ上官ト致シマシ
テ、只今此處デ私カラ御答へ申上ゲルト云
フコトハ差控ヘタイト存ジマス
次ノ第二點、北支開發株式會社ト中支那
振興株式會社ヲ統合スルノガ適當デアル、
其ノ意思アリヤ否ヤト云フコトデアリマス
ガ、兩親會社ハ何レモ其ノ設立以來今日マ
デ三箇年間ニ亙リマシテ、一ハ北支、蒙疆
ノ地域ヲ中心トシ、一ハ中支、揚子江地帶
ニ於キマシテ、ソレ〓〓特殊ノ使命ノ下ニ
支那經濟ノ開發ト、我ガ必需物資ノ增產、
對日增送ニ關シマシテ銳意努力シテ參ツタ
ノデアリマス、其ノ業績ヨリ見マスルニ、
極メテ大ナルモノガアルト信ジテ居ルノデ
アリマス、今囘ノ大東亞戰爭勃發ト共ニ、
右ノ要請ハ愈、ゞ增大ヲ致シマシテ、政府ト
致シマシテモ、北支開發、中支振興ノ兩會
社ニ對シマシテ、一層大ナル期待ヲ掛ケル
要モアリマスシ、又今次議會ニ於キマシテ
兩會社法ノ改正法律案ヲ提出致シマシテ、
兩會社ヲシテ益〓其ノ方面ニ活動セシメン
トスル所以モ、ソコニアルノデアリマス、
隨テ政府ト致シマシテハ只今ノ所兩會社
ヲ統合スルト云フ意思ハ持ツテ居リマセヌ
次ニ第三點ト致シマシテ、會社ノ指導ノ
方法ヲ、子會社デアル事業會社ヲ親會社ガ
指導シ、ソレヲ興亞院ガ指導ヲスルト云フ
ヤウナ方法ニ變ヘルコトガ、此ノ際必要デ
アル、斯ウ云フヤウナ御意見デアリマスガ、
是ハ全ク御同感デアリマシテ、今囘ノ法律
改正ノ意思モ、此ノ意味ヲ多分ニ含ンデ居
ルノデアリマス、此ノ點御期待ニ副フ如ク
將來ニ於テ努力スル考ヘデアリマス
次ニ第四點ノ民族資本ノ利用ガ此ノ際必
要デアル、特ニ華僑ノ資本ノ利用ニ付テ大イ
ニ考慮ヲ要スルト云フ御意見デアリマスガ、
此ノ點洵ニ至極尤モナ御意見デアリマシテ
政府當局ト致シマシテモ、此ノ點ニ留意シ、
ソレ〓〓ノ機關ニ於キマシテ、華僑ノミナ
ラズ一般支那民衆ニ對シマシテ、帝國ノ意
思ノ在ル所ヲ披瀝シ、日支相協力シ、東亞
ノ共榮圏確立ニ向ツテ邁進センコトヲ期シ
テ居ルヤウナ次第デアリマス、以上ヲ以チ
マシテ答辯ト致シマス(拍手)
2○議長(田子一民君)是ニテ質疑ハ終了致
シマシタ、다各案ノ審査ヲ付託スベキ委員ノ
選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=29
-
030・依光好秋君
○依光好秋君 日程。第五及ビ第六ノ兩案ハ
一括シテ政府提出、恩給法中改正法律案ノ
委員ニ併セ付託セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=30
-
031・議長(田子一民君)
○議長(田子一民君) 依光君ノ動議ニ御異
議ハアリマセヌカ
·(「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=31
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032・議長(田子一民君)
○議長(田子一民君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
七乃至第十二ハ、便宜上一括議題トナスニ
御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=32
-
033・議長(田子一民君)
○議長(田子一民君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程第七、日本勸業銀行法中改正
法律案、日程第八、農工銀行法中改正法律
案、日程第九、北海道拓殖銀行法中改正法
律案、日程第十、國民貯蓄組合法中改正法
律案、日程第十一、稅務代理士法案、日程
第十二、社債等登錄法案、右六案ヲ一括シ
テ第一讀會ヲ開キマス-谷口大藏次官
第七日本勸業銀行法中改正法律案
(政府堤出、貴族院送付)第一讀會
第八農工銀行法中改正法律案(政府
提出、貴族院送付)第一讀會
第九北海道拓殖銀行法中改正法律案
(政府提出、貴族院送付)第一讀會
第十國民貯蓄組合法中改正法律案
(政府提出、貴族院送付)第一讀會
第十一稅務代理士法案(政府提出、
貴族院送付)第一讀會
第十二社債等登錄法案(政府提出、
貴族院送付)第一讀會
日本勸業銀行法中改正法律案
日本勸業銀行法中左ノ通改正ス
第十四條第三項ヲ削ル
第十五條第三項ヲ左ノ如ク改ム
左ノ各號ノ一ニ該當スル法人中農林
業吝產業、水產業、工業又ハ不動產
ニ關スル事業ヲ行フモノニシテ大藏大
臣ノ認可ヲ受ケタルモノニ對シテハ抵
當ヲ徵セスシテ定期償還貸付又ハ割賦
償還貸付ヲ爲スコトヲ得
特別ノ法令ニ依リ設立セラレタル
法人
二法令ニ依リ組織セラレタル組合又
ハ其ノ聯合會
第十六條削除
第十八條中「鑑定シタル價格ノ三分ノ二
以內」ヲ「鑑定シタル價格以內」ニ改メ同
條ニ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ場合ニ於テ先順位又ハ同順位ノ
抵當權者アルトキハ日本勸業銀行ノ貸
付クル金額ハ前項ノ鑑定價格ヨリ先順
位又ハ同順位ノ抵、當權者ノ貸付金額
(先順位ノ抵當權者ノ貸付金中日本勸
業銀行又ハ之ト同順位ノ抵當權者ノ貸
付金ヲ以テ償還セラルヘキ分アルトキ
ハ之ヲ控除ス)ヲ控除シタル額以內ト
ス
第二十六條第一項中「貸付金償還殘額ニ
¥對シ第十八條ノ割合ニ」ヲ「日本勸業銀行
ノ貸付会償還殘額又ハ先順位若ハ同順位
ノ抵當權者アルトキハ其ノ貸付金償還殘
額ト日本勸業銀行ノ貸付金償還殘額トノ
合計額ニ對シ」ニ改ム
第三十一條ノ二第二項中「第十六條第一
項、」ヲ削ル
第三十二條第一項中「前條ノ預リ金又ハ」
ヲ削リ第三號ヲ左ノ如ク改ム
三第十五條第三項ノ法人ニ對シ手形
ノ割引又ハ當座預金貸越ヲ爲スコト
同條同項ニ左ノ一號ヲ加フ
六前各號ノ外大藏大臣ノ認可ヲ受ケ
手形ノ割引、當座預金貸越又ハ短期
貸付ヲ爲スコト
同條第二項ヲ削ル
第三十二條ノ三日本勸業銀行ハ大藏大
臣ノ認可ヲ受ケ他ノ法人ノ爲ニ金錢ノ
出納又ハ有價證劵ノ受拂保管ノ取扱ヲ
爲スコトヲ得
第五十六條中第二號ヲ削リ同條第三號中
「預リ金若ハ」ヲ削ル
同條第三號ヲ第二號トシ以下順次繰上グ
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
不動產融資及損失補償法中左ノ通改正ス
第三條削除
第四條第一項中「第十四條第三項及」及
「貸付金額」ヲ削ル
農村負債整理資金特別融通及損失補償法
中左ノ通改正ス
第三條削除
臨時農村負債處理法中左ノ通改正ス
第十三條中「農村負債整理資金特別融
通及損失補償法第三條竝ニ」ヲ制ル
農工銀行法中改正法律案
農工銀行法中左ノ通改正ス。
第六條第二號ヲ左ノ如ク改ム
二五箇年以內ニ於テ定期償還ノ方法
ニ依リ不動產ヲ抵當ドシテ貸付ヲ爲
ズコト但シ山林ヲ抵當トシテ貸付ヲ
爲ス場合ニ於テハ二十箇年以內ノ定
期償還貸付ヲ爲スコトヲ得
第七條ノ二中「第六條第二號ノ制限內ニヲ
於テ」ヲ削ル
第七條ノ三第一項中「第六條第二號ノ制
限內ニ於テ」ヲ、同條第二項中「第八條
第一項、」ヲ削ル
第七條ノ五農工銀行ハ左ノ各號ニ該當
スル法人中農林業、畜產業、水產業、
工業又ハ不動產ニ關スル事業ヲ行フモ
ノニシテ大藏大臣ノ認可ヲ受ケタルモ
ノニ對シテハ無抵當ニテ第六條第一號
又ハ第二號ノ貸付ヲ爲スコトヲ得
特別ノ法令ニ依リ設立セラレタル
法人
二法令ニ依リ組織セラレタル組合又
ハ其ノ聯合會
第八條削除
第十條中「鑑定シタル價格ノ三分ノ二以
內」ヲ「鑑定シタル價格以内」ニ改メ同條
ニ左ノ一項ヲ加フ
前項ノ場合ニ於テ先順位又ハ同順位ノ
抵當權者アルトキハ農工銀行ノ貸付ク
ル金額ハ前項ノ鑑定價格ヨリ先順位又
ハ同順位ノ抵當權者ノ貸付金額(先順
位ノ抵當權者ノ貸付金中農工銀行又ハ
之ト同順位ノ抵當權者ノ貸付金ヲ以テ
償還セラルヘキ分アルトキハ之ヲ控除
ス)ヲ控除シタル額以內トス
第十八條第一項中「貸付金償還殘額ニ對
シ第十條ノ割合ニ」ヲ「農工銀行ノ貸付金
償還殘額又ハ先順位若ハ同順位ノ抵當權
者アルトキハ其ノ貸付金償還殘額ト農工
銀行ノ貸付金償還殘額トノ合計額ニ對
シ」ニ改ム
第二十三條中「前條ノ預リ金又ハ」及第二
號但書ヲ削リ第三號ヲ左ノ如ク改ム
三第七條ノ五ノ法人ニ對シ手形ノ割
引又ハ當座預金貸越ヲ爲スコト
同條ニ左ノ一號ヲ加フ
六前各號ノ外大藏大臣ノ認可ヲ受ケ
手形ノ割引、當座預金貸越又ハ短期
貸付ヲ爲スコト
第二十四條ノ二農工銀行ハ大藏大臣ノ
認可ヲ受ケ他ノ法人ノ爲ニ金錢ノ出納
又ハ有價證劵ノ受拂保管ノ取扱ヲ爲ス
コトヲ得
第四十六條中第二號ヲ削リ同條第三號中
「預リ金若ハ」ヲ削ル
同條第三號ヲ第二號トシ以下順次繰上グ
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
北海道拓殖銀行法中改正法律案
北海道拓殖銀行法中左ノ通改正ス
第八條第四項ヲ左ノ如ク改ム
左ノ各號ノ一ニ該當スル法人中農林業、
畜產業、水產業、工業又ハ不動產ニ關ス
ル事業ヲ行フモノニシテ大藏大臣ノ認可
ヲ受ケタルモノニ對シテハ割賦又ハ定
期償還ノ方法ニ依リ無抵當貸付ヲ爲ス
コトヲ得
-特別ノ法令ニ依リ設立セラレタル
法人
二法令ニ依リ組織セラレタル組合又
ハ其ノ聯合會
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
國民貯蓄組合法中改正法律案
國民貯蓄組合法中左ノ通改正ズ
第二條第一項中第八號ヲ第九號トシ第七
號ノ次ニ左ノ一號ヲ加フ
八地方債又ハ社債(特別ノ法令ニ依
リ設立セラレタル法人ニシテ會社ニ
非ザルモノノ發行スル債劵ヲ含ミ
前號ニ揭グル債劵ヲ除ク以下同ジ)
ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノノ買
入
第四條第一項中「銀行預金」ノ下ニ「、貯蓄
銀行預金、產業組合貯金其ノ他ノ預金」ヲ、
「國債」ノ下ニ「、地方債又ハ社債」ヲ加ヘ
「三千圓」ヲ「七千圓」ニ改メ同條第二項ヲ
削ル
同條第三項中「前二項」ヲ「前項」ニ改ム
同條第四項中「國債」ノ下ニ「、地方債又ハ
社債」ヲ加フ
同條第五項中「前四項」ヲ「前三項」ニ改ム
第九條第二項中「第四條第二項及第三項
竝ニ」ヲ削ル
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
稅務代理士法案
稅務代理士法
第一條稅務代理士ハ所得稅、法人稅、營
業稅其ノ他命令ヲ以テ定ムル租稅ニ關
シ他人ノ委囑ニ依リ稅務官廳ニ提出ス
ベキ書類ヲ作成シ又ハ審査ノ請求、訴
願ノ提起其ノ他ノ事項(行政訴訟ヲ除
ク)ニ付代理ヲ爲シ若ハ相談ニ應ズル
ヲ業トス
第二條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ稅
務代理士タル資格ヲ有ス
一辯護士
二計理士
三命令ヲ以テ定ムル官廳ニ於テ高等
官又ハ判任官ノ職ニ在リテ三年以上
國稅ノ事務ニ從事シタル者但シ其ノ
職ヲ退キタル後一年ヲ經ザル者ハ此
ノ限ニ在ラズ
四前各號ニ揭グル者ノ外租稅又ハ會
計ニ關シ學識經驗ヲ有スル者
第三條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ稅
務代理士タル資格ヲ有セズ
一無能力者
二破產者ニシテ復權ヲ得ザルモノ
三國稅滯納處分ヲ受ケタル後一年ヲ
經ザル者
四六年ノ懲役若ハ禁錮以上ノ刑ニ處
セラレ又ハ舊刑法ノ重罪ノ刑ニ處セ
ラレタル者
五六年未滿ノ懲役又ハ禁錮ノ刑ニ處
セラレ其ノ刑ノ執行ヲ終リ又ハ執行
ヲ受クルコトナキニ至ル迄ノ者
六國稅ヲ浦脫シ又ハ連脫セントスル罪
ヲ犯シ罰金又ハ科料ノ刑ニ處セラレ
某ノ裁判確定ノ後五年ヲ經ザル者
七懲戒ノ處分ニ因リ免官又ハ免職セ
ラレタル後二年ヲ經ザル者
八第五條第四號ノ規定ニ依リ許可ノ
效力ヲ失ヒ又ハ第十八條ノ規定ニ依リ
許可ノ取消アリタル後二年ヲ經ザル者
九第二十一條、第二十二條、第二十三
條第三號、第二十四條又ハ第二十五
條ノ罪ヲ犯シ懲役又ハ罰金ノ刑ニ處
セラレ其ノ刑ノ執行ヲ終リ又ハ執行
ヲ受クルコトナキニ至リタル後五年
ヲ經ザル者
第四條稅務代理士タラントスル者ハ命
令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ
受クベシ
主務大臣前項ノ許可ニ關スル處分ヲ爲
サントスルトキハ稅務代理士銓衡委員
會ノ議ヲ經ベシ
稅務代理士銓衛委員會ニ關スル規程ハ
勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五條稅務代理士左ノ各號ノ一ニ該當
スル場合ニ於テハ前條第一項ノ許可ハ
其ノ效力ヲ失フ
第一條ニ規定スル業務(以下稅務
代理業ト稱ス)ヲ廢止シタルトキ
二辯護士又ハ計理士ナル場合ニ於テ辯
護士名簿又ハ計理士登錄簿ノ登錄ノ
取消又ハ抹消アリタルトキ
三第三條第一號乃至第六號又ハ第九
號ニ該當スルニ至リタルトキ
四第十四條ノ規定ニ依リ退會セシメ
ラレタルトキ
第六條第四條第一項ノ許可ヲ受ケタル
者ニ非ザレバ稅務代理士其ノ他之ニ類
似スル名稱ヲ用フルコトヲ得ズ
第七條稅務代理士ハ命令ノ定ムル所ニ
依リ稅務代理業ニ關シ事務所ヲ設クベ
シ
第八條稅務代理士ハ命令ノ定ムル所ニ
依リ稅務代理業ニ關スル帳簿ヲ作成シ
之ニ必要ナル事項ヲ記載スベシ
第九條稅務代理士ハ國稅ノ通脫ニ付指
示ヲ爲シ、相談ニ應ジ其ノ他之ニ類似
スル行爲ヲ爲スコトヲ得ズ
第十條稅務代理業ニ關シ稅務代理士ノ
受クベキ報酬ハ所屬稅務代理士會ノ會
則ノ定ムル所ニ依ル
稅務代理士ハ前項ノ會則ニ定ムルモノ
ヲ除クノ外何等ノ名義ヲ以テスルヲ問
ハズ稅務代理業ニ關シ報酬ヲ受クルコ
トヲ得ズ
第十一條稅務代理士ハ財務局ノ管轄區
域每ニ稅務代理士會ヲ設立スベシ但シ
命令ヲ以テ定ムル市ニ在リテハ市ノ區
域每ニ別ニ之ヲ設立スベシ
稅務代理士稅務代理士會ヲ設立セント
スルトキハ會則ヲ定メ主務大臣ノ認可
ヲ受クベシ
第十二條稅務代理士會ハ前條第一一項ノ
認可アリタルトキ成立ス
稅務代理士會ハ法人トス
稅務代理士會ハ稅務代理士ノ品位ノ保
持及稅務代理業ノ改善進步ヲ圖ルヲ以
テ目的トス
第十三條稅務代理士會ノ區域內ニ事務
所ヲ有スル稅務代理士ハ其ノ稅務代理
士會ノ會員トス
第十四條稅務代理士會ハ主務大臣ノ認
可ヲ受ケ稅務代理士ノ品位ヲ失墜シ若
ハ失墜スル虞アル會員又ハ稅務代理士
會ノ會則ニ違反シ若ハ違反スル虞アル
會員ヲ退會セシムルコトヲ得
第十五條前四條ニ規定スルモノヲ除ク
ノ外稅務代理士會ニ關シ必要ナル事項
ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十六條主務大臣ハ監督上必要アリト
認ムルトキハ稅務代理士若ハ稅務代理
士會ヨリ報〓ヲ徵シ又ハ當該官吏ヲシ
テ其ノ業務ニ關スル帳簿書類ヲ檢査セ
シムルコトヲ得
第十七條主務大臣ハ稅務代理士會ノ目
的達成上必要アリト認ムルトキハ稅務代
理士會ニ對シ會則ノ變更其ノ他必要ナ
ル事項ヲ命ズルコトヲ得
第十八條稅務代理士本法、本法ニ基キテ
發スル命令若ハ稅務代理士會ノ會則ニ
違反シタルトキ又ハ稅務代理士ノ品位
ヲ失墜スベキ行爲若ハ業務上不正ノ行
爲ヲ爲シタルトキハ主務大臣ハ其ノ許
可ヲ取消シ又ハ一年以內稅務代理業ノ
停止ヲ命ズルコトヲ得
第十九條稅務代理士會ハ共同ノ目的ヲ
達スル爲會則ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ
受ケ稅務代理士會聯合會ヲ設立スルコ
トヲ得
第二十條主務大臣ハ命令ノ定ムル所ニ
依リ本法ニ定ムル職權ノ一部ヲ財務局
長又ハ稅務署長ニ委任スルコトヲ得
第二十一條第四條第一項ノ許可ヲ受ケ
ズシテ稅務代理業ヲ行ヒタル者ハ六月
以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第十八條ノ規定ニ依ル稅務代理業ノ停
止期間内稅務代理業ヲ行ヒタル者ノ罰
亦同ジ
第二十二條第六條ノ規定ニ違反シタル
者ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十三條稅務代理士左ノ各號ノ一ニ
該當スルトキハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
一第七條ノ規定ニ依ル事務所ヲ設ケ
ザルトキ
二第八條ノ規定ニ依ル帳簿ノ記載ヲ
怠リ若ハ詐リ又ハ帳簿ヲ隱匿シタル
トキ
三第十條第二項ノ規定ニ違反シタル
トキ
四第十六條ノ規定ニ依ル當該官吏ノ
檢査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタルトキ
第二十四條稅務代理士第九條ノ規定ニ
違反シタルトキハ二年以下ノ懲役又ハ
三千圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十五條稅務代理士又ハ稅務代理士
タリシ者稅務代理業ニ關シ取扱ヒタル
事項ニ付知得タル祕密ヲ故ナク漏洩シ
タルトキハ一年以下ノ懲役又ハ千圓以
下ノ罰金ニ處ス
第二十六條稅務代理士ハ其ノ使用人其
ノ他ノ從業者ガ其ノ稅務代理士ノ業務
ニ關シ第二十三條第二號若ハ第三號又
ハ第二十四條ノ違反行爲ヲ爲シタルト
キハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ
處罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
前項ノ場合ニ於テハ懲役刑ヲ科スルコ
トヲ得ズ
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
第二條ノ規定ハ本法施行ノ際現ニ稅務代
理業ヲ行フ者ガ命令ノ定ムル所ニ依リ本
法施行ノ日ヨリ一月以內ニ第四條第一項
ノ許可ノ申請ヲ爲ス場合ニハ之ヲ適用セ
ズ
本法施行ノ際現ニ稅務代理業ヲ行フ者ハ
本法施行ノ日ヨリ四月間ヲ限リ第四條第
一項ノ規定ニ拘ラズ主務大臣ノ許可ヲ受
ケズシテ引續キ稅務代理業ヲ行フコトヲ
得
第十條ノ規定ハ稅務代理士會成立スルニ
至ル迄ハ之ヲ適用セズ
社債等登錄法案
社債等登錄法
第一條本法ハ資金ノ蓄積及金融機關ノ
資金ノ合理的運用等ニ資スルヲ以テ目
的トス
第二條社債ノ登錄ハ勅令ヲ以テ定ムル
法人(以下登錄機關ト稱ス)ヲシテ之ヲ
取扱ハシム
第三條社債ノ登錄ハ社債權者ノ請求ニ
依リテ之ヲ爲ス
登錄機關ハ正當ノ事由アルニ非ザレバ
社債ノ登錄ヲ拒ムコトヲ得ズ
第四條登錄ヲ爲シタル社債ニ付テハ債
劵ハ之ヲ發行セズ
登錄機關債劵ヲ發行シタル社債ニ付登
錄ヲ爲ストキハ其ノ債劵ヲ囘收スルコ
トヲ要ス
第五條登錄ヲ爲シタル無記名社債ヲ移
轉シ若ハ之ヲ以テ擔保權ノ目的ト爲シ
又ハ之ヲ信託財產ト爲シタルトキハ其
ノ登錄ヲ爲スニ非ザレバ之ヲ以テ社債
ヲ發行シタル會社其ノ他ノ第三者ニ對
抗スルコトヲ得ズ
登錄ヲ爲シタル記名社債ヲ移轉シ若ハ
之ヲ以テ擔保權ノ目的ト爲シ又ハ之ヲ
信託財產ト爲シタルトキハ其ノ登錄ヲ
爲シ且社債原簿ニ其ノ旨ノ記載ヲ爲ス
ニ非ザレバ之ヲ以テ社債ヲ發行シタル
會社其ノ他ノ第三者ニ對抗スルコトヲ
得ズ
第六條法令ニ依リ擔保トシテ社債ヲ供
託スル場合ニ於テハ登錄ヲ爲シタル社
債ニ付テハ其ノ登錄ヲ受ケ之ニ代フル
コトヲ得
第七條社債權者ハ登錄ヲ爲シタル社債
ニ付何時ニテモ登錄ノ抹消ヲ請求スル
コトヲ得
第八條登錄機關ハ社債登錄簿ヲ備置ク
コトヲ要ス
第九條主務大臣ハ登錄事務ニ關シ登錄
機關ヲ監督ス
第十條主務大臣ハ必要アリト認ムルト
キハ登錄機關ヲシテ登錄事務ニ關スル
報〓ヲ爲サシメ又ハ當該官吏ヲシテ登
錄事務ヲ檢査シ若ハ社債登錄簿其ノ他
ノ書類ヲ檢査セシムルコトヲ得
第十一條左ノ場合ニ於テハ登錄機關ノ
業務ヲ執行スル役員ヲ五千圓以下ノ過
料ニ處ス
-本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令
ニ違反シタルトキ
二前條ノ規定ニ依ル當該官吏ノ檢査
ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタルトキ
第十二條登錄事務ニ從事スル登錄機關
ノ職員ハ之ヲ法令ニ依リ公務ニ從事ス
ル職員ト看做ス
前項ノ職員ノ範圍ハ命令ヲ以テ之ヲ定
ム
第十三條本法ハ命令ヲ以テ定ムル社債
ニハ之ヲ適用セズ
第十四條本法ハ地方債、特別ノ法令ニ
依リ設立セラレタル法人ニシテ會社ニ
非ザルモノノ發行スル債劵及命令ヲ以
テ定ムル外國又ハ外國法人ノ發行スル
公債又ハ社債ニ之ヲ準用ス
第十五條本法ニ規定スルモノヲ除クノ
外登錄竝ニ登錄ヲ爲シタル社債、地方
債、特別ノ法令ニ依リ設立セラレタル
法人ニシテ會社ニ非ザルモノノ發行ス
ル債劵及命令ヲ以テ定ムル外國又ハ外
國法人ノ發行スル公債又ハ社債ニ關シ
必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
有價證劵移轉稅法第三條中「甲種國債登
錄簿ニ登錄シタル國債ニ付テノ名義變
更」ノ下ニ「、社債等登錄法ニ依リ登錄シ
タル社債、地方債又ハ外國若ハ外國法人
ノ發行スル公債若ハ社債ニ付テノ名義變
更」ヲ加フ
〔政府委員谷口恒二君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=33
-
034・谷口恒二
○政府委員(谷口恒二君) 只今議題ト相成
リマシタ日本勸業銀行法中改正法律案外五
件ニ付キマシテ、其ノ提案ノ理由ヲ御說明
致シマス
先ヅ日本勸業銀行法中改正法律案、農工
銀行法中改正法律案及ビ北海道拓殖銀行法
中改正法律案ヲ一纏メニシテ御診明致シマ
ス、日本勸業銀行、農工銀行及ビ北海道拓
殖銀行ハ、年來順調ナル發展ヲ遂ゲマシテ、
是等ノ銀行ニ於ケル資金ノ供給能力ハ相當
大ナルモノガアリマスル所、從來其ノ業務
ニ對シテハ、尙ホ相常嚴重ナル制限ガ設ケ
ラレテ居ルノデアリマス、然ルニ現下ノ時
局ニ於キマシテハ、軍需產業其ノ他國家緊
要產業ニ對スル事業資金ノ供給ノ圓滑化ヲ
圖ルコトハ、愈〓〓切切ナナツテ居リマスノ
デ、是等銀行ヲシテ右時局ニ緊要ナル資金
ノ融通ヲナサシムルヤウ、現行法中ノ有抵
當定期貸付總額ノ制限、其ノ他ノ諸制限ヲ
緩和又ハ撤廢スルコトトシ、玆ニ是等ノ三
案ヲ提出致シタ次第デアリマス
次ニ國民貯蓄組合法中改正法律案ニ付御
說明致シマス、戰時財政經濟ノ運行ヲ確保
シ、以テ今次戰爭ノ完遂ヲ期センガ爲ニハ、
購買力ヲ吸收シテ通貨ノ膨脹ヲ抑制シ、巨
額ノ資金ヲ蓄積シテ、國債ノ消化ト生產力
擴充資金トニ充ツルノ要益〓、多キヲ加ヘテ
參リマシタノデ、政府ニ於キマシテハ此ノ
目的ヲ達成スルノ一手段トシテ、國民貯蓄
組合ヲ利用スル組合貯蓄ノ增加ヲ、更ニ一層
促進シタイト存ジマシテ、本法案ヲ提出致
シタ次第デアリマス
改正ノ要點ヲ申述ベマスレバ、第一ハ、
國民貯蓄組合ノ斡旋ヲナス貯蓄ノ運用ノ範
圍ヲ擴大致シマシテ、地方債又ハ社債ノ買
入ヲ追加シタ點デアリマス、是ハ地方債及
ビ社債モ亦貯蓄組合ノ貯蓄トシテ、適當デ
アルト認メタカラデアリマスルガ、其ノ種
類トシテ滴當ナルモノヲ命令ヲ以テ定メ
ルノデアリマス
第二ハ免稅規定ノ改正デアリマシテ、從
來ハ貯蓄ノ種類ニ依リマシテ、免稅ノ限度
ニ差別ヲ設ケテ居リマシタガ、組合貯蓄ノ0
性質上斯カル差別ヲ設クル必要ナシト認
メ、今囘之ヲ同一ニ取扱フコトニ改メタノ
デアリマス、而シテ組合貯蓄ノ增加ヲ圖ル
爲ニハ或ル程度ノ免稅限度引上ガ必要デア
リマシテ、此ノ際郵便貯金ノ預入限度引上
等トノ關係ヲモ考慮致シマシテ、免稅トナル
元本又ハ額面金額ヲ、一率ニ七千圓ニ引上
ゲタ次第デアリマス
次ニ稅務代理士法案ニ付キマシテ御說明
申上ゲマス、申上ゲルマデモナク、租稅ハ
國家財政上極メテ重要ナル地位ヲ占メテ居
ルノデアリマシテ、其ノ運營ノ適否ガ直チ
ニ國政ノ全般竝ニ國民ノ利害ニ、重大ナル
影響ヲ與ヘルノデアリマス、而シテ社會經
濟情勢ハ愈〓、複雜多岐ニ亙リマシテ、之ニ伴
ヒ稅務行政ノ運行及ビ國民ノ經濟生活モ亦
複雜且ツ困難トナツテ參ツタノデアリマス
ルガ、殊ニ戰時下ニ於ケル財政需要ノ增加
ニ伴ヒ、相次イデ增稅ヲ行ヒ、更ニ今囘增
稅等ノ措置ヲ行フコトト致シマシタ爲ニ、
此ノ傾向ハ今後一段ト加重セラルルモノト
認メラレルノデアリマス、隨ヒマシテ稅務
行政ノ適正ナル運營ヲ圖リマスコトハ、現
下喫緊ノ要務デアルノデアリマス、此ノ見
地ヨリ致シマシテ、新タニ稅務代理士法ヲ
制定シ、稅務代理士ノ制度ヲ設ケマシテ、
其ノ素質ノ向上ヲ國リマスト共ニ、是等ノ
者ニ對スル取締ノ徹底ヲ期シ、之ニ依リ戰
時ニ於ケル稅務行政ノ圓滑ナル運用ニ資セ
ントスルノデアリマス、卽チ本法案ニ於キ
マシテハ、稅務代理士ノ素質ノ向上ヲ〓
リ.其ノ〓務ソ分正ヲ期スル爲メ、租務代
理士ノ資格ヲ限定シ、一定ノ資格ヲ有スル
=
者ガ主務大臣ノ許可ヲ受ケタ場合ニ限リ、
稅務代理士タリ得ルコトトシ、同時ニ稅務
代理士ニ限リマシテ、所得稅、法人稅其ノ
他ノ租稅ニ關シ、他入ノ委囑ニ依リ稅務官
廳ニ提出スベキ書類ヲ作成シ、審査ノ請
求等ニ付キ代理ヲナシ、又ハ其ノ相談ニ應
ズルコトヲ業トシ得ルコトト致シタノデ
アリマス、其ノ他稅務代理士會ヲ組織セシ
メ、自治的ニ品位ノ保持、稅務代理業ノ改
善進步ヲ圖ラシメ、又是等ノ者ガ受クベキ
報酬ニ付テモ取締ヲナスコトトシ、而シテ
是等ノ者ガ國稅ノ浦脫ニ付キ指示ヲナシ、
相談ニ應ジ、不當ノ報酬ヲ受ケタ場合等ニ
於キマシテハ、許可ノ取消又ハ業務ノ停止
ノ處分ヲナス外、特ニ重キ罰則ヲ滴用スル
コトト致シタノデアリマス
次ニ社債等登錄法案ニ付キマシテ御說明
申上ゲマス、本法案ハ戰時下ニ於ケル資金
ノ蓄積及ビ金融機關ノ資金ノ合理的運用ノ
緊要ナルニ顧ミマシテ、社債等ノ保有者ニ
對シ租稅上ノ特典ヲ與フル等ノ爲メ、新タ
ニ社債等ノ登錄制度ヲ設ケントスルモノデ
アリマス、卽チ別ニ提出致シマスル臨時租
稅措置法中改正法律案及ビ國民貯蓄組合法
中改正法律案ニ於キマシテハ、登錄ヲナシ
タル公社債等ノ保有者ニ對スル分類所得稅
ヲ、輕減又ハ免除スルコトト致シマシテ、長期
貯蓄ノ奬勵及ビ金融機關ノ資金ノ合理的運
用ニ資スルコトト致シマシタガ、是等ノ措置
ヲ講ズル必要上、玆ニ新ニ國債登錄制度ニ
倣ヒ、社債等ノ登錄制度ヲ設ケントスルモ
ノデアリマス、以上申述ベマシタ趣旨ニ依
リマシテ本制度ヲ創設センドスルノデアリ
マスガ、本〓ダ設ケラレマシタ場合ニハ、
社債等ノ發行手續ノ簡易牝、高級印刷能力
ノ節約等ニ資スル所モ少ウナイト存ズルノ
デアリマス
以上六件ノ法律案ニ付キマシテハ、何卒
御審議ノ上速カニ御協贊ヲ與ヘラレンコト
ヲ御願ヒ申上ゲマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=34
-
035・田子一民
○議長(田子一民君) 質疑ノ通〓ガアリマ
ス、之ヲ許シマス-曾和義弌君
〔曾和義式君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=35
-
036・曾和義弌
○會和義式君 只合議題ト相成リマシタル
中ノ稅務代理士法案一關聯致シマシテ、四
項目ニ亙ツテ政府営局ノ所信ヲ伺ヒタイト
思フノデアリマス、本法案ハ從來主トシテ
計理士ガ私ニ稅務相談所等ヲ設ケテ行ツテ
參リマシタ業務ヲ法制化致シマシテ、是等
ヲ取締ルト共ニ、只今次官ガ說明サレマシ
タヤウニ、我ガ國ノ稅務行政ノ圓滑ナル運用
ヲ圖ラウトスル趣意デアルコトハ諒承致シ
マシタ、又今日ノ場合是ガ必要デアリ、本
制度設置ガ適切ナ意圖デアルト云フコトニ
於テ、私ハ賛意ヲ表スル者デアリマス
ソレニ付キマシテ先ヅ私ハ第一ニ課稅技
術上ノ問題ニ付テ御伺ヒシタイノデアリマ
スルガ、從來課稅ノ基準トナリマスル所得
ノ算定ニ付キマシテハ、稅務署ノ官吏ノ取
扱ニ於テ動モスレバ苛歛誅求ノ傾キニ陷ル
コトガ、屢〓見受ケラレルノデアリマス、殊ニ
少額所得者ノ所得算定ノ場合ニハツレガ多
イ、中ニモ更ニ農山漁村ニ於ケル所得算定ノ
場合ニハ甚ダ是ガ多ク現ハレルノデアリ
マス、卽チ農山漁村ニ於ケル所得ノ算定ニ
付キマシテハ、其ノ基準所得ノ單位ノ決定
ニ付テハ色々ノ見方ガアリマス、今日農產
物ノ原價計算ニ付キマシテハ、農林省ニ於
テ大體決定サレテハ居リマスケレドモ、私
共カラ見マスナラバ尙ホ如何カト思ハレル
點ガアル、卽チ原價計算ノ基礎ガ一定不動
フモノデナイ、玆ニ實際取扱上ノ問題ガ生
ジテ來ルノデアリマス、然ルニ斯カル場合
ニ於テ、少額所得者ノ所得算定ニ當リマシ
テ疑ヒヲ生ジタ場合ニハ今日マデノ稅務
官吏ハ大體ニ於テ重キニ從ツテ課稅スルノ
デアリマス、隨ヒマシテ納稅義務者ニ於テ
ハ、其ノ所得ノ決定ニ不服ガアリマシテ
モ、是等農山漁村ノ人々ハ、是ノ救濟方法
デアル審査會ノ再審査ヲ求メルトカ、或人
訴願ヲスルト云フコトニハ不得手デアル
ソレガ爲ニツイ是ガ泣寝入リト申シマセウ
カ、マア仕方ガナイト云フ所ニ落着イテ居
ルヤウデアリマスルガ、併シ斯ウ云フ狀態
ガ國民思想ノ上ニ相當影響シテ來ルノデア
リマス、官ヲ信賴スルト云フ國民思想、オ
土ヲ有難ク思フト云フ思想ノ土ニ、一 ゴリン
影ヲ與ヘルノデアル、是ガ私ハ重大ダト思フ
ノデアリマス、寧ロ彼等カラ徵收スル稅額其
ノモノヨリモ、國民思想ニ及ボス影響、國民
全體ガ心底カラ官ノ御取扱ニ對シテ心服ス
ルヤ否ヤト云フ問題ガ、最モ重大ナル影響
ヲ齎スノデアリマシテ、殊ニ今議會ニ提出
サレマシタル各種增稅案ノ中ニハ、基礎控
除ノ低下ニ依リマシテ、一層低額所得者ニ
マデ課稅サレル、勤勞所得ナドニ於テハ、
百三十万人ノ增加デアルト云フノデアリマ
スルガ、其ノ中今申シマスル特ニ基礎算定ノ
不明瞭デアル農山漁村民ニ對スル所得決定
ノ際ニハ、從來ノ如キ態度ヲ改メテ、所謂
親心ヲ以テ臨マレル、國家トシテハ彼等カ
ラ取ル所ソ稅金ハ極ク少額デアルガ、之ヲ
取ラレル彼等カラ見ルナラバ、相當ニ大イ
ニ考慮サセラレル問題ナンデアリマス、此
ノ點ニ對シマシテ、ボウモ從來ノ稅務官吏
ノ態度ニ關シテ、私共ハ如何カト思ハレル
ノデアリマスガ、此ノ際政府ニ於テハ、地
方稅務署ノ末端ニ至ルマデ、是ガ徹底スル
ヤウニ、適當ナ御指導アツテ然ルベシト思フ
ノデアリマスガ、之ニ對スル御所見ヲ伺ヒ
タイノデアリマス
第二ハ、此ノ所得算定ニ當ツテ今申シマ
スル通リ、動モスレバ苛歛誅求ノ傾キガア
ルト云フコトカラ、ヨク納稅義務者カラ再
審査ヲ願出ル、或ハ訴願ヲスルト云フ場合
ガ屢〓アルノデアリマス、是ハ大體ニ於テ商
工業者方面ニ多イヤウデアリマスルガ、斯
樣ナ場合ニ於テ、納稅義務者ノ方ニ言分ガ
ナイ事件デアルト却下サレル、或ハ義務者
其ノモノガ取下ゲル、所ガ此ノ義務者ノ再
審査ノ申請、或ハ訴願ト云フモノガ相當理
窟ノ立ツタモノデアル場合ニ於テハ、政府
デハ容易ニ是ガ裁定ヲ下サナイデ之ヲ遷
延スル、遷延シテ置イテ最後ニハドウスル
カト云フト、稅務署ノ官吏ガ其ノ納稅者ノ
家ニ出向イテ行ツテ、所謂妥協スルノデア
リマス、マアドウゾ今年ハ此ノ儘デ一ツ納
メテ置イテ貰ヒタイ、此ノ次ノ稅金デ何ト
カ手心スルカラト、斯ウ言フノデアリマス、
是ガ實ニ今日國民ノ稅務署ニ對スル心服感
ト云フモノヲ非常ニ弱クシテ居ル、卽チ稅
務署ト云フ所ハ、例ヘバ十六年度ノ稅金ニ
於テ取ル限度ヲ超エテ取ツテ置イテ、十七
年度ニ於テハ是ノ手心ヲシテ少クスルト云
フコトガ出來ルノダ、卽チ取扱者ノ如何ニ
依ツテハ、取扱者ノ筆ノ先ノ廻シ工合ニ依
ツテ手心ガ出來ルノダト云フ觀念ヲ國民ニ
與ヘル、是ガ又國民ノ納稅義務觀念ヲ徹底
セシメル上ニ大ナル障碍ヲ來シテ居ル、而
モ斯樣ナ問題ハ、ソレヲ實際ニ其ノ經驗シ
タ人間ガ手柄ダテニ又他人ニ之ヲ吹聽スル、
是ハ甚ダ以テ私ハ不都合千萬デアルト思フ
ノデアリマス、ナゼ政府ハモツト恬淡ニ公
明正大ナル態度デ臨マナイノカ、若シ稅務
署ノ課稅ガ不當デアルナラバ、人民ノ申出
ニ依ツテ明カニ、イヤ如何ニモソレハ間違
ツテ居ツタ、直チニ之ヲ訂正スルト云フ態
度ニ出ヅル、之ニ依ツテ却テ私ハ人民ノ稅
r
務署ニ對スル信服感ト云フモノヲ强クシ、
隨テ國民ノ納稅義務觀念ト云フモノヲ〓高
メルコトガ出來ルト思フノデアリマス、殊
ニ先程次官ノ說明ニモアリマシタ通リ、戰
時國家財政ノ上ニ色々增稅ガ實施サレ、又
ソレト同時ニ國民ノ凡ユル思想方面モ、此
ノ戰爭ヲ契機トシテ新理想、新理念ニ向ツ
テ進ムベキ今日ハ新時代ヲ展開スル時期デ
アル、此ノ際政府當局ハ普ク全國ノ稅務署
ニ通達シテ、只今私ガ申シマシタヤウナ不
公明ナ態度ヲ執ラナイヤウニシテ、サウシ
テ稅務行政ノ運用ヲ適正ナラシメルト云フ
コトニ對シテ、如何ナル御用意ガアルカト
云フコトヲ伺ヒタイノデアリマス
第三ハ、今日尙ホ相當稅金ノ通脫ヲ企テル
非國民ガ跡ヲ絕タナイト云フ問題ニ付テデ
アリマス、我ガ國ノ租稅ハ一般民主國家ノ
租稅ト違ヒマシテ、要スルニ天皇御親政
ノ國、神ノ國トシテ、上代ニ於テ既ニ租徵庸
ノ制ガアリ、國民ガ義務トシテ納メルト云
フヨリモ、寧ロ初ヲ上ゲルト云フ考ヘ方ノ上
ニ立ツテ居ル、ソレガ基礎デアル、然ルニ國
民ノ中ニ尙且脫稅ヲ企テル者ガアル、私ハ今
日國民ノ義務ガ三大義務ダトカ、四大義務
きダトカ色々言ハレマスケレドモ、私ハ性質ノ
上カラ考ヘマスナラバ、兵役ノ義務ト此ノ
納稅ノ義務トガ、要スルニ相竝ビ稱サレル
所ノ國民ノ義務ノ上ニ於テ、車ノ兩輪ノ如
キモノト思フノデアリマス、一方兵役ノ義
務ハ、幸ヒニモ國民忠誠ノ念ニ依ツテ、遺
憾ナク履行サレテ居リマスルガ、納稅ノ義
務ニ至ツテハ、今申シマスル如キ通脫者ト
云フモノガ跡ヲ絕タナイ、而モ此ノ逋脫者
ハ相當高額所得者ニ多イ、自己ニ課セラレ
タル稅金ヲ納付スルニサシテ困難ヲ感ジナ
イ、寧ロ餘裕綽々タル階級ノ人ニ多イ、而
モ是等ノ人ハ從來トシテモ、先程申シマシタ
所ノ、私ニ執リ行ウテ居ル稅務相談所デア
ルトカ云フモノト相談シテ、合理的ニ或ハ
非今法的ニ連脫ヲ企テテ居ル或ハ事業會
社等ニ於キマシテハ、高級ヲ以テ曾テ稅務
署官吏タリシ如キ者ヲ雇傭致シマシテ、專
ラ此ノ事ニ當ラシテ居ル、此ノ度稅務代理
士法案ヲ御提出ニナリ、是ガ成立致シマス
レバ、稅務代理士法トシテ公布施行ニ相
成ルノデアツテ、其ノ稅務代理士ナルモノ
ハ、法制上認メラレタル制度トシテ相當監
督モ受ケ、之ニ對スル條項モ御決定ニナツ
居リマスルガ、併シナガラ根本ハ國民ノ納
稅義務觀念ト云フモノヲ〓揚シ、彼等自身
カラ其ノ精神ノ根本ニ於テ義務觀念ヲ涵養
スルデナケレバ、私ハ稅務代理士ヲ御監督
ナサルニモ、實際問題トスレバ一片ノ法律
ダケデハ決シテイカナイ、相當ソコニ困難
ナルモノガアルト信ズルノデアリマスルガ、
之ニ對スル所ノ御用意ヲ伺ヒタイノデアリ
マス
最後ハ稅務官吏ノ瀆職問題デアリマス、
只今申シマスル如ク、國民ノ納稅義務ト云
フモノハ、飽クマデモ履行シナケレバナラ
ヌモノデアリ、國民總テガ此ノ義務觀念ノ
:昂揚ニ努メ、サウシテ國家ノ爲ニ御奉公ス
ベキコトハ當然デアリ、又今日大多數ノ眞
面目ナル國民ハ、今日此ノ際光榮アル此ノ
時局ノ經費ト云フモノヲ、假令少部分ナリ
トモ分擔スル所ノ矜持ヲ持ツテ、喜ンデ之
ニ應ズル態度ガ出來テ居ルノデアリマス、
然ルニ一部ニハ之ヲ逋脫セントスル者ガア
ルノミナラズ、更ニ驚クベキモノハ、此ノ
非國民的態度ヲ執ル者ト、現職ノ稅務官吏
トガ相結託シテ、サウシテ此ノ非國民的行
動ヲ成就セシメテ居ルト云フコトデアル、
先程モ申シマシタ通リ、我ガ國ノ官吏ハ民
主國家ノ官吏ト其ノ建前ガ異ルノデアル、
先程豫算總會ニ於テ、東條總理大臣ガ一億
國民全體ヲ、善人ナリト思フ建前ニ於テ政
治ヲシテ居ルノダト云フ御答ヘガアツタサ
ウデアリマスガ、成程一應ハ其ノ考ニ立ツ
テ政治ヲ行ハレルト云フコトハ必要デアリ
マセウ、必要デアリマセウガ、事實ハ如何
ニスルカ、事實今日我ガ國民ノ道德素質ノ
現狀カラ見マスルト、尙且斯ノ如キ非國民
的ナ態度ニ出ヅル者ガ假令一人デモアル、
更ニソレガ我ガ國ニ於テハ、官吏ハ國民ノ
模範タルベキモノデアルト云フ建前デアル
其ノ官吏、而モ〓廉ナルベキ所ノ稅務關係
ノ官吏ガ、私慾ノ爲ニ斯カル稅金逋脫ヲ爲
ス者ト結託シテ、而シテ之ヲ成就セシメル、
其ノ非法行爲ヲ成就セシメルト云フコトニ
付キマシテハ、從來トテモ相當御考慮相成
ツテ居ルコトト存ジマスルガ、今日此ノ際
徹底的ニ斯クノ如キ者ヲ絕滅セシムル所ノ
考ヘノ下ニ、劃期的ナル方法ヲ御執リニナ
ラナケレバナラナイト私ハ思フ、又此ノ問
題ハ一、般官吏ノ瀆職問題トモ關聯スルノデ
アリマスルガ、政府ハ假令僅少ナリト雖モ
官吏ノ中ニ斯クノ如キ不心得ノ者ガアルト
云フ此ノ實情カラ、カン之ヲ根絕スルト云フ建
^
前ニ於テ、殊ニ戰時我ガ國ノ現狀ニ於キマ
シテ、特ニ戰時下ニ於ケル所ノ官吏ノ犯罪
ニ對スル取扱ニ付デ特例ヲ設ケ、以テ之ヲ
監督シ、軍官民一致此ノ聖業達遂ノ爲ニ邁
進スルト云フ所ノ態勢ヲ整ヘルベキデアル
ト云フコトニ付テ、御考案ガアルカト云フ
コトヲ伺ヒタイノデアリマス、以上簡單ニ
四點ニ付テ質疑スル〓第デアリマス(拍手)〓
〔政府委昌谷口恒二君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=36
-
037・谷口恒二
○政府委員(谷口恒二君) 只今ノ曾和サン
ノ御質問ニ對シテ御答ヘ致シタイト存ジマ
ス、政府ハ今回增稅案ヲ揚出シテ居ルノデ
アリマシテ、今後ハ稅務行政ト申スモノガ、*
國家財政上益〓、重要ナル地位ヲ占メテ參ル
ノデアリマシテ、其ノ局ニ當ル者ト致シマ一
シテハ、愈〓〓戒心シ能ク注意シテ其ノ局ニ
當ラナケレバナラヌト云フコトヲ、深ク痛
感致シテ居ルノデアリマス、就キマシテハ、
所謂苛歛誅求ノ問題ニ付キマシテハ、從來
ニ於キマシテモ、其ノ弊ノナイヤウニ出來
ルダケノ注意ヲ拂ツテ居ツタノデアリマス
ルガ、今後ニ於キマシテハ、所得ノ算定其
ノ他ノ問題ニ付キマシテ、只今仰セニナリ
マシタヤウニ、色々多岐複雜ナル問題ガア
ルノデアリマスルカラ苛歛誅求ニ亙ルコ
トノナキヤウ、課稅ノ適正ヲ得ラレマスル<
ヤウ十分ニ注意致シマシテ、必要ナル命令
ヲ地方ノ稅務當局ニ出シタイト云フヤウニ
考ヘテ居ルノデアリマス
次ニ御尋ネニナリマシタ點モ、稍〓其ノ問題ト
同ジデアリマシテ、再審査等ノ要求ガアリマ
シタ場合ニ於キマシテ、事ノ圓滑ヲ期シタイ
ト云フヤウナコトカラ始メマシタコトガ、甚ダ
公明正大ヲ缺クト云フヤウナ弊ニ陷ツテ居ル
ト云フ御指摘ニ對シマシテハ、今後ハ深
ク注意ヲ致シマシテ、斯クノ如キ弊ノナキ
ヤウニ、ソレ〓〓關係ノ方面ニ注意ヲ致シ
タイト思フノデアリマス
ソレカラ國民ノ納稅心ノ問題デアリマス、
今尙ホ租稅ノ連脫ヲ圖ル者アリ、而モソレガ
相當高額所得ノ方面ニ行ハレルト云フ御指
摘デアリマシタガ、國民納稅心ノ發揚ニ付
キマシテハ、先刻ノ課稅ノ適正ヲ期スルコ
ト、或ハ公明正大ヲ期スルト云フヤウナ點
ニ付キマシテ、稅務ノ局ニ當リマスル者ガ
能ク注意致シマスコトガ、其ノ義務ノ發揚
ニ資スル所以デアルト云フ風ニ考ヘルノデ
アリマシテ、旁、御指摘ニナリマシタ點ニ付
キマシテハ、十分稅務當局關係者ヲ指導致
シタイト考ヘルノデアリマス、尙ホ會社等
ニ於キマシテ、稅務ノ專門ノ顧問等ヲ招聘
致シテ居リマスル場合等ニ付キマシテハ、
稅務代理士法ガ成立致シマシタ後ニ於キマ
シテハ、此ノ法律ニ依リマシテ適當ナル掣
肘ヲ加ヘマシテ、通脫等ガ行ハレナイヤウ
ニ萬全ノ策ヲ執リタイ、斯樣ニ考ヘテ居ル
ノデアリマス
終リニ稅務官吏ノ瀆職ノ點ニ付テ御指摘
ガアリマシタガ、此ノ點ニ付キマシテハ、
吾々之ニ關係致シテ居ル者ト致シマシテ、
眞ニ申譯ナク感ジテ居ルノデアリマス、此
ノ點ニ付キマシテハ、是モ亦從來平素ヨリ
十分其ノ點ニ付キマシテハ注意ヲ加ヘテ居ル
ノデアリマスルガ、今後ニ於キマシテハ一層此
ノ點ニ注意ヲ致シタイト思フノデアリマス、
稅務代理士法ニ依リマシテ、此ノ稅務官吏
ノ漬職ト云フモノヲ防ギマスル一ツノ方
法ガ、ソコニ見出サレルト云フ風ニ私共
考ヘテ居リマス、更ニ又內部ニ於キマシ
テハ、稅務官吏ノ行政ノ狀況ヲ考査スル
コトニ付キマシテ、平素ヨリ特ニ今後施設
スルコトニ致シタイト考ヘテ居ルノデアリ
マシテ、本法案及ビ今後ノ行政ノ考査ノ施
設、其ノ他出來ルダケノ施設ヲ講ジマシテ、
稅務官吏ノ仕事ニ今後不祥事ヲ出サナイヤ
ウニ、十分努メタイト考ヘテ居ルノデアリ
マス、其ノ點御諒承ヲ御願ヒ致シタイト思
フノデアリマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=37
-
038・田子一民
○議長(田子一民君) 是ニテ質疑ハ終了致
シマシタ、各案ノ審議ヲ付託スベキ委員ノ
選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=38
-
039・依光好秋
○依光好秋君 日程第七乃至第十二ノ六案
ヲ一括シテ議長指名二十七名ノ委員ニ付託
セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=39
-
040・田子一民
○議長(田子一民君) 依光君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=40
-
041・田子一民
○議長(田子一民君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
十三、簡易生命保險法中改正法律案ノ第一
讀會ヲ開キマス-小泉厚生大臣
第十三簡易生命保險法中改正法律案
(政府提出、貴族院送村)第一讀會
簡易生命保險法中改正法律案
簡易生命保險法中左ノ通改正ス
第四條第一項中「七百圓」ヲ「千圓」ニ改ム
第四條ノ二乃至第四條ノ五竝ニ第三十四
條第二項及第三項中「十二歲」ヲ「十歲」ニ
改ム
第九條保險契約者カ保險金額ヲ受取ル
ヘキ者ヲ指定セサルトキハ被保險者又
ハ其ノ遺族ヲ以テ保險金額ヲ受取ルヘ
キ者トス
前項ノ遺族ノ範圍及順位ハ勅令ヲ以テ
之ヲ定ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行前ノ保險契約ニ付テハ第四條ノ
二ノ改正規定ニ拘ラズ仍從前ノ規定ニ依
ル
〔國務大臣小泉親彥君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=41
-
042・小泉親彦
○國務大臣(小泉親彥君) 只今上程サレマ
シタ簡易生命保險法中改正法律案提出ノ理
由ヲ御說明申上ゲマス、本案ハ、戰時下國
民生活ノ保障ヲ厚クシ、併セテ浮動購買力
吸收ノ增强ヲ圖リマスル爲ニ、簡易生命保
險ノ保險金最高制限額ヲ千圓ニ引上グルト
共ニ、此ノ機會ニ制度ノ整備ヲ圖リマスル
爲メ、簡易生命保險法ノ改正ヲ致サウトス
ルモノデアリマス、幸ヒ今囘ノ改正ガ實現
致シマスレバ、之ニ依リ本制度ハ益〓其ノ特
色ヲ發揮スルコトトナリマシテ、戰時下洵
ニ意義ノ深キモノアルコトヲ確信致シテ居
ル次第デアリマス、何卒御審議ノ上速カニ
御協賛アランコトヲ切望スル次第デアリマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=42
-
043・田子一民
○議長(田子一民君) 本案ノ審査ヲ付託ス
/ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=43
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044・依光好秋
○依光好秋君 本案ハ政府提出、國民體力
法中改正法律案外四件委員ニ併セ付託セラ
レンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=44
-
045・田子一民
○議長(田子一民君) 依光君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=45
-
046・田子一民
○議長(田子一民君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
十四乃至第十八バ便宜上一括議題トナスニ
御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=46
-
047・田子一民
○議長(田子一民君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程第十四、陸軍刑法中改正法律
案日程第十五、陸軍軍法會議法中改正法
律案、日程第十六、海軍刑法中改正法律案、
日程第十七、海軍軍法會議法中改正法律案、
日程第十八、船舶保護法中改正法律案、右
五案ヲ一括シテ第一讀會ヲ開キマス-木
村陸軍次官
第十四陸軍刑法中改正法律案(政府
提出、貴族院送付)第一讀會
第十五陸軍軍法會議法中改正法律案
(政府提出、貴族院送付)第一讀會
第十六海軍刑法中改正法律案(政府
提出、青族院送付)第一讀會
第十七海軍軍法會議法中改正法律案
(政府提出、貴族院送付)第一讀會
第十八船舶保護法中改正法律案政
府提出、青族院送付)第一讀會
陸軍刑法中改正法律案
陸軍刑法中左ノ通改正ス
目次中「第五章暴行脅迫ノ罪」ヲ「第五
章暴行脅迫及殺傷ノ罪」ニ、「第九章
掠奪ノ罪」ヲ「第九章掠奪及强姦ノ罪」
三郎人
第十條中「陸軍將校相當官、」ヲ削ル
第十一條中「下士」ヲ「下士官」ニ、「陸軍下
士」ヲ「陸軍下士官」ニ改ム
第十二條中「兵卒」ヲ「兵」ニ改ム
第十三條中「同相當官、」ヲ削ル
第十四條中「豫備又ハ」ヲ削ル
第十六條中「兵卒」ヲ「兵」ニ、「下士勤務上
等兵」ヲ「下士官勤務ノ兵」ニ改ム
第二十條第一號但書ヲ左ノ如ク改ム
但シ戰地以外ノ地ニ在ル部隊ニシテ對
敵狀態ニ在ラサルモノヲ除ク
第五十五條第一號及第二號ヲ左ノ如ク改
ム
-敵前ナルトキハ死刑又ハ無期若ハ
五年以上ノ懲役ニ處ス
二戰時、軍中又ハ戒嚴地境ナルトキ
ハ六月以上七年以下ノ懲役ニ處ス
三其ノ他ノ場合ナルトキハ五年以下
ノ懲役ニ處ス
第五十七條第二號中「一年以上七年以下
ノ禁錮」ヲ「一年以上十年以下ノ禁錮」ニ、
同條第三號中「二年以下ノ禁錮」ヲ「五年
以下ノ禁錮」ニ改ム
第五十八條第二號中「無期又ハ五年以上
ノ禁錮」ヲ「無期又ハ七年以上ノ禁錮」ニ、
「一年以上十年以下ノ禁錮」ヲ「一年以上
ノ有期禁錮」ニ、同條第三號中「三年以上
十年以下ノ禁錮」ヲ「三年以上ノ有期禁
錮」ニ、「五年以下ノ禁錮」ヲ「七年以下ノ
禁錮」ニ改ム
「第五章暴行脅迫ノ罪」ヲ「第五章暴
行脅迫及殺傷ノ罪」ニ改ム
第六十條上官ヲ傷害シ又ハ之ニ對シ暴
行若ハ脅迫ヲ爲シタル者ハ左ノ區別ニ
從テ處斷ス
敵前ナルトキハ一年以上ノ有期ノ
懲役又ハ禁錮ニ處ス
二其ノ他ノ場合ナルトキハ十年以下
ノ懲役又ハ禁錮ニ處ス
第六十一條第二號中「五年以上ノ有期ノ
懲役又ハ禁錮」ヲ「無期若ハ五年以上ノ懲
役又ハ禁錮」ニ、「十年以下ノ懲役又ハ禁
錮」ヲ「六月以上十年以下ノ懲役又ハ禁
鋼」ニ改ム
第六十二條中「上官ニ對シ兵器又ハ兇器
ヲ用ヰテ暴行又ハ脅迫ヲ爲シタル者」ヲ
「兵器又ハ兇器ヲ用ヰテ第六十條ノ罪ヲ
犯シタル者」ニ改ム
第六十三條ノ二前四條ノ罪ヲ犯シ因テ
上官ヲ死ニ致シタル者ハ左ノ區別ニ從
テ處斷ス
-敵前ナルトキハ死刑ニ處ス
二其ノ他ノ場合ナルトキハ死刑又ハ
無期ノ懲役若ハ禁錮ニ處ス
第六十三條ノ三上官ヲ殺シタル者ハ死
刑ニ處ス
第六十三條ノ四前條ノ罪ヲ犯ス目的ヲ
以テ其ノ豫備ヲ爲シタル者ハ二年以上
ノ有期ノ懲役又ハ禁錮ニ處ス
第七十二條中「第六十條乃至第七十條」ヲ
「第六十條乃至第六十三條、第六十三條ノ
三及第六十四條乃至第七十條」ニ改ム
第七十五條第二號中「五年以下ノ懲役又
ハ禁錮」ヲ「六月以上七年以下ノ懲役又ハ
禁錮」ニ、同條第三號中「二年以下ノ懲役
又ハ禁錮」ヲ「五年以下ノ黴役又ハ禁錮」
ニックハ
第七十六條第二號中「五年以上ノ有期ノ
懲役又ハ禁錮」ヲ「無期若ハ五年以上ノ懲
役又ハ禁錮」ニ、「六月以上七年以下ノ懲
役又ハ禁錮」ヲ「一年以上十年以下ノ黴役
又ハ禁錮」ニ、同條第三號中「一年以上七
年以下ノ黴役又ハ禁錮」ヲ「二年以上ノ有
期ノ懲役又ハ禁鋼」ニ、「三年以下ノ懲役
又ハ禁錮」ヲ「六月以上七年以下ノ懲役又
ハ禁錮」ニ改ム
第七十九條中「船舶、」ノ下ニ「航空機、戰
車、」ヲ、「電車」ノ下ニ「、自動車」ヲ加フ
第八十一條ノ二陸軍ノ航空機ヲ墜落、
〓覆若ハ覆沒セシメ又ハ破壞シタル者
ハ死刑又ハ無期懲役ニ處ス
「第九章掠奪ノ罪」ヲ「第九章掠奪及
强姦ノ罪」ニ改ム
第八十八條ノ二戰地又ハ帝國軍ノ占領
地ニ於テ婦女ヲ强姦シタル者ハ無期又
ハ一年以上ノ懲役ニ處ス
前項ノ罪ヲ犯ス者人ヲ傷シタルトキハ
無期又ハ三年以上ノ懲役ニ處シ死ニ致
シタルトキハ死刑又ハ無期若ハ七年以
上ノ懲役ニ處ス
第九十七條第一項中「三年以上ノ懲役」ヲ
「五年以下ノ懲役」ニ改メ同條第二項ヲ左
ノ如ク改ム
在〓軍人召集ヲ免ルル目的ヲ以テ前項
ノ行爲ヲ爲シタルトキハ三年以下ノ懲
役ニ處ス
第九十九條中「三年以下ノ禁錮」ヲ「七年
以下ノ懲役又ハ禁錮」ニ改ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行前刑法第二十二章ノ罪ヲ犯シタ
ル者ニシテ第八十八條ノ二第一項ノ改正
規定ニ該當スルモノハ本法施行後ト雖モ
告訴アルニ非ザレバ其ノ罪ヲ論ゼズ
陸軍軍法會議法中改正法律案
陸軍軍法會議法中左ノ通改正ス
第三十一條中「陸軍法務官」ヲ「法務官」ニ
改ム
第三十五條法務官ハ司法官試補タルノ
資格ヲ有シ勅令ノ定ムル所ニ依リ實務
ヲ修習シタル陸軍ノ法務部將校ヲ以テ
之ニ充ツ
第三十六條乃至第四十一條削除
第五十一條第二項第一號中「尉官一人」ノ
下ニ「又ハ將官一人佐官一人尉官一人」ヲ
加フ
第六十九條及第九十六條第一項但書中
「法務官試補」ヲ「 務修習中ノ法務部將
校」ニ改ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法ハ本法施行前ニ生ジタル事件ニモ亦
之ヲ適用ス
前項ノ規定ハ本法施行前從前ノ規定ニ依
リ爲シタル訴訟手續ノ效力ヲ妨ゲズ
本法施行ノ際現ニ陸軍法務官タル者ニシテ
陸軍ノ法務部將校ニ任ゼラレザルモノハ退
職ノ陸軍法務官トシテ本法施行後ト雖モ
其ノ官ヲ保有セシメ其ノ身分取扱ニ關シ
テハ從前ノ例ニ依ル
本法施行ノ際陸軍法務官(兼官ヲ含ム以
下同ジ)ヨリ陸軍ノ法務部將校ニ任ゼラ
レタル者ニ對シ恩給法第三十條ノ規定ヲ
適用スル場合ニ於テハ其ノ陸軍法務官ト
シテノ在職年ノ計算ニ付テハ同條中十分
ノ七トアルハ十七分ノ十三トス
勅令ヲ以テ別段ノ定ヲ爲シタル場合ヲ除
クノ外他ノ法律中陸軍ノ理事トアリ又ハ
陸軍法務官トアルハ法務官タル陸軍ノ法
務部將校トス
本法施行ノ際必要ナル規定ハ勅令ヲ以テ
之ヲ定ム
海軍刑法中改正法律案
海軍刑法中左ノ通改正ス
目次中「第五章暴行脅迫ノ罪」ヲ「第五
章暴行脅迫及殺傷ノ罪」ニ、「第九章
掠奪ノ罪」ヲ「第九章掠奪及强姦ノ罪」
ニバティ
第八條海軍軍人ト稱スルハ海軍ノ高等
武官、候補生、准士官、下士官及兵ニ
シテ左ニ記載シタル者ヲ謂フ
現役ニ在ル者但シ未タ入營セサル者
及召集中ニ非サル歸休下士官兵ヲ除ク
二現役以外ノ兵役ニ在リテ召集中ノ
者及召集中ノ身分取扱ヲ受クル者
三前二號ニ記載シタル者ノ外海軍制
服著用中ノ者
第十二條第二項中「卒」ヲ「兵」ニ改ム
第五十三條第一號及第二號ヲ左ノ如ク改
ム
-敵前ナルトキハ死刑又ハ無期若ハ
五年以上ノ懲役ニ處ス
二戰時ナルトキハ六月以上七年以下
ノ徵役ニ處ス
三其ノ他ノ場合ナルトキハ五年以下
ノ懲役ニ處ス
第五十五條第二號中「一年以上七年以下
ノ禁錮」ヲ「一年以上十年以下ノ禁錮」ニ、
同條第三號中「二年以下ノ禁錮」ヲ「五年
以下ノ禁錮」ニ改ム
第五十六條第二號中「無期又ハ五年以上
ノ禁鋼」ヲ「無期又ハ七年以上ノ禁錮」ニ、
「一年以上十年以下ノ禁錮」ヲ「一年以上ふふ···
ノ有期禁錮」ニ、同條第三號中「三年以上
十年以下ノ禁錮」ヲ「三年以上ノ有期禁
鋼」ニ、「五年以下ノ禁錮」ヲ「七年以下ノ
禁錮」ニ改ム
「第五章暴行脅迫ノ罪」ヲ「第五章暴
行脅迫及殺傷ノ罪」ニ改ム
第五十八條上官ヲ傷害シ又ハ之ニ對シ
暴行若ハ脅迫ヲ爲シタル者ハ左ノ區別
ニ從テ處斷ス
ー敵前ナルトキハ一年以上ノ有期ノ
懲役又ハ禁錮ニ處ス
二其ノ他ノ場合ナルトキハ十年以下
ノ懲役又ハ禁錮ニ處ス
第五十九條第二號中「五年以上ノ有期ノ
懲役又ハ禁錮」ヲ「無期若ハ五年以上ノ懲
役又ハ禁錮」ニ、「十年以下ノ懲役又ハ禁
個 )「六月以上十年以下ノ懲役又ハ禁
鋼」ニ改ム
第六十條中「上官ニ對シ兵器又ハ兇器ヲ
用ヰテ暴行又ハ脅迫ヲ爲シタル者」ヲ「兵
器又ハ兇器ヲ用ヰテ第五十八條ノ罪ヲ犯
シタル者」ニ改ム
第六十一條ノ二前四條ノ罪ヲ犯シ因テ
上官ヲ死ニ致シタル者ハ左ノ區別ニ從
テ處斷ス
敵前ナルトキハ死刑ニ處ス
二其ノ他ノ場合ナルトキハ死刑又ハ
無期ノ懲役若ハ禁錮ニ處ス
第六十一條ノ三上官ヲ殺シタル者ハ死
刑ニ處ス
第六十一條ノ四前條ノ罪ヲ犯ス目的ヲ
以テ其ノ豫備ヲ爲シタル者ハ二年以上
ノ有期ノ懲役又ハ禁錮ニ處ス
第七十條中「第五十八條乃至第六十八條」
ヲ「第五十八條乃至第六十一條、第六十一
條ノ三及第六十二條乃至第六十八條」ニ
改ム
第七十三條第二號中「五年以下ノ懲役又
ハ禁錮」ヲ「六月以上七年以下ノ懲役又ハ
禁錮」ニ、同條第三號中「二年以下ノ懲役
又ハ禁錮」ヲ「五年以下ノ徵役又ハ禁錮」
三六人
第七十四條第二號中「五年以上ノ有期ノ
懲役又ハ禁錮」ヲ「無期若ハ五年以上ノ懲
役又ハ禁錮」ニ、「六月以上七年以下ノ懲
役又ハ禁錮」ヲ「一年以上十年以下ノ懲役
又ハ禁錮」ニ、同條第三號中「一年以上七
年以下ノ懲役又ハ禁錮」ヲ「二年以上ノ有
期ノ懲役又ハ禁錮」ニ、「三年以下ノ懲役
又ハ禁錮」ヲ「六月以上七年以下ノ懲役又
ハ禁錮」ニ改ムヤ
第七十八條申「艦船、」ノ下ニ「航空機、戰
車、」ヲ、「電車」ノ下ニ「自動車」ヲ加フ
第八十一條ニ左ノ一項ヲ加フ
海軍ノ航空機ヲ墜落、〓覆若ハ覆沒セ
シメ又ハ破壞シタル者亦前項ニ同シ
「第九章掠奪ノ罪」ヲ「第九章掠奪及
强姦ノ罪」ニ改ム
第八十八條ノ二戰地又ハ帝國軍ノ占領
地ニ於テ婦女ヲ强姦シタル者ハ無期又
ハ一年以上ノ懲役ニ處ス
前項ノ罪ヲ犯ス者人ヲ傷シタルトキハ
無期又ハ三年以上ノ懲役ニ處シ死ニ致
シタルトキハ死刑又ハ無期若ハ七年以
上ノ懲役ニ處ス
第九十六條中「歸休兵及豫備役、後備役ニ
在ル者」ヲ「歸休下士官兵及現役以外ノ兵
役ニ在ル者」ニ改ム
第九十七條第一項中「三年以下ノ懲役」ヲ
「五年以下ノ懲役」ニ改メ同條第二項ヲ左
ノ如ク改ム45
歸休下士官兵及現役以外ノ兵役ニ在ル
者召集ヲ免ルル目的ヲ以テ前項ノ行爲
ヲ爲シタルトキハ三年以下ノ黴役ニ處、
ス
第百條中「三年以下ノ禁錮」ヲ「七年以下
ノ徵役又ハ禁錮」ニ改ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行前刑法第二十二章ノ罪ヲ犯シタ
ル者ニシテ第八十八條ノ二第一項ノ改正
規定ニ該當スルモノハ本法施行後ト雖モ
告訴アルニ非ザレバ其ノ罪ヲ論ゼズ
海軍軍法會議法中改正法律案
海軍軍法會議法中左ノ通改正ス
第八條第四號中「要港部軍法會議」ヲ「警
備府軍法會議」ニ改ム
第九條第一項中「要港部軍法會議」ヲ「警
備府軍法會議」ニ、同項但書中「要港部」ヲ
「警備府」ニ改ム
第十條第三項中「要港部軍法會議」ヲ警
備府軍法會議」ニ、「要港部司令官」ヲ「警
備府司令長官」ニ改ム
第十三條第二號中「海軍區」ヲ「警備區」ニ
改ム
第十四條中「要港部軍法會議」ヲ「警備府
軍法會議」ニ、「要港部司令官」ヲ「警備府
司令長官」ニ改ム
第十五條ニ左ノ一項ヲ加フ
警備區ヲ有スル艦隊ノ艦隊軍法會議ニ
在リテハ其ノ警備區內ニ在リ又ハ警備
區內ニ於テ罪ヲ犯シタル第一條乃至
第三條記載ノ者ニ對スル被〓事件ニ付
亦前項ニ同シ
第三十一條中「海軍法務官」ヲ「法務官」ニ
改ム
第三十五條法務官ハ司法官試補夕ルノ
資格ヲ有シ勅令ノ定ムル所ニ依リ實務
ヲ修習シタル海軍ノ法務科士官ヲ以テ
之ニ充ツ
第三十六條乃至第四十一條削除
第四十四條、第四十九條第一項及第五十
條中「亞港部軍法會議」ヲ「警備府軍法會
議」ニ改ム
第五十二條第二項第一號中「尉官一人」ノ
下ニ「又ハ將官一人佐官一人尉官一人」ヲ
加フ
第六十三條中「要港部軍法會議」ヲ「警備
府軍法會議」ニ改ム
第六十九條中「法務官試補」ヲ「實務修習
中ノ法務科士官」ニ改ム
第七十條中「要港部軍法會議」ヲ「警備府
軍法會議」ニ改ム
第七十三條ノ二海軍大臣ハ海軍ノ武官
又ハ文官中ヨリ戰地又ハ占領地警備區
內ニ於テ海軍司法警察官トシテ勤務ス
ル者ヲ指定スルコトヲ得
第七十七條第二項中「巡査」ノ下ニ二八八
第七十三條ノ二ノ規定ニ依リ海軍司法警
察官トシテ勤務スル者ノ部下ニ屬スル者」
ヲ加フ
第九十六條第一項但書中「法務官試補」ヲ
「實務修習中ノ法務科士官」ニ改ム
第三百十二條第一項、第四百二十條及第
四百六十一條第二項中「要港部軍法會議」
ヲ「警備府軍法會議」ニ改ム
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法ハ本法施行前ニ生ジタル事件ニモ亦
之ヲ適用ス
前項ノ規定ハ本法施行前從前ノ規定ニ依
リ爲シタル訴訟手續ノ效力ヲ妨ゲズ
本法施行ノ際現ニ海軍法務官タル者ニシ
テ海軍ノ法務科士官ニ任ゼラレザル者ハ
退職ノ海軍法務官トシテ本法施行後ト雖
モ其ノ官ヲ保有セシメ其ノ身分取扱ニ關
シテハ從前ノ例ニ依ル
本法施行ノ際海軍法務官(兼官ヲ含ム以
下同ジ)ヨリ海軍ノ法務科士官ニ任ゼラ
レタル者ニ對シ恩給法第三十條ノ規定ヲ
適用スル場合ニ於テハ其ノ海軍法務官ト
シテノ在職年ノ計算ニ付テハ同條中十分
ノ七トアルハ十七分ノ十三トス
勅令ヲ以テ別段ノ定ヲ爲シタル場合ヲ除
クノ外他ノ法律中海軍ノ主理トアリ又ハ
海軍法務官トアルハ法務官タル海軍ノ法
務科士官トス
本法施行ノ際必要ナル規定ハ勅令ヲ以テ
之ヲ定ム
船舶保護法中改正法生案
船舶保護法中左ノ通改正ス
第十條ノ二海軍大臣ハ必要アルトキハ
命令ノ定ムル所ニ依リ第三條第一項及
第四條第二項ニ規定スル職權ノ一部ヲ
海務院長官ヲシテ行ハシムルコトヲ得
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔政府委員木村兵太郞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=47
-
048・木村兵太郎
○政府委員(木村兵太郞君) 只今上程セラ
レマシタ陸軍刑法中改正法律案提出ノ理由
ヲ御說明申上ゲマス、現行陸軍刑法ハ、明
治四十一年ヨリ施行セラレ、爾來一囘ノ改
正モ見ズ、三十有餘年ヲ經テ今日ニ至ツタ
ノデアリマスガ、時勢ノ堆移、戰爭形態ノ
變遷、支那專變ノ經驗ニ鑑ミ、又最近ノ一
般刑罰法ノ改正等ニ徵シマシテ、戰時下特
ニ緊要ナル規定ヲ新設又ハ整備シ、以テ軍
こ紀ヲ愈〓振肅シ、大東亞戰爭ノ完遂ニ遺憾ナ
キヲ期セントスルモノデアリマス、W而シテ
改正ノ主要ナルモノハ以下五點デアリマス
第一ハ軍中ノ定義規定ヲ整備スルコト、
第二ハ從軍及ビ兵役ヲ免レントスル罪、抗
命ノ罪、逃亡ノ罪竝ニ造言飛語ノ罪ノ刑ヲ
加重スルコト、第三ハ上官ニ對スル加害ノ
罪ヲ設クルコト、第四ハ軍用物損壞ノ罪ノ
規定ヲ整備スルコト第五ハ戰地又ハ占領
地ニ於ケル姦淫ノ罪ヲ設クルコト
以上ガ本法律案ヲ提出スルニ至リマシタ
理由ノ要旨デアリマス、何卒御察議ノ上速
カニ御協賛アランコトヲ希望致シマス
次ハ陸軍軍法會議法中改正法律案提出ノ
理由ヲ御說明申上ゲマス、軍法會議ガ特別
裁判所トシテ軍ニ設置セラレアル所以ノモ
ノハ、司法權ト給帥トヲ密接不可分ノ關係
ニ置キ、司法權ノ作用ノ上ニ、結帥上ノ要
求ヲ全幅的ニ反映セシメンガ爲デアルト信
ズルノデアリマス、是ガ爲ニハ軍司法ノ運
營ヲ本務トスル法務官ヲシテ、統帥上ノ要
求ヲ十分ニ理解シ得ル武官トナシ、一層軍
事ニ精通シ、身ヲ以テ軍紀ニ徹スル軍人タ
ラシメ、以テ大東亞戰爭下愈、ミ重大ヲ加ヘ
ツツアリマスル軍司法ノ運營ヲ、建軍ノ本
旨ト統帥ノ要求トニ透徹セシメ、益〓其ノ
完璧ヲ期スルノ要アリト存ズルモノデアリ
マス、卽チ陸軍軍法會議法ニ規定セラレア
ル軍法會議ノ職員中、文官デアリマスル陸
軍法務官ヲ廢シ、軍法會議法務官トシテノ
職ハ、陸軍武官タル法務部將校ヲ以テ之ニ
充ツルコトト致シタフデアリマス、而シテ
法務部將校ノ補充、服役、分限、〓罰等ハ
總テ陸軍ノ將校ニ關スル規定ノ適用ヲ受ル
ルモノトシ、之ニ關係アル現行法第三十一
條、第三十五條乃至第四十一條等ノ規定ヲ
整備セントスルモノデアリマス、次ニ高等
軍法會議ノ裁判官タル判士ノ區分ニ付キ現
行法第五十。一條ノ一部ノ改正ヲ行ヒ、運用
ノ適正ヲ期セシメントスルモノデアリマス
以上ガ本法律案ヲ提出致シマシタ理出ノ要
旨デアリマス、何卒御案議ノ上速カニ御協
贊アランコトヲ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=48
-
049・田子一民
○議長(田子一民君) 嶋田海軍大臣
〔國務大臣嶋田繁太郞君登壇〕、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=49
-
050・嶋田繁太郎
○國務大臣(嶋田繁太郞君) 只今議題トナ
リマシタ海軍刑法中改正法律案、海軍軍法
會議法中改正法律案及ビ船舶保護法中改正
法律案ニ付キマシテ、提案ノ理由ヲ御說明
申上ゲマス
現行ノ海軍刑法ハ明治四十一年ノ制定ニ
係リマシテ、爾來三十有餘年一囘ノ改正ヲ
見ズ今日ニ至ツタモノデアリマシテ、時勢
ノ變遷、戰爭形態ノ進步、新兵器ノ採用等
ニ伴ヒマシテ、其ノ全般ニ亙リ改正ヲ考慮
スベキ箇所ガ尠カラザルヤニ認メラルルノ
デアリマスガ、海軍刑法ハ刑法ト相關聯ス
ル所ガ多ク、彼此レ步調ヲ一ニスルノ要ガ
アリマスノミナラズ、時局緊急ノ際全面的
改正ヲ施スノハ適當デアリマセヌノデ、現
行法實施後ノ制度ノ改變、支那事變ノ經驗
等ニ鑑ミマシテ、特ニ緊要ナル部分ニ付テ
ノミ改正セントスルモノデアリマス、其ノ
主ナ點ハ六點ゴザイマス
第一ハ兵役法ノ改正、其ノ他制度ノ改變
ニ伴ヒマシテ、海軍軍人ノ名稱例ニ關スル
規定等ヲ改正シタコトデアリマス、第二ハ
抗命ノ罪、逃亡ノ罪、從軍ヲ免レ又ハ危險
ナル勤務ヲ避クル罪、兵役ヲ免ルル罪等
主要ナル軍紀犯罪ノ刑ノ一部ガ稍〓、輕キニ失
シマシテ、一般警戒的效果ニ乏シキ憾ミガ
アリマスノデ是等ノ罪ノ刑ヲ强化致シマ
シテ、以テ軍紀ノ振肅ニ遺憾ナキヲ期シタ
ルコトデアリマス、第三ハ上官ニ對スル殺
傷ノ罪ハ、現行法制ノ下ニ於キマシテハ
刑法ノ規定ニ委シテアルノデアリマスガ、
斯カル罪ハ軍紀侵害ノ甚ダシキモノデアリ
マスカラ、軍事犯トシテ海軍刑法中ニ規定
スルノ要アリト認メラレマスノデ、上官殺
傷ノ罪ニ關スル規定ヲ設ケタコトデアリマ
ス、第四ハ最近目覺マシイ進步ヲ遂ゲ、顯
著ナル功績ヲ擧ゲツツアル軍用航空機、戰
車、自動車ノ保護ニ關シ、現行法上不備ノ
點ガアリマスノデ、軍用物損壞ノ罪ノ章中
ニ、此ノ點ヲ整備致シタコトデアリマス、
第五ハ戰地又ハ占領地ニ於テ婦女ヲ强姦ス
名 以一戰地又ハ占領地ノ治安確保ニ任ズ
ル軍ノ减信ヲ損スルト共ニ、軍紀ヲ紊ルコト
大ナルモノナルニ鑑ミマシテ之ヲ軍事犯
トシテ非親告罪タラシムルノ要ガアリマス
ノデ、刑法ノ姦淫罪ソ特別規定トシテ、戰地
又ハ占領地ニ於ケル婦女强姦ノ罪ヲ新設シ
タコトデアリマス、第六ハ、近代戰ガ宣傳
戰ノ一面ヲ備ヘテ居ルコ。トニ對處スル爲メ
軍事ニ關スル造言、飛語ノ罪ノ刑ヲ引上ゲ、
以テ宣傳戰乃至ハ敵ノ謀略ニ對スル備ヘヲ
完カラシメントシタコトデアリマス
次ニ海軍軍法會議法中改正法律案ニ付キ
マシテ提案ノ理由ヲ申上ゲマス、本改正法
律案ノ主ナル點ハ三點デゴザイマス
第一ハ、海軍軍法會議ノ職員中海軍法務
官ヲ武官ニ改メ、是ガ關係法規ヲ整備シタ
コトデアリマス、軍法會議ガ特別裁判所ト
シテ設置セラレテ居リマスノハ、一ニ司法
權ノ運用ニ付キ、軍紀フ維持振肅ト云フ、
軍統帥上ノ要求ヲ全面的ニ反映セシメン
ガ爲デアリマス、是ガ爲ニハ現行制度ノ下
ニ於テモ海軍大臣、鎭守府司令長官、警備
府司令長官、艦隊司令長官等ヲシテ、軍法
會議ノ長官トシテ公訴及ぞ捜査ノ指揮ニ當
ラシムル外、審判機關タル軍法會議ノ裁判
官ニハ將校タル判士ヲ以テ其ノ大部分ヲ
占メシムル等ノ方法ヲ講ジテ居リマスガ
眞ニ軍裁判ノ本質ヲ發揮スル爲ニハ全裁
判官ガ軍給帥ノ要求ヲ最モ良ク理解セル軍
人タルコトガ一層適切デアリマシテ、是ガ
軍法會議トシテ最モ適當ナル制度ト認メラ
レルノデアリマス
第二ハ要港部令ノ改正、商港警備府令、
鎭守府及ビ警備府ノ警備區ノ制定等、諸制
度ノ改變ニ伴ヒマシテ、海軍軍法會議法中
改正スベキ箇所ガゴザイマスノデ、所要ノ
改正ヲ加ヘタコトデアリマス
第三ハ、大東亞戰爭ノ進展ニ伴ヒマッテ、
戰地又ハ占領地中、海軍司法警察官タル憲
兵ノナイ場合モ考ヘラレマスノデ、海軍大
臣ハ海軍ノ武官又ハ文官中ヨリ海軍司法警
察官トシテ勤務スル者ヲ指定シ得ル規定ヲ
設ケ、以テ斯カル不便ヲ除去セントシタコ
トデアリマス
最後ニ船舶保護法中改正法律案ノ提出理
由ヲ御說明申上ゲマス、船舶保護法ハ第七
十六議會ニ於キマシテ御協贊ヲ經マシタモ
ノデゴザイマスガ、今囘遞信省ニ海務院ノ
設置ヲ見ルコトニナリマシテ、其ノ機構ガ
頗ル擴大强化セラレルニ至リマシタノミナ
ラズ、其ノ職員中所要ノ位置ニ海軍ノ現役
士官ヲ配員セラルルコトトナリマシタノ
デ、船舶保護法第三條第一項及ビ第四條第
二項ニ規定スル海軍大臣ノ職權ノ一部ヲ、
必要アルトキ海務院長官ヲシテ行ハシメマ
スルコトヲ適當トスルコトト相成ツタノデ
アリマス
以上申述べマシタ理由ニ依リマシテ、本改
正法律案三件ヲ提出致シマシタ次第デゴザ
イマス、何卒御審議ノ上速カニ御協賛ヲ與
ヘラレンコトヲ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=50
-
051・田子一民
○議長(田子一民君) 各案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=51
-
052・依光好秋
○依光好秋君 日程第十四乃至第十八ノ各
案ハ一括シテ政府提出、兵器等製造事業特
別助成法案委員ニ併セ付託セラレンコトヲ
望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=52
-
053・田子一民
○議長(田子一民君) 依光君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=53
-
054・田子一民
○議長(田子一民君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
十九、小形船舶乘組員手帳法案ノ第一讀會
ヲ開キマス-寺島遞信大臣
第十九小形船舶乘組員手帳法案政
府提出、貴族院送付)第一讀會
小形船舶乘組員手帳法案
小形船舶乘組員手帳法
第一條左ニ揭グル日本船舶(漁船ヲ除
ク)ニ乘組ム命令ヲ以テ定ムル船員(以
下小形船舶乘組員ト稱ス)ハ小形船舶
乘組員手帳ヲ受有スルコトヲ要ス
一總噸數五噸以上二十噸未滿ノ船舶
二總噸數五噸以上ノ端舟及櫓櫂ヲ以
テ運轉スル舟
三平水區域ヲ航行スル總噸數二十噸
以上ノ船舶
本法ニ定ムルモノヲ除クノ外小形船舶
乘組員手帳ニ關シ必要ナル事項ハ命令
ヲ以テ之ヲ定ム
第二條小形船舶乘組員ハ其ノ雇傭契約
ノ成立、終了、更新又ハ變更アリタルト
キハ命令ノ定ムル所ニ依リ小形船舶乘
組員手帳ヲ管海官廳ニ提出シテ其ノ證
明ヲ受クルコトヲ要ス
前項ノ規定ハ命令ノ定ムル所ニ依リ雇
傭契約ニ依ラズシテ乘組ム小形船舶乘
組員ニ之ヲ準用ス
第三條小形船舶乘組員、小形船舶乘組
員タラントスル者、船舶所有者又ハ船
長ハ小形船舶乘組員手帳ニ關シ必要ア
ルトキハ小形船舶乘組員又ハ小形船舶
乘組員タラントスル者ノ戶籍ニ關シ戶
籍事務ヲ管掌スル者又ハ其ノ代理者ニ
對シ無償ニテ證明ヲ求ムルコトヲ得
第四條管海官廳必要アリト認ムルトキ
ハ船舶所有者又ハ小形船舶乘組員手帳
ノ交付ヲ受ケタル者ニ出頭ヲ求メ又ハ
其ノ者ヨリ報告ヲ徵スルコトヲ得
第五條本法及本法ニ基キテ發スル命令
中船舶所有者ニ關スル規定ハ船舶共有
ノ場合ニ在リテ船舶管理人ヲ置キタル
トキハ船舶管理人ニ、船舶貸借ノ場合
ニ在リテハ船舶借入人ニ之ヲ適用ス
第六條本法又ハ本法ニ基キテ發スル命
令ニ依リ管海官廳ノ行フベキ事務ニ付
テハ主務大臣ハ市町村長、町村制ヲ施
行セザル地ニ在リテハ之ニ準ズル者ヲ
シテ之ヲ行ハシムルコトヲ得
第七條左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ六
月以下ノ黴役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ
處ス
-詐欺其ノ他ノ不正行爲ヲ以テ小形
船舶乘組員手帳ノ交付ヲ受ケタル者
二第二條ノ規定ニ違反シ證明ヲ受ケ
ザル者
三詐欺其ノ他ノ不正行爲ヲ以テ第二
條ノ規定ニ依ル證明ヲ受ケタル者
第八條第四條ノ規定ニ違反シ出頭ニ應
ゼズ又ハ報〓ヲ怠リ若ハ〓僞ノ報〓ヲ
爲シタル者ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
第九條船舶所有者ハ其ノ代理人、戶主、
家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ其
ノ業務ニ關シ前條ノ違反行爲ヲ爲シタ
ルトキハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ
以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
第十條第八條ノ罰則ハ船舶所有者ガ法
人ナルトキハ理事、取締役其ノ他ノ法
人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者
又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定代理
人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年者
ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テ
ハ此ノ限ニ在ラズ
第十一條國又ハ北海道、府縣、市町村其
ノ他之ニ準ズベキモノノ所有ニ屬スル
船舶ニ乘組ム小形船舶乘組員ニ付テハ
命令ヲ以テ別段ノ定ヲ爲スコトヲ得
本法及本法ニ基キテ發スル命令中船舶
所有者ニ適用スベキ罰則ハ國又ハ北海
道、府縣、市町村其ノ他之ニ準ズベキモ
ノニハ之ヲ適用セズ
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
〔國務大臣寺島健君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=54
-
055・寺島健
○國務大臣(寺島健君) 只今議題トナリマ
シタ小形船舶乘組員手帳法案ニ付キマシテ、
提案ノ理由ヲ御說明申上ゲマス
戰時下ニ於ケル海上物資輸送ノ完遂ヲ圖
ル爲ニハ、船舶乘組員要員ノ確保竝ニ整備
ガ缺クベカラザル要件デアルコトハ改メテ
申スマデモアリマセヌ、是ガ爲ニハ船員ノ
就業狀況ヲ明確ニシテ、移動防止其ノ他ノ
勞務規制ヲ强化スル必要ガアルノデアリマ
ス、然ルニ船員法ノ適用ヲ受クルモノニ關
シマシテハ、旣ニ船員手帳ノ制度アリ、勞
務規制ノ基礎ニ缺クル所ハナイノデアリマ
スルガ、二十「トン」未滿ノ船舶乘組員、其
ノ他ノ船員法ノ適用ヲ受ケナイ船員ニ關シ
マシテハ、海上勞務ノ重要ナル資源デアル
ニモ拘ラズ、手帳制度ガ完備シテ居ナイ爲
メ、使用締制其ノ他ノ勞務規制ノ運用ハ困
難ナル現情ニアルノデアリマス、仍テ船員
法ノ適用ヲ受ケナイ小形船舶ニ乘組ム者ニ
對シテモ、船員手帳ヲ受有セシメ、其ノ就
業狀況ヲ明カニシ、移動ヲ規制スルト共ニ、
徵用船員ノ不斷ノ補充源タラシムル基礎ヲ
整備スルコトニ致シタイト存ズル次第デア
リマス、以上申述ベマシタル必要ニ基キマ
シテ、此ノ法律案ヲ提出スルコトニ致シタ
次第デアリマス、何卒御室議ノ上速カニ御
協賛アランコトヲ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=55
-
056・田子一民
○議長(田子一民君) 本案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=56
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057・依光好秋
○依光好秋君 本案ハ政府提出、郵便法中
改正法律案外三件委員ニ併セ付託セラレン
コトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=57
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058・田子一民
○議長(田子一民君) 依光君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=58
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059・田子一民
○議長(田子一民君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ-日程第
二十及ビ第二十一ハ便宜上一括議題トナス
ニ御異議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=59
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060・田子一民
○議長(田子一民君) 御里議ナシト認メマ
ス仍テ日程第二十、獸醫師法第二條ノ臨時
特例ニ關スル法律案、日程第二十一、明治
四十五年法律第二十一號中改正法律案、右
兩案ヲ一括シテ第一讀會ヲ開キマス-井
野農林大臣
第二十獸醫師法第二條ノ臨時特例ニ
關スル法律案(政府提出、貴族院送
付第一讀會
第二十一明治四十五年法律第二十一
號中改正法律案(臘虎膃肭獸獵獲禁
止ニ關スル件)(政府提出、貴族院送
付第一讀會
獸醫師法第二條ノ臨時特例ニ關スル法
律案
農林大臣ハ當分ノ內獸醫師法第二條第二
號ノ規定ニ拘ラズ未成年者ニ對シ獸醫師
ノ免許ヲ爲スコトヲ得
附則
本法ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
明治四十五年法律第二十一號中改正法
律案
明治四十五年法律第二十一號中左ノ通改
正ス
同法ニ左ノ題名ヲ附ス
臘虎膃肭點獵獲取締法
第一條政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ臘
虎又ハ膃肭獸ノ獵獲ヲ禁止又ハ制限ス
ルコトヲ得
第二條及第三條削除
第四條中「本法」ヲ「第一條ノ規定ニ依ル
禁止若ハ制限」ニ改ム
第五條第一項中「第一條ノ規定ニ違反シ
又ハ私ニ第二條ノ獵獲ヲ爲シタル者」ヲ
「第一條ノ規定ニ依ル禁止又ハ制限ニ違
反シタル者」ニ改メ同條第二項ヲ削ル
第六條中「前條第一項」ヲ「前條」ニ、「本法
ニ違反シテ獵獲輸入又ハ移致シタル」ヲ
「第一條ノ規定ニ依ル禁止若ハ制限ニ違
反シテ獵獲シタル」ニ改ム
第八條ヲ削ル
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行前從前ノ罰則ヲ適用スベカリシ
行爲ニ付テハ仍從前ノ例ニ依ル
〔國務大臣井野碩哉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=60
-
061・井野碩哉
○國務大臣(井野頃哉君) 只今議題トナリ
マシタ獸醫師法第二條ノ臨時特例ニ關スル
法律案外一件ニ付キマシテ提案理由ヲ御說
明申上ゲマス
先ヅ獸醫師法第二條ノ臨時特例ニ關スル
法律案ニ付キマシテ申上ゲマスレバ、本法
案ハ昨年十月公布セラレマシタ勅令第九百
二十四號ニ依リマシテ、大學、專門學校等
ノ卒業期ガ繰上ゲラレ、是ガ卒業者ヲシテ
常時ヨリモ相當期間早ク國家ノ要務ニ從事
セシムルコトト相成リマシタ結果、右修業
年限ノ臨時短縮ニ伴ヒマシテ、獸醫學ヲ專
攻スル是等專門學校ノ卒業者ノ中ニハ、未
成年者ガ相當數アルノデアリマスルガ、未
成年者ハ獸醫師法第二條ノ規定ニ依リマシ
テ、獸醫師ノ免許ヲ與ヘラレザルコトトナ
ツテ居リマスノデ、臨時的措置ト致シマシ
テ、當分ノ內右ノ規定ニ拘ラズ、是等ノ者
ニモ獸醫師ノ免許ス與ヘ得ルコトトシ、人
的資源ノ剩ス所ナキ活用ニ依リ、戰時下畜
產資源確保ノ萬全ヲ期セントスルモノデア
リマス
次ニ明治四十五年法律第二十一號中改正
法律案ニ付キマシテ御說明ヲ致シマス、是
ハ膃肭獸ニ關シマスル法律案デアリマシテ、
膃肭獸ニ關シマシテハ、明治四十四年日英
米露ノ四國間ニ保護條約ヲ締結シ、其ノ保
護ニ努力シテ參リマシタガ、近年膃肭獸ノ
繁殖增加スルニ伴ヒマシテ、我ガ國近海ニ
洞游シマスル獸類ガ激增致シ、我ガ漁業ニ
及ボシマスル損害著シキモノアルニ至リマ
シタノデ、漁業ヲ主要產業トスル帝國ト致
シマシテハ、本條約ノ存續ハ却テ不利益ヲ
齎スモノト認メ、是ガ廢棄ノ通〓ヲ致シマ
シテ、昨年十月二十二日ヲ以テ本條約ハ失
效致シタ次第デアリマス、仍テ本條約ノ規
定ニ基キ、從來臘虎及ビ膃肭獸ノ獵獲ヲ禁
止シテ居リマシタノヲ、本法律案ニ依リマ
シテ之ヲ改メ、今後ハ政府ニ於テ必要ニ應
ジ是ガ禁止又ハ制限ノ措置ヲ執リ得ルコト
ト致シマシテ、海洋獸皮資源ノ統制アル利
用ヲ圖ルニ遺憾ナキヲ期シタイト存ズルノ
デアリマス、何卒御審議ノ上速カニ御協賛
アランコトヲ希望致シマス(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=61
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062・田子一民
○議長(田子一民君) 各案ノ審査ヲ付託ス
ベキ委員ノ選擧ニ付テ御諮リ致シマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=62
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063・依光好秋
○依光好秋君 日程第二十及ビ第二十一ノ
兩案ヲ一括シテ政府提出、米穀需給調節特
別會計法中改正法律案委員ニ併セ付託サレ
ンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=63
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064・田子一民
○議長(田子一民君) 依光君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=64
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065・田子一民
○議長(田子一民君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ動議ノ如ク決シマシタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=65
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066・依光好秋
○依光好秋君 議事日程ノ追加ノ緊急動議
ヲ提出致シマス、卽チ此ノ際政府提出、昭
和十五年法律第六十九號中改正法律案、朝
鮮事業公債法中改正法律案、臺灣事業公債
法中改正法律案、高等商船學校及商船學校
ノ移管ニ伴フ一般會計及學校及圖書館特別
會計ノ關渉ニ關スル法律案、作業會計法中
改正法律案、勞働者年金保喩特別會計法案、
昭和十七年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツル
爲公債發行ニ關スル法律案、昭和十五年法
律第七號中改正法律案、昭和十三年法律第
五十三號中改正法律案、昭和十五年法律第
七十九號改正法律案、海軍工廠資金會計法
中改正法律案、帝國鐵道會計法中改正法律
案昭和十三年法律第二十三號中改正法律
案、昭和十二年法律第八十四號中改正法律
案及ビ臨時軍事費特別會計法中改正法律
案ノ十五案ヲ一括議題トナシ、委員長ノ報
〓ヲ求メ、其ノ審議ヲ進メラレンコトヲ望
ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=66
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067・田子一民
○議長(田子一民君) 依光君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=67
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068・田子一民
○議長(田子一民君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ日程ハ追加セラレマシタ、昭和十
五年法律第六十九號中改正法律案、朝鮮事
業公債法中改正法律案、臺灣事業公債法中
改正法律案、高等商船學校及商船學校ノ移
管ニ伴フ一般會計及學校及圖書館特別會計
ノ關涉ニ關スル法律案、作業會計法中改正
法律案、勞働者年金保險特別會計法案、昭
和十七年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツル爲
公債發行ニ關スル法律案、昭和十五年法律
第七號中改正法律案、昭和十三年法律第五
十三號中改正法律案、昭和十五年法律第七
十九號改正法律案、海軍工廠資金會計法中
改正法律案、帝國鐵道會計法中改正法律
案昭和十三年法律第二十三號中改正法律
案、昭和十二年法律第八十四號中改正法律
案、臨時軍事費特別會計法中改正法律案、
右十五案ヲ一括シテ第一讀會ノ續ヲ開キマ
ス、委員長ノ報告ヲ求メマス-委員長守
屋榮夫君
昭和十五年法律第六十九號中改正法律
案(支那事變ニ關スル一時賜金トシテ
交付スル爲公債發行ニ關スル件)(政府
提出)第一讀會ノ續(委員長報告)
朝鮮事業公債法中改正法律案(政府提
出第一讀會ノ續(委員長報〓)
臺灣事業公債法中改正法律案(政府提
出第一讀會ノ續(委員長報告)
高等商船學校及商船學校ノ移管ニ伴フ
一般會計及學校及圖書館特別會計ノ關
涉ニ關スル法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
作業會計法中改正法律案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
勞働者年金保險特別會計法案(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
昭和十七年度一般會計歲出ノ財源ニ充
ツル爲公債發行ニ關スル法律案(政府
提出)第一讀會ノ續(委員長報〓)
昭和十五年法律第七號中改正法律案
(造幣局東京出張所ノ廳舍、工場其ノ他
ノ建物及其ノ附屬設備ノ新營擴張ニ要
ズル經費ニ關スル件)(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
昭和十三年法律第五十三號中改正法律
案(印刷局据〓、運轉資本補足ニ關スル件)
(政府提出)第一讀會ノ續(委員長報告)
昭和十五年法律第七十九號改正法律案
(陸軍作業會計法、陸軍航空工廠資金特
別會計法及海軍工廠資金會計法ノ臨時
特例ニ關スル件)(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報告)
海軍工廠資金會計法中改正法律案(政
府提出)第一讀會ノ續(委員長報告)
帝國鐵道會計法中改正法律案(政府提
円第一讀會ノ續(委員長報〓)
昭和十三年法律第二十三號中改正法律
案(關東局、朝鮮總督府、臺灣總督府
及樺太廳ノ各特別會計ニ於ケル租稅收
入ノ一部ニ相當スル金額等ヲ臨時軍
事費特別會計ニ繰入ルルコトニ關スル
件)(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
昭和十二年法律第八十四號中改正法律
案(支那事變ニ關スル臨時軍事費支辨ノ
爲公債發行ニ關スル件)(政府提出)
第一讀會ノ續(委員長報〓)
臨時軍事費特別會計法中改正法律案
(政府提出)第一讀會ノ續(委員長報〓)
報告書
一昭和十五年法律第六十九號中改正法律
案(支那事變ニ關スル一時賜金トシテ
交付スル爲公債發行ニ關スル件)(政府
提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十七年一月二十九日
委員長守屋榮夫
衆議院議長田子一民殿
報告書
一朝鮮事業公債法中改正法律案(政府提
出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十七年一月二十九日
委員長守屋榮夫
衆議院議長田子一民殿
報〓書
一臺灣事業公債法中改正法律案(政府提
出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十七年一月二十九日
委員長守屋榮夫
衆議院議長田子一民殿
報〓書
一高等商船學校及商船學校ノ移管ニ伴フ
一般會計及學校及圖書館特別會計ノ關
渉ニ關スル法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十七年一月二十九日
委員長守屋榮夫
衆議院議長田子一民殿
報告書
一作業會計法中改正法律案(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十七年一月二十九日
委員長守屋榮夫
衆議院議長田子一民殿
報告書
一勞働者年金保險特別會計法案(政府提
円
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十七年一月二十九日
委員長守屋榮夫
衆議院議長田子一民殿
報〓書
一昭和十七年度一般會計歲出ノ財源ニ充
ツル爲公債發行ニ關スル法律案(政府
提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十七年一月二十九日
委員長守屋榮夫
衆議院議長田子一民殿
報〓書
一昭和十五年法律第七號中改正法律案
(造幣局東京出張所ノ廳舍、工場其ノ他
ノ建物及其ノ附屬設備ノ新營擴張ニ要
スル經費ニ關スル件)(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十七年一月二十九日
委員長守屋榮夫
衆議院議長田子一民殿
報告書
一昭和十三年法律第五十三號中改正法律
案(印刷局据置運轉資本補足ニ關スル
件)(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十七年一月二十九日
委員長守屋榮夫
衆議院議長田子一民殿
報〓書
一昭和十五年法律第七十九號改正法律案
(陸軍作業會計法、陸軍航空工廠資金特
別會計法及海軍工廠資金會計法ノ臨時
特例ニ關スル件)(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十七年一月二十九日
委員長守屋榮夫
衆議院議長田子一民殿
報〓書
一海軍工廠資金會計法中改正法律案(政
府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十七年一月二十九日
委員長守屋榮夫
衆議院議長田子一民殿
報〓書
一帝國鐵道會計法中改正法律案(政府提
田
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報告候也
昭和十七年一月二十九日
委員長守屋榮夫
衆議院議長田子一民殿
報〓書
一昭和十三年法律第二十三號中改正法律
案(關東局、朝鮮總督府、臺灣總督府
及樺太廳フ各特別會計ニ於ケル租稅收
入ノ一部ニ相當スル金額等ヲ臨時軍事
費特別會計ニ繰入ルルコトニ關スル件)
(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十七年一月二十九日
委員長守屋榮夫
衆議院議長田子一民殿
報告書
一昭和十二年法律第八十四號中改正法律
案(支那事變ニ關スル臨時軍事費支辨
ノ爲公債發行ニ關スル件)(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十七年一月二十九日
委員長守屋榮夫
衆議院議長田子一民殿
報告書
一臨時軍事費特別會計法中改正法律案
(政府提出)
右ハ本院ニ於テ可決スヘキモノト議決致
候此段及報〓候也
昭和十七年一月二十九日
委員長守屋榮夫
衆議院議長田子一民殿
〔守屋榮夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=68
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069・守屋榮夫
○守屋榮夫君 只今議題トナリマシタ昭和
十五年法律第六十九號中改正法律案支那事
變ニ關スル一時賜金トシテ交付スル爲公債
發行ニ關スル件、外十四件ノ委員會ニ於ケ
ル審議ノ經過竝ニ結果ヲ御報告申上ゲマス
以上十五件ノ法律案中昭和十五年法律第六
十九號中改正法律案以下十二件ハ、一枚)
テ一月二十二日委員會ニ付託サレ、其ノ中
ノ昭和十七年度一般會計歲出ノ財源ニ充ツ
ル爲公債發行ニ關スル法律案ハ、追加豫算
ノ計上ニ伴ヒ、一月二十六日、其ノ金額ニ
付キ政府ヨリ修正ガアリマシタ、又昭和十二
年法律第八十四號中改正法律案、支那事變
公債發行ニ關スル件外一件ハ、政府ヨリ口
頭ヲ以テ緊急事件トシテ議決アリタキ旨ノ
要求ヲ附シ、二十六日委員會ニ付託サレタ
モノデアリマス
以上十五法律案ノ內容ヲ簡單ニ說明致シ
マスレバ、分債發行ニ關スルモノ五件、特
別會計法、作業會計法ニ關スルモノ九件、
其ノ他一件デアリマス
其ノ公債發行ニ關スル法律案ハ、從來認
メラレタ公債發行ノ限度ヲ擴張スルモノデ
アリマス、卽チ昭和十五年法律第六十九號
中改正法律案ニ於テハ五億四百万圓、朝鮮事
業公債法中改正法律案ニ於テハ二億三千百
二十万圓、臺灣事業公債法中改正法律案ニ
於テハ六千五百五十万圓、昭和十七年度一般
會計歲出財源ニ充ツル公債發行ニ關スル法
律案ニ於テハ十五億七百九十万圓、昭和十二
年法律第八十四號中改正法律案ニ於テハ、百
四十億五十万圓ヲ增額スルモノデアリマス
次ニ特別會計法及ビ作業會計法ニ關ス
ル法律案中、作業會計法中改正法律案及
ビ勞働者年金保險特別會計法案ハ、う か
コール」專賣及ビ勞働者年金保險ニ對シ、各、≧
新ニ特別會計ヲ設置スルモノデアリマス
次ニ昭和十五年法律第七號中改正法律案
ハ、造幣局資金ヨリ拂出シ一般會計ニ繰入
ルル金額ヲ、千八百九十万八千百七十五圓
ダケ增額スルモノデアリマス
次ニ昭和十三年法律第五十三號中改正法
律案ハ、印刷局ノ据置運運資本ノ運用ヲ圓
滑ナラシムル爲メ、借入金ノ法定額ヲ千五
百万圓ニ增額スルモノデアリマス
次ニ昭和十五年法律第七十九號改正法
律案ハ、陸軍作業會計法、陸軍航空工廠資
金特別會計法及ビ海軍工廠資金會計法ニ臨
時特例ヲ認メ、從來ノ制限ヲ緩和シテ、材
料物品供給範圍ヲ擴大スルト同時ニ、陸軍
航空工廠資金ヲ臨時ニ三千五百万圓ダケ增
額スルモノデアリマス
次ニ海軍工廠資金會計法中改正法律案
ハ、其ノ資金法定額ヲ一億圓ニ增額スルト
同時ニ、材料品貯藏ノ範圍ヲ擴大シ、臨時
補足ノ限度ヲ更ニ千万圓ダケ高ムルモノデ
アリマス
次ニ鐵道特別會計法中改正法律案ハ、鐵
道改良ノ平準化ヲ計ル爲メ、同會計ニ新タ
ニ鐵道改良準備金制度ヲ設ケ、又陸運統制
ノ經費ヲ本會計ノ負擔トスルト共ニ、鐵道
輸送等ニ關スル機械、器具等製作修理又ハ
調達ニ付キ、他ノ委託ヲ受クルノ途ヲ開ク
モノデアリマス
次ニ昭和十三年法律第二十三號中改正法
律案ハ、關東局、朝鮮總督府、臺灣總督府
及ビ樺太廳ノ各特別會計ヨリ、臨時軍事費
特別會計ニ繰入レルモノノ範圍ヲ、更ニ著
シク擴大スルモノデアリマス
次ニ臨時軍事費特別會計法中改正ニ關ス
ル法律案ハ、軍ノ需要竝ニ戰地ニ於ケル特
別ノ事情ニ基キ、本會計ニ屬スル物資ノ賣
拂ヲナシ得ルコトトスルト同時ニ、軍ガ戰
地ニアル軍需品以外ノ物資ノ取得及ビ賣拂
ニ關スル歲入歲出ハ、當分ノ中本會計ノ所
屬トスルコトデアリマス
又他ノ一件タル高等商船學校及商船學校
ノ移管ニ伴フ一般會計及學校及圖書館特別
會計ノ關涉ニ關スル法律案ハ、特別會計ヨ
リ一般會計ニ移管サルルモノニ對スル善後
措置ニ關スルモノデアリマス
以上十五法案ノ規定スル內容ハ、上述ノ
說明ニ依ツテモ明カナルガ如ク、昭和十七
年度一般會計及ビ特別會計ニ包含サルル、
主要事項ニ關スルモノデアリマス、而シテ
是等ノ事項ガ、大東亞戰爭完遂ノ緊急事件
トシテ本院ヲ通過スルコト極メテ明瞭ナル
情勢ニ於テハ、是ト密接不可分ノ關係ニア
ル是等十五法律案モ、亦劃期的ナ敏速サヲ
以テ圓滿ニ〓議サルベキモノナリトスル點
ニ付テハ、委員一同ノ當初ヨリ感ヲ同ジク
シタ所デアツタノデアリマス、本委員會ハ
二十四日政府ヨリ各法律案ニ對シ、逐次ニ
提案理由ノ診明ヲ聽取シ、二十六日ヨリ二
十八日マデ三日間引續キ質疑ヲ行ヒマシタ、
沖島委員ハ豪灣ニ於ケル大甲溪ノ開發事
業ニ付テ、田代委員ハ高等船員養成ニ付テ、
井上委員ハ勞働者年金保險ニ付テ、松岡委
員ハ滿洲移民問題ニ付テ、委員外中野君ハ
咸中鐵道其ノ他ノ主要性ニ付テ質シ、國務
大臣及ビ政府委員ヨリ、答辯ガアリマシタ
ガ、其ノ詳細ハ速記錄ニ讓リ、此處デハ省
略サシテ戴キマス、昨日午後各法律案ニ對
スル質議ヲ一應打切リ、本日午後一時委員
會ヲ開キ、井上委員ヨリ勞働者年金保險積
立金ノ運用、特ニ預金部運用委員會ニ勞資
ノ代表者ヲ委員トシテ加フルコトニ關シ、
熱心ナル意見ノ開陳アリ、谷口政府委員ヨ
リ其ノ趣旨ヲ尊重スル旨ノ應答アリタル
後、十五法律案ヲ一括シテ討論採決ニ入リ
マシタル所、泉委員ヨリ討論省略ノ動議ガ
出テ、各委員モ亦之ニ贊成シ、採決ノ結果
全會一致ヲ以テ原案通リ可決致シタ次第デ
アリマス、此ノ段謹ンデ御報告申上ゲマス
(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=69
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070・田子一民
○議長(田子一民君) 十五案ノ第二讀會ヲ
開クニ御異議アリマセヌカ
(「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=70
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071・田子一民
○議長(田子一民君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ十五案ノ第二讀會ヲ開クニ決シマ
シタ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=71
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072・依光好秋
○依光好秋君 直チニ十五案ノ第二讀會ヲ
開キ、第三讀會ヲ省略シテ、委員長報告ノ
通リ可決セラレンコトヲ望ミマス発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=72
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073・田子一民
○議長(田子一民君) 依光君ノ動議ニ御異
議アリマセヌカ
〔「異議ナシ」ト呼ブ者アリ〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=73
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074・田子一民
○議長(田子一民君) 御異議ナシト認メマ
ス、仍テ直チニ十五案ノ第一一讀會ヲ開キ議
案全部ヲ議題ト致シマス
昭和十五年法律第六十九號中改正法律
案(支那事變ニ關スル一時賜金トシテ
交付スル爲公債發行ニ關スル件)
第二讀會(確定議)
朝鮮事業公債法中改正法律案
第二讀會(確定議)
臺灣事業公債法中改正法律案
第二讀會(確定議)
高等商船學校及商船學校ノ移管ニ伴フ
一般會計及學校及圖書館特別會計ノ關
涉ニ關スル法律案第二讀會(確定議)
作業會計法中改正法律案
第二讀會(確定議)
勞働者年金保險特別會計法案
第二讀會(確定議)
昭和十七年度一般會計歲出ノ財源ニ充
ツル爲公債發行ニ關スル法律案
第二讀會(確定議)
昭和十五年法律第七號中改正法律案
(造幣局東京出張所ノ廳舍、工場其ノ
他ノ建物及其ノ附屬設備ノ新營擴張ニ
要スル經費ニ關スル件)
第二讀會(確定議)
昭和十三年法律第五十三號中改正法律
案(印刷局据置、運轉資本補足ニ關スル
件)第二讀會(確定議)
昭和十五年法律第七十九號改正法律
案(陸軍作業會計法、陸軍航空工廠資
金特別會計法及海軍工廠資金會計法ノ
臨時特例ニ關スル件)第二讀會(確定議)
海軍工廠資金會計法中改正法律案
第二讀會(確定議)
帝國鐵道會計法中改正法律案
第二讀會(確定議)
昭和十三年法律第二十三號中改正法律
案(關東局、朝鮮總督府、臺灣總督府及
樺太廳ノ各特別會計ニ於ケル租稅收入
ノ一部ニ相當スル金額等ヲ臨時軍事費
特別會計ニ繰入ルルコトニ關スル件)
第二讀會(確定議)
昭和十二年法律第八十四號中改正法律
案(支那事變ニ關スル臨時軍事費支辨
ノ爲公債發行ニ關スル件)
第二讀會(確定議)
臨時軍事費特別會計法中改正法律案
第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=74
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075・田子一民
○議長(田子一民君) 別ニ御發議モアリマ
又、第三讀會ヲ省略シテ、十五案トモ委員
長報告通リ可決確定致シマシタ(拍手)是ニ
テ議事日程ハ終了致シマシタ、次會ノ議事
日程ハ公報ヲ以テ通知致シマス、本日ハ是
ニテ散會致シマス
午後三時五十分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=007913242X00719420129&spkNum=75
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